ごりっごりの陵辱ADV世界に転生しちゃった…… (4kibou)
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ヒーローが現れないなら、俺がヒーローになればいいんだ
こんなネタなんぼあってもしょうがないですからね(諦観)
――突然だが皆さんは〝えっちなゲーム〟というのを知っているだろうか。
もしくは実際にプレイしたことはあるだろうか。
ある――と答える人は意外と少ないように思う。
存在を知っていても触ったことはない。
どういうものかは分かっていてもゲームとして遊んだことはない。
自分で見て、確認して、購入して、プレイして、どこがどうであれがああで――なんて言える人材は本当少数だと思う。
だがしょうがない。
致し方ないことだ。
なにせえっちなゲーム……もといR18のエロゲーは大半がPCソフトである。
たまに人気作がス○ッチとかP○4とかに移植されたりはするが当然の如くHシーンは全カット。
極めて健全な全年齢対象作品として生まれ変わってしまい、そうなるともうエロゲーとは呼べない。
故にこそスマホが普及し家庭用ゲーム機が当たり前のように広がり、パソコン離れが進む現代でエロゲーとは進んで触りにいかないと味わえないグルメなのだ。
特定の人間にとっては適合食材なのだ。
――さて、そんなエロゲーだが、その種類は多岐に渡る。
シンプルにギャルゲー的要素にえっちがくっついたもの、シナリオでぶん殴ってくるノベルゲーにえっちな要素を取り入れたもの、エロゲーでしかできない題材を取り扱ったようなもの……などなど、あげればキリがない。
その中でもこれぞというのが、えっち自体を全面的に押し出した……エロゲーのエロに比重を置いた作品。
いわゆる抜きゲーだ。
簡単にいうとムッスコがお世話になるタイプのゲームだ。
おっといま「抜きゲー」と聞いて目に痛い色のウザい鳥を思い出したそこの君。
あれは違う、そうじゃない。
タイトルにがっつり書いてあるけど実際そこまで抜けない。
それこそ用意したティッシュを涙を拭くために使ってしまったなんて有名な感想だ。
なぜいきなりこんなことを言い出したのか。
もしかして頭がイったのか――そう思っている人もいるだろう。いやいない。(間違った反語)
でも落ち着いて聞いて欲しい。
色んな意味でイっているのはこの世界なんだ。
俺の生まれ落ちた新たなる現実なんだ。
紛うことなき前世の記憶を引き継いだ二度目の人生の舞台。
そこがまさか――――ごりッッッごりの「抜きゲー」の世界だなんて。
しかも俺がその作品の主人公だなんて。
――――終わりだ。(チャンイチ並感)
◇◆◇
俺がその事実に気付いたのは六歳のとき。
女手一つで育ててくれた母親が、世界的に有名なグループ会社の社長と再婚した。
玉の輿というヤツだ。
それはいい、全然良い。
むしろ我が愛しの母君、マイエンジェルフェアリーママン、ゴッデス・オブ・ザ・ゴッデス・オブ・ザ・ゴッデスのマザーが楽になるなら言う事なし。
最高だ、金持ちバンザイ! これから毎日肉を焼こうぜ!?
――――なんて盛り上がっていた俺のテンションは、その社長パッパの連れ子である一個下の義妹を見た瞬間にマリアナ海溝よりも深く下へと叩きつけられた。
「
「オゥ」
「…………?」
わっはっは――――やべえなんか見覚えある特徴と聞き覚えのある名前。
なんだ、なんかまじゅい、とにかくヤヴァイ。
警鐘を訴える長い付き合いの魂。
震える心臓、定まらない視界、急速にあがっていく息――――
脳裏にあるひとつのイメージが蘇っていく。
あれは社会人二年目――ちょうど仕事にも余裕ができてきて久しぶりにゲームでもするかーなんて軽い気持ちで購入した前世の俺にとっての復帰作――
思い……出した!
来いよサ○ティガァッ!!(来ない)
「…………きみは」
「え……?」
「――生意気系
「は??」
「ねえ
「――――ああッ! 分かったよ母さん!(とてもいい笑顔)」
「「…………、」」
母さんは純粋だった。
でもこんな純粋な母さんだって義父さんと――って思うとなんか胃がきゅるきゅるするのであまり深く考えないでおく。
身内の情事なんてどうなろうが地獄以外の何物でもねえのだ、ヘケッ(ケツ穴ハ○太郎)
「俺は
「…………よろしく、お願いします……」
「
「いえいえ、背伸びしたくて大人びたコトしちゃうんですから。この子ったら」
ともあれ、サ○ティガは来なかったが俺はひとつのコトを思いだした。
タイトル『淫辱の教育』
ジャンルは青春快感絶頂陵辱ADV。
有名エロゲーメーカーである『
もう一度言おう。
ごりッッッッッッごりの抜きゲーである!
ごりッッッッッッッッッッッッごりの(ry
大事なことなので三回言いました。
内容は至ってシンプル。
もともとは貧乏な家で生まれ、幼い頃に裕福な家へと引き取られた主人公。
当然ながら通う学園も県内有数の進学校になるのだが、周囲との価値観の差や出身による差別によって次第に孤立していく。
だがあるとき、強い復讐の感情に襲われたとき、どういった経緯か彼は特殊能力を獲得する。
それこそが触れた人間の感度を操作する能力だったのだ。
主人公はこの能力を己の欲望を満たすため、憎き相手への復讐のために使っていき――
という感じだ。
ちなみにその主人公のデフォルトネームが藤井正一郎――俺である。
もう一度言おう、俺である。
俺、なのである。
――――――終わりだ。(チャンイチ並感)(二度目)(天丼)(アニメBLEACH千年血戦篇大好評配信中!)
みなさん! エロゲーの世界に転生です!
クラスメートの女子たちの貞操は(俺によって)大ピンチ!
しかも、原作知識によってこの先なにがどうなるかが分かるではありませんか!
果たして、正一郎くんの運命やいかに!?
淫辱の教育最終回!
『正一郎くん大射精! 恥辱の未来へレディー・ゴーッ!!』
――――ふざッッッッッッッッッッッッけんなァ!!
なにがエロゲー主人公だァ! そんなのお母様に顔向けできねえだろうがァ!!
なにが抜きゲーだァ! シンプルにやってることレ○プで犯罪なんだよォ!!
感度調節して三千倍にしてやるぜゲヘヘじゃねぇーんだよ頭対○忍か!?(全年齢向けアプリ対魔忍G
せめて同じエロゲーでも月○とかF○teとかDi○sとかシル○ァリオとか装甲悪鬼○正とか沙○の唄とか刃○散らすとかマ○ラブとか色々あるだろォ!?
……あれ、なんだろう。おかしいな、比較対象がおかしい。比較対象〝も〟おかしい。
どうしたニ○ロ? li○ht? ん? 俺のエロゲー知識間違ってる? いやいや……。
なんであれこのままだと不味い。
なにが不味いって、将来完璧に親不孝者になりそうなのが不味い。
俺はつらい、耐えられない……死んでくれ杏寿郎若く強いまま(役立たずの狛犬並感)
これでも前世知識アリおりはべりいまそかり転生者だ。
我が慈愛と勇気の女神であるお母様がどれだけ苦労したのかをこの目で見ている。
生まれてこの方ずっと、実際に目にしてきた。
ずっとずっと――――そうだ俺は、マイフェイバリットエンジェル・地上に降りた神秘の象徴たるマザーの幸せを願ってきた。
こんな俺を、こんな――子供にしては賢しく不気味で気持ち悪い俺を大切にしてくれて、愛情たっぷりに育ててくれて、屈託のない笑顔を向けてくれた母親を――――
――――泣かせるような真似なんて、できない。
誰に見下されたっていい、見くびられたっていい。
地に這いつくばって泥水を啜って、屈辱の限りを尽くされたって構わない。
でも、けれど、ただひとつ――
――今のこの俺を産んで、育ててくれた母親を悲しませるようなことだけはしたくない。
いつか俺が大きくなって、そのとき胸を張って母さんの前に立てないような生き方だけは絶対にゴメンだ。
それだけは本気で、もう一回死んだとしても許せない。
俺自身が、そんな身で歩く事を許せはしない。
だからやるよ、母さん。
俺はやる。
この世界がそんな、恥辱に塗れたエロゲー世界だとするのなら――
――やってやる。
原作通りになんてさせない。
レ○プだなんて莫迦な真似は誰にもさせない。
認識を、常識を、ルールを。
この町を、国を、世界を、環境を、時代を、星を――――宇宙の法則をも塗り潰す勢いで変えてやろう。
それが俺の覇道だ、誰にも邪魔させない。
エロゲーの世界にわざわざ転生してなにを馬鹿なコトをとか、男なら据え膳食わぬは恥だろうとか――そんなコトならば、ああ、一向に構わんとも。
存分に責めるがよかろう、恥など知らん――俺は無慙無愧である!
そんな覚悟を決めたら
いやたしかに〝強い感情〟だったけどさぁ……えぇ……(困惑)
なに、この……なに?(大困惑)
出鼻挫かれた感じがヤバい。
とりあえずこれは使わないようにしよう。
縛りだ縛り、制約と誓約だ、戒律だ。
俺、藤井正一郎は自分の能力を他人に向けて使用することを禁ずる。
それを心に強く深く刻み込むように留めておく。
こんなんなんぼアレでもアレですからね、ええ。いやほんとエロ能力に使い道とかない。
(――――ちなみに自分に使ったらどうなんのかな?)
ほんの好奇心である。
決して迸る熱いパトスがどうとか禁じられた行為がどうとか自分を慰めるのがどうとかではない。断じてない。母さまにオ○ニーなんて見られた日には死んじゃう(白目)
なんであれ物は試しというもので。
「――――――――……おぉ」
できた。
できちゃった。
いや……うん、それだけだけどね、これ。
本当感度調整するだけ。
敏感になったり鈍感になったり。
風がくすぐったかったり、針で突いてもなんも感じなかったりとかそんぐらいだ。
――あぁ、でもこれ〝調整〟だから度合いは変えられるんだな。
ちょっと思いっきり引き上げてみよう!
「お、お、ぉ――――」
『お義母さん、お義兄ちゃんがどこに――』
『正一郎ならいま部屋で――――』
『はい、はい、すいませんあと少しなので――――』
『間に合いませんよ先生ぃ、一体どうするおつもりですか――』
『流くん、ごはんできた――』
『今日は暑いですのう、笹川さ――』
『なあなあジュースでも買――』
『現在の気温は『あら卵が特売じゃな『猫さんだー『おまえなにしてんだよおい! 聞いて『きもちわる『なにあれ変なの『ティッシュいかがで『はいはい! 奥さん! 安いよ安『次は××駅前ー次は『うわああん! ままあああ『にゃーん『おい遭難しちまったじゃねえか!『どこですかー!?『ちくわ大明神『みんな盛り上がってるー? いぇー『いいケツしてんじゃねえかよおまえよお『やりますねえ『アイスティーしかないけど――――
「おぶッ」
いきなり視界がシャットアウトした。
なんだろう、ぐらぐらする。
平衡感覚がまるでない。
手足の動きが覚束ない。
耳鳴りなんて酷すぎて、鼓膜が石にでもなったみたいだ。
とにかく熱い、痛い、わけが分からない、息が出来ない、立てない、動けない。
「お義兄ちゃん、一緒に――――」
「ぁ、ぅ……ぉ……」
「――――お義兄ちゃんっ!?」
「ぇ……ぁ……あぁ……?」
なんだ? 誰?
目がよく見えないな、こすってもだめだ。
声もあんまり聞こえない。
……近くにいるのは恥ずかしがり屋さんだろうか。
別に照れなくても良いのに、大きい声で挨拶をすることは怖くない。
堂々と立って面と向かって背筋を伸ばしていれば自然と声はでるものだ。
では見本として俺が。
――う~ん、できないねェ~(黄猿並感)
「な、ぁ、え、ぉ――おか、お義母さーーーん!!」
「ぁ…………?」
あ、ちょっと聞こえた。
近くにいたのは
一体何の用だろう。
お兄ちゃん原作ブレイクのためならなんでもやっちゃうぞ。
そのためにもデロデロに甘やかすし立派なお兄ちゃんでいられるよう文武両道で頑張るぞ、うん。
だからほら、もっと仲良くして――――
「お、お義兄ちゃんっ、が、ち、血! 目とか、耳とか、口とか! 血、血、出してっ」
「――――正一郎!?」
あかん、めっちゃ切羽詰まったママンの声が聞こえる。
しかし眠気が凄い、子守唄じゃんこんなん。
ダメっぽいわこれ、落ち――――
◇◆◇
その後、どうにか意識を取り戻した俺は両親にぶち怒られ義妹に超泣かれた。
申し訳ございません猛省しております(血涙)
まあ実際あのときの俺は血涙ダラダラの吐血ダラダラの全身の穴という穴から出血ダラダラという見た人間にとってトラウマもんの衝撃グロテスクR18-Gだったっぽいですが。
――――ヤバいねエロゲ能力!! 自重大事!!
~つづかない~
>>淫辱の教育
作中で紹介された通りごりっごりの抜きゲー。ヒロインは妹含め五人。主人公が感度操作の能力で嫌がる相手にあんあんらめえして快楽堕ちさせていく陵辱ADV。販売メーカーは『ROOK』 ※この作品はフィクションです。現実の某司教っぽいメーカーとは一切関係ありません。
>>主人公
一般転性者。死んで目覚めたら上記エロゲの主人公だった。めちゃめちゃ大事に育ててくれた母親に恩を感じており、そのために原作のような悪漢にはならないようにしようと決意する。才能はない。努力は死ぬほどするタイプ。ちなみに前世の死因は過労死。
>>感度操作能力
エロゲー主人公に与えられた特殊能力。どんな相手でも喘がせる超絶異能――として原作では大活躍だった。あひんあひんらめえ。主人公は対人で使う気がないので基本的に自分へかけて感覚爆上げ→KO!をくらった。
後に能力を鍛え上げ全身の感覚を数千倍にまで引き上げる『偽・天馬の型』と痛覚だけを完璧に遮断する『偽・巨神の型』を会得する。
要するにボウガンがない生身のペガサスフォームと鎧もソードもない生身のタイタンフォームごっこができるよ。やったね! No Fear No Pain!!
なお淫辱の教育は全三作品のシリーズモノとする。
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