超日本国召喚 (イーグル)
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設定集(仮)

はじめまして、イーグルと申す初心者です。
初投稿のシリーズの設定集です。
ただ、勢いで始めたので設定がまだ、あまり決まっていません。
そのため(仮)となっています。書いていくうちに、設定の修正や追加があるかもしれません。設定の変更のたびに読者の皆様方に連絡します。



設定

 

日本国

1911年までの歴史は、史実と同じ歴史を歩んでいる。

歴史の転換点は、1912年日本国領硫黄島の沖にて漂流している謎の超巨大戦艦3隻を発見したことに端を発する。所々大きく破損したその艦を、大日本帝国海軍が横須賀港に曳航したうえで詳しく調査した所、自国は(おろ)か各列強諸国ですら建造不可能の代物であることが発覚。

海軍はこの巨大艦に「天照」「須佐之男」「八咫烏」と命名。

須佐之男を呉に、八咫烏を佐世保に回航したのち破損部位を当時の最新技術で修復。海軍の象徴として配備した。また、各艦を建造時の姿に戻すためにリバースエンジニアリングを開始した。

1914年開戦の第一次世界大戦には、英国、仏国からの強い参戦希望により連合国の一員として参戦。

参戦に合わせて、天照、八咫烏の二隻を欧州に派遣。須佐之男は太平洋上のドイツ領各諸島制圧と本国防衛のために日本周辺に待機した。

欧州に派遣された二隻の巨大艦は、ドイツら中央同盟国からとても恐れられた。特に、一番艦天照はユトランド沖海戦に参加しドイツ主力艦の大半を撃沈。連合国からはグレートガーディアン(偉大な守護者)、中央同盟からはリバイアサンと呼ばれた。

連合国の勝利に終わった大戦後の1922年ワシントン海軍軍縮条約において、天照ら三隻は解体の危機に瀕したが日本代表の譲らない態度を示し、三隻は特例として保有を許可された。

 

1925年から、1935年までの間に三隻は近代化改修を受けた。

 

天照型からのリバースエンジニアリングによって日本は、わずかな時間で急成長し世界有数の大国となった。急激な発展と同時に民主化が進行し、1937年憲法改正により天皇主権の大日本帝国から、国民主権の日本国へと変化した。そして、米国、英国、仏国との関係改善を行った。

1939年の第二次世界大戦開戦に伴い、日本国は、天照を旗艦とする欧州救援艦隊を派遣。連合国は「グレートガーディアン」の派遣を国を挙げて喜び、ドイツはかつて、当時世界最高クラスの自国の海軍の主力艦を無傷で撃破した「リバイアサン」の再来に酷くおびえ、バルト海から出てこなかった。連合国は「50年先の技術をもつ」とまで言われる、日本製の戦車やジェット戦闘機に支えられドイツ軍を次々撃破し、ドイツ優勢だった戦局を一気に打開することに成功する。

1942年、史実より3年早くドイツが降伏し戦争は終結した。

 

米国、英国、仏国を抑え名実ともに世界最強の国になった日本は、1945年から、2010年代までの間世界各国の安定化と発展のために尽力をすることになる。この間、天照ら三隻は、近代化改修を受けつつ交代で日本国艦隊総旗艦を務めシーレーンの安定に貢献した。

 

そして、2017年日本国は異世界に召喚されることになる。

 

 

日本国領土と人口

転移した時点の総人口は二億一千万。

史実の領土に加えて、台湾と千島列島、樺太を領土に持つ。

1950年までは、朝鮮半島、満州、南洋諸島も領土の一部だったが日本国による世界平和政策の一環として日本国からの独立選挙が行われそれぞれ独立した。(台湾も選挙が行われたが、結果は日本国に残留することになった)

 

政治について

平和を愛する自由平等主義。

だが、この国の政治を他国から見た場合、「握手には、握手を。話し合いには、話し合いを。暴力には、暴力を」である。そのため、地球では各国は日本に対してかなり慎重に対応をしていた。

 

同盟関係

 

日米英仏4ヵ国同盟や 環太平洋平和条約をはじめとして各国と様々な同盟や条約を結んでいる。

その多くが、平和や世界の安定化につながるものである。

 

軍事について

 

1937年の憲法改正に伴い、大日本帝国陸軍、大日本帝国海軍から、日本国陸上防衛軍、日本国海上防衛軍に改名した。1950年に航空防衛軍が発足する。各種、軍事兵器は天照型からのリバースエンジニアリングによって史実より大きく発展、強化されている。

 

その他

 

天照型からのリバースエンジニアリングは、民間にも大きく影響している。

一例として、この日本では初の人工衛星が1944年に打ち上げが行われた。

ワープロが1945年に、企業用コンピューターが1946年に。

携帯電話、家庭用コンピューターが1955年から販売されている。

インターネットや各種通信網も1955年に提供が始まっている。

また、新幹線が1959年にリニア新幹線が2000年に全線開通している。

 

天照型超巨大戦略戦艦について

 

全長 1200M

全幅 180M

常備排水量5579820トン

主機関 アマテラス型縮退炉(型式、正式機関名、最大出力不明)

補助機関 アマテラス型対消滅核融合炉(対消滅機関と核融合炉のハイブリット、型式、正式機関名、最大出力不明)

通常推進機 量子推進器 8基

高速航行用推進器 グラビティブースター 4基

速力 120ノット(推定)

巡行速度 40ノット(推定)

乗員 1500名

兵装 80㎝三連装砲 6基

   100㎝超電磁砲 4基

   30㎝連装リニアガトリング砲 8基

   ポジトロン全方位誘導ビーム砲 2基

   20㎝中性子ホーミングレーザー砲 4基

   280㎜AGS三連装砲 16基

   艦首マルチランチャー 8基

   舷側マルチランチャー 10基(両舷20基)

   艦尾マルチランチャー 6基

   VLS 400セル

   12.7㎝三連装パルスレーザー砲 200基

   35㎜近接防御火器 100基

   光子榴弾砲 4基

   反物質連装砲 4基

   格納型量子波動砲 1基

艦載機 Tyep-AF01 10機

同型艦 SBBA-01 天照

    SBBA-02 須佐之男

    SBBA-03 八咫烏

 

日本大躍進の原点にして、日本平和の象徴。

1912年に硫黄島沖にて発見された超巨大艦で、無制限に弾薬を補充する無限装填装置やあらゆる攻撃を防ぐエネルギー吸収バリアなど一世紀たった今も解明されていない多くの技術が使われている。

一隻で大国を滅ぼすことができるとまで言われている艦で、対艦、対空、対地、対潜まであらゆる戦闘を行うことができる。

見た目は、大和型に酷似した艦橋をもつ鋼鉄の咆哮のヴォルケンクラッツァー。

建造時の姿や建造した組織は不明。

古代の超文明の遺物、未来から来た戦闘艦、異世界からの漂流物などその出自については様々な説がある。

 

Tyep-AF01(旧名、天照型艦上噴進機)について

 

全長15m

翼長14m

エンジン AFJE-01核融合炉

最高速度 6000㎞

最高高度 20000m

武装 20㎜パルスレーザー 6門

   空対空ミサイル AFM-01 8発

   空対艦ミサイル AFM₋02 4発

 

天照型の格納庫に格納されていたVTOL型UAV。外見はエースコンバットのADF-11をしている。

天照型と同じく、対艦から対空、対潜に索敵まで行うことができる。

1954年から、リバースエンジニアリングによって開発されたUAVFシリーズが兄弟機として存在している。

ただし、UAVFシリーズ最新型でもオリジナルの70%ほどの性能しかない。

有人型のVTOLFシリーズも存在している。

 




読者の皆様に、お願いがあります。
誤字、脱字などがあった場合バシバシ指摘してください。


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クワ・トイネ公国編₋1

雲一つない快晴の空の下、クワ・トイネ公国軍第六飛竜隊に所属する竜騎士マールパティマは、ワイバーンに跨り公国北東方面の警戒任務に就いていた。

公国の北東方向は、海ばかりが広がり陸地の類は存在しない。

この哨戒任務はクワ・トイネ公国の隣国であり、人族至上主義を掲げるロウリア王国と緊張状態が続いているため、軍船による迂回、奇襲攻撃に備え見つけた場合即座に祖国防衛に対応すためである。他にも、小さな懸念事項があった。それは、一週間前に何もないはずの北東方向から、強い発光現象が発生したことである。何かしらの事案が北東方向から発生する可能性があるため、彼は相棒を公国の北東の空に飛ばしていた。

 

一瞬、空のかなたに何かが光った。

 

「―――!?、なんだ!あれは」

 

自分以外いないはずの空に、何かがいる。

それは、あっという間に点となり影となった。それは、ワイバーンより大きく、速く、そして羽ばたいていなかった。味方の騎でないのは、明らかだった。

彼はすぐに、通信用魔法魔法具を用いて本部に報告を入れる。

 

「我、未確認騎を確認。これより、対象に接触し確認を・・・・!?」

 

その先は、言えなかった。なぜなら、その所属不明機はすでに轟音を立ててマールパティアの真横を通り過ぎていたからだ。

その物体は、灰色の体色をしていて羽ばたいていない翼の先端や胴体の一部が緑や赤色に点滅していた。

彼は、あわてて振り向くと未確認騎はすでに空のかなたへと消え去っていた。信じられないことに不明騎はワイバーンの数倍以上の速度で、飛んで行ったのだ。翼も羽ばたかせずに。

 

「司令部、未確認騎は信じられないような速度でマイハーク方向に進行した。繰り返す、マイハーク方向に侵攻した。」

 

この報告を受けて、マイハークの司令部は蜂の巣をつついたように上に下へと大騒ぎとなっていた。

マールパティアは、公国一の目の良さを誇る。そんな彼が発見してから、報告している間に不明騎は通り過ぎたのだ。つまり、不明騎が常識外れの速さでここ、マイハークに接近しているのだ。

クワ・トイネ有数の経済都市マイハークが攻撃を受けたら、それこそ軍の威信にかかわる。

通信魔法で、待機していた飛竜隊に

「未確認騎が一騎、マイハークに急速接近中。領空に侵入した不明騎を発見次第撃墜せよ。繰り返す、発見次第撃墜せよ。」

と、指令を出した。

地上待機をしていた10騎と上空哨戒をしていた8騎、合計18騎が不明騎を待ち構えていた。

 

幸運なことに彼ら飛竜隊は、不明騎に正対することができた。報告によれば、不明騎はワイバーン以上の高速でこちらに接近しているという。ならば、攻撃チャンスは通り過ぎる一瞬、一度しかない。

彼らは、人生で最も集中をし火炎弾の発射タイミングを見計らったが、未確認騎が見えたと思った時にはすでに横を通り過ぎ、振り返ればマイハークの上空に到達していた。

 

「未確認騎、発見するも攻撃できず。繰り返す、攻撃できず」

 

マイハーク防衛騎士団団長イーラは、慎重にその物体に近づいて行った。

飛竜隊の防衛網を楽々と突破し、まるで雷のような速度でマイハーク上空を通り過ぎて行った不明騎は南門から500mのところに、何かを投下して飛び去って行った。近づいてみると、それは長さ1m、直径50㎝程の筒状の形をしていた。筒は上部が開閉するようになっていて、内部に何かが入っていた。

その何かを筒の外に出そうとしたとき、彼女は何かを押した気がした。

 

「皆様、初めまして。我々は日本国です。まずは、貴国のー--」

 

クワトイネ公国 政治部会

 

「これが、マイハークに侵入した不明騎の落としていったものですか」

 

クワトイネ公国首相カナタは、目の前にある物体と書類を見ながらつぶやく。昨日、マイハーク上空に不明騎が侵入し目の前にあるものを入れた金属製の筒を投下し去っていったことを、クワトイネ防衛、軍備をつかさどる軍務局から報告を受けた。不明騎が落としていったもののうち、書類のほうは未知の文字で書かれていて何が書いてあるか分からなかったが、もう一つの音声の出る薄い箱状の物体からでる音声はこの国で、一般的に使われている言語だったので、理解することができた。

記録されていた音声を要約すると、

 

*不明騎は日本国という国家に所属するものである。

 

*領空侵犯してしまったことに対する謝罪

 

*日本国に関する簡単な説明

 

*日本国が別世界から転移してきたこと

 

*日本国が我が国との同盟を望んでいること

 

*同盟締結の為に外交官を乗せた艦隊を派遣していること

などであった。

 

「皆の者、この一件。どう思う、そしてどう対処する」

 

情報分析部所属の一人が手を上げ、発言する。

 

「情報分析部の調査によれば、今回の所属不明騎は列強第二位のムーが開発している飛行機械に酷似しています。ですが、ムーの開発している飛行機械は最高速度が350㎞/hほどであそこまでの速度で飛行できる飛行機械は存在していません。また、音声の出る物体についても、ムーが開発した蓄音機という機械がありますがここまで小型の蓄音機はムーにも存在していないと思います。」

 

「まったく、未知の。しかも、下手をしたら列強国を上回る技術を持っている国ということか。」

 

出席者は全員、頭を抱える。相手は自分たちでは足元にも及ばない列強国並みの実力を持つ国にかもしれないのだ。ただ、音声上だけとはいえ、領空侵犯を謝罪し、我が国と対等な同盟を望んでいる謎の国、日本国。

どのように対応すべきか悩んでいる政治部会に、突然外交部の若い外交官が、息を切らして、飛び込んできた。明らかに、非常事態だ。

 

「何事か!!!」

 

外交部の長である外務卿が声を張り上げる。

 

「報告します!公国北海上にて、日本国を名乗る大船団が現れました!日本国は、我が国との会談を強く望んでいます!」

 

報告を要約すると

 

*本日早朝、第二艦隊が350mクラスの艦艇二隻を含む船団を発見。

 

*臨検を行ったところ、日本国と名乗った。

 

*我が国に対して、敵意はない。

 

*我が国との同盟関係構築のための会談を望んでいる。

 

*そして、領空侵犯に対してあらためて、深く謝罪をする。

 

この報告に、政治部会に参加する誰もが、カナタの手元にある小さく薄い蓄音機と読解不明の文字が書かれた書類を見る。記録されていた音声通りだった。一部の人々は信じられなかったが、昨日、あっさりと都市上空に侵入されたことや、350mという考えられないほどの巨大船の報告もある。

日本国の実力は本物である。

クワトイネ公国首相カナタは、日本国の特使に合うことを決断した。

 

 

 




天照型無双は、ロウリア王国戦までお待ちください。
登場自体は、二話以内に登場させるつもりです。


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クワ・トイネ公国編ー2

クワ・トイネ公国海軍第二艦隊と日本国派遣艦隊の会合から、2日後。

クワ・トイネ公国有数の港であるマイハーク港は、いつも以上に大きくにぎわっていた。

理由は、マイハーク港沖に見たことのないほど大きな艦が停泊しているからだ。

 

「船長、見てください。あの人だかりを。まるで、10年前のムーのグランドフリート来航の時のようですよ!」

「ああ、まったくだ。しかし・・・」

 

日本国派遣艦隊と最初に接触した軍船ピーマの船長ミドリは、港湾施設に鈴なりにいる見物客から沖に停泊する日本国艦隊の中で最も大きい平べったい艦へと視線を移動する。

 

CVT-03 いざなみ

 

たけみかずち型核融合炉搭載型空母の3番艦で、この派遣艦隊の旗艦を務めている空母である。

ミドリは、初めてこの艦を見たとき城が海に浮かんでいるのかと、感じてしまうほどだった。

そして、臨検の為乗船したときその甲板の広さに衝撃を受け絶句した。騎馬訓練ができてしまうと。

その後のことは、あまり覚えていない。本国にこのことを連絡したり、日本艦隊をマイハーク港に誘導したりと、大忙しであったからだ。しかし、彼はこの2日間で確信したことがあった。それは、日本国との出会いは確実にクワトイネ公国を大きく変えていくことになる、ということだった。

 

日本 東京都千代田区 首相官邸

 

「総理、派遣艦隊からの定時連絡です。クワ・トイネ公国の公都クワトイネにて、会談が始まったとのことです」

 

防衛大臣 厳田 虎からの報告に、日本総理 武田 実成ら日本の政治を司る武田内閣の面々は肩の荷が少しばかり軽くなったことを、感じた。地球なら、国際法違反ともいえる行動は良い方向に進んだようだ。

武田は、短くだが人生で最も濃い一週間を、目を閉じふりかえる。

 

一週間前

 

国土が、別の世界に転移する。常識的に考えてあり得ない、物語上の存在といえる空前絶後の現象が発生したとき武田は、日々の激務をこなし終え寝床に身を横にしようとしていた。世界最強の国の長としての重圧は、自分の考えや発言、行動で簡単に世界が変わってしまうという事実は大きなストレスとなっていた。

彼は目を閉じ疲れを癒すことにした。

 

「・・・!?な、なんだ?」

 

突然、窓の外が真昼のごとく明るくなり、夜中の1時だというのに青空が見えた。

この不思議な現象は、訳10秒間ほど続き、元に戻っていった。

 

「いったい、なんだったのだ・・・?」

 

彼は、今まで感じたことのないような不安感を感じた。

そんな、武田の不安感をさらに騒ぎ立てるかのように、携帯電話から特徴的なアラームが鳴る。

東日本大震災にいやというほど聞いた、緊急地震速報の音だった。

 

「地震か!!」

 

武田はすぐに、付近に落下物がないか見渡した。

そのとき既に、最大に慌てふためく所もあった。

ここはそのうちの一つ、気象庁。

 

「な、なんなんだ!これは・・・!」

 

通常、地震の震源は一か所だけのはずなのだが職員の前に置かれたパソコンの画面に表示された計測された震源地が可視化できるシステムには、日本領の周りを囲むように八か所の震源地が示されていた。

信じられないことが二つある。一つ目はコンピューターが推定したマグニチュードは12という、地球上ではありえない数字が示されていたこと。二つ目は震度四の地震波が一切減衰することなく内陸に駆け抜けていることである。

通常では、決してありえないこと。それが、現実で起きている。その事実に、気象庁職員は、ただただ呆然としていた。

 

「震源はどこだ!!」

 

血相を変え、彼の上司が飛び込んできたあと、パソコンの画面に表示されたデータを見て、余りに現実離れした数字に思わず叫ぶ。

 

「マグニチュード12だと!!そんなばかな!!」

 

前例のない事象に若い職員と同じように呆然とするが、すぐに我に返り

 

「今すぐ、各機器を再点検。データの再取得、再確認をしろ!」

 

と、指示をだした。

そこに、さらに悪い知らせが入ってきた。

 

「大変です!全気象衛星と通信が途絶しました。衛星をロスト!」

 

「なに、通信機器の故障?こんな時に!!」

 

気象庁職員は、前例のない事例に、記者会見の準備に追われる。

 

 

気象庁が混乱のさなかにあるころ、それ以上に混乱していたのが防衛庁だった。

 

「偵察衛星しらさぎ、おおとり、かわせみ通信途絶!全通信衛星ロストしました!」

 

「もう一度確認しろ!JAXSにも確認作業の協力を仰げ!」

 

謎の発光現象と地震の後、偵察衛星や日米英仏軍事ネットワークが突然接続できなくなってしまった。

強力なEMP攻撃を受けたか、衛星を撃墜されたか、あるいは・・・・。

防衛大臣厳田 虎は、様々な可能性を思考していた。

世界一の技術を持つ、我が国日本がこのようなことになるとは、今までとても考えられなかった。

そんななか、一つの通信が飛び込んでくる。

 

「厳田大臣。第一護衛艦隊旗艦天照から、大臣あてに第一級緊急通信です!」

 

「なに?わかった、すぐに繋いでくれ」

 

国家存亡の危機の時のみ、使用される最優先通信。しかも、それが日本が世界に誇る超巨大艦天照から発信されたこともあって、厳田は心にとてつもない不安を抱えることになったが、それを表情に出さずに天照からの通信に応じる。

 

「私だ、一体何があったのかね。手短に頼むよ、倉田艦長」

 

「はっ、天照のメインコンピューターがレーダーや各種センサーの情報をもとに現在の状況を分析したところ、ここは地球ではないとの結論が出ました」

 

「・・・はっ?つまり、いや、まさか・・・」

 

「端的に申し上げるのならば・・・・。信じられないことですが、我が国が地球以外のどこかに転移したということです」

 

 

少し、時間は遡り謎の発光現象が発生する前

 

四国から100㎞の沖合を航行している艦隊が、存在していた。300m越えの艦が多数いる中で、ひときわ大きく存在感を放っている巨大艦がいた。

天照型超巨大戦略戦艦一番艦天照。一世紀前に、突然出現し強力無慈悲な戦闘能力と、未だに解析されつくされていない様々な技術によって、日本を世界一の強国にのし上げた戦艦である。

この艦隊の旗艦を預かる戦艦の艦橋に、この艦の艦長 倉田 昇がいた。彼は、とても優秀な人物であったからこそ、世界に三隻しか存在しない天照型の艦長に35歳という若さで就任することができた。

倉田の、父そして祖父もこの巨大戦艦の乗組員だった。倉田自身も、天照型に憧れ努力してきた。

努力してきた結果、最年少で艦長に任命された。頑張りすぎたなと、倉田は回想する。

 

「どうだ、倉田艦長。異常はないかね。」

 

「はっ、佐々木司令。全艦異常はありません。すべて、順調です。」

 

「うむ、それは良いことだ。ところで、このじゃじゃ馬の指揮には慣れたかね。」

 

「いえ、ですが我が国の象徴的な戦艦である天照がここまで繊細な艦だとは思っていませんでした。」

 

「私も、最初に乗艦したときはとても驚いたさ。下手に扱うとすぐに、へそを曲げる。だが、いざというときは、我々の理解を超えた力を発揮する。まるで、我々人間と同じ魂を持っていると感じるほどだ。」

 

「司令、持論を展開されるのは結構なのですが、この艦がデレて調子が狂ったらどうするのですか。」

 

「この程度で・・・・」

 

その時、けたたましい警報が艦に鳴り響いた。

 

「なんだ!いったい何が起きた!!」

 

「それが、天照のメインコンピューターが突然見たことのない警告を、表示しているのです!!」

 

「急いで、解析しろ!それと、総員起こし。第一種戦闘配置につけ!!」

 

天照の熟練兵たちが、各自の配置場所に素早く移動している間に、CICの情報分析担当官が、素早くキーボードをたたき、解析を進めていく。わずか、一分余りで出された。

その内容は、

「巨大ナ次元振動発生。対ショック姿勢ヲトラレタシ。到達マデ、アト十秒。」

だった。彼は、大慌てでこのことを報告した。

 

この報告を受け、倉田はすぐに行動を起こした。

 

「全艦、対ショック姿勢をとれ!でかいのが来るぞ!」

 

この命令を出した直後、今まで経験したことのないほどの衝撃が天照を襲った。窓の外は、強烈な光に包まれていた。この時、天照が所属する第一護衛艦隊は偶然にも日本を囲むように発生した震源地の真上にいたのだ。そのため、日本で最も早くこの異常現象に遭遇することになった。

 

約30秒後、すべての現象が収まり海は元通りに戻った。

 

「各部署、被害状況知らせ。」

 

「船体異常なし。」

 

「各兵装、問題なし。」

 

「防御システム、正常に稼働。」

 

「レーダー及び各種センサー問題ありません。」

 

僚艦からも、問題なしの報告が上がり一息つく、倉田と佐々木。だが・・・。

 

「艦長!軍事衛星とコンタクトが取れません!完全にロスト!。」

 

「4ヵ国軍事ネットワークにもアクセスできません!」

 

「自動航法衛星、通信途絶しました!GPS衛星も応答しません!」

 

「何、そんな馬鹿な!情報分析担当官すぐに、原因を調査しろ!」

 

倉田が、通信網の大規模ダウンに対応している間に佐々木は、このことについて考察する。

 

(おかしい、民間用衛星はともかく軍事衛星までダメになるとは。あの現象が起きてから、すべて一度に故障するとはとても思えない。まるで、全てなくなってしまったような気が・・・!?)

 

「倉田艦長!天照の全てのセンサーを最大出力で使用。効果範囲の全てを探知しろ!」

 

「?はっ!全センサー、最大出力で使用。しかし、司令なぜそのようなご命令を?」

 

「いや、私の中にある疑問を確かめたくなったからだよ。」

 

倉田は、自分の上官の疑問が理解できなかったが、情報分析官の報告に自分の耳を疑うことになる。

 

「艦長!解析したところ、宇宙空間の全ての人工物体が確認できません!!恒星の位置も今までのものとは、全く違います!」

 

「馬鹿な!そんなことが起きるとは。一体どうなっているのだ。」

 

この報告は、佐々木の疑問を確証に変えた。

 

「倉田艦長、衛星が突然消えたわけではない。我々が、地球から消えてしまったのだ。」

 

日本転移から、一時間後

 

総理官邸では緊急閣僚会議が、行われていた。

 

「我が国が、地球以外の別世界に転移しただと!そんなことがあり得るか!」

 

「しかし、天照型各艦からの報告のほか、JAXSからも同様の報告が上がっています。これは事実なのです。」

 

会議は、大荒れだった。だが、時間が経つうちに具体的な意見や報告が出るようになる。

意見の幾つかをあげると

 

*日本周辺の偵察

 

*周辺国との国交確立

 

*農業プラントの全力稼働による食料の確保

 

*国民への公表

 

などである。

 

会議は、国家防衛の話題になる。

日本は、1990年頃の冷戦終結に伴い、軍事力の一部をモスボール処理を行って保管した。

それらの、現役復帰が題材である。護衛艦は、シーレーンの安全確保のために復帰がすぐに決まったが問題は、戦艦や空母などの大型艦である。

対象になるのは、きい型原子力戦艦6隻、とさ型核融合炉搭載型戦艦4隻、ひりゅう型原子力空母10隻である。

この意見は、厳田 防衛大臣から意見が出された。武田総理や半数の閣僚は、この意見に賛成だったが財務大臣ら一部は、反対した。今のままでも十分だと考えていたのだ。

現在の大型艦は、天照型超巨大戦略戦艦3隻、ふそう型核融合炉搭載型戦艦10隻、大和型戦艦2隻、たけみかずち型核融合炉搭載型空母10隻、ひりゅう型原子力空母4隻である。これで、十分であると。

しかし、厳田は強くモスボール大型艦の現役復帰を唱えた。

理由は、

 

*現在の戦力は米英仏の三か国との連携があったからこそである。

 

*周辺国の政治体制が分かっていないため、突然宣戦布告される可能性がある。

 

*戦力を持ち、それを示すことで日本の国力をこの世界に示す必要がある。

 

などである。

 

最終的に、とさ型4隻、ひりゅう型6隻の即時現役復帰。その他、艦艇はすぐに復帰工事が始められるように、予備工事を行うことに決定した。

このとき、日本にとって幸運なことは、天照型が全艦そろっていたことである。と言うのも、一番艦天照はつい先月まで欧州に派遣されていたのである。もし、転移が一か月早かったら天照は、地球に取り残されていたかもしれない。

とにもかくも、日本国はこの世界の偵察を各護衛艦隊に命令。

転移の翌日には、陸地と複数の都市を確認。

2日間の調査ののち、この国家が地球の中世時代レベルであることと、農業国家であると断定。

外交官朝田 泰司ら外交特使を乗せた、空母いざなみを旗艦とする派遣艦隊を出撃させた。

クワトイネ公国を騒がせた、所属不明騎はいざなみから発進したUAVF-11であった。

 

クワ・トイネ公国 公都クワ・トイネ 首相官邸

 

首相カナタは、これから顔合わせをする異国の外交官との会談に、応接室の前で緊張していた。

見たことのない飛行機械なる鉄竜や、要塞のような巨大艦を運用する国、日本。

本来ならば、初めての会談で首相である自分がでるのはこの国の外交の順序とは違うが、現在クワトイネ公国は人間至上主義のロウリア王国との緊張状態が続いており、準有事体制のこの状況下において少しでも、力を持つ国と友好関係を保ちたいという本音がある。

出来れば、日本国のあの超技術を、少しでも手に入れたい。

意を決して、日本国の外交官のいる応接室に入る。

カナタがドアを開くと、席に座っていた彼等は、席を立って礼をした。

 

「初めまして、カナタ首相。私は、日本外務局の朝田です。お会いできて、とても光栄です。」

 

日本の使者は、朝田のほか二人ほど随伴している。

 

「ええ、朝田殿。よろしくお願いします。」

 

ここに、日本、クワ・トイネ両国の行く末を決めることになる「第一回日桑会談」が始まった。

 

「この会談の司会を務めるクワトイネ外務局のリンスイです。よろしくお願いします。早速ですが、日本国の皆様、今回の我が国への来航の理由をお聞かせ願いたい。」

 

「わかりました。まずは、我が国についての資料を配布させていただきます。」

 

そういうと、日本外交官の一人は日本についての資料を配布する。だが、

 

「・・・・?すみませんが、朝田殿。これは、我々は読めませんですぞ。」

 

「なんと、流暢な日本語を話されるので読めるものだと思っていましたが。」

 

「我々からは、あなた方は大陸共通語を話しているように聞こえていますぞ。」

 

朝田とリンスイが、そのことに驚く傍らでカナタはこの文字が謎の鉄竜から落とされた筒の中の文章と同じ言語であることに気づく。

 

「このようなことが起きるとは、不思議なものですね・・・。では口頭で説明させていただきます。我が国、日本はこの国から北東に約1000㎞付近に存在する国です。ところで、単位はお分かりになりますか?」

 

「ああ、大丈夫ですぞ、朝田殿。しかし、その付近には国は疎か、島もなかったはずだが・・・。」

 

「はい、我が国はこの世界とは違う「地球」という世界から転移してきたと我々は考えております。」

 

「馬鹿な、国が転移してくるとはとても考えられない。どれほどの、魔力が必要になるか。あなた方は、ほら話を吹いているのではないのですか?」

 

「国ごと、転移するという事態に我々も理解できていません。我々もそのようなことを言われては、とても信じられるものではありません。そこで、お互いをよく知るために使節団の派遣を提案します。貴国の人間が直接見てきたことなら、貴国も信じることができるでしょう。」

 

「しかし・・・。」

 

「使節の派遣、私は賛成です。」

 

「カナタ首相!?」

 

リンスイが使節の派遣という提案に、悩んでいるのを見かねてカナタが割って入った。

 

「卿の悩みもわかる。だが、あの鉄竜や巨大船を見ただろう。彼らの実力は確かだ。もしかすると、列強以上かもしれない。それに、日本の方々は礼節を弁えていらっしゃる。条件次第では、国交を結ぶことを前提に付き合ってもよいと、私は考えている。」

 

そして、朝田ら日本外交官に向き直り

 

「日本の方々よ。我が国に何を望む。まさか、観光に来たわけではあるまい。」

 

一瞬の沈黙ののち、朝田は口を開く。

 

「我が国は、貴国に対して第一に食料、その次に資源を。最後に貴国を介しての他国との会談、これを望んでいます。また、この世界のことについて可能な限り教えていただきたい。その対価として、我が国は貴国に、我が国が持つ技術の一部と防衛力を提供します。」

 

「な、なんですと!」

 

そのその提案に、クワトイネ側は息をのむ。食料については、家畜でさえうまい飯が食えるほど豊富にとれる。二つ目と三つめも、隣国であるクイラ王国を紹介すれば解決するだろう。これらを、解決すればあの巨大船を建造できる技術力を一端とはいえ、手に入れることができるうえ、その技術力をもとにした巨大な戦力が、味方となる。ロウリア王国と緊張状態にある、クワトイネ公国としてはとてつもない好条件。逃すわけにはいかない。

 

「わかりました。リンスイ、可能な限り使節団の準備をしてください。大使には、ある程度権限を持たせて、派遣してください。」

「承知しました。」

クワ・トイネ公国は、日本国に使節を派遣することを決定した。




次回は、今回登場した戦艦と空母についての設定を上げるつもりです。


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設定(海軍)1

前話、クワトイネ公国編-2に登場した戦艦と空母の設定です。

追記
H_Fisherさんから、誤字指摘がありましたので下記を変更しました。

BBT-004 みさく → BBT-004 でわ


 

日本の戦艦

 

大和型戦艦

全長 263M

全幅 38.9M

喫水 10.58M

排水量 72809トン

機関 ガスタービンエンジン(皇紀九〇式ガスタービン、出力合計20万馬力)

最大速力 30ノット

巡航速力 18ノット

航続距離 7500海里

乗員 1000名(最終時)

兵装兵装 (最終時)

      46㎝三連装砲 3基

      15㎝三連装砲 2基

      12.7㎝単装速射砲 8基

      35㎜近接防御火器 40基

      VLS 64セル

艦載機 UAVF-8 4機(最終時)

同型艦 BBNー001 大和

    BBNー002 武藏

    BBN-003 信濃

    BBNー004 肥前

 

日本が、世界で初めて建造したガスタービンを主機関とする戦艦。30ノットの高速性、46㎝砲の火力、高い対空戦闘能力を備えた新世代高速戦艦の先駆けとなった。

史実より早い、1930年に一番艦大和の建造が呉で始まった。

第二次世界大戦では、就役していた大和、武蔵が欧州に派遣されその火力で上陸作戦成功に大きく寄与した。

後継艦の登場で1970年に一端退役するが、1980年に米ソ間の冷戦が激化したことに伴って、近代化改修を受けて現役に復帰した。

大和、武蔵は1992年に、南シナ海の原油をめぐって発生した南シナ戦争に参加したのを最後に、退役し大和は呉、武蔵は長崎に博物館船として保存、公開されることになった。残る信濃、肥前は1995年から砲撃練習艦として活動している。

 

きい型原子力戦艦

全長 320M

全幅 42.3M 

喫水 11.8M

排水量 104500トン

機関 原子炉 (皇紀零式艦船用原子炉、出力25万馬力)

推進器 タービン

最大速力 33ノット

巡航速度 18ノット

乗員 1200名(最終時)

兵装 (最終時)

    51㎝三連装砲 3基

    20㎝三連装砲 2基

    12.7㎝単装速射砲 12基

    20㎜三連装パルスレーザー砲 10基

    35㎜近接防御火器 36基

    VLS 64セル

艦載機 UAVF-9 6機(最終時)

同型艦 BBKー001 きい

    BBK-002 おわり

    BBK-003 えぞ

    BBK-004 つしま

    BBK-004 みかわ

    BBK-005 はりま

    BBK-006 みの

 

金剛型や扶桑型、伊勢型の老朽化に伴う代替艦として建造した史上初の原子力戦艦。大和型を上回る51㎝砲の搭載や速力の向上など、世界に名を轟かせた。

海軍の命名規則変更の影響で、艦名はひらがな表記になっている。

一番艦 きいは1940年に建造開始。そのため、第二次世界大戦には参加していない。本来10隻の建造予定だったが、新型核融合炉の完成で後期4艦は、とさ型となった。

1980年代に、大規模近代化改修を実施した本級は南シナ戦争に従事した後、2000年から、順次予備役になっていった。

 

とさ型核融合炉搭載型戦艦

全長 320M

全幅 42.3M 

喫水 11.8M

排水量 112400トン

機関 核融合炉 (核融合炉一型、出力27万馬力)

推進器 タービン

最大速力 33ノット

巡航速度 18ノット

乗員 1200名(最終時)

兵装 (最終時)

    51㎝三連装砲 3基

    20㎝三連装砲 2基

    12.7㎝単装速射砲 12基

    20㎜三連装パルスレーザー砲 20基

    35㎜近接防御火器 26基

    VLS 64セル

艦載機 UAVF-9改 6機

同型艦 BBT-001 とさ

    BBT-002 せっつ

    BBT-003 おうみ

    BBT-004 でわ

 

きい型原子力戦艦の7番艦から10番艦になる予定だったが、計画の途中で艦船用の核融合炉が完成したことで、設計変更を行い完成した戦艦。きい型との変更点は、機関の変更と一部兵装の変更である。これは変更時すでに主砲や副砲が既に完成していて、大きな変更ができなかったためである。

きい型と同じく1980年代に大規模改修を行い、日本の海防の重要な戦力として機能した。

2005年から、順次予備役に編入。とくに、4番艦でわは2013年まで現役だった。

 

ふそう型核融合炉搭載型戦艦

全長 390M

全幅 45M

喫水 12.6M

排水量 217060トン

機関 核融合炉(核融合炉二型、出力35万馬力)

推進器 タービン

最大速力 33ノット

巡行速力 18ノット

乗員 1300名

兵装 

61㎝三連装砲 4基

  228㎜AGS三連装砲 8基

  12.7㎝単装速射砲 14基

  20㎜三連装パルスレーザー砲 30基

  35㎜近接防御火器 30基

  VLS 128セル

艦載機 UAVF-11 6機

同型艦 BBH-001 ふそう

    BBH-002 むつ

    BBH-003 ながと

    BBH-004 やましろ

    BBH-005 ひゅうが

    BBH-006 おうみ

    BBH-007 さつま

    BBH-008 いずも

    BBH-009 えちご

    BBH-010 いせ

 

1965年から就役を始めた、世界で最後に建造された戦艦。

きい型、とさ型より巨大な61㎝砲を搭載した核融合炉搭載型戦艦として、1960年から建造が始まった。

本級の登場は国内外に大きな影響を与え、各国の巨大戦艦建造競争に終止符を打つことになった。

1992年の南シナ戦争に参戦したほか、2000年から2008年まで中東各国の要請により海賊対策艦隊の旗艦として7番艦さつまが活躍することになる。

日本国転移時、天照型以外唯一の全艦現役の戦艦として活動していた。

 

金剛型について

きい型原子力戦艦の就役で、1940年に全艦退役になる予定だったが第二次世界大戦後の影響で欧州に派遣されることになった。高速性を持って通商破壊作戦に従事し、ドイツの補給網を破壊した。

戦争終結後、日英友好のあかしとして金剛が横須賀の三笠公園に博物館船として係留されることになった。他の三隻は、スクラップとして売却解体された。

 

扶桑型、伊勢型、長門型について

きい型、とさ型の就役で扶桑型、伊勢型は1945年に退役。一番艦扶桑は、日本初の国産超弩級戦艦として、呉に保存されることになった。山城と、伊勢型の3隻はスクラップとして売却解体された。

長門型は1958年まで現役を務めた後、長門が下関港に保存された。陸奥はスクラップとして売却解体された。

 

日本の空母

 

ひりゅう型原子力空母

全長 330M

全幅 76.83M

喫水 11.3M

排水量 102000トン

機関 原子炉 (皇紀零式艦船用原子炉、出力25万馬力)

推進器 タービン

最大速力 35ノット

巡航速度 18ノット

乗員 3000名

兵装 艦対空ミサイル発射機 2基

   近接防御用ミサイル発射機 2基

   35㎜近接防御火器 6基

艦載機 70機(VTOLF-11 UAVF-11)

同型艦 CVH-001 ひりゅう

    CVH-002 そうりゅう

    CVH-003 かつらぎ

    CVH-004 じゅんよう

    CVH-005 ひよう

    CVH-006 しんよう

    CVH-007 りゅうほう

    CVH-008 ずいほう

    CVH-009 しょうかく

    CVH-010 しょうほう

    CVH-011 ずいかく

    CVH-012 たいほう

    CVH-013 ほうしょう

    CVH-014 うんりゅう

 

世界初の原子力空母として建造された艦で、1940年から建造開始。史実の蒼龍型、飛竜型にあたる艦であるため最初はガスタービン機関駆動として計画されたものの、天照型からのリバースエンジニアリング作業中に、偶然見つかった空母のデータをもとにして再設計された。外見は、ニミッツ級そっくりである。

最初は10隻の建造予定だったが、1955年に鳳翔、龍驤、赤城、加賀の代艦として4隻追加建造された。

現在は、たけみかずち級の就役に伴い予備役編入が進み、転移時は後期4隻が現役である。

 

たけみかずち型核融合炉搭載型空母

全長 360M

全幅 76.83M

喫水 12.6M

排水量 125300トン

機関 核融合炉 (核融合炉四型、出力25万馬力)

推進器 タービン

最大速力 35ノット

巡航速度 18ノット

乗員 3000名

兵装 艦対空ミサイル発射機 4基

   近接防御用ミサイル発射機 4基

   35㎜近接防御火器 10基

艦載機 90機(VTOLF-11 UAVF-11)

同型艦 CVT-001 たけみかずち

    CVT-002 たけみなかた

    CVT-003 いざなみ

    CVT-004 はくりゅう

    CVT-005 りゅうじょう

    CVT-006 せいりゅう

    CVT-007 ほうりゅう

    CVT-008 はくほう

    CVT-009 かいよう

    CVT-010 たいよう

    現在も建造中

 

建造から、半世紀たったひりゅう型の代艦として建造が開始された新型核融合炉搭載型空母。

ひりゅう型を上回る性能に加え、天照型に匹敵する艦隊統制能力を与えられた。

1990年から、建造開始が開始され日本の新たな戦力の要として活動を開始した。

日本転移時、10隻が就役していた本級は現在も建造中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

????型戦艦 

性能は機密により、すべて開示不能である。

 

1990年にたけみかずち型空母と同時に計画された幻の戦艦。

きい型の代艦であり、ふそう型を超えると言われている。計画は途中で、中止されたとされているが・・・?




書いた後に気づいたのですが、どえらいことになっていますねこれ。(自分で設定したのに、何言っているんだ)日本と敵対する国が荒れ地になる未来しか予想できません。

最後に、お気に入り登録が38件になっていました。とても、驚き喜んでいます。登録してくださった方々ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。


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クワ・トイネ公国編-3

お気に入り登録が、53件に行きました!
皆さま、本当にありがとうございます。

実は正直、ここまで伸びるとは思っていませんでしたので、心底驚いています。
これからも、精いっぱい頑張っていきますので、どうかよろしくお願いします。




クワ・トイネ公国 外務局

 

最初の日本とクワ・トイネの会談で派遣が決まった後、外務局に勤める職員たちは使節団の人員調整や特命大使の権限についての調整など、日本との国交開設に向けての準備に追われていた。

 

「ヤゴウ!日本とかいう新興国に使節団として行くらしいじゃないか。うらやましいよ、何しろあの巨大船を作ってしまう国だからな。俺も行ってみたいよ。」

 

同僚の一人が、話しかけてくる。使節団派遣は、別に珍しいことではない。この世界では、国王が変わると国名が変わる国が珍しくなく、中程度の国ではよくあることである。まれに、大国が分裂していくつもの国になることだってある。

ただ、そういった国々は、政治体制の変更で大きな混乱が起こっていることが多い。つまり、治安が悪いのだ。そういった場所に向かう使節団に被害者が出ることも珍しくない。なので、誰もやりたがらない仕事なのだ。また、衛生環境や食糧事情なども不人気なことを後押ししていた。

ただ、今回は違う。皆々、とても気になっていた国への派遣なのだ。

ヤゴウが目を通した資料によると、使節団が派遣される国は日本国というらしい。初めて見たときは、目を疑い何度も見直した。ワイバーンが全く追いつけない鉄竜、手の中に納まるほど小さな蓄音機、350mという城のような、帆をはらずに航行する巨大船。

 

「信じられないな・・・。」

 

ヤゴウは、思考を巡らす。

 

もし、これらがすべて事実ならばとてつもない技術を持っていることになる。羽ばたかずに飛ぶ飛行物体といえば列強一位のミリシアルか、同じく列強二位のムーしか持っていないものだ。蓄音機もまた、数年前にムーによって開発されたばかりのものだ。帆をはらず、航行できる船も列強二国しか持っていないものだ。

今、マイハーク港に入港している日本艦隊は、明らかにムーの、10年前に来航したムーのグランドフリートを構成していた「ソウコウジュンヨウカン」という軍艦より大きく洗礼されている。

列強を超える国力を持つかもしれない国、日本。彼は、日本という国に大きな興味を持ち始めていた。

 

(もしかしたら、私は歴史に大きく影響する人物になるかもしれないな)

 

「皆、集まったな。これより事前会議を始める。」

 

不意に、彼の思考は号令によって、かき消された。

 

小さな会議室で行われているこの会議は、使節団として派遣される外務局の5名と、軍務局の将軍ハンキの計6名である。軍務局の人間がいる理由は、日本国の軍事力を見抜くためである。

この使節団の団長が説明を始める。

 

「今回の我々の一番の目的は、日本がどのような国であるかを確認し我が国とともに歩むことができるかどうかを、判断することである。知ってのとおり、我が国の防空網が日本の鉄竜に、あっさりと突破された。今のところ、我が国にこれを防ぐすべはない。

日本国は、我が国に対し食料を要求し、我が国と国交を結びたいとの意思を示している。技術と防衛力を引き換えにだ。

ただ、どのような目的で我が国と国交を結ぼうとしているのか、真意を調査する必要がある。」

 

皆が頷く。もし、覇権国家だったりしたら。もし、ロウリアのような亜人に対して極端な差別意識をもっていたら。あの鉄竜や巨大船を相手にしないといけなくなったら残念ながら、クワトイネに対応する力はない。だから皆、とても真剣である。

 

「日本がどの程度の国なのかは不明だが、あの巨大船を見る限り途轍もないほどの技術力を持っていると思われる。理解しているとは思うが、我が国の代表として毅然とした態度で接することも必要だが、相手を刺激しないように言動には十分配意すること。

出来るのならば、日本に対して我々が優位に立てる部分を探してほしい。

それでは、皆配布した資料を見てほしい。」

 

新たに配布された資料に皆は目を通す。

 

説明が始まる。

 

「日本側の説明によれば、今回は日本側が、移動手段を提供してくれる。

出発は三日後の昼過ぎ、皆準備をしっかりしておくこと。

出発の二日後の夕方には日本の西側に位置する「キュウシュウ」地方の都市「ナガサキ」市に上陸しそこで、三泊する。そこで日本の安全に行動するための常識を教え込まれる。日本の外務省によれば、日本の常識を知らないといろいろと危険らしい。

上陸から五日後の昼12時くらいには、ナガサキ市を出発。リニアシンカンセンと呼ばれる交通手段で移動する。日本国首都トウキョウには、15時くらいには到着するとのことだ。翌日日本国政府との会談が行われる。」

 

・・・・・?

 

おかしい、はっきりというなら時系列がおかしい。事前に目を通した資料によれば、日本の本土は我が国から、北東方向に約1000㎞以上の距離がある。船舶がたった二日で到着する距離ではない。さらに、ナガサキからトウキョウまでの距離も、1000㎞を軽く超えている。それにもかかわらず、わずか三時間で到着するとは、一体どうゆうことだろうか。

マイハーク上空を、まるで雷のごとく飛び去って行った鉄竜ならば話は解るが、資料によれば、「リニアシンカンセン」という乗り物は、地上を走るものだということだ。

 

日本という国はどうやら、我々の基本常識が通用しない国のようだ。

 

会議は、終わった。

使節団の面々は、三日後の出発に備え荷造りを始めた。

 

三日後、マイハーク港

 

使節団の面々は、クワ・トイネ一番の港であるマイハーク港に集まっていた。

天気は快晴で、きれいな青空が広がり、少し涼しく心地よい。

そこに、一人のスーツを着た男性が来て、話し始める。

 

「お集りの使節団の皆様、私は皆様の今回の派遣を少しでも快適に過ごしていただくために派遣された、日本国外務省の田上です。何かご不便な点があれば、どうぞお申し付けください。」

 

日本とはどのような国なのか、大半の団員は期待を寄せていたがそんな中、一人だけ憂鬱な顔をした団員が一人いた。

 

「今から船旅か・・・・。」

 

「ハンキ将軍、顔色が優れませんが、どうされましたか?」

 

「ヤゴウ殿か、いや、今から船旅だと思うと気が重くてな。船旅は良いものではないぞ。いつ転覆するかわからないし、船の中は暗く、湿気が多く、臭い。しかも、疫病にかかるものも出るし、食べ物は、保存食の塩辛い肉や硬いパンしか食べられない。何よりも真水が、船の上ではとても貴重だ。

今回は、船旅は短いと聞いているが、正直2日というのは短すぎる。外務局と日本国の間で、何らかのやり取りのミスがあったとわしは思っているよ。

船としては、ありえない速度でいかないと無理じゃよ。」

 

「私も、時系列がいろいろとおかしいと思っています。ただ、鉄竜やあの巨大船を保有している日本なのです。もしかすると我々の常識では図っていけないのかもしれません」

 

間もなく時間になる。

港から少し離れて停泊している、巨大な平べったい軍船の影から、それよりも巨大な白い船が現れる。

 

使節団全員に、大きな衝撃が走る。

でかい!しかも帆がない!!

 

極大に大きな白い船は、軍船の隣に停泊した。

田上が説明を始める。

 

「今回は、今到着した「飛鳥Ⅲ」に乗って、日本国に向かいます。本当は、この港に直接接岸したかったのですが、残念ながら港の水深が不足しているため、あそこに停船しました。皆様には、小舟に乗って移っていただきます。」

 

やがて、飛鳥Ⅲという白い船から小舟が三隻現れ、これまた信じられない速度で港に向かって爆走してきた。その船にも、帆がなかった。

この巨大な白亜の船と爆走する小型船の登場は、使節団の面々のみならず、日本の派遣艦隊を見物しに来た野次馬にも大きな衝撃を与えた。

 

「・・・・・はっ!田上殿、田上殿」

 

余りの衝撃でフリーズしていた使節団のメンバーの内、いち早く現実に復帰したハンキが呼びかける。

 

「はい、何でしょうか?」

 

「以前から気になっていたのだが、貴国の軍船やあの白亜の船は、帆がないようだがどうやって動いているのじゃ?小舟に関してもだ。まさか、第一文明圏の魔導動力船みたいなものか?」

 

「魔導動力船というのが、どのようなものか存じ上げませんが、皆さまが乗る船はディーゼル機関によって動いています。」

 

「でぃーぜるきかん?」

 

「はい、いわゆるカラクリです。重油と呼ばれる液体を爆発させることによって、そのエネルギーを利用してスクリューと呼ばれる羽を回すことによって、推進しています。」

 

「うーむ、よくわからないがすごいのう。ん?我々の乗る船では?あの軍船は違うのか?」

 

ハンキは、田上の言葉に気づき、いざなみを指さしそのことを聞く。

 

「ああ、いざなみのことですね。あの艦は核融合炉という特殊なものを搭載しています。ディーゼル機関よりも強力なエネルギーを生み出すことができます。ただ、余りに特殊なので一部の軍艦にしか搭載されていません。」

 

「ふーむ、なるほどな。」

 

やがて、皆は小舟に分乗し、大型客船飛鳥Ⅲに向かった。

客船に乗船し、内部に入ると使節団は再び驚く。

 

明るい。光の妖精がいるのか、あるいは小さな太陽があるのだろうか。

 

「こ・・・・この船、信じられんが鉄で出来ている、一体どうやって浮かんでいるのだ・・・・。しかも中が明るく、広い。まるで宮殿だ。」

 

各々に割り当てられた部屋へ案内され、船と思えないほどの部屋に三度驚きつつも、一堂はくつろぎのひと時を過ごした。

 

その日のヤゴウの日記より

 

なんという事だろうか、私は驚きを隠せない。ムーのグランドフリートを構成していたどの軍船より、大きい。日本には、これよりも巨大な船が複数存在しているという。とても信じられない。

しかも、中はとても快適で明るく、温度が一定に保たれている。その快適さといえば、船旅を嫌っていたハンキ将軍が、テラスでカクテルという飲み物を楽しんでいたほどだ。

このような大きな船にも関わらず、海上を矢のように速度で進んでいく。

このようなものを作り出してしまう国、日本とは、いったいどのような国なのか、とても楽しみである。

外務局の同期の中には、新興国の蛮国に違いない。あの大きな船は、どこからか奪ってきたのではないか、と言う者もいたが、いまのところ、言いたくはないし、認めたくないことだが、我々のほうが蛮族に映っているのではないだろうか。

もしかしたら、日本国は列強の、それも列強上位のミリシアルやムーに匹敵する力を持っているのかもしれない。

 

使節団を乗せた飛鳥Ⅲとそれを護衛する派遣艦隊は、順調に航行し長崎市に向かった。

 

二日後

 

「皆様、長崎市が見えてまいりました。長崎市は、九州地方有数の都市です。あそこに見えるが長崎港であり、長崎港からは、リムジンバスでホテルまで移動していただき、日本についての基礎知識を学んでいただきます。」

 

長崎港が見えてきた。自国最大のマイハーク港以上の港や長崎の街並みに使節団はとても驚く。

これで、地方都市なのかと。

 

「すごいな・・・。これで地方都市なのか。ん!?ハ、ハンキ将軍!!あれを見てください!」

 

「どうしました、ヤゴウ殿・・・!な、なんだ、あれは!!」

 

ヤゴウが何かを見つけ、大きな声を上げそれを指さす。

ハンキもまた、指さした方向を見て驚く。

 

そこには、まるで城のような船が停泊していた。直前で別れた日本艦隊の巨大艦より、少し小さいがそれを感じないような威圧感があった。

 

「田上殿、あの巨大艦はいったいなんのですか?」

 

「あれは、戦艦武蔵です。いまから、80年前に建造された戦艦で長い間我が国の国防に、寄与しました。25年前に退役し、現在は建造されたこの長崎で博物館船として、保存、展示されています。」

 

その事実に、驚く。あの巨大な軍艦が80年も前に建造運用され、そしてすでに退役してしまったということに。これほどの力を持っていることに、日本に上陸する前に感じることになった。

 

その後、船を降りリムジンバスに乗り、ホテルに移動する。

船の上で、田上から車と呼ばれるものが、内燃機関によって動いているということを聞かされていたがまさか、道路を埋め尽くすほどの量があるとは、思っていなかった。

巨大な船、ワイバーンより早い鉄竜、天を衝くほどの高さの建造物など。

それらで理解する、日本の呆れるほどの豊かさを。

 

到着したホテルで、使節団は日本の基礎知識を学ぶ。具体的に言うと、信号システム、自動販売機、自動改札機に鉄道システムについて。それに、日本で犯罪になってしまうことを学んだ。

この国にあふれているものは、摩訶不思議なものばかりだが、すべて「科学」で構築されている。そして、仕組みさえ理解すれば、誰でも作ることができると言っている。

 

なるほど、信号と言うものがないと、あの車たちが好き勝手動いて、最終的に車は詰まって動かなくなってしまうだろう。と、ヤゴウは理解し、このシステムを自国に導入できないかを真剣に考える。

ちなみに、ハンキ以下他の5名は、日本の技術に驚き疲れてしまっている。

 

「田上殿、田上殿。少し良いか?」

 

クワ・トイネのものとは、比べることすらできないほど、座り心地の良い椅子に深く座ったハンキが話しかける。

 

「何でしょうか?ハンキ様。」

 

「このナガサキ市は、ずいぶん発展しているが、首都はもっと発展しているのかね?」

 

「はい、まず人口が比較になりません。なので、高層建築物もここより高いものが沢山あります。地下鉄も、網の目のように張り巡らせています。広い範囲で都心部が広がった結果ですね。ただ、街並みは地方都市のほうがきれいです。東京は、雑多な感じがすると、言われていますので。」

 

「うーむ、早く見てみたいですな。ああ、それと日本軍を見学することは可能かね。わしとしては、鉄竜とやらを見てみたいのだが。」

 

「防衛軍の見学ですね。分かりました、今確認を取りますね。」

 

田上が、すまーとふぉんという光る板を取り出し、独り言を始める。通信用の道具だと聞いているが、あそこまで小さくできるものだろうか。

 

「ハンキ様、ちょうど明日から、海上防衛軍佐世保基地にて、基地祭が開催されます。一般市民向けの防衛軍と市民の交流会のようなものなのですが、それでよろしければ手配できますが。」

 

「おお、すまんのう。たのむ、たのむ。」

 

ハンキは、日本軍の見学の機会を得て、上機嫌だった。

 

「他に基地祭に行きたい方はおられますか?来賓席を手配しますが。」

 

「私も行きます。」

 

ヤゴウが手を上げ、田上がこのことの連絡を取ったあとに、ハンキらは戦艦武藏の見学を今日行いたいと、相談したが、

 

「戦艦の見学ですか、なら大丈夫ですよ。なぜなら、明日の基地祭には現役の戦艦が、公開される予定ですから。」

 

このことを聞き、ハンキとヤゴウは明日の基地祭に、期待を寄せた。

 

翌日

 

ハンキとヤゴウは、絶句していた。

 

(正直、高速道路で目を回しそうになったし、夜明け前に移動開始したから、眠かったがこれを見て眠気がぶっ飛んでしまったわい)

 

一般市民を軍事施設に入れて、軍と触れ合うなど、自分たちの常識では考えられなかったが、そのことが些細に感じられるほどの衝撃が、二人を襲った。

理由は、目の前に停泊している軍艦が、原因だった。

 

BBH-003 ながと

 

400m近い全長を持つ、文字どうりの桁外れの巨大船だった。

 

「た、田上殿。この軍艦は一体何なのですか!?」

 

「この戦艦は、ふそう型三番艦ながとです。全長390mと日本の軍艦としては、二番目に大きく強力な戦艦です。御二人が見た、長崎で保存されている戦艦武藏の代艦として建造された戦艦で現在も、重要な戦力として活動しています。」

 

「ち、ちなみに、日本国はこれを何隻保有しているのか?」

 

「ふそう型は10隻建造されて、全艦現役です。」

 

「「10隻!!!!」」

 

この事実に、二人は驚愕し顔を見合わせる。このながと一隻だけで、クワトイネ海軍はおそらく蹂躙されるだろう。それが、10隻。途方もない、そして、圧倒的な実力の差。

二人はただただ、この国がとても平和的な国であることに、神に感謝した。

 

このあと、来賓席で鉄竜ことVTOLF-11のアクロバットパフォーマンスを見て驚き、その性能を聞いてまた大きな衝撃を受けることになった二人であった。

 

その日のハンキの日記より

 

街にあふれる建築物、高速道路という巨大な上空道路、そして鉄道と呼ばれる大規模流通システム。

これらの凄まじいまでの建造物やシステム群を作る日本という国が恐ろしい。

しかも、ここナガサキ市は日本の首都ではなく、一地方都市に過ぎないという事実。驚愕、いや言葉に言い表すことができない。

豊か過ぎる国日本、彼らはその強力な国力にふさわしい、凄まじいまでの軍事技術を有している。

日本は、島国の為海軍に力を入れている。今日見た軍艦ナガトは400m近い全長、20万トンを超える排水量、全てが規格外の存在だ。しかも、同型艦が10隻いるという。

鉄竜もすさまじい。マイハークに侵入したものと準同型機というそれは、音の速さの3倍の速さで飛ぶことができるという。行動可能半径は1000㎞を優に超える、化け物、いや天空の覇者という名がふさわしいと感じる。彼らから見れば、我が国のワイバーンは、止まって見えるだろう。

案内役の田上に聴取したところ、鉄竜は海上攻撃や、陸上支援にも使用されるとのことだ。

彼らとは必ず友好関係を構築しなければならない。

彼らを、日本国を敵に回すということは、文明圏の列強国をすべて相手にすることより、恐ろしいことである。

彼らと敵対してはならない。絶対にだ。

 

ホテルの一室にて、

 

「なあ、ヤゴウ殿。」

 

「なんでしょうか。ハンキ殿。」

 

「貴公は、日本をどう思う。」

 

「そうですね、一言で表すなら、豊かですね。我が国とは比較にならないほどに・・・。例えばホテルの中は、温度が一定に保たれている。これほどの建物を暖めるのに、どれほどのエネルギーがいるのか・・・。

他にも捻るだけで、お湯が出る機械もある。トイレも非常に清潔に保たれている。

外に出ると、無人の自動販売機という販売機械があり、冷えた飲み物がいつでも手に入る。

夜間開いている店舗があり、いつでも上質な物が手に入る。

食品売り場では、常に新鮮な食料が手に入る。

夜も街灯によってとても明るいので、街中なら松明やカンテラが無くても歩けるし、治安がとてつもなく良い。

全ての生活レベルが、我が国と比べ、次元がまったく違う。悔しいが、我が国はこの国の足元にも及ばないと感じます。

そして、その国力に見合った軍事力を持つ。

聞いた話では、我々を護衛していた平べったい巨大艦は、航空母艦という、鉄竜を何十機も運用することが出来る軍艦だとのことです。

圧倒的な力の差を見せつけられました。

日本は、絶対に敵に回してはいけないと思いました。」

 

「やはり君も同じ思いか・・・。あの鉄竜の前には、今までのワイバーンの空中戦術は、役に立たないだろうと私も思う。いよいよ明日には日本の首都トウキョウに出発じゃな。まったく日本は心臓に悪いよ。」

 

「そうですか?私はとてもワクワクしていますよ。このような、夢物語に出てくるような国が突然現れ、しかも自分たち以外を蛮国と見下している文明圏の国々よりも高度な文明を持っている。そんな国が最初に接触した国が我が国とは・・・。

彼らに覇を唱える性質がなければ、これはとても幸運です。」

 

ヤゴウとハンキは、深夜まで日本について語り続けた。

 

翌日の昼過ぎ、ホテルエントランスにて

 

「田上殿、ここからトウキョウまで1000㎞あるが、本当に今日中につくのですか。」

 

「はい、事故や災害の類がなければ、予定通りにつきます。」

 

「解りました。ありがとうございます。」

 

「いいえ」

 

田上は、満面の笑みを浮かべる。

 

使節団が、東京に向かうためホテルを後にした直後、

 

キーーーーっっっドン!!!!!!!!!!!!!!!

 

物と物が大きくぶつかる音が起きた。ヤゴウたちはいったい何が起きたのだろうかと疑問に思う。

ヤゴウは外を見る。

頭から血を流して座り込んでいる女性が1名、その横に黄色に塗られた変な車が止まっている。

 

「ああ、またタクシーによる事故か。」

 

田上は、吐き捨てるように言う。

事故にあった女性は、力なくうなだれている。

 

「まずい!早く治療しなければ!!!」

 

「お待ちください、ヤゴウ殿、すぐに救急車が来ますので、大丈夫です。ヤゴウ殿!」

 

田上の制止を振り切り、ヤゴウは座り込んでいる女性に駆け寄る。

田上は、立場上外国の使節団にけが人の手当てをさせるわけにはいかなかった。

 

女性は、うなだれていており頭に負った傷口からは、激しく出血していた。

 

「いかんな・・。,.vmtaiba,eo.,b,a;wsoe4igamoiseo」

 

ヤゴウが何か聞き取れない言葉で唱え始める。すると、彼の両手が淡い光を放ち、女性の頭の傷口がみるみる塞がっていった。

その一部始終を、田上や周りの人々が目撃した。

 

「や、ヤゴウどの。今のはいったいなんのですか?」

 

「?回復魔法を使っただけですが、なにか?簡単なものを使っただけですよ。」

 

「魔法ですと!?さすが異世界、魔法が存在しているのですか。」

 

「珍しいものではありませんよ、本当にどうしたのですか?」

 

ヤゴウは、田上の驚きや周囲の喧騒に戸惑うことになった。

 

 

リニア新幹線の中にて

 

「なんですと!!!日本国には、魔法が存在しないですと!!」

 

「ええ、我が国があった元の世界では魔法と言うものは、おとぎ話の中の存在でした。」

 

「だとすれば、日本は魔法なしでここまで発展したのですか。驚きですな。」

 

使節団は、日本に対して一足二部を取ることのできる大きなことを発見できた。

日本に魔法技術が全くないのならば、我が国の魔法技術をよい条件で輸出できるだろう。

つまり、日本国内において魔法を使った治療や、魔法学校、魔法研究でいろいろとクワトイネ側に有利にすることができるだろう。

 

また、この事はクワ・トイネ公国を発展させるうえでも役立つだろう。

魔法を全く知らない日本が、科学のみでここまで発展できるのだから自国に取り入れれば、魔法と組み合わせることで国力向上を大きく期待できるだろう。

 

「田上殿、貴国の科学技術を我が国に輸出することは、可能だろうか?」

 

「我が国には最近、新世界技術流出防止法という法律が出来たので最新技術や中核技術は、不可能かと思います。ただ、既に使われていない、もしくはとても古いものならば可能です。また、基本的なことはその辺にある本屋で売っている本に書かれています。ただ、翻訳作業が全く進んでいないのであなた方の文字に変換することは、とても難しいと思います。」

 

この事を知り、ヤゴウはこの国の技術の基礎たる科学に関する本をなるべく多く持ち帰り、翻訳作業をして自国の発展に寄与することを、心に決めた。

 

東京についた翌日

 

第二回日桑会談が始まった。

 

「そ・・・総トン数年間3500万トン!?」

 

ヤゴウは、日本が要求してきた食料に驚く。

第一回会談の時、日本が食料を要求してきたのは知っていたが、ここまで膨大なものだとは思っていなかった。

 

「貴国は、とても農業が盛んであると聞いています。日本は転移前は複数の国から輸入していたので、一国ですべて賄えるとは思っていませんが、このうちどれほど可能か知りたいのです。」

 

日本から提供された資料を一通り読み終えたヤゴウが話し始める。

 

「水産資源や、こーひー豆と言うものなどよくわからないものなどは無理だと思います。

ですが・・・・、それ以外、3500万トン全て、我が国で賄えますよ。」

 

「!!!それはほんとうですか!?」

 

「はい、ただわが国にはこれらを安定的に提供できるインフラがありません。」

 

「では、それを解決できれば、食糧輸出は可能なのですね?」

 

「カナタ首相や議会の承認が必要ですが、私見では可能だと考えています。」

 

日本側の参加者たちがざわめく。

当初の予定では、クワトイネの他に数か国と交易をおこない、食料を確保するつもりだったのだ。それがまさか、たった一国で解決できるとは夢にも思っていなかった。

実は、クワ・トイネは女神の祝福によって、食料自給率400%に匹敵している超農業国家なのだ。もし、この国が地球にあったら、間違いなくこの国をめぐって大戦争になるだろう。何しろ、種さえまけば勝手に成長するのだから。

そんな農業チート国家と、平和的に接触できた日本はとても幸運だろう。食糧危機を一気に解決できるのだから。

 

「外務省の前島です。クワ・トイネ公国がよろしければ、食料の大規模輸出と引き換えに港設備の増強とクワトイネ公国のインフラ、鉄道設備は我が国の政府開発援助より資金を出し、我が国が整備しますが、いかがでしょうか?」

 

!!!!!!

今度は、クワトイネ公国側がざわめく。ただ同然に手に入る食料を輸出するだけで、国が大きく潤い、さらに、日本が港と鉄道を整備してくれるという。

これ以上の好条件があるだろうか。

会議は良好な終了した。

 

その後、幾度の会議の結果第二回日桑会談の一か月後に、日本国とクワ・トイネ公国は正式に国交樹立した。

 

以下が、両国間の同意事項の一部である。

 

・クワ・トイネ公国は、日本に必要量の食料を輸出する。

・日本はクワ・トイネ公国のマイハーク港の拡充、マイハークから穀倉地帯への交通インフラを、日本の資金により整備する。

・日本、クワ・トイネ間の為替ルートの設定。

・クワ・トイネ公国は、日本に魔導技術の提供と、他国に対しての仲介をする。代わりに日本は、クワ・トイネに、新世界技術流出防止法で許される限りの科学技術の提供と、インフラ整備を行う。

・日桑軍事同盟の締結。

・上記の同盟により、新世界技術流出防止法に違反しない兵器の提供をクワトイネ公国に行う。

などである。

 

こうして、日本とクワ・トイネはとてつもなく良好な関係に至ることになった。

そして、この出来事は世界に大きな影響を与えていくことになる。




一部用語の解説を載せておきます。

ムーのグランドフリート
日本転移10年前に、ムー海軍が国威発揚のために行った巡行で、各文明圏を訪問した。最新鋭艦だけで編成された特務戦隊は、列強国としての印象を与えた。
元ネタは、1923年のフッドを旗艦としたイギリス特務戦隊による世界一周パフォーマンスです。フッドの有名な逸話の一つである、サンフランシスコ市長による「私はこの街をあげて貴艦に降伏します。どうぞお好きなように」は、この時の話です。

装甲巡洋艦
大雑把に言えば、三笠などの前弩級戦艦と同じ時代に海軍の主力艦として活躍していた艦です。史実では、1890年から1910年ごろまで各国で建造されていました。原作で、ラ・カサミが三笠に似ているのでもしかしたら、ムーでも主力艦として使われていたのではないかと考え登場させました。

最後に
次回からは、いよいよロウリア王国編になります。戦闘シーンをお待ちの皆さま、強化された日本による蹂躙をぜひ楽しみにしてください。


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ロウリア王国編-1

注意!!!

作者のイーグルです。
今回投稿したものは、おかしな部分がある可能性があります。(特にモイジの部分とマールパティアの回想部分)
また、自分の実力不足のせいで後半が、かなり急ぎ足な内容になっていると感じています。
なので、のちに大きく書き直す可能性があります。
この点を御配慮ください。本当に申し訳ございません。

それでは、ロウリア王国編第一話をどうぞ。


日本とクワ・トイネの両国が、国交を樹立し極めて良好な関係に至った半年後。

 

クワ・トイネ最大の経済都市マイハークは、日本接触前と比較すると大きく発展していた。特に最も発展していたのは、マイハーク郊外に作られたマイハーク駅とマイハーク港、そしてその周辺地域である。

日本から輸出されたディーゼル機関車が、クワ・トイネの各地にある田園地帯から日本に輸出するための農作物を運んでくる。その農作物は、日本が整備した港に運ばれて船に積まれて日本に輸出される。日本への食料輸出は、クワ・トイネ公国に大きな富をもたらしていた。

都市インフラも、日本によって電気で明るく光る街灯、上下水道やガス管が整備され、クワ・トイネの人々はとても快適な生活を満喫していた。

それはクワ・トイネ公国の首都、クワ・トイネもまた発展していた。

 

「1年前とは、比べられないほどの発展具合ですね。」

 

クワ・トイネ公国の首相カナタは、夜になっても明るく輝く首都の夜景を眺めていた。

日本による近代化は、この国を大きく発展させることは間違いないだろう。さらに、日本は我が国の軍事力を大きく強化してくれた。日本では、旧式化したという理由で格安で購入できたそれらを見たとき、日本の力を肌で知ることになった。文明圏のものよりはるかに強く、そして使いやすい自動小銃。ワイバーンの火炎弾以上の破壊力を持つ榴弾砲。極めつけは、60式と呼ばれる戦車とNF-1戦闘機である。戦車という兵器は、剣だろうが矢だろうが跳ね返す装甲と、城壁に大穴を一撃で開ける砲を装備する、正に陸戦の王者。戦闘機も古いものばかりだったが、ワイバーンよりもはるかに強力なものだった。どれもこれも、戦争の常識を変えるものばかり。この兵器を売ってくれた日本に対して、カナタはただただ感謝していた。そして後世に日本とは敵対しないように伝える事を、心に決めた。

 

ロウリアとの国境線に近い都市ギム

 

国交を結んだ2週間後からこの町の郊外で、轟音と砂煙が引っ切り無しに発生していた。

日本防衛軍によるクワ・トイネ軍に対する訓練が行われているのである。

今日は日本国陸上防衛軍第七師団所属の戦車隊が、ギム防衛隊に属するクワ・トイネ戦車隊に指導を行っていた。また別の場所では、銃の射撃訓練が行われていた。ロウリア王国が戦争を仕掛けてきたら、真っ先に狙われるのはこの町なので、皆真剣に日本製の武器の扱い方を学んでいた。

そのギム防衛隊を指揮する団長のモイジや副官たちは、近代戦を学んでいた。

 

「ふう・・・・。覚えることが多いな。」

 

モイジは、講義で学んだことを完璧に覚えるための復習をしていた。日本軍の指揮官である大内田から学ぶことは、今までの我が国の戦術とは全く違うもので覚えることがとても多かった。正直に言って、とても辛いが彼はこの町とこの町に住む愛する家族の為に、誰よりも努力すると決めていた。

一息ついた彼は、再び机の教本に集中する。

窓の外の青空には、訓練を行っているクワ・トイネ飛行隊が描く飛行機雲が浮かんでいた。

 

ロウリア王国

 

ロウリア王国の首都である、城塞都市ジン・ハーク。

ロデニウス大陸一の人口密度の都市の中央にある、ハーク城では今、この国の行く末を決める御前会議が行われていた。

 

「ロウリア王、全ての準備が整いました。」

 

白銀の鎧に、身を包んだ30代の男が玉座に座る王に跪き、報告する。

彼の名前は、将軍パタジン。

 

「ふむ、クワ・トイネとクイラの二国を同時に敵に回して、勝てるか?」

 

王としての威厳を持つ、34代ロウリア王国大王、ハーク・ロウリア34世は若い将軍に尋ねる。

 

「一国は、農民の国であり、もう一国は不毛の国、どちらも亜人の比率の多い国です。わが精強なるロウリア軍の敵ではありませぬ。必ず勝てます。」

 

「そうか・・・。しかし、ついにこのロデニウス大陸が我が国によって統一され、歴代の王たちの悲願だった亜人殲滅が実行されると思うと、私は嬉しいぞ。」

 

「大王様、大陸統一の暁には、あの約束も、お忘れなく。クックック」

 

真っ黒のローブを被った男が気味の悪い声で囁く。

 

「解っておるわ!!!」

 

王は、怒気をはらんだ声で、言い返す。

 

(ちっ、文明圏外の国だからと思ってバカにしおって。ロデニウスを統一したら、お前たちの国があるフィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)

 

「将軍、今回の作戦の概要を説明せよ。」

 

「はっ!説明いたします。今回の動員戦力は50万人で、侵攻用の兵力は40万人です。残り10万人は本土防衛用です。

クワ・トイネ侵攻計画第一段階は、国境に近い人口10万の都市ギムを強襲、制圧いたします。なお、兵站については、現地調達とします。

ギム制圧作戦と並行して、艦船4400隻の大艦隊でクワ・トイネ最大の経済都市、マイハークを制圧します。

我が国は陸海空全ての戦力が、クワ・トイネを凌駕しております。

なお、クイラ王国については食料の輸出を止めるだけで、簡単に干上がるでしょう。」

 

「クワ・トイネの戦力は、5万人程度の戦力しかありません。即応戦力はもっと少ないでしょう。我が戦力をぶつければ、いかなる小賢しい作戦も正面から叩き潰せるでしょう。6年間の準備が実を結ぶことでしょう。」

 

「そうか・・・ふっふっふ・はっはっはっはあーっはっはっは!!!今宵は我が人生で一番良い日だ!!余は、クワ・トイネ、クイラに対する戦争を許可する!!!」

 

うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ハーク王城は喧噪に包まれた。

 

翌日には、侵攻部隊がジン・ハークから出発した。

 

だが、誰も気づかなかった。この進軍は最初から見張られていたことに。

 

ギム日本国陸上防衛隊基地司令部

 

「ということで、我が国の「おおとりⅡ」がロウリア軍の出撃を確認した。確認された兵力は40万人、ワイバーン500騎余りの大軍勢だ。そのうちの約3万が先行している。目標はおそらく、ここギムだ。我々は、日桑軍事同盟に基づきこれを迎撃する。何か質問はあるか。」

 

会議室に集められた陸上防衛軍幹部たちは、たとえロウリア王国がこの大陸一の人口だったとしてもその兵力に呆れ、モイジらクワ・トイネ側は、日本の情報収集能力に驚いた。日本の実力については理解したつもりだったが、我が国の強力な同盟国はまだ力を隠しているようだ。

モイジは、挙手をし発言をする。

 

「ワイバーンのほうは、我がクワ・トイネの航空隊でもなんとかなるでしょう。問題は、陸上戦力への対応についてですが。」

 

ここで一区切りをつけ、大内田に向き合う。

そして、頭を下げる。

 

「陸上戦力については、大内田将軍に指揮を執ってもらいたいのです。」

 

この発言は、会議室に大きなざわめきを生む。

 

「モイジ殿、なぜそのようなことを。」

 

「私はまだ将軍から教わった、近代戦を完全に習得していません。私の作戦の不備で大事な部下を失うわけにはいかないのです。それに、あなた方は日本陸軍の精鋭中の精鋭と聞き及んでいます。確かに、同盟国とはいえ他国に軍の指揮を託すのはおかしいと、私自身思っています。ですが・・・・」

 

「モイジ殿、あなたの気持ちは十分理解しました。だからこそ、今回の戦闘の指揮はあなたが執るべきです。指揮に不安があるのならば、私が補佐しましょう。クワ・トイネの地はクワ・トイネ軍が守るべきです。」

 

「大内田将軍・・・・。解りました。」

 

こうして、指揮官をモイジ、その補佐を大内田が行うこととした。

その後、ギムの防衛についての作戦が練られた。

 

簡潔にまとめると

 

・ギムから数キロ離れた地点を戦場にする。

・戦車砲と榴弾砲、対地多弾頭ロケットなどで、攻撃する。

・接近されたときに備え塹壕と鉄条網を用意して、有利に迎撃できるようにする。

・陸戦を有利にするために、敵ワイバーンを撃墜し制空権を確保する。

・万が一に備えて、ギムの市民を避難させる。

 

などである。

作戦目標はロウリア軍には何もさせずに、殲滅することが目的である。

日本とクワ・トイネは、ロウリア軍襲来に備える準備を始めた。

 

それから、二週間後。

クワ・トイネが日本と共に撃退の体制を整えていることなど露ほども知らず、

ロデニウス大陸統一を目指すべく進軍するロウリア王国軍は国境付近に陣を敷いた。

クワ・トイネ公国からは、何度も国境から兵を引くように魔法通信にて連絡があった。

もちろん、ロウリア軍は全てを無視する。もう戦争をすることは、決定しているのだ。

 

「明日、ギムを落とすぞ。」

 

討伐軍を預かる将軍パンドールは、クワ・トイネ攻略第一作戦として計画されたギム攻略を明日行うことを決定した。投入される兵力は、歩兵だけでも2万人、ほかの兵科と合わせると合計約3万人。

これだけでも、簡単にギムを落とせるだろう。それだけでなく、ワイバーンが150騎いる。ワイバーンは、空の覇者であり、10騎で1万の兵を足止めできる。それが150騎。

負ける様子がない。

パンドールは満面の笑みを浮かべ、自分が指揮する部隊を見つめていた。

ワイバーンはとても高価な兵器である。ロウリア王国の国力であれば、200騎程が限界だろう。

しかし、今回は、このクワ・トイネ公国攻略に、500騎参加している。

噂では、フィルアデス大陸にある列強、パーパルディア皇国からの軍事物資の支援があったとされている。

いずれにせよ、先遣隊に150騎のワイバーン。この明らかに過剰な戦力に、パンドールは満足だった。

 

「パンドール様、ギムでの戦利品はいかがしましょうか?」

 

副将のアデムが話しかける。彼は、冷酷な騎士であり残虐な人間だった。その為、部下からは恐れられ上官からは気味が悪いと言われている男である。しかし、優秀な人物ではあった。

 

「アデム君、君に任せる。」

 

「了解しました。」

 

アデムは、将軍に一礼して天幕から出ようとした。

その時である。聞き慣れない音が聞こえてきた。

アデムが天幕から出ると、異形の何かが空にいた。ずんぐりとした胴体、胴体の上には何かが高速で回っていた。その物体から音声が流れていた。

 

「こちらは日本国陸上防衛軍である!!!ロウリア軍に告ぐ、直ちに国境線付近から軍を引かれたし!!!」

 

二ホン国?聞いたことのない国だ。おそらくどこからか来た蛮族の国だろう。アデムはそう考える。

 

「直ちに撤退せよ!!!貴軍が、クワ・トイネ侵攻を実行するのならばこちらも然るべき対応を取る!!!」

 

「ふざけるな!いやらしい亜人どもを殲滅できるまたとない機会なのだ。蛮国が一つ増えたところで我々は止まるものか!!」

 

アデムの怒声が聞こえたのかわからないが、謎の飛行物体はクワ・トイネ側に飛び去って行った。

 

「見ていろよ、蛮族どもめ。一人残らず殺してやる。」

 

アデムは、ギム攻略の暁にはギムの市民を一人残らず甚振って殺すことを決めた。

 

ギム日本国陸上防衛隊基地司令部

 

「ロウリア軍、撤退しません。」

 

「ふむ、分かった。全軍に戦闘準備を命令してくれ。」

 

「はい、了解しました。」

 

命令を受けた部下が退室するのを見届けたモイジは、目の前で遅めの昼飯を取る人物に向かい合う。

 

「これでよろしいでしょうか、大内田将軍。」

 

「モイジ殿、あなたが指揮官だ。私に余り頼らないで頂きたいですな。部下に示しが付かないでしょう。」

 

すみませんと、謝りモイジは目をつぶる。

出来ることはした。後は、全力で侵略者どもに挑むだけだ。

目の前にいる人のように、落ち着いて指揮ができるようにならなければならないと思った。

 

翌日、早朝

 

整然と整列する軍勢。上空には、精鋭のワイバーン隊。

パンドールはただ、一言命令を下した。

 

「進撃を開始せよ。」

 

ロウリア軍は、ギムに向かって行進を開始した。

この事は無人偵察機によってすぐに、ギムに通報された。

 

「スクランブルだ!!全機発進急げ!!」

 

モイジが吠えるように命令を下す。

基地から、日本航空防衛隊のVTOLF-11とクワ・トイネ空軍のNF-1戦闘機がスクランブル発進する。

クワ・トイネのパイロットの中には、日本の戦闘機を始めて見た竜騎士のマールパティアもいた。

彼は自分の新たな愛機に搭乗し、離陸準備をしながらここ数か月を振り返る。

 

日本と同盟を結んだ直後、日本から購入した戦闘機のパイロットになれと命令されたときは、とても驚いた。飛竜隊一目がよいことが理由だった。

ギムに着任し、日本軍の指導官に訓練でいやという程扱かれた。新たな乗機の性能は凄まじく、軽く加速しただけでワイバーン以上の圧力が体にかかり、とても辛かった。何度も気絶しかけた。

やめたいという気持ちが、積もっていった。あの瞬間までは。

あの時のことは、鮮明に覚えている。

訓練で飛んでいたとき、視界全てが一瞬だが雲に覆われたかと思うと音が突然聞こえなくなった。機体からの振動だけを感じる静寂。教官からの言葉が人生で一番の感動をくれた。

 

「おめでとう、君は音を超えた。君は、この大陸で最も速い人間になった。」

 

嬉しかった、ただ単純に。このために生きてきたと感じたほどだった。

そのあとの訓練もきつかったが、結局辞めずにここまで来た。

今日の戦いで戦果を挙げ、教官たちに恩を返す。そう決心した所で自分の離陸の番になった。

 

「ギム11,発進します!!!」

 

スロットを上げ、マールパティアは空に上がった。

 

日本とクワ・トイネの混合航空隊は、一端基地上空で合流して編隊を組んだあと、ロウリア軍飛竜隊に向かった。

 

ロウリア軍の竜騎士ムーラは、威風堂々と進軍する自軍を見下ろして、誇りに思った。

今まで誰も達成できなかった、ロデニウス大陸統一。その偉業を自国は必ず達成できるだろう。

そして、大きく発展するだろう。食料が豊富にとれるクワ・トイネと、鉱物資源の豊富なクイラの地が同時に手に入るのだ。発展しないほうがおかしいだろう。

そのように考えていた時、不意に魔導通信が入る。団長からだ。

 

「これより、敵の飛竜隊を食い破り敵の陣地に突撃する!クワ・トイネの野蛮人どもに我らの力を見せつけてやれ!ロウリア王国、万歳!!」

 

勝鬨を上げ、最高速力で向かう、ロウリア軍飛竜隊。ロウリア軍の誰もが、飛竜隊の大活躍を確信していた。

 

だが、次の瞬間。

飛竜隊団長搭乗騎やその周りにいたワイバーンが突然爆発し、木っ端みじんになった。

 

「・・・・・え?」

 

ムーラは、理解できなかった。

その間にも、仲間たちがどんどん爆発し死んでいく。

攻撃された、そう認識したとき彼はとっさに魔導通信機のスイッチを入れた。

 

「敵の攻撃だ!!全員さんk」

 

「上空から何か来るぞ!!」

 

この報告を受けたムーラは、上空から来た何かを探す。

それは、凄まじい速度で降下してきた。矢じりのような形、灰色に塗られた機体、後ろから炎を2本吐きながらそれはやってきた。光弾を高速でばらまきながら、ワイバーン隊とすれ違う。

 

ドーーーーン!!!!!!

 

衝撃波が襲う。彼らを襲ったのはクワトイネ空軍所属のNF-1戦闘機だった。

既に、半数近くがやられた。何も出来ずにだ。だが、ロウリア軍飛竜隊にさらなる恐怖が迫っていた。

 

「う、うわー----!!!奴が来たぞ!!!しかも、30騎もいるぞ!!!」

 

ムーラ達に、絶望が襲い掛かる。

 

ここで少し時を戻して、日本クワ・トイネ側

 

混成飛行隊40機は翼下のパイロンに搭載された、空対空ミサイルを各機二発ずつ発射した。

日本製の高性能なミサイルは、寸分狂わずにロウリア軍のワイバーン隊を襲った。飛行隊はミサイルを発射した後、速やかに高度を取る。敵ワイバーン隊上空7000mに達したとき、マールパティアは自分の隊長にに向けて、無線を飛ばした。

 

「隊長、敵への突撃の一番槍は私が行ってもよろしいですか。」

 

「ギム11、マールパティアか。よし、行って来い!ただし、地面とキスはするなよ。」

 

「了解!いっけぇー----!!!」

 

操縦桿を倒し、急降下する。

あっという間に敵に近づき、狙いを定め機関砲のトリガーを引く。対空目標に対して、絶大な破壊力を持つ2門の20㎜機関砲が唸りを上げる。射撃開始から数秒で、敵とクロスした。地面と接触しないように操縦桿を引き、急上昇する。

今の攻撃で、3騎は確実に落とした。高揚感に胸が躍ったが、すぐに、ここは戦場だと気を引き締める。

仲間たちや、日本空軍の方々も急降下攻撃を敢行したようだ。敵が次々に落ちていく。

マールパティアは、再び敵に向かった。

 

「は・・・は・・・速すぎる!!!!!」

 

「なんなんだ!!!!」

 

ロウリア軍竜騎士団は、混乱の極みにあった。

精鋭の竜騎士たちが何も出来ずに、一方的に撃墜されて、空に散っていく。

反撃をしようにも、敵騎が速すぎて狙いが付かない。そもそも狙っている余裕がない。敵を狙っていたら、別の敵から攻撃を受けるからだ。

ムーラは、絶望感に襲われながらも必死に相棒を操り、低空を飛んでいた。どうやら敵は、あの高速性を生かした一撃離脱を心掛けているようだ。低空なら、生き残れるかもしれない。そう思った時、殺気・・・いや死の予感を感じた。慌てて振り返ると、敵が低空を飛んで追ってきたのだ。そして、光弾をばらまいてきた。

やられる!と、思った瞬間、ムーラは浮遊感を感じた。自分の乗騎であるワイバーンが身をよじって、自分を振り落としたのである。ムーラのワイバーンは、光弾に貫かれ絶命した。

 

「あ、相棒ー------!!!」

 

竜騎士ムーラは、運よく沼に落ちて命拾いした。そしてこの戦いでロウリア側唯一生存した竜騎士となった。

のちに「ギム航空戦」と呼ばれる戦いで、ロウリア軍ギム攻略隊の航空戦力は壊滅することになった。

 

戦場は静まり返っていた。ギムへの進軍の足も止まっていた。

10騎で1万の兵を足止めできる、この大陸最強の戦力であるワイバーン150騎が赤子の手を捻るように殲滅された。

アデムは、わなわなと手を震わせていた。圧倒的な戦力のはずだった。ロウリアの常識ではギムなど簡単に制圧できるはずだった・・・なのに、このような屈辱を野蛮人どもから受けることになろうとは。彼は、上官であるパンドール将軍にギムへの突撃を上申しようとした。この時のアデムは完全に冷静さを失っていた。

だからこそ、アデムは気づかなかった・・・死神は自分たちにも刃を仕向けていたことを。

 

「敵部隊、完全に足が止まっています。」

 

「ああ、今がチャンスだ。多弾頭ロケットと自走砲でやる。照準合わせ急げ!!」

 

モイジの指令によって、各兵器の照準が足の止まっているロウリア軍に合わせられる。

 

「各砲の照準、全て完了しました。」

 

「よし・・・・・。撃て。」

 

地獄の釜の蓋が開いた。

 

ドーン!!!バラバラバラバラバラドーン!!!!!!

ロケットと自走砲の砲弾が着弾したとき、ロウリア軍の3割が吹っ飛んだ。

 

「な、何が起きたんだ!!」

 

「噴火でも起きたのか!!??」

 

パンドール、アデムらはただ茫然とその光景を眺めていた。

今まで戦ってきた戦友や、歴戦の猛者、優秀な将軍や魔導士たち。

爆発が起きるたびに全てがあっけなく死んでいく。

 

「い、一体何を我々は相手にしているのだ。」

 

「クワ・トイネは、神龍を味方につけたというのか!?」

 

死神は彼等だけを逃してはくれなかった。

何かが空気を切る音を聞いたと感じた瞬間、今まで感じたことのない衝撃が襲った。

自分や隣にいたパンドールの体がバラバラになって飛んでいく姿、それがアデムの見た人生最後の記憶になった。

その後十分の間、日本とクワ・トイネの容赦のない攻撃が続きそれが終わった後、その強大な力によって地面には大穴がいくつも開き、ロウリア軍に立っている者は馬を含めて一人もいなかった。

ここに、ロウリア軍ギム攻略部隊は消滅した。

 

「敵部隊殲滅しました。」

 

「よし、戦闘態勢を解除し、警戒態勢に移行。敵の生存者がいたら捕虜として捕らえろ。」

 

「了解しました。」

 

モイジは、戦闘の終了を宣言しロウリア兵の生き残りを探索するように命令した。

外では、建物が震えるような大きな歓声が起きていた。絶望的な戦力差をひっくり返したから、当たり前だ。

しかしモイジは、高揚感を感じなかった。数倍以上いた敵を、被害なく撃破したのにだ。寧ろ、自分たちの得た力に恐怖すら感じていた。

 

「これが、日本の力・・・異世界の戦闘とは、なんとも恐ろしいものだ。」

 

モイジは、自分たちが得た力を自覚し、そしてこの力を悪用しないことを後世に伝えていくことを決めた。

モイジはその後、クワトイネ公国陸軍の近代化に大きく貢献し歴史に名を遺す人物となった。




用語説明
NF-1戦闘機
全長 17.85m
翼長 10.88m
最高速度 1700㎞
最高高度 15000m
武装 (クワトイネ仕様)
    20㎜機関砲 2門
    55式空対空ミサイル改 4発
    53式空対艦ミサイル改 2発
VTOLFシリーズや、UAVFシリーズと違い日本独自に設計したジェット戦闘機。
外見は、史実のF-1支援戦闘機と同じである。
設計コンプセクトは、一撃離脱で当時の航空機では最速レベルの速力を持っていた。
だが、従来の格闘戦を好むパイロットからは不評だった。
1954年に正式採用されて、後継機登場まで空軍の主力として活躍。
後継機登場後は、対地攻撃機や練習機として運用され日本では1985年までに全機退役した。
日本以外の国でも運用されていたため最終生産は退役直前まで生産されていた。一部地域では、日本転移時でも現役のため,予備の部品用のモスボール保管機が大量にあった。
クワトイネ公国に渡ったのは、良好な状態を維持していた150機である。
現在は輸出用の再生産が計画されている。

60式戦車
全長 9.41m
車体長 6.7m
全高 2.25m
重量 38t
最高速度 60㎞
行動距離 450㎞
武装 105㎜滑降砲 1門
   7.7㎜機銃 2門(主砲同軸)
   12.7㎜重機関銃(砲塔上面)
日本がNF-01戦闘機と同じ時期に、独自開発した国産戦車。
当時採用されていた皇紀5年式戦車の後継車両として、生産された。
その性能は当時の各国の戦車を一気に陳腐化させた。
外見は、74式戦車と同じである。ただし性能は、74式を大きく凌駕している。
日本では、新型が登場した後は徐々に退役していき、2000年に完全に引退した。
モスボール保管された200両が、クワトイネ公国に譲渡された。
この戦車も、再生産計画がある。 

おおとりⅡ
日本転移後に、打ち上げられた偵察衛星。先代のおおとりとの差異はない。

最後に
アンケートの途中結果に驚いています。アークバードの人気、半端じゃないですね。あと、N-ノーチラスと羅号が僅差になっているのも意外でした。
次回は、海軍活躍回になると思います。


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ロウリア王国編-02

今回は、海軍編です。(ぶっちゃけ戦艦しか活躍していないですが)






クワ・トイネ公国 マイハーク港

日桑連合陸軍が、ギム郊外でロウリア軍を撃破する少し前。

日本から、ロウリア王国軍を監視するおおとりⅡから大艦隊が接近しているとの報告を受けたクワ・トイネ公国海軍本部では、クワ・トイネ第二艦隊の提督を務めるパンカーレが出撃の準備をさせていた。第二艦隊には、およそ50隻の艦船が所属している。

 

「壮観な風景だな。」

 

パンカーレは、海を眺めながら囁く。

 

「しかし、敵は4000隻を超える大艦隊、彼らは何人生き残ることができるだろうか。クワ・トイネ級かマイハーク級、いやせめてエージェイ級が在れば有利に戦えていたんだが。」

 

パンカーレは頭を抱える、もし侵攻が1年遅ければ日本の新型艦が手に入るというのにと。

実は海軍は、陸軍、空軍と違い近代化が進んでいなかった。日本から手に入れた重機関銃を数丁取り付けた艦船はまだマシな方で、何もしていない艦船のほうが圧倒的に多かった。日本はクワ・トイネ公国の為に現在戦艦1隻と大型巡洋艦を2隻、駆逐艦を多数、急ピッチで建造しているというがどんなに急いでも戦力化するまで半年はかかるという。絶望的だった。圧倒的な敵の物量を前にどうしようもない気持ちがこみ上げてくる。

 

「提督、海軍本部から、魔伝が届いています。」

 

側近であり、若き幹部、ブルーアイが報告する。何事だろうか。

 

「読め。」

 

「はっ!本日夕刻、日本国の艦隊が援軍として、マイハーク沖合いに到着するとのことです。彼らは、我が軍より先にロウリア艦隊に攻撃を行うとのことです。なので、観戦武官一名を彼らの旗艦に搭乗させるようにとの本部からの命令です。」

 

「ふむ、日本艦隊の編成内容は解るか?」

 

「はっ、日本艦隊の構成は旗艦を務める戦艦いずもの他、戦艦でわ、空母せいりゅう、ほうしょう、護衛艦20隻余りとのことです。」

 

「おお!噂の日本の戦艦が出てくるのか、しかも二隻も!間違いではないのだな。」

 

「間違いではありません。」

 

「とても有難いことだ。しかし、観戦武官か。日本の戦艦の性能は、圧倒的だと聞いているが、それでも危険であることには変わりない。誰を向かわるか・・・・。」

 

沈黙が流れる。

むろん誰も死にたくはない、しかし日本の戦艦の実力をこの目で見たいとも考えていた。

 

「提督、私が行きます。」

 

ブルーアイが沈黙を破り、発言する。

 

「しかし、危険だぞ。」

 

「私は剣術では同期でNo1です。一番生存率が高いのは私です。それに、空軍に卸されたNF-1戦闘機を私は見てきました。あのワイバーン以上の性能を持つ機体を作ってしまう日本です。それに私は直に見てみたいのです。日本の海軍の力を。」

 

「分かった。ブルーアイ、頼んだぞ。」

 

「はっ!」

 

その日の夕刻

 

ブルーアイやパンカーレ、水兵達はマイハーク沖に停泊する大型船に目を向けていた

日本と初接触した際、日本が300m以上の艦を保有しているとの報告は受けていたし、実際に見たこともあるのだが、やはりその規格外の大きさは目を見張るものである。

やがて、一際大きな軍艦から、ヘリコプターという乗り物が飛んできた。

 

ブルーアイは、以前空軍に導入されていた機体を見たことがある。初めて見たときは、どの様に飛ぶのか見当がつかなかった。機体の上にあるプロペラという回転する翼を使って垂直に飛び上がったときは、度肝を抜かれたものである。

飛んできた機体をよく観察すると、自国が購入したものより精練されたフォルムをしていた。

着陸したヘリに乗り、沖合いの日本艦隊に向かった。

フワフワのシートに座り、ほとんど揺れずにヘリコプターは進んだ。ワイバーンよりも遅いが、遥かに快適で、人が大量に運べる。しかも垂直離着陸が出来る。確かに便利なものだと、ブルーアイは感じた。

やがて、戦艦が見えてくる。

その大きさに、改めて驚愕する。

 

(理解していたつもりだが、やはりでかい!しかもなんだあの大きな砲は!?我が第二艦隊くらいなら、一撃で吹き飛ばすことが出来るのではないか?それが二隻もあるとは。)

彼は、ここ数か月で新たに身に着けた知識をもとに日本の力を理解しようとしていた。

やがて、BBH-008 いずもの艦尾ヘリ甲板に降り立つ。

降り立った彼は、自衛官に言われるがまま、艦内に入っていた。

中は電灯のお陰で、とても明るかった。

 

ブルーアイは艦内を進み、艦橋へと向かっていった。

そこには、この戦艦の艦長がいた。

 

「初めまして。私はこのいずもの艦長の山本です。」

 

「クワ・トイネ公国第二艦隊から来た、観戦武官のブルーアイです。この度は、援軍感謝します。」

 

「早速ですが、我々は、ロウリア軍の船団の位置をすでに把握しており、ここより西側500㎞の位置に彼らはおります。船足は5ノット程度と非常に遅くありますが、こちらに向かってきております。我々は明日の朝出港し、ロウリア軍に引き返すように警告を発し、従わなければ全て排除する予定なので、明日までは、ごゆっくりとおくつろぎください。」

 

「分かりました。ですが、本当に大丈夫なのですか?相手は、4000隻越えの大艦隊なのですぞ。70隻で相手に出来るものではないと思いますが。」

 

「大丈夫です。我らには秘策があります。それと、本作戦は我が艦隊のみで行いますので、クワ・トイネ艦隊の随伴は必要ありません。むろん、ブルーアイ殿の身の安全は保障します。ご安心して、仕事をなさって下さい。」

 

ブルーアイは驚く。彼らは、24隻の艦艇のみで4000隻以上の敵大艦隊に挑むつもりなのだ。

ブルーアイは、不安に思ったが、日本艦隊の戦いを見るのを、少し楽しみにしていた。

 

翌日早朝

 

日本艦隊は、マイハーク港を出港した。

 

ブルーアイは、いずもの第一艦橋にて驚愕する。

 

(速い!我が軍の軍船の最大速力を遥かに凌駕している。なるほど、これでは合同作戦は取れないな。それに他艦との距離が離れている。輪形陣というものかな?日本の本は読んだが、ここまで離れて行動するとは・・・。やはり、日本はすごい国だな。)

 

艦隊は約20ノットで西に向かう。出港から、数時間後ロウリア艦隊をレーダー上にて補足したとの報告が入った。

 

「よし、ヘリを飛ばして警告をしろ。全艦、最大船速。いずもとでわを前に出すぞ!」

 

交戦に備えて、日本艦隊は陣形を変えた。

そして、最大速力でロウリア艦隊に向かった。

 

ロウリア王国クワ・トイネ公国討伐艦隊 指揮官 シャークン

 

「いい景色だ。美しい。」

 

大海原を真っ白の帆に風をいっぱいに受けて、進む美しい帆船たち。その数4400隻、大量の水夫と、揚陸軍を乗せて、彼らは一路クワ・トイネ公国最大の経済都市、マイハークに向かっていた。

見渡す限り船ばかりである。

 

海が見えない。そう表現したほうが正しいのかもしれない。

 

パーパルディア皇国からの軍事支援と、6年という年月をかけて準備されたこの大艦隊。この大艦隊を撃破する方法は、ロデニウス大陸には無い。もしかしたら、文明圏の国やパーパルディア皇国でさえ相手取ることが出来るかもしれない。

 

野心が頭をよぎるが、パーパルディア皇国には、戦列艦という、船ごと破壊できる強力な兵器を搭載した軍船が存在しているという。そのことを思い出し、野心の炎を打ち消す。第三文明圏最大最強の列強国であるパーパルディア皇国に挑むのは、やはり危険が大きい。

 

「提督!東から何かが飛んできます!?」

 

マスト上にいる見張りの水兵からの報告で、シャークンは思考の海から現実に引き戻される。

東方向に目を凝らすと、確かに何かが飛んでくる。

クワ・トイネ公国の飛竜と最初は考えていたが、それは全く違うものだった。

 

虫のような形をした無機質な物体が、バタバタバタ、と異様な音をたて、こちらに飛んでくる。見たことの無い物体が飛んでくる様は異様な光景であり、わずかに恐怖の心がシャークンに芽生える。

 

「こちらは日本国海上護衛隊である。ロウリア艦隊に通達する。貴艦隊は、クワ・トイネ公国の領海に侵入している。直ちに引き返せ。繰り返す、直ちに引き返せ。」

 

白い体に赤い丸が入ったそれには、人が乗っていた。そして自分たちに引き返すように、警告をしている。

バタバタバタ、と音を立てながら船団の上空を周回するそれに向かって、水兵がバリスタや弓を使って矢を射る。しかし、当たらなかった。暫くの間、上空で警告を発し続けたそれは、やがて東の空へと消え去っていった。

 

「ん?提督、小島が二つ見えます。」

 

「馬鹿な、この辺に島はないぞ。貴様の目は節穴か?」

 

「しかし、そこにあ・・・!!!島が動いている!?」

 

「何!!」

 

再度、東の方向に目を凝らすと、確かに二つの小島があり、動いていた。

まさか、船か!?

 

「あれは、敵船だ!!距離は!?」

 

シャークンはすぐさま、対象との距離を測るように命令を出す。

命令を受けた熟練の水兵が、計算して距離を求める。その導き出した値をみて、水兵は顔を青くする。

 

「嘘だろ。こんなことがあるなんて・・・。」

 

「どうした!?何があった!?」

 

「提督!敵艦との距離は、10km以上離れています!」

 

「馬鹿な!もっと近いはずだぞ!」

 

間違いありません、と水兵は返してきた。

シャークンらは、驚愕する。この事実から導き出されること、それは、相手が桁外れに大きいということだ。

そうしている間にも、小島と見間違えるほどの大きさの敵艦は凄まじい速度で接近してきた。

その姿に、またも驚愕することになる。

 

(なんだ、あの大きさは!今まで見たこともないぞ。しかも甲板に備えられているあれは、まさか魔導砲か!?まるで、ムーの軍艦ではないか!)

 

シャークンが驚愕している間に、巨大船は3㎞の距離を保ちながら、平行に走り始めた。

 

「これが最終警告である!直ちに引き返せ!さもなくば、発砲する!直ちに引き返せ!さもなくば、発砲する!これが最終警告である!」

 

いくら船が島のように大きいとはいえ、たったの二隻。こちらは4400隻の大船団だ、数の差で何とかなるだろう。

そう考えたシャークンは、攻撃を命じた。

命令を受けた帆船は、右に旋回し敵艦との距離を詰める。

距離が200mを切ったところで、帆船から一斉に火矢が、敵船を襲う。放たれた矢は、届かないものがほとんどだったが、運良く届いたものもあった。が、全て弾かれた。

 

「矢を弾いた!奴は、金属をその身に纏っているというのか!」

 

矢を放った帆船の船長が驚く。彼の常識では、金属でできた船など存在しないと考えていたからだ。

敵船の、舷側に並べられた何かがこちらを向いた。

 

(何をしようとしている?)

 

シャークンが敵の行動に疑問を抱いた時、敵船の舷側がパッパッと光る。

 

次の瞬間、バリバリバリ、と轟音が響く。

 

そして、敵船と並行に走っていた帆船が光弾によって、あっという間にハチの巣になり大爆発を起こした。爆散した帆船の部品や、人間だった物があたりに撒き散らされる。

いずもとでわの舷側に装備された、パルスレーザーと近接防御火器が火を噴いたのだ。

一分足らずで、二隻と並行に走っていた帆船は全滅した。

 

「!!なんだ!!あの威力は!それに連射をしただと!」

 

経験したことのない攻撃に、それを見ていた船団全員が驚愕をする。

次は自分たちの番ではないかと、恐怖に体を震わせるものもいた。

 

「まずい!!このままでは、手も足も出せずに全滅する。通信士!今すぐにワイバーン部隊に上空支援を要請しろ!!敵主力船団と交戦中とな。」

 

いずも艦橋

 

「これで、驚いて引き上げてくれると良いのですが・・・、艦長はどう思われます?」

 

戦艦いずもの副長の、海原は無用の殺傷をしたくはなかった。こちらの実力を見せて、勝てないと理解させ撤退させる。平和ボケと言われても仕方ないが、彼は敵が帰ってくれることを願った。

だが、艦長の山本は違った。

 

「驚いているようだが、撤退はしないだろう。まだ、敵には切り札の航空戦力が残っている。」

 

「あっ!!ワイバーンのことですか!?」

 

「そうだ。陸さんの話によると150騎は撃墜確実らしいが、おおとりⅡで確認されたワイバーンの総数は、500騎とのことだ。まだ敵には、350騎は残っている。全部とまではいかなくても、200騎は出してくると、私は考えている。」

 

「なるほど・・・。理解しました。」

 

海原は、山本の考えに納得し対空警戒を厳にするように命令を出した。

 

 

「ふ・・・・。あれほどの威力の魔導、そう連発できぬようだな・・・・。」

 

シャークンは、いずもとでわが更なる攻撃をしてこないため、このように判断していた。

 

「艦隊の速度を落とせ。ワイバーン隊の航空攻撃と同時に、一気に接近して畳みかけるぞ。」

 

ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

今回のクワ・トイネ公国侵攻作戦の為に用意されたワイバーンの内、350騎が配備されているこの基地に、ロウリア艦隊からの魔伝が入ってきた。

 

「司令、シャークン様が指揮される討伐艦隊から魔伝が入りました。敵の主力と思われる船と現在交戦中、敵は島のように巨大であり、苦戦中。航空支援を要請する。」

 

「ほう、蛮族どもの主力か・・・。よろしい。350騎全騎を差し向けろ。」

 

「し・・しかし、司令。全てのワイバーンを差し向けてしまうと、本隊からワイバーンが全ていなくなってしまいます。先遣隊とも連絡が取れませんし、ここはもっと慎重に判断されたほうが宜しいのでは?」

 

「聞こえなかったのか?全騎だ。敵の主力なら、大戦果だ。戦力の逐次投入はすべきではない。」

 

「・・・・了解しました。」

 

基地司令の命令を受けて、ワイバーン隊が次々と飛び立ち、日本艦隊に向かった。

 

このワイバーンの大編隊は、いずも、でわのレーダーにて既に探知していた。

 

「敵の陣地からワイバーン隊が出撃しました。総数350騎です。」

 

「まさか全てのワイバーンを出してくるとは・・・。艦長、敵はまだ諦めていないようですね。」

 

「さすがにすべて出してくるとは、思っていなかったがね。とにかく中途半端な攻撃をしては、こちらが危険だ。全力でやるぞ。主砲、対空殲滅弾装填!対空戦闘用意!」

 

「了解!主砲、対空殲滅弾装填。目標、敵ワイバーン大編隊!!砲術長頼むぞ!!」

 

「はっ!!一撃で決めて見せます!」

 

いずもの象徴である61㎝砲に砲弾が装填され、ロウリア王国ワイバーン隊の飛来する方向に指向する。

でわもまた、主砲を敵に向ける。いずもより口径が小さいお陰で、いずもより早く射撃準備が完了する。

 

「でわより通信。我、射撃準備完了とのことです。」

 

「早いな、でわの奴ら張り切っているな。」

 

「何しろ現役復帰後の初の任務で、いきなり主砲を撃てるのです。張り切ってしまうのは、仕方のないことでしょう。」

 

「そうだな・・・・。でわに返信。敵の戦意を削ぐ為に目視圏内で発砲する。本艦との同時射撃を求む。」

 

「了解しました。」

 

 

先程、大きな砲を上に向けたが、それっきり敵艦は沈黙を守っている。

もうすぐワイバーン隊が到着するという。300騎以上のワイバーンと船団による同時攻撃。必ず、あの巨大船を葬ることが出来るだろうと、シャークンは確信していたが、彼の心の隅には嫌な予感が漂っていた。その、不安をかき消すようにシャークンは、彼の経験に基づく最良の選択を命じる。

 

「そろそろ、ワイバーン部隊がこの海域に到達する。全軍突撃せよ。」

 

シャークンの命令を受けた船団が、最大速力で敵艦に突撃を開始した。

ワイバーン隊も、自分たちの上空を通過し、敵艦に突っ込んでいく。

 

 

「敵ワイバーン隊接近、距離約3㎞。」

 

「誤差修正完了、いつでも撃てます!」

 

「総員衝撃に備え!」

 

「ブルーアイさん!耳を固く閉じて、口を大きく開けてください!」

 

「わ、分かりました!」

 

海原の指示に、ブルーアイは素直に従って、耳に指を入れ口を顎が外れるくらい大きく開けた。

それを確認した艦長の山本は、命令を下す。

 

「主砲、一斉射。攻撃始め!!!」

 

「全主砲、てっぇぇー--!!」

 

いずもの61㎝砲と、でわの51㎝砲が轟音と共に、火を噴いた。

 

 

「何だ、敵が爆発したのか?」

 

シャークンは、二隻の戦艦の主砲発砲を最初、敵が勝手に自滅したのかと勘違いした。それは、ほかの水兵も同じで、中には頬を緩める者もいた。頬を緩めたものはこの海戦に、勝ったと考えていたのだろう。

直後、空に幾つもの太陽が現れるまでは。

 

ワイバーン隊は、自国の大船団の前に立ち塞がっている巨大な二隻の船に驚愕していた。

 

「何なんだあれは!?」

 

「船なのか?大きすぎる!!」

 

「クワ・トイネの連中、いったいどこで手に入れたんだ!」

 

シャークンの要請を受けてきた竜騎士隊は、目の前に現れたいずもとでわの規格外の大きさに恐れおののくが、隊長騎の命令を受けると心を落ち着かせ、二隻に向かっていく。

 

「恐れるな!確かに規格外の大きさだが、たった二隻、数で襲えば恐れるに足らず。全騎突撃!!ロウリア王国、バンザイー----!!!」

 

竜騎士隊は、いずもとでわに向かって突っ込んでいく。

だが、敵艦が爆発したかのように見えた瞬間、彼らは経験したことのない光と熱、衝撃を感じた。それが、彼らの最後の記憶となった。

 

「な、何が起きたというのだ・・・。」

 

シャークンは呆然とする。敵が爆発したと思ったら、突然自分たちの上空で巨大な火球がいくつも発生した。今まで体験したことのない光と熱波、衝撃、そして轟音。それが収まった時、空を飛んでいたはずの350騎のワイバーン隊は、跡形もなくなっていた。ただ、燃えカスのようなものが海に落ちてくるのみである。

この時、いずもとでわの主砲から発射された砲弾は「99式対空殲滅弾」というものだった。砲弾に仕込まれた燃料気化弾頭の起爆によって発生した高熱は、3万度に達すると言われている。ワイバーン隊は、文字通りに焼き尽くされたのである。

 

「りゅ・・・竜騎士隊。全滅、いや消滅しました・・・。」

 

その事実に、誰もが信じられずに、声を出すこともできない。沈黙が彼らを支配する。一撃、たった一撃で空前絶後の350騎のワイバーン大編隊が、一騎も残らずに全滅した。シャークンは、海面に漂う撃沈された船の破片や、ワイバーン隊だった物が漂流しているのを見て、戦慄、いや、恐怖以上の何かを感じていた。

 

「我々は、一体何と戦っているのだ・・・。」

 

海将シャークンは、悲壮な心境でつぶやく。

なんと表現していいのか解らない。

しかし、悲劇は自分たちを見逃してくれなかった。

 

「う・・うわー--!また、攻撃してきたぞ!!」

 

いずもとでわの舷側が、パッパッと光り、爆音が轟く。

竜騎士隊への対応の為、中止していたロウリア艦隊への攻撃が再開したのだ。

今度はパルスレーザーと近接防御火器だけでなく、127㎜単装速射砲や、副砲も発砲を開始した。

まだ、4000隻近く残っていた艦隊が、信じられない速度であっという間に数を減らしていく。

 

「化け物、いや悪魔だ・・・。奴は、海の悪魔に違いない・・・。」

 

「畜生!!あんなのに勝てる訳がねえ!!くそったれーーー!!」

 

僅かな時間のうちに、味方の船は1200隻のみになっていた。

 

「・・・・もう、ダメか。」

 

シャークンは絶望していた。どうやっても、あの二隻の悪魔に勝てる方法が浮かばない。

このままでは、部下の命をいたずらに失うだけである。しかし、降参して捕虜になった場合、自分たちの国を滅ぼそうとしたロウリア人を、彼らが許すわけが無い。

ロウリア艦隊に残された道は、撤退のみであった。

ロデニウス史上最大の船団の3分の2以上を失っての大敗北、国に帰ったら、確実に死刑になるだろうし、自国の歴史書にも、無能の将軍として名が残るだろう。

しかし、部下をこれ以上死なすわけにはいかない。

彼は決断し、命令を下す。

 

「通信士、魔法通信で全軍に通達。「全軍撤退せよ、繰り返す、全軍撤退せよ。」と。」

 

魔法通信が各艦に流れ、各々回頭をして、撤退を開始する。

シャークンの乗る旗艦も、撤退するために回頭を始めた時、でわから発射された127㎜の砲弾が直撃をした。

船に大穴が空き、浸水が発生する。シャークンは、着弾の衝撃で海に投げ出された。

海上に浮かびながら見た光景、彼の乗っていた船は、真っ二つに割れ、沈んでいくところだった。

 

「艦長、敵は撤退を始めました。追撃しますか?」

 

「いや、追撃はしない。完全に戦意がなくなったようだからな。それよりも、海に浮かんでいる敵兵の救助のほうが重要だ。生存者を探し出し、救助せよ。」

 

ここに、ロデニウスの歴史に大きく名を遺す「ロデニウス沖大海戦」が終結した。

 

いずもの第一艦橋で、この海戦を観戦していたブルーアイは、この海戦で日本の力の一端を感じた。

特にそれを感じたのは、ワイバーン大編隊迎撃の時だった。

いずもの主砲発射時の爆音と衝撃は、今まで体験したことのないものだった。そして、敵ワイバーンが光に包まれた後、完全に消滅していたことに、驚愕した。ロデニウス最強の戦力をいとも簡単に、殲滅してしまう日本に、友軍だというのに恐怖を感じてしまった程だった。

 

ブルーアイは、この後パンカーレにこの事をどの様に報告すればいいのか、大いに悩むことになる。

 

 

敗走するロウリア艦隊の一隻の部屋の中で、パーパルディア皇国から派遣された、観戦武官ヴァルハルは、震えていた。彼の乗る船は船団の最後尾にいたことで、運よく撃沈されなかった。

しかし、彼の見た光景は大きな恐怖をもたらしていた。震えを取ろうと、何度も酒を飲んだが思い出すたびに震えが、ぶり返してきた。

彼の任務は、この戦争でロウリアの大艦隊が、どの様に戦いクワ・トイネ公国を滅ぼすかを記録することだった。蛮族にふさわしいバリスタと、船員による切り込みといった原始的戦法でこれだけの数をそろえたらどうなるのか、個人的興味もあり、彼はこの任務が楽しみにしていた。

 

しかし、この船団の前に立ち塞がる様に現れた船は、彼が持つパーパルディア皇国の常識を遥かに超えたものだった。

島のように大きい二隻の敵船は、「風神の涙」はおろか、帆すら無いのに圧倒的に速かった。

そして、甲板に備え付けられた巨大な砲に彼は驚愕する。

なぜ、文明圏外のロデニウス大陸に、自国のものより巨大な大砲があったのには驚いたが、数門しか積んでいないことに疑問を覚える。

彼の常識では、大砲とはそう当たらないものだった。なかなか当たらないから、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の理論で作られた、100門級戦列艦が存在するのだ。

しかし、彼らの船は3㎞離れているのにも関わらず、一発で当ててきた。一撃で船が撃沈されていく。

しかも口径の小さな砲は、連射が出来るらしく船を一秒足らずで、穴だらけにしてしまった。

さらに驚くべきは、ワイバーン隊を一撃で消し飛ばしてしまったことである。

我がパーパルディア皇国なら、艦隊に随伴させている竜母から、ワイバーンを発進させて対抗する。

我が国の主力のワイバーンロードは、蛮地のワイバーンより性能が遥かに良いため、同数なら必ず勝つことが出来ると言われている。

そもそも、大砲は空を飛ぶものに当たらない。それが、常識だった。

しかし、敵は砲弾から巨大な火球を発生させて、ワイバーンを吹き飛ばしてしまった。

とても、人間の力とは言えないナニかとしか、ヴァルハルには理解できなかった。

彼らの存在を知らずに、事を進めると、近い未来パーパルディア皇国をも脅かすかもしれない。ヴァルハルは、そう確信した。

 

ヴァルハルは、部屋に置かれた魔伝に向かうと、見たまま、ありのままを本国に報告した。

 




用語説明
クワ・トイネ級戦艦、マイハーク級大型巡洋艦、エージェイ級駆逐艦について
クワ・トイネ公国が海軍近代化のために、日本に建造を依頼した軍艦。
(詳しい性能などは、後日あげる予定です。)


最後に
いつも、超日本国召喚をご愛読していただきありがとうございます。
次回は、ロウリア王国への逆侵攻に関する話になると思います。


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ロウリア王国編-03

最初にアンケートについてのお知らせです。
先ずは、皆様の沢山の回答をありがとうございます。
お知らせしたい事とは、回答の打ち切りについてです。このロウリア王国編が終わった段階で、打ち切ろうかと考えています。アンケート入力がまだの方は、お早めにお願いします。




ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

ロウリア艦隊からの支援要請を受けて、この本陣を飛び立った350騎は3時間が経っても、全く帰ってこなかった。

司令部に重苦しい沈黙が流れる。

なぜ全く通信がないのか?最後の通信は、「敵艦を発見、これより攻撃する。」だった。それから、全く音沙汰がない。司令部は焦燥に包まれていた。

 

「ワイバーン隊は、何故帰ってこないのだ?」

 

顔を蒼くする基地司令の問いに、答えることが出来る者はいない。

 

(まさか、全滅したのか?馬鹿な、そんなことがあり得るはずがない。)

 

ロデニウス大陸の歴史上最強の生物とされるワイバーン。馬より速く飛ぶことができ、口から発射することのできる導力火炎弾は、あらゆるものを焼き尽くすことが出来る。しかし、とても貴重な種であり、数を揃えるのは、とても難しい。

ロウリア王国の揃えた500騎という数は、ロデニウス統一を条件に、第三文明圏最強のパーパルディア皇国からの援助と6年の年月をかけて、ようやく用意することが出来たものだった。

圧倒的な大戦力であり、確実にロデニウス大陸を統一できるはずだった。

そして、敵の主力艦発見の報を受けて、飛び立っていった精鋭の竜騎士たちの駆るワイバーン350騎は、歴史に残る大戦果を挙げて、この本陣に凱旋してくるはずだった。

しかし、現実は一騎たりとも帰還してこないし、通信も全く音沙汰がない。

考えたくはないが、ワイバーン隊は、敵に一騎残らず殲滅された可能性が高い。

常識的に考えて、敵が大船団だったとしても、歴史に残るレベルの大戦力が全滅するとはとても考えることが出来ない。まさか、敵は神龍でも味方に付けたとでも言うのだろうか。ロウリア王になんと報告すればいいか、彼には分らなかった。

それに彼には、もう一つ懸念事項があった。それは、先遣隊とも全く連絡が取れないということだ。クワ・トイネ公国の予想外の反撃に苦戦しているのかと、最初は考えていたが、攻略予定日を1週間も過ぎても一切の連絡がない。何度か、先遣隊に呼び掛けてみたものの一切の反応がなかった。一体何が起きているのか、彼には解らなかった。

その時、一人の兵が司令部に飛び込んできた。ノックすらしていないので、相当慌てているようだ。

 

「何事だ!!」

 

「はっ!先程、この本陣に先遣隊の一部が撤退してきました!!臨時の指揮官によると先遣隊は、ギム郊外で殲滅されたとのことです!!それと、先遣隊を指揮されていたパンドール将軍は戦死されたとのことです!!」

 

「な、なに---!!では、先遣隊のワイバーン隊はどうなった!?」

 

「すべて、撃墜されたとのことです・・・。」

 

「そ・・・、そんな馬鹿な・・。」

 

基地司令は、大きな絶望に打ちひしがれた。

 

クワ・トイネ公国 政治部会

 

「・・・・以上が、ロデニウス沖大海戦の、戦果報告になります。」

 

参考人として招致された観戦武官ブルーアイが、口頭での報告を終えて着席する。彼の隣には、ギムを守り切ったモイジの姿もあった。

政治部会の各々の手元には、ロデニウス沖大海戦とギム攻防戦の戦果が記載された印刷物が配布されている。政治部会の面々に沈黙が流れる。とても信じられないことが記載されていたからだった。

やがて、沈黙を破り一人が口を開く。

 

「では、何かね?日本は敵艦隊4400隻の内、3分の2以上の敵船を撃沈し、さらに350騎のワイバーンまでも、無傷で撃破した。しかも、たった二隻の船で。まるで、御伽噺だ。ギムの話もだ。3万以上の敵兵に、150騎のワイバーンを、我が軍と共に、一切の被害なく撃退しただと・・・。とても、信じられない。この政治部会で、観戦武官のブルーアイ殿や、ギムで実際に戦ったモイジ殿がわざわざ嘘をつくとは、とても思えないが、あまりにも現実離れしていて、我々は素直に信じることが出来ないのだよ。」

 

誰もが同じ思いだった。中には、頷いている者もいる。二人でさえ、信じることが出来ない大戦果だった。

 

「一万に満たない部隊で、この戦果を挙げることが出来るとはとても信じられませんぞ。外務卿!本当に彼らは防衛用の戦力しか持ってないのですか?」

 

この事を信じ切れない者から、野次が飛ぶ。

本来なら、勝てるはずのないロウリアの大軍勢の侵攻を防ぎ、国の危機が去ったので喜ぶべきことなのだが、常識外れの大戦果に政治部会には、ある種の恐怖が宿っていた。

 

喧騒に包まれる政治部会を、片手で制した首相カナタが発言する。

 

「いずれにせよ、今回のロウリア王国による我が国への侵攻は、防ぐことが出来た。まだ、敵の戦力は残っているがここまで一方的にやられたら、警戒してしばらくの間は、再侵攻してこないだろう。しかし、この報告書を読む限り敵は、日本製の武器に手も足も出なかったと書かれている。国力から、日本は桁外れの性能の兵器を使っていると考えていたが、ここまでのものとは思ってもいませんでした。君は、このことについてどう思う、軍務卿?」

 

「正直に申し上げると、日本製の兵器は驚異的な性能を持っているというしか、言いようがありません。例えば、我が国が輸入したNF-01戦闘機は、かの古の魔法帝国の天の浮舟、そのものです。神話で語られるような兵器が、日本ではすでに旧式化していて、使用されていないということは驚愕に値します。」

 

政治部会に、大きなどよめきが起きる。

つまり日本は、この世界の誰もが恐れるラヴァーナル帝国よりも、強力な兵器を保有しているということだ。少なくとも、ミリシアルやムー以上の実力があることは確実だ。

騒めきが小さくなるのを見極めて、軍務卿は新たな資料を配布し、話を再開する。

 

「これからの事ですが、日本側から提案がありました。手元の資料を確認してください。」

 

日本から輸入した上質な紙に書かれた文章を見て、全員が驚愕する。

 

「ロ・・・、ロウリア王国首都攻撃計画!?」

 

「日本国は我が国の基地から発進した航空機と、ギムから進軍した陸軍で、ロウリア王国の首都を強襲攻撃し、ロウリア王のハーク・ロウリア34世の身柄を確保したいとのことだ。併せて侵攻軍を攻撃したいとの事です。」

 

ザワザワザワ・・・・・、と会議場は騒めき立つ。

 

「別に良いのではないのか?我々には得しかないぞ。」

 

「いや、ロウリアと我が国の戦争において、敵国の首都に他国の軍が侵攻し、攻撃するのは・・・。」

 

「日本は我が国と結んだ、集団的自衛権の行使という形で、この戦争に参戦してきた。問題はないだろう。」

 

「いくら日本といえど、敵首都への攻撃・・・。うまくいくとは私には思えないが・・・。」

 

「しかし、計画通りにいけば戦争の早期終結につながる・・・。最も被害が少ない方法だ。それにあの日本だ。うまくいくだろう。」

 

議論を重ねた結果、クワ・トイネ政治部会は全会一致で、日本軍によるロウリア王国に対する、陸、海、空の戦闘行動を許可する事になった。

 

 

ロウリア王国 首都 ジン・ハーク ハーク城

 

ロウリア王国を治める大王、ハーク・ロウリア34世は、机に置かれた二つの報告書を前に、震えていた。

一つ目は、クワ・トイネ公国の町ギムの攻略失敗についてだった。ワイバーン150騎と、3万の軍勢が僅かの兵を遺して全滅してしまった。しかも、敵には全く被害を与えることが出来なかったとの事だ。

生き残りの兵によると、

 

「幾つもの、爆裂の魔法で味方の軍勢が吹き飛ばされた。」

 

「翼を羽ばたかせずに飛ぶ、鉄竜に味方ワイバーンが一方的に蹂躙された。」

 

「クワ・トイネ公国の他に、二ホン国という国が参戦していた。」

 

などだった。

報告には荒唐無稽な部分が多く、信じることが出来ないが3万の軍勢が全滅したのもまた事実だった。

頭を抱えるしかない。

もう一つの報告書は、ロデニウス沖大海戦に関するものだった。こちらもまた、二ホン国という国の城のように巨大な軍船が二隻現れ、3200隻が撃沈され上空支援のために向かった350騎のワイバーンが全て撃墜されたとの事だ。こちらもまた、報告には荒唐無稽な部分が多かった。

 

「敵艦が爆発したと思ったら、空に太陽のような巨大な火球がいくつも現れ、それが消えたらワイバーン隊が消滅していた。」

 

「敵艦から、光弾がいくつも発射されて、味方がハチの巣になって撃沈された。」

 

「敵艦は鋼鉄製のようで、まるでムーの軍艦のような見た目だった。」

 

と、報告書には書かれていた。

正直に言えば、全く意味が解らない。どうやって、ワイバーン隊を殲滅したのか?どうやって、敵は船を撃沈する魔導を連続で打ち出したか?

疑問が尽きない。まさか神話に登場する古の魔法帝国でも復活したのだろうか?彼は、自国が何を相手に戦っているのかが解らなかった。

ロウリア王国は、昔から人口がとにかく多いが、人的な質が悪いという問題があった。

しかし、列強であるパーパルディア皇国の助けを借りて、ロデニウス攻略のためにそこそこの数で、圧倒的な数を6年かけて揃えることが出来た。

しかし、敵には自分たちの兵器が通用しない可能性が高い。

数がものを言う陸戦で何とかするしかないが、果たして通用するだろうか。

王は、その日遅くまで頭を悩ませていた。

 

第三文明圏 列強国 パーパルディア皇国

 

光の精霊の力を閉じ込めたガラス玉が、オレンジ色にほのかに輝き、薄暗い部屋に二つの影を映し出す。

二人の男達は、国の行く末に関わる話をしていた。

 

「・・・・・・二ホン国?聞いたことのない国だが・・。」

 

「調べたところ二ホン国は、ロデニウス大陸の北東方向にある島国です。」

 

「いや、それは理解したが、今までこのような国があったか?大体、ロデニウス大陸から1000㎞ほど離れた場所にある国なら、我々がなぜ今まで一度もこの国のことを認識をすることが出来なかった?そのことについての理由を考えることが、私には出来ない。」

 

「あの付近の海域は、海流や風が大変乱れておりますので、船の難所となっております。なるべくこの海域に近寄らないようにしていたので、発見に至らなかったのではないでしょうか?」

 

「ふむ・・・。しかし、文明圏から離れた蛮地であり、海戦の方法も、敵艦に乗り込み戦うという野蛮なロウリア王国とはいえ、たった2隻に3000隻以上撃沈されるとは、いささか現実離れではないかね?」

 

「報告書によれば、ムーの軍艦のような見た目をしていた、と記されていますが蛮族にはあり得ないことです。きっと、観戦武官も、長い蛮地生活による心労で精神異常をきたしてしまったのかもしれません。今度交代して、静養させてやりましょう。」

 

「しかし閣下、我々の100門級戦列艦フィシャヌス級が仮に、ロウリア艦隊と戦ったら、相手から沈められる事は、まずありえません。一撃で船を破壊することが出来る射程2㎞の大砲の弾が続く限り、ロウリア艦隊の艦船を、一方的に撃沈できます。いずれにせよ、第三文明圏で我が国は最強の国です。二ホンが何隻の船でロウリア艦隊を撃退したのかは、解りませんが、二ホン国も大砲を作ることが出来る技術水準があると判断するべきなのでしょう。」

 

「蛮族の分際で、大砲か・・・。今までロデニウス大陸や周辺国に接してきて来なかったのは、ようやく大砲を作れる技術に達したのかもしれないな。」

 

「ところで、この戦争でロウリアがまさか負けることはあるまいな?もし、ロウリアが負ければ、我々第三外務局による資源獲得の為の国家戦略に、大きな支障が出るぞ。」

 

「陸戦は、数が物を言います。ロウリア王国は人口だけは、列強国並みなので大砲を持ち始めたレベルの国を前にして、大敗することはまずありますまい。」

 

「兎に角、今回の海戦の報告は荒唐無稽だ。真偽を確かめるまでは、陛下に報告はしない。解ったな?」

 

「了解いたしました。」

 

パーパルディア皇国第三外務局は、観戦武官の交代と真偽の確認を行うことにした。ただ、真偽の確認はあまり積極的に行われなかった。理由としては、

 

・日本を、大砲を持ち始めたばかりの国だと認識していたこと。

 

・列強のパーパルディア皇国が、僻地の蛮族の国に負けるはずがない。

 

と、考えていたからだった。

しかし、それが大きな間違いだったことに気づくのは、かなりの時間をかけることになった。そして、この事に気づいた時にはすべてが手遅れの状況になっていた。

 

クワ・トイネ公国 ギム郊外の日本国陸上防衛隊基地

 

ドッドッド・・・、と暖機運転して出撃の時を待つ、日本国ロウリア王国王都攻撃隊。

攻撃隊の主力たる15式戦車は、2015年に正式採用されたばかりの新型だった。時速90キロの最高速度と、500㎞を超える行動可能範囲を持つが、最も特徴的なのは主砲だろう。主砲には155㎜の滑腔砲を二門装備している。この戦車は日本初の、連装砲を装備した戦車だった。そして、データリンクと自動化を徹底したために、乗員は二名で済むという破格の性能を持っていた。今回の作戦では、この戦車が80両参加することになっている。

12式陸上指揮車の車内で、この作戦をの指揮を執ることになった大内田が、作戦開始の時を待っていた。

 

「師団長、本部から通信です。「ロデニウスに日が昇る」です。」

 

「よし、分かった。全車進軍を開始せよ!目標敵陣地!」

 

15式を先頭に、攻撃隊は基地を後にした。

クワ・トイネ公国ギム防衛隊の面々は、この戦争を終わらせるために、敵地へと赴く日本軍に対して、直立不動で敬礼をした。

 

数日後、ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

ギム郊外の戦いと、ロデニウス沖大海戦での大敗北を受けてこの基地にやってきたロウリア三大将軍の一人、スマークはこの基地の強化を命令していた。二つの戦いによって、大きな損害を受けたロウリア軍だが、まだこの基地には10万人の兵力があった。この戦力ならば、たとえ圧倒的な質を持つ二ホン国が来ようと、量によって互角に戦うことが出来るだろう。スマークはそう考えていた。

上空には、付近の基地からかき集めてきたワイバーンが20騎、空を力強く羽ばたいていた。スマークは、基地上空で哨戒飛行をしているワイバーン隊を見てつぶやく。

 

「ふむ、見事なものだな。ワイバーンと、10万の戦力があればそう簡単に負けることはないだろう。」

 

その時だった。

ワイバーン達が爆発を起こして、バラバラに寸断された。

 

「なっ何だ!?何が起こったあ!」

 

スマークが叫んでいる間にも、光弾が超高速で次々と飛行して来て、避けようとするワイバーン達に喰らい付き、その身をバラバラにしていく。あっという間に、ワイバーン隊は全滅することになった。

 

「あああああああああ!!!」

 

「バカな・・、そんなバカなぁ!」

 

基地内からは様々な声が聞こえてくる。

 

基地上空を「それ」は凄まじい速度で通り過ぎた。矢じりのような形、灰色に塗られた機体、後ろから炎を2本吐きながらそれは通り過ぎた。

 

ドーーーーン!!!!!!

 

衝撃波が彼らを襲う。

ロウリア王国ワイバーン隊を殲滅したのは、マッハ2という猛烈な速度で基地上空をフライパスしたVTOLF-11だった。

 

「な、なんて速さだ・・・。」

 

スマークに、今まで経験したことのない恐怖が彼に襲ってきた。

しかし、恐怖は彼らに時間を与えてくれなかった。

クワ・トイネ公国方面を監視していた、見張り兵から悲鳴のような報告が飛んでくる。

 

「な、何だ!?あれは!?将軍、見たことない化け物がこちらに来ます!!数、凡そ70!!」

 

「何だと・・・。すぐに迎撃せよ。バリスタと攻城兵器も使用して応戦するのだ。急げ!!」

 

スマークの出した指令に従って、本陣の兵たちは迎撃の準備を急ぐ。

 

数分後

 

「敵が来るぞ!気を引き締めろ!」

 

馬に跨ったロウリア軍の現場指揮官の発した叫びに、ロウリア軍の緊張がより一層高まる。

クワ・トイネ公国の方角から来た謎の敵は、見たことのないものだった。

二本の巨大な角を前に突き出し、幾つもの足で土煙を上げながら走るその物体に、彼らは驚愕する。

 

「あれは・・・生き物なのか?」

 

土煙を上げて走る15式戦車を見て、ロウリア軍の兵たちは恐怖に襲われるが、現場指揮官の号令で我に返る。

 

「臆するな!!この世に倒せぬもの等存在しない!!必ず倒せる!歩兵隊、騎兵隊、敵に突撃せよ!!」

 

「弓隊、矢を放て!!」

 

弓隊が矢を放ち、歩兵や騎兵が15式戦車の部隊に向かって突撃を始める。

しかし、放たれた矢が届く前に、戦車の砲口が光る。

 

ズドォー-ン!

 

主砲から放たれた155㎜の砲弾は、寸分狂わずに着弾しロウリア兵を吹き飛ばす。

 

前世界において各国の軍関係者から、「世界最強の戦車砲」「これを防ぐことが出来る戦車は存在しない」とまで言われた155㎜砲は、歩兵や騎兵隊相手には過剰ともいえる破壊力を生み出した。次々に、ロウリア軍は爆発によって吹き飛んでいく。

ロウリア軍を殲滅するために主砲をマシンガンの様に発射する15式。その発射間隔は2.5秒に一発という驚異的なものだった。

15式の主砲装填にかかる時間は、約5秒である。

では、どの様に2.5秒間隔で発砲しているかというと、二門の主砲を交互に撃っているのである。

 

歩兵隊や騎兵隊、さらに彼らから離れたところにいた弓隊も、雨あられのように飛んでくる砲弾によって消し飛ばされていく。この光景に、ロウリア軍の心が折れ、士気が落ちる。

もちろん、日本一の練度を持つと言われている第七師団がこの隙を見逃すこともなく一気に、ロウリア軍ワイバーン本陣に接近し攻撃を畳み掛ける。むろん落とされまいと、ロウリア側も奮戦しバリスタを15式に向けて放つが全て複合装甲に弾かれた。

 

 

「スマーク様!奴には、バリスタですら全く歯が立ちません!!」

 

「陣地内に敵歩兵が侵入しました!!戦線が維持できません!!」

 

スマークや士官たちは、次々と入ってくる報告に絶望と恐怖を感じていた。

数はこちらが圧倒的に優勢だったはずなのに、戦いが始まってみれば敵の新兵器と思われる物に、全く歯が立たない。敵の攻撃は、こちらを容易く蹂躙できるほどに強力だった上に、当たればワイバーンにさえ致命傷を与えることが出来るバリスタですら、敵には全く効かなかった。

 

「もはやこれまでか・・・。通信士、王都に魔伝を打て。「敵が王国に侵入した。敵の攻撃によって、我が基地は壊滅した」と。」

 

ドーン!!ババババっ!!

 

轟音が響く中、スマークは通信士に最後の命令を下した。

通信士がスマークの指示した魔導通信を発した直後、ワイバーン本陣司令部に155㎜砲弾が着弾した。

スマークは、自分の体が燃えながら千切れていく光景を最後に、意識を永遠に手放した。

 

ここに、ロウリア王国のクワ・トイネ公国攻略のために作られたこの基地は、地図上から姿を消すことになった。

 




用語説明

15式戦車
全長 11.6m
車体長 9.2m
全幅 4.9m
全高 3.9m
最高速度 90km/h
行動距離 550㎞
主砲 連装式155mm滑腔砲
副武装 12.7mm重機関銃
7.7mm主砲同軸機関銃×2
乗員 2名

日本が2015年に正式採用したばかりの最新型の主力戦車。その最大の特徴は、日本史上初の連装砲を採用した戦車である事だろう。その攻撃能力は、世界最強戦車と呼ぶにふさわしい性能を持っている。また、徹底した自動化によって乗員は二名である。外見は、機動戦士ガンダムに登場した61式戦車5型である。
転移時には、300両ほどが生産されていて、そのうちの80両がクワ・トイネ公国に派遣されている。

最後に
UAが皆様のおかげで、一万回を超えることが出来ました。本当にありがとうございます。


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