遊戯王 デュエリストのお兄さん 蒼銀の導き (ひろやん(すぴ出身))
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決闘王国準備編
第1話 始まりの出会い


 書き直し1話目です。まずはペガサスとの出会いから。


 遊戯王デュエルモンスターズ

 

 私がこのカードゲームに熱中したのは10歳の時で無印と呼ばれる武藤遊戯が主人公のアニメが放送されている頃だった。

 

 それから無印が終わり、2期目のGXに入っても私はデュエルモンスターズに熱中した。しかし高校受験と3期目の5D'sが好みではなかった事で熱が冷めてしまった。そして所持していたカードを全て知り合いに譲り私はデュエルモンスターズから引退した。

 

 それから10年の時が流れた。私は本屋に張られていたポスターに目を引かれた。それは遊戯王15周年を記念したコレクターズパックの宣伝ポスターだった。

 

 そのポスターを見た私はふと懐かしくなり、本屋に置かれていたデュエルモンスターズのデッキやパックを眺めて青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のデッキに目が止まった。

 

 15年前私がデュエルモンスターズを始めた時、私は青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)とブラックマジシャンが前に出たの2つのデッキが入ったデッキセットを買い、弟に青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のデッキを渡して私はブラックマジシャンのデッキを持ちそこからデッキを自分好みに変えて行った。

 

 だから私は青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を使った事は一度も無い。むしろ弟の青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を落とし穴に落としたりしたいた方だ。

 

 それなのに私は青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のデッキに惹かれた。そして思わず衝動買いをしてしまい、ついでにいくつかのパックも適当に買った。

 

 そして帰りの電車の乗った。夜も遅く空いていたの私はでデッキの封を開けて説明書を読んだ。そして気がついたら知らない部屋で寝ていた。

 

 もう一度言おう、電車の中で説明書を読んでいて、気がついたら知らない部屋で寝ていた。訳が分からず混乱していると、部屋の真ん中に置かれたテーブルに私の鞄やサイフなどが置かれていた。

 

 慌てて中を確認してみると、お金や貴重品は無事にあったけれどもデュエルモンスターズのデッキとパックだけが無くなっていた。どういう事かと悩んでいると悩んでいるとノックと共に黒服のSPらしき人を引き連れて1人の男が入ってきた。その男は遊戯王の登場人物ペガサスにそっくりだった。

 

「ペガサス?」

「こら!インダストリアル・イリュージョン社会長、ペガサス・J・クロフォード様に向かって失礼だぞ」

 

 私がそう呟くと黒服は私に向かってさけんだ。しかしペガサスらしき人物は片手で黒服を制すと私に向かって話しかけた。

 

「よ~う~こそ我がインダストリアル・イリュージョン社へ。アナタは私の会社の敷地の中で倒れていました。普通なら警察に突き出していましたが、アナタは非常に興味深い物をいくつか持っていました。それがこれデ~ス」

 

 そう言ってペガサスが私に見せたのは電車の中で読んでいた説明書と私が買ったデュエルモンスターズのカードだった。

 

「この説明書の内容も興味深いで~す。また青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)がここに存在する事も予想外でした。あと開ける事が出来ない未知のパックの中身も興味があマ~ス」

「開ける事ができない?」

「そうで~す。私が知らないモンスターが書かれたイラストのパック。どうやっても開封する事が出来ないのデ~ス」

 

 そこまで言うとペガサスは黒服に命令してテーブルの上にデュエルフィールドを引かせた。

 

「この説明書に書かれたマスタールール。このルールで私とデュエルしてくださ~い。もしアナタが勝てば不法侵入は見逃してあげマ~ス」

 

 もし断ればおそらくカードを取り上げられた上で警察に突き出されるだろう。それに今の状況がよく飲み込めない。ここはペガサスの言う通りデュエルしたほうがいいのだろう。さすがに闇のゲームを仕掛けて来る事は無いはずだ。

 

 そう判断してデュエルを受けて、後悔した。ペガサスは闇のゲームを仕掛けてきたのだ。

 

「ちなみに負けたらアナタのカードを魂を貰いマ~ス」

「闇のゲームか」

「闇のゲームを知っているのですか?ならマスマス只では返せませ~ん。私の先攻デ~ス。ドローはしてはいけないのでしたね。私はモンスターを裏守備表示で出して、カードを一枚伏せマ~ス。守備表示は裏守備でなければならないと言うのは面倒デ~ス」

 

 そう言いながらペガサスは自分のターンを終えた。次に私のターンになったのでカードをドローしたらペガサスが変な顔をした。

 

「何か?」

「イエ、何でもありまセ~ン(どういうことですか?マインドスキャンでカードの中身をを読み取る事ができまセ~ン)」

 

 ペガサスの様子が変だったが気にする余裕はなかった。そもそもデッキの内容は把握されているし手札もマインドスキャンでばれているはずだ。そしてこれから相手をするのは厄介なトゥーンモンスターとモンスターを取り込むサクリファイスだ。一気にたたみかけないとやられてしまうだろう。

 

「私は青き眼の乙女(あおきめのおとめ)を攻撃表示で召喚。カードを一枚伏せる。そして魔法カード竜の霊廟(りゅうのれいびょう)を使用。デッキから青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を墓地に送る。そして送ったモンスターが通常モンスターだったのでもい一枚ドラゴン族モンスターを墓地に送る。デッキからダークストーム・ドラゴンを墓地に送る。私はこれでターンエンド」

 

 このデッキには即座に青き眼の乙女(あおきめのおとめ)に使用できる魔法カードは入っていない。青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を即座に展開させるためにも改良が必要だ。

 

「モンスターを墓地に送ってデッキを圧縮しましたか。私のターンデ~ス。魔法カードトゥーンのもくじを発動。デッキから魔法カード、トゥーン・ワールドを手札に加えマ~ス。そしてトゥーン・ワールドを発動」

「手札から効果モンスター、増殖するGの効果を発動・このカードを手札から墓地に送り相手が特殊召喚した数だけデッキからドローする。」

 

 トゥーンモンスターの特殊召喚はチェーンブロックを作らないのでここで増殖するGを使わないといけない。

 

「(特殊召喚を牽制するつもしですか。しかし1枚くらいならドローされても問題は無いでしょう)裏守備モンスターをリリースしてトゥーン・デーモン(星6、攻撃力2500)を攻撃表示で特殊召喚しマ~ス」

「トゥーン・デーモンの特殊召喚で。私は一枚ドロー」

「オゥ、ノォ!あまり見たくない光景デ~ス」

「確かに…」

 

 闇のゲームの効果でモンスターはカードから立体化して見える。増殖するGはあまり直視したくない光景だ。

 

「トゥーンモンスターは特殊召喚したターンは攻撃できまセ~ン。私はこれでターンエンドデ~ス」

 

 早くもトゥーンが来てしまった。しかし対抗策は間に合った。

 

「私のターン」

「ここでリバースカードオープンデ~ス。罠カード予言、今ドローしたカードを攻撃力2000を基準としてビッグかスモールかを当てマ~ス。正解したらそのカードは私の物になりマ~ス。そのカードは攻撃力2000以下のスモースデ~ス」

 

 ペガサスの罠発動の結果に私は驚いた。

 

「今ドローしたカードは攻撃力2950。ラビードラゴン」

「ノゥ、青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)とダークストーム・ドラゴンが墓地に有る以上、高確率で攻撃力2000以下だと思っていました。(これもマインドスキャンが出来なかったせいデ~ス)」

 

 ひょっとしてペガサスはマインドスキャンが出来なかったのだろうか。

 

「ではデュエル再開。魔法カード死者蘇生を発動。墓地のダークストーム・ドラゴンを特殊召喚。ダークストーム・ドラゴンのデュアル効果を発動。再度召喚して効果モンスターに変更」

「しかし表側の魔法・罠カードが無いので効果は使えまセ~ン」

 

 ダークストーム・ドラゴンの効果は自分の場の表側表示の魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。ペガサスの言う通り今の私の場には伏せカードしかない。

 

「リバースカードオープン。罠カード竜魂の城。墓地のドラゴン族、青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を除外してダークストーム・ドラゴンの攻撃力をこのターン700ポイントアップ」

 

 攻撃力2700 + 700 = 3400

 

「続いてフィールド魔法、竜の渓谷を使用。ただし効果は使わない。この竜の渓谷をコストにしてダークストーム・ドラゴンの効果を発動。フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。そしてトゥーン・ワールドを破壊されたことでトゥーン・デーモンも破壊。さらに私の竜魂の城が破壊された事で竜魂の城の効果で除外されていた青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)(攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚する」

「まさか、トゥーンがその力を発揮する前にやられてしまうとは予想外デ~ス」

「バトル!青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)(攻撃力3000)とダークストーム・ドラゴン(攻撃力3400)でダイレクトアタック!」

 

 ペガサス・ライフ8000 - 3000 - 3400 = 1600

 

「魔法カード、トレード・インを発動。レベル8のラビードラゴンを墓地に送り2枚ドロー。そして最後にカードを2枚伏せてターンエンド。これでダークストーム・ドラゴンの攻撃力は元の2700に戻る」

 

 さてサクリファイスは出てくるだろうか…。アニメ補正が入るのなら恐らく出てくるだろうけど。

 

「私のターン。まさかここまでやるとは思いませんでした。最初の青き眼の乙女(あおきめのおとめ)で攻撃を牽制。青き眼の乙女(あおきめのおとめ)への攻撃を回避するためにトゥーンを使えばトゥーンワールドを破壊。まるで私の使うカードを知っていたかのようなタクティクスデ~ス」

 

 まあ、知っていたんだけね。

 

「それに闇のゲームで有りながらまるで平気な様子。只者ではありませんね」

「あ」

 

 ペガサスに言われて始めて気づいた。闇のゲームならかなりの負担があるはず。それなのにまるでダメージが無い。

 

「魔法カード、強欲な壷これでカードを2枚ドロー。これで終わりデ~ス。儀式魔法イリュージョンの儀式を発動。手札からトゥーン・マーメイドをコストとして墓地に送りサクリファイスを儀式召喚しマ~ス。そしてサクリファイスの効果でダークストーム・ドラゴンを装備カードとして装備しマ~ス」

青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)では無いんだ。リバースカードオープン、デモンス・テェーン。これでサクリファイスの効果を封じる」

「無駄デ~ス。魔法カード罠はずし。サクリファイスの効果は復活し。ダークストーム・ドラゴンを吸収。タクティクスはしっかりと練っていマ~ス。サクリファイス(攻撃力2700)で青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)(攻撃力3000)を攻撃しマ~ス。これにより受けるダメージ300はアナタが受けマ~ス。」

 

 自分 ライフ8000 - 300 = 7700

 

「そしてサクリファイスの変わりに装備したダークストーム・ドラゴンを破壊して新たに青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を装備しマ~ス。アナタのデッキに青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)は一枚のみ。次にモンスターを召喚して2回攻撃すれば青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を呼べないまま青き眼の乙女(あおきめのおとめ)は破壊できマ~ス」

 

 

「私はこれでターンエンドデ~ス。さてどうしますか?」

 

 青き眼の乙女(あおきめのおとめ)とライフ7700であと2ターンは持つ。その間に体制を建て直せればいいのだが。そう願いドローするためにデッキに手をかけると声が聞こえた

 

(呼んで…、私を呼んで…)

 

「誰だ?」

「何を言っているのですか?」

 

 どうやら声はペガサスには聞こえなかったみたいだ。デッキに手をかけた時に聞こえた声なのでドローしたカードを見て私は驚いた。

 

「このカードは…」

 

 そこには青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)と共にデッキのパッケージに描かれていた銀の体を持つ竜がが描かれている魔法カードだった。

 

(私を呼んで)

 

 このカードを見て私は勝利する方法を見つけた。

 

「リバースカードオープン、リビングデッドの呼び声。ダークストーム・ドラゴンを墓地から特殊召喚。再度召喚して効果モンスターに変更」

「それでリビンデッドの呼び声をコストに装備カードと化した青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破壊するつもりですか?リビンデッドの呼び声が破壊されればダークストーム・ドラゴンも墓地に戻るのでサクリファイスに吸収されませんが、次はを青き眼の乙女(あおきめのおとめ)吸収するだけデ~ス。もちろん青き眼の乙女(あおきめのおとめ)は攻撃力0ですが攻撃されて受けるダメージはアナタが受けマ~ス」

 

 そう、だから発動できずに伏せたままのつもりだった。青き眼の乙女(あおきめのおとめ)が吸収されるとき効果対象になるので青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を特殊召喚できる。けれどもサクリファイスと青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)がバトルすればこちらがダメージ3000を受ける上、サクリファイスに装備されている青き眼の乙女(あおきめのおとめ)が破壊されて結局青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)はサクリファイスに吸収される。でもこのカードが来て状況が変わった。

 

「魔法カード銀龍の轟咆(ぎんりゅうのごうほう)を発動。墓地から通常モンスター、ラビードラゴンを特殊召喚」

「まさか、あれややるつもりですか」

「チューナーモンスター、青き眼の乙女(あおきめのおとめ)(LV1)でラビードラゴン(LV8)をチューニング!エクストラデッキからLV9蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)をシンクロ召喚。蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)の効果により次の相手のターン終了時まで場に出ているドラゴン族モンスターはこのカード以外のカードの効果は受けない。これで青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破壊してもサクリファイスに吸収される事は無い」

 

 私がそう言うと共に蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)が私の目の前に現れた。

 

(ごめんなさい、マスターの今のこの状況は私のせい。どうしてこうなったのか覚えていないのも私がマスターの記憶を消したから。闇のゲームの力で今は私はマスターに声を届ける事が出来るけど闇のゲームが終わればきっとマスターは私の声が聞こえなくなる。だからこれだけは覚えて置いてください。私は何が有ってもマスターと共に有ります)

 

 やはり声の主は蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)だった。

 

「私のマインドスキャンを妨害していたのはこのモンスターでしたか!」

 

 そしてペガサスの叫びを聞いて私は理解した。蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)は私をペガサスからも闇のゲームからも守ってくれていたのだと。

 

「さあ、デュエルを終わらせます。リビンデッドの呼び声をコストにダークストーム・ドラゴンの効果を発動。フィールドの魔法・罠カードを全て破壊。もちろん装備カード扱いになっている青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)も破壊されリブンデッドの呼び声を失ったダークストーム・ドラゴンは墓地に行く。しかし蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)の効果でドラゴン族モンスターである蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)効果の対象にならずサクリファイスに吸収されない」

 

 これにより攻撃力0のサクリファイスはむき出しになる。

 

「バトル!蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)(攻撃力2500)でサクリファイス(攻撃力0)を攻撃!」

 

 ペガサス ライフ1600 - 2500 = 0

 

 蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)の攻撃でペガサスのライフは0になり私は闇のゲームに勝利した。しかしその途端ペガサスは突然苦しみだしだ。

 

「ノ…、ウガガッガ!」

「ちょと、大丈夫か!」

 

 私が駆け寄ろうとするとその前にまだ残っていた蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)がペガサスとの間に割って入った。そして蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)は全身から光を放った。

 

 光が収まるとペガサスの胸のポケットから一枚のカードが飛び出してそこから1人の天使が現れた。

 

「おお、シンディア…」

 

 その天使は亡きペガサスの婚約者シンディアであった。そう言えばペガサスはシンディアの絵が描かれたカードを肌身離さず持ち歩いていた。そのカードが実体化したというのか。

 

「そう、いままでずっと私の側にいてくれていたのですね。それをこの邪眼が邪魔をして…」

 

 そう言うとペガサスは自らのてで埋め込まれていた千年眼(ミレニアム・アイ)を抉り出した。

 

「ええ、大丈夫デ~ス。私は生きます。今までしてきたことの償いをして胸を張って天国でシンディアと会える様にがんばりマ~ス。だから待っていてください」

 

 ペガサスがそう言うとシンディアはにっこりと笑い。天に向かって消えて行った。

 

 これが始まりだった。これが始まりで私は遊戯王の物語に大きく関わっていく事になる。




修正情報

 9/22

 『トゥーンのもくじ』と『トゥーン・ワールド』の名前が間違っていたのを修正。
 トゥーンモンスターの特殊召喚ではチェーンブロックを作らないので特殊召喚時に増殖するGは発動できない。そのためトゥーンのもくじ発動時に増殖するGを発動に変更。
 トゥーン・ドラゴン・エッガーがLV7なのでリリースは2体必要だったためLV6のトゥーン・デーモンに変更
 サクリファイスの吸収をダークストーム・ドラゴンからブルーアイズ・ホワイトドラゴンに変更(よくよく考えたら意味が無かったので。ちなみにペガサスのサクリファイスは原作カードなので1ターンに一度の縛りは無いです)

 6/4

 手札計算を間違えていたので修正。『ラビードラゴン』を墓地に送るのが目的だったので『ダメージ・コンデンサー』から『トレード・イン』の使用に変更。それに伴い『ガード・オブ・フレイムベル』の出番をなくして『デモンス・テェイン』の無駄撃ちに変更。『罠はずし』でペガサスの手札が足りなくなるので『強欲な壷』を使用。

 『蒼眼の銀竜』の効果では『リビングデッドの呼び声』の効果を無効化できないので『ダークストーム・ドラゴン』の生存を削除。

 感想にて誤字・効果の勘違い等ご指摘ありがとうございます。 


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第2話 変わり始めた世界

 そして明かされるヒーロー誕生の秘話。


 ペガサスが自分で千年眼(ミレニアム・アイ)を抉り出したことで待機していた黒服は慌てて治療するためにペガサスを連れて行った。

 

 ペガサスが自分で千年眼(ミレニアム・アイ)を抉り出した事は黒服達も分かっていたので私に危害が加えられる事は無かったのだが、そのまま放置されてしまった。

 

 取りあえず床に転がったままの千年眼(ミレニアム・アイ)を(血まみれだったので)ハンカチで拾った。すると千年眼(ミレニアム・アイ)が輝きだし、目の前に蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)が現れた。

 

 そして私は生命力を奪われたかのようにがっくりと倒れた。千年眼(ミレニアム・アイ)の力と私の(パー)を使って蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)が実体化したんだなと原作知識から想像をたてていると、蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)も私が倒れたのは予想外だったのか慌ててテーブルの上のデュエル後でまだ片付けていなかった私のデッキのカードに向かった。

 

 そしてフィールドに置かれていた青き眼の乙女(あおきめのおとめ)のカードと同調するように光り輝くと、蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)は少女の姿に変化した。

 

 それと同時に私の負担も大きく減って私は何とか立ち上がることが出来た。これはLVの低い青き眼の乙女(あおきめのおとめ)のカードを媒介にして小エネモードになったと解釈すればいいのだろうか。まあ乙女と呼ぶには少し育ってはいない姿ではあるが。

 

 少女の姿になった蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)…面倒なので蒼銀は千年眼(ミレニアム・アイ)に手をかざして念じると血をぬぐって千年眼(ミレニアム・アイ)を私に持たせた。

 

 これは私に千年眼(ミレニアム・アイ)を持っていろという事なのだろうか。まあ、千年眼(ミレニアム・アイ)がなければ蒼銀は実体化出来ないのだろうけど。それから蒼銀は私のデッキをまとめると私に渡して消えて行った。

 

 その後どうすれば良いのか分からず部屋で大人しくしていると、黒服がやってきてペガサスが私に会いたいから着いて来いと言って来た。私は大人しく黒服の後を追い、応急処置を終えたペガサスと再開した。

 

「これはあくまで応急処置です。今は麻酔が聞いていますので平気ですが、後で病院に来てちゃんとした治療を受けてください」

 

 ペガサスの治療をした医者がそう言って立ち去るとペガサスは人払いをして私と2人っきりになった。

 

「見苦しい所をお見せしました。デュエルはアナタの勝ちです、ですからこれは私からのお願いデ~ス。私の質問に答えてくださ~い。桐野優一(きりのゆういち)

 

 始めてペガサスに名前で呼ばれた。名乗りもしてもいないのにどうして私の名前を知っているのかは、きっと私の所持していた身分証から知ったのだろう。そしてデュエルに勝った事でようやく名前で呼ばれるようになったのだろう。

 

「改めて、桐野優一(きりのゆういち)です。好きなように呼んでください。それで聞きたいことは何ですか」

「それではキリノと呼ばせてもらいマ~ス。キリノは一体何者ですか?私がデザインした者とは違うイラストの青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)青き眼の乙女(あおきめのおとめ)を始めとする私の知らないカード。そしてアーク・ファイブと書かれた説明書。始めは私のデュエルモンスターズの偽物かと思いましたがカードは間違いなく本物デ~ス」

 

 その点については私も分からない事が多い。最初は混乱していて気づかなかったけれども、説明書やカードから『遊戯王』のロゴが消えていた。(私自身は遊戯王は久しぶりなので気づかなかったがカードの裏面のデザインもこの世界の物と同じに変化していた)

 

「本当の事を言って信じてくれますか?」

「キリノが本当の事を言うので有れば信じマ~ス」

 

 そこまで言われたので私は別の世界から来た事を話した。もっともこの世界がマンガやアニメになっている事はさすがに言えなかったけれども。あと最初にペガサスの顔を知っていたことは私の世界でもデュユエルモンスターズを作ったのはペガサスと言う事で誤魔化した。心苦しいが原作の設定ではペガサスが作ったので嘘は言っていない。

 

「それなら納得がいきマ~ス」

「信じてくれるのですか?」

「信じましょう。千年眼(ミレニアム・アイ)を失ったとは言え人を見る目はあるつもりです」

 

 ペガサスがそう言ったので私は蒼銀から渡された千年眼(ミレニアム・アイ)をペガサスに返そうとした。しかしペガサスは受け取らなかった。

 

「もう私には必要ありませ~ん。しかしこれは誰かが持っていないといけないものデ~ス。だからキリノが持っていてください。あの銀色の竜の加護があればきっと大丈夫デ~ス」

 

 なんだか厄介な物を押し付けられたような気もしないでもないが、今のペガサスに千年眼(ミレニアム・アイ)を持たせるのも酷なので蒼銀の事もあり私が持つ事になった。

 

「では、ここからは取引の時間デ~ス。キリノ、私の元で働きませんか?行くあてが無いのでしょう。デュエルモンスターズの新しいルールを持ち込んで私がそれを採用したという事で内外に説明しま~す」

 

 それは願っても無い事だ。なにしろ戸籍すら怪しいので今後の生活をどうすれば良いのか困っていたのだ。

 

「そのかわり仕事はちゃんとして貰いマ~ス。最初の仕事はマスタールールの調整デ~ス。さすがにこのルールをそのまま使用すれば混乱が生じるでしょう。他の社員と共に上手く調整してくださ~い」

 

 これは原作のエキスパートルールを作れと言う事だろう。たしかに原作だとライフは4000だしシンクロもエクシーズもペンデュラムも存在しない。

 

「分かりました、これからよろしくお願いします。ペガサス会長」

 

 雇い主を呼び捨てには出来ない。これからはペガサス会長と呼ぶことにしよう。

 

「ペガサス様と呼ばれているので『会長』はちょっとくすぐったいデ~ス。これからしっかりと働いてくださ~い」

 

 こうして私はこの世界で生活基盤を手に入れた。それから数週間後…

 

 

「やっぱりライフは4000で決まりですか」

「そうですね、ペガサス様と桐野主任のデュエルは私も見ましたが、あれはトゥーンと攻撃力0のサクリファイスが相手だから一気にライフを削れたのが理由です。私もそうでしたけどテストプレイヤーはライフ8000は多すぎると言っています」

 

 私はペガサスの後継者候補と言われている天馬月行という青年とエキスパートルールについて話し合っていた。ペガサスは独身を貫く代わりに後継者となる子を何人か育てていて月光くんもその1人だった。

 

「キリノさん。ペガサスさ…お父さんが呼んでいるので会長室に来てくれませんか」

 

 月光くんと仕事をしていると月光くんの弟の夜行くんがペガサス会長の伝言を伝えに来た。ちなみに月光くんも夜行くんのペガサス会長のことを以前は『様』づけで呼んでいた。しかし私が『会長』で呼ぶようになってからペガサス会長は子供達から『様』づけされるのはおかしいと思うようになり、今はお父さんと呼ばせている。

 

 呼ばれたので大至急ペガサス会長の所に行くと、ペガサス会長は怒っていた。

 

「キリノ、これを見てくだサ~イ」

 

 ペガサス会長に言われてモニターを見るとそこには海馬瀬戸が武藤遊戯の祖父である武藤双六の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破る姿が映し出されていた。

 

 遊戯Vs海馬のデュエルは全国放送されたと聞いていたが、このシーンまで放送していた事は知らなかった。…いや放送されずNGシーンになったものをペガサス会長が独自に入手したものかもしれない。

 

「知っての通り海馬ボーイのこの後デュエルに敗北して心身喪失してしまいました。ですが私は海馬ボーイを許せまセ~ン。ですから海馬ボーイから青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を取り上げようかと思いマ~ス」

 

 改心してからのペガサス会長は自分が生み出したデュエルモンスターズに対する愛情が深まっている。自分が生み出したカードを破かれたのは許せないのだろう。

 

「ちょっと待って下さい、子供がしたことではないですか。ペガサス会長が許せない気持ちは分かりますし、お仕置きは必要かも知れませんが青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)と取り上げるのはどうかと。海馬社長は親も無く1人でここまでやってきたせいで道を間違えた時、正してくれる大人がそばにいなかったんだと思います。ここはペガサス会長が海馬社長を叱って道を正すべきなのでは」

 

 私がそう言うとペガサス会長ははっとした。

 

「そうです。その通りデ~ス。私は怒りに任せて道を間違うところでした。キリノの言うとおりデ~ス。海馬ボーイには正しい保護者が必要デ~ス。海馬ボーイを弟の同級生から『様』付けさせて悦に浸っている性格から真に子供達から好かれるヒーローに育てる存在が。…ヒーロー」

 

 そう言うとペガサス会長は私を見て言った。

 

「キリノは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)をモチーフにした正義の味方のカードを持っていましたよね」

「正義の味方 カイバーマンのことですか?」

「そうです、そのカードデ~ス。そのカードを私に貸してくださ~い。海馬ボーイを更生させるいいアイディアが浮かんできました」

 

 そう言われて後で私はカイバーマンをペガサス会長に渡した。

 

「それとやはり海馬ボーイから青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を取り上げマ~ス。ただし海馬ボーイが青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)に相応しい成長を遂げたら返すことにしましょう。キリノ日本に行って来てくださ~い。お膳立てはしておきますので青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を回収してきて欲しいのデ~ス」

 

 こうして私は日本に行くことになった。これが変わりつつあった遊戯王の物語をさらに変革させることになるとはこの時の私は知る良しもなかった。




 補足説明

 青眼龍デッキはゼアルのデッキなので入っている説明書はゼアルの物だと思う人がいるかもしれませんが製造時期によってはアークファイブの説明書が入っています。
 私はアークファイブの説明書が入っているのを買ったのでその事に気づくのが遅れて、補足を書くのが遅くなりました。


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第3話 逆襲のブルーアイズ

 海馬を更生するためにペガサス会長は海馬コーポレーションを傘下に収める事にした。ペガサス会長は海馬を社長の重圧から解放してそこから教育をしなおすつもりのようだ。それで海馬コーポレーションを乗っ取ろうとするのはソリッドビジョンシステムをビッグ5に任せるのは不安なのだろう。インダストリアル・イリュージョン社の利益も考えないといけないのだろうし。

 

 その為の第一歩としてペガサス会長は海馬が青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを破いた事を知って激怒していると噂を流した。ただでさえ遊戯に負けて信用が落ちているのに自身の過失で取引先の会長を激怒させたという噂が流れれば信用はさらに落ちるだろう。そこから株の買収を始めるつもりのようだ。

 

 それで今私が何をしているのかと言うと、開ける事が出来ないパックを睨みっこをしていた。

 

 別に遊んでいるわけではない。月光くんたちが海馬コーポレーション乗っ取りで忙しいからエキスパートルールの作成を一時中断しているだけだ。そしてこれはペガサス会長から言い渡された任務でもある。

 

 現在シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムのカードはインダストリアル・イリュージョン社では作られていない。作りたくてもサンプルが無いから無理と言ってもいいだろう。

 

 シンクロは蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)が有るのでなんとか解析できた。予定では年内には試作1号が完成する見通しだ。

 

 けれどもエクシーズはサンプルがない。だからこそエクシーズが入っているだろうパックを開けてエクシーズのカードを手に入れなければならないのだが…

 

「開けられないんだよな~」

 

 ペガサス会長が開けれなかったのは元の持ち主ではないと思っていたのに、購入した私でも開ける事ができない。手でも開けれないし刃物の刃が入らないのだ。

 

「ここにいましたか」

「ペガサス会長」

 

 パックを開けれずに困っているとペガサス会長がやってきた。

 

「申し訳ありません。いまだにパックを開ける事が出来ない状況です」

「シンクロだけでも大きな革命になるでしょう~。エクシーズは焦らなくても大丈夫デ~ス。実はキリノに渡したい物がありマ~ス」

 

 そう言ってペガサス会長は私をインダストリアル・イリュージョン社本社ビルの地下に連れて来た。

 

「ここには封印されたカードが眠っていマ~ス」

「封印されたカ~ド?」

「たいそうな物ではありまセ~ン。エラーカードと呼ばれる印刷ミスをしたカードデ~ス。実は未完成品という事で世に出さなかった青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のエラーカードがあるのデ~ス」

 

 そう言うとペガサス会長は資料庫をいう部屋のロックを外して中に招き入れた。資料庫と銘打って入るが中は金庫室みたいだ。

 

「これデ~ス」

 

 そう言って渡されたのはカード名こそ青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)と書かれてはいるがイラストは4色の棒のみのカードだった。

 

「本来こういったエラーカードもルール上は正規のカードとして使う事ができマ~ス。しかしこのカードはソリッドビジョンシステムには反応しないでしょう」

 

 そう言うとペガサス会長は済まなさそうな顔をした。

 

「本当なら新たに青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを作り出して渡したいところデ~ス。ですが作ろうとしても皆こうなってしまうのデ~ス。私に出来るのはキリノの持っていた青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を本物と認めることと、このソリッドビジョンシステムでは使えないカードを渡すことだけデ~ス」

 

 それだけでも十分にありがたい。行き場の無い私に居場所を与えてくれてここまで気を使ってくれる。感謝こそすれ文句を言えるわけが無い。

 

 そう思い感謝の言葉を口にしようとすると、何処からか女の子の声が聞こえてきた。

 

『許さない…』

 

「?」

「ワッツ?」

 

『お前だけは許さない、許してなるものか!!!』

 

 その声と共にエラーカードの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が光だし私は昔のビジョンを見た。それは私が子供の時、遊戯王のカードを始めて買った時のことだった。

 

「そう、こっちがいいんだ。じゃあこのデッキはあげるよ」

 

 あの頃はカードを集めるよりも純粋にカードで遊びたかった。だから2個入りのデッキセットをかって青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の方を弟に渡した。

 

「罠カード、落とし穴を発動。召喚された青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破壊」

『いや~』

 

「ブラック・マジシャンでミノタウロスを攻撃。残された青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を地割れで破壊」

『また落ちるの~』

 

「リバース、人喰い虫(ひとくいむし)青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を破壊」

『いや~!虫いや~!』

 

「異次元の戦士で青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を攻撃。そして除外」

『やっと2人っきりになれたね』

『ぎゃ~!こんなのと2人っきりはやだ~』

 

「強奪で青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のコントロールを得る」

『やっと、やっと私の価値を理解してくれたのね』

「そして生贄に捧げてブラック・マジシャン・ガールを召喚」

『え?』

『うふん』

 

『もうやだ~!お家かえる!』

 

「…」

「キリノ…」

「いや、あの頃は攻撃力が高い青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)はカードの効果で処理するのが一般的だったので」

 

 同じビジョンを見ていたペガサス会長が名前を呼んだのでそう言い訳をした。あの頃はデッキを調整したら弟とデュエルしていたのであの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)ともよく戦った。

 

『(ひそひそ)あの子人間界から逃げ帰ってきたんですってね』

『(ひそひそ)それも対戦相手からデュエルで酷い目にあわされたっていう理由で』

『(ひそひそ)やーね、おちこぼれよね』

 

「…」

 

『私を酷い目にあわせたのに、こんな目に会わせたのに。新しく青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)でデュエルだなんて許さない!許してなるものか!』

 

 そう言って私の目の前に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が現れた。その体はだんだんと黒くなっていった

 

『ああ力がみなぎってくる。今は私はSinの力を手に入れた。生まれ変わった私はSin青眼の白龍(シン ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)!』

『いいかげんにしなさい!』

 

 黒くなり私に襲い掛かろうとした青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の頭に鎌が刺さった。

 

「カードを狩る死神?」

 

 いつの間にかもう一体カードの精霊が現れて青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を片手で締め上げた。

 

『どうもご迷惑をおかけしました。そのカードはお詫びです』

 

 そう言うとカードを狩る死神は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を引きずって消えて行った。

 

「キリノ…」

「こんど青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の精霊に会ったらやさしくします」

 

 その後エラーカードだった青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のエラーが無くなり他のカードと同じになった事に気づいた。しかし調査の為とペガサス会長に取り上げられてしまい、私の元に来るのはデュエルキングムの開催途中となる事を記して置く。



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第4話 デュエルとはまったく関係の無い話

 今回はデュエルモンスターズとの関連は薄い話です。


 私はペガサス会長の使いで海馬コーポレーションを訪れた。

 

 現在の海馬コーポレーションの最重要取引先はインダストリアル・イリュージョン社である。ソリッドビジョンシステムもデュエルモンスターズあってのことであるし。(ほとんどブルーアイズランドといてもいい)海馬ランドもキャラクターの版権はインダストリアル・イリュージョン社が握っている。

 

インダストリアル・イリュージョン社が海馬コーポレージョンに対してデュエルモンスターズを使わせないと契約を打ち切ると海馬コーポレーションは事業の大半を活動停止に追いやれれてしまう。もっともその場合インダストリアル・イリュージョン社もソリッドビジョンシステムが使えなくなるのでそこまでは出来ないが。それでも今主導権を握っているのはインダストリアル・イリュージョン社である。

 

 そのインダストリアル・イリュージョン社の使いである私が契約の為に海馬コーポレージョンを訪れる。その情報は経済界の裏の情報網で出回った。何しろ契約の内容で海馬コーポレージョンの株の価値が変わるので契約の前に情報を手に入れようとして様々な刺客が私に送り込まれてきた。

 

 ざっと文庫本1冊分の冒険をデュエルとは関係ないところで終えて私はようやく海馬コーポレーションのビルの中に入る事ができた。

 

「始めまして。ビッグ1の大下幸之助(おおした こうのすけ)といいます」

「これはこれは、インダストリアル・イリュージョン社会長、ペガサス・J・クロフォードの名代で訪れました霧野優一といいます」

 

 無事にたどり着いた私はビッグ5の1人と面会した。それにしてもビッグ5は正式な役職だったのか。驚きである。

 

「では契約の最終確認をお願いします」

「その前に確認しますが、この場に大下氏しかいないということは現在の海馬コーポレーションの代表は大下氏であり、大下氏1人のサインは有効であると言う事でいいのでしょうか?」

 

 ビッグ5が1人しかいないという意外な展開なので念のために確認してみた。社長である海馬が心身喪失状態でサインできない以上、ビッグ5全員で動くと思っていたからだ。

 

「ええ、役員会は『現』社長の海馬瀬人の社長解任を正式に決定しました。現在は引き継ぎ業務の為に社長では有りますがその権限は凍結されています。そのため『次期』社長である私がサインすることになりました。そのため契約の執行は社長交代後となります」

 

 ああ、やっぱり木馬の持っている鍵が見つからないんだな。あれが見つからないから海馬はまだ社長のままだ。ここまではこちらの掴んだ情報通り、ペガサス会長のシナリオを進めて問題はなさそうだ。

 

「では契約は大下氏が正式な社長に就任してからという事で」

「そ、それは」

 

 契約書のサインが有効では無い以上これは当然の事だ。だが海馬コーポレーションはそれでは困る。今海馬コーポレーションが欲しいのはインダストリアル・イリュージョン社との関係を修復したという事実とそれによる信用の回復だからだ。

 

「分かっています。ですから正式な契約がなされるまでインダストリアル・イリュージョン社が海馬コーポレーションの株を買い支えましょう。その事実だけでも信用はある程度回復されるはずです」

「それは確かに。それでその対価は?」

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)。資産価値としては足りないところですが担保としては十分でしょう。それにもう海馬コーポレーションには必要ないものでしょう」

「…分かりました。『わが社』が所有している3枚の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードをお渡ししましょう。(たかがカードでこの対応、ペガサスの指示だろうが甘いな)」

「それではインダストリアル・イリュージョン社に連絡を入れて株の買い支えを始めましょう。(ああそうか、私ごとき1人で十分という事か)」

 

 最後の最後で大下がこっそりとにんまりとしたのでようやくビッグ5が1人しか来なかった理由を理解した。

 

 まあ、もともと正式な契約を結べない事は分かっていて、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の回収の為だけに送り込まれたので見下されてもどうとも思わない。自分自身役不足は理解しているので。むこうも正式な契約が結べないのは分かっていた筈なのであの会話は茶番だったのだろう。終わってから気づくとは私もまだまだだ。

 

 とにかく無事に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を回収できたので良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 おまけ NG集

 

 本編とは何の関係も有りません

 

 

 

 

 これは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の受け渡しの後ありえたかもしれない会話である。

 

「ところで海馬の解任後の扱いですがそちらとしてはどう思いますか」

 

 これはペガサス会長が海馬に激怒しているという噂に対してのアクションだろう。

 

「そうですね。カードを破くような根性が曲がった子は自分のところで性根を叩き直すと言うのがペガサス会長の考えなので、こちらに出向させてもらうとありがたいですね」

「そうですか…。話を変えますがペガサス氏は若い男の子を集めているそうですね」

「? ええ、後継者を育てるために…」

 

 ここまできて大下が何を考えているのか想像できてしまった。

 

「後継者を育てるために『若い』男の子を養子にして集めていますね」

 

 独身主義が誤解されている。しかしここで迂闊な事を言えば被害が広がるし巻き込まれかねない。

 

「そうですか。もし海馬をそちらに出向させるときは弟の木馬も一緒に送りましょう」

「そうですね。やはり兄弟は一緒のほうがいいですね」

「兄弟と言えばペガサス氏の一番のお気に入りは双子でしたね」

「ええ、そうですよ」

「はははは」

「あはははは」

 

 

*****

 

 終わり



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第5話 2人目のヒロイン

 さて、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)の回収は無事に済んだので後はアメリカに帰るだけになった。しかしせっかく日本に来たのだから日本のカードを買って帰りたい。

 

「と、言うわけでいいカードが手に入りそうな店は分かるか?」

 

 私は蒼銀に聞いてみた。カードの精霊の蒼銀なら精霊がたくさんいる場所を感知できると思ったからだ。

 

 蒼銀はちょっと考えると私に着いて来いと促した。そして私達は小さなおもちゃ屋にたどり着いた。そしておもちゃ屋の入り口で中の様子を伺っている不審な老人を見かけた。

 

「あの、何をしているんですか」

「孫を見守っているんだ。静かにしてほしい」

 

 私の方を見向きもせずに老人はそう答えた。

 

「孫?」

 

 気になって店の中を見てみると2人の子供がデュエルをしていた。

 

「武藤遊戯…、ともう1人はレベッカ・ホプキンス?」

 

 童実野町でカードの精霊が集まる店を探したら遊戯の実家にたどり着く可能性がある事を忘れていた。

 

「レベッカを知っているのか。まさか孫のストーカーか?」

 

 私がレベッカの名前を言ったので始めてレベッカのお爺さん、ホプキンス教授が私の方を見た。

 

「私はこういうものです」

 

 ストーカーと間違えられるのは嫌なので私は名詞を差し出した。

 

「これはインダストリアル・イリュージョン社の方でしたか。それなら全米チャンピオンのレベッカの事を知っていてもおかしくないですな」

 

 ちなみに原作知識は関係なく、各地の大きな大会の上位入賞者の顔を名前は覚えさせられている。

 

「でもなんで全米チャンピオンがこの時期日本に?」

 

 レベッカが日本に来るのは王国編が終わった後のはずだ。『今』ここにいるのは早すぎる。

 

「実はインダストリアル・イリュージョン社のペガサス会長が青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを破かれた事を知って激怒しているという噂を聞きましてな。気になって調べたらその破られたカードは双六…私の友人でこの店の店主のだと分かってそれを知った孫が私よりも先に日本に来てしまったんです」

 

 ああ、私の所為で起きたバタフライ効果が原因か。

 

「それでどうしてデュエルに?」

 

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が破かれた事を知っているなら取り返すためのデュエルはしないはずだ。

 

「おそらくデュエルで双六を懲らしめてやろうと考えたのでしょう。それを遊戯くんが代わってデュエルを受けたと」

 

 なるほど、見る限り遊戯は表の方なのでその推測は間違っていない。デュエルの内容も原作とほぼ同じのようみたいだ。

 

「あ、武藤君がサレンダーした」

「そろそろ出番ですな」

 

 そう言うとホプキンス教授は店の中に入っていった。そして勝ち誇るレベッカの前で遊戯のデッキをめくり遊戯の勝ちだとレベッカに言った。

 

「…出遅れた」

 

 遊戯とレベッカは和解しているし、老人2人は友情を確かめ合っているし中に入りづらい。どうしようかを困っていると突然蒼銀が私の(パー)を使って実体化した。そして堂々と店の扉を開けて中に入った。

 

 それから双六じいさんと元に行くと彼の手を取った。どうやら双六じいさんの手に握られている青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードに反応したようだ。

 

「なんじゃいお前さん?このカードが珍しいのか?」

 

 双六じいさんが話しかけても蒼銀は答えない。どうやら私が蒼銀の声を聞けないのではなく、蒼銀が喋れない状態になっているみたいだ。

 

「すいません、連れが迷惑をおかけしました」

 

 そう言って私は蒼銀を双六じいさんから引き離した。その時破られてテープでつながれた青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを見て蒼銀が反応した理由を理解した。

 

「このカード、まだ生きている」

「は?」

 

 2つに引き裂かれているのにカードに精霊がまだ宿っていた。そして精霊はまだ闘志を秘めていた。私は身に付けていた千年眼(ミレニアム・アイ)を取り出した。

 

「千年アイテム!レベッカ下がって!」

「え?ちょっと何よ」

 

 私が千年眼(ミレニアム・アイ)を取り出したので遊戯がそれに反応した。原作通り他の千年アイテムの所持者から碌な目に遭わされていたようだ。遊戯はレベッカを庇うよいうに前に出ると名も無きファラオの人格と交代した。

 

「そんな臨戦態勢に入らなくても戦う気は無いですよ」

「どうだか、お前も闇のゲームの使い手だろ」

「え、遊戯どうしたの?」

 

 どうやらレベッカは遊戯の人格の交代を感じたようだ。

 

「この千年眼(ミレニアム・アイ)には人格は宿っていない。宿っていた邪念は払ったし、私には君『達』と争う理由が無い。味方とは言わないけれど敵対する理由も無い。私が千年眼(ミレニアム・アイ)を取り出したのは見せたい物が有ったからだ」

「見せたい物?」

 

 遊戯が怪訝な顔をすると私は双六じいさんの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を実体化させた。…元の大きさだと店が壊れるし(パー)の消耗も激しいのでミニアムサイズでだが。

 

「これはブルーアイズ…」

「千年パズルの持ち主ならこの子がまやかしではない事くらい分かるだろ。この子はこのカードの精霊…カードにやどった魂だ。引き裂かれても尚闘志を失っていない。もう一度戦いたいという思いが私には伝わってきた」

 

 そう言うと私は千年眼(ミレニアム・アイ)をしまった。蒼銀の助けを借りて何とか使える程度のレベルのせいか消耗が激しい。

 

「何今の、ソリッドビジョンじゃないの?」

 

 レベッカはよく分かっていない様子だ。一方老人2人は知識と経験から今のトリックでは無い事を理解したようだ。

 

「さて、申し送れました。私はこういうものです」

 

 誰もが動けない中、私は名詞を双六じいさんに渡した。

 

「インダストリアル・イリュージョン社…」

「我が社の技術を持ってすればこのカードの修復も可能のはずです。私にこの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを預けては貰えませんか?」

 

 私がそう言うと双六じいさんはホプキンス教授を見た。そして教授が頷くと私にカードを差し出した。

 

「わかった。この青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカード、霧野さんに預けよう」

「ありがとうございます。必ず修復してもう一度デュエルできる状態にして見せます」

 

 そう言って私はカードを預かるのだった。

 

 

 

 おまけ

 

 

「そう言えばここにはカードを買いに来たんだった」

 

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)のカードを受け取った後私は本来の用件を思い出した。

 

「インダストリアル・イリュージョン社の社員なのに?」

「アメリカのインダストリアル・イリュージョン社の社員だから日本のカードは手に入れる機会は少ないんだ。今日だって出張で日本にいるわけだし。と言う訳で、蒼銀いいの感じる?」

 

 私がそう言うと蒼銀は首を振った。どうやら店の商品の中に精霊がついているカードは無いようだ。遊戯のデッキには精霊が付いているカードはたくさん入っているのでそれに反応しただけのようだ。

 

「じゃあ適当に…、これとこれとこれ、かな」

 

 適当に選んで代金を支払うと私はパックを空けた。このパックは無事に開けられた。そして中をみて絶句した。

 

「石の巨人トークン」

「「なんじゃ(だ)と」」

 

 石の巨人トークンに老人2人が反応した。古代竜-エンシェント・ドラゴンを呼び出すのに必要で2人とも探し散るカードだった。

 

「桐野さんワシにこのカードを譲ってはくれんかの」

「いいや、私にゆずってくれ」

「…」

「…」

「「デュエルだ!」」

「じいちゃん…」

「もお、何やっているんだか」

 

 子供よりも子供な老人達だった。




 さて、登場したのは『誰』のヒロインだったのでしょうか

 補足説明 古代竜-エンシェント・ドラゴンって何?

 今回名前だけ出てきた古代竜-エンシェント・ドラゴンはアニメオリジナルのカードです。OGカード化されておらず(エンシェントドラゴンとは別のカード)、10年以上昔のカードなので簡単に説明を入れておきます。

 古代竜-エンシェント・ドラゴンは召喚条件がかなり特殊で召喚の為に古の巨人、古の鍵、石の巨人トークン(トークンといいながら実はカード)、古の書物、古の扉、古の都-エンシェント・シティーが必要で、双六じいさんとホプキンス教授は宝探しと称して古代竜-エンシェント・ドラゴンの召喚に必要なカードをどちらが早くそろえることが出来るのか競争していました。

 2人とも今回出てきた石の巨人トークンのカードだけ見つける事が出来ず、今回カードの所有権をめぐって争う事になりました。ちなみに石の巨人トークンだけ2枚必要なので今回の1枚だけではまだ古代竜-エンシェント・ドラゴンは召喚できません。


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第6話 宝具

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)は貴重なカードである。1枚で家が1件建つといわれ資産価値も高い。そんなカードが3枚もそろえば当然狙ってくる輩も出てくる。

 

 日本からの帰り、何処からか情報が漏れて私は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を狙う刺客達に襲われた。それでも蒼銀の助けを借りて映画1本分のアクションを経て私はカード死守してインダストリアル・イリュージョン社に帰り着いた。

 

「と言う訳でお休みを下さい」

「3日の特別休暇をあげマ~ス」

 

 ペガサス会長に回収した海馬の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)と修復が必要な双六爺さんの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を渡した後私は休暇の申請をして受理された。

 

 1日目は倒れるように眠りに付き、2日目よくやく私は再起動した。その間食事などの家事は人間形態で実体化した蒼銀がしてくれた。しかしその所為でエプロン姿で家事をしてくれていた蒼銀と私を訪ねて来た夜行くんと鉢合わせるという事態におちいってしまった。

 

「桐野さん、一体この子は何なんですか?」

 

 蒼銀の見た目は少女だ。そんな子が20代の私の部屋で家事をしているのだから気になって当然だろう。どう説明しようかと考えていると、蒼銀は喋れないので紙に書いて事情を説明した。

 

『幼な妻』

「違うだろ」

『じゃあ、(カードからの)通い妻?』

「それも違う」

『本当は僕とご主人様』

「(確かに遊戯王だとモンスターは僕扱いだけど)それも違う!」

「桐野さん!」

 

 その後蒼銀の事をバイトで雇ったとごまかしてようやく夜行くんを納得させた。

 

「それで夜行くんは何しに来たの?」

 

 蒼銀を(カードに)帰らせた後、私は夜行くんに訪ねて来た理由を聞いた。

 

「お父さんから桐野さんの様子を見に行くように言われたので様子を見に来たんです」

「ああ、それは手間を取らせたね」

「いえ、こちらも変な誤解をしてすいませんでした」

「いや、悪乗りした蒼銀も悪いから」

 

 そう言うと私は気分転換の為に夜行くんに提案をした。

 

「ところでこれからデッキを組み替えるためのカードを探そうと思っているのだけど、いい店があったら案内して欲しいな」

「…ごめんなさい、カードはお父さんや会社の人が用意してくれるのでお店とかよく分からないです」

「…そうか、なら社会見学だ。着いてきなさい」

 

 取りあえず前からチェックしていた店に出向く事にした。

 

「いろんなカードがありますね」

「ああ、でも必要なカードはないな」

 

 まず有名なカードショップを訪れてみたのだがめぼしいカードは無かった。高額な『レア』なカードは有ったものの、私のデッキと相性のいいカードは無かったのだ。上級、最上級モンスターは今の所必要無い。リリース無しの『召喚』モンスターはアレキサンドライトドラゴンとガード・オブ・フレムベルという攻撃と守備のトップクラスが有るから必要なのは効果モンスターなのだがいい効果を持ったモンスターは無かった。魔法、罠も凡庸カードばかりでこれといったようなカードは無かった。

 

「ここは初心者とコレクター向けの店だったな」

「そういうものなのですか?」

 

 次に向かったのは双六爺さんの店のような小さな店だった。しかしここは隠れた名店とかではなく、本当に小さな店だった。

 

「ここはデュエルモンスターズは商品の1つという扱いか。カードの種類も多くない」

「そうですね、デュエルモンスターズだけが玩具ではない事を思い出しました」

 

 その後もいくつかの店を回ってみたのだがめぼしいカードは手に入らなかった。

 

「今度パックで買っていいのが出てくるのを祈る事にするよ。夜行君付き合ってくれてありがとう」

「いえ、僕もいい勉強になりました」

 

 そうして帰ろうとすると、蒼銀が精霊状態で私の前に現れた。とうぜん精霊状態なので夜行くんには見えていない。

 

「桐野さん?どうかしたのですか」

 

 夜行君が不思議がったが私は蒼銀が私を何処かに連れて行きたいと感じて後を追った。そして裏路地に入るとフード付きのボロマントで身を来るんだ女性らしき人物がカードを売っていた。

 

「カードを買ってください」

「桐野さん、相手にしては駄目です」

 

 夜行くんはそう言ったが私は蒼銀が連れて来た以上何か有ると思い、置かれていた4枚のカードを買った。

 

「ありがとう…」

「桐野さんも物好きな」

「そうでもないみたいだ」

 

 私が買ったカードは禁じられた宝具のカード4種だった。

 

「このカードは…。きみこのカードはどこで…っていない」

 

 カードを見た夜行くんはカードを見て驚き、カードを売っていた女性に問い詰めようとしたけれど女性はもういなかった。

 

「ま、いいカードが手に入ったからよしとするか」

 

 後になってペガサス会長に聞いたところ禁じられた宝具シリーズに絵書かれている女性は宝具の持ち出しを神によって咎められて失楽の聖女となり、宝具の力が体から抜けるまで地上をさ迷っているという設定が有るという。

 

 もしかしたらあの女性はその失楽の聖女で宝具のカードを配る事で力を抜こうとしていたのかも知れないと思ったりした。



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第7話 綺麗なお兄さんは好きですか?

 3日目の休みをデッキの調整や開けれないパックを開けようと頑張ったりして過ごして休みは終わった。翌日私は会社に出勤するとペガサス会長に呼び出された。

 

「キリノ、新ルールであるエキスパートルールは完成しましたね」

「ええ、後は会社とは関係の無いのデュエリスト達にデュエルしてもらって反応を見るだけです」

 

 私が答えるとペガサス会長は満足したように頷いた。

 

「そこでエキスパートルールを使用した大会を開く事にしました。名づけて決闘者の王国(デュエリストキングダム)デ~ス。しかしいきなり新ルールと言ってもなれないデュエリストも大勢いることでしょう。ですからインダストリアル・イリュージョン社側からルールに詳しいインストラクターを用意する事にしました。キリノにはそのインストラクターの指導とまとめ役をお願いしマ~ス」

 

 ようやく決闘者の王国(デュエリストキングダム)が始まるのか。予感はあったがルールは原作のものとは違う物になりそうだ。

 

「分かりました。その大役見事に果たして見せます」

「それは心強いデ~ス。キリノが休んでいる間に外部からもバイトで雇う事にして募集を出しました。近日中に面接を行うので準備をしておいてくださ~い」

 

 その後ペガサス会長と打ち合わせをしていると黒服がやってきた。

 

「ペガサス様。バイトの募集を見たと『元』全米チャンピオンのキース・ハワードがやってきました。ペガサス様に面接させろと騒いでいます」

 

 ここでキースがやってくるのはやはり私が与えた影響の所為だろう。

 

「そうですか…。過去の過ちの償いのため、何時かは彼と会わないといけないと思っていました。礼の部屋に通しなさ~い」

「は!」

 

 黒服が出て行くとペガサス会長は私に着いてくるように言った。そしてキースが待つであろう部屋に入った。

 

「待っていたぜペガサス」

「久しぶりですねキース。随分と落ちぶれたようですね」

「は、誰の所為でこうなったと思っている」

 

 キースにそう言われてペガサス会長は顔を曇らせた。

 

「分かっていマ~ス、全て私のせいデ~ス。ですがこれだけは言わせてくださ~い」

「何だ?」

「バイトの面接に来たということですが、私の決闘者の王国(デュエリストキングダム)に下品な男は必要ありまセ~ン」

 

 そう言うとペガサス会長はポケットからリモコンを取り出してボタンを押した。するとキースの座っていた場所に穴が開いてキースは下に落ちていった。

 

「Nooooooo!」

「ペガサス会長!何をやっているんですか!」

 

 叫び声を上げて落ちていくキースを見て私はペガサス会長に詰め寄った。

 

「大丈夫デ~ス。すぐ下がクッションになっていマ~ス」

 

 ペガサス会長に言われた穴をのぞくと下には無事なキースがいた。

 

「ペガサス!どういうつもりだ!」

「キース、あなたはこれから綺麗なキースとして生まれ変わるのデ~ス」

「何?ん、何だお前たちは?おい!俺に何をするつもりだ!やめろ!やめてくれ~!」

 

 穴からは見えなかったがどうやら他に人がいたみたいで、キースは誰かに引きずられていった。そして…

 

「ペガサス!これは何の冗談だ!」

 

 戻って来たキースは無精髭をそられてバンダナとサングラスを取られ、キッチとしたスーツ姿になっていた。

 

「私の元で働くのならそれくらいの格好でないといけまセ~ン。では面接を始めましょうか。とはいえ目的は私へのリベンジでしょう。受けてたちます」

「ペガサス何を考えていやがる」

 

 ペガサスの様子を怪しんでキースは動こうとしなかった。

 

「キース、私はデュエルに負けました。それも相手のデッキのカードを全て把握した状態で。その結果がこれデ~ス」

 

 そう言うとペガサス会長は顔を隠していた髪を掻き揚げた。ペガサス会長の左目は千年眼(ミレニアム・アイ)を抉り出し多後何も入れず、ぽっかりと穴が開いていた。

 

「な!」

「こうなった後私はいろいろと考えました。そしてこれまでの行いを悔い改めて生まれ変わったのデ~ス。キース、あなたにも酷いことをしました。その償いとして昔の誇り高かったあなたに戻る手伝いをさせてくださ~い。そしてデュエリストのお兄さんとなって若い子供達を導きましょう」

 

 ペガサス会長なんという高い志を…。私がそう感動しているのにキースは思いっきりドン引きしていた。

 

「違う!俺が倒したかったのはこんなのじゃない!帰る!」

「逃がしませ~ん」

 

 ペガサス会長から逃げようとしたキースは部屋の入り口でペガサス会長が作動させた落とし穴に落ちた。

 

「キリノ、キースはあなたの部下として教育してくださ~い」

「いえ、これは監禁(犯罪)なのでは?」

 

 私がそう言うとペガサス会長はにっこりと笑って(いい顔とも言う)こう言った。

 

「キースはバイトの面接にやってきました。そして私はキースを採用しました。これは泊まりこみの研修デ~ス」

 

 後日キースの家族(いたんだ)からお便りが届いた。そこには身を崩したキースを更生させて欲しいというありがたい内容の物だった。こうして私は部下1号を手に入れたのだった。




 綺麗なキースは好きですか?


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第8話 運命のドラゴン

 今回のデュエルは書き直す前とほぼ一緒です。


 形式的には私の部下になったキースだが簡単に私の言う事を聞くとは思えなかった。それでもキースを使わないといけないので私はキースと取引をする事にした。

 

「け、俺はペガサスの部下にはならねーぞ」

 

 悪態をつくキースに私は1枚の紙を取り出してキースに見せた。

 

「これはバイトの契約書です。研修期間の自給はビー$で本採用になるとビー$。さらにイベントでの活躍によっては特別手当(ボーナス)も有り。その査定は私がすることになります」

 

 私がそう言うとキースは契約書を見てこう言った。

 

「俺はペガサスの部下になるんじゃねえ、お前の部下になるんだからな」

 

 つんでれさんですか。とにかく『金』の力でキースに言う事を聞かせることに成功するのだった。

 

 そして、一旦部下にするとキースは有能だった。カードプロフェッサーと名乗っていた事も有り、カードの知識は豊富でエキスパートルールもすぐに覚えて対応できた。

 

 後から採用されたバイトの教育もキースがサポートしてくれたおかげで随分と楽だった。昔のペガサス会長は有能な男を潰してくれたものだ。

 

 口は悪いが有能な部下のおかげでスタッフの教育は終えた。それを見計らってか私はペガサス会長に呼び出された。

 

「キリノは海馬ボーイに勝った武藤遊戯ボーイと面識がありますね」

 

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の時に顔を会わせているので当然だ。

 

「その遊戯ボーイに決闘者の王国(デュエリストキングダム)の招待状を送ったのですが参加しないと言う返事が届きました。私としてはぜひ遊戯ボーイには決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加して欲しいとおもっていマ~ス。スタッフの教育は終わったと聞きました。キリノ、ちょっと日本に言ってきて遊戯ボーイを説得してきてくだサ~イ」

 

 千年眼(ミレニアム・アイ)を失ったペガサス会長は遊戯に呪い(?)のビデオレターを送っていない。だから大会に興味が無い遊戯は大会に参加しようとは思わなかったようだ。

 

 それで私が日本へ説得しに行く事になったのだが、説得する必要は無いだろうと私は楽観していた。招待状が届いた時は城之内の妹さんのビデオレターはまだ届いていなかったのだろう。

 

 この世界の決闘者の王国(デュエリストキングダム)は原作の決闘者の王国(デュエリストキングダム)同様多額の賞金が出る。失明の危機にある城之内の妹さんの手術費を手に入れる為に遊戯と城之内は参加したいと言って来るだろう。

 

 そういう考えで双六爺さんの店に行き家の中に通されると、出会いがしら城之内に土下座された。

 

「お願いします。俺を決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加させてくれ」

 

 一緒にいた遊戯から原作通りの妹さんの話を聞くと私は城之内に顔をあげるように言った。

 

「城之内くん、私の権限で参加者を1人割り込ませることは出来る。しかし何の実績もない者を参加させるわけにはいかない。だから君の実力を見せて欲しい」

 

 そう言うと私はデッキからカードを1枚出して城之内に見せた。

 

「攻撃力2950…」

 

 見せたのは攻撃力2950の通常モンスター、ラビードラゴンだった。

 

「このカードが入ったデッキと戦って貰う。デッキを用意する時間を上げるから決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加するだけの実力が有る事を見せて欲しい」

 

 そう言って私は遊戯達がいる部屋から出て双六爺さんがいる店の方にまわり、双六爺さんと世間話をして時間を潰した。

 

 ちなみに預かった青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)は持ってきていない。まだ修復中で接着剤が乾いていないのだ。

 

「準備できました。お願いします」

 

 そして城之内の準備が終わり私達はデュエルすることになった。ルールは原作で言うところの王国ルール、ライフは2000、プレイヤーへの直接攻撃(ダイレクトアタック)は無し。あと今回『私の』青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)はお休みだ。

 

「では私の先攻で。私はラビードラゴン(攻撃力2950)を攻撃表示で召喚。ターンエンド」

 

 デッキはしっかりとシャッフルしたのだが、一枚しか入っていないラビードラゴンは最初から手札に入っていた。

 

「いきなり本命かよ。でも俺も負けていねえ。俺は炎の剣士(攻撃力1800)を召喚。装備魔法サラマンドラの力を装備して攻撃力アップ。カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 攻撃力1800の炎の剣士にサラマンドラの力で700ポイントアップして攻撃力2500か。だとすると伏せカードが鍵か。まだ序盤なので構わず攻撃だな。

 

「私のターン。ラビードラゴンで炎の剣士を攻撃」

「リバースカードオープン鎖つきブーメラン!これで炎の剣士の攻撃力を500アップ。攻撃力3000で反撃だ!」

 

 城乃内の言うとおり今のラビードラゴンでは強化された炎の剣士には勝てない。反撃を受けてラビードラゴンは破壊されて私は50のダーメージを受けた。

 

 キリノ・ライフ 2000 - 50 = 1950

 

「どうだ、これで俺のモンスターに勝てる奴はいねーぞ」

「では私のターン。フールド魔法竜の渓谷をセット。このカードの効果で手札を一枚捨ててデッキからダークストーム・ドラゴンを墓地に送る。そして死者蘇生でダークストーム・ドラゴン(攻撃力2700)を復活。ダークストーム・ドラゴンは召喚された後もう一度『召喚』する事で効果を発揮する事ができる。ダークストーム・ドラゴンを再度召喚。ダークストーム・ドラゴンの効果を発動。自分フィールド上の表側表示の魔法・トラップカードを一枚墓地に送り。フィールド上の魔法・トラップカードを全て破壊。私は竜の渓谷を墓地に送り、効果を発動。これによりサラマンドラの力と鎖付きブーメランは破壊される」

「そんな、俺の炎の剣士の攻撃力が元の1800に」

「バトル、ダークストーム・ドラゴン(攻撃力2700)で炎の剣士(攻撃力1800)を攻撃。炎の剣士を撃破。城乃内くんのライフに900ポイントのダメージ。ターンエンド」

 

 城乃内・ライフ 2000 - 900 = 1100

 

 さて、あえて見せたラービードラゴンが撃破されたのは想像通りだ。ここから原作デュエリスの力を見せてもらおう。

 

「俺はアックスレイダーを守備表示で召喚してターンエンド」

 

 城乃内は守りに入ったようだ。私は特に何かをするわけでもなく、城乃内の出した壁モンスターを撃破して様子を見ることにした。そして…

 

「城乃内くん、ここまでだ」

 

 私が引いたのはエネミーコントローラー。表表示の守備モンスターをこれで攻撃表示に変えればデュエルは終わる。このカードが出る前に城乃内が死者蘇生を引いてラビードラゴンを呼び出せれば勝機は有った。

 

「エネミーコントローラーで城乃内くんのアックスレイダーを攻撃表示に変更。ダークストーム・ドラゴンで攻撃」

「俺は手札のクリボーを墓地に送って攻撃を無効」

「クリボー?」

「僕が城乃内くんに貸したカードだ」

 

 突然のクリボーの登場に戸惑っていると、遊戯がそう言った。どうやら手持ちのカードでは勝ち目が薄いと考えて遊戯がカードを貸したみたいだ。

 

「言っとくけどブラックマジシャンのような主力は借りていないからな。借りたのはサポート目的のカードだけだからな」

 

 一瞬ブラックマジシャンクラスの登場を予想したが、城乃内はそれを否定した。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

 どうやら本気で行かないと駄目なようだ。攻撃が無効化されたので私はカードを一枚伏せてターンエンドした。

 

「俺のターン!よし来た、死者蘇生!。これで桐野さんの墓地のラビードラゴンを俺の場に復活させる!」

「リバースカードオープン。リビンデットの呼び声。これでラビードラゴンを特殊召喚。墓地にラビードラゴンは居無くなったので特殊召喚できない」

「なら俺は格闘戦士アルティメーターを守備表示で召喚。アクスレイダーを守備表示に直してターンエンドだ」

 

 もうデュエルも終わりが見えてきた。ただ遊戯からカードを借りている以上。洗脳ブレインコントロールがあるかもしれない。念のために対策を立てておこう。

 

「私のターン。私はダークストーム・ドラゴンとラビードラゴンで守備モンスターを攻撃。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

 私がターンを終わらせると、城乃内はカードをドローせずに止まっていた。遅延行為は失格になるけど、それは後で注意するとして今は特別に見守る事にした。もしこれで立ち止まるなら、たとえ原作キャラでも特別扱いする理由はなくなるからだ。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 でもその心配は無用で1人で立ち直ったようだ。

 

「俺は時の魔術師を使用、タイムルーレット。コイントスをして表か裏で効果が変わる」

 

 時の魔術師は原作ヴァージョンの魔法カード扱いか。私が伏せたカードは王者の看破でラビードラゴンが出ているから使用可能だ。これで無効化できるけれども城乃内の引きの強さに免じて、使わないで見守る事にしよう。

 

「コインは表、タイムルーレット成功。時の魔術師の効果で桐野さんのモンスターは数百年の時が流れて全滅。そして攻撃力の半分のダメージを受ける」

 

 私の場に出ているダークストーム・ドラゴンとラビードラゴンの攻撃力の合計は5650.その半分の2825のダメージだがらライフは0か。

 

 キリノ・ライフ 1950 - 2825 = 0

 

「よっしゃあ!俺の勝ちだぜ」

「おめでとう。城之内くんが決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加できるように私が取り計らう事を約束しよう。その代わり遊戯君も決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加してもらうのが条件だ」

「ま、城之内だと優勝は無理だろうからな、やっぱり本命は遊戯だ」

「なんだと、本田!」

 

 じゃれている城之内を見ていると、パカッという音が聞こえたような気がした。もしやと思って荷物を見ると今まで開ける事が出来なかったパックの1つの口が開いていた。

 

「どうかしたんですか?」

 

 私の様子を見て遊戯が声をかけてきた、しかし私は返事をせずに口が開いたパックの中身を見た。開いたパックは遊戯王の原作者さんが書き下ろしたイラストのカードで10周年を記念して作られたものだ。5年もの間売れずに残っていたこのパックには青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)が入っている可能性があった。だから購入したのだが、このパックには青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)は入っていなかった。

 

 もしかしたら青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を期待していたのに入っていなかったからパックは開けれなかったのかもしれない。それが今開き中に入っていたカードは…

 

「城之内くん」

「は、はい!」

 

 私に名前を呼ばれて城之内は姿勢を正した。

 

「見たところエース級のレアカードは持っていないみたいだね。それでは決闘者の王国(デュエリストキングダム)を勝ち抜くには厳しいから1枚カードを上げよう」

 

 そう言って私は5枚のカードを城之内に対して裏面を向けて扇状に開いた。

 

「この中から1枚選ぶといい」

「いいのか?」

「参加させたデュエリストが弱いと私の沽券に関わる。決闘者の王国(デュエリストキングダム)が始まれば贔屓はしないからこれが最初で最後だ」

 

 私がそう言うと城之内は5枚のうちの1枚を選んだ。選ばれたカード、真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)は城之内に掴まれると原作者さんのイラストからこの世界のペガサス会長のデザイン(まあ、どっち原作者さんのデザインなのだが…)に変化した。

 

「よっしゃあ!レアカードゲットだぜ」

「いんですか、霧野さん」

 

 カードが選んだのだからしかたがない。

 

「1ついっておくけど決闘者の王国(デュエリストキングダム)は今日戦ったルールとは違うエキスパートルールで行われる。ルールの詳細はこの冊子に書いてあるからよく読んでデッキを調整しておくように」

 

 そう言って私は荷物から2冊(・・)の冊子を取り出すと遊戯を城之内に渡した。そして双六爺さんに挨拶をしてから店を出て帰路に着いたのだった。

 

 そして飛行機の中で

 

「残りの4枚はサイコ・ショッカー、バスター・ブレイダー、ブラック・マジシャン・ガール、柴戦士タロか、どうしようか」

 

 使う予定の無い原作カードの扱いに悩むのだった。




 ちなみに5年前の10周年の記念パックはとあるお店で本当に売れ残っていました。


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第9話 蘇るブルーアイズ

 ペガサス会長のお使いを無事に終えた私は前回と違いトラブルに巻き込まれることも無くインダストリアル・イリュージョン社に帰り着いた。

 

 遊戯の参加の報告と城之内の参加の手続きを事務に任せると私はペガサス会長の所へ向かった。そしてペガサス会長の部屋から飛び出してきた夜行くんとぶつかった。

 

「ごめんさい!大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫だ。それより部屋から飛び出すだなんて一体どうした?」

「私が夜行に決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加するように言ったのデ~ス。ですが夜行は月光が出るべきだといって飛び出してしまいました。月光は私が決闘者の王国(デュエリストキングダム)で留守にしている間、インダストリアル・イリュージョン社を任せるので参加は無理なのデ~ス」

 

 私が話を聞こうとするとペガサス会長が部屋から出てきた。

 

「僕じゃ優勝は狙えません」

 

 うなだれる夜行くんに私は言った。

 

「今、参加者を1人追加でねじ込んできた。その少年は実績も実力は参加者の中では一番しただろう。でも彼は優勝を目指して戦い抜くつもりだ」

「どうして…」

「妹さんの手術の費用に大金が必要で、それで優勝賞金を狙っているんだ」

 

 そう言うと私はペガサス会長に勝手に参加者を増やした事を詫びた。

 

「その少年は自身の願いの為に戦う。決闘者の王国(デュエリストキングダム)に参加したくないならしなくていい。でもいつか自分の為に戦う日が来る。その時は逃げずに戦うんだ」

 

 私がそう言うと夜行くんはしばらく俯いた後ポツリと言った。

 

「やっぱり僕も参加します。霧野さんのいうその少年と戦ってみたい。戦ったら何かが変わる気がするんです」

「夜行くん…」

 

 夜行くんは決闘者の王国(デュエリストキングダム)で戦う事を決意した。ペガサス会長はそれを見て泣いていた。

 

「うう、妹さんを助けるために…。なんてけなげな」

「そっちですか」

「あとキリノ。預かった青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の修復が終わったそうですので取りに言ってきてくださ~い」

「…行こうか」

「はい」

 

 私と夜行くんは未だに感動して泣いているペガサス会長を置いて青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードを取りに向かった。

 

*****

 

「カードの修復は終わりました。ですが実際にソリッドビジョンシステムに反応するかどうかはまだ試していません」

 

 カードの修復士はそう言うと私に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードを渡した。たしかに表面は滑らかだが引き裂かれた後は残っている。まるで青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)そのものに傷が残っているようで痛々しかった。

 

 けれどもこの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)は死んではいない。もといた世界のOGルールでは修復したカードは使えない。でもこの世界では違う。

 

「いまからテストしてみよう。夜行くん、私とデュエルしてくれるかい」

「はい、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)と戦えるだなんて滅多にないことです」

 

 デュエルをする事が決まると私達はデュエルリングが有る場所に移動した。ちなみにこの世界はアニメ基準でソリッドビジョンシステムはデュエルリングが使われている。しかし原作漫画版のデュエルボックスも存在する。どうやらマンガとアニメ両方の設定が混ざっているようだ。

 

「じゃあルールはエイキパートルール、ライフは4000、先行ドロー有りで」

「はい問題ありません。それでは」

「「デュエル!!」」

 

 ルールの確認をすると私達はデュエルを始めた。先攻は夜行くんだ。

 

「僕のターン、ドロー。僕は(ダンディライオン 守備力300)を守備表示で召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 ダンディライオンか、迂闊に破壊するとトークンを呼んでアドバンス召喚のリリース素材をそろえさせてしまう。が、私のデッキの場合、最上級が出てきても高火力で押し切れるのでガンガン攻めたほうがいい。

 

「私のターン、ドロー。(青き眼の乙女(あおきめのおとめ) 攻撃力0)を攻撃表示で召喚。そして装備魔法(磁力の指輪)を装備」

 

 青き眼の乙女(あおきめのおとめ)に指輪が装着された瞬間、悪寒がした。しかし周りを見ても誰もいなかったので気のせいとしてデュエルを続けた。

 

「カード効果を受けたことで(青き眼の乙女(あおきめのおとめ))の効果を発動。デッキから(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン))を1体特殊召喚!」

 

 私はデッキから双六じいさんの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を取り出すと攻撃表示でフィールドに置いた。

 

「もう一度戦うために蘇れ!青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)!」

 

 私の叫びと共にフィールド上に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)は出現した。しかし青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の体にはカード同じ位置に傷跡が有った。

 

「傷を持つブルーアイズ。さしずめ青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)と言った所でしょうか」

 

 青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)か。もちろんこのカードは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)であり、他の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードとルール上の扱いは変わらない。でもこのカードに対する愛称としては良いかも知れない。

 

 もちろん双六爺さんに返すので私が本番のデュエルで使う事は無いだろうけど。

 

「いい呼び方だね、気に入ったよ。じゃあデュエルを続けよう(青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン) 攻撃力3000)で(ダンディライオン 守備力300)を攻撃!」

 

 その後青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)の挙動が問題ないか確認しながらデュエルを終えた。 

 

 そしてその夜、私は決闘者の王国(デュエリストキングダム)の参加者リストをチェックしていた。

 

「レベッカに夜行くん。原作参加者以外にこの2人が参加。さらに海馬にも正式な招待状を送付。まだ意識が戻ったという情報はないから参加は不明。キースはこちら側で乱入はない。オマケに予選を勝ち抜けるのは最大で6人(・・)。本戦これにシード2人追加でシードの1人は遊戯か。ルールも違うし、原作とは違う展開になるな」

 

 ドーマやKCグランプリのオリジナルキャラの参加は無い。未知の実力者が出てくることもないだろう。さてこの先どうなることやら…

 

 

 おまけ 1

 

 桐野が青き眼の乙女(あおきめのおとめ)に磁力の指輪を装備させた同時刻。日本・海馬邸にて。

 

「キサラー!」

 

 叫び声を上げ海馬瀬戸は目を覚ました。

 

「兄さま!気がついたんだね!」

「木馬か、俺はどれくらい眠っていたんだ。それにあの悪夢…」

「悪夢?」

 

 心配する木馬を安心させるために海馬は言った。

 

「気にするな。いるはずの無い『嫁』誰かに奪われる夢を見ただけだ」

「あ…」

 

 『奪われる』という単語に反応して木馬は暗い顔をした。

 

「どうかしたのか?」

「兄さま、兄さまの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)、インダストリアル・イリュージョン社に奪われてしまったんだ」

「何だと!」

 

 こうして役者はそろうのだった。

 

 

 おまけ 2

 

 桐野の部屋にて

 

 

 私は人間の少女の姿で実体化した青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)からある話を聞かされて落ち込んだ。

 

「女の子に傷持ちは酷いです。この姿の時は青子と呼んで下さい」

 

 心を読まれたのか地の文に突っ込みを入れられた。

 

 蒼銀とは違い会話可能な青子は自分を助けてくれたお礼を言うために実体化した。そして私に驚愕の事実を話した。

 

「それは本当なのか」

「本当よ。桐にい(桐野の事)はドラゴンを擬人化させて奉仕させる変態で。それを知った精霊は怖がってパックから出てこないの。それに彼女達はみんなきわどい格好をしているしね。真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)はうまく逃げたと評判よ。」

 

 よもやカードの精霊からそう思われていえるとは思わなかった。

 

「あ、私は噂を信じていないからね。あと銀ねえ(蒼銀の事)はブッ」

 

 青子はセリフを最後まで言う前に実体化した蒼銀に口をふさがれた。そして蒼銀は青子を連れてカードに戻った。

 

「お前達私の事をそんなふうに…」

 

 翌日幽鬼のような私を見たペガサス会長の悲鳴がインダストリアル・イリュージョン社本社ビルに響き渡った。 

 ちなみにペガサス会長が開ける事が出来なかったのは未知のカードなので弄られるのが怖かったそうだ。




 次回から王国編に入ります。


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決闘者の王国編
第1話 波乱の船上(前)


 原作とはだいぶルールが変わってしまったがいよいよ決闘者の王国(デュエリストキングダム)が開催される。

 

 まず原作通りに港で参加者を船に乗せて(杏と本田も船に乗せた)王国へ向かった。船内でルールの説明が有るのでシードの遊戯を壇上に乗せるため遊戯を探していると修羅場に出くわした。

 

「ダーリン!会いたかったわ?」

「遊戯!この子はいったい誰よ!」

 

 イメチェンしたレベッカが遊戯に抱きついて杏が怒っている。そう言えばレベッカが来た時杏たち3人はいなかったっけ。

 

「私はダーリンの婚約者よ!そういうあなたこそダーリンの何なのよ!」

「私は…そう遊戯の友達よ。友達だから遊戯が道を踏み外そうとするのを止めるのよ」

「未知を踏み外すって何よ!並んだら私の方がお似合いなんだから」

 

 あ、それは私も思ってた。ではなく止めなければ。いいかげんカードが恋人で女の子の友達がいない1人身達が殺気立ってきた。

 

「君達、ちょっと来なさい」

「「「桐野さん」」」

 

 騒ぎを収めるために遊戯達を控え室に連れて行った。

 

「カードゲームの大会で修羅場とかやめて欲しい」

「「「ごめんなさい」」」

 

 私がぼやくと遊戯達が謝ってきた。

 

「もういいから、遊戯くんとレベッカちゃんは残って。君は戻っていいよ」

 

 私がそう言うとレベッカは得意顔になった。そしえ杏は文句を言ってきた。

 

「ちょっと、どうして私だけ!」

「君は参加者じゃ無いだろ」

 

 私がそう言うとしぶしぶ杏は部屋を出て行った。

 

「さて、2人に話が有るのは本当だけど、実は用事は大会とはあまり関係ない」

 

 私は青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)を取り出して遊戯達に見せた。

 

「後は残ったけど修復は完了した。ソリッドビジョンシステムも問題ない」

 

 遊戯とレベッカは青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)を見て喜んだ。

 

「桐野さんありがとうございます」

「ただ、今すぐ返すことは出来ない。この事はホプキンス教授と双六さんの了承も得ている」

「それはどういうこと?」

 

 レベッカが聞いてきたので私は青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)に説明させたほうが言いと思って実体化させた。もちろん(パー)の消費を考えて手のりサイズで。

 

「どうも孫マスター(遊戯)とチビ孫マスター(レベッカ)。青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の精霊、青子です」

 

 青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)はドラゴンの姿で実体化した後、話をするために人の姿に変わった。

 

「ブルーアイズは人の姿になった」

「かわいい」

「私達、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)は乙女に宿る精霊が実体化したという設定なのです。この姿はその乙女の姿を借りた物です。人の姿にならないと会話不能なので理解してください」

 

 青子はそう言うと2人に向き合った。

 

「私はまだ帰る事は出来ません。何故ならあのにっくき海馬にリベンジを果たしていないからです」

「海馬くんにリベンジ?」

「そうです、私の事を誘拐しようとしたり、グランパマスター(双六)に酷い事をしたり、私を傷物にしたあの海馬です。あの男ともう一度勝負して勝つために私はしばらく桐にいの元にいます」

「私達じゃだめなの?」

 

 青子の説明を聞いてレベッカがそう聞いた。

 

「ただ海馬に勝つではだめなのです。青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の力を持って勝たなくては。今それが出来るのは桐にいだけなのです」

 

 青子がそう言うと2人は納得してくれた。私も青子に同じ事を言われた。だから双六じいさんに連絡をして了承を得たのだ。その代わり代償を支払う事になったが…

 

 その後レベッカを会場に返して遊戯をシード選手として紹介するために舞台裏に連れて行った。そこで…

 

「じいちゃん!何でここにいるの!?」

「ワシはじいちゃんではない。予選で参加者達に立ちふさがるペガサス四天王の1人、古の神官じゃ」

 

 神官のコスプレをした双六じいさんを見て遊戯はさけんだ。

 

「桐野さん!」

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を貸す代わりに大会に参加させてくれって言われたんだ。シードの遊戯くんとは戦わないからいいなって」

 

 私がそう言うと遊戯は呆れた顔をした。

 

「さてオープニングセレモニーを始めるから遊戯くんはここで待っていてくれ」

「はい、でもどうして僕は呼ばれたんですか?」

「ん、遊戯くんはシード参加だけど聞いてない?」

「聞いてませんよ!」

 

 おかしいな、招待状に書いてあったはすだけど…

 

「まあ、そういう事だから。ラッキーだと思えばいい」

 

 そう言い残して私は壇上に立った。

 

「これより決闘者の王国(デュエリストキングダム)の開催式を始めます。まずは主催者であるペガサス会長から開催の挨拶をお願いします」

 

 とは言えペガサス会長はペガサス島にいてここにはいない。私の後ろに設置されているモニター越しの挨拶となる。私の言葉でその後ろのモニターがつきペガサス会長の姿が映し出された。

 

「ようこそ我が決闘者の王国(デュエリストキングダム)へ。皆さんは私の王国でデュエルしてデュエルしてデュエルしてもらいマ~ス。そして最後まで勝ち抜いた者にデュエリストの中のデュエリスト。デュエリスト・オブ・デュエリストの称号が与えられマ~ス」

 

 ペガサス会長はそこまで言うと会場の反応をうかがった。そして無反応な所をみて残念そうな顔をした。

 

「オゥ、ノォ。ジャバニーズジョークだったのに理解出来ませんでしたか」

 

 なまじまともなセリフだったので理解出来なかったのだろう。まあそれでも一番最初に考えた『これから皆さんには殺し合いをしてもらいます』よりはマシだったから止めなかったけど。

 

「せっかくのジョークを理解してもらえなく残念デ~ス。なので後は桐野に任せて私は退散しマ~ス」

 

 そう言ってペガサス会長はモニターから消えた。

 

「続いてルールの説明に入らせて貰います」

 

 どうしようもない空気の中、私はルールの説明に入るのだった。

 

 

 オマケ

 

「なによ遊戯ったらデレデレしちゃって」

 

 1人先に返されたアンズはプリプリしながら会場に戻ろうとしていた。そしてその途中1人の青年とぶつかった。

 

「あ、ごめんなさい」

「いえ、僕のほうこそ…。あの、あなたは遊戯さんのお友達でしたよね。なら聞きたいことが有るんですけど」

「聞きたい事?」

「正確には遊戯さんとあなたの共通の友人である城之内さんの事ですが。あ、申し送れました。僕の名前は天馬夜行と言います」

 

 この出会いがどの様な影響をもたらすのかはまだ誰も知らない。



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第2話 波乱の船上(後)

 この世界の決闘者の王国(デュエリストキングダム)は私の干渉でルールが変わった。まずルールがエキスパートルール。ライフ4000、手札5枚、先攻ドロー有り、上級モンスターにはリリースが必要。

 

 予選のルールも微妙に違う。スターチップを10個集めるのは同じだが、最初はチップガーディアンという原作で言うところのプレイヤーキラーからスターチップを奪わなければならない。

 

 チップガーディアンは私とキースが教育したエキスパートルールをマスターしたデュエリスト達で、いくら好成績を残している参加者達とはいえ不慣れなルールでのデュエルに苦戦するだろう。

 

 さらにペガサス四天王という強力なデュエリストも配置してある。一見すると不利なルールかもしれないが最後にはペガサス会長とのデュエルが有るので彼らに勝てなくては優勝は無理だ。

 

 彼らに勝利する事でもらえるスターチップの数は強さに応じて1から4個まで設定してある。ただし四天王は6個と数が多い。

 

 そうしてスターチップを手にいいれれば今度はそのスターチップをかけて参加者同士でデュエルできる。そうやってデュエルでスターチップを10個集めれば予選を勝ち抜けて本戦に進める。ちなみにチップガーディアンとだけデュエルだけでスターチップを10個集めてもいい

 

 そしてて本戦に進めるのは6人まで。たとえスターチップを10個集めても7人目なら本戦には進めない。そして負けても失格にはならずどんどんデュエルできる。ただし同じ相手とはデュエルする事はできない。

 

 本戦は予選を勝ち抜いた6人とシードの2人を加えた『8人』でのトーナメントになる。本選の詳しいルールは本選前に説明すると言って。最後に遊戯をシード選手として紹介して開会式を終えた。

 

 遊戯がシードであることに誰かが意義を申し立てるかとも思ったのだが紹介する時に海馬に勝ったからだと言ったおかげか誰も文句は言わなかった。どこかで見ているであろう海馬は自分に勝ったという事で文句は言えない。全米チャンピョンのレベッカも遊戯(ファラオ)の実力を認めているので何も言わない。最後に全日本チャンピョンの羽賀は今はまだ猫を被っているので大人しかった。

 

 開会式が終わると私は海馬を探して船内を歩いていた。青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のことで話しておきたい事が有ったからだ。しかし海馬は見つからず代わりに羽賀が遊戯のエクゾディアを海に投げ捨てる所に出くわしてしまった。

 

 正直レベッカが遊戯にべっとりだったので、レベッカが羽賀を追い払うだろうと思って油断していた。捨てられたカードを目で追いかけた瞬間、エクゾディアの精霊と目があった。とっさの出来事だった。私はエクゾディアを実体化させた。

 

「へ?」

 

 エクゾディアは海に飛び込もうとした城之内を受け止めて遊戯の隣に降ろすと、高笑いする羽賀をにらみつけた。羽賀はエクゾディアに睨まれると間抜けな顔をした。そしてエクゾディアに指で突かれると座り込んで放心してしまった。

 

 それからエクゾディアが実体化を解いてカードが遊戯の手元に戻るのを見届けて私は気を失った。おそらくエクゾディアの巨体を実体化させた反動だろう。

 

 気がつくと太陽は昇り予選は始まっていた。私が気がついたのを知るとペガサス会長は私を呼び出した。

 

「キリノ、緊急事態です。これを見てくだサ~イ」

 

 ペガサス会長はそう言うと私の予選のデュエルの映像を見せた。それは城之内・海馬コンビ対迷宮兄弟のデュエルぼ様子だった。

 

 今回迷宮兄弟はペガサス四天王の1人としてタッグデュエルのチップガーディアンをやっている。その迷宮兄弟は海馬の呼び出したモンスターに瞬殺されていた。そう海馬は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)に代わるモンスターを用意していた。しかしそのモンスターが問題だった。

 

「オベリスクの巨神兵」

「やはりキリノの世界にも存在していましたか。封印したはずの神のカードがなぜか海馬ボーイが持っているので~す」

 

 海馬は迷宮兄弟に勝った後、城之内とデュエルしてスターチップを4個手に入れて予選を一抜けした。

 

「神のカードも問題ですが、海馬ボーイの行動も問題ありマ~ス」

 

 協調を目的としたタッグデュエルを神のカードで力押しして勝ち。お互い6個のスターチップを手に入れた所でパートナーからスターチップを奪う。海馬が城之内と組んでタッグデュエルをしたのは手っ取り早くスターチップを手に入れるためなのだろう。

 

「キリノ、このまま海馬ボーイを本選に進めさせるわけには行きません。海馬ボーイを止めてくだサ~イ」

 

 ペガサス会長に言われなくてもそのつもりだった。その為には…

 

「ペガサス会長、お願いがあります。海馬の3枚の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードを貸してください」

 

 彼女達の力が必要だった。




次回、神Vs究極竜


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第3話 神VS究極竜

更新遅くなりました。


「遊戯、海馬の事が気になるんだろ。俺の事は大丈夫だから海馬の後を追いかけるんだ」

「でも城之内くんが」

「大丈夫だ、遊戯から貰ったカードがある」

「分かったよ、ありがとう城之内くん」

 

*****

 

 デッキの準備を終えて海馬を待つ間に今の海馬の状態を青子から聞いた。何故海馬がオベリクスを持っているのかは分からないが、もう1人の遊戯がバラバラにした海馬の心のパズルはまだ完成していない。その状態でオベリスクを使った影響でどうやら海馬は暴走しているらしい。

 

 そしてその暴走を止めるには海馬の3体の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)が持つ残りのビースを海馬に与えるしかない。その為にはデュエルで青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を使って海馬のライフにダメージを与えればいい。

 

 つまりペガサス会長から青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を借りて正解だったと言う訳だ。ただ厄介なのは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)で3回ダメージではなくて、1枚づつで3回ダメージを与えないといけないという事か。せめてもの救いは私のデッキは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の召喚に特化していると言う事か。

 

 それからオベリクスに対抗する戦略を考えながら海馬を待っていると海馬と木馬と後から遊戯がやってきた。

 

「星はそろえた、中に通してもらうぞ」

「ええ、予選通過おめでとうございます。でも海馬くんのオベリスクの巨神兵。そのカードを本選で使わせるわけにはいきません。ですから私とデュエルをしてください。もし私が勝てばオベリスクの巨神兵はいただきます。その代わり海馬くんが勝てばこの3枚の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードを返しましょう。ただしこれからのデュエルで青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を使わせてもらいますが」

 

 私がそう言うと海馬は不適に笑った。

 

「いいだろう。もはや青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)に用は無いが、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)などもはや過去の遺物である事をこの神のカードで証明してやろう」

 

 だめだ、海馬は完全に暴走している。でなければ青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)が必要ないだなんて言うはずが無い。私は海馬を城内のデュエルリングまで連れて行ってデュエルを開始した。

 

「先攻は俺がいただく。俺は(X-ヘッド・キャノン 攻撃力1800)を攻撃表示で召喚。ターンエンドだ」

 

 もうXYZをデッキに投入しているのか。それにカードを伏せないのか。一体何を考えているんだ。

 

「私のターン、ドロー。(青き眼の乙女(あおきめのおとめ) 攻撃力0)を攻撃表示で召喚。装備魔法(磁力の指輪)を装備。(青き眼の乙女(あおきめのおとめ))の効果でデッキから(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン) 攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚。バトル、(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン) 攻撃力3000)で(X-ヘッド・キャノン 攻撃力1800)を攻撃」

 

 海馬ライフ 4000 - 1200 = 2800

 

 あっさりとダメージが通ってかえって不気味である。しかしこれでピースを1枚海馬に届けた。

 

「俺のターン、ドロー」

「にいさま…」

 

 しかし海馬の様子に変化は無く海馬はデッキからカードをドローした。

 

「(Y-ドラゴン・ヘッド 攻撃力1500)を攻撃表示で召喚。(Y-ドラゴン・ヘッド)で(青き眼の乙女(あおきめのおとめ))を攻撃」

 

 海馬、容赦なく青き眼の乙女(あおきめのおとめ)を攻撃したな。

 

「(青き眼の乙女(あおきめのおとめ))の効果を発動。攻撃を無効化して表示形式を守備表示に変更。そして(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン) 攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚」

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 攻撃が通らず、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)が増えたのにこの余裕は何だ。だがまずは2枚目の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のピースを届けなければ。

 

「私のターン、ドロー。(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン) 攻撃力3000)で(Y-ドラゴン・ヘッド 攻撃力1500)を攻撃」

「リバース、(攻撃の無力化)。攻撃を無効化してバトルフェイズを終了させる」

「カードを2枚ふせてターンエンド」

 

 攻撃が通らなければピースは届かない。けれど竜魂の城を伏せれたのでドラゴンを墓地に送れば青き眼の乙女(あおきめのおとめ)を使って青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を召喚できる。

 

「俺のターン、ドロー。フハハハハ!この勝負俺の勝ちだ。見せてやる神の姿を」

「何!」

「魔法カード、(クロス・ソウル)を発動。互いのプレイヤーはお互いのモンスターをリリースしてアドバンス召喚することができる」

 

 クロス・ソウル。原作とOGで効果が違うので忘れていた(しかも登場するたびに効果も微妙に違っていた)。たしか原作のカードはバトルフェイズの無効化は無かったはず。

 

「これで貴様の3体のモンスターをリリースして(オベリスクの巨神兵 攻撃力4000)を召喚」

 

 まずい、手札にリリース1で召喚できるモンスターがない。これではY-ドラゴン・ヘッドをリリースしてアドバンス召喚をする事ができない。

 

「どうやら召喚できるモンスターは無いようだな。バトル!(オベリスクの巨神兵 攻撃力4000)でダイレクトアタック!神の前に沈め!

 

 オベリスクの巨神兵の攻撃をくらって私は4000のダメージを受けた。しかし私のライフは4000のままだ。

 

「ばかな!何故ライフが4000のままなのだ!」

「攻撃宣言時にに罠カードを使いました」

「神には罠カードは通用しない。攻撃の無効化は出来ないはず」

「ダメージ4000は貰いましたよ。私が使ったのは(ホーリージャベリン)。攻撃してきたモンスターの攻撃力分だけライフを回復させるカードです。効果の対象は私のライフなので神の効果は関係ないです」

 

 桐野ライフ 4000 + 4000 - 4000 = 4000

 

 もっとも神の一撃をくらった身体的なダメージはでかい。蒼銀が守ってくれなかったらこれで倒れていたかもしれない。

 

「ならば、(Y-ドラゴン・ヘッド 攻撃力1500)でダイレクトアタック。俺はこれでターンエンド」

 

 桐野ライフ 4000 - 1500 = 2500

 

「私のターン、ドロー。これは…」

 

 ドローしたカードを見た時、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)達の声が聞こえた。どのみちこれをやら無ければオベリクスは倒せない。ならばやるしかない。

 

「魔法カード(竜の霊廟(りゅうのれいびょう))を発動。デッキから青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を墓地に送る」

 

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)は通常モンスターなのでもう1枚ドラゴンを墓地に送れるが、今回は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)1枚だけにしておく。

 

「そして魔法カード(龍の鏡)を発動。墓地の(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン))3枚を除外して(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン))の3対融合モンスターを融合召喚する。海馬くん、君は大切な事を『忘れて』いるよ。ブルーアイズは神を越えたモンスターだということを。いでよ(青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン) 攻撃力4500)!」

 

 まさか海馬よりも先にこのモンスターを召喚することになるとは。でも海馬の心のピースは2つとも青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)が持つ事になった。これで2回ダメージを与えればいいことになる。

 

「ばかな、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の3体融合だと」

「攻撃力4500…」

「神を超えたモンスター」

 

 海馬が遊戯が木馬が驚いている中、私は青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)で攻撃した。

 

「バトル、(青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン) 攻撃力4500)で(オベリスクの巨神兵 攻撃力4000)を攻撃」

 

 海馬ライフ 2800 - 500 = 2300

 

 ここで、Y-ドラゴン・ヘッド 攻撃力1500を攻撃すれば私の勝ちだった。しかし面倒な勝利条件が有るのでそれは出来なかった。

 

「ふっ、(Y-ドラゴン・ヘッド 攻撃力1500)を攻撃すれば3000のダメージを与えられて勝てたものを。その余裕をを後悔するがいい。俺のターン、ドロー。(Z-メタル・キャタピラー 攻撃力1500)を召喚。そして魔法カード(死者蘇生)を発動。神の効果でこのターンのみだが蘇れオベリスク!(オベリスクの巨神兵 攻撃力4000)を墓地から攻撃表示で特殊召喚」

 

 オベリスクとYとZの2対のモンスター、狙いは攻撃力の∞かか。

 

「(オベリスクの巨神兵)の効果を発動!自分の場の2対のモンスター、(Y-ドラゴン・ヘッド)と(Z-メタル・キャタピラー)を生贄にささげ、(オベリスクの巨神兵)の攻撃力を∞にする」

 

 リリースとは言わずに生贄といったか。前より神の影響が酷くなっていないか。

 

「バトル!(オベリスクの巨神兵 攻撃力∞)で(青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン) 攻撃力4500)を攻撃。神を越えるだと!そんなものはまやかしだ」

 

 海馬は高笑いをしているが、この状況は予想済みだ。対応策は練ってある。

 

「手札からオネストを墓地に送り効果を発動。(オベリスクの巨神兵)の攻撃力分の数値を(青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン))の攻撃力に加算させる。(オベリスクの巨神兵)の攻撃力は∞。よって(青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン))の攻撃力も∞になりこのバトルは相打ちになる」

「何!」

 

 ∞の攻撃力を得たオベリスクに対抗できる数少ない手段であり。勝利条件があったので今まで使えなかったカードだ。

 

 神と究極竜。2対のモンスターのバトルは衝撃を生み、一瞬デュエルリングがゆれた。そして青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)は3体の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)に分離してオベリスクと共に消えて行った。

 

「私のターン、ドロー。このデュエル私の勝ちだ」

 

 最後の最後で私のデッキは勝利条件を満たすために答えてくれた。

 

「装備魔法(|D・D・R《ディファレント・ディメンション・リバイバル》)!手札を1枚捨てて除外されている(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン) 攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚。そのこのカードを装備」

 

 除外された青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)は再びフィールドに舞い戻り海馬の前に立ちふさがった。

 

「なんだこれは。この光景以前どこかで…」

「俺もこの光景、以前どこかで…」

 

 蘇った青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を見て海馬は突然頭を抱え始めた。オベリスクは完全に倒されたので影響が少なくなってきているようだ。そしてこの光景、もしかして操られた神官セトをキサラの精神が宿ったブルーアイズが助けようとした時と似ている。

 

 海馬ともう1人の遊戯はこの光景に記憶を刺激されているのだろう。

 

「これで終わりです。バトル!(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン) 攻撃力3000)でダイレクトアタック」

 

 私の命令に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)はブレスを吐かず、全身から光をだして海馬を包み込んだ。それは最後のピースが海馬に届いた証だった。

 

 海馬ライフ 2300 - 3000 = 0

 

「にいさま!」

「海馬くん!」

 

 そしてライフが0になった海馬は意識を失い、その場に倒れたのだった。




補足

 クロス・ソウルの効果はイシズ戦の時の物を使用しています。攻撃力∞同志のバトルの裁定は遊戯王Rの神祖・オベリスクVS邪神アバターを参考にしました。


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第4話 城之内の進撃

 今回のデュエルは割と大雑把です。


 城之内Vs竜崎戦

 

 城之内 ライフ 700 場にカード無し 手札3枚

 竜崎  ライフ 1500 場に真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)攻撃表示1体、魔法&罠ゾーンカード無し

 

 城之内ターン

 

「俺のターン!俺は魔法カード『右手に盾を左手に剣を』を発動!これで『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)』の攻撃力と防御力を入れ替えるぜ!」

 

真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)攻撃力2400 → 2000

 

「はん、それでも並みのモンスターでワイのレッドアイズは倒せへんで」

「そしてここで魔法カード『融合』を発動!手札の『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)』と遊戯から貰った『メテオ・ドラゴン』を融合させる。いでよ『メテオ・ブラック・ドラゴン』(攻撃力3500)!」

 

 メテオ・ブラック・ドラゴン(攻撃力3500)

 

「こ、攻撃力3500やと!」

「バトルだ!『メテオ・ブラック・ドラゴン』(攻撃力3500)で竜崎の『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)(攻撃力2000)を攻撃!メテオ・ブラック・ファイヤー!」

 

 竜崎ライフ1500 - 1500 = 0

 

 勝者城之内

 

「うそや、ワイが何年も貯金してようやく手に入れたレッドアイズがこんな只でカードを貰った奴のレッドアイズに負けるやなんて」

「竜崎、自慢じゃないが俺もバイトとかしているからお金を溜める苦労は知っている」

「その割には変なところで金を使っているけどな」(by本田)

「うるさい!だからお前がレッドアイズを手に入れた経緯は凄いと思う。俺が勝てたのは俺に力を貸してくれたのがレッドアイズ1枚だけじゃなかったからだ」

「はん、ワイのチップを持っていけ。いいか絶対に本選に進むんやで。そこでリベンジしたるで」

「遊戯、お前のくれたカードのお陰で何とか勝てたぜ。」

 

*****

 

 気を失った海馬を部屋に寝かせると私は城之内達と合流したいと言う遊戯を城之内達の所へ案内していた。実は参加じゃたちにはGPSを持たせている。島の敷地は広大なのでこれが無いと全員の居場所が把握できないのだ。そのGPSを見れるのは運営委員だけなので私が案内するしかないのだ。…運営委員長なのに下っ端の仕事をしている理由は聞かないで欲しい。

 

「さて城之内くんはこの先のデュエルリングで四天王の1人とデュエルをしているようだ。決着には間に合うだろう」

「あの、四天王ってどんな人たちですか?何故かじいちゃんも加わっているみたいだし」

「実を言うと四天王はこのイベントのために集められた寄せ集め集団なんだよ。2人で1人分とカウントされる迷宮兄弟はペガサス会長の子飼いの部下。古の神官こと双六さんはブルーアイズの件で貸しがあったので参加させて欲しいという要請を断れず、実力をみたら強かったので四天王いり。そしていま城之内くんとデュエルしているブラック・マジシャン・ウーマンはデュエルモンスターズのコスプレが趣味の舞台女優だ。」

「舞台女優?」

 

 まあ不思議に思うのも無理は無いだろう。

 

「彼女は数年前に公演されたオペラ『ブラック・マジシャン・ガールと賢者の石』でブラック・マジシャン・ガール役をやった過去があり、その時デュエルモンスターズのコスプレに目覚めたんだ。その後デュエルモンスターズのイベントによく顔を出すようになり、そこで今回ペガサス会長が声をかけたんだ」

「ひょっとして以前言っていた杏子の憧れの人?」

 

 そういえばそんな話もあったっけ。杏子がダンサー志望になった理由は子供の頃、オペラ『ブラック・マジシャン・ガールと賢者の石』を見たからだって。

 

「正直に言うと女優としての実力はあるけど人として尊敬するのはやめた方がいいと言っておく。何しろいい年をして未だにブラック・マジシャン・ガールのコスプレをしているのだから。さすがに『ガール』は無理があるから『ウーマン』に改名させたほどだ」

 

 あとキースをあんな姿に帰るだけの物理的な力も持っている。

 

「えーと、僕は何て返せばいいのでしょう?」

「何も言わなくていいよ。本人の前では年齢の話はダブーだし」

 

 そっれから無言のまま、最後の四天王の話題を出さずに私達は城之内の元にたどり着いた。そして…

 

「誰だー!あの美少女モンスターは!」

「桐野さん落ち着いて、あれは『DNA改造手術』で戦士族になった『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)』ですよ」

 

 たどり着いた途端、目の前で真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)が美少女に変化した姿を目の当たりにするのだった。

 

「ペガサス会長は自分がデザインしたモンスターに愛着を持っているんだ。だからこんな事をするはずがない。誰だこんなプログラムを組んだのは!」

「ソリッドビジョンシステムは海馬君が作ったものだから犯人は海馬君…なわけないか」

「ブルーアイズが美少女になったら有りそうだけど、これは違う」

 

 思わず絶叫してしまったけれども何とか落ち着いて私は状況を把握しようとした。

 

「ウーマンは『マジシャンズ・ヴァルキリア』でヴィルキリーロックをかけて『一族の結束』で攻撃力を上げたのか。それ対して城之内くんは罠カード『DNA改造手術』を発動。場のモンスターが戦士族になったことでヴァルキリーロックは解除され、『一族の結束』の効果も受けれなくなったと」

「あ、城之内君が『メテオ・ブラック・ドラゴン』を融合召喚して勝利した」

 

 デュエルが終わりソリッドビジョンが消えたのを見て私はシステムのメンテナンスをしなければと思った。同じくこのデュエルを見てペガサス会長が激怒して黒服たちが怯えているのを知らないまま。

 

 そして城之内は海馬に負けた後の2個から竜崎戦の2個そして今回のウーマン戦での6個のスターチップを手に入れて、チップの合計が10個になり本選に進むのであった。 




 ソリッドビジョンの不調の謎についてはまた先の話で。ブラック・マジシャン・ウーマンの設定はオリジナルです。

補足2、某ゲームで城之内が『ブラック・メテオ・ドラゴン』を使っていたので入れてみました。


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第5話 本選開始

 オベリスクの巨神兵のイラストは下半身が描かれていない。マンガやアニメでも人や物陰に隠れたり、ソリッドビジョンに映し出されなかったりで見た記憶は無い。

 

 そのオベリスクが目の前にいる。きっちり下半身まで具現化して。

 

 オベリスクはビキニパンツだった。

 

「どうだ、アメリカで新調したこのパンツ」

 

 オベリスクはそう言うとポージングをして笑いかけてきた。

 

 …そこで目が覚めた。

 

 

*****

 

 

「悪夢だ…」

 

 ペガサス会長から自分が持っていると悪夢にうなされるからとオベリスクの巨神兵のカードを渡されたのだが…、こんな悪夢を見る羽目になるとは。何故かモンスターは私に対してフレンドリーなのが多い。持つ気は無いが、これでオシリスやラーがそろったらどうなるか考えたくない。

 

 着替えた後、デッキからオベリスクのカードを抜いてポケットにしまうと私は本選開始前の準備のために部屋を出た。

 

 デュエリストキングダムの予選は無事に終了した。しかしスターチップを集める事が出来たのは5人だけで定員の6人より1人少ない。ペガサス会長はいい考えがあると言っていたので任せたのだが大丈夫なのだろうか。

 

 予選を勝ち抜いたのは海馬、城之内、レベッカ、孔雀舞、そして夜行くんの5人だ。期待していた竜崎は星を稼ぐために最後の4天王に挑んで返り討ちにあい、間に合わなかった。それと羽賀はエクゾディアの指ちょんの衝撃から立ち直るのに1日かかり(羽賀には転んで気絶していたと言って誤魔化しておいた)、時間が足らず星を集め切れなかった。他の原作キャラを含む参加者も星は多くて7,8個だったのでどうしようもなかった。

 

「みなさ~ん。お待たせしました。これよりデュエリストキングム本選を開始しマ~ス。まずは本選を戦うデュエリスト達の紹介デ~ス。1人目はシード選手、武藤遊戯ボーイデ~ス。シードなのでエキスパートルールでの公式デュエルはこれが始めて。一体どんなデュエルを見せてくれるのか楽しみデ~ス。2人目は海馬瀬戸こと海馬ボーイ。皆さんもご存知、ソリッドビジョンシステムを開発者であり、海馬コーポレーションの(元)社長デ~ス」

「ペガサス、今こっそりと(元)を付けなかったか?」

 

 海馬のツッコミを無視してペガサス会長は話を続けた。

 

「3人目は城之内克也。今大会参加者の中で最も実績が無いのにも関わらず4天王の迷宮兄弟とブラック・マジシャン・ウーマンの2人を倒していマ~ス」

「内、迷宮兄弟は俺とのタッグで勝てたのは俺の力による物だがな」

「4人目は今大会参加者最年少、全米チャンピオンのレベッカ・ホプキンスデ~ス。見た目に騙された対戦相手を次々と返り討ちにして最後は4天王の古の神官を倒してここにマ~ス。稼いだスターチップの数はなんと15個。参加者の中でもっとも多い数デ~ス」

 

 そう双六じいさんこと古の神官はレベッカが倒した。もっとももうわだかまりは無いから何か揉めるような事は無かったけど。デュエルの内容は古代竜-エンシェント・ドラゴンを呼ぶまでにターンがかかり、レベッカのバーン攻撃でライフの大半を失ってしまったのが敗因だった。それでもレベッカ相手に古代竜-エンシェント・ドラゴンを召喚して見せた腕前は凄かったが。

 

「5人目は今大会最年長の孔雀舞。4天王にこそ勝てませんでしたが、予選中最も勝利数が多いデュエリストデ~ス」

「なんか私が年増みたいな言い方じゃないか」

 

 実際原作のデュエリストキングムと違ってこの大会は子供達の為というのがコンセプトだ。それなのに20代の舞が参加できたのは原作重要キャラだから私がペガサス会長を説得したからに他ならない。女性の参加者がレベッカだけだと問題なのであと1人くらいと言って無理に参加させた苦労を思い出す。

 

「そして6人目は天馬夜行。私の息子の1人で期待どうりに本選に勝ち上がってきたのデ~ス」

 

 ペガサス会長、その言い方は夜行くんにプレッシャーを与える事になりますよ。

 

「そして7人目。我がインダストリアルイリュージョン社の刺客。なみいる挑戦者達を返り討ちにした最後にして最強の4天王、機械王デ~ス」

 

 ペガサス会長が機械王が舞台の上に出現した。いや、よく見るとあれは機械王ではない。

 

「機械王は多くの挑戦者を返り討ちにしてレベルが6から8に上がり、パーフェクト機械王に進化しました」

「あれが最後の4天王…」

「ペガサスめ、ふざけているのか」

「でも、竜崎を始め多くの強敵に勝ったんだよな」

 

 参加者達のざわめきの中ペガサス会長は昔の千年眼(ミレニアム・アイ)を埋め込んでいた頃のあくどい顔になった。あ、これは駄目なパターンだ。

 

「このパーフェクト機械王には元全米チャンピオンのキース・ハワードの頭脳が内臓されているのデ~ス」

 

 ペガサス会長のカミングアウトに会場は騒然となった。ずっと前からこのセリフを言いたかったのは知っていたけど、こういう場合1回戦を勝ってから言うべきでしょう。それに顔つきがあくどいから皆怯えている。

 

「えい」

「な」

「おい!」

 

 仕方が無いので私はパーフェクト機械王の後ろに回り込み、頭の被り物を持ち上げた。すると中から頭にタオルを巻いた、キースの顔が出てきた。

 

「えーと着ぐるみ?」

「着ぐるみかよ」

「確かに中に内臓されているな」

 

 キースの顔を見て安心する一同に対してペガサス会長は私に怒鳴りかけた。

 

「キリノ、一体何を考えているのデ~ス。着ぐるみには中に人はいないのが鉄則なのに」

「ペガサス会長。パーフェクト機械王は着ぐるみではなくてロボです。ロボなら中に人がいてもおかしくは無いでしょう」

「そうでしたパーフェクト機械王はロボでした。私としたことがうっかりしていました」

「(((((でも機械王には中に人はいないんじゃ)))))」

 

 ペガサス会長は騙せたが他は皆その事に気がついたようだ。私はペガサス会長がその事に気づく前に大会を先に進めようとした。

 

「おい、はやく機械王の頭を返せ。いつまで俺の顔をさらすつもりだ」

 

 キース(一番の被害者)はそうぼやくのだった。




 オベリスクの下半身は不明ですが、古代エジプト人が着ていたロインクロスのような物を着ているのではと思っています。

 調べたらオベリリスというのはモニュメントだそうでオシリスやラーのように元になった神様はいないようです。それなのでオベリスクのオリジナル設定はこんなんにしました。

 残りの2神はモデルになったエジプト神話の神様の設定を参考にして考えてあります。


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第6話 ブラック・マジシャン・ガールの魔力

 久しぶりの更新です。


 キースをさらし者にするのは可哀想なので機械王の頭を返してキースに装着させた。そんなことをやっているとブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールがトーナンメント表を書いたボードと抽選のためのクジを持ってきた。ただ…

 

「杏子!どうしてブッラック・マジシャン・ガールの格好をしているの」

 

 ウーマンがブッラック・マジシャンぼ格好をして文字通りブッラック・マジシャン・ウーマンになり、何故か遊戯の幼馴染で部外者のはずの杏子がブッラック・マジシャン・ガールの格好をしていた。

 

「子供の時に私の演技を見て憧れているって言われたからちょっと助手をしてみないかと誘ったのよ。それでガールをこの子に譲って私は師匠の格好をしているのよ」

「そうだな、やっぱりガールは若いこの方がいいよな」

 

 機械王(キース)はそんな事を言った。ウーマンは睨んでいるけど若い男の子達の反応は違うみたいだ。特に夜行くんの様子が尋常では無い。しかし無くなった恋人(シンディア)以外の女性には興味が無いペガサス会長はスルーして大会を先に進めた。

 

「ではこれより本選の組み合わせを決める抽選会を始めマ~ス。遊戯ボーイは右端、機会王は左端で残りの6ヶ所を5人がクジを引いて決めマ~ス。尚、あまった場所の対戦相手は不戦勝になりマ~ス。それではペガサス城についた順に海馬ボ~イからクジを引いてくだサ~イ」

 

 そして杏子の事を海馬が鼻先で笑い城之内がからかい夜行くんがべた褒めしながら抽選は行われ。対戦カードは決まった。

 

 本選第1試合 武藤遊戯 Vs 天馬夜行

 

   第2試合 海馬瀬戸(対戦相手がいない為不戦勝)

 

   第3試合 城之内克也 Vs 孔雀舞

  

   第4試合 レベッカ・ホプキンス Vs パーフェクト機械王(キース)

 

 城之内は予選で孔雀舞とデュエルしていないから原作補正が来たのだろうか。それと第4試合の新旧全米チャンピヨンの戦いも気になる。そして海馬は不戦勝か。夜行くんには悪いけど遊戯が勝って遊戯 Vs 海馬戦が再現されるのだろうか?

 

 試合の組み合わせについて考えていると海馬がペガサス会長に話しかけて来た。

 

「ペガサス提案がある。俺をこの男と戦わせろ」

「へ、私?」

 

 予想外の事だったので間抜けな声を出してしまった。何しろ海馬は私をデュエルの対戦相手に指名したからだ。

 

「負けてオベリスクを取られたのはいい。だが代わりに青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードを3枚置いていくのは俺の教示が許せん。だからこの男に勝ち大手を振って青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を使えるようにしたい。無論負けたらそこで終わりで構わん」

 

 どうやら因縁が付いてしまったようだ。

 

「海馬ボーイ、私の元にきなサ~イ」

 

 海馬の提案を聞いたペガサス会長は海馬を自分の元に呼び寄せた。

 

「元々時間は取ってあるのでデュエルするのは問題ありまセ~ン。ですが王国の裏ボスであるキリノは強いデ~ス。本選のメンバーが1人欠けたとき、キリノをねじ込もうかと考えたのですがそれはあまりにも可哀想なので断念したほどデ~ス」

「裏ボスかよ」

「あ、でもよくゲームで最初に主人公の面倒を見てくれる人がクリア後の裏ボスで出てくることってよくあるよね」

 

 ペガサス会長の話を聞いて遊戯達が何か言っている。裏ボス認定は私も初耳なのだが。

 

「ちなみに私は以前キリノに負けてこうなりました」

「ペガサス!その目は!」

「ペガサス会長!それは自分でやったことでしょう!」

 

 ペガサス会長が前髪をどかして海馬だけに左眼のあった所を見せた。今は千年眼(ミレニアム・アイ)は無く、ぽっかりと空いた穴が有るだけである。それをやったのが私だと誤解されるのは嫌なので私は思いっきりツッコミを入れた。

 

「そうデ~ス。キリノとのデュエルに負けてこうなりました」

「え、ペガサスが負けた」

「桐野さん、ペガサスよりも強い」

「さすが裏ボスだぜ」

 

 またギャラリー達が騒いでいる。

 

「構わん!ペガサスよりも強いと言うなら都合がいい。最強の称号を手に入れるための踏み台にしてくれるわ」

「分かりました、覚悟が出来ているのなら問題ありまセ~ン。ですがキリノのデッキは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を抜いた所為でまともに戦えまセ~ン。準備が必要なのでデュエルは第4試合の後になりマ~ス。キリノ!ここは私に任せて準備をしてきなサ~イ」

「はい、分かりました」

 

 私の意見を聞かずに決めた。宮仕えの辛いところである。まあ、仕事は変わってくれると言うので文句は無い。

 

「所でどうして遊戯ボーイ達は私はペガサスと呼び捨てでキリノは桐野さんとさんづけなのでしょうか?」

「人徳の差だろう」

 

 ペガサス会長と機械王(キース)がそんな事を話していたが私は聞かない事にして部屋に戻った。

 

 そしてデッキの準備をして戻ってみると。そこかカオスだった。

 

 遊戯にドレス姿の美少女にクラスチェンジしたレベッカがべた付き、夜行くんが放心して白くなり、ペガサス会長は男泣きをして、孔雀舞は城之内に熱いまなざしを向けていた。

 

「一体何が有った?」

「いろいろと有ったんだぜ」

「キース…」

 

 私は困惑していると機械王(キース)がやってきて説明してくれた。

 

 まず第1試合、夜行くんは杏子に遊戯に勝ったら付き合ってくれと告白した。

 

「いや、夜行くんは杏子ちゃんの事を気にしていたみたいだけどいきなり告白って」

「ブラック・マジシャン・ガールの魔力にやられたんだ」

 

 ブラック・マジシャン・ガール…、デュエルモンスターの女の子モンスターの中でダントツの人気を誇るモンスター。昔私は原作のパンドラ戦でブラック・マジシャンが遊戯を守って散っていき、その意思を継ぐかのような登場の仕方に『燃え』を感じて使っていた。しかし一般的には『萌え』のモンスターである。その魔力にやられたのか仕方が無い。

 

「そんな夜行をみてペガサスは義子の成長を喜んだ。だがデュエルは遊戯が勝ち返事は貰えずじまい。そしてああやって落ち込んでいる」

 

 その落ち込み具合に同情して罰ゲームは無しになったそうだ。

 

 そして第2試合、罰ゲームがあり、その内容が負けたらウーマンの手によってコスプレと知って孔雀舞は動揺した。予選でも孔雀舞はウーマンに負けてハーピィ・ガールの格好をさせられそうになった。ハーピィ・レディではなくて夢見る女の子のハーピィ・ガールのコスプレにだ。

 

 そこに城之内達が現れて城之内は孔雀舞を庇いデュエルに勝利してコスプレを無かった事にした。そして第2試合になってその時の恐怖が蘇ったそうだ。それを見かねた城之内が『俺がかったら舞ではなく俺を好きにいじればいい』といって男気を見せてああなったそうだ。

 

 孔雀舞はああ見えて精神面が弱いところがある。ウーマンもそれを見抜いてハーピィ・ガールを選んだのだろう。結果孔雀舞は全力を出して城之内に負けて、ペガサス会長が城之内の男気を認めて罰ゲームは無しになった。

 

 最後に第4試合デュエルはまともに行われ最後に機械王(キース)が勝利した。まともなデュエルだったので罰ゲームは行われたのだが相手が子供だったのがウーマンはレベッカを『恋する乙女』の姿にした。どこかで見たような気がしていたけどあれはGXで早乙女レイが使っていた恋する乙女の格好だったのか。

 

「その後美少女にクレスチェンジしたレベッカちゃんは遊戯に猛烈なアタックを仕掛けべた付いていると。それなら杏子ちゃんが過剰反応しそうだけど」

「ガールならウーマンが連れて行ったからここにはいないぞ。キリノと海馬、負けたほうに着せるコスプレの準備をしに行ってこの光景自体知らないからな」

 

 それは修羅場にならなくてよかった。夜行くんも告白した相手が他の男と修羅場になる所を見なくて済んでよかった。いやそれを見越してウーマンが連れて行ったのか。

 

 ウーマンの気転に感心していると海馬がやってきた。

 

「遅いぞ!いつまで待たせるんだ」

「やっぱりこの状態のなか正気で待つのは辛かった?」

「…いいからデュエルだ!貴様に勝って俺は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を取り戻す!」

「こっちとしても約束があるので負けられないよ」

 

 そう青子との約束、リベンジがあるのだから。

 

「両者の準備はいいですね。ではこれより特別試合を始めマ~ス」

 

 私達に気づいたペガサス会長は場の空気をデュエル一色に染め直した。

 

「いくぞ!「デュエル!!!」」

 

 そして正気の海馬を相手に青子のリベンジが始まるのだった。




 キースが機械王の格好をしている理由は城之内戦で…


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第7話 激突するドラゴン(+1)

 ペガサス会長の始めの合図で私と海馬のデュエルが始まった。尚、先攻は海馬からである。

 

「俺のターン、ドロー!ふっ、ふはははは。やはり俺はブルーアイズに選ばれている。俺は魔法カード『融合』を発動!手札の3枚の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を素材としていでよ!

青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』」

「1ターン目からアルティメット」

 

 青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン) 攻撃力4500

 

「そして俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

 海馬ライフ 4000 手札0 伏せカード2枚

 

 いきなりアルティメットとはさすがと言うべきか、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)に愛されているというべきか。しかし私としても負けるわけには行かない。

 

「私のターン、ドロー。私は『ミラージュ・ドラゴン』(攻撃力1600)を攻撃表示で召喚。このカードがフィールド上に存在する限り相手はバトルフェイズ中に罠カードを発動できない」

 

「バトル、「メインフェイズ1終了前に罠カード発動。『DNA移植手術』!俺は『闇属性』を宣言。これでフィールド上のモンスターは全て闇属性になり、光属性の攻撃力を上げるオネストは使えない」」

「アルティメットを前に攻撃力が1600の『ミラージュ・ドラゴン』を出した時点でバレバレか。それにメインフェイズなら罠カードも使えると」

 

 オネストを読まれていた。しかしまだ打つ手はある。

 

「速攻魔法『禁じられた聖槍』を『ミラージュ・ドラゴン』を対象に発動。これで『ミラージュ・ドラゴン』の攻撃力は800ポイントダウンする。しかしエンドフェイズ時までこのカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。よって『DNA移植手術』の効果は無効化され、『ミラージュ・ドラゴン』は光属性に戻る」

 

 手術台に載せられたミラージュ・ドラゴンを助けるために槍を持った聖女が出てきて、手にした槍でドクター達を追い払った。そしてこれでオネストが使えるようになる。

 

「バトル、『ミラージュ・ドラゴン』で『青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』を攻撃」

「速攻魔法『融合解除』これで『青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』をエクストラデッキに戻して墓地から『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』3対を攻撃表示で特殊召喚する。」

 

 海馬の最後の伏せカードが表返り融合解除が発動された。初手に青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)3枚、融合、融合解除とはどれだけの強運なのだろう。

 

 

「攻撃宣言時にに相手フィールド上のモンスターの数が変わったので戦闘の撒き戻しが起こる。私は『ミラージュ・ドラゴン』(攻撃力800)で『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』に攻撃。そして手札の『オネスト』の効果発動。このカードを墓地に送り『ミラージュ・ドラゴン』の攻撃力を『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』の攻撃力3000分アップさせる。これにより『ミラージュ・ドラゴン』の攻撃力は3800になり青眼の白龍《ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン》』の攻撃力3000を上回る事になる」

 

 ミラージュ・ドラゴンは1体目の青眼の白龍《ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン》を撃破して破壊した。

 

 海馬ライフ4000 - 800 = 3200

 

 しかし海馬のフェールドにはブルーアイズは2体残っていてこちらが不利なのは間違いない。オネストも有効な使い方が出来たとは言えない結果になったしまった。

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド。ターン終了時に『禁じられた聖槍』の効果は終了し、『ミラージュ・ドラゴン』は攻撃力1600に戻り、『DNA移植手術』の効果を再び受けて闇属性になる」

 

 キリノライフ4000 手札1 伏せカード2枚

 

 手札にオネストと禁じられた聖槍が有ったから高確率でアルティメットを戦闘破壊できると思っていたのだけど、まさかこんな結果に終わってしまうとは。

 

「俺のターンドロー!バトルだ!まず1体目の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』で『ミラージュ・ドラゴン』を攻撃!」

 

 ブルーアイズの攻撃でミラージュ・ドラゴンは破壊され私は1400ポイントのダメージを受けた。

 

 キリノライフ 4000 - 1400 = 2600

 

「続いて2体目の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』でダイレクトアタック!」

「罠カード発動!『ホーリージャベリン』。これで『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』の攻撃力分のライフを回復」

 

 キリノライフ 2600 + 3000 - 3000 = 2600

 

「ダメージを受けたことで罠カード発動!『ダメージコンデンサー』。手札1枚を捨てて今受けたダメージ3000以下の攻撃力を持つモンスターをデッキから攻撃表示で特殊召喚する」

「そうか、ライフは変わらないけどダメージを受けた事に変わりがないから『ダメージコンデンサー』を発動する事が出来るんだ」

 

 遊戯、解説をありがとう。

 

「ふん、それで一体何を呼ぶつもりだ?『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』は3枚とも俺の元にある。それ以外のモンスターなど全て雑魚に等しい」

「『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』は3枚だけではないでしょう」

「何?」

 

 私は海馬にそう答えると双六爺さんを一瞥した。

 

「今こそ約束を果たす時。私は『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を攻撃表示で特殊召喚する」

「何だと!」

 

 海馬の驚きを余所に青子は、傷を持つ『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』は召喚された。

 

「傷があるブルーアイズ…」

「このブルーアイズは以前海馬社長が引き裂いた双六じいさんのブルーアイズ。それを借り受けインダストリアル・イリュージョン社で修復したもの。さあ、反撃の時だ」

 

 私がそう言うと海馬は笑いながらプレイを続行した。

 

「ふん、ブルーアイズ1枚で何が出来る。俺はモンスターを裏守備で通常召喚してターンエンド」

 

 海馬ライフ 3200 手札0 

 

 確かにフィールドには青子1体で手札も伏せカードも無い。全てはこのドローにかかっている。

 

「私のターン、ドロー。私は魔法カード『強欲な壺』を発動。デッキから2枚ドロー」

 

 何故か入れる気になれない強欲な壺だったが(注:ブランクが長くて強欲な壺が禁止カードになった事を知らない)、ペガサス会長の勧めで入れておいて正解だった。

 

「魔法カード『(ほろ)びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)』。自分フィールド上に『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』が存在する時に発動可能。相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。そのかわりにこのターン

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』は攻撃できない」

「な、俺のブルーアイズが」

 

 青子のブレスで海馬のブルーアイズと裏守備のモンスターは破壊された。…裏守備は人喰い虫だったのか。青子を破壊される所だった。

 

「だが攻撃は出来ないのだろう」

「ええ、ブルーアイズはね」

 

 私はそう言うと青子を見た。青子は海馬のブルーアイズを全滅できたから構わないとそう言っているようだった。

 

「『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』をリリースしてアドバンス召喚!『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』(攻撃力2200)!このカードは召喚・特殊召喚に成功した時効果を発動。相手の墓地の魔法カードを5枚まで除外できる。海馬社長の墓地の魔法カードは『融合』と『融合解除』の2枚。この2枚を除外する」

 

 ホワイト・ホーンズ・ドラゴンの効果で魔法カードが2枚除外された。

 

「そして除外した魔法カードの数×300ポイント『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』の攻撃力をアップさせる。よって『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』の攻撃力は600ポイントアップして2800になる。バトル、『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』(攻撃力2800)でダイレクトアタック」

 

 海馬ライフ 3200 - 2800 = 400

 

「私はこれでターンエンド」

 

 キリノライフ 3000 手札0 

 

 これで一気に追い込んだ。だが何か嫌な予感がする。

 

「俺のターン、ドロー。ブルーアイズをリリースして上級モンスターを呼んだか。後悔するがいい、最強のモンスターであるブルーアイズを墓地に送った事を。魔法カード『龍の鏡』を発動!墓地の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』3体を除外して再びいでよ『青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』」

 

 龍の鏡での融合召喚。攻撃力4500の最強モンスターが再びフィールドに現れた。

 

「バトルだ『|青眼の究極竜《ブルーアイズ・アルティメットドラゴン』(攻撃力4500)で『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』(攻撃力2800)を攻撃!」

 

 キリノライフ 3000 - 1700 = 1300

 

「ターンエンド。見よこれが選ばれた者の実力だ!」

 

 海馬ライフ400 手札0

 

 優勢だったのが一気に追い込まれてしまった。まだライフは1300以上残ってはいるがアルティメットを前にしてはまったく意味がない。しかし諦めるにはまだ早い。『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』は私がこの世界に持ってきたパックに入っていたものだ。今まで開ける事が出来なかったものをこのデッキを組む時にオベリスクが開けてくれた。そしてもう1枚。ゴールドのパックに入っていたカードを1枚デッキに入れてある。もしそのカードを引き当てればこの状況を逆転できる。

 

「私のターン、ドロー。私が引いたのは『カオスソルジャー…」

「ふん遊戯も使っていた儀式モンスターか」

開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)』」 

「何?何だそのカードは」

 

 知らなくても仕方が無い。この時期まだ登場していないであろうカオスシリーズのカードだ。

 

「このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを一体ずつ除外しや場合に召喚できる。私は墓地の光属性の『ミラージュ・ドラゴン』と闇属性の『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』を除外して手札の『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』攻撃力(3000)を特殊召喚」

 

 私のフィールドにカオスソルジャーが現れた。このモンスターの効果ならアルティメットを除外できる。

 

「『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』の効果を発動。1ターンに一度フィールド上のモンスターを除外できる。私は『青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』を選択。この効果を使用したターン、このカードは攻撃できない。私はこれでターンエンド」

 

 キリノライフ 2400 手札0

 

 これで海馬はアルティメットを呼べない。たとえ除外されたモンスターを戻すカードを引き当ててもライフも手札もない状況では発動コストを払えないからだ。けれども海馬の目はまだ死んではいなかった。まだ諦めてはいなかったのだ。

 

「俺のターン、ドロー!俺は魔法カード『死者蘇生』を発動。貴様の墓地の

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を特殊召喚する」

 

 海馬のブルーアイズは3体とも除外して墓地にはいない。表側表示の人喰い虫は役に立たない。呼び出すとしたら私の墓地のモンスターしかいない。召喚するのは青子しかない。

 

 しかし召喚されたブルーアイズ…青子は抵抗するかのようにソリッドビジョンを乱れさせた。

 

 うん、本気で嫌がって抵抗している。

 

 

「く、これは。やはり俺に従わないというのか」

 

 このまま青子が消えるのは私の本意では無い。人前ではあるけれども仕方がない

 

「青子!ルールはルールだちゃんと従え」

 

 私がそう言うと青子は抵抗をやめて海馬のフィールドに召喚された。

 

「おい、貴様今何をした?」

「まあ、気にしない、気にしない。壊れたテレビを叩いて直した感じで行こう」

 

 そう言って誤魔化したのだが、外野の夜行が余計な事を言った。

 

「キリノさん、どうして僕が青眼の傷持白龍(ブルーアイズ・スカー・ホワイト・ドラゴン)というかっこいい愛称をつけたのに青子って呼ぶのですか」

 

 スカー、スカーだ。こっちのほうがかっこいい。

 

 と外野が騒ぎ出したので私は仕方がなく答えた。

 

「それはうら若い乙女に対して傷持ちは酷いと青子が言うからだよ」

「ベガサス!貴様ソリッドビジョンシステムに何をした!」

 

 私のセリフと共に今度は青子が乙女的なポーズをしてシッポをフリフリしたのでそれをみた海馬がペガサス会長に文句を言ってきた。

 

「ノー、私は何もしていません。ソリッドビジョンシステムは海馬コーポレージョンの管轄でしょう」

「モンスターのモーションに関してはインダストリアル・イリュージョン社も1枚かんでいるだろう!」

 

 このまま言い争いが続くと海馬は遅延行為と取られてしまう。だから私は海馬に声をかけた。

 

「海馬社長、デュエルを続けましょう。文句があるのならデュエルの後でしてください。夜行くんもこれ以上デュエルの邪魔をするような発言をすると退場になるよ」

「一番問題なのは貴様と貴様のモンスターだろ!行くぞ、俺は『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』で『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』を攻撃。同じ攻撃力3000同士相打ちだ」

 

 海馬の言う通り青子とカオスソルジャーは相打ちで消滅した。墓地から壁モンスターを召喚してもカオスオルジャーに破壊されるか、除外される。これしか現状では最善の選択だろう。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 海馬ライフ400 手札0

 

「私のターン。もしこれで私が攻撃力400以上のモンスターを召喚できれば私の勝ちだ」

 

 けれども呼べなければおそらく海馬は逆転のカードを引くことだろう。けれどもそうはならないと言う自身があった。海馬にブルーアイズの守りが有るように、私にも守護龍がいるからだ。

 

「ドロー、私が引いたのは魔法カード『銀龍の轟咆(ぎんりゅうのごうほう)』。このカードで蘇生できるのは今私の墓地には1体だけ。蘇れ『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』」

 

 蒼銀の泣き声と共に青子が私のフィールドに現れた。

 

「海馬社長、ブルーアイズに止めをさされる気分はどうですか?」

 

 自分が破いたカードが蘇って自分に止めをさす。どんな気分なのか知りたくて聞いてみた。

 

「ふん、はっきり言っておく。俺は貴様に負けたのではない、ブルーアイズに負けたのだ。あの時4枚目を引き裂いて敵に回さないようにした時から今日の敗北は決まっていたのかもしれないがな。いいだろう、いまはブルーアイズが俺に送る敗北を受け入れよう。だが必ず俺は這い上がりもう一度ブルーアイズを取り戻す。さあ来い!」

 

 海馬はそういい残し青子のブレスを受け入れた。

 

 

 

 

 

 まあ、ソリッドビジョンだから無傷だけど。それと次の海馬のドローカードは命削りの宝札(手札を5枚になるようにドローする。5ターン後すべての手札を墓地に置く)だった。私が勝てたのは蒼銀の加護のお陰だ。




 2,3日と言っておきながら割と早く修正できました。


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第8話 揃いし白龍

 ブルーアイズの新カードの情報を見てやる気を出した。それから王国編の後の展開も変える事にしました。


 デュエルが終わると海馬は黒服に連れて行かれた。コスプレという名の罰ゲームを受けるために。

 

 そして私はと言うとギャラリーで観戦していた双六さんの元へ向かった。預かっていた青子のカドを返すために。

 

「双六さん。約束は果たしました。今、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードをお返しします」

 

 そう言ってカードを差し出したのだが、双六さんは受け取らなかった。

 

「いや、アーサーとも相談してしめたのじゃがそのブルーアイズはそのまま桐野さんに預ける事にした。ワシ等が持っているよりもブルーアイズを使いこなせるじゃろう」

「レベッカもそれでいいな」

「ふん、あんなのを見せられたら文句は言えないわよ。それに私は機械王(キース)に負けた訳だし」

 

 双六さんがそういい、ホプキンス教授が文句を言いそうなレベッカを説得して最後にレベッカが認めたので青子のカードはそのまま私が使う事になった。これでペガサス会長が預かっているエラーカードが戻ってくれば私のデッキに青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のカードが3枚揃う事になる。でもただカードを預かるだけでは悪いのでお返しをする事にした。

 

「じゃあ、代わりにこのカードを渡しておきます。自分で使うなりお孫さんに渡すなり好きにしてください」

 

 そう言って私はデッキからカオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-を抜いて双六さんに渡した。

 

「これは!いいのか?」

「今回は使いましたけど私のデッキに闇属性は少ないので(あとカオスを入れるとしたら混沌龍帝(カオスエンペラー・ドラゴン)のほうがいいから、まだ持ってはいないけど)」

「ではありがたく預からせて貰うとしよう」

 

 こうしてカードの交換?を終えると次のデュエルが始まろうとしていた。遊戯は不戦勝だから次は城之内Vs機械王(キース)か。

 

 しかし現れたのは機械王(キース)ではなくてバンデット・キースだった。

 

「キース!その格好はどういうつもりだ!」

「桐野、俺は王国でのデュエルで思い出したんだ!俺のデュエリストとしての有り方を。俺は目の前の相手を倒して上に上がる。そういう生き方が俺らしいと。だから今の俺は王国の機械王じゃねえ。元アメリカチャンピヨンのキース・ハワードだ。そしてこの大会で優勝してもう一度ペガサスと戦う!」

 

 私の詰問にキースはそう答えた。

 

「あんたの部下でいた時の事は楽しかったぜ。でもさらばだ」

「キース、これで負けたらどうなるのか分かっているのだろうな?」

「ああ、全て覚悟の上だ」

 

 そう言ってキースは対戦相手である城之内の方を向いた。

 

「待たせたな。いくぞ城之内」

「へ、よくわから無いけど上等だいくぜ!」

 

 そして始まったデュエル。キースはイカサマなどせず正々堂々た戦った。そして終止有利にデュエルを進めた。しかし原作補正なのか勝利の女神が上之内にほほえんだのか最後の最後で城之内が逆転して勝利した。

 

「よっしゃ!俺の勝ちだぜ」

「キース…」

「…」

 

 負けたキースは顔を俯かせて何も言わなかった。

 

「キースいいものを見せてくれてアリガトウございマ~ス。しかし敗北は敗北です。まして私を裏切るなど覚悟は出来ていますね」

「分かっている。好きにしろ」

 

 ペガサス会長が話しかけキースはようやく顔を上げた。そして2人の会話に会場は静まり返った。

 

「今までの働きによる給料は色をつけて振り込んでおきマ~ス。ではさらばデ~ス」

 

 そう言ってペガサス会長は手元のボタンを押した。

 

「ちょっと待て!!ノォォォォ!!!!!」

 

 するとキースの足元の床が開いてキースは下に落ちていった。

 

「キース、そのリアクションは最高デ~ス」

「ペガサス会長、デュエルリングに落とし穴を仕掛けていたんですね」

 

 そう言いながら私は開いたままのキースが落ちていった穴を覗いた。暗くて中の様子は見えなかったけれども声は聞こえてきた。

 

「やめろ!お前達放せ!お前はウーマン!その手に持っているのは何だ!やめろやめてくれ!女装はいやだ!ノォォォォ!!!!!」

 

 それを最後に落とし穴はガタンといって閉じて言った。

 

「では、ここでランチタイムに入りましょうか。決勝戦はランチの後で行います。遊戯ポーイ、城之内ボーイはデッキの最終調整をしておいてくだサ~イ」

 

 そう言ってペガサス会長は何事も無かったかのように立ち去って言った。

 

 そしてランチタイム後私はペガサス会長に呼ばれた。

 

「キリノ、決勝戦の司会はカイバーマン(海馬ボーイ)にして貰う事にしました」

 

 海馬、結局カイバーマンになったのか。

 

「そして決勝戦後のエキシビションは遊戯ボーイと城之内ボーイそしてミーとキリノのバトルロイヤルにしようかと考えていマ~ス」

「バトルロイヤルですか?」

 

 私がそう聞き返すとペガサス会長は頷いて答えた。

 

「キリノが海馬ボーイに勝ったままドロップアウトしたので皆誰がこの中で一番強いのか知りたがっているのデ~ス。そして私はこのエキシビションをシンクロ召喚のお披露目にしようかと考えていマ~ス。ですからキリノはこれからシンクロ召喚を組み入れたデッキを作ってくだサ~イ」

 

 そのために司会をカイバーマン(海馬ボーイ)にやらせる訳か。

 

「その為にこのカードを返しておきマ~ス。青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のエラーカードデ~ス」

 

 エラーカード、これでようやく青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)が3枚揃う。しかし渡されたカードは前見た時と変わっていた。 

 

「あの、ペガサス会長?」

「キリノがんばるのデ~ス」

 

 渡された青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)はブルーアイスの部分だけ左右が反転していた。カード事態は通常モンスターの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)なのだが肝心のブルーアイズの見た目がSinになっていたのだ。

 

『反省と更生の為にあなたに預けます。Byカードを狩る死神』

 

 テキストを見るとそんな事が書かれていた。…読み終えたら元の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)のテキストに戻ったが。

 

「なにか呪われそうなんですけど」

「銀の守護龍が居るキリノなら大丈夫です。あ、呪いで思い出しましたが当然神のカードは禁止ですよ。あとできれば青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)の使用も控えてくださ~い」

 

 そう言われて私はデッキ作りの為に追い出された。

 

『憎い、魔法少女が憎い。魔法少女を使うデュエリストが憎い!』

 

 大丈夫か?これ…



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第9話 バトルロワイヤル開始 降臨シンクロモンスター

 私がデッキを組み終えて会場に行くと決勝戦は遊戯の勝利で終わっていた。今のペガサス会長は賞金を渡さないとかは考えていないので城之内妹の手術費の心配は無いだろう。後で月光君に連絡を入れて賞金の税金や腕の良い医者の紹介とかのフォローを頼んでおくとしよう。

 

 ペガサス会長が遊戯に賞金の小切手を渡してそれを遊戯が城之内に渡したところを見届けてペガサス会長はバトルロイヤルを行う事を宣言した。

 

「ではこれよりエキシビションを行いマ~ス。バトル形式は私と遊戯ボーイ、そして裏ボスキリノと城之内ボーイ計4人によるバトルロイヤルデ~ス。そしてこのエキシビションで新しい種類のカードの発表を行おうと思いマ~ス。皆さんデュエルの行方を注目していてくだサ~イ」

 

 ペガサス会長の宣言とともに会場のデュエルリングが下に下がっていきそれから新しいデュエルリングがせりあがってきた。これは迷宮兄弟がタッグデュエルで使っていたものだ。システムを弄ればバトルロイヤルも出来るので急遽城まで運んできたらしい。

 

「では遊戯ボーイと城之内ボーイはそちらに、私とキリノはこっちに来てくだサ~イ。ルールはライフ4000でエキスパートルールで行いマ~ス。ただし一巡目はドロー、バトル無しです。順番は優勝者の遊戯ボーイ、城之内ボーイ、私、キリノの順番で行きマ~ス」

 

 ペガサス会長がルールを説明すると遊戯達はルールを飲み込めたらしく問題な誘うな顔で位置についた。

 

「ではこれよりバトルロイヤルを開始シマ~ス」

 

 こうしてバトルロイヤルは開始された。

 

 1順目

 

「僕のターン!」

 

 僕?よく見たらデュエルしているのは表のほうだ。何もかかっていないからなのか、表の遊戯にも大会に参加させたいからなのか今回はファラオは出てこないのか。

 

「魔法カード『融合』を発動。手札の『バフォメット』と『幻獣王ガゼル』を融合させて『有翼幻獣キマイラ』(攻撃力2100)を攻撃表示で融合召喚!さらにカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 遊戯 ライフ 4000 手札1枚 伏せカード1

 

 有翼幻獣キマイラに伏せカード1枚か守りを意識した布陣だな。次は城之内か…。今の城之内が果たして何処まで出来るか…

 

「俺のターン!俺も手札から『融合』を発動!『真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)』と『メテオ・ドラゴン』を融合させて『メテオ・ブラック・ドラゴン』(攻撃力3500)を攻撃表示で融合召喚!こい『メテオ・ブラック・ドラゴン』!」

 

 いきなり最強モンスターを出してきたか。

 

「おれはこれでターンエンド!」

 

 城之内 ライフ 4000 手札2枚 伏せカード0

 

 城之内は伏せカード無しか。メテオ・ブラック・ドラゴンに自信が有るんだな。

 

「では私のターンに入ります。私は手札から永続魔法『トゥーン・ワールド』を発動。そして手札から『トゥーン・マーメイド』(攻撃力1400)を攻撃表示で特殊召喚しマ~ス。トゥーンモンスターは特殊召喚されたターン攻撃は出来まセ~ン。しかしこのターンは攻撃出来ないので問題はありまセ~ン。私はこれでターンエンドデ~ス」

 

 ペガサス ライフ 4000 手札3枚 伏せカード0

 

 ペガサス会長はトゥーンできたか。じゃあ次は私の番だ。

 

「では1順目ラスト、私のターン!魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動。手札のモンスター一体を墓地に送りデッキからレベル1のモンスターを特殊召喚。私は『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』(星1 攻撃力0)を攻撃表示で特殊召喚。そして魔法カード『禁じられた聖槍』を『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』を対象に発動。『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』の効果はもう知っているね。デッキから『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(星8 攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚!」

「ブルーアイズ…」

「いきなりかよ」

「でも気のせいか迫力が…」

「そう言えば胸に傷が無い!」

「ふっふっふ。あれは私がキリノの為に用意した(事にしてある)パラレルカードデ~ス」

「うわ!ずりー」

 

 出てきた石版ブルーアイズを見て皆がそんな事を言っているがまだ私のターンは終わっていない。

 

「プレイを続けますよ。『ワン・フォー・ワン』のコストで墓地に送った『レベル・スティーラー』の効果を発動。このカードが墓地にあるとき自分フィールド上のレベル5以上のモンスターを対象に効果を発動。対象としたモンスターのレベルを1つ下げてこのカードを墓地から特殊召喚する。私は『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』のレベルを1つ下げて『レベル・スティーラー』(星1 守備力0)を守備表示で特殊召喚」

 

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン) 星8 → 星7

 

「ブルーアイズのレベルを下げた?」

「それで何の意味があるんだ?召喚したんならリリースとかは必要ないだろ」

「城之内くん、レベル8とレベル7だとリリースの数は変わらないよ」

 

 シンクロ召喚を知らないとモンスターのレベルはリリースが必要な数くらいしか気を使わないだろう。

 

「今その理由を教えてあげよう。私はレベル7の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』とレベル1の『レベル・スティーラー』にレベル1の『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』をチューニング!」

「Why!その組み合わせは!?」

 

 ペガサス会長も知らないだろう。カオスソルジャーが入っていた金のパックに一緒に入っていたカードなのだから。(注パックのレアリティ上一緒に入っている事はありえないカードです)

 

「3体のモンスターをシンクロ素材にしてシンクロ召喚。いでよ、終焉をもたらす氷結の龍!レベル9『氷結界の龍 トリシューラ』(星9 攻撃力2700)!攻撃表示でシンクロ召喚!」

 

 私の叫びとともに無事にトリシューラは召喚された。青子はデータは入っていると言っていたけど未知のカードを無事に召喚できて良かった。(原作で同じく未知の存在であった神のカードがちきんと召喚されたあたり心配は要らなかったかもしれないが)

 

「シンクロ召喚…」

「攻撃力2700…。ってブルーアイズよりも低いじゃねえか」

 

 遊戯と城之内がそんあ事を言っているのでトリシューラの恐ろしさを教えてあげよう。

 

「『氷結界の龍 トリシューラ』の効果を発動。このカードがシンクロ召喚に成功したとき、相手のフィールド、墓地、手札のカードを1枚まで選んで除外できる。バトルロイヤルだと他のプレイヤー全員だ」

「何ぃぃぃ!!!」

 

 トリシューラの効果を聞いて城之内が叫び声を上げた。もっともそのおかげで遊戯とペガサスは落ち着きを取り戻したが。

 

「じゃあ、まず武藤くんから。フィールド上の『有翼幻獣キマイラ』、墓地の『融合』、手札は1枚だからそれを除外。『有翼幻獣キマイラ』は破壊された時に効果を発揮する。除外では効果を発動できないから墓地からモンスターを特殊召喚できない」

 

 これにより遊戯のフィールドは伏せカード1枚だけになった。

 

「次に城之内くん、フィールド上の『メテオ・ブラック・ドラゴン』、墓地の真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)、手札は向かって右のを除外」

「そんな、俺のエースモンスター達が…」

 

 除外したカードは『ルーレット・スパイダー』か。

 

「最後にペガサス会長」

「ひぃ!」

 

 そんな怯えなくても。

 

「フィールド上の『トゥーン・ワールド』と真ん中の手札を除外」

 

 あ、『トゥーン・ワールド』は除外だから『トゥーン・ワールド』の破壊で破壊される『トゥーン・マーメイド』はそのままフィールド上に残るのか。

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

 キリノ ライフ 4000 手札0 伏せカード2

 

 フィールドを蹂躙して私はターンを終えた。しかしそれが良くなかったようだ。

 

「さすが裏ボス」

「ペガサスさっき言ってた話に乗るぜ」

「お願いしマ~ス。一緒にキリノを倒しましょう」

 

 3人でそんな事を言っている。

 

「ペガサス会長、私が居ない間に2人を抱き込みましたね」

「ノンノン、バトルロイヤルでは一番強いのを協力して倒すのが鉄則デ~ス」

 

 そう言っている間に遊戯のターンが始まった。

 

 2順目

 

「僕のターン、ドロー!魔法カード『天よりの宝札』これでお互いのプレイヤーは手札を6枚までドローできる。皆これて手札を回復して」

 

 遊戯の『天よりの宝札』で全員手札が6枚になった。私も手札が回復したけれど絶対私のターンまで回す気は無いな。

 

「そして魔法カード『手札抹殺』を発動。手札を入れ替える」

 

 手札を捨てて捨てた枚数だけドローするカードか。

 

「今捨てた手札の中に『伝説の白石』が有ったのでその効果を発動。墓地に送られた時デッキから『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を1枚手札に加える」

 

 来たのは青子か。『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』が手札に加わっても落ち着いている。やっぱり3人がかりで沈める気だ。

 

「僕は墓地の闇属性モンスター『バフォメット』と光属性モンスター『ホーリー・エルフ』を除外して手札からカオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-(攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚」

 

 カオスソルジャ…、双六さんは遊戯に渡したのか。

 

「バトル!『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』(攻撃力3000)で『氷結界の龍 トリシューラ』(星9 攻撃力2700)を攻撃!」

 

 カオスソルジャーの攻撃でトリシューラは破壊され私は300ポイントのダメージを受けた。

 

 キリノ ライフ4000 - 300 = 3700

 

 そしてカオスソルジャーの効果による連撃がくるな。

 

「『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』の効果を発動!このカードが戦闘でモンスターを破壊した時もう一度攻撃が出来る」

「リバースカードオープン!速攻魔法『銀龍の轟咆(ぎんりゅうのごうほう)』!墓地から通常モンスタードラゴン族の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚!」

「なら僕は『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』で『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を攻撃!」

 

 攻撃力3000同志がぶつかり相打ちに終わった。

 

「メインフェイズ2で魔法カード『死者蘇生』を発動。墓地から『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』を攻撃表示で特殊召喚。僕はカードを2枚伏せてターンエンド。後は任せたよ」

 

 遊戯 ライフ 4000 手札0 伏せカード3

 

 最初に『死者蘇生』でブルーアイズを蘇えらせ無かったのは『銀龍の轟咆(ぎんりゅうのごうほう)』や『リビングッドの呼び声』を警戒しての事だったのだろう。使ってくれればカラ撃ちさせられたのに。

 

「俺のターン行くぜ!『ランドスターの剣士』(攻撃力500)を召喚!バトル!ランドスターの剣士で桐野さんを攻撃。そこで魔法カード『天使のサイコロ』を発動!」

 

 サイコロコンボかサイコロの目は4か。4倍で攻撃力2000。

 

 キリノ ライフ 3700 - 2000 = 1700

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

 城之内 ライフ 4000 手札3枚 伏せカード2枚

 

「では私のターン、ドロー。儀式魔法『イリュージョンの儀式』!手札の『弓を引くマーメイド』をリリースして『サクリファイス』(攻撃力0)を特殊召喚。そして魔法カード『融合』を発動!『サクリファイス』と手札の『千眼の邪教神』を融合させて『サウザンド・アイズ・サクリファイス』(攻撃力0)を攻撃表示で融合召喚」

 

 皆『融合』好きだね。ペガサス会長の『サウザンド・アイズ・サクリファイス』は原作効果で一度に全モンスターを吸収できたっけ。

 

「『サウザンド・アイズ・サクリファイス』の効果を発動!フィールド上の全モンスターをこのカードに装備させその攻撃力の合計数値分をこのカードの攻撃力にしマ~ス」

 

 『サウザンド・アイズ・サクリファイス』以外のフィールド上のモンスターは『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』(攻撃力3000)、『ランドスターの剣士』(攻撃力500)、『トゥーン・マーメイド』(攻撃力1400)。合計で攻撃力4900。

 

「ペガサス会長、協力と言ってきながら何気に2人を出し抜いていますね」

「ふふ、これがバトルロイヤルの醍醐味デ~ス。協力しながらいつ相手を出し抜くかも重要なタクティクスなのですよ」

 

 それはそうだけど子供相手にここまでするか?

 

「では最後の共闘として『サウザンド・アイズ・サクリファイス』(攻撃力4900)でキリノにダイレクトアタック!」

「『ホーリー・ジャベリン』でライフ回復」

「ワッツ?」

 

 キリノ ライフ 1700 + 4900 - 4900 = 1700

 

「オウ、ノォ!私はこれでターンエンドデ~ス(手札2枚はトゥーンモンスター今は使うことが出来まセ~ン)」

 

 ペガサス ライフ 4000 手札 2枚 伏せカード0

 

「さあ、反撃の時間だ。ドロー!まずは魔法カード『禁じられた聖杯』を『サウザンド・アイズ・サクリファイス』を対象に発動。これで『サウザンド・アイズ・サクリファイス』の効果は無効化される」

 

 つまり装備していたモンスターは破壊され『サウザンド・アイズ・サクリファイス』の攻撃力は元々の数値0に『禁じられた聖杯』のもう1つの効果攻撃力を400ポイント上げるので400ポイント加算され攻撃力は400になる。

 

「これでフィールドにモンスターを出しても吸われることは無い。『カイバーマン』を召喚。『カイバーマン』の効果を発動。このカードをリリースして手札から『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力3000)を攻撃表示で特殊で特殊召喚。魔法カード『死者蘇生』で『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』を攻撃表示で特殊召喚。手札から装備魔法『団結の力』を『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』に装備。『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』の効果で『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力3000)を墓地から攻撃表示で特殊召喚。装備魔法『団結の力』を装備したモンスターの攻撃力・守備力は自分フィールド上の表側表示のモンスターの数×800ポイントアップする。今表側表示のモンスターは3体。よって『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』の攻撃力は2400…。いや墓地の『レベル・スティーラー』を『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』一体を対象に守備表示で特殊召喚して攻撃力を3200にしよう。」

「「「「さすが裏ボスだ」」」」

 

 ギャラリーが煩いけどデュエルに集中しよう。

 

「キ、キリノ。私達友達ですよね?」

「友達だと思ってくれていたのですか?なら友達としてデュエリストとして全力でいかないと。それにこのターンが終われば『禁じられた聖杯』の効果が切れて『サウザンド・アイズ・サクリファイス』の効果が復活するので見逃せないです」

「ならせめて3体のモンスターで3人ずつ攻撃したらどうですか?」

「げ、そりゃねーだろ」

「ペガサス会長…、問答無用!『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力3000)で『サウザンド・アイズ・サクリファイス』(攻撃力400)を攻撃!続いて2体目の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力3000)でダイレクトアタック!」 

「オゥ、マイ、ゴッド!」

 

 ペガサス ライフ 4000 - 2600 - 3000 = 0

 

「悪は滅びた…」

 

 

 デュエルの続きは次回に続く。




 2順しかしていないですけど4×2で8ターンなので疲れました。続きは次回ということで。


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第10話 バトルロイヤル決着

 今回のバトルロイヤルのルールでは敗退した人の墓地のカードは蘇生できません。


 簡単なおさらい。ペガサス会長、遊戯、城之内と私の4人でバトルロイヤルを始めたよ。

 シンクロ召喚で『トリシューラ』を呼んだよ。でも危険視されて3対1に。

 そんな中ペガサス会長が子供たちを出し抜いたからずるい大人に制裁を加えたよ。

 

*****

 

 青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の連続攻撃でペガサス会長のライフは0になった。

 

「ではペガサス会長、罰ゲームの時間です」

「キ、キリノ。私は会長であなたの上司デ~ス」

「ペガサス会長…。デュエルに身分は関係ないって言ってましたよね。だったらデュエルモンスターズの生みの親はその事を身をもって証明しないと」

 

 私はにっこり笑ってそう言った。そして待機していたウーマンを呼んだ。

 

「ウーマン、ペガサス会長に罰ゲームを」

「はーい」

「キ、キリノ…」

「大丈夫ですよ。ウーマンにはキースと同じ位のレベルにしておけって言って有りますから」

 

 私がそう言うとペガサス会長は絶望の表情を浮かべた。

 

「まってくだサ~イ。それだと待ちうけているのは…」

「さあ、逝きましょう」

「ノォォォォ!!!!!」

 

 叫びながらペガサス会長は連れて行かれた。キース…、仇は取ったよ。

 

「じゃあ、デュエルの続きをしよう」

「お、おお」

 

 2人とも引き攣った顔でデュエルを再開した。

 

「といってもまだ私のバトルフェイズなんだけどね。まだ攻撃力3200になった『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』が攻撃していない。さてどちらを攻撃しようか…」

 

 遊戯と城之内、どちらもペガサス会長のせいで壁となるモンスターが居ない。ただし伏せカードは遊戯が3枚、城之内が2枚有る。私は2人の表情を見比べると城之内に攻撃する事にした。

 

「怖く無いほうに攻撃しよう。城之内くんにダイレクトアタック!」

「俺が怖く無いだと」

 

 城之内が叫ぶなか、青き眼の乙女(あおきめのおとめ)は城之内に攻撃した。伏せカードを使わなかった、やはり伏せているのはカウンター系ではなかったか。遊戯を見たとき表情からカウンターを狙っていたようだったから城之内を攻撃したのだが正解だったようだ。だがここで遊戯が罠カードを発動させた。

 

「リバーズカードオープン!『マジシャンズ・サークル』、僕はこれでデッキから『ブラック・マジシャン・ガール』を特殊召喚する!」

 

 マジシャンズ・サークルは魔法使い族の攻撃宣言時に発動できてデッキから魔法使い族・攻撃力2000以下のモンスターを特殊召喚する罠カードだ。青き眼の乙女(あおきめのおとめ)は魔法使い族なので発動条件を見たしている。

 

「私のデッキに対照となるモンスターはもう居ない」

「俺もだ」

 

 青き眼の乙女(あおきめのおとめ)は1枚だけなので対象となるモンスターは居らず特殊召喚は出来ない。ちなみにデュエルリングのシステムがデッキをサーチしているので強制効果を満たせなくても相手にデッキをさらさなくて済む。

 

 結果遊戯の場にモンスターが召喚された形になった。

 

「「「「「『ブラック・マジシャン・ガール』…、ウーマンさんと違ってピチピチだ!!!!」」」」」

 

 現れたブラック・マジシャン・ガールに対してギャラリーがそんな事を言った。ウーマンが居なくて良かった。いたら後が怖い。

 

「プレイを続行する。城之内くんの場のモンスターの数が変わらなかったのでこのまま攻撃は続行!」

「うわ!」

 

 攻撃力が3200まで上がった青き眼の乙女(あおきめのおとめ)の攻撃を受けて城之内のライフは一気に削られた。

 

 城之内 ライフ 4000 - 3200 = 800

 

「カードを2枚伏せてターンエンド」

 

 キリノライフ 1700 手札1 伏せカード2

 

 これで私のターンが終わった。次が3順目か、バトルロイヤルは時間がかかるな。

 

 3順目

 

「僕のターン!ドロー。魔法カード『賢者の宝石』を発動!自分フィールドに『ブラック・マジシャン・ガール』が存在のでデッキから『ブラック・マジシャン』を特殊召喚!」

 

 賢者の宝石か、これでブラマジ師弟がフィールドに揃ったな!

 

「バトル!『ブラック・マジシャン・ガール』で青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)(星7)の方を攻撃。そしてリバースカードオープン『ブラック・スパイラル・フォース』!自分の場に『ブラック・マジシャン』が居る時、『ブラック・マジシャン』以外のモンスター一体の攻撃力を2倍にする。僕は『ブラック・マジシャン・ガール』の攻撃力を2倍にする!」

 

 ブラック・マジシャン・ガール 攻撃力2000 × 2 = 4000

 

 ブラック・スパイラル・フォース…、まったく知らないカードだ(注タッグフォースオリジナルのカードです。OCGには有りません)

 

「ならこちらもリバースカードオープン!『竜魂の城』、墓地の『伝説の白石』を除外して攻撃対象にされた『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』の攻撃力を700ポイントアップする」

 

 これでダメージを減らすしかない。ブラック・マジシャン・ガールの攻撃を受けてレベル7になっていた石版ブルーアイズが破壊された。

 

 キリノ ライフ 1700 - 300 = 1400

 

「僕はこれでターンエンド。桐野さん1つ聞いてもいいですか?」

「何だい?」

「城之内くんの事です。どうしてさっき怖くないだなんて言ったんです?キリノさんは城之内くんの事を誰よりも評価していたのに…」

 

 ああ、その事か。

 

「別には弱いとは思っていない。ただ妹さんの手術費を手にいれて決勝で遊戯君と戦って負けて、もう燃え尽きたなと感じただけだ」

「俺が燃え尽きた…」

「違うのかい?後先考えず勢いに乗って強いカードを出しているだけかと思ったけど」

「…確かに、俺はもう満足して心のどこかでこのデュエルは遊戯が勝てばいいと思っていた」

「勿体無いでしょ、デュエルはゲーム、遊びなんだから楽しまないと。このデュエルは何も背負っていないのだから思いっきり楽しめ」

 

 私がそう言うと城之内はふっきっれた用だった。

 

「野野さんありがとう。遊戯も!おかげで目が覚めたぜ!俺のターン!ドロー!…このカードは!」

 

 何かいいカードが出たようだ。

 

「魔法カード『強奪』を発動!桐野さんの場の『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』に装備!コントロールを得るぜ!」

「この瞬間『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』の効果を発動!デッキから『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を攻撃表示で特殊召喚!」

『貴様もブルーアイズよりも美少女を選ぶのか~!』

 

 私の場に反転ブルーアイズ、通称Sin子が召喚された。

 

「うわ、なんだあのブルーアイズ!」

「あんな禍々しい、瘴気に満ちたブルーアイズ始めて見た」

「何なんだあのカードは」

「…インダストリアル・イリュージョン社の地下に封印されていたエラーカードだ」

 

 Sin子の瘴気はソリッドビジョンに反映されたので私はそう説明した。そしてブルーアイズの特殊召喚処理が終わると強奪の効果で 青き眼の乙女(あおきめのおとめ)のコントロールを奪わた。

 

「城之内!貴様何をしている」

 

 強奪に描かれている盗賊に青き眼の乙女(あおきめのおとめ)がさらわれたのを見てカイバーマン(海馬)が吼えた。

 

「それにしても『強奪』のカードなんてよく持っていたね」

 

 原作では使っていなかったカードだ。

 

「決勝の前にキースが俺にくれたんだ。もっと強くなれって魔法カードと罠カードを数枚俺に…、うっ」

 

 キース、そんな事をしてたのか。城之内はその時の事を思い出して顔を俯かせた。そして…

 

「…、だっはっは!駄目だ!あの格好!思い出したら今でも笑えてくる」

「城之内くん、笑ったら失礼だよ。っく」

 

 そう言う遊戯も思い出し笑いをしている。キース…、ウーマンにどんな格好をさせられたんだ…?可哀想だから2人の気をデュエルに戻そう。

 

「所で『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』に装備された『団結の力』は有効だけれども城之内くんの場には『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』1体しかいないから攻撃力は800になるよ」

「それでも桐野さんの場に置いておくよりはいい。これでもうブルーアイズの召喚は封じたも同然なんだから。それに場のモンスターはこれから増やす。魔法カード『スケープ・ゴート』!これで守備力0の羊トークンを4体、守備表示で特殊召喚する。これで俺の場のモンスターは5体!『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』の攻撃力は800×5で4000になる。バトルだ!『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』(攻撃力4000)でその禍々しい『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』に攻撃!」

「『竜魂の城』の効果で『ラビードラゴン』を除外して攻撃対象の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』の攻撃力を700ポイントアップ!」

 

 ちなみにラビードラゴンは遊戯の手札抹殺で墓地に行ったカードだ。それでも遊戯の時と同じく攻撃力が足りずにダメージを減らすので終わった。

 

『魔法少女に~!!!』

 

 Sin子、青き眼の乙女(あおきめのおとめ)は仲間、ブルーアイズのサポートカードだからね、仲良くね。

 

 キリノ ライフ 1400 - 300 = 1100

 

「だあ!ライフを削れねえ!ターンエンド!」

 

 そうだね、強奪のデメリットを考えるとマイナスだね。

 

「私のターン、ドロー。この瞬間『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』に装備された『強奪』の効果でライフを1000回復」

 

 キリノ ライフ 1100 + 1000 = 2200

 

「げ、ライフが回復した」

「何やっているんだ城之内!せっかく遊戯が削ったライフまで回復させてどうする」

「うるせえ!次の俺のターンになったら挽回してみせる!」

「残念だけど次は無いよ。リバースカードオープン『リビングデッドの呼び声』これで墓地の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(石版の方)を攻撃表示で特殊召喚」

「きた3枚目の蘇生カード!」

「でもこれでもうブルーアイズは打ち止めのはず」

 

 はしゃいでいるけどまだ『戦線復活の代償』が有るからね。持っていないから今は使えないけど。

 

「そして魔法カード『巨竜の羽ばたき』。蘇らせた『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を手札に戻してフィールド上の魔法、罠カードを全て破壊!」

 

 これで厄介な伏せカードは全て破壊できる。

 

「っつ!リバースカードオープン!『墓荒らし』!墓地の『死者蘇生』をって…、しまった!俺の場はモンスターでいっぱいだった!じゃあ桐野さんの墓地の『禁じられた聖槍』を拾って場に残っている『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』に使い攻撃力を800ポイント下げて置くぜ」

 

 ちなみにもし城之内が禁じられた聖槍の効果対象を石版ブルーアイズにした場合、チェーンの順番で手札に戻せるモンスターを選び直せるので青子の方を手札に戻す。その場合リビングデッドは破壊されても聖槍の効果で石版ブルーアイズはリビングデッドの効果を受け付けず場に残る事ができる。つまり城之内の言う通りブルーアイズの攻撃力を下げるだけに終わる事になる。

 

 が、予定がくるってしまった。手札の『暴風竜の防人(ぼうふうりゅうのさきもり)』をブルーアイズに装備させて貫通ダメージを狙っていたのに…。でもまあいい装備できるモンスターは他にいる。

 

「そしてこの効果で墓地に送られた『竜魂の城』の効果を発動!除外されている『ラビードラゴン』(攻撃力2950)を攻撃表示で特殊召喚!」

 

 しかしラビードラゴンは私の目の前には現れなかった。

 

「あれ、ラビーどこだ?」

 

 モンスターが見当たらないのを不審に思うと青子の足元から鳴き声が聞こえた。

 

『もきゅ!』

「もきゅ?」

 

 見ると子ウサギサイズのラビードラゴンが青子の足元にいた。

 

「キャーかわいい!」

「可愛いのか?ってラビーあんなに小さかったのか…」

 

 まあ攻撃力は高いしデュエルに支障は無いので気にしないで置こう。

 

「さらに『強奪』が破壊されたので『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』のコントロールが戻る。『団結の力』も破壊されたから攻撃力は0になるけどね」

 

 そう言うと青き眼の乙女(あおきめのおとめ)は私の場に帰ってきた。精霊が宿っていないのでなんのアクションも無しだ。

 

 これで私の場には青子、乙女、ラビー、守備表示のレベル・スティーラーの4体。遊戯の場にブラマジ師弟の2体。城之内の場に守備表示の羊トークンが4体になり。全員伏せカードは無くなった。

 

「最後に『暴風竜の防人(ぼうふうりゅうのさきもり)』の効果で『ラビードラゴン』にこのカードを装備。これで守備貫通効果を得る」

『ふぎゅ!』

 

 装備された防人がラビーに乗って、ラビーを潰した。ラビーは防人の下から抜け出すと防人の肩に乗った。こいつら本当に精霊が宿って居ないのか?見事なリアクションだぞ。

 

「バトル!『ラビードラゴン』(攻撃力2950)で羊トークン(守備力0)を攻撃!貫通ダメージで2950のダメージだ」

「くっ!ここまでか…」

 

 城之内 ライフ 800 - 2950 = 0

 

「安心していいよ。ウーマンがいないから罰ゲームは無しだよ」

 

 城之内を倒したけどまだ遊戯が残っている。青子の攻撃力はこのターン2200だからブラマジガールを倒すことは出来る。

 

「続いて『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力2200)で『ブラック・マジシャン・ガール』(攻撃力2000)を攻撃」

『きゃぁぁぁ!』

 

 遊戯 ライフ 4000 - 200 = 3800

 

 ブラック・マジシャン・ガールは悲鳴を上げながら破壊されていった。幸いな事にこの場に熱烈なブラマジガールのファンは1人しか居らず彼女もヤジを上げるような正確では無いのでGXで起きるような反応は無かった。

 

 これで遊戯の場にはブラック・マジシャンが一体だけ。手札も次のドローの1枚。まず青子とラビーで押し切れるだろう。しかし相手が相手なので用心したほうがいい。

 

「メインフェイズ2に入る。私は『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』に『青き眼の乙女(あおきめのおとめ)』をチューニング!」

「え?」

「ここでシンクロだと」

 

 シンクロ召喚の宣言に遊戯達は顔色を変えた。

 

「安心していいよ、私のエクストラデッキにトリシューラは1枚だけだ。それにこれはトリシューラの組み合わせではないから」

 

 さて召喚するのは相棒の蒼銀なのだし前口上を叫ぶとしますか。

 

「輝けし蒼の眼と銀の体躯を持つ守護龍よ、今ここに降臨し地上の竜に加護を与えよ!シンクロ召喚!レベル9『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』!守備表示(守備力3000)で召喚」

 

 私の口上とともに蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)は神々しく召喚された。

 

「凄い!神々しい!」

「『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』の効果を発動!このカードが特殊召喚に成功した時、次の相手のターン終了時まで自分の場のドラゴン族モンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されない」

「破壊されないってそんなんありか!」

「これが桐野さんの守護龍!」

「そう、遊戯君の『ブラック・マジシャン』、海馬社長の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』かそれぞれの魂のカードであり戦い方の象徴であるように、この『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』こそが私の魂のカードであり戦い方の象徴だ」

 

 私がそう言うと蒼銀は照れてもじもじした。これで打てる手は全て打った。

 

「私はこれでターンエンド」

 

 キリノ ライフ 2200 手札1(青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)) 伏せカード0

 

 4順目

 

 次は遊戯のターン、表の遊戯にがどこまで出来るか見ものである。

 

「僕のターン!ドロー。魔法カード『光と闇の洗礼』を発動。『ブラック・マジシャン』をリリースしてデッキから『混沌の黒魔術師』(攻撃力2800)を攻撃表示で特殊召喚する。城之内くんのおかげだよ。城之内くんがブルーアイズの攻撃力を下げてくれたから『ブラック・マジシャン』は生き残る事ができたんだ。そして『混沌の黒魔術師』の効果を発動。このカードは召喚・特殊召喚に成功したとき、自分の墓地から魔法カードを1枚手札に加えることが出来る。僕は墓地の『死者蘇生』を手札に加えてこのカードを発動!僕の墓地から『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』(攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚」

「『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』の効果で『レベル・スティーラー』以外のモンスターは効果の対象にはならず、『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』の効果で除外できない」

「分かっているよ。僕は『混沌の黒魔術師』で『レベル・スティーラー』を攻撃!この『混沌の黒魔術師』が戦闘破壊したモンスターは墓地には行かずゲームから除外される。これで墓地から蘇ってリリースに使われることは無い。そして『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』(攻撃力3000)で『ラビードラゴン』(攻撃力2950)に攻撃」

「『ラビードラゴン』に装備された暴風竜の防人(ぼうふうりゅうのさきもり)の効果を発動。装備モンスターが破壊される時代わりにこのカードを破壊する」

 

 防人は切りかかってくるカオスソルジャーの攻撃からラビーを守るためにその身を盾にした。

 

『もふー!』

『ふっ』

 

 カオスソルジャーのよって胸を貫かれた防人はラビーの頭を撫でると消えて行った。

 

 …お前等本当は精霊が中に入っているだろ!

 

「今の攻撃で戦闘ダメージは受けたけど、モンスターは破壊されなかったのでカオスソルジャーの追撃効果は発動しない」

 

 キリノ ライフ 2200 - 50 = 2150

 

「僕はこれでターンエンド」

 

 遊戯 ライフ 3800 手札0 伏せカード0枚

 

「よし、遊戯の勝ちだ!フールドにはカオスソルジャーを倒せるモンスターはいねえ。もしフィールドのモンスターをリリースして手札のブルーアイズを召喚したとして、カオスソルジャーと相打ちなら残った『混沌の黒魔術師』は桐野さんのライフを0にする。もし『混沌の黒魔術師』を攻撃したとしてもカオスソルジャーが残ってブルーアイズを除外する」

 

 そうだな、普通はそう思うよね。でもフィールドにいるのは蒼眼の銀龍だ。

 

「私のターン、ドロー」

「ぐおぉぉぉ、ぉ!」

 

 

 私がカードをドローするとスタンバイフェイズになる。そして蒼銀が吼えた!吼えた後恥ずかしそうにもじもじした。女の子だから吼えるところを見られるのは恥ずかしかったのだろう。

 

「銀龍の轟咆…」

 

 今の光景を見て遊戯がそう呟いた。

 

「そう銀龍の轟咆、魔法カード『銀龍の轟咆』の元になったものだ」

「それってつまり!」

「『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』の効果を発動。自分のスタンバイフェイズ時に墓地の通常モンスターを1体、特殊召喚できる。私は墓地の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を攻撃表示で特殊召喚」

 

 蒼銀の力で青子はフィールドに舞い戻った。

 

「これが私のデュエルスタイル。墓地からモンスターを召喚する事で相手フィールドを制圧する。『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』を攻撃表示に変更」

 

 蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう) 守備力3000 → 攻撃力2500

 

「城之内くん、さっき言っていたデュエルの予想だけど1つ穴が有る。もし私がドローでモンスターの攻撃力を変化させるカードを手にしていたらカオスソルジャーは戦闘で破壊可能だよ」

「げ…」

「魔法カード『トレード・イン』を発動。手札のLV8モンスター『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を墓地に送りデッキから2枚ドロー」

 

 そしてドローしたのは禁じられた宝物の1枚。

 

「魔法カード『禁じられた聖衣』を発動。このカードの効果でこのターンの間『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』の攻撃力を600ポイントダウンさせる。その代わりこのターン間、カオスソルジャーは効果の対象にはならず効果では破壊されない」

 

 カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)- 攻撃力3000 - 600 = 2400

 

「それでも遊戯のライフは残る!遊戯なら…」

「残念だけどそうは行かない」

 

 城之内のセリフを遮って私は言った。

 

「手札から『ミラージュ・ドラゴン』(攻撃力1600)を攻撃表示で通常召喚。遊戯くん、前のターン私が怖かったのは『死者蘇生』でカオスソルジャーを復活させる事ではなく、『天よりの宝札』で手札を増しカードを伏せられる事だった。テクニカルタイプのデッキでパワーファイターにパワーで張り合ったのは失敗だったね」

 

 もっともミラージュ・ドラゴンが手札に来たのでさほど問題は無かったかもしれない。

 

「…僕のミスだ。もう1人の僕ならこんな事には…」

「これで終わりだよ。仇を取らせよう。『ラビードラゴン』(攻撃力2950)で『カオスソルジャー-開闢(かいびゃく)使者(ししゃ)-』(攻撃力2400)を攻撃。『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力3000)で『混沌の黒魔術師』(攻撃力2800)を攻撃。最後に『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』(攻撃力2500)と『ミラージュ・ドラゴン』(攻撃力1600)でダイレクトアタック!」

 

 私のモンスターの怒涛の攻撃で遊戯のライフは0になり、私はバトルロイヤルに勝利した。

 

 もっとも自分1人だけシンクロを使いカードプールも違う。さらに遊戯はまだ成長していない時期の表人格だったので自慢にはならないが。

 

 それに、王国での私の戦いはまだ残っている…

 

 千年眼(ミレニアム・アイ)を狙い襲ってくるであろう獏良との戦いを考えて私はデュエルリングを後にした。 




 感想で御指摘を頂いたのですが『団結の力』でカウントするモンスターの数はコントローラーのモンスターの数になります。よって装備モンスターのコントロールが相手に奪われても攻撃力は変わりません。よって今回の『団結の力』の効果の扱いはおかしいのですが、修正案が思い浮かばないので今回だけこのままで生かせてもいます。(12/13)


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第11話 王国編終了、そして新たなる舞台へ

 私がデュエルリングを降りると入れ替わる形でペガサス会長がやってきた。罰ゲームの女装の姿で。

 

 もともと美形なペガサス会長の女装姿は似合っていた。そんな女装姿を恥ずかしがることなく堂々としてペガサス会長は決闘者の王国(デュエリストキングダム)の終了を宣言した。

 

 そして遊戯に賞金を渡すと会場を去っていった。その後部屋に篭り1人にしてくださいと言ったので内心では堪えていたのだろう。

 

 私は青子を見張りとしてペガサス会長につけると部屋の前で仁王立ちした。いつ獏良が来ても戦えるように臨戦態勢で。

 

 しかし、待てども待てども獏良はこず。黒服から島に来た『全員』が船に乗り島を出たと聞かされて拍子抜けした。

 

 そして有る恐ろしい事実に気づいた。獏良はひょっとして千年リングをつけていないのでは?

 

 よくよく考えると獏良が千年リングをつけた原因は迷宮兄弟の迷宮が理由だった。しかし今回迷宮兄弟は強敵(?)ではあったけれども閉じ込めようとはしなかった。つまり獏良が千年リングをつける理由が無い。

 

 その事に気づいて私はがっくりとするのだった。そしてその所為で青子が言っていた事を聞き逃してしまった。

 

*****

 

 決闘者の王国(デュエリストキングダム)が無事に終わって数日が過ぎた。島に残って決闘者の王国(デュエリストキングダム)の後片付けをしていた私はようやくアメリカの本社に帰ってきた。実は海馬コーポレージョンからレンタルしていたデュエルボックスやデュエルリングの返却手続きやチップガーディアンの給料査定(何で私がやるのだろう?)を行い、不要な施設を撤去してと忙殺された。

 

 そしてその合間をぬって原作のフォローも考えないといけなった。闇獏良の登場が遅れれば千年パズルがばらされた時に遊戯を助けに現れないかもしれないからだ。

 

 本来原作の流れに積極的に関わるつもりは無かったのだがバタフライ効果が起きている以上フォローは必要だと考えたのだ。

 

 そこで調べた結果、原作の流れで千年パズルはばらされると結論付けた。御伽とインダストリアル・イリュージョン社に契約関係が存在せずに、アニメで千年パズルをばらすキースは真っ当に生きてグールズを関わり合わないだろうというのが決めてだった。

 

 それと調べたら御伽のおもちゃ屋が童実野で建設中なのも判明した。開店日も判明したのでその時に日本に行ってフォローすればいいだろう。気になるゲームが日本で販売されるといえば有給も貰えると思うし。

 

 そんな事を考えながら本社のドアをくぐると真っ青顔をした夜行くんと出会った。

 

「キ、桐野さん助けてください。お父さんがお母さんになってしまったんです!」

「はい?」

 

 出会いがしらにそんな事を言われて私は何を言われたのか理解出来なかった。

 

「だからお父さんがお母さんになってしまったんです。こんな時に兄さんは日本に行っていて、他に頼れる人がいないんです!」

 

 月光くんは城之内の妹さんの手術のフォローを頼んであるから日本だったね。

 

「何かよく分からないけどペガサス会長に会って来るよ。どの道片付けの報告もしないといけないし」

 

 そう言って私は夜行くんと別れてペガサス会長の元へ向かった。

 

 そして…

 

「キリノ、お帰りなサ~イ」

 

 会長室に行くと女装したペガサス会長が出迎えてくれた。

 

「ただいま戻りました。報告書はまとめて置きましたの提出します」

「ごくろうさまデ~ス。今日はもう帰って休んでくだサ~イ。そして明日出社したら今後の支持をだしマ~ス」

「分かりました。ではこれで失礼します」

 

 そうやり取りをして部屋を出た。

 

「桐野さん」

「夜行くん」

 

 会長室を出る夜行くんが待っていた。

 

「そのお父さんは…」

「別にいいんじゃない、人の趣味はそれぞれだし。実害があるわけでもないし」

「有ります!会社の評判と僕達のメンタルが!」

「でも、ペガサス会長の女装姿評判がいいよ」

 

 ネットにアップされた大会の様子の1つの罰ゲームのコスプレは評判がよく、ペガサス会長の女装姿も好評だった。反面、キースのあの姿は…

 

「いきなり父親が母親になった僕の気持ちも考えてください!」

「別に女装だけで性転換した訳では無いのでしょ。もし性転換するといったなら止めるのを手伝うから」

 

 そう言うと私は逃げるように家に帰った。

 

 帰宅後、青子からペガサス会長が部屋に篭っていた時、鏡を見て『これが私』とやっていたと聞いた。どうやら青子は私にその事を報告していたみたいだが、私が聞き逃してしまったようだ。

 

 私は好き好んでペガサス会長の女装姿を見たいとは思わない。しかし個人の趣味なら別に問題ないとも思っている。それに夜行くん達が本気で嫌がればペガサス会長も考え直すとも思っている。だから私は何もしないことにした。女装の原因の一端は私に有るけど気にしない。

 

 そして翌日、出社するとペガサス会長は普通の姿をしていた。どうやら社員一同の懇願により仕事中は女装しない事にしたようだ。

 

「キリノ、次の仕事を与えマ~ス。エジプトに飛んでくだサ~イ」

 

 何でも海馬からの聞き取り調査でオベリスクを海馬に渡したのは間違いなくイシズ・イシュタールだと判明した。そこで彼女の真意とオベリスクの扱いを決めるためにエジプトに行き彼女と接触するのが次の私の仕事になった。

 

 私は準備を整えると一路エジプトに向かった。そこで待ち受けている真実を知らずに…




 ペガサスが健在(?)なのでD.D.D編は御伽の父親の復讐ルートに入ります。
 そして次回よりブルーアイズの新カードを入手するためのオリジナルストーリが始まります。
 ちなみにペガサスの女装は今後の展開のフラグになります。


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青き目の一族編
第1話 未知の物語へ


 この第3編はデュエルが無いです。デュエルモンスターズクエスト編やファラオの記憶編のような感じで行きます。
 残酷な描写は有りませんがファラオの記憶編のように人が死にますので受け付けれない人は気をつけてください。


 ペガサス会長のお使いでエジプトに着くとすぐに千年首飾り(せんねんタウク)の所有者であるイシズ・イシュタールが迎えに来た。ペガサス会長の予想通りである。

 

「待っていました、希望の人よ」

「希望の人?」

「見せたいものが有ります付いてきてください。そして移動しながら詳しい話をしましょう」

 

 そう言われるとついて行くしかない。墓守の一族らしい男が運転する車に乗ると隣に座ったイシズが話を始めた。

 

「始めにペガサス会長に謝罪の言葉を。神のカードの封印を解いた事、深くお詫びします」

「今の言葉、ペガサス会長に伝えます」

 

 私がそう言うとイシズか弟であるマリクとグールズについて説明し、最後にマリクが残りの2枚の神のカードの封印を解き持ち出したことを話した。真面目に聞いていたが私の持つ原作の知識と変わりない。

 

「私の持つ千年首飾り(せんねんタウク)の力で見る未来は絶望しか有りませんでした。しかしある日、おそらくあなたがペガサスの元を訪れた日、私は違う未来を見ました。それはあなたがマリクの闇の人格を千年眼(ミレニアム・アイ)の力で封印する光景でした」

 

 …それは予想外だった。確かに千年眼(ミレニアム・アイ)の力なら闇の人格だけ白紙のカードに封印できるかも知れない。ペガサス会長からもしもの時の為に白紙のカードを何枚か貰っているし理論上は可能だ。

 

「私は千年眼(ミレニアム・アイ)を使いこなせてはいない。どうして千年眼(ミレニアム・アイ)を失う前のペガサス会長に助けを求めなかったんですか?グールズの結成は随分と前でしょう」

「残念ながら神のカードを恐れるペガサスでは神のカードを持つマリクには適わないでしょう。あの時点では神のカードに勝てるにはいずれ蘇るであろう名も無きファラオだけだと私は考えていました」

 

 私の疑問にイシズはそう答えた。確かにペガサス会長に神のカードの相手は荷が重い。

 

「じゃあどうして海馬社長にオベリスクの巨神兵を渡したんですか?名も無きファラオに心を砕かれて修復中の彼には神のカードは扱いきれないと分かっていたはず…。まさか私を試すための試金石にした?」

「その通りです。海馬は名も無きファラオと因縁が有る者。ですが今はまだ時は来ていない。いずれ訪れるファラオへの試練。その時の為にまずは呪われたイシュタール家の因縁を終わらせたかった」

 

 真面目すぎるな。弟を助けたい、一族の使命を果たしたい。悩んでいるところにイレギュラーな存在である私がやってきたから利用するために暴走した。そういう事か。

 

「着きました、付いて来て下さい」

 

 考え込んでいると目的地に着いたようだ。私は案内されるまま墓守の一族が守ってきた遺跡の奥に進んだ。そして見たものは1枚の石版だった。

 

「これは…」

「名も無きファラオと海馬の因縁を描いた石盤を移動させたら奥に隠されていました。絵がかれているのはあなたと名も無きファラオの友人、そしてそのモンスターで間違いないですね」

 

 左側に表人格の遊戯と彼のモンスター。そして城之内と真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)、杏子に本田それとこれはカイバーマン?

 

 中央には真ん中に目が有る盾を掲げた男がいて多くのドラゴンを従えている。掲げている盾は千年盾とは違う、特に目の部分は青く塗られている。青き目の盾と言った所か。そして従えているドラゴンは…

 

「これは蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)。それにF・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)。他にも名前が分からないドラゴンか2体も」

 

 アルティメットとは違う2つの頭のブルーアイズと雷を纏ったドラゴン…。元の世界のOCGでは存在しているのだろうか。

 

 最後に右側は…、欠損していてよく分からない。

 

「これが実際の過去に起きた出来事なのか、それとも未来を予言したものなのかは分かりません。分かるのはこの盾を掲げた男があなたであるということだけです」

 

 確かにこの世界で蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)を持っているのは私だけだ。

 

「はるか北へ、千年首飾り(せんねんタウク)があなたの行くべき道を指し示しました。そこへ行けば答えが得られるはずです。何故あなたがここにいるのかも…」

 

 それは何故私がこの世界に来た理由が分かるかもしれないという事なのか。私はペガサス会長に一報を入れるとイシズの指し示した場所に向かった。地中海を越えて遥か北へ。

 

 そしてたどり着いたのは人目に触れぬように隠された朽ちた霊堂だった。



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第2話 白き龍の可能性

 オベリスクが踊っている。ムキムキ、ニクニク言いながら筋肉ダンスを踊っている。バックダンサーはエクゾディアとデーモンの召喚だ。最後に『俺達マッスルモンスター』と言う所で目が覚めた。オベリスクからの侵食が酷くなってる証拠だ。

 

「ここは一体?」

 

 私は古びた霊堂に入ってそこで突然光に包まれて気を失ったはず。しかし目が覚めたら知らない建物の中で寝かされていた。周りを見回すと電化製品が無い。一体ここは何処だろう?

 

「お目覚めですか?勇者様」

「蒼銀?」

 

 状況を把握しようとしていると蒼銀が部屋に入ってきた。いや違う。この子は蒼銀ではない。蒼銀は言葉を話せないしこの子は血肉を持った人間だ。

 

「どうして私の名前を…」

「名前?」

「あの、私の名前はソウと言います。勇者様」

「いや、知っていること間違えただけだ。名前はまあ偶然だろう」

 

 そこまで話して会話の中に気になる単語が有った事に気づいた。

 

「所でどうして私の事を勇者と呼ぶんだい」

「え?勇者様は勇者さまでしょう。祭司様が儀式で召喚して勇者様はそれに答えてくださったんでしょう?」

 

 そう言われて余計に訳が分からなくなった。が、これだけははっきりとさせておかないといけない。

 

「私は勇者ではない。呼ばれて答えた覚えも無いし勇者と呼ばれるような力も持ってはいない」

 

 私がそう言うとソウは悲しそうな顔をした。

 

「そんな、祭司様が間違えて呼んでしまったというのですか」

 

 そう言うとソウは走り去ってしまった。私は体に異常が無いかを確認してそれからデッキを確認した。そこでカードに異状がある事に気づいた。オベリスクと青子とSin子のカード以外絵が消えてしまっているのだ。そして蒼銀のカードと思われるカードは全て真っ黒になっていた。

 

『マスター、精霊のカード以外全部力を失っているわ。それと銀ねえはよく分からないけど封印されている』

『私達も呼べるけど(バー)の消耗が激しいから注意しなさい。オベリスクを呼んだら死ぬわよ』

 

 青子、Sいn子がそう話しかけて来た。どうしてこうなったのか訳が分からないがソウの言っていた祭司様に会うべきだと考えた。そして移動するために建物の外に出て驚いた。

 

 町並みが中世の小さな村のようだ。しかもあちこちに戦闘の後が有る。とりあえず祭司様の居場所を聞こうとしてあることに気づいた。ここの人たちは皆青い眼と白い肌そして銀色の髪をしているのだ。村の人たちは私の姿を見ると私から距離を取った。

 

 その行動に驚きつつも話を聞こうと一歩前に出ると目の前にがたいのいい男が現れて剣を私に突きつけてきた。

 

「動くな!ソウから話を聞いたぞ。勇者では無いのならお前は侵入者だ。一体この村に何をしにきた!」

護人(もりと)さまだ!」

護人(もりと)さまが来て下さったぞ」

 

 周りから護人(もりと)と呼ばれる男はそう言って私を威嚇した。

 

『銀ねえがいない今私がマスターを守る!』

 

 そこで青子が過剰反応をして青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の姿で勝手に実体化した。

 

「青子、こんな所で実体化したら騒ぎになるだろ!」

『大丈夫、ここは現代じゃないから』

 

 勝手に実体化した青子を嗜めると青子はそう答えた。ここは現代じゃない?つまり過去ということなのか?

 

 私がそう考え込んでいるといつの間にか護人(もりと)を含めてこの場にいた者全員が土下座をしていた。

 

「申し訳ございません、白き龍を従えし勇者様」

 

 土下座をしながら護人(もりと)がそう言った。

 

「ひょっとしてブルーアイズを従えていれば勇者なのか?」

「それは私から説明させていただきます」

 

 いつの間にか髭を生やしたおじさんがやって来てそう言った。後ろにはソウと若い男がいる。

 

「申し送れました。私は青き眼の一族の祭司を勤めさせているものです。後ろに控えているのは巫女と賢士です」

 

 ソウは巫女だったのか。それで気を失っていた私の世話をしていたと。

 

「ここではなんですので中へどうぞ」

 

 そう言われて私は寝かされていた家に戻って話を聞く事になった。

 

 そして祭司から聞かされた話を要約すると。ここの人たちは(バー)を使って魔物(カー)を使役して生活を成り立たせていた。しかしある部族が肉体を捨てて自分の精神と魂を魔物(カー)と一体化させる禁術を編み出した。

 

 そしてより強力な魔物(カー)を求めて他の部族を侵略し始めたのだという。

 

「我々と有効関係に有った殆どの部族は全滅し我々も戦える者はここにいる者だけ。ですが遠き地に我々と同じ魔物(カー)を扱えるものがいると聞きました。それで一か八か魔物(カー)の力を使ってこの場に呼び出す儀式を行ったのです」

「それで呼び出されたのが私だと」

「呼び出される所は見ておりませんが儀式を行った霊堂で倒れていたので勇者さまだと。それに我々の守護龍である白き龍を従えておられたので間違いないかと」

「そう言われても戦う事は…出来るな。やるしかないか」

 

 そうしないと元の世界に帰れそうに無い。それに青子とSin子がいればたいていのモンスターは倒せる。倒したモンスターはペガサス会長から貰った白紙のカードに封印すればいい。問題が有るとすれば青子とSin子だけで戦えるかと言うことだ。他のモンスターや魔法、罠カードが使えないと厳しい。

 

「それでしたら龍の霊廟に行くのがよろしいかと」

「龍の霊廟?」

 

 私が持っている魔法カード『竜の霊廟』とよく似た名前だ。

 

「そこにはドラゴン族の魔物(カー)が大量に封印されています。勇者様の持つ札に移し変える事が出来れば勇者様の力になる事でしょう」

 

 祭司がそう言うと後ろに控えていた賢士が持っていた箱から盾を取り出した。この盾は石碑に書かれていた青き眼の盾とよく似ている。

 

「我等の祖先がアトランティスの時代より受け継ぎし魔物(カー)を操るための道具です。残念ながら使い方までは分かりませんが勇者様ならきっと使いこなせると信じております」

 

 ここの人たちはアトタンティスの関係者だったのか。でもまあダーツとは係わり合いが無さそうなので気にしないでおこう。それにしてもこの盾、腕に着ける事が出来るけれども一体どうやって使うのだろう?

 

「それと、霊廟には巫女が案内します。本当なら護人(もりと)達も付けたかったのですがここを守る戦力を残さないといけないので…」

「よろしくお願いします。勇者様」

 

 ソウがそう言って微笑んだ。それにしてもこの子は本当に蒼銀の人間形態に似ているな。

 

「じゃあ、急ぐとしよう。青子頼めるか?」

『任せてマスター』

 

 私は青子を実体化させるとその背に乗り、ソウに手を貸して後ろに乗せた。

 

「すごい!高い!」

 

 青子の背に乗ってソウははしゃいでいる。こういったしぐさも蒼銀そっくりだ。蒼銀が封印されている事と何か関係があるのだろうか?

 

『待て1ここから先には行かせない』

『我等霊廟の守護者。魔物(カー)を操る者よ止まりなさい』

 

 そしてもう少しで霊廟が見える所で目の前に2体のドラゴンが現れた。

 

混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)、それにもう一体は石碑に描かれていた雷を纏った龍」

『私の名前はサンダー・エンド・ドラゴンだ』

 

 混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)だけ名前を呼ばれたのが気に食わなかったのかサンダ・エンドは自ら名前を名乗った。

 

『とにかく何人たりともここを通すわけには行かない』

 

 臨戦態勢で混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)は私達を威嚇した。

 

「青子、地上に降りろ」

『了解』

 

 話し合うにしと戦うにしろ上空では不利なので私は地上に降りた。

 

「勇者さま、あの2体はどちらも白き龍と同じだけの戦闘力を持っています。戦えば相打ちになるでしょう」

 

 混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)だけではなくサンダー・エンドも攻撃力は3000なのか。

 

「Sin子来てくれ」

『ふふふ、私の出番ね』

 

 使い始めて分かった事だがSin子は適切に使えば言うことを聞くチョロイ子だった。

 

「これで攻撃力3000は2体同士、相打ちには持ち込めるけど…」

 

 そんな事をしたら反動であの世行きなのは確実だ。

 

「待って下さい!私です青き眼の巫女です。お2人は霊廟の護人(もりと)役ですよね。どうしてこんな姿に…」

 

 どうしようかと悩んでいるとソウが取り成してくれようとした。

 

『久しぶりですね巫女よ』

『残念ながら龍の霊廟は奴等に襲われて殆どのものは討ち取られた』

『僅かな生き残りが霊廟を守るために魔物(カー)と一体化したのです』 

『青き眼の一族の事情は聞かされている』

『ですが私達が認めるかどうかは別の話です』

『龍の霊廟に行きたければ我等を倒して力を見せてみろ』

 

 結局戦わないといけないのか。でもどうすれば。せめて魔法カードが使えれば…

 

『マスター!石碑の事を思い出して』

「青子?」

『あの石碑には2つの頭を持つブルーアイズが描かれていたの』

『つまり私達2体での融合体が存在するという事』 

「そうかもしれない、でも融合が無いと融合はできない」

『諦めちゃ駄目だよ』

 

 魔法カードが使えない事で諦めていると青子が励ましてきた。

 

『死にかけていた私を助けてくれた。銀ねえと一緒に頑張ってきた。Sinちゃんが仲間になってこれからもっと仲間が増えていく。その未来の為に戦わないと!』

『私はマスターの事が嫌いでした。でも弟にカードを渡して一緒にデュエルを楽しもうとした優しい人だと言うことは分かっていました。これから私達とデュエルを楽しむために今を進まないと』

『私達は何の効果も持たない通常モンスター』

『でもその先にも可能性は有る!』

 

 2人がそう言うと白紙のカードの1枚が輝きだした。そして白紙のカードは1枚の融合モンスターのカードに変化していた。

 

青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)

 

 テキストにはフィールド上の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)2体を墓地に送った場合特殊召喚できると書かれていた。そして攻撃力3000で戦闘では破壊されない能力と一度のバトルフェイズで2体のモンスターに攻撃が可能という能力を持っていた。

 

『Sinちゃん』

『青子ちゃん』

『『融合(フュージョン)!』』

 

 2人は融合無しで融合を果たしここに青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)が召喚された。

 

「バトル!『青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)』で『混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)終焉(しゅうえん)使者(ししゃ)-』を攻撃!」

 

 ツイン・バーストと混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)の攻撃力は同じだったが自身の効果でツイン・バーストは生き残った。

 

「つづいて『サンダー・エンド・ドラゴン』に攻撃!」

 

 つづいてサンダー・エンドにも攻撃をして同様にツイン・バーストが生き残った。

 

『見事!』

『その力を認めて私達も力を貸しましょう!』

 

 こうして私の力を認めた混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)とサンダー・エンドはそう言って白紙のカードに宿ったのだった。

 

「やりましたね!勇者様!」

「いや、全部青子とSin子のおかげだ。それとキリノだ」

「?」

 

 勇者様と呼ばれ続けられて名前をまだ教えていないことをこの時ようやく気づいた。だから名前を教えた。

 

「私の名前だ。これからはそう呼んでほしい」

「はい、分かりましたキリノさま!」

 

 そう言って笑うソウの事を青子が不安げに見ている事にこの時の私は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 オマケ NG集

 

 

『Sinちゃん』

『青子ちゃん』

『『フューーー・ジョン!』』

「待て!それは作品が違うだろ」

 

 距離を取って左右対称に踊りだしたので私はそう言った。しかし2人はそのままモーションを続けて指を合わせるところで頭をぶつけた。

 

「うん、手が短くて頭が大きいとそうなるわな…」




 本当はもっと早く更新する予定でしたが、オリキャラで長老のおばあさんをを考えていたら『青き眼の司祭』の情報が出たのでカードが販売されて情報が出揃うまでは書くのを中断していました。結局前情報のカードしかブルーアイズ関連のカードは有りませんでしたが。


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第3話 反逆の黒き竜

 ツインバーストに倒された混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)とサンダー・エンドは消滅せずに残っていた。ただ体が不安定な状態になっているようだ。

 

『勇者としての力見せて貰いました』

『我々は力の回復のため霊廟に祀られている石版に戻り休ませて貰う』

 

 私の力を認めてくれた2体はそう言うと消えて行った。私はツインバーストを青子とSin子に戻すと歩いて霊廟に向かう事になった。(バー)を使いすぎて青子を実体化できそうに無かったからだ。

 

 空を飛んでの移動は不可能になったがソウが言うには霊廟までのんびりと歩いて半日ということだったので休みながらのんびりと行く事にした。

 

 しかしその半日で事態は大きく変わってしまった。半日後、霊廟に着くと霊廟はモンスターの襲撃を受けていたのだ。

 

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)…」

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)?」

「あいつ等と戦っていた騎士団の1つです。霊廟を襲っているのは彼らの魔物(カー)に間違いありません。でもどうして幻影騎士団(ファントム・ナイツ)魔物(カー)が…」

「それは僕が魔物(カー)を操っているからさ」

 

 ソウが霊廟を襲っているモンスターの事を説明していると1人の少年がモンスター達を従えて現れた。

 

「あなたは…たしか幻影騎士団(ファントム・ナイツ)の…、名前は何でしたっけ」

 

 ソウが少年の名前を思いだせずにいると少年は怒りの表情を浮かべた。

 

「そうだね、どうせ魔物(カー)を持たない僕の事なんか誰もおぼえてはいないんだ。でもいいよ、人間だった時の名前なんて僕にはもう意味が無いもの」

 

 少年はそう言うと一言『やれ』と言った。その命令に反応して少年の隣に控えていた首無しの騎士が先の折れた大剣を私に向けて振り下ろしてきた。

 

 私はそれを盾で受け止めてると勢いを殺すために後ろに吹き飛ばされた。

 

「キリノさま」

「大丈夫、怪我は無い…」

 

 うまく吹き飛ばされたので怪我は無かった。しかし受け止めた盾の一部が破損して崩れ落ちた。そして崩れ落ちたパーツの下からデッキをセットするのにちょうど良さそうな穴が開いている事に気づいた。

 

「まさかな…」

 

 私はもしかしてと思いデッキをセットした。すると盾に生命力を吸われるような感じがした。

 

「キリノさま、逃げて!」

 

 立ちくらみに近い状態に陥っているとソウの声が聞こえた。いつの間にか首無しの騎士が目の前に来て剣を振り下ろそうとしていた。私は思わず盾を掲げて身を守ろうとした。すると盾が輝き首無しの騎士を吹き飛ばした。

 

 そして盾からいくつものパーツが剥がれ落ちた。そして現れたのは形こと遊戯達のものとは違うが違うがデュエルだった。デュエルディスクはディスプレイにライフ4000を表示させるとデュエルモードに展開した。

 

「これはいけるか。手札から『アレキサンドライドラゴン』を通常召喚!」

 

 私はシャッフルされたデッキから手札を取ると手札にあったアレキサンドライドラゴンを召喚した。すると(バー)を消耗せずに魔物(カー)では無いアレキサンドライドラゴンを呼び出すことに成功した。

 

「『禁じられた聖杯』で『アレキサンドライドラゴン』の攻撃力をアップ。行け『アレキサンドライドラゴン』!あの首なしの騎士に攻撃だ!」

 

 禁じられた聖杯の効果でアレキサンドライドラゴンの攻撃力はアップした。魔法カードも使えるようだ。そして攻撃力が上がったアレキサンドライドラゴンは首無しの騎士を撃破した。

 

「へえ、(バー)を使って魔物(カー)では無い魔物(カー)を実体化させるだなんて、勇者と呼ばれることだけはあるね。でもこの程度じゃ僕には勝てないよ」

 

 少年はそう言うと霊廟の奥から1枚の石版をモンスターに運ばせてきた。

 

「オーバーレイ」

 

 少年が石版に向かってそう言うと、近くにいたモンスター2体が光の玉になって石版に吸い込まれた。そして石版の中から黒いドラゴンが出現した。ドラゴンの周りには吸い込まれた光の珠が2個周っている。おそらくエクシーズモンスターなのだろう。

 

「召喚、『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』。さあダーク・リベリオンよ、僕と1つになるんだ」

「待て!やめるんだ!」

 

 私は少年が何をしようとしているのか理解して止めようとした。しかし私の制止は間に合わず少年はダーク・リベリオンに飲み込まれた。私に出来たのはソウにその光景を見せないためにソウの視界を防ぐ事だけだった。

 

『あはははは!これで僕は最強だ!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果を発動!オーバレイ・ユニットを2つ使い『アレキサンドライドラゴン』の攻撃力を半分にする。そしてその数値分の攻撃力を『僕』に加える』

 

 少年…、いやダーク・リベリオンは攻撃力を上げるとアレキサンドライドラゴンに攻撃して戦闘破壊した。その時に受けたダメージが2500だったので今のダーク・リベリオンの攻撃力はアレキサンドライドラゴンの攻撃力2000÷2=1000から計算して3500になる。

 

『ああ、今の僕は白き龍の力を超えた。もう誰も僕には勝てない』

 

 そう言って高笑いするダーク・リベリオンの事を私は哀れに思った。

 

「おまえ、その姿で一生生きていく気か?もう誰の手も握る事も抱きしめる事も出来ないんだぞ?」

『ああ、そんな事をしたいと思える奴なんていないよ。皆僕の前に跪けばいいんだ!』

 

 そう言うダーク・リベリオンの事を私は許せなかった。ドラゴンのモンスターである蒼銀は私と触れ合いたいから人の姿を取っていた。でも本当の人間では無い事を気にしていた。私には気づかれないように気をつけていたみたいだが私はその事に気づいていたのだ。

 

「分かった、私はお前の過去も事情も知らない。ただ敵として倒す。ドロー!魔法カード『ドラゴン・目覚の旋律』を発動。コストにした『伝説の白石』の効果も合わせてデッキから3枚の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を手札に加える」

『だから白き龍では僕に勝てないんだって』

 

 ダーク・リベリオンがそんな事を言っていたが私は無視した。

 

「魔法カード『融合』を発動、手札の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』3体を融合させて融合召喚!『青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』」

 

 アルティメットの攻撃力は4500。攻撃力3500のダーク・リベリオンとの力の差は歴然だった。そして『オーバーレイ・ユニット』を使い切ってしまったダーク・リベリオンに、カードを使う人間からただのモンスターになった少年に逆転の余地は無かった。

 

『あ、あ、あ…』

「1体のモンスターで最強など存在しない」

 

 力の差を感じて怖気づくダーク・リベリオンに私は言った。

 

『何なんだよ!何なんだよお前は』

「カードを駆使してモンスターを操り勝利する。私はデュエリストだ」

 

 私がきめぜりふを言うとソウがキラキラとした目で私を見ていた。知り合いがいないからちょっと格好を付けてみた。

 

「さあ、大人しく降伏しろ」

 

 私がそう言った時だった。

 

『俺はスケール3の『相克の魔術師』とスケール8の『相生の魔術師』でペンデュラム・スケールをセッティング』

 

 何処からとも無く声が聞こえ、上空に男女の魔術師が空に浮かんでいた。

 

『『ペンデュラム・ターン』で『相生の魔術師』のPスケールを10にしてペンデュラム召喚』

 

 その声と共に2人の魔術師との間にゲートのようなものが開かれ左右の眼の色が違う翼の無いドラゴンが登場した。

 

「オットアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、連中の…、ペンデュラムのボスです」

 

 ソウが現れたドラゴンを指してそう言った。アレが敵のボス。ペンデュラム召喚を使う存在。

 

『た、助けてください、ペンデュラム様!』

 

 ダーク・リベリオンはオットアイズに助けを求めた。しかしオットアイズはそれを無視した。

 

『相克の魔術師』と『相生の魔術師』のP効果で『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』のレベルを7にする。そして俺とオーバーレイ・ネットワークを構築』

『ぎゃあぁぁぁ!や、やめてください!』

 

 ダーク・リベリオンは助けを求めながら光の玉になって行った。そして同じく光の玉になったオットアイズと1つになり1体のドラゴンになった。

 

『俺は覇王!『覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン』だ!』

 

 そう名乗りを上げるとオッドアイズは翼から雷を出して残された幻影騎士団(ファントム・ナイツ)のモンスター達を破壊して言った。さらにその雷はソウも襲おうとしていた。

 

「魔法カード『禁じられた聖衣』」

 

 私はとっさに禁じられた聖衣を発動してソウを破壊の雷から守った。ちなみに私はデュエリスト扱いなのか盾が雷から守ってくれたので平気だった。そしてもう1体、アルティメットも雷を受けても平気だった。

 

『さすがにレベルが高い魔物(カー)の破壊は無理か。だが目的は果たした』

 

 オットアイズがそう言うと霊廟から飛行系のモンスター達が4枚の石版を運び去ろうとしていた。

 

『『巌征竜-レドックス』、『瀑征竜-タイダル』、『焔征竜-ブラスター』、『嵐征竜-テンペスト』。地水火風の4大征竜は頂いていくぞ』

「待て!そうはさせるか!」

『今の俺はそのドラゴンに勝てそうには無い。だがより強き力を手に入れ全てを俺のものにして見せよう』

 

 そう言うとオッドアイズは石版と共にPスケールに入って去って行ったのだった。

 

「そうだ!霊廟の人たちを助けないと」

 

 オッドアイズに逃げられた悔しさをかみ締めているとソウがそう言い出した。確かに生存者を助けないといけない。

 

『無駄じゃよ!皆やつらに殺されてしまった』

 

 そう私達に話しかけきたのは竜人の姿をした老人だった。



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第4話 錬金術師の少女

 話の展開を急ぐのでさっくりいくと…

 

 青き眼の盾の使い方を知るために向かった龍の霊廟は幻影騎士団(ファントム・ナイツ)の強襲を受けて壊滅してしまった。魔物(カー)との融合で現世に魂を残す事が出来た霊廟の守護者の話を聞くと龍の鏡のような宝物は全て奪われ、魔物(カー)の石版も奪われるか壊されるかして戦力になるのは魔物(カー)と魂を融合させて力を得た『霊廟の守護者』、『サンダー・エンド・ドラゴン』、『混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)終焉(しゅうえん)使者(ししゃ)-』の3体だけだった。私は白紙のカードに彼らを宿らせてデッキに加えると何も残っていない龍の霊廟を後にしたのだった。

 

 そして私は魔法都市エンデュミオンに来ていた。龍の霊廟で戦力の強化がさほど出来なかったので青き眼の祭司の勧めで戦力の強化のためにやってきたのだ。幻影騎士団(ファントム・ナイツ)の裏切りと全滅した今、残る戦力はエンディミオンと真紅眼谷しか残っていないそうだ。そして闇属性のドラゴンを使い悪魔と契約していると噂されている真紅眼谷と青き眼の一族はそりが合わないらしい。

 

 話だけ聞くと真紅眼谷は真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)魔物(カー)を宿す一族の住む谷なのだろう。そちらとの共闘のための交渉は祭司のほうでやるので私は中立のエンディミオンに行って欲しいと言われて来たのだが、エンディミオンは壊滅していた。

 

「酷いな、これは…。ソウを連れてこなくて良かった」

 

 美しい景観だったであろう町並みは廃墟の集まりとかしていた。街の住人は優秀な魔法使い、錬金術師なのでおそらく都市を襲撃したペンデュラムに連れ去られてしまったのだろう。こうなると戦えるの青き眼の一族と真紅眼谷だけになる。

 

 この戦い最終的にはどちらも滅んでしまうのだろう。おそらくここは過去の世界だ。それも千年アイテム誕生前の。そして青き眼の一族の最後の生き残りがファラオの記憶編に登場したキサラなのだろう。

 

 私は未だに黒く塗りつぶされて姿が見えない蒼銀のカードを取り出して眺めた。もしこの推論が正しければ蒼銀の正体は…。やめよう、今はここでの役目を果たして帰る事だけを考えたほうがいい。

 

 そう思って青き眼の一族の所へ戻ろうとしたら近くで物音が聞こえた。行って見ると地下室の入り口らしき所から顔を出した少女と目が合った。まだ生存者が居たのか。

 

 少女は私と目が合いうと地下に逃げて行って。

 

「待って、私は敵ではない」

 

 下手に追いかけると怖がられるので入り口の所で止まり、地下に向かって叫んだ。

 

「分かっています。お兄さんは人間ですから。でも、あの、その…、私、人前に出るのが苦手なんです!」

 

 そう返事が帰ってきたので私は入り口から彼女と話をする事にした。

 

「あの、ありがとうございます。私はノエル。シャイニート・マジシャンの魔術師名を与えられた錬金術師です」

 

 少女は地下から答えてそう名乗った。

 

 ノエルから詳しい話を聞くとノエルは引きこもりらしい。エンディミオンが襲撃された時、友達が訪ねて来たのでそして地下の居留守用退避シェルター(何だそれ?)に隠れていてそのまま一日が過ぎ外に出てみたら街は壊滅していたらしい。

 

 シェルター内に水と食料も常備して有ったので今までシェルター内に隠れていたのだが、水と食料が無くなったのでシュルターの外に出てきた所を私と鉢合わせたのだった。どうやらエンディミオンが襲撃されたのはだいぶ前の事のようだ。

 

「あの、お兄さんと出会えてよかったです。それで私のほかにどれだけの人が無事なのかは分かりますか?」

「残念ながら助かったのはノエルだけだと思う。今無事なのは青き眼の一族の所をと真紅眼谷だけで青き眼の一族の所には逃げてきた人は愚かエンディミオン壊滅の情報も届いては居なかった」

 

 私がそう言うとノエルは取り乱した。

 

「そんな!じゃあミアちゃんは?アルケミック・マジシャンの魔術師名をもつミアちゃんなら逃げ切れると思っていたのに…。こんなんならあの時居留守を使うんじゃなかった!家に入れていれば一緒に隠れていられたのに…」

 

 どうやら友達が行方不明になってしまった様だ。街1つ壊滅したんだ、家族や友人…、大切な人を失ってしまって当然か。

 

「行くあてが無いのなら私と一緒に青き眼の一族の所に来るかい」

 

 私がそう言うと暫くして少女は地下からでてきた。そして小さな声で『よろしくお願いします』と言ったのだった。

 

*****

 

 一方その頃、4大征竜を奪った覇王黒竜は不機嫌を隠さないでいた。奪った4大征竜が禁止カードの封印によって自らを封じてしまっていたからだ。

 

 覇王黒竜は部下の4体のオッドアイズ・ドラゴンに4大征竜の属性エネルギーを抽出し、魔術師を使って自身の強化を命じた。

 

 そして、

 一体は焔征竜-ブラスターの火の力と貴竜の魔術師をチューナーに使いオッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンに

 一体は巌征竜-レドックスの地の力と竜脈、刻剣の魔術師を生贄にささげオッドアイズ・グラビティ・ドラゴンに

 一体は嵐征竜-テンペストの風の力と賎竜の魔術師と融合してオッドアイズ・ボルテックス・ドラゴンに

 一体は瀑征竜-タイダルの水の力と竜穴の魔術師とエクシーズしてオッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンに進化した。

 

 そしてもう一体、弟のオッドアイズ・ファントム・ドラゴンを加えてオッドアイズ5人集を組織すると星読み、時読みの魔術師から魔物(カー)を抜き新たなるオッドアイズを生み出した。

 

 その光景を見ていた光属性のオッドアイズは残された魔術師の少女を連れて逃げ出すのだった。




 ごめんなさい征竜は禁止カードになったので出てこないです。


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第5話 別れと出会いと

 シャイニート・マジシャンことノエルを保護した私は青き眼の一族の所に戻る事にした。ノエルは人見知りの激しくてコミュニケーションを取るのが難しかったが、一族の所に戻る頃には普通に会話が出来るようになっていた。その結果どうなったかというと…

 

「キリノ様から離れてください」

「イヤです」

 

 青き眼の巫女(ソウ)シャイニート・マジシャン(ノエル)が私を挟んでにらみ合う事になってしまった。羨ましいと思う人もいるだろうが私の年齢は20代半ばだ。中、高校生位の年齢の女の子の取り合いに挟まれても疲れるだけである。

 

「キリノ、祭司様が呼んでいるぞ」

「分かった、そういう訳だから私はこれで」

「キリノ様!」

「キリノさん、私も行きます」

 

 護人から祭司が呼んでいると言われたので逃げ出すのだった。

 

「結論を先に言います。我々はこの地を捨てて逃げる事にしました」

「な!」

 

 司祭の話をまとめるとこうなる。私がエンデュミオンに行っている間に真紅目谷に使者を送ったところ、真紅目谷は壊滅していて不死竜しか居なかったそうだ。もっとも強力な白き竜をもつ青き眼の一族が最後になった訳だが、一族だけではペンデュラムに対抗できないと判断して逃げる事を決めたそうだ。

 

「それじゃあミアちゃんは…エンデュミオンの皆はどうなるんですか!」

 

 その決断にノエルは叫んだ。

 

「残念ながら今の私達には助けるだけの力は無いのです。勇者様も元の世界にお帰しします」

「いや、私は残って戦う」

 

 私がそう言うと皆驚いて私を見た。

 

「別に勇者としての使命感を持って言っている訳では無いですよ。私にとってペンデュラムを野良ばらせては都合が悪いだけですから」

 

 ここが過去の世界ならペンデュラムを止めないといけない。蒼銀がソウの精霊(ルー)なら黒く塗りつぶされた蒼銀のカードは過去を変えられるかもしれないという証だと思うからだ。

 

「私も一緒に行きます!私がミアちゃんを助けないといけないの!」

「わかった、協力して欲しい」

 

 ノエルが一緒に行くと言ったので私は受け入れた。

 

「じゃあ、私も一緒に行きます!」

「駄目だ」

 

 続いてソウも一緒に行くと言い出したのできっぱりと拒否した。

 

「どうしてですか!」

「ノエルは家族や友達が連れ去られて、居場所を取り戻す為に一緒に行くんだよ。でもソウの居場所は青き眼の一族でしょ?」

「キリノさまのバカー!」

 

 そう言って諭そうとするとソウは泣きながら走り去って行った。

 

「朴念仁」

「どんかん」

「あの子可哀想」

「慰めてくるね」

 

 周りから散々言われ、最後に実体化した青子が追いかけていった。一体私にどうしろと?

 

「若い男性教師が無自覚に生徒を落としたって感じ?」

「ノエル、的確な表現ありがとう。でも傷付くからやめてね」

「ごめんなさい」

 

 ノエルは少し前まで学生だったからそんな表現をしたのだろうけれども、本当に子供に手を出したらアウトだからやめて欲しい。

 

「一応ソウは16歳で成人していますけど」

「あ、私と同い年だ」

「うそ」

 

 と言う事は高校2年に進級した遊戯達と同じ年齢!?中学生くらいにしか見えないのに?子供だと思っていたからスキンシップを許していたのに…。カードの乙女とソウは完全に別人だな。

 

「じゃあこれ以上は大きくなれないんだ。可哀想」

「言わないであげてください」

 

 ノエル、正確は控えめなのに毒舌なんだな…

 

「話を戻しますが、勇者様が残って戦うというのなら託したいものがあります。まず我々の(バー)の力を勇者様のカードに込めます。これで我々の写し身を魔物(カー)として呼ぶことが出来るでしょう。そして霊堂に祀られている白き竜達も連れて行ってください。この地を捨てる我等にはもう彼らと共に資格は無いのですから…」

 

 司祭にそう進められて私は多くのカードを手に入れてデッキを強化した。その間に青き眼の一族は遠くへ逃げる準備を行い。ノエルは錬金術で役に立つ道具や薬を製作していた。

 

 そしてその間ソウが私の前に現れる事は無かったのだった。そして全ての準備が終わり、青き眼の一族は旅立って行った。キサラの事を考えるとおそらくこの流れを変える事は出来ないのだろう。でもソウの運命は変えられたはずだ。

 

「じゃあ以降か」

「はい」

 

 青き眼の一族を見送った後私とノエルはペンデュラムの拠点を目指して旅立とうとした。しかし…

 

「そう言えば連中の拠点は何処だっけ?」

「え?私は知りませんけど」

「…」

「…」

 

 一歩目でつまずいた。

 

「追いかけて話を聞くしかないか」

「恥ずかしいですけどそれしかないですよね」

 

 情けないけれども青き眼の一族を追いかけようとすると、誰かの助けを求める声が聞こえてきた。

 

「いやー!助けてください!」

「あれは!鎧を着けたオッドアイアズ?」

「背中にいるのは魔法使いらしい少女?」

 

 ドラゴンは背中に少女を乗せて爆走している。背中の少女は振り落とされないようにドラゴンにしがみ付いているように見える。

 

 オッドアイズが少女を誘拐しているのか?テレビだとこういう場合しがみ付かずに手を離せばいいと思う人もいるのだろうが、普通は怖くて手を放すことは出来ない。それをいい事に誘拐犯は爆走して遠くへ行くのだ。もっとも目立つのですぐにばれるのだけれども。(あと掴んだまま爆走すると振りほどこうとして暴れたあげく放り出された所をヒーローがチャッチというパターンもある)

 

「大変!助けないと」

 

 ノエルがそう言うと同時に青子が青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の姿で実体化してドラゴンに向かって突撃した。そしてドラゴンの横っ腹に頭突きを食らわせると衝撃で放り出された少女を起用に受け止めた。

 

「ふふ!ロリコンは死ね!」

 

 そして何時の間にが実体化していたSin子が止めを刺そうと体制を崩した衝撃で頭からダイブしたドラゴンに近づいて行った。

 

「待って下さい。違うんです、誤解です」

 

 青子に助けられた少女がそう叫んだのでSin子は攻撃を止めた。

 

「キリノさん、何かが来るよ」

「ん?オッドアアイズ似のドラゴンが2体?」

 

 ノエルが指した方向を見るとオッドアイズの進化系みたいなドラゴンが2体走りながらやってきた。

 

「あいつらが敵です!追っ手です!」

 

 少女がそう言うので青子とSin子は合体して青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)になった。そして

 

「くく我が魔眼より逃れるものはいない。我が名はルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」

「俺はビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン。そいつ等を渡してもらおうか」

 

 中二病ぽいドラゴンと野性味あふれるドラゴンはそう名乗った。しかし

 

「「ツイン・バースト・ストリーム!!」」

「「きゃぁぁぁぁ!!!」」

 

 名乗った直後に青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)の2回攻撃を受けて敗れ去ったのだった。

 

「助けていただいて感謝する」

 

 2体のドラゴンを倒したのを見ていつの間にか起き上がっていた鎧を着けたオッドアイズがそう言った。この声女なのか?

 

「女の子だったんだ。鎧を来ていたから分からなかった」

 

 ツインバースト(青子とSin子)がそう言ったので間違いなく女の子だ。

 

「我が名はオッドアイズ・セイバー・ドラゴン。問おう貴方が私のマスターとなる人か?」

「いや、違うけど」

 

 見た所、光属性のドラゴンのようがだレベルが7だし私のデッキとの相性は良く無さそうだ。ところでこいつのキャラの元ネタは…

 

「そうか、では後もう1つ。お腹がすいたので何か食べ物を分けて欲しい」

「腹ペコさんまで真似するな!」

 

 思わずそう叫んでしまったのだった。

 

 

 

 

 どうでもいい補足

 

 オッドアイズ・セイバー・ドラゴン オッドアイズの中で正義の心を持ち叛旗を翻したドラゴン。人間だった時は騎士の格好をした男装の少女でそのまんまフェ○トのセ○バーである。

 

 ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 魔術を使えそうで仕えないドラゴン。人間だった時はゴスロリの眼帯を着けた中二病少女。恋をしてたりしてなかったりとか

 

 ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 言葉遣いは男だけれども言動はまともなお姉さん。人間だった時は筋肉ムキムキで日焼けして色黒の肌を持つバーサーカーのような姿をしていた。

 

 この後ルーンアイズとビーストアイズはカードに封印されて回収されました。今後の番外編で出てくる予定。




ずっとやりたかったセイバーネタ。オッドアイズ・セイバー・ドラゴンでセイバーネタをやった人って他にいるのかな?


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第6話 Vs 覇王黒竜、最終決戦開始

 力を求めてモンスターになったものの覇王黒竜のやり方に嫌気が差して逃げてきたというセイバーの案内で私達はペンデュラムの本拠地である城にやってきた。しかし城には門番が居らず人の気配が無かった。

 

「おかしい。警備が手薄どころか誰もいないだなんて」

「もしかして罠か?」

「誰に対するだ?」

 

 確かに、もうこの地にペンデュラムの敵はいない。

 

「もしかして青き眼の一族の追撃に出てしまったとか」

「いや、それだと途中で私達とすれ違っているはずだ」

「考えられるとしたら私達が逃げ出したから本拠地を変えたとかも知れないが…、そんな時間は無いはず」

 

 セイバーが私達を騙したかも知れないとも考えたのだがそれは違うなと考え直した。セイバーはそういう事をするような正確には思えなかったからだ。

 

「中に入って確かめてみるか」

「だったらいいものが有ります」

 

 このままじっとしていても仕方が無いので中に入って様子を見ようとするとノエルが荷物から何かを取り出して組み立てた。組みあがったそれはダンボール箱だった。

 

「私が外出する時に使っているステルスボックスです。厚紙を組み合わせて作ったので軽くて丈夫。これに入って隠れれば誰にも見つからないんです」

 

 ドヤ顔でそういうノエルを見て私はどうコメントすればいいのか分からなかった。せっかくの技術をそんな事に使うなと言うべきか、何でダンボールというべきか…

 

「分かったじゃあちょっと様子を見てくるから貸して欲しい」

「え、私も一緒に行きますよ」

 

 信用できないセイバーと残りたくは無いのだろう。ノエルは一緒に行くと言った。しかしダンボール箱は1つしかなかった。

 

「大丈夫ですよ、荷物を置いて身軽な状態で身を寄せ合えば2人でも入れます」

 

 いいのかそれで。私と体を密着させる事になるんだぞ。ノエルは自分の発明品を自慢したくてその事に気づいていないだろ。

 

 その事を言おうとしたら突然殺気を感じた。しかし見回しても誰もいなかった。

 

「さあ、行きましょう」

 

 周りの様子を覗った所為でノエルに突っ込むタイミングを逃してしまった。そしていつの間にかノエルは城から見える位置に来ていた。もうこうなったら行くしかあるまい。私はセイバーと魔術師の少女を残してノエルと城に侵入した。

 

 結論を言うとダンボール箱を使う機会は無かった。城の中には1人しかいなかった。そう覇王黒竜しか…

 

 覇王黒竜は魔物(カー)が宿った石版で埋め尽くされた壁を背に私達を出迎えた。

 

「意外と早かったな。こちらはデッキが完成したばかりだと言うのに」

「デッキ?」

 

 私がそう言うと覇王黒竜はカードの束を私達に見せつけた。それは間違いなくデュエルモンスターズのカードデッキだった。

 

「お前が使っているのを見て真似させてもらった。ちょうど部下達をカードに封印してデッキを組み上げた所だ。もう少し時間が有れば他の連中もカードに出来たのだがな」

 

 つまり覇王黒竜は部下を仲間をカードに封じ込めてしまったのだ。

 

「さて俺を倒しに来たのだろ。ならばちょうどいいデュエルとやらで勝負してやろう」

「その前にミアちゃんを、エンディミオンの仲間を帰して」

 

 覇王黒竜がデュエルを持ちかけるとノエルが前に出てそう言った。

 

「エンディミオン?そこら辺の石版の中に居るのだろう。後でカードに移してた後一緒にしまってやるから先にカードになっていろ」

 

 覇王黒竜はそう言うとノエルに向けて光をはなった。そして私が割って入る間もなくノエルの体から人の形をした魔物(カー)が出てきた。覇王黒竜はノエルの魔物(カー)に向けて白紙のカードを投げると魔物(カー)をカードに封印した。

 

 私は覇王黒竜に奪われる前にカードを手にした。カードにはシャイニート・マジシャンという名前のエクシーズモンスターが描かれていた。

 

「貴様、絶対に許さない!」

「邪魔者は消えた。さあデュエルを始めよう!先攻は貰うぞ。私のターン。私はスケール8の『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』とスケール1の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル2から7までのモンスターが同時に召喚可能。そして『EMドクロバット・ジョーカー』を通常召喚。通常召喚に成功したことで効果を発動。デッキから『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』を手札に加える。フィールド魔法『天空の虹彩』。そして効果を発動。『EMドクロバット・ジョーカー』を破壊して手札から『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を手札に加える。そしてペンデュラム召喚。手札の『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃力2500)、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』(攻撃力2500)、エクストラデッキの『EMドクロバット・ジョーカー』(攻撃力1800)を攻撃表示で特殊召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 覇王黒竜 ライフ 4000 手札0 伏せカード1枚

 

「私のターン。ドロー!」

 

 初めてだな、楽しむためのデュエルではなく相手を叩き伏せるためのデュエルは。

 

「手札から『青き眼の護人』(攻撃力800)を通常召喚。通常召喚に成功したことで効果を発動。手札から『青き眼の乙女』を特殊召喚。『青き眼の乙女』を対象に『青き眼の護人』の効果を発動。これにチェーンして『青き眼の乙女』の効果を発動させる。デッキから『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』(攻撃力3000)を攻撃表示で特殊召喚。そして『青き眼の護人』の効果で『青き眼の乙女』を墓地に送り手札の『白き霊龍』(攻撃力2500)を特殊召喚。このカードはルール上ブルーアイズモンスターとして扱う。そしてこのカードが特殊召喚に成功したことで効果を発動。相手フィールドの魔法・罠カード1枚を除外する。ただし『天空の虹彩』があるのでPゾーンのカードは効果対象には出来ない。私は伏せカードを除外する。魔法カード『融合』を発動。手札とフィールドの『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』2体を融合させて『青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)』(攻撃力3000)を融合召喚!バトル!『青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)』(攻撃力3000)で『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃力2500)、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』(攻撃力2500)に攻撃!」

 

 ツインバーストは1回のバトルファイズで2体のモンスターに攻撃できるモンスター。これで2体のオッドアイズは戦闘破壊され500のダメージ×2の1000のダメージを与えられる。

 

 覇王黒竜 ライフ 4000 - 1000 = 3000

 

「そして『白き霊龍』(攻撃力2500)で『EMドクロバット・ジョーカー』(攻撃力1800)を攻撃。最後に『青き眼の護人』(攻撃力800)でダイレクトアタック」

 

 覇王黒竜 ライフ 3000 - 700 - 800 = 1500

 

「メインフェイズ2に入る。レベル8の『白き霊龍』にレベル1の『青き眼の護人』をチューニング!シンクロ召喚!レベル9『青眼の精霊龍(ブルーアイズ・スピリット・ドラゴン)』。このモンスターがフィール上にいる限りお互いに2対以上同時にモンスターを特殊召喚できない。いくらエクストラデッキにモンスターがいても呼び出せるのは1体だけだ。私はこれでターンエンド」

 

 キリノ ライフ4000 手札1 伏せカード0

 

 これで私優勢だ。怖いのはレベル4のEMドクロバット・ジョーカーがペンデュラム召喚されて手札からレベル4を通常召喚される事。これでダーク・リベリオンを呼ばれて効果を使われるととやっかいだがツインバーストは戦闘破壊されないし受けるダメージは2500で耐えられる。それにツインバーストと戦闘をすれば生き残ってもゲームから除外されるから問題ない。

 

 一番いいのはスピリット・ドラゴンの効果で蒼眼の銀龍を特殊召喚すれば対象を取れなくなるので無傷でやり過ごせる。しかし蒼銀のカードは黒く塗りつぶされたままだ。

 

 そう考えていると覇王黒竜はEMドクロバット・ジョーカーとレベル4のEMボットアイズ・リザードをフィールドに揃えていた。

 

「ダークリベリオンを呼んでも耐えられると考えているのだろう」

 

 覇王黒竜は不適に笑いながらそう言った。

 

「残念だったな。俺の『ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン』はレベル5以上のモンスターにしか効果の対象に出来ず、ターン終了時に効果は切れるがエクシーズ素材の消費は1つで同一ターンでの回数制限は無い。つまり『青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)』に効果を2回使えば『青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)』の攻撃力は1/4の1250になり、『ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の攻撃力は5250になる。そして攻撃力の差は4000になり俺の勝利が確定する」

 

 それを防ぐには蒼眼の銀龍を呼ぶしかない。でも私のエクストラデッキの蒼眼の銀龍は…

 

「私の力が必要なんですね」

 

 私と覇王黒竜しかいないはずのこの場に少女の声が響いた。

 

「私の精霊(ルー)、『蒼眼の銀龍』の力が…」

 

 いつの間にかダンボール箱を被ったソウが私の隣に立っていた。

 

 

 

 

 どうでもいい補足2

 

 どじっこ魔術師、調律ちゃん

 

 セイバーにつれられて逃げてきた少女。『少女』と書いた前の話を書いた後に調律の魔術師は実は性別不明と知ったけれどもこのまま『少女』で押し通す。

 

 味方のライフを回復させて敵のライフにダメージを与えるはずがどじっこなので逆の効果になってしまう。この戦いの後カードに封印されて異次元に飛ばされてしまう。そこで天から舞い降りて1人の少年の手に…。

 

 キャラ付けを考えたものの展開を飛ばしたので細かい出番が無かった少女。 



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第7話 決着、そして旅立ち

 覇王黒竜とのデュエルとの中、突然ソウが現れたので私は驚いた。

 

「予備のステルスボックスを(黙って)借りて付いてきたんです」

 

 まさか本当に気づかれずについて来れるとは。

 

「青子ちゃんから全部聞きました。キリノさんは未来の私…。精霊になった私に連れられて異世界からこの世界の未来に送られてきたのですね。そして未来からこの時代に跳ばされた…」

 

 霊堂の朽ち具合やアトランティスの沈没時期、そして青き眼の一族がキサラの先祖ならここは千年アイテムが出来上がる前の時代だ。そして私がこの時代にきた時点ではソウが蒼銀になる未来は確定してしなかった。だから蒼銀のカードは黒く塗りつぶされていた。

 

 そこまで理解して私は青子と相談して過去を変える事にした。タイム・パラドクスが発生して私と青子が消えるかもしれない事を覚悟してソウに人としての一生を全うさせようとしたのだ。

 

「私と一緒にいれば戦いに巻き込まれて命を落とす。だから置いてきたのにどうして付いてきた!」

「だってキリノさまと一緒に居たかったから。知っていますか?青き眼の一族の女は惚れっぽくて一途なんです」

 

 見た目は幼いのに見ほれるような笑顔でソウはそう言った。

 

「私の中に眠る白き竜…、『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』を解放します。でも私の力ではこの竜を操る事はできない。だからこの身を、魂を、心を全て『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』に捧げます。レベル8の『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』にレベル1の青き眼の乙女(わたし)をチューニング!」

 

「待て!やめるんだ!」

 

 しかしソウは自らが呼び出した青眼の白龍(せいれい)と1つになった。そして光の中から現れたのは蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)だった。

 

「素晴らしい。その美しい龍も俺の物に…」

 

 成り行きを黙ってみていた覇王黒竜は蒼銀を自分のカードに封印しようとした。

 

「そうはさせない。『青眼の精霊龍(ブルーアイズ・スピリット・ドラゴン)』の効果を発動。S召喚したこのカードをリリースしてエクストラデッキから光属性ドラゴン族のシンクロモンスターを守備表示で特殊召喚!来い!『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』!」

 

 その叫びと共にソウだったドラゴンは私の場に召喚された。

 

「特殊召喚に成功した『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』の効果を発動。自分フィールドのドラゴン族モンスターは次のターンの終了時まで、効果の対象にならず、効果では破壊されない。これでダークリベリオンの効果は使えない」

「くくく。あっはっはっは!」

 

 蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)の召喚を目にして覇王黒竜は盛大に笑った。

 

「たしかに、『ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果は使えない。しかし私はまだその『ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を召喚していない」

「まさか他にもランク4のエクシーズモンスターがいるのか」

 

 私の問いに覇王黒竜はエクシーズ召喚を行う事で答えた。

 

「俺はレベル4の『EMドクロバット・ジョーカー』とレベル4の『EMボットアイズ・リザード』でオーバーレイネットワークを構築。現れろ異世界のドラゴン!ランク4、『No.82 ハートランドラコ』(攻撃力2000)」

 

 ナンバ-ズ!。たしかゼアルのモンスターだったはず。

 

「俺がこの世界に来る前に見たモンスターの写し身だ。オリジナルのナンバーズ特有の効果、『No.』と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されないは持っていないがな。だがこのカードに関しては関係ない。『No.82 ハートランドラコ』は自分フィールド上に魔法カードが表側表示で存在する限り、相手はこのカードを攻撃対象にできないという効果を持つ。今俺のフィールドには『天空の虹彩』とペンデュラムゾーンの2枚、合計3枚の魔法カードが存在する。この3枚を破壊しない限りロックが発生してお前は攻撃できない」

 

 本当ならダークリベリオンが召喚されてから蒼眼の銀龍を呼ぶべきだった。しかしソウを守るために私はダークリベリオンが召喚される前に蒼眼の銀龍を呼び出した。それが他のエクシーズモンスターを召喚させる事になるとは…

 

「そして『No.82 ハートランドラコ』のもう1つの効果を発動!オーバーレイユニットを一つ使い、相手プレイヤーに直接攻撃を可能にする。代償としてこのカード以外攻撃出来なくなるが俺の場にはこのモンスター1体だけで関係ない。バトル!『No.82 ハートランドラコ』(攻撃力2000)でダイレクトアタック!」

 

 キリノ ライフ 4000 - 2000 = 2000

 

「俺はこれでターンエンド。次のターン、3枚の魔法カードを破壊してハートランドラコを破壊できなければ。次の俺のターンで再びダイレクトアタックを決めて俺の勝利が確定する。その時はその美しい龍は俺のコレクションに加えてやろう」

 

 覇王黒竜がそう言ったので私の中で何かが切れた。拉致同然の形で遊戯王の世界に連れて来た事には思うことが有るが、今まで私の事を思って尽してきてくれた蒼銀をソウをあんな奴には渡したくないと強く思ったからだ。

 

 しかし手札のカードはこの状況では使えない。可能性が有るのは…、有った。まだこの状況を打開できる可能性が有った。後はそのカードをドローするのみ。それにしてもいい年をしてドロー1枚でここまで真剣になる日がこようとは。

 

 ふと問う思うと力が抜けて私は笑った。その私の笑顔を見て覇王黒竜は不気味そうに私を見た。そして私はドローした。

 

「スタンバイフェイズ!『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』の効果を発動!墓地から墓地では通常モンスター扱いの『白き霊竜』を特殊召喚する。そして『白き霊竜』の効果で『天空の虹彩』を除外」

「だが俺の場には2枚の魔法カードが有る!」

「魔法カード『巨竜の羽ばたき』を発動!自分フィールドのレベル5以上のドラゴン族モンスター1体を選んで手札に戻し、フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。レベル5以上のドラゴン族モンスター1体を選んで手札に戻す効果は対象を取るものではない。よって『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』の効果継続中でも発動可能!私はレベル8の『白き霊竜』を手札に戻してフィールド上の魔法・罠カードを全て破壊」

 

 白き霊竜が羽ばたきながら突風を起こして手札に戻り、覇王黒竜のペンデュラムソーンのカードは破壊された。

 

「これで『No.82 ハートランドラコ』に攻撃が可能になる。『蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう)』を攻撃表示に変更」

 

 蒼眼の銀龍(そうがんのぎんりゅう) 守3000 → 攻2500

 

「バトルフェイズ!『青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)』(攻3000)で『No.82 ハートランドラコ』(攻撃力2000)を攻撃!」

 

 覇王黒竜 ライフ 1500 - 1000 = 500

 

「まさかこの俺がこんな所で終わってしまうと言うのか!」

「とどめは任せた『|蒼眼の銀龍《そうがんのぎんりゅう』(攻2500)でダイレクトアタック!」

「こんな所でーーー!!!」

 

 覇王黒竜 ライフ 500 - 2500 = 0

 

 覇王黒竜は叫びながら倒れ、デッキのカードはばら撒かれた。

 

「終わったな」

「終わりました。でもまだ私には役目があります。『シャイニート・マジシャン』のカードを出してください」

 

 ソウに言われて私はカードを出した。

 

「今の私は通常モンスターなら蘇生できます。魔法使いではないただの女の子としてならノエルさんを生き返らせる事が出来ます。ただノエルさんのシャイニート・マジシャンとしての力はカードに封じられたままになります」

 

 そう言うとソウはカードからノエルの魂を抜いて抜け殻となった体に戻した。

 

「あれ?私は…」

 

 そして私達が見守る中ノエルは目を覚ました。

 

「ノエル、よかった」

「カードの中から全部見ていました。キリノ、敵をとってくれてありがとう。ソウも私を生き返らせてくれて本当にありがとう」

 

 ノエルがお礼を言うとソウは悲しげにある事実を告げた。

 

「魂が戻るべき肉体が有るノエルさんは蘇生できました。しかし石版に魂を封じられた人たちは戻るべき肉体が存在せずに蘇生する事は出来ません」

「そんな、じゃあミアちゃんは…」

 

 ソウは何も言わずにただ首を振った。それを見てノエルは泣き出した。

 

『ノエル、泣かないで』

「ミアちゃん?」

 

 見ると1枚の石版が光り輝いていた。近づいて見てみるとノエルとよく似た格好の少女が彫られていた。この子がミアなのだろう。

 

『ノエルちゃんが無事でよかった』

「でもミアちゃんが!」

『大丈夫これからはずっと一緒だから。キリノさん白紙のカードに私を移して下さい。そうすればノエルちゃんと一緒にいられるよ』

「いいの?今なら魂を解放して有るべき場所に還る事が出来るのに」

『ノエルちゃんが天寿を全うしたら一緒に還ります』

 

 ソウの問いにミアは迷い無く答えた。それを聞いて私は(何故か無限に出てくる)白紙のカードを取り出した。その時だった。

 

『我も連れて行け』

 

 ミアの封じられた石版の近くに有る別の石版から声が聞こえた。

 

「神聖魔導王 エンディミオン様!」

『エンディミオンの生き残りよ我も連れて行け。最後の生き残りの行く末、王として守りたい』

『私も一緒に行きます』

『俺も』

『ワシも』

『それがしもだ』

 

 おそらくエンディミオンの魔導師たちなのだろう。多くの声が聞こえてきた。

 

「皆ありがとう。私人見知りで皆のこと避けてきたのに…」

 

 ノエルが感謝の涙を流す中私は同行を希望した魔導師たちの魂をカードに移した。

 

「とは言え帰る家も無いのに1人で生きていくのは大変だろう。ノエルさえ良ければ落ち着くまで私が面倒を見ようと思うのだけどどうする?」

「キリノさん。お願いします」

 

 カードの束を手渡されたノエルはカードの束を胸に当てると私に頭を下げてそう言った。

 

「じゃあ私は残りの人たちの魂を開放して有るべき場所に連れて行きます」

 

 ノエルが落ち着くのを待って。ソウがそう言った。

 

「キリノさま、私は必ず貴方を見つけます。だから元の時代に戻ってキリノさまと一緒にいる私が目覚めたらその時は…」

 

 それだけ言うとソウは羽ばたきで石版を破壊した。そして解放された魂を導いて飛び立とうとした。その時だった。

 

「こうなったらお前だけでも!」

 

 倒れていた覇王黒竜が起き上がりソウをカードに封印しようとして光を放った。

 

「そうはさせません」

「駄目なの!」

 

 しかしソウを庇って少女を背中に乗せたままセイバーは飛び出してきて2人はカードに封印された。そしてその間にソウの姿は見えなくなった。

 

「覇王黒竜!」

「まだ、終わらん!」

 

 悪あがきを使用とする覇王黒竜を取り押さえようと私が動くと、覇王黒竜はワームホールのようなものを開けて飛び込んでいった。同時にばら撒かれた覇王黒竜のデッキのカードも吸い込まれていった。

 

『あれは世界を超える次元の穴。覇王黒竜は元の世界に戻ったようだ。もうこの世界は安心だがどうする?』

 

 オベリスクが私に問いかけてきた。

 

「覇王黒竜を追いかけて事件を解決させたとして、元の時代に戻る時、私がこの時代に飛ばされた時の直後に戻す事は可能か?」

『可能だ』

「なら追いかける。このまま逃がしたらもっと多くの人が泣く事になる。ノエル、悪いけど」

「言わなくてもいいです。私も同じ考えですから」

 

 こうして私は覇王黒竜を追って別の世界に行くことになった。しかしこの先の物語はここでは語らない。話そうとするとかなり長くなるからだ。だからこの先の物語を話すのは別の機会にして元の時代に戻ってからの事を話そうと思う。




 次回よりバトルシティ編に入るためのインターバルに入ります。また準備編では芸がないので日常編にしようかと。

 そしてお知らせARC-V の世界を舞台にした番外編を別スレでやろうと思います。こっちはシンクロ、エクシーズ、ペンデュラム解禁。カードプール気にすることなくやりたい放題で行きます。とりあえず番外編を1話書いてからこっちの日常編を始めます。


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童実野町の恋愛模様
海馬、恋人が出来る


 キリノへ

 

 海馬コーポレーションの重役であるビッグ5が警察に捕まりました。どうやら誰がトップになるのかで争いお互いを嵌めようとした結果、脱税、横領、セクハラ…、果てはペンギンの密輸入が公になった結果です。

 

 その為残念ではありますが海馬ボーイを社長として復帰さる事になりました。この手紙を読み次第直ちに日本の海馬コーポレーション本社に出頭するように命じます。

 

 尚、この手紙を読んだ時点で私が与えた命令を遂行できていなくても責任を問わない事とをこの書面で保証します。

 

 インダストリアル・イリュージョン社名誉会長 ペガサス・J・クロフォード

 

 

 いろいろあって異世界から戻った後(ちなみに異世界の某ラスボスは『強制転移』でコントロールを奪い『巨大化』で攻撃力を2倍にして私が送り込んだモンスターを攻撃したらあっけなく沈んだ)オベリスクを狙ったグールズと退けてようやくホテルに戻ると私宛にペガサス会長からこの手紙が届いていた。

 

 ペガサス会長から与えられた任務をまだ果てせてはいない。それでも私は日本に行かなければいけないようだ。

 

 私はシャイニートマジシャンことノエルの戸籍獲得などの手続きを後で日本に送る事をイシズに依頼すると単身日本に赴いた。

 

「キリノよく来てくれました。『オベリスクの巨神兵』についての報告は後で聞きます。先にこれを見てください」

 

 そう言われて連れていかれた先で見たものは巨大なコンピュータとそれにコードで繋がれたカプセルに入っている海馬の姿だった。うろ覚えだけれどもこれはデュエルモンスターズクエスト?しかしビッグ5が逮捕されたのなら海馬がこれをプレイする必要はないはず…

 

「これはビッグ5が海馬ボーイを陥れるために作ったデュエルモンスターズクエスト…を改造して作ったデュエルターミナルクエストデ~ス」

 

 詳しい話を聞くと、せっかく作ったデュエルモンスターズクエストのシステムがもったいなかったので安全なゲームに作り直して海馬コーポレーションのスーパーコンピューター、デュエルターミナルシステムと接続して完成させたものらしい。現在普及中のシンクロ召喚も可能で豊富にカードも用意してあるそうだ。

 

「そのテストプレイで海馬ボーイが戻ってこようとしないのデ~ス」

「戻ってこようとしない?戻れないのでは無くてですか?」

「そうなのデ~ス。海馬ボーイは現実逃避してリアルの世界に戻ろうとしないのデ~ス」

 

 現実逃避?海馬が?

 

「これを見てくださ~い」

 

 モニターに映し出されたのはゲームの中の様子。そこには青き眼の乙女(あおきめのおとめ)と恋人のような甘い展開を繰り広げている海馬の姿が有った。

 

 

 

 

「キリノ!しっかりしてくださ~い!」

「は!」

 

 いけない、あまりにも衝撃的な光景を見てこっちが現実逃避してしまった。

 

「どうやら決闘者の王国(デュエリストキングダム)の一件から海馬ボーイはかなりのストレスをため込んでいたようなのデ~ス。その結果ゲームの中で理想の乙女に出会いこうなってしまいましたのデ~ス」

「しかし海馬くんが弟の木馬くんを放ってゲームに夢中になるとは…」

「ああ、木馬ボーイも一緒デ~ス」

 

 モニターの画面が切り替わり木馬も一緒の場面も映し出された。どうやら3人で牧場を経営しているらしい。育てているのは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)?牧場の看板には『ようこそブルーアイズ牧場江』と書かれている。

 

「なんだか都会の喧騒に疲れて田舎で解放された都会人の様ですね」

「その通りデ~ス。正直に言うとこのままそっとしておいた方がいいかもと思わなくもないのですが、海馬ボーイはこの世界に必要な存在なのデ~ス」

 

 ペガサス会長の言う通りだ。本人は幸せそうでゲームの世界の中で真面目に肉体労働をしているけれどもこのままなのは良くない。

 

「所で武藤くんたちは?海馬くんがこの状態なのを知って放っておくとは思えませんけど」

 

 そう聞くとペガサス会長はどこか遠い目をした。

 

「これを見てくだサ~イ」

 

 新たにモニターに映し出されたのはブラック・マジシャン・ガールとそれによく似た魔法少女たちに囲まれてハーレムを形成しているいる遊戯(表)の姿だった。

 

「海馬ボーイを説得するためにゲームの世界に入った遊戯ボーイはマジシャン・ガールズに囲まれてこのようになりました。そしてこの画像を見た遊戯ボーイのリトルガールフレンドによってお仕置き中です」

 

 リトル?ああレベッカのことか。

 

「そういう訳でキリノ。ちょっとゲームの世界に行ってきて海馬ボーイを連れ戻してきてください。連れ戻して来たら昇進デ~ス」

 

 そう言われると頑張るしかない。まあ、こっちには異世界から持ち帰ったリアルソリッドビジョンシステムのデュエルディスクがある。これをエサにリアルの世界でも乙女と暮らせると言えば説得材料にはなるか。

 

 そう考えて私はゲームの中にログインした。

 

 その結果、海馬の説得には成功した。しかし海馬のテンションはおかしな方向に吹っ切れたままだった。




海馬に恋人が出来たのなら大切にしそうなのでやってみました。まあ出来るまでのハードルは高そうですけど。そして遊戯の女難はまだまだ続きます。

 重要なお知らせ。

 デュエルを細かく考えて描写するのが大変で疲れました。その為長い間更新が止まってしまいました。今回更新を再開するにあたり、デュエルの内容は省くか一部のみにする事にしました。その為デュエルの詳しい描写を見たいと言う方の期待には沿えなくなります。どうかご了承ください。

 
 次回、遊戯の女難に続きます


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勝利の結果

 海馬を無事(?)に現実世界に連れ戻した後、私は海馬コーポレーション本社ビルの一室でペガサス会長にエジプトでの経過報告をした。

 

「ここまでが過去の世界と異世界で経験したことになります。尚サンプルとしてリアルソリッドビジョンシステムに対応した異世界のディエルディスクを持ち帰ってあります」

「分かりました。しかしインダストリアル・イリュージョン社にはこの技術を解析するだけの設備も人材もアリマセーン。解析は海馬コーポレーションに依頼することになるでしょう。それで、オベリスの封印は成功したのですか?」

 

 ペガサス会長の質問に対して私は3枚のカードを差し出した。

 

「それが…、増えちゃいました」

「オゥ!ノォ!」

 

 異世界からの帰還後、オベリスクを狙ってグールズが襲ってきた。もちろん全員撃退した。そして撃退したグールズのメンバーはオベリスクが筋肉信者にしたのち墓守の一族に預けた。今頃彼らは古代エジプト人のように褌一丁で無料奉仕に勤しんでいる事だろう…

 

 そんな事を繰り返しているとマリクがオシリスとラーを持ち出して闇のゲームでデュエルを挑んできた。そのデュエルでオシリスを操る表人格のマリクを倒してオシリスを奪い。続いてラーを操る闇人格のマリクも倒してラーも奪った。

 

 その後イシズから名も無きファラオが眠りから目覚めた今、神のカードの封印が解かれるのは必然。今は3体の神を実力で倒した私が持っているべきだと言われて今に至る。正直に言うと、神のカードの保有者という称号よりも降りかかってくるであろう厄介ごとの方が大きいと私は思っている。

 

「参考までに聞きたいのですがどうやって神を倒したのですか?」

 

 オシリスの時はマリクが原作同様にスライムの盾と手札制限をなくすコンボを使ってきたので混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)の効果でダメージを与えて勝利した。貪欲にため込んだ手札があだになった形だ。

 

 ラーの時はワンターンキルの効果を使って攻撃してきた時に罠カード『自業自得』を使ってマリクのライフを0にした。当然『融合解除』を使う事は知っていたので対策もして。オシリスにしろラーにしろ効果を知っていて対策を考えていた。そしてマリクがその事を知らなかったから勝てたようなものだ。あまり自慢できる勝利ではない。

 

「分かりました。では3枚の神のカードはキリノが保管してください。エジプトでの命令はこれで完了したことにしま~す。それでは今後の事について命令を下します。口頭ですが辞令を言い渡しま~す。辞令 本日付けを持ち桐野 優一をインダストリアル・イリュージョン社特別係長の任を解き海馬コーポレーションへの出向を命じます。インダストリアル・イリュージョン社名誉会長 ペガサス・J・クロフォード」

「海馬コーポレーションへの出向ですか?」

「そうデ~ス。役員待遇で迎え入れる事で話は着けてありま~す」

 

 昇進させると約束してもらっていたけれども海馬コーポレーションへ役員待遇での出向になるとは思ってもみなかった。

 

決闘者の王国(デュエリストキングダム)での活躍でキリノがイベント関連の仕事が向いていると私は思いました。そうなるとデュエル・モンスターズのイベント、大会の運営を委託した海馬コーポレーションで働くのが一番と私は考えました。そしてもう一つ、キリノは海馬ボーイにデュエルで2度勝利していま~す。ビッグ5がいなくなった今、海馬ボーイのお目付け役をやれるのはキリノしかいないのデ~ス。これについては海馬コーポレーションの社員達も同意してキリノの役員待遇を約束してくれました。そして追加でリアルソリッドビジョンシステムの技術を海馬コーポレーションが独占しない様に見張る事も命じておきま~す」

 

 つまり拒否権は無いと。

 

「こちらでの住居の手配と引っ越しの手続きはインダストリアル・イリュージョン社が手配をしておきま~す。何か要望が有れば後でまとめて担当の者に伝えておいてくださ~い」

「分かりました。その辞令謹んでお受けいたします」

 

 最初の出会いは良くないものだったけれどもペガサス会長の元で働くのは楽しかったんだけれどもな。

 

「では出向前に私からの最後の命令がありま~す」

 

 最後の命令?




 本当なら遊戯の話を書くつもりでしたがエジプトでの報告の話を書いていたら話が中途半端になったのでここで区切る事にしました。

 キリノはビッグ5がいなくなった海馬コーポレーションで海馬、木馬に続くナンバー3になりました。海馬の取り巻きの黒服たちは海馬の面倒を見てくれる人が来てくれて大喜びです。

 ペガサスはキリノが能力を生かせる職場で待遇も給料も上がり母国へ凱旋させたくらいの気持ちでいます。


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遊戯の女難

 ペガサス会長からお使いを頼まれた私は菓子折りを買って遊戯の家に向かった。

 

「おや桐野さん。いらっしゃい」

「お久しぶりです。双六さん、このたび海馬コーポレーションへの出向となりまして近くに引っ越す事になりました」

 

 そう言って私は出迎えてくれた双六さんに菓子折りを渡した。

 

「それでですね、出向前の最後の命令としてペガサス会長から遊戯くんに届け物を預かっているのですが、遊戯くんはご在宅ですか?」

 

 私がそう聞くと双六さんは困った顔をした。

 

「遊戯か、家におるにはおるのですが…」

 

 詳しい説明をせずに双六さんは遊戯の部屋に案内してくれた。部屋の中を伺うと沈んで落ち込んだ遊戯の姿が有った。

 

「これは…。いったい何が有ったのですか?」

「それがの、ペガサス会長の所に行ってゲームで女の子にもみくちゃにされて羨ましい…、もとい大変な目に有ったのが原因なんじゃ」

 

 ああ、レベッカにお仕置きされたと言う話か。

 

「それはレベッカちゃんにお仕置きされたと言う」

「いや、違う。レベッカは別にそれで遊戯の事を嫌いになった訳では無い。それにお仕置きと言っても子供のする事、可愛いもんじゃったと聞いた。問題なのは杏ちゃんの方じゃ」

 

 杏?別にペガサス会長は何かしたとは言っていなかったけれども?

 

「杏ちゃんから『遊戯も男の子だったんだね』と笑って流されたのがショックじゃったらしい」

 

 ああ、女の子にそんな事を言われたら傷つくな。でも少し意外だった。遊戯は杏の事を大事とは思っていても異性として好きだとは思っていなかった。それがここまで落ちこむとは…。しかしこれでは仕事は果たせない。まずは遊戯を励まさないと。

 

「双六さん、ちょっと遊戯君と話をさせてください」

 

 そう言って双六さんの了承を得ると私は遊戯の部屋に入った。

 

「こんにちは遊戯くん」

「ああ、キリノさん。いらっしゃい」

 

 どうやら周りと会話をするだけの余裕はまだあるようだな。

 

「海馬くんは無事(?)に現実の世界に連れ戻すことが出来たよ」

「そうですか、僕は役に立てなかったから。海馬君が戻ってこれて良かったです」

 

 もみくちゃ画像を見て怒ったレベッカが遊戯を強制ログアウトさせて、そのせいで一緒にログインした城之内もゲームからはじき出され、そのせいでバグが生じて再ログイン出来なかったそうだからな。

 

「周りの人たちから話は聞いたよ。別に気にする事じゃない。ちょっとゲームで仮想の女の子に囲まれただけだろ。不可効力なんだし心の広い彼女ならそれくらい笑って許してくれるレベルだ。杏ちゃんの反応は正常だ。別に遊戯くんの事を子ども扱いしていたわけじゃない。それにレベッカちゃんにしても子供だからちょっと嫉妬したみたいだけどそれも可愛いもんだ」

 

 ここは人生の先輩らしく諭してみよう。

 

「キリノさん」

「昔私が付き合っていた彼女もゲームのヒロインにアイドルの名前を付けていた事を知っても笑って許してくれたよ」

「そ、そうなんですか」

 

 実体験を話して遊戯を励ますと遊戯は元気を取り戻し始めた。

 

(マスター、その話帰ったら詳しく聞かせてください)

 

 しかしカードの中で話を聞いていたソウが頭の中に話しかけてきた。青き目の一族の一件が終わって蒼銀がソウになってから話すようになり、ストーカーっぷりが上がっているような気がする。

 

「そう言うもんだよ」

「ありがとうございます。でも僕が落ち込んでいたのはそれが原因では無いんです」

 

 ん、遊戯の様子がおかしい。他にも何か有ったのだろうか。

 

「実は今レバッカ家にホームステイしていて」

「はぁ?」

 

 あまりにも予想外な出来事に思わず変な声をあげてしまった。レベッカが日本にいる事に違和感を感じてはいたがまさか遊戯の家にホームステイとは。

 

「一体、どうして?」

「レベッカは飛び級で大学を出ていて、ここに来る前はお爺さんのホプキンズ教授の所で手伝いをしていたんだ」

 

 ああ、アニメでもそんな生活をしていた。

 

「このままだと同世代との交流が出来なくて結婚相手も見つからず、一生独身か変な男に騙されるとレベッカの両親が心配していたんだ。そんな時にレベッカの両親が僕の事を知って、こっちの学校に通って子供らしく過ごすなら日本で暮らしてもいいって。僕の知らない間に語学留学のホームステイの話が決まっていた」

 

 一体何がどう変化してこうなった?私は何もしていないはず。なのにどうしてここまで変化した?

 

「レベッカの両親からは僕の事を信じていると言われて、もし何かあったら責任を取るように念書まで書かされたんです」

「大変だったね」

「いえ、レベッカも大人の女性を目指すと言って落ち着いた行動を心がけていますし、僕もレベッカに手を出そうとは思っていませんから(本当に危なくなったら相棒に代わって逃げてきましたし)。それだけならまだ何とかなったんです」

「それだけなら?」

 

 他に一体何が起きた!?

 

「僕たちが進級して2年生になり1年の後輩が出来たのですが、その家の1人に変な懐かれ方をされてしまいまして…」

 

 後輩?誰だ。まさか私以外にこの世界に来た来訪者か!

 

「レベッカも小学校に行かずに童実野高に入ってきて…。城之内くん達親しい友達は別として他の男子からはロリコン扱いされたり嫉妬されたりで…、本当にまずくなったらもう一人の僕が(闇のゲーム)で何とかしてくれていますけど、もう疲れて…」

 

 表の遊戯は子供に優しくて好かれやすいと思っていたけど、こじらせたのが2人…

 

「ちなみに杏の発言は僕が同世代や年上の魔法少女(幼女もいたけど)に囲まれて赤くなったことに対する発言なので気にはしていません」

 

 ひょっとして杏は『遊戯は健全な男の子だった』という意味合いで言ったのか。

 

「とりあえず、上手な年下のあしらい方を教えようか?」

 

 私もソウと青子がいるから他人ごとじゃない。

 

「本当ですか!教えてくださいお願いします!」

 

 どこまで役に立てるか分からないが相談に乗ろう。ようやく遊戯が元気を取り戻した時だった。

 

「ダーリンただいま!」

「お邪魔します、遊戯さん」

 

 2人の少女がやってきたのは。1人は童実野高の制服を着たレベッカ。そしてもう1人は…。彼女の姿を見て私は思わず身構えた。

 

「キリノさん?」

「遊戯くん、君は彼女を見て不審に思わなかったのか?」

 

 もう一人の少女は身長はレベッカと変わらなかった。この2人に懐かれたのならロリコン扱いされてもおかしくはない。

 

 だが問題はそこではない。エジプト人であろう褐色の肌。服装は童実野高の制服だけれども千年アイテムを彷彿とされる装飾品。これだけでも墓守の一族(千年アイテムの関係者)と思わしいのに、胸には千年リングがかかっていた。

 

「初めましてセラといいます。遊戯さんを高次の世界に導くためにやってきました」

「違う!ダーリンは私と一緒にアメリカに行くの!」

 

 しかしやっていることは男の取り合いだった。




アニメオリジナルのヒロインと原作漫画版終了後の世界のヒロイン。出会うはずの無い2人が出会う時、遊戯の女難が始まる。

 ちなみにこの世界に闇バクラは存在しません。キサラの一族である青き目の一族が現先よりも大勢生き残ったので歴史に変化が起きているという設定です。そしてキサラ復活も考えてあります。


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連載終了のお知らせ

 リンク召喚の登場によるルール変更でデュエルに興味が無くなりました。エクストラデッキからモンスターを召喚するのに制限が有るのはつらいです。そんなことも有って更新が止まってしまいました。スイッチ版のゲームもあまりやりこむ気が起きないですしデジタルリマスター版も最終回を迎えました。このままだと連載を終わらせることは出来そうにないので、勝手ながら今後の展開とネタを簡単に出して終わらせたいと思います。時間をかけて書いていたらまたルールが変わっちゃたけどね。


 バトルシティ編

 

 グールズを壊滅させて神カードを3枚揃えてしまった桐野は遊戯に神のカードを渡すべくバトルシティの開催を海馬に提案。遊戯を倒し神のカードを手にしたいと考えた海馬はこれを了承しバトルシティが開催される。グールズ壊滅の為参加者が違う中、遊戯、城之内、海馬は無事にパズルカードを集め指定された場所に着く。しかしそこは飛行船の発着場では無く海馬ランドだった。

 

 筋肉の僕編(ノア編)

 

 ノアの存在を恐れ海底基地を探す桐野だったが見つける事は出来なかった。しかし剛三郎にノアという子供は存在し、電脳空間にパーソナリティが存在する事は確認できていた。剛三郎の横やりを防ぐため桐野は決勝戦の開催場所を変更し、海馬ランド内のデュエルモンスターズクエスト内で決勝トーナメントを行おうとしていた。

 

 しかしノアのハッキングによりノアと剛三郎はデュエルモンスターズクエスト内に侵入していた。海馬への復讐を狙った剛三郎は桐野を襲いオベリスクの巨神兵を手に入れる。同時にオシリスとラーもデュエルモンスターズクエスト内の何処かへ散ってしまった。

 

 桐野はライフが0になると強制ログアウトされ命の危険がない事を確認するとルールを変更して神のカードを手に入れた者、または剛三郎を倒したものを勝ち抜けとして大会を続行させる。

 

 一方剛三郎はオベリスクの力を手に入れようとするが逆に力に飲み込まれてしまう。その結果剛三郎はオベリスク=筋肉の僕となり暴走してしまう。剛三郎は世界に呪いをかけマッスルモンスターを配下として招集する。その結果大会参加者たちのモンスターが剛三郎に奪われてしまう事に。デーモンの召喚、ガイヤ、エルフの剣士、アルカナそしてエクゾディア。多くのモンスターを奪われた遊戯だったがさらにブラック・マジシャンが筋肉モンスターと化して敵に回ってしまう。

 

 主力の多くを失い戦力がガタ落ちする遊戯だったがそこに謎の美女が現れこの世界に存在するまだ現実では販売されていないモンスターの力を借りろと遊戯を導く。かつて出会ったマジシャン・ガールズや金銀のガジェットの力を借りて奪われたモンスター達を倒し、ついにブラック・マジシャンと対峙する遊戯。そこに謎の美女が現れ自分を使えという。彼女の正体はオシリスの天空竜だった。1000年前の戦いで盗賊バクラのカーにバラバラにされたオシリスはその時力と共に男の象徴を奪われお姉になっていた。そして1000年の研鑽をへて完璧な美女になっていたのだ。オシリスの力を借りてブラック・マジシャンと倒した遊戯。しかしオシリスを手に入れた事で勝ち抜けとされゲームから強制ログアウトされてしまうのだった。

 

 一方遊戯と分かれて行動していた城之内は以前出会い自分を兄貴としたうゴブリンたちを従えまだ存在しないレッドアイズのサポートカードを使って戦い抜いていた。その旅の途中城之内はボケた老人を拾う。悪態をつきながらも老人の面倒をみる城之内。そんな城之内を認めた老人は2枚のカードを渡す。それはラーの翼神竜と古代神官文字無しでもラーを扱う事が出来る球体形のカードだった。これにより城之内も勝ち抜けとなり強制ログアウトする。

 

 その頃ハッキングによってデュエルモンスターズクエスト内に侵入したノアはハッキングによる世界改ざんが出来ず広い世界に1人放り出されてしまう。路頭に迷った所をアルケミ・マジシャンに拾われ彼女のアトリエで厄介になる事に。多くのモンスターと触れ合ううちにノアはだんだんと普通の少年に戻り、この世界で生きていく事を決めるのだった。

 

 そんなノアを見捨てた剛三郎はオベリスクを使い海馬と戦っていた。もはや復讐などでは無く筋肉の信奉者となった剛三郎を哀れに思いアルティメットで勝利する海馬。神のカードの正体が筋肉、お姉、ボケ老人だった事を知り自分に相応しいのはブルーアイズだけだと再確認するのだった。

 

 

 バトルシティ決勝戦

 

 海馬がオベリスクの入手と剛三郎を倒す事の両方を達成したため勝ち抜けは遊戯、城之内、海馬の3人になった。まず遊戯と城之内がデュエルを行った。ラーの力を借りて戦う城之内だったが遊戯がラーの力を超えて勝利した。そして遊戯と海馬で決勝戦を行い遊戯が勝利。神のカードは遊戯の手に渡るのだった。

 

 

 ドーマ編

 

 ある日目が覚めたら桐野はデュエルモンスターズ界にいた。ドーマの侵攻からモンスター達を守るべく召喚されたという。遊戯達が伝説の竜の力を借りて戦いぬいていく中、一人デュエルモンスターズ界で戦う桐野。青子は桐野の生活物資を手に入れる為1人現実世界にへ。そこで青子はドーマのアメルダと出会う。海馬の悪口で意気投合する二人だったがふとしたことから青子の傷が海馬によるものだと知ってしまう。激怒したアメルダは海馬抹殺を強行。しかし青子に止められ自分がブルーアイズの精霊だと正体を明かす。そしてその場にいた海馬に4枚のブルーアイズはそれぞれ『精神』、『記憶』、『力』、『肉体』が宿っており自分は肉体が宿っていると教える。本来は4枚のブルーアイズがそろえばキサラが復活するはずだったのだが海馬が自分を破いたためそれは叶わず、虚ろな肉体に双六を始め多くの人の想いが宿って自分が生まれたのだと言う。オカルトだと信じない海馬にそれでもいいと言い放ち青子は桐野の所に戻るのだった。

 

 

 KCグランプリ編

 

 ドーマとの戦いが終わった後、桐野は長期の無断欠勤の罰としてアメリカの海馬ランドのKCグランプリに出場して優勝しろと言われる。負けたらクビという条件の中、桐野は新たにカードか化された伝説の竜のカードで大会を勝ち抜いていく。最終的に遊戯に敗北するものの、遊戯とのデュエルは優勝者への景品であり、トーナメントを勝ち抜いた時点で優勝していると言いクビを免れるのだった。

 

 

 エジプト編

 

 桐野は神のカードをそろえた遊戯をエジプトの石板まで案内して欲しいとイシズから依頼を受ける。遊戯の仲間と海馬と共に石板まで行くと光に包まれ1000年前のエジプトの大地に。同時に千年錘が沈黙しアテムが出てこれない状態に。困惑する遊戯達の前に「青き目の巫女」と名乗るキサラが現れ自らの里に案内する。 

 

 そこで過去の世界で桐野がキサラの先祖を救ったため一族が生き残り、ブルーアイズの力を対価に土地を与えられ自治領として里を作り暮らして来た事を知る。巫女であるキサラのお告げにより里での滞在を許された遊戯達。桐野はここが過去を再現したゲームの中では無く、現実の過去の世界だと知り困惑する。一方海馬はブルーアイズの巫女であるキサラに惹かれ始めるが、キサラは海馬の前世ともいえる神官セトと恋仲であった。自身の心が分からず悩む海馬。

 

 一方でファラオにまつわる運命も動き出していた。復讐に動く盗賊バクラ、異民族であるキサラとの結婚を許せず、セトを王にしたいと願う神官アクナディン。両者もまた大邪神ゾークの影響を受けて邪悪な企みを企て始めていた。

 

 アテムの王宮を襲撃する盗賊バクラ。オベリスクを倒し、オシリスをバラバラにするものの駆けつけてきた遊戯からパーを貰いラーを召喚され逃げようとした所を桐野に抑えられる。2つの千年錘に驚くアテム達に桐野はこれまでの状況と原作知識を纏め、自分たちは未来から来た存在であること、ファラオであるアテムはこれから起こる戦いで命を落とし魂は千年錘に封じ込められる事を伝える。

 

 一方牢に捕らわれ公開処刑を待つだけとなった盗賊バクラの元にアクナディンが訪れる。アテムが死ぬことでセトがファラオになる未来を創る為バクラを逃がそうとする。しかしその現場をセトに見られてしまいアクナディンはセトを気絶させ姿をくらます事に。

 

 バクラの逃亡、セトとアクナディンが行方不明。動揺するアテム。さらに青き目の巫女であるキサラも姿を消してしまう。そこでブルーアイズが海馬を何処かへ導こうとし、海馬は皆にその事を告げずに1人それを追う事に。

 

 2人がたどり着き目にしたのはキサラがセトの為に自らの全てを『青目の白龍」に転生する光景だった。その光景にぶち切れた海馬はブルーアイズでアクナディンを攻撃し致命傷を負わせてしまう。

 

 自らの死を悟ったアクナディンはセトに自分がセトの父親である事を伝えファラオになるようにと言い息絶える。アクナディンの裏切りと死、「青目の白龍」となったキサラを見てセトの感情は暴走、キサラに海馬を攻撃るするように命じ、ブルーアイズ同士の激突が起きてしまう。さらにその隙を狙われバクラに2つの千年アイテムを奪われてしまう。

 

 ブルーアイズ同士の激突を感知して止める為にやって来た桐野は激突する2体のブルーアイズと青子の3体を超融合で融合させアルティメットにする事で戦いを終わらせる。しかし融合解除で元に戻すと海馬のブルーアイズ、人間のキサラ、そしてカーとしての青子の3体に分離していた。肉体を司る青子は自らの体をキサラに与え実体を持たないカーになる事でキサラを復活させたのだ。カーになった青子は蒼銀の体の中に入っていく。いつか蒼銀の子供として生まれてくると言い残し…

 

 一方桐野不在の中アテム達は残りの千円アイテムを全て奪われ冥界の門が開かれてしまう。マハード達を失い三幻神も破られたファラオは魂を抜かれ千円錘に魂を封じ込められバラバラにされてしまう。しかしその時遊戯の千円パズルが光り輝く。

 

 遊戯が復活させたアテムの魂は千年前の肉体に戻りアテムは復活する。そして仲間たちの力を借りて光の創造神ホルアクティを召喚し大邪神ゾークを打ち倒す事に成功する。その様子を見たセトはキサラと青き眼の一族を連れてエジプトから旅立つことを決意する。自らが王となる国を作るために…

 

 一方遊戯とアテムの別れの時も訪れようとしていた。元の時代に帰る遊戯達とこの時代に残りファラオの役目を全うしなければならないアテム。2人は分かれのデュエルを行いそして分かれて行った。

 

 こうして遊戯の千年アイテムを巡る物語は終わりを告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 そして時は流れ、自身が本物の桐野では無く現実世界の桐野のコピーと知りこの世界に落ち着く事を決めた桐野は蒼銀と結婚して娘を1人授かるのだった。




 また時間がかかるとは思いますけど簡単なキャラ設定と考えただけで乗せれなかった小ネタをまとめた物を最後に書こうかと思います。


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