仮面ライダーアギト〜ヒナギクはギルス〜 (桂ヒナギク)
しおりを挟む

第01話:変身

 練馬区の閑静(かんせい)な住宅街に建つ集合住宅ムラサキノヤカタ。

 そのキッチンで、童顔で水色短髪の執事、綾崎(あやさき) ハヤテは昼食の準備をしていた。

「ハヤテくん」

 と、そこへやって来る金の髪留めを着けた端正な顔立ちをした桃色長髪の(かつら) ヒナギク。

「今、昼食作ってるところなので、少し待ってて下さい」

「それより、歩知らない?」

「西沢さんですか? 今日は見てないですね。携帯にでもかけてみたらどうですか?」

「それが、いくらかけても出ないのよ。私、捜してくるわ」

 ヒナギクはそう言って、ムラサキノヤカタを出て心当たりを捜すが、しかし、どこを捜しても見付からない。

 負犬公園にやってきた。

 一本の木に何かが埋まってるのが見える。

 ヒナギクは近付いて確認した。

「なっ……!」

 その木から人の下半身が飛び出していた。上半身は埋まっている。

 ヒナギクは警察を呼んだ。

 警察がやってきて捜査が始まる。

 被害者は西沢 一樹(にしざわ かずき)だった。

「一樹くんじゃない」

「知ってるんですか?」

「はい。親友の弟です」

「そうですか。その親友の名前は?」

「歩です、西沢 歩(にしざわ あゆむ)

「連絡は取れますか?」

「それが、いくら電話しても出なくて、それで捜してたんです。まさか、歩が一樹くんを殺して逃亡?」

「それはないと思いますよ」

「どうしてですか?」

「この木に死体を埋めるなんて芸当、人間には真似出来ません。最近、世間を賑わせてる不可能犯罪だと思います。アンノウンの仕業か……」

「アンノウン?」

「いえ、何でもないです」

引き上げるぞ──と、遺体を運んで去って行く警察。

(一体、誰が一樹くんを?)

 ヒナギクは一樹の埋まっていた木を見上げる。

 その様子を見つめるタイガーに似た容姿の人型をした怪物タイガーロード。

「人は人のままでいい」

 その声に気付いたヒナギクが振り向くが、そこには既に誰もいなかった。

 疑問符を浮かべながらも、ヒナギクはその場を立ち去る。

「ただいま」

 ムラサキノヤカタに戻り、食堂へやって来る。

「おかえりなさいませ、ヒナギクさん。西沢さんは見付かりましたか?」

「いいえ。それより、歩の弟の一樹くんが殺されたわ。どうやら不可能犯罪らしいんだけど……」

「アンノウン?」

「その、アンノウンって何なの?」

「最近、世間を賑わしてる怪物ですよ」

「怪物……。未確認生命体(グロンギ)かしら?」

「それとは違った種族の怪物ですね」

「そう言えば、一樹くんが殺された現場で、『人は人のまま』とか言う声を聞いたわ」

「一樹くんには超能力があったんですか?」

「知らない」

 と、その時だ。

「うっ!」

 ヒナギクの頭に痛みがはしる。

「どうしたんですか?」

「ちょっと頭痛が……」

 更にヒナギクの脳裏に、歩がタイガーロードに襲われている映像が飛び込んで来る。

「歩が危ない!」

 ヒナギクは歩の下へ駆け付けた。

「はっ!」

 歩にトドメを刺そうとしたタイガーロードに飛び蹴りを浴びせるヒナギク。

「歩、大丈夫?」

「ヒナさん、ありがとう」

「邪魔をするな」

ブン!──ヒナギクは殴り飛ばされた。

「死ね」

 タイガーロードが歩の首を折ってしまう。

 ボキッと骨が折れる音がして歩は絶命した。

「歩──っ!」

 ヒナギクは怒りを(あらわ)にして、タイガーロードに突っ込んだ。

「よくも歩を!」

 だが返り討ちに遭い、吹っ飛んだ。

「うっ!」

 地面に叩き付けられるヒナギク。

(歩の仇、取りたいな……)

 彼女がそう思った刹那、意識が精神世界へ(いざな)われた。

「ここは……?」

 ヒナギクの前に、白いズボンと服を身にまとったセミロングの男が現れる。

「貴方は?」

「私はお前自身。お前に力を授けよう」

 男はヒナギクに重なるように、その中へと入り込んだ。

 現実に引き戻されたヒナギクが立ち上がり、緑色の異形へと変わる。

 仮面ライダーギルス、見参。

「アギトか? いや、違う……アギトのなり損ない。ギルスだな?」

 ギルスは無言でタイガーロードに怒濤の攻撃を浴びせる。

 タイガーロードは圧倒され、ギルスヒールクロウを受けて爆発した。

 ギルスはヒナギクの姿に戻る。

「あれ? 私、何を……?」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第02話:力

 帰宅するヒナギク。

「おかえりなさい、ヒナギクさん」

 そう言うのは、メイドのマリアだ。

「悲しそうな表情ですね。何か遭ったんですか?」

「歩が怪物に殺されたんです……」

「あらま! それで、その怪物は?」

「我に返ったときは既に……」

「そうですか。嫌なこと思い出させてしまったようで、すみませんでした」

「気にしてないんでいいですよ」

 ヒナギクは自分の部屋へと向かう。

 扉を開け、中に入る。

 歩の声を聞くことも、顔も見ることも出来なったヒナギクは、目から涙を溢れさせる。

「歩……」

 その時、半透明の歩が現れる。

「ヒナさん、そんなに落ち込まないでほしいかな」

「え?」

 ヒナギクは半透明の歩を見た。

「きゃああああ!」

 驚いて悲鳴を上げる。

「どうしたんですか!?」

 ハヤテが駆け付けた。

「に、西沢さん、その姿は?」

「私、死んじゃったみたい」

「ええ!?」

「私の前でね」

「そうなんですか」

「でもどうして二人には私が見えるのかな?」

「霊能力が開花したんじゃないんですか?」

「ハヤテくんにはあるかもしれないけど、私にそんな力があるわけないわ」

「でも、西沢さんが危ないとか言って、駆け付けたんじゃないんですか?」

「映像が入ってきたのよ」

「それ予知能力ですよ、絶対!」

「そうかしら」

「それじゃ、私そろそろ行くね」

 歩はそう言って消えた。

「ところで、ヒナギクさん。お昼は食べないんですか? もう冷めちゃいましたよ」

「チンして食べるわ」

 ヒナギクは食堂へ移動して、料理を温めて食べた。

 

 

 ヒナギクは負犬公園でジョギングをしていた。

「はあ……はあ……ちょっと休憩」

 走り疲れたヒナギクは自販機の前にやってきた。

 そこへアンノウンが現れる。

「人は人のままでいい」

「……!?」

 ヒナギクは振り返った。

 アンノウンがヒナギクに襲い掛かる。

「死ね、ギルス」

「ギルス? 私はヒナギクよ。誰かと勘違いしてんじゃない!?」

 ヒナギクは攻撃をかわしてカウンターを浴びせる。

「ぐっ!」

 蹌踉めくアンノウン。

 アンノウンの頭上に光の輪が出現し、ロッドが出て来る。

 ヒナギクは木刀・正宗を手に掴む。

「はっ!」

 ヒナギクは正宗でアンノウンのロッドを真っ二つにした。

「ツッ」

 アンノウンは折れたロッドを投げ捨て、素手で攻撃を浴びせる。

 ヒナギクは放たれる攻撃を受け止め、隙を突いて反撃する。

 だが、アンノウンは大してダメージを受けなかった。

(強い……!)

「力を与えよう」

 その声がヒナギクの頭に聞こえてくると同時に、その姿がギルスへと変わる。

 ギルスは踵の爪が伸びたのを確認すると、アンノウンにギルスヒールクロウを浴びせる。

「ぐわああああ!」

 爆裂霧散するアンノウン。

 ギルスはヒナギクの姿に戻る。

「あら? 私ったら、今何を……?」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第03話:暴走する力

 帰宅するヒナギク。

「お帰りなさいませ、ヒナギクさん」

 と、ハヤテ。

「あ、そうだ! さっきヒナギクさん宛にバイクが届いたんですよ」

「バイク? ああ、注文しておいたXR250ね」

「ヒナギクさん、いつ免許取ったんですか?」

「半月前。合宿でね」

「そうなんですか」

「それより、最近変なのよ」

「何が変なんですか?」

「アンノウンを見ると記憶が飛ぶの」

「それは確かに変ですね。今度アンノウンに遭遇してみましょう」

「ねえ、それ本気で言ってる?」

「本気ですよ」

「貴方は私に死ねと言いたいのね?」

 徐に正宗を掴むヒナギク。

「え? ちょっ、タンマ!」

 ヒナギクは正宗でハヤテを調教……ではなく、叩き付けた。

 その様子を死角から見つめる謎の影。

「人は人のままでいい」

 その影、アンノウンがヒナギクたちの前に姿を見せた。

「ギルス! 今日でお前も年貢の納め時!」

 振り返る二人。

「アンノウン!?」

ブン!──殴り飛ばされるヒナギク。

「ヒナギクさん!」

 ハヤテはアンノウンに拳を一発ぶち込んだが、しかし、大してダメージは受けていなかった。

「邪魔をするならお前も殺す」

 アンノウンはそう言ってハヤテの首を掴んでその体を持ち上げた。

「ぐっ……!」

「ワウ!」

 奇声と共にギルスがアンノウンに攻撃を仕掛ける。

 ハヤテを手放し、吹っ飛んでいくアンノウン。

 ハヤテはその姿を見て疑問符を浮かべる。

「貴方は?」

 だがギルスは無言のまま、アンノウンに襲い掛かる。

「ウワアアアア!」

 ギルスは奇声を発しながらアンノウンにギルスヒールクロウを浴びせ粉砕した。

「グルルルル……!」

 喉を鳴らしながら、ハヤテの方を見るギルス。

「……!?」

 ギルスがハヤテに襲い掛かった。

「ワウ!」

 ギルスの攻撃がハヤテに炸裂する。

「うっ!」

 蹌踉(よろ)めくハヤテ。

「ハア!」

 ギルスの重い蹴りがハヤテを吹っ飛ばす。

(強い……!)

 ハヤテは着地すると、ギルスに反撃をする。

「ふっ!……はっ!」

 しかし、ギルスは大してダメージを受けない。

「貴方、何なんですか!?」

「ワタシハ、ギルス……」

 その口から発せられたのは、ヒナギクの声だった。

「ヒナギクさん?」

「ウッ!」

 ギルスは頭を抱え、ヒナギクの姿になると、意識を失って倒れた。

 ハヤテはヒナギクを部屋まで運び、介抱した。

「う……うん……?」

「気が付きましたか」

「ハヤテくん。アンノウンは?」

「何も覚えてないんですか?」

「え?」

「ヒナギクさん、緑色の異形に姿を変えてアンノウンを倒したんですよ。おまけに側にいた僕にまで」

「異形?」

 心当たりがあった。

 ヒナギクの脳裏にあの声が(よぎ)る。

「なるほど。アンノウンに対抗する力を手に入れて暴走してたのね」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第04話:襲われる姉

 XR250で銀杏商店街の喫茶どんぐりにやって来るヒナギク。

 開店準備をしていたマスターの加賀 北斗(かが ほくと)がヒナギクに気付く。

「あら、バイク買ったの?」

「うん、移動に便利だから、免許取って買ったの」

「来たところ悪いんだけど、オリーブオイル買ってきてくれないかしら?」

「分かったわ」

 ヒナギクはバイクで食品店へ向かう。

 背後からバイクが接近し、横に着ける。

「姉ちゃん可愛いね。俺と付き合わない?」

「間に合ってますから」

「どこへ行くの?」

「オリーブオイル買いに行くんです。ついて来ないで下さい」

「そんな連れんこと言うなって」

 食品店に着く。

 バイクから降りる二人。

 店に入った。

 ヒナギクは食材コーナーに向かい、男がそれを尾行(つけ)る。

「ついて来ないで」

 ヒナギクはオリーブオイルを取り、レジでお金を払う。

 袋に入れてもらったオリーブオイルとレシートを受け取り店を出る。

「自己紹介がまだだったね。俺、坂本 正人(さかもと まさと)。君は?」

「しつこいわね」

 タンクバッグにオリーブオイルをしまい、エンジンをかけて喫茶どんぐりを目指す。

「ねえ、待ってよ!」

 男がバイクを横につける。

 ヒナギクの脳裏に実の姉、雪路(ゆきじ)がアンノウンに襲われてる映像が過る。

「お姉ちゃん!」

 ヒナギクは方向転換し、現場へと向かう。

「どこ行くの!?」

 現場に辿り着くと、ヒナギクはそのままアンノウンに突進した。

「ば、化け物!?」

 正人は急ブレーキをかけて止まった。

「何者だ?」

 アンノウンがヒナギクに向けて訊く。

「ひ、ヒナ、逃げて!」

「変身!」

 ヒナギクはギルスに変身した。

 ギルスの触手がアンノウンを巻き付ける。

「お姉ちゃん、逃げて!」

「う、うん!」

 逃げて行く雪路。

 アンノウンは巻き付けられた触手を振りほどき、頭上に現れた光の輪から剣を取り出してギルスに襲い掛かる。

 ギルスも飛来した正宗を掴み、振り下ろされた剣を正宗で受け止めた。

「はあ!」

 敵の剣を正宗で吹っ飛ばすギルス。

「ふ!」

 ギルスは正宗でアンノウンの胴を斬りつけた。

「ぐっ!」

 怯むアンノウン。

「はあ!」

 ギルスはアンノウンの首を吹っ飛ばした。

 爆裂霧散するアンノウン。

 ギルスはヒナギクの姿に戻り、男の方を見た。

 男は驚き戸惑っている。

「あ、あんたも化け物だったのか」

ひええええ!──と、バイクにも目も触れず逃げて行く男。

 ヒナギクはXR250に跨がり、どんぐりへ戻った。

 扉を開けて中に入る。

「マスター、油買ってきたわよ」

「ああ、ありがとう」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第05話:姉の危機

 バイトを終え、XR250で帰宅するヒナギク。

「ただいま」

「お帰りなさい、ヒナギクさん」

 出迎えるハヤテ。

「晩ご飯は?」

「カレーです。食堂に準備してあります」

「そう。ありがとう」

 ヒナギクは食堂に入った。

 美味しそうなカレーライスがテーブルに置かれている。

 ヒナギクは席に着いてカレーを食べた。

「お口に合いますか?」

「うん」

 その時、ヒナギクの脳裏に姉の雪路(ゆきじ)と、その彼女を襲おうとしているアンノウンの姿が(よぎ)った。

「ごめん、出かけて来る」

 ヒナギクは血相を変えてアパートを飛び出し、XR250で現地へ向かう。

「うぃー、ひっく」

 酔っぱらった雪路が、アンノウンと対峙している。

「お姉ちゃん!」

「ヒナー。何か、変な着ぐるみ着たやつが襲って来るのー」

「変身!」

 ヒナギクはギルスに変身すると、アンノウンを攻撃した。

「ヒナ、あんたも着ぐるみ着たのー?」

(ダメだこいつ)

 そう思いつつ、アンノウンと交戦するギルス。

 ギルスは圧倒的な力でアンノウンを追い詰めて行く。

「これでおしまいよ!」

 ギルスはアンノウンにヒールクロウを浴びせた。

 アンノウンが爆裂霧散すると、ギルスはヒナギクの姿に戻った。

「お姉ちゃんも超能力が?」

「私は霊能力者よー」

「そうなんだ」

取り敢えず──と、続けるヒナギク。「家まで送るから乗って」

 ヒナギクは雪路をバイクの後部に乗せ、実家へと向かった。

 家に着いた頃には、雪路の酔いも覚めていた。

「ヒナ、あんたバイク持ってたっけ?」

「買ったのよ」

「免許は?」

「取ったわ」

「そうなんだ」

「それより、霊能力がどうとか言ってたけど?」

「何の話? それじゃ、明日早いから」

 雪路はそう言って家に入っていった。

 ヒナギクはアパートへ戻った。

「ただいま」

「お帰りなさい。カレー冷めちゃいましたよ」

「うん」

 ヒナギクは食堂に入ると、カレーを電子レンジで温めて食べた。

「さてと」

 ヒナギクは食堂を出て自室へ移動すると、お風呂用具を準備して浴場へ向かう。

 脱衣所で服を脱ぎ、浴室に入るとシャワーを出して頭を濡らし、シャンプーで頭を洗うとシャワーで泡を流し、体を石けんを付けた手ぬぐいでこすり、石けんを落とした。そして、湯船へ浸かった。

 それから少しすると、ヒナギクは浴室から出て体を拭き、パジャマを着て自室へ戻った。

 コンコン、と扉がノックされる。

「はーい」

 ヒナギクは部屋の扉を開けた。

 ハヤテが立っていた。

「何?」

「一緒に寝ていいですか?」

「ダメ」

 ヒナギクは扉を閉めると、電気を消してベッドへダイブした。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第06話:マリアSOS

 白皇学院からの帰り道。ヒナギクはバイクを駆っていた。

 その途中、ヒナギクはアンノウンが男性を襲っている現場を目撃した。

 ヒナギクは男性とアンノウンの間に入り込んでバイクを止めた。

「弱いものいじめはよくないんじゃない?」

 バイクから降りるヒナギク。

「邪魔をするな」

 アンノウンはヒナギクに攻撃を仕掛けるが、軽く受け流された。

「逃げて下さい」

 男性は脱兎のごとく逃げ出した。

「変身」

 ヒナギクはギルスに姿を変えた。

「ギルスだったか」

 アンノウンは剣を手にギルスへ攻撃を仕掛ける。

 ギルスは剣撃をかわし、ギルスフィーラーを伸ばしてアンノウンをひっぱたいた。

「ぐっ!」

 怯むアンノウン。

「ウワアアアア!」

 ギルスは口を開いて叫び、飛び上がってヒールクロウをアンノウンに叩き込んだ。

 爆裂霧散するアンノウン。

 ギルスはヒナギクの姿に戻る。

 その様子を離れたところで見ている黒い服を着た長髪の男。

「ギルスめ……」

 ヒナギクはバイクに跨がり、家路に就いた。

「ただいま」

 と、扉を開けてアパートの中へ入る。

「お帰りなさいませ、ヒナギクさん」

「晩御飯は?」

「準備できてますよ」

 ヒナギクは食堂に入る。

 テーブルにはハンバーグがあった。

「いただきます」

 ヒナギクは食事にありつく。

「あのー、ヒナギクさん」

「何、ハヤテくん?」

「さっき警察の方が来て、ヒナギクさんにG3の装着員になっていただきたいそうです」

「G3?」

「何でも、対怪物用バトルスーツだそうです」

「間に合ってるわ」

「ですよねー。ではお断りしておきますね」

 食堂を出ていくハヤテ。

「ごちそうさま」

 食事を終えたヒナギクは食器を片付けて自分の部屋に移動した。

 ヒナギクは椅子に腰を掛ける。

 すると、(ふところ)の携帯が鳴った。

「もしもし?」

 応答するヒナギク。

「ヒナギクさん、助けて下さい。怪物が……!」

ぶつっ!──切れる電話。

 ヒナギクの脳裏にアンノウンに襲われているメイドのマリアの姿が浮かんだ。

 ヒナギクはアパートを飛び出してバイクを駆った。

「人は人のままでいい」

 マリアに攻撃を仕掛けようとするアンノウンにバイクが激突した。

 吹っ飛ぶアンノウン。

 バイクを降りるヒナギク。

「マリアさん、怪我は?」

「大丈夫ですわ。それはそうと、あの怪物には武術が全く効きません」

「あれはそう言う怪物なんです」

「人は人のままでいい」

 ヒナギクはアンノウンを睨む。

「マリアさん、逃げて下さい」

「ヒナギクさんは?」

「私なら大丈夫ですよ」

変身!──ギルスに姿を変え、ギルスフィーラーでアンノウンを拘束した。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。