死の支配者の寵愛 (たまらー)
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苦渋の選択


アインズは酷く動揺していた。


「くそっ!」 アインズは腹立たしげに机を拳で殴りつけた。

何をイラついている 突き放したのは自分だ。

「私に男漁りをしろと仰るんですか!?」 アルベドは耳を疑った。

「男は私だけではない 他の者にも目を向けてみろ おまえと合致する男もいるだろう」

「私が愛しているのはアインズ様だけです!」

「それとこれとは割り切ってしまえ おまえは淫魔(サキュバス)だ 欲求不満なのだろう?

私が相手をしてやらないのだからな」 アルベドはカッと頬を朱に染めた。

「私は肉体を持たない不死者(アンデット)だ おまえに押し倒されたところで交わることはできん。

この骨格だけの体には生殖器官が備わってないんだからな」

「私はアインズ様に…だ、男性自身が無くても構いません 触れ合うことで快感は得られます!」

淫魔(サキュバス)のおまえがそれで満足できるのか?

繋がれないんだぞ 蛇の生殺しだ 双方共にな」 アルベドは反論できなかった。

「適当に遊んで解消するんだな」 アインズは冷淡に言い放った。

アルベドの顔が蒼白になる。「他の男に慰めてもらえと…私がアインズ様以外の男に抱かれても平気なのですか!?」

アルベドは悲痛な声を上げた 「私とおまえとでは体の相性が悪すぎる」

アインズはローブを翻しアルベドの部屋を出て行く アルベドは愕然とその場に崩折れた。

 

『モモンガを愛している』あれは俺の願望だ。

ユグドラシルが終わるときリアルには悲惨な現実しかなかった。

ナザリックと共に自分の人生も終えたかった だがナザリックとの心中は叶わなかった。

ナザリックはこの世界に転移しNPC達は命を吹き込まれた。

俺という人間は消滅し不死者の王(オーバーロード)として転生した 俺はリアルを捨てたのだ。

こうなると予測していたらアルベトの設定変更時に考慮できた。

骸骨の不死者(オーバーロード)淫魔(サキュバス)不毛の恋だ。

俺はアルベドを言葉で拘束つもりはない 男として応えてやれないのだから

受肉する方法はある だがリスクを伴う。

アインズが危惧していたのは肉欲に溺れることだ 色欲は身を滅ぼす 彼は魔導王だ それは国の堕落を意味する。

 

俺は不死者(アンデット)だ 性欲を感じずこの身で発情するはずもない 冷静でいられるはずだった。

それなのにこの感情は何だ? それは幻想からくる嫉妬だった。

想像してしまったのだ アルベドの情事を その現場を目撃する自分を

そしてアルベドがしなだれかかっているのはかつて(・・・)の自分だった。

『痩せ我慢はよせ それを使えばおまえ達は愛し合える』 もうひとりの自分が囁く。

アインズの手に握られていたのは[人化の指輪]だった 異形種が人間に化けることができる代物だ。

生身の人間の肉体になるのだからリスクはあるものの飲食、睡眠、生殖行為が可能になる。

ユグドラシルでは価値のなかったそれが彼の欲望を叶えてくれる。

狂おしいまでの劣情がアインズを苛む。

精神の沈静化が繰り返し作用してもなお、いまこれを嵌めてしまったら俺は自分を抑えられない。

それでも抗い難い衝動に駆られ不死者(オーバーロード)の姿が一瞬にして猛々しい雄を具現化した男へと変わる。

かつての面影を僅かに残す相貌のなかで、黒曜石の眼の奥に烈情の焔がゆらめいた。




タブラさんすいません アルベドを虐めてしまいました。





感想誤字報告ありがとうございます。


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アインズの激情


不死者の王は純潔を奪う


突然目の前に転移魔法で現れたアインズは不死者(オーバーロード)の姿ではなかった。

「あ、アインズ様!?」 アルベドは驚愕となった。

アインズの全身から憤怒(いかり)にも似た禍々しい黒く妖しいオーラが立ち昇る。

 

アルベドはあれ以来守護者統括の職務を放棄し部屋に引き籠っている。

飲食も忘れ一睡もせず泣き腫らした目で憔悴しきっていた。

アインズが自分の積極的な求愛(アプローチ)を疎ましく思っているのはわかっていた。

それでも愛するモモンガと結ばれたかった。

もはや完全に拒絶されてしまった 『自分には肉欲を求めるな』と

 

アインズは煩わしげに素肌に上質だがシンプルなデザインのローブのみを羽織っている。

いきり勃つそれを見せつけるように前をはだけている。

視線に射すくめられ畏怖におののき怯える瞳がアインズの欲情を煽った。

死神に魅入られた乙女の如く身動ぎひとつできない。

ギシッ寝台が軋んだ アインズの体が覆かぶさる。

淫魔(サキュバス)だから寝技に持ち込めば優位に立てるとでも?

私はおまえの抱き枕人形(ダッチワイフ)ではないぞ 組み伏せるのは私だ」 荒々しく唇を塞がれ息もできない。

アルベドは悟った アインズは絶対なる支配者だ 受け身など自尊心(プライド)が許さない。

自らの(つるぎ)でアルベドを服従させたかったのだ。

アインズはそのために生身の肉体を手に入れたのだろう。

たとえリアルで実践経験がなかろうとも、原始より男は狩猟本能で女を抱いてきた。

純白のドレスが引き裂かれ胸元が露になる。

それを鷲掴み揉み(しだ)く 舌が絡まり先端をねぶり下半身をまさぐる 乱暴に押し広げ舌を這わせる。

視姦するように凝視され芳醇に纏わりつく花弁に楔を打ち込んだ。

「おまえは私のものだ」

もはや制御不能抑圧と解放歯止めなど利くものか。

アインズは一晩中アルベドを離さなかった 噎せ返るような淫靡な匂いと汗だくの肢体

欲望のままに女体を貪り貫いた。

 

翌朝目を覚ましたアインズは傍らに白濁にまみれぐったりと横たわるアルベドがいた。

「最低だな俺は…」 アインズは自嘲した これでは強姦だ。

「いいえ!」 眠っていたはずのアルベドがアインズの腕を掴んだ。

「私が愚かだったんです アインズ様を独占したくて…

でも本当はこんなふうに力づくで捩じ伏せてほしかった!」

アルベドは懇願するようにアインズに縋りついた。

アインズは人間の姿だとレベルダウンするため

アルベド対策として肉体強化、能力向上の指輪と魔法を二重に装備していた。

「…そうか」 アインズは苦笑する。

アルベドに迫られるたびに喰われてたまるものかと身構えていたのだが

そういう性癖だったのか アインズは揶揄するように

「もっと激しく攻められたいか?」 「えっ?!」

アルベドは昨夜の情事を思い出し耳まで真っ赤にして羞恥に俯いた。

モモンガが訂正したが

アルベドは男を捕食する淫魔(ビッチ)という汚名(レッテル)を貼られていた。

実際はユグドラシル時代自我はなかったので知識は豊富でも処女(バージン)だった。

アルベドの身悶える情景を思い返す それはアインズの情欲をそそった。

だが早朝から女にかまけていては職務怠慢だ 自重しなければ

「私は着替えて執務室に向かう」 「あ、アインズ様私は…」

「おまえは私の命令で謹慎中(・・・)だ」

アルベドの表情が曇り悪魔の翼がシュンと萎れる 「おまえにこれを渡しておこう」

アインズはアルベドに指輪を差し出す。

「これは?」 アルベドは小首を傾げアインズを見上げた。

「とあるアイテムだが鑑定はするな おまえの率直な感想が聞きたい」

「承知致しました」 アインズが立ち上がる

アルベドは思わず引き止めようとしたが 「そんな顔をするな」

後で食事を届けさせよう アルベドの窶れた美貌には休養が必要だ。

アインズはアルベドの耳元に顔を近づけると

「待っていろ またたっぷりと可愛いがってやる」 そう呟いた。

アルベドはぱぁっと首筋を紅葉させた。

はてアインズもといモモンガはこんな性格だったろうか

否謂わば潜在する彼の天性の才たる本性 真の支配者としての覚醒というべきか。




じつは隠れ肉食系男子だったアインズ様が本領を発揮します。



やだぁ~エロだぁはずかしいぃっておまえが言うなよ!ごもっともです
所々加筆しました。


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余韻


アインズ様の人型の姿はこうありたいという理想像なのでリアルよりも美化されています。


アインズは自室でシャワーを浴びながら

『俺が(アルベドを)洗ってやればよかったかな』と…だがすぐに思い直した。

いまにも昂りそうなそれを宥める。

充足感はある 気怠い疲労感 眠ったことで頭は冴えている。

だがアインズは強欲で我儘になっていた。

ずっと禁欲生活を送っていたのだ。

『次はどんなふうに鳴かせてみようか?』 にんまりとほくそ笑んだ。

指輪を外し人型を解除する アインズは多忙だ。

今夜はお預けである 焦らしてやろう わざとそうしたのだ。

 

アインズが退室するとアルベドは暫く茫然自失となった。

夢を見ているのだろうか?

いや体中に桜の花びらを散らしたような唇紋の跡 アインズが付けた印だ。

アルベドはほぉっと桃色の吐息を洩らした。

まだ花芯が甘く痺れている アインズの名残りと疼くような鈍い痛み

シーツには深紅の破瓜の証 やっと想いが通じたのだ。

アインズが建国し魔導王となったとき妃争いが勃発したが問題は先送りされた。

そして今回の衝撃発言である。

『性欲処理のセフレは自分で探せ』 あまりの暴言に絶望し嘆き悲しんだアルベドだったが

まさに地獄から天獄へ昇格である。

 

翌日アインズがアルベドの部屋を訪れると彼女はハラハラと大粒の涙を零した。

「ど、どうしたアルベド?!」 アインズは内心狼狽える。

「心細かったんです…でも安心しました」 安堵したのか

アインズが来てくれたのが余程嬉しかったのだろう 白百合が綻ぶように微笑んだ。

見るとアルベドの頭部に角はなく腰に翼も生えていない。

手には例の指輪が嵌まっている。

『なるほど人間の体になるとさすがのアルベドも気弱になるのか』

アインズは指輪を抜き取った。

「どうだ気分は?」 元の姿に戻ったアルベドは自分のリアクションに戸惑った。

「これの説明をしてやろう これは[人化の指輪]だ

異形種が人間に変身できる」

「それではアインズ様も?」 彼は頷いた。

「顔色が良くなったな…それにしてもおまえがあんなしおらしい台詞(セリフ)をな

それで人間の体はどんな具合だ?」

盛っていた雌猫が借りてきたようになっている。

アルベドは明らかに心境の変化が見られ

アインズは庇護欲とそれとは逆に征服欲をくすぐられた。

「アルベドよ私は至極空腹だ 肉料理(メインディッシュ)はおまえにしよう」

アインズは指先でアルベドの唇に触れ

「この口でねだってみろ」 そう促した。

アルベドはもじもじしている。

「どうして欲しいか言ってみろ」

「…て…」 小声になる 「ん?聞こえないぞ」 意地悪な質問だ。

「ど、どうぞ私を存分に食べて下さい!」

「よしっ!」 『ふふっ仕草がいじらしいな』

アインズは勝ち誇ったように傲慢な笑みを浮かべる。

彼はかぶりつくようにアルベドの接吻(くちづけ)をもぎ取った。




アインズ様ツンデレだったんですね。
アルベドを穢してしまいました 責任は取ります。



いやぁ読んで下さる方がこんなにも嬉しいです。
勢いで書いたので続きは下書きが出来てからになります。
アナログ人間なのでご了承下さい。


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幕間Ⅰ





その日ナザリックは騒然となった。

異変に気付いたのはアインズ当番で一般メイドのフォアイルだった。

部屋の外で待機していたフォアイルはドン!という音にびっくりしてノックをしたが返事はなかった。

無断で入室するわけにもいかずうろうろしているとドアが開いた。

「あ、アインズ様先程はどうかされ、えっ、ど、どなたですか?!」

出てきたのは見知らぬ人物だった。

「…私だ」 声とローブでアインズだとわかったもののフォアイルは目の遣り場がないのに視線は釘付けだ。

アインズはローブで隠そうともしない しかも普通ではなく状態異常絶賛発情中である。

『き、キャ~!犯されるぅ~!私にもご主人様の御情けを~』

なんてことにはならずアインズはフォアイルをちらりと一瞥しただけで眼中になかった。

「(も、もしかして裸なのは)ス、スパリゾートにお出掛けですか?」と訊ねたが

「アルベドに面会だ」 アインズの姿が掻き消える つまり直行である。

「え、えぇ~!?」と叫んで目の保養と役得だったフォアイルは瞳をハートマークにして腰を抜かし座り込んだ。

アインズはアルベドの部屋で事に及んでいる。

アルベドの寝室に防音設備はなくアインズは敢えて魔法で遮断もしなかったため、耳をそばだてれば情熱の一夜は廊下まで聞こえてきた。

このトップニュースは瞬く間にナザリック中を駆け巡った。

 

後日談

「いらっしゃいませアインズ様」 彼は第九階層にあるブティックに来ていた。

店内のランジェリーコーナーである 一般メイドのひとりが店員を勤めている。

「アルベド様にでございますか?」 「ああ」 「どういったものをお求めですか?」

「そうだな…扇情的なのを頼む」 「かしこまりました」 「いくつか選んでくれ」

「こちらなどいかがでしょう?」 「あとで見てのお楽しみとしよう」

男が女に下着を贈る 脱がす前提である 「基調とするベースカラーはございますか?」

「そうだな…やっぱり白にピンクと黒もいいな」 アインズはウキウキしている。

彼は店内を見回し「それと寝夜着(ナイトドレス)も合わせて包装(ラッピング)してくれ」

アインズはふと紺碧色(ディープブルー)のドレスに目が止まる 銀河を思わせる宙色(そらいろ)の夜空に星が煌めく夜会服(パーティードレス)だった 「ほう」彼は感嘆と「これも貰おう」

アインズはショッピングバックと手にしたドレスの裾をひらひらさせながら意気揚々と帰って行った。

足取りも軽くスキップしている骸骨(オーバーロード)はシュールだ。

『アルベド様が妬ましい!』店員メイドはそれを見送った。




ん~キャラが違う誰だこいつは?
アインズ様のアバターを乗っ取ったプレイヤーかもしれない~あっ私か!



誤字報告ありがとうございます。
ちょこちょこ修正してます 納得のいく表現って難しいです。


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調教


死の支配者の戯れ


アルベドは天蓋付きの(しとね)で物憂げに恋しい男の名を呼んだ。

「淋しかったか?」 「あっお帰りなさいませアインズ様」

謹慎のあとアルベドはアインズの寝室に通うようになった ここなら完全防音である。

アインズはアルベドの愛らしい(さえず)りを他人に聴かせるのが惜しくなったのだ。

「独りで何をしてたんだ?」 「お、お戻りが遅かったので…」 アルベドが口ごもる。

「デミウルゴスと打ち合わせておくことがあってな」 抵抗も虚しくシーツが引き剥がされる。

アルベドが身に付けているのはアインズがプレゼントしたベビードールだ。

薄絹素材でしっとりと汗ばんだ肌が透けて見える 何をしていたかは明白だった。

アインズは足元に落ちているキャミソールを拾い上げると

「俺の手間を省いたのか」 アルベドを抱き起こし着せ直してやる。

「お仕置きだな」 アインズはサイドテーブルの椅子に腰掛ける 「さあ続けて見せてくれ」

アルベドは躊躇(ためら)いおずおずと下着の中に手を差し入れた。

やがて肌がほんのりと色づき切なげに身を捩る 「手伝ってやろう」

アインズは羽根飾りの玩具(おもちゃ)でアルベドの体を弄び始めた 喉を喘がせ潤んだ瞳が訴えてくる。

「いい眺めだ」 放置?プレイを堪能したアインズは「ご褒美をやろう」 ナイトガウンを脱いで裸身を晒した。

「もう騎乗魔獣(バイコーン)に股がれるな」 非処女不純なる者に従うアルベドの召喚獣である。

「だがおまえを乗せていいのは私だけだ」

邪魔になった下着のレースの紐を口に咥えて解いていく 寝かせてなどやるものか 女体の探求に夜は耽けていく。

アルベドはすっかり懐柔され着せ替え人形にされているが、当の本人は翼をふるふるさせて喜んでいる。

 

アルベドは陶酔した面持ちで微睡んでいる 身も心も満たされ蜜月に浸る。

上部だけの肩書きではない 文字どおり寵愛を賜ったのた 一夜限りでもなく足繁く睦事を交わす仲となったのた。

だか執務中のアインズはそれをおくびにも出さない。

素知らぬ顔をしてつれないのだ 塩対応だが今更照れ隠しでもあるまい。

クールな眼で見られるとゾクゾクしてしまう マゾっ気があるのか。

したたかに昼と夜(鞭と飴)(ビジネスとプライベート)を使い分けている。

だが時折給仕のメイドの目を盗んでちょっかいを仕掛ける。

その日も午後3時の休憩時間(ブレイクタイム)執務室のランチスペースで紅茶とケーキを嗜み寛いでいる。

「人型の体とはいいものだな 食事が味わえる おまえと一緒なら一段と美味しい」

アルベドははにかみぽっと頬を赤らめた。

アインズはアルベドの口元についたホイップを指で拭い取り、ぺろりと舌舐めずりをした。

「あ、アインズ様!?」 「今夜の食後のデザートは決まりだな」 アインズはフッと悪戯っぽく唇の端で笑う。

「オーダーはフルーツのコンポート生クリーム添え 食前酒はワインだな」

食べ物を夜伽のトッピングにしてはいけません。




アインズ様アルベドにぞっこんです。



お気に入り登録ありがとうございます。
ぷ、プレッシャーでへたりそうですがテンションが低い人間なので
なんとかモチベーションを維持しようと思ってます。


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幕間Ⅱ





アルベドは優秀な秘書でもありアインズの補佐をしてくれている。

あるとき酔ったふりをして

「…おまえ達は俺を買いかぶりすぎだ

良き主君であろうと努力はしているが賢者ではない

頭脳明晰なおまえ達あっての自分だ。

だからデミウルゴスが深読みしすぎて胃潰瘍になりそうだ」

と大袈裟に泣き言をぼやいてみたのだ。

アインズが吐露した本音 自分は彼の真意を汲んであげられていなかったのだ。

「私にお任せ下さい アインズ様のお心は私が代弁いたします」

アルベドは幼子をあやすよにアインズをその手に抱き寄せた。

アインズは肩の荷が下ろせたようで随分と心が軽くなった。

 

暫くしてデミウルゴスが胃薬持参で謝罪にやって来た。

「申し訳ございません アインズ様の心痛お察しできず…

畏れながら私の考えが間違っていたと アインズ様の意にそぐわない判断であったにも関わらず、私の面目を保とうとして否定なされなかったのでございますね?」

アインズは溜め息を吐きやれやれと

「…まったくおまえというやつは アルベドに聞いたのだろう?

叡智の持ち主はおまえだ 謙遜ではない 私に物事の深淵が見えていたら苦労するものか。

私は浅はかでいつもおまえに頼りきりだ 丸投げのときさえある。

おまえの智謀であれば私を陥れ斃すこともできるさ。

おまえならば王座を明け渡すぞ。

不甲斐ない超越者(オーバーロード)だな 幻滅しただろう?」

アインズは懺悔するように本心を暴露した しかしデミウルゴスは

「あ、アインズ様 至高の御方がご自身を卑下するなどあってはなりません。

…つまり私がアインズ様の負担になっていたと 斯くなる上は自害を!」

アインズはデミウルゴスの手の動きを制し払った。

「馬鹿な真似はよせ おまえに死なれたら国どころかナザリックが立ち行かなくなる。

極端なんだよやることが …おまえ達の代わりがどこにいる?

一般メイド1人にしてもそうだ 命を粗末にするな。

これからもナザリックの参謀として私を支えてくれ」

「御心のままに御方に忠誠を」 デミウルゴスは跪き頭を垂れた。

アインズはふたりのサポートを得た 臣下の協力あっての君主である。

彼が目指すのは余裕を持ってゆとりある為政を成す者だ。

幕間Ⅲの後半に続く

 

唐突に魔導王アインズがこの物語における現時点で、魔導国の同盟国であるバハルス帝国の皇帝ジルクニフを訪ねて来た。

お忍びでしかも女連れである。

アルベドはアインズの側近で角と翼は本物の淫魔(サキュバス)である。

骸骨だけに淡白な顔してやることはやってた

だがどうやってやるんだ?と素朴な疑問

するとそれを見透かしたようにアインズは例の指輪を嵌めてみせる。

『なっ色男に化けた反則だろ?!』

今のアインズは金褐色(ダークブロンド)に顎髭目元にはマスカレードマスク

眼の表情は読めないがドヤ顔なのはわかる。

ムカつくなこいつ 悔しいが涎ものの妖艶な魔女である。

男なら誰しも裸にしてふるいつきたくなる アルベドはアインズの膝の上でべったりだ。

いちゃつくんならよそでやってくれ ようは見せびらかしたいのだろう。

ジルクニフの愛妾ロクシーでは張り合えない 彼の顔が引きつっている。

ジルクニフがごほんとひとつ咳払いするとアインズは要件を伝えた。

こともあろうか「王候貴族御用達の夜伽用品を扱う豪商を教えろ」とのたまったのだ。

呆れたジルクニフは紹介状を渡すと早々にお引き取りいただいた。

降参だ淫魔を手懐けるような化物に太刀打ちできるものか。

女の経験値位私が勝っていると自負していたが鼻っ柱を折られたみたいな敗北感。

あの男は盟約を口実にふらりとやって来ては世間話をして帰っていく。

最初何も無い空間から幻覚(イリュージョン)宛らの登場には驚いたがもう慣れた。

奴はいつも単独で女を侍らせている気配がなかったのだ。

むしろ堅物だと決めつけていた それが「あの野郎とんだ女誑しだ!」

ふたりの毒気に当てられたジルクニフはロクシーに息巻いた。




シリアストークとアインズ様のアルベド自慢です。
ジル様ファンの方ごめんなさい。
もったいなくてまだⅣは見てません。
一気見したいのでほんとはタイムリーに見たいけど我慢してます。
矛盾はそのあとで直します ご勘弁下さい。


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幕間Ⅲ





「本日は誠に有難うございます 今後ともどうぞご贔屓に!」

喜色満面の豪商と個人的な商談を済ませたアインズは

「せっかくだ息抜きがてら観光といこう」

アルベドに例の指輪を嵌めさせる。

城下町に溶け込めるよう地味なローブと布製のアイマスクで変装する。

「これで魔導王とおまえだとは思うまい」

アインズがぱちんとウインクしてみせた。

「ご機嫌だな」 「はいっ!」 アルベドはにっこにこである。

食べ歩きしながら店先をウインドショッピングする。

「人間の食べ物もけっこういけるな 料理長にアレンジさせてみよう」

下町の小さなベーカリーの惣菜パンを頬張る。

「そっちもうまそうだな」とアルベドが一口Ⅰ齧《かじ》ったのをぱくり

仲睦まじいカップルのようだ 実際これがふたりの初デートになる。

 

幕間Ⅱ前半の続き

「アインズ様私でございます」 「ああセバスか入れ」

彼は主に一礼する。 「それで私にお話というのは?」

「おまえ達のことだ」 「と申しますと?」

「おまえとツアレをきちんと入籍させてやりたくてな。

それでだナザリックに婚姻(パートナー)制度を導入する。

条件は一夫多妻に限らす複数可、任意で序列記載、男女問わずだ。

でこれが申請届だ」

アインズはサンプルの用紙を差し出す。

「おまえ達はこれの提出第一号になってくれ」

「私共がアインズ様を差し置いてそんな…」

「私とアルベドかいずれな だがまずはおまえ達だ。

正直じれったいんだよ さっさと行動を起こせ。

まあ恋愛初心者の私が後押しするのもあれだがな。

まだ手を出してないんだろう 溜め込み過ぎると俺みたいに暴走するぞ。

犯ったあと食い殺しそうな勢いだったからな」

「あの武勇伝でございますね」 「なんだそれは!」

アインズはカラカラと愉快そうに笑った。

「それでこれに署名捺印する そこに至るまでのプロセスが必須だ。

ロマンチックなシチュエーションは大事だぞ なんてアドバイスは受け売りだがな。」

アインズはハウツー本を取り出す。

「セバス設定上おまえは私より年嵩だ …リアルで私には父親がいなかった。

母親は私を育てるため命を削り過労死した。

リアルに魔法はなく私は無力な子供だった。

私は天涯孤独だった リアルは過酷で私はユグドラシルに現実逃避したんだ」

アインズが告げる自身の身上

「もしやリアルとは異界の人間の国だったのでしょうか?」

「そうだ俺にはユグドラシル時代のリアルでの記憶がある。

人間の心情を失わないためにもおまえの極善のカルマ値は貴重だ。

おまえは私の相談役兼指南役となってくれ」

「…心得ました 不肖セバス謹んでお受けします。」

セバスは思考する アインズ様は愛情に飢えておられた。

渇きを癒す者が必要だったのだ 私にもその一端を担うことができるだろうか。

 




ラブラブアルベド&アインズ様とシリアストークです。




自分が読めない漢字は使わないようにしてますが
どうしても使いたい漢字は読み返したときのためにルビを振ってます。


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束縛


執着という名の鎖


今日のアルベドの様子はどことなく悩ましい。

というのも先日帝国で手に入れた装飾品をドレスの下に装着している。

魔法で施錠された貞操帯である。

レザー製で内側のデリケートゾーンには、びっしりと柔軟な突起状のものが植毛されている。

心地よい刺激にアインズに絶えず愛撫されているような感覚。

執務中なので表面上涼しい顔をしているが内面は穏やかではない。

アインズが首からぶら下げた特殊な鍵をちらつかせる。

気を抜くと恍惚とした表情になる 体を清潔に保つ魔法も効力がない。

アインズと視線が合うたびに(とろ)けそうになる。

危険(リスキー)な職場恋愛のようで興奮は静かに高まっていく。

休憩中はかまってくれるがキスだけではもどかしい。

そして漸く終業時間 ふらついてよろけるアルベドを受け止めたアインズが彼女を抱き上げる。

いわゆるお姫様だっこである。「あ、アインズ様?!」

「大浴場に行くぞ 貸し切りにするか いやジャグジーの個室があったな」

脱衣場で解錠し壁ドンでドレスを捲り上げる。

執拗に掻き回されてから座椅子(マッサージチェア)に押さえ込まれる。

濃厚な接吻(ベーゼ)アルベドの下腹部に硬いものが押し付けられる。

どうやらアインズは倒錯(サディスティク)な遊びを強要しといて自分も火が点いていたようだ。

夕食もそっちのけで息遣いも荒い。

太腿を持ち開脚させようとしたがアルベドは足を閉じようとする。

「さ、先に湯浴みをさせて下さい」 「却下だ 洗い流してしまうのか?これを」

アインズはとろとろになったそこに顔を埋めた。

「私がきれいに舐め取ってやる」

そのあとでアルベドは身ぐるみ剥がされ湯船に放り込まれた。

パシャン水音が跳ねる。

双丘の間を突き上げられ、たわわな胸元が掌で押し潰される。

上擦ったなまめいた声が浴室に反響する。

大浴場が隣接している まだ夕刻とはいえ入浴に来る者もいるだろう。

アルベドは必死に声を押し殺そうとするが耳たぶを甘噛みされ喘ぎは増していく。

雫が滴り落ち濡れそぼつ肌が薔薇色に高揚する

快楽の波に翻弄される体 注がれる情熱

 

アルベドは素直にアインズに洗われている。

そこを念入りに掻き出そうとするのでねっとりと濃密な泡になっている。

こんなにされるとまた貴男が欲しくなってしまう。

このままではお風呂から出られない。「わ、私にもご奉仕させて下さい」

アルベドは(かしづ)くとアインズのいまだ反り返っているそれを口に含んだ。

舌の感触に到達しそうになるのを堪えると、アインズはアルベドの角を掴んでそれを引き抜いた。

アルベドの唇が淫らに艶めいている。

「おまえの中がいい」

泡にまみれて絡み合う体 シャワーの下で肌が吸い付くようにもつれ合うふたり

この黒髪の一筋までもが愛おしい

「すまんついおまえを虐めてしまうな」

(ついば)むようなくちづけを交わし、ひとまずお互いを落ちつかせバスルームを出る。

「食事にしよう 体力を使ったしな 夜はまだこれからだ

たまには食堂に行ってみるか あそこにはゲストルームがあったよな」

アルベドはうっとりとアインズを見つめ彼に体を寄り添わせた。

翌朝アルベドは繋がったまま生理現象に起こされた。

アインズの腕に腰をしっかりとホールドされている。

これではもう1ラウンドしないと治まらない。

ふたりが親密となって以降、パンドラズアクターがアインズの惚気話の聞き役となっている。




お待たせしました ラブシーンです アインズ様絶倫です。
エロがメインの読み切りなつもりだったんですがなんか大真面目に続いてますね。
お付き合い下さりありがとうございます。
とりあえず目指すはゴールインです。
ちょっと加筆しました。


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幕間Ⅰ.ⅴ~のⅣ


募る想い


幕間Ⅰの追加エピソード

アインズは九階層にある宝石店(ジュエリーショップ)に来ていた 彼はショーケースを覗き込んでいる。

並んでいるのはネックレスやブローチだ アインズは顎に手をやり

『う~んどれも俺がイメージしてるのと違うんだよな』

「お気に召しませんかアインズ様?」

店員メイドがチラチラと挙動を窺っている。

「いやアルベドが普段ドレスのときにしているだろう

ビーズアクセのようなあんなので、踊り子(ベリーダンサー)の衣裳飾りみたいなのが彼女には似合うと思うんだがな」

「さようでございますね」と店員メイドが肯定する。

「図案化して魔法で造ってみるか 取り敢えずそれとこれを頂こうかな」

そのあと別の店舗で鈴とチェーン付きのチョーカーとベネチアンマスクを購入する。

そこで見つけたある物で連想する。

「獣人化の指輪もあったよな ケモ耳としっぽも萌えるか」

と悦楽のバリエーションに加えた。

その帰り路アインズはフラワーショップに寄り、カサブランカの花束を手に鼻歌混じりにデザインを思案するのだった。

アインズ様素敵です。

お手製のジュエリーが出来上がる頃、深夜のプールでアインズと裸アクセ姿のアルベドが目撃されている。

シャラン♪繊細な音色 素肌に金糸細工のキラキラとしたダイヤの粒を散りばめたような宝飾が、胸元と腰回りで揺れている。

ブレスとアンクレットがアクセントになっている。

肝心な箇所が見え隠れするエロチックなチラリズム いやらしさもまたスパイスだ 究極の水着である。

これらに関連する事柄はナザリック新聞のアインズ様特集に詳細に掲載された。

個人情報が筒抜けである。

だがアインズがこっそり盗撮した写真をラミネートして、それを懐で温めてニヤけているのは秘密だ。

 

アルベドは困惑しながらも歓喜に咽ぶ 朝な夕なに求められ女冥利に尽きる。

禁欲的(ストイック)なアインズをその気にさせるには強行手段しかない。

既成事実を作ろうとしたのが裏目に出て、こっぴどいフラれ方をしたがおかげで念願は叶った。

だが想定外だったのは彼の気質を誤解していた。

体力には自信はあるがアインズが精力的に活動できる原動力 彼は自分よりも優っている超越者(オーバーロード)なのだ。

既に無自覚の百戦錬磨の猛者となっている。

アルベドが淫魔の体を持て余していたのが嘘のようだ。

アインズが望むならば嫋やかな妾姫となろう。

見えない運命の糸に心も囚われている身なのた。

 

「アルベド!?」 アインズに肩を揺さぶり起こされた。

「大丈夫か? 魘されていたぞ」 アルベドは泣きながら眠っていた。

「…何処へも行かないで下さい このナザリックをいいえ私を置いて去らないで下さい!」

アルベドは嗚咽を漏らす アインズは縋りつくアルベドを強く抱き締める。

「私はここにいるぞ 何を恐がっている 誰か私を拐かしに来るのか? 

私がこの世界に来たのは不可抗力だが自分の意思で此所に留まっている

おまえ達を守るのが私の使命だ おまえが盾となるなら一人で逝かせはしない

おまえを奪われたら地の果てまで追ってやる! このぬくもりを離すものか」

それは紛うことなくアインズの憤るような愛情表現だった。

アルベドの瞳に涙が溢れる アインズはそれを唇で掬い取った。

依存し合う それもひとつの愛の形であり惚れた女の為に身命を賭すは男の矜持だ。




アインズ様変態設定入ってますね ギリギリを攻めたい
下品にならないようにはしてますが堪忍して下さい。


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幕間Ⅴ


この物語でのアインズ様は自信家で相手と対等が信条です。


エ・ランテルの冒険者組合のギルド長アインザックはアインズの呑み友達になっていた。

ナザリックとを行き来しているアインズだが、ときたま冒険者ギルドにも立ち寄っていた。

当初モモンに女を斡旋しようとしたアインザックを快く思っていなかったが、アルベドと肉体関係になってみて彼が(じぶん)を接待しようとしたのは理解できる。

飲めるようになったアインズは親睦を深めて帳消しにしようと、ナザリック産の酒を手土産にやって来た。

「こ、これは魔導王陛下ようこそお越し下さいました」

「堅苦しい挨拶と敬称は省いてくれ」

「それでご用件は?」 「おまえと飲りたくてな」

アインズは酒瓶を取り出すと例の指輪を嵌める。

魔導王仕様の人型である アインザックは眼を瞠った。

今日のアインズは大仰なローブではなく瀟洒(しょうしゃ)な装いだった。

それに相応しい佇まいの偉丈夫である。

「おお!これではいかに貴殿が人に非ずとも女が惑わされますな」

するとアインズはフフンと鼻先で笑い

「おだてても女は間に合ってるぞ 極上の寵姫がいるからな」と自慢気である。

「それでは貴殿を夢中にさせる女性がおられるのですな」

「ああベットで責め堕とした いや俺が陥落したのか」

「なんと!貴殿を骨抜きにした女性は誰なんです?」

「私の側近のアルベドだ」 「あの見目麗しいご令嬢ですな 側室ではなかったので?」

アインザックはアインズが当然ハーレムあっての豪傑だと踏んでいたのだが

「私は節操なしではないぞ 立場上憚られた それに不死者(アンデット)の体は不便なこともある」

つまり訳ありでいたせなかったと 「そうまでしてベタ惚れじゃないですか」

「そうだアルベドは淫魔(サキュバス)だからなエロスの女神だ」

「それは素晴らしいですな!いいでしょう 付き合いますよ

色事を肴にするんならこっちもイケますぜ」と親指を立てる。

「私は男はやらんぞ」 話題があらぬ方向に進みかけるが

「冗談ですよ でも野郎同士で組んずほぐれつもわるくないもんですぜ」

「じ、実体験があるのか?」

「元傭兵でしてね ああいう男所帯は手っ取り早く近場でやるんですよ。

娼館は金がかかりますんで 合意の交渉なら文句はありませんぜ」

「…女もうしろがよかったりするのか?」 「前後同時に攻めてイかせられますよ」と(うそぶ)

参考になるなとアインズ 猥談はともかくアインザックの若かりし日の冒険譚を聞いて、国が安定したらアルベドとふたりきりで旅行に出てみようかと模索する。

アルベドは転移したときから俺の傍にいてくれた。

そしてこれからもずっと…アインズは想いを馳せる。

 

「…折り入って頼みたいことがありまして」とアインザックは切り出した。

「その女房とご無沙汰でしてね

倦怠期ってわけじゃなく子供がいるとそういう雰囲気にならなくて

俺としては妻帯者なんで不倫はご法度でしょう。」 案外誠実な男だ。

「そこで気分転換に協力してもらえませんかね?」

その日アインザックの妻クロエは忘れ物を届けに来ていた。

「わざわざすまなかったな」 「いいのよ」

子供達も巣立ちする年頃だ 親が養護することも少なくなってきた。

「久し振りに外で飯でもどうだ?」 「そうね」 「帰り支度をしてくる」

クロエは無人になった受付の長椅子で待っていたが夫は戻って来ない。

組合長室は二階だがそこにも夫の姿はなく中に入ってみるとどこからか物音がする。

そして女性の声 耳を澄ませる 「…アインズ様」

「えっ」咄嗟に口を押さえる 『ま、魔導王陛下がいらっしゃるの?!』

クロエは慌てた 夫は接客中なのだろうか

しかし次第に大きくはっきりとしてきたそれは明らかに行為中のそれだった。

かぁっと全身が熱くなる そういえば夫としたのはいつだろう

この状況にいたたまれず部屋を出ようとしたがドアは開かなかった。

それにしても人のあられもない声がこんなにも気恥ずかしいものだとは

体が火照ってきた。

ふと頭を過ったのはさっき夫がくれた滋養強壮のポーションだ。

夫の魂胆がわかった。

よりによって…でもこれに一役買って下さった陛下とお膳立てをした夫を無下にはできない。

「…あなたお願いよ 早く出て来てちょうだい だってもう…」

クロエはへなへなとへたり込んだ 「クロエ?!」

本棚裏の隠し扉からアインザックが飛び出して来た。

「…馬鹿何やってるのよ」 クロエは自分を抱き起こそうとする夫の首に腕を回した。

茶番でも人間の夫婦間を取り持つのも一興だ。

アインズは「あとはよろしくやってくれ」とばかりに、アルベドと顔を見合わせ引き上げて行った。

アルベドの名演技ではなく実際に撫で回されイジられていたのはご愛嬌だ。




キャスト増えましたね キャラが一人歩きしてます。
クロエは架空の人物で成り行きで登場しました。




おお!お気に入りが快挙だ 一般受けするとは思ってなかったのでめっちゃ喜んでます。


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アインズの求婚


死の支配者は饒舌(じょうぜつ)に語る


アインズはその日アルベドをディナーに誘った。

トブの大森林カルネ村の外れ夜景スポットの展望ラウンジ アインズはアルベドをエスコートする。

ここには厨房があり料理長とバーナザリックのマイコニドが臨時出張して来ていた。

展望フロアにはダンスホールもある。

ゆったりとクラッシックな音楽の調べ 「踊ろうか」

アインズはコスモブルーのドレスに身を包んだアルベドの腰に腕を回し抱き寄せる。

スローテンポのワルツに体を委ねる アルベドは幸せだった。

アインズとアルベドは窓際のカウンターでグラスを傾けている。

マイコニド特製ふたりのためのカクテル〈マリアージュ〉

乳白色に蜂蜜色のコントラスト、グラスを縁取るゴールドの王冠

「…アインズ様シャルティアを妾姫に加えて頂きたいのです」

「シャルティアはおまえと私を捕り合っていたな おまえのライバルだろう

いいのか私の寵愛を二分することになっても」

「好敵手ですもの シャルティアは今あの頃の私のように愁い思い(あぐ)ねています」

シャルティアはアインズの溺愛ぶりと献身的なアルベドに、自分が入り込む余地はないと諦めかけていた。

「シャルティアは死体愛好家(ネクロフィリア)です 不死者(オーバーロード)のままで愛して下されば」

「しかしなぁ私は少女趣味ではないんだ やはり豊満な」と女性の曲線美を手で描く。

アルベドには成熟した女の魅力がある。

「以前アインズ様は私達を我が子であり娘のようなものだと」

「それは建前だ そう思おうとした おまえに対してはな だがシャルティアはあの容姿では年の差のある妹か姪のようでな」

「ではシャルティアに人化の指輪を渡されてはいかがでしょう?

外見は人間の年齢で十代半ばですが生身の体なら数年で、いえ成長促進に特化した魔法を付可すれば数ヶ月で成人女性になります。

伸長も伸びるでしょうし胸だって育ちます そうなればアインズ様の見方も変わるかと」

「そうだな シャルティアが了承すればよしとしよう それよりおまえのことだ」

アインズの真っ直ぐで吸い込まれそうな瞳が問いかける。

「…ギルメンが憎いか?」 「えっ、いえ…」アルベドは言い淀んだ。

「おまえの部屋の片隅にアインズ・ウール・ゴウンの旗が無造作にあった」

「それは…あの者達のせいでアインズ様が!」

「確かにユグドラシル最終日彼等に憤慨していたさ

私は一人でナザリックを維持してきたんだ」

アルベドはアインズが苦労していたのを知っている なのに自分は何も出来なかった。

「だがリアルとナザリックどちらかを捨てなければいけなくなった。

彼等にはリアルに大切なものがあった 私にはなかった。

でも今の私にはおまえ達がいる。

この世界が滅んでリアルに帰れるとしても、おまえ達を残して戻りはしない。

もうおまえ達はただのNPCではなくなった そしておまえは誰よりも欠け替えのない存在だ。

こっちでギルメンに会えたとして、かつての仲間だったんだ合流はしたいが無理強いするべきではない。

私のように特別な誰かがいて家族を築いているかもしれないだろう」

アインズはアルベドの手の甲にくちづける。

「愛している 私の妻になってくれ 結婚しよう」

アインズは婚約指輪(エンゲージリング)を差し出す。

「!はい…」アルベドは感極まり声を詰まらせる。

「私はモモンガ(ファーストネーム)アインズ(ミドルネーム)・ウール・ゴウンとする

おまえだけはこう呼んでくれ」 「モモンガ様!」 「そうだ」

ツーっとアルベドの頬を真珠の雫が伝う ふたりのシルエットが重なる。

アインズが腕を掲げるとそれを合図に天候操作(コントロールウェザー)を応用した魔法によって出現した巨大なオーロラが、色彩を変えながら満天の星空を埋め尽くす。

そして人為的に攻撃による実害を無効にした落下する隕石(メテオフォール)で降り注ぐ流れ星達

天空のパノラマ圧倒する静寂のファンファーレ

それは大地を神秘に照らし世紀のプロポーズを盛り上げる。

アインズは最高にドラマチックな演出(メインイベント)を成功させたのだった。

と同時にカルネ村でわあぁ!!と歓声が沸き起こった。

「うおぉすげぇ!」 住人達はお祭り騒ぎだ。

料理長とマイコニドも借り出され主役のふたりを混じえて大宴会となった。

「アインズ様アルベド様おめでとうございます!」

「いよっ御両人!」と冷やかす者がいる ゴブリン隊長のジュゲムだ。

エンリは涙ぐんでいる。

アインズはいまやナルシストに支配者ロールを愉しんでいる。

人生?いや不死なる生を謳歌していた 感動の大団円(クライマックス)である。

アインズ様とナザリック、魔導国の栄光と繁栄は続きます。




やっとこさハッピーエンドです ここまで読んで下さりありがとうございます。
でもまだ幕間エピソードや別バージョンのアインズ様を書きたいと思ってます。
たまに活動報告でしょうもないことを呟いてます よければ覗いて下さい。



ペロロンチーノさんシャルティアファンの方ごめんなさい 指輪を外せば元に戻ります。
私はアインズ様をロリにはしたくなかった。



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幕間Ⅵ


今回二部構成となっております。


アルベドはしどけない姿でナイトドレスに包まっている。

彼女のクローゼットは夜用の衣裳で華やいでいた。

毎晩のように取っ替え引っ換えしており、まどろっこしくなったアインズが引き千切ろうとするので消耗が著しい。

あるとき数回しか着ていないお気に入りのチュチュを台無しにされて、アルベドが涙目になりアインズはおろおろしたが凌辱プレイ用として活躍している。

アルベドは左手を翳しその顔はくふんと得意気だ。

薬指にはアインズがデッサンし魔法を付与した婚約指輪(エンゲージリング) アルベドが白銀(プラチナ)アインズが(ゴールド)のペアリングだ。

アインズはもちろん結婚指輪(マリッジリング)も用意してある。

特注で精巧な細工にルーン工匠の文字が彫られている。

アルベドはウール・ゴウンの姓となる 蟠りは既になくむしろ優越感がある。

結婚しても当分は新婚でいたいが異種族交配は妊娠しにくいとデミウルゴスが言っていた。

一年位したら人化の指輪で励もう 人間の体は不思議だ。

憐憫の情など微塵もなかったのに、エ・ランテルに赴き人間の幼子を見掛けて可愛いという感情が芽生える。

コキュートスが御方の御子をあやせる日も将来実現するだろう。

アインズの婚約発表は号外として報じらている。

エ・ランテルは急遽祝賀祭となりセバスの案で国民全員に酒と菓子が配られた。

その太っ腹な豪快さに皆が大いに慶び讃えた。

 

「起床時間ですモモンガ様」 アルベドがやさしくアインズにキスをする。

「ん~まだこうしていたい」 アインズが頬擦りしているのはアルベドを縛るときに重宝しているショールだ。

通称[天女の羽衣]彼女の残り香が染み込んでいる アインズはベットで未練がましい。

「こっちは起立してるんだがな」 とアインズはシーツを摘んで見せる。

「そっちじゃありません そんなことをしていたら食事が疎かになります」

「私はおまえがご所望だ」 「もう召し上がりました」

「おまえのここはおかわりをしたがってるぞ」

「いけません!」 もぞもぞしているアインズの手がアルベドにペシッとはたかれた。

「い・や・だ」 アインズは駄々を捏ねる いつもの朝のやりとりだ。

逃れようとするアルベドをアインズは羽交い締めにし、シルクのようになめらかな肌に唇を滑らせる…

寝室でフレンチトーストにフルーツサラダとフレッシュジュースの朝食を摂る。

現時点でアインズは脇目も振らず全身全霊でアルベド一筋だ。

アルベドもまたアインズに囚われ彼の虜だ。

アインズは禁断の果実を口にしてしまったのだ 甘美な媚薬のように抱くほどに魅了されていく…

 

アインズはそれを指先に引っ掛けてくるくると回している。

するりと背中とドレスのスリットから手を差し入れ、マジシャンみたいに上下共抜き取られてしまった。

「か、返して下さい!」 「どうしようかな…おつかいを頼もう

この書類をシャルティアに届けてくれ 食後の休憩をしてきなさい

ただし自分の部屋に寄って履いてくるのはルール違反だ」

「…はい」アルベドは消え入りそうな声で答える 「それとこれを中に入れて行くんだ」

アインズはランチのデザートの凍らせた大粒の白葡萄(マスカット)をアルベドに放った。

「そ、そんな!」 「あとで確かめるからな」 『私が取り出してやろう』

アインズは嗜虐の笑みを浮かべる アルベドの反応にアインズはご満悦だ。

アルベドはアインズを恨めしそうに見遣りしぶしぶ出掛けて行った。

廊下で辺りをきょろきょろ物陰で裾をたくし上げると唾液で湿らせたそれを押し込む。

『冷たっ!』 ドレスの下が心もとなかった。




内容は変わってませんが思いつく限り手直ししてます。
一文増えてたり言葉が以前と違ってたりします。
未熟者なので未完成です どうぞ生温い目でみてやって下さい。


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幕間Ⅵ.ⅴ





幕間Ⅵの続き

「私よ ちょっといいかしら」 シャルティアはアルベドを部屋に招き入れた。

「これアインズ様からそれと…」 「なんでありんすか?」

「貴女とお茶をしてこいって」 シャルティアはティータイムの支度をしながら

「これありがとうでありんす」 例の指輪のことである。

それを受け取るまでシャルティアは頻繁にバーナザリックで酔い潰れていた。

管を巻いての絡み酒でしょげきっていたのだが

「アインズ様にわらわを妾姫に推してくれたでありんしょ

貴女に張り合える絶世の美女になってみせますわ」と膨らみが目立ってきた胸を突き出す。

上げ底はしていない 吸血鬼花嫁(ヴァンバイアブライド)に揉みほぐしてもらっている。

経過観察中だ 背丈も10㎝伸びて顔立ちも大人びてきた。

アルベドはそわそわしている 「どうしたでありんすか?」

シャルティアが肩にぽんと手を触れた途端アルベドは飛び上がった。

「ひゃう!」ヘンな声が出た 「あっ!」咄嗟にキュッとそこに力を込める。

粗相せずに済んだようだ もし落としたら罰は何だろうと期待してしまう。

「ご、ごちそうさま」 帰ろうとするアルベドの歩き方がぎこちない。

ピン!ときたシャルティアはアルベドのボディーラインをなぞった。

「な、なにするのよ?!」 アルベドはシャルティアをキッと睨んだ。

「やっぱり下着つけてないんだぁアルベドのエッチ!」 「だ、だってアインズ様が!」

あれを仕込んでいるのはバレてはいなかった。

「アインズ様ったらやだぁ!」 シャルティアはおどけてみせたが

『アインズ様は恥辱プレイがお好きなのね』とおもわぬ収穫にニッコリとアルベドを送り出した。

アインズはウズウズしながらアルベドを待っていた。

戻って来たアルベドは半べそになりポカポカとアインズを叩いた。

「モモンガ様なんて嫌いです!」

プイッとそっぽを向きむくれるアルベドにアインズは平謝りし

「わるかった そう拗ねるな」 彼女が根負けするキスの雨を降らせた。

アルベドは観念したように熱烈な接吻(ベーゼ)を返す。

「どうぞいたぶって下さい」 もう午後の仕事どころではない 今日は残業確定である。

溶ろけたアイスの実は格別な味わいだったとか

 

ジルクニフの憂鬱

 

魔導国の属国となったバハルス帝国の皇帝ジルクニフはガバッと跳ね起きた。

深夜の寝室に一人 じっとりと脂汗をかいている 髪はぐっしょりだ。

頭だけでなくそこにも血が昇っている 「あ、ありえないだろう!?」 

『皇帝の座に就く以前この顔のおかげでそういった倶楽部に勧誘されたことはある。

貴族連中には囲っている者もいるが私は断じて興味はないぞ』 それなのに何故だ?!

あの人間に化けた怪物にこの私が蹂躙される

そんなあるまじき光景 それを悪夢に見るなどなんたるおぞましきことか!

自分はどうかしてしまったのだ これは恐怖支配による妄想だ。

いやこれは暗示だ 従属するなら体も差し出せという要求なのか ジルクニフは青褪める

あのマスクの下がどうであれ紛い物だ 気にしてどうなる

これではまるで懸想しているようで胸糞がわるい。

「やあジル」 ゾワッ幻聴が聴こえる 総毛立つ 親しげにあの男はそう呼ぶ 忌々しい

だかあの声で脅迫されたらどうする…あれは人を蠱惑する

ジルクニフは八つ当たりするようにそれを扱きたてる 彼は自己嫌悪に陥った。




BLもどきになってます ジルファンの皆様重ねてごめんなさい
アインズ様もうベタ甘です 結婚したら尻に敷かれそうですね。


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昼下がりの情事





アインズは視察等の理由をつけてはアルベドを外へ連れ出してくれる。

ふたりはエ・ランテルの城壁を拡張し新たに整備された森林公園へとやって来た。

今では住民達の憩いの場となっている。

雑木林に囲まれた湖畔のベンチに腰掛ける 湖面には数隻のボートが漂っている。

恋人達のアフタヌーン 小高い丘陵エリアでシートを敷いて、バスケットからアルベドお手製のランチBOXを取り出す。

彩りよく詰められた豪勢な出来映えである。

最古図書館(アッシュールバニパル)家庭料理(レシピ)本を探し自室のキッチンで練習してきた。

アインズの好物ばかりだ 胃袋もちゃっかりと掴んでいる 裸エプロンで摘まみ食いされていた。

暖かな陽射しと木洩れ日の中を爽やかなそよ風が吹き抜けていく。

樹々のざわめき自然を肌で感じる心地よさ 「さあ腹拵えもしたし一汗かきたくなったな」

アインズはごろりと横になるとアルベドに手招きする。

「おいで跨がってごらん」 ローブの前をはだける 麓に人がまばらとはいえ真っ昼間の公園である。

公然猥褻罪で通報されそうだがこの国ではアインズが法だ。

見ようによってはアルベドがフレアスカートを広げて座っているようではある。 

外出着用にとブラウスとショートブーツのカジュアルな服装(デートスタイル)である。

アルベドはまだアインズを迎え入れる準備ができていない。

彼女はゆっくりと体を揺らし始めた 立ち上がってきたそれが薄い布越しに擦れる。

頬が紅潮する スリットから覗く唇が次第に潤いやがてそれを飲み込んだ。

「あっんっ!」アルベドの体が弾ける 上半身を仰け反らせ途端にアインズの上に倒れ込んだ。

彼女はショーツを身につけていた筈だ。

アインズはアルベドの腰を抱えるようにして腹筋で上体を起こした。

アルベドが仰向けになる 結合部分を見て

「そうなってるのか きわどい下着だな しかし自分だけ気持ちよくなって私は置いてきぼりか ペナルティだな」

アインズはアルベドをセミヌードにしてしまった それを除いて 「きゃぁ~!?」 婦女暴行の現行犯だ。

「ず、ずるいです モモンガ様も…」 「そうだな これでは不公平だ」

アインズはアルベドを乗せたまま腰を浮かしローブとその下の着衣を脱ぎ捨てた。

下履き1枚になる 「どうだお相子だろう」

隔離魔法のシールドと護衛の八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジアサシン)が遠巻きに見守っている。

よって邪魔が入ることはなかった。

何も妨げる物がない心(やま)しさとが()い交ぜになった開放感は病みつきになりそうだ。

公務をサボタージュはできないが 「今夜はここで泊まりもありだな」

アウトドアプレイを満喫するふたりだった 「うふっ愛しておりますモモンガ様」

婚礼を挙げたのちにふたりは永久(とこしえ)に将来を誓い絆を紡いでゆくのだ。




いちゃらぶモード全開です。


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幕間Ⅷ


不協和音なふたり


この物語での人化の指輪について詳細を記しておこう。

その効力でもって強制的に人間の肉体に変換するというものである。

弱体化するためレベルダウンするがそれは魔法やアイテムで補える。

スキルも使えるし武装もできる。

外観はイマジネーション通りに変幻自在で骨格がある者は基本それに肉付けされる。

現状維持(キープ)鍛練(バージョンアップ)更新(アップデート)が可能だ。

本質は種族そのままだが精神は体に影響される つまり物事において感情移入するようになる。

異形であっても性質が感化され人間らしく振る舞えるのだ。

その特性を利用してあのふたりが歩み寄れないだろうか。

デミウルゴスに対しセバスがアインズに渡されたのは[魔人化の指輪]だった。

(ここでの魔人とは半人間半悪魔とします)

デミウルゴスは眼と耳が人間のそれに変化し尾は体内に取り込まれている。

セバスは外見上なんら異変はなかった。(変身(トランスフォーム)型である)

ふたりは当面のあいだ指輪をつけて活動することになる。

「アインズ様の意図はわかります 私達の排他的関係を見兼ねての苦肉の策でございましょう しかし…」

「どうなるかやってみるしかありません」 困惑するも珍しく意見が一致する。

「さしあたって数日後に経過報告としましょう」

 

「どうですか?」 「…以前程貴方といても不快ではありませんね」 「悔しいかな同感です」

1週間後

「人間の体というのは厄介ですね 貴方みたいにお節介を焼いてしまいました。

悪魔であるこの私が」

エ・ランテルの町で人間への対応を試行していたのだが、足下に転がって来た林檎を拾ったのだ。

ナザリック内ならともかく、普段のデミウルゴスであれば人間を手助けしてやるなどあり得なかった。

籠を手にした子供に 「重そうですね 持って上げましょう 家は何所ですか」と彼にあるまじき行動を取ったのだ。

一方のセバスは

「『困っている人がいたら助けるのはあたりまえ』それなのに体が動きません

もう一人の私が傍観しています。

善い行いが出来ない それが魔人いえ悪魔の性というものなのでしょうか。

猛獣に獲物を狩るなとは言えませんね。

今後デミウルゴスと上手くやっていくには折り合いをつけるしかありませんか。

目に余る残虐非道ぶりであればアインズ様に相談して私がフォローしましょう。

こんな私達をアインズ様は統率しておられる。

心労をお掛けしないようにしなくてはいけませんね」というわけで

「…こっちもです 私の場合逆ですが」 「正義の見方がモットーの貴方がですか?!」

それらは到底信じ難い事象だった 「私達の生理的嫌悪感は種族故なのでしょうかね」

という結論に至り 「面白い実験でした」とアインズにレポートした。

そののち水と油のふたりがバーナザリックでグラスを並べて討論(ディスカッション)するようになる。





少しづつですがふたりの不仲が改善されていきます。


これで幕間も一段落です。
今後はタイプの違うアインズ様をと考えています。
手書き原稿が出来たらアップしていきます 暫しご猶予下さいませ。


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アインズの苦悩


第二部 パラレルワールド アインズ様の恋煩い編Ⅰ
俺様系病んでる?アインズ様です。


「はぁ~」 アインズは大きく溜め息を吐いた。

こんなにも遣る瀬ない感情に苛まれたのは初めてだった。

寝ても覚めても(実際に眠ってはいないが)考えるのは彼女のことばかりだ。

執務に支障が出始めている このままでは放棄しかねなかった。

 一目惚れだった 「どうかなさいましたかモモンガ様?」

この世界に転移した直後アインズの目に移ったのは美の化身神話の女神(ヴィーナス)だった。

ハッと息を呑んだ 艶やかな黒髪 つぶらな瞳 やわらかな唇 整った造形

透きとおるような絹肌 豊かな胸元に括れた抜群のプロポーションを純白のドレスに包んでいる 美貌を飾るのは悪魔の角と漆黒の翼

アインズは確かめるようにアルベドの頬に触れてみる。

温かい 生きている ただのNPC だったアルベドが動いて喋っている 感無量だった。

いやそれ以前にユグドラシルが終焉を勧告され、モモンガにとってアルベドは唯一の聞き上手な話し相手であり精神の拠り処だった。

いつしかアルベドに夢想し恋慕の情を抱くようになっていた。

リアルなど糞喰らえだ 死後の世界があるならアルベドと共に在りたい 彼女に愛されたい そう願った。

故にアインズはアルベドの猛アタックにたじろぎはしたが嬉しかった。

その笑顔に癒された。

しかしアルベドはタブラさんの忘れ形見?であり自分が設定を書き換えた負い目もある。

タブラさんは「モモンガさんの嫁にどうだい?」なんて言ってくれていたが、この体ではアルベドの求愛に応えようがなく女の幸せを与えてやれないのだ。

だから気の無い素振りをしてきた だかそれも難しくなってきた。

日増しに高まる欲求 白昼夢のように妄想が膨らんでいく それを紛らわす手段もなかった。

アバターを骸骨(アンデット)にしたことを後悔し頭を悩ませ唸っている。

気分転換にと大浴場でスライムの三吉君に体を洗わせていたアインズははたと閃いた。

「なあ三吉君スライムには擬態能力に長けたものもいたよな」

『ハイ[かめれおんすらいむ]コノ世界ニモ生息シテイマス。

下級もんすたーナノデ対象ハ小動物デスガ細胞レベルマデ再現デキマス』(ここでの三吉君は念話ができます)

「人間もか?」 『餌食ニスレバ完こぴデス』 「個人ではなく人間種という括りでだ」

『さんぷるトでーたガアレバ食料デナクテモ情報ハ取リ入レラレマス』

「便利だな 補食機能(酸で獲物を溶かす)を無効化してこの骨格に肉付けすれば生身の体が手に入るよな」

肉体を身に纏う 着脱可能でリスクもなさそうだ。

ナイス!と自分を褒めてやろう アインズは早速自室に隠し部屋を用意し製作に取り掛かった。

 

アインズ様の様子がおかしい 目を合わせて下さらない 上の空で他人行儀によそよそしいのだ。

私を邪険にし遠ざけようとしている 定時になると自室に籠って何かをされている。

当番メイドも蚊帳の外だ 無言の拒否に打ち拉がれる。

私がそんなに厭わしいですか…アルベドは落胆し悲嘆に暮れていた。

それでも諦め切れず愛しい人を求めて心と体を持て余すのだった。




アインズ様ヤンデレを拗らせかけていました。


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アインズの烈情


第二部アインズ様の恋煩い編Ⅱ


マネキンならぬ己の骨格標本が受肉されていく。

土台となるのは生前?の自分だがこんな青白い外観ではあまりに貧相だ。

筋肉を増量して肌の色と顔を補正 でも素性は晒したくない そうだアイマスクを付けよう。

黒目黒髪は冒険者モモン 片やアインズは魔導王だ それに見合った容貌 金褐色(ダークブロンド)の総髪に顎髭 琥珀色の瞳 ハーフタイプの仮面

アインズは人間だったときの自己肯定感が低かったが、それはリアルの弊害慢性の栄養不良で満身創痍痩せぎすだったからだ。

肉付きと血色を良くしたことで優しげな好青年となった。

それにオーバーロードの悪のカルマ値の性質が加わると、ニヒルな影のある女を惹き付けて魅了する男の色気があった。

それに対しアルベドの蠱惑的(コケテッシュ)な魅力はアインズの男心を擽った。

そして日本人としては標準サイズのそれを体格に合わせて調整する。

装着して確実に発動できるか立ち上がり具合も重要だ 経験が皆無なのだから形状と大きさ位は拘りたい。

完成した[ヒューマンスーツ]それを使用するに当たってアインズには譲れないものがあった。

それは主導権だ 男として押し倒す側でありたい。

アインズは煩悩に苦悶しながらも決行までのプランを練った 恋い焦がれた女を攻略するために。

 

仄暗い部屋にはキャンドルが灯りほんのりと甘い香りがする ムードのある曲が流れテーブルには料理が並べられている。

アインズが椅子を引き促されるままに席についた。

アルベドが何より驚嘆したのはアインズの姿が不死者(オーバーロード)のそれではなかったことだ。

「種明かしはあとだ食事にしよう …すまなかったな 大人気ない態度を取って

これはその詫びだ」 頭を下げようとするアインズを「お、おやめ下さい!」 アルベドは押し留めた。

「…私がご迷惑だったのでしょう?」 「ああそうだとも!」 咄嗟にアインズは語気を荒げた。

「…一方的に想いをぶつけておいて私が平常心でいられたと? 挑発されても骸骨の死者(オーバーロード)の私は自慰も出来ない不能だからな 滑稽だろう 私を辱しめたかったのか 私を侮るな」

最早忍耐の限界だった。

ガタン!椅子を跳ね除けアインズはアルベドを組み敷いて馬乗りになった。

食らいつくように唇を抉じ開け舌を絡めとる シュミレーションを重ねてきた。

スライムに擬態させ女体の構造と手順を脳ミソに叩き込んだ。

勢いに任せて実践あるのみ 「おまえの主は誰だ? 支配するのは私だ」 アインズはアルベドの着衣を毟り取った。

体中を舐め尽くすような愛撫 「…ずっとこうしたかった」 アインズは狂おしげに呟く。

不器用な接吻(ベーゼ)と拙い告白と抱擁 魂が悲鳴を上げていた。

痛々しいまでに反り返り暴発寸前のそれを宛がう もう余裕などなかった。

アルベドの中に押し入っていく 突き立てられ激しい律動にアルベドは必死にしがみついた。

鼓動が聞こえる アインズもまた焦燥に駆られていたのだ。

アルベドは悦びに震えた アインズを深く飲み込んでいく。

絞り摂られるような快感にアインズは熱く迸る欲望を放った アインズの背中に爪痕が刻まれる。

「あ、アインズ様」 「…モモンガだ」 「!」幾度となく互いの名を呼び合う。

昂りは鎮まるどころか昇りつめるたびに、喘ぎとうねりが更なる興奮を煽り欲情は滾り続けた。




この物語でのアインズ様は実直で慎重派ですがあとはなるようになるさの開き直ったマイペース型です。


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アインズの決断


第二部 アインズ様の恋煩い編Ⅲ


翌朝 夜明け近くまでアルベドを抱いていた。

数時間だがこんなふうにぐっすりと熟睡したのはいつ以来だろう。

人間の三大欲求を満たす充実した疲労感 清々しい目覚めだった。

とはいえ夕食は途中になってしまったが生活魔法のおかげでできたてのままだ。

張り切ってくれた料理長には臨時賞与だ。

アルベドが体を起こしはらりとシーツが滑り落ちる アインズとふたりベットにいた。

乱れた髪 とろんとした表情 肌にはアインズがくちづけた跡がタトゥーのようだ。

たゆんとした胸元が艶かしい 「あっ?!」 アルベドは身を捩った。

「ん、どうした?」 アルベドは太腿を擦り合わせている。

アインズは強引に足を開かせた ゴクリ生唾を嚥下する アインズが存分に注いだものが溢れている。

若干薄桃色なのは破瓜の名残だろう 「卑猥な唇だな」 アルベドの顔が羞恥に染まる。

朝勃ちをグッと堪える 絨毯には血糊 アインズの背中は傷だらけ 肩口には歯形がくっきりでどろどろのアルベドにレイプ現場のような有り様だ。

「すまん無茶をしたな シャワーを浴びて朝食にしよう」

 

[ヒューマンスーツ]のメリットは人間の体のデメリットを除けるところだ。

痛覚の遮断 肉体損傷の修復 不死者(オーバーロード)特有の精神抑制機能ではなく理性が働く((たが)は外れるが)

 

「…この姿はかつての私が原型となっている 私はリアルという世界で人間だった。」

「!?」

アインズはユグドラシルとナザリックの成り立ちリアルとの関係を語った。

ゲームという概念ではなく現実のものとして、ひとつの精神が人間と不死者(オーバーロード)であるモモンガの肉体を行き来していた つまり二人の体がひとつの魂を共有していたのだと

この世界の人間よりも脆弱で下等生物だったリアルの自分

「…それが私の正体だ 私は叡知もなければ超越者でもない ただの虚像だ。

私はおまえ達を欺いていたのだ」 己の罪を自白する アインズは泣いていた。

「も、モモンガ様!?」 アルベドは衝撃の事実よりもアインズの涙に心を揺さぶられた。

自分を偽らなくてはならなかったアインズの苦悩

アインズは胸の(つかえ)が取れたかのように哀しげに笑った。

「おまえに殺されるなら本望だ」 「そ、そんなことを仰らないで下さい!」

アインズはアルベドの涙に狼狽える 「どうしておまえが泣くんだ?

私はおまえを騙して純潔を奪ったのだぞ 罰せられて当然」 「いいえ!」

アルベドがそれを遮る 「『おまえのすべてを許そう』モモンガ様の名言です。

私はモモンガ様が何者でも構いません 大切なのは器ではなく中身です もちろん外見も大事ですけど

私はモモンガ様をまるごと愛しています 私がモモンガ様を守護します 盾となります。

知恵者ならデミウルコスがおります だからどうか」 アルベドは懇願するように瞳を滲ませた。

「モモンガ様は私がお支えします 私だけではありません 僕達は一丸となって団結します。

皆の結束は強固ですよ。

それに…モモンガ様は勤勉な努力家です ナザリックが寝静まった深夜に人知れず最古図書館(アッシュールバニパル)で書物を読み更けっておられました。

帝王学、経済学etc.辞書を片手に時間を惜しんで」

「…参ったなおまえにはお見通しか」 アインズは苦笑する

「モモンガ様は骸骨の死者(スケルトン)から不死者の王(オーバーロード)にまでなられた世界を統べる御方です。

胸を張って下さい 私が保証します 私達も日々成長しています。

ひとりで背負い込もうとなさらずもっと頼って下さい モモンガ様は孤独ではございません」

気が付くとアルベドはアインズの傍らにいた アルベドは包み込むようにアインズをその胸に掻き抱いた。

アインズの眼から涙が止めどなく零れ落ちる。

言葉を尽くして相手を諭し理解し合えたふたりだった。




猪突猛進、質実剛健、アインズ様魔王街道まっしぐらです。


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蜜月


第二部 アインズ様の恋煩い編Ⅴ


アインズの生真面目な性格が災いしたが本心を曝け出せた 雨降って地固まる。

彼は決意する 「アルベド私はおまえを妻としたい

だが私は魔導王だ その妃となるのだ それには条件がある 王妃となる覚悟があるか?」

アインズの突然の求婚 「ございます! なってみせます」

「それに相応しい立ち居振る舞いや言動

シャルティアといがみ合い争うような真似はよせ 取っ組み合いなどもってのほかだ。

原因は私だがマウントを取ったりするな 本当は仲の良い親友なのだろう」

側室ではなく正妻となる自覚 「肝に命じます」

アインズの隣に立つ者として毅然たる妃となろう 敬愛を捧げよう。

「おまえは聡明な女だ 信頼している ときには私を諌めてくれ」

『王妃アルベド』その響きに優越感に浸る だがそれを引けらかしてはいけない。

見苦しい行いだ 奥ゆかしい淑女でありたい。

「…モモンガ様あの者達と再会したら私をお棄てになりますか?」

「…それはギルメンのことだな」 アルベドは頷く。

「過去の仲間と惚れた女を天秤にかけるならおまえを選ぶさ 彼等がそうしたように おまえは私の家族となりナザリックは身内も同然だ。

去った者を追い求めても報われはしない 私の教訓だ」 アルベドの不安はきっぱりと断ち切られた。

自分とナザリックの創造主たるタブラ様達への遺恨は潰えた。

 

それはまさに大事件だった。

アインズはまだアルベドと婚前交渉に挑んだことを公にはしていない。

あの日の当番メイドと料理長には口止めしてあるが、察している者もおり箝口令が敷かれた。

アインズは人型の姿で玉座の間に現れ

「私はアルベドと夫婦の契りを結んだ アルベドを妻とし妃に迎える」

重大発表と同時にどよめきが起こり墳墓に激震が走った。

「よってナザリックに婚姻(パートナー)制度を導入する その記念すべき第一号カップルはセバスとツアレおまえ達だ」

「あ、アインズ様のご婚礼が最優先ではありませんか!?」 セバスがオタオタしている。

「私達は婚約中だ それに私は花嫁の父をやってみたいのだよ。

花嫁と腕を組んでバージンロードを歩く 私達の結婚式でその役割はおまえだ。

これは決定次項だ スピーチを考えなくてはな さっさとプロポーズしろよ」 アインズは上機嫌である。

 

アインズはデミウルコスとセバスを個別に面談しアルベドに話した真実を告げた。

しかし陳謝するアインズに「頭をお上げ下さい! アインズ様はこの世界に来ることを予見して、人間に身を窶してリアルに潜入し人間を観察しておられたのですね」と気の合う筈のないふたりが揃ってそう解釈したのだ。

唖然とするアインズ どうあっても彼等にとって自分は愚か者にはなれないらしい そこには絶対なる崇拝があった 因果応報 彼は自嘲する。

 

「…悔しいけどおめでとうでありんす 妾ではアインズ様のお世継ぎを生んで差し上げられないでありんしょ」

「ありがとう」 アルベドはシャルティアに右手を差し出す。

「休戦ね でもこの先どうなるかなんてわからないわ。

アインズ様が貴女を望まれたら 後宮(ハーレム)は最上位者の特権だもの 私がアインズ様を独り占めなんて」 「…そうね」 シャルティアはその手を握り返す。

シャルティアと入れ違いにアインズが戻って来た。

「…おまえは嫉妬しないのか私が他の女に目移りしても?」 シャルティアとの遣り取りを聞いていたのだろう

「い、いえでも」 「『モモンガを愛してる』いや『モモンガに愛されている』が正解だ。

私はおまえを想っていた おまえとふたりあの玉座の間に取り残されたときから

おまえは私だけのものだ …私にはおまえさえいればいい」

「私もです! 私の命はモモンガ様の為にこそ在ります」 己の半身魂の片割れに等しい生涯の伴侶を得たのだ。

『いかに取り繕っても自分は凶悪な異形の化物だ おまえとなら心の赴くままにヒールらしく生きてゆけるだろう』

アインズは慈しみを込めてアルベドを抱き締める。

アルベドはアインズの執着という甘美な罠に囚われた 開発される淫乱な体 果たしてどちらが捉えられたのか。

当初は不馴れなアインズがアルベドにリードされるシーンもあったが、今では立ち位置が逆転している。

アインズには性をも司る素質があった。




舞台と展開は違いますが前作の本編では描けなかった場面です。





感想お気に入り登録ありがとうございます。


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恋路


アインズ様の恋煩い編Ⅵ


アインズは華を愛でている 体の隅々までじっくりとねちっこい 何度気をやっただろう 淫魔(サキュバス)である彼女が根を上げたくなるほどに

アルベドはアインズの顔の上に膝をつく 腰を落とし絶妙に舌が蠢いて蜜が滴る。

焦らされて齎される恍惚感に溺れていく 手を変え品を替え趣向を凝らして快楽に興じる。

ふたりのハネムーンは始まったばかりだ アインズ達は婚前旅行に来ていた。

此所はアゼルシリア山脈で偶然見つけた砦跡 ドワーフのゴンドによれば精霊の亡小国の遺物だ。

廃墟の城に手を加えてふたりの別荘となっている アインズは蒼穹のラピュタと名付けた。

塔の周りを雲海が取り囲み、朝と夕陽に燃える山の連なりに靄がかかり幻想的な絶景が見渡せる。

この世界に二人きりのような錯覚 当然身辺警護がいるし定期連絡はある 当番メイドも給事に来るが緊急でなければ無粋は不敬だ。

アルベドは至福の泉にその身をたゆたわせている。

「私が心底欲していたのはおまえだ 仲間との思い出に縋るよりもおまえとナザリックと伴に生きていきたい」

アルベドの手には婚約指輪が光っている。

旅行二週目 アインズ達はカッツェ平野の人工オアシスに来ていた。

この地で進められている農作物を育てるための砂漠緑化計画の拠点だ。

巨大な睡蓮の池と観葉系の花や植物が植えられており植物庭園(グリーンガーデン)となっている。

キャビンルームにカウチソファ硝子テーブルにドルチェスタンド カラフルな菓子達チェリー酒入りのチョコレートボンボン

蕩ける舌先目眩がするような濃密な接吻(くちづけ)キスだけで濡れる肢体 「やらしいなアルベドは」 「こんなふうにしたのはモモンガ様です!」 「そうだな」 

睦み合うことで満たされる心と体

「…愛してる誰よりもおまえを おまえがいないと窒息してしまいそうだ」

 

そして現在 リ・エスティーゼ王国を滅ぼす結果となったが、弱肉強食恭順には恩恵と繁栄を敵対する者は容赦なく斃す。

魔導国は脅威であると世界に知ら示した。

己が手を下さずとも増え過ぎた人間は淘汰されるそれが自然の摂理だ これがアインズの見解である。

 

と原作ルートではそうなりますがこの物語の現時点では王国もガゼフも生存しています。

アインズは即死魔法(トゥルーデス)を使わなかった ガゼフは霊安室で息を吹き返す。

彼は仮死状態だった 最後の別れを惜しんでいたブレイン そこに忠告にやって来たアインズ

殺されなかった理由 「言っただろうおまえは(レア)な人間だ コレクションに加えたかったがおまえはそれを拒んだ蘇生もだ。

だったら足掻いてみせろ 腐敗しきった王国をおまえに救えるか?

一介の傀儡のおまえが国の頭を()げ替え膿を出し浄化する そんな芸当ができればだ。

法国に抗い無慈悲な運命を免れるものならな 私が見届けてやろう これ以上の進撃による侵略はやめだ 帝国の追随もな」

しかし王国に未来はなかった 内乱(クーデター)が勃発内部崩壊 扇動には八本指が加担していた。

アインズは譲歩し国王を幽閉ザナック王子は反乱分子に討たれ貴族は粛清された。

生き残った民と辺境の領土は帝国に押収併合され一部の者達と冒険者がエ、ランテルに流れた。

ガゼフは王の剣の任を解かれブレインと放浪者となる その腰には剃刀の刃(レイザーエッジ)を携えていたという。

アインズからの(はなむけ)有限の背負い袋(容量制限有り1t迄可の捏造アイテムです)にはガゼフの装備の鎧一式が入っていた。

ラナー王女とクライムは表向きは死亡ナザリックに帰属した。

アインズは諸国への牽制に王国を見せしめにするつもりだっだが、アルベドの幸せオーラがそれを思い留まらせた。

フィリップの反逆行為はアインズの眉を吊り上げた。

聖王国支援部隊襲撃物資強奪よりもアルベドに触れたことが起因している。

『念入りに消毒したが奴は懲らしめるだけでは済まさんぞ 一蓮托生全員道連れにしてやる』

しかしアインズの鬼の形相に気を良くしたアルベドは拷問ですっきりしたようだ。

セバス、ペストーニャ、ニグレドの嘆願もある。

生きた人間の活用方法は任せよう アインズの恩赦によって王国は駆逐されなかった。

自分が幸福だと他人にも寛容になれる この世界はアインズの采配に踊らされている。




アニメ4期遅まきながらアマゾンプライムで一挙見しました。
感慨深いですね 劇場版すっごく楽しみです。


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ナーベラルの膝枕


番外編
アインズ様がモモンとして活動していた時期に遡ります。
前作に比べてやや控えめなシャイでナイーブなアインズ様です。


エ・ランテルにある黄金の輝き亭の一室 真夜中ナーベラルはぼんやりとした意識の中で

『…モモンさ、ん?』 此所にいるのは自分とアインズ様扮するモモンさんだけだ。

頭を撫でる手が心地良かった なのに違和感があった。

鎧の防具(ガントレット)でも骸骨(オーバーロード)のそれでもなく血の通った温かな手だった。

どういうことだろう うっすらと目にしたのは記憶にない人物だった。

だが「…ナーベ」そう呟く声はアインズのものだった。

彼はナーベラルの髪、耳元から首筋へ、頬から唇に一頻り触れると側の自分のベットに腰掛けた。

衣擦れの音と乱れた息遣い 何をしているかは一目瞭然だった。

ナーベラルとてアインズを想って自身を慰めたことがある。

部屋は薄暗く陰りその表情は窺えなかったが歯を食い縛っている。

やがてアインズは捌け口のない不満を掌に吐き出した 「…醜悪だな俺は」

彼は慾に塗れたものを布で拭った それは連日続いた。

そして遂に「…抱きたい」核心を突いた。

異性とは無縁だったモモンガにとって今のこの24時間体制のハーレム状態

こうも身近に女だらけでアルベドに至っては隙あらばモーションを仕掛けてくる。

目の毒だ この歪な体ではメンタルがやられそうた。 

アインズが打開策として見つけたのは収集品に混ざっていた[人化の指輪]だった。

アルベドとは設定変更した後ろめたさで向き合えずにいた。

彼女が欲しいと思う心情とは裏腹に生身の体はナーベラルに欲情している。

優柔不断で邪な自分が呪わしかった。

「…やめないで下さい」 手を止めたアインズにナーベラルは声を振り絞った。

「な、ナーベ!?」 サーっと血の気が引いていく 知られてしまった この劣情をその変質行為を

アインズの行動はナーベラルに触れながらするという事態にまでエスカレートしていた。

彼は指輪を抜き取ろうとしたがナーベラルがそれを制した。

「私をモモンさんのナーベにして下さい!」 アインズの手を取り自分の胸元に持っていく。

ナーベラルはいつもの旅装束ではなくビスクドールのようなネグリジェを着ていた。

彼女は合意の上でアインズに身を委ねようとしている アインズの鼓動が早鐘のように鳴った。

だが『モモンガを愛してる』裏を返せば『モモンガを愛してくれ』とアルベドに願った。

ナーベラルを抱くのは裏切りだ 「…すまない私はアルベドを」 ナーベラルは首を横に振った。

「アルベド様はアインズ様の妻君となられる御方です 私を通過儀礼となさって下さい」

つまりは自分(ナーベラル)で童貞を卒業し本番に備えろと 「…いいのかおまえはそんな扱いで」

「立場は弁えております 私達ナザリックの僕はすべて御方のもの お慕いしているアインズ様のお役に立ちたいのです」

アインズは一途で健気なナーベラルを愛しいと思えた。

「…わかった私も腹を括ろう ナーベラルおまえを妾とする アルベドには了承させる

それには序列というものがある おまえを優先したのではごねるだろう」

「はいアルベド様を尊重なさって下さい」

「…ただ予行演習はしておきたい ヘタにもたもたしていてはがっかりだろう」とアインズは苦笑いする。

実施訓練の成果あってアインズは、女性の体の仕組みと性感帯を自分にみっちり覚え込ませた。

ナーベラルの膝は彼が安らげる場所となった。

そして現在魔導王となったアインズは、アルベドの求愛を受け入れナーベラルを側室にシャルティアを第二妃候補とした。

モモンガは秘かにもう一人設定を書き換えていた。

シャルティアである 彼女のコンプレックスである胸を盛ったのだ。

男の掌にすっぽりと収まる小ぶりな桃サイズを(かさ)まししていると、自分の好みを反映したのだ。

小柄な女性もストライクゾーンではある。

 




両手に花の三股ですね どうやらこちらのアインズ様は情に(ほだ)されやすいむっつりすけべさんのようです。
ペロロンチーノさんごめんなさいbyモモンガ


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仮面舞踏会


二人目のアインズ様で婚前旅行前の話です 王国戦士長生存ルートになります。
この物語における現在は三編を通してアニメ四期後となっています。


エ・ランテルの元都市長邸宅の屋敷にてアインズの婚約披露宴が開かれた。

街の商人達有権者とアインザックにレエブン夫妻彼等の家族親類縁者、ガゼフとブレインも招待されていた。

アインズは別室で元国王ランポッサとラナーを引き合わせた 粋な計らいだ クライムも同行している。

立食(バイキング)形式の仮装演舞会いわゆるハロウィンパーティである。

季節もちょうど夏の終わり秋のカボチャの収穫期が来るということもあって、このイベントを企画し事前に布礼を出した。

仮装コンテストを開催し優勝者と上位二名に賞金が与えられる 特別賞もある。

参加は自由で老若男女問わず子供も大歓迎

吟遊詩人に仮装させハロウィンがナザリックの祭りであり、どんなものかを歌って聴かせたのだ。

その奇抜なイベントは大盛況毎年催される娯楽行事となる。

「…アインズ様このドレスまるでシャルティアですわ」 「いやか?」

「いえ童話のプリンセスのようで 私はもう夢見る年頃の少女ではありませんし…」

「そうか似合ってるんだがな ウェディングケーキの砂糖菓子人形みたいでキュートだぞ」

アルベドは褒められて嬉しいのだろう翼をぱたぱたさせている。

彼女は蝶を象ったベネチアンマスクにゴスロリスタイルの淡いピンクのリボンとフリフリレースでデコレーションしたドレスを身に纏っていた。

アインズは人化の指輪による人型で魔導王バージョン

マスカレードマスクに黒を基調とした襟元と袖口にフリルのブラウスに燕尾服タイプの中世ヨーロッパを模した男性ファッションである。

パナソレイの伝手で貸衣装を参考にアレンジしている 社交界では昔こんなのが流行っていたらしい。

「おまえは私の寵姫だぞ 私が着飾ってやりたいんだ もちろん下心はある」

一枚づつ剥いていくのがそせられる 髪をアップにしたうなじの後れ毛が色っぽい。

アインズは一目も憚らずアルベドの匂いを嗅いでいる 今日は無礼講で彼は主催者だ。

「Shail we dance?」 アインズは胸に手を当て優雅に会釈する。

差し出したアルベドの手を取る 軽やかなダンスミュージック アルベドはドレスの裾を靡かせくるくると回る。

ホールの中央でふたりは賞賛と注目の的だった。

 

ガゼフとの再会酒を酌み交わす二人

「…ゴウン殿とお呼びしても?」 「ああ久しいなガゼフ」 ガゼフにとって主君は今でもランポッサだった。

「陛下とラナー様への恩情感謝する」 「ラナーの件は彼女が望んだことだ ナザリックで仔犬と戯れ合ってるぞ」

「…結局俺は無力だった 王国は生き永らえはしなかった 選択を誤った。

帝国は正しい 賢明な判断と改革が不可欠だった」

「…これからどうするんだ?」 「また旅にでるさブレインと二人」 「そうか」

「エ・ランテルは見違えたな 以前の活気も戻ってる 王国は分裂したが壊滅にはならなかったのがせめてもの…」

「そうだな 根絶やしにしてやりたかったんだが」 ガゼフはぎょっとなった さらりと言ってくれるがアインズにはその力があった。

「そうしなかったのも自分達が生き延びたのも彼女のおかげか」 アルベドはテラスで夕暮れの風に吹かれている。

戦いの女神(ワルキューレ)が哀れんだのさ …私は恐怖支配による独裁国家を目指してるわけではない」

「…ゴウン殿貴方は世界をどうしたいんだ?」 「…征服ではなく統一」 アインズは漠然とした指針を示した。

「自分が愛する女と守るべき者達が住みやすい世界にしたいだけだ。

我々に仇なし害を及ぼすものは排除する 従うならカルネ村とこのエ・ランテルがその代表的な事例(モデルケース)となる」 

「はっ!スケールのでかい御仁だゴウン殿は」 ガゼフは声を立てて笑った。




宝塚愛の劇場(笑) 後半に続きます。
本編を含めて三人のアインズ様 性格は多少異なりますが趣味嗜好は共通していて言動もシンクロしているところがあると思って下さい。


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一夜明けて


後日談~時は流れる


夜になり来客は帰路に就きガゼフとブレインは屋敷に逗留している。

アインズとアルベドはテラスにいた。

最近のふたりが萌えるテーマにしているのがボンテージファッションだ。

例の貞操帯と一緒に購入したもので今日の乙女チックなドレスの下は胸元がセクシーな編み上げのビスチェにスリット入りTバックショーツ・ガーターベルトに網タイツ・ハイヒールのロングブーツの小悪魔スタイル

趣向としてはバニーガールもおすすめだ アルベドはその肢体を夜気に晒している。

「俺の女王様(アフロディーテ)」 「私の御主人様」 不埒で破廉恥なアバンチュールナイトに乾杯

 

虫の音と「女の…喘ぎ声だよな?」 女が口にしたのは今日の主役の男の名だった。 

「あの野郎おっ始めやがった!」 しかもブレイン達の客間は中庭を隔てた向かいの棟だ。

「ヤラセの当て付けだな 露出プレイかよ」

 

翌朝 「…魔導王さんよ」 「アインズでいい」

「あんた冷酷なバケモンのくせに人間臭いとこがあるよな あんたにも愛情なんてものがあってよかったぜ」

不死者(アンデット)になる前は人間だったかもな」

「はぁ?まあ骸骨のあんたが人型になってまで女を娶るんだ 本気で惚れてんだろ

あんたの人徳で俺達は命拾いしたんだ …それにしてもなぁ独身男が二人もいるってのに何所で女と乳繰り合ってんだよ!」

ブレインは体をわなわなとさせている。

「筒抜けの丸聞こえだったんだぞ 寝られるわけねえだろ」と文句たらたらだ。

昨夜連れ立っていそいそと出掛けようとした二人にパナソレイが娼婦を寄越したのだ。

「すまん気を遣うんだったな」

ナザリックは地下だ 窓がないうえに長年溜め込んでいた鬱憤の反動もあって此所だとオープンになれる。

屋敷はアインズが買い取りパナソレイが管理人だ。

住み込みの現地人メイドに使用人もいるが当主を咎められる者はいなかった。

「一泊二食に夜間興行(レイトショーとサービス)付きかよ やりたい放題であんたが妬ましいぜ。

…俺も嫁さん貰ってガキ作ってそんな人生もありか」

「おまえといると楽しいな 俺にタメ口叩けるのはおまえぐらいだ」 「そりゃどうも」

 

彼等はこのあとも交流を続けアインズは二人の親友を得た。

~その数年後に二人が旅先で出逢った相手と恋仲になり所帯を持ったと便りが届くことになる。

ブレインは姉さん女房ガゼフはオジサマが好きな歳下の若い娘に懐かれデキ婚したとか

 

二人がアインズ達に贈ったのはキャンディアートのフラワーブーケだった。

見事な飴細工でパティシェの力作だ。

帝都に滞在していたときにご祝儀になるものを探していると耳にした菓子職人にこれを渡された。

魔導王に献上したとなれば宣伝にもなる。

実際アインズはその精巧さに感心しアルベドも記念品としては合格お気に召したようだ。




二人が生きててこうなってたらいいなっていう未来予想図です。





お気に入り登録ありがとうございます 励みなります。


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それぞれの恋模様


お久しぶりです 充電?しながらちまちまと書いていました。
前回に引き続き二人目アインズ様の短編で恋路後のお話


アルベドのアインズ様グッズが増えた 人型の魔導王とモモン様バージョンだ。

等身大の立体抱き枕裸体(ヌード)プリントにアレもしっかり付いている ちゃんとパンツは履いてます もっこりはしてますが

かわいらしくデフォルメされたぬいぐるみタイプもある 骸骨の体(オーバーロード)とアインズにモモンの三種類だ。

アルベドの部屋ペストーニャと二人だけの小さなお茶会

「綺麗になりましたわん」 「えっ私?」 「はい元々美人さんですけど、肌もつやつやのぷるぷるで表情がうるうるしてますわん」

「あらありがとう」 「ラブパワー充填フェロモン振り撒いてますわん」 そんなアルベドにアインズはメロメロだった。

「そ、そうよね…アインズ様に寵愛を賜るようになってから体がいつも燻っててすっごく敏感になってるの 執務中はボディタッチ禁止なのに困っちゃう」 女は男で花開き男は女で研かれる

「贅沢な悩みねえ アインズ様とイチャイチャできて皆指をくわえて羨ましがってるのに

…私も恋人を募集してますわん」 「あらペストーニャはどんな男性を彼氏にしたいの? でもアインズ様はあげないわよ」

ペストーニャが運営を任されている孤児院のスタッフの中に彼女に熱い視線を送る者がいた。

ワンコ顔のペストーニャは子供達の人気者だ。

『ペストーニャ様なんてチャーミングなんだ ちらりと見えたつぶらな瞳 人でなかろうと俺は貴女が好きだ』

カルマ値善のペストーニャは人間に先入観による悪感情はなく、彼は真面目で働き者率先して子供の世話を焼いており高評価されていた。

そしてその恋心はほほえましいほどわかりやすかった。

「…実はペットにしたいというか飼い慣らしたい、ううん交尾してみたい人間がいますわん」

二十代なかばだろうか、がっしりとした体躯でモサッっとした熊っぽい青年だ。

上半身裸で水汲みをしていた 『腹筋が割れてておいしそう』じゅる ペストーニャは筋肉フェチだった (捏造設定です)

「それって貴女に尻尾振ってる男よね 貴女に従順だしセバスとツアレのケースもあるからアインズ様はきっと認めて下さるわ」

こうして異種族カップルが二組目となり、アインズは人間と添い遂げるならと彼等に不老不死の指輪を授けた。

ツアレはセバスと釣り合う年齢になるまで保管しておくそうだ。

「そういえばシャルティアが人間の男を眷属にしたんですって?」

「ええ帝都のSM倶楽部の会員で貴族のお坊っちゃま 二十歳位で細マッチョなイケメン君だわん」

シャルティアはその倶楽部のオーナーでショーにゲスト指名されることがある。

それに入れ上げたのが彼だ 「貴女の下僕にして下さい!」 踏みにじられてもめげない粘り強さに根負けし主従の密約を結んだのだ。

アインズが人型でエ・ランテルに出掛けるようになってから非公式のファン倶楽部なるものが発足したらしい。

その一方でモモンとナーベラルの交際が噂になった。

というのもアインズが婚姻制度を導入して以降コキュートスと雪女郎(フロストヴァージン)達、パンドラズ・アクターとナーベラルのカップルが成立している。

モモンの正体が異形ではないかと疑う者がいるため、パンドラに人型のモモンバージョンでデートをさせたのだ。

それが功を奏したがナーベとの仲が発覚しても黄色い声援が減ることはなかった。




アルベドとアインズ様のポスターを手に入れました 作者不明ですが超絶エロくてかっちょえぇです。
アインズ様がコスプレしてます 猫耳フードにスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンが猫鍋になってます。
猫好きとしてはたまらん構図です。
画像をお見せ出来ないのが残念ですが、活動報告に詳細を記載しますので興味のある方はアマゾンでご覧下さい。


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甘やかな日常


シーツの波間で夢を見る


「モモンガ様これは?」 「リアルで秘書が着る制服だ」

白のYシャツにジャケット、タイトスカートにストッキングとパンプス、纏め上げた髪に伊達眼鏡定番のビジネスレディスタイル

アインズもそれに合わせて高級(ラグジュアリー)スーツにネクタイの装いだ。

「うんいいな そそられる」 アインズはアルベドのうなじのキスマークに舌を這わせ首元のボタンを2つ外した。

「胸が窮屈そうだ」 「こ、これでお仕事をすればよろしいのですね」 ふたりがいまハマっているのがコスプレだ。

今回のテーマはオフィスラブ 今日の下着は清楚系天使と悪魔をTPOに合わせてチェンジする。

昼間の仮面を脱いで発情した雄の顔ヒートアップしていく体 一旦スイッチが入るとブレーキが効かなくなる。

日頃セーブしているぶん週末は獣だ そのぞっこんぶりはアルベド自身こんなにも溺愛されるとは思っていなかった。

もみくちゃにされくったりとなった肢体を抱きかかえられてバスタブに運ばれる。

そこでもアインズはノンストップだ。

人型のアインズにポーカーフェイスは難しい 喜怒哀楽が顕著だ。

人間と会うときはアイマスクをしているし仕事中は骸骨(オーバーロード)の姿だがオフは人型で過ごしている。

恋愛成就したふたりだがアインズには懸念と葛藤があった。

アルベドに(うつつ)を抜かさぬよう制限しようとしたのだがそれが裏目に出て断念する。

 

とある日のランチタイム

「そうくっつくな」 アルベドは体を擦り寄せキスをせがんだ。

チュッとアインズは軽く唇にくちづけた 「やだもっと…」 「だめだ」 午後からも執務がある。

なし崩しになだれ込んでしまいそうだ ランチスペースにはソファーベッドが置いてある。

デミウルゴスからの婚約祝いだ 昼休憩延長で取り込み中だったことがある。

速攻で臨戦態勢に入れるがストップ出来なくなる。

「お盛んですね」 デミウルゴスにからかわれた。

「それが報われるといいんだがな」 「お世継ぎでございますね」

「おまえ達の希望を叶えてやりたいんだ。

アルベドはこうなるまえから大量に子供服を拵えてるし、コキュートスは爺になりたがってる 自分が父親になるのが先なのにな。

おまえが交配実験をしてるのも私を(おもんばか)ってだろう?」

今作でのアインズの人型の体は擬人化した特殊なものだ。

理論上は脳に指令を出せば精子に擬態した細胞が卵子と結合し受胎妊娠が可能、だが確率は前例がなかった。

「ですがその体は完全ではなく改良の余地があります。

魔物で肉体を構築されるとはさすがアインズ様 いつか奇跡は起こり生命が宿ると私は信じております」

「おまえはどうなんだ? プレアデス達にモーションをかけられてるだろう」 

「婚活ブームでしょう 一夫多妻制とはいえナザリックは男子が小数ですし、本来はアインズ様のための大奥でございます」 「私は将軍ではないぞ 男のNPCが圧倒的に不足してるよな」 「メイド達にもアンケートを取りましょう」 

そんなわけで試験的にタイプの違うNPCを10体作って、要望に応じて皆に行き渡るよう量産していこう。

『集団お見合いみたいだな』 アインズはくすりとひとりごちた。

ナザリックの全員を幸せにするそれが自分の責務だ。

 

アインズは寝室とバスルームを増築させた 鏡と硝子張りのラブホ仕様でアルベドとふたりのプライベートルームだ。

アインズはラブホ事業を立ち上げる 愛の巣を提供する恋人達の舘と称してエ・ランテルと帝都に展開し運営をシャルティアに任せた。

いかがわしさはなく小城(プチシャトー)といった外観の建物で価格はリーズナブル、庶民が利用できるという宣伝で評判を呼び便乗して鞍替えする宿屋が急増したとか。

アインズ個人の寝室にはアートパネルが飾ってある あのプールのときの写真を引き伸ばし光沢のある生地に転写した、特大サイズの美麗な絵画調の作品に仕上がっている。

アルベドがイヤがるので普段はカーテンを閉めてある。

「も、モモンガ様これって!?」 アルベドはぷしゅうっと茹だったみたいになり顔を両手で被った。

「こんなの撮ってたんですか誰が?!」 「私がカメラ搭載の超小型ドローンを飛ばしたんだ ポートレートじゃ物足りなくてな」

アインズのローブのポケットには手帖に挟んだ1枚のフォトカード

「それを持ち歩いてるんですか しかも別のアングル」 「他にもあるぞ」 ベッドのサイドテーブルの引き出しにはアルバムが ポスターよりも大胆なポーズばかりだ。

「私に内緒で?」 「あっ『しまった』…おまえだって私の実物大のグッズをいろいろ」

「私は隅々まで覚えてるんです! モモンガ様夜も明かりを消して下さらないんですもの」

「記念に残して置きたかったんだ」 でれでれのアインズ様言葉をストレートに口にする。

アルベドはボッと顔から火が出そうだった。

 

例の一件で奴隷となった元王国貴族の男フィリップ、彼 は誰の女に手を付けようとしたのかその代償に戦慄する。

自分は魔女に誑されたのだ 魔導王は死神だった アインズは陰湿なやり方で報復する。

絶望のオーラで震え上がらせておいてラブシーンを演じて見せたのだ。

視覚で嬲られ苦痛にいたぶられる。

男と女が(つがい)となる 体を繋いで情を交わし抱き合って眠る至福 人間供にも甘い汁を吸わせてやろう

地上の楽園桃源郷(シャングリラ)エ・ランテルは異形の王が統べる国の首都となる。




投稿始めて早1ヶ月2桁を越える数の人がお気に入り登録して下さり感謝感激しております。
でもやっぱエロだし感想書きにくいですよね ぼろくそだと立ち直れませんが生ぬるくお願いします。


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移ろいゆく季節


長らく御無沙汰しておりました。


アインズはラブホに次いでエ・ランテルと帝都の郊外にスパリゾートを建設、温泉と多種多様に拘った浴場と食事に宿泊もできる複合施設だ。

町中には庶民向けに銭湯を造らせた プレアデス達が現地スタッフを雇い取り仕切ってくれている。

アルベドを伴い開店前の視察に来ていた。

カップル、親子連れ、友人、同僚、知人等が集い体と心を休め親睦を深めるリラクゼーションのためのテーマパークだ エステサロンもある。

しんしんと雪が降っている 外気は冷たく吐く息は白い。

窓から目に映る景色はやがて山は頂きに雪を残したまま雨に変わり樹々は霧に煙る ふたりだけの穏やかな時間

自分とは無縁だったツリーにケーキ、プレゼント何も無い独りぼっちのクリスマス

でも今年は違う ナザリックで宴会を企画したらどういうわけかキリスト(リアルの人間の信仰の対象)ではなく自分(死の支配者(オーバーロード))の生誕祭になっていた。

皆と食卓を囲み娯楽に興じる ダーツにトランプ、ボードゲーム 飲んで騒いで笑い合う。

侘しくて虚しい伽藍堂だったハートに血が通う。

「おまえは温かいな」 失って改めて知る生身の体のありがたさ アインズはアルベドをひしと抱き竦めた。

同じものを見て共感し分かち合い共有する。

私にはおまえ達がいる 自分が帰る場所 辿り着いたのは異界の地エデン 此処に理想郷(ユートピア)を築こう。

そしていつか皆で冒険の旅に出よう その頃には増えているだろう家族を連れて アインズは自分達の未来を思い描いていた。

リアルではただ漫然と生きるために働き、無機物な加工品を糧に、夢も希望もなく仮想世界だけが拠り所だった。

かつての仲間達が去り胸にポッカリと開いた穴がいつのまにか埋まっていた。

自分は彼等に何を求めていたのだろう 彼等は長年の親友(とも)それ以外の何者でもなかった。

それ以上の特別な存在、彼等にはリアルの現実にそれがあった。

俺はそれを手に入れた 自分が欲しかったものがここにある 同胞に託されたNPC達 愛する者達を担う。

 

アルベドはシャルティアやプレアデス達と不定期でパジャマパーティを開いている。

ドリンクにチョコやお菓子類を持ち寄り、今ではそれぞれにパートナーができてお惚け座談会になっているが

「…アインズ様って貢ぐタイプよね」 アルベドはおもわずブッのと吹き出した。

「な、なんなのよユリ?!」

「だってランジェリーショップの売り上げに一番貢献してるのはアインズ様だもの」

そうだクローゼットは入り切らなくなり、寝室の改修の際にアルベド専用の衣装部屋が増設された。

ナザリックがカップルラッシュということもあり月一で下着の新作発表会(ナイトウェアファッションショー)が催されている。

即売コーナーもあり男性インナーの売れ行きも好調だ。

ラブホ事業も起動に乗り資金調達は順調だ。

人間との共存 飼い慣らし利益とする 殺してしまうよりも生かしてやる方がおもしろい。

我等が栄光の礎となれ。

 

冬が過ぎればエ・ランテルは春爛漫花盛りだ 街は賑わい緑と花に溢れ桜並木は風に吹かれて花吹雪が舞い散るだろう。

季節は巡り初夏の訪れともに新たな命が芽吹く。




この物語は私個人の理想形態です。
アインズ様をエロ大魔人にしてしまいお詫び致します。


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愛欲の咎





物語は例の一件後フィリップが問題を起こす以前に遡る。

「…モモンガ様怒ってらっしゃいますよね?」 アルベドは今目隠しをされ手足を寝台に拘束されている。

和服仕立ての衣装に小道具、帯がはだけた着衣に紐で括られ(あたか)も緊縛絵面だ その官能美に見惚れる アインズも着流し姿だ。

寝室は洋風仕様の和室で香が焚きしめてある ナザリックの洋式美とは異なる和風テイストの空間となっている。

アジアをイメージした(プラスチャイナドレス)エキゾチックな部屋もある。

「…あの男にどこをどう触られたんた?」

「か、肩を掴まれただけです 汚らわしくてハンカチで拭いましたし戻って体も清めました」 「そうかだが上書きはしておこう」 アインズはアルベドのすべらかな肌をさわさわと撫でやり

「あのゲスな男はこんなふうにしたかったんだろうな」 うなじにくちづけ舌先が首筋をちろちろと擽る 「そ、そんなおぞましい!」

「気色が悪かったのか だがこうも濡れやすいと怪しいな ぞわっとしたんだろう? それも一種の快感だよな」

アインズはてらてらとぬめるそこにつぷりと指を差し入れると花の蜜を掬い取った。

そして手にしていた張型になすりつけた 男性のそれを模したもので弾力があり黒光りしている。

「涎を垂らして催促してるぞ いやしんぼなおくちだ」 やんわりと(なじ)られ 「これで塞いでやろう」

「え?!」 アインズ自身とは異質のラバー製のそれを抜き挿しされても紛い物ではイけない。

「…下さい…モモンガ様の…」 アルベドは涙声で切望し腰をくねらせている。

アインズは張型を引き抜くとアルベドにしゃぶらせた。

そしていやらしく花の蜜を滴らせたそこに自分のそれをくちゅくちゅとこすりつけた。

「直ぐには入れてやらんぞ あんな男に気を持たせたんだ 私に叱られたいよな?」

アインズはアルベドの拘束を外し今度は四つん這いの体勢に変えて手錠を嵌め直す。

お尻を突き出すよう命じた。

アルベドはアインズの声色にめっぽう弱い この魅惑のボイスで言葉責めにされるとどんな要求にも従ってしまう。

アインズの手には鞭が握られている ピシャリ! だがやわらかくしなるスティック状のそれは叩かれても痛みや傷は生じず、枷もモフモフのスキンガード付きだ。

アルベドは身悶えしている 爛れた花弁に指を差し込み卑猥な音を立てて中を掻き乱す。

ぴたり『やっ、やめちゃいやぁ!』すんどめされたアルベドはアインズに縋りつき太ももにそこを密着させて腰を振り始めた。

「こらっ!待ちなさい」 せがんでくる彼女を仰向けに転がし背中にクッションを宛がう。

切なげにひくつているところを舌で押し広げ、充血しぷっくりと膨らんだそれを口に含み吸い上げた。

アルベドは堪え切れず嬌声を上げた 咥えていたものが落ちる。

体を小刻みに震わせ喘いでいる 溢れてくる花の蜜をすすった。

アインズは自身のそれで熟した果実の内側の浅い部分を探るようになぞっている。

イッたばかりのそこにぐりぐりと押し付けられ 「…もう…欲し…」くてたまらない

「奥まで突かれたいか?」 「はい…」

焦らされてアルベドはすらりと伸びた足をアインズの体に擦り寄せ、腰を浮かせてそれを飲み込もうとしている。

アインズは彼女の目隠しを剥ぎ取った。

大胆にあざとく恥じらうさまが劣情を煽る 淫らに彼を蠱惑する。

血が沸き立つような興奮を誘う それに抗える男はいまい。

「あぁ!」 アルベドは歓喜に咽び啼いた 唇が貪り合う。

打ち付けられる激しい律動 昂り熱く脈打つそれが絡め取られ中がうねり吸い付いてくる。

締め付けられもぎ取られそうだ それでも孕ませたいという本能が彼を突き動かしていた。

果ててもこのまま繋がっていたい、愛欲に塗れて溶けてひとつになってしまえたらと思えるほどに求め合う。

互いに馴染んだ体を味わい尽くそう。

あのがむしゃらに抱かれた初めての夜から幾度も体を重ねてきた 今宵も大輪の華は艶やかに咲き誇る。

 

アインズはアルベドを膝に座らせバスタブに浸かっている とろんとした表情がキスをねだる。

薔薇のエッセンスを混ぜ込んだバブルバス 泡を手に乗せ胸元の先端を掌で弄ぶ。

ぬるぬるとした感触がなまめかしい 仕上げは全身オイルマッサージだ。

身も心も解されて 体を拭き髪を乾かしてやる 「嬉しそうだな」 「だってヤキモチを焼いてくれたんですもの お顔に角が生えてましたわ」 彼は照れ笑いする。

アインズ様の溺愛は止まりません。




こってりとしたメイクラブです。
おなかいっぱいの方はごめんなさい お粗末様でした。




ここで一先ずピリオドを打ちたいと思います 気が付けばお気に入り登録100人越えです これまでありがとうございました。


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