キリギルリツカ (森羅万象チョコ)
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プロローグ

ノリで書いた。好評だったら頑張る!


私はキリシュタリア・ヴォーダイム。

時計塔にて天体魔術を学ぶ一学生であり、ヴォーダイムの次期当主でもある。

魔術師としては天才の部類に入るらしく、日々、期待と羨望と嫉妬を受けている。

誰もが私を完璧に近い魔術師だと思っているだろうし、それ故に次期当主とされるのだろう。

しかしだ。

私の本質、私の正体に気が付いているもの、知っているものは未だ存在しない。

私は転生者である。

 

私は孤独だった。

誰にも私の真実を話せなかった。

話したところで信じてもらえるかわからなかった。

結局、私はカルデアに来るまで、誰にも転生者であるということを明かさなかった。

そして、西暦2016年、遂にこの日がやって来た。

今思えば、この私が起こした行動によって運命は大きく動き出したのだろう。

 

「やあ、マシュ。そこにいる彼が最後のマスター候補かい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(オレ)の名はギルガメッシュ。

古代メソポタミアの都市国家、ウルクを統べる王である。

父は神と人との間に生まれ、母は女神である我は生まれながらにして支配者であった。

我の貌はあらゆるものよりも美しく、我には誰よりも強い王である自負があった。

故に、我は人に裁定を下す者として自らを位置付けた。

 

などと偉そうなことを言っては見たものの、結局は我も転生者である。

肉体に引っ張られたのか、尊大な口調や王としての風格はすっかり自らのものとなってしまったが、かつてはただの人間であった。

故に、我の知る英雄王ギルガメッシュとは違い、我のやらかしはかなり減ったように感じる。

まあ、中身が変わってもそこは英雄王。

死後に英霊となることは必然であるがゆえに、我は千里眼で見た未来の同胞に会いに行くことを決めている。

待っておれ、我が同胞達よ!

 

「鳴らない言葉をもう一度叫んでー、赤色にそま・・・、なんだシドゥリ、我は今日課の体操をしていたのだが、見てわからんか?」

「ええ、それは存じておりますが、王よ、召喚です」

「ふむ、ならば仕方あるまい。行くぞ、カルデア!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突だが、俺、藤丸立香は転生者である。

そう、世界の命運を背負う男、声が回す方のノッブこと藤丸立香である。

 

・・・ふざけてんのか。

 

俺は憤った。

藤丸立香が人理を修復出来たのは奇跡がいくつも積み重なったからだ。

中身が変わっても同じようになるとは限らない。

下手すれば、俺が転生した時点で詰んでいるのだ。

もう一度言おう。

 

ふざけてんのか!

 

とは言え、今俺が叫んでもどうにもならないことはわかりきっている。

なので、全力でふざけてやろうではないか。

 

そんな思考に俺がなったのはカルデアに誘拐やって来てすぐのことだった。

なんでそうなったのかって?

 

「私はキリシュタリア・ヴォーダイム。藤丸君、歓迎するよ、同じマスターとしてね?」

 

まともな世界線のキリシュタリアが大戦略Tシャツ着てるわけねえだろうが



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キリギルリツカ

なんか、fate原作の週間評価で検索したら上の方にいたので初投稿です。


「いや、どこの世界に大戦略Tシャツ着てる魔術師がいるんだよ!?」

「ここに」

「だろうな!?」

 

廊下でキリシュタリアに出会った後、キリシュタリアがマシュに頼んで二人きりにさせ、詳しく話を聞いたところ、どうやらこいつも俺と同じ転生者であることがわかった。

キリシュタリアに転生したからなのか、ボケまくっていたが、わざと寄せている訳でもなさそうなので、これが素ということなのだろう。

 

 

 

ともかく、キリシュタリアが味方なのは心強い。

カルデアにスカウトされてAチームのリーダーなのも確認したので、実力は申し分ないだろう。

俺たちは二人でレ/フの破壊工作を生き残る方法をはっきりさせた。

俺は原作通り、所長の話の途中で寝た振りをして抜け出す。

キリシュタリアはコフィンに魔術を仕掛けるらしい。

事前に設置しているとレ/フに見つかってしまうために、直前に仕掛けるのだとか。

 

「さて、そろそろ説明会だ。案内するよ」

「ああ、助かる」

 

 

 

ついに説明会が始まった。

所長はどうやら転生者ではないらしく、普通に話していた。

なので、俺はプラン通り寝た振りをして説明会から追い出されることに成功した。

マシュに運ばれて部屋を出るとき、薄目でキリシュタリアを見ると、余裕そうな笑みを浮かべていたので多分大丈夫だろう。

 

 

 

「うわぁ!?誰だい、君は!?ここは僕のサボり部屋だぞ!?」

 

結論から言おう。

ロマニは転生者ではなかった。

それっぽく言葉を濁してさりげなく伝えたが、なんのことだか良くわかっていなかったようなのでそうおれは結論付けた。

 

さあ、ここからが本番だ。

 

 

俺は冬木に立っていた。

勿論マシュは助けに行った。

だって、こんな良い子いないもの!

それにかわいい!

っと、少し感情を全面に出しすぎた。

 

レ/フの破壊工作によるものなのか、事故でレイシフトしてしまった俺はひとまずマシュと合流した。

キリシュタリアの魔術がどのようなものなのかにもよるが、大方管制室は崩壊しかけだろう。

ならば、俺のするべきことは一つ。

所長を助けにイクゾー!

 

 

「あなた、さっきの居眠りしていた

「マシュ!」

「了解!」

 人の話を聞きなさいよ!」

 

所長は無事だったぜ!

マシュはエロい。

はっきりわかんだね。

 

「マスター、エネミーの中でもひときわ強力なのが来ます!」

「マジか!」

「おそらくシャドウサーヴァント、略してシャドヴァだ」

「お前、いつの間にいたんだよ」

「ふっふっふ」

「こわ」

 

いつの間にかキリシュタリアも合流して所長が騒いでいたが、俺達が話を聞く気がないことがわかると憮然としながら黙った。

 

『よし、この辺りはサーヴァントもエネミーもいない。マシュ、盾を地面に』

「了解です」

 

どうやら霊脈の周りの安全が確保できたらしく、マシュが盾を地面に設置する。

 

「ほう、つまりこれは」

「ガチャの時間、と言うことだね」

「やったぁ、ガチャァ!ガチャができるぅ!」

(この子今までどんな環境で過ごしてきたのかしら)

 

俺が荒ぶっていると、キリシュタリアがおもむろに懐から虹色に輝く石を取り出す。

 

「あれ、それどこで拾ったんだ?」

「さっき骨をぶん殴ったら落とした」

 

キリシュタリアは石を盾の上に乗せると詠唱を始める。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

「英雄王とか扱いにくい英雄じゃなければいいな」

「バカ、それはフラグーーー」

 

召喚に伴う閃光の中から現れたのは黄金の男。

その姿には威厳が満ち溢れており、一目でただ者ではないとわかる。

その瞳は赤、髪は黄金。

そう、その男はーーー

 

「我、参上☆」

「ふざけるなぁー!ふざけるなぁー!」

「☆愉☆悦☆」

 

AUO(ギルガメッシュ)であった。




召喚直前のギル様はシャドーボクシングとかしてました。
以下、現時点の三バカの設定です。

キリシュタリア・ヴォーダイム
転生者。
元々の性格がキリシュタリアに似ていたために、違和感なくキリシュタリアしている。
ガチャ運は悪い方。
現状、ボケが多め。
イケメン。

ギルガメッシュ
転生者。
元々の口調は普通だったが、ギルガメッシュの肉体の影響をもろに受けている人。
StayNightにうっかりエミヤの代わりに召喚されでもしたら原作ギル様を煽り散らかす。
仕事はしっかりするし、なんなら一番まともなサーヴァントまである。
ボケ、ツッコミ全部行ける。
イケメン。

藤丸立香
転生者。
特に引っ張られることもなく常に素の状態。
主人公補正なのか、運が良い。
基本的に常識人なのでツッコミに回ることが多いが、ボケもできる。
愉悦部員疑惑がある。
イケメン。


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キルギルリツカ2

感想くれ


「英雄王ギルガメッシュ!古代メソポタミアの叙事詩の主人公にして、最古の王とまで言われる方ですね!キリシュタリアさん、流石です!」

 

さて、なんの悪意もないマシュの言葉がキリシュタリア師匠を傷つけたところで、俺は英雄王に声をかける。

 

「えっと、ギルガメッシュ王?」

「どうした?」

「なんだって召喚に応じてくださったんですかね」

 

俺はできる限り下手に出て刺激しないようにしながら、話しかけた。

 

「そんなの言うまでもあるまい。我が人理修復RTAを(を最速で)するために決まっておろう!」

「「・・・」」

 

ギルガメッシュがニヤニヤとしている。

後ろでマシュと所長が喜んでいたり、通信のドクターが驚愕しているなか、俺とキリシュタリアは黙った。

 

「「テメェもかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

「フハハハハハハハハ!!!」

「ええ・・・サーヴァントの反応があったから来てみりゃ、なんで金ピカがいやがんだ・・・」

 

キャスニキ確保!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどねえ。そこの金ピカは今あんたらが召喚したサーヴァントで、あんたらはこの地獄を解決しようって訳か」

「ええ、そういうことです。アルスターの光の御子、クー・フーリン、協力していただけませんか?」

 

少し移動して安全地帯に移動した俺達はキャスニキに協力を打診していた。

因みに、所長が少し安定しているのはキリシュタリアが普段と変わらないテンションなのに当てられて落ち着いたらしい。

 

「俺は構わねえぜ。さっきも説明したが、真っ当なサーヴァントはもう俺だけ。それで、手を拱いていたんだから、まあ断る理由がねえ」

 

やったぜ!

 

「あ、そういや、盾の嬢ちゃん」

「はい?なんでしょうか」

「嬢ちゃん、宝具使えねえんだろ?俺が手伝ってやるよ」

「というと?」

「今から嬢ちゃんのマスター、立香だったな、を本気で殺しにいく」

「え」

 

視界の端で金髪コンビがすすすーっと離れていくのが見え、次にキャスニキの放つルーン魔術が見えた。

 

「ざけんな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

結論からいうと、なんとかなった。

 

「ナイスマシュ。お蔭で死なずにすんだ」

「いえ、私も先輩が私を信じてくださったお蔭で宝具を使うことが出来ました」

「ラブコメの波動を察知!キリシュタリア・ヴォーダイム、武力介入を開始する」

「我、ぐだマシュ好き好き侍、義によって助太刀いたす」

「HA☆NA☆SE」

 

なんか後ろがうるさいがマシュの宝具も使えるようになったので、俺達は大聖杯の元へと向かうことにした。因みに英雄王はカルデアと繋がっているので、俺でもキリシュタリアでも令呪が使えるらしい。

 

「で、キャスター、残っているのはアーチャー、バーサーカー、セイバーと言っていたが、その真名はわかっているのかな」

「アーチャーはさっぱりわからん。バーサーカーはヘラクレス、セイバーはアーサー王だ」

「それは、なんと言うかビッグネームね・・・」

「まあ、我が相手なら大抵の英雄は敵ではない。そう気負うなよ、オルガマリー」

「先輩、ギルガメッシュ王、とても頼りになりますね」

「強さは本物だからね」

 

今、俺達が大聖杯があると言う寺の石段を登っていた。

そして、その頂上の寺にたどり着いたとき、ギルガメッシュが口を開く。

 

「・・・そろそろ頃合いか、いい加減に姿を現せ贋作者(フェイカー)!王の御前であるぞ!」

「やはり、気づかれていたか。流石は英雄王と言ったところか。俺の狙撃のタイミングをことごとく邪魔をするとはな」

 

寺の影から出てきたのは弓を持ったシャドウサーヴァント、アーチャーであった。

 

「ふん、この程度我にしてみればたいしたことではない。平時の貴様であるならともかく、今の穢れた貴様では我に勝つべくもあるまい」

「さて、金ピカ。ここは俺に任せてもらおうか。こいつとは因縁があってな」

「よかろう。セイバーめは我が相手をしてやる」

 

ギルガメッシュが勝手に話を進めたが、ここはキャスニキに任せて先にいくことにした。

 

「すまない、キャスター!ここは任せる!」

「ありがとうございます、キャスターさん!」

「頼むぞキャスニキ!」

「おい、最後ぉ!」

 

後ろから金属がぶつかる音がする。

おそらく戦闘が始まったのだろう。

しばらく走っていると戦闘音も聞こえなくなった。

今度は大聖杯に近づいたことで魔力が濃くなってきた。

 

「ギル、やはりいるかい?」

「うむ、禍々しいが間違いなくサーヴァントよ」

「ギルガメッシュ王、どうしましょうか」

「そうさな、マシュ、お前の宝具は我の見立てでは騎士王に対して相性がいい。騎士王の宝具をお前が受けている間に我の宝具を準備し、放つ。出来るか?」

「は、はい!マシュ・キリエライト、全力で作戦を実行します!」

 

マシュはそう言われると、少し緊張していながらも気合いを入れた。

後で、励ました方がいいかもしれない。

 

「良い心がけだ。次にオルガマリー、お前は魔術的な側面で我等全員をサポートせよ。なに、お前ほどの魔術師であれば容易いことだろうよ」

「ええ、任せなさい。アニムスフィアの当主の力を見せてあげるわ」

 

所長は誉められたことが少ないからか、ギルガメッシュに信頼されていることで、少し嬉しそうな声をしていた。

 

「最後に、立香にキリシュタリア。お前たちはマスターとして、我とマシュに指示と後方支援だ。特にキリシュタリアは魔術的な側面で支援せよ」

「OK、任せろ」

「いつでも問題ないとも」

 

作戦は決まった。

 

「行くぞ、騎士王!」

「魔力の貯蔵は充分か?というやつだね」




最近ガチャの運が良すぎてびびる。死ぬかもしれん。
十連でモルガン二枚目お迎え、ぶりトマトガチャ十連でバゲ子二枚目&トリ子一枚目お迎え


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キリギルリツカ3

感想あざます!
感想はモチベそのものと言っても過言ではないので助かります。

感想くれ(定期)


「・・・ほう、面白いサーヴァントがいるな」

「我のこと?」

「いや、貴様は別の意味で面白いが、貴様ではない」

 

立香達が作戦を纏め、大聖杯のある空洞に足を踏み入れると、そこには禍々しい黒い鎧に身を包んだサーヴァントがいた。

事前にキャスターに伝えられていた情報と、原作知識を鑑みてもそれがセイバーなのは確定であった。

 

「ふ、どれひとつ試してやろう」

「っ!敵性サーヴァント攻撃してきます!」

「よし、マシュ、令呪をもって命ずる!『何があっても守りきれ』!」

 

マシュの全身に魔力が満ちる。

 

「重ねて命ずる、『宝具を使え』!」

 

さらに魔力が高まる。

 

「そして、三画!『己の限界を越えろ』!」

 

マシュに今できる最高のコンディションで今、宝具を放つ!

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を飲め!」

「宝具疑似展開!」

 

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!!!」

「『疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』!!!」

 

黒い光が淡く光るマシュの盾にぶつかり空気が揺れる。

 

「っ!!」

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

実力は拮抗。

令呪によるブーストによってマシュは未だ倒れる気配はない。

それ故にセイバーはマシュに集中するしかなかった。

 

「出番だ。起きよ、エア」

「チッ!やはり本命はそっちか!」

 

ギルガメッシュが宝具を使おうとしていることに気がついたセイバーが宝具をギルガメッシュに向けようとする。

 

「やらせま、せん・・・!」

「マシュ、手伝おう!『ガンド』!」

「よもやそこまでっ!」

 

しかし、マシュとキリシュタリアがそれを阻む。

 

「原初を語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝ぎ。

世界を裂くは我が乖離剣。

星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の終着よ。

死をもって鎮まるがいい!」

 

その一瞬はセイバーの大きな隙となった。

 

「『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!!」

 

極光すらも飲み込む一撃。

セイバーはもろに受けてしまった。

 

「ぐっ・・・」

「まだ、息があるか。流石は騎士王と言ったところか」

「まだ本気を出していないのによく言う・・・。気を付けろ英雄王。未だ聖杯を廻る戦い、冠位指定(グランドオーダー)は始まったばかりだ」

 

金色の粒子となってセイバーが消滅する。

 

冠位指定(グランドオーダー)・・・?何故あのサーヴァントがその名を?」

「所長!聖杯です!」

「回収しなさい!」

『よし、これならレイシフトが出来ます!座標の固定に少し時間をください!』

「さっさとやりなさい、ロマニ!」

 

聖杯を確保したことで安心したのか、空気が弛緩するなか、マスター2名とギルガメッシュは未だ警戒を解いていなかった。

 

「先輩?どうされました?」

「まだだ」

「え?」

「まだ終わってない」

「何を言って・・・」

 

その時、パチパチと手をたたく音が空洞に木霊する。

 

「いやはや、セイバーを倒した上に私がいることにまで気づくとは、案外スカウト係の目も侮れないな」

『そんなバカな!あなたは死んでいるはずだ!レフ教授!』

 

その音の主はカルデアの爆発によって死んだはずのレフ・ライノールであった。

 

「レフ?本当にレフなの?」

 

フラフラとオルガマリーがレフに近づく。

 

「なんだ、オルガマリー、生きていたのか。君の足元には特に入念に爆弾を仕掛けておいたと言うのに。まあ、既に死んでいるようなものか。全くロマニと言い自分勝手なやつが多すぎるな、人間と言うのは」

「レフ?何を言って」

 

オルガマリーが動揺する。

なぜなら、レフの言ったことが意味するのは、レフの明確な裏切り。

そして、自分が死んでいるという可能性まで頭を過ったのだ。

 

「君はレイシフトの適正が無いんじゃなかったかな?」

「そ、そうだけど」

「レイシフトの適正はあくまで肉体の適正。つまり、肉体が滅びて魂だけになれば誰でもレイシフトできるというわけさ。とすると、君は既に死んでいる。残念ながらカルデアに帰ることはもうできないということさ!」

「そんな、そんなのって嘘でしょ・・・?」

 

オルガマリーが絶望したような表情を見せると、レフはより楽しそうに嗤う。

 

「まあ、このまま今のカルデアの状態を知らずに死ぬというのも可愛そうだ。特別にカルデアに繋げてあげよう」

 

レフがそう言うと、背後の空間が歪み、赤く燃え盛るカルデアスが現れる。

 

「そんな、これが私のカルデアス・・・?」

「カルデアスが燃えています・・・」

「ほら、君の大好きなカルデアスだ。最後に触れるといい」

 

すると、オルガマリーの体が浮き上がり、赤く燃え盛るカルデアスへと近づいていく。

 

「いや、いやよ!私まだ、死ねない!まだ、誰にも誉めてもらってない!」

「フハハハハハ!」

 

レフが嗤う。

今、この日まで彼女に接していた態度が全て嘘であることを証明するかのように嗤っていた。

 

「ハハハハハ、は、は?」

「喧しいわ、雑種」

 

ザクリ

 

「ゴハァ!?」

「よもや、この我を忘れたとは言わせんぞ?たかが魔術式の分際で驕り高ぶったか?」

「ギルガメッシュ王!」

 

そう、この状況で黙って静観を貫くはずのない男達がいた。

 

「そのような顔をするな、マシュ。この世の全ては我のもの。そこに生きる人もまた我のものよ。雑種ごときが触れるでないわ!やれ、『天の鎖(エルキドゥ)』!」

『救出だね!わかるとも!』

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』から飛び出した鎖がオルガマリーに絡み付き引き戻す。

 

「きゃあー!?」

「所長!!」

 

そこをすかさず立香がキャッチして事なきを得る。

因みにお姫様抱っこである。

 

「ちょ、下ろしなさいよ!」

「はいはい」

 

すると、ギルガメッシュに剣を撃ち込まれたレフが立ち上がる。

 

「クソクソクソクソクソ、クソォ!なんなんだ、貴様は!貴様も人間の愚かしさは嫌と言うほど見たはずだ!何故、カルデアに味方する!」

「フン、その程度のこともわからないから貴様は雑種なのだ。我がカルデアの召喚に応じた理由はたったひとつ。この我による裁定が人類に下っていないからだ。人類が滅びるのは我が裁定を下し、人類が滅びるべきであると判断した時のみ。その時まで我以外に滅ぼされることなど到底許されんというだけのことよ」

 

レフは先程までの余裕はどこに行ったのか、頭をかきむしり、苛立ちを隠そうともしない。

 

「ああ、そうだ。レフ教授」

 

と、キリシュタリアが口を開く。

 

「あなたは知らないかもしれないが、爆弾の爆発によって死亡者は出ていない」

「は?どういうことだね、ヴォーダイム」

 

キリシュタリアはフッ、と笑うと答える。

 

「私が防御の魔術でカルデア管制室とコフィンを守ったのさ。とは言え、爆発の直前にギリギリ張った結界だ。怪我人は多数。ほとんどの重傷者は凍結保存されることにはなったがね」

「貴様がここにいるのは魂だけになったからではないとでも言うのか!それにオルガマリーがレイシフトしてきていることはどう説明する!」

「多分、運が良かっただけじゃないかな。ほら、レイシフト適正が無いと言ってもレイシフト出来ない訳じゃない。ただ、事故が起きる確率が高いだけだ。つまり、オルガマリー所長は賭けに勝ったということだね」

「そんなっ・・・ばかな・・・!」

 

レフはもうボロボロだった。

崩れ落ち、ショックのあまり震えている。

 

「さて、聞きたいことは粗方聞き終えたであろう?ならば、俊く失せよ。見苦しい」

 

レフに向けて『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』が放たれる。

それぞれの武器は全てレフに寸分違わずに命中し、塵も残さずにレフを滅ぼした。

 

「・・・は!あまりにも一方的な展開にマシュ・キリエライト我を失ってしまいました!ドクター、レイシフトは出来ますか!?」

『う、うん。準備は出来てる、いつでも行けるよ!』

 

レイシフトがはじまり、立香達の体が金色の光の粒に変換されていく。

 

「遅れてきてみりゃ、全部終わってるじゃねえか!」

「あ、キャスニキ」

「セイバー倒せたのは良かったがな!やっぱり、金ピカてめぇ強すぎだろ!」

「フハハハハハ!英雄王であるのだから当然であろう!」

 

すると、キャスターの体も光になっていく。

 

「クソ、言いたいことは山ほどあるが今回は終わりみたいだな!次はランサーで呼んでくれよ!」

 

キャスターが退去した。

これにて、冬木の聖杯戦争はキャスターの勝利で幕を閉じることとなった。

 

『よし、レイシフト開始まで後、3、2、1、今!』

 

意識が遠のき、あやふやになる。

 

燃え盛る街は遠くなり、今度はカルデアへと。

 

 

 

 

炎上汚染都市冬木

人理定礎復元

 

 

 




「ところでギルガメッシュ」
「どうした、立香」
「いや、やたらと『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』の命中率良くなかった?」
「ああ、それは射撃の補正をしているからな」
「へぇー、どうやって?」
「エルキドゥが」
「ん?」
「エルキドゥが我の宝物庫の中から武器を投げている」
「は?」
「やあ!マスター。自己紹介がまだだったよね!僕はサーヴァントランサー、エルキドゥ。よろしくね!」

カルデア戦力

マスター
キリシュタリア・ヴォーダイム
藤丸立香

以上2名をAチーム『クリプター』とする。

サーヴァント
マシュ・キリエライト クラス/シールダー
ギルガメッシュ クラス/アーチャー
エルキドゥ クラス/ランサー

マスター権限は2名のマスターで共有する。



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金持ち系サバチューバーギルガメッシュの人理修復RTA part1

筆が乗ったので。

感想くれ(定期)


「おはよう、こんにちは、こんばんは。金持ち系サバチューバーのギルガメッシュだ。今日は新企画、題して『人理修復RTA』のパート1をしていく。

ロケ地はフランス。時期はちょうどジャンヌダルクの処刑が執行された直後くらいだ。では早速始めていこうではないか!」

 

AD1431 フランス

オーラが金ピカの男にカメラを向ける男達がいた。

そう、立香にキリシュタリア、エルキドゥにマシュである。

 

「ふむ、オープニングはこんなものだろう。次は実際にRTAを撮るぞ」

「オーケー」

「はい、本番まで3・2・1」

 

「ではRTA開始だ。今回使うチャートはこの我、ギルガメッシュであるからこそ出来るオリジナルチャートである。ではまず手始めに乖離剣エアを取り出す」

 

ブォンという音と共にエアが出現する。

 

「なんか不穏だな・・・」

 

ギルガメッシュが撮影を進めるなか、立香だけは不安そうな表情をしていた。

それでも、ギルガメッシュは話を進める。

 

「そして、これをオルレアンに向かって放つ!マスター、令呪を寄越せ!」

「何言ってんのお前!?」

「令呪をもって命ずる!『宝具を開帳せよ』!」

「お前も何やってんの!?」

 

立香の不安は早速的中し、ギルガメッシュが無茶苦茶やり始め、キリシュタリアがそれに乗っかった。

 

「続いて命ずる!『全力、一瞬で終わらせよ』!」

「待て待て待て!洒落にならないって!お前、わかっててやってるのか!?」

「さらに命ずる!『脅威を滅ぼせ(面白いからぶちかませ)』!」

「本音漏れたな!?」

 

エアを構成する3つの筒がだんだんと回転を早めていく。

 

「フハハハハハ!最速でエアを抜いて、令呪でブーストして宝具を放つ!これでノーベル賞は我んもんだぜぇぇぇ!!!」

「おま、それマジで洒落になら」

「天を裂くは我が乖離剣以下略ゥ!天地乖離すRTAの星(エヌマ・エリシュ)』!!!

 

ギルガメッシュが放った一撃は空を裂き、オルレアンに消えた。

直後爆風と共にオルレアンが消し飛ぶ。

 

「フハハハハハ!RTA専用に開発したエヌマ・エリシュ倍速版よ!」

「マジで撃つかよ!?ちょ、エルキドゥ宝具BGM止めろ!」

「まあまあ、立香。これで後は聖杯を確保すれば良いんだから」

「キリシュタリアお前な?そもそも聖杯どうするんだよ。邪ンヌもふっとんだろあれ」

「まあ見ておれ、立香。この我の行動でこの章はギャグと化した!奴らも死んではいるまい!」

「なんだそれ!根拠が意味不明だよ!なんでそれで行けると思ったんだよ!」

 

フッ、とギルガメッシュは笑う。

 

「勘、だ」

「ぶっころ」

「ええい!普通に攻略する小説など山ほどあるであろう!この我の気遣いに感謝せぬか!」

「なんで、そんなとこばっかりギルガメッシュしてるんだお前!つか、メタいわ!」

「まあ、よい!オルレアンに向かうぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!やっと外に出れた!て言うかオルレアン更地になってるじゃないの!私が聖杯を持ち出せたから良かったものの、このままじゃ特異点無くなるところだったわ・・・」

 

瓦礫の山の中にひとり、ジャンヌダルクオルタはいた。

 

「フハハハハハ!」

「はっ!この声は!」

「我、惨状☆」

「誤字ってるじゃないの!て言うかどうせ犯人あんたでしょ!」

 

空中に浮かぶ黄金の船、ヴィマーナから聞こえる声に邪ンヌはキレる。

 

「確かに、我の宝具が原因よ。さて、その聖杯を貰おうか」

「いや、それ渡したら私死んじゃうから!渡せるわけないでしょ!?」

 

まあ、それはそうである。

 

「あれ?邪ンヌって自分が聖杯に作られたって知ってたっけ?」

「知らなかった思うんだけどな・・・?」

「そこ!聞こえてるわよ!と言うかあんたらもそうだったのね」

「ん?」

「え?」

「ふむ?」

「私、転生者だから」

「「「ブルータス、お前もか」」」

 

 

邪竜百年戦争オルレアン

人理定礎復元




なんかぐだぐだしてきたな(最初から)


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ジルジャ邪ンヌ

評価赤なの気持ちよすぎだろ!
邪ンヌの説明回です。
感想待ってます。



「・・・サーヴァント・アヴェンジャー、真名をジャンヌダルク。召喚に応じ、参上しました。あなたが、私のマスターですか?」

 

そんな定型文を言って、私は召喚された。

 

「おお、ジャンヌ!」

 

私を召喚したのは目玉が飛び出た長身の男、ジル・ド・レである。

 

いや、邪ンヌに転生してしまったのだが。

 

そう、私は所謂転生者である。

困ったことに転生したのは邪ンヌ。

作られたサーヴァントである彼女に間違って私が巻き込まれたとかだろうか。

ひとつ言えるのは、聖杯から知識入ってくるのなんかキモい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから私は状況を整理した。

ジルが何か喋っていたが、それはガン無視した。

このままでは私はやって来たカルデアにぶっころされてしまう。

いや、サーヴァントになって召喚される可能性はあるが、サーヴァントが召喚されるのは、そのサーヴァントにとっては奇跡だ、という風に言われる程度には召喚される確率は低いし、そもそもサーヴァントになった私が転生者の私であるかもわからないのだ。

 

故に、私の出来る範囲でこの特異点でカルデアに味方しようではないか!

 

ひとまず話終えたジルに難癖つけて宝具を放つ。

 

「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』」

「ギィヤァァァァ!?」

「取りあえず燃えなさい、あんた」

 

ジルが燃えながら、叫ぶ。

 

「なぜ、何故なのです!?ジャンヌ!!!」

「いや、あんたも私のこと助けてくれなかったじゃない?なら、私の復讐の対象よ」

「おお、なんと、そのような初歩的なことすら私は見落としていたのか・・・」

 

こいつが生きているとろくなことにならないので、適当な理由をつけてさっさと退場してもらおう。

 

「さっさと死になさい」

 

火の火力が上がり、ジルは燃えていく。

どこか満足そうな表情をしながら彼は消えていった。

 

「よし!勝った、第一章、完!」

 

とにもかくにもこれで私は自由の身になった。

 

なので、私は取りあえずオルレアンの城の死体を全て埋めて供養した。

彼らは私の召喚のために犠牲になってしまったのだ。

これぐらいしてあげてもバチは当たるまい。

 

全員の墓が出来たことでまたもすることのなくなった私は、取りあえずオリジナルの私を探すことにした。

ひとまずは体を隠せるローブに身を包み、魔女ジャンヌダルクが死んだと騒いでいるフランスの国内を旅した。

それにしてもひどい話だ。

ジャンヌダルクの話は現代でも有名だったが、実際に見るのでは訳が違う。

私はそんなフランスに辟易としながらジャンヌダルクの故郷であるドン・レミの村に向かった。

 

 

確かに母はいた。

ジャンヌに似た顔立ちの女性が。

しかし、彼女の顔には常にどこか影があった。

恐らくだが、ジャンヌダルクの死が原因だろう。

子を失った親とは一生引きずるものだと聞いたことがあるが、彼女の姿を見てそれを実感した。

私にも前世には両親がいたし、まだ若かった自分が事故で亡くなったことを悲しんでいるかと思うと少し来るものがあった。

 

と、私から少し離れた場所に今のマントを深く被った私と同じような格好をしている人物がいた。

体格は私と同じくらいであるから恐らく女性。

そして、それはジャンヌの母を見つめている。

 

これ、ジャンヌ本人やろ。

 

「ねえ、あんた」

「は、はい!?」

「いや、驚きすぎでしょ」

 

声をかけると案の定ジャンヌであった。

 

「あ、あなたは、わたし?」

「さあね、そうであるとも言えるしそうではないとも言えるかもね」

 

ジャンヌであれば問題ないだろうと思い、私は自分の事情を話した。

 

「なるほど、ジルがそんなことを・・・」

「まあ、明らかに正気じゃなかったし、介錯して正解だったとは思うけど」

「ええ、私ではできなかったことですから。ありがとうございます」

 

私としてはこの特異点を滅ぼす気もないし、この辺りで聖杯をどうにかしておきたかったが、カルデアのことを考えると、これはしっかりカルデアに確保させたかった。

なので、本物のジャンヌに言って、ここを特異点として動かすことにしたのだ。

幸いにも竜を支配する力はジルから召喚の時に与えられていたので、聖杯の力を使ってワイバーンやファヴニールを召喚した。

そして、オルレアンに住む人たちを外に追い出し、オルレアンを要塞化。

カルデアが来てもいいように、原作通りのサーヴァントを召喚して、うまく話が進むようにした。

こんな序盤でカルデアがこけてしまうのは避けたかったが故の行動だった。

 

だというのにだ。

 

「なんで、あんたは全部吹っ飛ばしちゃうのよ!私がサーヴァントと竜以外オルレアンから追い出していたから良かったものの、人いたらどうするつもりだったのよ!」

「フハハハハハ、この我がそのようなことを把握していないとでも思っていたのか?オルレアンに住民がいないことなどわかっていたから宝具を撃ったのだ」

「いや、わかってたんならいいんだけど・・・」

 

私は、はぁ、とため息をつく。

冷静に考えてみればわかったことであった。

私が転生しているのだから他にも転生した人間がいてもおかしくはないのだ。

 

「まあ、私の努力が無駄になったことは許します。あなた達が人理を守るために戦っているからですよ?まったくもう・・・」

「ふむ、しかしこの特異点が崩壊すれば君はどうなってしまうのかな?」

 

キリシュタリアがそう言う。

 

「さあね、私にもわからないわ。普通のサーヴァントなら記録として座に持ち帰ったり、原作の邪ンヌみたいに新しくサーヴァントとして成立するのかもしれないけど、私が人格そのままでサーヴァントになれるものなのかしらね」

「んー」

 

立香は考えた。

どうにかしてカルデアに邪ンヌを確実に連れていくことが出来るだろうか、と。

 

その時、藤丸に電流走る。

 

「よし、ギルガメッシュ。倉に突っ込め!」

「よしきた!」

「ちょ、まっ!?」

 

こうして、クラス・アヴェンジャー、ジャンヌダルクオルタはカルデアのサーヴァントとなったのだった。




転生者お話し中の頃のマシュ

「おや?あれは現地の野良サーヴァントの方でしょうか?」

そこにいたのは、黒い甲冑の騎士、バーサーカー。

「Arrrrrrr?Galahad!?」
「すいません、私には対バーサーカー話術がないので何をおっしゃっているのかわからないのです」
「Arrrrrrr」
「ひゃ!?頭を撫でられるとは思いませんでした。しかし、何故か安心感がありますね。
なんというかお父さんみたいなものを感じます」
『ちょ、うちのマシュになにしているんだい、このバーサーカーは!?マシュはあげないぞ!』
「ドクター、少しうるさいですよ」
『ひどい!僕はマシュのことを思って・・・』
「Arrrrrrr」


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幕間 ギルソロモン

感想、誤字報告あざます。
感想、待ってます。

説明回その2です。
なんならタイトルがFGO原作のネタバレです。


これは立香達が冬木より帰還してからすぐ後のことである。

 

「まあ、君が私達カルデアに協力的なサーヴァントであることは理解した。よろしく頼むよ、英雄王」

「まあ、警戒することは良いことだ。件の騎士王のように敵対するサーヴァントもいるのだからな」

 

と、ギルガメッシュは管制室を見回す。

ギルガメッシュは今管制室にて、オルガマリー、そしてキャスタークラスのサーヴァントであるレオナルド・ダ・ヴィンチに問い質されていた。

内容は簡単、ギルガメッシュがカルデアに協力的なサーヴァントであるかどうかという一点である。

 

「それにしてもひどい有り様よな。キリシュタリアの魔術による防御が無ければこれより酷かったとはな」

「ええ、そこに関しては彼に感謝してもしきれません。彼のお陰で大体の人員は動かせています」

 

と、そこで扉が開き、白衣を着たポニーテールの優男、ロマニ・アーキマンが入ってくる。

 

「所長、マスター及びマシュ・キリエライトのメンタルチェックが終了しました。3人とも問題は無いです。それよりも他のマスターや職員の怪我の方が大変ですね」

「続けなさい」

 

ロマニの報告を聞いたオルガマリーは続けるように促す。

 

「現在、コフィン内部においてBチーム以下のマスター候補達は冷凍睡眠ですので生命は維持できています。

そして、コフィンから出して、治療を開始したAチームのマスターですが、爆弾の位置のせいなのか個々人によって状態にかなり差があります。

まず、カドック・ゼムルプスは軽症ですが、意識は戻っていません。傷自体は一週間もあれば完治するでしょう。

次に、オフェリア・ファムルソローネは重傷ですので、当分は活動できないでしょう。

そして、芥ヒナコは最も軽症です。元から傷の治り自体が早いようで意識は回復、怪我もほとんど完治しています。

後は、スカンジナビア・ペペロンチーノも芥ヒナコ同様意識もはっきりしていて、怪我も軽いです。

デイビッド・ゼム・ヴォイドも意識はありますが重傷ですので、しばらくは復帰出来ないかと。

最後にベリル・ガットですが、彼が一番酷い。ギリギリ生きていますが、活動出来るようになるには数ヶ月は必要かと」

 

報告を聞き終えたオルガマリーはため息をつくと、

 

「わかりました。芥ヒナコとスカンジナビア・ペペロンチーノに関してはそちらの判断で現場に復帰させなさい」

「了解です」

 

話が一段落したのを見計らってギルガメッシュはロマニに声をかける。

 

「おい、ロマニ」

「なんだい、ギルガメッシュ王」

「マスターの顔を見に行きたいのと、後は貴様に話がある。医務室に案内しろ」

「わかりました。こっちです」

 

廊下を二人の男が歩いていく。

二人の間に会話は無かったが、人気が無くなるとギルガメッシュが口を開く。

 

「さて、貴様はどうするつもりだソロモンよ」

「その名前で呼ぶのは勘弁してくれよ・・・」

 

ギルガメッシュは転生者であることに加え、千里眼の持ち主である。

故にロマニ・アーキマンの正体が魔術王ソロモンであることには気がついていた(知っていた)

 

「僕がしたいことはたったひとつ。僕が原因で起きる世界の破滅を防ぐことだ」

「ふむ」

 

ロマニは淡々と自分が置かれた状況を話す。

曰く、冬木の聖杯戦争に召喚されたこと。

それに、勝利し、願いとして人間になったこと。

そのときに、千里眼で自分が原因の世界の破滅を見たということ。

それら全てを話した。

 

「まあ、つまり僕は人としての人生を生きていないってことだ。今回の事件を解決して初めて僕は自分の人生を歩めるってことなんだよ」

「なるほど。貴様の状況は理解した。人になったときに保険はかけていたようだし、そこに関しては我は咎めん。せいぜい、生き残ることだな。死んでは元も子もないであろう」

「ああ、そうするよ。っとここが医務室だ」

 

話をしている間に医務室に着いたらしく、ロマニが扉をあける。

 

「虞っさんパイセンじゃないか!」

「ちょ、なにこいつ!?キリシュタリア、ペペ、こいつなんとかして!」

「ふっ、やはり虞っさんはこうじゃないと」

「あんたまでなに言ってんの!?」

「元気な子ねぇ」

「ペペ、呑気か!」

「なにこれ」

「フハハハハハ!!!」

 

戦いは未だ始まったばかりであり、敵の正体も掴めていない。

しかし、ロマニは思うのだ。

彼らと一緒ならきっと解決出来るだろう、と。




芥ヒナコ「なにこの後輩!?」
ぐだ男「うおおお、パイセンに後輩呼びしてもらえたぁぁぁぁ!!!」
芥ヒナコ「なんなのこいつ・・・」
キリシュタリア「おめでとう・・・」
芥ヒナコ「キリシュタリアはなんで泣いてるのよ!」
ペペロンチーノ「私のことは先輩って呼んでくれないのかしら?」
ぐだ男「妙蓮寺ィ!」
ペペロンチーノ「なぜに!?」


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金持ち系サバチューバーギルガメッシュの人理修復RTA part2

ギル様の作戦はガンガンいこうぜ。


「フハハハハハ!金持ち系サバチューバーのギルガメッシュだ。今回はRTA企画の続きをしていく。

我がいるのはそう、ローマである!

さて、早速始めていこう。なに、やることは変わらん、令呪を持てマスター!」

「またこれかよ!」

「令呪を持って命ずる!『宝具を放て(バカ面白い)』ギルガメッシュ!」

「やっぱり、楽しんでんじゃねえか!」

「フハハハハハ、天地乖離すRTAの星(エヌマ・エリシュ)』!!!

 

 

 

 

その頃のレフ

「まったく、第一特異点の崩壊が想定よりも明らかに早い。ジル・ド・レは何をしているのだ!こうなれば、さっさとローマを落として・・・ん?」

 

閃光。

閃光がレフを焼く。

 

「ギャアアぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

永続狂気帝国セプテム

人理定礎復元

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フハハハハハ!!!金持ち系サバチューバー、ギルガメッシュのギルギルチャンネルにようこそ。今回RTAしていくのは第三特異点である。よし、やれ!」

「令呪を持って以下略!」

天地乖離すRTAの星(エヌマ・エリシュ)

 

アルゴーが吹っ飛び、

 

「ギャアアアアア!!!なんで、ばれたぁぁぁぁ!!」

「フハハハハハ!!!」

 

封鎖終局四海オケアノス

人理定礎復元

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「挨拶以下略、天地乖離すRTAの星(エヌマ・エリシュ)』!!!

 

「「「ギャアアアアア!!!」」」

「あれ?これソロモンに会えないんじゃ」

「我が千里眼で見たことにしてネタバレしよう」

「それはいい考えだ!」

 

死界魔霧都市ロンドン

人理定礎復元

 

 

 

 

 

 

 

天地乖離すRTAの星(エヌマ・エリシュ)』!!!

「うっそ、まだ私カルデア見てすらいないんだけど!?」

「フン、先手必勝、戦いの基本だ」

「クーちゃんどっちの味方なのよ!」

 

「う、うむ。科学がバカらしくなりかねん一撃だな・・・」

「もう、エジソンがそんなんでどうするのよ!まあ、私達の苦労はなんだったのかしらって感じなのはわかるけどね・・・」

 

あんなに強そうだったタニキが吹っ飛び、

 

北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナム

人理定礎復元

 

 

 

 

 

 

 

天地乖離すRTAの星(エヌマ・エリシュ)』!!!

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』!!!

 

光の束がぶつかる。

かたや、世界の鋲から放たれる極光。

かたや、世界を切り裂く最古の剣から放たれる閃光。

どちらも強力であるがゆえに拮抗していたが、マスターの有無が勝敗を分けた。

 

「ああもう!ここまで来たらやけだ!俺の令呪も持っていけ!」

「フハハハハハ!そうこなくては面白くない!」

 

最後に勝ったのはギルガメッシュ。

聖都は吹き飛び円卓は致命傷を負った。

太陽王は笑い転げ、弓兵は苦笑いを浮かべ、難民は呆然と見上げる。

死神は黙して見つめるのみ。

探偵はなんとも言えなさそうな表情をしていた。

そして、騎士は、それでも、と聖都を目指した。

 

 

 

神聖円卓領域キャメロット

人理定礎復元

 

 

 

「いや、本当にRTAじゃねーか!」

「だから、最初からそう言ってるであろう」

「早すぎてゲーティアビビってるだろ!いや、余った時間でマシュの情操教育できたから良いけどさ!」

「とはいえだ。次の特異点はこううまく行くとは言えんな」

「ふむ、やはり、ビーストかい?」

「ああ。さすがの我でも死の概念がない神を殺すのは骨が折れる」

 

そう、ビーストⅡティアマト。

それはグランドアサシンの助力が有って初めて倒せる、正しく人類の脅威である。

 

「まあ、それは後から考えよう。取りあえず今問題なのはマシュだよ」

「ほう」

「というと?」

「具体的に言うとマシュのヒロイン力が高くなりすぎて辛い」

「草」

「ワロタ」

「なにわろてんねん」

 

ギルガメッシュがRTAを進めていくなか、彼らはマシュのために特異点を旅することは忘れなかった。

故にマシュは様々な知識や技術を身に付けていったのだが・・・

 

「先輩、ご歓談中失礼します。カルデアからの物資が届いたので確認をしてほしいのですが、大丈夫でしょうか?」

「ああ、大丈夫だよ、どれどれ・・・」

「先輩、ここなのですが・・・」

 

「ふむ」

「なるほど」

「「距離近いな」」

 

マシュは立香に対する距離が異常に近くなっていた。

 

『え?好きな人に自分を好きになってもらう方法?』

『マタ・ハリさんなら化粧などの見た目のお話以外にも何か教えていただけるのではと』

『あー、確かに私スパイしていたしね。そう言うことなら任せて!まずは、そうねぇ・・・』

 

(マタ・ハリさんに色々教えていただいたのです!先輩を意識させて見せます!)

「マ、マシュ?当たっているんだけど・・・」

「そ、その、当ててるんです」

「ング」

「先輩!?」

 

「あ、立香が倒れた」

「やはり、童貞には効果抜群だったか・・・」

 

女性サーヴァントに立香を落とす方法を学び、

 

 

 

別の日

 

「先輩!朝御飯ですね!今日は和食ですよ」

「お、マジ?やっぱり米だよなあ」

 

「その、お味の方はどうでしょうか・・・?」

「めっちゃうまい。毎日食べたいくらいだな!」

「それは良かったです!今日は私がエミヤさんに教わりながら作ったので・・・えへへ

「グハァ!?」

「マスターが死んだ!」

「「この最強ヒロインェ!」」

 

エミヤ(おかん)に家事全般を教わり、

 

 

 

また、別の日

 

「ふぃー、いい湯だぜぇ」

「先輩・・・?」

「ママママシュゥ!?」

「お背中流しますね?」

「ちょ、まっ!?」

 

風呂に侵入した。

 

 

 

またまた別の日

 

「いや、死ぬって」

「ワロタ」

「草」

「テメーらLINEの返信かよ」 

 

立香は耐えていた。

元々、マシュは彼のタイプの見た目であったし、性格も良い。

そんな美少女に愛されていることを自覚してしまうくらいには誘惑されて、理性が限界に近かった。

 

「やべえよ、俺マシュ襲っちゃうよ・・・」

「良いんじゃないかな」

「鼻塩塩」

「ざけんな」

 

どうしたものか、と立香が溜め息をついたときだった。

 

「失礼します、先輩」

「マシュ?どうしたの?」

「いえ、その、一緒に寝ませんか?」

「今回もどストレートォ!ちょ、キリシュ?ギル?お前ら今日もオールだよな?な?」

「我はエルキドゥとラーメン食べに行くからパスで」

「私はオフェリアの顔を見に行こうと思っているから無理かな」

「顔がニヤついてんだよ、テメェら!」

「その、先輩は私と一緒に寝るのは嫌なんでしょうか・・・?それなら、無理には言いませんから」

「だぁぁぁぁ!わかった、俺の負けだから!よし、寝よう!」

 

 

ギルガメッシュとキリシュタリアが立香の部屋を出ると、ダビデに声をかけられる。

 

「おや?二人ともどうしたんだい?だいたいこの時間帯は立香君の部屋で遊んでいたと思うんだけど」

「出たなダビカス」

「帰れダビカス」

「君たちちょっと酷くない?まあ、いいや。マシュちゃんが部屋に入っていったけど立香君に何か用でもあったのかな?」

「それを聞いてどうする」

「いや、面白そうだなって」

「それは同意するね」

 

ふむ、とギルガメッシュは少し考えると、

 

「まあ、どうせバレることだ。着いてこい」

 

 

ギルガメッシュは自分の部屋に二人を案内すると、部屋にあったカメラなどを準備し出す。

 

「これから何が始まるんだい?」

「撮影だよ」

 

しばらくすると、ギルガメッシュが動画を撮り始める。

 

「フハハハハハ、金持ち系サバチューバー、ギルガメッシュのギルギルチャンネルにようこそ。今回の動画は人理修復RTAの裏で進んでいたRTA、マシュの先輩陥落RTA part10を始めていく。とはいえ、既にタイマーはストップした。何故なのかはこれを聞けばわかるであろう」

 

そして、キリシュタリアが音声を再生する。

 

『あっ♥️あっ♥️そこです♥️そこがイイです♥️先輩♥️』

『クソ!何回も誘惑しやがって!オラ!ここが良いんだろ!』

『あっ♥️ダメです♥️キちゃいます♥️』

 

そこで音声は切られる。

 

「これ以上はチャンネルがBANされてしまうのでな。これは今現在の立香の部屋に仕掛けられたマイクが拾っている音だ。これを聞く限りで、わかるように立香は完全に陥落したと言えるであろう。勿論現地(天井裏)のスタッフと通話が繋がっている」

 

『ふぐ、うぅ・・・、安珍様ぁ・・・』

 

「・・・まぁ、こういうことだ。これを持ってRTAを終了とさせてもらう。ご視聴ご苦労であった」

 

後日、清姫によるRTAも撮られ、うまくいったとかいってないとか




感想、評価ありがとうございます!
モチベーションになるのでもっとください(強欲)


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ギルキンイシュタル

感想、評価ありがとうございます!
今回から一部七章です。
エタらないように頑張ります。


「さて、今回の作戦の説明は以上よ。何か、質問はあるかしら?」

「いえ、大丈夫です」

「今回の特異点の危険性についても十分理解できています」

 

カルデア管制室にて、第七特異点の攻略の最終確認が行われていた。

 

「よし、じゃあレイシフトメンバーを確認しておこうか。まずマスターはキリシュタリア・ヴォーダイムに藤丸立香の二名。今回からは藤丸君は正式にAチームのマスターとなる。まあ、やることは変わらないからそこは安心してくれていいよ。

次にサーヴァントはマシュ・キリエライトに英雄王ギルガメッシュ。とはいえ、ギルガメッシュ王に関しては勝手にエルキドゥがついていくだろうけど、二騎のサーヴァントで作戦を行うことになる。

レイシフト先は神代、紀元前2655年の古代メソポタミアだ。神代へのレイシフトは初の試みになるから何が起こるかわからない。各員全力で君たちの存在証明をする。

作戦開始は今から一時間後、しっかり準備しておくこと!」

 

そして、会議がおわり、マスターたちは礼装の確認をしていたときのことである。

 

「そういえば、ギルのやつバビロニアどうするつもりなんだろ」

「いつもみたいにRTAは出来ないようだけどね」

 

と、ギルガメッシュが部屋に入ってくる。

 

「ここにいたか」

「お、噂をすればなんとやら、だな」

「少し聞いておきたいことがあるんだけど、良いかな?」

「なに、我はお前達が聞こうとしていたことを伝えに来た。バビロニアをどう攻略するのか、であろう?」

 

どうやら、ギルガメッシュはバビロニアでのことについて話が合って部屋を訪れたのでした。

 

「キングゥめを初手から拘束してしまおうかと思うのだが」

「あー、エルキドゥいるもんね」

「うむ、正直騙されてやる必要がない」

「三女神同盟はどうするんだい?」

「まあ、ゴルゴーンは我の宝具で良いだろう。ケツァルコアトルは、真剣に戦えば問題あるまい。イシュタルとエレシュキガルだが、そうだな。まあ、なんとかなるだろう」

「いや、イシュタル舐めすぎでしょw」

「まあ、原作を見る限りじゃ、ギルなら大丈夫だろうけどさ」

 

しかし、ギルガメッシュは少し微妙な顔をして、

 

「そういうことではないのだが・・・。まあ、よい。我からはそれだけだ。現地に行ってみねばわからぬこともあるが、現地の我もうまくやっているだろうからな。心配することもあるまい」

 

一時間後、ついにレイシフトを開始することになった。

 

「よし、レイシフトを開始するよ!」

『霊子変換を開始。カウントダウン、3、2、1、レイシフト開始します』

 

 

 

 

土の匂いと暖かい風で目を覚ます。

 

「レイシフト、成功です」 

「ここがメソポタミアか」

「懐かしい風よな」

『よし、今のところ存在証明もうまく行っている。周囲を探索してみてくれ』

「了解です」

 

辺りはどうやら滅んだ都市らしく、人の気配はなかった。

 

『いま、ウルクを確認したけど、どうやら魔術を弾く結界が張られているらしい。ギルガメッシュ王がレイシフトの地点をウルクから離したのはこれが理由だったんだね』

「まあ、この我が魔術に対する術を用意していないはずもないと考えたまでのことよ。ウルクを目標にレイシフトを行えば、座標が空中になる可能性もあったのでな」

 

と、そこでカルデアのレーダーに反応があった。

 

『おや?どうやら魔獣が近くにいるようだ。数は6体ぐらいかな?』

「フン、大方人の匂いに釣られたか。マスター、一掃するぞ!」

「オーケー!バビロン掃射で突破するぞ!」

 

魔獣はギルガメッシュによって倒された。

もとより、ウルクの王であった彼にとって、この地は戦い慣れた場所であると言うのも相まってのことでもあるだろう。

 

「ふむ、こんなものだろう」

『っ!?次は神霊の反応だ!全く、さっきから忙しすぎるぞ!』

 

空に人影があった。

 

「あら?あれ、ギルガメッシュじゃない?と言うことは、あれがカルデアね!」

 

その人影は弓のような形状の物に乗って、空から降りてきた。

 

「あ、あなたは」

「あなた達カルデアね?私はイシュタル。ウルクの都市神よ」

 

イシュタルと名乗ったのは黒髪をツインテールにした絶世の美少女で、初対面の立香達にもにこやかに挨拶をして来た。

 

((なんか優しいんだが))

「久しいなイシュタル」

「若い姿なのちょっと違和感あるわね・・・。久しぶり、ギルガメッシュ」

「あれ?なんか仲良いね?」

 

しかも、ギルガメッシュと仲が良さげである。

そこに疑問を抱くマスター二人であったが、その疑問にマシュが答える。

 

「それはそうですよ。何せイシュタル神とギルガメッシュ王は夫婦ですから」

 

一瞬、間が空く。

 

「「ええええええええええええ!?!?!?」」

 

 

 

 

「いや、ごめん。びっくりした」

「面目ない・・・」

「いえ、あんなに普段ギルガメッシュ王と遊んでいらっしゃるのに、ギルガメッシュ王がイシュタル神と夫婦であることを知らなかったのは意外でしたが・・・」

((どうせ、ケンカしてると思ってたから叙事詩読んでないとか言えない!!))

「フハハハハハ!その反応が見たかったから我もあえて言っていなかっただけよ!」

「あー、昔言ってたのがこの子達なのね・・・。っと、私もう行かなきゃ。ちょっと野暮用があるから。もしウルクに行くならマーリンにシドゥリによろしくね!」

 

そう言うとイシュタルは弓の形をした物で飛び去っていった。

 

「いやー、マジか。というか、あれ三女神同盟入ってるのかな?」

「入っておらんだろうな。大方、エレシュキガルが一人で加入しているのだろうよ」

「さて、なら次にしなきゃならないのは・・・」

「魔獣どもの掃討であろうな」

 

イシュタルと話している間に、先ほど倒した魔獣の同族が近付いていた。

 

「よし、エヌマるか」

「うむ」

「だね」

 

「『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!!」

 

悲しいことに、立香は宝具を撃つことに躊躇がなくなっていた。

 

「よし、全滅!」

「やはり、ギルガメッシュ王の宝具は強力ですね・・・!」

「では、最後に」

「「「キングゥ、貴様見ているなッ!」」」

「な、なにィー!?」バァァァァン

 

廃墟の影にエルキドゥにそっくりな見た目の人影が一人。

そう、キングゥである。

 

「なんで、バレたんだ!?というか、何故英雄王がいるんだ!?」

「やかましい、引っ捕らえろ『天の鎖(エルキドゥ)』!!」

『偽物だね!わかるとも!』

「うわー!?」

 

「あっさり捕まったな・・・」

「というか、ジョジョネタにノってなかったかい、彼」

「そうだよ!僕も転生者だよ!」

「「「こいつもかよ」」」




イシュタルがいいこになってもうた!
誰の仕業なんやろなあ(白目)


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ギルギルイシュタル

感想、評価ありがとうございます!
Fate原作で検索したら評価月間4位なの笑う。
邪ンヌの扱いに困る今日この頃です。


作者)「マジで転生者多すぎやろ!誰や!こんなに増やしたやつ!」

「なんかいた気がする」

「気にするな、ただの小説の精霊よ」

「なるほど」

 

キングゥを鎖でグルグル巻きにした一行は、転生者であると言う彼を問い詰めていた。

 

「で、なんでギルガメッシュがサーヴァントで着いてきてるんだよ!しかも、キリシュタリアもいるし!」

「なんか転生してた」

「なんか爆発したから結界張った」

「うーん、ご都合主義ィ!」 

「こいつどうしようかな?」

「ウルクまで引っ張っていくか?」

「誰に引かせる気なのかな・・・?」

 

と、あーでもないこーでもないと話していると、いつの間にか鎖を抜けていたキングゥが飛び立とうとしていた。

 

「あれ!?鎖抜けてる!?」

「バカめ!さすがに対策してるわ!覚えてろよー!」

「なんとも古典的な捨て台詞を吐いていったね」

「しょうがない。ウルクに向かうとするか」

 

そこからの旅路はとても早く過ぎていった。

何もかもギルガメッシュのヴィマーナのせいなのだが。

 

「ここがウルク市・・・!これまで見た廃墟とは比べるべくもないほどに賑やかです!」

「あそこが門みたいだね」

「まあ、ギルがいれば入れるか」

「そうだな、任せておけ」

 

そう言うとギルガメッシュは門番に近づいていく。

 

「ふむ、しっかり仕事をこなしておるようだな」

「はい?はい!?ギルガメッシュ王!?あれ!?えっ!?」

「狼狽えるな、たわけ。我はこの時代の我に用があって来た。全てはウルクのためよ。なに、しっかりウルクに入るための手順はふむ。我が同伴者と共に案内せよ」

「りょ、了解しました!」

 

「ギルもちゃんと王様やってたんだね」

「まあ、これでも英雄王として名が伝わっているからな。名に恥じぬように生きただけのことよ」

「「「格好いい!」」」

「フハハ、あまり誉めるなよ?我を誉めてもうまい菓子しかだせぬぞ?」

 

わちゃわちゃと話ながら街を進むと、街の中央部に位置する神殿(ジグラット)に到達する。

 

「ぎ、ギルガメッシュ王!?」

「なに、野暮用よ」

「まあ、ビックリするよね・・・」

 

そして、道行く神官や兵士達に驚かれながらも、玉座の間にたどり着いた。

玉座に座るのは金髪に鋭い赤い瞳の男、ギルガメッシュ。

そして、その眼前に相対するのもまたギルガメッシュである。

視線が交差する。

しばらくの沈黙、そして、それを見守るマスター達と兵士達。

 

「・・・ククク」

「・・・フッ」

 

すると、二人は我慢できなかったのか大声で笑いだした。

 

「「フハハハハハ!!!」」

「サラウンドでうるせえ!」

「いや、なに、少し愉快な気分になったまでのことよ。許せ」

「しかし、老けておるな、我!」

「やかましい!貴様とて精神は我と変わるまい!」

「おい!我の癖に生意気だぞー!」

「ス○夫ボイスやめろ」

 

生きてる方のギルガメッシュの側にいる女性、シドゥリはこうなることがわかっていたのか、額を手で抑えて、呆れている様子であった。

 

「あら?こないだぶりね、ギル②」

「その呼び方やめんかイシュタル!」

 

と、いつからいたのか、イシュタルが話しかけてくる。

 

「まあ、我は見ての通り忙しい。シドゥリに居住地を案内させる。今日はよく休み、明日また出直せ」

「妥当な判断であるな」

「我が手伝ってくれればもっと早く終わるのだぞ」チラッチラッ

「よし、シドゥリ、案内せよ!我はヴィマーナの運転で疲労困憊である!」

「うっわ、逃げたわね」

「逃げたな」

「逃げたね」

「やかましい!」

 

そして、シドゥリに居住地へ案内される道すがら、イシュタルが話しかけてくる。

 

「そういえば、名前まだ聞いてなかったわね」

「藤丸立香です」

「キリシュタリア・ヴォーダイムです」

「マシュ・キリエライトです!」

「リツカにキリシュタリアにマシュね、オーケー!ようこそウルクヘ!私の自慢の街だから、ゆっくりしていきなさい!」

 

と、彼女は歓迎する態度を見せる。

 

「そういえば、ギルってイシュタルとどうして結婚することになったの?」

「うん?そうさな、あれは「ちょ、ちょっとストップ!」」

「昔の私の話はやめてよね。かなり、我が儘だったこと思い出して恥ずかしくなるから!」

「我がそれを聞いてやめるとでも?」

「そうなるわよねー!」

 

ギルガメッシュの話はこうだった。

 

『ギルガメッシュ!結婚しなさい!』

『貴様は、女神イシュタル?何故我に結婚を申し込むのだ。貴様のために尽くせと言うのであれば、我はこの都市をいかに豊かにするのかということを考え実行している。我は暇ではない。都市神であるお前への感謝を示すためである。それでもこの都市の運営を滞らせてまで我を欲するのか?』

 

そう、説明し、質問すると、イシュタルは少し迷った後にその日は去っていった。

ここで、重要なのは、イシュタルはギルガメッシュに完全に惚れていたし、ギルガメッシュもまた彼女を嫌ってはいなかったと言うことだ。

数日後、イシュタルはもう一度現れ、結婚を迫るが、ギルガメッシュは断った。

結婚してしまえば、自身の自由などなくなることがわかっていたからだ。

故に、断ったのだが、それがイシュタルの逆鱗に触れてしまった。

曰く、『私が二度も求婚しているのに断るなんて不敬だ!』とのことだ。

イシュタルは天の雄牛、グガランナを彼女の父からもらい、ウルクを襲った。

 

3日にわたり、ギルガメッシュとエルキドゥはグガランナと戦い、互いに損耗した頃のこと。

ギルガメッシュはイシュタルに叫ぶ。

 

『これ以上はよせ、イシュタルよ!』

『うるさいわね!あんたが私の提案を蹴ったのが悪いのよ!』

『確かに、我がお前の提案を受けなかったことに怒るのはわかる。それは正当な怒りだ。だが、ウルクを襲うのは違うであろう!我は愛した女にそのような真似はさせたくない!』

 

なんと、ギルガメッシュはイシュタルを愛していると言うのだ。

これには流石のイシュタルも驚いた。

 

『嘘でしょ!?なら、なんで、私の提案を蹴ったのよ?』

『そんなもの、お前のために決まっているであろう!我は前にも言ったが、死ぬほど忙しい!故に、我はお前の側に常にいてやることが出来ん。結ばれても、それでは余計な心労をお前にかけるだけだ』

 

 

 

 

 

「へー、ギルイケメンじゃん」

「これで終わってればね。こいつ私がキュンとして『それでもいいから結婚して』って言ったら、そのままこいつの寝室に連れて行かれてその後四日間離してくれなかったんだから」

「それってもしかして、やることやってた、ということなのかな」

「・・・まあ、我仕事忙しすぎて溜まってたから」

「「○欲強すぎだろ」」

 

それを聞いたシドゥリ達が苦笑いするのだった。




まだ、ギルギルコンビは大人しいですね


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ギルジャガリツカ

感想、評価ありがとうございます!
誤字報告助かる。


ウルクに訪れた次の日。

カルデアのマスターたちは再度神殿を訪れていた。

 

「おはようございます、ギルガメッシュ王」

「うむ、良い天気であるな、マシュよ」

((なんで、カボチャのマスク被っているんだろう))

 

立香とキリシュタリアには生きている方のギルガメッシュが被っているんだろうカボチャマスクが気になっていたが。

 

「さて、一度日を置いたのは単純に休息をとらせるためだけではない。お前達には仕事を任せたい」

((被ったまま話すのかよ))

「それは、一体?」

「ジャングルの調査だ」

「「「ジャングル」」」

 

うむ、とギルガメッシュは言うとメソポタミアの地図を取り出す。

 

「いま、いるのがここ、ウルクだ。そして、地図に描かれたこの線は魔獣の防衛用の防壁だ。今回向かってもらうのは壁とは真逆の海岸近くの街、ウルだ」

 

ギルガメッシュが示した部分は深い緑色で塗られており、かなりの広さのジャングルがあることがわかる。

 

「案内にはキャスター達をつける。大方帰ってくる頃であろうからな。ほれみろ、帰ってきたぞ」

 

ギルガメッシュが目線で玉座の間の入り口を指すと、そこから白い男が入ってくる。

 

「いやー、ただいま、ギルガメッシュ王。今回の調査であらかた魔獣の出所は掴めたよ。おや?どうやらカルデアが着いていたみたいだね」

「あなたが、キャスターさんですね!私はマシュ・キリエライトと言います。そして、こちらが」

「いけ!フォウくん!」

「りつかはフォウくんを繰り出した!」

「フォウくんのギガインパクト!」

「マーリンシスベシフォーウ!!!」

「ぐはぁ!!」

 

立香がキャスターに向かってフォウを投げつけると、フォウはそう鳴き声をあげながらキャスターをぶん殴った。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「その人は放っておいても大丈夫です」

 

キャスターの側にいた少女がそう言う。

 

「あ、あなたは・・・?」

「私は・・・アナ、です。マーリン、いつまで寝ているつもりですか?起きなさい」

「アッハッハ、ひどいなアナ!少しは心配してくれてもいいと思うんだけどねえ」

「あなたのような碌でなしにかける慈悲があるだけありがたいと思ってください」

「おっと、こりゃ手厳しい」

 

倒れていたキャスター、マーリンは立ち上がると、改めて自己紹介する。

 

「さて、私はマーリン。そこの玉座に座るギルガメッシュ王に召喚されたサーヴァントだ」

『ま、マーリンだってぇ!?なんで、よりによってそいつなんだ!』

 

通信越しのロマニが叫ぶ。

曰く、千里眼を持つ人間と夢魔のハーフの魔術師である。

そして、その千里眼はギルガメッシュやソロモンが持つものの中でも最悪。

現在の全てを見通す眼であるということだ。

 

「いやー、説明ご苦労!で、ギルガメッシュ王は私に何を任せる気だったんだい?」

「ウルまでこやつらを案内せよ」

「ごめん、私調査から帰ったばかりで疲れているんだけど」

「関係無い、行け」

 

マーリンは散々駄々を捏ねたが、結局数時間後にはウルへと向けて出発することとなった。

 

「馬車でいくのかと思ったらヴィマーナとはね」

「ふん、貴様のためではない。馬車に乗るよりも早いからだ」

「全く、ツンデレなんだからぁ」

「『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』」

「どわぁ!危ないじゃないか!危うく落ちるところだったぞ!」

「目的地についたから下ろしてやろうと思っただけのことよ」

「少し、雑過ぎやしないかい!?」

「「「残当(です)」」」

 

このときの立香、キリシュタリア、アナの心は一つだった。

 

「あっついなあ」

「言うなマーリン。余計に暑くなる」

「黙れマーリン」

「消し飛べグランドクソ野郎」

「シネフォウ」

「さっきからひどいな君達!?」

 

ジャングルは南米のごとき暑さであった。

また、森の深さによって、見通しは悪く、どこに敵がいるかもわからない状況であった。

 

「フッフッフ」

「なに笑っているんだマーリン」

「黙れよマーリン」

「くたばれグランドクソ野郎」

「シネフォウ」

「いや、今の私じゃないよ!?」

 

マーリンの言う通り、その声はジャングルの奥から聞こえていた。

 

「マスター、何かが樹上を高速で移動しています!」

「ハハハハハハハハハハハハ!」

 

それは笑いながらあちこち飛び回る。

 

「にゃハハハハハハハハ!何かがではない!私はーんーとなんだったかなー?ちょっと前まで呼ばれてた名前があったはずなんだけどにゃー?美女であることは間違いないのですけどね・・・」

 

高速で移動しながらそんなことを言う何かは突然大声をあげる。

 

「ハッ!?しまった、考え事をしているうちにバービートラップ(面白い罠)の場所を忘れてしまったー!知らないうちに頭脳戦を仕掛けるとは、おのれ恥を知れ理系め!」

「よしわかった!バカだ!」

「俺文系なんやが」

「こっちもか!」

 

と、それはマーリンの言葉にキレて飛び出してくる。

 

「カバじゃねぇー!

何でみんな私をカバに例えるのかわからねぇー!」

「上から落ちてきた!」

『なんだこの生物は!UMAか?UMAなのか!?』

「ノー!私は誰でもない!あえて言うなら密林の化身、大いなる戦士達の具現!」

 

それはオレンジ色の虎だかなんだかよくわからない猫科動物の着ぐるみに身を包んだ人であった。

 

「その名はジャガーマン!

サーヴァント・ジャガーマンここに見参!

はい注目、ここでキャッチコピーだすわよ~

一年間暖めたネタ振りするわよ~

『最強の虎、ここに健在!

もう誰も私をタイガーとは呼ばせない!』

フッーーーー」

 

そこまで言うと、自信満々で得意顔をする。

 

「立香、キリシュタリア指示を。ウルの冷たい水が私たちを待っています」

「なるほどあれが南の女神」

「それ、どこ情報かな!?」

「みつりんのけしん(?)がおそいかかってきた! 」

「言ってる場合じゃないね!?」

 

アナが襲いかかるのと同時にジャガーマンが迎撃するーーーーー

ことはなかった。

 

「にゃはははは!私と戦おうとは命知らずめ!さあどう料理してやろ、へぶっ!?」

 

ーースコーンと小気味いい音がなる。

密林の奥からフライパンが飛んできて、ジャガーマンの後頭部にクリティカルヒットしたのだ。

 

「は?フライパン?」

「フライパンだな」

「フライパンだね」

 

地面にジャガーマンがうずくまる。

すると、密林の奥からガサガサと音がして人影が現れる。

 

「なにやってんだ、藤ねえ!」

「「「なんでさ!?」」」




まあ、そう言うことです。


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ジャガギルシロウ

感想、評価ありがとうございます!
オベロンこいや・・・!


ジャガーマンの後頭部にフライパンをぶん投げた人物の正体。

それは赤い外套を身に纏う()()()()()()()()()()の男であった。

 

「悪かったな、少し目を離した隙にどっかいってしまってな」

「あ、あなたは?」

「なんだ、マーリンから聞いていないのか?

なら先に自己紹介だな。俺はサーヴァント・アーチャー、衛宮士郎。ギルガメッシュに召喚されたサーヴァントだ。よろしくな」

 

その男はそう名乗ったのだった。

 

 

 

「いやー、ごめんねー!時々ジャガーマンになっちゃうのよねえ!普段は私が表に出ているんだけどなー」

 

しばらく後、ジャガーマンは目を覚ましたのだが、先ほどと違って、いきなり襲ってくるようなことはなかった。

その理由は依り代となった人間が身体の主導権を取り戻したからであった。

 

「信じられない、まさか精神力と我の強さだけで神霊から身体の主導権を奪っているなんて、そんなことあり得るのか!?」

「正確にはそれだけじゃないのよ、魔術師さん?」

「藤ねえは俺と会うまでは自意識が無かったらしいんだ」

「士郎が呼んでくれたから出てこれたのよ」

 

依り代となった女性の名前は藤村大河。

とある世界の冬木市で教師をしていた一般人らしく、聖杯戦争の関係者と数多く知り合い、本人もまた、被害にあっていたことが理由で聖杯と縁ができていたと言うのがマーリンの推察だった。

 

「さて、ここがウルの街よ!みんなー、ただいまー!」

 

ウルの街に着くと、多少は全体的に疲れた雰囲気は感じるものの、住民は無事であるようだった。

 

「女神の襲撃があった地域とは思えないな」

「いや、普通にあったわよ?襲撃」

「じゃあなんで被害がこんなにも少ないように見えるのかな」

「んー、ククルンの性格も関係あるけど、大体は士郎が何とかしてくれたから」

 

詳しく聞くところによると、ここを襲撃したのは南米の女神、ケツァルコアトル。

彼女は基本的に弱者を襲わず、戦うことの出来る男性のみを狙って戦いを挑んでいたとのこと。

何人かの犠牲者は出たものの、異変を察知したギルガメッシュによってアーチャー衛宮士郎が送られ、今まで数週間に渡って女神ケツァルコアトルと戦い続けていたとのことだった。

 

「俺はこれでも『名も無き正義の味方』という概念を伴って召喚されている。所謂正義の味方として戦った者達の力を結集させたハイサーヴァント、それが俺だ。なまじ並のサーヴァントよりも強いせいで戦いに決着がつかなかったんだよ。俺が切り札を切れないのを察してか、彼女も必殺技じみたものは使わなかったしな」

 

と、街中を進んでいた一行だったが、先導していた士郎と大河が一軒の家の前で立ち止まったことで歩みを止めることとなった。

 

「ここが今俺たちが間借りしてる家だ。ここまで暑かっただろ?一回休憩していこう」

 

「ふいー、生き返るー」

「まさか、紀元前でエアコンの風を浴びられるとはね」

「やっぱり士郎くんの魔術はスペシャルだねえ」

 

家の中はエアコンが効いており、快適であった。

 

「さて、それでケツァルコアトルはどうにか出来るのでしょうか」

「このメンツなら行けると思う。俺と藤ねえだけだと支援できるヤツがいなかったからな。マーリンが来てくれている上にギルガメッシュまでいるならうまく説得までいけると思う」

「君は説得することが出来ると言うんだね?」

「ああ、勝てばなんとかなる。そこは確認取ったからな」

「うんうん、ククルン嘘は吐かないからねえ」

 

冷たい水で体を冷やした一行はウルの神殿へと向かった。

 

「ここにケツァルコアトルがいるんだね」

「あの、やたらでかい斧は・・・」

「マルドゥークの斧だ。今回の調査で確認しておきたかった物だな」

 

と、突如女性の声が響き渡る。

 

「ハーイ!シロウ!今日も私と戦いに来てくれたんですねー!しかも、新しい仲間も連れてきたんですか?」

「おう、やっとあんたと決着を付けられそうだ!」

「それは、楽しみですね!」

 

そう言うと、神殿から人影が飛び出す。

 

「あなたが、女神ケツァルコアトル・・・!」

「イエース、その通りデース!あなた達とは始めましてですね?カルデアのことはエルキドゥから聞いていますよ!」

「なら、話は早い。我々はこの特異点を修正するのが目的で、さらにソロモンを止めることが最終目標だ。そのために、この特異点においてのみで構わない、協力していただけないだろうか?」

「んー、私は人間が大好きなので、それ自体は別に構わないんですけど、流石にただで手伝っちゃうのは違うと思うんですよねー」

「まあ、ならやることは一つだ。先に相手に参ったと言わせたほうが勝ち。そういう、勝負でどうだ?」

「私としてはシロウと婚姻を結べれば一発なんですけど、あなた既に相手がいるようですし、それでオッケーデース!私が勝ったらそこのシロウの身柄をいただきマース!」

(流石元祖主人公!)

(私達の知らないところで勝手に女神落としてる!)

 

どうも、士郎の正義を邁進する姿勢と、その根元にある他者への思いやりがケツァルコアトルに刺さったらしい。

 

「さあ、行きまーす!」

「来るぞ!マーリンはギルと士郎さんに支援!大河さんは前線お願いします!」

「マシュは大河と一緒に行ってくれ!アナは死角をついてヒットアンドアウェイだ!」

 

戦いは終始カルデアの優勢で進んだ。

もちろん、ケツァルコアトルも非常に強く、油断すれば、簡単にこの有利は崩れてしまったであろう。

しかし、今回は相手が悪かった。

 

「そこだ、足枷をくれてやる!」

 

慢心しないギルガメッシュ、

 

「I am the bone of my sword. カラドボルグ!」

 

彼女と何度も戦った士郎がいた。

 

「やれ、天の鎖(エルキドゥ)!」

『捕縛だね!わかるとも!』

「それに捕まるのはデンジャーですからね!当然避けますよ!」

「干将莫耶!」

「しまった!」

 

決着はついた。

一体どれ程戦ったのか、全員が疲労で倒れそうだった。

 

「オーノー!捕まってしまいました・・・。これでは素直に敗けを認めるしかないようですね・・・」

「さて、それじゃあ聞きたいことが山ほどあるんだが、答えてもらえるかな?」

 




「そういえば今日終始ギル無口だったよね?どうした?」
「我、感無量」
「「泣いてる!?」」
「本物の衛宮士郎に会えるとか、我生きてて良かった!まあ、我死んでるんだけどね!」
「号泣してるギルガメッシュとかびっくりだわ・・・」

衛宮士郎のイメージ描いてみました。
だけどトレスなので、問題ありそうだったら消します。

【挿絵表示】


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イシュシロキングゥ

感想感謝!評価値下がっててちょっと怖いぜ!
コメントでも言われたけどまんわかレベルの魔境だな、ここ。



「で、その女神を連れ帰ったと言うわけか」

「おう、時間は掛かったが三女神同盟の一角を崩した訳だな」

 

ケツァルコアトルを下した一行はウルクへと、女神を伴って帰還した。

勿論、現地で合流したアーチャー衛宮士郎とジャガーマンこと藤村大河も一緒だ。

 

「あとは、魔獣の女神に脳筋女神か」

「まて、脳筋女神ってなんだ」

「これは、我も予想外というか、予想通りというか、まあ見た方が早いだろう。そろそろやって来る時間だ」

「あー・・・」

 

ギルガメッシュのその言葉に士郎は何かを察したような顔をした。

 

「オーホッホッホ!!!」

 

と、そこで丁度良いタイミングで笑い声が響く。

 

「ギルガメッシュ、今日こそはウルクを明け渡していただきますわよ!」

「「「いや、アストライアかよ!」」」

 

その声の主は三女神同盟二柱目の女神アストライアであったのだ。

 

「って、シェ~ロ~♥️帰っていらしたのですね~♥️」

「久しぶりだな、ルヴィア。元気にしていたか?」

「それは、勿論!と、言いたいところですけれど、シェロに会えなかったので少しだけ調子が悪かったのです。でも、今会えたので元気ですわ♥️」

 

しかも、精神が依り代となった女性、ルヴィア・エーデルフェルトに切り替わるようで、士郎と仲良さそうに話している。

 

「うーん、士郎ったらモテモテね~」

「おや、あなたはケツァルコアトルの所にいた女神擬きでは?なぜここに?」

「それはジャガーマン!私はその依り代の藤村大河、そこの士郎の姉なのだ!」

「なんと、お義姉さまでいらしたのですね!わたくし、女神アストライアことルヴィア・エーデルフェルトと申します。以後お見知りおきを」

「丁寧にありがとうねぇ。士郎とはどこで知り合ったのかしら?もしかしてロンドン?」

「ええ、勿論!」

 

殴り込みに来たのにすっかり場に打ち解けて大河と話し始めたアストライア。

ええ・・・と思ったのがその場の全員であったのは間違いないだろう。

 

「みーつーけーたーわーよー!」

「ふん!」

 

と、そこで玉座の間にマアンナに乗ったイシュタルが突っ込んできてアストライアに攻撃する。

アストライアも反撃して、攻撃同士がぶつかってズドンと衝撃が発生する。

 

「あらあら、ミス遠坂ではありませんか?わたくしシェロとタイガさまとお話していて忙しいのですが、お引き取り願いますわ・・・!」

「士郎は私と結婚しているのを忘れたとは言わせないわよ・・・!」

 

お互いに力は拮抗しているらしく、全く動かない。

というか、イシュタルも人格が依り代になっている。

 

「士郎さん結婚していらっしゃったんですね」

「まあな。イシュタルの依り代になっていたのが俺の結婚相手の遠坂凛だったんだよ。単に偶然二人とも同じ時代に召喚されたってだけなんだけどな」

「というかいい加減にせぬか!神殿が崩れるわ!」

「まあ、それもそうね。ルヴィア、表に出なさい!」

「望むところですわ!」

 

「・・・帰るか」

「そうしようか」

 

このあと、しばらく女神同士の戦いの音が絶えなかったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

「先輩、私先に体洗ってきますね♥️」

「う、うん(めっちゃ搾られた・・・)」

 

ナニとは言うまい。

ともかく、ウルを解放したことで数日休暇が与えられた。

休暇の間もウルクの人々の仕事の手伝いをしたりして、健康的に生活していた。

 

「ふう、なんか食べ物あったかなー」

「ずいぶんと遅い目覚めだな立香」

「あれ、ギル。おはよ、って生きてる方じゃん!仕事は大丈夫なの?」

 

その日、何故か朝から特異点に生きているギルガメッシュがカルデアに与えられた建物に訪れていた。

 

「そちらはカルデアの我に任せた。奴はこの我と同じ存在だ。仕事もうまくこなすだろう。というか、我はお前と世間話をしに来たわけではない」

「というと」

「ペルシャ湾、行くぞ」

「やはり、ペルシャ湾か。私も同行しよう」

「「その声はキリシュタリ院!」」

「というか、ぶっちゃけあのエルキドゥ(キングゥ)が私の予想通りなら来ないはずがないからフル装備で行こう」

「遂に大戦略Tシャツぬぐのか!?」

「フッフッフ、脱ぐ!」

 

しばらくしたあと、ギルガメッシュ率いる一行はペルシャ湾の観測所へと向かった。

 

「何気に馬車での移動はじめてだね」

「せやな。だけど、その前に突っ込みたいことがあるんだが、良いか?」

「なんだい、立香」

「なにそのア○アンマン見たいなスーツ」

「フル装備」

 

キリシュタリアの言うフル装備とはどうやらこの金属製のスーツらしい。

 

「確かにめっちゃかっこいいし、強そうだな」

「はい!後学のためにどんな機能があるのか教えて頂けないでしょうか!」

「なんもないよ」

「「え」」

「これ、見た目がカッコいいだけの鉄の鎧だぜ」

「バカだろお前」

 

まあ、いつものTシャツとほとんどかわらなかったりするのだが。

 

「む、あれは不法投棄された石像ではないか。我は学習する王。あれの最後の一体が有利クラスではないことは知っておる!よし、やれエルキドゥ!」

「他力本願だね!わかるとも!」

 

道中の不法投棄された石像はエルキドゥに引き殺された。

 

 

 

「ここが、ペルシャ湾ですか!」

「海とか久しぶりだなあ。オケアノスを除けばだけど」

「あそこは海水浴したんだったね」

「マシュの水着が可愛かった」

「せ、先輩♥️」

(こいつなんで自分でマシュのスイッチ押すんだろ・・・)

「?」

(絶対わかってないw)

 

今日の立香の運命やいかに

 

「我は観測所に用がある。お前たちは湾でも眺めて待っていろ」

「僕もギルに着いていくよ」

「んじゃ、俺たちも行こうか」

 

湾はとても穏やかで潮風が気持ち良かった。

 

「とても綺麗ですね」

『オケアノスと比べてどうだい、マシュ』

「そうですねーーー」

 

マシュとロマニが楽しげに会話するなか、立香とキリシュタリアは小声で話す。

 

「これ、多分来るよね」

「ああ、きっと来るはずだ」 

 

『って、なんだ!?とんでもない早さで熱源が迫ってくるぞ!』

「カルデアからデータ来ました!対象と接敵まで3・2・1、来ます!」

 

それは砂ぼこりを上げて海岸に着陸する。

 

「あきれた、自分達の幸運に慣れて、平和ボケしているんじゃないのかい?」

「やっぱり来たな、キングゥ」

「それだけ無防備な姿をさらしているのだから当然だろう?それじゃ早速、厄介なやつから死んでもらおうかな!」

 

キングゥは問答無用でキリシュタリアに襲いかかる。

 

「バカめ!キリシュタリアのスーツは対サーヴァント特効がついているんだぞ!」

「いや、君たちがここに来るまで着けてきたから話は全部聞いてるよ。そのスーツが張りぼてなのはお見通しさ!」

「いや、ついてきたのかよ!そこで襲わない辺りがバカだわ!」

「フハハ!勝てば良かろうなのだー!」

「それは卑怯な方法で勝ちそうな時に使うセリフだ!」

 

キングゥの拳がキリシュタリアに迫る。

 

「キリシュタリアさん!間に合いません!」

 

キングゥがキリシュタリアの死を確信した瞬間だった。

 

「あっ、そういえば言うの忘れてたけど、このスーツ魔術的な機能ないだけでめちゃめちゃ硬いよ」

「は?」

 

ズゴーンと音がなる。

キングゥの拳から発生した衝撃がスーツに反射してキングゥの体に伝わり震える。

 

「うびびびびび」

「人のスーツに何傷つけてるんだあ!」

「いや、スープレックス!?しかもキレるのかよ」

 

 

 

 

 

 

 

「いだい」

 

数分後、後からやって来たギルガメッシュとエルキドゥにより、キングゥは捕縛された。

 

「まったく、本当に来るとは思わなかったぞ」

「いやー、それほどでも」

「「誉めてない」」

「で、こいつどうするの?ギルとマスターさえよかったらぶっ殺すけど」

「うーん、どうする?」

「隙を見て脱出!」

「「「なにぃ!?」」」

 

と、またもやキングゥがエルキドゥの鎖から脱出する。

 

「おかしいな、神性が高ければ高いほどあの鎖は強度を増すのに」

「もしかして、人間の人格に寄りすぎて神性のランク下がっているんじゃ」

「それだねー」

 

ギルガメッシュがキングゥに問いかける。

 

「貴様、何故転生者でありながら我らに敵対する!」

「フッ、全て母さんのためさ!」

「貴様、この時代に転生して今まで何をして来た!」

 

(ティアマトに膝枕されるキングゥ)

(ティアマトにあーんしてもらってご飯を食べるキングゥ)

(ティアマトの胸に埋もれるキングゥ)

 

「何もかもだ!!!」

「鼻血でてんぞ」

「やっぱりバカだったか」

「ええ・・・、我ドン引き」←千里眼で全部見た

「僕の体に鼻血出す機能なんて無かったと思うんだけどなあ」

「しょうがないだろ!母さんに母性(バブみ)を感じたんだ!!!」

「「「ルビが最悪だよバカ!!!」」」

「ハッハッハ、何とでも言え!あばよ、とっつぁーん!」

 

そう言うと、キングゥは去っていった。

 

「なんか、疲れた」

「あそこまでバカだったとは・・・」

「帰るか・・・」




というわけで三女神同盟の二人目はアストライアでした!エレちゃんだと思った?残念!ここのギルガメッシュが放置するわけないぜ!
キングゥがなんで人類滅ぼそうとしているのかわかったね!
やっぱりクレイジーだぜ!
今んとこ邪ンヌが一番まともな転生者だぜ!


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ギルギルゴルゴーン

感想ありがとうございます!
今回はサーヴァント祭りだぜ!


「さて、今日集まって貰ったのは他でもない。第三の女神を攻略するためだ」

 

神殿の玉座の間、そこでマーリンがそう言う。

因みに取り残されていた街の人々を救出するとかはだいたい事前に済まされていたので今回は無かった。

 

「それじゃ立香君たちに紹介しておこうか。これが我がマスターの召喚したサーヴァントだ!」

 

マーリンが手で指し示したのは七騎のサーヴァントだった。

 

「では、まずは余から名乗ろうではないか!余はクラスライダー、征服王イスカンダルである!共に戦おうではないか、星見の使者達よ!」

 

世界を踏破した男、征服王イスカンダル

 

「話では既に出会っているという話だったが、一応名乗っておこう。キャスター諸葛孔明だ」

 

胃薬が親友、諸葛孔明ことロードエルメロイ二世

 

「俺は名乗ったな」

 

千剣の魔術師、衛宮士郎

 

「ランサー、カルナだ。む、会ったことがあるのか。そうか。」

 

施しの英雄、カルナ

 

「アサシン、ハサン・サッバーハ」

 

初代ハサン、山の翁ハサン・サッバーハ

 

「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!◼️◼️◼️!」

 

ギリシャ最強、ヘラクレス

 

「クラスセイバー、宮本武蔵。よろしく頼む」

 

二天一流にして零に至りし()、宮本武蔵

 

 

 

「すごいメンツだね」

「色々ツッコミたいんだけど、なんでキングハサンが普通にいるの?」

「というかマーリンは含めんのか」

 

ギルガメッシュの言う通りマーリンはサーヴァントであったはずだった。

そして、キングハサンもまたグランドクラスであるが故に呼び出せないはずだった。

 

「なに、マーリンは勝手に来ただけで召喚する気は無かったイレギュラーよ。ぶっちゃけると忘れてて、来てからめっちゃ慌てた。キングハサンは知らん」

「「「おい」」」

「まあまあ、作戦の説明をさせてもらっても良いかな?」

 

マーリンによると作戦はこうだった。

まずは第三の女神の巣を見つけたので、そこにウルにあったマルドゥークの斧を使い破壊する。

出てきた女神を叩く。

 

「あれ?マルドゥークの斧って運んでたっけ?大河さんとか今どうしてるの?」

「奴らは今戦線の維持に努めておるわ。下手な兵士よりも強いからな。まあ、安心しろ策ならある。そのためにそっちの我を借りたいのだが」

「いや、それは構わないけど」

「それじゃ、早速やっていこうか!」

 

 

 

 

「AAALaLaLaLaLaLaie!!!」

 

征服王の戦車が魔獣を駆逐する。

 

「よし、左翼の部隊はそのまま囲め!」

 

孔明がその戦車から指示を飛ばす。

 

「やっべえな!なんで王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)固有結界なしに展開しているんだ!?」

「ギルガメッシュ王が宝物庫の財宝を使ったのさ!お陰で固有結界なしに軍勢の展開が出来るらしい!」

 

ギルガメッシュから貸し出されたヴィマーナに乗ったマスターとマーリン、宮本武蔵はゴルゴーンの巣の近くまでやって来ていた。

 

「いやーお姉さん一人で戦うのは流石に骨が折れるにゃっ!」

「◼️◼️◼️◼️!」

「おおう!?ヘラクレスちんも手伝ってくれるのね!助かるわ~!」

「俺も助太刀しよう。今のままでは戦線を維持できまい」意訳(私も助太刀しましょう。私一人では魔力消費が多すぎて長時間戦えないので戦線を維持することを手伝ってくれると幸いです)

「カルナっちってば一言少ないって言われない?」

「昔言われたことがあるな」

「やっぱり?」

「◼️◼️◼️◼️」(だよねー)

 

地上では女神共々混戦状態であった

 

「うんうん、地上の方は大丈夫そうだ!後はダブルギルガメッシュが来ればなんとかなりそうだね!」

 

戦いは夕暮れに近づいていた。

 

「遅いな?思ったより時間がかかっているのかな」

「早く来てくれよ・・・!」

「「呼んだな?我の名を!」」

 

その時だった。

ギルガメッシュの声が戦場に響いたのは。

 

「(呼んで)ないです」

「ナイスゥ(建前)おせえわ!(本音)」

 

地が揺れる。

 

夕日を背にして巨人が現れる。

 

「フッフッフ」

「フハハハハハ!」

 

見上げるほどの巨大な体。

光を受けて輝く黄金の角。

 

「呼んだな?」

「見たな?」

「「この我を!」」

 

そう、

 

 

 

 

 

 

「「我がガ○ダムだ!」」

 

ゴッドガンダムである。

 

「「うっそぉぉぉぉぉ!?」」

「ガッツリ版権じゃねえか!」

「驚きすぎて銀○になっちゃったよ!サ○ライズにどう言い訳すればいいんだ!」

 

「フハハ!なに、短期決戦で片付ける!先っちょだけならセーフだ!」

「いや、それアウトじゃねえか!」

 

ギルガメッシュの生きている方はヴィマーナに降り立つ。

 

「というかマルドゥークの斧はどうした!ガ○ダム持ってくるとか聞いてねえよ!」

「あれがマルドゥークの斧よ」

「「「は?」」」

 

マーリンとマスター達の声が重なる。

 

「いやなに、マルドゥークの斧が運べないのなら斧自体を動けるようにしてしまおうと思ってな。宝物庫から道具を出して改造してやったのだ」

「お前の宝物庫ドラ○もんのポケットかよ?なんだお前、ギルえもんだったのか?」

(ぼく)ギルえもん!」

「「声真似すんな!」」

 

ひとしきり茶番を終えたギルガメッシュはガ○ダムに声をかける。

 

「よし、やってしまえ我!」

「良かろう!キングオブハートの名に懸けて!」

「お前じゃねえだろ!中の人繋がりだろ!」

 

ガ○ダムが攻撃の構えをとる。

 

「なんだ!?なんだってガ○ダムがいるんだ!?かっけえ!」

 

上空からキングゥも見つめるなか、ギルガメッシュはゴルゴーンの巣に向かって気を放つ。

 

「食らえ!『石破天驚拳(エヌマ・エリシュ)』!!!」

「それ宝具なのかよ!」

 

ガ○ダムの手から放たれた光線はゴルゴーンの巣を直撃する。

 

「なにものだ!我が神殿を破壊するとは、愚か者めが!」

 

驚いたのかゴルゴーンが飛び出してくると、すかさずギルガメッシュは新たな技の構えをとる。

 

「喧しいわ!精々辞世の句でも詠んでおれ!

我の右手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟叫ぶ!ばぁぁぁぁぁぁくねつ!ゴッド、フィンガァァァァァァァァァァァァァァ!!!

 

ゴッドガ○ダムはゴルゴーンに右手を突き刺し、叩きつける。

 

「グハァ!?なんだこれは!?」

「ヒート、エンド!!!」

「グァァァァ!?」

 

ゴルゴーンは跡形もなく爆散したのだった。

 

「この戦、余達の勝利である!うおおおおおお!!」

「「「「「オオオオオオオオオオオオ!」」」」」

 

兵士達は勝鬨を上げる。

 

「まだ、終わっておらん。仕事だ武蔵」

「心得た。対剣豪大結界、起動!」

 

ヴィマーナの上で宮本武蔵が立ち上がる。

そして、世界が書き変わる。

ヴィマーナはいつの間にか海の上に浮いておりすぐそばには島がある。

 

「な、なんだ!?」

 

そして、巻き込まれたのはキングゥ。

 

「これは拙者の宝具である固有結界。この中では一騎討ちの決着が着くまでは外に出ることは叶わん。故に、尋常に勝負せよ!」

「な、なんだそれ!?逃げられないじゃないか!?くっそ、こうなったらやってやるよ!」

「では、御面!二天一流・零之空(いざ、巌流島)』!!!

「出落ちかよぉぉぉぉぉぉ!?」

 

こうして、宮本武蔵の一撃によってキングゥは戦闘不能になった。

この戦い、その結果は勝利に終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(今のうちに逃げよう)

「晩鐘は汝の名を指し示した」

「え?」

「首を出せぃ!」

「ギィヤァァァァァァァァァァァァァ!?」




「そういえばあのメンツってめっちゃ魔力食わない?」
「食うな」
「良く呼ぼうと思ったね」
「一回くらいは会ってみたいだろ!そのためなら我が宝物庫の中身を死ぬほど使ってくれるわ!」
「お前も大概オタクだよなぁ」


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ギルエレシロウ

感想、評価、誤字報告ありがとうございます!
今回はわりとシリアスな話です。


ゴルゴーン討伐から数日後。

ウルクは魔獣の侵攻が失くなったことを祝って町中お祭り騒ぎだった。

 

「いくぜ!俺はブラックマジシャンで攻撃する!黒魔導(ブラックマジック)!」

「ふん、甘いわ!我はマジックシリンダーを発動!」

「それはどうかな?」カンコーン

 

立香たちもまた、やることがなくなってカルデアに貸し出された建物で思い思いに過ごしていた。

そんなときだった。

 

「た、大変です!」

「ぐわぁぁぁ!?」ピピピピピピピピピー(ライフポイントが無くなる音)

「あれ、どうしたのシドゥリさん」

「こちらの王も倒れて!?」

「いや、我はふざけてただけ。それより『こちらの王も』と言ったな?ジグラットの方の我が倒れたのか?」

「は、はい!王がお亡くなりになられました!」

「「今かよ」」

 

急いで準備した立香たちは神殿にやって来た。

 

「これは・・・」

「過労死だな」

「うまく仕事の量調整してたから大丈夫なんじゃなかったっけ」

「それが・・・」

 

シドゥリ曰く、魔獣の侵攻が無くなったことにより、市民が大騒ぎし、その始末をつけるために以前より仕事が増えてしまったとのこと。

 

「1日何時間働いてんだこいつ・・・」

「うん、ブラック企業が裸足で逃げ出すね」

「よし、では、行くぞ冥界!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寒っ!やっぱり冥界だからかなあ」

「まあ、死者の国だって言うのもあるだろうけど、単純に日光が無いからだろうな」

 

冥界にギルガメッシュを迎えに行くことにした一行は、その辺で暇そうにしていたイシュタルと士郎を取っ捕まえるとつれてきたのだった。

 

「まあ、私がいるってことはエレシュキガルもいるだろうし、久々に顔みていこうかしらね」

「まあ、我も悪いようにされてはいまい。さっさといくぞ」 

 

冥界の大地を進むと門が見えてくる。

 

『あら、サーヴァントのギルガメッシュってことはあなた達がカルデアね』

「そうですけど、あなたは?」

『私は冥界の女主人、エレシュキガル。大方ギルガメッシュのことを迎えに来たんでしょう?あいつならこっちで保護してるから早く来なさい。門を通れるようにしておいたから』

 

その言葉にしたがい、門をくぐると、特に問題なく通ることができた。

そのあと、数十分程の時間をかけて冥界の神殿に到着したのだった。

 

「良く来たわね!さっさと持って帰ってもらえるかしら?」

「あんたが、女神エレシュキガル・・・。イシュタルと同じ見た目なんだな」

「まあ、イシュタルの召喚に連鎖して召喚されちゃったから依り代も同じなのだわ。そう言うあなたはどちら様なのかしら?さっきから身体がなんだか落ち着かないのだけれど・・・」

「あー、それは多分俺が依り代の夫だからだな・・・」

「そうだったの!?通りで懐かしく感じる訳だわ・・・」

 

と、そんなことを話していると大地が揺れる。

 

「な、なんだ!?」

「チッ、もう来おったか!キングゥめをハサンに殺させたが大方ガッツでも使ったか!」

「てことは、まさか・・・」

「ティアマトが来る!」

 

神殿の中からギルガメッシュが走ってくる。

 

「ナイスだ貴様ら!そろそろだろうと準備を進めておいて正解だったわ!」

「生きてるけど死んでるギル!ウルクにどうやって連絡するのさ!?」

「なに、こんなこともあろうかと海岸線の住民と兵士は避難させ、エルキドゥを観測所に置いてきた!何かあれば奴がウルクに伝える算段になっている!」

 

ギルガメッシュは作戦を考えていたらしく、すぐさま冥界の外に走り出す。

 

「エレシュキガル!例の件頼んだぞ!」

「わかったわ!私に会うためだけに過剰労働したことは誉められないけれど、王としてやるべきことをやる姿勢は評価するのだわ!」

 

帰りはサーヴァントにマスターが担がれ、出来る限りの最速で帰った。

ウルクに戻ると、臨戦体制の兵士とサーヴァント達。

多くの住民は避難したらしく人はほとんど残っていなかった。

 

「よし、ティアマトは今どこだ!」

「ケツァルコアトル神からの報告によれば現在ペルシャ湾の海岸線から目視出きる程度の距離だそうです!そして、ティアマトの尖兵らしき怪物が複数発見されています!それらは孔明殿がラフムと名付けました!」

「よし、大体は理解した!貴様らは順次撤退!とにかく生き残ることを最優先にせよ!もし、これによって我が死した場合は新たな王を立てよ!我が息子である必要はない!」

「はっ!王よ、御武運を!」

 

そう言うと兵士達は走って去っていく。

そして、復活したギルガメッシュはジグラットのとなりに鎮座するゴッドガ○ダムに走っていく。

 

「あれは我が使う!貴様らはティアマトをウルにおびき寄せろ!聖杯はあれに積んであるから、恐らくウルクには寄って来ないはずだ!」

 

いま、最終決戦の幕が開けた。

ヴィマーナに乗り込んだサーヴァントとマスター達はウルの上空へとやって来た。

 

「海が真っ黒です!」

「あれに触れれば生命体では一溜りもあるまい!十分に留意せよ!」

 

目標のウルには黒い影がいくつも見える。

 

「あれが、ラフム」

「話に聞くのと実際に見るのじゃ全然違うね」

 

黒い化物、ラフムは上空のヴィマーナに気が付いたのか、飛行能力を有する何体かのラフムが飛んでくる。

 

「甘いな」

 

しかし、それらを全てカルナが消し飛ばす。

 

「カルデアのマスター達よ、ここは俺が引き受けよう。先にティアマト神に攻撃し、おびき寄せろ!」

「わかった!お願い!」

 

全速力でティアマトへとヴィマーナは飛ぶ。

 

「よし、今の内に着てしまえ」

 

と、ギルガメッシュが宝物庫から礼装を3つ取り出す。

 

「これは?」

「左から強化外骨格オルテナウス、カレイドライバーR、カレイドライバーBだ。それぞれマシュ、立香、キリシュタリアに対応している」

「なんだこの仮面ラ○ダーのベルトみたいなの」

『なんだとは失礼ですね~!キュートなボディーからクールなボディーにチェンジしたルビーちゃんをもっと誉めてくださいよー!』

「は!?ルビー!?」

 

なんと、カレイドライバーとはキャスターイリヤについてきたステッキ、ルビーであったのだ。

 

「いや、確かにうちのカルデアイリヤいるけどさ!これは聞いてないよ!?」

『マスターのマスター、私たちは礼装としてコピーされたものですのでご安心を。イリヤ様とミユ様の戦闘能力には何ら支障はありません』

 

と、もうひとつのカレイドステッキ、サファイアがそう言う。

 

「こやつらはマスターとマシュの肉体の保護用の礼装だ。マシュの礼装は単純に能力を底上げするためのものだが、マスター用の礼装は一味違う。なんと、契約しているサーヴァントをカードとして使い、マスター自身がサーヴァントの能力を得ることが出来ると言うものだ!」

「「なんだそのとんでもなくかっけえのは!」」

 

礼装を装着したマスターとマシュ。

その準備が整った時、丁度ティアマトが射程距離に収まった。

 

「さーて、いっちょやってやろうぜ!」




一回くらいはやってみたかった仮面ライダーカルデア。
ほぼゴーストw


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ギルティアシロウ

感想、評価、誤字報告ありがとうございます!
いつの間にか赤バーに戻ってて嬉しみ。
今回は長めです。

追記
カルナさんの宝具がミスっていたので書き直しました。


「Ahhhhhhhhhhh・・・」

 

ビーストⅡティアマトがそう声を上げる。

すると、とんでもない数のラフムが現れる。

 

「よし、ここは余の宝具を使い奴らを殲滅、あの女神も引き寄せようぞ!」

「そういうことなら私も行こう。軍を指揮するのは私に任せろ」

「うむ、では行ってくるぞカルデアのマスターよ!ウルでもう一度会おうではないか!行くぞ坊主!」

「いい加減坊主呼びはやめろ!」

 

イスカンダルと孔明がヴィマーナから戦車で離れていく。

 

「なぜ、無駄だとわからないんだ、君たちは」

「「「バカ!」」」

「満場一致でバカ呼ばわりは酷くないかな!?これでも母さんに頭の良さは誉められているんだぞ!」

「ジャガーマンも相当のバカだったけど彼も酷いな!」

 

と、キングゥがヴィマーナの近くに現れる。

 

「こほん。とにかく母さんが地上に出てきた時点で君たちの負けは確定だろう?だいたい、そんな貧弱な装備のマスターじゃ生き残るのも難し、ってなんだそのかっけえベルトは!いいなー!羨ましいなー!」

(((わかった、こいつ思考回路が小学校低学年並みだ!)))

「いや、キングハサンおるやん」

「あ」

(((忘れてたのか・・・)))

「というか、奴に貴様に止めを刺すよう指示したはずだったのだがな」

「フッ、ガッツで耐えた」

「なんだこいつ」

「さて、これ以上邪魔されるのも面倒だし、ここで退場してもら、ヘブッ!?」

 

キングゥに黄金の何かがぶつかる。

 

「オーホッホッホ!ここで会ったが百年目というやつですわ!」

「ルヴィア!手伝いに来てくれたのか!?」

「ええ、わたくしとしてはシェロに協力するのはやぶさかではありませんから」

 

くるりと士郎の方からキングゥの方にアストライアは向き直ると、ニヤリと笑う。

 

「さて、わたくしはこの地にて三女神同盟を結ぶ際、あくまで人類が滅ぶべきであるとわたくしが判断した場合のみウルクを攻撃すると言いました」

「あ、ああ。確かにそういう契約だった」

「そして、わたくしが人類が存続すべきであるという結論に至ったのであればあなた達を倒すというのも言いましたね?」

「ま、まさか」

「そのまさか、ですわ♥️裁きの時は今、汝の名を告げよ(クストス・モルム)』!!!

「ギャアアアァァァァァァ

「おお、綺麗に決まったな」

 

アストライアの宝具はなんとバックドロップである。

故に、海上であるここで使うと・・・

 

「あ」

 

ぼちゃん

 

水に何かが落ちた音がした。

 

「「「ア、アストライアァァァァァ!?」」」

「絶対落ちたらダメだろ、あの海!?」

「まさかあそこまで脳筋女神だとは我にもわからなんだ・・・」

「おかしいやつを無くしたな・・・」

「勝手に殺さないでくださいまし!?」

「あ、生きてた」

 

生きていた。

 

「確かに此方の霊基を飲み込もうとしてきましたが、力ずくで抜け出しましたわ!」

「つっよいね・・・」

「我、流石に呆れる」

 

とにもかくにも、キングゥは親指を立てながら沈んでいったので、無視してティアマトへと向かう。

 

「あれがティアマト・・・」

「でかいね」

「まあ、策ならある。エルキドゥ!」

「オレオレ詐欺だね!わかるとも!」

 

題してオレオレ詐欺作戦。

これがギルガメッシュが立案した作戦であった。

 

「お前何言ってんの?」

「まあ、見ておれ」

 

エルキドゥはギルガメッシュの指示を受けると、ティアマトへと飛んでいく。

 

「母さん!ボクだよボク!ちょっとギルガメッシュがウルに移ってたみたいでさ、ウルクはもぬけの殻だからこっちに来てよ!」

「いや、騙されるかよ!?」

 

そう、キングゥは死んだエルキドゥの身体を使っているため、エルキドゥと見た目が同じである。

故に、キングゥの振りをしてエルキドゥがティアマトを誘導できると考えたのだろう。

曰く、ティアマトとか何万年生きてるかもわからんおばあちゃんだし、騙されるだろ。とのこと。

そんな最低な理由で立案された作戦だったが、

 

「Ahhhhhhhhhhh!!」

「うん、進路が明らかにウルの方に変わったね」

「マジかよ」

 

この子にして、親あり。

他の世界ならいざ知らず、息子であるキングゥの影響をもろに受けたティアマトは有り体に言ってバカだった。

 

そのまま一時間とちょっと。

地上と海上で戦っていたサーヴァントや女神を回収して、ウルの上空へと帰ってきたヴィマーナ。

 

「ティアマト神、ウルに到達します!」

「よし、今だ!やれ、エレシュキガル!」

『正直、うまく行きすぎて怖いのだわ!』

 

ウルの大地が崩壊する。

事前にギルガメッシュが仕込んだ爆薬のせいだ。

 

「Ahhhhhhhhhhh!?」

「よし、落ちたな?(確認)」

「二重の意味で汚ねえ」

 

ヴィマーナは下降していく。

 

「行くぞ、貴様ら!これが最後の戦いよ!」

「「「「「「「「おおー!」」」」」」」」

 

ティアマトは冥界へと流れ込んだ海水の中から姿を現す。

その姿は先程の人の形ではなく、まさしく魔獣の女神であった。

 

『ティアマトの形が変わった!?不味いぞこれは!さっきとは霊基の強さが桁違いだ!』

「狼狽えるな、ロマニ・アーキマン!こやつは元々本体がこちらだ!故にこの状態でも倒す算段はつけておるわ!やれ、ハサン!」

「心得た。我が冠位返上しよう、死告天使(アズライール)』!!!

 

キングハサンの宝具によってティアマトに『死』という概念が付与される。

 

「よし、次だ!宝具を打ち込め!」

「よぅし!ここは余が、余らが囮になってやろうではないか!

遠征は終わらぬ。我らの胸に彼方への野心あるかぎり!勝鬨を上げよ!王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』!!!

 

固有結界が展開され、ティアマトごと飲み込む。

この中には数多の戦士達。

全てがサーヴァントである。

これこそが征服王イスカンダルと心象風景を共有する彼の部下達を一度に召喚する宝具、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)である。

 

「蹂躙せよ!」

「「「「「「「オオオオオ!!!」」」」」」」

「Aalalalalalalalie!!!」

 

ティアマトを守るように現れたラフムを蹂躙する。

その場に現れたラフムはそれまでに確認されていたものと比べて圧倒的に強い個体であったが、それでも圧倒的な数の暴力には勝てなかった。

 

「よし、俺も仕掛けよう。

神々の王の慈悲を知れ。インドラよ、刮目しろ。絶滅とは是、この一刺し。

焼き尽くせ!日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』!!!

 

カルナが放ったのは対神宝具、日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)

あらゆる存在をその存在ごと焼き尽くす無慈悲な一撃である。

 

「Ahhhhhhhhhhh」

「すげえ、効いてる!?」

「はい、カルナさんの宝具が確実に霊基を削っています!」

 

しかし、黙って神ですら殺しかねないそれを受け続けるほどティアマトは甘くなかった。

 

「Ahhhhhhhhhhh!!」

「まずい!ネガジェネシスだ!イスカンダル、軍を退かせろ!」

 

マーリンの声も虚しく、王の軍勢は少しずつティアマトが発生させた結界、ネガジェネシスに飲み込まれ姿を消していった。

 

「私は最悪の席に立つ。それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷——顕現せよ、いまは遙か理想の城(ロード・キャメロット)』!!!

「星の内海(うちうみ)、物見の(うてな)。楽園の端から君に聞かせよう……君たちの物語は祝福に満ちていると。罪無き者のみ通るがいい――永久に閉ざされた理想郷(ガーデン・オブ・アヴァロン)』!

「私の冥界で好き放題させないのだわ!霊峰踏抱く冥府の鞴(クル・キガル・イルカルラ)』!!!

 

なんとか、マシュ、マーリン、エレシュキガルの三人の宝具によってネガジェネシスが周囲に広がっていくことを防いだ。

空に退避することで生き残ったイスカンダルは驚嘆する。

 

「なんということだ!余の宝具が上書きされ消し飛ばされるとは!」

「こいつは厄介だな。恐らくだがカルナの宝具も結界内部に到達していない以上サーヴァントの宝具は効かないと見ていいだろう」

「ふん、サーヴァントなら、であろう?」

 

地上から声が響く。

 

「ギルガメッシュ!今まで何やってたんだよ!」

 

そう、ウルクの王、ギルガメッシュ。

先にウルにゴッドガ○ダムに乗って準備していた彼は今このタイミングで現れた。

 

「なに、少々準備に手間取っていただけのことよ!それよりも、今あれを止められるのは我ら生きている人間だけである!」

「それでは、ギルガメッシュ王が?」

「それは当然だ。だが、俺だけではあの獣の結界を消滅させられん。故に、リツカ、キリシュタリア。お前達の力を借りたい」

 

ギルガメッシュは二人を見る。

彼らは何をすべきなのかが全てわかっているようであった。

 

「任せろ。そのためのこの礼装だろ?」

「こうなるとわかっていたさ。君は隙を作れ。後は私たちで何とかする」

「そんな!お二人とも危険です!」

「マシュ、既にマスターの安全を第一に出きる段階はとうに過ぎている。お前はその宝具を維持せねばならん」

「大丈夫だよ、マシュ!ダヴィンチちゃんとギルガメッシュが作った礼装があるし、何よりこの礼装を使えばサーヴァントのみんなの力が借りられるからね」

「ああ。それに私たちは既にあれを止める算段をつけている」

 

と、武蔵とヘラクレスが立香達の前に立つ。

 

「そちらこそ安心して行ってくるといい。拙者達あれを食い止めている彼女らにはラフムどもを近づけさせぬ」

「◼️◼️◼️◼️!」

「二人とも、お願い」

「よし、準備は出来たな?まず、我が奴に隙を作る。恐らくだがその隙は一瞬だ。タイミングを誤るなよ?」

「まあ、だよね。とすると、移動と攻撃は担当分けたほうが良さそうだな・・・」

 

ゴッドガ○ダムがティアマトの前に立つ。

 

「行くぞティアマト!

我の右手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!ばぁぁぁぁくねつ!ゴッドフィンガー!!!」

「Ahhhhhhhhhhh!!!」

「ヒートエンド!」

 

ゴッドガ○ダムが繰り出したゴッドフィンガーはティアマトを仰け反らせ、一瞬動きを止める。

 

「やれ、お前達!」

「「夢幻召喚(インストール)!!!」」

 

ヴィマーナから飛び降りた二人は各々のクラスカードをベルトにセットする。

 

「ライダー、アキレウス!」

『この場面で俺を選ぶとは、見る目があるじゃねえか、マスター!』

 

立香はアキレウスを、

 

「キャスター、メディア!」

『なるほど、私を選んだ理由はだいたい察しがつくわね』

 

キリシュタリアはメディアの力を借りる。

 

「行くぞ、アキレウス!」

『おうよ!』

「『クサントス! バリオス! ペーダソス! 行くぞ! 命懸けで突っ走れ! 我が命は流星の如く!疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)』!!!』」

 

戦車は流星のごとく加速する。

その早さは正しく神代最速。

瞬きをする間にティアマトに肉薄する。

 

「このままぶつけるぞ!」

「任せたまえ!頼むぞ、メディア!」

『ええ、しっかりやりなさい!』

 

キリシュタリアが戦車から飛び出す。

 

「『術理、摂理、世の理、その万象……一切を原始に還さん破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』!!!』」

 

ティアマトの額に突き刺されたそれはティアマトの体内の聖杯を無効化する。

そして、ネガジェネシスをも無効化した。

 

「っと、ナイスキャッチ、立香」

「そっちこそナイスガッツ!よし、やれ!みんな!」

 

この地に集った数多の英霊達が宝具、その真名を解放する。

 

「勝鬨を上げよ!王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』!!!

「これぞ大軍師の究極陣地!『石兵八陣《帰らずの陣》』!!!

「対剣豪大結界、展開!二天一流・零之空(いざ、巌流島)』!!!

「◼️◼️◼️◼️!射殺す百頭(ナインライブズ)』!!!

「我が身を呪え!梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)』!!!

「呼び起こすは星の息吹。人と共に歩もう、僕は。故に――人よ、神を繋ぎ止めよう(エヌマ・エリシュ)』!!!

 

轟音、振動、閃光。

ありとあらゆる物理現象による暴力が空間を荒らし回る。

 

「よし、士郎!私の魔力持ってきなさい!」

「おう、借りるぞ、凛!」

 

士郎がヴィマーナから飛び降りる。

 

「体は剣で出来ている

 

血潮は鉄で心は鋼

 

幾たびの戦場を越えて不敗

 

ただ一度の勝利も求めず、

 

ただ一度の敗走も無し

 

担い手は孤り。

 

剣の丘で星を視る。

 

故に、我が物語(生涯)()は要らず。

 

この体は、

 

無限の剣で出来ていた!」

 

士郎が地面に着地すると同時に世界が三度塗り変わる。

剣が無数に突き刺さり、青空に桜の花びらが舞い、大地に緑が溢れるその場所こそ彼、衛宮士郎の宝具、アンリミテッド・ブレイド・ワークスである。

そして、サーヴァントのギルガメッシュが乖離剣を手に取り、士郎はもう一度詠唱を始める。

 

「これを持って決別の儀とする!」

「宝具、第一宝具から第三宝具へと転換!」

 

「原初を語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝ぎ。

世界を裂くは我が乖離剣。

星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の終着よ。

死をもって鎮まるがいい!」

 

ギルガメッシュは乖離剣により世界を歪め、

 

「束ねるは千の剣、輝けるはいつかの極光!」

 

士郎は固有結界内部にある全ての剣を、彼を依り代とするとあるサーヴァントのように一本の剣に纏め上げる。

 

「『天地乖離す、開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!!」

「『今は遠きいつかの剣(エクスカリバー・アルトリウス)』!!!」

 

黒い開闢の光と白い創成の光がティアマトを飲み込む。

 

「Ahhhhhhhhhhh・・・」

 

沈黙。

 

ティアマトが地に倒れ伏し、消滅する。

 

『もう、私を愛さないで・・・』

 

その声は、その姿は、今を生きる人々の誰もが聞いた、見た。

 

「ティアマト・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「かあ、さん・・・」

 

泥から這い上がった彼は人知れず涙を流す。

彼が彼となる前の生で誰からも愛されなかったが故に。

自分を愛してくれた唯一の存在に涙した。



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キリギルギルリツカ

感想、評価ありがとうございます!
感想で指摘して頂きましたが、カルナさんが二回宝具撃っていたのが設定上不可能だったということですので、修正します。



『ビースト、ティアマトの消滅を確認。ケイオスタイドもなくなった!完全勝利だ!』

「終わったか・・・」

「疲れたー」

「カルデアでの戦闘訓練が役に立ったね」

 

ビースト、ティアマトは消滅した。

ティアマトから聖杯を回収したことで特異点の修正が開始。

カルデアへの帰還が決定した。

ウルクに帰ると、そこにはシドゥリの他数十名の人間がジグラットに残っていた。

 

「王よ!」

「避難しろと命じたのにも関わらず残っていたか。全く、頑固者めが」

「王には言われたくありませんよ?」

「フハハ、それもそうか!」

 

ジグラットの玉座の間からもぬけの殻となったウルクを眺める。

 

「この後、ウルクはどうなってしまうのでしょうか」

「そうさな、市民も王も都市神も健在だ。すぐに元に戻るだろう」

「それは、良かったです・・・!」

 

ギルガメッシュが振り返る。

 

「さて、あのゴッドガ○ダムだが、この時代には正直過ぎた物だ。そちらの我が持っていけ」

「良いだろう」

「よし、では折角ウルクに来たのだ。麦酒を飲んでいけ」

「ギルガメッシュ王、わたしも先輩もキリシュタリアさんも未成年なのですが」

「なに?なんだ、勿体ない。では杯だけでも持っていけ」

 

ギルガメッシュが器に入った麦酒を飲み干すと、その器を投げて渡す。

 

「ギルガメッシュ王!?これって、せいは」

「皆まで言うな、マシュ。我の国を救ったのだ。それくらいの報奨を出さねば王としての度量が疑われるわ!」

 

召喚されたサーヴァント達も少しずつ姿を消していく。

そして、女神もまた。

 

「士郎、もういくのね」

「ああ。これでギルガメッシュとの契約は終わりだからな。そういう凛はどうするんだ?」

「今の私はウルクの都市神でもあるから、この街が滅びるまではとどまるつもり」

 

士郎の身体が光の粒に変わっていく。

 

「あっ、そうだ。一応、もう一度聞いておくわ。

あなた、幸せだった?」

「それ、二回目だろ?何回聞かれても答えは変わらないよ。当然、幸せだったさ。もう、俺は答えを得たから。だから、安心しろよ!次、また会おう」

「うん、またね・・・」

 

凛はその時、その場に誰もいなかったことを幸運に思ったという。

 

「じゃあね、シドゥリさん、ギルガメッシュ!」

「ここでの経験は私にとって掛け替えのないものになりました」

「黒幕との決着はしっかりつけます。どうか、見守っていてください」

 

「ああ、そうだ。我、奴のことは任せたぞ」

「言われるまでもないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルデアが帰還してからしばらく後。

 

「はあ、はあ・・・」

「随分と遅い到着であったではないか、キングゥ」

「ギルガメッシュ?なんでここに、って僕を終わらせに来たのか・・・」

 

キングゥは手を広げてギルガメッシュに言う。

 

「殺せよ。どうせなら一思いに終わらせてくれ」

「そうか」

 

ギルガメッシュの背後に王の財宝が展開される。

キングゥは目をつぶり、その時を待つ。

しかし、攻撃はいつまでも来ない。

 

「・・・?」

「悪いが気が変わった。貴様にはもっと辛い目にあってもらうとしよう」

「は?何をいって」

天の鎖(エルキドゥ)

「うわっ!?嘘だろお前!?」

「せいぜいウルクのために働け、馬鹿者が」

 

その日、ウルクには失われたはずの王の友が帰ってきた。

これは、ギルガメッシュ叙事詩にも『友の帰還』として残されることになる。

 

 

 

 

 

 

「お帰りー!みんなー!」

「はい、ただいま帰還しました、ドクター」

「メディカルチェックするぞー。医務室にマスターとマシュは行ってくれ」

「オーケー、ムニエル」

「ムニエルもお疲れ様」

「おう、サンキューな」

「ギルガメッシュ王はミーティングをしたいのでこちらに」

「うむ、良かろう」

 

三人は指示に従って、医務室に向かった。

 

「あら、三人とも帰ってきたのね!」

「ペペさん、すっかりお元気になられたんですね!」

「ええ!見ての通り超元気よ!」

 

医務室の扉を開けようとするペペロンチーノに出会った三人は共に中に入る。

 

「ところでペペロンチーノ、君はどうして医務室に?怪我の定期観察か何かかい?」

「そっちは本当に大丈夫よ。私はお見舞い」

「あっ!カドックとオフェリアが起きてる!」

「うるさいぞ、医務室では静かにしろよ」

 

頭に包帯を巻き、ベッドに寝ている男、カドック・ゼムルプス。

 

「キリシュタリア、久しぶりね」

「・・・ああ」

 

眼帯をし、全身に包帯をしている少女、オフェリア・ファルムソローネ。

 

(ペペさん、キリシュタリアのやつ、なんか口数減ってね?)

(多分緊張しているんじゃないかしら)

(なんで?)

(私の憶測だけど、キリシュタリア、オフェリアのこと好きなんだと思うのよねぇ)

「マジか」

「?立香、どうかしたのかい?」

「い、いや何でもない」

 

メディカルチェックはそれほど時間がかからずに終わった。

ただ、マシュはもう少し他の検査をするとのことで医務室に残った。

いま、立香とキリシュタリアは二人でマイルームへと歩いていた。

 

「そういえばさ」

「なんだい?」

「爆弾からコフィンのみんなを守ったとき、オフェリアとか怪我の程度に差が出たのって何で?」

「ああ、それか。単純に防御の魔術が薄かったり厚かったりって言うのもあるけど、オフェリアは特に爆弾が多く仕掛けられていた。故に私の魔術では防ぎきれなかったのさ。まったく、自分の無力さが口惜しいよ」

 

完璧超人と言われるキリシュタリアにも出来なかったことがあった、ということだ。

 

「まあ、誰も死んでいないんだから良かったじゃん」

「不幸中の幸い、というやつだね」

 

最後の戦いはすぐそばまで迫っている。

しかし、彼らはきっと変わらないのだろう。

そう思わさせられる。

 

 

ところかわって、和室らしき部屋。

そこには銀髪で天然パーマの死んだ魚の目をした男がいた。

 

「よしよし、うまく行きそうだな!」

「銀さん、また彼らを見てたんですか?」

 

そして、その部屋に特徴的な袴を着た眼鏡の男が現れる。

 

「まあな、奴らを倒せるのはこいつらだけだ。うまく行けばこの盤面も無事に切り抜けられるはずだ」

「銀さんって何にも考えてなさそうな死んだ魚の目をしているのに案外しっかり考えていますよねぇ」

「おいおい、新八。俺はこう見えても賢いんだ。昼間からパフェ食ってるただのお兄さんじゃねえんだよ。九九も全部言えるんだからな」

「ただの甘党のおっさん以外の何者でもねえだろ!あんたの食生活、沢庵ばっか食ってるうちの副長と大して変わらねえわ!」

「おっさんというな!こちとらピチピチの二千代だわ!後、あのM字ハゲと一緒にすんな!」

「ピチピチの二千代とかいうワードはじめて聞いたわ!おっさん通り越して仙人じゃねえか!後、副長は禿げてねえから!なんだ、M字ハゲって!」

 

二人は疲れたのか、肩でしばらく息をした。

 

「まあ、とにかく俺はあと少し準備しておくからそっちは任せたぞ」

「はいはい、了解ですよ」




「あれ?それならベリルも爆弾たくさんつけられてたってことになるのか?」
「いや、あいつは防御魔術ほぼつけなかっただけ」
「草」


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レフギンリツカ

感想、評価ありがとうございます!
前回の最後あいつが登場です!
だれなんだろうなー()


「では、これから最後の特異点、魔術王ソロモンがいると思われる地点へのレイシフト作戦のミーティングを始めます」

 

メソポタミアから帰還した数日後。

人理焼却事件最後の戦いが迫っていた。

 

「・・・作戦内容は以上です。これは現在使えるカルデアの全てを使った最終決戦です。作戦開始は二時間後。各員、全能力を持って作戦に当たりなさい!」

 

カルデアはマスター達が帰還してすぐ、新たな時空の歪みを発見した。

そこから発せられる魔力が度々ギルガメッシュに消し飛ばされていた魔神柱とほぼ同一の反応であったことからそこをソロモンの居場所であると結論づけ、最終決戦の準備を開始したのだ。

しかも、カルデアの座標自体もその特異点に近づいて行っていた。

最終的に戦闘のために出撃出来るマスターは五人。

キリシュタリアに立香、ペペロンチーノにカドック、ヒナコである。

他の人員は皆怪我が治りきらなかったことが理由で医務室から出ることを許されなかったのだ。

 

 

 

「これが最後か」

「ああ、私達は出来ることを最大限やって来た。最後までそれを続けるだけさ」

「まあ、何があろうと我がどうとでもしてくれよう。お前が気に負うことはない」

「そうだよな。よし、いっちょやってやるぜ!」

 

 

三人は終局特異点、冠位時間神殿ソロモンへと足を踏み入れた。

 

『よし、作戦は先程伝えた通りだ!マスター各員は細心の注意を払って作戦を遂行してくれ!』

「「「「「了解!」」」」」

 

玉座があるであろう地点に向かってヴィマーナに乗って進む。

と、魔神柱が複数出現し、行く手を阻む。

 

「おやおや、遂にこんなところまで来てしまったのかね?カルデア!」

「レ/フ・・・!」

「話には聞いてたが、マジだったんだな・・・」

「胡散臭いとは思っていたのだけどねぇ」

「なんか、私の名前おかしくなかったかね?まあいい、この空間に来た以上私にころ」

天地乖離す、開闢の星(エヌマ・エリシュ)

 

沈黙が訪れる

 

「ええ・・・、容赦無さすぎだろ・・・」

「まあ、これであれがいなくなったんだし良いじゃない」

 

レフは話している途中で雑に撃たれたギルガメッシュの宝具に消し飛ばされたのだ。

しかし、この特異点ではそれは意味をなさない。

 

「無意味無意味無意味ィ!残念だったな、英雄王!この特異点では私達魔神が死ぬことは無いのだよ!」

「そこは変わらぬか、面倒なやつめ」

「さっさと諦めることをオススメす、グハァ!?」

「ギャーギャーギャーギャーうるせぇんだよ。二千年生きててまだママのおっぱいから離れられねえのか?ガキかてめえ」

 

復活したレフにぶつかったのは洞爺湖と柄に彫られた木刀。

レフに当たった木刀は飛んできた方向に戻っていく。

そこにいたのは銀髪の天パに死んだ魚の目をした男。

 

「き、貴様は!」

「どうもー、万屋銀ちゃんでーす」

 

そう、坂田銀○である。

 

「「「なんでいるんだこの天然パーマ!?」」」

「天パは事実だけど、そっちじゃなくて銀さんって呼んでくれよ」

 

坂田○時は近くの岩に腰掛ける。

 

「しっかし、あんたらよくもまあこんなに早くこの特異点まで来たよなあ。正直驚いてるぜ、俺は」

「いや、ええ・・・?」

「なに、こいつ・・・?」

 

一体何者なのか、そう困惑する立香達。

意外にもその疑問を解消したのはレフだった。

 

「貴様は、管制塔バルバトス!何故カルデアに味方する!」

「「「マ?」」」

「何故ってそりゃあ、人間に滅んで欲しくないからに決まってるだろ。アホかお前」

「なんだと、このパチモン!」

「パチモン言うな!俺の方が先に生まれているからこの坂○銀時って言う名前も俺の方が先だ!」

 

CV杉田智和で繰り広げられる罵倒の応酬に立香達が困惑していると、二人の後ろに黒い影が。

 

「わん!」

「ぐわぁ!?」

「オラァ!死ねアル!」

「ブフォオ!?」

 

レフを咥えるのは真っ白い巨大な犬。

銀○を踏みつけているのは赤いチャイナ服を着た少女。

 

「この、この、くたばるネ!」

「ちょ、神楽ちゃん!?そっち銀さん!声同じなだけでそれ僕らのマスターだから!」

 

と、後ろの方から眼鏡の男が現れる。

 

「あれ?ホントだ。銀ちゃん、大丈夫アルか?」

「大丈夫じゃねーよ!どう見ても致命傷だろうが!血で洞爺湖出来るわ!というかあの全身緑色と間違うなよ!」

「生きてたアル」

 

それを見ていたギルガメッシュがキレる。

 

「ええい、いつからこの小説は銀魂゜の二次創作になったのだ!」

「これ、クロスオーバータグいれた方が良いかな?どう思うギルガメッシュ」

「だぁ!作者がナチュラルに小説の本編に登場するな、馬鹿者!許されるのは前書きとあとがきまでだ!あと、そんなこと我に聞くな!」

 

定春(?)に咥えられたレフが声を出す。

 

「さ、先程も言ったが、私は不死身だ!ここでこの畜生に殺されようと消滅することは」

「あ、それ僕らでぶっ壊しておきました」

「は?」

「いや、こう、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を使ってこの特異点の構造を破壊したので、しばらくの間は殺されたら二度と復活できなくなりましたよ」

「え、ちょ」

「定春ー、今日の晩飯それな」

「わん」ガブッといった

「「「「「「あ」」」」」」

 

レフは死んだ。なんだかよくわからない白い犬に食い殺されたのだった。

 

「さて、自己紹介といこうぜカルデアのマスター!」




うまく隠れたな?隠れてるな?
セーフ!


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ギンキリリツカ

流れ変わったな(確信)
というわけで気が付いたらクロスオーバー小説になっていた当小説です。
更新が止まっていたのは受験勉強していたからですね。
息抜きにチビチビ書いていたので取りあえず投稿しておきます。

あけおめ!



「で、なんで魔神柱がジャ○プ主人公の見た目になってんだ」

「これには深くも浅くもない訳があってだな」

「おう」

「端的に言うと、人類滅ぼされたら俺好みの女の子いなくなるじゃねーか!」

「「「バカみたいな理由だったー!?」」」

「まあ、こんなでも人類の味方なのは間違いないですよ。じゃなきゃ僕が召喚に応じていませんよ」

 

魔神柱バルバトス。

それが変身した姿である男と話していると、サーヴァントの眼鏡の男がそう言う。

 

「ふむ、貴様は?」

「失礼、名乗るのが遅れました。僕はサーヴァント・セイバー、真名、永倉新八です。生前は新撰組の二番隊隊長を務めていました。そこの魔神柱バルバトス、銀さんに召喚された人類史のサーヴァントです」

「おお、マジの新撰組二番隊隊長だ」

「なんで、見た目が銀○゜の新八と同じなんだろう・・・」

「そして、この女の子は神楽ちゃん」

「クラスはバーサーカーアル。よろしくネ、えっと、カステラのバスター!」

「カルデアのマスターね」

「そうそう、それアル!」

 

赤いチャイナ服を着た少女はバーサーカーだったらしい。

 

「そして、そこの白い犬はアヴェンジャークラスの狼王ロボです」

「わん!」

「「「え」」」

 

白い犬はアヴェンジャー、狼王ロボである。

 

「いやいやいや、ロボって確か狼でしょ?どう見ても犬なんだけど」

「ロボじゃなくて定晴だヨ!」

「神楽ちゃんは話がややこしくなるから黙っていようか」

「狼だろうが犬ッコロだろうがどっちでも良いじゃねえか。戦力にはなるんだし」

「それはそうだけど。というか、神楽ちゃんってどこの誰なの?」

「いやー、それが俺にもよくわからないんだよな。新八を召喚するための触媒はしっかり探したんだが、後の触媒探すの面倒だったからその日の晩飯の残りを触媒にしたら召喚されたんだよ」

「どうしてそうなる」

 

話をしていて頭が痛くなってきた立香は話を切り上げた。

 

「取りあえず信用はしても良さそうだな」

「我の目にも悪には見えん」

「っと、お客さんだぜ」

 

バルバドスが視線を向けた方から魔神柱が迫ってくる。

 

「ソロモンのところに行きたいなら全部で七ヶ所ある特に強い魔神柱を足止めしなきゃならねえんだが、間に合ったらしいな」

 

空にいくつもの流星が飛ぶ。

その内の一つが近くに飛んでくると、それは人の形に変わった。

 

「あ、あなたはジャンヌさん!」

「お久しぶりです、マシュさん」

 

現れたのはジャンヌだけではなく、セイバーのジル・ド・レやジャンヌ・オルタ達も現れていた。

 

「ここは任せて先に行けってやつよ、マスターちゃん」

「邪ンヌ、久しぶりの出番だから張り切ってる?」

「当たり前でしょ」

「状況はだいたいわかった。これまでの特異点で絆を結んだ英霊が助太刀しに来たと言うことであろうな。我らはさっさとソロモンめの下に向かうとしよう」

「まあ、バビロニアみたいな特異点(メインストーリー)よりも他の微小特異点(イベント)で仲良くなったサーヴァントばかりだけどね」

 

ソロモンの待つ特異点中心部へと駆けていく。

ネロが、ドレイクが、モードレッドが、ナイチンゲールが、ベディヴィエールが魔神柱と戦っているのが見えた。

それだけではなく、それぞれの特異点にいた英霊達も共に戦っていた。

 

そして、それらの魔神柱がソロモンへの道を妨害出来なくなってくると、最後の一柱が現れる。

廃棄孔アンドロマリウスである。

 

「おっと、最後の壁がお出ましだ!」

「ここは私たちに任せて先に行って、キリシュタリア!『私はそれの輝く様を見ない』っ!」

 

オフェリアの魔眼によってアンドロマリウスの動きが鈍る。

しかし、本体は止まっても他の補助をしている魔神柱が襲ってくる。

 

「アナスタシア!」

「ヴィイ、全てを見なさい。全てを射抜きなさい。我が墓標に、その大いなる力を手向けなさい。疾走・精霊眼球(ヴィイ・ヴィイ・ヴィイ)』!

 

アナスタシアの宝具により、弱点が見抜かれ、

 

「よーし、やっちゃいなさい、アシュヴァッターマン!」

「戦士の誓いはとうに消え、我らは堕落した! それでも俺は堕落を怒り、自分自身にも怒り続けよう!疾走するがいい……天輪よ、憤炎を巻き起こせ(スダルシャンチャクラ・ヤムラージ)』ッッ!!

「ッ!行って、シグルドッ!」

「委細承知、宝具起動。

魔剣完了。之なるは破滅の黎明!壊劫の天輪(ベルヴェルク・グラム)』!!

 

シグルドとアシュヴァッターマンの宝具が魔神柱を倒されていく。

 

「最後の砦だからか、明らかに他のところより数が多い!おい、お前たちはさっさと先に行け!僕らでここは押さえる!」

「そうよ!行っちゃって!大丈夫、私達が死ぬ未来は見えないわ!」

「皆さん、わかりました!行きましょう!」

「それなら俺たちも残る。流石に魔神の大本にいっちまえば俺が消されちまうからな!助けに来ておいてなんだが、本来俺の補助に入ってた魔神もここに来てるみたいだからな。マスター三人とサーヴァント三騎だけじゃ少し不安だ」

 

こうして、カドック、オフェリア、ペペロンチーノ、バルバドス、新八、神楽、ロボが残ることになった。

 

「かなり、人数が減ってしまいましたがもうすぐ目標地点です!」

「あらかじめ夢幻召喚しておこうか」

「そうだね」

 

と、特異点の中心にたどり着いた時のことだった。

 

魔術による砲撃。

 

シンプルながら術者の技量と魔力により途轍もない威力と化したそれは確かに立香達に直撃した。

 

「あっぶねぇー」

 

しかし、そのダメージは桃色の花弁によって防がれていた。

 

「ふむ、今のを防ぐか、藤丸立香」

「当然だろ?防がなきゃ死ぬからな、ソロモン」

 

砲撃の主はソロモン。

 

「御託は良い、我には全て見えている。話して止まる貴様ではあるまい、疾く失せよ」

 

こうして、魔術王ソロモンとカルデアの最後の戦いの火蓋は切って落とされた。



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キリギルリツカ

忘れた頃にアイツがやって来る


「投影完了、射出(シュート)!」

 

いくつもの剣がソロモンを狙う。

 

「ふん」

 

しかし、それら全ては難なく防がれてしまう。

 

「流石にグランド名乗るだけはあるな・・・!」

 

魔術王ソロモンとカルデアの戦いの火蓋が切って落とされてから既に暫くの時間が経っていた。

ソロモンはほとんど無傷。

 

「このままでは埒が開かないな」

「カルデアの準備は?」

「先程通信が途切れる直前の段階で残り30%程だとドクターがおっしゃっていました」

 

しかし、カルデアもただ無闇に戦いを挑んだ訳ではなく、作戦があった。

今はそれまでの時間を稼いでいると言うことだ。

 

「ふむ、では残り20分程稼げば良いだろう。エルキドゥ!」

「拘束だね、わかるとも!」

 

ギルガメッシュの声に応えてエルキドゥがソロモンを鎖で拘束する。

 

しかし、ソロモンはすぐに拘束を解くと、魔術を使う。それにより、召喚したサーヴァントの影が半分消し飛ぶ。

 

残り10分

 

「ククク、フハ、フハハハハハ!」

 

ソロモンも立香達もボロボロになっていた。

 

「英雄王がいる時点でよもやと思ったが、ここまで我を追い詰めるとはな、カルデア」

 

傷ついたソロモンが立ち上がりその影が大きく膨れ上がっていく。

 

「折角だ、我が真体を拝謁させてやろう!」

 

周囲にいた魔神柱達が玉座に集まりソロモンごと隠してしまう。

 

「とうとう正体を見せる気になったか、魔術式」

「やはり我が正体を見抜いていたな英雄王。いかにも、我は魔術王ソロモンの分身であり、機構であり、使い魔。そう、」

 

魔神柱の中からソロモンに比べると大柄な体躯の何かが現れる。

 

「我が名はゲーティア。魔神王ゲーティアである」

 

圧倒的なプレッシャーが立香達を襲う。

しかし、それを鼻で笑い、ギルガメッシュは口を開く。

 

「その程度、今の我でも容易く終わらせることが出来るが、此度はそのような無粋な方法では終わらせん。時間稼ぎにもいい加減飽きた、そろそろ頃合いであろう?」

「令呪をもって命ずる・・・『来い、カイニス』!!!」

「やっと俺の出番か、おせえぞマスター!」

 

キリシュタリアの令呪により転移してきたのは黄金の鎧を見に纏った神霊、カイニス。

キリシュタリアの契約サーヴァントである。

 

『マスター、間に合ったか!』

「ナイスタイミングだよ、エミヤ!」

 

立香達の時間稼ぎは全てこのときのためであった。

ことの発端はバビロニアでの道中でのことであった。

 

『そういえば、この特異点から帰還したら次はいよいよソロモンだけど、なんか作戦とかあるの?』

『ふむ、色々考えてはいるが、これと言って面白そうな物がないな』

『では、こんなのはどうだろうか』

 

 

 

 

「グァッ!クッ、なんだこの威力は・・・!」

「オラオラ、こんなもんかよオイ!」

 

カイニスはゲーティアを圧倒していた。

 

「せ、先輩、ビースト反応のあるゲーティアが押されています!通常であればサーヴァント一体に追い詰められるような強さでは無い筈なのですが、カイニスさんの反応はサーヴァントというよりも神霊そのものに近いです!」

「エミヤ達がしっかりやってくれたってことだね!」

「フハハハハハ!キリシュタリアめ、これ程までサーヴァントを育てていたとはな!」

 

 

キリシュタリアが提案した作戦、それは、

 

『強化上限まで強化したカイニスでゲーティアと単騎決戦させよう』

 

120レベル絆レベル15のスキルマフォウマ宝具マカイニスによるゲーティア単騎攻略である。

 

「いやー、エミヤ達には苦労させちゃったね」

『全くだ立香。次からはもっと早く言ってくれたまえ』

 

この作戦は思いついたのがバビロニアであるため、カルデアに帰還してすぐに微小特異点(イベント)で稼いだ聖杯をカイニスに突っ込んで種火を食べさせるという作業を始めたのだ。

故に、終局特異点攻略の準備で忙しいカルデア職員達やマスターである立香とキリシュタリア、作戦会議等で忙しかったギルガメッシュでは作業の時間を取れなかったため、バビロニアから帰還したあとから終局特異点攻略が開始してからもエミヤらサーヴァント達が椀子蕎麦方式でカイニスに種火を食べさせたり、強化用の素材をかき集めていたのだ。

 

『たく、最後の方が強化に時間かかりすぎて間に合うかわからなかったんだぜ!?マジでヒヤヒヤしたわ』

「槍ニキもありがとう」

 

 

 

 

戦闘は常にカイニスが優勢。

これにはカイニスのスペックだけではなくマスターであるキリシュタリアの指示の正確さも関係していた。

 

「おいおい、やけに体が軽いじゃねえか!生きていた頃以上なんて騒ぎじゃねえぞこりゃ!」

「あ、あり得ん!何故たかが英霊風情にこの我が押されている!?」

「オレは英霊じゃねえ、神霊だ!」

 

カイニスにゲーティアが弾き飛ばされる。

 

「よし、カイニス、宝具だ!」

「いいぜ、キリシュタリア。しかと目に焼き付けやがれ!」

 

カイニスが跳び上がる。

 

「オレは自由だ!海も、大地も、オレを繋ぎ止めることはできぬ!見るがいい、飛翔せよ、わが金色の大翼(ラピタイ・カイネウス)』ッ!!

 

黄金の鳥へと姿を変えたカイニスがゲーティアに突撃する。

 

「ゴハァ!?し、神霊だと!?この魔力、威力、ハッタリでは無いとでも!?」

 

ゲーティアはカイニスの宝具を受けてもまだ立ち上がる。

しかし、それに追い討ちを仕掛けるように立香の声が響く。

 

「師匠、全スキルをカイニスにお願いします!」

「全く、師匠使いが荒いんじゃないかい、我が弟子?」

 

ライネスことキャスター司馬懿のスキルによりカイニスの魔力が半分超戻る。

 

「追加行くぞ!夢幻召喚(インストール)、『諸葛孔明』!」

 

立香が孔明を夢幻召喚すると、そのスキルをまたもやカイニスに使う。

ちなみに孔明ことロードエルメロイⅡ世はカイニスの素材を集めるためのレイシフトで過労死した。

 

「よし、もう一発行けるぜマスター!」

「駄目押しだ、カイニス!」

「おうよ!飛翔せよ、わが金色の大翼(ラピタイ・カイネウス)』ッ!!

 

再びカイニスが飛翔する。

それは確かにゲーティアに命中し、爆発した。

 

「ふむ、しぶといな。最大強化カイニスの宝具を二連打されて立ち上がるか」

「流石に魔力を装填する方法は無いんじゃないかい、我が弟子?」

「クッ、やはり対粛正(アルトリア・キャスター)グランドクソ女(プロトマーリン)奈落の虫(オベロン)もいないと火力が足りないかッ!」

「ルビが酷いな貴様」

 

すると、キリシュタリアが一つ提案する。

 

「なら、最後は私たちで終わらせるとしようか」

「ほう?」

「というと?」

夢幻召喚(インストール)、『マーリン』。さて、()()()()()()()()

 

そのスキルの使用により何かを察したのか、

 

「あー、なるほどね」

「まあ、ここまで我は何もしていないし、景気付けに一発行っておくか」

 

いそいそと何かを準備し始める三バカ。

 

「先輩、ギルガメッシュ王一体何を・・・?」

「夢幻召喚、『アルトリア・ペンドラゴン』」

「えーと、確かこの辺に・・・おっ、あった」

「恐らく見ることが出来るのは今回一回限りだろうけど、マシュ、君に流星を見せてあげよう」

 

カイニスの宝具によって巻き上げられた砂ぼこりが晴れるとゲーティアの目に飛び込んできたのは、三人の人影。

それらは自身を囲むように三方向に散らばっていた。

 

「一体何を・・・?」

「裁きの時だ、ゲーティア」

 

その人影の内の一人、英雄王ギルガメッシュがそう言う。

 

「原初を語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝ぎ。世界を裂くは我が乖離剣。星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の終着よ。死をもって鎮まるがいい!」

「魔神王よ、今貴様の敗北を宣言する。今を生きる全ての人類の代表として、数多の決断、幾多の挫折、全ての繁栄を肯定しよう。この一撃をもって、獣は撃ち落とされる。変革の鐘を鳴らせ!スターズ、コスモス、ゴッズ、アニムス、アントルム、アンバース」

「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。決着を着けるぞゲーティア!」

 

三人は叫ぶ。

己の全身全霊を。

 

「『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!!」

「『冠位指定/人理保障天球(アニマ・アニムスフィア)』!」

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!!!」

 

隕石が降り注ぎ、世界を裂く閃光が狙い撃ち、人理の極光がゲーティアを滅ぼす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、魔神王ゲーティアの消滅を確認しました!」

「疲れたー!」

「これでひとまず終わりだね」

「よし、特異点が崩壊する!帰るぞ!」



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ギルソロゲーティア

「フハハハハハ、楽しい楽しい崩落タイムだ!」

「「言ってる場合か!」」

 

魔神王ゲーティアに勝利したカルデアAチーム。

ゲーティアに勝利した証拠として、終局特異点そのものの崩壊が始まっていた。

 

「帰投地点まで後20分程です!」

「ギリギリすぎじゃないかしらそれ!?」

「調子に乗って魔力使いすぎてしまったのは失敗だったね、うん」

「我も王の財宝から物は出せても魔力足りなくて使い物にならん!フハハ」

 

ゲーティアに全魔力を使ってしまったため、魔術師、サーヴァントの能力は役に立たず、走ることしか出来ないのが彼らの現状だった。

 

「・・・?おい、あれドクターじゃないか!?」

「本当じゃん!?カドックよく気がついたね!」

「獣に対する魔術を使っているんだ。遠くで動いているものを見つけるのには慣れてる」

 

カルデアへの道のりもあと半分といったところで、反対側から此方に向かって走ってくるのはドクターロマンこと、ロマニ・アーキマン。

 

「あれ?なんで皆帰って来ているんだい?」

「何をやろうとしてこっちに来ていたのかは知らないが、もうこの特異点の原因は倒した!あとは特異点が消滅する前に帰るだけだぞ!」

「ええ!?僕レオナルドにカッコつけてから来ちゃったからこのまま帰るの恥ずかしいんだけど!?」

 

ロマニを連れ、再び走り出した一行は帰投地点まで後少しというところで立ち止まることとなった。

 

「お前は・・・」

「私はゲーティア。人王ゲーティア。消滅の間際、一つだけ心残りがあったことを思い出した」

 

立ち塞がったのはソロモンに似た顔立ちの黄金の男、ゲーティア。

 

「ほう、言ってみろ使い魔」

「ふざけすぎだ貴様ら!!!」

「「うわうるさ」」

 

怒り心頭といった様子でゲーティアは叫ぶ。

 

「なんだ、RTAって!舐めてんのか!しかも、本当に早いわイレギュラーは多いわ!マジでキングゥが一番意味わからんわ!」

「あー」

「彼はただのHENTAIだからね、うん」

「貴様らのような連中正しいとか抑止はバカなのか!?」

「「「それには激しく同意する」」」

 

と、ギルガメッシュはポンッとロマニ肩を叩く。 

 

「ロマニよ、どうやら興奮している患者がいるようだ。医者として見てやったらどうだ?それとも保護者として、腹を割って話し合うか?ソロモンよ」

「ちょっ!?」

「「「「ええっ!?」」」」

「「知ってた」」

 

その言葉に何も知らなかったAチームのメンバーは驚き、ゲーティアはワナワナと震えだす。

 

「貴様か・・・」

「な、なにがだい?」

「貴様が元凶かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うわぁぁぁぁ!?誤解だよ、ゲーティア!?」

「やかましい、貴様のようなやつの言葉など信じられるか!」

「ちょ、今の僕じゃ死ぬ!?」

 

ロマニはソロモンの姿になるとゲーティアから逃げ出す。

 

「やはり、全て貴様の指示かぁぁぁぁ!」

「勘弁してくれよ、ゲーティア!」

「フハハハハハ!ウハハハハハ!フハハ、ゲホッゴホッ」

「笑いすぎて噎せてるぞこいつ・・・」

 

結局、ゲーティアはロマニをしばきまわして満足したのか、今のロマニであれば着いていけると思ったらしく、再びソロモンの使い魔として大人しくなった。

 

そして、カルデアへと全員無事に帰還した立香達はダヴィンチに頼まれ外に出て装置を設置するように頼まれたのだった。

 

「お、スゲー良い天気じゃん」

「はい!素晴らしい青空です!」

「装置はあの辺りみたいだね」

「よし、誰が一番に着くか競争するぞ!勝ったやつにこの我からハワイのこのホテルに泊まる権利をくれてやる!」

「お前いつの間にそんなの用意したんだ!?」

 

世界は確かに救われた。

ふざけた旅だったが、最高の旅だった。

後に藤丸立香はそう語ったという。




これにて一部完結!
感想を書いて貰えると幸いです。
これ以降の更新はしようと思っているので、何かしら書くとは思います。
今のところ1.5部、2部は書かないです。
2部は書きたいんですけどまだ真相がわからないので手は出さないでおきたいと思います。

最後にアンケートを乗せておきます。


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