マーレ国とパラディー島別世界転移物語 (re-moo)
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全ての始まり
マーレ及びパラディー島異世界に転移する


超大国マーレはマーレ大陸のみです。その他のマーレが保有する領土はきてません。マーレ大陸は、アフリカ大陸と入れ替わるようにきていますが、パラディー島とマダガスカル島は入れ替わってません。

マーレ「なんだ!あの戦車とかいう、化け物は!!うちの戦士隊の巨人を砕きやがる(特に鎧…」

連合国「同じマーレなら潰します!!」


 戦士長の部屋で会議がはじまろうとしていた。

 

 

 既に全員そろっているため、戦士長は話を始める。

 

 

 「今日皆に集まってもらったのは他でもない…」

 

 

 そう戦士長が言い終わる前に突如室内を眩しい光が照らした。

 

 

 何事かと戦士隊メンバーは身構える。

 

 光が晴れるとそこには、何故かヴィリーとマガト隊長までいた。だが、それ以外の人達もいるようだった。

 

 

 「ですから、このままマーレへの攻撃を続行すべきです!」

 

 

 「いや、続行はするが、連合国軍や中東連合にも任せた方がいいだろう」

 

 

 「何を、流暢なことを言ってるんですか!!それでは我々の国益に影響を及ぼすじゃないですか!」

 

 

 なにやら、二人が言い争いをしているようだった。途中マーレ大陸に上陸とか聞こえたが…まぁ気のせいだろう。

 

 

 戦士長は二人に話しかける。

 

 

 「すみません、」

 

 

 「だっ、誰だ!何故ここにいる!」

 

 

 「わかりましたこいつらマーレの工作員ですよ!間違いありません!その腕章マチスのと同じじゃありませんか!!」

 

 

 「違わないけど違います。私たちは気がついたらここに居たんです!」

 

 

 「その証拠は?」

 

 

 戦士長は考え込んでしまったが、これを見かねた隊長が二人に話しかける。

 

 

 「その証拠に今ここに突然現れたことです」

 

 

 「確かにそうだな…失礼した、私はエルディア合衆国大統領エルエン・ベルトとこっちが国防長官のモスル・ハラムだ君たちは?」

 

 

 「テオ・マガト」

 

 

 「ヴィリー・タイバー」

 

 

 「ピーク・フィンガー」

 

 

 「ジーク・イェーガー」

 

 

 「ライナー・ブラウン」

 

 

 「ポルコ・ガリアード」

 

 

 戦士隊メンバー達が自己紹介を終わらせると、早速隊長が大統領に質問をした。

 

 

 「失礼ですが、先ほど『()()()()()()()()』と仰いましたが、私の理解ではエルディアは王政のはずです。一体どういう事でしょうか?」

 

 

 それを聞いた二人は、心底驚いた顔をする。

 

 

 「いえ、我々は元々我が国は英国と呼ばれる国の一植民地でした。今から約180年前に当時の大英帝国に独立戦争で勝利して独立した国です。そして、独立した日から王政では無くなったのです。」

 

 

 「そうですか…ありがとうございます。」

 

 

 「大変です大統領!!!」

 

 

 突如物凄い勢いで、扉が開かれ周りの人達は驚いて肩を震わせる。その張本人は、そんなことを気にせず大統領と国防長官に対して報告し、それを聞いた二人は、

 

 

 「なっ!?なんだとっ!?マーレ大陸が消えて、また、戻って来ただと?何の冗談だ、まったく…」

 

 

 「大統領…もしかして、彼らの国がここに入れ替わったと言うことでしょうか?」

 

 

 「だとしても、もう……手遅れでしょう」

 

 

 もう、彼らが攻撃を加えていることでしょうし

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 連合国 エルディア合衆国陸軍 マーレ方面戦域軍団 第4軍団 第3師団 第6装甲自動車化歩兵連隊 連隊長指揮車

 

 

 

 「さっきまでこっちに弾丸の雨を降らせていたマーレ軍の連中が消えやがったぜ?!一体どうなってんだ?」

 

 

 「さぁな、だがこれで俺たち第6連隊が活躍できるじゃないか!!」

 

 

 本来なら6個師団からなる1個軍団を投入するべきだが、彼…第6連隊連隊長が『マーレ軍ごときに我が合衆国軍は負ける筈がありません!それに、我々には最新鋭の装備と試験装備が備わっていますので、ここは、我々第6連隊にどうかおまかせを!!』とか、バカなことをぬかしたせいで、苦戦していたのだ。だが、その元凶が消えた今、彼らからしてみれば、またとない絶好の機会であった。

 

 

 「にしてもアメリカ軍も本作戦に参加しているとはな、てっきり、欧州戦線に注力するかと思ってたが…まぁ、欧州はドイツとソ連が手を結んで枢軸国・コミンテルン連合になるし、日本は連合国に加盟するし、あり得ないことだらけだったからあまり驚かないが…にしてもアメリカ側は…規模が違いすぎないか?こっちは連隊だぞ?」

 

 

 そう言い視線の先をアメリカ軍部隊に向ける。エルディア側は1個軍集団20万人に対し、アメリカ側はその3倍の1個軍集団60万人であった。更に、今回の作戦におけるアメリカ軍の投入兵力は、主力の戦車3両からなる1個戦車小隊を5個で1個中隊+中隊長車を4個で1個大隊+大隊長車を3個で1個連隊+連隊長車を3個で1個戦車旅団+旅団長車を初めとし、3個の歩兵大隊からなる1個歩兵連隊を4個で1個歩兵旅団を6個旅団、さらに、8個砲兵中隊その他に、1個工兵大隊、1個野戦病院、1個対空大隊、2個通信中隊、2個補給大隊、2個整備中隊、2個空挺大隊、陸軍航空隊作戦部隊:戦闘機200機、爆撃機60機、輸送機20機であり、部隊員は42000人とかなり兵力を強化し過ぎた部隊となっている。

 

 

 「戦車が少なくとも300輌はいるぞ…しかも、最新鋭戦車のM-8じゃないか!何でも超戦車の分類にはいるとかいう…それだけじゃない…M-4やM-26までいやがるなぁ、これは、さすがにマーレ軍にも同情しちまうよ。なんたってあんなアメリカとかいう化け物が出てきて戦わなきゃいけないんだからな…」

 

 

 「だが、一つ疑問がある。何故、アメリカ軍なんかに任せるんだ?、いくら我が国がアメリカに量で負けるとはいえ、質はアメリカに並ぶほどだぞ?」

 

 

 「確かに今回は、アメリカでもまだ実用化していない誘導ロケット弾を改造した自動車ロケット弾の弾にしているし」

 

 

 「なら、なおさらマーレを倒すのはアメリカではなく我らエルディアだと言うことを世界に示さなくてはならない、だからこそ、今回の合衆国の決定は、とてもではないが俺には正気とは思えない…」

 

 

 「まぁ…いいじゃないか、ほら、昨日だってマーレ海軍の本国防衛連合艦隊を壊滅状態にさせたんだからな、やはり、アメリカにはかなわないな…」

 

 

 「さて、そろそろ作戦を開始するとしよう、そうアメリカ軍に通達してくれ、」

 

 

 「わかった」

 

 

 1945年9月13日、この日、アメリカ・エルディア合同作戦部隊はマーレ軍鉄壁要塞『カイロ』に攻撃を開始した。




アメリカ「589輌は3個戦車師団にあたりますだと?今は総力戦だから関係ないわ!!まってろ~マーレ!!今いってやるからよぉ~」

マーレ「こっちくんなぁぁぁぁ!!!!」


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マーレとパラディ島

作「投稿が遅くなってしまった!」

マーレ軍「奴に榴弾をお見舞いしてやれ」

 ドン ドン ドン ドン


 ヒュ~ン ヒュ~ン ヒュ~ン ヒュ~ン


 ズバァ~ン ドガァ~ン バ~ン ドッガ~ン


作「助けて!ヘルプ!!!!」


マーレとパラディー島の技術や進行はほぼ原作通りだが、多少の変更点も存在する。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー進撃の巨人世界ーーーー

 

 

 

 

 

 マーレ

 

 

 

 

 

 

 

 指導者 ヴィリー・タイバー

 

 

 

 

 

 軍

 

 

 

 

 

  軍最高司令官 テオ・マガト元帥

 

 

 

  

 

  陸軍 50個師団=100万人→120個師団=240万人

 

 

 

  マーレは他大陸や諸島を多数領土にした後、人員不足に陥ってしまったため、当時のマーレ軍上層部と政府によって50個師団から120個師団へと増強された。 侵略のしすぎは良くないね、、、byブリカス

 

 

 

 

 

  陸軍飛行船団 8個飛行船艦隊

 

 

 

  先の中東戦争でこれからの時代は航空機だと思い知らされ設立された。形式上では陸軍隷下ではあるものの事実上の独立部隊となっている。 空軍としては陸軍・海軍の航空隊の設立に反対である、、、by諸国空軍連合

 

 

 

 

 

  海軍 3個艦隊→14個艦隊

 

 

 

  原作ではマガトに『旧式』、『烏合の衆』などと酷評された。それは、この世界でも健在であるが、ただ一つ違うとすれば、マーレ政府の『新式の質の良い少数精鋭』より『そこそこ質の大量建造』を推し進めていたおかげで原作よりはマシになった(スラバ要塞とか…… やはり新式装備や質の良さを重視しないといけないな、、、by North Korea

 

 

 

 

 

 政治形態 軍国主義

 

 

 

 

 

 政府組織 マーレ政府

 

 

 

 

 

 議会 有り

 

 

 

 

 

 政党 有り

 

 

 

 

 

 選挙 有り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パラディ島(エルディア国)

 

 

 

 

 

 

 

 国家元首 ヒストリア・レイス

 

 

 

 

 

 政治 王政

 

 

 

 

 

 議会 有り

 

 

 

 

 

 選挙 無し

 

 

 

 

 

 政府組織 王政府 エルディア政府に改名予定

 

 

 

 

 

 兵団・軍

 

 

 

  兵団トップ ダリス・ザックレー総統

 

 

 

 

 

  調査兵団 600人 推定

 

 

 

  死亡率が高すぎると有名な兵団である。最近ではマーレやヒィズル国などから手に入る技術に非常に興味を持っている。

 

 

 

 

 

  憲兵団 2300人 直属駐屯兵団を含め5200人程 エルディア警察に改名予定で10年以内に12800人に増員予定

 

 

 

  見ての通りた・だ・の・警・察・組・織・である。はずだが…、、、中央第1憲兵団とかは…何でもありません。だが、今の中央憲兵は事実上ただの警察になっている。

 

 

 

 

 

  駐屯兵団 32000人 国防軍に編入される予定

 

 

 

  以前の団員達はだらけることが多かったが、シガンシナ、ウォール・マリア陥落以降は、兵団上層部の意向により今まで以上に通常訓練が実施されるようになり、今では、精鋭とまでは行かなくとも、少なくとも巨人の1体や2体程度くらい1人で倒せるようにはなった。

 

 

 

 

 

  エルディア国防軍 18400人 10年以内に12万人に増員予定

 

 

 

  壁外人類に対抗するために新たに創設された。いずれは軍務省が設立される予定。国防軍兵士の基本装備では、小銃と弾薬盒、立体起動装置、など諸外国に対抗できるような工夫が施されていて、小銃などはマーレから来た調査隊より回収、研究開発した物を使用している。

 

 

 

 

 

 

 

 ヒィズル国

 

 

 

 

 

 

 

  極東に位置する島国であり、『将軍』と呼ばれる国家元首の元で一つになっていが、巨人大戦敗北後の混乱やその後の国内の混乱から将軍による政治は終わり、技術立国としてパラディ島の資源に目を付け接触した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中東連合

 

 

 

 

 

 

 

  植民地政策を推し進めるマーレに対抗するために出来た国家。半島の自治権を巡ってマーレと対立したが、マーレ海軍やマーレ陸軍の圧倒的な物量に押されスラバ要塞を占領され連合艦隊は壊滅して講話をするという最悪な結果に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歴史

 

 

 

 

 

  ヒィズル国を介して他国との貿易案は相手側に拒否され誰もが落胆した。しかし、ヒィズル国は近代技術における、建築、軍事、文化、思想などの多くの発展に貢献した。そのかいもあって、壁内はもちろん、巨人がいなくなった壁外にも人々は進出し、それに伴う高度経済成長や急激な人口増加が起こった、僅か半年で近代的な都市がいくつも誕生した。

 

 4年がたった今では、かつての名残を残しながらも王都であるミッドラスのあちこちにアスファルト舗装がされその両端には6階建ての建物が乱立している。さらに、舗装がされた道には多数の自動車が行き交っており、それは、まるで先進国であるかのようであった。

 

 

 

 だが、そんなエルディアを面白くない目で見ている国がいた。マーレだ。

 

 マーレとしては100年劣った国として近々攻め落としてやろうとしてたのに、その国が、たっての4年で驚異的なまでに発展するなんて誰が予想するだろうか?そんなわけで、マーレ軍上層部は巨人が居なくなったパラディ島などもはや脅威ではないわ!精神で、『パラディ島制圧作戦』を発動することになる。

 

 

 

 その計画では、まず、主力艦隊である第2/3艦隊の計120隻を中心に客船や貿易船などからなる輸送艦部隊を260隻用意し、輸送艦部隊だけでも30万を超える史上初の強襲上陸作戦であった。それに加えて、第2/3艦隊の120隻に関しても合計すると5万近くの乗員がいるのだ。そのほかにも補給艦など40隻で1万2千人だ。これだけでも近隣諸国を震え上がらせるだけの戦力なのだが、、何せ相手は巨人相手に雷槍、立体機動装置などで完全武装をして無双するイカれ集団なのだ、これくらいしなければまた返り討ちに終わってしまう。

 

 

 そしてついに、マーレ軍パラディ島作戦部隊が420隻もの艦隊と36万もの大軍勢を率いてパラディ島に進路を向け出港した。




この後誰とは言わないが、とりあえずボッコボコにされます。


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転移以前1 マーレ軍侵攻部隊の悪夢

パ「えっ?なんかたくさんやってきてるんだが…」

マ「気のせいだ…」



 マーレ大陸とパラディ島の間にあるこの海域は普段なら船舶はほとんど通らず静かであるが、現在多数の艦艇が波を割いてパラディ島へと向かっていた。

 

 

 マーレのパラディ島侵攻は瞬く間に世界各国へと広がり、世界中が注目する戦争になるのであった。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 マーレ軍パラディ島侵攻部隊 第2/3艦隊旗艦

 

 

 

 「何度見ても素晴らしい光景だ!この艦隊さえあれば何処に行こうが無敵だろう!」

 

 

 「えぇ、これまでの海戦の結果を見ても我々に敵う艦隊は、そう居ないでしょう」

 

 

 取りあえず適当に司令官の言葉に乗ることにした。

 

 

 「そうだろう、で?今回の相手は何だったか?」

 

 

 「エルディアです」

 

 

 「あっ、そうだ!島の連中だったな!ん?待てよ…奴らにまともな艦船は存在するのか?仮に有ったとして、こんなに大規模な艦隊が必要なのか?わざわざ我々第2/3艦隊がでるほどでもないだろう、なんなら、地方艦隊だけでも十分じゃないのか?いくら、奴らが一度我々を退けたからといって、ここまでする必要は感じられん」

 

 

 一見油断しているように見えるが、この司令官はこれまでの海戦において数々の戦果を挙げた大変優秀な将官なのだ。

 

 そんな彼が今回の艦隊派遣に疑問抱くのも無理もなかった。まず、彼らが所属する第2/3艦隊の任務は主に本国であるマーレ大陸近海の警備と哨戒活動、船舶護衛などであった。そのため、最近あまり出番が無かったとはいえこれだけの艦隊を派遣するのは異常だと彼は思っていたのである。

 

 本来なら、相手が戦士隊を退けたとしてもここまでする必要は無いのだ。だが、それは本来ならであって決してそうなることはないのだ。

 

 ここ数年のエルディアは見違えるような発展を遂げており、軍隊の装備に関してはヒィズルの技術支援もあり諸外国と対等に渡り合えるほどになっていたのである。

 

 

 「まぁ、始祖奪還計画は我々の放った無垢の巨人による妨害もあって、4名の戦士しか派遣してないからな。もし、無垢の巨人による妨害が無ければ、今頃パラディ島は我々の手中に収まっていただろうな」

 

 

 「まさか、戦士を3名も失うなんて思いもしませんでしたし、それに、パラディ島勢力は立体起動装置なる物で巨人と対峙していたそうですし、少なくともこの分野においては我々よりも進んでいるといえるでしょう。なんて言ったって、我々には個人レベルの装備はもちろん殆どの火器で巨人を倒すことはほぼ不可能ですので」

 

 

 「確かに、脅威にはなり得る可能性は大いにあるが、それでも、この大規模な兵力と艦隊をどう叩くかだな。まず彼らに戦艦を有した艦隊をいくつ保有、運用しているかだ」

 

 

 「それに関しては、第三国経由でヒィズルから戦艦を含む艦船を数隻格安で購入したとか、多分氷瀑石を狙っての事でしょうが…」

 

 

 「氷瀑石でどのようなことができるのかだが、少なくとも飛行艇の開発には成功しているし、それなりに開発を進めれば大量破壊兵器も生産可能になるかもな」

 

 

 「だからこそ、ヒィズルが独占したいわけだ」

 

 

 そう司令官と話し会っていると、一人の乗組員が彼らの元に駆け寄りパラディ島が見えてきたと報告した。

 

 

 「いよいよ来たか、パラディ島。やはりと思ったが相手は軍艦の運用に人員を割けなかったようだな。ここまできてもなお、支障を来すことなく航行出来ているのだから」

 

 

 彼の話は続く。

 

 

 「今回の相手はこれまで以上に強敵かもしれないが、最後には必ず我が国が勝つ!」

 

 

 そう、自信満々に話す彼の目に映し出されていたのは、艦船から上陸ボートでパラディ島に上陸する多数のマーレ兵たちであった。

 しかし、これから待ち受ける悪夢をこのときは誰も予想できないでいたのであった。

 

 

 

 

 

 マーレ軍 パラディ島侵攻部隊 第6師団

 

 

 第6師団の任務は港を含む南側と南側の…シガンシナ区の攻撃及び制圧をすることであった。

 

 しかし、上陸した時…いや、それ以前にもパラディ島側からの一切の攻撃を受けていないのだ。ごくたまに、島の方から飛んでくる飛行艇の姿はあったが、それだけだった。

 

 そして、上陸したあとも相手からの攻撃も何もなく、いよいよもって相手の意図を掴めずマーレ側は困惑するばかりであった。

 

 

 「なぁ、俺たちって今戦争中だよな?ピクニックか何かの間違いじゃないよな?」

 

 

 「こんな大規模なピクニックがあってたまるか、しかも艦砲付きのな」

 

 

 「ははっ、そうだよな…でも何故敵は反撃しないんだ?自分たちの領土を侵されてるって言うのに」

 

 

 「まぁ、これだけの数を見て逃げ出したとかじゃないのか?実際これを他国にやったとしても他国軍は逃げるだろうよ、」

 

 

 「まさかと思うが罠じゃないよな?映画で見た」

 

 

 「その可能性はあるかもな、だが、そんなことをしても前方の最前列にしか損害を与えられないから意味はないと思うが、」

 

 

 「もし何かあったら、前方の部隊が無線報告してくるだろうし」

 

 

 そう話しながら歩いていると、突如彼等の前方を歩いていた部隊が激しい爆発音とともに吹き飛ばされる。

 

 更には周りの木々から誰彼構わずに打ち込まれる機関銃によって彼らの所属している連隊は3分の1以上の部隊員を一瞬にして失ったのであった。

 

 

 突然の攻撃にマーレ軍は対処出来ないでいた。

 

 

 ただ、マーレ軍も黙ってやられているわけでわなく、数の差を活かして敵がいる方向に向け小銃を乱射し続けた。しかし、立体起動装置を駆使して木々の間から雷槍やら銃弾やらを撃ち込んでいる敵に当てられるわけがない。こういった原因からマーレ軍の被害は拡大する一方であった。

 

 

 「ちくしょぉ、やっぱり潜んでいやがったかぁ、奴ら、空を飛んでいやがる。これじゃあこっちはただの的になるだけじゃないか!クソッ!」

 

 

 「だが、敵の攻撃が薄くなってきたぞ?それに、後方からの支援砲撃も来始めたから少しは戦いやすくなった」

 

 

 最初の奇襲から40分後くらいたった時エルディア側が撤退して事により戦闘は終了した。この戦いでの双方の被害は、

 

 

 

 マーレ側

 

  死傷者数:約2800人

 

 エルディア側

 

  死傷者数:6人

 

 

 

 という、明らかにエルディア側の圧勝であった。今回の襲撃を受けて司令部は森林において絶大な能力を発揮する『顎』と第5/6/8/12師団の計8万人を第2師団のシガンシナ、ウォール・マリア侵攻部隊に派遣することが会議で決まった。

 

 

 

 

 

 マーレ軍対パラディ島侵攻部隊 第2/5/6/8/12師団 作戦司令部

 

 

 彼らの作戦指令部はシガシンナ区から約20~30㎞程離れたところに位置している。現在各指揮官らは、先日の襲撃に対する情報共有と彼らの対策についての会議が行われていた。

 

 

 「ですから、立体起動装置が有効的に運用できないように森林地帯を切り倒すか焼き払うかの方が極めて有効かと、」

 

 

 「森林はともかく、市街地に関しては同じ事はでぎないぞ?それとも、飛行船から空挺部隊を使って電撃的に制圧するつもりか?」

 

 

 「私の第2師団隷下の第14/18/24/29連隊合わせて3000人近い被害が出ているのですよ?それに、相手は『超大型』と『女型』を保有している可能性が極めて高い、うかつな判断でさらなる被害を出したとなれば今後の戦争支持率と継戦にも大きく影響することにもなりかねます」

 

 

 「そこでですが、我が国では虎の子である世界初の飛行機を20機程投入を本国に要請したいと思います」

 

 

 それを聞いた周りからは、驚きの声が上がる。

 

 

 「なるほど、航空機なら奴らの立体機動でも為す術も無くなるわけだ、」

 

 

 「しかし、あれには武装が搭載されていないぞ、一体どういう使い方をするつもりだ?」

 

 

 「そこは、即席で機体の下部に着弾信管式爆弾を1つ搭載します。そして、目標地点に近づいた所で操縦席に取り付けられた爆弾を止める為の装置を引いて爆弾を投下するという物です」

 

 

 この話を聞いた周りからは拍手が沸き起こる。

 

 

 「なるほど、確かにそれなら攻撃と占領を素早く行えるな、この問題はとりあえず解決したか」

 

 

 「仮にこの作戦が成功したとして、壁内全てを占領しても300万人程度ですよ、これなら最初から通常兵器に力を入れていっそのこと世界を征服すればいいのに、世界を支配さえすれば資源なんてどうにでもなりますよ。それに、その氷瀑石?とか言いましたか、その石が一体何の役に立つのかわからないのに」

 

 

 「いや、氷瀑石は航空機から兵器の幅広い分野で転用が可能との事で、政府がそれを取るために正当な理由をこじつけて今こうやって攻めているわけだ」

 

 

 「暇なんですかね、政治家って言うのは、ここ最近始まったばかりのラジオにはいつも『マーレ国万歳!!』だとか、『マーレニア党万歳!!』とか聞こえの良い演説とかしてますが、そこで話している内容は果たしてどれ程が本当のことなのか、」

 

 

 「これは、情報局に勤めている上層部の友達から聞いた話なんだが、半年ごとに出ている国内調査対象になっているGDPや、GNPとか、その他複数の項目だと、大体1~4割くらいまで上乗せするのが普通らしい、とくに最近開発されている都市のマトレアなんかは、6割くらいは上乗せされているんだと、」

 

 

 「はっ!?6割?そんなのほとんど経済成長も発展もしてないのと同じじゃないか!一体いつから我が国は嘘をつく国家に成り果てたんだ?」

 

 

 「国益とか、見栄えの為に嘘をつくのは何処の国も同じ事だよ、ただその中で我が国が突出して酷いだけさ、」

 

 

 「後、軍関係の物質充足率とかは、常に200%を超えているとか言っていたが、あれは嘘だ…正確な情報だと120%にも満たない数値らしい、」

 

 

 これを聞いた周りは特に驚く様子はなく、むしろ『やっぱりか』という雰囲気が多く見られた。

 

 

 「まぁ、予想はしていたがここまで酷い有様だったとはな、通りで一部の予備補充が出来ないわけだ」

 

 

 「まぁ、この問題は最近徐々にではあるが、解決されてきているらしいから大丈夫だろう。それよりも今は、明日の作戦に備えて今日はもうお開きにしよう」

 

 

 そう言い残し警備の兵を除き全員がそれぞれの場所へと戻っていった。

 

 

 明日早くから作戦が開始されるのであった。

 

 

 しかし、それは、、マーレにとって

 

                  終わりの始まり

 

 

                             でもあった。




 マーレが飛行機を所有してるかどうかは知りませんが、この作品においては多めに見ていただけると助かります。

 この小説が面白いと思っていただけたなら、ぜひお気に入り及び評価、感想をお願いいたします。


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転移以前2 マーレ軍侵攻部隊の悪夢

遅れてしまい申し訳ありません。

次話投稿は早めにするように努力するのでこれからもよろしくお願いいたします。


 早朝、侵攻部隊はパラディ島勢力が待ち受けるであろうシガンシナ区へと歩を進めた。自ら破滅へと向かっていったのである。

 

 

 シガンシナの唯一の門は硬く閉ざされていたが、先の中東連合との戦いで鹵獲した連合の新兵器『対巨人野戦砲』と大量の爆薬を使用することで、重厚な門が数十分足らずで破壊することに成功しシガンシナ内へと侵入した。

 

 ここまで来るまでに敵からの攻撃は一切無かった。はっきり言って不気味だとしかいえない。

 

 シガンシナ区の街並みは、マーレの主要都市に同等かそれ以上であった。アスファルト舗装された道にその両側には立派な街灯とレンガの歩道が広がっていた。

 

 

 「なぁ、ここは本当にパラディ島なのか?間違えて他国の島に着ちまったんじゃないのか?」

 

 

 「100年遅れた島と言われているが、この町並みは明らかに先進国の町並みよりも凄いぞ?」

 

 

 マーレ兵は予想と違う街並みに動揺したものの直ぐに作戦行動を開始した。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 マーレ国 首都 マーレ軍総司令本部 会議場

 

 

 首都にある本部は、陸軍省、海軍省の合同庁舎であるため、敷地の広さはニューヨークにあるセントラルパークの8倍もあり、首都防衛軍と首都防衛艦隊の総司令部としても機能している。

 

 また、軍本部には、2個連隊が警備にあたっているため、首都を含め国内でも治安の良さはトップレベルであった。

 

 

 

 そんな本部のある会議場では軍上層部たちによる会議が行われていた。

 

 

 「しかし驚きましたなぁ、まさか、島の連中に遅れを取るとは、」

 

 

 「えぇ、まったくです。第2師団は我が国の恥と言えるでしょう」

 

 

 「恥どころか解散させてもいいでしょう、たった数十人に3000人もの死傷者を出したあげく相手に与えた損害がたったの数人、これではまるで話になりませんよ」

 

 

 彼らの第2師団への評価は最悪であった。1個師団2万人も有しているのにも関わらず少数の敵兵に遅れを取ったあげく、3000人もの死傷者を出したのだからそう思ってしまうのは当然である。

 

 さらには、その後に送られてきた報告書に関しても、「空を飛ぶ相手に銃弾を当てるのは非常に困難である」などと書かれており、彼らの第2師団への不信感は増すばかりであった。

 

 

 「それと、第2師団から要望書も来ていました、たしかつい先日開発されたばかりの航空機を20機ほど作戦に使用させてほしいとか」

 

 

 それを聞いた周りは?を浮かべる。

 

 彼らは、武装もついてない航空機を一体何に使うんだ?と、

 

 

 「なんでも、機体下部に着弾式榴弾爆弾を使用するそうですよ」

 

 

 「待て、その着弾式榴弾爆弾とは一体何の事だ?」

 

 

 「それはまだ試作段階ではありますが、機体に設置して敵基地などに上空から爆撃を行うための爆弾です」

 

 

 「なるほど、それなら立体起動とか言う空を飛ぶふざけたものでも太刀打ちできないわけだ」

 

 

 「第2師団からの要望に反対の方はいらっしゃいますか?」

 

 

 その問いにどこらからも反対意見は出なかった。

 

 

 「では、航空機を20機ではなく、40機と航空機爆弾を1600個ほど爆撃作戦と試験評価として送り込みましょう」

 

 

 その後の会議ではスムーズに進み数時間後には会議は終了した。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 シガンシナ区 マーレ軍侵攻部隊 第2師団 第61大隊

 

 

 第61大隊は以前は、第6師団所属であったが部隊運用能力向上を目的とした大規模な部隊再編成が行われた際に、第2師団へと変わったのであった。

 

 

 そんな第61大隊は現在シガンシナの中心部へと展開していた。

 

 彼らの任務は展開地域の制圧と哨戒任務も兼ねていたものだった。

 

 

 「分隊長これは、俺たちがやることなんですか?」

 

 

 「やらなくてはならないことだ、文句を言うな」

 

 

 そう不満を漏らす新兵に注意しながら、建物を一件一件敵が潜んでいないか確認をしていた。

 

 

 「後少しだ、あの家を確認すれば俺たちの任務は哨戒をするだけだからな、簡単だろ?」

 

 

 「そう言われたら何もいえませんよ」

 

 

 「そういえばさっき無線で聞いたんだが、今回の作戦に航空機が投入されるらしいぞ、」

 

 

 「上層部の意向ですか?」

 

 

 「いや、第2師団からの要望らしい」

 

 

 「何に使うんですか、爆撃とかですかね?」

 

 

 「多分そうだと思うが、この任務が終わったらさっき言った哨戒任務はやっぱり無しだ、航空機で攻撃するらしいから」

 

 

 「よかった、これで早く休めますね」

 

 

 「バカ言え、まだまだ任務は残ってるぞ」

 

 

 そう言い、分隊長は破壊された門へと視線を向ける。

 

 

 「ほら見ろ、瓦礫の撤去作業だ」

 

 

 「はぁ、全然やる気が出ませんよまったく」

 

 

 「さぁ、そろそろここを出るぞもう少しで攻撃が来るらしいから」

 

 

 全ての任務が終わった第61大隊は壁外へと退避を開始した。

 

 それと同時に爆撃を行うために攻撃隊はシガンシナへと向けて飛行を始めた。

 

 

 

 

 

 シガンシナ上空 飛行爆撃団

 

 

 シガンシナ区の上空を20機の複葉機が飛んでいた。彼らの乗る機体の下部には今回の作戦に使われる爆弾がついており、爆撃地点に到達次第、隊長機の合図で各機のパイロットがコックピットに取り付けられているレバーを一斉に引き爆弾は眼下の建造物に落下していった。

 

 爆弾の投下から数十秒後には複数の爆発が起き、爆弾が直撃した建物からは火災が発生し周辺の建物に燃え移っていく。

 

 

 シガンシナの陥落はエルディア側にとっては、痛い損失だろう。いくら、エルディアがこの数年間で急激な発展を遂げようが人々の考えや思想の変化には時間が短すぎたのである。

 

 まず、島の巨人を駆逐したと王政府が発表したときの人々の反応はあまりよろしくはなかった。

 

 というのも、エレン・イェーガー宅の地下室で発見された父親が残した本には『巨人は我々と同じユミルの民である』、『世界は敵であり、世界はエルディア人…ユミルの民の根絶を望んでいる』など、これらの情報が巨人の駆逐以前にすでに広く浸透していたため、壁の外よりも中の方が安全だという認識が一般化された。

 

 だが、先のマーレによる飛行機による世界初の爆撃はエルディアのみならず全世界に衝撃を与えた。

 

 

 マーレには、以前より運用されている飛行船などがあるが、飛行船でも爆撃は可能なのだが、無垢の巨人を投下した方が効率的と軍部に判断されたため今現在に至るまで単純な爆弾による爆撃は片手におさまる程度しか行われなかったのであった。

 

 

 しかし、エルディアとてただやられるのを見ているだけではない。彼らの作戦は今まさに開始されようとしていた。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 港街パルディン マーレ軍侵攻艦隊 旗艦 戦艦マーレ 司令官室

 

 

 マーレ軍の艦隊及びその他の艦船は一部を除いてここの一角に集まっていた。普段ならそのような行為は自殺行為と捉えられてもおかしくは無いのだが、エルディアには艦船に対する攻撃手段を持っていないと判断されたためにこのような方法がとられていた。

 

 

 

 「いつ見ても素晴らしい、見たまえこの精鋭たる艦隊を!」

 

 

 「はい、たとえどんな敵が現れようが本艦隊を用いればまさしく敵無しでしょう」

 

 

 他の部屋とは違って豪華なベッドにソファ暖炉に本棚がある。しかもこれが一部屋では済まない。そんな豪華な部屋で二人は言葉を交わしていた。

 

 

 

 しかし、実際の所内心ではうるさい上官だと思っているがそんなことを一言でも言えば後々面倒な事になるので今は黙って置くことにした。

 

 

 「あと少しで悪魔の連中が浄化されるわけだ、ハハハ、こんなに愉快な事が他にあるかね?」

 

 

 「いいえ、無いでしょう。しかしだからといって相手を侮るのは戦略上よろしくありませんよ?」

 

 

 「ああ、わかっとるよそんなことくらい、なんたって我々には鎧に顎が居るからねぇ。我々は無敵だ、そして今我々が乗艦しているのは無敵艦隊の旗艦であるマーレなのだ!」

 

 

 自信満々に気持ちの悪いほどの笑みを浮かべる侵攻部隊司令官に早く部屋から出たいと思う部下であった。

 

 しかし、彼らの会話は強制的にやめさせられることになる。

 

 突如、艦全体が激しく揺さぶれる、その影響で部屋にあった物があちこちに散乱し、二人も尻餅をついてしまった。

 

 しばらくして、揺れが治まると司令室の扉が勢いよく開き、一人の士官が緊急の報告をしにきた。

 

 

 「襲撃です!エルディアの反撃です!本艦含め既に数十隻に被害が及んでおり、内何隻は轟沈しました」

 

 

 それを聞いた司令官は先ほどまでと変わって驚きと怒りに満ちた表情を浮かべる。

 

 

 「おのれぇぇぇぃぃ!悪魔どもめが、直ぐに各艦に伝達しろ小銃でも艦砲でも何でもいいから連中を始末しろとな!」

 

 

 「りょ、了解いたしました!」

 

 

 そう言い残して士官は急ぎ足で通信室へと向かっていった。

 

 

 「まさか、先手を打たれるとは!とんでもない連中だ!」

 

 

 「彼らには雷槍があるみたいですし、決して侮れません」

 

 

 その時不意に窓の方に目を向けた参謀は驚くべき光景を目撃する。

 

 窓の外には全身が黒い服を身につけ両手に複数の雷槍を持った兵士がこちらに向けて放とうとしている瞬間だった。

 

 それに気づいた参謀は司令官に避難するように言おうとするが既に手遅れであった。

 

 彼が最後に見た光景は窓ガラスが割れて雷槍が爆発して自分たちに迫ってくるところで何も見えなくなった。

 

 

 この日、マーレ軍侵攻部隊の侵攻艦隊は800人のエルディア兵と進撃の巨人によって一部を残して壊滅した。

 

 この知らせは15個師団の全てに行き渡り彼らに衝撃をもたらしたのであった。

 

 

 

 

 だが、これで終わら無いのが彼らであった。




マーレが終わるのも時間の問題ですね。


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転移以前3 マーレ軍侵攻部隊の決断

また遅くなってしまいました。

申し訳ありません、、


私としても早くここを終わらせて本編に入りたいので。


次回からは、なるべく早く投稿出来るように努力したいと思います。


 マーレ軍侵攻部隊 各師団長会議

 

 

 

 先日の侵攻艦隊の壊滅を受けて、侵攻部隊は各師団長を集めて師団長会議を臨時で行っていた。

 

 司会が会議の開催を宣言するが、誰一人として喋ろうとしない。もし、この場に下士官以下の兵士を連れてきたのならあまりの重圧に耐えかねて倒れてしまうだろう。

 

 そんな空気がこの場に漂っていた。

 

 

 「侵攻艦隊が壊滅するとは…一体奴らは何者なんだか…」

 

 

 彼ら、、マーレ軍からしてみれば、超大国の軍に怯えることなく突っ込んでくエルディア兵に対して、ひとつの恐怖を覚えることになる。

 

 

 「さらに、ヒィズル国からは海軍が1個艦隊ほど封鎖活動を行っているようですし」

 

 

 「つまるところ、我々には早速逃げる手段を失ってしまったと言うわけですか、」

 

 

 各師団長から出る言葉は、そのどれもが暗い発言ばかりが目立っていた。

 

 本来なら、すでに島内全域を占領していてもおかしくはなかった。しかし、それが叶わなかったどころか、逆に返り討ちに遭う始末。

 

 仕舞いの果てには、唯一の脱出手段であった侵攻艦隊もごく一部を除いて壊滅するという、陸上部隊からしてみれば、悪夢のような状況がいま自分たちに降りかかってきていたのである。

 

 

 「しかし、このままやられっぱなしというのもいただけませんな」

 

 

 「いっそのこと15個師団全てを一カ所に集めて物量で大量突撃を行って壁内全土を制圧するというのはどうですか?」

 

 

 パラディ島自体は、マーレ大陸よりも小さいく攻め落としやすいととこれまで考えられていた。

 

 

 しかし、実際に軍事作戦を展開してみればどうだろうか、空中を屈して爆弾を投げつけてくる敵兵に、そこかしこに仕掛けられている地雷や罠など、もはやこの場にいるマーレ軍の誰もが、ここは100年遅れた島だというものはいないだろう。

 

 しかし、エルディア側の戦力は圧倒的に乏しく、数で圧倒的に勝る侵攻部隊が束になって攻撃を敢行すれば十分制圧できるというのが現状であった。

 

 

 「それは名案だな」

 

 

 「逃げる事ができなくなった我々は『背水の陣』で危機を乗り切るというわけか、」

 

 

 参加者のほとんどから賛成の声が上がる。

 

 一度追い詰められた者は、驚異的な能力を発揮して危機を回避するという。それは国家にもいえることであり、マーレ大陸から遠く離れた大陸の2国間の戦争において、敵に追い込まれた防衛国は一致団結して恐るべきほどの生産能力と作戦効率が跳ね上がったいう。

 

 そして、今自分たちはまさに危機的状況に追い込まれているので、「背水の陣」で乗り切ろうという考えに至ったのであった。

 

 

 「だが、それだとこちらの損失も大きくなるぞ、ただでさえ前回の襲撃事件に今回の艦隊襲撃でこちらは膨大な損失を負っているというのに、、」

 

 

 「このまま制圧したとしても、はっきり言って無意味だ」

 

 

 第6師団長は、そもそもこの作戦に反対をしていた一人でもあった。彼からしてみれば無駄に突撃突撃と抜かす上層部に対して不信感をもっており、この作戦においても計画のやり直しを要求するほどであった。

 

 

 「無意味とは何かね、では第6師団長殿はこのまま奴らから尻尾をまいて逃げるというのか?」

 

 

 だが、そんなことを知ってか知らずか第8師団長は第6師団長に対して皮肉を含めたことを言い放つ。

 

 

 「いや、そんなことは言っていない。問題なのは、その作戦の無計画性にあるということだ」

 

 

 第6師団長が一番言いたかったことは、どの作戦に対しても必ず存在する「無計画」であった。マーレはどういうわけか、この無計画がありとあらゆる所に存在しているのである。

 

 

 「大量突撃のどこが無計画というんだ?あれほど、我が国に…我が軍に似合う言葉など存在しないであろう?」

 

 

 しかし、指揮官たちからしてみれば、あくまで突撃で死ぬのは部下であることや、戦争に死はつきものと考える将官も多く存在する。

 

 こういった、偏見や昔からの古い考え方が他国から嫌われている要因の一つでもあった。

 

 

 「仮にやるとしても、一気に攻め落とさなければ被害が増すだけだ」

 

 

 中々答えが出ない師団長たち。マーレ軍は、基本的に大量突撃をドクトリンとして盛り込んでいる。

 

 そのため、毎回戦争を行えば相応の戦死者が出てしまう。まぁ、その大半はエルディア人部隊ではあるのだが…

 

 

 「すでにシガンシナは占領したし、このままマリア、ローゼ、シーナを攻め落とせばいいだけだ」

 

 

 「30万人近い人数がいるからな。遅くとも2か月もあれば制圧可能だろう」

 

 

 「では、作戦開始日時はいつにするのだ?」

 

 

 「いろいろと準備があるからな。2週間後にしよう」

 

 

 最後に開始日時を決定して会議はお開きとなった。

 

 

 だが、この会議の内容はエルディア側に筒抜けであった。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 ウォール・マリア シガンシナ区付近 エルディア軍司令部

 

 

 

 シガンシナから20㎞ほど離れたこの場所には、マーレ軍に対抗すべくエルディ軍の司令部が設置されている。

 

 その司令部の一室には、侵攻部隊の会議の内容を聞く二人の人物がいた。

 

 

 「にしても、こちらはどこまで間抜けな連中なんだ?」

 

 

 「まぁ、誰も盗聴されていることに気づいていないみたいだから仕方がないことだよ」

 

 

 二人は、相手の防諜能力の低さに驚くとともに、自分たちの運命を左右するかもしれない重大な任務に手に汗を握るほど気を張っていた。

 

 

 

 「てゆうか、リヴァイ兵長も厳しい任務を与えるよな。『ここで連中の会話内容をすべて漏れがなく聞いておけ』なんてさ、」

 

 

 「仕方がないよ、これで俺たちが助かる可能性が上がるのならやるだけさ」

 

 

 「ほんと、お前はいつも兵長に忠実だよな。まあいいけどよ、、」

 

 

 「お前ら、会議の内容はわかったのか?」

 

 

 「り、リバァイ兵長!?」

 

 

 部屋に突然入ってきたリヴァイに驚く二人。

 

 まさかリヴァイ兵長が自らやってる来るとは夢にも思わなかったのである。

 

 

 「はい、つい先ほど敵の会議が終了したようです」

 

 

 「どうやら、敵は2週間後に15個師団を用いてシガンシナ区からマリアへと侵攻する計画のようです」

 

 

 その言葉を聞いたリヴァイは小さく頷く。

 

 

 「なるほど、どうやら連中はそんなに悪魔の歓迎を受けたいらしいな」

 

 

 「いいだろう、そんなに欲しけりゃ暮れてやるよ『豚のションベン』でよければな」

 

 

 そう話すリヴァイの顔はもはや狂気的な笑みを浮かべており、これからやってくるであろう獲物をにがさんとする圧に二人は寒気を感じる。

 

 いや、元々兵長はこんな感じだったと、もしろ最近の言動がおかしいだけだったと二人は自分自身にそう言い聞かせる。

 

 

 「ご苦労だったなお前ら、今日と明日は休んでおけ」

 

 

 いつもなら決して言わないであろう言葉を兵長が言ったので驚く二人。

 

 

 「ありがとうございます。それとこちらが先ほどの内容を記した紙となります」

 

 

 リヴァイに紙を渡すと二人は部屋を後にする。

 

 一人部屋に残ったリヴァイは窓の外に見える急速に発展していく街を眺めながら昔の事を考える。

 

 ほんの数年前までは、外の世界はおろか自分たちの島でさえ統治できなかったのが、今ではそんなことが大昔のように思えるほど時代の流れを感じる。

 

 彼は、こうしてはいられないとマリア最大の都市であるマイリアへと向かった。

 

 

 

 この報告からエルディア軍は2週間後の戦いに向けてシガンシナへと兵を集結させることが決定された。

 

 それでも、戦力の2倍以上を未だに侵攻部隊が持っていることで、その対策として「超大型巨人」と「進撃の巨人」の参加も同時に決定された。

 

 一方のマーレ軍侵攻部隊も2週間後に向けて全ての戦力をシガンシナへと集結させた。その中には、後に地球世界においてアメリカ軍とエルディア軍率いる連合国軍を大いにさせる第12師団もいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2週間後、マーレ軍侵攻部隊の砲撃によって戦闘が開始された。

 

 

 

 これが後に、マーレ史上最悪の日と歴史に刻まれることとなる。




そして侵攻部隊は悪魔を見た。


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転移以前4 侵攻部隊の決戦1

あと数話で過去編を終わりにしたいと考えています。


 パラディ島 シガンシナ区 マーレ軍占領地域

 

 

 現在シガンシナ区とマリアの境界線では、40万超える両軍の兵士達が互いを牽制し合っていた。

 

 この状況になったのはつい2週間前のことであり、いつ戦闘が勃発してもおかしくないのが現実であった。

 

 

 「大尉、敵の様子はどうだ?」

 

 

 「今の所、敵にこれと言った動きはないとの報告が上がっております」

 

 

 「そうか、では引き続き偵察を続けるよう頼んだぞ」

 

 

 「はっ!」

 

 

 第6師団隷下第49連隊の連隊長であるマリック大佐は連隊参謀であるアレン大尉に敵の動向について訪ねるも、敵に動きがないとの報告に胸をなで下ろす。

 

 ここ2週間は休む暇も無くこうした偵察任務や、諜報活動などが多く行われていた。

 

 第49連隊は、その任務の大半を請け負っていた。

 

 任務を行うために必然的に最前線へと向かわなくてはならなず、敵の目と鼻の先での活動は危険を負う可能性が十分にある。

 

 もはや言うまでもないが、戦闘が起これば真っ先に被害を被る場所であるために、1秒たりとも気が抜けない状況が続いていた。

 

 

 「そろそろ作戦の開始時刻か」

 

 

 侵攻部隊の司令官がそう呟くと、近くにいる通信兵に声をかける。

 

 

 「各師団に伝えておいてくれ『へーロスは再び』と」

 

 

 「はっ!」

 

 

 「なっ!何だと!?すっ、すぐに各師団へ伝達する!」

 

 

 もう一人の通信兵が大声を出して焦りながらこちらへと走ってくる。

 

 どうやら、ただ事ではないようだ。

 

 

 「たっ、大変な事態が発生しました!」

 

 

 「何だ?」

 

 

 「つい先ほど、ヒィズル国がパラディへ向けて遠征軍を派遣したと発表がありました!」

 

 

 「なっ!?」

 

 

 あまりの衝撃に司令官は手に持っていた双眼鏡を落とす。ヒィズルは以前からエルディアを支援していることはわかっていたが、まさか、軍を差し向けるとは思ってもみなかったのである。

 

 完全に不意をつかれた侵攻部隊は、本当の意味で孤立無援となってしまったのである。

 

 前方のエルディア軍は8万人、そしてヒィズルからの遠征軍で14万人、併せて22万人もの軍勢が侵攻部隊のいるシガンシナや壁外、マリアの一部などを完全に取り囲まんとしている現状に司令官の焦りはますますひどくなる一方であった。

 

 

 「ヒィズルからの遠征軍はいつこの島に上陸してくる?」

 

 

 「それが…港付近に待機していた第164連隊と第89連隊から『ヒィズル国旗と海軍旗を掲げた大規模な艦隊と輸送船団を発見した』と報告がありました。この報告は数時間前のもので、無線が届く場所まで移動しなくてはならなかったので、今はもう上陸されてかと」

 

 

 「くそっ、ヒィズルめ、最初からこうするつもりだったんだな!」

 

 

 もはや彼ら残された選択肢は、「ただ前に進む」だけであった。

 

 そして、非常事態なのはマーレも同じ事であった。ヒィズルが遠征軍をパラディ島に派遣したことを発表した直後に、ヒィズルは反マーレ同盟を集め、マーレに対して「植民地と占領地の解放に関する条約に調印せよ」と声明文を発表したという。また、マーレ嫌い筆頭国として有名な中東連合は、半島の自治権の不透明性を理由に半島への侵攻を開始した。

 

 さらにヒィズル国は、自らの海軍力をもってパラディ島の周辺を意図的に封鎖した。これにより、マーレは完全にパラディ島周辺の海域において、制海権を完全に喪失することとなったのである。

 

 

 そして、、、

 

 

 「もはや、このような状況を作り出した奴らがうまかったようだが…そもそも、第一次調査船団に乗船していた、反マーレ派の義勇兵たちがこの島に情報さえ送らなければ、ヒィズルも島の連中も何も知らずに滅ぼせたというのに、」

 

 

 ここで彼は、一つの決断をする

 

 

 「全部隊の突撃をもって、敵首都を制圧する!砲撃の準備を急がせろ」

 

 

 「よっ、よろしいのですか?このまま突撃を行っても敵を壊滅させることは難しいですが…」

 

 

 「そんなもん、やってみなければ分からんだろ!とにかく、各師団に伝えておけ、」

 

 

 この命令は、直ちに展開している全師団へと送られた。作戦の開始日時は明日の4時、、、

 

 

 

 前からはパラディ島勢力、、、

 

 

 

 

 後ろからはヒィズル軍、、、

 

 

 

 

 混乱した司令官は、本来下すべきでない無謀ともいえる作戦を実行へと移した。

 

 

 

 

 この作戦と決断は後に、「マーレ最悪の日」として歴史に名を刻むことになる。 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

 パラディ島 ヒィズル遠征軍 第零軍集団

 

 

 先ほどまでマーレ兵によって占領されていたパラディ港は、エルディアの救援に駆けつけたヒィズル軍の攻撃で壊滅した。

 

 パラディ港の制圧により、陸軍による上陸も行われ2時間後には周辺地域の制圧は完了していた。

 

 

 「何とか間に合ったな。これで、マーレ軍侵攻部隊を挟み撃ちに出来る!」

 

 

 第零軍集団司令官のムサシは、作戦が成功したことに喜びをあらわにする。

 

 この作戦では、ヒィズル海軍がマーレ海周辺の制海権を掌握するということが大前提であったため、大規模な海戦が発生すると予測されていた。そのため、ヒィズル海軍は、総艦艇数84隻の戦闘艦を有する連合艦隊の派遣を決定した。

 

 連合艦隊は、4隻の戦艦と21隻の巡洋艦、52隻の駆逐艦、7隻の潜水艦、その他多数の補助艦艇を有しているだけでなく、常に最新鋭艦の就役、近代化改修が施されるため軍事関係者から「現代艦隊」と呼ばれたりしていた。

 

 だが、予測されていた海戦は起こらず、パラディ島に向かう途中で出くわした一基の砲塔が破壊されている戦艦1隻と同じくボロボロの巡洋艦3隻、駆逐艦14隻の計18隻と戦闘していたのが唯一だった。

 

 ただ、海戦が大規模化しなかった原因が、港に着いてから判明した。

 

 港周辺には、マーレの所属であろう無数の軍艦の残骸が埋め尽くされていた。

 

 その中には、マーレが内外に向けて大々的に宣伝を行った、8か月前に就役したばかりの戦艦「マーレ」の姿もあった。

 

 

 この戦争は、マーレとエルディアの問題だけではなく、、もはや世界を巻き込んだ世界大戦の様を晒していた。

 

 まあ、その大半は我々ヒィズル側ではあるが、

 

 

 「予定どおり、シガンシナへと向かうぞ。そこでマーレ軍を挟み込んで撃滅するだけだ!」

 

 

 「では、さっそく各部隊に伝達しておきます」

 

 

 マーレ・エルディア戦争、、、一時はマーレが軍事力に物をいわせることで優勢を保っていたが、侵攻艦隊の全滅…ヒィズルの参戦…中東連合との戦争の泥沼化…複数国の参戦…等の要因が重なり、侵攻部隊のみならず国家そのものまで劣勢へと立たされることになってしまった。

 

 原作では起きることがなかった「世界大戦」、、、

 

 

 

 

 世界によるマーレ潰しが「今」始まろうとしていた。




漫画で世界大戦を見られなかったのが残念だった。

獣巨人が中東連合の戦艦に向けて榴弾を投げつけるシーンは本当に迫力がありましたね。


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