遅いのは「動作」だけの話 (先生たこあし)
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染井アタミ

他の小説が完結していないのに、新しい小説を書き始めたアホです。
思いついたので勢いで書きました。暇つぶしのお供にどうぞ。

オリジナル秘伝忍術が出てくるのは、先の話になります。気長にお待ちください。


『お前は本当に色々と遅いよなぁ』

『もっと速く動けよ!ノロマ!!』

『もっとこう……サッと印を結びなさないよね』

 

 

小さい頃からずっと、全ての動作が遅いと言われ続けてきた。

走れば「もっと速く走れやコラァ!!」と怒鳴られ、また花を生けていれば「作品は素晴らしいのですが、今度からは授業中に終わらせることを目標に頑張ってください」とやんわり注意され、印を結べば「遅い!!!」と一喝される。

 

どうやらこの世界は、アタシが思っている以上に速い速度で回っているらしい。少し前までは何とかしようと考えていたが、上手くいくどころか失敗することが増えた。

どうやら夢への道のりは遙か彼方のようだ。このままでは一生叶わないかもしれない。だが、それでも歩みを止めるわけにはいかないのだよ。

 

 

「次、染井アタミ!」

 

「はい」

 

 

考え事をしていたらアタシの番が来たらしい。

今は変化の術の復習テストをしている所である。何故そうなったのかは分からないが、十中八九うずまきナルトが原因だろう。だってこういうことの中心にはいつも彼がいるんだもの。

きっとイルカ先生が鼻に詰め物をしている原因も彼に違いない。

 

 

「___変化の術」

 

 

イルカ先生にそっくりそのまま化けることに成功した。お手本が目の前にいるのだから、やりやすいことこの上ない。しかし、やはり印を結ぶ速さが遅いらしく「完璧な変化なんだが、もう少し印を速く結ぶように意識しような」と優しく注意された。

アタシはそれに返事をして、自分の席へとぼとぼと戻るのであった。

 

 

 

翌日……

 

 

 

今日は卒業試験の日。

昨日言われた「印を速く結ぶ」ことを意識して、チャクラをいつも通りに練る。

これはアタシにとってかなり難しい。だけどみんなは出来ている。だったらアタシにも出来るはずなのだ。同じ人間だもの。

 

 

(合格出来るのかな……術の精度なら自信あるけど、肝心の「速さ」が欠落してるんだよなぁ)

 

 

不安はある。だが、うじうじしてる暇があったら何かしらの行動を起こすに限る。

例えその行動を起こした結果が、失敗だったとしてもだ。アタシはアタシなりの速度で成長していけばいい。他の人は所詮他人。比べるだけ無駄だ。

 

 

(合格して忍者になって、そうしたら……)

 

 

アタシは自分の夢を叶えるために、忍になることにしたのだ。こんな所で躓いている暇はない。

気合いを入れ直して、イルカ先生の話に耳を傾けた。

 

 

「で……卒業試験は分身の術にする。呼ばれた者は1人ずつ隣の教室に来るように」

 

 

……何だか肩透かしを食らった気分だ。

卒業試験とはもう少し小難しいことをすると思っていた。しかし、イルカ先生は分身の術だけだと言う。

 

 

(……もしかして、素質のある者を(ふるい)にかけてるとか?)

 

 

その後に無理難題をふっかけて選りすぐりの下忍を選抜するみたいな。

……まさか、そんなわけないか。これはきっとアタシの考えすぎに違いない。

あー、緊張しすぎて余計な事ばかり考えてしまう。さっさと合格してこの緊張感とおさらばしたい。そしていつものようにヌボーっとしたい。

 

 

「___失格!!!!」

 

 

?!……うずまきくんだろうか。

まぁ、彼はチャクラコントロールが下手だから、1人しか分身出来なかったとかそんな所だろう。

それはそうと、うずまきくんの結果を聞いて不安がさらに増してしまった。

 

 

(アタシも落ちたらどうしよう……)

 

 

せっかく気合いを入れ直したのにこれでは台無しではないか。

あのスットコドッコイめ…一体どうしてくれよう。

 

 

「……次、染井アタミ!」

 

 

とうとうアタシの番が来てしまった……

いや、落ち着けアタシ。大丈夫だ。お前は今まで頑張ってきたじゃないか。昨日の復習テストにだって合格したのだ。今回もきっと大丈夫だ。

 

自分に暗示をかけながら教室に入ると、ミズキ先生に聞こえたらしく、心配そうな顔をされた。しかし、それを気にする余裕はない。どうやら自分で思った以上に緊張しているらしい。

 

 

「それでは、いつでもいいので分身の術をやってくれ」

 

「はい……」

 

 

落ち着け、落ち着け……印を速く結んで、チャクラはいつも通りに……

 

 

「___分身の術」

 

「……分身の数は申し分ないし、印を結ぶ速さもいつもより速かった」

 

「!それじゃあ」

 

「あぁ、卒業おめでとう」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

 

合格出来て良かった。これで落ちていたら、今日の夜は枕を涙で濡らす所だった。

アタシはイルカ先生から額当てを受け取り、喜色を浮かべて自分の席へと戻るのであった。

 

 

あれから全員卒業試験を受けたが、うずまきくん1人だけが不合格となった。

うずまきくんは独りぼっちでブランコに跨がっている。そして、それを冷たい目で睨みつける大人達。

 

 

「ねぇ」

 

「ん?オレ?」

 

「アナタ以外に誰がいるってのよ…それより、アナタって夢はあるわけ?」

 

「夢?」

 

「そうよ…目標でも何でもいいわ。アナタにはそういうのないの?」

 

 

独りで寂しそうにしている姿を見て、放っておけずに声をかけてしまった。

挙げ句の果てに、気を紛らわすためにヘンテコな話題を振るしまつ。口下手にも程がある。

 

 

「アタシにはあるわ。この里から出て、色々なものを見て見解を深めて、物語を書くの!」

 

「ものがたりぃ?」

 

「そうよ!アタシ、自来也様が書いた『ド根性忍伝』好きなのよねぇ。アタシは自来也様を越える小説家になるの!アナタは?」

 

「!…オレは……先代のどの火影をも越す火影になるんだ!んでよ!オレの力を里のヤツら全員に認めさせる!!それがオレの夢だ!!!」

 

 

おぉ……火影を越すとは、大きく出たなぁ。しかも歴代全ての火影を越すのかぁ。

アタシの夢も大概だと思っていたけど、上には上がいるものね。驚きすぎて何と言えばいいのやら……夢が壮大すぎてリアクションに困る。

 

 

「…………そう」

 

「そんだけかよ?!」

 

「いや、何て言うか……リアクションに困る」

 

「何でだってばよ!!」

 

「はぁ、アナタの夢が壮大すぎるからよ」

 

「え?……そうかぁ?」

 

 

うずまきくん……アナタ、火影様達がどれだけスゴい方達なのかちっとも分かっていないのでは?

そんなことでよく「火影になって、みんなにオレの存在を認めさせてやる」的なこと言えるな。

それでも、天才と馬鹿は紙一重と言うし。うずまきくんは地頭が悪いわけではないので、指導者に恵まれれば一気に化けるのではないだろうか。

今後の成長が楽しみだと思う。

 

 

「……それはもういいわ…アタシはもう帰るわね……アナタも早く帰りなさいよ」

 

「おう!……ありがとうな。アタミちゃん」

 

 

うずまきくんは照れた様子で礼を言って帰路についた。

周りの大人達は、相変わらず冷たい目でうずまきくんを睨めつけている。

 

どうしてうずまきくんは里の大人達から嫌われているのだろうか。

彼がイタズラ小僧だからだろうか。いいや、それにしては向ける目があまりにも冷たすぎる。

 

考えられるとしたら、彼の親が何かをやらかしたとか。

例えば、その人が里を滅ぼしかねない何かをやらかした。しかし、その人はもう死んでしまっている。その恨みや憎しみが、その人の子供に向かっているとしたらどうだろうか。

これなら大人達の対応にも説明がつくのではないだろうか。

 

まぁ、全てはアタシのくだらない妄想だ。

当たってはいないだろうが、大人達がうずまきくんに良くない感情を向けているのは事実。

大人達はアタシ達子供に何かを隠している。これは絶対に間違いない。だって保護者の人達が話していたもの。

 

 

 

『ねぇ、あの子……』

 

例の子(・・・)よ。1人だけ落ちたらしいわ!』

 

『フン!いい気味だわ……』

 

『あんなのが忍になったら大変よ』

 

『だって本当はあの子……』

 

『ちょっと、それより先は禁句よ』

 

 

 

 

盗み聞きは良くないと思ったのだが、つい聞いてしまったのだ。

うずまきナルトの「謎」を解明できるかもしれないと思ったから。だがしかし、「謎」はさらに深まってしまった。

何だ「例の子」って。「本当はあの子」の先も気になる。これは、里も共犯だと考えていいのではないだろうか。

あの保護者達の様子からして、箝口令(かんこうれい)が敷かれているのだろう。そんなことが出来るのは火影様しか思いつかない。

 

まぁ、分かった所でアタシには何も出来ない。せいぜい自分の欲求を満たすことが出来る程度である。ネタにはなるが、思い切って調査に乗り出すと「死んだ方がマシ」と思うような地獄を見ることになるだろう。

アタシはまだ夢を叶えていない。だから死ぬわけにはいかないのだ。

断腸の思いでうずまきナルトの「謎」を解き明かすことを諦めて帰路についたのだった。




どうも、先生たこ足です。
今回はかなり苦戦しました。原作沿いなのに。

リアルの方が大変忙しく、続くかどうか分かりません!
続かなかったら、作者が貧弱すぎてへばってるんだなと思っといてください。


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孤独を知る者

やっと書ける時間が出来たんだぜ……


昨日は忍者登録書に載せる写真を撮って、今日はいよいよ合格者だけの説明会。

アタシは遠足が楽しみすぎて眠れない子供のように、全く眠れなかった。おかげで睡眠不足である。

 

  

 

「……ふぁ~…………眠い」

  

 

眠気でうとうとしていると、うずまきくんがやって来た。

……???うずまきくん?何で?? 

 

 

(あれ?この前1人だけ不合格で、ズーン…って感じで落ち込んでなかったっけ??) 

 

 

それなのに、その額で輝いている額当ては何だ。

不正したのだろうか。アカデミーに大金を貢いで卒業したとか。いいや、うずまきくんにはアタシと同じく両親がいないらしいのでそれはないだろう。それにうずまきくんの性格からして、こんな汚い手を思いつくはずがない。 

 

 

(ん~……)

 

  

アタシは眠気との格闘をそっちのけで、思いつく限りの可能性を上げては消し上げては消しを繰り返した。しかし、アタシが満足する前にとんでもないハプニングが起きた。

 

うずまきナルトがうちはサスケのファーストキスを奪ったのである。

 

  

「てめ…ナルト!殺すぞ!!」 

 

「ぐぉおォオ、口が腐るゥウ~~~~!!!」

  

 

2人の反応を見る限り不慮な事故だったらしい。

だが、そんな言い訳が周りの殺気立つ女子に通じるはずもなく……

  

 

「…ナルト…あんたね…うざい(・・・)!」 

 

 

うずまきくんは春野さんにボコられた。

 

そしてアタシは(しめしめ、いいネタが手に入ったぁ!!)と今し方見たこと、アタシが感じたこと、周りの様子等をメモするのだった。  

 

 

 

あれから数分後……

 

 

 

イルカ先生の長い話をほどほどに聞きつつ、うずまきくんとうちはくんの様子を盗み見る。

うずまきくんは、春野さんに「うざい」と言われて相当堪えたらしい。いつもの空元気はどこへやら。どんよりとした空気を背負っている。

うちはくんは、さすがエリート一族と言ったところだ。もう切り替えて先生の話を聞いている。いや、うちはくんは強がりだから、気にしないように先生の話に集中しているだけかもしれない。

そっちの方がいい。そうであってくれ。 

 

 

「えー…これからの君達には里から任務が与えられるわけだが、今後は3人1組スリーマンセルの班を作り……各班ごとに1人ずつ上忍の先生が付き、その先生の指導のもと任務をこなしていくことになる……それと言い忘れていたが、人数の関係上1つの班だけ4人1組フォーマンセルになるからな」

  

 

ほほう?アタシが考え事をしている間にそこまで話が進んでいたのか。

スリーマンセルねぇ……誰とでもいいのだが、強いて言えばうずまきくんと一緒の班がいい。

彼は面白いことをたくさんやらかしてくれるので、ネタに困らない。後は、そこにうちはくんを加えてくれれば万々歳だ。

彼もうずまきくん同様、ネタに困らないからである。エリート一族の末裔、クールで子供ながらに端整な顔立ち、そして女子からのモテ具合……最高の観察対象だと思わないか?

  

 

「班は力のバランスが均等になるようこっちで決めた」

  

 

何と、そうなのか……

ん?となると、うずまきくんとうちはくんは必然的に同じ班になるのでは?「力が均等」とはそういうことではないのだろうか。だとすると、アタシの成績は平均ど真ん中である。ということは同じ班になる可能性が高い! 

 

みんなは「えーーー!!」と不満を露わにしているが、アタシは逆に喜んだ。

ネタの宝庫達と一緒になれる可能性が高いのだ。喜ばないわけがないだろう。

  

 

「……じゃ次7班。春野サクラ…うずまきナルト!それと…うちはサスケ…最後に染井アタミ!」

  

 

この班の反応は面白かった。

春野さんはうずまきくんと同じ班だと分かるとあからさまにガクッと落ち込み、うちはくんが同じ班だと分かった時は「しゃーんなろー!!」と毎度のことがなら意味の分からない勝ち鬨を上げていた。

うずまきくんはこの真逆。うちはくんは無反応だった。何かしらの反応が欲しかったが、致し方あるまい。

しかし、まさか自分の班がフォーマンセルになるとは思っていなかった。だが、これはこれで楽しそうなので良しとしよう。

アタシはこの問題児達を相手に、ネタ集めに奔走するのみ。

任務?それもネタ集めの一環に決っているだろう。アタシからしたら忍者は副業である。 

 

 

「イルカ先生!!よりによって優秀なこのオレが!何でコイツと同じ班なんだってばよ!!」

 

 

うずまきくんは、うちはくんと同じ班なのがよほど気に入らないらしい。

イルカ先生に直訴している。しかし、うずまきくんの訴えは届くことはないだろう。なぜなら……

 

 

「…………サスケは卒業生28名中1番の成績で卒業。ナルト…お前はドベ(・・)!いいか!班の力を均等にするとしぜーんとこうなんだよ」 

 

「フン…せいぜいオレの足を引っ張ってくれるなよ。ドベ!」 

 

「何だとォ、コラァ!!!」 

 

「いいかげんにしなさいよ、ナルト!!」

  

 

……確かに見ている分には面白いが、チームメイトとして3人を見ると前途多難だと思う。協調性に欠けると言うか、何と言うか……

アタシは動作が遅いから、周りとの連携が必要不可欠だ。しかし、この3人に協力を申請したところで無駄骨に終わる未来しか見えない。

 

 

「はぁ…ほんの少し前までは喜んだけど、これはとんだ班に入れられたかもしれないなぁ」

 

 

その事実に思い至ったアタシは、ガクッと肩を落としてため息をついた。

 

 

「じゃ、みんな午後から上忍の先生達を紹介するから、それまで解散!」

 

 

午後までは暇なのか……よし、のんびりご飯を食べてからネタ集めに行くとしよう。

集合時間の5分前に行けば、上忍の先生を待たせることもないだろう。

 

 

 

数十分後……

 

 

 

昼ご飯を食べ終わり、ネタ集めに歩いていると、イラついた様子のうちはくんを見つけた。

どうやらうずまきくんが見つからず、苛立っているようだ。これはまた面白そうな気配がする。こうなったらついて行くしかあるまい。

 

うちはくんを完璧に尾行していると、春野さんがうちはくんに声をかけていた。

しかし、いつも以上に勢いがスゴいことになっている。語尾に♡がついていそうだ。

アタシのいないところで一体何があったし。

 

 

「そろそろ集合だ。ナルトのヤローはどこ……」

 

「まーたまたぁ、話そらしちゃってーーーナルトなんてほっときゃいいじゃない!

 

 

春野さんはそう言って「いつもサスケくんにからむばかり」「まともに育ってない」等、うずまきくんへの不満を言っている。

春野さんは言いたい放題言っているなぁ。まぁ、これは普段から思っていることなんだろうけど、本人が聞いたらさぞかし落ち込むことだろう。 

 

何となく想像しながら話を聞いていた。

しかし、次の瞬間アタシとうちはくんの空気は凍り付くことになった。

 

 

「…ホラ!アイツ両親いないじゃない?!いつも1人でワガママしほーだい!私なんかそんなことしたら、親に怒られちゃうけどさ!」

 

 

……春野さん、それはうちはくんには逆効果だよ。

あー、ほら。いつもよりも纏っている空気が鋭くなっている。心なしか、目にはいつもよりも複雑な感情が見え隠れしているように思う。

 

 

 

数年前のある日、とある噂が流れた。

それは「うちは一族がたった1人を残して全滅した」というものだった。

当時のアタシは血継限界を持つ一族は最強だと思い込んでいたため、頑なにその噂を信じなかった。しばらくしてその真相を確かめるべく、一族の者にわがままを言ってうちは地区の手前まで連れて行ってもらった。 

 

そこで見たのは、「立ち入り禁止」と書かれた黄色い規制線と、おびただしい量の血が付着した建物だった。

死体は既になかったが、それでも血の量から起こった悲劇は想像に難くない。

目の前の光景はあの噂を信じるには、十分すぎるものだった。

 

 

 

アタシはそれ以来、「両親がいなくて寂しい」とは言わなくなった。

アタシ以上に孤独な人がいると知ってしまったのだ。両親がいない程度のことで、弱音を吐くことは許されないと思った。

 

アタシは一族の人間がいる。だけど、うちはくんは本当に独りになってしまったのだ。

初めから知らなければ、孤独に苛まれることもなかっただろう。家族という存在を知ってしまっている以上、うちはくんは孤独から逃れられない。

それはうちはくんの心を覆い尽くして、いつかきっと彼を暗闇へ誘うことだろう。その時、彼を引き留めてくれる人がいてくれればいい。 

 

そう願いながら、春野さんに「お前、うざい(・・・)よ」と言い捨てたうちはくんの背中を見送ったのだった。




どうも、先生たこ足です。
今さらながら『NARUTO』にハマりまして。原作をコツコツ買い集めている所です。


何だかとんでもない方向へ話が進んだ感じがありますが、アタミちゃんに恋愛感情はありません。ただ孤独の辛さを知っているから、(せめて心だけでも救われますように)と祈っただけです。


それはそうと、これから不定期更新になるかもです。
リアルが忙しすぎて書く時間がないのです。楽しみに待っている方がいるとしたら申し訳ない。

時間が欲しい。
神様、私に睡眠時間と小説を書く時間をください。私、もっと寝たいし書きたいです。


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忍になるしか選択肢がなかった

朝起きた時からずっとスマホにかじりついていた件。
目のためにもしばらく書くの控えようかなぁ……これ以上近眼が酷くなったらかなわん。


遅い。いくら何でも遅すぎる。

 

アタシ達7班は、上忍の先生が来るのを待っている所だ。

だがしかし、かれこれ30分以上は待っていると言うのに、この教室に来る気配が一向にない。イルカ先生も「教室で待っているように!」と言ってついさっき帰ってしまった。

みんなはちゃんと担当上忍が迎えに来たのに、アタシ達だけ来ないのはおかしくないだろうか。

春野さんは不安がっているし、うちはくんはイラついているし、うずまきくんはソワソワしていて落ち着きがない。

 

 

(早く来てくれないかなぁ……て言うか、忍のくせに時間守らないってどういう腹づもりなんだろう?アタシ達のこと試してるとか?ストレス耐性を見てるとか)

 

 

暇つぶしに担当上忍の行動の意図を考えて見る。

単純に時間にルーズなだけかもしれないが、そんなことで上忍になれるとは思えない。だから、これにはきっと何か理由があるに違いないとアタシは考えている。

 

 

「ちょっと!!何やってんの、ナルト!!」

 

 

突如聞こえてきた春野さんの怒声で、現実に引き戻された。

どうやらうずまきくんがまた何かやらかしたらしい。今度は何をしでかしたのだろう。

 

 

「遅刻してくるヤツがわりーんだってばよ!!」

 

 

なるほど、ドアを開けると黒板消しが落ちる超古典的なブービートラップか。

遅刻してくるヤツが悪いか……確かにその通りだ。よし、みんなを巻き込んで共犯にしよう。

 

 

「それじゃあさ!みんなで協力して、このトラップをもっとハイレベルなヤツにしない?もちろん、使える物は教室にある物だけよ。そうしたらアタシ達の鬱憤も多少は晴れるだろうし、何より担当上忍になるヤツの実力も測れるわ。どう?やってみない?」

 

「これよりもっとすげぇの出来るのか?!」

 

「ん~、それもそうね……やってみようかしら」

 

「ふん、くだらん……だが、暇つぶしには付き合ってやる」

 

 

反応は上々。

うちはくんは乗ってくれるか怪しかったが、承諾を得られてよかった。これで袖にされたら「うちは一族の本気見てみたかったのにな~。あ、そっか!イタズラ小僧と名高いうずまきくんに負けるのが怖いんだね!そっか~残念。あ、別にいいよ?誰にだって怖いものはあるもんね!」と煽り散らかしてやる予定だった。

春野さんはうちはくんが釣れたら、ブツブツ文句を言いつつもホイホイついてくるだろうから、とくに何も考えてなかったけど。

 

トラップは無事完成。

ドアを開けると、黒板消しはもちろん水の入ったバケツが天井から落ちてくる。最終的には、教卓や掃除道具も飛んでくるという具合に仕上がった。

上忍ならこのくらい避けられることだろう。さて、お手並み拝見と行こうではないか。

 

 

 

数分後……

 

 

 

 

「まだかな」とみんなで話していると、突然ガラッと教室の扉が開いた。

その人は黒板消しには引っかかるし、水を被ってずぶ濡れになるし、教卓は避けたが掃除道具がいくつか当たり、すり傷が出来ている。

 

これを見た3人は(この人、本当にスゴい人なの?)と疑っているようだ。

しかし、アタシはこの人のスゴさがよく分かる。この人は、一族にいる上忍よりもはるかに強い。とても同じ上忍だとは思えない。伝説の三忍に並ぶ人だと言われた方がまだ納得出来る。

 

 

(気配が全くしなかった…足音もしなかったし…………何より、こんなに読めない人には初めて会った…自来也様はこの人よりもスゴい人なのよね?火影様とどっちがスゴいのかな?やっぱり火影様?いや、でも自来也様の方が若いのよね?だったら自来也様が勝つのかな?いくら火影様でも寄る年波には勝てないだろうし)

 

 

そんなことを考えていると、担当上忍の人はこう言った。

 

 

「んーーー…何て言うのかな。お前らの第一印象はぁ……嫌いだ!!」

 

(それはこっちのセリフなんですが??)

 

 

そう思ったアタシはきっと悪くない。

 

 

 

それから場所を移し、自己紹介の流れとなった。

担当上忍は名前しか分からなかったし、うずまきくんはラーメンのことばかり。うちはくんは何となく予想していたけど、物騒な野望が判明しただけだし、春野さんも相変わらずだった。

 

 

「じゃ最後、黒髪の女の子……」

 

「はい。私は染井アタミ。好きなことは想像することかな。嫌いな人はせっかちな人。将来の夢は自来也様を越える小説家になること。趣味は家の縁側でのんびりお茶をすすりながらする読書と、桜の木の世話です」

 

 

アタシの自己紹介が終わると、カカシ先生は驚いた表情で見ていた。

春野さんの自己紹介の時に(やっぱりなぁ)という目をしていたので、アタシも同じものだと思われていたらしい。

 

カカシ先生は気を取り直したように「よし!自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ」と言った。

切り替えの速さはさすが上忍と言ったところだろうか。ものの一瞬で動揺を沈め、仕切り始めた。

 

 

「まずはこの5人だけでやることがある」

 

(やること?……これから何をするかっていう懇切丁寧な説明会を開くとか?アタシ達、まだ右も左も分からない新米忍者だし)

 

「サバイバル演習だ」

 

 

どうやら違ったらしい。

それにしても、サバイバル演習か……春野さんの言うとおり、授業で散々やったがおそらく普通の演習ではないだろう。カカシ先生が「ククク……」と笑っているので絶対に何かある。

例えば今後の進退を決めるとか。この演習で不合格になると、一生下忍のままとかあるかもしれない。

 

 

「卒業生28名中(・・・)下忍と認められる者はわずか9名(・・)。残り19名は再び学校(アカデミー)へ戻される。この演習は脱落率66%(・・・・・・)以上の超難関試験(テスト)だ!」

 

 

何だ、そんなことか。もったいぶるものだから、てっきり一生下忍のままなのかと思った。よし、再び学校に戻されたら忍を止めよう。元々は忍の一族だから体裁を気にして入っただけだし、憧れの作家が伝説の三忍の1人だったのもある。何よりアタシの夢は自来也様を越える小説家になることだ。忍にならなくてもアタシの夢は叶えることが出来る。

忍になれなかったら一族の歴史に汚点を残すことになるが、アタシはアタシなりに頑張った。きっと顔も知らない両親は許してくれることだろう。

 

そしてやはり、あの簡単すぎた卒業試験は下忍になる可能性のある者を選抜するだけだったようだ。まさか自分の想像が合っているとは思わなかった。こういうことがあるから、想像することは止められない。

というか、アタシ達はまだ下忍になったわけではなかったのか。そう言えばイルカ先生も「卒業おめでとう」とは言っていたが、「下忍になっておめでとう」とは言っていなかったな。

 

下忍になれるかは明日の演習で分かるようだ。

「くわしくはプリントに書いてあるから」とプリントを手渡された。

 

 

「明日遅れてこないよーに!」

 

「吐くって!?そんなにキツいの!?」

 

 

何が「明日遅れてこないよーに!」だ。一体どの口が言っている。寝言は寝て言えと言ってやりたい。1時間近くも遅刻してきたのはどこのどいつだったか。この先生に言われたくない言葉ランキング堂々の1位になると思う。

春野さんとはまた違った所で噛みつきそうになったアタシは悪くない。

 

 

(……まさか、明日も今日みたいに遅刻してくるんじゃないでしょうね?…………念のために『ド根性忍伝』持って行くか)

 

 

 

翌日……

 

 

 

「あれ?みんな早いね。おはよう」

 

「アタミ、アンタ時間ギリギリよ?」

 

「それもそうだけださ。あの人が時間守ると思う?」

 

「う、それは……」

 

「でしょ?というわけで、アタシはあの人が来るまで読書して暇を潰すことにするわ」

 

「はぁ?!ズルいわよ!」

 

「この状況を予測できなかったアナタ達が悪いの。悪く思わないでね、春野さん」

 

 

まだ春野さんが何か言っているが、知らないし聞こえない。そんなことよりも早く続きを読みたい。これは何度読んでも飽きない名作だ。

アタシはそう思いながらカカシ先生が来るまでの間、何度も読み込んだ『ド根性忍伝』を開くのだった。

 

 

 

1時間後……

 

 

 

「やーー諸君、おはよう!」

 

「「おっそーい!!!」」

 

 

うずまきくんと春野さんの声が揃って響いた。

うずまきくんと春野さんは意外と仲がいいと思う。本人に言ったら「ウゲ―!!気持ち悪いこと言わないで!」と言われるだろうから言わないが。

 

 

 

「よし!12時セットOK!!」

 

(何で目覚まし時計?……制限時間があるってこと?12時までに目標を達成出来なかったら、ペナルティがあるとか?)

 

「ここにスズが3つある…これをオレから昼までに奪い取ることが課題だ。もし昼までにオレからスズを奪えなかった奴は、昼メシぬき!あの丸太に縛りつけた上に目の前でオレが弁当を食うから」

 

 

なるほど、この人の性格が非常に悪いのはよく分かった。だから朝ご飯抜いてこいと言ったのか。おかげさまで空腹で倒れそうだ。これでお昼抜きにされたら、アタシはマジで倒れてしまう。これは死ぬ気で取りに行くしかあるまい。

 

スズを取るのは1人1つでいいらしい。しかしスズは3つしかないから、1人は丸太行き。そしてその人は任務失敗ということで、学校へ再び戻されるようだ。

 

 

(え?本当に……?それじゃあ、手抜きで挑もうかな…そうしたら合法的に忍を止められれる……!!それなら空腹で倒れても問題ない。むしろその後食べるご飯のおいしさが倍増するから、アタシにとっていいことばっかりじゃない!)

 

 

3人は凍りついているが、アタシは1人だけ内心小躍りしていたのだった。

しかし、どうやって手を抜こうか。手加減をしたら即バレしそうなのだが。

 

 

(?……あれ、手を抜くってこんなに難しかったっけ?)

 

 

アタシはどうすれば自然に(・・・)失格になれるのか、必死に頭を回すのだった。

 

そしてアタシが考え事をしている間に、うずまきくんの背後にカカシ先生がいるのだが。

周りの空気を読む限り、一悶着あったらしい。まぁ、どうせカカシ先生がうずまきくんを煽ったのだろう。

 

 

「でもま…オレを殺るつもりで来る気になったようだな…やっとオレを認めてくれたかな?ククク…なんだかな。やっとお前らを好きになれそうだ……じゃ、始めるぞ!!…よーい…スタート!!!」

 

 

待って待って、とりあえず隠れたけど展開についていけない。

つまり、先生を殺す気で行っても問題ないということよね?確かにカカシ先生レベルの人間からしたら、アタシ達は赤ん坊のようなものだろうから本気を出しても問題ないだろう。

だが、今のアタシにとってそんなことはどうでもいい。問題はカカシ先生にバレないように手を抜けるかどうかだ。

 

 

(……ダメだ。どれだけ考えても不自然さが残る。こんなことじゃ絶対にバレるよな……考えないようにしてたけど、これ詰んでない?はぁ……これはもう流れに任せて忍になった方が楽なのか?)

 

 

何度も脳内シミュレーションした結果、手を抜くことは不可能という結論に至ったアタシは、この試験でどうやって生き残るのかを考え始めるのだった。




先生たこあしです。
小説が書ける喜びよ。それもいつまで続くか分からないがな!

アタミちゃんの感性がおばあちゃんになったのは、仕方がなかったんだ……!!アタミちゃんを思いついたのが(縁側で茶をすすりながらのんびりする。うん、こういう老後も悪くないのでは?)と考えていた時だったんだ!!

茶番もほどほどにいたしまして、次の話ですが、これもいつ頃の投稿になるか分からないです。少なくとも1週間以上は見ておいてもらえればいいかと思います。

ではまた次話でお会いいたしましょう。

10/8追記
ヒラタ様誤字報告ありがとうございます。


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常識のある人がいない

やっと書き上がった……

今回は短めです。そして次はいつ投稿できるか分からない……


10月18日追記
かわかわ@YOMUSEN様、こねこねこわん様、誤字報告ありがとうございます。


さて、隠れたはいいがうずまきくんは隠れもせずに何をやっているのだろうか。

 

 

「いざ、尋常に勝~~~~~~負!!しょーぶったらしょーぶ!!」

 

「あのさァ…お前ちっとズレとるのォ……」

 

 

いや、ちょっとではないだろう。

改めて思うが、こんなことでよく「歴代火影を越す」と言えたなぁ。『忍びたる者___基本は気配を消し隠れるべし』と授業中にイルカ先生が口酸っぱく言っていただろう……そう言えば、うずまきくんは授業中居眠りしていることが多かったから、聞いていなかったのかもしれない。

それであればこれから学び直していけばいい話だが、うずまきくんは座学苦手そうだな。それでなくとも、うずまきくんには何か重大な秘密があるようだし、彼はアタシよりも険しい道を行くことになるだろう。

だがしかし、ぜひともうずまきくんには頑張ってもらいたい。そしてアタシにネタを提供するのだ。これぞWin-Winの関係。

 

 

「ズレてんのはその髪型のセンスだろーーーーー!!」

 

 

うずまきくんがキレ気味でカカシ先生に突っ込んで行った。

予言しよう。この勝負はうずまきくんが秒で負ける。

だってアタシ達はまだ学校を卒業したばかりの何も知らない子供なのだ。踏んできた場数が違いすぎる上、上忍からしたらアタシ達の動きは止まって見えるようだし、動体視力からしてまず桁違いなのだ。

そんな格上相手に勝てるわけがないだろう。

 

 

「忍戦術の心得その1、体術!!…を教えてやる」

 

 

カカシ先生はそう言って本を取り出した。

 

 

(?!……え?あれって、自来也様の小説、よね?しかもあのシリーズって、年齢制限がかかってるヤツなんじゃ……先生とは気が合いそうだと思ったけど、前言撤回。続きが気になるのは分かるけども、そんなもの子供の前で読むんじゃないわよ……なんなのよ、この班は!子供の前で堂々と官能小説を読む先生といい、自己中なチームメイト達といい問題だらけじゃない!!)

 

 

ここから1つにまとまっていくのが王道パターンだが、ここは現実であって物語の中ではない。

はてさて、ここからどう転んでいくことか。あぁ、今後のことを思うと頭痛がしてきた。

 

 

「あれ?」

 

「忍者が何度も(・・・)後ろ取られんなバカ」

 

 

アタシが頭を抱えている間に、うずまきくんの後ろにカカシ先生が回り込んでいる。

あれ、あの構えは……

 

 

(……先生は一体何を考えてるわけ?いくら何でもうずまきくん相手に火遁使うのはやりすぎでしょ!それとも、少しでも実践に近い形にしようとしてるとか?「痛みがあると成長速度が段違いだからな」って従兄が言ってたしなぁ……あの印も構えだけだよね?きっとその後に「そんなわけないだろ」とか言って、軽く背中にチョップするとかそんなだよね?……うずまきくん、死なないわよね?)

 

「ナルトーーーー!!!早く逃げなさいって!!!アンタ死ぬわよォ!!!」

 

 

春野さんも気がついたらしい。

自分の居場所がバレるのも厭わずに、大声でうずまきくんに逃げるよう促している。

それでも遅い。もう間に合わないだろう。

これが実践だったら春野さんは1回、うずまきくんは10回以上は死んでいると思う。

アタシが見てもこれだけ隙を見つけられたのだ。上忍のカカシ先生からしたら、もっと殺す機会があったことだろう。

やはりカカシ先生はとんでもない人である。

 

 

「木ノ葉隠れ秘伝体術奥義(・・・・)!!!千年殺し~っ!!」

 

 

そう言ってカカシ先生は、うずまきくんのお尻に人差し指を思いっきり突っ込んだ。

ようはカンチョウをしたのである。

それを受けたうずまきくんは悲鳴を上げながら川まで吹っ飛んでいき、そのまま川にザブーン!!と頭からダイブした。

普通ならここで終わりだろうが、うずまきくんのことだ。きっと何か興味深いことをしてくれるに違いない。

 

バシュ!バシュ!っと川の中から手裏剣が2つ飛び出してきた。

やはりあの程度でへこたれることはないか。

だけど……

 

 

「ふ~ん……川の中かから手裏剣を2つ投げても全く問題ないのかぁ…しかも本読みながら取ってたし…もしかして、360度見えてたりして。まさかねぇ…日向一族じゃあるまいしそんなわけないわよね」

 

 

ん~、他に考えられる可能性は……音、とか?

手裏剣を投げた時によく耳を澄ませば音がかすかに聞こえるのだ。私は本当に調子のいい時しか聞こえないが、カカシ先生くらいになると常に聞こえるのかもしれない。

それか、単純に経験差かもしれない。

しかし、それではつまらない。なので、私は音で感知しているに一票を入れたい。その方が夢があっていいじゃないか。

 

 

「ホラどうした。昼までにスズ取らないと1人だけ昼めし抜きだぞ」

 

「ンなの分かってるってばよ!!」

 

「火影を越すって言ってたわりに元気ないね、お前…」

 

「くっそ!くっそ!腹が減っても戦はできるぞ!!」

 

 

また物思いに耽っていると、ギュルルルルと盛大にうずまきくんの腹が鳴った。

うずまきくんだけではない。アタシもそうだし、春野さんやうちはくんも同じだろう。

お腹が空いていつも以上に動きが鈍くなっている。下手に動けば的にされてしまうのがオチだ。

だが、いつまでも隠れて見ているわけにはいけない。染井家の秘伝忍術を駆使すれば、アタシ1人でもいけると思う。機会を窺って不意打ちを仕掛けてみるとしよう。

しかし、油断は禁物である。

相手は上忍の中でもおそらくトップクラスの忍だ。隙を見せれば一瞬でやられてしまうことだろう。使いどころを見極めなければ、即ゲームオーバーである。全く、鬼畜ゲーもいいところだ。

 

 

(あぁ、本当は協力するのが一番手っ取り早いんだけど……あの問題児共が話を聞いてくれるとは思えないのよねぇ。とくにうずまきくんとうちはくん)

 

 

カカシ先生がこの2人をボコボコにしてくれれば、話を聞いてくれるかもしれない。

 

 

(どうか、うずまきくんとうちはくんを徹底的にボコしてください!!)

 

 

アタシはカカシ先生に必死に念を飛ばすのだった。

夢中になって念じていると、川の中から複数人のうずまきくんが飛び出してきた。

 

 

(あれは、ただの分身じゃない。実体があるってことは……あれがおじさん達が話してた多重影分身の術?あれ?でもそれって禁術指定されてなかったっけ?何でうずまきくんが知ってて使えてるの?……もしかして、何かヤバい術(禁術)ばっかり載ってる巻物でも盗んだんじゃないでしょうねぇ?うずまきくんならやりかねないのが恐ろしいわ)

 

 

アタシは普段のうずまきくんの行動を思い返して、何かきっかけがあればあり得なくはないと思った。

だが、そういうものは厳重に保管されていると思うのだ。それを持ち出したとなれば、ただではすまないだろう。もしそれを盗んだのだとすれば、今頃うずまきくんはここにいないと思うのだ。だから盗んだ可能性はない、と思いたい。

その他にも色々と考えてみるが、所詮はアタシの妄想であり、真相を知るのはうずまきくんのみである。どこで知ったのか気になるが、それは知らないままの方がいい。その方が妄想のしがいがあるというものだ。

 

そう考えながらも、頭の隅っこで(どうかうずまきくんがカカシ先生にメッタメタのギッタギタにされますように!!)と祈る。

そしてその祈りが通じたのか、うずまきくんはカカシ先生に負けた。

うずまきくんの分身がカカシ先生の背後を取り、本体が殴りかかったのだが、カカシ先生はそれを変わり身の術で見事回避。うずまきくんの分身と素早く入れ替わり、うずまきくんがうずまきくんを殴ると言う珍事件が発生した。

 

 

(スゴい……カカシ先生、影分身利用して撃退しちゃった…うずまきくんはこれが実践だったらとっくの昔に三途の川を渡ってるんだろうなぁ……というか、まだ読んでたの?頼むからその官能小説を仕舞いなさいよね。というか、今って仕事中じゃないの?仕事中に本読む大人ってどうなわけ?火影様に言いつけてやろうかな……「職務中に子供の前でエロ本を読む上忍の風上にも置けない輩が混じってます」って)

 

 

アタシは(せめて担当上忍だけでも常識人がよかった)と嘆くのであった。




どうも、先生たこあしです。

突然ですが、私が知っているNARUTOの知識を上げていこうと思います。
・サスケちゃん
・血之池一族
・血龍眼
・『颱遁・強風烈破』
・我愛羅
・小さい頃のサソリ(の寝顔)
・(穢土転生した)サソリ
・カカシ先生
・大筒木カグヤ
・輪廻写輪眼

以上です。

こんなポンコツ知識だけでよく『NARUTO』を書こうと思ったなと自分で自分を疑います……早く全巻買いそろえて読みたいなぁ。


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