JoJo's Bizarre SEKAI (樺白)
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本編
第1話:登校


am:7:00

 

???side

 

.......ピーピーピー

 

____目覚ましの音が聞こえる

 

「......はぁ」ッピ

 

今日から高校生かぁ

 

「___!起きなさい!!今日は入学式でしょ!!!」ガチャンッ

 

「ッ!びっくりしたぁ...今起きたよ」

 

寝起きに大声出されると耳がキーンとする

 

「よろしい 朝食出来てるよ」

 

「へいへい」

 

身体を起こし、今日から通う高校の制服に着替える

 

am:7:45

 

「んじゃ、行ってくるよ」

 

「事件起こさないでね〜」

 

「起こさねーよ!…..たくっ」

 

どんだけ信用されてないんだおれは...

 

___________

 

 

 

???side

 

ふんふふ〜ん♪ ふんふふ〜ん♪

 

今日は新色のリップの発売日♪

 

健康のために早く起きたんだからぜ〜ったい手に入れないとね♪

 

久しぶりに学校行けるの楽しみだなー!

いっちゃん達びっくりするかな?

 

ふふっ

 

ドンッ

 

「キャッ!」

 

「ッ!?」

 

転んじゃ......あれ?

 

転んで.....ない?

 

「すまねぇ...大丈夫か?」

 

「...は...はい!......大丈...夫です?」

 

「見た感じ怪我とかなさそうだな...よかった」

 

この人身長おっきー...おにいちゃんよりもおっきいかも?

 

あれ?この人が着ている服って?

 

「その服って神山高校の?」

 

「うん?...そうだけど」

 

「やっぱり! おにいちゃんの通ってる学校の制服に似てるなーって思ったの♪」

 

「そ...そっか」

 

「あっ...ごめんなさい!急に大きな声出して...」

 

「大丈夫 今日これから入学式なんだ」

 

「入学式ってことはアタシとおんなじ学年なんだ!」

 

「そうなのか...君はまだ学校は始まってないのか?」

 

「ううん、アタシ最近まで入院してたの」

 

「...聞いちゃあいけないことだったか」

 

「大丈夫!入院中寂しかったけどお兄ちゃんがよく来てくれたし、これから友達のみんなに会えるから♪」

 

「へーいい兄さんと友達を持ったな」

 

「うん♪ そうだ、自己紹介しなくっちゃ!」

 

「アタシ、天馬咲希。よろしくね!」

 

「咲希ちゃんか...俺は____」

 

「うぅ!?」

 

「オラァ!?どけえ!!!?」

 

「「!?」」

 

あれって...ひったくり!?

 

「咲希ちゃん、おじいちゃんを起こしてあげて。」

 

「う、うん! あなたは?」スタスタ

 

「荷物を取り返すよ」

 

___________

 

「おじいさん!大丈夫ですか?」

 

よかった、見た感じ怪我はなさそう!

 

「ああ、わしは大丈夫じゃ...だけど荷物が。」

 

___________

 

「どけえ!!ガキ!!!」

 

「...」サッ

 

え、避けた?

 

スポッ

 

「!!」

 

しっかりと持っていたのに、

 

「...」ガシッ

 

荷物が滑り落ちた!?

 

「はい、おじいちゃん」スッ

 

「おお、ありがとう」

 

「ッ!! このクソガキィ!!!!」ブンッ

 

「...」

 

「あ、危ない!!」

 

 

 

 

ドスンッ

 

「ウグオ!?」

 

「え!?」

 

「....ほお」

 

人が...

 

「ゴハッ!?」バシンッ

 

吹っ飛んだ!?

 

「おじいちゃん、大丈夫か?」

 

「わしは大丈夫じゃ」

 

「咲希ちゃんも...大丈夫そうだな」

 

「う...うん」

 

「ふう......ってやべえ!?」

 

「どうしたの!?」ビクッ

 

「もうこんな時間だ! 学校初日で遅刻なんて洒落になんねえ!」

 

「悪い、俺はもう行くよ......っと、忘れてた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、城ヶ崎響助っていうんだ。縁があったらまたな!」スタスタ

 

___________

 

???side

 

あの若者...

 

「ッ!ここにいたんですね!」

 

「おお、すまんすまん。」

 

「まったく、無事そうで何よりですよ。」

 

「いやあ...荷物をひったくられてしまってのお。」

 

「ええ!?怪我は...なさそうですね。」

 

「荷物もこの子と、今はいないがもう一人の若者が奪い返してくれたんじゃ。」

 

「そうだったんですか、ありがとうございます。」

 

「いえいえ! アタシは何もしてないですよー!」

 

「なんて謙虚な人なんだ...」

 

___________

 

「さあ、行きますよ。」

 

「ああ、改めてありがとう。」

 

「いえいえ...」

 

「もう僕から離れないでくださいね。」

 

「ところで、傷は大丈夫かのォ?」

 

「何言ってるんですか?もう10年以上前に完治していますよ。」

 

「そうだったかのォ?」

 

「まったく。」

 

「...」

 

あの若者...

 

一瞬しか見なかったが、確かに持っていた。

 

『黄金の精神』を、そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『幽波紋』をも....



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第2話:下校 その1

pm:1:00

 

響助side

 

ふー、何とか遅刻せずに無事に終わったぜー...

 

これでどやされずに済む。

 

クラスはA組だったかな、まあ今はどーでもいいか。

 

それより腹が減ったな、何か買いに行くか。

 

うーん何も考えてなかったな、適当に済ますのもいいが。

 

高校生になったことだし、何かかっこいいところで食事したいよなぁ。

 

どうすっかな?

 

 

 

____________________

 

pm:2:00

 

なんだかんだで1時間くらい歩き続けているな...

 

その辺のファミレスとかでいいか?

 

ん?

 

ここは、『WEEKEND GARAGE』?

 

バー...か、こんなの昔からあったっけ?

 

カフェのメニューも載っているな。

 

開いてそうだしここで食べていくか。

 

ガチャッ カランカラン

 

「いらっしゃーい......あれ?」

 

「うん?」

 

「君、同じクラスの!」

 

「え?」

 

同じクラスの......?

 

やっべー俺、クラスの人の名前なんて覚えてないぞ。

 

でも、面と向かってそのまんま知らないっていうのも失礼だしなぁ。

 

うーん......

 

「すまねぇ、入学式とかそれまでにいろいろあって、クラスメイトの名前をよく覚えてないんだ。」

 

我ながらなんて醜い言い訳。

 

「そうなんだ!私、白石杏。改めてよろしくね!」

 

うん、今のではっきりわかった。

 

この子、めちゃくちゃいい子だ。

 

こんないい子なのに、必死に言い訳を考えてた自分が醜い...

 

なんか涙出てきた。

 

「え、大丈夫!?」

 

「大丈夫、目にゴミが入っただけだから」フキフキ

 

「そ、そうなの?」

 

「そうそう、改めて城ケ崎響助だ、よろしくな。」

 

「おーい、杏。どうしたんだ?」

 

「父さん!私のクラスメートが来てくれたよ!」

 

「そうか。いらっしゃい。」

 

「ようこそ!WEEKEND GARAGEへ!」

 

 

 

____________________

 

 

「ご注文のオムライスとブラックコーヒーだ。ゆっくりしていってくれ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「ん?父さん、エプロンはずしてるけどどこか出かけるの?」

 

「いい豆が入ったと連絡が来てな。

夜のバー営業までには戻る。あとは任せたぞ、杏。」

 

ん?

 

「はーい、了解。お客さん今はこの人だけだし、ゆっくりしてきて大丈夫だよ。」

 

んー?

 

ガチャッ カランカラン

 

んんーー?

 

ちょっと待って?もしかしてこれってよ。

 

「...」チラッチラッ

 

うーん、他に人はいないみたいだな。

 

てぇことは、今ここにいるのは、俺と杏ちゃんのふたりだけかよぉ!?

 

決して嫌なわけじゃあないし、異性と話すことが苦っていうわけじゃあない。

 

ただ、今朝の咲希ちゃんとは違って、同じ学校のクラスメイトていうのもあってさ

 

変な緊張があるぜ...

 

「あれ?もしかして、緊張してる?」ニコッ

 

「え!?...そう見える?」

 

「そんなに汗かいてたら誰でもわかるよ!」

 

え、マジ...本当だ、めっちゃ汗かいてる!

 

俺ここまでポーカーフェイス弱かったけなぁ...

 

「響助って、父さんに憧れてここに来たの?」

 

「えっ...いや、昔にはなかったから気になって...」

 

「...もしかして『RAD WEEKEND』を知らない?」

 

『RAD WEEKEND』...聞いたことあるな。

 

「「伝説の夜」と謳われるライブイベントだっけ?」

 

「そうそう!」

 

そういうのに疎い俺でも、ネット経由で少し知ってた。

 

「...ってことは、ここは?」

 

「2年前にミュージシャンを引退して、この店を始めたの。」

 

「そうなのか...」パクッ

 

「...うまっ!」

 

「でしょ!」ニコ

 

「俺もオムライスは作ったことあるけど、こんな綺麗に半熟で包めるなんて中々できないよ。」

 

「響助も料理はするの?」

 

「ああ、店に出せるレベルじゃあないけどな。」

 

「そうなんだ!」

 

本当に美味しい、スプーンを持ってる手が止まらねえ。

 

「...」ゴクッ

 

「...このコーヒーも旨いな。」

 

普段、家でインスタントコーヒーを飲んでるぐらいで、喫茶店のコーヒーなんかあまり飲んだことないけど、このコーヒーは美味しい。

 

「でしょでしょ! そのコーヒー、私が淹れたんだ~。」

 

「そうなのか? コーヒーって、淹れるのに結構テクニックとかいるだろ、すげえな~」

 

「えへへ」ニコッ

 

杏ちゃんと会話しながら、注文したオムライスを食べた。

 

____________________________________________________________________________

 

 

オムライスを完食し、コーヒーを飲み終えたころ。

 

「っあ」トンッ

 

左腕を動かしたとき、マグカップに腕が当たってしまった。

 

やべ、腕伸ばしても届かないな。

 

「......よっと」ギュッ

 

「......えっ?」

 

あ、つい癖で悪霊の手で取っちまった。

 

ばれてないよな?

 

「あ.....あ.....」アオザメ

 

こればれてんな、.......杏ちゃんには悪いが帰るか...

 

「じゃ、じゃあ俺はこの辺で...ここに代金置いとくね。」

 

俺は代金を置き、席から立って出口に向かうとしたとき。

 

ギュッ

 

ブレザーの左袖を引っ張られる

 

「えーと、杏ちゃん...どうかしたか?」

 

「...響助って、この後用事ある?」

 

「......ないけど?」

 

「......じゃあさ」

 

この場面ってさあ、普通の状況だったらものすごくドキドキする場面なんだよな。

 

普通だったらね。

 

「父さんが帰ってくるまで一緒にいて!...一人にしないでえ」ブワッ

 

多分杏ちゃんは、幽霊が苦手なんだろうな...

 

「わかったわかった、いるよ。」

 

これに関しては俺が100%悪いしな。

 

「うう...ありがとう~....」

 

この後、杏ちゃんのお父さんが帰ってくるまで、色々な話を聞いていた。

 

 



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第3話:下校 その2

pm4:00

 

ようやく解放された~、まあ俺が悪いんだけどね。

 

さ~て、ようやく家に帰れr

 

ピコンッ

 

「なんだ?」

 

俺が持ってるスマホから着信音が聞こえた。

 

「...母さんからか。」ピッ

 

『晩御飯の買い物をしてくるならついでにこのチーク買ってきて、お金は後で渡すから。』

 

チークか、ってもうこんな時間か、買い物行かねえとな。

 

____________________________________________________________________

 

さてと、何作ろうか?

 

昼はオムライスを食べたし、和食でも作るか。

 

となると肉か魚か...

 

どーすっかねえ...

 

「うん?」

 

向こうから声が聞こえるな、怒鳴り声か?

 

なんか最近治安悪くねえか?

 

......ちょっと見てみるか。

 

「......」ヒョコッ

 

「だから...その....」オロオロ

 

「あぁ!?声が小さくてきこえねえんだよ!!」

 

「...缶の」オロオロ

 

「あ!!?」

 

なるほどね~、大体わかった。

 

まったくなんでこういう奴らが多いんだ?

 

まあ、んなことはどーでもいいや。

 

「すんませーん!」

 

「っ!?」ビクッ

 

「あ!?」

 

「どーも、ボランティアの清掃屋でーす!」

 

「...なんだてめえ!?」

 

「だから~、清掃屋ですよ。」

 

「...チッ......さっさとそこにある缶を拾って消えやがれ。」

 

「それもそうですけど~、もっとおっきいゴミがあるんですよね~。」

 

「あ!?」

 

「...」m9

 

「...てめえ.......」

 

「あっれ~...俺、別にあなたの事なんて指さしてないんですけどね~?」

 

「あ、自覚あるんすね」

 

「こんのクソガキ!!!」ブンッ

 

「ッ!? 危ない!!」

 

「...」サッ

 

怒り任せの攻撃ね、簡単に見切れるな。

 

「ッ!?」

 

無駄にガタイがいいな。

 

普通にぶん殴るだけじゃあ、こいつは倒れねえ。

 

時間かかるとめんどくせえし、一気に決めるか。

 

「フンッ!」

 

「ガァッ!!?」ゴスンッ

 

「ええ~!?」

 

拳をくらった不良は、数メートルは吹っ飛び、壁に衝突した。

 

「ふう~」

 

気を失ってるな...まあそれもそうか。

 

今、放ったものは、発頸。

 

ワンインチパンチともいう奴だ。

 

昔、動画で発頸を見てから見よう見まねでやり続けてた。

 

ただ、俺のはただの発頸じゃあない。

 

悪霊と一緒に放ったんだ。

 

これなら見よう見まねでも威力が出る。

 

「君、ケガとかないか?」

 

「...あっ!、だ 大丈夫です!」

 

「そうか、よかった」

 

そう言いながら俺は、缶を拾った。

 

「あ、それ...」

 

「ん?...ああ、この後近くのスーパーに買い物しに行くからついでに捨てようと。」

 

「そうなんですか! 私もスーパーに用があるので一緒にいいでしょうか?」

 

「え?、構わないけど。」

 

なんか、今日あった女の子達、みんなグイグイくる子が多い気がする。

 

...中学生の頃、あまり女の子と話さなかったから、これが普通なのか?

 

.....まあ、あんなことがあったばかりだし、一緒にいた方がいいか。

 

「.....どうかしましたか?」

 

「いや、何でもないよ。」

 

そう言い、オレンジ髪の女の子とスーパーを目指した。

 

...今日の晩飯、鮭の塩焼きするか。

 

なんでそれに決めたって?......なんとなくだ。

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

「助けていただきありがとうございます!」

 

「うん?...ああ、どういたしまして。」

 

「その...さっき人が吹っ飛んだんですけど、あれは?」

 

「あれは、発勁、ワンインチパンチともいうね。」

 

「中国武術における力の発し方の技術らしい。」

 

by 〇ikipedia

 

「す、すごいです!」

 

「はっは、動画で見て覚えた、見よう見まねだよ。」

 

本物は、レンガすらも割っちまうんだからな。

 

「...この際だから自己紹介すっか。」

 

「俺は、城ケ崎響助、こんななりだけど、高校1年生、よろしくな。」

 

「わたしは花里みのりです...って響助さんってわたしと同学年なんですか!?」

 

「できたてホカホカの高校1年生だよ。」

 

身長184㎝もあるから間違えられることが多いんだよな。

 

つーか、まだ学校初日かよ、色々濃いな。

 

「だから別に敬語じゃあなくてもいいよ、みのりちゃん。」

 

「う、うん...」

 

そんな会話をしながら俺たちはスーパーに向かっていた。

 

____________________________________________________________________

 

「ドッグフード?、みのりちゃん犬飼ってるんだ。」

 

「うん!名前はサモちゃんって言うの!」

 

「そうなんだ。」

 

「響助さんは?」

 

「今日の晩御飯。」

 

「...鮭」キラキラ

 

「ああ、今日は鮭の塩焼きだ。」

 

「おいしそう~...」キラキラ

 

「?...みのりちゃんは鮭が好きなのか?」

 

「うん! 鍋も石狩鍋が大好きだよ♪」ニコ

 

おーう...なんという偶然。

 

____________________________________________________________________

 

「んじゃあな、みのりちゃん。」

 

「はい!改めてありがとう!」ニコッ

 

さーて、後は母さんのチークか。

 

 

 

 

 



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第4話:下校 その3

pm:6:00

 

あとはチークだけか...

 

ついでって書いてあったけど、別の店に行くから、全然ついでじゃあねえな。

 

まあいいか...でもこのチークなんだ?

 

薬局あたり行けば売ってるか。

_______________________________________________

 

薬局に着いたけど、いや多いな。

 

写真を送られたけど、どれだよ。

 

似てるの多すぎてわかんねえ。

 

これか....これか?

 

う〜ん、しょうがねえ、店員さんに聞くか。

 

お、ちょうどいいところに。

 

「すみません!」

 

「はい!」

 

「このチークってどこにありますかね?」

 

「.......えーと...」

 

うん?........もしかして?

 

「あ、母さんが買ってきてくれって言われたんですよ。」

 

「あ、そうなんですか........こちらになります。」

 

「あ、これですね、ありがとうございます。」

 

似たようなチークばっかでわかんねえな、つーかさっきの店員さん。

 

「別に男が女もん買って何が悪いんだ?」

 

ってやべ、声に出てた、店員さんに聞こえてねえよな?

 

さてと、これ買って帰るか。

 

うん?

 

やっべ、人いたのか。

 

「すみません、今どきますので。」

 

「....あ!ごめんね、考え事してただけだから。」

 

「そうですか?」

 

にしても、俺の後ろで考えるか?

 

_______________________________________________

 

ふう〜、ようやく帰れる。

 

入学初日なのに色々濃かったな。

 

まあ学校外のことが多かったけどね。

 

それにしても今日会った人達、髪色すごかったな。

 

金にオレンジ、ピンクって、地毛なのか?

 

いや、まあ俺も赤紫だから何とも言えねえけど。

 

さて、家に帰るか。

 

_______________________________________________

 

pm:6:30

 

「ただいま〜」

 

「おかえり〜って制服じゃない?」

 

「入学式の後、色々あってね。」

 

「...喧嘩?」

 

「違うわ!?.......いやあながち間違えじゃねえか。」

 

「あんた昔から絡まれ体質だしね〜、自分から売ってないのはわかってるけど。」

 

「勘弁してくれ。」

 

「っと...はい、チーク。」

 

「よくわかったね、似たようなの多かったでしょ。」

 

「多かったよ、だから店員さんに聞いたわ。」

 

「ありがとね〜、はいお金。」

 

「ん、今日の晩御飯は鮭の塩焼きだから。」

 

「おっけ〜。」

 

_______________________________________________

 

「ふう〜。」

 

今日は疲れたな〜、主に下校時間。

 

さてと、動画作んねえとな。

 

「うん?」

 

スマホから白い光が....

 

「うわっ!?」

 

光の中に吸い込まれ.....

 

_______________________________________________

 

「う〜ん...」

 

ここは.....どこだ?

 

「真っ白な世界だな。」キョロキョロ

 

まるで〇〇と□の部屋みたいな世界だな。

 

「にしては何もなさすぎないか。」

 

家どころか、何かしらのオブジェクトもない。

 

「〇〇Dを立ち上げた時みたいだ。」

 

「お〜い!」

 

人の声か。

 

「ん?.........ええ!?」

 

久々に大声出した気がする...でもこれはだすしかねえだろ。

 

「初音......ミク!?」

 

目の前には初音ミクが立っていたのだから、服装はちょっと違うけど。

 

「......フンっ!!」パシンッ

 

俺は悪霊を出して、悪霊にビンタしてもらった。

 

「え!?ちょっと!!?」

 

「痛えっ!!?....つーことは夢じゃねえって事か。」

 

「そ、そうだけど、普通はほっぺをつねったりするもんじゃないかな?」

 

「昔から痛覚が鈍くて、つねる程度じゃ痛くもないんだよ。」

 

「そうなんだ....響助、背後から出てきたものってなに?」

 

「...まって色々聞きたいことがあるんだけど、まず。」

 

「なんで俺の名前を?」

 

「それはね、このセカイが響助の想いで生まれた場所だから、2年前に。」

 

「2年前!?」

 

「そうだよ、呼び出そうにも君は色んな人に絡まれて、呼び出そうにもできなかったんだよ」プンプンッ

 

え、これ俺が悪い?俺も被害者なんだけど、つーか怒ってるミク可愛いな。

 

「もう一つ、俺の悪霊が見えるのか?」

 

「うん、人型なんだけど、人間じゃない感じ。」

 

「本当に見えてるんだな....」

 

初めてだ、俺以外にこれ(悪霊)が見える人

 

....人でいいのか?

 

「なるほどね、全くなるほどじゃないけど、んじゃこの世界はなんだ?」

 

「一応ここは、君の想いを反映した世界...多分」

 

「ちょっとまて、一応と多分ってなんなんだよ。」

 

「だって...生まれてから2年間何も変わってないんだもん。」

 

「まじか...」

 

「うん。」

 

「想いか........だめださっぱりわからねえ。」

 

「そう。」

 

「......あのさ。」

 

「ん、どうした?」

 

「響助のその悪霊はなに?」

 

「....これか?」

 

「これは....俺にもわからん。」

 

「え?」

 

「物心ついた時からこいつは俺のそばにいたんだ。」

 

「最初の頃は制御できなかったけど、中学に入ったころから制御できるようになった。」

 

「そうなんだ...名前は?」

 

「わからん、こいつ自身喋ってるところ見たことないからな。」

 

「ふ~ん。」

 

「っと、俺はそろそろ戻るよ、どうやって戻るんだ?」

 

「わかった、私が触れれば戻れるよ。」

 

「そっか、んじゃ頼む。」

 

「うん。」

 

ミクが、俺の体に触れた時、このセカイに入ったときと同じ光に包まれた。

 

_______________________________________________

 

「うん?」

 

戻ってきたか、ホントファンタジーみたいな話だな。

 

まあ、悪霊を連れてるだけでもファンタジーだけどな。

 

っと、動画作るか。

 



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第5話:今日こそはまじめに学校に行きたい

am:6:30

 

「....んんあ ああ。」

 

「...」チラッ

 

30分早く起きたか。

 

昨日は色々あったから、早く寝たんだよな...

 

「...」

 

ミクに言われ、改めて思うけど、こいつ(悪霊)は一体なんなんだ。

 

幽霊とは違う、人型だけど人じゃあない、そして何より。

 

こいつ(悪霊)でコンクリート殴ったときに俺も痛みを感じたことだ。

 

...よくわかんねえな。

 

そう考えながら、俺は身支度を始めた。

 

_______________________________________________

 

am:7:45

 

「今日こそ真面目に学校行くぜ」ガチャッ

 

「ん、なんか言った?」

 

「なんでもねえよ。」

 

入学初日は本当に大変だったからな、マジでなんも起こらないでくれ。

 

_______________________________________________

 

登校中には何もなかった。

 

いや昨日が異常だったんだ。

 

今日は何も起こらないでくれ。

 

そう思いながら、時間は過ぎていった。

 

_______________________________________________

 

「ん....ふ~。」ノビ

 

昼休みのチャイムが鳴り、授業を終えた後、俺は伸びをした。

 

流石に授業中には何も起こらなかった。

 

...警戒しすぎか。

 

「昼飯どうすっかな。」

 

そういやここの学校、学食があるんだっけな?

 

そこで食べるか。

 

俺は自分の席を立った時。

 

「すまない、諸君! 城ケ崎響助はいるか!」

 

え、俺の名前?

 

なに?俺、校舎裏に呼ばれる奴?嫌なんだけど。

 

俺は高校では、静かに暮らしたいんだよ...あの人には悪いが、ここは知らないふりをすr

 

「ここにいま~す!」

 

...え?

 

「そうか!」

 

...はい?

 

チラッ

 

「...」ニヤ

 

こんのピンクが...

 

くそぉ...ゆっくりできると思ったのに...

 

「...はい...えーと、どなたでしょうか?」

 

「君が、城ケ崎響助か!」

 

「そうですけど...」

 

「昨日は、妹が世話になった!」

 

妹?...世話になった?.........!

 

 

 

大丈夫!入院中寂しかったけどお兄ちゃんがよく来てくれたし、これから友達のみんなに会えるから♪

 

 

 

「もしかして、咲希ちゃんのお兄さんか?」

 

「ああ!自己紹介がまだだったな。」

 

「天翔けるペガサスと書き、天馬! 世界を司ると書き、司!」

 

「その名も______天馬司!」

 

...濃いな~、昨日から濃い人としか会ってないんじゃあ...

 

「えーと、改めて、城ケ崎響助です...えーと先輩でいいんですよね?」

 

「ああ!これからよろしくな!」

 

_______________________________________________

 

あの後、司先輩と少し話した後、俺は食堂へ向かった。

 

天丼旨かったな~

 

さてと、この後どうするか...

 

教室にいると、また何か起こりそうだな...

 

外か...いやいやもっと絡まれそうだな。

 

......あ、そうだ、あそこ行ってみるか。

 

_______________________________________________

 

ガチャ

 

「お~、これは、いいじゃあないか。」

 

普通に屋上に入れるなんてな。

 

...誰にいない、いい感じに、涼しい風に、温かい気温。

 

「こういうのでいいんだよ、こういうので。」

 

「......よいっしょ。」ドサッ

 

俺は、ポケットに入れてたスマホを取り出して、漫画アプリを開いた。ガチャ

 

漫画を読むときは、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。スタスタ

 

独りで、静かで、豊かで......

 

「.......おお」スッ

 

なるほど、こうなるのか。

 

「.......」スッ

 

マジか、あの伏線ここで回収するのかよ。

 

「.......」スッ

 

「ちょっと待って、さっきのページまだ読み終わってないんだけど~」

 

「お、悪い。」

 

結構ゆっくり読んでたんだけどな....ん?

 

「...」チラッ

 

「やっほ~」

 

「うおっ!?」ビクッ

 

「あっはっは! いいリアクションだね~」

 

「え、誰、アンタ!?」

 

いつの間にか、俺の横に女の子がいた。

 

「え~、同じクラスで、こんなにカワイイボクの名前を知らないなんて心外だな~。」

 

なんつ~気持ちいいくらいの自己肯定だなおい、ってこいつさっきの!

 

「悪いけど、俺はこの学校で名前を知ってんの、1人...いや今さっき増えたか。」

 

「ガーン!そんなにストレートに言われると、さすがのボクでもショックだな~」

 

いちいちリアクション大きいな...

 

「はあ...アンタ、名前は?」

 

「あ!、今ため息したでしょ。」

 

............ウザッ!?なんなんだこいつは...

 

「もう...ボクは暁山瑞希!同じクラスだから、これからよろしくね!」

 

「あ、ああ」

 

...?なんか前にあった気がする...気のせいか?

 

「その感じからして、俺のこと知ってると思うけど、城ケ崎響助だ。」

 

「うん!、だって入学してからかなり目立ってたからね。」

 

...なんだって?

 

「...なんで?」

 

「なんでって...そりゃあ、身長も大きいし、髪色が綺麗だからね~」

 

身長はまあデカい方だけど、髪色はあまり目立つ色か?

 

チラッとしか見てなかったけど、髪色が半々の奴だっていたんだぞ。

 

あんまり目立ちたくないんだけど...

 

「それよりもさ!」

 

それよりもっつったよこいつ...

 

「そのマンガ、面白いよね~、近いうちにアニメ化されるんじゃないかな~って思うんだ!」

 

「え?あ、うん確かにな、このマンガは、忘れたころにその伏線を回収するのかって毎回驚かされる。」

 

「そうそう!それで違和感なく回収していくのがすごいよね~」

 

「響助は、他には何のマンガ見てるの?」

 

「別に、マンガ以外にもアニメも見るけど、そうだな...」

 

ん?なんかこいつのペースに乗せられてねえか...まあいいか。

 

_______________________________________________

 

「んん~、そろそろ戻るか。」

 

「え?もうこんな時間か~」

 

「ねえねえ、このままサボっちゃうよ~」ニヤ

 

「サボらねえよ、2日目だぞ。」

 

「ちぇ~...」

 

「...ん?戻らねえのか?」

 

「....ボクはもう少し屋上からの景色を見てから戻るよ。」

 

「...そうか。」

 

そう言いながら俺は屋上の扉を閉めた。

 

「...」

 

扉を閉めてるとき、あいつ、寂しそうな眼をしてた気がする。

 

なんというか...孤独?のような眼だった。

 

...まあ、俺にはどうでもいいことか。

 

_______________________________________________

 

???side

 

ピロピロ

 

ッピ

 

「わたしだ。」

 

「あ、___かい? 無事に______さんを送り届けましたよ。」

 

「そうか、手間をかけさせてすまなかった。」

 

「構わないさ、僕と君の仲だろ。」

 

「...ところで、君は未だにガラケーを使っているのかい?」

 

「...あいにく、スマートフォンというものにはなかなか慣れないのでな。」

 

「______さんですらスマホなのに、まあ、君は昔からアナログの物を使用していたからね。」

 

「ところで___。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「7本のスタンドの矢の行方はどうだい?」

 

「...ああ、7本のうち6本はこちらで回収したが、最後の1本の行方だけが不明だ。」

 

「なるほど、こちらでも調査しておくよ。」

 

「すまない、助かる。」

 

ッピ

 

「...」

 

「やれやれ、まったくとんでもない置き土産を残しやがったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「DIO。」



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第6話:休日 その1

あれから数日が過ぎた。

 

数日の間、昼休みになれば、屋上で漫画やアニメを見ながら過ごしていた。

 

...ぼっちだと、いいんだよ、俺は目立ちたくないんだからな。

 

...まあ、横には、ピンク髪の暁山がいたんだが。

 

こいつは俺が屋上に行く度に、いつの間にかいた。

 

たまに、いないこともあったけど。

 

あと、司先輩に捕まることあったな。

 

「なあ、俺と一緒にいて楽しいか?」

 

「え?ボクは君のこと気に入っているんだけどな~」ニヤ

 

「...そーかい。」

 

どうやら、俺は気に入られているらしい。

 

出会ったのは、入学して2日目なのにな。

 

そう、ほんの少し過去の事を思い出していた。

 

今日は、休日だ。

 

「んん~...」

 

朝起きてからずっと、動画編集をしていた。

 

「...さすがに外の空気を吸いに行くか。」

 

流石に日をあたらないといけないからな。

 

俺は、上にジャージを着ると、外に出た。

 

_______________________________________________

 

「...もう昼か。」

 

何を食べるか、平日だったら学食で済ませられるが、休日は違うからな。

 

「ん~?」

 

「......お、その後ろ姿は!」

 

「ん?」

 

後ろから大きな声が聞こえる

 

クルッ

 

「響助じゃないか!」

 

振り向くとそこには、司先輩と、

 

「あ!きょーすけくん!」

 

咲希ちゃんがそこにいた。

 

そういやこの2人は兄妹だったな。

 

「どうも、2人でお出かけですか?」

 

「ああ!咲希がどうしても行きたいアクセサリショップがあるって聞いてな。」

 

「アタシ一人でも大丈夫っていったんだけど、お兄ちゃんが心配性で。」

 

退院後、犯罪に巻き込まれそうになったってなれば、そりゃあ心配になるだろうな。

 

_______________________________________________

 

その後、司先輩と咲希ちゃんと少し話して、別れた。

 

再び、昼飯について考えていた。

 

「どうすっかな?」

 

「ん~?」

 

「.......!」

 

「...」ニヤニヤ

 

ラーメン...いや、牛丼....ん~

 

「...」ソロリソロリ

 

「...」

 

「.....わっ!」

 

「うおっ!?」

 

....っくりした...って。

 

「やっほ~、響助!」

 

「...暁山か。」

 

「何してたの?」

 

「何って、ただ昼飯を考えてただけだよ。」

 

「ふ~ん、...じゃあさ!」

 

「?」

 

「近くに、新しいカレーのお店が出来たからさ、一緒に行かない?」

 

カレーか、そういや外でカレーなんて食べたことなかったな。

 

「んじゃ、そこにしてみるか。」

 

「そうこなくちゃ!」

 

_______________________________________________

 

「...旨かった。」

 

「だよね!美味しかったな~」

 

外で食うカレーも、たまにはいいものだな。

 

「響助は、この後ヒマ?」

 

「うん?......暇だけど?」

 

「じゃあ、このあとさ! 一緒にショッピングモール行かない?」

 

(´⊙Д⊙`)

 

「わ~お、露骨に嫌な顔されると傷つくな~」

 

ショッピングモールって、荷物持ちにさせる気がだろ。

 

...このまま、家に帰っても、編集かゲームかのどっちかだしな。

 

「はあ、わかったよ、どこにあるんだ。」

 

「やった~、ここなんだけどさ。」

 

へ~、近くにショッピングモールなんてあったんだな。

 

「そうだ! ボクがコーデしてあげようか。」

 

「いや、結構だ。」

 

「え~!? 素材がいいのに...むう」

 

素材がいいってなんだよ...

 

_______________________________________________

 

ショッピングモール、俺には似合わない場所だな。

 

強いて興味があるのは、本屋とゲームショップ、CDショップぐらいだろう。

 

「この際だから、響助もコーデしようよ~」

 

「いーよ別に、変に目立ちたくねえから。」

 

「ええ!?ホント素材の無駄使いだな~」

 

「うるせーよ、さっさと会計済まして来い。」

 

「は~い。」

 

やれやれ、なんでこうも俺をコーデしたがるんだ。

 

「終わったよー」

 

「次はどこに行くんだ。」

 

「ここだね。」

 

お、CDショップか。

 

「何を買うんだ?」

 

「前々から予約してたゲームのサントラだよ。」

 

「へー、暁山もゲームとかやるんだな。」

 

「ゲーム自体もすきだけど、ゲームの音楽もいいよね~」

 

「わかる。最近はスマホゲームもいい曲増えたよな。」

 

「そうだね..........ッ!?」

 

「?どうした暁やmっておい!?」

 

俺は、急に走り出した暁山の腕に引っ張られた。

 

_______________________________________________

 

「ハァ...ハァ.....急にどうした。」

 

「......急に走り出してごめん。」

 

「いや、それはいいけど.....なんかあったのか。」

 

「......ううん、なんでもないよ。」

 

「.......そうか。」

 

「.......響助はさ、噂って知ってる?」

 

「噂、何のだ?」

 

「.....ボクの.....」

 

「いや、学校の話題なんか興味ねえから知らねえな。」

 

「......そっか。」

 

「...大丈夫か。」

 

「....うん、大丈夫。」

 

「んじゃ、さっさとCDショップに行こうぜ。」

 

「うん。」

 

_______________________________________________

 

俺は、欲しかったCDを買った後、店の外に出た。

 

暁山は予約したCDの他にも色々見ている。

 

「...ん?」

 

ふと、困っている女性が視界に入った。

 

「...どうかしました?」

 

「え?」

 

「その、困ってそうだったんで声をかけたんですが、どうしたんですか?」

 

「えっと、しぃちゃ....妹と、はぐれてしまって...」

 

「え?携帯電話で連絡を取ればいいんじゃあ?」

 

「その、スマホの充電がなくなっちゃって。」

 

「なるほど...良ければ俺が探しましょうか?」

 

「え、いいの?」

 

「はい、今ちょうど暇になったので大丈夫です。」

 

「! ありがとう!」パッー

 

「えっと、名前はいいので、髪色や髪形、容姿を教えてもらえますか。」

 

「わかったわ! えーと。」

 

_______________________________________________

 

銀色の髪に、ショートヘアー、パーカーっと。

 

これさえあればわかりやすいな。

 

俺は、情報頼りに、ショッピングモール内を探していた。

 

「...めてください!」

 

「ん?」

 

女の子が絡まれてるな....ん?

 

銀色の髪に、ショートヘアー、パーカー...情報と一致してるな。

 

「今、姉を探してるんです!」

 

ビンゴ

 

ガシッ

 

「...なんだ、アンタ?」

 

「俺は、この子に用があるんだ、アンタにはねえよ。」

 

「あ...?」

 

「後ろつっかえてるし、この子も困ってる、正直言って邪魔なんすよ、アンタ。」

 

「...」

 

「ッ!?」

 

一瞬、奴の懐から銀色の光が見える。

 

「っと!?」シュンッ

 

俺はとっさに後ろにかわした。

 

おいおい、ナイフかよ...まったくこの街は治安悪いなったく。

 

「っ!?」ビクッ

 

「そんな刃物を懐に入れているってことは、最初から脅す気満々だったんだろ。」

 

「ああ、そうだよ!!コイツをさらって、雫ちゃんを俺のものにするんだよ!!」

 

さっき会った人、アイドルか女優だったんだな。

 

綺麗な人だなと思ったけど、それより。

 

「妹さんをついで扱いかよ、どこまでも救いようのねえ奴だな。」

 

妹さんを道具として使うだ....ふざけんなよ。

 

「おい、てめえ...それ(ナイフ)出したんなら遊びじゃ済まねえぞ。」

 

「へッ、知らねえよんなもん!! まずは邪魔した、てめえをぶっ刺す!!!」

 

「...ッ! 危ない!!!」

 

もう容赦しねえよ。

 

パチッ

 

「な、何だ!!? 急に真っ暗になりやがった!!??」

 

パチッ

 

「グハッ!? す、滑る!!?」ツルンッ

 

俺はクソ野郎の前に立ち。

 

「滑っていきやがれ!」

 

『オラア!!!』

 

「グボァ!?」ドスンッ

 

クソ野郎の顔面に、悪霊の拳をぶちこみ、後ろにぶっ飛ばした。

 

ほとなくして、奴は見えなくなった。

 

何かが壁にぶつかる音は聞こえたけどな。

 

「ふう.......大丈夫か?」

 

「....ッ! は、はい...ってあなたこそ怪我は!?」

 

「大丈夫、寸前のところでかわしたからね。」

 

「それよりも、2階の〇×ショップの前にお姉さんがいるから、早くいってあげな。」

 

そう言いながら俺はその場から離れた。

 

「え、ちょ!?........助けていただきありがとうございます!!」

 

俺は、礼を聞くと、右手で返事した。

 

_______________________________________________

 

休日なのに疲れたな。

 

...ん、何か忘れてるような。

 

「響助~!どこに行ったの~!!」

 

「...あ」

 

暁山の事すっかり忘れてた。

 

この後、暁山と合流し、勝手にいなくなった罰として、ポテトを奢らされた。

 

よく食うね、あいつ。

 

 

 

 

 

 



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第7話:休日 その2

買い物が終わった後、俺は暁山と別れた。

 

まさか、ポテトを奢らされるとは、俺が悪いんだけどね。

 

「さて、帰るか。」

 

俺は自宅に戻った。

 

_______________________________________________

 

「...何故かここに来てしまった。」

 

何処かって、WEEKEND GARAGEだ。

 

ガチャッカランカラン

 

「いらっしゃー...っあ、響助!」

 

「っよ、杏ちゃん。」

 

_______________________________________________

 

「はい、ミルクティー。」

 

「ん、ありがとう。」

 

「...くっ~、やっぱ、疲れた時に甘いものはきく~」

 

「随分くたくただね?」

 

「やっぱそう見える?」

 

「うん。」

 

「いやあ、昼頃、外に出たら暁山に捕まっちゃってね。」

 

「それで色々買い物に付き合わされたって感じだ。」

 

「なるほどね〜、響助も買ってるみたいだけど?」

 

「付き合わされたからな、どうせならなんか買うと思って、CD買ったんだ。」

 

「ふ〜ん、響助って、歌うの好きだったりする?」

 

「歌う事自体は好きだけど、大勢の前で歌うのは避けたいかな。」

 

「どうして?」

 

「....目立ちたくないからかな。」

 

「...理由を聞いてもいい?」

 

「まあ中学生の時に色々とね。」

 

今思えば、中学時代は散々だったな。

 

「俺ってさ、昔から身長、大きいかったんだよ。」

 

「中学の時で、大体180ぐらいあってね。」

 

「それで、妙に狙われるようになっちゃってね。」

 

「...ね、狙われるって...」

 

「まあ、校舎裏に来いっ的な奴だよ。」

 

「ホント、校舎以外でも、登校時間や下校時間も狙ってくる奴がいてね、時には大勢で来ることもあったかな。」

 

というか、他校生の奴もいたな。

 

まあ、全員返り討ちにしたけどな。

 

.......そのせいか?

 

「ま、そのせいでまともに青春なんて遅れなかったな、ははは。」

 

「そんな理由で、あんま目立たないようにしてるんだ。」

 

_______________________________________________

 

杏side

 

「それで、妙に狙われるようになっちゃってね。」

 

「...ね、狙われるって...」

 

.....まさか。

 

「まあ、校舎裏に来いっ的な奴だよ。」

 

ッ!?

 

「ホント、校舎以外でも、登校時間や下校時間も狙ってくる奴がいてね、時には大勢で来ることもあったかな。」

 

大勢....

 

「ま、そのせいでまともに青春なんて遅れなかったな、ははは。」

 

なんで.....

 

「そんな理由で、あんま目立たないようにしてるんだ。」

 

いじめられていたのに、なんでそんなに笑ってられるの!?....

 

_______________________________________________

 

響助side

 

俺は、注文したミルクティーを飲み干した。

 

「ん、ご馳走様。」

 

「...」ガタッ

 

急に、立ち上がる杏ちゃん。

 

「?...杏ちゃん、どうしたんだ?」

 

「響助!」ギュッ

 

え、なんで急に俺の手なんか握って?

 

「何があっても、私は響助の味方だからね!」

 

「え、あ..うん、ありがとう?」

 

...なんで急に?

 

_______________________________________________

 

「絶対、一人で抱え込まないでよね!!」

 

「お、おう。」

 

ガチャッ カランカラン

 

なんか、勘違いされてないか?

 

...ま、いいか、さて家に帰るか。

 

今日の晩飯、何にすっかな。

 

...ん?

 

後ろから.......つけられてるな。

 

だとすると、このまま帰れないな。

 

...路地裏に誘い込むか。

 

_______________________________________________

 

...この辺でいいか。

 

クルッ

 

「ッ!?」

 

「うん、お前?」

 

こいつ、たしか....雫さん...でいいのかな。

 

その妹さんを誘拐しようとした奴だな。

 

「ツルツル滑っていった奴じゃあねえかw、俺になんか用?」

 

俺はあえて煽った。どうせしなくても変わらないだろうしな。

 

「ッ!....お前のせいで...」

 

「おいおい、それはお前が、勝手に俺に襲ってきたのが悪いだろ、俺はその妹さんに用があっただけだし。」

 

「...」

 

「んで、なんで俺をつけてたわけ? こちとら晩飯作んねえといけないんだけど。」

 

「...いなければ...」

 

「え、なに、聞こえない?」

 

「お前さえいなければ、すべては上手くいったんだ!!!!」

 

「んだよ、逆恨みかよ、めんどくせえな。」

 

「うるせえ! お前ら!」

 

「ん?」

 

誘拐未遂の奴の後ろから、二人の男が出てきた。

 

一人は、金属バットか。

 

「ま、誘拐しようとしたんだから一人じゃねえだろうとは思ったけどな。」

 

「おう!、お前らやっちまうぞ!!!」

 

逆恨みで、集団で襲うと、まったく救われないね~

 

「オラッ!」

 

「おっと」サッ

 

「フンッ!」

 

「よっと」サッ

 

「オラよっと!」

 

「グフゥッ!?」

 

敵の攻撃を避け、裏回し蹴りを奴の顔面にぶち込んだ。

 

「クソが!?」

 

「フン」サッ

 

「ッ!?」

 

「がら空きだぞー」ガシッ

 

俺は、奴の懐に入り込み。

 

「フンッ」ブン

 

「ガハッ」ドシンッ

 

その後、奴をぶん投げた、肩車って奴だ。

 

もちろん素人では受け身なんてとれるわけない。

 

固いコンクリートに背中から叩きつけられた。

 

「がら空きなのはテメエもだ!!」

 

「おっ」

 

俺の背後から、金属バットを振り下ろそうとしていた。

 

パシッ

 

「ッ!?」

 

ま、俺の悪霊で相手の腕を抑えたけどな。

 

「な、なんで!?」

 

「よそ見すんな。」

 

「グッ!」バシッ

 

隙だらけの相手の体に前蹴りをぶち込んだが。

 

「ッチ、テメエ。」

 

寸前に防がれたか。

 

「ッ!.....」ニヤッ

 

なに笑ってやがるんだ?

 

「オラよっ!!!」ブンッ

 

急に金属バットを投げてきやがった。

 

「うおっ!? それは想定外!?」サッ

 

それをよけることは出来た...けど。

 

ガシャンッ

 

「ッ!」

 

こいつが狙ってのは俺じゃあなくて、後ろにある古いガラスだったんだ。

 

「ッ!?」ザシュッ

 

とっさに左腕で庇った。

 

油断した、ガラス片が腕に刺さっちまった。

 

「へへ、油断したな!」ダッ

 

「ッチ」

 

すぐに相手の方に振り向き。

 

「くたばれ!」ブンッ

 

「...」スッ

 

全走力で走り、俺に向かってぶん殴るが、俺はそれをかがんで回避し、

 

「フン!」

 

「...ガ!?」ゴスン

 

肘打ちを相手の腹に打ち込む。

 

相手も全速力で向かってきたんだ、ただじゃ済まねえな。

 

「...フー」

 

やっと全員おちたか。

 

「...古いガラスだと思うから、雑菌がありそうだから抜いておくか。」

 

クソ、無傷で帰ろうと思ったのにな。

 

結構、出血してるな。

 

...また、あそこに世話になるな...

 

「とりあえず、ジャージ脱いでこれ巻いておこう。」

 

_______________________________________________

 

やれやれ、まさかこんな休みになるとはな。

 

「......お、その後ろ姿は!」

 

「ん?」

 

なんか既視感が。

 

クルッ

 

「響助、奇遇じゃないか!」

 

やっぱりか。

 

「昼ぶりですね、司先輩と咲希ちゃん。」

 

天馬兄妹だった。

 

「...? きょーすけくん、なんで上着を左腕にまいているの?」

 

やっぱ疑問に思うか、変に心配かけたくないな。

 

「え? いやーちょっと運動して熱くなったから。」

 

嘘ではないね。

 

「...」

 

「そーなんだ!」

 

...司先輩が俺の方をじっと見てるな。

 

「...すまん、響助。」

 

「え、ちょっと!?」

 

「お兄ちゃん!?」

 

案の定、巻いていたジャージを外された。

 

「ッ!?」

 

「お兄ちゃん! どうし...っ!」

 

結構、血ぃ出てたんだな。

 

「いったい何が...いやそれよりも止血しなければ...」

 

「響助!ここからだと俺の家が近い、そこで仮だが治療するぞ。」

 

「え、あのちょっと。」

 

その場の流れに流されてしまった。

 

_______________________________________________

 

「...これでどーかな?」

 

「うん、ありがとう。」

 

「...響助。」

 

「はい?」

 

「何があったんだ?」

 

「...それは。」

 

「...」ジー

 

「ジー」ジー

 

二人にジーと見られているな、やっぱりこの二人は兄妹なんだな、てか咲希ちゃん自分で言っちゃってるよ、かわいいなおい。

 

ま、正直に話すしかねえか。

 

俺は二人に事の経緯を話した。

 

「そんなことが......ん?」

 

「どうしたんですか?」

 

「今、雫っといったよな?」

 

「え、はい。」

 

「きょーすけくん、その人、妹さんの事、しぃちゃんって言ってなかった?」

 

「...そういえば、そんなこと言いかけてたな。」

 

「やはりか...」

 

「えーっと、知り合いですか?」

 

「知り合いどころか、幼馴染だな。」

 

わ~お、世界って狭いんだな。

 

「...ひとまず、雫と志歩のことは感謝だ!」

 

「しほちゃんを助けてくれてありがと!」

 

「だがしかし、自分の体も心配してくれ。」

 

「きょーすけくんが倒れたら、アタシ心配しちゃうもん。」

 

心配か...親とあの人以外で初めていわれたな。

 

「わかってますよ、俺だって死にたいとは思いませんし。」

 

「...そうか。」

 

「...そろそろ病院に行きます。」

 

「ああ、まっすぐ向かうんだぞ。」

 

「はい。」

 

「あ! きょーすけくん。」

 

「ん? どうした?」

 

「アタシが退院したこと、しほちゃん達に言わないでほしいの。」

 

「え、違う学校だから会わないと思うけど、なんで?」

 

「みんなのこと驚かせたくて。」

 

「そっか、うん、わかった。」

 

「~! ありがと、きょーすけくん♪」ギュッ

 

「!?」

 

「さ、咲希ィッ!?」

 

え、なんで抱きつかれてるんだ!?

 

「あ! ごめんね! ...嫌だった?」

 

「だ、大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから。」

 

そりゃあ、野郎に掴みかかられるよりかは、全然welcomeなんだけど。

 

...グイグイくる女性が多いのは気のせいだろうか...

 

「ム...ムム」ジー

 

やっべ。

 

「えーと、病院に行きますので.....お邪魔しました~」ビューン

 

「え!? きょーすけくん!?」

 

俺は逃げるようにその場を後にした。

 

_______________________________________________

 

「...まさか、高校でもここにお世話になるとは...」

 

ガチャッ

 

「はい! あれ、響助?」

 

「お久しぶり...でもないっすね。」

 

この人は、榎本先生。

 

俺の中学校の保健室の先生だった。

 

そして、母親の友達だ。

 

中二の秋頃に、退職し、ここで医者を始めた。

 

中学時代は、よくここでお世話になった。

 

「高校では、ここにお世話にならないって言ってたじゃない。」

 

「そーしたかったんすけど、上手くいかないもんで。」

 

「はー、ここに来たってことは、ケガしたってことね。」

 

「そーいうことっすね。」

 

俺はジャージを脱いで、左腕を見せた。

 

「あら、包帯巻いてるじゃない?」

 

「優しい先輩と、その妹さんがやってくれたんだ。」

 

「...優しい先輩ね」

 

「...なんすか?」

 

「まさか、響助の口から優しい先輩が出てくるなんて思わなくてね。」

 

「中学とは違うんすよ。」

 

「そうだね...本当に明るくなったね。」

 

「その言い方だと、中学の時の俺は、根暗だったように聞こえるんすけど。」

 

「ま、私から見たらそう見えたけどね。」

 

「そーすか。」

 

_______________________________________________

 

「...これでよし。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ここにお代、置いときますね。」

 

「うん.....響助」

 

「はい?」

 

「学校楽しい?」

 

「......中学時代より全然楽しいっすよ」ニッ

 

「...そう、ならよし!」

 

_______________________________________________

 

ようやく家に帰れる。

 

晩飯は....ま、家に帰ってから考えるか。

 



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第8話:絡まれ体質

晩飯も食ったことだし、何すっかな~

 

...そういや気になることがあったな。

 

あの世界...物とか持ち込めるのだろうか?

 

ちょっとミクに聞いてみるか。

 

「呼んだ?」

 

「うおっ!? びっくりしたぁ。」

 

呼んだって、とある風呂好きを思い出したんだが。

 

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」

 

「うん、なに?」

 

「俺の想いの世界?...だっけ、ま ミクがいる世界に物とか持ち込めるのか?」

 

「もちろんできるよ。」

 

持ち込むこと自体は出来るのか。

 

「んじゃあ、その世界に、物を置いておくことは出来るのか?」

 

「響助の想いが消えない限り、大丈夫だと思う。」

 

なるほどね、俺の想いがある限り、置き続けられるってことか。

 

「...それって俺ごとじゃあなくて、物だけをそっちに送ること出来るか?」

 

「うーん...やった事がないからどうだろ?」

 

「ちょっとやってみるか。」

 

俺は本棚から、〇〇〇〇〇ー〇の1巻を取り出した。

 

「そういや、ミクは俺の考えることわかるのか?」

 

「ある程度は、」

 

「なるほど。」

 

どの程度なんだろうか?

 

「じゃあ、この本をそっちに飛ばせるか?」

 

「やってみる。」

 

...

 

ビュン

 

「うお、本当に出来た。」

 

「...じゃあ、俺の手に出せるか?」

 

「わかった。」

 

...

 

ビュン

 

「お、ホントに出来た。」

 

これかなり便利なのでは?

 

「...わたし、なんか嫌な予感がするんだけど?」

 

「.......いや?別に。」

 

_______________________________________________

 

am:7:00

 

ガチャッ

 

「おはよ、母さん。」

 

「おはよ、響助...左腕痛くないの?」

 

「大丈夫だよ母さん、榎本さんに治療してもらったから。」

 

「明美に聞いた時はホントびっくりしたよ、包帯巻いてたとはいえ、かなり出血してたんだから。」

 

「昔から、痛覚か鈍いからさ、全然気づかなかったよ。」

 

「そんな怪我なら、学校休んでいいのに。」

 

「そうはいかないよ、中学の時は、母さんと榎本さんに迷惑かけちまったからさ。」

 

「高校ぐらいは、ちゃんといかないとね。」

 

「響助がそうしたいならいいんだけどさ。」

 

_______________________________________________

 

am:7:45

 

「いってきます~」

 

ガチャンッ

 

うーん、休日はしっかり休めなかったからな、今日はさっさと帰りたいところだ。

 

「うおおおお!!! 響助ェ―ッ!!!」ダダダダダダ

 

なんか後ろから、大きい声が聞こえるな...知った声で響助って言われてる気がするが....気のせいだろ。

 

「響助ェッ!!! 怪我は大丈夫か!!!」

 

やっぱ、司先輩だったか。

 

「えーっと、そんなに大きな声出させなくても大丈夫ですよ、怪我もあの後すぐに病院に行きましたので、痛みもないです。」

 

「そうか、それならよかった!」

 

「司先輩、俺になんか用ですか、急いでこっち来ましたけど?」

 

「そうだな! お前と一緒に登校するためだ!」

 

...え?

 

「何でですか?」

 

「何故って、一人でいたらまた襲われる可能性があるではないか?」

 

「いやいや、そんなぽんぽん襲われないと思いますけど。」

 

「何を言う、入学式と休日とで、短いスパンで巻き込まれているじゃないか。」

 

「え、それ....いやそうですね。」

 

中学の時はほぼ毎日絡まれたから、感覚おかしくなってたわ。

 

「そうだろそうだろ、オレと一緒にいれば、少なくともお前が怪我する可能性は減るはずだ。」

 

別の意味で注目されそうだが...

 

でもま、善意100%だしな。

 

「わかりました、今日はお願いします、司先輩。」

 

「ハーッハッハ!! 任された!!」

 

その声のデカさだけ、どうにか下げてほしいけどね。

 

_______________________________________________

 

ふー、やっと教室についた。

 

やっぱ、別の意味で目立ってたな。

 

「おはよ、響助。」

 

「ん...おはよ、杏ちゃん。」

 

「なんか、先輩絡まれてたけど、大丈夫?」

 

「うん、あの人とてもいい人だから。」

 

登校中、変人って聞こえたけど、気のせいだろ。

 

_______________________________________________

 

「ふわあー。」ノビッ

 

ようやく昼か、ちゃっちゃと飯食って屋上で寝るか。

 

「城ケ崎響助はいるかぁっ!!!」ガラッ

 

...ゆっくりできねえな。

 

「...どうも、司先輩...と?」

 

なんだ? 炎や氷を出しそうな人は?

 

どっかで見たことあるな?

 

「司先輩、この人は?」

 

「ああ! 俺の一つ下の幼馴染だ!!」

 

「初めまして、青柳冬弥です。」

 

礼儀正しい人だ...司先輩には.......いや失礼だな。

 

「改めて、城ケ崎響助だ、あと同じ学年だから、敬語じゃあなくてもいいぞ。」

 

「そうか、わかった。」

 

「あの、司先輩、俺になんか用ですか?」

 

ま、大体わかるが。

 

「一緒にランチでもどうかと思ってな!!」

 

やっぱりな。

 

「いや、一人でいいんですが。」

 

「何を言う! いつ襲われてもおかしくないんだぞ。」

 

「いや別に、学校内で襲われないと思いますが...」

 

「無きにしも非ずとも言うだろう! それに響助、左腕怪我してるじゃないか。」

 

「怪我に関しても、そこまで大きな怪我では...」

 

「城ケ崎、司先輩から聞いたが、左腕から大量に出血してたらしいな。」

 

「それは、大怪我だぞ。」

 

...それはそうか。

 

これは何を言っても逃げられないな。

 

「わかりました、一緒に食べます。」

 

「ああ! それがいい!!」

 

_______________________________________________

 

俺は、司先輩と冬弥と一緒に昼飯を食べた後、屋上に向かった。

 

「やっぱここが一番平穏に過ごせるスペースだな。」

 

別に人と話すことが嫌なわけじゃあない、ただ人間には平穏が必要なだけだ。

 

「さてと、寝るか。」

 

休日の疲れが取れるわけではないが、ただ眠い。

 

...血を流しすぎたのかもしれない。

 

zzz...

 

 

 

 

 

zzz...

 

 

 

 

ん?

 

なんか、左ももになにか乗ってるな?

 

「...」チラッ

 

「やっほー、響助!」

 

「...暁山、何をしてるんだ?」

 

「寝転がってるんだよー」

 

「それはみりゃ分かる...お前が枕替わりに使ってるものだ。」

 

「響助の太ももだけど?」

 

「何で?」

 

「ちょうどいい硬さだから。」

 

「...ハァ......ツッコむのもめんどくせえ...」

 

「なんか疲れてるみたいだけど、何かあったの?」

 

「休日の時、お前と別れた後、色々あって疲れてるんだ。」

 

「色々って?」

 

「まあ、襲われたり?」

 

「襲われる!? えっ大丈夫なの!?」

 

「ま、いつもの事だったからな。」

 

「いつもの事って.....それより怪我はしてないの?」

 

「大丈夫...ガラス片が左腕に刺さったけど。」

 

「全然大丈夫じゃないよ!? 病院行かないと!?」

 

「落ち着け、とっくに病院には行ったよ、じゃないとここで寝てたりしねえさ。」

 

「そ、そっか...そうだよね......ごめん、うるさくして....」

 

「........ま、うるせーなっとか、うぜーなって思うときはあるよ。」

 

「...」

 

「でも、楽しいなって思う。」

 

「ッ!?」

 

「暁山とは、話が合うし、なんだかんだ話してると気が楽になるよ。」

 

「小・中とそういう話できる友達いなかったしね。」

 

「友...達?」

 

「ま、友達いなかったからどういう基準で友達なのかわからないけどね。」

 

「.......あのさ」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「...っとそろそろ戻らねえとな。」

 

「あ、うん。」

 

...暁山、何か言おうとしてた気がするな、何だろう?

 

_______________________________________________

 

やっと学校終わった~

 

なんかいつもより長く感じた。

 

「ッ!?」

 

なんで校門に司先輩がいるんだ。

 

さすがに下校中まで一緒はちょっとな...

 

「...」チラッ

 

あの塀...うまく助走をつければ越えれそうだな。

 

司先輩には悪いが、さすがに一人で帰りたいんでね。

 

よし!

 

俺は塀に向かって思いっきり走り出した。

 

「きゃっ!?」

 

「うおっ!?」ズサァ

 

建物の陰から、緑色の髪の女の子が出てきて、とっさに横に滑り込んだ。

 

「え!?、だ、大丈夫?」

 

「こっちは大丈夫、君は?」

 

「大丈夫.....何しようとしたの?」

 

「あ、いやあの塀、乗り越えようとして。」

 

「...は?」

 

「っと、悪いバレそうだから行くよ、んじゃ!」ダダダ

 

「え、ちょっと....え?」

 

「よっ!!」ピョンッ

 

俺は悪霊を出し、跳んだ瞬間に悪霊の片腕を塀に、もう片腕を俺自身を引っ張り上げ、塀を越えた。

 

「噓でしょ...」

 

_______________________________________________

 

っと、上手く着地できたな。

 

...バレてないな...少し遠回りだが、一人で帰れるな。

 

はぁ~...今日は何もなく帰りたいところだが。

 

「ちょっと!? 離して!!!」

 

...無理だったようだ。

 

「おい、その人、嫌がってるだろ?」

 

「え? なに、あんた? えななんのなんなんだよ!?」

 

「えなな...? なんなんなんなんうるせえけど。」

 

「その人、嫌がってるし、あんたがいると俺も目の毒なんだわ。」

 

「後さ...お前ポケットに何か入ってるだろ。」

 

「ッ!?......バレちまったか...」スッ

 

「ッ!? 嘘...ナイフ!?」ビクッ

 

「大方、それで脅そうとしたんだろ。」

 

休みの時にも似たようなことあったな。

 

「は...ははは...お前さえいなければ...あは」

 

こりゃ完全に暴走してんな。

 

「あ、あんた!? 早く逃げなさい!!」

 

おお、ものすごく肝が据わってるし、優しい人だな。

 

「はぁ...めんどーだし、さっさと来い、すぐに終わらせてやるから。」

 

「ちょっと!?」

 

「なめんじゃねええええっ!!!」

 

...猪かよ。

 

「足元ががら空きだぞっと!」ベシッ

 

とっさにしゃがみ、水面蹴りを奴の足に。

 

「ギヤアァ!?」

 

奴は水面蹴りを食らい宙に浮く。

 

「もういっちょ!」

 

水面蹴りの勢いを利用し、倒立からそのまま地から離れ。

 

「ゴアァッ!?」ゴスン

 

そのまま奴の腹に地面に叩きつけられる衝撃と体重を乗せた両膝を食らわせた。

 

「...」

 

「お、完全に気を失ってるね~」

 

「ア、アンタ!」

 

「はい?」

 

「...とりあえず、ありがとう....それと。」

 

「アンタ、何者なの...?」

 

「.....こういう輩に絡まれやすい体質を持ってる、ただの高校生です、それじゃ。」

 

「え、ちょっと!?」

 

_______________________________________________

 

ふわぁーあ、流石に家に帰りたい所だ。

 

「あわわわ..」

 

...オーノー。

 

見覚えがある髪色だな。

 

たしか...みのりちゃんだったかな。

 

「どうしたの?」

 

「ヒャ!?...響助君!」

 

「なんか慌ててたみたいだけど?」

 

「その、あそこに、わたしの友達がいるんだけど...」

 

「...なんか絡まれてるな..」

 

「そうなの、わたしも声をかけたいんだけど、慌てちゃって、あの人達を怒らせたらと思うと..」

 

...その慌てっぷりだと確かにな。

 

それに不良みたいな奴らだし。

 

「おっけ、俺が何とかするよ。」タッタッタ

 

「え!? 響助君!?」

 

 

 

「ねえねえ、俺らと遊ぼうよ~」

 

「あの、えっと...」

 

「あの、すみません!」

 

「え?」

 

「あ? あんた誰?」

 

「その子と待ち合わせしてた者です。」

 

「え?」

 

「え、何? 証拠はあんの?」

 

...めんどくせえな、しょうがねえ、あんま使いたくないが、あれ使うか。

 

「ほら、証拠をだせy....」パチッ

 

「え...え!?」

 

「て、てめえ!?、何をしやg...」パチッ

 

「あ...あ...」

 

「君、怪我とかないかい?」

 

「え....あ....はい....」

 

「大丈夫、俺はみのりちゃんの知り合いだ。」

 

「っ! みのりちゃんのですか?」

 

「ああ、あっちにみのりちゃんがいるから行こ。」

 

「あ、あの! この人たちは...」

 

「ん?...ああ、そのうち起きるんじゃない?」

 

_______________________________________________

 

「ごめんね、こはねちゃん、助けに行けなくて...」

 

「大丈夫だよ、みのりちゃん、私も同じ立場だったら動けなかったと思うから。」

 

「...ありがとう、響助君!」

 

「ありがとうございます、響助さん。」

 

「はは、こういうのには慣れてるから、それと、こはねちゃん...でいいのかな? みのりちゃんの友達ってことは、同じ学年か?」

 

「はい、小豆沢こはねです、みのりちゃんとは同じクラスなんです。」

 

「そうなのか、改めて城ケ崎響助だよ、同じ年だから、敬語じゃあなくてもいいよ。」

 

「え? 同じ年、何ですか?」

 

「うん、身長高いから、よく間違われるけどね。」

 

「わたしも、初めて会った時、わたしより上なのかと思ったもん。」

 

「あはは。」

 

_______________________________________________

 

あ゛あ゛~、疲れた。

 

中学の時よりかは、絡まれなくなったけど。

 

逆に自分から絡みに行くことが多くなった気がする。

 

...今日はゆっくりするか...

 



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第9話:動き出す運命の歯車

※注意※
瑞希の性別についての描写があります。


am:7:45

 

「いってきまーす...ふわぁ...よく寝た~」

 

「...」ゴキッゴキッ

 

...やっぱ俺には、喧嘩がない生活なんて無理なのかねぇ...

 

「ホント...呪いの一種だなこりゃ。」

 

今日こそはゆっくり過ごしたい...フラグじゃあないぞ。

 

「響助ええぇっ!!!!」ダダダダダ

 

げっ!?

 

「...」ダダダダダダ

 

「何故一人で帰ったっ!! そして今なぜ逃げる!!!」ダダダダダ

 

一人で登校したいからだ!!!

 

_______________________________________________

 

教室

 

「はぁ...はぁ...」

 

「今日は一段と疲れてるね...」

 

「ああ、流石にずっと走ってるとね...」

 

「こりゃ...授業中寝るかもな...」

 

「その時は、私が起こしてあげるよ。」

 

「そん時は、頼むわ。」

 

まだ授業始まる前だし、少し寝るか。

 

zzz...

 

_______________________________________________

 

今日こそは一人で飯を食いたい。

 

だから、逸早く飯を買いに行くことだ。

 

とりあえず、司先輩はいなさそうだな。

 

「...? 城ケ崎か?」

 

「ッ!?」ビクッ

 

クルッ

 

「...って、冬弥か...? 横にいる人は?」

 

「どうも、はじめまして。東雲彰人です。」

 

...これは...猫被ってるな、いや初対面なら当然だけど。

 

「どーも、城ケ崎響助だ、あと、普段通りでいいぞ、なんか寒気がする。」

 

「ッ! 寒気がするってなんだよ?」

 

「すまんすまん、中学時代にそういうの嫌なほど見たからね。」

 

「嫌なほどって...どんな中学だよ。」

 

俺もそう思う。

 

「城ケ崎は、何をしようとしてたんだ?」

 

「何って、飯を食いに行こうとしたんだが。」

 

「そうか、なら目的は同じだな、一緒に行かないか?」

 

「いや、別に一人でいいんだが?」

 

「左腕、怪我しているんだろ?」

 

「左腕?...なんかあったのか?」

 

「大したことじゃあないけど、ガラス片が刺さっちゃってね。」

 

「は!? それはヤバいだろ。」

 

「もうほぼ治ってるよ、痛みもないしね。」

 

「だが、万が一という場合もある。」

 

...神様よ、俺はいつになったら一人で飯を食べられるのでしょうか?

 

「わかったわかった、一緒に行くよ。」

 

一人で飯を食うぐらいよくないですかね...

 

_______________________________________________

 

「なんか別の意味で絡まれる事が多くなったきがする。」

 

いやね、ありがたいんだけどね...ただ一人の時間を欲しいんですよ。

 

...たまには校舎の外でも行くかね。

 

やっぱ天丼ってうまいよな、つーか、天ぷらがクソ旨い。

 

「だから...あ...」

 

...ついに学校内でか。

 

「どーしたんすか?」

 

「あ? 何だお前?」

 

チラッ

 

空き缶のごみが落ちてるな...

 

なるほどね。

 

「ゴミ落ちてんすけど...これアンタのすか?」

 

「ちげーよ!?」

 

アンタのだろ。

 

「そうなの?」

 

「ッ!?」ブンブン

 

首を横に振ってるな...やっぱか

 

「やっぱアンタのすね」

 

「あ?」

 

「そもそも、あそこにゴミ箱があるのになんでこんなところに捨てんすか。」

 

「ゴミはゴミ箱っつのは、子供頃から言われてるのにどーしてできないんすかね。」

 

「ッ!?」

 

「その健康そうな脚なら、あの距離ぐらい行けると思うんすけど。」

 

「...チッ....捨てりゃいいんだろ。」

 

「最初からそうすればいいんずよ。」

 

「......後で覚えてろよ」

 

「覚えてたら覚えておきますよ。」ニヤ

 

んなもん、中学時代腐るほど聞いたわ。

 

「...大丈夫?」

 

「う...うん...ってあんた?」

 

「....あれ? 昨日の?」

 

「そ、その...ありがとう...変人かと思ったんだけど、やさしいんだね。」

 

「変人!?......ま、学校の塀を登ろうとするやつは変人か。」

 

「えっ...と....ごめん。」

 

「え、なんで?」

 

「わたしのせいで、先輩に...」

 

「ああ、そういうことか、いいよ、そういうのには慣れてるし、俺から首突っ込んだからね。」

 

「で、でも。」

 

「君が悪いわけじゃあないし、あっちが悪いんだから気にしなくていいよ、...君、名前は?」

 

「え....草薙寧々...」

 

「俺は、城ケ崎響助、腕っぷしにはかな~り自信があるし、正直ああいう奴は一人じゃあ大したことできねえ奴だから大丈夫だよ。」

 

「ま、大勢で来ても大したことないんだろうけどね。」

 

「.......何者なの、あんた...」

 

「んー...ああいう輩に絡まれやすい体質もってる高校生だな、うん。」

 

「...どういう体質なの...」

 

_______________________________________________

 

んんん~ようやく放課後か。

 

「......見つけたぞ...」

 

「ん?」

 

昼休みの時の...

 

「なんすか...そんな大勢で来て?」

 

「ちょっとツラ貸せ。」

 

「え? 嫌っすけど。」

 

「あ?」

 

「いやだって、ツラ貸した所で、俺にメリット無いっすよね、それに結局の所、ここで済む話だろうしね。」

 

「...チッ...やっぱ暁山と一緒にいる奴はやっぱ変な奴だな。」

 

あ?......なんで暁山の名前が出るんだよ。

 

「なんで、暁山が変なんすか?」

 

「あ?...お前知らねえのか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつ、男だぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...は?」

 

え...あいつ男だったのか....あんなにカワイイのにか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え、凄くね、全然女の子に見えたし、相当頑張ったんだろうな。

 

...て、ことは、暁山があの時言ってた噂ってこのことなんだろうか...

 

この前、屋上で言いかけたのはこのことだろうか....

 

.........今はそんなことはどーでもいいや。

 

「男のくせに、あんな服装しててよ、気持ち悪いだろ?」

 

.......

 

「本当に、どういう神経して「おい、先輩.....」

 

「暁山のどこが気持ち悪いんだ...!?」

 

「あ? 普通はあんな服着ねえだろがっ!」

 

「普通ね......普通って誰が決めたんすか?」

 

「あ?」

 

「普通はだれが決めたって言ってんすよっ! そんなに言えるってことは決めた人すぐに言えますよね、さ、言ってくださいよ。」

 

「...」

 

「無言すか...先輩、俺は、普通やあたりまえなどを盾にして、大勢で人を傷つける奴、死ぬほど嫌いだっ!」

 

「それに、学校側でそんなこと聞いたことがないんすよ。」

 

「あいつが、好きだからあの格好してるんだろ、確かにそれを否定する奴もいただろう。」

 

「それでもあいつは、頑張って自分の好きを突き通してる、大勢でしか人の好きを馬鹿にできねえ、てめえらよりよっぽど立派だ、クズ野郎っ!!!!!」

 

「っぐ!?」

 

「てめえ...この人数見てもまだ言うのかよ...」

 

「フン......大勢でしか意見できねえ雑魚がいくら集まっても.......俺には勝てねえよ。」

 

「チッ....てめえを病院送りにしてやるっ!!!!!!」

 

...大勢で襲うときたか、俺への陰口はいくらでも言えばいいさ、だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の大事な友達を傷つけることは、絶対に許さねえっ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『オラオラオラオラアラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!!!!!!』ゴォッゴォッゴォッゴォッゴォッゴォッゴォッゴォッゴォッ

 

『オラァ!!!!!!』

 

「「「「「グホァッ!!!!!!?」」」」」

 

やっぱ....雑魚だったな。

 

「ひっひぃい...」

 

「...おい」

 

「...」ビクッ

 

「こいつらが目覚めたら言っておけ。」

 

「二度と、俺と暁山の前、それと暁山の陰口を言うんじゃねえぞ...」

 

「やったら.........わかるよな。」

 

「は....は...い」

 

「...」

 

ひっさしぶりに、こんなに感情的になったな...それほどまでに、あいつは、俺にとって大切な存在になってたんだな。

 

「...ッ! 響助!」

 

「お、杏ちゃん。」

 

「大丈夫!? 先輩に絡まれたって聞いたけど!?」

 

「あ、それに関しては大丈夫だよ......あ、あとさ。」

 

「暁山、知らないか?」

 

「え? 確か、外にいたと思うけど。」

 

「そっか、ありがとう。」

 

_______________________________________________

 

「お、いた。」

 

「...! やっほー、響助!」

 

「よ、暁山。」

 

「...ちょっと付き合ってほしいところがあるんだが...時間大丈夫か?」

 

「珍しいー、響助がボクを誘うなんて。」

 

「...たまにはいいだろ。」

 

「いいよ! ボクもこのまま家に帰るだけだったしね。」

 

...恐らく、暁山はこの事を知られるのが怖いんだろうな。

 

本当に俺は、聞いてもいいのだろうか....いや。

 

あの噂が本当だったらとしたら、俺は変わるか....いや変わらない。

 

男だろうが、女だろうが、暁山瑞希は暁山瑞希だ、何も変わらない。

 

_______________________________________________

 

「...」

 

「...響助? ここ路地裏みたいなんだけど、道あってる?」

 

「...暁山」

 

「なに?」

 

「俺さ、知らねえ先輩によ、噂を聞いちまったんだ。」

 

「ッ!?」

 

「俺はさ...友達がいなかったから、この事を言ってもいいのか迷ったんだ。」

 

「...」

 

「でも、俺は暁山の事を、友達だと思ってる。」

 

「ッ!?」

 

「俺は、あの噂が本当だろうが、じゃないだろうが、俺は、変わらないよ。」

 

「......ボク....は。」

 

「ま、こんな薄っぺらい言葉は、いくらでも言われたんだろうな...」

 

「...」

 

俺は、胸ポケットに入れてたシャーペンを取り出し。

 

グチャッ

 

左小指の左側に刺した。

 

「...ッ!? 何してんのっ!!?」

 

結構血、出てちまってんな。

 

「これは、自分に対するケジメだ。」

 

「ケジメ....?」

 

「俺は、その噂聞いてさ、一番最初に思ったのは、男なの?ってね。」

 

「...」

 

「でも、男だろうが、女だろうが、暁山瑞希は暁山瑞希だろ、だからそれに対してのケジメだよ。」

 

「.......なんでそこまで。」

 

「それは、暁山は俺にとって、大切な友達だからだよ。」

 

「友....達........ボ..クは...」

 

ギュッ

 

「...あ」

 

「お前が、どんだけ苦しんだのかわからないし、何をされたかわからない...けどこれだけは誓うよ。」

 

「俺は、何も変わらない、暁山の友達だ。」

 

「...う...あ.....あああ...」ポロッポロッ

 

_______________________________________________

 

「...」

 

「えーと....大丈夫?」

 

「え、なに、俺バカなの? 急に抱き着くなんてありえないよ、何やってんの俺..........」

 

「えーっと、ボクは、嬉しかったよ。」

 

「そ、そうか、いや今まで友達なんてなかったから、どのくらいの距離感なのかわからないんだ。」

 

「そ、そうなんだ......その、ボクの事を聞いてどう思った?」

 

「...そうだな、一つだけ言える事は。」

 

「何も変わらない、お前は、カワイイ暁山瑞希だよ。」

 

「そっか......そっか!」

 

「あはは、初めて響助の口から、カワイイって聞けたな~」

 

「...ま、だってお前、カワイイしな。」

 

「...ちょっと待って...なんか恥ずかしくなってきた///」

 

「恥ずかしくねえよ、お前はカワイイ。」

 

「も、もうやめて///」

 

「...そうだな...俺は暁山の秘密知っちゃったし、俺の秘密でもしゃべるか。」

 

「え、別にそれは、不本意だったんでしょ。」

 

「なんか、言わないといけない気がしてな、ま、信じるかはお前次第だけど。」

 

「俺さ...悪霊に取り憑かれてるんだよ。」

 

「悪霊?」

 

「そう、そうだな...今出してるけど...見えないよな?」

 

「...見えない。」

 

「やっぱか、ちょっとそこの石見てて。」

 

「よっと。」

 

「ッ!? 石が浮いてる!」

 

「とまあ、こんな感じだな。」

 

「...いつから憑り憑かれてるの?」

 

「さあな、物心ついた時にはもういたよ。」

 

「そーなんだ。」

 

「...あ、もう一つ聞こうと思ったやつあるんだけどいいか?」

 

「え、うんいいけど。」

 

「その、前に「君のこと気に入っているんだけど」って言ってたけど、前にあった事あったか?」

 

「...うん、入学式の日の薬局であったんだよ。」

 

「......ああ! そういやいたな! 今思い出した!!」

 

「もう、やっぱり忘れてたんだなー」

 

「いやでも、いちいち人の顔とか覚えないだろ。」

 

「えーっ! こんなカワイイ顔を覚えないなんて!」

 

「そりゃあ、悪うございました。」

 

「...それもあるんだけどさ。」

 

「うん?」

 

「...お兄ちゃんと重ねてるところがあったんだ。」

 

「兄さん?」

 

「うん、数か月離れたお兄ちゃんがいたんだ。」

 

...過去形?

 

「...聞いちゃまずかったか?」

 

「...ううん、大丈夫。」

 

「お兄ちゃんね、ボクが7歳の頃、行方不明になったんだ。」

 

「マジか....」

 

「...でも、お兄ちゃんはどこかで生きてるんだと思ってる。」

 

「...そうか、再会できることを祈っておくよ。」

 

「うん.....そうだ!」

 

「うん?」

 

「今後さ、ボクの事さ、瑞希って呼んでくれない?」

 

「え、急に....でもな...」

 

「大切な友達....でしょ?」ニヤ

 

「......はぁ....わかったよ、瑞希。」

 

「うん! じゃボクは。」

 

「別にいいだろ、変えなくて。」

 

「変えたくなったの!.......あ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ジョジョ』ってどうかな~」

 

「城ケ崎のジョはわかるけど、もう一つのジョはどこから出てきたんだよ。」

 

「響助の助って「じょ」っとも言うでしょ、そこから。」

 

「....はぁ、もう勝手に呼んでくれ。」

 

「じゃ、そう呼ぶ~」ニヤ

 

「...あ! それと。」

 

「まだあんのかよ?」

 

「...連絡先交換しよ」スッ

 

「なるほど、わかった。」

 

俺は連絡先交換しようとスマホ出したとき。

 

スマホから白い光が....

 

 

 

「「え!?」」

 

 

 

光の中に吸い込まれ.....

 

_______________________________________________

 

「......ッ!? おい、ミク...急に呼ぶのやめろ。」

 

「それと....暁や.....瑞希もなんでここに飛ばしてんの? あいつびっくりするだろ?」

 

チラッ

 

あれ、あんま驚いてねえな........ん?

 

「...ッ!? なんかできてる~!!!」

 

なんかめちゃくちゃ可愛い建物が出来てる!

 

「ミク! あれ、なんだよ?」

 

「わからない、今さっき、急に出来たから。」

 

「そんな急にできることあんの?」

 

「あれ、めっちゃカワイイ建物だね!」

 

「行ってみるか?」

 

「うん!」

 

「近づくと結構デカいな。」

 

「うん、ここが入り口かな?」

 

「ここか......うん? 開かねえ。」

 

「え、そんなわけないでしょ?」

 

「いや、全然開くそぶりがない。」

 

「ちょっと貸して。」

 

ガチャッ

 

「「え?」」

 

「.......もしかして俺、拒否られてる?」

 

「いやいや、流石に扉開いたんだから入れるでしょ。」

 

バタンッ

 

「...」

 

「...」

 

「...楽しんで来い.......」

 

「......なんか、ごめん...」

 

_______________________________________________

 

ガチャッ

 

「...どうだった?」

 

「めっちゃボク好みのものがあって楽しかった!」

 

「そうか、ならよかったわ。」

 

「...響助!」

 

「うおっ どうした。」

 

「また、響助の悪霊見たい!」

 

「えっ、ミクは見えるの?」

 

「うん!」

 

「...ったくしょうがねえな。」

 

「ほらよ。」

 

「...えっ!?」

 

「どうした、瑞希?」

 

「み、見える、見えるよ、ジョジョの悪霊!」

 

「はっ!? ちなみにどんな感じだ?」

 

「人型なんだけど、人間じゃない感じ。」

 

「ミクと全く同じだな、ま、そうなんだが。」

 

「本当に見えるんだな、この世界に来ると、見えるようになるのか?」

 

「なんかジョジョ、能力系の主人公みたい。」

 

「ねえ! その悪霊ってなんか能力あるの?」キラキラ

 

おお、ものすごく目がキラキラしてる、ミクもだな。

 

「能力っていうか、これでもの持ったり、殴れるね。」

 

「見た目に反して、物理的なんだね。」

 

「...あ、あと、シャボン玉をだせるよ。」

 

「「シャボン玉?」」

 

「そう、んで、そのシャボン玉に何か触れて、割れた時、そこから何かを奪えるんだ。」

 

「「奪う?」」

 

「具体的には?」

 

「そうだな...瑞希、俺のカバン持ってくれ。」

 

「え、うん。」

 

「それ、ある程度重さがあるだろ?」

 

「うん。」

 

「よし、やるぞ。」

 

「「ホ、ホントにシャボン玉がでた!」」

 

「俺のカバンから、重さを奪う。」

 

パチッ

 

「...ッ!? 軽くなった!?」

 

「こんな感じで、色々奪えるんだ。」

 

「「おお!」」パチパチ

 

「かっこいいね! ジョジョの悪霊! 名前とかあるの?」

 

「こいつ喋んないから、名前自体がわかんないんだ。」

 

「ふーん...じゃあさ、ボクが付けていい。」

 

「...そうだな、名前自体はあった方がいいな、ちゃんとした名前つけろよ。」

 

「むむ、なんか癇に障る言い方だなぁ...まあいいや、そうだな~.....」

 

「シャボン玉だから...やわらくて、湿ってる.......!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ソフト&ウェット』っとかどうかな?」

 

「ソフト&ウェットか...なんか俺もしっくりくる。」

 

「ふっふっふ~、さすがはボクだね~。」

 

「......そういや、当初の目的忘れてたな。」

 

「...ボクもすっかり忘れてたよ。」

 

_______________________________________________

 

「ちゃんと戻ってこれたな。」

 

「うん...本当に公式アカウントとか家族とかしかなかったんだね。」

 

「言っただろ、友達いなかったって。」

 

「あはは...」

 

「さてと、どうする?」

 

「ん~...どっか寄ってく?」

 

「だったらスーパー寄りてえな、そこで晩飯の材料買いたいな。」

 

「え、ジョジョって料理するの?」

 

「ああ、基本的に、平日の晩飯は俺が作るんだ。」

 

「へ~、食べてみたいな~。」

 

「...いずれ作ってやるよ。」

 

「やった~! 楽しみにしてるね!」

 

_______________________________________________

 

「.......んで、お前はいつまでついてくんの?」

 

「帰り道がこっちなんだよ~」

 

「マジかよ。」

 

こんなに一緒なのによく今まで会わなかったな、おい。

 

「あ、ここだよボクの家。」

 

「え? ここお前んち?」

 

「うん。」

 

「...あそこ、俺んち...」

 

「...」

 

「...」

 

「俺ら、今までよく会わなかったな。」

 

「だね...」

 

こんなご近所だったんかい。

 

_______________________________________________

 

数日後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪霊が憑いている少年......」

 

「.......スタンドの矢とは無関係かもしれないが...」

 

「...」

 

ピッ

 

トゥルル

 

『もしもし、___さん?』

 

「__すまないが、確認してもらいたいことがあるんだ。」

 

「シブヤに、悪霊が憑いている少年について調べてほしい」

 

『悪霊...幽波紋のことっすか。』

 

「恐らくはな、学校の方は私から連絡しておくが、構わないか?」

 

『...わかりました、___さんの頼みっすから。』

 

「すまない、恩に着る。」

 

ピッ

 

「無関係なら、無関係であってほしいところだな。」

 

_______________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪霊が憑いている少年......」

 

「.......奴と無関係かもしれないが...」

 

「...」

 

「念のため、探してみるか...」

 



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第10話:悪霊が憑いている少年

今日は金曜日か、今日頑張れば、明日は土曜日。

 

そう思うと、テンションが上がってくるな。

 

ピンポーン

 

ん? 誰だ、こんな朝っぱらから?

 

「響助、出てくれない?」

 

...やれやれ。

 

「はい.........えっ!?」

 

扉の先にいたのは。

 

「やっほー、ジョジョ! 迎えに来たよ~!」

 

瑞希だった。

 

「...はっ?」

 

「いやー、ジョジョの家が、こんなにすぐ近くにあるなんてね~」

 

「そりゃあ ま、驚愕の事実ってやつだけど、だからって迎えに来るこたあねえだろ、小学生じゃあるまいしよ。」

 

「...っ!? もしかして響助のお友達!?」

 

「って母さん!?」

 

「はーい! 暁山瑞希で―す!」

 

「うぅ...まさか響助にお友達できるなんて...嬉しくて涙が出てきた。」

 

「なんでだよ!」

 

「瑞希さん、これからも響助をよろしくね、そうだ、響助の準備ができるまで、中で飲み物でも飲んでて。」

 

「いいんですか? ありがとうございまーす!」

 

「えっ?」

 

「ふっふっふ~、ジョジョのお母さん、美人だね~」

 

「お邪魔しま~す!」

 

「...」

 

........やれやれだぜ。

 

_______________________________________________

 

「あ~、美味しかった~」

 

「ったく、急にうちに来んなよ...」

 

「え、連絡してから来た方がよかった?」

 

「そういうことじゃあねえよ...」

 

そう話をしながら高校に向かっていた。

 

_______________________________________________

 

「ん?」

 

学校に着いたのはいいけど...妙だな.....俺の姿を見て避けられているな。

 

「響助ェーっ!?」

 

...このでけえ声は...

 

「司先輩...どうしました?」

 

「響助と...?」

 

「あ、はじめまして、暁山瑞希でーす!」

 

「暁山か!...っと忘れるところだった。」

 

「響助! お前のとんでもない噂が広まっているぞ!」

 

「噂....なんのですか?」

 

「悪霊が憑いているという噂だ! 全く、誰がこんなでたらめの噂を..」

 

...全く違うっていうわけじゃあないから否定できないな。

 

「えっと、詳しく聞いてもいいですか?」

 

「オレも詳しくはわからないが、お前が先輩達に絡まれていた時に、突然何もない空間から、先輩達が吹っ飛ばされるところを見たと。」

 

...全て事実だな。説明は...めんどくさいな。

 

「ん~...一部は事実ですね。」

 

「どの辺がだ?」

 

「先輩達をぶっ飛ばした所ですね。」

 

「なに!? それは本当なのか。」

 

「ええ、その先輩に絡まれてた人を、助けて、それを逆恨みしたんでしょうね。」

 

「なんかくっだらねえ噂とか言ってましたし。」

 

「む、そうか。」

 

「先輩.......噂.....ッ!?...そ、それって.....ボクのせ....」

 

「お前のせいじゃあねえよ、ただムカついたからやっただけだ。」

 

「それで、司先輩はこの噂を聞いてどう思いました。」

 

「フッ、オレはお前の事を知ってるからな、お前は理由もなくそんなことしないっと思ったさ。」

 

「それはありがたいです。人の噂も七十五日といいますし、そのうち消えるでしょう。」

 

「ああ! オレの方からも、響助はそんな奴じゃないと説明してやろうではないか。」

 

「...それはやめてください....」

 

_______________________________________________

 

っと...教室でもこんな感じか...

 

ま、そりゃあそうか、俺だって悪霊が憑いている人がいたら避けるもん。

 

「あっ!? 瑞希! 響助!!」

 

「お、杏ちゃん。」

 

...そういや、杏ちゃんって幽霊とかそういうの怖いんじゃあなかったっけ。

 

「噂の事か?」

 

「う、うん...」

 

「杏ちゃん、こういうの苦手じゃあないのか?」

 

「.....苦手だけど....でも! 瑞希のためにやってくれたんだよね。」

 

「......ま、そうだな。」

 

「その噂が本当でも、嘘でも、私は響助の味方だよ!」

 

「...そりゃあ、ありがたいね。」

 

「......ごめん、ジョジョ...」

 

「いいんだよ、お前は被害者だろ、それに、これは俺が勝手にやった事だ、気にすんな。」

 

「.......うん。」

 

「.......? じょじょ?」

 

「ん? ああ...こいつが俺につけたあだ名だ。」

 

「なんでじょじょ? 城ケ崎のじょはわかるけど?」

 

「響助の助は「じょ」っととも読めるだろ。それでだ。」

 

「..........?」

 

「......」

 

「......」

 

「おい、瑞希...もしかして杏ちゃん....」コソコソ

 

「いや......うっかり忘れただけだと思うよ.....多分」コソコソ

 

「....? 二人ともどうしたの?」

 

「「なんでもないぞ(よ)」」

 

「?」

 

_______________________________________________

 

授業中なんて特に何にもないしな...誰に言ってんだこれ?

 

...ま、んなこたどうでもいいや。

 

さて、飯食っか。

 

「ジョジョ~、一緒にご飯食べよ!」

 

やっぱ、一人じゃ食えないか。

 

「へいへい、学食行くぞ。」

 

「うん!」

 

今日は.......天丼.....いやカツ丼でいいか。

 

_______________________________________________

 

「お前、カレーとポテトってどういう組み合わせだ?」

 

「だって美味しいんだもん~♪」

 

これ以上言っても、美味しいっで突き通されそうだな。

 

「あ、そういえばさ」

 

「ん?」

 

「ジョジョってあまりSNSとか使わないよね、それってなんで?」

 

「あ~、SNSってさ、不意にゲームやら漫画の感想や、ネタバレとか来るときあるだろ。」

 

「俺はそれが嫌で、あんまり使ってないな。」

 

「あ~、すごくわかる、自分の目で見たいよね。」

 

「基本的に、作品のワード等をミュートして、公式アカの通知をONにしてるよ。」

 

「徹底してるな~」

 

そんな話をしている時。

 

「危ない!!」

 

遠くから声が聞こえた。

 

「ッ!?」

 

「っ!?」

 

こっちに向かってすごいスピードで飛んでくるサッカーボール。

 

「危ないよっと!!!」バシンッ

 

俺はそれに向かって、ボールを蹴り返した。

 

何だっけ、ぼれー....ぼれー...サッカーあんま知らないからわからねえな。

 

空中で蹴る...あれだ。

 

「す、すごっ!?」

 

「おーい! 気をつけろよ!!」

 

「ジョジョって、サッカーやってたの?」

 

「いや、体育の授業以外でやった事ないぞ。」

 

「え、マジでっ!?」

 

「マジ。」

 

_______________________________________________

 

授業が終わり、後は帰るのみ、休みは何すっかな。

 

「ジョジョー、帰りにショッピングモール寄らない?」

 

...ま、このまま帰れるとは思わなかったよ。

 

ただまあ、こいつが朝からいるのは珍しいからな、今日はとことんまで付き合ってやるか。

 

「わかった、さっさと行くぞ。」

 

「やった!...って、待ってよジョジョ~」

 

何買うかな...そういやまだあのゲーム買ってなかったな、買うか。

 

_______________________________________________

 

やっぱ、俺にはショッピングモールっつーのは場違い感がすごいな。

 

こういう所ホント、来なかったからな~

 

「ねー、この服どーかな!」

 

今いるところが一番場違い感半端ないな。

 

「おー、似合うしカワイイぞー」

 

ファッションセンスなんてねえよ。

 

「むー...さっきから適当にあしらってない?」

 

分かりやすく、頬を膨らませて不満である事をアピールしている、カワイイな。

 

「悪いね、俺はファッションセンスなんて皆無に等しいんでね。」

 

「そのーなんていうか、この服の方が似合うとかあるじゃん!」

 

「えー、見せてきた服、全部瑞希に似合うし、可愛かったぞ。」

 

「――っ!? ジョジョって時たまそういう冗談言うよね///」

 

なんか瑞希の顔、赤いな?

 

「別に冗談なんて言ってねえよ。」

 

「冗談ってことにさせて!!///」

 

もっと赤くなった、ゆでだこかな?

 

_______________________________________________

 

「いやー、買った買った!!」

 

「よー買うね。」

 

「ジョジョも、少しは服の事考えた方がいいと思うな~」

 

「やだよ、目立ちたくねーし。」

 

「ぶーぶー」プクッ

 

「...ん?」

 

俺はふと目をやると、女の子がナンパに絡まれてるところを目にした。

 

あの制服は、みのりちゃんのとこと同じか?

 

「うっわ~、こんなところでもナンパなんてね...てジョジョ?」

 

体が勝手に動いていた。

 

「あの~、その人めっちゃ困ってるんですけど?」

 

「え?何アンタ?」

 

「君、大丈夫か?」

 

俺はナンパを無視して、黒髪ロングの子に話しかけた。

 

「は、はい。」

 

「おい、なにシカトしてんの?」グッ

 

胸倉をつかまれた。

 

「えー、離してくださいよ、シャツしわになっちゃうじゃあないですか。」

 

「お前、今の状況わかって喋ってるのか?」

 

「こんな平日の夕方のショッピングモールの中で、女子高生ナンパしている残念な人に胸倉掴まれてる状態ですねw」ニヤッ

 

結果的には変わらないため、ささっと終わらせるために煽った。

 

「おい.....調子乗るなよ!」ブンッ

 

「よっと。」ヒョィ

 

ナンパ野郎が、殴りかかるのと同時に、俺はすかさず相手の胸倉を掴み、後ろの方に、倒れこんだ。

 

「ほっ。」ゴスッ

 

「っぐ!?」

 

相手の腹部に蹴りを入れ、真後ろに放り投げた。

 

巴投げをちょっと変えたものだ。

 

「ガハッ」バシンッ

 

放り投げられたナンパ野郎は、受け身なんてとれずに、背中から落ちた。

 

「もういっちょ。」

 

すかさずスターフィッシュキックアップで立ち上がり、空中回転回し蹴りを奴の顔面........の5cmずれた所の地面に食らわせた。

 

「どうする?........まだやる?」

 

俺はそう言うと、奴は意識を失った。

 

「君、怪我はないか?」

 

「は、はい、それよりあなたこそ怪我は?」

 

「大丈夫だ、俺もこいつも怪我はないから、」

 

「よかった。 助けてくれてありがとうございます。」

 

「いーよ、俺が勝手に突っ込んだだけだから、んじゃ。」

 

俺は礼を言われると、返事して、瑞希の所に戻った。

 

「よっ、悪いね、勝手に離れちゃって。」

 

「...」

 

「ん? 瑞希どうした?」

 

「いや、ジョジョとんでもない動きしてたな~のと、さっきまで目立ちたくないって言ってた人の行動じゃないなと、思ってただけ。」

 

「......人助けするのに、んなこと考えねえよ。」

 

 

 

 

 



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第11話:休息

「ふわぁあー.......って6時やん。」

 

だが、朝早く起きるなんというか、得した気分になるな。

 

早起きは三文の徳って奴だったかな。

 

だが、どうするか、動画のストックはあるしな.....この時間から外なんて出たことないな。

 

「行ってきます。」ガチャッ

 

光合成は大事だもんな。

 

さてと、どこ行こうかな........久しぶりにあそこ行ってみるか。

 

_______________________________________________

 

「あったあった。」

 

ひっさしぶり来たな、神社。

 

ここの神社でよく、厄除けのお守り買ってたんだよな。

 

効果......あるんじゃあないだろか、少なくとも毎時絡まれなかったし。

 

「......あら、もしかして響助君?」

 

「...あ、どーも、お久しぶりです、榎本さん。」

 

この人は、巫女さんの榎本さん。

 

よくお世話になってる榎本先生との関係性は......わからん。

 

榎本先生とそんな話しなかったしな、ま、多い苗字だし、他人なのかもな。

 

「中学生の時はほぼ毎日来ていたのに、急に来なくなって寂しかったわ。」

 

「あはは...あの時は、毎日絡まれていたので、流石に厄かなって思って、ここに来ては、お参りしてましたね。」

 

「来なくなったってことは、効果が出たみたいね。」

 

「出たっていうか、ま、毎日のように絡まれることは無くなりましたよ。」

 

「中学生の時はすごかったもんね、まさか神社でも喧嘩しちゃうなんて。」

 

「いやほんと、あの時の事は申し訳ないと思ってますよ。」

 

「でも、あの時の人、この神社を荒らして人で、その人から守るためにやってくれたんでしょ?」

 

「ま、でも神聖な場所で喧嘩したんですよ、普通出禁とかになりません?」

 

「君自身が問題を起こしたわけじゃないでしょ? それに他の巫女さんも感謝していたわよ。」

 

「...それならいいですけど。」

 

「ところで、こんな朝早く来るなんて珍しいわね。」

 

「珍しく、朝早くから目覚めまして、外の空気を吸おうとしてここに来ました。」

 

「あら、そうなの。」

 

「ここに来たんで、お参りはしますよ。」

 

「絡まれませんようにって?」

 

「いえ、自分の事っていうか、友達のことっていうか...」

 

「っ!? 響助君の口からお友達って言葉が出るなんて嬉しいわ。」

 

「それ、母さんからも言われたんですけど、そんなに珍しいんですか?」

 

「そうよ、昔の響助君、一匹狼みたいな感じだったのよ。」

 

「そ、そうですか。」

 

俺の中学時代、そんな感じだったのか。

 

「......とりあえず、お参り行ってきます。」

 

俺は階段を上り、参拝を行った。

 

_______________________________________________

 

「んっん~....やっぱ朝は眠いな~」

 

参拝を終えると、階段を下っていた。

 

「ん?」

 

...青髪の女の子か? 参拝って感じでもないな。

 

「榎本さん。」

 

「あら、響助君、参拝を終えたの?」

 

「はい、ところでその女の子は?」

 

「あの子は、遥ちゃん、この時間になるとここまで、ランニングでここまで来るの。」

 

「へー、朝早くからすごいですね。」

 

榎本さんと話していると、遥と言われた女の子がこっちに来た。

 

「おはようございます、榎本さん...と?」

 

「どうも、城ケ崎響助です。」

 

「響助さん......もしかして榎本さんが言ってた響助君?」

 

「どんな事言われたかわかりませんが、その響助君です。」

 

「そうなんだ......神社を守ってくれてありがとう。」

 

「遥ちゃん.....だっけ....暴力で解決したことだし、褒められることじゃあないよ。」

 

「謙虚なんだね.........?......あの。」

 

「ん?」

 

「その.....どこかで見たことあるとか...」

 

「...? いや、多分初対面だと思うけど?」

 

「...あっ! 遥ちゃん、昔から響助君は全くていうほどニュースやSNSを見ないのよ。」

 

「...なんかトゲのある言い方ですね、事実ですけど。」

 

「そうなんだ...じゃあ自己紹介しないとね。」

 

「私は桐谷遥、よろしくね。」

 

「響助君、一応説明するけど、遥ちゃんはアイドルなのよ。」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「...もうやめちゃったけどね。」

 

「そうなんだ。」

 

「...聞かないの?」

 

「何がだ?」

 

「...やめた理由。」

 

「...気にならないわけじゃあない....けど、そんなに暗い顔するってことは、何かあったんだろ、俺はそれを追及したりしないよ。」

 

「...君はやさしいんだね。」

 

「そうか? 暴力で解決する奴だぜ。」

 

「ふふ」ニコッ

 

笑顔が眩しい...

 

_______________________________________________

 

「.......9時か。」

 

そう呟きながら家近くのところを歩いていた。

 

「.....ん?」

 

あれは...俺がよく行くコンビニの店長さんか?

 

「珍しくコンビニの外にいますけど、どうしたんですか?」

 

「ああ、響助君か、どうやらうちの店、万引きの常習犯に目をつけられたみたいでね。」

 

「商品をこまごまとこっそり万引きされちゃってね。」

 

「それは大変ですね。」

 

「......そうだ、響助君!」

 

「どうしたんですか?」

 

「お礼はするからさ、コンビニ内で監視してくれないかな。」

 

「...? 監視ですか、別にいいですけど、なぜ俺ですか?」

 

「響助君、足速いし、腕っ節もありそうだし、今ヒマでしょ?」

 

「いやあの、俺ってそんなにヒマそうに見えます?......実際ヒマですけど。」

 

「悪い言い方してすまなかったね、でも、実際ほんと困ってんだ、何とか協力してくれないかな?」

 

「もし万引き犯が来なくても、いてくれた分はちゃんと礼するから。」

 

そういやここのコンビニ、イートインがあったな。

 

「わかりました、やってみます。」

 

「おー、助かるよ!」

 

_______________________________________________

 

1時間たったけど、流石に来ないか...これいつまでやればいいんだろ。

 

ま、今日は家でやることはないし、土曜だから別にいいか。

 

グー

 

...流石に腹減ったな。

 

何か買うか、.........焼きそばパン...か。

 

これにするか。

 

「「...っ!?」」

 

マジか、しゃーない、下のコロッケパンにすっか。

 

「あ、えっと。」

 

「悪いね、俺は他のものにするから。」

 

「い、いえ、私のほうが遅かったですし......て、あれ?」

 

「ん?...君は、昨日の?」

 

_______________________________________________

 

「そっか、あれから何もなかったんだね。」

 

「はい...えーと。」

 

「っとそうだ、名前言ってなかったな。」

 

「俺は、城ケ崎響助、君は?」

 

「はい、私は、星乃一歌って言います。」

 

「一歌ちゃんか、よろしくね。」

 

「響助さんの方は大丈夫だったんですか?」

 

「うん、珍しく逆恨みとかなかったよ。」

 

「珍しく...なんですか?」

 

「ま、そうだね。」

 

「.......あの、私が入る前から、コンビニにいたって言ってましたけど。」

 

「ああ、店長さんから、なんていうか.....用心棒...いや違うか、監視役としているんだ。」

 

「監視役?」

 

「ここのコンビニ、どうやら万引き犯の常習犯に目をつけられたみたいでね、腕っ節、足の速さ、ヒマそうだからっていう理由で、監視役になった感じだな。」

 

「すごい言いますね...」

 

「ま、今のところ来てないし、このまま何もなければいいんだけどね。」

 

「.......呼び止めて悪かったね、一歌ちゃん。」

 

「いえ、大丈夫です! こっちも、怪我が無くて安心しました。」

 

_______________________________________________

 

11時......ホントいつまでやりゃいいんだろうか....

 

12時くらいなったら聞いてみるか。

 

ピコンッ

 

「ん?...通知か?.......て瑞希じゃねえか。」

 

『やっほー、ジョジョ、どうせジョジョはヒマだと思うから、一緒に遊ばない?』

 

...なんでどいつもこいつも、俺をヒマ人扱いするんだ。

 

ムカついたから、無視するか、どうせ今動けないし。

 

_______________________________________________

 

「ねえ~! なんで無視したの!」

 

ピンク髪の奴が横から文句を言っている。

 

俺の家から近いコンビニってことは、こいつの家からも近いわけだった。

 

「別に無視はしてねえよ、気付かなかっただけだ。」

 

「ぜーったい嘘! イートインで座っててスマホの通知に気づかないなんてないもん!」

 

「あのな、俺もヒマじゃあないの、忙しいの。」

 

「いや、イートインに座ってるだけじゃん!」

 

「そこじゃあないのよ、今俺は、万引き犯が出ないかを監視を頼まれてるんだ。」

 

「万引き犯?......もしかして、噂の万引き常習犯?」

 

「噂になってるのかよ、ま、その万引き犯だ。」

 

「うん~...たしかにジョジョなら捕まえられそう。」

 

「何を根拠に?」

 

「...昨日のあの動き見てたら、ワンチャンいけるんじゃないかなと」

 

「適当だなおい。」

 

「もうなんだかんだ3時間経ちそうだから、もう店長に言おうかなと思ったけどな。」

 

「ん?」

 

出口の方に向かって走る、黒服の男。

 

「響助君! 今の、万引き犯!、急いで追いかけて!」

 

「マジか!!」ダッ

 

「えっ!ジョジョ待っ...はっや!!」

 

_______________________________________________

 

「待てゴラァ!!」ダッ

 

あの万引き犯、足はそんなでもないな。

 

「オラッ!!!」

 

「ガハッ!?」ゴスンッ

 

万引き犯の背中に、思い切りドロップキックを食らわせた。

 

「っと...後は捕まえるだけだな。」

 

「ち、近づくんじゃねえ!!!?」

 

俺は万引き犯に近づこうとしたとき、犯人は立ち上がり、近くにいた白髪の女の子を人質に取った。

 

「おいおい、罪を重ねるんじゃねえよ。」

 

女の子の喉元にナイフを当てた。

 

「近づくんじゃねえ、こいつがどうなってもいいのか。」

 

相当焦ってるな......ブラフでもかけるか。

 

「へー、そのナイフの向きで、切れないと思うけど、向き、確認したか?」

 

「え?」

 

隙が出来たな。

 

「...」ガシッ

 

「ッ!? は、はや!?」

 

素早く相手の懐に入り、ナイフを持っている手を掴み、素早く腕をひねりあげ、ナイフを手から離させる。

 

「おらよ!」

 

そのまま、相手の腕を自分の後方に力いっぱいぶん投げた。

 

「ガハッ.....クソが!」バシンッ

 

意外と頑丈だな。

 

「この野郎!!」

 

凶器を失った万引き犯は、素手で襲い掛かる。

 

ま、ナイフがなきゃ、余裕だな。

 

「...」スッ

 

「ッ!?」

 

再び、相手の懐に入り、

 

「フンっ」ブン

 

「ガッ.....」ゴスンッ

 

犯人の顎元に向かい、掌底を食らわせた。

 

「...流石にノックダウンか。」

 

「...っと、すみませんね、巻き込んでしまって。」

 

人質された女の子に謝罪した。

 

「い、いえ、大丈夫です...」

 

「.......その人、どうするんですか?」

 

「...ああ、こいつ万引き犯の常習犯でね、コンビニまで戻ってそのまま、通報します。」

 

「別にばらすわけじゃあないですよ。」ニコッ

 

「...う、うん。」

 

さてと、こいつ運ぶか。

 

_______________________________________________

 

こいつのせいで3時間ぐらい無駄にした気分だ。

 

「ジョジョ~、大じょ.....夫じゃないねその人。」

 

「そりゃあ、とっ捕まえるからね、それに今回の場合人質まで取ったから、とことんまでやったよ。」

 

「えっ!? 大丈夫だったのその人?」

 

「やられる前にやったから大丈夫。」

 

「めちゃくちゃ脳筋じゃん。」

 

「今回は頭使ったわ。」

 

_______________________________________________

 

「いやあ、ありがとう響助君! おかげで万引き常習犯を捕まえられたよ!」

 

「はい、これお礼ね!」

 

「別にいらないですけど、もらえるもんはもらいます。」

 

「ところで、響助君、君の隣居る子、カワイイね。」

 

「あはは、ありがとうございまーす!」

 

「やれやれ...」

 

_______________________________________________

 

久々にあんなに走ったな。

 

「ね~、ジョジョ、ちょうど臨時収入が出来たんだし、お昼行かない?」

 

「...もうそんな時間か、ってカレーじゃあないだろうね?」

 

「ええ!? いいじゃん! カレー美味しいじゃん!」

 

「カレーはこの前食ったろ...」

 

「好きなものはいくらでも食べれるんだよ?」

 

「いや、別に俺はそこまでカレー好きじゃあないんだけど。」

 

「むー...じゃあさ、ハンバーガー屋とかどう?」

 

「それもポテト食いたいからだろ......ま、でもカレーよりはマシか。」

 

「んじゃ、決まりだね! ハンバーガー屋までレッツゴー!」

 

「おい、引っ張るな。」

 




城ケ崎響助 設定

城ケ崎響助 (じょうがさききょうすけ)

スタンド:ソフト&ウェット

命名:暁山瑞希

現段階では、本来の本体、東方定助と同じ能力。

シャボン玉を生み出し、触れて割れた所から何かを奪う。

中学時代は見た目のガタイの良さから、いじめの対象になるが、それをすべてやり返しているため、365日、絡まれる事になる。

一部、自分から厄介ごとに突っ込んでいる。

高校生になり、静かに過ごしたいと思い、基本的には、昼休みでは屋上で過ごしている。

小・中学時代に友達がいなかったため、距離感はバグっている。

誰にも言ってはいないが、動画投稿サイトに動画をアップロードしている。

無自覚だが、瑞希のセコムに近いところになっている。


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第12話・side story:紙袋の殺人鬼

※龍が如くのサブストーリーを元にした話です。


「......あのさ...」

 

「うん? な~に?」

 

「......ポテト食いすぎだろ、お前。」

 

「さっきも言ったけど、好きなものは好きなだけ食べたいんだも~ん♪」

 

「にしても......Lサイズを2つは食いすぎだろ、しかも俺のもつまんでたしよ。」

 

「あっれー、バレてた? 今日のは揚げたてじゃなかったからモリモリ進んじゃったよ~♪」

 

「ったく...肌荒れてもしらねえぞ。」

 

「ああ! こーんなカワイイ子にそんなこと言っちゃダメなんだぞー!」ブーブー

 

いかにも自分は不服だと顔で訴えている.......カワイイな、おい。

 

「やれやれ..........ん?」

 

「なあ、この辺なんだろう? 紙袋の殺人鬼が出る場所!」

 

「あっ、あれだ! 動画で流れたのあれじゃないか?」

 

「あそこだ、聖地。」

 

「もしかしたら、本物いるかもな?」

 

「紙袋の殺人鬼?」

 

「ジョジョは知らないと思うけど、今、シブヤだとかなり有名な噂だよ?」

 

「......チェンソーでも持ってるんのか?」

 

「斧みたいのを持ってるらしいよ...ってかチェンソーってバ〇オ?」

 

「紙袋の殺人鬼の聖地...そんな奴がこの辺に出るのか?」

 

「どうやらここらしいよ、ボク、こういう噂好きだから、結構調べてるんだ~♪」ニヤッ

 

「...そーかい。」

 

「...聖地だとよ。」

 

「これが映画だとかなら儲けにもなるけど、殺人鬼じゃなぁ。」

 

「...あの店主さんに聞けばなにかわかるかもな。」

 

「おやおや~♪、ジョジョ氏も、こういう噂がお好きのようですな♪」ニヤニヤ

 

「どういうキャラ?.....まあいいや、聞いてみるぞ。」

 

「すみません、少しいいですか?」

 

「ん? なんかようかい? 店ならまだ準備中だよ。」

 

「いえその、紙袋の殺人鬼....でしたっけ? さっき聞こえて気になりまして。」

 

「この辺に、そんなのが出るんですか?」

 

「さあな、俺は直接見たことないんだが、なんだかそういうウワサが広がってるらしんだ。」

 

「どうも、誰かが写真を撮ってネットにアップしたのが、発端らしいんだけど、俺からしたらいい迷惑だよ。」

 

「なるほど、勝手な噂が独り歩きしたってことですか。」

 

「まあ、そうなんだけどさ、うーん......」

 

「うん? どうかしました?」

 

「いやね、俺もそのネットの写真ってのを見てみたんだよ。」

 

「そしたら、確かにこの辺の場所で、妙な男が写ってんたんだ。」

 

「妙な男?」

 

「ああ、血のついた紙袋を被った大男がさ。斧のようなものを持ってこのあたりに立っていたんだよ。」

 

「...これだよ、ジョジョ。」

 

写真で見るとより、バ〇オ4のあれだな。

 

「......確かにこの写真を見る限り、殺人鬼以外の何者でもないですね。」

 

「まあ、そうなんだよな、だが調べようにも、いるのかいないのか分からん奴を探すほど俺らも暇でもないんだよ。」

 

「それに万が一見つけたとして、あんなヤツ相手なら、逆に返り討ちにされそうだしよ...」

 

「いろいろと難儀なんですね、その殺人鬼の噂。」

 

「ああ、困ったよ.........ん?」

 

「よく見たらアンタ、なかなかガタイいいな。」

 

「ん?」

 

「アンタに折り入って頼みがあるんだが。」

 

「殺人鬼の調査ですか?」

 

「ああ、引き受けちゃもらえないか?」

 

「実害はないとはいえ、なんだか気味が悪いし、これ以上客が減るのは困るからさ。」

 

「もちろん礼はするよ、お願いできない?」

 

謎の殺人鬼か...確かに気になるし、店にとったらいい迷惑だもんな。

 

「わかりました、その紙袋の殺人鬼について調べてみます。」

 

「本当か? 助かるよ。」

 

「俺はこの店を営んでいる村元っていうんだ、あんた達は?」

 

「俺は城ケ崎響助です、こっちのピンクのは暁山瑞希っていいます。」

 

「ちょっと!? 紹介雑なんだけどー」

 

「それじゃあ響助君、瑞希ちゃん、悪いけどよろしく頼むぜ。」

 

「例の殺人鬼はいつも夜のこのあたりに現れるらしい。」

 

「そんときに行けば何か分かるかもな。」

 

「夜ですか...わかりました、何か見つけましたら連絡します。」

 

_______________________________________________

 

「っといってもだ....夜までヒマだな。」

 

「ん~......ゲームセンターでも行ってみる?」

 

「ゲームセンターか......行ったことないな?」

 

「え、嘘!? ジョジョ、ゲーム好きなんじゃないの?」

 

「いや、好きなんだけど、中学時代は...」

 

「......あ~....確かにそれじゃまともに出来ないかー...」

 

「ま、でも最近は減ってきたし、行ってみますかね。」

 

「ふっふっふ~、では、ゲームセンターの先輩として、ジョジョ君に色々伝授してしんぜよ~♪」

 

「さっきからどういうキャラ?.......ま、でも任せましたよ、先輩。」

 

_______________________________________________

 

「..........んで?」

 

「...」チーン

 

「自信満々だったゲームを、ゲーセン素人に負けた気分は?」

 

「コレイジョウキズヲエグラナイデ」

 

「......ま、あのゲームは、家庭用機の方でやった事あったからな。」

 

「なっ!? 騙したな~!」

 

「騙してない、聞かれなかったからな。」

 

「屁理屈をむぐぐ...」

 

...にしても、ずっとゲーセンてのもな。

 

「流石にずっとゲーセンは飽きるから、他の所行かね?」

 

「えー!? ボクが負け越してるのに、移動するなんて許さないぞー!」

 

「...やれやれ....んじゃあれにすっか、あれは本当にやったことねえよ。」

 

「...絶対に勝つ!」

 

なんか目的変わってねえか。

 

_______________________________________________

 

「やったー!」

 

「...はぁー」

 

まさか、勝つまでやるとはな。

 

「...んじゃ、他の所に行くぞ。」

 

「はーい♪」

 

_______________________________________________

 

結構長い時間やってたつもりだけど、まだ夕方か。

 

「そういえばさー、ジョジョって中学時代の休みの時何してたの?」

 

「中学時代?....基本的に家に引きこもってゲームだけど....そうだな。」

 

「バッティングセンターっとか行ってたな。」

 

「えっ、野球してたの?」

 

「いや、日ごろのうっぷんがたまってたから」

 

「あー、なるほど...」

 

そんな会話をしながら、目的もなく、歩いていると。

 

「...あれ? 響助と瑞希?」

 

「あれ? 杏じゃん、やっほー!」

 

「っよ。」

 

「二人で何してたの?」

 

「ゲーセンのゲームで、こいつをボコってた。」

 

「ちょっと!? 余計の事は言わなくていいの!」

 

「あはは、二人とも仲いいね!」

 

「そうか? こいつカワイイけど生意気だぞ?」

 

「なんだとー!」

 

「カワイイは認めるんだね。」

 

「っと、ちょっとトイレ行ってくるわ。」

 

「いってらっしゃーい。」

 

_______________________________________________

 

「本当に、二人とも仲いいよね~」

 

「え、そうかな?」

 

「うん!」

 

「ん~、でも連絡無視するしな~。」

 

「あはは、なんて打ったの?」

 

「お嬢さん方。」

 

「うん?」

 

「ヒマなら俺とどう?」

 

「あー、今人と待ち合わせしてるんです。」

 

「ええ、いいじゃん、すぐには来ないからさ。」スッ

 

パシッ

 

「え、瑞希?」

 

「この子に、触らないで。」ニラミ

 

「へー、俺、強気な女の子好きなんだよね」ガシッ

 

「っ!?」

 

「瑞希!?」

 

「おい」ガシッ

 

「なに?」

 

「...」パシッ

 

「ッ!?」

 

掴んでる手を離し、後方に勢いよくどかした。

 

「「ジョジョ(響助)!?」」

 

「瑞希、腕大丈夫か? 杏ちゃんは何かされてないか?」

 

「う、うん。」

 

「ボ、ボクも大丈夫。」

 

「な、何アンタ、急にあらわれて?」

 

「...」

 

相手に鋭い視線を向ける。

 

「ッチ...なんか言ったらどうだ!」

 

「...」ガシッ

 

相手がいらだって、肩を突飛ばそうとしたとき、相手の顔面を捉えた。

 

「おい、てめえの汚い手で、俺の友達にふれんじゃねえよ...」

 

「あ.....が」ギチギチ

 

「あいつの体に跡が残ったらどうすんだ、あ?」

 

「ガハッ!?」バシンッ

 

相手の顔面を捉えながら、相手の体を壁に勢いよく叩きつける。

 

「...なんか言えよ....なあ?」

 

「響助、ストップ!? も、もういいから!!」

 

「そ、そーだよ!! ボクも跡残ってないから!!」

 

...二人の声が聞こえる。

 

「.....フンッ」

 

「グッ!?」

 

壁から離し、後方に突き飛ばした。

 

「おい、こいつらに免じて許してやるが......二度とすんじゃねえぞ...」

 

「ヒィ....ヒィィ...」

 

奴は一目散に逃げて行った。

 

「...」

 

「...」

 

二人は思った。

 

((ジョジョ(響助)だけは絶対に怒らせないようにしよう。))

 

_______________________________________________

 

「瑞希、本当に腕大丈夫か?」

 

「あはは、ジョジョは心配性だな~」

 

「二人とも、ありがとね。」

 

「...ボクは何もできなかったよ。」

 

「ううん、だって私の事をかばってくれたじゃん。」

 

「へー、かっけえじゃん。」ニヤッ

 

「むー...その誉め言葉、複雑...」

 

「別に、お前はいつもカワイイんだから、たまにはいいだろ?」

 

「...//」ポッ

 

あ、またゆでだこに。

 

「......響助って、天然たらしの素質あると思うよ?」

 

「え?」

 

「だー! ジョジョ! もうこんな時間だよ!」

 

「お...もうこんな時間か?」

 

「? 二人とも、何かやることでもあるの?」

 

「あーっと、ちょっと調査を頼まれてさ。」

 

「調査?」

 

「そう! 紙袋の殺人鬼について調べるんだ!」

 

「紙袋の.....殺人鬼...」アオザメ

 

ま、案の定だな。

 

「あ、危ないからやめなよ!」

 

「うーん、でも約束しちまったしな...それに、ただの噂だしな。」

 

「そうそう、写真だってコラ画像の可能性だってあるんだしね。」

 

「だからといって...」

 

「大丈夫さ、そんなコテコテのヤバい殺人鬼なんて映画の中だけさ。」

 

「......あー! もうわかった、でも二人とも、一つ約束して!」

 

「ぜっっったいに、無事で学校来なさいよ!」

 

「わかってるよ。」

 

_______________________________________________

 

「たしか、紙袋の殺人鬼が出没するってのはこの辺だったな。」

 

「うん、写真だとこの辺だね。」

 

キャーーーーー!

 

「「!?」」

 

叫び声が聞こえ、その後、建物の横から慌てて走り出す女性が出てきた。。

 

「おい、マジかよ。」

 

「まさか、ホントに?」

 

「「...」」コクッ

 

お互いの顔を見て、頷き、女性が出てきた場所に入ってみた。

 

「.......っ!?」

 

「っ!?」

 

二人が目にしたものは、血まみれで、とても長い牛刀を持ち、紙袋を被った大男が、何かを切ろうとしているところだった。

 

「写真の通りだ...」

 

「まさか、ホントにいるなんて...」

 

「フゥ...... フゥ......」

 

「...瑞希、お前はそこに隠れてろ。」

 

「う、うん。」

 

瑞希を避難させた。

 

「......おい。」

 

「...」クルッ

 

「アンタは何者なんだ? ここで何をしてる?」

 

「オマエ...... オレノジャマ、スルキカ.....?」

 

「邪魔? 俺はただ話を...」

 

「オレノジャマスル、ユルサナイ....!!!」

 

「おい待て....! くそっ! やるしかねえ!」

 

「ウオオッ!」ブンッ

 

「なに!?....っ!?」

 

勢いよく牛刀を投げられるが、右頬を切るが、間一髪でそれをかわす。

 

「ジョジョ!?」

 

「大丈夫! ただの切り傷だ。」

 

だが、これで武器は無くなった。

 

「...」ダッ

 

相手の懐に入ろうとしたその時。

 

「ガアッ!!」ブン

 

「っ!?」バッ

 

銀色の光が見え、後方にかわす。

 

「もう一本あったのかよ。」

 

流石に、牛刀の長さのせいで懐に入れない。

 

「くそっ、能力を使うしか...うわ!?」

 

「フンッ!」ブンッ

 

素早く、牛刀を振り回す。

 

「能力を使うヒマもねえ!?」

 

かわすことしかできねえ。

 

「くそっ!」

 

悪霊を出そうにも、すぐには出せねえ。

 

「っ!...このままじゃ、ジョジョが...」

 

「.......あ!」キョロッキョロッ

 

「やっべ!?」

 

「ジョジョ!」ブンッ

 

「瑞希?........お!?」

 

瑞希が放り投げたのは、ビールケースだった。

 

「ナイスだ、瑞希!!」

 

すかさずそのビールケースを蹴り飛ばす。

 

「くらえっ!!」

 

「ンゴア!?」ゴシンッ

 

蹴り飛ばしたビールケースは大男の顔面にクリーンヒットした。

 

「オラッ!!」

 

「グッ!?」

 

カランッ

 

ひるんで大男の牛刀を持っている手を蹴り、牛刀を落とさせた。

 

「へ...武器がなけりゃこっちのもんよ。」

 

「オラっ!?」

 

いまだにひるんでる大男の顔面に向かって、情け無用の連続蹴りを叩き込む

 

「ガハッ!?」

 

「これで終わりだ!」

 

最後の一撃は、飛び後ろ回し蹴りを大男の頭に叩き込んだ。

 

「ンガァッ」ドスンッ

 

「はぁ...はぁ...」

 

「...」スッ

 

「...っ!? 嘘だろ...あれ食らって立ち上がるのか!?」

 

「...グッ」グラッ

 

大男は立ち上がったが、すぐさま、膝をついた。

 

「...流石に限界か。」

 

「フゥ.....フゥ.....」

 

「ジョジョ!」

 

「ったく、俺まで血まみれになるところだったじゃねえか。」

 

「フゥ.......チノイロ.....キレイ.....」

 

「デモ.....フゥ....マダレンシュウ......タリナイ....」

 

「嘘でしょ...」

 

「まだ解体し足りねえってのかよ...」

 

「とにかく、村元さんに連絡するか...」

 

_______________________________________________

 

「響助君、瑞希ちゃん、例の殺人鬼が見つかったって...!?」

 

「ええ、何とか捕まえましたよ。」

 

「フゥ.....フゥ.....」

 

「まさか本当にいるとはな...いったいどんな奴なんだ?」

 

「こいつです。」

 

そう言いながら、紙袋を外した。

 

「......ん?」

 

「ん?」

 

「まっ、まさかお前.....「肉屋(孫)」の2代目か!」

 

「「肉(お肉)?」」

 

「ああ、そこに肉屋があるだろ?「肉屋(孫)」って店なんだけどな。」

 

「こいつはそこのせがれだよ、名前はソンってんだ。」

 

「店の名前を息子につけたんだと、今は店を継ぐために修行してたはずだが...」

 

「...お前、何やってんだこんなところで?」

 

「レンシュウシレタ、ココ、ダレモイナイカラ。」

 

「そういや肉屋のおやじが言ってたな。」

 

「息子は肉の解体が下手でいつも店の中が血まみれになって大変だって。」

 

「...ってことは、つまりこの人は肉屋の息子で夜中に一人、肉の解体練習をしてたってことですか。」

 

「それを誰かが、写真を撮ってアップしたのが噂になった....ってこと?」

 

「....にしても何故紙袋なんて被ってたんですか?」

 

「オレ、アソコノハンバーガースキダカラ、イツモカッテテ、ソコノカミブクロがチョウド、カエリチフセゲテベンリダッタカラ。」

 

「「.....あ、そうですか(なんだ)...」」

 

「...というか、さっき、思い切り牛刀をこちらの方に投げられたんですけど...」

 

「ゴムテブクロガ、カエリチマミレデ、スベリヤスクナッテテ、サスガニアセッタ。」

 

「...親父さんに、新しいゴム手袋をもらってください...」

 

_______________________________________________

 

「これが紙袋の殺人鬼の真相ですか...」

 

「いやあ、なんか悪かったね、調査してもらった挙句、正体が仲間だったなんてよ。」

 

「これは詫び込みの礼だ。」

 

「まあ、解決してよかったです、殺人鬼なんていなかったわけですし。」

 

「紛らわしい事しないでね~、ソンさん。」

 

「モウシワケナイ、ツギカラ、ヘヤデレンシュウスル。」

 

((それはそれで、部屋が殺人現場になりそう....))

 

_______________________________________________

 

「...なんか今までより疲れたな。」

 

「でも、殺人鬼なんていなくてよかったよ~」

 

「...噂なんてろくなもんじゃねえな。」

 

そう話しながら、家に帰っていった。

 



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第13話:面影

「え?...瑞希が風邪ひいて休みだ? 不登校じゃあなくて?」

 

「うん、響助の方に連絡来てないの?」

 

「.......あ、『ジョジョごめん~、風邪ひいちゃったw』ってきてる。」

 

「...そんなに辛そうじゃないみたいだね。」

 

「ま、体調が悪くないならいいけどな。」

 

「...ねえ響助、連絡先交換しない?」

 

「うん? 別に構わないけど。」

 

「やったー! 結構外で出会うのに、交換するタイミングがなかったからさ。」

 

「それもそうか。」

 

「...ってことは、あいつのプリント、俺が持っていくことになるのか?」

 

「...あれ? 家近いの?」

 

「近いっていうか、ほぼ目の前。」

 

「そんな近かったんだ。」

 

「ああ。」

 

_______________________________________________

 

「うーん...」

 

そういや、あいつがいない日なんて久しぶりだな、なんだかんだで一緒にいたしな。

 

「ねー、聞いた? 転校生の事」

 

「うんうん、2年生なんだっけ、一瞬だけ見たけど、紫髪で、顔もカッコよかったな~」

 

転校生? 2年の事だし、俺には関係ないか。

 

どうするか、昼食ったら、屋上に行くかね~

 

「おお? その後ろ姿は、響助じゃあないかー!!!」

 

...このうるさい声は?

 

「...やっぱ司先輩でしたか。」

 

「む?...いつも一緒にいる暁山は一緒じゃあないのか?」

 

「いつも一緒にいるわけじゃあないですけど、あいつは風邪みたいです。」

 

「なに!? そうなのか、大事にならないでほしいところだな....」

 

...そっか、司先輩は、咲希ちゃんの事もあって、そういうのには...

 

「多分、重症じゃあないと思いますよ、こんなこと連絡できるくらいには。」

 

「......確かに、重症ではないな!」

 

「おそらく、発熱とか、その辺だと思います。」

 

「何はともあれだ、暁山には元気になってほしいところだな!」

 

「ですね...ところで俺になんか用ですか?」

 

「おお、そうだった!! 響助がよければなんだが、一緒にランチでもどうかと思ってな!」

 

ちょうど昼飯にしようとしてたし、ちょうどいいかな。

 

「...ん、司先輩? 今日は弁当なんですか?」

 

「これか! これはな.....ううっ」ジワッ

 

「えっ!? どうしたんですか?」

 

「これはな...咲希が作ってくれたお弁当なんだ!!」ブワッ

 

な、なるほど....でもまあ、入退院を繰り返してたと聞いたしな、俺がその立場だったのなら、泣いてそうだな。

 

「それは、良かったですね。」ニコッ

 

「ああ!! っとすまない、響助は何か持ってきてるのか?」

 

「いえ、持ってきてはないので、売店で何か買おうかと。」

 

「そうか!! オレは、この場所って待っているぞ!!」

 

「...外ですか?」

 

「ああ! 優雅なランチにふさわしい、絶好の場所を見つけたからな!!」

 

「そうですか...」

 

ま、ちゃっちゃと、売店で何か買ってくるか。

 

_______________________________________________

 

さてと、焼きそばパン買ったし、司先輩の所に行くか。

 

ギャアアアアアアー!!!!!?????

 

「えっ!?」

 

この声は、司先輩か!?

 

「どうしたんですか!? 司先.....ぱい?」

 

めっちゃへっぴり腰だな。

 

「...えーと...何があったんですか?」

 

「きょ、響助!? ここは危険だぞ!!」

 

「...何がです?」

 

「そこに、クモが...」

 

「クモ?....司先輩、クモ苦手なんですか?」

 

「そ、そういうわけじゃないが...オレは大事なハンカチがクモに汚されないようにだな...」

 

ハンカチ.....あ、あれか

 

「でも、クモなんてどこに?」

 

「ほら、あそこだ! あそこ!」

 

.......あ、あれか。

 

「...べつにこんな点にしか見えないクモ、別に気にする必要...」

 

「小さくてもクモはクモだ!」

 

....このままじゃ、ずっとこのままか。

 

「とりあえず、どかせばいいんですね.....っほ。」

 

「司先輩、クモは、そっちの茂みの方にやったんで、もう大丈夫ですよ。」

 

「た、助かった...!」

 

「んじゃ、昼飯食べましょう。」

 

「響助、オレを絶体絶命の危機から救った礼に、ランチをわけてやろう!」

 

「え? でも、それは咲希ちゃんが司先輩のために作ったんですよね?」

 

「ああ、だが、響助なら、説明をすれば咲希も許してくれるだろう。」

 

「はぁ...」

 

「ほら、どれでも好きなおかずを持っていけ。」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて...」

 

「....この炒め物、いただきますね。」

 

モグモグ

 

「...美味しい!」

 

「おお! 流石、咲希だな!」

 

「俺も普段から料理するんですが、かなりおいしいです。」

 

「響助は、普段から料理するのか!」

 

「はい、晩御飯はよく作りますね。」

 

「そうなのか!」

 

_______________________________________________

 

司先輩とランチを楽しんだ後、いつも通りに、屋上にやってきた。

 

「...やっぱあいつがいないと、静かなもんだな。」

 

なんだかんだで一緒でいた時の方が長かったからな...

 

なんか...慣れないな。

 

ガチャッ

 

ん、珍しいな...ここに誰か来るの。

 

「おや?」

 

そこから現れたのは、俺と同じくらいの背で、紫髪の男だった。

 

あれは.....噂の転校生か?

 

「どうも。」コクッ

 

軽いお辞儀で、あいさつした。

 

「君は?」

 

「城ケ崎響助です。」

 

「...なるほど...君が噂の、悪霊が憑いている少年かい?」

 

「...まあ、そうですね。」

 

「それと、もう一つ聞いたことがあってね。」

 

「もう一つ?」

 

「君がそう呼ばれる事になった事だよ。」

 

「どうやら、君は2年生に怒った...とね。」

 

「はぁ...」

 

「そして君を、怒らせた原因が、友達の悪口を聞いたと。」

 

「その友達の名前は、暁山瑞希。」

 

「......転校してきたばかりの割には随分と詳しいみたいですね。」

 

「それで、何が言いたいんですか...えーと。」

 

「おっと。名乗り遅れてしまったね。」

 

「僕は神代類。」

 

「何が言いたいか、ね....それはね。」

 

「ありがとう...とね。」

 

「......言ってる意味がよくわからないのですが?」

 

「フフ、そうだね、それだけだとよくわからないか。」

 

「僕は、瑞希と同じ中学だったんだ。」

 

「...え、そうだったんですか。」

 

「...瑞希は元気かい?」

 

「...ええ、元気ですよ、いつも俺に絡んできては、楽しそうな表情してますよ。」

 

「フフ、そっか。」

 

「...ところで、今日は瑞希と一緒にいないのかい?」

 

「あー、あいつは軽い風邪をひいて、今日は来てないですよ」

 

「おやおや、なんと。」

 

「あいつに会いたいなら、明日ぐらいには会えると思いますよ。」

 

「なるほどね。」

 

「実は、君の事も気になっていてね。」

 

「え?」

 

「君の悪霊についてだよ、君に本当に悪霊が憑いているのか、それとも、言葉の綾で、もっと別のものなのかと、気になってね。」

 

「は、はぁ...」

 

やば...なんかスイッチ入った気がする。

 

「おっと...急に喋りだして悪かったね。」

 

「いえ、大丈夫ですよ。」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「っと、チャイムが鳴ってしまったね。」

 

「んじゃ、俺は戻りますね。」

 

「ああ。」

 

ガチャンッ

 

「...........良かったね...瑞希。」ニコ

 

_______________________________________________

 

「......やっぱ俺が持っていくんだな、プリント。」

 

ま、家が目の前だしな、そりゃそっか。

 

「...確かここだったな。」

 

暁山...っと、ここで合ってるな。

 

ピンポーン

 

『はい。』

 

「瑞希さんのプリントを届けに来ました。」

 

そういや、人んちのチャイム鳴らすのあんましてこなかったな。

 

タッタッタッ

 

ドアの向こう側から、足音が聞こえた。

 

ガチャ

 

おお、この人が、瑞希のお母さんか。

 

「どうもありがと.......っ!?」

 

「....どうかしましたか?」

 

「...っ! ごめんなさい、急にだまってしまって。」

 

...前に言ってた、お兄さんに似てるってことかな。

 

「いえ、大丈夫です。」

 

「プリント、ありがとうございます......えっと?」

 

「あ、俺は城ケ崎響助です、一応瑞希さんの友達です。」

 

「っ! 君が瑞希が言ってた響助君なのね!」

 

...あいつヤバいこと言ってねえよな。

 

「多分そうですね、瑞希さんの容体はどうですか?」

 

「さんはつけなくてもいいのよ響助君、瑞希はほぼ回復してるわ。」

 

「そうですか、それは良かったです。」

 

「...ねえ、響助君、もしよかったなんだけど、家に上がってかない?」

 

「え...そうですね、家も近いので構いませんよ。」

 

_______________________________________________

 

「はい。」コンッ

 

「ありがとうございます。」

 

初めて人んちに入ったな。

 

「響助君、君は、瑞希の友達なのよね。」

 

「そうですね。」

 

「...瑞希の事をどこまで知っているのかしら?」

 

「...そうですね、ほとんどの事は瑞希本人から聞きましたね。」

 

「瑞希自身が一番気にしていることも、知っています。」

 

「そっか...君自身はそれを聞いてどう思ったの?」

 

「...自分の好きを突き通して、とてもすごいなっと思いましたね。」

 

「...」

 

「確かに瑞希の好きは、理解できない人もいるとは思います。」

 

「けど、それが瑞希なんですから、どんなに理解されなくても、俺は認めますよ。」

 

「...そっか...フフっ。」

 

「ありがとね、響助君。」

 

「いえ、大したことはしてないですよ。」

 

「...あ、あの一ついいですか?」

 

「? なにかしら?」

 

「その、瑞希から聞いたんですけど、俺が、お兄さんに似てるって言われまして。」

 

「っ!? やっぱり瑞希もそう思っていたのね、気を悪くさせてたらごめんなさい。」

 

「いえ、大丈夫です、そんなに似てるんですか?」

 

「うん、細かくは言えないけど、雰囲気が似てるの。」

 

瑞希も言ってたな。

 

「そうなんですね。」

 

出された飲み物を飲み切ったとき。

 

「お母さん~、お腹すいたー。」

 

知っている声が聞こえた。

 

「ご飯な....」

 

あ、目が合った。

 

「あ、お邪魔してます。」

 

「い、いらっしゃ...じゃない!? 何でいるの!?」

 

「ほら、プリントを届けに来たんだ。」

 

「え、あ、ありがとう。」

 

「ってか、すっぴんみられた゛あ゛~」

 

「別に、カワイイじゃあねえか。」

 

「っ~// そういう問題じゃない!」

 

「フッ...あ、そうだ、今日学校でお前の事を知ってる転校生にあったぞ。」

 

「え? 誰だろ?」

 

「たしか...神代類だったかな?」

 

「え!? 類が!?」

 

「その感じだと、本当に知り合いなんだな。」

 

「う、うん、でもなんで転校してきたんだろ?」

 

「さあな、俺もそこまで聞いてないから知らねえや。」

 

「っと、俺、そろそろ帰りますね。」

 

「そう、これからも瑞希をよろしくね。」

 

「え、お母さん!?」

 

「ええ、言われなくともそうします、お邪魔しました。」

 

ま、これぐらいの声が出るなら、明日には学校来れそうだな。

 

_______________________________________________

 

それにしても、ここまで瑞希の兄さんに似てるなんてな...

 

7歳の頃だっけ............まさかな。

 

そんなの考えてもしょうがないか、さっさと家に帰ろう。

 

...あれ? 今日、珍しく喧嘩せずに終われたか?



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第14話:遭遇

「...」

 

今俺は、ピンク髪こと瑞希と、紫髪の先輩こと類先輩と一緒にいる...が。

 

「ほうほう! 体からシャボン玉を出せると。」

 

「でね~、そのシャボン玉が何かに触れた時、そこから何かを奪えるんだって!」

 

「......あのさ。」

 

「「うん(おや)?」」

 

「...別に、その、悪霊を隠したいわけじゃあないんですけどね。」

 

「...でもなんで、お前が説明してるんだよ、瑞希!」

 

「ええー!? 本人だけじゃ、信憑性ないでしょ?」

 

「いや、そもそも、なんでこんな話になってるんだよ。」

 

「俺、ただいつも通りにフラーっと屋上に来ただけだぞ。」

 

「類がさ、ジョジョの悪霊について気になったみたいでさー、だから、友達のボクが色々説明していたのだよ♪」

 

ん-、俺にプライバシーはないのかな?

 

...ま、瑞希が、俺のことをここまで話せる人ってことは、相当信頼できる人なんだろう。

 

...それでも、信頼できる=ヤバいやつではないことじゃあないからな。

 

「...ところで、響助君、君は悪霊以外にも、腕っ節がすごいっと、瑞希から。」

 

「瑞希~...」

 

「あはは...」プイッ

 

こいつどこまで喋りやがったんだ。

 

「...ま、そうですね、負けず嫌いだったので。」

 

「負けず嫌いなだけで、大男や、武器持ちに圧倒する力、どんな格闘技ができるのか、ますます興味が湧いてきたよ。」

 

マジでどこまで言ってるの。

 

「はぁ...別に何かを学んだことじゃあないですよ。」

 

「え、そうなの?」

 

「テレビだとか、動画とかで見たのを真似してるだけです。」

 

「つまり、我流ってことかい?」

 

「まあ、そういうことになりますね。」

 

「え、でもこの前、ブレイクダンスみたいな動きしてたじゃん。」

 

「あれも、やり方の動画を見て真似しただけ。」

 

「なにそれ...天才?」

 

「喧嘩の天才って...そもそも俺は天才なんかじゃあねえよ。」

 

「負けるのが嫌いだから、やり続けた、ただの馬鹿さ。」

 

「フフ...なるほど、それが君の強さなんだね。」

 

_______________________________________________

 

下校時間になったな。

 

今日は、昼休みを終えると、そのまま下校だ。

 

家帰ったら、動画アップロードしないとな。

 

「ジョジョー、一緒に帰ろ~!」

 

「へいへい、さっさと帰るぞ。」

 

なんだかんだで一緒に帰ることになった。

 

「ねえ、ここのクレープ屋、美味しいんだって!」

 

「へー、そうなんだ、俺、結構クレープ好きなんだよな。」

 

「じゃあさ!、今から寄ってみる?」

 

「そうだな、どんな感じに美味しいか気になるし。」

 

クレープはスイーツの中で上位にくるほど好きなんだよな。

 

「なぁ、アンタ。」

 

後ろから声をかけられた。

 

「...はい?」

 

振り返ると、おそらく俺と同じ年あたりの男がいた。

 

神校生...じゃあなさそうだな。

 

「噂の事について調べているんだ。」

 

「はぁ...なんの噂でしょうか?」

 

「悪霊が憑いている少年について調べている。」

 

「...そうですか。」

 

「その少年の名前は、城ケ崎響助と、他の生徒から聞いたんだ。」

 

「...アンタかい?」

 

「そうと....いったら?」

 

「...少し話したいことがある。」

 

「なんだ?」

 

「.......8年前、何かあったか聞きたい。」

 

「っ!」

 

8年前だと......

 

「...その感じだと、何か知っているのか?」

 

「...その前に、なぜ8年前の事を探る?」

 

「...悪いが、言えない。」

 

「ふ~ん、だったらこっちも言えないね。」

 

俺は、少しの間だけ、悪霊を見せた。

 

「っ!?」

 

ほう、みえるみたいだな。

 

「悪いが、より聞きたくなったよ、だから。」

 

「力ずくでもってか、上等だ、俺もその8年前の事を聞きたいからな。」

 

「え、ジョジョ...」

 

「おい、お前。」

 

「...」

 

「こいつは悪霊の事には無関係だ、見逃してくれねえか。」

 

「...わかった。」

 

「...お前は先に帰ってろ。」

 

「え、でもジョジョが!」

 

「俺は大丈夫だ...それに奴の事も気になるしな。」

 

「.......わかった....ぜっったい無事で戻ってきてよ!」

 

「ああ。」

 

俺は、瑞希を帰らせた。

 

「...場所を変えよう。」

 

_______________________________________________

 

奴と俺は、近くの路地裏に移動した。

 

「......さあ、始めようぜ。」

 

「ああ。」

 

お互いに間合いを取る。

 

「オラッ!」

 

先に行動したのは、俺だった。

 

「...」パシッ

 

思いっきり殴りかかったが、片腕でたやすく防がれた。

 

「...ふん!」

 

「...」パシッ

 

奴は空いている腕で、俺に殴りかかるが、俺は、もう片方の腕で防ぐ。

 

両者、どちらの腕を使えない状況だ。

 

「はっ!」

 

「ゴハッ!?」ドスンッ

 

奴はすかさず、俺の腹に向かって蹴りを放った。

 

「.....けっ..やるじゃあねえか。」

 

こいつは今までの奴らよりも圧倒的に強いな。

 

「っしゃっ!」

 

「うおっ!?」

 

奴が放った上段回し蹴りを、俺はハンドスプリングで回避する。

 

やっぱり、こいつただものじゃあないな。

 

「...」ダッ

 

「...」サッ

 

俺は奴に向かって、走り出す、奴はそれをかわす。

 

俺の目的は、その後ろの壁だ。

 

「ドルアァ!!」

 

俺はその壁で、三角跳びの体制にし、すかさずオーバーヘッドキックで攻撃する。

 

「ッ!?」ゴスンッ

 

「っ!?」

 

だが、奴はそれを防いだ。

 

「嘘だろ、今のを防がれるとは.......俺はアンタをなめすぎたかもしれねえな。」

 

「...」

 

「悪いが、こっから手加減なしだ。」

 

俺は、悪霊を出した。

 

「...それはこっちもだ。」

 

「っ!?」

 

奴は、悪霊を出しやがった。

 

俺と似たような人型だけど、なんだあれ、ネジか?

 

「もしかしてっと思ったけど、やっぱお前も憑いているのか。」

 

「...!」

 

「チッ!」

 

俺の問いに答えず、奴は悪霊で殴りかかる。

 

「ッチ、パワーは俺と同じぐらいあるか?」

 

俺は悪霊の左腕で防ぐ。

 

実力も悪霊自身のパワーも俺と同じぐらいか、しゃあねえ。

 

「シャボン玉でも食らっとけ!」

 

奴の体に触れれば、それで決着はつく

 

「フッ!」バシュンッ

 

「っ!?」

 

くそ、近くの石を使って割りやがった。

 

「そのシャボン玉、何らかの能力なんだろう。」

 

「...気づいてやがったか。」

 

くそバレてたか......奴の能力がわからない以上、下手な行動は出来ねえ。

 

「...俺はもうすでに、行動を終了してる。」

 

「あ? お前、何を言って..」

 

「左腕を見てみろ。」

 

「...っ!?」

 

俺の左腕に、ネジがぶっ刺さってた。

 

いつの間に...

 

いくら俺でも、このデカいネジが腕に刺さってたら痛みを感じるはずだ、

 

なのに、痛みもなければ、血も出てない。

 

「く、くそっ!?」

 

「もう、おそい。」

 

「っ!?」

 

奴が殴りかかってくる。

 

俺は、反射的に悪霊の左腕で、受け止めてしまった。

 

ガコンッ

 

そんな音が聞こえた気がする。

 

「...なっ!?」

 

ボドン

 

俺の左腕が、俺の体から落ちた。

 

「う、嘘だろ!?」

 

痛みもない、血も出ない、ただそこには、左腕があった。

 

「く...そ!」

 

俺は、左腕を拾い、奴から離れた。

 

「...安心しろ、お前が知ってることを言えば、くっつけてやるよ。」

 

「だが、言わない限り、四肢をバラバラにしてやる。」

 

くそ、左腕はないはずなのに、あるような感じなのが気持ち悪い...

 

なにか策はないのか、策は.......!

 

「俺の能力は、シャボン玉を出すことだ。」

 

「...何が言いたい?」

 

「そして、そのシャボン玉が触れて割れたとき、そこから何かを奪う。」

 

「...」

 

「ただ、例外もある、俺自身から何かを奪うことはできない。」

 

「そう....俺自身は.....な!!」ブンッ

 

俺は勢いよく、取れた左腕を奴に向かってぶん投げた。

 

「なに!?」

 

ただの左腕じゃあない、その左腕から一つ奪っている。

 

空気抵抗を奪った。

 

空気抵抗がなければ、スピードもでる。

 

左腕が俺の体から離れたから出来た事だ。

 

「っ......はっ!?」

 

ホントギリギリに奴はかわした。

 

ただ、隙が出来たがな。

 

「やっと隙を出してくれたな!!」ブンッ

 

「ガハッ!?」

 

奴の顎にアッパーカットを食らわせてやった。

 

「...ガッ」ドサッ

 

いくら頑丈でも、脳が揺れりゃあ、立ってられない。

 

「...ふー」ドサッ

 

流石に、色々な事が起こったから疲れて、その場に座り込んだ。

 

無事で帰るって約束したのに、左腕失っちまったな....

 

「...お...い」

 

「あぁ?」

 

嘘だろ、気ぃ失ってないのか。

 

「何故...これ以上攻撃しない。」

 

「あ、なんでだよ?」

 

「俺は...お前を殺そうとした可能性だってあったんだぞ、実際お前の左腕を...」

 

「ふ~ん、俺はそうは思わなかったな。」

 

「...なに?」

 

「だってお前、俺の友達を見逃してくれたじゃん。」

 

「...」

 

「それに、俺を殺そうとするなら、いくらでもあったはずだろ。」

 

「ま、そもそも、お前は情報を聞かず殺そうとするなんて馬鹿なことはしたりしねえだろ。」

 

「俺は、そんな馬鹿をいっぱい見てきたんでね。」

 

「...」

 

「...なあ。」

 

「...なんだ。」

 

「8年前の事を教えてくれないか?」

 

「...」

 

「もちろん、俺も8年前の事を喋る、お前の欲しい情報じゃあないかもしれないがな。」

 

「...そうか。」

 

「...」

 

もう立てるのか。

 

「わかった...話すよ、だけどその前に、お前の腕をくっつけないとな。」

 

「失う覚悟はあったけど、ホントにくっつけられるのか。」

 

「...あれ、お前の左腕は?」

 

「...そういや、投げたっきり忘れてたな。」

 

「お前の腕だろ、忘れるなよ。」

 

「確かあっちに投げたと思うんだけど.....お?」

 

....あれ、犬だよな....犬が加えてるの.........見間違えじゃあなければ.....

 

.....うん、完全に俺の腕だな。

 

あ、どっか行った。

 

「...」

 

「...」

 

「...なぁ、お前の能力でこっちに腕を引き寄せることは...」

 

「できないな。」

 

「あ、そうなのね。」

 

_______________________________________________

 

「待て!!!」

 

「はぁ...はぁ....うぷっ....気持ちわる...」

 

俺は、俺の腕を外した奴と一緒に、俺の腕を加えた白い犬を追っかけていた。

 

...なんだこの状況。

 

「くそ、下手したら事件になるぞ!!!」

 

「はぁ...はぁ...」

 

「サ、サモちゃん、待って!」

 

...なんか聞いたことある声が聞こえる。

 

「...え? みのりちゃん!?」

 

「え? 響助君!? なんでサモちゃん追ってるの!?」

 

「サモちゃん? もしかしてあの犬の事か?」

 

「うん!」

 

「...こんな偶然もあるんだな。」

 

そう呟くと、サモちゃん...?は止まった。

 

「もう、急に走り出しちゃだ......ヒィィ!?」アオザメ

 

...ま、その反応になるよね。

 

俺は、すぐさまサモちゃん...でいいんだよな、....から俺の左腕を取る。

 

「んじゃ、くっつけてくれ。」

 

「はぁ...すこし...はぁ...待ってくれ.....うっぷ..」

 

マジかよ。

 

「あわわわわわわわわわわわわわわ」アオザメ

 

「ワフッ!」

 

....この状況....どうすればいいんだ....



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第15話:8年前

「...落ち着いたか二人とも?」

 

「...ああ。」

 

「うん...って!? 響助君!? ひ、左腕が...」

 

「あ、これは大丈夫、すぐくっつくから。」

 

「え?」

 

「んじゃ、頼むよ。」

 

「わかった。」

 

ガコンッ

 

お、本当にくっついた...指も動く、どうなってるんだ?

 

「え!?.......響助君ってサイボーグだったの!?」

 

「いや、サ〇コガンじゃあないよ、てかサイボーグって、そこは義手じゃないの?」

 

「ま、どちらでもないけど。」

 

「ど、どうなってるの?」

 

「わからん。」

 

「...それよりみのりちゃん、散歩の途中だったんじゃあないの?」

 

「え...もう、こんな時間!?」

 

「サモちゃん、行くよ!」

 

「響助君、ホントに左手大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だよ。」

 

俺は左手を、開けたり閉じたりして、大丈夫ってことをアピールした。

 

「なんでくっついたのかよくわからないけど、大丈夫ならよかった!」

 

「じゃあな、みのりちゃん。」

 

「じゃあね、響助君。」

 

「...いやあ、焦った。」

 

「...もういいか。」

 

「お、悪かったな。」

 

「ここじゃあ、なんだ、あそこの公園で話さないか。」

 

「わかった。」

 

_______________________________________________

 

「じゃあ、8年前の事を聞かせてくれないか?」

 

「ああ、わか、」

 

「ジョジョ!」

 

...そんなあだ名で呼ぶ奴は一人だけだ。

 

「瑞希!? お前帰れって....るな。」

 

こっちに来た瑞希は、制服姿じゃなかった。

 

「ごめん、でもジョジョが心配だったから。」

 

「そっか、でももうこいつとは和解したから大丈夫だ。」

 

「そうなの?」

 

「ああ、んで、今から8年前の事を聞こうとしたところ。」

 

「...」

 

「っと、悪いねさっきから。」

 

「...大丈夫だ、たださっきからイチャイチャしてんなとは思ったがな。」

 

「イチャイチャ?」

 

「あはは...じゃあ、話してくれないか?」

 

「え、この子にも話すのか?」

 

「...さっき、悪霊に関しては関係ないって言ったが、8年前の事にはもしかしたら関係ある可能性があるんだ。」

 

「そうか、わかった。」

 

「...俺は、8年前、このシブヤに住んでたんだ。」

 

「今は違うのか?」

 

「今は別の所で住んでるんだ。」

 

「その時から俺のそばにはこの霊がいたんだ。」

 

「え、霊って...」

 

「瑞希が思った通りの奴だ、こいつは俺と同じような悪霊を憑いているんだ。」

 

「俺と奴以外にも、この悪霊を憑いている人間がいるとは思わなかった。」

 

「...奴?」

 

「...ああ、今から話す。」

 

「俺は、霊を憑いているとはいえ、俺は普通の生活を送っていたんだ。」

 

「あの日までは...」

 

「...」

 

「......あの日.......俺の家族は殺された。」

 

「ッ!?」

 

「っ!?」

 

「学校は休みで、家で4人で過ごしていた。」

 

「時間は、昼頃だったかな、チャイムもならず勢いよくドアが開いた。」

 

「それからは一瞬だった、父さんか母さんのどっちかが殺された。」

 

「俺は別の部屋にいたから、どうやって殺されたのか、よくわからない。」

 

「...」

 

「その後、兄さんが俺の部屋に入ってきて、すぐに俺をクローゼットの中に隠した、自分は隠れないでな。」

 

「...それで、どうなったの...」

 

「数時間...いや数分だったかもしれない、離れている部屋のクローゼットの中でも聞こえる、ドアの閉じる音が聞こえた。」

 

「それで、俺はクローゼットから出た...その部屋の惨状を見て、吐きそうになった。」

 

「俺が目にしたのは、兄さんだったものがそこにあった。」

 

「その現実から逃げるように部屋を出ても、その現実は変わらない。」

 

「部屋を出た後に見たのは、父さんと母さんだったものがそこに転がっていた。」

 

「...」

 

「...」

 

「そこからは、俺自身もよくわからない、いつの間にか救急車や、警察が家に来てたんだ。」

 

「...それで、犯行の証拠とかはなかったのか?」

 

「......ああ、何もないんだ、殺した凶器は何もなかったんだ。」

 

「俺はその後、叔母さんの家に引き取られた、警察も今もこの事件を追っている。」

 

「...ただ、俺だけが見えたものがあった。」

 

「クローゼットの中に隠れてた時に、クローゼットの隙間から少しだけ見えたんだ。」

 

「それが、悪霊だったと、確かにそれなら証拠がないのもうなづける。」

 

「俺はそれからずっと、ネット、ニュース様々なメディアでその悪霊を探った。」

 

「それで、俺に接触したと。」

 

「ああ、8年もたってようやく掴んだ情報だ、たとえ違うとしても、その目で見たかった。」

 

「これが、8年前に起こった事だ。」

 

「...」

 

「...なるほど。」

 

「...さあ、お前たちの事も聞かせてくれないか。」

 

「正直に言うが、この事件とは関係ないかもしれんぞ。」

 

「別に構わない。」

 

「...じゃあこいつの事から言うよ。」

 

「え、ボク?」

 

「お前は確か、7歳のころ、兄さんが行方不明になったって言ってたよな?」

 

「...うん。」

 

「君もなのか...」

 

「7歳のころ、つまり8年前に起こったことだ。」

 

「場所もここ、シブヤだ。」

 

「ッ!? そうなのか。」

 

「...そうだね。」

 

「まさか...正直偶然って言葉でも片づけられるが...」

 

「...お前の事も聞かせてくれ。」

 

「うん、ボクも聞きたい。」

 

「わかった、俺は........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「8年前より前の記憶がないんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

「えっ!?」

 

「...ただ忘れてるだけだと思うけど、実際は忘れてるっていうより、ないんだ。」

 

「え、それ、ジョジョのお母さんは知っているの!?」

 

「ああ、知っている、誰よりも一番な。」

 

「じゃ、じゃあ、お母さんに聞けば...」

 

「......それが出来ないんだ。」

 

「...どうしてだ?」

 

「......俺と母さんは...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「血は繋がっていないんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

「...俺の最初の記憶は、冷たい夜の中、地面に倒れていた。」

 

「自分の名前、歳、生みの親、家、どれもこれも全て、わからなかった。」

 

「そんな俺を助けてくれたのが、母さんだった。」

 

「倒れていた俺を、病院を運び、養子として俺を迎えてくれたんだ。」

 

「.......これが俺の、8年前の事だ。」

 

「...そうか。」

 

「すべての事を偶然だって、片づけられるが、どれも8年前シブヤで起こったことだ。」

 

「......あまり有益な情報じゃあなくて悪かった。」

 

「いや、大丈夫だ。」

 

「...お前は、その奴を見つけてどうするつもりだったんだ。」

 

「...」

 

「...家族の復讐か?」

 

「ああ......止めるのか?」

 

「...いや、止めねえ。」

 

「.....どうしてだ?」

 

「復讐は何も生まないっていうけどよ......そっちは家族を殺されてるんだ、俺が同じ立場だったら、奴を殺したいと思う。」

 

「...」

 

「俺は善人じゃあないからな、そういう考えを肯定するよ。」

 

「...そうか。」

 

「....あ、そうだ、お前、名前なんて言うんだ。」

 

「...名前?」

 

「ああ、アンタとは、また会えそうな気がしてな。」

 

「...宝来郷秀(ほうらいきょうしゅう)だ。」

 

「郷秀か、今度会ったら、どっか遊びに行こうぜ、復讐にも息抜きは必要だろ?」

 

「......フッ、お前、面白いやつだな。」

 

_______________________________________________

 

「ねぇ、ジョジョ...」

 

「うん? どうした?」

 

「...ジョジョは生みの親の事を気にならないの?」

 

「...気にならないって言えばウソだけど。」

 

「けど?」

 

「本当の親を知っても。」

 

「...俺の親は、母さんだ。」

 

「...」

 

「血のつながりだとかそんなのは関係ない...」

 

「俺と母さんは、絆でつながってるからな。」ニッ

 

「...絆かー」

 

「...なんか湿っぽくなっちゃったし、今からクレープ屋行かない?」

 

「まだ、開いているのか?」

 

「うん!」

 

「よし、じゃあ行こうぜ。」

 

「おー!」

 

_______________________________________________

 

宝来郷秀:side

 

ピッ

 

「もしもし、叔母さん......うん、学校急に休んでごめん。」

 

「うん.......うん......ありがと。」

 

「........叔母さん、相談したいことがあるんだ。」

 

「俺、神山高校に転校したいんだけどさ.......うん..........うん。」

 

「....大丈夫、叔母さんに迷惑はかけない、一人暮らしするよ。」

 

「うん......大丈夫だよ、俺はもう、一人じゃないからさ。」

 

「うん....うん.......ありがと...じゃあ。」

 

ピッ

 

「......近いうちに遊びに行けそうだな。」

 



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第16話:2つの星

あの日から数日が過ぎた。

 

郷秀は恐らく、奴を追い続けるんだろうな。

 

...奴は一体何者なんだろうか。

 

「...ジョ.....」

 

...俺が考えてもしょうがねえか。

 

「ジョジョ!」

 

「うお!? びっくりするだろ瑞希。」

 

「さっきから呼んでるんだけどー」

 

「そりゃあ、悪かったね。」

 

「んで、なんか用?」

 

「用って、もう下校時間なんだけど?」

 

「あれ...あ、そうか、今日4限までか。」

 

「もー、しっかりしてよ。」

 

「すまんすまん。」

 

「じゃあ、お昼食べに行くよー!」

 

拒否権はないんだろうなー。

 

「へいへい。」

 

カレー以外がいいなー。

_______________________________________________

 

「はー、お腹いっぱい!」

 

結局、カレーになってしまった。

 

「じゃ、ボクは帰るね!」

 

「ん?、珍しいな、お前がまっすぐ帰るの。」

 

「ボクにもやることがあるからね~♪」

 

「あ、そ。」

 

「ジョジョ、冷たい~!」

 

俺は、その場で瑞希と別れた。

 

「...どっかぶらぶらしてから帰るか。」

 

ま、行く当てもないし、散歩がてら歩くか。

 

_______________________________________________

 

...あんまこういう場所行かなかったから新鮮だな。

 

「.....うん?」

 

「どうしたの?」

 

へぇー、こんな店あったんだな、今度行ってみるか。

 

「...! もしかして!」

 

「ん?」

 

後ろから声が聞こえたため、振り返った。

 

「やっぱり! きょーすけくんだ!」

 

「咲希ちゃん?」

 

「咲希? 急にどうしたn....え、響助さん?」

 

「あれ、一歌ちゃんもか?」

 

「えー!? きょーすけくんといっちゃんって知り合いだったの!?」

 

「最近顔見知りになったんだ。」

 

「私は、咲希と響助さんが、知り合いだったことにびっくりしたよ。」

 

「...あれ、制服ってことは、咲希ちゃん、学校に復帰したんだな。」

 

「うん! 今日から戻ってきたの!」

 

「あれ? 響助さんは、咲希が入院してたこと知ってるんですか?」

 

「ああ、なんなら入学式の行く途中で、出会ってそこで聞いたよ。」

 

「え? 咲希、そんな前から退院してたの!?」

 

「あはは、みんなに驚かせたくて、きょーすけくんに内緒しといてって言っておいたのだよ。」

 

「ま、そんな感じだね。」

 

「...あれ、入学式って?」

 

「あ、そういえば言ってなかったね、俺、高校1年生なんだ。」

 

「え!? 先輩かと思いました。」

 

「アタシも、初めて会った時、先輩かと思ったもん。」

 

「だから別に、敬語じゃあなくてもいいよ。」

 

「は、はい....じゃなくて...うん。」

 

「あ! きょーすけくん、ケガ大丈夫?」

 

「え!? 響助さん、怪我したんで....したの?」

 

「うん、もう完治してるよ。」

 

「よかったー! あの時ホントびっくりしたもん。」

 

「あの、怪我のこと、聞いてもいい?」

 

「ああ、ガラス片がぶっ刺さったんだ。」

 

「え!?」

 

「ま、色々あるんだ。」

 

「...あれ!? きょーすけくん、小指ケガしてるよ!」

 

「あ、これは。」

 

...自分で刺したっていうと、病んでるみたいになりそうだな。

 

適当にごまかすか。

 

「これは、そうだな......友情の証って奴かな。」

 

「?」

 

「...よくわからないけど、なんかかっこいい!」

 

「ま、そんなに大きな怪我じゃあないから心配しないでいいよ。」

 

「う、うん。」

 

「ってか二人で何してたんだ?」

 

「あそこのお店で、いっちゃんと一緒にタピようとしてたんだ!」

 

「タピ...ああ、タピオカのことか、そういえば食べ....いや飲んだことないな。」

 

「え、そうなの?」

 

「流行だったときは、色々あって、飲めなかったからな。」

 

「そーなんだ...だったら一緒に飲まない?」

 

「え、いいのか?」

 

「うん! 一緒に飲んだ方がよりおいしく感じると思うよ!」

 

そういうものなのか?

 

「一歌ちゃんはいいのか?」

 

「うん、いいよ。」

 

あ、いいんだ。

 

「んじゃ、お言葉に甘えて。」

 

「きょーすけくんは何頼むの~?」

 

「そうだな....よくわからないから一番スタンダードの奴にするかな。」

 

_______________________________________________

 

「ん~~、美味しい!」

 

「タピオカって結構甘いんだな。」

 

「咲希、ゆっくり飲んでね。」

 

「わかってるよ~。」

 

普通にうまいんだなタピオカ、今度から買おうかな。

 

「あ、そうだ! きょーすけくん!」

 

「ん?」

 

「お兄ちゃんから感想聞いたよ! 美味しいって言ってくれて嬉しかった!」

 

「え、美味しいって?」

 

「ああ、もともとは司先輩の弁当だったんだけど、助けたお礼として、一つもらったんだ。」

 

「そういえばお兄ちゃんから聞いたんだけど、きょーすけくんって、普段から料理するの?」

 

「うん、平日のときは、晩御飯作ってるよ。」

 

「食べてみたいな~、きょーすけくんのごはん。」

 

「あはは、ま、機会があったらね。」

 

...距離感バグってないか......いや、それは俺もか。

 

「キャアアアア!?」

 

「っ!?」

 

「なに!?」

 

「なんだ!?」

 

声のした方を見ると、倒れてる女性と、そこから、バックを持って逃げている男が見えた。

 

「あれって、ひったくり!?」

 

「ど、どうしよう!?」

 

「一歌ちゃん、これちょっと持ってて。」

 

「え、は、はい!」

 

「ちょっとあいつ、とっ捕まえてくる。」ダッ

 

「「響助さん(きょーすけくん)!?」」

 

っといってもな、距離が離れてる、何かないか.......お!

 

やかんが捨ててある...これ使えば!

 

「よっと」

 

俺は、捨ててあるやかんを拾い、ひったくりを真後ろから追いかけた。

 

「フン!」

 

拾ったやかんを真上に放り投げた。

 

「これでも食らっとけ!」カーン

 

そのまま、バク宙をし、その勢いでオーバーヘッドキックでやかんを蹴っ飛ばした。

 

「ガハッ!?」カーン

 

蹴とばされたやかんはまっすぐ、ひったくりの後頭部に命中した。

 

いい音だな。

 

「ったく、最近は治安いいと思ってたんだけどな~」

 

ひったくられたカバンを持って、女性の方に戻ろうとした。

 

「...っ! この野郎!!」

 

「あら、よく立てるな。」

 

ひったくり犯は俺に襲い掛かる。

 

「よっと」グルンッ

 

「グゥッ!?」

 

再びバク宙をし、今度はひったくり犯の頭を狙ってオーバーヘッドキックを食らわせた。

 

「やれやれ。」ダッ

 

俺は、カバンを返すために、女性の方へ走った。

 

「はい、カバン。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「いえいえ。」

 

カバンを渡した後、二人のもとへ歩いた。

 

「よ、お待たせ...?」

 

ものすごく目をキラキラしてる咲希ちゃんが目に入った。

 

「きょーすけくん! まるで漫画の世界のキャラクターみたいで、すごくかっこよかったよ!!」キラキラ

 

「え、かっこいい?」

 

「響助さんって、何かスポーツや、習い事でもやってたの?」

 

「いや、特にはやってないけど。」

 

「え!? 何かやってたわけじゃないのに、あんな動きできるの?」

 

「ま、中学生の時色々とね。」

 

_______________________________________________

 

「きょーすけくんバイバイ!」

 

「じゃあね響助さん。」

 

「うん、じゃあな。」

 

今日はいい収穫があったな~

 

まさかタピオカってのがあんなにうまいものだとは思わなかったな。

 

今度は抹茶の奴とかにしてみるか。

 

.......それにしても、一歌ちゃん。

 

たまに、暗い顔してたな......なんかあったのか?



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第17話:夢

....ここはどこだ?

 

真っ暗な空間....いや俺の腕ははっきりと見える。

 

黒い空間って事か。

 

俺の想いの世界....いや、あれは真っ白だったしな。

 

「...」

 

悪霊は.....どうやら出せないみたいだな。

 

ここは夢.....か?

 

「ひっ......ぐ」

 

うん? 何か声が聞こえる.....子供の声か。

 

方向なんてわからないが、声が聞こえる方に歩く。

 

「......ごめんなさい....ごめんなさい」

 

声がはっきり聞こえてきて、声の主の姿見えてきた。

 

「おい、大丈....」

 

俺は声を掛けようとしたが、引っ込めてしまった。

 

「お母さん.......ごめんなさい....ごめんなさい....」

 

あれは.....俺だ。

 

小学生の俺だ。

 

_______________________________________________

 

ピピピッ

 

ピッ

 

「...」

 

夢....か。

 

...

 

“いいのよ、響助....あなたは何も悪くないわ!”

 

 

 

...ごめん...母さん。

 

未だに俺、自分で自分を許せないみたいだ。

 

_______________________________________________

 

.......

 

「.......ジョ」

 

..............

 

「ョ........ジョ」

 

...........

 

「ジョジョ!」

 

「うおっ!」

 

「どうしたの? 最近ボーっとしてること多いけど?」

 

「今日は、寝覚めが悪かったから未だにボーッとするんだ。」

 

「へぇー、ジョジョにしては珍しいね。」

 

「俺からしたらここ最近、ずっと登校してるお前も珍しいけどな。」

 

「だって、ボクがいない間に、ボクを馬鹿にした人ボコボコにする気でしょ。」

 

「うん。」

 

「ボクが昼に登校したとき、登校した生徒が減ってるボクの気持ち考えて。」

 

「馬鹿にしたのが悪い。」

 

「こりゃ、反省する気ないね。」

 

「するわけないだろ。」

 

_______________________________________________

 

「...久々にここに来たな...WEEKEND GARAGE。」

 

なんだかんだで、誰かと一緒に帰ることが多かったから、寄り道とかしなかったからな。

 

ガチャッカランカラン

 

「いらっしゃ.....あれ、響助?」

 

「よ、久々に食べたくなっちゃてね。」

 

「え、響助くん?」

 

「あれ、こはねちゃん?」

 

「え、響助、こはねと知り合いだったの?」

 

...なんか前も、こんな流れあったな。

 

「ああ、この前知り合ったばかりだけど。」

 

「響助くん、この前はありがとう!」

 

「いいよ、ああいうのには慣れてるから。」

 

「響助、何かしたの?」

 

「こはねちゃんが、しつこいナンパに絡まれてたから、追い払ったんだ。」

 

「そーなんだ! ありがとね、響助!」

 

「..ってか、二人は面識あったんだな。」

 

「ううん、今日初めて喋ったよ、そして、私の相棒!」

 

「そっか.......ん?」

 

...時間飛んだか?

 

「.......相棒?」

 

「うん。」

 

「今日初めて喋ったんだよね?」

 

「うん。」

 

「........マジなの、こはねちゃん?」

 

「う、うん。」

 

なんというか、杏ちゃんは、陽キャの良い部分をかき集めた感じだな。

 

「そ、そうなのか。」

 

「響助! こはねってばすごいのよ!」

 

杏ちゃんから、こはねちゃんの凄いところを説明された。

 

「なんていうか......愛されてるな、こはねちゃん。」

 

「///」

 

ガチャッカランカラン

 

「あ、お客さんだ、ごめん、ちょっと待っててね」

 

「いらっしゃ...あ、彰人と冬弥か!」

 

...あいつらも、ここに来るのか。

 

「こんにちは白石さん、今日もお邪魔するね。」

 

...やっぱ寒気がするな。

 

「うん? 城ケ崎か?」

 

「よ、冬弥と彰人。」

 

「こんにちは、城ケ崎くん。」

 

うっわ~......やっぱ素を知ってるときついなー。

 

「じゃあ注文はいつもの...あれ? そっちの子は見ない顔だね。」

 

_______________________________________________

 

杏ちゃんは、彰人達に、こはねちゃんのこと、組んだことを説明していた。

 

「................」

 

「......じゃあさ、ちょっと提案なんだけど、ふたりとも、イベントに出てみない?」

 

............妙な間があったな......こいつ裏があるな。

 

_______________________________________________

 

ガチャッカランカラン

 

「...っと。」

 

「あれ、響助?」

 

「ちょっと外の空気吸ってくる。」

 

「え、響助くん、もしかして体調悪いの?」

 

「いや、ただ外の空気を吸いたくなっただけ...すぐ戻るよ。」

 

俺はそういうと、外へ出た。

 

話し声が聞こえる...あっちか。

 

_______________________________________________

 

「だからあいつらは、オレ達の歌でぶっ潰す。」

 

物陰に隠れながら、彰人達の話を聞いていた。

 

「なるほどね。」

 

「っ!? 誰だ!」

 

「...その声は、城ケ崎か?」

 

「よ、お二人さん。」

 

「お前、なんでここ....いや話聞いてたか?」

 

「やっぱお前そっちの喋り方の方がいいわ...ああ、ほぼ全部聞いてたさ。」

 

「お前が、『RAD WEEKEND』を本気で超えたいっていう気持ちよく分かるが。」

 

「俺は、冬弥の言ってることはもっともだと思うぞ。」

 

「なに?」

 

「お前は、こはねちゃんの歌を実際に見たわけじゃあないだろ?」

 

「さっき言ってた感じだと、杏ちゃんの事をある程度は実力を知ってんるんだろ、その杏ちゃんが、相棒に選ぶくらいだ、相当な実力者なんじゃあないか?」

 

「...お前も聞いてただろ、『音楽の授業くらいでしか』だぞ?」

 

「ま、そうだな、でも....安閑としていられないぜ。」

 

「...何言ってんだ?」

 

「彰人、油断できないってことだ。」

 

「...さっき、歌でぶっ潰すって言ってたけど、それで負けたら...」

 

「...最高にダサイぞ。」

 

「...」グッ

 

「彰人!?」

 

胸倉を掴まれる。

 

「...なに、この手?」

 

「おい、ケンカ売ってんのか?」

 

「...そーだな...」ガシッ

 

グルンッ

 

「ぐっ!?」

 

胸倉を掴んでた手をひねり上げ。

 

「...」

 

「がっ!?」バシンッ

 

そのまま彰人の背中を壁にぶつける。

 

「...」スッ

 

「っ!?」

 

「彰人っ!?」

 

そして、拳を握って、彰人の顔面に...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...」ドンッ

 

当てず、彰人の顔の横に手を置いた。

 

つまり、壁ドンの体制だ。

 

「...別に、歌でぶっ潰すのは構わねえけど。」

 

「......喧嘩売るなら、相手選べ、怪我するぞ。」

 

そういうと俺は、彰人から離れる。

 

「...っと、悪いな冬弥、お前の相棒と喧嘩しちゃって。」

 

「...いや、彰人に怪我は?」

 

「安心しろ、腕も、背中も、軽くやっただけだ。」

 

「..そうか。」

 

「...そういや、さっき資格だとかどうとか言ってたけど。」

 

「......それ、お前が決めるもんじゃあねえだろ。」

 

俺はそう言い捨てると、二人から離れた。

 

資格だとか、普通だとか、誰かが決めるもんじゃあねえだろ。

 

それで、傷ついてるやつだっていくらでもいるんだぞ。

 

_______________________________________________

 

「彰人、大丈夫か。」

 

「........ああ。」

 

「...冬弥。」

 

「なんだ?」

 

「あいつは一体何者なんだ?」

 

「何者?」

 

「...これを見てみろ。」

 

「これは.....血か!?」

 

「ああ、おそらく壁に手をついた時に擦りむいたとかでついたんだろ。」

 

「それなのに、あいつは、顔色一つ変えなかった。」

 

「...」

 

「...俺の尊敬してる人から聞いた話なんだが。」

 

「尊敬してる人?」

 

「ああ、彰人にも言ったが、前に城ケ崎はガラス片が刺さったって言っただろ。」

 

「ああ。」

 

「その妹さんが、城ケ崎の傷を止血してた時、城ケ崎は痛いとも言わなかったそうだ。」

 

「は!? 刺さってたんだろ...ホントなのかよその話。」

 

「ああ。」

 

「...あいつ、もしかして、痛覚がないんじゃねえのか。」

 

_______________________________________________

 

ガチャッカランカラン

 

「あ、響助!」

 

「よ、さっき頼み忘れたけど、アイスティー頼みたいんだけどいいかな。」

 

「おっけ~!.....って響助! 右手、血流してるよ!?」

 

「え?」

 

...気づかなかった。

 

「響助くん、痛くないの!?」

 

「あ、ああ。」

 

「ちょっと待ってて、奥から救急箱とってくる!」

 

...全然痛くない....

 

前から痛覚が鈍いなっと思ってたけど、最近さらに鈍くなってるかもしれない。

 



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第18話:嫉妬・逆恨み

「ふわぁー、いってきまーす。」

 

今日は逆に寝すぎて眠いっつー感じの状態だ。

 

「おっはっよ~! ジョジョ!」

 

「うおっ!.......瑞希、朝から元気だなおい。」

 

「ってか、ここにいるんだったら、チャイム鳴らせよ。」

 

「ふっふっふ~、ボクは、ジョジョの驚く顔が好きなんだよね~♪」

 

「...趣味悪いなこいつ。」

 

「ところでさ、あのトラックなんだろ?」

 

「あ? あー昨日からあったな、多分引っ越しかなんかなんじゃね。」

 

「ふーん。」

 

「ま、俺には関係ないことだな。」

 

「えー、わからないかもよー♪」

 

「さすがにねえだろ。」

 

「それフラグって言うんだよ。」

_______________________________________________

 

「ジョジョ! 見てみてー!」

 

「うん?」

 

「カワイイでしょー♪」

 

アイドルか?

 

「アイドルか....うん?」

 

あれ...どこかで見たことが...

 

「どうしたの?」

 

「あ、いや、綺麗な人だな~って思っただけだ。」

 

「へー、ジョジョにもそういう感性あるんだね~」

 

「いや、流石にあるよ。」

 

確か......雫さんだったかな。

 

「そういや、お前そういうの好きだったな。」

 

「うん! アイドルはカワイイし、元気をもらえるからね♪」

 

...この前、しかもあの時瑞希と一緒だったときに会ったって言ったら、どんな顔すんだろ.....まあ言わんけど。

 

_______________________________________________

 

「今日は、買い物して帰るか。」

 

さてと、今日は......うどん....焼きうどんにするか。

 

「......うん、あれは?」

 

あれは......雫さん....か?

 

でも..様子が変だな........泣いて....いるのか?

 

......見ちゃった以上、無視はできないな。

 

「...あの、大丈夫ですか?」

 

「えぇ?.....っ! きみ...は。」

 

「お久しぶりですって言っても、まだ自己紹介はしてないですけど。」

 

「....その、何かあったんですか?」

 

「...」

 

「その.....言いたくなかったらいいですけど......人に話した方が少しは気が晴れると俺は思います。」

 

「...」

 

...まあ、1回あっただけの俺に話すわけないか。

 

「...見つけたぞ。」

 

「ん?」

 

「まさか、お前を探してたら、雫ちゃんも見つかるとは。」

 

「...アンタら...誰だ?」

 

「チッ...忘れたとは言わせねえぞ。」

 

「んー.......ああ! この間のショッピングモールの奴か...すっかり頭から抜けてたわ。」

 

「てめえ...」

 

「んで、なに? その口ぶりから俺狙いなの? 逆恨みはもうやめてよね、めんどくさい。」

 

「...そんな減らず口言えるのは今のうちだ。」

 

「...おやおや。」

 

あいつの後ろから、3人、4人と現れた。

 

「なんだよ、数増やしただけじゃあねえか。」

 

「ふん、この前、傷負った割には余裕そうな口ぶりだな。」

 

「雫ちゃんをこっちに渡してくれるなら、逃げることを許してやるよ。」

 

「ふーん...」

 

そんなんで俺が逃げると思ってるのか。

 

ギュッ

 

「?」

 

急に袖を掴まれた。

 

「...雫さん?」

 

「...私は大丈夫だから、君は逃げて...」

 

......足が震えてる。

 

「そうですか...」

 

「......だったらなおさら、逃げられませんね!」

 

「そうか...お前ら、やるぞ!!!」

 

「っ! ダ、ダメ!!」

 

正直、あいつより弱いから、逃げるよりすぐ終わりそうだな。

 

「すみません、雫さん!」ダキッ

 

「わっ!?」

 

「オラよっと!」

 

「ガハッ!?」ゴスンッ

 

雫さんを抱え、相手の頭に回し蹴りを食らわせる。

 

「っと、雫さんはここにいてください。」

 

俺は雫さんを避難させた。

 

「で、でも君が...」

 

「大丈夫です、慣れていますので。」

 

「隙だらけだぜ!」

 

パシッ

 

金属バットを悪霊で掴む。

 

「..!? 何かに掴まれて...」

 

「隙だらけだぞっと」

 

「ゴホッ!?」

 

隙だらけのボディに、ワンインチパンチを叩き込む。

 

「な...なんだよこれ。」

 

「おい。」ブンッ

 

怯える相手の顔面に、回し蹴りを寸前で止めた。

 

「ヒッ.............」ドサッ

 

相手は失神した。

 

「......どうした、もう3人地面に倒れてるぞ。」

 

「く、くそが!」ブン

 

「単調な攻撃だな。」ブンッ

 

「ゴボッ!?」

 

殴りかかってくるが、それをかわし、ボディブローを食らわせた。

 

「...お仲間さん、全員倒れちゃいましたよ。」

 

「っ! このクソガキ!!」

 

やっぱナイフを持ってたか。

 

「ふっ」スッ

 

「オラァッ!」

 

「ぐっ!?」バシンッ

 

冷静に相手の突進を回避し、すかさず、後ろ回し蹴りを相手の背中に食らわせる。

 

「クソが!?」ブンッ

 

「オラよ!」ブンッ

 

ナイフを俺の顔面に刺そうとするが、回避し、すかさずカウンターのストレートパンチを相手の顔面に叩き込む。

 

「グハッ......」ドサッ

 

もろに受けた奴はそのまんま、崩れ落ちる。

 

「ふー........雫さん、大丈夫ですか?」

 

「え、ええ、それより君は?」

 

「俺は大丈夫です........っと。」

 

ガヤガヤ

 

暴れたってのもあるけど、おそらく雫さんがいるからかな。

 

ここからだと.......あそこが近いな、ちょうど定休日だったはず。

 

「.....雫さん、少し場所変えましょう。」

 

「え?」

 

「...暴れて目立ってしまってるので、安心してください、信用できる場所です。」

 

っといっても、俺自身信頼できないかもな。

 

「.....わかったわ。」

 

「え.....てっきり断れるかと思ったんですけど。」

 

「俺、信頼できる人間じゃあないかもしれませんよ?」

 

「...ううん、君には二度も助けられたから、信用するわ。」

 

「それに、しぃちゃんも助けてくれたから。」

 

...まさか、アイドルにそう言われるとはな.......瑞希が見たらどう思うんだろ。

 

「...ありがとうございます....こっちです。」

 

_______________________________________________

 

「ここです。」

 

「え、ここって診療所?」

 

「はい、定休日ですが。」

 

ピンポーン

 

「...はーい。」

 

ガチャッ

 

「どちらさま....って響助か。」

 

「今日は俺だけじゃあないですよ。」

 

「え?..........え!? し、雫ちゃん!?」

 

「は、はい。」

 

「ちょ、ちょっと響助! アンタ何やらかしたの!!」

 

「いや、なんでやらかした前提なんすか!」

 

「いや、アンタがなんかやらかさなかったら、そうはならんでしょ!」

 

「なっとるでしょうが!!」

 

「え、えーと...」

 

「あ、すみません、ここ、母さんの友達がやってる診療所なんです。」

 

「ご、ごめんね雫ちゃん、私は、榎本明美っていうの。」

 

「ってか、なんでここに連れてきたの?」

 

「ここが近くて信用できる場所だからっすよ。」

 

「.......何かあったの?」

 

「....ま、色々と。」

 

「.....わかったわ、上がって。」

 

_______________________________________________

 

「はい、雫ちゃん、コーヒー大丈夫?」

 

「はい、ありがとうございます....ごめんなさい、急に。」

 

「いいのよ雫ちゃん、悪いのは全て響助だから。」

 

「.....その通りだからぐうの音でねえな。」

 

「...さて、私はあっちでやることあるから、ゆっくり雑談してて。」

 

「サンキュー、榎本さん。」

 

バタンッ

 

「っと...今更ですが、自己紹介しますね。」

 

「俺は、城ケ崎響助です。」

 

「...知ってると思うけど、私は、日野森雫です。」

 

...すみません、知らなかったです。

 

「......泣いてた理由.....話してくれますか?」

 

「...うん、わかったわ。」

 

俺は、雫さんの話を聞いた。

 

所属していたアイドルの事、みんな変わってしまったこと、生まれ持ったもので責められていたこと、そして...

 

脱退すること。

 

「...」

 

「...ありがとうございます、教えてくれて。」

 

「...」

 

「...俺、あまりアイドルの事はわからないですけど。」

 

「その、頑張ったんだなって。」

 

「......え?」

 

「生まれ持っての才能しか見られないで、その努力を見てくれないのは...悲しいです。」

 

「...なんで....わかるの?」

 

「...確かに、才能がある人間、ない人間はいると思います。」

 

「...」

 

「でも、自分の才能だけで、センターの座なんてなれないと思います。」

 

「それこそ、相当の努力しないと。」

 

「...」

 

「雫さんは優しい人です.....優しすぎるくらいに...」

 

「...」ポロッポロッ

 

「...まあ、何も知らない第3者の意見ですけど。」

 

「.....ううん、ありがとう、響助くん。」

 

「いえ、大したことはしてないですよ。」

 

「...でも、辞めるか辞めないかは、雫さん次第です。」

 

「......うん、わかってるわ。」

 

ガチャッ

 

「んー? もう話し終わった?」

 

「うん、終わったすよ。」

 

_______________________________________________

 

「ありがとうございました、榎本さん。」

 

「いいのよ雫ちゃん、響助は?」

 

「途中まで送りますよ、流石に泣いてた女性を一人にできないので。」

 

「ヒュー、カッコいいねー。」

 

「ちょっと、やりづらいんすけど。」

 

_______________________________________________

 

「...響助くん。」

 

「うん? どうしたんですか?」

 

「連絡先交換してもいいかしら?」

 

「え!? いやー俺は構いませんけど、なぜ?」

 

「響助くんには、色々励まされちゃったし、お礼がしたいの。」

 

別にいいんだけどな~、俺から聞いたんだし.....だけど無下にはできないな。

 

「わかりました......はい、これが俺の連絡先です。」

 

「.....ん-...これをこうして......あら?」

 

「...」

 

「...こうだったかしら......あら?」

 

.......もしかして...

 

「.....あら?」

 

「えーと...このアプリですね。」

 

「んで...ここを押して....それで俺の番号を入れれば.....はい、これでOKです。」

 

「っ! ありがとう きょーちゃん!」

 

「いえいえ......ん? きょーちゃん?」

 

「あ! ごめんなさい! しぃちゃんと混ざっちゃったわ...」

 

「あ、いや、別に好きなように呼んで構いませんよ。」

 

「じゃあ....きょーちゃん。」

 

「はい。」

 

「ふふ、これからよろしくね。」ニコッ

 

「こ、こちらこそ。」

 

やっば~、眩しすぎて灰になりそー。

 

っていうか、今後どうなるかとはいえ、アイドルと連絡先を交換することになるとは...

 

......絶対瑞希だけにはバレないようにしねえとな、何言われるかわかんねえし。

 



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第19話:さいかい

また転校生が来るんだってー

 

こんな短期間で来るなんてね。

 

でもかっこよかったよー

 

「ん? 転校生?」

 

「へー、そうらしいね?」

 

「お前知らねえの?」

 

「流石のボクでも何でも知ってるわけじゃないからね。」

 

「へー...ま、ここじゃあない限り俺らには関係ないか。」

 

「それってフラグって言うんだよ。」

 

「いやいや、まさか。」

 

「だって前の転校生だって、類だったじゃん。」

 

「まあ、結果的には関係あったけど、流石に2度連続はないだろ。」

 

ガラッ

 

「お前ら―、席座れー。」

 

「転校生を紹介するぞー」

 

「...?」

 

え、ここなん?

 

「よし、入れー。」

 

ガラッ

 

.....ん?

 

「...」

 

「「!?」」

 

「?」

 

転校生を見た時、俺も瑞希も驚いた。

 

「じゃあ、自己紹介を。」

 

「はい、どうも、宝来郷秀です、これからよろしくお願いします!」

 

俺どころか、瑞希も見たことある奴が来たのだから。

 

_______________________________________________

 

「っよ!」

 

「「っよ! じゃあねえよ(じゃないよ)!?」」

 

「何でお前、ここに!?」

 

「そりゃあ......ここのシブヤに奴がいるかもしれないからな。」

 

「...なるほど、そのためか。」

 

「ああ...ま、それにお前らもいるしな。」

 

「「俺(ボク)?」」

 

「ま、少しは学生生活ってのを、楽しみたいからな。」

 

「二人とも、よろしくな!」

 

「...お、おう。」

 

「...なんか...キャラ変わってない?」

 

「あの時は、色々起こってたからな、普段はこんな感じだぜ。」

 

「あ、そう。」

 

「なんか....差がすごいなー...」

 

_______________________________________________

 

今日は6限目がねえから早く帰れるなー。

 

「...ところでさー。」

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

「いや、瑞希は家、近いからわかるけど、お前は何でまだついてくるんだ?」

 

「俺も家こっちの方なんだよ。」

 

「そーなんだ.....ん? ちょっと待って?」

 

「どうした、瑞希?」

 

「...ねえ、郷秀くん、引っ越してきたのって結構最近?」

 

「え、ああ、そうだけど?」

 

「......うん?」

 

「ジョジョ、この前さ、引っ越しのトラックの事喋ったじゃん。」

 

「......いやいや、まさか。」

 

「ん? どうした?」

 

「...なあ、郷秀、お前の家、見てきてもいいか?」

 

「え、引っ越したばっかで何もないぞ。」

 

「いや、中には入らないよ。」

 

「? わかった。」

 

_______________________________________________

 

「二人とも、ここだ。」

 

「......あー....」

 

「...伏線回収だね...」

 

「...?」

 

「俺の家あそこで、瑞希の家があそこだ。」

 

「...まじかー。」

 

_______________________________________________

 

「...っと、これでよし、さっさとアップロードするか。」

 

♪~

 

ん、電話か?

 

「...瑞希か?」

 

ピッ

 

「もしもし?」

 

『ジョ、ジョジョ! 大変だよ!?』

 

「ん、どうした?」

 

「この前、ボクが見せたアイドルグループのこと覚えてる?」

 

「ああ、覚えてるよ。」

 

『その、雫ちゃんが...』

 

雫さん?

 

『Cheerful*Daysを脱退だって...』

 

「っ!?」

 

...そうか....雫さん。

 

「...それはつらいな。」

 

...あいつにとっては、つらいだろうな...

 

_______________________________________________

 

「はぁー......」

 

......もしかしたら俺のせいでもあるのかな...

 

「......ちょっと外でるか。」

 

......どこへ行こうかな。

 

...そうだ、前行ったタピオカ屋に行ってみるか。

 

_______________________________________________

 

マップだとこの辺だったよな。

 

ドンッ

 

「っと、大丈夫ですか?」

 

「ご! ごめんなさい!!」ダッ

 

あの人、なんか焦ってたな。

 

っと、タピオカ買いに行こ。

 

「...あ! 響助くん!?」

 

「ん?...その声は、みのり.....ちゃん?」

 

みのりちゃんの声が聞こえた方を振り向くと、みのりちゃんの他に二人いた...

 

しかも、二人とも知ってる。

 

「響助さん?」

 

「は、遥ちゃん?...それに、雫さんも?」

 

あれ、雫さんも一緒って......ちょっとまずくないか?

 

「きょ、きょーちゃん!?」

 

あ...

 

「「きょ、きょーちゃん?」」

 

「え!? 響助くん、日野森先輩と遥ちゃんと知り合いだったの!?」

 

「知り合い.....まあ、顔見知りだな。」

 

「俺は、3人が顔見知りなのに驚きだね。」

 

「...ところで、3人はそんなに急いでどうしたんですか?」

 

「っ! そうだった! 響助くん、桃井先輩見てない?」

 

桃井先輩......桃井愛莉さんの事か?

 

たしか、雫さんの話で聞いたことが...もしかしてさっきの?

 

「その、桃井先輩って髪の色、ピンク色だったりするか?」

 

「そ、そうです!」

 

「じゃあ、さっきぶつかった人かな、なんか急いでたみたいだけど、なにかあったの?」

 

「じ、実は...」

 

みのりちゃんから、事情を聴いた。

 

「それで、愛莉さんは、Cheerful*Daysの劇場に...」

 

おいおいマジかよ。

 

「...雫さん。」

 

「っ?」

 

「俺もその劇場に行ってもいいですか。」

 

「え、どうして?」

 

「俺も、まったく関係ないわけじゃあないからですね。」

 

「関係ない? 響助くん、どういうこと?」

 

「実は...」

 

俺は、この前の出来事を二人に話した。

 

「そんなことが...」

 

「で、でも! きょーちゃんが気にすることはないわ、辞めたことは私が決めたのよ!」

 

「それでもです...それに、俺の友達が雫さんのファンだったんです。」

 

「無理を承知なのはわかってますが、お願いします。」

 

「...わかったわ。」

 

「っ! ありがとうございます。」

 

_______________________________________________

 

俺たちは、劇場に入った。

 

「...そうね、わたしは逃げた。」

 

あれが、愛莉さんか?

 

「わたしは、アイドルとして活躍できないことがイヤで逃げて、そこでもアイドルとして見てもらえなくて、逃げたわ。」

 

Cheerful*Daysのメンバーに話す愛莉さん。

 

「妬んで、ふてくされてるだけのわたし達とは.....全然違うのよ!!」

 

「愛莉ちゃん.....」

 

「ごめんなさい、雫...」

 

「わたし、最低だった、自分のことばっりで、雫のことずっと傷つけて...」

 

「雫はずっとわたしの言葉を信じて、みんなに希望をあげるために、ずっとずっとがんばってたのに....!」

 

...愛莉さん...

 

「...っ」

 

「...ていうかさ、なんでまた雫がここに来るの? こっちは大変だったのに。」

 

「愛莉に泣きついて、代わりに文句? そういうところがムカつく。」

 

「ホント、いなくなってよかった。」

 

...ああ?

 

「...! アンタ達...っ!」

 

「あ...!!」

 

「桃井先輩!! ダメ!!」

 

...っておいおい、それはまずいだろ!

 

パシッ

 

「...!? アンタは...っ!?」

 

「きょーちゃん...!」

 

「...愛莉さん、『アイドル』がそんなことしちゃあだめです。」

 

俺は、愛莉さんの腕をつかむ。

 

「そうですよ桃井先輩!! 桃井先輩は『アイドル』なんですよ!!」

 

「アイドルは、みんなに希望をあげる存在なんですよ!!」

 

「はあ? 愛莉は昔に辞めたんでしょ?」

 

「...ありがとう、みのり.......それにアンタも。」

 

「頭に血がのぼってたわ。」

 

「...みのりちゃん、きょーちゃん、止めてくれてありがとう。」

 

「いえ、大したことしてないですよ。」

 

「うん、止めたのも響助くんだし...」

 

「....それに、愛莉ちゃんも、ありがとう。」

 

「雫......ごめんなさい。」

 

「ううん、いいのよ、愛莉ちゃん、さっき言ってくれたこと、とっても嬉しかった。」

 

...無事に仲直りっと.....さて。

 

ムカついたから、あいつらに一つ言いたいね.....

 

....俺の友達の好きを奪ったんだからな。

 

「はぁ....くっだらねぇなアンタら。」

 

Cheerful*Daysのメンバーに俺はそう言った。

 

「え!? 響助くん!」

 

「ア、アンタ!?」

 

「きょ、きょーちゃん!?」

 

「な、なに、さっきからアンタ?」

 

当然の反応を、俺は無視した。

 

「さっき、見た目だとか才能だとか言ってたけどよ。」

 

「確かに、人には、才能がある人と、そうでない人がいるよ。」

 

「俺もない方の人間だからアンタらの気持ちはよくわかる...けどな。」

 

「才能のある人間で、自分の才能だけで人気になった奴なんていないだろ。」

 

「アンタら...ホントに雫さんと向き合ったのか?」

 

「な、なによ! それだったら愛莉だって...」

 

「違うだろ、アンタらの眼は節穴か? 愛莉さんは向き合っただろ。」

 

「才能があろうがなかろうが、人ってのは壁を超えることでしか成長できねえよ。」

 

「...それをやめて、くだらねえこと言ってるアンタらに...」

 

「...雫さんの事をバカにする権利はあるのかよ...」

 

「...」

 

「きょーちゃん...」

 

「ふー...さっ、帰りましょう。」

 

俺は出口へと向かった。

 

「ええ...安心して、私はもう、戻らないから。」

 

_______________________________________________

 

「ねえ、アンタ?」

 

「はい?」

 

「よくあんなこと言ったわね...わたしが言えたことじゃないけど。」

 

「そうですね...ムカついたからですね。」

 

「それだけ!? アンタ怖いもの無いの?」

 

「ありますよ.....データちゃんと保存したよなっていう怖さは。」

 

「怖さの基準がわからないわ.........って今更だけど、アンタ誰なの?」

 

「っとそうでしたね、俺は城ケ崎響助です、3人とは...まあ、それぞれで顔見知りって感じです。」

 

「ええっ!? お話も聞いてくれて、連絡先も交換したのに...!」

 

え...っ 雫さんって、無意識に地雷原歩いてるの?

 

「ええっ!? 響助くん、日野森先輩と連絡先交換してるの!?」

 

「え、いやあ、まあ、そう、だね。」

 

「そうなんだ! じゃあ! わたしとも交換しようよ!」

 

「ええ、べ、別にいいけど。」

 

やっぱぐいぐいくる子多いよな...

 

_______________________________________________

 

「雫、ごめん、わたし、自分のことだけしか考えてなかった。」

 

「愛莉ちゃん...」

 

「本当にごめんなさい、許してなんて言えないわ。」

 

「...ねえ、愛莉ちゃんにひとつ、お願いしてもいい?」

 

雫さんは、愛莉さんに、もう一度、アイドルをやってほしいと言った。

 

そして、愛莉さんに対する想いも伝えた。

 

「わかったわ....でも! アンタも一緒にやるのよ!!」

 

「え?」

 

そして愛莉さんも、雫さんに対する想いを伝えた。

 

「...わかった、一緒にアイドルをやろう、愛莉ちゃん。」

 

「一度は諦めちゃった夢だけど...愛莉ちゃんと一緒なら、追いかけていけると思う。」

 

「っ!...ええ! わたしこそ、今度こそ絶対に諦めたりしないわ!」

 

「よろしくね、雫。」

 

「...うん、がんばろうね、愛莉ちゃん!」ギュッ

 

「良かった! 桃井先輩も、日野森先輩も....」

 

「...」

 

ん?...遥ちゃん?

 

「遥、その....アンタも、たまには一緒にやらない?」

 

「正直に言うと、教えてもらいたいのよ、わたし、1日でも早く勘を取り戻したいから。」

 

「.....ごめんなさい、私はいいです。」

 

「私からもお願い...」

 

「...っ! やめて! 私には...」

 

「私にはアイドルをやる資格はないの!」

 

.......資格?

 

「それって、どういうこと?」

 

「...いえ、深い意味はないです、ただ、言い間違えただけで。」

 

「遥ちゃん...」

 

「気にしないで、私は、今は学生として、普通の生活を送りたいの。」

 

「頑張ってね、応援してる。」

 

........

 

「遥ちゃん!?」

 

........

 

「言い間違い、じゃ、ないわよね、アレ。」

 

........

 

「何かあったのかしら...」

 

「......」

 

「...? 響助くん?」

 

「.......っん!? なんだ?」

 

「なんか、響助くん、難しい顔してたから...」

 

「きょーちゃん、具合でも悪いの?」

 

「いえ、大丈夫です...ただ少し考え事を。」

 

「そうなの? ならいいのだけど...」

 

_______________________________________________

 

俺は、みのりちゃん達と別れた。

 

...遥ちゃん、アイドルの時に、何が...

 

.......いや、俺が考えたって何かできることはないな。

 

...帰るか。

 

.......あれ?なんか忘れてるような?

 



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第20話:不穏

「...はぁー。」

 

「...どうした杏ちゃん、ため息なんてついて?」

 

「あ、響助.....実はさ...」

 

俺は、ため息の理由を聞いた。

 

「...それで、イベントが台無しになったと...」

 

「うん...」

 

「でも.....ちょっと変だな?」

 

「え?」

 

「俺もちょっとしか話したことはないが、あの二人がそういうことに加担するとは思えないなー。」

 

「どういうこと?」

 

「一人はクソプライドが高い奴で、もう一人はクソ真面目な奴だぜ、俺はそんなことしねえと思うけどな。」

 

「...でも。」

 

「彰人がそう言ったんだっけ、でもあいつの性格的に、言い訳はしないって感じな気がするなー。」

 

「...」

 

「ま、俺はその現場をみてないから、適当に聞き流してくれ。」

 

「そう.......ところでさ?」

 

「うん?」

 

「さっきから瑞希が落ち込んでるんだけど...何かあったの?」

 

「あーあれか....そっとしておいてやってくれ...別に陰口とかのやつじゃあないから。」

 

「...? わかった?」

 

_______________________________________________

 

「「...」」チーン

 

「......いやさ...瑞希が消沈してるのはわかるんだけど、なんでお前まで、消沈してるんだよ、郷秀。」

 

「...だってよ....だってよ! 雫ちゃんが辞めちまったんだぞ!」

 

「...お前も見てたのか...」

 

「...俺はテレビで、雫ちゃんをみて、元気をもらってたんだぞ!!」

 

「わかるよ...郷秀くん....ボクもつらいよ....」

 

「「......はぁー...」」

 

........言えないやつが増えてしまった。

 

...郷秀...お前、ホントに会ったときからキャラ変わったなおい。

 

「...!」ブー

 

スマホか?

 

「...ブゥ!?」

 

「...どうした?」

 

「い、いや、なんでもねえ....ちょっとトイレ行ってくる。」

 

ガチャッ

 

バタンッ

 

ピッ

 

「もしもし?」

 

『あ、きょーちゃん!』

 

なんでこのタイミングでかけてくるんだ...雫さん。

 

「えっと...なにか用ですか?」

 

『ううん、大したことじゃないの...きょーちゃん、体調大丈夫?』

 

「体調ですか?...別に大丈夫ですけど...」

 

『昨日のきょーちゃん、難しい顔してたから、体調が悪いかなって思ったの。』

 

「ああ、そのことですか、大丈夫ですよ、元気100倍です。」

 

『そうなの?』

 

「はい...ところで用ってそれだけですか?」

 

『ええ!』

 

「そ、そうですか......その、ありがとうございます。」

 

ただ、タイミングは考えてほしいなー。

 

後ろに、消沈してる二人がいるんだよなー。

 

『ううん、きょーちゃんが元気そうでよかったわ! 何かあったら話してね。』

 

「あはは...それは、ありがたいです。」

 

『それじゃあね!』

 

ピッ

 

「.....」

 

......俺.....いつか刺されそうだな。

 

_______________________________________________

 

「ふわぁ...眠い。」

 

最近色々ありすぎて疲れたな、買い物して帰らないとな。

 

ドンッ

 

「きゃっ!」

 

「おっと...大丈夫か?」

 

「は、はい大丈夫です....あれ?」

 

「ん?...あれ、君...」

 

「響助くん!」

 

「もしかして、こはねちゃんか!」

 

髪を切って、眼鏡からコンタクトに変えたのか。

 

「いやー、だいぶイメージが変わったなー。」

 

「あはは...」

 

「こはねちゃんは、これからWEEKEND GARAGEへ?」

 

「うん、杏ちゃんと話さないといけないの!」

 

「そっか、止めちゃって悪かったね。」

 

「ううん、大丈夫だよ!」

 

...こはねちゃん、覚悟を決めた目をしてたな。

 

_______________________________________________

 

数日後。

 

「...おめえらさ...いつまでそれなの?」

 

「うぅ...だってぇ...」ウルウル

 

「響助、あなたには分からんでしょうね!」ウルウル

 

「いや、なんかどっかの議員みたいなこと言ってるよ...」

 

こりゃあ、しばらく戻りそうにないな...

 

...っと飲み物でも買ってくるか。

 

俺は教室を出て、自販機に向かっていた。

 

「ん...あれは...彰人だな。」

 

そういやあれ以来会ってなかったな。

 

「よ、彰人。」

 

「あ?」

 

おお、なんかピリピリしてるねえ。

 

「どうした? お前の相棒はいっしょじゃあないのか?」

 

「......あんなヤツ.....最初から相棒じゃねえよ....」

 

おっと、これはなんかあったみたいだな。

 

「へー、急に声かけて悪かったな。」

 

「...」

 

こりゃあ、そうとうへこんでるな。

 

「...冬弥に聞いた方がよさそうだな。」

 

あの状態の彰人に、まともに会話できなさそうだな。

 

放課後にも、話してみるか。

 

「さて、コーラ、コーラと.....ってゼロねえじゃねえか!」

 

_______________________________________________

 

「さてと、冬弥はどこかなーっと。」

 

お、あのツートンヘアは。

 

「よ、冬弥。」

 

「城ケ崎か。」

 

「どうした? 今日は彰人とは一緒じゃあないのか?」

 

「彰人は.....先に帰った。」

 

「そっか...なあ、杏ちゃんから聞いたぞ、なんか音止めたとか、それホントか?」

 

「......ああ、本当だ。」

 

「俺はそうは思わなかったけどな、クソプライド高いあいつと、クソ真面目のお前がそんなことしねえだろ。」

 

「...」

 

「あらかた、他の奴らが勝手にやったのを俺らがやったって言ったんじゃあないのか?」

 

「...」

 

「ま、これは俺の仮説だがな。」

 

「...そうか。」

 

喋らないか....頑固な奴だな。

 

「それと、彰人となんかあったのか、妙に荒れていたみたいだけど。」

 

「...別に。」

 

「...あいつとは相棒じゃねえって言ってたけど、もう一緒に歌わねえのか?」

 

「....ああ、俺はもう、彰人と歌う気はない...そのことに、理由は...ない。」

 

「ふーん、そっか。」

 

理由あるなこれ。

 

「ま、俺はその選択に否定はしないけど......後悔はするなよ。」

 

「.....」

 

「...おお! 冬弥と響助じゃないか!」

 

「司先輩?」

 

「司先輩......」

 

「ん? 冬弥、どうしたんだ、そんな捨てられた犬のような目をして。」

 

「......」

 

「...響助、冬弥に何かあったのか?」

 

「...さあ、俺にはわかりません。」

 

「そうか.......よし、時間があるならオレに付き合え!」

 

「...え? 俺もですか?」

 

「当然だ、響助は時間はあるか?」

 

「まあ、ありますけど。」

 

「なら、一緒に行くぞ!」

 

やれやれ...

 

_______________________________________________

 

ってここって...

 

「ショッピングモール....何か買い物でもするんですか?」

 

「ああ、それはだな...」

 

「もうお兄ちゃん遅いよ....って、きょーすけくんととーやくん!?」

 

「咲希ちゃんか。」

 

「直接会うのってホントに久しぶりだね! とーやくん、元気にしてた?」

 

「はい、咲希さんは、体調大丈夫ですか?」

 

「咲希でいいのに、とーやくんは相変わらずマジメだね!」

 

「体は良くなって、このあいだ退院したんだ!」

 

「そうなんですね、元気になれてよかったです。」

 

「ありがと、でもふたりともごめんね? お兄ちゃんに無理やり連れてこられちゃったんでしょ?」

 

「ま、そうだね。」

 

「でも、ありがたいです......この後の予定もなかったですから。」

 

「...?」

 

「響助、冬弥、咲希! 近況報告もいいが、早く行くぞ!」

 

「司先輩、どこ行くんですか?」

 

「まずはゲームセンターだ!」

 

「あれ、ショッピングモール内じゃあないんですね。」

 

「さあ、行くぞ3人とも!」

 

ゲームセンターか....瑞希をゲームでぼこぼこにした以来だな。

 

...ん?

 

なんだあの人....何か変だな?

 

「なあ、響助.....あの人ちょっと変じゃないか?」コソコソ

 

あ、そんな小さい声も出せたんですね、司先輩。

 

「はい...なんていうか、目つきが変っていうか...」コソコソ

 

「やっぱりお前も、気づいていたか。」コソコソ

 

「...? ふたりともどうしたの?」

 

「いや、何でもないぞ!」

 

「うん、何でもないよ。」

 

「.....?」

 

俺たちは、ショッピングモールからゲームセンター移動しようとした時。

 

「うおおおおおお!!!」

 

「なに!?」

 

「っ!」

 

「っ!?」

 

俺と司先輩が、見ていた男がナイフを取り出し、奇声を上げながら子供に襲い掛かる。

 

くそ、ここからだと、間に合わねえ....仕方ねえ!

 

「させるかよ!!」バスンッ

 

俺は、自分のバッグ放り投げ、そのまま、オーバーヘッドキックで、男に向けて蹴り飛ばした。

 

「ゴハッ!?」ガスンッ

 

男のナイフが、子供に刺さる前に、蹴り飛ばしたバッグが当たり、男は倒れた。

 

「ふー、君大丈夫か?」

 

「う、うん、ありがと、お兄ちゃん!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

よかった、怪我はないか。

 

「司先輩は咲希ちゃんと一緒にいてください! 冬弥は警備員を呼んでくれ!」

 

「わかった!」

 

「ああ....っ!? 城ケ崎!?」

 

「っ!?」サッ

 

「ふー...ふー...」

 

くそ....やっぱこいつ、変だ....まさか!?

 

「うう!!」ブンッ

 

「っ!」サッ

 

くっそ、容赦なくナイフを振り回してくる。

 

「きょーすけくん!!」

 

「俺は大丈夫だ!! 冬弥、早く警備員を!!」

 

「ああ、わかった!」

 

「くっそ...警備員が来るまで食い止めてやる。」

 

「うおお!!」

 

「っ!」サッ

 

動きは単調だが、刺すのに躊躇がない。

 

「くっそ....」

 

悪霊を使うしかねえが...でも能力は数分しか続かねえ...

 

「でも、やるしかねえな!」

 

俺は悪霊を出す。

 

狙うは....こっちに突っ込んできた時だな...

 

「ぐがああ!!」

 

よし、シャボンを生成する。

 

「っ!」サッ

 

パチンッ

 

よし! 触れたな。

 

「今、お前から、意識を奪った...」

 

「があ...」バタンッ

 

「ふー...お?」

 

警備員が来たか。

 

「君、大丈夫か!?」

 

「はい、この人が急に子供を襲い掛かりました。」

 

俺は軽い説明をしてその場を離れた。

 

「きょーすけくん! 怪我はない!?」

 

「ああ、大丈夫だよ、全部よけたからね。」

 

「それより....さっきの奴...もしかしたら、薬を...」

 

「なっ!? ......本当なのか響助...」

 

「いえ、まだわかりませんが....目つきや動きが変だったので可能性としては...」

 

「......」

 

なんでこんなものがシブヤに...

 

「あの...こんな時に何ですが....ゲームセンター行きません?」

 

「少しでも、この空気をはらえると思いますので。」

 

「.......そうだな! 響助の言う通りだ!」

 

「さあ、3人とも、ゲームセンターに向かうぞ!」

 

_______________________________________________

 

「やったー、お兄ちゃんに勝った!」

 

「なにィーーーーー!? そんなバカなァーっ!!」

 

「ふっ....」

 

「ははっ....」

 

「もうお兄ちゃん悔しがりすぎだよー! ふたりに笑われちゃってるよ?」

 

「っ!」

 

「ぐぬぬ....咲希、冬弥、響助! 次は格ゲーで勝負だ!!!」

 

「いいですよ...けど...俺、負けず嫌いなんで手加減しないですよ。」

 

「ああ、望むところだ!!!」

 

_______________________________________________

 

「お兄ちゃんもとーやくんもきょーすけくんも今日はありがとね。」

 

「いいや、こっちこそ。」

 

「こっちも、久々で楽しかったよ。」

 

「......よし」

 

「冬弥、少しはマシな顔になったな。」

 

「え....?」

 

「何があったかは知らんが、またオレを頼ってもいいぞ、もちろん響助もだ。」

 

「お前らは、オレの後輩だからな!」

 

「ふっ....ええ。」

 

「...はい、今日はありがとうございました、司先輩。」

 

_______________________________________________

 

???side

 

「なあ、__明日からなんだよな~」

 

「ああ、でも遊びに行くわけじゃあねぇからな~」

 

「ほ~、その割にはおめえさんも浮かれてるじゃあねえか。」

 

「ば、馬鹿か! ....まあ、はやく調査が終われば、遊びにいきてぇとは思ってるけどよぉ...」

 

「おめえも楽しみにしてんじゃあねぇか。」

 

「...それよりよぉ...__も一緒に行けたらよかったのによぉ...」

 

「しょーがねぇだろ...あいつはまだイタリアだぜ。」

 

「それより__、おめぇ、昔、東京に住んでたって本当か?」

 

「おう、そうだ、でもシブヤには行ったことねぇな。」

 

「なるほどな...とりあえずよぉ、神山高校の周辺にいるらしいぜ。」

 

「おう、__はそいつにあったらどうすんだ?」

 

「そうだな...___さんには、こちらに危害がなければ何もしなくてもいいって言ってたけどよぉ。」

 

「いい奴だったら、シブヤを案内してもらおっかな~。」

 

「やっぱおめぇも、楽しむ気満々じゃあねぇか。」

 

「「わははははははははww」」



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第21話:星

「お、流石に立ち直ったか。」

 

「いや...これでも心は死んでるぞ。」

 

「あ、そう...」

 

「瑞希は.....」

 

「...」チーン

 

「あ、ダメですねこれ。」

 

「つーか、郷秀、何見てんだ?」

 

「これか? RTAだよ。」

 

「RTA? リアルタイムアタックか?」

 

「ああ、このTENMEIっていう人のF-MEGAがすげえ面白くて好きなんだよな。」

 

「F-MEGAって結構前のゲームだったよな...今度みてみようかね。」

 

「すまない、城ケ崎響助はいるか!」

 

「司先輩?」

 

「響助! すまないが、少し場所を移して話すぞ。」

 

「? わかりました。」

_______________________________________________

 

「それで、話ってのは?」

 

「ああ、今さっきニュースで流れていたが、どうやら昨日の男は、本当に薬をやってたそうだ。」

 

「っ!? やはりそうでしたか。」

 

マジかよ...治安が悪いとは思っていたけど、ここまでとはな。

 

「正直....不安だ。」

 

「.....咲希ちゃんの事ですか?」

 

「...ああ、ようやく復学出来たというのに...」

 

「...」

 

_______________________________________________

 

「ふわぁ......」

 

さてと、今日はこのまま帰るか.......いや、この前変え忘れたタピオカ買いに行くか。

 

あんときは、すっかり忘れてたからな...

 

抹茶のやつ食べる?......いや飲むでいいのか。

 

「....あれ?......響助さん?」

 

「ん?......あれ?一歌ちゃんと....?」

 

振り返ると、一歌ちゃんと見覚えがある銀色の髪をした女の子がいた。

 

「君は?」

 

「あなたは...この間は、助けていただきありがとうございました。」

 

この前.....あ!

 

「君は、雫さんの妹さんか。」

 

「はい、日野森志歩って言います。」

 

「二人は友達なのか?」

 

「うん、幼馴染なんだ。」

 

「そっか。」

 

「...あの、響助さん。」

 

「ん? なんだ?」

 

「今、時間ってある? 聞いてほしい話があるの。」

 

「ちょっと、一歌!?」

 

「....うん、大丈夫だ。」

 

「っ! ありがとう!」

 

_______________________________________________

 

俺達は場所を移動し、一歌ちゃんと志歩ちゃんの話を聞いた。

 

「なるほど...つまり、その穂波ちゃんと仲違いになったと。」

 

「そうだね...」

 

「んで、志歩ちゃんは、その穂波ちゃんと喧嘩...でいいのかな?」

 

「...」

 

「なるほどな.....その前には、志歩ちゃんが疎遠になってたのね。」

 

「...うん。」

 

「そうか....ま、一つ言えることは。」

 

「それぞれの優しさからできちゃった仲違いってことかな。」

 

「え?」

 

「志歩ちゃんは、穂波ちゃんの事が大切だから言ったんだよね、本当に優しい人だよ。」

 

「...別に、私は、こんな傷つけるような言い方しかできなった。」

 

「そうかな...俺は、それも大事なことだと思うけどな。」

 

「励ますことだけじゃあなくて、はっきり言うことも大事だよ。」

 

「多分、穂波ちゃんにも響いたと思うよ。」

 

「.....うん。」

 

「...そうだな.....もう本心でぶつかり合ったらいいんじゃないかな?」

 

「ぶつかる?」

 

「うん、言い方はあれだけど、4人で話し合ったらいいんじゃないかな。」

 

「...」

 

「まあ、部外者の俺の言うことだから、別に流してもらってもいいよ。」

 

「...ううん、ありがと、響助さん。」

 

「それにしても、志歩ちゃんの、みんなのこと悪く言われた言い返すって気持ち、わかるなー。」

 

「え?」

 

「俺も、友達の悪口言われたら、半殺しにするもんなー。」ゴゴゴゴ

 

「「...」」

 

「........冗談だよ。」

 

「...いや.....」

 

「響助さんが言うと...冗談に聞こえないよ...」

 

えーひでえなー、俺でも病院送りぐらいにしかしてないよ。

 

「...あ、そうだ志歩ちゃん。」

 

「?」

 

「その...雫さんに伝えてほしいことがあるんだけど。」

 

「伝えたいこと?」

 

「うん、学校にいるときは、なるべく連絡を控えてほしいって。」

 

「え?.....ちょっとまって、響助さん、お姉ちゃんと連絡先交換してるの!?」

 

「え、まあ、その...流れで...」

 

「いや、流れで交換するもんじゃないでしょ。」

 

実際流れだったからなー。

 

「...まあ、そういうことだから、よろしくお願いね。」

 

「...わかった。」

 

_______________________________________________

 

俺は、一歌ちゃん達と別れて、タピオカ屋に向かった。

 

「さてと...抹茶ラテのタピオカドリンクを飲むか。」

 

「...あれ、きょーすけくん?」

 

「うん?」

 

振り返ると、咲希ちゃんがいた。

 

「やっぱり、きょーすけくんだー!」

 

「どうも、昨日ぶりだな。」

 

「きょーすけくんもタピりにきたの?」

 

「タピ?....まあ、そんなところだな。」

 

「そーなんだ! 」

 

「咲希ちゃんは、今日は遅いみたいだけど、なんか部活でもやってるのか?」

 

「うん! ソフトテニス部だよ!」

 

「テニスか...やった事ないな。」

 

「そーなんだ! きょーすけくん、運動神経すごいからやったことあるのかとおもったよ!」

 

「そうか?.......いうてスポーツもやってたっていうと、バッティングセンターでの野球ぐらいだな。」

 

「へー! きょーすけくん、部活とか、バイトとかやってないの?」

 

「どっちもやってないな...部活に関してはいいのがなかった感じだな。」

 

「そーなんだ! アタシはバイトもしようかなって思ってるんだ!」

 

「部活もやってバイトもするか、復学したばっかりなのにすごいな。」

 

「えへへ、これも100のうちの一つなんだ!」

 

「100?」

 

「うん! お兄ちゃんがね、やりたい100のことノートを提案してくれたの!」

 

「へー、そうなのか。」

 

「うん! そのノートのおかげで前向きな気持ちで学校に通えてるんだー!」

 

「ふっ...そうか。」

 

やっぱ、司先輩っていい兄さんだよな。

 

「...あれ? きょーすけくんってどっちもやってないんだよね?」

 

「なんでこの時間なのに制服なの?」

 

「ああ、それはさっきまで、一歌ちゃんと志歩ちゃんと会ってたからだな。」

 

「えっ!? いっちゃんとしほちゃんに!?」

 

「偶然出会ったんだ、そこで色々話してたからこの時間になったって所だな。」

 

「話って?」

 

「うーん、そうだなー...雫さんの事とかかな。」

 

「え? しずく先輩の話?」

 

「うん、その、学校にいるときに電話してくるのなるべく控えてほしいとかね。」

 

「...え!? きょーすけくん、しずく先輩と連絡先交換してたの!?」

 

「まあ、その、色々あってね。」

 

「そ、そーなんだ.......じゃあさ! アタシとも交換しない?」

 

「え、別にいいけど?」

 

「やったー! えへへ、友達の連絡先ふえちゃった!」

 

そっか、入退院を繰り返してたから、あまりそういうことする経験がないのか。

 

「...あ! そうだ!」

 

「どうした?」

 

「お兄ちゃんがね、バイトに合格したの!」

 

「それはすごいな、どんなバイトなんだ?」

 

「ショーのバイトだよ!」

 

「ショーのバイトなのか?」

 

「うん! お兄ちゃんね、昔からスターになるって決めてたんだー!」

 

「スターに?」

 

「うん! 入院してたとき、アタシが寂しくないように、お見舞いきてくれたときは、いっつも、アタシの前でショーをしてくれたんだー!」

 

「そうなのか...」

 

なるほど...その経験があるから、あの性格になったのか。

 

_______________________________________________

 

「じゃあね! きょーすけくん!」

 

「じゃあな、咲希ちゃん。」

 

「......だいぶ連絡先が増えたな...」

 

ま、その中に人気アイドルの連絡先あるのだが...

 

_______________________________________________

 

???side

 

「ここがシブヤかぁー。」

 

「やっぱ杜王町と比べっと、発展してんな~」

 

「じゃあ早速噂の奴を探すのか?」

 

「今日はしねぇよ...まずは___さんが用意してくれたホテルに向かうぞ。」

 

「探すのは明日からだ。」

 

「ふ~んそっか、じゃあ今日は荷物置いたら、おしゃれなカフェでもいこっかな~」

 

「おいおい、俺たちの目的を忘れんじゃあねえぞ?」

 

「わかってるよぉ。」

 



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第22話:狂気の金剛石

「よ、郷秀。」

 

「おお、響助......あれ? 瑞希ちゃんは?」

 

「いや、いつも一緒ってわけじゃあねえよ。」

 

「そうか......ちょうどいいかもしれない。」

 

「ちょうどいい?」

 

「ああ......もしかして瑞希ちゃんって......男の子........なのか?」

 

「........さあな.....んで、お前はどう思ったんだよ?」

 

「どうって.....何も変わらねえよ、瑞希ちゃんは瑞希ちゃんだろ。」

 

「そうか.......そこで気持ち悪いって言ってたら殺すとこだったわ。」

 

「怖っ!?.......俺は人の好きを否定しない人間なんでね.....犯罪に関わること以外は。」

 

「そっか。」

 

_______________________________________________

 

「おっはよー。」

 

「はよ....もう昼だけどな、ようやく立ち直ったのか。」

 

「まーね、これ以上くよくよしていられないしね。」

 

「んー......タイミングいいのやら、悪いのやら。」

 

「え?」

 

「まあその....お前が気にしてることがコイツにバレた。」

 

「....っ!? まさかジョジョ...」

 

「いってねーって、俺は自分に嘘つくのは下手だが、友達の秘密は墓に持っていくぐらい硬いぞ。」

 

「それはそれで.....なんか重い。」

 

「んだとコラ。」

 

「ったく....んで、なんで気づいたんだ?」

 

「まあ何というか....雰囲気?」

 

「雰囲気って、もっと色々あるだろ?」

 

「いやホント雰囲気なんだって、昔から俺、人と話して親しくなると、その人が、どういう人間か、わかるんだよ。」

 

「なにそれきもいな。」

 

「お前後でバラバラにしてやる。」

 

「まーまー....それで気持ち悪いっとか変とか思わなかったの?」

 

「いや、全然、むしろすげえって思う。」

 

「すごい?」

 

「いやだってよー、こんなにめちゃくちゃカワイイんだぞ、相当努力家だよ瑞希ちゃん。」

 

「なに当たり前のこと言ってんだよ。」

 

「//.......まーその....ありがとね郷秀くん。」ニコッ

 

「...........キュン」

 

「いやキュンじゃあねえよ。」

 

「いやキュンってなるだろ、天使か?」

 

「いや待て待て急にどうしたお前。」

 

「いやもうマジ瑞希ちゃんなら.......い」

 

ドゴンッ

 

「ごはっ!? いきなりなにすんだ 」

 

「てめーがその後に言いそうなセリフを先読みしてぶん殴ったんだよ。」

 

「んだとコラ、バラすぞ。」

 

「やってみやがれ。」

 

「まーまー、どーどー.......あはは!二人とも面白いなーっ!」ニコッ

 

「......キュン」

 

「いやだからキュンじゃあねえんだよ。」

 

_______________________________________________

 

「いやー、瑞希ちゃんと一緒に帰りたかったぜ。」

 

「しょうがねえだろ、あいつ今日バイトだし。」

 

「瑞希ちゃん、どんなバイトしてるか知ってるか?」

 

「いや、聞いたことがないから知らん、まぁおそらくはアパレル系かなんかじゃあねえかな。」

 

「そうだったら俺の服見てほしいぜ。」

 

「いや、俺らが着そうな服売ってるのか? あいつのバイト先。」

 

「.......? なあ響助?」

 

「うん? どうした?」

 

「あの人。」

 

俺はリーゼントの男の方を見た。

 

昭和のような改造された学ランを着ており、まさにヤンキー漫画に出るような人だった。

 

ただ顔立ちは男前っていうよりかは、美男って感じだ。

 

「ん? ちょっといいか?」

 

リーゼントの男が俺に話しかけてきた。

 

「なんでしょうか?」

 

「実はよぉー、悪霊が憑いている少年について調べてんだ。」

 

「「え?」」

 

また俺のこと調べてるやつが出てきやがったのか...

 

「...多分俺のことですね。」

 

「え!? グ、グレート...マジかよ。」

 

「マジですね、こいつです。」

 

「この運、宝くじであってほしかったぜ~...」

 

「っとすまん、少し時間あるか?」

 

「ええ、まあ。」

 

「ありますね。」

 

「そうか! ちょっと連れ呼んでくっからよ、ちょっと待ってくれ。」

 

_______________________________________________

 

「おお、見つかったのかよ!」

 

「おう、まさかの一人目だ。」

 

今度はマジでヤンキー漫画で出てきやがった。

 

「なぁ、この辺でゆっくり話せる場所あるか?」

 

「ゆっくり...うーん.....ファミレスとかでいいですか?」

 

「そこで大丈夫だ、助かるぜ。」

 

_______________________________________________

 

「いらっしゃい........ませ..」

 

何やら店員が驚いているが、そりゃそうだ。

 

高身長の4人と二人ほど、どう見てもヤンキーだからな。

 

「4名様ですか?」

 

「はい。」

 

_______________________________________________

 

「すまねえな、シブヤは初めて来たからよぉ~。」

 

「別に大丈夫ですけど、それより、なぜそのことについて調べてるんですか?」

 

「おう、っとその前に、名前言ってなかったな。」

 

「オレは...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東方仗助っつんだ。」

 

「おれは、虹村億泰だ。」

 

「仗助さんと、億泰さんか、俺は、城ケ崎響助です。」

 

「宝来郷秀です。」

 

「響助に、郷秀か....おめーらはこいつが見えるか?」

 

仗助さんはそういうと、仗助さんの背後から悪霊が出てきた。

 

「「っ!?」」

 

「その反応を見るに、やっぱおめーらはスタンド使いってことか?」

 

「すたんだ?」

 

「...? おめーらはスタンド自体を知らねえのか?」

 

「は、はい。」

 

「そうか、じゃあ、簡単に説明すっけどよ~」

 

幽波紋(スタンド)っつーのはよぉ、精神エネルギーが具現化したものなんだ。んで、スタンドを宿してるやつ、スタンド使いっつーんだけどよ、そいつら同士じゃあねえと、スタンドは見えねー。」

 

「精神エネルギーの具現化。」

 

「そう、んでスタンドにはそれぞれに能力があるんだ。」

 

「オレの場合、この、クレイジー・ダイヤモンドは物を直すことができるんだ。」

 

「物を直す?」

 

「おう、壊れたものや、傷を治せたりできる、自分には使えねぇけどよぉ。」

 

「そうなんですか。」

 

自分に使えないって所は俺の能力に似てるな。

 

「おれのサ・ハンドは、右手で空間を削れるんだ!」

 

「え! 空間を...ですか?」

 

空間を削るとかアリかよ...

 

「響助と、郷秀の能力はなんだ?」

 

「俺のソフト&ウェットは、シャボン玉を生み出して、シャボン玉に触れたものから特定なものを奪うことができます。」

 

「特定なもの?」

 

「はい、重さを奪うとか、硬さを奪うとかですね。」

 

「へぇー、結構汎用性がある能力かもしれねぇな。」

 

「郷秀は?」

 

「俺は、ネジやナットを生み出す能力です。」

 

「え、それだけなのか?」

 

「いえ、それを相手に取り付けて、他の物を付けたり、ばらしたりできます。」

 

「うお....思ったよりエッグい能力だなぁ...」

 

「いや、おめーの空間を削る能力もエグイだろ。」

 

「...ていうか、郷秀は、スタンドに名前つけてないのか?」

 

「名前か....そういや考えてなかったな...........あ、そうだ。」

 

「ナット・キング・コールにするか。」

 

「どっからでたのその名前。」

 

「昔、父さんが好きだった歌手からとった。」

 

「なるほどな。」

 

「...てかお前はどう決めたんだよ。」

 

「俺は....そういや瑞希に決めてもらったな。」

 

「なんだと!? てめえ、羨ましいぞ!」

 

「いや、あいつが勝手につけたんだから知らねえよ。」

 

「........本題、はいっていーか?」

 

「「あ、はい。」」

 

「おめーらは、この矢を見た事ねーか?」

 

そういうと、仗助さんは一枚の写真を見せてくれた。

 

「...これは?」

 

「スタンドの矢って奴だ。」

 

「スタンドの矢?」

 

「おう、こいつで射抜かれた奴は、スタンドを発現することができっけど、発現しなかった奴はそのまま死んじまうっつーとんでもねー矢だ。」

 

「んで、7本の内、1本だけまだ見つかってねーんだ。」

 

「マジか....こんなヤバいものがあるんですね。」

 

「んで、おめーらは、この矢見た事ねーか?」

 

「いえ、俺は見た事ないです。」

 

「俺もです。」

 

「そっか~、つーことはおめーらは、自然に発現しったっつーことか。」

 

「そうですね。」

 

「つーことは、ん~...振り出しっつーことかね~。」

 

「...あの、仗助さんはなぜ、その矢を追ってるんですか?」

 

「ん? ああ、こいつはよ~、とある方に言われて、追ってるんだ。」

 

「とある方?」

 

「おう、その人っつーか、スピードワゴン財団っつーとこからさ。」

 

「スピードワゴン財団?」

 

「郷秀、お前は知ってるのか?」

 

「そりゃあ、色々興味ないお前と違って知ってるわ。」

 

「ああ?...んでそのスピードワゴン財団って何なんだ?」

 

「世界有数の総合研究機関だぞ、基本的には医療分野の事業を主軸してるらしいけど。」

 

「へー。」

 

「...なあ、仗助さん。」

 

「ん? どーした郷秀。」

 

「実は、響助と会う前に、一度だけ、俺以外のスタンドを使いを見たことあるんです。」

 

「っ!? マジか!」

 

「はい、ただ結構前で、スタンド自体も本体自体もしっかり見えてないんですけど。」

 

「いや、それでもいい、教えてくれねーか!」

 

「...わかりました。」

 

郷秀は、8年前に起こったことを仗助さんに話した。

 

「...んなことがあったのかよ...」

 

「...はい。」

 

「でも、有力な情報だ...しばらくはシブヤで探ることになりそーだな。」

 

「...響助、郷秀、おめーらに、頼みたいことがあんだけどよー」

 

「どうしました?」

 

「おめーらも、この矢を探ってくれねーか、オレも億泰も、シブヤはそんなに詳しくねーからよー。」

 

「...はい。」

 

「けど、やべーって思ったらすぐ逃げるんだ。」

 

「...わかりました。」

 

「んじゃ、連絡先交換するか。」

 

「わかりました。」

 

俺は仗助さんたちとついでに郷秀の連絡先を交換した。

 

「...ん? 17歳?」

 

「おう、そーだな、オレ達、高校3年生なんだ。」

 

「え!? もう少し上かと思いました。」

 

_______________________________________________

 

「じゃーな、響助、郷秀!」

 

「はい!」

 

「...なぁ、郷秀。」

 

億泰さんが郷秀に話しかける。

 

「おれもよぉ...家族失ったことあっからよぉ、おめーの気持ちすっげわかんだよ。」

 

「だからよぉ...もしなんかあったらよぉ、遠慮なく相談してくれよぉ。」

 

「...はい、ありがとうございます。」

 

_______________________________________________

 

仗助side

 

「おいおい、億泰よぉー、おめー、いい後輩持ったから、先輩面してぇことかーw」

 

「それもあっけどよ~、郷秀の顔がよぉー、音石時のおれに似てた気がすっからよー。」

 

「.....敵討ちっつーことか。」

 

「おう、おれの時は、おやじはいたからよかったけどよー。」

 

「あいつは、全員殺されたからよぉ~」

 

「なんつーか、目が離せねーつーか。」

 

「...そーだな。」

 

_______________________________________________

 

響助side

 

「なぁ、郷秀。」

 

「ん?」

 

「お前はやるのか、スタンドの矢のこと。」

 

「...当たり前だろ、奴に近づけるチャンスかもしれねえんだ。」

 

「...お前がやらなくても、俺はやるぜ。」

 

「...フッ.....誰がやらねえって言ったよ。」

 

「は?」

 

「俺もやるよ、スタンドの矢を探すの。」

 

「お前、死ぬかもしれないんだぞ。」

 

「...お前はその死ぬかもしれないのをやるんだろ、だったらお前のダチとして、見逃せねえよ。」

 

「...そうか。」

 

「ま、それもあるけどよ、なにより周りに被害が出るかもしれねえからな。」

 

「俺としてもそれは避けたい。」

 

「...ああ、そうだな。」

 

...身内に手を出す奴は....俺の敵だ。

 

「....ん? あれ!? ジョジョと郷秀くん!」

 

「ん? 瑞希か?」

 

遠くの方から、瑞希が手を振っている。

 

「おお! 瑞希ちゃ~ん!!」ダッ

 

「うおっ...やれやれ。」

 

温度差スゲーなあいつ.....

 

ま、どっちもあいつなんだろうけど。

 



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第23話:響助、宮女に行く。

「さてと...久々にあそこに行くか。」

 

「おい、ミク。」

 

『やっほー、響助!』

 

『...なんか、三週間くらい、放置されてた気がするんだけど?』

 

「気のせいだろ、そんな経ってねえよ。」

 

「...とりあえず、オレをそっちの世界に飛ばしてくれ。」

 

『はいはいー。』

 

俺は白い光に包まれた。

 

「...っと、こっち来るのも久しぶりだな。」

 

「...あれ? なんか建物増えてるな?」

 

「うん、響助が来ない間にかなり増えてたよ。」

 

「そうなんだな、どうせ俺は入れないんだろうけどな。」

 

「響助? なんで急にこっちの世界に来たの?」

 

「っとそうだった、ミクはこの矢を見た事ないか?」

 

「ん-....いや見た事ないよ?」

 

「そっかー...」

 

「...これはなんなの?」

 

「これはスタンドの矢って奴なんだ。」

 

「すたんど?」

 

「ああ、どうやら、俺が悪霊って言ってた奴がスタンドって言って、それを発現させられる可能性がある矢なんだ。」

 

「可能性?」

 

「ああ、もし発現させられなかったらそのまま死んじまうもんなんだよ。」

 

「え!? それってかなりまずいものだよね。」

 

「ああ、俺も最近とある人の話で知ったんだ。」

 

「そうなんだ...こっちの世界では聞いたことないよ。」

 

「そっか...」

 

「...てか、響助......この世界を物置だと思ってないかな~?」

 

「え?...別にそんなに置いてないだろ?」

 

「いや、この木刀とか、絶対邪魔だったから置いてるでしょ!」

 

「いやそれは、もしもの時のためにあるのよ。」

 

「...もしもの時なんてないでしょ?」

 

「いや分からないよ? 急に大勢で俺を襲い掛かる可能性があるんだから。」

 

「ええ...」

 

「未来なんてわかんねえし、過去は変えれねえ、今を全力で生きるために、必要なものなんだよ。」

 

「...その心がけはいいけど、それでも木刀は必要じゃないでしょ。」

 

「別に俺の想いの世界なんだからいいじゃん。」

 

「私の世界でもあるんだけど!」

 

「はいはい...なるべく物をそっちに送らないようにするよ。」

 

「...やっぱ帰るときは、ミクが触れないと帰れないのか?」

 

「んー....そうだ! ちょっとスマホ貸して?」

 

「え、はい。」

 

「...」

 

ミクが俺のスマホを受け取ると、スマホが白い光に包まれた。

 

「はい!」

 

「えーっと、なにしたの?」

 

「スマホの画面を見てみて。」

 

「...ん? 新しいアプリケーションが追加されてる。」

 

「untitledって奴を押せばここに行き来できるってことか?」

 

「そう! 早速試してみて。」

 

「おう。」

 

俺はuntitledを押すと、この世界に来た時と同じ光に包まれた。

 

「お、ホントに戻ってこれた。」

 

『そのアプリを押すと、いつでも行き来できるよ!』

 

「これは便利だな。」

 

_______________________________________________

 

「...お、冬弥じゃあねえか。」

 

「城ケ崎?」

 

「どうだ? 相棒とは仲直りしたのか?」

 

「......」

 

これはしてねえな。

 

「...ま、お前は頭固いからな、あんま考えすぎるなよな~」

 

「...」

 

_______________________________________________

 

「ねぇー、ジョジョは最近見てるアニメとかないの?」

 

「アニメか....最近見てるの昔の奴だからなー、最近のはあまりしらねえな。」

 

「昔か~、何の作品?」

 

「シ〇。ー〇〇ターだな。」

 

「あー、なんか実写映画が良かったやつねー」

 

「普通にアニメも面白いから見てみなよ。」

 

他愛のない話をしていると、後ろから声をかけられた。

 

「...ねえ、瑞希、郷秀、少しだけ響助借りてもいい?」

 

「いや、杏ちゃん...俺は物じゃあねえぞ。」

 

「いいよー! ちゃんと返してよねー。」

 

「ナチュラルに物扱いされたんだけど。」

 

「別に永久に返さなくてもいいぞー」

 

「よし郷秀、後で一発ぶん殴る。」

 

_______________________________________________

 

「...んで? 何の用だ、杏ちゃん?」

 

「響助は、イベントが台無しになった話覚えてる?」

 

「ああ、なんか音が止まったとかのやつね。」

 

「あれさ、響助が思ってた通り、彰人たちは関係なかったの。」

 

「誰かに聞いたのか?」

 

「うん、音を止めた人から聞いたの、彰人たちは関係ないって。」

 

「そっか...んで、それだけじゃあないんだろ?」

 

「うん、こはねと一緒に、冬弥と話したいの!」

 

「ん?...こはねちゃんって宮女だろ?」

 

「うん、ホントはこはね1人でも来れるって言ってたんだけど。」

 

「最近のニュースで心配で...」

 

「ああ、薬のやつか。」

 

「そう、ホントは私が行くべきなんだけど、風紀委員の仕事がはいちゃって。」

 

「なるほど。」

 

「だから、響助が迎えに行ってほしいの....お願い!」パンッ

 

「...わかったよ、宮女に迎えに行けばいいのか?」

 

「うん!ありがとね!響助!」

 

_______________________________________________

 

「あ、おかえり〜、ジョジョ、何だったの?」

 

「え、ああちょっと頼まれごとでな、今日は一緒に帰れないわ。」

 

「え、なんでだ?」

 

「ちょっと宮女に迎えに行かないと行けなくなっちゃったんだ。」

 

「え?」

 

「詳しく...... 」

 

「説明しろ。」

 

「今、俺は冷静さを欠こうとしている。」

 

「いやいや待て待て、何でだよ。」

 

「何でだよ、じゃあねえよ!何でお前がお嬢様学校なんかに!」

 

「いや別に、杏ちゃんの友達を迎えに行くだけだぞ。」

 

「あ、杏が話してる小豆沢さんのこと?」

 

「そうそう、なんかニュース見て、不安だから、迎えに行ってくれないかって。」

 

「なっるほどね~、確かにあのニュースはね。」

 

「つーことで、今日は2人で帰ってくれ。」

 

「はいはい~」

 

「瑞希ちゃん、何があっても俺が守りますよ。」キリッ

 

「...あ、そうだ郷秀。」

 

「ん?」

 

『オラッ!!』

 

俺はスタンドで、郷秀の腹をぶん殴った。

 

「ごはぁっ!?」ゴスンッ

 

「言ったろ、一発ぶん殴るって。」

 

「て...てんめえ~...」

 

______________________________________________

 

「確かここだったよな宮女.....ん?」

 

あれ、そういや俺、こはねちゃんの連絡先知らねえじゃん。

 

やっべ〜どうしよ、杏ちゃんに....いや風紀委員の仕事中か...あ!

 

そうだ、確かみのりちゃんと同じクラスだったな。

 

「えーと....これだ。」ピッ

 

プルルッ

 

ガチャッ

 

『もしもし、響助くん?』

 

「あ、みのりちゃんか? ちょっと頼みたいことがってさ、いいか?」

 

『うん!大丈夫だよ! 』

 

「こはねちゃんに迎えに来たよって伝えてくれないかな?」

 

『わかった! こはねちゃんに伝えておくね!』

 

「うん、ありがとう。」

 

ピッ

 

さてと、向かうk

 

「わんだほ~い!」

 

「うおっ....なんだ?」

 

わんだほい....なんじゃそりゃ?

 

ん? よく見たらあの制服宮女だな。

 

「なぁ、君少しいいか?」

 

「はい! どうかしましたか!!」

 

元気な子だな...

 

「宮女ってここであってるか?」

 

「うん! そうだよ!」

 

よかった、あってたみたいだ。

 

「助かった、ありがとう!」

 

_______________________________________________

 

「...」

 

ん~...気まずいな。

 

いやだってね、こんな高身長の男が女子校の前に待ってる絵面どうよ....

 

絶対何かあるって思われるよね。

 

「...ん?あれ、きょーすけくん!?」

 

「お、咲希ちゃんに、一歌ちゃん、志歩ちゃんと...」

 

見たことない人だな...あれが穂波ちゃんかな。

 

「響助さん、どうしたの?」

 

「待ち合わせ。」

 

「それより、仲直りはできたみたいだな。」

 

「うん。響助さんやいろんな人のおかげでね。」

 

「君が穂波ちゃんでいいのかな? 俺は城ヶ崎響助。」

 

「はい、望月穂波です。」

 

「穂波ちゃん、いい友達に巡り会えたな。」

 

「...はい!」

 

「あの、響助さん、ここで待たない方がいいかも。」

 

「え、なんで?」

 

「いやだって、ここだとおねえ「あら! しぃーちゃんに、きょーちゃん!」....おそかった。」

 

「ああ.....まあいいか。」

 

「きょーちゃん、元気?」

 

「元気ですよ。」

 

「よかったわ~、しぃちゃんから連絡を控えてほしいって言われた時は、何かあったのかと思って心配だったの。」

 

「...随分とお姉ちゃんに懐かれてるけど、何かあったの?」

 

「いやあ...別に大したことしてないけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

「...? どうしたの朝比奈さん?」

 

「...ううん、なんでもないよ!」

 

_______________________________________________

 

「ごめんね響助くん、遅くなっちゃって。」

 

「いいよ、それじゃ行こうか。」

 

「杏ちゃん、心配性だなぁ。」

 

「まあ、あのニュースが流れりゃあ、杏ちゃんなら心配すると思うぞ。」

 

「あ...そうだね。」

 

「実際やばかったからな、ナイフで子供刺そうとしたし。」

 

「え? 響助くん、その場所にいたの?」

 

「うん、ていうか子供助けたの俺。」

 

「え!? 怪我はないの!」

 

「うん、子供も俺も怪我はないよ。」

 

「よ、よかった...」

 

「...そういや、冬弥となに話すんだ?」

 

「え、それは...」

 

「もう一度、彰人と一緒に歌ってほしいとかか?」

 

「えっ!? なんでわかったの?」

 

「まあ、なんか冬弥と彰人様子が変だったからかな。」

 

「うん......お節介かな。」

 

「いいんじゃあないの、ただアイツ頭固えからな~」

 

「うん...」

 

_______________________________________________

 

「本当に来てもよかったのかな?」

 

「まぁ...風紀委員がいいって言うんだからいいんじゃあないの?」

 

「あ! こはね! 響助!」

 

「よ、仕事は終わったのか?」

 

「うん! 今ちょうど終わったよ。」

 

「杏ちゃん、本当に大丈夫なの? 私、違う学校なのに...」

 

「バレなきゃ大丈夫! うちの学校、交流試合とかで、他の学校の子よく来るし。」

 

「というか、バレてもばっちり誤魔化す!」

 

...風紀委員の言うことじゃあねえな。

 

「冬弥、呼んでこようか?」

 

「うん、お願いできる?」

 

「了解、それやったら俺帰るよ。」

 

「うん! ありがとね響助!」

 

「ありがとう、響助くん。」

 

_______________________________________________

 

「よっ、冬弥。」

 

「城ケ崎か?」

 

「杏ちゃんが校門で待ってるぞ。」

 

「...白石が?」

 

「ああ、じゃあ俺はこれで。」

 

「...」

 

_______________________________________________

 

「さてと、買い物して帰るか。」

 

...そういや最近、新しいスーパーが出来たんだっけ?

 

なんか業務用ってきな感じだけど、一般客も大歓迎って書いてあったな。

 

そこ行ってみるか。

 

_______________________________________________

 

ここか...そういや、チラシで見たけど、なんか冷凍のポテトが安いんだっけ?

 

...奴には見つからないようにしねえt

 

「あ、ジョジョ!」

 

「あ。」

 

...

 

「...ふ~ん。」ニヤッ

 

あ、これ嫌な予感。

 

「ジョジョ~、ポテト奢って!」ニコッ

 

瑞希がカワイくおねだりする。

 

こいつは自分のカワイイポイントを理解している。

 

カワイイが...俺の答えは決まっている。

 

「嫌だが。」

 

NOだ!

 

「ええ!? いーじゃん!! 減るもんじゃないし!」ブンッブンッ

 

「俺の金は減ってるんですが。」

 

「でないと類と郷秀くんに『ジョジョにいじわるされたー』って言っちゃうぞー!」

 

それはまずいな...

 

「はぁ....わーった、ただし、俺の買い物付き合えよ。」

 

甘いね...俺。

 

「やったー! じゃあさっそく、レッツゴー♪」

 

「おい待てって......ふっ...ったく。」

 

まあ、あいつが楽しそうだからいいか。

 

_______________________________________________

 

「...え?ジョジョそれ...」

 

「え、しめじだろ?」

 

「そっか...」

 

「...お前、苦手なの?」

 

「うん、あのグニって言う食感がちょっとね...」

 

「へー......今度、お前んちにアツアツのきのこスープ差し入れとくわ。」

 

「ぜっっったいやめてよね!! ホントに二人に言っちゃうぞ!!」

 

「へいへい...」

 

「そういうジョジョはどーなの?」

 

「嫌いなもの? 俺だってあるぞ、人間なんだから。」

 

「なに?」

 

「熱したアボカド。」

 

「わ~お、思ったよりマニアックな物だねー。」

 

「生アボカドは好きなんだけどな。」

 

_______________________________________________

 

さてと、買うものはこれぐらいだな。

 

...つか、瑞希の奴、どこ行った?

 

「ん-...よいしょっと。」

 

...んー?

 

「...瑞希ちゃん? これはなんだい?」ニコッ

 

「ポテトだよ!」

 

「そっかそっか、ちなみに何キロだい?」

 

「んー、1袋1キロだから、5袋で5キロだね!」

 

「そっか...君から摩擦を奪って、永遠に滑っていくか、4キロ返すかどっちにする?」ニコッ

 

「...ひえ.....4キロ返してきまーす...」ゾクッ

 

...馬鹿じゃあねえの。




城ケ崎響助 追加情報

嫌いな物:熱したアボカド

身長:184㎝

趣味:動画作成 料理 ゲーム 漫画

血液型:不明

好きな飲み物:コーラゼロ

響助にもセカイがあるが、もっぱら倉庫代わりになっていて、ミクに叱られてる。

本来は、楽曲「untitled」を流して行き来するが、

響助の場合は、untitledっていうアプリで行き来ができる。
_______________________________________________

宝来郷秀 設定

スタンド:ナット・キング・コール

命名:宝来郷秀

現段階では、本来の本体、東方常秀と同じ能力。

「ネジ」を創り出す能力

8年前に、奴に家族を殺された。

男女問わず、カワイイ子が好き。

恋愛的な意味ではなく、アイドルに対する好きである。

好きなもん好きで何が悪いんだっという思考。

瑞希のセコム。


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第24話:言葉という凶器

ふわぁ....6時か...早く起きすぎたな。

 

...今日は自分で弁当作るか。

 

「さてと...キッチン行くか。」

 

_______________________________________________

 

「さて、食うか。」

 

「あれ? それ、お弁当?」

 

「ああ、自分で作った。」

 

「へー...ボクも食べてみたいな~...なんてね。」

 

「...別にいいぞ。」

 

「え!? てっきり断れるかと思ったよ。」

 

「まあ、弁当の一つや二つ、作るの変わらねえからな。」

 

「やったー! ジョジョってツンデレみたいな所あるよね♪」

 

「...やっぱ作るのやめようかな。」

 

「ああ!? ごめんなさい! 作ってください! ジョジョ様!」

 

「...ったく。」

 

_______________________________________________

 

今日は一人で帰れるな、

 

瑞希はバイト、郷秀が...どっか行った。

 

「...そうだ、久々にWEEKEND GARAGEに行ってみるか。」

 

さてと、向かうか。

 

「や、やめてください!!」

 

ん?

 

「いいじゃん別に、少しだけだから。」

 

「私、行かないといけない所が!」

 

「少しだけだから、それに君、ASRUNの元メンバーの...」

 

...ったく、シブヤはホントに治安が悪いね~。

 

「なぁ、あんた。」

 

「あ?」

 

「その子嫌がってるし、行かないといけない所あるんだろ、お前もうフラレてんの。」

 

「...さっきから何? アンタ?」

 

「ん~、趣味で害虫駆除してる男だ。」

 

「はは...なめてんじゃねえぞ!」ブンッ

 

「おっと。」パシッ

 

殴りかかってくるが、それを受け流す。

 

「なっ...この!」ブンッ

 

「よっと。」パシッ

 

再び殴りかかるが、それを受け流す。

 

「っ!? な、何なんだよてめえ...」

 

「さっきも言っただろ、俺は趣味で害虫駆除してるって、ああ、あと。」

 

「その子を人質にでもしようとするなら...容赦しねえぞ。」

 

「っ!?.....この野郎!」ゾクッ

 

「ほっ。」パシッ

 

単調な攻撃を受け流す。

 

「っ!?」

 

「おい。」ブンッ

 

奴の顔面に蹴りを...

 

「ヒィッ!?」

 

寸前に止めた。

 

「...」バタッ

 

「あらら、気ぃ失っちゃったよ。」

 

「あ、あの!」

 

「うん、ああ、君大丈夫か?」

 

「は、はい、助けてくれてありがとうございます。」

 

「いいって。」

 

ブッー

 

「ん、ちょっとごめん。」

 

...みのりちゃんか?

 

「...はい。」

 

『あ、響助くん?』

 

「ん、どうした?」

 

『遥ちゃんのことなんだけど...』

 

「...遥ちゃんのこと?」

 

「...え?」

 

『うん、あの日以来、学校でも暗い顔してる時があるの...響助くんはなにか知らないかな?』

 

「いや...俺も遥ちゃんのことよく知らないからな...役に立たなくてすまん。」

 

『ううん、急に電話しちゃってごめんね!』

 

ピッ

 

「っと悪いね。」

 

「いえ....一つ聞いてもいいですか?」

 

「え? いいけど。」

 

「さっき話してた、遥ちゃんって、桐谷遥ちゃんですか?」

 

「え、そうだけど...君は?」

 

「...少し話したいことがあるんです。」

 

_______________________________________________

 

俺達はファミレスに移動した。

 

「えーと真衣ちゃんだっけ...つまり君は、ASRUNの時に遥ちゃんと一緒にやってたと。」

 

「はい。」

 

「そうか...俺は城ケ崎響助だ。」

 

「君が宮女に向かおうとしたのって、遥ちゃんに会うためか?」

 

「...はい。」

 

「...でも、辞めたとはいえ、連絡先ぐらいはあるんじゃあないのか?」

 

「その...電話でも、メッセージでも、上手く伝わられないと思いまして...」

 

「そっか、直接言った方が伝わりやすいもんな。」

 

「......あのさ、真衣ちゃん。」

 

「はい?」

 

「その...そこまでして伝えたいってことは、何かしら事情があるのか?」

 

「........私、遥ちゃんに謝りに来たんです。」

 

「謝る?」

 

「はい...私のせいで、遥ちゃんは、アイドルを辞めちゃったから。」

 

「なに....それってどういうことだ?」

 

_______________________________________________

 

俺は、今に至るまでの、情報を真衣ちゃんから聞いた。

 

「そんなことが...」

 

だから、遥ちゃん、あの時資格がないって言ってたのか。

 

「...ずっと、後悔していました。」

 

「遥ちゃんは私に...何度も希望をくれていたのに...」

 

「あこがれの人で、一番大切な友達なのに....なのに......あんなことを言って..」

 

真衣ちゃんは、泣くことをこらえて、ぽつぽつと呟いた。

 

「謝ってもどうしようもないかもしれません...それでも、私は、遥ちゃんに謝らないとけないんです...」

 

「そっか....ねぇ、真衣ちゃん。」

 

「はい?」

 

「今から厳しいことを言うけど.....いいかい?」

 

「...はい。」

 

「君が、遥ちゃんの言った言葉は、言ってしまえば凶器なんだ。」

 

「言葉ってのは、時には凶器にもなるし、呪いにでもなる。」

 

「どんなに頑丈な鎧があろうともそれを貫通しちゃうんだ。」

 

「実際、それで自ら命を絶ってる人はいるんだ。」

 

「君が、遥ちゃんにしたことは、それぐらいの事なんだ、それだけは忘れないでくれ。」

 

「......はい。」

 

「そっか...でも、反省はしてるしね、協力するよ。」

 

「自分が犯したことを謝るって相当勇気がないとできないことだよ。」

 

「...響助さん。」

 

「俺は、反省してる人を見捨てないよ。」

 

「...ありがとうございます。」

 

「ちょっと待ってて、俺よりも詳しい人いるからね。」

 

「詳しい人?」

 

さて、誰にかけるかな。

 

→雫さん←

愛莉さん

みのりちゃん

 

雫さんに連絡するか、アイドルの事だったらわかるかもしれない。

 

...いや待て、すぐに話題に移行できるか?

 

俺からかけるのは、初めてだから、その前の会話が長そうだな...

 

...他の人にするか。

 

雫さん

→愛莉さん←

みのりちゃん

 

よし、愛莉さんがいいかもしれないな、遥ちゃんのことよく知ってるかもしれない。

 

...ん? ちょっと待て、俺、連絡先交換してないな...

 

...他の人にするか。

 

雫さん

愛莉さん

→みのりちゃん←

 

...そうだ、みのりちゃんだ、確か...遥ちゃんの大ファンだったんだっけな。

 

ピッ

 

プルルッ

 

『もしもし、響助くん?』

 

「みのりちゃんか? 度々すまんな。」

 

『いいよ別に! どうしたの?』

 

「遥ちゃんの事なんだけど、ちょっと進展があってね。」

 

『え! ホント!?』

 

「ああ、えーと、遥ちゃん近くにいる?」

 

『えっと...遥ちゃんはもう帰っちゃって...今は日野森先輩と桃井先輩と一緒だよ。』

 

「そっか...ちょっとあってほしい人がいるんだ、できれば、雫さんと愛莉さんと一緒がいいかな。」

 

「雫さん?...愛莉さん?」

 

『え...? わかった!、どこに行けばいいかな?』

 

「〇×て言う、ファミレス...そこに来てくれないか?」

 

『〇×だね! わかったよ!』

 

ピッ

 

「...あの響助さん。」

 

「ん?」

 

「その...雫さんと愛莉さんってもしかして...」

 

「...多分、君が思っている人だよ。」

 

「...響助さんって、何者なんですか...」

 

「いや、普通の高校生だと思うけど...ただ奇妙な縁ができただけで。」

 

「そう...なんですか...え、高校生なんですか?」

 

「うん、高校1年生だよ、これ、制服。」

 

「私よりも、上だと思ってました...」

 

「まあ...身長高いからね、よく勘違いされるよ。」

 

_______________________________________________

 

「...っと来たかな。」

 

「...! あ、響助くん....え!?」

 

「...みのりちゃん、声のトーン落としてね。」

 

「あ、ごめん! どうしてここに真衣ちゃんが!?」

 

「偶然出会ったんだ、んで会ってほしい人がこの人。」

 

「偶然すぎるよ響助くん!」

 

「さて、俺はもど」

 

「あ! きょーちゃん!」

 

「あ、どうも雫さん。」

 

「もー! みのりちゃんから聞いたわ、私も連絡先交換してるのに...」

 

「いや...だって...ねえ...」

 

「はいはい...雫、響助が困ってるからやめなさい。」

 

「響助、あってほしい人って...え?」

 

「ちょ、ちょっとアンタ、その子って...」

 

「はい、元ASRUNで、遥ちゃんの友達の真衣ちゃん。」

 

「それじゃ、俺は帰りますね。」

 

「え!? きょーちゃんは帰っちゃうの?」

 

「いやだって、ここから先は、俺は関係ないと思いますけど?」

 

「...ま、そうね...ありがと響助。」

 

「いえ、大したことしてないですよ、それじゃあ。」

 

「ええ!? ホントに行っちゃうの、きょーちゃん!」

 

_______________________________________________

 

さてと、どこ行こうとしてたんだっけ。

 

...ああ、そうだ、WEEKEND GARAGEに行こうとしてたんだ。

 

「...あれ? 響助か?」

 

「...ん? 郷秀?」

 

「お前、どこ行ってたんだ?」

 

「ああ、ちょっと...調査をな。」

 

「...矢のことか。」

 

「ああ、ただ、最近変なことなかったかって聞きまわってた。」

 

「そっか...感触は?」

 

「いや...まったく、色々まわって疲れたぜ。」

 

「なるほど、これからWEEKEND GARAGEに行くがお前もいくか?」

 

「WEEKEND GARAGE..? なんだそりゃ?」

 

「杏ちゃんの父さんが経営してる店だよ、杏ちゃんもお店の手伝いしてる。」

 

「早速行こう、杏ちゃんを見て癒されたい。」

 

「いや、判断が早いなおい。」

 

_______________________________________________

 

「へー、こんなところにあるのか。」

 

「ああ、雰囲気あるよな。」

 

ガヤガヤ

 

「ん、なんだ?」

 

「なんか人だまりが出来てるな。」

 

「そんな数じゃあないけどな、ちょっと行ってみるか。」ダッ

 

「りょーかい。」ダッ

 

俺達は、人だまりが出来ている方に向かった。

 

「...っ! お前らそこをどいてくれ!!」

 

「んなことさせると思うのか?」

 

「...ん?あれって...」

 

「ん、知り合いか?」

 

「ああ、東雲彰人って奴だ...何してんだアイツ?」

 

なんか相当焦ってるな。

 

「っ! オレはアイツと話さねえといけねえのに!!」

 

...なるほどね。

 

ダッ

 

「あれ? 響助?」

 

「っよ、彰人。」

 

「お、お前は、城ケ崎!?」

 

「...こいつらどうしたの?」

 

「知らねえよ...急に来やがったんだ。」

 

「ふーん、なんでこいつ狙ってんの?」

 

「...大した実力もねえのに、この辺でデカい顔してムカついてんだよ!」

 

「つまり嫉妬ってことね、んで、こいつを袋叩きと...いやあくっだらないね~。」

 

「...なんだと?」

 

「あのな、確かにこいつは、聞いてもないのに勝手に判断する奴だけどよ、夢はしっかり持ってんだよ。」

 

「嫉妬で、大勢で袋叩きするクズなお前らより、彰人の方が立派だろ。」

 

「...てめえ。」

 

「おい、彰人。」

 

「な、なんだよ。」

 

「お前、冬弥の所に行くんだろ。」

 

「っ! 何故それを。」

 

「ふっ...お前、意外と顔で分かりやすいぜ。」

 

「さ、ここは俺に譲って早く相棒の所行けよ。」

 

「だが、それじゃお前が!?」

 

「...お前の相棒を引き留めるのは誰だ?」

 

「はあ?」

 

「...俺は、お前の相棒を引き留めることは出来ねえけど、こいつら引き留めることは出来る。」

 

「...アイツを引き留められるのは、アイツの相棒のお前しかいねえんだぞ。」

 

「っ!」

 

「...本気で『RAD WEEKEND』を超えたいなら、こんなところで大事な相棒を失いたくないだろ。」

 

「...」

 

「だったら、ここは俺に譲って、さっさと行け!」

 

「っ!.......すまねえ!!」ダッ

 

「通すと思ってrガハッ!?」

 

彰人を止めようとした奴がぶっ飛ばされる。

 

「おいおい、水臭いぜ、響助。」

 

「郷秀?」

 

「おいおい、ずいぶんかっこつけてくれるじゃねえか、てめえら。」

 

「ええ、常にカッコいい自分でいたいんですよ。」

 

「カッコよくねえと、カワイイ子にモテないんでね。」

 

「...あまり調子乗るじゃねえぞ。」

 

「...お前まで巻き込まれたぞ郷秀。」

 

「へへっ、俺も少し暴れたい気分なんでな。」

 

「あっそ、まあ、ウォーミングアップぐらいにはなりそうだな。」

 

「おや、お前も暴れたい気分だったのかい?」

 

「...まあ、そうだな。」

 

「くだらねえ話してんじゃねえよクソガキが! お前ら、やるぞ!」

 

「やれやれ...」

 

「...ふっ。」

 

「「覚悟しとけよ」」

 

_______________________________________________

 

「...こはね~!! いつでも私に頼っていいんだからね~!」

 

「わっ! 苦しいよ~、杏ちゃん~!」

 

「たくっ...のんきな連中だな。」

 

「だが、素直に気持ちを伝えあうのはいいことだ。」

 

「お前がそれを言うのか........っ!!」

 

「え、どうしたの彰人?」

 

「...オレ、行かねえと!」

 

「ど、どうしたの東雲くん?」

 

「...ここに来る前に、大勢の奴らに襲われかけたんだ。」

 

「え!? 東雲くん怪我は?」

 

「オレは大丈夫だ...ただ。」

 

「そん時庇ったのが、城ケ崎だったんだ。」

 

「えっ!?」

 

「城ケ崎が...」

 

「嘘でしょ響助....早く行かないと!!」

 

ガチャッ

 

カランカラン

 

「...あれ4人ともいるじゃん?」

 

「「「「城ケ崎」」(響助)」(響助くん)!?」

 

「お前、無事なのか!」

 

「ああ、大勢でお前をつぶそうとした奴なんか大したやつじゃあねえよ。」

 

「大した事って、数十人はいたんだぞ。」

 

「まあ、数十匹のアリが恐竜に勝てると思うか?」

 

「いやそれ、フ〇ーザだろ。」

 

「お! このネタ通じる奴がいるなんてな。」

 

「ねえ、響助! ホントにケガ無いの!」

 

「ああ、大丈夫だ、それに俺以外にもいたからな。」

 

「え? 郷秀?」

 

「ふーやっと喋れる...ども、宝来郷秀です、よろしく。」

 

「まあ、こいつもいたから無事って感じだな。」

 

「...んで彰人、お前の相棒は...この感じだと、引き留められたっぽいな。」

 

「ああ.....その、助かった。」

 

「あと...あんときは悪かった。」

 

「いいさ、俺が勝手に突っ込んだだけだ。」

 

「...城ケ崎。」

 

「冬弥、なんだ?」

 

「お前には、色々助けられてしまったな。」

 

「ふっ...いや、決めたのはお前だろ、俺は大したことはしてない。」

 

「「...」」

 

「...っと言っても、お前らは納得しないんだろうな。」

 

「...んじゃ、俺がなんか困ったことがあったら、お前ら頼っていいか?」

 

「...ああ」

 

「わかった。」

 

「んじゃ連絡先交換するか。」

 

俺は二人と連絡先を交換した。

 

「あ、あの、響助くん。」

 

「うん? どうした、こはねちゃん?」

 

「私も、連絡先、交換したいの...いいかな?」

 

「え、いいけど...はい。」

 

こはねちゃんとも、連絡先を交換した。

 

「...」

 

「どうした、郷秀。」

 

「...なんでお前がここまでモテてるのかなって思っただけだ。」

 

「んー...日ごろの行いがいいからかな。」

 

「いや、悪いだろお前。」

 

「んだとコラ。」

 

「やるのかオイ。」

 

「はいはい、これ以上喧嘩するなら、出禁にするからねー。」

 

「よし、仲直りをしよう、響助くん。」

 

「お前のキャラがわからねえよ。」

 

「...ところで、君はこはねちゃん...だっけ?」

 

「あ、はい、小豆沢こはねです。」

 

「...めっちゃカワイイ。」

 

「えっ!///」

 

「ちょっと、郷秀、こはねに手を出さないでよね~。」

 

「ええ、もちろんです。」

 

「こはねは私の相棒なんだから~」ギュッ

 

「あ、杏ちゃん~!」

 

「...ウッ」

 

「...どうした郷秀?」

 

「...尊すぎるだろ...」

 

「...あ、そ。」

 

「なあ、城ケ崎...そいつ信用してもいい奴なのか?」

 

「...ああ、こいつはかなり信頼できる奴だぜ。」



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第25話・side story:狙われる者

「やあやあ、響助くん!」

 

「類先輩? 珍しいですね、なんか用ですか?」

 

「ああ、君は色々調べがいがあるのでね...響助くん、僕と連絡先交換でもしないかい?」

 

「はあ...まあ、いいですけど。」

 

「おや、てっきり警戒されると思っていたよ。」

 

「まあ、瑞希の知り合いですからね、そうじゃあなかったら、断ってますよ。」

 

「...なるほど...信頼してるんだね、瑞希のこと。」

 

「まぁ、そうですね。」

 

類先輩と連絡先を交換した。

 

「これからよろしくね。」

 

「...どうも。」

 

正直...瑞希の知り合いじゃあなかったら俺にとっちゃあ関わりたくないタイプの人なんだよなあ...悪い人じゃあないんだけど。

 

_______________________________________________

 

「やっほっほー! ジョジョ、郷秀くん!」

 

「おお! 瑞希ちゃん!」

 

「おー、いつも元気だな瑞希。」

 

「まー、カワイイに元気は必要だからね♪」

 

「へいへい...ほれ、お望みのもん。」

 

「わーい! このために学校に来たようなもんなんだよね~♪」

 

「いや、勉強しに来いよ...」

 

「ちょ、ちょっと待てよ...なんだよそれ。」

 

「なにって弁当だよ。」

 

「そりゃあ、見りゃあわかる、なんで瑞希ちゃんに渡してんだ?」

 

「いや、なんか瑞希が俺の弁当見て、食べてみたいって言ってたから作ったんだ。」

 

「え、お前料理できるのか?」

 

「まぁ、できるよ。」

 

「...お前、モテてただろ...」

 

「...残念ながら中学時代は野郎にしかモテなかったぞ。」

 

_______________________________________________

 

「いやー...肌にはよろしくないけど、お弁当を食べるならいい天気だね♪」

 

「別に屋上で食わなくてもいいだろ...」

 

「いーじゃん、こんなにいい天気だしね、せっかくならここで食べた方がおいしいと思うよ♪」

 

「そうだぞ響助、いい天気のなか屋上で食べるなんて青春って感じでいいだろ。」

 

「...お前ら、二人揃うとめんどくさいわ...」

 

「さてさて~、お弁当の中身は~♪」

 

パカッ

 

「...おー! きのこもないし、ポテトも入ってる!」

 

「...めっちゃバランスいいし、めっちゃ旨そうだな。」

 

パクッ

 

「...ん~! おいしい!!」

 

「...ふっ」

 

「なぁ? あのポテトって手作りだろ?」コソコソ

 

「...そうだが?」コソコソ

 

「お前...わざわざ芋切って、揚げたのか?」コソコソ

 

「...昨日の残りを入れただけだ。」コソコソ

 

「...ふーん......ツンデレって奴か。」ボソ

 

「あ?」

 

「いや、なんでもねえ。」

 

_______________________________________________

 

「はー! 美味しかった♪」

 

「意外と瑞希ちゃんて食べるだな。」

 

「育ち盛りだからね♪」

 

郷秀よ...こいつの食べっぷりこんなもんじゃあないぞ。

 

ブーッ

 

電話か?

 

...え?

 

「類先輩?」

 

「え、類?」

 

ピッ

 

「はい?」

 

『響助くん? 落ち着いて聞いてくれ。』

 

...いつもと話すトーンが違う。

 

『5人組の男たちが、バットを持って、階段を上ってる。』

 

「え、どういうことですか?」

 

『おそらく、君たちがいる屋上に向かってる可能性があるね。』

 

「え、類先輩、俺たちが屋上にいるなんて言いましたっけ?」

 

『いや、今、ドローンのテストでね、たまたま君たちを確認したよ。』

 

「なるほど...今5人組はどの辺にいるかわかりますか?」

 

『ああ、ドローンで確認したところ、3階の階段を上ってるね。』

 

っと...時間がないな。

 

「類先輩、ありがとうございます...また後で。」

 

ピッ

 

「ど、どうしたの?」

 

「瑞希、そこの物陰に隠れろ。」

 

「え、なんで?」

 

「5人組の男が、バットを持って屋上に上ってるって類先輩に聞いた。」

 

「え、類が?」

 

「なんだと。」

 

「瑞希ちゃん、早く隠れるんだ!」

 

「う、うん。」ダッ

 

「...響助、どういうことだ?」

 

「さあ、わからん...ただ一つ言えることは。」

 

「こんな屋上で、野球はしねえってことだ。」

 

「はぁ...つまり、響助か俺のどっちかをやるってことか。」

 

「そういうことだ。」

 

バンッ

 

勢いよく、ドアが開けられる。

 

「...」

 

「...なに? アンタら?」

 

「お前が、城ケ崎響助か?」

 

「...そうだけど?」

 

「どうやらお前を指名らしいぜ響助。」

 

「ああ、それで何の用?」

 

「お前をぼこぼこにして、連れて行けば金をもらえるんでな。」

 

「...つまり賞金首と...はぁー、漫画だけにしてくれよ。」

 

「お前漫画好きだからいいじゃあねえか。」

 

「それとこれとは違うだろ。」

 

「オラッ!」ブンッ

 

「おっと。」サッ

 

急にバットで振りかざすが、それを回転してかわす。

 

「なめんなよっと!」ブンッ

 

「ガハッ!?」ドサッ

 

そのまま回転した勢いで回し蹴りを食らわせる。

 

「こ、この野郎!」

 

「足元お留守だぞ。」バシッ

 

「グッ!?」バタンッ

 

俺に襲い掛かる奴を、郷秀が足払いで倒れる。

 

「オラよッ!」ブンッ

 

「ブヘッ!?」ゴッ

 

すかさず郷秀は、下段回し蹴りで顔面を蹴っ飛ばす。

 

うわ~...ありゃあエグイね。

 

「...さぁ、どうする...もう二人おねんねしてるぜ。」

 

「て、てめえ!?」

 

バットを郷秀に向かって振り下ろそうとするが。

 

「おっと」パシッ

 

「っ!?」

 

「っほ!」ガスッ

 

「ぐっ!?」

 

カランッ

 

バットを掴み、すかさず腕の上部を殴り、バットを落とさせる。

 

「背負い投げよ!」ブンッ

 

ドシンッ

 

「ガッ!?」

 

うっわ~...受け身取れてないからそのまま気を失ったなこりゃあ。

 

「...もうめんどいから、二人同時にかかってこい。」

 

「くそが!」ダッ

 

「なめんじゃねえ!」ダッ

 

同時に襲いにかかる。

 

「ふんっ!」ブンッ

 

「よっと。」

 

スイングをかわす。

 

さてとどうすっかな...お、ここ金網フェンスがあるな。

 

「ちょっとこっち来てもらえるか?」ガシッ

 

「ぐっ!?」

 

相手の頭を掴む。

 

「ふんっ!」

 

「があ!?」

 

相手の後頭部を金網で大根おろしのように擦る。

 

「オラッ!」ブンッ

 

「ガッ!?」

 

すかさず、顔面に蹴りを食らわせる。

 

「ち、畜生!」

 

「おい郷秀、そいつは気を失わせるなよ。」

 

「わかってるて。」

 

「クソが!」ブンッ

 

「ワンパターンは相殺されるって、ス〇ブラで学ばなかったのか!」

 

「がっ!?」

 

郷秀はバットのスイングを回避し、すかさずそこから、相手に向かってタックルを食らわせる。

 

「ぐっ...う...」

 

「っと...もう出てきてもいいぞ。」

 

「う、うん! ふたりとも怪我は!」

 

「ねえぞ。」

 

「俺も、もしあったら瑞希ちゃんに治療してもらおうかな~」

 

「...さてと。」

 

「なあ、お前...誰に頼まれた?」

 

「だ、誰が言うか...」

 

「ふーん...まぁ、言ってもらうけどね。」

 

俺はスタンド能力を使う。

 

「...もう一度言う...誰に頼まれた?」

 

「わからねえ...仮面を付けてたからな。」

 

「え? なんで急に喋りだしたの?」

 

「瑞希ちゃん、スタンド能力でも使ったんだろ。」

 

「すたんど?」

 

「悪霊の事、それがスタンドって言うんだ。」

 

「そいつに、お前を連れて行けば、100万貰えるって...」

 

「そう....んじゃ」ブンッ

 

「ガッ!?」ドサッ

 

相手の顔面に回し蹴りで気絶させた。

 

「おーおー...エッグイことするね~。」

 

「お前の方がエグイだろ。」

 

「馬鹿言うんじゃねえよ、相手の後頭部を金網で、すりおろす野郎に言われたくないわ。」

 

「え、ジョジョそんなことしたの...」

 

「安心しろ、手加減はしたから。」

 

「それしても...はぁー」

 

「お、どうした? 急に襲われて参ってるのか?」

 

「いや、俺の価値100万なのかってね...なめやがって。」

 

「あ、気にするとこそこなんだ。」

 

_______________________________________________

 

放課後、郷秀、瑞希と一緒に下校していた。

 

「お前...なんか恨み買うことしたのかよ...」

 

「さぁ、中学時代のだったら、多すぎてよくわからん。」

 

「多すぎるって...何したの?」

 

「何って...別に俺からやってるわけじゃあないぞ。」

 

「あいつらが襲ってきたのを返り討ちにしたから...逆恨みってやつだな。」

 

「ええ...」

 

「さて、どうする...このまま帰るか?」

 

「俺は別にそれでいいけど。」

 

「...あ! じゃあさ、カラオケでも行かない?」

 

「カラオケか...まぁいいけどお前は?」

 

「いいねぇ...行くか!」

 

「おー!」

 

「へいへい...」

 

_______________________________________________

 

「ジョジョってカラオケ行ったことある?」

 

「まぁ...歌うこと自体はすきだから行ったことあるぞ、ヒトカラ。」

 

「へー意外だな~」

 

「個室だから、襲われる可能性が低いからな。」

 

「あ、やっぱそういう思考。」

 

「郷秀くんは?」

 

「ヒトカラならあるぞ。」

 

「なるほど~...じゃあやり方はわかるね。」

 

「んじゃ、誰から歌うよ?」

 

「じゃあ、トップバッターはボクからいかせてもらいますかね~♪」

 

「お! 瑞希ちゃんの歌か~」

 

「なに歌うんだ?」

 

「ん~...『ベノム』にしようかな!」

 

「おおいいね...」

 

「『ベノム』か。」

 

「じゃ、いくよ!」

 

_______________________________________________

 

「叫べベベノム めっ!♪」

 

「おお!!! 瑞希ちゃん!!!」

 

「瑞希、歌うまいな。」

 

「ふっふっふ、まー、色々してるからね♪」ドヤッ

 

「じゃ、次はどっちが歌う?」

 

「んじゃ、俺がいこうかね。」

 

「郷秀か、なに歌うんだ?」

 

「そうだな...『KING』でもいこうかね。」

 

「おっ! 郷秀くん、いいセンスしてるね~♪」

 

「やったぜ! 瑞希ちゃんに褒められたぜ!」

 

「へいへい...さっさと歌いな。」

 

「うっしゃ! いくぜ!」

 

_______________________________________________

 

「You are KING♪」

 

「郷秀くん、上手~!」

 

「郷秀も上手いな。」

 

「ふ~...んじゃ、お前の番だぜ、響助。」

 

「...さて、どうすっかな。」

 

「...んじゃ、俺の好きのゲームからにすっか。」

 

「おっ! それは気になるね~♪」

 

「んじゃこれだな。」

 

「この曲を送るぜ、『hands』聞いてくれ。」

 

_______________________________________________

 

「愛する誰かを守る手だ♪」

 

「っ...!」

 

「心が浄化されるぜ...」

 

「ふー、こんな感じだな。」

 

「二人とも、すっごく歌上手だね! 何かやってたの?」

 

「いやあ、特にはやってないよ。」

 

「.......ああ、俺もやってないな、ただヒトカラはストレス解消の一つとしてよく行ってたかな。」

 

「そうなんだ!...てかジョジョの曲ってもしかして『龍が如く』のやつ?」

 

「あれ、知ってるのか瑞希? 全然カワイくないゲームなんだけど。」

 

「まーね、一時的に流行ってたじゃん、『ばかみたい』って曲。」

 

「え、そうなの?」

 

「ああ、そういやなんか海外でバズってたな、Dame Da Neって感じで。」

 

「へーそうなんだ。」

 

「それで気になってね、ゲームやったら、面白くてね。」

 

「俺もやってたぜ、特に『0』が好きだったな。」

 

「ボクは『7』かな~」

 

「俺『維新』ってかどれも名作じゃあねえか。」

 

「あはは、そうだね....じゃあ次はボクが歌おうかな!」

 

その後も、俺達はカラオケを楽しんだ。

 



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第26話:休みの日

am:10:00

 

今日は休みだ...だがなぜ休みなのに、外に出ているのかというと...

 

休みというのは休まなくちゃあいけないんだ。

 

だから、そのアリバイだ。

 

なんのアリバイかって...瑞希やら郷秀に、ヒマだから遊ぼうぜって言われた時の断るアリバイよ。

 

別にあいつらが嫌いってわけじゃあない、ただ休日まで一緒にいる必要はないだろう。

 

「...ちょっと小腹がすいたな。」

 

「...お?」

 

いい所にカフェあんじゃあねえか。

 

ここで軽く食べるか。

 

ガチャッ

 

おっと...可愛らしいカフェだな...

 

「いらっしゃいませ! ...あれ? きょーすけくん?」

 

「...あれ? 咲希ちゃん?」

 

...その服装...ここのカフェの制服か?

 

「咲希ちゃん...ここでバイトしてたんだな。」

 

「うん! 来てくれてありがとう! 今案内するね! こちらの席にどうぞ!」

 

俺は、咲希ちゃんが案内された席に座る。

 

「そうだな...」

 

ここのカフェ初めて来たからな...どうすっかな。

 

...あ、そうだ。

 

「咲希ちゃんのおすすめってあるかな?」

 

「んー...アイスカフェモカとかおすすめだよ!」

 

「んじゃ、それにしようかな。」

 

「はい! アイスカフェモカですね! かしこまりました♪」

 

_______________________________________________

 

「はい、お待たせいたしました。 アイスカフェモカで...あれ? 響助くん?」

 

「あ、ありがとうござい...あれみのりちゃん?」

 

「みのりちゃんも、ここでバイトしてたんだな。」

 

「うん! ...も?」

 

「ああ、俺の知り合い...いや友達の咲希ちゃんがここでバイトしてんだ。」

 

「そうなんだ!」

 

俺は注文したアイスカフェモカを飲む。

 

「はぁー...なんか久しぶりに飲んだな。」

 

あんま家でこんなの作らないからな...

 

ガチャッ

 

「いらっしゃいませ!」

 

「...ん?」

 

なんだアイツ...変な仮面を付けてるな。

 

俺が言うのもなんだが...カフェの雰囲気に合ってないな。

 

...ん、仮面?

 

『わからねえ...仮面を付けてたからな。』

 

...偶然か?

 

「あ、あの...お客様?」

 

仮面の男がこっちに向かってくる。

 

「...」ブンッ

 

「きょーすけくん!!」

 

「っ!?」ガスッ

 

仮面の男は何かを俺に向かって振り下ろすが、寸前に左腕で受け止める。

 

「響助くん!!」

 

「っ! なんだお前!?」

 

「...」

 

あれは...特殊警棒か?

 

「...返事なしか?」

 

「...」

 

狙いは俺だな。

 

ここだと店に迷惑かかるな...

 

「悪い二人とも、すぐ戻る!」ダッ

 

「「響助くん(きょーすけくん)!!」」

 

俺は走って店を出る、後に続くように仮面の男も俺を追いかけて店を出る。

 

_______________________________________________

 

何とか外に出れたな...

 

俺は仮面の男の方を振り向く。

 

「...お前、この前、生徒使って俺を襲わせた奴だろ。」

 

「...」ブンッ

 

「返事はやっぱなしか。」サッ

 

特殊警棒を振りかざすが、それをかわす。

 

「オラッ!!」ブンッ

 

「...」サッ

 

回し蹴りで反撃するが、それをかわされる。

 

...やっぱあいつらよりはやるようだな。

 

「...」ブンッ

 

「おっと。」バスッ

 

バク転でかわす。

 

...仮面のせいで感情が読めねえな...とにかく特殊警棒を何とかしねえとな。

 

「...」ブンッ

 

「っ!」バシッ

 

両腕で防ぐ。

 

っ...やっぱ先に特殊警棒だな...次の攻撃の時にやるしかねえか。

 

「...」ブンッ

 

今だな。

 

「おっしゃあ!」ブンッ

 

「ぐっ!?」ガシンッ

 

カランッ

 

仮面の男の特殊警棒を持っている手に向かって、回し蹴りを食らわせ、特殊警棒を落とさせる。

 

「っ...」

 

「フンッ!」ブンッ

 

回し蹴りを終えた後、軸足を逆にし、後ろ回し蹴りで攻撃する。

 

「...」サッ

 

「チッ...すばしっこい奴だな。」

 

だがそれをかわされる。

 

「お前は一体何なんだ! なぜ俺を狙う!」

 

「...」ゴソッ

 

「...やっぱりだんまりか!」ダッ

 

俺は仮面の男に向かって走り出すが...

 

ピカーンッ

 

「ぐっ!?」

 

直後、白い閃光に包まれる。

 

「...っ!? 閃光弾か?」

 

ただ、破裂音が聞こえない、マグネシウムかなんかか?

 

「...っくそ。」

 

ようやく見えるようになった視界に奴はいなかった。

 

「...もしもの時の仮面ってことか。」

 

キョロッ

 

...ん? 特殊警棒がない...アイツ回収したのか?

 

「...とりあえずカフェに戻るか。」

 

_______________________________________________

 

ガチャッ

 

「「あ! きょーすけくん(響助くん)!」」

 

「悪い、捕まえそこなったよ。」

 

「ううん、いいの、それより左腕!」

 

「大丈夫だよみのりちゃん、これぐらい。」

 

「大丈夫じゃないよ、袖めくるね!」

 

「...やっぱり...ちょっと救急箱とってくるね!」

 

「え、そこまでしなくても。」

 

「きょーすけくん、今キミはケガ人なんだよー!」

 

「...はーい。」

 

_______________________________________________

 

「...これで大丈夫かな?」

 

「うん、ありがと、咲希ちゃん、みのりちゃん。」

 

「響助くん、さっきの人、響助くんを狙ってたように見えたけど?」

 

「...さあ、俺を狙っている以外はわからないよ。」

 

「そっかぁ...」

 

俺はさっき頼んだアイスカフェモカを飲み切る。

 

「ごちそうさん...俺はもう行くよ。」

 

「え! だ、ダメだよ!」

 

「そーだよ! 危ないよ!」

 

「大丈夫だよ二人とも、今さっき逃げたばっかだし、そう簡単には俺を狙わないだろ。」

 

「それに...店に迷惑をかけたくないしね。」

 

「きょーすけくん...」

 

「あと、二人は知ってると思うけど、俺はめちゃくちゃ強い、あんな奴ら返り討ちよ。」

 

「...ってことで、お会計はいくら?」

 

_______________________________________________

 

ガチャッ

 

「「きょーすけくん(響助くん)!」」

 

「ん?」

 

「なんかあった連絡してね!」

 

「おお...俺の事めっちゃ気にかけてくれるな?」

 

「あたりまえじゃん、だって友達なんだよ!」

 

友達か...

 

「...そうだったな、わかった、困ったことがあったら連絡するよ。」

 

「うん!」

 

...ふっ、中学時代の俺が見たらびっくりするだろうな、それも女の子の友達だしね。

 

_______________________________________________

 

グッー

 

腹減ったな。

 

そういえばカフェに入った理由、食べ物食うために来たの忘れてたわ。

 

...もう昼頃か...あ、あそこ行くか。

 

「ん?」

 

こんなところにケーキ...いや、アップルパイ専門店か?

 

こんなの昔からあったか...いや俺が興味なかっただけで、前からあったのかもな。

 

ガチャッ

 

「ん~♪...っ!」

 

「あっ。」

 

えっと...たしかー....穂波ちゃんだったよな。

 

「あー...どうも。」

 

「こ、こんにちは...響助さん。」

 

「えっと、それってアップルパイ...しかないよな...」

 

「...もしかして、その袋全部アップルパイ?」

 

「あ...えっと....」

 

「...はい....は、恥ずかしいから、みんなに言わないでください....」

 

「え、うん。」

 

「えっと....ここのアップルパイっておいしいのか?」

 

「っ! はい! 特にここのアップルパイはすごく美味しいんです!」

 

「そうなのか。」

 

今度買ってみるか。

 

「最近、3人とはどうかな?」

 

「はい、最近バンドを始めたんです。」

 

「え、バンド、え、すごくないか!」

 

「あはは、まだ始めたばかりなんですけどね。」

 

「バンドか...名前ってあるのか?」

 

「『Leo/need』って名前です。」

 

「...なんか、似たような飲み物あったな。」

 

「それ、レモネードですね。」

 

「それだ...えっと『Leo/need』か...いい名前だな。」

 

「はい、みんなで考えたんです!」

 

「そうなんだな。」

 

_______________________________________________

 

穂波ちゃんと別れ、俺は目的の場所に着いた。

 

ガチャッ

 

カランカラン

 

「いらっしゃ...あ、響助か。」

 

「あらら、もうそんな感じなのね...あれ?」

 

「響助さん?」

 

「遥ちゃん、なんでここに?」

 

「え、え? ふたりとも知り合いなの?」

 

「まぁ、顔見知りだな。」

 

「うん。」

 

「......サボりか?」

 

「ちょっとー、人聞きの悪いこと言わないでよね。」

 

「はいはい...ところで二人は知り合いなのか?」

 

「幼馴染だよ、昔から色々競い合ってたんだ~」

 

「へー....勉強以外はいい感じになりそうだな。」

 

「響助~」

 

「おっと...」

 

「...ふふ。」

 

「響助、ご注文は?」

 

「あ、じゃあオムライスを。」

 

「おっけ~。」

 

「よいしょっと...」

 

「...仲良いんだね、杏と。」

 

「ん? ああそうだな、なんだかんだ気にかけてくれてるよ。」

 

「そうなんだ。」

 

「...なぁ、遥ちゃん...なんか悩んでないか?」

 

「...え?」

 

「いや、気のせいだったらいいんだけどさ。」

 

「えっと...」

 

「は~い、響助、ご注文のオムライスだよ~」

 

「お、ありがと。」

 

「響助、ホントうちのオムライス好きだよね~。」

 

「まぁな、好きなもんは好きなんだよ。」

 

_______________________________________________

 

俺は、WEEKEND GARAGEを出た。

 

「さて...家に戻るか。」

 

その俺は言うと、家に帰ろうとした時。

 

ブーッ

 

「...ん?」

 

電話か?

 

「...郷秀か?」

 

ピッ

 

「どうした?」

 

『あ、響助か?』

 

「ああ、なんかあったか?」

 

『ちょっとこっちに来てくれないか? 場所は送る。』

 

「え、お、おう。」

 

ピッ

 

「なんだ、郷秀の奴?」

 

ピコンッ

 

「...ここに行けばいいのか。」

 

_______________________________________________

 

「...お、来たか。」

 

「どうしたんだよ郷秀...って何があったんだ。」

 

郷秀に送られた場所に着いたら、人混みがあった。

 

「...どうやらここで、発砲事件が起こったんだよ。」

 

「なんだと?」

 

「ああ、俺もたまたま通りかかって知ったんだけどよ。」

 

「...野次馬になりきたわけじゃあなさそうだな。」

 

「ふっ...察しがいいな...ちょっとこっちに来てくれ。」

 

「わかった。」

 

俺は郷秀についていった。

 

「これだ。」

 

「...これって弾痕か?」

 

「そうだ、だがただの弾痕じゃあない。」

 

「うん......あれ?」

 

「気づいたか?」

 

「ああ...周辺に銃弾がない....いや、なんかしらの金属片もない。」

 

「そういうことだ...つまりこれは。」

 

「スタンドってことか。」

 

「ああ。」

 

「...発砲した犯人は?」

 

「捕まった...けど、俺はそいつじゃあない可能性がある。」

 

「...どういうことだ?」

 

「こんなところに、弾痕があるってことは、素人だろ。」

 

「...けどそれとこれは違うじゃあないのか?」

 

「あのな、スタンド能力ってよ、その人の精神に影響があるわけだろ。」

 

「...たしかにそうかもな。」

 

「あくまでオレの仮説だが、武器を生み出すスタンドじゃあねえかな。」

 

「武器を生み出す...なるほどな、生み出した武器を素人に渡したと。」

 

「そういうことだ。」

 

「そっか...とりあえずこの情報を仗助さんたちに報告しておくか。」

 

「ああ...一応写真に残しておくか」パシャッ

 



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第27話:記憶

俺たちは次の日、仗助さんたちに、弾痕の事を話した。

 

「なるほどなぁ~...たしかにこりゃあ不思議だぜぇ。」

 

「金属片さえあれば、オレのクレイジー・ダイヤモンドで直せるっけどよぉ、それがねえとなるとぉ...なにも証拠もねぇってことか。」

 

「そうなりますね。」

 

「っとなると、犯人に直接聞くしかねぇか。」

 

「そんなこと出来るんですか?」

 

「わからねぇけど、SPW財団に相談すりゃあ、多分できっかもなぁ。」

 

そうだ、仗助さん達にはSPW財団がいるんだったな。

 

「仗助さん達に、それお願いできますか?」

 

「わかった、お前たちはどうすんだ?」

 

「俺たちは他に似たような事件がないか探してみます。」

 

「わかった。」

 

_______________________________________________

 

「っといったものの、なんか心当たりあるか響助?」

 

「いや...ないな、お前は?」

 

「俺もねえな...」

 

「そうか...とりあえず腹減ったしなんか食わねえか?」

 

「...そうだな、食いながらSNSとかでいったん探すか。」

 

「おう......あれ?」

 

あのピンクのサイドテールは...

 

「おお! 瑞希ちゃ~ん!」ブンブン

 

「...! あ、ジョジョ~! 郷秀くん~!」

 

瑞希がこっち向かってくる。

 

「二人してどうしたの?」

 

「え、あ~ ちょっと話してた、お前は?」

 

「ショッピングモールに行ってきたんだ~♪」

 

「なるほどな~、てことはその紙袋は?」

 

「あ、これ? ふっふっふっ~、このために朝早く並んで手に入れたカワイイ服だよ♪」

 

「おお! こりゃあ今度の瑞希ちゃんの私服が楽しみだな!」

 

「はいはい...腹減ったからどっか行かね?」

 

「あ、じゃあさ! ファミレスでも行かない?」

 

「ファミレスか...一人じゃあまり行かないからな、そこでいいか、郷秀は?」

 

「もちろんOKよ!」

 

「全員賛成だね! それじゃあレッツゴー♪」

 

_______________________________________________

 

「何頼む?」

 

「ん~...ってここメニュー多いな。」

 

「まぁ、それだけ色々な人のニーズに合わせてるっつーことだろう?」

 

「にしても、ワンタン麺に鉄板ハンバーグにチーズケーキ、いくら何でも広くね?」

 

「お前それ、回転寿司にも言えるか?」

 

「...それもそうか。」

 

「はいは~い、ボクはドリンクバー頼むけど二人は?」

 

「そうだな頼むか、郷秀は?」

 

「頼んでくれ。」

 

「おっけ~、じゃあボクは...」

 

「どうせカレーライスだろ。」

 

「そうだけど~その言い方はなくない!?」

 

「そうだぞ響助、瑞希ちゃんに謝れ~」

 

「...へいへい悪うございました。」

 

「心こもって無くない?」

 

「だってこめてねえもん。」

 

「ちょっと~」ジト

 

「んじゃ俺は、そうだな~...カツ丼にすっかな。」

 

「俺はワンタン麵にするかな。」

 

「決まりだね~♪」

 

ピッ

 

ピンポーン

 

 

 

「ご注文は?」

 

「俺は、カツ丼を一つ。」

 

「俺は、ワンタン麺で。」

 

「ボクはカレーライスに山盛りポテト二つ、あとドリンクバーをみっつお願いしま~す♪」

 

「え?」

 

「カツ丼を一つ、ワンタン麺を一つ、カレーライスを一つ、山盛りポテトを二つ、ドリンクバーを三つでよろしいでしょうか?」

 

「は~い、お願いしま~す♪」

 

 

 

「え、お前ポテト二人前、頼んだの?」

 

「好きなものは好きなだけ食べたいんだも~ん♪」

 

「そうだな、食べないよりいっぱい食べる子のほういいな!」

 

「...あ、そう。」

 

「食べたかったら、つまんでいいからね~」

 

「へいへい...」

 

「飲み物とってくるけど、二人は何にする?」

 

「俺はウーロン茶をお願いしちゃおうかな。」

 

「俺はコー.....いや、自分で取ってくる。」

 

「え、何でさ~。」

 

「いや、何かと何かを混ぜた飲み物を持ってくる未来が見えた。」

 

「え~! そんなことしないよ~、ジョジョ、ボクの事信用してないの?」

 

「信用はしてるぞ、信頼はしてないけど。」

 

_______________________________________________

 

さて、コーラ、コーラと...

 

「...あれ? 響助さん?」

 

「え? ...一歌ちゃんと志歩ちゃん?」

 

志歩ちゃん....は!?

 

「...」キョロキョロ

 

「...どうしたの?」

 

「いやぁ、雫さんいないかな~って。」

 

「え、どうして?」

 

「...ああ、なるほど、今日は一歌と一緒なの。」

 

「あ、そうなんだ...」

 

「...そろそろ連絡してあげたら?」

 

「え?」

 

「お姉ちゃん、『きょーちゃんから全然連絡が来ないわ~』ってしょんぼりしてるから。」

 

あ、想像したらカワイイ...じゃあなくて。

 

「ああ...近いうちにするよ...」

 

「お願いね。」

 

_______________________________________________

 

「は~、食べた食べた♪」

 

「ホントに食いおったよこいつ。」

 

「いっぱい食べる君が好きだぜ。」

 

「さて、この後どうする?」

 

「んー...たまにはぶらぶら歩かない?」

 

「ああ...たまにはいいかもな。」

 

何か、スタンドについての手がかりが見つかるかもな。

 

「俺もそれでいいぜ。」

 

_______________________________________________

 

「ん?...なんだここ?」

 

...廃墟か?

 

「ああ、あれ? なんか8年前の地震でこうなっちゃったらしいんだ。」

 

「へー...それが今もそのまんまなんだな。」

 

「そうだね。」

 

「...」

 

...なんか.........見た事があるような....

 

「...っ!?」ガン

 

なんだ!? 後頭部を思い切り殴られた衝撃は...

 

「ん....っ!? ジョジョ!?」

 

「...響助?」

 

『....あれ? 君は____』

 

な...んだ....こ...れ

 

「ハァ....ハァ....」

 

「おい!しっかりしろ! 響助!!」

 

『...僕は____』

 

あ....たまが....い...たい...

 

「ハァ......ハァ...」

 

「す、すごい汗だよ!? ジョジョしっかりして!!」

 

『そっか....じゃあさ僕と___』

 

き.....も....ち...わ.......る...い

 

「.....う..」

 

『...お姉さんと仲____』

 

や......ば......い..し....き.....が

 

「...」ドサッ

 

「ジョ......!?」

 

「.......助!?」

 

_______________________________________________

 

「....う...ん?」

 

「あ! ジョ、ジョジョ大丈夫!?」

 

「あ..れ....瑞希?」

 

目が覚めて、一番最初に目に入ったのは、心配しながら俺を上から見下ろす瑞希の顔だった。

 

「ここは...」

 

「近くの公園だ...お前急に倒れたんだぞ。」

 

...てことはここはベンチか......にしては後頭部にやわらかい感触が...

 

...上に瑞希の顔が......これってまさか...膝枕ってやつか...

 

てことは、今瑞希に膝枕されている形か。

 

「...なぁ、郷秀?」

 

「ん? どうした響助?」

 

「羨ましいだろ?」

 

「羨ましいねえ!! でもお前急に倒れて、体調良くなさそうだから 血の涙を流しながら我慢してんだよ!!」

 

「お前そういう所律儀だよな。」

 

「は~い、元気になったっぽいから起きてもらえる~...足がしびれてきたから~」

 

「おっと、それはすまん。」ムクッ

 

「...お前、本当に大丈夫か?」

 

「ああ、もう大丈夫だ。」

 

「ホントに?」

 

心配そうに瑞希がこっちを見る。

 

「大丈夫、心配かけたな。」

 

「お前がああなるなんてよっぽどだろ...何があったんだ。」

 

「さあ...急に頭の中に知らねえ記憶が流れてきたんだよ。」

 

「記憶?...それってまさか記憶が失った8年前以前の記憶?」

 

「多分な...ただ、テレビの砂嵐みたいにとびとびしかなかった。」

 

「...もしかしたら、あの場所、お前にとって大事な場所なのかもな。」

 

「...そうなのか?」

 

「...ジョジョ、立てる?」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「...お前病院行った方がいいぞ。」

 

「大丈夫だって...っ!」フラッ

 

「危なっ! 全然大丈夫じゃないじゃん!」

 

「...病院行くぞ。」

 

「...じゃあ俺のいつも使ってるとこでいいか?」

 

「おっけ、そこの場所教えろ。」

 

_______________________________________________

 

「こんなところに診療所なんてあったんだ。」

 

ピンポーン

 

「...はーい。」 

 

ガチャッ

 

「どちら...って響助どうしたの!?」

 

「あ、どうも榎本さん。」

 

「えーと君たちは響助の友達?」

 

「はい、暁山瑞希です。」

 

「俺は、宝来郷秀です、こいつ急にぶっ倒れたので連れてきました。」

 

「倒れた!? 響助、今どんな感じ?」

 

「...ちょっとめまいがするって感じっす。」

 

「そう、とりあえず中に入って。」

 

_______________________________________________

 

「はい...これめまいの薬ね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「珍しいね、響助がめまいなんて。」

 

「なんならほぼ初めてっすよ...」

 

「少しでもフラってなったらのみなよ、アンタすぐ無理するんだから。」

 

「わかってるっすよ。」

 

ガチャッ

 

「あ、ジョジョ。」

 

「おう、薬はもらったよ。」

 

「そうか、んじゃ今日はこのまま帰るぞ。」

 

「...わかったよ。」

 

_______________________________________________

 

俺は郷秀の肩を借りて、家に着いた。

 

「サンキュー。」

 

「ジョジョ! 今日は早く寝るんだよ!」

 

「へいへい、お前はおかんか。」

 

「郷秀もすまねえな。」

 

「いいさ、困ったときはお互い様だ。」

 

「そうだな...」

 

_______________________________________________

 

「...」

 

知らねえ記憶の中に出てきたアイツ...なんか瑞希に似てた気がする...

 

他人の空似か?

 

「...今日はゆっくりするか。」

 

_______________________________________________

仗助side

 

「...うし、後は、犯人と話すだけだな。」

 

ブッー

 

「うん?...あれ___さん?」

 

ピッ

 

「もしもし___さん?」

 

『久しぶりだね仗助君。』

 

「そーっすね、もう1年ぐらいじゃあないすか?」

 

『シブヤはどうだい?』

 

「あれ、___さん知ってんすか?」

 

『ああ、___に聞いたからね。』

 

「そーだったんすか...ところで___さんオレになんか用すか?」

 

『ああ、そちらに用があってね。』

 

「あれ? こないだ___と一緒に来てなかったすか?」

 

『それとはまた別の用事でね、ついでに仗助君たちが探してるスタンドの矢についても一緒に調査できそうだ。』

 

「お! それは助かります!」

 

『ただ僕も、最近のシブヤはよくわからないから、誰か詳しい人は知らないかい?』

 

「詳しい人っすか...んー、詳しいかどうか知らないっすけど、シブヤに知り合いがいるっすね。」

 

『そうか。』

 

「城ケ崎響助っつー人なんすけど。」

 

『なるほど。』

 

「ただ、あまりシブヤのこと詳しいっていう感じじゃあねえっすけど、それでもいいすか?」

 

『構わないよ、ある程度はスマホでどうにかできるしね。』

 

「りょーかいっす、後で響助に頼んでみます。」

 

『色々すまないね、仗助君。』

 

「いえいえ、こっちも助けられてるっすから。」

 

『それじゃあ、また。』

 

ピッ

 

「ん~...___さんがいると頼もしいぜ。」



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第28話・side story:お出かけ

とある日

 

「...」

 

俺は今...悩んでいる。

 

ピッ

 

「...」

 

プツッ

 

「...ハァ」

 

「怪我や風邪もひいてないのに来たと思ったら...何してんのアンタ?」

 

「...いやその.........」

 

「アンタがそんなに悩むなんて珍しいね。」

 

「いやさ...悩んでる内容が内容なんすよ。」

 

「うん? どういうこと?」

 

「...この間、雫さんと連絡先交換したんすよ。」

 

「え!? 雫ちゃんと交換したの!?」

 

「そうなんすよ。」

 

「...それはすごいことだけど...なんでそんなに悩んでるの?」

 

「その、雫さんの妹さんから、『連絡してあげたら』って言われちゃったんすよ。」

 

「だったら連絡すればいいじゃない?」

 

「いや...だって、人気アイドルなんすからね!」

 

「俺みたいな奴なんかより遥か上の存在なんすよ。」

 

「ふーん...つまりヘタレてるってこと。」

 

「.......はい。」

 

「あんなことしといて、今更ここでヘタレる?」

 

「いや...あの時はほぼ勢いみたいな所があったんすよ...」

 

「はぁ...まったく。」

 

...やるしかねえ。

 

ピッ

 

「...」

 

「お、やっとかけた。」

 

プルルッ

 

ガチャッ

 

「あ、もしもし雫さ...」

 

『きょーちゃん!!』

 

「あ、はいそうです。」

 

『電話してくれてうれしいわ♪』

 

「いえ、その前に言っていたお礼なんですけど、土日なら空いてるんですけど雫さんは大丈夫ですか?」

 

『大丈夫よ! ようやくきょーちゃんにお礼できるわ♪』

 

『場所は、きょーちゃんの好きなところでいいわ♪』

 

行きたい場所か...特にないんだよな。

 

「俺、あまり外であるかない人間なので、雫さんが行きたい所で構いませんよ。」

 

『ええ!? それじゃお礼にならないわ!』

 

アイドルと連絡先交換してるだけでお礼になってる気がするけど。

 

「いえ、雫さんと一緒に出掛けれるだけで十分お礼になってます。」

 

だって、こんな美人の人と出掛けれるんだよ...それだけで十分じゃね?

 

『きょ...きょーちゃん///』

 

『...わかったわ! きょーちゃんも楽しめるような所にするわ!』

 

「ありがとうございます。」

 

_______________________________________________

 

『楽しみにしてるわ! きょーちゃん♪』

 

「俺もです。」

 

プツッ

 

「...榎本さん」

 

「何?」

 

「俺......いつか刺されそうっすよね。」

 

「アンタなら返り討ちにできるでしょ?」

 

「それ医者が言うっすか?」

 

_______________________________________________

 

前日の夜

 

「...」

 

ついに明日か...アイドルと出掛けるんだよな...マジで中学時代の俺が目を疑うと思うな。

 

プルルッ

 

「ん? 電話か...? 知らない番号だ。」

 

まぁ、なんかの勧誘だったガチャ切りすればいいか、別に俺の携帯にそんな価値ねえし。

 

ピッ

 

「はい?」

 

『あ、響助さんの番号ですか? 日野森志歩です。』

 

え、志歩ちゃんか...なんで?

 

「志歩ちゃん...どうした?」

 

『あの、明日お姉ちゃんと出掛けるんだよね?』

 

何で知って......いや、妹だから知ってるのか...いや雫さんから言ったのかも。

 

「そうだけど...なんか問題でもあったか?」

 

『問題...ていうかその...一応変装用の、帽子とか響助さんも持ってきてくれない?』

 

変装用...?

 

「俺は変装いらなくないか?」

 

『いや、響助さんじゃなくて...その、お姉ちゃんの...』

 

「...え?」

 

何故?

 

「いや...流石に雫さん持ってくるでしょ?」

 

だってアイドルだし、流石にね...

 

『いや、お姉ちゃんなら持ってこない可能性があるから...』

 

「ええ...」

 

でも...一応持っていくか...

 

「わかった...一応持っていくよ...わざわざありがとね。」

 

『いえ、お姉ちゃん楽しみにしてるからね。』

 

「ふっ...そっか、わかったよ。」

 

『それじゃ。』

 

プツッ

 

「...」

 

なんだかんだ、雫さんの事好きなんだな、志歩ちゃん。

 

「さてと...中学時代に使ってた帽子とか持っていくか。」

 

_______________________________________________

 

当日

 

「...たしかここが待ち合わせ場所だったな。」

 

実際の待ち合わせ時間より少々早く到着していた。

 

雫さんは......流石にまだ来てないか...

 

ちょっとベンチに座るか...

 

...ふー。

 

......ん?

 

あれ...違うよな......

 

...似てるだけだよな......

 

だって雫さんはアイドル...そんな変装しないで外出るなんてないよな...

 

うん、そう、あれはただ似てるだけ...世界には3人そっくりさんがいるんだからな...

 

だからはあれは、雫さんじゃあ

 

「あ! きょーちゃん♪」

 

雫さんだったー

 

何で変装してないんだよ!

 

「えっと...雫さん?」

 

「な~に? きょーちゃん♪」

 

「...なんで変装してないんですか?」

 

「え?」

 

「え、じゃあないんですけど...」

 

志歩ちゃん言う通り、持ってきてよかったー

 

「あの、雫さん...これを。」

 

「帽子?」

 

「一応、軽くですけど、変装した方がいいと思います。」

 

「貸してくれるの?」

 

「はい。」

 

「ありがと、きょーちゃん♪」

 

...先が思いやられるな。

 

_______________________________________________

 

「きょーちゃん、これとかどうかしら♪」

 

「...それ、俺に似合いますかね?」

 

結構カワイイ寄りの物な気がするんだけど。

 

「ええ、似合うと思うわ♪」

 

...俺、そういう系も似合うって事ー?

 

...アイドルが言うんだからそうなのかもしれない。

 

「そー...なんですか?」

 

「そうよ、きょーちゃん、かっこよくてかわいいから、似合うと思うわ♪」

 

...どっちもあまり言われないけど、カワイイは初めて言われたんだが...

 

「...///」

 

「きょ、きょーちゃん! 顔赤いけど熱でもあるの!?」

 

「い、いえ、大丈夫です!」

 

...なるほど、あの時瑞希がゆでだこになった理由がわかった。

 

今まで気にしないで言ってごめんね...言わないとは言ってない。

 

_______________________________________________

 

「ここは...うどん屋?」

 

「そう! ここのおうどんとっても美味しいのよ♪」

 

「そうなんですか、雫さんはうどんが好きなんです?」

 

「そうなの! お弁当に持っていきたいぐらい大好きだわ♪」

 

弁当?......流石に焼きうどんだよな?

 

「俺もうどんは好きですね、たまに自分で作ったりしますね。」

 

「きょーちゃんは料理するの?」

 

「平日はほとんどやってますね、休日もたまに作りますね。」

 

「すごいわ、きょーちゃん♪」

 

...何言っても褒められるんじゃあねえのか?

 

_______________________________________________

 

うどん屋では、雫さんに奢ってもらった。

 

自分で払うって言ったけど、お礼だからっということらしい。

 

「ねえ、きょーちゃん。」

 

「はい?」

 

「...ホントによかったの、私が行きたい所いって...きょーちゃんが行きたい所があったら言っていいのよ?」

 

「大丈夫です、楽しいですよ。」

 

「...そう?」

 

「はい、あまりこういう所行かないんで、知らないものを知るって結構楽しいんですよ。」

 

「きょーちゃん...」

 

_______________________________________________

 

「今日はありがとね、きょーちゃん。」

 

「いいんですよ、俺もいいリフレッシュになりましたよ。」

 

「それじゃあね、きょーちゃん。」

 

「はい、雫さんもお気を付けて。」

 

...今日は良い一日だった...喧嘩とかなかったしな。

 

最近疲れてたしちょうどよかったな。

 

...ただ、想像以上に雫さん...天然だったな。

 

さて...帰るk

 

「やぁやぁ、ジョジョくん~!」

 

...なんでだろう、嫌な予感がする。

 

だが、俺の帰り道は俺の背の方向だ、振り向くしかねえ。

 

「...」クルッ

 

「やっほっほ~、ジョジョ~」

 

「...えーと、瑞希は何しにここに?」

 

「新商品を手に入れるために、ショッピングモールに行ってきてその帰り。」

 

「そっか...」

 

...バレて.....なさそうだな。

 

「...あ、一つ質問あるんだけどさ、ジョジョ。」

 

「ん、なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで、雫ちゃんと一緒にいたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...」

 

やっべー...完全にバレてる~...

 

「えーと...いつから?」

 

「ん~...別れ際ぐらいだね。」

 

「...そう。」

 

「ずいぶん仲良さそうだったじゃあないか~...きょーちゃん。」ニコッ

 

...やっばいね~...考えろ...何か策があるはずだ....この場を回避できる策が...

 

...あ、思いついた。

 

「......あーっと」

 

「ん?」

 

「...ばいちゃ。」ダッ

 

戦略的撤退だ。

 

_______________________________________________

 

「待てーーーーーー!!!」ダッ

 

「はっ...はっ...はっ...」ダッ

 

くそっ...アイツ意外と運動神経良いんだよな。

 

この前、校門を軽く乗り越えてたしな。←学校の塀を乗り越えてた人

 

「なんで一緒にいたーーー答えろーーーーー!!!!」ダッ

 

「はっ...はっ...はっ...」ダッ

 

多分、傍から見たらカップルの喧嘩に見えるのだろう...んなこと考えてる場合か。

 

これじゃあ、埒が明かない...どっか逃げれる場所。

 

「...!」

 

そうだ、あそこの路地裏に行けば。

 

「...」ダッ

 

「!? はや!!......あれ、あそこって?」ダッ

 

俺は急いで裏路地に入る。

 

「ふっふっふ~、あそこは、袋の鼠だよジョジョ~」ニヤッ

 

「さあ、観念しろ~!!...あれ?」

 

「い、いない!? なんで?」キョロキョロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~、あぶねえあぶねえ。」

 

俺は、急いで路地裏に入り込み、パイプや室外機を利用して、瑞希の視界外まで上った。

 

「え!? ついに、瞬間移動でも覚えたのジョジョ!?」キョロキョロ

 

なんかこんなシーンドラゴン〇ールZで見たことあるな。

 

さて、あいつがここから出るまで待つか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...なるほどな。」

 

「あれが現役の高校生とは思えない身体能力だな。」

 

「あんときは、なめてかかったが...その必要もなさそうだな。」

 

「...今度、接触してみるか。」

 



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第29話:逃亡と接触

逃げ切ったとしても、それはその場しのぎにしかない。

 

昼休み

 

「ジョジョ待てーー!!」ダッ

 

「響助待てやゴラァ!」ダッ

 

「くそっ...昨日から一人増えちまったよ。」ダッ

 

俺は今二人から追われている、郷秀と瑞希だ。

 

どちらも運動神経は高い方だ、このまま走っても逃げきれないな。

 

「む! 廊下は走っちゃいけないぞ! 響助!」

 

げっ!? 司先輩!?

 

「あ!司先輩!! ジョジョを捕まえて!!」

 

「む!? よくわからんが、とりあえず響助、止まるんだ!」

 

うお、マジかよ。

 

「すみません司先輩!」バスッ

 

「うおっ!?」

 

俺は司先輩を馬飛びでかわした。

 

「何ィ!? オレを踏み台にしたぁ!?」

 

「っと...」

 

俺は窓から外に飛び出た。

 

「...くそっアイツ、窓から...」

 

「特に運動はしてないって言ってたけど、スゴすぎでしょ...」

 

「このままじゃあ、捕まえられねえな...」

 

「...いやぁ、こっちにはまだ策があるよ。」

 

「え?」

 

「ボクには、こういう時に頼りになる人がいるんだ♪」ニヤッ

 

_______________________________________________

 

「はぁ...はぁ.....ふー」

 

ちょっと休憩っと...

 

「.......これからどうすっか。」

 

ほぼ毎日追いかけられるよな...やっぱ話した方が良かったな。

 

...逃げるだけじゃあ変わらねえな。

 

「...」

 

とりあえず、ここからいど

 

ガコンッ

 

「っ!?」ドサッ

 

...っ、めまいか...いや座ってるけどふらつかねえ。

 

...あれ? うまく立てねえ...

 

「...っ!?」

 

両足が......取れている!?

 

...あれはネジか!?

 

「...いったいどこかr」

 

「よぉ...響助。」

 

「郷...郷秀、瑞希...」

 

「なんでここが?」

 

「それはね~...ボクには心強い人がいるんだよ~」

 

「どういうことだ?」

 

「ん。」

 

瑞希が空に向かって指をさす。

 

「.......!? あれは...ドローン!?」

 

まさか類先輩の...は!

 

そうか、瑞希と類先輩は昔馴染みだった。

 

「えーと...」

 

「...」

 

「...」

 

「話し合いしようぜ?」

 

「んなもん必要ないね...やっちゃえ瑞希ちゃん。」

 

「...」ニヤッ

 

「えーと...瑞希さん...なんでしょうかその手つきは...」

 

「え、これ? これはね~」

 

「ジョジョをくすぐるためだよ♪」

 

「え、ちょっやめ...ぎゃはははははwwww」

 

「さぁー観念しろジョジョ~」

 

「わかったwwwわかったww言う言う言う言う!!!」

 

_______________________________________________

 

俺は二人に起こったことを話した。

 

「そんなことがあったの...なんで秘密にしてたの?」

 

「強いて言えば...タイミングを失ったって感じだな...流石にあの状態のお前らに言ったら心ぶっ壊れるだろ。」

 

「ぶっ壊れはしねえけど、バグりそうだな。」

 

「...ってか、Cheerful*Daysの劇場に殴りこんだってマジなの!?」

 

「いや、殴りこんではねえよ、話しただけよ。」

 

「いや...それでもすっごいな...怖いものとかないの?」

 

「いや、流石にあるぞ......ゲームとかソフトを閉じた時に、保存したっけっていう怖さは。」

 

「...?」

 

「ジョジョ...わかるよその気持ち...その時ホントに冷や汗かくよね。」

 

「瑞希はわかるか。」

 

「...?」

 

「...とりあえず...両足くっつけてくんね?」

 

「わかったよ。」

 

ガコンッ

 

「...ってお前、逆につけたろ!」

 

「あー、すまん、ちょいとミスった。」

 

_______________________________________________

 

「はぁー...今日はどっと疲れた。」

 

「それはお前が逃げるからだろ。」

 

「まぁ、それはそーなんだけどよぉ。」

 

「...今日は瑞希ちゃんはバイトでいねえ...探すか?」

 

「...ああ、俺も少し気になることがある。」

 

「なんだ?」

 

「前に、俺を襲った奴らが言ってたやつ覚えているか?」

 

「ああ、なんか仮面を付けてたって言ってたな。」

 

「この前、そいつにあったよ。」

 

「なに、ぶっ飛ばしたのか?」

 

「いや、逃げられた。」

 

「お前がか? 珍しいこともあるんだな。」

 

「ああ、油断したよ、今までで、スタンドなしのお前に次ぐ強さだったよ。」

 

「マジかよ。」

 

「だから...俺はそいつを追う。」

 

「なるほど...わかった、俺は他に何かないか調べる...仮面付けてた奴がいれば報告する。」

 

「了解。」

 

さてと...snsとかで調べながら探そう。

 

...前に行った、咲希ちゃんとみのりちゃんがバイトしてたカフェに行ってみるか。

 

_______________________________________________

 

ここだな...

 

「...」キョロキョロ

 

やっぱりアイツはいねえか。

 

...アイツが逃げて行った方向に向かうか。

 

...アイツ、ただもんじゃあなかったな...金で動いてたあいつら5人よりも強かった。

 

なんなんだアイツ?

_______________________________________________

 

...開けた場所に出たな...snsも情報はなしか。

 

「...あ♪」クルッ

 

「きょーちゃん!」

 

「え?」クルッ

 

振り返ると、雫さん、愛莉さん、みのりちゃんそして、遥ちゃんの姿が見えた。

 

「あ、響助くん!」

 

「どうしたんですか? 4人で?」

 

「今日ね、4人で練習してたの♪」

 

「練習?...ステップとかそういうのですか?」

 

「ええ♪」

 

うん?...4人で?

 

「あれ、4人で、ですか?」

 

「そうよ♪」

 

ってことは...遥ちゃんはアイドルに復帰したんだな...

 

「響助さん。」

 

「うん? どうした遥ちゃん?」

 

「...ありがとう。」

 

「...え、別に礼を言われることしてねえと思うけど?」

 

「...ふふ、言われることしたんだよ響助さんは。」

 

「...そうか?」

 

「...そういえば、グループ名とかって決めてるんですか。」

 

「ええ、『MORE MORE FIGHT!』ていうの♪」

 

「『MORE MORE FIGHT!』...戦闘狂?」

 

「『MORE MORE JUMP!』よ! どれだけ引っ張んのよ!」

 

『MORE MORE JUMP!』か。

 

流石に戦闘狂のような名前じゃあなくてよかった。

 

「...あ! 響助くん! 左腕痛まない?」

 

「あ、うん大丈夫だよ。」

 

「え、きょーちゃん怪我したの!?」

 

「大した怪我じゃあないですよ。」

 

「大したことだよ! 鉄の棒で叩かれたんだよ!」

 

「え、アンタ大丈夫なの!?」

 

「大丈夫ですよ、痕も残ってないです。」

 

「そーなの?」

 

「はい、だから大丈......夫...」

 

あれ...奥にいるのって。

 

「...どうしたの、響助さん?」

 

「...あれは。」

 

...あの仮面......まさか。

 

「響助くん?......っ!? あれって...」

 

みのりちゃんも気づいたってことはやっぱ前の...

 

「...」ダッ

 

「っ! 待て!!」ダッ

 

俺が視認してから逃げたってことはやっぱ前の奴か。

 

「響助さん!?」

 

「ちょっとアンタ!?」

 

「きょーちゃんどうしたの!?」

 

「絶ってぇ、逃がさねぇ!」

 

ここを逃すと、また時間かかるからな!

 

_______________________________________________

 

結構走ったな、あいつどこまで逃げるつもりだ。

 

「...」バスッ

 

「っ!?」

 

塀をよじ登って奥に行きやがった。

 

「舐めるな!」バスッ

 

負けじと俺も、よじ登って奥に向かう。

 

「...」ダッ

 

アイツ、どんだけ体力あるんだよ。

 

「...」

 

「っ!」

 

あの先って確か、路地裏か?

 

俺は、仮面の人物を追って、路地裏に向かう。

 

「...」ピタッ

 

「...もう逃げなくていいのか?」

 

「...ああ。」

 

「!?」

 

喋った。

 

「...」クルッ

 

スッ

 

「っ!」

 

仮面を外した。

 

「アンタが城ケ崎響助だな。」

 

「...前に会ったろ。」

 

「ああ、カフェでな。」

 

「...うちの学校の学生に俺を襲わせたのはアンタなのか?」

 

「なるほど...そういうことになってるのか.....悪いが違う。」

 

「なんだと...あいつら仮面を付けた奴って言っていたんだぞ。」

 

「なるほどな、だが俺ではない、また別の奴なんだろう。」

 

「...わかった、一旦それは信じるとして、なぜお前は俺を襲う。」

 

「お前を痛めつけろっと依頼が来たからだ。」

 

「依頼だと...どういうことだ?」

 

「俺は、とある組織の幹部だ...そんなに大きい組織ではないがな。」

 

「へぇ...その幹部様がわざわざ俺を襲ったと...それはわかった。」

 

「...だが何故また俺の前に現れた?」

 

「それはな、もらった情報と違ったからだ。」

 

「情報?」

 

「ああ、はっきり言えば、お前の事を腐れ外道のように書かれてた。」

 

「はぁ...それで?」

 

「俺はその情報でお前を襲ったが、カフェでは店に迷惑かけないようにすぐさま俺を外におびき寄せた。」

 

「そこで、俺は情報に不信感を感じた。」

 

「そこでしばらくの間、お前を監視させてもらった。」

 

「おいおい、俺のプライバシーは? 正直今更だが。」

 

「それより、アンタ、カフェで急に俺を襲いやがって、店に迷惑だろうが。」

 

「ああ、それは安心しろ、あのカフェは元々別の依頼で護衛してあったんだよ。」

 

「なんだと?」

 

「結構前にあの近くで事件があったんでね、カフェの店長が依頼してきたんだ。」

 

「そして、俺がそこにいる仲間に連絡を取っていた。」

 

「...なるほどな、どうりで警察が動いてねえと思ったよ。」

 

「そういうことだ。」

 

「...せめてバイトには言えよ。」

 

「それは俺も思った...後できっちり叱っておく。」

 

「んで、俺を監視してどう思った?」

 

「ふっ...全然情報と真逆な人間だなと思ったさ。」

 

「それはどーも、わざわざ俺にそのことを言うためにここまで逃げたのか?」

 

「...お前は気にならないのか?」

 

「...俺を襲うと依頼した奴をか?」

 

「ああ、けど教えられないな、守秘義務って奴だ...だがお前が俺達の組織に入ってもらえれば教えられる。」

 

「...なるほど、つまり勧誘するためにここに誘ったと。」

 

「そういうことだ...さあどうする。」

 

「...ふっ、お断りだ。」

 

「んな、正体不明の組織に誰が入るんだよ?」

 

「そうか...まぁ別に構わん、こっち勝手に調べるだけだ。」

 

「...追わないともいってねえだろ。」

 

「...なに?」

 

「お前はその情報を持っているんだろ...だったらお前をぶちのめせば情報を得られるってわけだ。」

 

「...本気で言ってるのか。」

 

「ああ。」

 

「...俺の調べた情報と違うな、アンタは自分から手を出さないんじゃあなかったのか?」

 

「情報が100%正確だと思うなよ、それに状況が状況なんでね。」

 

「...なるほどな。」

 

「まぁ、お前が相手なら、簡単に手に入りそうだ。」

 

「...ほう、俺がまた手加減するとでも?」

 

「あんときは手加減してくれていたのか...まぁ本気だろうが、俺は情報を手に入れる。」

 

「...なら、二度とそう思わないよう徹底的にやってやる。」

 

「...」スッ

 

「ほう、その構え、カンフーって奴か、習ってたのか?」

 

「いや、動画やらゲームやらの見よう見まねだ、強いて言うなら我流だな。」

 

「...なめなれたもんだな。」

 

「...武器は使わなくてもいいのか?」

 

「俺の本気は武器を使わねえことだ。」

 

「...そーかい。」

 

「...」ブンッ

 

「っ!?」サッ

 

俺は男の殴りを首でかわす。

 

前戦った時より素早い。

 

「ふんっ」ブンッ

 

瞬時に後ろに振り向き虎尾脚を繰り出す。

 

「...」バシッ

 

それを両腕でガードする。

 

「...」ズサァ

 

「へぇー、見よう見まねしちゃあ悪くない攻撃だな。」

 

「そいつはどーも。」

 

「だが...そんなんじゃ俺には勝てねえ。」ダッ

 

「...」ズサァ

 

スライディングでこっちに突っ込んでくる。

 

「...」バスッ

 

俺はそれを飛んでかわす。

 

「へー...」

 

スタッ

 

「...」ブンッブンッ

 

「...」サッサッ

 

すかさず足払いを連続で行う。

 

「...」ブンッ

 

「...へっ。」

 

「こうか!」バスッ

 

「なに!?」

 

スタッ

 

「どーよ、俺の見よう見まねは?」

 

「チッ」ブンッ

 

「...」パシッ

 

回し蹴りで攻撃するがそれをガードされる。

 

「へっ。」ガシッ

 

「なっ!?」

 

足を掴まれてしまった。

 

「ふんっ」グルンッ

 

「がはっ!?」ドシンッ

 

俺の足を掴みながら回転しながら俺ごと倒れる。

 

「ふっ。」スッ

 

「...ふんっ」グルンッ

 

「っ!?」

 

俺は足を回しながら、倒立をする。

 

バスッ

 

「フンっ」ガシッ

 

「むぐっ!?」

 

そのまま相手に飛びつき、足で相手の顔を掴む。

 

「オラッ!!」グルンッ

 

「ごはっ!?」ドシンッ

 

そのまま足を軸にし、回転して相手を倒れさせる。

 

バスッ

 

「ぐっ...はっ!?」

 

「うらぁ!!」グルンッ

 

跳び回し蹴りをしながら、相手の顔面に突っ込む。

 

「ぐっ」グルンッ

 

「チッ...」ドシンッ

 

奴は横に回転し、攻撃をかわしやがった。

 

「...」スッ

 

「...」スッ

 

_______________________________________________

 

「おらっ!」ブンッ

 

「グッ!?」ベシッ

 

「フンっ!」ブンッ

 

「げはっ!?」ベシッ

 

お互いに血を流しながら、攻防が続いていた。

 

「はぁ...はぁ...お前...なかなかやるな...」

 

「はぁ...はぁ...お前こそ...それで15か16のガキかよ。」

 

お互いにどんどん体力は削られていた。

 

タッタッタッタ

 

(...足音が聞こえる...足音的に...4人ぐらいいるな。)

 

(...潮時だな。)

 

「...」スッ

 

「...」

 

なんで急に仮面を?

 

「...」フッ

 

「っ!?」サッ

 

俺に向かって何か投げられるが、それをしゃがんでかわす。

 

「...」ブンッ

 

「っ!? がはっ!?」ガスンッ

 

かわすのに夢中だった俺に、奴の後ろ回し蹴りが俺の顎に激突してしまった。

 

「ぐっ!?」ドサッ

 

脳が揺れた俺は、近くの壁に、倒れるように座り込む。

 

くそ....油断した。

 

奴は、もういなくなっていた、おそらくパイプや室外機を利用して逃げたんだろ。

 

「はぁ...はぁ...ぐっ......くそ」フラッ

 

立てねえ...

 

「......っ! 見つけた!」

 

「「響助くん(きょーちゃん)!?」」

 

「アンタ、血を流してるじゃない!?」

 

「はぁ...はぁ...皆...さん。」

 

「しっかりして響助さん!」

 

「大丈...夫、ちょっと脳が揺れただけだから。」

 

「全然大丈夫じゃないわよ!? わたしの肩貸してあげるから、病院に行くわよ!」

 

「いえ、愛莉さん、一人で立てます...」スタッ

 

俺は壁を使いながら立ち上がる。

 

「...?」

 

なんだあれ...もしかしてさっき投げつけられてのあれか?

 

「...」スッ

 

少しふらつく体を動かし、投げつけられたものを拾う。

 

「...」

 

これは...名刺か?

 

『RS』って書いてあるな...これがあいつが言ってた組織って奴か。

 

『RS』...なんかの略語か?

 

これを置いてったつーことは、少しは信用されたって事かな。

 

「きょ、きょーちゃん、早く病院にいかないと!?」

 

「はい、やっと普通に立てるようになったので一人で行きます。」

 

「アンタね! 血を流してる人を見逃すわけないでしょ!」

 

「で、ですが...」

 

「でもじゃないわ! みんなで行くわよ!」

 

...流石にこの4人で病院なんか行ったらヤバいだろ。

 

「...あ!そうわ、あそこの診療所よ。」

 

「え、診療所?」

 

「そう、この前きょーちゃんが紹介してくれたわ、そこなら私、案内できるわ!」

 

「...響助、怪我してる所悪いのだけど、その診療所、案内してもらえる?」

 

「え、はい。」

 

_______________________________________________

 

「こんなところに、診療所があるなんて。」

 

「これは...雫じゃ迷いそうね。」

 

ピンポーン

 

「...はーい。」 

 

ガチャッ

 

「どちら...って響助どうしたのその怪我...てええええ!?」

 

そりゃこの反応になるわな、人気アイドルだらけだからな。

 

「とりあえず...治療してくれっす...」

 

「...は! そうだった!」

 

_______________________________________________

 

「これでよしっと...珍しいわね、アンタがここまでやられるなんて?」

 

「...久しぶりに大物に当たっちまいましてね...」

 

「...それよりさ...アンタの人脈どうなってるの?」

 

「いや...俺に聞かないでください...俺だって不思議がってるんすから。」

 

...それよりも、『RS』か...近いうちに行かねえとな。

 

住所も書いてあるしな。

_______________________________________________

 

そのあと、俺は家に帰った...一人で。

 

雫さんは、「ダメよ! ケガ人なんだから一緒に帰った方がいいわ!」って言ってたけど。

 

流石に家まで送ってもらうわけにもいかない...ていうか雫さんが無事家に帰れるかわからない。

 

愛莉さんが言ってくれたおかげで、一人で帰れることができた。

 

そういや『MORE MORE JUMP!』だったか...これからが楽しみだ。

 



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第30話:忍び寄る灰色

...久しぶりにあんなにボロボロになったなぁ。

 

「...? 城ケ崎か?」

 

「ん? お、冬弥か。」

 

「っ!? どうしたんだ、その怪我?」

 

「え、あーちょっと色々あってな、見た目より酷くはないぞ。」

 

「そう...なのか?」

 

「ああ...てか彰人とは一緒じゃあないのか?」

 

「彰人は、サッカー部の助っとで朝練に参加している。」

 

「へー、んなマンガみたいなことホントにあんだな。」

 

「城ケ崎は、二人とは一緒じゃないのか?」

 

「いや、別に、いつもペアやトリオっつーわけじゃあねえからな。」

 

「そうなのか? とても仲が良いからそう思っていたが。」

 

「仲が良くても、いつも一緒にいるわけじゃあねえしな。」

 

「あ、ふたりともおはよ。」

 

「ああ。」

 

「よ、杏ちゃん。」

 

「...って!? 響助どうしたのそのケガ!?」

 

「あー、まぁちょっと色々あってな、そんなに痛みもねぇよ。」

 

「そ、そうなの?」

 

「おう、杏ちゃんは...風紀委員の仕事か?」

 

「そう、遅刻した人の取り締まり。」

 

「まだ、遅刻じゃない。」

 

「それはわかってるってば、声かけたのは、取り締まるためじゃないし。」

 

「それじゃあ、何で声をかけたんだ?」

 

「ふたりともいつも、響助は瑞希たちと、冬弥は彰人と一緒だけど、お互いにひとりだったから珍しいなって思ってね。」

 

「なるほどね。」

 

「彰人は、サッカー部の助っとで朝練に参加しているんだ。」

 

「ふーん、助っ人ねぇ、あいつもそんなことするんだ。」

 

_______________________________________________

 

「...お、響助。」

 

「よ、郷秀。」

 

「...おめー、どうしたんだ、その怪我?」

 

「後で話すよ。」

 

「...ああ、例のあいつにやられたのか?」

 

「まぁ、そういうこと。」

 

「ていうか、瑞希ちゃんと一緒じゃあねえのか?」

 

「俺は知らねえよ、あいつ昼に来ることもあんだろ。」

 

「ま、それもそうか。」

 

_______________________________________________

 

「あ、おっはよー、ふたりとも!」

 

「お、瑞希ちゃん!」

 

「お前、微妙な時間に来るな~...あともうちょいで遅刻しねえのに。」

 

「さっき杏にも言われたけど、お昼登校が多いボクにしたら、めちゃくちゃ早い方でしょ?」

 

「それはそうだな!」

 

朝から来いよ...て言いたいけど、こいつにも色々あるしな...

 

「あ、今日、屋上でお昼食べよ♪」

 

「いつも一緒に食ってるだろ...あとちょっとこいつと用があるからそのあとでいいか?」

 

「そーなの? 杏も一緒に食べるから早く来てよ?」

 

「よし、さっさと終わらせるぞ響助。」

 

「へいへい...」

 

「...そういえば、もうすぐテストだね~。」

 

「もうそんな時期か...ま、復習してりゃあ大丈夫だろ。」

 

「へー、ジョジョって家で勉強してるの?」

 

「まぁ、課題と復習ぐらいだな、予習はしないけど。」

 

「へー...なんかしなさそうなのに。」

 

「おい...どういう意味だそれは?」

 

_______________________________________________

 

昼休み

 

「...んで、その仮面の奴はどんな奴だったんだ?」

 

「話した感じ、学校で俺を襲った奴とは別の奴みたいだ。」

 

「へー、お前多方面から恨み持たれているんだな。」

 

「おそらく逆恨みだろうけど、めんどくせえな。」

 

「話したって言ったが、その仮面の奴は何なんだ?」

 

「何でも屋に近いのかもな、復讐もそうだけど、カフェの警護もやってるって言ってたな。」

 

「なるほど...組織の名前とかわかるのか?」

 

「ああ、この名刺を追いてったからな。」

 

「...『RS』か...悪いが聞いたこともねえな。」

 

「ネットでも検索に引っかからねえからな、ただ名刺に住所は書いてある。」

 

「...乗り込むのかそこに...」

 

「...そうだな、わざわざご丁寧に名刺を追いてったんだからな。」

 

「...じゃあ俺も一緒に乗り込むわ。」

 

「なんでだよ?」

 

「なんでって...ダチだから?」

 

「...はぁ?」

 

「矢を探すことを、お前は関係ないのにダチだからっていう理由でやってるんだろ。」

 

「だから、それと同じ理由だ。」

 

「...そーだったな、わかった。」

 

「これで終わりか......んじゃ、楽園に行くぞ。」

 

「...は? 楽園ってどこだよ?」

 

「屋上に決まってるだろがバカタレ! ふたりのカワイイ子と一緒に昼飯が食えるんだぞ!!」

 

「......はぁ。」

 

「ほら、さっさと行くぞ!!」

 

「...やれやれ。」

 

_______________________________________________

 

下校時間

 

「んで、今日行くのか、そこ。」

 

「...いや、さすがに警戒されてるからな、少し時間が経ってから行くか。」

 

「なるほど、んじゃ行くときは連絡してくれ。」

 

「了解。」

 

プルルッ

 

「ん...俺じゃあないな響助か?」スッ

 

「...俺だ...仗助さん?」

 

ピッ

 

「もしもし?」

 

『響助か?』

 

「はい、横に郷秀もいます。」

 

『そーか、こないだの事件の犯人に直接聞けたぜ。』

 

「本当ですか!」

 

『ああ、どーやら、拳銃自体もきれいさっぱり消えちまってるらしい。』

 

「...そうなんですか。」

 

『おー、んで、犯人にどっから手に入れたんだって聞いたんだけどよぉ。』

 

『どーやら、ネット手に入れたらしいんだ。』

 

「ネットですか?」

 

『おー、とあるサイトらしいんだがよぉ、今オレ達とSPW財団で調べてる。』

 

「...? 犯人のスマホから履歴とかで調べられないんですか?」

 

『オレも最初はそーしようとしたんだけどよぉ、どーやらスマホは銃を受け取った時に壊されたらしいんだ...オレのクレイジーダイヤモンドでも、精密機械は直せねえんだ。』

 

「なるほど...」

 

『あと、そのサイトっつーのもよぉ、スマホでしか見れねぇようにできてる...確実にそこで買った証拠を消すためにな。』

 

「サイトの名前とかでもわかりそうなものですけど...そこもばっちり対策されてるんですか?」

 

『そーだな...サイトの名前もない、特徴があれば、真っ黒なサイトで銃器の値段を載せてるらしい、犯人の言ってることが正しければよぉ。』

 

「そうですか。」

 

『そっちは、何か掴めたのか?』

 

「いえ、特にはないですね。」

 

『そーかぁ...そーだ響助...おめーに頼みてぇ事があるんだがいいか?』

 

「頼み事ですか?」

 

『おー、今度の休日に、オレの知り合いが来るんだけどよぉ、シブヤを案内してくれるか?』

 

「シブヤをですか? でも俺あまりシブヤを知ってはないんですけど、それでもいいならいいですけど。」

 

『それで大丈夫だ、その人もある程度はスマホで探せるっていってたからよぉ。』

 

「わかりました、日程はいつ頃ですか?」

 

『土曜日の昼頃だ、場所は、当日でいいか?』

 

「わかりました。」

 

『おー、サンキューな響助。』

 

「いえ、こちらこそ。」

 

プツッ

 

「...なるほどな。」

 

「郷秀、聞こえてたのか?」

 

「ああ、響助。」

 

「ん?」

 

「どうやら、俺らが目指してるのは深い闇みたいだな。」

 

「...そうだな。」

 

「...どうする響助?」

 

「...ふっ...上等だ、とことんまで追ってやるよ。」

 

「お前ならそう言うと思ったぜ。」

 

「お前はこの後どうする。」

 

「今日もいつも通りだ...お前は?」

 

「俺も調査かな。」

 

_______________________________________________

 

ここの通りはあまり来たことはなかったな。

 

あまり人気はなさそうだな

 

「...ね、..が誘....」

 

「...う.....わ....悪...」

 

ん? 話し声が聞こえる、こんな時間なのに。

 

「...おや?」

 

「...あ。」

 

「...類先輩に...寧々ちゃん?」

 

「響助くん...」

 

「城ケ崎くん...」

 

...なんか......暗いな...

 

「...何かあったんですか?」

 

「え?」

 

「...なんか妙に暗い表情してたので...」

 

「...」

 

「...すまない、僕は帰るよ。」タッタッタッ

 

「え、類!?」

 

「類先輩...」

 

類先輩は、そのまま帰ってしまった。

 

「あ、あの。」

 

「うん? どうかした?」

 

「...ごめん。」

 

「え、俺、謝られることされてないけど...」

 

「...噂のこと。」

 

「噂.....ああ、悪霊が憑いているとかの奴か...でもそれは、寧々ちゃんは悪くないだろ?」

 

「で、でも...わたしを助けたせいで...」

 

「...なぁ、寧々ちゃん...君は被害者なんだ、そんな気に病むことじゃあないよ。」

 

「それに、こんな噂を流されても、関係なく話しかけてくれる人がいっぱいいるんだ、ホントに俺にはもったいないくらいにね。」

 

「それに、寧々ちゃんだって、話しかけてくれてるだろ?」

 

「城ケ崎くん...」

 

「別に俺はそれを流された所で、俺は何も失ってないからな、気にしないでいいさ。」

 

「ところで...何かあったの?」

 

「あんな類先輩は初めて見たよ。」

 

「...実は..」

 

_______________________________________________

 

俺は寧々ちゃんから、今日に起こった事を聞いた。

 

「そんなことが...ていうか、司先輩がショーのバイトに受かったって聞いたけどまさか、類先輩や、寧々ちゃんと一緒にやってたとは...」

 

「...でも、類はもう来ないかも。」

 

「え?」

 

「ネネロボを置いてきたの...「もう使うこともないだろう」って言って。」

 

「...なるほどな。」

 

これは、類先輩の選択だ...俺に止める権利はない。

 

「...司先輩がそんなことを言ってたとはな...『1回1回が勝負』『客と向き合う』....確かに司先輩が言ってることはわかるよ。」

 

「...」

 

「...といっても...反省してる人に対して責めるのは違うと思うな。」

 

「...え?」

 

「だってそうじゃない? どんなにプロでも失敗する可能性はあるんだ。」

 

「天気予報だって外れることはある、だって未来なんて誰にもわからないんだからね。」

 

「少しでも未来を良くするために反省してるのに、それを責めるなんておかしいよ。」

 

「...でも。」

 

「ん?」

 

「司に言われたことも...わかってる...! お客さんと向き合わないで、最高のショーはできないって...でも...」

 

「...それが出来なくて...裏でネネロボを使ってショーしてた...てこと?」

 

「...」

 

「...つまり寧々ちゃんは...ショーの舞台から逃げた...って思ってるのかい?」

 

「...うん。」

 

「...そうだな...じゃあ「逃げる」って言い方変えてみないか?」

 

「え?」

 

「ショーをすることだって、別に表立ってしなくてもできる。」

 

「寧々ちゃんにとって、ショーは諦められない夢なんだろ?」

 

「どうしても諦められない夢なら、どこか他にも必ず道があるんだ。」

 

「寧々ちゃんはその道を探せたんだよ。」

 

「だからさ、その道を「逃げる」なんて言い方しなくたっていいと思うよ。」

 

「...城ケ崎くん。」

 

「...でも...寧々ちゃんが表舞台立ちたいなら...俺は止めないよ。」

 

「...」

 

「まぁ...このことは俺の好きなゲームからのセリフからなんだけれどね。」

 

「城ケ崎くんもゲームするんだ。」

 

「まぁね...ゲームは面白いし、それで知ることもあるからね。」

 

「...さてと。」

 

「...城ケ崎くん?」

 

「少しだけ、司先輩にガツンと言ってこようかな。」

 

「え?」

 

「...司先輩はさ、何か忘れてるんだよ。」

 

「忘れてる?」

 

「そう...だからそれを思い出させるために、ガツンと言ってくるよ、気を付けて帰れよ、寧々ちゃん。」タッタッタッタ

 

「...っ 城ケ崎くん!」

 

「え?」クルッ

 

「...ありがとう!」

 

「...ふっ。」

 

_______________________________________________

 

俺は司先輩を待っていた。

 

「クソッ....なんで。」

 

この声は...司先輩だな。

 

「...こんばんは、司先輩。」

 

「っ!? きょ...響助...なんでここに。」

 

「...寧々ちゃんからすべて聞きました。」

 

「っ!?」

 

「司先輩、『1回1回が勝負』『客と向き合う』、それが大事なのはよく分かります...ですが。」

 

「反省している仲間に対して責めるのは本当にスターのすることですか?」

 

「っ...」

 

「...はっきり言わせていただきます。」

 

「司先輩、今のあなたじゃあ、スターにはなれませんよ。」

 

「っ!?......お前まで...言うのか...」

 

「ええ、はっきりと...ですがそれは今の司先輩に言ってます。」

 

「...なに?」

 

「司先輩...あなたは何かを忘れてるんです。」

 

「...オレは...忘れてなど...」

 

「忘れてるんですよ......俺が言いたいのはこれだけです...では。」タッタッタッタ

 

「っ...」

 

_______________________________________________

 

さて...どうなるか...

 

ブーン

 

「...ん?」

 

あれは...バンか? なんでこんな時間にこんな場所に?

 

「ヒッ!!? 」

 

え、悲鳴!?

 

ダッ

 

「くそ!? 静かにしてろ!!!」

 

「誰か!! 助けむぐぐ!!」

 

「大人しくしてろ!!」

 

「大人しくするのはてめえだ!」ブンッ

 

「っ!? ガハッ!?」バシッ

 

女の子を抑えてる男の顎元をぶん殴り、相手は倒れる。

 

「君、大丈夫か!」

 

「う、うん!」

 

「このガキ!」

 

「っ!」ブンッ

 

「ぐっ!?」バシンッ

 

俺は回し蹴りで反撃する。

 

「君、離れてて!」

 

「わ、わかった!」

 

ブーン

 

バンにも一人乗っていたのか。

 

「チッ...てめえぶっ殺してやる。」スッ

 

「っ...ナイフかよ。」

 

「オラッ!」フンッ

 

「...」サッ

 

「ふんッ!」フンッ

 

「...」サッ

 

容赦なくナイフの斬撃が飛んでくるが、かわし続ける。

 

「ウラッ!」フンッ

 

「そこ!」パシッ

 

「ぐっ!?」

 

「フンッ!」グッ

 

「ガッ!?」

 

カランッ

 

ナイフを持ってる手元をはじき、すかさず上腕を攻撃し、ナイフを落とさせる。

 

「...」グルンッ

 

ガシッ

 

「ぐっ!?」

 

すかさず相手の背後に回り、腕で相手の腕をロックする。

 

「オラッ!」ブンッッ

 

「ぬわっ!?」

 

「ふんっ!」ブンッ

 

「ガハッ!?」ベギッ

 

そのまま相手を放り投げ、すかさずしゃがみ回し蹴りを落ちてくる相手の顔面に食らわせ、吹っ飛ばす。

 

「す...すごい!」

 

「...」

 

「...」

 

「...ふー、何とかなったか。」

 

「君、怪我とかないか?」

 

「う、うん大丈夫...あれ?」

 

「...あれ? もしかしてこないだ、俺が宮女を聞いた子か?」

 

「うん!.....う...」

 

「?」

 

「うわーーー!! 怖かったよーーー!!」

 

そりゃあそうだ...誘拐されそうになったんだからな。

 

「ああ、怖かったな...でももう大丈夫。」

 

...ところで、なんでこの子を狙ったんだ...バンも使うってことは最初から狙ってたってことだよな?

 

「...っ! 貴様ーー!」

 

「え? 誰?」キョロキョロ

 

男の声か?...でも男の姿が見えない。

 

「えむお嬢様に何をしたー!」

 

「え、ちょっと待て、まさかあの着ぐるみか?」

 

なんだあの着ぐるみ、声と見た目があってねえぞ!?

 

...てかえむお嬢って?

 

「ちょっと待て誤解だ!」

 

「とぼけるな!! 証拠はこの着ぐるみにに内蔵されたカメラに残っている!」

 

めっちゃハイテクな着ぐるみだな!?

 

「だから! 色々誤解が!?」

 

「問答無用!!」

 

「うおっ!?」サッ

 

この着ぐるみ、見た目以上に素早いぞ!?

 

「逃げるな!!」ブンッ

 

「ぐっ!?」パシッ

 

掴みかかる手をはじく。

 

くそはじいただけでわかる、パワーがすごい!?

 

この子の知り合いみたいだ、だとしたら下手に手を出せねえ

 

パワー比べじゃあ負ける...ならあれしかねえ。

 

「っ!」ダッ

 

「っ! 貴様!! 逃げられると思うな!!」

 

距離が必要だ...幸い俺の方が走るスピードは速い!

 

「ふんっ」バスンッ

 

「っ!?」

 

急いで壁の方向に走り、そこから壁跳びで着ぐるみの裏側を取る。

 

「っ!」ダッ

 

「ぐっ! ちょこまかと!!」

 

...このぐらいの距離があれば行けるな。

 

「...」クルッ

 

「っ! ついに観念したか!!」

 

俺に突っ込んでくる着ぐるみ。

 

パワーじゃあ負ける...ならそのスピードを利用してやる。

 

「オラッ!」バシッ

 

「ぐうっ!?」

 

突っ込んでくる着ぐるみの脚を、足払いでし、着ぐるみを宙に浮かせる。

 

「ふんっ!」スンッ

 

「うおあっ!?」

 

そのまま着ぐるみの体を手のひらを使い、後方に放り投げる。

 

「ぐっ!?」ドシンッ

 

「はぁ...はぁ...」

 

あぶねえ...念のためスタンドの腕も一緒に使ってよかった。

 

使ってなかったら、手首折れそうだったな。

 

「こ...この!!」

 

「待って!! 着ぐるみさん!!」

 

「...」ピタッ

 

「その人は、あたしを助けてくれたの!!」

 

「...本当ですか?」

_______________________________________________

 

「本当に申し訳ありません!!」

 

「い、いえ、あそこだけ見たら誰だって勘違いしますから。」

 

「えむお嬢様の恩人に手を上げてしまうとは...」

 

「そんなに自分を責めないでください...それよりも思いっきり投げちゃいましたけど、怪我はないですか?」

 

「私は大丈夫です、それよりも君は? 相手はナイフを持ってると聞きましたが?」

 

「俺も大丈夫です...それより、誘拐しようとした人物に心当たりはありますか?」

 

「すみません...はっきりとは、ただ最近半グレが活動している情報がありますので、おそらくはその半グレグループの犯行の可能性があります。」

 

「...あの、さっきその子の事をお嬢様って言ってたのって本当ですか?」

 

「はい、フェニックスグループの鳳えむお嬢様です。」

 

「あそこに見える、フェニックスワンダーランドもフェニックスグループが経営しております。」

 

「...無知で申し訳ないんですけど、超お金持ちってことですよね。」

 

「はい。」

 

なるほど...誘拐される理由が分かった。

 

寧々ちゃんの話に出てきたえむってこの子の事だったのか。

 

「響助様、一つ聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

 

「なんですか?」

 

「先ほどの動き、素人が出来るようなものじゃないのですが、何か習っていたのでしょうか?」

 

「あー...いえ、俺の好きなゲームや動画の見よう見まねです。」

 

「見ただけで、あの動きを!?」

 

「まぁ、そうですね。」

 

「あーと、とりあえず、後の事任せてもらってもいいですか...流石にそろそろ戻らないと親が心配するので。」

 

「わかりました、改めて、ありがとうございました。」

 

「いえいえ、えむちゃんもじゃあね。」

 

「うん! 響助くんも、またねー!」

 

_______________________________________________

 

ガチャッ

 

「ただいま~...はぁ疲れたぁ...」

 

「おかえり響助、こんな時間までどうしたの?」

 

「いや、その...着ぐるみに襲われてた。」

 

「...は?」

 



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第31話:『RS』

「...」

 

「...」

 

「なぁ、瑞希ちゃん?」

 

「んー?」

 

「ありゃあ...何だ?」

 

「んー...ジョジョと司先輩だね。」

 

「そりゃあ、わかるんだが...なんか...先輩の方、なんか低くねえか?」

 

「まぁー、ジョジョ身長大きいしね。」

 

「いや、身長の話じゃあないんよ...」

 

 

 

「...どうしたんですか? 珍しく屋上まで来て?」

 

珍しく司先輩が屋上に来ていた。

 

恐らくは、俺に会うためだと思う。

 

「...響助! 昨日はすまなかった!!」

 

「...」

 

「お前の言う通りオレは忘れていた...なのにオレはお前に当たってしまった...」

 

「...司先輩。」

 

「...」

 

「別に俺は怒ってるわけじゃあ...いや、怒ってはいました。」

 

「ですが、今はそれはどうでもよくて...思い出したんですか...忘れていたこと?」

 

「ああ! オレは、みんなに笑顔をあげられるショーをやりたい。」

 

「...そして観客の笑顔からオレ達も笑顔になれる...そんな最高のショーを...オレは思い出した!」

 

「...じゃあ、俺から言うことないですね。」

 

「...なぁ、響助...何故、お前はオレが忘れてた事を知っていたんだ?」

 

「咲希ちゃんから聞いたんです。」

 

「咲希から?」

 

「ええ、」

 

「咲希ちゃんが入院している時に、咲希ちゃんが寂しくないようにショーをしていたことを聞いたんです。」

 

「だから、寧々ちゃんから聞いた時、ショックを受けましたよ。」

 

「だから昨日、言ったんです、それでも思いださなかったら、一発ぶん殴ってるところでしたよ。」

 

「むっ!?」アオザメ

 

「...それよりも、俺よりも謝る人がいるんじゃあないですか?」

 

「ああ、わかってる。」

 

_______________________________________________

 

「...」ウトウト

 

「...? なんか眠そうだな響助?」

 

「んー...昨日色々あったからな...ちょっと寝みぃ...」

 

「寝たら? 時間になったらボクが起こしてあげるからさ。」

 

「ああ...悪い...」ウトウト

 

「...」グー

 

「あらら...こりゃ、そうとう疲れてるね。」

 

「普段だったら、ボクに頼まないで、郷秀くんに頼みそうなもんなのに。」

 

「もう寝てるしな...」

 

「...」グー

 

「...なぁ、瑞希ちゃん?」

 

「ん?」

 

「こいつ、普段の言動で隠れがちだけどさ...こいつ顔綺麗だよな?」

 

「あ、やっぱ郷秀くんもそう思う?」

 

「ああ、しっかりとメイクしたら、女性に見えるだろこれ?」

 

「...郷秀くん。」

 

「ん?」

 

「...」スッ

 

「そ、それは!?」

 

「...」ニヤッ

 

「...」ニヤッ

 

_______________________________________________

 

「...んー」ググッ

 

「あ、おはよジョジョ、まだ全然時間あるよ。」

 

「そっか...じゃあちょっとコーラ買ってくる。」

 

「いってらっしゃ~い♪」

 

ガチャンッ

 

「...瑞希ちゃん。」

 

「うん?」

 

「...逃げるぞ。」

 

「...うん!」

 

_______________________________________________

 

さてコーラ、コーラと...なんか周りからの視線が多い気がする。

 

...気のせいか?

 

「...あれ? 響助じゃん?」

 

「ん? 杏ちゃんか?」クルッ

 

「っ!?」

 

「どうした...俺の顔になんかついてたのか?」

 

「いやついてるっていうか...てか気づいてないの?」

 

「え、どういうこと?」

 

「鏡とかで自分の顔を見て!」

 

「え、わかった。」

 

鏡は持ってねえから、スマホのインカメで見よう。

 

ピッ

 

「...ん? 俺の壁紙こんなんじゃあなかったような?」

 

...ん? 今カメラ起動したよな?

 

「...え、これ俺!?」

 

「そーだよ! びっくりした、人違いかと思ったよー。」

 

「これが...私///...じゃねーよ、なんじゃこりゃ!?」

 

「いやでも...カワイイよ響助!」

 

「元から、顔綺麗だったからね!」

 

「んー...自分でもカワイイと思ったが...いやこれじゃあナルシストだわ。」

 

誰にやられた...いや、もう犯人分かったわ。

 

「...ちょっと、二人絞めてくるわ...」ゴゴゴゴ

 

「あー...風紀委員的に止めた方がいいと思うんだけど...二人が悪いしな...」

 

「...」タッタッタッタッ

 

_______________________________________________

 

「...ここまでくれば...大丈夫だよな?」

 

「その発言、ものすごくフラグっぽいけど?」

 

「大丈夫だって...流石に屋上見てから来るから時間はかかるはずだ。」

 

「俺はこっちを見張るから、瑞希ちゃんは、あっちを見張っておいて。」

 

「了解!」

 

「...」

 

「...」

 

「...ジョジョは来てなさそう...郷秀くんの方は?」

 

「...」

 

「...? 郷秀くん?」

 

「...」チーン

 

「郷秀くん!?...足音も聞こえなかったのになんで!?」

 

「よう。」

 

「っ!?」ビクッ

 

「瑞希ぃ...」

 

「ジョ...ジョ...足音もなかったのに...」

 

「半径20Mの地面から音を奪ったからな。」

 

「へ、へぇー...ジョジョの能力って範囲も指定できるんだ~...すごいな~...」

 

「...何か言い残すことは?」

 

「......てへっ♪」

 

_______________________________________________

 

下校時間

 

「あいたた...響助...せめて能力で気絶させてくれ...首がいてぇ...」

 

「お前にはこれでいいんだよ...ったく...」

 

「でも...あの時のお前、めっちゃカワイかったぜ。」

 

「もう一回絞めるか。」

 

「おわ!? 待て待て、悪かったって!」

 

「...ったく。」

 

「んで...今日はどうする?」

 

「...乗り込むぞ。」

 

「『RS』ってとこにか?」

 

「...乗り込むっつーか、訪問って言った方がいいか。」

 

「名刺もらってるしな。」

 

「んじゃさっさと行くぞ。」

 

「ああ。」

 

「住所はっと...この辺は行ったことねえな。」

 

「俺もだ。」

 

「...あれ、城ケ崎じゃねえか?」

 

「ん? お、彰人と冬弥か。」

 

「...ん? 今日はアイツとは一緒じゃねえのか?」

 

「アイツはバイトだ...お前らは?」

 

「ん、ここに行こうとしてたんだ。」

 

「...パンケーキの店か?」

 

「ああ、最近できた店で、ネットでも高評価だと。」

 

「へー、彰人はこういうスイーツ系が好きなんだな。」

 

「ああ、意外か?」

 

「まぁ、その髪色だからニンジンが好きなのかと?」

 

「髪色は関係ねえだろ! それにニンジンはちょっとな。」

 

その髪色でニンジン嫌いは無理があるが?

 

「ああ...冬弥は彰人の付き添いか?」

 

「それもあるが、彰人がここの店のコーヒーがおいしいって言ってな。」

 

コーヒーが好きなのね...これは見た目通りだわ。

 

「へぇー。」

 

「お前らも時間があるなら一緒に行くか?」

 

「あー悪い、ちょっと行くとこがあってな。」

 

「そっか、じゃあな。」

 

「おう。」

 

_______________________________________________

 

「パンケーキねぇ...」

 

「なんだ響助? その店行きたかったのか?」

 

「いや、そうじゃあねえんだけど...店でそういう奴食ったことねえなって思ってな。」

 

「確かにパンケーキって店であまり食わねえな。」

 

「今度食いに行くか。」

 

「そうだな、瑞希ちゃんも誘ってな。」

 

「さてと...もうすぐだな。」

 

「ああ。」

 

...ん? なんか後ろからつけられてる?

 

「なぁ、郷秀...なんかつけられてないか。」

 

「お前も気づいたか...3人ぐらいか?」

 

「多分な...ん、あれは...仮面の男か?」

 

「アイツが仮面の男ねぇ...」

 

「いやでも、なんか違うな...仮面は同じだがな。」

 

「...後ろの奴も仮面をかぶってるそうだぜ。」

 

「なぁ...アンタら『RS』の奴らだろ。」

 

「...」

 

「アンタの所の幹部から名刺もらってるんだ、案内してくれないか?」スッ

 

「...」ブンッ

 

「おっと!?」サッ

 

「...」ブンッ

 

「おわっと!?」サッ

 

「こりゃあ...ずいぶんな歓迎だな響助?」

 

「ああ、とにかくこいつらぶっ倒さねえとな。」

 

「あれ使っていいか?」

 

「ダメだ、あれはあんま人に見られないと方がいい。」

 

「わかったよ。」

 

「...」ブンッ

 

「...」パシッ

 

俺は、仮面の男の攻撃を受け流す。

 

「...」ブンッ

 

「っ!」グッ

 

郷秀は、相手の攻撃をガードする。

 

「っ!」ダッ

 

バスッ

 

「っ!?」

 

仮面の男を背後から、馬飛びをする。

 

「ふんっ」ブンッ

 

バシッ

 

「っ!?」

 

奴は水面蹴りを食らい宙に浮く。

 

「ふんっ!」

 

水面蹴りの勢いを利用し、倒立からそのまま地から離れ。

 

「がっ!?」ゴスン

 

そのまま仮面の男の腹に地面に叩きつけられる衝撃と体重を乗せた両膝を食らわせた。

 

「お~...やるねぇ。」

 

「...」ブンッ

 

「...へっ」ブンッ

 

「っ!?」サッ

 

郷秀は、右アッパーカットをするが、それをかわされる。

 

「フッ!」ブンッ

 

「ぐっ!?」バシッ

 

すかさず、左ストレートをするが、それを防がれる。

 

「へっ、ボディがガラ空きになったみたいだぜ!」ブンッッ

 

ゴスンッ

 

「ゴアッ...」ドサッ

 

がら空きになったボディに、ぶち抜かれそうなストレートを仮面の男に放った。

 

「おお...エッグ...」

 

「っ...」スッ

 

ふたりの仮面の男が、特殊警棒を取り出した。

 

「武器か...」

 

「っ!」ブンッ

 

「チッ!」サッ

 

「っ!」ブンッ

 

「おっとっ!」サッ

 

さて...どうするか。

 

「っ! 響助!」ブンッ

 

郷秀がこっちに向かって何かを投げる。

 

「お!? あぶねえだろ。」パシッ

 

これは...鉄パイプか?

 

「あっちも武器使ってんだ...こっちも使っても文句はねえよな!」

 

「...確かに。」ブンッ

 

「がっ!?」カーンッ

 

俺は鉄パイプで、相手の顔を攻撃する。

 

「...オラッ!」グルンッ

 

「ガハッ!?」ガツンッ

 

そのまま、腹を狙ってフルスイングを決める。

 

「お前...ホント容赦ねえな?」

 

「これでも容赦してるけどな?」

 

「っ!」ダッ

 

「お...ちょっとそこどけ、響助。」

 

「?」サッ

 

「...」ガシッ

 

仮面の男が郷秀に掴みかかる。

 

「へ...力は弱いみたいだな!!」グンッ

 

「っ!?」

 

「おらっ!」ブンッ

 

ドシンッ

 

「がはっ!?」

 

郷秀はその状態から、相手を持ち上げて、パワーボムを食らわせる。

 

「オラッ!」ブンッ

 

「ガッ」ベシッ

 

すかさず、俺は顔面を回し蹴りで追い打ちする。

 

「おーこりゃあ、気を失ってるな。」

 

「...これで全員か?」

 

「ああ、全員だ。」

 

「「っ!?」」クルッ

 

声のした方向に俺たちは振り向く。

 

「あ~あ...こりゃあ相当やったな~」

 

「っ! お前は!?」

 

「よ、直接話すことは、あの日以来だな城ケ崎響助。」

 

「こいつが?」

 

「お前の事も知ってるぞ、宝来郷秀。」

 

「なっ!? なんで俺の名前?」

 

「この辺の情報には、ちと強いのでね。」

 

「アンタがこいつらを仕向けたのか?」

 

「ああ、アンタらが情報を話せるどうかの人間なのかを確認したかったのさ。」

 

「...なんだと?」

 

「こいつらは、俺には劣るとは言え、実力者だ、この人数を相手に大したもんだよ。」

 

「ちょっと待て...情報って言うのは?」

 

「響助、お前が欲している、依頼者の情報さ。」

 

「...何故急に話すようになったんだ?」

 

「ま、こっちもちょっとばかし状況が変わってね...ここじゃああれだ、お前らが行きたがっていた『RS』で話そう。」

 

「...わかった。」

_______________________________________________

 

俺らは、仮面の男の幹部に連れられ、雑居ビルの中に入っていった。

 

「ここが...『RS』。」

 

中に入ると、ぱっと見はオフィス...なんだが、かなりの数のコンピュータや、モニターがおいてある。

 

「ま、そこに座れ。」

 

「...とりあえずお前らが聞きたいことは、まずこの『RS』って言うのは何なんだって聞きたいんだろ?」

 

「ああ、聞きたい。」

 

「簡単に言やあ...自警団組織って所だ。」

 

「自警団?」

 

「ああ、最近のシブヤ、警察の機能が落ちているのは感じているだろ?」

 

「...ああ、前まではこんなんじゃあなかったよ...最近じゃあ、ヤクまで現れやがった。」

 

「そういうこと...警察が機能が落ちてるってことは、被害者が増える一方だ、だからそれを防ぐために、この組織が出来た。」

 

「なるほどな...じゃあなんで、俺に情報を言うようになったんだ?」

 

「そうだな...お前、昨日、女の子...鳳えむを誘拐しようとした男二人をぶっ倒したろ?」

 

「お前、見てたのか?」

 

「いや、仲間から聞いた...助太刀しようかと思ったが、その前にお前が片付けちまってな。」

 

「お前、疲れてたのってそれか?」

 

「ああ...だけどそれと情報がどう結びつくんだよ?」

 

「お前がぶちのめしたのは『サングエフリッド』っつー半グレ組織だ。」

 

「イタリア語で、『冷血』っつー意味だ...くだらねえな。」

 

「そして、お前を痛めつけるように頼んだ依頼者も『サングエフリッド』だ。」

 

「なんだと?」

 

「お前は、半グレから狙われる立場になったってことだ。」

 

「...どういうことだ?」

 

「...あの時は、守秘義務って言ったが...半グレに狙われないようにするための嘘だったが...運命のようにお前は半グレを倒してしまったってことだ。」

 

「運命...か。」

 

「今、なぜお前が、狙われる立場になったのか調べさせてる。」

 

「...なぁ、アンタはなぜ俺のことをそこまでこだわる?」

 

「こだわるか...それはお前がうちの会長のお気に入りだからだ。」

 

「お気に入り?」

 

「ああ、理由は知らないがな。」

 

「...」

 

その会長は俺のことを知っているのか...ますますわからねえ。

 

「響助、郷秀。」

 

「お前らは何を調査してるかは知らねえけど、手を引け。」

 

「...そんなんで俺が止まると思ってるのか?」

 

「...ま、だろうな...」

 

「...よし。」

 

「?」

 

「このシブヤに『サングエフリッド』がいる間だけ、ここを自由に使え。」

 

「は? なんで急に?」

 

「お前らは、会長のお気に入りとその友達だ、だから俺らも全力でサポートしてやる。」

 

「お前に手を出す奴がいれば、『RS』にとっても敵だ。」

 

「俺らはシブヤが好きだ...ここは色んな想いがある。」

 

「そんなシブヤを汚す輩は絶対に許さねえ...」

 

「ふーん...ずいぶん気前がいいな...何かあるだろ?」

 

「...ああ、お前らの力を見込んで頼みがある。」

 

「お前らは、どんな武器を持ったり、どんな奴でも、構わず立ち向かう力がある...偶然や必然にしろ、シブヤを守ってる。」

 

「だから...ここの仕事をアンタらにもしてもらいたい。」

 

「なに、前にも言ったが、俺は入らねえよ、学校もあるしな。」

 

「安心しろ、バイトみたいなもんだ、仕事をするのもいつだっていい。」

 

「...なるほどな。」

 

俺は少し考えて、結論を出した。

 

「わかった...その案を受けるよ、郷秀もそれでいいか?」

 

「ああ、使えるものは使うさ。」

 

「交渉成立だ。」

 

「...さっそく調べてほしいことがある...いいか?」

 

「なんだ?」

 

「今、ネットで重火器を買えるサイトを調べてる。」

 

「...なんだそれは?」

 

「お前は知っていると思うが、こないだ発砲事件があっただろ。」

 

「...ああ。」

 

「その時、犯人が使っていた銃がとあるサイトで手に入れたみたいだ。」

 

「なんだと! どうなっているんだ。」

 

「こっちでも調べているが...中々手がかりがないだから『RS』に調べてほしい。」

 

「なるほど...わかった調べてみる。」

 

「助かる...アンタの事はどう呼べばいいんだ?」

 

「そうだな...こんな組織だ、お前らを信用してないわけじゃあないが...烏とでも呼んでくれ。」

 

「わかった...ところで『RS』ってなんか意味でもあるのか?」

 

「ん...ああ、『Ruhe in Sibuya』だ...ドイツ語で『シブヤの平穏』って意味だ。」

 

「な、なるほど...」

 

さっき半グレの名前の事ディスってたけど...同じようなもんじゃね?

 

_______________________________________________

 

郷秀:side

 

「...なぁ...響助?」

 

「ん?」

 

「なんであいつらの事を信頼したんだ?」

 

「...どういうことだ?」

 

「いや、俺も賛成したけどよ、よく考えれば怪しいだろ。」

 

「それなのにお前は、すぐに信頼しただろ。」

 

「...そーだな...俺さ、中学時代時に色んな人間を見てきたんだ。」

 

「だから...人を見る目ってには結構自信がある、あいつらは本心であれを言ってたよ。」

 

「そうなのか?」

 

「俺は、自分の利益しか考えねえクソ野郎をいっぱい見てきた、だからこその自信だな。」

 

「そういうことか。」

 

「...それに。」グッ

 

「ん?」

 

「...俺もシブヤが好きだ...だから。」

 

「二度と奪わせてたまるかよ...」

 

「響助...?」

 

なんだ...響助の目...覚悟を決めている目だ...

 

「このあとどうする?」

 

「え...ああ、今日は疲れたし、どっか食いに行かね?」

 

「そうだな...俺も買い物して帰りたいからな...そうするか。」

 

「おう...」

 

あいつ...

 

(二度と奪わせてたまるかよ...)

 

過去に一体何があったんだよ...

 

_______________________________________________

 

?:side

 

「...ふぅ。」

 

お父さんのお見舞いにこれてよかった。

 

...早く帰って作らないと...

 

「...あれ?」

 

あの人......この前、人質なったわたしを助けてくれた人かな?

 

「二度と奪わせてたまるかよ...」

 

...え?

 

あの人の目...

 

「...ん?」

 

「...あ。」

 

「どうした響助?」

 

「...もしかして...この間の?」

 

「うん...あの時お礼言えなかったね...ありがとう。」

 

「いいさ、怪我無くてよかったよ。」

 

あれ...気のせい...だったのかな。

 

...でも、あの目...___と似たような目...だった気がする...けど。

 

...あの時のわたしと...似たような目にも見えた気がする。

 

_______________________________________________

 

響助:side

 

「おいおいお前...美少女を助けすぎじゃあないか?」

 

「うるせえよ。」

 

「さて、何食いにいく?」

 

「んー...スーパーが近くだとありがたいけど。」

 

「んじゃ、あそこのファミレスだな、よし行こうぜ。」

 

「おう。」

 



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第32話:スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う

am:6:00

 

「...ふわぁ。」

 

良く寝た...確か今日は、案内しないといけないんだっけな?

 

チラッ

 

「...6時か...眠気覚ましがてら、外に出るか。」

 

...その前に、朝ごはん作っとくか。

 

_______________________________________________

 

...どこ行こうかね...あ、そうだ京都...じゃあなくて。

 

神社に行かねえとな。

 

お参り行っとくか。

 

...この先、無事に解決するとは思えねえしな。

 

_______________________________________________

 

お参りした後はどっかで飯でも食うか。

 

「......あれ? 響助さん?」

 

「ん?...あれ、遥ちゃん?」

 

「おはよう、キズは治ったんだね。」

 

「ああ...遥ちゃんは...ランニングか?」

 

「うん。」

 

「響助さんって何か運動してるの?」

 

「え、何で?」

 

「響助さんが急に走り出したとき、私たちも追いかけてたんだけど、いつの間にか見失っちゃって。」

 

「ああ...あの時、ただ走ってただけじゃあなくて、壁とか色々乗り越えてたからな。」

 

「え、そんなことしてたの?」

 

「俺が追ってた奴がしてたからな、見失わねえようにしてたからな。」

 

「...もしかして、私たちより体力あったりする?」

 

「さぁ?」

 

「...ねえ響助さん。」

 

「うん?」

 

「時間があるなら、私と一緒にランニングしない?」

 

「ランニング? コースって前会ったとき同じか?」

 

「うん、そうだよ。」

 

「ならいいよ、ちょうど神社に用があったから。」

 

「え、そうなの?」

 

「うん、ちょっとお参りをね。」

 

「そうなんだ...じゃ、ストレッチしたら行こ。」

 

「ああ。」

 

_______________________________________________

 

「はぁ...はぁ...思ったより体力ねえな俺。」

 

「いや、私と同じスピードで走り切るなんてすごいよ。」

 

「はぁ...そりゃあどうも。」

 

「...てか、忘れてたけど、階段上らねえといけねえな。」

 

「あー...そうだね。」

 

「...まぁいいや、さっさと上がっちゃおう。」

 

_______________________________________________

 

「さて...朝飯食いに行くか。」

 

参拝を終えると、階段を下っていた。

 

「うおっ!?」ズルッ

 

疲労とぼやけてたせいで階段を踏み外してしまった。

 

「っ! 響助さん!?」

 

遥ちゃんの声が聞こえるが、その時には俺の体は宙に舞っていた。

 

「ぐうっ!?」ヒューン

 

や、やべぇ!? このまま地面に激突したら、死ぬぞ!?

 

なにか、何かないか!?

 

「っ!」

 

木の枝だ!

 

俺は木の枝をスタンドで掴む。

 

「ぐっ!?」バサッ

 

俺は何とか、木の枝を使い、勢いを殺し、茂みに落ちた。

 

何とかなった...か。

 

「響助さん!! 大丈夫!?」

 

「...っ」

 

左ひざ...木の枝で切ったみたいだな...結構血が出てる。

 

「ああ、大丈夫。」

 

「よかった...って、響助さん、左ひざから血が!?」

 

「君、左足を枝で切ったみたいだ。」

 

「っ?」

 

俺は、この辺では見かけない人に声をかけられた。

 

「このハンカチで応急手当をした方がいい。」

 

俺はその人からハンカチを受け取った。

 

「大丈夫かい?」

 

「はい...これぐらいは慣れてますので。」

 

その人はそのまま立ち去る。

 

「...あの?」

 

俺は何で声をかけたのかわからない...お礼を言うためか?

 

「ん?」

 

「ハンカチ、ありがとうございます、この辺では見かけた事ないのですが...旅行ですか?」

 

いや...よく分からないが、オーラを感じる人だったから声をかけたんだ。

 

「いえ、このシブヤには仕事をしに来たんです。」

 

「昨日の夜にシブヤに到着して、仕事が始まるまで、少し散歩を。」

 

「そうなんですね。」

 

「...では、また。」

 

「...え?」

 

ハンカチをくれた人はそういうと、その場から立ち去った。

 

...聞き間違えか?

 

さっき、またって言ってたよな?

 

「響助さん、今、そのハンカチで応急処置するよ!」

 

「え、あ...うん、ありがと。」

 

俺を知っていたのか?

 

_______________________________________________

 

???:side

 

「...」

 

彼が、仗助君が言っていた城ケ崎響助君か...

 

仗助君の知り合いと言っていたが...やはりスタンドを持っていたか。

 

...『スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う』...か。

 

やはり、この街に、スタンドの矢があるのかもしれない。

 

_______________________________________________

 

響助:side

 

「...これでよし。」

 

「ありがと、遥ちゃん。」

 

「いいよ、ちゃんと病院に行ってね。」

 

「わかってるよ。」

 

...考えても仕方ないか...診療所に行こ。

 

「...私もついて行こっか?」

 

「え、いいよ別に、一人で大丈夫。」

 

「でも...響助さん無茶するから。」

 

「いや流石に真っ直ぐ行くよ。」

 

「...ホント?」

 

「う、うん。」

 

...やっぱアイドルはヤバい...カワイイわ...

 

_______________________________________________

 

俺は、遥ちゃんに言った通り、そのまま診療所に行き、朝飯を何をするか歩いていた。

 

「何食っかな~」

 

朝だと、朝Mとかいいかもしれないな。

 

...あの甘いパンケーキみたいなバンズ好きなんだよな。

 

ピコンッ

 

「...ん?」

 

メールか?...仗助さんからか。

 

『10:00頃、シブヤ駅に集合でいいか?』

 

10時か...大丈夫ですっと。

 

Mでゆっくりしながら待つか。

 

_______________________________________________

 

am9:50

 

確かここで良いんだよな?

 

「...お! 響助!」

 

「あ、仗助さん!」

 

「よぉー、響助。」

 

「おはようございます、仗助さん。」

 

「もーすぐ来っからよぉ、ちょっと待ってくれ。」

 

「わかりました。」

 

仗助さんの知り合いだから、同い年ぐらいの人なのかな。

 

「...待たせたね、仗助君。」

 

「あ、お久しぶりっす!」

 

「...あれ?」

 

...あの人って?

 

「あなたは!」

 

「やぁ...さっきぶりだね。」

 

「あれ? 会ってたんすか?」

 

「ああ、さっき、早く目が覚めてね、この辺を散歩してた時にばったりとね。」

 

「紹介はまだだったね、僕は。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花京院典明、よろしく。」



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第33話:法皇の緑

「ハンカチ、ありがとうございました花京院さん、後日洗って返します。」

 

「別に構わないよ、響助君。」

 

「んじゃ、響助、案内をよろしく頼むな。」

 

「わかりました。」

 

そういうと仗助さんは、調査へ向かった。

 

「えーと...花京院さんは、どこか行きたい所ってありますか?」

 

「俺も、あまりシブヤに詳しいわけじゃあないですが。」

 

「そうだね...少し小腹がすいたからさくらんぼを使ったスイーツを食べたいかな。」

 

「さくらんぼを使ったスイーツですか...」

 

うーん...スイーツか、俺は知らねえな...

 

...誰か、スイーツに詳しい人いたっけな...

 

連絡先を見よう。

 

→瑞希←

杏ちゃん

彰人

 

..そーだ、カワイイ物好きな瑞希がいたな。

 

アイツなら、さくらんぼを使ったスイーツ知ってる可能性がある。

 

さっそく電話...いや待て。

 

アイツに連絡して、そのまま教えてくれるのだろうか?

 

...いや、絶対それはない、今度、何かしら奢られる可能がある。

 

どんな物を奢らされるかわからねえ、こいつはやめておこう。

 

瑞希

→杏ちゃん←

彰人

 

杏ちゃんに聞いてみるか。

 

...でも、店の手伝いとかあるからな...今出られない可能性があるか。

 

邪魔しちゃ悪いし、別の人にするか。

 

瑞希

杏ちゃん

→彰人←

 

...そういえば、彰人、パンケーキの店行ってたな...

 

スイーツ系が好きとも言ってたし、もしかしたら知ってるのかもしれないな。

 

...よし、彰人に電話してみるか。

 

ピッ

 

プルルッ

 

「もしもし?」

 

『城ケ崎か? 珍しいな、電話かけてくるなんて。』

 

「ああ、ちょっと聞きたいことがあってさ。」

 

「さくらんぼを使ったスイーツがある店って知らないか?」

 

『さくらんぼを使ったスイーツか...ちょっと待ってくれ...』

 

『...』

 

『あったぞ、〇×っつーカフェの、さくらんぼのムースが好評らしいぞ。』

 

「悪い、助かった。」

 

『おう、お前もこういうスイーツ好きなのか?』

 

「そうだな、食べるときは食べるな、」

 

『そうなのか。』

 

「ああ、雨の日とかで、家にいる時はたまに自分で作るし。」

 

『マジかよ...なぁ、お前がいいなら、俺が行きたいパンケーキが美味い店があるんだが、一緒に行かねえか?』

 

「? 冬弥がいるだろ?」

 

『いや、毎回誘うわけにもいかねえしな。』

 

「なるほど、わかった、だけど今は用事があるから、また今度な。」

 

『わかった、んじゃまたな。』

 

ピッ

 

「花京院さん、友達から、〇×と言うカフェの、さくらんぼのムースが美味しいので、そちらの店に案内します。」

 

「うん、ありがとう。」

 

_______________________________________________

 

...あれ、ここのカフェ...前に来たことある所だ。

 

「...? 響助君、どうしたんだい?」

 

「あ、いえ、何でもないです。」

 

ガチャッ

 

「いらっしゃいませ! ...あ! きょーすけくん!」

 

「よ、咲希ちゃん。」

 

「2名様ですね! こちらの席にどうぞ!」

 

 

 

「君の友達かい?」

 

「そうですね、明るくていい子です。」

 

「んー? 子ども扱いしてない、きょーすけくん?」

 

「いや、してないよ。」

 

「なるほど...これかな、さくらんぼのムースをお願いします。」

 

「俺は、アイスカフェモカをお願い。」

 

「さくらんぼのムースとアイスカフェモカですね! かしこまりました♪」

 

 

 

「...響助君。」

 

「はい?」

 

「君は、スタンド使いなのかい?」

 

「っ!...気づいてたんですか?」

 

「君が階段から転落したときに、スタンドの腕で枝を掴んでいただろう。」

 

「見えてたってことは、花京院さんも?」

 

「ああ、僕のスタンドは『法皇の緑(ハイエロファントグリーン)』さ。」

 

花京院さんは、そう言うと、スタンドを出した。

 

緑色でスジがあって、まるで光ったメロンみたいだ。

 

「君のスタンドは?」

 

「俺のスタンドは...」

 

「おまたせしました! さくらんぼのムースとアイスカフェモカです!」

 

「あ、ありがとね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「きょーすけくん、すたんどって聞こえたんだけど、すたんどって?」

 

「え、ああ...机に置くスタンドライトを何にしようかなって話してたとこ。」

 

「スタンドライトか~! 最近のってオシャレな奴もあるもんね!」

 

「そ、そうそう、ははは。」

 

タッタッタッ

 

「...彼女には伝えてないのかい?」

 

「ええ...そもそも、見えない能力なんて、信じちゃあくれませんよ。」

 

「...そうだね。」

 

「それに...巻き込むわけにはいかないので。」

 

「...なるほど。」

 

「俺のスタンドを知ってる人は、仗助さん達の他に、俺の二人の友達ぐらいですね。」

 

「なるほどね。」

 

_______________________________________________

 

「そういえば花京院さん、朝会った時に、仕事をしに来たって言ってましたけど?」

 

「ああ、シブヤで開催されるとあるイベントで司会を頼まれちゃってね。」

 

「イベントですか?」

 

「そう、それは...」

 

「あれ?...城ケ崎くん?」

 

「あ、寧々ちゃん。」

 

「友達かい?」

 

「そうですね。」

 

「...え?」

 

「...ん? 君、どうしたんだい?」

 

「あ、あなたは......TENMEIさん......!?」

 

「え?」

 

TENMEIって...どっかで聞いたことあるぞ...

 

...そうだ、郷秀が見てた、RTA動画のやつだ。

 

「おや、どうやら僕のファンのようだね。」

 

「あ...す、すみません! め、迷惑でしたよね...」

 

「構わないよ。ファンに会えるなんて嬉しいさ。」

 

「あの、花京院さん、TENMEIって?」

 

「ふふっ...そう、僕のもう一つの名前さ。」

 

まさか、花京院さんが、あのRTAの人だったなんて...なんて奇妙な縁だ。

 

「じょ、城ケ崎くん! TENMEIさんと知り合いだったの!?」

 

「え、いやあ...知り合いの知り合いで、今日知り合って、シブヤを案内してるって感じ。」

 

「ど、どういうことなの?」

 

「俺にもわからん。」

 

_______________________________________________

 

「花京院さん、他にしたいことってありますか?」

 

「そうだね...」

 

「...あれ?」

 

「...あ、ジョジョ!」

 

「え?...郷秀に瑞希?」

 

「......ジョジョ?」

 

「ジョジョ!偶然じゃ~ん♪...その人は?」

 

「この人は、花京院さん、仗助さんの知り合いだ。」

 

「仗助さんの...そういえば電話越しで聞いたな、案内してるんだっけ?」

 

「...じょうすけさん?」

 

「あ、そっか、瑞希は知らねえのか、仗助さんは俺と郷秀の知り合いだな。」

 

「へー、そーなんだ。」

 

「...」

 

「? どうしたんですか、花京院さん?」

 

「ああ、『ジョジョ』って呼び方に懐かしんでたんだ。」

 

「呼び方ですか?」

 

「昔、僕が『ジョジョ』って呼んでた奴がいるんだ。」

 

「そうなんですか、結構『ジョジョ』ってあだ名珍しいと思いますけど?」

 

「そうだね。」

 

「...そういや自己紹介まだでしたね。」

 

「俺は、宝来郷秀です。」

 

「暁山瑞希です。」

 

「僕は、花京院典明、よろしく。」

 

「...そういや、お前ら二人で出かけるなんて珍しいな。」

 

「ホントは、ジョジョも誘おうと思ったんだけど、郷秀くんが、今日はジョジョは用事があるって言ってたから、二人で出かけようとしてたんだ。」

 

「そうなのか。」

 

「俺は全然よかったぜ...瑞希ちゃんと二人きり...最高だね。」

 

「あ、そう...んじゃ俺達はこれで...」

 

「あー! ちょっと待って待って! ジョジョ達って、これから行くところ決まってる?」

 

「いや、決まってはないけど?」

 

「じゃあさ! 一緒にまわらない? ジョジョ達よりはシブヤの事詳しいし、花京院さんはどうですか?」

 

「初対面なのに、グイグイといけるメンタルは羨ましいな...花京院さんはそれでいいですか?」

 

「構わないよ。」

 

「じゃあ決まりだね♪ 花京院さんは行きたい所ってありますか!」

 

「んー、そうだね...」

 

 

 

「...なぁ、響助?」

 

「なんだ?」

 

「もしかして、花京院さんって?」

 

「...どっちの意味でのもしかしては分からないけど、後で聞いてみたらどうだ?」

 

「それもそうか。」

 

俺達は、瑞希に連れられ、その場から離れた。

 



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第34話:スタンドの実戦練習

俺達は、瑞希の案内で、シブヤを歩き回っていた。

 

「なるほど、スタンド使いである、郷秀君の他に、瑞希さんと、その知り合いには言ったんだね。」

 

「まぁ...こうなるとは思わなかったので...」

 

「んー? ジョジョなんか言った?」

 

「いや、別に。」

 

「...響助君?」

 

「はい?」

 

「君は、スタンドで戦ったことはあるかい?」

 

「え?...スタンドをメインで戦ったことあるのは2、3回ぐらいですね。」

 

「なるほど...響助君、人通りが少なくて、開けている場所知っているかい?」

 

「え...そうですね...」

 

人通りが少なくて...開けている場所?

 

そんなところあったか...

 

...いや、一か所...あったな。

 

「わかりました、案内します。」

 

「わかった、仗助君にも来てもらおう。」

 

「仗助さんもですか?」

 

「一応ね。」

 

_______________________________________________

 

「花京院さん!」

 

「お、すまないね、仗助君。」

 

「いえ、どうしたんすか?」

 

「ちょっとね、響助君、案内してくれるかい?」

 

「わかりました。」

 

「ん? どこいくのジョジョ?」

 

「あそこだ。」

 

「いや、あそこってどこだよ?」

 

_______________________________________________

 

「あれ、ここって?」

 

「なるほど、ここなら確かに人通りが少ない...けど、広さはそこまでではないな。」

 

「ちょっと待ってください。」

 

俺は、スマホを立ち上げ、untitledと書かれたアプリを起動した。

 

ピカーン

 

「うおっ!?」

 

「なんだ!?」

 

「あ、これって!」

 

「な、なんだっ!?」

 

俺達は、白い光に包まれた。

 

 

 

白い光が消えた時、俺達は、俺の想いの世界に来た。

 

「ここはどこだ!?」

 

「何らかのスタンド攻撃を受けてたのかっ!?」

 

「...どうやら、響助君がやったみたいだね。」

 

「はい、ここは、俺の想いの世界って所です。」

 

「想いの世界?」

 

「まぁ、俺自体よく分かってないのですが、一応現実とは別の世界みたいです。」

 

「そ、そうなのか...てか、瑞希ちゃんは驚いてなかったみたいだけど?」

 

「ボクは、前に行ったことあったからね!...ここまで散らかってはなかったけど。」

 

「ホントだよー!」

 

「うおっ!?...ってコイツは!?」

 

「は...初音ミク...だよな?」

 

「でも、どうやら僕たちが知ってるミクとは服装が違うみたいだ。」

 

「ミク、どういうこと?」

 

「響助がさー、このセカイに色々物を持ってきて、物置みたいに使ってるんだよー!」

 

プンプンと怒りながら、瑞希たちに説明する。

 

「いや、別にここに置いてあるものを必要じゃあない物は一つもないからね。」

 

「だーかーら! 木刀は絶対いらないって!」

 

「え、木刀!? うわっ!ホントにある!」

 

「いや、もしもの時用の奴だ。」

 

「あーっと...ジョジョには後で、きつく言っておくから、ジョジョの代わりに謝るよ...ごめん。」

 

「いや、瑞希は悪くないよ。」

 

「あ、花京院さん、仗助さん、ここの世界はちょっと特殊で、スタンド使い以外でも、スタンドを見れるんです。」

 

「え、ホントかい?」

 

「マジかよ!?」

 

「瑞希ー!」

 

「ん? なに?」

 

「お二方、スタンドをお願いします。」

 

花京院さんと、仗助さんは、スタンドを出した。

 

「瑞希さん、今僕から出た物が見えるかい?」

 

「んーと...緑色でスジがあって、まるで光ったメロンみたいな物が見えます。」

 

「光ったメロンか...前、彼にも言われたな。」

 

「俺のも見えるのか?...えーと。」

 

「あ、暁山瑞希って言います!」

 

「瑞希か、見えるのか?」

 

「はい! なんていうか...ダイヤモンドっぽい感じの鎧を着た人型みたいなのが見えます。」

 

「...こりゃあ、ホントに見えてるっすね、花京院さん。」

 

「ああ、もしかしたらこの世界自体が、スタンドって言う可能性があるかもしれない。」

 

「花京院さん、場所は用意したのですが、何をするんですか?」

 

「そうだね...簡単に言えば、実戦練習って所かな。」

 

「実戦...練習?」

 

「そう...恐らく君は、様々なスタンド使いと会うことなるだろう。」

 

「どういうことですか?」

 

「仗助君から聞いた話だと、『スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う』」

 

「『スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う』?」

 

「そう、僕も最初は迷信かと思ったけど、今までの経験と仗助君の話を聞いて、嘘じゃあないかもしれないんだ。」

 

「現に、響助君だって、色んなスタンド使いとあったじゃあないか?」

 

「っ!」

 

「今まで出会ったのは、運よく君に対して敵対していない人達だった。」

 

「けど、これからは君自身の命をも狙ってくるスタンド使いとも出会うかもしれないよ。」

 

「...なるほど。」

 

「それに、響助君は、近距離型スタンドとしか、戦ったことないのだろう?」

 

「スタンドにも種類があるんですか?」

 

「ああ、僕のスタンド、『法皇の緑』は、射程距離は最大で100M以上さ。」

 

「ひゃ...100M!?」

 

嘘だろ...広範囲にもほどがあるだろ...

 

「そして、僕のスタンドの能力の一つ『エメラルドスプラッシュ』さ。」

 

「『エメラルドスプラッシュ』?」

 

「百聞は一見にしかず、今から見せる。」

 

そう言うと、花京院さんはスタンドを出す。

 

「エメラルドスプラッシュ!!」ドパッ

 

「「「っ!?」」」

 

スタンドの手から、液状なものが流れ出たと思った次の瞬間。

 

スタンドの手のひらから、宝石型の弾丸を発射された。

 

「こ、これが...『エメラルドスプラッシュ』...」

 

「仗助君よりは、破壊力はないが、壁や天井は破壊できるよ。」

 

これで仗助さん以下かよ...仗助さんは、どのくらいの破壊力なんだよ...

 

「もちろん、君に当てるときは威力を弱めるがね。」

 

「なるほど...だから仗助さんを呼んだんですね。」

 

「ああ、怪我しても治せるようにね。」

 

「準備はいいかい?...響助君?」

 

「...ちょっと待ってください、まず使用許可を取らないといけないので。」

 

「ん? 使用許可。」

 

「あそこに、不貞腐れてる家主に許可貰わないと後で、いろいろ言われそうで。」

 

「いや、不貞腐れてるのジョジョのせいだからね。」

 

「え、そうなの?」

 

「コイツ自覚ないのかよ。」

 

「...ま、いいや.......えーと...ミク?」

 

「...」ツーン

 

「えーと...ミクさん?」

 

「...」ツーン

 

「使用許可をね...欲しいんですけど...」

 

「...」ツーン

 

「...なんか兄妹みたいだねー。」

 

「...ま、無駄に響助の顔が良いからそう見えるんだろうな。」

 

「おい、後で一発ぶん殴る。」

 

「うわ、聞こえてた。」

 

「...」ツーン

 

「...よし、わかった、今度美味いスイーツ作って持ってくるよ!」

 

「いやいや、ミクはそんなにチョロくないよジョj」

 

「なんのスイーツ?」ピクッ

 

「嘘でしょ!?」

 

「あー...そうだな、今すぐ作るなら...クレープとかか?」

 

「クレープ...」キラキラ

 

「...しょ、しょうがない...寛大な私だからね...特別に許してあげる、決してクレープが食べたいからじゃないからね!」

 

「おお、ありがたき幸せ。」

 

「...ねえ、郷秀くん?」

 

「ん? なんだい?」

 

「ミクって...もしかしてチョロい?」

 

「カワイイけど言わないであげて...確かにチョロいけど。」

 

「花京院さん、許可取れました。」

 

「そ、そうかい...じゃあ始めよう。」

 

「終了条件は、僕の肩に触れたら終了だ。」

 

「...そんな簡単で良いんですか?」

 

「ふっ...あまり舐めないでもらいたいね、僕も相当な修羅場を経験しているのでね。」

 

「...わかりました、本気でいかせてもらいます。」

 

「ああ、来い響助君!」

 

「郷秀、瑞希、ミクここから離れるぞ。」

 

「え、はい!」

 

仗助さんの指示で、郷秀達はその場から離れる。

 

「...」ダッ

 

俺はまっすぐ、花京院さんの方へと走り出す。

 

「ふんっ!」ドパッ

 

「っ!」

 

花京院さんは、俺に向かって『エメラルドスプラッシュ』を放ってくる。

 

『オラオラオラオラオラ』

 

俺はスタンドを出し、弾丸を、スタンドのラッシュで防ぐ。

 

「っ...」

 

加減してるとはいえ、手から血が出ている...

 

そう何度も防げねえ...

 

「休憩してる時間はないよ。」ダパッー

 

「っ!?」サッ

 

俺は、すかさず横によけた。

 

射程範囲が思ったより広い...

 

一気に決めないとまずいな。

 

「...」ダッ

 

「...」ダパッー

 

『ソフト&ウェット』

 

「っ!」

 

「ツルツルだッ!」ツルッ

 

俺は、シャボン玉を生成し、俺のズボンから外側のみ摩擦を奪い、スライディングをし、『エメラルドスプラッシュ』をかわしながら、花京院さんの背後に回り込む。

 

「...」キキッ

 

「なるほど、それが君の能力か。」

 

「シャボン玉を生成し、そのシャボン玉に触れたものから何かを奪う能力です。」

 

俺はそう言いながら、花京院さんの肩に触れようとする。

 

「そうやすやすと触らせてあげないよ。」バスッ

 

「なにッ!?」

 

 

 

「嘘...花京院さん、空飛んだ!?」

 

「マジかよ...これも能力か?」

 

「いや違う...あれは...」

 

 

 

空を飛んだ...いや違う、花京院さんから、何か出てる。

 

何かが、建物の上に引っ掛けて上がっているのか。

 

あれはなんだ...スタンド?

 

...!?

 

「まさか!?」

 

「気づいたみたいだね...そう、僕の『法皇の緑』は、紐状に引き伸ばすことが可能なんだ。」

 

そんなスタンドがあるのかよ...

 

「...」スタッ

 

「っ!」ダッ

 

花京院さんは、スタンドを使い、俺から離れた場所に着地した。

 

「ふんっ」ドバッ

 

「っ!」バスッ

 

バスッ

 

俺は、建物の壁を利用し、壁跳びで、『エメラルドスプラッシュ』をかわす。

 

「...」ドパッ

 

「くっ...」

 

『オラオラオラオラオラ』

 

再び俺はスタンドを出し、弾丸をスタンドのラッシュで防ぐ。

 

「...っ」

 

このままじゃあ、拳の肉がえぐれる...

 

「まだまだいくよ!」ドパッ

 

「いっ...」サッ

 

このままじゃあ、花京院さんの元についてもまた、スタンドで逃げられる...

 

なにか...隙を作らねえと。

 

「...」ダッ

 

「...っ?」

 

俺は、建物陰に潜んだ。

 

「はぁ...はぁ...少し...体力を回復させねえと...」

 

「...隠れたか...ならこの時間にあれを作れるか。」

 

_______________________________________________

 

数分が経ったか...体力は回復したし、陰から覗いてみよう。

 

「...?」

 

花京院さんの姿が見当たらない...どこに行った。

 

少し危険だが...陰から出てみよう。

 

「...」

 

『エメラルドスプラッシュ』は...撃ってこないか...

 

「...」キョロッ

 

...どこに行ったんだ。

 

グッ

 

「っ!?」

 

何かを踏んだっ!?

 

ドパッ

 

「なにっ!?」サッ

 

突如、どこから放たれたかわからない『エメラルドスプラッシュ』をかわす。

 

グッ

 

「っ!」

 

また何かに触れた!。

 

ドパッ

 

「ぐっ!?」

 

また、どこから放たれたかわからない『エメラルドスプラッシュ』をスタンドの腕で防ぐが...

 

「うおっ!?」

 

威力が強く、吹っ飛ばされてしまう。

 

グッ

 

また何かに触れてしまう。

 

ドパッ

 

「っ!?」

 

やべぇっ...防げねえ!!!

 

「があぁっ!?」

 

俺は、『エメラルドスプラッシュ』をまともに食らってしまう。

 

「がはっ!?」ドシンッ

 

そのまま吹き飛ばされ、壁に衝突してしまう。

 

「がはっ....げはっ...」

 

『エメラルドスプラッシュ』と壁の衝突のダメージで、吐血してしまう。

 

やっべ...あばらいったかもしれねえ。

 

数か所の骨はひびが入ったかもなこりゃあ...動けねえわけではねえな。

 

「いったい何が...はっ!?」

 

なんだありゃあ、ひも状なものが至る所にありやがる...まるで結界みたいに...

 

「気づいたかい?」

 

「っ!?」

 

花京院さんは、建物の上から俺に言葉をかける。

 

「これは、触れれば発射される法皇の結界さ。」

 

法皇の結界...

 

「君が、建物の陰に隠れている間に、君の周り半径20Mに貼っておいたのさ。」

 

マジかよ...逃げ場はねえってことか。

 

...いや待てよ...貼れてない所があるじゃあないか。

 

...だが、賭けだな。

 

_______________________________________________

花京院:side

 

「いくぞ、響助君! 半径20Mエメラルドスプラッシュ!!」

 

彼の能力は、奪う能力だ...

 

その能力は幅は、かなり広い。

 

さぁ...どうする!!

 

「___」

 

「っ!?」

 

何かを呟いた?

 

「ふんっ!」バサッ

 

「なっ!?」

 

彼がいていたジャージを彼を隠すように脱げ捨てた。

 

パキーンッ

 

『エメラルドスプラッシュ』はまっすぐ彼に命中し、煙を起こした...

 

「...」

 

何をした...ただの悪あがきには見えなかった。

 

 

 

「ジョ....ジョジョ....」アオザメ

 

「ジョジョぉぉ!!!」ダッ

 

「ダメだ瑞希ちゃん! 今行ったら、『エメラルドスプラッシュ』を食らっちまう!」グッ

 

「だって、ジョジョが...ジョジョが!!」

 

「瑞希、花京院さんは、殺す気で撃ってねー! 死んでねーはずだ。」

 

「死んでなきゃあ、オレの『クレイジー・ダイヤモンド』で治せる。」

 

「まずは、結界を解くまで待つんだ!」

 

「う...うん...」

 

 

 

「...」

 

ああいうのを見てしまうと、心が痛む。

 

だんだんと、煙が消えていく。

 

「...っ!?」

 

い...いない!?

 

その場には、彼が脱いだ、ジャージしかない。

 

「っ...」

 

僕は、法皇の結界を解き、スタンドを使い、下に降りる。

 

「どこへ行ったんだ...」

 

逃げれるとしたら、ジャージを放り投げたあの一瞬...

 

だが、法皇の結界は反応しなかった...

 

「...」スッ

 

僕は、彼のボロボロのジャージを手に取った。

 

「なっ!?...これは...」

 

ジャージの下にあったのは、大きな穴だった。

 

「まさか...」

 

ポスッ

 

「っ!?」クルッ

 

肩をたたかれ、僕は背後に振り向いた。

 

「肩ぁ...触りましたよ。」

 

「響助君...」

 

背後には、ボロボロの響助君が立っていた。

 

「...やはりか。」チラッ

 

彼の近くには、今、僕が見た穴と同じような穴がそこにはあった。

 

「はぁ...はぁ...あ...」ユラッ

 

「おっとっ」グッ

 

倒れる、彼を僕は支える。

 

「ジョジョ!」

 

「響助! 今、治すぞ!」

 

_______________________________________________

響助:side

 

俺は、仗助さんに傷や、ジャージを直してもらった。

 

「ホントに傷が治ってる...」

 

瑞希がそう呟く。

 

「さて、響助君、あの法皇の結界をどう脱出したのかい?」

 

「おそらく、地面を掘って、僕の背後に周ったのかと思うが。」

 

「その通りです。」

 

「ただ、バレないように、地面から、能力で音と、硬さを奪いました。」

 

「なるほど...ふふっ」

 

「ん? どうしたんですか?」

 

「いやぁ...僕が知ってるジョジョも同じように逃れてた奴がいてね...」

 

「なんとなく、君がジョジョって呼ばれてるのわかる気がするよ。」

 

「そうですか?」

 

「あ、響助。」

 

「ん? どうしたミク。」

 

「忘れないでよ、クレープ。」

 

「...わかってるよ。」

 

_______________________________________________

 

俺達は、セカイから出た後、花京院さん達と別れた。

 

「はぁ...今日は疲れた。」

 

「でも、色々面白い事も聞けたけどな。」

 

「...ねえ、二人とも。」

 

「ん? どうした瑞希?」

 

「花京院さんが言う通りなら...これから二人とも、危険な目に合うんだよね...」

 

「...ああ。」

 

「そうだな...」

 

「ボク...怖いよ...」

 

「そうか...」

 

「大丈夫だ、俺達で守るよ。」

 

「違う! ボクが怖いのは二人の事だよ!」

 

「俺らの事?」

 

「今日は、花京院さんが加減してくれてたら助かったけど...けど。」

 

「ボロボロのジョジョを見て...もし花京院さんが本気でジョジョを倒そうとしたらって考えたら...」

 

「...怖いよ。」

 

「瑞希ちゃん...」

 

「...」

 

こいつは恐らく、また一人になるのが怖いんだろうな...

 

「...瑞希」ポフッ

 

「あ...」

 

俺は、瑞希の頭に触れる。

 

「大丈夫だ...俺らはお前を置いて先には死なない。」

 

「ジョジョ...」

 

「そうだな、こんなカワイイ子置いて死ねるかよ。」

 

「郷秀くん...」

 

どうせ、スタンド使いから狙われなくても、半グレには狙われる。

 

「俺達が、スタンド使いに狙われる運命なら。」

 

半グレに狙われる運命なら...

 

「それに従うぜ。」

 

「ジョジョ...」

 

「郷秀...覚悟を決めるぞ。」

 

「なんだ、死ぬ覚悟をか?」

 

「違う...絶対に生き残る覚悟だ。」

 

死ぬ覚悟なんて、とっくにできてる。

 

「...なるほど、そうだな。」

 

「なぁ、瑞希。」

 

「...なに?」

 

「この辺で美味い物店ないか...腹減っちまってよ。」

 

「え...このタイミングで?」

 

「腹が減るのにタイミングとか関係ないだろ、それに俺らよりシブヤに詳しい瑞希にしか頼めないことだからな、だから頼む。」

 

「...しょーがないな~、まぁ~ボクにしかできないって言うなら、調べてあげるよ、感謝してよね♪」

 

「おお、助かるぜ。」

 

ふっ...やっぱお前はそういう顔してる方が良いよ。

 

...ただ、半グレだけじゃあなくて、スタンド使いにまで狙われることになるとはな...

 

これからは、スタンドも鍛えないといけないな...

 



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第35話:イレギュラー

「あ゛あ゛あ゛~...」

 

「...?」

 

「どうしたの、杏? カワイくない声出して?」

 

「...だって今日テストじゃん...」

 

「あー...そういえばそうだったな。」

 

「でも、ここからここまでしか出ないよ、って決まってるんだし、とりあえず教科書読んでおけば楽勝じゃん。」

 

「まぁ、そうだな。」

 

「え...二人とも勉強できるの?」

 

「できるかどうかしらんけど、普通に復習はしてるし、中学の頃は赤点なんてとったことねえな。」

 

「ボクも、平均点以下はとった事ないかな。」

 

「う~...」

 

「杏、要領いいし、ちょっとやればできそうなのに...」

 

「よっぽど勉強が嫌いなんだろうな...知ってたけど。」

 

_______________________________________________

昼休み

 

「ふわぁ...眠...」

 

無事テスト終え、昼休みで、購買で飯を買いに行っていた。

 

瑞希?...テストから逃げ出しそうだったため、無理やり捕まえた。

 

瑞希には思いっきり睨まれたが、杏ちゃんには感謝された。

 

「ん? 城ケ崎か?」

 

「おー、冬弥か。」

 

「すごく眠そうだな?」

 

「まーな...休みの日に色々あってな...疲れが取れてないのよ。」

 

「そうか、テストはどうだったんだ?」

 

「テストは別に平気だ、ただお前の知り合い絶望してたけどな。」

 

「白石の事か?」

 

「そーそー。」

 

「彰人も、苦い顔をしていたな。」

 

「あー...あいつら、勉強しなさそうだな。」

 

「歌と同じくらい、毎日真面目にやっていれば...」

 

「はは、絶対あいつら、しなさそうだな。」

 

_______________________________________________

 

「やぁやぁジョジョくん!」

 

「...なんですか、類先輩?」

 

俺が屋上に行くと、そこには、ニヤケ面の瑞希と、何かを考えている類先輩がいた。

 

「てかっ...ジョジョくんって。」

 

「瑞希がそう呼んでたからね、嫌だったかい?」

 

「いや別に良いんですけど、何か用ですか?」

 

「君にこれを試してほしくてね。」

 

「ん? なんですかそれ?」

 

なんだこれ、ワイヤーだったりごちゃごちゃしてる。

 

「スター養成スーツだよ。」

 

「スター養成スーツ?」

 

「パワードスーツの一種でね、走ったり跳んだり重い物を運んだりする動きをアシストしてくれるんだ。」

 

「自作ですよねそれ?」

 

「そうだよ。」

 

...そういう業界でも食っていけるだろこの人...

 

「...そんな物がここにあるってことはもしかして...」

 

「そういうことだよジョジョ~。」

 

「君にこれを試してほしくてね。」

 

「...なんでですか?」

 

「ホントは司くんに試してもらおうとおもったんだけどね、まだまだ調整段階だから、自分で確かめようと思ったんだけど、瑞希がね。」

 

...そういえば、前に戻らないって言ってたけど、今、司先輩の名前が出たってことは、今後も一緒にやるって事か。

 

『ジョジョなら、いいレポート取れそうじゃない?』

 

「そう言っていてね。」

 

「...」

 

うん、この二人が揃ったらダメだ。

 

そういやこの二人、昔馴染みだったわ、だからこうなるとかなりめんどくせぇな。

 

「...別にいいですけど...お前、俺がいないところで勝手に話進めるのやめろ。」

 

「...てへっ☆」

 

「てへっじゃねえよ。」

 

「ホントは、人に試すわけにはいかないんだけどね、瑞希から『精神的にもタフだし、肉体的にもタフ』って聞いたからね。」

 

「...」

 

こいつ、一発ど突いたろうか?

 

「別に構いませんが、俺と司先輩じゃあ、だいぶ身体能力違うので、調整できるかわかりませんよ?」

 

「構わないよ、今は正常に動作するかを確認したいからね。」

 

「そうですか。」

 

「じゃ、早速つけてみてよジョジョ!」

 

「へいへい。」

 

つか...なんで風紀委員は何をしている。

 

特に、杏ちゃん、杏ちゃん止めるだろ...

 

いや、今日はテストでそれどころじゃあなかったのか?

_______________________________________________

 

俺は、スター養成スーツを付けた。

 

「付けましたよ。」

 

「おお! なんか、指先からビーム撃てそうな感じがするね!」

 

「それ、フ〇ーザだろ、俺も思ったけど。」

 

「それじゃ、まずは跳んでみてくれないか?」

 

「わかりました。」

 

俺は、類先輩の言った通り跳んでみた、

 

バスッ

 

「うおっ!?」ビョンッ

 

「え、すご!?」

 

「ほうほう。」

 

俺はいつも通りに跳んだが、いつもの5倍以上の跳躍力で驚いた。

 

「っと。」スタッ

 

「え、ジョジョ、足大丈夫?」

 

「ああ、どうやらこのスーツのおかげで、痛くない。」

 

「いやいや、まさかあそこまで跳べるとはね。」

 

「え? これって類の想定外なの?」

 

「ああ、おそらく、ジョジョくんの跳躍力がスーツなしで高いからだろうね。」

 

「え、ジョジョ、跳躍力どれぐらいなの?」

 

「測ったことねえけど、まぁ、1Mぐらいあんじゃあねえの?」

 

「じゃ、じゃあ、5Mぐらい跳んでたってこと!?」

 

「そうなるね。」

 

「次は、重い物を持ってもらいたい...って所だけど。」

 

「流石にそういうものは学校には持ち込めないからね。」

 

「まぁ...そうですね。」

 

他の人でも15kgは持てるから大体、75kgぐらい持てるのか...すごいな。

 

_______________________________________________

下校時間

 

さてと、クレープの材料を買ったし、家に帰ろ。

 

...そういや、ミクの奴、どんなクレープがいいか聞いてねえな。

 

まぁ、シンプルな奴でいいか。

 

_______________________________________________

 

「さてと、クレープも出来たし、持っててやるか。」

 

俺は自分の部屋に行き、セカイへ飛んだ。

 

「よ、ミク。」

 

「あ、響助。」

 

「ほれ、お望みのもんだ。」

 

「ク、クレープ!」キラキラ

 

「ゆっくり食べな。」

 

「うん!」

 

クレープを受け取ると、ミクは食べ始めた。

 

「お、美味しい!」

 

「ふっ、だろ?」

 

「...」モグモグ

 

味の感想を言うと、無言でクレープを食べ進める。

 

ふー、久々にクレープ作ったけど、上手くいってよかったー。

 

「...ん?」

 

なんだあの、なんかの欠片か?

 

なんか...3dゲームによくある感じのバグみたいな感じみたいだ。

 

「...」スッ

 

俺は、そのバグった何かに触れた。

 

「...っ!? ダメ! 響助!!」

 

「えっ?」

 

ミクが注意を促すが、既にオレの手は、そのバグった何かに触れていた。

 

「うおっ!?」

 

触れた瞬間、そのバグった何かに吸い込まれていた。

 

「響助!!」

 

_______________________________________________

 

「がはっ!?」ドシンッ

 

俺は、勢いよく叩きつけられた。

 

「っ...どこだここ?」

 

気づいたら、別の世界にいた。

 

「ここは...教室か?」

 

ただ、俺の通っている高校の教室じゃあない。

 

なんつーか、中学の教室っぽい感じがするな。

 

「いったいどうなってるんだ?」

 

俺は、その教室を見まわっていた。

 

『あ! 響助!!』

 

「あ、ミク!」

 

スマホから、ミクの声が聞こえた。

 

『大丈夫!?』

 

「ああ、なんとか、ここどこなんだ?」

 

『響助が触ったのは、想いの欠片なの。』

 

「想いの欠片?」

 

『そう...なんだけど、あの時にあったのは少し変なんだ。』

 

「変? どういうことだ?」

 

『本来、想いの欠片ってのはキラキラ光ってるものが基本なんだけど、響助が触れたのは、何か変だったよね。』

 

「ああ、確か、なんかバグってるような感じだったような。」

 

『うん、私から見た感じだと...なにか助けを求めてた感じがした。』

 

「助け?」

 

『うん、でも私が思ったことだから、気にしないで。』

 

「おお、わかった。」

 

『戻るときは、アプリの方で戻れるからね。』

 

「わかった、ちょっと探索してから戻るよ。」

 

『わかった、気を付けてね。』

 

「ああ。」

 

「...」

 

「廊下に出てみるか。」

 

廊下に出ると、ちゃんと学校の廊下だった。

 

「どこかの学校なのか?...でもこんなにスピーカーやアンプがあるなんてなんか変だな。」

 

まるで音楽でもするような感じだ。

 

「キャーーー!!?」

 

え、悲鳴!? 誰かいるのか!

 

「屋上か!?」

 

でもこの声...ついさっき似たような声を聞いた気がする。

_______________________________________________

 

ガチャッ

 

「ここか...っ!?」

 

俺は、屋上に出ると、二つの事に驚いた。

 

「え、あなたは!?」

 

そう、目の前にいるのは、俺の知ってるのとはまた別の初音ミクに、巡音ルカがいた。

 

そして、その二人に襲い掛かろうとする、黒い人型のモヤも。

 

「おい、お前何してんだ!」

 

言葉が通じるか、わからないが、とりあえず、ミク達から離れさせようと声をかけた。

 

『...』クルッ

 

な、何だこの感じ、人なのか...獣なのかわからない。

 

「...」

 

『...』ニッ

 

「っ!?」

 

『...』ダッ

 

「っ!」サッ

 

こっちを見て、笑みを浮かべたような感じがした。

 

笑みを浮かべた後、すぐさま、俺に襲い掛かった。

 

狙いはミク達じゃあなくて俺なのか?

 

「チッ...なんなんだ!」

 

『...』ダッ

 

「ぐっ...」グッ

 

奴はまた、俺に向かって走り出す。

 

すかさずは俺はガードをしたが...

 

『...』スッ

 

キラッ

 

「はっ!?」

 

ザンッ

 

ザシュッ

 

「ぐっ!?」

 

なんだあれは...刀か!?

 

あっぶねえ...あと数センチずれてたらやられてた。

 

「てめー...お気に入りのジャージが切れちまったじゃあねえか。」

 

思いきり切られ、胸元から腹にかけ、血が出ている...

 

切られてたのは、皮膚だけ...深手ではないな。

 

『...』ダッ

 

「あ、危ない!?」

 

「...」スッ

 

キンッ

 

『っ!?』

 

「えっあれって...鉄パイプ!?」

 

「どこから出したの...」

 

「てめーが武器使うんなら、こっちも使わせてもらうぞ。」

 

『っ!』ブンッ

 

「...」キンッ

 

刀と鉄パイプがぶつかり合う。

 

『...』ブンッ

 

「オラッ!!」カーンッ

 

思い切り刀をはじく。

 

『っ!?』

 

「オラッ!!」ブンッ

 

そのまま、奴の顔に鉄パイプを振り下ろすが...

 

スー

 

「なにぃっ!?」

 

そのまますり抜けてしまった。

 

『...』ブンッ

 

「っ!?」キンッ

 

どういうことだ...やっぱ幽霊みたいな奴なのか...

 

くそっ...万事休すか...いや、こっちにも幽霊みてーな奴がいんじゃあねえか。

 

「...」

 

『っ!?』

 

「え...何か出てきた!?」

 

「背後霊...なのかしら?」

 

やっぱりここのセカイの二人も見えるし、こいつも見えるか。

 

「ふんっ!」ブンッ

 

『っ!?』キンッ

 

俺は思い切り鉄パイプを振り下ろす。

 

そして、奴は、頭に当たる瞬間に受け止める。

 

こいつ当たらねえってわかってるのに、体が覚えっちまってるんだろうな...

 

「がら空きだぞ。」

 

『オラッ!!』ブンッ

 

ゴスンッ

 

『っ!?』

 

やっぱスタンドは当たるか...んじゃあこのまま...

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!』

 

そのまま、奴に容赦なく、ラッシュを叩き込んだ。

 

『オラッ!!!』

 

ゴスンッ

 

『っ!?』

 

最後の一撃を食らわし、奴を吹っ飛ばす。

 

『...』

 

奴は地面に倒れ...そのまま、なんかのエフェクトを肉体から出てきて...消えた。

 

案外、弱かったな...ただスタンドがなきゃあやられてたな。

 

「二人とも、大丈夫か?」

 

「う、うん...それよりキミが...」

 

「え...ああ、慣れてるから大丈夫だ。」

 

「な...慣れてるって...」

 

「それより、あの黒いモヤみたいなのはなんなんだ?」

 

「わからない...屋上で練習してたら、急に現れて...」

 

あれもスタンドの一種か...それともセカイのバグなのか...

 

「それより、あなたは何者なの?」

 

「え、俺は...」

 

いや待て...ここは別の誰かのセカイかもしれないんだよな...

 

言わねえ方が良いか。

 

「悪い...もう帰らないといけないから...じゃあな!」

 

俺は、アプリで元のセカイ戻った。

 

「あ、ちょっと!?」

 

「消えちゃった...あの子もセカイを持っているのね。」

 

「...でも、音楽を再生してなかった気がするけど?」

 

ガチャッ

 

「あ、ミク、ルカ! ここにいたんだ。」

 

「あ、一歌。」

 

「...っ!? これって...血!?」

 

「どうしたのいっちゃん...っ!?」

 

「ふたりとも、どうしたの...っ!?」

 

「どうしたの!......っ!?」

 

「ミク! 一体ここで何があったの!?」

 

「...わたしが言える範囲で説明するね。」

 

 

 

「そんなことが...」

 

「その人、大丈夫なのかな...」

 

「なんでこんなことが...」

 

「...」

 

「...しほちゃん? どうしたの?」

 

「...ねえ、ミク。」

 

「なに?」

 

「その人の、髪の色、赤紫だったりした?」

 

「え...たしかそうだったわね。」

 

「身長も高くて...瞳の色も赤紫だった?」

 

「え、たしかにそうだけど...志歩、どこかで見てたの...」

 

「いや...でも、そんな...」

 

「え...どうしたの志歩。」

 

「その人...響助さんかもしれない...」

 

「え...きょーすけくん!?」

 

「他にもいるかもしれないけど...ミクが言う黒いモヤに立ち向かうは私の知ってる限り、響助さんしかありえない。」

 

「で、でも...志歩ちゃん、そうだとしたら響助さん、切られたんだよね...」

 

「それに...慣れてるって...」

 

「...明日、響助さんに聞いてみよう。」

 

「...うん! そーだね。」

 

「でも...響助さん、正直に喋ってくれるかな...」

 

「わからない...けど、響助さんには、色々助けてもらったし、少しは返さないと。」

 

「...そうだね。」

 

_______________________________________________

 

「...」

 

部屋に戻ってきたか...

 

傷は...あるな。

 

時間は...母さんが帰ってくるまで時間がある。

 

「診療所に行くか。」

 

俺はそう呟き、外に出た。

 

_______________________________________________

 

俺は服を着替え、外に出た、血が目立たないように黒いシャツを着た。

 

...あまり、痛みがない。

 

前から痛覚が鈍いと思っていたが...最近、さらに鈍くなってるような気がする。

 

いつかは消えちまうのかな...というか、いつから鈍くなったんだ?

 

生まれた時からか? でも記憶ないしな...

 

「...? 響助か?」

 

「え...あ、仗助さんに億泰さん。」

 

「よー、響助!」

 

...そういえば、仗助さんの能力...傷治せるんだったな。

 

「あの、仗助さん、お願いがあるんですが?」

 

「んー? どうした?」

 

「傷を治して欲しいんです。」スッ

 

俺は、そう言うと傷を見せた。

 

「ゲッ!? こりゃあひでぇな...」

 

「ああ、今すぐ治すぜ。」

 

仗助さんに、傷を治してもらった。

 

「こんな傷、普通じゃあねえな...何があった?」

 

「はい、実は...」

 

俺は、事の経緯を二人に話した。

 

「別のセカイにいって、そこで黒いモヤに襲われたとぉ...仗助、なんか知ってっか?」

 

「俺もわからねぇ...ただ、スタンドでぶん殴れたっつーことは、そいつ自身がスタンドだったのかもしんねえな。」

 

「やはり、そう思いますか。」

 

「ああ、それより響助よぉ、傷を負ったんなら別に連絡してもいいんだぜ。」

 

「はい、深手が負ったんなら連絡します。」

 

「そーしてくれ、何かあったらじゃあ、遅えからよぉー。」

 

「わかりました。」

 

これからは、やべー怪我負ったら、仗助さんに連絡しよう。

 



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第36話:不純物

「...」

 

俺は起きて、洗面台の前に立っていた。

 

「...」

 

グニッ

 

「...やっぱり...痛くないな。」

 

ほっぺをつねったが、触られてる感覚はあるのに、痛みだけがない。

 

「...前に、瑞希にくすぐられた時は、きいてたんだけどな...痛みだけがなくなってるのか。」

 

...あん時、斬られたんだよな、俺...

 

「...」

 

「響助?」

 

「うおっ!?」

 

「...なに、洗面台に突っ立ってんのよ?」

 

「ああ...いやぁ...ちょっと顔洗ってて...」

 

「ふ~ん。」

_______________________________________________

 

「よっ、響助。」

 

「郷秀...あれ? 昨日お前いたっけ?」

 

「いや、いたじゃあねえか。」

 

「ナチュラルにお前の事記憶から消えてたわ。」

 

「おま...ひっでぇな。」

 

「それより、お前斬られたんだろ、仗助さんから聞いたけど。」

 

「ああ、あいつらには絶対言うなよ、巻き込みたくねえんだからな。」

 

「わかってるさ、まさかセカイで襲われるとはな。」

 

「ああ、ただミク達を狙ったんじゃあなくて、なんか俺を狙ってたように見えた。」

 

「そういやお前、絡まれ体質って言ってたな、別のセカイまでこうなら、それもう呪いだろ。」

 

「やめろ、俺もそう思い始めてきたけど。」

 

「二人ともおはよー。」

 

「あ、杏ちゃん、おはよ。」

 

「...そういや、テストどうだったよ?」

 

「あー...まぁ、楽だったな。」

 

「うっ...二人とも勉強できるんだ...」

 

「あ、杏ちゃんは苦手なんだ。」

 

「まぁ...テストの一つや二つ、できなくても将来困んねえよ、杏ちゃん。」

 

「そ、そうだよね、郷秀!」

 

「ただ...補習対象にはなるからな。」

 

「うっ...」

 

「あんまいじめんな。」

 

「へいへい。」

_______________________________________________

 

「たまには、中庭で食う飯も良いもんだな。」

 

「別に変らねえだろ。」

 

「風情ってのがあるだろ?」

 

「そういうもんかね?」

 

中庭で、郷秀と一緒に飯を食っていた。

 

「...?」

 

「どうした響助?」

 

「なんか見られてる気がする?」

 

「まぁ、お前多方面から恨まれてるからな。」

 

「いや...なんつーか、殺気とはまた別な感じだ。」

 

「へぇー...」

 

「...こっちから感じるな」チラッ

 

...人影は見えた気がする。

 

「見えたのか?」

 

「いや...ただ人影は見えた。」

 

「...ちょっと見てくる。」

 

「...おー。」

 

俺は、指先からシャボン玉を出し、地面から音を奪った。

 

「...」

 

俺は、人影が出てきた壁の死角に立った。

 

「...うおおおっ!?」ヒョコッ

 

俺を見ていた正体は...

 

「...司先輩?」

 

「き...奇遇だなっ! 響助!」

 

「...」

 

わかりやすいな...

 

「えーと...なにしてるんですか?」

 

「る、類を探していてな!」

 

「...類先輩なら、屋上じゃあないですか?」

 

「そ、そうか! すまない、助かったぞ!」

 

司先輩はそう言うと、その場から離れた。

 

「...」

 

「誰だったんだ?」

 

「司先輩だった。」

 

「ああ、あの変人ワンツーフィニッシュの?」

 

「あの人そんな呼ばれ方してんの?」

 

「ああ。」

 

...あの感じ、確実に俺を見ていた...なんでだ?

_______________________________________________

下校時間

 

「響助、お前はどうすんだ。」

 

「今日?...そうだな、どっかに良いカフェがないか探しながら帰るよ。」

 

「え、お前にしてはめずらし....ん?」

 

俺は、郷秀にスマホを見せた。

 

『誰かに...いや、司先輩に見られてるから、こっちで伝えるよ。』

 

「...」チラッ

 

「...確かにいる。」コソコソ

 

『俺は、司先輩を撒いてから、矢の事の事に関する情報がないか探すよ、司先輩を巻き込むわけにはいけないし。』

 

「おっけ...んじゃあ、俺は、別の所を探すよ。」

 

「わかった。」

 

俺は郷秀と別れると、司先輩を撒くために、その場から移動した。

 

「...」チラッ

 

...あれ、こっちに来てないな...俺を追跡してるわけじゃあないのか?

 

それならそれでいいんだけど...

 

さて、どこに行くか...

 

_______________________________________________

 

結局情報は、なしか...

 

まぁ、そう簡単にはいかないか。

 

「あ! いた!」

 

「え?」

 

俺は振り返ると、そこには、Leo/needの4人がいた。

 

...偶然じゃあねえな...さっき、『いた』って言ってたしな。

 

...もしかして、司先輩が俺を見てたのはってこの4人に伝えるためだったのか?

 

「どうした? 4人揃って?」

 

「響助さん、今、時間大丈夫?」

 

「え、まぁ...大丈夫だけど」

 

「よかった!」

 

「...あの、響助さん。」

 

「なに? 穂波ちゃん?」

 

「...昨日、何してました?」

 

「昨日? 普通に買い物して家に帰ってたけど...」

 

...何かを探ってるな?

 

「...単刀直入に言うよ。」

 

「志歩ちゃん?」

 

「斬られた傷...大丈夫?」

 

「っ!?」

 

なんで、知ってるんだ...あの時いたのはミクとルカ...いや待て...

 

まさか、あのセカイって、この4人の想いのセカイって事なのか?

 

...けど、俺の事情に巻き込むわけにはいかねえ。

 

「斬られた...? どういうことだ?」

 

「ごまかさないで、刀みたいなもので、胸元から斬られたって聞いた。」

 

...なるほど、そこまで知ってるって事か。

 

「悪いけど、人違いじゃあないかな、俺そんな傷ないよ。」

 

「それに、そんな大怪我してたら、学校には行ってないよ。」

 

俺は、そう言うが、志歩ちゃんはまだ疑ってる。

 

「なら、見るか?」

 

「っ!」

 

俺はそう言うと、胸元をボタンを取って、胸元を見せた。

 

「っ! 傷が...」

 

「ない!?」

 

そう、俺は昨日、仗助さんに治してもらったおかげで、傷跡も何もないのだ。

 

「これで、俺じゃあないってことでいいかな。」

 

「う、うん。」

 

「...そういや、今日司先輩が俺の方見てたけど、それって...」

 

「ごめんね、それアタシが頼んだの!」

 

「そっか、謝ることじゃあないよ、ただ気になっただけだから。」

 

「えっと...用がこれだけか?」

 

「う、うん。」

 

「そっか、4人でいるってことは練習か?」

 

「はい。」

 

「んじゃあな!」

 

そう言うと、俺はLeo/needの4人と別れた。

 

「...」

 

「どうしたの志歩?」

 

「...やっぱり、響助さんだ。」

 

「え?」

 

「あの場所にいたの。」

 

「で、でもしほちゃん、きょーすけくんの体、キズなかったよ!」

 

「うん...でも、キズの事を聞いた時に響助さん、驚いてた。」

 

「え...」

 

「...キズがなんで治ってるのか気になるけど、ミク達が言ってた背後霊も気になる。」

 

「それに...なんでセカイにいたのも。」

 

「うん...そうだね。」

 

_______________________________________________

帰宅

 

ミク達に聞いたとなると、スタンドの事バレたか?

 

いや、バレるバレないはともかく、巻き込むわけにはいかない。

 

「...」

 

『響助!』

 

「...ん? どうした、ミク?」

 

『今、こっちのセカイにこれる?』

 

「ああ、大丈夫だ...今行く。」

 

俺は、アプリを開いて、そっちのセカイに行った。

 

 

 

「どうした、ミク?」

 

「あれ見て。」

 

「...あれって?」

 

俺の視界に入ったのは、昨日見た、バグった想いの欠片だった。

 

「なんでまた...」

 

「わからない、私もさっき気づいたの。」

 

「...」

 

たしか、ミクが言ってたな、助けを求めてるって。

 

「...」タッ

 

「響助?...!」

 

俺は、その想いの欠片に触れようとした。

 

「待って!!!」

 

俺は、ミクの声を聞いて、手を止めた。

 

「どうした?」

 

「また、行くの?」

 

「...ああ。」

 

「大怪我するかもしれないのに?」

 

「ああ。」

 

「...なんで?」

 

「...前にミクが言ってた事でさ、この想いの欠片、助けを求めるって言ってただろ。」

 

「だからさ、俺の手に届く範囲は、なるべく助けたい、俺が傷ついてもね。」

 

「...」

 

ミクは、今でも泣きそうな顔をしている、そこまで俺の事をおもってくれているのだろう。

 

「そんな顔すんな、怪我しても、仗助さんに治してくれるし、俺だって死にたくはないし、やべぇってなったらすぐに戻るから。」

 

「...うん。」

 

「じゃあ、行ってくる。」

 

「絶対、戻ってきてよ!」

 

「ああ。」

 

俺は、想いの欠片に触れた。

_______________________________________________

 

「ここは...なんかのライブのステージか?」

 

想いの欠片で移動したセカイは、まるで、アイドルとかのステージ会場だった、

 

前と同じなら...どこからか来るはずだ...

 

「え...きょー...ちゃん?」

 

「え?」

 

俺をそんな呼び方する人なんて1人しかいない。

 

「し、雫さん...なんでここに?」

 

「きょーちゃんこそ...」

 

...ちょっと待て...もしかしてここは、雫さんの想いのセカイって事か。

 

...だとしたらまずいぞ!?

 

「...」チラッ

 

「きょーちゃん?」

 

いない...まだ現れていないって事か?

 

「雫さん、今日ここのセカイに来てから何か変わった事ありませんか?」

 

「い、いえ...私、さっき来て、ルカちゃんと話してたの。」

 

ルカがいることはわかったけど、何もないのか?...それならいいが。

 

「それよりも、なんでここにきょーちゃんが?」

 

「え、俺は...っ!?」

 

雫さんの後ろから黒いモヤが...何か持っている...あれは...包丁!?

 

今にも、雫さんに向かって振り下ろそうとしている。

 

「雫さん!! 危ない!!!」

 

「え?」

 

ザシュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅっ!?」

 

「っ!? きょーちゃん!?」

 

雫さんを寸前の所で、庇うことは出来たが、その代償に、左目を含む、顔の左部分を斬られてしまった

 

顔から、生暖かいものが出てきている。

 

「くぅ...」

 

左目は...視えねえ...網膜をやられたか...

 

『...』

 

まえに戦った奴とは別の奴か...獣のような人型じゃあなくて、人型だ。

 

「あ...ああ...きょー...ちゃ..ん。」

 

「大丈夫です...見た目よりは大したことないです。」

 

雫さんに、心配かけないように嘘を言い、黒いモヤの方を見る。

 

刀よりはマシか...いや、刀よりは小回りは聞くか。

 

『...』ダッ

 

「チッ...」メギャン

 

キンッ

 

とっさに、鉄パイプを出し、攻撃を防ぐ。

 

「ふんっ!」ブンッ

 

『っ!?』グッ

 

ん?...こいつは、前の奴と違って、スタンド以外の攻撃は通るのか?

 

でも、スタンドでやった方が早いか?

 

「...」

 

『っ!?』

 

「きょ...きょーちゃんから、幽霊みたいなものが...」

 

『オラッ!!』

 

『っ!?』キンッ

 

防ぐ...か、じゃあ、あれだな。

 

「...」サッ

 

メギャン

 

「まさか、これを使うことになるとはな...まぁ、人間相手じゃあないから容赦なく使うけど。」メギャン

 

俺は、少し長めの鉄パイプと交換した。

 

ただ、この鉄パイプはただの鉄パイプじゃあない。

 

鉄パイプの両端に、セロハンテープを貼っている。

 

俺は、シャボン玉を生成し、その鉄パイプに触れさせた。

 

「...」スッ

 

『...』ダッ

 

「食らっとけ。」

 

鉄パイプの先端を奴に向け、もう一つの先端を、スタンドでセロハンテープを破った。

 

パンッ

 

『っ!?』バシュッ

 

カランッ

 

破裂音が聞こえ、奴の手に命中し、包丁を落とさせる。

 

「よそ見すんじゃあねえぞ!」ブンッ

 

『っ!?』ガンッ

 

奴がよそ見している間に、奴の体に、鉄パイプをフルスイングを噛ました。

 

「鉄パイプの中から、空気を奪って作った即席の真空砲だ。そして...」

 

「ダメ押しだ!!」

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!』

 

ダメ押しで、スタンドのラッシュを叩き込む。

 

『オラッ!!』

 

『...』ドサッ

 

ぶっ飛ばされた奴は、前と同じように消えていった。

 

「ふー...」

 

左目がやられてたから、距離感が掴めなくて少しむずかったが、何とかなったな。

 

「きょーちゃん!!!」

 

「雫さん、怪我は?」

 

「私の事はいいの! それより、目が...」

 

「え、ああ...大丈夫ですよ。」

 

「大丈夫じゃないわ!! 早く救急車を...」

 

「大丈夫です、だってこれ、雫さんの夢ですから。」

 

「えっ...?」

 

「...あ...れ...」

 

「おっと...」ポフッ

 

能力で、雫さんの意識を奪ったけど...これで騙せるかな?

 

「寝かせられるところは...申し訳ないけど、ステージの上に寝かせるか...」

 

血は...地面にはついてないか...

 

よし...戻ろう。

_______________________________________________

 

「きょ、響助!」

 

「よ、ミク。」

 

「よ、じゃないよ! 目が...」

 

「仗助さんに連絡するから大丈夫。」

 

つっても...止血はしねえと...あ、そうだ。

 

シャボン玉で、止血できねえかな。

 

「...」

 

「え、響助、傷からシャボン玉が...」

 

「...お、一応止血できたのかな」

 

一応、血は止まった...止血ってよりかは、無理やり止めたって感じだけど。

 

とりあえず、仗助さんに連絡しよう。

 

_______________________________________________

 

「大丈夫か、響助...うおっ、こりゃあバッサリいってんなぁ...」

 

「左目は完全に失明ですよ。」

 

「おめー、全然痛そうな顔しねーよな...」

 

「まぁ...そうですね。」

 

段々と、痛覚が消えていっている...気がする。

 

「...うしっ...治ったぞ。」

 

「ありがとうございます...なんか、傷を負うたびに仗助さんを呼び出すの、申し訳ないです...」

 

「いや、別にいいんだけどよー...おめー、ここ最近、怪我しすぎじゃあねーか?」

 

「そうですね...自分で治療できる能力とかないですかね?」

 

「おめーのスタンド能力的に無理じゃあねーか...そういや。」

 

「? なんかあるんですか?」

 

「あるっていうか...オレは出来ねーんだけどよ、ジジイが波紋っつーのを使えるのを思い出してな。」

 

「波紋?」

 

「おー、オレもよく知らねーんだけどよー、それで折れた腕を治療出来たり、身体能力を上げたり、色々できるんだ。」

 

「便利ですね。」

 

波紋か...あったら便利だよな...

 

プルルッ

 

「ん? オレじゃあねーな。」

 

「俺ですね。」

 

...雫さんからか?

 

ピッ

 

「もしもs」

 

『きょーちゃん!! 大丈夫!!』

 

「だ、大丈夫ですけど...何かあったんですか?」

 

まさか...バレたか?

 

『よ、よかったわ!...』

 

「あの、どうしたんですか?」

 

『...今日ね、夢で、きょーちゃんが出てきたの...』

 

...よかった、夢ってことになってる。

 

『それで、きょーちゃんの目から...血が...』

 

「そうですか...でも安心してください、俺は何もケガしてないです。」

 

『うん...ごめんなさい、急にかけちゃって...』

 

「大丈夫です、では、また。」

 

『うん、またね、きょーちゃん。』

 

ピッ

 

「...」

 

「いってねーのか?」

 

「ええ、あの人らには、平和に過ごしてほしいので。」

 

「瑞希には言ってたのにか?」

 

「それは...こうなるとは思ってなかったので。」

 

「まぁ、でもあいつは信用できる奴なので。」

 

「そっか。」

 

...これからもっと、ヤバい事が起こるかもしれねえかもな...

 

もっと、強くならねえと...



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第37話:吸血鬼?

「んっん~...今日は休日か...」

 

そういや、仗助さんと別れる前に...

 

 

 

『あ、響助言い忘れてた事があるんだけっどよー。』

 

『どうしたんですか?』

 

『明日から、しばらく、別の街を調べることになったんだ。』

 

『そうなんですか。』

 

『だから、怪我すんじゃあねーぞ。』

 

『わかりました。』

 

 

 

...大怪我だけはしないようにしねえとな。

 

_______________________________________________

 

動画のストックがなくなってきたので編集をしていた。

 

「ふわぁ...」チラッ

 

14時か...

 

「んー...ちょっと買い物しに行くか...コーラとか買ってこよ。」

 

_______________________________________________

 

コーラは買ったし、あと必要な物あったっけな?

 

ポリポリチップスはまだ家にあるしな...

 

「お、城ケ崎。」

 

「ん? 彰人と冬弥か、何してんだ?」

 

「パンケーキの店に行くところだ。」

 

「ヒマならお前も一緒にどうだ?」

 

「...そうだな、一緒に行くわ。」

 

「そっか...今日は、あの二人とは一緒じゃないのか?」

 

「友達だけど、別にいつも一緒じゃあねえし...休日まであいつらと一緒にいたくねえよ。」

 

「お、おう...そうか。」

 

_______________________________________________

 

「久々に外でパンケーキ食った気がする。」

 

「外のパンケーキも美味いだろ。」

 

「ああ、バニラアイスが乗ってるやつはめっちゃ美味かった。」

 

「城ケ崎は、こういう所はあまり行かないのか?」

 

「まぁ...中学の時は一緒に行く友達がいなかったんで、縁がなかったな。」

 

「そうなのか。」

 

「まぁ、今と違って、見た目も違うし、少し荒れてたからな。」

 

「ああ...それはわかる。」

 

「おい、形だけでも否定はしろ。」

 

「悪い...ん?」

 

「...げっ。」

 

「どうした、彰人?」

 

「絵名からだ...たくっ。」

 

えな...どっかで聞いたことあんな?

 

「...ん?」

 

「どうした、城ケ崎?」

 

「いや...どっかから、視線を感じる。」

 

「は? どういうことだ?」

 

「いや、昔から視線には敏感でな...特に殺気には。」

 

「殺気だと!?」

 

確実に俺を、殺そうとしてる感じだ。

 

どこだ...?

 

「なんだありゃあ?」

 

この季節に不格好な服装だ...

 

肌一つも見せてない。

 

あの仮面...RSの奴らとは違う...

 

「...」ギロッ

 

「っ!?」

 

こいつは...今まで俺に絡んできた奴らとは何か違う。

 

こっちに向かってくる。

 

「...彰人、冬弥...お前らは逃げろ。」

 

「っ!? 何を言っているんだ?」

 

「...あいつはやべえ。」

 

「やばい?...一体どういうことだ!?」

 

奴は...感覚だけでわかる...奴はヤバい...

 

「...お前だな...城ケ崎響助って奴は?」

 

「...そうだと言ったら?」

 

「...上からの命令だ...貴様を始末する。」

 

おいおい...ついに始末かよ...笑えねえな。

 

「おい! てめえ、いきなり現れてなんだ!!」

 

「...」ブンッ

 

「っ!?」

 

「彰人!!」

 

「危ねえ!!」

 

俺は彰人を抱えて、奴の攻撃をかわした。

 

ドン

 

「っ!?」

 

「なっ!?」

 

「う、嘘だろ!?」

 

奴は、コンクリートでできた壁をぶち壊しやがった。

 

「...」クルッ

 

アイツは本当に人間なのか!?

 

「彰人、冬弥!! お前たちは早く逃げろ!!」

 

「っ! お前はどうするんだ!!」

 

「アイツの狙いは俺だ、俺がアイツを引き付ける。」

 

「っ! お前、死ぬぞ!!」

 

「大丈夫だ...俺も頃合いを狙って逃げる...彰人、今は冬弥を連れて逃げろ。」

 

「...わかった。」

 

「...」ダッ

 

「っ!?」

 

クソッ、足も速いか...

 

「お前の相手はこっちだ!!」

 

「ぐぅ!...」ダッ

 

「冬弥! 今のうちに逃げるぞ!!」

 

「だ、だが、城ケ崎が!」

 

「あいつは俺らを逃がすために囮を引き受けたんだ、今オレ達にできるのは、それに答えるだけだ!」

 

「くっ...」

 

「...」

 

あいつらは上手く逃げれたか...

 

「うおお!」ブンッ

 

「っ!」サッ

 

ドン

 

チッ...こんなもんまともに食らったら...

 

「...」

 

『オラッ!!』

 

「っ!?」

 

おっし、奴はスタンドは見えてねえこのままラッシュを...

 

「うおっ!!」ブンッ

 

「なにっ!?」サッ

 

嘘だろ!? そのままこっちに走って殴ってきやがった!?

 

「く、くそっ!?」

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ』

 

ラッシュを叩き込むが。

 

「...」ダッ

 

無理やりそれを突破してくる。

 

「な、なんだと!?」

 

その光景に驚いていた一瞬...俺は隙を生み出してしまった。

 

「ぬんっ!!」ブンッ

 

「はっ!?」

 

俺はその攻撃を防ぐ。

 

グンッ

 

ボキッ

 

「がぁっ!?」ビュンッ

 

な、何だこのパワーは!?

 

パンチの速度にオレの体は耐えきらず...ボキッって音を鳴らして、そのまま吹っ飛ばされてしまった。

 

「がはっ!?」バシンッ

 

そのまま、壁に激突する。

 

「ぐっ...」

 

左腕が動かねぇ...折れたか!?

 

「...」タッ

 

嘘だろ...あんだけラッシュを叩き込んだのに、きいちゃあいねえのか...

 

いや...ダメージはあるのか...

 

「...これで終わりだな...」

 

「...く。」

 

「ん?」

 

「来るな!...来るな!!」ブンッ

 

動く右手で、そこらへんの物を投げる。

 

「ふんっ...悪あがきが...」

 

「く...これでも食らえ!!」メギャン

 

すかさず、何かの瓶を投げつける響助。

 

「無駄だ。」パリンッ

 

「く...くそー!!」

 

シャボン玉を生成し、奴の方に飛ばす。

 

「シャボン玉か...だが、これが最後っ屁となると虚しいものだな。」

 

数十個のシャボンを奴の周りに生成する。

 

「悪あがきは終わりか?」

 

「いや...とっくに悪あがきは終了してるぜ!」

 

「なに...この匂いは...アルコール?」

 

「そう、おめえがさっき破壊した瓶、あれには消毒用のアルコールが入ってた。」

 

「そして、今おめえの周りに飛んでるシャボンはそのアルコールが混ざったシャボン玉さ!」

 

「なにっ!?...くっ」ブンッ

 

奴はシャボン玉を割ろうとするが...

 

「っ!? 何故割れない!?」

 

「そのシャボン玉はただのシャボン玉じゃあないのよ...俺の意志の強さで硬さを調整できるのさ...さて。」メギャン

 

俺はそう言うと、あるものを取り出す。

 

「チェックメイトだ!」ボッ

 

マッチを取り出し、火をつける。

 

「なっ!? やめろ!!」

 

「燃えやがれ!!」

 

マッチをシャボン玉の方に投げ込む。

 

「ふんっ」サッ

 

俺は巻き添えを食らわないように逃げる。

 

ボッ

 

マッチが、シャボン玉に触れ...引火する。

 

「うおおおっ!!?」ボッ

 

炎はシャボンからシャボンへと伝染していく。

 

「はぁ...はぁ...」

 

「がああっ!?」

 

炎はそのうちに奴の体を包み込む...

 

「さすがに...終わりだろ...」

 

「...ぐっ」ギロッ

 

「はっ.......嘘だろ...」

 

なんであれで動けるんだよ...あいつ。

 

「うおおっ!!」ダッ

 

「ぐっ!?」

 

万事休すか!?

 

「...がぁっ!?」

 

「?...なんだ?」

 

「ぐおお...がああ...」

 

なんだ...急に苦しみだしたぞ。

 

「何が起こってる...ん?」

 

奴の体から炎が消えると、奴の肌を隠していた衣類が炎によってなくなっていた。

 

「がぁ...あ...」ボロボロ

 

「なっ...」

 

今起こっているのは現実なのか...

 

「奴が...粉々になっちまった...」

 

なんだよこれ...人間じゃあなかったって事なのか...

 

「...ぐっ。」

 

左腕が痛え...さっきまで集中してたから気にしてなかったけど...

 

こりゃあ...診療所じゃあだめだな...病院行かねえと...

 

「...っ」

 

体も痛え...思い切り、壁に叩きつけられたからな。

 

「...?」

 

仮面は残っているな...一応持っていこう。

_______________________________________________

 

くっそ...病院まで遠いな...

 

俺は、怪我している体に鞭打って、病院まで歩いていた。

 

「はぁ...」

 

「...ん、ジョジョ?」

 

「?...瑞希か?」

 

「ど、どうしたの...左腕も抑えてるし...」

 

「...別に、大したことじゃあない。」

 

「大したことあるよ! 何があったの?」

 

「...別に。」

 

...これ以上、こいつをオレの事情に巻き込ませるわけには...

 

「...ねえ、ジョジョ。」ギュッ

 

「ボクってそんなに頼りないかな...」

 

「えっ...」

 

「確かにボクは、ジョジョみたいに力もないし、能力はないよ...でも。」

 

「怪我してるジョジョに、肩を貸すぐらいはできるよ。」

 

瑞希は、真剣で...尚且つ泣きそうな顔をして、俺にそう言ってきた。

 

「瑞希...」

 

...

 

「...悪ぃ...肩貸してくれ、さすがにつらくなってきた。」

 

「ジョジョ!...いいよ、だけど後で何があったか言ってね。」

 

「ああ...わかったよ。」

 

_______________________________________________

 

俺は、瑞希に手伝ってもらい病院までたどり着き、診断を受けた。

 

「複雑骨折か...」

 

だろうとは思ったけどよ。

 

「複雑骨折か...じゃないよ! 痛くないの?」

 

「流石にいたいぞ。」

 

「え、それだけ...ところで、何があったの、そんなに大怪我して。」

 

「ああ...信じてくれるかわからねえが...」

 

「信じるよ。」

 

「お、おお...まだ何も言ってねえのに。」

 

「ジョジョはボクの事を知ってもバカにしないで『理解』してくれた...変わらないでいてくれた...だからボクも信じるよ。」

 

「...はぁ...おめぇ、たまにかっこいいとこあるよな...」

 

「かっこいい!?...ま、まーね、ギャップがあっていいかもね~」

 

「へいへい...実は。」

 

俺は今までの事を瑞希に話した。

 

「粉々になったって事?」

 

「ああ、俺も正直何が起こったのかわからねぇ...」

 

「...もしかしてさ。」

 

「うん?」

 

「...吸血鬼とかじゃないかな?」

 

「吸血鬼?」

 

「だって、肌を見せない服装してたんでしょ、だったら吸血鬼なんじゃないかな?」

 

「吸血鬼って民話や伝説の物だろ...そんなファンタジーなこと...いや。」

 

「スタンドやセカイがあるから、可能性はあるのか。」

 

「ボクが言ってる説、以外と可能性ない?」

 

「...確かにな。」

 

今度、仗助さんに聞いてみるか。

 

「...そういえばさ、そんな大怪我なら、仗助さんに治してもらえばよかったんじゃ?」

 

「あー...運が悪い事に、昨日から別の街いっちゃってさ。」

 

「え、そうなんだ...あれ?」

 

「ん? どうしたんだ?」

 

「...やっぱ奏だ! 」

 

「奏?...あれ?」

 

あの人...前にあったことあるな。

 

「あ、瑞希...あれ?」

 

「えーと...久しぶり。」

 

「えっ...奏とジョジョって知り合いだったの?」

 

「顔見知り、名前は聞いてないよ。」

 

「あ、瑞希が言ってたジョジョってキミのことだったんだね。」

 

「うん!」

 

「えーと、城ケ崎響助です、よろしく。」

 

「宵崎奏です...瑞希の友達でいいのかな?」

 

「まぁ...一応そうだな。」

 

「ええ!? あの時大切な友達って言ってたじゃん!!」

 

「おお、それ掘り返すのやめろ、今でも死ぬほど恥ずいんだからな。」

 

「ふふっ...っ! 城ケ崎さん、その腕どうしたの?」

 

「え...ああ、ちょっと事故で骨折しちゃってさ。」

 

「そうなんだ...」

 

...髪、綺麗だな。

 

「おやおや~...ジョジョ~そんなに奏を見つめてどうしたのかな~。」ニヤニヤ

 

「え...なにが?」

 

「そっかそっか~...ジョジョもそういうお年頃だもんね~」ニヤニヤ

 

...ピキッ

 

「...瑞希。」コッチコイッ

 

「どうしたの?」

 

グンッ

 

「うっ!?」プシュー

 

瑞希の頭に向かって、チョップを噛ました。

 

「ケ、ケガしているのにこの威力...」

 

「あいにく、右腕は無傷なもんで。」

 

...やっぱこいつ、クソ生意気だわ。

 



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第38話:波紋

...暇だ。

 

本来なら俺は今頃学校に行っているはずなんだが...

 

左腕の複雑骨折のせいで、自宅療養中だ。

 

別に片腕が使えないだけで勉強はできるから、学校に行こうとしたら、母さんに止められた。

 

つっても、スタンドの右手を使えば料理や、飯食う時に困らないけど。

 

プルルッ

 

「ん?...彰人だ。」

 

ピッ

 

「もしもし、どうした?」

 

『どうしたじゃねえよ! 杏から複雑骨折したって聞いたぞ!』

 

「あー...そういや言い忘れてたわ。」

 

『痛みとかねえのか?』

 

「あー、多分痛みのその向こう側にいるわ。」

 

『なんだよそれ...ま、思ったより元気そうで良かった。』

 

「おう、ま、すぐ治して、学校行くわ。」

 

『いや、物理的に無理だろ、それ。』

 

『ま、治ったら美味いパンケーキの店紹介してやるからな。』

 

「お、それはありがたいね。」

 

『んじゃあな。』

 

「おう。」

 

ピッ

 

んー...いい友達に巡り合えたもんだな~...

 

プルルッ

 

「ん?...今度は冬弥か。」

 

ピッ

 

「もしもし。」

 

『城ケ崎、杏から聞いたが、腕をケガしたと聞いたが、大丈夫か!?』

 

「おー、さっき彰人にも言ったが、大丈夫だ、痛みはほぼないよ。」

 

『そっか...何か困ったことがあったら、連絡してくれ。』

 

「おー、わかったよ、んじゃあな。」

 

ピッ

 

...ん?

 

ちょっと待てよ...神高のみんなには伝わっているよな...

 

プルルッ

 

「あっ...」

 

_______________________________________________

 

「あ゛~、喋り疲れた...」

 

いやね、嬉しいんだよ、こんなにも連絡してくれる友達がいることにね。

 

ただね、神高のみんなはわかるのよ、まさか宮女のみんなから電話来るとは思わないじゃん。

 

杏ちゃん→こはねちゃんなのか、冬弥→司先輩→咲希ちゃんなのかわからないけど...

 

プルルッ

 

「まだ来るのか!?」

 

ピッ

 

「もしもし?」

 

『おー...随分疲れてるな響助。』

 

「郷秀か...何の用だ?」

 

『いや、お前がそのレベルの怪我するなんてって気になってな、何があったんだ?』

 

「ああ...ちょっと襲われてな。」

 

『襲われたって、前々から言ってた奴らにか?』

 

「そうなんだが、ちょっと変でな?」

 

『変?』

 

「日光に触れたら消滅しやがったんだ。」

 

『はっ? なんだそれ、吸血鬼?』

 

「瑞希にも言われたよ...まぁその可能性が高いかもな。」

 

『なるほど...まあ、スタンドがあるんだ、吸血鬼もいる可能性はあるかもな。』

 

「おお...あ、そうだ、学校のプリント頼むわ。」

 

『了解、仗助さんが戻ってくるまでゆっくり家で待機してろー。』

 

「へいへい。」

 

ピッ

 

...やっぱ暇だよな。

 

...あ、京....じゃあない、セカイに行くか。

 

俺はそう思うと、アプリでセカイに移動した。

 

_______________________________________________

 

「ついた...ってあれ?」

 

「...」スースー

 

「寝てるのか...ん、あれは、想いの欠片か?」

 

あれが、本来の想いの欠片なのかな。

 

「...」

 

どうせ暇だし、行ってみるか。

 

俺は、そう思うと想いの欠片触れた。

 

_______________________________________________

 

「...っ!?」

 

これまた別のセカイだな...

 

なんていうか...日本の景色じゃあないよなここ...

 

まるでイギリスみたいなところだ。

 

...近くには川も流れているのか。

 

「すー...はー...」

 

空気が美味しい...気がする。

 

「おや、知り合い以外が来るとはね。」

 

「っ!?」クルッ

 

声が聞こえた方向を向くと、胡散臭い恰好をした人がそこに座っていた。

 

「おや、その腕は...」

 

「え、これは...」

 

「ふんっ」グオン

 

「なっ!?」

 

座ったままの姿勢、膝だけであんな跳躍なんて!?

 

「パウッ!」

 

ドズ

 

「うげあっ!?」

 

奴の小指は、俺のみぞおちを突いた。

 

「ごは...ごほ..」

 

「そうそう、肺の中の空気を1cc残らず、絞り出せ。」

 

「ぐっ...」

 

息が...

 

「しばらくは呼吸はできん...が心配はいらん。」

 

「...ぐあっ!?」ブウウウウ

 

な、なんだ...俺の左腕が...

 

ブウウウン

 

複雑骨折した腕がッ!?

 

「ッ!?」ギシィィン

 

「...う...動く...普段通り動くぞ!?」

 

まるで、最初から複雑骨折なんてなかったように動かなかった。

 

「い...一体何をしたんですか!?」

 

「わたしがしたのではない、きみの呼吸が痛みを消したのだよ。」

 

「呼吸...?」

 

「答えを見せてあげるよ、ついておいで。」

 

「...」

 

俺はその人について行った。

 

ここは...川か?

 

「わたしはきみの横隔膜を指で突き、そして特別な呼吸法にしたのだ。」

 

「特別な...呼吸法?」

 

「呼吸を起こすエネルギーを見せてあげよう。」

 

何をする気だ?

 

...岩の上にカエルが乗っている。

 

「すー...はー...」

 

コオオオオ

 

なんだ...あの呼吸は?

 

コオオオオ

 

...ッ!? あれは一体...

 

なッ!? なんだあの波紋は!?

 

あんな形...不自然だ!?

 

「今から見せるのは、きみの痛みを消したエネルギーと同じもの。」

 

「プルアッ!!」ドグオオオン

 

「なッ! カエルをッ!?」

 

オオオ

 

メメタア

 

ドゴオ

 

「なッ!?」

 

岩を...真っ二つにッ!?

 

ゲコ ゲコ

 

「カエルは何ともないッ!?」

 

「これが『仙道』だ。」

 

「仙道?」

 

「波紋エネルギーこそ、『仙道』パワー。」

 

「わたしの波紋エネルギーは、カエルの肉体を波紋となって伝わり、岩を砕いたのだ。」

 

え...今、波紋って言ったのか?

 

「あの、今波紋って...」

 

「おや、きみは波紋の事をしっているのかね。」

 

「名前だけは...」

 

俺はそう言いながら、左腕で、近くの木の枝を握った。

 

「...おっ!?」

 

「どうしたんですか...うん?」

 

俺は握っている枝を見ると...そこには花が咲いていた。

 

「えッ...さっきまで咲いてなかったのに。」

 

「...きみ、名前は?」

 

「...城ケ崎響助です...一部からは、ジョジョって呼ばれてます。」

 

「なッ!? きみもジョジョというのか?」

 

「え...はい。」

 

ジョジョって珍しいあだ名だと思うが...

 

「わたしは、ツェペリ男爵だ...なぜ複雑骨折をしたのか聞いてもよいかね?」

 

「...?はい。」

 

俺は、ツェペリさんに、複雑骨折した経緯を話した。

 

「まさか...まだ残っていたというのか。」

 

「な...何がですか?」

 

「...響助君、きみを襲ったのは、屍生人(ゾンビ)だよ。」

 

「屍生人?」

 

「人間や、その遺体に吸血鬼のエキスを注ぎ込むと、屍生人になるのだよ。」

 

「吸血鬼ッ!?」

 

まさか...瑞希が言ってた説は当たってたのかッ!?

 

「響助君ッ! きみは既に、吸血鬼や屍生人と戦う運命にあるッ!」

 

「仙道を学ばなければならんッ! さもないと死ぬッ!!」

 

「なッ...」

 

半グレや、スタンド使い...ましてや、今度は吸血鬼や屍生人だと...

 

もう笑いが出ちまうよ...

 

...やってやるよ。

 

とことんまでやってやる。

 

_______________________________________________

数時間後

 

戻ってきたのか...この想いの欠片は消えないのか?

 

「あ...響助。」

 

「おっ...起きたのかミク。」

 

「うん...って響助、怪我は?」

 

「え、ミク知ってるのか?」

 

「うん。」

 

「あー...なんか治ったわ。」

 

「え、どういうこと?」

 

「...いちいち説明するのも面倒だな、勝手に想像してくれ。」

 

俺はそう言うと、アプリでセカイから出た。

 

「えっ、ちょっと響助!?」

 

_______________________________________________

 

「...ってもう夕方か。」

 

...腕も治ったし、外の空気でも吸ってこようかな...あのセカイも外みたいなもんだけど。

 

...なんかずる休みしている気分だな...別にずるではないのだが。

 

どこ行くっかね~...

 

_______________________________________________

 

「おお、この時期でも日が落ちると少し肌寒いな...」

 

スーパーでも行ってみるか。

 

「...っ!? ジョジョ!?」

 

「えっ...おお瑞希か。」

 

「瑞希かじゃないよ! 左腕どうしたの!」

 

「え、ああ、なんか治った。」

 

「治った!? ちょっと見せて!!」

 

「ほれ。」

 

「...ホントに治ってる...」

 

「だろ。」

 

「...どうやって治したの?」

 

「いちいち説明するのも面倒だ...てめえで勝手に想像しろ。」

 

「いや、ベ〇ータみたいなこと言わないでよ。」

 

「実際それぐらいめんどくさいからな。」

 

「ええ...」

 

「...そういや、昼飯食ってなかったな。」

 

「え、そうなの?」

 

「ああ。」

 

「じゃあさ、おすすめのケバブ屋があるんだけど行かない?」

 

「ケバブか...いいね、行くか。」

 

「よし! んじゃあ、ジョジョの初、サボり記念に行こう!」

 

「別にサボってねえから、治っただけだから。」

_______________________________________________

 

「やっぱ...ケバブは美味いな...」

 

「だね!」

 

ケバブを食べながら近くのベンチに座っていた。

 

「...ん?」

 

「どうしたの?」

 

「なんかこっちに来てるな...4人ほど。」

 

「えっ?」

 

こっちに近づいてくる4人は俺の目の前で止まった。

 

「お前だな、城ケ崎と言うのは?」

 

「そうだけど、なに? また始末しに来たって事? 見てわからない? 今ケバブ食ってるの。」

 

「えっ...ちょっと...ジョジョ?」

 

「ッ!? 舐めた野郎だッ!!」ブンッ

 

「ジョジョっ!?」

 

「はぁ...」ドーン

 

「なッ!?」

 

「えっ!? すわったままの姿勢でジャンプした!?」

 

コオオオオ

 

「これでも食らっておきな。」

 

指から、シャボン玉を数発放った。

 

「チッ! 子供だましをッ!」パチッ

 

奴がシャボン玉に触れた時。

 

「があッ!?」バチバチ

 

「えっ!?」

 

まるで、電気に感電したようなリアクションをし、倒れる。

 

「てッ...てめえッ...は!?」

 

「こっちだ。」

 

コオオオオ

 

「ふんッ!」

 

ボゴオオ

 

「ブゲアッ!?」バチバチ

 

すかさず、もう一人の奴に向かって、拳を叩き込む。

 

さっきの奴と同じようなリアクションをとり、倒れる。

 

「な...なんなんだよお前ッ!?」

 

「ふーん...情報はあるんじゃあないのか?」

 

「くッ...くそッ!!」ダッ

 

コオオオオ

 

「ふんッ」ダッ

 

「えっ!? は、速い!?」

 

ボギャア

 

「があッ!?」バチバチ

 

人間がそうは簡単には出せないスピードを出し、そのまま膝蹴りを噛ました。

 

「はっ...え...」

 

コオオオオ

 

「おい。」

 

ゴギン

 

ググーン

 

「ぶえあッ!?」ドン

 

「う...腕が伸びた!?」

 

ゴギン

 

「...なるほど...こんなに高威力になるのか。」

 

「ね...ねえジョジョ! 跳んだり、腕が伸びたりで、ボクの脳が理解できないんだけど...」

 

「今のは、俺の左腕が治ったのと同じものだよ。」

 

「え、同じもの?」

 

「そう、波紋エネルギーって言って、太陽光と同じようなエネルギーを放てるんだ...ま、俺もよく分かってない部分があるがな。」

 

「波紋エネルギー?」

 

「そう、それで身体能力を上げたり、波紋エネルギーを流したり、治療したり、後は...そうだな、老化も遅くなるらしくて、50代の人が20代後半程度に見える人もいるんだとか。」

 

「え、なにその女性が喉から手が出るほど欲しがる能力、ボクも欲しいんだけど。」

 

「まぁ、そこまでになると、とんでもなく修行しないといけないんだけどな、10分間息をすいつづけて10分間はきつづけるようにするとか。」

 

「...ボクには無理だねそれ。」

_______________________________________________

 

「ジョジョはこの後どうする?」

 

「あー...まあ、普通に帰ろうかな。」

 

「ええ!? ケバブを食べただけじゃん、買い物とか行こうよ!」

 

「いや、その...知り合いに会ったら説明が面倒だから。」

 

「あー...確かに。」

 

「そういうこと。」

 

「...? あれ、瑞希?」

 

「え? あ、絵名!」

 

...絵名?

 

「...?」

 

なんかどっかであったような?

 

「...あれ? 君は...もしかして?」

 

「え!? 絵名とジョジョも知り合いだったの!?」

 

「......あ、思い出した、めっちゃ前にストーカーみたいな奴に襲われてた人だ。」

 

「なんか変な覚えられかたされてる...実際そうだったんだけどさ。」

 

「え!? 絵名大丈夫だったの?」

 

「この人に助けられたから私は無事。」

 

「へー、ジョジョそんなことしてたんだ。」

 

「てか、瑞希が言ってたジョジョって君の事だったんだ。」

 

「...そっちで俺のことなんて言われてます。」

 

「...簡単に言うと...人間離れしてる人?」

 

「よし、瑞希...歯を食いしばれ。」

 

「いや、ホントのことじゃん!! しかも今日のでさらに人間やめそうだよ!!」

 

「俺は人間やめる気なんてさらさらねえぞ!!」

 

「...二人とも、仲いいのね。」

 

「まーね! ジョジョは友達だから!」

 

「一応そうだな。」

 

「ふ~ん、そういえば名前言ってなかった。」

 

「私は、東雲絵名。」

 

「城ケ崎響助です...東雲?...あの、彰人って名前に聞き覚えあります?」

 

「彰人の事知ってるんだ、私の弟よ。」

 

「あ、そうなんですね。」

 

...雫さんと志歩ちゃんでも思ったけど、髪の色違うけど、姉弟なんだな。

 

「絵名はこれから学校?」

 

「そうよ...めんどくさい。」

 

「そっかー...ボク達はこれから帰る所だからねー、頑張って絵名☆」ニヤ

 

「腹立つ...」

 

「その気持ち...よくわかります。」

 

「君も苦労してるのね。」

 

「ええ、ところで絵名さん、俺のスマホに、アニソンライブのチケットに外れて絶望している瑞希の写真があるんですが...いります?」

 

「え、ちょ...ジョジョ!?いつ撮ってたの!?」

 

「いいわね、たまにはイジリネタのひとつくらい欲しかったところなの。」

 

「絵名!?」

 

「はい、ここに送ってくれる?」

 

「了解です。」

 

「え、ホントに!?」

 

ピコンッ

 

「...ふw」

 

「ホントに送ったよこの人!?」

 

「いつもの仕返しだ。」

 

「ま、その...ドンマイw」

 

「ちょっと絵名!? それ消して!?」

 

「えー、どうしよっかな?」

 

「ま、そっち消しても俺のデータ残ってる限り、無限に送れるけどな。」

 

「あ、そうだった! ジョジョそのデータ消してよ!!」

 

「NO。」

 

「ぐぬぬ...だったスマホ奪って無理やり消してやる!」

 

「おっと。」

 

俺は腕を上に伸ばして、瑞希にスマホを取られないようにした。

 

「と...届かないぃ...」

 

「そりゃあそうよ、俺、身長180㎝以上あるし。」

 

「ぐ...このー!」ビョン

 

「おっと、ジャンプしたところで、無駄無駄無駄無駄。」

 

瑞希はぴょんぴょん...じゃあないな...結構ジャンプ力あるな。

 

「...こういうとこでもカワイさがすごいの腹立つなぁ...あ! そろそろ学校行かないと、瑞希、響助、またね!」

 

「え!? 絵名!?」

 

「お、こんな時間か...グッバイ瑞希。」ビュンッ

 

「えっちょ...待てえ!」

 

この後、瑞希に追いかけられたが...まぁ、波紋使えるから余裕で逃げ切ったよ。

 

明日からはちゃんと学校行かねえとな。

 



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第39話:復帰

完全復活パーフェクト城ケ崎様だぜ!!!

 

...だめだ、波紋の修行してたら疲れで、頭がイカれてきた...

 

昨日、帰ってきた時母さん驚いてたな...そりゃあそうか。

 

さてと...久しぶりの学校だ、郷秀にも報告しないといけないことが多いな...

 

...一応、診断書とか色々持っていくか。

 

_______________________________________________

 

...なんか、そんなに長い間行ってないわけじゃあないのに、1か月ぐらい行ってない感覚だ。

 

「...え...響助!?」

 

「お、杏ちゃん、今日も風紀委員の仕事か?」

 

「う、うん...じゃない!? 腕!? 複雑骨折したんじゃ!?」

 

「あー...二日で治した。」

 

「え...え?...もしかして嘘?...でも響助がそんなことしない気がする。」

 

「一応、レントゲン写真あっけど...ほら。」

 

「...日付は2日前..........?」

 

「ま...治ったってことで...んじゃ。」

 

「え...ちょっと響助!?」

 

...これみんなに説明すんのめんどいな。

 

_______________________________________________

 

ホームルーム後、教師からも言われたため説明したら。

 

「え...お前、人間?」

 

「教師が言うセリフじゃあねーすね...」

 

人間だわ、波紋だって大昔からある能力なんだよ。

 

「はー...」

 

「よ、響助。」

 

「お、郷秀。」

 

「...ホントに腕治ってんだな。」

 

「ああ、治ったぜ。」

 

「仗助さんがいないのにどうやったんだ?」

 

「それは、後で話す。」

 

「わかった。」

 

「じゃ、俺は授業が始まるまでねr」

 

「城ケ崎!?」

 

「彰人と冬弥か。」

 

「お前、左腕は!?」

 

「治った、これ一応証拠のレントゲンな。」

 

「...確かに日付は二日前だ...偽造したって感じじゃない。」

 

「じゃあ...ホントに治ったって事かよ!?」

 

「事実、響助の左腕が治っているからな...」

 

「...お前、ホントに人間なのか?」

 

「人間じゃバカタレ。」

 

...知り合いには色々言われそうだな...

 

_______________________________________________

昼休み

 

「響助、飯にしようぜ~」

 

「わかった...今日は屋上で食べた方がいいな。」

 

「あ~...ま、悪霊連れているかつ、複雑骨折を二日で治る奴だからな。」

 

「別にそれで、離れるなら、逆に好都合なんだが、心配や好奇心で話しかけてくる奴を対処するのがめんどい。」

 

「心配ぐらいは素直に受け止めとけよ。」

 

「そうなんだが、治った理由が説明しようにも難しいからよ。」

 

「そういうもんかね?」

 

「さっさと売店行って、屋上いk」

 

「「響助」(城ケ崎くん)!?」

 

「あ、司先輩に寧々ちゃん?」

 

「お前、左腕大丈夫なのか!?」

 

「ええ、完全に治ってますよ。」

 

「し...信じられない...折れた事自体が嘘だったの?」

 

「いや、ホントだよ、ほれ。」

 

レントゲン写真を見せた。

 

「むっ!...日付がしっかり二日前だ...本当に二日で治ったというのか...」

 

「まあ...不思議なこともあるんです。」

 

「不思議すぎると思うけど...」

 

_______________________________________________

屋上

 

ガチャッ

 

「やあやあ、ジョジョくん!」

 

バタンッ

 

「...どうした響助?」

 

「いや...今一番会いたくない人がいた気がする。」

 

「...?」

 

ガチャッ

 

「やあやあ、さっきぶりだね~ジョジョくん!」

 

...そういえば...この人屋上にいるんだった。

 

「どうも、類先輩。」

 

「瑞希から聞いたよ! 複雑骨折をした腕の治癒や、座ったままの姿勢での大ジャンプ、伸びる腕...いやいや、スタンドといい、キミには興味が尽きないね!」

 

「...」

 

...アイツに色々言うのやめようかな...

 

「...まぁ、類先輩には言ってもいいかな、言わなくても瑞希経由で知りそうだしな。」

 

「...類先輩はわかってると思いますが、俺の腕を治したのは波紋エネルギーって奴なんです。」

 

「波紋エネルギー...? なんだそりゃあ?」

 

「太陽光と同じようなエネルギーで、それで、俺の腕を治したりできるんだ。」

 

「へー、そうなのか?」

 

「あと、身体能力の底上げや、波紋エネルギーを流すことができるんだ。」

 

「具体的にはどんな感じなんだ?」

 

「百聞は一見に如かずだ、実践するわ。」

 

コオオオオ

 

「...? 何だこの音...呼吸音か?」

 

「ふんッ!」ドーン

 

「うわッ!?」

 

「ほお!」

 

「ッと。」スタッ

 

「ホントに座ったままの姿勢で跳んだよ...しかも何M飛んでたんだ?」

 

「7Mぐらいは跳んでいるね。」

 

「マジですか...そういや、波紋エネルギーを流すってのは。」

 

「ああ、試してみるか? 軽い波紋なら大丈夫だからな。」

 

「軽くない波紋だったらどうなんだよ...」

 

「強い波紋だと失神や、最悪死ぬ。」

 

「こっわ!?」

 

「まぁ、微量なら治療できるから...んじゃ流すぞ。」

 

「お...おう、絶対強い波紋を流すなよ...」

 

コオオオオ

 

「フンッ!」

 

バリリッ

 

「うおッ!?」

 

「おお、ジョジョくんの右腕から光が。」

 

「どうだ?...波紋を味わった感想は?」

 

「ああ、最初の方はビリっと来たけど、終わった後はなんか元気になった気がする。」

 

「生命エネルギー的な物でもあるからな。」

 

「ビリっとか...波紋エネルギーと言うのは、電気と似たような性質なのかい?」

 

「そうですね、波紋は電気と同じく、水や油や金属によく伝わりますね。」

 

「なるほど。」

 

「...? そういや、腕が伸びたって類先輩が言ってたが。」

 

「ああ、あれは、腕の関節を外しただけだ。」

 

「いや、平然と言ってるけど、とんでもない事してるって自覚しろ。」

_______________________________________________

 

「波紋については俺が知ってる範囲ではこんなものですね。」

 

昼飯を食べながら、二人に波紋の事を話した。

 

「ショーで使えないかと考えたけど、流石に取得するまでの難易度がね。」

 

「あ、類先輩、一応ですけど、他言無用でお願いしますね。」

 

「わかってるよ。」

 

_______________________________________________

下校時間

 

「さてと...今日も調査しますかね。」

 

「おお、お前はどの辺を調査する?」

 

「俺はそうだな...宮益坂あたりでも探ってみようかな。」

 

「わかった、俺は神山通りあたりを探る。」

 

「頼む。」

 

「...そういや、お前の腕をやった奴は一体何なんだ?」

 

「...ここには知り合いはいないから言うが...屍生人だ。」

 

「...はッ? ゾンビ?」

 

「ああ、だがただのゾンビじゃあない、マ〇クラみたいに日光に弱い事や。」

 

「吸血鬼のエキスを、人間やその遺体からできる存在だ。」

 

「吸血鬼と来たか...」

 

「その吸血鬼が作られる者って言うのが、石仮面って奴だ。」

 

「仮面!? それってお前を襲ってきた奴か?」

 

「いや、それとは違うと思うが...その組織には関係あるかもな。」

 

「なるほどな...お前はそれを、矢とは別に調べるって事か。」

 

「ま、そうなるな。」

 

「わかった...気を付けろよ、今のお前は、半グレ、スタンド使い、屍生人と、色んな奴らに目を付けられてる。」

 

「安心しろ...そういう状況には慣れてる。」

 

_______________________________________________

宮益坂

 

「んー...」

 

今日も平和だね~...平和なのはいいことだ。

 

ま、そうそうヤバい事件なんてないだろうけどな。

 

グー

 

「...腹減ったな。」

 

...この辺には何もなさそうだから、センター街あたりに行って軽く、何か食べるか。

 

...お、そういえばここってたしか、アップルパイの店あったな。

 

「...え?...響助さん!?」

 

「おっ穂波ちゃん。」

 

「司さんから聞いたんですが、左腕が治ったって...」

 

「ああ、治ったよ。」

 

そう言いながら腕を回す。

 

「っ!? 危ないですよ!」

 

「大丈夫だよ、完全にくっついてるし。」

 

「ホ...ホントですか?」

 

「うん、それより穂波ちゃんが持ってる紙袋ってやっぱあのアップルパイの?」

 

「あ、はい! 良かったら一つ食べます?」

 

「え、いや悪いよ。」

 

「いいですよ、えーと、完治記念に?」

 

「そうか? んじゃ、遠慮なくいただこうかな。」

 

俺は穂波ちゃんから、アップルパイを受け取って食べた。

 

サクッ

 

「ッ!......美味。」

 

「ここのアップルパイとても美味しいんです!」

 

今度、ここのアップルパイ買ってみようかな?

 

「...美味かった、ありがと、穂波ちゃん。」

 

「いえ、お口に合って、よかったです。」

 

「はあ~っ...」

 

「ん?」

 

...何だこの声?

 

「おなかすいたぁ...」

 

聞いたことあるな?

 

「...むむっ、そこにいるのは穂波ちゃんと...響助くん!?」

 

「あっ、え、えむちゃん!?」

 

穂波ちゃんと、えむちゃんは知り合いだったのか...そういや同じ制服だ。

 

「よ、えむちゃん。」

 

「きょ、響助くん!? 司くんから聞いたけど、腕は大丈夫なのっ!?」

 

「ああ、もう治ったから大丈夫だよ。」

 

「ホントに?」

 

「うん...触ってみるか?」

 

そう言うと、えむちゃんは左腕を触る。

 

「い、いたくない?」

 

「うん、大丈夫...それより、さっきのおなかすいたぁってえむちゃんか?」

 

「うん!...あ、いいにお~い! もしかして、穂波ちゃんが持ってるその袋、全部アプルパイなの?」

 

あ、リアルで目がシイタケになってる人初めて見た。

 

でも、♦じゃあなくて☆なのは珍しいな。

 

「う、うん、好きなんだ。 特にここのアップルパイはすごく美味しくて。」

 

「ふっふっふっ、いいこと聞いちゃった~♪」

 

あ、その笑い方、えむちゃんもするんだ。

 

あの笑い方、あいつだけじゃあないんだな。

 

ピンク髪はその笑い方をするのか?...いや、愛莉さんはしてねえな。

 

「すみませーん! アップルパイ1000個くださーい!」

 

「えっ!?」

 

「WHATッ!?」

 

...そうだった...えむちゃん、お嬢様だったわ。



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第40話:波紋の応用

穂波ちゃんと、えむちゃんと別れ、再び変わった事ないかを探っていた。

 

何もなければそれはそれで平和だったでいいが...

 

そう考えながら、俺はとぼとぼと街を歩いていた。

 

...とぼとぼってなんだ、なんかぼっちみたいだな。

 

「...んー。」

 

さっきアップルパイを穂波ちゃんからもらったから、腹はすいてないが、のどが渇いてきたな。

 

そういや、セカイにコーラ置いておいたんだったな。

 

メギャン

 

メギャンと言う擬音が聞こえてくるような感じでコーラを取り出す。

 

「ん...ん...ぷはー。」

 

やっぱコーラは美味いな!...これゼロだけど。

 

なんか、普通のコーラより、ゼロの方がすきなんだよな。

 

なんというか、後味がさっぱりしてるというか...これ誰に話してるんだ?

 

「...まあ、そんな簡単に事件なんて起きないか。」

 

どっちかっていうと、俺を狙ってくる奴らの方が多いと思うな。

 

...自分で言って思うが...俺、何でこんなに絡まれる、俺なんか悪いことしたか?

 

「...あれ?」

 

「ん?」

 

どこかの方向から、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

...この声は?

 

「きょーすけくん!」

 

「咲希ちゃん...と?」

 

声の聞こえた方向に振り向くと、咲希ちゃんと、後ろの方に、一歌ちゃんと志歩ちゃんがいた。

 

「お兄ちゃんから聞いたよ! ホントに左腕治ったの!?」

 

「あー...うん、腕のいい医者と知り合いでね。」

 

「なんか、マンガみたいでカッコいい!」

 

「あの、響助さん、ホントに大丈夫なの?」

 

「うん、重いもの持っても大丈夫。」

 

一歌ちゃんの質問に適当に答える、

 

...本当の事は言ってもわかんないだろうし。

 

「...」

 

「ん? どうした、志歩ちゃん?」

 

志歩ちゃんは、疑いの目を俺に向けている。

 

「...てことは、前のキズもその医者に?」

 

「...胸の傷の事か?...あれはそもそも違うって言ってただろ?」

 

「複雑骨折をたった1日で治せるんだったら、切り傷ぐらい、治せるじゃないの?」

 

...なんで志歩ちゃんはここまで疑ってくるのだろうか?

 

関係ないだろ、俺の体なんだし。

 

「...さっきから、その人と俺を同一人物として見てるけど、もしその人が俺だったら、いったい何がしたいんだ?」

 

「...お姉ちゃんのことや、私の事を助けてくれたし、だから、少しでも返したい、それに、キズつく事に慣れてることや、背後霊についても話してほしい。」

 

「...そっか...でも、志歩ちゃん達には関係ないじゃあないか?...だからk」

 

 

 

「関係なくない!!」

 

 

 

「っ!...咲希ちゃん?」

 

咲希ちゃんのこんなに大きな声は初めて聴いた...

 

「だって、きょーすけくんは友達なんだよ! 友達を心配するのは当然だよ!」

 

...友達...嬉しいな、俺にはもったいないぐらいだ。

 

「私も同じ気持ちだよ、響助さん...だから、話してほしいな。」

 

「...」

 

...だけど、友達だからこそ、俺が首を突っ込んだことに巻き込みたくない。

 

「そっか、俺もその人に会ったら話しておくよ、じゃあな。」

 

「響助さん!」

 

俺はその場から逃げるように離れた。

 

_______________________________________________

side:志歩

 

「きょーすけくん...」

 

「...」

 

響助さん、何か隠してる...なんで教えてくれないの...

 

「...ねえ二人とも。」

 

「...もしかして、響助さんは何か危険な事に巻き込まれてるのかも。」

 

「危険な事?」

 

...確かにそれなら、こんなにも連続で、胸の切り傷や、複雑骨折等の大怪我を負ってる事に説明がつく。

 

「なんで、きょーすけくんが...」

 

「もしかしたら、私たちに話さないのも、それに巻き込ませないためなのかな。」

 

「...確かにそれなら、ケガの事を話さないのはわかる...けど。」

 

だとしても、ミク達が言ってた背後霊の事はなんなの?......

 

「...っ。」

 

「ん...どうしたのしほちゃん?」

 

「...前にお姉ちゃんから聞いた話なんだけどさ。」

 

「雫先輩の?」

 

「うん。」

 

_______________________________________________

数日前

 

「...よかったわ。」

 

「...どうしたの、お姉ちゃん?」

 

「あ! しぃちゃん!」

 

「誰かに電話かけてたみたいだけど?」

 

「実はね、夢できょーちゃんが出てきたの。」

 

「...え?」

 

...なんで夢に、響助さんが?

 

「それでね...きょーちゃんが出てきたあと......私を庇って、目を斬られちゃったの...」

 

え...斬られた?

 

「そこから、黒いモヤが出てきて、きょーちゃんに襲い掛かってきたの。」

 

黒いモヤ...

 

「それから...きょーちゃんの背後から霊みたいなのが出てきたの。」

 

っ!...背後霊!

 

「...ホントに夢でよかったわ。」

 

「...」

 

...ホントに夢だったの...

 

ミク達が言ってた話と、ほとんど同じ、ホントは夢じゃなくて、実際に起きた事なら...

 

「...しぃちゃん?」

 

「え?...なに?」

 

「体調悪いの? 難しい顔してるけど?」

 

「ううん、気にしないで、ただ考え事してたから。」

 

「そう?」

 

「うん。」

_______________________________________________

 

「...ってことは、しずく先輩のところにもきょーすけくんが?」

 

「お姉ちゃんは、夢って言ってたけど、ミク達が言ってた事とほとんどあってる...てことは。」

 

「響助さんは、背後霊を宿らせてる?」

 

「...! なんか噂であった気がする...たしか『悪霊が憑いている少年』...だったっけ?」

 

「その噂の少年が響助さんだったとしたら...」

 

「...追いかけよう、まだ遠くには行ってないと思う。」

 

「追いかけてどうするの?」

 

「...わかんない、だけど私は、ただ真相が知りたい。」

 

「...うん! アタシも知りたい。」

 

「うん、私も知りたい。」

 

_______________________________________________

 

「確かこっちの方向に行ったはず。」

 

私たちは、響助さんが向かった方向に走っていった。

 

「...あれ? みんな?」

 

「え?...穂波?」

 

「3人でどうしたの?...なんか急いでるみたいだけど?」

 

「きょーすけくんを探してるんだけど、ほなちゃんはきょーすけくん、みかけた?」

 

「うーん...見かけてないかな...響助さんに用があるの?」

 

「前にミク達が言ってた事覚えてる。」

 

「...もしかして、そのことを響助さんに?」

 

「うん。」

 

「...わたしも気になるし、一緒に行くよ。」

 

「わかった。」

 

「響助さんが向かったのはそっちだね。」

 

「ほなちゃん足速いから、もしもきょーすけくんが走った時、追いつけるね!」

 

「え、えー...どうかな~?」

 

それから私たちは、響助さんを探した。

 

...なんでここまで、響助さんを知りたいのか、私自身もよく分からない。

 

あの時に助けてくれたから? 咲希の友達だから? お姉ちゃんに懐かれてるから?

 

...いや、ただこのもやもやを晴らしたいだけ、ただそれだけ。

 

「...! あれ、響助さんじゃない?」

 

「あ、そうだね!」

 

「みんな、行くよ。」

_______________________________________________

side:響助

 

...正直、あいつらにスタンドがバレるのも時間の問題かもしれない。

 

志歩ちゃんに関しては、99%ぐらい、あそこに居たのが俺だと確信している。

 

能力自体は...言った方が良かったかな?

 

まあ、今考えても後の祭りか。

 

「...っ!? きょーちゃん!!」

 

この声は...いや、この呼び方をする人は一人しかいない。

 

「雫さん...っと皆さん。」

 

雫さんの声が聞こえた方向に振り向くと、『MORE MORE JUMP!』のみんながいた。

 

...ん?なんか雫さん、近づいてきてないか。

 

ギュッ

 

「いッ!?」

 

俺の目の前に来たと思ったその瞬間、俺の左腕を優しく握られた。

 

「しぃちゃんから聞いたわ! 骨折が治ったのて本当なの!?」

 

「え...あ...はい。」

 

「信じられないわ...骨折がたった数日で治るなんて...」

 

愛莉さんが至極真っ当な意見を言う。

 

「もしかして、骨折自体が嘘だったとか?」

 

「いや、それはホントだよ遥ちゃん...ほら。」

 

嘘だと疑う遥ちゃんに、俺は数日前にとったレントゲン写真を見せた。

 

「ひっ...ホントにボロボロに折れてる。」アオザメ

 

レントゲン写真を見て、青ざめるみのりちゃん。

 

「だとしたらホントに治ったってことよね?...あまりこんなこと言いたくはないんだけど、アンタ、ホントに人間なの?」

 

「正直自分でもそう思います。」

 

最近、痛覚がなくなってきてるからな...ホントに人間やめそうだな。

 

「...ッ!?」

 

「? どうしたの、きょーちゃん?」

 

「...なんか向こうの方から人の気配が。」

 

「え?」

 

これって...殺気か?

 

「...」クルッ

 

俺は、歩いていた道とは逆の方向の道を振り向いた。

 

振り向いてから、1分とちょっと経った後、人影が見えてきた。

 

「へー...ホントに生きてたんだな。」

 

「...誰、アンタ。」

 

一人の男が、こちらに歩いてきた。

 

言葉的に、今まで俺が襲われてた事を知っている男なのだろう。

 

...ただ、変だ、今まで俺を襲ってきた奴らは、大人数か、ガタイのいい奴か、屍生人(ゾンビ)のどれかだったのだが。

 

この男、そのどれも当てはまらない、どこにでもいる、ちょっとした不良って言う見た目だ。

 

...なにか、ヤバい気がする。

 

「アイドルと知り合いだったのは想定外だったけど...」

 

「それが何か?」

 

「いや、そんなことはどうでもいいや...やっぱガタイが良いとか、近接武器じゃ、殺せないんだな。」

 

「えっ...アンタ、何言ってんのよ!!」

 

クソッ...やっぱ俺を殺そうとしている奴らだったか...この人らは巻き込ませるわけにはいかなかったのに...

 

「まあいいや...とりあえずさ...死んでよ」スチャッ

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

「じゅ...銃!?」

 

殺気を感じたの...確実に俺を殺せると思ってわざと消さなかったのか!

 

「おっと....動くなよ、動いた後ろのアイドル達に当たっちまうなァー...」

 

「チッ...このヤロー...」

 

...いや待て...あの銃は一体どこから手に入れたんだ?...仮定としてコイツが半グレだとしても、銃を手に入れるのは困難だ。

 

「なぁ...冥土の土産教えてくれ、その銃、どこで手に入れたんだ?」

 

「...言うと思うか?」

 

「そう硬い事言うなよ...どうせ後、数秒の命じゃあないか、教えてくれたって、閻魔様は罰を与えないと思うぜ。」

 

「きょ、響助さん!? 何を言っているの!?」

 

少しでも情報を得ないとな...

 

「...上から渡されたとしか言えないな。」

 

「そっか...それだけで十分だ。」

 

上ね...これはあの銃回収した方がよさそうだな。

 

「...あっ、見つけた!!」

 

「えっ、しぃちゃんに、穂波ちゃん!?」

 

「一歌ちゃん!?」

 

「天馬さん!?」

 

「っ!? ダメ!! 近づいちゃダメよ!!」

 

「ッ!」

 

なんでさっきの3人...いや、穂波ちゃんも一緒だ...

 

...もうバレる、バレないじゃあない...この人達は守らなければ!!

 

「チッ...さっさと死んでもらうよ。」

 

「そうはさせるかよッ!!」

 

コオオオオ

 

バババババ

 

バババババと、俺の両手からシャボン玉を出す。

 

まるで、電動のバブルガンを使った後のように、周りにシャボン玉が宙に浮遊している。

 

「シャボン玉だと?」

 

「今、きょーちゃんの手からシャボン玉が...」

 

「そう! これはシャボン玉さ。」

 

「馬鹿にしているのか?」

 

「俺はずっと大真面目だぜ...そしてそのシャボン玉にお前は負けるんだぜ?」

 

「チッ...そんなわけないだろう。」

 

「まあ、信じなくてもいいぜ...ここだここ...しっかり俺を狙えよ...」

 

「っ!? 何言ってるの響助くん!?」

 

みのりちゃんが驚くのも当然だろう...だが、これでいいんだ。

 

「俺は、ここから一歩も動かない...その方が当てやすいだろ。」

 

「ダ、ダメよ、きょーちゃん!?」

 

「じゃあ...お望み通りあの世に送ってやる...死ね。」

 

「っ!? やめて!!!」

 

 

 

パァン

 

 

 

ギャン

 

 

 

発砲音は聞こえた同時に、ギャンと言う音が聞こえた。、確実に響助の俺のどこかには当たるはずだが...俺の体には血がなければ、銃痕も見当たらない。

 

「...なッ!」

 

「んーー...どうした、まさか動いてない的にも当てられないわけじゃあないよな?」

 

「ば...馬鹿なッ、ずれたとしても、体のどこかや、背後の奴らに当たるはずだッ!」

 

「ああ、確かにお前が放った弾丸は、まっすぐ俺の方向に飛んできたが...当たったのは俺じゃあない...お前が当てたのは、シャボン玉さ。」

 

「...は?」

 

まさに鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているな。

 

だが、すべては事実だ。

 

俺がばら撒いたシャボン玉には、波紋を流している。

 

シャボン玉は97%以上が水分、波紋がよく流れるのだ。

 

波紋を帯びたシャボン玉は、銃弾ぐらいなら止めれてしまうのだ。

 

メギャン

 

ゴオオオオ

 

「まあ理解しなくていいや、これでも食らっておけ。」ブンッ

 

「ッ!?」

 

俺は、セカイに置いておいた鉄パイプを取り出し、襲ってきた奴にぶん投げる。

 

ただ、この鉄パイプはただの鉄パイプじゃあない。

 

バヂ

 

「プイパッ!?」ドゴォ

 

バヂっという音が聞こえ、襲ってきた奴の体にぶん投げた鉄パイプが命中した。

 

そう、あらかじめぶん投げた鉄パイプには強い波紋を流しておいたのさ。

 

鉄製の物はよく波紋が流れる、だから手から離れていても、波紋は流れていたのだ。

 

「ふー...よーく味わったかな...さてと。」

 

俺は、周りのシャボン玉をスタンドで吹き飛ばす。

 

俺自身のスタンドには俺から直接波紋を流すことは出来るが、外部からの波紋は、スタンドには流れず、そのまま貫通してしまうのだ。

 

「目覚めても、動けないように縛り付けておくか。」メギャン

 

俺は、セカイに置いておいたロープを取り出し、襲ってきた奴を縛り付ける。

 

「銃は...よし、残っているな。」

 

俺は、襲ってきた奴を縛りつけた。

 

「仗助さんに電話しよう。」

 

ピッ

 

プルルッ

 

『響助、どうした?』

 

「仗助さん、拳銃を持ってる男を捕らえました。」

 

『なッ!? マジか! 拳銃は!?』

 

「しっかり残っています。」

 

『ナイスだナイス!! ベリーナイスだぜェ!! 今からそっち向かう、場所は?』

 

「○○-××-□□です。」

 

『よし、オレ達が来るまで、しっかり見張っておいてくれ。』

 

「わかりました。」

 

プツッ

 

...さてと、こっちも話さないといけない雰囲気だよな。

 

クルッ

 

振り向くと、皆が何か言いたそうな顔をしている。

 

「...響助さん。」

 

そして、その沈黙を破ったのは、志歩ちゃんだった。

 

「もう言い逃れは出来ないよ...全て話して。」

 

「...全ては言えないけど...言える範囲は言うよ。」

 

「響助、アンタさっき手からシャボン玉を出してたみたいだけど...」

 

「ええ、俺は、体からシャボン玉を出すことができます、こんな感じに。」パッ

 

パッっと指先からシャボン玉をだす。

 

「っ! ホントに出た!」

 

「...ただ、これはただのシャボン玉じゃあないんです、このシャボンが触れた物体から一時的に何かを奪うことができるんです。」

 

「何かを奪う?」

 

「そうですね...例えばこの鉄パイプにシャボンを触れさせます。」

 

「そして...」バッ

 

俺は、シャボン玉を触れさせた鉄パイプを手から離した。

 

「っ!? う...浮いた!?」

 

「今、この鉄パイプから、重力を奪いました...それで、このシャボン玉を割ると。」

 

パチッ

 

カランッ

 

「こんな感じに、一時的に奪ったものはシャボン玉の中に入っていて、割れた瞬間、元に戻ります。」

 

「...! じゃあ、アタシが初めてきょーすけくんと出会った時のも?」

 

「うん、あれもそうだよ。」

 

「...じゃあ、周りにあったシャボン玉から電気のようなものが見えたんだけど、それは?」

 

「それは、波紋って言うまた違った能力だね。」

 

「波紋?」

 

「簡単に言えば...太陽光と同じようなエネルギーで。」

 

「特殊な呼吸法をすることで、エネルギーを生み出し、そこからエネルギーを流したり、身体能力を上げたり、治療もできます。」

 

「そんなことができるの?」

 

「うん...ちょっと見せるよ。」

 

コオオオオ

 

「っ! さっきから聞こえてたこの音って、呼吸音だったんだ。」

 

「...ふっ!」バスンッ

 

「っ!」

 

俺は波紋エネルギーを使い、その場で跳躍した。

 

測ってはないが...大体7~8Mぐらいは跳んだかもな。

 

「...っと。」スタッ

 

「...今起こってる事ってホントに現実なの?」

 

「ええ、すべて現実です。」

 

「えっと...この人は...?」

 

「さあ...ただ、俺を殺そうとしたって事だけは。」

 

「っ...アンタね、なんで自分が殺されかけたのに、そんなに冷静なの?」

 

「まあ、慣れていますので。」

 

「慣れてるって...」

 

「...じゃあ...あの場所にいたのは、響助さんだったの?」

 

「...ああ、俺だよ。」

 

「っ!? やっぱり....!」

 

「それと、雫さんが言ってた夢の事も、ホントに起こった事です。」

 

「っ!? じゃ、じゃあ本当に目を...」

 

「はい、今は完治してますよ。」

 

「...そこにいた人から聞いたんだけど...傷つくことに慣れてるって...ホントなの?」

 

「えっ...」

 

「...」

 

「きょーちゃん...ホントなの?」

 

「ええ...そうですね。」

 

「...知人が傷つくより、自分が傷ついた方が良いと思ったりすることもあります。」

 

「...なんで。」

 

「まぁ...昔に色々とあってね...ただ、これだけは話さないよ...これは俺が背負わないといけないから。」

 

「背負うって...」

 

「...ッ!」

 

色々なことを説明していると、車の音が聞こえた。

 

キキッー

 

その車は、俺達の近くに止まり、車から二人の男がおりてきた。

 

「響助!...コイツのことか。」

 

「はい、仗助さん、億泰さん。」

 

「お~響助ェ、久しぶりだなァ...なっ!!」

 

「えっ...どーした億泰?」

 

「な...なんでここに、日野森雫に、桃井愛莉、桐谷遥がいんだァーっ!!」

 

「えッ...その3人ってあまりアイドルに興味ねェ、オレでも知ってる名前だ。」

 

「お、おいッ!! 響助ェーっ!! ど...どういうこったよォ!! それにカワイイ女の子に囲まれてよォーっ!!」

 

「え...いやその、ただの知り合いや友達ですよ。」

 

「知り合いや、友達だとォーーっ!! なんで仗助や康一は、モテたり、彼女いたりすんのによォーっ!! 」ウル

 

「おい、泣くこたねーだろー、なにもよォー...それより響助、銃は?」

 

「これです。」

 

「これかー...見た目は本物にちけェーけど。」

 

「まだ、確証はないですけどね。」

 

そんなこと話をしていると。

 

「...ん...ん。」

 

「お...目覚めたのかよォー...まあ、縛ってるから変わんねェーけど。」

 

「な...なんだこの、ハンバーグみたいな髪形をしたガキは!?」

 

「...」ピタリッ

 

「あっ!!」

 

「ん?」

 

...なんだ...空気が変わった?

 

 

 

プッツーン

 

 

 

「おい...てめェー...」

 

「今、オレの、この頭のことなんつった!」ゴゴゴゴゴ

 

「っ!?」

 

「え?」

 

そこにいる、億泰さん以外が驚いた。

 

『ドラッ!!』

 

「っ!」

 

あれは、仗助さんのクレイジー・ダイヤモンド!?

 

バヂーン

 

「ホゲェーーッ!?」ズドオーッ

 

「っ!?何もない所から吹っ飛んだ!?」

 

クレイジー・ダイヤモンドでぶっ飛ばした奴に、仗助さんが近づく。

 

「オレの頭にケチつけてムカつかせたヤツぁ、何モンだろうーとゆるさねえ!!」ゴゴゴゴゴ

 

「このヘアースタイルが、メンチカツみてェーだとォ?」ゴゴゴゴゴ

 

「え! ぞ...ぞんなこと誰も言って...」

 

ゲシィア

 

「たしかに聞いたぞコラーッ!!!」ゴゴゴゴゴ

 

「お、落ち着け仗助エ...!」

 

「...」

 

やっぱさ...人の外見をさ、何も考えずに否定しない方が良いな...うん。

 

そして...仗助さんだけは、怒らせちゃあだめだとわかった。

 



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第41話・side story:寿司屋に行こう

ゴキッゴキッ

 

「あ゛あ゛~...」

 

首を左右に倒し、ゴキッって音を鳴らす。

 

...昨日は疲れたな。

 

そう思いながら、ゲームをする。

 

今日は休日のため、学校には行かず、家でゆっくりしているのである。

 

...なんか普段、学校サボって行ってないやつは、補習で行かないといけないらしいが、怪我や風邪以外で休んでいない俺には関係ない話だ。

 

母さんは、今日から1泊2日で、友達と旅行に行っている。

 

ぜひ楽しんでもらいたいものだ。

 

...何故疲れているかって?

 

それは、女性8人から、質問攻めされていたからだ。

 

...文字だけ見ると、一部の業界には羨ましがられるのだろうが、実際はそんなにいいものではないのだ。

 

少し、昨日の事を思い出そう。

 

_______________________________________________

昨日

 

「...」

 

「えっと...すんません! 急に驚かせちまって。」

 

「い、いえ! 大丈夫です。」

 

仗助さんが、Leo/needとMORE MORE JUMP!の8人に謝罪をしている。

 

その8人が驚いた理由は、仗助さんが人が変わるほどブチギレていたからだ。

 

しかも理由、髪形をけなされたからである。

 

ただ、普段温厚な仗助さんがあそこまでブチギレるほどだから、よっぽど大切な事だったのだろう。

 

殴られた奴は、おそらくスピードワゴン財団の職員の人に連れられていた。

 

...なんか顔変わってた気がするけど。

 

「オレ、東方仗助って言うんだ、響助とは...まーッダチみてエーなもんだ。」

 

「はーい! おれ、虹村億泰ッていいま~す!!」

 

仗助さん達と、2つのグループの人たちがそれぞれ名前を教えあっていた。

 

「んじゃ、響助、オレらはコイツを送ってくっから、また何かあったら連絡してくれ。」

 

「わかりました。」

 

仗助さんと、億泰さんは、襲ってきた奴と一緒に、車に乗ってその場から去っていった。

 

「...さてと...俺も帰ろっかな~。」

 

ガシッ

 

「...え~と?」

 

「逃がさないわよ。」

 

「まだまだ聞きたいことはあるの。」

 

くっそ~...この流れで帰れると思ったのに...

_______________________________________________

現在

 

そんなこんなで、スタンド事も聞かれたし...とにかく喋り疲れたのである。

 

ただ、俺が首突っ込んでることは言わなかった、流石に死ぬかもしれない事だと言うと、止めさせられるだろうと思い、意地でも言わなかった。

 

...まあ、おそらく察しられたのか、あの場にいた、今まで連絡先を交換していなかった人達と連絡先を交換した。

 

愛莉さんからは、「何か悩んでいることがあったら、我慢しないで相談しなさいよ。」っとのこと。

 

ありがたいことだけど...流石に危険なので、相談できることだけしておこう。

 

...てか、俺の連絡先に、現役アイドル4人と連絡先を交換しているんだよな...あいつらにバレたら面倒なことになるな。

 

プルルッ

 

「ん?...げッ!!」

 

噂をすればなんとやらだ...ただ、今でないと後々めんどくなる。

 

ピッ

 

「なんだよ瑞希?」

 

『ボク暁山瑞希、今ボクの部屋にいるよ。』

 

プツッ

 

「...は?」

 

何なんだこいつ、一言だけ言って切りやがった。

 

プルルッ

 

「...」

 

...今度はなんだ?

 

ピッ

 

「...もしもし?」

 

『ボク暁山瑞希、今ボクの家の玄関にいるよ。』

 

プツッ

 

「...」

 

...言ってる事が分からない...ついにイカれたのか?

 

プルルッ

 

「...」

 

ピッ

 

「...はい?」

 

『ボク暁山瑞希、今ジョジョの家の前にいるよ。』

 

プツッ

 

「...」

 

...だんだん近づいてないか?

 

いや待て、これどっかで聞いたことあるぞ?

 

これ、メリーさんの電話じゃあないのか?

 

プルルッ

 

ピッ

 

「...はい?」

 

『ボク暁山瑞希、今...』

 

ガチャッ

 

「『今 ジョジョの後ろにいるよ。』」

 

「ッ!!」クルッ

 

通話からの声の他に、背後から声が聞こえ、勢いよく振り返る。

 

「やっほー、ジョジョ♪」

 

「うおッ!!」

 

振り返ると、電話の主、暁山瑞希がそこにいた。

 

「おまッ...はッ!?...どうやって!?」

 

そうここは、俺の家、カギは閉めていたはず...こいつはどうやって?

 

「あははっ!! やっぱジョジョの驚き顔はいいね♪」

 

「いや、質問に答えろ。」

 

「へぇ~、ジョジョの部屋ってこんな感じなんだ~。」

 

「おい。」

 

「あ~!! これP〇5じゃん! 何回も抽選して悔しい思いしてたのに~」

 

「コラ。」

 

「あっ! これ気になって漫画だ!...おお!ちゃんと全巻揃ってる!」

 

「おい自由人。」

 

「んしょ...おお、ジョジョのベッドふっかふかだ...このまま寝たい。」

 

「いい加減にしろフリーダム...なんで俺の家に侵入してる、場合によっちゃあポリスマンを呼ぶぞ。」

 

「ふっふっふ...ボクが不法侵入するとでも?」

 

「お前ならしそう。」

 

「え~、心外だな、ボクそんなことしないよ、ちゃんと玄関からカギを使って入ってきたからね。」

 

そう言いながら、瑞希はカギを見せつける。

 

「...はッ?、お前、カギ偽造したのか?」

 

「なんでそんな思考になるのかな~...今日、ジョジョのお母さん、旅行行ってるんでしょ、一泊二日の。」

 

「え、何でお前が知ってるんだよ?」

 

「ええ~、ここまで言って気づかない?」

 

「...ちょっとまて、まさか。」

 

俺は、嫌な想像をしてしまう。

 

「そのまさか、ジョジョのお母さんから、合鍵を受け取っていたのだ♪」

 

「......はああッ!!?」

 

嫌な想像が当たってしまった。

 

「ジョジョのお母さんがね、「響助は治ったって言ってるけど、心配だから瑞希ちゃんよろしくね」って。」

 

おいおいおいおいおいおいおい

 

「...っつーか、母さん、お前の秘密知ってるのか?」

 

「んー...今日、玄関で会って、そこで初めてバレちゃってさ。」

 

「その時は、心臓が止まりそうなぐらいびっくりしたんだけどさ、ジョジョのお母さんも、ボクの目をしっかり見て、「気持ち悪くなんかない、好きな物は好きでいいじゃない。」って言ってくれたんだよね。」

 

「まぁ、母さんは、陰口とかめちゃくちゃ嫌いな人だからな。」

 

「うん...血がつながってなくても、やっぱジョジョのお母さんなんだなって思ったよ。」

 

「そうか。」

 

「今度、ショッピングでも行こうって連絡先交換しちゃったんだよね♪」

 

「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ...なに仲良くなっちゃってんのッ!?」

 

なんか嫌なんだけど!

 

「...んで、何しに来たんだよ。」

 

「お寿司屋行こう!!」

 

「...はッ? なんで寿司屋に?」

 

「だってもう昼時だよ?」

 

「え...あ、ホントだ...だとしても、俺以外にいるだろ...前に言ってたサークルの仲間とかよォー...郷秀とかいるだろ?」

 

「んー...サークルの二人は今頃夢の中だろうし、一人は忙しいし、ここに来る前にも、郷秀くんにも連絡したんだけど、忙しいみたいで。」

 

郷秀が忙しい?...矢の事でも調査してるのか?

 

「んで、ちょうど、ジョジョのお母さんから、頼まれたからちょうどいいかなって。」

 

「...まあ、昼って聞いたら、腹減ってきたし...その寿司屋に行くか。」

 

「ジョジョならそう言うと思ってたよ♪」

 

「やれやれ。」

_______________________________________________

 

「寿司屋って言っても、どこ行くんだ?」

 

「は〇寿司!」

 

「回転寿司か...なんていうか、お前が寿司屋に行きたいって珍しいな。」

 

「普通にお寿司は食べるんだけど、ここのお店にはボクの大好物が置いてあるんだ♪」

 

へーコイツの大好物ねー......ん?あれコイツの大好物って?

_______________________________________________

「ん~...おいし♪」

 

「おい、寿司食えよ。」

 

俺達は、言ってた寿司屋に着き、席座っていの一番にこいつはポテトを頼みやがった...しかも三つだ。

 

「ここのお寿司屋は、ポテトが3種類あるからね、制覇しないと♪」

 

「ったく...とりあえず、マグロと...へぇ、なんこつの唐揚げとかあるのか、これと...安いし枝豆でも注文するか。」

 

「うわー、おじさんみたいなメニューだね。」

 

「うるせェ、こういうのが好きなんだよ俺ァ。」

 

「...たこ焼きに、ボンゴレパスタにガトーショコラ...どこ目指してんだこりゃあ。」

 

「あ、ジョジョ! サーモンアボカドに、チーズハンバーグも注文していて~。」

 

「おめェーはガキみたいなメニューだな?」

 

「あ、いったな~、おじさん♪」

 

「うっせ、ガキンチョ。」

 

そう言いながら、寿司...いや、寿司じゃあないものの方が多いが、食べ進めていた。

 

「...全然飲まねえな、お茶。」

 

「すぐには飲めないからね、ボク、猫舌だから。」

 

「そういやそうだったな、不便だな。」

 

「まーね...でもカワイさはあるでしょ~、ニャー♪」

 

そう言いながら、猫のポーズをとる。

 

...悔しいが、カワイイな。

 

周りから見たらバカップルみたいに見えるんだろうな...

_______________________________________________

 

寿司を食べ終わってそのまま帰ると、俺は思っていたが...

 

「ジョジョ、服を買いに行こう!」

 

「はッ...誰の?」

 

「ジョジョのだよ。」

 

「え、良いよ、今あるのでいいし。」

 

「ダメだよ! こんなにも中性的で素材が良いのに、ジャージは勿体ない!」

 

「えー、動きやすいからいいだろ。」

 

「はーい、そんなの関係ないで~す、ほら、行くよジョジョ。」

 

「お、おい、引っ張るな。」

 

はぁ...休みの時ぐらい、ゆっくりしたかったよ...

 

 



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第42話・side story:着せ替え

俺は瑞希に連れられ、服を買いにショッピングモールをまわっていたのだが...

 

俺は、ファッションセンスなんて皆無だ。

 

だから、瑞希に選んでもらっているのだが...

 

「おい...なんだよこの服は...」

 

「え、なに?」

 

「いや...何だこのヒラヒラした服はッ!? 完全にスカートじゃあねェーか!?」

 

「着替えてからツッコむって、芸人だったら100点満点のいいリアクションだね!」

 

「うるせッー!! それに俺は、服を買いに来たんだ、女装するために来たんじゃあないッ!!」

 

「はいはい、お静かに~...それに、めっちゃ似合ってるよ!!」

 

「それ、喜んでいい事なのか?」

 

「いいんじゃない? なんでも似合うって事にもなるし。」

 

「そういうものなのか...」

 

「っていうか、メイクもしないで、ただボクが持ってきたウィッグを付けただけなのに、似合うってやっぱ素材が良すぎるよ!! 喋らなければ...いや、喋っても女性にしか見えないよ!!」

 

「それって...褒めているのか?」

 

「当たり前だよ! 長身で一見クール系の後ろ姿だけど、顔がカワイイ系、そのギャップでさらに、カワイさが底上げされているよ!!」

 

「...すっげェー熱弁するなおい。」

 

「よし、ジョジョこの服買おう、そうしよう、いや、そうするべきだよ!! 店員さ~ん!!」

 

「っておい!...やれやれだ。」

 

瑞希に言いくるめられた。

 

ただ、服は、瑞希が奢ってくれた...今度、何か奢ってって言う条件でだ。

 

「いやー、まさかそのまま着てくれるなんて、ジョジョの事だから、またジャージに着替えると思ったけど。」

 

「まー、こういう経験もたまには良いかなって。」

 

もし、瑞希が言うことが本当なら、変装にも使えるかもしれないしな。

 

「ほうほう! ジョジョもちょっとずつ、カワイイに目覚めてきたのかなぁ~」ニヤニヤ

 

「こういう経験もたまには良いなってだけだ、普段は着ねェーよ。」

 

「ちぇ...隣で話してるけど、ホントに女性にしか見えないよ。」

 

「んー?...ちょっと待ってな...」

 

「?」

 

「あーあー...よし...」

 

俺は声を整えた。

 

【こんな感じかな?】

 

女声を瑞希に聞かせた。

 

「えっ!?...すご~い! 元々中性な声だったけど、その声なら、ホントに女性にしか見えないよ!!」

 

【瑞希のお墨付きなら、相当なんだな、今の俺の姿。】

 

「ん~...強いて言うなら、1人称を変えてみたら?」

 

【なるほど、例えば、私とかか?】

 

「おお、どんどん良くなっているよ!!」

 

【...なんか楽しくなってきた。】

 

「いいねいいね! 今日はこのままいってみようよ!」

 

【えッ、つら...まぁ、やってみるか。】

 

そんなこんなで、俺は、女装&女声でショッピングすることになった...これも貴重な経験だ。

 

「ジョジョ、ボクここのお店に用があるだけど、ジョジョも一緒に見る?」

 

【いや、おれ...私は待ってるよ。】

 

「じゃあ、すぐに買ってくるよ。」

 

【いや、ゆっくりしていいよ、そこの椅子に座ってるから。】

 

「そっか、うん、わかった。」

 

そう言い終えると、瑞希は店の中に入っていった。

 

ふぅー...ちょっとは休憩できるかな。

 

...にしても、やっぱ慣れねェーな...

 

「...愛莉ちゃん...どこに行ったのかしら?」

 

...え?

 

「...なッ!?」

 

うっそだろォー!? 変装してるけどわかる、何でここに雫さんが...

 

しかも、確実に、はぐれたのは雫さんの方だ。

 

驚きが強すぎて、つい地声が出てしまった。

 

見ちまった以上...無視はできないよなァ...

 

【あの?】

 

「はい?」

 

【困ってそうなので声をかけたのですが...何かお困りでしょうか?】

 

「その...お友達とはぐれてしまって...」

 

お、バレてなさそうだな。

 

【そうなんですか...そのお友達はどこのお店に行くって言ってました?】

 

「えっと...〇〇××ってお店なんです。」

 

〇〇××っか...だったら、前に瑞希が行ってた所だな。

 

【〇〇××ですか、それならお店の場所わかるので、おr...私が案内しましょうか?】

 

「え、良いんですか?」

 

【はい、今ちょっと、友達が買い物してて、それを待っていただけなので、構いませんよ。】

 

「っ! ありがとうございます!」

 

【それじゃ、案内しますね。】

_______________________________________________

 

【ここですね。】

 

「ありがとうございます!」

 

【いえいえ。】

 

どうやら、バレずに案内できたみたいだな。

 

...さてと。

 

雫さんから離れて、とある人に電話をかける。

 

プルルッ

 

『響助?...どうしたの?』

 

「あ、愛莉さん?...雫さんが〇〇××の前で、困ってたので電話をかけたのですが...」

 

『え!?...雫がそこにいるの!?』

 

「はい、やはりはぐれてたんですね。」

 

『ええ、情報ありがとね、響助。』

 

「いえいえ、では。」

 

プツッ

 

...さっさと戻ろう...アイツがうるさいしな。

_______________________________________________

side:愛莉

 

「...あ! 愛莉ちゃん!」

 

「あっ! 雫!...もーっ、はぐれないようにって言ったじゃない。」

 

「ごめんなさい、しぃちゃんに似合うものが目に入ったから...」

 

「はーっ...それよりも、よく一人でここまでたどり着いたわね、結構わかりづらい所なのに。」

 

「親切な人に、案内してもらったの。」

 

「へーって、それって雫ってわかってた人だったの?」

 

「ううん、困ってたから声をかけてくれたの!」

 

「うーん...なんか胡散臭い感じわね...でも雫がここにいるってことは良い人だったみたいね。」

 

「でも、その人綺麗な人だったわ~」

 

「へー、アンタが言うって相当よね?」

 

「その人、女の人だったけど、身長も私よりも高くて、顔立ちも可愛かったわ。」

 

「そうなの...それよりさっき、響助から電話で、雫がここにいるって聞いたのだけど、アンタ見てないの?」

 

「えっ!? きょーちゃんが!!...でもいたらすぐに気づくはずだわ。」

 

「そうよね...?」

 

雫が案内したって人、雫よりも身長が高いって言ってたわよね...

 

響助って、言ったら怒るかもしれないけど、中性寄りの女顔みたいな、顔立ちだったものね...

 

...でも、それなら声でわかるはずだわ、それも雫なら特に。

 

「んー...」

 

「...? どうしたの、愛莉ちゃん?」

 

「...ううん、何でもないわ!」

 

「そうなの?」

 

流石にありえないか。

_______________________________________________

side:響助

 

さてと、戻ってきたが...

 

「...」プンプン

 

あっちゃー...間に合わなかったかァー。

 

【...瑞希。】

 

「あっ!! ジョジョ!!もーどこ行ってたの!!」

 

【悪い悪い、困った人がいてさ、ちょっと案内してた。】

 

「なんか前にもこんな事があったような...これがデジャブって奴?」

 

【いや、ホントに起こった事だろ?】

 

「...服の奢りとは別に奢ってよね!」

 

【...わかったよ。】

 

まあ、これは俺が悪いな。

 

「やりぃー!」ニヤ

 

【...んじゃ、この後はどうする?】

 

「んー...そうだな~。」

 

まぁ、俺はこのまま帰ってもいいけど。

 

「...あれ、瑞希?」

 

「え?...あ! 杏!」

 

「っ!?」

 

オイオイオイオイオイオイオイオイ...なんでこの日に限って知り合いに会うんだよォ...

 

「瑞希、この人は?」

 

「この人?......ああ、この人は」ニヤ

 

うわッ...この表情、何か企んでいる顔だ。

 

「ボクのお姉ちゃんだよ!」

 

うっわ~...そういう感じでやってきやがった...っつか、それバレるだろ。

 

「あ、そうなんだ、どうりで似てると思った!...はじめまして、瑞希のクラスメイトの白石杏です!」

 

...あれっ...これ気づいてないやつのパターン?

 

んー......なんかからかいたくなったな。

 

【初めまして、瑞希がいつもお世話になってます。】

 

「ぷはっww」

 

「んん? どうしたの瑞希?」

 

「な、何でもないw...大丈夫ww」

 

「そう?...あ、瑞希のお姉さん、身長も高くて、スタイルも綺麗で羨ましいです!」

 

「www」

 

瑞希は笑いをこらえようとしているが、こらえきれていない...

 

正直俺も、笑いそうで困る。

 

「えっとw杏ww...ホントに気づいてないのw」

 

「え? なに、瑞希、そんなに笑ってて?」

 

【こりゃあ...ホントに気づいてないな。】

 

「え?」

 

「www」

 

瑞希は笑い続けていて、杏ちゃんは、そんな瑞希を見て困惑している。

 

【あーあー...】

 

「よっ、杏ちゃん。」

 

「えっ! 声が変わった...ってこの声は響助!?」

 

「そうだよ。」

 

「嘘......ホントに女の人にしか見えない。」

 

「そうか。」

 

「...って、瑞希、わかっててからかったわね!」

 

「いやーごめんごめんww、まさかホントに信じるとは思わなくてさw」

 

「もう...でも、前から思ってたけど、瑞希と響助って似てるような気がするんだよね。」

 

「えっ...そうなのか?」

 

「うん、顔も少し似てる気がするし、後、雰囲気が似てる。」

 

「ふ~ん、やっぱ、杏もそう思うんだ?」

 

「うん、だからすぐに信じちゃったの。」

 

「そっか...それより、杏はなんか買いに来たの?」

 

「あ、そうなんだけどね、今は待ち合わせしてるの。」

 

「あ、そうなんだ、もしかして前から言ってる相棒ちゃん?」

 

「そう、ショッピングモールで買うものがあってね。」

 

あーこはねちゃんと待ち合わせか。

 

「そっかそっか、つまり相棒ちゃんとデートって事か~...ボクたちはお邪魔みたいだから、おいとまさせていただきますかね、響助さん。」ニヤニヤ

 

「そうだな、デートを邪魔するわけにはいかないからな、じゃあな杏ちゃん」ニヤニヤ

 

「えっちょっと!! って響助、瑞希みたいになってない!?」

 

うーん...似てるか、そんなに?

 



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第43話:俺は一体誰なんだ?

「いやー、ジョジョの制服やジャージ以外の姿も見れたし、欲しい物買えたし、満足満足~」

 

【そいつは良かったな。】

 

ショッピングモールでの買い物を終えて、家に帰っているところだ。

 

...え、俺?...絶賛女装中だ。

 

なんていったって、着替える暇がなかったからな。

 

「あ、ジョジョ、ジョジョが良ければなんだけどさ、ボクの家で遊ばない?」

 

【え?...今日は母さんがいねェーから、別に構わないけど?】

 

「やった! じゃあ、ジョジョP〇5も持ってきてね!」

 

【あ...お前、それが目的だったのか。】

 

「...てへっ☆」

 

ま、一旦家に帰れるから、女装モードも解除できるしいいか。

 

そんな会話をしながら、歩いていたら、我が家に着いた。

 

「じゃあ! 後でね!」

 

【はいはい。】

 

そう約束を交わすと、俺は女装モードの解除と、P〇5を取りに家に入った。

 

_______________________________________________

 

よし、P〇5も持ったし、ジャージにも着替えた、さて向かうとしますかね。

 

...ガスの元栓よし、切り忘れよし...OKだな。

 

確認を終えると、外に出て、瑞希の家へと向かった。

 

「あーあー...声も大丈夫だな...えっと瑞希の家は前はと...たしかこの辺だったな。」

 

前に、瑞希が風邪を引いた時に行ったことあるから大丈夫だな...ま、一度分かれば忘れないぐらいの家なのだが...

 

「...あ、ここだここ...しかし、ホントでっけえよなァ...」

 

いや、マジでデカい、俺の家の倍ぐらいあるんじゃあないのか?

 

「さてと、チャイム鳴らしてっと。」

 

ピンポーン

 

ダッダッダッダっと家の中から、足音が聞こえてきた。

 

ガチャッ

 

「いらっしゃい、ジョジョって、もうジャージに着替えてる!!」

 

「ゲームするなら、楽な格好の方が良いだろ?」

 

「うーん...正論だけど、ボク的にはもっとファッションを気にしてほしいな~...まあいいや、入って入って。」

 

「おう、お邪魔します。」

 

俺は、瑞希の家にお邪魔し、瑞希の部屋まで案内された。

 

「ボクは、飲み物とお菓子取ってくるから、P〇5のセットお願い。」

 

「わかったよ。」

 

瑞希はそう言うと、飲み物とお菓子を取りに部屋から出ていった。

 

さてと、言われたとおりに、セットしますかね...

 

...にしても、この部屋凄いな、見渡す限り、カワイイで埋め尽くされている。

 

特にあのマネキンみたいな奴...トルソーだったか? あんなの初めて見たぞ。

 

電気はシャンデリア、カーテンは...あんなの、アニメや漫画でしか見た事ないぞ。

 

...これ以上、部屋を見るのをやめよう、あいつにバレたら、物凄くいじられるし...

 

_______________________________________________

 

よし、ケーブルもつなげたし、後はアイツが来るまで待つか。

 

...それにしても、お菓子と飲み物取ってくるだけでこんなに時間がかかるもんかね?

 

そう思いながらボーッと周りを見ながら待っていた。

 

「ん?」

 

俺の視界に、一つ気になるものが目に入った。

 

「...この写真...瑞希か? いや、ちょっとだけ違うような...ただどっかで見たような...」

 

その写真には、瑞希に似た人物が写ってた。

 

「...」

 

ガン

 

「ぐッ!!」

 

後頭部を思い切り殴られた衝撃は...あの時と同じだ!?

 

俺は、唐突の痛みにその場に座り込んでしまった。

 

『っ!!...君もこれが見えるの!』

 

「ハァ...ハァ....」

 

前よりはましだ...二回目だからか?

 

それより...何が見えるんだ...よく見えねェ...

 

アイツは...あの時の奴...いや違う...写真の人物だ!?

 

そうだ、どっかで見た顔だと思ったら、謎の記憶に出てきた奴だ!!

 

『君も、僕と同じようなものをもってるんだね。』

 

え...もの?

 

「ハァ...ハァ....」

 

ガチャッ

 

「ジョジョ、お待たせ...っ!! どうしたの!!」

 

瑞希の声が聞こえる...戻ってきたのか。

 

『名前?...喋らないからわからないや。』

 

喋らない...どういうことだ。

 

「これって前にも...ジョジョしっかりして!」

 

『へー、君がもってるのかっこいいね! 僕のはこんなだからさ。』

 

...は?.....どういう.....ことだ?

 

そんなはずはない...そんなはずは....それは...そのスタンドはッ!!!

 

「ッ!!...ハァ...大丈夫だ瑞希...前よりはひどくない。」

 

「ホ、ホント?」

 

「ああ...瑞希。」

 

「なに?」

 

「その写真ってさ...」

 

俺は、さっき見た写真に指をさした。

 

「え?...その写真は、お兄ちゃんの写真だよ...行方不明になるちょっと前の写真だったかな。」

 

「...そうか。」

 

「急にどうしたのジョジョ?」

 

「なぁ、瑞希...今から話すことをすべてを信じろとは言わない...だから俺の話を聞いてくれないか?」

 

「え...うん。」

 

「...前と同じように、知らねェ記憶が流れてきたんだ。」

 

「やっぱりそうだったんだね。」

 

「...それで、その記憶に出てきた人物がいるんだ。」

 

「え...誰?」

 

「...そこの写真の人物...瑞希の兄さんだった。」

 

「えっ!?...嘘...てことは、ジョジョとお兄ちゃんは知り合いって事?」

 

「...それだけなら、ただの知り合いで済ませられたけど。」

 

「え...どういうこと?」

 

「...瑞希の兄さんから...スタンドを出したんだ。」

 

「えっ!!...お兄ちゃんが、スタンドを?」

 

「ああ...それも。」

 

 

 

 

 

「『ソフト&ウェット』をだ。」

 

「っ!?...それって、ジョジョのスタンド...だよね。」

 

「じゃ...じゃあ、ジョジョが...お兄ちゃん?......でも、何か引っかかる。」

 

「...ああ、瑞希の兄さんが『ソフト&ウェット』を宿らせていた...のを俺が見た記憶があるんだ。」

 

「っ!...そうだ、鏡で見ない限り、そんなこと出来ないはず。」

 

「ああ、しかも会話をしながらだったから、確実に別人なはず...スタンド以外はな...」

 

「...ボクにはもう、わからないよ...」

 

「ああ、俺もだ...ただ一つわかることは、俺と、瑞希の兄さんは知り合いだったって事だ。」

 

「あの写真とほとんど変わらない姿...つまり、行方不明になる前に、俺と瑞希の兄さんは出会ってたんだ。」

 

「っ!!...じゃ...じゃあ、お兄ちゃんが行方不明になった時も一緒にいた可能性があるの?」

 

「...おそらくはな...スタンドは、スタンド使いにしか見えない...そして...スタンド使いとスタンド使いはひかれあう...もしかしたら、スタンド攻撃でやられた可能性があるのかもしれない...考えたくはないが、俺がやった可能性も...」

 

「っ!? ジョジョはそんなことしない!!だって...だって、ボクの事を知っても離れないで、『理解』してくれた...だから...」

 

「...今だったら絶対しない...ただ記憶がなくなる前の俺がどんな奴だったかわからない」

 

「...俺は一体誰なんだ?」

 

「...だーっ!!...ゲームしようジョジョ!! こんな状況じゃ、考えても悪い想像しかできないよ!」

 

「...そうだな、せっかく準備したし、やるか。」

 

...今はゲームすることだけを考えよう。



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第44話:新たなる目標・新たなる出会い

瑞希とともに、家から持ってきたP〇5でゲームをしていたが、頭の片隅には、謎の記憶がよぎっていた。

 

瑞希の兄さんもスタンド使いだった、そしてスタンドは、『ソフト&ウェット』。

 

俺のスタンドとまったく同じだ。

 

...スタンドは、精神エネルギーを具現化した能力...つまり、俺と瑞希の兄さんは同じ精神エネルギーを持っている。

 

...本当にそんなことがあり得るのか?

 

いや...違う、あの記憶の俺は、違うスタンドを持っていたはずだ。

 

あの記憶に出てきた瑞希の兄さんは『君がもってるのかっこいいね! 僕のはこんなだからさ。』って言っていた...つまり、『ソフト&ウェット』以外のスタンドを、俺は持っている...

 

複数のスタンドを持つことは可能なのか?

 

いや、その前に、俺のもう一つのスタンドは何なんだ?

 

「...ジョジョ?」

 

「...ん?」

 

「さっきからボーッとしてるけど大丈夫?...やっぱり体調が悪い?」

 

「いや、考え事をしてただけだ、大丈夫。」

 

「...やっぱり、あの記憶の事?」

 

「...ああ、前まではどーでもいいって思ってたけどよ、スタンドや、瑞希の兄さんが出てきたしな...」

 

「...今まで、そんなに過去の自分に興味なんてなかったが...今になって過去の自分がどんな人間で、どんな親から生まれてきたのか気になってきたな。」

 

「ただ、こうも思うんだ。」

 

「なに?」

 

「知らなければ、俺は俺で、このままでいられるんじゃあないかってね。」

 

「っ!」

 

「さっきも言ったが、俺は瑞希の兄さんを殺した可能性がある、もしそれが本当なら、俺は人殺しになるわけだ。」

 

「周りの見る目も変わる。」

 

「...」

 

「正直、そういうのがめんどくさい。」

 

「めんどくさい?...怖いとかじゃなく?」

 

「ああ、そういう気持ちもあった...けどそれ以上に。」

 

「俺の正体を知りたい。」

 

「俺がどんな人間で、どんな人間から生まれたのかを。」

 

「そうじゃないと、俺は前に進めない気がする。」

 

「だから、前へ進むために、俺は、俺の正体を探る。」

 

「......強いな...ジョジョは...」

 

「...でも探るって言っても、もう8年前の出来事だし、記憶も断片でしか覚えてないんだよね?」

 

「正直に言えば、この広いシブヤを自分の足で探すのは、確実に無理だ、コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実にな。」

 

「なにその例え?」

 

「それぐらい、無理だってこと...だが、一つだけ可能性がある。」

 

「え、あるの?」

 

「瑞希の兄さんと当時の俺は、子供とはスタンド使いだ、よっぽどなことがない限り、行方不明にはならないはずだ...だが事実、よっぽどな事が起こった。」

 

「スタンド使いとスタンド使いはひかれあう...つまり、スタンド能力によって、当時の俺と瑞希の兄さんは襲われた可能性だ。」

 

「そんなこと...いや、その言葉通りに、ジョジョと郷秀くんは出会ったし、仗助さんや、花京院さんとも、スタンドを持っている人なんてそうはいないのに...まるで、糸でつながれたように。」

 

「そして、当時の俺と瑞希の兄さんも、同じように出会った。」

 

「だから俺は、スタンド使いを探して、俺の正体を調べる。」

 

「...でも、危険だよ、今まで会ったことあるのが良い人だったけど、スタンドを持っている人が全員、良い人ではないんだよ。」

 

「すべて承知の上だ、遅かれ早かれ、俺はどうせスタンド使いと出会うことになるだろうしな。」

 

スタンドの矢を調査してるし、いずれはスタンド使いと衝突するだろう。

 

「...意志は固いんだね。」

 

「ああ。」

 

「そっか...じゃあさ、ボクも協力させてよ。」

 

「...はっ?...危険って、自分言ってたじゃあないか、それに俺が瑞希の兄さんを行方不明にした犯人かもしれないだぞ。」

 

「それはわかんないでしょ...それにボクは知りたいんだ、なんでお兄ちゃんがどこに行ったのか...なんで襲われることになったのか...それが知りたい。」

 

「...本気でいっているのか?」

 

「本気だよ...それに、ボクがそれを聞いてそのまま見送るなんてすると思う?」

 

「思う。」

 

「ちょっ!?......そこは思わないって言うところじゃないかな~?」

 

「冗談だ...どうせ俺が来るなって言っても来る奴だろ、お前は...わかった、だが一つお願いがある。」

 

「なに?」

 

「ヤバイッって思ったらすぐ逃げろ...絶対にそれ以上踏み込むじゃあない...それだけは守ってくれ。」

 

「わかってるよ。」

 

今まで、スタンドの矢の調査は、郷秀の復讐の協力のためだったが...新しく目標ができた。

 

俺の正体を探る、そして、当時の俺のスタンドを探る。

 

後で、郷秀にも言わないとな。

 

_______________________________________________

数時間前

 

side:郷秀

 

「さて、久々にここに来たわけだが。」

 

まさか、響助抜きでここに来るとはな...ただどこから入ればいいんだ?

 

ガチャッ

 

「まさか、響助よりも早く、お前が来るとはな、郷秀。」

 

「烏ッ!?...見てたのか?」

 

「ま、そういうことだ...その感じだと、仕事を受けに来たって感じか?」

 

「ああ、暇だったもんで。」

 

「中に来い、いい仕事を紹介しよう。」

 

「...いい仕事?」

 

烏の発言が気になりながら、『RS』の中に入った。

 

「...そういやよォ、ここって前、『FS』とかそんな名前じゃあなかったか?」

 

「...何言っているんだお前?」

 

「いや、忘れてくれ...それより仕事ってのはなんだよ?」

 

「ああ、これだ。」

 

烏は、俺の前に書類を出す。

 

「...ライブハウスの警備?」

 

「ああ。」

 

「俺にピッタリってどういうことだ。」

 

「ここ最近、ここらあたりでクラッカーのような破裂音が聞こえたという情報を聞いてな。」

 

「...銃ってことか?」

 

「ま、確定したわけじゃないが、おそらくはな。」

 

銃か...スタンド能力の可能性があるな。

 

「ま、それもあるが、ここのライブハウスな...カワイイ子が働いてるぞ。」

 

「ぜひ、やらせてください。」

 

最高じゃあないか、カワイイ子と一時的とはいえ一緒に働けるとは。

 

...チョロい?...良いんだよ、それでカワイイ子と働けるなら。

 

「んじゃ、ライブハウスの場所はここだからな、ライブハウスの店長にはこっちで連絡するから、そのまま向かってくれ。」

 

「了解だ。」

 

さーてェ...いっちょ行っちゃいますかね。

 

_______________________________________________

 

俺は言われた、ライブハウスに到着した。

 

「君が、郷秀君だね、今日はよろしくね」

 

「よろしくお願いします。」

 

さてと、かわい子ちゃんどこかな?

 

...ん? 別に仕事を忘れちゃあないぜ、同じバイト仲間だからな、だから一度自己紹介をしないといけないだろ?

 

だから探してるんだぜ、どこにいるかなっとォー...おお!

 

銀髪で緑目で、童顔ながら、一匹狼のようなクールな眼差し...美しい。

 

「初めまして、私、宝来郷秀と申します、本日はよろしくお願いします。」

 

「ど、どうも、日野森志歩です、本日はよろしく。」

 

日野森?...同じ苗字なだけか?

 

正直、嘘をつかれたのかと思ったが、ホントに可愛い子に会えるとは、こいつァ、良い1日になりそうだ。

 

だが、仕事は仕事、これは真面目にやらないとだ、この辺で破裂音...つまり、銃声が聞こえたって事だ。

 

ライブハウスは人が集まる場所だ、無差別に発砲するなら、恰好の的だ。

 

だが、今日現れるかは、わからないし、この場所で起こるかはわからないし、まあ気楽にやりましょうかね。

 

_______________________________________________

 

んっん~、色んなバンドの曲も聞けるし、カワイイ子もいるし、お金貰える。

 

1石2鳥ならぬ、1石3鳥だな。

 

今のところは、怪しい人物はいないみたいだ。

 

このまま平和でいってほしいところだな

 

「...」

 

「ん?」

 

...なんだあの人...なんか違和感があるな

 

それに、ポケットが妙な膨らみを感じる。

 

「あの、すみません、そのポケットの中身を見せてほしいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「...」クルッ

 

「っ!?」

 

なんだ、この人の目...普通じゃあない...焦点が合ってねェ...

 

「あの......っ!?」

 

もう一度声をかけた途端、奴の目が鋭くなった...これはマズイッ!?

 

「がぁっ!!」ブンッ

 

「くっ!?」サッ

 

ナイフを隠し持っていたか...いや、ポケットの膨らみが変わってない、ナイフ以外何か隠し持っているッ!

 

「あいつ、ナイフを持っているぞっ!?」

 

「キャーッ!?」

 

「皆さん、下がってくださいっ!!」

 

まずは、客や出演者の安全が最優先だ、なるべく逆上させねェように、時間稼げねェとな。

 

「どいつも、こいつもうるせェ奴がァ...俺の邪魔ァ、しやがってェ!!」

 

「邪魔だァ?...ナイフを持って暴れる奴がいたら、うるさくなるのは当たり前だろーが...一旦落ち着けよ。」

 

そう言いながら俺は、奴との距離を詰める。

 

客は...どうやら離れた、見てェーだな。

 

「うるせェ...まずはてめェから、ぶっ殺してやるァ...」

 

「殺すだァ?...さっきの不意打ちナイフで出来ねェなら、無理だろ...それとも、他に何か、策があるって事か?...そのポケットの膨らみ...それが策か?」

 

「だったら、さっさと出しな、その策とやら。」

 

「さっきから聞いてりゃあッ調子に乗りやがってェ...」

 

サッ

 

「ぶっ殺してやるッ!!」

 

やっぱ、拳銃を隠し持っていたか...だが...射程距離内だ。

 

ガコン

 

バララ

 

「ッ!?...うあああっ、けッけッけッ拳銃が!!バラバラにーッ!? なっなんでェー!?」

 

「オイッ! よそ見すんじゃあねェーッ!!」ブンッ

 

ベシッ

 

「ガッ!?」

 

バタンッ

 

奴が、バラバラになった拳銃に気を取られている間に、スタンドでぶん殴った。

 

「...ったく。」

 

奴の目は異常だった...薬をやってる可能性が高いな。

 

警察に電話するところだが...ここはSPW財団に電話するとするか。

 

「...」

_______________________________________________

side:志歩

 

一体何が起こったっていうの?

 

拳銃で取り出したと思ったら、拳銃からネジのようなものが現れて、一瞬でバラバラにした。

 

...まさか、響助さんが言ってたスタンド使いってことなの!?

 

郷秀さんに聞いてみる?...でも郷秀さんが、どんな人かわからない以上危険だ。

 

「...あ、志歩ちゃん、お客さんや、出演者さんは?」

 

「...え、あ...大丈夫、全員怪我はないよ。」

 

「そっか、志歩ちゃんも怪我はない?」

 

「うん、大丈夫。」

 

「よかった。」

 

...いや、聞いてみよう...郷秀さんは、響助さんと同じような雰囲気を感じる。

 

_______________________________________________

side:郷秀

 

さて、SPW財団に、電話したし、来るまで見張っておかないとな。

 

「...あの、郷秀さん。」

 

「ん?...どうしたの、志歩ちゃん?」

 

「...郷秀さんって...スタンド使いなんですか?」

 

「っ!...なんでその名前...どこで知っ...いや。」

 

たしか、この子の名前は、日野森志歩ちゃん...

 

響助は、日野森雫ちゃんと出会っている...つまり、志歩ちゃんと雫ちゃんは姉妹ってことだ。

 

そうじゃあないと、仮にスタンド使いだとしても、スタンドって名前は聞かないはずだ。

 

ただ、スタンドの事を、何故、志歩ちゃんが知っているんだ。

 

こりゃあ...響助に追求しねェーっとなァ...たっぷりと。

 

この間、わずか0.2秒。

 

「響助と知り合いなのか?」

 

「っ! 響助さんと知り合いなんですか!」

 

「ああ、ダチって奴だ、んで...志歩ちゃんの言う通り、俺はスタンド使いさ。」

 

「やっぱりそうなんですね。」

 

志歩ちゃんと話していると、SPW財団の職員の人が入ってきて、暴れた奴を運び、車で送られた。

 

「...あの、郷秀さん。」

 

「ん?」

 

「...あなたや、響助さんは...何者なんですか?」

 

「んー......スタンドを持ってるだけのただの高校生だよ。」

 

言えることは...これしかないかね。

 

仕事も終わったし、響助のとこに向かうか。

 



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第45話:不穏の影

side:響助

 

「...さてと、郷秀にも報告しねーとな。」

 

そう言うと、俺はスマホを取り出し、郷秀に連絡しようとしたその時。

 

プルルッ

 

「ん...郷秀だ。」

 

かけようとしたそのタイミングに郷秀から電話がかかってきた。

 

「おお?...相思相愛だねぇ~!」ニヤ

 

「そこ、少し黙っとけ。」

 

ウザイ顔をした瑞希は放っておいて、郷秀からの連絡に出る。

 

「もしもし、どうした?」

 

『少し話したいことがあるんだが、今どこにいる?』

 

「お前もか? 俺も話したいことがあるんだが」

 

『おお、相思相愛って奴だな。』

 

「さっき、瑞希も言ってたなそれ。」

 

『ん?...まて、今、瑞希ちゃんが近くにいるのか?』

 

「え、ああ、そうだけど、それがどうした?」

 

『いや、別に、瑞希ちゃんなら話してもいいかって思ってな...ところで、今どこだ?』

 

「瑞希の家だ。」

 

『...なんだって?』

 

「いやだから、瑞希の家...」

 

『なんでテメーが瑞希ちゃんの家にいやがるんだーーーッ!!』

 

「はっ?...いや別に、今関係ねェだろ。」

 

『チクショーーッ! 言いたいことが増えちまったぜェ~~~ツ! 首を洗って待っていやがれェーーーッ!!!』

 

プツッ

 

ツーツー

 

「...瑞希、なんか癇の触ること言ったか、俺?」

 

「んー...強いて言うなら、ボクがカワイイからかな?」ニコ

 

「...やれやれだ。」

 

_______________________________________________

 

ピンポーン

 

「あ、ボク出てくるね。」

 

「ああ。」

 

 

 

ダッダッダッ

 

ガチャッ

 

「おい響助ェ...色々聞かせてもらおうじゃあないかァ...」

 

「わかったわかった...話すんだ。」

 

「まず、なんで瑞希ちゃんの家にいるんだ?」

 

「なんでって...瑞希と寿司屋行って、ショッピングした後に、P〇5やりたいって瑞希が言って招待されたから?」

 

「...なにリア充みたいなことしてるんだ、〇ねよ。」

 

「めっちゃ辛辣だなおい...んで、他に聞きたいことは?」

 

「ま、こっちがホントに聞きかったことだが...お前、志歩ちゃん...いや、他の人にスタンド事喋ったろ。」

 

「えっ?」

 

「...ああ、喋ったよ。」

 

「どうしてだ?...お前的には、巻き込みたくないから言わねェッと思ったんだが...」

 

「ホントは隠し通すつもりだったんだがよォー、状況が状況だったもんで...それに、志歩ちゃんって子は、前々から疑われてたし、勘が鋭くてよォー。」

 

「...確かに、あの子は勘が鋭かったな、スタンド能力使ったけど、すぐ見破られたしな。」

 

「お前、能力使ったのか?」

 

「ああ、流石に銃を持ってたからな、分解してやった。」

 

「ああ、それは後で言うとして、志歩ちゃん以外に、誰に喋ったんだ?」

 

「後は...」

 

志歩ちゃん以外の7人の名前を言った。

 

「え...待ってジョジョ、その4人って『MORE MORE JUMP!』の!?」

 

「え、ああ...そうだな...てか、知ってたんだな。」

 

「う、うん...てかジョジョ、あの4人と知り合いだったのっ!!」

 

「結構前からだな。」

 

「...ちょっと待って、ジョジョ、高校に入ってから女の子とどれだけ知り合ったの?」

 

「え、なんだその質問...多分両手ぐらい...いや超えるぐらいか?」

 

「...モテてるジョジョなんて解釈違いなんですけど。」

 

「そうだな、なんでお前そんなにモテてるだよ。」

 

「おいコラ待て、何だその言い草は、あと別にモテてるわけじゃあない。」

 

「モテてる奴はそういうこと言うんだよクソが。」

 

「...なんか嫌だ。」

 

「お前らなァ...それより、聞きたいことはそれだけか?」

 

「...ああ。」

 

...まだ何か言いたそうな気がするが...後で聞けばいいか。

 

「ところで響助、お前が言いたいことってなんだ?」

 

「ああ、それは...」

 

郷秀に、今日、この部屋で起こった事を話した。

 

「...ちょっと待て、情報量が多すぎる。」

 

「つまり、瑞希ちゃんのお兄さんがスタンド使いで、そのスタンドがお前の『ソフト&ウェット』だったと。」

 

「そういうことだ。」

 

「つーっことは...お前は瑞希ちゃんのお兄さん...いや違う...お前の言い方的に、瑞希ちゃんのお兄さんとは別に、お前がいたって事なのか?」

 

「そうだ...だがスタンドはこれだったし、俺の本来のスタンドは別の物だったって事だ。」

 

「...スタンドを奪う事なんて可能なのか?」

 

「さぁ...こればかりはわからない。」

 

「ボクはお兄ちゃんが、スタンド使いだったの驚きだよ。」

 

「まぁ、8年前に生き別れたお兄さんが、今になってスタンド使いだったことが判明して、しかも響助と知り合いだったもんな...」

 

「...正直、俺の記憶なんてどうでもいいって思ってたけどよ...スタンドや瑞希の兄さんが出てきたのなら別だ...俺は俺の記憶を探ることにした。」

 

「...なるほどな、それが報告することか。」

 

「ああ、っつーか、お前が志歩ちゃんと知り合ってたのが驚きだったんだが?」

 

「あー...たまたまその場に居合わせたんだよ。」

 

「そうか。」

 

「...んー、でも不思議だ。」

 

「ん、何がだ?」

 

「正直よ、お前が瑞希ちゃんのお兄さんだったらすげェ納得できるんだよ。」

 

「...どうしてだ?」

 

「雰囲気とか...そうだな、髪色とかが似てるからきょうだいって言われても違和感がないんだよ。」

 

「それ、瑞希や、杏ちゃんにも言われたんだが、そんなに似ているのか?」

 

「...でも、髪色っつってもよ、志歩ちゃんと雫さんは髪色違うだろ。」

 

「まー...それはそうなんだが。」

 

「瑞希が家族ねェー...やかましい下の子になりそうだな。」

 

「ちょっと?! なにナチュラルに年下扱いしてるのっ?!ボクとジョジョ同い年なんだけど!!」

 

「いやぁ...正直下の子に構ってる感が度々あるんだよな。」

 

「それってボクが子供っぽいって事?!」

 

「そういうことだな。」

 

「うぅー...郷秀く~ん...ジョジョがいじめるよぉー...」

 

「おーよしよし、あんまり瑞希ちゃんをいじめんじゃあねぇーぞ。」

 

「別にいじめてたわけじゃあないんだけどな。」

 

「...」ピーン

 

「...ねぇ郷秀くん、これ見て。」

 

「うん?...綺麗な人だな、瑞希のお姉さんか?...ん、ちょっと待てよ。」

 

「俺はこの人を...いや、この顔を知っているッ!!」

 

クルッ

 

「ん?...どうした?」

 

「これはまさか、こいつなのか瑞希ちゃん!?」

 

「うん、しかもノーメイク。」

 

「うっそだろおいッ!?しかもノーメイクッ!? マジなの、マジで言ってるの瑞希ちゃん!?」

 

「あ、瑞希てめー、写真撮ってやがったな!」

 

「いやー...やっぱおめーは瑞希のお兄さんだよ、間違いない!」

 

「どこで判断してるんだてめェーッ!」

 

そんなくだらない会話をし続け、日が徐々に落ち始める。

 

「っと...もうこんな時間か、んじゃ俺は帰るわ。」

 

「えー、もう帰るの?」

 

「俺も家でやんないといけない事があんだよ。」

 

「ちぇー...んじゃまた明日ね~」

 

「...お前は明日も来るのか?」

 

「いいじゃねえか、羨ましい...じゃあな瑞希ちゃん!」

 

「じゃあね、郷秀くん!」

 

俺達は瑞希に見送らながら、外に出た。

 

「いやー、まさか瑞希ちゃんの家にお邪魔できるなんてなぁ...」

 

「なぁ、郷秀。」

 

「ん?」

 

「お前、他に言いたいことあったろ。」

 

「...ああ、流石に瑞希ちゃんの前で話せなかったからな。」

 

「さっき、銃を持ってた奴がいたって言ったろ。」

 

「ああ、そう言っていたな。」

 

「今日、『RS』に行ってきたんだ。」

 

「『RS』に?」

 

「ああ、そこで、ライブハウスの用心棒的な事を依頼されて、仕事をしてたんだが。」

 

「なるほど、そこで志歩ちゃんと出会ったのか。」

 

「ああ、そこで銃を持ってる奴に出会ったんだが、確実に薬をやってる目だった。」

 

「なッ?!...そんな短期間にまた出てきたのか。」

 

「ああ、見た時は驚いたよ。」

 

「...もしかしたら、『RS』の奴らが言ってた半グレが関わっているのかもしれない。」

 

「断言はできないが、おそらくはそうなのかもな。」

 

やはり、ここ最近のシブヤはどうも治安が悪くなっている。

 

そして俺自身も狙われている...本格的にヤバくなりそうだな。

 

『...助...響助!』

 

「...ミク...どうした?」

 

『あ、郷秀くんもいるの!』

 

「ミクちゃん、どうした?」

 

『またセカイに、黒いモヤの想いの欠片が現れたの!』

 

「なんだと、わかった今すぐそっちに行く。」

 

「待て、俺も行く。」

 

「郷秀、お前...」

 

「お前一人で行けば、また怪我するかもだろ、お前、結構油断するし。」

 

「うるせー...わかった、ついてこい。」

 

「おう。」

 

俺と郷秀は、アプリを起動し、セカイに移動した。

_______________________________________________

 

side:???

 

「...」

 

ピロピロ

 

ッピ

 

「わたしだ。」

 

『久しぶりだな___。』

 

「ッ?! その声、_____! お前、今まで何をしていた。」

 

『そう怒るなよー...こっちにも事情があったんだ。』

 

『___、イタリアでスタンドの矢を発見した。』

 

「本当か___。」

 

『ああ、今は、『パッショーネ』のボスが所有している。』

 

「なんだと。」

 

『ああ、でも安心しろ、今のボスは信用できる奴だ。』

 

「誰なんだ?」

 

『___・____だ。』

 

「ッ?!...そうか、わかった...その矢は、そちらで任せる。」

 

『それと___、矢に関して、もう一つとんでもない情報が出てきた。』

 

「なんだ?」

 

『『パッショーネ』の前任のボス情報を探っていたら出てきた、スタンドの矢は7本じゃあなく___』

 

 

 

『8本だ。』

 

「なにッ!」

 

『奴は、6本を売りさばき、2本を所持していたことが判明した。』

 

「残りの1本はどこへ。」

 

『どうやら、組織拡大をしている間に紛失したようだ。』

 

「...そうか。」

 

『...だが、今、『パッショーネ』と対立している組織から、スタンド使いが現れた、あるとしたらそこだ。』

 

「名前は?」

 

『『インディフェレッゼ』という名前だ...だが、最近、日本に進出しつつある、名前を変えてな。』

 

「なんだと...」

 

『名前は今、調べているが、場所は判明した...シブヤだ。』

 

「ッ!?...そうか、わかった、お前はそのまま、イタリアで調査してくれ。」

 

『お前は、どうする気だ?』

 

「...シブヤに向かう。」

 

『そうか...気を付けろ、奴らは、未だに『パッショーネ』と対立している組織だ、油断すんじゃあねーぞ。』

 

「...まさか、お前に言われるとはな。」

 

『ふっ、10年の間に成長したってことだぜ。』

 

「...やれやれ、そちらで何かあったら連絡してくれ。」

 

『わかった、またな___。』

 

ピッ

 

「...」

 

...まさか、このような形でつながることになるとはな。

 

スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う...か。

 

...仗助たちと、花京院に連絡しないとな。

 

そして、彼にも、会う必要があるかもしれないな。

 



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第46話:肉を切らせて骨を断つ

side:響助

 

時間は6時になり、夕方から夜になる時に、俺とそばにいた郷秀は、ミクに、セカイに黒いモヤがかかった想いの欠片が現れたと報告を聞き、俺達は、アプリを開き、セカイに移動した。

 

「ミク、その思いの欠片はどこだ?」

 

「あそこにある奴だよ。」

 

ミクが指さした方向に視界を向けると、前の時と同じように、黒いモヤ...つまり、バグったような想いの欠片がそこに浮かんでいた。

 

「よし、行くか。」

 

「え、ちょっと早くない!」

 

「え、こういうのは早く行った方が被害があまり出ずに済むだろ?」

 

「いや、それはそうなんだけど、大怪我するかもしれないんだよ!」

 

「...今更じゃあないか?」

 

「はー...ミクちゃん、響助はこういう奴なんだよ、まぁ、今回は俺もいるから大丈夫だし、それに、あいつもさらに強くなってる。」

 

「そうなの?」

 

「ああ、それにヤバくなった問答無用に連れ戻すさ。」

 

「郷秀、行くぞ。」

 

「ああ、わかってる。」

 

俺と郷秀は、想いの欠片に触れた。

 

_______________________________________________

 

俺達が飛ばされた先は、どこかの街のような場所だった。

 

何かの建物と思われる、ペンキをぶっかけたようなものや、なんかのロゴのようなものが壁に描かれていた。

 

「ここは...なんか街みたいだな。」

 

「ああ、ストリートって言葉があるような感じだな。」

 

「郷秀、気を緩めるな、敵がどこから現れるかわからないからな。」

 

「わかってる。」

 

「それと、このセカイの敵は、容赦なくぶっ飛ばしていい、そうしない逆にやられてしまうからな。」

 

「了解だ。」

 

警戒しながら、街のようなセカイを歩いていた。

 

「___」

 

曲がり角から、声が聞こえた。

 

「誰かいるみたいだな。」ボソボソ

 

「ああ、でも聞き覚えがある声だ。」ボソボソ

 

確かに、聞き覚えのある声だ。

 

スタッスタッスタッ

 

「っ! 誰だ!」

 

俺達の足音に気づき、大声で俺達の方向に声をあげる。

 

その声の主は、俺達が知っている声だった。

 

「その声は...彰人か?」

 

「はっ!?...なんでオレの名前を...ってお前らはっ!?」

 

「きょ...響助!?」

 

「郷秀くん!?」

 

「どうやってここに来たんだ?」

 

曲がり角から出ると、そこには、彰人、冬弥、杏ちゃんにこはねちゃんがいた。

 

「あー...なんていうか、不法侵入みたいな感じだ。」

 

「どういうことだよ。」

 

正直、俺でも、説明ができるような代物じゃあないからな。

 

「まぁーそれは後で話すとして...とりあえず、お前らは早くここのセカイから出てくれ。」

 

「え...どういうこと?」

 

「詳しくは説明する暇がない、とにかく、ここのセカイは今は危険だ。」

 

「危険って...どういうこと、響助くん?」

 

どう危険って言ってもな...あの現象を説明できるのだろうか...

 

「...ッ!?響助ッ!! 右に避けろッ!!!」

 

「ッ!?」サッ

 

ザンッ

 

俺は、郷秀の言う通りに、右にかわした。

 

「えっ!?...な、なにあれ...ゆ...幽霊っ!?」

 

「いや、このセカイに幽霊なんているわけねーだろ!!」

 

振り向くと、そこには、黒いモヤで結成された、人型のようで、右手には剣を持っていた...まるで何かのスタンドのような感じで、その場で浮いていやがった。

 

「ヘェー...イマノヲカワストハナ。」

 

「ッ!」クルッ

 

声は、その場に浮いていた奴ではなく、別の方向から聞こえ、俺は聞こえた方に振り向く。

 

「おい、響助...これってまさか。」

 

「ああ、そのまさかかもな。」

 

振り向くと、浮いていた奴とは別に、黒いモヤで出来た人間のような奴がそこにいた。

 

俺達が聞き取れる言語で喋っているはずなのに、まるで、別の言語のような感じな喋り方をしている。

 

ただ、そいつの頭...でいいのか、その部位に、ディスクのような何かが刺さっていた。

 

「ナルホド、コノスタンドガミエルノカ...厄介ダナ、マズハ、オ前タチカラ死ンデモラオウ。」

 

コイツ、スタンドって言ったぞっ!?

 

「っ!...何を言ってるの!?」

 

「誰なんだ、てめえは!!」

 

まずい、まさかスタンド使いが出てくるなんてな...まずはアイツらを逃がさなければ。

 

「お前らっ!!早く逃げ_」

 

「マズハ、オ前ダ。」

 

黒いモヤのスタンドが俺を襲いにかかる。

 

「『ナット・キング・コール』ッ!!」

 

ドキュウン

 

『...』ブンッ

 

「ッ!?」

 

『...』ザッ

 

郷秀は、『ナット・キング・コール』で攻撃するが、奴のスタンドの方がスピードが上だったのか、かわされてしまう。

 

「はッ、速いッ!?」

 

「きょ、郷秀の後ろからも、ゆ...幽霊が...」

 

「オ前モスタンドヲ使エルノカ、ヤハリ、スタンド使イカラ始末シタ方ガイイナ。」

 

「チッ...うおッ!!」

 

『ッシャアァッ!!』ブンブンブンブン

 

スカッスカッスカッスカッ

 

やはり、奴のスタンド方が、格段に速い。

 

郷秀のラッシュをすべてかわしている。

 

「遅イ。」

 

『...』ザンッ

 

ブシャッ

 

「うおーッ!?」

 

「宝来!?」

 

郷秀のスタンドの、手の甲を斬られ、郷秀の手の甲から血が噴き出る。

 

「オ前ノスタンドハ遅スギルゾ。」

 

「言ってくれるぜ...」バスッバスッ

 

そう言いながら、郷秀は、スタンドのネジで無理やり、手の甲を止血する。

 

なるほど、ネジにそういう使い方もできるのか、以外と応用性は高いかもしれない。

 

だが、今この状況では、スピードが遅ければ意味がない。

 

「郷秀、ここは俺がやる、お前は隙を狙って攻撃しろ。」

 

「響助、お前。」

 

「はっきり言うが、スタンドのスピードは俺の方が速い...だけど、攻撃性では、お前の方が上だ、俺が隙を作る。」

 

「わかった、気を付けろよ。」

 

「先ニ死ニタイノハオ前カ?」

 

「死ぬわけねェーだろ...『ソフト&ウェット』ッ!!」

 

ドギュウン

 

「っ!? 響助くんからも、同じようなものが!?」

 

『オラオラオラオラオラオラッ!!』ブンッブンッブンッブンッ

 

奴のスタンドに、ラッシュを叩き込もうとしたが。

 

「ヤハリ、オ前ラノスタンドハノロスギル。」

 

「チッ...」

 

予想以上のスピードだ、俺の攻撃より速いとは...

 

なら、これを使うしかねェーな。

 

コオオオオ

 

「死ネ。」

 

ヒュン

 

グオン

 

「ナニッ!?」

 

グオンと音を聞こえた時、奴のスタンドの剣は、俺や俺のスタンドではなく、空気を斬っていた。

 

「う、嘘だろ、5~6Mは軽く跳んでる!?」

 

波紋エネルギーで身体能力を上げ、上空へ回避する。

 

流石に、これは予想外だったのか、奴も驚いた顔をしているような気がする。

 

「シャボン玉だッ!」ドパパパパ

 

波紋エネルギーを込めたシャボン玉を奴のスタンドに浴びせる。

 

「シャボン玉ッ!?...ナメルナッ!!」

 

奴のスタンドが持っている剣で、シャボン玉を切り裂く。

 

...やれやれ、自分自身のスタンドには波紋を流せるが、相手のスタンド自体には、波紋が通りぬけてしまうか...これは本体を狙わないといけないか。

 

だが、スタンド自体は、強化可能だぜ。

 

スタッ

 

『オラオラッ!!』ブンッブンッブンッブンッ

 

「ッ!? サッキヨリスピードガ上ガッテイルッ!?」

 

『オラッ!!』ブンッ

 

ヒュン

 

ドゴオ

 

スタンドが殴った先は、奴のスタンドではなく、建物の壁だった。

 

波紋を纏っているため、痛みはほぼない。

 

「ダガ、マダコッチノスピードノ方ガ上回ッテイルッ!」

 

「チッ...これでもか。」

 

やはり、スタンドではなく、本体を叩き込まなければいけないな。

 

「シャボン玉ッ!!」

 

フワ

 

再びシャボン玉を生み出す、さっきより大きいシャボン玉を。

 

「イクラ大キクシタトシテモ、所詮ハシャボン玉ッ!!...ハッ!?」

 

バスッ

 

奴は驚いた、そのシャボン玉は攻撃用だと思っていたが、予想は外れた。

 

いや、予想できない使い方をしたからだ。

 

フミ

 

バシュン

 

「攻撃用ジャアナイ、シャボン玉ヲ足場ニシタッ!?」

 

そう、シャボン玉を足場にした、普通はそう考えられないからな。

 

『オラオラオラオラッ!!』ブンッブンッブンッブンッ

 

「マズイッ!? モドレッ!!!」

 

シュンッ

 

ガンッ

 

鈍い鋼を殴るような音が響き渡る。

 

「は、速いッ!?」

 

これを防ぐとは、予想の範囲外のスピードだッ!?

 

「隙ガ出来タナ...モラッタッ!!!」

 

まずいッ、かわせねェッ!?

 

ドス!

 

「グッ!?」

 

「響助っ!?」

 

腹に、剣が刺さった...

 

「ハハッ!! モラッタゾ!! コノママ内蔵ヲミキサーノヨウニグチャグチャニシテヤルゾ!!!」

 

「グボァ!?」

 

剣を伝って血が、ポタポタと垂れ落ちる。

 

「今、殺シテヤル...ン? 剣ガ重イ...イヤ違ウ腕ガ動カナイッ!?」

 

「...おめエーよォー...このことわざ知ってるか?」

 

「肉を切らせて骨を断つって言葉よォ...今の状況にぴったりだよなァ!!」

 

「ナッ、ナニッ!?...ハッ!?」

 

奴のスタンドが剣を握っている腕を、俺のスタンドで握る。

 

まるで、崖っぷちで、大切な人を絶対に落とさないよう握るように。

 

「『ナット・キング・コール』ッ!!」

 

「ッ!? ハナセッ!!」

 

「確かに、おめェーのスピードはとんでもねぇよ...けどなァ...これじゃあ、自慢のスピードも意味ねェーよなッ!!!」

 

『ッシャアァッ!!』ブンブンブンブン

 

バスッバスッバスッバスッ

 

「ガアァツ!?」

 

ナット・キング・コールのラッシュを食らい、奴の肉体に、無数のネジが現れる、そして。

 

ガゴンッ

 

そういう音がし、奴の肉体はバラバラに分解した。

 

「バラバラになったぞッ!?」

 

「クッ、クソッ!?」

 

「マジか、これで喋れるのかよ。」

 

「ああ、分解したところで、体の機能が消えるわけではない、心臓自体を分解しなければ問題なく動く、ただ腕とかは動かせないがな...それと、バラバラになっても平気なのは能力を解除するまではな。」

 

「なるほど...」クルッ

 

俺はバラバラになった奴の方に振り向く。

 

「ッ!?」

 

「...」ニヤッ

 

 

 

 

 

『オラオラオラオラオラオラアラオラオラオラッ!!』

 

ドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォ

 

『オラッ!!!』ブンッ

 

「キバオッ!?」ドゴォ

 

バラバラになった奴の肉体に、追い打ちのごとく、ラッシュを叩き込んだ。

 

何のために?、スカッとするためだが?

 

奴はぶっ飛ばされ、そのまま消滅した。

 

奴の頭にあったディスクも一緒に消えたみたいだ。

 

「フー...スカッとしたぜ。」

 

「うわぁ...めちゃくちゃオーバーキルだなこりゃ...」

 

だが、こいつは手強かった、俺か郷秀、どちらかが一人で相手してたらヤバかったかもな。

 

「い、いったい何が...っ! 響助っ!」

 

俺と郷秀の方に4人が向かってくる。

 

「城ケ崎! お前腹から出血しているぞ!」

 

「え...あ、そうだった。」

 

スカッとしてたからすっかり忘れていた。

 

「とりあえず救急車...いや、まずは止血しないと!」

 

「いや、大丈夫だ杏ちゃん...これぐらいなら。」

 

幸いにも臓器にはダメージが入っていない。

 

コオオオオ

 

「はッ!」

 

バチッバチッ

 

右腕にためた波紋を、刺された傷に流す。

 

「なっ、なんだ!? 城ケ崎の腕から電気の様なものが!?」

 

「...よし。」

 

「え、お腹の傷が、塞がってる!?」

 

波紋のエネルギーで、切り傷を治療した。

 

「きょ、響助! 今のは黒いモヤの奴は何!?」

 

「俺もわからない...けど、害のあるやつではあると思う。」

 

「では、城ケ崎や、宝来の背後から現れた背後霊のようなものはなんだ?」

 

「これの事か?」

 

俺と郷秀は、スタンドを出した。

 

「ひっ!」

 

「白石、大丈夫か?」

 

「城ケ崎、宝来、それは何なんだよ?」

 

「これは、スタンドって言うんだ。」

 

「え、言うのか?」

 

「流石に隠し通せないだろ。」

 

「スタンド...もしかして、噂の悪霊ってそれの事なのか?」

 

「そうだけど、正確には精神エネルギーの具現化だから、幽霊ではないな。」

 

「え、ゆ...幽霊じゃないの?」

 

「うん、そうだよ。」

 

「そ、そっか...」

 

「...よく見ると、響助くんのスタンド? パール伯爵みたいでちょっとかわいいかも。」

 

「ぱーる...伯爵?」

 

「あ、えっと、パール伯爵はね、うちで飼ってるヘビのことなの。」

 

「蛇?...それは喜んでいい事なんだろうか?」

 

「なぁなぁ、俺はどうなんだ、こはねちゃん?」

 

「え、うーん...こっちも可愛いかな?」

 

「よっしゃッ!」

 

「...それより、お前ら、ここのセカイにどうやって入ってきたんだ?」

 

「ああ、それは、俺のセカイにあった、想いの欠片からここに来たんだ。」

 

「っ! お前もセカイを持っているのか。」

 

「ああ、後それと、スタンドの事は、あまり言いふらさないでくれ、説明するのが面倒だからな。」

 

「お、おう、わかった。」

 

「さてと、んじゃ、俺らは帰るな。」

 

「え、もうちょい、いてもいいんじゃあねぇーか?」

 

「あのな、俺ら一応不法侵入なんだからな。」

 

「くそぉ...んじゃ、また学校でな。」

 

「え、うん。」

 

俺は、アプリを開いて、元のセカイに戻っていった。

 

_______________________________________________

side:???

 

「___、どうですか、街の様子は?」

 

「前任の時よりかはマシだが、まだ麻薬を売買している奴らがいるみたいだ。」

 

「やはり、前任の影響が大きいみたいですね。」

 

「__、少し時間いいか?」

 

「お、____。」

 

「どうしたんですか、____?」

 

「スタンドの矢の場所についてだ。」

 

「ッ! わかったんですか?」

 

「ああ、場所は___」

 

 

 

 

 

「日本だ。」

 

「日本ですかッ?...確かに『インディフェレッゼ』が進出していますが...まさか。」

 

「ああ、おそらく奴らが進出している、シブヤにあるのだろう。」

 

「...本当なら、ボクが動くべきですが、今は動くには危険すぎる。」

 

「___も、この街を離れられない。」

 

「ああ、___は、麻薬チームを始末しに行ってるし、____は学校、_____は、様々の管理と、それぞれやることがあるぜ。」

 

「どうすれば...」

 

「...俺が向かおう。」

 

「____!」

 

「俺は組織の中では、№2の地位ではあるが、トップシークレットで、今は、チームリーダーの一人として通っている。」

 

「奴らにとっては、組織の一人としか認識されていない、だからこそ、都合がいい。」

 

「____...」

 

「...わかりました、____は日本に向かってください、ここにいない者は、ボクと___で報告しておきます。」

 

「わかった、報告してくれ。」

 

「...そういやーよー、シブヤだったよな?」

 

「ええ、それがどうかしましたか?」

 

「あそこ、なんだったかなぁー...そうだフェニックスワンダーランドだ!」

 

「そこのよぉー、フェニーくんだったかな、時間があったら買ってきてくれねェか?」

 

「っ...___、____は遊びに行くわけじゃあないんですからね。」

 

「わかってるさ、でもよォ、____がそこのフェニーくんが欲しいって言ってたんだよ。」

 

「...フッ、わかった、時間があれば買ってくる、しっかり学校にも通っているみたいだからな。」

 

「はー...わかりました、ではお願いしますね。」

 

「...気を付けてくださいね。」

 

「ああ。」



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第47話:与える者、受け継ぐ者

side:響助

 

俺達は、元のセカイに戻った。

 

「なァ、響助、傷治してくれ。」

 

「おう。」

 

波紋で、斬られた郷秀の手の甲を治す。

 

「やっぱ、波紋って便利だよな、俺も学びてェーな。」

 

「10分間息をすいつづけて10分間はきつづけるか?」

 

「...無理だわ、ってかお前はそれをやったのかよ?」

 

「軽くだがやってたぞ。」

 

「人間やめる気でいるのか?」

 

「やめるかッ!?...失礼な奴だぜ。」

 

どいつもこいつも、どうして俺に、人間をやめさせようとさせるんだ?

 

「ッつーかよォ、お前刺されたんだろ、痛くねェの?」

 

「え?...あー、もう痛みは引いてるな。」

 

「もう人間をやめていたのか?」

 

「違うわッ!?」

 

だが最近、大怪我をするたび、どんどん痛覚が消えていっている気がする。

 

_______________________________________________

翌日

 

「...」ムクッ

 

「...7時か...休日だが、もう起きるか。」

 

っといっても、別に今日は何かするわけでもない、動画も予約登校で、ストックはいくらでもある。

 

昨日は色んなとこに行き、色々あったから今日は家でゴロゴロしたい所ではあるのだが、あのピンクヘアーの奴のせいでそうはいかないって言うね。

 

さて、何をするか?

 

...そうだ、ツェペリさんのとこに顔を出すか。

 

昨日は行ってなかったしな...別に毎日行くって決めていたわけじゃあないんだが。

 

そう思い、俺は、軽く朝食を済ませ、スマホを立ち上げ、セカイに行くためのアプリを開く。

 

「...あ。」

 

「...」スースー

 

ミクはおねんねしとりますね、ゆっくりしていてくれ。

 

さてと、行くか。

 

俺は、想いの欠片を触れ、ツェペリさんがいるセカイに移動した。

_______________________________________________

 

セカイに着いたけど、やっぱこのセカイって自然があって綺麗だよなぁ。

 

キョロッキョロッ

 

...今日はツェペリさんはいないのか?

 

「おや?...君、どこから来たんだい?」

 

「え?」クルッ

 

聞き覚えの声が聞こえ、声の方に振り向く。

 

「おお、まさかこのセカイにカワイイ人がいるとは。」

 

「え、カワイイ人?」

 

振り向くと、金色の髪の男の人が立っていた。

 

かなり若い...20代くらいなのか?

 

「君の事だよ、セニョリータ、見た目の割には低めの声だけど、それもまたカワイイよ。」

 

...ちょっと待て、この人、俺のことを女性だと勘違いしてないか?

 

確かに、ピンクの奴が、ノーメイクでも女性と勘違いするって言っていたが、今ウィッグはつけてないんだぞ。

 

中学時代はそんなこと言われなかったんだけどな...まぁ、髪を上げてたけどさ。

 

...てか、この人の手が、俺の肌に触れそうだな。

 

バチッ

 

「ッ!?...こ、これは...波紋ッ!!」

 

波紋を知っているのか、この人?

 

「君、どこで波紋をッ!?」

 

「おや、来てたのかね?」

 

「あ、ツェペリさん。」

 

「じいさん!?」

 

ん?...じいさん?

 

「じいさん、彼女は、波紋を使えるのですか!?」

 

「彼女...もしかして、そこにいる彼のことかね?」

 

「え...彼?」

 

「彼は、城ケ崎響助くん...れっきとした男性じゃ。」

 

「...マンマミーアッ!?...響助、とんでもない勘違いをしてすまなかった!!」

 

「いえ、気にしてないので大丈夫です。」

 

「自己紹介がまだだったな、オレは__」

 

 

 

 

 

「シーザー・A(アントニオ)・ツェペリだ。」

 

この人も、ツェペリなのか?

 

「シーザーさんですね、ところで、さっきツェペリさんの事をじいさんって呼んでいたのですが?」

 

「そういえば言ってなかったのう、シーザー君は、ワシの孫なのじゃ。」

 

「孫なんですか...ん?」

 

ちょっと待って、孫だとしたら、ツェペリさんって相当な歳なのでは?

 

なのに、ツェペリさんの見た目、50代前半とかだぞ?

 

「響助くん、もう一つ言ってない事があったんじゃが...ワシとシーザー君は、とっくに亡くなっている人間なのじゃ。」

 

「え......えーーッ!?」

 

ま、マジかよッ!?...ここはあの世って事?

 

いや、セカイからとんでいるんだ、ここもセカイなはず。

 

てことは、亡くなった人にもセカイはあると言うことなのか?

 

「だから、君がここに来たときは驚いたんだ、生きた人間がここに来ることは今までなかったからのう。」

 

「そうなんですか。」

 

「響助、その波紋、どこで覚えたんだ?」

 

「波紋ですか? ツェペリさんに教えてもらいました。」

 

「そうだったのか。」

 

「シーザー君、彼は波紋とはまた別の能力を持っているのだよ。」

 

「別の能力ですか?」

 

「響助君、シーザー君に見せてあげなさい。」

 

「わかりました。」

 

ツェペリさんにそう言われると、スタンドを出した。

 

ドキュウン

 

「ッ!? 響助の背後から、人型のようなものが現れた!?」

 

「シーザー君、これはスタンドっというものだよ。」

 

「スタンド、ですか...」

 

「彼が言うには、人によって能力が違っており、彼の場合はシャボン玉を生み出すことが可能なのだ。」

 

「シャボン玉ですか...じいさん。」

 

「どうしたのかな、シーザー君。」

 

「何故、響助に波紋を教えたのですか。」

 

「それはね、シーザー君、彼が生きている世界で、屍生人が現れたのだ。」

 

「なッ!?...そんな、石仮面がまだ残っていたのですかっ!?」

 

「彼の話ではね、だが太陽の光で消滅したという事は、屍生人か吸血鬼じゃよ。」

 

「くッ...」

 

「...響助、今、時間はあるか?」

 

「え、今日は特に予定がないので大丈夫です。」

 

「そうか、お前はたしかシャボン玉を生み出す能力だったな。」

 

「正確には、スタンド自体で殴りかかったり、シャボン玉を生み出して、そのシャボン玉に触れたものから何か奪う事ができる能力ですね。」

 

「なるほど、だがシャボン玉には変わりないだろ、お前はシャボン玉に波紋を流したことはあるか?」

 

「はい、シャボン玉の強度を上げるときに使ってました。」

 

「なるほど、響助、お前にオレの技を教える。」

 

「技、ですか?」

 

「ああ、かつてオレは、シャボン玉で戦ってた事があるからな、その時に使っていた技を教える。」

 

「響助、お前はこれから、戦い続ける運命にある、石仮面を破壊するまではな...」

 

「はい...戦いの覚悟はできてます。」

_______________________________________________

side:シーザー

 

「よし、ここまでにしよう。」

 

「わかりました。」

 

城ケ崎響助...彼はホントにすごい奴だ。

 

教えているとはいえ、この短時間で、ほとんどものにしている。

 

彼と戦ってわかったが、波紋自体の強さは、オレやアイツほどはない。

 

だからこそ、彼はスタンドと一緒に活用しているのだろう。

 

...ただ、実戦形式での修行をしたとき感じた...彼は何かを失っている。

 

その何かは、まだわからない。

 

「シーザーさん、修行、ありがとうございました。」

 

「いや、こっちこそ面白いものを見せてくれたからな。」

 

「では、俺は帰りますね。」

 

そういうと、響助は、四角い板...どうやらスマホと言う物らしい。

 

それを操作して、白い光に包まれながら消えていった。

 

「...シーザー君。」

 

「なんでしょう、じいさん。」

 

「彼と修行して、どう思った?」

 

「...何かを失っているって思いました。」

 

「やはりか...ワシが思うに、響助君が失っているものは___」

 

 

 

 

 

「感情じゃよ。」

 

「感情...ですか。」

 

「っと言っても、すべてを失ったわけではないが、人として大切な感情じゃ。」

 

「...なんでしょうか?」

 

「恐怖と痛みじゃ。」

 

「ッ!? それじゃあまるで...」

 

「屍生人みたい...っとそう思うだろう...ただ彼は、はっきりと違うものがある。」

 

「響助君の中には、『正義の心』がある。」

 

「ワシやシーザー君が、共に戦った、ジョジョと同じようにな。」

 

「...そうですね。」

 

「彼はどのような道を進むのだろうか、ワシらのように、与える者になるのか、ジョジョ達のように、受け継ぐ者になるのか...ただ一つ言えることは、どのような運命になろうとも、彼は受け入れる...いや、それすらも超えて行くのだろう...それが運命を食らってでも。」

 



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第48話:救う者・乗り越える者

side:響助

 

「...」スースー

 

...

 

ありのまま今起こった事を...いや、今目の前で起こっている話そう。

 

俺は、シーザーさんに修行をお願いしてもらい、その修行を終えて、セカイから戻ってきた時、俺のいつもすやすやと寝ているベッドに寝ている者がいた。

 

家族? ペット?...それはない、母さんはまだ旅行から帰ってきてない、ペットも飼っていない。

 

では、誰なのか、一つわかることは、布団から出ている髪の色がピンク色であることであることだ。

 

...いや、これ答えだな、考える必要もなかったな。

 

だが、何故ここに、コイツが寝ているのか全く理解できない。

 

...うん、難しく考えるのをやめよう、多分こいつが勝手に上がって、勝手に寝ているのだろう。

 

「ったく、ここはお前の家じゃあねェーんだぞ。」

 

パシャッ

 

...にしてもぐっすり寝てやがるな、シャッター音でも起きないとは...寝顔ですらカワイイってどうなっているんだ。

 

ちょっと悪戯してやるか。

 

ツンッ

 

「んー...」

 

寝ている瑞希の頬に、軽く指でつつく。

 

「これでも起きないのか。」

 

ツンッツンッ

 

「ん゛~...」

 

もう少しで起きそうだな。

 

恐らくサークルでの作業で疲れているのだろうけど、そんなの関係ない。

 

ツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンッ

 

「ん゛ん゛~...んー?」ムクッ

 

「おー、やっと起きたか、ったく、勝手に人のベッドで寝やがって。」

 

「...あー...ジョジョだー///」ポワッ

 

...ん?コイツ、寝ぼけているのか?

 

ギュッ

 

な...

 

「えへへ///」

 

なにィーーーーッ!?

 

あ...ありのまま、今、起こった事を話す!

 

俺は、瑞希を起こしたと思ったらいつのまにか瑞希に抱き付かれていた...

 

な...何を言ってるのか、わからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった...カワイすぎて頭がどうにかなりそうだった...

 

「......」ピクッ

 

「...ん?」

 

「...///」カァッ

 

あ、だんだん目覚めてきたな。

 

「起きたか。」

 

「...うん///」

 

「...いつまで抱き付いてるんだ?」

 

「ッ!...ご、ごめん!」

 

「まぁ、筋肉モリモリマッチョマンよりかは全然いいんだが。」

 

「つーか、何でお前ここにいるんだ?」

 

「ジョジョを迎えに来たんだけど、部屋に入ってもいないから待ってたんだけど、ふとベッドが目に入っちゃってね......欲には勝てなかったよ...」

 

「合鍵を渡しているとはいえ、人んちのベッドで寝るのはどうかと思うぞ。」

 

「あはは...」

 

「もう昼だぞ。」

 

「え?...ホントだ。」

 

「俺は昼飯食べるけど、お前はなんか食べたいものあるか?」

 

「え、いいの?」

 

「いや、まぁ、昼飯食わさせずに帰らせるのもあれだと思ってな。」

 

「...やっぱりジョジョはやさしいな」ボソ

 

「ん?...なんか言ったか?」

 

「ううん、...だったらカレーが良いかな!」

 

「お前、ホントカレー好きだな、まあ、カレーなら、いっぱい作っとけば、母さんの晩飯になるか...よし、そうなると材料を買いに行くぞ、瑞希、荷物持ちで来い。」

 

「え~!! こんなカワイイボクを荷物持ちにするなんて、ヒッドイなぁ~。」

 

「...別に来なくても良いんだぜ、ただそうなると、キノコonlyのカレーになるが...」

 

「ありがたくついていただきます。」

 

「わかればよろしい。」

_______________________________________________

 

家を出て、いつも行っているスーパーに向かっていた。

 

「カレーっと言っても何のカレーが食べたいんだ?」

 

「んー......ジョジョのカレーが食べたいかな?」

 

「俺のカレーってなんだよ...まぁ、いつも作ってるやつってことだな...お前、正直考えてなかったろ?」

 

「あー...あはは.....あれ?」

 

「どうした?」

 

「あれって...やっぱ奏だ。」

 

「え、奏ちゃん?」

 

「はぁ......」

 

「奏ー...なんか真っ白な顔してるけど、大丈夫?」

 

「あ、瑞希と城ケ崎さん、ちょっと太陽がまぶしすぎて、目を慣らしてたところ。」

 

「ホントか? 体調は大丈夫か?」

 

「え? うん、目が痛いだけだよ。」

 

「それならよかった......いやいや、よくないよ! 真っ白すぎだよ、奏!」

 

...髪も白いから、より白く見えるな。

 

「もっとちゃんとお日様に当たらないと! ほら、陰にいないでこっちこっち!」

 

「あ、待って瑞希、そんな明るいところに出たら目がつぶれちゃうから...!」

 

「でもな~.........あっ!」

 

チラッ

 

...こっち見てきたな。

 

「ジョジョ! たしかあれって、太陽のエネルギーと同じなんだよね、それで慣らすこと出来ないかな?」

 

「...慣らすって光にだろ、多分効果ないと思うが...一応やっておくか。」

 

「あ、やるんだ。」

 

「え...わたし、なにかされるの?」

 

「あ、大丈夫だよ奏、今からすることは、治療としても使われてるものだから。」

 

「え...どういうこと?」

 

「怪我以外の治療で使ったことないが、大丈夫だ!   たぶん

 

「ちょっと待って、 今小さくたぶん...って、つけなかった?」

 

「安心して奏、ジョジョはこれで、骨折を治してるから大丈夫だよ!      きっと

 

「骨折を治した......?」

 

コオオオオオ

 

特殊な呼吸法をし、波紋エネルギーをためる。

 

「...これぐらいだな...奏ちゃん、肩少し触るよ。」

 

「え...?」

 

トン

 

奏ちゃんの肩に触り、軽い波紋を全身に流れるように流した。

 

「...あれ?......なんか身体が楽になった気がする。」

 

「おおっ! 怪我以外にもちゃんときくんだね!」

 

「...城ケ崎さん、これは?」

 

「これは......技術だから言ってもいいか。」

 

「波紋って言って、治療をしたり、身体能力を上げたりできるんだ。」

 

「そんなことができるんだ。」

 

「そういえば、奏が外出なんて珍しいね。」

 

「いつも食べてるカップ麺がもう少しでなくなりそうだったから。」

 

「いつもって...栄養的に大丈夫なのか?」

 

「いつもって言っても、毎日ってわけじゃないよ、家事代行の人が作ってくれたご飯も食べてるから。」

 

「そうなのか。」

 

家事代行って所に少し気になったが、あまり聞かない方が良いと思い、言わなかった。

 

「...ねえ、ジョジョ?」

 

「ん?...どうした?」

 

「少し気になったんだけどさ、絵名には敬語だけど、ボク達にはタメ口だよね、なんで?」

 

「なんでって...そりゃあ、年上だし?」

 

「...ん?」

 

「...一応言っておくけど、奏も年上だよ?」

 

「「え?」」

 

「やっぱり気づいてなかったか...てか奏も?」

 

「うん、わたしと同い年か、一つ上かと思ってた。」

 

「...タメ口聞いてすみませんでした。」

 

「別にいいよ、気にしてないし。」

 

「というか、学校じゃないんだし、敬語じゃなくてもいいから、好きに呼んでほしいな。」

 

「そ、そうですか...じゃあ、今まで通りで。」

 

「いやー、奏が寛容な心を持っててよかったね~、ボクだったら一発叩いてるところだよ。」

 

「いや、お前は先輩だとしても、生意気な奴だから結局はタメ口だぞ。」

 

「な、なにーっ! 一発叩かせろっ!」

 

ガシッ

 

こっちに向かってくる瑞希の顔面を掴んだ、アイアンクローって奴だ。

 

...別に本気で掴んでるわけではないぞ、軽くだ。

 

「すみません、調子に乗りました、離してください、息ができないです。」

 

「喋れてるんだから、息は出来るだろ。」

 

そう言いながら、手を離す。

 

「ふー...危なかった...」

 

「そういえば、奏ちゃんはカップ麺を買いに行くんだっけ、ここから近いスーパーか?」

 

「うん、そこが一番近いからね。」

 

「そっか、ボク達もスーパーに行くから、一緒に行かない?」

 

「え? 別にいいけど。」

 

「やった! じゃあ、早くスーパー行こ!」

 

「あ、ちょっと、強く引っ張らないで...」

 

「やれやれ...」

 

_______________________________________________

 

カレーの材料を買い、一人で先に外に出た。

 

「あ、城ケ崎さん。」

 

「奏ちゃん、先に出てたのか?」

 

「うん、瑞希は?」

 

「なんか、買いたいものが別にあるって言って、まだスーパーの中だ。」

 

「そっか...ねえ城ケ崎さん。」

 

「ん?」

 

「こんなところで話すことじゃないと思うんだけど......消えたいって思ったことある?」

 

「......大なり小なり誰もが一度は思う事じゃあないか?」

 

「...少し、言い方を変えるよ、絶望して、消えたいと思ったことある。」

 

「.........あるよ。」

 

「っ...!」

 

「...まぁ、でも、そう思った次の日にはそんな考えはやめたけどね。」

 

「...なんで、そう思ったの?」

 

「消えたとしても、その人のためにならないって、そう思った。」

 

「......そっか。」

 

「...なんでそんなこと聞いたか、聞いていいか?」

 

「うん......わたし達がサークルで活動してるってことは知ってるよね?」

 

「ああ、瑞希から聞いてる。」

 

「サークルメンバーの一人が、消えたいと思ってたんだ。」

 

「そうなのか...奏ちゃんは、その人を見て、どう思ったんだ?」

 

「...絶対、いつか救うって、そう思った。」

 

「そっか......相当な覚悟だな。」

 

「うん、それはわかってるよ。」

 

「...これは、俺の考えだから、聞き流してもいいんだけど。」

 

「俺は、人を完全に救うことは出来ないって考えてるんだ。」

 

「それは、どういうこと?」

 

「最後は、自分自身で乗り越えないといけないって事。」

 

「確かに、助ける事は出来るかもしれないけど、その人が抱えることは、最後は自分自身で乗り越えないと意味がないって、それが最も難しい事ではあるんだけど、最も大事な事だと俺はそう思ってるかな。」

 

「...なるほどね。」

 

「まぁ、その救うって事は本当にすごい事だから、俺の考えは適当に流してくれ。」

 

「ううん、ありがとう、そういう考え方もあるんだって思ったよ。」

 

「そうか......にしても、瑞希の奴、遅いな。」

 

ピトッ

 

「うおッ!?」

 

不意に頬から、何か冷たいものを感じた。

 

「あはは! やっぱり、ジョジョの驚いている所はおもしろいな~」

 

「あれ、瑞希、いつの間に?」

 

「瑞希てめーッ! ショック死したらどうすんだッ!?」

 

「えー、こんな事で、ジョジョが倒れたりしないと思うけど。」

 

「それが買いたいものか?」

 

「そうそう、このアイス人気で、コンビニとかだと売り切れてる事が多かったやつなんだ。」

 

「アイスね...ったく、お前のその悪戯癖は治らねぇもんかね?」

 

「んー......ジョジョに対しては無理かな☆」

 

「なぜ俺限定?!」

 

「あはは、さて、カレーの材料も買ったし、アイスも買ったし、ジョジョの家に行こ! ばいばい、奏!」

 

「はいはい、奏ちゃん、じゃあな。」

 

「うん、またね。」

 

_______________________________________________

奏ちゃんと別れ、自宅へと向かっていた。

 

「...なぁ、瑞希。」

 

「んー?」

 

「お前、話聞いてたろ?」

 

「え...何の事?」ビクッ

 

「お前、奏ちゃんに対しては知らんが、俺の時は空気読まずに割り込んでくるだろ。」

 

「さっきは、話が終わったタイミングで、お前が来た、そんな綺麗なタイミングで来るのは中々ないだろ?」

 

「...うん、ジョジョと奏が話してる事を、隠れて聞いてたよ。」

 

「...今、お前が考えてる事を当てようか?」

 

「え?」

 

「お前自身の秘密の事だろ?」

 

「ッ!!」

 

「お前は、俺が奏ちゃんに、お前の秘密の事を喋ったって、そう思ったんだろ?」

 

「......うん。」

 

「その感じだと、サークルのメンバーには言ってない感じか...」

 

「どっから話を聞いていたのか知らんが、俺は、お前の秘密の事は言うつもりはないし、その秘密は、お前が自分自身で言って、乗り越えなくちゃあいけないんだ。」

 

「そうだね...でも...」

 

「怖い...か?」

 

「うん...」

 

...俺は、コイツの過去は全部は知らないけど、コイツは一人孤独になることを恐れている...サークルメンバーに話して、離れていってしまうって思ってんだろうな。

 

「瑞希、秘密は自分で言え...だけど、手助けはしてやる。」

 

「...え?」

 

「お前が、言えなくて罪悪感で押しつぶされそうになっても、引き上げてやるし、一歩踏み出せない時でも、背中を押してやるし、つらい時があっても、横にいてやる...だから何かあったら頼れよ。」

 

「...ありがとね、ジョジョ......ボクはジョジョに助けられてばっかだな...」

 

「んな事気にすんな。」

 

「...ジョジョ、もしジョジョも何かあったら頼ってよ、その時は、ボクが助けるから。」

 

「...期待しないで待ってるわ。」

 

「えーっ! ヒッドイなぁ...」

 

「はいはい、さっさと俺の家に行こうぜ、腹が減ってきたし。」

 

「そうだね、ボクもお腹すいてきた!」

 

...

 

......乗り越えること...か。

 

自分が乗り越えてないのに...何言ってるんだろな、俺は...

 

「?...どうしたの?」

 

「いや、どーでもいいことを考えてただけだ。」

 

_______________________________________________

side:奏

 

...

 

 

 

(二度と奪わせてたまるかよ...)

 

 

 

やっぱり、あの時言ってた事がそうなのかな。

 

だとすると、城ケ崎さんは...

 

...お節介かもしれないけど、城ケ崎さんも救ってあげたい。

 

それが、呪いを増やすことになっても。

 



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第49話:冬季

side:響助

 

「は~、美味しかった~。」

 

「そいつはどーも。」

 

家に戻り、瑞希にカレーを振る舞い、食器を洗っていた。

 

「いやー、ジョジョはいいお嫁さんになるよ~」

 

「嫁になる気なんてサラサラないが?」

 

くだらねえことを言っている瑞希を、テキトーな返しで返す。

 

「...ジョジョって、ホントにそれ以外の服ってないの?」

 

「あ? ああ、この前瑞希が選んだ服以外は、制服ぐらい?」

 

「...流石にもっと買った方が良いと思うんだけど。」

 

「別に、自分の容姿に興味ないからな。」

 

「え~、せっかく素材が良いから、色んな服を着ても似合うと思うのに。」

 

「残念ながら、ジャージ愛LOVEなんでね。」

 

「...なんでこうも、ジョジョといい、奏といい、容姿はいいのにジャージを私服にしてしまうんだろうか...」

 

「俺の場合、動きやすいから着てる。」

 

「奏もそう言ってたよ。」

 

「あら、そう。」

 

ま、これから襲われる可能性があるって事を考えると、ジャージが一番動きやすいしな、洒落た服なんかだと、服に気を取られそうだし。

 

「ねーねー、買いに行こうよ~。」

 

「昨日行ったろ?」

 

「服はいくらあっても困らないと思うけどな~。」

 

「置き場所に困るだろ?」

 

「ああ言えば、こう言うね~...なんでこうもファッションに興味ないの?」

 

「え、目立ちたくないから。」

 

「...そういえば、そんな設定あったね~」

 

「おい、設定言うな。」

 

「そんなに着せ替えしたいのなら、郷秀がいるだろ?」

 

「んー...郷秀くんはどっちかって言うと、カッコいいよりだから、ボクの専門外なんだよね~」

 

「あ、そ.......って、その言い方的に、また俺に女装させるつもりだったろ?!」

 

「...ソンナコトナイヨ~」

 

「見事な棒読みだな、貴様?」

 

「まーまー、そんなこと言ってるけど、実際着てた時、ノリノリだったじゃん?」

 

「それは、あれだ、郷に入っては郷に従えって奴。」

 

「それ使い方あってる?」

 

「多分あってるだろ?」

 

「...じゃーさ、散歩でも行かない?」

 

「唐突だな...まあ、それぐらいなら。」

 

「んじゃ、アイスも食べたし、さっそくレッツゴー!」

 

「...やれやれ。」

_______________________________________________

 

瑞希と一緒に(半強制的)散歩をするため、外に出た。

 

「散歩って言っても、どこ行くんだ?」

 

「え、散歩って目的地なんて決めないでぶらぶらあるくもんじゃないの?」

 

「...そういうものか。」

 

「ジョジョって、ゲームでもあまり寄り道しないタイプでしょ?」

 

「...サブ要素はクリア後にやることが多いな、そういや。」

 

「たまには寄り道してみたら? いい発見があるかもよ?」

 

「...一番の近道は遠回りだったか...」

 

「え?」

 

「...ん? どうした?」

 

「それ、ことわざ?」

 

「え、なにが?」

 

「『一番の近道は遠回りだった』ってやつ。」

 

「え、そんなこと言ってたか?」

 

「無意識で言ってたの?!」

 

「ああ、多分......『一番の近道は遠回りだった』っか。」

 

「遠回りこそが俺の最短の道なのかもな...俺の記憶も。」

 

「ジョジョ...」

 

「...なんか変な空気になったな...どっかカフェ行かね? 奢るから。」

 

「え、いいの?」

 

「そういう気分になった、どっかいい所ある?」

 

「え、ちょっと待ってよ、今調べるから。」

 

「...」

 

...今の俺がいるのは、瑞希、お前のおかげだ。

 

お前は、助けられてばっかって言ってるけどよ、なんだかんだで、俺もお前に助けられてるんだよ。

 

ありがとよ...まぁ、面と向かって言ってやらんがな。

 

_______________________________________________

 

「ホントにこの辺なのか?」

 

「地図だとこの辺のはずなんだけど...」

 

「ぱっと見、そのような看板が見えないけど。」

 

「地図がわかりにくくて...」

 

「...やれやれ。」

 

ま、俺が言い出したことだ、首を長くして待つか。

 

「......? 瑞希?」

 

「え?......あっ!」

 

「ん?」

 

背後から、瑞希の名前を呼ぶ声が聞こえ、振り返る。

 

...初めて聞く声だ。

 

「まふゆ~! 偶然だね~」

 

まふゆと呼ばれた、おそらく、瑞希と同じぐらいの背の、紫髪の女性が立っていた。

 

「...ッ!」

 

「あ、まふゆ、紹介がまだだったね、ボクの友達のジョジョこと、きょ......まふゆ?」

 

「ん?」

 

瑞希が俺のことを紹介しようとしているみたいだが...それを無視して、俺の方に向かってきてないか?

 

ガシッ

 

「ッ!?」

 

「まふゆ?!」

 

まふゆさんは、俺の前に立ったその瞬間、両手で肩を掴まれた。

 

「ふ...」

 

「え?」

 

「冬季......なの?」

 

「...え?」

 

冬季...なんだ、それ。

 

「...ッ! ごめんなさい、急に肩を掴んだりして。」

 

「いえ、少し驚いただけなので大丈夫です。」

 

「びっくりしたぁ...改めて言うね。」

 

「ボクのクラスメートで友達の、ジョジョこと、響助だよ。」

 

「城ケ崎響助です。」

 

「朝比奈まふゆです、さっきはごめんね、城ケ崎くん。」

 

「気にしないでください、それより、その冬季くんってのは?」

 

「......私の知り合いだよ、子供の頃に会ったきりで、キミと冬季くんが似ててびっくりしたよ。」

 

「そうだったんですね。」

 

「まふゆ、これから図書館で勉強?」

 

「うん、そうだよ。」

 

「そっか、頑張ってね、まふゆ!」

 

「ありがとね、瑞希。」

 

そう言うと、まふゆさんは、図書館に向かっていった。

 

「...なぁ、瑞希、まふゆさん、俺に向かって、『冬季』ってはっきり言ってたよな?」

 

「うん、ボクも聞いた。」

 

「まふゆさんのあの感じ、ただの知り合いってわけじゃあないな、それに、俺と似ているって言ってたし、子供の頃会ったきりとも...てことは。」

 

「ジョジョの記憶がない頃と合うね。」

 

「だな...まふゆさんも、俺のことを知っている可能性があるのか。」

 

「いやー...世間は広いようで狭いんだね...ボクもびっくりだよ。」

 

「...あと一つ気になった事があるんだが。」

 

「なに?」

 

「まふゆさんのあの感じ...あれ、仮面を被ってる感じがする。」

 

「えっ!? 気づいてたの?」

 

「中学時代、襲われ続けた俺を舐めるな。」

 

「いや、それほこっちゃダメでしょ。」

 

「ま、仮面付けてた奴は見慣れてるって事。」

 

「まあ、ボクもそういうのはちょっと得意だけどさ。」

 

「...じっくり聞きたい所だけど、休みの日に図書館で勉強って所を見ると、あまり会う時間がなさそうだな。」

 

「そうだね~...ボクも、あまりリアルでは会えない感じだし。」

 

「そっか...ま、ゆっくりとやればいいか、俺の記憶探しは、そんなに急ぐ必要もないし。」

 

「...そんな感じでいいのだろうか?」

 

「それより、店は見つかったのか?」

 

「え、あっ! 忘れてた!」

 

「...やれやれ。」

 

...まさか、コイツの身近に、昔の俺を知っている人が出てくるとは...

 

まるで、俺とコイツは出会うことが運命だったように...

 

...いや、俺とコイツが出会ったのは偶然で、友達になったのは俺の意志だ。

 

「んー...あ、ここかも。」

 

「見つかったのか?」

 

「うん! ここだよ。」

 

「何が、美味いんだ?」

 

「ここのチーズケーキ、美味しいって噂だよ。」

 

「へぇ、そうなのか。」

 

「ホントは絵名と一緒に行こうかなってところだったけど......そうだ! 後で絵名に自慢してやろっと~」

 

「...やれやれ。」

 

...今日だけで俺は、何回やれやれって言ったのだろうか?

 



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第50話:痣

side:響助

 

瑞希に連れられたところのチーズケーキ、とても美味しかった。

 

甘さも強すぎでもなく、ちょうどよく、ホールで出されても食べれそうだったな。

 

「...ジョ。」

 

うーん、あのチーズは何を使っているのだろうか、ただのクリームチーズだけじゃあなさそうだな。

 

「ジョ...」

 

あと、あの生地も、甘すぎないチーズの良さを引き立てている、むしろ、あの生地だけでも、何か一品は作れそうだ。

 

「ジョジョ!!!」

 

「うおッ!? 急に大声出すな、びっくりするだろうが!?」

 

「さっきから呼んでるんだけどー」

 

「あ、そうなの、悪い悪い、自分の世界に入ってたわ。」

 

「もー! こんなにカワイイボクがいるんだから、目を離さないでよね!」

 

「あーはいはい、そーですね~」

 

「返事がテキトー!?」

 

カワイイのは認めるが、ウザイので適当に返事する。

 

「...あ、瑞希と響助!」

 

「え?...あっ! 絵名!」

 

「あ、絵名さん。」

 

瑞希からの発言を適当に流していると、絵名さんが声をかけてきた。

 

「珍しいね、絵名がこの時間に外に出てるの。」

 

「ちょっと! 私だって昼に外に出ることだってあるわよ。」

 

「ふーん、それじゃ、今日はなんで外に出てるの?」

 

「チーズケーキを買いによ...ホントは彰人に買いに行かせようと思ったのに...」

 

「弟くんかわいそ~w で、弟くんが用事とかがあって絵名が自分で買いに来たと。」

 

「いちいち言わなくていいから。」

 

...そういや、前に彰人達と出掛けた時に苦い顔してたな。

 

「まぁ、ボクたちはもう、美味しいチーズケーキを食べに行ってきたけどね~」

 

「はぁ? それどこのお店よ?」

 

「え~どうしよっかな~」

 

「このっ...! 響助、どこのお店?」

 

「え?、ああ、この先を行って、2つ目の分かれ道を右に曲がった先にあるカフェですね。」

 

「あ、ジョジョ!?」

 

「そっか、ありがとね響助、瑞希もこれぐらい素直だったら良かったのに。」

 

「ジョジョが...素直?......ボクはそうは思わないけど...」

 

「安心しろ、こんな対応するのはお前だけだ。」

 

「どういうことかな~、ジョジョ?」

 

「お前相手に、絵名さんとかと同じ対応してたらどうよ?」

 

「...それは...ちょっと。」

 

「だろ?」

 

「あー...彰人と同じ感じ?」

 

「同じというか、年上には基本的に敬語ですね。」

 

「へー、しっかりしてるんだね。」

 

「瑞希にも爪の垢を煎じて飲ませたい。」

 

「ちょっとちょっと~ 流石にひどくない~?」

 

「あはは...」

 

まぁ、コイツはコイツなりに、しっかりしてるから、俺からは何も言わないでおこう。

 

「あっ!ジョジョ聞いてよ~」

 

「ん? どうした。」

 

「一生同じ味のカップヌードルを食べるなら何味?」

 

「え、急だなおい?」

 

「あ~、ごめんね響助、昨日その話になったら言い合いになっちゃってね。」

 

「ああ、そうなんですか。」

 

「何味?」

 

「え...シーフードだけど。」

 

「えっ!?」

 

「あら、センスいいね、美味しいよね、シーフード。」

 

「美味しいですよね、他ならチリトマトか、トムヤムクンですかね。」

 

「瑞希は...いや聞くまでもないな、どうせカレーだろ?」

 

「いや、そうなんだけどさ! カレーのラーメンも美味しいんだよ!?」

 

「美味いのはわかるんだが、一生同じ味ってなら選ばないが。」

 

「えっ...で、でもポテトが入ってて美味しいよ。」

 

「それはお前がめちゃくちゃポテト好きなだけだろ、それにカレーは他でも食べれるしな。」

 

「うっ...」

 

「カレーうどんや、カレーパスタ、カレーグラタン等、色々カレーを使ったもんが多いからな、カップヌードルなら選ばないかな。」

 

「あ~、えっと...それぐらいにした方が...」

 

「え?」

 

「うぅ...ジョジョはホントはボクの事嫌いなんだ...」

 

「ほら、なんかめんどくさい彼女みたいになってるから。」

 

...めんどくせえな。

 

「...ったく、あのな瑞希、俺は嫌いな奴と一緒に居たりしねェーし、奢ったりしねーよ、それに、なんだかんだでお前といると、俺の知らねえことも知れて楽しいからな。」

 

「......///」

 

「ん、どうした。」

 

「その...そんなにストレートに言われると......照れちゃう///」

 

「え...そうか?」

 

「んー...響助って、天然たらしって言われたことない?」

 

「え、確かに言われたことありますけど......そんなに俺って天然たらしなんですか?」

 

「あー...多分そうかも。」

 

...別に、すべて思ったこと言ってるんだけどな。

 

「...あ、瑞希から聞いたんだけど、響助って料理とかするんだね。」

 

「あー、そうですね、晩御飯とかは基本的に毎日俺が作ってますね。」

 

「え、毎日!?」

 

「まー趣味ってのもありますけど、一番は、恩返しってのが大きいですかね。」

 

「恩返し?」

 

「まーその、俺と母さんは、血がつながってなくて、養子...ていうか拾い子って奴なんです。」

 

「えっ...ホントなの、瑞希?」

 

「な、なんでボクに、まぁ、聞いたことあるけど、ホントだよ。」

 

「今から大体8年前ぐらいですね。」

 

「え、8年前って...6~8歳ごろじゃない!? し、信じられない、自分で産んだ子を捨てるなんて!?」

 

「まー事情とかは知らないですけどね、記憶もないので。」

 

「えっ...記憶もないの...」

 

「そうですね、最古の記憶が、寒い夜の中で倒れている俺に声をかけてくれた母さんです。」

 

「...」

 

「だから、返しきれないぐらいの恩を少しでも返そうと、料理とか色々やってますね。」

 

「...響助。」

 

「はい?」

 

「...寂しくないの?」

 

「...全然寂しくないですよ、母さんもいるし、それに、どうやら俺は恵まれているみたいで、俺のことを思ってくれる人がたくさんいますので。」

 

...本当に俺にはもったいないぐらいにな。

 

「ただ、俺にきょうだいがいたらな~って思う所はありますけど...贅沢ですかね?」

 

「ッ!...なんて良い子なの......彰人と交換したい...」

 

彰人...かわいそうだな...いや、あいつにとってはいいのか?

 

「ダ、ダメだよ!? ジョジョはボクのなんだから!」

 

「いや、お前のじゃあないんだが?」

 

「あはは、冗談よ...でもね、響助、何かあったら話してよ、できることは少ないかもしれないけどさ。」

 

「...絵名がお姉さんしてる...」

 

「言っておくけど、元からお姉さんだからね。」

 

「あはは、ありがとうございます。」

 

「ってかいい子?......中学時代はグレてたって?」

 

「グレてねえから、すべて相手が悪いから、正当防衛、それに昔は昔よ。」

 

「えっ...今だって病院送りに...」

 

「友達の陰口、即ち死....じゃあなかった、病院送り。」

 

「...なんか、響助ってその......ヤの付く人が親だったりする?」

 

「いえ、全然。」

 

...なんか、絵名さん怖がってないか?

 

「いや、そんなこと言ったら怖がるの当然でしょ。」

 

「お前、ナチュラルに俺の心を読むな。」

 

怖いんだが?

 

「...ん?」

 

前から人が来るな。

 

「悪い瑞希、もう少しそっちによってくれ、前から人が来た。」

 

「あ、うん。」

 

流石に道端で喋りすぎたな、流石に移動して...

 

ドスッ

 

「がっ!?」

 

急に腹から、異物が入った感覚と、灼熱感を感じた。

 

スッ

 

深く刺さった異物がそのまま抜かれる。

 

ポタポタ

 

抑えがなくなった、腹の穴から、血液が滴れる。

 

「...えっ。」

 

その光景を見て、絵名さんは口を抑える。

 

「ど、どうしての絵名、口なんか抑え...ッ!?」

 

そして瑞希も気づく。

 

「がはッ!?」

 

や、やばい、こりゃあ...内臓までやられたか...

 

血が込みあがってきて波紋の呼吸が出来ねえ...

 

こういう時こそ落ち着け俺...落ち着くんだ...

 

まずは込みあがってくる血を吐きだそう。

 

そのまま膝から崩れるように座り込む。

 

「ごほぁッ!」

 

ビチャッ

 

「ジョジョ(響助)っ!?」

 

コオオオ

 

バチッバチッ

 

ふたりの声が聞こえるが、構わずに波紋の呼吸を行い、刺された箇所を治療し、塞いでいた。

 

刺された瞬間に奴の姿を...顔をも覚えていた。

 

「...」スッ

 

傷は塞がり、俺はそのまま立ち上がり、奴が歩いていた方向を向く、痛み?...ほぼない。

 

「ジョジョっ!? 流石に病院に...っ!」

 

瑞希が何か言いかけてたけど、やめた...なんでだ?

 

...まーいいや、奴はまだ視界に入ってる...

 

そう思いながら、俺をさした奴の方へと向かった。

 

そして奴に追いつき、声をかける。

 

「すみません。」

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

「正当防衛じゃあっ!!」

 

ドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォドゴォ

 

「クボァッ!?」

 

そう言いながら、俺をさした奴にラッシュを叩き込む。

 

...そういや、なんかのマンガで正当防衛ラッシュって技あったな、あれだな、ただ今回の場合はスタンドも使ってるから、半殺しに近いかもな。

 

まーでも、俺を殺そうとしたんだから、殺すぐらいしないと過剰防衛にはならねえだろ。

 

まぁ、俺は人殺しになんてさらさらなるつもりにはないがな。

 

「さーて...なんで俺を刺したの?」

 

半殺して言ったが、喋れるくらいには手加減しておいた。

 

「だ、誰が...」

 

「え、なに?」

 

俺はそう言いながら、倒れこんだ奴の頭を掴み。

 

バシンッ

 

「グエッ!?」グシャッ

 

顔面を思い切り地面に叩きつけた。

 

「あーそうそう、これ質問じゃあなくて、拷問だから、さっさと答えた方がお前のためだよ。」

 

あーあー、鼻血出ちゃってるね~、骨折れちゃったかな?

 

「今さ、ちょっと頭にきてるからさ、何するかわからないからな。」

 

「...まー、俺を刺したことは後でいいや、誰に頼まれたの?」

 

「あ...が...」

 

「ん?...あーごめんごめん、これじゃあ喋れないよな?今治してやるから。」

 

コオオオ

 

バチッ

 

「あ...れ、痛みが?」

 

「俺、軽いけがならすぐに治せるんだわ、だから何度でもお前の顔面を地面に叩きこめるんだからな。」

 

そう圧をかけながら言うと、奴は次第に青ざめてきた。

 

「んで、誰が頼んだの?」

 

「う...上から。」

 

「へー、上ね...お前、どっかに入ってるの?」

 

俺はそう言うと奴は答えた。

 

「さ...『サングエフリッド』...」

 

「なんだとっ!?」

 

『サングエフリッド』は確か、『RS』の話で出てきたな...

 

「...話変わったわ。」

 

「えっ?」

 

ブンッ

 

ベキッ

 

「ガッ!?」

 

「お前の話し相手は俺じゃあねえ、寝とけ。」

 

思い切り、顎元を蹴り飛ばす。

 

「...」

 

顎元をやられりゃあ、一発でダウンだ。

 

「し、死んだんじゃ?」

 

「ああ?...あれ、いつの間に?」

 

声をかけられ振り向くと、瑞希と絵名さんがそこにいた。

 

「殺すわけねえだろ、人殺しにはなりたくねーし、気絶してるだけだ。」

 

「きょ、響助っ! 早く病院に!」

 

「あー、大丈夫ですよ、もう傷は塞がってますので。」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

「えーと...よく見てください、ジャージは血がついてますけど、それ以上出血してないですよ。」

 

「えっ......よく見たら、確かに...」

 

「俺には、波紋法ってのを覚えてまして、それで治せるんです。」

 

「波紋法...?」

 

「治療をしたり、身体能力を上げたりできるんです。」

 

「そ、そうなの?」

 

「はい...っと、電話しないとな。」

 

俺はスマホを出し、『RS』に電話をかけた。

 

プルル

 

『どうした、響助?』

 

「ああ、烏か? お前らが探している『サングエフリッド』の下っ端みたいのを捕まえた。」

 

『なに、本当か?』

 

「ああ、□〇-×〇-△×だ、しっかりと絞めてある早く来てくれ、俺はジャージが汚れちまったから、自宅へ着替えてくる。」

 

『え、締める...殺しては...』

 

ブチッ

 

「さてと、俺は汚れを落とすため、家に帰りますね。」

 

「え、うん。」

 

ふたりにそう言うと、俺はまっすぐ自宅へと向かった。

 

 

 

 

 

「ごめん絵名、ジョジョが心配だから、追いかけるね。」

 

「え、うん。」

 

 

 

「響助...君は、本当に何者なの...?」

 

_______________________________________________

 

自宅に戻った俺は、すぐさま体に付いた血を洗い流すために風呂に入った。

 

「ふー、さっぱりした。」

 

血を洗い流し、普段からジャージの下に着てるタンクトップを着て、自分の部屋に戻ろうとした。

 

「おー、意外と筋肉がついてるね~」

 

...

 

「...今更だと思うけど...やっぱりツッコむわ...なんでいるの?」

 

「えー、けが人をほっておくわけないでしょ?」

 

「あ、そう。」

 

そう言いながら、部屋に向かった時。

 

「...あれ、ジョジョ、首筋の所になんか跡があるよ?」

 

「え、どこだ。」

 

「普通じゃ見えないとこだから、写真で見せるよ。」

 

パシャッ

 

「ほら。」

 

そう言いながらスマホを見せられる。

 

「...ホントだ...でも奇妙だな、綺麗な星型だ。」

 

首の左後ろに星型の...痣なのか?

 

こんなの前にはなかったと思うけどな...

 

「...そういえば、お前さっき、何か言いかけてたよな?」

 

「え...あー流石に病院行った方が良いって言おうと思ったんだけど...ジョジョが怖い顔してたから。」

 

「え...あー、そんなに顔に出てたか?」

 

「あんなジョジョ、初めて見たよ...どうしてあんな顔してたの?」

 

「あーまあ、お前らに怖いおもいをさせちまったからな...それで少しキレてた。」

 

「...そうなんだ......はー。」

 

「どうした、そんなため息出してよ。」

 

「そりゃ、出したくもなるよ...少しは自分の事を大事にしなよ。」

 

「.........なるべくそうする。」

 

「そんなに考えて、断言できないの?」

 

「...はー...今日の事で改めて思ったけど...俺には安息とは無縁なんだな...」

 

だが、ここまで俺をしつこく追ってくるのなら、何故俺を狙うのか気になってきやがった。

 

こうまでされたら、絶対に俺を狙ってる奴を暴いてやるよ。

 

「......あれ?」フラッ

 

急に体がふらついてきた。

 

「ジョジョっ! やっぱり血を流しすぎたんだよ! ほら、部屋に行くよ、前に薬貰ってたよね、どこにあるの?」

 

「あー...俺の部屋にある机の一番上の引き出しだ。」

 

「りょーかい、ジョジョは、寝ててね。」

 

「...ああ。」

 

流石にあいつの言う通りに寝よう...俺もやわになっちまったかな。

 

_______________________________________________

side:???

 

さて...連絡も済ませた...準備をしよう。

 

「ママー ママー。」

 

「どうしたの?」

 

「見てー。」

 

「...あら? あなた~」

 

「...どうした?」

 

「○○の首筋の痣がなくなったの!」

 

「...なんだと?」

 

「あ、パパー。」

 

「○○...ホントになくなったのか?」

 

「うん!...ほら。」

 

〇〇は私に、首筋を見せる。

 

「...っ! ホントになくなっている。」

 

...アイツはあったが...これは喜んでいいのだろうか...

 

「...パパ?」

 

「...っ! 悪い...だが良かったな。」

 

「うーん...でも、パパとおそろいだったから、ちょっと悲しいかも。」

 

「...そうか。」

 

これが良い事ならば、どこかで悪い事が起こっている...

 

「あ、パパー、約束覚えてるよね?」

 

「...ああ、もちろんだ、お前を連れていかない代わりに、フェニー君のぬいぐるみをお土産にだったな。」

 

「うん! 楽しみにしてるね!」

 

「ああ、もちろんだ。」

 

...

 

(あんた、いつか子どもが生まれたら...ちゃんと構ってやれよッ、いいなッ!)

 

「...? パパ?」

 

「...ああ、すまん。」

 

...ちゃんと構えていれてるかな?

 



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第51話:やく

side:響助

 

「...ん~」

 

やっべ...マジで寝てた...

 

「いまなんじだ......はッ!?」

 

6時だとっ!? ちょっと待て、俺どんだけ寝てたんだ!?

 

「え、夜のじゃあなくて......外明るいな。」

 

マジか、朝まで寝てたって事か?

 

...まあ、今日も休みだからいいけどさ。

 

起きたし、着替えよ。

 

 

 

「...あ、おはよ、響助。」

 

「か、母さん。」

 

「アンタ、瑞希ちゃんに感謝しなさいよ。」

 

「え?」

 

「私が帰ってくるまで、一緒にいてくれたのよ?」

 

「...マジで?」

 

「マジよ。」

 

...今度、何か奢るか。

 

「...ちょっと出かけてくる。」

 

「え、こんな朝早くに?」

 

「神社行ってくる。」

 

「...アンタ、瑞希ちゃんから聞いたけどめまいになったんでしょ。」

 

「あはは、もう大丈夫だよ。」

 

鉄分の何かもついでに買ってくるか。

 

_______________________________________________

 

朝だからか、この時期にしては涼しいな。

 

...にしても、この数日で俺、2回も刺されてるんだよな~、運が悪いってレベルじゃあねえぞ。

 

「厄年あと10年後なんだけどな...」

 

んなこと考えてもしょうがねえよな、とりあえず神社行って、御守りでも買っとくか。

 

「...あ、響助さん!」

 

「ん?...おー遥ちゃんか、今日もランニングか?」

 

「おはよ......怪我してないよね?」

 

「会ってそうそうそれ?...いやまあ、遥ちゃんと会ってるとき、結構な確率で怪我になってたもんな...怪我はしてないけど、若干貧血気味だね。」

 

ま、欠損以外なら治せるから、無傷だな。

 

「貧血?」

 

「そーそー、おそらく、鉄分不足かな。」

 

「そうなんだ...それって出血しすぎてじゃないよね?」

 

「あはは...そんなわけないだろ。」

 

「ホントに? 響助さん、無茶するから。」

 

「まーそうだけど、ホントにただの貧血だよ。」

 

「ならいいけど...無理しないでね。」

 

「おう、ランニングの邪魔して悪かったな、んじゃ。」

 

「...うん。」

 

...そういや、ジャージ買いに行かないとな、今着てるのを含めて2着しかないし。

_______________________________________________

 

神社につき、お参りもすました。

 

さて、無病息災のお守りも買ったし、鉄分補給しに行こうかな

 

階段は降りていると、見覚えがある青髪が見えた。

 

「あ、響助さん。」

 

「お、さっきぶり、そういや、ランニングコースだったな。」

 

「? それは?」

 

「無病息災のお守り、最近怪我すること多いからね。」

 

気休め程度にはなるだろ。

 

「...ねえ、響助さん。」

 

「うん?」

 

「何か、とんでもないことに関わってるよね。」

 

「...いや、関わってないけど?」

 

なるほど、やっぱり感づいてるか。

 

「SNSで流れてきたんだけど、昨日この辺で、血を流しながら、犯人に反撃したっていうのを見たの。」

 

それは、昨日の...まあ、道端だったもんな。

 

「へぇー、その人刺されたのに、よく反撃できたな、その人、亡くなったりは...」

 

「響助さん。」

 

「うん?」

 

「私、刺されたなんて一言も言ってないよ。」

 

「......あ。」

 

やっば、そういや言ってなかったわ、こりゃあ、墓穴を掘ったな。

 

「やっぱり刺されたの、響助さんだったんだね。」

 

「あー...」

 

俺って、心理戦って弱いのかね。

 

「響助さん、やっぱりとんでもない事に関わってるよね。」

 

「...」

 

とはいえ、遥ちゃんをこのことに巻き込むわけにはいかない。

 

「響助さん!」

 

「...遥ちゃん。」

 

「...っ!?」

 

「これ以上、踏み込まない方が良い。」

 

圧をかける。

 

...ただ、遥ちゃんも様々な事を越えてきた、そう簡単には引かないだろう。

 

「...?」

 

遥ちゃんの後ろに人がいるな...こんな時間に珍しい。

 

「...っ!」

 

この感じ...殺気か!?

 

...ジャケットの内側に手を入れてる...銃か?

 

...っ!? この弾道はまずいッ!!

 

「くッ!!」ダッ

 

俺は、遥ちゃんの方へ走り出す。

 

「悪い、遥ちゃんッ!」ガシッ

 

「えっ? きゃっ!?」

 

遥ちゃんを抱え、軌道上から身を躱す。

 

パンッ

 

銃声が聞こえるが、銃弾は、俺と遥ちゃんには当たらなかった。

 

「チッ...」

 

俺に向かって発砲した奴が舌打ちをする。

 

「遥ちゃん、怪我はないか?」

 

「う、うん。」

 

怪我はないか...だが、体が震えている。

 

当たり前だ、一般人なら生涯で1度あったら珍しい事が起こったからな。

 

まあ、俺も一般人のはずなのだがな?

 

コオオオ

 

「...なに神聖な場所で発砲してんだお前?」

 

奴の方を振り向きながら、俺はそう言う。

 

「マサカ、タダノガキダト思ッタガ、マサカ躱ストハナ。」

 

ん?...日本語に違和感を感じる...よく見れば、顔立ちもアジア系のそれではない。

 

「悪いが、てめーみたいな奴らに絡まれ続けてるからな、嫌でも覚えてるんだよ。」

 

「なんで俺を狙うんだ、俺ただの高校生なんだが?」

 

「オ前ヲ殺レバ、出世ニ近ヅクンデナ。」

 

...やれやれ、めんどくせえな。

 

「今日、貧血気味なんだよ、だからすぐお前を倒すわ。」フヒィーン

 

「マグレデ躱セタクセニ調子ニ乗ルナ...」

 

奴は、二発目を当てようと銃口を俺に向けた...その時。

 

スパンッ

 

肉が斬られる音が聞こえる。

 

「グガアァッ!?」ドサッ

 

悲鳴を上げ、体から力が抜けたように座り込む。

 

奴の膝の皿から血が流れ落ちる。

 

「ヒ、ヒザガァア、イッタイナニガ?!」

 

奴は何が起こったかわからず、出血している膝を見る。

 

まあ、わからねえだろうな、膝を切り裂いたのはシャボン玉なのだからな...

 

波紋を込めたシャボン玉を高速回転させて円盤状にして発射する、シャボンカッターと言う技だ。

 

あのセカイで、シーザーさんから教わった技だ。

 

膝を切り裂かれたら、立てなくなる。

 

「おい、よそ見をするな。」

 

「っ?!」

 

動けなくなった奴に突っ込む。

 

「お前、半グレなんだろ? だったら戦いの時によそ見してたらどうなるか分かってるはずだよな?」

 

「っ?!」

 

奴は俺の方向に銃を向けるが...遅すぎる。

 

「オラ!!」ブンッ

 

ベキッ

 

「ガッ?!」

 

拳銃を持っている腕を思い切り蹴り飛ばす。

 

手の力が抜け、奴の手から拳銃が離される。

 

何か折れた音が聞こえた気がするが、そんなことどうでもいい。

 

「おい...」グッ

 

「グ...ガ...」

 

奴の胸倉を掴む。

 

「お前さ、俺の前に人居るのに容赦なく発砲したよな。」

 

「別に俺を襲うのはムカつくが、どうだっていいがよ...彼女の肌に傷が残ったどうすんだおい。」グッ

 

「ガアッ?!」

 

そう言いながら、痛そうにさすってる腕を思い切り握りしめる。

 

...おっかしいな、貧血なはずなのに、なんで頭に血が上るんだろうな?

 

「コ...ロサ...」

 

なんか言ってるな。

 

「殺さねえよ、てめーと同じような人殺しにはなりたくないからな...だが、少し寝とけ。」ブンッ

 

そう言い終えると、そのまま奴の顎元を下から上へと殴りぬける。

 

バキッ

 

「ガッ...?!」バタンッ

 

そのまま奴は気絶した。

 

コオオオ

 

「出血してるからな、ショック死しねえように止血しよう。」バチバチ

 

波紋を使い、傷を治す。

 

さて、コイツは半グレ...おそらく『サングエフリッド』だろう。

 

銃も持ってたし、前に仗助さんに調べてもらってる、武器を売ってるサイトに関係あるかもしれねえな。

 

SPW財団の人に電話するか。

 

_______________________________________________

 

「はい...ではまた。」

 

SPW財団に電話をし、倒れた半グレを連れて行ってもらうように連絡した。

 

「...響助さん。」

 

今まで震えていた遥ちゃんが声を出す。

 

「...まずはごめん、巻き込んじゃって...」

 

「響助さんが悪いわけじゃ...」

 

「遥ちゃん、今のでわかったろ、これ以上、踏み込まない方が良いって...俺は、遥ちゃんや、他のみんなもこれ以上、巻き込みたくない。」

 

「...一つだけ教えて。」

 

「なんだい?」

 

「響助さんは...何者なの?」

 

「...ただの高校生...になりたかったかな。」

 

はぁ...高校生ではやっと普通の学生生活ができると思ってたのにな...現実はそうはいかないね。

_______________________________________________

 

遥ちゃんと別れ、街への方へと歩いていた。

 

半グレ...『サングエフリッド』、奴らの上の奴が、俺の命を狙っている。

 

ただの学生の俺にだ...これは何かおかしい。

 

ブーブー

 

そう考えていると、スマホが震えた。

 

「...『RS』か?」スッ

 

ピッ

 

「もしもし。」

 

『響助か?...少し話したいことがある、『RS』に来てくれないか?』

 

話したいこと...なんだ?

 

「わかった、すぐ向かう。」

 

電話を切って、すぐさま『RS』へと向かった。

_______________________________________________

 

『RS』につき、建物の中に入った。

 

「よ、響助。」

 

「郷秀! お前も呼ばれてたのか?」

 

「ああ、休日なのに朝早く呼ばれて少しねみーよ。」

 

郷秀まで呼ばれてるとは...これはデカい事か?

 

「2人とも、来たか。」

 

「朝早く呼んでどうしたんだ?」

 

「ああ、『サングエフリッド』の事だ。」

 

「「ッ!」」

 

「昨日、響助が捕まえた奴から色々聞けたんでな。」

 

「え、お前、そんなことしてたのか?」

 

「ああ、襲ってきたから返り討ちにしてやった時に、奴の口から、『サングエフリッド』の情報を聞けたからな。」

 

「マジか、何が聞けたんだ?」

 

「内部の事だ。」

 

「内部...俺達を呼ぶぐらいだから相当な事だよな。」

 

「ああ、まず、組織のボスは、基本的に下には姿を出さない。」

 

「姿を?...じゃあどうやって機能してるんだよ?」

 

「どうやらボスは信頼している幹部としか出会っていないようだ。」

 

徹底的だな...

 

「そして、組織の建物だが...どうやらめんどくさい事になっている。」

 

「めんどくさい? 建物が?」

 

「ああ、『サングエフリッド』は一つの建物ではないって事だ。」

 

「転々としてるって事か?」

 

「いや、文字通り複数あるって事だ...それも、普通の企業に紛れ込んでいるみたいだ。」

 

「はっ!? なんだよそれ!」

 

「俺も驚いたがな...だが残念ながら下っ端の下っ端のため場所までは特定には至らなかった。」

 

「くそっ...」

 

「それにもう一つ...『サングエフリッド』はただの半グレ組織だと侮っていたが...どうやらイタリアのギャングとつながっているようだ。」

 

「ギャングだと...そのギャングの名前は?」

 

「これも下っ端には知らされていないようだ...ギャングと手を組んだとだけは聞かされたようだ。」

 

わからないか...だけど、今日襲ってきた奴がアジア系じゃあなかったことの疑問は解消された。

 

「...ちょっと待て、イタリア系のギャングって事は...まさかッ!?」

 

「...お前の思っている通り、薬をばら撒いてるのは、この半グレ組織だ。」

 

「...どこまで腐ってやがるんだ...」

 

容赦なく、関係ない人を巻き込み、薬も売っているだと...ふざけるな。

 

「...響助、郷秀、前にも言ったが...前以上にとんでもない...だからお前らは...」

 

「手を引けだと?...ふざけるな、俺は引かねえ。」

 

「響助...?」

 

「...悪い、頭に血が上ってた...情報はそれだけか?」

 

「あ、ああ...」

 

「そうか...ありがとう...俺は今日貧血気味だから、家に帰るわ。」

 

そう言い終えると、俺は建物の外に出た。

_______________________________________________

side:郷秀

 

「...」

 

あんな響助、初めて見たぞ...

 

あの時のアイツ...怒りを通り越して、狂気を感じた。

 

「俺も帰るよ...あと、俺もひく気はないのでね。」

 

「...そうか...アイツと言いお前といいタフだな。」

 

そう言うと、響助の後に続くように、外へ出た。

 

「...お、まだいたか。」

 

外に出ると、響助の姿が見えた。

 

「郷秀?」

 

「今日のお前、いつにも増して機嫌悪くねえか?」

 

「...ああ。」

 

「何があった?」

 

「ここに来る前に、神社に行っていたんだ。」

 

「神社?...あーあそこの神社か。」

 

「最近、襲われてる事が多いからな、色々お守りを買っていたんだ。」

 

「御守りね~...そこまでは不機嫌になる要素はないようだが?」

 

「ここまではな、そのあと、遥ちゃんと出会ったんだ。」

 

「あ? 殺すよ?」

 

「待て待て落ち着け、と言うか伏字ですらなくなってるし。」

 

「その後だ、『サングエフリッド』の奴が現れた。」

 

「なんだと? まだ日が昇って間もないぞ?!」

 

「奴らには営業時間がねえみてえだな、そして俺を襲った...銃でな。」

 

「はッ?! おいおい、ここホントに日本だよな、前もあったけどよー。」

 

「そしてそのまま奴は発砲しやがった...軌道上にいる遥ちゃんごとな。」

 

「...なんだと?」

 

その発言を聞いた瞬間、心の底から煮えたぎる何かを感じた。

 

「安心しろ、遥ちゃんはケガしてねえよ、発砲する前に、軌道上の外に移動させたからな。」

 

「...そうか、なるほどな、お前が不機嫌になるのもわかるぜ...俺も聞いただけで怒りがあふれてくるぜ...」

 

「奴らは、一般人が巻き込もうが関係ないようだ。」

 

「へー、薬を売って無関係の一般人だろうが死んでも関係ないか~、どこまで腐ってるんだろうなー。」ゴゴゴ

 

「ああ...だから俺は。」

 

 

 

 

「『サングエフリッド』を潰す。」

 

「おいおい、高校生が言うセリフじゃあねーな。」

 

「ああ、そうだろうな、でもな...俺は善人じゃあねえからな。」

 

「そうだな、俺もお前も善人じゃあない...俺も『サングエフリッド』を潰すぜ、この日本で、こんなにも銃を下っ端に持たせてる組織...奴が関係してるかもしれねえからな。」

 

「決まりだな...次に奴らが襲ってきたら、聞き出すか。」

 

「ああ...ところで。」

 

「なんだ?」

 

俺は、一つだけ気になることがあった。

 

「軌道上から遥ちゃんを移動したって言っていたが、具体的には?」

 

「え、いや、時間がなかったから遥ちゃんを抱きかかえて移動させたけど。」

 

「なるほど、遥ちゃんをケガさせなかったことは敬意を表する...が。」

 

「遥ちゃんの体に触れたのは万死に値するぞ...」ゴゴゴ

 

「おいおいやめてくれ、今からアイツらを潰すんだ、俺らで潰し合いする場合じゃあないだろ、それは、潰した後にしてくれ。」

 

「おーそうだな、敵の敵は味方だ、まずはそのクソみたいな組織を潰すか。」

 

「...高校生ってこんな感じだっけ?」

 

「さあな、まあでも、毎日のように事件に巻き込まれる小学生になった高校生探偵や、中学生でチーム潰す宣言してる奴いるしこんなもんだろ。」

 

「どっちも漫画だろ...ったく。」

 

「さーって、この後どうする...ても、お前は帰るだっけ?」

 

「そうだな、しばらくしたら服屋でも行くかな。」

 

「服屋? 珍しいな。」

 

「刺されたり、斬られたりでジャージの在庫が無くなってきたからな。」

 

「あーなるほど...日本の中で、そんな理由で服買いに行くの、お前だけだろ?」

 



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第52話:郷秀 死す

side:響助

 

郷秀と共に『RS』にて注意喚起を聞いた後、それぞれの自宅へと帰っている途中。

 

「あ、お前の家行っていいか?」

 

「あ? 別にいいが、なんで?」

 

「そういや、お前んち行ったことねえなって思ってな。」

 

「そうだったか?...まあいいが、なんなら朝飯食っていくか?」

 

「いいのか?」

 

「ああ、一人増えるだけじゃあそんな変わらねえよ。」

 

「なら、ありがたくいただこうかな。」

 

そんな会話をしていたら、玄関前までついていた。

 

 

 

side:郷秀

 

ガチャ

 

「ただいま~」

 

「おかえり~...ってあれ? 響助、その子は?」

 

え...めちゃくちゃ美人なんだけど!?

 

いや、確かに瑞希ちゃんが言ってたけど、ここまで美人だとは思わなんだ...

 

「俺の友達だよ。」

 

「まあ!! 瑞希ちゃんの他にも友達がっ!?...お母さん、嬉しくて涙が...」

 

「母さん、俺を何だと思ってるんだ?」

 

「えー...ぼっち?」

 

「...否定できないから何も言えない。」

 

結構容赦ないな?...いや、どっちかって言うと...姉と弟みたいな感じだな。

 

...そういや、拾われたって言ったんだったな、だからそう見えるのだろうか?

 

「キミ、名前は?」グイ

 

「え...あ!」

 

顔を近づけてくる、響助のお母さん。

 

あっぶね...こいつのお母さんとかじゃあなかったら可愛いって言いまくってたらわ...

 

響助が、瑞希ちゃんや、杏ちゃんにメロメロにならない理由がわかるぜ...ッ!?

 

「?...どうしたの?」

 

「い、いえ...俺は、宝来郷秀です!」

 

な...なんだ、この凍るような目線...殺意か!?

 

でも横には響助しか...まさか響助からか!?

 

「郷秀くんね! これからも響助のことよろしくね!」

 

「は、はい!」

 

やべ...下手な事を言うと殺されるッ!?

 

横からの殺意に耐えながらリビングに案内された。

 

_______________________________________________

side:響助

 

母さんと郷秀、そして自分の分の朝食を作った。

 

腹が減っていたので簡単ですぐ作れるスクランブルエッグを作った。

 

「うっまッ!? 」

 

「そうか。」

 

「塩対応だな?」

 

「郷秀くん、こんな対応してるけど心の中では喜んでるからね。」

 

「ちょッ?! 母さん?」

 

「なるほど、ツンデレって奴ですね。」

 

「そうなのよ、瑞希ちゃんにもこれだからね~...いい子だからもっと素直になっていいのにね~」

 

「へぇー、可愛いところもあるなお前。」

 

「...郷秀、後でシバく...」

 

「俺だけかよッ!?......あ、響助のお母さん、こいつの女装写真あるんですけど見ます?」

 

「はッ!?...ちょッ!!」

 

「ホント? 是非見せて!」

 

「これですね、服は瑞希ちゃんが選んだみたいですよ。」

 

「あら~! なにこれ! めっちゃカワイイじゃん! さすが瑞希ちゃん、服のセンスがいいね~」

 

「お前...いつその写真を?」

 

「え?...昨日の夜に瑞希ちゃんに転送してもらった。」

 

「...瑞希もあとでシバく。」

 

マジで許さん。

_______________________________________________

 

朝食を食べ終わった後、しばらく部屋で過ごしてジャージを買いに、外へと出たのだが...

 

「なんでお前もついてきてんだ?」

 

「?」

 

え?みたいな顔をしている。

 

「別に服を買いに行くだけなんだけど?」

 

「昨日、お前刺されたんだろ? だからお前を一人にすると危険だと思ってな。」

 

「いや、別にいらないんだが。」

 

「おーひどいね~ まあ、もう一つあるんだがな。」

 

「なんだよ?」

 

「お前について行けば、カワイイ子に会えると思ってな~」

 

...何言ってるんだこいつ。

 

「何言ってるんだこのアホは?」

 

「おっと、多分逆だな...逆でもそんな変わらないが。」

 

「別に俺についてきても、かわいい子には会えるとは思えんが?」

 

「会う前に、遥ちゃんに会った奴に言われてもな。」

 

「はー、もう勝手にしやがれ。」

 

「おー、来るなって言わないあたりやっぱりツンデレだな~可愛い奴め~」

 

ピキッ

 

「フンッ!!」

 

ブンッ

 

俺は勢いよく右手を、郷秀の腹に叩き込んだ。

 

「ゴホォッ?!」ドスン

 

俺の拳は綺麗に腹に入り、郷秀は腹を抑えながら、地面に膝をつく。

 

「また言ったら、本気でやるぞ?」

 

「これで本気じゃあねえのかよ...」

 

郷秀が立ち上がった後、そのままいつもジャージを買っている服屋に向かった。

_______________________________________________

 

「そういや響助、さっきお前の家でお前のお母さんに会ったとき、物凄い殺気を感じたんだが...」

 

「ああ、お前が母さんに何かしたら殺すつもりだったぞ。」

 

「なに当たり前だろって顔でとんでもないこと言ってるんだお前!?」

 

「あはは...冗談だ。」

 

「...目が笑ってないんだが。」

 

「まあ、それぐらい俺の大事な人って事だ。」

 

「...そうか、お前にとって母親の前に命の恩人って奴か。」

 

「そういう事...だから、母さんに傷をつけた奴は......誰であろうと許さねえ...」

 

「...」

 

(最初にあった時より...なんて言うか、狂気が増した気がする。)

 

「...どうした?」

 

「いや、なんでもねぇ。」

 

「?...おう?」

_______________________________________________

 

お目当てのジャージも買えたし、そのまま家に帰ろうかな?

 

「ホントに同じジャージを買いまくってたな、他の服とか着ねえのかよ?」

 

「動きやすいからこれで良いんだよ。」

 

「パーカーとか着ないのか?」

 

「パーカーか...今度買ってみようかね。」

 

「瑞希ちゃんじゃあねえけど、少しはお前、服に気を使った方が良いぞ。」

 

「お前もたいがいだろ?」

 

「俺はお前と違って、毎回同じじゃあねえから」

 

「そうっすか。」

 

「それにしても、お前のセカイって便利だよな~...ミクちゃんには悪いけど。」

 

「だろ? 荷物持たないでいいのは助かる。」

 

『だろ? じゃない!!』

 

「うおッ!? びっくりしたぁ...」

 

「よ、ミクちゃん。」

 

『響助! 何度も言うけど、セカイは倉庫じゃないの!!!』

 

「すまんすまん、でも最近は整理整頓はしてるぞ。」

 

『そういう事じゃない! セカイを倉庫扱いしないでってこと!!!』

 

「はいはい...あ、今度シュークリームを作るつもりだけど、食べるか?」

 

『え、シュークリーム?』

 

「そうそう、食うか?」

 

『......食べる。』

 

「そっか、中身が何がいい?」

 

『...カスタードと生クリーム。』

 

「おー欲張りだねぇ...おっけ、あと外に出てるときはなるべく出ないでほしいけどいいか?」

 

『うん、わかった...絶対作ってよ。』

 

「もちろん、じゃあまた後でな。」

 

『うん。』

 

そう言いながら、スマホの画面からミクは消えた。

 

「...なんつーか...言っちゃあれだが......チョロくね?」

 

『聞こえてるからね!』

 

「うお、す、すまん。」

_______________________________________________

 

特に服を買いに行く以外の用事がないため、そのまま自宅に戻っていた。

 

「そういや、お前あんなにジャージ買っていたが、金は大丈夫なのか?」

 

「ん? あ~、金に関しては昔から稼いだのが貯金してるからめちゃくちゃ余裕があるぞ?」

 

「はっ? どういうことだ?」

 

「まあ、今もやってるけどな。」

 

「え...カツアゲ?」

 

「おい、グレてねェって言ってるだろ、ちゃんと綺麗な金だわ。」

 

なんでコイツも瑞希も、俺を不良扱いするんだよ。

 

「...簡単で良いからいくらぐらいあるんだよ?」

 

「え...百万は超えてるな。」

 

「マジかよ...だからお前、バイトとかしてないのか。」

 

「まあその分勉強やゲームとかしてたからな。」

 

動画で稼いでいるけど...あんま外で言う事じゃあないしな。

 

「...うん?」

 

あれ?...道路の向こう側のベンチに座ってるの...あの水色の髪色は、雫さんか?

 

...まあでも、あっちが気づいてないし、わざわざ声をかける必要もないか。

 

郷秀も気づいてないし、このまま通り過ぎよう。

 

「......あっ!」

 

さて、家に帰r

 

「きょーちゃん!」

 

......What!?

 

クルッ

 

先ほど、雫さんを見かけた方に振り向くと、雫さんが手を振っていた。

 

...嘘だろ? この距離で気づくって、千里眼か何かで?

 

呼ばれたのなら無視はだめだよな...

 

「ちょっと待て響助! あそこに雫さんがいるぞ!? 本物か!?」

 

「本物だから落ち着け...まあこの際だ、お前も来い。」

 

「言われなくてもついて行きます。」

 

道路の向こう側にいる雫さんの所に移動した。

 

...あっ、ちゃんと横断歩道を使ってだ。

 

「こんにちは、よく気づきましたね。」

 

「きょーちゃんが近くにいる気がしたの!」

 

ええ...さすがの俺も殺気以外じゃあこの距離で認知は出来ねえぞ。

 

「...あら? その人は、お友達?」

 

「初めまして! 私、響助の友達の宝来郷秀と申します!! 」

 

「あら~そうなのね! もしかして、前にきょーちゃんが言ってたお友達かしら?」

 

「そうですね、その内の一人です。」

 

「『Cheerful*Days』の頃からずっと見ていまして、テレビに出てる雫さんの姿を見て、何度も元気をもらってました! 『MORE MORE JUMP!』での活動、楽しみです!」

 

「そうなのね! 熱心に応援してくれてありがとう。」ニコ

 

「アッ」フラッ

 

あ、アイドルスマイルで倒れそうだ。

 

「おっと。」ポフ

 

倒れかける郷秀の身体を右手で支える。

 

「だ、大丈夫?!」

 

「大丈夫です、すぐ戻りますよ。」

 

「...はッ! すみません、お見苦しいものを見せました。」

 

「ううん、何にもないならいいのよ。」

 

...改めて思うと、最初に出会った頃の面影ゼロだな。

 

「今日は、雫さん一人でお出かけですか?」

 

「ううん、愛莉ちゃんと一緒よ!」

 

「え...元『QT』で現『MORE MORE JUMP!』の桃井愛莉ちゃん!?」

 

「そうだけど...詳しいなおい。」

 

「いや、それはお前が知らなすぎるだけだ。」

 

それはそうだな。

 

「...にしては姿が見えない....あ。」

 

離れたところに、愛莉さんを発見した。

 

なんで離れてるんだろうと思いながら、愛莉さんの方に歩く。

 

「こんにちは。」

 

「あ、響助じゃない、三日ぶりくらいね。」

 

「はい...ところで、何故雫さんから離れているのでしょうか?」

 

「雫の横を見て。」

 

「うん?」

 

雫さんの方を向くと、また倒れかけている郷秀とベンチに座りながら、猫を見つめている雫さんがいた。

 

「猫がいますね。」

 

「そうなの、わたし猫が好きなんだけど、猫アレルギーでくしゃみがでちゃうのよ。」

 

「あ~...それは大変ですね。」

 

...うん? そういや俺の能力なら...

 

「俺の能力なら、愛莉さんも猫を触れあえることができるかもしれません。」

 

「えっ?! どういうこと?!」

 

「前にも言いましたが、俺の能力はシャボンに触れたものから何かを奪えるんです、ですので、もしかしたらアレルギーも奪えるかもしれません。」

 

「そんなこと...いや、実際に重力を奪って、無重力状態を作り出してたのよね......わかったわ、お願い響助!」

 

「わかりました。」

 

スタンド能力を発動させ、シャボン玉を生み出す。

 

「これに触れればいいのね。」

 

そのまま生み出したシャボン玉に、愛莉さんが触れる。

 

「...変わった感じはないわね。」

 

「まあ、アレルギーですから、実際に猫に近づいてみたらどうでしょうか?」

 

「そうね! すー...よし!」

 

息を吸って、猫の方に向かう愛莉さん。

 

「あ、愛莉ちゃん...大丈夫なの?」

 

「雫...根拠はないけど、いける気がするわ!」

 

そう言い、猫に近づく。

 

「...っ! くしゃみがでないわ!」

 

ニャー

 

「———っ!」

 

愛莉さんはそのまま猫を撫で始めた。

 

「あ~......幸せだわ...」

 

ベンチに座り、猫を撫で続けている。

 

...とても幸せそうな顔をしてるな~

 

そのまま、愛莉さんは猫を愛で続けること10分ほど経ち、猫が愛莉さんの元を離れた。

 

少し寂しそうな顔をしていたが、すぐさま切り替えて俺の方を向いた。

 

「ありがとう、響助、おかげで猫と戯れる事が出来たわ!」

 

「喜んでもらえてよかったです。」

 

「ところで...雫の横のベンチに倒れてるの...響助の友達?」

 

「そうですね...ったく、いい加減起きろ。」

 

ベンチで気を失ってる郷秀を叩き起こす。

 

「はッ...今、雫ちゃんと愛莉ちゃんが、猫を愛でてる夢を見たんだが。」

 

「安心しろ、夢じゃあないからな。」

 

「...死ぬのか? 俺は死ぬのか!?」

 

「そうだったら俺はもう4回死んでるから...それに死んでも尊死だろ?」

 

「と....尊死...それ...なら...本望....」ドサ

 

「おーい! 寝るな!」

 

「眠かったのかしら?」

 

「いや、そうじゃないと思うんだけど...」

 



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第53話:響助 叱られる

side:響助

 

現実を受け止めれず、再び夢の世界へと旅立ってしまった郷秀。

 

嘘だろ、また寝やがったぞコイツ...

 

「すみません愛莉さん、雫さん。」

 

「いいのよ、もしかしたら疲れてると思うから。」

 

いや、疲れてはないと思うけど。

 

「いや、多分違うと思うわ...」

 

あ、愛莉さんはツッコミ側なのか、ボケが多くて困ってたから助かった。

 

「それにしても響助、その子に対して結構扱い雑ね。」

 

「雑って言うか、相手の態度によってはこんな感じですよ。」

 

「そっか、でも安心したわ。」

 

安心?

 

「なんでですか?」

 

「アンタ、基本的に礼儀正しいから、ちゃんとこういう面もあるんだなって安心したのよ。」

 

「そうなんですか...」

 

俺ってそんな礼儀正しいイメージだったんか。

 

まあ、迷惑かけないようにしたいしな。

 

「...んあ?」

 

そう考えてるとき、郷秀が目を覚ました。

 

「あれ?...まだ俺は夢を見ているのか?」

 

「いい加減現実を受け入れろ。」

 

「......まだ夢だなこれ、もう一度寝れば起きれるはずだ。」

 

ピキッ

 

再び夢のセカイ飛び立とうとする郷秀を見て、イラっと来た。

 

「いい加減にしろッ!」ブン

 

ドスン

 

寝ている郷秀の腹に、7割の力で拳をぶちこんだ。

 

「グボアァッ!?」

 

「「ッ?!」」

 

攻撃を受けた郷秀はカエルに近いようで近くない声を発し、腹を抑えていた。

 

「おま...ホントに内臓が破裂するって...」

 

「腹パンぐらいで破裂するわけねエーだろ。」

 

「それに、破裂したとしても俺が治してやっから。」

 

「悪魔だ...悪魔がいる.......悪魔たん。」

 

「よーし、歯食いしばれ。」ポキッポキッ

 

両手の指をポキポキと鳴らしながら、郷秀に近づく。

 

「やめてやめて、ホントに死ぬ、ってかいつからそんな暴力的になった...いや、元からだったわ。」

 

「...」ゴゴゴ

 

「OK俺が悪かった、だからその圧をやめてくれ、雫さんと愛莉さんが怖がってる。」

 

「え?」

 

郷秀がわけわからんことを言うため、雫さんと愛莉さんの方を振り向く。

 

「「ッ?!」」ビクッ

 

そっちを振り向いた時、二人はビクっとしていた。

 

「?」

 

「いや、なんで?って顔されても、どう見てもびっくりするだろ、お前が慣れすぎてるせいで感覚がマヒしてんだよ。」

 

「...そうなのか。」

 

...よく考えたら、中学時代の時は毎日喧嘩ばっかしてたしな、あいつの言う通り感覚マヒってんなこりゃ。

 

「きょーちゃん、きょーちゃんが良い子なのは知ってるわ、でもお友達に暴力はだめよ!」

 

「...はい。」

 

いつも叱られる人から叱られるのは、そこまでダメージはないのだが、雫さんのような人に叱られると、かなり心にグサッとくる。

 

(お~...わかりやすくダメージ入ってるな、まあ俺も雫ちゃんに叱られたらこうなるか。)

 

あからさまにダメージを負っている響助を見て、郷秀はそう思った。

 

「いや、お友達以外も暴力はだめでしょ。」

 

(それはそうだ。)

 

「あ、えーと...愛莉さん、初めまして宝来郷秀と申します。」

 

愛莉さんに自己紹介する郷秀。

 

「郷秀ね、さっき雫から聞いたのだけど、「QT」の時から応援してくれてるのね、ありがとう!」

 

「ーーーーーッ...もうこれで終わってもいい...」

 

「おい、急成長するな。」

 

「響助たちは、これから買い物かしら?」

 

「あ、いえ、買い物は終えたんでその帰りです。」

 

「そうだったのね、止めちゃって悪かったわね。」

 

「いえ、大丈夫です、では俺は帰りますね。」

 

「もう行っちゃうの、きょーちゃん...」

 

「雫、わがまま言わないの、じゃあね。」

 

「はい、では。」

 

雫さんと愛莉さんと別れ、自宅の方へと向かった。

 



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第54話:既視感

雫さんと愛莉さんと別れ、帰途についていた。

 

ただ、何か忘れてる気がする。

 

「....あ。」

 

「どうした?」

 

「鉄分の何かを買うの忘れてた。」

 

「鉄分?...ああ、お前貧血気味だって言ってたな。」

 

「そうそう、今日そのために外に出たのにすっかり忘れてた。」

 

「コンビニとかで買えばいいんじゃね。」

 

「そうだな、適当な飲み物でも買うかな。」

 

そう言い、近くのコンビニの方へ向かった。

 

「つーか、お前が貧血って珍しいな。」

 

「お前...俺を何だと思ってるんだ?」

 

「人間をやめた奴。」

 

「やめてねえよ、やめる気もねえ。」

 

「骨折をすぐに治した奴のセリフかね~。」

 

「...まあ、普段は貧血なんかしねェけどな...刺されたんだよ。」

 

「おいおい、何度目かと思うけど日本だよなここ。」

 

「残念だが日本だよ、油断してたとはいえ深々とやられたよ。」

 

「...? お前がそこまでやられるとはな、気を抜いてたのか?」

 

「まあ、瑞希とその知り合いと話してるときにドスッっとな。」

 

「え、お前瑞希ちゃん達の前で刺されたのか?」

 

「ああ、そうだけど...」

 

「...なんで治ったのかは多分波紋を使って治癒したのだろうと思うから気にならんが...今日出かけるって瑞希ちゃんに言ったのか?」

 

「いや、言ってないが...」

 

「...お前、今すぐ連絡入れとけ、メッセージでもいいから。」

 

「え、なんで?」

 

「なんでって...めっちゃ心配してるだろ。」

 

「心配...そうか、じゃあメッセージでも入れとくか、この時間帯だと起きてない可能性あるし。」

 

「ああ、そういやこの時間帯だと寝てる可能性あるのか。」

 

「テキトーに『お出かけなう』っと。」

 

「...マジでキレられるぞ。」

 

「そん時はそん時よ。」

 

そうメッセージを送信したとき、コンビニが見えてきた。

 

_______________________________________________

 

「ずいぶん買ったな...」

 

飲み物がたくさん入ったレジ袋を2つ持ちコンビニを出た。

 

「いつ何があるかわからないからな、念には念を入れてな。」

 

「何度もあってたまるか。」

 

真っ当なツッコミを入れられてしまった。

 

「そしてこれをセカイを転送っと。」

 

「...流石にミクちゃんがかわいそうになってきたぞ。」

 

「これに関しては帰ったら出すから問題ねえだろ。」

 

「そういう問題なのか...」

 

そんな話をしている時。

 

ブー

 

「ん?電話か......仗助さん?」

 

「仗助さん?」

 

ピ

 

「もしもし。」

 

『お、響助今時間あるか?』

 

「え、ありますけど何かあったんですか?」

 

『あー、実はおめーに会わせたい人が来てな。』

 

「会わせたい人ですか。」

 

『ああ、あと今後の事についても話してーんだ。』

 

話したいことか...そういや波紋の事仗助さん達に話しておきたいな。

 

「わかりました、今近くに郷秀もいるんですが、一緒でも構いませんか?」

 

『一緒にいんのか! ちょうど郷秀にも電話しよォーと思ってたから助かるぜ。』

 

「場所はどこですか?」

 

『オレが止まっているホテルだ、電話を切った後メッセージで住所を送る。』

 

「わかりました、すぐそっちに向かいます。」

 

ピッ

 

「会わせたい人ね、いったい誰なんだ?」

 

「さぁ...仗助さんの知り合いだから、もしかしたらスタンド使いかもな。」

 

「スタンド使いか...そういや俺達以外にあまりスタンド使いを見た事ねェーな」

 

「そんなぽんぽんいたら世界がぶっ壊れるだろ...」

 

郷秀と雑談していると俺のスマホから着信音がなった。

 

「あ、きた......この場所か。」

 

_______________________________________________

 

仗助のメッセージ通りの場所に着いたのだが...

 

「俺、シブヤで長い間住んでたが、こんな豪華なホテル見た事ないんだが...」

 

「それは、お前が街の事に興味を示してなかっただけじゃあないのか?」

 

「それはあるが、昔にこんなホテルなかったぞ、最近できたのか?」

 

本当にここに仗助さんがいるのかと、不安になったが、自動ドア越しから仗助さんを発見したため、ここであっているみたいだ。

 

「...お! 来たか。」

 

「どうも、仗助さん。」

 

「億泰と花京院さんが部屋で待ってるから案内するぜ。」

 

「え、億泰さんと花京院さんもいるんですか?」

 

「ああ、さっき言った今後の事について話しておきてェーんだ。」

 

「...スタンドの矢の事ですか?」

 

「そー言う事だ、色々メンドーな事になったからよォー。」

 

「そうなんですか...ところで、会わせたい人って、その人もスタンド使い何ですか?」

 

「おう! それにとても頼りになる人だ。」

 

「...けど、どーやら渋滞に捕まっちまったみてェーでよ、少し遅れる見てェーなんだ。」

 

「そうなんですか、仗助さんがそこまで言うんですね。」

 

「ああ、なんたって『無敵』って言葉が似合う人なんだ。」

 

無敵だって...どんなにすごい人なんだ...

 

_______________________________________________

side:みのり

 

うー...まさかサモちゃんのご飯を切らした事家族全員で忘れちゃうなんて、たしかあそこのスーパーだったら置いてあったはず!

 

急いでスーパーに向かってた時。

 

ドン

 

「キャッ!?」

 

何かに身体がぶつかり、大きくはじかれてしまう。

 

ダメ、転んじゃう!?

 

そのまま地面に転ぶ...そう思っていたけど。

 

「...あ、あれ? 確かわたし、ぶつかって...」

 

「よそ見しててすまなかったな、怪我はないか?」

 

「あ...ッ!?」

 

お、大きい!? 響助くんでも大きいって思ったのに、190ぐらいあるかも!?

 

「一つ訪ねたいんだが、この街で、〇〇というホテルを知らないか?」

 

「〇〇ですか?...ごめんなさい、知らないです。」

 

「そうか...ならば住所ではどうかな?、〇〇ー××なんだが...」

 

「...あ! それなら向こうをまっすぐ向かえばつきますよ!」

 

「そうか、ありがとう。」

 

そう言うと、とても大きな男の人はわたしが言った方向へと歩いて行った。

 

なんか...すごくワイルドなんだけど、知的って言うのかな、かっこよかったな...

 

「...あ! サモちゃんのご飯を買いに行かないと!」

 

_______________________________________________

side:響助

 

「ここの部屋だ...今はシブヤにいる時はこの部屋を使わせてもらってんだ。」

 

「そうなんですか...ホテル暮らしってどうなんですか?」

 

「んー、家にいた時とそんな変わんねーけど、なんかリッチそうでよくねーか?」

 

「まあ、そうですね。」

 

ガチャ

 

「花京院さん、億泰、二人を連れてきたっすよー。」

 

「ありがとう仗助君、それと1週間ぶりだね響助君、郷秀君。」

 

「どうも、花京院さん、億泰さん。」

 

「おう! 郷秀は久しぶりだな~!」

 

二人に挨拶すると、俺は気になることを言った。

 

「今から来る人ってお二人は、知り合いなんでしょうか?」

 

「ああ、僕が『ジョジョ』と呼んでた奴さ。」

 

「ッ! その人なんですか。」

 

「ああ、ただ少し彼は寡黙の所があってね、口数は少ないけど決して怒っているわけではないから、そこは安心してほしい。」

 

「そうなんですか。」

 

寡黙な人か...あまりそういう人と話した事ないな...

 

ピロロロ

 

「...っとすまない...噂をすればって奴だな...」

 

ピッ

 

「もしもし......うん、そこのホテルで合ってるよ、部屋番号は〇〇〇......わかった...そういうなら早くスマホを使いこなしてほしいところだけどね......」

 

ピッ

 

「着いたみたいだよ。」

 

「まだ使いこなせてないんすか...」

 

「彼曰く、努力はしているみたいだけどね...この前なんか何故か数字でメッセージを送られた時はさすがに頭を抱えたよ。」

 

「数字って...それってポケベル的なやつっすか?」

 

「多分ね...彼、妙に古いって言うか......一人だけ過去から来たような感じなんだよ。」

 

そういう人なのか......雫さんと同じくらい機械音痴なのだろうか...

 

コンコン

 

「ッ! 来たみたいっすね...出てきます。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

そう言い仗助さんはドアの方へ向かう。

 

ガチャッ

 

「久しぶりっす!」

 

仗助さんもしばらくぶりだったのか。

 

「ああ...彼らはいるのか?」

 

「はい、既に来てるっすよ。」

 

彼ら......俺らの事か?

 

「そうか...」

 

二人分の足音がこっちに向かってくる。

 

「相変わらず変わらないな、君は...」

 

「それはお互い様だぜ。」

 

聞き覚えのない声が聞こえ、声の方向に振り向いた。

 

そこには仗助さんよりも身長が高い男が立っていた。

 

心なしか仗助さんに似ているような...ん?

 

「...君たちか、調査に協力しているのは。」

 

「は、はい...あなたは?」

 

「...ッと自己紹介がまだだったな。」

 

 

 

 

 

 

「私は、空条承太郎だ。」

 

「承太郎さんですか...俺は」

 

「城ケ崎響助、そして君は宝来郷秀だな、仗助から聞いている。」

 

「え、あ、はい。」

 

...花京院さんの言う通り、寡黙な人だな...

 

...ただ一つ承太郎さんと出会って、気になることがあった。

 

「あの、承太郎さん。」

 

「どうした?」

 

 

 

 

 

「どこかで、会った事ありますか?」



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第55話:矢の行方

物凄く遅れてすみません!

リアルの方でやることが多くなってしまい遅れてしまいました。


「どこかで、会った事ありますか?」

 

「ッ...」

 

自分でも意味が分からない事を言ったと思う、けど気になった時には口は動いていた。

 

「ッ!? お前もそう思ったのか?」

 

郷秀が思いもしない言葉を発した。郷秀も会った事があったのか?

 

「...記憶の中では君たちとは会った覚えはない...だが、東京に住んでいた時があった、そのときに会った可能性はあるかもしれない。」

 

「そうですよね、変なこと聞いてすみません。」

 

変な事を聞いたことを承太郎さんに謝罪した。

 

「本題に入るが、仗助達と共に調査をしてもらっている『スタンドの矢』についてだが、まずは巻き込んでしまいすまない。」

 

本題に入ってすぐに承太郎さんは俺達に謝罪した。

 

「じょ、承太郎さん!? 謝らないでください! 俺達も同意の上でやってるんですから...」

 

「ああ、それはわかっている、だがここからは命を落とす可能性が高くなる。」

 

命を落とす...?

 

「どういうことですか?」

 

「ああ、今の状況を説明する。」

 

今の状況を承太郎さんから説明を受けた。

 

どうやらスタンドの矢が、今までは7本と仮定して調査をしていたが、協力者の調査により、8本だという事が判明した。

 

そして最後の1本はイタリアギャングが所持している可能性が出ているらしい。

 

そして、そのイタリアギャングが名前を変え、このシブヤで活動し始めたという。

 

「...なぁ響助...もしかしてよォ。」

 

「...ああ、俺も同じことを考えてた。」

 

「?...何か覚えがあんのか?」

 

俺達の反応を見て、仗助さんが問いかける。

 

「はい...実は俺達の協力者に、『サングエフリッド』っという所謂半グレ組織って奴なんですが...そことイタリアギャングが繋がっていると聞きまして。」

 

「なるほど...その可能性が高いな。」

 

「半グレ...それって財団からの連絡の奴のことかい?」

 

「はい。」

 

今日の朝、俺のことを襲ってきた奴を撃退しSPW財団に連れてってもらった奴の事だ。

 

「...僕はたまたまSPW財団の方と一緒にいたのだが、響助君、君はその『サングエフリッド』に狙われているみたいだね。」

 

「はい、どうやらその半グレ組織に命を狙われているみたいです。」

 

「...スタンドを宿らせてるとはいえ、高校生の命を奪うとは...響助君、その組織に何か恨みとか買ったのかい?」

 

自分の中でも疑問に思っていたことを花京院さんは俺に問いをかけた。

 

「...さあ、ただ俺の友達がさらわれそうになった時に接触したんで、そこで買ったっとしか思いつきませんね。」

 

過去に、えむちゃんがさらわれかけてた事を思い出し、そう発言したが...その前から狙われていた。

 

「...そういや、同じ組織かわかりませんが、変わった奴と対峙したんです。」

 

「変わった奴?」

 

「この時期に肌を一切出さないような服を着ており、力も一振りでコンクリの壁を砕くほどの力、そして、その服を焼き払ったら、見る見るうちに灰になって消えたんです。」

 

あの時の事を思い出しながら、奴の特徴を話した。

 

「...響助君...そいつと会ったのはいつだ?」

 

「夕暮れ時ですね。」

 

「...やれやれだぜ...まさかまたやりあう事になるとはな。」

 

ため息をつきながら、そう呟く。

 

「その反応...承太郎さん、吸血鬼や屍生人の事知っているんですか?」

 

「私は、そのことを知っていることに驚いたが...どこで知った?」

 

「正確には少し違いますが『セカイ』って所で聞きました。」

 

「『セカイ』?」

 

「はい、簡単に言えば、こことはまた別の世界の事です、花京院さん達は知っています。」

 

「そうか...それもスタンド能力の一つなのか?」

 

「いえ、どうやら人の想いからできているようで、人の想いの数だけあるようです。」

 

「そうか...となると、誰が君に?」

 

「ウィル・A・ツェペリって方です。」

 

「ツェペリだとッ!?」

 

ツェペリって名を聞いた承太郎さんは信じられないと言いたそうな顔をしていた。

 

「承太郎さんも知っているんですか?」

 

「直接知っているわけではないが、じじい......私の祖父から話は聞いたことはある...高祖父の波紋の師であったと......まさか、君も波紋を学んだのか?」

 

「はい、修行しなければそのまま殺されると言われたので。」

 

高祖父って祖父の祖父だよな...改めてそんなに前に亡くなった人と、想いの欠片を通じて繋がったのは未だに不思議だ。

 

「...そうか。」

 

「...って事は、傷に関しては俺がいなくても大丈夫になったってことだよな?」

 

「あー...いえ、流石に自然治癒程度なんで、切断や失明とかどうにもならないのでその時はよろしくお願いします。」

 

「そういう時は、そうなる前に逃げてほしいだが...」

 

俺の発言に仗助さんは真っ当な意見で俺に返す。

 

「...吸血鬼まで出しゃばってくるとなると、今回は予想以上に死ぬ可能性が高い...響助君...いや場合によっては仗助達も逃げることを視野に入れておけ。」

 

「わかりました。」

 

_______________________________________________

 

「現状はこんな感じだ。」

 

「まさか、矢の調査だけかと思ったが、強大な敵が出てくるなんてよォー...」

 

「まーでも、あの時よりはマシだぜ、明確な敵がいる以上な。」

 

現状の事を口にする億泰さんに、仗助さんはそう話す。

 

「...」

 

「...? どうかしましたか?」

 

承太郎さんが俺の方をじっと見る。

 

「響助君...君はスタンドについてどう思う。」

 

「思う...って言っても物心ついた時からいるのでどうって言っても...」

 

「そうか、なら言い方を変えよう...どう使う。」

 

「使う?」

 

「ああ、人間は何かを破壊して生きているといってもいい生物だ、仗助のようなこの世のどんなことよりもやさしいスタンド能力は少ない...君のスタンドも何かを破壊できる能力だ。」

 

「...」

 

「...だが、それも使い方によっては何かを守る力にもなる、君はどう使う。」

 

「...」

 

んなもん決まっている。

 

「守るために使います。」

 

「そのためにも、組織の奴らを徹底的に潰します...ただ、人殺しはしませんが...」

 

頭の中に出てきた、家族、友達、知り合った人を思い浮かびながら俺は言った。

 

「...そうか。」

 

俺がそう言うと、承太郎さんはそう返した。

 

表情自体あまり変わらない人ではあるが、声のトーン的に良い答えだったのかな?

 

ブーブーブー

 

「...ん? 誰かのケータイがなってるぞ?」

 

「僕ではないみたいだ。」

 

「...!」

 

なってたのは俺のスマホからだった。

 

「すみません、俺です...ッ」

 

...めんどくせぇ。

 

「...はい?」ピッ

 

『ジョジョっ!! 今どこにいるの!?』

 

「うおッ!?」ビクッ

 

突如物凄い大声で、スマホを耳から離してしまう。マジで、司先輩ぐらいの大声ぐらいじゃあねえの?

 

「...どこって言っても...さぁ?」

 

『さぁっ!? こういう時にふざけないでよ!』

 

「いや、ふざけてないって、ホントにこの場所あったことすら知らなかったんだから。」

 

_______________________________________________

side:郷秀

 

うお...ありゃあ瑞希ちゃんから連絡だな、ここからでも聞こえる。

 

...まあ、恐らく家を訪ねて刺された本人が居なくなったら心配するよなそりゃあ。

 

「...なァ?」

 

「...?どうしました億泰さん?」

 

「電話の相手...響助の恋人かァ?」

 

「え...部分的にそう...たぶん違うそうでもない...って感じですかね?」

 

「この声...確か前にあった...瑞希だったか? 確かにカワイイ感じだったけど。」

 

「嘘だろォ!? なんで響助ばっかり、あんなにモテるんだよォ...!!」

 

すっごい泣いてるな億泰さん...

 

「いや、別にモテてるわけじゃあねェだろ? 単に知り合いとか友達とかよォ。」

 

「モテてる奴はみんなそう言う事言うんだよォ!」

 

「...そう言う話を聞いていると、僕達が高校生の頃を思い出さないかい、承太郎?」

 

「...そうだな。」

 

「まあ、僕にとっては、あの50日間の方がより色濃く残ってるけどね。」

 

「...ああ。」

 

「いや...別に傷治ってるからいいだろ?」

 

『良く....! し...安静...!!』

 

...ったく。

 

「貸せ。」

 

「え、おい!」

 

「もしもし、瑞希ちゃん?」

 

『え、郷秀くん!? 近くにいたの?』

 

「うん、それと昨日の事はこいつから粗方聞いたからさ、俺が安全にそっち戻すから、安心してくれ。」

 

「おい、俺を子ども扱いみたいにすんな。」

 

「それと、ちょっと話すことあったんだ、もう終わったけど、だから真っ直ぐ帰るようにするから。」

 

『うん、お願い。』

 

「んじゃ、またな。」

 

ピッ

 

「...ってこれからは真っ直ぐ家に帰ること、瑞希ちゃんに心配かけさすんじゃあねェ。」

 

「わ、わかってるって、顔近ェって...」

 

これぐらい言わないとこいつはわからねえと思うからな。

 

_______________________________________________

side:響助

 

そのまま流れるように解散し、俺達も家に帰るところだった。

 

「さてと、家に帰るか......んで、お前はいつまでついてくる。」

 

聞いたところで、答えなど分かるが.....一応だ。

 

「あ? お前がしっかり家に到着するまでだが...」

 

「...だろうな、ただ聞いただけだよ。」

 

そう呟きながら、俺達は、家に向かって歩いていった。

 

_______________________________________________

side:承太郎

 

「...」

 

『守るために使います。』

 

『そのためにも、組織の奴らを徹底的に潰します...ただ、人殺しはしませんが...』

 

彼の瞳の中に黒い炎のようなものがあるように感じた。

 

目的のためならば殺人も厭わない程の強い意思を...

 

だが、彼の発言に嘘を感じなかった...文字通り殺人はしないのだろう。

 

じじいが言うには、黄金の精神と言う物だろう。

 

だからこそ、奴らのような殺人者にはならなかったのだろう。

 

...だが、これからは人以外とも戦う事になるだろう、その時彼は...

 

 

 

 

 

 

 

容赦なく、奴らを殺すだろう。

 

それも、自分の身体がボロボロになってもだろう...

 

宝来郷秀...彼は、何者かに家族を殺され、その復讐をはたすために調査をしていたみたいだ。

 

彼もまた、目的のためなら、殺人も厭わない程だろう...

 

私は、彼らのスタンドを思い浮かべる

 

「城ケ崎響助、宝来郷秀...二人との出会いはきっと必然だったのだろうな...」

 

そう呟き、ホテルの自室へと向かっていった。

 



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第56話:夾雑物

郷秀が見ているためそのまま自宅に向かっている。

 

...いや別に、いなくてもそのまま向かうつもりだけどね。

 

そうして家まで戻ってきたわけだ。

 

ガチャ

 

「ただいま...」

 

「あ! ジョジョ!」

 

「...元からここに住んでるように出てくるな...瑞希。」

 

「今そういうのいいから!...体調は?」

 

「大丈夫、いつも通りだ。」

 

「よかった......ホントに心配したんだからね。」

 

「...悪い。」

 

「...」

 

(こいつ...やっぱり瑞希ちゃんに対して弱いな...)

 

(そういや...コイツ前に...)

 

_______________________________________________

side:郷秀

 

これは俺が転校して少し経った時だ。

 

「...そういえば響助?」

 

「ん? どうした?」

 

「お前、なんで『悪霊が憑いている』なんて呼ばれてるんだ?」

 

「...今更だな?」

 

「まぁ、そうだが...けど気になるもんは気になるだろ?」

 

「そうかよ...まぁ、そうだな簡単に言えば悪霊を使ってクソ野郎共をぶちのめした...らしい。」

 

「らしい...ってお前がやったんだろう?」

 

「さぁな...あん時頭に血が上ってよく覚えてねぇや。」

 

「...相当キレてんねぇ...なんでそうなったんだ?」

 

「...否定されたからだ。」

 

「否定?」

 

「...瑞希を否定されたからだ。」

 

「...なるほどな。」

 

「別に犯罪なんて犯してねぇのにな...だからキレた...理由なんて関係ねえ...いや理由なんてあっちゃあいけねェんだよ...」

 

「...そっか...悪いな思い出したくない事聞いて。」

 

「別に、もう過ぎた事だ...」

_______________________________________________

side:響助

 

(確かに瑞希ちゃん知った今、俺だってキレるだろうな...けど、あの時のアイツの雰囲気、他にある気がする。)

 

「あと! メッセージの時にボクの名前、間違えてる時あるからね! 瑞希の希は希望の希だからね! のぎへんの稀でもなければ、季節の季でもないからね!!」

 

「どっちでも同じようなもんだろ?」

 

「そうはいかないよ!」

 

(いや、名前間違えるのは普通に失礼だろ...)

 

「予測変換で出てくるんだよ...それより母さんは?」

 

「それよりって...出かけたよ。」

 

「そっか、んじゃあ早速作るか。」

 

「...? なんか作るの?」

 

「シュークリーム、生クリームとカスタードのな。」

 

「え!? 急になんで?」

 

「ミクが食いたいってな、お前も食うか?」

 

「う、うん! 食べる!」

 

「おし、んじゃあ...時間かかるから俺の部屋でゲームでもやってもいいぞ、多分勝手にやってそうだけど。」

 

「うん! 楽しみにしてるね、郷秀くん、行こ!」

 

「ああ...なんか手伝うことは...」

 

「いや、大丈夫だ、お前もゲームやってこい。」

 

「んじゃ、お言葉に甘えてやってくるわ。」

 

「おう...さてと、やるか。」

_______________________________________________

 

「よし、後は余熱の中に入れといてっと...」

 

シュークリームのレシピ通りに作り、今は最後の工程だ。

 

「ちょっと待て! 最初に相手にする数じゃあねぇだろ!!」

 

「...ああ?! 郷秀くん!! チェンソー来てる!!」

 

「ヤバイ!! ナイフの耐久度がない!!」

 

...バ〇オやってんなあいつら...スイーツ食う前によくやるね~

 

「ヤバイヤバイヤバイ パリィ出来ない!!」

 

ブーンッ

 

グチャッ

 

「「あ」」

 

...チェンソーにやられたな。

 

_______________________________________________

 

よし、クリームとカスタードも入れてっと...完成だ。

 

「お前らー出来たぞ。」

 

「ん? はーい!」

 

「...いい匂いだな。」

 

「当たり前よ、作るからには美味いものを作らねぇとな。」

 

「...! 食べていい?」キラキラ

 

「ああ、食いな。」

 

「いただきま~す!」

 

手作りシュークリームを2人は食べる。

 

「ーーーっ!? 美味しい!」

 

「...ん! 美味い。」

 

「フッ...そりゃあよかった。」

 

「ホントに美味しい...お店で出てきても気づかないかも。」

 

「朝食の時も思ったが...ホント意外な才能だな...」

 

「まぁ、そうだな。」

 

「んー...ボクのシェフになってもらいたいね☆」

 

「あはは......あんま調子乗んなよ。」

 

「じょ、冗談だよ...☆ だからその怖い笑顔やめて...」

 

「にしても、結構作ったな?」

 

「多めに作った方が、材料が中途半端に余らなくていいんだよ。」

 

「なるほどねェ...ごちそうさま。」

 

2人は手作りシュークリームを食べ終える。

 

「ごちそうさま! さてっと、ボクは帰るね。」

 

「あら珍しい、お前がすぐ帰るの?」

 

「今日はサークルで作業があるんだ~。」

 

あー...なんかサークルでなんかやってるって言ってたな。

 

「それってオフ会的な奴とかやんのか?」

 

「え? うん、するけど...それがどうしたの?」

 

「近々やるのか?」

 

「う、うん。」

 

「...ちょっと待ってろ。」

 

「え?」

 

俺は席を立ち、作ったシュークリームを紙袋に入れて、そこから袋に入れる。

 

「ほら、サークルの皆さんにな。」

 

「え? いいの!?」

 

「ああ、いつも瑞希が世話になってるからな。」

 

「いや、オカンかよ、響助。」

 

「ーーーっ! ありがとうジョジョ! 今日は安静にしててね。」

 

「わかってるよ。」

 

そう言い、瑞希は自分の家に帰っていった。

 

「...いい笑顔だったな、瑞希ちゃん。」

 

「ああ、ずっとあーでいて欲しい所だ。」

 

「本人に言わねェーのか?」

 

「言ったら調子に乗ってイジるから言わん。」

 

「あらら...さてと、ミクちゃんに届けに行こうぜ。」

 

「そうだな。」

 

テーブルに置いておいたシュークリームを紙袋に入れ、スマホからセカイに移動した。

 

 

 

「おーいミク、作ってきたぞ。」

 

「あ、響助! その紙袋?」

 

「そうそう、ほら。」

 

紙袋からシュークリームを取り出し、ミクに差し出す。

 

「シュークリーム!」キラキラ

 

「ほら、出来たてだ。」

 

「いただきます!」

 

パクッ

 

「...っ! 美味しい!!」

 

「そりゃあ良かった。」

 

「...」

 

(やっぱ、兄妹に見えるな~...てぇてぇ。)

 

「...うん?」

 

「どうした?...あれは?」

 

郷秀の声に反応し、郷秀が向いている方向に向くと、そこにはバグった感じの、想いの欠片がふわっと浮いていた。

 

「やれやれ、またか。」

 

「行く気まんまんかよ、安静してろって言われてるってのに...あんま無理すんなよ。」

 

「わかってるよ...んじゃあミク行ってくるわ。」

 

「...え、うん、気を付けてね。」

 

「おう。」

 

そう返して、そのまま想いの欠片に触れた。

 

_______________________________________________

 

「...っと、ここは?」

 

飛ばされた先は、どこかテーマパークのような感じの場所だった。

 

「テーマパークに来たみたいだぜ テンション上がるなぁ~」

 

「テーマパークみたい...てかテーマパークだなこりゃあ?」

 

観覧車もあるし...なんか空中に浮いてる汽車みたいなものもある...

 

重力どうなってるんだよって思ったが、俺もシャボン玉を足場にしてたし今更か。

 

「ジーーー。」

 

「...ん?」

 

...なんか見られているな?

 

「誰だ?......は?」

 

視線の方を振り向くと、ミク...みたいなデカい着ぐるみがそこにいた。

 

「ミクダヨー☆」

 

「「...」」

 

...たしか想いの世界ではバーチャル・シンガーがいるとは思っていたが...こいつはバーチャル・シンガーではないよな...着ぐるみだし。

 

「お前がバグの正体か...じゃあ切り捨てるか。」

 

そう言い、俺のセカイから2刀の木刀を呼び出し両手に木刀を構えた。

 

「いや、木刀じゃあ切り捨てなれねェだろ?」

 

「わわわ?! 待って待って。」

 

「...ん?」

 

着ぐるみが必死に手振りで訴える。

 

「...うまく脱げないヨー」

 

「...?」

 

よく分からないが...敵意はなさそうだな。

 

「郷秀、着ぐるみの頭を取ってくれ。」

 

「え、俺かよ...ったく。」

 

スポッ

 

「ふー、すっきりした~☆」

 

「なッ? 初音ミクの中に初音ミク...これがマトリョシカか?」

 

着ぐるみの中から、猫耳...でいいのかこれ?

 

...まぁ、そんな感じのリボンって事にしとくか。

 

そんな感じの、どこかショーをしそうなミクが着ぐるみの中から出てきた。

 

目がしいたけだな...どこかえむちゃんと似てる気がする。

 

「初音ミク...つまりお前がこのセカイのミクってことか?」

 

「うんっ♪...キミはあんまり驚いてないみたいだね~」

 

「まぁ...俺もセカイを持ってるしな」

 

「そうなんだねっ!」

 

...なんか、会話しててもえむちゃんに似てるな。

 

「...あの、ここってミク以外に誰かいるのか?」

 

「うんっ! カイトがいるよっ!!」

 

KAITOがいるのか...そう言えば、一歌ちゃん達のセカイにはルカがいたよな?

 

...ってことは、レンやリン、MEIKOとかいるのかもな。

 

「そっか、なんかここで変わった事はないかい?」

 

「ううん、特にはないよ☆」

 

...ってことはまだ起こってないか。

 

「...なぁ、少しこのセカイ、見て回っていいか。」

 

「いいよ~!」

 

即答だな...

 

「ありがと、郷秀、行こう。」

 

「ああ。」

 

ミクから許可をもらい、このセカイを探索する。

 

「...あの観覧車、乗れるのか?」

 

「さぁな、想いで出来てるらしいけど、どうなんだろうな?」

 

しっかし...一歌ちゃん達は教室、雫さん達のはステージ、彰人達のはどっかの街みたいなとこなんだよな...俺のセカイは真っ白味気ないからなんか欲しいんだよね...いや建物はいっぱいあるんだけど。

 

「...っ?」

 

「どうした、響助?」

 

「人の気配を感じる。」

 

「さっき言ってた『KAITO』じゃあないか?」

 

「...念のため物陰に隠れながら観察しよう。」

 

「わかった。」

 

物陰に隠れ、気配の方をのぞく。

 

気配の正体は、『KAITO』...ではなく、緑髪の女の子だった。

 

「...っ! あれは...寧々ちゃん?」

 

「知ってんのか?」

 

声が聞こえないように小さく話す。

 

「ああ、確かショーをやってるとかなんとか...なるほどね、だからここがテーマパークみたいな所なんだな。」

 

「おいおい、またカワイイ女の子じゃあないか...なんなんお前。」

 

「うるせぇよ...っとなると危険だな...今の所大丈夫だが...」

 

正直バーチャル・シンガーだけが良かったが、そんなこと言うヒマはないだろう。

 

そのまま数分何もない時間を過ごしていたその時。

 

「...ッ!?」

 

寧々ちゃんの前に、黒いモヤが現れた...まずい刃物を持ってやがる!

 

「チィッ!」

 

「響助!?」

 

考えるよりも先に身体が動いていた。

 

 

 

「えっ?!....ヒッ?!」

 

(こんなの、今まで見た事ないっ?!)

 

スッ

 

(ダメ...体が動かない...)

 

ドスッ

 

刃物が何かに刺さる音がした...だがそれは寧々ちゃんからではなかった。

 

「...えっ?」

 

「おいおい、なに大切な友達を刺そうとしてんだこの野郎。」

 

刺さったのは、俺の左手だった。

 

『ッ?!』

 

流石にこの行動には奴も驚いていた。

 

そして、数秒の隙が生まれた。

 

コオオオ

 

「隙だらけだ、食らっとけッ!!」

 

ブンッ

 

ゴスンッ

 

『ガァッ?!』

 

奴の顎元を狙い、右腕でアッパーカットを食らわせた。

 

波紋で身体能力を上げた拳を食らった奴の身体は宙に舞った。

 

ドサッ

 

数秒宙を舞った奴の身体は地面に落ちた。

 

「すっげェパワー...ってお前の右手の奴。」

 

「ああこれ...メリケンサックだよ。」

 

奴を殴る前、俺のセカイからメリケンサックを呼び出していたのだ。

 

「なんでんなもん持ってんだよ?」

 

「...護身用?」

 

「あの威力で護身はねえわ...ありゃあ死んでるぜ。」

 

「いいだろ別に、殺しにかかってたんだから...」

 

「...え.....城ケ崎...くん?」

 

「うん、寧々ちゃん、怪我はない?」

 

「わたしは...っ! 城ケ崎くん、左手?!」

 

「え?...あ。」

 

そうだった、左手に刃物が刺さってるんだった。

 

「早く病院に...!!」

 

「ああ、これぐらいなら。」

 

スッ

 

そう言いながら左手に刺さったナイフを引っこ抜く。

 

刃物を抜いたことにより血を止めるところが無くなり血液が出始める。

 

「っ?! 何してるのっ?!」

 

コオオオ

 

波紋で刺された箇所を治す。

 

「これで良しっと。」

 

セカイに置いておいたタオルを取り出し、血だらけの左手をふく。

 

「えっ...傷が...ない?」

 

「これ波紋って奴で治したんだ。」

 

「は...もん?」

 

「あー...まあ簡単に言えば生命エネルギー?...詳しい事は類先輩に聞いてくれ。」

 

「えっ...類は知ってるの?」

 

「教えた...って言うか問い詰められたと言うか...」

 

「あー....類そういうの好きだもんね...ごめん。」

 

「いや、悪い人じゃあないしね、気にしてないよ。」

 

「まあ変人とは呼ばれてるけどな~」

 

そう言いながら郷秀が近づいてくる。

 

「っ!」

 

サッ

 

「...ん?」

 

寧々ちゃんは俺の後ろに隠れた。

 

「...! もしかして寧々ちゃん、会った事ない人と話すの苦手?」

 

「...うん。」

 

「そうなのか、ごめん、俺は1年の宝来郷秀、響助の友達で、類先輩の知り合いだ、よろしく。」

 

「...草薙...寧々...よろしく...」

 

それぞれ挨拶をすましていた時。

 

「...ッ!? 響助!? 何故ここにいるんだ!!?」

 

この大きな声は...

 

「どうも、司先輩...と類先輩にえむちゃん。」

 

「おやジョジョくんじゃないか?...もしかして君もセカイを持っているのかい?」

 

「まあ、そうですね。」

 

「いや、冷静だな!!?」

 

「まあね、彼なら何もしても驚かないかな?」

 

「ずいぶんな言い草ですね...」

 

「わーっ!! 響助くーん! こんにちはー!!」

 

「こんにちはえむちゃん、今日も元気だな。」

 

「むっ? えむと響助は知り合いだったのか?」

 

「うん! 響助くんがあたしの事助けてくれた時に知り合ったんだー!」

 

「うん? 助けてくれた?...どういう事だ響助?」

 

「えっとーそれは...」

 

俺は司先輩達にあの日の事を話した。

 

「なにっーーーー!!!? そんなことがあったのか!!!?」

 

うおっ!? ジェットエンジンの音ぐらいあんじゃあねえのか?

 

「そうか...お前がいてくれなければまたこの4人で揃う事は無かった、改めて感謝する!!」

 

「だが!! 前にも言ったが少しは自分事を気にしてくれ、何かがあっては遅いのだからな!!」

 

「そこらへんはしっかりしているつもりなので大丈夫ですよ。」

 

「そうか!...むっ? そこにいるのは...確か最近転校してきて響助たちと一緒にいる...」

 

「どうも、宝来郷秀です、司先輩、えむちゃんよろしくです。」

 

「ああ! よろしくな!」

 

「よろしくね! 郷秀くん!」

 

「...っ!? 響助! どうしたんだその左手!?」

 

「えっ...」

 

司先輩に指摘され、左手を見ると拭き取れなかった血と、傷跡が残っていた。

 

...そっか、仗助さんのスタンド能力と違ってあくまで自然治癒の範囲程度だから傷跡は残るのか。

 

「何があったんだっ!?」

 

「えーと...簡潔に言うと、このセカイに来た時に、寧々ちゃんが刃物を持った黒いモヤに刃物で襲われそうな所を俺の左手で守ったんです。」

 

「そんなことがッ!?...今までこんなことはなかったはずだが......? 待て、なぜそこまで治っているんだ、話し的に先ほどの事だろう?」

 

「波紋って奴で治して......詳しくは類先輩に聞いてください。」

 

「僕に丸投げかい? 扱いが悪くて僕は泣きそうだよ よよよ...」

 

「全く泣きそうな顔をしてないじゃないか...」

 

「ねー響助くん?」

 

「ん? なんだ?」

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫だ、傷も塞がってるからね。」

 

「そうじゃなくて、痛かったよね?」

 

「痛...まあね、だけど慣れてるから。」

 

「...?」

 

(あいつ今、言葉詰まったか?......まさかあいつ。)

 

「もー!そんなことに慣れたらダメだよ!!」

 

「わかってるよ、俺も別に傷つくことが好きな事じゃあないからね、躱せる時は躱すさ。」

 

「そこは関わらないようにして欲しいんだが...」

 

「...そういえば響助、お前たちが言っていた黒いモヤとは?」

 

「あー、あそこにある奴ですよ、何故か急に湧き出るんです...?」

 

「どうした?」

 

...何か違和感がある...なんだ...?

 

「...ッ!?」

 

そして気づいた。

 

「なんであいつまだ消えてねェんだッ!?」

 

そう、いつもならエフェクトみたいなものが倒れた奴から出てきて消えるのだが...今回は違った。

 

『ガァアアアアアッ!!!』

 

奴は叫び始め、そして体が大きくなり始めた。

 

「おいおい...こんなのゲームや漫画とかしか見た事ねェーんだけど...」

 

「響助、郷秀!! あれは一体何なんだ!?」

 

司先輩が俺達に問うが...

 

「すみません司先輩、これは完全にイレギュラーです...」

 

司先輩達を逃がしたい...が奴は待ってくれないだろうな...

 

「司先輩達はなるべく離れてください!!」

 

巻き込む可能性があるため、司先輩達を離させる。

 

「お前たちはどうするんだ?」

 

「俺達はあの巨大な化け物をやります。」

 

「なっ!? ダメだっ!! お前たちも一緒に来るんだ!!」

 

ま、そう言うだろうな...けど時間がねえ。

 

「すみませんがそれは出来ません。」

 

「なんだと...っ」

 

司先輩が後ろに倒れかける。

 

「おっと。」

 

すかさず類先輩が司先輩を抱える。

 

「司!?」

 

司先輩は意識を失っていた。

 

「なるほど、それが君の...?」

 

そう、俺のスタンド能力で司先輩の意識を奪った、近くにその証拠のシャボンが浮かんでいる。

 

「ええ、あんまりやりたくない方法ですが、時間がないので...類先輩達はその場から離れてください。」

 

「...わかった、ただ一つ約束してくれないかい?」

 

「なんですか?」

 

「必ず、生きて戻ってきてくれないかい...あの子が悲しむからね。」

 

「あの子......っ!」

 

類先輩が言うあの子と言う単語で、俺の頭によぎったのは、ピンク髪のサイドテールのヘアスタイルあいつを思い浮かべていた。

 

「...フッ当たり前じゃあないですか、それにアイツとは、置いていかねえって約束してるんです。」

 

「そっか...寧々、えむくん、行くよ。」

 

「類くん!?」

 

「類!?」

 

「二人ともこっちに来て。」

 

類先輩は司先輩を背負いながら寧々ちゃんの手を引っ張りその場から離れ、それに続くようにえむちゃんも離れる。

 

「さて、これで暴れられる。」

 

「と言っても、弱点をつかないと俺らパンケーキになっちまうぞ。」

 

「どっちかって言うとハンバーグだろ...確かに、あんなに巨体な奴なんて戦ってないしな...」

 

「うーん、プラ〇ガはねェーの?」

 

「それバ〇オのエ〇ヒだな、そんなゲーム的な弱点なんて...あ?」

 

奴の首をよく見ると、後ろの方に赤いモヤが現れていた。

 

「そんなゲーム的な事なんてあるんだねぇ...」

 

「つっても...あの高さ、無理だろ。」

 

「いやぁ...お前の能力を使えば余裕だろ。」

 

「ん?......あぁ、なるほどォ...」ニヤ

 

郷秀はあくどい笑顔を見せる。

 

「俺が囮になる、お前は隙を狙うんだ。」

 

「OK、さあ始めるか!!」

 

「おい化け物、こっちだ!」

 

俺は郷秀から狙いを外させるため、大声を出す。

 

『ガァァァ!』ブンッ

 

「おっとっ! 大振りで俺を倒せると思うなよ!」

 

やっぱりこういう巨大ボスって奴は、知能が低いってのがお決まりだよな!

 

...たまにバリバリ知能ある奴もいるけどな。

 

「サンキュー響助!!」

 

俺に攻撃したため奴の意識から郷秀が外れ、奴の死角から郷秀が奴の懐に入る。

 

「へへへッ...ダルマにしてやりゃあ!!」

 

悪役のようなセリフを言い、あいつのスタンド『ナット・キング・コール 』を出しそのまま奴の足にネジを取り付け。

 

ガコン

 

『ガァッ!?』

 

そのまま奴の足を外した...まったくあいつは敵にしたくねえな。

 

「もう一本も外すぜ!」

 

ガコン

 

『ガッ!?』

 

奴の両足は完全に外れ、奴は前方方向へと倒れこむ。

 

「うおっ?! あっぶないねェー!!」

 

倒れこむ奴を猛ダッシュで躱す。

 

「ふぅー...地面と化け物でサンドイッチなんてごめんだね、カワイ子ちゃんなら全然welcomeだけど。」

 

「くだらねぇこと言ってる時間があるならさっさと奴の両腕を外してくれ!」

 

「へいへい、さーて両腕も外しま...」

 

郷秀が奴の両腕を外そうとした時。

 

『ガアッ!!』ブンッ

 

奴が暴れ始めたんだ。

 

「うおっ?! あぶねーなッ!!」

 

ただ動き自体は単調だ、郷秀は攻撃をバックステップで回避する。

 

「...どうするか。」

 

「いや、両足がないなら、動きが制限できる...俺がやる。」

 

「おいおい、あの中に飛び込むのか? 一瞬でミンチだぜ?」

 

両足がないという未知の感覚で暴れている中、奴の中に飛び込むのは確かに自殺行為だろ...俺以外はな。

 

「大丈夫だ、波紋で身体能力を上げて一気に赤いモヤに攻撃する。」

 

「そうかその方法が...わかった俺もできるだけアシストする。」

 

「頼む。」

 

コオオオオオオオオ

 

波紋の呼吸をし、身体能力を高める。

 

(うおっ...)

 

郷秀は、響助の身体から金色のオーラが出てるように見え驚く。

 

「...やるか。」

 

ビュンッ

 

(っ...想像以上じゃあねェか!?)

 

まさにビュンッと言う擬音が聞こえてくるような、まさに疾風だった。

 

『ガァッ!!』

 

奴は暴れるが。

 

「遅え、スローに見える。」

 

ゾーンに入っていたため、奴の動きがスローのように見えた。

 

(すげぇな、波紋であそこまで...いや波紋だけじゃあなくてあいつの反応速度も尋常じゃあないな。)

 

「フンッ!」バスッ

 

そのまま奴の上に跳びあがる。

 

「すっげェジャンプ力...」

 

(...そういや、あの波紋での身体能力を上げる奴、何かに似てるんだよな...)

 

そのジャンプ力は人間の限界を優に超え、数倍...数十倍をも高く跳んでいた。

 

メギャン

 

「弱点に串刺しだ...」

 

セカイから木刀を取り出し、そのまま赤いモヤにその木刀を刺そうとする。

 

『ガアアッ』ブンッ

 

奴が赤いモヤに攻撃されないように腕を動かす...だが。

 

ガコン

 

『ガァアッ?!』

 

防ごうとした腕が取れる。

 

「視界が狭いな...」

 

「オラッ!!!」

 

ドスッ

 

木刀は奴の赤いモヤに深々と刺さる。

 

『ガアアッ!?....ガッ...』

 

深々く刺された黒いモヤの化け物は力が抜けるように倒れこむ。

 

そして、そのままエフェクトを発し、そのまま消えてなくなった。

 

「おうおう...今度こそ完全に消えたか。」

 

(まったく、あいつは人間離れしてるぜ...俺も習うかねェ...)

 

「...はぁ」

 

「...ん?」

 

「はぁ...はぁ...」

 

息が荒れており、胸を押さえていた。

 

(珍しく疲れているのか?...ッ! 思い出した! 波紋で身体能力を上げる奴、ギ〇2に似てるんだ! だとしたら...)

 

「おい、それあんまり使うなよ。」

 

「え...おう。」

 

「...にしても、この黒いモヤの正体は何なんだ? まるでゲームみたいに巨大化するしよ。」

 

「さあな...ただゲームのキャラだってデータ...電子の存在...俺の場合はスマホでセカイに来てるからな、そんなことがあっても不思議じゃあないかもな。」

 

「なるほどな...So〇ic.e〇eとか来たら終わるな。」

 

「流石にそれは...てかなんでんなもん知ってるんだよ?」

 

「結構こういうの好きなんだよ、あと瑞希ちゃんの影響。」

 

ああ...あいつ結構ホラー好きだったわ。

 

「...もう大丈夫ですよ...ってかその前から見てましたよね?」

 

「おや、バレていたかい?」

 

「そういうのには敏感なんです。」

 

「...なあ響助、郷秀...オレの見間違いでなければ、お前たちの背後から、幽霊のようなものが出ていたのだが...」

 

いつの間にか起きていた司先輩が、俺達にそう問う。

 

「いえ、見間違いじゃあないですよ。」

 

そして、俺達は4人の前でスタンドを出す。

 

「うおっ?!! っ!! これが悪霊って奴なのか!?」

 

「まあ、噂は本当だったって事です、悪霊ではないですが。」

 

「響助くん!! 郷秀くん!! それって幽霊さんなのっ?」

 

えむちゃんは怖がることなく、俺達に質問してきた。

 

「スタンドって奴だよ、幽霊っぽいけど、精神エネルギーが具現化されたものだから幽霊じゃあないよ。」

 

「そーなんだ~っ!! あたしにも出せるかなっ!」

 

「え...う~ん...それはどうだろう、俺も物心ついた時からあったから...」

 

確かにスタンドの矢で、スタンドを得られる可能性があるが...それは選ばれたものにしか得られるず、死ぬ可能性があるためあいまいに答えた。

 

「ほう、これがスタンド...まさかセカイだと見れるとはね。」

 

「? 類は知ってたの?」

 

「ああ、実物...って言っていいのかな? それを見るのは初めてだけどね。」

 

「まさか、そのようなものがあるとはな...ところで何故オレは気を失っていたんだ?」

 

「それは、俺の能力でやったんです、俺の能力はシャボン玉を生み出して、触れたものから何かを奪う事ができるんです。」

 

「...つまりオレから意識を奪ったということか...能力か、まさにファンタジーのようだが、実際に目にすることになるとは、人生は何があるかわからないな!」

 

生き生きとしながらそう言う。

 

「...類、これを見たからってあまり城ケ崎くんや宝来くんを実験に付き合わせないでよね。」

 

「ふふふ、善処するよ。」

 

「...響助、お前たちが言っていた黒いモヤとは一体なんなんだ?」

 

「...正直検討がつきません。」

 

「そうか...お前たちはあの黒いモヤと何度も戦っていたのか?」

 

「ええ、俺もセカイを持っていて、そこから呼ばれるように黒いモヤが現れるんです。」

 

「そうなのか...まさか、このセカイと響助のセカイが繋がるとは。」

 

...考えてみれば、今まであの黒いモヤが現れてるセカイはすべて俺の知り合いがいるセカイだ。

 

そして、まだセカイで会っていない4人が思い浮かべた。

 

...偶然だと、そう信じたい。

 

 

 

その後、俺達は司先輩と別れ、俺のセカイに戻ってきた。

 

「響助。」

 

家に戻ろうとした時郷秀が声をかけてきた。

 

「俺も波紋を覚えたい...どこで覚えられるんだ?」

 

郷秀は波紋を得たいと言ってきたんだ。

 

「お前、波紋を得るのは大変だぞ?」

 

「すべて承知で言っているが?」

 

「...わかったよ、あそこにある想いの欠片で行ける、俺は家に戻るからミクに戻してもらえ。」

 

「わかった、すぐにお前を超えてやるからな。」

 

「へいへい。」

 

そうして、郷秀はあのセカイへと行った。

 

「さてと...帰ったら飯でも作るか。」

 

そうして、俺はセカイから出た。

 

_______________________________________________

side:????

 

『あっ...ねぇみんな?』

 

『どうしたの、Amia?』

 

『今日集まるよね? シュークリームもらったからみんなで食べない?』

 

『シュークリーム? どこのお店?』

 

『お店じゃないよ、ジョジョが作ってくれたんだ~。』

 

『えっ...響助くん!? あの後大丈夫だったの!?』

 

『えななん?...何かあったの?』

 

『えっ...あ、何でもないよK。』

 

『?』

 

『まぁ、ジョジョは徐々に人間をやめてるからねぇ...あ、ダジャレじゃないよ。』

 

『城ケ崎さん、そういうのも作れたんだね。』

 

『うん、ボクも出来たて食べたけどホントーに美味しかったよ!』

 

『雪も食べる?』

 

『......わからないと思うけど...食べる。』

 

『よーし! それじゃ冷蔵庫からとってくるね~。』

 

『でもこの時間からシュークリームか...ほどほどにしとこ。』

 



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第57話:狂気と永遠の凡人とナイトコード

昼飯を食べ終わり、郷秀が帰ってくるまでの間、ゲームをしていた。

 

飯?...鉄分不足だから砂肝を食った。

 

...どっかからおじさんって言う生意気な声が聞こえた気がするが気のせいだろう。

 

「よっ、戻ってきたぜ。」

 

そうして待っていると、郷秀が戻ってきた。

 

「おう、どうだった波紋は?」

 

「いやぁ...死ぬかと思ったね。」

 

まぁ、波紋を学んだときはマジでそう思ったんだよな...

 

「でも、ある程度は掴めた...これで俺も屍生人や吸血鬼と戦えるぜ。」

 

「それは良かったな。」

 

郷秀の発言にテキトーに相打ちを打つ。

 

「...なぁ、響助?」

 

「んー...?」

 

「お前、痛覚あるのか?」

 

「っ...あるに決まってるだろ?」

 

まさか、バレたのか?

 

「嘘つけ、お前えむちゃんに言われた時、少し言葉詰まってただろ?」

 

「...はー、よく見てるな、お前?」

 

「目は良いんでね...やっぱり無いのか、何時からだ?」

 

「さーね、少なくとも高校入学時にはあったよ。」

 

「後天性無痛症ってやつか?」

 

「どうだろ?、暑さは感じるし、汗もかく、くすぐられたら笑うし、明確に痛みだけが無いんだ。」

 

実際、くすぐったいのは痛みとほぼ同じなのに、痛みだけが感じないのだ。

 

「なるほどな...あれかストレスか?」

 

「まぁ、どうであれ、今はこれでいい。」

 

「これでいいって...」

 

「どうせ今後どんなにやべぇ奴と戦うことは避けられねぇだろ、だったら痛みで止まることがない今、奴らを多く倒せる、ズタボロにされても長く行動できるって事だ。」

 

「お前、死んでも相打ちに持っていきそうな勢いだな。」

 

「ばーか、俺は死なねェって決めてんだ、相打ちどころか奴を殺してやる。」

 

「ふーん...」

 

(やっぱりあの時感じたのは、気のせいじゃあなかったか...)

 

(アイツ、人ではなかったら容赦なく殺す気だな...まぁ、あっちから仕掛けてるから何とも言えないが...)

 

(わが身を二の次にする...狂気だな。)

 

「なんつーか...天才というか天災というか。」

 

「2回言う必要もねェーし絶対2回目のてんさいは字が違うだろ。」

 

「それに、俺は天才なんかじゃあねェーよ。」

 

「じゃあ、なんなんだ?」

 

「永遠の凡人だ、俺は。」

 

「永遠の凡人ねぇ...なんでそう思ったんだ?」

 

「永遠の凡人ってなんかよくね、常に成長できるって感じで...それに、天才だとしても、上に行きゃあまた凡人に元通り、だから永遠の凡人だ。」

 

「なるほどねェ...」

 

「それに、俺のことを天才だって言うなら同じ経験してから言ってくれ。」

 

「はは、命いくつあっても無理だなそりゃあ。」

 

「人間に限界なんてねェ、自分で限界を決めなきゃ永遠に成長できるんだよ。」

 

「...なるほど、それがお前の強さか、今のうちはお前の方が強そうだな。」

 

「今のうちって、これから超えるみたいな発言だなおい。」

 

「当たり前だ、それぐらいの勢いがねぇとあいつはやれねぇ。」

 

なるほどね、復讐をはたせるならば自分の身を犠牲にしても構わないか...こいつの強みであり、狂気でもあるな。

 

「さてと、俺は帰るわ。」

 

「ああ、また明日学校でな。」

 

「おう、それまで死ぬなよ~。」

 

「いやどこに死ぬ要素が?」

 

そう言いながら、郷秀は家に戻った。

 

まぁ...徒歩1分ぐらいなのだが。

 

「...さーてと、動画の編集でもするか。」

 

前々から撮っていた動画を編集をしに自分の部屋に向かった。

_______________________________________________

 

編集を続けて数時間が経った頃。

 

「ーっ...さすがに疲れてきたな...なんか音楽でも聞くか。」

 

休憩のために何かしらの音楽をネットで探していた。

 

「...? 『25時、ナイトコードで。』これは...?」

 

一つの名前が目についた。

 

「ナイトコードって...ボイスチャットツールだったよな?」

 

まぁ、俺には縁がなかったものだが...

 

「...聞いてみるか。」

 

興味が湧き、聞いてみることにした。

 

_______________________________________________

 

「...いい曲だな。」

 

曲を聞き、感想を呟く。

 

色々な感情が湧き出て、それを一つにまとめることが出来ないが、とにかく心に残る曲だ。

 

ただ、一つ疑問が浮かんだ。

 

「...俺が知っている声が聞こえた気がする...いや気のせいか?」

 

「メンバーを見てみるか。」

 

『25時、ナイトコードで。』のメンバー見てみた。

 

「Kに、雪に、えななんに、Amiaか...えななん?」

 

えななんっという名前に覚えがあった。

 

「たしか、クソ野郎が絵名さんに対してその名前を言っていたが...」

 

まぁ、絵名さんだからえななん、確かに繋がるが...別にえななんなんて結構ある名前か、流石に名前を少し変えてやるなんてあんまないしな、特定される可能性もあるし。

 

だが、もう一つ、Amiaの名前も目についた。

 

「Amiaか...Aを外せばmia、ミアになる...確かあいつの...」

_______________________________________________

 

何時だったかの休み時間の時。

 

その時俺は、とあるアニメを見ていた。

 

「1年前か...時間のたつのは早いな。」

 

それは、1年前に放送されていた『ミラクルマジックガール☆ララ』。

 

ミラマジを見ていたのだ。

 

「...あ!! ミラマジだ!!」

 

「うおっ?! 瑞希、びっくりするだろ!?」

 

「あ、ごめんごめん~...ジョジョもミラマジ見るんだね!」

 

「ああ、リアルタイムで見てたってのもあるけど、ふと思い出してな。」

 

「そうなんだ! ねーねー誰推し誰推し?」

 

「おお...めっちゃぐいぐい来るな...推しって言うかまあ、ミアか?」

 

主人公のライバルキャラ、ミアが気に入っていた。

 

NA〇UTOで言うサ〇ケのポジション...まぁあれよりかは全然いい子なのだが。

 

「おおー!!! まさかこんなところで同志と出会えるとは!!!」

 

「え...え? 同志?」

 

「ボクもミアが好きなんだ~いいよねミア ~~~~~」

 

あ、これ休み時間が終わるまで続くパターンの奴だ...

_______________________________________________

 

「あん時はマジで長かったな...」

 

推しトークで休み時間がつぶれた事を思い出した。

 

「あいつの推しはミアだったよな...それに聞き覚えのある声もカラオケで歌ってたあいつの声に似てたんだよな...」

 

...今度会ったとき、探ってみるか。

 

「さてと、動画作らねぇとな。」

 

再び俺は動画の編集作業に戻った。

 



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第58話:正体不明の音楽サークルの真相

三連休明けの学校というのは絶妙に行きたくない欲が湧いてしまうが、行かないといけないので、学校に行くのだが。

 

「...そういやこれどうしよ?」

 

左手の甲と手のひらに残った傷跡、仗助さんに言えば治せると思うのだろうが、別に呼ぶほどでもないという気持ちもあるけど。

 

「これ、瑞希にバレたらめんどくせェよな...」

 

安静にしといてっと言われたのに、最後に会ったときになかったこの傷があったら、色々言われるだろうな...

 

「...なんかなかったかな?」

 

学校に行く前に何か左手を隠せるものはないかを探した。

 

「流石に、包帯は一発でバレるって言うか、怪我してますよアピールしてるみたいなもんだからな、何かねェーか...お?」

 

クローゼットやタンスを探してると一つの物が目に入った。

 

それは、黒の皮手袋だった...いや、サンドナックルって奴だ。

 

「そういや、前にこんなの買ったな、おそらく喧嘩の時に刃物出された時用に持ってたんだっけな。」

 

威力上げって側面もあるが、防刃効果もあるため、もしもの時に持ってたんだった。

 

「...まぁ、これでいいか、いざという時には役に立つだろうし。」

 

左手に、サンドナックルを付ける。

 

杏ちゃんにバレたら面倒だが...ぱっと見手袋だし大丈夫だろ。

 

そんな軽率な考えをしながら、学校に向かうため外に出る。

 

_______________________________________________

 

普段通りに、学校の校門についたが、もちろん風紀委員がいる、杏ちゃんもだ。

 

「...あっ! 響助。」

 

「おはよ、杏ちゃん。」

 

「おはよ...ねぇ、傷は大丈夫?」

 

傷...ああ、そう言えばセカイでも刺されてたね俺...てかこの休日期間に怪我負いすぎてるような...

 

「大丈夫大丈夫、もう塞がって完治してるよ。」

 

まぁ、そのあとまた刺されたり手のひら貫通したりしましたが...

 

「そっか、よかった......? 響助の左手のそれ...手袋?」

 

「あ、うん...おしゃれで付けてる。」

 

(響助がおしゃれ...? 珍しい...まぁ、怪しいものじゃないしいいかな。)

 

「危ないものはなさそうだから行っていいけど...すこしは自分の体をいたわってよ...瑞希だけじゃなくて、私も心配してるんだからね。」

 

「へー心配してくれるんだ~...へ~」ニヤニヤ

 

「っ...?! はぁ~...あの時の初々しいかった響助はどこに行ったのかな?」

 

「そりゃあ、もうずいぶんあってから時間もたったから変わるだろ。」

 

「それはそうなんだけど...なんていうか...瑞希に似てきたというか。」

 

「いや、似てないだろ。」

 

(見た目も結構似てると思うけど...)

 

「見た目というか...性格がかな。」

 

「マジで...確かに一緒にいると似るって言うけど...やだわ~」

 

「あ、そんなこと言ってると瑞希に言いつけるからね~」

 

「おっと、それは勘弁してくれ、めんどくさいからね~」

 

流石に長話をしすぎたため、逃げるように教室に向かう。

 

「あ...もう。」

 

(...でも似てるんだよね......目を離したら、どこかにフラッと消えちゃいそうな感じが...)

 

_______________________________________________

 

教室に着き、その後、郷秀がやってきた。

 

「うっす~...? 何だその手袋?」

 

「傷隠し兼殴りの威力上げのサンドナックル。」

 

「...普通に凶器持ち込んでやがるなお前。」

 

「バレないよこんなの、ただの手袋にしか見えねぇし。」

 

(なるほど、確かにこれだとぱっと見黒色の皮手袋だもんな。)

 

「...もっと隠すならいいのあっただろ。」

 

「ぱっと見これしかなかったんだよ。」

 

「どんな家だよ...ったく、瑞希ちゃんには言ったのか?」

 

「言ってねェーよ、何時間の説教コースになるか...」

 

「されとけ、お前。」

 

郷秀と話しながら、朝のホームルームが始まる時を待っていた。

_______________________________________________

 

午前の授業を終え、昼休みの時間帯になったが...まだ瑞希は来ていないみたいだ。

 

「んー...さてっと、俺は売店で買ってくっから、先に屋上に行っといてくれ。」

 

「おー。」

 

俺は弁当なので、先に屋上に行く。

 

「...あ、城ケ崎くん。」

 

「ん? 寧々ちゃんか。」

 

「その...左手、大丈夫?」

 

「ああ、神経も完全に治ってるから大丈夫だよ。」

 

「...よかった...あの時はありがと。」

 

「はは、友達を守るのは当たり前さ。」

 

「...それを現実でやるのって、城ケ崎くんぐらいだと思うけど...」

 

...まァ、大抵の人はわが身大事か。

 

「あれ?...城ケ崎くん、その左手の手袋は?」

 

「ああ、これ、傷跡が残ってるから、バレると面倒な奴がいるから隠してる。」

 

「面倒...?」

 

「あそこにいる宇宙みたいな髪の子には、この傷の事言わないでね、バレたらめんどいから...んじゃ。」

 

「宇宙...?」

 

(...あの人かな......?)

 

「...少しいいか?」

 

「え?」

_______________________________________________

 

モグモグ

 

屋上に着いてすぐ、弁当を取り出し食べ始める。

 

モグモグ

 

ガチャッ

 

しばらく食べていると、屋上の扉が開く。

 

「おっ...意外と早いな......ってお前かい。」

 

扉から出てきたのは郷秀...ではなく、ピンク髪のアイツだった。

 

「ちょっとちょっと~なにその反応は~、カワイイボクが来たんだぞ~。」

 

「あーはいはい。」

 

「あまりにも塩対応すぎないっ?!」

 

...丁度いいや、ちょっとカマかけてみるか。

 

「そういや『Amia』、少し聞きたいことがあるんだが。」

 

「え、なになに~ジョジョがボクに相談なんて珍しいね~」ニヤニヤ

 

...ビンゴ。

 

「ああ、ネットでたまたま見つけたんだが...『25時、ナイトコードで。』ってグループを知ってるか?」

 

「ッ! うん、ニーゴとも呼ばれてる音楽グループだね。」

 

「そっか...ところでさっき俺、お前の事を『Amia』って呼んだんだが...なんでお前は返事したんだ?」

 

「...」

 

スタッ

 

「...」

 

コオオオオ

 

ダッ

 

瑞希が無言で立ち上がり、そのまま屋上の扉へと走り出したが...

 

「どこへ行こうというのかね。」

 

波紋で身体能力を上げ、すぐさま、先回りし扉の前に立つ。

 

「改めて聞くわ...お前、『Amia』か?」

 

「エーナンノコトカワカラナイナー...」

 

「誰でもバレるような慌てっぷりだなおい...まァ、つまりお前が『Amia』ってことでOK?」

 

「はい...ところでなんでわかったの?」

 

「うーん、曲を聞いた時になんか聞いたことがある声が聞こえたのと、あとハンドルネームでなんとなく。」

 

「え~声とハンドルネームでボクってわかるのボクの事好きすぎな~い♪」ニヤニヤ

 

「...まぁそれもあるが。」

 

(あるんだ。)

 

「えななんってハンドルネームでほぼ確信したね。」

 

「あー......知ってたらそりゃバレちゃうか。」

 

「まぁ別に人にバラす趣味はねェーから安心しろ。」

 

「...信頼はしてるけど、言わないでね。」

 

「おう。」

 

「...って事は、ジョジョも聞いたんだね、どう?」

 

「え、聞いたけど...あんま参考にならんぞ。」

 

「いやいや、リアルの意見って結構貴重だからね~、どうだった?」

 

「うーん...なんというか、色んな感情が出たかな...」

 

「ふーん...なるほどね。」

 

やっぱりあってたか...残りのメンバーは、奏ちゃんと、まふゆさん...でいいのかな。

 

ガチャッ

 

「う~すっておお! 瑞希ちゃん!! おはよ!」

 

「おはよ、郷秀くん!」

 

...まあ、昼だけどな。

 

「あ、瑞希ちゃん、メロンパン買ったんだが食べるか?」

 

「えっいいの!? やった~♪」

 

やれやれ...まぁでも、こんな時間がずっと続けばいいけどな...

 

そう、思いながら黄昏ようと思った時。

 

ブーブー

 

「...ん?」

 

俺のスマホか...ん? この番号は....

 

ピッ

 

「もしもし。」

 

『ああ、響助か?』

 

「どうした?」

 

『お前に渡したいものがある、今日時間あるか?』

 

「渡したいもの...? まぁ、放課後は時間があるからいいぞ。」

 

『ああ、待ってるぞ。』

 

ピッ

 

渡したいものか...なんだろ?

 

 

 



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第59話:開戦 その1

午後の授業を終え、下校時間になったため烏が言っていたものを受け取りに行くために、『RS』に向かうか。

 

「あ、ジョジョ、ショッピングモールに行かない?」

 

「あー...今日は用事あっから郷秀と行っといてくれ。」

 

「ジョジョが用事なんて珍しいー...それなら仕方ないね。」

 

「...ところでさっきから気になってたんだけど、その手袋は?」

 

瑞希が左手に着けている手袋に注目していた。

 

「ああ、おしゃれ付けてる。」

 

「...合衆国のエージェントにでもなる気?」

 

「ならねェよ...この手袋、防刃にもなるから便利なんだよ。」

 

「防刃ね...」

 

おっと...少し怪しんできたな。

 

「っと...そろそろ行かねェと...またな。」

 

「え...うん、またね。」

 

_______________________________________________

 

さてと、『RS』に到着っと...一体何なんだろ。

 

そうして『RS』の扉を開け、室内に入る。

 

「おっ...来たか。」

 

「おー...渡したいものってのはなんだ?」

 

「これだ。」

 

俺を出迎えた後、烏は俺に、同じものを2つ渡した。

 

「...これは?」

 

「2尺の鍛錬用鉄棒だ。」

 

「...何故?」

 

「お前、カンフーとか見よう見まねで結構できてただろ? だったらカリも見たことあんのかなと思ってな。」

 

「...いや、見た事はあるけど、そんなに動きは再現できねえぞ。」

 

「それに、カリで使う奴はもっと軽い奴だろ...これを振り回す奴なんてなかなかいねェだろ。」

 

「関節外してリーチ伸ばす奴に言われてもな。」

 

「お前、どこで見てた?!」

 

「...情報というのはいつどこで手に入るかわからないものだぞ。」

 

「怖...」

 

...あ、そうだ前に言おうとして忘れてた物があったな。

 

前に、初めて屍生人と戦った時に、奴が身に着けていた仮面を拾ってた事を思い出した。

 

「烏、この仮面について調べてくれないか?」

 

「ん?...珍しい仮面だな?」

 

「ああ、これはな...」

 

烏に、あの時に起こった事を話した。

 

「屍生人ねぇ...確かにそいつらが『サングエフリッド』にいたら厄介だな。」

 

「それはそうなんだが...屍生人や吸血鬼に疑問はないのかよ?」

 

「まぁ、ほんのちょっぴり驚いたが...ここ最近、行方不明者が増えているからな...屍生人や吸血鬼が人を主食にしているのなら納得できる。」

 

「そうか...もう被害が出てるのか。」

 

「ああ、かなりな...お前が言う通りなら、警察もきついだろうな。」

 

「人間の数倍以上の身体能力、人としての痛みがない...敵に回してこれほど厄介な存在はいない。」

 

「そうだな...お前と...あと郷秀が身に着けた波紋でようやく渡り合える強さ...紫外線が弱点とはいえ、キツイな。」

 

「...とはいえ、ほっとくわけにはいかねェよ。」

 

「ああ、本格的に奴らに対抗しないとな...」

 

「...とりあえず、俺は帰るわ...仮面の件、頼むよ。」

 

「おう...もう少し、武器も調達した方がよさそうだな...」

 

_______________________________________________

 

...さてっと...意外と時間があるな、久々にWEEKEND GARAGEにでも行ってみるか。

 

それにしても、屍生人か...あの日以来見てはいないが...行方不明者が増えている以上、まだまだいるみたいだな...

 

...ゾンビと違って知能がある分、厄介だな。

 

「...? 城ケ崎か?」

 

「うん?...おお、彰人に冬弥か。」

 

聞き覚えがある声の方向に向くと、彰人と冬弥がいた。

 

「お前らも、WEEKEND GARAGEに行くのか?」

 

「ああ...そういやお前は、歌うことは好きなのか?」

 

「え、まぁ...歌うこと自体は好きだけど、それがどうした?」

 

「あそこ、機材が揃ってるから、お前も行くなら歌ってみないか?」

 

あー、そういや前に、杏ちゃんにも似たようなこと言われた気がするな。

 

「あー悪い、歌うこと自体は好きなんだが、人前で歌うのを避けてるんだ。」

 

「ん?なんでだ?」

 

「まぁ、色々あってね、ただ昔と今で理由は違うけど。」

 

狙われている立場で、そんな人前で歌ったらすぐズドンよ。

 

「そうか...なら、俺達は練習するが...それでもいいか?」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「...さっきから気になってたんだが...その左手の手袋は?」

 

「ああ、おしゃれ?」

 

「なんで疑問形なんだよ?」

 

「...」

 

俺の方をじっと見つめる冬弥。

 

「...どうした冬弥。」

 

「左手...傷痕があるんだろう?」

 

「ッ...?!」

 

なっ...なんで知ってるんだ?

 

「盗み聞きするつもりはなかったんだが...」

_______________________________________________

side:冬弥

 

...昼休みか...彰人と会う前に缶コーヒーでも買っておくか。

 

「...じょ...くん...」

 

「...ん?」

 

あれは...城ケ崎と草薙か?

 

「その...左手、大丈夫?」

 

...左手?

 

「ああ、神経も完全に治ってるから大丈夫だよ。」

 

神経...? どういうことだ?

 

「あれ?...城ケ崎くん、その左手の手袋は?」

 

「ああ、これ、傷跡が残ってるから、バレると面倒な奴がいるから隠してる。」

 

「面倒...?」

 

「あそこにいる宇宙みたいな髪の子には、この傷の事言わないでね、バレたらめんどいから...んじゃ。」

 

「宇宙...?」

 

宇宙...白石の事だろうか?

 

...傷痕か。

 

「...少しいいか?」

 

「え?」

 

「...すまない、会話を聞こえて、気になってしまってな。」

 

「...城ケ崎は左手を怪我をしたのか?」

 

「え、え...ーと....」

 

(な、なんでわたしに...)

 

「...う、うん...」

 

「...そうか、ありがとう。」

 

「あ、うん...」

 

...最後に城ケ崎を見た時は、左手は怪我してなかったはず...次に会ったときに聞いてみるか。

_______________________________________________

side:響助

 

なるほど、あの時の会話を聞かれてたってわけか。

 

「そうか...だったら隠す必要はないか。」

 

俺は、左手に付けている、サンドナックルを外した。

 

「「......ッ?!」」

 

手の甲と手のひらに残っている傷跡に二人は驚いていた。

 

「...同じ位置...ってお前、これって...」

 

「ああ、刃物で刺されそうになった子を庇った時にな。」

 

「マジかよ......なんで無茶するんだよ、お前。」

 

無茶か...別にそうは思わないけどな...

 

「まぁ...これが最適解だったからかな。」

 

「...下手したら左手が使えなくなる可能性があるんだぞ。」

 

「波紋で治せるから大丈夫だよ、それに、動いてなかったらその子が怪我...いや、死んでいた可能性があるし、それに生きてたとしてもこんな傷痕残ることになるからな...」

 

「お前...はぁ...どんだけお人よしなんだよ。」

 

「...そんなに優しい人間じゃあねェよ...」ボソッ

 

俺はそう小さくつぶやいた。

 

「さてと、じゃあWEEKEND GARAGEに行こう。」

 

「...ああ」

_______________________________________________

 

WEEKEND GARAGEに向かうため、徐々に人気が少ない道を歩いていく。

 

「...?」

 

...見られてる...気がする。

 

「...ッ?!」

 

何だこの視線を感じる...いやこれは...殺気か!?

 

「ッ?!」クルッ

 

どこだ...クソッ周りを見渡してもわからねえ。

 

「...? どうした、城ケ崎?」

 

彰人が、俺に声をかける。

 

「...いや、誰かがこっちを見てる気がしてな。」

 

「誰かが......ぱっと見、誰もいねーが...」

 

彰人も周りを見渡すが...見つからない。

 

気のせいか...?

 

俺がそう思ったその瞬間。

 

「ッ?!」

 

殺気が極限まで満ちたのだ。

 

「クッ?!」クルッ

 

殺気を感じた方向に振り向くと...信じられない光景だった。

 

「なッ...?!」

 

見えたのは、ピンを抜かれた手榴弾だった。

 

あの殺気......これは、本物だッ?!!

 

「ッ...彰人ッ!! 冬弥ッ!!」ガバッ

 

距離は離れていて爆風が食らわない可能性があるが...衝撃と破片は確実に来るだろう。

 

すぐさまは俺はブレザーを脱ぎ、彰人達に被し、すぐさま、俺が盾になるように彰人達の前に立つ。

 

「なッ?!」

 

「ッ?!」

 

そうして数秒がたったその時。

 

ドグオオオン

 

「グアアッ?!」

 

轟音と俺達は吹っ飛ばされた。

_______________________________________________

side:郷秀

 

「いや~買った買った~♪」

 

「だいぶ買ったね、まぁ全部似合うけど。」

 

俺は、瑞希ちゃんと共にショッピングモールに行き、瑞希ちゃんの買い物に付き合った。

 

そして今、その帰り途中だ。

 

...けど、響助は来なかった...しかも瑞希ちゃんに聞けば用事があるという事。

 

アイツが用事があるなんてな...そういや、昼頃にアイツ電話してたよな...

 

誰だ...タメ口だから仗助さん以外か。

 

俺は、響助が通話していた相手を考えていた...その時だった。

 

ドグオオオン

 

「「っ?!」」

 

遠くの方で、爆発音が聞こえた。

 

「なッ?! 何だ今のは?!」

 

「今の...爆発?!」

 

音が聞こえた方向は...あっちか?!

 

「ッ?!」ダッ

 

俺は聞こえた方向に走り出した。

 

「えっ?! ま、待って郷秀くん!」タッ

_______________________________________________

side:仗助

 

...ここ最近になって増え始めてる行方不明者...こりゃあもしかしてよォー...

 

響助や承太郎さんの言う通りなら、奴らは人間を食っていかねェーと死ぬ奴らだ。

 

となると、奴らが活動する時間帯は夜......いや、響助が初めて奴らと衝突したのはまだ日がある時間帯...その時は、日に当たらないように肌を完全に隠した服装をしてるみてェーだな。

 

とりあえず、今の時間帯は肌を過度に隠している奴を探してみるか。

 

ドグオオオン

 

「ッ! なんだッ?!」

 

衝撃は来ていないが...この音はかなり近ェーぞッ?!

 

「爆発音かッ?! あっちの方向か!」ダッ

 

爆発音が聞こえた方向に走り出したが...その数秒後。

 

「止まれ。」

 

オレを呼び止める声が聞こえ、足を止める。

 

「...誰っすか、アンタ?」

 

オレを呼び止めたのは、肌を完全に隠した衣服を身に着けた奴だった。

 

...間違いない...コイツは屍生人だ。

 

「お前、響助と共に行動してた奴だな。」

 

「ヘー、よく見てんじゃあねェーすか...屍生人さんよォー...」

 

「...なるほど、バレているか...命令はされてないが...お前を始末する。」

 

「それはこっちのセリフだぜ。」

_______________________________________________

side:響助

 

「...グッ...ウッ...」

 

爆発の衝撃で身体が少しだけ麻痺を起こしている。

 

「...ッ!」

 

破片も何か所か刺さってやがるな。

 

「ッ?! 彰人! 冬弥!」

 

奥に倒れてる、彰人達を確認する。

 

「......よかった...気を失ってるだけか。」

 

外傷はなさそうだ...

 

「...ッ。」

 

そして、殺気の方向へと向き直した。

 

「...あらら、火力弱いね~...殺し損ねちゃったよ~」

 

完全に肌を隠した奴が現れた...屍生人だ。

 

「まーでも、結構ダメージは入ってるみたいだね~...これは楽に殺せそうだ...」

 

「...殺気の正体はてめぇか。」

 

「おっと、隠せてなかったか~...殺気を感じ取れるなんてホントに高校生かいキミ?」

 

「...関係ねェー奴も巻き込みやがってッ!」

 

「アッハハ、君に関係があるかもしれないからね~、それに、目撃者も消さないと。」

 

ヘラヘラとさも当たり前のように発言した。

 

「さ~て...今度はしっかり殺さないとね...」

 

...ダメだ。

 

「...おっと?」

 

(雰囲気が変わった...これは...)

 

メギャン

 

「...それは鉄棒かい?...一体どこから出したんだい。」

 

こいつは...この世に居てはだめだ...

 

「お前はこの世に居ちゃあいけねェ...俺がお前を殺す。」

 

先ほど、烏から受け取った鉄棒をそれぞれの手で持ち、構えた。

 

鉄のため、波紋がよく流れる...

 

「...良いね~、そのやせ我慢面白いね~...でも、人間を超えてんだよ~...すぐにあの世に送ってやるよ。」

 

「一度お前は死んでるんだ...死人は死人らしく、あの世へ消えろ。」

 

必ず...コイツはこの世から消す。

 



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第60話:開戦 その2

side:響助

 

「一度お前は死んでるんだ...死人は死人らしく、あの世へ消えろ。」

 

そう言った瞬間、俺は、奴に向かって走り出す。

 

「うおっ! 怪我して破片が刺さってる割には素早いね~!」

 

コオオオオ

 

「とりあえず、頭粉砕させてくれ。」ブンッ

 

波紋を込めた鉄の棒を、奴の頭を狙って突き出す。

 

「でも、こんな単調な動きは当たらないよ~!」サッ

 

奴はそれを余裕をもって躱す。

 

「悪いけど、組織ために死んでよ。」ブンッ

 

すぐさま、奴は俺に向かって、殴りかかる。

 

「っと...」サッ

 

それを、バックステップで躱す...食らったら人が死ぬようなパンチだな...

 

「ヘ~、今の躱せるなんて、ホントに人間なの?」

 

「化け物に化け物って言われたくねェーな。」ブンッ

 

そう言い返しながら、鉄棒を奴の頭にめがけて振るう。

 

(おっと...これは躱せないな...なら。)

 

躱せないと悟ったのか、頭を防ぐように腕を入れる。

 

ゴスンッ

 

(受けてから...カウンターをッ?!)

 

だが、その衝撃は、奴の想像以上だった。

 

「ぐっ?!」

 

「吹っ飛んどけよッ!!」

 

波紋を込めた鉄棒を食らった奴は数メートル吹っ飛んでいったが...それは決定打にはならなかった。

 

「うおっ...こりゃあとんでもない衝撃だね~...それ鉄棒、3キロ以上あんじゃあないの~...ホント化け物だね~」

 

「うるせェクソ野郎。」

 

あの服装...完全に紫外線や日光を遮ってやがる...なら狙うは、頭だ。

 

「ッ!」ダッ

 

俺はそう判断するとすぐに奴との距離を詰める。

 

「そう何回もさせないよッ~」シュッ

 

「ッ?!」

 

奴はそう言った時、銀色の閃光が走る。

 

「ぐッ?!」

 

それをバックステップで躱した...だが。

 

「おお? それ結構深くまでいったんじゃあない?」

 

「はッ...意外と浅ェよ。」

 

胴体を横に斬られてしまった...臓器までには届いていないようだが。

 

「サバイバルナイフか...上等だ。」

 

「その強気がいつまで続くか見ものだなッ!!」ダッ

 

そして、お互いにスタート切り、接近する。

 

「内臓を外に出そうか!!」スッ

 

「させるかよ。」スッ

 

キンッ

 

奴は俺の鳩尾を狙ってナイフを突き出すが、それを鉄棒で防ぐ。

 

「この世から消えてくれよ。」ブンッ

 

「やりたいことがあるから無理だね~」サッ

 

塞いだ鉄棒とは別の鉄棒で、奴の顔面に向けて鋭い突きをするが、奴は体をひねり、それを躱す。

 

「フンッ!!」

 

「ホッ!!」

 

鉄棒とナイフの攻防が繰り返される。

 

(おいおい、あんな鉄棒を軽々しく振り回して、ナイフ攻撃を防ぐとは...これは接近戦じゃあらちが明かないね~...)

 

奴は、鉄棒での攻撃をいなしながら考えていやがった。

 

「食らっとけよッ!!」ブンッ

 

両方の鉄棒を野球のバットを振るうように、全力でスイングする。

 

(...あれ使うか。)

 

奴は、全力のスイングを、両腕で防ぐ体制に入った。

 

グンッ

 

「ット!!」

 

それは、クリーンヒットし、奴は後方へ吹っ飛んだ...と思ったが。

 

「...ッチ。」

 

手ごたえが軽い...アイツ自分から飛んだな。

 

そう、奴はわざと俺の攻撃を受け、バックステップをしダメージを最低限に抑えながら後方へと飛んでいったのだ。

 

俺は奴を逃がさないために、奴に接近した...その時。

 

パンッ

 

「ガッ?!」

 

クラッカーのような音が聞こえたのと同時に、わき腹に何かが当たった衝撃が起こった。

 

そしてすぐに、何か生暖かい液体が俺の肌に伝わる。

 

「...まさか、ガキ相手にこれを使うことになるとはね~」

 

「クソが...」

 

奴がサバイバルナイフを持ってない手に...拳銃を持っていたのだ。

_______________________________________________

side:仗助

 

「...なるほど、バレているか...命令はされてないが...お前を始末する。」

 

「それはこっちのセリフだぜ。」

 

アイツらが響助の名前が出たって事はよォー、爆心地には響助がいる可能性が限りなく高ェ。

 

早くアイツぶっ倒して、響助のもとに行かねェーと。

 

「...」スッ

 

「...げッ?!」

 

アイツが懐から出したのは拳銃だった。

 

パンッ

 

「危ッねェッ!?」サッ

 

奴が発砲する寸前に、鉄でできた配電盤に近い何かの背後に隠れる。

 

おいおい、平然と銃撃ってくるじゃあねェーか...日本だよなここ。

 

下手に出るのはマズイよなァー...ここは一旦相手に出方を見るか。

 

っと考えてたのつかの間。

 

ブンッ

 

何かが投げられた音が聞こえた。

 

「...ッ?」

 

その投げられたものは、瓶だった...だがそれは注ぎ口から火が出ている物だった。

 

「マジかよッ?!」

 

そう火炎瓶だった。

 

パリンッ

 

その音が聞こえたのと同時に周囲に広がる火の海。

 

「クソッ!」

 

流石に火だるまになるわけにはいかないため、その場所から離れるが、再び姿をさらしてしまう。

 

スチャッ

 

「...ッ。」

 

銃口がオレの方向に向けられる。

 

まずいな...いや、まだ隠れる場所があるじゃあねェーか。

 

そして、オレは地面に向かって。

 

【ドララララッ!!!】

 

「ッ!?」

 

スタンドを使い地面をえぐり、そして。

 

「なッ?!」

 

えぐった時にでた地面を壁に変えた。

 

とりあえずこれで一時的にしのげるがどうすっか...

 

今持っている物で攻撃するには距離が遠いな、どーにかして距離を詰めねェとな。

 

アイツがどう動くか、陰から見ていると。

 

スッ

 

なんだ? また懐から何かを出すのか。

 

そしてあいつが取り出したものは...

 

「うおッ?! 嘘だろ?!」

 

懐から手榴弾を取り出し、ピンを抜いてこっちに投げてきやがった。

 

「? 手榴弾?」

 

手榴弾は数秒のタイムラグののちに爆発するっつーことはよォ~...

 

【ドラッ!!】ボコッ

 

まずは手榴弾を殴って、そして。

 

「直すッ!」

 

スタンドで殴られた手榴弾は、捨てられた手榴弾のピンの元に飛んでいく。

 

「なにッ?!」

 

アイツは、自分の元に帰ってくる手榴弾を確認し、その場から離れるが。

 

「がら空きになったみたいだぜ。」

 

「なッ!?」

 

すぐさま、あいつに近づき、射程距離内に入る。

 

「その手榴弾は爆発しねーだぜ!」

 

「...はっ?!」

 

アイツは気づいた、既に起爆時間になっているのに爆発していない事を。

 

そう、手榴弾をピンを外す前に直したため、爆発はしない。

 

【ドラッ!!】ボコッ

 

「ガハッ?!」

 

スタンドで殴られたアイツは、近くの壁に衝突する。

 

「ぐッ...クソ...ハッ?!」

 

アイツは銃口をオレの方に向けるが...それが発砲される事は無かった。

 

「終わりだぜ。」

 

アイツの顔面を紫の光が出る懐中電灯で照らした。

 

「ガ...」

 

照らされたアイツは、すぐさま灰になって、衣服だけ残っていた。

 

「うおっと、ホントに灰になりやがった...マジで屍生人なんだな...これを持っておいてよかったぜ。」

 

オレが持っている懐中電灯は、昨日承太郎さんに渡されたものだ。

 

UVライト...紫外線照射装置ともいう物なんだが、特注の物なのか威力が高く、人間相手でも悪影響を及ぼすものでもある。

 

「...早く響助の元に行かねーとな。」

 

「...え、仗助さん?」

 

響助の元に向かおうとした時、背後から声をかけられた。

 

「ッ?...郷秀に...瑞希じゃあねーか、なんでここに?」

 

「さっき、こっちの方から爆発音が聞こえまして...」

 

「そうか、恐らくだが、爆心地に響助がいる可能性が高ェ。」

 

「え...ジョジョが...っ」

 

「ああ、さっき対峙した奴から響助の名前が出てな...」

 

「場所はどこです?」

 

「音の場所的に向こうだ、そんな遠くねーみてーだ。」

 

「...」

 

「...大丈夫だ瑞希ちゃん...アイツはそう簡単にやられる奴じゃあねェ。」

 

「...うん。」

 

「...行きましょう、仗助さん。」

 

「ああ、急がねーとな。」

 

無事でいてくれよ...響助。



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第61話:開戦 その3

side:彰人

 

パンッ

 

「...ぐ....」

 

オレ...寝てたのか...

 

何かの破裂音が聞こえ、目が覚める。

 

「...うぐっ。」

 

身体が...動きづれぇ...それにここは...なんでオレはこんなとこで...っ!

 

そしてオレはようやく思い出した。

 

「冬...弥...城ケ崎。」

 

気を失う前に、背後から強烈な衝撃が起こったのだ。

 

「冬弥...気を失ってるだけか......城ケ崎は...っ!?」

 

城ケ崎は...冬弥と違い起きていたが...

 

「...まさか、ガキ相手にこれを使うことになるとはね~」

 

「クソが...」

 

背中には破片がささり、わき腹から血を流した城ケ崎が、何者かと対峙していやがった。

 

そして奴は、両手にナイフと、拳銃を持っていた。

 

嘘だろ...日本だぞここは...

_______________________________________________

side:響助

 

「...チッ。」

 

まずい...出血量が多くなってきやがった...波紋がつかいづれェ...

 

でも、波紋がねェと奴は倒すことは出来ねえ...なら。

 

「ッ!!」グンッ

 

「おっと?」

 

傷は後回しでいい、とにかく奴に波紋を流すッ!!

 

奴に接近する。

 

「そんな特攻が効くわけないね~!!」

 

奴は俺に銃口を向ける。

 

波紋のおかげか...それともゾーンに入ったか知れねェーが...銃を撃つタイミングと方向が分かれば躱せる。

 

「さっさと死ねっ!!」

 

奴が引き金に引く。

 

...ここだ。

 

パンッ

 

「ッ!」サッ

 

引き金を引く瞬間、俺は横に躱す。

 

「なにっ?!」

 

これは予想外だったのか、初めて奴が焦った顔を見せる。

 

そのまま、奴の懐に接近する。

 

「チッ!!」スッ

 

すぐさま、奴はサバイバルナイフを俺に振り下ろす。

 

躱したらまた距離を離される...ならッ!!

 

そのまま、俺にナイフを振り下ろさせる。

 

ドスッ

 

「...なっ?!」

 

確かにそのナイフは俺を刺した...だが。

 

コオオオオ

 

「左腕をくれてやるから、テメーの命をよこせ。」

 

刺された箇所は左腕、これぐらいどうってことはねェ。

 

そのまま、波紋を込めた鉄棒を奴の顔面を捉える。

 

「クソがッ?!」

 

奴はすんでのところで両腕を入れ、ガードする。

 

「...グッ?!」

 

奴はいくら身体能力が人間より上だとは言え、3キロを超える鉄棒の全力の突きを食らえば大きな隙が出来る。

 

「へっ...隙が出来たな。」

 

そして俺は、鉄棒を捨て、左腕に残ったナイフを引き抜く。

 

いくらその衣服が紫外線を通さないだろうがな...

 

「ッ!!」グンッ

 

そのまま奴の懐に加速する。

 

「ッ?!」

 

奴は気づいたが...もう遅い。

 

ドスッ

 

「このナイフ、返しておくぞッ!!」

 

「ガッ?!」

 

ナイフで刺せば、衣服だろうが関係ねェッ!! そのまま波紋を流す!!

 

(ッ?! 何かヤバいッ?!)

 

ダッ

 

奴は瞬時にバックステップをしながらナイフを引き抜き。

 

「クソガキがッ!!」

 

パンッ

 

「グッ?!」

 

そのまま拳銃で、俺の左足を撃ちぬく。

 

やべぇ...左足から力が抜ける...アキレス腱をやられたか...でもな...

 

コオオオオ

 

「ッ!!」

 

「ッ?!」

 

そのまま、右腕を振るう。

 

(この距離なら当たらない...)

 

って思ってるだろうがな...

 

ゴキンゴキン

 

ググーン

 

「なにッ?!」

 

関節外せばリーチを伸ばせるんだよ!!

 

山吹き色(サンライトイエロー)波紋疾走(オーバードライブ)!!」

 

ドグオオオン

 

右腕は奴の顔面を捉え、波紋が完全に入った。

 

「ボガッ?!」

 

奴は波紋をまともに入り、すぐさま衣服だけを残し灰になった。

 

「...グッ。」

 

そのまま、倒れこむ。

 

「...あー。」

 

やっべぇ...出血量が多すぎて波紋が練れない。

 

...とりあえずスタンドのシャボン玉で止血だけでもしねェーと。

 

「城ケ崎っ!」

 

「...ああ?...彰人に冬弥...目が覚めたか...」

 

「喋るな! お前、ひどい怪我なのわかってんのか!」

 

「わかってるよ...」

 

「冬弥! お前は城ケ崎を見てくれ、オレは救急に電話をかける。」

 

「わかった。」

 

あー...とりあえず、救急車に運ばれますかね...ッ?!

 

なんだ...振動を感じる...こっちに誰か来てる。

 

「彰人!」

 

「なんだよ! 喋るなって...」

 

「こっちに何かが来てる。」

 

「なに?」

 

徐々にその振動の正体がわかる...数的に3人...か?

 

そして、こっち来ている正体もすぐにわかる。

 

「...あっ! いました...って彰人に冬弥?!」

 

一人目は、郷秀。

 

「...ッ!? ジョジョ!!」ダッ

 

二人目は、俺の姿を見た瞬間こっちに駆けよってくる瑞希。

 

「こっちか!! うおッ?! 響助!?」

 

三人目は仗助さんだった。

 

「ジョジョっ?! しっかりして!!」

 

「しっかりはしてる...ただ、腱をやられてうまく立てねェわ。」

 

「腱って...」

 

「響助! なんつー怪我だ!?」

 

「破片刺さって、胴体斬られて、わき腹撃たれて、腕刺されて、アキレス腱撃たれました。」

 

「いや、怪我の説明はいらねーつーか、見た目の割には余裕そうじゃあねーか。」

 

「いや、結構キツイですよ...」

 

「冗談だ、すぐ治してやっからよー」

 

「え...治す?」

 

そして、仗助さんは俺の傷だけではなく、制服までも綺麗に治してくれた。

 

いつ見ても、ホントに便利な能力だ。

 

「よっと。」

 

「!? 大丈夫なのか?」

 

「ああ、完治だ。」

 

「仗助さん...でいいんですよね。」

 

「ああ、オレは、東方仗助だ。」

 

「城ケ崎を治したものって、スタンド能力ですか?」

 

「え、おめーらも、スタンドの事知ってんのか?」

 

「城ケ崎と宝来から聞きました。」

 

「なるほどな、ああ、オレの能力で治した。」

 

ホントに便利な能力だ、傷だけではなく物も綺麗に直せるんだもんな。

 

「...そう言えばキミたちは?」

 

瑞希が、彰人達に声をかける。

 

そういえば、こいつら会った事なかったな。

 

「オレは、東雲彰人です。」

 

「青柳冬弥です。」

 

「東雲...?」

 

ああ、絵名さんとは交友があったな。

 

「もしかしてキミって、絵名の弟の、東雲彰人くんじゃない?」

 

彰人の事は聞いていたのか?

 

「え? 絵名は、たしかに姉だけど...」

 

「ホントに!? まさかジョジョの知り合いだとは思わなかったな~! なんで教えてくれなかったの~!」

 

「聞かれてないからな。」

 

「むー...そう言えばその制服って、もしかして神高生?」

 

「え、ああ、1年C組だけど...」

 

「ボクと同い年なんだ~! 絵名ってば教えてくれればよかったのに!」

 

「それで、君は一体...?」

 

「あ、ボクは1年A組の暁山瑞希! 絵名とは...まぁ、それなりに深い中って感じ? 冬弥くん、弟くん、ふたりとも、よろしく~」

 

「弟くんって......ん? 暁山って名前って...前に噂で...」

 

あ...

 

「...」

 

(同じ学校だから当然知ってるか...仗助さんには言ってないけど...)

 

「...そうだ、何故か暁山って名前を出して色々言うと、何故か言ったその日から学校から消えるって噂があったな。」

 

「...え?」

 

(なにその噂?)

 

「もしかして、その暁山か?」

 

「え、なにその噂、ボク知らないんだけど?」

 

...

 

「...ジョジョ~...郷秀くん~...何か知ってる~」

 

クルッ

 

お互いにそっぽ向いた。

 

「...こっち向いて。」

 

「「はい。」」

 

まさかそんな噂になってるなんて知らなかったな~

_______________________________________________

 

「...そう言えば、その前の噂にも名前があったな。」

 

「うん、ボク的にはそっちの方だと思ったんだけど...」

 

「...まぁ、別にいいんじゃないか? 着たい服着ればって感じだな。」

 

「...それ、その後の噂のせいで、そんな回答になってない?」

 

「いや、そんなことはない...だが、とりあえず暁山、後ろにいる二人を止めてくれ。」

 

「...弟くんは、わかってくれたから...それ下げて。」

 

そう言うと、オレは、奴から奪ったサバイバルナイフと、郷秀は俺がそこらに放り投げていた鉄棒を下す。

 

「あはは、彰人、俺はわかってたぞ。」

 

「いや、だったらなんでナイフを構えてたんだよ!」

 

「...まぁ、1%の可能性の事を考えて。」

 

「なにする気だよお前!?」

 

「...ってかジョジョ! なんでそんな物持ってんの!?」

 

「え、まぁ...今はいないけど、俺を襲ってきた奴から奪...いや永久的に借りたんだ。」

 

「それ、何も言い換えてないんだけど...てか襲われたって。」

 

「ああ、それはオレも聞きたかった...なんなんだアイツら、拳銃を持ってたよな?」

 

「え?...拳銃!? ちょ、ちょっとジョジョ!? どういうこと!?」

 

「え、あ、いや...」

 

「響助。」

 

「え?」

 

「巻き込んでしまった以上、話すしかない。」

 

「...ああ、わかった。」

_______________________________________________

 

「...という事なんだよ。」

 

俺は3人に、半グレ組織に命を狙われてる事を話した。

 

「な、なんでジョジョが!?」

 

「さあな、それがわからねェんだ。」

 

「...城ケ崎。」

 

「なんだ? 冬弥?」

 

「...こういうのもなんだが...逃げようとは思わないのか?」

 

「...それはないな。」

 

「どうしてだ? 殺されてしまうかもしれないんだぞ?」

 

「そもそも、高校生の俺をここまで命を狙ってくるという事は、どこに逃げようたって追ってくるだろうし、それに、奴らは容赦なく、一般人を巻き込む奴らだ、俺を殺すためだったら何でもする気だ。」

 

「...お前まさか?」

 

「ああ、彰人の思ってる通りだ、俺は奴らを潰す。」

 

「ッ?!」

 

(な、何だこの圧は...)

 

「ジョジョ...」

 

「...安心しろ瑞希...あの約束忘れてねェからよ。」

 

俺はいつ死んでもいいと思ってる...けど約束がある限り俺は生き続ける。

 

「...というわけだ、これが襲われた奴らの情報だ。」

 

「...なるほどな。」

 

「...悪いが今日は帰るわ...さすがに今は一緒にいるとあぶねぇし。」

 

「わかった。」

 

「...あ、そうだ彰人。」

 

「ん? どうした?」

 

別れる前に、彰人に耳元で囁く。

 

「瑞希の事、絵名さんらにバラしたら、お前をバラす。」

 

「ッ...わかってる、言わねぇよ。」

 

...やけに、気分が下がってるような?

 

「どうした彰人...妙にテンションが下がってる気がするが?」

 

「...あの時、お前が、あいつを倒すとき...実は起きてたんだが...何もできなかった。」

 

「...彰人。」

 

そうか...こいつ...

 

「拳銃を前にしたとき大抵の場合は動けなくなるもんだ...それに、前にも言ったが、俺にはできない事がお前にはできる...冬弥の相棒はお前しかできないだろ。」

 

「...悪い。」

 

「...まぁ、バラさなければ別に、とやかく言う必要ねーよ...今度美味しいパンケーキの店紹介してくれよ、そういうの俺は不得意だからさ。」

 

「わかった...サンキューな。」

 

そのあと、彰人達と別れた。

 

本格的に、俺を殺そうとしてきやがったな...こうなったらとことんまでやってやるよ。

 

必ず...その正体を暴いてやるよ。

 



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第62話:反撃 その1

屍生人との戦いを終え、自宅に戻り休んでいた時。

 

ピンポーン

 

「はーい。」

 

インターホンが聞こえたため玄関に向かう。

 

「宅配便でーす。」

 

宅配業者さんか...てことはあれか...

 

荷物を受け取り、自室へと向かった。

 

...フフフッ...これだけあれば怖いものなしだ。

 

さてと...今度はこっちから狩ってやるか。

 

_______________________________________________

時間帯は夜になった。

 

「ちょっと買い忘れたものあったから運動がてら行ってくる。」

 

「え、この時間だとコンビニぐらいしか開いてなくない?」

 

「コンビニで買える奴だから大丈夫、んじゃ行ってくる。」

 

母さんにそう言い、外へと出る。

 

そうしてしばらく歩いた後。

 

「...さてと。」

 

スマホを取り出し、とある人物に電話をかける。

 

...プツッ

 

「あ、烏...聞きたいことがある。」

 

『響助、今日は手榴弾の爆発に巻き込まれ、襲われるとは災難だったな。』

 

「見てたのかよ、助けに入ってほしかったぜ。」

 

『悪いな、情報で知っただけでその場にはいなかったもんでな。』

 

「そうか、ホントどこから仕入れてくるんだよ。」

 

『んで、聞きたいことってのは、吸血鬼...または屍生人に関する情報か?』

 

「ああ、何か変わった事は無いか?」

 

『ああ、ちょうど今、神山通りに妙な人がいるって情報を得た。』

 

「グッドタイミングだ...情報料は?」

 

『どうせお前が倒すんだろ? だからタダだ。』

 

「ああ、奴らの隠れ家も洗いざらい聞き出すつもりだ。」

 

『なるほどそれは助かる、写真の情報はお前のスマホに送る。』

 

「わかった、頼む。」

 

ピッ

 

...

 

ブー

 

「来たか......なるほど...さてと行くか。」

 

_______________________________________________

side:絵名

 

はぁ...疲れた...でも全日制の人って朝起きて、夕方に帰るんだもんね、私には無理だなぁ...

 

さっさと帰ろう。

 

「...ん?」

 

あれって...響助よね、瑞希の友達の。

 

珍しい...こんな時間に見かけるの...ホントに傷治ったんだ。

 

...でもあっちの方面って住宅街の方でも、コンビニとかあるわけじゃなかったけど...

 

...この前、刺されたんだよね...いくら治ったって言っても心配だなぁ...

 

...心配だし、声かけようかな?

 

 

 

...んー...なんか声をかけるタイミングが無くてここまで来ちゃったな。

 

「...よう。」

 

ん? 誰かと待ち合わせしてたのかな? 人と会ってるし、私は帰ろうっと...

 

「おう、アンタが殺そうとしてる城ケ崎響助だ。」

 

...え?

 

_______________________________________________

side:響助

 

...おぉ? あれかな?

 

人気のない通りを進み、やけに不気味な存在を発見した。

 

「...よう。」

 

「なんだ...っ?! お前は!!」

 

「おう、アンタが殺そうとしてる城ケ崎響助だ。」

 

「何故ここが?!」

 

「情報ってのはどこで誰が見てるかわからないものだぜ。」

 

「ぐっ...まぁいい、どっちにしろお前を殺すつもりだった、そっちから来てくれて助かるぜ。」

 

そう言うと、奴は獲物を取り出す。

 

「へぇー長ドスって奴か! 実物は初めて見たよ。」

 

長ドス...まぁ日本刀に似た刃物だ。

 

「いやぁ、いいね...センスあるじゃん?」

 

「てめー...なめてるのか?」

 

「あーごめんごめん、でも元からなめてるけどな。」

 

「っ!」

 

そう挑発すると、奴は長ドスを振りかぶり、俺に向かってくる。

 

さすが、人間やめてるだけあって瞬発力、機動力がすげぇな...まぁでも。

 

「これは予想外だろ?」

 

すかさず、俺は左手にとあるものを持ち、スイッチを押す。

 

小さな紫の光が奴の右目を照らす。

 

「ぐあっ?!」

 

照らされた奴は右目を抑え、その場に留まる。

 

「ぐ...くそが...」

 

すぐさま、右目から手を離し、距離を取る。

 

離された右目は、灰になっていた。

 

「あっれー、確かにレーザーポインターって目に入るとヤバいけど、そんな短時間で、そこまで溶けないと思うけどな?」

 

奴の右目を照らしていたのは、レーザーポインター...それもuv、紫外線の奴で、ネットで頼んだものの一つだ。

 

煽りながらすぐさま、奴の方に走り出し。

 

ブンッ

 

「っ?!」

 

(こいつっ?! いつの間に鉄棒をっ?!)

 

カンッ

 

防いだか...でも防ごうが関係ないな。

 

コオオオオ

 

銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)。」

 

俺の身体から生み出した波紋は鉄棒、長ドスに伝わり。

 

ゴボボボ

 

ドロリン

 

「!!」

 

そして奴の両腕に伝わり、奴の両腕が溶ける。

 

カラン

 

「なんだとッ?!」

 

そのまま長ドスは地面に落ちる。

 

(俺の腕が溶けたっ?! どうなってる?!)

 

「あーそうだった...お前ら屍生人には痛みがなかったんだな...だから溶けるまで気付かなかったんだな。」

 

「ぐッ...!!」ダッ

 

奴は逃げようとするが。

 

「逃がすわけねぇだろ。」ブンッ

 

スパアン

 

「がッ?!」

 

奴が落とした長ドスを拾い、奴の左足を切断する。

 

「おいおい、何苦しんでるんだよ...お前痛み感じねぇだろ。」

 

そして倒れた奴に近づき、奴の死角外からシャボンを触れさせる。

 

「あのさ、聞きたいことあんだけど...あんたらのボスっていつどこにいる?」

 

「...知らねぇ...知っていても言わねぇ...」

 

「ふーん...そっか。」

 

コイツはホントに知らねぇみたいだな...てことは下っ端に言ってないのか?

 

コオオオオ

 

「...んじゃあ...地獄に行っててくれ。」

 

「なッ?!」

 

ブンッ

 

ザシュッ

 

波紋を流した長ドスを振り上げ、そのまま身動きが出来ないやつに向かって振り下ろし...奴の息の根を止めた。

 

そしてそのまま奴は、塵となって消えた。

 

「...この長ドス借りるか...俺が死んだら返すわ。」

 

...? 何かを感じる...いや、これは振動か?

 

...あっちの方向から感じる...誰かいるのか?

 

 

 

 

「はぁ...はぁ...」

 

(嘘...響助...人を......)

 

「はぁ...」

 

(それにさっきの響助の表情...チラっとしか見えなかったけど......表情が...感情が無かった...まるで...)

 

(とにかく...一旦ここから...)

 

「...ッ! 絵名さん?」

 

「...っ?! 響助?!」

 

「偶然ですね...そう言えば夜間でしたっけ?」

 

「そ...そうなの! さっき授業が終わって帰宅してたの。」

 

「そうですか...」

 

...いや、ここは人通りが少ない所だ...わざわざ女性が一人で歩くとは思わない、それも夜にだ。

 

「絵名さん...もしかして、見てました?」

 

「ッ?! ...い、いや...」

 

わかりやすいな...てことはさっきの振動は絵名さんか...

 

「絵名さん、俺は色んな人を見て、嘘をついている人はよく分かります...やはり見ていたようですね...」

 

「...ね、ねえ...」

 

「なんですか?」

 

「アンタ...人殺しには...」

 

「ああ...絵名さん、少し説明しますね。」

 

俺は絵名さんに、奴の素性を明かした。

 

「響助の言ってることはわかる...けど...」

 

「人では無かろうが殺しは殺し...それは理解しています...ですが、あいつらは人間の肉や血を食べないと死んでしまう奴です...どうしようが、俺たち人間が生きるためにはあいつらを殺さないといけないんです。」

 

「...ねぇそれって瑞希とかには...」

 

「言ってますよ...それに彰人にも言ってます。」

 

「はっ...え?! 彰人も知ってんの?!」

 

「そうですね...まぁ俺的には不本意でしたけど。」

 

「...そうなんだ。」

 

「...もう時間も遅いですし、近くまで送りますよ?」

 

「え、いいの?」

 

「最近物騒ですし、流石に一人で帰させるわけにはいかないですよ。」

 

「...響助って...モテるでしょ。」

 

「残念ですが、野郎か、化け物しかモテてないですよ。」

 

「なにそれ...でも、ありがと。」

 

「んじゃ、行きましょう。」

 

「うん。」

 

情報は得られなかったか...だが、まだまだ俺を襲ってくる奴がいるだろうから、そいつらから聞き出せばいいか...

 

そう思いながら、絵名さんを送るために歩き出した。

 



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第63話:反撃 その2

暗闇の中...っと言っても街灯があるためそこまで暗くはない。

 

その中を絵名さんを家の近所まで送るために歩いていた。

 

夜はどうやら屍生人や吸血鬼が活発に動き始まる。

 

日中と違い紫外線が少ないため、あの紫外線を防ぐ衣類を着なくても行動できるっていう点では、奴らはかなり有利になるだろう。

 

だが、衣類を脱ぐって事は波紋が通りやすくなるって事でもある。

 

昼間に攻撃を仕掛けるより、夜中に仕掛けた方が周りに被害を受ける可能性も低くなる。

 

っと思ったけど、今回みたいに絵名さんみたいな夜間の学校の人たちには被害を受けることもあるしな...早く奴らを潰さねぇとな。

 

「...ねえ。」

 

「...んっどうしました?」

 

「さっきから暗い顔してたけど...大丈夫?」

 

「あ、大丈夫ですよ、ただ考え事してただけなので。」

 

「そう...一つ聞いても良いかな?」

 

「なんですか?」

 

「...響助が屍生人に攻撃してた所見ちゃったんだけど...響助って。」

 

「感情...あるよね...」

 

「...」

 

「...さあ...どうでしょうね。」

 

「え...」

 

「...冗談ですよ、感情はあります...ただ、意図的に殺せるだけです。」

 

「殺せるって...なんで...」

 

「人を殺す瞬間って思い切り殺意が出るんです、まあ人は殺した事ないですけど...だからこそ殺すってのもあるんですが、何より次の攻撃をバレない様にするためですね。」

 

「なんで...そんなこと出来るようになったの?」

 

「う~ん...まあ、中学時代にほぼ毎日クソ野郎どもに狙われたから自然と...って感じですかね、今とさほど変わらないですが。」

 

「そうなんだ...響助ってさ、そんなことになったのに消えたいとか逃げたいとか思わなかったの?」

 

「...思わなかったですね...そんなことしてもクソ共は変わらずいるので、逆に二度とそんな発想ができないくらい潰しましたね。」

 

「ッ!?」

 

「冗談ですよ...半分は。」

 

「半分って...アンタね...」

 

「まあいいじゃあないですか、これ以上の話聞いても面白くないですし。」

 

「...はぁ、まあいいけど...自分の身を気にしなさいよね、たまに瑞希から愚痴聞かされてるんだから。」

 

「そうなんですか...善処します。」

 

あとで瑞希に言っておこ。

 

「...っとここまででいいや。」

 

「あ、そうですか。」

 

「うん、ありがとね...このまま真っ直ぐ帰りなさいよ。」

 

「わかってます、流石に疲れてますので。」

 

「そう、じゃあね。」

 

「はい。」

 

さてと、俺も帰るか...収穫は無しか...まあまた明日だな。

_______________________________________________

 

「...ふわぁー...」

 

あくびをしながら自宅に戻っている道中。

 

「...ん?」

 

これは...殺気か?...めんどくせーな...

 

コオオオ

 

「...」バシュッ

 

「フッ!」サッ

 

どこから登ったのか知らんが、上空から襲ってくる奴の攻撃を、波紋で身体能力を上げ、回避する。

 

「ッ...」

 

攻撃は空を切り、地面に着地した奴は苦い顔をする。

 

「ほら、隙だらけだぞ。」ピカッ

 

すぐさまレーザーポインターを奴の左目を照らす。

 

「ぐっ?!」

 

すぐさま奴は左目を閉じる。

 

「...おやっ? どうやら屍生人じゃあなさそうだな...んじゃあ。」

 

俺はセカイからとあるものを取り出す。

 

「...なんだそれは?」

 

「これ?...エアーソフト剣って奴だ、スポーツチャンバラで使う奴だよ...硬いもの使ったら、お前死んじゃうじゃん、人殺しにはなりたくないの。」

 

「ッ!」ダッ

 

煽ったつもりはないのだが...奴にとっては挑発ととらえたのか、そのまま俺に向かって突っ込んできた。

 

「やれやれ。」ブンッ

 

そのままエアーソフト剣を奴に向かって振るう。

 

スパンッ

 

「ガッ?!」

 

とても気持ちの良い音が響き渡る。

 

「オラオラ。」ブンッ

 

一瞬の隙を与えず、鋭い斬撃を繰り出す。

 

「グッガッ?!」

 

奴は何もできないまま、食らい続けていた。

 

「ガッ...」ドサッ

 

心が折れたのか、限界だったのかそのまま後ろに倒れこんだ。

 

「...あ、そうだ、お前どうせ『サングエフリッド』の奴だろ、ボスはどこにいるの?」

 

あの時に聞けなかったことを聞いた。

 

「い...言えない。」

 

ほう、言えないと来たか...つーことは知ってるって事か。

 

「ほーそう...でも聞かないと俺が困っちゃうんだよね...だからさ。」

 

「ぐっ?!」

 

言葉を発しながらスタンドを出し、奴の右手を抑える。

 

そしてエアーソフト剣をセカイに戻し、そのまま別の物を取り出す。

 

「悪いが...徹底的にやらしてもらうわ。」

 

「むぐっ?!」

 

そして右手を抑えている方とは別の手で奴の口をふさぐ。

 

そしてセカイから取り出したものを奴の右手に向け。

 

バシュッ

 

「んっっっ?!」

 

何かが撃ち込まれた音が響く。

 

「さーて...お前がボスの情報を言わない限り...このネイルガンを右手に打ち込み続けるから。」

 

レーザーポインターとは別にもう一つ買ったもの、それはバッテリー式のネイルガンだ。

 

...まあ、本来はこんな使い方をしてはいけないがな。

 

「んじゃあ、もう一発。」

 

バシュッ

 

「んーーー!!」

 

さて、どこまで持つかな。

 

「もう一回聞く、ボスはどこにいる...早く言えよ。」

 

「...」ブンッブンッ

 

奴は折れたのか、首を縦に振る。

 

「よーし、んじゃあ、どこにいる...それかお前らはどこを拠点にしてるか言え。」

 

強烈な圧を奴にぶつける。

 

「ボスは、基本的に建物から出る事はほぼない...」

 

なるほど...建物からあまり出ないって事は、人間じゃあない可能性があるか。

 

「そうか、んじゃあ、そのボスは全体のか、それとも点々とある拠点のボスか?」

 

「拠点のボスだ...全体のボスは場所を知らない。」

 

おーおー...かなり慎重なボスだねぇ。

 

「そっか、んでお前らの拠点はどこにある。」

 

「...『エネルギア』って所だ...」

 

『エネルギア』か...良い情報をもらった。

 

「そっか、ありがと、礼に傷を治す。」

 

コオオオオ

 

釘を引っこ抜き、エアーソフト剣で傷ついた肉体を波紋で治す。

 

「んで...少し寝てろ。」

 

「え?」

 

バチッ

 

バタッ

 

強烈な波紋を込めた右手を奴の首の横に流し、気絶させた。

 

...情報を得たいならスタンド能力を使えばいいと思うが...それじゃあ舐められるからな...徹底的に心を折らないとね....

 

「...さてと、烏の奴に電話するか。」

 

スマホを取り出し、烏に電話をかける。

 

プルル

 

ピッ

 

『どうした?』

 

「『サングエフリッド』の点々とある拠点の一つを特定した。」

 

『っ! そうか、どんなところだ?』

 

「『エネルギア』って所だ。」

 

『『エネルギア』か...わかった調べる...まさか情報をしっかり手に入れるとはな。』

 

「ああ、幸いにもあっちから襲い掛かってくるからな...情報を手に入りやすくて助かるよ。」

 

『それは良い事なのか...? 特定出来たらまた連絡する。』

 

「ああ、助かるよ。」

 

ピッ

 

「...さてと帰るk。」

 

「やあ...ジョジョ。」

 

ビクッ

 

おいおい、待て待て...いやいやいやいや、こんな時間だぞ、流石にいるわけ...

 

「ボク何度も言ったよね、安静にしてって。」

 

「おー...なんでここにいるんでしょうか...瑞希さん。」

 

「作業の時に飲む飲み物を買いに行ってる時にたまたまね。」

 

「...ちなみにいつから?」

 

「スポンジ剣で相手を叩いてる時から。」

 

おお...全部ですね。

 

「それに...烏って何?」

 

「ああ、えーと...知り合いです...」

 

「そっかそっか...言い残すことは?」

 

「慈悲は無いんですか?」

 

「ないよ。」

 

この後、めちゃくちゃ説明した。



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第64話:自分の正体のために

「...つまり、倒すためにわざわざ活発に動き始める時間帯に外に出て、その烏さん?...でいいのかな? その人に情報をもらってたってことね。」

 

「はい...」

 

「...なんて言うかさ、勉強できるのに馬鹿というか何というか。」

 

「...言い方にトゲない?」

 

「死ぬかもしれないってわかってるのに首を突っ込みに行くのって馬鹿以外になんて言うの?」

 

「ん~ごもっともすぎてなんも言い返せねぇや。」

 

「...なんでそこまで倒すのにこだわるの? 今回だって郷秀くんに相談ぐらいしても良かったじゃん。」

 

「なんで...か...」

 

「俺の正体を掴むためだな。」

 

「正体って...どういうこと?」

 

「瑞希、お前はおかしいとは思わないか、半グレ共がただの一般人である俺を殺すのにこだわってるのに。」

 

「...確かに、ジョジョを狙ってる意味がよく分からないかな。」

 

「そうだな...瑞希、お前は見つかったらまずいものがあったらどうする。」

 

「え?...隠すかな?」

 

「そういう事だ...つまり。」

 

「奴らのボスにとって、俺が存在していること自体が厄介なのかもな。」

 

「え...つまり、ジョジョがその人らにとって重要な情報を持ってる...的な感じって事。」

 

「そうだろうな、だからこそ、奴らは俺のことを知っているはずだ、俺はそれを知りたいんだ。」

 

「まあ、ムキになってるのは自覚してるよ、でも、どっちにしろ襲われるなら、こっちから襲うまでだ。」

 

「...なんでジョジョばっかり。」

 

「悔いてもしょうがねえ...俺の辞書に全力の撤退はねぇ...必ず突き止めてやるよ...」

 

後退しても奴らは追ってくる、なら俺が出来ることは前へと進んで真相を知るだけだ。

 

ブーブー

 

「ッ?」

 

突如、スマホから着信が入る。

 

「...烏だと?」

 

「え?」

 

さっき連絡したばっかなのだが...何の用だ?

 

ピッ

 

「もしもし?」

 

『響助、さっき言い忘れてたが...』

 

 

 

「『サングエフリッド』についてだ。」

 

「なに大事な事言い忘れてるんだコノヤロー。」

 

「んで、なんだ。」

 

『ああ、どうやら奴らは武器を密売しているみたいだ。』

 

「なんだと?」

 

という事は、サイトで武器を売ってるってやつは、『サングエフリッド』の奴らだったのか?

 

「どうやって密売してるか知ってるか?」

 

『悪いが、尋問した奴とはまた別のグループと聞いた。』

 

グループごとに分かれてるか...だいぶデカい組織みたいだな。

 

「なるほどな、俺も少し心当たりがある、こっちでも探ってみる。」

 

『そうなのか、わかった。』

 

「...ああ、あと、もう一つ言いたいことが...」

 

『ああ、ピンクの子にバレたって事か?』

 

「ッ?!」

 

こいつッ?! どこからッ?!

 

俺は辺りを見回すが、そこにはカメラなんてものはなく、ただ本物のカラスがいただけだ。

 

『言っただろ、情報というのはいつどこで手に入るかわからないものだってな。』

 

「だとしてもリアルタイムすぎるだろ...まあいい、それだけだ。」

 

『そうか...もう一つ言い忘れてた事があるんだが。」

 

「なんだ?」

 

 

 

『今、お前を狙ってる奴がそっちに向かってる。』

 

「さっさと言えやボケッ?! そいつは人間か!!」

 

『おそらく屍生人だな、人間にしちゃ違和感を感じる。』

 

「そうか、なら俺が...」

 

 

 

「地獄に送る。」

 

「っ?!」

 

(な、なに...この身が凍るような冷たい視線は...ボクの事を指してないのに...こんなジョジョ、初めて見た...)

 

『了解だ、幸運を祈る。』

 

「わかったよクソッたれ...ったく...瑞希。」

 

通話が終わり、瑞希に声をかける。

 

「...え、なに?」

 

「俺のそばから絶対に離れるな...いいな。」

 

「え......うん。」

 

さあ...どこから来る...

 

コオオオオ

 

波紋を練って感覚を最大限まで上げる。

 

...

 

! 背後から振動を感じる。

 

「瑞希...俺の後ろに少し離れて居ろ。」

 

「...わかった。」

 

瑞希が俺の後ろに隠れると、セカイから長ドスを取り出す。

 

「ッ!? ジョジョなんでそんな物?!」

 

「拾った以上。」

 

疑問に思ってる瑞希をテキトーに返事する。

 

ダッ

 

「ッ!」

 

大きな振動を感じ、咄嗟に長ドスを構える。

 

「ッ!!」ブンッ

 

カンッ

 

俺を襲ってきた奴は、俺に向かって刃物を振り下ろし、俺はそれを受け止めた。

 

「うおっと。」

 

こりゃあ、波紋を込めてなかったら吹っ飛ばされてるな。

 

奴は紫外線を防ぐグローブを付けている、銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)は使えねえか。

 

「ふんッ!!」

 

なら、隠してない部分を波紋を込めた蹴りで流すだけだ。

 

「ッ?!」サッ

 

だが、その蹴りは空を蹴ることになる。

 

やつは、超反応で俺の蹴りを躱しやがった。

 

「逃がさねえよ。」ダッ

 

すかさず俺は、奴の間合いに入り、長ドスを突き出す。

 

「チッ?!」サッ

 

奴はまたもや、超反応で躱す...だが、すこし右腕をかする。

 

ジュウ

 

「ぐっ...」

 

かすった右腕から灰が出る。

 

「...フンッ!!」スッ

 

突きからそのまま奴の袈裟を狙って振り下ろす。

 

「キッ!!!」サッ

 

だが、それも躱される。

 

「...」シュッ

 

奴は躱しながら、使ってた刃物を捨て、服に手を入れる。

 

「フッ!!」シュッ

 

奴は懐からナイフを取り出し、俺を顔面に向かって刺しだす。

 

「避けれる。」サッ

 

身体をひねり、ナイフを躱す。

 

ピト

 

「...ッ?!」

 

奴の体に、長ドスを持ってない方の2本指で触れる...そして。

 

「フンッ!!!」ブンッ

 

そのまま波紋を込めたワンインチパンチを食らわせる。

 

「がはっ?!」ゴスンッ

 

それは見事に奴に食らわせたが、それは決定打にならなかった。

 

「チッ...放つ瞬間に、手を入れてたか。」

 

ワンインチパンチを食らわせる前に奴はグローブを付けた手を滑り込ませていたのだ。

 

だが、衝撃はすごいだろ、奴は一気に体力を奪われた。

 

「グッ...」

 

...だが、何故か奴の目はまだ光がある...何かあるのか...それに奴が手にしてるナイフ...変わった形状をしている。

 

「...」

 

なんだ...こっちにナイフを向けた...

 

奴はこちらの方にナイフを向けた。

 

「...?!」

 

俺は気づいた、奴のナイフはただのナイフじゃあない事に...そしてそのナイフを向けているのは俺ではなく。

 

「え...?」

 

ナイフを向けているのは、瑞希だった。

 

少しでも目撃者を消すつもりか?!

 

ダッ

 

奴に向かって走り出すが...奴が行動するのが早かった。

 

プスッ

 

奴が持っているナイフの刃先は、瑞希に向かって発射される。

 

やっぱりか...クソが!!

 

ブンッ

 

俺は左腕を広げる。

 

グサッ

 

そして発射された刃先は俺の左腕に深々く刺さる。

 

「チッ...?!」

 

ナイフを視線が写り、一瞬だけ隙が出来てしまった。

 

「ッ!」ブンッ

 

「やっばッ!?」

 

俺に向かって左ストレートを繰り出す。

 

ドスンッ

 

「グッ?!」

 

咄嗟に両腕で防いだが、数メートル吹き飛ばされる。

 

「ジョジョっ?!!」

 

「...大丈夫だ...」

 

瑞希に返事をし、立ち上がる。

 

「おい...」

 

 

 

「瑞希を狙いやがったなクソ野郎...マジで許さねえ...死人は死人らしくあの世へ送ってやる。」

 

「ッ?!」

 

マジでキレた...もう容赦はしねえ。

 

コオオオオオオ

 

ダッ

 

右腕を構えながら、今まで以上の踏み込みをし、奴に急接近する。

 

「ぐっ!!」

 

奴は防御の体制をとるが...関係ない。

 

「お前に返すよ」スッ

 

「ッ?!」

 

殴りかかるのはブラフだ、俺は左腕に刺さった刃先を引っこ抜き。

 

「あの世へ逝っとけよクソ野郎ッ!!」

 

奴に刺しだす。

 

ザシュッ

 

「ガハッ?!」

 

波紋を込めたそれは奴の両腕を越え、奴の心臓部に突き刺さった。

 

そして波紋は奴の体内をまわり。

 

「ガッ...」

 

奴の肉体全てを灰にした。

 

「...やれやれ、スペツナズナイフともう一つの刃物...よく見ると鉈か...死ぬまで借りとくぞ。」

 

「ジョジョ! ひ、左腕!」

 

「ああ、波紋で治せる。」

 

バチバチ

 

「瑞希、怪我はないか。」

 

「...ボクはないよ。」

 

「そっかよかった...んじゃあ帰ろうぜ、流石に疲れた。」

 

「うん。」

 

「...」

 

(あの時...ボクが咄嗟に動けてたら、ジョジョが怪我する事は無かった...)

 

(ジョジョの正体の事だって、ボクは何もできてないじゃないか...)

 

(...情けないな。)

 

(ボクに力が......スタンドがあれば...)

 

「...ん? どうした瑞希?」

 

「...え、あ...何でもないよ。」

 

「...? そっか。」

 

なんか...考えてるな...なんだろ?

 

そう思いながら、俺達はそれぞれの自宅へと向かった。

 



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第65話:もう一つのセカイでの戦い

自宅に着いた俺は、自分の部屋に戻り、動画の編集を開始した。

 

...瑞希の奴、何考えてたんだ...? まあ、また会ったときに聞けばいいか。

 

「...っと。」

 

あとはアップロードするだけ...喉乾いたな。

 

そういやセカイに大量に入ったコーラの冷蔵庫を置いてたんだっけな...セカイってなんで電気通ってるんだろ?

 

まあいいか、セカイに行くか。

 

アプリを起動し、セカイへと移動した。

 

 

 

セカイへと移動した俺は、冷蔵庫からコーラを取り出し、のどが潤うまで飲んだ。

 

「フー...キンキンに冷えたコーラはやっぱ美味いねぇ...」

 

「...それよりあれは何?」

 

飲み終わった時、後ろからミクに声をかけられる。

 

「んー、あれはまあ、武器だな...最近シブヤで色々あってね、ああいうのが必要になったんだ、だからあれは勘弁してくれ。」

 

「...大体わかってるからいいけど...大丈夫?」

 

「ん? 怪我は波紋や能力で治せるから大丈夫だけど?」

 

「そうじゃ...まあ、平気そうだしいいや。」

 

「?...あれ? あれって。」

 

ミクから目をそらすと、バグった想いの欠片が現れた。

 

「やれやれ、見ちまったもんは見逃せねぇか。」

 

「気を付けてよ、最近響助、怪我ばっかだから。」

 

「わかってるさ、死なねぇ程度には怪我しないから。」

 

「そうなる前に逃げるか倒すかしてよ。」

 

「まあ、そうだといいけどな。」

 

想いの欠片に触れ、白い光に包まれる。

 

 

 

「うん?...また変わったセカイだな。」

 

白い光が晴れると、無骨に置かれた鉄骨や、なんか...un〇tyでテキトーにキューブを配置した感じのがそこら中に置かれていた。

 

幸いにも広々と場所だ、戦いやすい。

 

そう考えながらそのセカイを歩いていると。

 

「...誰?」

 

「...ミクなのか?」

 

俺に声をかけたのは、恐らくミクなのだろうだが...髪色は緑色ではなく白...いやグレーか?

 

目の色も青と赤のオッドアイ、ツインテの位置も違い、衣装も左右で若干違う、アシンメトリーって奴か。

 

なんて言うか、左右で違う...別々の物を無理やり一つにした感じだ。

 

「うん...あなたは?」

 

「俺は...そうだな...通りすがりの高校生だ。」

 

「...?」

 

あ、通じないやつですねはい。

 

「...あなた...なんかまふ...あ。」

 

まふ...まふゆさんの事か?...やっぱ知り合いか...

 

「あー...まふゆさんは知り合いだ...だから怪しい奴では...なくもないな...うん。」

 

「...でも...なんとなく悪い人じゃないってわかる...。」

 

「そっか、ありがとう...ミク、俺以外に何か変な靄か、人影を見なかったか?」

 

「ううん...貴方が初めて...」

 

「そっか...」

 

まだ現れてないって事か...

 

それにしても、なぜあのバグの様な靄は、セカイの住民やセカイの持ち主を狙って襲うのだろうか...

 

そして、現れる奴によってはスタンドも持っている奴もいた。

 

「ねえ?」

 

「...うん? どうした?」

 

「なんか難しい顔してるけど...大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫、ちょっと考えてただけだから。」

 

「そう...ならよかった。」

 

...なんて言うか...司先輩たちのセカイのミクも、子供っぽい感じだったけど、こっちはこっちで子供ぽい...っていうか、純粋か?

 

「...ッ?!」

 

なんだ...この感じ...何かヤバいッ?!

 

「ミクッ!!」ガバッ

 

「わ...」

 

ミクを抱え込みながら前方へ動く。

 

ザンッ

 

なにか風を切る音が聞こえた。

 

「っと...大丈夫か?」

 

「うん......あれは...?」

 

「...現れたか。」

 

振り返ると、左手にナイフを持った黒い靄がかかった人間のような奴が立っていた。

 

「完全ニ不意打チダッタノニ躱ストハ、ソレニ、ココニ現レルノヲ知ッテイタヨウダガ?」

 

「さあな...このまま帰ってもらえるとこっちとしてはありがたいんだが?」

 

「ソウハイカナイ...ソレニ、コンナニモ強力ナ魂ガ見ツカッタノダカラナ。」

 

魂だと...それに、奴の頭にあるのはディスクか?...こはねちゃん達のセカイに現れた奴も付けてやがったな。

 

「そうかよ...ならお前を消すまでだ。」

 

自分のセカイから、鉈を取り出す。

 

奴はナイフだ...長ドスじゃあ間合いに入られたら対応しづらくなる、なら少しで小回りが利いて重量のある鉈が良いだろうな。

 

「変ワッタ獲物ダナ...マアイイヤ、オ前ノ魂ヲクレヨ!」ザッ

 

左手にナイフを構え、俺に向かって突っ込んできた。

 

「ッ!」

 

速えッ! 今まで対峙した奴の中でかなりのスピードだ?!

 

「チィッ?!」カンッ

 

ナイフの斬撃を鉈で防ぐ。

 

斬撃も速い...俺も成長しているとはいえ、油断したら死ぬな...

 

「素早イナッ!! デモイツマデモツダロウナッ!!」ブンッ

 

「なめるなッ!」カンッ

 

すぐさま激しい斬撃が連続でとび、すべて鉈で防ぐ。

 

奴の斬撃は素早い...隙を見つけないとな。

 

攻撃を入る隙を見つけるまで、斬撃を防ぎ続けた。

 

完璧なんてない...必ずどこかに攻撃が入る隙が出る。

 

「オラヨッ!!」ブンッ

 

奴は、大振りの攻撃をしてきた。

 

...ここだ。

 

「フッ!」サッ

 

ガードをやめ、その攻撃を躱した。

 

「ッ!」

 

攻撃後の隙が生まれた...見事にカウンターが入った...と思っていた。

 

ザシュッ

 

「ぐッ?!」

 

斬られたのは...俺だったのだ。

 

なッ...斬撃は躱したはずだ...

 

脳が理解できず、奴との間を開ける。

 

「...なにッ?!」

 

俺が目にしたのは、左手に持っていたナイフが、右手に移っていたのだ。

 

どういうことだ...もう一本持っていたのか?...いや、左手のナイフが消えるはずがない...何をした?

 

今までの経験を思い出し、一つの答えが出た。

 

スタンドかッ?!

 

こんなこと出来るのはスタンド以外にない...そういや前にスタンドを使って奴も、ディスクを付けていやがった。

 

「こりゃあ...強敵だ。」コオオオオ

 

薙がれた腹を、波紋で治癒する。

 

「傷ガ治ッタ...スタンド能力カ?」

 

「へぇ...スタンド知ってるんだな。」

 

スタンドを知っている...けど波紋を知らないか...

 

「ジャア、治ル前ニ殺サナイトナッ!」

 

そう呟くと、すぐさま俺に向かって斬撃を仕掛ける。

 

...どっちだ...どっちでくる。

 

奴の手を見ながら、回避する方向を見極める。

 

「...」ビュン

 

左手からナイフが消えた右手かッ!

 

「ッ!」サッ

 

右方向に躱した...だが。

 

「ソレッ!」ブンッ

 

「ガッ!」ゴスンッ

 

拳で俺の顔面を殴ったのだ。

 

「...ッ。」

 

「攻撃ガナイフダケダト思ウナヨ。」

 

額で受けてよかった...鼻をやられていたら呼吸が出来ないところだった...ん?

 

奴は右手で持ってたナイフを左手に能力を使わずに渡していた。

 

なんで能力で移さない...何か理由が...ッ!

 

そして一つの活路が生まれた。

 

「なるほど...お前のスタンド...見極めた。」

 

「ナンダトッ?」

 

「さあ来いよ...次がお前の最後の攻撃だ。」

 

「デタラメナコト言ウナッ!」

 

俺は奴に勝利宣言をすると、奴は俺に向かってくる。

 

「...」ビュンッ

 

奴は攻撃すれすれで、左手から右手へとナイフを移した。

 

「最後の攻撃くらい食らってやるよ!」

 

ザシュ

 

突き出されたナイフは俺の左肩に刺さる。

 

ガシッ

 

「ナッ?!」

 

俺は鉈を捨て奴の右手を掴む。

 

「お前さ、左手から右手には移せるけど...その逆は出来ないんだな。」

 

「ッ?!」

 

図星だったのか奴は同様の隙が生まれる。

 

ガシッ

 

その隙を見逃さず左腕を掴む。

 

「ナッ?!」

 

「んじゃあ...渾身の一撃を与えてやるよ!!」ブンッ

 

俺はスタンドを出し、スタンドの拳を奴の顔面に叩き込む。

 

「ガッ...」

 

奴は体から力が抜け、ナイフから手が離れる。

 

「殺し合いで1秒でも無防備を見せたら...」

 

俺はすぐさま鉈を拾う。

 

「負けるんだよッ!!」ブンッ

 

ザシュッ

 

「ガァッ...?!」

 

奴の身体を鉈で袈裟に捕らえた。

 

そして奴は地面へと倒れこんだ。

 

「やれやれ...セカイでも俺の命を狙われるとはな...んでなんだったか...魂?...なんで魂を狙うんだよ。」

 

俺は疑問に思ってた事を聞いた。

 

「...ハハハ。」

 

「ん?」

 

奴は急に笑い出した。

 

「オ前ノ魂ナラ...大量のエネルギーニナルダロウナ...」

 

「エネルギーだと...どういうことだ?」

 

「...オ前ガドレダケ強クナルガ...アノ人タチニハ勝テナイ...新シイ世界ガ出来ルマデ...ソノ平穏ヲ楽シムトイイ。」

 

奴はそう言い残すと、消滅した...ディスクを残して。

 

「今回は残るんだな。」

 

肩に刺さったナイフを抜きながらそう呟く。

 

「...血が。」

 

ミクが俺の体を心配する。

 

「ああ、これぐらい波紋で治せるよ。」コオオオオ

 

シャボンで止血しながら波紋で傷を治す。

 

「...あーそうだ、ミク...まふゆさん知ってるって事は、やっぱ瑞希の事知ってるか?」

 

「瑞希?...うん。」

 

「そっか、なら俺がここに来たこと内緒にしてくれないか?」

 

「...それはいいけど...でも。」

 

「ん?...どうs「ジョージョ...」」

 

「...」

 

「...」

 

「...なあミク...後ろを振り向きたくないんだけどさ...誰かいる?」

 

「...瑞希がいる。」

 

「すーッ...そっか......このまま帰「れると思ってるの?」」

 

「...はい。」

 

_______________________________________________

 

結局瑞希に見つかり、説教と洗いざらい今起こった事を話した。

 

「......まぁ、ミクが怪我する可能性があったし、ボク含めた人が襲われる可能性があったかもしれないから、そのあたりはお礼は言わないとね、ありがと。」

 

「でも、なんでジョジョがセカイにいるの?」

 

「あー...俺のセカイに想いの欠片ってのがあって、それでこのセカイに来た。」

 

「想いの欠片?」

 

「まあ、普通の想いの欠片とは違うみたいで、移動先で、俺以外の部外者がセカイの住民とかを襲おうとしてるんだよ。」

 

「そうなの...でも、なんでそれがジョジョのセカイに...」

 

「さあな、俺を襲ってきた奴も魂だとか意味わからんこと言ってたし。」

 

「魂...うん? ジョジョ、このディスクは何?」

 

瑞希がディスクを拾う。

 

「え、あーあれか、俺を襲ってきた奴の頭に付いてた...でいいのか?...まあ、頭に付いてた奴だよ。」

 

「付いてた?」

 

「ああ...なんか前にも付けた奴にあったけど、そいつもスタンドを使える奴だったんだよ...まあ、俺の予想だけどスタンド能力を使えるようになるなんかしらのスタンド能力かもな。」

 

「スタンド...」

 

...でも、スタンドを生み出すスタンドってあるのか?...ちょっと仗助さんや承太郎さんに聞いてみようか。

 

「...さすがに疲れたから俺はか...」

 

「あ...」

 

帰ろうとして顔を上げた時、目に入ったのは...瑞希の頭にディスクが刺さっていたのだ。

 

「おいッ?! 瑞希ッ!! 大丈夫かッ?!」

 

瑞希の両肩を掴み、最初に声に出たのは、瑞希の身体の心配だった。

 

「う、うん...なんともないみたい...」

 

「はッ?! 嘘だろッ?! ディスクが頭に刺さってるだぞッ?!」

 

「痛くもなければ、頭に何かがある感じもないよ。」

 

どうなってるんだ...まさかッ?!

 

「おい瑞希...これを左手に持ってくれ。」

 

「え、うん...わかった。」

 

俺はペンを取り出して、瑞希の左手に渡す。

 

「よし...んじゃあ、そのペンを右手に移してくれ。」

 

「え...どうやって?」

 

「あー?...左手から右手にペンが瞬間移動するって感じにイメージしてくれ。」

 

「イメージ......」

 

ビュン

 

「「?!」」

 

マジかよ...奴と同じ能力を瑞希が使えてる...

 

「ね...ねえジョジョ...ボク、スタンドを使えてるよ!!」

 

瑞希は俺に嬉しそうに声をかける。

 

「み...みたいだな...信じがたいが...」

 

あのディスク...スタンドを使えるようになるディスクなのかッ?!

 

「ねえジョジョ! 他にどんな能力があるの!」

 

嬉しそうに聞くところ悪いけど...

 

「それだけだ。」

 

「...え?」

 

「それだけ。」

 

「...」

 

正直、一般人にその能力って使い道ないよな....

 

「そっか...」

 

分かりやすく落ち込む。

 

「...そういや今日、なんか悩んでたみたいだけど...なんかあったのか?」

 

「え...ああっ!大丈夫、さっき解決したから!」

 

「え、そうなのか?...まあそれならいいけど。」

 

「ねえジョジョ、このディスク、もらっていい?」

 

「え? 別にいいが、使い道ねえだろ?」

 

「ちょっと考えたら、使い道が浮かんでさ。」

 

「お前スゲーな...」

 

「でしょー。」ドヤ

 

(...それに、ボクにスタンドの素質が少しでもあるってことを知れた...それだけでも自信が湧いてきたよ。)

 

「んじゃあ、今度こそ、家で安静にするわ。」

 

スマホを取り出す。

 

「しっかり安静にしてよ、ジョジョが怪我してるところ見て、悲しむのボクだけじゃないからね!」

 

「わかってるよ、んじゃあな。」

 

アプリを起動し、自分のセカイに戻った。

 

_______________________________________________

side:承太郎

 

「...ッ!」

 

「承太郎、こんなところにおったか。」

 

「病院から知らせがあった、意識が戻ったらしい。」

 

「......ッ」

 

「早く行ってやろうぜ。」

 

「...」

 

「?」

 

「なんだよ、どうかしたか?」

 

「いや、何でもねえ。」

 

 

 

「...夢か。」

 

「...やれやれ、懐かしい夢を見たか。」

 

「...奴を倒したとき以来、能力は使ってないが...」

 

「...いや、これ以上、変えるべきじゃあないな...何かを変えるたびに、他の何かも変わる...あまり多用する能力じゃあない。」

 

「...資料を見てる時に寝てしまったようだな...今日はこれぐらいにして、しっかり睡眠をとるか。」



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番外編
番外編:バレンタインデー・ホワイトデー


これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


いつも通りの日常...だが今日は杏ちゃんや寧々ちゃん、なんなら司先輩からも物をもらったのだが...今日ってなんかあったか?

 

「ジョジョ!」

 

「あ? 瑞希どうした?」

 

「はいこれ!」

 

瑞希はそう言いながら俺に綺麗にラッピングされた箱を渡された。

 

「ん? なにこれ?」

 

「なにって、チョコだよ?」

 

「チョコ......ああ、今日ってバレンタインデーか、やけに物渡されるな〜とは思ったけど。」

 

「そうだけど...気づかなかったの?」

 

「ふんどしの日かと...」

 

「ふんどしの日ってなに、ボク初めて聞いたんですけど?!」

 

「まぁでも、サンキューな。」

 

「おやおや〜、今日はデレの日なのかな〜」

 

「うるせぇよ、まぁホワイトデーにはなんかしら返すわ。」

 

「え...別にそこまでしなくても...」

 

「いいや返す、俺、貸しは返すタイプなんでね、期待してろよォ〜」

 

「あ...うん。」

_______________________________________________

一ヶ月後

 

「よ、瑞希。」

 

「あ、ジョジョどうしたの?」

 

「ほらよ、バレンタインデーのお返しだ。」

 

「え...本当に?!」

 

「なに驚いてるんだよ、前にも返すって言ったろ。」

 

「いや、てっきり忘れてるかと思ってた。」

 

「俺そこまでニワトリ脳ではねえぞ...ったくほら、キャラメルバウムクーヘンだ。」

 

「あ、ありがと!」

 

「あ、あと、お返しは倍返しで。」

 

「...え?!」

 

「俺貸しを作るのは避けたいけど借りを作るのは好きなんだよな〜...覚悟しとけよォ...借りを返すまで地の果てまで追ってやるからな〜...んじゃ。」

 

「いや、え?!ちょっと?!」

 

俺はその場を後にした。

 

_______________________________________________

 

side:瑞希

 

「行っちゃった...」

 

...

 

『覚悟しとけよォ...借りを返すまで地の果てまで追ってやるからな〜』

 

はは、ホントジョジョはお節介だよね〜...

 

「...キャラメルバウムクーヘンか〜...あまり聞かないけど美味しいのかな?」

 

...なんでこんな変わったもの渡したんだろ?

 

もしかしてなんか意味でも...絵名じゃないんだし、まさかね〜。

 

でも、気になっちゃったから調べちゃおっと〜

 

......

 

「......っ」

 

...なるほどね〜、ちゃんと意味を考えて渡したんだ〜...いや、なんか汗かいてきちゃったよ。

 

「...望むところだよ、来年はこれよりも凄いもの渡して驚かしてやろっと〜⭐︎」

 




『バウムクーヘン』幸せが続きますように

『キャラメル』安心する存在


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番外編:ピンクサイドテールのバースデー

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


夏が終わる間際、そして学生は長期の夏休みが終えるまで一週間をきった日。

 

外はセミの音、時間は10時を過ぎた頃、俺はキッチンでスイーツを作っていた。

 

「よし、これでOKだな...冷蔵庫に入れておくか。」

 

作ったものを冷蔵庫に入れ、自分の部屋に戻ろうした時。

 

ピンポーン

 

「ん?...なんだぁ?」

 

玄関のチャイムがなり、ドアを開けた。

 

「やっほ~♪ 主役のご到着だぞ~♪」

 

「...なんとなく察しはついてたよ...瑞希。」

 

チャイムを押した人物は、暁山瑞希 今日8月27日の誕生日の主役だ。

 

「早速ショッピングモールに行くよ!」

 

「はっ?! ちょっと待て!!」

 

「我、主役ぞ~、逆らうと許さないぞ~♪」

 

テンションが高いな...しょうがねぇ...

 

「わかったわかった...支度すっからちょっとの間待ってろ。」

 

「は~い♪...あっ! 熱中症になっちゃうからリビングで待ってるね~」

 

「へいへい...」

_______________________________________________

 

支度を終え、ショッピングモール向かっていた。

 

「急にショッピングモールって...なんか買うもんでもあるのか?」

 

「今日の夜からサークルメンバーとパーティするからね、その時に必要なものを買いにね。」

 

「なるほどねぇ...ってことは俺は荷物持ちか?」

 

「いやいや~、そこはデートって言ってほしいなぁ~♪」

 

「もうどっちでもいいや...」

 

「は~い! 時間は有限だからね~、急いでいくよ!」

 

「やれやれ...」

 

瑞希に引っ張られながらショッピングモールに向かった。

 

_______________________________________________

side:????

 

「ん~......んっ!!」

 

久しぶりの日本だ~!...お母さんやお父さんには帰ってくるって言ったけど、瑞希には驚かしたくて内緒にして言ったし、瑞希は驚くだろうなぁ...

 

さてと早速実家に戻って、瑞希を驚かせちゃおうっと♪

 

「はぁ...はぁ...ちょっと待って...疲れた...」

 

「いや、お前が急ぐって言ってたのに、先にばてるのかい。」

 

「ん?」

 

なんか聞き覚えがある声が聞こえたな...ってあれ!?

 

「いや、ジョジョが体力バカなだけだから...絵名にボクが体力バカって言ってたけどジョジョの方が体力バカでしょ。」

 

「体力バカじゃあない、呼吸法が違うだけだ。」

 

あれって...瑞希よね?!...写真送られてた時にもめちゃくちゃ可愛くなってたけど、実際に見てみると写真以上だよ!

 

...でもあの、瑞希がジョジョって呼んでる子...聞いた事ないな...いや、瑞希の事だから、悪い人ではないと思うんだけど...

 

...よし! 姉として、瑞希とあの人を見張っておこう、もし瑞希を傷つけるようであれば...容赦はしない!

 

_______________________________________________

 

瑞希たちの後を付けて、ショッピングモールに入ったわけだけど......

 

どっちかって言うと、瑞希の方が振り回してるような...

 

でも、瑞希が振り回せる存在って事ってだもんね...

 

「...あれ? ジョジョ、どこに行くの?」

 

「ちょっとトイレ...すぐもどっから。」

 

「ん?...わかった~。」

 

あれ、あの人、どっか行ったみたい...お手洗いかな?

 

 

 

「...アンタ...さっきから俺達のあとを付けてたみたいですけど...なにか用ですか?」

 

「ッ?!」ビクッ

 

い、いつの間に後ろに...いや、何時から気づいてたの?!

 

_______________________________________________

side:響助

 

「...アンタ...さっきから俺達のあとを付けてたみたいですけど...なにか用ですか?」

 

ショッピングモールに向かってる途中から、殺気では何かの視線を感じ、逃げられない様に、ショッピングモールまで、敢えてつけさせていたのだ。

 

「ッ?!」ビクッ

 

相手は俺の声に驚き、こちらに振り向く。

 

「...?」

 

付けてた正体は女性...なんだが...

 

この人...妙に瑞希に似ている...特に瑞希特有のピンクのまつ毛が...ただアイツとは違って1本ではなく2本生えているのだが...

 

「...あれ?...ジョジョ~トイレに行ってたんじゃ~...ってお姉ちゃん?!」

 

「瑞希...ってお姉ちゃんって...」

 

「あ~...えっと~...」

 

瑞希と瑞希の姉(?)から説明を受けた。

 

「なるほど...貴方が瑞希のお姉さんですねさっきはすみませんでした...俺は城ケ崎響助って言います。」

 

「響助くんね、いやいや、こっちが普通に話しかければよかったから謝らなくていいよ。」

 

「お姉ちゃん、何時こっちに帰ってきてたの?」

 

「さっき着いたところだよ、んでその時に二人を見つけてね、お母さんたちに連絡してたんだけど、瑞希を驚かせたくて。」

 

「なにそれ~、お母さんもお父さんも酷いなぁ~。」

 

やっぱこうやって話すと、瑞希のお姉さんって感じだ。

 

「...そういや瑞希、必要なものってそれで最後か?」

 

「ううん、後はあそこの店で最後だよ。」

 

「そうか...んじゃあ、さっさと行こうぜ。」

 

瑞希と瑞希のお姉さんと共に、瑞希の目的の店に向かった。

_______________________________________________

 

瑞希は店の中で入り、俺と瑞希のお姉さんは近くのベンチに座っていた。

 

「ねえ、響助くん。」

 

「なんですか?」

 

「瑞希とはどういう関係なの?」

 

「ッ!? 関係って...」

 

「あはは、ごめんね、姉としては気になるんだ。」

 

「関係か......気の合う友達ですかね。」

 

「友達かぁ...なるほどねぇ...そっか!」

 

瑞希のお姉さんは、俺の返答がよかったのか嬉しそうに笑った。

 

「...君を見てると、弟を思い出すよ。」

 

「ああ、瑞希も言ってたんですけど、やっぱり似てますか。」

 

「そうだね...特に雰囲気がね。」

 

「...そう言えば、瑞希から俺のこと聞いてなかったんですか?」

 

「うん、だから今日、瑞希と一緒にいるところ見てびっくりしたよ...でも良い人で良かったよ。」

 

「あ、ああ...ありがとうございます...」

 

すみません...多分思っているより良い人ではないです。

 

_______________________________________________

 

「買った買った~。」

 

「やっぱ荷物持ちじゃあねえか。」

 

「いいじゃんいいじゃん、ボク主役だよ~♪」

 

「やれやれ...」

 

瑞希の買い物を終え、自宅に戻っていた。

 

「瑞希~...あんまり響助くんを困らせちゃだめだよ。」

 

「わかってるって、しっかりと限度を考えながら言ってるから。」

 

「これは限度じゃあないのかよ......あ、ちょっと俺の家寄るぞ。」

 

「ん?...どうして?」

 

「ケーキ作ったんだよ、バースデーケーキ。」

 

「うそ?!...いつの間に作ってたの?!」

 

「いや、お前が一週間前から、あんなに誕生日アピールしてたら作らねぇと後が怖いだろ。」

 

「ええ~、酷いな~...ボクそんな怖い事しないよ...ボクのコーディネートさせるだけだよ。」

 

「怖いわ。」

 

「響助くんって、ケーキまで作れるんだね。」

 

「まぁ、料理自体は好きだったんで...瑞希のお姉さんも食べます?」

 

「え、いいの?」

 

「ホールで作ったんで、しかも2段なのでたくさんありますよ。」

 

「いや、作りすぎでしょ...」

 

「やるからには、とことんまでやった方が良いだろ。」

 

「んじゃ、食べようかな。」

 

「お姉ちゃん、ジョジョの料理はどれも美味しいんだよ、ホントに専属シェフになってほしいぐらいに。」

 

「誰がなるか。」

 

「そうなんだね。」

 

そんな会話をしながら、俺達は家に戻っていった。

 

(友達か......よかったね、瑞希!)

 

 



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番外編:わんだほいな一日

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


休日のある日、気分転換がてら買い物をしに外出してたある時。

 

「さてと...あとは今日の晩飯の材料を買うだけだな。」

 

晩飯の材料を買いにスーパーに向かっていた道中。

 

「...あ! おーい、響助くーん!」

 

「うん?!」

 

突然大声で誰かに呼ばれた。

 

「誰...ってえむちゃん?」

 

「響助くん、こんにちわんだほーい!」

 

声の主はえむちゃんだった。

 

「こんにちわんだほーい...?」

 

そう言えば前から気になっていたのだが...

 

「えむちゃん、前から思ってたんだが、その『わんだほーい』ってどういう意味なんだ?」

 

「んー、いろんな意味で使うけど...一番は、『笑顔になあれ』っていうおまじない、かな!」

 

「『笑顔になあれ』か...いいおまじないじゃあないか。」

 

「それにしてもえむちゃん、今日はいつにも増して元気だけど、なんかいい事でもあったのか?」

 

「うん!今日はあたしの誕生日なんだ!」

 

そうなのか...今日はえむちゃんの誕生日だったのか。

 

「そうだったのか、お誕生日おめでとう...プレゼントは用意してなかったな...」

 

「ううん! 祝ってくれるだけでも嬉しいよ!」

 

っと言ってもな...なんかしないと気がおさまらないな...そうだ。

 

「えむちゃん、少し時間はあるか?」

 

「うん! 大丈夫だよ!」

 

「そっか、物はプレゼントできないけど、体験はプレゼントできるよ。」

 

「体験!! なになに~!!」

 

「そうだな...魔法みたいなものかな?」

 

「魔法!! 響助くんって魔法使いだったの!!?」

 

「魔法使い...まあ似たようなもんだな...ここだと人に見られるかもしれないから少し移動するよ。」

 

「あいあいさーっ! 隊長!!」

 

「隊長?...魔法使いなのにか?...まあいいか。」

 

俺はえむちゃんを引き連れ、人がいない公園に向かった。

 

「隊長ーっ!! どんな魔法を使えるんですかっ!」

 

「えむ隊員、これは秘密だから、あんまり大声出さないでね。」

 

えむちゃんのノリに乗るようにした。

 

「そうだな...まずは軽く、シャボン玉を生み出す魔法だ。」

 

俺はそう言うと、スタンド能力でシャボン玉を電動バブルガンのようにばら撒いた。

 

「わーっ!! 響助くんっ! どうやったの!!」

 

「魔法だから原理なんてないよ、ところでえむちゃん、空を飛んでみたいとは思わないか?」

 

「空をっ! うん! 飛んでみたい!」

 

「よし、んじゃあ、まずはこの命綱を体に巻いてね。」

 

「あいあいさーっ!」

 

そう言うとえむちゃんは命綱を体に巻き始めた。

 

「隊長!! 巻き終わりました!!」

 

「よし、んじゃあ、このシャボン玉に触れてみてくれ。」

 

少し大きめのシャボン玉を生み出す。

 

「触れればいいんだねっ!」

 

そう言い、えむちゃんはシャボン玉を触れた、その時。

 

フワア

 

「っ!」

 

えむちゃんの身体はゆっくりと宙に浮かび始めたのだ。

 

「体がフワフワ浮いてるっ! 宇宙にいるみたい!!」

 

まぁ、重力を奪ってるから実質宇宙のようなもんだ。

 

「フワフワで体が軽いよ~っ!」

 

「んじゃあ、そろそろ下すぞ。」

 

あまり無重力状態でいると、地球重力に潰されちゃうからね。

 

えむちゃんを地面に下して、重力を奪ってるシャボン玉を割る。

 

「~っ!...響助くん、すっごいね~っ!!! 他にどんな魔法を使えるのっ!!」

 

「そうだな...」

 

他にも様々なものを奪い、えむちゃんを楽しませた。

 

改めて、えむちゃんお誕生日おめでとう!

 



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番外編:ペンギン好きな青髪のアイドルへ

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


am5:45

 

コオオオ

 

「オラァッ!!」

 

ドグオオオン

 

「ゲベァッ?!」

 

少し強烈な波紋を纏った拳を奴にぶち込んだ。

 

波紋を流された奴は、そのままその場に倒れこんだ。

 

「...やれやれ、早く目が覚めたら少し外の空気吸おうとしたらまさか烏に連絡されるとはな...とりあえず縛ってと。」

 

気を失った奴をの手足を縛り、烏に連絡する。

 

プルル

 

「もしもし...終わったぞ。」

 

『おー、終わったか? 近くにいて助かったぞ。』

 

「ったく...座標は送るからな、俺はさっさと帰って二度寝するよ...しっかりとはよこせよ。」

 

ピッ

 

烏との連絡を終え、自宅に向かって歩き出す。

 

「...しかし、肌寒いな...この前まで暑いぐらいだったなのにな...まあ、もう10月だからな、暑いのがおかしかったんだ。」

 

さすがに10月に入ると、そろそろ長袖が欲しくなってくるな。

 

「...そういやここら辺って神社に近かったな...ついでに寄っていくか。」

 

指定された場所から神社が近かったので、少しって寄ってから自宅に戻ることにした。

 

_______________________________________________

 

参拝を終え、自宅戻ろうと階段を降り終えた時。

 

「...あ、響助さん、おはよう。」

 

「お、遥ちゃんか...ランニングか?」

 

「そうだよ、響助さんは?」

 

「俺? ちょっと朝から用事があってそれが終わって、神社の近くだったから寄ってから帰ろうかなって思ってね。」

 

「そうなんだ、用事って聞いてもいい奴?」

 

「企業秘密です。」

 

「起業してないでしょ、響助さん。」

 

そんなやり取りをしてると、声をかけられた。

 

「あら、響助君に遥ちゃん?」

 

「「榎本さん、おはようございます。」」

 

「おはよう...そう言えば、今日は、遥ちゃんの誕生日だったわね、遥ちゃんお誕生日おめでとう!」

 

「! ありがとうございます、榎本さん。」

 

「遥ちゃん、今日誕生日だったんだ、お誕生日おめでとう。」

 

「響助さんもありがと。」

 

「しかし、誕生日でもランニングか、ストイックだなぁ...」

 

「そうかな?」

 

何というか...アイドルって言うより、アスリートかなんかじゃあないかな?

 

「...あ、そろそろ行くね、榎本さん、響助さん。」

 

そう言うと、遥ちゃんは、そのままは走っていった。

 

「...あ、榎本さん少し聞いてもいいですか?」

 

「ん? なに、響助君?」

 

「遥ちゃんのランニングって、毎回ここなんですか?」

 

「んー、毎回ってわけじゃないけど、朝と夕方に同じルートでやってるみたいね。」

 

「そっか...ありがとうございます、んじゃあ、俺も帰ります。」

 

「うん、気を付けてね。」

 

大体同じって事か...

_______________________________________________

pm:17:00

 

俺は再び、神社に、とある物を持って向かっていた。

 

「...あれ? 響助さん、また神社に用事?」

 

よかった、いたみたいだ。

 

「神社って言うか、遥ちゃんに用事かな。」

 

「え、私に?」

 

「うん、はい、改めてお誕生日おめでとう。」

 

紙袋に入った物を遥ちゃんに渡す。

 

「あ、ありがとう響助さん...これは?」

 

「ペンギンのアイスボックスクッキーだよ、ペンギンが好きって杏ちゃんから聞いたから作ったんだ。」

 

「え、手作りなの? 響助さん、スイーツとか作れたんだ。」

 

「うん、昔から色々作ってたからね、あと、糖質とかも控えめになってるから。」

 

「そんなことまで...ありがとう響助さん、大事に食べるね!」

 

笑顔でお礼を言う姿は、まさにアイドルそのものだった。



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番外編:アップルパイ作り

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


とある休日、やることがなく、ただ部屋でボーっとする時間が続いてる時...

 

「...暇だな。」

 

まあ、暇なのは平和の証って事でいいのだが...って誰に言ってんだこれ。

 

「とはいえ、最近出たゲームも終わっちまったし、編集もストックがあるしで、やることがないが...」

 

そのままベッドに横になろうとした時。

 

ブーッブーッ

 

「...電話? 誰からだ?」

 

着信が入ったので、スマホを確認すると。

 

「...咲希ちゃん?」

 

着信主は咲希ちゃんだった。

 

ピッ

 

「もしもし、どうした?」

 

『あっ! きょーすけくん? 今時間大丈夫かな?』

 

「時間ならまあ、暇だからいくらでもあるけど?」

 

『良かった~! 少し協力して欲しいことあるんだけど...大丈夫かな?』

 

「大丈夫だけど...協力って?」

 

『ありがとう! 協力ってのはね、アップルパイを一緒に作ってほしいの!』

 

「アップルパイ...それはいいけど、なんで?」

 

『今日、ほなちゃんの誕生日だから、アップルパイを内緒で作りたいの!』

 

「穂波ちゃんの誕生日、今日なのか...なるほど大体わかったけど...なんで俺なんだ?」

 

『この前はるかちゃんから聞いたんだけど、ペンギンのアイスボックスクッキーっきょーすけくんからプレゼントしてくれたって聞いて、アップルパイも作ったことあるかなって思ったの!』

 

「そっか...OK、アップルパイは作ったことあるから協力するよ...ところで、材料はあるのか?」

 

『うん! 一応レシピ通りに買っておいたよ!』

 

「よし、んじゃあ、今から行くから待っててね。」

 

『うん! ありがと、きょーすけくん!』

 

ピッ

 

さてと、向かうか。

 

_______________________________________________

 

司先輩の家に到着し、すぐさまインターホンを鳴らした。

 

ピンポーン

 

「今開けるぞー! 響助ー!」

 

家の中に居るのにここまではっきりと声が聞こえるのは、よっぽど声が大きいのだろうなと、改めて思った。

 

ガチャッ

 

「響助! 今日は来てくれてありがとうな!」

 

「お邪魔します、司先輩。」

 

「きょーすけくん! 来てくれてありがとう!」

 

「うん、んじゃあ早速、アップルパイを作りましょうか。」

 

「ああ!」「うん!」

_______________________________________________

 

司先輩、咲希ちゃん、俺と3人でのアップルパイ作りが始まった。

 

「響助! オレは何をすればいい?」

 

「司先輩は......りんごを皮をむいて、なるべく5mm幅に切ってください。」

 

「むっ! 5mm幅か...」

 

「なるべくなので、5mm幅前後で考えてもらえれば大丈夫です。」

 

「そうか! わかった、なるべく5mm幅で切ってみるぞ!」

 

「アタシは何すればいいかな?」

 

「咲希ちゃんは、パイシートを型に敷きこんで、もう一つのパイシートを1.5cm幅で11本カットお願い。」

 

「りょーかいです! きょーすけシェフ!」

 

「シェフ...まあいいか。」

 

オーブンを200℃に予熱してっと。

_______________________________________________

 

その後は、司先輩が切ってくれたりんごを、砂糖とバター、それにシナモンを軽くいれ、煮詰め、材料を咲希ちゃんが用意してくれたパイシートの上に流し、切ってくれたパイシートを格子状しき、その上から卵を塗り、オーブンで200℃で20分、180℃で20分焼成する。

 

「意外と、工程は少ないんだな。」

 

「まあ、これはパイシートを使ってるので少ないですけど、パイ生地まで一から作ると結構かかりますよ。」

 

「なるほどな...響助は一から作ったことあるのか?」

 

「たまに、休日に作ったりしてますね。」

 

司先輩達と話していると、40分が経過した。

 

チーン

 

「...できた。」

 

「...」ドキドキ

 

アップルパイをオーブンから取り出す。

 

「「おお!」」

 

アップルパイは綺麗な色になっていた。

 

「すっごーい! お店で出てもおかしくないクオリティーだよ!」

 

「ああ! これが自分たちで作ったとは思えないな!」

 

それぞれが、アップルパイの出来に驚いていた時。

 

ピンポーン

 

「あ! ほなちゃん達が来た!」

 

「んじゃあ、咲希ちゃんは迎えに行ってあげて、司先輩は、俺とアップルパイの準備を。」

 

「了解だ響助!」

_______________________________________________

 

ガチャッ

 

「いらっしゃい! そして、改めて、お誕生日おめでとう! ほなちゃん!」

 

「ありがと、咲希ちゃん!」

 

「...あれ? 靴が多いけど、咲希、誰か来てるの?」

 

「それはね...ふっふっふ...期待しててね!」

 

「?」

 

ガチャッ

 

咲希ちゃん達が戻ってきたみたいだ。

 

「...え!? 響助さん!」

 

「お邪魔してます...そして、お誕生日おめでとう、穂波ちゃん。」

 

「穂波! お誕生日おめでとう!」

 

「あ、ありがとうございます...それより響助さんが咲希ちゃんのお家に?」

 

「それは、これを作りに来たからだよ。」

 

穂波ちゃん達を席に案内する。

 

「...!! これ...アップルパイ!...もしかしてこれ、響助さんが?」

 

「うん、まあ俺だけじゃあなくて司先輩や、咲希ちゃんも手伝ってくれたから。」

 

「...すごい、お姉ちゃんから料理するって聞いてたけど、スイーツまで作れるんだ。」

 

「お店に出てても、おかしくないクオリティーだ。」

 

「すでに切ってあるから、早速食べてみるか?」

 

「あ、はい!」

 

アップルパイの一切れを穂波ちゃんに渡す。

 

「いただきます。」

 

パクッ

 

...

 

「お...美味しい!」

 

「やったー!」

 

「ああ、大成功だな!」

 

「そんなに美味しいの?」

 

「うん! 良い感じの焼き加減で、りんごも美味しいよ。」

 

「それは良かった...一歌ちゃんも、志歩ちゃんも冷めないうちどうぞ。」

 

「あ、はい!」

 

「ありがとうございます。」

 

その後、穂波ちゃんの誕生日会を楽しんだ。

 



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番外編:オレンジ髪の悪犬にパンケーキを

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


11月のとある日。

 

響助はいつも通りの昼休みを屋上で過ごしていた。

 

「暇な時間ほど平和な時間はないなぁ...」

 

ぼーっと昼飯を食べながら響助はそう呟いた。

 

今日は瑞希は休みだし、郷秀はカワイ子ちゃんを探すとか意味わからん理由で居ないしで、久々に平和な時間な時間だ。

 

ガチャッ

 

屋上の扉が開く音が聞こえる。

 

「...ん? 城ヶ崎一人か?」

 

扉から出てきたのは、にんじん色の髪の男、東雲彰人だった。

 

「...今、変なこと考えてなかったか?」

 

「気のせいじゃあないか?」

 

「そうか...それより暁山や宝来とは一緒じゃないのか?」

 

「いや別にいつも一緒じゃあないんだが、たまには俺一人の時もあるんだよ、瑞希は休みで、郷秀は、カワイ子ちゃんを探しにとか意味わからんことで居ねえよ。」

 

いつの間にか、瑞希と郷秀と一緒のイメージが出来てしまっていた。

 

「自分でたまにはって言ってんじゃねえか...ってか宝来は何やってんだ?」

 

「知らん....ところで、お前も一人か?」

 

「いや、後から冬弥が来る。」

 

「そ...」

 

「...ボーッとしてるが、大丈夫かよ?」

 

「別に、ただこの平和な時間を噛みしめてただけだよ。」

 

「...そうか。」

 

響助の言葉を聞くと、何も言い返さず、ただ一言呟いた。

 

ガチャッ

 

彰人が数歩歩いた時、屋上の扉が再び開いた。

 

「すまない彰人...城ヶ崎もいたんだな。」

 

「基本的に昼休みは屋上にいるぞ...類先輩がいない時だけど。」

 

「城ヶ崎も神代先輩は苦手なのか?」

 

「別に苦手じゃあないんだけど...色々めんどいからな、スタンドとか波紋とかな。」

 

「ああ...あの人、ああいうの好きそうだもんな。」

 

「そういうこと、悪い人じゃあないんだがな...」

 

冬弥が加わり、適当な話題で駄弁っていると。

 

「そういえば彰人、今週の休み、誕生日じゃないのか?」

 

「ん?...あー、もうそんな時期か...ってか冬弥、よく覚えてたな。」

 

「相棒だからな。」

 

「相棒だからって覚えてるもんなのか...ってか、彰人誕生日だったのか?」

 

「そうだな...まぁ、別にいつも通りに練習するけどな。」

 

「誕生日にも練習かよ...」

 

「『RAD WEEKEND』を超えるためにも休んでられないからな。」

 

「ストイックだねぇ~」

 

「まぁ、それが彰人のいい所ではあるな。」

 

誕生日ねぇ~...

 

「...そういや、二人はいつもどこで練習してんだ?」

 

「ん? 最近は公園の事が多いな。」

 

「スタジオとかじゃあないんだな。」

 

「体力づくりも兼ねてやってからな。」

 

「なるほどな...まぁ暇だったら冷やかしに行くわ。」

 

「冷やかしって言ってるし、だとしたら来るな。」

 

さてと...んじゃあ、あれでも作って持っていこうかな。

 

_______________________________________________

週末

 

彰人達に渡すものを持って公園に向かっている響助だったが...

 

「...なんでお前ついてくるんだ?」

 

「なんか問題でもある?」

 

「いや別にないが...」

 

公園に向かってる時に、たまたま通りがかった瑞希が勝手について来ていたのだ。

 

「そんな紙袋持っていたら気になるじゃん?」

 

「...お前暇なの?」

 

「ジョジョよりかは忙しいと思うけど?」

 

忙しいってより死にかけてた時もあったと口にしようとした響助だったが、瑞希が曇るので、言うのをやめた。

 

「どこに向かってるの?」

 

「公園、知り合いがそこにいるんだ、待ち合わせはしていないがな、お前も会った事あるぞ。」

 

「ボクが知っている人?」

 

瑞希と話しながら公園に向かっていた。

_______________________________________________

 

「お、いたいた。」

 

「...あー、あのふたりか!」

 

公園に到着すると、この前言っていた通りに練習している二人がいた。

 

「おー、ホントに練習してんだな。」

 

「城ケ崎...と暁山!? 城ケ崎が分かるが、なんで暁山がここに?」

 

「こいつは...生まれて間もないから俺を親だと思って勝手についてきたんだろ?」

 

「いや、ボクひなじゃないし、生まれてから十数年経ってるよ。」

 

「...どういうことだ?」

 

「刷りこみだな。」

 

「そういう事だ、猫型ロボットの漫画でも読んでもみろ、んでこれ。」

 

響助は家から持ってきた紙袋を、彰人に渡した。

 

「なんだこれ?」

 

「パンケーキだ。」

 

「パンケーキ? なんでこれを?」

 

「今日誕生日だろ? おめでとさん、だから作ってきた。」

 

「マジか!? そう言えば前に家で作ったりしてるって言ってたな?」

 

「まあそういう事だ、疲れてるんなら甘味が響くだろ、冬弥も良かったら食ってくれ。甘さ控えめの奴もあっから。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

「ボクのは?」

 

「あるわけないだろ。」

 

「まさかお前からくれるとは思わなかったな。」

 

「...まあ、人が喜んだ顔が好きだから...かな。」

 

「...? そうなのか?」

 

「...ふーん。」

 

彰人達は気づかなかったが、響助の表情の変化を瑞希は読み取った。

 

「じゃあ、ジョジョには、ボクを喜ばせるように、なんか作ってもらおうかな~」

 

「え、なんでだよ?」

 

「喜んだ顔が好きなんでしょ~ だからボクを喜ばせてよ! いいよね? 答えは聞いてない!」

 

「はっ?! そんなハナタレ小僧みたいなこと言いやがって...って腕引っ張るな!」

 

「じゃあね冬弥くん! 弟くん、お誕生日おめでと!」

 

響助は、瑞希に腕を引っ張られながら公園を去った。

 

「...まるで嵐だな...てかやっぱ一緒にいるじゃねえか。」

 

「彰人、そのパンケーキどうするんだ?」

 

「んー...小腹すいてきたし、少し食べるか。」

 

彰人は紙袋から、パンケーキを取り出す。

 

「...すげーな、トッピングまで付いてる。」

 

「そういえば、前に司先輩から聞いた事なんだが、妹さんのお友達がアップルパイが好きだと聞いて、司先輩と、その妹さんと一緒に城ケ崎がアップルパイを作っていたみたいだ。」

 

「マジか、結構期待だな、冬弥はどうする?」

 

「そうだな、俺もいただこうか。」

 

「ん...これが甘さ控えめのやつか...ほら。」

 

「ありがと。」

 

彰人からパンケーキを受け取る。

 

パクッ

 

二人はパンケーキを口に運んだ。

 

「...うまっ!」

 

「...ああ、これは美味しいな。」

 

響助から受け取ったパンケーキは半分食べ、残りは家で食べることにした。



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番外編:完璧に見えて完璧じゃあないアイドルのバースデー

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


12月のはじめ、買う物があったため、凍えるような寒さな外に出歩いていた響助。

 

ビュッー

 

「ッ...寒ッ...もう12月だもんな~...」

 

北風で寒さを感じ、1年の終わりを感じた響助。

 

「...ん?」

 

ふと左の方を見ると、二人の人物が視界に入った。

 

(あれは...愛莉さんと...誰だ?)

 

その人物は、一人はアイドルの桃井愛莉で、もう一人は見知らぬ男性だった。

 

(ファンの人か?...けど愛莉さん困ってるな...)

 

響助はそのまま愛莉と男性の方へ進み始めた。

 

「ごめんなさい、活動が軌道にのるまではファンの方との写真は遠慮しようとメンバーで決めていまして...」

 

「ファンがこれだけお願いしてるんだから、写真くらい...」

 

「あの、すみません...」

 

響助が男性の方に声をかける。

 

「うん?...なに...ッ?!」

 

男が振り向くと...

 

「その人困っているみたいですし、それに、仮にもファンならその人の話を聞いた方が良いと思うのですが...」ゴゴゴ

 

無と言う言葉が似合うほど感情がない顔をした響助が、男にそう声をかけた。

 

「...ッ?!」

 

(響助ッ?! 何この感じ...無表情なのに、まるで殺意だけがむき出しのような感じは...わたしに向けられてないのに体が震えるわ...)

 

「理解できますよね......do you understand?」

 

さらなる圧をかけ、男に問いをかける。

 

「ひッ...?! すみませんでした?!」ビュッー

 

その圧を受けた男は、そそくさとその場から逃げ出した。

 

「...あれ? ただ忠告しただけなんだけどなぁ...」

 

「いや、あんな感じで来られたら誰でもそうなるわよ!」

 

状況を理解していない響助に対して、愛莉がツッコミを入れる。

 

「あ、愛莉さん、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫かって...まあ、結果的には助かったわ、ありがと。」

 

「いえいえ。」

 

「...あ、そう言えば、この前遥の誕生日の時のペンギン柄のアイスクッキー、わたしもいただいたけど、とっても美味しかったわ!」

 

「そうでしたか、それは良かったです!」

 

(そういえばあの時、雫が羨ましがっていたわね...そういえばもうすぐ雫の...)

 

愛莉は、遥の誕生日時の雫を思い出しながら、近いうちに起こること思い出した。

 

「ねえ響助、今少し時間あるかしら? 相談したい事があるの。」

 

「愛莉さんが俺に?....時間ならありますが。」

 

愛莉からの相談に少し戸惑うが、了承する。

 

「良かったわ! ならファミレスで話しましょ。」

 

「わかりました。」

 

響助は愛莉について行き、ファミレスに入店した。

 

ファミレスのメニューを見て決めていた時、愛莉が響助に奢ると言ったが、響助は申し訳ないと思い、断った。

 

注文した品物がとどき、どんな相談か気になり愛莉に声をかけた。

 

「それで愛莉さん、相談というのは?」

 

「その事なんだけど、もうすぐ雫の誕生日なのよ。」

 

「雫さんの...! それはめでたいですね。」

 

「ええ、それでね前に、遥に作ってくれたじゃない? それを見た雫が、ものすごく羨ましがっちゃってね。」

 

「なるほど、大体わかりました、つまり雫さんに俺が作ればものすごく喜ぶって事ですね。」

 

「話が早くて助かるわ、もちろん無理にとは言わないわ、響助にも用事とかあると思うし。」

 

「いえ、ここ最近は暇な事が多いので時間はありますよ、友人が勝手に家に上がり込んでなければ...」

 

「そうなのね...ならお願いしてもいいかしら?」

 

「ええ、大丈夫ですよ...それで雫さんはどんなものが好みなんですか?」

 

響助は愛莉のお願いを了承し、雫の好みを聞いた。

 

「そうね...うどんとか湯葉とかパッと思いつくけど、それじゃご飯になっちゃうから、別にそれが悪いってわけじゃないけど、もうちょっと手軽食べれるものがいいわよね。」

 

「そうですね...お菓子あたりがいいかもしれません。」

 

「お菓子ね....なら和菓子とか良いかもしれないわね、わたしが好きなのもあるけど、雫もよく食べてるわ。」

 

「なるほど...なら和洋スイーツとかどうでしょうか?」

 

「和洋ね...具体的には何かしら?」

 

「抹茶を使った物とかどうでしょう?」

 

「良いわね、抹茶ならわたしに任せてちょうだい!」

 

「抹茶に詳しいんですか?」

 

「ええ! 最近は行ける時間は少ないけれど、茶道部なのよ、それにテレビに出てた時に色んな抹茶を見た事があるの。」

 

「それは頼もしいですね...じゃあ抹茶の方はお願いします。」

 

「その感じだと、もう思いついているのかしら?」

 

「ええ、_____です。」

 

「_____ね...いいじゃない!」

 

「んじゃあ、それでいきましょう、完成品はどうやって渡します?」

 

「うーん...んじゃ、またここに集まりましょ、わたしが渡しておくから。」

 

「そうですね...それでお願いします。」

 

(ホントは、響助自身が直接渡した方が良いと思うけど、この子変なところで真面目で頑固だから、アイドルとプライベートで会うのはマズイと思っているのよね...)

 

そんなことを思いながら、ファミレスのメニューを食べ進める。

 

_______________________________________________

その後、ファミレスを後にして、抹茶とその他の材料を買い、愛莉と別れた響助。

 

そこから数日後、買ってきた材料を使ってスイーツを作り、愛莉が待っているファミレスに向かった。

 

「...!」

 

ファミレスに入った時、声を出さずに、響助に手を振る変装をした愛莉さんを目が入り、席につく。

 

「はい、作ってきた奴です。」

 

「...結構作ってきたわね...」

 

「材料を余らせるわけにもいかなかったので、多く作ってきました、余ったら妹さんにもって感じで。」

 

「まー...確かにそうわね...それにしても美味しそうね、この抹茶のモンブラン。」

 

「ええ、しっかりと味見もしましたので、大丈夫だと思います。」

 

「そこは信用してるから大丈夫よ、ありがとね。」

 

「いえいえ。」

 

愛莉と少し話した後、愛莉さんと別れ、家に着いた響助、そこから数時間後...

 

ブッー

 

「ん? 雫さんか...」

 

ピッ

 

「もしもし。」

 

『あっきょーちゃん! 今日はありがとね! きょーちゃんが作ってきた抹茶のモンブランとても美味しかったわ。』

 

「いえいえ、美味しかったなら良かったです」

 

『うん、でも直接渡してくれても良かったのに...』

 

「誕生日パーティが雫さんの家でやると聞いてましたので流石に、アイドルの家に上がるのもあれですし、それに志歩ちゃんてきにもどうかなと思いまして。」

 

『そんなの気にしなくてもいいのに...』

 

「そうですか...なら機会があったら。」

 

『!ッ...ええ!』

 

「改めて、お誕生日おめでとうございます雫さん。」

 

『ええ! ありがとうきょーちゃん!』

 

その後少し話した後、電話を切り、響助はこう思った。

 

(...機会があったらって...どんな機会があったらだ?)

 

自分の言葉に疑問を浮かべてしまった響助であった。

 

 



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番外編:銀髪の狼のような女の子に

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


side:響助

 

年が明け、三が日が過ぎた頃、しばらくの間買い物をしていなかったため、食料やら、必要なものを買いに、外に出ていた。

 

「......寒。」

 

ここ最近は、あったかい事が多かったためか、より寒く感じる。

 

「帰ったらあったかいもの食べるか。」

 

家に何を食べるかを考えて家に帰っていた時。

 

「......あら? もしかしてきょーちゃん?」

 

「ん?」

 

背後から聞いたことがる声が聞こえたため振り返る。

 

「やっぱり! 偶然ね!」

 

「雫さん!? 偶然ですね。」

 

声をかけた人物は、雫さんだった。

 

俺自身は良くは知らないが、今はアイドルグループ『MORE MORE JUMP』のメンバーである。

 

そして俺はなぜかこの人連絡先を交換している、本当に何故かは知らないが。

 

「それにしてもよく気づきましたね、俺は気づきませんでしたよ。」

 

「きょーちゃんがいる気がすると思ってたらホントに会えてうれしいわ!」

 

もうそういう能力者何じゃあないかと思い始めたんだが......

 

え、なんなんだ? 千里眼なのか?だとしたら今思ってる事もバレるのでは?

 

「...? どうしたの?」

 

「え、あーいや...ところで雫さんはなぜここに?」

 

この辺は、カフェとかそういうのはないただの通りではあるが...

 

そう言えば前に雫さん本人に聞いたことがあるが、趣味は散歩らしいが方向音痴なのに散歩は大丈夫なのかと思ってしまうが...

 

散歩だとすると、妙に身なりが整っている...いや元から物凄く整って入るのだが、今の格好は散歩というより、ショッピングをするような格好である...まさかな。

 

「えっと、それは」

 

ブーッブーッ

 

雫さんが何かを話そうとした時、俺のスマホがなった。

 

「あ、すみません電話が...ん?」

 

スマホを取り出し、画面を見ると、日野森志歩という名前が書いてあった。

 

このタイミングで志歩ちゃん...まさかな。

 

そう思いながら電話に出た。

 

「もしもし?」

 

『響助さん、今時間大丈夫?』

 

「え、うん大丈夫だけどなんかあった?」

 

何かあったのかと思い聞き返す。

 

『えっとその手伝ってほしい事があって。』

 

「手伝ってほしい事?」

 

『うん、お姉ちゃんとはぐれちゃって。』

 

...あ。

 

「そっか...ところで、今俺の目の前に水色髪で、アイドルのオーラを感じる女性がいるんだけど...」

 

『それです。』

 

「それか...」

 

『響助さん今迎えに行くよ、場所はどこ?』

 

「いや俺から向かうよ、場所は?」

 

『ごめん響助さん、場所は...』

 

志歩ちゃんから場所を聞いた。

 

「わかったそこだね、すぐ向かうよ。」

 

『うん、ありがとう響助さん。』

 

ピッ

 

通話をきり、雫さんの方を向く。

 

「えーと...つまり雫さんは志歩ちゃんとはぐれて迷子になっていたって事ですね。」

 

「ご、ごめんなさい...」

 

「あ、いや別に怒ってないですよ! 完璧な人間なんていないんですから、苦手なものの一つや二つぐらいありますよ、俺だってありますし。」

 

思った以上に意気消沈してしまった雫さんをフォローする。

 

「...ふふっ、きょーちゃんはやさしいわね。」

 

「そーですかね?」

 

(えージョジョってやさしいかな?)

 

...ん? なんか聞こえたな? テレパシーか?...あとでチョップだな。

 

 

 

「...ッ」ビクッ

 

「ん? どうしたの瑞希?」

 

「なんか...イマジナリーボクが誰かに生意気な口を聞いて、リアルボクが被害を受けそうなそんな予感が...」

 

「いまじなりー???...どういうこと?」

 

「い、いやなんでもないよ、次の場所見に行こ!(ボクが言ったことがわからないんだよね、イマジナリーって単語がわからないって事はないよね!?)」

 

「う、うん。」

 

 

 

志歩ちゃんが伝えてくれた場所に、雫さんを連れて向かっていた。

 

「...あ、響助さん、お姉ちゃん。」

 

何かを見てた志歩ちゃんだったが、こっちに気づいたみたいだ。

 

「あ、しぃちゃん!」

 

無事に再会できたみたいだ。

 

「ありがとう響助さん。」

 

「いや、俺もたまたま運がよかっただけだよ。」

 

そう言いながら、志歩ちゃんが見てた物を見る。

 

「これは...」

 

志歩ちゃんが見てた物はベースだった、それも6桁の奴

 

「響助さんもベースに興味があるの?」

 

「あ、いやそういうわけじゃあないんだけど、これっていい奴なんだよねよく分からないけど。」

 

「うん、いずれは私も買おうかなって思ってるけど、それはずいぶん先かな。」

 

まあ、この値段ならな。

 

「しぃちゃんは、このベースが欲しいの?...だったら...」

 

「いい、お姉ちゃんのお金は自分で使って、これは私が買えるようになったら買うから。」

 

「そう...」

 

まあ、俺は楽器をあまり触れてこなかったからこれが高いのか、普通なのかわからないが...

 

「そっか、んじゃあ俺は帰りますね。」

 

言われたことはやったので、帰ろうと声をかける。

 

「うん、改めてありがとう響助さん。」

 

「ありがとうねきょーちゃん。」

 

二人と別れ、自宅へと向かう。

 

 

 

自宅に帰ってあったかい物を食べた後、俺はスマホを取り出し電話をかけた。

 

プルル

 

「もしもし、今時間大丈夫かな?」

 

『うん! それにしてもきょーすけくんから電話をかけてくるの珍しいね!』

 

俺が電話をかけた相手は、咲希ちゃん。

 

志歩ちゃんと幼馴染で、今は『Leo/need』っというバンド名で活動している。

 

「そうだね、ちょっと聞きたいことがあるんだけど良いかな?」

 

『うん!』

 

「志歩ちゃんの誕生日を聞きたいんだけど良いかな? さっき本人にあったんだけど聞きそびれて。」

 

『しほちゃんの誕生日は...』

 

咲希ちゃんから志歩ちゃんの誕生日を聞いた。

 

「もうすぐなんだね。」

 

『うん! わざわざアタシに聞いたことはしほちゃんにサプライズプレゼントをするってことかな?』

 

「まあ、そういう事になるね。」

 

『わ~! しほちゃん良いな~!!』

 

咲希ちゃんはとても嬉しそうな声でそう言った。

 

「ふっ...じゃあ咲希ちゃんの誕生日の時に何かプレゼントしようか?」

 

『え、いいの!』

 

「ああ、いいよ。」

 

『わーい! 何にしようかな...あ、まずはしほちゃんのプレゼントだよね。』

 

「それはもう決まってるから大丈夫だよ。」

 

『そうなんだね!』

 

「ああ、教えてくれてありがとう。」

 

『ふっふっふ~もっと頼ってくれたっていいんだよ!』

 

「そっか、じゃあまた困った事があったら連絡するね。」

 

『うん! またねきょーすけくん!』

 

ピッ

 

...

 

そう言えば咲希ちゃんって基本金髪だけど、下の方はピンク色の髪だったよな。

 

髪にピンク要素があると、ああいう笑い方になるのか...?

 

ってことは愛莉さんもああいう笑い方するのか?

 

まあ今はそんなことは置いといて、早速買いに行くか。

 

 

 

数日後

 

俺のセカイから志歩ちゃん達にセカイに行った。

 

まあ不法侵入なんだけどな。

 

「とはいえ、ここにいるとは限らないからな...いなかったら電話するか。」

 

出た場所は屋上だったが、そこには志歩ちゃん達の姿は見当たらなかったため、階段を降り教室へ向かう。

 

ガラガラッ

 

教室の扉を開けると。

 

「え、響助さん!?」

 

「あ! きょーすけくんいらっしゃい!」

 

「きょ、響助さん!?」

 

「響助さん!? 本当に来れるんだ。」

 

Leo/needの4人と、ミクとルカがそこにいた。

 

それぞれ反応していた時に声をかける。

 

「どうも不法侵入者です...それと志歩ちゃんお誕生日おめでとう。」

 

「何がそれがかわからないけど、ありがとう。」

 

「それと、はいこれ。」

 

セカイに置いてあったプレゼントを取り出す。

 

「これは...?」

 

「開けてみて?」

 

俺がそう言うと、志歩ちゃんはプレゼントを開封する。

 

「え...これって。」

 

「志歩が欲しいって言ってたやつだよね。」

 

「でもこれって...」

 

「きょーすけくんがプレゼントは決まってるって聞いてたけどこれだったんだ。」

 

「この前見てたベースだよ。」

 

俺がプレゼントしたのは、この前志歩ちゃんが見てたベースだ。

 

「でも、受け取れないよ...」

 

まあ、そう言うと思った。

 

「ホントは無償でも俺はいいが...けど志歩ちゃんは受け入れないと思ってたよ。」

 

「だから、これは先行投資って事でどうだ?」

 

「先行投資?」

 

「ああ、まあ株やFXみたいなもんさ、志歩ちゃん達はバンドやってるんだろ? 何の根拠もないが、志歩ちゃん達はすごいバンドになると思ってるんだ、だからこのベースを受け取ってほしくてね、プロを目指すなら必要だろ?...だからさ、プロででっかくなった時に、返してくれないか? それならいいだろ?」

 

「そんなことで...」

 

それでも否定の言葉をやめなかった志歩ちゃん。

 

「ふっ...それとも、そこまで行く自信がないのか? 今やってるのはただのお遊びだったのかい?」

 

だから俺はあえて挑発した。

 

「...ッ! そんなことは!」

 

「だったらそれを受け取ってくれないかい?」

 

「...ッ わかった、今の言葉後悔してもしらないよ。」

 

「ああ。」

 

無事に受け取ってもらえてよかった。

 

「...!! ふたりとも漫画の中の登場人物でかっこよかったよ!!」

 

「あはは、確かにそうだね。」

 

一歌ちゃんと咲希ちゃんはそんな会話をしていると。

 

「あの響助さん?」

 

「うん? どうしたの穂波ちゃん?」

 

「あのベース、志歩ちゃんと見たことあるんですけど...かなりしたと思うんですけど大丈夫なんですか?」

 

「あーまあね、けど全然お金の方は大丈夫だよ、株とか色々で最低でも7桁ぐらいはあるから。」

 

「え、さっきの株とかって例えじゃなかったんですか!?」

 

「まあね。」

 

そんな会話した後、そそくさとセカイから戻った。

 



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番外編:寒さを溶かす暖かさ

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


冬の特に寒い最強寒波の時、何故か俺、城ケ崎響助は知り合いである、暁山瑞希の家に呼び出された。

 

「んで、こんな寒い中呼んだ理由は?」

 

流石にめちゃくちゃ寒い中距離は短いとは歩かされた俺は、少なからずピリピリしていた。

 

「そうピリピリしないでよ~ボクだけのために呼んだんじゃないからさ。」

 

そうニヤっとした顔で俺にそう言ってきた。

 

「ん? どういうことだ?」

 

「実はさ~」

 

瑞希が言うには、サークル仲間の『雪』こと朝比奈まふゆさんの誕生日がもうすぐだという事だ。

 

俺を呼んだ理由は、スイーツ作りを手伝ってくれという事だ。

 

「なるほどな、だが何を作るつもりだ? それに材料も買う必要があるだろ?」

 

「フッフッフ~そう言うと思って、レシピと材料はもうそろえてありま~す。」

 

っとドヤ顔で瑞希はそう言ってきた。

 

「ほ~、お前にしては気が利くじゃあないか?」

 

「ちょっと、お前にしてはってなに~!」

 

俺がそう言うと少し不機嫌になって、まあすぐに元通りだが。

 

「それで、何を作るつもりなんだ?」

 

「チョコドームを作ろっかなって。」

 

「チョコドームか。」

 

チョコドーム、文字通りドーム状のチョコの中にスイーツやフルーツを入れ、ソースで溶かしながら食べるスイーツだ。

 

「...あれは見た目よりかは簡単だが、別に俺は必要ないんじゃあないのか?」

 

こいつは手先が器用で、自分好みの服にアレンジしているとかなんとか。

 

「まぁね、ボクは手先が器用だからスイーツ作りなんて余裕で完成できちゃうんだけど...やっぱ保険は必要じゃん?」

 

「保険扱いかよ...まあいいが、だったら作ろうぜ。」

 

「お~!」

 

その後は、レシピ通りに作る、色んなレシピがあるが瑞希が用意してくれたレシピは色んなものを参考にし、瑞希なりのレシピに仕上がっていた。

 

溶かしたチョコをシリコンで出来た型に入れ、その後はチョコを出し、周りにだけチョコを残し、冷蔵庫で固める。

 

中身に入れるフルーツを作り、最後にソースを作った。

 

「よし、これで良いだろ。」

 

最後に型からチョコを取り出し、フルーツの上にかぶせた。

 

「ありがとうジョジョ! おかげで綺麗に出来たよ!」

 

「へいへい、んじゃあ俺は帰るな、そろそろ夕飯作んないといけないし。」

 

「あ、もうそんな時間か~。」

 

時間はいつの間にか夕方になっていたため、そろそろ母さんが帰ってくる時間ため帰ろうと瑞希に言う。

 

「またね、ジョジョ!」

 

_______________________________________________

 

 

「お誕生日おめでとうまふゆ!」

 

「...」

 

「...いや、少しは反応しなさいよ!」

 

「あはは...」

 

「じゃあ、ボクからはこれ!」

 

「...これは?」

 

「チョコドームだよ。」

 

「チョコドームって...これって瑞希が作ったの?」

 

「もちろん!......って言いたいところだけど、これはジョジョと一緒に作ったんだ。」

 

「また響助をふりまわして...まったく。」

 

「...あの人の。」

 

「これだけじゃないよ! 最後にこのソースをかければ...」

 

「...!チョコの中からフルーツが。」

 

「これで完成だよ!...まふゆ、食べてみて。」

 

「...いただきます。」

 

パクッ

 

「どうかな?」

 

「......わからない...でも...」

 

「あたたかい。」

 

「...フフ、そっか!」

 

「絵名も奏の分もあるから食べて!」

 

「うん、ありがとう。」

 

「...ほんと響助って器用よね。」

 

「意外だよね~...結構脳筋っぽいのに。」

 

「...またチョップくらうわよ。」

 



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番外編:夕暮れの後

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


2月に入り、シブヤにも雪がふることも増えてきた時。

 

「...なんで俺はここにいるんだっけな?」

 

今日俺は、寒い中ショッピングモールにやってきていたのだ。

 

理由は前日まで遡る。

 

 

 

前日

 

学校の帰り、今日は来ていた瑞希にこんな事を言われたのだ。

 

「明日、ショッピングモールでセールがあるから付き合ってくれない?」

 

「huh?」

 

「いっぱい買いたいものがあって、ちゃんとお礼もするからさ! んじゃあまた明日!」

 

「huh?」

 

 

 

そんな感じでほとんど無理やり付き合わされたわけだ。

 

今は、店の近くのソファであいつが買い物を終えるのを待っている。

 

「やれやれだ...」

 

「あれ? 城ケ崎さん?」

 

ふと、横から声をかけられる。

 

「...あれ? 奏ちゃん?」

 

声をかけた人物は、瑞希のサークル仲間の宵崎奏だった。

 

「偶然だね、城ケ崎さんも買い物?」

 

「ん?...あ~奏ちゃんのサークル仲間に無理やり連れてかれたかな?」

 

「...ああ、瑞希と一緒に来てたんだね。」

 

「そういうこと、奏ちゃんは?」

 

「わたしは、服を買いに...って言ってもジャージだけど。」

 

「ジャージか、良いよな動きやすくて、俺もほとんどはジャージだな。」

 

「たしかに城ケ崎さん、ジャージ以外あまり見た事ないかも、いっぱい持ってるの?」

 

「ああ、時々いつも行ってる服屋にまとめて買ってるよ、そこの服屋のジャージが動きやすくてさ。」

 

「へー...今度そこの服屋さんに行ってみようかな。」

 

「ああ、場所はここだよ。」

 

「...ここなら、家から結構近いからいいかも。」

 

「そうなんだ、ならいいじゃんどんどんジャージ買おうよ。」

 

「いやいや、ジャージ以外買った方が良いって!」

 

急に奏ちゃん以外の声が聞こえた。

 

「おお、ようやく終わったか瑞希。」

 

そこにいたのは、買い物を終えた瑞希が立っていた。

 

「あ、瑞希。」

 

「二人とも素材はいいのに調理でミスったらダメじゃん、なんならボクがコーデを考えようか~」

 

「え、それは...」

 

「めんどい。」

 

「うわ~...なんて言うか、二人ともそういう所似てるよね~」

 

瑞希がそんな事を言っているが、言うほど似てるとは思わない。

 

「...そう言えば奏、もうすぐ誕生日だよね?」

 

「ん? そうなのか?」

 

「...あ、もうそんな時期だったんだ。」

 

奏ちゃん本人は忘れてたみたいだ。

 

「じゃあボクからのプレゼントはコーデでいいかなぁ?」

 

「え...」

 

「おいおい、奏ちゃんが欲しいものでしてやれよ、奏ちゃんは何が欲しいんだ?」

 

「......えーと。」

 

「城ケ崎さんが良いならなんだけど。」

 

「城ケ崎さんの料理が食べたいかな?」

 

「俺の?...別にいいけどなんで?」

 

「前に、まふゆの誕生日の時にいただいた時とても美味しかったから...ダメかな?」

 

「...よし、奏ちゃんは何が食べたい?」

 

「匂いが強いものじゃなければ。」

 

「そっか、よし瑞希、お前の買い物に付き合ったんだからちょっと付き合え! 奏ちゃんまたな。」ダッ

 

「えっちょ!?」ダッ

 

「あ、うん。」

 

瑞希の腕を引っ張り、ショッピングモールの中にある店に向かう。

 

 

 

数日後

 

「「奏! 誕生日おめでとう!」」

 

「おめでとう。」

 

「ありがとう、みんな。」

 

「んじゃ、まずはこれだね。」

 

「これって...ケーキ?」

 

「うん、箱から開けるね。」

 

パカッ

 

「え、とても美味しそうじゃない、瑞希、どこのお店のなの?」

 

「えーと...お店って言うか、ジョジョが作ってくれたんだ。」

 

「え、響助が......どう見てもお店のレベルよこれ。」

 

「そうだよね~ボクも買い物に付き合ったけどまさかこんなレベルのケーキが出来るとは思ってなかったな~」

 

「じゃあ奏、誕生日の主役だから食べてみて。」

 

「うん。」

 

パクッ

 

「...美味しい。」

 

「よかった!」

 

「みんなも食べてみて!」

 

パクッ

 

「...ホントに響助の料理って、お店レベル...もしかしたらそれより美味しいかも。」

 

「そうなんだ。」

 



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番外編:小さな羽根

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


「...んー」パキッパキッ

 

身体から音を鳴らしながら、少し暖かくなった外を歩く。

 

「しかし、2月も終わったからか少しあったかくなってきたな~...ちょっと眠いな。」

 

眠気をこらえながら、家までの道を歩く。

 

「あれ? 響助?」

 

「うん? この声は?」

 

声が聞こえた方へ振り替える。

 

「杏ちゃんにこはねちゃんか。」

 

振り返ると、白石杏と小豆沢こはねが一緒に歩いていた。

 

「こんにちは、響助くん。」

 

「ああ、二人は練習か?」

 

「それは今からで、もうすぐこはねの誕生日だから、色々見てたの。」

 

「へぇーこはねちゃん、もうすぐ誕生日なんだな。」

 

「うん、杏ちゃんがビビバスのみんなでパーティーしようって言ってきて。」

 

「パーティーで使うようなものを買ってきたって感じか?」

 

「うん! 大好きな相棒の誕生日パーティーだからね。」

 

「なるほどな...俺も何かプレゼントしたいな、こはねちゃん、なんか好きなものあるか?」

 

「え?...食べ物だと、桃まんとごま団子かな?」

 

「なるほどね、んじゃあ、それ持っていくよ。」

 

「響助が持ってくるって事は...もしかして手作り? この前彰人もパンケーキ作ってくれたって聞いたし。」

 

「まあね、何だったら杏ちゃんも誕生日の時、なんか作ろうか?」

 

「え、いいの!」

 

「ああ、確かトマト料理が好きだったよな?」

 

「いや、それ嫌いなものなんだけど、絶対わかって言ってるよね。」

 

「冗談だよ、場所は『WEEKEND GARAGE』か?」

 

「うん! そこだよ!」

 

「わかった、んじゃあまた。」

 

そう言い、響助は杏たちと別れた。

 

_______________________________________________

当日

 

作った物を持ち、『WEEKEND GARAGE』前に来た。

 

ガチャッ

 

「...あ、響助いらっしゃい!」

 

「ああ、お邪魔します。」

 

「城ケ崎...? なんでここに?」

 

「小豆沢たちから、城ケ崎も来ると言うメッセージを送られてきたと思うんだが、彰人は見てないのか?」

 

「え、ああ...練習してたから見てなかったかもしれねえな。」

 

「まあいいや、はいこはねちゃん、この前言ってた奴だよ、それとお誕生日おめでとう。」

 

「あ、ありがとう。」

 

作った物を入れていた紙袋を、こはねに渡した。

 

「それは?」

 

「桃まんとごま団子、もちろん手作りだ。」

 

紙袋から、ごま団子と桃まんを取り出す

 

「手作りか、だがよく材料あったな?」

 

「業務用のスーパーで買ったからね、作れる分作っておいたよ、あんまり使わないものもあったしね。」

 

「...にしても、今日食べられる分ぐらいだ...響助、残りはどうしたの?」

 

「ん?...ああ、俺の分と、近所におすそわけしてきた。」

 

「へー近所に...うん? 近所?」

 

「響助くん、たべてもいいかな?」

 

「もちろん主役だからね、どうぞ。」

 

「いただきます。」

 

パクッ  パクッ

 

「...! 美味しい!」

 

「マジか、パンケーキはだれでも作れそうだが、これはかなり大変だったんじゃねえのか?」

 

「いや、そうでもないぞ、レシピ見ながら作ったし。」

 

「フフッ...さすが城ケ崎だな。」

 

「...ねえ響助?」

 

「ん?どうした杏ちゃん?」

 

「さっき言ってた近所の人って?」

 

「...杏ちゃんの知ってる人だぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...」

 

「...す、すごい量だね。」

 

「桃まんと、ごま団子だね。」

 

「これ、どうしたのよ?」

 

「...飯テロされた。」

 

「......日ごろ振り回してるせいよ。」



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番外編:幸せの毎日

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。


とある休日、誰からも誘い連絡がない俺は、家で一人ゲームをしていた。

 

「...全体攻撃がかなり少なくなったから脳死で殲滅するのが出来なくなったな...その分範囲内なら自由に動けるけど。」

 

やってるゲームの前作をやっていたためシステム変更の良い部分と悪い部分を見て呟いた。

 

「...フルーツが全然手に入らんな、特にマンゴー、いったいどこにあるんだ?」

 

ピンポーン

 

ボソボソと独り言をつぶやきながらゲームをしていると、家のインターホンが鳴った。

 

「...?」

 

何かを頼んだ覚えはない、母さんが何かを頼んだろうか?

 

足音を立てずに玄関ドアのドアアイをのぞき込んだ。

 

「......え?」

 

悪い奴らじゃあない、だからこそこんな声が出てしまった。

 

ガチャッ

 

ドアの先に居たのは。

 

「あ! きょーちゃん! よかったわ、このお家であってたのね!」

 

『MORE MORE JUMP!』の日野森雫さんだった。

 

「え、あ...え?...俺の家の場所...言ってないですよね...?」

 

あまりの動揺に言葉が途切れ途切れになっていた。

 

「そうなの! それをきょーちゃんのお家に向かってる時に気づいて、どうしましょうって考えてたら、診療所の榎本さんに会って、きょーちゃんのお家を教えてもらったの!」

 

あー...なるほど...いや、それなら俺に電話すればいいのでは......?

 

てか、よく来れたな...

 

「な、なるほど...とりあえず、外で話すのもあれ何で、中にはいちゃってください。」

 

「ええ! おじゃまします、きょーちゃん!」

 

わざわざ家まで来るって事はそれほどの用事があると思い、雫さんを家の中に入れる。

 

雫さんをリビングに招き入れ、あったかいお茶を雫さんに出し、椅子に座る。

 

「えっと、家まで来るってことは、何か用があるって事ですよね?」

 

「そうなの、実はきょーちゃんに手伝ってほしい事があって。」

 

「手伝ってほしい事?」

 

「明日、愛莉ちゃんのお誕生日なの。」

 

「そうなんですか! それはおめでたいですね!」

 

「そうなの、だからなにかお祝いのプレゼントしたくて、一つはもう決めてあって、もう一つ思い浮かべたのがきょーちゃんのお料理だったの!」

 

「俺の料理ですか...そんなに好評だったんですか?」

 

「ええ! 遥ちゃんもみのりちゃんも、愛莉ちゃんにもちろん私もよ!」

 

そんなに好評だったのか...

 

「...って私ったら、急に言われても困るわよね...」

 

「いえいえ、俺も愛莉さんにはお世話になったことあるので手伝いますよ。」

 

「!! ありがとうきょーちゃん!!」

 

...っと言っても何を作ろうかな。

 

「...愛莉さんの好きなものって何か分かりますか?」

 

「愛莉ちゃんは、和菓子が好きよ!」

 

和菓子か...何かあるか...あ。

 

「...確かここにあったような。」

 

そう呟きながら、キッチンの棚を調べる。

 

「...! あったあった。」

 

「それは?」

 

「上新粉と白玉粉にもち米ですね、この間母さんの友達からもらったもので、かなりの量もらってたんでこれで、おはぎや団子でも作りましょうか。」

 

「!! いいわね! きょーちゃん、何か手伝えることはあるかしら?」

 

「えー...」

 

正直不安だな......

 

「.......じゃあ、団子の生地作りますので、雫さんは一口サイズに丸めてもらってもいいですか?」

 

「わかったわ!」

 

こうして、和菓子作りが始まったわけだが......アイドルと和菓子作りってこれからの人生で絶対ないよな......

 

そうして団子と、おはぎが完成し、愛莉さん達用の和菓子を重箱つめ終えた。

 

「かなり残っちゃわね。」

 

「まあ、ある程度は俺が食べますし、近所に友達いるんで配りますよ。」

 

「そうなのね! なら安心だわ!」

 

重箱を紙袋に詰め、雫さんに渡す。

 

「はい、どうぞ、当日まで冷蔵庫に入れてくださいね。」

 

「ありがとうきょーちゃん! 良く味わって食べるわ!!」

 

その後は、軽く雑談をした後、雫さんは帰ったが...よく考えなくても方向音痴だったため急いで雫さんの元へ向かい、雫さんがわかるところまで送った。

_______________________________________________

 

「「「お誕生日おめでとう! 愛莉ちゃん(愛莉)!!」」」

 

「ありがとう、みのり、遥、雫。」

 

みんなからプレゼントを受け取る。

 

「愛莉ちゃん、それとこれ。」

 

重箱を取り出す。

 

「きょーちゃんが作ってくれたお団子とおはぎよ!」

 

「え、いつの間に...ってか響助に会ってたのね。」

 

「ええ、昨日きょーちゃんのお家におじゃまして一緒に作ったの!」

 

「え...あんた響助の家に行ったの!?......よくひとりで行けたわね...」

 

そう言いながら重箱を開ける。

 

「わ~! 色んなお団子があるよ!」

 

「ホントに響助さんが作るものってお店で売っててもおかしくないよね。」

 

「愛莉ちゃん、召し上がれ!」

 

「わかったわ。」パクッ

 

モグモグッ

 

「...ホントに美味しいわね!」

 

「...ッ!...よかったわ!!」

 

「ほら、3人も食べなさい、流石に一人じゃ食べられわよ!」

 

「わかってるよ。」

 

「ん~美味しい...わたしも響助くんに作ってもらおうかな~」

 

「こらこら、あっちにも事情や時間があるかもしれないんだから...」

 

「...まあ、響助なら作っちゃいそうだけど。」

 

 

 

「また、飯テロされた...」

 

「...なにか悪いと思ったら素直に謝りなさい。」

 



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番...外.編:転...校...?

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ......?


「...朝...よ!」

 

...ん?......なんか声が聞こえる。

 

「ん...?」

 

どうやらいつの間にか寝ていたみたいだ...

 

「あ、やっと起きた! ほら、もう朝だよ!」

 

「......?」

 

...ん?...なんでこいつが朝からいるんだ。

 

目を開けると、目の前には、ピンクサイドテールこと暁山瑞希がそこにいた。

 

「...なんでいるんだ?...てかなんか約束してたっけ?」

 

何故か不思議と昨日以前の記憶が曖昧になってるため瑞希に聞いてみた。

 

「約束って...今日学校じゃん?」

 

「学校......あ、今日平日か。」

 

「も~、しっかりしてよね。」

 

...いや、だとしてもおかしい、俺を起こした瑞希は、育成ゲームによくあるサボり癖を持ってる奴なのだが理由は...まあ今は言わないでいいか、そんな奴が俺を起こす側になってるのが不思議だ。

 

「ほら、ジョジョのお母さんが朝ごはん作ってくれてるよ。」

 

「ん~...」

 

まあいいか、そんな日もあるだけだな。

 

_______________________________________________

 

朝ごはんを食べ終わり、身支度を終え、学校に向かっている途中。

 

「...? ジョジョ、学校そっちじゃないよ?」

 

「え?...あ?...悪い。」

 

ん?...いや待て、俺はこの道を歩いていたはずだけど...どうなってる?

 

「あれ?神高ってそっちじゃあなかったか?」

 

「...? ジョジョまだ寝ぼけてるの? 大丈夫?」

 

「...は?」

 

どうなっている、俺と瑞希が通ってる学校は神高の筈だが...

 

だが、瑞希からは嘘を言ってるようには見えない...

 

「...あ! きょーすけくん! みずきちゃん! おはよ!」

 

俺が考えている時声をかけられた。

 

「あ、咲希ちゃんおはよ!」

 

「...は?」

 

声をかけてきた人物は、天馬咲希だった。

 

「え、あ...お前ら、知り合いだったのか?」

 

「え?...知り合いって言うかクラスメイトだけど...それにジョジョも同じクラスなんだけど...」

 

「......?」

 

「きょーすけくん、大丈夫? 体調が悪いなら休んだ方が良いよ。」

 

「......いや、大丈夫。」

 

ダメだ、脳が追い付いてない...とにかく今は流れに乗ろう。

 

「えっと...悪い、俺が言ってる学校の名前忘れちゃったんだけど、なんだっけ。」

 

「ホントに大丈夫?......ボク達言ってる学校は...」

 

 

 

「ミクデミーだよ。」

 

「......ミクデミーだったな、そうだな。」

 

...いやミクデミーってなんだよ!!

 

聞いたこともないぞ、今ので確信した。

 

俺は、何らかのスタンドか能力でパラレルワールドに飛ばされた。

 

だけど、この世界は俺がいた世界にも似ている...いや、ミクデミーと言う学校があること以外は瓜二つだ。

 

とりあえずまずはそのミクデミーに向かおう。

 

_______________________________________________

 

ミクデミーについて分かった事は、まず一つは俺はパッションハートというクラスに

いる事そして。

 

「あ、おはよ! 響助くん、瑞希ちゃん!」

 

「おはよ、響助、瑞希!」

 

「やあ、ジョジョ君、瑞希。」

 

「お、おはよう...ございます...」

 

クラスには咲希ちゃんや瑞希の他に、みのりちゃん、杏ちゃん、そして上級生の筈の類先輩がいた。

 

そしてさらに驚いたのは...

 

「おはよ! 響助くん。」

 

「おはよ!響助!」

 

「お、おはよう...」

 

それは絶対に現実世界にはいないはずの鏡音リンと鏡音レンがいた。

 

「...」

 

どうなってるんだ、そもそも俺はなぜこの世界にいるんだ?

 

「...お、ここにいた。」

 

「ん?...お前。」

 

「よ!......どうやらその感じだとお前もか?」

 

俺に声をかけたのは、宝来郷秀だった。

 

「郷秀...お前もってことは?」

 

「そういう事だ、俺もいつの間にかこの世界に来てたんだ。」

 

「お前もか...これは完全にスタンド能力か?」

 

「ま、わからんが、世界をも越えられたって事は相当強力な能力ってことだな。」

 

「何が目的だ...?」

 

「...ま、それはゆっくり解決した方が良いかもな、急いでやろうとしても、今の状況じゃあ何も変わらないだろ?」

 

「...そうだな、今はこの世界に慣れないとな...郷秀、お前のクラスは?」

 

「お前と同じでパッションハートだ...他にはピュアハート、ソリッドハート、コーシャスハートだ、いずれもお前と関わった事がある人物だぜ。」

 

「なるほどねぇ...やれやれ...これはまた、とんでもない事になりそうだな。」

 

「まあ、それ以上に楽しみだぜ...アイドルやカワイイ子と同じ学校に通えるって天国だろ!」

 

「...お前は変わらねえな、ある意味で安心したよ。」

 

別の世界に来てしまった響助と郷秀...彼たちを待ち受ける奇妙な運命とは...

 

 

 

 

 

「今度は別世界に移動か...やれやれだぜ。」

 

ミクデミー編......開幕




という事で、ミクデミー編が始まります。
本編も再び書き始めます、長い間本編の更新が途絶えていたこと大変申し訳ありませんでした。
原因はスランプが1番なのですが、もう一つがスランプの間プロセカ内で登場したキャラによって本来のシナリオから変更していたため、長い間お待たせすることなってしまいました。

本編は再開します、ですが今まで以上に不定期更新になりますので、それでも見てくれる方々はこれからもよろしくお願いします。


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番外編:希望のジャンプ

これは、本編に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれないし、隣り合わせの世界かもしれない、そんな日常の一コマ。



休日、ここ最近普通の運動していなかったため気分転換に軽いランニングをしていた。

 

「...フー、久々に走ったな、体力は落ちてないみたいけど。」

 

軽く1、2キロ走った後、宮益坂まで歩いた。

 

「...腹減ったなぁ、この辺のどっかで飯でも食べっかな...ん?」

 

空腹感を感じ、どこかの店に入ろうと思っていた時。

 

「君カワイイね~」

 

「ちょっとそこでお茶でもしない?」

 

「え、あ...えっと。」

 

あれは...みのりちゃんか?

 

ふと、声が聞こえる方を向くと、みのりちゃんがナンパされていた。

 

「...やれやれ。」

 

そう呟くと、みのりちゃんの元へ向かった。

 

「ねーねー、今からおt...」パチッ

 

「え、お前急にどおs...」パチッ

 

「え、えっ!!?」

 

「みのりちゃん...どうしたのその人ら?」

 

「えっと、わたしに話しかけてたら、急に倒れちゃって。」

 

「ん~......ただ、寝てるみたいだね、とりあえず壁らへんに移動させておくよ。」

 

「う、うん。」

 

_______________________________________________

 

壁に寄せた後、みのりちゃんと共に、近くの公園まで歩いていた。

 

「ワフッ!」

 

「おいおい、また腕食わないでくれよサモちゃん。」

 

「あはは...」

 

どうやら、みのりちゃんは犬を連れて散歩の途中だったみたいだ。

 

「響助くんはなにしてたの?」

 

「俺は軽くランニングしてたよ、多分1、2キロぐらいは走ったと思う。」

 

「すごいなぁ響助くん、わたしもアイドルなんだからそれぐらいはしないとね!」

 

「うーん...いきなりするのは体が持たないかもだから、ゆっくりとペースを上げればいいんじゃあないかな?」

 

まぁ、それは俺が言えた事じゃあないが...

 

 

 

「さすがね~遥ちゃんは!」

 

「私のペースに付いてこれてる、雫もすごいよ。」

 

「でも...さすがに疲れたわね...少し休憩してもいいかしら?」

 

「うん、大丈夫だよ。」

 

「ふう......っ!」

 

「?...どうしたの雫?」

 

「...きょーちゃんがいる気がするわ!」

 

「きょーちゃんって、響助さんのこと?...でもこのあたりにはいないような...」

 

「きっとこっちだわ!」スタスタ

 

「えっ! 雫!!」

 

 

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

「なんかこっちに来てる人がいるような...気のせいか。」

 

何者かがこっち来ていたような気がしたが、ただ殺気も無かったため気のせいと思った。

 

「...あ! きょーちゃん!! それにみのりちゃんにサモちゃんも!」

 

「...え?」

 

「この声は?」

 

「やっぱりここにいたわ~」

 

「え、やっぱりって?」

 

「雫...え、ホントに響助さんがいた、それにみのりも。」

 

「は、遥ちゃん!?」

 

「ホントって...どういうこと?」

 

「雫がこっちに響助さんがいるって...」

 

「...」

 

え、こわ...

 

「響助さんとみのりは何してたの?」

 

「なにしてたって言われると、偶然出会ってただ一緒にサモちゃんの散歩してたかな。」

 

「そうなのね~」

 

何故か分からんが、アイドルが3人揃ってしまった...

 

「...そう言えばみのり、もうすぐ誕生日だね。」

 

「そうね~、何をしようかしら?」

 

「な、なんて恐れ多い...爆発しちゃいそうだよ~...!!!」

 

「...そういえば、愛莉や雫に、それに私も響助さんからプレゼントもらってたよね?」

 

「ああ、そう言えばそうだな。」

 

確かに、グループの3人にプレゼントを渡してみのりちゃんに渡さないってのは無しだよな。

 

「みのりちゃん、なんか欲しいものあるか?」

 

「え、ええ~!! そんなの恐れ多いよ~!!」

 

そんなに恐れ多くはないと思うが...

 

「し...強いて言うなら......クレープが食べたいです...」

 

「クレープか...なら前にも作った事あるし良いよ。」

 

「い、良いの!!」

 

「ああ、他の三人には作って、みのりちゃんだけには無いってはないからね。」

 

「あ、ありがとう!! 響助くん!!」

 

みのりちゃんと約束した後、雫さん達とランニングして、家に戻った。

 

_______________________________________________

 

みのりちゃんの誕生日の当日、俺は肝心な事を忘れていた。

 

「...そう言えば、誰一人の家の場所知らねえな。」

 

いや、知らないのが当たり前なのだが、クレープを完成してしまった以上、どうにかして届けないといけない。

 

「電話っと思ったけど、配信中だしな......!」

 

どうしようかと悩んでいた時、頭の中に一つのひらめきが舞い降りてきた。

 

「あそこに行けば、渡してくれるかな。」

 

そう呟くと、スマホからとあるアプリを立ち上げ、光の中に消えた。

 

 

 

「確かここだったよな。」

 

自分のセカイに跳んだあと、想いの欠片を通して、前に雫さんに会ったセカイにやってきた。

 

「他のセカイにもいたあの人らがいれば...」

 

「あれ?...君は?」

 

「ん?」

 

声の方を振り向くと、このセカイのミクが立っていた。

 

「あ~...えっと...不法侵入者じゃあない...ってわけでもないけど...」

 

「...もしかして君が、みんなが言ってた響助くん?」

 

「え、まあどんなこと言われてるか知らないけど...多分そうだね。」

 

「みんなはここにはいないけど、なにか用かな?」

 

「えっと、みのりちゃんのためにクレープを作ったんだけど、渡す方法を考えてなくて...だから、ミクが代わりに渡してくれないかな?」

 

「...そっか! みのりちゃんの誕生日だもんね、うんわかった、みのりちゃんに渡しておくね。」

 

「うん、ありがとう。」

 

クレープをミクに渡した後、このセカイから離れた。

 

_______________________________________________

 

「ん~...この後はっと...」

 

セカイから帰った後、自分の部屋の掃除をしていた。

 

ピコン

 

「うん、なんだ...みのりちゃんからか。」

 

メッセージアプリの通知音が聞こえ、手に取ると、みのりちゃんからメッセージが届いていた。

 

『響助くん、今日はクレープありがとう!!』

 

『どれも美味しくてみんなも喜んでたよ!!、わたしじゃ特にサーモンが入ったおかずクレープが美味しかったよ!!』

 

どうやら無事に渡ってたみたいだ。

 

『そう喜んでくれると作ったかいがあったよ。』

 

そうメッセージを送ると、再び部屋の掃除を始めた。

 



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