君を想う三つの音 (シグザール)
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前日談
前日談  奏


どうも、シグザールです。



今回は奏の前日談となります。
久しぶりに書いたので間違いがあると思いますが、あったら優しく教えてください。
では、どうぞ!


出会ったのは、小学校の頃。

少し学校に残って帰りが遅くなったある日。

帰り道にある公園で、真木が歌ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

歌ってる声が、なんだか楽しそうで。

でも、楽しそうって思う中で聞いている側が悲しそうを感じてた。

 

 

 

 

 

 

 

聞き入ってる時に、私もいつのまにか、一緒に歌ってた。

少しでも、楽しく思ってもらえるように。

歌ってたら、気づかれて。

こう言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一緒に、歌わないか?」って。

 

 

 

 

 

 

 

一人でいる事が多かったわたしに、先生以外で話しかけてくれた。

第一印象は......なんというか。

消えてしまいそうだった。

目を離したら、消えてしまいそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

少し戸惑った後、改めて、歌った。

今度はいつのまにか、じゃなくて一緒に。

息がぴったりだった。

初めて出会って、初めて歌ったのに。

ずっと前から知ってたような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、びっくりする事があった。

小学校が一緒で、しかも同じクラスだった。

学校に行ってまた出会って、お互いに声が出たのはいい思い出。

 

 

 

 

 

 

 

 

公園で知り合った時の第一印象も、三回ぐらい一緒に過ごしたら変わった。

自分より、誰かを優先してた。

例えば、ボールを貸して欲しいと言われたら、自分が遊びたいはずなのに貸してたり。

給食の時間でこれが欲しい、って言われたら遠慮なくあげてた。

不思議だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不思議に思って、一度聞いてみた事がある。

返ってきた答えは「自分よりも、誰かだから」って。

今思えば、その頃から真木のお父さんがそう言ってたのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も何度も過ごしているうちに、わたしと真木でお泊まり会をする事になった。

一回目は、真木の家にお泊まりに行った。

真木曰く「盛大にいじられた」らしい。

休みだったから、いろんな事をした。

初めてゲームをしたり、外に行って日向ぼっこしたり。

眩しいのは苦手だけど、真木といればなんだってできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

奏「....ちょっと眩しいけど。いい天気。」

 

 

真木「そうだなー。」

 

 

奏「.....もうちょっと、近くに行ってもいい?」

 

 

真木「いいよ。おいで。」

 

 

奏「......ん。」

 

 

真木「.....ちょっとしたら起こしてやるから。寝ていいぞ。」

 

 

奏「........おやすみ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、その日からちょっとずつお泊まり会があるようになった。

夏休みとか、冬休みとか。

それで、そのたびに日向ぼっこをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、真木を好きになった事も。

初めて知ったのは、クラスの女の子が真木と話していた。

女の子はなんだが顔が赤くなってて。

そんなの見てると、胸がギュ、って締め付けられた。

それで、真木の手を引っ張って教室に連れてきてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

真木は謝らなくていい、って言ったけど。

何回も謝った。

その日は、もやもやしたまま家に帰った。

 

 

 

 

 

 

それをお父さんに相談したら「それは好きって事なんじゃないかな?」って。

お父さんの携帯を借りて、調べた、

好きって事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、何故かずっと顔を合わせられなくて。

体育の授業も集中出来なくて、盛大に転んでしまった。

大きな擦り傷が出来て急いで真木に保健室に運ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

おぶられてる時の真木の背中はあったかくて。

ずっとそこに居たくなるような。

そんな感覚がした。

 

 

 

 

 

 

保健室に運ばれて、真木が横にいてくれた。

不思議と、すごく安心した。

それで、今日初めて顔を合わせられた。

 

 

 

 

 

 

心臓がすごい勢いで鳴っている事以外は、普通だった。

自分でもよく分からなくなって。

そんな時真木がこう言った。

「俺はここにいるから、安心しろ」って。

 

 

 

 

 

その時、初めて知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

______これが、好きで、恋って事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が流れて、小学校が終わった。

中学校は分かれちゃったけど、今まで通り、一緒に入れると思った。

 

 

 

 

 

 

 

そんなある日。

中学校が始まって数週間ぐらいだった日。

真木のお父さんとお母さんが亡くなったのを聞いた。

それを聞いて、わたしは学校を早退して真木の家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

家の鍵は開いていて、急いで中に入った。

リビングに行くと、真木がうずくまっていた。

うずくまって、何かを言ってる。

鞄を投げ捨てて、真木の横に座る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の、せいだ。俺の......せいだ。おれの......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そううわ言のように言う真木を、わたしは抱きしめた。

落ち着かせるために。

.......真木のせいじゃない、と伝えるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

そう、思い出したきっかけは。

久しぶりに、一緒に寝る事になったから。

寝る前に、思い出話をしたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「.......懐かしいな。」

 

 

奏「そう、だね。」

 

 

真木「ありがとうな。.....こんな時ぐらいしかあんまり言えないけど。」

 

 

奏「.....どういしたしまして、かな?」

 

 

 

 

 

 

 

少しの間、二人で笑い合った。

真木って、普段あんまり表情動かないんだけど、笑う時とかはなんて言うんだろうか。

柔らかくなる、って言ったらいいのかな。

ふにゃ、って笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「そういやさ。なんで俺と一緒に寝るんだ?」

 

 

奏「え?」

 

 

真木「いやまあ、小さい頃は分かるけど。一緒に寝るんだったら瑞希とかいるのにって思ってさ。」

 

 

奏「.........鈍感。」

 

 

真木「はい?」

 

 

奏「......なんでもない。」

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

いつになったら気づいてくれるんだろう。

鈍感すぎる。

それぐらい、自分の事にあんまり興味を持ってないんだ。

......ずっと一緒にいる幼馴染の気持ちに気づかないぐらいには。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奏?なんか怒ってる?え、ちょ、なんか喋ってくれよ、なんか気まずいだろ。」

 

 

「知らない。」

 

 

「なんでさ........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつか、伝えられたらいいな。

気づいてもらうんじゃなくて。

自分で。

 

 

 

 

 

 

 

おしまい。



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前日談 まふゆ

どうも、シグザールです。


クリスマス、ありましたね。
.....大晦日、ですね。
.....年、明けましたね。



.......更新サボって、ごめんなさい。



いや理由はあるんですよ。
なんでサボったのかの理由。
.....進撃の巨人2とペルソナ5(Switch)やってました。
あと特番見たりとか。



ほんっとうにごめんなさい!!!


今でも、はっきりと思い出せる。

あの日、君にもらった物。

 

 

 

 

 

 

 

最近、真木といる事が多くなった。

部屋だけじゃなくて、色んなところに行くようになった。

海や、遊園地や、とにかく色んなところに。

 

 

 

 

 

 

行っているうちに、ある事を思い返した。

初めて、お母さんに隠れて遊びに行った事。

 

 

 

 

 

 

多分、その時から始まったんだ。

私がお母さんにいい子にじゃない、もっと私の事を聞いてと伝える出来事の始まりの始まり。

 

 

 

 

 

 

今から思い返すのは、幼い頃の私と真木との記憶。

真木がくれた想いの始まり。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

真木「まふゆ。」

 

 

まふゆ「あ、真木。」

 

 

真木「今日は何して遊ぼうか?」

 

 

まふゆ「今日は.....日向ぼっこしてみたい。」

 

 

真木「おっけ。じゃあ.....どこか高い公園探そう。」

 

 

まふゆ「あ、お母さんに連絡しなきゃ......」

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、私は子供携帯をポケットから取り出そうとする。

真木と遊んでいる時、どこかに行こうとなった時、いつもお母さんに連絡を入れている。

お母さんからの約束だから。

......というより、連絡を入れないと怒られるから。

悪い子だって。

 

 

 

 

 

 

 

でも、取り出す手を真木が止めた。

「なんで」と思ってると、私の想像を超える事を言ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「連絡なんてしなくていいだろ?」

 

 

まふゆ「え、でも.....」

 

 

真木「たまには秘密の探検、って事で!」

 

 

まふゆ「......子供っぽい。」

 

 

真木「いやいや、俺たちまだ子供だろ?」

 

 

まふゆ「上級生なのに?」

 

 

真木「いいんだよ、先生は見本とかって言ってるけど。」

 

 

まふゆ「.......はぁ。」

 

 

真木「ため息を吐かないでくれよ.....ほらっ、行くぞ!」

 

 

まふゆ「え、ちょっと、急に!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手を引っ張られて、走り出す。

......強引だなぁ。

でも、それが嬉しい私がいた。

いや、ずっと嬉しい。

 

 

 

 

 

小さな手。

私と同じぐらいの大きさ。

なのに、少しだけ固くて。

あったかい。

私が真冬なら、真木は真春だ。

寒い雪を、春の優しい暖かさで溶かしてくれる。

言葉がおかしいかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉がおかしくても。

そう思ったのは間違いじゃなかった。

 

 

 

 

 

ーーーーー 

 

 

 

手を引っ張られてやってきたのは、真木が探検している時に見つけたと言う花畑。

いろんな花が咲いていて、目をキラキラさせてたのは、今でも覚えている。

白い花や、聞いた事も見た事もない見た事のない黒いバラ、桜色の花。

育っている順番はバラバラで不規則なのに、風が吹いたら

日向ぼっこをするって2目的を忘れて、2人でいろんな花を見て。

少ししてから思い出してくすくすと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

花がないところを探して、2人並んで寝そべった。

最初は太陽が眩しいと感じた。

でも次第に慣れてきて、太陽からの光のシャワーを浴びる。

 

 

 

 

 

 

真木「あ''ーー、あったかいなぁ、きもちいいなー....」

 

 

まふゆ「そうだねー.....」

 

 

真木「お、そうだまふゆ。はい、これ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木が背負っていた鞄から何かを取り出す。

虹みたいにいろんな色の花が繋がっている冠。

花の種類は違うのにバランスは綺麗になっている。

小さな花が後ろにあって、大きな花は前に飾られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「前からこっそり作っててさ。なるべく、綺麗にしてみたんだけど.....受け取ってもらえる?」

 

 

まふゆ「うん.....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木が笑顔になる。

それに釣られて私も。

心なしか、花冠も笑顔のように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「真木、被せて?」

 

 

真木「いいよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

真木が花冠を被せてくれた。

少し、枝が頭にチクチクする。

でも、それを忘れるぐらいに嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

真木「似合ってる。」

 

 

 

 

 

 

 

そう言われた時。

私は頬が赤くなって熱くなったのを感じた。

熱を引いたのかな、と思った。

でも、思い返した今なら分かる。

あれは熱を引いたんじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

好きだ、って思い始めたんだと思う。

その時はよく分からなくて、瑞希にこの思い出を話したら、初めて分かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

時が流れて、今。

私はあの時の花冠を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

今は枯れてしまった花の冠。

それでも、色付いていた色は思い出せる。

枯れていくをの見て、どうにか延命しようとしたのも思い出。

 

 

 

 

 

もう一度、あの花畑に行けるだろうか。

そして、まだ咲いているのだろうか。

咲いていなくても、行ってみたい。

今度は、私が作ろう。

 

 

 

 

 

 

真木に合う、花冠を。

そして、伝えよう。

 

 

 

 

 

 

 

真木に恋をしています。って。

花冠に花をたくさんつけて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい。

 

 

 



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前日談  絵名

どうも、シグザールです。




あのーひーかわーしたーやーくそくはー
.......1ヶ月以上の放置してました。
それで出来上がったのが後半ほぼギャグ.......




放置の間、してた事は......
ゴーバスターズ一気見。
ルーンファクトリー4でしんこんモード。
原神で周回.........





俺は......恥知らずな男なのかもしれん......


別れる時、私は思った。

「またね、じゃない。絶対に会うんだ」って。

 

 

 

 

 

 

ある幼少期。

どれくらいの歳だったかは忘れたけど、小学校にいた時の事。

家族で美術館に行かないかと言われた。

 

 

 

 

 

わたしは大喜び、彰人は興味がなく、かといって好きな漫画とかの美術館ではないからこの世の終わりみたいな顔をして。

そのまま流れるままに美術館に行った。

お母さんとお父さんがお金を払っている間、先にみていいと言われたので、彰人の手を引っ張って見にいった。

  

 

 

 

どれもこれも、綺麗な作品ばかりだった。

ひまわりの絵とか、人間の絵とか。

中でも一番残っているのは.....

タイトルは忘れちゃったけど。

奥の奥にあったと思う。

 

 

 

 

 

黒ばっかりで、模様として描かれている線が歪みに歪み。

まるで夢の世界というか、人の暗い部分を表しているみたいだった。

ただ何もなく、人の黒い部分しか表していないような。

 

 

 

 

 

 

その世界の中に。光があった。

中心に、綺麗な光があった。

 

 

 

 

 

 

絵を見つめていると、横から声が聞こえてきた。

耳を澄ませたら、楽しそうな声が聞こえてきて。

横に向くと、無邪気に笑いながら家族といる男の子の声。

 

 

 

 

 

今思えば、あの笑顔に一目惚れだったんだと思う。

気になって、はなしかけにいっ話しかけにいったんだ。

彰人はものすごい呆れ顔だったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

絵が好きなの?と男の子に聞いたら男の子は「うん、好き!」って。

話せる相手が見つかって、嬉しくて。

話が広がっていって、リュックに入れていたスケッチノートと色鉛筆を取り出して。

一緒に絵を描いたんだ。

その様子を見て家族の人は微笑んでいた。

.......多分、あの微笑みは、本当だったと思う。

本当に微笑ましいと思ってたから。

 

 

 

 

 

 

 

絵を描いている時、ふと聞いてみた。

「いつか、お父さんみたいなすごい絵を描いて見たい、でもできるか不安。」って。

そしたら、男の子がこう言ったんだ。

それは今でも覚えてる、原動力の一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢を叶えるためには、自分の意志が大事。自分の意志を持って歩いて行ったら、絶対に辿り着く事ができるから。そして、最後の最後まで諦めない事。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時はあんまりよく分からなかった。

だって、意志って何って思ってたから。

でも、今なら分かる。

あいつにやめておけと言われて、受験失敗して。

それでも、それでも。

諦めない事。

綺麗事だって、言われるかもしれない。

諦めずに頑張ればなんて。

みんな言い続けてるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのに。

その子が言っていた言葉は無条件で信じれた。

自分でもよく分からないけれど。

信じれた。

理由なんてないのに。

この子と一緒に________。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

絵名「あーきーとー。」

 

 

彰人「朝からなんだよ?」

 

 

絵名「どうやったら真木に好きって言えるの?」

 

 

彰人「前にも言った気がするけどな。さっさと素直になればいいだろ。後は照れ隠しで拳を出さないとかさ。」

 

 

絵名「.......ちっ。」

 

 

彰人「うわこいつ、正論ぶつけたら舌打ちしたよ。ほんとやだ。じゃあラブレターは?」

 

 

絵名「なるほど......その発想はなかったわ。」

 

 

彰人「おまっ、え?マジで......?」

 

 

絵名「そうと決まれば......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後.........

 

 

 

 

 

 

 

絵名「かけたぁ!」

 

 

彰人「おめでとさん。」

 

 

絵名「届けに行ってくる!!」

 

 

彰人「......なんか流れ読めたんだが。」

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後......

 

 

 

 

 

 

 

絵名「また殴っちゃった.......手紙渡せたけど。」

 

 

彰人「(少しは成長してる.....のか?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第一部
プロローグ 自分の中にある、真っ直ぐな木


どうも、シグザールです。 


さて、唐突な新シリーズ、開幕です。
開幕となった理由は、リアルの友達、以前挿絵を描いてくれた友達から直々のリクエストを受けまして。
めちゃくちゃ更新中のシリーズが多いですが、この新シリーズを含めて絶対に完結させます。
なので、ゆっくりと見届けてくれると嬉しいです。


さて、キャラ紹介は下に書いておくとして。
それと、このシリーズの後書きは次回予告のみになります。
さぁ、本編、これより開始です!


重音 真木(かさねおと しんぎ)

【挿絵表示】

 

シリーズの主人公で、神山高校2ーB所属。一人称は「俺」。

ニーゴではなんでもお手伝いをこなす「最終兵器」担当。

性格は一言で表すなら「お人好し」。

どんなに自分が犠牲になっても誰かを救おうとする。

例えそれが誰かにバカにされたりしても、自分にどれだけの傷がついてでも。

それに加えて元々の性格で友達付き合いもいい。

そんな性格になったのは、父親に「誰かを救えなきゃ、自分も救えない」と強く教えられたから。

そして、母親から「Don't ask, if you win, it won't be given(ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん)」と強く言われていた。

何度も意味を聞いても「あなたが見つけることよ」と言われてはぐらかされてきた。

そんな両親も、交通事故でいなくなってしまった。

両親の教え、元々の「他人に優しく、自分には何もなし」の性格もあってか、自分の事にはかなり無関心。

したい事もなく、続けている事もない。

もしも、自分自身を救おうとするなら、まずしたい事を見つける必要がある。

 

 

 

 

 

容姿は見事なまでのまっくろくろすけで、髪型は普通のショート....と本人が言い張っている割には左目が隠れている。

前髪の部分だけ赤色の髪が垂れていて、これは父親からの遺伝。

目の色はこれまた見事な綺麗に分かれているオッドアイ。

左目が赤色、右目が黒色。

 

 

 

 

 

小さな頃からニーゴのメンバーの関わってきていて、奏以外は本人は忘れているが、誰も真木の普段の行動や言動によってヤンデレ化。

ただ瑞希だけは親友のような関係。

理由は愛や恋より友情が先に芽生えたため。

なのでこのシリーズで数少ない常識人。あとプラスαで彰人。

いつも監禁やら束縛やらされているが、本人は「まあニーゴのみんながそれを望むなら」と受け入れている。

「.....それが1番ダメなんだろ」というセリフは彰人によってすでに言われているので割愛。

 

 

 

 

 

奏はご近所の幼馴染で、昔から奏は真木かなりべったりくっついていた。

実はその頃から真木のファーストキスを奪っていて、真木自身は気付いていない。

奪ったのは、真木がグースカ寝ている時に奪った。

それ以来、真木が寝ている時はこっそりキスをしている。

ただ起きるような激しいキスではなく、優しいキスである。

それでもキスをした後には顔が真っ赤になる。

奏曰く「私にとって、真木は手に届かない存在。だけど、ずっと一緒にいたい。」との事。

奏のヤンデレタイプは無害型で、監禁やら束縛はしないが真木に対する想いが強すぎあまり、近くに真木がいないと不安になる。

爆発は一度だけした事があったが、真木に説得アンド抱きしめられたためすぐに落ち着いた。

むしろこの後のニーゴメンバーが異常なだけで、奏はかなり純心。

......の割にはファーストキス奪ってるけど。

 

 

 

 

まふゆは小学校の頃、学校は違ったけど、真木と何度も一緒に遊んでいた。

何度も遊んで関係が深まって、一度お母さんの事を相談すると「自分が思った事を、貫き通せばいいんだ。お母さんに何を言われたって、貫き通したら、ちゃんと伝わるさ」と言われて、それからまふゆは変わった。

お母さんに少しだけでも自分の意志を伝える事ができるようになり、お母さんもまふゆの意志を尊重する様になった。

なので原作より家族との関係が遥かに進んでいる。

中学校からはあまり関わらなくなったけど、今でもまふゆの中で1番の思い出になっている。

真木の事はかなり気になっていて、恋までいかなくとも、かなり重い感情を持っている。

それが恋だと気づいたら、暴走するのは目に見えている。

ヤンデレタイプは束縛型と監禁型が混じった1番ヤベェタイプ。よく真木の家にお邪魔してはお泊り(休みの間家から出さない監禁付き)をしている。

そんな愛情がおかしいとは思いつつも、これしか伝え方を知らない。

他の伝え方を知れば、どうなるかは、本人にも、この小説を書いている作者にも分からない。

 

 

 

絵名は小学校の頃、家族で見に行った美術館で出会った。彰人と出会ったのもその時。

数回しか会っていなかったけど、その数回は絵名と彰人にとって大切な記憶になっている。

その時に言われた言葉が、絵名の今の原動力の一つになっている。

その言われた言葉は「夢を叶えるためには、自分の意志が大事。自分の意志を持って歩いて行ったら、絶対に辿り着く事ができるから。そして、最後の最後まで諦めない事。」

ニーゴにて再開できた時、実は心の中で1番舞い上がっていた。

よく真木を家に呼んではよく一緒に絵を描いている。

真木と一緒に描いている時が絵を描いている時に1番楽しい瞬間だとか。

真木に対してはっきりと恋愛感情を持っている。

ヤンデレタイプは攻撃型。

ちゃんと好きだと伝えようとしても、どうしても素直になれず、つい真木を叩いてしまう。

そんな自分に自己嫌悪感を抱いている。

 

 

 

 

 

 

 

瑞希は中学校の時に出会った。

自分の秘密で悩んでいた時に真木が「例えどんな事を考えても、自分は自分だ。それさえ分かってたら、恐れる事も、怖がる事も、何もない」と言われて、一度は反発したものの、真木と時間を過ごすうちに友情が芽生えた。

その事を瑞希は「あの時、シンギセンパイに会ってなかったら、ひどい事になってた。」というほど。

秘密を打ち明けた時、真木は「でも、瑞希は瑞希だろ?それで十分。」と言った。

それ以来、瑞希と真木は本当の絆を結んだ。

瑞希と話している時だけ、真木の素の性格が出てくる。

今ではなんでも相談し合える、最高で、生涯の友達。

これにはニーゴのみんなも類もにっこりになった。

ただ、口にはしないものの、真木の事を「死にたがりならぬ、救いたがり。自分がどうなっても救いたがる。」と評している。

よく暴走するニーゴメンバーのストッパーで、ニーゴの平穏は真木と瑞希で保たれていると言っても過言ではない。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

シブヤ、カフェにて.....

 

 

 

 

 

 

瑞希「シンギセンパイ、体調悪そうだけど、大丈夫?」

 

 

真木「ああ、大丈夫だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもと同じ会話を交わした。

定期的に瑞希は、このカフェで俺の事を確認してくれる。

確認、と言っても「体調はどう?」とか、「無理してない?」と質問をしてくる。

俺はそれに「大丈夫だ」と答えるのが当たり前だ。

.....本当、瑞希には敵わないな。

俺の心配をしてくれるなんて、初めて言われる前には、経験した事がなかったから。

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「.....自分の事、少しは気にした方がいいよ。」

 

 

真木「俺なんかより、誰かを救うのが先だ。」

 

 

瑞希「.....そっか。でも、無理しちゃダメだよ。誰かを救う前に、自分が倒れたらダメだから。救おうと思っても、できなくなっちゃうからね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

誰か救う前に、自分が倒れたらダメだから、か。

瑞希の言う通りだ。確かに、俺が倒れたら救おうと思っても救えやしない。

......今日は、少し自分を考えてもいいのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

真木「......分かってるさ。」

 

 

瑞希「....よーし、ねぇ、今からゲーセンに行こうよ!」

 

 

真木「いいけど.....俺、行った事ないぞ。」

 

 

瑞希「えっ、本当?」

 

 

真木「興味なかったし。」

 

 

瑞希「ま、大丈夫!。ボクが教えるから!」

 

 

真木「それは心強い。それじゃ、エスコート頼むぞ?」

 

 

瑞希「もっちろん!」

 

 

 

 

 

 

 

あれから、楽しい時間は過ぎていった。

あっという間だった。

具体的には、マ○オカートで初めての運転をして事故を起こしたりだとか。

.......楽しかったな。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

セカイ.......

 

 

 

まふゆ「真木。」

 

 

真木「? どうしたんだ?」

 

 

まふゆ「次の休み、泊まりに行ってもいい?」

 

 

真木「いいよ。」

 

 

まふゆ「ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

これでまた、私のものになる。

誰のものでもなく、私のものに。

ああ、自分でも分かる。

私は酷く狂っている。

けど、これしか、伝え方が分からない。

 

 

 

 

 

 

 

.....君に、好きだと伝える方法が。

 

 

 

 

 

 

 

続く。




次回予告


真木の家に泊まりに来たまふゆ。
彼女がこの時にする事。
それは、まふゆ自身も狂っていると分かる事だった。
次回「狂い雪」


君のとっての私は、一体何?


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第一話 狂い雪 

どうも、シグザールです。



今回、監禁の描写がこれでもかと詰まっています。
そして、真木が当たり前のように狂っています。




現在、真木は「誰かを救えなきゃ、自分も救えない。」という父親からの言葉を間に受け過ぎていて、もし救う相手に「死ね」など言われれば、遠慮なく自分が死ぬ、というなんともまあ危険な考え方をしています。
「これでその救う人が救えるのなら」と思っていますが、の前に「自分がいなくなったら誰が救うのか」なんて考えは持っていません。
ある意味、父親からの呪いのようなものかもしれません。
本人は「俺よりも先に」と考えていますが、瑞希と彰人は「誰かの前に、まず真木自身」と言い続けています。
.......さて、これから先、どうなるんでしょうか。





では、本編、どうぞ。



今日は、まふゆが泊まりに来る日だ。

毎週、土日になると泊まりに来る。

そして、いつもとある部屋で過ごす。

 

 

 

 

 

 

まふゆ「部屋、汚い......とりあえず片付けようか。」

 

 

真木「(部屋、綺麗にしとくべきだった.....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

片付けが終わり、数分後、俺はベットの上に押し込まれる。

そして、右手に、手錠を架けられる。

鉄製の手錠で、そう簡単には引っ張って壊せない。

だが、壊そうとも思わない。

理由は、まふゆがそうしたいと言ったから。

なら、俺は何も言わない。

これでまふゆを救えるのなら。

 

 

 

 

 

 

まふゆ「.....これで、よし。」

 

 

真木「なんだか、安心するな。いつも思うけど。なんでだろ。」

 

 

まふゆ「.....分からない。」

 

 

真木「......まぁいいかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつからだろうか。

まふゆに、閉じ込められるようになったのは。

けど、俺は全然いい。

俺が閉じ込められて、まふゆが救われるなら。

俺は、どんな事も受け入れる。

 

 

 

 

 

 

 

瑞希、彰人。

よく言っていたな。

自分の事も考えずに、誰かを救える事なんてできない、って。

それでいいんだ。

俺の場合。

俺を救うよりも、先にまふゆたちを救わなきゃ。

俺を救うなんてできやしないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「じゃあ、ここから出ないでね。」

 

 

真木「分かった。」

 

 

まふゆ「ご飯、作ってくるね。」

 

 

 

 

 

 

そう言って、まふゆは部屋が出て行った。

手錠で繋がれているとはいえ、ある程度の自由はある。

といっても、スマホを触るぐらいだが。

待っている間、俺はスマホである事を調べた。

何を調べたのか。

そんなの、一つに決まっている。

 

 

 

 

 

 

 

.....誰か、救う方法。

そして、自分を救う方法。

.......調べても、出てこなかったけれども。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

まふゆ「ふふ、ふふふ.....やっとだ。やっとまた私のものだ。」

 

 

 

 

 

 

部屋から出た途端、自分の中から、黒いものが溢れ出した。

その黒いものは、決して誰かに向けていいのものではない。

自分の中に封じめておくものだ。

......そう、思っているのになぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「ふ、ふふ、ふふふっ。ああはっ。

 

 

 

 

私のものに私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のものに私のもの私のもの私のもの私のもの

私のものに私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のものに私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のものに私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のものに私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のものに私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの」

 

 

 

 

 

 

 

ああ、こんなになった私。

真木に見られなら、どうなるんだろうね。

けど、どうなろうとも。

私は真木とずっと一緒にいたい。

真木が許してくれるなら、だけど。

 

 

 

 

 

 

 

ああ、どうしようもないほどに、私は狂っている。

けど、これ以外にどう伝えればいいの。

素直に言っても、絶対に伝わらない。

体全体を使って表現しても、絶対に伝わらない。

なら、こんな方法でしかはっきり伝えられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「ああ、そうだ、ご飯作らないと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君が、良いって言っている間は、こんな歪な方法で伝えよう。

どれだけ時間がかかっても。必ず、伝えたいから。

君に、いろんな気持ちを。 

 

 

 

 

 

作り終えたご飯は、とてつもなく、美味しかった。

君にも、そう思ってくれているといいな。

 

ーーーーー

 

 

その日の夜......

 

 

 

 

 

まふゆが作ってきたご飯も食べて、少し、まふゆと過ごした。

何もせず、ただまふゆと一緒にいただけ。

時々、まふゆにくっつかれたりした。

不思議と、居心地が良かった。

それに、時間が流れたのも感じなかった。

 

 

 

 

 

 

まふゆ「おやすみなさい。」

 

 

真木「おやすみ、まふゆ。」

 

 

 

 

 

 

 

まふゆが寝息を立て始めた頃。

俺は、目を瞑って、ある事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

俺の、始まりの日。

そうだ。俺が始まったのは。

あの日、父親に言われた言葉。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーなんだ。

 

 

ーーーお前は、ーーーーなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今でも、はっきり覚えている。

俺が初めて、何かを怖いと思った。

何度も、何度も頭に浮かんでくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「黙ってろよ.....父親さんよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

怒りが篭った言葉は、暗い部屋に溶けて言った。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

その頃、セカイ。

 

 

 

 

ミク「.....また。」

 

 

 

 

 

辺りが、暗くなる。

何もかもを包む、黒色。

それがこのセカイを包んでいく。

これで、何度目だろうか。

毎回誰もいないから、混乱を招く心配はない。

 

 

 

 

 

 

けど、不思議と不安や、恐怖は湧いてこない。

逆に、暖かい、気持ちが湧いてくる。

理由ははっきり分かる。

 

 

 

 

 

 

ミク「まふゆ。まふゆの想い、伝わってるよ。真木に向けてる、真木の想い。」

 

 

 

 

 

 

ワタシからは、何もする事はできない。

ただ、一つだけある。

それは、祈る事だ。

あの子の、真木をここにいるみんなが、救ってくれる事。

そして、みんなが想いを告げる事ができるようになる事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミク「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。.....そうだよね、真木。」

 

 

 

 

 

続く。




次回予告


セカイで、二人で作業をする奏と真木。
幼い頃からずっと一緒だったは二人は、ある事を語り合う。
奏は音楽の事。真木は、救う事。そして、父親の事。
彼が「救いたがり」の性格になった理由とは。


次回「救うの元」


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第二話 救うの元

どうも、シグザールです。


今回、早いかもしれませんが、真木の過去、すなわちなんで真木が自分を犠牲にしてでも他人を救うようになった最大の原因、それがはっきりと分かります。
父親って、なんだか怖く感じる事が多い気がする.....
そりゃこっちに非があったら全然怖くても怒られますけど。
でも、こっちに非がなく、ただ怒られているだけを反論すれば、さらに怒りが増す。
なんでなんでしょうかね。


って、話が脱線してしまった....
さて本編、どうぞ。



セカイ.....

 

 

 

 

 

真木「奏、こんな感じでどう?」

 

 

奏「......うん。ばっちりだよ。」

 

 

真木「ならよかった。救う事以外で、俺ができるのはこれぐらいだから。」

 

 

奏「そんな事ない。」

 

 

真木「(.....顔色、大丈夫そうだな。名前、なんだったかな.....ああそうだ、望月さんが最近くるようになってから、顔色は良くなってる。初めて世話をしてくれる人が来ると聞いた時は不埒な輩が来るんじゃないかと、思ったけど....)」

 

 

奏「? 真木、どうしたの、わたしの顔、何か付いてる?」

 

 

真木「ううん、元気そうだな、って。奏よく無理してるだろ?望月さんが言っていたぞ。時々机に倒れてるって。」

 

 

奏「うっ....でも。」

 

 

真木「でもじゃない。曲を作るよりも、まず自分の体調だ。」

 

 

奏「.....それ、真木にも言えるよ?いつも救う事ばっかりで、自分の体調を大事にしないと。」

 

 

真木「.....うぐっ。」

 

 

奏「.....少し、休憩しようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

奏にそう言われて、俺と奏は作業を中断して、並んで座った。

上を見上げたら、暖かな薄い光が見える。

しかし、何度も思うけれど。

このセカイ、不思議だな。

1番上には、何があるんだろうか。

光が差し込んでいるから、ライトみたいなのがあるのか。

それとも天井があって、その上に太陽みたいなのがあるのか。

そんな事をぼんやりと考えていると、奏が何か言いたそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「奏、どうしたんだ?」

 

 

奏「あ......、その。もう少し、近くに行ってもいい?」

 

 

真木「うん、いいぞ。」

 

 

奏「ありがとう。.......やっぱり、安心するな。真木の側にいるの。」

 

 

真木「そうか?」

 

 

奏「うん。なんて言ったらいいのかな。ずっと一緒にいたからかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな頃から、俺と奏は一緒だった。

一緒になったきっかけは、父親の目を盗んで、公園で一人歌っていた時の事。

たまたま通りかかった奏と一緒に歌った事。

初めて出会って、初めて一緒に歌ったのに、息がぴったりだった。

それから小学校も同じだった事が分かって、俺と奏はよく遊ぶようになった。

中学校になってからは、学校も別れて、いろんな事があったけど、それでも奏は前に進めた。

........俺は、どうなんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

奏「真木、好きな音、ってある?」

 

 

真木「好きな音?」

 

 

奏「なんでもいいから。」

 

 

真木「好きな...音、か。うーん.....」

 

 

 

 

 

 

 

自分の好きな音。

そんなの、一つだけに決まってる。

 

 

 

 

 

 

真木「ここのみんなと作る音。それが俺の1番好きな音だ。」

 

 

奏「みんなと...か。わたしだけ、じゃないよね。当たり前だけど.......

 

 

真木「.....?何か言った?」

 

 

奏「ううん、なんでもないよ。」

 

 

真木「そうか。......なあ奏、一つ、昔話をしてもいいか?」

 

 

奏「昔、話?」

 

 

真木「俺の父親の事だ。」

 

 

奏「真木のお父さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「俺の父親は、何かと「誰かを救えなきゃ、自分も救えない」って言ってきた。中学校入学したての頃、一度だけ、好奇心で聞いてみたんだ。「誰かを救うのはいいけど、先に自分を救っちゃダメなのか」って。」

 

 

奏「なんて返ってきたの?」

 

 

真木「拳。」

 

 

奏「えっ?」

 

 

真木「返事の代わりに、拳が飛んできた。それで「ふざけた事を言うな。お前は救われないんだ。救われちゃダメなんだ。俺だってそう生きてきたんだ。だから俺と同じになれ」って言われた。」

 

 

奏「.....」

 

 

真木「それを聞いて、俺の中のなにかが変わった。」

 

 

奏「変わった?」

 

 

真木「今まで尊敬していた、父親の姿が違って見えた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、思い出すだけで語気が強まる。

それぐらい、俺の中でのこっているんだろう。

自分でもわかる。今の俺を作った、最大の原因だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「父親を、怖く感じた。お化けとかそんなじゃなくて。逆らったらどうなるか分からない。底無し沼に引き摺り込まれているような、そんな感じだった。」

 

 

奏「....もしかして、そこから?」

 

 

真木「そうかもな...でも、父親の論、言ってる事は本当にすんなりと胸の中に入ってきた。まるでそれが当たり前のように。それからだ。父親がおかしくなったのは。」

 

 

奏「おかしくなった?」

 

 

真木「日が経つにつれて、どこかに行く事が多くなった。お母さんも連れて。お母さんは嫌々だった。何回も止めた。けど、その度に父親は

なりふり構わずお母さんを連れて行った。それが何度も続いた日だ。いきなり家に警察の人が来た。」

 

 

奏「まさか....」

 

 

真木「そのまさか、だ。父親は遠く離れたところの道路で半狂乱になりながら交通事故を引き起こした。その時もお母さんも乗っていた。表向きは交通事故に遭った、になっているけど。」

 

 

奏「......!」

 

 

真木「.....辛かった。もうずっと一人ぼっちになるんじゃないか、って。でも....」

 

 

奏「でも....?」

 

 

真木「父親の言っていた言葉を思い出したんだ。「誰かを救えなきゃ、自分も救えない」って。だから、俺は自分をなくしても、誰かを救おうとした。言われた通りに。そうすれば、ずっと思い出さなくていいんじゃないか、一人ぼっちにならなくていいんじゃないか、って。」

 

 

奏「......じゃないよ。」

 

 

真木「えっ?」

 

 

奏「真木は、一人ぼっちじゃないよ。だって、みんながいるから。私も、まふゆも、絵名も、瑞希も。だから....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言うと、奏は俺を抱き寄せてきた。

一瞬頭がフリーズしてしまった。

頭が再起動した後、俺は暴れた。

恥ずかしいとか、そんな気持ちじゃなくて。

ただ、分からなかった。

なんで俺がこうされているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏「落ち着いて。大丈夫。私が、みんなが真木の側にいるから。一人ぼっちじゃないから。」

 

 

真木「.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、何も言えなかった。

ただ、何も言えず、奏と一緒にいるだけだった。

でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の何かが変わった気がした。

それが悪い方向か、良い方向かは、分からないけれど。

そんなに曖昧に感じるのに、本当に変わったって思った。

 

 

 

続く。

 

 

 

 

 

 

 




次回予告。



真木を部屋に招き入れ、一緒に絵を描く絵名。
いつもと違う様子の絵名。
「何があったのか?」と聞くと、絵名はある事を言い出した。
それは、絵名との幼き頃の思い出を思い出させるものだった。
次回「君と描きたい、未来図」



覚えてる?真木が教えてくれた、大切な言葉。


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第三話 君と描きたい、未来図

どうも、シグザールです。


えーと、今回は特に書く事はない、です。
強いて書くなら.....恋、って難しいよね、って事です。


では、本編どうぞ!


それそれはも深夜、絵名の部屋.......

 

 

 

絵名「真木、そこにある絵具、取ってー?」

 

 

真木「分かった......って何色?」

 

 

絵名「赤色!」

 

 

真木「あった。最初から赤って言って欲しいよ.....」

 

 

絵名「悪かったわね!」

 

 

真木「え、聞こえてた?」

 

 

絵名「ええ、思いっきり。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じの会話をしつつ、私と真木はとある絵を描いていた。

そのとある絵、というのは小さな芸術コンクールに出す作品の事。

テーマは「自分の思い出」。

私の中の思い出、といえば真木と初めて会った日。

その思い出を題材にして描いている。

 

 

 

 

 

 

あの日の事は、彰人も私も全部覚えてる。

だって、今の私の原動力の一つだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「まさかニュータイ....」

 

 

絵名「んなわけないでしょ!」

 

 

真木「だよな......」

 

 

絵名「それよりさ。学校、どう?」

 

 

真木「学校?んまぁ、普通かな。瑞希もいるし。そんな「学校行きたくない」って気持ちにはなってないよ。」

 

 

絵名「ふーん.....他は?」

 

 

真木「他、って....そういや、なんか最近誰かにずっと見られてる気がする......心当たり全くないのに。」

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか.....ストーカー?

誰よ、私の真木にそんな事.....!!

って、まだ私のじゃなかった....

 

 

 

 

 

 

 

絵名「それっていつから?」

 

 

真木「いつから、って.....二年生ぐらいから、か?帰ってたら、後ろから視線を感じて、振り返ってもいないんだ。.....まさか、地縛霊でもいるのか....」

 

 

絵名「いや地縛霊って....なんでそこで「ストーカー」って出てこないの?」

 

 

真木「俺なんかストーカーされる価値もないぞ。誰かを救う事しか、俺にはないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かを救う事しか、じゃない。

なんで、自分をそう思ってるの?

真木は、自分が思ってる以上に、すごいのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

絵名「......なんで、そう言う事言うのよ。」

 

 

真木「ん?何か言った?」

 

 

絵名「なんでもない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強引に会話を断ち切って、また絵を描き始めた。

でも、なんだか煮えきれない気持ちで描いても、全然手は進まなかった。

そんな中、真木が話しかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「.....なぁ、絵名、今日はどうしたんだ?普段聞かない学校の事なんて。何か、あったのか?」

 

 

絵名「あったもこうも......」

 

 

真木「....力になるぞ?なんだってな。」

 

 

絵名「.....なんでも?」

 

 

真木「ああ。なんでもだ。」

 

 

絵名「じゃあ、ちょっとだけ外に出よ?行きたい場所があるの。」

 

 

真木「行きたい場所?」

 

 

絵名「美術館。今はもう廃館になっちゃってるけど。」

 

 

真木「......?よく分からんが、とりあえず付いて行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美術館。

それは、私と彰人にとって、大切な場所。

さっきも言った通り、もう廃館になっているけど。

でも、そこであった事は何一つ忘れていない。

それに、今思えば、私が絵を描き始めたのは、あいつ.....父親に憧れてたのと、真木に夢を応援されたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出して、くれるだろうか。

君と私が、太陽の元で心を通わせた日を。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

廃館となった美術館前......

 

 

 

 

真木「.....見た事、ある気がする。いつだったかな.....」

 

 

 

 

 

 

見覚えは、あるらしい。

だったら、この美術館の跡を回るだけ。

あったのは数回。

そこでいろんなところを回った。

.....そこに行けば、思い出してくれるかもしれない。

 

 

 

 

 

絵名「ちょっとだけ、回ろ?」

 

 

真木「.....なんで、こんな所に?確かに、見覚えはあるけど.....」

 

 

絵名「思い出してほしい事があるの。」

 

 

真木「思い出して、ほしい事?」

 

 

絵名「ここで真木と出会った事。」

 

 

 

 

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 

真木「......え?えぇぇぇぇえぇぇぇぇ!!?嘘だろ!?」

 

 

絵名「ちょっと、うるさい!」

 

 

真木「あ、ああ.....すまん。ま、マジで?」

 

 

絵名「うん。彰人もいた。」

 

 

真木「.....なんか、写真とかないのか?絵名がそういうんだったら無条件で信じるべきなのに.....」

 

 

絵名「あるよ。ほら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、私はポケットから一枚の写真を取り出した。

最後の最後で、一枚だけ撮れた、写真。

真木と彰人と、そして私。

この数十年間生きてきた中で1番の笑顔。

三人でピースを構えて、おもっきりの笑顔。

真木は見せた写真をずっと見つめている。

 

 

 

 

 

 

 

真木「........思い、出した!え、あの時の女の子だったのか!?」

 

 

絵名「そうよ、あの時の女の子。」

 

 

真木「って事は.....この男の子は.....彰人?」

 

 

絵名「その通り。」

 

 

 

 

 

 

呆気にとられている真木。

唐突にこんな事を言われて、思い出したら誰だってびっくりするよね。

少しだけ静かな時間が流れた後、真木がいきなり頭を下げてきた。

 

 

 

 

 

絵名「え、ちょ!?」

 

 

真木「.......ごめん。俺、ニーゴで絵名と出会う前の事、すっかり忘れてた。.....本当に、ごめん。」

 

 

絵名「あ、謝らなくていいから!」

 

 

真木「お詫びに、なんでも言う事聞くから。」

 

 

 

 

 

 

 

な ん で も ?

って、こ、と、は......

 

 

 

 

 

 

 

だ、ダメダメダメ!!

だ、第一、つ、つ、付き合ってもないのに!

 

 

 

 

 

 

 

絵名「な、なんでも?言い過ぎだって!」

 

 

真木「ううん、なんでもにしなきゃ、俺が嫌なんだ。絵名の大切な思い出を、俺が忘れてしまってたから。」

 

 

絵名「.......そこまで、言うんだったら。一つだけ聞いてほしい事がある。でも、嫌、だったら、嫌って言って。」

 

 

真木「あ、ああ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落ち着け、落ち着け私。

ここが、正念場だ。

いつもみたいな、真木を叩くんじゃなく。

ちゃんと伝えるんだ。

 

 

 

  

 

 

 

絵名「わ、わ、私と、付き合ーーーーー」

 

 

真木「待って、誰か来る......」

 

 

絵名「えっ......?」

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなり手を引っ張られて、近くの茂みに引き摺り込まれてしまった。

びっくりして、声が出そうになるけど、真木に口を抑えられる。

少し落ち着いたところで、耳を澄ませてみた。

誰かの、足音が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

???「全く、なんで廃館になった美術館を見回らなきゃらんだ.....」

 

 

 

 

 

 

 

絵名「(く、くっつきすぎて、やばいやばいやばい......)」

 

 

真木「ふう、危なかっ、た.....って、なんで顔真っ赤なの?」

 

 

絵名「! うるさいっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

バチンッ!!

 

 

 

 

 

 

真木「.....ぐばっ。」

 

 

絵名「.......あっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

やって、しまった。

また、やってしまった。

もうしないって何度も決めたのに。

また、やってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

絵名「もう、いやだ......なんで、しちゃうんだろ......好きなのに。ずっと好きなのに。」

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に、こんな自分が嫌になる。

そう強く思いながら、私は彰人に連絡した。

迎えに来てほしい、って。

 

 

 

 

 

彰人は呆れらながらも、迎えに来てくれると言った。

後で、ありがとうと伝えておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、伝えようと思う。

誰にも、先を越されたくないから。

 

 

 

 

 

 

続く。

 

 

 

 




次回予告。


珍しく、二人でお茶をしていた瑞樹とまふゆ。
ついでに、まふゆの相談に乗る瑞樹。
まふゆは真木に対する想いの名前を初めて知る。
次回「信じる事」



好きって、言うのは、相手を無条件で信じる事。


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第四話 信じる事

どうも、シグザールです。



今回、瑞希が言う「好きって事は信じる事」のくだりは、自分がめちゃくちゃ昔に読んでいた漫画が元になっています。
今じゃ中々手に入らないですが.....
確かその漫画の内容はSFだった気がする......
あと、まふゆのお母さんが今回登場します。
このシリーズのまふゆとお母さんはプロローグにも書いた通り、お母さんがまふゆを「自分通りのいい子」ではく、「大好きな、私のまふゆ」になっています。
なので、原作で描写されていた毒親はかなり薄れています。




さて、前書きはここまでにして。
本編、どうぞ。



そして、次回からイベント編が始まります。


夕方、カフェ......

 

 

 

 

 

 

瑞希「珍しいじゃん、まふゆが相談したい事があるって。」

 

 

まふゆ「そうかな?」

 

 

瑞希「うんうん、珍しいよ!」

 

 

まふゆ「.....ブーメラン、って知ってる?」

 

 

瑞希「アーアーアーナニモキコエナーイ。」

 

 

まふゆ「図星か。」

 

 

瑞希「そんな事よりも、相談したい事って?」

 

 

まふゆ「うん。最近、真木と一緒にいると、どうしても胸が熱くなって、顔を見る事もできなくなって。」

 

 

 

 

 

嫌な、予感がする。

ボクの直感がそう叫んでいる.....!

 

 

 

 

 

瑞希「あれこれボク惚気話確定コース?」

 

 

まふゆ「惚気?違う。それで、なんでなのかネットで調べてみたんだ。そうしたら。」

 

 

瑞希「そうしたら?」

 

 

まふゆ「好き、って気持ちらしい。でも、よく分かんなくて。」

 

 

瑞希「......これは。」

 

 

 

 

 

 

 

予想、的中だ。

恋愛相談だ。これ。

しかも初恋っぽい。

......揶揄うわけにもいかない。

ちゃんと答えなきゃ.......

 

 

 

 

 

まふゆ「.....瑞希、どうしたの?」

 

 

瑞希「あ、ああ、ごめん。それで、よく分かんなくてって、どう言う事?」

 

 

まふゆ「しっくりこなかった、っていうか。見た文章で「胸がドキドキしたり」とか、「ずっと一緒にいたいって思う」って書いてあって。確かに、ずっと一緒にいたいって思ってるけど、私がなったのは胸が熱くなってて、胸がドキドキするって事じゃない。」

 

 

瑞希「ふむふむ.....ねぇ、まふゆはシンキセンパイの事どう思ってる?」

 

 

まふゆ「どう、って?」

 

 

瑞希「えーと、なんかこう.......キスしたい、とか?」

 

 

 

 

 

咄嗟に思いついた事を口にしてみる。

え?なんでキスなのか、って?

ほら......少女漫画みたいな?

あるじゃん、そういうシチュエーション。

 

 

 

 

まふゆ「..........」

 

 

瑞希「あれ、まふゆ。顔、真っ赤.....」

 

 

まふゆ「そんな事ない。」

 

 

瑞希「......まあいいや。そうだね、簡単に好き、って説明すると.....」

 

 

まふゆ「説明すると?」

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「相手を、無条件で信じるって事。」

 

 

まふゆ「信じる.....?」

 

 

瑞希「なんで言うかなぁ、その人と何かをする時に、「絶対に成功する」って絶対に思えるって事.....かな?」

 

 

まふゆ「.....真木と瑞希は、そうなの?」

 

 

瑞希「もっちろん!二人はなんとか、みたいな。」

 

 

まふゆ「.......信じる、か。」

 

 

瑞希「ま、これはボクの自論だけどね。でも.....」

 

 

まふゆ「でも?」

 

 

瑞希「好きって、結構辛いよ。誰だって、自分が一番大切なはずなのに。相手が辛かったり、痛いって感じたら、自分も辛くて、痛くなる。

要するに、自分の一部になる。って事....かな。」

 

 

まふゆ「自分の、一部に.....」

 

 

瑞希「まぁボクも、シンキセンパイに何かあったら、絶対にどうにかしたいって思うし。」

 

 

まふゆ「そう言うって事は瑞希は.....真木の事、好きなの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「うーん、あえて言うなら.....最高で、生涯の友達、かな!」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

まふゆの家.....

 

 

まふゆ「ただいま。」

 

 

まふゆのお母さん「おかえり。どうだったの、相談事は?」

 

 

まふゆ「多分、解決した。」

 

 

お母さん「た、多分?」

 

 

まふゆ「......」

 

 

お母さん「まふゆ。真木くんの事でしょう?相談の内容って。」

 

 

まふゆ「なんで分かったの?」

 

 

お母さん「何年お母さんやってると思っているの?」

 

 

まふゆ「......お母さんは、好きって気持ちをどんな風に思ってるの?」

 

 

お母さん「うーん......好き、ねぇ。難しいけれど.....やっぱり、その人を何がなんでも信じるって事かしら。たまに信じるって事を疑う事だってあったわ。でもね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いにその人を想って、信じ切ったら、きっといい事があるって。二人で心から思える事が、好きって事じゃないかしら。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

瑞希もお母さんも、そう言った。

好きって事は相手を信じる事って。

私は真木を信じてる。

だったら、好きって事になるのかな。

でも、真木はどうなんだろう。

私の事を、信じてくれているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

今度、聞いてみよう。

私の事を、信じているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、信じてくれていなかったら、私はどう思うのだろうか。

そう考えたら、私の頭が何かに覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

暗闇。

一言で表すなら暗闇だ。

 

 

 

 

 

 

.....さてと。

明日からは、どうなるかな。

ふと、鏡を見た。

映ったのは......

 

 

 

 

どういうわけか、自分の顔が、赤く見えた。

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

続く。

 




次回予告



好きという言葉を知り、少しずつ自分に変化が訪れたまふゆ。
しかし、その訪れた変化は、次第に大きく歪んでいく。
そうなっていくまふゆを、真木は救おうとする。
しかし、その救おうとするためには、本当に自分を犠牲にしなければならない可能性が出てくる。
何も言わず、犠牲になろうとした真木を救ったのは......



次回、プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク 
新イベント「Despair, Hope and Salvation」





絶望の果てに、希望と救いはある。
それを、手にして、救うまで、俺はーーーー


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イベント Despair, Hope and Salvation
Despair, Hope and Salvation編  第一話 胡蝶の夢


どうも、シグザールです。


さて、新章もとい、新イベント、開幕です。
そして、ここからはさらにシリアスになります。
さらに、新たな登場キャラも二人増えます。
それに加えて、真木が一人で積み重ねたセカイも登場します。
新キャラ紹介は次回します。



そんな新要素があってもいい、って人には、これまで以上に、最大限の感謝を。


では、「Despair, Hope and Salvation」編、始まります。


真木「.....ん?ここは.....確か、俺は....まふゆと部屋にい、て.......」

 

 

 

 

 

 

目を瞑っていても貫通してくる光を浴びて、俺は目が覚めた。

.....背中が、熱い。

その熱さに驚いて、飛び上がった。

飛び上がって、見た光景は、驚かない方がおかしい光景だった。

 

 

 

 

 

 

真木「な、な、な.....

 

 

 

 

 

 

 

 

なんじゃこの海はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

辺り一面、海だった。

どうやら、背中が熱かったのは砂浜の影響らしい。

......というか、海?

もしここがセカイなら、なんで海なんだ?

てっきり、俺がよく行ってるもう一つのセカイのような感じ....じゃないよな、これ。

って、そんな事気にしている場合じゃない!

まふゆは、まふゆはどこに!?

 

 

 

 

 

 

 

???「まふゆはいないよ。」

 

 

 

 

 

 

聞き慣れない声が聞こえた。

だが、どこかで聞いたような声。

その声がした方向に振り返ると。

 

 

 

 

 

 

 

誰かが、いた。

ミク、ではない。

いや、ミクっぽいんだけど、格好が全然違う。

なんかこう、ミクを連想できない格好っていうか.....

水色、とかじゃない真っ黒なマントかコートを着てきて、目が赤い。

髪型はミクそのものなんだけど。

 

 

 

 

 

 

とにかく、この時の俺は警戒心が天元突破していた。

何かあったらすぐに逃げれるように、走る構えもとっていた。

の前に、思った疑問をミクっぽい人にぶつけた。

 

 

 

 

 

真木「ミ.....ク?」

 

 

ミク?「ま、名前はそれでいっか。ようこそ、「希望と絶望のセカイ」へ。」

 

 

真木「な、なんだって.....?」

 

 

 

 

 

 

 

セカイより前の部分が、ノイズが走ったかのように聞こえなかった。

だが、一つの文字は聞こえた。

絶望だと。

 

 

 

 

 

 

 

ミク?「ここは、君の想いが何度も何度も積み重ねてできたセカイ。」

 

 

真木「まるで意味が分からん....待て、俺の想い、だって?そんなの、一つに決まってる。」

 

 

ミク?「誰かを救えなきゃ、自分も救えない」でしょ?でも、それだけじゃない。」

 

 

真木「それだけじゃ、ない.....?」

 

 

ミク?「君は....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛して、自分を誰かに救われて欲しいんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

またノイズが走る。

今度は何も聞こえなかった。

何かを言われた後、俺の視界は、真っ白になった。

そして、最後に何か聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「ワタシは.....君の.......」

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

真木の部屋.....

 

 

 

 

真木「はっ!」

 

 

まふゆ「! やっと起きた......」

 

 

真木「え.....?」

 

 

まふゆ「さっき、急に倒れて....何度も体揺すっても起きなくて....っ!」

 

 

真木「ご、ごめん......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきのは、夢......?

いやそれにしては熱いって感覚あったし......

......ダメだ、頭が回らん。

 

 

 

 

 

 

真木「まふゆ、心配かけたな。全く、俺が倒れちゃ、話ならんのにな......」

 

 

まふゆ「とにかく、今日は安静にして。いい?」

 

 

真木「あ、ああ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

顔は無表情だけど、まふゆにしてはかなり焦っている。

......そりゃ、誰だって焦るか。

人がいきなり倒れたら。

 

 

 

 

 

 

まふゆ「.......信じていいよね。」

 

 

真木「何を?」

 

 

まふゆ「な、なんでも.....ない。」

 

 

真木「??」

 

 

 

 

 

 

 

 

このあと、俺はまふゆに寝かしつけられた。

完全な眠りに落ちる前に考えたのは、あのセカイの事だった。

.....明日、もう一度考えてみよう。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

まふゆ「よし、寝たよね.....」

 

 

 

 

 

 

真木が寝たのを確認してから、私も寝転んだ。

......ああ、すごく安心する。

やっぱり、私は真木の事が好き、なのかもしれない。

だって、真木を信じてるから。

真木も、信じてくれてるよね。

うん、信じてくれてる。

 

 

 

 

 

 

だって、こんなにも、ぐっすりと寝ているんだから。

人は、安心してないと、寝る事ができないんだって。

つまり、安心=信じてるって事。

 

 

 

 

 

 

 

そうだよね、真木。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー 

 

神山高校、屋上......

 

 

 

真木「って、昨日のうちに全部あったんだけどさ、どう思う?」

 

 

彰人「.....精神科、行きます?」

 

 

真木「いかねぇよ!!」

 

 

彰人「冗談だよ。しかし、あんた、結構マズいんじゃないか?」

 

 

真木「えっ?」

 

 

彰人「夢だとしても、正常だとしても。何かストレスを貯めてると思うぞ。」

 

 

真木「ストレス....?」

 

 

彰人「例えば.....イライラしてる、とか?」

 

 

真木「俺が....?イライラ.....」

 

 

彰人「心当たりないのか.....」

 

 

真木「ま、そんな事はいいか。残りの授業、ちゃんとやるぞ彰人?」

 

 

彰人「はいはい.....そんな当たり前だろ?」

 

 

 

 

 

 

 

バチンッ!

 

 

 

 

 

 

彰人と俺は、互いにハイタッチを交わした。

.....帰ったら、俺のスマホ見てみるか。

いつも俺たちがいるセカイに入れたのは、スマホだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、この時の俺は知らなかった。

安易に調べようとしたのが、やがて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が絶望に囚われる事になるとは。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




次回予告



夢か現実か。
それを確かめるべく、真木はスマホの根こそぎ探す。
そして、見つけた見知らぬ曲。
名前は「untitled」。
それを再生して、飛び込んだセカイは、何もかもが変わっていた。
そして、本当の自分との出会いを果たす。
出会った本当の自分が語ったのは、自分の本当の想い。
だが、それは今までの真木を狂わせるものだった。



次回「Despair, Hope and Salvation」編、第二話。



「対話という名の絶望」




絶望の果てに、救いはあるのかな?


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第二話 対話という名の絶望

どうも、シグザールです。



認めたくない自分.....まあ弱虫だとか、嫌な思い出とか。
誰にだってあると思います。
実際自分もありますし。
逆に、好きな部分だってある。
自信家だったり、特技があったり.....
でも、それらを全部ひっくるめて「自分」って生き物なんでしょうね。



....って、自論は置いておいて。
本編、どうぞ。


東雲彰人 

 

 

このイベントで登場。

クラスメイト曰く「真木の弟分」。

実際その通りで、今は廃館となった美術館で初めて真木と出会った時から、真木を心から慕っている。

神山高校で再開(本人は忘れてる)した時から、すぐに打ち解けて、昔と同じような友人関係になった。

真木の事を「救う事が悪いとは言わない。けど、自分を犠牲にするのは間違ってる」と思っている。

 

 

 

初音ミク?

 

 

真木が迷い込んだセカイで出会った、ミクっぽい何か。

誰もが知ってるミクの容姿ではなく、共通点は髪型だけ。

それ以外は何もかもが違う。

初めて真木と出会い、別れの際に「ワタシは.....君の.......」と意味深な事を言っている。

正体は不明だけど、真木の想いを全部知っている。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

真木「どこだ....どこに入ってる....?」

 

 

 

 

 

 

スマホをめちゃくちゃ触りながら、あるものを探す。

それは、俺たちがいつもセカイに入る時に使う曲。

けど、いくら探しても、見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

真木「.....だめだ、ないな。思い当たるもの全部探したけど.....まさか.....これか?」

 

 

 

 

 

 

俺がいつも入れて、使ってなかったアプリに触れる。

このアプリは、俺が一度だけ自作して、ボツにしたもの。

どんな事ができるか。

ただ、音を探すだけというもの。

それも、たった一音。

なんでこんなのを作ったかなんて、覚えていない。

 

 

 

 

 

 

「押しても何にもならないだろうな」と半端、諦めかけていた時、スマホが光った。

かなり眩しくて、光から目を守ろうとした。

けど、その光からいろんなものが溢れ出す。

これは.....セカイに入る時の!

 

 

 

 

 

 

真木「よし、これで入れ.....」

 

 

 

 

 

 

 

これで入れる。

そう言おうとした時、急にまぶたが重くなった。

それだけじゃなくて、意識がぐらんぐらんしてくる。

いつもの、セカイの入り方じゃ......

 

 

 

 

 

真木「みんな.......ごめん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

何がどう思って、そんな事を言ったのか。

分からないまま、俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

???......

 

 

 

 

 

 

 

落ちて、いる。

何もない、真っ暗な空間。

底があるのかなんて、分からない。

でも、不思議と怖くはなかった。

ここが昨日のセカイなのか。

の割には、海とか、砂もない。

 

 

 

 

 

 

ただ落ちていると、何かが聞こえてきた。

聞き覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

ミク?「驚いた?昨日のセカイが急にこうなってるからね。......言いたい事があるけど、その前に。一つ聞いておくね。」

 

 

真木「なんだ......?」

 

 

ミク?「君は、救う事をどう思ってるんだい?」

 

 

真木「誰かを救って、後で自分も救う事。」

 

 

ミク?「.......ま、君はそういうと思ったよ。全部お父さんの受け売りみたいなものなのにね。」

 

 

真木「!」

 

 

ミク?「けど、本当は......」

 

 

真木「言うなっ!」

 

 

ミク?「ああそう、じゃあ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミクっぽい何かが消える。

消えた後、何かが聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木?「みんな......なんでどっかに行くの......」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺だ、俺の声だ。

姿も見えた。

本当に、俺自身だ。

 

 

 

 

真木「!! 違う....」

 

 

 

 

 

 

 

「俺が救ってるんだから......みんなも俺の事救ってくれよ......」

 

 

真木「違うっ!!俺は、俺はただ.....!!

 

 

「もう嫌だ......一人になるのは....誰も俺を.....」

 

 

真木「お、俺は......違う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

聞きたくない聞きたくない。

聞きたくない一心で、耳を塞ぐ。

けど、それでも聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

ミク?「いい加減に認めなよ。この声が自分の想いだって。」

 

 

真木「認めてたまるか....っ!」

 

 

ミク?「ふーん......ま、いいよ。君はもうここから出れないし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「な.....に?」

 

 

 

 

 

 

ここから出れない。

それが、この空間を支配した。

 

 

 

 

 

 

絶望という名の黒色で。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

その頃、誰もいないセカイ.....

 

 

 

 

奏「.......真木。こないな。」

 

 

絵名「もう三日も来てない.....」

 

 

まふゆ「....あのさ。ちょっといい?」

 

 

瑞希「? どうしたの、まふゆ。心当たりがあるの?」

 

 

まふゆ「うん。」

 

 

絵名「それ早く言いなさいよ!」

 

 

まふゆ「だって聞かれなかったから。」

 

 

奏「ま、まあまあ。それで、心当たりってなに?」

 

 

まふゆ「かくかくしかじか.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、セカイが揺れてニーゴのメンバーたちが真木の家にカチコミに行ったというのはとある弟からの証言である。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

本当の自分は、認めたくないもの。

それがマイナス方面だったら、なおさらだ。

 

 

 

 

 

どれぐらい、落ちているのだろうか。

どれぐらい、ここにいるのだろうか。

もう感覚すらなくなってきた。

 

 

 

 

 

 

それから、声も聞こえなくなってきた。

理由は、分かる。

 

 

 

 

 

認めてしまったから。

認めたくなかったのに。

もう誰にも、言いたくない。

呟きたくない。

そう思ってた事を、全部言われてしまった。

 

 

 

 

 

俺は、無条件で誰かを救っていると思っていた。

有条件で自分を救えていると思っていた。

 

 

 

 

 

 

本当に、バカバカしい。

もう、消えてしまいたい。

こんな俺が消えても、世界にはなんの心配もないだろうし。

ただ、一つ、心残りはあるけど。

でも、それもいいや。

 

 

 

 

 

 

 

ごめん。

みんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「こんのバカやろーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が、さした。

暖かい、光だ。

久しく、見ていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




次回予告。



本当の自分に絶望し、諦めていた真木。
だが、それを救ったのは、他の誰でもない、ニーゴのメンバーだった。
ニーゴのメンバーのおかげで、自分を乗り越える事ができた真木は、本当の自分の想いに気づく。
そして、真木をはついに自分を救う決意をする。
しかし、その流れを断ち切ったのは、二回も消えて、心配のあまり暴走してしまったまふゆだった。




次回「Despair, Hope and Salvation」編、第二話「傷つく事は、別に悪い事じゃない」



好きだから、大好きだから、こうするんだよ。


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第三話 傷つくのは、別に悪い事じゃない

どうも、シグザールです。



さて今、「Despair, Hope and Salvation」の「Hope」.....つまり希望の部分に当たります。
次回、ついにこのイベントの完結編.....の一歩手前になります。
エンディング、どうなるんでしょうか。
決めるのは自分ですが.....
せめて、綺麗に完結はさせたいです。



では、本編。どうぞ!!


瑞希「こんのバカやろーーーーーー!!」

 

 

絵名「勝手に一人で消えようとしてんじゃないわよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

声が聞こえてきた。

でも、誰からだろうか。

聞き覚えは、ある。

 

 

 

 

 

 

 

???「今度は、私が救うんだ.....っ!真木が私を救ってくれたように.....!!!」

 

 

???「消えないで!まだ、まだ伝えてない事がいっぱいあるから!!」

 

 

 

 

 

 

 

思い、出した。

この声の持ち主は。

俺が、よく知ってるみんなだ。

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そうだ。

確かに、俺は、俺が救ってるんだから、俺も救ってくれ、なんて思ってた。

さっきまで、俺はそれを認めていなかった。

けど、俺はそれを変えたい。

変えなきゃいけないんだ。

「救ってるんだから、俺も救ってくれ」じゃダメだ。

「俺が、誰かを救って自分を救う」にしなきゃ。

 

 

 

 

 

そう思ったら、自然にお母さんのある言葉が浮かんできた。

ずっと言われて、意味が分からなかった言葉。

でも、今なら分かる。

 

 

 

 

 

 

 

Don't ask, if you win, it won't be given(ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん)

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「........お母さん、あの言葉。やっと意味が分かった。誰かに救ってほしいって、ねだるんじゃない。勝ち取るんだ、自分の意志で!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口に出し、新たな決意をする。

誰かを救って、自分も自分で救うんだ。

父親に言われたからじゃない!

俺が、俺の意志で!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミク?「やっと気づいたね。それに気づいたら、後は君の想い一つ、怖いものなんて.....ないっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに聞いた、ミクっぽい何かの声。

その声が暗闇に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

暗闇が光に変わる。

その光は、何もかもを優しく包んでいた。

そして、落ちていた俺たちの体は、ゆっくりと回転して、宙に浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「浮かぶって、こんな感じなのか。」

 

 

瑞希「シンキセンパイ!大丈夫?怪我とかしてない?そして.....一発叩かせろ!」

 

 

真木「うわっ、い、いきなり!?」

 

 

絵名「いきなりされても、文句は言えないわよ。もう三日も経ってるんだから。」

 

 

真木「三日!?え、本当!?」

 

 

まふゆ「それよりも、奏が言いたそうだよ。真木。」

 

 

真木「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

まふゆにそう言われて、奏の方を見る。

見た瞬間、奏が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「...っと。奏?」

 

 

奏「......真木。おかえり....っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「......ただいま。奏、みんな。えっと....心配かけて、ごめん。あと......」

 

 

絵名「あともこうも、真木が無事なら、なんだっていいわよ。」

 

 

瑞希「もう、素直じゃないなぁ。奏みたいに飛び込んだらいいのに。」

 

 

まふゆ「.....それ、私にも言ってる?」

 

 

瑞希「まずい、地雷踏んだかも......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優しい光が、上に向かって進んでいく。

それに釣られて、俺たちも上に浮かび始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上がっている途中、まふゆが話しかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「真木。明日、私の家に来て。」

 

 

真木「まふゆの?いいけど。」

 

 

まふゆ「....ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、俺のセカイを巡った問題は、一件落着になった。

さて、どうやって自分を救おうか.....

今度、彰人に相談してみよう.....

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

夜、まふゆの部屋......

 

 

 

 

 

 

 

数日後、まふゆの家に来た俺。

まふゆのお母さんの勧めで、まふゆと一緒の部屋で寝ることになった。

だが、それは一歩間違えたらバットエンド直行のような。

危機一髪の出来事が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

真木「えっと....まふゆ、これは一体?」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がベットに投げ飛ばされ、背中に強い衝撃が走る。

そして、倒れ込んだ俺の上に、まふゆが上に乗ってマウントを取られる。

疑問をぶつけたあと、飛んできた言葉は誰がどう聞いても耳を疑うものだった。

 

 

 

 

 

まふゆ「......夜這い?」

 

 

真木「どごで覚えてきたんだそんな言葉!!」

 

 

まふゆ「暴れないで。今から....」

 

 

真木「ストップ、本当にストップ!」

 

 

まふゆ「....大好きだから、こうするんだよ。」

 

 

真木「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「本当に、いなくなっちゃうって思った....真木が、いなくなったら、私、どうやって生きたらいいの.....私でも、おかしいって分かってる。いつも休日の度に、真木を閉じ込めて.....そうじゃないと、どこかに行っちゃいそうで.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途切れそうで、消えてしまいそうな声で言われた。

.......本当に、心配だったんだな。

疑ってたわけじゃないけど。

 

 

 

 

 

 

俺は、まふゆを抱きしめた。

それに加えて、優しく頭も撫でた。

少しずつ、落ち着いてきた。

記憶に残ってる、お母さんのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流石に、体制のせいか、まふゆが上乗りになってるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「俺は.....どこにも行かない。行ったとしても、すぐに帰ってくる。だって、ここが、みんながいるところが俺の居場所だから。だから......泣くな。まふゆがそばにいてほしいんだったら、いくらでもいてやる。」

 

 

 

まふゆ「.......約束、だよ。」

 

 

真木「ああ。」

 

 

まふゆ「......ごめん。こんな事して。」

 

 

真木「別にいいよ。俺は別に気にしてないから。」

 

 

 

 

 

 

数分後.......

 

 

 

 

 

 

まふゆ「.....すぅ。すぅ。」

 

 

真木「(寝ちゃったか.....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

まふゆを撫でているうちに、どうやら寝てしまったらしい。

このまま、俺も寝てしまおう。

そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

まふゆ「真木.....大好き、だよ.......」

 

 

真木「.....へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

寝れたは寝れたけど、俺はその言葉がずっと気にかかってしまった。

 

 

 

 

 

 

続く。




次回予告。



真木は変わった。
前よりも、自分を大切にするようになった。
救いたがりは同じだけれど。
そんな中、真木はまた自分のセカイに入る。
そこは、暗闇じゃない、最初に見た海辺だった。
一人、海を眺めている中、真木は一人思う。



俺が、みんなに救われた事を。そしてーー.....






次回「Despair, Hope and Salvation」編、第四話「カケガエノナイモノ」




あいつも、この海を、綺麗だと言ってくれるのだろうか。


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第四話 カケガエノナイモノ

どうも、シグザールです。



次回、「Despair, Hope and Salvation」編、ついに完結です。
そして、また五人、いや、六人の日常が始まります。
まだまだ物語は続きますので、見てくれると嬉しいです。


では、本編、どうぞ!


瑞希「シンキセンパイ、大丈夫?」

 

 

真木「ん?ああ、大丈夫だ。」

 

 

瑞希「ふーん.....ま、その様子だったら大丈夫そうだね。」

 

 

真木「これも、みんなのおかげだ。」

 

 

瑞希「いやぁ、それほどでも.....」

 

 

 

 

 

 

 

まふゆに夜這いされかけた日から、数日後。

俺は、定期....って言うほどでもない、瑞希とカフェで昼を過ごしていた。

何気に、この時間が好きだ。

落ち着く....と言うべきか。

この世界から、切り離されたような。

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「そうそう、動画、完成した?」

 

 

真木「ああ。瑞希そっくり.....には出来なかったけど。ほら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマホを操作して、瑞希からリクエストされた動画を見せる。

普段、俺はニーゴの雑用係をしている。

というのも、俺がどうやら「最終兵器」扱いらしく。

まあ困った時の最終兵器....感じ。

なぜ最終兵器扱いになったのか。

忘れてしまったけど、自分でもこの役割は性に合ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「うーん、最高!!」

 

 

真木「そりゃよかった。」

 

 

瑞希「......前より、笑ってる。」

 

 

真木「へっ?」

 

 

瑞希「前なんて、あんまり笑ってなかったから。」

 

 

真木「そう....か?」

 

 

瑞希「うんうん。それじゃ、その笑ってる顔を続かせるために.....?」

 

 

真木「ために?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「ゲーセン行くぞーーーー!!!」

 

 

真木「お、おーー!....って声がでかい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勢いよく、カフェを出て(強制的)いつぞやのようにゲーセンに連れてかれた。

まあ結果は......うん。

酷かった。

あんまり思い出したくもない。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

真木のセカイ.......

 

 

 

 

 

 

真木「海って、いいな.....」

 

 

 

 

 

 

波が、揺れる、静かに。

本当に、綺麗だ。

ちょうど、夕焼けも見えて。

海、行った事ないけど、現実の海も、こんな感じなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、俺は思った。

俺は、幸せ者だなと。救われているんだなと。

だって、いろんな誰かに囲まれて。

一人ぼっちだったと思ってた俺を救ってくれた。

.....救えているだろうか、みんなを。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミク?「救えてるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

後ろから、ミクっぽい何かの声が聞こえた。

振り向くと、見慣れない格好をしたミクっぽい何か姿が。

やっぱり変だな.....

ノイズとかなないんだけど、すごい違和感があるって言うか......

 

 

 

 

 

 

真木「ミク?」

 

 

ミク?「君は、いつも誰かを救ってる。」

 

 

真木「.....一つ、聞いていいか?このセカイは、俺の想いで出来てるんだろ?だったら、なんで海なんだ?」

 

 

ミク?「心象風景、って聞いた事ある?」

 

 

真木「心象風景って.....自分の心の中に浮かんでる風景って意味だよな。」

 

 

ミク?「その通り。このセカイは、君が持ってる景色からこうなったんだ。」

 

 

真木「俺の心の絵が、海か.......俺的には真っ白とか、想像してたんだが。」

 

 

ミク?「真っ白はないよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな会話をしているうちに、空が暗くなってきた。

でも前みたいな暗闇じゃなくて、星が浮かんでいた。

数え切れないぐらいの星。

いやまあ数えるものじゃないけど。

もしかしたら現実にある星が全部あるんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあそんな事を考えていると、ニーゴのみんなの顔が頭に浮かぶ。

奏、まふゆ、絵名、瑞希。

多分、ニーゴのみんながいなかったら、本当に消えていた。

救ってくれなかったら......って考えると、体が少しだけ震えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は本当に、幸せ者だ。

俺がそう言ったらダメだと思うけど。

でも、今だけはそう思ってもいいよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

改めて、俺はみんなが好きになった。

元から大好きだったけど。

この恩は、俺が消えるまでずっと返していこう。

それが、俺の唯一できる、恩返しだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにより、みんなのカケガエノナイモノを守るために。

 

 

 

 

 

 

続く。

 




次回予告。



ついにこの話は終わりを迎える。
少年と出会い、救われ、救った少女たち。
少女と出会い、救い、救われた少年。
五人の想いで、ある曲を創り出す。
それは、五人の中で、絶対に忘れてはいけないものになる。



次回「Despair, Hope and Salvation」編、最終話



「最後はハッピーエンドが一番」



絶望を超えた先の、希望と救い。


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最終話 最後はハッピーエンドが一番

どうも、シグザールです。


さて、今回でイベント「Despair, Hope and Salvation」編、終わりです。
次回からはまた日常です。
しかし、真木たちを待っているのは、どんな事でしょうか。
絶望か、希望か。



では、本編、どうぞ!!


「ニーゴの新曲、聞いた?」

 

 

「うん、聞いたよ。なんか.....変わったね。いい意味で。」

 

 

「ああもう、なんで先に言っちゃうかなぁ!?そうなんだよ、今まではこう......

 

 

 

 

 

 

 

数十分経過......

 

 

 

 

 

 

「とにかく、今まで違う!」

 

 

「分かった、分かったから.....でも、「最後はハッピーエンド」って、なんでこんなタイトルつけたんだろ?ニーゴらしくない、っていうか...」

 

 

「そうなんだよ!.....もしかして、ニーゴのメンバーにいい事があった!とか?」

 

 

「いい事、って?」

 

 

「そりゃ.....メンバーにとって、でしょ?」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

真木「えー、と。新曲完成した祝いで.....」

 

 

瑞希「かんぱーい!」

 

 

三人「かんぱーい。」

 

 

瑞希「テンション低いなぁ.....」

 

 

真木「の前に俺の仕事盗るなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

今、俺たちはとあるカフェ(俺と瑞希がよく行くカフェ)で、新曲が公開された祝いで小さな打ち上げをしている。

.....その合図は瑞希に取られたわけだけど。

 

 

 

 

 

 

 

真木「.....まあ、いいや。俺も飲むか。.....美味いな、このジュース。」

 

 

絵名「っていうか、よく貸切にできたね。厨房も貸してもらって。」

 

 

真木「ん?ああ、頼み込んだんだよ。ここのマスターに。小さな頃からお世話になってたから、「自由にどうぞ」って。」

 

 

まふゆ「.....すごいね。よく言えないけど。」

 

 

奏「.......あれ、真木、それ甘酒って書いてるけど....」

 

 

 

 

 

 

 

四人「え?」

 

 

 

 

 

 

数分後......

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

真木「ぐがー......」

 

 

絵名「バカね。」

 

 

瑞希「うわ直球.....」

 

 

奏「.....暗く何も見えなくても、過去も未来も全部塗り替えてやる 後悔なんてない あるのは希望 それを君に教えてもらった だから今度はみんなに伝えるんだ また何も分からなくてなっても、何度だって塗り替えてみせる

 

 

まふゆ「奏、その歌詞......」

 

 

奏「なんとなく、歌いたくなって。.....みんなで、考えたからかな。絶対に忘れたら、ダメな気がする。そんな感じがする。」

 

 

瑞希「うん、ボクも。」

 

 

絵名「何よみんなして急に。....まあ私もだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「(頭が回る.....なんだっけ、ああそうだ、俺たちは新曲の打ち上げをしてて....それで....)」

 

 

 

 

 

 

必死に思い出す。

何を思い出そうとしているのか。

それは、この打ち上げをする事になった理由。

そして、数日前の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

数日前、誰もいないセカイ....

 

 

 

 

 

真木「うーん......」

 

 

奏「真木?何か悩み事?」

 

 

真木「ああ、一回歌詞を書いてみたいな、って。その....最終兵器じゃくなくて。俺も、一回だけでも参加したい、っていうか....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に、些細な呟きだった。

でも、それが。

俺たちにとって、大切なものを創り出す事になるなんて、俺たちには全く予想ができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後.....

 

 

 

 

 

 

 

俺はまふゆに頼んで、新曲の作詞を任された。

任されて、最後らへんまで書けたはよかったんだけどな......

 

 

 

 

 

 

 

真木「だ、ダメだ.....む、難しすぎる.....歌詞考えるだけでもこんなに大変だったんだ.....あ、あと一つの部分なのに....」

 

 

まふゆ「......大丈夫?」

 

 

真木「し、心配はいらない.....気がせんでもない.....」

 

 

絵名「重症ね....」

 

 

奏「うーん.....あ。いい方法あるかも。」

 

 

真木「そ、それは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏「気分転換....とか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「オヨビトアラバソクサンジョウ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

急に瑞希がセカイの上から飛んできた。

しかも、綺麗に着地を決めている......!

.....あれ、その場に出てくるんじゃなかったっけ?

まあいいや、カッコいいし。

 

 

 

 

 

 

 

奏「み、瑞希?どこから.....」

 

 

まふゆ「何やってるの。」

 

 

絵名「バカなの?」

 

 

真木「カッコいい......」

 

 

 

 

 

 

 

 

三人「え。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「本当は用事があって来れなかったんだけど.....シンキセンパイのためならどこへだって!というわけで.....気分転換をしたいだって?」

 

 

奏「私が言ったんだけど。」

 

 

瑞希「ふんふん.....なるほど.....」

 

 

絵名「なんか勝手に納得してるし.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「じゃあさ、あそこに行ってみない?」

 

 

 

 

 

 

 

四人「あそこ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希に提案され、行った場所は.....

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

瑞希「バンジージャンプーーーー!」

 

 

 

 

四人「ハァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

拝啓、お母さん。

今、俺は最高で生涯の友達に、命綱つけて山から突き落とされそうになっています。

それは仲間たちもです。

一人は震え、一人は静かな怒り、一人は本気で困惑しています。

助けてください。

 

 

 

 

 

 

瑞希「さあシンキセンパイ、覚悟はいい!?」

 

 

真木「は、ちょ、待てっ!?話せばわかる!!」

 

 

まふゆ「それは話して分からない人のセリフだよ。」

 

 

真木「まふゆっ!?か、かなではっ....?」

 

 

奏「た、高い......」

 

 

真木「あ、オワッタ。」

 

 

瑞希「ドーン!」

 

 

 

 

 

 

 

真木「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、俺は思った。

気分転換じゃない、これは、地獄行きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

誰もいないセカイ.....

 

 

 

 

真木「な、ん、で、暗い歌詞しか浮かんでこないんだァァァァァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「.....悪化してない?これ。」

 

 

絵名「間違いなく原因は瑞希。」

 

 

まふゆ「それに同意。」

 

 

奏「さすがにね....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「絶望だとか、救われないだとかっ、俺が伝えたいのは、そうじゃない...!希望と、救われる。みんなに教えられた事を!俺が伝えたいのは、それなのに....!!」

 

 

 

 

 

絵名「.....ったく、しょうがないわね。真木。ちょっと借りる。」

 

 

真木「あ、ちょっ!」

 

 

 

 

 

 

 

思い悩んでいると、絵名に歌詞を書いてくる紙を取られた。

 

 

 

 

 

絵名「「ぼくは救われない絶望しかないあるのは後悔だけ」.....こうすればいいんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

そう言って絵名は、絵を描いて鍛え上げられた速さで、歌詞の紙に何かを付け足した。

速すぎて目に見えなかったのは気のせいだろうか。

描き終わったと思ったら、絵名に紙を手渡される。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「か、勝手に歌詞が書き換えられてる。「過去も未来も全部塗り替えてやる 後悔なんてない」って.....」

 

 

絵名「どう?」

 

 

真木「......何か、足りない気がする。」

 

 

絵名「は?」

 

 

真木「分かんないけど.....何か、足りない気がする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケチをつけるわけじゃない。

本当に何かが足りない。

言葉では言えないし、はっきりしてない。

けど、何かが足りない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう付け加えて絵名に言うと、ため息をついて瑞希を呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

絵名「何か、ねぇ......瑞希、ちょっと来て。」

 

 

瑞希「え、ボク?........ああ、なるほど。任せて!」

 

 

 

 

 

 

 

また絵名に紙を取られて、今度は瑞希に手渡される。

また、歌詞を書き換えられるのだろうか。

.....俺が書いたやつよりかは前向きだけど。

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「シンキセンパイ、これでどう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「付け加えられてる......「暗くて、何も見えなくても、過去も未来も全部塗り替えてやる 後悔なんてない あるのは希望 それを君に教えてもらった」....もう、少し、足りない。.....くそっ、こんなんじゃ、俺は.....みんなに返す事なんてっ....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏「.......わたしたちもいいかな?」

 

 

真木「え、あ、うん。いいけど.....」

 

 

まふゆ「本家本元、見せてあげる。」

 

 

真木「ええ.....?」

 

 

 

 

 

 

 

唐突に言われたから、素っ頓狂な声を出してしまった。

......本家本元の意味ってなんだっけ.......

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、よくよく考えたら、五人で書いた歌詞になる、って事になるな。

.....何度も想うけど。俺はいろんな人に救われて、教えられた。

自分自身を救う事ができるって。

希望は、あるって。

 

 

 

 

 

 

 

そして、もう一度手渡された歌詞の紙。

そこには、さらに付け加えられていた。

俺が、一番書きたかった部分が。

 

 

 

 

 

 

 

真木「..... 「だから今度はみんなに伝えるんだ また何も分からなくてなっても、何度だって塗り替えてみせる」.....ありがとう。これだけ、

みんなに助けてもらったんだ。だったら、俺が頑張るしかない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、新曲「最後はハッピーエンド」が出来上がった。

改めて思い出すと、あの曲が出来上がったのは、セカイにいたからだと思う。

そう、うまく言えないけれど、俺は感じた。

なんで思ったかはよく分からないけど。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

夜中、カフェ......

 

 

 

真木「ん.....あれ。俺、寝てたのか....?」

 

 

瑞希「やっと起きた。おはよう。」

 

 

真木「おはよう....瑞希。みんなは?」

 

 

瑞希「帰ったよ。」

 

 

真木「え?」

 

 

瑞希「みんなシンキセンパイの事起こそうとしたけど、返り討ちにあって、顔真っ赤にして。」

 

 

真木「か、返り討ち?顔真っ赤?どういう事だ!?」

 

 

瑞希「それは本人たちに聞きなよ。.....それで、どうなの?」

 

 

真木「へっ?何が?」

 

 

瑞希「誰か気になってる人はいるの?」

 

 

真木「気になってる人?何の話だ?」

 

 

瑞希「.....なんで顔真っ赤でみんな帰ったか分かる?」

 

 

真木「分からんが。」

 

 

瑞希「朴念仁、って言葉知ってる?」 

 

 

真木「.....俺が、鈍感とでも言いたいのか?」

 

 

瑞希「よく分かってるじゃん!」

 

 

真木「というか、みんなが俺の事を好きなわけないだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「...........................!!!?」

 

 

真木「なんだ、まるで綺麗な空豆に腐食剤を叩き込まれた」ような顔は.....」

 

 

瑞希「センパイ、いつか刺されますよほんとに。」

 

 

真木「きゅ、急に怖い事言うな......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、夜はさらに過ぎていった。

.....その間に瑞希に謎の説教をくらったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

前まで、こんな世界、なんて思ってた。

世界を否定していた。

けど、今なら言える。

 

 

 

 

 

 

確かに、嫌な事ばっかりかもしんないけど。

 

 

 

 

 

俺は、この世界が、自分が好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり

 

 

 




次回予告



また、日常が始まる。
この世界で。
真木は噛み締めて、歩く。
このありふれた日が、どれだけの希望かを。
そして、瑞希に言われた事。



いつか出会って、自分と歩む「想い」に会うために。



次回「誰かと重ねる音」



みんなが、大好きだ。
この世界も。


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第二部
第五話 君と重ねる音


どうも、シグザールです。



これからは少しずつ、ヤンデレ(ヤバイガチ)からヤンデレ(ヤバイガチ&純愛)に変わっていきます。
え?ヤバイから変わってないって?
こまけぇことはいいんですよ!





さて、これから、真木は自分を救う努力と、「なぜ自分がニーゴのみんなをどんな事よりも大切にする理由」を探す事になります。
さて、どうなるんでしょうか?
彼が気づくのは、はたして「友」か?「愛」か.....
そして、第二部、開始です。



では、どうぞ!!


朝方、奏の家前.....

 

 

 

 

 

 

真木「珍しいな、奏が散歩に行きたいなんて。」

 

 

奏「......ちょっとでも、運動した方がいいかなって思ったから。」

 

 

真木「まああまり外に出てないしな......分かった。この辺、歩こうか。」

 

 

 

 

 

 

 

最初、びっくりした。

正直、ひどい事を言うかもしれないが、その......詐欺じゃないかって一瞬思った。

だって、いつも家にいる奏が。

朝方で誰もいないとはいえ、運動をしたい。

そんな事を言ったんだから。

.....後で素直に謝った。

 

 

 

 

 

 

 

奏「.....♪」

 

 

真木「......そんなにくっつかれると、歩きづらいんだけど。」

 

 

奏「あ、ごめん....」

 

 

真木「......なんてな。別に気にすんな。昔っから、そうだったし。」

 

 

奏「ありがとう.....ふふっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ完全には昇り切っていない太陽を二人で浴びながら歩く。

途中から、手を繋いだ。

自然と、心があったかくなった。

まるで、これからだんだんと蒼くなっていく空みたいに。

 

 

 

 

 

 

近くを歩き終わり、奏を家に送ろうとする。

すると、急に着ていたパーカーの腕の先っぽを掴まれた。

 

 

 

 

 

 

真木「奏?」

 

 

奏「今日....真木の家にいても、いいかな?」

 

 

真木「いいけど....俺学校.....」

 

 

奏「お留守番、できるから。」

 

 

真木「......分かった。うんじゃあ、帰りますか。俺たちの家に。」

 

 

奏「! うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、奏は今日1日は俺の家で過ごす事になった。

久しぶりかもしれない。

まふゆ以外の誰かが俺の家にお泊りするって事は。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

真木「じゃあ、学校行ってくる。」

 

 

奏「いってらっしゃい、真木。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「お母さん、行ってきます。」

 

 

 

 

 

 

そう言って、家を出る。

お母さんがいなくなってからも、続けている習慣。

もちろん、返事は返ってこない。

ちょっとだけ寂しいけど、仕方がない。

 

 

 

 

 

 

 

今日は、学校がある日。

といっても、何も変わらない。

ただあるとすれば、少しだけ、見えるものが変わった。

前まで、空とか木とかを見ても、なんとも思わなかった。

けど、今は何もかもが綺麗に見える。

 

 

 

 

 

 

 

真木「〜〜〜♪」

 

 

 

 

 

 

少し小さく歌口ずさみながら、学校に向かう。

今日は、どんな日になるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

神山高校、校門前......

 

 

 

 

瑞希「シンキセンパイ、オハヨウゴサイマス。」

 

 

真木「んだ朝からロボットっぽい言い方はよ.....」

 

 

瑞希「まあまあいいじゃん!あのさ、昼休み暇?」

 

 

真木「悪いな、今日は奏に電話をしなくちゃならない。」

 

 

瑞希「え?奏?」

 

 

真木「ああ、朝に奏と気晴らしに散歩に行ったらな、奏が俺の家に泊まる、なんて言い出してな。まあそれはいいんだけど。」

 

 

瑞希「いやいいんかい!」

 

 

真木「どうしても、奏が心配になってな。だから.....というやつだ。」

 

 

瑞希「か、過保護ってやつじゃないそれ?」

 

 

真木「誰が過保護だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金色の髪色の男の子「む?誰かオレの事呼んだか?」

 

 

変人「それはないと思うよ。」

 

 

金色の髪色の男の子「過保護って聞こえたんだが.....」

 

 

変人「そう思うなら自分の胸に手を当ててみたらどうだい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

昼休み、屋上......

 

 

 

 

制服のポケットから携帯を取り出して、奏に電話を......ってそうだった。

家についてある固定電話に繋げないと。

ちなみに、俺の家の固定電話はなぜかキッチンの近くにある。

今はあんまり使ってないけど。

 

 

 

 

 

奏「はい、もしもし。」

 

 

真木「奏、元気にしてるか?」

 

 

奏「うん、平気。それより、学校は大丈夫なの?」

 

 

真木「大丈夫、昼休みだから。」

 

 

奏「ならよかっ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカァァァァァアン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

........何、今の。

なんか固定電話から爆発音が聞こえたんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「.....何が起こった!?」

 

 

奏「.....爆発?」

 

 

真木「はぁ!?爆発!?なんで!?」

 

 

奏「あー......それは.......」

 

 

真木「今から帰るから、慌てず騒がず落ち着いて.....!」

 

 

奏「で、でも学校は...?」

 

 

真木「そんな事より奏の方が大事だろ!」

 

 

奏「! 今なんて言ったの?」

 

 

真木「とにかく、一旦帰るから、待ってろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

強引に電話を切って、急いで鞄を取りに教室に向かう。

途中一年生の風紀委員会に足止めを食らったが、わいろ(後でジュース奢る)を渡し、無事に通らせてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

走って、走って、走って。

急いで家に向かう。

......ちょっと、理由考えてみよう。爆発音の。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、家には火薬やらなんやらは絶ッ対においていない。

というかおくわけかない。

ガスの元栓とかあるけど、ちゃんとしめてから家を出ている。

奏がそれを勝手にいじるわけがないし.....

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく、頭に浮かんだのは奏が無事か。

ただそれだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

真木の家の中.....

 

 

 

真木「奏っ!!無事か、どこも怪我はないな!?」

 

 

奏「......ごめん。」

 

 

真木「え?なんで奏が謝るんだ?」

 

 

奏「実は.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関で話された理由は、びっくりするものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら、俺が帰ってきてすぐに晩ご飯を食べれるように、晩ご飯を自分で作ろうとしたらしい。

でも、料理なんて望月さんの作ってるところしか見た事ないから、自力で作ったら.....

理由は分からんが、爆発した。

それもそのはず、どうやら唐揚げを作ろうとしたらしく、鶏肉を油の中にパン粉とか何もつけずに油の中に入れた。

んで、電話の爆発音はちょうど悪いタイミングで油が勢いよく破裂した音だった。

 

 

 

 

 

 

理由を聞き終わったあと、少し気まずい空気が流れた。

まあ、無理もない。

でも、それを打ち崩してこそ、誰かを救える。

 

 

 

 

 

 

奏「.........」

 

 

真木「まぁ......その、なんだ。とにかく、奏に怪我がなくてよかった。......そんな顔するなよ。料理、作ろうとしてくれたんだろ?それで、十分さ。」

 

 

奏「.....でも。」

 

 

真木「んじゃ、作るか!」

 

 

奏「え?何を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「何を、って....唐揚げに決まってるだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

「「いただきます!」」

 

 

 

 

 

 

真木「はむっ......!イケる、これイケるぜ!」

 

 

奏「よかった....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、奏と一緒に唐揚げを作った。

ところどころ危なかったところもあったが、なんとか作り終える事ができた。

他にも、味噌汁やらなんやらも作った。

......それにしても、久しぶりに唐揚げを食べたけど、こんなに美味しかったっけ。

長い事食べてなかったから、初めて食べた感じがする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「初めて作ったのに、こんなに美味しかったら、絶対にいいお嫁さんになると思うけどな!」

 

 

奏「え、ええっ?」

 

 

真木「何もそんなに驚かなくてもいいだろ?美味しいんだし。」

 

 

奏「.....意味、分かっていってるの?」

 

 

真木「へ?意味?」

 

 

奏「(にぶい、鈍感......)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜか顔が不機嫌になる奏に困惑しつつも、俺と奏は全部食べ切った。

そのあと、少しだけ他愛ない話をしたあと、寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

真木「よし、電気消すぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

手に持ったリモコンで、俺の部屋の電気を消す。 

消してあと、俺と奏はベッドに寝転んだ。

本当は、俺は床で寝るつもりだったんだが.....

奏が「一緒がいい」と言ったので、それに応えて、一緒に寝る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「んじゃ、おやすみ。」

 

 

奏「おやすみ、真木。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いの顔を見ながら、寝る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......正直、あまり眠れなかった。

理由は分かんないけど。

でも、やけに心臓が鳴ってた。

....どうしたんだろ、俺の体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!

 




次回予告


いつもの如く、絵名と一緒に絵を描く真木。
ある時、真木が倒れてしまう。
慌てた絵名は、真木に「恋人同士がする事」をする。
それをして絵名は、改めて自分の想いに正直になろうとする。


次回「君の想いの木に」


自分を大切にしないんだったら、私が大切にする。


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第六話 君の想いの木に

どうも、シグザールです。



プロジェクトセカイ、2周年、おめでとう!!
始めたきっかけはなんて事のない、普通に興味が持ったからですが、この記念に立ち会えた事は、本当に嬉しいです!
始めて奏が最初の推しになり、それからどんどん推しが増えていって....
ガチ勢ではないですが、自分になりに楽しめてます。



これからも、プロセカの小説は書いていきます。
もちろん、プレイもしながらです。



さて、せっかく2周年なのに、普通の回ですが....
それでも、見てくれると嬉しいです。


では、どうぞ!


日曜日、何もない日。

.....なんて事はなく。

今日は、いつもとは違う場所で絵を描いている。

もちろん、真木と一緒に。

 

 

 

 

 

いつもは家で描いているけど、今日はシブヤからちょっと離れた場所にある、大きな橋が見える公園で描いてる。

空は綺麗だし、街から離れてるから空気もおいしいし、何より絵になる!

 

 

 

 

 

 

 

絵名「..........」

 

 

真木「どうだ?いい景色だろ、ここ!」

 

 

絵名「......うん。ここなら、描きたいのが描けそう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

改めて口に出すけど、本当に綺麗。

これからも、来てしまいそうな。

橋が見えて、観覧車も見えるし。

何より言ったものが全部見えるっていうのがいい!!

 

 

 

 

 

 

 

真木「だろだろ!?ここなら、ゆっくり絵を描けると思ってな!」

 

 

 

 

 

 

子供みたいにはしゃぐ真木。

そんな真木を少し落ち着かせてから持ってきた道具を取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

テーマは.......うん、決まった!!

空と好きな人!

テーマはこれで決まり!!

 

 

 

 

 

 

絵名「よーし、描くぞーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後....

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

絵名「.....こうかな?いや、もっとこっちの方が....」

 

 

真木「絵名、どんな感じ?」

 

 

絵名「半分が終わった....ってところ。というか、どこに行ってたの?」

 

 

真木「聞いて驚け....!チーズケーキ買ってきた!」

 

 

絵名「!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

持っていた筆が落ちそうになったけど、なんとか持ち直す。

そして、唾液の喉の奥に押し込む。

 

 

 

 

 

 

真木「しかも、予約してたS...N....なんだっけ?まあいいや、有名なチーズケーキだ!」

 

 

絵名「ほんとに!?」

 

 

真木「ああ、ほんとうに.....」

 

 

 

 

 

 

バタっ。

 

 

 

 

 

 

絵名「真木っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

いきなり、真木が、倒れた。

急ぎで駆け寄る。

抱え上げて絵を描くために座っていたベンチに座らせる。

 

 

 

 

 

 

 

なんで、倒れたの?

なんで、何も言ってくれないの?

わたしが、無理をさせたから?

 

 

 

 

 

不安が止まらなくなる。

どんどん出てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「.......」

 

 

絵名「返事してっ!」

 

 

真木「......すぅ。」

 

 

絵名「......寝息?」

 

 

 

 

 

 

 

 

眠っている。

それを知って、小さな怒りと安心が込み上げてくる。

人の心配を返してほしい。

 

 

 

 

 

 

でも、本当によかった。

またあの時みたいに、いなくなっちゃうって思った。

実際そんな事はなくて、真木はここにいる。

真木がいるところが、私の居場所。

 

 

 

 

 

 

 

絵名「.......チーズケーキ、起きたら一緒に食べよう.....ね。」

 

 

 

 

 

 

 

ふと、ここで思いつく。

今なら、「あれ」ができるんじゃない?

世の恋人たちがしてる事。

 

 

 

 

 

 

い、いや、できるけど.....

でもしたい。

 

 

 

 

 

天使と悪魔が語りかけてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

.......ええい、どうにでもなれ!

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

絵名「......早く起きなさいよ。」

 

 

 

 

 

 

何をしたのか。

それは膝枕だった。

正直、一度してみたかった。

誰でもじゃなくて、真木に。

乗せてみたら、意外と軽い事が分かった。

普段から食べてるのちゃんと.....

 

 

 

 

 

 

 

眠っている真木の頬を突く。

ぷにぷに、ぷにぷに。

 

 

 

 

 

 

....私より、柔らかいじゃない。

髪も綺麗だし。

普段から髪なんて手入れしてないと思うのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「..........なんで....そっちに......」

 

 

絵名「さん?」

 

 

真木「おいて....行かないで...よ......」

 

 

 

 

 

 

 

.....悪い夢を見てるらしい。

どんな夢かははっきりと分からないけど。

うなされて言葉が出るぐらい、悪い夢だと思う。

 

 

 

 

 

 

真木の髪を撫でる。

優しく。ゆっくり。

落ち着かせるために。

 

 

 

 

 

 

 

.....撫でていると改めて思う。

なんて柔らかいのだろう。

普段から髪が揺れているところを見るたびに胸の音が鳴っていた。

今もそうだけど。

 

 

 

 

 

 

絵名「私は.....ここにいるから。ずっとここにいるから.....」

 

 

 

 

 

 

真木に、私に言い聞かせるように言う。

 

 

 

 

 

 

 

私は真木が好きだ。

あの日から、ずっと。

それは、おばあちゃんになったって変わらない。

死んだって。

何回生まれ変わったって好きになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとだけ強い風が吹いた。

私の髪も、真木の髪も揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

絵名「いつか、言えたらいいな。大好きだって事。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな呟きは、風に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!!

 

 

 




次回予告


「三人って真木の事好きなの?」
瑞希の爆弾発言によって、真木の知らない間に修羅場になったセカイ。
三人が好きなところを言っている間に真木がセカイに入ってくる。
そして、セカイは嫉妬という名の炎に包まれるのであった。


次回「カオスのセカイ」



瑞希、覚えとけよ。
今度奢るって言ってたの取り消しだからな。


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第七話 カオスのセカイ

どうも、シグザールです。



さて、今回の前書きには、全員の状態を書いておこうと思います。
一眼見るだけでもいいので、見てくれると嬉しいです。





余談ですが、最近、ある歌をずっと聴いてまして。
君の神話、って歌なんですけど。
その中の「全力で未完成」ってフレーズが一番好きなんですよ。
いつだって全力だけれど、未完成のまま。
君の隣に合う自分になりたい。でもなれない。
それでも、あなたのそばにいたい。って自分には感じます。
そんな自己解釈してますけど、ぜひとも聴いて欲しいです。





余談はここまでにして、どうぞ!


重音 真木

 

 

父親からの呪縛を抜け出し、己を救う決心をした。

ただ今自分を救う努力中。

そして、まさかの朴念仁。

なぜ三人からあんなに想われているのかがいまいち分かってない。

 

 

 

暁山瑞希

 

 

相変わらずの生涯で、最高の友達。

最近口をよく滑らす事が多くなっている。

それが爆弾だと知らずに。

真木の朴念仁ぶりを本気で心配している。

 

 

 

宵咲奏

 

 

真木が好きな人その一人。

残り二人に比べては、ある程度はマシ。

でも、勝手にファーストキスは奪っている。

幼少期の真木との思い出を語ると止まらなくなる。

 

 

 

朝比奈まふゆ

 

 

真木が好きな人その二人目。

以前よりかは監禁と束縛の頻度は少なくなっている。

「恋」を自覚したため、結構距離を縮めようとしている。

でも大抵失敗。

 

 

 

東雲絵名

 

 

真木が好きな人その三人目。

告白をしようとしてもつい殴ってしまう。

でも最近は少しずつ抑える特訓をしている。

そして一度彰人に見られた。

彰人曰く「かなりやばかった。」

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

爆弾。

それは、爆発してはいけないもの。

ましてや、いろんなものに爆弾という言葉が使われる。

セリフだったり、マジモンのものだったり。

そして、それには共通点が一つある。

 

 

 

 

 

 

 

爆発する前は、静かになるという事。

口は、災の元だと。

それを、ボクは今日学んだ。

ある一人の友人が犠牲となって.......

 

 

 

 

 

ピコン。

 

 

 

 

あれ、スマホの通知が。

えーと、何何......

 

 

 

 

 

 

「お前、何を言ったのか知らんが。マジで覚えておけよ。あれから今俺の家で三人でお泊まり会やってるんだかな。三人で俺の部屋に押し込まれてぎゅうぎゅうなんだよ。本当にマジで覚えておけよ。前に頼まれてたバイトの代わり、全部取り消して瑞希に入れてもらったからな。ほんっとうに覚えておけよ。今度奢るって言ってたの取り消しだからな。」

 

 

 

 

 

 

.......どうやら、犠牲者の道連れを食らってしまった。

とりあえず、一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんなさーーーーーーい!!!!!!!

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

さて、無事にバイトのシフトを絶賛こなしている中、どうしてこうなったのか。

少し、思い返してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セカイで、作業をしていたんだ。

それで、ふとした事からまあ恋バナの話に。

......まあ見事に全員がシンキセンパイの惚気だったけど。

ボク?ボクは華麗にスルーさせてもらったよ。

それで、ボクはある爆弾を投下した。

いや、絶対にそうだったのに、ボクは言ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「三人って、真木の事好きなの?」

 

 

 

 

 

 

瞬間、セカイが凍った。

いや、空気が凍った。

少し離れて見ていたミクもあまり動かない表情が動いて怯えていたのを覚えている。

 

 

 

 

 

奏「.....今なんて言ったの?」

 

 

まふゆ「.......瑞希?」

 

 

絵名「あんたねぇ.....!!」

 

 

瑞希「す、ストップ!一旦、落ち着こ、ね??」

 

 

 

 

 

 

 

 

空気が静まる。

そして、数秒後。

ボクは惚気(早口)を三人同時に聞く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

奏「真木は昔から優しくて、どんな時にも一緒にいてくれて、わたしの大好き人。瑞希知ってるよね、わたしが誰にも真木を渡したくないって。」

 

 

まふゆ「.....真木は、私にないものをたくさんくれた。人を好きになるって事。想いを伝え合えば、なんでもできるって事。それを疑うの?というか「好きって事は信じる事」って言ったの瑞希だよね?」

 

 

絵名「わ、私だって、もっと縮めたいって思ってるわよ!でも、ちゃんと伝えれなくても......毎日頑張ってる!そろを知ってるのに、それを言うの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当はもっと言ってたんだけど、それよりも耳が痛かった。

ボクは聖徳太子じゃないのに。

でも、そんな時に救世主(犠牲者)が来てくれた。 

 

 

 

 

 

 

 

真木「到着、っと.....あれ、みんなどうしたの?」

 

 

瑞希「シンキセンパイーー!!」

 

 

奏「真木.......」

 

 

まふゆ「少しの間.....」

 

 

絵名「じっとしてなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「え、ちょ、なにこれ?みんな俺のとこ走ってきて......!?誰か説明しろぉ!?なあ瑞希、助けてくれ!」

 

 

瑞希「......また、会おう!」

 

 

 

 

 

 

 

真木「瑞希ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

叫ぶシンキセンパイを背にして、ボクはセカイから出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、ボクはその道連れを食らう事になった。

正直、見くびってた。

だって、あそこまでヒートアップするとは......ねぇ。

 

 

 

 

 

 

そう思いつつも、ボクはバイトをこなしていった。

こなした後、ボクは家に帰ろうとした。

そんな時、またスマホに通知が届いた。

なになに.....

 

 

 

 

 

 

「瑞希がやってるバイト、俺も一緒にする事になったから。よろしく。」

 

 

 

 

 

 

.......え?

つまり?

ボクのところに、シンキセンパイが来るって事?

なんで?

........とにかく。

 

 

 

 

 

 

 

「いいいやっほーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

歓喜の叫びは、もう傾きかけている夕陽に響いた。

よく分からないけど、これ以上嬉しい事はない....!

......あれ?待って?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくよく考えたら、シンキセンパイが、後輩くんになるって事?

......なんか変だなあ。

ま、なるようになれ、か。

さてさて、どうなるかな......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

数日後.......

 

 

 

 

 

真木「いらっしゃいませ!.....どうだ?」

 

 

瑞希「おお、様になってる!」

 

 

真木「そ、そうか?ま、瑞希がそう言うんだったら違いないか!」

 

 

瑞希「って、そうそう、なんでここのバイトにしたの?」

 

 

真木「え?そりゃ、頼りにしてるからだろ。瑞希の事。」

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「..........イケメンムーヴ、か。だからああなるんだね。」

 

 

真木「ん?どう言う事だ?」

 

 

瑞希「ううん、なんでもない!さ、始まるよ。しばらくは後輩くんだね?」

 

 

真木「.....じゃあ。瑞希先輩。今日からお願いします!!」

 

 

瑞希「あいよ、任せて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏「.......」

 

 

まふゆ「....................」

 

 

絵名「............」

 

 

 

 

 

 

 

「「「私(わたし)もしようかな......アルバイト。」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!

 

 

 

 

 




次回予告。


彰人と共にシブヤを歩く真木。
そんな中、彰人とチーズケーキを食べる事に。
おいしいケーキを食べた後は、話し始めた二人。
内容は「真木をどうやって救うか。」




次回「救い探す二人」




ひたすら、前を向いて歩こう。


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第八話 救い探す二人

どうも、シグザールです。




今回、ヤンデレ要素はあまりなく、ほとんどギャグです。
しかし、次回から最終回に向けて加速していくので、次回からはシリアスオンリーとなります。





そしてまた余談ですが。
最近、ペルソナ5ザロイヤル(スイッチ)を買いまして。
発売日の21日まで、待っています。
まるで恋焦がれる女の子みたいに()
....見てくれてる人も、ペルソナやってみてください。
かなり、面白いです。




さて、本編、どうぞ!


真木とシブヤを歩いて数十分。

真木に誘われてとあるチーズケーキを食べていた。

もちろん、真木が買ってくれた。

......ほんと、なんで真木がオレの兄じゃねえんだろ。

っていうと本気で怒られるから飲み込むが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人「......美味いな、このチーズケーキ。」

 

 

真木「だろ?絵名にさえ言ってないものだからな。」

 

 

彰人「なんで言わねぇんだ?」

 

 

真木「最終兵器だからな。」

 

 

彰人「最終兵器ぃ?まあいいか。それで、話ってのは?」

 

 

真木「俺を、救う方法。」

 

 

彰人「......ついに、なのか?」

 

 

真木「ああ。」

 

 

彰人「.....どう、したいんだ?」

 

 

真木「とりあえず、好きな事を見つける。」

 

 

彰人「.....なるほど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

お互い、口に飲み物を入れつつも、静寂が流れる。

 

 

 

 

 

 

本当に、長がった。

真木が、自分を救う事を決めるのを。

何があったかは知らないが。

ただ、一つは確信している。

あいつ、絵名たちが何かをしたのを。

 

 

 

 

 

 

 

そう頭に浮かべていると、真木が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

真木「それでな......俺の趣味探しに付き合って欲しい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、オレ?

それが頭に浮かんだ。

そして、オレは席を立つ。

 

 

 

 

 

 

 

彰人「すまん、会計行ってくる。」

 

 

真木「ま、待てぇ!」

 

 

彰人「なんだでよ、なんでオレなんだよ!絵名とかいるだろ!?」

 

 

真木「.........トラウマ。」

 

 

彰人「は?」

 

 

真木「最近絵名たちに押し倒されかけたんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人は思った。

押し倒されかけた。

の前に「たち」に?

こいつ、無意識にイケメンムーヴしまくってるんじゃないかと。

無駄にしているんじゃないかと。

 

 

 

 

 

 

 

それを聞いた途端、オレの頭にはある最悪の未来が見えた。

それは、オレの姉が、真木をーーーー.....

 

 

 

 

 

 

考えただけでも悪寒が走る。

さすがにそこまで行ったらオレもどうすればいいか。

......なので、手伝う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

彰人「......分かった。協力する。するから、手を離せっての!」

 

 

真木「ありがとう!」

 

 

彰人「はぁ....で、何がしたいんだ?」

 

 

真木「特に何も。」

 

 

彰人「すみません、会計を......」

 

 

真木「待って!」

 

 

彰人「相談しておいてなんでアテがないんだよ!?ちゃんと決めてから言え!」

 

 

真木「じ、じゃ、ゲーセン行くぞ!」

 

 

彰人「ゲーセン、って....」

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、店の人に「お騒がせしてすみませんでした」と謝ってからゲーセンに向かった。

ついでに、助っ人を呼んでおいた。

呼んだ助っ人のヒントは「相棒」だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

真木「...........」

 

 

冬弥「........やりますね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人「め、目が追いつかん....」

 

 

 

 

 

 

 

助っ人を呼んで数十分。

真木は冬弥に格ゲーの操作方法を教えてもらい、一気に上達した。

例えるなら、ジョ○○ンが波紋をちゃんと修行してめちゃくちゃ強くなったような。

そんな感じである。

オレはゲームをそんなにしていないので、側から見たらもう人間じゃない動きにしか見えない。

 

 

 

 

 

 

 

真木「......チェックメイト。」

 

 

冬弥「甘いです。」

 

 

真木「うそだろっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

うーわうーわうーわ.......

K.O!

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人「....えーと、とりあえず、冬弥が勝ったんだ...よな?」

 

 

真木「......付け焼き刃じゃ、ダメだったかー!」

 

 

冬弥「いいえ、あと少し攻められたら俺は負けていました。これからですよ。」

 

 

真木「そうか!......いいな。ゲームって。彰人、やってみるか?」

 

 

彰人「え、オレは.....ったく、しょうがねぇな!あんまり期待すんなよ!冬弥、教えてくれっ!」

 

 

冬弥「任せろ。」

 

 

 

 

 

 

 

真木と同じぐらいの付け焼き刃を身につけたオレは、真木と対戦で勝負する事になった。

対戦は至って普通に進み、あとワンラウンド、どっちが先に当てればの勝ち。

いわばガンマンの早撃ち対決みたいなもの。

....だか、オレはそれ以前に気になる事がある。

それは.....

 

 

 

 

 

 

 

 

「無駄無駄無駄ァッ!」

 

 

「チェックメイトだッ」

 

 

「なんとかなんとかだーーーッ!」

 

 

「連打の速さ比べか.....?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、なぜが対戦相手である真木が妙にテンションが高いのだ。

声もなんか変わってるし。

ちなみに、真木が使ってるキャラは王様....のかっこをした傲慢なキャラ。

傲慢らしく、遠距離が得意だが、必殺技で急にうるさくなる。攻撃も強くなる。

そんなキャラの影響をもろに受けているのか、とてつもなくうるさい。

目につく人たちが「すごっ」って呟いていたのを片隅で聞こえていた。

冬弥は「あ、あそこまでのなりきりを初見で......!?」と戦慄しているのか嬉しいのかの反応でオレは反応に困った。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、対戦は「この真木がァァァァァァ~~~~~~~~ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......うんまあ。

割り込まれたけどこれだけでも分かるよな。

オレが勝った。

 

 

 

 

 

 

......今日、オレは思った。

あいつ、演劇部にでも入ればいいだろ、と。

あるかどうかは知らないけど。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

数日後。

 

 

オレは、真木に誘われて初めて真木の家に入る事になった。

初めてだったか思ったが、よくよく考えたら、オレが真木と出会ったのは本当に偶然だった。

そりゃ入った事もないな。

 

 

 

 

そして、多分ゲームをする事になるだろう。

だが、オレは真木に頼む事がある。

それは........

 

 

 

 

 

真木「彰人、いらっしゃい!ほら、ゲームするぞ!」

 

 

彰人「いいけど......」

 

 

真木「ん?どうした、歯切れが悪いじゃないか。」

 

 

彰人「......勉強、教えてください。」

 

 

真木「.....へっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「彰人、これはなんだ?確かに俺はテストの過去点を見せろといった。だが、これは.....補修ギリギリじゃないか!?」

 

 

彰人「うっ.....」

 

 

真木「仕方あるまい......みっっちりするからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頼み込んで数時間。

オレは倒れ込んでいた。

頭のキャパオーバーだ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

まずい、一気に詰め込みすぎた。

どうやら俺は勉強を教えるのは苦手らしい。

そこでぐったりしている彰人が証拠だ。

 

 

 

 

 

 

......俺、変わったのか。

前なら、冬弥にゲームを教わったって、何も感じなかった。

でも、今回はすごく楽しいとか、嬉しいとか、いろんなものを感じた。

俺が好きなものを、早速見つけたのかもな。

 

 

 

 

 

そうそう、そういえば。

最近、日記帳を書き始めた。

大した事は書いていないけど、意外と楽しい。

あと、書いてるうちにある事を一つ思い出した。

 

 

 

 

 

それは、ある女の子と一緒に何かを書いた、という事。

なんで思い出したか、何を書いたのかは覚えていないけれど。

 

 

 

 

 

まあ、とにかく。

ずっと前を向いて、歩いて行こう。

 

 

 

 

 

それが俺の、今の夢だ。




次回予告


心象風景。
以前、ミク?に言われた言葉。
それをセカイではなく、夢で見る真木。
その夢、もとい風景は、あのセカイと同じく海だった。
疑問に思っていた事。
その疑問が明かされ、そして物語は終わりへと近づいていく。




次回「セカイノモト」



そうだ、俺が好きだったのは。あの蒼い空と。


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第九話 セカイノモト

どうも、シグザールです。




さて、このシリーズはあと三話で完結の予定です。
もしかしたら後日談を書くかもしれませんが。



真木と、ニーゴのみんなの救い救われの話。
その終着点まで、どうかお付き合いいただけれると嬉しいです。



では、どうぞ!


真木「......ここ、は?」

 

 

 

 

 

急な明かりに驚いて、ゆっくりとまぶたを開く。

まぶたを開いた先に映ってたものは。

 

 

 

 

 

 

真木「う.....み?」

 

 

 

 

 

 

また、だ。

どうしてこうも俺には海に縁があるのだろうか。

海、か。

俺のセカイの海も、この海も。

どういうわけか懐かしさを感じる。

初めて見たはずなのに。

 

 

 

 

 

 

そう考えていると、急に風が吹く。

結構強い風で、食いしばらなければ吹き飛ばされるぐらいの。

 

 

 

 

 

 

風が止み、辺りを見渡す。

すると、さっきまでいなかった誰かがいた。

身長は低く、少年なのか。

不思議に思いながらも、ゆっくりと近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

近づくと、少年が後ろを振り向いて話しかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

名もない少年「お兄ちゃん、だれ?」

 

 

真木「俺は重音真木。君は?」

 

 

名もない少年「僕はしんきって言うんだって。」

 

 

真木「え?」

 

 

 

 

 

 

 

少年の名前が聞き取れない。

というより、言葉にノイズが走ってるような感じだった。

まるで、初めてあのセカイに入ったような.....

ん?という事は、また知らずのうちにセカイに入ってたのか?

 

 

 

 

 

心当たりがありすぎる。

心当たり、というのは。

最近、よく俺の家に来る奏とまふゆ曰く「寝てる時に勝手にスマホを触ってる」らしい。

もしかしたら、それなんじゃないか。

 

 

 

 

 

 

まあ一人で考えてもしょうがない。

そこにいる少年と話してみる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

少年の近くに座らせてもらい、一緒に海を眺める。

波は静かに動いて、心地よさが耳にくる。

何時間だって見られる。そんな気がした。

そして、少年に疑問を投げた。

 

 

 

 

真木「君は、どうしてここにいるの?」

 

 

名がある少年「お母さんとお父さんに連れてきてもらったの!海が好きだから!」

 

 

真木「海、か。それはどうして?」

 

 

名がある少年「んーと......綺麗だから!青くて、キラキラして、海の上に蒼い空があるから!」

 

 

真木「......そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

話している中、俺は一つ疑問が浮かんだ。

この少年、どこか俺に似ているんじゃないか。

髪色が自分の髪色が同じだし、何より。

あの父親から受け継いだ赤色が入っている。

 

 

 

 

 

 

ほとんど確定みたいなものだが。

それでも認めたくなかった。

だって、俺がこんな無邪気に笑っている。

何も思わず、心のままに。

それが、羨ましい。

 

 

 

 

 

 

 

名がある少年「お兄ちゃんは、海好き?」

 

 

真木「......綺麗とは思う。でも、好きかどうかは分からない。」

 

 

名がある少年「......そっか。でも、多分好きだと思うよ?」

 

 

真木「なんで?」

 

 

名がある少年「海見てるお兄ちゃん、目がキラキラしてるから。」

 

 

真木「なっ!?」

 

 

名がある少年「お兄ちゃんさ、昔好きだったんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

少年が言う事は、すんなりと胸の中に入ってくる。

確かに、言われてみれば好きだったのかもしれない。

理由は.....なんだったかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな綺麗な海みたいに、みんなを救えたりできるのかな。俺。」

 

 

 

 

 

 

 

 

頭に、言葉が流れる。

懐かしく、聞き覚えのある声。

そして、俺の脳に映し出される映像。

 

 

 

 

 

 

誰かと海に来て、脳に響いた声を言った。

 

 

 

 

 

そう結論つけると、何もかもが繋がった。

俺のセカイ、ミク?が言っていた「心象風景」、俺に似た少年。

そうだ、俺が好きだったのは。あの蒼い空と、この綺麗な海。

 

 

 

 

 

 

真木「.......今、分かった。なんで俺のセカイが海なのか。なんで俺がこの海に懐かしさを感じるのか。」

 

 

名がある少年「あれ、何処か行っちゃうの?」

 

 

真木「ああ。俺は帰らないと。」

 

 

 

 

 

 

 

座っていた砂浜から立ち上がる。

長い間座っていたからすっかりズボンに砂がついている。

それを軽く払って、後ろに背を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

名がある少年「ふーん......ねぇ、お兄ちゃん。一つだけ、約束してもいい?」

 

 

真木「約束?」

 

 

名がある少年「うん、もう一人で抱え込まない事。」

 

 

 

 

 

 

 

真木「ああ。約束するーーー」

 

 

 

 

 

 

 

その先を言おうとした時、俺の意識は消えた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

真木「はっ!」

 

 

 

 

 

 

意識が目覚め、顔を勢いよく上げる。

辺りを見渡すと、俺の部屋だった。

ベットに横たわっていて、携帯も近くにない。

それに、あの海なんてこれっぽっちもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「なんだったんだろうな......夢って事でいいん.....だよな?」

 

 

 

 

 

 

 

夢にしては結構リアルだったような......

でも、大切な事を思い出せた。

それだけでも、あの夢に感謝しないと。

 

 

 

 

 

 

それと、一人で抱え込まない約束、か。

 

 

 

 

 

 

 

あの少年の前で言えなかったけれど。

約束する。

絶対に抱え込まない事。

少年が思い出せてくれた大切な事。

その恩返しってわけじゃないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「明日、海を見に行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

そう小さく呟いた俺の声は、部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




次回予告



真木はニーゴのみんなと共に海辺に向かう。
そして、真木は言う。
自分が、好きなものを思い出せた事を。
そして、一人一人にありがとうを伝える。
日々の感謝、あのセカイから救ってくれた事を。





次回「ありがとうをみんなに」





瑞希、奏、まふゆ、絵名。
救ってくれて、ありがとう。






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第十話 ありがとうをみんなに

どうも、シグザールです。 



えー、更新。お待たせしました!
......ペルソナばっかりやってました!ごめんなさい!!!




さ、さて。次回、ついに最終回です。
長く楽しいシリーズでした。
え?最後はどうなるのか、って?
.......お楽しみというやつです。
一足先に、このシリーズを見てくれた方に。




最大限の感謝を。
では、どうぞ!!








それと、本編終了後に、後日談.....というより、前日談を投稿しようと思います。
想いを寄せている三人。出会ったぐらいのところを書こうかと。



奏「綺麗......」

 

 

瑞希「まさかあの真っ暗がこんなに綺麗になるなんてねぇ。世紀の大発見って感じ!」

 

 

まふゆ「珍百景......」

 

 

絵名「怒られるからやめときなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、俺とニーゴのみんなで海に来ている。唐突だと思うが。

海、って言っても、どこかの海じゃない。

俺にとっての、特別な海。

そう、俺のセカイの海。

なぜニーゴのみんなを俺のセカイに呼んだのか。

理由は一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺を救ってくれたみんなにありがとうを伝えたかった。

ただ、それだけ。

ならそのまま話せばいいじゃないかと言われるかもしれない。

でも、俺とって、そのまま話すのは無理だと思った。

だって、そのまま話したら.....その。

うまく言えないような気がして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、俺のセカイに来てもらった。

名目は「伝えたかった事を全員に伝えたい」って。

瑞希以外はびっくりしていた。

まあびっくりするだろうなとは思っていた。

というか、瑞希になぜ驚かなかったのか。

と聞くと瑞希は「センパイの事だから、伝えたい事があるってお見通し!」なんだと。

......本当、友達ってすごいな。

つくづくそう思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「瑞希、お前はいつも俺の事を考えていてくれてたな。いつものとき、最初の頃は正直言って「なんでこんな.....」って思っていたけれど。」

 

 

瑞希「えっ、そんなふうに思ってたの!?」

 

 

真木「でも、次第に楽しいとか、なんとなく、嬉しい、って思えるようになった。......ありがとう。」

 

 

瑞希「.....ちょっとびっくりしたけど、なんか照れくさいなぁ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「奏、俺が消えかけた時、助けてくれたな。おれはあの時、本当に消えてもいいって思ってた。」

 

 

奏「真木......」

 

 

真木「でも、心残りがあった。「みんなともう一回だけ会いたい」って。本当なら、心残りごと消えてた。でも.....救ってくれたんだ。だから、俺は今ここに入れるんだ。......ありがとう。」

 

 

奏「わたしはただ、真木を助けたかっただけ。.....助けれて、本当に良かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「まふゆ。俺の部屋に来るたび、一緒に過ごしてたな。その....今まで口にしてなかったけど。救うだとか、救わなきゃとかを抜きにして。楽しかった。いつも家で一人でいた俺が、ひとりぼっちにならずに済む時間だったから。」

 

 

まふゆ「......そう、だったんだ。」

 

 

真木「本当は、ひとりぼっちは嫌だった。あの時、自分の声からも聞こえた。一人になりたくないって。....だからだったのかな。違う、って。そう言えなかったのは。ただ、甘えてたんだ。......今の俺には、多分言える。けど、言わない。.......これからも、一緒に過ごして欲しい。

.....ありがとう。」

 

 

まふゆ「...........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「絵名。いつもお前には前向きにさせられている。どれだけ何を言われたって、ずっと前に進もうとしてるから。」

 

 

絵名「そんな事ないって。真木がいなきゃ、私、なんにもできないから。」

 

 

真木「そう思ってるのは絵名だけだ。いつも引っ張ってくれて、俺はすごく勇気を貰えてるんだ。絵名みたいになりたい、って。.......ありがとう。」

 

 

絵名「.......それ感謝じゃなくて、褒めてない.....?でも、いいかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感謝をみんなに伝えた。

伝え終わった。

ものすごく、晴れ晴れとした想いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

海が揺れる。

みんなと、揺れる海を見つめる。

綺麗な夕陽で、海が光る。

夕陽の光で、水面が透けて見えるぐらいの灯り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また海が揺れる。

海が揺れ終わった時。

俺はみんなの方に振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩音「瑞希、奏、まふゆ、絵名。救ってくれて、ありがとう。俺も......また、誰かを救えるように、頑張るから。だから......!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に、ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。

 

 




次回予告




絶望から救われた者。絶望から救おうとする者。絶望から変わろうとする者。
絶望しようとも進もうとする者。絶望を超え友と進む者。
少年たちは、出会い、絶望し、希望を持ち、救われた。





もしかしたら、誰かに決められていたのかもしれない。
けど、そんなのは関係ない。
俺たちは、こうして過ごしているから。






誰かを救うために。
そして、未来に進むために。
今までも、これからも。





最終話「絶望の果て、希望の果て、救いの果て。そして、想いの果て。」





なんど止まっても、進み続けるんだ。
そして、誰かを救うんだ。
それが、俺の生きる理由。





大切な人を、誰かを救うために。
わたしは作る。救う曲を。





大切な人に、伝えるために。
私は想う。君の事を。





大好きな人に、気づいてもらうため。
誰かに、見てもらうために。
私は描き続けるんだ。





ボクの生涯で、最高の友達と進むために。
ボクは、進むんだ。踏み出すのがどれだけ小さくだって。


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最終話 絶望の果て、希望の果て、救いの果て。そして、想いの果て。

どうも、シグザールです。




ついに完結です。
長い間、お待たせしました。
二回ぐらいボツにした最終話は......気が向いたら別の話として出そうと思います。





そして、次から前日談を三つ、投稿予定です。
内容は真木を想う三人がなぜ想い始めた、です。
まあ一番最初に載せてるんで、投稿する前にぜひ(露骨な宣伝)





今回、後書きはないので、ここで読んでくれた人たちに感謝を。




______読んでくれた方に、最大限の感謝を。
では、最終話、どうぞ!!


最近、少し秘密の事を始めた。

この半年間。

半年間の思い出。出来事。

それをまとめたノートを書き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

セカイに閉じ込められて、絶望して、みんなに救われて、好きなものを思い出して、みんなにありがとうを伝えて。

 

 

 

 

 

 

俺が救われて、みんなと救うための曲を作って。

それで、毎日を駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

絶望して、希望ができて、救われて。

 

 

 

 

 

 

 

これから書くのは、俺の想い出を作ったある日の事。

 

 

 

 

 

 

______そして、誰かといれる毎日にありがとう、と思えた事。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「......懐かしいな。みんなで撮ったんだったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に飾られている写真を見ながら、そう呟く。

その写真は、二学期が終わって、しばらくしてから撮った写真。

初めて撮った、思い出のある写真。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時に、俺はもう一回始まったんだ。

新しい、想いと決意を込めて。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

ニーゴ、新曲オフ会場(いつものカフェ).....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「二学期も、もう終わったのか......」

 

 

瑞希「何感傷に浸ってるのー?」

 

 

真木「瑞希.......」

 

 

絵名「あーあ。そっちはいいわね......こっちはもう少し後なのに....」

 

 

奏「あれ、これなんのオフ会だっけ......」

 

 

まふゆ「新曲完成のオフ会。」

 

 

瑞希「って、そうだったそうだった......じゃあ改めて。」

 

 

 

 

「かんぱーい!」

 

 

 

 

 

 

「「かんぱーい!」」

 

 

 

「「か、かんぱーい.......」」

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希の合図とともに、注文した物を食べる。

やっぱり、ここのは美味しい。

なんていうか、素材の味をそのまま引き伸ばしているかのような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、この楽しい時間を考えてみる。

いつまでもあるわけじゃない、この時間。

いつか、なくなってしまうこの時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「(やっぱり......みんなといると楽しいな。でも、いつかは別々の道を進んでいくのだろうか。.....そうなったら、俺は笑顔で見送ろう。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思いつつも、ずっとこんな時間を過ごしたい、って考えてしまう。

せめて、この一瞬を取れたらいいのに。

 

 

 

 

 

 

 

......ん?取れたら。

取れる......撮れる.........これだっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「あのさ、せっかくだし、写真を撮ってみたい。」

 

 

まふゆ「写真?」

 

 

真木「思い出作り、してみたいなって。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「はーい!撮るよー!」

 

 

奏「写真、か。前に撮ったのって何年前だったかな.....」

 

まふゆ「私も。」

 

絵名「私は.....結構撮ってる、かな。」

 

 

まふゆ「SNSで使うための、でしょ?」

 

 

絵名「そうそう、綺麗なところに、私って言うカワイイ.....」

 

 

真木「.......自分で可愛いなんで言うかぁ?」

 

 

絵名「うるさい!」

 

 

真木「あ痛っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

頭に思いっきりのグーパンを食らった。

たんこぶ.....できたなこれ多分。

煙とかは流石に出ていないけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「あー!ずれないでよ!せっかくベストな角度だったのに...」

 

 

奏「瑞希、手伝った方がいいかな?」

 

 

瑞希「ううん、大丈夫!それより奏、もう少し真木に近づいて!」

 

 

奏「え.....?」

 

 

瑞希「まふゆも絵名もー!んで、シンキセンパイは真ん中!」

 

 

「「!?」」

 

 

真木「え、なんで俺が中心なんだ?」

 

 

瑞希「言い出しっぺの法則!ほら、早く早く!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希の指示は的確で、みるみるうちに一つのスマホに収まるようになった。

さすが、瑞希というところか。

そして、数分後。

準備はできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「よっし、準備オッケー!10秒カウントでいい?」

 

 

 

 

 

 

「「「異議なし!」」」

 

 

 

 

 

 

瑞希「んじゃ、押すよー!カウントスタート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希がスマホの撮影ボタンを押して、こっちに走ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「ほらほら、笑って!」

 

 

真木「え、急に言われても.....」

 

 

絵名「もー、思いっきりニカッ、ってすればいいじゃん。」

 

 

真木「わ、分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言われた通りに、思いっきりの笑顔を作った。

どんな笑顔かは分からないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

パシャ!

スマホから、シャッター音が聞こえた。

どうやら、無事に撮影ができたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「ちょーっと、待っててね!」

 

 

 

 

 

 

 

瑞希は、撮った写真の確認をしに行った。

大丈夫だろうか。変な顔になってなかっただろうか。

 

 

 

 

 

 

 

奏「心配しなくても、大丈夫だよ。」

 

 

真木「......ま、そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「ぶっ......あはははははははっ!!シンキ、シンキセンパイ......!」

 

 

真木「な、なんだぁ!?」

 

 

瑞希「ニカッ、ニカッって......!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気になって、瑞希のところのに走る。

そして、撮った写真を見る。

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

真木「.........ええ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

した自分が困惑するぐらいに、俺の顔はニカッとなっていた。

瑞希が落ち着いた後、三人に見せたが.......

奏は励ましてくれて、まふゆはなんと笑った。流石に大笑い、じゃなかったけど。絵名は瑞希と同じぐらい笑ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

得るものも何か失うものも大きい、写真だった。

けど、思い出になった。

変な笑顔だけど、精一杯笑った思い出。

どんな思い出でも、大切に。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

真木「.......そろそろ、寝ようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

書き終えたノートをもう一回確認してから、寝る準備を始める。

と言っても、歯磨きをしてベッドに潜るだけ。

 

 

 

 

 

 

 

PIPIPIPI!

と思ったら、誰かから着信が来た。

着信先は......瑞希?

通話マークを押す。

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希「もしもし、シンキセンパイ!」

 

 

真木「瑞希?どうしたんだ?」

 

 

瑞希「なんとなく、声が聴きたくて。」

 

 

真木「......大丈夫だ、俺はここにいるからな。」

 

 

瑞希「.......そうだね。半年前と全然違うなぁ、やっぱり。」

 

 

真木「半年前?」

 

 

瑞希「前に聞いた時なんて声がめちゃくちゃ元気がなかったのに、今じゃいっぱいあるから。」

 

 

真木「そう、か?」

 

 

瑞希「そうだよ!これも、シンキセンパイが進んだおかげでそうなれたんだから!」

 

 

真木「俺が、進んだおかげ......それもあるだろうけど。みんなが、いてくれたから。だから進めたんだ。」

 

 

瑞希「.....なんだか、照れちゃうな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真木「......俺、これからも誰かを救うよ。でも......」

 

 

瑞希「でも?」

 

 

真木「俺自身も、救う。前みたいに、自分を犠牲になんてしない。瑞希と彰人にまず俺から救うじゃなくて。俺自身も、一緒に。」

 

 

瑞希「........そっか。」

 

 

真木「だからな、瑞希。.......これからも、よろしく。」

 

 

瑞希「うん!よろしく、シンキセンパイ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、電話している横目で、窓の外を見る。

外は真っ暗で、蛍光灯が光っている。

空を見上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見上げながら、今までの事を思い出す。

そして、振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

______思い出せば。

思い出せば。

 

 

 

 

 

 

 

 

前の絶望も、見つけた希望も、自分自身の救いもみんなとの想いも。

全部俺の中にあって、大切なもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから、どんな事が待っているんだろうか。

また、絶望する事もあるかも知れない。

でも。また乗り越えれると思う。

だって、みんながいるから。

これからも作るみんなとの思い出が、俺の希望。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、お父さん(・・・・)、お母さん。

上からも、見守ってくれ。

俺たちの、想いの果てに着くまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君を想う三つの音、終わり。

 

 



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