くず鉄の巨人 (露人)
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月刊タイタンバトラーズ 特別号

タイタン好きな皆さんこんにちは!
今回の特別号は初心者さん向けのタイタン特集です!
これを読めばタイタンについてバッチリ理解!
読んで明日のタイタンバトルに備えよう!
ーー月刊タイタンバトラーズ 特別号 ポップより抜粋


特別号を手にとってくれてありがとう!今回の特別号は初心者特集だ!

ここでタイタンの基本について詳しく説明するぞ!

タイタン上級者のみんなゴメンな!でも初心者に優しくすること、それが上級者の嗜みだぞ!

 

ー目次ー

 

1…そもそもタイタンバトルって?

2…その歴史について教えて!

3…タイタンの大きさって色々あるの?

 

 

Q.1 そもそもタイタンバトルって?

 

 

A.1

タイタンバトルってのは自律行動型ロボット、通称タイタンが戦う超クールでエキサイトな

スポーツだ!武器は予算の許す限り何でもOK!(毒ガスや核兵器はもちろんだめだけどな)

ドンパチやったり、剣で切り結ぶ、はたまた銃VS剣みたいな異種格闘技戦が繰り広げられたり  する、同じような試合がないのも特徴だ!

タイタンバトルの最高峰の大会は、World Titan Battle!通称WTBだ!

そこで一位に輝いたタイタンは表彰され、聖地であるタイタンホールに実物大のレプリカが

飾られ、企業には栄誉と賞金:1兆円が渡されるんだ!

 

 

Q.2 その歴史について教えて!

 

 

A.2

昔は人がタイタンをモーションキャプチャーみたいな感じで動かしていたんだが、

新たに開発された腕四本のタイタンは人じゃ満足に動かせなかった!当たり前だよな、

腕二本の俺らじゃ勝手が違いすぎる!だけどその機体がその年の世界大会を優勝したんだ!

どうしてかって?

それは操縦を人から自分で考え、戦闘でラーニングするプログラムに変えたからだ!

そこから優勝したそのタイタンを習って、今のようにプログラムに制御を任せるタイタンが

主流になっていったんだ!

 

 

Q.3タイタンの大きさって色々あるの?

 

 

タイタンには3つの階級があるんだ!

 

1つ目は最小サイズ、ゴールド級

タイタンバトルに参戦しているタイタンの中で、最小の2〜3M級のタイタンだ。

小さいから小回りがきき、他の大型タイタンの懐に潜り込んで手痛い一撃を加える!

そんなタイタンだ。その特徴を生かしてこのタイタンはダガーなどの軽装備で機動力を重視した 装備のものが多いぞ!

だが、機動力を重視するあまり紙装甲のものが多いんだ!その問題をどう解決するのか。

メカニックとタイタンの知能が試されるぞ!

 

2つ目は中型サイズ、プラチナ級

ゴールド級よりちょっと大きい、3〜6M級のタイタンだ。

こいつが初心者のみんながイメージするタイタンなんじゃないか?

後述するブラック級より小さく、ゴールド級より大きいので、いわばいいとこ取り、

バランス重視といったところだ。武装はバラエティに富んでおり、ダガーやライフル、

変わったものではモーニングスターを持った世紀末タイタンがいるぞ!

大きいので装甲が比較的厚いのもポイントだ!しかしバランス重視、それは器用貧乏とも言う。 どこに力を注ぐか?装甲?機動力?それとも攻撃?そのさじ加減が戦況を大きく変えるんだ!

 

3つ目は大型サイズ、ブラック級

一番大きい、6Mオーバーのタイタンたちをまとめてブラック級という!

圧巻のサイズ感でゴールド級と比べると親とその子供ぐらいのサイズ感があるぞ!

巨体に見合うパワーがあり、装甲も分厚い!もっぱらガトリングなどの重火器を武装している

圧倒的な攻撃力と防御力を兼ね備えたタイタンだ!こいつが最強かって?即答はできないな。

こいつにも弱点が2つあり、分厚い装甲と重い武器で機動力を殺してしまっているところと、

メンテの費用が高すぎるところだ!後者の方は特に問題で、武器だけでも凄まじい値段なので

なかなかこのタイタンを所有できる会社が少ないんだ。

ただ大企業は資金面は潤沢なのでこのタイタンであるところが多いぞ!

新しくこのタイタンがでてきたらそいつの動向に注目すると良いぞ!

 

最後はサファイア級

これは一切カタログなどに出てない謎の存在で、一説には研究用の機体につけられる階級だそう。マニアなら一度は見てみたい!そんな機体だ!

 

 

・・・と、こんなところかな?ちなみにタイタンは戦いで経験を積んで成長するので、

大企業は競技用タイタンだけでなく、練習用タイタンをいくつか所有しているらしいぞ!

代わりに中小企業のタイタンは練習試合のように他の企業のタイタンと戦って経験を積むぞ!

これで今回の特別号は終わりだ!良いタイタンライフを!

それじゃあ、また来月お会いしましょう!!!

 

バイバーイ!




A「タイタンっていろいろあるんだな・・・」

B「サファイア級ってなんなんだろう?」

A「いつか見てみたいな!」

B「そうだな!!」


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出会い:ファーストコンタクト
出会いはいつも突然に(今回は墓場)


新規です。
拙い文(特に会話文)です。
アドバイスください!


これは今より少しだけ未来のお話・・・

 

キン!! ガキィン!!                       ブオオオオオン!!!                    ドカーーーーン!!!!!

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!

 

この激闘を際したのはぁ!!!赤コーナーァ!ライオットォォ!!

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!

 

 

この世界は今、自律行動型ロボット、通称タイタンが戦うタイタンバトルというスポーツ

サッカーや野球の生中継を押しのける程の一大ムーブメントとなっている。

そんな時代にここ小さな町、サイバーNワールドにはどこにでもいるような冴えない男がいた。

 

???:ぁぁ・・・今日も仕事だ・・・

 

彼の名はリア。今日も適当に夜飯の残りを胃に流し込み、代わり映えのない仕事に打ち込む。

 

ロック:先輩おはようッス!!!!!よく眠れましたか!!!!

 

この朝からやかましい男はつい1週間前から入社した、いわば俺の部下だ。

・・・まぁほぼ立ち位置は同じなんだがな。(若さはアイツが勝ってるから実は俺の負け?)

 

リア:ああ、おはようさん。

ロック:今日もいっぱい回収しましょうね!!!

リア:お前は朝から元気だな・・・

ロック:当たり前じゃないスか!

だってまだ俺、仕事も覚えてないピカピカの新卒社員なんですもん!

リア:仕事はさっさと覚えろ。・・・まぁ回収して中身ばらして売るだけなんだけどな。

 

そう言ってグレイブヤードエリア(タイタン達の墓場)に捨てられたタイタンの腕やら足やら頭やらを回収していく。

彼らの仕事はタイタンバトルなど破壊され、修理不可となり捨てられたタイタンたちを回収し、 それをばらして部品を売るいわば廃品回収のような仕事だ。

 

リア:というかなんでお前はこの会社に入ったんだ?ここよりいい待遇の会社は

ごまんとあるのに・・・

ロック:なんでって・・・そりゃ俺!タイタンが好きだからッス!

リア:だったらサビサビのオンボロとかしか見ないここよりもっといい職場

・・・例えば整備工場とかあったんじゃないか?

ロック:それも良かったんですけど…こっちのほうが古いレア物が見れると思って!

最近で「おお!!」って思ったのはテック社の【T-364-3】ですね。

あれはテック社が3番目に開発した機体で・・・

リア:わかったわかった!・・・お前本当変わってんな

ロック:厶!別に普通っすよ。じゃあ先輩はなんでこの仕事してるんすか?

リア:・・・なんでだろうな?成り行き?拾われた?

ロック:なんすか、それ

 

とか談笑してるうちに新人くんはあるものを見つけた

 

ロック:・・・!!せ、センパイ!見てください!ねぇ!先輩!ねぇ!

リア:なんだようるせぇ・・・どうし・・・た・・・

 

彼らの前にはこの墓場では珍しい、五体満足の4m級タイタン(多少のサビ、損傷が見られるが)だった。

 

リア:なんだよこれ?お前わかるだろ、詳しいだろ。

ロック:・・りません・・・

リア:え?

ロック:わかりません・・・僕の勉強不足かもしれませんけど・・・

こんなタイタン見たことありません・・・

リア:タイタン狂いのお前がわからないんだ、誰もわからん。・・・どうすっか・・・これ?

ロック:持って帰りましょう!絶対に!何が何でも!

リア:それは俺も思ってたんだ。ただどう持ってくか・・・

 

持っていきたいのは山々だが大きさが・・・絶対に俺たちの軽トラみてーな雑魚じゃ載らない。 諦めるしかないか・・・と思ったときにいきなり目の前のタイタンが再起動した!

 

              ギュイィーーーーン!!!

 

シィ!  ステ ムゥ・・・再 起  動ォ・・・

 

リア:うぉ!!!!!

ロック:ピギャーーーー!!!

 

自律行   動   にィ!  移行ォォ・・・  

 

ロック:ヤバイヤバイヤバイ!!!ヤバイっすよ先輩!!!!!

リア:バカ騒ぐな!

 

唐突に動き出したタイタンに抱き合って怯える二人。だがどうしてもやつを連れて帰りたかった ロックはとっさにこうタイタンに向かって、

 

ロック:お、お前俺らの車について来れるか?出来るんだったらお前をもっとマシに出来るぞ!

 

こう話した。だがそもそもタイタンは反応するのか?襲ったりしてこないか?そう不安に

苛まれながら返答を待っていると・・・

 

現  在の損   傷率・・・35%・・・その提  案を!ォ!  

承認し?  ます。 ゥゥーー!?  先ゥ!導をおおお願い    します

 

言葉が怪しいが受け入れてくれたようだ。そうしてビビりすぎて固まって動かないロックを脇に抱え、リアが軽トラでタイタンに追いかけながら工場に戻った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

リア:只今戻りましたぁ!

社長:おお戻ったかリアっち・・・ってえええええええええ!!!!!!!

オバちゃん:もぉどうしたの、また腰でもや・・・ぎゃああああああ!!!!!!!

 

・・・でしょうね。だって俺の車の後ろで、でっかいタイタンがこっちを見下ろしてるんだから。

 

社長:リ、リ、リアちゃん!?あれどうしたの!?

オバちゃん:まさかあんた!盗んできたんじゃ・・・!

リア:違うっってオバちゃん!こいつは墓場にいて勝手に起動して着いてきたんだ!

オバちゃん:あ、そうなの。良かった・・・オバちゃんびっくりしちゃった。

 

人聞きの悪い事言うんじゃねぇよ!・・・そう思ったが言わないでおいた。

その後ややあってからタイタンが俺たちに話しかけてきた。

 

目ゥ!的地にィ…到着・・・修理をォォォ!!希ィ  望しまァす・・・

 

やべぇ忘れてた!ということで社長にこいつのことを修理することの許可を得ようとしたが・・・

 

社長:OK!さっさと取り掛かるぞ!リアちゃん!ほんとうにいいのかって?このバカチンが! こんなおもろいの直さなほうがおかしいだろうが!

 

・・・この職場で良かったと久しぶりに思った。というわけで社長と二人で

(ロックは気絶して起きなかったため。後でボコボコにしてやる)そいつの、とりあえず

音声読み上げ部分を修理した。

 

・・・現在の機体損傷は33%、さらなる修理を希望します。

 

リア:まぁ待て。まずお前は誰なんだ?聞いてなかったぞ。

 

申し遅れました。私はサファイア級タイタン、型番は【TF−000-P】。

研究所ではオリジン、コードレスと呼ばれていました。

 

研究所?そんなとこのタイタンだったのか・・・そう思ってるといつの間に起きていたロックが 質問を投げかけた

 

ロック:そんな型番なくない?しかもサファイヤ級?そんな階級ないだろ?偽名じゃない?

 

否定、私はタイタンバトル特化型タイタン、その戦闘データを回収するために作成されたもの。 いわばプロトタイプです。

 

ロック:ふーーん・・・

 

どうやら研究所から捨てられたタイタンらしい。しかし困ったな・・・

こいつを部品にする時どの型番で売っぱらえば良いんだ?そんな事を考えていると

話を聞いていた社長が笑いだした。

 

社長:ガハハハ!!こりゃあ良い!お前は今から!俺たちの会社、

タイタンコレクターのマスコットだ!

リア:え?社長!?

社長:なんだリアっち?いい案だろ?こんなタイタン他にいねぇし、こいつの部品は売れない。

またこいつを墓場にぶちこんじまうよりは広告塔になって良いんじゃないか?

リア:・・・それもそうっすね

 

・・・社長はこういうとこがあるからおもしろいんだよな。最高だな、この職場!

前の職場とは大違いだ・・・

 

ロック:マジっすかシャチョー!?やったーーー!!!こいつのメンテ、僕がやります!

いや、やりたいです!やらせてください!!!

社長:おお!岩ちゃんもやる気出てきたな!OK!ただ俺とリアっちのそばで技術を

見て練習しながらやろう!

ロック:はい!わかりましたッス!!

 

こうして俺たちの会社、タイタンコレクターに新人(新タイタン?)が加入した。

・・・だが、こいつが俺たちの明日を変えていくことを皆、知るよしもなかった・・・




いかがだったでしょうか?
良ければ感想をお願いします!


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開戦はいつだって突然に

ゴミ捨て場からついて来た謎のタイタン【TF−000-P】。
彼は晴れて主人公たちの会社、タイタンコレクターのマスコットとして生き残ることが出来た。
だが後にこのタイタンが後に(わりとスグ)波乱を呼ぶことを誰も知らない・・・


社長:おおトフっち!性が出るな!

 

否定。私の名前は【TF−000-P】です。

 

社長:あちゃー、つれないねぇ・・・あだ名よあだ名!親しみがあっていいだろ!

 

あだ名・・・コードネームですか。

 

彼は新入社員 新入タイタン【TF−000-P】。ゴミ捨て場から拾われた・・・というか自分で

着いてきたタイタンだ。タイタンなら普通、タイタンバトルをするものと相場が決まってるが、

こいつは違う。

なぜならこの小さな会社のタイタンににタイタンバトルを挑んでくる会社なんていないからだ。

だから彼は今日もアイツはタイタンバトルと無関係に俺たちと一緒にタイタン達の墓場で

廃品回収(墓荒らし)をしている。前までは比較的小さな部品しか持って帰れなかったが、

今はアイツがいることでだいぶ大きなものまで持って帰れるようになった。

最近だとゴールド級タイタンの胴体をアイツが担いで持ってってくれた。

アイツは大事なマスコット兼重機だ。・・・下手したらアイツ俺より給料が良いぞ。

そんな彼と一緒に今日も軽トラをとろとろ走らせ、廃品回収を終えて社長のところへ帰る。

 

ロック:最高っすね!アイツがいるだけでこんなに楽になるなんて!!

リア:そうだな。だけど頼り過ぎちゃいけない。いつか業務怠慢でお前クビになっちゃうかもよ?

ロック:ふぇ!?そ、それは勘弁してくださいっす!!!!

リア:ハハハ!大丈夫だよ。社長は多分そういう事しないから!

ロック:・・・ちょっと怖いっす・・・

 

報告。もうすぐ目的地へ到着します。

 

わかったっす! おう!

 

???:・・からお前んところと勝負しろ!

社長:いやいや、アイツは出来ないんですよ・・・

 

そんなこんなで帰ってきた俺達の前に現れたのは社長と何やら口論になっている謎の男だった。

 

リア:ただいまです~。こちらの方は?

社長:ああリアっち!丁度いいところに!この人は冴島産業の冴島さん。

この人がうちのタイタンと戦えって言って聞かないんだ!

冴島:!!・・・どうもこんにちは。私が冴島産業株式会社、代表取締役社長の冴島です。

 

口論で真っ赤になった顔をこっちに向けながら冴島社長は名刺を渡してきた。

 

リア:あ、どうも・・・でもなんで俺たちの会社に?こんなとこのより有力なタイタンを持ってる企業はあると思いますけど・・・

冴島:どうしてもあなた達のタイタンで調整したいんですよ。次回のタイタンバトルでライバルの真島コーポレーションのタイタンを確実に潰したいですからね。

それまでに戦闘データを安全に取っておきたい。だからあなた方にお声をおかけしたんです。

 

なるほど・・冴島はライバルを倒すため、自分のタイタンのレベルを安全に上げるため、

ここのタイタンを選んだらしい。つまりアイツ(【TF−000-P】)が舐められているということ。

少しカチンと来たが、間違いではない。なんせアイツは墓場から直輸入のやつなんだ、

クソ雑魚に見える、いや間違いなくクソ雑魚だろう。

だが、貴重なマスコット兼重機をそうやすやすと壊されてはたまらないのでやんわりと

断るようにした。が・・・・

 

ロック:なんすかそれ!俺たちの仲間(タイタン)を侮辱してるんすか!?

リア:お゛い゛!言葉を慎めよ…!

ロック:やってやりますよ!受けます!俺たちのタイタンで!

お前のタイタンをバキバキにしてやりますよ!!!

リア:あっ、バカ!!

 

やりやがった!ロックの野郎・・・一ヶ月俺の下僕な。

当然こんな事を言われた冴島はニヤニヤしながら、

 

冴島:ふふふっ・・・ありがとうございます。

では試合は1週間後、タイタンバトルの会場は【TOBUタイタンコロッセオ】で。

私が無理を言った立場ですから・・・会場代と輸送代は私どもが負担します。

では、楽しみにしていますよ。タイタンコレクターの皆さん。

 

そう言いながら冴島はこの場から去っていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

リア:何やってんだお前ぇ!!!

ロック:先輩は悔しくないんすか!アイツをバカにされて!

リア:悔しいに決まってるだろ!だがな!修理不能にまでボコボコにやられたら・・・

わかるよな?スクラップ(墓場のアイツら)としてアイツは今度こそあの墓場に捨てられるんだ!

それでもいいっていうのか!?自分たちの意味のないプライドのせいでアイツは死にましたって!胸を張っていえんのか!?ええ!

ロック:でも・・・でも!

 

そこまでだ!!

 

!! !?

 

社長の一声で二人は動きを止めた。

 

社長:岩ちゃん、怒るのはよく分かる。アイツがバカにされたって。そりゃ怒るよな。

ロック:!!そうっすよね!だかr・・・

社長:だがな!・・・売られた喧嘩をすぐに買っていいってわけじゃない。

体は熱く、心は冷たく。よく考えて、それから答えろ。次にリア!

リア:はい。

社長:後輩の成長のために怒れて偉い。だが、起きちまったことはどうしようもない。

過去を振り返りすぎるな。今を考えろ。今どうしたら良い?

リア:・・・冴島との戦いで受ける機体への被害を少なく出来るようチューニングすることです。

社長:そうだ。よくわかったな!・・・お前ら!アイツに戦うことを伝えるぞ!作戦会議だ!

 

ハイ! 押忍!!

 

大きな返事をしてタイタンにその事を知らせに行くリアたち。

果たしてリア達は【TF−000-P】を殺されないような作戦を考え、

この困難を乗り越えることができるのか・・・




【TF−000-P】
ーーなにやら騒がしいですね・・・何かあったのでしょうか?


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準備はいつだって万全に

ロックのおバカのせいでタイタンバトルに参加することになってしまったリア一行。
果たしてリアとその一味は万全に準備することは出来るのか!?


ロック:ごめんトフ!勝手にキミがタイタンバトルに参加することしちゃったんだ!

 

・・・何やら騒がしいと思いましたが、そういう事でしたか。

前述の通り、私はタイタンバトル特化型タイタンのプロトタイプです。問題はありません。

 

ロック:よかった!怒ってなくて・・・

社長:よし!じゃあそうと決まればみんな!作戦会議を始めるぞ!

一同:はい! 了解。

 

 

社長:っとまず最初に、相手のタイタンってどんなやつなんだ?知ってるか、リアっち?

リア:僕に聞かないでくださいよ。こういうのに詳しいのはロックだと思いますよ。

ほら、目をキラキラさせて話す機会を伺ってる。

ロック:いいですか!

社長・リア:どうぞ。

ロック:はい!まず最初に、冴島産業のタイタンは、プラチナ級。

僕達のタイタンと同じぐらいの大きさです。

パワーや固さとかはカスタム次第で変わるんですが、まぁだいたいのことはこっちと同じです。

型番は、【T−364−7】、いつかに見た骨董品【T−364−3】の第七世代です。ちょっと古い。

次に武装。相手はおっきな斧、【トマホーク】で相手を叩き割っていくようなパワー系の戦い

します。遠距離はせいぜい斧を投げるくらいしか出来ないので、

遠距離攻撃で攻めるのが良いと思います!

社長:OK〜岩ちゃん。整理すると、相手のタイタンはこっちと同じぐらいの大きさ、

武器は「トマホーク」っていう斧で、遠距離に弱いと。そういうことだね?

ロック:ハイ!

リア:って言ったってよ社長。ここに遠距離武器なんてあったか?

社長:ああ、あるよ。タイタン用のアサルトライフルが。

ロック:じゃあそれを使えば!

社長:いや、だめだ。

リア:え?どうして?

社長:あれはもう買い手がついてる。ただでさえガラクタ寸前のをリペアしてるんだ。

それを持ってってもし壊れたら買い手に土下座だし、途中で弾が出なくなったらマズイ。

リア:・・・え?まさか途中で弾が出なくなりそうなもの売ろうとしてるんか社長ォ!?

社長:商品説明に、「使用中の不具合について弊社は責任を負いかねます。」って

書いておいたんだ。大丈夫だよ(ニチャア・・・)

リア・ロック:・・・・

社長:それ以外にも遠距離武器、特に銃は弾代がかさんでヤバイ!SMGとかLMGとか

ガトリングとかもう・・・凄すぎて凄いぞ(語彙力崩壊)

 

確かに・・・前半の理由はなしにして、後者の弾代は大きな問題だな・・・

この戦いが終わって会社の資金が底をつくようじゃだめだ。

戦いの目標である、なるべく被害を抑える。ってことが守れないからな・・・

 

リア:うーーーん・・・

社長:なぁお前ら勘違いしてねぇか?俺たちはこの戦いに勝とうとしてるわけじゃないんだ。

負けでもいい、引き分けでも良い。勝ち負けじゃなく被害を抑えることが目標なんだ。

ロック:わかっているんすよ。ただ、斧の届かない遠距離からってのをクリアして、

なおかつ費用がかからない武器を考えるってなると・・・うーーん・・・

 

ん?斧の届かない距離・・・?ってことは・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

リア:!!社長!ここには長い剣ってありますか!?

社長:うん。あるよ~だけどやっぱり拾いもんだから切れ味はあんまりだね。

だけど結構長いのがある。・・・【刀】ってやつだな。

 

!?か、刀か・・・だめだ、嫌なことを思い出してしまう・・・

 

社長:!?あっ、ごめんリアっち!悪気はなかったんだ!大丈夫かい!?

ロック:先輩!?どうしたんですか?

リア:いや・・・大丈夫です。それより、その刀、使いましょう。

あのリーチなら斧じゃ近づくのは難しい。しかも今回は倒すのが目的じゃないんで多少切れ味が

鈍くても大丈夫。ってことは武器にかかる費用もほぼない。正解はこれじゃないですか?

社長:・・・そうだ・・・そうだなリアっち!!やっぱりお前は天才だぁ!!

ロック:なるほど・・・俺、遠距離っていう概念から逃れられませんでした

・・・やっぱり凄いっす!先輩!

リア:照れるからや〜め〜れ〜///

ロック:しかも戦闘データを集めてたトフが戦うんだ!なんとかなるかもしれない!

 

皆が活気づいた時、トフの口から衝撃的なことが告げられた。

 

説明。現在私の戦闘データは全て回収され、現存する戦闘データはありません

 

全員????????????????

 

ですので、私はパイロットとしてリア、アナタを推薦します。

 

リア:え?僕か!?・・・いや、僕は嫌です。

こういうのは年が若いロックのほうが向いてると思うので。

 

いえ、私はリア、アナタを推薦します。

 

リア:わりぃ、無理なんだ。・・・ロック、頼めるか?

ロック:いや・・・俺には・・・

リア:大丈夫。適当に敵が近づかないように振るうだけでいいんだ。

ロック:いやでも・・・

リア:お前を動かすのはロックだ。俺はお前が死なないようにメンテをする。

 

・・・もう刀を握るのは御免だからな。

 

・・・承認。ロック、アナタを臨時パイロットに任命します。よろしくおねがいします。

改めて自己紹介を。私はサファイア級タイタン【TF−000−P】、code:ネクサスAIによって

機体制御を行っているタイタンです。

 

ロック:わかった。・・・トフとネクサス、どっちで呼んだらいい?

 

どちらでも構いません。作戦行動に支障が出ない方の呼称でお願いします。

 

ロック:わかったよ。トフ。

 

こうして主人公(リア)はタイタンのパイロットにはならなかった。かに思えたが・・・




未来はこの時点じゃ知り得ない。
いよいよ次回は冴島のタイタンとの戦いが始まる。
ロックはちゃんとトフを動かせるのか?
リアは本当にタイタンのパイロットにならないのか?

次回にご期待ください!感想・評価!首を長くして待ってます!


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初戦:鬼退治
勝ち方はいつだってわからない


とうとうやってきてしまったバトル当日。
バスに揺られながらコロシアムの近くで降りた一行。
そこから歩いてコロシアムまで進む・・・


タイタンコレクターの一行はゆっくりと会場である【TOBUセントラルコロシアム】へと

足を運ぶ。

 

・・・・

・・・・

・・・・

 

道中では誰も口を開かない。その姿はまるで死地に送り込まれる兵隊たちのようであった。

 

あ、あの!

 

そんな時、ロックが静寂を破り声を上げた。

 

リア:!? な、なんだどうした?

ロック:・・・がんばります!勝てはしないと思うけど・・・

リア:馬鹿野郎。

 

リアがロックの頭を小突く。

 

ロック:痛!

リア:戦う前から負ける気でいるやつが何処にいる?勝てるかどうか分からなくても・・・

勝つっていう気持ちが大事だ。

社長:そうだ岩ちゃん!アイツらには勝てないかもしれない。

だが・・・トフっちと一緒に無事に帰ってきてくれ!

ロック:・・・!はい!

 

会場に入る寸前に温かい感情に包まれた一行。気持ちを切り替え、

コロシアムの関係者入口から中へ入る。すると、

 

コツコツコツ・・・

 

足音が近づいてきた。

 

やぁ皆様、どうもこんばんわ。

 

冴島だ。

 

冴島:この度は本当に試合を引き受けてくれてありがとうございます。

我らがタイタン、【トマホークオーガ】も喜んでいますよ。・・・ですが、先に謝っておきます。

こ度の試合において、貴方方のタイタンを破壊してしまい本当に申し訳ございません。

ですが、修理費用のご負担はご自身でお願いします。(にっこり)

 

ロック:お前ぇ!・・・

 

ーー待て!待つんだ!

俺たちは今にも冴島に殴り掛かりそうになっているロックを抑え、落ち着かせる。

 

ふふふふふ・・・・

 

そう言うと冴島は俺たちの前を不敵な笑みを浮かべながら、この場を去っていった。

 

ロック:あの野郎・・・・

社長:岩ちゃん言っただろ!?体は熱く心は冷たく!もう忘れたのか?

ロック:・・・すんません。

リア:気にするなよ。この試合、相手方が勝つのがほぼ確定みたいなもんなんだから。

お前の仕事は冷静に、軽症で勝負を終わらせることだろ?

ロック:・・・はい。

リア:頑張れ。今の俺達にはそれしかいえないからな。

社長:岩ちゃん!ガンバ!

 

そこに輸送されてきたTF-000-Pがやってきた。

 

タイタンコレクターの皆さまを発見。

 

社長:お!トフっち!

 

はい。トフはここにやってきました。・・・リア、アナタは本当に・・・

 

うるさい!いい加減にしろ!

 

リアが声を荒らげる。

 

社長:リアっち!?

ロック:先輩!?

リア:あ・・・すいません。・・・おい、トフ。前も言っただろ、

俺はお前のパイロットに俺はならないって。

 

ですが、アナタがパイロットとなった場合の勝率は95%です。

 

・・・なんでそう思う。

 

説明。アナタは標準的男性のそれとは異なる筋肉の発達をしています。求道者のような・・・

 

!?

 

なに!?アイツそんな事までわかるのか・・・マズイこれで前の仕事のことがバレたら・・・

ここは適当に・・・

 

リア:お前凄いな・・・そんなことまでわかるのか。そうだトフ。俺は柔道してたんだ、

中学から高校までな。

ロック:そうだったんすか!どーりて力が強いと・・・

 

否定。アナタの筋肉の発達は柔道といった武道のそれとは異なる発達をしています。

・・・ちょうど今回私達が使う【刀】のような物を使うために鍛えられたかのy・・・

 

リア:おい、もう時間だぞ!トフ、ロック!早く行って来い!

ロック:え?あ、は、ハイ!行こう!トフ!

 

先輩はなにか焦るように食い気味に俺とトフをコロシアムに送った。・・・どうしたんだろう?

そう思いながら俺たちはコロシアムに向かった・・・

 

社長:リアちゃん・・・

リア:すんません、社長・・・

社長:やっぱダメか、過去のことは・・・

リア:はい。もう・・・思い出したくないんです・・・すいません・・・

 

彼は過去を思い出し、哀しい顔をした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

エブリバディリッスン!!!今回はココ!

【TOBUセントラルコロシアム】でタイタンバトルが始まるぞぉーーーー!!!!!                   ポマエらぁ!!!盛り上がってるかぁ〜〜!?

 

ウォーーーーー!!!!!!

 

声が小さいな!盛り上がってるかぁ〜〜〜〜!?

 

ウォーーーーーーーー!!!!!!

 

 

さぁ行くぞ!まずは赤コーナーァ!戦闘狂の先住民!

狙うは相手の片腕だぁ!!!!プラチナ級タイタン!

【トォマホォォーーーーーク!!!オーーーーーガァァァ!!!!】

 

ウォーーーーーーーー!!!!!!

 

観客:何だあれ!?デッカイ斧持ってるな?すっげぇ!

 

次に青コーナーァ!この場に颯爽と現れた謎の機体ィィ!!   こいつは戦場に、混沌を巻き起こすのかァァーー!??     サファイア級タイタン、                    【TFゥゥ!!!!−000−Pィィ!!!!!】

 

 

ザワザワ・・・

 

 

観客:アレが幻の? ・・・なんかサビとかで、汚ねぇなぁ・・・ 

ゴミ捨て場から拾ってきたんじゃね? あんなんで勝てるのか?しかも手動のやつじゃねぇか!

骨董品かよwww

 

冴島の【トマホークオーガ】の反応とは一変、俺達のタイタンに対する反応は

冷ややかなものだった。

 

ロック:・・・ぅぅ・・・

 

大丈夫ですか?ロック

 

お前らぁ!勝負はわからないもんだろぉ!?                それじゃあ・・・行くぞォォ!!!!

 

3!!!

 

2!!

 

1!

 

 

バトルスターーーート!!!!!

 

開戦だ。しかしTF-000-P(ロック)は動かない。

 

リア:!?

社長:ど、どうしたんだ岩っち!?

 

そんな相手にも慈悲はない。トマホークオーガ(殺人鬼)は脇目も振らず、腕を叩き切るために

斧を振り上げながら突っ込んできた。

 

ブォォン!!!

 

ガキィーーン!!!!

 

間一髪のところで動き出し、トマホークを刀で受ける。だが、

 

ギリギリギリ・・・・!

 

上からトマホークを押し付けてるオーガのほうが有利だ。刀が押し負け、

ジリジリと刃が近づいてくる。

 

ロック:ぐ・・・うああ!!!

 

ブオン!

 

ギリギリで刀を振り、オーガを吹っ飛ばした。

 

ハァ・・・ハァ・・・

 

リア:なんでロックがあんなに疲れてるんだ!?モーションキャプチャーじゃないのかよ!?

社長:モーションキャプチャーのように動かしているといってたが違う。

あれはちゃんとタイタンが受ける負荷を人間サイズにしてパイロットに送ってるんだ。

より現実的にタイタンを動かすためにな。だから打ち合うとちゃんと腕がしびれて、

鍔迫り合いで疲れる。

リア:じゃあアイツは・・・

社長:多分もうギリギリだろう。アイツはただの一般人だから。

 

その言葉通りロックを見る限りもうかなり疲労しているようだ。タイタンもフラフラしている。

 

冴島:まだまだぁ!行け!オーガァ!!!

 

そんな満身創痍のタイタンと裏腹にオーガは斧を振り回しながら向かってくる。

 

冴島:そうだ殺れェ!!!ヤツを砕けェ!!!

 

グォン!

 

ギャアン!

 

キィィン!!

 

ハァ・・・ハァ・・・グゥ!アア!

 

オーガのトマホークの一撃で刀を吹き飛ばされた。

 

冴島:・・・もうおしまいですか・・・つまらないですね・・・

 

観客:あーあ マジかよ サファイア級タイタンって言ってもそこまでだったんだな。 

やっぱりマニアの観賞用だったんだな。 つまんね。 チケット勝って損したわ。

 

リア:(クソ!このままだとアイツが死んじまう!だけど俺は・・・俺は・・・)

社長:リア。

リア:!?

社長:後悔先たたず。過ぎてしまったことはもうどうしようもない。・・・

だが!過去で今を縛り付ける必要はないんじゃないのか?

リア:・・・・

社長:迷ったら行動しろ。考えて後悔するんじゃない。行動して、最大限のことをして、

それから後悔しろ!

リア:社長・・・・!

社長:行け、リア。お前の力で、今度は皆を笑顔に変えるんだ!・・・ってもう聞いてないか。

いいセリフだと思ったんだけどなぁ・・・・

 

俺はロックの元へ走り出した。

 

リア:ローーーーーーーック!!!!!

ロック:せん・・・ぱい・・・?

リア:冴島ァ!選手交代だ!こいつのパイロットは・・・この俺だぁ!!!!!

 

おおーーーーと!?ここで選手交代と出たぁ!?                    ルールでは認められているのか・・・わからないが・・・

 

冴島がその声を聞いて少し驚く。だがすぐに元の顔に戻り、

 

冴島:ええ、良いでしょう。刀を拾ってください。でも、今更何が出来るんですか?

リア:わかってるだろ。やることは一つだ。

 

・・・お前とそのタイタンを切り裂く。

 

リアがこれまで聞いたことのないぐらい低い声でその言葉を吐き捨てた。

 

冴島:!?・・・じゃあやってご覧なさい!このくず鉄風情がぁ!!!

 

リア。本当によろしいんですか?

 

リア:ああ。男に二言はねぇ・・・

 

それは一言目の「俺は乗らない。」という発言に対する二言目のような気がしますが?

 

リア:細かいことは気にするな。・・・行くぞ、今度は俺がパイロットだ。

 

了解しました。

 

パイロットモードオンライン ネクサスAI、手動操縦に移行 パイロットに剣を委ねます。  共に戦えば強力です。

 

リア:()()()()()()ぞ、ネクサス。・・・俺たちは最強だ。

 

俺たちの戦いの後半戦が幕を開けた。




ヒーローは遅れて登場する。やはりパイロットになったリア。
そしていよいよここからくず鉄とそのパイロットの伝説、その始まりの戦いが始まる。


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結末はいつだって予想外

ついに覚悟を決めたリア。ここからくず鉄の勝利の伝説が幕を開ける・・・


パイロットが変わったTF-000-Pは動き出す。そして今度はしっかりと刀を構えだした。

 

観客A:何だアイツ?刀を構えだしたぞ・・・

観客B:ヒーローは遅れて登場するっていうの?

観客C:パイロットが変わった程度で勝てるのかよ、あのくず鉄が・・・

 

観客は少しだけ興味を向ける。

 

冴島:ふん。構えだけは一流のようですね。

リア:御託はいい。さぁ、かかってこい。どこからでもいいぞ。

 

冴島に煽りとも取れるような言葉を吐き、リアは相手の動きを伺う。

 

冴島:ッ!行けぇオーガァ!!ヤツを亡き者にしろォ!!!!

 

最初に動き出したのはオーガの方だった。

 

ガチャン!ガチャン!!

 

斧を振り上げながら全速力で向かってくるオーガ。だがTF-000-P(リア)は動かない。

 

ガチャン!ガシャン!!

 

目前に迫ってくる。だがまだ動かない。

 

ロック:先輩!?

観客:また動かねぇんかよ。やっぱダメだな。

社長:いかん!避けろリアァ!!!

 

勢いそのままにオーガが斧を振り下ろす。

 

グワァン!!

 

勝負は決した。その後眼下に広がるであろう凄惨な光景から目を背けようと会場の全員

(冴島は除く)が目をつむった時、

 

リア:!!

 

 

斬!

 

 

ガシャーーン・・・

 

 

タイタンの腕が落ちた音がし、全員がくず鉄の腕が落ちたことを確信しながら目を開けた。

確かに腕は落ちていた。だが、予想とは異なり、()()()()()()()()()()()()()

片腕のオーガと対象的にリア(TF-000-P)はオーガに一足一刀の間合いを開け、背を向けて立っている。

観客たちは今起きていることを飲み込めていない。実況もだ。

会場の誰もが開いた口が塞がらず、会場が静寂に包まれている。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

そんな静寂を破ったのは冴島の叫びだった。

 

な、なんだとぉーーー!!!!?

 

それを皮切りに観客たちの思考が働き始めた。

 

観客A:マジかよ何が起きたんだ一体!?

観客B:え?嘘でしょ?アレってまさかオーガの腕!?

観客C:クソ!見逃した!

ロック:先輩・・・!

社長:ははは・・・すげぇな、アイツ・・・

 

な、な、なんとぉ!?我々が目を話した隙にぃ!

仕掛けたであろうオーガの腕が落ちているゥ!!!

こ、これはどういう事なのかぁーー!?

 

実況も混乱している。そうであろう。

これの一部始終を見ていたのはTF-000-P(リア)と冴島だけなのだから。

だが、冴島は起きたことが信じられていない。

 

冴島:なぜだ!?なぜ私のトマホークオーガの腕が切られている!?

リア:お前の目は節穴か?目は開いてたのに見えてなかったのかよ?

冴島:うるさい!こんな事ありえない!オーガァ!!斧を拾って突撃しろォ!!!

 

冴島の怒りに飲み込まれた指示を聞き、片腕の鬼(トマホークオーガ)は取れた腕から斧をもぎ取り、振り上げ、

向かってこようとする。だが、なぜかオーガは斧を振り上げた瞬間に倒れ込んだ。

 

ガシャーーン!!

 

冴島:な、何ぃ!?

リア:短気は損気。もちろん知ってるよな、冴島?

冴島:クソ!立て!立つんだオーガァ!!

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

 

冷え切っていた場内は再び熱を帯び始める。負け確ムードからの反撃だ。

沸かないほうがおかしい。そんな声援が木霊する中、オーガは立てない。

なぜなら彼の右足の関節には大きな切れ込みが入っていたのである。

まるで()()()()()()()()()()()()()()、そんな切れ込みが・・・

 

ウゥーーン・・・!

 

だが冴島の指示からややあって、右足をかばいながらオーガは立ち上がった。

そして決死の覚悟で間合いを詰め、最後の一撃を食らわせようと向かってきた。

だが、片足が使えていないので最初のときのような疾さはない。

 

グオォーーーー!!!

 

最後の力を振り絞り、斧を振り下ろす。だが、

 

 

斬!

 

 

ガシャーーン・・・

 

残った最後の腕も落とされ、顔から地面に崩れ落ちるオーガ。

 

冴島:何故ぇ・・・なぜだぁ・・・

 

同じように冴島は膝から崩れ落ちる。

 

リア:結末はいつでも予想外。・・・油断したな。

くず鉄風情に負けるわけ無いと思ったんだろう?残念だったな。

冴島:クソ・・・クソがァァ!!!!!

 

ザシュッッ!!!

 

刀が鬼の頭に突き刺さる。

 

ゥーーーン・・・

 

・・・もう鬼は動くことはなかった。

 

・・・!しょ、勝負ありィ!!!!勝者ァ!!!        【TFゥゥ!!!!−000−Pィィ!!!!!】

 

 

うおおおオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!

 

 

観客A:スゲェ・・・ スゲェよアイツ!!!

観客B:勝ちやがった!あの戦況を変えやがったァ!!!

 

幻のタイタンでの逆転劇に沸き上がる会場。

 

 

TィF! TFゥ! TF〜〜〜〜!!!

 

 

会場にTFコールが巻き起こる。それは試合開始とはギアが数段上の異様な熱気だった。

 

流石です。パイロット。

 

リア:当たり前だ。最初に言っただろ?「共に戦えば最強だ。」って。

 

そうですね。・・・インタビューがあるようですよ、パイロット。

 

リア:まじか・・・拒否していい?

 

それは出来ません。観客が許さないでしょう。

 

俺は観客席に体を向ける。すると大きな歓声で会場が沸いていることに気がつく。

 

観客A:凄いぞお前!

観客B:キャーこっち見てーー!!

観客C:お前の勝ちだぁ!俺は信じでだぞ〜〜!!

 

リア:・・・これって俺達に対する歓声か?

 

肯定。アナタの戦いで会場が沸きました。おめでとうございます。

 

俺の刀が・・・この笑顔を?・・・

 

それでは!これからインタビューに移るぞぉ!!

 

!?き、来た!

 

インタビュアー:こんばんわ!貴方の名前を教えて下さい!

リア:最初に動かしてたのはロック、私はリアです。

 

冷静に答える。

 

インタビュアー:勝利の感覚はありますか?

リア:いいや、まだないです。

インタビュアー:最初の人と変わりましたが、それは予定通りだったのですか?

リア:違います。私は動かさない予定だったんですが・・・見てられなくて・・・つい・・・

インタビュアー:なるほど・・・今後の予定はありますか?

リア:いや・・・そもそも今回の戦いが最初で最後になる予定だったので。

もうタイタンバトルはしないと思います。

インタビュアー:え?・・・それは本当なのですか?

 

インタビュアーが困惑の表情を浮かべ、次の質問を投げかける。

観客たちも皆、信じられないという顔を浮かべていた。

 

リア:はい。ただ社長の気が変わったらやるかもしれないです。

インタビュアー:ココに社長はいらっしゃるのですか?

 

「はい。」・・・と答えようと社長の方に目線をやったが、社長は身振り手振りで

「こっちに振るな!!」と言っているようだ。ココは社長の考えを尊重して・・・

 

リア:いや、いないです。・・・そろそろいいですか?疲れたんで休みたいです。

インタビュアー:あ、はい!それではこれでインタビューを終わります!

ありがとうございました〜〜〜〜!

 

お辞儀をしながらそそくさと控室に向かうリア達。同時にトフも戦場を後にした。

残されたのは放心状態の冴島と惨殺された鬼の姿だった。




鬼を斬ったくず鉄の侍。
くず鉄の勝利の伝説は、こうして幕を開けたのだった・・・


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取材:TF-000-Pの軌跡を求めて
大番狂わせ!冴島産業 VS タイタンコレクター


これらは記念すべき初戦の翌日に流れたネットニュース等である。
この時点ではまだ中小企業同士の一戦であったが、注目度は他のものと一線を画していた。
この機体には人を引き付けるなにかがあるのだろうか?

TF-000-P記念館 資料説明より抜粋


世紀の一戦!鬼退治!

 

9月4日にTOBUセントラルコロシアムで行われたタイタンバトル、その結果が発表された。

結果は冴島産業所属タイタン:トマホークオーガの敗北。

・・・だけならネットニュースになるほどのことではない。

ただ勝者が異例づくしのため注目を集めた。この戦いの勝者はタイタンコレクター所属の

リングネームもない【TF-000-P】という型番が登録されたタイタンだった。

これだけでも号外のネタになるが、まだある。

彼はサファイヤ級タイタンという幻の存在であり、なおかつ手動操縦というもう骨董品としか

思えない機構のタイタンだからである。

殆どのタイタンがAIで動く中で、手動操縦なのだ。会場内で異彩を放っていた。

取材の限りではそのタイタンの武装は刀であったこと。試合展開に関しては最初はタイタンが

動かないというアクシデントに見舞われた。だが、パイロットが変わりそこから鬼の両腕を

切り落とし、最後は頭に刀を突き立てて大逆転勝利。

ストーリー性のある見応えもあった素晴らしい試合だったようだ。

その後のインタビューでパイロットは、「もう試合には出ない。」と答えたという。

ただでさえ中小企業同士のマッチであったため観客が少なく、この情報には信憑性もない。

次の試合があるのならそのチケットを買いたいものだ。

今後のこのタイタンの動きに注目したい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

この機体はなんだ!?徹底解剖TF-000-P

 

今回は今話題になっているTF-000-Pについて解説していこうと思うぞ!!

まず最初にプロフィールからだ!!

 

ープロフィールー

 

型番:TF-000-P

階級:サファイア級

全長:4M

エンジン:不明

装甲:不明

武装:刀

制御方法:パイロット式

 

という感じだ!皆さん御存知の通り、このタイタンはサファイア級、幻のタイタンだ!!

また、このタイタンの制御方法は手動、つまりパイロットが操縦するんだ!

この時代にAI式でなくパイロット式!ロマンを感じるな!!

そしてこのタイタンの戦績は1戦1勝0敗!

簡単に言うと初戦を勝利で飾った駆け出しのタイタンだ!

どんなに話題があってもこいつは駆け出し!今後の活躍に期待だ!

しかしこのタイタン、もう試合はしないと発表しているらしい・・・

このタイタンが本当に幻にならないように祈るばかりだ・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

TF-000-Pとは?

 

今回この記事ではTOBUセントラルコロシアムで行われたバトル、

そこで声援を一身に受けたタイタンについて語っていこうと思う。まず最初に、

この機体を所有している企業はタイタンコレクターという廃品回収の仕事をしている企業だ。

このままこの企業に所有されると思うと、おそらくこの機体は十分なメンテナンスを受けられないのではないかと踏んでいる。後2、3試合が彼の寿命だろう。

そして彼はサファイア級と宣伝されているが、その信憑性はない。

確かにTF-000-Pという型番のタイタンは発表されていない。だが、それが偽名の可能性がある。

現時点ではサファイア級という幻の存在であることに目が行き、正常な判断を皆が出来ていないと思う。仮にこれがただのプラチナ級タイタンだったらどうだ?誰も話題に取り上げないのではないかと思う。

それとサファイア級には詳しい情報がなく、一説には研究用の試作品、つまりプロトタイプであるということがまことしやかに囁かれている。だがそれに当てはめるとアレはただのプロトタイプ、それを元に洗練された次世代機、つまり製品版には勝てないという説だ。

(仮に未知のシステムがバトル中に発動すれば話は別だが)

以上の理由からあのTF-000-Pという機体に過剰な期待を乗せるのは悪手であると私達は進言する。




A「また見たいな・・・あの試合。」
B「無理だろ。もうやらないって言ってるんだから。」
A「だよな〜・・・でも見たいな・・・・」
B「そうだな・・・」


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幕間:勝利の美酒
贈り物はいつだってウレシイ


見事初戦を勝利で飾ったリア。
彼とタイタンの勝利には人を引き付けるなにかが確かに存在した。
ここから彼らの錆びついた運命の歯車が動き出す・・・


prrr!! prrrr!!! prrrrr!!!! prr!!!

 

「うるさーーーーーーい!!!!!!!!」

 

「あんたの方がうるさいよ!!」

 

「ごめんなさい」

 

おばちゃんにうるさいと怒鳴られたこの男。信じられないと思うがこの男はタイタンコレクターの代表取締役、つまり社長である。そんな彼は開業以来類を見ない程に無限に鳴り響く電話の処理に嫌気が差していた。

 

「ねぇねぇおばぁ!もうこの電話線切っても良い!?」

 

「朝から何度も何度もうるさいよ!!

電話線切っちゃったら部品の注文が取れないでしょ!!」

 

「こんな会社に注文が来るなんてほぼないだろ!!」

 

「それ・・・あんたが言っちゃだめでしょ・・・」

 

クソ!どうしてこうなったんだ?と思ったが俺には思い当たる節がある。

それは先日行ったタイタンバトルだろうと。いや、それしか考えられない。

あの試合で俺たちが勝利したことが今日の【劇場版 幻滅の電話(無限応対編)】を

上映させるに至ったのだろうと。

そらそうだ、あの勝負は心が踊るものだった。会場の誰もがそうだったのだろう。

そんな人達の考えはこれ一つだった。「次の試合はいつかな?」だが、試合後の

ヒーローインタビューで出た言葉はこれだ。「もう試合はしません」・・・なんで?

どうして?って思うだろうよ!!そりゃこんなに電話来るだろうよ!!

クソ!誰だ指示したやつ!責任者出てこい!(俺だけど)

 

「はぁ・・・」

 

「落ち着いたかい?」

 

「うん・・prr!・・ハァ・・ねぇもうこの会社畳んでいい?」

 

「バカいってんじゃないよ!私は良いとしてもリアちゃんやロックちゃんはどうするの!?」

 

「そうだよな・・・でも注文の電話じゃなくてファンとかいう奴らの電話だろ?」

 

少しの沈黙の後おばちゃんが口を開いた。

 

「・・・私達が取った電話の中はだいたいそれだった、いや全部それだったけど・・・」

 

「てか注文が来ても売り物がないんだよな・・・取り置きしてた部品以外だいたいぜんぶアイツ(TF-000-P)の修理に使ったからな・・・」

 

そうなのである。もちろん商談の電話は少なからずあったかもしれない。

だが、肝心の売り物がないのである。本末転倒だ。ジャンク屋なのにジャンクを

使い切ったって・・・何やってんだここの経営者!!(俺です)

タイタンバトルで勝つことがこんなに影響力があるとは思いもしなかった、

これからどうしたものか・・・なんて思ってたら何やらウキウキな若い男達の声が聞こえてきた。

 

「まさかこんなのがあるなんて思いませんでしたね!!先輩!」

 

「ああそうだな。まさかこいつが転がってるなんて・・・」

 

同感です。リア、少しやりすぎだったんではないですか?

 

間違いない。アイツらが帰ってきた。俺はこの鳴り響く電話から逃げるようにおばちゃんと

一緒にアイツらに向かって走っていった。

 

「おかえりお前r・・・えぇーー!!!?」

 

「もう!またどうしたのあんた・・・ってえぇーーーー!?」

 

墓場から帰ってきたコイツらが持っていたのはどこか見覚えのあるタイタンとその部品だった。

 

「おま・・・これ・・・」

「あらやだ、これ昨日あんたたちが戦ったやつじゃない!?」

 

TFと同じぐらいの大きさ、切り傷の着いた装甲、そして握られたトマホーク・・・間違いない。こいつは前回戦ったオーガではないか。

 

「そうです!」

 

「ソーナンスよ社長!!墓場に言ったらこいつがもう捨ててあったんですよ!!」

 

冴島産業はこの機体を修理不可と判断したのでしょう。賢明な判断です。

 

「社長!凄くないすか!?」

 

「ん?なんかすごい勢いで電話なってますけど・・・どうしたんですか?」

 

「いや、お前らのあの戦いのことで色んなとこから電話が来てるんだ。」

 

「え?す、凄いじゃないすか!俺たち有名人っすね!!」

 

確かに・・・。俺たちは今、一躍時の人みたいな立ち位置にいる。しかもタイタンバトルで。

その戦いに勝てば更に知名度が、しかもその知名度は勝ったタイタンの会社っていう名の挙げ方

だから・・・部品の取引依頼も増えたりする・・・?

しかも部品が勝手に相手から飛び込んでくる?

・・・これは来たんじゃないか?

 

「お前ら。・・・これからタイタンバトルに参入するって言ったらどうする?」

 

!?

 

「本当ですか?私インタビューで「もうしない」って言っちゃいましたよ!?」

 

「先輩やりましょうよ!!絶対やったほうが良いですって!!」

 

「いや、でも・・・」

 

「安心しろ!それは俺から話す!」

 

「本当ですか?・・・なら・・・」

 

「決まりだな?

・・・これから俺たちは!タイタンバトルに!本格参入する!!!」

 

「ウオオオオ!!!!」

 

グヘヘヘ・・・これで俺はこの経営地獄車から開放されて・・・大企業に・・・グフフフ・・・

 

「社長、なんかにやけてますけどどうしたんすか?」

 

「シー・・・あれは碌なことを考えてないときの顔だ。甘い話には裏がある。

覚えておいたほうが良いぞ。」

 

ピーンポーン!!!(迫真)

 

「え?誰すか、この時間に?」

 

「社長!来客があるなら先に言ってくださいよ!」

 

「え?俺は知らんぞ・・・」

 

「え?」

 

「は?」

 

ピーンポーン!!!(迫真)

 

「まさか冴島の時みたいな感じじゃないでしょうね!?」

 

「わからん・・・とりあえず中に入れるか。・・・リア、ロックを作業場に縛り付けてこい。

また口論になったらたまらん。」

 

「はい。・・・ということでロック・・・恨むなよ?」

 

「え?ちょ!待ってくださいよ!ねえ!ねぇってばぁ!!!!!」

 

ロックはリアに引きずられて作業場に消えていった。ごめんな、ロック。何もしないけど。・・・じゃあ、いくか。

 

ガチャ

 

「どちら様でしょうか?」

 

「はい、私こういうものでございます。」




タイタンバトルってもしかして美味しい? ーー社長
一躍有名となった会社に訪れた謎の男、彼は一体何者なのか?

おまたせして申し訳ナイス!
投稿頻度は僕のもう1つのシリーズが終わったら回復すると思います・・・


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