ゲゲゲの鬼太郎〜怪人伝説記〜 (LEGION ONE)
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序章

久しぶりにゲゲゲの鬼太郎を見て書きたくなったのでやってみました!


この世には目には見えない闇の住人達が存在している……奴らは時として牙をむき人間たちを襲いはじめる。しかし、この世には闇の住人達が恐れる者が存在する。その存在は陰陽師でも霊能力者でもない……その存在は闇の住人達と同様に異形の姿をし、様々な姿に変え、力を使い闇の住人達を葬る。

 

異形の怪物は正義の使者ではない。彼は身近な人達を護るために、自身の日常を護るために闇の住人達を葬り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ!ハァ!!早くこの山から降りないと……!早く!」

 

静まり返った夜の山の中……一人の小学4年生ぐらいの少女が何かから逃げるように山を降りようとしていた。少女は幼稚園からの腐れ縁である少年と妖怪が出ると噂されている山に肝試しに来たのだが、肝試し中に少年とはぐれてしまい……

 

「ホントに……ホントに!妖怪が居たなんて!」

 

少女は出会ってしまったのだ……この世に居るはずがないだろうと思っていた迷信の存在である『妖怪』と出会ってしまったのだ。自身を喰おうとしている妖怪に恐怖した少女は妖怪に追われながらも必死になって山を降りようと逃げた。

 

「きゃっ……!?」

 

少女の足が躓き、飛び込むような形で地面に倒れる。灯りもなく視界が暗闇に染まっていたため、転がっていた石ころに運悪く行く手を阻まれてしまった。

少女は急いで立ち上がろうとするが、妖怪と自身の距離は目と鼻の先でありとうとう追いつかれてしまったのである。

 

『ヤットオイツイタ……モウ逃ゲラレナイゾ』

 

「いや……!いや……!来ないで……!」

 

狼のような顔を持ち全身を獣の毛で覆われた妖怪は片言で話しながらヨダレを垂らしながら少女を捕食しようとゆっくりと近づく。

少女は恐怖に支配されてしまい、再び立ち上がる力も出せずただ後退りをすることしか出来なかった。

 

「(誰か助けて!助けて……!)」

 

助けを求めようとしても、救おうとするものはいない。大きく口を開いた妖怪が少女を捕食しようとし、少女は諦めたかのように目をつぶる。

 

そして、ついに妖怪が少女を捕食……

 

『ナ……ナ……ア……』

 

「え……?」

 

しなかった……いや、出来なかった。妖怪は体を震え上がらせ、後ろに飛び少女との距離を離す。少女はどういうことかよく分からなかったが、後ろを振り返ったことで妖怪がなんで自分と距離を離したのかを理解した。

 

『リヅベダ』

 

少女の後ろに現れたのはヒーローでも正義の味方でもなかった……それは全身が白く黄金の豪奢な装飾が全身に施された怪人だった。怪人は少女の前に立つと妖怪を睨みつけた。

 

『ボボジョバサビゲダブバベセダビゲソ』

 

『ナ、ナンダト……』

 

怪人が纏うプレッシャーを感じ取った妖怪は恐怖で身体を震わせ、冷や汗を大量にかき失神しそうになるが、餌がすぐ近くにあるのにしっぽ巻いて逃げてたまるかという自身のプライドが邪魔した。

 

『ボセデデジョグバギビロパバンバギンザ』

 

『イミワカンネェコトヌカシテルンジャネェヨ!オレサマノ邪魔ヲスルナァァァ!!』

 

妖怪は絶叫とも取れる叫び声をあげると白い怪人に向かって飛びかかる。その行動に対し白い怪人は嘲笑するように笑うと右手を差し出した。

 

『ギョグロバギムサギゾザバ』

 

謎の言語を放った瞬間、自身に飛びかかろうとしていた妖怪の体が炎に包まれた。いきなりのことに妖怪は驚き、地面に倒れてしまった。

 

『ァァァァァァ!アツイ!アツイ!』

 

炎に包まれた妖怪は転げ回り悶え苦しみ、白い怪人はそれを見下すように妖怪を見ていた。

 

『タスケテ……モウ人間ヲタベナイ……ダカラ……』

 

『ギジャザ』

 

悶え苦しむ妖怪は炎に包まれながらも命乞いをし白い怪人に手を差し伸べる……しかし、白い怪人は妖怪の命乞いを無視し右手を空に掲げた瞬間、巨大の雷が降り注ぎ妖怪を飲み込んだ。

 

『ァァァァァァァァァァァァ!!』

 

雷に飲み込まれた妖怪は断末魔と共に灰となり絶命し、その灰も風に吹き飛ばされ…何処かに消えてしまった。数秒程その場で佇んだ後に、白い怪人は自身の後ろにいる少女の方を見るとそのまま歩み出した。

 

「あ……」

 

一部始終を見ていた少女は唖然としていたが、白い怪人が歩み寄ってくると再び恐怖に支配された。妖怪を動かずに瞬殺したいともたやすく命を奪った怪人が怖くて仕方なかったのだ。

 

『…………』

 

「ヒ……私は……美味しくない……よ……」

 

目の前にやって来た白い怪人にそういうが白い怪人は何も言わずに少女を見つめていた。少女は怯えもう自分は助からないと悟ったのか頬に一筋の涙が流れた。

 

『ッ!?』

 

涙を流すところを見た白い怪人は驚き、何処か慌て始め何かを考えるような仕草を取り始めた。そして、何か思いついたのか白いその手を少女の頭に乗せ撫で始めた。

 

「え?」

 

その行動に少女は驚き呆然と白い怪人を見つめる。普通なら嫌になり手を払いのけるのだが……何処か安心でき自然と嫌な気分にはならなかった。

 

「(なんか……ハジ兄と似ている……)」

 

安心したのか緊張の糸が切れ今までの疲労が一気に来てしまい少女は気絶するように眠ってしまった。白い怪人は優しく少女を受け止めると何処となく慈愛が籠った目で眠っている少女を見つめ優しく撫でた。

 

『……こんなこと……忘れた方が身のためだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、眠りから覚めた少女はいつの間にか幼なじみの兄におんぶされ山を降りていた。

 

話を聞けば木に寄りかかった状態で寝ていたらしいのだが、白い怪人を見てはないらしい。山に降りてから自身を探していた警察や両親に腐れ縁の少年と一緒にこっぴどく怒られた。最終的にもうあんなことをしないという約束をし許してもらえた。

 

「行ってきまーす!!」

 

あれから数年の年月が経ち……少女『犬山まな』は中学一年生になった。しかし、この数年自分を助けてくれた白い怪人とは出会えてはおらず、今も忘れることはなくあの時助けてくれたことをお礼を言おうと怪人を探している。

 

「あ、まなちゃんおはよう」

 

「ハジ兄!おはよ〜!」

 

学校に向かっている道中、メガネをかけた男性『伏見 ハジメ』と出会い元気よく挨拶をした。ハジメとは年の離れた幼なじみで、幼い頃からまなの面倒を見てたことからまなの家族からも信頼されている存在でもある。

 

「あ!ハジ兄ハジ兄!今日さ懐かしい夢を見たの!」

 

「懐かしい?どんな夢なの?」

 

「私が山で妖怪に襲われた時に助けてくれた白い怪人さんの夢!」

 

「ッ……へぇ……それは懐かしいね」

 

まなが見た夢を聞いた瞬間、目が鋭くなったことにまなが首を傾げているとハジメが笑みを浮かべながらまなにスマホの時計を見せた。

 

「ところで……もうそろそろで遅刻になるけど……大丈夫かな?」

 

「嘘!?ホントだ……じゃあ私行くねハジ兄!」

 

「車に気をつけるんだよ〜」

 

「はーい!」

 

手を大きく振って学校に向かっていたまなを見送るとハジメはかけていたメガネを外し、空を見上げた。

 

「まなちゃんも中学一年生か……そろそろ原作でも始まるのかな?」

 

そう呟くと再びメガネをかけ、自分の職場である喫茶店に向かって歩き始めた。

 

 

この日、まなは再会する……妖怪……そして、怪人と……



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妖怪が目覚めた日

突然だが、自分『伏見 ハジメ』は前世という記憶がある。

 

何を言っているんだコイツって思ってるでしょ?本当にそうなんだって!

前世は普通の大学生として暮らしていたけどトラックに轢かれてあっさりと死んでしまったんだよ。そのまま天国か地獄のどちらかに行くだろうな〜って思っていたら……何故か、女神と名乗る人に特典?を渡されこの世界に転生した。

 

女神に問答無用で転生させられたけど……この世界、調べたら『ゲゲゲの鬼太郎』だった。しかも6期だった。最悪だ……一番人間や妖怪の闇が深い世界だよ……まぁ、特典でどうにかなるけど……え?特典はなんだって?………平成、令和ライダーに登場した怪人に変身する能力だよ。

 

めちゃくちゃチートじゃねぇか!って思うでしょ?現実はそんなに甘くなかったよ。ラスボス怪人や幹部怪人は力の制御が出来ず、変身すら出来なかったよ。転生した当初は俺TUEEEE!!状態になっていて調子に乗って『ユートピア・ドーパント』に変身したら死にかけた……三途の川が見えたよ。

 

だから制御するためにめちゃくちゃ努力した……普通の人以上の筋トレ、怪人に変身してもすぐに解けないように持久力を鍛えて……空手家だった祖父に武術を教えてもらったり、剣術、棒術、弓術……とにかく特典を使いこなせるために努力を惜しまなかった。

 

その修行の中で人食い妖怪と何度か戦うことがあり、戦闘術……殺し方も学んでしまった……いや、いつかは殺り合うのは覚悟していたけど……まさか原作が始まる前に殺し方を覚えてしまうとはね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

という感じで特典でライダー怪人達の力を使いこなせるようになった俺は今、何をしているというと……

 

「ハジメ君〜予備のコーヒー豆出しておいて〜」

 

「わかりました!」

 

『喫茶クローバー』という喫茶店で働いています。学生の頃からここに通っており、就職か進学か悩んでいた時にここのマスターである『狗神 惣一』に誘われここの喫茶店で働くようになった。

 

「それにしても渋谷で人が木になる怪奇現象が多発しているらしいね〜あれ何が原因なんだろう?」

 

「専門家は化学兵器や宇宙人の仕業とか有害物質の遺伝子異常とか言っているけど実際どうなんでしょうね?」

 

突如として人間が血のように赤い色をした木となる怪奇現象が多発しており、どのワイドショーもその話題で持ちきりだ。まぁ……この調子だと真相に辿り着くことはできそうにないだろな。真相に辿り着いても信じなさそうだけど。

 

「悪いんだけどハジメ君、食材の買い出しお願い出来る?」

 

「いいすっよ。何を買ってこればいいんですか?」

 

「んっとね〜これとこれをお願いね。 」

 

「これらですね。んじゃ行ってきまーす」

 

買い出しを頼まれた俺はマスターにメモを貰うと俺は店を出るとそのまま目的の場所に向かって歩き始めた。にしても……人が木になる現象ね〜これはそろそろ原作が始まる感じか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスターに頼まれたのはこれで全てだな……ん?」

 

「あんにゃろう!どこ行った蒼馬!」

 

頼まれたものが全てあるのか確認していると路地裏から凄い音がし、音のした方を見てみると知り合いの少女が何故かボロボロの状態で路地裏から出てきた。

 

「またなんかやったのか?」

 

相変わらずだなと苦笑いをしながらも俺はメモをしまうと路地裏から出てきた少女に話しかけることにした。

 

「やっほ〜まなちゃん」

 

「ん?あ、ハジ兄!」

 

この少女の名は『犬山 まな』とても人懐っこい性格で人一倍正義感が強く好奇心も旺盛な子だ。まなちゃんとは家が近所なこともあり、まなちゃんの幼い頃からよく面倒を見ていたことから『ハジ兄』と呼ばれ懐かれている。

 

「どうしたんだ?そんなボロボロの姿で路地裏から出てきて……てか、なんで怒ってるんだ?」

 

「そうそれ!ハジ兄聞いてよ!また蒼馬がね!」

 

まなちゃんが言う蒼馬くんとはまなちゃんの男友達であり同級生の少年でよく悪ふざけをしてはまなちゃんに制裁されている。今回も話を聞けば蒼馬くんがお隣の悠太くんにちょっかいを出していたらしく今回も制裁したらしい。『デカまな』って呼ぶ中学生女子に言うのは辞めておいた方が良いって言ったのになぁ……。

 

「それで裕太君が渋谷で起きているのは妖怪の仕業だからゲゲゲの鬼太郎を呼んで事件を解決してもらおうって感じか」

 

ゲゲゲの鬼太郎ね〜あんまり動きがなければ喫茶店の客足が遠のくからこっちで対処しようとしていたけどそろそろ来る頃なんだ……それなら鬼太郎に任せれば安心だな。

 

「うん……その鬼太郎を呼ぶために手紙をポストに入れようとした時に蒼馬にからかわれて……」

 

「不運が重なり転けてしまったのね」

 

「……うん」

 

俺は蒼馬君の行動に呆れながらもポケットからハンカチを取り出すとまなちゃんの顔についた汚れを拭き始めた。

 

「うぇ!?は、ハジ兄!?//」

 

「好奇心旺盛なのはいいけどさ?まなちゃんは女の子なんだからもうちょっと気をつけような」

 

顔を赤くしながら驚くまなちゃんに対し俺はそういいながらまなちゃんの汚れをハンカチで吹き落とす。

 

「はい、終わり」

 

「あ、ありがとう//それと、中学生になったんだからもう子供扱いしないでよ!」

 

「世間的に中学生も子供だ。それに危なかっかしい事をするまなちゃんをあまり放っておくことは出来ないしな」

 

「むー!」

 

頬を膨らませて訴えても無駄だ……可愛いけど……そう思いながら俺はクローバーに向けて歩き始めた。するとまなちゃんも走り出し俺に追いつくと俺の横に並び歩き始める。

 

「ねぇねぇ今日も喫茶店に行っていい?」

 

「いいよ。いつものメニューで大丈夫?」

 

「うん!ハジ兄が作るパンケーキとマスターが作るコーヒーが一番好きなんだ!」

 

「嬉しいこと言ってくれるね〜パンケーキ一枚サービスしようかな?」

 

「やった〜!」

 

そんな会話を繰り広げながら俺とまなちゃんはクローバーに向かった。

 

さて……鬼太郎が出るから安心しているけど……もしかすると久しぶりに変身しようかな……怪人に……




ということで1話です!

ハジメ君の人間側のヒロインは原作のヒロインでもある犬山まなちゃんです!妖怪側のヒロインはまだ先ですのでお待ちくださいm(_ _)m
次回か次次回でハジメ君を怪人に変身させようかなと思っています!ちなみに変身する怪人はもう決まっています。


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見えない世界の住人

翌日、俺は例の事件が起きた現場である渋谷のスクランブル交差点に来ていた。前までは色んなメディアがこぞってここで中継や取材をしており、色んなリポーターや出版社、SNSで写真を上げたりする人達で大勢いた。

 

「しかし、相変わらず嫌な空気をしているな」

 

怪人に変身する力を持っているおかげなのか、こういった嫌な空気を感じ取ることが出来る。そろそろこの異変を解決しないとめんどくさい事が起きるな……。

 

「鬼太郎が来なければ……俺が動くか」

 

6期はうろ覚えでどんなストーリーなのかほとんど忘れているが、この異変はゲゲゲの鬼太郎6期アニメの1話なのは覚えている。だけど、この世界に転生してわかったが……鬼太郎が待っていたらとんでもない事が起きる事もある。

 

「目星はついているから後は……」

 

「あ!おーいハジ兄〜!」

 

「ん?」

 

そろそろ動くかと考えていると、後ろからまなちゃんの声が振り向くとまなちゃんが手を大きく振りその隣で髪で片目を隠した少年がいた。あ〜鬼太郎さんじゃないですか〜噂をすればなんとやらで来たじゃねぇか。

 

「まなちゃん!と……隣にいる子は?」

 

俺は首を傾げながら鬼太郎の方を見る。初対面なのに知っていたら鬼太郎に怪しまれるからね……それだけは防ぎたい。

 

「聞いてよハジ兄!この子があの有名なゲゲゲの鬼太郎なんだって!」

 

「へぇ〜君が。始めまして俺は伏見 ハジメよろしくね」

 

「初めまして……僕はゲゲゲの鬼太郎。こっちは僕の父さんの」

 

『目玉おやじじゃ。よろしくのうハジメ君』

 

「おぉう…………」

 

鬼太郎が自己紹介をした瞬間、鬼太郎の髪の毛から顔が目玉だけの小人が現れこちらに右手を上げ自己紹介をしてきた。生の野沢雅子ボイスに痺れたけど……それ以上に目玉おやじさんの見た目が凄くてそっちに意識を持っていかれてしまった。

 

『まぁ、驚くのも分かる。誰だってこの姿を見れば驚くよ』

 

「アハハ……まぁ、普段見ているのが全てじゃないって俺の親父も言っていたので人間社会の裏では貴方のような人が多そうですね……」

 

にしてもインパクトが強いな……まなちゃんの話を聞くと、昨日出した手紙を読んだ鬼太郎がやって来て渋谷に出来た樹木……『吸血木』を解決してくれるらしく、異変の現場であるこのスクランブル交差点に来たらしい。とりあえず鬼太郎が事件を解決してくれるなら今回は出なくてもいいな。

 

「これが吸血木…」

 

吸血木を唖然とした顔で見上げるまなちゃんの横で、鬼太郎と目玉おやじが事件について話し合っていた。

 

「ですが父さん。吸血木を操る妖怪は、何百年も前に《カシャ!》封じられたのでは?」

 

「…………SNSに載せたら呪われるかもよ」

 

「うっ!辞めてよハジ兄!!」

 

鬼太郎が話している横でまなちゃんが吸血木の写真を撮っていた為、俺はニヤニヤしながらからかうと顔を真っ青にしながら慌ててしまった。相変わらずからかいやすい子だなまなちゃんは。

 

「ところでまなちゃん……じゃったかな?そのスマッシュ?便利そうじゃな……」

 

「スマホだけど…やってみる?」

 

スマホに興味を示した目玉おやじに苦笑いをして、自身の携帯のホーム画面を目玉おやじに見せる。興味津々なスマホを触る目玉おやじを横目に俺はある事に気づいた。

 

「確かその吸血木って何百年前に封印されたんでしょ?」

 

「それがどうしたんです?」

 

「なんで封印だけに留めたんだ?その場で祓った方が一番いいのに」

 

「当時の霊媒師たちは霊を祓える妖力は十分にあった。だけど、祓い方を知らなかった……祓えたとしても祓った影響で出てくる被害の事を考えて封印したケースもある」

 

「なるほどね」

 

俺の疑問に淡々と答える鬼太郎に俺はそう返す。祓い方を知らず封印するしかなかった、祓っても祓った事で起こる被害を考えて封印……昔の陰陽師や霊媒師達は大変だったんだな。

俺たちがそんな会話をしていると、目玉おやじが何かを見つけたのかボーッとしていた鬼太郎を呼んだ。

 

「鬼太郎!おそらくこれじゃ!」

 

目玉おやじの声に釣られて見てみると、YouTubeが開けられておりそこに1本の動画があった。

 

「あ〜チャラトミじゃん」

 

「あれ?ハジ兄知ってるの?」

 

「友人の弟が見ているちょっと人気のYouTuberらしい」

 

俺も気になって見てみたけど……迷惑行為や心霊スポットでのイタズラ行為などで個人的に好きにはなれないYouTuberだ。やっぱり時代はVTuberだ。うん、そうだそうだ。

 

「目玉おやじさん、とりあえず再生してみましょう。その画面一回タップしてください、それで動画が再生されますから」

 

「ふむ、こうかの?」

 

目玉おやじがチャラトミの動画を撮影するとチャラトミが何やら御札のようなものを勢いよく剥がし、御札が張り付いていた岩を持ち上げそのまま叩きつけ破壊した。

 

「阿呆……」

 

再生数欲しさにこんな事するなんて……再生数の為なら何でもする人間が増えてきているが、ここまでするとはな。

 

「バカモンが!のびあがりの封印を剥がしおったか!」

 

「のびあがり……?」

 

「なんですかその……のびあがりって?」

 

「妖怪だよ。吸血木の種を人間に植え付けるんだ」

 

「そ、それでみんな木になったの?」

 

てか、完全にこのチャラトミがのびあがりの封印を解いたせいじゃんかこの異変。そもそもチャラトミが木になったのは自分がやらかした事で自業自得だし助けたくはねぇけど……他の人も木になってるし助けねぇとな。

 

今、特典持ってるんだから助けてやれよとか器ちいせぇなとか主人公だから助けてやれよとか思っている人もいるだろうけどさ?俺、別に正義の味方じゃないから?今回だって他の人が巻き込まれてなければ自業自得としてこのまま放置しておくところだったぞ?

見返りを求めず誰かの為に助けるのは仮面ライダーの仕事だ、俺は怪人……自分の欲望で動くただの怪物だよ。

 

「ここからは僕たちがやる。君たちは帰れ」

 

「待ってよ!私が手紙出したんだよ!?ついてってもいいでしょ!?」

 

「ちょっ!?まなちゃん!」

 

この子小さい頃から面倒を見ていてわかっていたけどホント行動力あるよな!!''あの山での一件''があったのによく首を突っ込めるね!?

 

「まなちゃん危ないよ!もし何かあったら君もあの木みたいになるんだよ!?」

 

「それでも行きたいの!!」

 

も〜この子は!!こうなる前に動かなかった俺も悪いけどさぁ!俺が頭を抱えている中、鬼太郎は厳しさを増した目でまなちゃんを見据えている。

 

「…危険な目に遭うぞ」

 

「だから?」

 

「一度は忠告したからな…」

 

「さ・れ・ま・し・た!」

 

はぁ〜これは止めても無駄だな……安全なのは主人公君が居ることだ。主人公の鬼太郎がいれば何とかなるだろう。

 

「はぁ……ごめんね鬼太郎君。まなよろしくね」

 

「…………貴方も苦労しますね」

 

「まぁ、慣れたよ」

 

「どういうことハジ兄!?」

 

鬼太郎は俺の方を見るとお辞儀をし、そのまま歩き始めた。まなちゃんも俺の方を見つめた後鬼太郎の後を追っていた。

 

「……そんじゃ、頑張れよ主人公君」

 

俺はこれでのびあがりの一件が解決したかのように感じていたが……それを崩れ落ちることになるとは俺は気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーまなsideー

 

『にしてもまなちゃん、何故着いて来ようとしたのじゃ?鬼太郎が言うように危険な目に遭うんじゃぞ?何故、危険を犯してまで着いてこようとしたんじゃ?』

 

ゲゲゲの鬼太郎の後をついて行く私に目玉のおやじさんは私にそういい話しかけてきた。やっぱりまだ慣れないな〜。

 

「えっと……ど、どんな妖怪なのか気になったし鬼太郎の力になれればいいかなって思って!それに……もしかするとあの白い怪人さんにまた会えるかもしれないし

 

『む?最後なんか言ったか?』

 

「あ、いやなんでもないよ!」

 

『そうか?じゃが本当に気をつけるんじゃぞ?危なくなったらすぐに逃げるんじゃぞ?君が亡くなったら悲しむ人も居るんじゃからの?』

 

「は、はい……」

 

ハジ兄も私が居なくなったら悲しむかな……って!なんで私ハジ兄の事を考えてるの!?ハジ兄はただの幼なじみのお兄ちゃんなんだよ!優しいし、かっこいいし……あ、この前クローバーに言った時スタイルのいい人に言い寄られてたなぁ……ちょっと顔を赤くしてデレていたのが気に食わなかったけど。

 

『ま、まなちゃん……どうしたんだじゃ?慌ててたと思ったら落ち込んで、急に怒り始めたのじゃが……」

 

「だ、大丈夫です!!」

 

私は驚いている目玉のおやじさんにそういいそっぽを向く。あの時以来の妖怪……どうなるんだろう……。

 

「(また白い怪人に会えたら……助けてくれてありがとうってお礼を言わなきゃな)」

 

私はそう考えながら鬼太郎の後を静かに追っていく。



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