黎明卿の息子は現在、身分を偽って逃走中! (シロクロ団子)
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なぜ人は近道をせず、遠回りがいいというのだろうか?

メイドインアビスが面白かったのでギャグメインで書いてみた


逃走日記一日目

 

私は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の父を除かなければならぬと決意した。私には探窟家のルールがわからぬ。しかし、これだけはわかる。

 

 

 

子供をさらっては実験動物orカートリッジにするのは間違ってるでしょうが!

 

 

 

何なの、あの人!実の息子に子供たちの世話させてるくせして、小遣いも美味しい料理も出してくれない。おまけにやっと私に心を開いてくれた子供をすーぐ実験送りにするなんて・・・ムッキー!思い出すだけで腹が立つ

 

おまけにナナチという少女が私に向けるあの死んだ眼、あれを見るだけでもう私のストレスが限界突破してるんだよ。私、なんにも悪いことしてないからね。むしろやらされている側だからね!

 

この地獄のような環境を変えるにはたった一つしかない。逃げよう、私はこれでも

 

 

 

奴らに体を弄られた挙句、鍛えられた。人間の形をした化物なのだから

 

 

 

 

まぁ、そんな過去はもうこれからは必要ない。その事実を知っているのはこの時代で私・・・いやもうこれからは一人で生きていくのだから、強めに俺でいくか。父を除くって大袈裟に書いてしまったがまぁ・・・三日坊主になるのは目に見えてるし、なにより仲間と知識がなければ立ち向かうのは無理だろう。だから逃げる。

 

さて、とりあえず装備と物資を確保しなければならない。まず大人用リュックサック。これは予備あったかなぁ?とりあえず備品庫に行って確保してくるか、ついでにロープとツルハシ、ナイフ、etc、etc・・・(ここで途切れている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃亡日記二日目

 

最悪だ・・・。よりにもよって俺より先にナナチが逃げやがった!おまけに同じ成れ果ての友達と一緒に!まったくまったく・・・!

 

なんていい話なんでしょう!!。友情からなる逃避行。お兄さん、涙が止まりませんことよ

 

でもね、逃げるのなら俺も連れて行って!これがきっかけで施設周辺の警備が厳重になるとお仲間さんの人から聞いてしまい。そうなんだ、と笑顔で答えたが内心毒づいた。

 

今、父を含めた探窟隊はナナチを連れ戻すため出発した。だが今回の事で内回り担当者達は備品庫のチェックを今日中にでも始めるだろう。そうなってしまえばおかしな程の量を持ち出されていると気づき、子供たちや私の部屋のがさ入れをおこなうだろう。そうなる前にとんずらしよう、そうしよう。

 

騒いでいた子供たちが寝静まった、これから俺の逃走劇が始まる。残された子供たちがせめて安らかな終わりを迎えることを祈ろう(ここで途切れて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、いっちょ始めるか。黎明卿の悲劇part2、はじまりはじまり」

 

人の目をかいくぐり、施設からようやく出ることができた。ようやくポケットに入った物を使えることができる。赤い蓋を外し、中のスイッチを押す。次の瞬間、地響きが起こり施設のあちらこちらから白い煙が上がっていた。

 

「火薬、しけってたらどうしようかと思ったけど、全部当たりか。ナナチの件といい、ついてないね、Daddy」

 

逃げる前に今までの恨みを詰め込んだ爆弾を施設の各所に設置し、今、爆破したのだ。これで施設の人間は消火、避難作業に専念するだろう。

 

「さようなら。あと三歩歩いたらあんたの事忘れるだろうけど、言っておきたいことがある」

 

父はいないが息を大きく吸い込み、俺は施設に向かって吠えた。

 

「いままでありがとう、クソ野郎!」

 

俺は急いでこの層の砂岩地帯まで駆けだす。俺の邪魔をするものはいなくなった。ここからは俺の自由が待っている!

 

「おい野郎ども!起きて俺の足となれ!」

 

砂岩から出てきた生物達。その中で一番大きく、色が違うものの背に乗ると生物の尾が重なり、座るスペースができあがる。その生き物に感謝しながら荷物を置くと同時に座った。

 

「行先は地上。とりあえず人でなしから雲隠れ。さぁ、冒険の始まりだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、おやおやおやおや。ナナチの探索を諦め、戻ってきたというのに、今度は息子が逃げましたか。そして、施設の破壊も行うとは。私がいないことを見計らっての行動、たいへん素晴らしい」

 

「れ、黎明卿!大変です」

 

「おや、どうしましたか?」

 

「遺物が・・・次の地上行きの際、持っていく遺物がなくなっています!」

 

「そうですか。仕方ありません、少々おしいですが一級遺物を」

 

「大変だ!精神隷属機以外の遺物がなくなってるぞ!!」「食料が」「発掘道具」「医療器具もだ!」

 

「」

 

「れ、黎明卿・・・?」

 

「総員今すぐ、息子を探しだし捕まえなさい。そう遠くには行っていないはずです。各層に派遣している祈手にも、通信機が使用できしだい通達しなさい。さぁ、急ぎましょう」

 

いつも冷静である黎明卿が、いつもより早口で説明を行っただけではなく、カートリッジを装備せずに、他の隊員を置いて上層に続く道に向かって駆け足で走っていく姿を見て、祈手達は心の中で合掌し願った。

 

『どうか、息子の方が黎明卿より先に、地上に到達してませんように』と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3層に到着っと」

 

しかし、現実は非情である



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