ガールズバンドと武術少年の出逢い (カタギリスー)
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主人公紹介

今作の主人公及び主人公の家族の紹介です。
色々と設定を盛りまくっている為、後々後悔しそうですが(笑)

人物が追加され次第、人物設定を各話の途中で追加していく予定です。


主人公

名前:神谷 雄(かみや ゆう)

年齢:15歳(入学時)

身長:185cm

体重:78kg

誕生日:4月11日

好きな物:料理、から揚げ、アニメ

嫌いな物:極端な味付の物、牡蠣

 

本作の主人公。

高身長、鍛えた身体、強面と一見勘違いされやすいタイプだが見た目とは裏腹に基本優しく真面目人間。

普段の生活では考えていることが顔に出やすく、何を考えているか見破られる事が多いが本人は隠し通せていると思っている。

生まれは東京だが関西弁で話す。(幸二の影響)

 

湊友希那と今井リサとは幼馴染。

実家は硝子工務店を経営。学校終わりや休日に硝子切断や窓の組立等を手伝っており、幸二よりフォークリフトの運転も教わっており幸二が運転出来ない状況の際に変わりに運転している。

仕事の手伝い中に硝子を頭から被る事故があり、その際に左目に縦の切り傷が出来てしまう。

自身の強面と合わさり、周囲からヤクザと勘違いされることもある。

 

実家の仕事で商店街に赴く事も多く学生にしては知り合いがかなり多い。その影響か商店街の大人達から色々頼まれる事もしばしば。頼み事は基本断れない性格が故、不運に巻き込まれやすい苦労者。

つぐみ、はぐみ、沙綾とは商店街の絡みで知り合いかなり長い付き合い。また、つぐみやあこと仲が良いことからAfterglowのメンバーとも付き合いが長い。

 

 

小さい頃に友希那とリサと遊んでいる中、不良に絡まれ二人を守れなかった事をキッカケに武術を始める。

空手・中国拳法・ムエタイ・ボクシング・柔術・杖術・剣術と幅広く師匠陣曰く弟子以上達人未満と所謂妙手の段階にあるとのこと。

 

炊事、洗濯、掃除、裁縫と家事に関して何でもござれのハイスペックぶり。

特に料理は恵と栞の作る物が余りに酷く一時は死が垣間見える事もあり自分で作り始めることに。

羽沢珈琲店で期間限定でメニューが採用されることもあったりなかったり。

中学の修学旅行で初めて食べた牡蠣で同級生の中で一人だけ当たりそれ以来牡蠣が食べれない。

 

幸二が昔、友希那父と共にやっていたバンドの名残でドラム一式を所有しており気分転換で偶に叩いている。が、あくまで気分転換なので腕はドラムが叩ける程度。

 

 

 

主人公の父親

名前:神谷 幸二(かみや こうじ)

年齢:43歳

身長:183cm

体重:81kg

誕生日:6月21日

好きな物:甘い物、ツーリング

嫌いな物:酒(下戸)

 

雄の父親。

平日は自営業の硝子工務店を運営。硝子を切断しつつ、職人達と共に硝子の割替や窓の組立・組付などをしている。

 

大阪育ちだが、大学進学に合わせて上京し今に至る。

花咲川、羽丘の理事長とは大学時代の後輩になるが、色々やらかしたのを助けてもらったりしておりそれを逆手に交渉(脅迫)される事が多い。

雄の入学の原因の第一人者。

 

20年以上東京に住んでいるが関西弁は抜けることなく寧ろ雄に関西弁が伝染るという事態になっている。

 

嫁の恵とは大学時代に知り合い後に結婚したが、大学時代から恵のとんでも料理に付き合わされている。本人曰くギャップがあって魅力とのこと。

 

空手の達人で雄の武術の根幹となっている。

 

大柄で大雑把な性格だが、家族を大事に思っている。

暇な時間は愛車のハーレー(サイドカー付)に跨ってツーリングをしている。

 

 

 

主人公の母親

名前:神谷 恵(かみや めぐみ)

年齢:43歳

身長:168cm

体重:???

誕生日:2月18日

好きな物:家族、酒(かなり強い)、料理(不味い)

嫌いな物:辛いもの

 

雄の母親。

幸二と一緒に硝子工務店の運営をしており、経理、受付を担当。

花咲川・羽丘の理事長とは親友。

大学時代に幸二と知り合い後に結婚。

 

料理することは好きだが自己流のアレンジを入れることが多くちゃんとレシピ通りに作らない為、見た目は美味そうだが中身は不味いという事が多々ある。

 

雄に色々指摘されてからは大分マシになったものの彼女が台所に立った時は神谷家全員が覚悟を決めるらしい。

 

40代とは思えない肌艶をしており、その見た目も相まって料理が出来ると勘違いされることも多い。

雄からは「毒汁製造機」という異名を付けられている。

 

普段は優しくお淑やかな性格だが、本気で怒ると手が付けられなくなる。

 

 

 

主人公の妹

名前:神谷 栞(かみや しおり)

年齢:14歳

身長:160cm

体重:???

誕生日:8月9日

好きな物:兄、オムライス

嫌いな物:オクラ

 

雄の妹。

羽丘学園に通う中学3年生。

 

実家の硝子工務店の受付を恵と一緒にやっているが、学校終わりがほとんどの為あまりやることがない。

 

自他ともに認めるブラコンで昔は雄に付いて回る事が多かったが思春期を迎えてから若干落ち着きが出てきた。

 

恵と同じ血を引いてるだけあり、料理の腕は途轍もなく酷い。

恵と違って何でも火加減を最大にして調理するため焦がす事が多く雄から「カーボン製造機」と呼ばれているが本人はそのあだ名を嫌っている。

雄や恵と一緒に料理する際は切る専門にされることも多くそこを不満に感じている。

 

宇田川あことは3年間クラスメイトで宇田川姉妹とは兄妹ともに付き合いが長い。



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第1話:入学?

初投稿です!
主に仕事の休憩時間や休みの日にのんびり製作している為、亀更新になります。
宜しくお願い致します!


4月1日・・・

 

それは人にとって新しい人生の始まりである。

 

俺、神谷雄(かみやゆう)もその1人であり、今日から高校生となる。

 

なるのだが・・・

 

雄「ハァー・・・行きたくねえ・・・」

 

普通は緊張するなり、テンションが上がるなりするのだろうがこれには訳がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~遡る事1ヶ月前~

卒業式を数日後に控え春休みの中、自宅の硝子工務店で硝子切断を手伝っていた時である。

 

幸二「雄、少しええか?」

 

雄「なんや~?」

 

俺の親父こと神谷幸二(かみやこうじ)が硝子の切台までやってきた。

 

幸二「来月から通う学校のことなんやけどな・・・試験受けて通った所とは別の学校行くことになったから覚えとけよ」

 

雄「あいよ、分かっ・・・は?」

 

親父のいつも通りの会話からの爆弾発言。

一瞬のことで思わず返事を返しかけるも何とか踏みとどまった。

 

雄「ちょい待ち親父!どういうことやねん!?」

 

幸二「いやぁ、俺の知り合いが女子校の理事長しとってな。共学化のテスト生を探しとるからお前を推薦したらあら不思議!一発で通ってもうたんやわ」

 

開いた口が塞がらないとはこの事である。

この糞親父は息子の人生を何だと・・・

 

幸二「お前の人生を何だと思っていやがる!って思っただろ?」

 

エスパーかよ!?

こっちの思考を読まないで欲しいわ!!

 

幸二「言わなくても分かると思うが、周囲は9割9分女子だからな。やったね!ハーレムじゃねぇか」

 

雄「アホ言うな!こちとら仕事の手伝いしつつ必死こいて受験勉強したのになしてそんな状況にしてくれとんじゃワレェ!!」

 

幸二「仕方ないやろ!こっちも最初は断ろうと思っとったんや。けど、向こうにいくつか借りがあることをすっかり忘れとってやな・・・」

 

逆ギレしたかと思えば、ドンドン声が小さくなっていった。

どんな弱みを握られとんや・・・?

 

幸二「まぁ、ということでやな~大人しく頑張ってきてくれ」

 

雄「面倒くさいから投げやがったな!?」

 

~回想終了~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ、色々あって(主に親父のせい)花咲川女学園に晴れて入学となったわけだ。

 

一応、花咲川の制服(男子用)を着ているから問題ないと思うがいざ校門前まで来ると足がすくみ中々次の1歩が出ず立ち往生していた。

 

また、仕事の手伝いをしていた時、不注意で硝子を頭から丸被りしてしまい右目を切ってしまったのだ。

怪我を隠す為、眼帯しているのだが思った以上に見た目が悪い。

下手するとヤ○ザの一派に間違われてもおかしくないのでは?

 

ドンドン不安が増長し更に動けなくなっていたそんな時である。

 

?「あの、花咲川学園に何か?」

 

不意に声を掛けられ肩をびくつかせ声がした方に向くと水色の若干ウェーブがかった髪の女子高生が立っていた。

 

右腕には風紀委員と書かれた腕章を付けて・・・風紀委員!?

 

雄「あ・・・えと・・・その・・・」

 

分かりやすく動揺してもうた!!

 

これでは自分は不審者です!って言っているものじゃないか!?

 

?「見かけない顔ですね?それに制服も花咲川に似ているような・・・」

 

あれ?分析されてる?不審者扱いされてないのか?

ってことはワンチャン学校の案内とか頼めたり・・・

 

?「もしや最近、噂の不審者?」

 

あっ、詰んだ・・・どないしよう!?

 

?「その子は共学化のテスト生よ、氷川さん」

 

思わぬ助け船で助かったけど、どちら様で?

 

?「どちら様って顔ね。私は花咲川学園の理事長よ」

 

人の思考を読まんといてください。って理事長!?

これで勝つる!!

 

雄「そ、そうなんです!今日からこの学園でお世話になる神谷雄です!男子が1人しかいないとのことでちょっと尻込みしちゃって・・・」

 

?「そういうことですか。私は氷川紗夜、花咲川学園の2年生です」

 

理事長「軽い自己紹介も終わったところで神谷君はそのまま私と一緒に理事長室へお願いね。氷川さんも他の子に引き継ぎして一緒に来てもらえるかしら」

 

紗夜「分かりました。変に疑ってごめんなさい神谷君」

 

雄「いえ、こちらも対応が悪いところもありましたので気にしないでください。それに見た目もアレなんで・・・」

 

理事長「その辺りの事情も理事長室で聞きましょうか」

 

こうして、俺『神谷雄』は無事?に花咲川学園に入学出来たのであった。




文章の作成って中々難しいですね( ;´・ω・`)
投稿後も見直して、変と思ったらちょこちょこ修正していくと思いますのでご了承願います。


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第2話:そんな話聞いてないよ!?

校門前でのやり取りが無事(?)に済み、理事長室に案内された俺たち。

 

まだ、早い時間だったからか在校生、新入生共にそんないてなかったのが救いか?

 

理事長「どうぞ、入って頂戴」

 

雄「失礼します」

 

理事長「それでは改めまして入学おめでとう、神谷雄君。私は花咲川学園の理事長をしています天久香(あまひさかおり)です。神谷君のお父様から話は伺っていると思うのだけれど何か聞いてる?」

 

雄「おや・・・父からは花咲川と羽丘の理事長が父と知り合いだというのと両校共に共学化のテスト生を探していると聞いています」

 

何を聞いても答えてくれなかったし、これ以外の情報ってないんだよなぁ。

 

理事長「概ねその内容で間違いないわ。この辺りも少子高齢化が進んで今年からの共学化の案も出たんだけど、急に共学化というのも今の在校生や新入生も思うところがあると思ってね。そこで、共学化のテスト生を募集して3年間様子を見て判断するって方向になったの」

 

公子高齢化は今やどこでも聞くけどここまで及んでいるとはね。

でも、解せないな。テスト生の募集ならもっと早くにやっていただろうに、その情報すらないっていうのもおかしな話だよなぁ。

 

理事長「理解はしたけど、納得までは少し足りないって顔ね」

 

雄「そんなに顔に出てましたか?」

 

理事長「それはもう存分に。ねぇ、氷川さん?」

 

紗夜「そうですね。すごく分かりやすく顔に出てましたよ」

 

マジか~

 

皆、よく俺の言いたいこと当てるなぁとは思ってたけど、そんなに顔に出てたか。

 

理事長「神谷君の言いたいことも理解してるわ。正直、この案件は共学化する派閥としない派閥で分かれちゃって決まったのが1ヶ月半ほど前。時期が時期だけに入試を行うことは出来ないから入試に落ちた子を入れる案もあったのだけれど、素行不良な子ばかりで入学させるには不安材料しかなかったの。そこで白羽の矢が立ったのが先ぱ・・・あなたのお父様よ」

 

ん?今、先輩って言い掛けたよな?

 

雄「もしかして理事長ってうちの父と学生時代の知り合いだったりします?」

 

理事長「よく分かったわね。あなたのお父様は大学時代の先輩よ。ちなみに羽丘学園の理事長も同じね」

 

なるほど、それで変に弱味やらを握られとるんやな。

何したんやホンマに。

 

雄「ということは、共学化の方針は決まったはいいけど肝心のテスト生が見つからない。パッと思いつく心当たりが花咲川、羽丘共にあるところと考えた時に俺の父が出てきたと」

 

理事長「えぇ、その通りよ」

 

雄「じゃあ、仮に俺が意地でも行かないという時はどうしていたんです?」

 

理事長「その場合は最終手段、実力行使ね」

 

笑顔で答える理事長だが、目は笑っていない。

あまり下手に聞き出さない方が身のためとはこの事だろうか。

 

紗夜「ちなみに実力行使の場合はどうされたのですか?」

 

その事に下手に突っ込みたくない雄にとってまさかの伏兵である。

そこで理事長からとんでもない言葉を耳にする。

 

理事長「弦巻家に頼ろうと思っていたわ」

 

雄「ヒェっ!?」

 

世界中で弦巻家を知らない人間はほとんどいないだろう。

家具や家電は勿論、遊園地やデパート、リゾート地などあちこちに弦巻家が出資しており、TVのCMや広告塔で目にしないことは滅多にないほどである。

世界が誇る弦巻家が相手となると、俺がどう足掻こうがどうしようも出来ない。いや、出来る訳がない。

 

だが、理事長がなぜ弦巻家とコネがあるんだ?

いくら理事長の立場といえどそれでどうにかなるわけでもなし。

いや、親父との繋がりを考慮すると学生時代に何かあったという線も・・・

 

理事長「色々試行錯誤しているみたいだけど、弦巻家との繋がりは簡単。今年の一年生に弦巻家のご令嬢が入学するからよ」

 

はい?

 

弦巻家のご令嬢が入学?

 

今年の一年生の中に?

 

理事長「ちなみに弦巻家から花咲川学園に出資頂いていてそれも縁に繋がっているわ」

 

話が大きくなりすぎてついていけない(泣)

頭痛が痛いと言いたくなるのはこういうことか・・・

こういう時は素直に降参するのが吉だ。

 

雄「分かりました。入学の件については他に質問はありません」

 

理事長「話が早くて助かるわ。そろそろ入学式も始まるだろうし講堂に移動しましょうか」

 

体育館とは別に講堂があるとは流石女子校。元々行く予定だった阿茶局(あちらの)高校はそういうのなかったしな。

 

理事長「そうそう、新入生挨拶の一貫で神谷君からも軽く挨拶してもらうつもりだから」

 

はい?

 

紗夜「理事長。その話は生徒会側も知らされてないのですが」

 

生徒会側も知らないってことは理事長及び教師陣だけに連絡が行ってたのか!?

 

理事長「おかしいわね。生徒会長には連絡していたはずだけど?」

 

生徒会長さーん!!!何しとんねん!!?

 

理事長「まぁ、簡単な原稿はあるし大丈夫よ」

 

あ、原稿はあるのね。良かった、今から約5分以内に話す内容考えなきゃとか思っちまったわ。

 

紗夜「明らかに安心した顔をしてますね」

 

そこ、ツッコまないで!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんやしている間に講堂に到着し現在、舞台袖にて待機中。

今は校長のありがたいお話を横で聞いてるわけなんだが・・・

 

やっぱどこの学校でも校長のお話は長いですなぁ(遠い目)

 

もう1人で二十分近く喋ってるぞ。在校生はおろか新入生まで何人かうたた寝してるし・・・

いや、在校生はまだ分かるが新入生はもう少し頑張ろうぜ。

 

校長「話しすぎたかな。時間も推しているようだし次お願いしますね」

 

ようやく終わった~。

そんで次は何やったっけ?

 

理事長「続きまして新入生挨拶。新入生代表、市ヶ谷有咲さん」

 

新入生挨拶か〜。代表に選ばれるならすっごい人が来るのかと思われたが・・・

 

理事長「市ヶ谷さん?・・・市ヶ谷有咲さーん!」

 

まさかのブッチかい!

周りの先生方も呼ばれても出てこない市ヶ谷さんに大慌てで何人かが講堂から足早に探しに出て行った。

マジで何やってんだ・・・

 

理事長「仕方ありません。時間も限られているので次に進みます。続きまして本年度より共学化のテスト生で入学しました神谷雄君、壇上へお願いします」

 

市ヶ谷さんのおかげで予定が繰り越されて俺に回って来たじゃんか!

 

ちなみに何故取り乱しているかというと・・・

 

『アドリブで頑張ってね!☆』

 

期待させといてこれはいくらなんでもないやろうがよぉ!!

 

校長のありがたいお話の間に準備出来たんじゃねぇかって?あんなの聞いてたら頭が回る訳ねぇやん。

 

うだうだ考えても仕方ない為、原稿を小さく持ち壇上に上がる。

 

雄「皆さん初めまして。本日より花咲川学園のテスト生として入学しました神谷雄です。在校生、新入生の皆さんは2週間前まで女学院だったのが急に男子が入学すると聞いて驚いたかと思います。正直、僕も入学の一ヶ月前に聞かされて驚いています。お互いに不慣れな部分があり、トラブルがあると思いますが宜しくお願いします!」

 

パチパチパチ!

 

簡単な挨拶だが、これで終われると思っていたがそうは問屋が卸さなかった。

 

理事長「神谷君ありがとうございます。ちなみに神谷君は一ヶ月周期で羽丘学園にも通ってもらう予定なので宜しくね☆」

 

は?

 

俺だけでなく在校生、新入生共に同じ顔をしている。

 

というか、どういうこと?

 

理事長「あら、さっき渡した紙に記載してないかしら?」

 

さっきの紙ってこのクソ当てにならん原稿か?

言われた通り、よく読むと・・・

 

『アドリブで頑張ってね☆

 

 

 

 

 

追伸、羽丘学園にも一ヶ月周期で入れ替わりで通ってもらうから頑張ってね☆』

 

な・・・な・・・

 

雄「なんじゃこりゃぁぁぁ!!」

 

そんな話聞いてないよ!?



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第3話:世間は以外と狭い

雄「なんじゃこりゃぁぁぁ!!」

 

衝撃の内容に講堂中に俺の声が木霊していた。

 

内容は一ヶ月単位で花咲川と羽丘を行き来するという事だった。

 

雄「理事長!どういうことですかこれ!?」

 

理事長「どういうことってそのままの意味よ?」

 

あっけらかんと言い放つなや!

 

雄「行き来するって意味は分かりますよ!なんで2校通う事になってんすか!?」

 

理事長「羽丘学園も同じ理由でテスト生を探しているというのは話したわよね」

 

雄「先程聞きましたね」

 

理事長「だけど肝心のテスト生が君しかいない。だったら、2校で同条件で入学させればいいじゃないって話になったのよ」

 

いやいや!!普通はそうはならんでしょう!?

 

理事長「君の人となりについては君のお父さんからよく聞いているから私も羽丘学園の理事長もそれで承諾したのよ?それに学園の今後に関わる大事なことなの。あまり信頼が薄い子に入学してもらうよりかは在校生、新入生の子達も安心出来るでしょう?」

 

言っていることは理解出来る。だが・・・

 

いや、ここで押し問答するのも他の生徒に迷惑だ。

 

雄「・・・・・・・はぁ・・・分かりました」

 

理事長「理解が早くて助かるわ。羽丘学園の入学の日程などは各クラスのホームルーム後に話をするから終わったら理事長室までお願いね」

 

どこぞのクソ親父も一枚噛んでるんやろな。

 

雄「了解です」

 

理事長「それでは以上で神谷君の挨拶を終了とします。このあと、新入生はそれぞれのクラスに移動しホームルームを行ってください。在校生はそのまま授業に移ってください」

 

無事?に壇上挨拶も済んだし俺のクラスに行きますか。

 

あれ?そういや俺のクラスってどこだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始業式の一幕が終わり、ようやくホームルームに突入。

 

え?クラスはどうしたって?担任と思われる先生に拉致されました。理事長から引き渡される形で・・・理不尽だ。

 

さて、俺の席だが窓側から二番目、前から二番目か。

これ、後ろ見えへんのちゃうの?大丈夫?

 

立花「それでは、全員揃いましたのでホームルームを始めます。私が本年度1年A組の担任を務めます立花 由佳(たちばな ゆか)です!今年1年よろしくお願いします」

 

黒板にも分かる様に書いてくれたが若干右上がりなのが微妙に気になるな。

 

立花「それでは皆さんに自己紹介してもらいましょうか」

 

そして始まってしまった自己紹介タイム。

 

もう俺の分は別に良くね?

 

駄目?あっ、ハイ。

 

?「牛込りみです。・・えっと・・・よろしくお願いします・・」

 

黒髪ボブカットの牛込さん。見た感じから結構大人しめな感じの娘やね。

話してる感じからしても自己主張があまり得意じゃなそうやな。

 

そうこうしてると俺の番に回ってきた。

 

雄「始業式でも挨拶しました、テスト生の神谷雄です。趣味は料理とアニメ鑑賞、ゲームですね。左目は実家の仕事の手伝い中に切ってしまっただけなので見た目はアレですが勘違いしないでください。窓や硝子を取り扱ってますので、ご入用の方は俺・・・自分を通してもらったら実家に連絡して作業等のご検討をさせていただきます。よろしくお願いします」

 

パチパチパチ!

 

ひとまず見た目に関しての誤解は解けた!・・・はず・・・

まぁ、拍手もらったし行けるやろ!知らんけど。

 

一息つけたところで他の人の自己紹介を聞いていると何かこう・・・凄いのが来た。

 

香澄「皆さん初めまして!戸山香澄、15歳です!」

 

クラス中から小さい笑いが起きる。

今日が誕生日とかいう人以外は全員同じ歳やからな。

 

香澄「中学は別のところでしたが妹がこの学園の中学生で文化祭に来たときに楽しそうと感じて入学を決めました。私、小さい頃に星の鼓動を感じてドキドキしました。この学園でドキドキを見つけたい!キラキラ、ドキドキしたいと思っています!」

 

星の鼓動ってなんだ?天然とかではなさそうやけど、なんかこう・・・アクティブな娘というのは伝わったが他は分からん。

 

そんなこんなで自己紹介も済み今日はこれで終まいで帰りの準備をしていると・・・

 

沙綾「やっほー雄」

 

はぐみ「テスト生って雄君だったんだね!一緒の学園でびっくりしたよー!」

 

雄「おいっすー、沙綾、はぐみ」

 

商店街の山吹ベーカリーの看板娘、山吹沙綾と北沢精肉店の看板娘、北沢はぐみが声を掛けてきた。

 

普段から商店街に買い物へ行くことが多いゆえ知り合いだったりする。

 

雄「知り合いがおるとホッとするわー」

 

知り合いがおるかおらんかで大分変わるから正直助かる。知り合いがゼロとか考えると・・・考えるのやめよ。

 

沙綾「アハハ・・・入学式の大絶叫すごかったもんね~」

 

はぐみ「はぐみも!耳がすっごくキーンってなったよ!」

 

雄「そりゃ悪うござんした。ひとまずよろしくな」

 

2人「こちらこそ!」

 

雄「このあと2人はどないすんの?」

 

沙綾「私は帰って家の手伝いかなぁ」

 

はぐみ「はぐみもコロッケ作るの手伝う予定だよ」

 

雄「んじゃ、帰りにちょっと寄ってくな」

 

はぐみ「雄君このあと帰らないの?」

 

雄「いや、このあと理事長ともう一悶着ありそうなんよな」

 

沙綾「羽丘のことだね。つぐみが羽丘女学院に行ってるから助けてもらえると思うよ」

 

それはいい話を聞いた!というか、通う学校にそれぞれ知り合いがいるって案外世間は狭いんかもなぁ。



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第4話:久しぶりの再会は色々気まずい

ホームルーム後はぐみ達と別れた俺は理事長室に向かっていた。

 

入学式の壇上でホームルームが終わったら来いって理事長が言ってたしな。

 

しかし、羽丘女子学園へ行くことになるのも正直あまり納得しとらんけど入学式とかどないすんねやろな・・・っと理事長室に到着〜。

 

入室前に軽く3回ノックしようとすると。

 

ガチャッ

 

理事長「あら、思ってたより早かったわね」

 

向こうから開けてきましたとさ。なんで分かってん!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理事長「さて、長話もなんだし本題に入るわね」

 

雄「お願いします」

 

理事長「まず貴方の花咲川、羽丘の入学は決定事項。これが覆ることはないわ。そして羽丘側だけど、明日全体朝礼の場を設けてくれてその際に貴方を紹介するとのことよ。明日が貴方だけの入学式という事になるわ」

 

連日ですかい。正直かなりめんどくさいがこればっかりはどうしようもできんしな~

 

ん?明日って土曜日だよな?

 

雄「一応確認ですが、明日と明後日って休みでしたよね?」

 

理事長「ええ、そうね」

 

雄「羽丘も休みでは?」

 

理事長「貴方の為に明日は登校日にしているとのことよ」

 

わざわざそこまでするかいな!

 

ぶっちゃけ俺はあまり行きたくないんだが?

 

理事長「朝にも行ったけど逃げ出そうなんて考えないでね?弦巻家の黒服さんたちが道中見守ってくれているとのことらしいわ」

 

ヒェッ!

 

理事長「物分かりの良い貴方だから変な事はしないと思うけどよろしくね。他は大丈夫かしら?」

 

雄「うーん・・・あ、そういえば授業ってどうなるんです?羽丘って進学校だったはずですし、花咲川とスピードが違うとか教科書そのものが違うとか」

 

理事長「多少の前後があるのは仕方ないわ。だから習った内容をもう一度習う事もあるかもしれないわね。教科書に関しては同じ物を使用しているから基本問題ないハズよ。他は大丈夫そうかしら」

 

雄「確か1ヶ月単位で花咲川と羽丘をハシゴしないといけないんですよね?」

 

理事長「ハシゴって飲みに行くみたいね」

 

雄「そんな笑う事でもないでしょうに。で、長期休みに入った場合って月を跨ぐ事になりますけど、そこのところはどうするんです?」

 

理事長「休み明け初日は休み前に登校していた学園に行くことになるわ。これは課題提出の為と思って頂戴。その翌日からは予定通り通う学校を交代するという形ね」

 

雄「間違って登校した場合どうなります?」

 

理事長「休み明け前に事前にこちらから連絡する手筈になってるから安心して」

 

課題提出が一日しかないなら忘れないようにしないとな。

 

理事長「こんなところかしらね。他に何かある?」

 

雄「今のところは大丈夫ですかね。また何かあれば聞きに来ます」

 

理事長「それじゃこれからよろしくね。あ、男子トイレは今後増設予定だけどしばらくはないから職員用か来客用のトイレを使ってね」

 

雄「分かりました。それでは失礼しました」

 

気付けば30分近く話していたみたいで、入学式という日もあってかそこまで他の生徒は残っていなかった。

 

しかし、明日は羽丘女子学園か。花咲川では知り合いがいたし何とかなるが羽丘は・・・つぐみがいたな。

 

というか、つぐみがいる時点でAftergrowがいること確定じゃん。それに、小学校以来あまり会ってないけど幼馴染の友希那とリサも羽丘行ってたハズやし中等部になるが栞やあこもいることやし。

 

うん、何とかなるハズ・・・・・・・・・・だよな?

 

その後は特に何もなく過ごし疲れた身体と心を癒す為早目に寝た。

 

〜翌日〜

 

朝食を食べ終え羽丘の制服に着替え準備は整った。

 

女子と違い男子の制服は上着が違うくらいでズボンは両校共通らしい。夏になれば上はカッターだけになるからほぼ共通だし楽でええな。

 

雄「さて、行きますか」

 

昨日の今日のせいか女子校に足を運ぶのも幾分気分はマシになっている気がする。

 

通学用のリュックを背負い家を出ようとしたときだ。

 

『ピンポーン!』

 

朝からインターホンが鳴るとは珍しい。応対後にそのまま登校しようと思い靴を履き玄関を開けた。

 

リサ「ヤッホー☆」

 

友希那「おはよう」

 

パタン

 

おかしいなぁ。今幼馴染が玄関前にいたんだが?

 

そんじょそこらにあるラノベの主人公みたいな朝から幼馴染が迎えに来るなんて事ないハズなんだが?

 

『ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!』

 

雄「何しとんねん!?」

 

友希那「その言葉そのまま返すわ」

 

リサ「ホント酷いよね〜」

 

クールで銀髪ロングの方が湊友希那。見た目はギャル中身は母性の塊な茶髪ポニーテールが今井リサ。

 

二人共俺の幼馴染で家から徒歩数分の距離に住んでおり、二人の家族とも親交が深い。

 

雄「いやなんで二人がおんねん!?」

 

おかしい。羽丘に通う事はこの二人に言ってないのに。

 

友希那「貴方、今日は羽丘に来るって聞いてるわ。リサが雄も一緒に連れて行くって聞かなかったのよ」

 

リサ「私!?友希那だって雄と一緒に行けるって分かってからずっとソワソワしてたじゃん!」

 

友希那「っ!わ・・私は別に・・・!」

 

なんか痴話喧嘩を始めだしたんだが?というか人ん家の前で大声で喧嘩すんのやめてほしいんやけど・・・

 

皆は近所迷惑になるからやめような!

 

恵「朝からどうしたの?」

 

玄関前でワアギャアやってたら母さんが出てきた。

 

もしかして今回の件って母さんが?

 

リサ「恵さん、おはようございます」

 

友希那「おはようございます」

 

恵「おはよう、リサちゃん、友希那ちゃん」

 

雄「母さんどうしたん?」

 

恵「どうしたも何も玄関前で騒いでたら嫌でも気になるじゃない」

 

リサ・友希那「うっ、ごめんなさい・・」

 

雄「母さんもしかして二人に羽丘行くって話した?」

 

恵「あら、駄目だった?」

 

雄「駄目な事はないけど・・・」

 

一緒に通ってたのは共学だった小学校まで。中学からは二人とは別の学校に通ってたから一緒に行くのはちょっと気恥ずかしかったりする。というか何話せばええねん・・・。

 

恵「ここで突っ立ってたら遅刻するわよ。さっさと行ってらっしゃい!」

 

雄「ちょいちょいちょいちょい!!?」

 

恵「まごまごしてても何も変わらないわよ!二人共、雄のことよろしくね」

 

二人「分かりました!」

 

半ば強引に外に出され退路を絶たれた。

 

リサ「それじゃ行こっか☆」

 

友希那「早く行って終わらせましょう」

 

そう言いながら二人が両隣に付いてきた。というか、腕に抱きつかないでもろて!3年も会ってないと出てくる部分がしっかり出てきてそれが当たって気まずいやんけ!!

 

リサ「お?急に固まってどうしたの?」

 

雄「いや腕持たんでもええやん?」

 

友希那「こうしとかないと貴方逃げるでしょう?」

 

雄「んなことせえへんわ!」

 

友希那「どうだか」

 

リサ「ハイハイ!行くよ〜」

 

雄「だ~!引っ張んなって!!ちゃんと行くから〜!!!」



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第5話:入学、再び

朝から美少女の幼馴染と登校するというのは周囲の男子からしたら羨ましい限りだろう。今の俺はまさにその状況に置かれている。

 

普通なら喜ばしいところだが、小学校卒業以来会っていなかった俺にとってこの状況は非常によろしくない。

 

思っていた以上にリサと友希那の容姿が変わっていたのもあって正直どう対応するか戸惑っている。

 

男子三日会わざれば何とやらというが色々成長しすぎやねん。相手は男子ではないのだが・・・

 

リサ「いや~こうやって一緒に通学するのも久しぶりだね」

 

友希那「そうね」

 

雄「小学校以来やからな」

 

リサ「その喋り方は相変わらずかぁ~」

 

雄「なんやねん?」

 

リサ「いつになったら関西弁が抜けるのかなぁって」

 

雄「んなこと言われてもやなぁ」

 

リサ「いやいや、東京に住んでたら標準語になるでしょ普通。ね、友希那」

 

友希那「えぇ・・・そうね」

 

雄「あんまし興味なさそうやな」

 

友希那「今は他に集中したいことがあるから」

 

うん?友希那があまり社交的ではないのは知ってたけどここまで酷かったか?なんかやたら焦ってるような気が・・・

 

もしかして、親父達のバンド絡みか?ウチの親父は半分趣味みたいなモンやって割り切ってたけど友希那の親父さんはそうでもないやろな。

 

変に刺激すんのもよろしくないか。

 

リサ「うーん、ちょっと失敗だったかなぁ」

 

雄「友希那のことでか?」

 

リサ「それもあるけど、雄のこともかな」

 

雄「なんかしたっけ?」

 

リサ「数年ぶりの登校の割にあまり乗り気じゃなさそうだからさ」

 

この感じだと今の友希那と俺は対して変わりなさそうやな。流石にリサもやりづらいか・・・

 

雄「乗り気ではないというか・・何ていうんかな〜」

 

リサ「ん?」

 

雄「まぁ俺も思春期を迎えた男子でして〜周りの目が気になるというか~」

 

リサ「はは~ん。照れてるんだ〜」

 

雄「ッ!うるさいなぁ!」

 

図星を疲れて一気に顔が熱くなってきやがった!リサにこれ以上気を使わせたくなかったとはいえ!

 

友希那「雄でも照れるのね」フッ

 

雄「友希那ぁ!今鼻で笑いやがったなぁ!?」

 

友希那「そんな顔で怒っても何も怖くないわよ」

 

雄「ヌギギ・・・!!」

 

リサ「アハハ!昔の感じに戻ったね!」

 

小学校の時もこんな感じで二人から弄られながら登校したっけな。何回かマジ泣きしたことあったけど。

 

友希那「そういえば雄、眼帯なんてしてたかしら?」

 

リサ「もしかして遅咲きの厨二病ってヤツ?」

 

雄「厨二病言うな!これは仕事の手伝い中に頭から硝子を被った時に切ったんや」

 

友希那「はあ!?」

 

リサ「大丈夫なの!?」

 

雄「幸い皮を切っただけやから見えへんわけやないよ。見た目が悪いから隠してるだけや」

 

リサ「正直あんまり変わらない気がするけど」

 

友希那「寧ろ逆効果な気がするわね」

 

雄「そうか。んじゃ取ってみたらどない?」

 

眼帯を外してみて二人の反応を見ると見た瞬間に顔が引きついた。

 

友希那「こ・・・これは・・・」

 

リサ「う、うん。眼帯してた方がマシ・・・かな?」

 

結論。眼帯してもしなくても対して変わらんかった・・・泣きたい。

 

そんなこんなしてるうちに羽丘女子学園に到着した途端、周囲がざわつき始めた。女子校の中に男・・・それも大柄で眼帯した目つきが鋭いのが来たら当然だろう。

 

雄「分かってたけど帰りてえ」

 

そう言いながら踵を返そうとするがまたもや両脇から横槍が。

 

リサ「行かせないよ(ニッコリ)」

 

友希那「逃がさないわ(ニッコリ)」

 

雄「嫌だぁ!離せぇ!いくら知り合いがおるいうてもこの空気は無理やって!」

 

リサ「ここまで来たんだから観念しなよ!」

 

友希那「往生際が悪いわね!」

 

雄「裏切り者ぉぉぉぉ!!」

 

周囲の目を気にせず校門前で騒いでいたのもあり警備員がすかさず飛んできた。

 

警備員「ちょっと君たち!何を騒いでいるんだ!それにそこの男の・・子?ここ女子校だよ!」

 

騒いですいません警備員さん!見た目はアレかもですがれっきとした高校一年生なんです!ちゃんとした男の子なんですぅ!

 

?「朝からうるさいと思ったら香の言った通りね」

 

花咲川と同じようにまたもや助け船が・・・この人たち絶対分かっててやってるよな?

 

?「警備員さん。その子は今日から羽丘女子学園に通う生徒ですので大丈夫ですよ。見た目はアレですが」

 

うぐふぅ!!

 

自分で言うとそこまでだが他人に言われるとダメージが・・・。

 

?「おはようございます。私が羽丘女子学園の理事長、橘樹(たちばないつき)です」

 

雄「お、おはようございます・・・」

 

二人「おはようございます」

 

樹「他の生徒には昨日の入学式で貴方の事は話しておいたのだけれど、思ってた以上に騒がしくなっちゃったわね」

 

そりゃそうやと思います。だって新入生で男が来るってなっていざ来てみたらこの人相ですよ?そりゃ騒ぎもしますって。

 

樹「本当に分かりやすい子ね。顔に全部出ているわ」

 

言わんといて下さい。一応気にしてるんですから。

 

樹「フフッ。それじゃ全体朝礼前に神谷君は理事長室に行きましょうか。他の子たちはちゃんと自分のクラスにね」

 

リサ「分かりました」

 

友希那「雄、逃げちゃだめよ」

 

雄「この状態やったらもう無理やろ・・・」

 

〜理事長室〜

 

花咲川とは違い理事長と二人きりでの面談。なんかお偉いさんとタイマンやと少し緊張するんやけど。

 

樹「さて、貴方の編入についてだけど花咲川で聞いたと思うわ」

 

雄「ええ。少子高齢化が進んで共学化の案が出たけど下手に素知らぬ男子を入れるなら知り合いの男子を編入しちゃえが今回の内容ですよね」

 

樹「言い方は悪いけどその通りよ。実際のところ両校共にそこまで深刻な状況ではないけど、少しずつ影響が出始めているのも事実よ。ここ十年程のデータを洗い出してみたけどこのまま行くと5、6年後には共学化が必要になる可能性があるのよ」

 

そこまでか。花咲川ではそんな話聞いてないぞ?

 

樹「今ので大事な事は伝えたわ。他に聞きたい事は?」

 

雄「花咲川で聞きたい事は聞けましたので大丈・・・あ、そういえばトイレとか体育の時の着替えってどうしたらいいんですか?」

 

樹「トイレは増設予定だからその間は職員用か来客用のを使うしかないわね。着替えはどこか空き教室があるハズだからそこを使って」

 

要は自分で探せって事か。下手に鉢合わん事を祈るしかねぇな。

 

樹「それじゃあ全体朝礼も控えているしそろそろ移動しましょうか」

 

雄「分かりました」

 

樹「あ、それと・・・」

 

雄「?」

 

樹「眼帯はしときなさい。してないよりはまだマシだと思うわ」

 

雄「今言う必要ないでしょ!?」

 

〜講堂〜

 

ところ変わって講堂にやってきました。

 

何で女子校ってこんな講堂が多いんかね?体育館じゃあかんのか?

 

それも花咲川の講堂よりも上等な物を使ってそうだ。色合いとかが違うからそう見えるだけかもしれんが。

 

そして始まる全体朝礼だが、ここでも校長の話が長い!!始まって5分もしないうちに何人か寝始めとるぞ!?

 

1年生は必死に耐えてるが2、3年生組は約半分は寝てるしぞ!?はよ気付いてくれ校長!!

 

校長「おや?寝不足の方が多いみたいですね。今日はこの辺りで終わりましょうか」

 

なんでいい方向に勘違いしとんねん!

 

『続きまして理事長の挨拶になります』

 

樹「はい、皆さん起きてください!昨日の入学式でも伝えましたが羽丘女子学園にも共学化の為のテスト生が入学しました。今朝、校門前で見かけた人もいると思います。それでは神谷君、お願いします」

 

こっちに段取りとかなんも連絡なしはやめてくだせぇ!心の準備がまともに出来てないんだが!?

 

・・・ひとまず呼ばれたし出るしかないわな。

 

雄「皆さんおはようございます。理事長よりご紹介に預かりました神谷雄です。見た目はこんなですが新一年生と同い年なんで勘違いしないで下さい。花咲川女子学園の共学化テスト生を並行していますので月単位でいたりいなかったりします。宜しくお願いします」

 

『・・・・・・・・』

 

無難すぎたか?全くの無反応も困るんやけど・・・

 

『パチバチパチ!』

 

樹「神谷君からも話がありましたが、花咲川女子学園の共学化テスト生も並行しています。いない時期も明記しておきますので間違って欠席連絡が起こらないよう注意をお願いします。以上で全体朝礼を終わりますが他に連絡事項ある方はいらっしゃいますか?・・・いなさそうですね。それではこれで終ります」

 

以外とすんなり終わったな。ってそういえばまたクラスがどこか聞くの忘れた!!

 

〜全体朝礼終了後〜

 

クラスが分からんまま彷徨うかと思いきやA組の担任に保護(ほぼ拉致)されました。

 

ちなみに担任の名前は中川優佳というらしい。クラスに到着するまでに軽く挨拶しておいた。

 

優佳「それでは今日から一緒の組になりました神谷君です。それじゃあ神谷君、挨拶どうぞ!」

 

雄「共学化テスト生の神谷雄です。全学年中一人の異性なので色々とご不便お掛けしますが宜しくお願いします」

 

『パチバチ!』

 

優佳「それじゃあ神谷君の席ですが窓側の1番後ろですね」

 

雄「分かりました」

 

タッパがあるからいっちゃん前とか言われたら後ろの人たちに迷惑掛かるからめっちゃ助かった。

 

優佳「神谷君については朝礼でも言われていた通り、次に合うことになるのは5月からになります。来週からは普通に授業があるので忘れ物がないようにしてくださいね。それじゃあHRを終ります」

 

つつがなくHRも終わったことだしこの後どうしましょうかね。



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第6話:夕焼け組と学園探索

HRも終わりどうしようか迷っていた矢先、同じクラスだった蘭から声をかけられた。

 

蘭「雄」

 

雄「うぃっす。そういやおんなじクラスやってんな」

 

蘭「そういやって酷くない?」

 

雄「クラス表とか見てなかったし、挨拶の時にチラッと見えただけやったからな」

 

蘭「ふーん。・・・まぁ、皆とは違うクラスだけど雄がいてちょっと・・・」

 

雄「・・・?ちょっと?」

 

急に押し黙ってどないしたんや。

 

蘭「・・・っ!っ!」

 

雄「ちょっ!?痛いがな!?」

 

若干顔を赤らめながらバシバシ叩いてきよる。スナップが効いてるせいか滅茶苦茶痛い。

 

モカ「おーおー、お熱いですなぁ」

 

のんびり口調でやってきたのは蘭の幼馴染のモカだった。

 

雄「どこをどう見たらそんな風に見えるんや」

 

蘭「変な事言わないでよモカ」

 

いつの間にやら蘭は素に戻ってるし。というか気付けば他のAfterglowメンバーが来てる。

 

ひまり「今日から一緒の学校だね雄」

 

雄「定期的にしか来れんけどな〜」

 

巴「入学式で男子が来るって聞いたときは驚いたよな」

 

雄「俺も驚いた。でも、通う学校に知り合いがおるんやったら気持ちが楽になるわ」

 

リサや友希那もいてるが幼馴染とはいえ上級生。色々聞きに行くにしても少し躊躇うところである。

 

つぐみ「雄君はこの後どうするの?」

 

雄「帰ろうかと思ったけど、次来た時に迷うのは恥ずかしいから校内を軽く見てから帰ろうかな」

 

ひまり「だったらあたし達が案内してあげるよ」

 

雄「いやいや、昨日入学したばっかの人間が案内って・・・」

 

モカ「ふっふっふっ、雄君はお忘れかな?羽丘のシステムを」

 

雄「はあ?羽丘のシステムって何のk・・・」

 

と言葉が出かけた所でモカの言う羽丘のシステムの事を思い出す。

 

羽丘女子学園は中高一貫校。つまり、中学→高校にはエスカレーター式。中学校の校舎の隣に高校の校舎があるわけで中学からのエスカレーター組は構造を理解している。

 

雄「そんじゃお願いしようかな」

 

モカ「ご新規様1名ご案内〜」

 

ひまり「それじゃ行こっか!」

 

雄「すまんけど頼むわ」

 

ひまり「任せて!それじゃあ雄の案内頑張るぞ!えいえいおー!」

 

4人「・・・」

 

雄「お・・・おー?」

 

ひまり「なんで雄だけなの〜!?」

 

モカ「ひーちゃん、お約束ですなぁ」

 

ひまりはやっぱりイジられキャラなんやなぁ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまりの嘆きを後にしてAfterglowのメンバーと校内を案内してもらう事に。と言っても一発目にどこに行くか決めてなかった為のんびり廊下を歩いてるだけやが。

 

 

ひまり「まずはどこに行こっか?」

 

つぐみ「うーん、職員室とか?」

 

雄「そこは理事長に案内されたから大丈夫やな」

 

巴「じゃあ、食堂だな!」

 

モカ「おー、流石トモちん」

 

蘭「今行く必要あるの?」

 

モカ・巴「お腹空いた」

 

つぐみ「えぇ・・・」

 

ひまり「私もちょっと空いたかも」

 

雄「この前、スイーツの食べ過ぎで嘆いてなかっ・・ひまり「フンッ!!」っうぉ!?」

 

危ねえ!身体鍛えとったから避けれたけどエグいフックかましてきよった!

 

ひまり「要らないことは言わないようにね☆雄?」

 

顔は笑ってるが目が笑ってない。これが男子と女子の格差か(違う)

 

雄「はいよ。んで、どないすんの?」

 

巴「決まってるだろ?」

 

モカ「食堂にご案内〜」

 

‐食堂‐

 

巴とモカの要望で食堂を目指してきたが、休日のせいか食堂内は閑散としていた。

 

雄「食堂やってなさそうやな」

 

ひまり「おかしいなぁ。部活とかで土曜日に来たときはやってたハズだけど」

 

巴「アタシもそうだと思ったんだけどな」

 

雄「俺に合わせての入学式やから休みにしとった可能性高いんちゃう?」

 

ひまり「残念。・・・次どうしようか?」

 

つぐみ「理科室とか家庭科室なんかはどうかな?」

 

雄「移動教室に使うところは助かるな」

 

蘭「決まりだね」

 

軽く食堂内を見終わったところで次の場所に移動することに。

 

家庭科室、理科室、グラウンド、体育館、生徒会室・・・etc

 

色々見て回り最後にAfterglowの大事な場所へ。

 

雄「おぉ~、屋上なんて新鮮やな」

 

蘭「私達のバンドとして活動することになった最初の場所だからね」

 

Aftergglowは訳すと夕焼け。彼女達のバンド名が決まったのは中学校の屋上で夕焼けを見ていた時に決まったらしい。

 

『くぅ~・・・』

 

青空や街並みを見ながら暫く無言の時間が続いていたが誰かの空腹音によって破られた。

 

モカ「モカちゃんお腹空いた〜」

 

つぐみ「実は私も・・・///」

 

雄「そろそろ昼時か。どっか寄るか?」

 

巴「つぐの店はどうだ?」

 

蘭「うん、いいんじゃない?」

 

つぐみ「空いてるかちょっと確認してみるね」

 

羽沢珈琲店もちょうどランチタイムに突入した頃合い。店内状況を確認しにつぐみが電話し始める。

 

ひまり「どうせなら雄がつぐのお店で何か作ってよ!」

 

なんかまた面倒くさいこと言い始めよったぞ、この我儘メロン。

 

雄「なんで?」

 

ひまり「雄の手料理なんて暫く食べてないし、めちゃくちゃ美味しいじゃん」

 

確かに振る舞ったのは数ヶ月ぐらい前だがそもそもつぐみの家で料理出来るかなんて・・・

 

つぐみ「お店空いてるって!」

 

モカ「ちなみに雄がご飯作ってくれるそうでーす」

 

雄「ちょい待たんかい!?」

 

何勝手に返事しとんねん!!

 

つぐみ「ちょっと待ってね。お父さん、雄君が厨房に入っても大丈夫?・・・うん、分かった」

 

つぐみも何勝手に相談しとんねん!せめて本人に確認ぐらいせぇよ!そんな子に育てた覚えあらへんよ!?

 

つぐみ「えっとね、席は空いてるけど忙しいから手伝ってくれるなら良いよだって」

 

ひまり「それじゃ手伝い確定だね!」

 

雄「なんでやねん!?飯食いに行くだけでええやん!」

 

ひまり「えー!!いーじゃん!いーじゃん!」

 

巴・モカ「そうだそうだ!」

 

つぐみ「なんかごめんね・・・」

 

蘭「ご飯作るの嫌・・・?」

 

雄「う・・・」

 

申し訳なさそうな顔して謝ってきたし、完全にこっちが悪もんやんけ・・・。

 

雄「はぁ~・・・。分かった、作ったるよ!その代わりメニューは羽沢珈琲店のものでな」

 

巴「よっしゃ!」

 

モカ「流石雄君ですなぁ」

 

つぐみ「ありがとう!雄君!」

 

蘭「昼ご飯楽しみだね」

 

ひまり「えー!?なんでー!雄のオリジナルが食べたい〜!」

 

雄「んじゃ、ひまりの分だけなs・・ひまり「ごめんなさい!ごめんなさい!お店のメニューで大丈夫ですー!!」・・・最初から素直に言うとけや」

 

流れで昼飯作ることになってもうた。あ、親父達の飯どないしよ?



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