クソゲー人生 (明日照 一)
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クソゲー人生

ツイッターでのリクエストより
「現実の不条理」を適当に30分で書きました
現実とゲームとの違い
結構実感したことある人もいると思うんですよ


俺はゲームが好きだ

自分がその主人公になりたいほどに

それは成人した今も変わらない

ゲームはいい、すばらしいものだ

敵を倒すという快楽、美少女と恋をする青春、自分のやりたいようにできる

ただあくまでそれはゲームの話だ

現実では不甲斐ないだけの冴えない男に過ぎない

 

朝6時

いつもどおり起床し、仕事に向かう

仕事は正直嫌いだ

上司はうるさい上に、やることが単純作業の繰り返し

言われた通りしてるのに怒鳴りつけられるのはあまりに理不尽だ

心のなかで何度も繰り返す

「コレがゲームの中なら・・・」

「なにか言ったか?」

上司が睨みつけてくる

うっかり口に出してしまっていたらしい

「いえ、別に、何も無いです」

とりあえずのその場しのぎをしておく

こういう時にセーブポイントかボタンでもあれば

何回も思ったことがある

あのにやり残したことがとか

もう一度あれをやりたいとか

でもコレは現実

誰がなんと言おうと出来ないものは出来ない

猿が空を羽ばたいて飛ぶのと同じ

その中でも落ちぶれている場合はもっと惨めだ

まるで巣立ちの時に飛べず、地面にたたきつけられ兄弟において行かれたツバメのようだ

 

帰り道

人が多いのは好きじゃない

だが、この大通りを通らなければ大周りになってしまう

しかたなし、いつもより人通りの多い道を行くことにした

「キャーーーー」

悲鳴

どうやら包丁を持った男が女声を襲ったらしい

その犯人らしき人物がこちらに走ってくる

(また人騒がせなやつだ。こういう奴はそっと避けるのが1番だ)

そう思ってすっと道を開ける

しかし

俺の予想外の行動をその男はした

手に持った包丁で俺の脇腹を突き刺した

「っーーーーー」

痛い 叫んだが声が出ない

出ているのかすらわからない

その男は笑っていた

笑って俺を刺していた

「この糞野郎が」

俺は言ってから気づいた

気づいた時には遅かった

その男は包丁をもう一度俺の腹にさした

嗚呼、リセセットボタンがあれば・・・

俺はこのなにもできない不条理な世界を呪った

そしてこのクソみたいな世界がどこかのゲームの中なのかもしれない

作りこまれたシナリオ

決められた選択肢

定められた結末

もし、この世界がクソゲーの中なのであれば、俺はどうあがいてもこいつに殺されたのかもしれない

そう思うと、腹がたった

霞む視界の中でひたすらにこのクソゲーを呪った

もし、内側から電源が切れれば・・・

とも思った

だが現実は常に非情で、人はどこかで死んでいく

目立つものと目立たないもの

どちらにしろ最後はこの世界を呪うのかもしれない

今死んだ俺のように



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