無職転生〜親友とともに異世界へ〜 (hiro_88)
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プロローグ

初投稿です。至らない点もあると思いますが、よろしくおねがいします。


俺は17歳職業は学生、どの分野もそこそこな、至って平凡な学生だ。

いや普通のやつよりもナイスガイだろう。

「やっぱアス◯かわいいな〜」

つい先程まで高校の中でも特に仲がいいやつと映画のS◯Oってやつを見ていた。

こいつとはいわゆるオタ友ってやつで自分達で二次創作とかもしている。

「アス◯とかキ◯ト俺らと同じ高校生とは思えないわw」

俺は自分がオタクということに劣等感は微塵も抱いていない、最近では俺が好きな漫画を布教してるぐらいだ。

「確かにwwそれにしてもクオリティー高かったな〜」

今は映画が終わり帰っている途中だ。

激しい雨で肩のあたりが濡れている。

「早くナーブ◯アできないかな〜」

「まだまだ先だろw」

そんなくだらない話をして笑っていた。

 

「ん?」

「どうした?」

こんな雨の中、俺は遠くから言い争う声が遠くから聞こえた。声的に高校生くらいだろう。

「なんか喧嘩してるな・・・行ってみようぜ」

どんな理由で喧嘩してるのかが気になり、興味本位で俺たちは声のする方に向かった。

「ーーだから、あんたがーー」

「お前こそーー」

いた。こんな雨の中、傘もささずに。

今では珍しい詰襟とセーラ服、俺の予想通り高校生だ。

背の高い男子と黒髪ロングの女子が言い争っていた。

もうひとり男子が、二人をなだめようとしているが、喧嘩中の二人は聞く耳を持たない。

「修羅場ってやつだなw」

親友が面白がりながらあいつらを見ている。

「だなw」

人の不幸は蜜の味、全くそのとおりだと思う。

これを考えたやつは天才だな。

俺らが見ているのにも気づかず話はヒートアップしていく。

道の奥の方から水が飛散る音が聞こえため、俺は反射的に奥の方を見た。

トラックが走ってきていたかなりのスピードだ。多分100キロは出ているだろう。

馬鹿だなと心のなかで嘲笑して、運転席を見た。

いない!?

いやハンドルに突っ伏していた。

居眠り運転

「おい!あれやばい!」

親友は走って喧嘩中の高校生に近づいて行った。

俺は状況を理解し親友の背中を追った。

「おい!!危ねえぞ!!!」

聞こえていない雨の音で橋本の声がかき消されている。

ゴオオーと音を立てて近づいて行く。

もう時間がない。

俺は傘を捨て親友を追い抜いた。

「おいっ!あぶ、危ねえ、ぞ!」

息が切れてうまく言えない。

「おい!」

後ろから親友の声が聞こえる。

背の高い男子が俺たちの方を向いた後、すぐにトラックの存在に気づき、女子を抱きよせた。

もうひとりの男子はきょとんとしている。

次の瞬間その男子がぐいっと引っ張られトラックの進路から外れたが、その代わりに中年明らかに臭そうな太ったじじいがトラックの進路に入ってしまった。

もう、間に合わない。

俺は見てられず目をつぶった。

ガンっ!と鈍い音が響いた。

 

間に合わなかった。

と思うのと同時に後ろから何かがぶつかる音がした。

目を開くとトラックは俺の方に向かってきた。

まだまだやりたいことはあったが、もう遅い。

様々な思考で俺の頭がぐちゃぐちゃになる。

異常なまでに遅い時間の流れの中で、これが走馬灯なんだと理解した。

すっと考えがまとまり俺は一言発した。

「ごめん」

俺はトラックに跳ねられて体の半分がクシャッと紙のように潰れて死んだ。




訂正、感想などがあればコメントお願いします。


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第一話・本当にあった異世界転生

第1話!タイトルが某番組に似てますが気のせいでしょう。
よろしくおねがいします。



目が覚めると、ブロンド色の髪をした女性が俺を覗き込んでいた。

服がはだけておりだいぶそそられる格好になっているが、今はそれどころじゃない。

俺がもし生きているのならばここは病院のはずだが天井はよくある白いものではなく木でできている。

つまりここは病院ではない。

じゃあ一体何が起こっているのか?

「あー、うあー」

隣から赤ちゃんの声がした。

隣をむこうとするが頭が動かない。

事故の後遺症か?

俺の記憶が飛んでいるのか?

そんなことを考えていると茶髪の男性が見えた。

かなりがっしりした体型で日頃からよく動いているのがわかる。

「ーーー・・ー・・・ーーー」

何だ?

何いってんだ?

「ーー・・・・ーーー・・ー」

女性もなにかしゃっべているが聞き取れないというか日本語じゃない。

英語でもない。

すると男性が俺の方に手を近づけてきたため、反射的に手で守ろうとしたが手が持ち上がらない。

指先の感覚や腕を動かす感覚はあるのだが顔の前まで腕が上がらない。

そして男性の手が俺の体に触れて軽々と持ち上げた。

体重55キロ以上の俺の体をだ。

鍛えてるとかそういう問題じゃなくね?

すると男性が俺を抱き抱えまるであやすように体を動かした。

・・・もしかして、いやほぼ確定だろう。

俺は今生まれたばかりの赤ちゃんなんだ。

つまり俺は転生したのだ。

 

 

一ヶ月の月日が流れた。

 

俺の予想通り、俺は転生していた。

ここがどこだかはわからないが少なくとも日本でも、英語を使うアメリカやイギリスなどでもない。

ワクワクする。

もしやここは異世界ではないだろうか?

異世界なら魔法やスキルが使えるのだろうか?

それともただの世界なのだろうか?

タイムリープの可能性も捨てがたいな。

もしかしたらかめは◯波が打てるのだろうか?

何にしても大きくなるのが楽しみだ。

 

ここにはテレビや冷蔵庫といった家電製品だけでなく、金属製のものがない。

大体が木製のものだ。

光源はロウソクやカンテラを使っている。こうゆうところからもここが異世界という可能性が高いと考えている。

「あー、うあー」

隣から声がする。

俺は双子だった。

かといっていいところも悪いところもない。

こいつとは長い付き合いになるだろう。

仲良くできるようにしよう。

こいつは体も心もガキだろうから俺がしっかりしてやろう。

前世では兄弟とはあんまし仲良くなかったからな...

良かったな。俺が兄弟で。

「ーー・・ー?」

おっと母親が来た。もうご飯の時間だろうか?

この時間はなんとも言えない気分になる。

美人の母乳を飲む興奮と見られている恥ずかしさで、なんとも言えない気分になる。

最近はなれてただの食事になっている。

父親は夕方頃にいつも家に帰ってくる。

おそらく何らかの職についてるのだろう。

帰ってくると必ず俺たちを抱きかかえてなにか言ってくる。

言葉がわからないのは不便だなと、つくづく思うようになった...。

 

 

半年の月日が流れた。

 

半年が経つとだんだん何を行っているのか、理解できるようになった。

俺の英語の成績はお世辞にもいいとは言えないものだったが、毎日その言葉しか聞かないと自ずと理解出来た。毎日父親が言ってくる言葉は「ただいまロイ」というものだった。

ロイというのは俺の名前らしい。弟の名前は(勝手に弟にしている)ルイという。

ロイとルイ...なかなかいい名前だ。

この頃になると俺たちはハイハイできるようになり、家の中を自由に動き回っていた。

移動というのは素晴らしい。

半年間動けなかったため動けることに初めて感動して、この家中を回っていた

この家は二階建てで、かなり大きい家だと思う。俺の体がまだ小さく外は見えないが、元の世界の家と同じかそれ以上ほどの大きさだ。

ギシギシと床を歩く音がする。

「ロイ〜またお家の歩き回って、危ないから二階にはあんまり行かないでよね。」

そう言われながら俺は捕まった。

高くなった、視界を窓の方に向けようとするがギリギリ見えない。

「お外見たいの?」

俺の母親は窓に近づいて行った。

外が見えた。

地面はタイルで作られており、周りには同じような家が建てられている。

奥の方には大きな家、いや屋敷があった。

貴族の家だ。

それは漫画やアニメで見たのもによく似ていた。

どうやらここは結構栄えている街らしい...。

 

足腰がしっかりしてきた。

なにかに掴まりながらなら、立てるようになった。

最近弟のルイが喋りかけて来ている。俺に。

だが悲しいことになんて言っているかはさっぱりわからないため、適当にあうあう言っている。

それを目撃した母親が嬉しそうに帰ってきた父親に話していた。

なんだか恥ずかしい。こうゆうことは見てないとこでしような、弟よ。

 

つかまり立ちができるようになったから少しチャレンジしてみることにした。普通に歩くことを。

なかなか難しい。

手を離してしまうとバランスが保てず倒れてしまう。

ようやく立つことができた。

母親がきゃあーー!と喜んでいたがまだだ俺の目的は歩くことだ。

俺は一歩前に踏み出した。

足の踏ん張りが聞かずそのまま前に倒れてしまった。

痛い

おでこが赤くなっている感じがする。

さすがにまだ無理だったか。

すると母親が駆け寄ってきた。

「もう大丈夫?ロイ?あーもう赤くなってるじゃない。直してあげる。・・・

神なる力は芳醇なる糧、力失いしかの者に再び立ち上がる力を与えん

【ヒーリング】」

そう唱え終わった瞬間母親の手が淡く光った。そしておでこの痛みが消えた。

「よし、これで大丈夫よ。あんまり無茶しないでね。」

これはもう確定だろう。

今のは魔法だ治癒魔法だ。

他の魔法はどのようなものがあるだろうか?

想像が物凄い勢いで膨らんでいく。

そんな俺を見ていたルイはぽかんとしていた。




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第二話・母親とは

第二話!
今回は母親ベルどのような人物かを書きました。
よろしくおねがいします。



ロイ・ルイの母親、ベル・ラーカイルは代々火系統の魔術を使う一族だった。

ベル・フレイミアはフレイミア家の四女として生まれた。

小さな頃から火魔術を使っており他の姉妹よりも才能があった。

それを妬んだ姉たちはあらゆる手を使ってベルの邪魔をした。

詠唱の嘘のアドバイスをしたり、杖を隠したりと最初の方はほんのちょっとしたことだった。

その行為はだんだんエスカレートし、ベルが13歳になる頃にはベルは人として扱われていなかった。

しかしベルは負けなかった。

いつか必ず復讐することを心に決め必死に努力し続けた。

そしてベルは姉妹の中で誰よりも強くなった。

そして姉妹たちに今までされたことをした。

そして家を追い出された。

今まで何もしてこなかった両親が突然すべての責任を私に押し付け家を追い出された。

なんでどうしてあいつらは散々やったのに私はやっちゃだめなの?

私にはどうしよもできなかった。弱かったのだ。

その日は私が15歳になった日。私がただのベルになった日。

一生忘れない、忘れられない日となった。

私は忌々しい家をひと目見て、この街から出ていった。

持っていた金を使って冒険者登録をした。

最初は何もわからなかった。

ギルドで登録したのはいいものの何をすればいいのかは何もわからなかった。

そんなとき声をかけてくれたのが、ロレンだった。

男性と接する機会があまりなかった私は急に顔の良い男性に話しかけられて思わず距離を取ってしまった。

それでもグイグイ近づいてくるロレンに私は「家を追い出された」と言った。

自分の好みの顔だったこともあり嫌われたくなかった。

ロレンはそんな私の後ろめたさを、私がどんな人間かも知らないのにパーティーに勧誘してきた。

私は疑問に思いながらも断る理由がないためパーティーに入った。

ここはベルにとっては最高の場所だった。

皆が仲間として自分を迎え入れてくれて自分を頼ってくれた。

ときには喧嘩をしたがそれも仲をより深めるものとなった。

頼れる仲間たちと多くの旅をした。

そんな旅の中で私の後ろめたさは跡形もなく消えていた。

 

気づいたらSランクのパーティーになっていた。

調子にのって魔術を教えたり強い魔物と積極的に戦っていた。

そんなときだった。

はぐれ赤竜の討伐に向かった。

どうせ大したことないだろうとたかをくくっていた。

順調だった。

いつもどおりギルドに戻って、仲間たちと酒を飲んだりロレンと熱い夜を過ごそうと考えていた。

私が止めの魔術を放ち、終わったと思い近づいたときだった。

赤竜は最後の最後に私の方へ視線を向け立ち上がった。

切られてもお構い無しで一直線に私に近づいてきた。

赤竜は賢く、めざとい。それ故油断している私に鋭い牙を向けた。

目の前に赤竜の牙が来たとき私はもう諦めていた。

家族には一矢報いることもできた、こんないい仲間もできた。

なによりロレンに出会えたことが私を満足させた。

そして私は目を閉じた...

痛くはなかった。

むしろ目の前で金属と金属がぶつかり合う音がした。

私は恐る恐る目を開いた。

そこにはロレンが赤竜の牙を剣で止めている姿だった。

「うぉぉおおお!!」

ロレンが咆哮し次の瞬間、赤竜の首が宙を舞った。

私の顔に真っ赤な雨が降り注ぎ私の服を赤く染めた。

 

私達はそれからしばらくして解散した。

私の妊娠がわかったからだ。

私はロレンと結ばれ、ベル・ラーカイルになった。

ルイトロイが生まれて少しした日皆で集まりパーティーをした。

あの日が懐かしい。

今の生活も十分楽しいけど。

ロイとルイは生まれたときどちらも泣かなかった。

生まれたとき泣かない赤子は、異常を抱えてることが多いと聞いていた。

あまり心配はしなかった。

何せ私とロレンの子だったから。

子どもたちがすくすく成長しているのがわかる。

どんなふうに成長するのかが今から楽しみで仕方ない。

私達のように冒険者になるのか、それとも商人になったり、先生にもなったり、剣士になったり魔術師になったり、いろんな妄想が止まらない。

 

少し前からルイトロイは会話ができるようになった。

私とロレンの前では普通に喋っているんだけど二人のときは意味のわからない言葉を話し合ってるように聞こえる。

まあ気のせいだと思うけど。

二人はよく本を見ていることが多い。

というかいつも見ている。

よくわからない単語を聞いてくる。

私達は言葉を教えていないのに。

ルイトロイはきっと天才なんだ。

そう思って仕方ない。

 

もし魔術の詠唱しちゃったら危ないから、させないほうが良いのかをロレンに相談してみた。

そしたら「大丈夫だよ」って言われた。

ロレンが言うんだったら大丈夫だと思うけど、、、

念の為よく二人のこと見とくことを心がけた。

 

この間はロイが頭をぶつけていた。

元気なことは良いことだけど怪我はしないでほしい。

ルイは基本的にボーッとしていることが多い。

なにか考えてそうな表情にも見える。

そんな二人の成長を見守りながら一日を過ごすのだった。

 




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第三話・魔術

第三話です。
テスト期間が近いので投稿頻度が落ちるかもです。
ご理解の方お願いします。


俺は二足歩行と喋れるようになった。

ルイもできるようになった。

 

まず衝撃的な事件を話そう。

ルイが俺に喋りかけてきた、日本語で。

結論から伝えるとルイは前世で一緒に死んだ親友だった。

ルイはすぐにロイが俺である可能性に気づいていた。

異世界転生で舞い上がっていた俺が恥ずかしい。

だから何回か喋りかけてきてたのか。

こっちの世界に慣れるために日本語は極力使わないようにしている。

最初の方はよく使っていたが母親が不思議そうな目で見ていることに気づき、極力使わないようにしようということになった。

 

最近では一緒に行動し、4冊の本を見つけた。

どれも読んでみたいと思い、文字を覚えることにした。

この世界の言葉は日本語に形こそ似てないが、文法的というのだろうか?

それが似ていて後は単語を覚えるだけで良かった。

絵本があったのも良かった。

絵がついていることで何の単語かがわかりやすかった。

俺とルイは二人で話し合いながらこの世界の言葉を理解した。

文字が分かれば本は面白い。

勉強は嫌いだがこの世界の勉強は俺の好きなことだ。

好きこそものの上手なれ。

俺は好きなことはとことんやるタイプなのだ。

 

文字をこんなに早く覚えられたのは母親が絵本を読み聞かせしてくれたのが大きい。

流石に後3つはやってくれなかった。

聞いたところによると「危ないからだめ!」と諭された。

 

そんなことで俺達の探究心は止められない。

 

家にあった本は四冊。

 

・古龍の昔話

 龍族の昔話が書かれた絵本。

 

・ペルギウスの伝説

 ペルギウスという召喚魔術師が、仲間とともに魔神と戦い世界を救う、実話の物語

 

・世界を歩く

 世界各国の地名や特徴が書いてあるガイドブック。

 

・魔術教本

 初級から上級までの攻撃魔術が載った魔術師の教科書。

 

上の2つはこの世界の歴史、下の2つは勉強の教科書といったものだった。

 

魔術教本とわかったときはテンションが上がった。

早速二人で見たがなかなか難しい。

とりあえず基本的なことがいくつかわかった。

 

1、まず、魔術は大きく分けて3種類あるということだ。

 

 ・攻撃魔術:相手を攻撃する

 ・治癒魔術:相手を癒す

 ・召喚魔術:何かを呼び出す

 

この3つ。文字通りだ。

 

2、魔術を使うには魔力が必要ということ

 

逆を言えば、魔力さえあれば誰でも使えることができる。

魔力の使用方法は2つ。

 

・体内の魔力。

・魔力の篭った物質から引き出す。

 

このどちらかだ。

 

体内の魔力量は生まれたときからほぼ決まっているらしい。

一様遺伝するらしいが不安だ。

母は冒険者だったらしいが俺は運が基本的に良くない。

まあなかったらもう一つの方法で生きていこう。

 

3魔法の発動方法は2つある。

 

・詠唱

・魔法陣

 

そのままだ。

教科書には大昔は魔法陣が主流だったが、詠唱の短縮に成功したため今では詠唱が主流なんだそうだ。複雑な術式を必要とする召喚魔術は、未だ魔法陣が主流だそうだ。

 

この3つが基本的なことだ。

 

とりあえずいちばん簡単な魔術を使おう。

 

攻撃魔術にも4つ種類があるらしい。

 

・土系統魔術

・火系統魔術

・水系統魔術

・風系統魔術

 

この4つがある。

混合魔術というものもあるらしいが、今はおいておこう。

 

この家のことも考えて火はやめておこうとなった。

一番使いたかったが。

俺は風を使うことにした。

ルイは水だ。

 

「どっちが先に使う?」

 

ルイが何気なく聞いてくる。

「俺が使うわ。」

さも当たり前かのようにやろうとする。

しかし手を掴まれる。

「正々堂々じゃんけんで決めようぜ。」

俺はこのじゃんけんに命をかけた。

 

負けた。

俺は指を咥えて悔しがった。

 

ルイが大きく息を吐いた。

そしてゆっくりと右手を突き出し、詠唱を始めた。

 

「汝の求める所に大いなる水の加護あらん、

 清涼なるせせらぎの流れを今ここに、ウォーターボール」 

ルイの手の前にこぶし大の水ができ、ヒュンと音もなく飛んでいった。

バシャッと音を立てて用意していた桶に入った。

 

「おおっ!」

ルイが歓喜の声を上げる。

俺はしげしげと放たれた、水を見ていた。

 

確かに水だ。それもだいぶきれいな。

これ飲めるんじゃないか?

俺は試しに指につけて舐めてみた。

苦くはない、むしろ美味しい。

俺は水をすくってひと口のんだ。

 

「おいそれ飲んで良いのか?」

ルイがやばいやつを見るような目で見てくる。

「飲めるわ。むしろ美味しい。」

ルイが信じられないというような感じで近づいてきて、ひと口のんだ。

「うまっ」

「だろ」

俺はなんだか嬉しくなった。

 

次は俺の番だ。

ルイによると「右手になんかグワーッて来た!」らしい。

子供じゃないんだからそんなはしゃぐことじゃないだろ。

ルイのことを小馬鹿にしながら、詠唱を確認する。

 

よし!大丈夫だ。

俺は深く深呼吸をし、右手を上げた。

 

「汝の求める所に大いなる風の加護あらん、

 傲慢なる風の流れを今ここに、エアバースト」 

右手に何かがグワーッと集まる感覚があった。

これが魔力なんだろうと察した。

 

しょぼい。

使ったのは間違いないだろう。

俺の方に風が吹いてきていたから。

 

「、、、ウォーターボールにしたら?」

「そうするわ」

 

仕切り直しだ。

 

風魔法は見えないからよくわからなかった。

だから俺もウォーターボールを使うことにした。

 

さっきとは違う一度やったからな、そんなに集中しなくても良い。

言葉にするだけで魔術は使える。

この本に書いてある通りだ。

 

「汝の求める所に大いなる水の加護あらん、

 清涼なるせせらぎの流れを今ここに、ウォーターボール」

さっきと同じように右手に魔力が集まる。

血が集まるような感覚に似ている。

俺の手の前にこぶし大の水の塊ができた。

「お〜!」

声を出した後そのまま落下していった。

あれ?なんでだ

ルイと全く同じだったはずだ。

なんで飛んでいかないんだ?

 

「なんでだ?」

ルイも同じことを考えていた。

集中度の違いか?

やってみよう。

 

同じように右手を構えて、さっきの感覚を再現しろ。

集中して後何回できるかわからない。

全力でやるぞ。

 

「すぅ...ふぅ...」

深呼吸だ。

体の端、頭の天辺から、つま先から血を集めるように力を溜めていく。

ポンと手のひらから出すように、少しづつ、少しづつ...。

水をイメージして...。

「ロイ、、、それどうやった?」

ぱっと目を開くと俺の手の先に小さな水ができていた。

「え?え?」

なんでだ?

詠唱はしてないぞ。

無詠唱は高等技術のはず。

すると水はパチャと音を立てて地面に落ちた・・・・・

 

無詠唱は簡単だった。

魔力の流れを再現すればできてしまうのだから。

なぜこんな簡単なのに皆詠唱をするのだろうか?

戦闘においては明らかに無詠唱のほうが早い。・・・

 

教えるという点においては無詠唱よりも圧倒的に簡単だからか?

ま、良いだろう。

そしてルイが20回ほど水弾を使った後、気絶してしまった。

 

俺は試しに25回ほど水弾を使った後、疲労感が俺を襲ってきたが無視して使うと俺は気絶してしまった。

つまり俺の魔力量は水弾26回、ルイが20回ということだ。

・・・これって少なくね?

 

 

 

 




ついに魔術を使ったルイとロイ。
今後どのような展開になるのか、、、
訂正、感想があればコメントお願いします。


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第四話・魔術の研究結果

第四話です。
楽しみにしてた方、遅くなってしまい申し訳ございません。
今回の話はロイとルイが魔術を深く調べた話です。
あくまで私の考え方も含まれているため、予めご理解お願いします。
前書きが長くなりましたがお願いします。


「あれ?」

ルイが疑問の声を上げた。

「どしたん?」

「増えたな、、、」

増えた?

まさか放てる魔法の数が増えたのか?

とりあえず後5発で俺は昨日の量を超える。

5、4、3、2、1、、、

嘘書きやがったな...!

この本!

どこが生まれたときから魔力量が決まっている、だ。

思いっきり増えとるやないかい。

いや?待てよ

もしかしたら俺らが特別な人間何じゃないのか?

やっぱ転生者だからか?

他にもなんかあるんじゃないのか?

「ロイも増えたよな?」

「あ?ああ増えてるよ」

考え事をしてるときに話しかけられると生返事をしてしまう。

俺の悪い癖だ。

とりあえず気絶する手前まで打とう。

俺が今日魔法を放った回数は51回だ。

確か昨日が26だよな、、、

使った分だけ増えるのか?

明日から色々実験しないとな。

 

魔法の研究を初めて2年たった。

家でやるのは親にバレる可能性があるため家の外にある森の中でやることにした。

もしかしたら子供が魔術を使うことは危険で使えないことになるかも知れないからな。

そのおかげで魔法についてわかったことが多くあった。

大きく分けて3つだ。

 

1、魔力量には各個人に限界がある

そのままの意味だ。

俺だったら水弾1000発以上は打てるが、ルイは700発ぐらいしか打てないということだ。多いのか少ないのかはわからないが最初と比べるとすごい成長なのではないだろうか。

色々試したが水弾1088発以上は打てなかった。

ルイは752発だった。

 

2、魔法には各級にいくつもの魔法がある

水系統魔術だったら初級は水弾、水盾、水矢、氷擊、氷刃の5つだが、中級にはいくつもの魔法がある。

上級にもだ。

聖級以上はわからないが一つずつだと思う。

本には聖級以上は地形を変化してしまうと書かれているためだ。

地形壊す魔術がいくつもあったらやばいだろ。

 

3、魔術の仕組み

まず魔術は生成→サイズ設定→射出速度設定→発動のプロセスを辿っている事がわかった。

つまり詠唱というのは自動的に魔術の生成をしているものなのだ。

そして術者がサイズ設定、放出速度設定をすることで発射されるのだ。

つまり詠唱は生成するものの形を変化させることができないが、サイズと発射速度は魔力を調整することによって変えることができる。

ただ俺たちは詠唱をしない。

つまり生成、サイズ、発射速度すべてを弄ることができた。

俺は氷弾を作ったり氷盾、氷矢などを作ることができた。

だがルイは魔力をうまく使うことが苦手でできるようになるまでだいぶ苦戦していた。

魔力の扱いも個人差がある。

運動神経ならぬ魔力神経だな。

 

細かいことだと、飛ばす系の魔術はすべて風魔術との混合魔術だということ例えば水弾や火弾などだ。

ある程度練習すれば息をするように魔術を使える。

俺の場合水弾だ。

威力なども使うほど高くしたり低くしたりと細かい調整ができる。

魔術は小さくしようとしても魔力を多く消費する。

これは俺の予想だが、一定の大きさがそれぞれの魔術で決まっているため、小さくしようとしても消費魔力量は増える。

などがあった。

 

この二年間の中で俺たちは多くの魔術を使った。

全部初級だったけど。

水系統魔術以外は初級の数が少なかったり多かったりしたからすべて統一して弾、盾、矢、擊、刃、壁を試すことにした。

水系統魔術の壁は氷壁しかなかったから勝手に水壁にも作った。

何せ氷壁だと土壁の劣化版のようなものになってしまったからだ。

俺たちはそれぞれの魔術からデータを取ってみた。

 

水系統魔術は攻撃、防御ともにバランスが取れていた。

攻撃力が一番高いのは氷矢で防御力だと水壁だった。

水壁は止めるというよりも威力を弱くするようなものだった。

この強かった弱かったの基準は魔術の壁つまり水壁、炎壁、風壁、土壁を貫通するかどうかで決めた。

氷矢は水壁、土壁、風壁を貫通という結果だった。

 

火系統魔術は攻撃特化のものだ。

こいつを森の中で使うと山火事になりかねないからわざわざ原っぱまで行って試した。

攻撃力が一番高いのは火弾で防御力は炎壁だったが水系統魔術以外のものはほぼ通していた。

火弾は土壁、炎壁を貫通したという結果だったが、威力自体は一番高く生き物には絶大なダメージが入ると感じた。

火系統魔術には攻撃だけでなく混合魔術によってお湯や温風といった日常生活に役立つものも作れることもわかった。

 

風系統魔術は他の魔術の妨害をするデバフ系のものが多かった。

攻撃力が一番高いのは風刃で防御力は風壁だったが、これは風により魔術を上方向に飛ばすというもので止めてはいない。

風刃は水壁、土壁、炎壁を貫通した。

風は目では見えないから非常に有効な魔術だと思う。

俺はこれをメインとしようと考えている。

 

土系魔術ははっきりいうと微妙だった。

攻撃力が一番高いのは土弾、防御力では土壁だった。

土弾は水壁、炎壁を貫通した。

一見すると弱く見えるがこの魔術の真骨頂は威力の調整だった。

速度、強度、大きさを簡単に弄ることができる俺たちにはなかなか強い魔術だと感じた。

しかし他の魔術よりもどうしても魔力消費量が大きくなってしまうのがデメリットだった。

 

俺たちは二年で魔術について大分知れたと思っている。

二年間ルイがいなければもっと長くかかっていただろう。

ルイはあまり魔術が好きじゃなかったのに手伝ってくれた。

理由はわからないがおそらく俺が一つの理由だろう。

俺ができていることがルイにはあまりできていなかった。

よくある話だ兄弟で比較してしまい、劣等感を生む。

ルイにはそれがあったかも知れない。

ルイには前世でも恩があるし、いつか恩返ししないとな。

 

ともかく俺はこの世界で様々のことができるようになってきた。

まだ魔術だけだが、良い傾向だろう。

この調子でこの世界で楽しく俺は生きていきたいと思う。

そんなことを考えながら今日も魔術の研究を続けている。

 




次回はついに中級の魔術を使うのでしょうか?
実際この世界の無詠唱魔術師めっちゃ強くて初級の魔術を極めればある程度の敵に勝ててしまうと僕は考えています。なのでいろんな魔術を使えるようにするかある一つの魔術を極めさせるか考え中です。アドバイスあればお願いします。
訂正、感想あればコメントお願いします。



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