潮田 渚の姉は楯の乙女 (SAKULA)
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本編
プロローグ 始まり


ごきげんよう、SAKULAです。 初投稿です。
アサルトリリィと暗殺教室が好きなので執筆することにしました。
ラスバレのヘルヴォルのイベントストーリーを中心に、暗殺教室のストーリーを入れていく予定です。
オリジナルストーリーも入れたりしたいなあと思っております。

ラスバレのメモリアストーリーなどの番外編もやりたいですね。

不定期ですが、完結を目指していくのでよろしくお願いします。


※9/17 主人公のCHARMを変更しました
10/14 主人公のプロフィールの修正を行いました




私にとって、忘れられない出来事がある。

それは、私の憧れを見つけた日。

 

私の名前は、潮田 美湖(みこ)

まあ、どこにでもいる普通の女の子だ。

 

「渚!大丈夫?」

 

「うん!姉さんは?」

 

「平気だよ。はやく逃げないと……!」

 

私と弟が幼い頃、家から離れた公園で私たちはヒュージに襲われた。

ヒュージはある日突然、出現した謎の巨大生命体。

 

「姉さん……。ヒュージが……。」

 

「え……?」

 

私たちの目の前に、ヒュージがいた。

私たちの体よりも大きく、今にも襲いかかろうとしている。

逃げやすいように繋いでいた渚の手は、恐怖で震えていた。

 

この時、私は幼いながら死を悟った。

せめて、せめて……弟は……大好きな渚だけは私が守るんだ。

そう思い、渚の楯となろうとした瞬間だった。

 

「はああああっ!」

 

私たちの目の前に1人のお姉さんが現れた。

手には変わった形の武器を持って。

 

「リリィ……。」

 

渚がそう呟いた。

そう、CHARM(チャーム)を手に取りヒュージに対抗する少女……リリィが現れた。

それは、まるでそこに花が咲いたように。

 

「もう大丈夫だよ、2人とも。よく頑張ったね。さあ、ここはお姉さんに任せてはやく逃げて!」

 

「リリィのお姉さん、ありがとう!行こう、姉さん!」

 

「うん!あの、リリィのお姉さん。」

 

「どうしたの?」

 

「死なないでね!絶対に生きてね!」

 

私の言葉にそのお姉さんは笑顔でこたえる。

 

「もちろん!だって、お姉さんはリリィだもん。みんなの笑顔を、大切な人を、大好きな場所を守るのが私の……リリィの使命だから!」

 

かっこよかった。

お姉さんの笑顔が眩しくて、私もこんな素敵な人になりたい。

私たちを助けてくれたお姉さんのように、私も誰かを守るリリィになりたい。

 

私の憧れの人。

私と渚の命を守ってくれたあのリリィのお姉さん。

お姉さんのようなリリィになりたい。

そう思って、生きてきた。

 

あれから数年。

私は、リリィになるべく家出をしようとしていた。

 

今日は、小学校の卒業式。

お母さんは、私の卒業を祝うため買い物に行っている。

 

そう、家出するのは今しかないのだ。

 

「渚、ごめんね。」

 

「ううん。僕は平気。それに、リリィになるのは、姉さんの夢だもんね。」

 

「……うん。私は、私のやりたいことをやる。お母さんが決めた道なんてそんなの嫌だ。」

 

私は、リリィになりたいことをお母さんに告げると反対された。

今でも、その時のことは覚えている。

 

「リリィ?そんなのダメに決まっているでしょ。美湖は女の子なんだから、オシャレとかしないと。リリィになったらオシャレなんてできないでしょ?それに、1番楽しい時間を潰すつもり?そんなのもったいないわ。あなたは何も考えなくていいの。全部私が美湖の人生を考えてあげるから。ね?」

 

お母さんは、私のことを娘として見ていない。

自分が叶えられなかった夢を私に押し付けている。

 

このままだと、私は自分の夢を叶えられない。

だから、諦めたフリをしてお母さんの言われたままに生きてきた。

 

必死に勉強して、椚ヶ丘中学校を受験した。

結果は、合格だけどリリィになるため、こっそり辞退した。

 

鎌倉府(旧神奈川県)の百合ヶ丘女学院、東京御三家と呼ばれる御台場女学校や私立ルドビコ女学院、イルマ女子美術高校など結構悩んだけど、私は、六本木にあるエレンスゲ女学園を選択した。

 

理由は、エレンスゲ女学園の理想とするリリィの象徴像を楯の乙女と呼んでいるから。

楯の乙女。

まるで、あのリリィのお姉さんにピッタリの言葉だと思った。

 

私も楯の乙女と呼ばれるようなリリィになりたい。

そう思って、エレンスゲ女学園に行くことにした。

 

手続きとかはお父さんに手伝ってもらった。

なんとか合格できたので、立派なリリィになるために頑張らないと!

 

「あっちは寮生活だよね?準備はもう終わっているの?」

 

「うん!このキャリーケースに昨日で必要なものは全部入れたよ。CHARMはあっちで決めるみたいだから、これだけかな。」

 

「そっか。姉さん、頑張ってね。立派なリリィになって、たくさんの人を守ってね。」

 

「もちろん!……ねえ、渚。これから、渚に迷惑をかけるかもしれない。私が勝手に家を出ていくから。」

 

今度は、渚がお母さんの人生の2周目として辛い思いをするんじゃないか。

それがとても不安だった。

 

「何度も言っているよ。僕は大丈夫。だから、姉さんは姉さんのやりたいことをやってよ。」

 

「……ありがとう、渚。これ、お母さんに渡してくれる?」

 

私が渚に渡したのは手紙。

これまでの感謝とリリィになる決意など、口では言えないから文字で伝えることにした。

 

「分かったよ。ちゃんと渡しておくね。」

 

「頼んだよ。ねえ、渚。」

 

「何?」

 

「渚も好きなことやっていいんだよ。今は見つかっていないかもしれないけど、いつかきっと見つかるから。お母さんが反対するなら、私みたいに強引にやってもいいと思うな。まあ、私のは強引すぎると思うけど。」

 

「僕の……好きなこと……。うん、分かった。あ、姉さん!そろそろ出ないと帰ってくるよ。」

 

「そうだね。じゃあ、行ってくるね。多分、卒業するまでは帰ってこないけど定期的に電話はするよ。」

 

「分かった。行ってらっしゃい、姉さん。」

 

渚は笑顔で私を見送ってくれた。

 

これから始まるんだ。

リリィとしての生活が。

 

「私、絶対になるんだ。あのお姉さんのようなリリィに……!」

 

それは、私の決意と運命の始まり。

 

 

 

 




プロフィール

名前:潮田 美湖
誕生日:2/10
血液型:B型
学年:1年

所属レギオン:ヘルヴォル
好きなもの:ふかふかの布団、味噌汁
苦手なもの:母親、虫
特技・趣味:ダンス、イラストを描くこと

レアスキル:Z
サブスキル:?
使用CHARM:ブリューナク

容姿:鉄紺色の髪で肩にかかるくらいの長さ 青色の瞳で二重
エレンスゲ女学園の制服を着用している

明るく常に前向きな性格
母親に黙ってリリィになったため、仲が悪く連絡は一切とっていない
しかし、1つ下の弟とは仲がよく頻繁に連絡している
父親は定期的に手紙でやり取りをしている

幼い頃にヒュージに襲われ、助けてくれたリリィに憧れており、彼女のようなリリィになることが目標である

レギオンのリーダーである、相澤 一葉とは入学してすぐに仲良くなった親友で、彼女の良き理解者

序列は21位


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1話 外征

外征は、ヘルヴォル結成前なので中等部時代なのかなと私は思ってますが、どうなんでしょうか?

ラスバレのメインストーリー外伝、『竜楯のコンフリクト』 ヘルヴォルとクエレブレの対決……ハラハラしましたね
いろいろと気になるところはありますが、クエレブレ編のストーリーが展開予定なので楽しみです。


エレンスゲ女学園に入学してから数年。

中等部3年生の私は、『外征』していた。

 

「これで最後!」

 

ミドル級のヒュージを撃破し、一息つく。

だけど、すぐにスモール級、ミドル級のヒュージがわんさか現れる。

 

「ヒュージ、多すぎる……!この数はさすがにちょっとヤバいかも……。」

 

私のマギの量もそろそろ限界だ。

でも、やるしかない!

 

「私のマギが尽きるのが先か、ヒュージを殲滅するか……勝負といこうじゃない!。」

 

私は、自分のCHARMをかまえて、ヒュージとの戦闘を再開しようとしたその時だった。

誰かがヒュージを攻撃し、そのまま倒れた。

 

「美湖!大丈夫?」

 

「一葉!?」

 

そう、ヒュージを攻撃したのは私の親友、相澤 一葉(あいざわ かずは)

彼女は、エレンスゲ女学園の首位クラスのリリィだ。

 

「私は平気だけど……っていうか、一葉って別の区域じゃなかった?大丈夫なの?」

 

「うん。それに、事前に立案された作戦計画はもう意味を持たない。それに、戦況はだいぶ混乱しているし。」

 

「まあね。エレンスゲ司令部にもなにか言われたんでしょ。」

 

「いろいろとね。けど、何も問題ないよ。私の戦果で判断してもらうから。」

 

「さすが一葉。じゃあ、ここのヒュージを一気に倒しますか。」

 

ヒュージは私と一葉を囲んでいる。

 

「了解!美湖、マギやCHARMは大丈夫?」

 

「マギはそろそろ限界。CHARMは私のレアスキルでなんとかなるかな。」

 

「美湖のレアスキルはZだからね。もし、途中で美湖のマギが尽きて大丈夫。美湖のことは私が守るから。」

 

そう、私のレアスキルはZ(ゼット)

 

Zは、自分の両手に収まる範囲で時間を巻き戻すことができる。

手の施しようがない怪我などを治したり、オーバーヒートしたCHARMの回復などに活用できる。

 

レギオンに1人は欲しいと言われている。

だけど、いくつもの仮定の世界線を覗き見て、欲しい結果に至る為の動きや条件を空間単位で瞬時に理解出来る……いわゆる未来予知のレアスキル、ファンタズムばりに修得者が稀なのだ。

 

まあ、Zとファンタズムのレアスキルをもつリリィは少ないということだ。

 

「ほんと、一葉は頼りになるなあ……。私の命、一葉に預けたよ。」

 

「任せて!行くよ!美湖!」

 

「了解!」

 

私たちはヒュージとの戦闘を始めた。

 

「はああああっ!」

 

「くたばれえええっ!」

 

一葉は、私の親友だ。

エレンスゲ女学園に入学してから、同じレギオンになったことはないけど、訓練は一緒にやっていた。

だから、一葉がどう動いて、何を考えているのかだいたい分かる。

おそらく、それは一葉も同じだろう。

 

「__________▁▂▃▅▆▇█!!!」

 

ヒュージたちが不気味な声をあげながら、私に攻撃する。

私はその攻撃をCHARMでガードする。

 

「美湖!」

 

そして、すぐに一葉がCHARMで攻撃し、ヒュージを撃破する。

 

「大丈夫?」

 

「うん。一葉がいるから。」

 

やっぱり、一葉は本当に頼りになる。

戦闘眼、戦闘技術、判断力……。

全てが申し分なしのまさにエリート。

 

……リリィとしては、優秀だけどそれ以外はポンコツなんだよあ。

 

「よし、美湖、もうひとふんばりするよ。」

 

「了解!」

 

私たちは息を合わせて周囲のヒュージを一気に殲滅することに成功した。

そして、それと同時に私のマギも尽きてしまった。

 

「はあ……はあ…… 一葉、ありがとう。お疲れ様。」

 

「美湖もお疲れ様。今ので最後、みたいだね。」

 

周囲を確認すると、ヒュージはいない。

良かった……。

2人でホッとしていた時だった。

 

「あ……れ……?」

 

私はその場に倒れてしまった。

 

「美湖!?」

 

「大丈夫……。マギが尽きてフラ〜ってなっただけ。」

 

「……。」

 

私がそう言うと、一葉は黙ってしまった。

どうしよう……嫌な予感しかいない。

 

「か、一葉……?大丈夫だよ、歩け……」

 

「美湖!安心して!私がおぶるよ!そんな状態じゃ歩くのもやっとでしょ?」

 

私が言い切る前に一葉が真剣な顔がそう言った。

嫌な予感が当たってしまった。

 

一葉はいい子で優しい女の子だ。

でも、今はその優しさがちょっと辛い。

 

だって、恥ずかしいじゃん!

同級生におぶられるの!

 

「さあ、遠慮はいらないから!」

 

「さあ、じゃない!恥ずかしいよ!絶対やだ!」

 

「そっか……。じゃあ……。」

 

すると、一葉は私を手で抱きかかえた。

そう、お姫様抱っこである。

 

「あの、一葉……余計に恥ずかしい……。」

 

残念なことに、今の私には歩くという選択はないらしい。

おんぶされるか、お姫様抱っこされるかの2択である。

 

「……おんぶでお願いします。」

 

「うん。さあ、帰って今日はゆっくり休もうか。」

 

「……はい。」

 

「美湖、元気ないけど大丈夫?」

 

「大丈夫だよ、あはは……。」

 

大切な親友に、「一葉のせいだよ。」と言えるはずもなく私は一葉におんぶされて学園に戻った。

 

同級生や後輩、高等部の先輩……教導官……大勢の人に見られてしまった。

これ、しばらくはネタにされるなぁ……。

 

もうすぐで進級するのに、私……新しいレギオンでやっていけるかなぁ……。

一葉と違うレギオンになるかもしれないけど、ネタにされたら色々と奢って貰おう。

うん、そうしよう。

 

進級、新たなレギオンなどこれからの出来事に少し不安を感じながら、ちっぽけな決意をして外征を終えた。




用語解説

アサルトリリィを知らない!って向けの解説です
今回は、スキル、レギオンです

まず、リリィは魔法『マギ』を使用することができ、さらに能力が発現が著しいものをレアスキルと呼んでいます。レアスキルは原則1人1種といわれ、生き様が反映されるため複数持つことは基本不可能とされています。
自分なりに簡単に説明すると、リリィが持つ特殊能力です。
レアスキルは16種あると言われています。

また、レアスキルに満たない能力をサブスキルと呼び、こちらは複数覚醒可能です。
レアスキル1つにサブスキル3つ程度が一般的らしいです。

他にも、ブーステッドスキルという強化されたリリィ(ブーステッドリリィ)のみが使える特殊なスキルがあります。
このスキルは、覚醒ではなく、GEHENAによって改造・強化時にヒュージ由来の特殊攻撃や技能を人工的に付与されることで体得できます。

GEHENAについては、今後解説していきます。
とりあえず、GEHENAを許すな。

付与方法は明らかになってないですが、今後明かされるのかもしれないですね。

保有数の上限はないですが、2つ程度に留めておくのが無難とされています。あまり、持たせすぎると負担がかかってしまい、狂化してしまうためです。


レギオンは、各ガーデンで組織される複数名で1つのチームのことです。
LGと省略されたりします。
ヒュージ発生時は、レギオン毎での出撃が基本です。

自分なりに簡単に説明すると、ヒュージを倒すための1つのチームです。

様々なレアスキルやレギオンが存在し、どのレギオンもキャラクターも個性や戦略が違っていてアサルトリリィの魅力の1つです。


分からない用語がありましたら、お答えしますのでコメントなどで質問してください。



参考にしたもの
アサルトリリィwiki
二川二水@アサルトリリィ原作公式
電ホビ「アサルトリリィの世界」


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2話 ヘルヴォル結成

ごきげんよう、2話です。
現在は、『叛逆のスキャルドメール』というイベントストーリーを中心に執筆しています。
これが終わるまでは、暗殺教室のキャラクターはあまり出ませんので、申し訳ございませんがご理解をお願い致します。

誤字、脱字等があれば教えて頂けると助かります。


ピピピッ

 

「うーん……。もう、朝……?ふわあ……。」

 

私は、ぐーっと背伸びをし、あくびをしながら目覚まし時計をとめる。

今日から、新学期に新学年。

そして、新たなレギオンが決まる。

 

「私の序列は21位か……。」

 

エレンスゲ女学園には、序列制度が存在する。

これは、学園独自の基準で選んでいる。

 

あ、渚に連絡にしないと

電話は……レギオンが決まってからにしようかな。

多分、渚も朝だからバタバタしてるだろうし。

とりあえず、メッセージだけは送っておこう。

 

【おはよー 私は今日から新学期だよー!新しいレギオンで頑張るね レギオンは、まだ決まってないけど、決まったら電話で報告するね!渚も頑張ってね!】

 

「送信、と。さて、着替えて準備しないと。」

 

私は、顔を洗ったり、歯磨きしながらいろいろと考える。

やっぱり、1番に考えてしまうのは私のレギオンだ。

 

去年は、まあ、散々なレギオンだった。

リーダーは、頼りないし、メンバー内の関係性は悪いから連携した攻撃ができない。

いや、ほんと……よく死ななかったなぁって我ながら思ってしまう。

 

今年は、最高のレギオンに巡り会えますように……!

できれば、一葉と同じレギオンになりますように……!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

いろいろと準備を終え、寮から出ようとした時だった。

 

「あ、渚からだ。」

 

私の携帯に大切な弟からメッセージが届いた。

 

【おはよう、姉さん。僕も今日から新学期だよ。姉さんの新しいレギオン、いい人に出会えるといいね。応援してるよ。】

 

渚は、私がリリィとして戦うことを誰よりも応援してくれている。

お母さんは、家出をしてから1度も連絡をとれていない。

多分、渚が私から連絡があったことは伝えていると思うから生きていることは知ってると思うけど……。

 

「……よし、やるしかないね。」

 

頬を叩いて、気合いを入れる。

私は、寮を出て学園へと向かった。

 

「あ、三日月……。」

 

外に出ると、三日月が見えた。

朝なのに三日月が見える。

数日前に、月が爆発して7割方蒸発した。

 

ヒュージの仕業では?という声も聞こえたけど、原因は不明。

月にもヒュージがいたら、どうすればいいんだろう……。

まあ、三日月しか見れなくなっても私のやるべき事は変わらない。

リリィとして、人々の命を、大切な場所を、笑顔をヒュージから守り抜く。

それだけだ。

 

そうしていると、学園に到着した。

 

「おはようございます、教導官どの。」

 

「おはよう。」

 

校舎前に、エレンスゲ女学園の教導官が立っていた。

なので、しっかりと挨拶をする。

 

「……。」

 

なぜか、教導官は私の顔をじーっと見つめている。

もしかして、髪型がおかしい?

それとも、制服が変?

そんな風に思っていると、教導官が口を開く。

 

「君が潮田 美湖か?」

 

「え、あ、はい……。私が、潮田 美湖ですが……。」

 

「そうか、君がか……。」

 

「教導官どの、私に何か用ですか?」

 

「いや、特にない。引き止めて悪かった。行きなさい。」

 

「はい……。失礼します……。」

 

教導官、なんで引き止めたんだろう……。

何もなかったってことは、髪型も制服も特に問題はないってことだよね。

 

「うーん……。」

 

ま、いいか。

さてと、講堂に行きますか。

 

 

 

━━━━━━━━講堂

 

 

「―――式次第は以上となる。新入生はこの学園の新たな戦力となるよう全力で励み、在校生はよりその力を磨くことで、このエレンスゲ女学園の正義と信念を体現しなさい。誇り高きエレンスゲの一員として人の社会を守るために、その命を捨てる覚悟を持ちなさい。」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

講堂にエレンスゲ女学園の生徒の返事が響き渡る。

……最後の言葉だなんて、学園のために命を捨てろって言っているように私には聞こえる。

 

「―――続いて、我が学園のトップレギオン『ヘルヴォル』のメンバーを公表する。……相澤 一葉、前へ。」

 

「はい。」

 

一葉、ついに序列1位になったんだよね。

やっぱり、この前の外征の成果……だろうね。

ってことは、一葉の判断はエレンスゲ司令部にも認められたってことか。

 

「あれが序列1位の……。」

 

「……まだ1年生なのに……。」

 

先輩なのか同級生、後輩なのかは分からないけどそう呟く生徒の声が聞こえた。

まあ、一葉は中等部に入学にしてからどんどん昇りつめた有名人だからね。

 

「今学期から、序列1位となりトップレギオン『ヘルヴォル』のリーダーを拝命することになりました、高等部1年、相澤 一葉です。

ご存知のように、今、この世界は正体不明の怪物の群れによって追い詰められています。

 

……地上にヒュージが出現してから、私たちの人生は大きく変わりました。けれど、変わらないものもあります。この世の中であっても、人が守り続け、受け継いできたものがあります。それは思いやりや、人と人の繋がり……互いを大切に思う心。それらは人を人たらしめる感情です。

 

どんなに追い詰められても人は自ら人であることを諦めなかった。だからこれまで、どんな困難にあっても戦えたのです。

私たちが戦うのは、報酬や名誉やましては学園のためではありません。」

 

……一葉?

めっちゃくちゃかっこいいし、私もそう思うけど……教導官から呼び出しされない?大丈夫?

 

「学園のために命を捨てろ、など、バカげています。」

 

言ったよ!

この子、言っちゃったよ!

私もさっきそう思っていたから、強くは言えないけど!

 

「人に犠牲を強いる戦い方では、本当に大切なものは守れない。」

 

「い、今のって、学園の方針とは……。」

 

生徒がザワザワしてる……。

そりゃそうだよ、だって、さっき教導官が言っていたこととまるっきり逆のことを言っているからね。

 

「私は、この世界の全ての人を守りたい。そして、共に戦う仲間を守りたい。そこにある想いを守りたいのです。私は、なにひとつ諦めずに戦いたい。ヘルヴォルの二つ名である『楯の乙女』。それは、大切な物を全て守る楯でならなければいけないのです!それが私の意志であり、リリィとしての誇りです。」

 

「一葉、やっぱりかっこいい。」

 

私は、そう呟いていた。

きれいごとに聞こえるかもしれない。

でも、私は中等部で一葉の親友として頑張っているのを見てきた。

一葉なら、本当に全てを守ることができる『楯の乙女』になれるのかもしれない。

 

「戦場において言葉は意味をなしません。私は、正義と信念の在り方を、エレンスゲのトップレギオン『ヘルヴォル』において示します。

 

今回、トップレギオンのメンバーを選ぶにあたっては、この信念を支えることのできる方を指名させていただきました。」

 

ザワザワしていた講堂が静かになった。

トップレギオン『ヘルヴォル』のメンバーが公表される。

誰がヘルヴォルの一員になれるのか、この場に全てのリリィが一葉に注目していた。

 

飯島 恋花(いいじま れんか)様。 初鹿野 瑤(はつかの よう)様。 芹沢 千香瑠(せりざわ ちかる)様。そして……潮田 美湖。

 

以上の皆様を、『ヘルヴォル』の一員として指名させていただきます。」

 

へー、私がヘルヴォルか〜

一葉と同じレギオンか〜

 

ん?

 

「私が……ヘルヴォル?え?嘘でしょ!?」

 

いやいや、確かに、一葉と同じレギオンになりたいって願ったけどこんな形で叶うとは思ってなかった。

 

最高のレギオンかどうかは分からないけど、一葉がリーダーなら、最高のレギオンになる予感がする。

 

「メンバーのひとりひとりの考えや個性を尊重し、互いに助け合う結束力の強いレギオンを目指しましょう。それが相乗効果を生み、真に強いレギオンとなるのだと……。私は、そう信じています。指名させていただいたメンバーの方々、そして、生徒の皆様、教導官の皆様、人々を守るために、人々の心を守るために、共に戦いましょう。」

 

さすが、私の親友。

この場で、自分の正義を宣誓できるのは一葉くらいだろう。

カッコよくて、強い言葉。

 

……よし、私も頑張らないと。

一葉が言っていた、人々を守るだけじゃなく心を守るリリィに。

それがきっと、エレンスゲのトップレギオン『ヘルヴォル』であり、『楯の乙女』なのだから。




用語解説

今回は、ガーデン 前回の話に出てきた外征についてです。

ガーデンは、人類がヒュージに対抗するため各地域に設置したCHARM使用者の育成機関です。
リリィは、10代の女子であるため、高校教育の面を持つ軍事育成高校としても機能しています。ガーデンは、それぞれ特徴があり、校風やCHARM、実戦などの連携技が異なっています。世界各地に様々なガーデンが存在しています。

外征は、レギオンがガーデンの管轄(国定守備範囲)外の地域に援軍として展開することです。外征任務を受けるレギオンを『外征レギオン』と呼んでおり、どのガーデンでも外征レギオンは1流のレギオンが担当しています。

外征にする時は、『外征宣言』を行うのが常識になっています。
主人公が所属するエレンスゲ女学園は、外征宣言なしで出撃も行うため、ガーデンの品格を疑われることもあります。

そもそも、エレンスゲ女学園は『とある事件』をきっかけに関東のガーデンからはちょっと距離を置かれています。
『とある事件』というのは、現在は不明らしいです。

私もアサルトリリィは勉強中ですので、指摘や解釈違いがありましたら教えて頂けると助かります。


参考にしたもの
アサルトリリィwiki
二川二水@アサルトリリィ原作公式


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3話 顔合わせ

ごきげんよう、3話です。
メインストーリー外伝、読みました。グラン・エプレ、どうなってしまうのか……。

定盛がAZで活躍してましたね!私は、定盛 姫歌ちゃんを定盛呼びしてますけど、ひめひめと呼ぶ人と定盛と呼ぶ人、どちらが多いんでしょうかね……。

誤字脱字があれば報告をお願い致します。


「ここが、ヘルヴォルの控え室……。」

 

私は、ヘルヴォルの控え室の前に立っていた。

この奥に、レギオンメンバーの人たちが……。

 

「スーハー……。よし。」

 

私は、深呼吸をして控え室に入った。

 

「失礼します。」

 

「お、きたきた!」

 

「……。」

 

「もしかして、あなたが潮田 美湖ちゃん?」

 

「は、はい。」

 

ギャルに、クールビューティ、お姉さん……。

この人たちが一葉が選んだ、ヘルヴォルのメンバー……。

 

「もしかして、緊張してる?」

 

「す、すみません……。」

 

「大丈夫。気持ち、分かるから。だから謝らないで。」

 

クールビューティ先輩、すごく優しいんだなぁ。

 

「とりあえず、自己紹介でもする?あたし、飯島 恋花!高等部2年で、序列は13位。よろしくね!」

 

「初鹿野 瑤。高等部2年。序列14位。よろしく。」

 

「私は、芹沢 千香瑠。2人と同じ高等部2年。序列は、その……84位よ。」

 

「恋花様に、瑤様、千香瑠様ですね。よろしくお願いします。」

 

ギャル先輩の恋花様、クールビューティ先輩が瑤様、お姉さん先輩が千香瑠様。

よし、覚えた!

 

「私は、高等部1年の潮田 美湖です。序列は21位。よろしくお願いします。」

 

「美湖ね、覚えた!美湖ってどう書くの?美しいに子ども?それとも別の漢字?」

 

「美しいに湖で美湖です。」

 

「へー、可愛い名前だね。」

 

「ありがとうございます。恋花様も可愛い名前だと思いますよ。」

 

「そう?ありがとう!」

 

とりあえず、先輩たちはみんな優しそうでよかった。

きっと、ヒュージと戦う時は頼りになる存在だろう。

 

「あーっ!思い出した!」

 

「恋花、急にどうしたの?」

 

「恋花さん、何を思い出したんですか?」

 

なぜか突然、恋花様が立ち上がった。

何かを思い出したらしいけど……なんだろう……。

 

「さっきからずっと美湖のこと、見たことあるなーって思ってたんだよね。ほら、この前の外征でリーダーにおぶられていた子でしょ?」

 

「んな!?み、見られた……!」

 

「そういえば……美湖だ。」

 

「いやー、可愛かったよ。顔を真っ赤にしながらおぶられていたよね。あたし、あの辺りにいたけどお姫様抱っこもされたよね?」

 

「え、お姫様抱っこも見られていたんですか!?」

 

嘘でしょ!?

え、お姫様抱っこってほんの僅かだよ。

 

「大丈夫大丈夫。心配しないで。お姫様抱っこをされたところを見たのはあたしだけから心配しないで、可愛い可愛いプリンセス♡」

 

「う、うぅ……。」

 

「恋花、後輩をいじめないの。」

 

「ふふっ。」

 

恋花様のいじわる……。

よし、恋花様にネタにされたので一葉に何か奢ってもらうことが確定した。

絶対に一葉の財布をスカスカにする勢いで奢らせてやる……!

 

「あの……千香瑠様も、私をからかおうとしてます……?」

 

さっき、笑っていた千香瑠様が少し気になってしまい、おもわず聞いてしまった。

 

「違うわ。この雰囲気がとても素敵だなぁと思って。」

 

「うん。分かる気がする。明るい雰囲気。」

 

明るい雰囲気……。

確かにその通りかもしれない。

 

去年、私が所属していたレギオンはこんな感じじゃなかった。

仲が悪くて、控え室はいつも険悪だった。

戦力重視で連携なんて出来なかった。

 

ヘルヴォルは、賑やかだ。

恋花様にからかわれたのは恥ずかしかったけど、雰囲気はどのレギオンよりも明るい気がする。

 

「それにしても遅いね、一葉。」

 

「おそらく、一葉は教導官に呼び出されたかと思います。」

 

「まあ、そうだろうね……。じゃあ、もう少ししたら来るかもね。」

 

「……。」

 

来る、かなぁ……。

ポンコツなところがあるからなあ……一葉は……。

 

「美湖ちゃん?」

 

「私、一葉とは中等部から親友なのでだいたいのことは知っているんです。なので、その……教導官に呼び出されても、忘れてしまい来ないと思うんです……。」

 

「「「……。」」」

 

私がそう言うと、先輩たちは固まってしまった。

 

「それ、マジで言ってる?」

 

「マジです。」

 

「自分で呼び出したのに?」

 

「それが一葉なんですよ、瑤様。あの子はポンコツなんです。」

 

「だったら、私が探してきます。」

 

「OK!頼んだよ!千香瑠!」

 

千香瑠様は、一葉を探しにヘルヴォルの控え室をあとにした。

 

それからしばらくして、一葉と共に千香瑠様が戻ってきた。

 

「申し訳ございません!このような失態をしてしまって!考え事をしていたら、ミーティングを忘れてしまって……。」

 

「いやー、はっはっはっ!まいったまいった。まさか初日からリーダーがミーティングをすっぽかすなんてね!」

 

控え室に入ってすぐに一葉は謝罪した。

やっぱり、忘れていたか……。

 

「た、大変申し訳ございません!」

 

「いやいや、これは先々が楽しみですね、リーダー!ヘルヴォルの名誉ある歴史に伝説を刻む隊になるかも……。ぷ、くくく……!」

 

「す、すみません……。」

 

そんな一葉を見て、恋花様はからかっている。

エレンスゲのトップレギオン、ヘルヴォルのリーダーがミーティングをすっぽかす。

確かに、伝説になりそう。

 

「ドンマイ、一葉。でも、私、一葉なら忘れてるだろうなって思ってた。大丈夫、伝説になっても私が説明するから。どうせ、教導官に呼び出されたから考え事、してたんでしょ?」

 

「う、うぅ……。美湖には、お見通しか……。」

 

「恋花も美湖もからかわないで。」

 

「はい、みんな、紅茶とクッキーが用意できたわよ。」

 

私と恋花様で一葉をからかっていると、千香瑠様が紅茶とクッキーを準備して、テーブルに置いた。

 

「わ、すご。レギオンの控え室でこんな優雅なものが出てくるとは……!」

 

「動物さんクッキー、可愛い……。」

 

「このクッキー、すごく美味しそうです!もしかして、千香瑠様の手作りですか?」

 

それにしても瑤様、すごく目がキラキラしてる。

可愛いって言っていたから、可愛いものが好きなのかな?

 

「ふふ、ありがとうございます。美湖ちゃんの言う通り、私の手作りよ。新しいレギオンに入る日だからご挨拶の代わりに用意していたの。まさかあのヘルヴォルで用意するとは思いませんでしたけど。」

 

そっか、千香瑠様の序列って84位。

自分がヘルヴォルのメンバーになるとは思わなかったんだ。

……すごい失礼なことを思っているけど、私。

 

「あ、でも、一葉ちゃん、こういうのはよくなかったでしょうか?」

 

「え……そうですね。このミーティングは学園が定めた正式なものですので、あまりこういうことは……。」

 

「よ、余計なことだったかしら……。」

 

「あ!いえ、でも、ご厚意を無駄にするのは……!」

 

「いいしゃんいいじゃん。この紅茶、すっごくいい香りだし。」

 

「恋花様の言う通りですよ。このクッキーもすごく美味しいし。」

 

「美湖、もう食べてる!?」

 

「えへへ、我慢出来なかった。」

 

そう、私は既に千香瑠様のクッキーを食べてしまった。

いやー、めっちゃくちゃ美味しい……。

 

「学園が定めた正式なミーティングに序列1位が盛大に遅刻した時点で、硬いことは言いっこなしじゃない?」

 

「そ、それについては本当にすみません!」

 

「……恋花、からかわないで。」

 

「あはは、ごめん。ついつい。」

 

ついついでからかってしまうのか、恋花様は……。

まあ、私もさっきからかわれてしまったけど……。

 

「指名したってことは大体知っているんだろうけど、一応自己紹介ね。あたしは飯島 恋花。高等部2年。序列13位。

 

いやー!さっきの宣言聞いたときは、めっちゃ武闘派じゃん、とか思ったけど。案外親しみやすそうなリーダーでよかったって、あたしは思っているよ。よろしく。」

 

「う……よ、よろしくお願いします。今後は遅刻などしないように努めていきたいと思います……。」

 

一葉、相当恥ずかしいんだろうな……。

だからといって、恋花様にネタにされたから奢ってもらう気持ちは変わらない。

 

「……高等部2年、初鹿野 瑤……序列14位。よろしく。」

 

「よろしくお願いします!」

 

「えーと、私は、芹沢 千香瑠。ふたりと同じく高等部2年で……序列はその……84位……かな。」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「改めて自己紹介するね。高等部1年、潮田 美湖。序列は21位。高等部でもよろしくね、一葉!」

 

「こちらこそよろしくね、美湖。」

 

さて、それぞれ自己紹介が終わったけど……どうするのかな?

 

「あの……ごめんなさい。ひとつ質問があるの。レギオンメンバーの選考基準って、普通、序列の高い順、つまり優秀な順から選んでいくのよね?その恋花さんや瑤さん、美湖ちゃんはわかるんだけど……私は、どうして……?」

 

「……一葉、私の序列は21位。私よりも優秀なリリィなんていっぱいいるよ……。」

 

千香瑠様が私を優秀だと思ってくれているのは嬉しい。

でも、私はヘルヴォルに指名されるような序列じゃない。

指名されるとしても、序列6位がリーダーのLGタルタロや序列7位がリーダーのLGシャランチャあたりだろう。

 

「人それぞれ、得意な分野は異なります。共に戦うチームとして考えたとき、私はこのメンバーが最適だと判断しました。」

 

「そう……なの?」

 

「はい、ヘルヴォルにふさわしい人達です。」

 

「そっか……。ありがとう。私、一葉と一緒に戦えるのすごく嬉しい。頼りにしてるよ。」

 

「私も美湖のこと頼りにしているよ。」

 

一葉が私をヘルヴォルのメンバーとして選んでくれた。

だったら、一生懸命リリィとして頑張らないとね!

 

「あたしからもひとつ質問。」

 

「恋花様、どうぞ。」

 

「みんなを守って戦う……だっけ?入学式でのあの演説、あれって本気?」

 

「本気でなければ学園を敵に回すような発言はしません。」

 

「ま、そうか。それじゃ、言葉の重みには自覚がある、と?」

 

「はい。皆様を巻き込んでしまったことには申し訳ないと……。」

 

「大丈夫じゃん?楯の乙女『ヘルヴォル』は序列1位の生徒がそのメンバーを指名するってシステムは学園が承認した正式なものだし。人を決めるのはってのは、チームに最も重要な判断になる。

 

それを一葉に任せた。ってことは、『ヘルヴォル』の活動方針については、一葉の気持ちで好きにしていいって、公認でもあるわけだ。建前がある以上、一葉がどんな方針で行動しようと、学園側もなければなかなか干渉できないっしょ。まー、風当たりは多少きつくなるかもだけどね。」

 

おお……!

恋花様って意外と賢い……!

 

「みーこー、今、失礼なこと考えてたでしょー?」

 

「そ、そんなことないですよ!恋花様!」

 

「ほんとにー?」

 

恋花様はニヤニヤしながら私を見つめている。

 

「う……。すみません、失礼なことを考えてしまいました……。」

 

「ふーん。どんなことを考えていたのか先輩に教えてもらおうか〜」

 

そう言うと、恋花様は私の体をくすぐり始めた。

 

「ちょっ!恋花様、やめてください!くすぐったいです!」

 

「恋花、ほどほどにして。」

 

「はいはい。」

 

瑤様が注意すると恋花様はすぐにやめた。

それにしても、瑤様って子供を見守るお父さんみたい。

千香瑠様は……このクッキーがすごく美味しいからお母さん……かな?

 

「えっと、そうね。私は、一葉ちゃんが言っていたことはとてもすごいことだと思うわ。人を思いやって、命を大切にって、言われてみれば当たり前で、その当たり前が難しい世の中になって。

 

だからこそ、あの場であれだけ『当たり前』を堂々と口にできる一葉ちゃんは、すごく、綺麗だったと思う。」

 

確かに千香瑠様の言う通りだ。

当たり前だからないがしろにしてしまう。

かっこいい人って、当たり前のことを堂々とやっているから憧れ、人々を魅力する力があるんじゃないかなって私は思う。

 

「きれい……ですか?」

 

「……ええ、とっても。」

 

「あ、ありがとうございます。嬉しいです、分かっていただけて。」

 

「……。」

 

「それで……今日は、何の集まり?」

 

「今日はまず顔合わせってことでレギオンの方針をお伝え出来たらな、と思っています。」

 

「あー、それそれ。一葉の気持ちはあの宣言の通りだとして、あたしたちは具体的にどうしたらいいの?」

 

「まず、今後も定期的にこうして集まりましょう。訓練や出動だけではなく日常の中で、一緒に過ごす時間も増やしていきます。そうして、お互いのことを知っていくんです。より、深く、メンバーどうしが助け合って、結束力を高める、そんなレギオンを目指していきましょう。」

 

「お互いを……知る……。」

 

「なんか青春って感じ!皆様と仲良くなるって、楽しそうです!」

 

「ふーん。なるほどねー。言われてみれば、うちのガーデンのレギオンってあんましそういうのやってないもね。」

 

「でも、エレンスゲ以外のガーデンは、そうやってレギオンの仲間を尊重しているところも多いそうですよ。そういうのもいいなって、実はちょっと思ってました。」

 

なるほど……。

レギオンの仲間を尊重する……。

そういうって、ちょっとエレンスゲっぽくないかも。

 

「ただ戦場にいるだけではなく、お互いにかけがえのない仲間でありたいんです。街も、人も、他のリリィも、もちろん私たち自身も。誰も傷つけずに任務を成功させる。それが私たちのモットーです。」

 

「ぜいたく……。」

 

「……恋花?」

 

「わかってる。リーダーの意見には従うよ。もちろんね。」

 

「私も賛成よ。みんなで、がんばりましょうね!」

 

「……わたしも、反論はしない。」

 

「もちろんです!私、一葉のこと全力で支えるね!」

 

「よかった……!」

 

楯の乙女『ヘルヴォル』。

このメンバーなら、一葉や頼りになる先輩たちがいれば全部守れそうな予感がする……!

ううん、絶対に全部守れるはず!




用語解説

今回は、リリィとG.E.H.E.N.A.について解説していきます。


リリィは、CHARMを扱う女性のことです。
リリィ達は養成機関『ガーデン』に所属し、ヒュージとの戦い方を学びながら実践に備えます。

実戦に赴くリリィの他に、CHARMを整備、カスタマイズする『工廠科』など様々なリリィ達が存在しています。

ちなみに、ラスバレ風自己紹介で出てきた主人公と仲のいい百合ヶ丘のミリアムも工廠科です。工廠科に所属している人は、アーセナルとして活躍していることが多いです。アーセナルは、ほぼ戦闘はしませんが『戦うアーセナル』も目指す人もいます。例としては、ミリアムですね。他にも戦うアーセナルが存在するので気になる方はチェックしてください。

能力が特出したリリィは対ヒュージ戦において戦況を大きく左右するためガーデンではもちろん、世界が注目する存在となっています。
個性的な規律や風習があるガーデンに所属するリリィは、その特色を強く受ける傾向がありますね。

リリィには出撃時の出撃報酬やヒュージ討伐時の撃破報酬などがあります。

命懸けですからね、報酬がないとやってられない!っていうリリィもいるかもしれないですね。



さて、G.E.H.E.N.A.についてですね。
アサルトリリィのファンの人ならほぼ嫌っていると私は思っています。
ゲヘナを許すな。

読み方はそのままゲヘナです。

G.E.H.E.N.A.は、ヒュージ研究で有名な多国籍企業で、元々は民間企業の研究者集団だったが、次第にヒュージ、リリィ、CHARMなどの核心を掴み、ヒュージとの戦いを科学的側面で主導し、リリィ強化などの凶行にも走るようになりました。

アサルトリリィのキャラクターにも、G.E.H.E.N.A.のせいで強化リリィになってしまった子がいます。中には、退治の段階でヒュージ細胞を入れられ、生まれながらの強化リリィも……。

いや、ほんとマジでゲヘナを許すな。
そろそろゲヘナを潰したいですね。

まあ、G.E.H.E.N.A.はとても大規模な集団で一枚岩ではなく、低い強化に留めるべきという派閥もあれば、高い強化を施すべきという派閥も存在します。

G.E.H.E.N.A.に対する姿勢はそれぞれのガーデンで異なってます。大きく親G.E.H.E.N.A.主義と反G.E.H.E.N.A.主義に分かれてます。
主人公のガーデン、エレンスゲ女学園は親G.E.H.E.N.A.主義です。


とりあえず、これくらいで大丈夫でしょうか……。
難しい用語が多いですけど、理解できればもっとアサルトリリィが好きになるのではないかと思います!



もしかすると、暗殺教室のキャラクターは番外編の方が先に出番があるかもしれないです。(ほぼその予定です。)



参考にしたもの
アサルトリリィwiki


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4話 初陣【前編】

ごきげんよう、お久しぶりです
ガンパンコラボ〜〜〜 なんとか無課金で1人はお迎え出来ました

この前のヘルヴォルのハロウィンイベ、最高でした
藍ちゃん……可愛い……

ゆっくり更新なので、暗殺教室のキャラと本格的に絡むのは先になりそうです……
頑張ります……

誤字、脱字等があれば報告をお願い致します



とりあえず、これからどうするか一葉に聞かないと。

 

「で、一葉。これからどうする?」

 

「それは、これからの訓練や各状況に合わせた戦術について……」

 

━━━━━━━━━━━━━━━!!!

 

突然、響き渡ったアラーム。

確か……これは……!

 

「……!?これは、緊急出動命令のアラーム!」

 

ってことは、ヒュージが発生したってことか……!

 

「エレンスゲ司令部より全レギオン、司令部より全レギオン。港区青山方面にラージ級ヒュージ発生の一報あり。エリアディフェンス内部に入り込んだものだと思われる。ヘルヴォルを除く全レギオン、旧編成にて出撃せよ。繰り返す……。」

 

アナウンスが流れ、私たちに出撃命令が下される。

っていうか、私たち以外は旧編成!?

 

「き、旧編成で?」

 

「レギオンの新編成は今日発表されたばかり。戦いに出るには無理がある。妥当な判断。」

 

「でもヘルヴォルは、この編成で出ろってこと!?さっそく来たよ、風当たり!」

 

「それでもやるしかないですよ!恋花様!だよね、一葉!」

 

「もちろんだよ、美湖。それに、楯の乙女『ヘルヴォル』はエレンスゲの象徴。一度結成した以上、簡単に旧編成で出撃させては全体の士気にかかわる、ということでしょう。」

 

トップレギオンとしての役目もあるってことか……。

 

「まだ、なんの準備もできていないけど……。」

 

「先程、美湖が言った通りやるしかありません。私たちの真価が試されています。皆様……!お願いします!共に出撃を!」

 

そんなの最初から決まっている。

だって、私は一葉が選んでくれたヘルヴォルのリリィ!

 

「もちろん!全力で行くよ!」

 

「お願いされなくてもやるしかないっしょ。出撃『命令』なんだから。」

 

「異議なし。」

 

「……わ、私も、選ばれたんだもの。がんばるわ。」

 

「ありがとうございます!リリィとしての誇りを胸に、そして、楯の乙女の名に恥じぬように!

 

ヘルヴォル、出撃です!

 

 

━━━━━━━都内某所

 

 

ヘルヴォルの初陣。

気を引き締めないと……!

 

「これは思っていた以上にひどい状況ですね……!」

 

「建物の被害もかなり出てますが……。住んでいた人は大丈夫なのかしら……。」

 

「……大丈夫だと信じたいですね。」

 

ラージ級ヒュージの影響はやっぱりデカい。

これ以上、被害を出さないためにもなんとかしないと……!

 

「ヘルヴォルより司令部。目標区域に現着しました。近隣市街地の被害状況は?」

 

「住民に重軽傷者41名。死者は確認できていない。区域周辺の住民の避難はまだ完了していないため、迅速な状況対応が求められる。」

 

「負傷者がそんなに……。」

 

「でも、死者がいないのは幸い。これ以上の被害が出ないよう、やるしかない。」

 

「ええ。」

 

「避難が完了していないって?こういうフォローの悪さがエレンスゲって感じね。」

 

「私たちには迅速って言ってますけど、司令部は全然迅速じゃないですね。」

 

「美湖、結構ストレートに言うね……。」

 

「避難はマディックの皆さんが主導していますが……」

 

「リリィになれるほどの適正がなかった子たち……確かに戦えば、大きな被害が出るね……。」

 

マディックはリリィではないからヒュージとは戦えない。

ラージ級ヒュージがいるのに……。

 

「……ヒュージに襲われたら、ひとたまりもないわ……!」

 

「そうならないよう、私たちがこの区域のヒュージを片付けましょう。」

 

「……10時の方向にスモール級の群れを発見!数、10から15。」

 

「ふむ……へましなきゃ叩ける数、かな。」

 

「とはいえ、油断は禁物ですよ!恋花様!」

 

「ヘルヴォルより司令部へ。敵勢力を発見。これより状況を開始します。」

 

「司令部よりヘルヴォル。了解、敵勢力の殲滅にあたれ。」

 

「で、どうすんの?序列1位。」

 

「このまま急襲して各個撃破。その後は適宣指示を出します。ヒュージを逃せば避難区域に到達する可能性があります!迅速かつ徹底的に処理しましょう!」

 

「……慣れない連携はかえって危険。タイミングだけ合わせて、各個撃破。うん、妥当な判断か……。わかった、それでいこう。」

 

私と一葉は、連携はできるけど、恋花様、瑤様、千香瑠様との連携はまだできない。

最悪の場合、味方同士で傷つけることになる。

 

「了解!いつでもいけるよ、一葉!」

 

「……了解。」

 

「りょ、了解よ!」

 

「あたしもりょーかい!」

 

「楯の乙女!『ヘルヴォル』。作戦展開!状況開始!」

 

よし、ここは私のサブスキルの出番だね!

 

「3時方向よりスモール級2体襲撃!」

 

「5時方向よりスモール級5体、8時方向よりスモール3体、こっちに向かってる!」

 

「瑤様、対応を!千香瑠様はミドルレンジから射撃でサポート!敵を止めてください!美湖は引き続きサブスキルで周囲を警戒しながら撃破を!」

 

「了解。」

 

「了解……!!」

 

「了解!」

 

瑤様と千香瑠様がスモール級ヒュージを足止め、それと同時に私が射撃で撃破する。

だけど、すぐにヒュージが現れる。

多分、方向から考えてさっき私がサブスキル『千里眼』で見つけたヒュージだろう。

 

「恋花様!瑤様たちが押さえ込んでる間に主力を叩きます!お力添えを!」

 

「おっけー!一葉が言葉だけじゃないってわかったし、お力、添えまくってあげる!」

 

「よろしくお願いします!」

 

CHARMを構える一葉と恋花様。

 

「たぁあああああ!!」

 

「_▁▂▃▅▆▇█」

 

「敵勢力、沈黙。」

 

「な……なんとか、倒しきったわ……。」

 

「皆様、お見事です!とりあえず、お疲れ様です!」

 

「はー、やっぱ戦いは疲れるなー。」

 

少し休憩しながら2年生と気を休める。

 

「ヘルヴォルよりエレンスゲ司令部。当該区域の敵勢力をせん滅。新たな指示を……。」

 

「担当のマディックより、今連絡が入った。避難区域の防衛に多数の人員を配備している。ラージ級の撃滅を優先せよ。」

 

「な……。」

 

「その方が効率が良いと思ったんでしょ。エレンスゲらしい……。でも、一葉。命令に逆らって全体の行動を乱したら……」

 

!!!

 

「きゃあ!?」

 

「爆発……!さっきよりも大きいわ!」

 

び、びっくりした……!

 

「っ!!ヘルヴォルよりエレンスゲ司令部!ヘルヴォルは避難区域での救助を優先します!」

 

「繰り返す。多数のマディックが配属されている。問題はない。」

 

「マディックではヒュージの対処に多大な被害が出ると言っているんです!」

 

「損害の出ない戦いなどない。」

 

「……!!」

 

「……一葉?」

 

どうするの、一葉。

私は一葉がどんな指示を出しても従うけど……。

 

「皆様!『ヘルヴォル』はこれより避難区域に向かい、避難民の保護を最優先に行動します!」

 

「OK!」

 

「もちろん!」

 

「お、おい!?」

 

「住民に大きな被害が出る可能性を見過ごすわけにはいきません!」

 

「恋花。」

 

「……わかってる。行くよ!」

 

恋花様、司令部の命令にそむくから反対なのかな……。

少し、モヤモヤする……。

 

「急ぎましょう!皆様!」

 

私たちは爆発のあった場所に移動を始めた。

 

「……爆発があったのは、このあたり……。」

 

「ここって避難場所よね?誰もいないわ……。」

 

「でもそこら中ぐっちゃぐちゃだ。ヒュージによる破壊の跡もある。逃げられたんならいいけど……。」

 

「そうですね……。無事だといいですね……。」

 

「う……ぐ……!」

 

人の声!?

 

「……!生存者がいる!大丈夫ですか!?」

 

「う……あ、リリィ?」

 

「もしかして、エレンスゲのマディック?」

 

「そうだね、装備からして間違いないよ。もう大丈夫です!」

 

「怪我、大丈夫ですか?私に任せてください。」

 

私はレアスキル『Z』でマディックの怪我を癒す。

癒す、というよりは時間を巻き戻すからなかったことにするのが正しいのかな……。

 

「ありがとうございます。」

 

「えっと、避難されていた方々は……?」

 

「ヒュージの出現が事前に分かったから……。なんとか逃がして……私はここで、時間稼ぎを、でも全然……。」

 

「そうなんですね、ありがとうございます。ここにいる皆さんを逃がしてくれて。」

 

「そんなこと、ないです……。」

 

たった1人でヒュージと戦うなんて、怖いに決まっている。

 

「分かりました。あとはお任せを。」

 

「気を、つけて……。敵はラージ級……。」

 

「ラージ級!?ここにも!?」

 

「マジ!?それ逆にラッキーだよ。戦果がほしい司令部もこれで、応援を出してくれんじゃん!あたしたちはそれまでここで敵の様子を見守っていればいい!」

 

!!!

 

「きゃっ……また爆発が……。」

 

「ラージ級が、暴れてる……。街が、ひどいことに……。」

 

「……。」

 

「一葉、どうする?応援が来るまで見守る?」

 

「いいえ、私たちが囮になって、旧市街地までラージ級ヒュージをおびき出しましょう。」

 

「はっ!?」

 

「……どういうこと?」

 

「この周辺は移住区です。人々の生活のある場所……。ここで暴れられては、大きな被害が出ます。悲しむ人々がたくさん出てきます。」

 

「ちょっと待った!敵って新たなに確認されたヤツでしょ!?ラージ級ってことしか分からないし、どんな特徴か、どんな強さかも分からない!危険すぎるっ!応援を待ってから叩かないと!」

 

「……では、私がひとりでいきます。」

 

「行かせないよ、一葉。」

 

「美湖……。」

 

一葉はすぐに1人でなんとかしようとする。

何でもかんでも1人で抱え込んで実行してしまう。

 

「私も一緒に行く。」

 

「いやいや、正気!?たった2人で!?」

 

「私と一葉は、入学してからずっと何度も訓練で一緒になりました。なにかあっても、連携をとって戦えます。ですから、恋花様たちはここで待機してください。そして、応援に駆け付けた戦力と一緒にラージ級撃破……。で、どうかな?一葉?」

 

「特に問題ないよ。では、私と美湖でラージ級をおびき出し、恋花様たちと駆け付けた戦力と共にラージ級撃破。これでいきましょう。」

 

「一葉と美湖が、死ぬでしょ。」

 

「リリィの誇りを胸に、正義を貫く。なんの代償や危険も伴わずにできることだと思ってません。」

 

「大丈夫ですよ、恋花様。私と一葉は絶対に死んだりしません。約束します。」

 

私と一葉はラージ級がいると思われる場所へと移動しようとした時だった。

 

「待って!」

 

「千香瑠様、どうしたんですか?」

 

「私も、いく!」

 

「わたしも……いく。」

 

「千香瑠様……瑤様……。」

 

私はチラリと恋花様を見る。

 

「……付き合ってあげるわよ。仕方ない。」

 

「ありがとうございます。皆様!」

 

私たち6人で移動し、ラージ級のところへと向かった。

 




ある程度、アサルトリリィの用語は説明出来たかなと思ってます。

今回、美湖ちゃんのサブスキルが明らかになりました。
結構悩みましたが、千里眼にしました。

次回、ヘルヴォルのマスコットが初登場です。
お楽しみに……!


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5話 初陣【後編】

お久しぶりです。
リアルでバタバタした結果、こんなに遅くなりました。申し訳ございません。

アサルトリリィもいろいろありました。
新章舞台、配信で見ましたが最高でした。今後の展開が楽しみです。

そして、ラスバレメインストーリー。
ヘルヴォル………しんどかった……。ってことは、この小説の主人公は……?
展開もどうしようかと悩んでおります。

メインストーリー3章、ヘルヴォル編に関連するストーリーを中心に暗殺教室と絡ませていきたいなと思っております。

次回もかなり空くかと思いますがよろしくお願いします。

ちなみに、松村優珂ぁという推しができました。
松村優珂ぁは可愛い。


「ラージ級!発見したわ。」

 

「ミドル級も引き連れてる……。」

 

「思ったより規模のでかい群れね。………本当にやるの、一葉。」

 

「もちろんです。皆様、応援がくるまで、どうかお力添えを!」

 

「当たり前でしょ、一葉。ヘルヴォルのリリィとして、絶対に守る!」

 

私は力強く頷く。

すると先輩たちも一葉の声にこたえる。

 

「ええ。」

 

「分かった。」

 

「はいはい。リリィの誇りを胸にね!」

 

私たちはCHARMを構えてヒュージとの戦闘を開始した。

射撃による一斉攻撃。

それでもヒュージは倒れない。

 

「こいつ、全然倒れない!」

 

すると、今度は恋花様と瑤様がブレードモードで息の合った攻撃でヒュージを斬る。

 

「………はあ……はあ……!このラージ級、なんてタフさ……。」

 

「これじゃジリ貧だって!一葉、撤退するよ!!」

 

「ダメです!もう少しで応援が来るはずです!街に被害が出ないよう、ここに引き留めておくべきです!」

 

「だからって!」

 

「一葉も恋花様も落ち着いてください!」

 

「美湖の言う通り。今はそんなこと……。」

 

瑤様が何かを言おうとした瞬間、ヒュージが瑤様に向かって攻撃を仕掛ける。

マズイ!どうにかしないと!

そう思った時、一葉は既に行動しており、瑤様を守る。

 

「………大丈夫ですか?瑤様。」

 

「一葉……助けてくれたの?」

 

「大切な仲間ですから。それに……言ったはずです。全てを守るって。」

 

「……ありがとう。」

 

「私的には、一葉には一葉自身のことも大切にしてほしいけどね。最終的に自分を守れるのは自分自身なんだからさ。」

 

「美湖……。うん、分かっているよ。」

 

………このバカ真面目、ちゃんと分かっているのかな。

無茶ばっかりしないといいけど。

 

さて……と、状況は悪くなる一方だ。

ヒュージに囲まれている。

 

「み、みんな?あの………私たち、敵に囲まれているみたいだけど……。」

 

「……ついに撤退もできなくなったか。とにかくやるだけしか!」

 

覚悟を決め、私たちを囲むヒュージにCHARMを向けたその時だった。

誰かの気配を感じた。

それはまさに一撃必殺。

力強い攻撃でヒュージが倒された。

これ、誰かがルナティックトランサーを使ってる?

 

「1体目げーきはー!!」

 

「み、ミドル級が真っ二つに……。」

 

その子は止まらない攻撃で別のヒュージを倒す。

 

「あははは!2体目げきはー!あはははは!」

 

この感じ、間違いない。

ルナティックトランサーだ。

狂気と紙一重のレアスキルで、重力を無視したバーサーク状態で戦うことができる………。

 

「また………!一体、あなたは……。」

 

「次はあっち!」

 

私たちはお構い無しにヒュージをなぎ倒す。

この子、一体何者……?

 

「あはははは!!らんがおうえんにきたよー!げーんちゃーっく!」

 

どこか幼い雰囲気のリリィはらんと名乗った。

 

「お、応援って……ひとりでここに?君は、リリィなんだよね?他の子は、レギオンは?」

 

「れぎおん?らんはいっつもひとりでたたかうよ!!」

 

1人ってことはフリーランス?

いや、だとしてもどこかのレギオンのサポートに入るだろうし、エレンスゲのフリーランスのリリィって聞いたことがない。

 

「い、いつもひとりで!?」

 

「一葉!囲まれる!」

 

「君、私の後ろに隠れて!」

 

ゾロゾロ溢れたヒュージを見て、私は一葉に声を掛ける。

そのまま一葉はらんって子に指示を出す。

 

「でああああああああぁぁぁ!!」

 

だけど、その子は一気に飛び出した。

そのまま砲撃でヒュージを撃退する。

 

「あはははははっ!たーーのしーー!!」

 

あっという間にヒュージを蹴散らしていく。

 

「一撃で、包囲をといた……。敵を蹴散らして……。」

 

「すごい力……。」

 

「もっと!もっとあそぼうよ!はぁっ、はぁっ。らんはあそびたりない!はああっ!」

 

どんどんヒュージを倒していく……。

それに、ヒュージとの戦いを遊びだと思っている……。

この子、本当に何者?

 

「………か、一葉ちゃん?前……前に……。」

 

「わーお……これはヤバい感じ……。」

 

「らん、たたかう!もっと、もっともっと!」

 

「一葉、もう時間稼ぎなんて言ってられない。やるか、やられるか。」

 

「私も瑤様と同じ。もうやるしかないよ!」

 

「……!藍を中心に戦闘展開!私たちでラージ級を撃破します!」

 

「了解。」

 

「それしかないか、残念ながら!」

 

「で、できるだけ、がんばるわ!」

 

「いつでもいけるよ!」

 

「いっくよーーーー!!たあぁぁぁ!!」

 

藍とヘルヴォルによるラージ級ヒュージとの戦闘が始まった。

そして、その戦いは空が赤色に染まる夕方まで続いた。

 

「あー……空が赤いなあ。ふふ……ふふふふ、よく生きてたもんだわ。」

 

「……恋花、大丈夫?ケガは?」

 

「あー、うん。マギの使いすぎで疲れただけ。奇跡的に軽傷ですんだわ……。」

 

「疲れた………。めっちゃお腹すいた……。」

 

「美湖、お疲れ様。ケガとかしてない?」

 

「うん。平気。一葉と千香瑠様は?」

 

「私も大丈夫だよ。」

 

「心配してくれてありがとう、美湖ちゃん。私も平気よ。それで、一葉ちゃん、藍ちゃんは……?」

 

「はい……まだ眠ったままです。」

 

「戦闘が終わったとたんに、コトン、だものね。」

 

まあ、あんなに荒々しい攻撃だとマギを使い切るのも仕方ない気もする。

藍がいなかったらどうなっていたか……。

起きたらちゃんとお礼を言わないと。

 

「大丈夫、でしょうか?」

 

「大丈夫よ。こんなに穏やかに眠ってるんだから。」

 

「そうそう。それにしてもぐっすりだね。」

 

「……すみません。危険なことに付き合わせてしまって。」

 

「ほんとほんと、死ぬかと思った!」

 

「す、すみません!」

 

あ、この感じの恋花様……さてはからかっているな……。

 

「恋花。」

 

「でも、これが、これからのヘルヴォルの戦い方なのね……。」

 

「え……。」

 

「ほら、向こう。私たちが来るまで、ヒュージが暴れていた場所。ちゃんと、守れたわ。」

 

「はい、そうですね……。よかったです。ヘルヴォルの最初の一歩を無事に踏み出せました。」

 

「ぜんっぜん無事じゃないんですけどー?死ぬところだったんですけどー?」

 

「恋花。いじわる言わない。」

 

ふふ、この2人、仲良しだな〜

私も一葉もこのくらい仲良くなれたらいいな。

 

「私はこれからも一葉の無茶に付き合うよ。」

 

「美湖……。うん、ありがとう。」

 

やっと一葉と同じレギオンで戦うことができた。

だったら、私が支えなくちゃ。

 

「応援、到着しました。」

 

「ラージ級はどちらに……!?」

 

遅れてやってきた援軍。

それを見た恋花様が叫ぶ。

 

「あははは……!遅いわーーーー!!

 

ヘルヴォルの初陣は勝利で終わった。

ご飯をいっぱい食べ、風呂に入って寮に戻れたのは9時過ぎだった。

 

「疲れた〜〜〜〜。」

 

パジャマに着替え、携帯を見ると渚からメッセージが入っていた。

 

【姉さん、連絡来ないけど任務中かな?11時くらいには寝るから、任務が終わって時間に余裕があるなら連絡してね。レギオンのこと、いろいろ聞きたいし。】

 

あ、そうだった!

レギオンが決まったら電話するって朝にメッセージしてたの忘れてた!

まだ11時になってないし……かけてもいいよね……?

そう思って、渚に電話をかける。

すると、数コールで電話にでてくれた。

 

「あ、もしもし、渚?今、時間大丈夫?」

 

『姉さん?うん、大丈夫だよ。もしかして、任務だった?』

 

「まあね。緊急出動で青山方面のヒュージと戦ってきた。」

 

『そうなんだ……。お疲れ様。あ、レギオンってどうなった?前のレギオンは散々文句言っていたけど。』

 

「ふふふ……。なんと、私、ヘルヴォルに決まりました!」

 

『ヘルヴォル!?ヘルヴォルってあの、ヘルヴォル!?』

 

お、さすが私の可愛い弟。

いい反応するね〜

 

「うん、あのヘルヴォル。エレンスゲのトップレギオン。しかも、隊長は一葉。」

 

『一葉さんなの?やったね、姉さん。ずっと一葉さんと一緒に戦いたいって言っていたもんね。』

 

「やっと一緒に戦える。休みができたら一葉と一緒に会いにいくよ。」

 

『本当?楽しみにしているね。』

 

渚には一葉を何度か会わせたことがある。

私の親友なので渚に紹介しておきたかったからね。

 

『ヘルヴォルって……名前を引き継いでいるんだよね?大丈夫?』

 

「……大丈夫だよ。一葉が隊長のレギオンなんだよ。きっと、悪いイメージを払拭できる。私も一葉を支えていくからさ。」

 

『そっか……。あんまり、無理しないでね。』

 

「それは渚もでしょ?無理しないでよ。私、ヘロヘロだからそろそろきるね。久しぶりに話せて嬉しかったよ。」

 

『うん、僕も。頑張ってね、姉さん。』

 

「ふふ、ありがとう。お母さんに私は頑張っているよって伝えて。」

 

『……分かった。そろそろ自分で連絡したら?心配してるよ。』

 

「……考えておくよ。じゃあ、おやすみ。渚。」

 

『おやすみなさい、姉さん。』

 

電話をきって、そっとため息をつく。

お母さんに……連絡、か。

2周目になるのが嫌で、小学校の卒業式の日に家出をしてから1度も連絡してない。

電話しても何を話していいのか分からない。

黙ってリリィになって、手紙だけを残して家を去った。

だからなのか、未だにお母さんのことが分からないし、苦手だ。

 

「……はあ、どうしよう。」

 

リリィはいつ死ぬか分からない。

もちろん、死ぬつもりはない。

でも……いつだって命懸けだ。

だからこそ、ちゃんと伝えないといけない。

 

「……寝よう。」

 

今の私にはどうしたらいいのか分からない。

とりあえず、今日はもう寝て、疲れをとろう。

明日からまた頑張らないとなあ……。




番外編で暗殺教室のキャラクターを出したいなあ……。
今のところ、なんにも思いついてないです。

誤字、脱字等であれば報告をお願い致します。
アサルトリリィ関連の疑問がありましたら質問しても大丈夫です。


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6話 新たな仲間

藍ちゃんは可愛い。
ちなみに、3周年のガチャは爆死。星5はゲットできませんでした。

ラスバレのメインストーリー新章はアールヴヘイムがメインになりそうで楽しみです!
ノルンは尊い。


翌日。

私たちは、レギオンの控え室に集まっていた。

 

「いや、ほんと、昨日は大変だったわ……。」

 

「ふふ、ほんとに激戦だったわね。あ、お茶とクッキーをどうぞ?」

 

「やったー!ありがとうございます、千香瑠様!」

 

私は真っ先に千香瑠様のクッキーを食べる。

うん……、間違いない……!

 

「美味しい〜♪」

 

「だね〜 美味しい!いい香り!あったかーい!」

 

恋花様も美味しそうにクッキーを頬張っていく。

 

「んー!生きてるって実感するわ!ティータイムのためにここに来られるわー!」

 

「ふふふ、ありがとうございます。」

 

「あの、千香瑠様って料理も得意ですか?」

 

「ええ。料理……というよりも家事全般は得意よ。」

 

「でしたら……味噌汁を作って欲しいです。あ、今じゃなくて今度でもいいので……。」

 

「味噌汁?どうして?」

 

瑤様が不思議そうな顔で私を見つめる。

 

「私、味噌汁が好物なんです。こんな美味しいクッキーを作れる千香瑠様がどんな味噌汁を作るのか気になって……。」

 

「へー、美湖って味噌汁が好きなんだ。なんか意外。」

 

「意外ってなんですか!?」

 

恋花様、相変わらず失礼なこと言う……。

からかってばかりだし……。

でも、私よりも序列は高いし、戦術理論も身につけている。

昨日、一緒に戦ってすごく頼りなるリリィってことが分かった。

とてもかっこいい先輩だ。

 

「ふふ、もちろん。美湖ちゃんの新しい一面が知れて嬉しいわ。」

 

「……私、そんなに意外ですか。」

 

「あ、私はこの、動物さんクッキー、今度作り方を教えて?」

 

「ええ、もちろん。美湖ちゃんにも味噌汁が気に入ってくれたらレシピを教えるわ。」

 

「ありがとうございます!」

 

私がこうして話している間にもクッキーがどんどん減っていく。

……ものすごいスピードだ。

 

「たくさんあるから、たくさん食べて。」

 

「うん。遠慮はしない……。」

 

「まあ、昨日あんだけ頑張ったんだから、お腹も減るか……。」

 

「そうですよ、恋花様。」

 

「美湖もすごい食べる……。」

 

千香瑠様のクッキー、本当に美味しい。

これはマジで味噌汁が楽しみ。

 

「……それにしても。」

 

恋花様はとある人物をチラッと見る。

その人物は……。

 

「皆様!前回の戦闘の反省を踏まえて、私たちの練習メニューを考えてみました!こちらをご覧ください!」

 

「あんた、なんでそんな元気なのよ、一葉!」

 

そう、私の親友である一葉だ。

 

「まあ!この練習メニューちょっとした本みたいになってるわ……。」

 

「瑤様専用基礎体力トレーニングメニュー……。これ……全部、中身が違うの?」

 

「はい!昨日の戦闘での皆様の様子をヒントに徹夜で作りました!」

 

「は?」

 

「え、美湖ちゃん?」

 

千香瑠様がびっくりした様子を私を見つめる。

今……徹夜……この子、徹夜って言った!?

 

「一葉、また徹夜したの!?私、中等部の頃から言っているよね。徹夜とか無理はダメだよって。」

 

「でも……。」

 

「でもじゃない。昨日、あんな戦闘があったんだよ?ちゃんと休まないと。このあとヒュージが出たらどうするつもり?疲れが残った状態で戦うの?」

 

「……仮眠はとったよ。」

 

「そういうことじゃない。私は、一葉が心配なの。もっと頼ってほしい。トレーニングメニューも一緒に考えるからさ。」

 

「ごめん、美湖。気をつけるよ。」

 

……本当に分かっているといいけど。

一葉は人に頼ることが苦手だ。

きっと、それは迷惑をかけてしまうと考えているからだろう。

親友なんだから迷惑くらいかけたっていいのに……。

 

「でも、すごいわ!そのバイタリティと熱心さ!かっこいいわ、一葉ちゃん!」

 

……千香瑠様、一葉全肯定ウーマンになっているのは私の気のせい?

 

「ええ、まるで野生のイノシシのようなかっこよさね。『エレンスゲのイノシシ』って二つ名を送らせてもらうわ。」

 

「そんな、ほめられるほどのことでは……。」

 

「安心して一葉。多分恋花はほめてない。」

 

「恋花様、一葉にはそういうのは通じません。」

 

ま、こういうところも一葉らしくて私は結構好きなんだけど。

 

「ん?あれ?この小冊子、1冊多くない?」

 

「本当ですね。一葉、どういうこと?」

 

「あ、気づかれましたか、さすが恋花様!昨日の戦いでも状況を即座に理解、私にもたくさん助言をされて一一。

 

おしむらくは終盤、体力の低下から、せっかくの注意力、判断力がやや低下していたので、スタミナを上げる有酸素運動をトレーニングの中心にしつつ一一。」

 

「ストップ!ストーーップ!」

 

一葉が話していると恋花様が慌てた様子で待ったをかける。

 

「この、6冊目小冊子はなに?」

 

「そうでした。皆様、喜んでください。ヘルヴォルの仲間が増えましたよ!」

 

「仲間?」

 

「……一葉、どういうこと?」

 

「藍、入ってくれる?」

 

「ささきらんだよー。よろしくー。」

 

「仲間って藍!?」

 

「まあ、昨日の!」

 

「うわ!ハイパワー暴走幼女!!」

 

「恋花様、その言い方はひどくないですか?」

 

「美湖の言う通りです。藍は幼女ではありません。れっきとしたエレンスゲ女学園高等部1年生の佐々木 藍です。」

 

「らんは高校1年生。」

 

……ってことは、私と一葉と同い年なんだ。

 

「そ、それは失礼だった。ごめん!……じゃなくて!なに、昨日の今日で、え、この子、ヘルヴォルのメンバーになんの!?」

 

「はい。昨日の戦闘後、さっそく学園に問い合わせたんです一-。」

 

「あの激戦の直後に!?」

 

「はい。そうしたら彼女、まだどのレギオンにも配属されていなくて。なので、ぜひヘルヴォルにと。

 

学園を通してお話したところ、『いいって言われたからいいよー。』と藍も快諾してくれました。」

 

「そんなあっさり!?」

 

「かるっ!一緒に戦う仲間を決めるの、かるっ!」

 

「そして、どこか他人事……。」

 

佐々木 藍……。

精神がまだ幼い……。

なにか、事情があるのかな……。

 

「まあまあ、まあまあまあ!可愛らしい仲間が増えるのは、いいことじゃない!

 

それじゃあ、藍ちゃん、今日からよろしくね!」

 

「うん、よろしく。」

 

「それじゃ、お近づきの印に、はい、動物さんクッキーをどうぞ。」

 

「ありがとう。」

 

藍は千香瑠様からクッキーをもぐもぐと食べる。

すると、よっぽど美味しかったのか可愛らしい笑みを浮かべる。

 

「お、おいしい……!」

 

「うふふ、たくさんあるから、いくらでも食べてね。」

 

「うん、食べるー!」

 

「……あ、わたしのクッキー……。」

 

しょんぼりと落ち込む瑤様。

 

「違います。……私のクッキーって余るかな……。」

 

「いや、あれは瑤のクッキーでもないし、美湖のクッキーでもないからね。あれはみんなのだから。」

 

冷静にツッコミをする恋花様。

……あのクッキー、みんなのものか。

 

「それで、トレーニングの件なのですが……。」

 

藍のことが落ち着いたので、一葉はトレーニングについて語り始める。

 

「……その前にひとつ聞いてもいい?」

 

「はい!どうぞ恋花様。」

 

「……昨日の命令違反は大丈夫だったの?ラージ級を倒しに向かって、命令に逆らったわけじゃない?お咎めなしなわけ?」

 

「ああ……ご心配ありがとうございます。」

 

「一葉じゃなくて、あたしの心配をしてるの。」

 

「今回、強力なラージ級を結成間もないヘルヴォルが単独で倒しきった。この結果がありますので、忠告程度で収まりました。」

 

「私たちリリィには、臨機応変さも必要ですからね。そのための訓練もしてますし。」

 

「まあ、そうだけどさ。にしても、忠告程度か。エレンスゲらしいっちゃらしいか。」

 

序列制度といい、結果さえあれば文句も最小限で済む。

エレンスゲって完全な実力主義って感じだよね。

結果さえ良ければ、リリィの命なんてどうでもいい……みたいなところもあるし。

学園のために命を捨てろって言うようなガーデンだからなぁ。

 

「はい!これからも私たちは私たちのやり方で結果を残し、エレンスゲを変えていきましょう!」

 

「もちろん!私は一葉を支えるって決めているから!」

 

「うん、私も頑張るわっ!一葉ちゃん!」

 

「はい!心強いです。美湖!千香瑠様!」

 

でも、一葉ならエレンスゲを変えられるって私は信じている。

中等部の頃から頑張ってきたのを私は誰よりも知っている。

私は……一葉の1番近くで親友の理想を叶えたい。

 

「あたしたちってまとめられるのは困るけど、……まあ、やれるだけやってみたら?」

 

「はい、応援ありがとうこざいます!一緒に頑張りましょう!」

 

「すっごい前向きね、あんた……。」

 

うん、一葉らしい。

 

「それじゃあ、今日からさっそく、一葉ちゃんが考えてくれたトレーニングをやっていくのね!」

 

「あ、それは個々でできる自主トレのメニューなんです。」

 

「こ、この量、自主トレでやれって!?」

 

「……まあ、私はなんとなく予想はしてたけど。」

 

中等部時代、一緒に訓練した次の日には、私の自主トレの内容をメールで送られたことを思い出す。

 

「そうですよ、恋花様。やっぱり身体能力は、戦いの結果を大きく左右しますから!最後に頼れるのは己の身体です!」

 

「いや、でもこの量は、この量は尋常じゃないぞ……!」

 

「大丈夫です!きちんと段階を踏むように設計しました。それになにより、 やれば、できます!」

 

「精神論……やばい、この子、ゴリゴリの体育会系だ……。」

 

「そう?嫌いじゃないけど、精神論。」

 

………ん?

恋花様と瑤様がなにか話してる……?ま、いっか。

 

「うん!やればできるわ!ね、藍ちゃん!美湖ちゃん!」

 

「うん、やればできる、かも。」

 

「私はこういうの慣れてますからね〜 案外、できますよ。」

 

「………レギオンの転属願いってできたかな……。」

 

「ところで、一葉。個々のトレーニングはそれでいいとして一一。」

 

「いや、よくはなくない?」

 

「全員でのトレーニングでは、どんなことをするの?」

 

「はい!せっかく皆様でそろってやるんですから、学ぶのは、具体的な連携や戦術の運用です!個々の能力を活かし、ヘルヴォルとしての戦術を研究していく。そういう方法を考えていきましょう。つまり、『チームワーク』を育んでいきたいのです!」

 

チームワーク……!

レギオンで大切なことだもんね。

連携ができるようになれば、もっとスムーズにヒュージを倒すことができる……!

 

「具体的には何を?」

 

「ディベート、訓練、ディベート、訓練。ひたすらその繰り返しです。」

 

「地味ー。なんかこう、ヘルヴォルらしい派手なパワーアップ方法とかないの?」

 

「ふふふ、とっておきのありますが、それは次の段階です。」

 

「とっておき?なんだかワクワクする。」

 

「だねー、藍。」

 

うーん………とっておきのパワーアップ方法……。

なにかあったかな……。

 

「まずは『とっておき』に向かって頑張りましょう!」

 

「はい!皆様、血反吐を吐くまで特訓ですよ!」

 

「出た……!一葉の血反吐……!」

 

千香瑠様も一葉も燃え上がっている……!

私も負けられない!

 

「おーー♪」

 

「おーー?……ちへどってなに?」

 

…………藍には、血反吐って教えない方がいいかも。

この世界には知らなくていいことだってたくさんあるからね、うん。




お気に入り、30!ありがとうございます!
ゆっくりとした更新になりますが応援してくださると嬉しいです!


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7話 一葉式トレーニング

ラスバレも舞台も、ドキドキですね!しかも、舞台で天葉様が見れる!
私は地方民なので配信かな……。

さて、ラスバレをやっている皆様はレギオンチャンピオンシップも始まりますね。
私のレギオンはシルバーで参加します。前回は、1勝できなかったので、勝ちたいですね!

UAが3,000、お気に入りが30を超えました。本当にありがとうございます!
ゆっくりとした更新になりますが、よろしくお願いします!



あれから数十日が過ぎた。

私は渚と電話をしていた。

 

『……なんか、すごいトレーニング方法だね。』

 

「あはは、まあね。でも、理にかなっているからな〜」

 

一葉が提案したトレーニングは、ムカデ競争。

目的は、チームワークを高めること。

最初は転ぶことも多かったけど、今では転ばないで走り切れるようになった。

……毎日3キロはかなりキツかったけど。

 

「血反吐を吐くまで!って一葉も言っていたし。」

 

『一葉さん、相変わらず燃え上がっているね。』

 

「うん。一葉は、ずっと変わってない。誰よりも真面目で一生懸命。なんでも1人で頑張っちゃう。もっと頼ってほしいとは思うけどね。」

 

一葉は、人に頼ることが苦手だ。

トレーニング方法だって徹夜で考えるし、報告書も全部1人でやってしまう。

コーヒーを飲んで徹夜して、仮眠をとればOKって感じ。

全く、私は寝なさいって言うまで本当に寝ない。いつ倒れても仕方ないよ……。

 

『そっか。仲間に頼られないっていうのは悔しいよね。』

 

「うん。信頼されてないのかな?って思っちゃう。でも、人に頼ることにした苦手な一葉だからね。これから少しずつ、頼ることを覚えてほしいかな。」

 

『なんやかんや一葉さんのこと信頼してるよね。』

 

「そりゃもちろん。私は、一葉の親友だもん。1番近くで一葉を見てきたからさ。」

 

私は、一葉に救われた。命も精神的にも。

辛い時も、荒れた時も一葉が私を支えてくれた。

だから、私も一葉を支えたい。

 

「ところでさ、渚。なにかいいことあった?声がここ最近で1番明るいからさ。」

 

『え、そうかな?……でも、いいことあったよ。』

 

「ほんと!?あ、姉さん分かったよ。彼女でしょ?おめでとう。」

 

『いや、違うって!!いないって!!』

 

「えー、違うの?」

 

どうやら、私の予想は外れたみたいだ。渚には、まだ春が来ていない。

 

『違うって!E組に来た先生がいい先生でさ。僕たちのこと、まっすぐ見てくれるんだ。』

 

「……そっか、よかった。」

 

E組は環境がとても酷く、差別の対象になっている。

担任だって1人しかいないみたいだし。

最近、先生がいなくなったって言っていたから心配だったけど、いい先生でホッとした。

 

『エレンスゲはいい先生っていないの?』

 

「んー、どうだろう。うちのガーデン、なにかと悪い噂を多いからね〜 教導官はヘルヴォルに口うるさいし。仕方ないけどね。ガーデンの方針とヘルヴォルの方針は正反対だもん。」

 

渚には詳しく言ってないけど、エレンスゲは親G.E.H.E.N.A.主義のガーデン。

正直、G.E.H.E.N.A.のことはあまり好きではない。悪い噂が絶えないし。

別のガーデンに行こうかなって考えたこともあった。実際、別のガーデンに行った先輩もいるし。

 

でも、私は今もエレンスゲにいる。

理由としては、やっぱり一葉だ。

エレンスゲを変えたい一葉を理想を叶えてあげたい。そのサポートがしたい。

親友の力になりたいのだ。

 

『大変そうだね……。ヘルヴォル……。』

 

「まだね。でも、私……頑張るよ。だから、渚も頑張って。」

 

『うん、ありがとう。もうこんな時間!?そろそろ寝ないと。』

 

「わ、ほんとだ。」

 

部屋にある時計を見ると12時を過ぎていた。

渚と話すと時間はあっという間だ。

 

「じゃあ、切るね。おやすみ。」

 

『おやすみなさい、姉さん。また電話するよ。』

 

「うん、分かった。またね。」

 

電話を切り、携帯を充電器コードに差し込む。

……渚、元気そうでよかった。大好きな弟のため、もっともっと頑張らないと!

 

…………あ、次のトレーニングはダンスって言っていたよね。

これは連携をとるための訓練になるのかな……?

けど、一葉の考えたトレーニングは必ず効果が出るから続けていれば絶対大丈夫!

よーし、一葉のトレーニング、頑張るぞー!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「はい、ワン、ツー、ワン、ツー。」

 

「ワン、ツー、ワン、ツー。」

 

瑤様と藍がステップの練習をしている。

それにしても……藍って可愛い……!

 

「らん、ステップうまくなった?」

 

「うん、とっても上手。」

 

「やった。らん、ちょっと広いところで特訓してくる。」

 

「うん、いってらっしゃい。」

 

藍はタタタッと特訓するため、控え室をあとにする。

 

「うぅ………毎日毎日ダンスダンスダンスダンス……。全身筋肉痛だよ、これ……。」

 

「恋花様、ダラしないですね〜 ちょっと激しいですけど。」

 

「そりゃあ美湖はダンスが得意だから筋肉痛もしてないけどさ……。」

 

そう、私はダンスが得意!

ヒップホップやストリート、ジャズにラテン。それに、アイドルの振り付けやアニメのダンスなど……幅広く踊ることができる。

 

「恋花さん、大丈夫?」

 

「いや、社交ダンスがあんなにキツい運動だなんて思ってもなかったから……。美湖はちょっと激しいって言っていたけど、あれ、全然ちょっとじゃないよ。」

 

まあ、私も社交ダンスは初めてだったからちょっと苦労したけど、筋肉痛は全然してない。

いやー、普段から気になって振り付けは練習しちゃうからな〜

 

「にしても、一葉は何考えてんのかな……。基本が大事なのは分かるけどさ、ある程度実戦に向けた訓練も同時にやってくべきじゃない?」

 

「それはきっと、藍ちゃんのためでもあるんじゃないかしら。」

 

「藍?なんで?」

 

「一緒にいると感じられると思うんだけど、藍ちゃんはとってもマイペースでおおらかで……。誰かと一緒に何かをするっていう経験があまりないように見えたから……。」

 

「ああ、そっか。確かに。前の戦いじゃ、ほとんど我を忘れて、って感じだったし。」

 

「そういえば、藍ってずっと1人で戦ってたみたいですよね。連携とかやったことがないってことになりますね。」

 

どのレギオンに所属したことがない。

うーん、なんか気になる……。藍のこと、ちょっと調べてみようかな。

 

「でも逆に、もしあれだけの力を、仲間との連携の中で使えたとしたら一-。」

 

「……そりゃあ、大きな力になる、か……。」

 

藍のあの力強さは、必ず戦力になる。

そのためにも、藍との連携が重要になってくる。

 

「ふふ、私は、楽しそうな藍ちゃんを見てるだけでも、この訓練には意味があったと思うし--。

それに気づいてる?私たち、いつの間にかこんなに仲良く話ができるようになってるわ。これはお互いを信頼するためにも、大切なことだと思う。」

 

「あ、確かに!仲間を信頼するというのは、仲間のことを知るということですもんね!」

 

「うん、実戦訓練だけでは、こうはいかないかも。」

 

「……うーん。一葉がそこまで考えてるかな……。」

 

「大丈夫ですよ、恋花様。一葉は、そこまで考えることができる子です!」

 

「なんで美湖がドヤ顔するの……。」

 

恋花様にそうツッコまれると、控え室のドアが開いて人が入ってくる。

 

「お待たせしました!皆様、今日からは、戦闘での連携についての打ち合わせをしましょう!」

 

「しましょうー。」

 

入ってきたのは一葉と藍だ。

 

「一葉、藍も--。」

 

「はい、ラウンジでダンスの練習してるのを見つけたので、声をかけて--。」

 

「それより、戦闘での連携ってほんと!?」

 

「ふふ、恋花様、嬉しそうですね。そんなにムカデ競争とダンスが嫌でした?」

 

「いや別に、そういうわけではないけど……。っていうか美湖、先輩をからかわないの。」

 

別にからかったつもりはないんだけどなあ……。

ただ、恋花様はいつも私にちょっかい出したり、からかったりするから、ちょっと仕返ししようと思っただけだし……。

 

「で、一葉。戦闘での連携だっけ?」

 

「はい!下地はできましたし、お互いについてもある程度知ることができました。次は戦闘における長所短所をきちんと把握して、チームワークを高めていきましょう。」

 

「一葉、チームワークって、どういうことするの?」

 

「うん、チームワークっていうのは、例えばムカデ競争をみんなで上手にやったり、相手に合わせてダンスをすること、だよ。」

 

…………ん?

なんか、私の知ってるチームワークと違うような気がする……。

 

「なんだ、それなら、らん、とっても上手。」

 

「うん、もっともっと上手になっていこうね!」

 

まあ、でも、一葉の説明で藍が納得しているならいいか。

なんの問題ないね、うん。

 

「………。」

 

あれ、先輩たちどうしたんだろ?

 

「どうしたんですか?皆様、見つめあったりして。」

 

「ううん、なんでもない。こっちの話だよ。戦闘時の連携ってことなら、あたしの出番ね。あたしなりに、このメンバーで取れる戦術。色々考えてたんだから。」

 

「頼もしいです。私も実は戦術の研究に役立ちそうなものを用意したんです。」

 

「いいもの?」

 

「これです!」

 

一葉がそう言って見せたのは、よく分からない機械?みたいなヘルメット。

昔流行ってたVR?みたいなものなのかな。

 

「ゴーグル付きの、ヘルメット、ですか?」

 

千香瑠様が不思議そうに聞くと、一葉はイキイキと語る。

 

「ヘッドマウントディスプレイですよ。

学園の運営が近々訓練内容に取り入れる予定の仮想現実を使った戦闘シミュレーション装置だそうです。皆様の技術や能力値は過去のデータを参考にすでに放り込んでありますから。

これを使って、色んな戦術を試しながら検討していきましょう!!」

 

「なるほど、こういう特別待遇はヘルヴォルならではなのかも。やっとそれっぽくなってきたじゃん!」

 

ヘルヴォルは、エレンスゲの序列1位のレギオン。

こういったものは、優先的に使用できるってことか。

 

「ゲームやる。ゲーム楽しそう。」

 

「ええ!それじゃさっそく試してみようか!」

 

おお〜 一葉が燃えてる!

私も血反吐の精神で頑張らないと!




アサルトリリィの世界は、現在、西暦2052年。VRも彼女たちにとっては昔なものです。
アニメを振り替えってますが、タブレットってアサルトリリィの世界では高価なものみたいですね。(多分)リリィたちもスマホを使っている人はほとんどいないみたいですし。(ヘルヴォルのワンシーンだけ、スマホっぽいのがあった気がする。)

定期的に、wikiや原作の公式アカウントを見たりして、情報を集めていかないとですね。たまに、重要な情報がサラッと出るのでびっくりします。(秋日様のことや灯莉ちゃんのこととか。)


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8話 藍というリリィ

メインストーリー、面白いなあ……。契った……!ありがとうございます……。
もうすぐ舞台も始まりますし、ドキドキですね。


ある日のこと、私、藍、瑤様、千香瑠様は射撃場にて訓練をしていた。

 

「ふー、全部ど真ん中とはいかなかったけど、だいたいはど真ん中はいけたかな。」

 

「ええ、とっても上手よ。美湖ちゃん。」

 

「ありがとうございます、千香瑠様。それにしても、千香瑠様はすごいですね。ほぼど真ん中じゃないですか!」

 

千香瑠様の射撃は正確だ。

なんなら、私や瑤様よりも上手いし、エレンスゲでもトップクラスといえるだろう。

千香瑠様は、エレンスゲで初めて百合ヶ丘の次期獲得候補リスト入りしたリリィ。

それに、あの御台場迎撃戦に参加したものすごい経歴の持ち主。

この迎撃戦は、1年生だけで民間人を避難しないといけないにも関わらず、戦死者は0人。

まさに伝説!これが去年の出来事だなんて信じられない。

 

「うん、千香瑠のはほぼ的の中心を射抜いてる。」

 

「千香瑠すごーい。」

 

「皆さん……褒めてくれてありがとうございます。……訓練の時は結構上手くいくんだけどね。」

 

訓練の時……か。千香瑠様は本番に弱いタイプなのかな?

あんなに射撃が上手いならもっと自信を持ってもいいと思うけど、なにか理由があるのかな?

 

仲良くなったといえど、人には言えないことだってある。

……私も、実際にあるし。

 

「今日の射撃訓練、結構みんな上達しましたよね。藍も最初はバラけていたけど、最後は真ん中に集まってきたし。」

 

「えへへー、らん、がんばったよ。えらい?」

 

「うん、えらいえらい。」

 

私は藍の頭を優しく撫でる。

うん、可愛い。

 

「そろそろ控え室に戻らない?」

 

「そうですね、瑤様。」

 

射撃訓練を終え、私たちは控え室に戻ることに。

ヘルヴォルの控え室では、一葉と恋花様がなにかを相談していた。おそらくだけど、訓練の内容とかだろう。

 

「射撃訓練、やってきたよ。」

 

「ただいま。」

 

「ふふ、3人ともすっごく上手でしたよ。」

 

「千香瑠こそ、すごい射撃の腕。びっくりした。」

 

「そうなんですよ!千香瑠様、かっこよかったです。」

 

訓練だけ見ると、千香瑠様はエレンスゲでもトップクラスだ。序列だって、私よりも上のはず。

 

「……訓練のときくらいうまく、本番でも動けたらいいんですけど。」

 

千香瑠様、やっぱり本番に弱いタイプなのかな。こういうのは、無理に聞かない方がいいけど。

 

「………。」

 

ん?恋花様、黙っているけどシミュレーションで千香瑠様のことで気になるところでもあったのかな?

 

「お疲れ様です、皆様。ちょうど今、戦闘シミュレーションの結果を受けて、今後の課題を考えていたところなんです。」

 

「複雑な作戦行動はあたしたちで担当して、藍がシンプルに動けるフォーメーションを状況別に組み直そうと思ってさ。」

 

「なるほど……。いいですね、それ。」

 

「うん。いい考え……わたしが、藍が分かりやすくなるように、フォーメーションをまとめてみる。」

 

瑤様がまとめてくれるんだ!これはすごく助かる!

 

「あ、それは助かるわー。瑤、ありがとう!」

 

「この動物さんクッキーのように……。

『オペレーションどんぐりさん』とか、『オペレーションアヒルさん』とかかわいい名前も考えてみる。」

 

「かわいい!覚えやすいですね!」

 

「え……それ、なに、戦場で叫び合う気なの?」

 

あれ?不評?

私はかわいいし、覚えやすいから結構好きなんだけどなぁ……。オペレーションどんぐりさん、オペレーションアヒルさん。

 

「あ、それいい。かわいい。」

 

「ふふ、私のクッキーがヒントになるなんて光栄だわ!」

 

「よし、それでいきましょう!!」

 

「さんせーい!」

 

恋花様は、不評みたいだけど、他のみんなには好評みたい。瑤様の案、すごく素敵だし!

 

「みんな、ノリノリだな!」

 

「うー……でも、またべんきょーするの?」

 

「藍ちゃんは、お勉強きらい?」

 

「敵を倒すのに、お勉強いらないよ。

だだだー、って走って、ばーんってやっつけて、どんどん楽しくなってくる。でも、色々考えて戦おうとすると頭の中がごちゃごちゃしてくるし、大変になっちゃうよ。」

 

自分のセンスに頼るスタイルか……そういうリリィもいるけど、結構危ないよね。

 

「被害を最小限に抑えるために必要なことよ。」

 

「ひがい?」

 

「そうだよ、藍。私たちはヘルヴォル。たくさんのモノを守る戦いをするの。」

 

「美湖の言う通りだよ。藍や、周りの人が傷つかないように。」

 

「傷?らん、そういうの平気だよ。」

 

「え?」

 

傷つくのが………平気………?

 

「死ぬのも怖くないよ?らん、えらい?」

 

「…………。」

 

私もだけど、一葉も恋花様たちも思わず黙り込んでしまった。

死ぬのが……怖くない……?本当に……?

 

「あれ?みんな、どうしたの?」

 

「……ううん、なんでも……。」

 

「じゃあ、らん、もう少しダンスの練習してくる。今ね、新しいダンスを覚えるんだ。」

 

「ああ……うん。じゃあ、そうね。行ってらっしゃい。」

 

「今度見せてあげるね。」

 

「ええ、楽しみにしてるわ。」

 

「いってくる!」

 

藍は笑顔で、控え室を去っていく。無邪気な子供のように……。

 

「……行っちゃった、わね。」

 

「……死ぬのが怖くないって、強がりで言ってるようにはみえなかった……。」

 

「……彼女、座学はほかの生徒と一緒に受けていないそうです。

なんでも、知識がまだ、義務教育修了レベルにないとかで一一。

 

ある企業が経営する保護施設で育った、ということですが一一。

それ以上のことはなにも。」

 

「本当に……?」

 

「え……?」

 

藍のこと、私は調べたし、一葉とも少しだけ話したことがある。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━回想

 

「かーずは。」

 

「美湖?どうしたの?」

 

「まーた、教導官に呼び出されたの?」

 

「ええ、まあ。」

 

もごもごとする一葉。かなり、重要なことか……。

だとすると、可能性が高いのは……。

 

「藍のこと?」

 

「え?」

 

「やっぱり、そうなんだね。私も藍のこと気になったからちょっと調べたの。シークレットも結構あったけどね。」

 

「………うん。」

 

「生まれながらの強化リリィ……。退治の頃から実験対象って反吐が出る。G.E.H.E.N.A.がこんなことまでやっていたなんて……。」

 

まさにマッドサイエンティスト……。好奇心の暴走なんて、言えたもんじゃない。

私たちリリィをなんだと思っているのか……。

 

「藍は、保護施設で育ったみたいだけど……その保護施設は……。」

 

「アウニャメンディシステマス社……でしょ?」

 

「多分……。」

 

アウニャメンディシステマス社は、エレンスゲの運営に関わっている。

藍がいた施設はここの可能性が高い。

 

「このこと、先輩たちには?」

 

「話すつもり……。」

 

「そっか……。私にもできることがあったら教えてね。」

 

「もちろんだよ。」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

…………藍は、生まれた時から地獄のような扱いをされている。本人は、何も知らない、気づいていない。

 

「……。」

 

「一葉?」

 

「あ、いえ、なんでもないです。その、藍のことなんですが。」

 

「……ま、いいよ。そのうちで。誰にだって複雑な背景のひとつやふたつはあるよ。

あたしたちだって……。」

 

「……。」

 

複雑な……背景……。そう、だよね……。

 

「……私、ちょっと行ってきます。」

 

「千香瑠様?」

 

「大丈夫。少し、お話してくるだけ。」

 

「あの、千香瑠様……!私も行きます。」

 

「いいわよ、一緒に行きましょう、美湖ちゃん。」

 

私と千香瑠様は、藍のところへと向かった。

藍は、外で楽しくダンスの練習をしていた。本当に無邪気だ。

それを見た千香瑠様は拍手をする。

 

「上手上手。」

 

「藍、上達したね。」

 

「あ、千香瑠。美湖。」

 

「そのステップできるようになったのね。」

 

「うん、たくさんたくさん、練習したから。それに、美湖のアドバイスすごくよかったから。」

 

「本当?それは嬉しいな。」

 

笑顔が眩しいなぁ、本当に。無垢で怖いものがない。だからこそ、不安になってしまう。

 

「ダンス、楽しい?」

 

「うん。」

 

「……ヘルヴォルに入って、よかった?」

 

「うん!」

 

「そっか。それはどうして?」

 

「えっとね、戦いのないときはいつも退屈だなーって思ってたけど。みんなといると、いろんな楽しいことを教えてくれて、楽しいことがいっぱいになったから。だから、入ってよかった。」

 

「……戦いは、楽しい?」

 

「うん、すっごく。どかーん、ばしーんって、いっちばん楽しい。」

 

ヘルヴォルの時と同じくらい楽しそうだ話す藍。

それでも、藍にとっては戦いの方が楽しいんだ。

 

「「……。」」

 

「千香瑠と美湖は違うの?どうして、悲しそうな顔をするの?」

 

「……私は、戦うのを楽しいと思ったことがないから。藍ちゃんが羨ましくて、ちょっと怖いの。」

 

「私もだよ。戦いは、私にとっては怖いもの。友達が、仲間がいなくなるかもしれない……。そう思うと……ね。」

 

「こわい?千香瑠、藍のこと、怖いの?嫌い……?美湖も、藍のこと、怖い?嫌い?」

 

「ううん、そうじゃないよ。大好き。」

 

「私も。藍のこと、怖くないし、大好きだよ。だって、こんなに可愛いだもん。」

 

藍を不安にさせないように優しく頭を撫でる。

……私の大切な友達。大好きな仲間だ。

 

「ヘルヴォルの人たち、みんな好きよ。一葉ちゃんの正しさや、美湖ちゃんの前向きなところ、恋花さんの気遣いや、瑤さんの芯の強さ、藍ちゃんの純粋さ。すごく素敵だと思う。美しいと思うの。

だから、誰にも、もちろん藍ちゃんにも、死んでほしくなくて一一。」

 

目の前でそう言われると、なんか恥ずかしいんだよね……。でも、千香瑠様は私たちのこと、ちゃんと見てるんだ。

だから、こうやってみんなの好きなところがスラスラと出てくるんだ。

 

「千香瑠様の優しさ、とても素敵ですよ。」

 

「ふふ、ありがとう、美湖ちゃん。」

 

みんな、ヘルヴォルに必要なんだ。一葉が選んだこのメンバー。

欠けてはいけない、大切な人たち。

 

「私は、誰にも、もちろん藍ちゃんにも、死んでほしくなくて一一。だから、あのね、藍ちゃん。

 

死ぬのが怖くないなんて、言っちゃダメ。藍ちゃんが死ぬの、私は怖いよ。死んじゃったらとっても悲しくなるから。私たちは……いつ死んでもおかしくないんだから。だからこそ、ちゃんと、死ぬのを、怖がらないとダメなんだと思う。」

 

「千香瑠様……。」

 

「……千香瑠、なんで泣いてるの?」

 

「………ごめん、私も、わからない。……。」

 

「泣かないで、千香瑠。よしよししてあげるから……。」

 

「うん……ありがとう……。」

 

そして………数日が経過した。

ヒュージが現れ、私たちは出撃していた。

 

「ヘルヴォル!目標地点に現着しました!」

 

「1時方向に複数のミドル級ヒュージ発見!」

 

「ヘルヴォル各位、事前の作戦計画に基づいて展開します。

藍、くれぐれも突出した行動は控えるように。」

 

一葉が藍が暴れないように注意をする。

 

「うん!しないよ!藍が死んじゃうと、千香瑠が泣いちゃうから。なるべく死なないようにする!」

 

なるべく……か。でも、少しは分かったのかな。そうだと嬉しいな。

 

「ん?泣く?」

 

「あ!えーと、こちらの話。気にしないで?」

 

「そうですよ。今はヒュージに集中ですよ。先輩方。」

 

「皆様、『オペレーションあひるさん』のご用意を。」

 

「「「「了解!!」」」」

 

「……これを恥ずかしいと思うあたしがどうかしてんのかな……。いや、ない!絶対おかしいのはあたしじゃない!」

 

恋花様、何か言ってるけどスルーしよう。

オペレーションあひるさんの準備をしないとだし。

 

「恋花。」

 

「はいはい分かってますよ。『オペレーションあひるさん』恋花、了解!」

 

「では、リリィとしての誇りを胸に一一」

 

「ヘルヴォル、しゅつげーーーき!!」

 

あ、一葉の命令、藍に取られた。

その後、オペレーションあひるさんが機能して、無事に戦闘は終了した。




御台場迎撃戦、いつか舞台化してほしいなぁ……。難しそうだけど……。電ホビ様にて、連載されてましたので、気になる方はぜひ、読んでみてください。

誤字脱字があれば、報告をお願い致します。


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9話 必殺技

…………クエレブレのロリータイベ、ありがとうございます!!!!!
松村優珂ぁがほしい……。メダルはあるので交換はできます。メモリアもほしいので、お迎えしたいですね。

4,000UA、ありがとうございます!
これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。

誤字脱字があれば報告をお願い致します。


一葉の考えた訓練を続ける日々。私たちは、少しずつ結束を高め、中を深めていた。

 

「一葉のやつ、おっそいなー。いきなり教導官に呼ばれたって、今度は何しでかしたんだ。」

 

「お、怒られてる?一葉、怒られてる?」

 

「大丈夫だと思いますよ?一葉だし。」

 

私たちは、控え室で一葉を待っていた。ヘルヴォルのことで呼び出されたのだろう。全く、エレンスゲの教導官はほんとグチグチうるさい。好きにやらせろ!って感じ。

 

「うん、美湖の言う通り。気にするタイプじゃない。心配しなくても大丈夫。」

 

「そうそ、千香瑠のお茶でも飲んで、気長に待ってれば一一。」

 

「……。」

 

「千香瑠?どしたの?」

 

「あ……。ううん、なんでもない。」

 

「いや、お茶入れてくれんのはいいけど、めっちゃこぼれてるから。」

 

ドボドホと溢れるお茶。千香瑠様がこんなことをやらかすなんて珍しい……。なにかあったのかな……。心配……。

 

「あ!ご、ごめんなさい!すぐに拭くわね!!」

 

「瑤……千香瑠ってなんかあったの?」

 

「……さあ。」

 

その時、控え室の扉が開き、一葉が入ってくる。

 

「お待たせしました!すみません遅れてしまって!」

 

「全然!待ってないよ、一葉。」

 

「いいっていいって。初日に1時間近く待たされた時ほどの驚きはないって!」

 

あ、恋花様……また一葉のことをいじってる……。一葉なんだから、真に受けちゃうんだよね……。

 

「そ、その節はすみませんでした!!」

 

ほーら。

 

「恋花、いじらないで。」

 

「そうですよ、恋花様。」

 

「えー……一葉にお姫様抱っこされてたのに?」

 

「は、え、ちょ……恋花様!?」

 

今度は私まで!?もう……あの時のこと、恥ずかしいから忘れていたのに!!

 

「恋花。」

 

「あっはっはっはっ!ごめんごめん。」

 

「………絶対、謝る気ないですよね。」

 

恋花様ってほんといじわる……。

 

「か、一葉?なんのお話だったの?お、怒られちゃった?らん、よしよしする?」

 

「ああ、ううん。そうじゃなくて、すごくほめられたの。ここのところいい戦績を残せているから。」

 

本当にそうならいいけど……。ま、ここで私が突っ込んでもいいことないからね。教導官になにか文句を言われたって藍が聞いたら嫌な気持ちにさせちゃうし。

 

「あー、まあ、やっぱ藍を中心にした連携が回り出したのが大きいよなあ。」

 

「うん、藍、すごくがんばってる!」

 

「えっへん。千香瑠。らん、すごい?」

 

「え、あ、うん、すごいよ、とっても。それにくらべて……。」

 

「………千香瑠?」

 

「あ、ううん!?なんでもないわ。独り言!」

 

「そうですか?悩みがあれば言ってくださいね。」

 

「ええ、分かっているわ。美湖ちゃん。」

 

………千香瑠様、大丈夫かな。無理やり聞くのもダメだし、千香瑠様が打ち明けてくれるのを待つしかないよね。

 

「それで、ですね。ちょっと早いんですが、次の訓練のステージに上がろうかと思うんです。」

 

「まさかまた、ムカデ競争みたいに無茶なトレーニングをやらせようなんて言わないよね!?」

 

恋花様……ほんとに嫌だったんだなあ……。まあ、私は一葉の考えたトレーニングなら喜んでやるけど。中等部の頃から頑張ったおかげで成長できたし!

 

「基本的にはもっと無茶です。」

 

「はぁ!?」

 

「皆様、必殺技を習得しませんか!」

 

「必殺技?」

 

「ひ、必殺技!?」

 

「かっこよさそう。らん、わくわく。」

 

「必殺技って……そんなマンガじゃあるまいし。瑤もなんか言ってやって。」

 

「わくわく。」

 

「瑤も!?」

 

あ、瑤様はノリノリだ……。恋花様、ドンマイ……。

でも、必殺技……。そんなものってあったかな……。

 

「あのね、なんだか知らないけど、必殺技?そんな都合のいいものがあったらみんな使ってるでしょ。派手なものにはリスクがあんの。地味に、基本に忠実に……よ。」

 

「リスクを把握さえしていれば、使える派手さも存在しますよ!色々な条件があるのでいつでも使えるというわけではないですが一一。

 

必殺技があるのとないのとでは、取りうる作戦行動の幅が段違いに広がります。特に追い詰められた土壇場では。運用次第では、私たちよりはるか上の戦力にも立ち向かっていける。そんな攻撃方法です。」

 

なんかすごいなあ……。もし、使えたらヒュージと有利に戦うことができるようになる……ってことか。

 

「あの……具体的には、どういったとのなの?その必殺技は。」

 

「ノインヴェルト戦術。」

 

「……ノインヴェルト……!」

 

「え、うそ!?ノインヴェルト戦術!?」

 

「へえ、なるほど。すごいの引っ張り出してきたな……。」

 

必殺技ってノインヴェルト戦術のことだったなんて……。確かに、使えるようになれば……ラージ級やギガント級とも戦える……!

 

「ねえねえ。のいん一一それってなに?強いの?」

 

「え、ええ。ノインヴェルト戦術というのは、チームで行う戦術なの。

 

マギのカタマリ、マギスフィアを、ボールのようにパス回ししながら、みんなで力を注いで、大きくしていって一一。最後にそれを敵にぶつけることで、大きなダメージを与えるっていう技。

本来は9人で行うものだけど、6人でも可能よ。当然9人に比べて威力は落ちてしまうと思うけど。」

 

「まあ、ノインヴェルトは9つの世界って意味だからね。それに、マギスフィアを扱いやすい状態にすれば、10人以上でのノインヴェルトもできる。推奨はされてないけど。」

 

10人以上のノインヴェルトは、負荷が大きくなるし、マギスフィアのマギの量も多いから制御も難しい。ようするに、人数が増えれば増えるほど制御が難しくなる。

 

「その通りです。美湖もありがとう。10人以上のノインヴェルト戦術はやる機会なんて滅多にないと思うけどね。」

 

確かに。他のレギオンと共闘するとしても同時に行うノインヴェルトになるだろうし。

 

「習得した方がいいということにはあたしも同意するよ。でも、練度の高いものとなると、一朝一夕じゃ難しい。」

 

「はい、ですが強力な攻撃手段です。習得しない理由はありません。」

 

「いや、だから気軽に言ってくれるけどさ。

高度な連携、個々のマギに関する技術、身体能力、おまけに使いどころを誤らない判断力一一。それらがあって、初めてテーブルに上がる戦術じゃんか。」

 

「恋花様の言う通りだよ、一葉。ノインヴェルトには賛成だけど。ノインヴェルトは、強力だけどリスクも高い。だからこそ、慎重にやるべきだと思う。」

 

ノインヴェルトは、マギとCHARMを消耗してしまう。失敗すれば、撤退しないといけないだろう。

 

「個々の技術に関しては水準をクリアしていますし、高度な連携については、これまでの訓練で重点的に行ってきました。下地はできていると考えます。」

 

「前に……『とっておき』のレベルアップがあるって言ってたの……これののこと?」

 

「はい。」

 

「……じゃあ、最初からノインヴェルト戦術の習得を目指してトレーニングしてたの!?」

 

「はい!もちろんその過程全てが、ヘルヴォルのレベルアップに繋がるようにと考えていましたが。」

 

「さすが一葉!計画性バッチリだね!」

 

去年のレギオンだと絶対にできなかったノインヴェルト。それに、これからの戦いで必須になるはず。

ヘルヴォルはエレンスゲのトップレギオン。つまり、エレンスゲの象徴。強さを証明しないといけない。

 

エレンスゲを変えるためにも私たちは強くなる必要がある。ノインヴェルトはその大きな一歩になるのかも。

 

「マジか……それは想像もしてなかったわ……!」

 

「一葉、すごーい。」

 

「うん……わかった。やろう、ノインヴェルト。」

 

「……私も、頑張るわ。」

 

「絶対に習得しようよ、ノインヴェルト!私たちなら絶対にできます!」

 

「では、皆様、まずは敵を知り己を知りましょう。動画や関連資料なんかを準備しましたので!」

 

「山のような資料ね!」

 

え、なにこれ!?もしかして……これ、全部ノインヴェルトの資料!?多すぎない!?

 

「わーー……またお勉強だー。やったー……。」

 

あぁ……藍が分かりやすく落ち込んでる……。勉強、苦手だもんね……。

と、とにかく……ノインヴェルトのこと、詳しく勉強しないと習得はできない。やるしか……ない!

 

「藍のやる気が分かりやすく下がってる……。」

 

「千里の里も一歩から、血反吐を吐くまで頑張りましょう、皆様!」

 

「血反吐……!」

 

わ、一葉のいつもの血反吐……!すごいやる気だ!

 

「……血反吐は吐かなくてもよくない?」

 

恋花様がそう、ポツリと呟いた。




ノインヴェルト戦術、本当にかっこいいですよね。アニメ、ラスバレ、ストップモーション、舞台など……どのノインヴェルトもかっこいいです。

あと何話で暗殺教室のキャラと出会うのか!………先は遠いです。頑張ります。


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番外編
自己紹介


番外編の最初はラスバレ風自己紹介です。
誤字脱字があれば、報告をお願い致します。


エレンスゲ女学園のとある教室。

そこに潮田 美湖は自習を行おうと入ってきた。

その時、見知らぬ人物がキョロキョロと誰かを探していた。

 

「あの、キョロキョロしてますけど……誰かを探しているんですか?私でよければ、手伝いますよ。」

 

すると、その人は潮田 美湖を探していると答えた。

 

「えっと、潮田 美湖ですか?潮田 美湖は私ですけど……。何か用ですか?

 

私に取材……?あれ、取材って明日ですよね?今、スケジュールを確認するのでお待ちください。」

 

そう言って、美湖はポケットからスケジュール帳を開き、確認する。

そこには、今日の日付けに『取材!』とデカデカと書かれていた。

 

「す、すみません!勘違いをしてしまって……。えっと、その……インタビュアーさん、今日はよろしくお願いします!」

 

こうして、少しトラブルはあったものの潮田 美湖の取材が始まった。

 

「まずは、自己紹介ですね。私は、エレンスゲ女学園1年の潮田 美湖です。所属しているレギオンはヘルヴォルです。

 

趣味は、ダンスとイラストを描くことです。イラストは、よくチャーミーリリィのキャラクターを描いているんです。もちろん、アニメも見てますよ。なので、百合ヶ丘のミリアムとよく語り合うんです。あとは、神庭女子の灯莉とも仲がいいですね。彼女の芸術センスは、いつも刺激をもらってます。」

 

チャーミーリリィとは、幼稚園児に人気のアニメである。

正式名称は『変身魔法少女チャーミーリリィ』である。

 

「それで、聞きたいことはありますか?実は私、取材が初めてなのでどうすればいいのか分からなくて……。

 

どんなリリィになりたいか?それは、私を助けてくれたリリィのお姉さんのようになりたいですね。幼い時にヒュージに襲われた時に、私と弟を助けてくれたリリィのお姉さん。彼女は、私の憧れであり、目標です。

 

それに、弟が誰よりも私がリリィになることを応援してくれているんです。だから、応援してくれる人のためにも私は楯の乙女として、人々の命を、大切なものを、笑顔を守る。それが、リリィとしての私の使命ですから。」

 

そのように答えていると、誰かが入ってくる。

 

「美湖、いる?さっきの授業の課題で気になるところがあるから美湖の意見も聞きたいんだけど……。」

 

「あ、一葉。」

 

その人物は美湖の親友であり、彼女が所属しているレギオン『ヘルヴォル』のリーダー、相澤 一葉だ。

 

「ごめん、今、取材中で。明日だと勘違いしてた。」

 

「美湖が勘違いするって珍しいね。」

 

「まあ、ここ最近バタバタしてたから……。それで、課題だっけ?私もここで自習しながら考えようかなって思ってて。あ、すみません。取材中でしたのに……。」

 

ぺこりと美湖は謝罪した。

 

「はい、この子がヘルヴォルのリーダーで私の大切な親友の一葉です。」

 

「相澤 一葉です。よろしくお願いします。」

 

一葉はインタビュアーに自己紹介をする。

 

「ねえ、一葉。私の取材が終わったら一緒にカフェに行かない?実は最近、オシャレなカフェを見つけたんだ。」

 

「でも、課題が……。それに、私には書類を作らないといけないし……。」

 

「もしかして、書類ってまた1人でやってるの?私、中等部の頃から何度も言っているけど、1人で抱え込みすぎ!私も手伝うからさ。それに、課題はカフェでやろうよ。1度やってみたかったんだよね〜 オシャレなカフェで親友と一緒に勉強すること!ほら、青春って感じがしない?」

 

「うーん……。カフェで勉強することが青春なのかは分からないけど……うん、いいよ。美湖の行きたいところ、楽しみにしてるね。えっと、書類は美湖に迷惑はかけたくないから……。」

 

「はいはい。言っとくけど、一葉に拒否権はないからね〜 無理やりにでも手伝うから。」

 

「わ、分かった……。」

 

美湖の圧に負けたのか、一葉はおもわず頷いてしまった。

 

「よろしい。すみません、待たせてしまって……。え、取材はまた今度で大丈夫?気を遣わせてしまって申し訳ございません。では、次はゆっくりと色んなことを話しますね。日程はもう間違えないので!今日はありがとうございました。また次回、よろしくお願いします。」

 

美湖はインタビュアーにそう答えると、一葉と共に教室をあとにした。



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姉の記事

そういえば、ラスバレの自己紹介って後に記事になるんだよな〜ってことを思い出しました。
なので、記事になった内容を暗殺教室のキャラクターが読めばいいのでは?と閃きました。(え?)

キャラクターの口調が迷子になってます。
久しぶりに暗殺教室を見返さないと……。


side 渚

 

ある日のお昼休み、男子が前原君の机に集まってワイワイ話していた。

 

「ねえ、何してるの?」

 

「お、渚。これだよ、これ。」

 

岡島君が見せたのは今日発売のリリィ雑誌。

全国各地のリリィにインタビューした記事が人気の雑誌だ。

 

「リリィって可愛い子多いじゃん?可愛くて強いっていいよな〜」

 

前原君がニヤニヤしながらページをめくる。

次のページにはある人物の記事が載っていた。

 

「ね、姉さん!?」

 

「え、このリリィって渚のお姉さん?っていうか、渚に姉がいたの!?」

 

「うん。言ってなかったけ?」

 

「「「「「初耳。」」」」」

 

このクラスは相変わらず息ぴったりだ。

 

今回のインタビュー記事は姉さん……潮田 美湖だ。

姉さん、自分に取材がきたって一言も言ってなかったからちょっとびっくり。

 

「それにしても可愛いな〜 まあ、1番はやっぱり郭 神琳(くぉしぇんりん)ちゃんかな〜」

 

「いいよな、郭 神琳。」

 

彼女は、ワールドリリィグラフィックという月刊誌の表紙を飾ったこともある有名なリリィ。

確か、表紙になるのは大変名誉なことで超一流のリリィにしか許されてないって姉さんが言ったような気がする。

 

「で、渚。お姉さんはどこのガーデンなの?」

 

「記事にも載っていると思うけど、エレンスゲ女学園だよ。」

 

記事を見ると、インタビューに答える姉さんの写真と『潮田 美湖 エレンスゲ女学園 高等部1年生。トップレギオンであるヘルヴォルに所属している。』と書かれていた。

 

「ヘルヴォル……って書かれてるけどあの(・・)ヘルヴォルか……。」

 

杉野がそう呟く。

 

姉さんの所属レギオン、『ヘルヴォル』は結構評判が悪い。

エレンスゲ女学園は、レギオン名を継承する制度があるため、過去になにかしらやらかすとそのイメージが定着してしまう。

 

エレンスゲのトップレギオン、ヘルヴォルは数年前に起きた『日の出町の惨劇』の発端になったらしい。

詳しいことは僕も分からないけど、多くのリリィと民間人が命を落とし、戦史に残る大敗とも言われている。

 

E組には、日の出町の惨劇に巻き込まれた人はいないけど、本校舎にいた時、クラスメイトや家族が亡くなった人もいて、学校を去った人もいる。

 

「でも、今のヘルヴォルは違う。一葉さんがヘルヴォルの隊長だから。」

 

「一葉ってこの人か?」

 

木村君が姉さんの隣で微笑む青緑のショートヘアの少女に指をさす。

 

「うん。相澤 一葉さんっていって姉さんとは中等部時代からの親友。僕も何度か会ったことがあるよ。」

 

「へぇー。どんな人なんだ?」

 

「正義感が強くて、かっこいい人だよ。」

 

「そういえばこの前の雑誌でインタビューされてたな。エレンスゲ女学園を変えようとしてるって。」

 

「一葉さんならエレンスゲを変えることができるって僕は思ってる。」

 

まっすぐな瞳に強い意志、そして正義感。

全てを守り抜くという純粋で、純白な決意。

初めて会った時にそれを感じた。

 

「まあ、確かに。ここ最近のヘルヴォルってイメージ変わりつつあるもんな。」

 

「親友を支えていきたい……か。いいお姉さんだな。」

 

「うん。姉さんは僕の自慢の姉さんだよ。」

 

記事を読んだ磯貝君が微笑んだ。

リリィになるため、家を出ていった姉さんを僕はずっと応援してきた。

幼い時、僕たちを助けてくれたあのリリィのお姉さんのようになりたい……。

記事に書いてあるようにお姉さんに助けられてから何度も何度も言っていた。

あの日が姉さんの原点だ。

 

親友の1番近くで彼女の理想を叶えたい。

 

大きく書かれたポップ。

エレンスゲを変えたい一葉さんとそれをずっと見てきた姉さん。

きっと2人なら……今のヘルヴォルなら……きっと。

 

「俺たちもリリィに負けてられねぇな。」

 

「ああ。リリィは今もヒュージと戦ってる。リリィは殺せんせーのことを知らない。俺たちにしか殺せない。」

 

磯貝君と前原君が意気込む。

僕も姉さんに負けられない。

 

「リリィが暗殺を手伝ってくれたら少しは楽になるかもな。」

 

「無理に決まっているだろ?リリィはヒュージで精一杯なんだからさ。かなり強い奴も最近は増えているみたいだし。」

 

「……。」

 

「渚、やっぱり不安なのか?お姉さんのこと。」

 

杉野が心配そうに僕を見つめる。

 

「うん。よく連絡はしてくれるけど……。」

 

「大丈夫。渚のお姉さんには親友がいるんだろ?しかも隊長の。きっと、守ってくれるよ。」

 

「……そうだね。姉さんも一葉さんのこと、頼りにしてるみたいだし。」

 

「そろそろお昼休みも終わるし、片付けしないと殺せんせーに怒られるぞ。」

 

「だな。」

 

磯貝君の声で解散する僕ら。

 

姉さんがインタビューされるようなリリィになったことが嬉しかった。

きっと、恥ずかしいから教えてくれなかったのかもしれない。

勉強も暗殺も頑張らないと。

 

しばらくして、姉さんたちヘルヴォルが殺せんせーの暗殺に加わることになるのを僕たちはまだ知らない。




記事の内容?
全く思いつきませんでしたね。

日の出町の惨劇。
これはヘルヴォルにとって重要な出来事です。

詳しく知りたい方はぜひ、ラスバレのヘルヴォル関連のイベントストーリーやメインストーリーを読んでください。
ここだとネタバレになってしまうので……。

誤字脱字があれば教えてくださると助かります。


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ラスバレ風ホーム設定時ボイス

もしも、美湖がラスバレに実装されたら?という私だけが満足したい内容です。


通常①

「私は、お母さんに黙ってリリィになったから結構仲が悪いんだよね。でも、1つ下の弟とは仲が良くて、今でも頻繁に連絡しているよ。」

 

通常②

「風景にアニメにゲーム!いろんな絵を描くのが私は好きなんだ。今度、見せてあげるね。」

 

通常③

「ヘルヴォルは素敵なレギオン。私たちなら、どんなことでも乗り越えられるって信じてる!」

 

「私、朝は必ず味噌汁を飲んでいるの。これがないと私の1日は始まらない……!」

 

「今日のお昼はどうしよう……。麺もいいし、ご飯系もいいよね〜 迷っちゃうよ〜」

 

「暗くなってきたね。今日もお疲れ様。ゆっくり休んで、明日も頑張ろうね!」

 

深夜

「流行りのダンス動画を見てたらもうこんな時間!?そろそろ寝なきゃ……。」

 

「日差しがポカポカしてきたね。こんな日はヘルヴォルのみんなとピクニックしたいなぁ。」

 

「あっついよ〜 夏バテしないように、体調管理には注意しないとね。」

 

「私は……芸術の秋、かな。紅葉が綺麗で、絵を描くのがとっても楽しいんだ。」

 

「この時期は、毎朝布団との戦い……!すぐ冷えるから、ふかふかの布団はまさに天国!うぅ……強敵だ……。」

 

正月

「あけましておめでとう!今年もリリィとして、大切なモノを守れるように頑張るよ!あ、弟にも新年の挨拶をしないと!」

 

節分

「昔は、家族と豆まきをしたなぁ。お父さんが鬼役でさ。まだ4人で暮らしていたんだよね。……あの頃に戻れたらいいのに。」

 

バレンタインデー

「今日はバレンタイン!日頃の感謝を込めて、ヘルヴォルのみんなにチョコをプレゼントするんだ。えへへ、喜んでくれると嬉しいな。」

 

ひな祭り

「お雛様って可愛いよね。私もあんな服、着てみたいなぁ。」

 

ホワイトデー

「バレンタインのお返しで、みんなからお菓子をもらったの。どれも美味しそう〜」

 

エイプリルフール

「ふっふっふっ……。一葉にどんな嘘をつこうかな〜 純粋な子だから、弄りがいがあるんだよね。」

 

七夕

「願い事?……えっと、お母さんと仲直りできますように……って、こういうのは自分でなんとかしないとだよね。」

 

ハロウィン

「お菓子を用意して、イタズラされないように注意しなきゃ。せっかくだし、私も仮装しようかな。」

 

クリスマスイブ

「藍のために、サンタになるんだ!今年頑張ったから、プレゼントをあげないとね!」

 

クリスマス

「ヘルヴォルのみんなとクリスマスパーティ!千香瑠様のご馳走、楽しみだな〜」

 

大晦日

「今年もいろいろあったけど、最高の1年だった!来年もいい1年になりますように。」

 




ルーン文字とか、イメージCVも考えてみたいですね。
出撃ボイスに誕生日ボイス、私だけ満足したい内容がまだまだあります……。

誤字脱字がありましたら、報告をお願い致します。


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