真剣で私に恋しなさい!~僕の川神奮闘期~ (スタ)
しおりを挟む

真剣で川神学園に転入してきなさい

懐かしいよね…


ー島津寮ー

 

「ヤドン、カリン、おはよう」

 

"直江大和"はいつものようにヤドカリの世話をしている

 

 

「おっと、そろそろ朝飯だな」

 

部屋を出る大和

ちなみにここは神奈川県川神市にある川神学園島津寮である

 

 

「あら大和ちゃん、おはよう」

 

 

「おはようございます麗子さん、今日も名前どおり麗しく…」

 

 

「いい子だ、卵一つ追加してあげよう。」

 

 

「ありがとうございます!」

 

"島津麗子"

 

ここ島津寮の管理人さんであり、月~金までの朝食と夕飯を作ってくれている。といっても生徒の自主性を配慮し、土曜日と日曜日は自炊なのだが

 

 

「おう大和、おはよう!」

 

キッチンの戸を開けたら出てきたこの男は "風間翔一"

 

大和の親友で風間ファミリーのリーダー、通称キャップ、ヒーローのような存在で皆から慕われている

 

 

「おはよう大和、今日も一日頑張るぞ!」

 

 

"クリスティアーネ=フリードリヒ"、ドイツ・リューベックから川神学園に転入してきた騎士娘

 

 

「おはよう大和、結婚して」

 

 

゙椎名京゙

昔いじめられているところを大和に助けられ、それ以降大和に惚れこんでいる

 

 

「お、おはようございます大和さん」

 

゙黛由紀江"

 

剣聖黛11段の娘、武道四天王の一人、通称まゆっち

 

 

「(おはよーヤマト、今日もいい朝だぜ~)」

 

"松風゙まゆっちの携帯ストラップ、しゃべる(?)馬

 

 

「おはよう、皆の衆、そして友達で」

 

 

大和は挨拶を返す

 

 

「おうお前ら起きてたのか」

 

 

「おはようゲンさん!」

 

 

「朝からうるせーなお前は…おはよう…」

 

 

「ゲンさんが俺に挨拶を返してくれた…!」

 

 

「勘違いすんな?挨拶しないとお前がいつまでもうざそうだから返してやっただけだ」

 

 

「や、優しい…。」

 

 

゙源忠勝゙

通称ゲンさん、典型的なツンデレでとっても優しい不良さん、皆から慕われている

 

「ご飯出来てるからさっさと食べな」

 

 

「「いただきます」」

 

 

とまあ寮のみんなの説明はここまでにして朝食を食べ終え俺たちは家を出た

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

ー多馬川ー

 

「しっかし、良い天気だな、学校行かないで寝るか」

 

 

「こらキャップ!勉学を怠ってはいけないぞ!」

 

 

「自由な俺を縛ることなんて誰にもできん!」

 

 

「…しょーもない。」

 

 

いつものように下らない話をしながら川神学園までの通学路を歩いていると

 

 

「おはようみんな」

 

 

「ああ、おはようモロ」

 

こいつは "師岡卓也"

風間ファミリー唯一のツッコミ役、機械に詳しい、趣味は二次元、恥ずかしがり屋

 

 

「おはようお前達、そして今日も俺様ナイスガイ!」

 

 

モロと一緒にいるこいつは

"島津岳人゙風間ファミリー一の力自慢、お調子者だが面倒見が良い、後輩の由紀江からは恋愛感情ではないがとても慕われている

 

「何の話ししてたのみんなして?」

 

 

「実はキャップが(ry」

 

 

「あはは、あいかわらずキャップらしいや」

 

 

「まあな」

 

 

ズドドドドドドドド!

 

 

「ん?この音は」

 

 

「みんなー!おっはよー!」

 

 

「おおワン子、今日も鍛錬か、えらいぞ~」

 

 

「そう?私えらい?へへへ」

 

 

今タイヤを引いて全力ダッシュでこちらへ向かってきた彼女は "川神一子"

通称ワン子、努力家であり武器は薙刀、元気な女の子で彼女もまた武士娘の一人

 

そして一子の後からもう一人

 

 

「よう、愛しい仲間達」

 

 

「おはよう姉さん、今日は珍しくまだ戦ってないんだね」

 

 

「最近勝負する相手がぜんぜんいなくてな…戦いたくてウズウズしている」

 

 

この人は"川神百代"

川神学園の学園長、川神鉄心の孫であり一子の姉、もちろん一子も学園長の可愛い孫である、武神の異名を持つ最強の武士娘だ

 

 

「ちょうど良い、みんなキャップの説得に手伝ってよ実は…(ry」

 

 

「あー確かに良い天気だもんなぁ…私もサボろうかな…」

 

 

「いやダメでしょ」

 

 

「遅刻はダメだぞキャップ!早く起きろ」

 

 

「ほっとけほっとけ、いつものことだ」

 

 

「…しょーもない」

 

これが俺たちの変わらない日常

 

さて

 

以上9人で俺たち風間ファミリー全員の紹介を終えるとしよう

 

 

 




リメイクしないかな…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真剣で川神学園に転入してきなさい2

「おいテメェ!!人にぶつかっといて詫びの一つも無しか!?」

 

 

「ん?」

 

 

折角全員の紹介を終えて本編を爽やかに進行しようと思っていた所に突然河川敷の方から怒声が聞こえてきたと思ったら同じ制服を着ているが見慣れない生徒が複数の柄の悪そうな男達に囲まれていた

 

 

「なんだ?喧嘩か?」

 

 

「あいつらこの間姉さんにやられてた奴だ」

 

 

「あいつら性懲りもなくまた来たのか」

 

 

やれやれと言った表情で姉さんは静観している、いや助けてあげなよ…

 

 

「すいません!急いでいたのもので…それじゃあ!」

 

 

「待て」

 

 

「ま、まだ何か…」

 

 

「あんまり大人を舐めんなよガキ…謝ったらはいそうですかで済む話じゃないんだよ、ほら、財布だしな」

 

 

「い、今待ち合わせが…ちょっと」

 

 

「そっかそっか、なら仕方ない、ちょっとばかり痛い目に遭ってもらうけど反論あるやついる?いねえよな!!よしやれ!」

 

 

「よし、そろそろ助けてやるか」

 

 

そう言って姉さんが動き出そうとしたのだが

 

 

「え…」

 

 

「あれ」

 

 

よくわからないが次の瞬間にはもう屈強な男達は倒れていて決着がついたようだ

 

 

「」

 

 

「なんてゆうか…呆気なかったね、姉さん」

 

 

「ぐぬぬ…」

 

 

なぜか悔しそうな姉さん、たぶん喧嘩相手を横取りされた気にでもなっているのだろう…

 

 

「あいつなかなかやるな」

 

 

とクリス

 

 

「そうか?あいつらが弱かっただけだろ?」

 

 

と岳人

 

 

「そうかな?」

 

 

とワン子

 

 

「この事は学校には内緒でお願いします!それじゃ本当に今度こそ失礼します」

 

 

そう言って見慣れぬ生徒は走り去っていった

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

ー川神学院2ーF教室ー

 

 

 

「おはよー」

 

大和は教室に入って元気に挨拶をする

 

 

「おはようございますー」

 

 

「おはようナオっち」

 

 

「直江くんおはよう。おまんじゅう食べる?」

 

 

「モロ、お前昨日のラブヒメ見たか?」

 

 

などと皆がそれぞれの会話を楽しんでいた

 

 

「(それにしても今朝の生徒…ウチの制服着てたけど知らない顔だったな…)」

 

大和は席に着き今朝の生徒のことを考えていた

 

 

チャイムが鳴り皆が席に着いたところで勢い良く教室のドアが開かれた

 

 

「はぁ…はぁ…ぎりぎりセーフ…」

 

 

「アウトだ!この俗物が!」

 

 

「いっ!?先生!?」

 

 

すぐ後ろに担任の小島先生が立っていた

 

小島先生の鞭で粛正される福本育朗こと通称ヨンパチ

 

 

「痛いか福本!痛いのか!?」

 

 

「い、痛いです、痛いっ…痛いっハァハァ」

 

 

「俗物にならんために、この痛み…その身に刻め!」

 

 

教室中に鞭の音が響き続けた

 

 

「よし、今日はこれぐらいで許してやる、席に着け」

 

 

「はい…フゥフゥ」

 

 

ほーーーーーーんとこの学校って個性的な人が多いな…

 

ここが俺たちの川神学園、詳しい話は作者が設定を思い出したらまた改めてせつめいするとしよう

 

 

「さて、さっそくだがお前たち、今日は編入生を紹介する。入ってこい」

 

 

「こんな時期に珍しいな」

 

 

教室内がざわついているのを先生が一喝し静まり返ったドアの向こうから現れた生徒は俺たちのよく知っているけどよく知らないあいつだった

 

 

「編入生の五条司だ、以後仲良くするように」

 

 

「どうも、よろしくお願いします」

 

 

「五条の席は…直江の隣が空いているな、席につけ」

 

 

「よろしくお願いします、直江…さん?」

 

 

「大和でいいよ、こちらこそよろしく」

 

 

「ではHRは以上だ、今日も気を引き締めていくように」

 

 

 

この出会いがまた違う分岐ルートになる事を俺たちはまだ知る由もなかった

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人脈は力なり

 

➖放課後➖

 

 

誰にでも平等にやってくる至福の時間、放課後

だが今はそれよりも人脈構成が最優先だ

人脈は大事だと親父が言っていたし俺もそう思う。そう、俺は俺の夢を叶えるために

 

 

「というわけで改めて自己紹介、俺は直江大和、みんなからは軍師って呼ばれてる、朝も言ったけど大和でいいよ」

 

 

「じゃあ俺も司でいいよ」

 

 

「じゃあ司、改めて校舎を案内しよう」

 

 

「あ、はい」

 

 

そう言って差し伸べる手に五条くんも応じて握手をしていると

 

 

「なんだ大和、もう知り合いになったのか?」

 

 

「キャップか」

 

 

「じゃあ俺も、俺は風間翔一、自由が大好きな男だ、みんなからはキャップって呼ばれてる、よろしくな!」

 

 

「僕は師岡卓也、みんなからはモロってよばれてる、よろしくね五条君」

 

 

「俺様は島津岳人、学園一のナイスガイだ」

 

 

「最後のは気にしないでくれ、勘違いしてるだけだから」

 

 

「おいこら大和てめえ!まあいい、よろしくな転入生」

 

 

「ちなみにあっちにいるのは源忠勝、俺とキャップはゲンさんって呼んでる、すごく良い人だよ」

 

 

「俺を巻き込むな直江、ちっ源忠勝だよろしくな」

 

 

「ね?」

 

 

「ツンデレさんだ」

 

 

「次言ったら殺す」

 

 

「」

 

 

ぞろぞろ集まってきたこいつらと五条くんは握手を交わしつつ次にこちらに向かってくる女子生徒が二人

 

 

「やってるねー、それじゃあ私も、川神一子、努力大好き!よろしくね」

 

 

「自分はクリスティアーネ=フリードリヒだ、ドイツのリュウベックから留学してきた、クリスで良い」

 

 

「よろしく」

 

 

 

 

「俺達は小さい頃からこいつらとつるんでる。っていってもクリスともう一人後輩がいるんだけどその二人は最近つるむようになったんだけどな、何かあったらいつでも言ってくれ」

 

 

「ありがとう大和」

 

 

「あとちなみにあっちでずっと読書してるのは椎名京だ、あいつも俺達の仲間ね、おい京、お前も転入生に挨拶しろよ」

 

 

「大和がそうゆうなら…」

 

 

「椎名京…まぁよろしく」

 

 

椎名京はそれだけ言うとすぐまた読書に戻った

 

 

「もしかして嫌われてる?泣いていい?」

 

 

「悪いな、あいつ昔色々あって俺達以外とはあんま話さないんだ、でも根はすげー良い奴だから気を悪くしないでくれ」

 

 

とキャップがフォロー入れる

 

 

「それにしてもお前なかなかやるな、今朝の見たぞ」

 

とクリス

 

今朝のというのは前回の話を見てくれればわかるので割愛しようと思う

 

 

「五条くんって武道の心得とかあるの?」

 

 

とワン子

 

 

「うーーーん、多分?」

 

 

少し考えてから五条くんはなぜか疑問系で軽く頷いた

 

 

「なら今度勝負しようよ!」

 

 

「勝負?」

 

説明しよう、この川神学園には決闘で問題を解決するいう世にも奇妙で狂った儀式と言う名の校則がある、その為この学校の生徒は予め決闘用のワッペンを渡される、決闘の意思を伝え相手がそれを了承したら決闘開始の合図だ

 

 

「なにそれこわい」

 

 

「自分もお前とは闘ってみたいぞ」

 

 

 

「まあ安心して、そんな滅多に決闘する事なんてないしあったとしても生徒同士が喧嘩した時の為のルールだと思ってくれればいいから……多分…」

 

 

「ねえいま多分って言った?自信ないの?不穏なんだけど」

 

 

「まあそんな事よりそろそろ校舎を案内するよ、行こうか」

 

 

うまく丸め込めたとは思っていないがとりあえずキャップ達を後にして俺たちは教室をでた

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

個性的な人たち

というわけで淡々と案内していくよ

 

 

「まずは屋上ね、風が気持ち良いだろ?俺のオススメスポット」

 

 

「学生といえば屋上だよな」

 

 

「んでここはC棟、一年生の教室がある」

 

 

「あれ?大和さん」

 

 

「やぁまゆっち」

 

 

「オラもいるぜ~」

 

 

「と松風」

 

 

「この子がさっき言ってた最近ツルむようになった後輩だ」

 

 

「あっ…今朝の…」

 

 

「まゆっち、紹介するよ、彼は五条司、今日編入してきたんだって」

 

 

「そ、そうでしたか…わわ、私は黛由紀江です。先輩だったんですね…よ、よろしくお願いします」

 

 

「怒ってる?泣いていい?」

 

 

笑顔で挨拶したつもりなのだろうが顔が怖い

 

 

「何回泣く気だよ司、この子は言動に顔がついて来れてないだけで全然怒ってないから。まあちょっと変わった子だけどすごく良い子だよ。料理もうまいし」

 

 

「そ、そっか…良かった…よろしく黛さん。」

 

 

「こここここちらこそ!不束ですが何卒よろしくお願いえたしましゅ」

 

 

テンパリやすい子だなおい

 

 

「あ、それとこの子の呼び方はまゆっちで良いよ。俺が許可する」

 

 

「お前はこの子のなんなんだよ…それじゃあまゆっちって呼んでもいいかな?黛さん」

 

 

「どっどどどどどうしましょう松風!?あだ名で呼んでもらいました!」

 

 

「(やったぜまゆっちー、そのまま友達になっちまえよー)」

 

 

「え、何いまの?馬のストラップが喋ったけど」

 

 

「ああ司、これは…」

 

 

腹話術で喋ってるだけだよ。って言おうした所をまゆっちが食い気味に

 

 

「松風には九十九神が宿っていて小さい頃からの私の友達なんです!」

 

 

「と、いう事らしいんだけどまあ…察してくれ…」

 

 

「あ、あーなるほど…そういう感じの子なのね…じゃまあ…」

 

 

「よろしく松風、九十九神なんだ、凄いね」

 

 

そう言ってとりあえず目の前の九十九神なるストラップに合掌をする、いや何この光景…

 

 

「(っ!…おめえ…なかなか見所あんじゃねーか)」

 

 

「よかったですね松風!」

 

 

なんか気に入られたっぽいけど…

 

 

「あ、あの!よろしければ私ともお友達になっていただけませんか?」

 

 

「うん、よろしくまゆっち」

 

 

「あっ握手を求められてしまいました松風!」

 

 

「(友情の証だぜまゆっち、よかったな)」

 

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

 

いちいち忙しい子だな…面白い

 

 

「(オラのことも宜しくな転入生)」

 

 

「うん、よろしく」

 

 

ちょん

 

 

 

 

「(なにこれ…)」

 

 

 

「そろそろ次に行こうか、司」

 

 

「うん」

 

 

一年の教室を後にした

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

「一応ここは3年の教室…なんだけど…」

 

 

「どうかしたん?」

 

 

俺たちはC棟からA棟へ移動していた

 

 

「む?この気は…大和ー!」

 

 

「姉さん、やっぱりくると思ってたよ」

 

 

「どうした?お姉さんに会えなくて寂しかったのか?すりすりしてやろう」

 

 

「姉さん、連れのいる前でそれはどうかと」

 

 

「連れ?ああ!!お前は今朝の泥棒猫!!」

 

 

「え、何急に…泣いていい?」

 

 

「もう突っ込まないよ司。」

 

 

「あ、はい」

 

 

「それはそうと、ほら今朝お前が絡まれてた奴らいるでしょ?あいつら元々姉さんがストレス解消に相手した事がある奴らだったんだけど、あの後なんか喧嘩相手取られたみたいな気になっちゃってて」

 

 

「理不尽」

 

 

「なんかゴメンね、とりあえず紹介するよ。この人は川神百代、ここ川神学園の学園長の孫でワン子…川神一子の姉だ、武神の異名をもつ最強の武人でそう言う話になったら頼れる先輩だよ」

 

 

「ついでに美少女な」

 

 

「で、お前名前は?」

 

 

「ご、五条司です…よろしくお願いします…」

 

 

「今日編入してきたみたいなんだ」

 

 

「そうなのか、通りで…まあ、よろしくな」

 

 

差し伸べられた手に応えるように握手を交わす

 

 

 

「さて、次に行こうか。じゃあ姉さん、俺達はこれで」

 

 

「……ああ、またな」

 

 

俺たちはA棟を後にした

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

個性的な人たち2

「結構広いだろこの学園、大丈夫?疲れてない?」

 

 

「どっちかって言ったら作者の方が疲れてると思う、早く次行きたそうだし」

 

 

「何言ってんの?」

 

 

「いやなんでも」

 

 

奇妙な会話をしつつ俺たちが廊下を歩いていたら

 

 

「おや、大和くんじゃないですか」

 

 

目の前から男子2人と女子1人の3人組が歩いてきたと思ったらこちらに近付いてきた、なんか一人だけ足取りが怖い

 

 

「げっ、葵冬馬」

 

 

「僕もいるよ~」

 

 

「俺もな」

 

 

「誰?」

 

 

「隣の2ーSの生徒だよ、葵冬馬、葵紋総合病院の御曹司だ」

 

 

「こっちのハゲは井上準、葵総合病院の次に大きな井上総合病院の跡取り」

 

 

「この子は榊原小雪、なんかいつもこの二人と一緒にいる」

 

 

「わざわざ説明ありがとさん、てか今お前ハゲって言ったよな?」

 

 

「気のせいだよ」

 

 

「まあいい、ところでそいつは誰だ?見かけない顔だな」

 

 

「今日2ーFに編入してきた五条司くん」

 

 

「珍しい時期に編入してきましたね、五条司くんですか、なるほど…ところでよろしければ今夜一緒に七浜の夜景を眺めませんか?全裸で」

 

 

「」

 

 

「こいつバイの変態だから気をつけろ、俺も何故か狙われている」

 

 

「誉め言葉として受けとっておきましょう、さて如何です?五条くん、とびきり優しくしますよ」

 

 

「いえ大丈夫です」

 

 

「おや、ふられてしまいました、残念です。」

 

 

「そりゃ健全な男子はそうなるだろ若」

 

 

「冬馬よしよし、マシュマロ食べる?」

 

 

「ふふ、ありがとうございますユキ」

 

 

「わーいトーマに撫でられた~!」

 

 

「あ、コラ、パンツ見えちゃうから跳ねるのやめなさい」

 

 

「では僕達はこれで…大和くん、五条くん、僕はあきらめませんよ?」

 

 

「「ひぇ…」」

 

 

そう言い残し、葵冬馬達は去っていった

 

 

「……Sクラスってみんなあんなのばっかりなの…?」

 

 

「いや、あれでもまだマシな方だ、もっとすごい奴がいるぞ」

 

 

「来る学校本気で間違えたかも…」

 

 

などと言っていると

 

 

「ふははははは!!九鬼英雄降臨である!庶民共!我が通ってやったぞ!崇めさせてやろう、感謝するがいい!」

 

 

「もう〜次から次へと…!」

 

 

「はぁ…噂をすればなんとやらか……」

 

 

「さすが英雄さま!☆何という心の広さ!この忍足あずみ、一生英雄様について行きます!☆」

 

 

 

「やや!?そこにいるのは直江大和ではないか!む?あと一人は見かけぬ顔だが」

 

 

「こいつは今日2ーFに編入してきた五条司だよ」

 

 

 

「そうか!おい五条とやら!貴様をこの学園の生徒として歓迎してやるぞ!さあ崇めるがいい!!我は九鬼財閥の九鬼英雄!英雄!ヒーローなりぃぃ!!」

 

 

「」

 

 

「本当疲れてるのにごめんね司…紹介するよ、九鬼財閥の長男、九鬼英雄だ。性格はまあ…見ての通りだ」

 

 

「えらい豪華な奴来たな…」

 

 

「えーと…よろしく九鬼英雄…?」

 

 

チャキッ

 

 

「!?」

 

 

挨拶した瞬間いきなり首元に冷たい感触が走る

それが九鬼英雄のメイド?が取り出した小太刀だと分かるまで時間はかからなかった

 

えっ本物?違うよね?ねえ?

 

あと会話文に⭐︎が付いてるのが気になる

 

 

「ちゃんと英雄"様"を付けないと殺しちゃいますよ?☆」

 

 

「」

 

 

「よいあずみ!そのような事をいちいち気にするほど我の器は小さくないわ!ふははははは!」

 

 

「はい英雄様ー!☆」

 

 

そういってメイドは取り出した小太刀を素早くしまう、えっ、てかどこにしまってんのそれ?

 

 

「ではな五条司!いくぞあずみ!」

 

 

「はい!英雄様!☆」

 

 

「た、助かった…」

 

 

「おいガキ、運が良かったなぁ、次英雄様を呼び捨てにしたら確実に刻んでやる、覚えとけやコラ」

 

「」

 

 

「何をしているあずみ!!早く行くぞ!」

 

 

「はいっ!ただいま行きます英雄様!☆」

 

 

九鬼英雄とそのメイドのあずみ?さんはその場を後にした

 

 

「あのメイド…猫被ってたのか…」

 

 

「ああ、なんでも九鬼英雄のことをすごく尊敬しているらしい、ちなみに元凄腕の傭兵で2ーSの生徒だ、29歳だけどな」

 

 

「29!?」

 

 

「うん、九鬼英雄の付き添いのために2ーSに入ったらしい」

 

 

「そういうの有りなの?」

 

 

「気持ちはわかるけどツッコんだら負けだ…そういう学校なんだよここは……まあそれ以外にも事情が特殊な生徒はいっぱいいるよ、流石に俺も疲れたな…そろそろ帰ろうか」

 

 

「いや、本当にそうしよう…」

 

 

というわけで俺たちは玄関へ向かった訳なのだが

 

 

「そこの男子!廊下は走ってはいけません!」

 

 

「す、すいません!」

 

 

「よろしい、以後気を付けなさい」

 

 

「」

 

 

玄関を潜ろうとするとそこに軍服を着た赤髪の女性が生徒達を注意していた

 

 

「本当なんなのここ……」

 

 

「安心しろ、この人はちゃんとまともな生徒だ、俺が保証する。大人だけど」

 

 

「もう大和の保証が信じられなくなってきたよ…」

 

 

軽快な足取りで大和は軍服の女性に向かって

 

 

「マルギッテさん、さようなら」

 

 

「直江大和、いい挨拶です、誉めてあげましょう」

 

 

「どうも」

 

 

「おや?隣にいるのは誰ですか?」

 

 

「今日ウチのクラスに編入してきた五条司です」

 

 

「五条です、どうぞよろしくお願いします」

 

 

「うむ、良い挨拶です。マルギッテ・エーベルバッハ、以後覚えておくように」

 

 

「この人はさっきのメイド…忍足あずみさんって言うんだけど、その人と旧知の仲ってやつらしい、クリスの父親がクリスを守るためにこの人も入学させたんだって」

 

 

「あのドイツの子か…」

 

 

 

「うん、ちなみに補足するとクリスはマルギッテさんを姉のように慕っている、逆にマルギッテさんはクリスのことを妹のように可愛がっているみたいだ」

 

 

「へ、へぇー…」

 

 

「む?通信」

 

 

そんな話をしているとマルギッテの端末が鳴った

 

 

「了解しました、至急そちらに向かいます」

 

 

「どうしたんです?」

 

 

「任務です、では私はこれで」

 

 

そう言ってマルギッテさんは走り去っていった

 

 

「任務ってなに…」

 

 

「あー…まあけっこういつものことだよ、さ、帰ろうか」

 

 

「あ、うん」

 

 

とうとう面倒くさくなったのか説明を放棄した大和と俺は長かった1日を終えて帰路に着こうとしていた

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

島津寮へようこそ

長い1日を終え、ようやく濃いキャラも登場しなくなってきた帰り道

 

 

「そういえば司の家ってどの辺なの?」

 

 

「それならもう少し行った先にある寮に入る事になってる」

 

 

「そうなんだ?奇遇だね、実は俺も寮に入ってるんだ」

 

 

「え、地元なのに?」

 

 

「まあ学校が近いしうちの両親いまは海外で暮らしてるからちょうどいいかなって」

 

 

「そういうもの?」

 

 

「そういうものだよ」

 

 

「ふーん」

 

 

他愛のない話をしながら歩くこと数分

五条くんがとある建物の前で足を止めた

 

 

「あ、ここが今日からお世話になる寮だよ、島津寮っていうんだけど」

 

 

「そうなんだ、奇遇だね、俺もこの島津寮に入ってるんだ」

 

 

 

 

「え」

 

 

「え」

 

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

 

「「ただいま〜」」

 

 

「おう大和と五条、ロードショー始まるぞ」

 

 

「2人ともおかえりなさいだ」

 

 

「お疲れ様です、遅かったですね」

 

 

「………」

 

 

寮に入るとさっきの風間とまゆっちと椎名さんとクリスが居間に集まってくつろいでいるところだった

 

 

「あれ、みんな知ってたの?」

 

 

大和が尋ねる

 

 

「ああ、さっき麗子さんから連絡あってな、転入生が1人今日から入るって、お前ら帰ってくるの遅いから待ちくたびれたぜ」

 

 

と風間

 

「そうだったんだ…びっくりした」

 

 

と大和

 

 

「まさかとは思ったがやはりお前だったか五条、自分は歓迎するぞ」

 

 

とクリス

 

 

「これからよろしくお願いします、五条先輩」

 

 

とまゆっち

 

 

「うん、こちらこそよろしく」

 

 

「って事はまず寮のルールを説明しなきゃだね」

 

 

「お願いします」

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

「とまあこんな感じかな」

 

 

「なるほど」

 

 

川神学園には寮がいくつもあるらしくここはさっきの島津岳人の母親の麗子さんと言う人が管理人を務めている。ちなみに寮のすぐ後ろは島津家だそうだ

 

この寮には現在

大和、風間、まゆっち、さっきからずっと読書をしていて一言も口を聞いてくれない椎名さん、転入生仲間のクリスとさっきの源忠勝…だっけ?その6名が生活している、ついでに俺も入れて7人目

 

男子が1階、女子が2階の部屋を使用していて風呂場は元々別々だったがさっきの川神先輩がよく分からんけど壊してしまったために男女とも一階の風呂を共用することになっているらしい

 

 

「またわからない事があったら何でも聞いてくれ」

 

 

「うん、本当に何から何までありがとう。頼りにさせてもらうよ」

 

 

「ああ、とりあえず今日はお互い疲れたね、お疲れ様」

 

 

「原因は大和だけどね」

 

 

「いや本当申し訳ない、まさか放課後にあんな遭遇するとは思ってなくて、まあ今日はある意味当たりの日だったって事で」

 

 

「そういうことにしておく」

 

 

 

「それじゃあ改めて」

 

 

 

「「島津寮へようこそ」」

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

分岐の夜

 

 

時間軸は少し移動する、べつにネタ切れとか打ち切りとかの常套手段とかそういうわけでは全くないということだけははっきりと言っておきたい

 

 

という事でここは川神市のとある総合病院

 

 

➖院長室➖

 

 

「……お、なんだ、どこからともなく紅茶の良い香りが」

 

 

「おや、この良さが分かりますか.…」

 

 

「そんな貴方をこれから罰さなくてはいけないのが、非常に残念です」

 

 

「いつの間に!?どこから入った!?お前は誰だ!?」

 

 

「順番にお答えします。まず私は正面から入りました。もっとも…ガードマンは気付いていませんが」

 

 

「そして名前は桐山鯉と申します」

 

 

「貴方は・・・葵紋病院のトップ、葵院長ですね」

 

 

葵院長、つまり前々回出てきた葵冬馬の父親である

 

 

「だったらどうしたと言うのかね」

 

 

「これから川神市では、"武士道プランが実施されます」

 

 

「?、何プランだって?」

 

 

「彼女達に少しでも害が及びそうな街の闇は事前に排除させて頂きます」

 

 

「な、何を言って…」

 

 

「貴方は入念な調査により、危険人物と断定されました」

 

 

「っ!! ふざけるな!見覚えがあると思っていたらその服装…さては九鬼の人間だな!?」

 

 

こちらの問いかけにはもう耳も傾けずゆっくり、静かに、そして優雅に迫り来る執事服の男はそのまま口を続ける

 

 

「悪事の綿密なカモフラージュ見事でした。本来ならその行い、隠しおおせたでしょうが…私達が本腰をいれればさすがに無駄。証拠はこの書類」

 

 

男が手元に持っているのは見つからぬように厳重に隠していたはずのとある書類だった

 

 

「ぬっ!それをどこで…」

 

 

 

「夜の街で流通しはじめようとしていた薬も全て回収しました。手遅れになる前に止められて本当に良かった。感謝してほしいぐらいですよ」

 

 

「き…貴様っ!!」

 

 

「まずは報いとして、痛い目を見て貰いましょう。そして九鬼監視のもと、証拠を全て焼却、政治家との関係性も断ち切り、その知識をクリーンな事に使って頂く」

 

 

「それを返せぇえ!!」

 

 

叫びながら葵院長は桐山鯉に襲い掛かろうとするが

 

 

「ガハっ…!?」

 

 

鋭い攻撃が顎にヒットし、葵院長はその場に倒れこむ

 

 

「任務完了ですね、呆気ないものでした。おや?」

 

 

 

まるで分かっていたかのようなタイミングで不意に桐山鯉の端末が鳴り響く

 

 

「はい、ええ、ただいま滞りなく完了したところですMs.マープル。ええ、ええ、それでは失礼致します…」

 

 

 

いくらか言葉を交わし静かに通話を切る

 

 

 

 

「さて…予定より早くなったが、ついに彼女達が姿を現す」

 

 

「...そして私の大願も…成就の時が近い」

 

 

「"S” UPERな時代の幕開けに…乾杯……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一夜明けて

 

 

「お世話になりました。」

 

 

「おう、お疲れさん!次の仕事先でも頑張れよ!」

 

 

「はい、お世話になりました」

 

 

そういって会社に背を向け歩き出す

 

 

「はぁ…いい加減ちゃんとした職につかないと…」

 

 

この台詞、今までどれだけ呟いてきたのだろう…

 

 

 

これまで色々な仕事をしてきたがこの男、どれも長続きせず幾度となく職を転々とし続け、気が付けば20代も終盤

 

 

周りの友人たちは皆それぞれのやりたい事や分野で各々に活躍していたり既に家庭を持っている者も多々いる。それに比べ自分は未だにただのフリーター、そしてつい今し方また仕事を辞めてきた、どうして自分はいつもこうなんだろうと常に周りと比べ自分にコンプレックスを抱きながら毎日を悶々と過ごしている

 

 

「はぁ…また就活か…」

 

 

 

 

「いらっしゃいませ~~~」

 

 

 

相変わらず今日もゆるい口調だな…と思いながらコンビニへ来た。ていうかいつも思うけど本当あの子らみたいに学生の内にバイトとかして社会経験を積んでおけば俺の将来もいくらかは安定していたのだろうか…

 

 

所詮はたられば話である、人生というものは甘くない

 

 

 

「ありがとうございました、またお越しくださいませ」

 

 

求人雑誌を手に取り店を出る。その後喫茶店で腰を落ち着けたところでページをめくる

 

 

「なんだこれは…どれもこれも全部最近自分が落ちたところばかりじゃないか…誰も採用する気が無いなら募集するなよ…」

 

 

自業自得なのを棚にあげているだけとはいえ、自分が落ちた会社の募集ばかりが目に入ると愚痴りたくもなる、が、そんなことをいつまで言っていても状況が変わるわけでもなく、仕方がないので、そのままページをめくり続ける

 

 

「お待たせしました。本日のケーキセットです。」

 

 

といったとこで、注文の品がきたので手を止め 食す

 

 

「(あの店員、若いのにてきぱきしてて凄いな…)」

 

 

さっきのコンビニでも思ったが最近の若者というのは本当にすごい、学生の頃から働くなんてなかなかできる事じゃないと思うし別にお世辞でもなんでもなく素直に尊敬している

 

 

「もう少しだけ、頑張ってみるか」

 

 

“頑張る”という言葉は正直好きじゃないがあんな姿を見ると不思議と励みになることもある

 

 

………

 

……

 

 

 

 

 

 

「お客様、ラストオーダーの時間ですが他にご注文はございますか?」

 

 

「え」

 

 

気付くともう閉店間際、集中していたら時間というのはあっという間である。店員としてはいつまで居座ってるんだコイツはって話ではあるのだが

 

 

「あ、いえ帰ります。ご馳走様でした」

 

 

「ありがとうございました」

 

 

そう言って慌てて店を出る

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

「はぁ…結局ダメだった…」

 

 

いくつか気になるところをリストアップして片っ端から電話をしていたのだが年齢が年齢だけにその時点で断られててしまうのだった

 

 

「くそっ…だったら求人に年齢制限なしって書くなよ…ああ…また明日から引きこもり生活か…」

 

 

などと愚痴を一人でこぼしながら本当にこれからどうしよう…と肩をすくませ夜の道を歩いていた時だった

 

 

「随分と落ちぶれたものだな、小僧」

 

 

「っ!?」

 

 

突然うしろから声をかけられ振り向くとそこには執事服を来た屈強な男が立っていた

 

 

「喜べ小僧、チャンスをくれてやろう。貴様はさる御方のとあるプロジェクトの実験体に選ばれた」

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

「……て……きて……起きてってば」

 

 

「んん……ん」

 

 

「司、はやく起きないと遅刻するよ」

 

 

「うわ!大和?」

 

 

「おはよう司、朝食も出来てるからはやく着替えて」

 

 

ここは川神学園にいくつも存在する学生寮のうちのひとつ島津寮、つい先日編入してきたばかりの俺の入寮先である

 

 

あの後、大和達はちょっとした歓迎会のようなものを開いてくれたのだが初日早々濃いキャラ達に出会いすぎた疲れもあって早めに切り上げて眠ってしまったようだ

 

 

「おーっす、はやく食べないと遅刻するぞ」

 

 

「昨日はよく眠れたか?」

 

 

「おはようございます先輩」

 

 

「………」

 

 

 

リビングに降りて来るともう寮の皆はテーブルにつき食卓を囲んでいた

 

 

「おはようみんな、昨日はありがとう」

 

 

「何を言っている、自分達はもう同じ釜の飯を食う仲間だ」

 

 

「そうそう、堅苦しいこと言ってないで早く飯食って行こうぜ」

 

 

いい奴らだな、こいつら…相変わらずずっと読書してて口聞いてくれないのが1人いるけど…

 

 

「ほら、座った座った」

 

 

大和に急かされつつ食卓につき朝食を食べ俺たちは寮を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真剣で自分と闘いなさい!

今日もみんなでのんびり登校中

いつもと違うところがあるとすれば仲間が1人加わった事

と言う事で今日も通学路を歩いていた

 

 

「そう言えば昨日は大和に連れ回されて大変だっただろ五条」

 

 

「いや、それよりもSクラスの生徒達のキャラの濃さで疲れた」

 

 

「そう言えば昨日マルさんにも会ったみたいだな」

 

 

「ああ、あの軍服の人か」

 

 

「うむ、格好良かっただろう、マルさんは凄いんだ!」

 

 

「大和から聞いてたけど本当にあの人の事好きなんだねクリス」

 

 

そんな会話を見ていて思ったがどうやら昨日の今日で2人は既に仲良くなっているのを感じる、というよりはお互いのコミュニケーション能力が高いのかもしれないな、良い事だ

 

 

「あ、いました兄貴!あいつです」

 

 

「む?」

 

 

歩いていると見覚えのある男達が大声で指をさしながらこちらへ向かって来る、その指の先の主は

 

 

「よう兄ちゃん、昨日は世話になったな」

 

 

「あ、どうも…」

 

 

司だった、状況とセリフから察するに昨日の仕返しに自分達の親分を連れてきたと言ったところだろう

気持ちの良い朝にとことん水を差すのが好きな連中である

 

 

「なんだなんだ?」

 

 

「あいつらまた来たのか…」

 

 

「本当ここではいろんなトラブルが起こるね…」

 

 

川神学園に通うためのここ多馬大橋はこう言った治安の悪い奴らや個性豊かな人間達が多いため近所の住民からは変態の橋と言われている

 

 

「またお前達か、自分の仲間に手を出すつもりなら容赦しないぞ」

 

 

「そう構えるなお嬢ちゃん、折角の美人が台無しだぜ?用があるのはアンタじゃなくてそこの兄ちゃんだ、ちょっとどいてな」

 

 

「なんだと!」

 

 

「待ってクリス」

 

 

「しかし五条!」

 

 

「いいから」

 

 

煽り耐性が低いクリスを制して司は前へ出る

 

 

「とりあえず昨日こいつらがやられたのは水に流そう。ていうかカタギに手を出したこいつらが悪い、とは言え部下がやられた以上そのケジメだけは付けさせてもらわないと俺の立場上示しがつかねえ、つまり…わかるよな?」

 

 

親分らしき大男が淡々と語りかける

 

 

「意外に筋が通った方なんですね、見直しました」

 

 

「よせよ照れるじゃねーか。まあいい、そこで見たところ兄ちゃんのその制服、川神学園の生徒みたいだな。てことで決闘しようや、タイマンってやつだ」

 

 

「タイマンですか…」

 

 

「それで兄ちゃんが勝ったら兄ちゃんやそこのお友達のみんなには金輪際一切手は出さねえ、約束しよう」

 

 

「ただし兄ちゃんが負けた場合は…わかるよな?」

 

 

「存外気持ちのいい人だ、わかりました。その勝負受けて立ちます」

 

 

「いいねぇ…ほんじゃ、場所変えようや」

 

 

そう言って2人は河川敷の方へ歩いて行き互いに向かい合う

 

 

そして

 

 

「いざ尋常に…」

 

 

「いくぜおい!グハッ!?」

 

 

「兄貴ぃぃい!!」

 

 

………

 

 

親分らしき男はそのまま子分達に運ばれていった

 

 

 

「」

 

 

 

みんなの気持ちはごもっともである、何せ始まった瞬間に勝負がついてしまったから

見ての通り勝者は司、なんかよくわからないけど速攻で片付いてしまったので遅刻をする心配はなさそうでとりあえずよかった。ていうか君なんかキャラ変わってない?

 

 

「いこうかみんな」

 

 

「「お、おう…」」

 

 

言われるまま俺たちは彼の後に続いて登校するのだった

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

「今朝も災難だったね」

 

 

「昨日の今日だし尚更よね」

 

 

「けど今回ので大人しくはなったろ」

 

 

「あっさり終わったけどね…」

 

 

モロとワン子と岳人と京が今朝の話をしていた

 

 

「まあアレだったら俺でも瞬殺だったけどな」

 

 

「はいはい…それより五条くんやっぱり何かやってるのよね、昨日はうやむやになっちゃったけど、やっぱり決闘しましょ!」

 

 

ワン子は相変わらず決闘の事になると前のめりだな…それにしても…

 

 

「クリス?」

 

 

「……」

 

 

決闘を見た後だと言うのにあのクリスがさっきから妙に静かなのが気になる、なんか呼んでも反応ないし

 

 

「静かにしろ、HRを始めるぞ」

 

 

そうこうしているうちに小島先生が教室に入ってきた

 

 

「それでは出席をとる」

 

 

「今日はセーフ!」

 

 

「アウトだ俗物が!」

 

 

「あぅ!はぁ…はぁ…」

 

 

「今日はこれぐらいで勘弁してやる、席に着け」

 

 

「はい…はぁ…はぁ…すいませんでした…ハァ…ハァ…」

 

 

「さて、今日の連絡事項だが…」

 

 

「先生!」

 

 

「む?どうしたクリス」

 

 

登校してきてからずっと静かだったクリスが手を挙げた

一体どうしたんだろう

 

 

 

「突然で申し訳ないが決闘を希望する」

 

 

 

「ち、ちょっとクリ!?」

 

 

いきなり何を言い出すかと思えばクリスが唐突に決闘の申し込みをし出した

彼女がKYと言うことは知っていたがそれにしてもなんの脈絡もなさすぎる

 

 

「おっ!また決闘?」

 

 

「しかも川神さんじゃなくてクリスがだと?」

 

 

「シャッターチャンスか!?」

 

 

「この間も似たような事あった気がする…」

 

 

なんかクラス中もざわつき始めてきたし…

 

 

「理由を聞こうか」

 

 

小島先生がクリスに問いかける

 

 

「私情という事は百も承知です。しかしあえて言うならば新入りの歓迎をしてやりたい、自分がここに来た時に犬が同じ事をしたように」

 

 

そういえばクリスがリューベックから転入してきたときワン子が歓迎をしたいと言い出し決闘が始まったのを思い出す、つい1ヶ月ほどしか経っていないというのに何故かけっこう昔の事のように感じる

 

そう言えばあの時もHRの真っ最中だった気がするな…

 

 

「ふふっ、血気盛んだなクリス。だがそれは面白い」

 

 

そうそうこんな感じで…

 

 

「という事は、闘いたい相手というのは…」

 

 

「はい」

 

 

そう言ってクリスは立ち上がり、決闘用のワッペンを相手の机に置く

 

 

 

「五条、自分はお前に決闘を申し込むぞ!」

 

 

 

「」

 

 

「しかし、肉体を使用する決闘の場合は職員会での了承が必要なのは分かっているな?」

 

 

「ほっほっ。小島先生。話は聞かせてもらったぞい」

 

 

「が、学長…」

 

 

そう言っていると廊下から教室に老人が入って来る

この人こそ川神学園の学長であり、武術の総本山とも言われる川神院のトップその人である

 

 

「じ、じーちゃん!?」

 

 

あとワン子と姉さんの祖父でもある

 

 

「いいよ、ワシの特権で許可する。いますぐやんなさい、ワシが責任を持って見届けよう」

 

 

 

「「おおおーーー!!」」

 

 

呆気に取られて一言も喋っていない当事者を置き去りに、クラス中は大騒ぎになっていた

 

 

「あとはお前の返事だけだ五条、さあ、決闘を受けてくれるか?」

 

 

「」

 

 

「早速決闘デビューだね司、3話目ぐらいで決闘とか滅多にないとか無責任なこと言ってごめん、頑張ってきて!ちなみにクリス…てかウチの学校の女子は大体その辺の男より強いからどうか生きて帰ってきて」

 

 

「」

 

 

「さあ、返事はハイか!?イエスか!?」

 

 

 

「あ…はい……」

 

 

 

ここまで盛り上がってしまったら正直もう俺ではどうする事も出来ない

 

という事でクリスの押しと周囲からの圧にとうとう観念したのか渋々ながらもそれを了承した様子の彼のデビュー戦が始まる

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真剣で自分と闘いなさい! 2

「今より第一グラウンドで、決闘が行われます。内容は武器有りの戦闘。見学希望者は第一グラウンドまでお集まりください」

 

 

アナウンスが終わると同時に続々とグラウンドに見物人達が集まって来る

本人達の希望があれば見学不可にも出来るが…というか司はめちゃくちゃ嫌がっていたけどクリスの人気度がそれを許さなかったようで、他のクラスや違う学年の連中も面白がって集まって来るのでお祭り状態だ

 

 

「朝飯の弁当いかがですかー?」

 

 

相変わらず商魂たくましい料理部の奴らの対応も早い

 

 

「というわけで決闘トトカルチョだ!さあ賭けた賭けた!」

 

 

こっちはこっちでまたトトカルチョをやってるけど…

 

 

「ショバ代納めてもらおうか」

 

 

「姉さん…」

 

 

まあ来ないわけがないよな、この人は

 

 

「お前んとこのお嬢がまた決闘やってるぞ猟犬」

 

 

「そのようですね、しかも相手は昨日の転入生ですか」

 

 

「ふははははは!!早速やっているな!!この俺が直々に見にきてやったぞ!さあ、存分に闘うが良い!!」

 

 

「相変わらず暑苦しいねぇお宅」

 

 

「おいハゲ…英雄様への口の聞き方に気をつけろ…刻むぞ…」

 

 

「すいません!!」

 

 

 

マルギッテさんはともかくこいつらまで…今日は暇なのかな

 

 

「盛り上がってきたな五条!」

 

 

「こんな賑やかになるんだ決闘って…」

 

 

「うむ、自分と犬の時もそうだったな」

 

 

「クリ!あんた抜け駆けしておいて負けるんじゃないわよー!でも五条くんも頑張ってー!」

 

 

「あ、ありがとう川神さん…」

 

 

「それより五条、お前武器はいいのか?自分はこの剣を使うが」

 

 

「武器使ったことないから…これでいい」

 

 

「そうか、しかし無手だからと言って自分は手加減しないぞ!全力で勝負だ!」

 

 

「さて、そろそろいいかのう?」

 

 

ギャラリーも増えてきたところで学長が二人の間に入り、告げる

 

 

「これより川神学園伝統、決闘の儀を執り行う!2人とも、前へ出て名乗りをあげるがいい!」

 

 

「2年F組!クリスティアーネ・フリードリヒ!」

 

 

「お嬢様、ご武運を」

 

 

「負けんなよクリス!」

 

 

「2年F組、五条司!…なんか恥ずいなこれ…」

 

 

「頑張って司、俺は君に賭けてるから」

 

 

「大和はあとでちょっと話がある」

 

 

「あ、はい」

 

 

「ワシが立ち合いのもと決闘を許可する。勝負がつくまでは何があっても止めぬ。が、勝負がついたにも関わらず攻撃を行おうとしたらワシが介入させてもらう、良いな?」

 

 

「承知している!」

 

 

「はい…」

 

 

「ヨンパチ…リベンジだ…」

 

 

「分かってる…出世の機会は逃してもシャッターチャンスは逃さねえ!」

 

 

懲りないなコイツら…

 

 

 

「いざ尋常に、はじめいっ!!!!!!!」

 

 

「勝負!」

 

 

先に踏み込んだのはクリスだった

 

 

「あぶなっ」

 

 

そしてそれを交わす司

 

 

「いい動きだ、まだまだいくぞ!」

 

 

「お、お手柔らかに」

 

 

「始まったなあ弟ぉ…」

 

 

「うん、というわけで解説お願い」

 

 

「うーん…とりあえずクリスがかわいい」

 

 

「何の解説だよ」

 

 

「って言ってもな…今のところクリスはいい動きしてるとしか」

 

 

「どうしたどうした!避けてばかりでは勝てないぞ五条!」

 

 

「避けないと痛いでしょうがっうおお!?」

 

 

鋭い突きを容赦なく何度も撃ち続けるクリス、反対に司はさっきから避けてばかりで防戦一方と言ったところ。まあでもそうなるよな…俺もそれが精一杯だもん…

 

 

「あいつ…すごい避けるね、大和みたい」

 

 

「それはどうも」

 

 

「結婚して」

 

 

「話題の切り替えが不自然すぎるだろ、お友達で」

 

 

「むう…」

 

 

まあ確かに回避には自信あるけどな

 

 

「ところで姉さんはどっちに賭けたの?」

 

 

「いや、私は賭け事とかしないから」

 

 

「何言ってんの?」

 

 

「とは言えそろそろ戦局が動くんじゃないか?」

 

 

「そこだ!」

 

 

トドメと言わんばかりのクリスの必殺の突きが相手の胴へ一直線に向かう

 

 

「かはっ!?」

 

 

「っ!?」

 

 

かに思われた、角度も速度も完璧、確実に入ったと思った彼女の今日一番の突き、誰がどう見ても勝者はクリスだろうとある者は歓喜し、ある者は悲哀、ある者は背を向け立ち去ろうとしていた、それに待ったをかけたのがこの現状

 

端的に言おう、倒れた…というか膝をつきうずくまっていたのは誰もが勝者だと確信し疑う事の無かったクリスの方だった

 

 

「え…いま何が起きたの?」

 

 

「やられたな…クリス」

 

 

「どういう事?姉さん」

 

 

「この間、古武術特集を一緒に見ただろ、大和」

 

 

「うん、あんまりよくは分からなかったけど…それをやったって事?」

 

 

「ああ、要するに予備動作を消す技術を使ったんだ。膝、股関節、肩という具合に力を抜いていってそのまま突きを出したクリスの足元に滑らかに…そして倒れこむように且つ力の流れを殺さずにそこから繰り出す技…」

 

 

「卍蹴り…ですね」

 

 

「まゆっち、いつの間に」

 

 

「ああ、そう言う事だ…クリスの視点から見たら相手が急に消えたように錯覚してるだろう」

 

 

「そして直後にどこからともなく打撃が入っている…日頃鍛錬していてもふとした瞬間に急にやられたら引っかかったりするんですよね…」

 

 

「全くだ…まあ私には効かないけどな」

 

 

クリスがまだ倒れていないので決闘はそのまま続行、しかしそろそろ決着がつくであろう事はここにいる誰もが直感していた

 

 

「くっ…やるな五条、けっこう良いのを食らってしまったぞ」

 

 

「正直絵面的にツラい……」

 

 

「今の発言は間違っているぞ五条、これは決闘だ。男だの女だのそんな事を気にして言っているのであれば、それはこの神聖な儀式と何より自分の騎士道を侮辱しているのと一緒だ」

 

 

「クリス…」

 

 

「(お嬢様…)」

 

 

「堂々としていろ!自分はこの程度問題ない、決闘を続けよう!」

 

 

「ああ…そうだな、今のは取り消す…とんだ失礼をしてしまった事を心より詫びる…続けようクリス。第二ラウンドだ」

 

 

「ふっ、そうこなくては…とは言えそろそろHRの時間も終わる、次で決着をつけよう」

 

 

「同感!」

 

 

両者構える、そして

 

 

「いくぞ…五条!!!」

 

 

「来い、クリス!!!」

 

 

勝負の行方は

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「ふっ…次は負けないぞ」

 

 

「何度でも受けて立つ」

 

 

「「クリス!!!」」

 

 

「お嬢様!!!」

 

 

倒れたのはクリス、そして決まった本日の決闘、勝者は

 

 

「勝者、五条司!これにて決闘の儀を完遂したものとする!」

 

 

「「うおおおおおおーーー!!!!」」

 

 

「勝っちゃったよ…あのクリスに」

 

 

「あのクソ野郎…よくもクリスちゃんを…」

 

 

「良い勝負だったわよー!ふたりともー!!」

 

 

「……」

 

 

「猟犬、大丈夫か?」

 

 

「…正直動揺しています…しかし問題ありません、これが決闘というものです」

 

 

「鏡みてみろよ。そう言ってる割にはお前、獲物を見つけた時の顔してるぜ?」

 

 

「ふっ…気のせいと知りなさい」

 

 

喝采と感嘆の声が入り混じる中、本日の決闘は無事終了

クリスは念の為保健室へ、司もついでに付き添い一時限の途中から2人も合流

 

 

この日を境に俺たちと司は共に絆を深めていく事になる…かもしれない



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真剣でアタシと闘いなさい!

「なあ五条、お前が女体で一番エロいと思う部分はどこだ?」

 

 

「どうした急に」

 

 

「朝っぱらから何言ってるんだこの変態め」

 

 

「しかも女子がいる目の前で」

 

 

「相変わらず岳人は変態だな」

 

 

「恥を知れ」

 

 

「消えればいいのに」

 

 

「やめて!島津のライフはもうゼロよ!」

 

 

「五条…お前…」

 

 

大和と師岡と川神先輩とクリスと椎名さんに総罵倒を受けている島津を庇う俺という構図である

 

 

「なんだなんだ?何の話だ?」

 

 

「キャップは純粋だから知らない方が良い」

 

 

「?」

 

 

「大和さん、これお弁当です」

 

 

「お、ありがとうまゆっち」

 

 

「い、いえいえいえいえ!」

 

 

クリスとの決闘から数日、この川神学園にも多少は慣れてきたいつもの通学路、いつものように他愛のない話をしながら歩いていた

 

 

「五条くーーーーーーん!!!」

 

 

「おはよう川神さん、頑張ってるね」

 

 

「まあね!」

 

 

いつものようにタイヤを引きながら駆け上がってくる彼女は川神一子さん、ここにいる川神百代先輩の妹である。朝から元気だ

 

 

「私も川神だが?」

 

 

「あ、はい。ってそれよりどうしたの?」

 

 

「うん、実は五条くんに早速だけど話があるの!」

 

 

「なんでしょう」

 

 

「えーっとね…その……」

 

 

「?」

 

 

なぜかモジモジしている川神さん、二人のいる空間だけなぜか時間がスローモーションになっているように感じたと後に直江大和は語る

 

 

「うーん…ごめん!やっぱり学校に着いてから話すわ!先に学校行ってるから、それじゃ!」

 

 

「あ、うん」

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「え、なにこの空気」

 

 

「なんかいつものワン子とキャラが違くなかったか?」

 

 

「まさか」

 

 

「おい転入生、お前ワン子に何をした?」

 

 

「こっちが聞きたいんですけど…」

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

結局川神さんの話があるって何の事だったんだろう

特にこちらから聞きに行くわけでもなく教室に入ってからも川神さんとは普通に他愛のない話をしたり師岡や大串達とアニメやマンガ、ゲームなどのトークをしたり大和がクリスをイジってるのをみて癒されてたり風間や熊谷とは今度うまい飯を食べにいく約束をしたりしている間に午前中の授業も終わろうとしていた

 

 

「む、チャイムだな。それでは午前の授業はここまで、午後も気を引き締めていくように、以上」

 

 

そういって小島先生が教室を出て行く

 

そしてこのあと急展開、川神さんの先ほどの態度の意味をここで俺達は知る事になる

 

 

「よしっ五条くん!」

 

 

「ん?」

 

 

昼休みになった直後、川神さんが勢いよく席を立ちそのままこちらへ向かって歩いてくる

 

 

「はいこれ」

 

 

「えっどういうこと?」

 

 

机に置かれたのは決闘用のワッペン、突然の事に一瞬思考が停止する

 

 

「今度はアタシと決闘よ!」

 

 

「」

 

 

「お、五条つぎはワン子と決闘すんのか?」

 

 

「クリスの次はワン子か、ウチに来てから大変だね、だいじょぶ司?」

 

 

「風間…大和…いや、まだやると決まったわけでは…」

 

 

 

「なんじゃなんじゃ、近頃の若者は元気がいいのう」

 

 

「あ、じーちゃんいいとこに!アタシこれから五条くんと決闘したいんだけどいい!?」

 

 

「もうかい、ついこの間クリスとやり合ったばかりじゃろうに、意外と血気盛んな子なんじゃな五条くん」

 

 

「え、いやだから、まだやると決まったわけでは…」

 

 

「五条ちゃん、ファイトですよ!」

 

 

「面白そうだからはやくやってよ」

 

 

「委員長…小笠原まで…」

 

 

「五条、作戦タイムだ、今日こそはシャッターチャンスを逃さねえ」

 

 

「川神さんスパッツだと思うけど…」

 

 

「それはそれでアリだ!」

 

 

「まあ福本がいいならいいけど…いやよくはないのか…」

 

 

「ほっほっほ、まあ可愛い孫の頼みじゃ、いいよ。今すぐやんなさい ワシの特権で許可する」

 

 

「」

 

 

「さあ、はやくやりましょ!五条くん、返事はハイ!?それともイエス!?」

 

 

「あ…イエスで…」

 

 

この拒否権のない問い掛け文句は決まっているのだろうか…

教室のボルテージは限界突破、またもやこの空気に逆らえず決闘を承諾せざるを得なくなってしまったところでパパッと次回に続ける事にしよう

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。