未来と古来と異界のポケモン (クロマ・グロ)
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紅と紫の少女の入学準備



はじめはしての方ははじめまして。
そうじゃない方はおはこんハロチャオー!
クロマ・グロと申します。
また作品を完結させたので新しい作品を書くことに致しました。

ただ今作はかなり気合いを入れて書いて行きたいので更新ペースはいつもの1日2話投稿はかなりきつくなります。
その為2日に1回のペースで17時30分の投稿となることをお許しください。

それでは本編をお楽しみください。


 

 

~SV主人公組自宅~

 

 

私の名前はスカーレット、親しい人からはレティと呼ばれてる。

私には双子の姉のバイオレットことヴィオ姉が居て部屋は別々だけど一緒にいる時間が多いから仲も良いし楽しい生活を送っている。

 

今日からポケモンアカデミーの生徒になるからこれから寮生活になっちゃうけどアカデミーでポケモンの事をもっと知りたいから頑張らなきゃ!

 

「制服よし!帽子は出る時に付ければ良いよね!

鞄の中身よし!」

 

するとドアをノックする音が聞こえる。

 

「はーい!」

 

ドアを開けてみたら双子の姉であるヴィオ姉が部屋に入ってきた。

 

「入るわよ。」

「ってかもう入ってるじゃん。

ってヴィオ姉その服………」

「そう、一応今日からアカデミーに通うから先に着ておこうと思ってね。

でも………残念ね、貴女とは別のクラスみたい。」

「あー、ほんとだ………」

 

私達の制服はクラスによって色が違う。

オレンジ組はズボンとネクタイがオレンジ色でシャツは空色なんだけどグレープ組はズボンとネクタイが藍色でシャツは灰色。

私はオレンジ組なんだけどヴィオ姉はグレープ組なんだよねぇ。

 

「よっと!ヴィオ姉もなんか見よ!」

 

私はちょっと時間も余ってたしホシガリスのクッションに腰かけてテレビをつける。

 

『今回の『あの町 どの道』特集は学園都市『テーブルシティ』だ!……………』

 

しばらく私達はテレビで今やってた今日から私達が通う私立ポケモンアカデミーを中心とした学園都市。

テーブルシティの特集を見てこれからどんな生活になるのかとか雑談しながら時間を潰していく。

 

すると時間はあっという間に過ぎていってそろそろリビングに行って朝ごはんを食べる時間になってきた。

 

「……そろそろ行かなくちゃ!」

「そうね、私もお腹が空いてきたわ。」

 

私達は部屋のドアを開けて階段を下りてリビングへと向かう。

すると階段の下にはママのポケモンのホシガリスが待ち伏せしてるような感じで待ってた。

もう少し来るの遅かったらホシガリスが呼びに来てたのかな?

 

「ムチャア!」

 

ホシガリスは一鳴きした後にリビングへと向かっていく。

 

「どうやら呼びに来てたみたいね。」

「ねー!」

 

私達はそのままリビングへ向かっているとホシガリスがきのみを食べながら待っていた。

 

「むちゃありー」

 

なんか軽くどや顔してるのが可愛い。

 

キッチンを見てみるとママが今日の朝ごはんを作ってた。

今日はサンドウィッチだ!ママの作るサンドウィッチは美味しいんだよなぁ!

 

「おはようレティ、ヴィオ。」

 

ママは一旦手を止めて私達の方に向いて驚いたような顔をした。

 

「……あら!

もう制服着てるんだ!今日から新しい学校だもんね。」

「うん!私も楽しみで楽しみで!」

「レティは相変わらず元気ね。

まぁ私も楽しみで早く着てたし人の事言えないのだけどね。」

「ママもとっても楽しみ!

でもいってきますにはちょっと気が早いみたいよ?」

 

「へ?どういうこと?」

「もぐもぐ…………なにかあったの?」

 

私達はサンドウィッチを食べながら今ママが言った意味に付いて聞く。

ってかヴィオ姉食べるの早いよ…………。

 

「学校から連絡があって『もう少し家で待っててください』……だって!

入学に 必要な『大切なもの』がまだ届いてなかったらしいの。」

「うぇー!?そうなのー!?ざんねーん………」

「なにかトラブルでもあったのかしら?」

「さぁ?分からないわ、とりあえず誰か学校の方がいらっしゃると思うのだけど………」

 

とりあえず私達はご飯を食べながらテレビを見て過ごす事にした。

 

『ピクニックにはサンドウィッチ!

お店で手作りプロの味!

一度でも♪二度でも♪まいど・さんど♪

……………………』

 

『なんかタイミング良いなぁ………』

『美味しそう………』

『明日作って見ようかしら………』

 

三人は割とマイペースな性格をしていた。

 

結局私達はテレビを見ていて時間を潰していたんだけど………

 

『ピンポーン』

 

玄関のチャイムが鳴り響く。

私達はその音で玄関に視線を向ける。

 

「あら!ちょうど来たんじゃない?

レティ!ヴィオ!出てちょうだい」

「はーい!」

「ようやくかしら?」

 

私達は玄関に向かって扉を開ける。

 

「はーい!」

「どちら様?」

 

そこには私達の制服の色を半々で着たようなスーツ姿のおじさんがいた。

スーツの横にはモンスターボールが付いてる。

 

「ごめんください。

あなた達が……スカーレットさん、バイオレットさんですね?

入学案内が遅れてしまい申し訳ありません。」

「えっと?」

「……おっと自己紹介がまだでしたね」

 

私達が呆然としてるとうっかりしていたとおじさんが反応して姿勢を直す。

 

「私はポケモンアカデミー校長。

クラベルと申します。」

「うぇええ!?校長先生!?」

 

するとママも驚いた様子で玄関に向かって来た。

 

「校長先生みずからいらっしゃったんです!?」

 

すると校長先生は申し訳なさそうにして答える。

 

「アカデミーの不手際はすべて私の責任ですので……」

 

すると校長先生は手に持っていた紙袋を取り出す。

 

「こちら入学案内と校内施設の資料です」

 

そう言ってママに紙袋を渡した。

するとママは首を振りながら答えるがすぐに笑顔で話し始める。

 

「わざわざすみません。

せっかくなのでぜひ上がってお茶でも飲んでいってください。」

「いえいえ本当におかまいなく……」

 

するとママかま私達に顔を向けて向き合う。

 

「レティ!ヴィオ!ママは校長先生とお話があるから、自分の部屋に戻って学校の準備してらっしゃい!

バッグと帽子は必要よね!」

「はーい!」

「わかったわ。」

 

するとママはリビングへと校長先生を案内する。

 

「さあさあ!どうぞこちらへ。」

「……それではお言葉に 甘えて」

 

二人はソファーに座りながらなにかを話してるみたい。

 

私達もお互いの部屋に向かっていってバッグと帽子を身に付ける。

 

するとヴィオ姉が部屋に入ってきてお互いの姿を確認する。

 

「あら?なかなか似合ってるわよ?」

「そう言うヴィオ姉だって似合ってるよー!なんかカッコいい!」

「そう言うレティだって可愛らしいわよ。」

 

私達はお互い軽く談笑してからリビングへ向かう。

 

するとママが気付いてソファーから立ち上がって近づいてきた。

校長先生も少し遅れて立ち上がって私達へと体を向ける

 

「あら!準備バッチリ!キマッてるわね!」

「えへへー!でしょでしょー!」

 

今度は校長先生がこっちに来て答える。

 

「誰が見ても立派な我が校の生徒です。」

「ありがとうございます。」

 

ヴィオ姉も照れてる、可愛い!

 

すると校長先生が突如思い出したような反応をする。

 

「……おっと!私としたことが!」

 

すると申し訳なさそうに首を振って答える。

 

「一番大切なものを貴女達に渡すのをうっかりしていました。ここではなんですのでお外へまいりましょうか。」

 

校長先生が外へと向かっていってママがこっちに来て話しかける。

 

「大切なものって何かしら?

外へ出てみましょうよ。」

「はーい!ヴィオ姉も一緒にいこいこ!」

「はいはい、そんなに急がないの。」

 

私達は外へと向かっていく。

一体私達に渡すものってなんだろう?




マグロ「いやぁ………原作を細かくメモりながらの作成きっつ…………」
男主人公「オイコラ、こっちの出番は!?」
マグロ「割と後かなぁ、せめて学校始まるまで待ってくれw」


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紅と紫の少女のポケモン選び

 

~コサジタウン~『レティ&ヴィオ』

 

私達は校長先生に続いて玄関の外に出てきた。

 

「おや、出てきましたね。

それではポケモン達よ!出て来てください!」

 

校長先生はボールを3つ同時に投げる。

 

すると緑色の子猫、赤くて火で出来た毛が生えたワニ、やけにキューティクルのある髪を持った水色の鴨の三匹現れた。

 

「入学する生徒にはポケモンを渡す決まりでして、3匹の中からパートナーとなるポケモンを1匹選んで貰います。」

 

まずは校長先生が緑色の子猫に注目する。

 

「こちらはくさねこポケモンのニャオハさん。」

 

ニャオハと呼ばれた子猫が顔を洗いながら鳴いた。

 

「はにゃあ」

「可愛い!」

 

するとヴィオ姉がニャオハに近付いてしゃがむ。

すると………

 

「うりうり~」

「はにゃ!?はにゃぁぁぁあああ!?」

 

思いっきりわしゃわしゃし始めた。

ずるい………私もやりたいのに………

 

「こらこら、あまりやりすぎると引っ掛かれますよ?

次にほのおワニポケモンのホゲータさん。」

 

ホゲータと呼ばれたポケモンは手を軽く振って鳴く。

 

「ホゲワー」

「こっちも可愛い!!」

「うりゃりゃりゃりゃりゃ」

「ホゲワッ!?ワッワッワ……ホゲワッ!!」

「…………熱い」

 

ホゲータはヴィオ姉に構われ過ぎてくしゃみと同時に火を吹いてヴィオ姉の顔を軽く焦がしてしまう。

 

「ふふふ、次にこがもポケモンのクワッスさん。」

 

クワッスと呼ばれた水色の子鴨が首を振って軽くかっこつけてた。

 

「クワプルッ!」

 

するとヴィオ姉は懐からなんか看板みたいのを取り出す。

って何処に隠し持ってたの!?

 

「7点」

「クワッ!?」

 

ヴ……ヴィオ姉?それは10点満点なの?それとも100点満点なの?

 

「皆さんとても人懐っこくて私の側を離れないんですよ、でも貴女方の様子を見る限り大丈夫そうですね。」

 

すると三匹が私達に近付いて来たから私達もしゃがむ事にした。

 

「はにゃぁ!」

「ホゲワー!」

「クワッ!!」

 

クワッスはなんかムキになってない?

 

「……おや?

ふむ……やはり校長よりもスカーレットさんとバイオレットさんが気になるようです。

私としても選択を見守りたいですがそろそろ次のお宅に向かわないと……」

 

すると校長先生は向かい側に見える豪邸に顔を向ける

 

「あちらのお家にいますのでじっくり考えて、決まったら伝えに来てください。」

「はーい!」

「分かりました。」

「それではまた後程。

……失礼いたします。」

 

すると校長先生は向かい側の家に向かっていった。

 

「とっても礼儀正しい校長先生だったわね。」

「確かに!なんかすっごく真面目そう!」

「そうかしら?割とユーモアがありそうだったけど?」

 

するとママは笑顔で私達が悩む点を突く。

 

「ふふふ、でもみんな素敵だけど1匹選ばないといけないんだ?」

「うぐ………」

「どれにしようかしら…………」

 

私は思わず詰まってしまったけどヴィオ姉はもう品定めしてるような感じだ。

ってかそんなニヤニヤしながら選んでたら怖いよ?

 

「せっかくだしこの子達と一緒に歩いて様子を見てみるのはどう?

ポケモンの事、いっぱい分かるかも。」

 

三匹と私達はお互いに向き合って頷く。

 

「うん!楽しそう!」

「目一杯可愛がってあげるわ……ふふふ」

「だから怖いってヴィオ姉!?」

「それと……ママから入学祝い!

お出かけするなら持っていきなさい。」

 

するとママが二人分のスマホをとりだす。

なんで後ろに顔があるの?

 

「新しいスマホ!どうやらロトムってポケモンが中に入ってて色々便利みたいよ?説明書を軽く読むわね!

 

 

……『道に迷ったらこのアプリ!』

マップが見れて便利みたいよ、大事に使ってね。」

「はーい!」

「ありがとうママ、大事にするわ。」

「ふふ、いってらっしゃい!」

 

私とヴィオ姉はお互いに向き合って頷く。

 

「うん!いってきまーす!」

「いってきます!」

「ホゲワ!」

「はにゃー!」

「クワップ!」

 

ニャオハ、ホゲータ、クワッスの三匹も一緒に行ってきますって言ってるみたい。

 

_________________________________________________

 

 

「まぁそうは言ってもご近所さんだからすぐに着くんだけどね。」

「レティ、そう言うのは言わないお約束よ。」

「お約束ってなによヴィオ姉………」

「ホゲワ?」

 

するとホゲータがいつの間にか私の頭に上ってて首を傾げてるっぽい。

軽く頭が重い……

 

「はにゃ?」

 

それと歩いていたらニャオハが看板に注目する。

 

「ああこれ?コサジタウンの看板だよ、あんま使われてないらしいんだけどね。」

「クワップ!」

 

続いてクワッスが近くにある豪邸、校長先生が伺っているお家を翼で刺して鳴く。

 

「ふぇ?ってもう着いちゃってたか。」

「まぁご近所さんだもの。ってあら?」

 

気が付いたら私達に付いてきていた三匹が突如居なくなる。

 

「あれ!?ニャオハ!?ホゲータ!?クワッス!?」

 

私達は三匹がいきなり何処に言ったか探してみたら……

 

「あぁぁ!?!?」

「あら……」

 

クワッスは近所さんの池で水浴び。

 

ニャオハは花畑で気持ち良さそうにしている。

 

ホゲータは落ちてるきのみを食べようとしたら鼻にニャオハのいた所から飛んできた花びらが乗っかってくしゃみと同時に火を出しちゃってきのみを黒焦げにしちゃう。

 

するとホゲータが突如現れた人物に頭を撫でられて気持ち良さそうにする。

 

「君がこの子達のトレーナー?」

 

「ふぇ?」

「貴女は……」

 

いつの間にか三匹が私達の前に集まって向こうから校長先生が歩いてきた。

 

「スカーレットさんとバイオレットさんはまだポケモンを選んでないんですよ。

いったい

どの子が初めてのポケモンになるのでしょうね?」

 

三匹が横に並んでホゲータがその手に持った黒焦げのきのみをかじるんだけどなんか変な顔してる。

クワッスが呆れてその後でホゲータがきのみを手放してしまい、みんなして笑ってしまう。

 

「あはは!」

「ぷくく……」

「ふふふ!」

「あははは!」

 

 

「それじゃ改めてこんにちわー!

初めましてだよね!」

「初めまして!スカーレットです!」

「同じく初めまして、バイオレットです。」

「ずいぶんお早い到着ですね」

「まぁご近所ですし。」

「おや……それもそうでしたね。」

 

するとホゲータを撫でてた緑色の髪の女性が何かに気付いたような反応をして校長先生に顔を向ける

 

「先生!もしかして……」

「今日からアカデミーに転入される転入生です」

「やっぱりそうなんだ!向こうのお家のご近所さん!

どんな子が引っ越して来たかすっごく気になってたんだ。」

「私はネモ!

普段は学校の寮にいるけど、ご近所同士仲良くしよっ!」

 

「うん!よろしくネモさん!」

「よろしくね。」

「スカーレットちゃんはお腹の底から良い返事!

これからよろしくねー!」

「レティで良いですよー!長いですし!」

「私もヴィオで良いですよ。」

「私も呼び捨てでいいよ!ヴィオ!レティ!」

 

すると校長先生がネモに顔を向ける。

 

「ネモさんは我が校の生徒会長でチャンピオンランクの凄腕トレーナーなんですよ。」

「ポケモン勝負大好き!

さっ!早く戦ろう!」

「あの………まだポケモン持ってないというか今から選ぶんだけど……」

「戦闘狂?」

「同じクラスの仲間同士ゆっくりと!

……交流を深めてくださいね。」

 

校長先生の話を聞いてネモが驚いた。

 

「えー!同級生なんだ!?

ポケモン勝負やり放題!」

 

あの……校長先生はなぜ顔を背けるんですか?

少し立つと話を反らすように校長先生が私達に話し始める。

 

「それではスカーレットさん、バイオレットさん。

あなた達がパートナーにしたいポケモンは決まりましたか?」

 

あ!忘れてた!?

 

「私達が選ぶポケモンは………」

 

 




マグロ「次はバトルジャンキーさんとのバトルになります。」
男主人公「ちなみにこれ校長先生が最後のポケモン預からないパターンだよな?これストーリー的に問題ないのか?」
マグロ「さすがにその辺は考えてありますけどさすがにネタバレNGなんでお楽しみにとさせていただきましょう。」


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紅と紫の少女のポケモンバトル

 

 

~コサジタウン~『ネモ家前』

 

 

まず私達はニャオハに注目する。

ニャオハは顔を洗っており、とても可愛らしい

 

「はにゃ?」

「この子はくさタイプのニャオハ!

生い茂る植物の力でどんな水でも吸いとるよ!」

 

今度はクワッスが軽くカッコつける。

 

「ワップス」

「その子はみずタイプのクワッス!

静かだけど強い水流はどんな炎もかき消すよ!」

 

最終的にホゲータにも皆が注目したんだけどホゲータはなんか首を傾げてる。

ちょっと可愛い……

 

「ホゲゲ?」

「こっちはほのおタイプのホゲータ!

熱い火花を散らしてどんな草も焦がしちゃうよ!」

 

「うーん、悩ましいなぁ…………」

「私は………この子にします」

 

するとヴィオ姉がホゲータを抱き抱える

 

「ホゲ?」

「レティと同じ色をしているんだもの。

それに可愛らしいし」

「ほのおタイプのホゲータさんですね。

スカーレットさんはどうしますか?」

 

「うーん……うーーーーーん……」

 

わたしはニャオハとクワッスを交互に見る

 

「ペロペロ……………はにゃ?」

「スワップ!」

 

どっちも可愛いから迷うんだよなぁ……うーーーん

 

「よし決めた!わたしはニャオハにします!」

 

わたしはニャオハを抱えて腕に乗せる

 

「はにゃお!」

 

すると頭を私に擦り寄せてきてすごく可愛い。

癒されるなぁ………それにほんのり花の香りがする。

 

「ニャオハさんもスカーレットさんを気に入ったみたいですね。

初めてのポケモン、大切に育ててください。

ポケモンはモンスターボールという道具に入れるのですよ」

 

校長先生が私とヴィオ姉にこの子達のモンスターボールを渡してくれた。

とりあえず今は戻さずに仕舞っておくことにした。

 

「ヴィオ、レティ……

ニャオハとホゲータを選ぶなんてさ……

すっごく似合ってる!

バランスもいいもんね!」

 

するとネモがいきなり大声で誉めてきた

 

「へ?」

「びっくりした。」

「はにゃ!?」

「ホゲゲ?」

「クワップ……」

 

だけどクワッスだけは選ばれなかったからちょっと落ち込んでる。

ごめんね……

 

「クラベル先生!私も一匹良いですか?」

「クワップ……?」

 

するとネモが落ち込んだクワッスを抱えながら言う

 

「おや?ネモさんは入学時にポケモンを……

そういえば貰っていませんでしたね」

「はい!あのときは育てたいポケモンが別にいたので!

今はレティ達と一緒に新しい子を迎えたいです!」

「ワプル……!」

 

校長先生は笑顔でこれに答える

 

「なんと素敵な心がけですね

ぜひスカーレットさん、バイオレットさんと同じスタートラインから始めてみてください」

 

「やった!

よろしくね!クワッス」

「プルップス!」

「良かったね!クワッス!」

「プルップ!」

 

ネモは改めてこちらに向いてなんか野性味ある笑みを浮かべる……なんか獲物を見る目で見られてるような……

 

「……さてと!

ポケモンも決まったことだしさっそく勝負しなくっちゃ!」

「ェ゛……」

「やっぱりね……」

 

ネモはすっごく楽しみそうな顔をしながら言う。

 

「下のビーチで待ってるから準備出来たらすぐ来てね!」

「えっ!?ちょ!?ネモーー!?」

「……いっちゃった。」

 

ネモはすごい速度で下にあるビーチへと走っていっちゃった。

ってか速いよ!?

すると校長先生が呆れたように言う

 

「ネモさんはポケモン勝負が大好き過ぎますね。

とはいえポケモンとの絆を深める良い機会ですね。

ぜひお相手してみてください」

「わかりました!」

「行きましょうか、ホゲータ」

「ほげ?」

 

するとホゲータは捨てたはずの丸焦げのきのみを口に加えて首を傾げていた……

 

_________________________________________________

 

~コサジタウン~『海岸バトルコート』

 

 

「おーい!こっちだよー!」

 

海岸に向かうとネモが手を大きく振りながら自分の場所を伝えていた。

私達もネモのいるバトルコートに行くとネモがより笑顔になって話し始める

 

「ポケモンと一緒にいれば誰もがポケモントレーナー!

私達ポケモントレーナーはポケモンを戦わせて強くするんだよ!

ヴィオ、レティ!勝負の準備はいい?

「ヴィオ姉、どっちからやる?」

「先に良いわよ。

まずは貴女の戦いをこの子を撫でながら見させて貰うわ。」

「はーい!

いくよ!ニャオハ!」

「はにゃ!!」

 

「やった!待ってました!

今回の私のポケモンは……」

 

すると校長先生がなんか怖い笑顔で降りてきた。

 

「ネモさん?」

「ヒェッ!?」

「お二人は は じ め て の !

……ポケモン勝負ですからね?」

 

ネモは私の所に向いて話を謝り始めた

 

「アハハ……

うっかりいつものポケモン繰り出しちゃうところでした。

ごめんね?レティ。

ええとそれなら……

よし!さっきの子のデビュー戦だ!」

 

私とネモはバトルコートのトレーナーの定位置に移動して校長先生とヴィオ姉はコートの外に出る。

 

「さて改めて……レティ!実りのある勝負をしよっ!

行っておいで!クワッス!」

「クワップル!!」

 

ネモはグローブを直してクワッスのボールを投げる体勢になり、クワッスを繰り出してくる

 

「なら私達も!ニャオハ!」

「はにゃあ!!」

 

「初めてのポケモン勝負!

楽しんで欲しいな!」

「……はい!」

「じゃあ……いくよ!

クワッス!みずでっぽう!」

「クワッ!!」

「はにゃ!?」

 

ネモの指示でクワッスはみずでっぽうを出して私は咄嗟に指示出来ず、ニャオハが直撃してしまう。

 

「ニャオハ!?大丈夫!?」

「プルプルプル……はにゃ!!」

 

ニャオハは体にかかった水を振り落として元気に鳴く

 

「くさタイプはみずタイプに強いからね、これくらいじゃやられないよ!

クワッス!続けてはたく!」

「クワップ!」

「うえぇ!?え、えーと……ニャオハ!近くに来たら引っかいて!」

「はにゃ!……ペシッ」

「クワ!?」

 

するとニャオハははたきに来たクワッスが近付いたのを冷静に見て引っかく。

 

「そうそう!その指示良い感じじゃん!

クワッス!攻撃を下げるよ!鳴き声!」

「クワッ!クワップ!!!!」

「はにゃ!?」

 

うええ!?攻撃をさげられちゃった!?

ええっとここは……あ、そうだ!

 

「ニャオハ!このは!」

「はーーにゃぁぁああ!!」

「クワップルッ!?」

 

ニャオハは葉っぱを出してクワッスを切りつける

みずタイプにはくさタイプが効果抜群!

攻撃がさがっちゃってるから威力はちょっと低いけどこれなら!!

 

「くさはみずに強い!

そうそう!予習はバッチリだね!」

 

するとクワッスは倒れる

あれ?

 

「ん?急所!?

クワッス……ごめんねー、運が悪かったみたい。」

 

な……なんか勝てちゃった……緊張したぁ

 

「は……はにゃ?」

 

するとネモが私の所に来て300円を渡してくれた。

 

「それにしても……へぇー!きみやるね!

初めての勝負で勝っちゃうなんて思ってた以上にすごい!

絶対もっと強くなるよ!」

 

するとネモがまた定位置に行く

ってまさか!?

 

「違う戦法も試したいしもっかい勝負しよーっ!」

 

すると校長先生が呆れた様子で答える

 

「スカーレットさんもニャオハさんも疲れておいでですよ」

「あ、すみません。

興奮しちゃってついつい……

ごめんね、レティ、ニャオハ」

 

「いやいや!気にしてないよ!

またやろう」

「えへへ……

ありがとレティ!」

 

あとヴィオ姉、逃げないで

そんなバトルジャンキーと戦いたくないという様子で逃げる準備しないで……

 

「ヴィオもやるー?」

「ギクッ!?」

「ほげ?」

「さっき出会ったばかりなのにもうなかよしさんですね。

ネモさんはチャンピオンとしていろいろ教えてあげてくださいね」

「はーい!」

 

 

 




マグロ「ゲーム本編のバトル基本的に短いから描写に困るんだよなぁ。」
男主人公「そこはどうしようもないだろ。
やられるときは一撃なんだしさ。」
マグロ「そこなんだよなぁ……」


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紅と紫の少女とポケモンゲット

 

 

~コサジタウン~『ネモ家:海岸』

 

「そうだ!レティ!ヴィオ!

ポケモン始めたばっかりってことはあのアプリいれなきゃね!」

「へ?アプリ?」

「なんのやつですか?」

 

するとネモはスマホロトムを取り出してスマホアプリのアイコンを見せてくれる。

 

「スマホは持ってる?

ちょっと弄らせてね」

「え?あ、はい、どうぞ?」

「いいですよ。」

 

私達はスマホロトムを取り出してネモの目の前に浮かせる。

ネモは宙に浮いているスマホロトムを操作してアプリをインストールしていく。

このスマホロトム……ポケモンが入ってるお陰か知らないけど無駄にハイテクだなぁ……

 

「このアプリは……」

「ポケモン図鑑……ですか?」

「そう!ポケモン図鑑には自分が捕まえたポケモンが自動で登録されるの。

ポケモントレーナーなら要チェックだよ!

ポケモンアカデミーの担任のジニア先生が作ったすごいアプリなんだー!」

「うぇ!?これアカデミーの先生が作ったんですか!?」

 

すると校長先生が思い出すように呟き始めた。

 

「私の時代は図鑑といえばノートに手書きでしたから……

本当に頼もしい世の中です。」

 

「へっ!?手書きですか!?」

「絶対面倒くさいですよねそれ……」

「図鑑を手書きって大変すぎ!?

想像も出来ないですよ!?」

「フフ……そうでしょうね。

今の世代は基本的に専用のポケモン図鑑の機械があるのが普通のようですし、最近出来たばかりのこのアプリも完成はしていませんからね。」

 

校長先生がネモの家の方向に進みながらなにか話を続ける

 

「しかし時代は変われどポケモンと出会う素晴らしさはいつの世でも色褪せません。

出会いの数だけ貴女達に大きな成長をもたらすでしょう。

図鑑完成を目指してぜひ頑張ってくださいね」

 

「……っ!はい!」

「頑張ります!」

 

すると校長先生は嬉しそうに笑顔になってから少し真面目な顔に戻った。

 

「さて、私はネモさんのご家族とお話がありますので……

ネモさんにはスカーレットさんとバイオレットさんをアカデミーまでご案内してくださると助かるのですが……」

「もっちろん!任せてください!」

「頼りにしてますよ」

 

校長先生はネモとの話を終えると一旦ネモの家まで向かってそのまま中に入っていった。

 

校長先生が行った後にネモが腕を組んで悩み始めた。

 

「うーん、私も勝負だけじゃなくて図鑑ももうちょっと頑張ろうかな?

……そうだ!図鑑と言えば!

二人ってまだ野生のポケモン……

捕まえたことないよね!?」

 

するとネモがいきなり走って移動しながら話し始める

 

「学校行く前に教えてあげる!

わたしについてきてー!」

 

凄い速さで走り抜けてネモが消えていった。

 

「ちょっ!?」

「速すぎないかしら……

って見失うわよ!?」

「うぇえ!?私達も急いで追わないと!?」

「急ぐわよ!ホゲータ!私の背中に捕まって!」

「ホゲワ!」

「ニャオハ!」

「はにゃ!」

 

そして私達はモネを追いかけて走り抜けていく。

ってネモ速すぎだよ!?

 

_________________________________________________

 

 

幸いネモの家の門を通った先でネモは待っていたんだけどそこには何故かママが居た。

どうしたんだろ?

 

「あら?レティにヴィオじゃない。

ネモちゃんと一緒に登校するんだってね」

「うん!私達の案内を校長先生がネモに頼んでくれたんだ!」

「二人のことは私に任せてください!」

 

するとママはすっごく嬉しそうに笑う。

 

「ふふ、さっそく二人にお友達が出来たのね。」

「うん!さっきもポケモンバトルしたんだ!」

「ちょっと戦闘狂っぽかったけどね。」

「うぇ!?」

 

ネモが心外な!とでも言いたそうな表情してるけど……

ごめん、そこはヴィオ姉に同意する。

 

「私も学校のパンフレット読んだけど

素敵な先生が勢揃いね!

役立つ施設も使い放題ですって!

ネモちゃんもいるし二人の学園ライフは楽しくなりそうね!」

「えへへ……」

「そうね!好きなだけバトル出来るし!」

「やっぱ戦闘狂なのね……」

「えー!?なんでぇ!?」

 

うーん、やっぱネモはバトルが一番みたいなとこあるんだよねぇ。

 

するとママは咳払いをして真面目な空気に切り替え始めた。

 

「コホン!

二人は今日から学校で寮生活だからしっかりご飯食べるのよ?

これおこづかいとお弁当!

大事に使って頂戴ね」

 

するとママはお弁当としてサンドウィッチとおこづかいを私達にくれた。

ってこのサンドウィッチって……

 

「テレビでやってたやつかしら?」

「あらヴィオったら……良く気が付いたわね?

あとそうだわ!

これも持っていきなさい。」

 

ママは続けてキズぐすりを5個ずつ渡してくれた。

 

「貴女達の大事なパートナーが傷付いたら使ってあげて頂戴!

それにこれからお家を離れて初めて尽くしの毎日が始まるわ。

楽しい事も大変な事もいっぱい経験してらっしゃい!」

「うん!」

「ありがとう!ママ!」

 

「それとね……いつだって帰ってきてお休みしても良いんだからね……

貴女達は私の愛娘ですもの……」

「ママ……」

 

やっぱりママは優しいなぁ……

私達はそんなママがやっぱ大好きだ。

 

「それじゃ三人とも!

気を付けていってらっしゃい!」

「うん!いってきまーす!」

「お土産話!楽しみにしてて!」

 

するとママはそのまま家まで帰っていっちゃった。

 

「二人のお母様……優しくていいね!

って!?ポケモン捕まえるの教えてあげるんだった!」

 

ネモはまた駆け足でそのままコサジの小道まで向かう。

 

「こっちこっち!」

 

そして私達はネモに付いていってコサジの小道に着いた。

 

「二人共、ここがコサジの小道。

私達の冒険が始まる所!

町と違って道や草むらには野生のポケモンがいるんだ!

近付くと戦う事にはなるけど二人なら大丈夫だね!

そしてポケモンを捕まえるのに使うのが……

おなじみ!モンスターボールなの!

いっぱい持ってるから分けてあげるね!」

「ありがとう!」

 

すると草むらからグルトンがやってくる。

 

「習うより慣れちゃえ!

二人とも!さっそく戦ってみて!」

「「はい!」」

 

これから私達の冒険が始まるんだ!




マグロ「やっぱ2000文字近くなるとめちゃくちゃおもてぇ(ヽ´ω`)」
男主人公「しゃーない。」
マグロ「どうするかねぇ……」


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紅と紫の少女と謎のポケモン

 

~コサジの小道~

 

あの後私達はコサジの小道にいたポケモンを二人で手分けしながら全部捕まえてから灯台に向かっていた。

 

灯台近くまでいくとネモが後ろから声をかけながら走り寄ってくる。

 

「レティ!ヴィオ!

ポケモンの捕獲は順調かねー!?」

「順調ですよー!」

「意外とちゃんと捕まってくれます。」

「ほほうどれどれ……二人が捕まえたポケモンの数は……」

 

ネモが私達が捕まえたポケモンの数を確認しようとしたその時だった。

 

「「グギャォォォ!!」」

 

突如として謎のポケモンの叫び声が響き渡り、私達は周囲を見渡す。

 

「何!?今の……!?」

「ポケモン……ですよね?」

「それも二匹いますね。」

 

「「オオオ……」」

 

今度は声が小さくなっていった

ネモが先に進んでからこちらに振り向いて話しかけてくる

 

「知らない鳴き声!

強いポケモンいたりして!」

「でもたぶんこの辺りのポケモンでは確実に無いですよね……」

「何が起きてるんでしょうか……」

 

ネモはさらに目を輝かせて更に話す。

あ、これ聞いてないわ

 

「二人とも!

声の出どころを探してみよっ!」

「ふぇ!?学校はいいんですか!?」

「ぜんぜん余裕はあるよ!

ただ、このへん危ない洞窟もあるからそこには行かないようにね!

一応スマホロトムの安全機能があるけど崖には気を付けてよね!」

 

私達も結局声の出どころを探すことにした。

確か……あー、崖下から聞こえた気がする……

「いく?ヴィオ姉?」

「私も気になるし行きましょうか、レティ」

 

声のした辺りの崖下を除いてみるとデルビルに囲まれた二匹の謎のポケモンを見つける。

結構大きいな……

けど……元気が無いように見える……

どうにかして助けないと……

 

「「…………」」

「グルルルル……!」

「バウ!バウワウッ!」

 

すると二匹は軽く起き上がってデルビル達に対峙する

 

「「アギャァァァァァァオ!」」

「わっ!?」

「まずっ!?レティ!」

 

あまりの声の大きさに私は驚いて体勢を崩してしまい落ちてしまう。

ヴィオ姉が私の手を掴んで救出しようとするけど力が無さすぎて逆にヴィオ姉も一緒に崖下に落下しちゃった。

 

「「キャァァァァァァアアア!?!?」」

 

するとスマホロトムの安全機能と思われるのが発動したのかスマホロトムがポケットから飛び出して私達の下に浮いて支え、ゆっくりと下ろしていく。

 

降りた頃にはデルビル達がが逃げていく様子が見受けられた。

 

「「キャイン!キャイン!」」

 

近くまで来て分かった。

この子達かなり衰弱している気がする。

 

私達は結局謎の二匹のポケモンに近付く。

一匹はどこか鉄のような質感を持つドラゴンポケモンと思われる見た目をしており、もう一匹はどこかの民族が付ける飾り羽根のような部位が複数あり、力強さを感じさせるドラゴンだ。

 

「「…………グゥゥ」」

 

謎の二匹のポケモンは力なく倒れている……

元気になるものをあげた方がいいかな……?

うーん、げんきのかけらもかたまりも持ってないし元気になるもの……そうだ!

 

私はサンドイッチを渡すことにした。

 

「…………アギャ?」

「これを食べて元気になってほしいな。

だめ……かな?」

「レティ、それはママが……」

「いいの……」

 

すると私の目の前にいた赤いポケモンが匂いを嗅いでから食べる

 

「…………バクッ!

…………ガツ…ガツ!」

 

すると一気に元気を取り戻して立ち上がる

 

「アギャアス」

 

私達は少し見つめあってからすぐさまもう一匹とヴィオ姉の方へと向く。

 

「うぐ……分かったわ……」

 

ヴィオ姉が嫌な顔をしながらもう一匹の紫色のポケモンにサンドイッチを渡す。

ヴィオ姉ママのサンドイッチ好きだからなぁ……

するともう一匹も元気を取り戻した。

 

立ち上がった二匹のが視線を洞窟へと向き、二匹は移動していく。

突然止まったかと思ったら……

 

「「アギャアアアス!!」」

 

二匹は突如として飛び上がって全身が光り輝き、大きく姿を変化させる。

 

「「アギャアアアス!!」」

 

一瞬二匹は私達の方へと振り返りってから洞窟絵と向かっていった。

すると止まってまた私達へと振り返る。

 

「付いてきてってことかな?」

「たぶん……」

 

とりあえず崖を登る手段も無さそうなので私達は二匹に付いていき、入り江の洞穴へ入ることにした。

 

少し移動して洞窟の開けた場所へといくと……

 

「おーい!レティー!ヴィオー!」

 

声の出どころを探すと出口と思われる所にネモが待機していた。

 

「いた!二人とも!

大丈夫!?怪我してない!?」

 

「大丈夫!」

「なんとか!」

 

すると安心したようにネモが答える

 

「よかった……

本当に心配した……!

ごめんね、私が声の出どころ探そうとか言い出したから……

ううん!今はとにかくこの状況を解決しないと!

どうにか上まで登ってきて!

近くに来てくれたらポケモンの技で引っ張り上げるから!」

「わかりました!」

 

私達は二匹に視線を向けると二匹共頷いて誘導するようにゆっくり進み始めたので付いていく。

するとネモがこの子達に気付いた。

 

「二人の前にいるポケモン何!?強そう!

ある程度進むと二人の前で止まってる

付いてこいって言ってるのかな?」

 

そのまま進んでいくと落石で道が塞がっていたんだけど……

二匹があっさりと道中の岩を粉砕していった。

 

「わっわーっ!すごいすっごーい!

私のポケモンと同じ……

いや、それ以上に強かったりして!」

 

ネモちょっとうるさい……

ここデルビル達いるんだから……

 

すると上の方で監視するようにこちらを見つめるヘルガーが居ることに気が付く。

 

「ねぇヴィオ姉……あれって……」

「間違いなさそうね……」

 

おそらくあのデルビル達の親玉と思われるヘルガーはしばらくすると暗闇の中に消えていった。

 

すると突如さっきの何倍ものデルビルの群れが現れる

 

だけど……

 

「「アギャァァァァァァァオ!」」

「「「キャイン!キャイン!」」」

 

二匹の威嚇によりデルビルがみんな逃げていっちゃった。

 

とりあえず皆で更に進んでいく。

 

「この洞窟……さっきみたいな暴れん坊のデルビル達がたくさん生息してるんだ

頼もしいボディーガードがいるから安心だけど強いのもいるから気を付けてね。」

 

ネモ………たぶんもう手遅れだと思う……

さっき見られてたし

 

二匹はまた道中にある岩を意図も簡単に破壊する。

 

「岩が壊れちゃった!?

すごい破壊力……

何て技なんだろう……

近くで見てみたいな」

 

ネモはやっぱりそれが平常運転なのね……

 

「二人とも!気を付けて!

何か来てるよ……!」

「っ!」

「もしかして……」

 

私達は周囲を見渡すけど特になにかが居るようには……

 

「後ろ!後ろー!」

 

ネモの声で後ろに振り返るとさっきのヘルガーが襲いかかってくる

 

「ルガァァァーー!!」

 

「っ!?ニャオハ!」

 

私をまもるようにニャオハが出てきてヘルガーの牙がニャオハを噛み砕こうと迫る。

 

「間に合った!!」

 

私はとっさにニャオハのボールを出して攻撃を受ける前にボールに戻すことに成功する。

 

攻撃する対象を失ったヘルガーはガチンと顎を閉じてなにも無い事に気が付いたのか警戒するように唸る

 

すると二匹が再度飛びかかってきたヘルガーを尻尾で吹き飛ばして威嚇する。

 

「ルガァァァ!!!!」

 

ヘルガーが遠吠えをしてデルビルを大量に呼び出して私達を囲み始めた。

 

どうしようと思っていたその時、二匹が私達を抱えて飛び上がり、包囲網から抜け出す。

 

「おーい!

こっち!急いで!」

 

私達を抱えたままネモの誘導に二匹とも従って出口に飛び上がり、私達を下ろしてくれた。

 

「すっごい身のこなし!

危機一髪だったね!」

「怖かったぁ……ボールに戻すのが間に合ってよかったよぉ……」

「ええ……かみくだくを貰っていたらニャオハもどうなっていたか……」

 

すると灯台へと向けて二匹がが移動するけど姿が戻っちゃってして倒れてしまう。

 

「わっ大丈夫!?

力を使い果たして疲れちゃったのかな……?」

「元々弱ってたみたい……」

「私達がサンドイッチ上げたらだいぶ元気が出てたみたいなんだけど……」

「何だろこのポケモン……

モトトカゲってポケモンに似てるけど

……こんな姿見たこと無い。」

「モトトカゲですか?」

「こんなポケモンだよ。

この地方ではライドポケモンとして重宝されているんだ。」

 

ネモは私達にポケモン図鑑のモトトカゲのページを見せてくれる。

 

「確かに似てる……けど……」

「なんだろ……二匹とも似てるのに別方向に進化してるような……そんな感じがする。」

「うーん、あ!そうだ!

いきなり形が変わったけど大丈夫……なのかな?」

「どうだろう?」

「わからないです」

 

元々かなり弱ってたから私達としてもかなり不安がある。

 

「二人にも分からないんだ

……っていうか本当無事でよかった!!」

 

ネモ……そこ気付くの遅いよ……

 

「……そういえばさっきの戦い凄かった

ヘルガー相手に謎ポケモンと息ピッタリじゃん!」

 

私達はお互いに顔を見合せてから首を振って否定する

 

「この子達はまだ私達のポケモンって訳じゃないんだ」

「さっきも私達は指示した訳ではなくこの子達が助けてくれたんです。」

「えー!この子に指示出してなかったの!?」

 

するとネモが倒れた二匹を見つめる

 

「そっか……まだ二人のポケモンになったわけじゃないんだ」

 

少しすると二匹が起き上がる

 

「あっよかった!

ちゃんと元気出たみたい。

さっきの謎の声……正体はこの子達だったのかな?」

「そうだと思う」

「あの声も二匹分聞こえてましたし」

 

するとネモが少し考え込んでからこちらへと向く

 

「うーん、そうだ!

強いポケモンと戦うための技!

それを覚えさせる道具もあげるね!」

 

するとネモは私達に何かのディスクを渡してくる。

これって確か……

 

「これはわざマシン、中身はスピードスターだよ!

わざマシンは一回使うとなくなっちゃうから注意してね」

「ありがとうネモ!」

「大切に使います!」

 

「さーて!大変な目にあったしちょっと休憩ー!

灯台に登ってきてひと休みだ!」

「あ……」

「忘れてました……」

 

そういえばあの灯台目指してたんだった……




マグロ「最強レイド準備なう………」
男主人公「あいつどこに行きやがった………」


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紅と紫の少女とミライドンとコライドン

 

 

~コサジの灯台~

 

 

元々目標としていた灯台に到着したらそこの隣のの小屋から誰かが出てくるのを見かける。

ここに住んでる人かなにかなのかな?

 

「アイツは……」

 

するとその人は急に私達に近づいて驚いた様子で話し始める

 

「なんでいる……!?」

「ふぇ!?」

「なんでと言われても……」

 

すると彼は私達に顔を向けて答える

 

「オマエらに言ったんじゃないさ」

「きみたしか文系クラスのペパー……だっけ?

ポケモン博士……

オーリム博士とフトゥー博士の息子さん」

「へっ!?」

「二人のポケモン博士の息子さん!?」

 

すると彼……ペパーは振り向いて怒ったように首を振る

 

「父ちゃんと母ちゃんは関係ねぇ!

それよりこのポケモンがなんでいるんだよ?

どうしてこの姿に!?」

 

あれ?もしかしてこの人……この子達の事を知ってるのかな?

 

「崖の下で会いました」

「助けてくれたんだー!」

「不思議な鳴き声を調べてたら二人が崖から落ちちゃって

この子達が助けてくれたの

力を使い果たしたみたいでその後へたりこんじゃったけど……

形が変わる前はものすごく強かったんだよ!」

 

するとペパーはなにか考え込むように話し始める

 

「……だろうな

この姿じゃ戦えねぇさ

コライドンとミライドンの本当の姿は戦ってる時のフォルムだからな」

「コライドンとミライドンってこの子達の名前?

なんで知ってんの?」

 

すると二匹、ミライドンとコライドンだっけ?がペパーが出てきた所に体を向けて鳴き始める

 

「アギャギャス!」

「アギャァス!」

 

ペパーはそんな二匹に答えるように話し始める

 

「研究所には入れねぇよ

鍵かけたからな」

 

ペパーは今度は私達の方へと話し始める

 

「オマエ見かけない顔だけどその制服は……

うちの学校の生徒かよ。

コライドンとミライドンは普通のトレーナーが扱えるポケモンじゃねえ」

「どういうポケモンなの?」

 

ペパーが少し考え込むような様子を見せるけどネモをまたシカトする

 

「……フン!コイツらの世話がつとまるかオレが試してやろうか?」

 

ムッ!なんかやな感じ……でもこの子達と出会ってからなにか感じるものがある。

この子達ともっと一緒に居たいし答えは決まってる。

 

「はい!」

「望むところよ!」

 

ペパーが少し嬉しそうにする

 

「へへっ意外とやる気マンマンちゃんだな。

二人まとめて試させて貰うか

モヤモヤ気分……

晴らさせて貰うぜ!」

 

やるきマンマンちゃん?

なんか変な表現する人だなぁ

 

「レティ!」

「うん!ヴィオ姉!」

 

私達は息を合わせて一斉にボールを投げる

 

「ニャオハ!」

「ホゲータ!」

 

「ホシガリs……ってあぶねぇ!?

ボールはちゃんと人に当たらないように投げろよな!?

顔面に当たる所だったぞ!?」

 

あ、ヴィオ姉が投げたボールが思いっきりペパーの顔の横を通り過ぎてった……

てかヴィオ姉……絶対狙ったでしょ……

 

「チッ……」

 

舌打ちしたよ!?

ヴィオ姉やっぱり狙って投げたの!?

 

「ったく……ヤなヤツの事思い出しちまった……

落とし前付けさせて貰うぜ!

いけ!ホシガリス!パモ!」

 

「ムチャッ!」

「パモッ!!」

 

ペパーはホシガリスとパモを繰り出してきた

 

って良いなぁ!ホシガリスは私の地元の地方でよく見かけるポケモンでこっちの地方にも生息してるから捕まえたいのに!

それにもう一匹はたしか灯台に来る途中で捕まえた子ね!

とりあえず挨拶変わり!

 

「ニャオハ!ホシガリスにかみつく!」

「ホゲータ!パモに牽制のひのこ!」

 

「はにゃあ!!」

「ホゲッ!ホゲワァ!!」

 

私はホシガリスにかみつく、ヴィオ姉がもう一匹のパモがカバーしにくくなるようにもう一匹をひのこで牽制する

 

「ホシガリス!尻尾を囮にして引き付けろ!」

「ムチャ!」

 

ホシガリスは尻尾を向けてニャオハを迎え撃つかと思えばその場で回る事でその大きな尻尾へとかみつこうとしたニャオハに攻撃を外れさせた

 

「ウソッ!?」

「はにゃ!?」

「たいあたりだ!」

「ムチャア!!」

 

 

するとホシガリスはかみつくを外した影響でその場で転んでおり、たいあたりを避けられそうにない。

 

「ホゲータ!かみつくの姿勢でニャオハの前で待機!」

 

「ホゲーーーー………」

「ムチャ!?」

「ワッ!!」

 

ヴィオ姉上手い!

ホゲータの開けた口の中にホシガリスがきれいに口の中にすっぽり収まって噛みつかれた

 

「ホシガリス!?パモ!でんきショックで助けろ!」

「ムチャ!?ムチャア!?」

「パムーーー!!」

 

パモが今度はでんきショックを使ってホゲータに攻撃を仕掛ける。

ってかあれホシガリスも巻き込まない?

 

「ニャオハ!このはで妨害して!」

「はにゃあ!」

 

ニャオハのこのははきれいにパモのでんきショックを打ち緒として迎撃する。

 

「ホゲータ!そのままひのこ!」

「ホ……ゲ……ホゲ……」

「ムッ!?ムチャアリ!?ムチャ!?」

「ホゲワッ!」

「ムチャァァァァァァアアアアアアア!?!?!?」

 

ヴィオ姉容赦無いなぁ、噛みついたまま口からひのこって………

ただホゲータのひのこはまるでくしゃみをするように放たれて一緒にホシガリスも吐き出されてた

 

「むちゃあ………」

「よし!ホシガリス戦闘不能!あと一匹だよ二人共!」

「ホシガリス!!

ちっ!パモ!ひっかく!」

「ニャオハもひっかくで迎え撃って!」

 

「パモッ!」

「はにゃ!」

 

パモとニャオハが通りすぎていく

するとパモが突如として倒れた

 

「パモも戦闘不能!やったじゃん二人共!」

「すまねぇホシガリス……パモ……

ちょっとはやるみたいだな……」

「二人共ナイスファイトだったよ!」

 

するとペパーがガックシとなる

 

「はぁ……まぁどのみち捕まえたばかりのポケモンじゃ話にならねぇか

ちゃんと育ててやらねぇとか」

 

ペパーって表面的な態度は悪いけど結構優しいのかな?

ツンデレ?だっけ?

ヴィオ姉が言ってた言葉だからあんまりよく分かってないけどそんな感じだったと思う!

 

「コイツらつれていくならコレ持ってけ

アイツらを制御するモンスターボールさ

こっちが赤いヤツ、コライドンのボールで

こっちの青いヤツのボールはこっちな。」

 

私達はミライドン、コライドン用のボールをペパーから貰った

一応私がコライドン、ヴィオ姉がミライドンのボールをそれぞれ持つ形になる

するとネモがまたツッコミを入れる

 

「だからなんでそんなの持ってんの?」

 

だけどペパーは顔を背けてまたシカトする。

……もしかしてネモって関わっちゃいけないタイプの人って思われてるのかな?

 

「……はぁ

ったくやっとボール手放せたぜ

……じゃあな」

「ちょっと!シカトし過ぎじゃない!?」

 

ペパーは逃げてくみたいに先に走り抜けていっちゃった

ネモは手を振って大声で叫ぶ

 

「……学校!ちゃんと来なよー!」

 

でもやっぱりペパーが答えることは無かった

ってかもう見えなくなってる!?

ここの人達脚速すぎない!?

 

「おかしなヤツ」

 

「アギャア!」

「アギャス!」

 

するとコライドン達が私達に近づいてボールに入る

 

「でもなんか知ってそうだったな……

今度会ったら勝負して問い詰めてやろうね!」

 

ネモが戦意を燃やしながら決意を決めている……

やっぱりペパーがシカトしたのって……

 

するとネモが思い出したように話す

 

「あっ!そうだ灯台!

上から学校見るよっ!」

 

あ……また忘れてた

 

________________________________________________

 

~灯台~『展望台』

 

「二人共!見て!

あれがテーブルシティ!」

 

ネモが指差す所に注目するとそこには周囲を城壁のような壁で囲んだもはや城にも見える建物が中央の一番高いところに聳え立つ町があった。

 

「ボールがついてる大きな建物が私達の学校なんだ!

二人と勉強できるの今からすっごく楽しみ!」

「楽しみ!」

「うぐ……勉強……」

 

相変わらずヴィオ姉は頭は良いけど勉強は嫌いそうにしてるんだよなぁ……

 

「そうこなくっちゃ!

いっぱい学んでもっともっと勝負しようねっ!

それにこの灯台からの景色!すっごいでしょー!

見渡す限りの山!草むらに森!

この自然の中いろんな場所でたくさんのポケモンが暮らしてて二人との出会いを待ってるよ!」

 

私達はお互いに向き合うとネモが咳払いをして改まって話し始める

 

「コホン!改めて……

パルデア地方へようこそ!

……さて!まぁ見ての通りまだまだ先は長いんだ!

ひとまず途中のプラトタウンを目指しましょー!

レッツゴー!」

 

するとネモが真っ先に走り抜けていくと灯台を飛び降りてまた走り出していく……やっぱり速いなぁ……

 

さて……私達もポケモンを捕まえながらコサジタウンを目指そっかな!




マグロ「orz」
男主人公「おう、どうした?」
マグロ「最強リザードンって聞いてたからめっちゃ対策考えて来たのに………まさかのバカ正直に弱点そのままにしてくるとは思わんかった……
お陰で対策が全部パーになった……
しかも想定以上に弱いし……」
男主人公「……あと俺はいつになったら出れるんだ?」
マグロ「そろそろ……だけどポケモンって内容が意外と多いからチュートリアル書くだけで文字数が万普通に行くんだよ……」


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紅と紫の少女の未知との遭遇

流石にいい加減モンハン要素出さないと怒られそうなのと自分が我慢出来ないんで男主人公出しますw
ゴー!ゲシッ!(なにかを蹴り飛ばす音)
『グワァァァァァァァァァァァアアアアアア!!!』


 

 

~プラトタウン~

 

 

私達は先にとんでもない速度で走り抜けて行ったネモを追いかけてなんとか追い付くことに成功した。

とはいえ道中まだ捕まえてないポケモンも多かったので後で捕まえておきたい所ではあるけど……

するとネモはプラトタウンの入口側にあるガソリンスタンドのような施設の前に居た。

 

……あれ?この地方って車とか無いんじゃなかったっけ?

 

「おーい!二人共!

こっち!こっちー!」

「あ、ネモにやっと追い付いた……相変わらず速すぎ……」

「もしかしてポケモンより速いんじゃ……」

「もー、そんなわけ無いじゃん!

さて、ここはポケモンセンター!

ポケモンに関係するいろんなことができるんだ!」

 

……へ?

 

「へ?ポケモンセンター?ガソリンスタンドじゃなくて?」

「ふふ、他の地方から来られた方にはいつも驚かれやすいんですよね。

この地方ではポケモンセンターはこういう作りになってて比較的通いやすくなっているんです。」

 

私の疑問には真ん中のお姉さんが答えてくれる。

って事はこの人がこの地方でのジョーイさん!?

 

「ジョーイさん!それでは詳しいご説明をお願いします!」

「はいかしこまりました!

ようこそポケモンセンターへ

私はみなさんのポケモンを元気にいたしますよ。

次にお隣のフレンドリィショップではポケモンを捕獲するモンスターボールやキズぐすりなどお求め頂けます」

 

するとすぐとなりにいる青色の服を着たお兄さんが話し始める。

隣のショップというか…………すぐ隣の人じゃん!?

 

「こちらの地方ではLP(リーグペイ)というポイントでもお支払いが出来ますよ。

1LPは1円の価値があります。

ガラル地方にも似たようなシステムがありますがこちらではすべてのフレンドリーショップ及び町の店舗、屋台にて使用することが出来ます。」

「え!?ってことはああいう屋台とかでも使えるって事ですか!?」

 

私は思わず少し奥にあるアイスの屋台を指差して問いかける。

 

「はい、ご使用することが出来ますよ。」

「ふぇーー、すっごい便利!」

 

すると今度はジョーイさんが反対側の緑色のマシンへと視線を誘導する。

 

「そちらの端末は技マシンマシン!

ポケモンに技を覚えさせるわざマシンを作れる装置です

わざマシンを作るにはLPとポケモンの落とし物が必要ですよ。」

 

落とし物……それってもしかして……

 

「これとかですか?」

 

私は道中手に入れた『グルトンの毛』や『ヤヤコマの羽』等の倒したり、捕まえたりしたポケモンが落としていった物を出す。

 

「グルトンの毛にヤヤコマの羽ですね

はい、こちらはポケモンの落とし物になります。」

「あ!ショップやマシンで使えるLP!

私いっぱい持ってるから分けてあげるね!」

「あ、ありがとうございます!」

「良いんですか?」

「良いの良いの!あとこれも!」

 

するとネモからポケモンの落とし物をたくさん分けて貰う

 

って数多くない!?どんだけ野生のポケモン倒してるの!?

 

「ネモさんは少し野生のポケモンを倒しすぎですよ?

お陰で今となってはこの地域の周辺のポケモンからは割と怖がられてるんですからね?」

「へっ!?本当ですか!?

ちょっとショックです……」

 

あぁ……やっぱり……

 

「まぁそれはともかく説明ありがとうございます!

二人とも!困った時はポケモンセンター!

ここテストに出るからね!」

 

どんなテストですか!?

 

「さて、この辺で少し休んでからテーブルシティに向かうとしよっか!」

「はい、分かりました!」

「待って、何か聞こえないかしら?」

「へ?ヴィオ姉?」

 

『………………ァァァァアアアアア!?!?!?』

 

「あっ!?確かに誰かの叫び声が聞こえる!」

 

するとガランゴロンと車輪が回る音と共に土煙が見え始める。

 

「なんかこっち来てる!?」

「あれは……クエスパトラ?でも色とか姿が結構違うし……」

 

土煙のする方向を見てみると随分とまるまるとしていて茶色の羽毛と先端には空色の鮮やかな羽毛、お腹や首等はクリーム色の羽毛と色んな色の羽毛を持った鴨のような頭を持った鳥ポケモンが荷車を引きながらとんでもない速さでプラトタウンに向かってきてるのが見える。

 

ってかあれ誰か捕まってない!?

 

「とまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!?!?!?!?」

「グワァァァァァァァァァァァアアアアアア!!!」

 

鳥ポケモンに付いている手綱を持った黒髪の男の子が宙に浮いてる!?

それにあの服はポケモンアカデミーの制服!?

あのポケモンどんだけ速いの!?

ってかなんか目が光ってない!?

すると突如としてポケモンセンター近くまで来た鳥ポケモンが急停止と急旋回を同時に行って荷台に乗っていた人がこっちまで吹っ飛ばされてきた。

って避けなきゃ!?

 

「きゃあ!?」

「だ、旦那さぁぁぁぁあああん!?!?」

 

ってヴィオ姉が巻き込まれた!?

ついでに荷車から声が聞こえる。

 

「いっててて……ガーグァのやつ……」

「……あの……退いて貰えない……かしら?」

「ってうわぁ!?わ、ワリイ!?」

 

ヴィオ姉を押し倒す形で吹っ飛ばされて倒れた男の子はすぐに飛び起きて離れる。

 

「ちょっ!?無事!?」

「ヴ……ヴィオ姉大丈夫!?」

「えぇ……なんとかね……

それよりも彼の方が大丈夫かしら?

思いっきり吹っ飛ばされてきた彼の方がダメージ大きいんじゃないかしら?」

 

よく見てみると彼は額から軽く血を流していた。

 

「額から血が出てるじゃないですか!?

すぐに治療の準備をしますよ!

ラッキー!手伝って下さい!」

「ラッキ!」

 

すると出血を見たジョーイさんが手持ちのポケモンからラッキーを出して治療の準備をする。

だけど今度は吹っ飛んできた男の子のモンスターボールからポケモンが勝手に出てきた。

その姿は手足の生えたちっちゃいサメみたいにも見える。

こんなポケモン初めて見る。

 

「クギュア♪」

「いってぇぇぇぇぇええええ!?!?」

 

出てきたポケモンは嬉々として男の子の傷口付近に噛みついて血をちゅーちゅーと吸い始める。

ってちょ!?

 

「剥がさないと!?」

「いででででで!?やめろ!?こいつの顎の力はめちゃくちゃ強いから無理に剥がそうとしないでくれ!?」

「チュー♪チュー♪」

 

なんかこのポケモンどんどんおっきくなってない!?

 

「ラッキー!『うたう』で眠らせて下さい!」

「ラッキ!」

 

するとジョーイさんのラッキーが彼に噛みついて血を美味しそうに吸ってるポケモンを眠らせるためにラッキーの『うたう』で眠らせようとする。

確かに眠っちゃえば簡単に剥がせる!

 

「クギュ……zzzZZZZZ ……」

 

サメっぽいポケモンは結構あっさりと眠っちゃってジョーイさんによって男の子の頭から剥がされた。

 

元のサイズの何倍まで大きくなってるのこの子……

 

すると彼のボールからもう一匹、今度は全体が白くて頭には口だけしかないポケモンがまた勝手に出てきたと思ったら彼の頭に噛みつく。

ってちょっと!?

 

「ギィギィ♪」

「あ……きつ……」

「ラッキー!」

「ラ、ラキッ!?」

 

流石に連続でこうなると思わなかったのかラッキーが少し動揺しながらも『うたう』で二匹目を眠らせる。

 

ってか彼がすっごいげっそりしてる!?

だ、大丈夫!?

 

「旦那さん!?

回復薬持ってきたニャ!ご無事ですかニャ!?

栄養薬グレートいるかにゃ!?」

 

今度は荷車から二足歩行の猫のポケモンが言葉を話しながら薬を持ってくr……言葉を話しながら!?

 

「あれって……ニャース?」

「リージョンフォームじゃないかしら?」

 

あれ?なんでヴィオ姉は遠い目をしてるの?

 

「えぇ……多分そうよね……うん、リージョンフォームよね……」

 

まってヴィオ姉も頭打ったの!?

 

 




マグロ「テーブルシティ編まで待てなかったZE!」
男主人公「おいクソマグロ……もうちょいどうにかならなかったのかこの登場は……」
マグロ「もともとこんな感じでの登場予定だったので問題なし!」
男主人公「やれ!」
マグロ「にぎゃぁぁぁあああ!?マグロの血は美味しいかららめぇぇぇぇぇええええ!?!?」


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紅と紫の少女の脅迫

 

 

~プラトタウン~

 

 

「ふぅ……死ぬかと思った……

まぁ割と毎日の事なんだがな……」

「いや……それ毎日死にかけてるって事になるんじゃ……」

 

血を吸うようなポケモンが二匹も手持ちに居るんじゃなぁ……

 

って今も頭に二匹くっついて吸ってるし……

 

「旦那さん、秘薬持ってきたにゃ……」

「ありがとうアイルー……」

 

するとアイルーと呼ばれたニャースみたいなポケモンが丸薬タイプの薬を持ってきて彼に飲ませていた

 

「それよりも……そのポケモンは何ですか?

ポケモン図鑑で検索かけても一切情報が出てこないのだけど?

普通のポケモンなら一度出会って検索かければ断片的な情報は出るはずなのに」

「うぐ……それは……校長に口止めされてんだけどなぁ……」

 

校長から口止め?どういう事だろ?

 

「ねえねぇ、みんなどんなポケモンなの!?

他にもそんなポケモン持ってるの!?

見せて!!戦わせて!!バトルしようよ!!」

 

あぁ……ネモが暴走し始めた……

 

「アホか!?生徒会長みたいなバトルジャンキーに付き合ってられるか!?」

 

あぁ……やっぱり他の生徒からもネモはバトルジャンキー扱いなんだ……

まぁ納得してるけど

 

するとヴィオ姉が彼に近付いて私達には聞こえないように彼に内緒話をする。

 

『私の……触っ……バラ………いの?』

「おまっ!?………何が望みだ?」

「貴方の手持ちとそのポケモンがどういうポケモンなのか教えて貰えないかしら?」

 

すると彼はすごく嫌そうな顔をしていた。

ってヴィオ姉……さっき彼さっき言ってたじゃん……

 

「校長に口止めされてるんだが……とさっき言ったはずだが?」

「ん?なにか言ったかしら?」

 

ヴィオ姉はなんか凄みを効かせて手にはスマホロトムの通話アプリを見せている

番号は……1……1

 

「分かった……だからそれだけはやめろ……

後で覚えてろよテメェ……」

「さぁ、教えてくれないかしら?」

 

ヴィオ姉何したの……

なにで脅したの!?

というかなんで脅したの!?

 

「後で校長からなに言われるか……だが通報されるよりはマシか……」

 

通報!?

弱みなの!?

弱み握ったの!?

 

「出てこい!ウロコトル!バサルモス!」

 

すると彼は懐からモンスターボールを2つ取り出してまだ見せていなかった五匹目と六匹目を出した。

 

一匹はヤトウモリやエンニュートのような細長く、紅い体に手足を生やし、まるで斧のような黄色いクチバシを持つ大人の人間くらいの大きさを持つポケモンだ

 

もう一匹は全身が岩のような外殻に覆われていて、背中は大きく盛り上がってまるで岩山のようになっている。

背中にはピンク色の水晶をたくさん生やしていてとても綺麗だ。

手は存在せず、その重そうな体重をささえる屈強な脚に岩に覆われた翼を持っている。

その尻尾はとても短く、まるでヤドンの尻尾のような形をしている。

顔はまるでシンオウ地方のトリデプスのように平たい。

 

見た目の特徴からおそらくドラゴンタイプなのは分かるのだが……どこか子供のような雰囲気を感じる不思議なポケモンだ。

 

「やっぱり……」

 

ヴィオ姉どうしたんだろ……なんかさっきから様子が変だけど……

 

「先に言っとくけどたまたま捕まえた俺にも図鑑では全く情報がない、せいぜい分かるのがこいつらの名前と分類、能力やタイプ、技とかそこら辺の基本的な情報だけだ。」

「え!?捕まえたのに情報が登録されないの!?」

 

ネモはその事実に驚く、このポケモン図鑑のアプリは例え知らないポケモンでも一度登録すれば世界中の情報を集めてそのポケモンの情報と思われるものを収集し、実際のポケモンの情報と照らし合わせて図鑑情報として登録する。

いわばポケモンの情報収集装置だからだ。

この図鑑で情報が出ないと言うことは完全に新発見されたポケモンであり、過去にも現在にも発見情報が一切表に出ていない事になる。

 

つまりこれらの6匹はこの世界でまだ一度も発見されていなかったポケモンという事になるのだ。

 

「ねぇ!バトルさせて!バトル!良いでしょ!!」

「良くねぇよ!?お前の戦闘狂に付き合ってなんぞいられるか!」

 

彼は怒った様子でガーグァというポケモンに繋がれた荷台に乗るけどそこにヴィオ姉が待ったをかける。

 

「もしもしジュンs……」

「分かった!分かったからやめろ!

このバトルバカと戦えばいいんだろ!?」

「いえ、今回はレティ……彼女に戦って貰うわ。

この子のトレーナー戦はまだネモ以外だとそんなに無いから良い経験になるでしょうし完全に未知のポケモンとの戦いになるもの」

「つまりはこいつの訓練相手になれってことか?」

「ええ、登校までの間で良いわ。

アカデミーに着いたらまぁたまに付き合ってくれれば私はそれで良いわよ。」

 

ヴィオ姉……やり方はアレだけどやっぱり優しいな

 

やり方はアレだけど……

 

「ちっ……分かった。

とりあえず話聞く限りポケモンはまだ貰ったばかりってとこで手持ちもそんなに多いわけじゃないだろうし……アイルー、いけるか?」

「旦那さんの為とあらばいつでも!」

 

なら私も猫には猫を使わないと!

 

「ニャオハ!」

「はにゃ!」

 

よーし!がんばるぞ!

ってそういえば名前聞いてなかった!?

 

「君の名前は?」

「あ?そういや言ってなかったっけか。

俺はライズ……こいつらの家族であり保護者であり……トレーナーだ!」

「私はスカーレット!こっちは双子の姉のバイオレット!私の家族だって負けないよ!」

 

 




ライズ「あんちくしょう……」
マグロ「なかなか愉快な事になってるじゃないかww」
ライズ「テメェ……ガーグァ!」
丸鳥「クェェェェエエエエエエ!!!」
マグロ「ギャァァァァアアアア!?!?!?
つつかないでぇぇぇえぇえ!?!?!?」


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紅と紫の少女の未知との戦い★

8話のサブタイ入れるの完璧に忘れてたorz


 

 

~プラトタウン~『バトルフィールド』

 

私達はバトルの為にこのタウンにあるバトルフィールドにわざわざ移動してちゃんとした形式のバトルを行うことにした。

 

相手の手持ちはあのニャースっぽいアイルーってポケモンだけでこっちは道中で捕まえたパモ、コフキムシがあっという間に進化していったビビヨンが控えにいる。

でもアイルーのタイプがわからない以上下手に出せないのである

 

パッと見ノーマルっぽいんだよなぁ……小判を持ってなくてしゅっとしたニャースって感じするし

とはいえその手に持ってる剣は怖いな

 

「どこからでもかかってくるにゃ!」

 

うーん、やっぱりポケモンが喋ってると違和感半端ないなぁ……

 

「いくよニャオハ!まずは小手調べよ!『かみつく』!」

「はにゃあ!」

「アイルー!剣を盾にまもれ!」

「まかせてにゃ!こんにゃろ!」

「はにゃ!?」

 

するとアイルーは剣をニャオハの前で剣を地面に突き刺して『かみつく』を防いでいた。

 

とはいえ剣に噛みついたんだからその得物は使わせないよ!

 

「ニャオハ!そのまま剣を取っちゃって!」

「アイルー!振り回せ!」

「了解にゃ!気炎万丈ニャァァァァァアアアアア!!!」

「はにゃぁぁぁあ!!!」

 

嘘!あんな軽々とニャオハごと振り回すなんて!

ってまずい!

 

「ニャオハ!剣を放して退避!」

「アイルー!叩きつけろ!」

「くらえにゃぁあ!!」

「はにゃん!」

 

するとアイルーは噛みついていたニャオハごと振り回した剣を地面に強く叩きつける。

地面に炸裂したそれは凄まじい量の土煙を巻き上げる。

なんて威力……っ!

 

「ニャオハ!」

 

私の声に答えるようにニャオハは土煙の中から出てきた。

 

「はにゃ!!」

「よかった、なんとか避けたみたい」

 

私は油断しないように土煙の中にいるであろうアイルーを警戒する。

だけどなんかライズ君が頭抱えて呆れた表情をしていた。

 

「あっ!?ちょっ!?やば!?抜けないにゃ!?」

 

良く見てみたらアイルーの剣はどうやら"縦"向きに振り下ろされており、地面に深々と突き刺さっていた

あんな威力で受けたら大怪我じゃすまない……

なんて強い攻撃……

 

「アイルー……それは叩きつけるというよりは叩き斬るだ……」

 

ごもっともです……

 

「ニャァァアア!?やらかしたにゃ!?」

「とはいえ近付くのは怖いな……ニャオハ!『このは』!」

「はーにゃぁぁぁああ!!」

「アイルー!一旦武器捨てろ!」

「ニャァァアア!!僕の武器ィィィイイイ!!」

 

ニャオハの『このは』は避けられちゃったけどアイルーの武器に当たって葉っぱまみれになっちゃった。

 

「アイルー!『タルばくだん!』」

「僕の武器の恨みィィィイイイ!!」

 

今度はライズ君の技の指示でアイルーが火の付いた導火線が取り付けられた樽を取り出した。

ってか何処から出したの!?

 

「ナニアレナニアレ!すっごい!!」

「あぁ……」

 

ネモ……ヴィオ姉が顔を手で覆う程呆れられてる……

あとネモをヴィオ姉に押し付けてほんとゴメン……

後でアイス奢ろ

 

「くらえにゃぁあ!!」

 

って樽を投げたぁ!?

タル"ばくだん"ってことは爆発する!?

 

「ニャオハ!爆発するから避けて!」

「アイルー!『ブーメラン』!」

「ニャァァアア!!」

 

今度はブーメラン!?

 

骨と骨が十字に合わさったような感じの『ブーメラン』がニャオハの退路を塞ぐように後ろから迫る。

 

「はにゃぁ!?!?」

「ニャオハ!?」

 

ニャオハは『タルばくだん』の爆発を避けられずに直撃してしまう。

そしてその爆発はかなりの威力であり、ニャオハは目を回して倒れてしまう。

 

「ニャオハは戦闘不能ね

レティ、今のはこのはで『タルばくだん』を攻撃していれば大丈夫だったと思うわよ。」

 

あ、そっか!投げてる時に爆発させちゃえばよかったんだ!

 

「ごめんねニャオハ……

よし!いっておいで!パモ!」

「パーモッ!」

 

するとアイルーは放置せざるを得なかった剣に貼り付いた木の葉を取り除いて剣をなんとか引っ張り出した。

やっぱりあの剣には何か特別な思い入れがあるみたい。

 

「よっしゃあ!剣を抜けたニャ!」

「パーモ?」

「ニャ?」

 

ってアレェ!?なんかパモがいつの間にかアイルーのすぐそこにまでいってる!?

 

「パモ♪」

「ニャ?可愛らしいにゃあ……」

「あ、ちょっ!?アイルー離れr」

「パモ!『ほっぺすりすり』!」

「パモ~♪」

「ニャァァァァァァァアアアアア!?!?!?!?」

 

まぁこんな絶好のチャンスを逃すわけが無いよねぇ……

ってパモ……なんか笑みが黒いよ……

 

とはいえ当たれば確実に麻痺する『ほっぺすりすり』を直撃させられたのは大きい

 

「パモ!一旦離れてから『じゅうでん』!」

「パモッ!パモパモパモパモ!」

 

パモは痺れたアイルーから離れて頬っぺたを両手で必死に擦り始める……可愛い!

じゃなかった!これで次の電気技の威力が上がるんだっけ?よーし!

 

「おいアイルー……無事か?」

「ニャ……ニャニャ……卑怯ニャ……」

「はぁ……動けるか?」

「ニャニャ……麻痺毒よりはマシ……ニャ……」

「よし、『きょうかたいこ』!」

「ヨシキタ!にゃん!にゃん!にゃん!にゃん!にゃん!!!」

 

麻痺した体をなんとか動かしアイルーは何処から出したかわからない太鼓を叩き続ける。

一回叩くごとに心臓に太鼓の音が響くような感覚が襲い、さらにアイルーの肉体が強靭になっていく。

 

あっちも準備出来てるって訳……

なら!

 

「パモ!『でんきショック』!」

「アイルー!『きりさく』!」

「パモーー!!!」

「やったるにゃー!!!」

 

パモの『じゅうでん』により威力の上がった『でんきショック』……さすがにこれなら……

 

「気炎……万丈ニャァァァァァァァアアアアア!!!」

 

アイルーの剣はパモのでんきショックを切り裂いて吸い込まれるように直撃した。

 

「嘘ッ!?」

「パモーー!?!?」

「アババババババッ!?!?」

 

あ、でも切り裂いただけだから周囲の電撃軽く貰ってるっぽい

 

「パモ……」

「パモ戦闘不能、レティ……最後のポケモンよ」

「うん……ありがとうパモ……

行っておいで!ビビヨン!!」

「ビビヨーー!!」

 

コフキムシは進化までに必要な経験が極端に少なく、子供でもすぐに最終進化まで到達させる事が可能な特殊なポケモンでもある。

その分育てておくと同年代の初心者等にアドバンテージを作りやすいのだ。

 

「ウゲッ!?」

「あー……ついにそうきたか……」

 

するとアイルーがすごく嫌そうな顔をしてライズ君が頭を抱え始めた。

 

「あー、わりいがひこうタイプのビビヨン相手にアイルーだと普通にきつい

だから切り札を使わせて貰う……悪く思うなよ?」

 

ライズ君が懐からモンスターボールのような容器の中に何かのクリスタルが入ったオーブを取り出した。

ライズ君が力を込めると周囲の空気をざわめかせて凄まじい力がオーブに貯まっていく。

 

「テラスタルオーブ!?ずるい!私が先に戦いながら教えたかったのに!!」

 

ちょっとまって聞き捨てならないですよ!?

次の戦いであれを出すつもりだったと!?ぶっつけ本番で!?

 

力が貯まりきったオーブをライズ君はアイルーへと投げつける。

すると突如として地面から生えた巨大な結晶にアイルーが飲み込まれて姿を消してから砕け散る。

 

砕け散った所には全身がキラキラとクリスタルのような質感になり、頭にとてつもなく巨大なダイヤモンドの埋め込まれた冠を被ったアイルーの姿があった。




マグロ「とりあえずアイルーの能力ズドンッ!」

アイルー
じゅうじんポケモン
レベル15
ノーマル・かくとうタイプ
テラスタイプ:ノーマル
技:タルばくだん(ほのお)
  ブーメラン(かくとう)
  きょうかたいこ(かくとう)
  きりさく(ノーマル)


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紅と紫の少女とテラスタル

 

 

ポケモンの全身がクリスタルに変わって頭に冠が付いている……それになんかビビヨンを出した時の反応からしてアイルーはひこうタイプに弱いポケモンってことなのだろうか。

 

くさ、むし、かくとう……そうなると多分かくとうタイプか

 

 

「これがテラスタル、一応限られた者に使用を許可されるテラスタルオーブを用いることで使用可能となる。

そしてこのテラスタルの最大の特徴はポケモンのタイプその物を変更することが出来ることにある。」

「なにそれ!?ずるっ!?」

「アハハ……初めての人は皆そう思っちゃうよね……」

「テラスタルした時のタイプは頭の冠が大きく違うから見れば分かるが……まぁ初見だと見分けが付かないだろうから教えておく。

まぁこっちも大人げないことしてる自覚はあるからな。

アイルーのテラスタイプはノーマルだ。」

 

テラスタイプ……たぶんテラスタルした時のタイプって事だよね……。

 

「ビビヨン!警戒しながらいくよ!」

「ビビヨォォォォオオオ!!」

「アイルー!『きりさく』!」

 

すると突如アイルーの頭の冠が光輝きアイルーの剣に凄まじいエネルギーが集中していく。

明らかに威力が上がっている、あれは受けられない!

 

「ビビヨン!おもいっきり高く飛んで避けて!」

「ビビィィィイイイ!!」

「ニャァァァァァァァアアアアア!!!!」

 

アイルーの『きりさく』は凄まじい威力で振り下ろされるが、飛ぶことの出来ないアイルーはビビヨンへと当てることが出来ずに空振り、地面とへ突き刺さる

 

「嘘ッ!?」

「あ、やべ」

 

アイルーの斬撃は地面を大きく切り裂き、剣が柄まで地面に突き刺さる程の威力だ。

しかし威力は上がっても能力が上がったわけではないようで、先程よりもかなり深くに突き刺さった剣が全く抜けなくなっている。

 

「ビビヨン!『いとをはく』!」

「ビービヨォォォォオオオオ!!」

「ニャァァァァアアアアア!?!?!?」

 

ビビヨンの『いとをはく』は狙いどおりにアイルーを剣に縛り付けた形で拘束してその場から動けなくする。

 

「アイルー!抜け出せるか?」

「どこも動けないにゃあ!?」

 

よし!今だ!

 

「ビビヨン!『むしのていこう』!」

「ビビヨォォオオオ!!」

「ぎにゃぁぁぁぁあああ!?」

 

ビビヨンの『むしのていこう』を受けてアイルーはなんか全身の結晶に罅が入って光輝いたと思ったら一気に砕け散って元の姿に戻っていった。

 

「アイルー!戦闘不能!勝者レティ!やったじゃん!」

「ネモ……ありがt」

「次私!私とやろ!」

「……ネモ」

「アイルー……お疲れ様。

こりゃ後で特訓がいるな……剣を振る度に地面に刺さってたら面倒だ」

「ビビヨンッ!」

「あ!ビビヨン、お疲れ様!ボールに戻っておいで」

 

私は嬉しそうに飛んできたビビヨンをボールに戻してライズ君に向き合う

 

「ありがとうライズ君!良い練習になったよ!

でもあんな手加減されてたし今度は全部倒せるくらいに強くならなくちゃ!

アカデミーでもまた会おうよ!」

「ん……あー、そうだな

授業で同じになることもあるだろうし暇な時にでもな」

「へへ、じゃあ私達もう友達ね!」

「お、おう……なかなかグイグイ来るな」

 

するとヴィオ姉が私達の所に来てライズ君の後ろに立つ

 

「あら?私とは仲良くしてくれないの?」

「うぉわ!?心臓に悪いわ!?つか誰がするか!このドSが!」

「ふふ……私は気になる人をいじめたくなるだけですよ?」

「こえぇよ!?」

 

あぁ……ヴィオ姉気になる人にはいじわるして反応を楽しもうとする悪癖があるからなぁ……

ママに何度説教された事か……

 

「今度は私!私とバトルしようよ!!」

「ふざけろ!?」

 

なんか面白い人だなぁこの人……

 

しばらくすると荷車を引いたガーグァ?ってポケモンがやってきてライズ君に体を擦り始める

なんか可愛い

 

「おー、ヨシヨシしっかしお前何に驚いてそんなに逃げてたんだ?」

「グワァア……」

「どこか痛かったのか?」

「グワッグワッ」

 

あ、よく見たらなんかガーグァのお尻に傷が出来てる

 

「あー、ここか。

ちょっと待ってろ……染みるぞ?」

 

ライズ君は治療の為にきずぐすりを取り出してガーグァのキズに吹きかけるんだけど……

 

「グワァァァァアアアア!?!?」

 

ガーグァが染みた痛みで驚いちゃって飛び上がっちゃってる……ってあれ?足元に……

 

「うおわっ!?ってやっぱり染みるか?

タマゴ産む程驚くとは……」

「ね……ねぇ?なんかそのタマゴ……金色なんだけど……」

「あぁ、こいつは驚くとタマゴを産んで逃げる生態があってな、タマゴは囮にするんだがたまに金色とか銀色、プラチナのタマゴとか産むんだよ」

 

……なにそれ!?

 

「あぁ、先に言っとくがこれからポケモンは産まれないから俺らは基本的に食ってるぞ」

 

あ、産まれないんだ……囮って言ってたもんね

 

「にしても不思議なポケモンがいっぱいいるね?」

「あー、出来ればあんま詮索しないでくれ

俺も分かってない事が多すぎるんだ。」

 

彼の顔はすごく困ったような表情をしている、ホントに分かってることが少ないようだ。

 

「んー、確かに気になるけどわかった」

「あぁ、助かる

皆これから登校なんだろ?テーブルシティまで乗ってくか?」

「いいの?」

「あぁ、問題ない

むしろこういう提案しないとあいつがなにやるか分からねぇ……」

 

そういうライズ君の視線はヴィオ姉に向いてた

ヴィオ姉……

 

 

そんなこんなでテーブルシティまでライズ君のガーグァが引いてる荷車に乗せて貰うことになった

正直乗っててお尻が痛くなっちゃったけど比較的速くテーブルシティに向かうことが出来た。

 

けどネモに門の前に付いたらまたバトルを挑まれてしかもテラスタルまで使われた……

どんだけバトル好きなの……




ライズ「おー、よしよし」
ガーグァ「くわぁぁあ」
ライズ「うりうりうり」
ガーグァ「グワッグワッグワァァァァアアアア」
ライズ「ヨシヨシヨシヨシヨシ」
ガーグァ「パクッ」

ライズはガーグァに食われてしばらく離して貰えなかった


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少年と双子とテーブルシティ

 

 

 

私達はようやくテーブルシティへと到着することが出来た、途中でいろんなポケモンを捕まえたりしてポケモン図鑑もちょっとずつ埋まってきている。

 

「やっと着いたねー!」

「割と寄り道しちゃいましたからねー」

「それもあるがネモ……お前は事あるごとにバトル吹っ掛けすぎだ、自重しやがれ戦闘狂」

「えぇー!?ヴィオー!別に良いよねー!」

「ごめんなさい、私も同感なんです。」

「そんなぁ!?」

 

とりあえずテーブルシティに着くまでにネモには5回程勝負を挑まれる事になった。

まぁ結局断りきれずに一回だけ受けたんだけど……

 

「ごほん!話を変えるけどここがテーブルシティ

パルデア地方最大の都市!

昔から交易が盛んで新しい技術や知識を求めてたくさんの人達がやってくるの!

髪型を弄れる美容室やお惣菜が美味しいお店もあるよ!

皆は何が気になる?」

 

ホントに話を思いっきり反らしたなぁ……

 

「私は……美容室かなぁ……」

 

やっぱ女の子たる者おしゃれは欠かさずやらないと!

 

「おしゃれさんだね!

それともポケモン勝負で邪魔にならない髪型に!?」

 

いやネモ……なんでそこでバトルと結び付くの?

 

「そんな理由で髪型変えるのはお前だけだよ……」

 

ライズ君もジト目で良いツッコミを入れている。

というか呆れている。

 

「えぇ!?ショックだなぁ……あ、ヴィオは?」

「私……そうね、私は……」

「お惣菜屋さんでしょ?」

「うぐ……はい」

 

相変わらずだなぁヴィオ姉は……毎度毎度凄い食い意地なんだもの

 

「さすが姉妹!家族の事は何でも分かっちゃうね!

あ、腹が減ってはバトルは出来ぬって言うしそれもあるかな!」

 

ネモ……それを言うなら戦だよ

それに何でも分かるわけじゃないしなぁ……

 

「あ!勝負といえば……

二人にもテラスタル使ってほしいんだった!

ちょっと手続きが必要だから代わりにやってくるね!」

「へ?そんな簡単に通る物なんですか?」

「うん!そんなに難しくないよー!」

「勘違いするなよ……このバカだから簡単に通るんだ

本来ならもっと面倒くさい手続きがいくつもある。

その日の内に通せるのこいつがチャンピオンだからだ」

「あ、そういえばチャンピオンなんだっけ……忘れてた」

「ちょっと!?皆して酷いよ!?」

「インガオホー」

「ヴィオ姉なにそれ?」

「言ってみたかっただけよ」

 

ネモは心外なと怒っていたがすぐに話を元に戻す

 

「とりあえず三人はその間は町を見て回ったら楽しいよ

制服アレンジ出来るブティックやレストランもあるから行ってみて!」

 

「ブティック……っ!」

「レストラン……っ!じゅるり……」

 

ヴィオ姉……

 

「俺もか?」

「え?ダメ?何か用事でもあった?」

「別にねぇけど……」

「じゃあ一緒に回ろ!ライズ君私達よりここには詳しいでしょ!」

「はぁ……分かった分かった!」

 

ライズ君って否定的な言動はするけど根は優しいんだよなぁ……これがツンデレ?って言うんだっけ?

 

「私のオススメはポケモンに持たせて便利な道具売ってるデリバードポーチかなー!」

「だろうな……」

 

あぁ……うん、なんとなくライズ君がなに言いたいのか分かった

 

「ひととおり見終わったら学校の前に集合!

そ  れ  と  階段すごいから……覚悟してね

それじゃ!またあとで!楽しみにしててー!」

 

ネモはまた凄い速さでアカデミーに向かっていった……んだけど……

 

「階段……」

「何段あるのあれ……」

「気にしたら敗けだ、慣れろ」

 

そう、アカデミーへと向かう階段はかなりの段数があり、軽く2~3階建ての建物くらいの高さを昇る必要があったのだ

 

ポケモンスクールやアカデミーの類いは他の地方にもいくつかあるのだが……ここまでの苦行をさせるのはこのアカデミーくらいのものである

 

「と……とりあえず順にいろいろ回って行こ!」

「そうね……」

「何故俺も巻き込まれたんだか……」

 

でも渋々といった様子とはいえちゃんと付き合ってくれる辺りやっぱり世話焼きなのかな?

 

とりあえずはまだご飯を食べてないからオーラオーラという惣菜屋さんで何か買い食いをしてから他の所をまわっていくことになった。

 

 

 

「いらっしゃい!お?ライズじゃないかい!

なんだいなんだい!こんなべっぴんさん二人も連れて~」

「ふぇ!?」

「ニヤニヤ……」

 

どうやら惣菜屋さんの店員さんとライズ君は知り合いらしくいきなりからかってきていたけどライズ君は簡単にスルーしてた。

からかわれて恥ずかしがってる私を見てヴィオ姉はニヤニヤと何か企んでそうな笑みを浮かべてるし……

 

「はいはい、とりあえず今日のオススメはなんかある?」

「面白く無いねぇ……今日のオススメはトルティージャだよ!結構良い食材を仕入れられたから特別美味しく出来てるよ!」

「へぇ……じゃあ俺はそれを二つくれ、お前らは何にする?」

「んー、じゃあ私も同じやつをもう1つ!」

 

オススメって言うくらいだしかなり美味しいんだろうなぁ……

 

そういえばヴィオ姉は何を……

 

「トルティージャ2つとハンバーグ1つ、焼きチョリソー二つとハーブソーセージ1つで」

 

どれだけお金使うつもりなの!?

 

「あいよ、ライズは500円ね

そこの紅い髪のお嬢ちゃんは250円

そっちの大食いのお嬢ちゃんは1580円ね」

 

まってまってまって!?

私の6倍近い値段買ってるんだけど!?

 

「……」

 

ライズ君も黙らないで!?余計に辛いから!?

 

 

 




ライズ「大食いの食費ってどうなってるんだろうな……」
マグロ「聞きたい?」
ライズ「やめとく……値段見るだけで胃もたれを起こしそうだ……」


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少年と双子とスター団★

 

 

~テーブルシティ~

 

 

一通りテーブルシティの案内をライズ君にして貰って残すはアカデミーだけとなり、アカデミー前の階段まで移動してたんだけど移動してる途中になんか誰かが騒いでるような声がしてきた

 

「……なんか物騒な言葉がいくつか聞こえた気がしたがまさか……」

「ライズ君なにか心辺りがあるの?」

「ん?あぁ、最近アホな事やってる集団があってな……

もしかしたらとは思ってるが確信がある訳じゃないし実際に見た方が速そうだな」

 

なんかライズ君の額に青筋が……なにかあったのかな?

 

「君もスター団に入ればお星さまのように輝けるのよ!?」

 

 

アカデミーの階段前に移動するとそこではヘルメットに星形のダサいサングラスをかけていた男女と、その人達に絡まれているかわいいイーブイのバッグを背負ったボーイッシュな女の子がいた

 

「………………………」

「本当なんなのキミさ?

仲間とまぶしい青春送りたくないの!?」

 

彼らのしつこい勧誘にボーイッシュな女の子は顔を背けながら答える

 

「……………別に」

 

すると絡んでいた女の人がイライラした様子で叫んでる

 

「こちとら勧誘ノルマあるんだからさっさとスター団に入りなさいよ!」

「えと……困ったな」

 

やっぱり彼女困ってるじゃん!

 

「助けよう!」

「そうだな……ついでにあいつら叩くぞ」

「言動からしてアタリかしら?」

「……まぁな」

 

すると褐色の男子生徒がイライラした様子でこちらに気付く

 

「ん?スター団に何か用!?

入団希望なら後でね!

今お話し中なのでね!」

「あたしら泣く子も笑うスター団、キミは知ってるよね?」

 

スター団?なんかまんまな格好してるなぁ……

 

「知らないですけど?」

「興味ない」

「そこは泣く子も黙るじゃねぇのか?」

 

今度はそれを聞いた女子生徒がいきなり癇癪を起こし始める

 

「もうなんなのよキミ達まで……

せっかくスター団に入ったのにこんな扱い底辺じゃん!」

 

知らないよ……

 

「ナメられっぱなしだと団の面目まるつぶれ!

勝負するっきゃなくなくない?」

 

あー、うん、やっぱこうなるのね

 

「そりゃそうね!あんたは最初のメガネを見張ってて!

ナマイキな新顔ちゃんはあたしがお星さまにさせちゃうわ!」

「はぁ……叩き潰す」

 

するとライズ君がなんかイライラした様子で前に出てバトルを受ける

スター団の女子生徒は何故か両手と使って全身で☆を描いてから急に真顔になって正面を向くポーズを取る

 

……かなりダサい

 

「いきなさい!シルシュルー!」

「化けろ!スクアギル!」

「しゅるるーっ!」

「クアギィィイイルル」

 

女子生徒はこの辺に生息してるポケモンの一体であるシルシュルーを繰り出す

対するライズ君は私達と初めて会った時にずっと傷口に噛みついていたポケモンの一体を繰り出した

 

「いくわよ!シルシュルー!『みだれひっかき』!」

「しゅるーっ!」

「スクアギル、攻撃にあわせて噛みついて『きゅうけつ』」

「クゥゥア……ギィィィイイイル!!!」

「しゅるっ!?」

 

すごい……『みだれひっかき』で近付いたからって攻撃をギリギリでよけて頭に噛みつくなんて……

 

「ちょっ!?シルシュルー!引き剥がしなさい!」

「しゅるるーっ!」

「クゥアギル!」

 

あ、血を吸い終わったのかスクアギルが自分から飛んで離れていった……ってことは……

 

「クアギィィイイルル!!!!」

 

出た!フォルムチェンジ!

 

「なんか、でかくなってるんだけど!?」

「スクアギル!『アイススピナー』!」

「クギュルゥゥゥゥウウウ!!」

 

スクアギルは全身に氷を纏わせて全身を回転させることで頭部の角をドリルのようにして攻撃する

さらにフォルムチェンジによりスクアギルの肉体はかなりの巨体となっており、体の小さいシルシュルーでは避けきれなかった

 

「しゅるーーーっ!?!?」

「シルシュルーッ!?」

「よし、シルシュルー戦闘不能だな」

「わたしがお星さまになっちゃった!?」

 

なに言ってるんだろこの人

 

「なんなのこの新顔ちゃん

めちゃ強いんだけど……」

「後輩がやられた……っ!?

こうなったら先輩であるオレが相手をするしかないのかっ!?」

 

するとアカデミー方面の階段から誰かが駆け降りてくる

 

「ちょっとちょっと!!

何やってんのー!」

「ゲッ!?生徒会長!?」

「めんどくさいヤツに見つかっちまった……」

 

あ、ネm

 

「もう!ダメだよ!三人とも!

ポケモン勝負するなら わ た し と!でしょ!?」

 

「……そういうことじゃないんだけど」

「そんな約束した覚えないです……」

「オイコラ何故俺も入ってる……」

「え!?あ!ごめん!勘違いしちゃった!

本当だ!よく見たらスター団!

また強引な勧誘してる!」

 

あ、ネモ……相手がスター団なの気付いてなかったんだ……

ってかネモも知ってるあたりなにか問題起こしまくってるのかな?

 

「あ、はい……どうも」

「……なる程ね!本来なら生徒会長としてこの騒ぎを収めるべきなんだろうけど……

せっかくだから二人が超・マル秘アイテムで解決しちゃえ!」

 

すると私とヴィオ姉はテラスタルオーブを貰う……って!?

 

「うそっ!?もう終わったんですか!?」

「まぁね~、それよりテラスタルオーブを持っていると戦闘中にポケモンをテラスタル出来るんだ!

例えばレティのニャオハはくさタイプにテラスタルしそう!」

「そうなると同じタイプですね」

「これ貰うのって本当は専用の授業受けないとだけどわたしが推薦しといたから!」

「だから言っただろ?このバカだからアッサリ通るんだ……」

「ものは試し!戦いながら使い方知っていこーっ!」

 

前から思ってたけどネモのメンタルどうなってるんだろうか……

 

「あれ?この流れはテラスタルのお試しにされる感じですか……?」

「嫌ならわたしと勝負だよ?」

「……ぐぬぬぅ

新顔の方ならまだ勝つチャンスはある!」

 

なんか微妙に腹立つけどなんて嫌な脅しだろうか……

 

「それじゃあ位置についてね!

勝負開始ー!」

 

「えーと……ヴィオ姉やる?」

「へ?まぁいいわ、テラスタルってのも気になってたもの」

「簡単に負けてたまるか!いけ!ヤングース!」

「グースッ!」

「いくわよ!ホゲータ!」

「ホゲワァァア!!」

 

お互いにポケモンを繰り出す、だけどスター団のポケモンを出す前のあのダサいポーズはほんとなんなのだろうか?

するとヴィオ姉は早速テラスタルオーブを取り出して力を込め始める

 

オーブを中心に突風が吹き荒れ初めて凄まじい力がオーブへと溜まり、それをホゲータへと投げる

 

ホゲータを飲み込むように巨大な水晶が発生して砕けちり、そこからは赤い光を放ちながら全身を結晶化して頭には炎の燭台がある冠を付けたホゲータが現れる

 

「テラスタルによって冠の形が違うんだ……」

「ホゲータ!『やきつくす』!」

「ホォォォオゲェェエエ………ワァァァァァァァア!!!」

「ヤン!?グ……グゥゥゥゥウスゥウゥゥウ!?!?」

「ヤ……ヤングースゥゥゥゥウ!?!?」

 

ホゲータの冠が強く光輝き、本来の威力を遥かに越える強さの『やきつくす』がヤングースを飲み込む

 

「キラキラキラ……」

 

なんなの?星に例えるのが流行ってるの?

 

「さっすがヴィオ!

テラスタルも良い感じ!

テラスタイプと同じタイプの技はさらに強くなる!

たまに全然違うタイプにテラスタルするポケモンもいるから戦略の幅がうーんと広がるよ!

テラスタルするとしばらく使えないからポケモンセンターでチャージしてね!」

 

するとスター団が逃げるように慌てながらアカデミーとは全く関係ない方向へ走り始める

 

「そ、それじゃボクはこれで!

お疲れ様でスター!」

「あたしもこの辺で!

お疲れ様でスター!」

 

「スター団は所謂やんちゃな生徒の集まりなんだ

出席率も低いし、集団で暴走してるし……

先生たちも頭を抱えてるみたい」

「なんであんな事やってるんだろ……あとあのポーズは……」

 

私が軽く話そうとしていたその時、軽く忘れかけてたボーイッシュな女の子が話しかけてくる

 

「……あの!!

えと……ありがと……ございます

……先行くんで」

 

あ、行っちゃった……アカデミーに向かったみたいだし今度また会えるかな?

 

「皆偉い!人助けしてたんだね!

でもあんま見ない顔……あの子も転入生かな?

イーブイのバッグもっふもふ」

「いや最後なんも関係ないだろ……」

「まぁいいか!

さて!いざこざも解決したしいよいよ学校へ向かいますか!

地獄の階段は……頑張って登ろっ!」

 

すると私達はアカデミーへと向かうための階段を見て全員が気分を悪くする……なんでこんな作りにしてるんだろ……せめて坂にしてよ……




ライズ「スター団のやつらあのポーズやってて恥ずかしくねぇのかな?」
マグロ「突っ込んだら負けだ言ってやるなww」
ライズ「あ、ラストにスクアギルの性能貼り付けとくか」

スクアギル
ばけざめポケモン
こおり・みずタイプ(テラスタイプ:こおり)
種族値   フォルムチェンジ後
H:70    H:70
A:60    A:90
B:70    B:100
C:55    C:80
D:40    D:60
S:80    S:60

特性:せんぺんのばけざめ
ポケモンによって効果は変化する
スクアギル:『きゅうけつ』でHPを回復すると発動
      フォルムを変化して能力を大幅に上げる
○○○○○○:『○○○○○』で発動
       フォルムを変化して特攻特防が大幅に上がる
       『○○○○○○○』で発動
       フォルムを変化して攻撃防御が大幅に上がる
○○○○○○(リージョンフォーム)
『○○○○○』で発動
耐久能力が大幅に上がる


技:アイススピナー
  きゅうけつ
  ひやみず
  なきごえ


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少年と双子とアカデミー

 

 

~ポケモンアカデミー~

 

「ぜー……ぜー」

「階段キツすぎ……」

「グワッ!」

 

ほんと毎回この階段を登るって考えると本気で地獄だよ……

 

ってグワッ?

 

「「ん?」」

 

私とヴィオ姉が視線をライズ君に向けるとライズ君はガーグァの背中に乗せて貰って登っていた……

 

ついでに視線を合わせようとしない……ってか反らしてる

 

うん……まぁ賢いやり方なのは分かるんだけど……ずるいよ……

 

「とりあえずさっさといくぞ」

「って、あ!?まってよ!」

「絶対後で絞める……」

 

ライズ君はガーグァに乗せて貰ったまま学校まで移動していっちゃった

あとヴィオ姉怖いって!?

 

 

 

私達はとんでもない大きさの扉を開けてアカデミーの中に入る

そこはまるで図書館のようになっており、至る所に凄まじい量の書物が置いてあった

すると先に中で待っていたネモが私達を見付けて話しかけてくる

 

「二人とも!

ポケモンアカデミーへようこそ!

ここは学校のエントランスホールだよー!」

「あ、やっぱりエントランスなんだ……場所間違えたかと……」

「まぁ図書館も兼任してるからねー

それにここの受付で登録すればいろんな授業を受けられるし校内のいろんな施設につながってる!

だけど勝負出来そうなくらい広いのにエントランスでのポケモン勝負は校則で禁止なんだー……」

「当たり前だろうが……」

 

ネモ……頭の中には勝負しか無いのだろうか……

すると2Fから校長先生がこちらに向かってきて声をかける

 

「スカーレットさん、バイオレットさん、ネモさん、ライズさん

初めての登校はいかがでしたか?」

「大変でしたよ……」

 

私は思わず来るまでに起きたことを思いだしてげっそりとしてしまう……

しかもネモがしょっちゅうバトルを仕掛けてくるし……

 

「おやおや?

大冒険だったのですね

さすがチャンピオンランクであり、そして生徒会長ですね

ご案内ありがとうございます」

「友達だから当然ですよ!

ねーヴィオ!レt……」

「それはそれとしてネモさんには後でOHANASHIがあります」

「ェ゛……」

 

校長先生は突如として厳しい視線をネモに向ける、ネモのバトル癖はいろんな所で迷惑をかけているようだ

 

「あ、せ、先生!そういえばスター団の人達見ました!」

 

今露骨に話し反らしたな……

 

「なんですって!どちらでですか!?」

 

あれ?でも校長先生はかなり驚いて真面目な顔をし始めている……

やっぱりなにか重要な問題があるのかな?

 

「校門の階段下でイーブイバッグの子がからまれてて……」

「それは大ニュースですよ……

今も彼らはいますか?」

「ヴィオとライズが実力で追っ払いました」

「ああ、なんということでしょう……

二人とも、人助けはいいことですが入学早々ワイルドはほどほどに……」

 

あれ!?なんか私も巻き込まれた!? 

 

「それとライズ君は後でレポートの提出をお願いします」

「わかってます、後で書いてコピーを届けます」

 

レポート……なにか宿題でもあったのかな?

 

「ネモさんもそういう時は先生を呼んでくださいね

……なるほどですねー

イーブイのバッグ……ボタンさんでしょうか?

学校にいらしてくれてなにより

一応ネモさんはスター団のことを担任のジニア先生に報告してください」

「はい!わかりました!」

 

やっぱりなにかあるのかな……

 

「……おっと、そろそろ始業時間です

四人とも教室に急がなくては」

 

ってことはヴィオ姉とはクラス違うしここで一旦別れないとかなぁ

私とネモがオレンジクラスで……

ヴィオ姉とライズ君がグレープクラスだ!

 

「レティ!私達の教室の1-Aまで案内するね!」

「グレープクラスは1-Bだ、付いてきてくれ」

 

私達は四人一緒に教室前まで行ってから別れることになった

これからどんな授業があるのかなぁ……

 

 

 

_________________________________________________

 

 

~1-A(オレンジクラス)教室~

 

 

「「「ジニア先生!おはようございます!」」」

 

始業の金が鳴るとすでに着席していた生徒達が一斉に担任の先生に挨拶をする。

1-Aの担任の先生はジニア先生と言い、ポケモン図鑑のアプリを作った人でなんか研究者っぽい感じの先生だ

 

「はあい、みなさんおはようございまあす」

 

喋り方すっごい独特だけど……

 

「今日は大ニュースがあります

……知りたい人は誰かなあ?」

 

すると後ろの方にいる褐色肌の女子生徒が手を上げる

 

「はいはい!知りたーい!」

「ありがとう手をあげてくれて

さて、ちょっと遅れちゃってたけど今日からこのクラスに新しいお友達が増えまあす」

 

ざわざわ……ざわざわ……

ざわざわ……カイジ……ざわざわ……

 

「どんな子が来るのかな?」

「男の子?女の子?」

「かわいい子かなぁ?イケメンかなぁ?」

「腐腐腐……どうせならイケメンでライズきゅんとのCPを……腐腐腐腐腐腐腐……」

 

「さて、どうぞ入ってきてくださあい」

 

私はジニア先生に呼ばれたので扉を開けて入ってくる

 

「女の子だ!」

「かわいい!」

「元気ありそうな子ー!」

「イケメンじゃないのかー」

 

「自己紹介出来るかなあ?」

「初めまして!今日から皆と一緒に勉強するスカーレットです!愛称はレティ!よろしくね!」

 

ざわざわ……ザワザワ……

利根川……ざわざわ……

 

「やっぱり元気がいい子だね!」

「私話しかけてみようかなぁ!」

「おもしろそう!」

 

「みなさんスカーレットさんに興味津々ですねえ

スカーレットさんに質問したい人は誰かなあ?」

「ハイハイ!質問良いですか!?」

「はいシューゾー君、質問どうぞ」

「スカーレットさんはポケモンのどういうところが好きですか?」

「んー、どういうところかぁ……難しいなぁ……可愛いところも好きだしバトルしてる時の一体感も嫌いじゃないし……んーーーー、全部っ!」

「あー、わかるー!俺もだよ!やっぱこれっていうの決められないよなぁ!全部諦めたくねぇもん!熱くなっちまうよ!」

 

なんか熱い男の子だなぁ……気が合いそう

 

「他に質問がある人はいますかねえ?」

「じゃあ私!良いですか?」

 

するとネモが立ち上がって質問しようとする……

ってかネモ一緒に登校してたんだから散々知ってるでしょ!?

 

「レt……スカーレット……さんはこの学校で勉強していって

将来何を目指したいですか?」

 

なんか二回くらい言い直したなぁ……

って何をしたいか……か……難しいなぁ……でも今は……

 

「んーー、とりあえずは図鑑の完成かなぁ……

目標らしい目標は無かったけどこの地方のポケモン全部に会ったりしてみたい!」

「そっか!ポケモン図鑑のアプリ入れて良かった

集めたりとかも好きなんだね!」

 

するとジニア先生が私の方へと向いて話しかける

 

「スカーレットさん、自己紹介ありがとうございます

まぁ知ってるかもしれないけど

僕は生物担当のジニア、ここの担任の先生でもありまあす」

「スカーレットさんの席はそちら、今空いている中央の列の前から二番目の席でお願いしますねえ」

「わかりましたー!」

「それではみなさんこれから仲良く勉強していきましょうー!」

 

「「「よろしくお願いしまーす」」」

 

これから私達の学校生活が始まるのかぁ……楽しむぞー!




マグロ「あれ?ネモがげっそりしてる」
ライズ「あぁ、割と毎日のように説教を受けてるからなあいつ……」
マグロ「懲りねぇ……w」


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紫の少女と少年と教室

今回はバイオレットの視点となります


 

 

~ポケモンアカデミー『1-Bグレープクラス』~

 

私はレティと別れた後とりあえずライズに案内されて1-B教室へと向かった私は自分の担任の姿を見て絶句する

 

「……」

「そうか、君が校長から聞かされていた入学が遅れてしまっていた子だね

ライズ君、ここまで案内してくれてありがとう

だがたしかネモ君が案内してるのではなかったかな?」

「俺が登校する時にガーグァが暴走しちまって登校中のこいつらと合流したんですよ……」

「おお、ガーグァちゃんが暴走してしまったか……何があったのかね?」

「多分何か踏んづけたりぶつかったりした痛みだと思うんですが俺も途中まで気が付かなかったので詳しい事までは……」

「そうか……あ、後でアイルーちゃんを愛でさせて貰っても?」

「それは俺ではなくアイルーの奴に直接言ってくれ」

「おお、それもそうだな」

「それよりバイオレットの奴が固まって置いてけぼりになってますよ?」

「おっと、いかんいかん」

 

私の目の前にいる担任の先生は……

巨漢で……筋肉ムキムキマッチョマンで……強面な顔をしているが………

 

「私の名前はサワロ、家庭科教師でありこの1-Bの担任だ

コンゴトモヨロシク」

 

……フリッフリでピンク色のハートエプロンを付けた先生だったからだ

 

「しっかしサワロ先生……毎日のようにエプロン変えてはいるが……今回のはとんでもない破壊力してるぞヲイ……」

「む……そうか……可愛いエプロンだから私の強面もある程度軽減されると思ったんだが……」

「いや、強面どうこうじゃないんだよ……そのエプロンの破壊力は……腹筋に……クッ!?」

「……ブフッ!?アハハハハッ!?流石にそれは反則!?

初対面だから余計に笑いを堪えられそうにないです……クククッ……すみません笑いが……アハハハハッ!?」

 

耐えられるわけないじゃない!?あんなの反則だって!?

 

「おぉ、そうかそうか

恐くなくなっているなら何よりだよ」

「サワロ先生……あんたの感性はどこか壊れてるよ……ククッ」

「ん?そうか?

とりあえずバイオレット君は私が呼ぶまでちょつとそこにいてくれ」

「わ……ブフッ……わかりました……ククッ」

 

 

~教室内~

 

「お、おはよー!ライズ!久しぶりじゃん」

「あぁおはよう……ククッ……それよりも今日のサワロ先生はインパクトヤバイから笑い堪える準備しとけ……ククッ」

「え?ナニソレ……」

 

クラスメイトはライズとの談笑をしていると教室にサワロ先生が入ってくる

 

そして全員が同時に吹き出す事になる

 

「「「「「ブフォ!?!?」」」」」

 

「おはよう、皆

今日は新しいクラスメイトが増える事になった

元々一緒に入学する予定だったのだがこちらのミスで入学案内が遅れてしまってね

気になるかな?」

 

ライズ以外の全員の内心はやはり一つになる

 

『『『『『それよりそのエプロンの方が気になるんですけど!?』』』』』

 

そう、サワロの服装はそのままであり、いつも何かしらのエプロンをしている彼だが今回のエプロンは今までに付けてきたどのエプロンよりも腹筋への破壊力が凄まじい代物だったのだ

 

もはや全員が新しいクラスメイトの事よりもサワロのエプロンの方が気になってしまっていたのだった

 

「バイオレット君!入ってきてくれたまえ!」

「はい……先s……ククッ……」

 

やっぱり先生のその格好お腹いたくなるって……

 

「ククッ……ってお前は……」

「あら……たしか灯台にいた……ペッパーだったかしら?」

「誰が黒胡椒だ!?」

 

すると辺りから笑い声が周囲から聞こえてくる

 

「あらごめんなさい……たしか……ペパーミントだったかしら?」

「ハーブになってるじゃねぇか!?

つか調味料系から離れろ!?」

「まぁまぁペパーミント……ククッ……落ち着け落ち着け」

「オイコラ!ライズ!?」

 

『『『珍しくペパーが弄られてる』』』

 

「えーっとたしかペーパーくんであってたかしら?」

「お前絶対わざとだろ!?」

「そうだけどどうかしたかしら?」

「お前なぁ……いくらなんでも悪い子ちゃん過ぎるぜちくしょー」

 

そしてクラスメイト全員のバイオレットへの印象は

 

『『『なんかおもしろそう』』』

 

で一致したのであった

 

「さて、改めまして

バイオレットです、一応親しい者や家族からはヴィオと呼ばれているわ

姉妹で別々のクラスになって少し寂しいけれどよろしくね」

 

まぁ弄り甲斐のあるオモチャが二人もいるし退屈はしなさそうね……

 

「うむ、なかなか個性的な挨拶とはなったがこれから楽しくなりそうだな

皆はなにかバイオレット君に質問はあるか?」

 

すると右奥の席にいた女の子が元気よく手をあげる

 

「はいはーい!バイオレットちゃんはどんなポケモンが好きなのー?」

「好きなポケモン……そうね、可愛いポケモンはもちろん好きなのだけれど嫌らしい能力持ってる子とかも好きね」

「うぉ!?なかなか怖い趣味してるなぁ……でもおもしろそうだからヨシッ!」

 

今度は他の女子生徒が手を上げる

 

「バイオレットさんとペパー君とライズ君の関係って?」

 

「そうね……私から見たら二人はオモチャね」

 

「「オイコラッ!?」」

 

 

ふふ……いくらでも弄ってあげるわ

 



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紅と紫の少女と秘伝スパイス

 

~食堂~

 

 

皆優しくしてくれるし面白い話をしてくれる人も多くてとても充実した日々を送れてそうだ

授業が終わってお昼休みになったからとなりの教室にいるヴィオ姉と一緒に食堂で食事を取ることにした

 

ただいざ食堂に向かうとたまたまペパーに会ったんだけどなんかヴィオ姉がいるのを見た瞬間ペパーが凄く嫌そうな顔をした

 

「おっ!また会った……お前もいるのかよ……」

「あら?もう一度オモチャにしてもいいのよ?」

「やめてくれこの悪い子ちゃんが……

あー、確か妹の……」

「スカーレットです!レティって呼んでください!」

「そうそうレティ、オレのこと覚えてるよな?」

「灯台の所で会いましたよね」

「そーそー!さすがの記憶力ちゃんだな!」

 

記憶力ちゃんってなんだろ?

変な言い方する人だなぁ

 

「生徒会長とつるんでるって学校中オマエの噂で持ち切りだぜ?」

「ふえぇ!?そ、そうなんですか!?」

「あぁ、ついでにそんな有名人に会うために来たくもねぇ学校まで足を運んでやったんだ」

「へ?どういうことですか?」

「……オレの野望の実現の為にその強さ……貸してくれねーか!」

「野望?どういうことかしら?」

「へへへ!オレの野望!詳しく聞きたいかー!」

「うん!聞きたい!」

「どっちでも良いわよ」

 

ってヴィオ姉!?

 

「じゃあなんでお前ちゃんは聞いたんだよ……

まぁいいや、意外かもしれねーけどオレはピクニックが好きで料理すんのも得意なわけよ」

「もっと詳しく聞かせなさい」

「って一気に食い付いたな……まぁ今はポケモンを元気にする健康料理を研究してんだけど……

この前見つけた本に食べればたちまち元気になる『秘伝スパイス』っていう食材の情報が載ってたんだ!」

「秘伝!……じゅるり」

「『秘伝スパイス』は全部で5種類!

その粉末をペロッと舐めるだけで滋養強壮、健康促進!

老化防止に免疫アップだ!

パルデアにしかないガチで珍しい食材らしい!」

 

パルデアにしかないか………ちょっと面白そう!

 

「だけど秘伝スパイスはヌシポケモンってのに守られてて簡単には手に入らねーんだと!」

「ヌシですか?」

「おう、ヌシってのは多分……こんなヤツ!」

 

するとペパーが手に持っているオレンジ色と紫色の本に描かれているポケモンの絵を見せてくれた

それには……

 

『エリアゼロの怪物』

 

エリアゼロには不思議なポケモンが生息している。

下に行くにつれてポケモンかどうかもわからないような巨大で凶暴な生物がその姿を見せ始める。

彼らの猛攻を受けた事で隊員が致命傷を負い、一時退却することとなった。

 

観測隊の一人が偶然撮影した写真。

ドンファンというポケモンに似ているような気がするが体の大きさや背中の形など生物的に全く異なる。

なんと偉大な牙であろうか。

 

もう一冊には

 

エリアゼロには不思議なポケモンが生息している。

下に行くにつれてポケモンかどうかもわからないような小型で残酷な生物がその姿を見せ始める。

彼らの猛攻を受けた事で隊員が致命傷を負い、一時退却することとなった。

 

観測隊の一人が偶然撮影した写真。

ドンファンというポケモンに似ているような気がするが体の質感や移動方法など生物的に全く異なる。

まるであれは鉄の轍だ。

 

 

と記載されており、両方の挿し絵にはドンファンみたいな見た目だけどどこか大きく違う二匹のポケモンが書かれていた

 

偉大な牙と……鉄の轍?

 

「自分で採りに行きたいんだけどオレポケモン勝負は苦手でさ

ポケモンが強い友達の当てもねぇし……

生徒会長に頼むのもうぜえし……」

 

ネモ……

 

「そこで!是非ともオマエらの力を貸して欲しいんだ!」

 

うん、面白そう!

 

「あー!あー!まだ答えなくていい!!

とりあえずヌシが居そうな場所だけマップアプリに登録しておくな!」

 

するとスマホロトムが飛び出してデータの共有を行い始める……ってペパーのスマホロトムのカバーだいぶ可愛いな……

 

登録された情報には

 

岩壁のヌシ

潜鋼のヌシ

大空のヌシ

土震のヌシ

偽竜のヌシ 

 

の五つの情報が登録されていた

 

「細かい話はまた今度だ!

お近づきのしるしにコイツをやる」

 

ペパーからほしのすなを貰った、キラキラしたて綺麗だなぁ……

するとペパーが凄い勢いで走り去っていく

 

「考えといてくれよなー!!」

 

あ、もう行っちゃったよ……

 

 

ぐぐぅぅうぅーー

 

「お腹空いちゃった……」

「お昼にしましょうか」

 

私達はお昼に食堂のサイドイッチを食べることにした

私がポテトサラダサンド、ヴィオ姉がピーナッツバターサンドだ

 

「毎度!それ食べて勉強頑張りなよ!」

「はーい!ありがとうございます!」

「いただきます!」

 

味は凄く美味しかった……やはりポテサラに外れ無し……

 

「それにしても秘伝スパイスかぁ……それを使った料理ってどんな味なんだろ……ねぇ、ヴィオn……」

「ダラダラダラダラ……」

 

ヴィオ姉……相変わらず食欲はすさまじいなぁ……

 

「ヴィオ姉……ヴィオ姉!」

「ハッ!お腹は空いてるわよ!」

「誰も気にしてないよそんなこと!?」

 

まったくヴィオ姉ってば……

 

 




マグロ「ヴィオはいじりっ娘兼食欲旺盛なハラペコ娘」
ライズ「オレ用のルートとかもあるの?」
マグロ「さすがにクロスオーバーだからライズ用のルートも作ってあるよ、今回は4つのルートの同時進行と言うわけだな」


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紅と紫の少女と星屑と可能性

 

 

~ポケモンアカデミー~『食堂』

 

 

「ふぅ……美味しかったぁ……」

「そろそろネモを探しに行きましょうか?」

「そうだねー、確か職員室に呼び出し食らってるんだっけ?」

「そうなの?じゃあまずそこに行ってみましょうか」

「うん」

 

私達は食堂での食事を終えてネモと合流しようと食堂を出ようとしたその時だ

 

『ロトロトロトロト……』

 

「あら?スマホロトムに電話……しかも知らない番号ね……」

 

『プチッ』

 

ヴィオ姉はこう言うのは基本的に出ないタイプだからすぐに切る

まぁ怪しいもんね

 

『ロトロトロトロt……』

『プチッ』

 

『ロトロトロトr……』

『プチッ』

 

『ロトロトロt……』

『プチッ』

『ロトロトr』

『プチッ』

『ロトr』

『プチッ』

 

ヴィオ姉は何度も何度も来る電話を連続で切り続けていたけどだんだんイラついているのが分かる

 

『ロトロトロトロト……』

 

「なかなかしつこいわね……」

「一度出てみたら?」

 

『ピッ』

 

「もしもし?しつこいわよ?」

『……バイオレットだな?おそらく妹のスカーレットもそこにいるのだろう?

この通話はあなたのスマホをハッキングしておこなっている』

「ハッキングね……それで?あなたは誰なの?」

『わたしの名はカシオペア

……あなた方の事は知っている

高い素質を持つポケモントレーナー

その腕前を見込んで頼みたいことがある』

「頼みたいことですって?」

『バイオレット……あなた達はスター団を知っているな?』

「ええ、知ってるもなにも今日の朝やりあったばかりよ」

『……話がはやくて助かる

スター団とはアカデミーに通う生徒達が作った……

いわゆる不良グループ

彼らはアカデミーの風紀を乱し周囲に迷惑をかけている

そんな彼らをは私は放っておくことが出来ない……!』

 

なんだろう……どこか必死なのは分かるんだけど声が悲しそう

 

『私はスター団を解散させ星クズに変える作戦……

スターダスト大作戦を考えている』

「星クズだからスターダスト……まぁ分かりやすいわね」

『この計画には同士が必要……あなたにも手を貸してほしい』

「……はぁレティは?」

「まぁ迷惑いろんな所でかけてるなら放っておけないしいいんじゃない?」

「……わかったわ……レティに免じて……」

 

ヴィオ姉は素直じゃないなぁ……

『いや……返事は結構

詳しい事はまた後日

それに……あなた達はいつまで食堂の出入口で通話をするつもりだ?』

「「あ……」」

『今日の所はこれで……』

 

『プチッ』

 

あ、切られた

すると向こうから校長先生がやってきた

 

「どうも、バイオレットさん、スカーレットさん」

「こんにちわ校長先生」

「どうも、校長先生」

「良い返事ですが校内でのスマホ通話はもう少し小さな声でお願いしますね」

 

あ……そんなに声大きくなっちゃってたかな?

 

「すみません、気を付けます」

「よろしい、大切な個人情報が聞かれてしまうと危険ですので

……今の時代

気を付ける事が多くて大変ですね」

 

……まぁさっきもハッキング貰ったし……

 

「それではまた後程」

「はい!いこ!ヴィオ姉!」

「あ、待ってよレティ!」

 

そして二人が居なくなった食堂でクラベルは一人呟く

 

「……スター団」

 

 

 

_________________________________________________

 

 

~廊下~

 

「スター団かぁ……」

「それよりさっきのカシオペアってやつ……スマホロトムに簡単にハッキングしてたらしいし何か強力なファイアーウォールでも設定しないとキツそうね……」

「んー、でもそんなに悪意は無さそうだけどなぁ……」

「それ以前のセキュリティの問題よ」

 

廊下でさっきの事について二人で話していると向こうから例の二匹に吸血されながら担架で保健室へと運ばれていくライズ君の姿があった

 

……って!?

 

「ちょっ!?ライズ君!?」

「学校でも倒れるまで吸ってくるのね……」

 

私達は保健室へと向かうとベットでライズ君は寝かされていたんだけど……

 

「困ったわね……この子達をどうやって剥がしましょうか……

下手に剥がすと傷口を抉っちゃうわ」

「「ちゅーちゅー」」

「すみませーん、ライズ君無事ですか?」

「あら?あなた達はこの子のお友達かしら?」

「はい、さっき担架で運ばれてるのを見かけて……」

「にしてもスクアギル……ずいぶんとまるまると大きくなったわね……」

「くぎゅ?」

 

「一応この子達の生態調査には私も軽く関わってるんだけど……多分だけどこの子達は血を吸い続ける事で進化するタイプのポケモンなんじゃないかしら?」

 

なにそれ!?

 

「なんでそう考えたんですか?」

「割と単純な話よ

この子達が飲んだ血なんだけど体の成長に一切使われていないのよ、ただそうなると何処にその栄養を溜め込むかとなると……」

「進化で体を大きく作り替えるための栄養?」

「そういう事ね、力を貯め続ける事で進化する生態を持つポケモンもいるから不思議じゃないわよね」

 

やっぱりライズ君のポケモン達は謎が多いなぁ……

 

「そうね……おそらくだけどあのガーグァっていうクエスパトラっぽい子以外は何か進化があるんじゃないかしら?

ポケモンの進化って特殊なエネルギーを溜め込む子に多く見られるんだけどガーグァちゃん以外にはエネルギーが溜め込まれているのよ」

「みんな進化したら凄く強そうな気がするわね……」

「あら、紫の貴女もそう思うかしら?

なーんかこの子達ずいぶんと存在感が強いというか秘めた力がとてつもないような……そんな気がするのよね」

 

んー、言われてみれば確かに……

 

「よし!私達もライズ君の生態調査手伝おうよ!」

「……まぁ私も興味があるもの、とはいえまずはライズが起きてからね

なにも相談せずにただ手伝うって訳にはいかないでしょ?」

「そうだね!えーっと」

 

そういえば保健室の先生の名前知らない……

 

「あぁ、あたし?あたしはミモザよ

一応ここにはよく仮病でくる子が多いから退屈してたの

たまにでいいから話し相手にでもなって頂戴」

 

「わかりました!ミモザ先生!」

 

「ライズ君が起きるまでとりあえず待っとく?」

「いえ、先にネモと合流しましょう

あとでライズの所に改めて話をしに来ましょうか」

「まぁこの辺で話されても患者に悪いからありがたいわ

あなた達がくるまでライズ君は引き留めてあげるわよ」

「ありがとうございます、ミモザ先生」

 

なんかそういえば色々と頼まれ事されてるけど……全部出来るかなぁ




ライズ「ん?アホ作者はどこ行きやがった?」
看☆板『仕事による腰痛の為に地中にて療養中』
ライズ「おおwしんでしまうとはなさけないww」
マグロ「ズモッ(地中から腕が出る)ガシッ(足を掴む)」
ライズ「ェ゛……」


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紅と紫の少女とヒソk……ネモ

皆様ベリークルシメマス
ドーモ=マグロさんです

いやぁ、そこら辺の空気が甘くて甘くて砂糖吐きそう……
今回で各ルートの説明がようやく終わります……思ったより長引いたw

これから本格的にモンハンのモンスターも出すつもりなのでもう少々お待ちください

それと何かしら評価を頂けるとマグロは狂喜乱舞してディアブロスが数十匹がそれぞれ4分ずつでしばかれることでしょうw


 

 

~ポケモンアカデミー~『廊下』

 

 

ビンポンパンポーン

 

私達がネモを探していると放送が入った

 

『新入生のバイオレットさん、スカーレットさん、至急職員室までいらしてください』

『くりかえしまーす♪

新入生のバイオレットさん、スカーレットさん、至急職員室までいらしてください♪』

『ん?ってビリリダマッ!?ウワナニヲスルヤメr…

パンポンパンポーン』

 

 

「「……………………」」

 

なんか呼び出しよりもさっきのやつのが気になるんですけど!?

なんか二人程巻き込まれた気がしたんだけど!?

 

「えっと……」

「行きましょうか……?」

 

私達は元々ネモと合流するために行こうとしていた職員室に向かっていった

 

……凄く微妙な気分で……やっぱりさっきのが気になる……

 

 

_________________________________________________

 

「失礼しまーす!呼び出しを受けて伺いましたスカーレットです!」

「失礼します」

 

「あぁ、いらっしゃい、とりあえず用があるのはネモ君のようだから話が終わるまで少し待っていてくれ」

 

職員室に行くとそこにはなんかエスパーポケモンに居そうな髪型をした黒いスーツ姿の女性と話しているネモの姿があった

 

「……それではチャンピオンネモ

代わりをお願いしますね」

「まっかせてくださいよ!

むしろ楽しみです!」

「それではおまかせします

ごきげんよう」

 

ネモと話していた女性は私達の所を通りがかって「おや……?」と一瞬何かに気が付いた素振りを見せたけどすぐに「失礼します」と通りすぎて行った

 

なんか一瞬顔が笑顔になってたように見えたけど気のせいかな?

 

「あっ!レティ!ヴィオ!」

「あ、ネモ!さっきの人は?」

「なんか凄そうな人だったわね……」

「やっぱわかる!?

あの人はトップって呼ばれてる強くてすごくてかっこよくて私の目標で……

いや!ポケモントレーナーなら誰もが憧れる人なんだー!」

 

なんか珍しくネモがバトル以外で興奮しまくってる……ネモってバトル以外でも興奮するような事あるんだなぁ……

 

 

 

……よく考えたらこれもバトル関係よね……うん

 

 

 

「あっ!それでさ!

さっきの教室での話!

私の質問に図鑑の完成を目指すって言ってくれたよね!」

「へ?う、うん……なにか変だった?」

「ううん、でもやっぱりさ……

二人もチャンピオンランク目指してみない!?」

「チャンピオンランク……」

 

うーん……ネモと同じ強さまでって事だよねぇ……まぁでも図鑑の完成目指すとなると必然的に強いポケモンとも戦う必要あるしなぁ……よし!

 

「ヴィオ姉!」

「うーん、まぁやっぱりそうなるわよね……良いわよ」

「え、話はやすぎ!

とりあえず説明させてほしいな!

チャンピオンランクってのはポケモンを鍛えてその技で人々を魅了するポケモン勝負プロ級の人達!

ポケモンリーグに認められるとチャンピオンランクを名乗れるんだ!」

 

成る程……やっぱり故郷のリーグみたいなものかな?

 

「チャンピオンランクに到達するには授業を受けるだけじゃダメで8つのポケモンジムを勝ち抜いてジムバッジを集めるんだよ!」

「あ、その辺は他の地方のリーグと同じなのね」

「うんうん、基本的には全部同じなんだー!

そしたら特別なテスト……チャンピオンテストに挑戦出来る

合格すれば晴れてチャンピオンランクになれるんだよ!

……まぁ私は面接で一回落ちちゃったんだけど……」

 

ん?今何か言ったような……

 

「ポケモントレーナーみんなのあこがれ!

すっごい称号なのだー!

……って自分で言うの恥ずかしいね」

 

なんかごまかしたように叫ぶネモに職員室の先生が注意する

 

「ネモ君、職員室では静かにしてくれたまえ」

「あ、すみません先生!」

 

ネモ……

 

「わたしは前回の宝探しでチャンピオンランクになったんだ!」

「宝探し?」

「何かしらそれ?」

「あ、宝探しっていうのはもうすぐ始まる特別な課外授業!前のは入学早々あったんだ!

学校の外で冒険しながら自由に学べて楽しいんだよ!」

 

学校の外で冒険……それって……

 

「ねぇヴィオ姉!」

「えぇ、さっきのも全部一緒にやれるかも知れないわね」

「……?今思えばあの経験が宝物……だったのかな?」

 

ネモは何か思い出すように首を傾げる

 

「二人やライズと一緒ならわたしももっと強くなれる……

あらかじめジムの場所マップアプリに登録しちゃおっか!」

 

またスマホロトムが飛び出してマップアプリに今度はジムの場所とそのタイプが表示され登録された

 

「えーっとくさ、でんき、こおり、ゴースト、ノーマル、みず、むし、エスパータイプのジムがあるみたい!」

「なんかノーマルジムの人の写真だけ後ろ姿しか写ってないわね……しかもなんかくたびれてるような……」

「そこは気にしたら負け!とりあえず考えといてね!」

 

ネモは話が終わるとそのまま職員室の外に向かっていった

ネモが出ていった次の瞬間

 

ピンポンパンポーン

 

『バイオレットさん、スカーレットさん、申し訳ありませんが今度は至急校長室までいらしてください

くりかえします

バイオレットさん、スカーレットさん、至急校長室までいらしてください

おや?マルマインさんどうしましたk

パンポンパンポーン』

 

……………今の声って……

 

 

「「「「「こ……校長せんせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!?!?!?!?!?!?!?!?」」」」」

 

 




ライズ「おい作者……ここの放送室はどうなってるんだ」
マグロ「いやぁ、放送室はでんきタイプのポケモンが常駐してるんでw」
ライズ「誰だよだいばくはつさせたやつ……」
マグロ「スッ(スイッチを懐に隠す)」


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紅と紫の少女とパルデアの大穴

 

~ポケモンアカデミー~『校長室前』

 

 

私達は呼び出しに従ってそのまま校長室まで来た……んだけど……

 

 

「校長先生大丈夫かな……」

「あれ多分モロにだいばくはつ貰ったわよね……」

 

……あー!もう!考えても仕方ない!

 

私は覚悟を決め手ドアに手をかける

 

「ちょっ!?レティ!?」

「失礼しまs……ェ゛……」

「失礼しm……ブッ!?」

 

私達は扉を開けた瞬間その場で固まってしまった……仕方ないじゃん……

 

「おやバイオレットさん、スカーレットさん

よくいらっしゃいました

ささ、どうぞ中に入ってください」

 

校長先生は全身黒焦げにアフロがリーゼント状になったまま自分の席で仕事をしていたのだ……

 

「あ……ハイ……シツレイシマス……」

「失礼……しま……プクク……す……ククッ」

 

私は思わずカタコトになっちゃったけど……

あとヴィオ姉……耐えれてないよ……

 

「どうかしましたかね?

あぁ、それよりもポケモンアカデミーは気に入ってくださいましたか?」

 

「あ、はい!皆優しい人ばかりでとても楽しいです!」

「私も弄り甲斐げふんげふん、遊び甲斐のある人が多くて楽しいです」

「大変嬉しいお返事です」

 

すると校長先生が立ち上がってテレビの前に移動して顔を向けた

 

「先程食堂で話せればよかったのですが理由がありまして校長室まで呼び出させて頂きました」

「理由……ですか?」

「えぇ、私の友人達があなたに大事なお話があるそうです」

 

へ?友人達?

周囲を見渡して見たけどやっぱりこの部屋には私達と校長先生しか居ない……

 

「おっと、この場にはいらっしゃいませんよ

……今繋ぎますね」

 

すると校長先生はテレビを起動してテレビ通話モードにする

 

テレビが起動するとその画面には白衣を着てはいるけど内側の服がだいぶ野性味溢れる女性と白衣の内側がなんか近未来感のある特殊なスーツっぽくなってる男性がいた

 

『ハロースカーレット、バイオレット、初めまして

ワタシはオーリム』

『ワタシはフトゥー』

『ワタシ達はパルデアの大穴の奥、『エリアゼロ』にてポケモンの研究をしている』

 

すると画面横に大きくパルデア地方の中心にして最大の危険区域、パルデアの大穴の画像が出る

 

「二人とも我が校の卒業生で素晴らしい博士なんですよ」

 

校長先生はまるで自分の事のように嬉しそうに言う

 

すると話を戻すためにフトゥー博士が口を開く

 

『……単刀直入に話そう

学籍番号805C393スカーレット、同じく805C394バイオレット

君はコライドンとミライドンという不思議なポケモンを連れているな?』

 

っ!?なんで知ってるの!?

どうしよう……どう答えよう……でも……悪い人じゃなさそう?

うーん………悩んでても仕方ないか……

 

「はい、登校中に助けて貰って今は一緒に行動しています」

「レティ……」

『正直な情報の提供、大変感謝する

いやなに……責めるつもりはない

ただ協力して欲しいのだ』

「協力ですか?」

「博士の協力なんて一体何をすれば?」

 

すると私達の懐のボールからミライドンとコライドンが飛び出す

 

「アギャア!」

「アギャス!アギャス!」

 

校長先生と私達は思わず驚いて二体へと振り向いた

 

『やぁ久しぶり

元気そうでなによりだ』

 

「ギャス!」

「アギャッ!」

 

 

『実はこの二匹はワタシ達が管理していたポケモンでね』

『ペパーという少年から受け取ったであろうボールももともとはワタシ達のものなんだ』

 

っ!?……コライドン達と別れなきゃいけなくなる……

それはちょっと……嫌だな……

 

『しかし今ワタシ達はそのポケモン達を管理できない状況にいてね』

 

えっ!?それって……

 

『二人には引き続き二匹を可愛がってほしい』

「っ!!はい!!」

「大切にさせていただきます!」

 

すると二人の博士は顔を緩めて微笑む

 

『そう言って貰えると助かるよ』

『ああ、だが二匹は今弱っており戦闘能力を失っている』

『移動に特化したライドフォルムにはなれそうだが、持っていた能力を完全に取り戻すには時間を必要とするだろう』

 

弱っている……やっぱり……

あの時かなりボロボロになってたし何かあったんだ……

 

『ワタシ達の連絡先をスマホに登録しよう

スマホロトムを出してくれたまえ』

「あ、はい!わかりました!」

 

すると私達のスマホロトムが飛び出して情報を受け取る

相変わらずタイミング良く出てくるなぁ……

 

『今後は状況確認のため定期的に連絡させてもらうよ』

『それでは達者で……と言いたい所だったのだが……』

 

ん?どうしたんだろう?

 

『今まで話をスムーズに進めるためにスルーしていたのだが……』

『クラベル先生……その格好は……』

 

…………まぁ……気になるよね……

 

「あぁ、これですか?

二人を呼び出す為に放送室に向かった時にマルマインさんのだいばくはつを貰いまして……

いやぁ良い育てられ方をされていてなかなかの威力でしたよ?

これはその時の影響ですね、髪型はまぁ悪くないと思ったのでとりあえずそのまま放置させてもらいました」

 

……えぇ……

 

『……ワタシとしてはそれはどうかと思う』

『……正直センスを疑わざるを得ないな』

 

博士達はそう言い残して通話を切ってしまった……

 

「……………………」

 

校長先生……

 

「アギャギャ!ギャス!」

「アギャッ!アギャッス!」

 

「ワタシのセンスはそれ程独特なのですかね……

しかしこのポケモンはもしやエリアゼロの……?」

 

校長先生は軽く落ち込んだように軽く呟くと今度はミライドン達に目を向ける

 

「オーリム……フトゥー……

まさかあなた達は……

いえ、考えすぎでしょうね……」

 

校長先生は考えを切り替えるように首を振ると私達へと向き合う

ついでに私達はコライドン達をボールに戻しておいた

 

ごめんね……後でいっぱい遊んであげるからちょっとまってて……

 

  アギャッ!

 

 

「さて、博士達にずいぶん大きなお願いをされてしまいましたね」

「そうですね……でも私達もこの子達が好きですし弱ってるなら元気にしてあげたいです!」

「レティ……そうね、私としてもこの子達は可愛いから元気な姿を見れるなら見ておきたいわね」

「ふふ、そうですか

アカデミーも全力であなたをサポートしますから……

託された二匹とともに学園生活を楽しんでくださいね」

 

「「はい!!」」

 

よーし、もう一つ目標が出来たぞー!




マグロ「ニョキ(ФωФ)目標ズドンッ!」

・チャンピオンランクを目指す
・ペパーの野望を叶える
・スター団の壊滅
・ライズの謎のポケモン達の調査と進化の確認
・コライドン、ミライドンを元気にする『NEW 』


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少年と双子と桃岩竜

 

 

~ポケモンアカデミー~『校庭』

 

 

あの後校長室にネモが突撃してきたり私達の部屋を案内して貰ったりして

アカデミーでの怒涛の1日は終わりを迎えた

 

何日かアカデミーで生活している私達なんだけど

放課後に何をしているかと言うと……

 

「お前らまで手伝う必要は無かったんだがなぁ……」

 

ゴシゴシッ

 

「大丈夫大丈夫!それにこの子達の事色々と気になってたからお世話を一回手伝って見たかったんだぁ」

 

ゴシゴシッ!

 

「そうね……生態がわからないからこそ世話をして調べたくなるもの

それで新しい生態とかが分かったりしたら楽しく無いかしら?」

 

ジュゥゥゥゥウウウ

 

「ヴォァァァアアアア゛ア゛ア゛……♪」

 

バサルモスのお世話をしていた

 

 

 

「スカーレット、今度は翼を頼む、翼膜は体ほど頑丈じゃないから注意してくれよ?」

「もう、レティで良いってば

優しく撫でるような感じで洗えば大丈夫?」

「いや、撫でるような感じだとバサルモスはくすぐったいらしい、翼膜は押さない程度の強さで擦ってやってくれ」

「分かった!それにしても翼膜の部分は割と敏感なのかな?」

「翼があるってことは元々は空を飛んでいたんだろうな

これは予想だが空での生存競争に負けた、もしくは火山等での過酷な環境で生活するのに適応するため飛行能力を捨てて防御力に特化して擬態する事を覚えたんだろうな」

 

え……これで擬態なの?

 

「擬態というにはさすがにこれは目立ちすぎるんじゃないかしら?」

「あぁ、それなんだがな

こいつはどうやらリージョンフォームの一種らしくてな

元々はこの結晶は生えてないみたいなんだ」

「ふぇ!?なんで分かるの?この子って全く情報のないポケモンなんだよね?」

「あぁ、元々群れで生活してたんだよ、ただ一匹だけ明らかおかしい個体が居たから全部捕まえて色々と調べてみたんだ

そうしたらリージョンフォームの一種なのが分かった

と言ってもどうやら食べ物の違いらしくてな

他のバサルモス達は虫ポケモンとか岩を主食にしてるんだがこいつは結晶や毒性のある鉱物を主に食べてるんだ

一応肉も食べるには食べるが最低限ってとこだな

だが元々単独で生活するのに向いてるっぽいんだよなぁ……こいつら

多分擬態出来そうなのが無かったから自然に群れたんじゃないか?」

「ならこの結晶って……」

 

私はこの子に生えている美しいピンク色の結晶を見ながら翼を洗っていく

 

ゴシゴシッ

 

「バサルモスはわざと毒のある鉱物と結晶を喰らうことで背中から生やした攻撃手段ってとこだろうな

あ、バイオレットはバサルモスの腹部が軽く赤熱化してるからそこに水かけて冷却してやってくれ」

「私もヴィオで良いわよ

それにしても鉱物を食べる影響で頻繁に体に熱が貯まるなんてね……しかもほのおタイプの攻撃を体を冷却する為に使うって……」

 

ジュゥゥゥゥウウウ

 

水かけて湯気が出るくらいの熱って………

 

「ヴァア……ヴァ?」

 

バサルモスは気持ち良さそうに目を細めていたんだけど急に目を開いて背中を気にする素振りを見せる

 

「あ、やべ!お前ら離れろ!」

「へっ!?」

「それってどういう……」

 

私達は困惑しながら少し離れてバサルモスの様子を見ているとバサルモスは立ち上がって体を大きく揺すり始めた

 

すると背中の大きな結晶の一つが大きくひび割れて砕け、巨大な水晶が地面へと落下して砕け散る

 

落下地点が軽く陥没しており、もしそこに私達がいたのならミンチになっていたのが容易に想像出来てしまった

 

「こいつの背中の結晶は定期的に砕けるんだよ

どうも結晶が大きくなりすぎるとバサルモスも違和感を覚えるみたいでな

だからたまにああやって結晶を落としているらしい

野生だとそんなのしなくても縄張り争いとかエサの確保で勝手に取れそうだけどな、攻撃する時に高い頻度で砕けて落ちてくるから」

 

「へー……あ、そういえば群れで居たって言ってたよね!

残りのバサルモス達はどうしてるの?」

「あぁ、あいつらなら今は俺の実家にある牧場で岩に擬態してゆっくりしてると思うぞ?元々殆ど動かないしな」

 

……見てみたい……

 

「先に言っておくが俺の実家はアローラ地方だからな?」

「うぐ……遠い……」

 

アローラかぁ……前に旅行に行ったことあったけど……たまたま記録的な猛暑が酷くてあんまり観光行けなかったんだよなぁ……

 

「そういやお前らは確か他の地方から引っ越して来たんだったな、実家はどこなんだ?」

「私達の実家はガラル地方だよ!」

「ガラル?そうなると大変だったんじゃないか?

確かローズ委員長が色々とやらかしてたって聞いてるけど」

「あー、確かに大変だったよ……街中でダイマックスしたポケモンが暴れる自体が多発してたし……引っ越した理由もそれなんだよねぇ……

今は事態は収まってるからいつでも戻れるんだけどね」

 

いやぁ……家のすぐそこにキョダイマックスダストダスが出現した時はヤバかったなぁ……

 

……主に臭いで……

 

「ねぇ……この子達って元々何処にいたのかしら?」

 

「ん?あー、一応ギィギとスクアギル、あとバサルモスは実家のアローラだな

アイルーはパルデアの海岸でぶっ倒れててウロコトルは旅行で行ったシンオウ地方のテンガン山の内部、ガーグァは……校庭で尻だけ出して地面に刺さってたな

つついてやると金のタマゴを産んでたのが特徴的過ぎた……」

 

「刺さってたって……」

「……それってもしかしてウルトラホールってやつを通ってきたんじゃないの?

確かあなたの故郷のアローラ地方はそれの研究をしてて事故を起こしてなかったかしら?」

「あー、それなんだがな

どうも別口らしい、俺もそっちの線で調べてみたんだが

この世界のポケモンではないことは確実なんだがウルトラビーストとは全く異なるポケモンとしか結論が出なかったんだよ」

 

この子達の故郷って……一体どんな場所なんだろ?

 

「グァア……zzzZZZ」




マグロ「本作のモンスター達はいきなり別すぎる環境へと置かれているパターンがいくつかあるために本来の生態とは異なる行動をするモンスターが生まれております」
ライズ「言うのおせぇんだよ……」


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少年と双子と宝探し

 

~ポケモンアカデミー~『マイルーム』

 

 

あれから私達がアカデミーでの生活を始めてから数日が立ち、ついに旅立ちの日である特別課外授業の始まる日がやって来た

 

ここ数日の間は頑張って授業を受けたり

ネモにバトル挑まれたり

放課後にライズ君の手伝いをしたり

ネモにバトル仕掛けられたり

と大忙しだったけどついにこのパルデア地方を旅する日がやって来たのだ

 

あれ?ネモとの戦いの時間が長すぎるような……

 

もちろん学校でそのまま授業を受けても良いらしいけど……

やっぱり気になる場所も多いからなぁ

 

すると私が朝の準備で着替えをしている時に放送が流れ始める

 

ピンポンパンポーン

 

『生徒の皆さん、本日から課外授業が始まります

説明をいたしますのでグラウンドに集合してください

おや?窓からフォレトスさんg……』

 

ポンパンパンポーン

 

こ……校長先生ぇぇぇぇぇぇぇえええ!?!?!?

 

するとドアが吹き飛ばされてネモが部屋の中に入ってくる

って私のマイルームの扉がぁぁぁぁぁぁあ!?!?

 

「ついに来たァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

 

ネモ……朝からうるさいよ……

 

「課外授業楽しみすぎるー!

早くグラウンド行こっ!」

「ふぇ!?ちょ、ちょっと待ってよ!?まだ着替え終わってな……」

 

と言いきる前に既にネモは部屋の外に出ており少しすると……

 

『ヴィオー!今から課外授業だよーー!!早くいこぉぉぁぉぉおおおおお!!!』

『キャァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアア!!!!!!!』

 

あ……ヴィオ姉が……

 

確かヴィオ姉は朝はシャワーの時間が長かったはずだから多分ネモはお風呂にそのまま突撃していったっぽいかな……

 

すると部屋の外からライズ君がやって来た

 

「おいここは確かレティの部屋じゃねぇか!?無事かーって……なぁ!?」

 

部屋に入ってきたライズ君は私を見つけていきなり顔を赤く……ん?

 

私は今の自分の姿を再度思い出す……確か着替えty……

 

「ッッッ!?!?!?出ていってェェェェェェェェえ!!!!!!!!」

「ふぐりっ!?!?」

 

私は思わず手元にあった後で売ろうと思ってたきんのたまをライズ君に投げつける

ライズ君はそれを直撃すると変な声を出して顔を真っ青にして前に倒れちゃった……

 

「うぐっ……ォォォォオオオオ……」

 

ライズ君が押さえている所を見て私は察しちゃった……

 

「あっ!?ご……ごめんライズ君!?

って着替えないと……」

 

 

うん、よく考えたらライズ君は私を心配して来てくれたんだしなにも悪くないよね……

 

後で謝らないと……

_________________________________________________

 

 

~ポケモンアカデミー~『廊下』

 

 

ライズ君はなんとか意識を取り戻して今は私達と一緒にグラウンドに向かってるけど……その……まだ凄く顔が青ざめてる……

 

「わりぃ……その……知らなかったとはいえ……な?」

「ううん、ライズ君はなにも悪くないよ……

悪いのは……うん、ネモだもん……」

 

私は思わず遠い目をしてしまう……

うん、私ネモに巻き込まれてからろくな目に合ってない……

 

「レティ、ライズはどうしたのよ?

なんか肩を貸してるけどそんなに体調悪いなら保健室で休ませたら……」

 

正論を言われた私はどう誤魔化そうかかなり悩む

……正直に言うのもちょっとなぁ……

 

「その……私がネモに巻き込まれてドアが吹き飛ばされちゃって……後から心配して入ってきたライズ君をネモと間違えて思わずその……きんのたまを投げつけちゃって……」

「きんのたまって……あれ確か純金だからかなりの重さがあるけどそれぶつけられた程度でどうにかなるものじゃないと思うのだけど……」

「えっと……その……当たり所が……」

「文字通りだ……ふぐっ……」

「当たり所……文字通り……あ……

 

……その……なんというか……御愁傷様?」

「言うな……」

 

うう……ほんとごめんなさい……

 

 

 

私達は歩いている内にグラウンドに到着する

 

ちょっとミモザ先生に見つかって後で保健室にライズ君を連れていく事になったけど……

それとドアの事を伝えて置いたから多分後でネモに呼び出しは来ると思う……

 

グラウンドに着くと生徒全員が集合した状態で整列していて先生達も全員揃っていた

 

私達の前にある台に校長先生が立つとマイクの状態を確認して話を始める……んだけど……その……

 

『皆さん集まりましたかね?』

「その……校長先生……ご無事で?」

 

『ええ、とはいえ髪が少々乱れてしまいまして……時間も無かったので軽くだけ整えてから参りました……ケホッ』

 

すごいな校長先生……とはいえアフロだけど……

 

『それではこれから課外授業の説明をさせて頂きます

テーマは『宝探し』!

皆さんには世界を旅して自分だけの宝物を探して頂きます』

 

自分だけの宝物か……考えたけどやっぱり難しいな……

 

『これまで皆さんは学校の中で多くの知識を学んで来たと思います

しかしこれからは外の世界にも目を向け、見聞を深めて頂きたい!

パルデアの豊かな自然、豊かな文化……

そこで暮らすポケモン達……

そこで暮らす人々……

何処へ行き、誰と出会い、何を成すのか

それぞれがそれぞれのポケモン達と

共に歩き……共に考え……共に感じ……

自分だけの宝物を見つけて帰ってきてください!

課外授業を通して大きく成長したあなた達に

再びご挨拶出来る事を楽しみにしていますよ

 

それでは……宝探し開始!!

……いってらっしゃい!!』

 

 

「「「「「「ゥォォォォォォオオオオオ」」」」」」

 

 

皆は校長先生の合図をきっかけに一斉に外へと飛び出していく……よし!

 

「ヴィオ姉!ライズ君!行こっ!」

「ちょっ!?ちょっとレティ……ミモザ先生は!?」

「あ……忘れてた」

 

 

私達はライズ君を保健室に連れていきミモザ先生に診せてくる……

 

結果としてはギリギリ大丈夫らしい……

とはいえ当たり所が悪すぎるのでライズ君の体調が戻るまでしばらく無茶はさせないようにとの事だった

 

ほんとごめん……

 

 

私達が外に出てみると……

 

「よっしゃー!オープンワイルドだー!」

「ライドしていくよ!モトトカゲー!」

「ギャオッス!」

「ライドオンッ!アーマーガア!」

「ガァァァァアアア!!」

 

色んな生徒達がどんどん外に飛び出して行っていく最中だった

 

するとアカデミーの入口から校長先生が出てくる

 

「皆さんお気をつけてー!

パルデアの大穴への立ち入りは危ないので校則違反ですからねー!」

 

今度はネモが後ろから駆け足でこちらに来た

 

「あ!三人共!行くy……(ガシッ)」

「ネモさん……貴女には後でじっくりとOHANASHIがございます

今から校長室にいらっしゃってください」

「うぇ!?ちょっ!?私は今から三人と……たすけてぇぇぇぇえええ!!」

 

ええっと確かこういう時は何て言うんだっけ?

ヴィオ姉が言ってた言葉で……あ、そうだ

 

「「インガオホー」」

「因果応報だな……ってなんだその言葉?」

 

さぁ?私もあんまりよく分かんない……ヴィオ姉たまに変な言葉しゃべるし

 

 

 




マグロ「ライズ君よ、レティのあられもない姿を見てどう思いましたかね?」
ライズ「いや普通に可愛……ってなに言わせやがんだクソマグロッ!」
マグロ「ギャァアァァァァァァ!?!?わさび醤油が目にぃぃぃぃぃいいいい!?!?!?」


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少年と双子と冒険の始まり

 

 

~テーブルシティ~『ポケモンアカデミー前』

 

ネモが連れて行かれた後に私達は宝探しについて話ながら地獄の階段を下りていた

 

 

「そういえばライズ君って前回の宝探しってやったの?」

「ん?あぁ、やったにはやったがちょっとしつこいのに付きまとわれてハッコウシティからあんま出られなかったんだよ」

「へぇ……ってか宝探しってほんと具体的に何をすればいいのかしら?」

「宝探し……まぁ比喩表現に近い行事なんだが……

このポケモンアカデミーのメインイベントとも言える宝探しは宝探しと言っても実際にどっかに宝を隠してあるとかそういう物じゃないんだよ……」

 

やっぱりそういう意味じゃないんだ……

どういう事なんだろ?

 

「まぁどっか探せば本物の宝がある可能性はないとは言えないが……まぁこの行事の主な目的はこの地方を自由に冒険していろんな事を体験する事が主な目的とも言えるな」

 

いろんな事を体験するか……その経験が宝ってことなのかな?

 

「まぁ具体的にはジムに挑むとか困ってるやつを助けるとか……まぁさっき言ったみたいにマジの宝を探すってのもアリっちゃアリな訳だ

まぁアカデミーの中だと学べない事とかも学ぶ良い機会ではあるな」

 

へぇ……確かにアカデミーの中だと基本的に実際にやってみるってのも割と少ないしそういう意味でも良い経験になるんだ……

 

私達は話している間に地獄の階段を降りきってバトルフィールドのある商店街を進んで出口を目指していく

 

「ネモとかは前回の宝探しでは特に暴走してたみたいでな……目と目が会ったらすぐに勝負を仕掛けられると思った方が良いだろう

……あいつだけはもはや別の地方のルールで動いてやがる……」

 

ネモ……やっぱりいろんな所で勝負を仕掛けまくってたんだ……

 

「とりあえずあいつと出会したらほぼ確実に勝負を挑まれると思っとけ……」

「デスヨネー」

「あまり出会さない事を祈るわ……」

 

ネモには少しは自重を覚えて欲しい……

 

「とりあえずマップアプリで適当に目的地を設定して向かってみたらどうだ、オレはオレで適当に旅するからよ」

「あら?一緒に旅に出てくれないのかしら?」

「お前と行ったら玩具にされるのがオチだろうが……」

 

うーん、でもここまで何度も一緒に居て今更別行動するのもなぁ……

 

「その……ライズ君……私の……見たのよね?」

「うぐっ……おまっ!?そこでその話を出してくるか!?」

「ダメ……?」

「うぐ……ぐぬぬ……あー!もう!わかったよ!

一緒に行けばいいんだろが!?

やっぱりお前ら双子だよ!?どっちも性格わりいな!?」

「えー、私はヴィオ姉程性格悪くないよー!」

「ちょっとレティ……それは私にダメージ大きいのだけど……」

 

私達が一緒に旅する事が決まると後ろからペパーの声が聞こえてくる

 

「おーい!レティ!ヴィオ!あとついでにライズ!」

「あら?」

「あ、ペパーだ、どうしたの?」

「オイコラついでってなんだよ……」

「おぉ、わりぃわりぃ

お前らも一緒にヌシポケモン探してスパイスをちょろまかすの手伝って欲しくてな

……改めてどうだ?レティ、ヴィオ

秘伝スパイスを守るヌシの住みかに一緒に行こうぜ」

 

するとまたアカデミーの方からネモが走りながらこっちに現れる

 

「ちょっと!ペパー、ズルいよ!

三人に変なこと教えないでよ!

三人は私と一緒にチャンピオンランクになるの!」

 

あれ?校長先生の説教は?

って思ってたけどなんか凄い汗かいてるしこれ……逃げてきたな

 

「はぁ!?誘ってるだけで決めるのはこいつらだろ?」

「ふんぬー!」

 

ロトロトロトロト……

ロトロトロトロト……

 

すると今度はヴィオ姉のスマホロトムに電話がかかってきた

 

「ん?ヴィオ、スマホロトムが鳴ってんぞ?」

「あら?ほんとね……」

 

スマホロトムが飛び出て私の前に現れて通話機能がONになる

 

『やぁ二人とも

カシオペアだ』

「こんにちわ、カシオペア

一応ブロックしてファイアウォールを強化しておいたのだけど……」

『あぁ、あの程度ならば私にとっては簡単なパズルを解くような物さ

まだルービックキューブのが面倒だね』

「言ってくれるね……」

 

ヴィオ姉が珍しく悔しそうにしてるら

 

『さて、私からの用件は以前に伝えていたスターダスト大作戦についてだ

スター団には5つの組があり、アジトもそれぞれ分かれている

二人にはそこへ向かい、組のボス5名を倒して欲しいのだ

したっぱ軍団が邪魔してくるだろうが、私も遠くからサポートさせて貰おう』

 

遠くからサポートって一体何を……って一体何をどうやるんだろ?

 

『さて、ボス達組の名前となっているポケモンタイプの使い手だが……あなた達ならきっと大丈夫だろう

と言うわけで勝手ながらアジトの場所を登録させて貰う』

 

 

すると私のスマホロトムも飛び出してきてヴィオ姉のスマホロトムと共にデータをダウンロードする

 

えーっと……

あく組

ほのお組

どく組

フェアリー組

かくとう組……か

 

なんかやたらとかわいい組も混ざってるなぁ……

 

『ボスを倒す度にこちらからたんまりと報酬を差し上げよう』

 

報酬かぁ……なに貰えるんだろ?

今度は我慢しきれなかったネモやペパーがカシオペアに話し始める

 

「いやいきなり誰なの!?

スター団って不良で危ないし!

二人には関係ないよ!」

「そうだそうだ!

コイツららオレと一緒にすげぇ食材を探すんだよ!」

『決めるのは二人……

いや今は三人……だったかな?ネモ、ペパー』

「「っ!?」」

「なんで名前……!」

『スカーレット、バイオレット、それにライズ……

あなた達の活躍を楽しみにしているよ』

 

カシオペアはそう言い残して通話を一方的に切ってしまう

 

「なんだったんだよ……」

「なんかオレも巻き込まれる流れっぽいなこれ……」

「二人とも……友達多いのは良いけど危ない事に深入りしすぎないでね?」

「……はぁ、少なくともネモにしつこくバトル挑まれるよりマシだ」

「そりゃそうだ」

「ちょっと!?ライズ!?ペパー!?

はぁ……さぁて気を取り直して冒険の始まりをしy……(ガシッ)」

 

ネモが言い切る前にネモの肩を背後から誰かが強く掴む

 

「冒険を始めるのは大変結構です

 

……しかしネモさん……まだOHANASHIは終わっていませんよ?」

 

ネモを掴んでる人の正体は……

 

「こ……こここ校長先生!?いつの間に……」

「さて、まだしばらく説教に付き合って貰いますよ?」

「ちょっ!?レティー!ヴィオー!ライズー!助けてぇ!?」

 

「「インガオホー……」」

「「因果応報だな……」」

 

するとペパーが呆れたように溜め息を吐くと私達に話の続きをし始める

 

「はぁ……まぁいろいろと口出ししちまったけど決めるのはお前らもだ

それにしても自分だけの宝……ねぇ

オレの場合はマh……いや、秘伝スパイスに決まってる」

 

アレ?なんかペパー言い直したけど……なにかあるのかな?

 

「スパイスを見つけたらうーんとうまいサンドウィッチ!

作ってお前らにも食わせてやるからな!」

「ほほーう、そりゃ楽しみだな

前にもごちそうになったがお前のサンドウィッチは旨いからな」

「そういうお前だって結構料理大好きちゃんですげぇ上手いじゃねぇか

たしかうさ団子?だったか?あれがものすげぇ美味かったぞ!」

「え!ライズ君料理上手なの!?」

「う……悪いか?」

「ううん、今度なにか作ってよ!」

「はぁ……気が向いたらな?」

 

お団子……お団子かぁ……

すると少しいやな予感がしてヴィオ姉を見る……すると

 

「じゅるり」

「アギャス!」

「アギャ!アギャギャッス!」

 

あ、ロックオンされてる……その……ライズ君……頑張ってね?

しかもコライドンとミライドンまで出てきて二人をめっちゃ見てるし……

 

「げっ!?なんで出てくるんだよ!?」

「お前らも食いしん坊キャラかよ……」

「お前にはやらねーぞ……」

 

「ギャス!ギャス!」

「アギャ!ギャス!」

 

なんか二匹とも速く行きたいみたい

あれ?もしかして乗れって言ってるのかな?

 

「ヴィオ姉!」

「えぇ!」

 

私達はミライドンとコライドンの背中に乗ると二匹が姿を変化させる

 

「アンギャー!」

「アギャース!」

「クェェェェエエエ!!!」

 

あれ?なんか変な鳴き声が……

 

横を見てみたらライズ君が既にガーグァに乗って待機していた……準備良いなぁ……

 

「どうせそのまますぐに行くんだろ?行き先はお前らに任せるよ」

「っ!うん!一緒にいこっ!」

「退屈しなさそうね」

「ヌシポケモン探すなら東門からのがいいぜ!」

「逆にジムにいくなら西門だが……真っ先にいくとネモが居そうで怖いな……」

 

うん……やっぱそうだよね……

 

「よーし、まずは東門から出発だー!」

「えぇ!行きましょう!」

「任せる」

「後から追い付くからなー!」

 

よーし!冒険の始まりだー!




ネモ「解せぬ」
マグロ「お前……前回何人に勝負仕掛けた……」
ヒソカ「え?うーん、百から数えてないや」


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少年と双子と野生のテラスタル

 

~テーブルシティ~『東門』

 

 

ロトロトロトロト……

 

『もしもし?レティのスマホロトムで合ってるよな?

オレ、ペパーだぜ!』

「ペパー?どうしたの?こっちは東門から出るところだけど」

『いやー、おまえらがちゃんと旅立ったか心配でよ

さっきいく時にライズのガーグァが軽く暴走してたからな

やっぱりお前らは学校の東っ側から出発したんだな!

そっからだったら岩壁のヌシがいるって言う岩場が近いぜ!』

 

岩壁っていうくらいだからやっぱり岩タイプだよね……ヴィオ姉のホゲータだと少し厳しそうだけど私のニャオハなら……

 

『ソイツは岩みてぇに壁に張り付いて獲物をねらってんだと!

ただヌシ探しに夢中になって崖から落ちると大変だ!

そんな時はマップアプリでそらとぶタクシーを呼ぶようにな

岩場が多くて天然の迷路みてぇになってるから

迷わねぇように頑張って探そうぜ!

ヌシ見つけたらヨロシクちゃんな!』

 

ペパーはそう言い残して通話を切った

 

「ライズ君は聞いたことある?岩壁のヌシ」

「……岩壁のヌシかは分からんが心当たりならあるぞ?

岩に張り付いて獲物を狙う岩タイプのポケモン

それに合致する特徴を持つやつなら一匹だけいる

種族名は『ガケガニ』

いわ単タイプのポケモンなんだがいかりのこうらっていう特性がやっかいでな

体力が半分以下まで下げられると自身の防御能力が物理特殊の両方とも下がるんだがこうげき、とくこう、すばやさが上がってしまうんだ

ただ、これは逆に言えばトドメを刺すチャンスにもなるから狙い目でもあるな」

 

ガケガニ……あれ?そういえば……

 

「ねぇ、たしか食材にもガケガニスティックってあったよね」

「あぁ、アレか?あれはそのガケガニの脱皮した殻のエキスを使ったカニカマだよ

ただあいつの爪を使った料理を出してる所があってな

あれはなかなか絶品だったぞ?」

「カニの爪っ!じゅるり……」

 

ヴィオ姉……食欲抑えて抑えて……

それにしても……食べられるタイプのポケモンなんだ……

 

私達はとりあえず近くにある南3番エリアのポケモンセンターを目印に周囲のポケモンをたくさん捕まえながら進んでいってたんだけど……

 

「あっ!なにあのプリン!凄い光ってる!行ってみよ!」

「あら、ほんとね……ちょっと捕まえたいわね」

「ん?あ、そいつに不用意に近付いたら!?」

 

ライズ君が何か行ってるけどプリンは可愛いから捕まえておきたい!

 

「いけ!ニャオハッ!」

「はにゃ!!」

 

私はニャオハを繰り出して勝負を仕掛けようとするとプリンは私達に気がついて振り向いた

 

「プリ?プリーーン!!」

 

するとプリンは突如として結晶に包まれてから全身をクリスタルに変化させて現れる

 

「嘘ッ!?自力でテラスタルしたの!?しかもあの冠……もしかしてみずタイプなの!?」

「あぁ、あの形状はみずテラスタルだ、光っているやつは自力でテラスタル出来る程エネルギーを蓄えている上に特殊なテラスタイプを持っている

だから不用意に近付くなと言ったんだが遅かったか」

「ますます捕まえたくなってきた!

頑張るよ!ニャオハ!」

「はにゃ!」

 

タイプ相性ならこっちの方が有利!

なんとかなるはず!

 

「プリプリプリプリ………プリーーン!!」

 

プリンの頭部にある噴水のような青い冠が光り輝く

プリンは手で何かを捏ねるような仕草をすると手と手の間に水の波紋のような物が生まれていく

そしてそれを両手を前に出して所謂波○拳のように打ち出す

 

「避けて!」

「はにゃっ!はにゃ!?」

 

プリンの『みずのはどう』は直撃こそしなかったものの砕けた石片がニャオハへとぶつかり、ちょっとしたダメージとなる

 

「ちょっと大丈夫なの!?」

「なんて威力……テラスタルしてるからここまでの力になるんだ……ニャオハ!マジカルリーフ!」

「はぁぁぁにゃぁぁぁあああ!!」

 

ニャオハから色とりどりの葉っぱが素早く射出され、プリンへと向かっていく

対するプリンは避けようと動くが、プリンの動きに合わせてマジカルリーフは追尾してそのまま直撃してしまう

 

「プリっ!?プリーーン!?」

 

プリンは大きく吹き飛ばされてそのまま壁へと激突して落ちてくる

地面に叩きつけられると同時にテラスタルが解除されるがプリンは戦意を失っては居なかった

 

「嘘ッ!?テラスタルが解除されてもまだ戦えるの!?」

「プリーーン!!」

 

プリンは可愛く叫ぶとその声が衝撃波となってニャオハを襲う

 

「はにゃ……はにゃ!!」

 

ニャオハはなんとか踏ん張って耐えた

 

「『チャームボイス』だな

だが弱ってるのには違いないボール投げるなら今だぞ!」

「分かった!いけ!モンスターボール!」

 

私はライズ君の忠告に従いモンスターボールを投げつける

プリンは立ち上がって避けようとしたけどそのまま直撃してボールへと収納される

 

欲を言えば状態異常を入れてもう少し弱らせたかったけど……思った以上に強いし逃げられるわけにも行かない

 

一回揺れる

まだまだ油断出来ない……

 

二回揺れる

あと二回……

 

三回揺れる

あと少し……お願い……入って!

 

カチンッ!

 

 

「やったぁ!やったよ!ニャオハ!」

「はにゃ!はにゃ!!はにゃ!?」

 

するとお互い抱き合った状態でいたニャオハが突然青白く光り輝く

 

「うわっ!?にゃ……ニャオハ!?大丈夫!?」

「落ち着け、進化だ」

 

ニャオハの手足がどんどん伸びて人のような形へと変化していく、全体的な大きさも成長してどんどん姿形を変えていく……

 

「ニャローッ!!」

「この子がニャオハの進化……」

 

私はスマホロトムを取り出して図鑑アプリを起動する

するとそこには『ニャローテ』というポケモンが新しく登録されていた

 

「ニャローテ……よろしくね!」

「ゴロゴロゴロ……」

 

私はニャローテの顎下を撫でてあげるとニャローテは嬉しそうに喉を鳴らしている

 

可愛いなぁ……

 

「とりあえずあと少しで南3番エリアのポケモンセンターだ

まずはそこまでいくぞ?」

「うん、分かった」

「えぇ……とりあえず次のテラスタルポケモンが居たら私が捕まえるわよ」

「分かった!」

 

 

 

 

 

 

~南3番エリア~『ポケモンセンター』

 

「ふぅ……到着~~!」

「お前な……いくらもう一匹見つかったからって崖から降りるなよ……戻ってくるのめんどくさかったぞ……」

「仕方ないじゃない……それにそらとぶタクシーっていうのがどういう物なのかも分かったからそれで良いでしょ?」

 

あの後、崖下にテラスタル出来るノコッチを見つけてヴィオ姉が崖を降りて捕まえにいったのもあってここまで来るのにすごく時間がかかってしまった

 

ノコッチは毒テラスタルだったんだけど『ポイズンテール』というかなり強力な物理どく技を覚えていて凄く強かった……

 

結局どうやって戻ろうか悩んだ末にそらとぶタクシーに頼って東門前にまた戻ることになったのだった

 

すると今度はスマホロトムに電話の着信が入った

 

ロトロトロトロト

 

『よう!三人共!

この岩場のどっかに岩壁のヌシがいるらしい

この辺り探してみたんだが全然見つかんねぇんだよ!

まさか高い壁に引っ付いてる……なーんてことはないだろうし!

そんなに深いところにはいねぇはず……

だから探しすぎて崖から落ちんなよ!

わかんなかったらマップアプリでまわりをみてみるのもいいかもな!』

 

ペパーはそう言い残して通話を切った

 

あれ?なんで場所分かったのかな?

 

「とりあえずポケモンセンターで皆回復させて一旦休もっか……」

「賛成ね……ノコッチがやたらと強かったわね……」

「オレはこいつらに餌をやってるよ……気絶したら頼む」

「あぁ……その……無理しないでね?」

 

やっぱりライズ君のポケモン達は凄く育てるのが大変そうだった……




ライズ「…………(ヽ´ω`)」
ギィギ「ちゅうちゅう♥️」
スクアギル「ずぞぞぞぞぞそ……」


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少年と双子と岩壁のヌシ

今回は出血大サービスで文字数多めですw


 

 

~南3番エリア~

 

 

私達はポケモンセンターでの休憩を終えた後、南3番エリアの探索をし始めた

ミライドン達のジャンプで登れそうな崖を登るとなんかとんでもない強さのポケモンが普通に出てきてホントに焦った……ただ周囲にはライズ君に教えてもらったガケガニの普通の個体が結構壁に張り付いていてガケガニがどんなポケモンなのかはだいたい把握出来た

 

「あら……?」

「どうしたのヴィオ姉?」

「この辺りのガケガニ達……何か変じゃないかしら?」

「……たしかに妙だな

どいつもこいつも脚やら爪やらが無くなってやがる……地面には砕けた殻もあるな……

それにこれはかなりのデケェが……足跡にしては感覚が狭すぎるな……」

「もしかしてヌシ……?」

 

でもヌシってガケガニなんだよね?

 

「いや、おそらくヌシじゃないな

岩壁に擬態するなんて特徴を持ってるのはガケガニくらいだ

バサルモスも確かに擬態能力はあるがあれは岩だしな

似たような生態してるやつだとイワパレスもいるが

あいつはこの地方に生息していないからな……」

「うーん……」 

 

明らかな異常事態ではあるんだけど……

これはちょっと調べるには難しいなぁ……

 

「とりあえずは当面の目標通りヌシをさが……」

 

カラン……コロン

 

なんかライズ君の上から物音がして石が落ちてきた

 

「ん……?」

 

私達はライズ君の背後の壁を少し離れてから見つめる……

 

するととある輪郭でかなり大きく浮き出ているのが分か……

 

「ってガケガニだこれ!?」

「なにあの大きさ!?」

「バサルモスよりデケェぞあれ……」

 

するとガケガニは私達に気付いたのかギョロリ……と目をこちらへ向けると岩壁への擬態をやめて壁からジャンプして降りてくる

 

「ンガァァァァニィィィィィイイイイ!!!!!」

 

「うわぁ!?襲いかかってきたぁ!?」

「あら?なんか片爪もげてないかしら?」

「……たしかにもげてるな……

そうなるとヌシ含めて何かに襲われた訳か……」 「とりあえずニャローテ!いくよー!」

「ンニャロー!」

「みずタイプを育てといて正解だったわ……マリル!」

「リルー!」

「アイルー!いけるか!」

「お任せあれ!旦那さん!」

「ンガニィィィイイイイイ!!」

 

ガケガニは残っている片爪を器用に使って地面をくりぬき、巨大な岩石を掘り出して投げつけてくる

 

「『がんせきふうじ』にしてもデカすぎんだろ!?

『あなをほる』で避けろアイルー!」

「にゃにゃっ!」

「ニャローテ!もアイルーに続いて穴に!」

「ンニャ!」

「マリル!」

「リルー!」

 

アイルーは3匹が入れる程度の穴を掘ってからガケガニの真下へとどんどん掘り進めて地面から飛び上がり、ガケガニに強烈な一撃を食らわせる

 

「ンガニィィィイイイイイ!?!?」

 

『あなをほる』は地面タイプだから効果は抜群!これなら!

 

「ンガニィィイイ!」

 

っと思っていたらガケガニが逃げちゃ……逃げちゃ……

 

「って逃げたっ!?」

「見失う前に追うぞ!」

「ミライドン!」

「ギャアス!」

「頼むぞ!ガーグァ!」

「クェェェェエエエ」

「あ!?ちょっとまって!?コライドン!」

「アギャ?」

 

私達はガケガニが逃げた先を追っていくと崖を下っていくのが見える

 

よくみるとその崖は何か大きな岩で封じたような形になっていたのだが……ガケガニはその岩を破壊して隠されていた洞窟が姿を表す

 

するとガケガニはピンク色に輝く何かを爪で挟んで食べ始めた

 

「三人とも!ヌシを見つけたのか!?」

 

騒ぎを聞き付けたのかペパーが私達を見つけてやってきた

 

「あいつが岩壁のヌシ……デカ過ぎんだろ……

スパイスを食って強くなってるのか!?

だが爪が片方ねぇぞ?」

 

「どうもこの辺のガケガニが何かに襲われてるみたいでな

だが追うにも情報が少ないから先にヌシを相手してたんだ」

「まあ先にこっちが襲われかけたんだけどね……」

 

するとガケガニが何かを食べ終えたのかこちらへと振り向くと失った爪が凄まじい速度で再生してさらに巨大化して凄まじいオーラを放ち始める

 

「っ!?三人とも

……気を付けろよ!」

「うん!いくよ!ニャローテ!」

「油断してると本気でヤバそうね……マリル!」

「アイルー!」

「ヤバそうちゃんだけど負けねぇぞ!

シェルダーではさみ揚げだ!」

 

ガケガニはその圧倒的過ぎる巨体で威嚇を行おうと叫ぶ

 

だがその遠くからゴロゴロと高速で何かが転がって来るような音が聞こえる……

 

「ンガァァァァニ゛ッ!?」

 

そしてその音の正体である巨岩はガケガニを上から潰して私達の回りを転がり続ける

そしてガケガニの爪を片方巻き込み、再度跳ね飛ばしてしまう

 

「ガニィィィイイイイ!?!?」

 

「明らかに転がり方がおかしい……こいつはポケモンだ!」

 

すると転がっていたポケモンは丸めた体を伸ばしてその大きな二本脚で立ち、私達の前に立ちふさがる

背中は金属質な岩石のイボを大量に備えており、あの正体不明の巨大で細かい足跡の正体はこのポケモンが転がっていたものとわかる

その口にはヌシ・ガケガニの爪を咥えており、むしゃむしゃと食べていた

そして特筆すべきはその圧倒的なまでに巨大な顎であり、とてつもなくシャクれてはいるもののその顎はまるでハンマーのようにも見える

 

「なんだ……このポケモン……」

「なんつうデカさ……」

「ガケガニのあの堅そうな爪をいとも簡単に噛み砕いてる……」

「図鑑アプリだと……ダメだ、情報がない!」

 

「ンガァァァァァア!!!」

 

謎のポケモンはガケガニの爪を食べ終わるとガケガニと同じような変化を起こしてさらに巨大になり、咆哮を放った後に地面に顎を叩きつけることで周囲に地震を発生させる

 

「うわっ!?っとっと……」

「きゃっ!?」

「くぅ……」

「た……立てねぇ……」

 

私達はその地震で地面に座り込んでしまう

ニャローテ達も立ち上がれないようだ

 

「くっ……ニャローテ!『タネばくだん』!」

「ンニャー!」

 

ニャローテのタネばくだんは上手く謎のポケモンの足元で炸裂してその巨体を支えるにはバランスがあまり良いとは言えない大きさの脚に大きくダメージを与える

 

「ンガァァァァァア!!!」

 

とはいえ謎のポケモンは軽く怯むくらいで転ぶ程ではなかった

 

「ダメージは大きくなって無さそう……見た目からしていわタイプっぽいけどほのおかなにかが混ざってると思う!」

「なら!マリル!『アクアテール』!」

「マーリルー!」

 

謎のポケモンはしっぽを銀色に輝かせてなぎはらう

まずい!?『アイアンテール』だ!?

 

「ルリーー!?!?」

「マリル!?」

 

お互いのしっぽがぶつかり合うとマリルは大きく吹き飛ばされて謎のポケモンは少し仰け反る程度で済んでいた

物理面がかなり堅い……

 

「さすがにアイアンテールがあるとマリルをこれ以上戦わせるのはキツそうね……みずタイプでも弱点っぽい反応じゃないから多分……ドラゴンかしら」

 

いわ、ドラゴンタイプ……弱点はかくとう、じめん、はがね、こおり、ドラゴン、フェアリーか………あれ?だいぶ弱点多くない? 

 

「なら行って!パーモット!」

「パーモッ!」

 

パーモットはパモの最終進化だ

ちょうどノコッチを捕まえた後にパモが進化してパモットになったんだけどそれをヴィオ姉が気に入ってしばらく連れ歩きながらこの辺調べたりバトルしたりしてたらなんかすぐに進化したんだよなぁ……

 

「パーモット!『ほっぺすりすり』!」

「パモパモパモ~!」

「ガッ!ガガガガガッ………」

 

パーモットは自分のほっぺたを自分の手で擦って電気を貯めてそれを謎のポケモンにすり付ける

そうすると謎のポケモンは体を痺れさせて動きが大きく鈍くなる

 

「アイルー!『かんつうブーメラン』!」

「ンニャァァァァァァァ!!!」

 

アイルーが投げつけたブーメランはオーラを纏いながら飛んでいき、謎のポケモンにぶつかるとそのまま真後ろまで貫くように飛んでいく

さらに戻ってくる時にも謎のポケモンへとダメージを与えており、かなり大きく怯んでいた

 

「ンガァァァァァア!!!」

 

「よしっ!効果は抜群みたいだな!畳み掛けるぞ!」

 

すると謎のポケモンは頭をを大きく上げて勢いよく地面へと顎を叩きつける

するとまた巨大な地震が発生して身動きを取れなくされる

謎のポケモンはその勢いを殺さずにイッシュ地方を主な生息地とするポケモン、ホイーガのように丸まりながら転がってくる

この巨体からの転がりの一撃は痛いなんて次元じゃない

 

そしてそれは不幸にも私へと向かってきていた

 

「ッ!?レティ!」

 

 

 




マグロ「果たして何ガンキンさんなんでしょうかねぇ」
主ガケガニ「チョキン」
マグロ「あ、首が………再生するけど」
主ガケガニ「(´・ω・)」


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少年と双子と爆槌竜★

 

 

「ッ!?レティ!」

「きゃっ!?」

 

私はライズ君に助けて貰ってなんとかあのポケモンの『ころがる』を避ける事が出来た……って近い!?近いって!?

 

 

「あぶねぇ……あんなバカデカイのに潰されたら一撃で死にかねないぞ!?って無事かレティ!?」

「あ……ありがと……って近いって!?」

「あ……わりい……ってんな事より転がり続けているあいつをどうする!?」

「そんなこと……ってそうよね

しかもあの巨体での『ころがる』だとそう簡単には止められない……」

 

 

謎のポケモンは私たちの周囲をころがり続けながら様子を見ている気がする……

でも多分急に避けたりするのは難しそうだよね……

 

なら……

 

「あのころがりの進行方向に攻撃を置いて踏ませるとかは?」

「……悪くないな」

「パーモットの『ほっぺすりすり』で麻痺してるから動きは大きく鈍ってるはずよ

なら余計に避けられないはず」

「よし……ヴィオ!ペパー!トドメ任せるぞ!

アイルー!まずは『きょうかたいこ』だ!」

「了解にゃ!にゃん!にゃん!にゃん!にゃん!にゃぉぉぉぉおん!!!」

 

アイルーの『きょうかたいこ』により全員の火力が上昇する

 

「よし!次は動きを止めるぞ!会わせろレティ!

アイルー!『タルばくだん』!」

「置いてらさっさとトンズラにゃん!」

「任せて!ニャローテ!爆発を遅延させて『タネばくだん』!」

「ローテ!!」

 

アイルーがあのポケモンが転がる通り道にタルばくだんを設置してニャローテがそれにあわせてタネばくだんを設置する

 

タルばくだんは防御力を計算せず自身の強さの分だけダメージを与えるこうげきってライズ君から聞いている

いわ、ドラゴンタイプと思われるこのポケモンにはめっぽう強い

それにタネばくだんの爆発を合わせればなんとか転ばせることが出来るはず……

 

「3……2……1……今だ!」

 

「ッ!?ガァァァァァァァアアアア!?!?」

 

タルばくだんとタネばくだんの合わさった大爆発により謎のポケモンはそのまま転んでしまう

 

「ペパー!ヴィオ!やれぇえええええ!!!」

 

「シェルダー!『みずでっぽう』!」

「パーモット!『つっぱり』!」

「シェェェエルゥゥゥゥウウウ!!」

「パモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモパモ」

 

よし!良い感じにダメージが入っている……

だけどあのポケモンが転ぶ時に周囲に飛んでいったあの岩はなんだろう……

マグマの筋みたいなのが通っていてどんどん赤く……ッ!?

 

「ヤバイ!?みんなあの岩から離れて!!」

 

あのポケモンが急に立ち上がって顎を地面に強打する

 

するとその衝撃であのポケモンから飛び出した岩が爆発する

 

「うぐっ!?」

「きゃあっ!?」

「爆発っ!?」

「うぉぉぉおお!?あいつ強すぎちゃんかよ!?」

 

だけど最後の力だったみたいですぐに倒れて元の大きさまで縮んでしまう

 

って元の大きさでもめちゃくちゃデカイんだけど!?

 

「ふぅ……なんとか倒せたか……あ、俺としては捕獲しておきたいんだがお前らはどうだ?」

「私はいいよ、でもライズ君もう手持ち6匹だから他の人が捕まえて一緒に調べる?」

「あー、確かにな

俺の今の状況だとBOXでかなり待たせる事になりそうだな……」

 

「ぐぎゅるるるるる………」

 

私たちはお腹の鳴る音が聞こえて思わずヴィオ姉へと顔を向ける

 

「私じゃないわよ?ってかなんで全員私を見るのよ……」

「いやだってお前さんは食いしん坊ちゃんじゃっ!?」

 

あぁ……腰の入った良いコークスクリュー・ブローがペパーの鳩尾に……

となると……

 

「グゥゥウウウ……」

 

あのポケモンの音みたいだね……

私たちは再びヴィオ姉へと向いて……

 

「「どうぞどうぞ」」

「よーし、あんた達が私をどう思ってるかは理解したわ……(バキッボキッ)

 

 

……はぁ、私は一応美味しいものを食べるのは確かに好きよ、私はこれからも美味しいものをちょいちょい探しながら旅をするけど貴方も来る?」

 

「………ガァ……」

 

ヴィオ姉は頷いたあのポケモンにモンスターボールをぶつける

 

あのとんでもない巨体が全てモンスターボールに収納される

 

一回……二回……三回……カチッ

 

「よろしくね……名前は……とりあえず暫定的に『シュニン』と呼ばせて貰うわね」

 

するとヴィオ姉のスマホロトムが飛び出して図鑑情報を更新、それと同時に私達のスマホのポケモン図鑑へと情報が共有される

 

『ウラガンキン』

アナザーポケモン

いわ・ドラゴンタイプ

 

特性:かやくがん

 

技:ころがる

  アイアンテール

  じならし

  かえんガス

 

主食:鉱物類  副食:草食

 

データ不明……

 

「ウラガンキン……それにさっきの岩はこの特性が原因っぽいな……」

「しかもあれ『じしん』じゃなくて『じならし』かよ……スパイスの力もあったのか?だとしても強すぎちゃん……って秘伝スパイス!!」

 

「「「あっ」」」

 

「あのガケガニが食ってた秘伝スパイスはこの中にあるはずだ

戻ってこないうちにちゃっちゃか調査しようぜ!」

「忘れてた……」

「そういえば元々……」

「秘伝スパイス探してたんだったね……」

 

そうして私たちはあのガケガニが壁を崩して出てきた洞窟に入っていった

 

「薄暗いから気を付けろよ?」

 

洞窟の中を少し歩いていくと開けた場所に出る

それに洞窟の中なのにやけに明るい……

 

「あーっ!」

「どうしたペパー?」

「何か見つけたの?」

「みんな!ちょっとこっちに来てくれ!」

 

ペパーがいきなり叫ぶと私達をこの洞窟の光源へと手招きする

ペパーはその光源となっているピンク色の草を指すとペパーが持っている本に書かれた植物と何度も見比べている

 

「これ『ひでんスパイス』だ!本で見たまんま!」

「そいつが……」

「あ、確かにガケガニも食べてた!」

「光ってるけど……大丈夫なの?」

 

ペパーは見つけられた喜びで叫び出す

 

「うぉー!やったぜ!みんなのおかげだぜ!」

「うぉ、ビックリした……いきなり叫ぶなよな?」

「わりぃわりぃ、えーとなになに……本によると……

『ひでん:あまスパイス』は胃を健康にして食べ物を消化しやすくしてくれる!腹痛や食欲不振にも効果絶大……

なんだとさ!」

「『あまスパイス』って事は甘いのか……」

「聞いてる限りだとすごく体にも良さそうだけど……」

 

「……早く食わせてやりたいな」

 

ペパーは私達に聞こえないくらいの声で何かを呟いた

 

「ふぇ?ペパー、何か言った?」

「いや、なんでもないぜ

よっしゃ!腕によりをかけて料理してやるぜぇ!」

「俺も手伝おう」

「良いって良いって、お前らはあいつらと連戦で疲れてるだろうしな

ここは任せろって

 

うおおおおおお!ずりゃ!おりゃー!!」

 

ペパーはなんか叫びながらとんでもない勢いで具材を調理してサンドウィッチにしていく

 

「あ、シュニンの分もお願いねー」

「任せろ!ふんどりゃー!!!」

 

するとあっという間に全員分のサンドウィッチが出来上がる

 

「お待ちどうさん!

スパイスたっぷり!ペパーサンドウィッチの完成だ!

あとヌシポケモンを倒してくれたお礼のバッチもやる!

ジムバッチのレプリカをアレンジしたんだ」

「へぇ……これっていわタイプのバッチのアレンジ?」

「そういうことだ、どうよ?良いもんだろ?」

「あぁ、さて、食べるとするか……」

「私はシュニンにも食べさせたいから外で一緒に食べてくるわ」

「おう、わかった」

 

そう言ってヴィオ姉はすぐに洞窟の外へと向かっていった

 

「じゃあいただきまーす」

「いただきます」

「どれどれ……」

 

あ………

あっまぁぁぁぁぁぁぁああああっ!?

 

「想像以上にあっめぇ……」

「これは……調整少しでもミスったら……」

「うん……甘すぎて食べられなくなると思う……ペパーナイス判断……」

 

すると私のボールからコライドンが現れる

 

「アギャス!」

「げっ!?こいつらなんだよ!

自分で出てきたのか……?」

「スンスン……」

「……おい、お前のは無いぞ?」

 

コライドンは私達のサンドウィッチを見つめるとお腹を鳴らし始める

 

「グキュルル……」

 

「食べる?」

「アギャ!!ガツガツ……!」

「あー!せっかく作ったのにあげちまってさ!

……もうお前らの分無いからな?」

 

まぁ惜しいけどコライドン達はサンドウィッチすごい好きだしなぁ

 

「この分だとヴィオの所も出てやがりそうだし……

あいつにオレの半分やるか……味わって食ってくれりゃあいけど」

「グア、グアー!」

「ん?もう食い終わったのかよ?」

 

今度はコライドンは全身をすごく光り輝かせる

 

「アギャァァス!!」

「うぉあ!?」

「なんだ!?」

「きゃっ!?」

 

光り終わったコライドンを見てみるとすごいツヤツヤしてるようにも見える

 

「んん!?なんかこいつパワーアップしてねぇ……!?」

「アギャ!」

「うぉお!?マジか!スパイスの力ってすげぇ!?」

「スパイス……と言って良いのかこれは……」

「こんなにも効果があるならきっと……」

「ん?きっと?」

「……きっと宝探しにも効果があるんじゃないか?

そうに違いねぇ!うんうん!

よっしゃ!秘伝サンド食って腹いっぱい!

あとは片付けでもするか!」

 

アレ?なんか誤魔化された?

 

「あ、私達も片付けくらいはやっとくよ!」

「お前らは良いって!ヌシやウラガンキンと戦って疲れてるだろ?あとはオレに任せて残りの4つの秘伝スパイス

先に探しといてくれよな!」

「むぅ……ペパーがそういうなら」

 

すると今度は洞窟の入口からヴィオ姉の驚く声が響いてくる

 

「ヴィオ姉の所でも起きたっぽいね」

「とりあえず合流しとくか……」

「おう……頑張れよ!」

 

そして誰もいなくなった洞窟の中、ペパーは一人呟く

 

「本当にありがとうな……

……………もういいぞ、出てこい……」

 

 

 

_________________________________________________

 

私達が洞窟の入り口まで出るとなんかツヤツヤしているミライドンと困惑しているヴィオ姉

それと顎を開きっぱなしにしたシュニンの姿があった

私達が何があったのか聞こうとしたんだけど……

 

ロトロトロトロト……

 

「電話……誰から……って博士達だ」

 

私はその電話に出るとフトゥー博士とオーリム博士の姿が現れる

 

『ハロー、スカーレット、バイオレット、ライズ

こちらフトゥーとオーリムだ』

『ミライドン達の本来の力をひとつ取り戻したようだな』

 

あ、やっぱりあの光ってそういう感じなんだ

 

『ライド状態で走るダッシュの速度が上がったようだ』

『その調子でパルデアの広大な大地を駆け巡りコライドン達と共に冒険を続けてくれ』

 

「あら、それは悪くないわね……地味にガーグァには速さで敗けていたもの」

 

『君達の旅に決まったルートはない

マップを確認し、キミ達自身で目的を発見したまえ』

『好奇心をそそられる場所をきままに探索するのもよいだろう』

『さまざまな経験がキミ達を大きく成長させるはずだ』

『……引き続きミライドンとコライドンをよろしく頼んだよ』

 

もしかしたら他の秘伝スパイスを食べればもっと色んな力を取り戻すのかな?

 

「アギャ?」

 

よーし!頑張るぞ~!




マグロ「ウラガンキンの特性かやくがんの効果説明をドン」

かやくがん:ダメージを受けると30%の確率で火薬岩を周囲にばらまく
一定ターンの経過か範囲攻撃等により爆発してほのおタイプ物理威力100のダメージを与える
みずタイプの範囲技を受けると爆発しなくなる
特性『しめりけ』の影響を受ける

ウラガンキンの最終的な構成

じしん
デカハンマー
かやくがん
いわなだれ

かやくがん:技として使う場合はステルスロックのように普通にばら蒔く、効果は特性で出るものと同じ


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少年と双子とアナザーポケモン

 

 

~南3番エリア~『ポケモンセンター』

 

流石にウラガンキンとの戦いで皆消耗し過ぎていたのもあって一旦私達はそらとぶタクシーでポケモンセンターまで戻ってきていた

 

「はい、ポケモン達は皆元気になりましたよ」

「ありがとうございます!」

「ほんっと回復速いなポケモンセンター……」

「まぁいつも数秒で全員回復するものね……一体どういう原理なのやら……」

 

ちなみにライズ君はこの疑問に対してジョーイさんに実際聞いたことがあるらしいのだが……

 

『知らなくて良いことって……世の中色々とあるものですよ……』

 

と遠い目ではぐらかされたらしい

なんか怖いんだけど……

 

「とりあえず今日はもう遅いしここでキャンプだな」

「とりあえず皆をボールから出しましょうか」

「……気絶したら頼むわ」

「あー、そっか

ギィギとスクアギル……」

「あいつら余程俺の血が気に入ってるのか俺のしか飲まねぇんだよ……」

「その……ドンマイ

多分進化したら変わる……かもよ?」

「断言出来ねぇんだよなぁ……」

 

ほんとに……その……お疲れ様

 

「さて、私は私で『シュニン』について調べるとしましょうか」

「あー、そういえば分類がライズ君のポケモン達と同じ『アナザーポケモン』だったよね?」

「えぇ、恐らく何かしら共通する物があるとは思うのだけど……」

「でもライズ君の手持ちを見る限り特に共通してそうなの無さそうだよね?」

「えぇ……出ていらっしゃい『シュニン』!」

 

ヴィオ姉はウラガンキンの『シュニン』のボールを取り出して投げ、中から『シュニン』が出てきて軽く地面に座り込む

 

「ラガァ……」

「シュニンなんか眠そうだね?」

「まぁあれだけ戦った後に美味しいものも食べたし無理も無いんじゃ無いかしら?」

「あー、確かにいっぱい動いた後に美味しいもの食べると眠くなっちゃうよね~」

 

すると何かを思い付いたような顔をしたヴィオ姉が話し始める

 

「ねぇ、もしかしたら生息地が同じ所っていうのは無いかしら?

ライズのアイルーに聞けば何か分かるかも」

「確かに!でも肝心のライズ君とアイルーが……」

 

私たちはずっと目を背けていたライズ君達の方を向く

 

「旦那さんんんん!?しっかりしてくれにゃあ!?ってかお前ら旦那さんをいい加減解放しろにゃぁぁぁ!?!?」

「チュウチュウ……♪」

「ずぞぞそぞぞぞ♪」

「んぐっんぐっ」

「……ラァァ……」

「ウル……」

 

そこにはギィギと巨大化したスクアギルに吸血されながら頭をガーグァによって加えられてぶら下がっているライズの姿と、それを心配して助けようとしているアイルー、ジト目でその光景を呆れた様子で見ているバサルモスとウロコトルの姿があった……

 

「……それどころじゃないよねあれ」

「というか……いい加減死ぬんじゃないかしら?」

「……勝手に……殺……す……な」

「チュウ……チュウ……♪」

「ずぞぞそぞぞぞ♪」

「お前らいい加減旦那さんを離せにゃーー!!

され以上吸ったら本気で死ぬにゃ!?」

「ギ?ギィ……」

「ギィル……」

 

 

アイルーの説得により二匹はライズの血を吸うのを止めたのだが肝心のライズは軽く死にかけていた

だがガーグァは……

 

「んぐっんぐっんぐっんぐっ」

「にゃーーー!?!?旦那さんを飲み込もうとするにゃーーー!!」

 

結局皆でライズをガーグァの喉から引っ張り出す事になったのだった

 

_________________________________________________

 

 

 

「んにゃ?ウラガンキンの生息地を知らないかにゃ?

んんーー、確かオババから何か聞いたようにゃ……

うーーーん……」

「じゃあ他のライズの仲間達の生息地とかは聞いたことある?」

「他のにゃ?確か……ガーグァは森林地帯や渓流とかならだいたいいたはずにゃ、ギィギとスクアギルは氷雪地帯とかに多くてバサルモスが山岳地帯とか火山にゃ。

あー、思い出したにゃ、ウラガンキンもウロコトルと同じ火山地帯に生息してたはずにゃ」

「火山地帯……そうなるとウラガンキンの食事に出すのは火山岩系統中心が良いのかしら?

でもパルデアには火山なんて無いわよ?」

「確かににゃ、あそこにウラガンキンが居たこと自体が既に異常にゃ

シュニンは何であそこに居たのかにゃ?」

「ガァ…ウラガァ……ガンキン」

 

あれ?もしかしてアイルーってポケモンの言葉が……

 

「お腹が空いててご飯の鉱石を探して転がってたら気が付いたらここに居たらしいにゃ

ガケガニを食べてたのは殻が美味しかったかららしいにゃ」

「ポケモンの言葉が分かるの!?」

「んにゃ、なんか僕達の仲間のアナザーポケモンだけは分かるにゃ

逆に普通のポケモンの言葉はニュアンスとか伝えたい事みたいな大雑把な事しかわからないにゃ」

「早速以外なのが出てきたわね……

ライズには知ってたのか聞いておきたいけど……この様子じゃしばらく無理そうね」

「旦那さんはその辺はそんなに知らないにゃよ?

というか旦那さん自体がある程度僕より意志疎通こなしてるにゃ」

 

……………

 

「「へ?」」

「だから旦那さんの方が僕よりも意志疎通を使いこなしてるにゃ」

「え?ライズ君もこの子達の言葉分かるの!?」

「んにゃ、でも戦う時は本能で動く事が多いみたいであんまり意志疎通はやりにくいって聞いてるにゃ」

 

ライズ君にそんな特技が……教えてくれればもっとこの子達お散歩?仲良くなれたかも知れないのに……

 

「なんというか……ライズはまだ何かしら話してないことが割とありそうよね」

「あー、たしかに

たまにはぐらかされる事もあるよね

まぁヴィオ姉も人の事言えないと思うけど」

「うぐ……私はいいの!」

 

結局明日の朝までライズ君は気を失っていたけど私達はすぐに一緒のテントで眠って明日に備えることにした

 

もうちょっと色んな事を知りたいな……




マグロ「やっとお仕事が一番忙しい時期が終わった(ヽ´ω`)」
主任「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ……」
マグロ「お客様!!困ります!!あーっ!!んぁぁぁあん!?」


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少年と双子と目的地

 

 

~南3番エリア~『ポケモンセンター前キャンプ』

 

 

「んんんーーー、よく寝たなぁ……」

「……………zzzzZZZZ

……………あと一万年と二千年……」

「長いよ!?ってか死んじゃうよ!?」

 

ヴィオ姉は昔からちょくちょく変なことを言う姉だけど

寝ぼけている時はホントによくわからない事を呟く場合が多い

 

『薔薇が……薔薇が足りない……ビーエルを……』

 

でもあの後聞いてみたら薔薇はそんな好きじゃないらしいしびーえる?って何か聞いてみてもはぐらかされるし……

 

「ほら、起きて……朝だよヴィオ姉!」

「むにゃむにゃ……モエルーワ!」

「何が!?ってか起きてよ!そろそろ寝間着から着替えないと!」

「むにゃむにゃ……バリバリダー!」

「だからナニソレ!?もー!!出てきてニャローテ!」

「ニャーロ!」

「ヴィオ姉の頭に『かみつく』!!」

「ニャロッ!?……ガブッ」

「ッ!?!?!?いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああい!?!?!?」

「ほらヴィオ姉、起きたんなら早く着替え……るよと言いたいけどちょっと待った」

「ええ?無理矢理起こしといていきなりなんなのよ?」

 

すると少しした後に……

 

「おい!何があった!?大丈夫か!?」

 

そう言ってライズ君はテントの外から声を掛けてくれた

 

「だ、大丈夫!寝坊助なヴィオ姉を無理矢理起こしただけだから!」

「そうか、なら良かった。

いきなり叫ぶもんだから心配したぞ」

「ごめんねー」

 

……ふぅ……危なかった

もしあのまま着替えはじめてライズ君が心配でそのまま入られたらまた何したか分からないし……

まぁ今回はライズ君はちゃんと確認を取ってから入るかどうか決めてくれてたから良かったけど……

 

「ったく……まぁいいか、とりあえず俺はもういつでも出れるぞ」

「うぇ!?ライズ君準備はやッ!?」

「むしろお前らの寝起きが遅いんだろ?

とりあえずはあいつらの世話をしながら待っててやるからとっとと準備しとけ」

「はーい、ほら!ヴィオ姉!早く着替えるよ!」

「うぅ……分かったわよぉ……」

 

 

______________________

 

 

 

「お待たせー!」

「おう、とりあえず次の目標はどうする?」

「えーっとここから近い所だと……」

「ボウルタウンが一番近いわね、ただその少し近くにスター団のほのお組があるわ」

「たしかそいつら強さ的には下から二番目だったよな……まだかけだしでバッジも無い俺らだとどうなんだ?」

「んー、たしかにキツいかも……順番に一番難易度の低いところからやるのが良いかな?」

「それが懸命なんだが……とりあえずボウルタウンには一度行った方が良いだろうな」

「ふぇ?なんで?」

「……またここを移動するのはだりぃ……そらとぶタクシーを登録した方が後が楽だ」

 

あ、確かに……ミライドンやコライドン達もかなり速いけど結局そらとぶタクシーが一番楽だもん

 

「決まりね……そうなると次の目標はセルクルタウンのむしジムを突破してからのスター団あく組かしらね?」

「まぁそんな所だろう……問題はスター団だな……」

「あー、なんかしたっぱがかなり邪魔してきそうだね……」

「まずはジムを突破出来るだけの実力を付けないとな」

「賛成!」

「異議なしね」

 

とりあえずボウルタウン自体はここからそんなに遠くないから着いたらタクシーの登録だけして一度テーブルシティに戻る感じかなぁ

 

「まぁそんなに急ぐわけでもないしゆっくりといくか」

「お?じゃあいろいろと話しながらいこ!」

「私は疲れたくないしミライドンにでも乗りながらゆっくりと進むわ」

「アギャッ!?」

「アギャ……アギャ……」

「クェ?」

 

なんかミライドンがコライドンに同情されてるし

 

「むしタイプのジムかぁ……ヴィオ姉にはシュニンがいるしライズ君はバサルモスが居るから有利そうだけど私はむしタイプキツそうかなぁ……」

「あら?レティにはビビヨンが居るじゃない」

「確かにそうだけどむしタイプの扱いじゃ確実にジムリーダーのが上手だろうしなぁ」

 

うーん、私も何かいわタイプのポケモン捕まえようかなぁ……

 

するとレティはヌシ・ガケガニがいた辺りにヌシサイズでは無いもののかなり大きなガケガニがいるのを見つけた

 

「あれ?あのガケガニかなり大きくない?」

「ん?あぁ……確かにデカイな……つかあの場所って……」

「ヌシがいた場所……よね?それに片方の爪が無いってことは……」

 

私達がずっと見ているとガケガニも気付いたのか慌てて崖に登って擬態する……しかしバレバレなうえにとてつもない冷や汗をかいている

 

「……あれヌシだったガケガニじゃないかしら?」

「どうみても元ヌシっぽいな」

「……よし、ちょうどいいから捕まえよう!」

 

私達は全員ライドポケモンを全速力で走らせてガケガニを追い始めた

 

「ガニッ!?ンガニィィィィィイイイイ!?!?」

 

「あっ!?逃げた!」

「逃げたら鍋にするわよ!」

「ガニッ!?」

 

ヴィオ姉の一言でガケガニは全身をガクガクと震えさせながら止まる

 

「ヴィオ姉まさか本気で食べるつもりじゃ……」

「そうね、逃げたら鍋ね」

「そうか、出汁を取る準備しとくぞ?」

「ガニッ!?ガニガニガニィイイイ!?!?」

 

全力でハサミを横に振っている……なんか可哀想になってきた……

 

「……一緒に来る?少なくとも鍋ルートは回避できるけど……」

「ガニッ!!………ガニィィイイイイ!!」

 

すると元ヌシガケガニは何故かスカーレットを崇めるように平伏し始める

 

「えっ!?ちょっ!?そんな崇めなくて良いから!?」

「計画通り……」

「おい、ヴィオ……今とても他の男とかには見せられねぇ顔してやがるぞ……

幻滅されかねん」

 

元ヌシガケガニをスカーレットは捕まえて私達はそのままボウルタウンまで行ったんだけど時間もその頃には夜になっちゃってた、さすがに寄り道し過ぎたっぽい

テーブルシティまでそらとぶタクシーで戻って寮にある自分の部屋で休もうと思ってたんだけど……

 

『工事中』

 

うん、まぁそんな気はしてた……ドア粉砕しただけじゃなく壁まで吹っ飛んでたし……

 

結局ヴィオ姉の部屋もドアが粉砕されていたのもあってギリギリ無事で工事も終わってたライズ君の部屋に泊めてもらった

 

……仲が良い友達はいっぱいいるけどみんな旅で居なくて女子寮の部屋借りれなかった……

 

ライズ君は信用出来るからホントに助かった……




マグロ「ミンチなう」
ライズ「っチャッカマン」
マグロ「ヤメルォォォオオオオオ!?!?」


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少年と双子とセルクルタウン

投稿時間調整忘れてた!?


 

 

~ポケモンアカデミー寮~『ライズの部屋』

 

 

 

「んぐ……んーーー!!はぁ……」

 

結局ライズ君の部屋に泊めてもらってぐっすりと寝ていたんだけど凄い寝苦しさを感じて起きてしまった。

 

「……zzzzZZZZ

もう食べられ……食べられ……もっと寄越しなさい……」

 

毎回毎回どんな夢を見ているのだろうか……

というか全身を使って頭に抱きつかれてたからめちゃくちゃ息苦しかった……

 

「ん……その声はレティか……おはよう……いてててて」

「おはようライズ君、そんなとこで寝てるからだよ……

ベッドはライズ君が使ってくれて良かったのに……」

「アホか……女子二人もソファーや床で寝かせられるかっつの」

 

そう、結局ライズ君は自分がソファーで寝ると結局譲らなかったのだ

 

泊めてもらっていた私達としてはだいぶ申し訳なかったんだけど結局ライズ君はそのままソファーで寝付いちゃったんだよね

 

「んで……ヴィオのその寝相はなんなんだ……」

 

未だに寝ているヴィオ姉の寝相は……なんというか……芸術的になっていた……

 

「綺麗な……ヨガのポーズだね……」

「どう寝たらこうなるんだ……」

 

ヴィオ姉の今の寝相はスコルピのポーズと呼ばれるヨガのポーズの中でも特に難しいとされるポーズであり、背中をかなり曲げて足の先が頭の上に来る程反っていた

 

「つかむしろなんでこれで寝れるんだよ……」

「あ……あはは……」

 

結局ヴィオ姉はあれから一時間程はずっと寝ててヴィオ姉が起きてからセルクルタウンへと向かうことになった

 

 

 

_________________________________________________

 

 

私達はテーブルシティの西門からセルクルタウンを目指して移動をし始めた

軽く他の生徒を見付けて話を聞いたりしたんだけどちょうど今は収穫祭のシーズンらしい

 

ロトロトロトロト…………

 

すると今度はネモから電話がかかってくる

 

「あ、ネモからだ」

「うげ……」

「このタイミングで電話かけてくる辺りなんか見られてる気がするのは気のせいかしら……」

 

やめてよヴィオ姉!?考えないようにしてたんだから!?

 

『あ、もしもし?わたし ネモ ネモ!

ねね!これからはスマホでお互いの近況を知らせ合おうよ!』

「ちなみに聞くのだけど……あなたの今の状況は?」

『わたし?今は……ヴィオ達の部屋を直すの手伝わされてる……いてっ!?』

「しばらくそのまま直してなさい……」

『うぇええ……酷いよ~

あ、ごめんそろそろ仕事戻らないとだから……また連絡するね~』

 

ネモはそう言い残して割とあっさりと通話は終わってしまった

なんかネモの方からちょっと怒鳴り声も聞こえてたしもしかしたらネモ……サボって電話かけてきたんじゃないよね……

 

そんなこんなでセルクルタウンへと私達は向かったんだけど道中なにも起きない訳も無くてちょくちょくバトルを挑まれたり、まだ捕まえてないポケモンを捕まえたりしてだいたい2日くらいでセルクルタウンへと到着した。

 

ちょっと寄り道しすぎちゃった……

 

「まさか60代の学生を見るとは思わなかったわ……」

「一応アカデミーは年齢制限一切ないもんね」

「たまに凄い人いるよな……」

 

何だかんだで到着した頃には夜になってたけど収穫祭のシーズンというのもあってだいぶ賑やかになっていた

 

「セルクルタウンの収穫祭って目玉に何があったっけ?」

「ジムテストになってるけどオリーブ転がしが一番有名だと思うぞ?」

「オリーブかぁ……そういえばこの辺はミニーブとかオリーニョとかがいっぱいいるんだっけ?」

「あぁ、ここの名産の一つでもあるな」

「あれ?でもここのジムって……」

「むしタイプだな……」

「ミニーブって……」

「くさタイプだな……」

「…………いろいろとどうなのそれ?」

「突っ込んだら敗けだ、気にすんな」

 

私達が雑談を続けているとジムの方から声がする

 

『はーい、ジムテストの受付まもなく終了しまーす!まだ受付での登録が済んでない方はお急ぎくださーい!』

「やばっ!?はやく行かないと!?」

「完璧に忘れてた……」

「もぐもぐぐももぐっももぐもぐぐも!」

「ごめんヴィオ姉なに行ってるかわからない!?」

「食いすぎなんだよ……どんだけ買い食いしてんだ!?」

 

 

 

「はい、登録完了です

時間的にもそろそろ受付終了になりますね」

「良かったー、ギリギリセーフ!」

 

私達は急いで受付へと向かってなんとか全員ジムテストの受付を完了した時間的にも割とギリギリだったみたいで結構焦ったなぁ……

 

「それではジムテストの準備に取りかかりますので少々お待ちくださいね」

「はーい!」

 

私達はジムテストの開始まで待つことにしたんだけど……

 

「あ、いたいたー!何処に居るのかと思ってだいぶ探したよー!」

「あ、ネモ!」

「お前こいつらの部屋の修復工事手伝わされてたんじゃねぇのかよ……」

「あぁ、今日の分の仕事はもう終わってるよ~」

「仕事終わったからそらとぶタクシー使って追いかけてきたってとこか……」

「えっへへー!

あ、皆してジムテスト受けるって事はさ!皆ジムバッジを手に入れてチャンピオンリーグ目指すってことだよね!」

 

うわぁ……ネモの目が輝いてる……

 

「う、うん、それだけが目的って訳でも無いけどね」

「嫌な予感が……」

「やった!そうこなくっちゃ!

いやー、誘った甲斐があったよ!

あ、実はジムテストって各ジムによつまてけっこう違うらしいから頑張ってよね! それじゃ!わたしは明日も仕事あるから!

ばいばーい!」

「じゃあねー!」

「……相変わらず嵐みたいならやつだな……

 




マグロ「色違い鳥パ出来たァァァアァアアアアアア!!」

マグロのてもち 
・色アーマーガア
・色ムクホーク
・色ウォーグル
・色ドンカラス
・色ペリッパー
・色タイカイデン


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少年と双子とジムテスト

 

 

 

~セルクルタウン~『ジムテスト会場』

 

「うわー!人がたくさん……ジムテストってこんなに人気なんだあ!」

「というよりは今は収穫祭だからその影響がめちゃくちゃ大きいんだよ」

「あ、そっか、他のジムのジムテストってどのくらいが受けるの?」

「1日ざっと5~10人らしいぞ、とはいえ宝探しの影響が大きいのもあるからそれがない日はせいぜい毎日2~3人ってとこだな」

「へぇ~、ってなんでそこまで知ってるの?」

 

良く考えたらなんでジムの平均挑戦者数をライズ君は知ってたんだろ?調べてもそんなに出なさそうなのに……

 

「……はぁ、知り合いにジムリーダーやってるバカが一人居る……」

「うぇ!?ジムリーダーの知り合い居るの!?誰!?」

「どうせ旅してたら出くわすだろ?

出来れば絡まれたく無いんだがな……」

「??」

 

絡まれたくないって事は何かあったのかな?

 

『それではジムテストの説明を致します!』

 

「お?キタキタ、どんなテストなのかな~」

「嫌な予感しかしねぇ……」

「Zzz……あら?もうジムテスト?」

「「あ、やっぱり立ったまま寝てた……」」

 

『セルクルタウンのジムテストはオリーブ転がし!

ジムテスト会場に設置してある超大型オリーブをゴールまで転がして居れてください!

なお本日は収穫祭記念としてオリーブのサイズが例年の2倍にしておりますのでポケモンと一緒に転がしてください!』

 

「「「デカッ!?」」」

 

ジムテスト用の超大型オリーブとは本物のオリーブという意味ではなくオリーブ型のボールという意味なのだが……今回のお祭り用のサイズは高さ5m幅4mくらいのとんでもなく大きなサイズの物が用意されていたのだ

 

『それでは順番に開始致しますのでこちらでお並びください!』

 

どうやらジムテストは一人ずつ開始するようだ

ただ道中は地味に障害物が設置されており、オリーブの転がる道を制限したりしている

さらにコース内部の一部の道をミニーブ達が塞いでおり、そこの前にいるトレーナーを倒すことでショートカットも可能という作りになっているようだ

 

『それでは一組目からどうぞ!』

 

「私は……27番目かぁ……長そうだなぁ……」

「私は28だからレティの次ね」

「俺は26だからお前らの前だな

あと思ったよりもすぐに順番は来るんじゃないか?」

 

え?どういう事だろう?

そう思ってジムテストに挑戦してる人を見たんだけど……

 

 

『ああっと!フミダイン選手!ヒノヤコマとのコンビでオリーブを何度も押しているが動かないい!』

 

「あぁ……純粋に重すぎるわけね……」

「これはポケモンをどう使うかに左右されそうだなぁ……」

「まぁ一番早いのはポケモンを強化して吹き飛ばすことだろうな」

 

『リダラフ選手!シシコにふるいたてるを指示して能力を上げてオリーブを転がしている!!これはナイスアイデアだ!』

 

「ほらな?」

「つまりこれって……」

「あぁ、まぁ簡単なふるいって訳だろうな、単純に重いだけなら能力を上げるなり力強いポケモンを選べば済む話だ、逆に良く考えずにむしタイプに有利ってだけでひこうタイプを選べばクリアしにくいってとこだな」

「これ……最初のジムのテストとしてはやりすぎなんじゃないかしら?」

「いや、時期の問題だろ?言ってたろ?収穫祭の為特別バージョンになってるって」

「あ、確かに!」

「まぁせっかくの収穫祭だから出来ればジムバトルを盛り上げたいってのもあるんだろうな

ジムリーダー圧倒してしまえばあんまり盛り上がらないし挑戦者が自分よりも強いか柔軟な考え方が出来るようなやつじゃないと比較的勝負になりにくい

一応手加減してもらってる訳だしな」

「手加減?」

 

ジムリーダーは基本的にみんな本気で挑むって聞いてるけど……

 

「まぁある意味本気は出してるはずだぞ?勝負に使うポケモンの一部をまだそんなに育ってないポケモンにする事でバランスを調整してるって聞いてる

とはいえエースに関してはしっかりと育て上げたのを使ってるみたいだから油断は禁物だな」

 

「へぇ……ってジムリーダーの事凄い詳しいじゃん!」

「これも知り合いのジムリーダーやってるアホから聞いただけだ」

「アホって……」

 

ライズ君はうんざりした顔をしてため息をついている

 

「純粋に絡み方がめんどくさいんだよ……

あいつはいろいろと癖が強い……」

 

なんか本気で疲れてるっぽいやつだこれ……

 

『26番のライズ選手!準備をお願いします』

 

「っと、もう俺の出番か……」

「がんばれ!」

「まぁ貴方なら簡単でしょうしサクッとやっちゃいなさい」

「へいへい」

 

 

 

 

 

 

『それではライズ選手!スタートです!』

 

「さてと……出てこい!バサルモス!」

「ヴァァァァァアアアア!!!」

 

ライズ君がバサルモスを繰り出すと見たことも無い人が大半だからか会場が大きく盛り上がる……

 

「なんだあのポケモンは!?」

「でっか!?」

「あれ?これジムバトルの結果……」

「止めとけ……どう見てもいわタイプありそうな見た目だから言わないでくれ……」

 

「んじゃバサルモス!『ころがる』!」

「ヴァアアアア!!」

 

バサルモスが地面を転がるとそれに押されて簡単にオリーブも転がっていく

地面への被害がとんでもないことになっているけどオリーブはどんどん進んでいって障害物すらも粉砕していく

 

『ラ……ライズ選手ゴール……えーっとその……とんでもない光景を見た気がします……』

 

……まさか障害物無視するなんて誰も思わなかったよね……

 

「ボールが大きすぎて障害物が障害物になってなくないかしら?」

「ヴィオ姉……それ言っちゃダメなやつ……」

 

結局私の番になって元ヌシのガケガニで割とあっさりとクリアした

 

元々ヌシだったのもあってかガケガニのパワーは凄まじく簡単にオリーブを持ち上げてゴールに投げ入れたのだ

 

『ガケガニってあんなパワーあったっけ………と、とりあえず次の選手お願いします!』

 

そしてヴィオ姉の番になったんだけど……

 

「シュニン!『ころがる』!」

「ンガァァァァ!!!」

 

うん……まぁライズ君の二の舞になった……

 

 

そんなこんなで私達はジムテストをあっさりとクリアして次のジムバトルへと進むのだった……

 

なんかその……ごめんなさい……




ライズ「障害は避けるものではなく壊すもの」
マグロ「お客様!!困ります!!アーッ!!」


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少年と双子とジムリーダー★

コメントでゲームではネモは面接に一発合格してたという指摘を受けました

自分自身完璧に忘れててこっちのネモは面接に一回落ちたことになってたのでこの話で軽く補足を入れて矛盾を解消させて貰いますw
修正するには遅すぎたorz

そして星9評価×2あざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!!!
今回はかなり奮発して文字数多めにしております


 

 

~セルクルタウン~『ジムテスト会場』

 

『皆様のお陰で今年は豊作間違いなしでしょう!

ジムテストをクリアした方々はジムの受付にてご報告ください

まもなくセルクルジムのジムリーダー、カエデとのジムバトルが始まります』

 

「あ、私達も行かなきゃだね!」

「ええ、とりあえずわたしとしてはシュニンがどれだけやれるか楽しみだわ」

「まぁ腕試しの側面も大きいからな……ジムっていう施設は

それと合格者は俺ら含めて7人ってとこか」

 

そう、あれだけいたジムテストに挑んでいた人達のうち半分以上が脱落したのだ

 

「やっぱりアレはやりすぎだったんじゃ……」

「まぁクリアした方々もこれだけいるなら大丈夫なんじゃないか?」

「いやでも……こんな大きいと流石に置場所に……」

 

なんかスタッフがさっきのジムテストで軽く悩んでるっぽいけどこれは気にしたら負けな気がした

 

 

 

 

「ジムテストクリアおめでとうございます

これより本ジムのジムリーダーであるカエデ様とのバトルとなります、カエデ様とのバトルで勝利された場合今回は特別にカエデ様が捕まえた特別なポケモンとのバトルをする権利が与えられます

特別なポケモンが何かは今は伏せさせて頂きますが恐らく皆様も驚くことでしょう」

 

「特別なポケモン……」

「ねぇこれって……」

「もしかしたらカエデさんもアナザーポケモンと出会したのかもしれないな」

 

そうなるとこれは私達の旅の目的と一致したのもあり、なんとしてでも勝つ必要が出来た

 

「それでは順番にジムバトルを開始させて頂きますのでお入りください

まずはリダラフ様……」

 

どうやらジムに挑む側は待機用の部屋で全員待ち、そこに付けられたモニターでバトルを見るようだ

バトルフィールドには既にジムリーダーのカエデがおり、何故かビビヨンにお菓子をあげていた

 

『ビビヨンちゃん

たーんとめしあがれ』

『ビヨンド!』

 

「ダラダラダラダラ……」

「ヴィオ姉……涎……」

 

『あらあら~素敵なトレーナーさん~

オリーブころがし上手にコロコロしてくれてありがとうね~

今回は収穫祭なのもあったからちょっと特別な物にしたくて大きく作りすぎちゃってちょっと心配してたのよ~』

 

それを聞いた瞬間全員がガクッと体勢を崩した

 

『『『やっぱりやりすぎだったんかい!?』』』

 

『あら~自己紹介がまだだったわね~

パティスリームクロジ店長のカエデです~』

 

「パティスリームクロジって?」

「ん?この人がやってる割と有名な菓子店だよ、お前らにたまにお茶請けで出してたクッキーやらケーキもあそこのやつだよ」

「ダバダバダバダバ……」

「ちょっ!?ヴィオ姉抑えて抑えて!?」

 

『ちょっ!?カエデさん!?今はジムリーダーとしてここにいるんですからジムリーダーとして名乗ってください!?』

『あらら~?今はセルクルジムのシフトだったわ~』

 

シフトって……なんかジムが完全に副業になってない?

 

『いけないいけない~

ジムリーダーのカエデですね~』

 

この人とんでもないくらいおっとりしてるなぁ……

 

『普段はお菓子を作ってるパティシエさんなんですよ~』

『口に入れて幸せなお菓子も草木に潜むむしポケモンも小さいけど大きな力を持ってます~』

 

すると一気におっとりした雰囲気からとてつもなく強者の風格を漂わせて言い放つ

 

『足をすくわれないようふんばってくださいね~』

 

「……顔は確かに笑ってるがやっぱり目は笑ってないな……」

 

『それではチャレンジャーリダラフ選手とジムリーダーカエデとのバトルを始めます』

 

『いけ!シシコ!』

『いってらっしゃい~マメバッタちゃん~』

 

結果としてはチャレンジャー達が連敗をし続けて私達の番まで回ってきていた

 

「弱点のタイプのポケモンを使う人が沢山いたけどみんな全く倒せなかった……」

「ただ弱点のポケモンを使った程度で勝てるほどジムテストってのは甘くは無いんだ」

「見た感じ全く攻撃が当たってなかったわね……」

「あの人はわざと攻撃が当てにくい小さな虫ポケモンを使ってる節があるからな……」

「そっか……体が小さいとそれだけ当てるのが難しくなっちゃうんだ……」

「ついでに言えば基本的に小さいやつは殆どが高い機動力がある、素早さで翻弄されると負けるからどう指示するかが重要になってくるだろうな……」

 

『それではライズ選手、準備をお願いします!』

「っと……俺の番だな……行ってくる」

「頑張ってねー!」

「お菓子……」

「ヴィオ姉……」

 

 

 

_________________________________________________

 

 

結局ヴィオは平常運転だったな……あの腹ペコモンスターめ

 

 

「あら?あらあらあら~?

ライズ君じゃないですか~お久しぶりですね~」

「ええ、久しぶりですね

今日は何時ものようにお菓子を買いに来たのではなくてバッチを狩りに来ましたよ」

「あらあら~それは困っちゃいましたね~

わたしはか弱いむしタイプのジムリーダーですし~」

「貴女のどこがか弱いんだか……」

「うふふふ~あの娘が連れてきた時の貴方をと比べると……ずいぶん成長しましたね~」

 

するとカエデさんはまたとてつもない威圧感を放って怖い笑みを浮かべている……やっぱりジムリーダーなだけあるな……

 

「えぇ、確かにあのバカに連れてこられるまではバトルに対して全く興味なんて持ってませんでした

ですが……あの学園に通ってるとバトルをしに突っかかってくる戦闘狂がいるのでそうも言ってられませんでしたから」

「あらあら~ネモちゃんも困ったちゃんですね~

チャンピオンになるための面接でも内容その物は一発合格出来るくらいに凄い娘だったのにいろんな所にバトルで迷惑かけすぎて一回落ちちゃうくらいだったもの~」

「あいつが一回落ちたのは聞いてましたけどやっぱそれが原因だったか……」

「そうなのよ~もったいないわよね~」

 

……改めて対峙するとわかるがやはりジムリーダーという存在は圧倒的な経験から来るこの威圧感、これをなんとかしない限りには絶対に勝てないと思わされる……

 

だが俺にはこいつらが付いている……なら俺がやることはひとつだな

 

「……ふぅ、世間話もここまでにしましょうか

俺もこいつらの期待に速く答えてやりたいんです」

「うふふ……ホントに変わりましたね~

じゃあやりましょうか」

 

『それではチャレンジャーライズ選手とジムリーダーカエデとのバトルを開始します!』

 

「いってらっしゃい!マメバッタちゃん!」

「マメェェェエ!!」

「いくぞ!ウロコトル!」

「コォォォォォオオオ!!」

 

『おおっと!!ライズ選手!ジムテストに引き続きまたもや見たことがないポケモンを繰り出したーー!!』

 

「まずはフィールドを作り直す!

ウロコトル!『マグマダイブ!』」

「ウロロロロッ!!」

 

ウロコトルは自分のいた周辺を溶岩へと変えて潜り、フィールドの周囲を少しずつ溶岩へと変えながら潜り進む

 

「あらあら……これは困っちゃいますね~

マメバッタちゃん、その岩の下くらいに向けて『むしのていこう』よ~」

「マメ!」

 

マメバッタの放った『むしのていこう』はそのまま溶岩によって柔らかくなったフィールドを貫き地面の中へと潜っていく

 

そしてそれは的確にウロコトルの位置を捉えていた

 

「ウロコトル!マグマから飛びかかって迎え撃て!」

「ウロォォォオオオオ!!!」

 

ウロコトルはマグマの中から外へと勢い良く泳ぎ、勢い良くマメバッタへと飛びかかる

 

『むしのていこう』は溶岩へと直撃して威力が弱まってしまっていたのもあり、ウロコトルの突撃で相殺されてしまっていた

 

「マメバッタちゃん!『にどげり』よ!」

「ウロコトル!体を捻って受け流せ!」

「マーメ!バッ!バッ!マメッ!?」

「ウロォォォオオオオ!コッ!!」

「マメバッタちゃん!避け……ッ!?」

「マメェェェエ!!」

 

『マメバッタ戦闘不能!』

 

「ごめんなさいね~……なかなか面白いわね

周囲をマグマに変えて高熱地帯をいくつも作って逃げるための足場を無くすなんて」

「マメバッタはその脚が厄介だ、なら周囲の地面を熱くして出来るだけ罠を作ってやればいい

それにカエデさんのマメバッタなら避けれるだろうからわざわざ周囲を溶岩で囲ったわけだしな」

「ええ、無理に避けさせちゃったら溶岩に巻き込まれかねないもの」

 

そう、周囲をマグマにして泳がせていたのには理由があり、ウロコトルにとっえ有利なフィールドを作るというのも確かにあるのだが一番の狙いは罠を作ることだった

 

事前にウロコトルに作戦を伝えるときに溶岩に潜った後周囲をマグマにしつつフィールドの足場のいくつかに罠としてフィールドギリギリまで溶岩にして落とし穴のような罠をいくつか用意していたのだ

とはいえマメバッタの体重だとほぼ発動しないので自分ですぐに使えるようにマグマの道を作っていたのだ

 

この技は最大の欠点として地面をマグマにして進む変わりに音で位置がバレやすいという所がある

だがあらかじめマグマ化しておいた道を通る時はその音がしにくく、場所がバレにくくなるのだ

 

「まあマグマ化もそんなに続かないから短期決戦を挑ませて貰いますよ」

「うふふ~じゃあわたしもがんばらないとね~

いってらっしゃい!タマンチュラちゃん!」

「タマッ!」

 

問題はこっからだな……もう罠はバレてるから通用しないし……

 

「タマンチュラちゃん!糸を吐いて空へと登りなさい!」

「チュラーーー!!」

 

タマンチュラはその糸で天井等に巣を作って空から攻撃をしかけるといった行動も可能とする

 

さらに罠を作るといった事には一際強く、気がついたらタマンチュラの罠で身動きを封じられるといったこともあり得てしまう

 

「ウロコトル!出来るだけ糸を焼いてくれ!『はじけるほのお』」

「ウロッ!コッ!コッ!」

 

ウロコトルの放つ『はじけるほのお』でタマンチュラの糸はいくつも焼き切れていくのだが

タマンチュラは糸を出してフィールドの上にある木の枝に引っかけて立体的な移動を繰り返しており、枝に引っ掻けて移動した後はすぐに糸を切り離しているのでなかなか落とすことが出来ないでいた

 

「タマンチュラちゃん!ウロコトルちゃんの顔に『いとをはく』!」

「チュッ!」

「ウロッ!?コッ!?」

 

ウロコトルは自分の顔面にいとを巻き付けられて視界を完全に封じられてしまう

 

「やばっ!?」

 

幸い糸は溶岩が近いのもあってどんどん焼けてはいるがすぐに解放されるという訳ではない

 

「ウロコトル!溶岩に入って拘束をとけ!」

「タマンチュラちゃん!『ダメおし』!」

「ター!マンチュ!」

「ウロォォォオオッ!?」

 

『ウロコトル戦闘不能!』

 

やっぱり強いな……視界を塞いで隙を作って体勢を建て直す前に攻撃されてしまった

 

糸を使うポケモンの多いむしポケモン相手だとかなり警戒する必要のありそうな戦術だ……

 

「やっぱり勉強になるな……とりあえず最低限のフィールドは整えた!いくぞ!バサルモス!」

「ヴァァァァァァァァアアアアア!!!」

 

もっと強くなってこいつらの事を俺はもっと知りたい!




マグロ「………」
溶岩獣「ジュルリ……」
マグロ「これで勘弁してつかーさい」

ウロコトル
アナザーポケモン
ほのおタイプ
特性:マグマのよろい

技:マグマダイブ
  はじけるほのお
  あなをほる
  とっしん

マグマダイブ:1ターン目に周囲にマグマを生成して潜り、2ターン目に飛び出して攻撃する。
30%でやけどになる

生成されたマグマはしばらく消えず、ほのお、じめん、いわ、ドラゴンタイプ意外に毎ターンの終了時に最大HPの1/16のダメージを与える

溶岩獣「………ガブッ」
マグロ「ノォォォォォオオオ」


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少年と双子とむしタイプ★

星10評価に星9評価あざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!!!

そして星2評価はワシの急所に直撃したっ!
だがワシはくじけぬ!
とりあえず皆に読みやすい小説になるようには努力していきますw


 

 

「あら~また見たことがないポケモンね~

ライズ君のポケモンは不思議な子がたくさんいるわね~」

 

相変わらずカエデはそのおっとりとした様子で自信の状況をうまく隠しており、まだ余裕があるようにも見えてしまっていた

 

それに特に驚いた様子がそんなに無いのだ、もしかしたら本当に俺達と同じアナザーポケモンをゲットしたのかもしれない。

 

「ヴァァァァアアア」

「あぁ、考えても確かに仕方がないな

いくぞ!バサルモス!」

「ふふっ、お互い楽しくバトルしましょうね~

タマンチュラちゃん!『いとをはく』」

「バサルモス!溶岩の周辺で『ころがる』!」

 

タマンチュラは『いとをはく』でバサルモスの機動力を削ぎにくるが、バサルモスはとてつもない巨体にパワーを持っているのもあり、糸で簡単には拘束出来ない

顔にやったとしても溶岩の周辺で『ころがる』を使われているのもあってすぐに焼ききれてしまう

 

「あら~?バサルモスちゃんは熱くないのかしら~?」

「元々バサルモスは活火山とかの火山地帯が生息地なんですよ

それと余所見してる余裕があるんですか!」

「あら?っ!」

 

「ヴァァァァァァァァアアアアア!!!」

 

バサルモスは腹部や背部、頭部を赤熱化させて溶岩を纏いながら転がっており、さらに背部の結晶が衝撃によって砕け散りながら周囲に撒き散らされていく

 

「タッ!タマッ!タマッ!タマッ!?」

 

バサルモスは結晶が砕ける度に新しい結晶を背部から生やしており、ほぼほぼタマンチュラが近づけない状態なのだが、その砕けたからは毒が放出されていて元々溶岩で少ない逃げ場がさらに少なくなっていく

 

「タマンチュラちゃん!『ダメおし』!」

「タマンチュッ!チュッ!?」

「ヴァァァァァァァァアアアアア!!!」

「チュラァァァァアアアア!?!?」

 

タマンチュラの『ダメおし』はいわ、どくタイプであるバサルモスに対して強く出れる技があまり無かった

自身と同じタイプの『むしくい』ですら相性が悪く、さらにバサルモスは物理攻撃にはかなり強く、凄まじい硬さを誇っていた

結果としてバサルモスへと放った『ダメおし』はまともなダメージすら入らず、タマンチュラはそのままペラペラになるくらいに轢かれていったのだった

 

「チュラァ………」

 

ペラペラにされたタマンチュラは風でカエデの元まで飛ばされてそのままボールへと戻っていった

 

「ごめんなさいね~タマンチュラちゃん

ゆっくり休んで頂戴ね~

さぁ、最後のポケモンいきますよ~!」

 

そしてカエデから繰り出されたのは……

 

 

「くまぁ!」

 

 

ヒメグマだった

 

「むしタイプのジムなのにむしタイプじゃない!?」

「レティ、それを言うなら私達の故郷のジムリーダーのキバナはどうなるのよ……」

「……そういえばそうだね」

 

レティとヴィオは元々ガラル出身の為にジムのタイプを無視したポケモンが出るのには慣れがあったが、基本的にジム戦というのはタイプを統一して行うのでかなり特殊な例とも言えた

 

「さぁヒメグマちゃん!

サナギを破り、強く大きく育ちましょう~!」

 

カエデは懐からテラスタルオーブを取り出して力を溜め、ヒメグマへと投げつける

 

ヒメグマは地面から生えてきた水晶によって全身を覆われて姿を隠し、水晶が壊れるとヒメグマは全身を水晶へと変えて頭には黄緑色の蝶が乗っているような形の冠を被っている

 

「成る程……むしテラスってとこですか……」

 

「ふふふ~、パルデアのジムリーダーはね~

必ず最後に自分の使うタイプと同じテラスタイプの違うポケモンを使うのよ~」

「なら俺もテラスタルにはテラスタルで対抗させて貰います!」

 

俺は懐からテラスタルオーブを取り出して対抗するように力を溜めて投げ、バサルモスへと解き放つ

 

バサルモスは地面から生えてくる巨大な水晶によって全身を覆い隠し、水晶が砕け散る頃には全身を水晶へと変化させて頭にはドラゴンの形を模した冠を被ったバサルモスが現れる

 

「ヴァァァァァァァァアアアアア!!!!!!」

「あら~!その子も違うテラスタイプの子なのね~!」

 

そう、実はこのバサルモスは他のバサルモス達のリーダーをやっていたのもあったのだが……実を言うと最初からテラスタルした状態で出現していたのだ

 

元々故郷に現れたポケモンではあるがテラスタルという特殊な現象を起こすのはパルデア地方のみ

その為にこのパルデアになにかこいつらの手がかりがあるのではないかと考えて俺はこの地方まで引っ越して来たのだ

 

「じゃあお互いにテラスタルを活かした攻撃で勝負を決めないかしら?」

「そうですね、折角のテラスタルですからそうでなくては面白くない!」

「じゃあいくわよ~!ヒメグマちゃん!『れんぞくぎり』!」

「バサルモス!『りゅうのいぶき』!」

「くまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくまくま」

「ヴァァァァァァァァアアアアア!!!!!!!!!」

 

お互いの冠が光輝きテラスタイプと一致した技の威力が跳ね上がる

 

ヒメグマは持ち前の速さでれんぞくぎりをとてつもない速度で繰り返し放ち続け、バサルモスは己に眠る竜の力を限界まで放つ

 

バサルモスはタイプこそ『いわ』タイプと『どく』タイプの複合なのだが、その遺伝子には『ドラゴン』タイプの特徴が強く現れており、元々この姿になる前は純粋なドラゴンタイプだったのではないかという調べが出ていたのだ

 

そう、バサルモスはドラゴンでないにも関わらずドラゴンと同じ力を使う事が可能な特別なポケモンなのだ

 

「バサルモス!『ひりゅうのいぶき』!!」

「っ!!!ヴァァァァァァァァアアアアア!!!!!!」

 

バサルモスは元の世界で『飛竜種』とされていたモンスター

飛べない体ではあるが、その本能には飛竜であった頃のその力が遺伝子レベルで覚えていたのだ

 

バサルモスの冠がさらに強く光を放ち、赤黒い雷を口に集中し始める

 

「させないわよ~!ヒメグマちゃん!そらに『れんぞくぎり』!」

「くまぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

 

ヒメグマはバサルモスの『りゅうのいぶき』を相殺する程にそのれんぞくぎりの威力を上昇させており、その強力な一撃を持ってバサルモスへとトドメをささんと急接近する

 

だが一瞬遅かった

 

「ヴァ゛ッ!!!!!」

 

バサルモスから放たれた赤黒い雷は竜の姿を形作り、ヒメグマを丸呑みにする

 

その竜が過ぎ去った後に残されたのは……水晶化が解除されて戦闘不能になったヒメグマの姿だった

 

『ヒメグマ戦闘不能!勝者はチャレンジャーライズ!』

 

『『『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!!!』』』

 




マグロ「とりあえずバサルモスたんの図鑑ズドンッ!」

バサルモス(とうがんりゅうの姿)
ぶんるい:アナザーポケモン
タイプ:いわ・どく
とくせい:とうがんりゅう(いわタイプの攻撃を使うと30%の確率で相手をどくにする、ドラゴンタイプの技の威力を1.2倍)
わざ:ころがる
   すいみんガス
   かえんガス
   りゅうのいぶき→ひりゅうのいぶき(りゅうのいぶきより威力20追加、相手のタイプを消す効果がある)

なお原種はいわ、ほのおタイプで特性はハードロック、夢特性でがんりゅう(いわタイプの威力を1.3倍にしてドラゴンタイプの技の威力を1.2倍にする)


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少年と双子と重甲虫★

皆様沢山の評価あ゛り゛か゛と゛う゛こ゛さ゛い゛ま゛す゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛

これからもガンガン書いていくのでお楽しみにしていてください


 

 

~セルクルタウン~『バトルフィールド』

 

 

「『ひりゅうのいぶき』……咄嗟に頭に浮かんでバサルモスが使ったあの技は一体……」

「ヴァ?」

「ん?あぁ、すまないバサルモス

良くがんばったな、ゆっくり休んでくr」

「はむっ」

 

バサルモスをボールに戻そうとしたのだがいきなり甘噛みされてしまう

 

「ちょっ!?こらっ!?はなせっ!?」

「あむあむあむあむ♪」

「分かった!嬉しいのは分かったから離せ!?」

「ヴァァァアア♪」

「あとで構ってやるから一旦離せ!?」

「ヴァ?ヴァア」

 

バサルモスは俺が後でちゃんと構ってやると言ったのに反応したのかようやくおとなしく離してくれた

とはいえ約束とか破るとすげえ拗ねるからちゃんと後で構ってやらないとな

 

「あらあら~、バサルモスちゃんととっても仲良しね~

それにしても驚いたわ~

私のポケモン達み~んな虫の息です~」

「いや、あんだけ相性最悪の相手をあそこまで追い込む貴女も貴女でしょうに……」

「うふふ~ジムリーダーたる者このくらいの芸当が出来なければ話になりませんもの~」

「たしかジムリーダーはあくまでも副業なんじゃなかったでしたっけ?」

「確かにそうね~でも任されてるからにはちゃんとやらなくちゃだもの~」

 

この人めちゃくちゃおっとりしてて割と適当なようにも見えるんだけどその実態としては割と真面目な面が隠れていた

 

「相変わらずですね、それと例の特別なポケモンとの戦いですが……」

「あらあら~、焦らなくても大丈夫ですよ~

ちゃんとジムバトルが全員分終わったらやりますからね~

ライズ君はちょっとまってて頂戴ね~」

「ええ、分かりました

あとこの次とそのさらに次には俺の旅仲間が来るはずなんで楽しみにしててくださいね」

「あらあら~、私は勝てるかしら~」

 

『そろそろ交代になりますのでライズ選手は控え室にお戻りくださーい!』

 

「っとそろそろ時間か、それじゃ例のバトル楽しみにさせてもらいますよ」

「は~い」

 

 

 

 

 

まぁ結果から言えばレティとヴィオは勝てた

ただ誤算だったのは……

 

 

『ンガァァァァアニィィィィィィィイイイ!!!』

『なななんとぉ!?ガケガニが巨大化したぁ!?』

『うぇぇええ!?!?ガケガニどうしちゃったのぉ!?』

 

ガケガニはヌシとしての力を全くと言って良いほど失っていなかったのだ

それもそのはずだ、ヌシだった頃スパイスを食べて超巨大化してその時に受けていたダメージと言えば『シュニン』に食べられた片方の爪くらいしかなく、そんなにダメージを負ってはいなかったのだ

 

その為にひでんスパイスの力が殆ど残ったまま体に定着していつでもヌシだった時の力を解放出来るようになっていたようだ

 

そしてヴィオのシュニンは……

 

『ああっと!?またもや見たことがないポケモンが現れたぁ!?

ジムテストでも姿を見せていたこのポケモンは一体なんなのだぁ!?』

『ガァァァァアアアア!!!』

 

まぁぶっちゃけ転がってるだけで全てを蹂躙していった

 

『シュニン』は『バサルモス』と比べて転がる際の速度が尋常じゃなく素早く、攻撃手段としてしか用いないバサルモスと違って『ウラガンキン』という種族その物が転がるって移動することに特化しているらしい

 

アイルーからの話を聞くかぎりほぼほぼドンファンなんだよなぁ……

さらに避けても急旋回に対応させ切れなかったり急にブレーキをかけて止まる際にアゴを地面に強打することによる『じしん』クラスの威力を持った『じならし』で動きを封じられてそのままアゴでスタンプされるという悲惨な結果だった

 

……カエデさん……その……なんかすまん……

 

 

そしてすべてのバトルが終了したんだけど……結局勝てたのは俺達三人だけだった

 

どうも最後のヒメグマに倒されるトレーナーが多く、テラスタルの許可がまだ貰えていないトレーナーが大半だったのもあって結構キツそうに見えた

 

『それではジムバトルを勝利したチャレンジャー三名に出てきて貰いましょう』

 

っと、出番か

んじゃいくか

 

 

 

 

 

カエデさんが俺達の前に立つとマイクを片手に話し始める

 

『まずはライズ君、バイオレットちゃん、スカーレットちゃん、おめでとう~

あなた達の強さは勝負の最中でもパンの生地みたいにどんどん膨らんでいきました~

特にライズ君はその膨らみが顕著でしたね~

私もも~っと進化しないとですね~』

 

「えへへ~、ありがとうございます!」

「良い勉強になりました」

「なかなか苦戦しましたよ……」

 

『改めまして合格で~す!

ジムリーダーに勝った証としてジムバッチを差し上げま~す!

カエデ特性の手作りケーキも一緒にた~んと召し上がれ~』

 

俺達はカエデから貰ったケーキを片手に記念にスマホロトムで撮影をしてゆっくりとケーキを食べていった

 

「あらあら~すごい食べっぷりね~

デザートと一緒にわざマシンもどうかしら~?」

 

カエデさんはそういうと今度は三枚のわざマシンを手渡してくる

これは……

 

「『とびつく』ですか、相手のすばやさを下げながら攻撃出来る強力なわざですね」

「うふふ~あなた達なら使いこなせると思うわ~

さてと、最初の宣言通りジムバトルに勝った貴女達には特別なバトルを挑む権利があるわけだど……誰が挑むかしら?」

 

俺達は三人見合わせてお互いに頷き会う

 

「「ライズ(君)ね!!」」

「任された!」

「あらあら、仲がとっても良いのね~

じゃあ回復させてからまたバトルフィールドに行きましょうか~」

 

 

 

『さーて、始まりましたー!スペシャルバトル!

実況は毎度お馴染み……』

 

「とりあえずバトルは1:1でどうかしら~」

「異議なしです」

 

すると俺のボールからスクアギルが勝手に出てくる

 

「うぉっ!?どうしたスクアギル?」

「ギルッ!ギルッ!」

「なんだ?お前も戦いたいのか?」

「ギルッ!!」

「分かった、じゃあお前に任せるぞ!」

「ッ!ギルッ!」

 

するとカエデさんはまた驚いた顔でスクアギルを見つめる

 

「聞いていた以上ね~、見たことがないポケモンばかり持ってるって聞いていたけど

まぁ私もそのポケモンみたいな良く分からない子を手に入れたからその試運転も兼ねてるんだげどね~」

「やっぱり……分類はアナザーポケモンでしたか?」

「それを聞く辺り貴方もなのね~

さて、長話してても仕方ないですし~そろそろ戦いましょうか~」

「ええ、胸をお借りします」

「あら~エッチ~」

「ちょっ!?」

「ふふ、冗談よ~

でてらっしゃい!『アルセルタス』ちゃん!」

 

カエデさんがボールを投げると仲からとんでもなく巨大な蠍のようなポケモンが現れる

尻尾は先端がハサミのようになっており、全身が緑色、ハサミ等の一部が黄色とあまり見ないような色合いのポケモンだ

 

「ゲネラァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

その咆哮はもはやウラガンキン達が放つ動きを封じる咆哮と同じような威力となっており、ピリピリとその存在の強さを見せつけられる

 

「面白いな……やるぞ!」

「ギィィル!!」

 

 




マグロ「……」
下僕♂️「((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
女帝「じゅるり」
マグロ「……っドン」

アルセルタス(♀️の姿)
アナザーポケモン

むし・あくタイプ

特性:じょていのフェロモン
   (むし技を使うと♂️個体を呼び寄せて背中に乗せる
   隠し効果:???)

技:???
  ???
  ???
 ???


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少年とスクアギル★

思ったより長くなっちまったけどここでセルクルジム編は終わりになります


 

 

~セルクルタウン~『バトルフィールド』

 

 

「ゲネラァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

まるで戦車のごとき重い甲殻を全身に纏ったむしポケモンが咆哮を放つ

だがそれはこの場にいる者達の戦意を折るどころかより強くしていた

 

「行くぞスクアギル!まずは小手調べだ!『アクアジェット』!」

「クァァァァア!!!」

 

スクアギルは全身に水を纏って空を翔る

頭部にある鋭い角と合わさり、それはひとつの弾丸となってアルセルタスへと襲い掛かる

 

「アルセルタスちゃん!『ぼうぎょしれい』!」

「セルタッ!」

「セルタァァァァアス!!!」

 

カエデの指示によりアルセルタスは『ぼうぎょしれい』を行うが、どこからともなくアルセルタスと同じ色の槍のような頭部をしたむしポケモンが現れてスクアギルの攻撃を防ぐ

 

さらに言えば『ぼうぎょしれい』は本来ビークインにしか使えない技のはずなのだが、どうやらアルセルタスにも使えるらしい

 

「カエデさん、ひとつ聞きたいんですがそのポケモンって……」

「うふふ~アルセルタスちゃんの『ぼうぎょしれい』で飛び出してきたオスのアルセルタスちゃんよ」

「はぁっ!?」

 

するとカエデのアルセルタスは駆けつけてきたオスのアルセルタスをその尻尾で掴み、背中に乗せる

 

「少し調べたんだけど特性の効果みたいなのよ~

ドラパルトちゃんの頭にいるドラメシヤちゃんみたいな感じのようなものね~」

「んなアホな……」

「あらあら、ボケッとしてるとあっという間に虫の息よ~?

アルセルタスちゃん!『なげつける』!」

 

「セルッ!」

「セルタッ!?」

「ゲネラァァァァァアアア!!!」

「セルゥゥゥゥウウウ!?!?」

 

今度は尻尾で掴んでオスそのものを投げてきた!?

 

「『アクアジェット』で回避しろ!」

「ギ、ギィル!」

 

スクアギル自体もその異常過ぎる光景に軽く困惑している様子だ

 

そしてスクアギルへと当たらずそのまま飛ばされてきたオスのアルセルタスは地面へと自分の角が突き刺さり、動きを止めていた

 

「セルッ……セルッ……」

 

オスのアルセルタスが泣いてる気がする……

なんというか……すごい不憫で仕方ない……

 

「スクアギル!『かみつく』!」

「クァギルッ!」

 

スクアギルはアルセルタスの尻尾へと『かみつく』が、アルセルタスは全く気にもしていないようだ

 

「かなり硬いな……」

 

『かみつく』でこれだとおそらく『きゅうけつ』はまともに入りそうにない

 

「アルセルタスちゃん!『たたきつける』!」

「セルッ!タッ!」

「ギルッ!」

 

スクアギルはその体の小ささを生かしてなんとか避けることに成功している

 

能力的には初めからフォルムチェンジさせた方が強いのだが、小さい姿の場合的が小さいために攻撃を避けやすく、最初に様子を見ることに適している

だが力がそこまで高くないこの姿のままでは恐らく勝負はつかない……なら!

 

「スクアギル!俺の血を吸え!『きゅうけつ』!」

「クァ!ギィィイル♪」

「うぐっ!?」

「ちょっとライズ君っ!?」

「あらあら!?」

 

スクアギルは俺の血をガンガン吸っていく変わりにその姿をみるみる変えていく

 

スクアギルは何倍もの大きさへと膨れ上がり、アルセルタスへと立ち向かう

 

だが大きく膨れ上がったその体でさえも圧倒的なまでの体格差があるアルセルタスに攻撃が効くのか若干の不安がある

 

「はぐっ……ゴクンッ

あれだけ俺の血を分けたんだ、簡単に負けられねぇよなぁ!スクアギル!」

「ギィィィイルルルル!!」

「行くぞっ!『アイススピナー!』」

「ギルルルル!!」

 

スクアギルはバリスタの槍の如く鋭く尖った頭部を回転させながら氷を纏い、巨大な槍を形成する

ドリルの如く回転しながらアルセルタスへと槍は向かっていく

ついでにライズはさらっと増血剤を飲んでいた

 

「させないわよ~!アルセルタス!『こうげきしれい』!」

「セルタッ!セルッ!」

「セルゥゥゥゥウウウ!!!!」

 

カエデのアルセルタスが放つ『こうげきしれい』によってオスのアルセルタスが地面から刺さった角を抜き、素早く移動してスクアギルの背後からその大きく鋭い鎌を振り下ろそうとする

 

「スクアギル!無茶をやるぞ!そのままの状態をキープしながら『アクアジェット』!」

「ギルッ!?ギ……ギィィィイルルルル!!」

 

本来ポケモンは二つの技を同時に使うと行った芸当をすることはまず不可能とされている

 

まず理由のひとつとして大きくエネルギーを用いる技を同時に制御しようものならばその制御に大きく集中力を削がれ、まともに技を発動出来なくなるからである

 

とある地方の今は失われた技術のひとつに早業という物がある

 

これは力の収束を最低限にすることで素早く次の行動に移る為の技術だ

しかしこれはあくまでも連続使用であって同時ではない為に難易度は全くの別物となる

 

だがライズのポケモンであるスクアギルは普通のポケモンとは違うアナザーポケモンであり、その成長した個体へと付けられる別名は……『千変の化け鮫』

 

己の姿を幾度と変化させながらその場に合った攻撃を行うという種族としての本能が本来無し得ないはずの技の同時発動を可能とした

 

「ドラゴンすら貫き撃破する!いけぇ!『げきりゅうそう』!!」

「スクァァァァギィィィィィイイイル!!!!」

「ッ!?アルセルタスちゃん!『ぼうぎょしれい』!!」

「セルタスッ!セルッ!?」

「ギィィィイルルルル!!」

「ゲネラァァァァァァァァァァァァァァ!?!?!?」

 

龍を貫き撃破する槍

撃龍槍はアルセルタスの分厚い重甲をも貫き致命的なダメージを与えたのだった

 

「ゲネ……ラ……タスッ………」

『アルセルタス戦闘不能!チャレンジャーの勝利!』

「ギルッ!ギィルッ!」

「やったじゃねぇかスクアギル!」

「ギィィル!!ギルッ!?」

 

するとスクアギルは全身を光り輝かせて肉体に変化が起ころうとする

 

「ギルッ!?……ギ……ギ……ギ……ギルッ?」

 

しかし光は途中で止まってしまい、スクアギルは元のちっちゃい姿へと戻ってしまった

 

「進化……しようとしたけど失敗したのか?」

「ギ……」

「あら……多分何か条件が足りないのかしら?」

「ギィル……」

「うーん、とりあえず進化の事は後でにした方が良さそうだな……今は疲れた……つか血が足りねぇよ……」

 

あぁ……視界が……

 

 

俺は目の前が真っ暗になって倒れたのだった

 

 




マグロ「ういっ」

アルセルタス(メスの姿)

むし・あくタイプ
特性:じょていのフェロモン(むし技を使うとオスの個体を呼び寄せて背中に乗せる
乗せている間与えるダメージの0.2倍の威力の追撃を与える
なげつける、かいふくしれいで乗せる状態は解除される
なげつけるの威力が大幅に上がる)

技:こうげきしれい(オスに戦わせる)
  ぼうぎょしれい(オスを盾にする)
  たたきつける(場合によってはオスを掴んでやる)
  なげつける(オスごと道具をなげつける)


成長後

技:こうげきしれい
  ぼうぎょしれい
  かいふくしれい
  ドラゴンテール


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少年と双子とネルケ

Googleの通知が来て自分の誕生日が今日だったのを思い出す自分……
だんだん自分に興味を無くしてきてる気がするワシは枯れ始めてきてるのだろうか?

とりま今日は文字多めでごぜーます


 

 

~セルクルタウン~

 

 

カエデさんのアルセルタスとの戦いが終わった後、ライズ君は気絶してしまって倒れてしまったので一度このタウンにある診療所に連れてきた

 

結果としては単なる貧血で血を一度に失いすぎたかららしい

 

元々ライズ君は毎日かなり血を吸われてるのもあって毎日貧血気味だったので今回の吸血がトドメになったのだろう

とりあえず診療所のベッドで休ませる事にして私達はライズ君が起きるまで看病をすることにした

 

「……うぐっ!?」

「あ、まだ起きちゃダメだよ!?

今日1日安静にしてなきゃ!?」

「ここは……」

「セルクルタウンの診療所よ

それにしても気絶する程ってどれだけ飲ませたのよ?」

「クギュウ……」

 

スクアギルはライズ君が倒れた後ずっと彼から離れずに心配していた

自分が原因で気絶させてしまったと思っているようでずっと申し訳なさそうにしている

 

「気にすんな……このくらいは覚悟していた」

「クアギィ……」

「お前の進化の近道になったって考えれば安いもんだよ」

「クギ」

「ねぇライズ君、スクアギルの進化の条件って具体的にどんな感じなんだろ?」

「スクアギルの進化の条件の一つが大量の血液だってのは分かってる、どうもこいつが成体になるためにかなりの量を吸わなきゃいけないらしくてな」

「クギュ!」

「まぁこいつが俺の血の味が好きなのもあるんだがアイルーに通訳してもらった結果こいつの本能に刻まれた行動みたいだな」

「クアギ~♪」

 

ライズ君はスクアギルを優しく撫でながらそう呟く

 

「ならあの時進化しようとしたのは……」

「多分進化に必要な量の血を吸い終わったんだろうな

とはいえ進化したくても出来なかったって感じだったしまだ何か条件があるんだろうな」

「クギュウ……………クゥ?」

 

スクアギルも考えているみたいだけど結局首を傾げていた

 

「はぁ、とりあえず考えても答えはまだ出なさそうだな

俺はとりあえず先に寝させて貰うわ」

「あ、ごめんね?疲れてるのに……」

「割と慣れてるから問題ねぇよ

とりあえず明日にはスター団のあく組を軽く偵察しに行くぞ」

「へっ!?まだライズ君寝てないと!?」

「言ったろ?慣れてるって

明日には動けるようになってるよ」

「貴方……どれだけ血を吸われてるのかしら……」

「ざっと3年だな」

「長ッ!?」

「ま、そういう事だ

じゃあまた明日な」

「うん、また明日……」

 

ちょっと心配だけど私達はそのままセルクルタウンで宿を取って寝ようと……思ってたんだけど……

 

「ごめんなさいね~今日は収穫祭なのもあってどこも部屋が満員なのよ~」

 

そうだった……今日は収穫祭で人が多いんだった……予約でもしてないときついよね……

 

結局ポケモンセンターの近くでテントを張って寝ることにしたのだった

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

翌朝診療所にライズ君の様子を見に行くとホントにピンピンしていて驚いた

ただベッドの上がスクアギル、ギィギ、アイルー、ウロコトルとかなり重そうだった……

 

「見てねぇで……助けろ……」

 

というかライズ君が重さに潰されかけてた……

 

「ってうわぁ!?早く助けないと!?」

 

結局ライズ君はなんとか無事で済んでたんだけど半日程休息してから旅を再開することになった

 

 

 

 

マップアプリを確認しながらスター団のアジトへと向かってしばらくすると柵で囲われた集落のようなものが見えてくる

遠目から見た所大きさとしてはかなりの規模になりそうだった

 

するとヴィオ姉のスマホロトムに誰かが電話をかけてきた

 

ロトロトロトロト……

 

ピッ

 

あ、切った……

 

ロトロトロトロト……

ピッ

 

ロトロトロト……

ピッ

 

ロトロt……

ピッ

 

r…

ピッ

 

ヴィオ姉の反応からして多分カシオペアなんだろうなぁ……

 

しばらく続けていると今度はライズ君のスマホロトムが勝手に起動して通話アプリを起動する

そしてスマホから男の声かも女の声かもわからない合成されたような音声が聞こえ始める

 

『……カシオペアだ

なかなか酷いじゃないか……バイオレット』

「あれからかなりファイヤーフォール分厚くしたはずなのだけれど……」

『あぁ、そこそこ面倒だったが対抗プログラムをすぐに組んでボタン一つで解除出来るようにさせてもらったよ』

 

余裕そうなカシオペアにヴィオ姉が額に青筋を浮かべている

 

『さて、スター団のアジトが近いな

場所的にアジトがもう見える距離ではないかね?』

 

あ、やっぱりバレてる

 

『ここまで来たと言うことは協力してくれると言うことで良いのかな?』

 

「うん、なんかいろいろと迷惑かけてるみたいだし」

「はぁ……仕方ないわね」

「俺も無関係って訳じゃないからな……」

 

『……?ありがとう

これで貴方達も同士……スターダスト大作戦を決行するメンバーだ!』

 

「ちょっと待ってくれ」

 

すると背後から声をかけられる

ってあれは……

 

「なぁその話……オレにも噛ませてくれないか?」

『……誰だ!?』

 

「ぶふ……」

「ちょっとヴィオ姉!?」

「ク……クク…………」

「ライズ君まで……」

 

その人物を見た瞬間ヴィオ姉は吹き出しながらも笑いを堪えており、ライズ君も腹を抱えてはいるけど笑いを堪えていた

 

「オレはネルケ」

 

ネルケと名乗る人物はそのリーゼントを撫でてカッコつけながら名乗る

 

……かなりイタい……

 

『いつから聞いていた?』

「おいおい、警戒すんなってオレはコイツのツレだ

だよな?スカーレット?」

「え?あーその……そうかな?」

「おいおい!あいかわらずシャイなヤツだな!」

 

やめて……お腹痛くなってきた……

 

『スター団を相手にするんだ

これは遊びではないのだが?』

「分かってるさ……オレも団とはいろいろあるんだ

自分で言うのもなんだが良い仕事するぜ?」

 

彼はサングラスの位置を直したりしながら腕を後ろに置いている

もう立ち方から癖まで完全に……ヤメテオナカイタイカラ

 

『…………

今はニャースの手も借りたい

貴方も同士としてむかえよう』

「決まりだな

カシオペアさんだっけか?あんたは何者なんだ?」

『わたしカシオペアはスター団の元……

関係者とだけ言っておく』

「……そうか

詳しくは聞かないでおくぜ」

 

クラべ……ネルケはサングラスの位置をを直しながらカッコつける

 

『……それでは早速スターダスト大作戦の説明だ』

「具体的に何をするんだ?」

『ひらたく言ってしまえばスター団アジトへ乗り込み、チームをまとめるボスたちを倒して……

その座から降ろす!』

「降ろす……?

引退させるってことか?」

『そうだ……スター団には5つのチームがあり

それぞれがアジトを持っている

近くにゲートが見えるはずだ』

 

私達はカシオペアの言葉を聞いて改めてスター団のアジトと思われる集落を見て、その入口と思われる少し大きな扉を見つける

 

「……あれだな」

「良く見るとゴングもあるわね?」

『その先はスター団のアジト……

奥にはターゲットであるチームのボスがいるはずだ』

「……なるほど?」

『スター団には掟がある

ボスは売られたケンカは必ず買わなければならない

そして……買ったケンカに負ければボスを引退しなければならない

先ほど各アジトにスカーレット達の名前で宣戦布告をしておいた』

 

いきなりなにやってんの!?!?

 

「ヲイ……」

 

『つまり私達はスター団なケンカを売ったんだ』

「ボスを倒せばそいつはボスをやめると……」

『ボスがいなくなったチームは統率を失い自然消滅するだろう

ただし問題もある

アジトの中は広く侵入者を阻むポケモンがうようよしている

ボスの元へたどり着くには並みのトレーナーでは難しい

だからこそスカーレット達と手を組ませてもらった

アジト内のポケモンを倒し、ボスを引きずり出してくれ』

「わかった」

「任せて」

「了解だ」

『まずはアジトに入らねばな

ゲート前の見張りを片付けてくれ』

 

するとネルケが疑問に思ったのかカシオペアに質問する

 

「あんたはどうするんだ?」

『……先ほど言ったようにわたしは団の元関係者だ

表立って行動出来ない……

遠くからサポートさせてほしい』

「まぁ確かに団からすればカシオペアは裏切り者になるわけか……仕方ないだろう」

「オレに何か出来ることは?」

『すまないがネルケ……わたしはまだあなたを完全には信用できてない……

アジト周辺の監視と三人のサポートを頼もう』

「慎重派は嫌いじゃないぜ」

『作戦が進んだら連絡する

それでは健闘を祈っている』

 

そう言い残してカシオペアは通話を終了する

 

「さて、頑張ってくれよ?三人とも」

「あの……」

「いい加減ツッコませてくれないかしら?」

「何やってんだよ校長……」

「おっと、オレの正体についてはお口にジッパーで頼むぜ

今のオレはネルケ……

そういうことにしておいてくれ」

 

そういいながら校ty……ネルケはリーゼントを撫でてカッコつけて振り向き、去っていく

 

「「「ダサい(ダセェ)……」」」

 

「ふぐぅっ!?」

 

私達はとりあえずスター団のアジトへと乗り込む準備をしはじめるのだった




マグロ「あ、スター団でもモンハンモンスターが出てきますのでお楽しみに」
ライズ「こっちは洒落になってねぇんだよ……」
マグロ「タイプはあく・ひこうの予定でございます」


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少年と双子とチーム・セギン

今回はちょい短m……zzZZZ



 

 

~スター団あく組アジト前~

 

 

 

とりあえずカシオペアから聞いた話だとすでに宣戦布告はしているらしいしこそこそと裏から回って不意打ちするって訳にもいかない

それに正面から叩き潰すにしても敵のポケモンの数が問題ではある

 

「とりあえず事前に作戦会議だな

とりあえずしたっぱ軍の蹂躙だが……

ヴィオ、お前の所の『シュニン』をメインに動こうと思う」

「その心は?」

「なぞかけじゃねぇんだがな……

『シュニン』いや、ウラガンキンの機動力をと防御力なら周辺を転がらせるだけで割と甚大な被害になるだろうからな、とはいえ人を轢き殺しちゃまずい

だからテントとかをよけて『ころがる』を使うように指示しといてくれ」

「わかったわ、用は場を陽動として混乱させればいいのね」

「まぁそういうことだな」

 

場を引っ掻き回して正常な判断を鈍らせられるだけでも十分すぎるメリットが生まれる、慌てふためいてる隙に確実に仕留める

これがベストだ

 

「わたしは?」

「レティはオレと一緒に遊撃だ、ヴィオが場を引っ掻き回してまともな判断が出来ないうちに数を一気に減らすぞ」

「うん!ポケモンは……ガケガニとニャローテどっちのがいい?」

「ガケガニは蹂躙したりするのには向いてるが今回は割と暗殺に近いスタイルになる

隠れながらやるからニャローテで頼む」

「了解!ライズ君はどうするの?」

「オレはアイルーでいく、コイツなら地面に潜りながら移動したりも出来るしな」

「とりあえずあの監視役の門番はどうするの?」

「今回は正面突破だ、倒すしかないな

ヴィオ、ちょうどいいから派手にやるぞ」

「ええ、任せて頂戴」

 

俺達はある程度事前に作戦会議を済ませてスター団のアジトの正面ゲートへと向かう

 

 

「はいはい!ストップ!」

 

ゲート前に来ると門番である星形のダサいグラサンをかけてヘルメットをかぶった女子生徒に呼び止められる

 

「この先ボクたちスター団あく組……

通称 チーム・セギンのアジトです」

 

すると今度は同じような格好の男子生徒に割と丁寧に説明される

アレ?コイツらの雰囲気最初にレティ達でシバいたやつらとだいぶ違うな……

むしろお人好しっぽさを感じるんだが……

 

「そそ、不法侵入とかさ

勘弁してほしいわけ!」

「ちゃんとアポイントをとってほしいんです」

「アンタらもアンタらで授業サボったりとかルール破りまくってるだろうに……」

 

「「ふぐうっ!?!?」」

 

なんだろう……コイツら以外と面白いぞ?

 

「こほん

ごめんね?今は警戒中でこっちとしても帰ってくれないと追い返さないといけないんだよ……

入団とかは伝えてくれればちゃんと確認したりして通すけど」

「無駄にルールやらなんやらはちゃんとしてるのね……」

「む……無駄って……」

 

女子生徒が軽く崩れる

多分割と真面目に考えたルールなんだろうなぁ……

すると崩れ落ちた女子生徒が俺たちを見て何かに気付いたような顔をする

 

「あれ……もしかしてアンタ達ってバイオレット、スカーレット、ライズの三人組……スターダストなんちゃらってやつ?

スター団にケンカ売って指名手配中なヤツだったり?」

「なんちゃらて……」

「カシオペアのやつ割とこの名前気に入ってたっぽいんだがなぁ……

とりあえずそうかも?アンタら側の情報知らないから多分合ってるとしか言えんよ」

「指名手配されてるのね私達……あとライズその情報もうちょいkwsk……」

 

すると男子生徒が少し困った顔をする

 

「え、そうかもなんだ……?

正直過ぎてちょっとビックリ」

「あー、先に伝えとくと正面突破で来たからあんまり卑怯な闇討ちとかしに来た訳じゃないんだよ

安心は出来ないだろうけど……」

「確かに安心出来ないね……

アンタらが何者でも帰んな!

さもなくばアタシ達に負けていきなよ!」

「あら?門番程度で止められると思うかしら?」

「あーん!ナマイキ!

踏みにじって思い知らせてやる!!」

 

なんか女子生徒の方が軽く涙目になっている

 

「あー、あいつ最近バトルで何回か負けてるから気にしてるんだ、これ以上ツッコまないであげて?」

 

今度は男子生徒がさりげなく小声でフォローしに来た

アレ?なんか思ってたのと違う

 

そしてスター団の女子生徒が手で星の形を作り、いきなり真顔で正面を向く

 

「ぶふっ………」

 

ヴィオ……吹き出してるぞ……

 

「ムキーッ!さっさと叩き潰すわよ!ヤミカラス!」

「カァー!カァー!」

「蹂躙するわよ!『シュニン』!」

「ンガァァァアアアア!!!」

「((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

 

ウラガンキンのシュニンが出てきた途端にスター団のしたっぱ二人が呆然としてヤミカラスが震え始める

 

「シュニン!先手必勝よ!『アイアンテール』!!」

「ア……ア……ア……」

「ンガァァァアアアア!!!!」

「アーーーーーーーーッ!?!?!?」

 

すると女子生徒は崩れ落ちて落ち込む

 

「強くてさらにナマイキ……

あーん!また負けたーー、くやしいーー!!

あとはセンパイよろしく……」

「へ!?」

「お疲れ様でスター!!」

「ちょっ!?」

 

女子生徒はあっという間に逃げていってのだった

「貴方もいかが?」

「勘弁してください」

 

 その時の男子生徒の表情は……まぁだいぶ可哀想に見えたのだった




マグロ「寝みぃ……」


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少年と双子とフラグ祭り

タイトル通りですw
フラグはいくつ建築されているでしょうかw


 

 

~スター団『チーム・セギン』アジト前~

 

 

とりあえず残った門番の男子生徒はだいぶ話の通じる生徒だったのもあって少し話をしてから攻め落とすことにした

 

「さっきの子……最近入ったんだけど見ての通りかなり態度が悪いのよね

癇癪持ちだから何度も負けるのが嫌いってのもあるんだろうけど……はぁ」

「なんか……その……苦労してるわね……」

「うん……」

「最近ってのが少し引っ掛かるな……」

「え?どういう……」

「あー、そうそう

ボクは今からアジトに帰って仲間に連絡するよ

みんな総動員で襲ってくるだろうからさ

逃げるなりなんなりがんばってね

……とはいえ君達相手だと簡単に突破されそうだなぁ……」

 

なぜだろう……彼からとてつもなく苦労性の気配がする……

 

「お疲れ様でスター!」

 

彼はそう言いながら星の形を手で作り、アジトに戻っていく

 

「あ、入るときはそこのゴング鳴らしてねー!」

 

「「…………」」

「……これもしかしてオレら何かしら勘違いしてるんじゃねぇか?」

「ありそうだけど……実際迷惑かけてるのは事実だしなぁ……」

「うーん、一度いろいろと情報を集めた方が良さそうだけど……とりあえず入りましょうか?」

 

ロトr……ピッ

 

「「ん?」」

 

私とライズ君はすぐにヴィオ姉へと顔を向けたけどヴィオ姉は顔を反らす

 

「おい……今のってカシオp……」

「何もなかった……いいわね?」

「アッハイ」

 

すると今度はヴィオ姉のスマホロトムが勝手に飛び出して通話アプリを起動する

 

『……見張りに対処できたか』

 

そしてスマホロトムからカシオペアの声が聞こえてきた

 

『おやバイオレット、ずいぶんとイラついてるようだな』

「…………」

『おそらく聞いてるかも知れないがそこを根城にしているのはスター団あく組……チーム・セギン

ボスのピーニャはスター団のまとめ役でBGM担当でもある』

「……まとめ役はともかくBGM担当って情報いる?」

『頭が切れるピーニャは宣戦布告にも動じていないはず』

 

無視かい!?

 

『したっぱでこちらを消耗させてから襲ってくるだろうな

計算高いタイプには正攻法で攻めるのがいい

ピーニャが現れるまでしたっぱのポケモン達をひたすら倒していくんだ』

 

そうなるとさっきの作戦が一番通用しそうかなぁ

多分二回目以降は通用しなさそうだけど……

 

『準備が出来たらゴングを鳴らして大作戦開始!

チーム・セギンにカチこんでくれ』

 

そう言い残してカシオペアは通話を切った

 

「あの後電源切ったはずなのだけど……」

「ヴィオ姉……」

「まぁとりあえずやるしかないだろ

ポケモン事前に出しとけよ」

 

ライズ君はそう言ってアイルーをボールから出す

私達もそれに従ってニャローテ、シュニンを繰り出す

 

「んじゃ鳴らすぞ!」

「ええ」

「お願い!」

「オラァ!」

 

カァァァァァアン!!

 

ライズ君はどこからともなくハンマーを取り出して全力でゴングに振り下ろした

 

たださ……ライズ君……ゴングが軽く歪んでるんだけど……

 

 

_________________________________________________

 

 

「うーん、そろそろ彼らがカチこみに来る頃合いかなぁ……」

 

ボクはそう呟きながらも撃退の為にポケモンを出して待機している

 

「大丈夫だって、こんだけの人数差があるんだから三人程度で突破されるわけもねえって」

「そうは言ってもなぁ……持たせる道具だって……そんな道具で大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない」

「不安しか無いんだけど……」

 

彼はポケモンにでかいきんのたまを持たせており、『なげつける』でぶつけるつもりのようなのだが……

あのポケモン相手にダメージ入るかなぁ……

 

「俺……この戦い終わったら彼女作るんだ……」

「縁起でも無いこと言うなよ……つかお前にそんな女性いねえだろうが」

「うるへぇ!大丈夫だって、今日は調子が良いんだから!」

「俺たちがやられるわけ無いだろ」

「過去のデータにだって俺たちが負けたことは無いんだ

大丈夫さ」

 

ボク達が警戒しつつも話をしていると向こうからゴングが鳴る音が響く

どうやら入ってくるようだ

 

『ピイィーガガッ

何者かが身の程をわきまえずアジトにカチこんで来ました!

スター団の恐ろしさを思い知らせて追い出してやりましょう!

10分以内にオレたちのポケモン30匹倒せたらボスがお会いになってくれるかもな!

まぁ無理だろうけどな!アーハッハッハ!』

 

「スター団にケンカ売るなんてバカなやつらだ!

俺一人でも十分だ!」

「ん?あっちからなんかすごい物音が……」

 

みんな調子に乗りすぎだよ……

最近の新人はどこか勘違いした人達が多くてイヤになるなぁ……

 

少なくともボクとかの結構初期の辺りからスター団に入ってる人はみんなかなり警戒してるってのに……

 

「うわあああ!来るなー!!」

「スカンプー!?!?!?」

「止まれ!止まらないと!?アーッ!?」

「は、話せばわかる!話せば!?ヤミカラスゥゥゥゥウウウ!!!」

「アーーーッ!?!?」

「くそう!アイツの仇を!あべしっ!?」

「行ってくる……愛してるぜ……ってコマタナァァァア!!」

「くらえ!『でかいきんのたま』だ!って潰されたァァァ!?!?」

 

あぁ……阿鼻叫喚が響いている……

 

「ス……スカンプ……」

「スカンプー……ここは逃げよう……

これは流石に無理だって……」

 

ボク達のポケモンはことごとくあの巨大なポケモンのころがるによって引かれてペラペラにされており、トレーナーすらもそのポケモンに弾かれた攻撃の流れ弾を受けて吹き飛ばされている……

 

あんなにフラグを立てるから……

 

「なんでもする!だからこいつだけは……ヤミラミィィィイイイ!?!?」

「ヤツはまだ気付いてない……このままやり過ごして不意を……ってマメバッタァァァア!?!?!?」

 

これはヒドイ……

 

ボクは呆然としながらもその絶望的な状況を見てるしか無かったのだった

 

 

……だって巻き込まれたくないもん

 

「オレ達じゃかなわない!?

ボスを!ボスを呼んでkムワァァァァァア!?!?」

「くそ!オレが呼んで……アッハハハハァァァアア!?」

 

仕方ないからボスを呼んでくるか……

 




マグロ「うん、まぁこうなるよね……」
ライズ「やりすぎた……進化してないポケモンだらけだとこれは流石にやり過ぎた……」
マグロ「やったねライズ、ペラペラが増えるよ」
ライズ「おいバカやめろ!?」
マグロ「大丈夫だって……アレ?物おtプギャッ!?」
主任「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ」


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少年と双子とピーニャ★

ピーニャのアナザーポケモンは次に登場となります


 

 

~スター団『チーム・セギン』アジト内部~

 

 

「俺達じゃ敵わない!?ボスを呼んでくるんだ!」

 

俺達は作戦通りシュニンによる理不尽な速度でのころがるでしたっぱのポケモンを蹂躙しながら場を混乱させ、残ったポケモン達を各個撃破して行くことでボスを引きずり出すことに成功していた

 

するとアジトの奥に設置してあるかなり大型なテントからとんでもない物が出てくる

 

「んなっ!?」

「何あれ!?」

「デコトラ?」

 

ヴィオが何言ってるかはよく分からんが車輪には『ブロロン』、そして正面のエンジン部分にはその進化系である『ブロロローム』が取り付けられ、全体がネオンにより眩しい超大型の車が『ブロロローム』のパイプから炎を吹き出しながら出てきたのだ

 

そしてその天辺にはイヤホンをかけながらノートパソコンを弄っているDJのような姿の男が乗っていた

 

おそらくあれがボスであるビーニャなのだろう

 

「ド派手にやってくれるじゃん!

侵入者ことバイオレットくん、スカーレットくん、ライズくん

ボクはピーニャ!

a.k.a. DJ悪事!

まぁ好きな方で呼んでくれ」

 

「a.k.a.?ナニソレ?」

「呼びにくい、ピーニャでいいだろ」

「異議なし」

 

「うぐっ、意外と酷いな君ら……

さて、さっそくだけどここで潰れてよ

レクイエム流すからさ」

「そのレクイエムがお前用にならなければ良いがな!

二人とも、相性はアイルーが良い、俺に任せろ!」

「分かったわ、気を付けなさいよ!」

「がんばってね!」

「なかなか言ってくれるじゃん

さぁ!パーティーのスタンバイ!

本当にチルアウトさせてやるよ!

いけ!コマタナ!」

「コマッ!コマッタナッ!」

「いくぞアイルー!」

「任せろにゃー!」

 

アイルーはやる気を滾らせているようで自慢のブーメランを力強く降っている

 

「喋るポケモン!?見た感じニャースっぽいがリージョンフォームか!?」

 

うん、こいつを初めて見たやつってだいたいみんな同じ反応をするんだよなぁ……たしかニャースはリージョンフォームがいくつかあるんだっけか?

 

「とりあえず先手必勝だ!コマタナ!『メタルクロー』!」

「アイルー!『きりさく』で受け止めろ!」

 

「コマッ!」

「こんにゃろ!」

 

アイルーの『きりさく』とコマタナの『メタルクロー』がぶつかり合ってつばぜり合いとなる

力はお互い互角のようでお互いに硬直する

 

「アイルー!一気に引け!」

「あいにゃ!」

「コマタッ!?」

「まずっ!?」

 

アイルーがつばぜり合いでお互いに押し合いになっている所をいきなり引いた為に力を入れ続けていたコマタナがバランスを崩して前に倒れようとする

 

「アイルー!『タルばくだん』!」

「うにゃぁぁぁぁあ!!!」

 

アイルーが樽型の爆弾をどこからともなく取り出してコマタナへとぶつける

 

「コマタァァァァアアア!?!?」

「コマタナッ!」

 

『タルばくだん』はほのおタイプの技であり、はがね・あくタイプであるコマタナには効果はばつぐんだ

 

「コマ……タナ……!」

 

コマタナはトレーナーであるビーニャを心配させまいと気合いでなんとか耐えきっていた

 

「よく耐えたコマタナ!『つばめがえし』で仕返ししてやれ!」

「コマッ!」

「うにゃっ!?」

「タッナッ!」

「うにゃぁぁぁぁあ!?!?」

 

アイルーはコマタナが急に近付いて切りかかって来たのをなんとか避けたが、地面に刃が当たった瞬間いきなり刃の角度が大きく変わってアイルーへとまた襲いかかり、そのまま避けきれずに直撃してしまう

 

『つばめがえし』は必中であり、避けることが出来ないのだ

 

「アイルー!」

 

アイルーはノーマル・かくとうタイプのポケモンであるが為にひこうタイプであるつばめがえしは効果はばつぐんとなる

だがアイルーは故郷の環境がゆえか自分よりも大きく、そして強いポケモンとの戦いには慣れていた

 

「大丈夫にゃ!」

「よしっ!ならいくぞ、『かんつうブーメラン』!」

「うにゃぁぁぁぁあ!!!!」

 

アイルーは自慢のブーメランを力強く投げつける

 

「コマタナ!『メタルクロー』で受け止めろ!」

「コマッ!ッ!?コマタッ!?」

 

だがアイルーの『かんつうブーメラン』はそんなコマタナをいとも簡単に貫いて戻ってくる際にもコマタナへと直撃して致命的なダメージを与える

 

これはかくとうタイプの技でもある為にはがね・あくタイプであるコマタナには耐えきるのはかなり厳しいのだ

 

「コマタ……コマッ……」

 

コマタナはタイプ一致の四倍弱点となる攻撃を直撃してしまい耐えきることは出来なかった

 

「よくやったコマタナ……」

「うにゃぁぁ!どんにゃもんだ!」

「確かにやるじゃないか……だがボクのライヴはこっからBPM上げてくからさ!

いくぞ!ブロロローム!いや、『セギン・スターモービル』!!」

『『『ブロロロァァァァァァァアアアアアア!!!』』』

 

エンジンとして合体しているブロロロームとタイヤに変わり脚となっている二匹のブロロンが同時に咆哮を放つ

 

「やっぱそうくるか……アイルー!やれるか!?」

「まだまだ行けるにゃ!旦那さん!一気に倒すにゃ!」

「良い信頼感じゃないか!だけどボクの、いや、ボク達のスターモービルはそう簡単にはやられないぞ!!」

 

単純に考えればメインエンジンはブロロローム、移動用のタイヤはブロロンである為にはがね・どくタイプであるこれらのポケモンにはじめんタイプの技が致命的な弱点となっている

 

だが俺にはあまり効果が無さそうな予感がしていた

 

「とりあえず様子見だ!『あなをほる』!」

「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ」

 

アイルーは凄まじい勢いで地面へと潜って姿を消した

 

「セギン・スターモービル、冷静に対処するぞ……」

「アイルー!ブロロンを狙え!」

「うにゃぁ!うにゃっ!?」

 

突如としてタイヤとなっているブロロンの真下の地面からアイルーが飛び出して一気に仕留めようとするがブロロンはそんなにダメージを受けておらず、致命傷に全然なっていなかった

 

「やっぱりか……そいつらタイプが変わってるな!?」

「へぇ、今の一瞬で気付いたんだ……だけど気付けるのと対処出来るのは別問題だよ!!『ダークアクセル』!!」

『『『ブロロロァァァァァァァアアアアアア!!!』』』

「うにゃぁぁぁぁあ!?!?!?」

「アイルー!!」

 

アイルーはセギン・スターモービルが突如としてフルスロットルで動き出した際の衝撃に巻き込まれて大きく吹き飛ばされる

 

「さぁさぁ!どんどんアゲていくぞ!っ!?」

 

だがビーニャは突如としてアイルーがそんな中でもアイルーが立ち上がるのを見て違和感を覚える

 

「うにゃ……」

 

アイルーの肉体が淡く水色の光を纏い始めているのだ

 

「う………うにゃぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

まさしくそれはライズにこれ以上負けさせたくないというアイルーの意地が起こした奇跡でもあった

 

そして光が突如として弾け、そこに立っていたのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ?」

 

 

 

 

ま っ た く す が た が 変 わ ら な い ア イ ル ー の す が た だ っ た

 

 




マグロ「(ФωФ)うい」

アイルー
アナザーポケモン
ノーマル・かくとう

特性:げこくじょう(自分よりも種族値合計が高いポケモンへのダメージが上がる《1.3倍》)

種族値
H:65
A:80
B:57
C:20
D:63
S:75

わざ
かんつうブーメラン:まもる、みがわりを貫通して二回攻撃
する 
威力40 命中100 かくとう 物理

タルばくだん:お互いの能力変化の効果を受けない
威力85 命中90 ほのお 物理

進化系

?????
アナザーポケモン
ノーマル・かくとう

特性:?????(持たせた道具により第一タイプが変更、自分よりも種族値合計が高い相手へのダメージが上昇《1.3倍》)

種族値

H:85
A:110
B:75
C:20
D:75
S:120

進化時に覚える技:???????(フォルムが変化して攻撃力が2段階、すばやさが1段階上がる。フォルムが変化すると技名が変化する)


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少年と双子と猫の狩人

 

 

~スター団『チーム・セギン』アジト内部~

 

 

「にゃ?」

「進化……したっぽいな?」

「見た目は……変わんないわね?」

「ナミイルカとイルカマンみたいな感じなのかな?」

 

俺はとりあえず確認として図鑑アプリを起動してアイルーをスキャンする

 

ニャンター

アナザーポケモン

ノーマル・かくとうタイプ

 

特性:ニャンター

 

技:ビーストへんげ

  タルばくだん

  かんつうブーメラン

  あなをほる

 

『きりさく』が消えて新しい技になってるな……

 

「アイルー、いや『ニャンター』!新しい技は分かるな!」

「うにゃ!『ビーストへんげ』ニャ!

ニ゛ャ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」

 

ニャンターは獣のごとき咆哮と共に頭部が黒くなり、瞳が赤く燃える炎を宿す

ニャンターの爪が大きく鋭く伸びてまるで龍の爪の如く全てをきりさく刃となる

 

ニャンターをフォルムを変化させたことにより『こうげき』がぐーんと大きく上昇し、『すばやさ』も上昇する

 

「うぉ!?フォルムチェンジか!?

警戒しろ!セギン・スターモービル!」

 

「遅いニャァァアアアアア!!!!!

『ツメフィニッシュ』!!」

 

『『『ブロッ!?ブロロッ……ブラッ!?ブロラ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛!?!?』』』

 

「セギン・スターモービルッ!?」

 

ニャンターはツメによる怒涛の連続攻撃によるコンボを繰り出し、コンボが終わってもさらに続けて攻撃し続ける

 

これはまるで……

 

「『げきりん』……ッ!」

 

だがこの『ツメフィニッシュ』はげきりんと違って混乱することはない

 

『ツメフィニッシュ』は一回毎に効果が変化する三回連続固定行動の技なのだ

 

「クッ!?うぉあ!?このっ!?揺れはっ!?明らかっ!?ダメージがっ!?デカすぎるッ!?

『かくとう』技か!?ぐぁっ!?

セギン・スターモービルッ!『ダークアクセル』で怯ませてやれ!ぬぉっ!?」

『『『ブロラァァァァァァァァアアアアアア!!!』』』

 

 

『ツメフィニッシュ』はニャンターのタイプと一致しているかくとうタイプの技であり、セギン・スターモービルとなってタイプが『あく』タイプへと変化しているブロロローム達に取っては致命的な攻撃となっていた

 

ピーニャはなんとかこの怒涛の連続攻撃を止めるために『ダークアクセル』によって怯ませにいくが、ニャンターには大したダメージもなければ怯む気配すらない

 

ある程度怯む効果のある技は例え動きを封じられなくてもある程度集中力を削ぐ効果があったりする。

 

だがニャンターにはその様子すら見受けられないのだ

 

そう、一回目の効果は精神力の強化

怯みと混乱を無効の状態にして『とくぼう』を少し上昇させる効果があったのだ

 

「まだ終わらニャいニャァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛!!!

『ツメフィニッシュ』!!」

『『『ブロロロァァァァァァアアアアアア!?!?』』』

 

今度はセギン・スターモービルの急所へと直撃する

これによりセギン・スターモービル内部の精密機器の類いが纏めて致命的なダメージを受けて内部から爆発を起こす

さらにブロロン達が『きぜつ』して浮遊することが出来なくなる

 

『ブロッ!?ブロロッ……ブロロロ……ブロロロァァァァァァァアアアアアア!!!!!』

 

エンジン部分のブロロロームが突如として炎を出しながら突撃して一矢報いようとする

 

二回目の効果は全ての攻撃がきゅうしょに当たりやすくなる『きあいだめ』

 

これによってセギン・スターモービルが使い物にならなくなる程のとてつもないダメージを与えたのである

 

「トドメニャァァァアアアアア!!!!!」

 

ニャンターの最後の『ツメフィニッシュ』によりブロロロームは打ち落とされて『きぜつ』するのだった

 

そしてニャンターの姿が元に戻って『ツメフィニッシュ』によるバフ以外、『ビーストへんげ』によるバフが解除された

 

「…………まぁこんなもんかな……」

 

ブロロロームとブロロンは全滅してピーニャは一気に脱力するのだった

 

ピーニャは破壊されたセギン・スターモービルから飛び下りて懐から最後のボールを取り出す

 

「出来ればこいつはまだ使いたく無かったんだがな……ゲットしたばかりでバトルの経験も少なかったし……

だけどボクだってスター団のボスをやってるんだ!

他の皆ほど強くはないけどまだ負けてられないんだ!

いけ!『ビシュテンゴ』!!」

「ウキャァァァァァァアアアアアアア!!!」

 

ピーニャが自分の手持ちとなる最後のポケモンを繰り出す

 

ボールから出てきたのは

頭襟のような角にその角と繋がった嘴のような器官を有する顔

小振りの翼のような部位を生やした前脚に先端が五方向に指のように展開する尻尾を持った猿のようなポケモンだった。

 

だがその大きさはとても大きく、尻尾を使って今は立っているのだが、その全長はセギン・スターモービルと同じくらいには高い

だがバランス感覚に至っては全身の体重を尻尾のみでバランスを取るといった離れ業をやっているためにその尻尾は見た目こそかなり細く見えるが、実際はとてつもない筋肉の塊なのが良く分かる

 

「ニャンター、もう一回いけるか?」

「全然余裕ニャ!進化してからなんか元気が有り余ってるニャ!」

「そうか、ならいくぞ!『ビーストへんげ』!」

「ニャァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」

 

アイルーはまた先ほどと同じ姿へと変化し、その能力を上昇させる

『ツメフィニッシュ』による『ひるみ』、『こんらん』の無効、『きあいだめ』、そしてラストの『ツメフィニッシュ』によって追加された消費PPを50%の確率で0にする効果は継続しており、セギン・スターモービルと戦っていた間とはもはや別物の強さとなっている

 

だが相手の『ビシュテンゴ』はその翼からひこうタイプを持っている可能性が高く、あまり状況は良くないと言えるだろう

 

だがニャンターはさらに闘志を燃やしていたのだった

 

「「いくぞ(ニャ)!!」」




マグロ「さてさてビシュテンゴの能力はいかに……」
ライズ「ニャンター、食って良いぞ」
ね こ「ガブリッ!ミチミチブチィッ!?」
マグロ「お客様!!困ります!!あーっ!!」


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少年と双子と天狗獣★

 

 

~スター団『チーム・セギン』アジト内部~

 

 

「「いくぞ(ニャ)!!」」

 

目の前には俺達の仲間と同じアナザーポケモンがいる

それも大型のポケモンだ、アイルー……いや、ニャンター曰くあいつらの世界の大型のポケモンはほぼ全てがとてつもない力を持っているらしい

 

こりゃ気は抜けないな……少なくともひこうタイプを持っていた場合ニャンターの攻撃はかなり効きにくくなる

『あなをほる』はひこうタイプには効果が無い上にメインの攻撃手段である『かんつうブーメラン』と『ツメフィニッシュ』はかくたうタイプの為にひこうタイプを持っている場合威力が軽減されてしまう

 

とはいえ元々あくタイプには弱点なのもあり、結果としては等倍で済むので威力的な事を考えると結局かくとう技で攻めるしかなくなる

 

「今度はボクから先手を取らせてもらうよ!ビシュテンゴ!『トライアタック』」

「ウキッ!ウッキャァアアア!」

 

ビシュテンゴが懐からかなりとんでもなく大きいきのみを3つ同時に投擲する

 

「いや明らか違うでしょその技っ!?」

 

それぞれ色が異なっており、特に黄色と紫色のきのみはすごくいやな予感がする

つかトライアタックは炎、電撃、氷を同時に射出して攻撃する技じゃなかったか……?

 

「一旦『あなをほる』で避けろ!」

「分かったニャ!」

 

ニャンターは『あなをほる』で地面へと潜って『トライアタック』を回避する

 

地面へとそのままぶつかったきのみはくだけ散り、電流を纏った果汁と紫色の煙が周囲に飛び散る

更にもう一つの木の実は砕け散った瞬間にとんでもない閃光を生み出してこちらの視界を大きく遮った

 

有害なきのみなんて初めて見たな……

毒に麻痺に目潰し……厄介この上ない組み合わせだ

ビシュテンゴは尻尾だけで立っているのだが、そこから体を回転させて踊るように移動する

 

「ニャンター!『タルばくだん』!!」

 

その言葉を聞いたニャンターはすぐさまビシュテンゴの真下の地面を爆破して現れる

 

「ウキャァ!?」

 

ビシュテンゴはすぐにバランスを崩して後ろに転ぶのだが

その時に隠し持っていた大量のきのみを撒き散らす

 

「ウニャッ!?ニャァ゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛!?!?」

 

その中でも紫色のいかにも毒がありそうなきのみがニャンターにぶつかって砕け散る

するとニャンターはとてつもなく苦しそうにして顔が青くなっている……やっぱり毒か!?

 

「ニャァ……ニャァ……」

「不味いわね……ニャンターは元々それなりに消耗していたからどく状態になったとなればもう長く持たないわよ……」

「うぇえ!?」

「ニャンター……」

「任せろニャ……ウニャァァアアア!!!」

「わかった……どのみち長くは持たない、一気に決めるぞ!ニャンター!『ツメフィニッシュ』!!」

「ウニャァァアアア!!!!」

 

ニャンターはその赤黒いオーラを己の爪に集中して一気にビシュテンゴへと距離を詰める

 

「ビシュテンゴ!『ドリルくちばし』で迎え撃て!」

「ウッキィィイイ!!」

 

ビシュテンゴはそんなニャンターを迎え撃つように己の身体を回転させて突撃する

 

だからなんか違くね!?

 

しかも回転するごとにビシュテンゴの懐からきのみがポロポロと落ちて周囲へと吹き飛んでいる

 

「ニャンター!避けずに受けきれ!!テラスタルだ!」

 

俺はタイプ相性からこのまま受けていては受けきれないのがわかっていたのでテラスタルを用いてニャンターのタイプをノーマル単タイプへと変更する

 

「なんで避けずに……」

「多分アレを下手に避けたら横に飛んできてる巨大なきのみにぶつかって余計に消耗させられるわ……

良くあの一瞬で判断出来るわね……」

 

「ウッキィィイイ!!!!」

「ウニャニャニャ!!!!」

 

ビシュテンゴの身体ごと回転しているくちばしとニャンターの爪がぶつかって火花を散らす

 

「ウニャ……ニャニャニャ……ウニャァァアアア!!!」

 

だがニャンターはなかなかビシュテンゴのくちばしの回転を止めきれずにいた

ニャンター達の世界のポケモン、アナザーポケモンは過酷過ぎる生存競争を生き抜くためにとてつもなく強靭で硬い肉体を手にいれているポケモンが多い

そしてその肉体の強さは大きければ大きい程被弾による回復を起こしやすく、更に硬く、強く、強靭な肉体を作りあげていた

 

だがニャンターはそんな大型のポケモン達からアイルーの生活をまもる種族であり、自分よりも強いポケモンを何匹も退け、狩猟を行う事が出来る個体となる

 

弱肉強食の世界における下克上、それこそがニャンターというポケモンの最も強くなる環境なのだ

 

そしてその敵は今目の前にいる

 

「なら………もっと強さを求めるだけだ!そうだろうニャンター!!!」

「そんなもん決まってるニャァァァアアアアア!!!

ボクは!ボクは旦那さんと一緒に強くなるんだニャァァァアアアアア!!」

 

ニャンターの爪による一撃がそのままくちばしから滑り始め、身体を回転させ続けているビシュテンゴの身体を螺旋状に切り裂いていく

 

「ウキャァァァァア!?!?!?!?!?」

「ウニャァァアアア!!!!!ニャァ!!」

 

アイルーはそのまま全身を切り裂いていき、その水晶の身体にヒビが入る

 

「ウキ……ウキァ………」

 

ビシュテンゴは自分の使った技が仇になったようでそのまま大ダメージを受けきれずに気絶する

 

「ニャッ!?ニャァァアァァア……」

 

それと同時に毒によってニャンターの体力が完全に削りきられて全身の結晶が砕け散り、ニャンターも思わず気絶する

 

「両方倒れた……」

「でもライズにはまだ手持ちがあるわ」

「じゃあ!」

「ええ、ライズの勝ちね!」

 

「ニャンター……良くやった…….」

 

俺はこのバトルで頑張ったニャンターの毒を治療して抱えて労うのだった

 

「旦那しゃん~……うにゃぁあ……」

 

ったく……あとでこいつの好きな飯を用意してやるか……

 

 




マグロ「ういっ」

ビシュテンゴ
アナザーポケモン
あく・ひこうタイプ

特性:かきあつめ
(特殊なきのみである『デカデカ柿』、『ドクドク柿』、『ピカピカ柿』、『シビシビ柿』を大量に懐に隠し持つ
攻撃をうけるときのみが飛び出て相手にぶつかってダメージや状態異常を与える、一部の技の効果変化)

デカデカ柿:威力50、効果無し、物理
ドクドク柿:威力20、あいてをどく状態にする
シビシビ柿:威力無し、あいてをまひ状態にする
ピカピカ柿:威力無し、あいてをこんらん状態にする



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少年と双子とピーニャの過去  

 

 

~ピーニャの記憶~

 

 

一年と数ヶ月前……

 

「まぁこんなもんかな……」

 

俺がヘッドホンとPCを片手にリズムにノリながらそう呟くとある四人が集まってくる

 

ピンク色の礼服に身を包み、杖を持ったショt……少年、『オルティガ』が声をかけてくる

 

「どうしたの?ピーニャ」

「マジボスに相談されてたことがだいぶまとまってきたんだよ」

 

すると炎が揺らめくようなすこし漢らしさのある衣装に身を包んだそばかすのあるボーイッシュな女性、『メロコ』が更に聞いてくる

 

「相談?何のだよ?」

「まずスター大作戦のこと……あとは団の掟だね

最近仲間増えてるじゃん?だからルールっていうか掟が必要って話になってさ」

 

今度はアイドルのようなすこし露出の高い衣装に身を包み、強面の顔面メイクを施したすこし勿体無いスタイル抜群の女性『ビワ』が感心するように呟く

 

「へー!ピーニャ君ならいいの思い付くんじゃない?」

「いやそれ超プレッシャーだし

ボクが反感買ってた理由は生徒会長してたから……知ってるっしょ?」

 

メロコは共感するように呟く

 

「バチバチにウザ校則作って生徒の反感買いまくったもんな

すぐ違うヤツに交代した」

 

すると紫色がメインの毒々しい色の忍者装束に身を包んだ少年、『シュイメイ』がそれに続く

 

「同意でござる……

えりあしの長さは3センチまで等

正直ウザさの極みでござった……」

「だったっしょ?だからボクが掟とか向いているはずが無いんだよ」

 

今度はオルティガが話し始める

 

「でもさ団員のめんとう見てるのってだいたいピーニャじゃん?」

 

そこにビワが続けるように話す

 

「みんなピーニャくんを頼りにしてるし信頼してるよ」

 

メロコも同じく肯定するように話す

 

「今のピーニャが考える掟だったらオレも聞いてといいと思うぜ」

 

最後にシュウメイが頷く

 

「……同意!」

 

するとピーニャは諦めたように言うのだった

 

「はいはいわかったよ

やるよ……やりますよって……」

 

 

_________________________________________________

 

 

ピーニャは昔を思い出しながら呟く

 

「やれることは……

十分やったよねぇ……

自分で作った掟だし潔く団を去るよ……

ボスの証、ダンバッジを受け取ってくれる?」

 

そう言われてライズはピーニャからダンバッジを受け取る

 

「こいつは……あくタイプのジムバッジを改良したものか?」

「お?良くわかったね。

今はパルデアであくタイプのジムは無いしボクがあくタイプ使いなのもあったからそれで作ってみたんだ

他の皆もボクと同じダンバッジを持っているよ

それにしても強いな……キミ達は」

「お前も十分強かったさ、アイルー……今はニャンターだがこいつとの相性が悪かったらどうなってたかわからないからな」

 

俺とピーニャはお互いに握手をする

 

実際ビシュテンゴとやらの状態異常はかなりの驚異だった

こっちはこんらんは無効になっていたが麻痺を貰っていれば間違いなくやられていただろう

 

「そんで……一つ聞きたいんだけど……この惨状は……」

「……ワリィ、ここまで被害出るとは思わなかった」

「作戦の立案は一応ライズ君だからねぇ……実行したのはヴィオ姉だけど」

「…………」

 

ヴィオは全力で顔を反らしている

 

「はぁ……まぁ止められなかったボクらの実力がまだまだってだけかな

とはいえ他の皆はもっと強いから覚悟しておきなよ?」

「あぁ!望むところだ!」

 

するとピーニャは何か思い出したように懐を漁り始めると三枚のわざマシンを取り出す

 

「あぁそうそう、ついでにイカしたわざマも貰っときなよ」

「これは……」

「62番だからイカサマね」

「正解だよ

しっかし、あーあこれでパーティーもジ・エンドか……

それにしてもキミ達のポケモン……皆ヤバすぎでしょ?

こっちのしたっぱがほぼ一匹で壊滅させられてこっちも1匹で全抜きされちゃったし」

「シュニンは……うん、理不尽だよな」

「俺の場合はニャンターに進化出来なければかなりヤバかったよ」

「うーん!私のポケモンだけなんか印象が……」

「バカデカイヌシポケモン仲間にしてるレティが何を言う……」

「そうね……割とレティも他人の事言えないわね」

「うぇえ!?」

「でもそれだけのことが出来るくらいに育て上げられるんだからすごいもんだよ……

それってアカデミーで習ったの?

覚えさせた技とか育て方とかさ」

「技に関してはこの子達特殊なのが多いからちょっと微妙なのだけど……」

「私のニャローテとかはアカデミーで教わった育て方とかを参考にしてるよ!」

「オレの場合はそれなりに長い時間こいつらといるから割と実戦での経験が元になってる物もあるな……ニャンターの場合はどんどん新しい技を覚えるから試行錯誤してるとこだが……」

 

するとピーニャは急に話をアカデミーへと変え始める

 

「ふーん……キミ達ってアカデミー行ってて楽しかったりするの?」

「うーん、色々とこの子達について学べるってのもあるけど……」

「友人付き合いも楽しいわね」

「俺の場合は調べ物が中心ではあるけどなかなか捗るぞ」

「へぇ、ふーん……」

 

すると横から校tyげふんげふん、ネルケが現れる

一応突入する時には一緒に来てたけど『シュニン』の巻き添え食らわないように入口近くで待機して貰ってたんだった……

 

「あんたがピーニャか?」

「イカした髪型の飛び入りゲスト?

ポケモンの技だと『ダメおし』的な?」

「「「ぶふぉ!?」」」

 

ダメだ……それは耐えられねぇ……ククク……

 

「イカした……イカしたって……クク……」

「プッククク……」

 

すると校長先s……ネルケは髪を自慢げに撫でながらビーニャと話をしようとする……なんか凄い嬉しそうにしてる……

 

「あんたと少し話したい」

 

するとピーニャは少し考える素振りをしたけどすぐに答える

 

「……何か面倒そうだけどヒマになっちゃったしOKだよ」

「わかった、ストレートに聞こう

このままだとあんた達全員退学処分になるんだろ?

なぜスター団を解散してアカデミーに行かないんだ?」

 

するとピーニャは少し苦笑いしながらもどこか懐かしむように答える

 

「そこ聞いちゃう?

ボクらはツレを待ってるだけ

……帰ってくるかはわかんないけど」

「ツレ……大事な仲間か?」

「スター団で一番強いボスさ

トレーナーでいうトップチャンピオン的な?

みんなで団を作ろうって誘ってくれたマジボスって人」

 

マジボス……なんかこのネーミングセンスに覚えがあるような……

 

「そのマジボスは今どこに?」

「それが分かれば苦労しないよ

一年半くらい?連絡もつかないしさ……

スター団を止めずにいたら連絡くるかもって思ってたけどね

先生達は団やめろってうっさいしキミらみたいなの出てくるし……」

「…………」

「むしろ見捨てられちゃったか……

マジボス、団を解散したがってたし……」

「マジボスやスター団がそんなに大切なのか?」

 

ネルケの質問に対してピーニャは満面の笑みで答える

 

「そんなの当たり前っしょ!

アカデミー的に言うと……宝?」

 

「そうか……そうでしたか……」

 

校長……素が軽く出てますよ

 

俺達は結局ピーニャ達がアカデミーに通うように軽く説得してからアジトを出る事になったが……さすがに日が暮れてきたのでアジトに一晩泊めて貰うことになった

 

 

_________________________________________________

 

 

~スター団『チーム・セギン』アジト前~

 

 

rピッ

 

「ヲイコラヴィオ……」

「なにかしら?」

「今の通知って……」

「何の事かしら?」

 

ピッ

 

ヴィオが電話の通知を一瞬で切ってこちらからの問いかけを誤魔化し続けている間にヴィオ姉のスマホロトムが勝手に飛び出して通話アプリを起動する

 

『相変わらずのようで少し安心したよ……

ピーニャからボスの証、ダンバッジを貰ったようだな』

「まあね……」

「不満そうにしてないで素直に出ればいいのに……」

「取りあえずチーム・セギンはなんとかなったぞ」

『ふむ……確かに

これでボスが居なくなったチーム・セギンは崩壊寸前だ

…………ピーニャ……』

「カシオペア?」

『……すまない

少し考えごとをしていた約束の報酬だ

それぞれのスマホロトムにLPをチャージしておこう』

 

俺やレティがスマホロトムを確認すると確かに5000LP程増えていた

 

『追加でキミ達がわざマシンマシンで作れるわざマシンを増やしておいた……言いにくいな』

 

俺も同意件だな……あのネーミングだけはどうにかならなかったのか……

 

『とりあえず作れるようになったわざマシンでポケモンをさらに強化出来るはず

……本当にいい仕事ぶりだった、作戦内容はともかく』

 

あぁ……見てたのね……

 

『追加報酬としてわざマシン作成に必要な材料も補給班から受け取ってくれ』

 

そう言い残してカシオペアは通話を切る

すると向こうから見覚えのあるボーイッシュな少女が現れる

 

「ど……ども……

補給班の……ボタン……

覚えてないと思うけど校門の前で助けて貰った……」

「あぁ、その事なら覚えてるよ」

「うん、割と印象的だったし……」

「……あぁ、あの時の」

 

……ヴィオのヤツ忘れてたな

したっぱを追い払ったのお前だろうに……

 

「あっ……そうなん……

えと……うちも課外授業の……宝探しってことで……手伝ってる

うち……機械とかハッキングとか得意だから……裏方なんよ」

 

なんか聞き捨てならないことが聞こえた気がしたがが気のせいか?

 

「……でこれ……カシオペアからの追加報酬」

 

そう言ってボタンはかなり大量のポケモンの落とし物を渡してくれた

良くここまで集めたな……

 

「それでわざマシン……いっぱい作れるでしょ

アジトを攻略してスター団を減らすごとに報酬くれるんだって

……なんか凄かったらしいね?デカイポケモンの『ころがる』で蹂躙するの……」

 

おいヴィオ……目を反らすな……

 

「そんだけ強いなら……きっと大丈夫

ボスは残り4人……えと……頑張って……」

 

ボタンはそう言い残して可愛らしく小さく手を振りどこかへ去っていった

 

 

 

「……なんかありそうだな」

 

 

俺はどうもあのボタンという少女に何かを感じずには居られなかった

 

 




マグロ「ウラガンキンの被害:テント×5、引かれた人13名、引かれたポケモン……いっぱい」
ライズ「…………」
マグロ「なにか申し開きは?」
ライズ「…………」


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少年と双子と次の旅

 

 

~テーブルシティ~『ライズの部屋』

 

 

 

「一つ聞きたいんだが……なぜ俺の部屋なんだ……

お前らの部屋のドアは修理来てたんじゃなかったか?

つか自室で話し合う必要あったか?」

「ロビーの図書館でも良かったんだけど……」

「あそこは雑談とかしながら話し合ったりするのには向いてないもの

それ以前に女子の部屋に男子を入れることの方が問題だわ」

「逆でも問題だろうが……」

 

私達は結局スター団との一件が一段落した後、一度テーブルシティに戻って軽く授業を受けるついでに次の旅の目的地を考えるために寮にあるライズ君の部屋に来ていた

 

男の子の部屋って初めて来たかも……

 

とはいえライズ君は割と呆れた様子だったので少し迷惑だったかも知れないけど純粋に私達に対する心配をしてくれてるみたいでちょっと安心した

 

「はぁ……とりあえず次の目的地どうする?」

「んー、そうだなぁ……ヌシとスター団が残り4箇所、ジムが残り7箇所だから必然的にジム優先で回った方が良いんじゃないかな?」

「まぁやっぱそうなるよな、ならジム二つを通ってからヌシ、スター団って形が一番自然か……」

「うん、それが良いと思う」

「そうなると次の目的地はやっぱりボウルタウンね」

「その次は実力的には……げっ」

「えーっと、ハッコウシティのジムだね

あれ?ライズ君どうしたの?」

「いや……何でもない、とりあえずそれが終わったら大空のヌシ、スター団ほのお組って順番でいい感じか?」

「まぁ妥当じゃないかしらいろいろと順番に見てはいるけどナッペ山やオージャの湖方面は最後になるかしらね?」

「そうだな……どうもジムやヌシ、スター団含めてあの辺が一番強い奴らが固まってるみたいだしな……」

 

とはいえ向かうのは最後になる、ならば今気にするべきはボウルジムだな……

 

「ボウルタウンってたしかくさタイプのジムがあるんだよね?」

「あぁ、そしてくさタイプの弱点はほのお、むし、ひこう、こおり、どくタイプだな」

「問題はジムリーダーのコルサが使うエースポケモンね……」

「あの人のエースはウソッキー、いわタイプのポケモンだがテラスタルでくさタイプとなる……だがとんでもない問題があってな……」

「元いわタイプの……あ……」

「くさタイプの弱点はさっき上げた通りだが……よりにもよってそのほのお、むし、ひこう、こおりタイプは全員いわタイプが弱点だ」

「エグい相性してるわね……実質的にどくタイプくらいしか勝ち目無いじゃない」

「もしくは弱点の攻撃を耐えてでも殴るかになるな……」

「ライズ君の場合は……ギィギとバサルモスがどくタイプだからなんとかなりそうだね!」

「ギッ!」

 

たまたま吸血の為に部屋の中で出していたギィギが元気良く返事をする

 

「確かに相性的にはな……ただギィギ自体はそこまで打たれ強いわけではないからどうしても最後のウソッキー戦での切り札になりそうだな

それまではウロコトルやスクアギル、バサルモスでなんとかしていくしかないな

バサルモスに関してはどくタイプのわざを覚えさせても良いんだが『かえんガス』が地味に使いやすいからなぁ……特にはがねタイプなんか天敵だし」

「あー、いわタイプの技も特性とのシナジー考えると外せないし『ひりゅうのいぶき』もかなり強かったもんね」

「ついでに『すいみんガス』も使いどころが多いからあんまり外したくないんだよ……耐久力が高いからな

ただくさ技が等倍とはいえ物理ならともかく特殊技は受けきれないし出来ればこいつもウソッキーまで残しておきたいポケモンだな

そうなると俺は先発でウロコトルやスクアギル、ウソッキーが出たらギィギとバサルモスって所か」

 

何だかんだでライズ君のポケモン相性補完がきっちり出来てるから羨ましいな……

 

「少なくとも1~2体はこっちもやられるのは確実よね……」

「ヴィオ姉はシュニンがいるからなんとかなりそうかな?」

「多分大丈夫じゃないかしら?この間のジムでシュニンがかえんぐるまを覚えてくれたし」

「そうなると私だけが辛いなぁ……」

「レティの場合ビビヨンがいるとはいえいわタイプが致命的だからな……ウソッキー戦はニャローテで行ってみたらどうだ?」

「そうだねー、やっぱりそれが無難かなぁ……」

 

うぅ、私のポケモンがウソッキーに相手に有利をとりにくいポケモンばかりなのが辛いなぁ……

 

「……ねぇ、あえてビビヨンをウソッキーとの対面でテラスタルさせて一気に体力を削っちゃうのはどうかしら?」

「うーん、確かにテラスタルすればかなり強い攻撃が出来るけど倒せなかったらこっちがやられちゃうしなぁ……」

「倒せなくても良いのよ、その次に繋げるのが目的なのだから」

「ふぇ?どういうこと?」

「速い話消耗さえすれば同じタイプ同士でも十分有利が取れるってことよ」

「あぁ、なる程な

こっちが倒されること前提の戦術って訳か盲点だった」

 

つまりそれってヴィオ姉がたまに言ってる……

 

「結局は勝てさえすれば正義

 

『勝てば良かろうなのだぁ!!』と言うことよ」

 

うーん、正しいような正しくないような……




マグロ「ちなみに聞くのだがネモは?」
ライズ「片っ端から生徒にバトル仕掛けて賞金稼ぎ」
マグロ「理由は?」
ライズ「破壊した寮の弁償代」


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少年と双子とボウルジム

 

~ボウルタウン~

 

 

とりあえずそらとぶタクシーをアプリで呼び、私達は最初の目的地であるボウルタウンまで来ていた

 

ガケガニを仲間にした後ボウルタウンに一度到着してそらとぶタクシー用のアプリで登録しておいて助かったなぁ……

 

「この間軽く見た時も思ったけどやっぱりすごい花だらけの町だね」

「それにキマワリを模した作品がいろんな場所にあるみたいね」

「……良く見たら本物も混ざって擬態してねぇか?」

 

ライズ君良く気付けるなぁ……

 

※ライズはモンハンモンスターの擬態をいくつも確認してるために慣れてるだけです

 

「まぁ言うなれば花と芸術の町、それがボウルタウンと言えるだろう……ジムリーダーのコルサさんはどうせ自分のアトリエに引きこもってるだろうからさっさとジムチャレンジ突破して呼び出そう」

「……カエデさんもそうだったけどライズ君ってジムリーダーの知り合い多いの?」

「そういえば貴方、カエデさんの菓子を食べ慣れてるような感じがあったわね……羨ましい」

「菓子云々はどうでもいいが……

まぁ知り合いの馬鹿につれ回されてな……」

「「??」」

 

そう答えるライズ君はとても疲れたような表情をしていた

 

……一体何があったんだろう

 

「あ、ライズ君!ジムの施設があったよ!」

「基本的に外見が共通しているから見つけやすくてありがたいわね……」

「とりあえずジムチャレンジの登録だけしておこう

さっきスマホロトムで調べたが今日はジムチャレンジが無いみたいだ

予定は明日の午後3時からみたいだな」

「私達……カエデさんの所でのジムチャレンジをすぐに受けれたのは運が良かったのね」

 

ライズ君から聞いたんだけど基本的にジムリーダーは何かしらの仕事を兼任している人が多くてジムバトル自体は週に数回時間を取る程度で済むように運営委員会側が調整しているらしい

 

「やっぱりジムリーダーも休んだりとか自分の時間が欲しいのかな?」

「……無理矢理仕事があるのにスカウトされたりスカウトしたは良いものの癖が強すぎたりするのが大半だ

基本的に強いヤツってのは何かしらクセやアクが強いもんだ」

 

ライズ君は遠い目をして言うけど……

なんだろう……ライズ君は心当たりがいくつもあると言いたげな……そんな表情をしていた

 

「……ネモとか?」

「……あいつも代表格だが性格自体は別に悪くないしバトルジャンキーを押さえられさえすれば常識外れで済む

まぁ無理だと思うが」

「ライズ君ライズ君……それ何気に酷い事言ってるよね」

「そうね…要はそれ戦闘狂のキチガイでどうせあれは治らないと言ってるような物よね……」

「事実そうだろう……に……」

「あら?」

「噂をすればなんとやら?」

 

私達がジムの施設に入ると受付の方にはネモの姿が早速見えた

 

なんてタイミング……

 

「えっ!?ヴィオにレティにライズ!?

ジムでばったりなんてすっごい奇遇だね!

ほーんと偶然……」

 

すると私達全員のジト目に気が付いたのか慌てた様子で話を続ける

 

「えーっと……その……勝負したくて先回りしてる……とかじゃないからね!ほんとだから!?今回は信用して!?」

 

私達は『嘘だー』と言うような目で見ながらネモにジト目を続ける

 

「私の日頃の行いが悪いのは知ってるけど今回は嘘じゃないよ!?その証拠に今回は勝負しないんだから!」

「えっ!?ネモ大丈夫!?」

「熱とかあるのかしら!?」

「病院に連絡をいれた方が……」

「なんで!?!?みんなひどいよ!?」

 

いやだってネモだし……

 

「んで本音は?」

「…………本当は戦りたいけど……ハッ!?」

 

私達は結局全員ジト目に戻るのだった

 

「ア、アハハ……あ、そそ、そういえば皆のポケモンこの前より強くなってる!

あとはこれさえあれば準備はバッチリだよ!」

 

ネモはそう言うと懐からスプレー型の道具を3つ程取り出して私達に一つずつ渡してくる

 

「これは……」

「なんだろ?」

「ピーピーエイドか」

 

するとライズ君はすぐにそのスプレー型の道具の正体に気が付いた

やっぱりスゴいなぁライズ君……座学での成績もスッゴいもん

 

「さっすがライズ!じゃあ私はポケモン20匹くらい鍛えながら応援してるねー!」

 

そう言い残してネモはジムの施設から走り去って行っちゃった……

 

「ネモ'sブートキャンプ……」

 

そしてヴィオ姉がなんか変なことを言ってる……ブートキャンプ?なんだろそれ?

 

ライズ君は私達へと向くと……

 

「な?」

 

とどう答えて良いか微妙に困る言葉をくれる

 

「とりあえずジムへの登録手続きだけやっとくからお前らは宿でも探しといてくれ……流石にこの間みたいなことには早々ならないだろうしまた宿がない状態になっても困るからな」

「あ、わかったー!見つかったらポケラインに連絡いれとくね」

「ライズも手続き終わったなら宿探すの手伝って頂戴よ?」

「へいへい……んじゃな」

 

私達はジムの手続きをライズ君に任せて早速宿を探すことにした

 

「とりあえずアプリで検索検索っと……」

「『ホテル・キマワリ』、『宿屋マキワリ』『休憩所』、『ボールガイの宿』、『ホテル・フラワー』、『野獣亭』……いろいろとあるけどやっぱりホテル系統は割高ね……」

「なんかこの『休憩所』ってとこやたらと高いよ?宿泊も可とはあるけど」

「ソコハヤメテオキマショウ……『ボールガイの宿』ってたしか……」

「うん、ガラルでもちょいちょい見かけた宿だよね?」

「まさかこの地方で見られるとは思わなかったけど……やたらとモンスターボールを推してくるのもあってスゴく寝づらいのよね……」

「個室もボール型で寝にくいしね」

 

何もかもがモンスターボール型なんだよなぁ……あそこの宿って

 

「……あっここは?『やどりぎ亭』!」

『どれどれ……あら?なかなか良いわね』

 

情報を見てみたら料金は一泊1500円で食事とかは無いけど調理場の貸し出しとかお風呂もあるみたい

 

「安い理由は多分食事じゃないかしら?

やたらと部屋数だけは多いみたいだから宿泊費だけでも従業員の給料とかお風呂の維持費、宿の利益とかもどうにかなってるんだと思うわ」

「あ、確かに!そうなると宿側がやることってスゴく少ないもんね」

 

『ピッカッチュウ!!』

『ギガギガフンフンwwwwwwガガガガガガwwwwwwww』

 

すると私達のスマホロトムにポケラインでの通知が鳴る

ヴィオ姉の通知を聞くと毎回思うんだけど……なんでそんな通知音にしてるんだろ?

 

時々ヴィオ姉のセンスが良くわからなくなる

とりあえずポケラインを起動するとライズ君からの連絡だった

 

『手続き終わったぞ、お前らは今どこにいる?』

『町の中央の辺り!』

『バトルフィールドの入口付近よ』

 

私達が返信するとすぐに通知が来る

 

『ピッカッチュウ!』

『ギ-ガ-wwwwwレレレレジギンギンギンギンギンギンwwwwwwww』

 

何故かヴィオ姉の通知は毎回変化する

 

『了解、宿探しの調子はどうだ?』

『さっき安くて良さそうな場所見つけたよー!『やどりぎ亭』ってとこ!』

『調べて見たら十分な空き部屋があるみたいよ』

 

『ピッカッチュウ!』

『エ-ッ!?エ-ッ↑!?エェェェェェ!?ヒュゥゥゥゥ…↓ドゥwドゥドゥドゥドゥドゥドゥゥゥウゥゥゥンwwwww』

 

『了解、なら現地で合流しよう』

『了解!』

『おk』

 

おk?なんでオッケーのケーだけをkにしてるんだろ?

 

『ピッカッチュウ!』

『エェェェェェ!?ノォォォォォウ↓……オッオッオッ…ギッガ…』

 

『とりあえず晩飯の買い物も済ませておくからチェックインだけ先に頼む』

『はーい』

『わかったわ』

 

私達はとりあえず先にチェックインだけ済ませて入口でライズ君を待つことにした

今日のご飯はなんだろうなぁ……私達が作ると結局なんでもカレーにしちゃうからライズ君の作ってくれるご飯が楽しみになっちゃうんだよなぁ……

 

 




マグロ「ジムテストの手続きでの必要事項は?」
ライズ「年齢、性別、現在のバッジ取得状況、トレーナーIDくらいだな」
マグロ「三人分となると?」
ライズ「一応手続きの為に二人の生徒手帳を一旦預かってる」
マグロ「中身は見て……」
ライズ「いるわけねぇだろが」
マグロ「(´・ω・)」


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少年と双子とみんなの朝

 

 

~ボウルタウン~

 

 

「おはよ、ライズ君!」

「おはようレティ、今日はずいぶんと早起きじゃないか」

「えへへ~、今日はジムテストだし頑張らないとって思ったらなかなか眠れなくて」

「いや寝ろよ……んで?調子は?」

「バッチリだよ!」

「そうか、なら良かったよ」

 

俺達はとりあえずやどりぎ亭に泊まって夜を過ごし、今は朝ごはんのサンドウィッチを作っている所だ

 

「ヴィオは?」

「多分まだ寝てると思う、起こしたんだけど起きなくって……」

「鼻にでもこれを突っ込んできたらどうだ?」

「へ……これって……」

 

そう言って俺はチューブに入ったすりおろされた緑色のハーブを取り出す

 

「うげ……『水辺のハーブ』……私これ苦手なんだよなぁ……なんかこうツーンとした感じがちょっと……」

「あー、まぁ好みは分かれるからな……とりあえずジムテストは午後からだし午前中はゆっくりしても構わんだろう……それになんとなく何をするのか読めてきたし……」

「ふぇ?どういうこと?」

「まぁ飯食った後に外に出るから歩きながら話そう

さて……今日はそうだなぁ

……朝だからサッパリと行きたいな」

「サッパリ系かぁ……『トマト』とか?」

「まぁそいつも悪くはないな……俺としては……主役はこいつかな?」

 

俺は食材用の保冷バッグから『スモークきりみ』を取り出す

 

「『スモークきりみ』だ!私これ好きなんだよね!」

「まぁこれは味もしっかり出るし塩味が程よいから酒飲みとかも好きってヤツが多いらしいな

あとはこいつに『たまねぎスライス』と『トマト』、『レタス』を一緒に乗せて上から『ビネガー』と『砂糖』、『ペッパー』の合わせ調味料をかけて……うし、こんなもんだろう

レティ、ヴィオを呼んできてくれ」

「はーい!ヴィオ姉ー!ヴィオ姉ー!ご飯だよー!」

 

レティはそのままヴィオを起こすために俺達が宿泊している部屋へと向かっていった

 

数分すると寝癖がとんでもないことになってるヴィオがお腹を鳴らしながら降りてくる

 

「おはよ……」

「とりあえずお前は一回洗面台まで行ってこい」

「先にご飯……」

「朝飯は逃げねぇから先に身支度を済ませてこいって」

「はーい……」

「レティ、頼む」

「あー、分かった……ほら、ヴィオ姉!」

 

全ての髪が上に延びるような形で寝癖がついてたから流石にな……つかあんな寝癖初めて見たわ……

 

 

 

「「いただきます」」

「ほい、召し上がれ」

 

数分後ヴィオが寝癖を治してすぐにこっちに戻ってきたのでちょうどいいので朝飯を皆で食べることにした

 

「ん~♪『スモークきりみ』の塩味に『ビネガー』や『トマト』の酸味、『砂糖』の甘味で食べやすくなっててペッパーのピリッとした辛みが『スモークきりみ』に合うわ~」

「ヴィオ姉はほんと食べるの好きだよね~」

「食は私の人生の半分よ」

「そんなに……」

「とりあえず食い終わったら一回町を見て回るぞ」

「ふぇ?分かったー」

「何か買いたい物でもあるのかしら?」

「いや、ジムテストの下見」

「ふぇ?どういうこと?」

 

ヴィオとレティが揃ってサンドイッチを頬張りながら首を傾げる……妙な所で息ピッタリなんだよなぁコイツら……流石姉妹

 

「この間ボウルタウンを軽く見ていて気付いたんだがやけにこの町はキマワリの像とかが置いてあってキマワリ自体も結構いろんな所にいるだろ?」

「確かに」

「んでよく見てみたら何も植えられた様子のない植木鉢がいろんな所にあったりそこにキマワリが入ってたりしてるんだよ」

「っ!像に擬態させてるわけね」

「多分な、むしろ本来作品として展示する予定だったやり方と逆になってそうだけどな」

「あー、キマワリ達の中に溶け込ませるってこと?」

「まぁその辺の細かい所は分からんし芸術なんて専門外だから俺の主観に過ぎないけどな」

 

まぁあの人基本的に趣味に生きてるタイプの人だからもしかしたら適当な可能性もあるけどな

 

「ご馳走さま」

「ご馳走さまでした~今日も美味しかったぁ!」

「お粗末様でした、何だかんだでレティも食べるのかなり好きだよな」

「えへへ……バレた?」

「隠す気も無かったろうに……」

「それで?私達はキマワリが入りそうな鉢植えを探せば良いのね?」

「あぁ、場所は一応記録してスマホロトムにでも送ってくれ」

「それじゃ!解散!皆で探すよりもバラけた方が探しやすいし!」

「ええ、とりあえずジムテスト1時間前に現地集合でどうかしら?」

「異議なし」

「よーし!がんばるぞー!」

 

レティのヤツ気合い入りまくってるなぁ……

 

『上手に焼けました~♪』

 

お?通知が入った……っ!

 

『パルデア地方各地にて今まで発見されなかったポケモンが発見

その多くはかなりの大型の個体であり、調査の為各地にてジムリーダーが捕獲

なおかなり強力な個体も報告されており、現在ジムリーダーが捕獲したポケモンは調査の為にジムバトル勝者に希望者限定での特別枠でのバトルを実施中

詳しくはナンジ』

 

俺は読んでいる途中ではあったが切ることにした

 

「そうなるとここにもいるわけか……」

 

俺はジムの施設へと視線を向ける

 

「一筋縄じゃ行かなそうだな」

 

俺はそう呟いてスマホロトムをしまう

 

「ライズ君どうしたの?」

「あぁ、いやなんでもない」

「そう?変な画像でも見てたんじゃないの~?」

「よし、今日のヴィオの晩飯は水辺のハーブとマスタードとチリソースを使ったサンドウィッチにしてやる……」

「それだけは!?それだけはぁっ!?お慈悲をー!?」

「知らん」

「お慈悲をーーーっ!?!?」

 

ったくコイツらと一緒にいると真面目に考えるのが馬鹿馬鹿しくなっちまう

 

その後俺達はそのまま町を探索しにいくのだった



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双子と少年とコルサ

 

 

~ボウルタウン『バトルフィールド付近』~

 

 

結論から言うとジムテストの内容は結局俺達の予想通りだった

 

ボウルタウンの中に作品と一緒に溶け込んで擬態したキマワリを探せと言うものであり、ジムテスト開始と同時に町中にキマワリがバラけて行ったのだが、俺達は事前に鉢植えをマークしていたのもあってあっさりと全部見つけることが出来た

 

「いやぁ……予想がこんなに当たるとは……何かしらずれると思ってたんだがな」

「まぁ良いんじゃない?これはこれでありがたいのだし」

「にしてもなんでこんなジムテストになったんだろ?」

「あぁ、それならある程度予想が出来る

多分だけど俺達にポケモンをしっかりと見分けられる目を持ってもらいたいんじゃないか?」

「ポケモンをしっかりと見分けられる目?」

「つまりどういうこと?」

「ポケモンには擬態をしたりとかそもそもの個体数が少なかったりであんまり見かけないポケモンってのも多いだがそれを見分けられないようならポケモン図鑑の完成なんて夢のまた夢だからな

それにバトルには洞察力もないと指示が上手く行かない事もある」

「あ!確かに!」

「捕獲ならゾロアとかセビエ、メタモンが良い例ね

たしかに見極められる目がないとこれは無理だわ」

 

そう、ヴィオが上げたこの三匹は特に見つけにくい傾向にあり、セビエは生息地さえ分かれば問題無いのだがその生息地がかなり見つけにくく、ゾロアやメタモンに至っては他のポケモンの姿になっているために見た目だけでは絶対に分からないのだ

 

「まぁ何も目以外で確認する方法が無いわけじゃない

特に今回のキマワリはコルサさんの作品に擬態をしているわけだ

実際に触れば一発だろうに」

「……そう言われてみればそうね」

 

そう俺達が今回のジムテストについて考察したり話し合いをしていると後ろから突如声をかけられる

 

「ふ、相変わらずキサマの周囲を見渡す観察力とそれを纏める考察力、そしてそれに勝るとも劣らぬ実にアヴァンギャルドな芸術力は称賛に値する」

 

この独特な話し方……

 

「貴方がアトリエから出てきて話しかけにくるなんてずいぶんと珍しいじゃないですか……コルサさん」

「何、ちょうどタイミング良く作品が完成した所にキサマがジムテストに挑んでいる姿を見かけてな

それにキサマこそどういう風の吹き回しだ?ワタシにはキサマがジムテストに興味があるような人物ではないと思っていたんだが」

「まぁたしかに以前の俺なら興味すら持たなかったですね

ただまぁ……目標が出来たと言いますか調べなきゃいけない場所があるんですよ

でもそこに向かうにはまだぜんぜん実力不足だ

だからこそ実力を付けながらアイツらの調査をするのにこの二人と一緒に行動するのが都合が良かったって訳ですよ」

 

そう言って俺はレティとヴィオの二人を指差してコルサさんに伝える

 

「ふ、キサマにも一緒に旅をしても良いと思える仲間が出来たわけだヤツが知ったらうるさいだろうな」

「言わないでくださいよ考えないようにしてたんですから……」

「まぁいい、それにしても調査と言ったな……そうなるとキサマがジムに潜る一番の目的はワタシ達が捕まえたアナザーポケモンか」

「ッ!やっぱり全部アナザーポケモンでしたか……」

「キサマも薄々分かってはいたようだな、だがこいつらは凄まじい力を秘めている、ワタシとしても最低限ジムを突破出来る力を持つトレーナー以外には戦わせたくない

それに代表も同じ意見らしいからな」

「まぁそうでしょうね……なのでサクッとやらせていただきますよ!」

「ふっキサマの手持ちはある程度把握しているからどうなるか……ジムバトルを楽しみにしておくとしよう」

 

そう言い残しコルサさんはジムの施設へと一度向かっていった

 

「驚いたわ……知り合いとは聞いていたけど想像してたより交流が深いのね」

「ジムリーダーと何人も知り合いだなんてすごいよ!」

「……」

 

俺はあることを思い出して軽く苦い顔をする

 

「ライズ君?」

「どうかしたのかしら?」

「…………いや、なんでもねぇ

それよりジムバトルだ、トップバッターはレティだが大丈夫か?」

「うん!元気も気合いも一杯だよ!」

「いつも通りだな、なら問題なさそうだ」

 

俺達はその後バトルの準備をしてジムバトルへと備えるのだった

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

『これよりボウルタウンジムリーダー、コルサとジムテストをクリアしたトレーナーによるジムバトルを行います

今から呼ばれた方はボウルタウン中央バトルフィールドまでお願いします

繰り返します……』

 

「時間だな、行くか」

 

俺達がボウルタウンの中央にあるバトルフィールドに行くと突如として風車の上の方から声が聞こえてくる

 

「挑戦者達よ!!」

 

「ん?」

「へ?」

「…………何やってんだよコルサさん……」

 

なんとジムリーダーのコルサは風車の風車の上に立っており、さらにそこから飛び降りてきた……命綱も無しに

 

「とうっ!」

「「「ちょっ!?」」」

 

だがコルサは全く危なげもなくヒロイックに着地して話を続ける

 

 

「よくぞ来た!

ワタシはコルサ、くさタイプ専門の芸術家

そしてボウルジムのジムリーダーでもある

キサマらのジムテスト……風車の上から見ていたぞ」

 

あの時からいたのかよ……

 

「キサマらのキマワリを見つけ出すその洞察力だが……

じつにアヴァンギャルド!!」

 

すると横からレティがヒソヒソと話しかけてくる

 

「ねぇライズ君、アヴァンギャルドって?」

「コルサさん曰く芸術でいう前衛的とかそういう意味らしい、要は誉めてくれてるんだよ」

 

「その審美眼が勝負でも発揮されることを祈っているぞ

それではチャレンジャースカーレット!前へ!」

「は、はい!」

 

レティはコルサに直接呼ばれてバトルフィールドへと入る

 

「それではまずはワタシたちふたりの合作アートを作るとしよう!

他の者達との合作アートは勝負が終わり次第順番だ」

「よーし、頑張るぞ……」

 

『両者配置に付いてください!』

 

審判の一声によりふたりはバトルフィールドのトレーナー定位置へと移動する

 

「準備はいいな!?」

「はい!!」

「成形……開始だ!!」

 

頑張れよレティ……




マグロ「コルサとの合作は?」
ライズ「俺のポケモン達との日常」
マグロ「つまりは吸血祭り?」
ライズ「んなわけねぇだろ……コルサさんは書いてたけど……」


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紅の少女とジムバトル

 

 

 

~ボウルタウン~『バトルフィールド』

 

「ゆけ!チュリネ!」

「頑張るよ!ガケガニ!」

「チュリ!チ゛ュッ!?」

「ンガァァァアニィィィィイイイイ!!!」

 

コルサは初手にチュリネを繰り出して、レティはあえて相性不利なガケガニを出した

 

「ほう、くさタイプ専門のワタシにあえて相性が不利なガケガニを出すか……面白い!

それに通常ではあり得ないその巨体……実にアヴァンギャルドな選択だ!」

「えへへ!タイプ相性が勝負の全てでは無いですからね!」

「うむ、その通りではある

だがそれはバトルでの腕があってこそ成立するものでもある

果たしてキサマにはそれを覆す程の力を持っているのか試させて貰おう!」

 

圧倒的な体格差……これはバトルにおいて有利に働くこともあれば逆に不利になることもある、懐に潜られれば攻撃を当てにくくなってしまうが攻撃の範囲はその分かなり広く、そして威力も大きくなる

 

『だけど素早さが高いポケモンにはどうしても懐に潜られやすい、なら!』

 

「ガケガニ!まずは『がんせきふうじ』で動きを制限するよ!」

「ンガァァァアニィィイイ!!!」

 

ガケガニの『がんせきふうじ』によってバトルフィールドに巨大な岩石がいくつも降り注いでチュリネの動きを大きく制限するチュリネは小さいがゆえに小回りは効くのだがガケガニの出す『がんせきふうじ』のようなある程度高さのある遮蔽物で道を塞げば逃げることは出来なくなる

 

「チュリネ!囲まれないように移動して撹乱しなさい!」

「チュリ!」

 

とはいえ相手はジムリーダー、こちらの考えは簡単に読めていたみたいだ

 

岩の配置は……よし!

 

「…………今!ガケガニ!『いわくだき』で『がんせきふうじ』ごとチュリネに攻撃!」

「ンガァァァァァアアア!!!ニッ!!」

「チュリ!?チュリ~!?!?」

 

『いわくだき』によりガケガニのハサミは『がんせきふうじ』による岩を悉く粉砕しながらチュリネに迫る

 

チュリネは避けようとしたが退路を他の『がんせきふうじ』によって断たれており、『いわくだき』によって粉砕された『がんせきふうじ』の破片がチュリネにダメージを与えて動きを止められてしまい、ガケガニの『いわくだき』を直撃してしまう

 

「チュリネ!体力を回復するぞ!『メガドレイン』!」

「チュ!リィィィイイ!!!」

「ンガニッ!?」

 

ガケガニは物理に対しては『ぼうぎょ』が高いこともあって耐久力は高いのだが特殊に対する体制はあまり高くない

タイプ一致弱点の特殊技であるメガドレインはガケガニには致命傷となる、だがガケガニは耐えきった後に様子が変化する

 

「ンガァァァアニィィィィイイイイ!!!!!!」

「よし、『いかりのこうら』発動した!」

 

ガケガニの体力が大幅に削られた影響でガケガニの特性『いかりのこうら』が発動する

 

ガケガニの物理と特殊攻撃に対する耐性、『ぼうぎょ』と『とくぼう』が下がるが、『こうげき』、『とくこう』、『すばやさ』の三つの能力が上がり、ガケガニの能力がより攻撃的に変化する

 

「ガケガニ!『シザークロス』!」

「ガニ!ガニィィィイイイイイ!!!」

「チュリィィイイイイ!?!?」

「ッ!?チュリネ!?」

 

ガケガニは先程よりもかなり素早く動き、チュリネの弱点である『むし』タイプの強力な技、『シザークロス』を放つ

ガケガニが素早くなっていたのもあるが、チュリネが『がんせきふうじ』によって『すばやさ』を削がれていたこともあり、全く反応出来ずに一撃で倒されてしまう

 

『チュリネ戦闘不能!』

 

「チュリネ、ご苦労だった

あえて攻撃を受けさせる事による能力の上昇、『がんせきふうじ』による機動力の低下、『がんせきふうじ』ごと『いわくだき』で攻撃するという実にパワフルかつ斬新な発想力……その冷静な判断力……実に……実にアヴァンギャルド!!

タイトルを付けるとなればそれはまさに『逆境』!

わざと自分を追い込むことで己の力を高めて逆転する!

もっとワタシにキサマのその強さを見せてくれたまえ!

ゆけ!ミニーブ!」

「ミニッ!」

 

今度はコルサはミニーブを繰り出してくる、そしてコルサ本人の表情はとても楽しそうに笑顔を浮かべており、若干観客が引いていた

 

『ガケガニは流石に引っ込めるべきかなぁ……

まさかメガドレイン一撃で『いかりのこうら』が発動するなんて……確かにガケガニの特殊耐久は低いけどそれを一撃で半分以上持っていくコルサさんの育て方が凄い……』

 

『いかりのこうら』の発動条件は己の体力が半分を切ること、そしてこのガケガニはヌシとしての大きさをそのまま引き継いでいるのもあってとてつもなく大きく、技を避けられる程の身軽さは無い

『いかりのこうら』が発動した以上残りの体力は半分を切っており、特性の効果で更に耐久が減っている以上一撃でも貰えば倒されてしまうのた

 

「戻って!ガケガニ!いくよ!ビビヨン!」

「ビヨォォオンン!!」

 

「良い判断だ、ガケガニのあの巨体ではいくら『すばやさ』が上がったからとはいえこちらの攻撃を避けきれないのは分かりきっているようだな」

「やっぱそうなりますよね……やろうと思えば一撃入れられそうですけどどのみち限界でしたから」

「ふふふふふ、良い目を持っている

その観察眼は彼から教わったものかな?」

「んーー、そうですね

なんだかんだでライズ君を見ていると色々と教えられる事が多いです」

「そうか……あいつはワタシとしても実に好ましい奴だ

これからも仲良くしてやってくれ」

「っ!はい!行きますよ!」

「ああ!来ると良い!挑戦者よ!」

 

 




マグロ「…………」
ライズ「俺達空気だな……」
マグロ「…………」
ライズ「ん?やけにこいつ静かだな……いつもならうるさいのに」
マグロ「………zzzz」


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紅の少女とウソから出た実

 

 

~ボウルタウン~『バトルフィールド』

 

 

コルサさんの次のポケモンはミニーブ……セルクルタウン周辺で見かけたけどたしかにこの子はくさタイプだ

うーん、ライズ君ならある程度どんなポケモン使うとか予測出来るのかなぁ……あとでライズ君にその辺の考え方を教えて貰うべきかなぁ

 

「まぁいろいろ考えていても埒が明かないし!ビビヨン!さっそくいくよ!テラスタル!」

「ビビヨォォオンン!!」

 

私はさっそくテラスタルオーブに力を込めて周囲の空気を吸い込ませてパワーを溜める

とはいえこの時すごい強風が起きちゃうから髪にあんまり良くないんだよなぁ

 

パワーが溜まりきってから私はビビヨンにテラスタルオーブを投げてビビヨンをむしテラスにテラスタルさせる

 

「ほう!あえてここでテラスタルを切るか!

確かにテラスタルはバトルが終わるか倒されるまで解除はされない!よってむしタイプの技の威力はずっと上がったままになるわけだ!

その発想……これは三人で話し合って決めたのかね?」

「あー、バレちゃいましたか」

「ライズは基本的に常識はずれな事を起こしやすいからな、ヤツの回りにいる者達も自然と妙な発想をするようになる」

「あー、確かにライズ君と一緒にいるといつもならあんまり起こらないような事ばかり起きたりしますし

何よりライズ君って考え方が独特で盲点だったりすることが多いこともあるので」

「我々からすればヤツの考え方が特殊なだけだがヤツから言わせれば我々は頭が固いらしい」

 

んー、確かにライズ君の考え方ってすっごい柔軟なものが多いんだよなぁ……

今度いろいろ教えて貰おうかなぁ……

 

「まぁでも今は勝負ですし考えても仕方ない!ビビヨン!『むしのていこう』!」

「ビヨォォオオオ!!」

「確かにその通りだ!ミニーブ!『はっぱカッター』」

「ミニッ!」

 

ビビヨンの『むしのていこう』とミニーブの『はっぱカッター』がぶつかり合う

だけどまだ進化していないミニーブと最終進化であり、テラスタルしてむしタイプの威力が更に上がっているビビヨンなら!

 

「ミ……ニ……ミニィィィイイイ!?!?」

 

『ミニーブ戦闘不能!』

 

「むぅ、やはり打ち負けたか……さらに範囲も広く避けきれそうにない

すまないなミニーブ

芸術とは破壊と創造だが……もしかしたらワタシが養分にされかねないな……だが!」

 

そう言ってコルサさんは次のポケモンを繰り出し……って

 

「ウソッキー!」

「いわタイプじゃないですか!?」

「ウソキーっ!?」

「すでにジムを一つ突破しているのであれば分かるであろう!!

さぁ作品完成まで一気に導くぞ!

さぁ更なる細工を加えよう!題して『ウソから出た実』!」

 

今度はウソッキーにもテラスタルが使われる、これによってくさタイプのウソッキーが出来上が……あぁ、そう言うことか

 

「『ウソから出た実』ってようは木に擬態してるのになぜかいわタイプのウソッキーへの矛盾を無くす訳ですか」

「ふふふ、ワタシのウソッキーは強いぞ!」

 

いやー、ほぼ弱点無いの本気でキツいなぁ……

 

「ごめんねビビヨン!最大威力で『むしのていこう』!」

「ウソッキー!『いわおとし』!」

 

ウソッキーの『いわおとし』によってむしのていこうは打ち消されるどころか打ち負けてしまい、ビビヨンへと『いわおとし』が向かってくる

 

「ヤバッ!?避けて!」

「ビヒヨォォオ!!」

 

危なかった……流石にジムリーダーのエースだけあってテラスタルのタイプ一致での『むしのていこう』が簡単に打ち負けちゃった……

 

「ビビヨン……覚悟を決めるよ……」

「……ビビヨ」

「アートは時に速さが命!スピードを上げていくぞ!

ウソッキー!『くさわけ』!」

 

ウソッキーの頭の冠が光輝き、ウソッキーが加速しながら突撃してくる

 

ってどんどん素早くなっていく……くさタイプでのニトロチャージみたいな感じ!?

 

「ビビヨン!頑張って受けきって!」

「ヒビヨッ!?ビ……ビビヨ……ビヨォォオオオ!!!」

 

ビビヨンはなんとかウソッキーの『くさわけ』を受けきったけど結構ダメージが大きかった影響でビビヨンの結晶がひび割れてしまっている……だけど!

 

「今だよ!『むしのていこう』!!」

「ビ……ビビ……ビビヨォォオンン!!」

「ウソッキーーー!?!?」

「っ!あれを受けたのはわざとか!?

しかし惜しかったなウソッキーは特性『がんじょう』でどんな一撃でも確実に耐えることが出来る

そしてそのポケモンはもう限界のようだな」

「ビビ……ヨ……」

 

ビビヨンは最大威力の『むしのていこう』をウソッキーへと直撃させたけど、さっきの『くさわけ』がかなり大きなダメージになっていた

 

「ウソッキー!とどめの『いわおとし』!」

「ウーソッキー!」

「ビビヨッ!?」

 

『ビビヨン戦闘不能!』

 

「ごめんねビビヨン……ゆっくり休んでて……

確かにさっきのくさわけはわざと受けました、そして確実に耐えられることも知っていてあえて相討ちになるような形で攻撃をしたのもこれが狙いでした

コルサさん、あなたのウソッキーの『がんじょう』が発動したと言うことはもうほぼ満身創痍、ただの『たいあたり』を一度貰うだけで戦闘不能になってしまう体力です」

「成る程……テラスタルしたポケモンで打ち勝てないのであれば相討ちという形で相手を大きく疲弊させて確実に次に繋げるか!!

実に!実にアヴァンギャルドだ!

だが先程のガケガニとワタシのウソッキーではこちらのほうが素早く動くぞ、それではどうする!」

「ええ、だからこそ!この子で倒します!

行って!ニャローテ!」

「ンニャロォオオ!!」

 

そしてニャローテには確実に倒すためのある技を覚えさせてある、それは……

 

「くさタイプのジムリーダーにくさタイプで倒しに来るか!さぁ!作品の完成といこうではないか!」

「ええ!ニャローテ!『マジカルリーフ』で確実に倒して!」

「ニャローー!」

「ウソッキー!『いわおとし』!」

「ソッキー!!」

 

『マジカルリーフ』は『かならず』攻撃が当たる技だ、これを使うことによってウソッキーは技を避けるという選択肢は実質無くなってしまう

そうなると残るは相殺するという手段だけど……

 

「弱ったウソッキーだと相殺まではいかない!!」

「ウソォォオオオ!?!?」

 

『ウソッキー戦闘不能!

勝者!チャレンジャー・スカーレット!』

 

「やったぁぁぁぁ!!!」

「アヴァンギャルド!!」

 

私が嬉しそうにニャローテと喜ぶとコルサさんは割と悔しかったみたいで頭をかきむしっている

だけどすぐに笑顔になってこちらに来る

 

「なんというアーティスティックなタクティクス!

技のパターン!ポケモンのディティール!

全てが研ぎ澄まされている!

キサマとの戦いを芸術と言わずして他の何を芸術と呼ぶのだ!?」

「へ?あはは、ありがとうございます?」

 

何を言ってるか割とさっぱりだけど凄い誉めてくれているのはわかった

 

「……ワタシからの審議は文句無しの合格だ

その証にバッジを進呈しよう!」

 

そしてコルサさんからくさバッジを貰う

 

「あ!コルサさん!ライズ君とお姉ちゃんとのバトルが終わったら記念撮影いいですか!」

 

やっぱり写真には残したいし!

 

「ふむ、良いだろう!だがワタシとてまた簡単にはやられてはやらないぞ!」

 

よかった~勝てた~!

あとはヴィオ姉とライズ君だ……頑張って!




マグロ「アヴァンギャルドって……どういうタイミングで使えば良いのか分からねぇ……つかコルサの台詞が本気で迷う……」
ライズ「次は俺達の番か?」
マグロ「いや、省略してさっさとモンハンモンスター戦になるよ」
ライズ「結局空気かよ……」


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少年と尾槌竜★


さぁ皆さんお待ちかねのくさタイプのモンハンモンスターの出番となります


 

 

~ボウルタウン~『バトルフィールド』

 

 

レティとコルサさんとのバトルが終わった後俺とヴィオのバトルになった

 

まぁ結果としては圧勝だったな……

 

「キサマ……どれだけ力を付けたんだ……

手も足も出ないじゃないか……」

「あー……まぁ相性の問題が大きいですよ……俺のポケモン全体的にくさタイプに強い上に最近目的の為に鍛え始めましたから」

「そうか……とはいえ改めてアナザーポケモンの驚異を実感させられるな……まさに芸術的な力強さ

たった一匹で生態系を支配出来るのではないかと思えるほどだ」

「まぁ事実支配していたアナザーポケモンもいるんじゃないですかね?

なんなら野生化していた頃のアナザーポケモンは生態系を大きく乱していた個体もいたからな……

ヴィオの『シュニン』なんかが良い例だよ」

 

実際初めて出会した頃のシュニンは周辺のガケガニを喰らいまくって生態系を乱していた……

なんならレティの持っているガケガニはひでんスパイスを摂取して強大な力を手にしたヌシ個体だったがそれすらも一蹴したほどだ

 

「あぁ……ワタシとしてもあれは洒落にならなかったよ……

なんなのだあの理不尽な『ころがる』は……」

「あぁ、俺らもあれで軽く死ぬかと思ったよ……ただ味方に出来ればホントに心強い」

「ふ、確かにな……そしてキサマはワタシの持っているアナザーポケモンとのバトルが目的だったな」

「えぇ、コルサさん

俺からも改めて勝負……お願いします」

「良いだろう!ワタシとキサマで1:1のアナザーポケモン同士のバトルと行こうじゃないか!」

 

そして俺達はバトルフィールドのトレーナーの定位置へと移動する

 

「がんばってー!」

「勝ちなさいよー!」

 

向こうからレティ達の応援が聞こえる

 

「あ、今日のご飯も期待してるわねー!」

「ちょっ!?ヴィオ姉!?」

 

あんにゃろ……

 

「なかなか愉快な仲間のようだな」

「ええ、まあ……さて、始めましょうか!」

「そうだな……ゆくぞ!ドボルベルク!」

「ボォォオオオォオオオ!!」

「いけ!ギィギ!」

「ギィイイ!!」

 

コルサが繰り出したアナザーポケモン……

身体の大部分は茶色の鱗が集まってできた分厚い甲殻に覆われている

凹凸のある表皮には苔やキノコなどが生えており、元々の巨体も相成ってその容姿は小山が動いているかのようだ

さらにその尻尾は先端がハンマーのように大きな球状に膨らんでおり、その角は斧のようにめ見える

 

見るからにパワータイプのポケモンだが……

あの尻尾……明らか嫌な予感がする……

 

「ほう、あえて体の小さいギィギを出すか

逆に巨体のバサルモスを出してしまえば攻撃を避けることは出来ないからな」

「そのポケモンのパワーは未知数ですが、見た目からして何度も喰らうわけにはいかないくらいのパワーはありそうですからね……」

「ならば……当たるまで攻撃するのみ!

ドボルベルク!『ウッドホーン』!」

「ボォォオオオォオオオ!!!」

 

ドボルベルクがその角に植物のエネルギーを貯めて『ウッドホーン』を発動して地面を抉り取りながら突進をしてくる

って思ってたより移動速度速いな……

 

「ギィギ!真横に避けろ!」

「ギッ!」

「ドボルベルク!その場で回転して『ウッドハンマー』!」

「ボルッ!ボォォオオオォオオオ!!!」

 

ドボルベルク突進の勢いを殺さずに遠心力を用いて回転して尻尾をギィギに向けて横から叩きつけようとしてくる

 

「ギィギ!『まもる』!」

「ギッ!ギギギギ……ッ!?」

「ボルクッ!」

「ギィッ!?」

 

なんとドボルベルクは己のパワーを最大限活用して『まもる』を使って防御したギィギを無理矢理吹き飛ばした

 

幸いギィギの身軽さと柔軟な肉体のお陰で吹き飛ばされたダメージは無かったが……なんというパワーだ

 

「ほんっと……まるで山そのものだな……

今の一撃はバサルモスですら受けきれるか怪しいぞ……」

「だろうな……ワタシもあの一撃で本気のポケモンが数匹吹き飛ばされてしまった、とはいえ耐えたがな」

 

ジムリーダーの本気のポケモン……それはこの地方でも最強の一角となるまで育て上げられたポケモンだ

いくら実力差があってもそれを簡単に覆しかねないパワーは驚異と言う他無いな……

 

「ギィギ!『どくどく』!」

「ギィ!ギィィイイイ!!」

「ボルッ!?」

 

俺はギィギへの指示で『どくどく』を使わせてドボルベルクを『もうどく』状態にする

 

わざわざギィギへとまもるを覚えさせていたのもこれが理由の一つだ

『どくどく』ははがねタイプやどくタイプには効果が無いが、それ以外を『もうどく』状態にして時間が立てば立つ程体力の消耗が加速する強力な状態異常だ

 

そしてこの『どくどく』はどくタイプのポケモンが使った場合必中となる

 

いくら力強く、そして圧倒的に実力が上のポケモンだとしても『もうどく』状態であれば時間さえかければなんとか倒せなくは無いのだ

 

「『もうどく』か、確かにドボルベルク相手にはかなり有効だ

ならばこちらは短期決戦を仕掛けさせて貰おう!

ドボルベルク!『ほうがんなげ』!」

「ボルァァァァァァアアアア!!!」

 

ドボルベルクはその場で尻尾の遠心力を利用して回転をし始める

速度自体はゆっくりだが、ハンマーのような尻尾が通る度にとんでもない風圧が発生しており、なかなか近づけない

 

『ほうがんなげ』と言っていたがもしやどこぞの『メガ進化』ポケモンのように尻尾を射出したりしないよな……

 

「ギィギ!足元だ!あいつの足元が死角だ!タイミングを見て潜り込め!」

「ギィ!」

「甘い!ドボルベルク!」

「ボルッ!」

 

するとドボルベルクは回転を軽く緩めながら尻尾を上に向けて……って!?

 

あの巨体でなんつう大ジャンプしてやがる!?

 

「不味い!?ギィギ!『みがわり』!」

「ギィイ!?ギ、ギイ!」

「ボルァァァァァァアアアア!!!!!」

 

ズドォォォォォォオオオオオオオオン!!!!!

 

飛び上がったドボルベルクはその回転の遠心力と重力による自由落下での加速、そしてとんでもない自重によってバトルフィールド全体を粉砕するかのごとき衝撃を与えてフィールドに陥没するほどめり込む

 

ヤバかった……『みがわり』が間に合ってなければ確実にやられていた……あの威力ではたとえ『まもる』をしたとしても粉砕されるだろう……

 

「無事か!ギィギ!」

「ギッ!」

「ボルッ……フーッ!フーッ!」

 

するとドボルベルクの背中にある切り株のようなコブから呼吸と共に蒸気が吹き出し始める

 

「そうか……確かにそろそろ限界か……ならば最後に破壊的なアートを施すとしよう!!

ドボルベルク!『げきりん』!」

「ボルァ……ボルァァァァァァァァアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

ドボルベルクは『げきりん』によってとんでもなく高火力の物理攻撃を連続で続ける

幸い怒りで我を忘れている状態の為に隙が大きいが攻撃の範囲もとてつもなく広い上にかなり動きが速くなっている

 

「ギィギ!避けきれ!これさえ凌げばなんとか勝てる!」

「ギィ!?ギッ!ギィ!ギィギッ!?」

「当たりそうな攻撃は『まもる』で反らせ!真っ正面からじゃなく斜めに当たるように『まもる』を使えば自然と攻撃は斜めにズレる!」

「ギィ!ギッ!ギィ!!」

「まるで山の怒り、噴火のごとき猛攻!やはりワタシの目に狂いは無かった!

普段は温厚なドボルベルクが怒り狂ったこの姿はまさに自然そのもの!山の化身のようだ!ワタシはこの芸術的な光景をしっかりと目に焼き付けなければ!」

「言ってる場合かっ!?確かに『げきりん』を使えばまともに指示は通らないけどさ!?」

 

そしてしばらくドボルベルクの『げきりん』を受け流し続けるとついに限界が来たようでその場に倒れた

 

「ボル……クゥ……」

 

ただ倒れただけだと言うのに周囲にとてつもない振動が起こる辺り相当な重量のようだ

 

『ドボルベルク戦闘不能!チャレンジャーライズの勝利!』

 

はぁ……割と真面目にヤバかった……

巻き込まれるかと思ったぞ……




マグロ「ういっ」

ドボルベルク
アナザーポケモン
くさ・ドラゴンタイプ

特性:ハンマーつかい(ハンマー系の技の威力を1.2倍にする
『アームハンマー』、『デカハンマー』、『アイスハンマー』、『ウッドハンマー』、『ほうがんなげ』)

技:ウッドホーン
  ウッドハンマー
  ほうがんなげ
  げきりん

なお何故かポケモン世界では『ふんか』を覚えるようだ


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紫の少女と転生という秘密

 

 

~ボウルタウン~

 

 

なんとかコルサさんのドボルベルクを倒せた俺は思わずその場に座り込む

 

「ギィィイイイ~」

 

ギィギも溶けたようにフィールドの上で溶けている

 

「さすがのキサマ達もドボルベルクのパワー相手に疲弊したようだな……」

「そりゃそうですよ……風圧がとんでもないし地響きもえげつない……

トレーナーにすらダメージが入ってますよ

コルサさんは……まぁ大丈夫そうですね……」

「ふっ、ワタシもこいつの攻撃の余波に慣れるまで苦労したさ」

「さいですか……っとレティ達か」

 

すると観客席にいたレティとヴィオがこちらに向かってくるのが見えた

 

「次はどこに向かうつもりかね?」

「次はハッコウシティの予定ですよ……はぁ」

「となると久しぶりの再開といった所か」

「とりあえず後で靴にスパイクでも付けてきますよ……」

「ククク……まぁ頑張ってくるといい、キサマの芸術的なポケモン達がもっと強くなれるようにな」

「まぁ頑張り続けますよ……

アイツは一度しばくつもりですけど……」

 

はぁ……軽く憂鬱だな……

 

結局俺達は最後に皆で記念撮影をしたりしてから一度宿へと戻り、一晩泊まってからボウルタウンを出ることにした

 

それにしてもアルセルタスもそうだったがドボルベルクもどちらも凄まじい力を持っていた……こいつらも進化したらあれだけのパワーを持つことが出来るのだろうか……

 

 

_________________________________________________

 

 

ヴィオ視点

 

 

とりあえず私達はボウルタウンを出てからしばらくハッコウシティへと向かって進み続けていたのだけれど……

 

ただやっぱり我慢出来なくなってきたから一つツッコませて欲しい……

この世界ポケモンの世界だったわよね……

なんでモンハンのモンスターこんな出てきてるのよ!?

 

「どうしてこうなったかなぁ……」

「ん?ヴィオ姉どうしたの?」

「へ?あぁ、なんでもないから大丈夫よ」

「そう?何かあったらちゃんと伝えてよ!力になるから!」

「ふふ、ありがとう」

 

あー、私の妹マジ天使だわ……

 

まぁ私は所謂転生者と言う存在なのだけどこの事はママやレティにも秘密にしている

ぶっちゃけ言ったところで正気を疑われるだけだしね

 

正直私が生まれ直した世界がポケモンだって知った時は狂喜乱舞する程興奮したわよ

赤ん坊だったから怪しまれずに済んだけど割と危なかった……

 

ただライズと出会うまではこの世界はちゃんとポケモンだけだと思ってたのよね……そりゃ困惑したわよ?

だって明らかに世界観が違いすぎる超バイオレンスな世界のモンスターがいるんだもの……

威圧感も今まで見てきたポケモンと大違いすぎるわよ

それこそ故郷のガラル地方でのキョダイマックスポケモンと同じくらいだもの

 

私のポケモンの知識は剣盾までだったからパルデア地方の知識ははっきり言って皆無に等しい

でも何だかんだで新しい出会いが多いから楽しんでいるわ

 

「にしても相変わらず彼にはなにかしらが引っ付いているわね……」

「アギャアギャ」

 

私はミライドンにライドしながら呟く

ミライドンもこれには頷いており、現在彼の頭から背中にかけてウロコトルが引っ付いている

その状態でガーグァの荷馬車に乗って普通にしてる辺り余程慣れてるのね……

 

あいつやたらとモンスター達に好かれまくってるのよねぇ……

スクアギルはしょっちゅう吸血はするけど終わった後は甘噛みしたりとか膝の上でゴロゴロしてたりするし

 

ギィギは頭の上で寝てることが多いし

 

アイルー、いえニャンターは彼のお世話を自分からしたがるし

 

ウロコトルは割と良くのしかかったり巻き付いてるし

 

バサルモスは良く彼に頭を乗せて撫でてほしそうにすることがある

 

ガーグァは……何故か彼を口に咥えて反芻してるけど

 

彼曰く突然目の前現れたりしたポケモン達らしいのだけど彼が転生者って訳では無さそうなのよね

たまーにカマをかけたりしてはいるのだけど一切引っ掛からないし本当にモンスター達の知識は皆無みたいだもの

 

でも……彼と一緒に旅をするのもなかなか楽しいのよねぇ

何よりご飯が美味しい!

 

私達はガラル出身なのもあって作れるご飯が殆どカレーしかないのよ!?

美味しいけど!?美味しいけどカレーばかりは飽きてくるのよ!?あそこの文化基本がカレーなのよ!?

 

まぁそんなわけで基本的に私達のご飯は彼に任せてたまに手伝ったりしている

でも故郷の味が時々恋しくなるからたまにカレーを作ったりはするけど

 

……思ってたら久々にカレー食べたくなってきたわね

 

「ねぇ、今日は久しぶりにカレーにしないかしら?

久しぶりに故郷の味が恋しくなってきたわ」

「お!良いねぇ!じゃあ久しぶりに一緒に作ろうよ!」

「カレーか、なら俺はそれに合いそうなもん用意しとくか……」

 

彼はパンとかは基本自分で作るタイプでカレーの時にはそれに合う柔らかくふわっふわなパンかナンをいつも自力で用意していた

しかもウロコトルの炎をうまく使ってとんでもなく美味しいのを作るのだ

釜戸に関してもその辺の岩を粉砕して簡易的なのを作ってアイルーと一緒に調理したりしている

 

分かってはいるのだけど彼やたらとサバイバル技術高いのよね……

 

ただハッコウシティが近付くに連れて彼は表情が険しくなっていく

 

「どうしたのかしら?」

「なにが気になるの?ヴィオ姉」

「なんかライズがハッコウシティに近付くに連れて不機嫌そうになるのよ

確かライズってハッコウシティからポケモンアカデミーに来たって言ってたわよね」

「あ、確かに

故郷は違うらしいけど今はハッコウシティに住んでるって聞いてるよ」

「そうなるとなにかあるのかしらね?」

 

そして目の前にハッコウシティが見えてくると何故かライズは荷馬車の中で自分の靴にスパイクを付け始める

 

雪山とかに行くわけでもないしスポーツをするわけでもないのにどうしたのかしら?

 

結局なぜ靴を歩きづらくなるスパイクシューズにしたのか分からず仕舞いだった

 

 

 

 

ハッコウシティに到着したのでミライドン達を軽く撫でてから降りてボールに戻す

 

しっかしほんとここだけ大都会って感じのする街よねぇ

 

「わーー!凄い!凄いよヴィオ姉!

こんな街ガラル地方でもここまで発展してたとこは見たことないよ!」

「そうね、ガラルのシュートシティよりも都会って感じがするわね」

 

正直現代日本と比べても違和感無いレベルなのよねぇ……

 

確かここのジムリーダーはナンジャモというポケチューブ等で有名な人だったわね

私はポケチューブとかは興味が無いからあまり見たこと無いのだけどハッコウシティまで来たのだし情報収集ついでに軽く見ておこうかしら?

 

そう思って私がスマホロトムを起動してポケチューブのナンジャモの動画を探し始めると一つの事に気が付いた

 

『あれ……この動画の横にいるやつって……』

 

すると町の向こう側からなにかを叫びながらこちらに走ってくる人影が見える

 

「…………ズ氏ー…………イズ氏ーー!…………ライズ氏ーーー!!!」

 

 

んんんんん??????

ちょっと待ってあれってナンジャモじゃ……

 

すると彼は無表情……いえ、額に青筋を浮かべて脚を上げて靴がナンジャモの頭に来る位置に……うん??

 

「あっぶねぇ!?!?」

 

ナンジャモは彼の靴のスパイクに刺さるギリギリで顔を反らして避けた

 

「ライズ氏!?ご丁寧に靴にスパイクって帰ってきて早々物騒すぎるよ!?」

「うっさいわ!?毎回毎回俺を巻き込みやがって……

ちょっと成敗してやるから一緒にこっちにこいや……」

 

すると彼はナンジャモの首根っこを掴んで引きずっていくのだけど彼女は体をくねらせながら頬を赤らめる

 

「ええ、ボクを連れ込むの……ボク達の愛の巣なら……」

「もういい、ここでしばく……覚悟は良いな!?」

 

すると彼女の冗談にキレたライズが片足を上げて両腕をファイテングポーズのようにしたメガバシャーモのようなポーズを取ってそのままの状態でナンジャモへと近付く……

ってあれは阿修羅閃空!?

 

「えっ!?ちょっ!?軽い冗談じゃないか!?」

「デヤァァァア!!!!」

「うわらば!?」

 

結果目にも止まらぬ速さの連撃がナンジャモに叩き込まれてナンジャモは倒れる

 

何故だろうか……彼が滅と言って背中に天の文字が見える幻覚が見える……

 

「ふぇ!?えっ!?ちょっ!?えっ!?」

 

レティがあまりの光景に困惑しまくっている……

うん、私も困惑してるわ、でもネタにあえて走るとするならそうね……

 

「わ け が わ か ら な い よ」

 




マグロ「ってなわけでヴィオは転生者でした、まぁ伏線は出しまくってたから割と皆は気付いてそうやけどな」
ライズ「ホワタタタタタタタタタタタタ」
マグロ「なおナンジャモがしばかれる理由は次回までのお楽しみに」
ライズ「滅殺!」


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少年と双子と配信

今回は文字メインで描写少なめです


 

 

~ハッコウシティ~

 

 

「おはこんハロチャオ~!

あなたの目玉をエレキネット!

何者なんじゃ?ナンジャモです!

ナンジャモの~?ドンナモンジャTVの時っ間っだぞー!」

 

『おはこんハロチャオー!』

『ナンジャモ~!結婚してくれ~!』

『おはこんハロチャオー!』

『おはこんハロチャオー!』

『おい今の誰だ!?』

『ギルティ』

 

「こらこらー、ボクは皆のナンジャモだぞー!

まぁライズ氏なら~ってあだだだだ!?!?」

「なんか言ったか?」

「ライズ氏の久々のアイアンクローは気持ち……気持ち……良くなる前にボクがつぶれちゃうよ!?あだだだだ!?」

 

俺はこの阿呆がまた馬鹿な事をほざき始めたので結構強めにこいつの顔面を掴んで爪を食い込ませる

 

『おー、久々のライズ氏だ』

『元気してたー?』

『相変わらず容赦がねぇww』

『しばかれてるナンジャモもなかなか……イイゾモットヤレ』

『俺らのナンジャモに結婚しても良いと思われるとか有罪』

 

「ったく……」

「ヌォォォオオオ……ひっさびさ過ぎてダメージが……

とりあえず今日はライズ氏お帰り配信でーす」

「行き当たりばったりかよ……

いきなりスタジオ連れてきたと思ったら」

「えへへ~!でもそんな配信でもバズるのがこのボク!

エレキトリカル★ストリーマーのナンジャモ様なのさ!」

「おおすごいすごい」

「棒読み!?」

 

『お帰り~』

『お帰り~』

『おかか~』

『おにぎり~』

 

「おいまて誰だおにぎりの具にしたやつは…」

「ライズ氏ナイスツッコミ!

さて、今回はもう二人程ゲストがいるのである!

皆の者~!美少女追加いくぞー!」

 

『おおぉ!?』

『キターーー!』

『さすがナンジャモ!』

『美少女……ハァハァ……』

『今の変態誰だ!?』

『吊るせ吊るせw』

 

「はぁ……わりぃな巻き込んで……」

「ううん、でも私配信って出るの初めてだから緊張するなぁ」

「いつも通りで良いよ、ここを見てるやつは基本変態や馬鹿が多い

下手に繕うよりこっちのが何倍も良い」

 

俺がこいつの配信に出たがらない理由も実を言うとここにある

こいつとこいつの視聴者共は毎度毎度こっちをからかうわこっちの用事を無視して絡んでくるわでめんどくさいんだよ!?

 

何度バサルモスに潰してもらおうかと思ったことか……いやまぁ一回潰したけど

 

「うぉっ!?なんか寒気が!?

ライズ氏なんかろくでもないこと考えた!?」

「あん?」

 

俺はバサルモスの入ったヘビーボールを取り出す

 

「ちょっ!?潰すのは本気でタンマタンマ!?

前に潰された時めちゃくちゃ痛かったんだからね!?」

 

『むしろあれを痛いで済ます辺りナンジャモがすごいw』

『普通は死ぬw』

『生きてたとしても骨の数本くらいは持ってかれると思うんですがw』

『なぜナンジャモは痛いだけで済むのやら』

 

「え、バサルモスに潰されて痛いで済むんですか……人間ですか!?」

「少なくとも人間はやめてるんじゃないかしら?」

「ちょっ!?二人とも酷いよ!?」

 

少なくとも俺もそう思う、あと二人とも引きすぎだ

 

『それより美少女二人の紹介プリーズ』

『ハリーハリー』

 

「おっとそうだったそうだった

彼女達は双子の姉妹で紅色の髪の元気そうな娘が妹のスカーレットちゃん!

紫色の不思議ちゃんっぽいのが姉のバイオレットちゃんだよ!」

「誰が不思議ちゃんよ」

「ちょ、ヴィオ姉ステイ!?ステイ!?」

 

ヴィオが手袋をして『くっつきバリ』を取り出す

ってヲイ……

 

「ちょっ!?くっつきバリは普通に痛いって!?

外す時も他のとこに刺さるからつらいんだって」

 

『刺さった事がある辺りナンジャモだなぁって思うわw』

『これぞナンジャモクオリティ』

『むしろなんで刺さったことあるのww』

 

答えは簡単

 

「俺がポケモンの調査してるのを邪魔した腹いせにトラップとしてこいつの良く座る椅子に設置した」

「なにやってんのライズ君!?」

 

折角アイルーの習性とか他のモンスターの習性の調査が終わりそうだったと言うのに……

 

『なんだかんだ言ってナンジャモがライズ氏にしばかれる様子を見るのが好きってやつも多いよなぁ』

『しばかれてるナンジャモ……イイッ!』

 

俺が毎回毎回こいつに絡まれている理由

それはこいつがしばかれてる様子が何故か……何故かバズったのだ……

それが原因なのかこいつはさらにウザく絡むようになってきた……

 

『まぁ割とライズ氏とばっちりだから若干可愛そうだがw』

『でもなんだかんだで付き合ってやってるライズ氏を見るのもまた面白いんだよなぁ……最近はアカデミー行っててなかなかコラボしてくれないけど』

 

「あ、わかる!ライズ君ってなんだかんだ面倒見良いよね

口では嫌がってても見捨てられないって感じ……

なんて言うんだったかなぁ、ツン……ツン……ツンデツンデ?」

 

レティちがう、それウルトラビースト

 

『ポケモンで草』

『ウルトラビーストww』

『ライズ氏=ウルトラビースト?ww』

 

「あっははははは、ライズ氏がウルトラビーストってウケる……プッククク……」

「…………ガシッ」

 

俺はこいつにまずはベアハッグをかます

 

「ふぇ!?ラララララ、ライズ氏!?こんな急に!?その……大胆ですなぁ」

 

『はぜろ!?』

『爆発しろ!?』

『いやまて……これはまさか!?』

 

そしてこいつをつかんだまま全身を後方に反らして……

 

「え゛……ちょ!?これは……まさか!?」

「オルァッ!!」

「ゴチルゼルッ!?」

 

全力で地面へとこいつの頭を叩きつける!!

 

『ジャ……ジャーマン……スープレックス』

『さ……さすがライズ氏!?俺達に出来ないことを平然とやってのける!』

『そこにシビれる憧れるゥ!』

『おまいら息ぴったりか!?』

『というかナンジャモ……地面に突き刺さってない?』

 

「これでしばらく再起不能だろ電池の無駄だしそろそろ配信切っとくぞ」

 

『お?今回はこっちのパターンか』

『お疲れ様でスター!』

『おいスター団混ざってんぞww』

 

 

 




マグロ「ツンデレ乙」
ライズ「やれ」
猫狩人「おまかせにゃ!刺身にしてやるにゃぁぁぁぁ!」
マグロ「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」


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少年と双子とナンジャモ  そしてヒs……ネモ

 

 

~ハッコウシティ~『ライズの自宅』

 

「おはこんハロチャオ~(小声)

何者なんじゃ?ナンジャモです!

今日はある思いつきでちょっち視聴者の一人の協力を得ながらライズ氏の自宅に来ております」

 

『おはこんハロチャオ~……いや眠いって』

『まさかこんな真夜中にやるとは……来たけどw』

 

「今日はですね~お手伝いに来てくれたエスパー使いのエスパーさん(仮)に手伝ってもらってライズ氏の見ている夢に干渉したいと思いまーす!」

「ドーモ=エスパーサンデス」

 

『ドーモ=エスパーサン、視聴者デス』

『ってことはまさか……』

 

「本日の配信はナンジャモの都合の良い夢をライズ氏に見せる作戦でーす

ってなわけでエスパー氏よろー」

「どうなっても知りませんからね……ムシャーナ、『さいみんじゅつ』」

「バッチコーイ…………zzzzZZZZ」

 

『おっとナンジャモちゃんも寝たぞ?』

『ってことはエスパー氏の役割は……』

 

「はい、まぁお二人の夢を繋いでナンジャモさんに主導権を譲るだけですね

まぁライズ氏に気付かれたら一発アウトで主導権奪い返されるんでどうなるか知りませんが……

お二人の見てる夢は撮影出来るように我々のサイコパワーで映像化させますのでご安心を……」

 

『おお!有能!!』

『そこに痺れ以下略』

『ライズ氏って観察眼かなり鋭かったよな……大丈夫かこれ?』

 

_________________________________________________

 

 

ん……眩しい……なんだこれ……

 

やたらと眩しい光に俺は目が覚める

 

確か昨日は結局レティ達を俺の家に泊めてソファーで寝てたんだっけな……

 

周囲には何故かファンファーレが聞こえており何故か『おめでとう』等のお祝いの言葉が聞こえる……

ん?明らかに俺の家じゃありえねぇぞ?

なんか嫌な予感が……

 

目を開けるとそこには……

 

「汝、ナンジャモは新郎ライズを愛すると誓いますか?」

「はい♪」

 

ん???

なぜナンジャモがウェディングドレスなんぞ……

つかここって……教会?

オイちょっとまてどういうことだ!?

うぐっ!?しかも身体が言うことを聞かない!?

 

「汝、ライズは新婦ナンジャモを愛すると誓いますか?」

 

ちょおぉい!?ふざけんなよ!?つかこれどう見ても夢だろ!?

ふざけろよ!?ってか身体が言うことを聞かねぇ!?

俺の夢ならもうちょい自由にさせやがれ!?

 

「は……い……誓い……ま……す」

 

あーーー!?!?

ちょっ!?マジで洒落にならねぇぞ!?

つかこんな夢見て動けもしないとかぜってぇあの馬鹿なんかやりやがったな!?

 

俺はギリギリ主導権を取り返した目を使って周囲を見渡すとあるポケモンの姿が見える

あれは……ムシャーナか……しかもサイコパワーを使ってる……ならば……

 

俺は全力の殺気をムシャーナへと向ける

 

『ムシャッ!?』

『あ、やべ気付かれた』

 

「それでは新郎新婦二人による誓いの……」

 

俺の夢なんだろ?なら俺の見たいもんにさせろ!!

 

「……パンチを!!」

「へっ!?」

 

よし、ナンジャモが明らかに動揺している、つまりこいつは同じ夢を見てるってことだな……

 

俺は同じ要領で手にメリケンサックを産み出して嵌め込む

 

「待って!?ちょい待って!?パンチの交換ってなに!?

普通キスじゃないの!?交換だとしても指輪とかじゃ……」

「ナーーンーージャーーモーー!」

「ピイッ!?」

「折角愛の誓いを誓わされたんだ、愛死合うぞこのやろう……」

「や……やさしく……してね?」

「……死にさらせやこのど阿呆がぁぁぁぁぁぁあああああ」

「にぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

俺は全力の拳をナンジャモの顔面に叩き込んだ

 

 

_________________________________________________

 

 

俺が意識を取り戻すと目の前には俺の拳が顔面に突き刺さったナンジャモが気絶していた

 

「んで?これはお前らが仕組んだ事ってわけか?」

 

俺は近くにいたもう一人、震えるムシャーナを抱えたエスパー使いへと視線を向ける

 

『おっふwライズ氏夢の中でも容赦ねぇwww』

『メリケンサックwww』

『ナンジャモ顔面陥没してないかこれww』

 

「まぁそうなりますね……貴方相手だと絶対気付かれそうだったんで一応注意は促したんですけど……」

「っとなるとこいつがそれを無視して押しきったのか……

まぁお前はこいつとは違って初犯だから見逃す」

「ありがとうございます……ムシャーナ……帰ろっか」

「コクコクコクッ」

 

エスパー使いは震えたムシャーナを抱えてそのまま俺の家から出ていく

スマホロトムを確認してみると案の定配信されていたので切っておく

 

とりあえずこの馬鹿を捨ててくるか……

 

 

 

翌日、レティ達が起きるのを待ってジム施設へと行くとジムテストは何故かクリア扱いになっていた

 

どうやらナンジャモが気を効かせて配信をジムテスト扱いにしていたらしい

 

基本的にナンジャモのジムテストは盛り上がる配信をする事らしい

実際俺がいる配信は基本的に毎回良い盛り上がりを見せるために何度もやる必要はないと判断したんだそうだ

 

そういう気が効かせられるなら少しは自重を知れっての……

 

「んで?どうするよ?このままジムバトルまでやっても良いがある程度バトルをして腕を上げてからって手もあるぞ」

「うーん……バトルとなると私達だと正直手持ちが分かっちゃってるのもあるからなぁ……」

 

まぁ実際問題手持ちが全部わからないジムリーダーの練習に手持ちの分かる身内のポケモンとのバトルはあまり良いとは言えない

 

コルサの場合はコテンパンにされたトレーナーが多くて有名になっていたというのもあるが今回ばかりはそうも行かない

 

「ライズはナンジャモのテラスタルポケモンは知らないの?」

「いや、俺は今回はそこまで知らないが……正直怖いのが特性『ふゆう』のポケモンにテラスタルされることだな

でんきタイプの弱点は唯一じめんのみだが『ふゆう』はそれを無効にしてしまうからな」

「……実質弱点無しね……確かに出されたらかなり厄介ね」

 

すると遠くから誰かが俺達の名前を叫びながら走ってくる、またナンジャ……うげっ!?

 

「ヴィオー!レティー!ライズー!久しぶりーー!!」

「あ、ネモだ、久しぶり~」

「久しぶり!!皆もハッコウジムに来てたんだ!ってことはバッジはここで3つ目?」

「まぁそうなるな、んでお前はどうしてここに?」

「私はさっき遠くでバトルって声が聞こえて探してみたら三人を見つけたんだ~」

「「「うっわ……」」」

「なんで三人共そんな引くの!?」

 

流石にバトルという単語だけで反応して場所を見つけ出すのはいろいろと危ないやつとしか思えねぇぞ……

 

「ってなわけで久しぶりにバトルしよ!」

「なにがてなわけでだよ……」

「ジムリーダー前の慣らしがしたいんじゃなかったの?」

「うぐっ……そこを突かれるとなぁ……誰からやる?」

 

ったくこの戦闘狂が……

 

「まぁちょうど良いと言えば良いか……ただし一人一戦までな

上限付けねぇとお前は日暮まで戦おうとするからな……」

「ええー!そんなー!」

「ナイス……」

 

結局俺達はジム戦前の軽い特訓としてネモと戦うことになった

 

 




マグロ「どうせ夢なんだからそのままぶちゅっといけば良いものを……」
ライズ「…………」
マグロ「ヘタレ!チキン!」

怪力男「ふりふり(ゆびをふる)」

マグロ「もしかしてライズは男sy……」

カイリキー の 『あくまのキッス』

怪力男「ガシッ」
マグロ「ゑ?」


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少年ち少女とエレキトリカル★ストリーマー

今回はちょい短めです


 

 

~ハッコウシティ~

 

 

まぁ正直ネモとのバトルはそこまで苦戦はしなかった

ネモの手持ちはイワンコ、パモット、そしてクワッスの進化であるウェルカモだったのだが

俺達の場合はイワンコとパモットをヴィオがシュニン、レティが元ヌシガケガニ、俺の場合はバサルモスであっさりと突破が出来てしまったのだ

 

理由としては簡単でこいつらにはナンジャモ戦用にそれぞれじめん技である『じならし』を覚えさせていたからだ

 

特にシュニンなんかは元々メインの攻撃で『じならし』を扱っていたのもあり、直撃のさせ方が特に上手かった

 

そしてウェルカモはヴィオのパーモット、レティのニャローテ、俺のスクアギルで一方的に有利を取れており、俺のポケモンはみずタイプへの打点が少ないのを分かっていたのでスクアギルに『かみなりのキバ』を覚えさせていたのが致命的に刺さっていた

 

どうも最近の流行だとポケモンと同じタイプの技は威力が高いからそれだけにするって人も多いらしいんだが俺はどうしてもそうとは思えなかった

 

確かに威力は上がるが自分の不利な相手への対策が出来ないからだ

自分の不利な相手への打点を作ることで不利な状況を出来るだけ無くす、これはコルサさんなんかが良い例と言えるだろう

 

「んーー、皆すっごい実ってる!私結局ボロ負けしちゃった!」

「正直相性の問題が酷かったからなぁ……」

「あー、確かに『じならし』はめちゃくちゃ痛かったなぁ……イワンコもパモットも両方弱点だったし

やっぱチャンピオンだからって慢心しちゃいけない!もっとポケモンを育てないと!

とりあえず50匹くらい育ててくるねー!!」

 

そう言い残してネモはどっかに旅立って行った

 

相変わらず『ぼうふう』のような奴だな……

 

「はぁ……とはいえいくら相性有利だったと言ってもネモの実力相手だと結構辛いものがあるわね……」

「うん……『じならし』はどうしても地面への攻撃になるから空中に逃げられると当たらないもん

最初ならともかく二回目以降は読まれやすいね」

「だからこそ他の技を囮に使うんだよ」

 

まぁ口で言うのは簡単だが実行するのは実際至難の技た

こればかりは慣れる以外に方法がない

 

その後俺達は数回お互いでバトルをして軽く特訓をしてからジムの施設でジムバトルにエントリーした

 

 

_________________________________________________

 

 

ジムバトルにエントリーした後すぐに連絡が来て俺達がバトルフィールドに到着した頃には既にナンジャモが配信の準備をしていた

 

ナンジャモはスマホロトムを取り出すとすぐにポケチューブの配信画面へと切り替えてジムバトルの配信を開始する

 

「皆の者ー!

準備はいーいー?」

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

『待ってました!』

『ナンジャモちゃん!』

『舞ってました』

 

おいこら一人踊ってるがそれは良いのか?

 

「あなたの目玉をエレキネット!

何者なんじゃ?ナンジャモです!

おはこんハロチャオー!」

『おはこんハロチャオー!』

『おはこんハロチャオー!』

『おはこんハロチャオー!』

『おはこんハロチャオー!』

「ナンジャモの~?

ドンナモンジャTVの時っ間っだぞ~!」

本日は大変嬉しいおっ知らっせでーす!!

なんとなんとぉ!皆大好きライズ氏がジムバトルに挑戦しに来てくれましたぁー!!

さらに飛ぶカイデンを落とす勢いのスカーレット氏、バイオレット氏の双子も来てくれました~!イェイイェイ!」

 

するとスマホロトムが俺達の方へと急によってくる

 

「うわぁ!?」

「近いわよ」

 

俺はぶっちゃけあいつのせいで慣れたので特に反応することはないな……

 

「んでんで三人とも~今のお気持ちを~どうっぞ!」

「うぇ!?あの……その……がんばりまひゅ

あうぅ………」

 

レティが緊張しすぎて噛んでしまう

 

『可愛い』

『可愛い』

『可愛い』

『可愛い』

『イイゾモットヤレ』

 

オイ……

 

「そうね、可愛い妹が見れたしやる気はかなりあるわよ」

 

ヴィオはニヤついた目をレティに向けてとても楽しそうな笑顔をしていた

 

『シスコン?』

『姉妹で百合……イイッ』

『クール系かと思ったら意外と……』

 

そして俺の所にスマホロトムのカメラが来た

 

「日頃の恨みをバトルに乗せて全力で戦います……ナンジャモを巻き込むくらいに」

「ちょおっ!?」

『い つ も の』

『イイゾモットヤレ』

『やられたらやり返す……倍返しだ!』

『や ら な い か』

 

オイ最後……

 

「まぁ一つボクがしばかれる未来が見えなくも無いけどそいじゃそろそろ……

ナンジャモのバトり見ったいっ人~?」

『(しばかれるのを)見たい!』

『(負けるナンジャモが)見たい!』

『(お仕置きが)見たい!』

『見たい!』

『お仕置きはよ』

『エレキン:¥5000』

「なんでぇ!?見たいのそっちー!?!?

……あ、エレキン氏ありがとー!」

 

するとナンジャモはジムリーダー特有の強者の雰囲気を漂わせ始める

 

「それじゃー順番にまずはバイオレット氏から行ってみよっかー!

挑戦者の実力はどんなもんじゃー!」

 

ふざけた物言いではあるがこいつの実力だけは確かだ……頑張れよヴィオ




ライズ「今回はやたらと短いがどうした?」
マグロ「花粉症がズビビなかなかハックショイッ!?辛いのよ(目を掻く)」
ライズ「マツ○ヨ行ってこい」


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紫の少女とナンジャモ

 

 

~ハッコウシティ~『バトルフィールド』

 

『それでは両者位置に着いてください!』

 

審判の声を合図に私達はトレーナーの待機エリアに移動する

最初からシュニンでも良いんだけどここはこの子で行きましょうか……

 

「視聴者達が楽しめるようなシビレるバトりをよろしくね~!

いくよー!カイデン!」

「カイッ!」

「行くわよ!ドオー!」

「どおーー」

 

うん、やっぱりこの子エクレアにしか見えないわ

そして鳴き声がなんかおっおりとしててめちゃくちゃ可愛い

 

「ドオー!?」

「いつの間に……」

 

ふっふっふー、実は私はずっとパルデアの姿のウパーを手持ちに入れてコツコツと進化の準備を進めていた

 

どうも剣盾と同じで手持ちであれは戦闘に出さなくても経験は詰めるらしい

ただ実践に勝る経験はない上に結局の所私のメインがパーモットとシュニンなのもあってなかなかバトルで使う機会が無かったのだ

 

そしてたまたま道端で拾えたけいけんアメをウパーに費やしてドオーになったのである

 

つまりはバトル経験はほぼ皆無に等しかったりする

 

でもやっぱり二人を驚かせたかったのよねぇ……

 

「でもじめんタイプはカイデンには効かないよー!」

「ええ、だからこそこの技を覚えさせておいたのよ!

ドオー!『がんせきふうじ』!」

「ウソォ!?」

「どぉぉぉおおおお!!」

 

ドオーがゆったりとした動きで鳴くと周囲にいくつもの岩が浮かび上がる

 

「どっ!」

「カイデン避けて!?超避けて!?」

「カイッ!?デッデッデッカイッ!?」

 

まぁ経験が少ない分技の命中精度はやはりそれ程高くはない、こればっかりはゲームではなく現実だから仕方ない

ならそれを指示でどうにかするのがトレーナーの腕の見せ所よね

 

「左、右、奥、左右、手前」

「どっどっどっどどっどっ」

 

ドオーは事前に伝えていた通りに私の短い指示に従って『がんせきふうじ』の落とす位置を調整してくれる

するとどうだろう、だんだん逃げ道が一方向にしか無くなってくる

 

「カイデン!左!『でんこうせっか』で突破して!」

「カイデッ!」

 

もちろんそれを見逃すナンジャモではなかったけどドオーは『がんせきふうじ』で身体を隠しながら既に移動していた

 

そして出てきたカイデンは『がんせきふうじ』を空中で待機させて口を大きく開けたドオーが待っており、それに驚いたカイデンは急停止が効かなかった

 

「あ!?『がんせきふうじ』で隠れて移動してた!?」

 

そしてカイデンはそのままドオーに突っ込んでいき……

 

「ドオー!とどめの『がんせきふう……あら?」

「あ……」

『あ……』

『あ……』

『あ……』

『アーッ!』

 

「どおっ」

 

カイデンはそのままドオーの口の中に刺さってしまった

 

「…………」

「…………」

『…………』

『…………』

『…………』

 

凄く微妙な空気がフィールドを支配する

 

「…………ドオー、口を閉じちゃって」

「ちょっとぉ!?」

「どおっ」

 

『カイデンが!?』

『たべられたwww』

『美味しいのだろうかww』

 

「ドオー、咀嚼して吐き出しちゃいなさい」

「どお……(むしゃむしゃむしゃむしゃ)」

「カイデーーーーン!?」

『やめたげてよぉww』

『容赦ねぇww』

『いとも容易く行われるえげつない行為ww』

 

「「うわぁ……」」

 

まってレティとライズが声をハモらせて引いてるんだけど……そんな目を向けないで頼むから

 

「ペッ」

「…………」

 

しばらくするとドオーが咀嚼をやめて口の中のカイデンを吐き出した

吐き出されたカイデンはヨダレでべとべとになって傷だらけであり、その目は虚ろになっていた

 

『カ……カイデン戦闘……不能……』

 

審判ですら若干引いていた

 

「ど?」

 

ドオーはよく分からないのか首を傾げていた……可愛い

 

「ぐぬぬ……やるじゃないかバイオレット氏……

今度はそう簡単にはいかないぞ!

いくよ!ハラバリー!」

「バリバリ~!」

 

『ん?たしかドオーの特性って……』

『おいちょっとまて……ナンジャモちゃんのジム用ハラバリーの技構成って……』

『ヤメルォ!?ままままだ『どくのとげ』とかの加賀笠間可能性もなきにしもあらずだし……』

 

ドンナモンジャTVの視聴者は全員がとても嫌な予感がし始めていた

 

何故ならドオーの特性は接触してきたポケモンを『どく』状態にする『どくのとげ』か……

 

「ボクだってじめん対策くらいまだあるんだぞー!

ハラバリー!『みずでっぽう』」

「バリーーー!!」

 

ナンジャモのハラバリーの『みずでっぽう』がじめん・どくタイプのドオーへと直撃する

しかしドオーは……

 

「どお?」

 

ダメージを一切受けておらずむしろしっとりもちもちとした肌になって潤っていた

 

『あのドオーの特性『ちょすい』だ!?』

『おっふw』

『ナンジャモちゃんのハラバリーはジム戦用の子はたしか『スパーク』と『みずでっぽう』だけよね……』

『『スパーク』→でんき技だからじめんタイプのドオーには無効

『みずでっぽう』→特性がちょすいだからむしろ回復』

 

 

 

 

 

 

 

 

『あれ?これ詰んでね?』

「のぉぉぉぉおぉぉおおおおおおおおお」

 

ナンジャモの心からの叫びであった……まさかのナンジャモの手持ちと徹底的に相性が悪いのである

 

「ドオー!『じならし』!」

「ドッ!」

 

ドオーが『じならし』によってバトルフィールド全域を揺らす

そしてハラバリーは体格の都合上高くジャンプしたりすることは出来ない……つまり

 

「バリバリーーーーー!?!?!?」

「ハ……ハラバリーーーーー!?!?!?」

 

『あぁ……これはひどいww』

『このジム用にドオーをわざわざ育成したトレーナーって何気そんなに居ないよな……』

『まぁ最近まであんまり見向きされにくいポケモンだったからなぁ……四天王のやつは別格に強いらしいけど』

 

どうもドオーはあんまり見向きされていなかったらしい

それもそのはず、この世界ではあんまり耐久戦術というのが流行ってはおらず、倒される前にこちらが倒すというのが主流であり、前世なら当然のようにあったサイクル戦、変化技による妨害等はあまり知られていないのだ

 

むしろサイクル戦をするトレーナーはバカにされやすい傾向すらあった

 

だがジムリーダーはこれらを軽視する発言を行う者がおらず、全員がその強さや意味をきちんと理解しているらしい

 

そしてジム戦でのジムリーダーは基本的に出すポケモンを変えることはなく固定されやすい傾向にある

 

「うーん、自覚はしてたけど相変わらずボクの運は信用出来ないなぁ……」

 

ついでにいえばナンジャモはガチャ等でも爆死が基本な程運は低かった……

 

『あ……あれ?これ……やばくね?』

 

「ルクシオ!」

「ルシャァ!」

「どお!?」

 

ルクシオは出てきた直後に吠えてドオーが軽く怯む

 

特性『いかく』によってドオーのこうげきが下がってしまう

 

「ドオー!『じならし』!」

「どぉ!」

「ルクシオ!大きく飛んで『かみつく』!」

「ルッシャア!」

「どっ!?」

 

ドオーは『じならし』でルクシオに大ダメージを与えようとするが大きく飛び上がられたことによって簡単に避けられてしまう

 

ルクシオはそのままドオーの頭上に着地して『かみつく』

 

「この子の上なら『じならし』は当てられないよー!バイオレット氏ー!」

『おおー、確かに上を取っちゃえば』

『いやまてドオーの背中はアカン!?』

 

「ドオー!捕まえて!」

「どおっ!!」

 

すると突如としてドオーの背中にある丸い模様からあばら骨のようにトゲが現れる

 

「しまった!?」

「うぇ!?ナニアレ!?」

「あー、そういやあったな……有効活用したの初めて見たわ」

 

ナンジャモは自分のやらかしに気がついて焦る

レティに至ってはドオーのトゲに大きく驚いており、ライズは知っていたようだが使うとは思っていなかったらしい

 

「ルクシオ!逃げられそうにないしひたすら『かみつく』!」

「ルシャ!」

「どっ!?どぉ!?どおおお」

 

若干ドオーが涙目になって可愛いがこのままではドオーが先にやられちゃう

 

「ドオー!そのまま仰向けに転がって『じならし』!」

「どーお!」

「ルッシャ!?ル゛シ゛ャ゛ア゛」

 

ドオーの体重はとても重く、それにのし掛かられては余程力強くない限り脱出は不可能だろう

そこにダメ押しの『じならし』だ、普通なら耐えることなどなかなか出来ないが……

 

「ルクシオ!まだまだ『かみつく』!」

「シャァッ!!」

「どお!?」

「ドオー!『じならし』!」

「ルクシオ!」

 

いかくでこうげきが下がったドオーのじならしではルクシオを倒すのには火力不足だった

 

「どぉ!」

「シャァッ!!」

「どぉ!」

「シャァッ!!」

 

そして二匹とも脱力してしまう……

 

『ルクシオ!ドオー!戦闘不能!』

 

引き分けだった

 

「ふぅ、一番やばいのは突破したけどこっちは最後の一匹かぁ……」

「私……正直割と自信があったんですけどね」

「ふふん、伊達にジムリーダーやってないってことだよ!

まぁ割とヤバかったけど……相性はどうしようもないからなぁ……」

「でも次で倒させて貰いますよ!」

「やれるもんなら!視聴者のみんな~!応援よろしく~!!」

『ナンジャモがんばれ!』

『ナンジャモー!好きだー!』

『負けるなー!』

『がんばれー!』

 

「いくよ!ムウマージッ!」

「いきなさい!シュニン!」

 

「マァァァァジュッ!」

「ンガァァァァァァァアアア!!!」

 

私達はお互いのエースポケモンで勝負することになった




マグロ「思ったより長引いた……次でナンジャモ戦を終えてVSアナザーになります」
ライズ「なんか自棄にやる気だな……」
マグロ「いやぁ……正直前回が文字少なかったしなぁ」


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紫の少女と弱点無し

 

 

~ハッコウシティ~バトルフィールド

 

 

ナンジャモのテラスタル枠はよりにもよってムウマージかぁ……

 

「いやな予想が当たってしまったわね」

「およ?バイオレット氏達はボクがムウマージ使うの軽く予想出来てた?

この子最近使い始めたばかりだからあんま情報出回ってないと思ったんだがなぁ……」

「もしかしたら程度でしかなかったですよ予想したポケモンの中でも一番最悪なパターンでしたけどね」

「あっははは、やっぱりわかっちゃう?」

「特性ふゆうによる弱点の克服、でんきタイプは弱点がじめんタイプだけだからこそ出来る芸当ですね……」

「そゆことー!シビルドンと同じって訳だね」

 

まぁこの地方にシビルドンが生息していてタイプその物が変化する『テラスタル』というとんでも変化がある時点でもしかしたらとは思っていたんだけどなぁ……

 

「それにしてもこのポケモン……初めて見るポケモンだね~

ライズ氏と同じアナザーポケモンかい?」

「ええ、種族はウラガンキンでニックネームは『シュニン』よ」

 

主任ではなくシュニンよ……そこんとこよろしく

 

「シュニンかぁ……いわポケモン?」

「そこら辺は勝負で不利になりたくないので黙ってますよ」

 

『んー、確かにいわタイプっぽいけど……』

『なんか鱗とかそこら辺見る限りドラゴンタイプっぽさもあるんだよなぁ』

『いわ・ドラゴンタイプ?それなんてガチゴラス?』

 

うっさいわ視聴者!?

ガチゴラス言わないでよ!?確かにタイプ見てちょっとだけ思ったけれど!?

 

「シュニン!粉砕するわよ!」

「ンガァァァァァァァアアア!!!」

 

シュニンは自慢の顎を地面に何度も叩きつけて咆哮する

 

これはウラガンキン特有の威嚇でもある

そしてウラガンキンが顎を叩きつける旅に地響きが起きて観客やナンジャモが軽く体制を崩す

 

「うわぁっとととまさかの顎がハンマーみたいな役割になってんの!?

ムウマージ!潰されたらマジでヤバそうだよ!?」

「マァジ!?」

 

そしてナンジャモは懐からテラスタルオーブを取り出してムウマージをテラスタルさせる……

頭に付いている冠は電球の形をしており、黄色く輝いてる事からでんきテラスタルだとすぐにわかる

 

確かにこっちのシュニンの攻撃がまともに直撃すれば十分倒すことが出来るけど問題は弱点を突くことが出来ず、ふゆうによって身軽に動けるムウマージ相手ではどう当てるかが問題になる

 

「シュニン!まずは自分に有利なフィールドを作るわよ!『かやくがん』!」

「ウラァアァァァァア!!!」

 

シュニンは咆哮しながら自分のその太い尻尾をフルスイングして己の肉体にある火薬岩を発射する

 

この火薬岩はちょっとした衝撃で大きな爆発を引き起こす

ウラガンキンであるシュニンはその爆発を喰らうのに慣れておりダメージを受けないが、他のポケモンにはかなりの痛手を与える事が出来る

とはいえ起爆タイミングは誰かが起爆するか一定時間の経過だから少しシビアだ

 

「なんじゃこりゃ?とりあえず触らぬ神に祟りなしって事で!

ムウマージ!『チャージビーム』!!」

「マァァァァジュッ!」

「シュニン!地面を隆起させて!」

「ンガッ!」

 

ムウマージの冠か光輝き、『チャージビーム』が放たれるが、シュニンは己の顎を全力で地面に叩きつける事でそこを中心に叩き割り、前方にある地面を隆起させて壁を作る

これによって『チャージビーム』は壁に当たって霧散してしまう

 

遠距離攻撃対策に私が覚えさせた『たたみがえし』モドキではあるがやっぱり使える……とはいえある程度平らな地面がなければ使えない技だからあんまり連発は出来ない

 

「ウソォ!?」

『どこのゲッコウガだよww』

『ワザマエッ!』

「なら!ムウマージ!『あやしいひかり』!」

「マージュッ!」

「シュニン!目を瞑って『ころがる』!」

「ンガァッ!」

 

これはこの世界で驚いた事の一つなのだけど、どうやらこの世界において威力はゲームと全く変わらないような感じなのだけれど必中技以外に命中が殆ど関係せず、一部の攻撃は意外な方法で避けれることがあるということね

 

例えばだけどゲームでは『あやしいひかり』とは命中100のいわゆる命中安定わざとして周囲に認知されていたが

現実だとそう甘くはない

『あやしいひかり』は『さいみんじゅつ』と同じような仕様となっていて、直に見なければ問題はないのよね

 

「うげっ!?その、巨体でそんな身軽にうごけるの!?」

「残念ながらこの子はに見た目よりもずっと身軽なのよ!」

「マジッ!ジュッ!マジ!マジッ!」

「うーん、なかなか当たらないわね」

『はっえw』

『『ころがる』を使えるポケモンで一番速いんじゃね?』

『つか轢かれたら死ぬってあれはww』

 

うーん、どうやれば当たるのかしら?このまま急旋回を続けさせたらシュニンにも負担になってしまうわね……

なら一回試してみようかしら?

 

私はシュニンが再度ムウマージへと接近するのを待って指示を伝える

 

「シュニン!回転の勢いを乗せて全力で地面に顎を叩きつけて!」

「ウラッ?ンガァァァァァァァアアア!!!」

「マジュッ!?マジュゥゥゥウウウウ!?!?」

「ちょ!?なにそれぇ!?にぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

シュニンが回転の勢いを乗せてフルパワーの顎での叩きつけを行うとフィールド全体にヒビが入るほどのとんでもない衝撃が走ってシュニンを中心とした範囲の地面が大きく爆発したように吹き飛ばされてムウマージごと吹き飛ばした

 

というかナンジャモも巻き込んだけど大丈夫かしら?

……いやしぶとそうだし心配するだけ無駄かしらね?

 

ただ衝撃が強すぎて若干私も宙に浮いちゃったけど……

 

そして肝心のムウマージは……

 

『ムウマージ戦闘不能!勝者!チャレンジャーバイオレット!』

「ムウマージィィィィイイイ!?!?」

 

ムウマージは軽く生き埋めになっててテラスタルの冠がちょこっと見えていたけどすぐに砕けちってしまっていた

 

「計画通り」

「ウッ?」

 

シュニンが私の方に来て首を傾げている

しまった顔芸にしてしまってた

 

とりあえずシュニンやライズのバサルモスを使ってムウマージを掘り出してなんとか回復させて次の試合に進むことになった

 

次はレティとライズね……

がんばりなさいよ

 

 



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少年と電怪竜★

 

 

~ハッコウシティ~『バトルフィールド』

 

 

 

結論から言うと俺とレティはナンジャモにはあっさりと勝ててしまった

 

レティは今回デリバードポーチで『じゃくてんほけん』という道具を購入してきており、それをガケガニに持たせていた

 

これによりナンジャモのハラバリーの『みずでっぽう』で『じゃくてんほけん』と特性『いかりのこうら』の両方が発動、飛んでもない火力で全てを蹂躙していた

 

逆に俺はムウマージが微妙にキツかったのだが『あやしいひかり』がバサルモスに直撃して『こんらん』してしまい、バサルモスが暴れてその二次被害でナンジャモごとムウマージを巻き込んで戦闘不能にしていた

 

まぁ図体デカイから二次被害も相当なものだとは予想がしていたんだが……ナンジャモまで巻き込むとはな

 

 

 

 

ナイス

 

 

「イッテテテテ……じゃぁ次はライズ氏や皆様お待ちかねのアナザーポケモンバトルだね」

 

やっとか……あいつが何を出してくるかは全く未知だから気を付けないとな……

 

「よーし!バズるぞ!

出てこいやぁ!『ギギネブラ』!!」

「ギギァァァァアアア!!!」

 

…………どっちが顔だあれ?

 

出てきたポケモンは上部分が黄色く、目?の部分が蛍光グリーンとなっている

腹部は藍色でとてもポケモンとは思えない姿をしていた

更に尻尾?と思われる部位にも頭部?と全く同じ形状をしており、パッと見どっちが頭でどっちが尻尾なのかよく分からない

よーく観察すると前足としての役割も持っていると思われる翼や足の向きなどからどっちが頭なのかは判別が出来るがバトル中だと混乱しそうになるな

 

色からして多分電気タイプだとら思うが……残り一つが分からねぇな……

 

俺は今の手持ちの中でも特に強いバサルモスを出そうとしたのだが……バサルモスを出す前に一匹のポケモンが勝手に出てくる

 

「ギギッ!ギィ!ギィギ!」

「ギィギ?どうしたん…………ん??」

 

おれはギィギを見た後咄嗟にギギネブラを見つめる、そしてギィギへと視線を戻す

 

これを何度も繰り返し観察すると……

 

「まさか……お前の進化系って……」

「ギッ!」

「ぬぉぉぉおおぉぉおおおおお」

 

俺は思わず地面へと倒れる、orzのような感じだろうか?

 

「よりによって……よりによってこいつと手持ち被るのか……こいつの視聴者共から何を言われるか!?」

 

そう、ギィギとこのギギネブラと呼ばれるポケモンは頭部の特徴、ゴム質な皮膚そして口の構造と共通点がいくつもあるのだつまり……

 

どう見てもギィギの進化系な上に手持ち被りやがった!?

 

『ニヤニヤ』

『ニヤニヤ』

『ニヤニヤ』

『2828』

『ニヤニヤ』

 

「ギィギ…………」

「ギッ!」

「全力でやるぞ!」

「ギィ!」

 

『心底嫌そうww』

『ひっでぇww』

『や ら な い か』

『さすがライズ氏!俺たちに以下略』

『ヲイガチホモが居るぞw吊るせw』

『残念ながらライズ氏はノンケです…………とっても残念ながら』

『もう一人www』

 

視聴者連中は相変わらず好き勝手言ってやがる……

そして何故か向こうのギギネブラが(´・ω・)のような顔をしている気がする

 

「ちょっとちょっとー!ライズ氏をホモォになんてさせ……させ……良いかもしれない」

 

『ダメだこいつwはやくどうにかしないとw』

『手遅れやろwライズ氏しばいたれw』

 

あんにゃろ……

 

『それでは!勝負開始!』

 

「ギィギ!まずは手始めに『どくどく』!」

「ギィ!」

「ギッ!?」

 

効いてる?そうなると少なくともどくタイプは無いつーことはギィギの進化系のリージョンフォームか!

 

「うっわ『もうどく』耐久型!?ずいぶんといやな育成してるね!?」

「ギィギは火力面はそんなに強くはないからな」

「ギィ……」

 

ギィギは若干自分の力の弱さに落ち込む

 

「進化すれば力も付くだろ?お前も進化すりゃあそこまでの図体になると分かったんだ

一緒に強くなればいいさ」

「ギィ!」

「あのー、友情決めてるとこ悪いけど流石にそろそろ攻撃させてもらうよ!」

『ナンジャモww』

『きたねぇww』

『待ってやれよww』

「うっさいわ!?『もうどく』なんだから時間かけてられないんだよ!?」

「チッ」

「ギッ」

 

俺とギィギは同時に舌打ちする

実を言うと話術での時間稼ぎはこいつとの特訓で身に付けた方法だ

基本的にギィギは打たれ弱く力も弱い、ならば時間を稼いで確実に倒すという目的でこの手の時間稼ぎの練習もしていた

 

そう、このギィギはやたらと頭が回る上に悪知恵も効いており、さらに演技が上手いのだ

 

まぁ基本的にいつものこいつは俺の血が好きな甘えん坊なんだがな……

 

「まさかの舌打ち!?しかもギィギまで!?どれだけ息が合ってるのさ!?」

「ギィギ……」

「ってぁぁぁあああ!?!?毒が回ってきてる!?

ギギネブラ!『スタンブレス』!」

「ギィギァァァァァアアアアア!!!」

 

ギギネブラの口から三方向に青白い雷の玉が発射されて全てギィギへと向かっていく

 

基本的にでんきタイプの電撃は黄色が多いんだが珍しいな……

 

「ギィギ!『まもる』!」

「ギッ!」

 

ギギネブラの青い電気はギィギの『まもる』に防がれて霧散する

 

「うわーん!?やっぱりぃ!?ギギネブラ!『とびかかる』」

「ギィギ!『あなをほる』!」

「ギッ!」

 

『まもる』は連続して使えない為に他の時間稼ぎの方法を模索した結果候補に上がったのは『みがわり』、『かなしばり』、『あなをほる』等なのだが残念ながらギィギは『かなしばり』を覚えることは出来ないらしい

だが『みがわり』と『あなをほる』は覚えさせることに成功しており、今のギィギの技は

 

『どくどく』

『まもる』

『みがわり』

『あなをほる』

 

となっていた

もともとの耐久力がそこまで高くないので回復はちょっと前にデリバードポーチで購入した『くろいヘドロ』に任せてある

これによってギィギはさらに攻撃を受けにくくしていた

 

「ウソォ!?でもただじゃやられないよ!

ギギネブラ!『でんげきばくだん』!」

「ギギッァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

ギギネブラが尻尾?の先端にあるくのような部位を大きく開いて地面へと付けるとなんとそこからはねっとりとして電撃を纏っている何かの塊を吐き出した

 

その絵面はとても気持ち悪かった……

 

「ギィギ!」

「ギィ!」

 

ギィギは地面から勢いよく飛び出してギギネブラの腹部に突撃する

どうもでんきタイプを持っているあのギギネブラというポケモンはじめんタイプの『あなをほる』はかなりの痛手のようだ

 

「ギィア!?ギァァァァァアアアアアア!!!」

「ギッ!?ギィア!?」

 

するとギギネブラは全身を深紅に染めてギィギへとのしかかってくる

 

「ギィギ!無事か!?」

 

「あちゃぁ……もう体力半分無くなったかぁ……

とはいえここからがこの子の本領発揮だよ!」

「ギィァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

深紅に染まった怪しき竜は咆哮する




マグロ「ういっ」

ギギネブラ(でんかいりゅうの姿)
アナザーポケモン
でんき・ドラゴンタイプ
特性:??????

『スタンブレス』
でんき 特殊技 威力25
10%の確率で怯ませる
15%の確率で麻痺させる
3回攻撃

『でんげきばくだん』
でんき 特殊技 威力110
この技を使った次のターンに起爆する
70%で麻痺させる

『とびかかる』
『??????』


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少年と毒怪竜★

~ハッコウシティ~『バトルフィールド』

 

 

「赤い……まるで血みたいな色になったな……」

「ギギイッ!」

 

するとナンジャモは自慢げに言う

 

「ふっふーん、こうなったギギネブラはなかなか手が付けられないよ~!ボクのポケモンもこの状態のギギネブラ相手にかなりズタボロにされたけどね……」

『あー、確かに』

『あの時の配信見てたけど暴れ具合ヤバかったなぁ……』

『でも怒ったポケモン程怖いものはないよなぁ』

 

どうやらナンジャモはこいつとの出会いを配信で映していたらしい……あとで確認しておくか

そしてアナザーポケモンが怒ると恐ろしいという点は俺のバサルモスにも言えることだ

バサルモスは興奮すると肉体に大きく熱を溜めるようでかなりの威力のほのおタイプの攻撃を行えるようだ

ただ俺のバサルモスはリージョンフォームの為かあまりほのおタイプの攻撃を好まない

必然的にタックルなどの物理的な攻撃中心となっていた

 

「どう動いてくるか分からない、油断せずいくぞ……」

「ギッ」

 

「フーッ!フーッ!フーッ!ギシャァァァァァァァァァアアアアア!!!」

 

深紅に染まったギギネブラはかなりの興奮状態のようだ

 

…………これ怒りで我を忘れてないか?

 

「よーしギギネブラ!『とびかかr……」

「ギシャァァァァァァァァァアアアアア!!!」

「まって!?まだ指示出し終わってないんだけど!?」

 

ギギネブラがナンジャモの指示を最後まで聞かずに飛び出してきた

一応ナンジャモの指示通り『とびかかる』を使ってはいるが……速い!?

 

「ギィギ!」

「ギッ!ギァ!?」

 

ギィギはまもるに失敗してとびかかるをまともに受けてしまった

 

「ギィ………ギッ!」

「無事か……」

 

明らか動きが速くなっている上に火力も上がってるな……

 

「ギィギ……体力は足りるか?」

「ギィギィ……」

「そうか……ならば!『あなをほる』!」

「ギィ!!」

「気をつけt……」

「ギギャァァァァァァァァアアア!!!」

「ダメだこれ聞いてない!?」

 

やっぱりかなりの興奮状態みたいだな……

 

「ギィギ!例のやつでいくぞ!」

「ギィィ!」

 

そしてギィギ!はギギネブラの後ろから現れて攻撃を加えようとするが……

 

「ギギネブラ!『つららおとし!』」

「ギギャァァァァァァァァアアア!!!」

 

ギギネブラの咆哮と共に多量の氷柱がギィギの頭上から降り注いで直撃してしまう

 

だが直撃したギィギの姿が突如として変化する

 

「『みがわり』!?」

「本命はこっちだ!!」

「ギィィイイ!!」

「ギギャァ!?」

 

そしてまた腹部へと弱点である『あなをほる』が直撃する

 

……だが

 

「ギギネブラ!」

「ギギャァァァァァァァァアアア!!!」

「ギッ!?ギィィィイイ!?!?」

 

ギギネブラはその攻撃を耐えきってこちらのギィギを大きく吹き飛ばす

 

不味いな……ただでさえ『みがわり』を使ったせいで体力が……

 

「ギ……ギギ……ギギァァァァァアアアアア」

 

するとギィギは青白い光に身を包まれて己の肉体を変化させ始める

 

「進化か!」

「ペアルック来たぁぁぁ!!」

『うぉっ!?まぶし!?』

『目が!目がぁぁぁぁぁぁぁぁあああ』

『ヲイナンジャモww』

『空気嫁ww』

 

ギィギの首や胴体が大きく延びてまるで竜を思わせる形状へと変化したと思ったらその頭部と尻尾が潰れるように平べったくなる

そして今まで無かった目が形成され、胴体からは小さいながらも強靭な脚が生える

側面からは大空を羽ばたけそうな程大きくも柔軟な翼が生える

 

アルビノの如く汚れのない純白の外皮を纏った奇怪な竜が姿を現す

 

「ギギャァァァァァァァァアアア!!!」

 

ギィギがギギネブラへと進化を果たすと同時にスマホロトムが俺の前に出てきてギギネブラの情報を教えてくれる

 

「っ!そういう仕組みか……」

 

俺はギギネブラの特性を見た瞬間ナンジャモのギギネブラが姿を変えて『すばやさ』が上がり、『こうげき』の強さが増した理由が分かった

 

「特性……『ぎゃっきょう』か……」

 

『ぎゃっきょう』つまり逆境は特性の効果としてはガケガニの『いかりのこうら』に近い

 

体力が半分を切ると怒り、『こうげき』と『すばやさ』が上昇して物理攻撃が強くなる

 

ガケガニの特性をより攻撃依りにした感じといった所か……

 

そしてギィギがギギネブラへと進化を果たした事によってあなをほるが別の技へと変化していた

 

「ギギネブラ!『ベノムイーター』!」

「ギギャァァァァァァァァアアア!!!」

 

ギギネブラはもともと体力がかなり少ない状態で進化を果たした為かいきなり特性を発動して全身のアルビノのような純白な外皮を藍色に染め上げる

 

その口には毒が纏われており、その柔軟性の高い首が"伸びて"ナンジャモのギギネブラへと襲いかかる

 

「ギギャ!?」

「なにそれ!?首がそんなに伸びるもんなの!?ってかボクのギギネブラもそんなに首が伸びるの?」

「ギッ」

「衝撃の事実!?」

 

ギギネブラがナンジャモの疑問に答えてる辺り少し冷静になってるっぽいな

 

だか余裕があるように見えてナンジャモのギギネブラにはかなりの疲れが見えていた

 

『ん!?まてまてまて!?ライズ氏のギギネブラ回復してね!?』

『はははバンナソカナ……マジやん』

 

対する俺のギギネブラはさっきの『ベノムイーター』によって自身の傷をも回復していた

どうやら『ベノムイーター』はいわゆる体力吸収系の技のようだ

 

そういやニャンターが言ってたな……

 

『ボク達の世界のポケモンはなにかを食べたり寝てる時に凄い勢いで体力を回復していくにゃ!』

 

これは相手に噛みつくことで捕食と同じような効果を発揮しているのだろう……

 

更に言えばナンジャモのギギネブラは『もうどく』状態であり、時間がかかればかかる程加速的に毒が全身へと回る

 

更に弱点の『あなをほる』を二度も受けており、流石に限界が来ていたのか

 

「ギ……ギギ……ギャ……」

 

そのまま倒れてしまった

 

「え?ァァァァァアアアアア!?!?『どくどく』貰ってたんだったぁぁぁぁぁ!?!?」

『忘れてて草』

『『ダイソウゲン』生えたわ』

『『グラスフィールド』張らないでもろて』

 

「ギ!」

「うっし!」

 

俺達は思わずその場でガッツポーズを取るがギギネブラは進化出来たことが余程嬉しかったのか……

 

「ギギャァア♪」

 

俺へと抱きつきにきた

 

「ウボァー!」

 

まっ!?ちょ!?苦し!?背骨からヤバい音が!?あ……

 

バキッ

 

め の ま え が ま っ く ら に な っ た





マグロ「ライズよ……なーむー」

ギギネブラ
アナザーポケモン
どく・ドラゴンタイプ

特性:
『ぎゃっきょう』
HP半分以下で『こうげき』と『すばやさ』が1段階上昇
物理攻撃が1.5倍になる
怒りで姿が変わる場合フォルムチェンジを起こす

技:
『どくどく』
『まもる』
『みがわり』
『ベノムイーター』
威力80 どく 物理
与えたダメージの半分を回復する

マグロ「ストーリーズにある技の『ドラゴンイーター』や『エナジーイーター』を思い出しましてこんなのならギギネブラいけそうだなと作りましたw」


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少年と双子と日常

すんません、ちょい疲れが残ってて少し短めです


 

 

~ハッコウシティ~『ライズの自宅』

 

 

 

「いっつつつ、ここは……俺の部屋か」

 

俺は目を覚ますと自分の部屋のベッドから起きて状況を整理し始める

 

「確かナンジャモとアナザー対決で勝利して……あーそうだ、ギギネブラにのし掛かられて気絶したんだった……

まさかあそこまで大きくなるとは」

 

我ながら情けない……

とはいえギィギが無事進化出来たのは嬉しいな……

これでニャンターに続いて二匹目か……

 

俺は周囲を見渡すと机に俺のポケモン達のボールが置いてあった

確認してみるとどうやら全員ボールに入っているようだ

 

「今の時間は……午前5時か

こりゃ出しても全員寝てるな……」

 

基本的に俺のポケモン達の生活リズムは午後10時頃には就寝して午前6~7時までには起きるように教育してある

 

とはいえニャンター以外は皆眠りが浅い

これはニャンター曰く過酷な自然を生き抜く為に睡眠時の油断を限りなく減らすためあえて睡眠を浅くして熟睡ではなく疲れを取る程度にしているらしい

だから今俺が起きていることももしかしたら1~2匹くらいは気付いているだろう

 

まぁ中には攻撃されてもなかなか起きないポケモンもいるみたいだ

 

少し立つとドアが開かれて誰かが入ってくる

 

「っ!?いって!?」

 

俺はベッドから出ようとするが一気に腰に激痛が走る

どうやらまだ腰へのダメージが残っているようだ

 

「あれ!?ライズ君気が付いたの!?

よかったあぁ……一時はどうなるかと思ったよ……」

「レティか……わりい、心配かけたみたいだな」

「大丈夫?起きれそう?」

「いや、すまないがまだ少し痛む

もう少し休めばなんとかなるとは思う」

「そっか……一応病院まで連れてって診て貰ったけど背骨が軽くズレる程度で済んでたって」

 

そうか……どうやら骨は問題ないみたいだな

原因も分かった……場所は……

 

俺は原因となった骨の場所を探る

 

「とりあえず今は無理せず少し動けるようになってから整体を……」

「フンッ!いってぇ!?」

「ちょ!?なにやってるの!?」

 

俺はズレた骨を特定した後全力で逆側から殴って無理矢理位置を戻す

とんでもない痛みが背中を走るがすぐに引き始める

 

「うし、戻った

これで少し寝てれば問題ない」

「うぇ!?自力で骨の位置を戻したの!?」

「バサルモス相手してたら数回あったことだからな、流石に自力で戻せるようになった」

 

なんならバサルモスはギギネブラよりも重いからな……

 

「あぁ……とりあえずお腹は空いてる?」

「腹か……」

 

すると俺の腹からくぅううという空腹の音が軽く鳴る

 

「ぷっくく……空いてるみたいだね」

「笑うなっつの……食欲とかも問題ないよ」

「はーい、じゃあ今ご飯用意して持ってくるから待ってて」

 

ったくレティのやつ……からかいやがって

 

_________________________________________________

 

~翌日~ ヴィオside

 

にぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

 

 

誰かの悲鳴と共に私とレティ、それとリビングで一緒に寝ていたポケモン達が全員起き始める

 

「うるっさいわねぇ……」

「ふわぁぁぁ……おはようヴィオ姉……」

 

私達が顔を洗って軽く身支度を整えると2Fからライズが降りてくる

 

「おはようレティ、ヴィオ」

「おはよー!」

「おはよう……まだ少し眠いわ……」

 

レティからライズが起きたと聞かされてたけどここまで早く回復するとはね……ナンジャモもそうだけどこの世界の人は人間を止めてるような連中が多いのは何故かしら?

 

どこぞのスーパーマサラ人とかもそうだけど……

 

「あー、やっぱりお前らリビングで寝てたか」

「ええ、流石にここは貴方の家だし怪我人をソファーで寝かせてなんかいられないわよ」

「そこまで気にしなくてもかまわないんだがな……

とりあえずと……」

 

ライズは階段を降りると何故か階段の突起を持ち始めて開き始める

 

……………んん?

 

「ライズ君……なにそれ?」

「対馬鹿捕獲用装置の取り出し口」

 

そういうとライズは開いた入口へと入って少しすると眠っており、ズタボロにされたナンジャモを引きずりながら出てくる

 

レティがもう少し詳しく聞いてみるとナンジャモをの不法侵入が酷いために撃退すら為に家のそこら中に自分で設置したトラップの一つだそうだ

 

今回発動したのは落とし穴タイプな罠で一度落ちたらピンボール形式でトラップによって殴り飛ばされてバサルモスから採取した睡眠ガスで眠らされる罠らしい

 

ライズは結局そのままジムまでナンジャモを捨てに行ってしまうがすぐに戻ってきた

 

「あれ?割と速かったけどどうしたの?」

「ん?あいつの上司を見かけたからそのまま渡してきた

まぁ知り合いだから説教を軽くして減給で済むだろ」

「手慣れてない?」

「割とな……とはいえあいつの収入源は基本的に配信とか動画の収入だから対して痛くも無いようだがな」

 

ライズは呆れるように言う

 

「さて、朝飯にするか」

「そうね……一応昨日作ったカレーが少し残ってるわよ」

「了解、ならそれをパンで挟みながら焼いてカレーのホットサンドにでもするか」

 

それ絶対旨いやつ!?

 

私はそのままテンションが上がった状態で朝食の準備をすすめていった

 

 




マグロ「………zzzZZZZZ」
ライズ「こいつ土日での寝落ち回数が多くなってやがるな……」
マグロ「むにゃむにゃ……もう食べられるよぉ」


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少年と双子と生態調査

 

 

~ハッコウシティ~『ライズ家ベランダ』

 

 

今日はライズ君がギギネブラの生態を調べたいらしくて1日好きにしてくれって言われた

 

けど正直ハッコウシティはだいたい見て回っちゃったんだよなぁ……

 

「ヴィオ姉はどうするの?」

「私?デカ盛………

ちょっと外をぶらつくつもりよ」

「まってヴィオ姉何を食べにいく気なの!?」

 

ヴィオ姉の食欲がとんでもないのは昔から知ってたけどついにそこまできたかぁ……なんで太らないんだろ……

 

「レティ、流石にそこまで露骨にお腹を見られたら私もなに考えてるかくらい気が付くわよ?」

「うぐっ……」

「私だってある程度の運動くらいしているのよ?」

「確かにそうだけど……」

「まぁ最近はちょっとミライドンに移動を頼りきっててお腹以外にお肉が付いてきちゃっt」

 

イラッ

 

「フンッ!」

「きゃぁっ!?レ、レティ!?なにを!?」

 

私は若干理不尽を感じてヴィオ姉の胸をわし掴みにする

私はそんなに育たないのに……双子なのにこんな違い理不尽だよ!?

こんなもの……こんなものぉおおおおお

 

「ちょっと……レティ……やめ……」

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

「はぁ……はぁ……少しは落ち着いたかしら?」

「ごめんなさい……」

 

結局ヴィオ姉はパーモットを出して私に電撃を食らわせて落ち着かせた

 

うぅ……揉んでたら虚しくなってくるよぉ……

 

「はぁ……まだ成長期は終わって無いんだからちゃんと食べてお腹の部分引き締めておけばそのうち大きくなるわよ」

「うん……」

 

私はヴィオ姉に慰められて自分の胸に手を当てる

 

…………ペタン…………ペタン…………

 

やってて余計に虚しくなった

 

「レティ……世の中にはこんな格言があるわ」

「ふぇ?」

 

格言?でも今の話題と何の関連が……

 

「『貧乳はステータスだ!希少価値だ!』よ」

「そんな格言嫌だよ!?」

「別に胸の大きさなんか気にしない人もいるわよ」

「うぅ……ヴィオ姉には私のこの虚しさがわからないよぉ……」

 

言ってて余計に虚しくなってきた

 

「少なくともライズはその辺気にしないと思うわよ?

女として見られてるか若干怪しい所あるけど」

「なんで急にライズ君が出てくるの?

それにライズ君は最低限の節度はちゃんとあるよ?」

「確かに最低限はね……でも……流石に見向きもされないのは女としてどこか傷付くのよ……」

 

うーん、確かにライズ君ってそもそもが恋愛とか興味無さそうだしなぁ……基本的に自分のやりたいこと以外に興味をそこまで向けないし

 

「それ以前にヴィオ姉は朝とか色々とだらしないんだからそういう部分がダメなんじゃない?」

「それを言われるとぐうの音も出ないわね……」

 

寝起きも結構悪いしちょいちょい私生活がずぼらなんだよなぁ……

 

「ただね……時々ガーグァとかニャンターとかの世話をしてるあいつ見てると思うのよねぇ……そういう趣味なんj」

「流石にそれは失礼過ぎるよ!?」

 

いやいや流石にライズ君でもそれは無いでしょ!?

 

「はぁ、とりあえず食べにいく気分じゃないわね

ライズの様子でも見にいきましょうか?」

「ライズ君の所に?」

「ええ、ギギネブラの調査がどうなってるのか少し気になるもの」

 

確かにライズ君ベランダでギギネブラを出してから色々とやってたしなぁ、スケッチとか口の構造調べたりとか……

 

「あと純粋に食われてないか心配なのよ……」

「あ……」

 

そういえばギギネブラは進化前はライズ君の血を主食にしててスッゴい勢いで飲んでたよね……まさか……

 

私達は若干早歩きでライズ君の家に戻ることにした

 

 

 

「ライズ君ー!ライズ君ー!」

 

ライズ君の家に戻ってから彼を呼ぶけど一向に返事が来ない

やっぱりまだベランダで調査してるのかな?

 

するとベランダ側が少し騒がしいのに気付く

 

「……せにゃー!」

「…………ォー!?」

 

「ね……ねぇヴィオ姉……」

「なんか嫌な予感してきたわ……」

 

私達が騒がしくなっているベランダ側へ向かうとそこには……

 

「いい加減旦那さんを離せにゃぁぁぁぁぁ!?!?」

「グォォォオ!?!?グオッ!?」

「ギィィル!ギィィル!」

「ウル…………」

「んぐっ♪んぐっ♪んぐっ♪」

「~~♪」

 

そこには頭を『ガーグァ』に反芻され、下半身を『ギギネブラ』に飲まれて腕をだらんと脱力したライズ君

 

『ギギネブラ』をライズ君から剥がそうと尻尾を咥えて引っ張る『バサルモス』

 

『ガーグァ』からライズ君を吐き出させようと色々と試行錯誤してる『ニャンター』と『スクアギル』

 

そしてそれを呆れたような……それとも諦めたような視線で見つめる『ウロコトル』がいた

 

「…………」

「…………予想の斜め上だったわね」

「…………ってぼーとしてないで助けないと!?」

「流石にあれはヤバイわね……」

「んぐぐぐぐぐ!?抜けないいいいい!?」

 

 

結局私達だけじゃ剥がせなかったのでポケモンを皆出して手伝って貰ってようやくライズ君を救出出来た

 

ギギネブラの口には鋭い牙が大量にあったけど幸い引っ込めてくれてたみたいだからケガ一つ負ってなかった

 

ただ救出されたライズ君はなんか虚ろな目でお風呂に入っていった

ライズ君がお風呂に入っている間にニャンターに話を聞いてみるとどうやらギィギの頃とは違って吸血をする必要が無くなり完全な肉食へと変化したらしい

とはいえ今のギギネブラ曰く元々じゃれる意味合いもあったからたまにライズ君を咥えたりしたくなるらしい

 

つまりは甘噛みに近い行為らしい

 

まぁ吸血するポケモンが一匹減ったのは彼にとってはかなりいい影響なのかな?

 

「ねぇ、ガーグァはなんで毎回毎回ライズ君を反芻するの?」

「…………?」

「特に何も考えて無さそうにゃ」

「グァッ」

 

結局ギギネブラについてわかった生態は

 

・壁や天井に張り付いて移動出来る

・口には鋭い牙が大量にあるが噛み千切る為と言うよりは噛みついて獲物が逃げれないようにするためらしい

・基本的に食事は丸呑み

・オスとメスが存在せず単体で卵を産む

・何故か卵や毒の粘液を尻尾から吐き出す

 

といった具合だった

 

ちなみに試しに産んだ卵は他のポケモンの卵と大きく違った形で一つの塊から何匹も産まれてた

とりあえず皆モンスターボールで捕まえてパソコン経由でライズ君の実家の牧場に送るらしい

 

ただ……

 

「ギィ♪ギィ♪」

「あら……やたらと私に懐いたわね……」

 

何故か一匹がやたらとヴィオ姉に懐いたのでその子だけヴィオ姉が育てることになった

ただ……なんかヴィオ姉は試してみたい事があると言って何故かギィギと一緒にヨガをし始めていた

なんでヨガをやり始めたのかや何を試したいのかは教えてくれなかったけど……

 

「ぐぬぬぬぬ……」

「ギィ♪」

 

ヴィオ姉の身体そこそこ硬いからなぁ……大丈夫かな?

 

 




ライズ「…………」
マグロ「気分は?」
ライズ「…………なまあたたかい……丸呑みにされる獲物ってこんな気持ちなのか?」
マグロ「…………」


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少年と双子と次の目的地

 

ヴィオ視点

 

 

~ハッコウシティ~『サンドイッチ屋』

 

私達はとりあえず次の旅の準備の買い物を終えた後に昼食を食べに来ていた

 

「ふぅ、とりあえず買えるものは粗方買ったか

お前らはなに頼む?」

「うーん、私はスパイシーサンド!」

「スパイシーサンドね、俺は無難にBLTでいいか、ヴィオはどうする?」

「私?」

 

うーん、ちょっと今日はお腹空いてるから結構量が欲しいのよね……

 

そう思ってメニューを見ているとある所に視線が止まる

 

「あら?」

 

うん、ちょうどいいわね

 

「私はこのハイパーミートサンドのダイマックス盛りで」

「「ゑ?」」

 

するとライズとレティが呆気に取られたような表情となり軽く固まる

 

「ヴ……ヴィオ姉……まさか」

「一人でその量いく気か……」

「そのつもりだけど……」

 

すると今度は信じられない物を見る目でこちらを見てくる

量もちょうど良さそうじゃないの

 

「おいレティ……こいつの胃袋にはマルノームかカビゴンでも住んでるのか?(ヒソヒソ)」

「むしろブラックホールがあるんじゃないかな……(ヒソヒソ)」

 

キコエテイルワヨ

 

失礼な

 

そしてライズが凄く微妙な顔をしながらサンドイッチを頼みにいって店員に正気を疑われて

 

「俺に聞かないでくれ……」

 

と諦めた表情をして答えていた

 

「どいつもこいつも失礼な……」

「ヴィオ姉はいい加減自分の食欲の異常性を自覚した方がいいと思うな……」

 

 

 

 

 

そしてライズが注文してしばらくすると私達のテーブルにサンドイッチが届く

 

レティのスパイシーサンド、ライズのBLTと続いて私のハイパーミートサンドのダイマックス盛りがテーブルに乗…………らなかった

 

結果として隣のテーブルとくっつけてようやくスペースを確保出来る量だった

 

具材はハンバーグが6つにベーコンが8切れ更にぐるぐると巻かれた物凄く長いソーセージが一つに付け合わせにダイキノコとピクルスが乗せられていた

 

更に上に乗せたパンの更に上にはダイマックス特有の雲が発生しており、隠し味にキョダイパウダーが使われているのがよくわかった

そのお陰か食材は巨大になっており、ダイマックス特有の赤い光を放っていた

 

「うーん♪懐かしきこのガラルの雰囲気

たまらないわ」

 

ただレティとライズがかなり青ざめた表情でこちらを見ていた

 

「何を呆けているのかしら?早く食べましょ」

「あ……あぁ……」

「そ……ソウダネ……」

 

サンドイッチは具の一つ一つがしっかりと調理されており、油の多さで胃もたれが起こりにくくなるように適度に酸味のある食材やソースと合わせられていた

お陰で比較的重そうな見た目とは裏腹にさっぱりと食べられてとても食べやすいサンドイッチだった

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

レティ視点

 

 

 

うっわ……

 

我が姉ながら正直これは引いた

 

「なんであの量を一人で食べきれるの……物理的に入りきらなそうな量だったんだけど……」

「オレハナニモミナカッタ、オレハシラン」

 

ライズ君現実逃避しないで……

 

パッと見ても7kgくらいはありそうなあのサンドイッチをヴィオ姉は1時間足らずで食べ尽くした

ヴィオ姉の胃袋の構造は本当にどうなってるのだろうか……

 

「はぁ……とりあえず次はどこ行く?」

「そうだな、元々この話をするために寄ったんだった……

マップアプリ的に言えばまぁ近いのはスター団のほのお組だな」

「でもスター団あいてとなると万が一にでも負けるとどうなるか分からないわよ?

最悪負けても逃げきれなくもないヌシポケモンはどうかしら?」

 

うーん、確かに……

冷静に考えてみるとピーニャもスター団のリーダーの中だと一番弱いって話だったけど凄く強かったし

あのスターモービルってのが凄い強さだった……

 

「そうなると位置的に近いのは潜鋼のヌシってやつだが……まぁ危険度としては大空のヌシの方が恐らく低いと思う」

「どういうことかしら?」

「ポケモンの生息域の問題だ

ここから近い潜鋼のヌシの周辺には『タンドン』や『トロッゴン』はともかく、『ビリリダマ』や『タツベイ』、『ヨーギラス』、『デカグース』とか兎に角比較的攻撃的なポケモンが集まりやすいんだ

そうなるとその生息域のポケモン達の実力は必然的に上がりやすい傾向にある

そんは場所のヌシとなれば当然実力も高いはずだ」

 

ライズ君から聞かされたポケモンは確かに危険度が若干高くて危ないポケモンだ

 

「成る程ね……」

「んー、この辺行くとなると川を通る必要あるけど結構幅も大きいみたいだから『なみのり』的な移動手段ないと厳しいかも」

「まぁそれもあるな

大空のヌシ周辺だがあそこは比較的温厚なポケモンが多い

『マメバッタ』や『ヒラヒナ』、『チルット』、『ズピカ』、珍しいとこだと『フラべべ』や『チュリネ』なんかもいる場所だ

そうなると野生のポケモン同士での戦闘は比較的少なくなるからそこまで強いポケモンは居ないはずだ」

 

なんか聞いた感じだと結構可愛いポケモンが多いんだよなぁ

チルットもふもふしたい……

 

「問題は山道かしら?

ペパーから貰った情報だとどうも坂道から大岩が転がってくるみたいだし……ボソッ(どこのインディー・ジョーンズよ……)」

「まぁ確かにな……とはいえ俺達のライドポケモンは移動速度も速く力強さもある

なら坂を登る程度は造作もないだろう」

「そうね……何だかんだで『ガーグァ』は私達の『ミライドン』や『コライドン』よりも速いしなんとかなるでしょう」

 

確かにそっちは問題はそんなに出ないと思う、でもさっきニュースでやってたこれを見ちゃうとなぁ……

 

「うーん、でも一番の心配事といったら……」

「あー、やっぱりお前らも見たか……」

「ええ、最近この近辺で出没している大型のドラゴンポケモンの噂ね……」

「…………なぁこれって……」

「間違いないと思う」

「決まりね」

 

 

多分……またアナザーポケモンが関わってくる……

 

私も気を付けないと……




マグロ「流石に休憩させ過ぎたw」
ライズ「とはいえアナザーポケモンの進化が入ればしばらくはこういう日常を入れる予定なんだろ?」
マグロ「うむ……とはいえどのタイミングで進化させるかで若干悩むんだけどね
今回のは少し速すぎたかもしれないし
腐ってやがる……速すぎたんd」
ライズ「やれ、ギギネブラ」
毒怪竜「キギャァァァァァアアアアア!!!」
マグロ「アーッ!」


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少年と双子と千の刃★

 

レティ視点

 

 

私達はセルクルタウンまではタクシーで行き、西1番エリアの山へ向かってコライドン、ミライドン、ガーグァを走らせていた

 

「アギャ!」

「アギャッス!」

「クェェェェエエエエ!!!」

 

ただ何故か三匹が張り合っており、レースのような状態になっていたけど

 

「なんでガーグァそんなに速いのよ……」

「なんか若干目が光ってない?」

「割といつもこんなもんだぞ」

 

そうだったっけ?

 

私はよく思い出してガーグァが走る姿をを見る………

 

 

『クェェェェエエエエ!!!!』

 

「…………あぁ、そういえばそうだね」

「はぁ……気にするだけ無駄になりそうね」

 

するとヴィオ姉が何かに気付いたのか周囲を見渡す

 

「それよりも…………変だと思わない?」

「うん、ちょっとおかしい」

「同感だ、明らかに異常事態だぞ」

 

私達はこの山を登る間……ヒラヒナはおろかマメバッタすらも見かけない

川に至ってはコイキングすら見かけない程だ

 

「ねぇ、この違和感…………見に覚えない?」

 

そう、これはつい最近体験していた

 

「あぁ、この異常な光景……ポケモン一匹すら出ない程の事態……」

「それにこの山の頂上からは岩が転がってくるって話だったけど……砕かれた破片くらいしか見当たらないわね……

どう見てもシュニンと同じよ…………」

 

ウラガンキン……シュニンがいたあそこも……

食い散らかされたガケガニの爪や脚、殻に加えて怯えて出てこないポケモン達

 

「ッ!こいつは!」

 

すると何か見つけたのかライズ君はガーグァを停止させて地面を探る

 

するとかなり大きな黄金の鱗を見つけた

 

「鱗……ね」

「少なくとも魚ポケモンとかの鱗じゃないね、大きすぎるよ」

「あぁ、恐らくドラゴンポケモン……だけどこれは攻撃を受けて剥がれた訳でも古くて剥がれた訳でもないな……」

 

ライズ君は鱗の表面や裏面をじっくりと観察して状況を整理し始める

 

「ダメージで剥がれたとかならこの鱗に傷があるはずだがその様子がない、それに古いならある程度色もくすんで若干汚れていたりする

だがこいつはどうみても新しい鱗だ」

「つまりどういうことなの?」

「つまり今回のアナザーポケモンはこんなデカイ鱗をバカスカ飛ばして攻撃を仕掛けてくるって訳だ

恐らく『スケイルショット』だろう」

 

そして周辺をよく見るとたまに砕けた鱗もあるけど同じような鱗がいくつも地面に刺さっていた

 

「おーい!ライズ!レティ!ヴィオ!お前らも来てたか!」

 

すると背後からペパーがやってくる

 

「お前らもニュースを見たのか?」

「あぁ、またアナザーポケモン関連だと思ったから来てみたんだが……」

「俺も周囲を探索してたんだがここに生息するポケモンの全員が怯えていた

今回のやつは相当なヤバスギちゃんだぞ……」

「少なくともドラゴンタイプっぽいけど……」

 

ペパーと合流して状況の推察を進めていると今度は山の方から鳥ポケモンのような咆哮が聞こえる

 

「おい!頂上を見ろ!」

「ふぇ!?あっ!」

「…………ボソッ(よりにもよってこいつかぁ……鱗で軽く察してたけど)」

 

そしてライズのモンスターボールからニャンターが飛び出てくる

 

「あいつは!『セルレギオス』にゃ!!」

「知ってるのか!」

「故郷で一回襲われたにゃ!死ぬかと思ったにゃ……」

 

どうやらニャンターはあのポケモンのことをよく知ってるらしい

 

「多分タイプはドラゴン・ひこうにゃ!あいつは空中戦闘がめちゃくちゃ上手いにゃ!」

「空中戦が得意となると私達はかなり不利になるわね……」

「さすがの俺でもあの高さに届く攻撃を使えるポケモンは居ないな……」

「うげ、マジで?」

 

ペパーが私達全員が全体的に空中戦に弱いのを知ると首を傾げながら何か手がないか考えて始める

 

「『うちおとす』とかが使えればワンチャンあるんだが……

そんな都合良すぎちゃんなポケモンは居るわけが……」

 

するとヴィオ姉が思い出したようにギィギと黒い球体を取り出す

 

「『うちおとす』と同じ効果なら大丈夫なのでしょ?

ならこの子とこれを使いましょう」

「『くろいてっきゅう』!こいつなら確かに打ち落とせる!問題はどうやってあいつに持たせるかだ

そのポケモンちゃんに何か手はあるのか?」

 

あれ?ギィギってあんな姿だっけ?

あんな日焼けした見たいな姿……な訳ないよね?

 

「この子にヨガを教え続けてたら姿とタイプが変化したのよ

そしたら結構特殊な技をいくつか覚えたのだけど……その中に『トリック』があるわ」

 

んんん?なんか変な事を聞いたような……

 

「深く考えたら敗けだ……俺はもう考える事をやめた……」

「あれ?ライズ君知ってたの?」

「……目の前で姿が変わる瞬間を見た」

「え、えーと

とりあえず『トリック』があるなら確実に落とせるよね!うん!」

 

ライズ君が全てを諦めた目をしていたので私は慌てて話をずらした

 

「そうだな……とりあえず打ち落とした後はバサルモス、ガケガニ、シュニンで総攻撃を仕掛けよう

あの鱗は貰うと流石にキツそうだ」

「とはいえシュニンが少し辛いわよ?

『スケイルショット』はドラゴンタイプの技だもの」

「確かに若干不利だが『スケイルショット』は自分の防御を下げる諸刃の剣だ

それなら耐久力の高いシュニンの方が有利を取れるだろう」

「なるほどね……」

 

確かにシュニンの物理攻撃への耐久力は凄く高い

でも若干不安があるんだよなぁ……

 

「ねぇ、カメラのズーム機能で分かったんだけど……

この量の鱗を飛ばしているのにあの『セルレギオス』ってポケモン……鱗が剥がれたような場所が見当たらないよ」

「なに?」

「それって……」

「剥がれてからすぐに生え変わってるってことか!?

どんな体してんだそれ!?」

「それに前回みたいに『秘伝スパイス』の力をヌシから奪ってたらかなり厄介だよ」

「そうだな……」

 

シュニンもガケガニの爪を食べてその爪から秘伝スパイスの力を得ていたからなぁ……

 

「ん!?おいあれ!」

 

今度はペパーが山の方を指差すとそこからかなり巨大な鳥ポケモンがこっちに逃げてきていた

 

「ピィィィィィイイイイ!?!?!?」

 

なんか若干泣いてるしなんかクチバシで先端を摘ままれてる前掛けのような部位からは大岩が溢れていって……

 

「ちょっとまてあれヌシじゃねぇか!?」

「どうみてもヌシよね……でかいし」

「そうだね……」

 

そして私達の元までやってきたその鳥ポケモン、オトシドリは私達の後ろに隠れるように怯えた様子で居座る

 

身体大きすぎて全く隠れられてないけど

 

「ッ!来るぞ!」

 

そのオトシドリを追いかけるように黄金の鱗を全身に纏った飛竜がこちらへと急降下してくる

 

「レギァァァァァァァアアアアア!!!!」

 

とりあえずヌシポケモンを守らないと!




マグロ「ヴィオのギィギが何故かフォルムチェンジを起こしましたw」

ギィギ(ヨガの姿)
アナザーポケモン
エスパータイプ

特性
ヨガパワー


トリック
そらをとぶ
マジカルフレイム
サイコキネシス


何が元ネタかはエクスプロア勢なら多分分かりますw


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少年と双子とセルレギオス★

ヴィオ視点

 

 

~西1番エリア~

 

 

「出てきて!ギィギ!」

「ギギ」

 

私はセルレギオス相手にくろいてっきゅうを持たせたギィギを繰り出す

 

ただくろいてっきゅうはデメリットが大きく素早さが半分になってしまう

トリックならば相手に押し付けられるけどそれをやるまで時間を稼がないと

 

「三人とも、時間稼ぎよろしく」

「任せて!ガケガニ!守りぬいて!」

「ンガァァァニィィィイイイ!!」

「なら牽制は任せろ、ギギネブラ!」

「ネブラッ!」

「んじゃ早速お披露目といくか!その辺で捕まえたコジオ!」

「シオッ!」

 

セルレギオスは私達がポケモンを繰り出すと速攻で突撃してくる

 

ってやっぱめちゃくちゃ速い!?

 

「レギァァァァァァァアアアアア!!!」

「ガケガニ!受け止めて!」

「ンガニッ!ガニッ!?」

 

ガケガニがなんとかセルレギオスの急降下キックを受け止めたけど大きく後退させられる

 

「ギィギ!レティ達が時間稼いでるうちに『トリック』!」

「ギギッ!ギ……ギ……ギギ……」

 

様子がおかしいわね……

 

私はセルレギオスの方へと視線を向けると相変わらず空中で高速移動をしながらこちらへと攻撃と後退を繰り返している

 

「ッ!?速すぎて狙いが付けられない上にすぐに距離を離されるから有効射程を越えるのね!」

「ギィ…………」

「そういうことか……コジオ!『いわおとし』!」

「ギギネブラ!『アシッドボム』!」

「ガケガニ!『がんせきふうじ』で素早さを下げて!」

「ジオッ!」

「ギギィイイ!!」

「ンガニッ!ンガニッ!ンガニッ!」

 

するとセルレギオスはこちらへ身体を向けて全身の鱗を逆立たせる

 

ってやばっ!?

 

「みんな伏せて!」

「ッ!」

「まさか!?」

「ガケガニの下に!」

 

そして翼を力強く下に下ろすと同時に大量の鱗をこちらに飛ばしてくる

 

ってこれあきらか『スケイルショット』の威力じゃないわよ!?

 

「ルギャァァァァァァ!!!」

 

その鱗は私達の攻撃技を悉く打ち落としてこちらへと降り注ぐ

 

「ガッ!?ンガ……ガニッ!?」

「ギギィィィイイイ!?!?」

 

ペパーのコジオと私のギィギはなんとか隠れられたが皆を守っていたガケガニと身体の大きなギギネブラは避けきれなかった

 

「ギギネブラッ!?」

 

さらにギギネブラはその柔らかい身体故か鱗がいくつも身体に刺さっており、かなり危ない状態になっていた

 

「ライズ!速くボールに戻して!」

「あぁ!戻れ!」

「ギギッ!」

 

ライズがボールに戻したことでギギネブラはボールへと収納されて刺さったいた鱗はそのまま地面へと落ちていく

 

「レギィィィィィイイイイイ!!!」

「ヤバッ!?ガケガニなんとかこらえて!」

「ンガニィ!!ガニッ!?」

 

セルレギオスは再び急降下キック……いや、ポケモンの技特有の光を纏ってるから技として使われているのでおそらく『とびげり』だと思われる技を使ってくる

 

なんとか防いではいたけど威力が高い上にガケガニには効果抜群ね……

 

「でもここまで近づければこっちのもんね!」

「ガケガニ!はさんで!」

「ガニッ!ニニニニニニッ!!」

「レギッ!?セルレッ!」

 

セルレギオスは必死に逃げようと鱗を何度もガケガニに飛ばすが距離が近すぎてまともにダメージが入っておらず、肝心の両足を捕まえられている為に蹴れないし尻尾も届かない状態になっていた

 

「今よ!『トリック』!」

「ギギィ!」

 

なんとかギィギの持っていた『くろいてっきゅう』を押し付けられた

 

「ガケガニ!放して大丈夫!」

「ンガニッ!」

「レギ!!レギァァァァァァァアアアアア!!レギッ!?」

 

セルレギオスは瞬時に離れて咆哮して威嚇を行い、また『とびげり』を使おうとするがいくら羽ばたいても飛べなくなっていた

 

「よし!自慢の飛行能力を奪えた!『くろいてっきゅう』の効果で素早さも落ちてるはず!

でてこい!バサルモス!」

「ヴァァァアアアア!!」

「ギィギ!無理せず戻っ……ちょ!?」

 

ギィギを戻そうとしたらギィギは『そらをとぶ』で殴りに行ってしまった

 

「なんで翼とかの飛べそうなもん無いのに飛べるんだよ……」

「ヨガの力は偉大ね……って速くボールに戻さないと!?」

「ギィィィイイギッ!」

「レギャッ!?」

 

そしたらセルレギオスの頭上へと落ちてきてかなりの力でセルレギオスの頭をを叩きつける

 

「んなっ!?」

「ヨガパワーで攻撃力2倍とはいえ凄い威力ね……」

「ギギッ!」

「セ……ルレ……レギァァァァァァァアアアアア!!!」

 

すると突然セルレギオスが光の柱包まれて大きくなっていく……ってこの反応は……

 

「やっぱ秘伝スパイス食われてた!?」

「というよりオトシドリが軽く噛まれてたみたい」

 

つまりその噛んだ部分から秘伝スパイスの成分が漏れたって訳なのね

 

「とりあえず戻ってギィギ!」

「ギギッ!」

「出撃よ!シュニン!」

「ンガァァァァアアアア!!」

 

するとガケガニのの甲羅に軽く罅が入ってガケガニの力が強くなる

 

「『いかりのこうら』ってことはそれだけ消耗してたってことだよね……ごめんねガケガニ」

「ガニガニ」

「それはともかく短期決戦だ!こっちもそこまで持たなそうだから一気に畳み掛けるぞ!!」

「おう!いくぞコジオ!」

「シオッ!」

「わかった!ガケガニ!やるよ!」

「ガニッ!」

「やるわよシュニン!」

「ンガァァァ!!!」

 

 




マグロ「ういっ」

セルレギオス
アナザーポケモン
ドラゴン・ひこうタイプ

特性
????


『とびげり』
『??????????』
『アクロバット』
『????』


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少年と少女と新たな仲間★

レティ視点

 

~西1番エリア~

 

 

「レギァァァァァァァアアアアア!!!」

 

セルレギオスが咆哮と共に全身の鱗を逆立たせて展開する

特に頭部の辺りの鱗はクヌギダマのような開き方をしており、その鱗が全部発射可能なのだとしたら相当な脅威であることが予想できる

 

「ガケガニはこれ以上受けると厳しそうだからシュニンとバサルモスに受けきって貰っていい?」

「任せて、『いかりのこうら』は確かに強いけど防御も下がる以上下手に受けさせられないもの」

「ヴゥゥゥ……」

「バサルモス?どうし……ッ!」

 

バサルモスが若干嫌そうな顔をして地面を踏んでいたのに気が付いたライズ君が様子を確認すると砕けた砕けた鱗が足の裏に刺さっていた

 

表情には出していないがシュニンも同様のようだ

 

「『まきびし』や『ステルスロック』と同じ効果ッ!?」

「みたいだな、とはいえ嫌かって入るがダメージその物はそこまで大きくないとなると相性的にはひこうタイプなのか単純に『まきびし』と全く同じ効果なのかってとこだろう」

 

そうなると下手に後退は出来ない

私の場合ガケガニがやられたらニャローテやビビヨンが後ろに控えているから余計にだ

 

「飛べないってことはさっきの蹴りは最低でも封じられたはずよ!接近戦をしかけましょう!」

「わかった!バサルモス!『マグマダイブ』!」

「ヴァァァアアアア!!!」

「シュニン!セルレギオスの周囲に『かやくがん』!」

「ウラァァァアアア!!!」

 

バサルモスが『マグマダイブ』で周囲を溶岩で囲んでセルレギオスに不利なフィールドを作り出してその内側にシュニンが『かやくがん』を設置する

 

これでセルレギオスは下手に攻撃範囲の広い技を使えば自分ごと巻き込んで自爆するようになった

 

「ガケガニ!『がんせきふうじ』で動きにくくして!」

「ンガニッ!」

 

ガケガニの『がんせきふうじ』でセルレギオスの動きをより封じる

ガケガニは私のやりたいことをきっちりと理解してくれたようでシュニンの『かやくがん』を隠すように岩を設置してくれた

 

これならよりセルレギオスへ『かやくがん』を直撃させやすくなる

 

「レギァァァァァァァアアアアア!!!」

 

セルレギオスは咆哮すると全身の鱗を上空へと山なりに飛ばす

 

「ヤバッ!?全員バサルモスの所へ!」

「シュニン!地面へ顎を叩きつけて地面の鱗を上空へ吹き飛ばして!」

「ンガァァァァアアアア!!!」

 

シュニンの叩きつけで私達は軽く動けなくなるレベルの地揺れを引き起こして地面の鱗を上空へと巻き上げる

その鱗をこちらへと飛んできた鱗へとぶつける事でこちらへと来る攻撃を軽減する事に成功する

 

「ヴゥ……ヴァ……ヴッ!?」

「耐えろ!耐えてくれバサルモス!」

「ヴァァァァァァアアアア!!!」

 

そして鱗の雨が止んでバサルモスは反撃に出る

 

「よしっ!『ひりゅうのいぶき』!」

「ヴァァァァァァァァアアアアアアア!!!」

「レギャッ!?レギャァァァアア!!!」

 

セルレギオスが大きく怯んでる!やっぱりドラゴンタイプだ!

 

「ガケガニ!『ロックブラスト』!」

 

最近覚えさせたいわタイプの技だ

『がんせきふうじ』のが安定はするけど『ロックブラスト』は上手く入れば『がんせきふうじ』を大きく超える威力が期待できる

 

「レギャッ!?」

 

しかも『いかりのこうら』で攻撃力が大きく上昇したガケガニの『ロックブラスト』は凄まじい威力になる

 

セルレギオスの鱗は……うそ!?もう殆ど生え変わってる!?

 

「気を付けて!鱗がもう生え変わってるよ!」

「うげっ!?再生速すぎちゃんかよ!?あの鱗どうなってんだよ!?」

「んなもん気にしてる暇あるなら攻撃の手を緩めるなよ!

バサルモス!踏ん張れ!」

「ヴァァァァァァアアアア!!!」

「それもそうね、シュニン!起爆よ!『じならし』!」

「ンガァァァァアアアア!!!」

「レギャッ!?レギァァァァァァァアアアアア!?!?!?」

 

シュニンの『じならし』で一斉に『がんせきふうじ』で隠れた『かやくがん』が爆発してセルレギオスへとかなりのダメージを与える

 

周囲への被害で『がんせきふうじ』を全て破壊してしまったけどこれなら……ッ!?

 

「レギァァァァァァァアアアアア!!!!」

 

セルレギオスの瞳が深紅に染まってただ地面を踏みしめるだけでその足元が大きく陥没する

 

目が深紅に染まって力が強くなるって……うそでしょ!?

 

「まさか『げきりん』!?」

「バサルモス!」

「シュニン!」

「ヴァァァァァァアアアア!!!」

「ンガァァァァァアアアア!!!」

 

バサルモスとシュニンが全力でセルレギオスの『げきりん』を完全に防ぎきる

 

「コジオ!『いわおとし』で体力をそのまま削りきれ!」

「シオッ!」

「ガケガニ!トドメの『メタルクロー』!」

「ンガァァァアニィィィィィイイイイ!!!」

「レギャァァァアア!?!?」

 

ガケガニの爪の叩きつけでセルレギオスは力尽きて元のサイズへとどんどん縮んでいく

 

「私はシュニンに加えてギィギ……といっても進化したらギギネブラになっちゃうから後で名前考えるけどあの子もいるから……

レティ、貴女が捕まえなさい」

「うぇ?いいの?」

「うん、貴方達もそれでいい?」

「俺は手持ち的な限界だからそれでいいよ」

「俺はあんま役に立てなかったしそんな強すぎちゃんを育てられる自信ねぇから任せる」

「そっか……よし!モンスターボール!」

 

私は倒れたセルレギオスへとモンスターボールを投げつけてぶつける

モンスターボールが開いて中にセルレギオスを収納して地面へと落ちる

 

一回…………二回…………三回…………カチッ!

 

よし!

 

「よっし!私もアナザーポケモンゲット!」

 

私だけ持ってなかったからゲットしたかったんだよなぁ……

 

「よろしくねセルレギオス、ううん『レギィ』!」

 

なんとなくレギィのボールが軽く揺れた気がした

 

 




マグロ「んじゃ正確なスペック乗せまーす」

セルレギオス
アナザーポケモン
ドラゴン・ひこうタイプ

特性
じんりん
攻撃を行う度に刃鱗をばらまく
刃鱗はひこうタイプ扱いでダメージを与える
交代してきたポケモンに通常最大HPの1/8のダメージ、半減で1/16、弱点で1/4のダメージを与える


とびげり
げきりん
アクロバット

シューティングスター(ドラゴン 物理威力20 命中85)
ランダムな相手に2~10回ダメージをばらまく(シングルの場合全部一匹に集中する)
1回命中ごとに10%の確率で裂傷を与えて毎ターン最大HPの1/16のダメージを与える
交代すると治る

種族値

H:80
A:130
B:60
C:90
D:60
S:180


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少年と双子とひでん:にがスパイス

ライズ視点

 

とりあえずセルレギオス改めレギィをレティが捕まえたのでもう大丈夫だとオトシドリを安心させてやらないとな

 

「オトシドリ、もう大丈夫だぞ」

「トリ?………トリィィイイイ!!!」

 

オトシドリは感極まったような涙目で俺にいきなり抱き付いてくる

 

「うぇ!?ちょっ!?そんな巨体で抱きつかれたらァァァァァァァアアアアアアアアッ!?」

「ちょ!?ライズ君ー!?!?」

「オトシドリ、それ以上はライズが死ぬからやめてあげて」

「トリ?」

「アガッ……ガッ……」

 

せ……背骨が……折れるかと思った……

 

「トリ!?オトッ!?トシトシトリィィィイイイ!?!?」

「ヴェァァァァアアア!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は結局軽く気絶させられて次に目が覚める頃には洞窟にいた

 

 

 

 

「お?気が付いたか?相変わらずポケモンに好かれ過ぎだな」

「ペパー……ここって?」

「あぁ、オトシドリに案内して貰ったひでんスパイスの洞窟だ

とりあえずひでんスパイスも見つけたぞ」

 

そう言うとペパーはひでんスパイスと思われる緑色に輝く草を取り出した

 

「何はともあれお前達のお陰でひでんスパイスがまた手に入った、ありがとな」

「そんなの良いっての」

 

俺とペパーが話しているとレティ達が俺が起きているのに気が付いてこっちに駆け足でやってくる

 

「あ、ライズ君気が付いたー?」

「なんで背骨折られてもう回復してるのよ……」

 

なんかヴィオには呆れられてるが正直慣れとしか言いようが無いんだよなぁ……

 

「ちょうど全員集まったしひでんスパイスの効能を調べるか……えーっとなになに……」

 

するとペパーは紫色の本と紅色の本を取り出して読み進める

 

「ひでん:にがスパイスは血行促進!

血のめぐりを良くする!

体をポカポカ温めて免疫効果もアップ……とのことだ

まぁ効能その物はジンジャーに近いものがあるな」

「そうだな……ただ『にが』って名前にあるくらいだから相当苦いんだろ?」

「…………軽く舐めてみたが死ぬ程苦い、覚悟はいるな」

「俺も手伝おう……ニャンター、お前も手伝ってくれ」

「旦那さんのお手伝いするにゃ!」

 

「じゃあ私達は食器とかの準備しておくね」

「シュニンとレギィ、あとオトシドリの分もよろしくね」

「シュニンはともかくそいつらも食うのか?」

「えぇ、レギィは純粋な興味みたいなのだけどオトシドリは純粋にそのスパイスが好きみたいだから食べさせてあげて」

「わかった!用意しとく」

「それとオトシドリだけどやたらと貴方に懐いていたけど手持ちの問題もあったからとりあえず私が捕まえることになったわ、これなら一緒に旅出来るもの」

 

確かに今俺の手持ちは出来れば変えたくないのもあるからなぁ……ガーグァをライドポケモンに登録すれば空くけどまだ調べきれてないんだよなぁ

 

「あー、わかった

一応手持ちが余裕出来そうなら伝えるが……難しそうなんだよなぁ」

「だと思ったわ、旅が終わるようなら貴方に渡すからそれまでは預かるわよ」

「あぁ、頼む」

 

するとペパーがクスクスと笑い始める

 

「また苦労しそうだな……お前は」

「ほっとけ……とりあえず作るぞ」

 

 

 

 

 

ひでんスパイスを俺も味見はしてみたがマジで死ぬ程にがかった……分量の調整失敗したらアウトだこれ……

 

 

 

 

「ヨシッ!ペパー&ライズ特製サンドイッチの出来上がりだ!」

「出来たー?」

「おう!取りに来てくれ!」

「「アギャ!」」

「お前らはくんな!?」

 

サンドイッチが出来たのを知ってかレティのコライドンとヴィオのミライドンが出てきたけど相変わらずペパーはこいつらには辛辣だ

 

 

「それじゃ食べましょうか

出てきなさい、シュニン、オトシドリ」

「レギィもおいで!」

「ンガッ」

「トリッ!」

「レギァ!」

 

全員にサンドイッチを配って軽く記念撮影をしたんだが……俺とペパーで作っといてなんだが……

 

「やたらと緑色ね……というか匂いですら苦いのだけど……」

「ア……アギャ」

「ギャース」

 

やはりひでんスパイスの味が強くなりすぎており、かなり緑色になって周囲の匂いすらも苦くしていた

 

「味の旨さだけは保証する……一応毒味はしたからな」

「…………いただきます」

 

ヴィオが先に口を付けた事で全員がそのサンドイッチを口にする

 

「あら?」

「ギャッ!」

「ンガッ?」

「美味しい!」

「アギャッス!」

 

全員が食べた瞬間美味しいと思ったのか次々と口にするが俺とペパーとニャンターは目を反らして食べる

何故なら……

 

「あんな空気出すからてっきり相当ヤバいんじゃないかと思ったジャッ!?」

「アギャッ!?」

「ンガッ!?」

「セルァッ!?」

「んぐっ!?」

「ギャッス!?」

 

オトシドリ以外の全員がいきなりフリーズする

 

「にっが!?」

「みみみみず!?水ぅーーー!!」

「ギャース!?アギャッスギャッス!?」

「ンガァァァァアアアア!?!?」

「レギャァァァアア!?!?」

 

俺とペパーとニャンターはかなり頑張ってこのスパイスの苦味をどうにかする方法を考えた

 

このにがスパイスは味としてはこの世の全ての苦い食べ物の味を凝縮したようなそんなえげつない味となっており、その変わりに膨大な旨味が隠れてるといった印象のスパイスだった

 

結論から言えばこのエグすぎる苦味を消しきるのは不可能だった

 

なのでどうするべきか考えた上で出た結論が……

 

「最初に来る苦味だけはどうにか出来た

後味の苦味まで中和は無理だ……」

「でもちゃんと美味しくはなったにゃ……最初だけ」

「すまんがこれが俺達の限界だった……」

 

なおオトシドリは……

 

「トリッ♪」

 

平然と食っていた

どうやら苦いものが相当好きらしい

 




ペパー「あれ!?マフィティフの話は!?」
マグロ「いやー、この状態でいれると文字数エグい事になりそうやしストーリーにも割と深く関わるとこだから妥協したくないんで次の話でしっかり書こうかと」
ペパー「orz」


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少年と双子とペパー

ライズ視点

 

 

~大空のヌシの洞窟~

 

 

結構キッツイサンドウィッチを食べ進めて行くと何故か人数分+αでもう一つ用意されている事に気が付いた

 

「ん?ペパー、一人分多く用意されてるみたいだが?」

「あぁそれか……折角手伝って貰ってるわけだからな……

お前らにはちゃんと話しておくべきかめな……」

 

するとペパーは暗い表情をしながら懐から使い込まれた跡のあるモンスターボールを取り出す

 

「……出てこい」

 

すると凶悪な顔をしたダークブラウンの犬ポケモンが現れた

 

だが俺はそいつを見た瞬間妙な違和感を感じた

 

「こいつはマフィティフ

オレの相棒さ」

「マフィティフ……たしかオラチフの進化系だっけ?」

「あぁ……幼い頃から……それもオラチフだった頃からずっと一緒にいた相棒だ」

「…………」

 

マフィティフはボールから出てきてからずっと倒れており、目も開いておらず鳴き声すら出さない

 

寝ていたり死んでいたりするわけではないみたいだが……

 

「さ、元気になるサンドウィッチだぞ……」

 

ペパーが余分に作っていた一人分、マフィティフの分のサンドウィッチをちぎって与える

 

「ほら……ゆっくり食べろよ

少しずつでいい……ゆっくり……ゆっくり噛むんだぞ」

 

そう言うペパーの表情はとても悲しげに見えた

 

「…………」

 

マフィティフはゆっくりと咀嚼するがその顎には明らかに全く力が入っているようには見えなかった

 

「コイツ……しばらく前にちょっと……大怪我しちまってさ……

それ以来ずっと具合悪くて……」

「ポケモンセンターじゃダメだったの?」

 

いや……ポケモンセンターで治るのであればペパーこんな状態のマフィティフを連れてはここで呑気にスパイス探しせずにポケモンセンターに連れていくのだろう……

 

なんでそんなに秘伝スパイスに執着したのかがようやくわかった……

 

「普通のケガや病気じゃ無いんだとさ……」

 

やっぱりな……

 

「……オレにとって大事なのはコイツ……

マフィティフだけなんだ

どんなことをしてでも絶対治してやるって」

 

するとペパーは鞄から紫と紅の本を取り出す

 

「ネットや本で治療法をたくさん調べて粗方試してきた」

 

その口振りだとやはり……

 

「どれもあんま効果無くて諦めかけてたそんな時……

秘伝スパイスの存在にたどり着いたってワケだ!」

「ねぇ、前から気になっていたのだけれどその本はなんなのかしら?」

「父ちゃんと母ちゃんの研究室で見つけたんだ」

 

その本のぺパーが開いているページにはこう書かれている

 

   『秘伝スパイス』

 

 エリアゼロにて 食べれば

  たちまち 元気になる

  不思議な植物を 発見し

 秘伝スパイスと 名付けた。

持ち帰り パルデアの各地で

育てようとしたが 育成途中の

スパイスを 周囲のポケモンが

食べてしまい 強大に成長した。

これを ヌシポケモンと 呼ぶ。

 

 

 

「嘘みたいな話ばっか書いてある誰も信じないオカルト本さ

けどオレは本当だと思ってる!」

 

まともなモノを調べてちゃダメだったからこういうオカルト染みたモノにすら手を出さなきゃもう手段がないと思ったんだろうな……

 

「この本によれば秘伝スパイスを5つ全部食うとどんな怪我も病気も治るらしい!

実際前のスパイス食べたら冷えきったマフィティフの手足がちょっと温かくなったんだぜ」

「手足までとなると血管や血の巡りにも異常があったんだろうな……それが食べたらすぐに治るってのは普通に考えりゃあり得ない

あり得ないからこそ信憑性が出てきたわけか」

「…………」

 

するとマフィティフが食べ終わった事にペパーが気が付く

 

「あ、食べ終わったか?」

 

すると閉じていたマフィティフの目が開き立ち上がろうとする

 

しかし立ち上がりきれずにそのまま倒れてしまうが目はしっかりと開いており、表情はとてつもなく苦そうだった

 

「…………」

「わわわっ!マフィティフ!オマエこれって……!

目……見えてんのか!?」

 

両手を上げて驚いていたペパーが跳び跳ねる程喜び始める

 

「やった!やったぁ!」

 

そして涙を流しながらまた話し始める

 

「ずっと……ずっとさ!

目も開けなくって!オレ……すげえ心配で……!

うぅ……良かった!本当に良かった……!」

 

するとマフィティフは自分の顔を見ながら泣きながら話すペパーを舐める

 

「うっ……へっ……ぐへへ……!

目がつぶらすぎて開いてるのかわかんねぇー!」

 

そしてペパーは大きく笑い始める

 

「スパイスの力ってすげー!

やっぱ本物だよ!」

「いやスパイスの力っていうか秘伝スパイスがおかしいだけだろ……」

「ライズ……ここは突っ込むべきじゃないわよ……」

「えぐっ……うぐっ……よがっだ……よがっだねぇぇええ」

 

レティがガチ泣きしてやがる……

 

「オレ!絶対にマフィティフを昔みたいに元気な姿にしてやるんだ!」

 

そう言うペパーの表情には先ほどまでの悲しげな雰囲気は残っておらず、希望に満ちた表情となっていた

 

「……そーゆーわけだからさ

スパイス探しは残り3つ!

一緒に頑張ろうな!」

「あぁ………つっても今回のスパイスみたいなやつはもう勘弁だがな……」

「あー、わりいが一つやばそうなのあるんだよ」

「甘味……苦味と来たからあとは塩味、酸味、旨味かしら?」

「いや、旨味は無くて辛いやつがある」

「それ絶対死ぬ程辛いわよね……」

「塩味も若干ヤバそう……」

「アギャ!アギャ!」

「アギャッス!!」

「ンガッ!」

「トリッ!」

「レギャ!」

「みんな手伝うって言ってるにゃ!」

 

「みんな……ありがとな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお洞窟から出るとまた博士から通話が来て

今回のスパイスでコライドンとミライドンがなみのりを使えるようになったらしい

なんて良いタイミング……




マグロ「なおサンドウィッチのお味は如何でした?」
イッヌ「(ヽ´ω`)」
マグロ「やっぱ苦すぎるのね……」


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少年と双子と白い少女★

 

ライズ視点

 

~???~『シュ?イ???う』

 

 

俺は大きな廃墟のなかで目を覚ます

だが俺はこんなところで寝た覚えもなければなんなら野宿していたはずだ

 

「なんなんだここ……」

 

周囲を見渡してみると廃墟の境目となる所は白い壁で覆われており、その壁はまるでバグでも起こしたかのように『ザ……ザザ……』という音と共に常に形が歪んでいた

 

探索していく内にこの廃墟の正体がなんとなく分かってきた

 

「これは……玉座か」

『そうだよ』

「っ!?」

 

突如として背後から少女のような幼い声が響く

 

だが後ろを振り返ってみても誰もいない

 

『キミは面白いね……普通は未知の強大な力を持った生物に自分から関わろうとはしないものだよ?』

「っ!?誰だ!」

 

余計なお世話だ……確かに俺は若干命知らずなのは自覚はある

だけどわからないからこそあいつらを理解したいんだよ!

 

『ふーん、それがキミの答えか

でもキミはもし生きた災害、生物でありながら災厄ともされる程の龍と出会った時に同じことを言えるのかい?』

「…………何が言いたいんだ?」

『んー?例え話さ、キミの答えはどうなんだい?』

 

つっても情報が少なすぎるしな……

 

「なぁ、一つ質問だがその龍とやらは自分からその災厄とやらを引き起こすのか?それとも……

 

ただそこにいるだけで災厄となる程の被害を引き起こしてしまうのか?」

『…………へぇ

そうだね……、その両方であると答えておこう』

 

つまりはただそこにいるだけで周囲に甚大な被害を引き起こしてしまうが自分から起こすことも可能か……

 

 

 

 

ん?ポケモンにも似たようなの居るじゃねぇか

 

 

『おや?』

「生物である限りそれには何かしらの理由があるんだろ?

何かの化身であるとするならばその司る物へ影響を与えるのは別にこっちの世界でも珍しい訳じゃない

つかやっぱりお前……アナザーポケモンの事確実になんか知ってるな?」

『ふふ……どうだろうね?

でもそっか……別に珍しくないか』

 

まぁ数が居るわけじゃないからある意味じゃ珍しいが伝説として残るようなポケモン達はどいつもこいつもそんなもんだ

グラードンやカイオーガなんかは特にな……

 

『うん、キミの答えを聞けて良かったよ』

 

すると玉座に白い髪、白い肌、白いワンピース、何もかもが白い少女が座っていた

 

「お前はなんなんだ?」

『ボク?うーん、ここで言っても良いけど……そうだね

キミの手持ちのポケモンの進化が全て終わった時にキミに会いに行くからその時に名乗るとするよ』

「…………分かった

それから一つだけ聞かせてくれないか?」

『なんだい?』

「あいつらは……たまたまこの世界に来たのか?

それとも……」

『…………そうだね、両方と言っておくよ』

「そうか」

 

これで少しだけ見えてきたものがある……

 

確実に誰かがこの世界とあいつらの世界を繋げている

たまたま繋がったとかではなく何か目的があって繋げている

 

『ふふ、それじゃまた会おう……ボクは近くで君達を見守っているよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

~西1番エリア~『テント内部』

 

「ッ!?」

 

俺はいきなり飛び起きる……

どうやら夢から覚めた……いや、目覚めさせられたらしい

 

「んにゃ?どうしたにゃ?旦那さん……」

「ニャンターか……すまない、起こしてしまったな」

「別に良いにゃよ、そろそろ朝ににゃりますからにゃ」

 

俺はテントから顔を出してみると確かに朝日が昇り始めていた

 

「進化を全て終わらせろか……」

 

俺が持っているポケモンの中で進化したのは『ニャンター』と『ギギネブラ』だ

他のポケモンだと『スクアギル』が進化したくても何か条件が足りない状態で『ウロコトル』と『バサルモス』がまだ進化条件が全然判明していないのが現状だ

 

『ガーグァ』は『ニャンター』から話を聞く限りではまず進化はないと思われる

 

「んにゃ?旦那さん、これは旦那さんの物かにゃ?」

「ん?そいつは……」

 

ニャンターが俺の枕元から巨大な純白の鱗を取り出す

なんだこの鱗……やたらと強い存在感を放っている……

 

「いや、俺も初めて見た……だが拾った覚えはない……」

「んにゃー、どうするにゃ?」

「…………一応持っておこう、心当たりが無い訳じゃないが全く確証が持てない」

「分かったにゃ、ガーグァの荷台に積んでおくにゃ」

 

そう言ってニャンターは鱗を荷台へと運んでいく

 

「夢……だったんだよな……」

 

夢にしてはやけに現実的な物だった

 

俺は夢の事について考えながらポケモン達の分の朝食を用意しているとレティ達のテントから着替えたレティとまだ寝巻きで眠そうにしているヴィオが出てくる

 

「あ、ライズ君おはよー!」

「おはよ……ふぁぁぁあ」

「おはよう、レティ、ヴィオ

今朝食用意してるから待ってろ」

「分かった!」

「…………」

 

するとヴィオが何かを言いたそうにしてこちらへ来る

 

「どうした?」

「ねぇ……変なこと聞くようだけど……もしかして貴方も妙な夢を見なかったかしら?」

「ッ!?」

「その様子だと同じみたいね……」

「お前は心当たりは?」

「ごめんなさい……確証が持てないからちょっと難しいわ」

「そうか……」

 

一体何が起ころうとしてるんだ……




マグロ「コメントで他のモンスター達の種族値が気になるってあったのでこれからしばらく後書きには種族値を乗せていきます」

バサルモス(亜種)

H:150
A:80
B:120
C:60
D:40
S:20

マグロ「圧倒的なまでの鈍足……まぁバサルモスやしw」
桃岩竜「(´・ω・)」


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少年と双子と作戦会議★

 

ヴィオ視点

 

 

~ハッコウシティ~

 

 

よりにもよってとてつもなくろくでもない夢を昨日は見させられたわ……

 

「ヴィオ姉どうしたの?」

「いいえ……ちょっと夢見が悪かっただけよ」

 

今日は元々の目的だったスター団ほのお組へのカチコミに向かう為に場所の近いハッコウシティに来ていた

 

「どんな夢見てたの?」

「んー……ちょっとね」

 

まさかこの世界に転生してシュレイド城で黒龍に出くわすなんて……

 

『一度死を経験し、再誕したキサマが何を為すのか……

我は見届けさせて貰おうぞ』

 

しかも起きてみれば枕元に黒い鱗って……これ捨てようものなら確実に殺されるわよね……

 

「はぁ……それよりも作戦を考えないとね……」

「流石にもうシュニンでの突撃は読まれてるよねぇ」

 

チームセギンにカチコミをかけた時は派手に暴れさせたものねぇ……やたらとしたっぱが死亡フラグ建てまくってたから回収しただけ感あるけど

 

「少なくともスター団同士で情報の共有はしてるだろうな

あるとしたら入口に大掛かりな落とし穴とかか?」

「確かにありそうだけどそうなると私達ごと巻き込まれて最悪死ねるわよ?」

「うぅ……ペシャンコになるわよねぇ」

「俺は慣れてるから問題ないがお前達だと流石に死にかねないな」

「それを慣れてると言える辺り流石旦那さんにゃ……」

 

ちなみにニャンター君は私が抱っこしてもふりながら一緒に作戦会議してるわ

意見は一つでも多くあった方がいいと交渉した正解だった

 

もふもふ……もっふもっふ……ふふふふふふ

 

「ヴィオ……やっぱり目的そっちか」

「あ……な、なんの事かしら?」

「はぁ……もういい

とりあえずなんだが今回は……空から奇襲を仕掛けないか?」

 

空からと言うと……あぁ、レギィことセルレギオスを使うわけね

 

「するとレギィとオトシドリの出番ね」

「あぁ、俺の場合空を自由に飛べるやつは持ってないからニャンターをレギィに乗せる形でやろうと思う」

「にゃ?でもボクは空中から攻撃は若干難しいにゃよ?ブーメランも回収出来ないにゃ」

「あぁ、そこでなんだがニャンター、お前には『こタルばくだん』を大量に作って上から落として欲しい、それとオトシドリにも大量に持たせてやってくれ」

 

んん?

 

「それって……」

「上から鱗、岩、爆弾の雨を浴びせて一気に殲滅する」

 

……………どこの爆鱗竜よ!?

 

私は思わず脳裏にあの『アォォォォォオオオン』という爆撃機モンスターの鳴き声が響いてくる

 

「ニャニャ……まるで『バゼルギウス』みたいですにゃ」

「バゼルギウス?お前の故郷のポケモンか?」

「はいにゃ、爆鱗っていう爆発する鱗を持っていてそれを空から大量に降らせてくる恐ろしいポケモンにゃ……町一つ滅ぼされたこともあるにゃ……」

「毎度話を聞く度に思うんだがニャンターの故郷の生態系は一体どうなってるんだ?

逆に行きたくなってきたぞ」

「ブレないわね……」

 

なんか段々話が脱線してきてるわね……

 

「どんどん話ズレてるから戻すわよ

とりあえず今回のカチコミのコンセプトは爆撃でいいのね?」

「あぁ、とはいえ人に当たったりすると不味いからある程度こっちで当たらないように調整しなきゃダメだがな」

「まぁ流石にね……」

 

ただまぁ問題としては……

 

「スターモービルってやつ……今回もあると思う?」

「…………多分あるだろうな

あそこだけに配備されてるってのは流石に無いだろう」

「今回は……レティがボスを相手してみる?」

「…………うん、やってみる

ライズ君ばかりに任せるって訳にも行かないし」

「俺としては全員でかかっても問題ないとは思うがな」

「流石にボス一人で出てくるんだからやめてあげましょうよ……」

 

なんだかんだ言ってライズって容赦の欠片も無いのよね……

 

「とりあえずはこんなもんか……あとは臨機応変にやればなんとかなるだろう

んじゃそろそろ出発しないか?」

「ええ、そうね

ミライドン、出てきなさい」

「アギャ?」

「コライドン!いこー!」

「アギャッス!」

「ガーグァ……そろそろ出発するからいい加減離してくれ」

 

ちなみにライズはと言うと作戦会議の間ずっと……

 

ガーグァに頭を反芻されていた

 

『あのガーグァは胃袋がいくつもあるのかしら……』

 

何故かガーグァはよくライズを反芻する癖がある

個性なのか習性なのか……習性は確実に違いそうね……

 

「いい加減に旦那さんを離すニャァァァァァア!!!」

「クェェェェェェエエエエエ゛エ゛エ゛!?!?!?」

「ヴェァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛!?!?!?」

「ラ…………ライズ君ーーーー!?!?!?」

「んにゃ?」

 

ニャンターが大タル爆弾を何処からともなく取り出してガーグァにぶん投げる

思いっきりライズごと巻き込んだけどガーグァはその威力が故に一発でライズを離した

 

「ニャニャ?『タルばくだん』を投げたつもりが大きくなっちゃったニャ!?」

 

『おおタルばくだん』へと技が新しくなったわね……

スター団が若干心配になるけどまぁ大丈夫でしょ

 

それにしても…………

 

「ク……クエ………」

 

 

ジュゥゥゥゥウウウウという音と共にこんがりと香ばしい香りが……

 

「お腹減ってきたわね……」

 

 

 

 

 

結局お昼を食べてから向かうことになった




マグロ「今回はギギネブラ君です」

ギギネブラ(原種)
どく・ドラゴンタイプ
アナザーポケモン

H:95
A:90
B:75
C:120
D:130
S:90

マグロ「続いてニャンターの新しい技」

『おおタルばくだん』

威力100 命中80 ほのお 物理技

大タル爆弾を設置する
範囲攻撃や次の自分の攻撃で起爆されて敵全体にダメージ


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少年お双子とスター団ほのお組★

レティ視点

 

 

~東1番エリア~

 

 

私達はスター団ほのお組のアジトに向かう為に東1番エリアに来ていた

 

スター団のアジトは実は結構大きい集落みたいな感じで目印に巨大な旗なんかも沢山設置されてるから見つけるだけならそんなに難しくなかったりする

 

……なんならマップアプリで軽く場所が分かるくらいだし

 

アジトに向かっていると道の途中で校ちょ……ネルケを見つけた

 

「……お前らか」

「校長先生?」

「ブフッ……ちょっとヴィオ姉!?」

「繰り返すが今の俺はネルケ

そういうことにしておいてくれ」

 

ごめんなさい……どう見てもやっぱり校長先生です……

 

すると校長先s……ネルケはピシッと背筋を伸ばして話し始める……

そういう所なんですよ……

 

「三人共、まずは感謝するぜ

おかげでスターダスト大作戦に関わる事が出来たからな」

「校ちょ……げふんげふん、ネルケはなんで大作戦に関わろうと思ったんですか?」

 

あぶないあぶない……危うく校長先生って言うところだった……

 

「スター団の問題とその謎……それを突き止める為だ」

「スター団の問題と謎?」

「いじめで多くの生徒を退学に追い込んだ……

アジトにこもってアカデミーを襲撃する計画を立てている……

いくつかヤバい噂があるがあくまで噂レベル

今直面している一番の問題は……」

 

するとネルケは悲壮な顔付きになって呟くように答える

 

「団員達のあまりにも長い無断欠席……

不登校の状況なんだ」

「不登校か……」

「あぁ……こと5名の生徒……

スター団でボスと呼ばれる生徒は1年以上学校に来ていない

加えて最近はしたっぱ達がやんちゃを始めているようで……」

 

私達はそれを聞いて最初にカチコミに行ったチームセギンの見張り達を思い出す

確かに新入りの団員とそうでない人でかなり考え方が違っていたような……

 

そしてネルケは隠すことすら忘れて校長先生たしての口調に戻り始める

 

「だから私はスター団に解散を要望しました

そして要望を無視するなら退学して貰う他ないと……

しかしスター団から返事はない、解散か退学かどちらかを選択する期限も迫っている……」

 

確かに……

学校としても生徒としても今の状況は問題だらけなんだろうな……

 

そうすると校長先生は顔を上げて話し始める

 

「そんな時に聞こえたのがあなたとカシオペアの電話です」

 

『や ら な い か……や ら な い か……』

 

そしてとんでもなく悪いタイミングでヴィオ姉のスマホロトムが鳴る

 

ってかまた着信音変えたんだね

 

『こちらカシオペア……三人とも聞こえるか?』

「っ!」

 

すると校長先……ネルケが緊張したような様子になる

そしてゴニョゴニョと小声で私達に伝えてくる

 

「続きはまたの機会に……それではお気をつけて」

 

そう言い残して校長先生は去っていった

 

『アジトが近いようだが誰か……いたのか?』

「いや、俺達だけだ

おそらく俺達が話してる時の声が若干入ったんだろ」

『そうか……さて、ボスを一人倒したことでスター団は警戒を強めている

アジト攻略も以前より厳しいものになるだろう

くれぐれも注意してくれ、また連絡する』

 

カシオペアはそう伝えて通話を切っちゃった……

 

私達はそのままスター団ほのお組のアジトまで向かうと案の定見張りの団員を見つけた

 

「……おい、なんだよ?ここスター団のアジトだぞ?

さっさと帰ってくれない?でないと正当防衛だぜ?」

 

どうやらしたっぱはだいぶピリピリしていてカシオペアが言っていた警戒が強まってるっていうのがより実感出来る

 

「ここは私に任せて頂戴」

 

するとヴィオ姉が前に出てボールを取り出す

 

「よし!正当防衛でボッコボコにしてやる!」

 

なにか憂さ晴らしをするような口調でしたっぱはいつものダサいポーズを取りながらボールを取り出してポケモンを繰り出す

 

「いけっ!デルビル!」

「デルビィィイイ!」

「叩き潰すわよ!『ダルシム』!」

「ギィィイイ!!」

 

したっぱはデルビル、ヴィオ姉はギィギ改め『ダルシム』を繰り出す

何が名前の由来なのかな?

色々と考えてみたけど結局よく分からなかった……

ヴィオ姉に聞いてみてもはぐらかされたし……

 

「なんだこのポケモン!?」

「ギィィイイ……」

「さぁ?試してみたらどうかしら?」

「んの野郎……デルビル!『ほのおのキバ』!」

「ルビィ!」

「ダルシム、受け止めて『はっけい』」

「ギィッ!ギッ!」

「デルビィ!?」

「デルビル!?」

 

ダルシムはデルビルの『ほのおのキバ』をあえて受けて体を接触させてかくとう技のはっけいをデルビルに直撃させた

デルビルはあく、ほのおタイプのポケモンだから効果は抜群、しかもダルシムは何故か特性がヨガパワーだから物理技の威力が凄く高い

 

「いつの間に『はっけい』を覚えさせてたんだ?」

「レギィ捕まえた後で覚えたのよ」

「成る程な……そうなると忘れさせた技は……」

「『なげつける』一択よ、あんな技余程の型でもないと使わないわよ

対人ならいくらでも使い道あるけど野良のポケモンとも戦うなら邪魔になっちゃうわ」

「ごもっともで」

 

ライズ君とヴィオ姉はバトル中なのに呑気に話してるし……若干したっぱがかわいそうな……

 

「んの野郎!?舐めやがって!デルビル!『かみつく』」

「デルガァ!」

「あ、ダルシムそれは受けたら不味いから『そらをとぶ』で避けて頂戴」

「ギッ!」

「はぁ!?」

 

あぁ……うん……そうなるよね

 

ダルシムは何故か『そらをとぶ』を使う事が出来る……翼とかもないのにどうやってるんだろう……なんだが深く考えたら負けな気がする……

 

「ギィ!」

「デルビィィイイ!?!?」

「デ……デルビルゥゥゥウウウ!?!?」

 

あ、デルビルが戦闘不能になった……

 

「俺の正当防衛が……!」

「正当防衛と言っていいか微妙だと思うのだけど……」

「うるせ!はぁ……あんためちゃ強いじゃん……割と釈然としないけど」

 

…………スッ(目を剃らす)

 

「っていうかもしかしてスター団にケンカ売ってる人達?」

「あぁ……まぁそうだな、カチコミに来た」

「ご丁寧にありがとう!

そりゃ激マズだせ!俺は仲間の所に帰ります!」

「あ、出来るだけトレーナーは建物とかに隠れるように言っといて貰えるか?若干巻き込みそうだし」

「ヴェ゛……そんなヤバいの使うの……?

とりあえず伝えるだけ伝えておこう!

では!お疲れ様でスター!」

 

結局いつものポーズをやってアジトの中まで戻っていった

 

「あ、カチコむなら正面のゴング鳴らしてくれよー!」

 

…………

 

「なんか……結局思ったよりもいい人だったね?」

「…………いい人というか……アホ?」

「なーんか余計にきな臭くなって来てない?」

 

 

 

若干今からやることに罪悪感を感じなくもないけど……人数差もかなりあるし仕方ない……よね?

 

 




マグロ「今回は主任のステータスやでー」

ウラガンキン(ふつうの大きさ)
いわ、ドラゴンタイプ
アナザーポケモン

H:95
A:120
B:130
C:40
D:75
S:80

どうやら他にもフォルムがあるようだ……


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少年と双子とチーム・シェダル★

 

ヴィオ視点

 

~スター団ほのお組アジト前~

 

 

 

「おーい!三人共!」

 

したっぱを倒して少しした後に後ろから校長先生がやって来た

 

「校長先生、どうされましたか?」

「ちょっとヴィオ姉!?」

「今の俺はネルケだ……そういうことにしておいてくれ

ほのお組アジトの調査をカシオペアに頼まれたんだ

終わったから手伝いに来たんだが……

もう必要ないみたいだな……」

 

あー、確かに若干遅かったかしらね

 

「ボウ!ボウボウ!」

 

するとどこからかポケモンの鳴き声が聞こえてくる

 

「……ん?」

 

私達が鳴き声がした方向を向くとそこにはカルボウがこちらに向かってきていた

 

「ボウ!ボウ!!」

 

なにやら校長先生になにかを伝えるような仕草だ

 

「こいつは……ボウジロウ?」

 

良くみるとカルボウの首には名前が書かれたタグがついている首飾りをしており、そこにはこのカルボウの名前と思われるボウジロウという文字が書かれていた

 

「ボウ!!」

 

ボウジロウは肯定するように大きく頷く

 

「やっぱりそうだ!なぜここに……?」

 

どうやら校長先生はボウジロウと知り合いらしい

 

「ネルケ、そのポケモンは?」

「このポケモンはカルボウ

名前はボウジロウ……」

「ボウボウ!」

「アカデミーの敷地内でお世話をしているポケモンなのですが……」

 

校長先生口調戻ってきてるわよ

 

「あ、そういえば居たような……」

「ボウー!!」

「あ!ボウジロウ!」

 

するとボウジロウは大きく鳴いた後にスター団のアジトに走って向かってしまう

 

「……行ってしまった

スター団ほのお組と何か関係があるのかもしれません……

私はあの子を追ってから行きます!

皆さんは先にアジトへ!」

 

そういい残して校長先生はボウジロウを追っていった……これ誤って巻き込まないようにカチコミしないといけなくなったわね……

 

…………もっと暑くなれよ!…………もっと暑くなれよ!

 

「ヴィオ、たぶんそれお前のスマホロトムの通知だろ……」

「あら本当ね……またカシオペアね」

 

毎回ファイアーウォールを強化してるのだけどね……

 

『…………毎度ファイアーウォールを強化するのは止めてくれないか……若干めんどくさくなってきたんだが』

「あら、乙女のスマホに勝手にハッキングして通話をねじ込むのだからこのくらいはやるわよ」

『乙女と言うにはずいぶんと腐った……いやなんでもない

それよりしたっぱには対処できたか?』

 

見られたわね……覚えときなさいよ

 

「うん、さっきヴィオ姉が倒したとこだよ」

『そうか、そこでたむろしているのはスター団ほのお組……

チーム・シェダルだ

ボスのメロコはスター団きってのなんでも屋

どんな問題も強引に解決する』

 

つまりは脳筋という事かしら?

 

『おそらくメロコは我々の宣戦布告で荒れているはず

今頃したっぱ達がアジトで彼女をなだめているだろう

ならしたっぱ達をどんどん倒せばいい

なだめる相手が居なくなれば彼女は姿を見せるだろう

準備が出来たらゴングを鳴らして大作戦開始!

チーム・シェダルにカチコんでくれ』

 

そういい残して通話を切っていった

 

「さて、私達も準備をしましょう

出てきなさいオトシドリ」

「トリッ!」

「出てきて!レギィ!」

「レギァァァアア!!」

「ニャンター、頼んだ」

「お任せにゃ!」

 

ニャンターがせっせと大量の大タル爆弾を作るのを見て若干こっちは青ざめるけどまぁ受け入れましょう

 

ニャンターが作った大タル爆弾を大量にオトシドリの前掛け?ような部位に乗せてセルレギオスは鱗に爆弾を引っ付けるような形にしておく

 

丁度校長先生もカルボウと合流したようなので一緒にカチコミをするためにゴングを鳴らした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ビィィー ガガ……!』

 

アジトに侵入するとスピーカーからノイズのような音が聞こえてそのまま声が聞こえてくる

 

『まぐれでほかのチームに勝ったやつがアジトにカチこんできました!

スター団の力の見せ所です!

侵入者を叩き出してあげましょう!

せめて10分以内にオレたちのポケモン30匹を倒せるまでボスの手はわずらわせないぜ!!』

 

言ってくれるじゃない……

 

「ウォォォオオオ!いけ!ドンメル!」

「ガーディ!」

「デルビル!」

「コータス!」

 

案の定大量のポケモン達がこちらに押し寄せてきてしかも所々に落とし穴やバリケードなんかも設置されていた

 

だけど……

 

「ん?なんだ?上から……」

「タル?」

「あんなのでオレ達と戦おうってか?」

「あんなんじゃオレ達どころかボスと戦うのすら1万年と二千年はや……」

 

ズドドドドドォォォォォオオオオン!!!!!

 

「キャインキャイン!?」

「コータッ!?タスッ!?コォォォォォオオオ!?!?」

「メルゥゥゥウウウ!?!?」

 

上から大タル爆弾が大量に降り注いで来ており、大量のポケモンが吹き飛ばされていく

 

ガーディやデルビルはかろうじて直撃は避けているものの爆風で吹き飛ばされ、ドンメルはその足の遅さから避けきる事が出来ず、コータスに至っては殻に籠っているが爆発の威力が高すぎて直撃して致命的なダメージを受けていた

 

まぁ元の世界のモンハンでも元々肉質無視の固定ダメージだったものね……

 

「あっ!?ちょっ!?まっ!?ギャァァァァアアア!?」

「ママァァァァァアアア!?!?」

「ペラペラソォォオオス!?!?」

「オコメタベロッ!?」

「シジミィ!?」

「アガメロッ!?」

「ァァァアアリエンナァァァァァ」

 

そして案の定したっぱも何人か巻き込んでるのだけれど……

なんか一部変なの混ざってるんだけど……寄生されてそうなやつらとか暑苦しそうなやつらとか……

 

結局この爆撃の嵐でしたっぱのポケモン達はトレーナーごと吹き飛ばされて殲滅されていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やりすぎたわねこれ

 

 

 

 




マグロ「今回は鬼嫁……げふんげふん、ゲネル・セルタスもといアルセルタス(雌)のステータスとなります」


アルセルタス(雌の姿)
むし・あくタイプ
アナザーポケモン

H:180
A:100
B:60
C:70
D:80
S:30

マグロ「アクジキングに若干近いかなぁ耐久高いようでなんとも言えない微妙な数値やけどw」


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少年と双子とメロコ★

 

 

レティ視点

 

~スター団ほのお組『チーム・シェダル』アジト内部~

 

 

私達が粗方ポケモンを殲滅しているとしたっぱ達が逃げ出して放送が入る

 

『守り切れませんでした……

そろそろボスの出番です!』

 

そしてピーニャのところにもあっためちゃくちゃ大きなテントから赤いほのおのような塗装が施されたスター・モービルが現れる

 

「デスヨネー……」

「知 っ て た」

「まぁ予想通りだな」

 

その上には炎を象ったような造形のはでなブーツを履いている姉御肌な男勝りなイメージの女性が現れる

 

「……テメーらか

オレらにケンカを売ってんのは」

 

メロコは私達を見渡すと拳を握って鳴らし始める

 

「細けぇことはどうでもいい……

ケンカを売られたら買う……それだけの話だ

爆ぜろや!」

「レティ!」

「任せて!戻ってきて!レギィ!いくよ!ガケガニ!」

「ンガァァァァアニィィィィイイイ」

「行くぞオラアァァア!!!」

「コォォォォォオオオ!!!」

 

メロコは咆哮と共にコータスを繰り出してくる

 

「テメーらはオレがはっ倒す!」

「負けない……!

ガケガニ!『がんせきふうじ』!」

「ンガァァァァアニィィィィイイイ!!!」

 

ガケガニは巨大な岩石をコータスの乗っているスターモービルとその周辺に投げつける

 

「コータス!邪魔なもんだけぶっこわせ!」

「コォォォォォオオオ!!!」

 

コータスは殻に籠って高速回転をし始める

頭や足を出していた穴からは炎が吹き出てその回転の勢いを更に増加させる

 

「『かえんぐるま』!」

「コッ!コォ!」

 

コータスは『かえんぐるま』で自分に降り注ぐ岩石を粉砕してから急に横へジェット噴射のように急旋回して他の岩も粉砕する

 

「動き速ッ!?」

 

コータスといえばあまり動きは速くないのが特徴だがメロコのコータスは己を高速で回転させて動きたい方向に炎をジェット噴射することでその弱点を克服していた

 

「コータス!しばき倒せ!!」

「コォォォォォオオオ!!!」

「ガケガニ!『まもる』!」

「ンガニッ!」

「コォ!?」

 

ガケガニの目の前を覆うようにエネルギーの壁が生まれてコータスの『かえんぐるま』が止められる

 

「ガケガニ!『いわくだき』」

「ンガッニ!」

「コォォオオ!?!?」

 

ガケガニは動きが止まったコータスにその巨大な爪を振り下ろして叩きつける

コータスはスター・モービルまで吹き飛ぶけどすぐに体勢を立て直す

 

「テメー……やるじゃねぇか」

「そっちこそ……」

 

メロコはこんな状況でも笑っている……まだかなり余裕がある証拠だ

 

「コータス!もっと加速すんぞ!『ニトロチャージ』!」

「コォォォォォオオオ!!!」

 

コータスはまた殻に籠ると後ろ足の部分からとても強く炎を噴射してこちらへと突撃してくる

 

更にあたまがある部分からも炎が吹き出て全身を炎が覆い始める

 

「ガケガニ!『メタルクロー』で受け止めて!」

「ンガニッ!ッッッ!!!」

「コォォォォォオオオ!!」

「投げ飛ばして!」

「ンンンンンンンガァァァァニッ!」

「コオッ!」

 

なんとか受け止めはしたけど元々タイプ相性の悪いはがね技である『メタルクロー』で受け止めていたから私はすぐに投げ飛ばすように指示を出してガケガニが受け止め切れなくなる前に距離を離させる

 

だけどコータスは空中で炎を噴射してホバリングする

 

「まるでガメラね……(ボソッ)」

 

なんかヴィオ姉が言ってるけどバトルに集中しないと……

 

「ガケガニ!『がんせきふうじ』」

「同じ手は通じねぇよ!コータス!!」

 

ガケガニがまた大量の岩石を投げつけるとコータスはそれを破壊しようと加速しながら突撃する

 

コータスのスピードは徐々に上がってゆき、その速さは『いかりのこうら』を発動させたガケガニすらも超え始めた

 

「ガケガニ!今よ!」

「ンガァァァァアニィィィィイイイ!!」

「なッ!?」

「コォ!?」

 

ガケガニは私の合図と共に『がんせきふうじ』の岩の上から現れ、『いわくだき』をコータスに直撃させる

私は最初の『がんせきふうじ』をスターモービルの周囲、それも前方に邪魔になるように置いていた

『がんせきふうじ』は視界を大きく遮る事が出来るからこそ様々な行動に繋げられるからだ

 

そして今回やった事は単純で『がんせきふうじ』で岩を飛ばした後に自力で岩を一つ飛ばし、そこにガケガニを飛び乗らせたのだ

 

これはガケガニが操ってる訳ではなく普通に落下しているだけなのでよく観察すると以外とバレるけど初見であれば確実に決まるのだ

 

「ガケガニ!『じならし』!」

「コータス!飛べ!!」

「ンガッニィィィイイ!」

「コッ!?コォォォォォオオオ!?!?」

 

いわくだきによって地面へと叩きつけられたコータスにガケガニは着地と同時にその巨大な爪を地面へと叩きつけて『じならし』を起こす

コータスは体勢を立て直す前にその『じならし』の直撃を受けてしまい気絶する

 

「よし!効果は抜群!戦闘不能だよ!」

「チッ……おもしれぇじゃねぇかよ

戻れ、コータス」

 

メロコはコータスをボールへと戻すとスターモービルに付いている手すりを力強く掴んで軽く歪ませる

 

んん!?

 

「いくぜ!シェダル・スターモービル!!」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!!」」」

 

排気用のパイプから大量の炎を吹き出しながらブロロロームとブロロン達が咆哮する

 

やっぱりかぁ………

 

 

「いくよ!ガケガニ!」

「ンガニ!」

 

 




マグロ「本日のモンスターはまだ戦ってないけどこいつですw」

ガーグァ
ノーマル・ひこうタイプ
アナザーポケモン

特性
おとり

攻撃を受けるとタマゴの『みがわり』を生み出す
きんのタマゴを産んだ場合全能力が上昇する

きんのタマゴの確率20%


タマゴばくだん
タマゴうみ
バトンタッチ
こうそくいどう

種族値
H:80
A:40
B:40
C:40
D:60
S:120


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紅の少女とシェダル・スターモービル★

 

 

レティ視点

 

~スター団ほのお組『チーム・シェダル』アジト~

 

 

 

スターモービル……基本的にブロロロームがエンジンになってるみたいだけどタイプも特性も変化している以上は油断出来ない……ほのお組だからたぶんほのおタイプだろうけど

 

「ガケガニ!油断せずいくよ!」

「ンガニ」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!!!」」」

 

うるっさ!?

 

シェダル・スターモービルのブロロローム達が突如として全員咆哮を行って凄まじく『いやなおと』が周囲に響き渡る

 

「シェダル・スターモービル!!『バーンアクセル』!!」

 

シェダル・スターモービルのブロロローム部分が炎を纏い、タイヤの代わりになっているブロロンが一気にエンジンを吹かしてスターモービル全体が突進してくる

 

「ンガニッ!」

 

ガケガニの耐久力なら受けきれる!ガケガニの防御力伊達じゃ……伊達じゃ……防御力……ッ!?

 

「ガケガニ!受けちゃダメ!飛び上がって!」

「ンガニッ!?カニッ!」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!」」」

 

シェダル・スターモービルはそのままガケガニの下を通りすぎていく

 

危なかった……さっきのは『いやなおと』攻撃だ……相手の防御力を半分にしてくる技だ

あえて指示を出さずに使わせてるんだ……強い

 

「チッ!バレたか……!シェダル・スターモービル!『スピードスター』で打ち落とせ!」

「「「ブロロロロァァァァァア」」」

「ガケガニ!受けきって着地と同時に『じならし』!!」

「ンガニッ!ガッガッガッガッガニッ!ンガッニィィィィイイイイ!!!」

「「「ブロロロロァァァァァア!?!?」」」

 

シェダル・スターモービルは空中のガケガニに追尾性のあるスピードスターで追撃して撃墜させに来ていたけどガケガニはそれを受けきって着地と同時に爪を地面へと叩きつけて『じならし』を発動する

 

シェダル・スターモービルに直撃させて大きくダメージを与えたけど着地の衝撃と『スピードスター』の直撃、コータスとの戦いで残っていたダメージとあわせてガケガニの『いかりのこうら』が発動する

 

「ンガニ……!」

「ガケガニ!シェダル・スターモービルに『いわくだき』!」

「シェダル・スターモービル!『バーンアクセル』!」

「ガニッ!ガニッ!?」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!!」」」

「ガニィィィイイイイ!?!?」

「ガケガニ!?」

 

嘘……!

『いかりのこうら』でガケガニのすばやさは上がっているのに……

シェダル・スターモービルはガケガニの攻撃を見てから真横にドリフトで急旋回してガケガニの後ろを取ってバーンアクセルを決めてきた……とんでもないスピードで

 

「何今の速さ……もしかして『かそく』!?」

「勘が良いじゃねぇか!オレのスターモービルは動かせば動かすほどヒートアップして速くなるように設計してる!

スピードで勝てると思うなよ!」

「ガニィィ……」

 

ガケガニはなんとか立ち上がるけど明らか気絶一歩手前だ……これ以上無理はさせられない

 

「ガケガニ戻って!」

「ガニッ」

「お疲れ……いくよ!レギィ!」

「レギァァァァァァァァアアアアア!!!」

 

するとメロコの表情が驚愕に染まる

 

「オイ……そいつ……」

「やっぱりメロコも持っているんだ、そうだよ」

「…………後で話を聞かせやがれ」

「……?わかったよ、でも今は勝負よ!」

「なら良い、来やがれ!」

 

「レギィ!『とびげり』!からの『アクロバット』!」

「シェダル・スターモービル!『オーバーヒート』!!」

「ギャァァァァアアアア!!!!」

「「「ブロロロロァァア!?!?」」」

「んぐっ!?ォォォォォオオオオオ!!!」

 

レギィの『とびげり』は予測不能な軌道で大空を自在に滑空しながらスターモービルへと直撃し、『アクロバット』によって真横や背後等から何度も攻撃が直撃する

シェダル・スターモービルはメロコの指示で『オーバーヒート』を当てようとするけど凄まじい速度で連続で攻撃するレギィを捉えきれずにいた

 

シェダル・スターモービルはレギィの『とびげり』と『アクロバット』による直撃を何度も受けて車体が大きく凹んだり、その鋭い爪によって軽く車体を貫通して穴を作っていた

 

「ウォォォォオオオオオ!!!………今だ!」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!」」」

「レギァッ!?」

「レギィ!?」

 

メロコの指示による攻撃で『オーバーヒート』を上手く当てられてしまう

 

「シェダル・スターモービル!『バーンアクセル』で畳み掛けろ!」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!」」」

 

『オーバーヒート』によって大きく怯んだレギィに対してシェダル・スターモービルはガケガニへと見せた突進『バーンアクセル』による追撃で畳み掛ける

 

「レギィ!『シューティングスター』!」

「レギァァァァァァァァアアアアア!!!!」

 

レギィの全身の鱗が逆立って飛び出し、発射される

それと同時にレギィの蹴りがシェダル・スターモービルを襲うけど……

 

「甘ぇ!!『バーンアクセル』!!」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!」」」

「レギァァァァァァァァアアアアア!?」

 

飛んでいった鱗はシェダル・スターモービルの車体にあまり刺さらず、レギィの蹴りも簡単に受け止められてしまい、こちらがパワー負けしてしまった

 

なんで……

 

「ギッ!?」

 

レギィが突如として怯む

私はもしかしてと思ってレギィの脚を見るとそこの傷には『やけど』したような痕が残っていた

 

「やけど……だから力が上手く入らなかったんだ」

「レギァァァ……」

「あんまり余裕も無いよね……とはいえ……」

 

私はシェダル・スターモービルへと視線を向けるとあちこちから炎が吹き出て、断線したケーブルのような部分から電気がバチバチと漏れて、ネオンの装飾が光らなくなっていることに気が付く

 

「よし!レギィ!根性出してよ!!『げきりん』!!」

「レギッ……ギュ……レギュァァァァァァァァァアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

「はん!どっちの耐久力が先に尽きるか勝負か!乗った!

シェダル・スターモービル!!気合い入れやがれ!!」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!!」」」

「『バーンアクセル』で畳み掛けやがれ!!」

「「「ブロロロロァァァァァア!!!ブロッ!?ブロァァァァ!!!」」」

「レギャッ!レギュァァァァァァァァァアアアアアアアアア!!!」

 

レギィに最後の手段である『げきりん』を使わせると理性を失ったレギィの目が赤く染まって怒涛の連続攻撃を繰り出す

尻尾による凪払い、叩きつけ、噛みつき、引っ掻き、蹴り、タックル等の攻撃を狂ったように叩きつける

シェダル・スターモービルも負けじと『バーンアクセル』による突進を繰り返すが殆ど怯まなくなったレギィから距離を離すことが出来ずに突進にそこまでの威力が乗らなくなる

いくら『かそく』によりどんどん素早くなろうともレギィはその強靭な爪や牙でシェダル・スターモービルを離さなかったのだ

 

 

そしてついに……

 

「レギァァァァァァァァアアアアア!!!」

「「「ブロロロロァァァァァア!?!?!?」」」

「何ィィィイイ!?!?!?」

 

レギィの尻尾による一撃がシェダル・スターモービルを完全に真っ二つにしたのだった

 

 

「やったぁぁぁ!勝ったああああ!!!」

 

粉砕されたスターモービルの上に佇むメロコは何か思い返すような……それでいて少しだけスッキリしたような表情をしていた

 

「ったく、もう終わりかよ……やれやれ」

 

 




マグロ「あ、一応ちゃんとメロコもアナザーポケモンを所持しておりますのでご安心をw」

メロコのアナザーポケモン

??????
ほのお・かくとうタイプ
アナザーポケモン

特性????

H:95
A:160
B:100
C:80
D:65
S:100


???????
???
?????
????


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少年と双子と紅蓮獅子とメロコの過去★

今回は長めになるように頑張りましたw


 

 

ライズ視点

 

~スター団ほのお組『チーム・シェダル』アジト~

 

 

レティが激闘の末シェダル・スターモービルを撃破した

 

メロコは破壊されたスターモービルが爆発する前に脱出し、ブロロロームやブロロン、カルボウやグレンアルマ等の様々なポケモンが慌てて脱出すると爆発して完全なスクラップになる

メロコ曰くほのおタイプの力を全力で出すためにかなりの量の燃料を投入していたらしい

 

主な燃料はどうやら『タンドンのせきたん』の様でこれが一番良く燃えて出力が出たそうだ

 

「そういえばピーニャは最後にアナザーポケモンをそのまま戦いで出してきたがお前はいいのか?」

「オレのか?正直バトルに出したく無いんだよ

確かに戦い慣れてないのもあるんだが幼いせいかすげぇ力をもて余しちまってあぶねぇんだよ

そら、出てこい!」

「ヴォ!」

 

メロコのボールからヤギと猿を足して割ったような顔をしており、悪魔のような前方に飛び出て大きく曲がった角、その全身を覆う岩石のような甲殻、発達した前腕、甲殻に覆われて太く硬い尻尾ととても力強さを感じさせるメロコに抱えられるくらいの大きさのポケモンだった

 

若干瞳がつぶらなので割とかわいい

 

「それにオレ自身こんなかわいいやつをバトルに出すのは……その……な?」

「ヴァ?」

 

メロコが恥ずかしそうに軽く顔を背け、アナザーポケモンを下ろしながら言う

まぁサイズ的にほぼ赤子のようなのでオレとしても分からなくもない

 

「かわいい……ニャローテ!おいで!」

「確かに可愛いわね……パーモット!」

「ンニャ?」

「パモ?」

 

するとレティとヴィオの二人は突如ニャローテとパーモットをボールから出してあのアナザーポケモンのもとへと向かわせる

 

「パモ?」

「ヴォ~!」

「ンニャロー」

「パーモ!」

 

なにやら三匹で楽しく話し合っているような気がする

 

「グッ……」

 

なんかメロコが若干胸を押さえているがどうしたんだ?

 

「と……ともかくオレはこいつがもうちょい力加減を覚えたり大きくなってからバトルに使わせるつもりなんだよ!

それに今だって力の使い方が若干下手でちょいちょいいろんなもん壊………ハッ!?」

 

そういいながらメロコが思い出したようにアナザーポケモンを見るとそのポケモンはパーモットと何故か押し合いをしながらじゃれており、体格的にパーモットのが大きいのだが若干力負けしていた

 

かなり力強いな

 

「あ、メロコー!この子何て言う名前なのー?」

「へ?あ、あぁ……そいつの名前はヴォージャンっていうらしいぞ」

「へー、ヴォージャン君かー!宜しくね」

「ヴォー!」

 

なんかあいつらあっという間に仲良くなってやがる……

 

「おーい?大丈夫か?」

「へ?あ、あぁ」

 

なにやらメロコが目を何度もぱちくりさせながらヴォージャンを見ており、さっきからパーモットと派手にじゃれている辺りかなりやんちゃな性格をしていて若干手を焼いていたんだろうか?

 

「オレの苦労って……もうちょいポケモン増やしとくんだったか?まともに遊んでやってたのコータスくらいだったしな……せめてボウジロウがいればな……」

 

そう言うメロコはあの二人とヴォージャン達を見てなにかを思い出すような表情をしていた

 

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

一年と何ヵ月か前……

 

「……やれやれ、間に合ったな」

 

オレはスター団を結成してから元々計画していたスター大作戦、それを実行段階に移すためにカルボウ達を進化させてオルティガの野郎が開発したスターモービルの動力をどうにか確保することに成功した

なんとか作戦実行前に間に合わせたが割とギリギリだったな……何でも屋と言っておきながらこのザマとはな

 

オレが仲間の所へ戻るとビワ姉が出迎えてくる

 

「メロちゃんお帰り!」

「……カルボウ何匹か進化させてきたぜ

これでパワー不足もなんとかなるだろ、スターモービルも動くはずだ」

 

スター大作戦まであと少しの所まで来ていたのだがその作戦の肝である肝心のスターモービルが出力不足によりまだまともに可動出来ない状態だった……色々と試して一番マシだったのが結局カルボウだったからオレはそいつらをグレンアルマへと進化させて出力を大きくするために動いていた

 

「やったでござるな、オルティガ殿」

「口だけかと思ってた……」

 

あ゛ぁ゛ん!?

 

「うっせぇ!一言余計なんだよ!テメーはそういうところがウザいんだぞ!」

「メロコも似たようなもんでしょ……

口も態度も悪いから悪目立ちしてるんでしょ?」

 

んのガキ……

 

すると隣にいたビワ姉がオレを庇うように言う

 

「それは違うよオルちゃん」

 

ビワ姉……

 

「メロちゃんは可愛くて女の子にヤキモチ焼かれるからわざとぶっきらぼうに悪態ついてるの」

 

ちょ!?!?

 

「えーっと……だから結局悪目立ちしてるんだよね」

「おいおい!ビワ姉勘弁してくれよ!」

 

するとピーニャが時計を見ながらオレらに声をかける

 

「そのくらいにしとこうぜ

そろそろ時間だもん」

 

時間……そうか、もう決行するんだな……ホントにギリギリだった

 

「いよいよだね……スター大作戦」

「して、マジボス殿の考えは?」

「あぁ、いじめっ子をまとめてグラウンドに呼び出したってさ!」

 

どうやらもう準備万端のようだ……ようやくだ!

 

「いよいよか……!燃える……燃えてくるぜ!」

 

 

_________________________________________________

 

 

メロコはどうやら思い出に浸るのをやめたようでパーモットと激しくじゃれ合うヴォージャンを見ながらしみじみと言う

 

「燃えて燃えて……燃え尽きちまったか

……ここまでだな」

 

だがその表情はやはりスッキリとしてるように見える

 

「あいつのレギィ?だっけか?マジで気合い入ってたぜ

それにあのガケガニはなんだ?デカすぎんだろ」

「最近ヌシポケモンって聞かないか?」

「あん?あー、なんか団の奴等が言ってやがったな?まさかそいつを捕まえたってのか?」

「まぁそう言うことだな」

「かー!道理であんな強いわけだ!

ったく……おい!」

 

するとメロコはヴィオとレティの二人を大声で呼ぶ

 

「このオレに勝ったんだ!胸張ってダンバッジ持ってけ!」

 

そう言うとメロコはほのおタイプのジムバッジを改造したと思われるダンバッジをレティへと投げつける

 

「うわぁっとと!」

「あ、ありがと!あと記念に一枚良いかな?」

「あん?まぁいいけどよ……」

「じゃあ握手しながらで!」

「へぇ……いいぜ」

 

するとメロコは若干なにか企むような妙な笑みを浮かべて写真を取る瞬間に握手した手に力をおもいっきり込める

 

「あだだだだだだだだだだだ!?!?痛い!?痛いって!?」

「ったく、テメーも少しは鍛えろよな?」

 

なんかミシミシ言ってる気がするが気のせいだろう……恐らく

 

「もうどうにでもなれだ、わざマシンもくれてやるよ」

 

そう言ってメロコは俺達全員に一枚ずつわざマシンを投げてくる

こいつは……038

番号見る限り『ニトロチャージ』か

 

「勘違いすんなよ、テメーらにやるんじゃねぇ

テメーらのポケモンにやるんだからな……」

 

するとメロコは後ろを向いて歩いていく

 

「……用は済んだろ?ひとりにさせろよ」

 

だけどそれを遮るように空気を読まずに校ty……ネルケがメロコへと向かって話しかける

 

「スター団メロコ、会って欲しいポケモンがいる」

「……なんだテメー」

 

メロコが不機嫌そうに返事をするとネルケの足元からボウジロウがメロコへと走ってくる

 

「ボウ!」

「カルボウ?いやお前は……!」

「ボウボウ!」

「ボウジロウか……お前どうして……」

 

どうやらボウジロウとメロコは知り合いらしい、というかボウジロウがメロコに凄い懐いてる

 

「この子はあんたを探してアジトに来たみたいだぜ」

「ボウ!」

「おまえ……」

「ヴォ?ヴァ~!」

 

するとヴォージャンもメロコを励ますように頭へとよじ登ってペチペチと頭を叩く

 

「懐かれているみたいだな」

「アカデミー行ってたころはコイツと毎日遊んでたからな

火の揺らめき見てりゃ考えていることくらいわかるぜ」

「ボウジロウは何を思ってここに来たんだろうな」

「ボウボウ!」

「…………」

 

するとメロコは体すらもボウジロウからそむけるが、ボウジロウはそのままメロコの正面へと移動して鳴く

 

「ボウボウ!!」

「ボウジロウ……」

「オレにはボウジロウがあんたに戻ってきてほしいと言ってるように……」 

「……ウゼぇ」

「スター団はアジトでアカデミーを襲う計画を立ててるとか……?」

 

するとメロコはうんざりした顔で答える

 

「そんな噂あんのかよ……あの頃から何も変わってねぇな

マジでありえねぇから」

「さっきまで改造車を乗り回していたのは……?」

「スターモービル……

昔喧嘩用に作ったんだ

実際に使ったのはテメーら相手が初だけどな」 

「初……?昔の喧嘩……?」

「スター大作戦って知ってるか?」

「スターダスト大作戦じゃなくスター大作戦?

いや、初耳だな」

 

ん?少し話がきな臭くなってきたぞ?

するとメロコは若干悔しそうに話し始める

 

「そうか、知らねぇよな……

オレらスター団にとっては宝物みたいな思い出だったんだ」

 

俺達はこれ以上メロコからは聞けそうに無いのでそのままアジトを出ることにした……

 

 

 

 

 

 

 

 

ただヴォージャンについてはかなり気になるので連絡先だけ交換しておいた

 

 




マグロ「てなわけで今回のアナザー枠はヴォージャン(幼体)でしたー、いやぁ、他にも候補がない訳じゃ無かったがどうしてもメロコにはコイツを合わせたかったw
だけど、戦うとなると化物みたいな強さになっちまうんで今回はバトル無しとなります」

ヴォージャン
ほのお、かくとうタイプ
アナザーポケモン

特性
『げきこう』
HPが1/4になる、もしくは『こんらん』になるか『ちょうはつ』、『いばる』、『すてゼリフ』を受けると発動
『こうげき』が2段階、『ぼうぎょ』と『とくぼう』、『すばやさ』が1段階上がる
『こんらん』の影響を一切受けず、『ちょうはつ』、『いばる』、『すてゼリフ』の影響を一切受けない
特定のポケモンの場合種族値と姿が変化する

わざ
『ほのおのパンチ』
『ひのこ』
『じゃれつく』
『あまえる』


再戦時

レベル70

『げきりん』
『ごうかのせんれい』
『インファイト』
『じゃれつく』

ごうかのせんれい
ほのおタイプ 物理 威力130 命中80
相手を100%『やけど』にして逃げられなくして毎ターン1/8の継続ダメージを与える


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少年と双子とスター団の噂

 

レティ視点

 

~スター団ほのお組『チーム・シェダル』アジト前~

 

 

 

スター団アジトから出ると突如ヴィオ姉のスマホロトムが着信を受けていた

 

『計画通り……計画通り……計画通り……計画通り……』

「あら?カシオペアからね……」

「おまえのスマホロトムの着信音は毎度毎度どういうチョイスしてるんだ……」

 

ヴィオ姉いつの間にまた着信音変えたの……

しかも聞いてるとなんかゲスな笑みを浮かべてる人が何故か頭に浮かぶんだけど……誰コレ?

 

『……三人共

メロコからボスの証、ダンバッジを貰ったようだな』

「コレだよね」

 

そう言って私はカシオペアに見えてるかわからないけどダンバッジをスマホロトムへと見せる

 

『……ふむ、たしかに』

 

あ、やっぱ向こうからは見えてるんだ

 

『これでボスが居なくなったチーム・シェダルは無くなるはず……』

 

 

するとカシオペアはしばらく黙りこんで一言だけ呟く

 

『メロコ……』

 

やっぱりカシオペアってスター団のボス達と深く関わってたのかな?

 

『……すまない、また考え事をしていた

約束の報酬だ

全員のスマホにLPを振り込んでおこう』

 

すると私達全員のスマホロトムから通知が来た

確認してみたら6000LP振り込まれていた

そしてわざマシンマシンで作れるわざマシンも増えたようだ

 

『新しいわざマシンでポケモンを強化してくれ

……補給班に材料も届けさせる』

 

そう言ってカシオペアは通話を切っていった

 

少し待っていると一人の人影が見えてくる

 

「ど、どもー……補給班です……」

「久しぶりボタン」

「ひ、久しぶり……」

 

すると私とヴィオ姉、ライズ君のボールからミライドン、コライドン、ガーグァが飛び出してくる

 

「アギャス!」

「アギャギャ!」

「クエッ!」

 

突然出てきたこの子達にボタンがびっくりしていた

 

「うわっ何なん!?」

「スンスンッ……アギャ!」

「アギャッ!アギャッ!」

「クェェェェェエエエ!!」

 

コライドンがボタンの匂いを嗅いだと思ったら三匹が同時にボタンにじゃれてくる

 

「ちょ!?やっ、やめろ……!」

「アギャ♪」

「ギャッス♪ギャッス♪」

「クェェェェェエエエ♪」

「た……助けてー!!!!」

 

するとどんどん三匹が本格的にじゃれつき始めてボタンがもみくちゃにされちゃった……って助けないと!?

 

「ヴィオ姉!ライズ君手伝って!」

「任せなさい」

「すまん無理……」

「うぇ!?ちょ!?ライズ君!?」

 

ライズ君は何故か後ろを向いて顔を手で覆っていた

 

「ちょっとこんな状況で無理って……あ」

「うぇ?どうしたのヴィオ姉……」

「ボタンをよく見てみなさい」

 

ふぇ?

私はミライドン達にもみくちゃにされてるボタンをよく見てみる

 

すると彼女の服がじゃれつかれることで軽く脱げて下着が……ってぁぁぁぁああああ!!

 

「見……見るなぁあぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

ボタンがその事に気が付いて顔を真っ赤にして叫ぶ

 

「見てねぇ……そうなる前に後ろ向いた……」

 

するとヴィオ姉がすごく黒い笑みを浮かべる

ちょっとまってヴィオ姉がその笑み浮かべてる時って毎回ろくでもないことが……

 

「へぇ……見てないのね……」

「あの……ヴィオ姉……?助けないと……」

「しかしピカチュウの下着とはね……てっきり下着もイーブイなのかと」

「は?ピカチュウ……?っておま!?」

「引っ掛かったわね……」

 

あぁ……うん、見ちゃったんだね……

 

不可抗力だとは分かってるし理不尽なのも分かってるけど同じ女としてこれだけは言わせて貰いたい……

 

「「変態……」」

「うるせぇ!?さっさとボタン助けろ!?」

「なんでもいいからさっさとして!?」

 

あ……ボタンを早く助けないと!?

 

 

 

 

 

私とヴィオ姉でコライドン達をボタンから離してあげるとコライドン達はちょっと残念そうにしながらその場に寝転んだ

 

「ヨダレでベトベト……下着も見られたし……

マジで何なんあいつら……?」

「んー、凄いポケモン!」

「なぞのポケモンね……」

「なんかすまん……」

 

ボタンはなんか呆れていた

 

「いやある意味凄いし謎だけど……

……えっすごいか?」

 

ボタンはなんか急にあれ?ってなっていた

 

「あ、えと……忘れないうちに報酬ね」

「あ、ありがと」

「えと、名前、スカーレットにバイオレット、ライズ……だよね?」

「レティで良いよ!」

「私もヴィオで良いわ」

「わ……わかった

……スターダスト大作戦戦闘班の三人から見て

スター団ってどうなん?」

 

そう言われて今まで戦ったスター団のメンバー達を思い浮かべる

 

「……やっぱりすごく強かったなぁ……」

「えぇ、したっぱは作戦に容赦しなければ問題ないのだけどね……」

「油断は出来ないな……」

「……ふーん

噂だとスター団って根っからの不良じゃないんだって

大半がいじめられていたり人付き合いが苦手なだけ……

そんな連中が集まってスター団が結成された

一人では立ち向かえないいじめに打ち勝つために……」

「やたらと噂にしては詳しいな……」

「あ、これ生徒達のSNSハッキングして突き止めた情報」

「ヲイ……」

「なんでも5人のボスを集めて団を作った真の黒幕もいるとか……喋りすぎた……のど痛い……」

「ちょ!大丈夫?」

「大丈夫……残りの団のアジトも……えと……頑張って」

 

そう言ってボタンは行っちゃった

 

「うぅ……見られた……見られた……」

 

あ、やっぱり気にしてた

 

うん、理不尽だってのは分かってるんだけど……

 

「「変態……」」

「…………」

 

ライズ君は額に凄い青筋を浮かべて拳を握りしめていた

 

 

 

後で謝らないと……




ライズ「理不尽な……」
マグロ「だが見たんだろ?」
ライズ「うるせぇ……」
マグロ「イーブイ柄っていいよね」
ライズ「死にさらせ!!」
マグロ「三枚おろしはらめぇぇぇぇえええ!!!」


ウロコトル
ほのおタイプ
アナザーポケモン

特性:マグマのよろい

H:60
A:75
B:80
C:70
D:55
S:80


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少年と双子と目標

 

 

レティ視点

 

~ハッコウシティ『ライズの家』~

 

 

スター団との戦いの後私達は一旦ライズ君の家にまたお邪魔させて貰っていた

 

純粋に宿泊費の節約と言う意味もあるのだがライズ君の家はカラクリ屋敷なのもあって割と広々としているのだ

その為に拠点として活用するのに物凄く向いているのだ

 

結局あの後私は明らかライズ君に非がないのは分かっていたのもあったからすぐに謝って許して貰えたんだけど……

 

「ヴィオの扱いもナンジャモと同じで良さそうだナァ……」

「あっ!?ちょっ!?まっ!?ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?!?!?!?」

 

ヴィオ姉はあれから結局調子に乗り続けてライズ君をからかい続けた結果今は……

 

「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?!?!?!?」

 

ナンジャモと一緒にアイアンクローを受けていた

 

ライズ君の家に帰宅した直後だったんだけど……

 

『ラッイズッ氏ーーーーー!!』

 

と言いながらいきなり玄関のドアをナンジャモが粉砕してきたのだ

 

たしかにナンジャモに連絡はしてなかった気がするんだけどなぁ……

 

まぁ結局ドアを蹴り破ってからはライズ君お手製の迎撃用トラップでピンボールさせられてライズ君の目の前に現れた所で顔を鷲掴みにされて『ミシミシッ!?』と音が鳴るレベルのアイアンクローを受けていた

 

「ちょっ……!?ライズ……!?……あだだだだ!?……謝るから……!?……反省してるから!?……これ以上はぁ!?」

「あ、ライズ君、ヴィオ姉最近ふざけすぎてると思うしもう少し痛め付けていいよ」

「レティィィィィィイイイ!?!?!?」

 

ヴィオ姉はいい加減もう少し反省した方が良いと思うんだ

 

「オォフ♪こういうプレイだと思えば……!だんだん痛みが気持ちよく……!よし……!このdoorを開けば……!」

「変な扉開いてんじゃねぇよこのアホがぁっ!!!」

「うわらばっ!?」

 

ライズ君がナンジャモを壁に全力で叩きつけるとその壁が回転してナンジャモだけを向こう側へと連れていった

 

「ライズ君、あの壁って?」

「ナンジャモ対策のトラップで入っていったやつを拘束してジムまでぶっ飛ばす」

 

すると『バァァァン!?』という炸裂音と共に

 

『ァァァァァァァァァアアアアアア!?!?!?』

 

というナンジャモの悲鳴が響いていった

 

「ん?あいつスマホロトム何処に……」

 

そう言ってライズ君が吹っ飛ばされていったナンジャモのスマホロトムを探し始める

 

そういえばナンジャモってライズ君といる時はいつもスマホロトムで配信してたような……

 

ライズ君は何処からともなく変なリモコンを取り出すとテレビへ向けてボタンを押す

するとテレビの画面が何かの図面?の画像を映し始める

これって……ライズ君の家の間取り?

 

よく見ると私達のいるリビングと思われる部屋から赤い丸が3つ

それとお風呂場と思われる場所から赤い丸が……って

 

「んの野郎……」

 

どうやらお風呂場になにかあるのは確実みたい、でも確かナンジャモは玄関から入ってなかったっけ?

 

「ねぇライズ君、これナンジャモの仕業?」

「間違いないな……あいつ多分風呂場の窓から入ってきてスマホロトムを隠していったな」

 

 

ライズ君は思いっきりめり込むくらいに掴んでいたヴィオ姉の頭を離すとお風呂場へと向かっていった

私は気絶してるヴィオ姉をソファーに投げ捨ててから一緒に向かうと案の定ライズ君が隠されていたスマホロトムを発見する

 

……しかも配信中のようだ

 

『何故バレたし』

『ライズ氏のお宝映像がぁぁぁぁあ!?!?』

『ナンジャモちゃんなんか吹っ飛ばされてなかったか?』

『これ……いろいろと大丈夫なのか?』

 

確かに犯罪臭が軽くするような出来事ではあるけどナンジャモとライズ君からすればいつものことらしくあまり気にしてなさそうだ…………思いっきり青筋は立ててたけど

 

とりあえず色々と問題はあったけど当初の予定通り次の目的地を決めることにした

 

 

 

 

「とりあえず目的地を選ぶ順番としてはまた同じような感じでジム、ヌシ、スター団の順で良いかしら?」

「うん、やっぱりこの順番が妥当だと思う

ライズ君、次のヌシ……たしか潜鋼のヌシだっけ?この周辺になにか起きてたりする?」

「いや、スマホロトムを見る限り特に無さそうだな……そもそもの潜鋼のヌシ自体が基本的に地面の下に潜ってて見つけにくいこればかりは実際に行ってみないと分からないぞ?」

 

うーん、このヌシって特徴見る限りミミズズっぽいけど噂を聞く限り結構大きな被害を出してるんだよなぁ……ミミズズってそんなに気性が荒かったっけ?

 

「そうなるとカラフジム、潜鋼のヌシ、スター団どく組って順番かな?」

「場所的にそこまで遠いわけでも無いのだしチャンプルジムもどうかしら?」

 

するとライズ君が若干険しい顔をする

 

「…………いや、アオキさんはかなり油断出来ないな……やるとしてももう少し実力をつけておきたい」

「その心は?」

「あー、そのうちわかるよ」

「???」

「まぁいいわ、それ程警戒するくらいだしやっぱり知り合いなのでしょ?」

「あー、まぁな」

「なら無理せず行きましょ、とりあえずまず目指すべきはカラフシティね……ただ場所が不安ね……」

 

カラフシティ周辺には砂漠が広がっており、その砂漠には土震のヌシというヌシが潜んでいる

被害状況を見る限りヌシ達の中でも特に酷く、ヌシが二匹いるらしい

 

「うーん、これもしかしなくても出会す可能性無いかな?」

「……あり得るかあり得ないかでいえば……十分あり得るな」

「ねぇ、ここは若干リスクを伴うけど潜鋼のヌシとスター団どく組を優先しないかしら?」

「……出来ればジム戦でしっかり鍛えておきたい所だが場所が場所か」

 

そう、実は水ジムがあるカラフシティは潜鋼のヌシとスター団どく組がある場所とは全くの反対方向にあるのだ

 

「なかなか難しいな……ヌシに行くまでに十分鍛えてから向かいたい所だな……」

「あ、ならピケタウンって所が近くにあるしそこを一旦目指さない?」

「ピケタウンか……たしか色々と掘り出し物なんかが見つかってるんだったか?」

「ええ、だからなにか良いものが見つけたら手に入れておきましょ」

「んで本音は?」

「ピケタウン限定キョダイマックスサンドを……ハッ!?」

「そんな事だろうと思ったよ……」

 

ヴィオ姉の食欲はほんとどうなっているんだろうか……

 

「まぁいいか、とりあえず次の目的地はピケタウンだ」

「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとヴィオ姉が急にモゾモゾともがき始める

 

「ねぇ、私はいつまで簀巻きになってればいいの?」

「今日1日」

「それは軽く拷問よ……」

 

自業自得だよヴィオ姉……




マグロ「ピケタウンではモンハン関係のイベントを進めさせてもらう予定となっておりますのでお楽しみに」
ライズ「おいコラ勝手に庭に生えてくんな」
マグロ「え?あっちょ!?抜けるゥゥゥウウウウ!?!?頭が引っこ抜かれちゃぅぅぅぅううう!?!?
もげる!?もげるって!?ヴェァァァァアアア」


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少年と双子と大量発生

 

ライズ視点

 

~東3番エリア~

 

 

俺達は今ハッコウシティを出発して東3番エリアにあるピケタウンに向かってライドポケモンを走らせ続けていた

 

どうも最近ピケタウンで新しい掘り出し物が見付かったらしい

まるで二足歩行の猫が纏う鎧のような物だそうだ発見者はカルボウの進化に関わる『イワイノヨロイ』と『ノロイノヨロイ』と同じで新たなカルボウの進化が見れるのではないかとカルボウに見せた所なんの反応も見せなかったらしい

 

だが俺は二足歩行の猫が纏う鎧という部分に引っ掛かった

 

ポケモン図鑑の説明を見る限りニャンターにはまだ複数のフォルムが隠されているらしく、そのフォルムチェンジにはなにかの『装備』が必要となるらしい

 

「なぁレティ……どう思う?」

「んー、実際に見てみないと分からないけど二足歩行の猫のポケモンってあんまり居ないよね?ガラルやアローラのニャースはともかく……この地方にそんなポケモン居たっけなぁ……」

「そうだよな……記事を見る限りニャースには合わなそうな形と大きさだ

そうなるとやっぱりニャンターに関わるものと見るのが妥当だと思う」

「んにゃー、なーんか見覚えある気がするのですがにゃ……思い出せないにゃ」

 

荷車からひょこっとニャンターが顔を出す

 

「危ないからしっかり捕まってろ」

「はいにゃ!旦那さん!」

「それにしても潜鋼のヌシね……明らかそれっぽいのが通った跡と思われる場所がいくつか見えるわね」

「あぁ……」

 

俺達が進む東3番エリアは中央付近に大量のトンネル場の穴が空いており、それが天然の落とし穴のような形で複数の大穴を空けていた

おそらくこれがヌシの被害なのだろうが……明らか数ヶ所どう見ても違うやつが掘ったような穴もあるのでどうとも言えない

 

少なくとも今は危険すぎて採掘作業はほぼストップしているらしい

 

「ブロロロォ!」

「ブロロロン!ブロロロン!」

「わぁ、ブロロンが何匹か付いてきた!?」

「ん?こいつらやたらと……」

「ええ、人慣れしてるわね……よしよし」

「ブロロァア♪」

 

ブロロン達と走っていると何故かどんどんブロロンが増えて群がってくる

 

「なぁヴィオ、レティ」

「何かしら……いえ、聞きたいことは分かってるけどちょっと認めたくなくて……」

「あはは……」

 

俺はこのブロロンの『大量』の群れを引き連れていて何故疑問に思わなかったのかを後悔する

 

「これ……人慣れというか……やたらと人懐っこいブロロンの大量発生場所に突っ込んだんじゃないか?」

「少なくとも大量発生は確実ね……」

「何匹いるんだろ……もう数えるのに疲れてきちゃった」

 

明らかにこのブロロンの群れは100匹を越えている

元々警戒心が薄かったのか何か群れ全体が人に良いことでもされたのかやたらと人懐っこい

 

だがな……

 

「これ……ピケタウン入れるか?」

「やめてちょうだい……現実を突きつけないで」

「まぁ……ジュンサーさんが来そうだよね」

「「「「「ブロロ?」」」」」

 

とりあえずこの状態でピケタウンに入るわけにもいかないので一旦ニャンターにジュンサーさん達のいる交番まで先に出向いて事情を説明して貰って俺達はピケタウンの近くでキャンプを設営することにした

 

ただニャンターだけだと野良のポケモンと間違えられそうで怖いのでガーグァと荷馬車も一緒に向かわせたのだが数匹のブロロンも付いていっていた

 

「行ってくるにゃ~!」

「任せたぞ~!」

「ブロッブロァ~!」

「クエ……クエッ!?クェェェェェェェェエエエ!!!」

「ニャァァァァァアアアアアアアア!?!?」

「ブロロァ!?」

 

どうもブロロンの排気ガスがガーグァの鼻か目を刺激したらしくガーグァが暴走状態になって走り去っていった

 

まぁ向かっている方向はピケタウンのようだし大丈夫だろう

 

と思っていたんだが

 

「ウニャァァァァァァァァアアアア!?!?!?」

「「「ブッ……ブロロァァアアアア!?!?!?」」」

 

あ、ガーグァがピケタウン周辺で急旋回してニャンターが数匹のブロロンごと吹っ飛ばされていった

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

 

「「「ブロロロン……♪ブロロロン……♪」」」

「なんか更に増えてきてないか?」

「なんなら進化系のブロロロームまで来てるわね」

「というか一匹だけ金ピカなんだけど……」

 

ニャンター達がピケタウンに向かっていって数分するとブロロン達がどんどん集まってきた

なんなら数匹ブロロロームが混ざっていたり色違いも混ざっている

流石に全員にじゃれられると死ぬので俺達は一匹ずつ呼んで全身をタオル等で磨いて相手をしていた

 

はがねタイプのポケモンの大半に共通することでもあるんだが金属質な部位は研磨剤等で磨いてピカピカにしてやると凄い喜ぶのだ

 

「うーん、研磨剤だし削られてるわけだよね……痛くない?」

「ブロロア?」

「どうも金属の部分は痛覚はほぼ無さそうね」

「完全に無いって訳でも無いらしいがな、とはいえこういう部分がどれだけ綺麗になっているかにもよって異性へのアピールになるってパターンもあるらしいから定期的に手入れは必要なんだろうな」

 

ピカピカキュッキュというブロロン達をひたすら磨く音が周囲に響くのだが以外とやっていると個体によってほんの少し違いが出たりするので意外と楽しい

 

「なかなかクセになるわね……」

「確かに……」

「磨き過ぎ注意な」

「「「ブロロロォ……♪」」」

 

そうやって構ってやると向こうからジュンサーさんのバイクがやってきた

その後ろにはガーグァとニャンター、それと付いていったブロロン達が居るのでどうやら説明が終わったようだ

 

これでようやくピケタウンに入れるわけか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら吹っ飛んでいったニャンターが交番の天井をぶち抜いてジュンサーさんの頭に激突したらしい

故意ではないので賠償金までは請求されなかったが流石に説教を食らった……理不尽な

 

 




マグロ「スッ(水辺のハーブのチューブを懐に隠す)」
ライズ「ガーグァのやつ口に緑色のがあってすげぇ辛そうにしてたが水辺のハーブでも見つけて摘まんだのか?」
マグロ「…………」
ライズ「スッ(包丁を取り出す)」


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少年と双子とフォルムチェンジ★

 

 

ヴィオ姉視点

 

~ピケタウン~

 

 

 

「じゃあねー!ブロロンー!ブロロロームー!」

「また会いましょー!」

「またなー!」

「「「ブロロロァァァァーーー!!!」」」

 

私達はジュンサーさんからの説教が終わった後ブロロン達としばらく構って上げてから別れを告げてなんとかピケタウンに入ることが出来た

 

それでも数匹がこちらに付いてこようとしたが流石に群れに連れ戻されていった

 

「これジュンサーさんへ伝えにいかなくてもちゃんと別れて入ればよかったか?」

「いいえ、流石にあのレベルの大量発生となると流石の私達も出動して調査しなきゃいけないような問題になるから先に伝えて貰って助かったわ

伝え方は別としてね」

「ごめんなさいにゃ……」

「クェェ……」

 

やっぱりあの群れの規模は異常だったのね……

それにしても説教のせいかニャンターとガーグァが心なしかげっそりしてるわね

 

「ジュンサーさん、あの群れは結局どうなるんですか?」

「んー、私だとどうなるかは分からないわね

ポケモンレンジャーに報告する必要もあるわ

対応の例としては群れを軽く分けて違う生息場所に連れていくって場合もあるわね

この場合はポケモンレンジャーが数人が新しい群れに付いてちゃんと生活出来るようにしばらくの間サポートすることになるわ」

「へぇー、ポケモンレンジャーの仕事ってそんな感じの仕事もするんだ」

「まぁ流石に大量発生の対処なんて大仕事は結構ベテランのレンジャーにしか任されないらしいけどね

特に今回の群れには『いろちがい』も確認されているからポケモンハンター対策でかなりの熟練レンジャーが護衛として付くと思うわ」

 

転生前からこの辺の情報はアニメとかで知っていたけどここでのポケモンハンターは前世で言う密猟者に限りなく近い

基本的にポケモンハンターは全員が犯罪者として扱われており、ポケモンの部位やポケモンその物を裏で売りさばく為にかなり危険視されている

特にトレーナーのポケモンすらも商品として売りさばいたり酷い時だと人すらも売っているらしいので相当危険だ

 

「『いろちがい』のポケモンって手にいれたらライセンスを申請する必要があるんでしたっけ?」

「えぇ、『いろちがい』は貴重過ぎて凄く狙われやすいから私達警察やポケモンレンジャーの手助けを受けやすくするためにライセンスの取得が義務付けられるわ

ライセンスはポケモン側にも持って貰ってそれでそのポケモンが誰のポケモンか判定出来るようになるから例え拐われても私達で居場所の把握が出来るようになるの

勿論違法に入手した側は重罪になるけどね」

 

思ったより法律関連がしっかりしてるのよねぇ……

 

「それで?あなた達がピケタウンに来た目的は……そのポケモンを見れば分かるわ、例のヨロイね」

「ええ、どうもニャンターに何か関係がありそうで」

「実物を見れば多分一発だと思うんですにゃ

でも見てみないとボクには判断が付かないのにゃ」

 

するとジュンサーさんがニャンターをしばらく見つめるとなにか納得したように頷く

 

「鳴る程ね……付いてきて、その人のところに案内するわ」

「知り合いなんですか?」

「いいえ、流石に物が物だから私達が軽く監視と護衛に付いているのよ

どうもポケモンの鱗とかをかなりの量使ったヨロイみたいで下手したらポケモン犯罪に関わるかも知れないから」

「ニャンター、どう思う?」

「んにゃ……ポケモンの鱗等をたくさん使ったヨロイは僕の故郷でハンターさんやオトモが身につける装備にゃ!

多分これはボク達に関わる道具にゃ!」

 

あー、やっぱりオトモ装備よね……問題はどんなやつの装備かって事だけどスマホロトムで調べてもあんまり情報が出ないのよね

 

しばらく歩いていると岩を削って作ったような住宅街が見えてきて一つの家の前に到着する

 

「ここね、ちょっと待ってて頂戴

ドヴェルグさーん?ジュンサーです、少し良いですか?」

「おう……なんじゃい」

 

すると中から身長が低いけど物凄い筋肉をした小柄なおじいさんが出てきた

なんか前世のファンタジー小説とかで良く出るドワーフみたいね

 

「この人はドヴェルグさん、あなた達が探していたヨロイの第一発見者で持ち主よ」

「ジュンサーさん、そいつらは………ッ!!」

 

するとドヴェルグさんの視線がニャンターに釘付けになる

 

「こやつのこの姿……体格……全てが一致しおった!!」

「あ……あの?ドヴェルグさん?」

「どのポケモンも全然ヨロイに合わないからほとほと参っておったがようやく見つかったか!」

「おーい……」

「お主がこのポケモンのトレーナーか!」

「え?あ、あぁ、そうだ」

「このポケモンはなんと言うポケモンだ」

「ニャンターだ」

「は……初めましてにゃ」

「なんと!人の言葉すらも話せるのか!こうしちゃおれん、早速ヨロイを持ってこよう!あんたらはリビングに上がって待っておれ!」

 

そう言ってドヴェルグさんは私達の話をほぼ無視してヨロイを取りに向かっていっちゃった

 

「……とりあえずお邪魔しましょうか」

「そうですね……」

「お邪魔しますにゃ……」

「お邪魔しまーす」

「お邪魔するわ」

 

リビングでジュンサーさんから色々と話を聞いていると向こうからドタドタと走ってくる足音が聞こえる

 

「待たせたな!こいつじゃ!こいつがワシが見つけたポケモンのヨロイじゃ」

「にゃ……ッ!!」

 

するとニャンターが少しずつヨロイに向かってゆっくりと進んでいく

まるで引き寄せられるかのように

ってかあのヨロイって……

 

「レ……レウス……レウスネコメイルにゃ

ニャンターやハンターさんのオトモとして一人前として認められるような実力を持つアイルーに渡されるような代物にゃ……

感動にゃ……故郷から遠く離れたここでこんな凄い装備を見れるにゃんて……」

「ハンター?」

 

ジュンサーさんが流石に反応したので私達で軽く説明して説得しておく

 

「おお!やはりお前さんにはこのヨロイが分かるのか!

そうなるとやっぱりこいつはカルボウのヨロイじゃないわけだ!」

 

そしてニャンターがレウスネコメイルへと触れた時にヨロイとニャンターが蒼白い光を放ち始めてヨロイがニャンターへと吸い込まれる

そこにはヨロイの他にも同じ鱗等を使った兜を纏い、かなり原始的な骨と鱗等で作られた剣を背負ったニャンターがいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニャァァァァァアアアアアアアア!?!?!?

このレウスネコヘルムとレウスネコブレイドどっから出てきたニャァァァァァアアアアアアアア!?!?!?」

「…………いや驚くとこそこなのね」

 

 

 




マグロ「はい、ニャンターのフォルムチェンジとなります、ただし種族値は変わりません」

ニャンター(レウスネコそうび)
ほのお・かくとうタイプ
アナザーポケモン

専用技

かりゅうぐるま ほのお 物理 威力30 命中90

どこからともなくドラゴンの頭を模した戦車を取り出してその大砲で3~5回攻撃する


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少年と双子と特訓★

 

 

レティ視点

 

~ピケタウン『バトルフィールド』~

 

 

あの後ニャンターの新しい姿を色々と記録を取ってから新しい姿の力を試そうという話になって特訓ついでのバトルを始める事になった

 

「準備はいい?

バトルは1対1で交代無しのテラスタルあり

道具の使用は無しだけど持たせるのはありとするわ

どちらかが戦闘不能となった時点で勝負は決まりよ」

 

あの後ジュンサーさんが自分も興味があるのと最近現れているアナザーポケモンの報告書に載せたいというのもあって審判を受けて貰える事になった

 

「焼き斬れ!ニャンター!」

「任されたニャァ!!」

「いくよ!レギィ!」

「レギァァァアアア!!!」

 

ライズ君は当然新しい姿のニャンター、それに対して私は全体的に通りの良いレギィを繰り出す

 

「レギュア?」

 

するとレギィがニャンターを見て首を傾げる

新しい姿だもんね……

 

「レギィ!ニャンターは新しい姿になって今までとだいぶ違うみたいだから油断は禁物だよ!」

「レギア!」

 

私もニャンターを見てみる

今までは大きなドングリを背負って大きなきのみや木で出来たようなヨロイを身につけて武器には鉄の剣を持っていたけど今の姿はかなり変化している

 

見ているだけでプレッシャーが来るような赤いドラゴンのヨロイ……

レギィも心なしか気合いを入れている上に緊張している気がする

 

「ニャンター!早速いくぞ!『かりゅうぐるま』!」

「うにゃ!」

 

来たッ!!新しい技……

名前からすると『かえるぐるま』っぽいけど……

 

ニャンターはどこからともなく木材や巨大な羽根、骨、牙や爪等によって作られた竜の頭を模した戦車を取り出して乗り込む

 

……うん、全く別の技だこれ

 

「レギィ!警戒して!」

「ギュァア!!」

「ウニャァァアアア!!!」

 

ニャンターが吠えると同時に大砲が発射される

 

「レギィ!滑空して避けて!」

「レギュァァァアアア!!」

「まぁ簡単には当たらないよなぁ!最近覚えた新しい技いくぞ!ニャンター!」

「お任せあれニャァァ!」

「ニャンター!『せんこうだん』」

「発射ニャァ!」

 

するとニャンターはまたどこからともなく超大型のドングリを取り出すと下の部分に火を付ける

 

するとドングリがグラグラと揺れ始めて下から炎が噴射されて飛び始める

 

「何あれ!?レギィ!気をつけて!」

「レギュア!?」

 

すると巨大ドングリを見たレギィが若干蒼い顔をしてすぐに羽ばたくけどドングリがとんでもない光を放ちながら爆発する

 

って……

 

「目が!?目がぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

「サングラス買っておいて正解だったわ」

「眩しいなんてものじゃないわね……」

「レギュァァァアアア!?!?」

 

するとズドンと何かかなり重い物が落ちたような音と軽い地響きが起こる

 

目がまだ見えないけど何が起きたかはだいたい予想が出来る

あまりの光量にレギィが驚いて墜落しちゃったんだ!

 

 

「レギィ!無事!?」

「ギギュァ……」

 

鳴き声聞く限り多分前が見えてないから正常な判断は難しそうかな……なら!

「レギィ!『げきりん』」

「レギァァァアアア!!!」

 

何も見えない上に飛べないなら当たるまで暴れてやる!

 

「ニャンター!冷静に避けながら『かりゅうぐるま』で反撃だ」

「うにゃあ!」

「ギギュァア!!!」

 

何か炸裂音のような音が何度も聞こえる

多分『かりゅうぐるま』の砲弾を受け続けちゃってる

 

「レギィ!砲撃を受けた方向に向かって『げきりん』」

「ニャンター!常に移動をし続けろ!足を止めたら捕捉されるぞ!」

「わかったにゃ!」

「レギィ!攻撃と同時に鱗をめちゃくちゃでもいいから飛ばしまくって!!」

 

私はまだ目が見えないので手探りで自分の鞄を漁って折り畳み式の盾を出す

レギィが『げきりん』で混乱した時用の最終手段の一つだ

めちゃくちゃでもいいから暴れながら鱗を飛ばしていけば状況を少しずつ把握が出来る

それにもし当たればかなり大きなダメージが期待出来る

でもめちゃくちゃに攻撃するからこっちにも鱗が飛びかねないからそれ対策の折り畳み式の盾でもある

 

私は盾の後ろに隠れながら目を光に慣れさせていく

少しずつだけど目が見えるようになってきた

 

「ニャァァァァァアアアアアアアア!?!?車輪がやられたにゃ!?」

 

よし!狙いどおり!それにレギィも少しずつ目が開いてきた!

 

「レギィ!!」

「レギュァァァアアア!!!」

「ニャンター!『あなをほる』!」

「にゃ!」

「避けられた!?でもレギィはひこうタイプだから効かないよ!」

「そいつはどうかな!ニャンター!」

「ニャァア!」

「ギギュア!?」

 

嘘!?

ニャンターの『あなをほる』がレギィにダメージを与えるなんて……もしかしてこれって!?

 

「『うちおとす』や『じゅうりょく』と同じ効果もあるのね……」

 

ってことはひこうタイプのアドバンテージが消された!?

それに明らかダメージが大きすぎる……って!?

 

「止めニャァアア!!」

 

私が気付いた頃にはもう遅くて『ビーストへんげ』状態のニャンターが『ツメフィニッシュ』を決めに来ていた

 

「レギィ!?」

「ギギュァァアァァアアアアア!?!?」

 

ニャンターの攻撃をまともに受けたレギィは目を回して気絶しちゃっていた……ごめんね……

 

「セルレギオス?戦闘不能!勝者ライズ!」

「うし!よくやったニャンター!」

「やったにゃぁ!!」

「うう……やられたぁ……『いのちのたま』なんていつの間に……」

「道具の重要性はアカデミーでしっかり学んでいたからな」

 

私のレギィにはラムの実を持たせてはいたけど目潰し相手じゃなぁ……

 

「とりあえずしばらくはここで特訓して慣れてきたら潜鋼のヌシの所にいくぞ」

「わかった……もっとレギィを使いこなせるように頑張らなきゃ」

「これは私も参加よねぇ……」

「ヴィオ姉だけ逃げるのは流石にダメだよー!」

 

もっと強くならなきゃ!

 




マグロ「新技もう一ついきまーす」

『せんこうだん』 でんき 変化技 命中100 

優先度-7
光虫を大量に詰めたドングリミサイルを発射して起爆させる事で視界を奪う

相手の命中、回避を二段階下げてひこうタイプ、特性『ふゆう』のポケモンを地面へと落とす

PP5


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少年と双子と潜鋼のヌシ

アマツマガツチ実装キタァァァァァァァァァァアア!!


 

ライズ視点

 

~東3番エリア~

 

 

 

『ウホッ…………ウホッ…………ウホッ…………ウホッ…………』

 

東3番エリアの鉱山へと進んでいくとヴィオのスマホロトムが鳴り始める

毎度突っ込みたくなるんだがヴィオのその着メロはどういう基準で選んでるんだ……

 

「もしもし?」

『おーい、三人とも

この鉱山のどっかに潜鋼のヌシがいるらしい

噂じゃその体は半端ねぇデカさで超ロング!

そんなのすぐ見つかりそうなのに何処にどうやって隠れてんだ……?

もしすげー素早いヤツだったらライドして追いかけてみたらどうだ?

それじゃーな?』

 

「伝えたい事だけ伝えて切っていったわね……」

「うーん、凄く大きくて長いかぁ……確かにすぐ見つかりそうだけど……」

「なぁ、一度空から探して見ないか?」

「空から?地上で見ても見つからないのに?」

「逆に上から探した方がおかしい部分も早く見つかるだろ?」

「うーん、そうかも?でもライズ君のギギネブラって飛べたっけ?」

「ギリギリな、移動にはあんまり適してないが飛行する程度ならなんとかなる」

 

ギギネブラはどちらかというと地上、それも洞窟の壁や天井を這って行動する事に特化している為に若干飛行能力が退化してはいるものの完全に失ってはいないのだ

 

とはいえ上に大ジャンプして精々ホバリングが限界なんだがな

 

「出てこい、ギギネブラ!」

「お願い!レギィ!」

「オトシドリ!」

「ネビュラ!」

「レギャ!」

「トリィィィイイ!!!」

 

するとボールから出てきたオトシドリが俺に向かってじゃれつきにくる

 

「うぉぁぁあ!?!?わ、わかったわかった!?わかったからはなせ!?」

「トリィィィイイ♪」

 

オトシドリに上半身が完全に包まれる

つか暑い……ガーグァみたいに頭を反芻しないだけマシだがって下半身がなんかヌメヌメするような……

 

「ネビュラ~♪」

 

ってオィィィイイイイ!?!?下半身ギギネブラに呑まれてるじゃねぇか!?

 

「ギギネブラそれやめろぉ!?!?牙が刺さらないように配慮してくれるのは助かるがやめろぉ!?!?」

「あわわわわわ」

「レ……レギャア……」

「ぷっくくくくく」

 

おいヴィオ笑ってないで助けろぉぉおおお!?!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

「ったく……偉い目にあった」

「ご、ごめんね?私が早く助ければ良かったよね……」

「いや、慣れてるからそこまで問題はない……服が軽くべとべとするだけだ」

「十分問題じゃないかしら?それ」

 

俺達はとりあえずそれぞれの飛行可能なポケモンに乗せて貰って空からヌシを探していた

 

「お前ら……なんか変なのあるか?」

「ネブ………ネ?」

「レギャ?レギア……レギ?」

「トリ?」

 

するとギギネブラが何かを見つけたようで他の二匹も同じところを向いて全員固まる

とはいっても羽ばたくのを止めたら落ちるのでホバリングは続けているが

 

「どうしたの?」

「何かを見つけたのかしら…………あら?」

「どうしたの?ヴィオ姉…………ゑ?」

「おいお前ら何を見つけ…………そう来たかぁ……」

 

俺が全員が注目していた方へ顔を向けるとそこには……

 

 

「zzzZZZZZ…………」

 

幸せそうな顔をして眠り、身体の大半が地面に埋まったとてつもなく巨大なディグダのようなポケモンがいた

 

「ディグ……ダ?」

「頭の向きからしてウミディグダの仲間かしら?」

「そもそもウミディグダはこんな陸地には生息しないんだが……この辺りに生息するミミズズじゃないか?

まぁ明らかにデカ過ぎるが」

 

俺たちは早速見つけたヌシ?ポケモンへと滑空しながら降りていく

すると風の音で起きたのか目を開けてしまい見つかってしまう

 

「ミ?」

 

ミミズズ?は口をあんぐりと開けて顔を傾げる

その姿は若干マヌケにも見えるが近くで見るとやはりかなりデカイ

 

俺たちがそれぞれポケモンから降りて地面へと着地するとミミズズは身体を地面から出してこちらを見つめる

……というかやたらとレティを見つめているような?

 

「気に入られたのか?」

「……多分?」

「えーっと……どうしよう?」

「……………」

 

ミミズズはしばらくレティを見つめると……

 

「あむっ」

「ちょっ!?」

「レティ!?」

「んんんんーー!?!?!?」

 

レティがいきなりミミズズに身体の半分を咥えられてしまう

 

「ヴィオ!レティを引っ張り出すぞ!」

「ええ!」

「んんんんーー!!!!!」

「~♪」

 

ミミズズは何故かレティを口に咥えながら楽しそうにしている

もしかしてじゃれてるのかこれ?

幸いミミズズには人を傷付けるような歯をしていないためにレティは無事だが下手に呑まれると流石にヤバイので引っ張りだす

 

「ズズズ……!」

「離せっつの……!」

「レティ!こらえて頂戴!」

「ふぐぐぐーー!!」

「レギャァ!!」

「ギギイッ!」

「トリ!」

 

ヌシポケモン相手じゃどうあがいても力負けが見えているので出していたポケモン達にもレティを引っ張り出すのを手伝って貰う

 

この中で一番力強いのはセルレギオスのレギィだが身体の構造上下手に人を引っ張ると危ないのでミミズズの顎を開かせようとしている

 

オトシドリにはレティの両手をくくりつけたロープを咥えさせて引っ張ってもらい、ギギネブラは下半身を咥えて引っ張らせる

 

ギギネブラは牙を引っ込めているのでレティにはあまり傷付かないはずだ

 

そうして引っ張っていくと……

 

「ミミズズ……ズズズズズ……ズッ!?」

 

スポンっと音が鳴りそうな感じにレティがミミズズの口から引っこ抜かれた上にその反動で下半身を咥えていたギギネブラが首を思い切り後ろへと曲げる

 

 

………………………んん!?

 

俺はその口にレティの制服や下着がチラッと見えたのはいいがレティ本人が居ないことに気がつく

 

俺はその場で目をつぶって正座をする

 

次の瞬間…………

 

 

 

 

 

 

俺はあまりの衝撃に気絶をする程の拳を二つ頭に貰っていた




マグロ「やっべ……はがねタイプのアナザー用意しようとしてもどいつもこいつも強さがヤベェのしかいねぇ……どうすっぺ?」
ライズ「…………(気絶中)」
マグロ「あ、でもあいつなら金属を纏ってるし……どうなんだこれ?
とりあえず次はアナザーポケモンが出現しますw」





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少年と双子と鋼泥の鎧★

 

 

レティ視点

 

 

 

~東3番エリア~

 

 

うう……酷い目に合った……

 

「ヴ……ヴィオ姉……ライズ君見てないよね……」

「ライズはギギネブラの方向いてたし服が口に咥えられてたのに気付いて潔く正座して目を瞑ってたから多分大丈夫よ」

「よかった……って全然良くないよ!?」

 

折角ライズ君が配慮してくれたのにこれじゃ私達が理不尽だよ!?

 

「ライズなら大丈夫よ、無駄に頑丈だし」

「そういう問題なの!?」

「それに……もし少しでもレティを見てたら記憶が飛ぶまで殴るだけよ……」

「ヴィオ姉!?」

 

とりあえず私は鞄に入れていた自分の着替えをライズ君が気絶している内に着ておく

お……起きない……よね?

 

私は着替えながら何度かライズ君を見たけど若干悪夢でも見てるのかうなされながら気絶していた

 

「……や……やめろ……それ以上血を……血を吸うな……」

 

私はその寝言を聞いた瞬間にギギネブラを見る

するとギギネブラが冷や汗だらだら流しながら顔をそらしている

 

「ライズ君……まだ吸血されてたんだね」

「ギ……ギギ」

 

あれ?そういえばヴィオ姉もギィギが居たよね

 

「ヴィオ姉は大丈夫なの?」

「何がかしら?」

「吸血」

「あぁ、この子ちゃんとあんまり痛くない所を噛んでくれるし余分な血しか吸わないからちょっとした瀉血みたいな感覚なのよ

足りない分はヨガで補うそうよ」

「ヨガで補うって何!?」

 

って事はギギネブラは余程ライズ君の血が好きなんだなぁ

 

…………

 

「…………」

 

顔を180°程そらしているけど

 

すると軽い地響きが聞こえてくる

 

「あら?」

「ミミズズ……じゃないね」

「ズズズミミ?」

 

すると地響きがどんどん近付いてくる

 

「うわぁ!?」

「ズズミッ!?」

「揺れてる……けどこれは地面が揺れてる訳じゃないわ!?揺れ方がおかしい!」

「ッ!こいつは!」

 

するとライズ君が急に目を覚まして飛び起きる

 

「ライズ君ッ!?起きて大丈夫なの!?」

「なんの事だ?ってかなんで俺こんな所で」

 

あ……軽く記憶飛んでるわこれ……

 

「ってそうじゃない……この空間事態が揺れてるこの感じ……こいつは覚えがあるぞ!」

 

すると空に大きくヒビが入る

 

「ウルトラホールが開くぞ!!」

 

パリィィィィイイイイン!!!!

 

空がガラスが割れるように砕け散る

割れた空間の奥には網目のような白い潜がある妙な空間が広がっていた

 

「ッ!?!?」

 

すると私はその奥にある血のように赤い瞳を見てしまう

 

なに……あれ……

 

瞳を見た瞬間に圧倒的な恐怖が心の底から沸いてくる

 

全力で警鐘を鳴らしている……逃げろ……逃げろと

 

「ラ……ララ……ラ……イズ……君……あ……あれ」

「お前も見たか……」

 

すると平然とした様子のライズ君はまるで慣れているかのように言う

ヴィオ姉ですらかなり青ざめた表情してるのに……

 

「な……んで……」

「何で平気そう……ってとこか?」

「うん……」

「簡単だよ……こいつには害意がないんだよ

こいつはただそこにいるだけ……

存在その物が人の……いや、生物の心の底から恐怖を呼び起こすんだ」

 

存在そのもの……?

 

「俺はあるタイミングでこのウルトラホールと何度も出会した……確実に起きているとは思っていたが今完全に確信した……

これは確実に誰かが人為的に開いている……

こいつは恐らくウルトラホールの向こうからの監視か?」

 

すると向こうに見えたナニカが一瞬小さく笑ったようにも見えた

 

そして何処からともなく声が響き渡る

 

『この件……汝らに委ねよう……

これからも汝らには試練が振りかかるだろう……

我には干渉はあまり出来ない……

我らが子達を任せたぞ……

 

 

 

 

 

 

いつも面白おかしく見させて貰っているよ』

 

「覗かれてた!?!?」

「ちょっと待ちなさい!?いろいろ聞き捨てないないわよ!?」

「聞くだけ無駄だ……俺は諦めた」

 

するとウルトラホールがさらに大きく開き向こう側からジャラジャラとした音を立てて一匹のポケモンがこちらへと落ちてくる

 

ドシィィィィイイイン

 

土煙でよく見えない……けど……

 

落ちてきたポケモンの額には巨大な紫色の宝石がついており、底が怪しい光を放っているのがわかる

 

「ギギネブラ、煙を払ってくれ」

「ギギッ!」

 

ギギネブラがその大きな翼を大きく払うと土煙もだんだん晴れていく

 

するとそこには……全身に金属と泥の鎧を纏ったガチゴラスに近い体型の茶色のポケモンがいた

 

「ボルヴァァァァァァァアアアアアア!!!」

 

「やっぱり出てきたかアナザーポケモン!!」

「なにこの鎧!?」

「大型のポケモン用の全専用身鎧ってとこね……」

「ミミズミィ!?!?」

 

ミミズズは軽く怯えてから地面へと潜って逃げていく

そうなると必然的に標的は私達になる……

 

アナザーポケモンは金属鎧をジャラジャラと鳴らし、全身に付着している泥を垂らしながらこちらへと頭を向ける

すると額の宝石が怪しく光を放ち苦しむように身をよじり、こちらを睨み付けてくる

 

「ヴァァァァァアアア!!!!」

 

このポケモンなにかがおかしい……助けてあげないと!!

 

「ヴィオ姉!ライズ君!」

「わかってるわ!」

「あぁ、あの額の宝石を壊すぞ!」

「レギャッ!」

「トリイッ!」

「ネビュラッ!!」

 

 

 

待っててね、今助けてあげる!




マグロ「ってなわけで鋼枠は改造土砂竜ことボルボロスでした
鋼タイプに当てはまるのがどいつもこいつも古龍なんよ……」


ボルボロス(改造土砂竜)
アナザーポケモン
じめん・はがねタイプ

特性『??????』


???????『いわタイプ』
???????『はがねタイプ』
?????『じめんタイプ』
?????『じめんタイプ』


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少年と双子と改造土砂竜★

 

 

ヴィオ視点

 

~東3番エリア~

 

 

「ボルヴァァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

現れたアナザーポケモンは咆哮し、頭部にいくつもあるある管のような部位から蒸気を噴射する

 

「うっわ……そうきたか……」

「どうしたのヴィオ姉?」

「いえ……なんでもないわ

それより来るわよ!」

 

アナザーポケモン……ええいめんどくさい

ボルボロスは頭を地面へと叩きつけてその頭で地面を削り取りながら突進する

 

「みんな横によけて!!」

「うおわぁ!?」

「あぶねっ!?」

 

ボルボロスは私達の方へと突撃してきた

かなりの速さだけど基本的に動きが直線的だから避けやすい

 

……と言いたかったんだけどなぁ

 

「うわぁぁ!?Uターンしてきたよ!?」

「もう一回真横に逃げろ!」

「よりにもよってそれもなのね……」

 

まさか亜種と同じ攻撃をしてくるなんて……やっぱ原種とは別物と考えた方がいいかぁ

 

ボルボロスは突進が空振った後頭を振り上げて頭部にある泥を撒き散らしながら急停止する

 

それにしてもストーリーズのモンスターがこっちに来るなんて……

それに考えたくも無かったし知りたくもなかったけどやっぱりミラボレアス……いや、ミラルーツが関わってるなんて

 

あのエッグマnげふんげふん、マネルガーは確かあの額の宝石を絆原石から掘り出したと言っていたかしら?

そうなると粉砕した後流石に回収しておきたいわね

 

「泥に足を取られかねないから気をつけて」

「あぁ」

「ねぇ……あの子って対空攻撃持ってるかな?」

「泥で打ち落とされたら多分まともに飛べなくされて地面に墜落するリスクもあるからやめておきましょう」

 

泥まみれにされてハンターすらも動けなくなるのよねぇ……あれ

 

それにさっきの突進……なんか全身が光ってたような気がするしあれってまさか『もろはのずつき』じゃないわよね……

 

すると突然ボルボロスの纏う金属鎧が光を放ち始めて頭部へと光が集まっていく

 

「まさか『てっていこうせん』じゃないわよね……」

「『アイアンヘッド』かも知れないから警戒しとけ……」

 

そしてボルボロスは地面をかなり強く踏みしめて大ジャンプする……ってはあ!?

 

「ボルヴァァァァァァァアアアアアア!!!」

「『アイアンヘッド』だ!!避けろぉぉおおお!!!」

「キャァァァァァァ!?!?」

「ヴィオ!!」

「ヴィオ姉!!」

 

私はあまりの驚きに足がすくみ、『アイアンヘッド』の直撃こそ受けなかったが頭部が地面へと激突した衝撃で発生した風圧で大きく吹き飛ばされてしまう

 

このままだと壁に……ッ!!

 

「ギギネブラ!俺を投げ飛ばせ!!」

「ネェェビュラァァァァ!!!」

 

するとギギネブラの頭に捕まったライズがこっちに投げ飛ばされてくる

 

ちょっと!このままじゃライズが下敷きになるわよ!

 

そしてそのまま私はライズ越しに壁に激突する

結構な衝撃はあったけどライズが間に挟まったお陰で大した怪我はしていない……けど

 

「がはっ!カッ……無事か……?」

「貴方が間に入ったから平気よ……じゃなくてそういう貴方は大丈夫なの!?

軽く血を吐いてるじゃない!」

「大……丈夫だ……慣れてる……からな」

「でも……」

「安心……しろ

俺が……あいつらの世話してて……この位の……怪我は……割としょっちゅうだった……これなら……まだ許容……カハッ」

「ちょっと!」

「わりい……少し休む……出てこい……ニャンター」

「にゃあ!旦那さん!?また大怪我してるにゃん!?

今回復薬作るから待っててにゃ!?」

「いつも通り頼んだ……」

 

ライズは手慣れた様子でニャンターに指示を出して回復薬を作らせる

 

本当に大怪我が多かったのね……

 

「ごめんなさい……」

「良いっての……それより……レティをどうにかしてこい」

「へっ?」

 

私はライズに言われて気がついたけどこうしている間にもレティは一人で……

 

「いいやぁぁぁぁぁぁぁああああ!?!?!?

助けてぇぇぇぇえ!?!?!?」

「アギャァァァァァアス!?!?!?」

「ボルヴァァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

コライドンに乗って突進しながら追いかけてくるボルボロスから逃げていた

 

「意外と余裕そうね……」

「意外と余裕そうだな……」

 

レティとコライドンの速度はあっさりとボルボロスの突進速度を超えており、ボルボロスの方が突進していて疲れていた

 

「ん?ヴィオ……額の結晶が……削れていないか?」

「やっぱり『もろはのずつき』だったのね……」

 

疲れで追いかけるのをやめて頭部を上げたボルボロスの額の結晶は砕けてこそはいないが軽くヒビが入って削れている様子だった

 

「突進を……続けさせれば流石に砕けるか?」

「疲れでやめたあたりそこまでの体力は無さそうよ?」

「こ……怖かったよヴィオ姉ぇぇぇぇええええ」

「はいはい……よく頑張ったわ」

 

レティは戻ってくるなり私に泣きながら抱きつく

私はレティの頭を撫でて慰めてあげる

 

 

 

 

 

やっぱうちの妹可愛すぎだわ……

 

 

すると突然ボルボロスが地面を掘り始める

 

「逃げる……気か?」

「いえ、多分『あなをほる』だと思うわ

それにしてもあの頭で器用に掘るわね」

「悠長に考察してる場合じゃないよ?」

「旦那さん!回復薬にゃぁぁぁあ!!!」

「ぶぁっは!?顔にぶっかけるな!?」

「飲んでる暇もないにゃ!」

「それはそうだが……とりあえず回復しただけマシだ!

ニャンター!『おおタルばくだん』!」

「どっこいせにゃ!」

 

ニャンターは私達がいる場所に大タル爆弾を設置する

 

「全員散開しろ!」

 

ライズの合図で私達は全員バラバラの方向へと向かう

 

一方『あなをほる』で地中移動をしていたボルボロスはそのまま大タル爆弾の地点を通り過ぎようとしていて失敗したかと思ったのだけど……

 

 

「ズズズミミィィイイイ!!!!」

「ボルアッ!?ボルヴァァァァァァァアアアアアア!?!?!?」

 

ちょうどそのさらに下の方にヌシのミミズズが隠れていたようでそのまま上に押し出して大タル爆弾を起爆させながらボルボロスを地上へと吹き飛ばした

 

「ナイスだ!ミミズズ!」

「ありがとうー!」

「ミミ~♪」

 

こいつ意外と人懐っこそうね……

 

大タル爆弾の威力でボルボロスが纏っていた泥の鎧が剥がれ落ちる

出来れば金属鎧の方が剥がれてほしかったけどヒビが入る程度で少しずつ再生していた…………んんん?

 

「ねぇ……あの金属鎧……私は今まで着ているだけだと思っていたのだけど……あのポケモンの体の一部になってないかしら?」

「へ?……ああっ!?なんか鱗や甲殻に引っ付いてる!?」

「癒着しているな……」

 

どういう変化なのかしら……?この世界に来たのが原因なのかあのハンプティ・ダンプt……マネルガーがそういう改造をしたのか……

 

「どちらにせよはがねタイプは確定みたいね……あとは泥からじめんタイプかしら?」

「じめん・はがねタイプって何かいたっけ?」

「ハガネールやドリュウズ、マッギョがそうね」

「ダクトリオも忘れてるぞ……それとマッギョはでんき・じめんじゃないか?」

 

「「……あれ?」」

 

あー、リージョンフォームがややこしいわよね……特に他の地方から来ていると

 

私達がそうこうしているとボルボロスは自分の泥が飛び散って出来た大きめの泥溜まりへと移動していき寝転んでゴロゴロとし始める

 

って!?

 

「あ……」

「可愛いいい!」

「んん?……オイまさか!?」

 

「ボルアァ♪」

 

ボルボロスが起き上がると機嫌が良さそうに泥の鎧を纏い直していた

 

「「「ちょっ!?」」」

 

だけどなにやらさっきまでの余裕の無いような様子とは打って変わってかなり機嫌が良さそうだ

 

「あ、あの紫の結晶が無い!」

 

私もレティの言葉を聞いてボルボロスを観察してみると確かに結晶が無くなっており、地面にその破片と思われる物が散乱しているのが分かる

 

「ボルアァ♪♪」

 

そしてボルボロスは私達に嬉しそうにすり寄る……んだけども服が泥だらけになるからやめて頂戴!?

 

「ボルアァ♪ボルヴァァア♪」

「「「ァァァァァアアアアアアア!?!?!?」」」

 

 

 

 

私達全員が泥でべちょべちょに汚されました……

 

早くお風呂に入りたいわ




マグロ「ってなわけで技やら種族値発表」

ボルボロス(改造土砂竜)
アナザーポケモン
じめん・はがねタイプ

特性:『どろのよろい』
みずタイプとほのおタイプの技の威力を半減し、『どろあそび』によりボルボロスのフォルムと技を変化させる
HPが3/4削られると泥が無くなる


もろはのずつき
アイアンヘッド
あなをほる
どろあそび(マッドブラスト)

マッドブラスト じめん 物理 威力60 命中95

体に纏った泥を発射して相手にダメージを与える
相手の素早さを1段階下げて交代した相手の素早さも下げる泥をばらまく
浮いている相手にも当たり、地面へと落とす

H:95
A:85
B:120
C:40
D:55(110)
S:95(80)

()は泥まとい時



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少年と双子と一時の休息

大変お待たせしました……
体調は治ったんですが今度は蓄膿症になりました……

とりあえずしばらく更新出来なかったのでゴールデンウィークの休日中は毎日投稿をさせていただきます

お楽しみください


 

 

ヴィオ視点

 

~ライズの自宅~

 

 

流石にあのままひでんスパイスを採取する気分には慣れなかったから私達はまたライズの家にお邪魔させて貰ってお風呂を貸して貰うことにした

 

「はぁ……泥自体は肌に良さそうな感じするのだけどね」

「髪の毛の泥がなかなか取れないよぉ……」

 

あの泥はやたらと粘度が高い物らしく私達がかなりシャワーを浴びていてもなかなか落ちない

 

まぁ比較的ツルツルとした鱗や甲殻に鎧のように引っ付くくらいだからこのくらいないと付かないのでしょうね……

 

肝心の改造ボルボロスは結局レティがゲットして手持ちに入れておくことにしている

 

ライズは庭で泥を軽く落としてから銭湯へと行っているらしい

 

私達だけこの家のお風呂を貸して貰って申し訳ないけど、流石にあんな状態でお風呂を待って貰うっていうのもそれはそれで酷な話だったわ

 

「それにしてもレティは肌キレイよねぇ……私なんか若干乾燥肌だから羨ましいわ」

「むぅー、そういうヴィオ姉だってスタイル良いじゃん……その胸は反則だと思うんだけど……双子なのに……」

「双子だからって体型まで似るとは限らないわよ」

「それはそうだけどー!」

 

まぁ確かにレティは比較的スレンダーなのだけど……

 

「それ以前にレティ……私達はまだ14なのよ?」

「そうだけど……ここまでスタイル違うとなぁ……」

「まだまだ体だって大きくなるんだからレティのスタイルだって自然と良くなるわよ」

「むぅ……」

 

一応アカデミーでは10歳からという風になってはいるけどそもそも年齢制限なんてないし私達は他の地方から引っ越してここに通うようにしたのよね……

似たような同級生も多いから兎に角年齢層がバラバラなのよ

 

あー、尊いわぁ……

私の胸と自分の胸を比べてむくれるレティほんと尊いわぁ

 

「けど大きくても後々ほんと困るわよ……?

純粋に重いのよこれ……」

「私は軽いんだけどー!!重いってなんなのよー!!」

「あっちょっ!?レティ!?」

 

ちょっと!?そんなとこ!?

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________________

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……落ち着いたかしら?」

「ごめんなさい……」

 

結局あの後軽くレティが暴走したのでそれを力ずくで止めて私達はお風呂を出た

 

レティの頭には特大のたんこぶが出来ている

 

私達はとりあえず脱衣所で自分達の寝巻きに一旦着替えて制服はクリーニングに出すことにした

 

幸いライズの家は立地的にかなり便利で買い物やらなんやらには困らないくらいには色々と周囲にあるので結構すぐに通える場所にあった

 

ライズの家ってほんとお金持ちなのね……

 

私達が寝巻き姿で軽く今日の事を話しているとライズが帰ってくる

 

「ただいま、レティとヴィオはもう上がってるか?」

「えぇ、お風呂貸してくれてありがとう」

「ごめんね……私達がこっちのお風呂借りちゃって」

「問題ない、それに俺の場合安全対策を万全にしてねぇとアホが乱入してくるから家の風呂はあんまり落ち着かないんだよ」

 

私達はナンジャモのいつもの様子を思い浮かべると……

 

「「あぁ……やりそう」」

「お前らそういう所ほんと双子だよな……変な所で息が合ってる」

 

ライズは呆れている様子だ

 

確かにレティとはちょくちょく変な所で息がピッタリと合う

私は元々前世の記憶もあって早熟だったからレティが私に引っ張られてるのもあるかもしれないわね

 

「それにしてもライズ……貴方ずいぶんと鍛えているわよね……せっかく良い体してるんだから制服は冬服じゃなくて夏服にしなさいよ」

 

ライズは環境もあってか身体が相当鍛えられており、中々の肉体美となっていた

さらに今はタンクトップにズボンとだいぶ薄着になって銭湯帰りなのもあって若干色っぽくなっている

 

「あれはアナザーポケモン用のチョッキとしての役割もあるんだよ……だから中に鉄板やら色々仕込んでおける冬服がベストなんだ」

「勿体ないわね……レティもそう思うでしょ?

…………レティ?」

「…………ふぇ?あぁ、うん、そう思う……かな?」

 

なんかずいぶんと歯切れが悪いわね……

それにライズから目を反らして……ははーん

 

「レティって筋肉フェチなのかしら?」

「ふぇ!?そそそそんなことないよ!?

その……えっと……」

「レティをからかうのもそのくらいにしとけ」

「ふふっ……そうね」

 

にしてもホントに良い体よねぇ……ふふふ腐腐腐

 

「うおっ……なんかいまぞわっとした……さっさと服着るか……」

 

すると家の外……具体的にはリビングの窓側から誰かの叫び声が聞こえてくる

 

「………………………ィィィィィイイイズゥゥゥゥウ氏ィィィィィイイイ!!!!!」

 

バリィィィンとリビングの窓ガラスが割れて周囲へと飛び散る音がする

 

ライズは頭に青筋を浮かべており……

 

「玄関から出直してきやがれこのアホがぁ!!」

 

とナンジャモの窓ガラスを蹴り破った脚を掴んで玄関の方へとキレイなフォームで投げつける

 

その際ライズの筋肉が一瞬とんでもなく膨張したのを私は見逃さない

 

イビルジョーかしら?

 

「ふぇ!?にぎゃぁぁぁぁぁぁあああああ!?!?!?

ぶべっ!?」

 

うわっ……ドアノブに顔面から行ったわね……

 

それはそうと私はライズの家で借りさせて貰っている部屋に向かう

 

「ヴィオ姉どうしたの?」

「いいえ、ちょっとした日課だから気にしないで頂戴」

「???」

 

私は部屋にあるバッグからまっさらな何も書かれていない……薄い本を取り出す

 

腐腐腐腐……

 

 




マグロ「腐ってやがる……遅すぎたんだ……」
ライズ「ゾクゾクゾクッ!?な、なんだ!?」
マグロ「…………強く生きろよ」


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少年と双子とひでん:しおスパイス

 

 

東3番エリア

 

 

~レティ視点~

 

 

うぅ……道中ヴィオ姉にかなりからかわれた……

 

確かにライズ君のすごいいい身体してたけど……あんなの恥ずかしくて直視出来るわけないじゃん……

 

それに私達も寝巻きだったから若干気恥ずかしかったし

 

何はともあれ私達は1日休んだ後ペパーを電話で呼んでミミズズに会いに来た

 

「ズズズミミ~♪」

「うぉお!?デッッッカ!?!?」

「まぁ最初は驚くよね……」

 

ミミズズは昨日と全く同じところで頭だけ出して埋まってて、私達が来た途端に体を出して嬉しそうに鳴き始める

 

「ズズミズミ~?」

「今日はちょっとミミズズに頼みに来たのー!」

「ズズ?」

「ミミズズがそんなに大きくなっちゃった原因のひでんスパイス

それを少しでいいから分けて欲しいんだ

こっちにいるペパーって人の大事な家族の身体を治すために必要なの」

「ズズッ……ミミミミミ……ズミィィィ……」

 

するとミミズズは悩んでいるのか唸り始める

 

何度も私とペパーを交互に見ては唸ってを繰り返してしばらくすると移動を始める

 

「ミミッ」

 

途中でこちらに振り替えって鳴いていたので着いて来て欲しいようだ

 

「行きましょう」

「ガーグァ」

「クェェエエエ」

 

今はガーグァの荷台にペパーやライズ君の料理用の道具をいくつも乗せており、今回は今までとは桁違いに美味しいものが作れそうだ

 

「ズッ」

 

しばらく移動していくと不自然に飛び出たような形の大岩が現れる

 

あれ……この感じすごい既視感が……

 

「ズゥゥゥゥウミミィ!」

 

するとミミズズは身体から6本の腕を出して岩を殴ると大岩が砕け散っていく

 

「ぬぐっ!?」

「ちょ!?」

「ライズ!?」

「ウォイ!?」

「ミミッ!?」

 

すると砕け散った岩が吹き飛んでライズ君の顔面にめり込んでしまった

 

「顔面に何かめり込むのは久々だな……いてぇ」

 

だけどライズ君は割と無事見たいで岩を捨てて顔を押さえているけど普通に立っていた

 

「お前……前々からどんだけ頑丈なんだよ……不死身ちゃんじゃねぇか」

「そういえば私の身代わりになった時骨が折れる音がしたけどニャンターの薬飲んだらピンピンしてたわよね……」

「ライズ君って……人間?」

「ズズズ……」

「失礼だなお前ら……」

 

しばらくして顔から手を離すとライズ君は血を軽く流してこそいるけど普通にピンピンしていた

 

「ミミミッ」

 

ライズ君が無事なのを確認するとミミズズはそのまま砕いた岩の先にある洞窟へと潜っていく

 

少しするとミミズズが手に白く発行する草を持ってきた

 

「おお!おりゃいままでの秘伝スパイスと共通する特徴がかなりあるぞ!こりゃ秘伝スパイスか!」

 

ミミズズが持ってきた草を見て興奮した様子のペパーがスカーレットブックとバイオレットブックを取り出して秘伝スパイスのページを開く

 

「こいつはひでん:しおスパイスだな

えーとなになに?本によると……ひでん:しおスパイスは手足の痛みやしびれをやわらげてくれる!

筋力の低下にも効果があるらしい!」

 

効能だけ聞くと手足が不自由になっていたり後遺症があったりする人にものすごい効果を発揮しそうな効能だ

 

「しお……塩かぁ……」

「どうした?ライズ?」

「いや……いままでの秘伝スパイスは味が尖りすぎてて他の食材の味を潰しかねない濃さをしてただろ?」

「あー、そうだな……そういうことか」

「…………多分死ぬほど塩辛いぞ」

 

私は興味から秘伝スパイスをミミズズからちょっと触らせて貰って触れた部分を少し舐めてみる

 

…………しょっぱ!?

 

軽く触れただけですらここまで濃い味が移っちゃうんだ……

 

「レティの様子を見る限り結構むずそうだが……

まぁやれるだけやってみよう」

「おう!早速調理開始だー!!!」

 

そしてライズ君とペパーはガーグァの荷車からいろいろと荷物を取り出して調理の準備をする

 

すべての準備を終えると……

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ…………」

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄…………」

 

とんでもない速度でいろんな試作品の料理を作り続けていく

 

何故か二人の背後に変なポーズをした人の形をしたナニかが見える気がする

 

「どこのジョジョよ……」

 

なんかヴィオ姉も呆れている様子だ

 

色々と試作品を作って味がだいたい決まったのか二人はメモを取るとサンドウィッチ用のパンを取り出して調理を進めていく

 

どうやらどのようにするか決めたみたいだ

 

そうして私達が全く理解できないような速度で作り進めていき私達が気が付いた頃には何故か輝きを放つ凄く美味しそうな香りのサンドウィッチが出来上がっていた

 

 

「お待ちどうさん!」

「食べて健康の俺達特製ヘルシーサンドだ」

 

中身の具を見ると野菜やハーブを中心とした具にハーブソーセージのスライス等を一緒に挟んでいた

余分な脂をしっかりとボイルして落としているらしくとても美味しそうだ

 

「ミミミィィイイ~♪」

 

すると私のボールが2つ程プルプルと震えてコライドンとボルボロスが現れる

 

ヴィオ姉の所からもミライドンとシュニンが出てきた

 

ボルボロスの名前も考えないと……

 

「出てきてくれ、マフィティフ!」

「…………」

 

どうやら二人とも飛び出してくるポケモンも想定した量のサンドウィッチを作っていたみたいで全員へとサンドウィッチを配っていた

 

「それじゃ食べるか!レティ、ヴィオ、ライズ!お礼のヌシバッジな!」

 

そういって私達と写真を撮ってから鋼ジムのバッジを改造したバッジをペパーが渡してくる

 

「ありがとうペパー!」

「んじゃ食べるぞ、頂きます」

「「「頂きます!」」」

「ズミミズミ!」

「ボルァァァアン!!」

「ンガァァ!!」

「「アギャァァアス!!」」

 

 

 

 

 




マグロ「ライズの頑丈さ……ハンター>>>>>>ライズ>>>スーパーマサラ人>>>>一般人」
ライズ「バサルモスの群れの世話なんてしてたら自然と身体は頑丈になるもんだ」
マグロ「普通は死にます」


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少年と双子とマフィティフ

 

 

ライズ視点

 

 

~東3番エリア~

 

 

 

「ふぅ……上手く味が決まって助かった」

「美味しかったぁ……」

「ボルァァァアン♪♪」

「もっと食べたかったわ……」

「お前はその食欲をそのままにしたらパルデアの食糧全部喰らい尽くしそうだからやめてくれ……」

「ンガー……」

 

完成したサンドウィッチをみんなで食べていき、レティは幸せそうな顔をしてボルボロスに寄りかかっており、ボルボロスは食事前にキレイに洗われた身体で丸まっている

 

流石に泥だらけの姿で食事させる訳にはいかなかった……

 

ヴィオは若干物足りなそうだがシュニンはその食欲に呆れているようだ

 

「それにマフィティフもしっかりと食べれているな……」

「あぁ、この間のスパイスの効果が結構出ているらしい

まだ立てないがこの調子なら……」

「…………」

「……まぁすぐには効果は出ないか……」

「むしろ今までが目に見える効果過ぎたんじゃないか?」

「かもしれないな……それにしても……」

 

俺とペパーは一斉にミライドンとコライドンの方を向く

 

「「ガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャ……」」

 

ある程度纏まった量を用意しておいて正解だったらしい……

 

「ったく……もう少し味わって食えよな……」

「バゥ……」

「全く……まぁこちらとしても作り甲斐があ……る……ん?」

「どうしたライズ?」

「今マフィティフがばうって鳴いたような……」

「ホントか!?」

「…………バゥ」

「ば、ばう……!?」

 

マフィティフは俺達に答えるように鳴いていた

そしてペパーは両手を上げて大袈裟に驚いていた

ただペパーのマフィティフは元々目も開かず声も出せず手足が冷えきって立ち上がることも出来ない程の重症だったのだ

それが一つでも改善されれば驚いてもおかしくはない

 

「え、いや……今!マフィティフ……声……!?

な!今皆聞こえたよな!?なぁ!?」

「ええ、聞こえてるわ」

「うん、ちゃんとばうって言ってた」

「聞き間違えとかじゃないから安心しとけ」

「あぁ……あぁ……絶対聞こえたよな!」

 

すると喜ぶペパーを見たからかマフィティフは立ち上がろうとはするがやはりまだ身体を立ち上がらせるのは難しいらしくそのまま倒れてから

 

「バゥフ……!」

 

と弱々しいながらも力強く声をあげる

 

「わわ!やっぱりマジじゃん!空耳なんかじゃなかった!

マフィティフ~!お前~!!」

 

そういって泣きながらペパーはマフィティフに抱きつく

 

「グス……久しぶりに……声……聞けたなー……!」

 

 

しばらく泣いてマフィティフに抱きついていると今度は俺達の方へと向く

 

「マフィティフの具合……順調に良くなってる……!

お前達と会ってから良いことばっかりだ!」

「残る秘伝スパイスはあと2つか……」

「よーし!このままマフィティフが治るように頑張るぞ~!」

「あ、ご飯はよろしく頼むわよ」

「ちょ!?」

「ったくヴィオは相変わらず飯の事ばっかかよ!」

 

 

 

俺達はそのあとは他愛もない話をしてミライドンとコライドンの食事が終わるのを待った

 

 

 

「「アギャァァアス!!」」

「クェェエエエ!!!」

 

なんでガーグァまで光ってるんだよ!?

 

「ガーグァも?ガーグァもこいつらと同じで弱ってるのか?」

「弱ってたら俺を何度も吹き飛ばさないっつの……」

「ってことはガーグァ自体にも何か秘密があるのかな?」

「さぁな、俺もその辺りはどうにもわからねぇ」

 

とりあえずミライドンとコライドンはまた一つ能力を取り戻したらしいが今度は何を出来るようになったんだ?

 

「「アギャァァァ!!」」

 

そう思っていると二匹がライド状態で大きく大ジャンプした

 

「これは……より高くジャンプ出来るようになった……って事かしら?」

「これなら今まで行けなかった所にいけるね!」

「問題はライズのガーグァなのだけど……」

 

俺は問題のガーグァに目を向けるとガーグァは何故か羽毛の量が増えていた

 

「…………もふもふ?」

「ほのおタイプに弱くなりそうね……焼き鳥……」

「クェエエエ!?クェェェエエ!!クェェェエエ!!!」

 

するとガーグァはそのさらに羽毛が増えたことによって無駄にデカく見えるようになった身体で翼を広げて羽ばたき始める

 

すると……

 

「お……おお……おおお……お?」

「飛べては……いるけど」

「その……言っちゃ悪いけどギギネブラより滑空能力無いわね……」

「クェエエエ!?」

「なんかこいつ変なところで残念ちゃんだよな……」

 

羽毛が増えた事で空をギリギリ……ほんっとギリギリで飛行可能にはなったようだが上昇する速度はかなり遅く、滑空能力も殆ど無いような感じだった

 

そもそも飛ぶタイプじゃなくて走るタイプの鳥ポケモンだからな……

 

するとヴィオの辺りからへんな音が聞こえる

 

『クゥルルヤックゥゥウウwwwクゥルルヤックゥゥウウwww』

 

「あら?博士から電話ね……それにしても毎回毎回私に掛かってくるわね……」

 

どうやらヴィオの電話の着信音だったようだ……ほんとこいつのセンスはなんなのだろうか……

 

 

 

 

 

 

電話の用件はミライドン達が更に高くジャンプ出来たことについてだった……スミマセン、すでに確認し終わってました




マグロ「これ終わる頃には200話くらいまで行きそうだなぁ……若干進行を早めるべきか?」
ライズ「下手にいじくるべきじゃないだろ」
マグロ「うーむ……まぁ、頑張って執筆するとしよう……ToLOVEるはどうしようk……」
ライズ「死にたいようだな?」


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少年と双子とスター団どく組

 

 

ヴィオ視点

 

~しるしの木だち~

 

 

 

あの後私達はペパーと別れてすぐそこにあるしるしの木だちへと向かった

 

理由は単純ですぐそこにスター団のアジトがあるからっていうのもある

それに腹ごしらえも済んでるから私達の気力も十分だわ

 

「それにしてもずいぶんとカラフルな森ね……」

「おそらくこの辺に生息しているタギングルが塗った物だろうな」

「タギングルって確か学校の近くにいたシルシュルーの進化系だっけ?」

「そうね、どく・ノーマルタイプのポケモンだし今回のスター団も使ってくるんじゃ無いかしら?」

「どくタイプかぁ……『どくどく』とか厄介だよねぇ……」

「そうだな……どく状態になったら最後相手に持久戦に持ち込まれただけでこっちが圧倒的不利な対面になる」

 

どくどく……まもみが……うっ、頭が

 

「後警戒するポケモンはブロロンやヤトウモリ、それにスカンプーとかかしら?」

「そんなところだな……ただヤトウモリは特性がかなり厄介だ」

「あぁ……『ふしょく』ね……」

 

ヤトウモリやその進化系のエンニュートが持っている特性『ふしょく』はたとえどくタイプの効果の無いはがねタイプのポケモンが相手でもどく状態に出来ると言う害悪な特性ね……

 

私の対戦パがどくどくまもみがかなしばりエンニュート一匹に壊滅させられたのは良い思い出だったなぁ……

 

「とりあえず必然的に俺はギギネブラ、レティはボルボロスになるんだが……問題はヴィオだな」

「そうね……タイプ的に無効化は出来ないわね」

「私の場合はタイプ的に有利になるダルシムかしら」

「……そういやお前のダルシムエスパータイプだっけか」

「イメージ湧かないよね……」

 

まぁ何故かヨガを教えたらエスパータイプになっただけだけどね

 

ワタシニモワカラナイワー

 

「とりあえずアジトの柵は見つけたから入り口を探しましょ」

「そうだね」

「念のため皆にモモンのみを持たせておきましょうか」

 

私達はポケモン達にモモンの実を持たせて毒対策を万全にした状態でスター団アジトの入り口に向かったのだけど……

 

 

 

「あら?あれは……」

 

少し離れた所に校長先sげふんげふん、ネルケが立っていた

 

 

「ヴィオ!レティ!ライズ!」

「校長先生!」

「今の俺はネルケだ……今はそう言うことにしておいてくれ……」

「アッハイ」

「良い機会だ……この前話しそびれていた続きを聞いてくれ」

「この前の続き……ですか?」

「オレがスターダスト大作戦をしているのはスター団の問題と謎を探る為

スター団に入っている生徒達の不登校の理由を探るためだ」

 

確かにこれは校長先生としては無視できない問題でしょうね……

 

「団を解散させたいカシオペアと利害は一致しているしな」

 

すると校長先生はグラサンをくいっと直して続きをいう

 

 

 

……その仕草ジワるんだけど

 

「実際三人とスターダスト大作戦に加われてスター団に近づく事が出来たし団の奴らと話して分かってきたこともあるんだ」

「分かってきた事ですか……」

「あぁ……だがまだもう少し情報が欲しい

その為残るチームのスター団達とも話がしたいんだ

アジトに挑むなら力を貸すぜ、またな三人共」

 

ネルケはリーゼントのズラを両手で撫でるような仕草をしてから去っていく……だからそれもジワるんだけど……

 

「俺達もスター団のあく組とほのお組のやつらとやりあってはいるが……確かにそれ程悪い奴らという感じは無かったな……」

「そうだよね……少なくともいじめっこって感じじゃ無かった」

「新しいしたっぱが暴走してる感じよね」

 

むしろあのボス達から感じられたのはいじめを受けた側のような……いえ、まだ確信は持てないわ

 

 

私達はそのままアジトの入り口へと向かうと見張りと思われるしたっぱの一人と小さな褐色肌の一人の生徒が少し言い合いを起こしていた

 

「……いい加減帰ってくれない?」

 

したっぱはなんか呆れているようにも見える

 

「やだ!どく組ボスのシュウメイ殿に会いたいんだ!」

 

ん?殿?

 

「だからさ、本人に言われてるの!団員以外は誰も通すなって!」

「ぜったい会う!シュウメイ殿とお話するんだ!」

 

何かしら……一見ちっちゃい子供が駄々こねてるようにしか見えないわね……

 

「勘弁してくれよもう……」

 

なんか……疲れてるわね

 

ここで待ってても仕方ないのでライズ達と一緒に声をかけることにした

 

「おーい、そこの二人」

「あれ?」

「あーあ、また誰か来ちゃったよ

スター団の新人ってこんなにめんどいんだ……」

 

したっぱはとてもうんざりした様子だ

 

「……まってしたっぱさん!

この人達ってスターダスト大作戦のスカーレット、バイオレット、ライズじゃない?」

「スターダスト大作戦って……うちらに喧嘩売ってるヤツ?」

「あぁ、カチコミしに来た」

「直球ね……まぁその通りだから何も言えないけど」

「……やはり!」

「わわ!ヤベぇー!」

 

冷静な少年に対してしたっぱは焦りまくっている

 

「昨日オールでゲームしてたしアジトのヤツら絶対寝てる……」

 

呑気にも程が無いかしら……

一応私達スター団をどんどん襲撃してるはずなんだけど……

 

「……ここは任せて!したっぱさんは仲間を起こして!」

 

あ……あら?

 

「はっ?なんでオマエが?」

「アジトがむぼーびだとシュウメイ殿もあぶないんでしょ!

シュウメイ殿はおんじんでありぼくの同胞……!

危機には万難を排し馳せ参じるが道理なんだい!!」

 

なんかこの子から香ばしいオタッキーな香りが……

 

「ちょっとなに言ってるか分からないけど助かるぜ!」

 

そういってしたっぱはアジトの中へと戻っていった

 

「同胞を狙う奸物めはぼくがあいてになるぞ!」

「……分かった、戦おう!」

 

すると少年の目が血走り、とんでもなく見開かれて……

 

「キエエエエイ!!」

 

「「「ぶふぉ!?!?」」」

 

 

そんなの笑うなってのは無理あるわよ!?

 

 




マグロ「正直ワシも初見の時はこのシーン笑ったのよw」
ライズ「キエエエエイ!ってなんだよww」
マグロ「あの子からそんなセリフ想像も付かねえわw」


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少年と双子とチーム・シー

 

 

レティ視点

 

~スター団どく組アジト前~

 

 

 

とりあえず門の前で私達の足止めをしていた子には……その……あっさり勝ってしまった

 

どくタイプ使いなのも相まって私のボルボロス……いえ、『ボルンガ』相手に殆どダメージを与えられなかったんだ

 

「ありがとうボルンガ」

「ボルヴァ~」

「あら?レティの事だから今度はボロスとかその辺かなと思ったのだけど」

「んー、なんかイメージが違ったんだよね……

それにしても……なんかごめんなさい」

「謝らないでくだされ……

敗軍の将は兵を語らずだよ……」

 

もはや足止めをするはずだったのに数分も持たなかったあの子は手足を地面に付けてうなだれていた

 

「シュウメイ殿……ごめんなさい……」

 

すると後ろから校長先s……ネルケが走ってやってくる

 

「三人とも大丈夫か!」

「校長せん……ネルケじゃない」

「ヲイヴィオ……言ってやるな」

「アジトを見張っていたんだが急に騒がしくなったんでな

こっちで何かあったのかと気になって来たんだが……」

 

するとさっきの子は更に悔しそうにする

 

「ううっ……!ここで新手だなんて……!!」

「彼は……うちの生徒?スター団ではなさそうだが……」

「あー、関係が無いというわけでも無さそうなんですよね」

「俺達もまだあまり状況が掴めてないんです」

「スター団ではないけど……シュウメイ殿はぼくの同胞!

どうしてもあの人に会わなきゃいけないんだ!」

「……訳ありみたいだな

ちょっと話を聞いてみる、お前達は先にアジトを頼む」

「分かったわ」

「分かりました」

「了解」

 

すると校長……ネルケは少年を連れていく

 

「さぁ行こうぜあんた

悪いようにはしないからさ」

 

 

 

ネルケか少年の話を聞くために離れると今度はヴィオ姉のスマホロトムに着信が来る

 

『エンダァァァァァアアアアイヤァァァァァァアアアア』

 

「「うるさっ!?」」

「あら?電話ね……まぁこのタイミングでの電話なんて一人しか居ないのだけれど」

 

ヴィオ姉が電話に出るとカシオペアの声が聞こえてくる

 

『……見張りに対処出来たか』

「ええ、問題ないわ」

『そうか……そのアジトに集まっているのはスター団どく組……チーム・シー

ボスのシュウメイは手先が器用な服飾担当

ちょっと……一風変わった男だ』

「もともと変わってるあなたが言うなら余程なのね……」

『…………彼の行動は予測不能……』

「ちょっと……」

 

ヴィオ姉落ち着いてってば……

 

『こちらの宣戦布告に対しどう出てくるか不明だがシュウメイが現れるまで可能な限り団のポケモンを減らすんだ

準備が出来たらゴングを鳴らして大作戦開始!

チーム・シーにカチコんでくれ!』

「ええ、分かったわ」

 

そういってカシオペアは通話を切っていった

 

「…………ファイアーウォール今までの10倍にしてたのだけど……」

「ヴィオ姉……」

「とりあえずは『どくびし』警戒でヴィオのダルシムはボルンガの上に乗せておいてくれ」

「分かったわ、出てきなさいダルシム」

「ギギッ……」

「ギギネブラ!出てこい」

「ネビュラッ!」

「よーし!がんばるぞー!」

 

するとヴィオ姉が変なことを思い付いたのか悪い笑みを浮かべて……

 

「折角だしここはボルンガにゴングを鳴らさせてみましょ!」

「え゛……」

「ボルァ?」

「ほら、ここの金色のをおもいっきり叩くのよ」

「あっちょっまっ!?」

「ボルァァア!!」

 

ズドカァァァァァァァァァァンンン

 

…………ゴングはちゃんとなったけどゴングごと入り口がぺしゃんこに……

 

「ヴィオ……?」

「サーススムワヨー」

「ヴィオ姉……後で話があります……」

「アッハイ」

 

流石にこれは私でも許容出来ないかなぁ……後でライズ君と説教です

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

私達がそのまま壊れた入り口へと入っていくと周囲に設置されたスピーカーから声が聞こえてくる

 

 

『ビィィーガガ……!

とうとううちのアジトにもスターダストなんとかがやって来ました

他のチームのカタキを取ってみんなでかがやきましょうー!』

 

周囲を見渡すと案の定落とし穴と思われる跡に大量のどくびしが撒かれており、あまり進みたくはない道となっていたのだけど……

 

「ボルァァァァアアアア!!!」

 

ボルンガが頭を地面へと叩きつけて地面を抉りながら進んでいく

巻き込まれたどくびしがどんどんスター団の所へと吹き飛んでいって……

 

「いっでぇぇぇぇぇぇええええ!?!?」

「刺さったぁぁぁぁ!?!?」

「アーーーーッ!!」

「らめぇぇぇぇぇえええええ!?!?」

「バンナソカナァァァァァアアア!?」

「ウボワァァァァァァァァアアア!?!?」

「我々がやられても第二第三の我々がァァァァァアアア!?!?」

「俺の側に!近寄るなァァァァァアアア!?!?!?」

 

 

もはや阿鼻叫喚の地獄となっていた

 

更にポケモン達に至ってはダルシムのサイコキネシスによってトレーナーへと吹き飛ばされてぶつかったトレーナーが尻餅をついてお尻にどくびしが刺さったりしていた

 

「うっわ痛そう……」

「適当にばら蒔くからこうなる……」

「なんというか……南無三」

 

更にギギネブラ空を滑空しながら毒の雨を降らせていたので余計に地獄絵図だった……

 

 

なんか……ごめんなさい

 




マグロ「『どくびし』とか『まきびし』って吹き飛んだら絶対トレーナー側や自分ポケモン側にも被害あるよねw」
ライズ「どうしてこうなったかなぁ……」
マグロ「もう少し手はなかったの?」
ライズ「ギギネブラの肌じゃ毒にはならなくても刺さる」
マグロ「あぁ……」


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少年と双子とシュウメイ

 

 

ヴィオ視点

 

~スター団どく組『チーム・シー』アジト内部~

 

 

 

「俺達じゃ敵わない!ボスを呼んでくるnぐはぁっ!?」

 

あ、吹き飛んだどくびしにボスを呼びに行った人が刺さったわね……

 

そういえば私のポケモンにドオーいるの忘れてたわ……最近ボックスに入れっぱなしだから後でちゃんと出して構ってあげないと……

 

しばらくボルンガ達による蹂躙が続いていくとボスがいると思われる巨大なテントからエンジン音が響き始める

 

「二人とも、そろそろ来るわよ」

「わかった」

「ギギネブラ、こっちに戻ってくれ」

「ギギッ」

 

すると毒をイメージしているのか毒々しい色合いに塗装された紫色のスターモービルが現れる

 

その上の台には紫や緑、黒等の無駄にカラフルな忍びの装束のような物を纏った人が胡座をかいて腕を組んでいた

 

……うん、確かにこれはクセが強いわね

 

スター団どく組のボス、シュウメイと思われる人物は腕組みをしたまま立ち上がり、短く呟く

 

「……シュウメイ推参

ユー達がスカーレット、バイオレット、ライズか」

 

更に属性追加ァ!?

濃いって!?見た目の時点ですでにキャラ濃いのにこれ以上濃くしたら胃もたれしちゃうって!?

 

「スター団に仇なす不届き者、我が"ポイズン"にて蝕んでくれよう」

 

笑っちゃだめ……笑っちゃだめよヴィオ……ククッ……

 

「シュウメイ!推して参る!」

 

とりあえず二人に任せっきりなのも悪いわね……

 

「ここは私に任せて頂戴」

「わかった!」

「あぁ、負けるなよ」

「誰に言ってるのよ……絶対に勝つわ」

 

私はダルシムを一旦ボールに戻して呼び戻す

 

するとシュウメイはその場でバク転して忍者のように着地する

 

そして懐からボールを取り出す

 

その動作いるのかしら?

 

「スカタンク!いざゴーでござる!」

「ぶふっ……行くわよ!ダルシム!」

「スカンクッ!」

「ギギッ!」

「ヴィオ今笑わなかったか?」

「うん、吹き出してた」

 

ちょっとそこうるさいわよ……手裏剣みたいなボールの投げ方を見たんだからそりゃ笑うわよ……

 

するとシュウメイは顔の大半を隠した布を手でどけて両目の視界を確保して言う

 

ってか邪魔なら付けなければいいのに

 

「我が来たからには不届き者は成敗するのみ!」

 

と無駄に凛々しい目で答える

 

「かすっただけでどくる技もあるゆえ怯えるでござるよ」

「当たらなければどうと言うことはないわよ!ダルシム!『ヨガのポーズ』」

「ギギッ!」

 

ダルシムは身をよじって出来ているのか分からないけど『ヨガのポーズ』を行う

 

これによってダルシムのこうげきがなぜか1段階上昇する

 

ダルシムは特殊技も十分強いけど物理技は特性の影響もあって特に通りやすい

それなら両刀ではなくて特化させるべきだとポケモンをガチでやってた人なら思うかも知れないわね……

でも違うのよ……この世界割と特化してるだけだとキツいのよ!?

 

例えばだけどぶつり技にのみ特化したポケモンがいるとする

 

そうなるとそのポケモンは至近距離の攻撃くらいしかまともな攻撃手段が無いことが多く、持久戦や遠距離、空からの攻撃に極端に弱くなってしまいほぼ活躍出来ないのだ

 

ポケモンには命中率なんてあったけどこの世界じゃそんなものは無いから完全に実力勝負になっちゃうのだ

 

だから

私は両刀にしてダルシムがマジカルフレイムやサイコキネシスで動きを阻害してヨガのポーズで上がったこうげきを使ったぶつり技で仕留めるようにしているのだ

 

「その姿で『ヨガのポーズ』とは面妖な……」

 

貴方の格好と言動には言われたくないわよ

 

「ダルシム!『マジカルフレイム』で牽制よ」

「ノンノン!スウィートでござるよ!スカタンク!『ふいうち』」

「スカッ!」

「ギギッ!?ギーギャ!」

「スカッ!?」

 

ダルシムが攻撃する前にスカタンクによる『ふいうち』を受けてしまい、弱点によるダメージで大きくのけぞったダルシムだけど気合いで耐えきってゼロ距離で『マジカルフレイム』を直撃させる

 

舐めてたわ……前の世界のガチ環境じゃかなり使われていた特に威力の高い先制技……

こっちの世界でも『ふいうち』はやっぱり強いわね……

 

「むむ!『ふいうち』を受けてもスタンせず反撃に繋げるとは……出来る」

「それはどうも……でもまだまだこんなものじゃないわ!」

「それでは参るぞ!スカタンク『どくどk」

「やらせないわよ!ダルシム!『ニトロチャージ』!」

「ギィィィ!!」

「タンクッ!?」

「むむ!流石にそう簡単に『どくどく』はさせてもらえぬか

それにマジカルフレイムよりもかなり威力が高いでござるな……」

 

流石にヨガパワーに気がつかれたかな

 

「『ヨガのポーズ』一回だけでは威力がここまで上がるような事はないでござる

もともと物理攻撃のが得意か……あるいは特性でござるな?」

「ここでそれの答えを言う理由は無いわよ!ダルシム!そのまま『ニトロチャージ』で加速を続けて!」

「ギギッ!」

 

ダルシムがニトロチャージによって空中を加速しながら移動を続けている

空中に浮いてる理由は自身をサイコパワーで浮かべているらしい

 

「スカタンク!『ベノムショック』を置くでござる!」

「ダルシム!気にせず突っ込んで直撃させなさい!」

「ギィィィ!!ギィッ!」

「スカァァアア!?!?」

 

スカタンクはニトロチャージによる直撃をうけて気絶する

 

ベノムショックは毒を受ける技じゃないから無視して問題ないわ

 

「ムムッ!この状態ではブロロロームでは勝ち目はないでござるな……ベトベトン!」

「ベェェタァァアア!!」

 

今度はベトベトンね……流石に敵も強くなってきたけど……

相手にとって不足無いわ!




ライズ「ヴィオのギィギはなぜこうなったのか……」
マグロ「『ヨガのポーズ』ってなんのポーズをとってるんだろうか?」
ライズ「俺はヨガ知らないからわからん」


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少年と双子とシー・スターモービル

 

 

~ヴィオ視点~

 

 

~スター団どく組『チーム・シー』アジト内部~

 

 

 

なんとか一匹は突破したけど流石にそれだけな訳ではなかったわね……

 

「ベェェタァァアア!!!」

「ベトベトンね……」

 

私は嫌な思い出を思い出す……

 

ガチの対戦にて一度出会した『ちいさくなる』バトンのベトベトンだ……

いやほんっとあれマジで無理……『ちいさくなる』とか本気で嫌い……流石にこの世界ではあまり普及してないと信じ……たいわね

 

「ダルシム!『マジカルフレイム』で牽制しながら『ニトロチャージ』!」

「ギィィィ!!ギギギギギギッ!」

 

ダルシムが私の指示で大量の『マジカルフレイム』を口から吐き出しながら突撃する

 

とはいってもあの『マジカルフレイム』は牽制兼目眩ましであり、威力としてはダメージを与えられるかすら怪しいくらいに無いものでただのブラフでもある

 

これを教えて鍛えるのになかなか難しかったのよねぇ

"威力を極端に押さえて乱射する"だけと言えば聞こえは良いけど用は"竹筒の水鉄砲を小分けに乱射しろ"と言ってるようなものだもの

 

とはいえ鍛えた甲斐もあってこれがなかなか刺さる

 

レティやライズにも試したけど初見だと二人とも対処不可

何度か戦ってギリギリ対処出来る戦法とわかった分かなり苦労は報われていた

 

「ベトベトン!『どろかけ』で視界を塞いで炎のテンションをダウンさせるでござる!」

「ベェェェトゥ!」

「ギギッ!?」

 

ギィギに『どろかけ』が当たって『ニトロチャージ』の勢いが弱まってしまう

ついでに弱点なのも痛いわね……

だけどね……

 

「ギィギにそもそも目はないのよ!!」

「ギギャァァァア!!!」

「ベタァァァ!?!?」

「ベトベトン!」

 

『ニトロチャージ』が直撃した事で煙が周囲を覆ってなかなか状況を確認しにくい……ベトベトンは……

 

「べ………トォオオ!!」

「ギギッ!?」

 

嘘ッ!?ダルシムが捕まえられた!?

ベトベトン自体にも大きなダメージはあったみたいだけど元々耐久がかなり優秀なポケモンなのもあってかベトベトンは攻撃を受けながらダルシムを掴んで止めたらしい

 

「よくやったでござる!この距離なら避けられぬでござる

ベトベトン!『ヘドロウェーブ』!」

「ベタァァァァァァァァアアア!!!」

「ギギャァァァア!?」

「ダルシム!!」

 

ダルシムは攻撃を受けた衝撃でこちらに吹き飛ばされてなんとか拘束を抜け出した

 

だけど……

 

「ギギッ……」

 

ダルシムの肉体が紫がかっている……『どく』状態ね……

事前に持たせていたモモンの実はすでにしたっぱの掃討で使ってしまっていた

状況はかなり不利に追い込まれていた

 

「ダルシム!短期決戦よ!一撃離脱を繰り返しながら『ニトロチャージ』!」

「ギィィィ!!ギッ!ギッ!ギッ!ギッ!」

「べッ!?ベトォ!?ベタァ!?べッ!?」

「ベトベトン!」

 

ベトベトンはダルシムの上がりまくった素早さに翻弄されてまともに対応は出来なくなっていた

 

とはいえダルシムも『どく』の影響がキツいのか若干動きにブレが見え始めていた

 

「ベトベトン!耐えるでござる!」

「ダルシム!」

「ギィィィ!!!!!」

「ベッタァァァァアアアア!?!?」

 

加速仕切ったダルシムの全力の『ニトロチャージ』を受けてベトベトンは倒れる

 

「むう……耐えきれなかったでござるか……

生き残っている以上タイプ的に不利なブロロロームは出すべきではないでござるな……

ポイズン食らわば皿まで!シュウメイこの命最後まで!!

シー・スターモービル!」

「「「ブロロァァァァアアアアアア!!!!!!!」」」

 

どうやら潔くスターモービルで戦いに来るようだ

これ以上ダルシムを消耗させる理由は無いわね……

「ダルシム、戻って頂戴

行くわよ!シュニン!」

「ンガァァァァァアアアアアア!!!!」

 

シュニンは出てくると同時に咆哮し威嚇としてその頑丈で巨大すぎる顎を地面に二回叩きつける

 

「ビッグでござるな……これはパワーバトルになりそうでござる」

「シュニン、下手したら毒食らうから気をつけて」

「ンガッ」

 

「シー・スターモービル!『ポイズンアクセル』でござる!」

「「「ブロロァァァァアアアアアア!!!!!!!」」」

「シュニン!『じならし』で畳返し!!」

「ンガァァァァァアアアアアア!!!!」

 

シー・スターモービルが排気用のパイプから紫色の煙を出し、毒を纏いながら突進してくるがシュニンのその顎による強力な『じならし』によって目の前の地面が叩き割られてひっくり返り、壁が生まれる

これによってシー・スターモービルは動きを止めてしまう

 

「ぬぅ!バックでござる!」

「シュニン!死角から『ころがる』!」

「ンガァァァァァアアアアアア!!!!」

 

そして視界が塞がれているのを良いことに私はシュニンに『ころがる』を指示して壁を突き破りながらシー・スターモービルへと突撃させる

 

「シー・スターモービル!『ホイールスピン』で対抗でござる!」

「「「ブロロァァァァアアアアアア!!!!!!!」」」

 

シー・スターモービルはその場で急旋回してそのドリフトの勢いを利用して車体をシュニンに叩きつける

 

「ンガァァァァァアアアアアア!!!!」

 

シュニンの『ころがる』と拮抗している影響で火花が大量に散っており、パワー勝負となっていた

 

そして私はシュニンの体からポロポロと落ちているものを見逃さない

 

まだよ……時間を稼いでタイミングを見つけなきゃ……

 

これはパワー勝負じゃないわ……持久力勝負よ!




マグロ「健康診断が近い……血液検査の採血嫌いなんだがなぁ……」
ライズ「つべこべ言わずさっさと刺されろ」
マグロ「(´・ω・)」


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少年と双子と接戦★

 

 

ヴィオ視点

 

 

~スター団どく組『チーム・シー』アジト内部~

 

 

 

シュニンがシー・スターモービルとのぶつかり合いで自分を削って『かやくがん』をばらまき始めていた

 

ただシー・スターモービルのポイズンアクセルを真っ正面から受け続けていたのもあってシュニンの消耗がそこそこ激しい

シュニンの体から紫色のガスが時々排出されている

 

『どく』状態にはなっているみたいだけど体から毒をガスとして噴出する事で軽減しているのね……モンスターの本能はやっぱすごいわね……

 

「まだまだでござる!どんどんギアを上げていくでござるよ!『ニトロチャージ』!!」

 

うげっ……シュウメイまでニトロチャージを覚えているわけか……そうなると習得先はメロコでしょうね……

 

でも好都合!

 

「シュニン!一旦離脱してから突撃!」

「ンガァァァァァアアアアアア!!!」

「「「ブロロア!?」」」

 

鍔迫り合いを起こしていたシュニンとシー・スターモービルはシュニンが顎を叩きつけた反動を利用して離脱したことによって一気に離脱して体制を立て直す

 

逆にぶつかり合う相手がいなくなったシー・スターモービルはバランスを崩して"シュニンが元々居た"場所まで炎を纏いながら突撃していった

 

結果は……

 

「「「ブロロァァァァアアアアアア!?!?!?」」」

「なぬっ!?」

 

見事シー・スターモービルは『かやくがん』を着火してしまい、爆発のダメージを受けていた

 

「「「ブロロァァァァアアアアアア!!!!」」」

 

しかしそれでもシー・スターモービルは動きを止めること無くシュニンへと突撃していく

 

シュニンも追撃するべく己の体を丸めて『ころがる』をしており、ころがり続けていたことによってその威力は大きく向上していた

 

「ンガァァァァァアアアアアア!!!!」

「シュニン!!」

「「「ブロロァァァァアアアアアア!!!!」」」

「シー・スターモービル!!」

 

『ニトロチャージ』で加速したシー・スターモービルと転がり続けた事でその威力を上げたシュニンがぶつかり合う

 

大量の火花が散り始め、時々爆発を起こしながらも両者はぶつかり続ける

 

「ンガァァァァァアアアアアア!?!?」

「「「ブロロァァァァアアアアアア!?!?」」」

 

ついに両者はダメージに耐えきれなくなって吹き飛ばされた

だけどシュニンはいち早く体勢を立て直す

 

「シュニン!『かやくがん』を大量にばらまいて!!」

「ンガァァァァァアアアアアア!!! 」

 

シュニンは私の指示で尻尾をひたすらぶんまわして大量の『かやくがん』を周囲にばらまく

流石にこの量だとシュニンも巻き込まれるけど……

 

「させぬでござる!シー・スターモービル!『ホイールスピン』でまとめて返すでござる!!」

「「「ブロロァァァァアアアアアア!!!!」」」

「シュニン!『じならし』で着火!」

「なぬ!?」

「ンガァァァァァアアアアアア!!!!」

 

いわ・ドラゴンタイプのシュニンにはダメージは1/4になるのよ!タイプ一致じゃないから全くダメージはないわ!!

 

シュニンが自分の顎を強く地面に叩きつけるととてつもない地響きを引き起こして全ての『かやくがん』を着火する

 

あら?……この威力……『じならし』じゃなくて『じしん』になってる!?

 

「「「ブロロァァァァアアアアアア!?!?!?」」」

「ぬぅぅぅううう!?!?」

 

 

なぜかどく単タイプとなっているシー・スターモービルにはじめん技である『じしん』は効果は抜群であり、周囲の『かやくがん』をまとめて着火して爆破させたのでかなりのダメージのはず……

 

「「「…………ロロロロァァァァァァァアアアアア!」」」

 

嘘ッ!?

 

「ンガァッ!?」

 

シー・スターモービルはシュニンの一撃を耐えきってそのまま『ホイールスピン』を直撃させに来た

 

私もシュニンも想定外過ぎて対応が遅れてしまい、直撃してしまう

いわ・ドラゴンの複合タイプであるシュニンにはがねタイプの技である『ホイールスピン』は余りにもキツイ

 

「シュニン!無事!?」

「ンガァ!!」

 

シュニンは私の声に対して吠えるように答える

どうやらなんとか大丈夫のようだ

とはいえガスを噴出して軽減しているとはいえ毒も回り始めている

元々ウラガンキンという種族は鉱石を主食とする影響で体内にガスが溜まりやすく、そのガスには強い毒性がある場合が多いので毒には比較的強い体質をしているはず

その耐性を意図も容易く貫くポケモンの『どく』ってほんとなんなのかしらね……

 

「シュニン!ひたすら『じしん』!!」

「ンガァァァァァアアアアアア!!!!」

「シー・スターモービル!宙に浮いて回避し続けるでござる!」

 

シュニンが顎を何度も地面へと叩きつけて地震になれた私でも立っていられるのがやっとな『じしん』を何度も引き起こす

 

基本的にシー・スターモービルはブロロロームとブロロンにより地面から浮遊してこそいるけど『じしん』は揺れで動きを封じて地面を隆起させて攻撃を直撃させる技なので実を言うとかなりの高さを維持できないなら普通に当たるのだ

 

とはいえ何故かひこうタイプと『ふゆう』持ちには当たってもダメージが入らないけど

 

「「「ブロロァァァァアアアアアア!!!」」」

 

シー・スターモービルが止めを刺さんと突撃してくるけど……

 

「ンガァァァァァアアアアアア!!!」

 

シュニンは渾身の一振りを叩きつけて真っ正面に今までよりも力強く、範囲も大きい地面の隆起を発生させてシー・スターモービルへと直撃させる

 

「「「ブロロァァァァアアアアアア!?!?!?」」」

「ぬぅぅぅううう!?!?」

 

これも私とシュニンが考えた作戦の一つだ

 

この世界はゲームのように単純じゃない

だからこそブラフやハッタリ、本命と牽制を使いこなさなくちゃね……

 

…………うちのママほんとこの手の戦術強かったなぁ

 

そしてシー・スターモービルはシュニンの渾身の『じしん』によって大破した

 

これによってシュウメイは頭を抱えて振っていた

 

「みんな、すまぬ……」

 

さーて、問題はシュウメイがアナザーポケモンを持ってるかね……

 

「だが……スター団のボスの一人として簡単にルーズするわけにはいかぬでござる!」

 

そう言ってシュウメイはもう一つのボールを取り出す……

 

 

 

 

 

デスヨネー……

 




マグロ「次回のアナザーポケモンの情報を一部公開させていただきます」

?????
どく・ドラゴンタイプ
アナザーポケモン

特性:げきこう



???????
???????
????
???????

H:120
A:80
B:120
C:60
D:140
S:50

フォルムチェンジ時

H:120
A:160
B:50
C:100
D:60
S:110


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少年と双子と棘竜

 

 

~ヴィオ視点~

 

 

~スター団どく組『チーム・シー』アジト内部~

 

 

 

「行くでござる!エスピナス!」

「エァァァァァァアアアアアアアア!!!!!」

 

うっわ……うっわうっわうっわ……最悪にもほどがありまくるわよそれ……

 

よりによってエスピナスって……

 

「シュニン……流石に消耗しすぎた貴方だとキツイわ、戻って頂戴」

「ンガッ」

「ギリギリ毒にはなってないしこの子が最適かしらね……出てきて!ダルシム!」

「ギギッ」

 

エスピナス……別名棘竜

基本的には温厚な性格で外敵が居ても眠りを優先する程に警戒心が薄い

ただしそれはその圧倒的なまでに頑強な甲殻があるからこそ成立する生態でもある

エスピナスの甲殻は生半可な攻撃ではまともにダメージを与えることは不可能であり、エスピナスの眠りを妨げる事は出来ない

 

だけど一度眠りを妨げるような事があれば一瞬で激怒して暴走を始める

 

「エスピナス!『どくひかきゅう』でござる」

「ァァアア!!」

「ダルシム!『ニトロチャージ』で加速しながら横に避けて!絶対に当たっちゃダメよ!」

 

どくひかきゅう……絶対これ毒痺火球ってことよね……

 

エスピナスの最大の特徴……それは複数の毒を同時に所持していることだ

そのブレスには体力を消耗させる『猛毒』

体を痺れさせて動けなくさせる『麻痺毒』

炎を受けることによって発生させる『火傷』

 

状態異常のオンパレードなのだ

 

モンハンならこれ全部を一度に食らうのだが流石にポケモン世界ならどれか一つを確定でと言った所だろう……

 

どのみち食らえば洒落にならないわ……

 

「ァァアア!ァァアア!ァァアア!!」

 

エスピナスが『どくひかきゅう』を連続して放つがヨガの力(笑)によるサイコパワーとニトロチャージによる加速で空を自在に加速しながら移動するダルシムにはなかなか当たらない

 

「ダルシム!そのまま突撃!」

「ギギィィイイ!!!」

「エスピナス!『ニードルガード』!」

「ァァアア!!」

「嘘ッ!?」

「ギギッ!?」

 

『ニトロチャージ』の突撃にあわせてエスピナスは自身の体を丸めて防御姿勢を取る

それに加えて全身のトゲにエネルギーが集まって伸び、まるでハリーセンのような状態になる

 

「ギギャ!?」

 

そんなトゲの塊に勢いよく突っ込んだダルシムは攻撃を無効化されてしまい、さらにダメージを負ってしまう

 

「ダルシム!大丈夫!?」

「ギギッ……ギギャ!」

 

どうやらなんとか大丈夫のようだ

 

でもニードルガードはカウンターとして最大HPの1/8を持っていくのだったわね……そうなるとあまり余裕がないわ

 

「ダルシム!遠距離主体に切り替えるわ!周囲の岩に『サイコキネシス』!」

「ギギアッ!」

 

ダルシムが周囲の岩を『サイコキネシス』で浮遊させて周囲へと浮かばせる

 

それを何度もエスピナスへと叩きつけるがあまりダメージが入っている様子がない

 

「エスピナス!『すてみタックル』」

「エァァァァァァアアアアアアアア!!!!!」

「ギッッッ!?!?」

「ダルシム!?」

 

ダルシムは私の後ろまで吹き飛ばされて動きを止めていた

死んではないみたいだから安心したけどとんでもないパワーね……

 

「やるわよ!オトシドリ」

「トリィィイイ!!!」

「なんというビッグサイズ!?」

 

こうなったら最大の賭けに出るしか無いわね……

 

エスピナスか持つもう一つの特徴……

 

「オトシドリ!『ちょうはつ』!」

「『ちょうはつ』?ニードルガードを使えなくするつもりでござるか……?」

 

するとオトシドリはエスピナスの前に陣取ってしばらくエスピナスと見つめ合う

 

「…………」

「…………グゥ……」

 

ずっと見られているエスピナスも不気味に思ったらしく若干引き気味になる

 

するとオトシドリはワッッッルイ笑みを浮かべて……

 

「…………」

「…………ヘッwww」

「エ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!!!!!!」

 

鼻で笑われたエスピナスは一気に激怒してフォルムチェンジを起こし、凄まじい速度でオトシドリへと突進する

オトシドリは悪い笑みを浮かべて冷静に飛んで回避する

 

エスピナスの全身に赤黒い血管が浮かんで全身が赤く染まっており、地面を走ると同時に大きく踏み抜いた部分を抉っていた

相当な脚力がなければ出来ない芸当ね

 

この状態に陥ったエスピナスは甲殻がめちゃくちゃ柔らかくなって全身が弱点と言えるような状態になり、力も大きく向上する代わりに冷静さを失う

 

つまりは……

 

「今よ!『イカサマ』!!」

「何!?」

「トリィィィイイ!!!」

 

するとオトシドリはエスピナスから光のようなものを吸い出して自分へと吸収する

オトシドリの全身がエスピナス型の光となってエスピナスへと突撃する

お互いに激突すると大爆発を起こす

 

するとそこには……

 

「ェ……ァァアア……」

「トリィィィ……」

 

お互いに目を回して倒れ合うエスピナスとオトシドリが居た

 

「なんと……我の負け……か……」

 

シュウメイは膝から崩れ落ちて四つん這いの姿勢になる

 

 

「皆のもの……済まぬ……済まぬ……!!」

 

 

 

なんかこうも後悔されると後味悪いわね……

 

でもその前に……

 

「おいちょっとヴィオ……話がある」

 

そう言って額に軽く青筋を浮かべたライズに肩を掴まれる

ってかめり込んでるめり込んでる痛い痛い痛い!?!?

 

 

 

 

私はライズに連れられてレティが待避していた所まで強制連行されていった

 

 

 

 




ライズ「…………」
マグロ「さてライズはなぜヴィオを連れていったのでしょうねw」
ライズ「…………スッ」
マグロ「エ゛ッ……(三枚下ろし)」


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少年と双子と転生者

 

 

~レティ視点~

 

 

~スター団どく組『チーム・シー』アジト内~

 

 

結局チーム・シーの後始末は一旦校長先生に任せて私達はテントの一つを借りてヴィオ姉と話すことにした

 

元々妙な違和感はあったけど今回のバトルで確信した

あの戦い方はどうみてもあのポケモンの事を理解していないと出来ない

けど私達はあのアナザーポケモンに合うのは初めて

 

ヴィオ姉は確実に何かを知っている様子だった

 

「ヴィオ……単刀直入に聞くが

お前アナザーポケモンの事最初から何か知ってたろ?

あれはあのポケモンの事を詳しく把握してないと出来ない芸当だ」

「…………元々ボロが出そうだったしちょうど良いわね

そうね、アナザーポケモンの事はそれなりに知っていたわ

でも私の知識も正直どこまで当てになるか分からないのよ

だから言わなかったというか言えなかったのだけど……」

「それってどう言うこと?」

「生態に変化が起きてるってニャンターも言ってたでしょ?

それと同じで本来使えない『わざ』を普通に使う上にポケモンじゃないのにポケモンとしての性質を無理矢理適応してこの世界に来ているのよ」

「ポケモンじゃない……?」

 

どういう事だろ……『わざ』も使えるしモンスターボールにも入る、『特性』まである

ちゃんとアナザーポケモンだってポケモンなのに……

 

「ヴィオ……つまりそれは元々あのアナザーポケモンには『わざ』も『特性』も存在せず向こうの世界にはモンスターボールそのものが無かったって認識でいいか?」

「ええ、そもそもポケモンじゃない生き物がこの世界に来てポケモンとして認識されているのよ」

「ヴィオ姉……どこでそんな事知ったの……?

私達はずっと一緒に行動してきたはずだけど……」

「…………信じてもらえる可能性の方が低かったから言わなかったんだけどね

結論から言えば私はこれらの事を生まれる前から知っていたわ」

 

生まれる前からってどういう事だろう……

 

「輪廻転生……馬鹿げた眉唾物の理論だと思ってたんだがな」

「あら、この世界にも転生という概念はあるのね……」

「ゴーストタイプのポケモンを調べている奴らが最終的に行き着く結論の一つだ

ゴーストタイプのポケモンは人やポケモンの死をきっかけに生まれる場合が多い

だがその産まれたポケモンは何から出来ているのか……」

 

ふぇ?何?何の話?

 

「まぁ要は魂の存在だ

死んだ後も魂は残る、なら新しい肉体さえ用意してやればまた生きることが出来るんじゃないかっていうバカな研究やってた連中も居たんだ

まぁ非人道的にも程がある研究もやってたからその馬鹿共は学会を追放、そしてブタ箱行きって訳だ」

「ブタ箱?」

「要は牢屋だ」

 

するとヴィオ姉はため息をついて軽く安心するような表情になった

 

「なんだ……私の気にしすぎじゃない……そこまで魂云々の話がこの世界にもあるんならさっさと相談するんだった……」

「実際は宗教やらなんやらも関わってくるからもうちょっとややこしいんだけどな」

「うぇ?何?何の話?どういうこと!?」

「つまりはこいつは元々別の人物が一回死んで赤ん坊として産まれ直した人間ってことだな」

「ごめんなさいねレティ

信じてもらえるか確証も無かったしママにも正直に言うのも怖かったのよ」

 

一回死んでってどういう事!?え!?ヴィオ姉大丈夫なの!?

 

「それ普通は混乱しないか?多分お前転生とかそう言うのを考えて試したとかじゃないだろ?」

「そりゃ混乱したわよ事故に遭ってもう死んだと思ったら気が付いたら赤ちゃんになってて……可愛い妹がすぐとなりに居たんだもの」

「……ヴィオ姉」

 

つまりヴィオ姉は……私とずっと一緒にいたヴィオ姉のままって事だよね?

 

「要は最初から記憶を持って産まれたッてだけでそれ以外は貴方達となんら変わらないから安心していいわよ……」

「そういうとお前は元々あのアナザーポケモン達がいた世界の住人ってことでいいのか?」

「あぁ、そっちはまた別よ

私が産まれた最初の世界にはそもそも動物と人間以外居なかったもの」

 

ふぇ?ポケモンもアナザーポケモンもいない世界?

 

「ん?どういう事だ?ならなんであいつらの事を知ってた?」

「そうね……信じられないかも知れないけれど私が知っているポケモンの世界と向こうの世界は私のいた世界でゲームの舞台として描かれていた物なのよ……」

 

ゲーム……?

 

「つまりは何か?俺達がゲームの中の人物だってことか?」

「いえ、私が知っているポケモンの世界にはまだパルデア地方という名前は出てなかったわ

ガラル地方はあったのだけどね」

 

するとライズ君が何かを思い付いたような顔をするとヴィオ姉に訪ねる

 

「なぁ、もしかしたらお前……ガラルやアローラの大きな事件について詳しく知っているんじゃないか?」

「ムゲンダイナとウルトラビースト、ネクロズマとかの事かしら?」

「やっぱり知ってたか……ヴィオ、その情報は絶対に口にするな

それは情報規制がかけられてる」

 

うぇ!?ヴィオ姉もそうだけどなんでライズ君まで知ってるの!?

 

「情報規制って貴方は……」

「俺は特例だけどポケモン博士の1人として認められてるんだよ……

だから伝説のポケモンとかそう言うのに関わる事件やら情報は入ってくるんだ……」

「はっ!?」

「嘘ぉ!?」

 

うぇぇえええ!?!?ライズ君がポケモン博士!?なんで!?

 

「落ち着け

俺はあいつらアナザーポケモンの保護の為に特例で認められたってだけだ

新種のポケモンであり違う世界に済む一種のウルトラビーストにも近い存在

そんな奴らを研究者連中が放置するわけもないからな

色々と裏の世界の連中やらも来たりこっちからポケモンを保護という名目で奪おうとするやつらも居たんだ

だから俺は知り合いの博士の伝を使ってポケモン博士として特例で認められるように動いて貰ったんだよ……

まぁ最低限知識が無いと行けない上に実績も必要だったから大変だったがな……」

 

ライズ君……

 

「とはいえ実績はこいつらの情報で十分作れたし博士連中は基本的にほぼ全員善人なのもあってあっさり特例を認められたって訳だ

流石に色々とレポートを提出する必要があるがな……

この地方に来たのもこいつらの保護とレポート提出が目的だよ」

 

へぇ……あれ?

 

「もしかして……私だけ一般人?」

「少なくともアナザーポケモンを所持している上にコライドンの世話してる時点で色々とアウトだよ

その辺は俺の方で守ってるから安心しとけ、校長先生も了承済みだ」

 

な……なんか知らない間にすごいことになってるんだけど!?

 

するとテントの外から校長s……ネルケの声が聞こえる

 

「おーい、三人とも

こっちは話が終わったぞー!

そっちも話が終わったなら一旦こっちに来てくれ!」

「はぁ……とりあえず詳しい話は今度だな

まずはシュウメイと校長先生の所に行くとしよう」

「ライズ君……もろ校長先生って……」

「…………あの変装分かりやす過ぎるんだよ」

「同感ね……」

 

ヴ……ヴィオ姉まで……

 

 

 

 

そうして私達はテントの外に出てシュウメイの話を聞くことにした

 

 




マグロ「いやぁ、ヴィオの身の上だけで一話ってなると複雑になりすぎる気がして執筆しにくかったのでライズの身の上話もついでに出してみましたw」
ライズ「ったく……もう少しちゃんと内容組んどけよな」
マグロ「それとコメントでアナザーポケモンの情報を一話にまとめて出すかアナザーポケモンの情報が出ている話になにか印を付けてみてはという意見が出ましたので試験的に情報が公開されている話のタイトルに『★』を付けてみます」
ライズ「なにかこうしてみたらどうだ?とかの意見があれば遠慮無く言ってくれ、結構参考になるんだ」
マグロ「これからもこの作品をよろしくお願いいたします」


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少年と双子とシュウメイの過去

 

 

 

~スター団どく組『チーム・シー』アジト内部~

 

 

 

 

 

 

 

~1年と数ヶ月前~

 

 

 

シュウメイは申し訳なさそうな様子で他のボス達と集まっていた

 

「すまぬ……

生地の仕入れが遅れたゆえ……」

 

だが他のスター団のボス達シュウメイとは違ってとても喜ばしい表情でシュウメイを誉めていた

 

シュウメイはスター団のボス達の制服を改造した専用の衣装を持ってきたのだ

それを着た者達が二人は特に嬉しそうにする

 

「ヤべえ……特にこのブーツはヤべえ……」

「そちらはニトロチャージから着想を得たでござる……」

 

メロコは燃えるような炎の装飾を施されたブーツを特に気に入ったようでとても目を輝かせていた

 

「わたしの制服もイメージ通り!本当にありがとう!」

「地獄のアイドルなるビワ殿のコンセプトに叶ったなら何より」

「これで全員制服改造完了!

ほんとにサンキューな!シュウメイ!

ふたりもそんだけイカつければプレッシャー与えまくりっしょ」

 

ビーニャは新しく衣装の出来た二人にピーニャはかなり満足していた

 

そしてオルティガはシュウメイを見直したように言う

 

「でもほんとに器用だよねー

オタクってだけでシュウメイいじめてるヤツらバカだよねー」

「オタクの道は修羅の住まう茨道

凡人に理解を乞う気はござらぬ」

 

とシュウメイはドヤ顔で答える

 

「オイオイなんだよシュウメイ!気合いが入った事を言うじゃねぇか!」

 

メロコはとても上機嫌だ

 

「そうだね、シュウメイくん

カッコいいと思うよー」

 

ビワはその強面のフェイスペイントには似合わぬ程の優しい微笑みでシュウメイを褒めている

 

「じゃあスター大作戦に向けて次は戦闘のトレーニングだね!」

「ボスであるボクらがほかのメンバーより弱いわけにはいかないっしょ!」

「承知……全身全霊にて修練を積まん……!」

 

そうしてシュウメイ達はバトルの特訓に励んでいった……

 

_________________________________________________

 

 

 

 

~ライズ視点~

 

 

 

俺達が話を終えてテントを出るとネルケとシュウメイが待っていた

どうやら少し待たせてしまっていたらしい

 

するとシュウメイはヴィオを見て呟く

 

「全身全霊とて抗えぬが定め……

定めは掟……掟ゆえこれを……ユー達になら預けられる」

 

そう言ってシュウメイは懐から取り出したどくジムバッジを改造したダンバッジをヴィオへと渡す

 

バッジを手に入れたらいつも通りの記念撮影なのだが……

 

「貴方良いわね……」

「ここにも同士が居たとは……やはりオタクの道はクロスする物でござるな……」

 

と言いつつやたらと戦隊物っぽいポーズを二人して撮っていた

 

撮影が終わると思い出したようにシュウメイは懐をもう一度漁り始める

 

「ダストをシュートする術記されたカラクリをば」

 

No.102……ってことはやっぱり『ダストシュート』か

 

威力はかなり高い物理どく技だが命中しにくいのが若干ネックな技だな

 

「あら、ありがとう

これがなかなか良い威力してるのよねぇ……どく技の中のロマン砲よねぇ」

「同意……されどヒットしにくいゆえに扱いにくい技でもござる」

「…………お前ら一瞬で意気投合したな」

「「ロマンを分かるオタクに悪いヤツはいない!」でござる!」

 

意気ピッタリじゃねぇか……

 

「ユー達の名は……

ライズ、バイオレット、スカーレットだったか

恨み辛みも浮かばぬほどあざやかな完敗でござった……

特に同士バイオレット、ユーのエスピナスへの対処は完璧でござったな……」

 

ヴィオとシュウメイがオタク談義をし始めていたのだがその時ネルケと入口で戦った少年がこちらへやってくる

 

どうやらネルケが俺達が話している間に連れてきたようだ

 

「シュウメイ殿!!」

「ど……同胞?」

「どうしてもあんたに会って直接話がしたいそうだ」

 

どうもシュウメイは軽く動揺していた

おそらく元々知り合いで来るとは思わなかったんじゃないか?

 

「シュウメイ殿聞いて!ちょっとだけでいいんだ!!」

「……何故ここに?」

「同胞を助けたくて!」

 

そして少年は悲しそうな表情になって言う

 

「このまま不登校が続けばシュウメイ殿は退学処分なんでしょ……?」

「……………」

「いじめられっ子だったぼくたちがいま学校にかよえてるのは……スター団ががんばってくれたあの大作戦のおかげ!」

 

大作戦……スター大作戦ってやつか……?

それにしてもこのネーミング……

 

「そんな人たちが退学なんてぼくいやなんだ!」

 

だがシュウメイはとても苦しい顔をして謝る

 

「……すまぬ」

「まだマジボスって人に連絡はつかないの……?」

 

マジボス……

 

「うむ、あの日以来……

マジボス殿がいなければ団はなく……団がなければウキウキアカデミーライフはなし!」

 

ウキウキアカデミーライフて……

 

「マジボス殿がご帰還されるまで我らはアジトを守り続ける他なし!」

「あんたたちがそこまで信用してるマジボスってのは一体誰なんだ?」

「我ら実際にマジボス殿とお会いしたことはないのだ」

「……何?」

 

ちょっとまて……少しずつだが繋がってきたぞ

 

「本人いわく引きこもりとのこと……

我ら同様いじめが発端らしいが……」

「かわいそう……」

「ヴィオ姉……」

「…………まだ確証は完全には持てないわ」

 

どうやらヴィオとレティもマジボスとあいつとの繋がりに気づき始めているようだ

 

 

「真の名も姿も知らぬが我らの輩に変わりはない

我らはただマジボス殿のカムバックをアジトで待つのみぞ!」

 

若干キナ臭さが増してきたな……こりゃ一連の騒動にお互いの認識に大きなズレがあるように思えてきた

 

「だからシュウメイ殿は学校に行かないんだね……

…………でも忘れないで!シュウメイ殿にはスター団以外にもぼくっていう同胞がいるんだって!」

「同胞……かたじけない」

 

そして校長……ネルケもやはり思うところが合ったのかグラサンを直しながら考えている様子だ

 

「いじめ……不登校……また一歩真相に近づいたな

いや、そんなことよりも……生徒達がいだいている問題や行動理由……

そして大事な絆……

まったく関知出来ていなかった自分が恥ずかしいです」

 

校長先生……素が出てます、素が……

 

「フッ……スター団のみが同胞と信じてきたが……誤りだったやもしれぬな」

 

そう答えたシュウメイの表情はとてもスッキリしているようにも見えた

 

 

 




マグロ「ほぼほぼ本編通りですがヴィオのオタク気質がシュウメイのオタク道と共鳴しましたw」
ライズ「……あいつたまになにやってるのか分からない時あったからなぁ……」
マグロ「そしてマグロは……最近暑くてちょっと溶けそうです……『ぼうぎょ』が上がっちゃう……」
ライズ「ウロコトル……」
溶岩獣「コッ!(『かえんほうしゃ』)」
マグロ「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」


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少年と双子と次の脅威★

 

 

ライズ視点

 

 

~しるしの木立ち~

 

 

『脳が!震えるゥゥゥウウウ!!!脳が!震えるゥゥゥウウウ!!!脳が!震えるゥゥゥウウウ!!!……』

 

 

俺達はシュウメイとの話を終えてスター団のアジトを出るとまたいつものごとくヴィオのスマホロトムが鳴り始める

 

つか毎度の事なんだがなんなんだその着信音は!?

 

「カシオペアね」

「相変わらずヴィオ姉は変な着信音なんだね……」

 

ヴィオがスマホロトムを起動する

 

『……今回はそこそこ手間取ったぞ』

「あら?それは良かったわ

まぁあっさり抜けられてるからなんとも言えないのだけど」

『純粋に数を増やすのはやめてくれないか?抜けるのは簡単だが面倒だ……』

「ファイアーウォールを30個詰んでも意味がないのならそうしておきましょうかね……」

 

どうやら今回は質より量を優先してファイアウォール系のアプリを30は用意したようだ

 

それを面倒とは言ってはいるがあっさり突破していつもと同じタイミングで電話をかけてくる辺り相変わらずのようだ

 

『……さて改めて三人とも

シュウメイからボスの証『ダンバッジ』を貰ったようだな』

「ええ、これでしょ」

 

そう言ってヴィオはシュウメイから受け取ったダンバッジを取り出す

 

『ふむ、たしかに

これでボスが居なくなったチーム・シーは壊滅するだろう』

 

するとカシオペアはしばらく黙り混んで呟く

 

『シュウメイ……』

 

やはり団のボス達とよほど仲が良かったのか……?

 

「カシオペア?」

『……すまない、いろいろと思うことがあってな

これで残るアジトは二ヶ所……スターダスト大作戦は順調だな』

 

今考えるとすでに半数は潰したってわけか……

 

『三人にはこの作戦の最終目標を伝えておきたい』

「最終目標……?」

『あぁ、それは……5人のボスを集めてスター団を作った真の黒幕……マジボスを倒すことだ』

 

マジボス……あいつらが言っていた待ち人か……

 

「マジボスってそもそも誰なの?」

『5人のボスを率いる謎の人物、その正体はいっさい不明だ……

ヤツを倒し解散を宣言させればスター団は完璧に終わる

目立つことを嫌うマジボスはアジトを持たず正体を隠している

だがボスが全員引退すれば表舞台に現れるはずだ』

 

……覚悟を決めておきたいのか?それとも……

 

『約束の報酬だ、三人のスマホロトムにLPをチャージしておこう』

 

全員のスマホロトムに通知が入り、LPが振り込まれていることを確認する

 

7000LPか……

 

もう一度通知が入り、わざマシンマシンで作れるわざマシンの種類が増えたことを確認する

 

『強い技を覚えさせて今後に役立ててくれ

……まもなく補給班も着くだろう』

 

そう言い残してカシオペアは通話を切る

 

「う、うーっす……三人とも……

え、えと……なんか深刻な話してた?」

 

すると俺達の懐のボールからコライドン、ミライドン、ギギネブラがいきなり出てくる

 

察した俺は即座に後ろを向いて目を閉じておく

 

「アギャッス!!」

「アギャギャ!!」

「ギギャギャ!!」

「うげげっ!あなた達には聞いてないって!

ってかこのどっちが頭か分かりにくいポケモン誰!?」

 

そして三匹のボタンを嗅ぐ音が聞こえてくる

 

「「「スンスンスン……ペロペロペロペロ」」」

 

 

「ああぁぁ…………!!」

 

俺ナニモ聞コエナイ……何モ見テネェゾ……

 

 

 

 

 

ボタンがさんざんあの三匹にじゃれつかれ終わった後ボタンへと何があったかを俺達は説明した

 

「黒幕の存在……カシオペアからうちも聞いた

スター団の創設者、諸悪の根源……

そいつを倒さないとうちの宝は失われちゃう……」

 

ん?宝……?

 

「ボタンの宝?どういうことかしら?」

「あ、いや……その……」

 

ボタンは誤魔化すようにバッグを漁り始める

 

「えと……報酬!忘れないうちに……ん!」

 

俺はボタンからポケモンの落とし物を受け取る

 

「……ッ!…………」

 

ボタンは何故か俺を見て顔を背ける……流石にあのときのこと引きずってるか……

 

「じゃ渡したから……」

 

そう言ってボタンは後ろを向く、だが帰るのかと思ったら俺達の方へと顔を向けている

 

「三人とも……負けないで」

 

なんだ?この脳裏にこびりつくような違和感は……

 

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

とりあえず俺達は一旦ハッコウシティにある俺の自宅に戻って次の目的地のことやヴィオについてなどいろいろと話すことになった

 

 

「ヴィオ……お前の前世……だったか?その知識だとアナザーポケモンはどれだけの種類を知ってる?」

「モンハンはガチでやってた訳じゃないから知識はある程度ってとこだけどまぁざっと100は超えるわよ」

「そうか……なら一つ聞きたいんだが……アナザーポケモンがこの世界にやってきている原因……心当たりがあったりするか?」

 

いわゆるこの世界で言う伝説や幻のポケモンという存在

もしかしたら向こうの世界にも似たような存在が居てそれが関わってるんじゃないかと俺は疑って聞いてみる

 

「…………ない訳じゃないけど多分原因はこちら側の世界だと思うわ」

「それが聞けただけで十分だ」

 

ヴィオは若干迷うような仕草を見せて答える

 

おそらく居るのだろう……この世界でいう伝説とされる存在が

ただ原因がこちら側の世界にあると思われると言っていた辺り何処かでそう思う何かがあったか……

 

俺はあの白い少女の事が一瞬頭をよぎる

 

「……まさかな」

「どうかしたのかしら?」

「いや、なんでもない流石にそろそろ時間も遅くなり始めているから次の目的地、土震のヌシについて新しい情報が入ったからそれだけ伝えておく」

「なにかあったの?特にニュースとかは無いのだけど……」

「情報規制が入った、今はジュンサーさん達やジムリーダー連中が封鎖して警備をしている」

「……もしかしてアナザーポケモン?」

「正解だ、ついこの間またウルトラホールが開いて土震のヌシ二頭と同じレベルの大きさのポケモンが出てきたらしい

今はヌシからスパイスの力を奪ってさらに巨大化して暴れている

ヌシ二頭も若干凶暴性を増してアナザーポケモンへと攻撃を繰り返しているらしい」

 

俺はそのアナザーポケモンの写真をヴィオに見せる

 

「げっ……」

 

反応的にこいつは知ってるな……

 

「よりによってそう来ちゃったかぁ……

このアナザーポケモンは…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達はまたかなりの危険に飛び込むことになりそうだな……

 

 

 

 

 




マグロ「次のアナザーポケモンの情報を軽く乗せまーす」

??????
じめん・みずタイプ
アナザーポケモン
状態変化:?????

特性
????????
(通常特性:すながくれ、すなおこし)


?????(ノーマル・変化)
????(ノーマル・変化)
???????(じめん・特殊)
?????(あく・物理)

種族値

H:200
A:80
B:65
C:80
D:85
S:60


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少年と双子とハンターイーター

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ハッコウシティ『ライズの自宅』~

 

 

 

うっわ……うわ……マジで?

 

「えっと……スパイスで巨大化する前からヌシ並に大きかったのよね……」

「あぁ、写真でも確認してみたが下手したら丸呑み出来るんじゃないかってくらいだ」

 

そして今のサイズ……明らかホエルオーよりもデカイじゃないのこれ……

 

「……このアナザーポケモンの名前は『ハプルボッカ』

別名は潜口竜とも呼ばれているわね」

「やっぱり別名はそのおおきな口が由来なの?ヴィオ姉」

「多分ね、それにこのアナザーポケモンは砂漠を中心に生息していて砂の中に隠れたり砂漠を泳いだりする事が可能なのよ」

「地面からその大口で何でも飲み込むってわけか……」

「なんかマッギョっぽい」

「なんでそこでマッギョが出てくる?たしかに地面に擬態はするが……」

 

あー、レティからすればマッギョ=ガラルの姿の認識なのよね……

 

「んで問題はこのサイズよ

本来の個体は最大級の個体でもここまで大きい個体は存在しないのよ」

「ヴィオはこの個体に心当たりは?」

「無いどころかありまくりよ……ただ解せないわ

この個体はあるゲームとのコラボで登場したイベント個体で平均的な標準サイズの2.3倍とかいうイカれたサイズのハプルボッカを狩猟するっていう物だったのだけど……

そもそもこの世界は現実よ、ゲームのコラボが関係するとは思えないわ」

「……そうなると明らかに異常な個体ってわけか」

「あれ?ねぇヴィオ姉……この頭の赤黒いモヤモヤ何?」

 

レティがハプルボッカの頭部から赤黒いモヤが発光しているのを見つける

出来れば見つけないで欲しかった……

 

「…………私が一番目を背けたかった現実よ」

「ってことは知ってるな?」

「…………『獰猛化』ね」

「「『獰猛化』?」」

「ええ、獰猛化したモンスターは何らかの原因によって極度の興奮状態に陥っているのよ

たしか筋肉の過剰活動が原因でその黒いモヤが発生しているわ」

「それ以外の特徴は?」

「基本的には普段通りの生活をしているのだけれど戦闘時にはその真価を発揮するわ

特にこのモヤを纏っている部位を使った攻撃にはエネルギーが蓄積して威力がとてつもなく上がっているわ

他にも全身の部位の耐久性が上がっていたりとかそもそも疲労しなかったりね

それ以外だと素早くなっていたりあとかなり怒りやすくなっているわ」

「興奮してるから怒りやすいのかな?」

「多分そうなんじゃないかしら?」

「んで問題はその『異常』な個体が『異常』な状態になっていて、そこにさらにスパイスによって『異常』にパワーアップしているってわけか」

 

やめて!?言わないで!?わざわざ『異常』を強調して言わないで頂戴!?考えたくもなかったのに!?

 

「ねえ、これジムリーダーの人達にも情報を伝えた方がいいんじゃないかな」

「あぁ、それならすでに通達する準備を進めている

ただ情報提供者がヴィオだといろいろと怪しまれるし俺の場合だと情報をこちらでわざと止めていたって判断になりかねないから論外

だからニャンターがこの画像を見て思い出したっていう筋書きにしておく」

「やたらと用意周到ね……」

「というよりお前から転生やらゲームやら聞かされた時点で色々とおかしい情報が出そうだったからある程度筋書きを事前に練ってたんだよ……そうでもしないと誤魔化しきれん」

 

するとライズはスマホロトムを操作してパルデアチャンピオンリーグの幹部組に連絡を入れていた

 

どうやらオモダカさんに四天王とジムリーダー、それに何故かライズがグループに入っているようだ

 

「なんでライズがそんなグループに……」

「ナンジャモのアホに無理矢理入れられた

オモダカさんもアナザーポケモンが最近入っている情報は耳にしていたらしくて専門家の俺の意見が必要になるかもしれないってな……」

 

ライズ……ほんと苦労してるわね……

 

そしてライズがチャットを送信すると割とすぐに返答が帰っているようだ

 

 

 

ライズ『情報提供

    今回問題になっているアナザーポケモンの

    情報ニャンター曰くそのアナザーポケモン

    の名前は『ハプルボッカ』、さらに頭部の

    黒いモヤから獰猛化と言う状態に陥ってい

    るらしい。獰猛化したポケモンは極度の

    興奮状態に陥り、筋肉の過剰運動からその

    黒いモヤが確認される

    その部位から放たれる攻撃の威力が上がっ

    ており非常に怒りやすく疲労しないのが

    特徴らしい

    俺自身が実際に確認出来てないからまだ謎

    の部分も多いので注意されたし。』

 

オモダカ『情報提供感謝します』

 

ナンジャモ『相変わらず君の情報発信早いよ……』

 

アオキ『その獰猛化した個体はこの地方でも発生

    するのでしょうか?』

 

ライズ『ニャンター曰く獰猛化の原因自体が未だ

    不明その為可能性自体は十分あると思う』

 

オモダカ『他に情報はありますか?』

 

ライズ『こっちもまだ情報が少ないので微妙な

    ラインですが……スパイスによる巨大化

    の前から明らかに異常な巨体になって

    いるそうです』

 

オモダカ『そうですか、貴方達三人にも協力して

     頂いてもよろしいですか?』

 

 

「え?三人……?」

「ライズ君……?」

「…………流石にアナザーポケモンを捕獲して保護しているお前らの事をこの人達に伝えないわけにはいかなくてな」

 

つまり私達の事はジムリーダーの人達や四天王の人達に思いっきり知られてる訳ね……

 

あれ?これジム戦今後辛くならない?

 

「ジム戦の事もあるからオモダカさんにのみ伝えていたが流石にナンジャモ辺りからどんどん情報が漏れ始めた」

 

あぁ……流石にその様子が簡単に思い浮かぶわね……

 

「言っておくがナンジャモ以外のジムリーダーは黙ってくれていたぞ、ジム戦が辛くなるだろうからって……」

「とりあえずどのみちスパイスを確保する必要はあったのだし……」

「うん、いこっか!」

「了解」

 

ライズは軽く苦笑いしながら返答する

 

 

 

 

ライズ『二人にも意思確認しましたが大丈夫です』

 

オモダカ『感謝します

     とりあえずハイダイが今襲われている

     ので急ぎで頼みます』

 

ライズ『はい?』

 

 

 

 

 

 

 




マグロ「一方その頃のハイダイは……」



ハイダイ「うおぉぉぉおおお!!砂漠で魚釣りが出来るとはぁぁぁ!!!」
潜口竜「ァァァァァアアアアアアアア(喉に釣り針が刺さっている)」


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少年と双子とロースト砂漠の怪物★

 

 

レティ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

 

 

私達はライズ君に案内されてロースト砂漠にあるジムリーダー達が集まっているエリアへと向かっていた

 

スマホでのグループとかもそうなんだけどライズ君やたらと凄い人との交流が広いんだよなぁ………

 

「にしても暑いなぁ……」

「まぁミライドン達に乗ってる分風とかが体を冷やしてくれるからまだマシなのだけどね……」

 

ロースト砂漠は砂漠というだけあって兎に角日差しが暑い

更に砂は服に入ってくるし汗でべとべとしちゃうし……

戻ったらまたライズ君のお風呂使わせて貰おうかなぁ……

寮のお風呂より広いからライズ君の家のお風呂はいいんだよなぁ……

 

私がそんなことを考えているとライズ君が声をかけてくる

 

「オモダカさんの情報だとそろそろだ!」

「わかったー!」

「にしても派手にやってるわね~」

 

すぐとなりではとんでもない大きさのハプルボッカがヌシ2体を相手に大暴れしていた

ヴィオ姉が若干苦笑いしながら言ってるけど割と洒落になってないと思うんだけど……

 

「ってか写真でも見たけどやっぱり大きすぎない!?」

 

スパイスで巨大化したポケモンは通常の何倍もの大きさに巨大化するとはいえあまりにもハプルボッカは大きすぎる

 

ホエルオー何匹分なんだろ……

 

「居たぞ!オモダカさん!……っとペパー?」

「あれ?ペパーも一緒なんだ」

 

オモダカさん……トップチャンピオンの人の隣にはペパーが居てどうも止められている様子だった

 

「ここは危険ですので……あら?」

「行かせてくれ!ここの秘伝スパイスをどうしても手に入れなきゃ……ってライズ?」

「何やってるんです?」

「いえ、この方がまだロースト砂漠に残っていたようなので避難させようとしているのですが……」

「最低限秘伝スパイスだけでも回収しとかないと……ライズもなんとか言ってくれ!」

「あー、オモダカさん悪い

こいつは俺達と何度もアナザーポケモンとやりあってるから実力は保証する」

 

ペパーはライズ君の言葉に安堵したように胸を撫で下ろす

 

「あとペパー、こんな状況で一人で突っ込むのは心臓に悪いからせめて俺達を呼んでくれ」

「あぁ悪い、でもあいつらが戦い始めてからスマホロトムの調子が悪くてよ……何が起こってるんだこりゃ」

「ふぇ?あ、ほんとだ」

 

ペパーの言葉が気になってスマホロトムを起動してみるけどあんまり機能していないように見える

というかロトムの顔が元気なさそう

 

「あぁ、そちらは我々が原因です

流石に情報規制をする必要がありましたので」

「あぁやはりですか」

「何よりヌシが一番の問題ですから……」

 

『そんな装備で大丈夫か?……そんな装備で大丈夫か?……』

 

するとヴィオ姉のスマホロトムが鳴り始める

あれ!?なんでヴィオ姉は問題無いの!?

 

「大丈夫だ、問題ない

ってかこれカシオペア対策にやたらとセキュリティやら強化しまくったのが裏目に出たっぽいわね……」

 

何が大丈夫なの!?

 

ヴィオ姉が通話に出ると画面にフトゥー博士とオーリム博士が出てくる

 

毎度スパイス確保してミライドンやコライドンの力が戻った時にかけてくるのに珍しい

 

『ハロー、子供達

こちらフトゥーとオーリムだ』

『そこにいるテツノワダチとイダイナキバは本来パルデアの大穴のポケモンだ』

『更にアナザーポケモンと乱戦を行っている、十分注意して応戦してくれ』

 

博士達は言うだけ言って通話をすぐに切っちゃった

 

けどパルデアの大穴のポケモン……テツノワダチにイダイナキバか……ポケモンの名前というか何処と無く言葉っぽいような……

っというかそもそもポケモンなのこれ!?

 

『ウィル・ドン・ファーン!(# ゚皿゚)』

「ドン!ファァァァアアアアンド!!!」

 

機械っぽい感じのするポケモン、多分こっちがテツノワダチだと思うけどそのポケモンは顔にあるモニターに怒ったような顔文字を表示を出しながらハプルボッカへと向かっている

対してとてつもなく立派で大きな牙を持つポケモン見た目からして多分イダイナキバが地面を強く踏みしめて『じならし』を起こしながらこちらもハプルボッカへと向かっている

 

「なんかこの二匹怒ってないかしら?特にテツノワダチ?ってポケモン」

「縄張りを荒らされた上にスパイスも持ってかれているからな……とはいえ……」

 

 

「ヴォァァァァァアアアアアアア!!!!」

 

 

「このハプルボッカ相手にどれだけ攻撃が効くか……オモダカさん、ハイダイさんや他の皆は?」

「ハイダイは先ほどハプルボッカを一本釣りで釣り上げて腰を痛めたので下がらせています

とりあえずナンジャモ達などのジムリーダーはアナザーポケモン持ちのみ召集してあります

あぁ、ちょうど上にいますね」

 

オモダカさんが見上げた方向へと視線を向けるとそこにはナンジャモのギギネブラが滑空しながら様子を伺っているのが分かる

 

それにオスの方のアルセルタスも空から様子を伺っているみたい

 

「それ無事なんですか?」

「流石に乱戦だといくらアナザーポケモンとはいえ持たないのでコルサのドボルベルクは下がらせてますがね

現状大きな被害はハイダイの腰とアオキの残業だけなので何も問題はありません」

「それ問題ありますよね……それにしてもアオキさん……

毎度の事ながら不憫な……」

 

アオキさんってたしかノーマルジムのジムリーダーの人だよね……え?どういう事?

 

「とりあえずヌシの方はバイオレットさんとスカーレットさんにおまかせしても?」

「わかりました!」

「任されたわ」

「あのハプルボッカは私達とライズで相手をしましょう

カエデさんとコルサさんにはお二人のサポートを頼んでおきます」

 

アナザーポケモンを仲間にしているカエデさんにコルサさんがこっちに着いてくれるなら安心だけど……

 

「そっちは大丈夫なんですか?」

「心配するだけ無駄だ、この人は伊達にトップチャンピオンとは呼ばれていないよ」

 

ライズ君はそう言ってガーグァに跨がり始める

 

「イダイナキバ?は任せて!ヴィオ姉はあの機械っぽいポケモンをお願い!」

「ええ!気を付けなさいよレティ!」

 

よーし、やってやるぞー!

 




マグロ「獰猛化の状態異常について軽く乗せときます」

獰猛化
『こんらん』などと同じで『やけど』、『こおり』、『ねむり』、『まひ』、『どく』、『もうどく』といった状態異常とは被らない状態異常


『こうげき』、『とくこう』、『ぼうぎょ』、『とくぼう』『すばやさ』が1.2倍になる
変化技が使えなくなる

指  示  を  聞  か  な  い


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紫の少女と鉄の轍

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

私達は一旦バラバラになってレティがどうみてもドンファンがメガ進化でもしたという方がしっくりくる姿の『イダイナキバ』

 

そしてライズがスパイス強化&獰猛化したハンターイーターこと『ハプルボッカ』

 

私が……

 

「ウィル・ドン・ファァァアンヽ(`Д´#)ノ」

 

何故か顔にあるモニターに怒ったような顔文字を表示する全身が機械のポケモン、『テツノワダチ』を相手することになっていた

 

ってかなんで顔文字なのかしら……

 

すると地響きと共に後ろからなにかがやってくる

視線を向けてみれば……

 

「ヴィオちゃんおひさしぶりです~」

 

カエデさんがゲネ……アルセルタスのメス個体の上に乗せたオス個体の上に座っていた

 

どういう乗り方してるのかしら……

 

「久しぶりです、カエデさん」

「ふふ、貴女達とはお互いにバッジをかけて戦ったけれど共闘するのは始めてね~」

「とはいえ相手はヌシポケモンですから気をつけてくださいね?

たぶん『はがね』タイプもありそうなので」

「あらあら~それは困ったわぁ

『むし』タイプの技の通りが悪くなっちゃうわ~」

「なら他の技をメインに使えば大丈夫ですよ!

オトシドリ!行くわよ!」

「トリイィイイイ!!!」

「あらあら~、その子もすっごく大きいわね~

頑張っちゃうわよ~アルセルタスちゃん!」

「「セルタァァァァァァアアア!!!」」

 

「ドン・ファァァァアアアアンドL(゚皿゚メ)」」

 

テツノワダチの四本の脚が収納され、尻尾の先端と鼻?の先端が『ブッピンガァン』と合体して高速で回転をし始める

 

「『こうそくスピン』よ!気をつけて!」

「オトシドリ!飛んで回避よ!」

「アルセルタスちゃん!飛んで!」

「ゑ?」

 

オトシドリは私を前掛け?の部分に乗せて飛んだけどアルセルタスは……

 

「セルタァァァァァァアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

 

うっわぁ……ゲネルの体重をオスのアルセルタスがまるごと支える形で飛んでるけど……スッゴいつらそうなんだけど……

 

「ァァァアアアアアア」

 

なんか心なしか泣いてるような……

 

「ドンファア!?!Σ( ̄□ ̄;)」

 

表情豊かだなぁ……このポケモン

 

「アルセルタスちゃん!『ちきゅうなげ』よ!」

「セルタッ」

「セルッ!?」

 

カエデさんは安全を確認してから地面へと降りるとアルセルタスに『ちきゅうなげ』を指示する

すると何故かメスのアルセルタスがオスのアルセルタスを尻尾で挟み込む

空中でそのまま一回転してアルセルタスを自分から放して……

 

「セルァ!」

「セルゥゥゥゥゥゥウウウウ!?!?!?!?」

「ウィルッ!?!!(⊃ Д)⊃≡゚ ゚」

 

そのまま回転の勢いを殺さずに雄を砲弾のように投げ飛ばす

 

テツノワダチへと直撃はしたけどそのツルツルとした丸いボディには貫通まではせずに滑って地面へと刺さっていた

 

「セル……セルッ……」

 

…………死なないだけまだマシと思える私は毒されているのだろうか?

 

ただ空を飛ぶ術を失ったアルセルタスのメスはそのまま地面へと落下するけど……

 

「アルセルタスちゃん!『たたきつける』よ!」

「オトシドリ!イカサマ!」

「セルァァァアアアアアアア!!!」

「トリイィイイイ!!!」

 

空からアルセルタスの巨大な尻尾とテツノワダチのオーラを吸収して黒いテツノワダチの姿となったオトシドリが襲いかかる

 

「ウィル・ファァァァアアアアン!!!

(ノ`Д´)ノ彡┻━┻」

 

テツノワダチは丸い体を生かして横へと回転してアルセルタスの尻尾を鼻で『はたきおとす』

イカサマへは頭部のモニター状の顔をシャッターで覆ってずつきをして相殺する

 

「『アイアンヘッド』……やっぱりはがねタイプ!」

 

はがねタイプは『ほのお』、『じめん』、『かくとう』と比較的弱点を付きやすいタイプではあるけどその分かなり耐性が高い……

 

一旦様子見でオトシドリを出したけど有効打があまり無いわね……

 

下手したらじめん技一発でやられかねないけどそうも言ってられないわね……

 

「戻ってオトシドリ!出てきなさいダルシム!」

「ギギィッ!」

「あら~新しい子がいっぱいね~」

「悠長に言ってる場合でも無いわよ!ダルシム!じめんタイプの技を受ければほぼ確実に一撃でやられるわ!これを使って頂戴!」

「ギギ!」

 

私は万が一の保険にダルシムへ『ふうせん』を渡しておく

 

この世界での『ふうせん』はタイプ相性でのじめん技を無効に出来るので例え飛んでいても当たるような『マッドショット』のような技でも無効にすることが出来る

 

さらに言えばこうげきに当たったとしても『ふうせん』自体に当たらなければ割れることは無いのでじめんタイプへのかなり強力な対策のひとつね

 

「出来るだけ『ふうせん』への直撃は避けなさい!

最悪避けきれなさそうなら体を盾にして頂戴、撃ち落とされてじめん技くらいよりはマシなはずよ」

「ギギ!」

「あらあら~なかなかつらい選択ね~」

「一撃でやられるよりマシです

それよりカエデさんはなにか有効な攻撃はありそうですか?」

「そうね~アル君には気の毒だけどやっぱり『ちきゅうなげ』くらいしかないわね~」

 

ちきゅうなげは相手のばうぎょとかを無視して固定ダメージを与えるけどタイプ相性によるダメージの増減は期待できないわね……

 

「ウィル……ウ……ウィル!?((((;゜Д゜)))?」

 

するとテツノワダチの顔のモニターが明らかに動揺し始めた

 

ってまさか!?

 

 

「ウィル……ウィルァァァァァアアアアアア!!!!

(#`皿´)」

 

 

テツノワダチの胴体部分に黒いモヤが発生した

 

「獰猛化した……!?」

 

 

ってか筋肉あったのね




マグロ「明日は健康診断……採血嫌いなんだよなぁ……」
ライズ「あきらめろ、あと慣れろ」
マグロ「(´・ω・)」


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紅の少女と偉大な牙

 

 

レティ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

「ファァァァアアアアンド!!!」

 

私とコルサさんの前に立ちふさがる『イダイナキバ』が咆哮する

 

ドラゴンタイプのポケモンを思わせるその強靭な肉体に私は圧倒されそうだった

 

「ふむ、なんという巨体にその素晴らしく大きな牙

まさに偉大な牙というその名前に恥じぬ実にアヴァンギャルドな容姿をしているな」

「……やっぱり見ていて思いますけど……やたらとドンファンと似てませんか?」

 

私は岩影に隠れてこちらを覗く野生のポケモン達に混ざったドンファンを見ながら言う

 

「恐らく何かしら関係性があるのやもしれんな

そうなるとタイプは『じめん』はありそうだが……」

「『ドラゴン』タイプっぽくも見えますけどなんか違う気がします……ちょっと確かめます!出てきて!レギィ!」

「レギァァァアアア!!」

「おお!新しいアナザーポケモンか!ライズのレポートを見たがこれもなかなかにアヴァンギャルドな見た目じゃないか!まるで刃のようであり、クヌギダマの如く積み重なった黄金の鱗が実に美しく芸術的じゃないか」

 

悠長に褒めてる場合じゃないですよ!?

 

「ファァァァアアアアンド!!!」

 

するとイダイナキバが咆哮と共にその両足を大きく上げて大地を力強く踏みつける

 

「ぬぅ!?『じならし』か!それにしても威力が高い!」

「ルゥゥゥ……」

 

ドボルベルクとコルサさんはまるで『じしん』のような強さの『じならし』に動きを封じられていた

 

だけどレギィには当たらないよ!!

 

「レギィ!スケイルショット!」

「レギュァァアアアア!!!」

 

レギィが自分の鱗……刃鱗を大量にイダイナキバへと飛ばして切り付けていく

 

「ファァァァアアアアンド!!!!」

 

イダイナキバは鬱陶しそうにしてはいるが大きなダメージを受けている様子はないみたい……これはドラゴンタイプは無いみたいだね

 

「ふむ、ドラゴンタイプでは無さそうだが大丈夫か?

『スケイルショット』は己の身を削り耐久力が落ちてしまう諸刃の剣とも言える技だ

攻撃を受けた際のダメージが怖いぞ」

「そっちは大丈夫です!レギィ!」

「レギュッ!」

 

するとレギィが懐に仕舞ってあった『しろいハーブ』を口にする

 

「成る程……『しろいハーブ』で素早さを無償で上げられる状態にしたわけか」

「ヴィオ姉から教えてもらった有効活用の方法です!

でも狙いはこれだけじゃないですよ!アクロバット!!」

「レギァァァアアア!!!」

 

レギィは加速したそのスピードを生かして急降下キックを何度もイダイナキバへと与える

 

「ファァァァアアアアンド!?!?」

 

イダイナキバがかなり嫌がってる!『ひこう』タイプが弱点だ!

 

「ひこうが弱点なら『むし』、『くさ』、『かくとう』のどれかだから……」

「どうみても『むし』タイプと『くさ』タイプではない!

『じめん・かくとう』タイプだ!」

「ファァァァアアアアンド!!」

 

イダイナキバが鼻の先にチョップの形をしたエネルギーの塊を出す

 

「コルサさん!『かわらわり』が来ます!」

「ドボルベルク!『ウッドハンマー』だ!」

「ボルァァァァァアアアア!!!」

 

コルサさんのドボルベルクが反転してその巨大な尻尾をイダイナキバへとぶつけて攻撃を止める

じめんタイプもあるからかなり効いてる!

 

「ボルゥ……ッ!?」

 

するとドボルベルクへと反動のダメージが跳ね返って来たのか大きく怯む

 

反動が大きすぎる……そうなるとイダイナキバはスパイスの力で物凄く打たれ強くなってるんだ……

 

「ファァァァアアアアンド!」

 

怯んだドボルベルクへとイダイナキバが『はたきおとす』をぶつけようとする

 

「レギィ!『アクロバット』で受け止めて!」

「レギュァァアアアア!!!」

「ファァァァアアアアンド!!」

「ギィアっ!?」

「嘘!?レギィ!?」

 

レギィが渾身のアクロバットを地面の砂を巻き上げながら行うけどイダイナキバがその体を横へと振り回すように回転してその鼻をレギィへと直撃させる

 

凪払われたレギィが大きく吹き飛ばされてしまう

 

タイプが違う技だけどかなり威力が高い……

 

「どうやらかなり物理に寄った強さをしているようだ……

ドボルベルク!『ふんか』!」

「ボルァァァァァアアアア!!!!」

 

うぇぇぇえええ!?!?

 

ドボルベルクが背中に背負ったコブから大量の溶岩を吹き飛ばして攻撃をする

 

「っていうかこっちにも来てるんですけどぉぉおお!?」

「レギ……ギュアッ!?」

「ファァァァアアアアンド!?!?!?」

 

するとイダイナキバか大きく怯んでいる様子がわかる

 

確かドボルベルクってとくしゅ攻撃は苦手だったはず……

 

「ドボルベルクは確かにとくしゅ技はあまり得意とはしていないが使えないわけではない!

とはいえまともに使えるのは『ふんか』くらいだがね」

 

でもふんかはドボルベルクが万全の状態じゃないとあんまり威力が……んん?

 

私はドボルベルクの顔をよく見ると何かを噛んでるようにも見える

 

「たべのこしっ!?」

「当たりだ!さぁ畳み掛ける……っ!?」

「ファァァァアアアアンド!!!」

 

するとイダイナキバが怒ったように咆哮してその尻尾と脚に赤黒いモヤを生み出す……

ヴィオ姉を見てみると向こうにいるテツノワダチも同じようなモヤを出していた……

 

「今度は『獰猛化』か……」

 

獰猛化……

 

 

ライズ君が無事だと良いけど……

 

 




マグロ「(ヽ´ω`)」
ライズ「おうどうした?」
マグロ「採血が痛かったでござる……」
ライズ「知るか」
マグロ「(´・ω・)」


ドボルベルクの覚える特殊高威力技のひとつ

『ふんか』(タマゴ技)

コルサ曰く噴火する大地の中必死に生き延びるくさタイプのポケモンというイメージでほのおタイプ使いのトレーナーさんと絵を描いてて休憩にピクニックをしていたらいつの間にか覚えていたらしい


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少年と潜口竜

 

 

ライズ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

近くで見てみると分かるが……とんでもない威圧感だな

 

「ライズ氏!」

 

すると空をギギネブラで飛行しながら様子をうかがっていたナンジャモがこちらに飛んできた

 

「ナンジャモ、空からなにか分かったことはありましたか?」

「オモダカさん、少なくとも上からの攻撃だとあんまり効かないと思う

やたらと甲殻が分厚いみたい」

「ふむ……そうなると困りましたね

ここまでの巨体を相手取るとなると正面はかなり不利になってしまいます

背後や側面は全てかなり分厚い甲殻に覆われています」

「そっちは俺の方に考えがあります」

「考えですか?」

 

それを聞いたオモダカさんの目がこちらへと向く

 

若干表情が怖いんだよなこの人……

 

「ニャンターから聞いた話ではありますけどハプルボッカは何でも呑み込みます

例えそれがポケモンだろうと砂だろうと岩だろうと……『爆弾』だろうと」

「成る程……そういうことですか」

「うぇ?ライズ氏、どういうこと?」

「あいつが口を開けてこっちへと『まるのみ』を仕掛けてきたタイミングにあわせてニャンターの『おおタルばくだん』を喰わせます」

「と言うことはあのポケモンの弱点は口ですか……」

「それもありますけど一番攻撃したいのは腹部です

ニャンターによると腹部は柔らかく弱点らしいので」

「成る程……では私達はあのポケモンが口を開けて突撃してくるまで牽制を行います

貴方のニャンターはいつでも『おおタルばくだん』を使えるように待機させておいてください」

「分かりました、出てこい!ニャンター!!」

「お任せあれにゃぁ!」

 

俺がボールを投げるとフォルムチェンジした姿ではなくいつもの姿のニャンターが現れる

 

「あれ?ライズ氏、新しい姿はどったの?」

「どうみてもじめんタイプ持ってるハプルボッカに使えるわけがない

あの鎧を纏ってる時のニャンターはほのお・かくとうタイプなんだよ」

「あー、そうなると不利だねぇ……まぁボクも人の事あんまり言えないんだけどね~」

 

ナンジャモのポケモンは基本的にでんきタイプだからな……

流石に相性が悪すぎるか

 

「行きなさい!ゴーゴート!」

「ゴートッ!」

 

オモダカさんはゴーゴートを繰り出す

おそらく『じめん・みず』の複合タイプと思われるハプルボッカには最も相性が良いだろう

 

このタイプのポケモン……ガマゲロゲやナマズン、ラグラージなんかもそうなんだが極端なくらい弱点が少ない

『くさ』タイプしか弱点が存在しない為に実際に敵に回すとかなり厄介だ

 

「ゴーゴート!『ビルドアップ』で能力を上げてください!」

「ゴォオオット!」

 

ゴーゴートが後ろ足のみで立ち上がり何故かボディビルダーが行うようなポーズを取る

やたらと器用だな……

 

「ハブァァァァアアアア!!!」

 

ハプルボッカの牙がエネルギーを纏いこちらを『かみくだく』つもりで襲ってくる

 

「ギギネブラ!『ねこだまし』!」

「ネビュラッ!」

「ハブァッ!?」

 

ナンジャモのギギネブラによる『ねこだまし』によりハプルボッカは軽く怯んで攻撃の手を止めるがすぐに次の行動に移る

 

「ハァァァァァァァ……」

 

ハプルボッカが周囲の砂を大量に吸い込み始める

あの勢いだと『おおタルばくだん』を投げたとしても砂に混じってる石に貫通されて奥に入る前に爆発しそうだな……

 

「ニャンター!避ける準備だけしておけ!」

「ウニャッ!」

「ハブァァァァアアアア!!!」

 

するとハプルボッカが体内に吸い込んだ大量の砂を水と共に凄まじい勢いで吐き出す

 

「あっぶにゃ!?危うく吹っ飛ばされる所だったにゃ!」

「凄まじい威力に攻撃範囲ですね……」

「うっわぁ……えげつないなぁ……」

「ハブルッ!」

 

ハプルボッカは耳?のような部位から砂を若干吐き出してまた砂に潜っていき、周囲に擬態していく

 

さっきの技で砂嵐も酷くなっており視界も悪く、サメのように背鰭に近い部位を砂から出してはいたがかなり分かりにくくなっていた

 

魚に近いフォルムをしているしさっきの耳のような部位は耳というよりもあれはエラなのか?

 

「あんまり離れすぎるとさっきのやつが厄介だな……」

「うにゃ……『おとばくだん』さえあればにゃ……」

「『おとばくだん』?」

「うにゃ、『おとばくだん』はその名前の通り爆発みたいなスッゴい音を出す爆弾にゃ!

ハプルボッカはおっきな音が苦手で潜っている時に聞こえるとビックリして出てくるにゃ」

 

音か……そうなると騒がしいバカならすぐそこにいるな

 

「となると……ナンジャモ!」

「まかせて!出てきて!ハラバリー!」

「バリバリィ!」

「ハラバリー!『ハイパーボイス』!!」

「バリィィィイイイイイ!!!」

「ッッッ!?!?!?」

 

すると驚いたハプルボッカが砂から身体を飛び出させてひっくり返る

 

魚のようにビタンビタンとしており、弱点である青白い腹部が丸見えだ

 

「ゴーゴート!『ウッドホーン』!」

「ゴォオオット!!」

「ハブッ!」

「ゴォ!?」

 

すると隙だらけだったはずのハプルボッカが突撃してきたゴーゴートの『ウッドホーン』を『かみくだく』

こいつ……この状況へと対応が速すぎるな……ってことは同じような事を一回やられてるのか?

 

すると頭部にあった黒いモヤが消えて今度はヒレに発生し始める

 

「ハブァァァァアアアア!!!!」

 

こいつは一筋縄じゃいかなそうだな……

 




マグロ「ハブルポッカの情報は次回で」
ライズ「理由は?」
マグロ「若干特殊な技があるからやね、さすがに『かみくだく』は普通やけど」


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紫の少女と未来とのパラドックス

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

「ウィィル・ドドド・ファァァァァァンンン

((ヾ(≧皿≦メ)ノ))」

 

これは……怒ってるのかしら?

 

「ほんとにずいぶんと表情豊かね……」

「あらあら~でも可愛らしいじゃないですか~」

「獰猛化してなければ私も同意しますけどね……

ダルシム!『マジカルフレイム』を収束!!」

「ギギッ!」

 

この世界には基本的にポケモンやトレーナーの工夫次第で技はいくらでも変化する

 

以前やったマジカルフレイムの乱射による牽制もそうだけど今回はその逆

命中しにくくなる代わりに極端に威力を引き上げる!

 

「その身体の大きさじゃ避けられないでしょ!」

「ギィィィイイイ!」

 

まるでレーザーの如く細く小さい炎が高速でテツノワダチへと飛んでいく

 

「ウィィル!!!!!L(゚皿゚メ)」」

 

テツノワダチはまた高速回転する為に身体を折り畳んで『こうそくスピン』を行い、ダルシムの攻撃が弾かれる

 

「ウィィル!!!(´;д;`)」

 

あ、流石に弱点の攻撃は弾けても普通に痛いのね……

 

「アルセルタスちゃーん!『じならし』!」

「セェェエルタスッ!」

 

アルセルタスが横綱の四股踏みように右半身の脚を上空へと上げてから落ちる勢いを利用して地面へと強く踏み込む

これによってかなり大きな地響きが引き起こって私は流石に耐えきれずに転ぶ

 

「きゃっ!?」

「あら~?ごめんなさいね~」

 

アルセルタスどんだけパワーあるのよ……こっちな攻撃が飛んでこないようにそこそこ離れていたはずなんだけど普通にとんでもない衝撃が来たわよ……

 

「ウィウィウィルァァァアアア!?!?!?

Σ(゚∀゚ノ)ノ」

 

あの表情は……驚いているのかしらね?

少なくともそれなりにダメージは入っているみたいだけどやっぱり見た目通りかなり硬いか……

 

「ウィィル!!!ヽ( `皿´ )ノ」

 

一瞬怒ったような顔文字がモニターに写ってからテツノワダチは顔のモニターにシャッターを下ろして身体をタイヤへと変化させる

 

その胴体ははがねタイプ特有の銀色の輝きを放ちながら獰猛化による赤黒いモヤがさらに強く発生して明らかに威力が上がっていることが分かる

 

「アルセルタスちゃん!止めて!」

「セルタアァァァァアアアアアアア!!!」

「ウィィィィィィィイイイイイイイ!!!」

 

アルセルタスは巨大な前足に尻尾のハサミで高速回転する『アイアンヘッド』をどうにか受け止めた

だけどテツノワダチの回転は減速するどころか更に加速しており、アルセルタスが後退りし始める

 

「相性最悪だしあんまりやりたくなかったけど……出てきて!シュニン!」

「ンガァァァァァァァアアアア!!!」

 

私はダルシムを交代させてシュニンを繰り出す

そしてすぐさま懐にあるテラスタルオーブを手に取る

 

「行くわよ!テラスタル!!」

 

オーブへのチャージが終わり次第すぐにシュニンへと放り投げ、テラスタルを行う

 

シュニンの全身が水晶のような輝きを放ち、全身を巨大なクリスタルに包まれる

少しするとクリスタルを粉砕して頭に燭台の炎を象った水晶の冠を被ったシュニンが現れる

 

「ンガァァァァァァァアアアア!!!」

 

テツノワダチはじめんタイプも持ってるから相性最悪なんだけどなぁ……

 

「シュニン!『かわらわり』!」

「ンガァァァァァァァアアアア!!!」

 

シュニンの顎が更に光輝いてテツノワダチへと襲いかかる

 

「ドンッ!?!?!?(  Д ) ゚ ゚」

 

テツノワダチの顔のモニターにあるシャッターが開いて目を飛び出させるような顔文字を表示する

 

タイプ不一致でも威力は十分!

テツノワダチはあまりの衝撃に回転を止めて一旦後方へ下がっていた

 

「シュニン!今のうちに『かやくがん』をばら蒔いて!!」

「ンガッ!」

「カエデさんは巻き込まれると洒落にならないんで飛んでください!」

「分かったわ~」

 

そして態勢を整えたテツノワダチが再び襲いかかる

 

「ウィィィィィィィイイイイイイイ!!!

(#`皿´)」

 

テツノワダチ身体を丸めて大きくジャンプする

これは『じならし』かしらね?

 

「シュニン!真下で受け止めながら『かやくがん』!」

「ンガッ!ッッッ!!!!!ンガァァァァァァァアアアア!!!」

「ドン・ファァァァァァンンン!?!?!?

!!(゜ロ゜ノ)ノ」

 

シュニンはその圧倒的なまでの耐久力を行かしてテツノワダチの『じならし』を受け止めながら全身を振り回して『かやくがん』をばら蒔く

更にシュニンの特性によってテツノワダチがぶつかった事でさらに『かやくがん』がばら蒔かれていた

 

「シュニン!着火!!」

「ンガァァァァァァァアアアア!!!!」

「ウィィル・ファァァァァァンンン!?!?!?

ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!」

 

シュニンの『じしん』によってテツノワダチのとてつもないダメージを負うが、追撃の『かやくがん』が全て起爆して『だいばくはつ』クラスの威力の誘爆を引き起こす

 

これによってテツノワダチは身体が縮み初めて普通のドンファンくらいのサイズまで小さくなって獰猛化も解除される

 

「ウィィル…………(ヽ´ω`)」

 

「あらあら~すごい強くなってるわね~」

 

ただこんな状況でも全く動揺した素振りすらないカエデさんに私は若干恐怖を覚えた

 

 

この人どれだけ肝据わってるんだろうか……

 




マグロ「前回のコメントで音爆弾でディアブロスのように動けなくならないよというのがありました
こっちに関してはワシの説明不足があったので謝罪します」

ライズ「確かに潜った後のハブルポッカだと音に驚いて怯む程度か音の方向に攻撃を仕掛けるかをしてくるんだがな」

マグロ「補足させて頂くと一応今回のハブルポッカは獰猛化によってかなりの興奮状態になっています
それに加えてスパイスでただでさえデカイ身体が更にでかくなって五感も獲物を捕らえるために鋭くなっている状態なので余計に驚きやすくなっています」

ライズ「まぁその状態でも普通に反撃しているから状況としてはゲーム側よりもめんどくさくなってるんだがな」

マグロ「何か疑問な点等がありましたら遠慮無く伝えて頂けるとありがたいです」


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紅の少女と古来とのパラドックス★

思ったより長くなっちまってるなぁ(ヽ´ω`)


 

 

レティ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

 

私達がイダイナキバと戦っているととてつもない大爆発の音が隣から聞こえてくる

 

思わずヴィオ姉の所を見てみるとテツノワダチが縮んでおり、爆発した地点にはテラスタル特有の結晶が散るような痕跡が残っていた

 

「あっちゃ~、ヴィオ姉盛大にやったなぁ……

軽く砂漠の砂がガラス化してない?」

「それにしてもあのシュニンというポケモンのテラスタルはほのおだったのだな

私との戦いでそれを引き出せなかったのは少し悔しいな

だがその実力……実にアヴァンギャルド!!」

 

この人のアヴァンギャルドは私には正直理解出来ないかなぁ……

 

でもヴィオ姉が今までジム以外だとポケモンセンターが遠くてテラスタルエネルギーの補充が面倒くさいからってヌシポケモン相手に使わなかったテラスタルを使う程の事があったんだよね……

 

「ファァァァァァンンン!!!」

 

「どうやらじっくりと観察する余裕もないらしいな

スカーレット、ワタシのドボルベルクは体内を少し冷やす必要があってあまり動けん、持ちこたえられるか?」

「分かりました!レギィ!!」

「レギュァァァアア!!」

 

私は懐からテラスタルオーブを取り出す

ヴィオ姉だってやったんだ、わたしだって!!

 

「勝利を掴め!テラスタル!!」

 

レギィの全身をテラスタルの結晶が包み込んでレギィの身体をクリスタルへと変化させる

レギィは結晶を内側から破って出てくると全身をクリスタル化して現れる

 

そしてその頭部には風船を模した形の冠、ひこうテラスの証が付いていた

 

「レギァァァァアアア!!!」

「ファァァァァァンンンド!!」

 

レギィはスケイルショットで身軽になる事で上昇させた機動力を生かして空中を自由自在に動き回る

 

「レギィ!『アクロバット』!!」

「レギュァァァアア!!」

 

レギィの頭部にある冠が強く輝く

とてつもない素早さで地面を滑空してイダイナキバへ凄まじい連撃を叩き込む

効果は抜群のはずなのに……イダイナキバは平然と耐え続けていた

 

「…………ッ!ファァァァァァンンン!!!」

 

イダイナキバは突如として天に向かって吠えると砂嵐が止んで強い日差しが現れる

 

その強い日差しはイダイナキバへと降り注ぐとイダイナキバの力強さと威圧感が一気に増し始める

 

そして獰猛化によって過剰反応をしていた部位が更にドス黒い霧を発生させる

 

「晴れで強さが上がってる!?レギィ!離れて!」

「ファァァァァァンンンド!!!」

 

イダイナキバがお返しとばかりに『こうそくスピン』でレギィを引き剥がして『はたきおとす』

 

「ギギャアッ!?」

「レギィ!?」

 

トドメとばかりにイダイナキバがその脚を上げてレギィを踏みつけようとする

 

すると……

 

「よくぞ持ちこたえた!ドボルベルク!『ほうがんなげ』!!」

「ボルァァァァァァァァアアアア!!!」

 

突如として後方からとてつもなく大きなハンマー

いや、ドボルベルクの尻尾が飛んでくる

 

「ッッッッ!?!?!?」

 

そのとてつもなく大きな尻尾はイダイナキバへと直撃して後方へと吹き飛ばす

 

しかしイダイナキバは受け身を取るように身体を丸めて回転して衝撃を大きく削いでいた

 

「野生でここまでの受け身を取るか……」

 

確かに野生のポケモンでここまで受け身を取ることに慣れてる個体というのは本当に少ない

それにそれだけ慣れていると言うことは自分を吹き飛ばすような相手と何度も戦っているという証でもある

 

それは実力もそうだが精神的にもかなり強い事の証明に他ならない

 

そして何よりも

 

「ファァァァァァンンンド!!!」

 

「『こうそくスピン』来ます!」

「『ウッドハンマー』で受け止めよ!ドボルベルク!」

「ボルァァァァァァァァアアアア!!!ッッッ!?!?」

 

ドボルベルクはこうそく回転しながらこちらへと突撃してきたイダイナキバを『ウッドハンマー』で相殺して受け止めようとするが……

 

「嘘ッ!?押されてる!?」

 

そう、弱点であるはずのくさタイプの技、それもタイプ一致で放たれている『ウッドハンマー』をイダイナキバは『こうそくスピン』だけで押し返しているのだ

 

「レギィ!『シューティングスター』!」

「レギュァァァアア!!」

 

レギィは特殊技があんまり得意じゃない

遠距離への攻撃が『スケイルショット』だけだと危ないということで若干効果の被ってる『シューティングスター』はそのまま覚えたままにさせていた

 

『スケイルショット』は最初に鱗をばら蒔いて自分の『すばやさ』を上げながらレギィにとって戦いやすいフィールドを作る

『しろいハーブ』で下がった能力だけを戻して後は『シューティングスター』で動きを封じて『アクロバット』で一気に仕留める

これがヴィオ姉から教わったレギィに向いている戦術だった

 

レギィは『スケイルショット』の時とは比べ物にならない量の鱗をイダイナキバへと飛ばしていく

 

「ボルッ………ウッ!!」

 

ドボルベルクは流石に反動が自分に返り始めていた

だけど鱗はイダイナキバへと刺さるどころか弾かれている

 

「いっけぇぇぇぇぇぇえええええ!!!」

「レギュァァァァァァァアアアア!!!」

 

それでも諦めずにレギィは鱗を飛ばし続ける

 

すると……

 

「ッ!?!?!?ファァァァァァンンン!?!?!?」

 

イダイナキバの身体に小さいけど切り傷が生まれる

それはやがて鱗を受け続けて裂けていき、ついには鱗の一枚が刺さる

 

あれだけ大きい身体だと外皮もそうたう分厚いから多分肉までは届いてない!

 

「今だぁぁぁああああああ!!!」

「レギュァァァァァァァアアアア!!!」

 

レギィがトドメを刺すために鱗と共に急降下していき、やがて突き刺さった鱗へと渾身の蹴りが炸裂する

 

「ファァァァァァンンンドォォォオオオオ!!!!」

 

イダイナキバの全身から発生していた赤黒いモヤが消え失せてどんどん身体が小さくなっていく

 

「よかったぁぁぁぁぁぁ」

 

私は安心して砂地に座り込むとさっきから黙り混んでいたコルサさんのテンションが一気に上がっていった

 

 

 

 

 

 

「アヴァンギャルド!!実にアヴァンギャルド!!

まさに鱗の嵐!そして嵐と共に降りてくる一匹のドラゴン!なんという光景だ!今すぐにでもアトリエに戻りたいくらいだ!」

 

まだ仕事残ってるんですから帰らないで!?




マグロ「現在のレギィ」



レベル46
性格いじっぱり
持ち物『しろいハーブ』

技構成
『スケイルショット』
『シューティングスター』
『アクロバット』
『はがねのつばさ』

レティ「『スケイルショット』覚えさせようとした時『シューティングスター』を忘れさせられるのかと思っちゃったのかやたらと嫌がっちゃって説得が大変だったなぁ
いじっぱりだから一度思い込んで決めちゃうとなかなか話聞いてくれないし」


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少年とものすごいつりざお

 

 

ライズ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

「今度はヒレにモヤが発生していますね

おそらく移動が速くなると思われます」

「確かにそうでしょうね、ですが頭部のモヤは消えたので攻撃の威力は軒並み下がって……いや、元に戻っていると思います」

「ええ、ですが砂を泳ぐあのポケモンの機動力を削ぐのは難しそうですね」

 

すると後方から二匹のヌシポケモンの方向が聞こえてくる

 

軽く見てみるとヌシポケモン二体が獰猛化していたのが確認出来た

 

「オモダカさん、決着を急ぎましょう

ヌシ二匹も獰猛化しています」

「そうですね、それにしても先程からペパーさんはどこに……」

「あいつなら先にスパイスの回収をしてますよ

今回は規模が規模なんでスパイスのある洞窟が巻き込まれて壊されたら俺達にとってもあまり良くは無いので俺から頼んでおきました

回収が終わり次第こちらに戻って不意打ちで攻撃する手筈です」

「うぇ、ライズ氏やたらと綿密に作戦組んでる……

とりあえず私は空を飛んで支援する形でいいかな?」

 

タイプの都合上ナンジャモはどうしても不利だからな……

待てよ?音に反応してるなら……

 

「ナンジャモ、今から俺が言う作戦を頼めるか?」

「作戦?何をするの?」

 

俺はナンジャモにギギネブラを使ってあることをして欲しいと頼む

 

「了解~、そのくらいならお安いご用だよ!」

「オモダカさんはハイダイさんを呼んで貰えますか?多分あの人が一番この中の人員で慣れている事を頼みます」

「この中で一番慣れているですか?まぁ構いませんよ

ゴーゴート、ここに残って時間を稼いで貰えますか?」

「ゴーット!」

 

すると向こうから凄まじい砂の飛沫が見えてくる

それはだんだんこちらへと迫ってきていた

 

「来ます!」

「ッ!!回避を!」

「いきなりぃぃい!?!?」

「ハァァァァブッ!!」

 

突如として砂から現れたハプルボッカが俺達を丸呑みしようと大口を開けて噛みついて来るが事前に察知したことでなんとか避ける事に成功した

 

が……

 

「お気に入りのパーカーがぁぁぁぁぁあ!?!?!?」

 

ナンジャモのパーカーが引っ掛かったようで持ってかれていた

ナンジャモ自身はパーカーがとてつもなくサイズが大きいのをわざと着ていたのもあって脱げる程度で済んでいた

 

とはいえあのインナーオンリーは若干目のやり場に困るぞ……

 

「もー!ギギネブラ!飛んで!」

「ネ、ネビュラッ!」

「ニャンター、出番だ

場所は適当でいいからあいつが潜れる砂地の何処かに『おおタルばくだん』を置いてくれ」

「お任せにゃ!」

「それでは私はハイダイを連れてきますのでそれまでしばし耐えててください」

「ええ、頼みました!」

 

そう言ってオモダカさんはボールからクエスパトラを出してそれに乗って走り去っていった

 

するとハプルボッカが何かを『たくわえる』ような仕草を……ってまさか!?

 

「『たくわえる』まで使えるとなると相当耐久力が上がるな……厄介な」

「旦那さん~!!設置終わったにゃ~!!」

 

すると向こう側でニャンターがこちらを呼ぶ声がするが……

 

「ライズ氏!!」

「ッ!!ニャンター!後ろだ!避けろ!!」

「うにゃ?ニギャァァァァァァァァァァアアアアア!?!?」

 

突如としてニャンターの背後からハプルボッカが飛び上がって襲い掛かる

 

「ハァァァァァァァァァァ……ッ!?!?!?」

「にゃにゃ?」 

 

流石にこれはヤバイかと思ったが空中から襲い掛かってきたハプルボッカが突如横から『タネばくだん』を受けることで横へと攻撃が逸れていく

 

攻撃した方向を見れば……

 

「ふう、なんとか危機一髪!絶体絶命ちゃんで危なかったな!」

「ペパーか!助かった!」

 

そこにはスコヴィランを連れていたペパーが立っていた

カバンがほんのり光っており、どうやら秘伝スパイスの回収には成功したようだ

 

「ゴォォォオトッ!!」

「ハブルァッ!?」

 

追撃とばかりにオモダカさんのゴーゴートがウッドホーンでハプルボッカへと攻撃して吹き飛ばす

 

『たくわえる』で耐久力上がっているはずなんだがな……

 

吹き飛ばされたハプルボッカはまた砂地へと潜っていき姿を隠す

 

「ライズ!スパイスの回収は成功したから遠慮なくいけるぜ!」

「もとから遠慮する余裕はない!ナンジャモ!!」

「はいはい!お任せあれ!!ギギネブラ!!」

「ネビュラアァァァァァァアアアアアアアアア!!!!」

 

そしてナンジャモは作戦通り『おおタルばくだん』のすぐ近くに移動してギギネブラに咆哮を上げさせる

 

すると砂の飛沫が『おおタルばくだん』のある方向へとむかっていく

 

「ギギネブラ!全力で上に飛ぶよ!」

「ギギッ!」

 

すぐにナンジャモ達は上空へと待避するとナンジャモのいた辺りにハプルボッカが飛び出して噛みつく

しかしナンジャモとニャンターは待避しており、ハプルボッカは別の何かを飲み込むと……

 

「ッッッッ!?!?!?!?!?」

 

突如としてハプルボッカの体内で爆発が起こり、ハプルボッカは縦に伸びた状態で口を大きく開けて動けなくなる

 

俺はカバンをあさりお手製の『すごいつりざお』の改良版である『ものすごいつりざお』を取り出してハプルボッカへと向かっていく

 

「ライズさん!ハイダイを連れてきましたよ!」

「ウォーー!?なんだいなんだい!?あの巨大な魚ポケモンが伸びてるじゃないか!?」

「ハイダイさん!このつりざおを任せます!」

 

俺はすでに釣り針を引っ掻けた『ものすごいつりざお』をハイダイさんへと渡す

 

「ウオ?ウォォォォォォォォォォォオオオオオオオ!!!!!!!」

 

するとハイダイさんの目に炎が宿るような幻覚を俺は一瞬見るがすぐに気のせいだと割りきった

 

ハイダイさんが『ものすごいつりざお』を全力で引いてハプルボッカを釣り上げようとする

もちろんハプルボッカは抵抗するが……

 

「フィィィィィィィィイシュ!!!」

「ハブァァァア!?!?!?」

 

何故かハイダイさんはハプルボッカを俺達のサポート無しで一人で釣り上げて地面に叩きつける

 

ハプルボッカはその一撃で気絶してモヤが消え去り、どんどん身体が小さく……小さく……なってるけどどのみちめちゃくちゃデカイんだが……

 

「ライズ君ーー!!無事ーー!?」

 

レティ達もどうやら終わったようでこちらへと来ていた

 

向こう側を見ればイダイナキバとテツノワダチが小さくなって伸びていた

 

ヴィオは微妙そうな顔をしてハプルボッカを見ている

 

「…………まさか本当に釣り上げるなんて」

 

 

 

 

…………正直俺達やポケモンが手伝って釣るはずだったんだがなぁ




マグロ「哀れハブルポッカw」
ライズ「ハブルポッカのステータスは?」
マグロ「あぁ、そこは次の話で解説を本編に混ぜながらやるつもり」
ライズ「サボる為か?」
マグロ「いや、純粋にライズ達側からはどんな感じで調べられているのかを描写するためやね」


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少年と双子とスマホロトムの性能★

 

 

ヴィオ視点

 

~ロースト砂漠~

 

 

まさか本当にあのハプルボッカを釣り上げるとは思わなかったわね……

ってか一人で一本釣りって……ハイダイさんもそうだけどライズのあのつりざおの耐久力どんだけなのよ……

 

私はあまりにもあり得ないような光景を見てSAN値が削れる思いだった

 

「とりあえずどうします?流石に野生に返す訳にもいきませんよ?」

「そうですね、必然的に私達のうち誰かが面倒を見て上げないとだけど……」

「んー、ボクはパスで

ギギネブラがいるし」

「ふむ、そうなるとワタシとカエデも除外といった所か」

「私達はハプルボッカと戦って無いものね~」

「そうなると私とレティも除外かしらね

たしかライズは手持ちが限界で実家の牧場にアナザーポケモンの一部を住まわせてるのよね?」

「ん?あぁ、と言ってもバサルモスの群れだけだがな

流石に他のアナザーポケモンが混じるとどうなるかわからん」

「困りましたね……そうなると……」

 

私達の視線は自然と一人に集まっていく

 

「ウォ?」

 

「ハイダイ、貴方に任せてもよろしいでしょうか?」

「うぉー!こんなに巨大なポケモン任せて貰えるとはな!

任せてください!幸いカラフシティのすぐ隣がロースト砂漠だからこの子には最適な環境でしょう!」

 

するとハイダイさんはスッゴいテンションが上がっていた

まぁこの人ヘイラッシャとか持ってそうだしイメージ通りと言えばイメージ通りではあるんだけど……

 

すると私達の後ろから二匹のポケモンがやってくる

 

「ファン( ≧∀≦)ノ」

「ドンファー」

「テツノワダチじゃない」

「イダイナキバだ、着いてきたの?」

「ファン」

「ドン・ファーン(*´σー`)エヘヘ」

 

やたらとテツノワダチが可愛いわね……

 

「テツノワダチはヴィオに、イダイナキバはレティに懐いているのか?」

「ファン!」

「ファーン♪(≧∇≦)b」

 

だからいちいちその顔文字の表現可愛いんだけど……

 

とりあえず私達に懐いてくれてるなら……

 

「レティ」

「うん、ヴィオ姉」

「ねぇ貴方達、私達と一緒に来るかしら?」

「ファァァァンド!!」

「ファン♪ファン♪(≧∀≦*)」

 

私達はモンスターボールを取り出してこの子達にコツンとぶつけて上げるとそのままボールへと収納されていく

 

ぶる……ぶる……ぶる……カチッ!

 

私達は捕獲が完了したのを確認してからボールから出す

 

「出ておいで!イダイナキバ!」

「いらっしゃい!テツノワダチ!」

「ファァァァンド!!」

「ウィル・ファァァァンド!!(((o(*゚∀゚*)o)))」

 

後ろではさらっとハイダイさんが気絶しているハプルボッカにダイブボールをぶつけて捕獲していた

 

私達はスマホロトムに搭載されている解析機能でテツノワダチ達のボールをスキャンする

 

するとボールに記録されたデータがスマホに投影されてテツノワダチ達の技や特性が表示される

 

_________________________________________________

 

テツノワダチ

パラドックスポケモン

はがね・じめんタイプ

 

特性

『クォークチャージ』

 

『こうそくスピン』

『じならし』

『アイアンヘッド』

『はたきおとす』

 

現在の気分

御  機  嫌・空腹

_________________________________________________

 

イダイナキバ

パラドックスポケモン

じめん・かくとうタイプ

 

特性

『こだいかっせい』

 

『こうそくスピン』

『じならし』

『かわらわり』

『はたきおとす』

 

現在の気分

疲労・満足・空腹

_________________________________________________

 

戦った後なのによくあんな元気があるわねこの子……

 

「それにしても分類が同じなのが少しひっかかるわね

まるで……」

「アナザーポケモンのようだな」

「ハイダイさん、そっちはどうです?」

「うぉー……これは申し訳ないことをしてしまった……」

 

なんかハイダイさんが後悔してるのでちょっと悪いとは思ったけどスマホロトムを後ろから見させて貰うとこう写っていた

 

_________________________________________________

 

ハプルボッカ

アナザーポケモン

みず・じめんタイプ

 

特性

『ハンターイーター』

 

『たくわえる』

『のみこむ』

『かみくだく』

『サンドブラスト』

 

現在の気分

な ん か 食 わ せ ろ・喉が痛い・疲労

_________________________________________________

 

 

とりあえず食いしん坊なのはわかった

 

というか特性がやたらと物騒ね……

 

とりあえず特性を確認してみると……

 

「『クォークチャージ』かエレキフィールド下で自身の一番高い能力が強化される……ねぇ」

「『こだいかっせい』はそれの晴れ版だね」

 

 

 

これ圧倒的に『こだいかっせい』のが使いやすく無いかしら?

 

 

「問題はハプルボッカの『ハンターイーター』ね」

 

この特性がなかなか癖が強かったわね……

 

私はスマホロトムを覗き込むとそこにはハプルボッカの特性の詳細が乗せられていた

 

_________________________________________________

 

特性

『ハンターイーター』

 

『のみこむ』をたくわえる無しで使える

『のみこむ』を使用した際に周囲にばら蒔かれている技の効果等を全て排除する

『かやくがん』、『おおタルばくだん』を飲み込んでしまうと動けなくなる

『のみこむ』の効果が変化技ではなく物理技に変化する

 

_________________________________________________

 

 

「はぁ……とりあえずハプルボッカ含めてお腹空いてる人がそこそこいるみたいだしご飯にしましょう」

「ペパー、スパイスはどうする?町に戻ってから改めてでもいいが」

「あー、若干足りるか怪しいが少し多めにスパイスがあったからなんとかしてみるわ

ライズは下ごしらえとかをよろしくちゃんだぜ」

「うぉー!サンドウィッチを作るのかい?

ならオイラも手伝うたい!」

「頼みます……ちょっと多飯食らいが複数いるんでハイダイさんがいると心強いです」

 

 

 

 

 

 

今日のご飯は物凄く美味しそうね……自重は止めて食べましょうか……





マグロ「ういっ」

『のみこむ』(ハンターイーター影響下)

ノーマル 物理 威力70

『ステルスロック』、『まきびし』、『どくびし』、『ねをはる』、『やどりぎのたね』、『かやくがん』、『おおタルばくだん』を全て解除する

『かやくがん』、『おおタルばくだん』を飲み込んだ際には1ターン動けなくなる


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少年と双子と不穏な気配★

 

 

レティ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

ライズ君達特製のひでんスパイスサンドウィッチは尋常じゃない美味しさでヴィオ姉の食欲がとんでもないことになっていた……

 

今は大量に作った料理を片っ端から胃に送っているから今のうちにコライドン、ミライドン、マフィティフにサンドウィッチをあげておくことにしていた

 

「どうだ……」

 

マフィティフがサンドウィッチを食べた時にペパーはその効果を見るためにしばらく観察していたけど……

 

「…………効果無しか?必ず効果があるって訳でもないのかそれとも……効能と症状が合ってなかったか?」

「たしかすぱスパイスの効能って滋養強壮だったよね?」

「そうなると純粋にすぐに効果が出るものって訳ではないってことか

というか今までがおかしかったんじゃないか?」

「……かも知れねぇな

わりぃ、ちょっと焦ってた」

「…………ばぅ」

 

マフィティフは慰めるように鳴く

立とうとしているようには見えるけどやっぱり途中で崩れ落ちていた

 

そしてコライドン達は……

 

「「アギャァァァァァス!!!」」

 

ん???

 

「…………なんだこれ」

「翼……なのか?」

「なんで頭から翼?」

「「アギャ?」」

 

なんかよくわからないけど二匹の頭部からかなり大きな翼が出てきていた

 

ただ自分から羽ばたかせたりは出来ないらしくてあくまで滑空用っぽい

 

「とりあえず力が戻った……ってことでいいのかこれ?」

「相変わらずの意味不明ちゃんだぜ……」

「ばぅ……」

 

なんかマフィティフまで呆れた目で見つめている気がする

 

「ライズ、そういやハイダイさん達は?」

「あぁ、あの人達ならあそこでリモート会議やってるよ」

 

私達がライズ君が指差した方向を見てみると……

 

「なぜナンジャモさんが簀巻きに?」

「リモートすっぽかそうとしていた上に今インナーだけの姿だからな」

「ライズ……お前とナンジャモの関係は知ってるけどさ……その……苦労してるんだな」

「その同情するような生暖かい視線はヤメロ……」

 

ごめんライズ君……私も割と同情してた

 

 

 

_________________________________________________

 

あれからしばらくするとフトゥー博士とオーリム博士から連絡が来てコライドン達に『かっくう』の力が復活した事を告げてくれた

 

やっぱりあの翼は滑空用で羽ばたいて飛行するとかはどうあがいても不可能らしい

 

それとテツノワダチとイダイナキバを捕獲したことを伝えるとあの二匹の生態について少しだけ教えてくれた

 

基本的にはドンファンに似ているけどイダイナキバは若干好戦的になりやすいらしい

 

テツノワダチは自分の主人と認めた者に対しては強い忠誠心と信頼を寄せるらしい

 

私はそれを聞いてヴィオ姉と戯れているテツノワダチを見る

 

「ファァァァンド( ≧∀≦)ノ」

 

…………かわいい

 

テツノワダチは顔のモニターがやたらと表情が豊かなのがわかる

 

そして少しするとオモダカさん達のリモート会議がようやく終わったのかハイダイさんが凄まじい速さで砂漠を走り抜けていくのが見える

 

あと人見かけによらず脚めちゃくちゃ速いなぁ……

 

ただそれを見ていたオモダカさんが困ったような表情をしてこちらに来る

 

「申し訳ないのですが貴方達に頼みたいことがあるのですが大丈夫でしょうか?」

「はい?頼みたいことですか?」

「えぇ、さっきハイダイがマリナードタウンへと向かって走り去って行ったのですがあの人はジムに自分の財布を忘れていっているのです

リーグの職員からそれを聞いて今私がついでで預かっていたのですが話をする前に行ってしまったので」

「とりあえずその財布をハイダイさんに届ければいいんですよね?」

「ええ、お願い出来ますでしょうか?私は次の予定がありまして……」

「ライズ君ー!ヴィオ姉ー!それでもいいー?」

「別に良いんじゃないかしら?次ってどのみちハイダイさんに挑む予定だったじゃない」

「そうだな、元々避けられそうに無いからこっち優先したってだけだったしな」

 

あ、そうだ

 

「ペパーも来る?」

「あー、オレは次のスパイスの事を調べにオージャの湖に行ってみるわ

次が最後のスパイスだからな……」

 

するとペパーは申し訳無さそうに答える

 

「あー、そっか

ごめんね?変なこと聞いちゃって」

「気にすんな気にすんなって

むしろそういうのに誘ってくれてありがとちゃんだぜ!

じゃあまたなー!おまえら!」

 

そう言い残してペパーは行っちゃった

 

「そっか……次のスパイスでようやく……」

 

するとオモダカさんの表情が少し硬くなる

 

もともと硬いけど

 

「オージャの湖ですか……最近になってからあの近辺には不穏な気配があるのですよね……

まるでポケモン達が湖に入るのを怖がるような……

それに謎の粘着性のある黒い体液と思われる物とポケモンの骨と思われる物の発見報告が相次いでいます

 

なにも無ければ良いのですが……」

 

するとヴィオ姉が顔を真っ青にして大量の冷や汗をかく

 

「…………ッ!?」

「ヴィオ姉?」

「…………なんでもないわ、後で話しましょう」

 

なんだろう……すごくいやな予感がする

 

ペパー……大丈夫かな?

 




マグロ「かなりフライングですが最後のヌシの情報をちょこっと公開」

??????
ドラゴン・ゴーストタイプ

特性
__________以下の情報は削除されました__________












?????「…………フフッ♪」


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少年と双子とマリナードタウン

すんませんが今回はちょい短めです


 

 

 

ライズ視点

 

 

~ロースト砂漠~

 

 

 

「ウォォォォォォォォオオオオ!!!」

 

今ロースト砂漠を一人の大男が凄まじい速さで駆け抜けていた

 

だがそれ以上にシュールなのは……

 

 

 

「待って!?ハイダイさん待って!?」

「なんなのあの足の速さ!?」

「ライドポケモンで追い付けないってなんの冗談だ!?」

 

ハイダイさんを追いかける俺達はそれぞれのライドポケモンを全力で走らせているのだが……何故か追い付けない

 

ってか距離離されてる!?

ハプルボッカ釣り上げた時も思ったがあの人の身体能力化物すぎるだろ!?

 

「ヒポァァァァァァアアア!?!?」

 

すると向こうからヒポポタスの悲鳴が聞こえてきて更にこちらまで吹き飛ばされてくるのが見える

 

「ヒポポタスが轢かれてる!?」

「いやちょっと待て!?あれを見ろ!?」

「カバァァァァァアアアアア!?!?」

「ドンファァァァァァアアア!?!?」

「カバルドンとドンファンまで巻き込まれてふきとばされてるんだけど……どんな力をしてるのよ……」

 

リーグの職員達から聞いては居たがあの人がそらをとぶタクシー使わない理由がよくわかる……

どう見ても自分が走った方が速いんだあの人!?

 

「うわぁぁぁ!?こっちまでポケモンが飛んできてるよぉ!?」

「さすがにカバルドンやドンファンに巻き込まれたら洒落にならないわよ!?」

「ガーグァ!避けろぉぉぉぉお!?!?」

「クェェェェェェエエエエ!?!?!?」

 

俺はガーグァを全力で走らせてなんとか突っ切って居たのだがさすがに降り注いでくるポケモン達にやむを得ず回避を優先させる

 

だが図体が大きいポケモンまで吹き飛んで大量の砂煙によって視界がすこぶる悪くなっており……

 

「ノクゥゥゥゥゥゥウウウウ!?!?」

 

すると今度はノクタスまでふきとばされてこちらにやってくる

 

「ってちょっとm……」

 

ザクッ!?

 

 

俺の意識はここで途絶えた

 

 

_________________________________________________

 

 

 

「……ズ君!…………」

「……イ……ん!ラ…………」

 

 

なんだ……

 

俺はたしかハプルボッカの調査にいってハイダイさんに……

 

ハイダイさん?

 

「っ!?」

「うひゃぁ!?いきなり飛び起きないで!?」

 

俺はすぐに意識が覚めると全身が痛む上になんか顔に巻かれていた

 

こいつは……包帯?

 

隣にはレティとヴィオが心配そうにこちらにいた

 

「何があった……?」

 

記憶はしっかりしているのだがなんで俺が気絶したのかだけがピンポイントで抜け落ちていた

 

「ライズ君ハイダイさんに引かれて吹き飛びされてきたノクタスにぶつかって気絶しちゃったんだよ」

「目とかは無事だったけど顔面におもいっきりノクタスのトゲが刺さりまくってたわよ?」

「それでか……ぶつかってきたノクタスは?」

「今はポケモンセンターで治療中よ

どうも競りの時期には毎回ハイダイさんに巻き込まれるポケモンが多いみたいだからちょうど良いから預けてきたわ」

「そうか……財布の件はどうなった?」

「そっちはとりあえず渡して来たわ

ついでに競りを代わりにやってみないかって誘われて今はその競りが来るまで待っている所よ」

 

競り……ってことはここはマリナードタウンの市場か

 

「とりあえず割と大怪我だったんだから少し安静にしてなさい」

「いや、このくらいなら慣れてるから問題ない」

「……ほんとどんだけ大怪我してるのよ」

 

…………少なくとも100を越えてから数えてないな

 

「はぁ……もう良いわよ

それでライズもこっちの競りに来てみる?」

「いや、俺は一旦別行動だ

ちょっと気になるもんが出品されててな」

「そう?ならいいけど」

「ホントに怪我大丈夫?」

 

レティは心配性だな……

 

「慣れてるって言ったろ?問題ないから行ってこい

時間確認してみたがそろそろだろう?」

「ふぇ?あ!?ほんとだ!ヴィオ姉!」

「ええ、じゃあ競りが終わったらポケモンセンターに集合ね」

「あぁ、わかった」

 

そうして俺達は二手に別れていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか他にも種類があったとはな……

 

 

 




マグロ「すみません、今回は時間あんまり無くて文字数を少なくしました(´・ω・)」
ライズ「前日に書くようにしろよ……」
マグロ「いやー、気力が……前の2作品の毎日二回投稿は基本自由に書けたから行けたが今回のはストーリー本編をベースにしてるからきついものがある」


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少年と双子と競り

 

 

レティ視点

 

 

~マリナードタウン~

 

 

うーん、ライズ君は大怪我は慣れてるって言ってたけど大丈夫かなぁ……

 

「レティ、やっぱり気になるの?」

「うん、ライズ君慣れてるからって言っても最近大怪我しすぎだし……」

「まぁ私を庇った時も普通に重症だったものね……復帰がめちゃくちゃ速いから気付きにくいだけで」

「うん、なんていうか自分の事の優先度が低い気がするんだよね……」

 

それに何かまだ隠してるような気がするし……

まだ信用しきれてないのかな?それはちょっと……悲しいな

 

そんな事を考えているとヴィオ姉が大きく溜め息をつく

 

「はぁぁぁ、ライズかこっちを信用していなかったらこんなに秘密を話したり庇ったりはしないわよ」

「うぇ!?なんで……」

「バカね……生まれた時からずっとお姉ちゃんしてるんだから貴女が何考えてるかくらい分かるわよ」

「でも……」

「信用してるからこそ、仲が良いからこそ話せない事だってあるわよ

確かに私としても癪だけどそれを無理に聞く方が後々ギクシャクするわよ、気長に待ちなさいな」

「うん……」

 

私達が話しているとチリンチリーンとベルの音が鳴り響く

 

「ホウエン産幻のワカメ~!ホウエン産の幻のワカメだよ~!さぁいくらだ!いくらだ!」

「レティ!」

「うん、ハイダイさんに頼まれたやつだね!」

 

 

_________________________________________________

 

 

 

 

 

「な、なんとか買えた~」

「なかなか激戦だったわね……」

 

競りではかなり多くの人が幻のワカメを競り落とそうとどんどん金額を釣り上げて行ってワカメ一つに凄い金額が出ていた

 

とはいえ私達はハイダイさんからかなり多くの資金を預かっていてなんとか資金を余らせて買うことを出来た

 

これでジムテストの代わりにしてくれるらしいけど良かったのかな?

 

「本当に良いんですか?」

「良いから良いから!

幻のワカメをこんなに安く仕入れられたんだい!残りはお駄賃として取っておくと良いんだい!

それにライズ君にもかなり迷惑をかけてしまったからね」

「うーん、わかりました

そういうことならいただきます」

「あら?ライズじゃない

何か競り落としてきたの?」

 

ヴィオ姉がそういうとライズ君は少し悩むような仕草をする

 

「……別にここで出しても良いんだが少し色々とヴィオに聞きたい事が出来てな

悪いが家に戻ってからでも良いか?」

「あー、そういうことね

了解よ、ただちゃんと見せなさいよ?」

「あぁ、わかってるよ」

 

ヴィオ姉に聞きたい事でここで話しにくいってことは……ヴィオ姉の前世のことなのかな?

 

私自身生まれてからずっとヴィオ姉と一緒に育ってきたけど前世と言われてもやっぱりピンと来ないんだよなぁ

 

「うぉー!ライズ君!平気なのかい?

顔にノクタスが刺さったんじゃぁ……」

「このくらいの怪我なら慣れてるんで」

「そうかい?無理はしないようにするんだよ?」

「ええ、わかってますよ」

 

私達はハイダイさんに後でジムに挑戦しに行くことを伝えてからそらをとぶタクシーを呼んでライズ君の家に戻っていく

 

なんだか毎回入り浸っちゃってて申し訳ないなぁ……

 

ライズ君の家に到着してリビングに向かうとヴィオ姉は早速とばかりにライズ君へと疑問を口にする

 

「それで?結局何を買ったのよ?

わざわざ私の名前出す辺りモンハン、アナザーポケモン関係の代物でしょう?」

「あぁ、といっても俺が購入したのはニャンター用のやつだがな」

 

そういってライズ君はポケットからこの間手に入れたヨロイとは違うヨロイをテーブルに置いた

 

たまに思うんだけどライズ君のポケットってどういう構造してるんだろう?

 

ヨロイの特徴としては全体的に緑色の甲殻と黄色の角のような材質の物で全体の形が作られていて一部に使われた毛のような部分からは若干の静電気を感じるヨロイだった

 

「今度はジンオウネコシリーズね

ピケタウンのレウスネコシリーズといいニャンター関連のアイテムが複数入ってきてるのかしら?

でもこれだけじゃ無いんでしょ?流石にこれのためだけなら向こうで話してもそんなに問題ないのだし」

 

確かに、正直これのことだけなら別に家まで戻って話をする必要は無いような?

 

「あぁ、本題としてはオージャの湖で今起きてる異常事態の事だよ」

「あぁ、確かにそれを話すなら一度戻る必要があったわね」

「あ!ペパー君って今オージャの湖に向かってたよね?」

「あぁ、それなら止めておいたわ

流石にこれが予想通りなら確実に無事では済まないから待って貰うように説得するのは少し大変だったのだけれどね」

「……結局何を知っているんだ?」

「……今回の異常を引き起こしているのは結論から言えばたった一匹のアナザーポケモンよ」

「アナザーポケモン……今回のはそんなに危険なの?」

「危険なんてもんじゃないわよ……その個体がまだ子供とかならギリギリ勝算がなくもないけど成体相手となると確実に死ぬわね」

 

っ!!!

 

「し……死ぬって……」

「今オージャの湖に居座っている怪物の名前は……」

 

 

 

 




マグロ「まだジムに至っては半分も終わってないんだよなぁ……」
ライズ「まぁヌシは残り一匹、スター団も残り2つで半分切ってるんだしハイダイさんでちょうど半分と考えれば良い方なんじゃないか?」
マグロ「だとええんやがなぁ……ストーリーのラスボスをとんでもない化物を想定してるからどうしても長くなりそう(ヽ´ω`)」
ライズ「俺達が死ぬほど大変になるのを忘れんなよな……」


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少年と双子と古龍種

 

 

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ライズ自宅~

 

 

「今オージャの湖に居座っている怪物の名前は……

竜の墓場に住まう双頭の骸、『骸龍』オストガロアよ」

「骸龍……」

 

正直古龍種が居座ってるなんて考えたくも無かった

こいつらは生きる災害、ただその場に存在するだけで甚大な被害を引き起こしかねない強さを持っている

 

私は簡易的なスケッチを取り出して二人に見せる

 

「こいつは……ジヘッドのように二つの頭を持ったポケモンなのか?」

「まぁ最初はそう見えるわよね」

「ってことは違うの?」

「えぇ、この二つの首は龍の頭にも見えるけど実際は擬態でその正体はカラマネロのようなイカポケモン特有の触腕の一種よ」

「へ!?」

「ん?……ってことはまて、こいつの正体ってマーイーカタイプのポケモンか!?」

 

あー、そういえばこの世界にイカって概念無いんだったわね……

 

「ええ、その理解で合ってるわ

こいつの頭部はこっちの方なのよ」

 

そう言って私はもう一枚のスケッチ、オストガロアの本来の頭部を描いた物を取り出す

 

「これがこいつの本来の頭部か……」

「ってことはこっちの二つの首は叩きつけたりとかそういう攻撃しかしないの?」

「そう……と言いたい所なのだけど残念ながらブレスを吐いてきたりするわ」

「なんで!?」

「多分こっちにもブレス噴射用の小さい口があるんじゃないかしら?」

「こいつの一番警戒するべき部分は?」

「そうね……やっぱり狡猾さね」

「狡猾さ……となると相当頭が良いの?」

「ええ、相手の弱点を的確に判断してその触腕に弱点の属性を持ったポケモンの骨塊を装着して攻撃してくるわ

少なくともほぼ確実に弱点ばかりを狙って攻撃してくるわね」

 

ほんとあの行動は初見の時ビビったわね……

 

「なぁ、もしかしてこの二つの首と本体との連携攻撃とか……」

「普通にしてくるわよ

だから基本的には二人が触腕を押さえて残りが本体へ攻撃する形になるわね」

「厄介な……」

 

でもやっぱり認識に大きな違いがあるわね……

 

「ライズ……レティ……こいつら古龍種を他のアナザーポケモンと同じように見てたら死ぬわよ……」

「ッ!!」

「……それほどか」

「えぇ、その実力や能力は伝説のポケモンや幻のポケモンに勝るとも劣らないと考えなさい

ただその場にいるだけで周囲の環境を劇的に変化させるような個体ばかりなのだから……」

「…………」

 

するとライズは自分の首に掛けているウルトラボールの細工が施されたペンダントを見る……んん?

あれ?これ良くみたら本物のウルトラボール?

 

今までアクセサリーだと思って気にしてなかったけどちょっとまった……

 

ちょっとまった、ライズのポケモンは6匹とも見たけどウルトラボールに入ってる個体なんか……

 

そう思い返して私は改めてライズのポケモンのボールを思い返す

 

バサルモス亜種が『ヘビーボール』

ニャンターが『フレンドボール』

ギギネブラが『ムーンボール』

スクアギルが『ルアーボール』

ウロコトルが『ドリームボール』

ガーグァが『スピードボール』

 

だったわよね……

 

あれ?全部オシャボ!?

 

「ねぇ、ライズ……もしかしなくてもガーグァってライドポケモンとして手持ちに登録している?」

「ッ!あ、あぁ

そうじゃないとパルデア地方でガーグァにライドなんか出来ないからな」

「じゃあ聞くわ

その胸のペンダントのウルトラボールの中身って?」

「ウルトラボール?」

「そう、ライズのペンダントの中央にあるこのボールもれっきとしたモンスターボールの一種なのよ」

「……わりい、それは今度にしてくれるか?」

「…………わかったわ」

 

どうやらあんまり触れられたく無いわけね……

 

「ごめんなさいね、変なこと聞いて」

「いや、元々俺が秘密にしてたのが原因だ

気にするな」

「…………分かったわ

とりあえずオストガロアの力は絶大よ

せめてジムを制覇するくらいの実力がないと多分勝負にすらならないわ」

「そうなるとジムの制覇とスター団の解散がしばらく優先?」

「そうなるわね」

 

流石に古龍すらも襲うような古龍相手に生半可な戦力じゃ勝負にすらならないかも知れないし……

 

ただ……ウルトラボールって事は少なくともライズはウルトラビーストに関係するポケモンを持っているのよね……

もしかしたら……

 

「とりあえず今の方針はジム優先かしらね?

少なくとも『みず』、『エスパー』、『ノーマル』ジムを突破してからスター団『フェアリー組』、ジムを制覇してスター団『かくとう組』が現実的かしら?」

「順番の理由は……まぁ位置関係か」

「えぇ、最低限ナッペ山に入る前にこの三つを終わらせておけば移動は楽だもの」

「あー、確かにのこり4つは皆近いもんね」

「となると決まりだな

とはいえ今の問題はハイダイさんとのバトルだな」

 

ハイダイさんの手持ち……SNSとかで調べた感じ最後の砦にいるケケンカニがやたらと強いみたいね……

 

でも正直突っ込ませて欲しい……

 

 

 

 

 

 

ハイダイさんの手持ちに『ヘイラッシャ』と『シャリタツ』が居ないのは意外すぎるのよ!?!?

 

すしざ○まいみたいな見た目なのに……




マグロ「ライズの七匹目の情報をちょこっと公開」



?????
エスパー・???

特性
????????

常にライズを見守っているようだ



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少年と双子とチリ

 

 

 

ライズ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

 

 

俺達はとりあえずハイダイさんに挑むためにカラフシティのジムに来ていた……のだが

 

「あれ?ハッサク先生」

「あ、こんにちわー」

「おや、貴方達は……先日はトップを手伝っていただきありがとうございました」

「いえ、あれは俺達にも関係があるやつなんでそこまで気にしないでください」

「そうですか……ならば感謝の気持ちだけでも良いので受け取っておいてください

実際手伝って貰わねばかなり厳しい状況だったと聞いておりますので」

「分かりました、何か判明したらまたこちらから連絡を入れておきます」

「お願いします、アナザーポケモン関係は貴方達が一番詳しいですから」

 

ジム施設の周辺を見てみると大量の書類が臨時に設置されたと思われる折り畳み式のデスクに積まれている

 

おそらくここを一時的に使ってハブルポッカ対策の本部にしていたのだろう

 

すると向こうから背の高いかなりボーイッシュな女性がやってくる

 

「おーい、ハッサクー?こっちは終わったでー」

「おや、チリさん

ちょうどよかった、今ジムに挑戦する為にライズさん達がやってきていますよ」

「おお!自分らがライズの仲間のレティ嬢ちゃんとヴィオ嬢ちゃんか!噂になっとるでーポケモンも戦法もめっちゃエグいらしいやん」

「お二人とも、彼女の名前はチリ

私と同じ四天王を勤めております」

「うぇー!?四天王!?」

「まさか二人目にここで合うなんてね

というかライズの人脈ほんとにどうなってるのかしら……」

 

正直その辺りは俺にも良く分からん……気がついたら巻き込まれて勝手に人脈広がってるし

 

「まいど!チリちゃんやでー

美人さんやけど怖がらんといてな

ライズもおひさやなー、元気しとったか?」

「えぇ、毎度の如く大怪我してますよ」

「怖っ!?冗談にしてもそれが実際に起きてるから割と怖いんよ!?

え?今は大丈夫なんか!?」

「えぇ、今は問題ないですよ」

「はぁ……まったく心臓に悪いねんて

そんで?そちらの嬢ちゃん達のどっちと付き合ってるや?

チリちゃんに教えてーな」

 

ったくこの人は……

 

「付き合ってもいませんしそういう目で見てませんっての

だいたい俺がそんなのに興味ある人間だと思ってるんですか?」

「なんやつまらん……

けどそんなもん実際にどうなるかなんて自分にも分からんもんやでー」

「つまらんて……はぁ、まぁいいですよ」

 

なんか背後から変な視線を感じると思ったら後ろにはむくれているレティと冷ややかな目でこちらを見ているヴィオがいた

 

「むぅ…………」

「…………」

 

どうしたんだよ……

 

するとチリさんがゲスい笑みを浮かべて二人を見ていた

 

「ほっほーう

まぁええわ、元気そうでなによりや

それより見たこともないじめんタイプのポケモンばっかやったんやろ?どうなんや?どうなんや?」

「相変わらずじめんタイプのポケモンの話しになると目がないですね……

とりあえず強さは割と桁違いでしたよ

まぁ秘伝スパイスの力でバカみたいに力が増幅されてた上に獰猛化でさらに強化されてたんで元の強さとはだいぶかけはなれてたでしょうけど」

「ほーん、秘伝スパイスねー……ライズからの情報で聞いとったがホンマにそんなパワーがあるんか?」

「少なくとも元のサイズの10倍以上でかくなる時点で異常ですよ」

「まぁ確かにそうやな……

こっちでも少しその辺調べてみるわ

なんかあったら連絡いれとくわ」

「ええ、助かります」

 

チリさんは仕事が速いのもあり、俺としても色々とお世話になっている

 

ただその分彼女の事はナンジャモ並みには理解しており、今後ろの二人に対してチリさんが目を輝かせている理由が簡単に予想できた

 

「なぁなぁ!自分ら見たこともないじめんポケモン捕まえたんやって!?どんなポケモンや!見せてーな!」

「はぁ……相変わらずですねチリさん」

「アホゥ!じめんタイプ使いが未知のじめんタイプと聞いてワクワクせずにおられるわけないやろが!!」

 

そう、この人はじめんタイプのポケモンが兎に角好きでどのポケモンでもじめんタイプのポケモンを見かけたらとりあえずすぐに近寄るレベルには好きなのだ

 

「ラ……ライズ?」

「これがその人のデフォルトだ

その内慣れる、ってか俺は慣れた」

「あぁ……そう」

 

ヴィオ達は若干引き気味ではあったがチリさんにテツノワダチ、イダイナキバ、ボルボロスを見せる

 

「うっひゃーーー!?!?なんやなんや!?この二匹はまるでドンファンみたいな姿しとるやん!?

こっちはこの牙がごっつカッコええやん!?

この子は顔がモニターなんか!?これは斬新なポケモンやなぁ!

んでこっちがアナザーポケモンのじめんタイプやな!泥と鉄の鎧なんてロマンの塊やわぁ!!」

 

「ウ……ウィルσ(^_^;)?」

「ファァァンド……」

「ボル……」

 

なんか三匹とも引いてるな……

 

「ん?………んな!?」

 

するとチリさんがヴィオの方をじっくりと見てから固まり崩れ落ちる

 

「か……勝てへん……これは勝てへん……

ライズと同い年くらいの子がこれやったら……チリちゃんのは……チリちゃんのはぁ……!」

 

 

あぁ……

 

 

 

 

いつもの発作のようなものだな……俺は慣れた……慣れるしか……無かったよ……

 




マグロ「この作品のチリちゃんはこんな感じです」

日課
牛乳を飲む、マッサージ、じめんタイプを愛でる、じめんタイプをhshsする

他の人からの印象
仕事の出来る美人さん、ボーイッシュな美人さん、おっぱいの無いイケメン、永遠の0、越えられない壁(二重の意味)、プレートじゃねぇか!?

チリ「ふざけんなや!?ぶち殺すぞこのボケが!?なんや!?おっぱいの無いイケメンって!?それただの男やん!?」
マグロ「あっちょ!?そんな殴らないで!?ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」


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少年と双子とハイダイさん

今回のジムバトルはチャレンジャー側ではなく観戦してる側からの視点となります


 

 

ヴィオ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

 

「おっと……少し話し混んでしもうたな

すまんすまん、たしかハイダイんとこに挑みに来たんやったな」

「えぇ、一応ハイダイさんから変則的ではありますがジムテストをクリア扱いにさせて貰っているので挑める内に挑もうかと」

「そうですか、貴方達を見ていると分かるのですが我々に挑むのも時間の問題な気もしますね」

「ハッサクったら気が早いねん、まだまだジムはこれで半分なんやぞ?

まぁでも確かにチリちゃんもそんなに長くはなさそうやと思うわ

チャンピオンテストで待っとるさかい残りのジムもせいぜぃ気張りやぁ」

「武運を祈っておりますよ」

 

そう言い残して二人ははジムの受付を出ていった

やっぱり四天王と名乗るだけあってか独特の貫禄というか威圧感を私は感じた……

 

「さて、受付を済ませるとしよう

すみません、ジムチャレンジを受けに来ました」

「こんにちわチャレンジャー達、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「俺がライズ、こっちがスカーレット、もう一人がバイオレットです」

「ライズさんにスカーレットさんにバイオレットさんと……はい、受付完了しました

貴方達は三人ともハイダイさんからジムテストのクリア扱いとして扱って良いと聞いておりますのでジムテストはやらなくても大丈夫ですね

早速『激流料理人』ハイダイに挑みますか?」

「えぇ、お願いします」

「分かりました、それではバトルコートにご案内を致します」

 

そして私達はジムを出てこのカラフシティ中央にある大きなバトルコートへと向かう

 

ここにはちょっとしたエレベーターがあってかガラルシティにあったエンジンシティを思い出す

 

いざバトルコートへとついてみると周囲にはかなりの人が集まっており、それだけでこのカラフシティでハイダイさんがどれだけ人気なのかが良く分かる

 

そして上からハイダイさんが降りてくると観戦に来ていた人達のほとんどがハイダイさんの所へと向かっていく

 

「ハイダイさん!遊んで遊んで~!」

 

子供達が無邪気にハイダイさんへと話しかける

 

「ウチの店の新メニューもぜひ味見していってください」

「ウホッ!いい男」

「悪いな皆!これからジム仕事でな!

待たせとるんでここは引いてくれないかい!」

「はーい!」

 

今なんか変なの混ざってなかったかしら?

そしてハイダイさんはいろんな人達から応援を受けながらバトルコートまで来て私達と向き合う

 

「お前さん達か!ヘイ!ラッシャイ!

マリナードタウンやハブルポッカの件では世話になっとったな!

お陰で究極のワカメ料理が作れそうなんだい!

だけども勝負の場では手を抜かんからなぁ!」

 

最初は朗らかにこちらへと向き合っていたハイダイさんだがやはりジムリーダー……ナンジャモ達と同じ雰囲気があるわね

 

あと照明がハイダイさんの頭へと直撃していてまぶしいんだけど……

 

「さぁ最初は誰が相手になるんだい?」

 

ハイダイさんが誰と相手になるか聞いてくると……

 

「俺からでいいか?」

「えぇ、私は構わないけど……なんかやけにやる気だしてるわね?」

「確かに……」

「四天王の人やヴィオの話を聞いてて今の強さだとさすがに不味いと感じてな……それにこのボールにいる奥の手だけだと不安要素が結構あるんだ

だからこそもっと強くなりたくてな」

 

ライズはその手にウルトラボールが入っているネックレスを握りしめながら覚悟を決めていた

もう……そんなの見せられたら断れないわよ

 

「レティ、いいかしら?」

「うん、私も大丈夫!ライズ君!頑張って!」

「あぁ、行ってくる!」

 

そして両者はトレーナーのエリアへと向かい、私達は観戦用のベンチへと向かう

 

「売った買ったは市の競り!

切った張ったはジムの競り!

技と駆け引き渦巻く海原!

みずのポケモンフルコース!

さぁさぁドドンと召し上がれぇ!」

 

そう言ってハイダイさんは大きく手を広げて叩く

 

でもその広げた時のポーズ……若干違うけどどうしても見えてしまうのよ……

 

「す……すしざ○まい……」

「すしざ○まい?」

「あ、いいえ、な、なんでもないわ、あはは」

 

体型やらなんやら色々と似てるのよ!?

 

「なら俺は違う世界のポケモンとフルコースと行かせて貰う!

行ってこい!スクアギル!」

「クァギィィル!!」

「ならばこちらはこいつだ!」

「ミガルサー!」

 

そしてライズはスクアギル、ハイダイさんはミガルーサを繰り出す

 

「お前さん達にゃ恩義はあるがどっこい手は抜かんからな!」

 

そしてミガルーサからただ者ではないような気配を感じる

この感じ……

 

「『かたやぶり』ね……」

「『かたやぶり』?」

「有名なポケモンだとオノノクスとかもそうなのだけどミミッキュの『ばけのかわ』とかを含めて相手の特性の影響を無視して戦えるのよ」

「へぇ……」

 

それにしてもスクアギル……やたらと巨大になってないかしら?

最初から大きい姿ね……もしかして……

 

「氷を纏うぞ!スクアギル!!」

「ギルァァァア!!!!」

 

 

 




すんません時間ギリギリで今回はこっち無しです


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少年と双子と化鮫の成長

やっとコロナ完治しました

いやぁヤバかった……一歩も動けなくなった時はダメかた思いましたよw


 

 

 

レティ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

 

「あれ!?スクアギル最初から大きい姿だ!

ライズ君いつの間に血を吸われてたの!?」

「いえ……良く考えたらスクアギル……だんだん大きく成長していた気がしないかしら?」

「うぇ!?だんだん成長……なんかここ最近血を吸った後の姿しか見てないような?」

 

そういえば最近ライズ君が吸血されてげっそりとする様子がだいぶ少なくなった気がする

確か大きい状態だと血を吸う必要が無いんだよね?

 

「ってことはもうだいぶ大人になりつつあるの?」

「大人……とはちょっと違うかしら?

多分成体への成長は進化を経由することになりそうだし

おそらくもう殆ど進化の条件を達成している状態なんじゃないかしら?」

 

ライズ君はスクアギルを見つめてアイコンタクトを取っているように見える

 

するとスクアギルは全身に霜を発生させて鎧みたいにまとっていく

すると隣にいるヴィオ姉が呟く

 

「あれは……まさかザボアザギルの氷纏いをスクアギルでやるつもり……?」

 

だけどそんなのを待ってくれるハイダイさんじゃない

 

「何をするつもりかわからんが止めさせて貰うぞ!

ミガルーサ!『アクアカッター』!!」

「ガルァァァァサァァァァ!!!」

「スクアギル!『アクアジェット』で回避!」

「ギルァァァアアアア!!!」

 

ミガルーサが連続して放った『アクアカッター』をスクアギルが『アクアジェット』の加速を利用してあっさりと避ける

 

だけど良くみると『アクアジェット』の中にいるスクアギルの纏っている霜がより大きくなっている気がする

 

「もしかして戦いながら鎧を完成させる気なんじゃないかな?」

「そういう事ね……」

 

するとハイダイさんは感心しながらも攻撃の手を緩めない

 

「ほっほー!『アクアジェット』を攻撃じゃなく回避に使うなんて面白い使い方だ!

ミガルーサ!『きりさく』!」

「スクアギル!『アクアジェット』を維持しながら『アイススピナー』!」

「ギルルルルルァァァァァアアア!!!」

 

スクアギルがその尖った頭部をドリルのように見立てて全身を回転させながら『アクアジェット』の加速を利用して突撃する

その頭部には『アイススピナー』の力で氷が纏われていてどんどんスクアギルの鎧が完成していく

 

「ガッ!?ルサァァァァァアア!!」

 

ミガルーサが『きりさく』でスクアギルを止めているけどどんどんスクアギルが後ろへと放出する水の量が増えていく

 

「ギルァァァアアアア!!!」

「ミガルサァァァァ!?!?」

「ミガルーサ!?」

 

『アイススピナー』を防ぎきれなかったミガルーサが吹き飛ばされて戦闘不能になる

 

「ミガルーサ戦闘不能!」

 

「ねぇ、ヴィオ姉

ライズ君のスクアギルやたらと強くなってない?」

「というか……テツノワダチ達の実力が元々かなり上だったからみんなの強さ引き上げられたんじゃないかしら?」

「でもスクアギルって確か戦ってないよね?」

「レティったらニュース見てなかったのかしら?

今のモンスターボールは『がくしゅうそうち』の機能が標準で付いてるのよ」

 

あ!そういえばそうだった!だからスクアギルも一緒に強くなってたんだ!

 

「なんという火力してるんだい……こりゃ油断できん!

次はお前さんだ!『ウミトリオ』!!」

 

「「「ウミトーー!」」」

 

「赤いウミディグダが三匹!?!?」

「ウミディグダのダクドリオver.みたいなものかしら……どちらにせよ若干色が……」

 

私たちは初めて見るこの子達に若干引いちゃうけどこの地方の人達にとってはこれが普通……なんだよね?

 

するとスクアギルが持ち物として持っていた『とけないこおり』を見つめ始めた

どうしたんだろうと私たちも見ていたら……

 

「あぐっゴリッゴリッゴクンッ」

「「食べちゃった!?!?」」

「スクアギル……」

 

え!?大丈夫!?お腹壊さない!?

 

私たちが心配しながら見ているとどんどんスクアギルの纏っている氷がパキパキと音を立てて大きくなっていって尻尾のヒレにまで鋭いブレード状の氷が纏われた

スクアギルは氷の鎧が完成すると同時に光輝き進化の光を発生させ始める

 

「うわっ!?まぶしっ!?」

「ついに進化ね……やっぱりこれが条件だったのね……」

 

スクアギルの全身がみるみるうちに巨大化していき纏っていた氷の鎧が砕けちゃった

シュニンよりちょっと小さいくらいまで大きくなるとそこにはスクアギルの頃にあったトゲドゲしい甲殻が無くなってかなりまるっこく可愛くなった巨大なポケモンがそこにいた

 

「千変の化鮫……ザボアザギルの誕生ね」

 

「ザギィィィィィィイイイルルル!!」

 

「ヴィオ姉いつの間にサングラスなんか用意してたの?」

「そろそろ進化しそうだと思ったもの

流石に眩しいから買っておいて正解だったわ」

 

そういう問題?それに千変の化鮫って……

 

「ザボアザギル!『アイスアーマー』!!」

「ギルアッ!」

 

ザボアザギルが身を屈めて刺々しい槍のような鎧を身に纏う

 

「進化とはこれはめでたい!バトルが終わったらうちの店に来なさい!お祝いするたい!でも今は勝負たい!

ウミトリオ!『みずのはどう』!」

「ザボアザギル!『アイススピナー』!」

「「「ウミィィィイイイ!!」」」

「サボァァァァアアア!!!」

 

ザボアザギルはウミトリオの『みずのはどう』をあっさりと弾いてウミトリオへと突撃して直撃させる

 

ウミトリオは岩の中に引っ込んでたけど出口を凍結させられて身動きを封じられていた

 

「こりゃジム用のポケモンじゃ勝負にならんな……」

 

私たちはザボアザギルのその攻撃の威力に軽く驚かされた……なにあの強さ!?

 

 




マグロ「あ゛ぁ゛ぁ゛……死ぬかと思った」
ライズ「むしろ死んどけや!更新遅らせすぎだ!」
マグロ「あー!お客様困ります!あー!あー!困ります!お客様!困ります!あー!」


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少年と双子と千変

 

 

ライズ視点

 

~カラフシティ~

 

 

「さぁ最後だ!いくんだい!ケケンカニ!!」

「ケガニー!」

「潮は引いて満ちるもの!

ここから怒涛の追い込み漁よ!!」

「ケケンカニ……氷タイプということはテラスタルポケモンですね」

「そうそうぶっこみ大変身!

水も滴るいいポケモン!テラスタル!!」

 

ハイダイさんの繰り出したケケンカニが早速テラスタルの結晶によって全身を閉じ込めてみずテラスタルの冠をかぶって現れる

 

「ケケンガーーー!!」

 

ケケンカニ……たしか元々こおり・かくとうタイプだったか……

 

「油断せずいくぞ」

「サボアッ!!」

「ザボアザギル!!『ひやみず』!!」

「サッバァ!!」

 

ザボアザギルは最近覚えた遠距離用のみず技である『ひやみず』で牽制を行う

今のうちに俺はザボアザギルの技構成をスマホロトムで確認するが一つ不味い部分を見つける

 

「よりにもよって『アクアジェット』を失ったか!」

 

ザボアザギルの覚えている技には『アイスアーマー』が追加されている代わりに『アクアジェット』が無くなっており、これによって機動力を大幅に失い今までのような戦法は難しくなってしまっていた

 

「とはいえあの巨体では避けるものも避けられないか……」

 

そしてザボアザギルの口から放たれた『ひやみず』がケケンカニへと到着するが……

 

「ケケンカニ!地面へ『クラブハンマー』!!」

「ケケンガーーー!!」

「んなっ!?」

「ザバアッ!?」

 

ケケンカニの冠が光輝き水を纏って巨大化したハサミを地面へと叩きつける

すると噴水のごとく大量の水が地面から吹き出して『ひやみず』を簡単に打ち消してしまった

 

「なら!ザボアザギル!『アイススピナー』!!」

「ギィィィィイイルァァァァアアアア!!!!!」

「ケケンカニ!『いわくだき』!!」

「ケンガァァアニィィィイイイ!!!!

ガニァッ!?!?」

「ザブァッ!?」

 

んな!?

 

ザボアザギルはその巨体を高速回転させて全身を覆う氷の鎧のうち頭部にあるドリル状の氷で突撃するがケケンカニはそれを真っ正面からハサミを叩きつける事で受け止めた

 

だがそれ以上に恐ろしいのはそれを片方のハサミでやってのけてもう片方のハサミでザボアザギルの『アイスアーマー』を簡単に砕いてしまったのだ

 

「とはいえ片方のハサミは凍りついたが……」

「ガニァ!」

「まぁその程度なら自力で砕くか……」

 

ケケンカニはザボアザギルの『アイススピナー』を直に受け止めていた為かハサミが片方完全に凍りついていたのだが残ったもう片方のハサミで氷を叩きつける事で簡単に氷を砕いていた

 

一方ザボアザギルは『いわくだき』によって全身を覆っていた氷を解除されてしまっており、元の流線的なボディへと戻っていた

 

「ザボアザギル!『たくわえる』!!」

「ザボァァアアア!!」

 

俺は元々の耐久を上げるために覚えさせていた『たくわえる』で『アイスアーマー』に頼らない耐久力の向上を図るがここで想定外の事が起きる

 

「んぐっ!んぐっ!ゲプァ……」

 

何故かザボアザギルは周囲に流れている水を大量に飲み込んで蓄え始めまるまるとタマザラシがダイマックスしたような姿へと変化する

 

「こいつは……フォルムチェンジなのか?」

「かわいい!!」

「えっ……」

 

すると観客席でレティが目を輝かせて立ち上がり、ヴィオがレティを驚愕の表情で見ていた

 

「ザバァァァアアア!!!」

 

のっそのっそ……のっそのっそ……とゆっくりとした動きでザボアザギルはケケンカニへと向き合う

一歩動く旅にザボアザギルのたぷたぷとした腹部がぶるんぶるんと揺れていた

 

「こ……こいつは驚いたんだい……サメハダーやガマゲロゲといったポケモンに近いと思ってたんだがハリーセンのような特徴まであるとは……だがその姿ではこれは防げん!

ケケンカニ!!『クラブハンマー』!!」

「ケンカァァァッ!!!」

「ザボアザギル!!受け止めろ!!」

「ザボァァアアア!!」

 

ケケンカニの水を纏ったハサミがザボアザギルの腹部へと吸い込まれていくが……

 

「ザブァ!!」

「ケケンカァァァ!?!?」

 

ザボアザギルはそれをあっさりと受け止めて腹部を強く張ることでゴムのような弾力で弾き返す

 

「飛びかかれ!!」

「ザアァァァブッァァァ!!!」

「ケンカァァァッ!?!?!?!?ケケッ!?!?」

「なにぃぃぃぃいいい!?!?!?」

 

吹き飛ばされてひっくり返っているケケンカニに向かってザボアザギルは大きく大ジャンプしてのしかかる

 

なんかミシミシとヤバそうな音が聞こえている為に下手したら『わざ』よりも威力が上なんじゃないかと思わなくも無いがテラスタルの輝きは衰えてないな!!

 

「その状態なら防ぐもクソもないだろ!!『アイススピナー』!!」

「ザババババババババ!!!!」

 

ザボアザギルはそのままケケンカニにのしかかった状態を維持しながらその場で回転をし始める

 

その回転はどんどん速度を上げていきザボアザギルの凄まじい体重をケケンカニへと一点集中させていく

 

「ケケッ……カッ……カニッ……」

 

そしてあまりの攻撃にケケンカニは耐えられなくなったのか全身の水晶が弾け冠が砕け散って戦闘不能となる

 

「ケ……ケケンカニ戦闘不能……なんということだい……」

「ザババババババババ」

「ザボアザギル!?もう良いからそこをどいてやれ!?

ケケンカニが危ないから!?」

 

そしてザボアザギルは楽しいのか未だに回転を続けており流石に止めさせた……

 

なんか念願の進化でハイテンションになってないかこいつ……




マグロ「この世界でのわざ覚えは確実に何かしらわざを覚えてランダムにわざを忘れる仕様になっております
思い出しはスマホロトムで可能ですがちょっと手間が必要で忘れさせる技を選ぶなんてのはスマホロトムでのわざ忘れ以外では基本出来ないです」
ライズ「わかった!?わかったからじゃれつくな!?その巨体でじゃれつかれたら洒落に……」
化鮫「ザバァァァァァァァアアアア♥️」
ライズ「ァァァァァアアアアアアアアアッ!?!?」


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少年と双子とみんなのトラウマ★

 

 

ヴィオ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

 

勝負が付いたわね……

 

「ウオッ!ウオーッ!活きが良すぎるトレーナー……いや、博士だい!」

 

倒されたハイダイさんは清々しそうな笑顔を浮かべてライズの勝利を称えていた

 

ただ一方のライズは……

 

「んんーー!?!?!?んーー!!!」

「んぐっ♪んぐっ♪んぐっ♪んぐっ♪」

 

ザボアザギルに飲まれかけていた

 

「ラ……ライズ君ーーーー!?!?!?」

「さっさと取り出すわよ!?」

 

私達は流石にこれ以上は不味いと感じていたのてライズをザボアザギルの口から引っ張り出す為にバトルコートへと駆け出してライズの脚を引っ張りだそうとしていた

 

幸いザボアザギルは甘噛みなのか牙を引っ込めているので力ずくで引きずり出すだけで済んだ

 

「すまん……助かった」

「ザバァ……」

 

ライズを口から引きずり出されたザボアザギルは残念そうにしていたけど流石に丸呑みされたら出られるか分からないのよ……

 

「ウオーッ!ライズ君は相変わらずポケモン達と仲が良いんだな」

「なんというかちょいちょい餌として見られてるんじゃないかと思うことがありますがね」

「それだけ懐かれているということだい!微笑ましいんだい!」

「だと良いんですがね……」

「さて、ライズ君

君は確かアナザーポケモンについて調べているんだったんだい?ならちょうどさっき釣り上げて捕まえたもう一匹のアナザーポケモンが居るんだい!戦ってみるかい?」

「え?あの後もう一匹出たんですか?……ってか釣り上げた!?」

「マリナードタウンでの競りが終わったらたまに釣りをしてるんだがこの間たまたま釣り上げたんだい

見たことがないポケモンだったから捕まえてみたらアナザーポケモンだったんだい」

「なんつうミラクル……」

 

この人の運はほんとどうなってるんだろうか……というかモンハン世界のモンスターってどいつもこいつもとんでもない大きさしてるからハンターでもない人間が釣り上げられるような大きさじゃないはずなのだけれど……

 

「ねぇヴィオ姉……アナザーポケモンってそんな簡単に釣り上げられる物なの?」

「…………私がゲームとしてやっていた頃は操作していた主人公なら軽々と釣り上げるけどどうあがいても普通の人間が釣り上げられるような大きさじゃないわよ……ってか竿が持たないわよ」

 

そしてハイダイさんは先程までに見せていたような力強い表情となって一つのボールを構える

 

「このポケモンはかなりの強さをしてるんだい

それでも挑む覚悟があるんだい?」

「えぇ……お願いします!」

「やっぱりライズ君は活きがいいんだい!

さぁよってらっしゃい見てらっしゃい!

この世界にはいないポケモンで〆といくんだい!」

「ザボアザギル、今回はニャンターに譲ってくれるか?」

「ザボァ?……ザブ」

「ありがとう……ボールに入らずそこで見ていて良いぞ」

「ザバァ♪」

 

ザボアザギルは嬉しそうにしながらボールのようにまるまるとした体をずりずりと引きずって私達のいるところまで来てライズを応援する

 

「なんかやたらとおとなしいわねこのザボアザギル……やっぱりこの世界に来てから大きく生態が変わっているのかしら……」

「プニプニで可愛い!!」

「ザバァ?」

 

そしていつの間にかレティはザボアザギルに抱きついてそのお腹のプニプニとした感触を楽しんでいた

 

そこまで可愛いかしら?……まぁ愛嬌はある方だとは思うけれど

 

「出てきてくれ!ニャンター!!」

「呼ばれて飛び出てにゃにゃにゃにゃーん!!」

 

ライズがボールを投げてニャンターを繰り出すとハイダイさんもボールを投げる

そこから現れたのは……

 

「んなぁ!?!?」

 

全体的なフォルムとしては飛竜のそれに近い、だけどその翼はヒレとなっており、その脚にも水掻きがあるために水に適応したポケモンだと良く分かる

背鰭も尻尾から頭にかけて立派なものが生えており、かなり水中に特化していることが分かるそのフォルムに私はとてつもない嫌悪感を抱く……なぜなら

 

「さあさぁ水に住む魚とドラゴン二つの性質を持つポケモン!

ガノトトスの出陣だい!!」

 

それは……全ハンターにとっての悪夢……

 

「ギョァァァァァァァァァァァァアアアアア!!!!!」

 

理不尽の頂点に君臨するアタリハンテイ力学の支配者……

異空間タックルの使い手であるガノトトスだったのだから……

 

「ライズ!全力で叩き潰しなさい!!手を抜くんじゃないわよ!?」

 

正直心境的には悲鳴を上げたいレベルではあるけどここはグッと我慢して私はライズにそう叫ぶ

 

「うわぁ!?びっくりした!?いきなりどうしたのヴィオ姉!?」

「ザボァ?」

 

隣でライズの応援をしていたレティとザボアザギルがびっくりしたのか私の方を向いて私を心配していた

 

「ごめんなさい……ガノトトスだけはどうしてもトラウマなの……」

「そ……そうなの?あんまり無理しないでね?」

「ザブ、ザボァァア……」

「ありがとう……もう大丈夫よ」

 

心配したのかザボアザギルが私に寄り添ってくれた

 

あ……お腹がひんやりしてプニプニで気持ちいい……これは寝れるわね




マグロ「ガノトトスの能力をちょこっとだけ公開~」

ガノトトス
アナザーポケモン
みず・ドラゴンタイプ

特性
『すいすい』
『てきおうりょく』
夢特性
『???????????』

わざ
『???????』(ノーマル)
『?????????』(ドラゴン)
『????????』(みず)
『???????』(でんき)

種族値

H80
A130
B90
C100
D60
S140

周囲の空間が歪んでいる


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少年と双子とアタリハンテイ力学★

すみません!今日は執筆途中で寝落ちしてしまって投稿が遅れました


 

 

ライズ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

ガノトトスか……見た感じドラゴンタイプも混ざってそうだが……

 

「ニャンター、新しい姿だがどうだ?」

「まるで自分の為だけに作られた見たいにフィットするにゃ!これも旦那さんの力に必ずなれるにゃ!」

「そうか、なら頼むぞ!」

 

すると観客席にいたヴィオが突如立ち上がり叫ぶ

 

「ライズ!全力で叩き潰しなさい!!手を抜くんじゃないわよ!?」

 

「にゃにゃにゃ?ヴィオはどうしたんにゃ?」

「さぁ?」

 

俺達は突如顔を真っ青にしていうヴィオに若干面食らったがとりあえずバトルに集中することにした

 

「さぁ!ガノトトス!まずは様子見のウェーブタックルだい!」

「ガノァァァァアアアア!!!」

「いきなりの大技!?ニャンター!『まもる』!」

「あっぶないにゃ!?」

 

ガノトトスは咆哮と共に全身に激流のような水を纏い陸の上なのに泳ぐように身を過らせて滑り、ニャンターへと突撃してきた

地面はその余波で大きく削られており、その威力がどれだけ大きいかが良く分かる

俺は様子見も兼ねてとっさに『まもる』で身を守らせたが正解だったな……あんなの貰ったらひとたまりもない

 

「無事か!」

「なんとか間に合ったにゃ!」

「それにしても自傷わざをあんなに躊躇もなく使ってくるとはな……」

 

それにしてもあのタックル……なにかがおかしい気がする……普通自傷関係のわざは反動が大きいせいで当たらなかったとしてもある程度の負担がポケモンに残るはずだが……

 

「まだまだ!ガノトトス!『すてみタックル』!!」

「ガノァァ!!!」

 

ガノトトスは突如として立ち上がり、体を横にしてこちらへと向ける

 

「ニャンター!首の下に潜り込んで避けろ!!」

「にゃにゃ!!」

 

そしてガノトトスが身体を若干震えさせて高速でタックルする

 

すると……

 

「に゛ゃ゛!?!?」

「な!?ニャンター!?」

 

ガノトトスの首の下に潜り込んだはずのニャンターはどう見ても当たっていないはずなのにニャンターが吹き飛ばされた

なにがあった!?

 

「まだまだ!追撃の『あくうかんタックル』!!」

「ガァァァァノァァァアアア!!!」

 

ガノトトスはそのままの姿勢でどう考えても距離が離れすぎているのにタックルを短く行うとガノトトスが動いた方向にとてつもない衝撃波が飛んできた

 

「はぁ!?ニャンター!『まもる』!」

「なんなんにゃそれ!?」

「はっはっはっ!これにはオイラも面食らったんだい!

こいつの特性は『アタリハンテイリキガク』、何故か攻撃の範囲が見た目よりもかなり大きくなって自傷わざの反動を打ち消すといい特性なんだい!」

「「なんだ(にゃ)それ!?!?」」

 

いやいやいやいやいろいろおかしいだろ!?

 

「ニャンター!『シビレわな』を設置して『バチバチばくだんゴマ』!!」

「んにゃ!にゃっこいせ!うにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!!!」

 

ニャンターは自分の目の前に『シビレわな』を設置するとそれが見えなくなって目立ちにくくなる

その後連続で追尾するコマを5回投げてガノトトスへと向かっていく

 

「でんきタイプの技なんだい?ならば!

ガノトトス!『ワイルドボルト』!!」

 

ガノトトスは全身に電撃のを纏いアイルーの『バチバチばくだんゴマ』をすべて受けながらもこちらへと突進してきた

だが!

 

「ニャンター!軽く後ろに下がって『みがわり』!」

「んにゃ!!」

「ガノァア!?!?」

 

ガノトトスはこちらへと到達する前に怯み、全身を麻痺させる

その隙にニャンターは『みがわり』を発動させて次に攻撃が当たってしまった時の保険を作っておく

 

「なんだなんだい!?」

「ニャンター!もう一度『バチバチばくだんゴマ』!!」

「うにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!」

「ガノァ!?トトッ!?」

 

全身を痺れさせて動けなくなっているガノトトスにニャンターは追撃に何度も加える

 

「ガノォォォオオァァァァァアアアアアアアアア!!!」

 

するとガノトトスは力ずくで『シビレわな』を壊してこちらへと『ウェーブタックル』を行う

 

「ニャンター!『まもる』!!」

「うにゃ!」

「ガノァ!?」

「こいつは不味い!?動きが鈍くなってるってことは『まひ』状態になっちまってるんだい!?」

 

ニャンターの『シビレわな』は接触技を行おうとしたポケモンをひるませて『まひ』状態にすることが出来るかなり強力な技だ

 

まぁ特殊技を使うポケモンみたいな接触技を使わないポケモンやじめんタイプ、でんきタイプ、ひこうタイプやふゆう持ちには効果がないとあうかなり痛い弱点もあるんだがな

 

「ニャンター!!どんどん『バチバチばくだんゴマ』!」

「うにゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」

「ガノォォォオオ!?」

「こいつは不味い!?タックルするにしても身体が鈍くなってるから追い付けん!?ガノトトス!『あくうかんタックル』」

「ガァァァノア!!」

 

ガノトトスはまたこちらへと『あくうかんタックル』を放ち理不尽すぎる衝撃波をこちらへと放ってくるが……

 

「構わず受けろ!!攻撃の手を止めるな!!」

「うにゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」

「ガッ!?ガノッ!?アッ!?ガノァァァァァアアアア」

 

『みがわり』によってそもそも攻撃の影響がないニャンターは攻撃の手を休めずガノトトスはついにその巨体を地面へと倒したのだった

 

「はぁ……ニャンター以外だとこれ多分勝てなかったな……」

「まったくにゃ……」

 

 




マグロ「ガノ……トトスのステータスでふ(ぼこられ済み)」

ガノトトス
アナザーポケモン
みず・ドラゴンタイプ

特性
『アタリハンテイリキガク』
何故か『じゅうりょく』と同じ効果が発生して浮いているポケモンにもじめんタイプの技が当たり、命中率が底上げされ、反動を受ける技で反動を受けない

わざ

『あくうかんタックル』
ドラゴン 物理 威力120 命中80

何故かタックルで異空間に直接攻撃してとてつもない衝撃波を発生させて全体を攻撃する
反動として与えたダメージの1/3のダメージを受ける

『すてみタックル』
『ウェーブタックル』
『ワイルドボルト』


ライズ「こっちはニャンターの技だ」

『シビレわな』 
でんき 変化
接触技をしてきた相手を『ひるませて』『まひ』状態にする
『じめん』タイプ、『でんき』タイプ、『ひこう』タイプには効果が無く、特性『ふゆう』持ちには当たらない

『バチバチばくだんゴマ』
でんき 物理 威力25 命中 ー
爆発する電気のコマを2~5回投げる
攻撃は『かならずあたる』


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少年と双子と戦闘狂

 

 

ヴィオ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

ライズとハイダイさんとの戦いが終わった後回復の為の休憩を挟んでいつも通り私たちもハイダイさんに挑ませて貰った

 

結果から言うとバッチはなんとか手に入ったのだけど……

 

「ガノトトスやっぱり理不尽すぎないかしら?」

「何人もの人にトラウマを植え付けたって言うのも納得だよ~」

 

ライズと同じように私たちもガノトトスに挑んだは良いのだけど結果としては辛うじて勝てたって程度でたった一匹に手持ちを半壊させられてしまった

原因としては……

 

「ほぼ回避不可能ってのがキツいわね……これはライズに鍛えてもらって『まもる』と『みがわり』を上手く使えるようにしないとキツいかも……」

「うぅ……ライズ君はすごいよね……相性有利って言ってもたった一匹で勝っちゃうんだもん」

 

レティは若干落ち込んでいてレギィを使っていてあっさりと負けたのが余程答えたようね

すると観客席で応援に回っていたライズがこちらにやってきて……

 

「言っとくけど俺の場合ニャンター突破されたらザボアザギル以外は確実に負けてたぞ?」

「うぇ?本当?」

「あぁ、少なくともウロコトルは相性がとことん悪いしバサルモスも動きの遅さと弱点的にきつい

ギギネブラは進化してからドラゴンが追加されたから『あくうかんタックル』を耐えられるか怪しいな」

 

うん、まぁあの『あくうかんタックル』をドラゴンポケモンで受けようものなら悲惨な事になるでしょうね……

 

何よりレティの繰り出したレギィが何も回避出来ずに一方的に遠距離から叩き潰されたんだもの……しかも飛ばした刃鱗ごと全部破壊して吹き飛ばされたもの……遠距離主体だとまず不利ね

 

「最近はギリギリではあるけど一匹で勝てたりする事が多かったから油断し過ぎていたわね……本来はアナザーポケモンはもっと恐ろしい個体もいると言うのに……」

 

するとライズはとある提案をする

 

「今まであまり気にしてなかったが他のチャンピオン達とかのバトル中継の録画とかを見ておかないか?何か得るものがあるかもしれない」

「そうだね……それに今までの過去のバトルも見直して反省点を洗い出しておきたいね」

 

私達がバトルの実力向上について話を進めていると突如凄く嫌な予感をジム施設の入口から感じる

 

レティやライズを見てみるとライズは顔を抑えており、レティは全力で目をそらしている

 

私は恐る恐る後ろを確認すると……

 

「おーーーい!!三人ともーー!!ジムバトル見てたよーー!!」

 

とてつもないスピードで砂煙を上げながらこちらへと全力疾走してくる戦闘狂の姿があった

 

「ネモ……やたらと全力疾走だったけどどうしたの?」

「いやー、前のジムでの戦いを見た後すぐにでも勝負を挑みたかったんだけどすぐに皆どっか行っちゃったから急いで来たんだ!

ってなわけでさっそくバトルしようよ!それに映像を見て学ぶより現役のチャンピオンの私と実際に戦った方が学ぶことも多いんじゃない?」

 

聞こえてたのね……

 

「なんつう地獄耳……とはいえネモの言うとおりではあるか……二人ともどうする?」

「私は……うん、やってみたい」

「どうせ拒否権実質無いのだからやるわよ……それに確かにネモの言うとおりだもの」

 

するとネモは満面の笑みを浮かべて嬉しそうに私達の首根っこを掴む

 

「「「ぐぇ!?」」」

「やったー!いやー、バッジもついにのこり半分だし皆がどのくらい実ってるのか楽しみだなー!」

「わかった……わかったから……首が……」

「引きずるのやめて頂戴……」

「ぐぇーー……」

 

ちょっと!?レティが目を回してるわよ!?

 

 

 

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

 

 

「ひぃ……ひぃ……ひどい目に合ったわ……」

「げっほげほっ!?……喉が」

「きゅう~」

 

結局バトルフィールドまで私達は引きずられてネモが捕食者の笑みになりながらこちらへとウキウキとした様子で向かい合う

 

「さぁさぁ!誰から誰から!」

「ふぅぅぅ……ライズ、譲って貰っても良いかしら?」

「ケホッ!……珍しくやる気出してるな」

「さすがにレティをこんな状態にされたんだもの……姉として少しは私も怒るわよ」

「そうか……とりあえず俺は少し喉を休めておくよ」

「わかったわ、ネモ!まずは私よ!」

「いいよ!さぁ!さっそく戦ろ戦ろ!!」

 

ネモは何を出そうかなぁともはや獣のような笑みを浮かべており、どう見ても捕食者の顔にしか見えない

 

どこのヒ○カよ……HUNTER○HUNTERじゃないんだから

 

「よーし!この子に決めた!!ヴィオー!準備はいい?」

「いつでも良いわよ!さっそく頼むわよ……」

「いっくよー!出てきて!ルガルガン!」

「しばき倒しなさい!テツノワダチ!!」

「ワォン!!ワフ!?」

「ウィル・ドン・ファァァァァァンド!!!( ゚皿゚)」

 

私はさっそく捕まえたばかりの『ヌシだった』テツノワダチを繰り出す

 

すると見たこともないポケモンだからかネモがさらに目を輝かせていた

 

…………選出間違ったかしら?

 

 

 




マグロ「ヴィオによって技構成等を弄られたテツノワダチの性能はいかに……」
ライズ「げほっげほっ……あいつ手加減ってもんを知らないのか?」
マグロ「ちなみにアナザーポケモンの攻撃直撃とどっちがきつい?」
ライズ「んなもんアナザーポケモンだよ……」
マグロ「それ食らいまくってるライズ相手に喉へダメージを与えられるネモって……」
ライズ「言うな……」


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少年と双子とパラドックスの力

 

 

ヴィオ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

「んんんーー♪見たこともないポケモン!スッゴいワクワクするよ!!」

「こっちはそんなにワクワクしないのだけどね……テツノワダチ!まずは状況を整えるわよ!エレキフィールド!!」

「ウィィィィィイイイル!!!( ・`ω・´)」

 

毎回毎回顔のモニターが顔文字に変わってるからこの子本当に表情豊かなのよね……

 

テツノワダチは周囲に電撃の走るフィールドを形成する

テツノワダチと相手のルガルガンに電気が纏わりついてこのフィールドにいるポケモンは眠れなくなった

 

そしてテツノワダチが突如としてパラボラアンテナのような部位を胴体から出すとエレキフィールドの電気がアンテナへと吸い込まれて行きテツノワダチの紅く発光している部位の光が増す

 

「クォークチャージ発動ね」

 

さらに周囲の電気に反応してテツノワダチが持っているエレキシードも光を放ち、テツノワダチに力を与える

 

「へえ!エレキフィールドに反応する特性に加えてエレキシードで能力を上げるなんて……スッゴい強くなってるね……」

 

するとネモの目付きが一気に代わりジムリーダー達のような強者特有のプレッシャーを放つ

 

「ルガルガン!まずは様子見で『アクセルロック』!」

「受け止めて『こうそくスピン』!」

「ルッガァァル!!ガルッ!?」

 

ルガルガンは目で捉えられないような素早い動きでテツノワダチへとその爪を用いた攻撃を仕掛けるがガキンッ!という金属音を立ててあっさりとルガルガンの爪は弾かれる

 

受け止めさせるつもりだったけど硬すぎて弾いたのね

 

「今の音!やっぱりはがねタイプだね!」

「ドン・ファァァァァァンド!!!ヽ(`ω´)ノ」

「ガルァァ!?」

「ルガルガン!!」

 

テツノワダチは『こうそくスピン』による高速回転でルガルガンを弾き飛ばすけどルガルガンは空中で受け身を取って危なげなく地面に着地する

 

「やっばりタイプ不一致今一つならこんな物ね……まぁ目的は別だから問題無いのだけど」

 

それにしても空中で宙返りしながらの受け身ってどんな特訓すればそんなの出来るようになるのよ……

 

「『こうそくスピン』をルガルガンに使ってきたってことはすばやさを上げるつもりだ!

ルガルガン!多分もう向こうのが速いから注意して」

「まぁ見抜かれるわよね、テツノワダチ!『スマートホーン』!」

「ウィィィィィイイイル!!(ノ`Д´)ノ彡┻━┻」

 

テツノワダチの小さい牙が巨大化してルガルガンへと発射されていく

自分から突っ込むんじゃなくて飛ばすのね……

 

「ルガルガン!『かみつく』で受け止めて!」

「ルガッル!!」

「ファン!?!!(゜ロ゜ノ)ノ」

 

なんでそれで止められるのよ……

 

元々タイプの一致するはがね物理技として『アイアンヘッド』を覚えていたけど確実に命中する『スマートホーン』の方が色々と使い道が多いから私は旅の途中で拾った技マシンを使って覚えさせていた

まぁ『アイアンヘッド』の怯みも大きいのだけど外した時のリスクが無くなるって考えるとどうしてもこっちになるのよね

 

この世界は命中率という物が正直全く頼りにならない

ゲームじゃないからこそ当たり前だけどそもそも技術がなければ命中100でも普通に外れる世界なのだから

 

とはいえこの世界でも命中率が元々低い技はそれだけ当たりにくく使いにくい技とされてはいる

 

やっぱり現実とゲームとなると勝手が全く違うわね

 

「『じならし』!」

「ウィルァ!!( ゚皿゚)」

 

テツノワダチがベアリングの形へと変形して大きく飛び上がり地面へと激突する

その衝撃によりルガルガンが身動きを封じられる

 

「ガルァ!?」

「ルガルガン!飛んで!」

「やらせないわよ!」

「ウィル!!( ・`ω・´)」

 

テツノワダチの紅く発光している部位が強く光を放ち、地面へと更に力を込めていく

すると揺れているルガルガンの足元の地面から爆発が生じる

 

「ガルァァ!?」

「ルガルガン!?」

 

ルガルガンへとタイプ一致の『じならし』が直撃した

砂煙が晴れていくとそこには目を回して倒れているルガルガンの姿があった

 

「やっぱタイプ相性は完璧に覚えてるね!実ってるのを感じるよ!!任せたよ!ヌメラ!!」

「ヌメヌメラァ」

 

今度はネモはヌメラをくり出してきた

 

世間一般では最弱のドラゴンポケモンなんて言われているけど実際進化させてみると大きく化けるポケモンね……

 

チョッキヌメルゴンの特殊耐久は本気でイカれてたわね……

軽いトラウマだったわ

 

「…………」

 

私は電気の走っている地面に視線を向ける

 

明らかに最初にエレキフィールドが張られた時より電気が弱くなってるわねもう一度張り直して突っ張っても良いけどヌメラは特殊での攻撃が強い事を考えるとここは……

 

「テツノワダチ!『ボルトチェンジ』よ!」

「ウィィィィィイイイル!!( ´∀` )b」

 

テツノワダチは凄まじい加速でヌメラへと向かっていく

 

「ヌメラ!受け止めて!」

「メラァ!!メラララララララ」

 

ヌメラは『ボルトチェンジ』の直撃で感電こそしていたけどその体には殆どダメージがないのが分かる

 

やっぱり改めて使ってみると分かるけどテツノワダチの能力はかなり極端な偏りを感じるわね

 

「出てきて!バウッツェル!」

「バウッ!ヘッヘッヘッヘッ……」

 

そして私はドラゴンにはフェアリーということで最近進化させたバウッツェルを繰り出す

 

「交代技でダメージを与えながら相性の良いポケモンに交代!うーーん!!ヴィオらしいなぁ!!」

 

ほんとこの戦闘狂どうにかならないかしら……

 

 




ライズ「しばらく俺とレティは空気になりそうだな」
マグロ「……流石に次の回はどうにかしてねじ込むわ」
ライズ「はぁ……嫌な予感がする」


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少年と双子と転生者の技量

 

 

ヴィオ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

私はこの世界で生きているうちにずっと考えて今までの旅で検証を続けてきた事がある

 

それはポケモンというゲームとこの世界における違い、そして類似点だ

 

私が旅で色々と検証した結果この世界はポケモンというゲームのシステムを殆ど受け継いでない事が分かった

 

そもそもPPなんてものは無いし『あなぬけのヒモ』といった便利アイテムの存在も確認出来なかった

 

命中率は必中以外は基本信用出来ないしポケモンにはレベルという概念そのものが存在しないのだ

 

「この世界の人は変化技の使い方が下手なのよね……

バウッツェル!『あくび』!!」

「バウッ!!くぁぁぁ~」

「ヌメッ!めらぁ……」

「ちょ!?ヌメラ!寝ちゃダメだよ!『みずのはどう』!」

「ヌメ……らぁ!………zzz」

「バウッツェル!受け止めて『ねがいごと』!」

「ばう!!」

「あれ!?バウッツェルってそんな技覚えたっけ!?」

 

ネモはバウッツェルが本来覚えない技である『ねがいごと』を使ったことに驚愕する

 

バウッツェルはヌメラの『みずのはどう』をしっかりと受け止めて『ねがいごと』を祈る

更にヌメラは『あくび』の効果により『ねむり』状態へと陥ってしまう

 

ネモの反応で完全に確信したけどこの世界にはある概念が存在しない

 

それは前の世界でたまご技や横遺伝と呼ばれる本来なら覚えない技を他のポケモンから遺伝させるということだ

 

「まったく……この地方には育て屋なんて物ないから一から方法を探すのはかなり苦労したわよ」

 

私は育て屋での横遺伝の条件等を参考にいくつか仮説を立てて検証したりあからさますぎる名前のアイテム、『ものまねハーブ』を持たせてみたりと色々とやっていた

 

結果遺伝させたいポケモンの技の枠に空きを作り、『ものまねハーブ』を持たせて遺伝させる技を覚えたポケモンと一緒に遊ばせる事でポケモンの意思とは関係無く勝手に技が横遺伝するというのを見つけた

それに何故だか知らないのだけど卵グループは関係無かったのでもしかしたら育て屋での遺伝とは完全な別口なのかも知れないけれどこれで戦術の幅がかなり大きく広がった

 

そして私はチャンピオンであるネモの技の認識を知りたいから一つ疑問を口にする

 

「やっぱりネモもあんまり変化技は気にしない口かしら?」

「うん?よく分からないけど私もかなり本気のポケモン使う時は変化技を使うよ

『ステルスロック』とかすごく強いじゃん!

でも育ちきってない時だと扱い凄く難しくなっちゃうからね」

「そこは分からなくもないけど使い方によるわよ」

 

むしろライズは『みがまも』とか『たくわえる』を使って上手く耐久して格上の相手すら倒していたもの……まぁ若干ハメに近いやり方ではあったけれど

 

……ライズはこの世界出身にしてはやたらバトルが上手いのよね……少なくともウルトラビーストとは何か関わってるみたいだけど……

 

「今は考え事してる場合じゃないわね、バウッツェル!『じゃれつく』」

「ばうっ!きゃいんきゃいん♪」

「メラァァァァァァァァァ!?!?!?」

「あ、ちょ!?ヌメラぁぁぁああああ!?!?」

 

バウッツェルのタイプ一致弱点による『じゃれつく』をモロに食らったヌメラは一撃で戦闘不能へと陥る

更にバウッツェルの『ねがいごと』が叶い、バウッツェルの傷が完全に回復する

 

「いやー、ほんと『ねむり』状態にされたら起きるまで耐えきれなかったらほぼ負けるからキツいなぁ……でも楽しくなってきた!」

「普通はこういう戦い方されたら萎えるものなのだけれどね」

 

私は苦笑いしながら答える

俗に言う陰キャ戦法と呼ばれるような戦い方は前世でも嫌われておりこれが原因で止める人も出たくらいだ

 

そしてこの世界においてもそれはあまり変わらずバトルをエンターテイメントとして見ている人が多いこの世界においてこのような手段を問わない戦い方は好まれないのだ

 

だけどネモは違った

 

「なんで?それだってどうやったら勝てるか必死に考えて作り出した立派な戦法の一つだもん!私も参考にしよっと!」

 

ネモの思考回路はほんと戦闘が9割なのよね……

 

「それにそれだって弱点が無いわけじゃないからね!」

「やっぱり気づくわよね……」

「でもあんまり使う人居ないからそうそう対策しないんだけどね」

「その口振り……やっぱり経験あるわね?」

「うん!いやー、あの子との戦いは楽しかったなぁ!絡め手ばかりで苦戦しちゃった!」

 

むしろよくそれだけで済んだわねほんと……

 

私が観客席を見るとスマホロトムで記録をしているライズといつの間にか起きてて応援しているレティの姿を確認出来る

 

レティの姿を見てほっとしたのか頭が更に冷静になった私はある一つの事に気がつく

 

「…………ネモ、対策はしてないのよね」

「え?うん……あ」

「…………勝ち目ある?」

「『あくび』さえ避ければ大丈夫!いくよ!パモット!!」

 

ネモは明らか目をぐるぐる回して青い顔をしてパモットを繰り出す……けどこれもう手遅れよね?

 

「バウッツェル!!」

「ばうっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、使ってて思うけどやっぱあんまり気分よくないわねこの戦法……




ライズ「おいこらマグロ……」
マグロ「っ【カンペ】」
ライズ「『長くなりすぎそうだったからやっぱり
     パス』…………殺す          」


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少年と双子と家族

 

 

ライズ視点

 

 

~カラフシティ~

 

 

結論から言うと俺達はネモに割と余裕を持って勝てた

 

いやまぁネモのポケモン達がどういう特訓をしてるのかよく分からないレベルでネモのポケモンの動きは凄まじかったんだが……

 

「うーん!!みんなすっごい実ってる!!私ももっと頑張って育てなきゃ!!」

 

にしてもネモはほんと挫けないな……

 

ヴィオの『あくび』と『ねがいごと』による突破不可能なレベルでのコンボ

 

レティの『シューティングスター』等での継続ダメージ+先発で出していたガケガニのステルスロックでの削り

 

俺のザボアザギルによる『たくわえる』3回での耐久勝ち

 

割と心折れる気がするんだが……

 

それにやはり使っていて思うがアナザーポケモンは比較的能力が特化している気がする

 

「今度ヴィオに聞いてみるか……」

 

俺がそう呟くとネモがヌッとこちらへと寄ってくる

こええっての

 

「なになに?バトルの作戦の話?」

「何でもないっての……」

「そっかー、残念だなぁ……それでそれで!次はどこのジム挑むの?」

「そんな目を輝かせないでくれ……とりあえず次の目的地は……いい加減アオキさんを避けては進めないな……チャンプルジムを目指そう」

「チャンプルタウン……宝食堂のご飯が凄く美味しいらしいのよねぇ……」

「ヴィオ姉はぶれないなぁ……」

「お!いいねいいねぇ!応援してるよ!」

「いやな予感がするんだが……」

「ナンノコトカナー……それじゃ!私は先に行くねー!!」

 

そう言い残してネモは凄まじい勢いで去っていった

 

「……これ絶対育てながら先回りする気だな」

「だと思う……どうする?」

「……とりあえず最低限チャンプルタウンのそらとぶタクシーだけでも登録しておかないかしら?」

「そうだな……付いたら一回どこかで休憩入れておくか」

 

そして俺達は次の目的地であるチャンプルタウンに向かう前にハイダイさんに軽く挨拶してから向かうことにした

 

 

 

 

 

 

……究極のワカメ料理は伊達では無かったな

 

 

_________________________________________________

 

 

 

 

とりあえずガーグァ、ミライドン、コライドンを走らせ続けてチャンプルタウンが目前になったあたりでヴィオの電話が鳴る

 

『ゴ○~ウ♪ゴ○~ウ♪ゴ○~ウ♪ゴ○~ウ♪イ・ノ・○・シ・ラ♪fooo!』

 

何故か聞いてて色々とアウトなんじゃないだろうかという気がしてくる曲なんだがヴィオにしては割とまとも……なのか?

 

「あら?ママからだわ」

「え?ほんと?」

「俺は席を外していた方がいいか?」

 

するとヴィオが少し考える素振りをしてから答える

 

「うーん、一応一緒に旅をしてるのライズをママにも紹介したいし席は外さなくて大丈夫よ」

「確かに!ママにあんまりちゃんとライズ君を紹介してなかったよね」

「ならいいけど」

 

そしてヴィオはスマホロトムをテレビ通話モードで起動する

 

「もしもし?ママ?」

『もしもーし?ヴィオにレティも元気にしてたかしら?

それにそこの貴方は二人が良く話しているライズ君ね

この子達の母親のアオイです、二人が迷惑をかけてないかしら?』

「よろしくお願いしますアオイさん

二人と一緒に旅をさせてもらってますがむしろ俺の方がずっと助けられてますよ」

『ふふ、そんなに固くならなくても大丈夫よ』

「ライズってば珍しく緊張してるのかしら?」

「ふふっ、ライズ君の意外な弱点見っけ」

「うるさいわ!?ってすみません取り乱しました」

『ふふふ、二人ととっても仲が良いのね』

 

ったくヴィオにレティめ……

さすがに二人の親相手なら若干緊張くらいするっての

 

「それにしてもママったらどうしたの?いつもなら私から連絡入れるのに」

『確かにそうだけどいつも夜に電話をしてくるでしょ?

だから貴女達の新しい家族の子達とかライズ君って子の話を実際に会って話を聞いてみたかったのよ』

「そういうことね、まぁちょうどよかったのかしら?」

「確かに私たちもライズ君の事をママにも紹介したかったし!」

 

するとアオイさんがニヤニヤとした笑みを浮かべてこちらを見つめる

 

あれ?この感じすげぇいやな予感が……

 

『うふふ……それでライズ君にずっと聞いてみたかったことがあるのよ』

「はい?なんでしょう?」

『…………どっちが本命なのかしら?』

「ちょっと!?」

「ママ!?」

「え?えーっと?話が見えないんですが?」

『あら?意外と鈍いのかしら?それともまだそういう感じじゃないのかしら?』

「ちょちょちょちょっとママったらなな何を聞こうとしてるのよ!?」

『あら?ヴィオがそんなに慌ててるのも珍しいわねもしかして……』

「「ちょっと!?」」

 

あの二人が大慌てで止めるほどイジられてる

 

だが俺はこんな微笑ましい光景を見ていると思わず笑みが浮かんでくる

 

「くくくく……」

「ちょっと!?何を笑ってるのよ!?」

「そそそそーだよライズ君!?」

「いや、悪い悪い……だいぶ仲が良くて微笑ましいなと思ってな……」

「……ライズ君?」

『ふふ、まぁ聞きたいことは聞けなかったけどまた連絡するわ

その時になったら他の子達のことも教えて頂戴ね

それじゃあ頑張りなさいよ?』

 

そういってアオイさんは通話を切っていった

 

「「ぜー……ぜー……ぜー……」」

 

二人はやたらと慌てて否定したり誤魔化したりしてたせいかかなり疲れている様子が見て分かる

 

 

 

 

 

俺には少し……羨ましく思えてしまった




マグロ「そろそろ本格的にヒロイン達をライズに絡ませようかと思ってます」
ライズ「お前な……」
マグロ「やはり書いててライズが女難に会うのが楽しくなってきた」
ライズ「……やれ、ギギネブラ」
マグロ「あっ!?ちょ!?まっ!?飲み込んじゃらめぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」


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少年と双子と社会人(社畜)

なんか気分転換で投稿したはずの新しい作品が思ってた数倍以上に反応が良くて驚いていますw


 

 

ヴィオ視点

 

 

チャンプルタウン

 

 

「全くママったら……」

「ごめんねライズ君……」

「あー、いや大丈夫だ

それに二人ともお母さんとかなり仲が良いんだな」

 

そういうライズの目は何か遠くを見ている気がする

 

やっぱりだけどライズは何かと隠し事が多い気がするのよね

 

「ライズ君の方はどうなの?」

 

そうレティが聞くとライズは若干ばつが悪そうに答える

 

「あー、俺ってfallなんだよ……赤子の頃に落ちてきたらしくてな

それをアローラの博士に拾われて育てて貰ってきたんだ

だから前にアローラが実家とは言ったが生まれが何処かとかは知らねぇんだ」

「そっか……ごめんね?へんな事聞いちゃって」

「いや、大丈夫だ

それに育ての親としてこの地方に来るまで世話になった二人には感謝してるしな」

 

そっか……アローラの人にしては何か違和感を感じる時があったけど元々fallだったのね……

 

「じゃあその二人とはどうなの?」

「仲は良いと思う、実際あの人達がいなければバサルモス達の面倒も見れなかったし博士への認定っていうあいつらを保護する名目も立てられなかったからな」

 

ライズはそう苦笑いしながら答える

やっぱり血が繋がってないのもあって若干気持ちを押さえて育ってきたのかしら……

 

「まぁ暗い話はここまでにしておこう

まずは腹ごしらえに何か食べておかないか?

チャンプルタウンの飯は基本どこもアタリだぞ?」

 

それを聞いた瞬間私の胃袋が怒号を上げる

 

「「…………」」

「……そんな呆れた目で見ないで頂戴

私にだって人並みの羞恥心くらいはあるわ……」

「「え……」」

「二人してなんなのよ!?しかもレティまで!?」

「「いやまぁヴィオ(姉)だし」」

「いい加減泣くわよ!?」

 

二人して私の事なんだと思ってるのよ!?

 

「「マイペースな食いしん坊系不思議キャラ?」」

「心読むんじゃないわよ!?」

 

_________________________________________________

 

 

「お……おおおお待たせしました……

『焼そば』の超超超超超超大盛りペタマックスです」

「「うわっ……」」

 

私達はチャンプルタウンを軽く見て回って丁度目についたチャレンジメニューのある店に入って昼食を取ろうとしていた

 

まさかこの世界でこの名前の焼そばに出会えるなんて……ちょっと感激だわ

 

でも流石にこれで引かれるのは心外なのだけど?

ピケタウンのデカ盛りはもっと量が合ったわよ?

 

「ヴィオ姉の胃袋はキョダイマックスしたカビゴンでも入ってるのかな?」

「いや、本気を出したカビゴンだろ……」

「ちょっと!?」

 

誰の胃袋が本気を出して目を光らせたカビゴンよ!?

流石に失礼にもほどがあるわよ!?

あとレティに至ってはそれもはやただの動けないデブじゃないの!?

 

「いや……流石にその量を普通に食える時点で誰からも引かれるとは思うぞ……」

 

ライズはタコライスを食べながらそう答える

 

「この間の事だってママに話したら固まってたくらいだよ?」

 

とレティはカレーうどんを食べながら言う

というかいつの間にママと話してたのよ……

 

「はぁ……いい加減話を戻しましょうよ

それでライズ、ここのジムリーダーをやたら後回しにしたがってたけどどういう事なのよ?」

「……技術的な問題だよ

確かにアオキさんのポケモンはかなり強さを押さえられている上にノーマルタイプ統一というだけあってあまり力強くないポケモンも出てくる

だけどあの人は技術だけで見ればジムリーダーで一番高いんだ」

 

ライズはそう青い顔をして答える

こりゃ何かあったわね……

 

「ねぇねぇ、そのアオキさんって人はどんな人なの?」

 

そうレティが質問を投げ掛けると若干悩む素振りをしてからライズは答える

 

「どういう人か……この場合何て言えば良いのかな……

一言で言うとすれば……………社畜?」

 

するとライズの後ろから声がかけられる

 

「流石に心外なのですが……」

「アオキさん、今日はこっちで昼飯だったんですね」

「ええ、見知った顔が居たもので挨拶するついでにここでまた食事にしようかと」

「それ絶対後者の方が本命ですよね?」

「ええ」

 

ライズと声をかけたやたらとやつれたスーツ姿の男性、アオキは楽しそうに談義をしている

 

「今日は休日ですか?」

「いえ、残業帰りです

かなり遅くなってしまったのでリーグで一泊させて貰いました」

「アオキさん……更にやつれてますよ?少しは強く断らないと……」

「私にあの人の指示を蹴る程の度胸はありません……」

「はぁ……書類系の仕事後でスマホロトムに回しといてください、時間が出来次第手伝います」

「いつも申し訳ありません……」

 

なんというか……確かに一言でこの人を表すとしたら社畜ね……

だいぶ本人は不服そうだけどこれは否定出来ないわ……

 

「お?アオキさんいらっしゃい!

今日は何にしていくんだい?」

「マルマイン焼おにぎりで」

「あっはっはっ相変わらずおにぎりが好きだねぇ

ちょっと待ってな、今作ってきますんで」

 

そう言って店の人は厨房へと向かっていく

 

確かあれって7キロ無かったかしら?

 

「なんと言いますかね……モノを食べる時はですね

誰にも邪魔されず、自由でなんというか……救われてなきゃあダメなんです……独りで……静かで……豊かで……」

 

どこの孤独○グルメよ!?

 

 

 

 




ライズ「アオキさん……そんなだから押し付けられるんですよ……」
マグロ「注:この作品のアオキは心労がマッハで加速しているために食事量が超大幅に増えております
察してあげてください……」
ライズ「いらねぇ忠告してるんじゃねぇよ……」


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少年と双子とポケモンの世話

なんか気がついたら新しく投稿した作品が今まで出した小説の中でダントツで受けまくってましたw
正直今までに無いレベルでガンガンPVやらお気に入りやら延びまくっててびびってますw


 

 

レティ視点

 

 

~チャンプルタウン~

 

 

うわ……ヴィオ姉も胃袋カビゴンだけどこの人あっという間に完食してる……

 

「ごちそうさまでした……」

「かー!やっぱりアオキさん相手だと勝てないな!

どうなってるんだいその胃袋!」

「オイ……あの娘ペロッとペタマックス全部食いやがったぞ……」

 

周囲の反応からやっぱりあれを食べきるのは異常らしい……

私達はヴィオ姉とアオキさんが食べ終わるのを確認してから席を立った

 

「さて、俺達はジムチャレンジ受けてきますので後でバトルよろしくお願いします」

「あぁ、そこのお二人はともかくライズさんは確か宝食堂の裏メニューご存知でしたよね

そうなるとチャレンジがほぼ無意味なのでそのままバトルにいけるように話を通しておきますので少々お待ちください」

「それ良いんですか?」

「えぇ、トップから小言を言われる程度ですので大丈夫です

このチャンプルタウンのチャレンジは宝食堂の裏メニューのヒントを集めて注文するだけなので」

「あぁ、それは確かに意味ないですね……」

「申し訳ありません、こちら側としても一人だけチャレンジの内容を変えるというのは若干問題があるもので」

「…………あれ?そうなるとハイダイさんは……」

「今頃トップに説教を食らってる頃かと……」

 

ハ……ハイダイさん……

 

「まぁ終わった頃には二人して釣りでもしてそうですね」

「そしてトップとハイダイさんがやってない分の仕事が私に来るわけです……はぁ」

「お疲れ様です……」

 

私はそんな不憫なアオキさんに対してそう言わずにはいられなかった……

 

「というかアオキさんもう少し休暇を取るべきですよ……

暇だからと出勤するのはどうかと……」

「すみません……なにもやることがないとどうしても落ち着かない性分でして……」

 

まって!?アオキさんそれ完全にワーカホリックだから!?

 

「はぁ……せめてもう少し寝てください……それだけで良いんです……」

「…………検討させていただきます」

 

大丈夫なのかな……

 

 

 

お店を出た後手続きをしてくるのでしばらく待っていてくださいとアオキさんから言われたから私達はチャンプルタウンの外でピクニックを開いてポケモン達の世話をしていた

 

ライズ君のスマホロトムに後で連絡が来るらしい

 

とりあえず私は今はボルボロスことボルンガの身体を洗っていた

 

「ボルァァァアアア………」

「気持ちいい?」

「ボルア!」

 

 

ボルンガの身体を洗うのは大変だった……

ライズ君のザボアザギルに手伝ってもらって先ずは全身にへばり付いている泥を高圧洗浄

ボルンガの鱗や甲殻、鎧はすごく硬いからかなり強めにやっても大丈夫だった

 

ただやっぱり鱗と鱗の間や甲殻の隙間、鎧の隙間なんかの汚れまではザボアザギルでは難しいからここからは手作業で洗っていかないといけない

 

基本的にアナザーポケモンのみんなは身体がものすごく大きいポケモンが多いからやっぱり時間がかかるんだよね

それにボルンガは習性が原因なのか洗い流したばっかの身体にすぐに泥を付けたがっちゃうし

 

今も洗い流した泥を見てはうずうずしている

 

「あ、ボルンガ頭下げて~その筒状の部分洗うから」

「ボル」

 

チラッと隣を見ると隣からじゅぅうううううっていうすごい音と共に水蒸気を発生させてるバサルモスとライズ君

 

そしてなぜかヨガをしているヴィオ姉とギィギのダルシムがいた

 

ダルシムってあの身体でヨガってどうなんだろ?

なんでかわからないけどポケモンがヨガをやっているとサイコパワーに目覚める場合がちょくちょくあるっていうのは聞いたことがある

ヨガとサイコパワーって何か関係があるのかな?

 

私はタワシを使ってボルンガの頭の部分を少し強めに擦りながらそんな事を考える

 

すると少し離れた所で他のポケモン達と遊んでいたイダイナキバがこっちに戻ってきた

 

「ドンファ……」

 

どうしたんだろ?と思って見てみたらその立派な牙にポケモン用のかなり丈夫に作ったボールが刺さっちゃってた

 

「あははっ、ちょっとまっててね

今ボール外しちゃうから」

 

一応手を持つポケモンも一緒に遊んでたけどこのボール結構ツルツルしてるタイプだから上手く掴めなくて滑っちゃったんだろうなぁ

 

私は鞄から滑り止めの付いたグローブを取り出して両手に付ける

 

グローブにはしっかりとボールを掴めるようにびっしりと滑り止めが付いているから簡単に外すことが出来た

 

「ファァァンド♪」

「気をつけて遊んでてねー!」

 

ボールを取ってから軽く穴を塞ぐ程度で応急処置をしてイダイナキバに渡してあげると嬉しそうにして皆のところに戻っていった

 

それにしても鼻の上に乗せてあげたけどいい具合に牙との間に挟まってバランス取れてたなぁ……

 

そんな事を考えていたら後ろからばしゃばしゃと水っぽい音がしてまさかと思って後ろを向くと……

 

「ボルア~♪」

 

ボルボロスはせっかく洗って綺麗にしたのに泥遊びをしていた

 

「まったくもうこの子は……ごめーん!ライズ君またザボアザギルに手伝ってもらっていいー?」

「おーう、わかったー!

ザボアザギル、出てきてくれ」

「ザバァ!ギルッ!?」

 

ザボアザギルは泥遊びしているボルボロスを見て若干驚いてた

 

「ごめんね~」

 

そんなこんなでポケモン達のお世話をしているとアオキさん側の手続きが終わってからライズ君に電話がかかってきた

 

「よーし!綺麗にしたしジム戦も頑張るぞ~!!」

 

 

今回のバトルフィールドは宝食堂らしいからやっぱり綺麗にしておかないとね……

 

 




アオキさんの休日

起床

身支度

朝食

暇なので休日出勤

仕事を押し付けられる

残業

退勤

晩御飯

就寝

なおこれが原因で給料はトップの数倍貰ってます(ただし食費で殆ど消えてく)


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少年と双子とチャンプルジム

 

 

レティ視点

 

 

~チャンプルタウン~

 

 

 

私達はアオキさんからの連絡を受けてジム施設で受付を済ませる

 

ただ途中でネモに背後を取られててかなりヒヤッとしたけどネモはまだポケモンを育てたいとの事で割とすぐに別れていった

 

「「「ほっ……」」」

 

さすがにこれからジム戦だというのに余計に集中力を使いたくなかったから割と本気で助かった

 

「はい、受付完了しました

宝食堂にて裏メニューの注文をしてくださればバトルフィールドが出てくるのでそちらへ向かってください」

 

ジムの受付さんの指示に従って宝食堂に向かうと……

 

「おや?ライズ君じゃないか!久しぶりだね~

今日はこんなべっぴんさん二人も連れ込んでデートかい?」

 

えっ!?ちょ!?デデデデ、デートなんて……

 

だけどライズ君は店員さんのそんな話題に対して平然となんでもないかのように答える

 

「茶化さないでくださいよ

今回は飯食いに来た訳じゃなくてジム戦ですね」

「あちゃー、ジムテストの課題がこれの時に来ちゃったかぁ……」

「そうですね……来ちゃったんでそのままいろいろ無視してこっち来ました」

「ってことはそこまで強くなったのかい

あー、一応アオキさんから聞いてはいると思うけど注文だけはちゃんとやっておくれよ?」

「分かってますよ

さて、二人とも入るとしよ……どうしたんだ?」

「「別にー」」

 

むぅ……さすがにそんななんでもないように返されるとちょっとやだ……

 

「らっしゃっせー!ってライズ君!久しぶりじゃないか!さて用件は分かってるよ、ご注文は?」

「焼おにぎり2人前火加減強火のだいもんじで付け合わせにレモンで」

 

するとライズ君はかなり慣れたような感じでスラスラと裏メニューを答えていく

 

なんとなくそうかな?って感じはしてたけどやっぱり常連だよねライズ君……

 

注文を聞いた店員さんが店に響き渡るような大声でさっきの注文を復唱する

 

「焼きおにぎり 二人前 強火:だいもんじ レモン添えー!!!!」

 

声を聞いた厨房の料理人さんがそれを更にもう一度復唱する

 

「あいよー!やきおに2!だいもん レモぞえー!!」

 

すると宝食堂全体が大きく揺れはじめて畳のある大きな食事スペースがどんどん稼働していく

 

お客様達は地下へと潜っていきその上にはかなり分厚いバトルフィールドがせりあがって行き、すぐに戦える状態になった

 

「うぇぇぇえええ!?!?さっきの人たちは!?」

「あぁ、あの人達なら地下のモニターでバトルを観戦してるよ」

「ねぇ……もしかしてライズの家の異常な数のからくりって……」

「おう、これを見て思い付いたやつだ

さて、アオキさーん!ってまた食べてるんかい……」

 

そうライズ君が向こうの厨房付近のカウンターテーブルへと向かって呆れる

 

私達もそっちに見てみると皿がいくつも重なっているのであれ?っと思ってよく見るとそこの席に座っていたのは……

 

「すみませんね、少々手続きに時間をかけてしまいました」

 

アオキさんだった……あれ!?さっきもとんでもない量のご飯食べてなかった!?

 

「アオキさんが遅れそうになるのって毎回それが原因ですよね……」

「そうですね……直したいとは思ってますがこればかりはどうしても……

さて、雑談ばかりしていても上司に怒られてしまいますので早速始めましょうか

まずはどなたから?」

「あ、私からお願いします!」

 

元々誰からやるかは話がついていたので私がすぐに手をあげる

 

「分かりました、スカーレットさんは私と共にこちらへ」

 

私とアオキさんはそうしてバトルフィールドへと上がっていく

 

ライズ君が本気で警戒する程の人だ

これは一筋縄では行かないかもしれない……

 

「それでは改めましてお世話になりますアオキです

よろしくお願いいたします」

「胸を借りさせて貰います!」

 

アオキさんは鞄を下ろしてからネクタイを強く締め、ジムリーダー特有の威圧感を出しながらボールを構える

 

「……?威圧感がやたらと強い……

油断せずにいくよ!ボルンガ!」

「ボルァァアアア!!!」

「まずは様子見させていただきます、ネッコアラ!」

「zzzZZZZZ ……」

「寝てる!?」

 

ネッコアラ……確かライズ君の故郷のアローラ地方が主な生息域になってるポケモンで常に寝てるんだっけ?

 

か……かわいい

 

「ボル……(´・ω・)」

「あぁ、ごめんねボルンガ!

とりあえずさっそくいくよ!『アイアンヘッド』」

「ボルァァァァァァァアアアア!!!」

 

ボルンガは頭の鎧部分にはがねタイプのエネルギーを集中させて更に硬くすしてネッコアラに突撃していく

 

「ネッコアラ、横に寝返りをうって『あくび』」

「こぁぁあ~」

「嘘っ!?」

「ボルァッ!?ボル……」

 

ネッコアラは横に軽く寝返りをうつだけでボルンガの『アイアンヘッド』をほんとに最初の動きだけで回避して『あくび』を直撃させてきた

 

「ボルンガ!『ぶちかまs……」

「ネッコアラ、『ふいうち』をお願いいたします」

「こあっ」

「ボロァ!?」

「ボルンガ!?」

 

ボルンガは攻撃に移る前にかなりの威力の『ふいうち』をモロに直撃してしまう

 

「ライズ君が警戒しまくってた理由がわかった……この人……桁違いにバトルが上手い……」

 

 

 




ライズ「…………あのネッコアラに余裕でアナザーポケモン5匹全滅させられたとか言えねぇ……」
マグロ「●REC」


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少年と双子と非凡サラリーマン

 

 

レティ視点

 

 

~チャンプルタウン~

 

 

 

「ボル……ガッ……」

 

ボルボロスが『あくび』の影響で寝てしまいそうになるけど事前に持たせていたラムのみを食べて眠気を覚ました。

 

今のやり取りだけで感じた事がある……。

 

「今まで戦って来たどの人よりも戦い方が上手い……」

「ラムのみですか……抜け目がないですね

しかしラムのみは一度きりです、それをどう生かすかは貴女次第ですよ」

 

確かに……初見殺しの状態異常なんかは防げるけど……。

いや……『あくび』はあくまで強烈な眠気を与えるだけ……なら!

 

「ボルンガ、私を信じてて……」

「……!ボル!」

 

たしか『ふいうち』は明確な弱点がある。

 

「ボルンガ!『ステルスロック』!」

「ボルァ!!」

 

ボルンガは自分の体を一回転させるように尻尾を振り回すと鋭く尖った小さな石が周囲に撒き散らされる。

 

「……ネッコアラ、『あくび』」

「こぁぁ……」

「ボルンガ!無視して『ぶちかまし』!」

「ボルァ!!」

「コァッ!?」

「ッ!そう来ましたか……」

 

私はあえてあくびをわざと受けてでも攻撃するという作戦に出る。

ボルンガは確かに『あくび』の影響が出てしまうけど逆にいえばダメージを受けるわけじゃない。

だから私は『あくび』を使う時に出る技を使う動きを隙として見て攻撃させた。

 

威力は高いけどボルボロスの高い防御力が下がっちゃったから速めに決めないと!

 

私は地面へと腕を下ろすような仕草をしてボルンガに技を指示する。

 

「『アイアンヘッド』!!」

「ッ!ボルァ!!」

「させません、ネッコアラ!『ふいうち』」

「……?……???」

「不発?……まさか!?」

 

ボルンガは私の意図を上手く理解してくれて助かった……。

ボルンガは自分の頭にはがねタイプエネルギーを集中してそのまま地面へと叩きつける。

 

「ボルヴァァァァアアアア!!!」

 

振り下ろされた鋼鉄のハンマーにより凄まじい衝撃と共にフィールドに大きく罅が入る。

そしてこの衝撃でフィールドに撒き散らされていた『ステルスロック』が前方へとかなりの量吹き飛ばされる。

 

「コァッ!……こぁ……」

 

吹き飛ばされた『ステルスロック』はまるで銃弾のようにネッコアラへと打ち付けられていき、戦闘不能へと追い込んだ。

 

「ネッコアラ、よくやりました……

まさかステルスロックを攻撃に応用するとは……」

 

正直賭けとしてはかなり部が悪い部類だったと思う。

現に今ボルンガは地面に頭を打ち付けながら……。

 

「zzzZZZ………」

 

凄い満足そうな顔をして寝ているし。

 

頭を地面へと打ち付けた衝撃で目を覚まさないかなと思ったけどボルンガの頭が堅すぎるのか『あくび』の効果がそれだけ強いのかは知らないけど『ねむり』状態になってしまった。

 

私は観客席のヴィオ姉とライズ君を見ると二人とも感心したような顔をしていた。

 

「本来の使い方をしない『ステルスロック』……前に教えた事をもう実践するなんて……」

「俺はあれに数匹やられたんだがな……レティ!その調子だ!」

 

えへへ……二人とも褒めてくれてるしもっと頑張らないと!

 

「ボルンガ、お疲れ様

出てきて!イダイナキバ!」

「ファァァァアアアンド!!」

 

私は寝てしまっているボルンガを戻してイダイナキバを繰り出す。

この子の名前ほんとどうしようかなぁ……。

 

「おや……?先程のポケモンはもうよろしいのですか?」

「はい、眠っちゃってる上に『ぶちかまし』で耐久力も下がっちゃったのでこれ以上無理させるわけにもいきませんし」

「そうですか……よい判断です

出てきてください!ノココッチ!」

「ノコノコ~」

 

…………え?ノココッチ?ノコッチじゃなくて?

 

「……あ!なんか節が増えてる!?」

「……最近発見されたノコッチの進化です

条件が特殊なのでなかなか発見されなかったようですけどね

さて、ノココッチ!『ハイパードリル』!」

「ノコォ!」

 

アオキさんの指示でノココッチの尻尾が高速回転を始める。

するとその先端にあるドリル状の尻尾が……。

 

「コッ!!」

「ファァン!?」

「嘘ぉ!?」

 

まさかの発射されてきた!?

発射された尻尾は私とイダイナキバが慌てている間に直撃してしまって大爆発する。

 

「けほっ!?けほっ!?なんですかその技!?」

「ファァァアン!?」

「最近野生の個体等が次々と覚えるようになった『ハイパードリル』というノーマル技です。

ノココッチへの進化にはこれが必要でして……」

 

それにしたっていろいろおかしくなかった!?

ってかノココッチの尻尾の先端がなんかもうニョキッて生え変わってる!?

 

「イダイナキバ!『にほんばれ』!」

「ファァァンド!!」

 

イダイナキバが空に擬似的に強いひざしを作り出して『はれ』の状態にする。

その光を自ら吸収したイダイナキバは特性『こだいかっせい』を発動させた。

 

「……ノココッチ『ドリルライナー』」

「ノココッ!」

 

今度はノココッチが全身を回転させて突撃してくる。

 

「イダイナキバ!受け止めて!!」

「ファァァァアアアンド!!!!」

「ノココッ!?」

「『ボディプレス』!!」

「ファァァンド!」

「ノコォォォオオオ!?!?」

 

ノココッチはその一撃で戦闘不能に追いやられる。

アオキさんはイダイナキバが技を二発直撃してもびくともしないこの耐久力に驚いていた。

 

「『ボディプレス』を確実に決める為にわざと攻撃を受けとめさせた訳ですか……

どうやらジムで使うポケモンの強さ基準を大きく超えているようですね……

これは私も気を引き閉めなくては……」

 

そう答えたアオキさんはネクタイを閉め直して最後のボールに手をかけた。

 

 

 




ライズ「長くしすぎだ……」
マグロ「いやぁ……戦闘描写凝ろうとしたのも原因の一つだけど……前話でちょっと話ずらしすぎて尺の問題出てきた(´・ω・)」
ライズ「ザボアザギル……」
マグロ「イヤァァァァァア!?!?呑まないでぇぇぇぇぇえええ」


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少年と双子と二つ名★

 

 

ヴィオ視点

 

~チャンプルタウン~

 

 

 

やだ……私の妹強くなりすぎ……!

 

「それにしてもレティ……状況をよく把握してるな」

「えぇ……あの子昔から集中した時の周囲の観察力はずば抜けていたもの……

まぁ気が抜けてる時はうっかりをよくやるのだけどね」

「…………気を抜いてる時のはお前も人の事言えないぞ」

「うぐ……」

 

地味に言い返しにくいことを……。

 

私達がそう話しているとついにアオキさんが最後のポケモンを繰り出す。

 

「上司に詰められるよりはまだまだ余裕がありますね

行ってください!ムクホーク!!」

 

「ホーーーク!!」

「ファン……!」

 

ムクホークが出てきた瞬間、若干イダイナキバが後ずさったわね……。

 

「「『いかく』ね(だな)」」

 

私達の意見は一致する……なんか若干嬉しく感じている私はもう手遅れなのかしら?

 

すると宝食堂にどんどんいろんな観戦客が雪崩れ込んでくる。

そして料理人のおばちゃんがアオキさんな渇を入れる。

 

「コラー!アオキさん!シャキッとしなさいよ!

腹ペコのお客が待ってるよ!いいとこ見せてちょうだい!」

「「「アオキさんも学生さんもどっちも頑張れー!」」」

 

アオキさんは若干嬉しそうな顔をしながら溜め息をついて屈伸を始めた。

 

「……との事です、ちょっとはサービスしますかね」

 

するとアオキさんはテラスタルオーブを取り出して力を込める。

投げられたテラスタルオーブがムクホークをクリスタルで包み込んでから砕け散り、中からダイヤモンドを象った冠を頭に付けたクリスタル化したムクホークが現れた。

 

「ホォォォオオオオク!!!!」

「負けないよ!イダイナキバ!『こうそくスピン』!!」

「ファァァァンド!!!」

「ムクホーク、受け止めなさい」

「ムクッ!ホーーク!!」

「ファン!?」

「嘘!?そんなあっさり!?っ!!そっか!『いかく』で一番高い能力が弱くなっちゃってるから補正が殆ど意味ないんだ!?」

 

そう、レティの最大の誤算はこれね。

確かにパラドックスポケモンの『こだいかっせい』や『クォークチャージ』は強いけれど調べてみたらこれは能力変化じゃない。

倍率で能力を強化する形みたいでその変化量は元の能力に左右されるけどそれを下げられれば変化量も必然的に下がってしまう。

 

「社会人お得意の技!見せてあげます!

ムクホーク!『からげんき』!!」

「ホォォォオオオオク!!!」

「ドンファァァァアアアア!?!?!?」

「イダイナキバ!!」

 

ムクホークの一撃で吹き飛ばされたイダイナキバは一撃で戦闘不能になる。

いくらタイプ二重一致とはいえ防御力の高いイダイナキバを簡単に倒すなんて……いや、ノココッチのダメージが響いたかも知れないわね……。

 

「ごめんね、ゆっくり休んでて

よーし!行くよ!レギィ!」

「レギァァァァァアアアア!!!」

 

するとレティはセルレギオスのレギィを繰り出す。

これを見る限り空中戦で決めるつもりなのだろうけど……ここそんなに広くないのよね……。

 

「行くよレギィ!テラスタル!!」

 

レティもついにレギィへとテラスタルを使う。

するとレギィは全身をクリスタルへと変化させて頭部に風船を模した冠を付けていた。

 

「レギァァァァァアアアア!!!」

 

全身の鱗を逆立たせてる辺りレギィも本気ね……。

 

「レギィ!『アクロバット』!!」

「ムクホーク!『からげんき』!!」

 

二匹の冠が輝いて渾身の一撃同士がぶつかり合う。

 

大きな爆発と同時にパキンッ!とテラスタルが解除された音が鳴り響く。

でも砂煙からはまだテラスタルの光が輝いていた。

つまりまだ片方は耐えきっている!

 

「どっちかしら……」

 

だんだん煙が晴れていくとそこに立っていたのは……鱗の剥がれまくったレギィだった!

 

「レギァァァァァアアアア!!!!」

「やったぁぁぁあああ!!!」

「これは一杯食わされました……」

 

おめでとう!レティ!

 

_________________________________________________

 

 

ポケモンを回復して私やライズとのジムバトルもやってもらったけどほんっきで強かった……ライズが後回しにする訳だわ……。

 

「さて、皆さんはアナザーポケモンとの戦いもご所望なのでしたね」

「やっぱり持ってますか」

「ええまぁ……といっても先日捕まえたばかりのじゃじゃ馬でして……誰から始めましょうか?」

「それじゃ私からお願いします」

 

私はすぐに挙手をした。

ノーマルタイプのアナザーなんて嫌な予感するもの……。

 

「珍しくヴィオがやる気だしてるな」

「ヴィオ姉頑張って~!!」

「さて、では始めましょう……」

 

私の心配が杞憂ならそんなに強くないけど心配通りならライズ達だと何も情報無しはきついと思って私はシュニンを繰り出す。

 

「ンガァァアァアアアア!!!!!」

「それでは私も行かせていただきます

行きなさい!!アオアシラ!!」

「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

 

そのポケモンは青という名前が付いているもののあまりにも……紅すぎた。

 

 

やっぱりぃぃぃぃいいいいい!?!?!?

 




マグロ「アナザーポケモンの紹介になります。」

アオアシラ(ベニカブトのすがた)
ノーマル・かくとうタイプ
アナザーポケモン

H:110
A:140
B:80
C:60
D:90
S:120


『??????』「かくとう」
『???????』「ノーマル」
『??????』「ノーマル」
『?????』「ノーマル」


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少年と双子と紅き兜

 

 

レティ視点

 

~チャンプルタウン~

 

 

「アオアシラ……リングマに近い感じのするポケモンだけどあの腕はヤバそうだなぁ……。」

 

「うげぇ!?紅兜ォ!?」

「おや?彼女はこのポケモンについて何か知ってるのですか?」

「あー、ヴィオ姉はヴィオ姉で独自に色々調べてるみたいで私達が知らないような情報を仕入れてくる時があるんです。」

 

私はアオキさんに対してなんとか誤魔化す。

誤魔化しきれてるか若干怪しいけど……まぁヨシッ!

 

それにしてもヴィオ姉はアオアシラではなく紅兜と呼んでいた……。

多分あのアオアシラはリージョンフォームか何かの一種だと思う。

 

「いくよ!ボルンガ!」

 

私は様子でいろんなタイプへの耐性の高いボルンガをくりだす。

 

アオアシラ……今その名前を聞いて思い出したけど確か向こうの世界でもかなり弱い部類の大型のポケモンらしい。

でも……目の前のこのアオアシラはとてつもない威圧感を感じる。

それもあの獰猛化ハブルポッカよりもかなり強い威圧感を感じる。

なんというか……あの古傷だらけの姿を見てるとそれだけの激しいバトルを何度も行ってきているというのが分かる。

 

「ボルンガ!『どろあそび』!」

「ボルァ!!ァァァアアア~♪」

 

ボルンガが強く地面を踏みしめるとそこに大量の泥が現れる。

ボルンガはその泥を纏う為に泥の池にゴロゴロとし始めて姿を変化させる。

 

「泥と金属による二重の鎧ですか……固そうですね。」

「実際に硬いですよ!ボルンガ!『マッドブラスト』!」

「ボルァ!!」

 

ボルンガは頭を地面に振り下ろすとシャベルのような役割を持った頭部に溜まっていた泥の塊がいくつも発射される。

 

「ォォアア!!」

 

だけどアオアシラは技を使わずにその腕を振り払うだけで『マッドブラスト』無力化してしまう。

 

「きゃっ!?」

 

アオアシラの腕を振り払う動作だけで凄い風圧が発生して私の所まで強風が届いていた。

なんてパワーをしているんだろう……。

 

「アオアシラ、貴方の歴戦の技を見せてあげましょう。

『インファイト』。」

「ォォア!!」

 

するとアオアシラは腕を構えて片足を曲げた状態で上げる凄く見覚えのあるフォームをする。

すると片足だけだというのに残像が見える程の速度でボルンガへと近付いていく。

「ボルンガ!体を丸めて!!」

「ボルッ!!」

「ォォァァァアアア!!!!」

 

ボルンガがギリギリで体を丸めて防御姿勢になった辺りでアオアシラが0距離までもう近付いて来ており、目にも止まらぬ程の凄まじい連撃を放つ。

 

「ッ!?ッ!!ッ!!」

 

ボルンガはなんとか泥と金属の鎧で耐えてはいるけど明らかにダメージが大きい。

弱点ってだけじゃない……これは……!

 

「かくとうタイプがある!?」

「ォォアア!!!」

「ボルァ!?」

 

最後の一撃で体を守っていたボルンガの体勢が崩れて大きく後ずさる。

 

「『ギガインパクト』!」

「ォォォォォオオオ!!!!」

「『アイアンヘッド』!!!」

「ボルァァァァアアア!!」

 

アオアシラが全身に凄まじいエネルギーを発生させて光となる。

ボルンガはそれを待ち構えて頭部を振りかぶり鉄槌のごときその額で迎え撃つ。

 

「ボルッッッ!!!ァァァアアアアア!!!!」

「アオァァアア!?!?」

 

なんとかボルンガはギガインパクトの威力を相殺しきったけど今回のは周囲の泥でアオアシラが上手く踏ん張れなかったのが最大の原因みたい……。

これは本気できついかも……それに相殺は出来たとはいえ反動で返ってきたダメージが大きすぎる。

 

「ボルンガ!動ける!?」

「…………ガッ……ボル……アッ!」

 

ボルンガは最後の力を振り絞って立ち上がる。

けどこの様子だと次の一撃で戦闘不能になっちゃいそうだなぁ。

けどアオアシラが反動で動けない今しかチャンスは無い!!

 

「最後の一発だよ!ボルンガ!『ぶちかまし』!!」

「ルゥゥゥウウアアアアアアアアア!!!!」

「オァァァァアアアア!?!?」

 

ボルンガが地面へと頭部を叩きつけてめり込ませる。

そのめり込ませた頭部が地面を掘り起こし、フィールドを抉りとりながらボルンガは突撃してアオアシラにアッパーを食らわせた。

 

アオアシラは大きく後方へと吹き飛ばされるけど受け身を取って簡単に立ち上がっていた。

肝心のボルンガは……。

 

「……………」

「頭を振り上げたまま気絶してるわね……」

「元々立ち上がるのでさえギリギリだったんだろう。

これはレティとボルンガの根性の賜物だ。」

「ごめんねボルンガ……しっかり休んでて。

出てきて!レギィ!」

「レギュァァァアアア!!!」

 

するとアオキさんが若干嫌な予感がするくらい暗い顔になる。

 

「ふむ……先程の借りは返せそうですが……まずは仕切り直しとしましょう。

アオアシラ、『ハチミツぐい』」

「ォォアア♪……ペロペロ」

 

すると何処から取り出しのか分からないけどアオアシラがハチミツのつぼを取り出して自分の手を入れて掬い、とても幸せそうに舐め始める。

 

すると……みるみるうちに傷が塞がっていく。

 

「「「「なんで!?(レギァ!?)」」」」

 

 

私達の心は一つになった。




マグロ「紅兜の最後の技枠もオリジナルの技となっておりますのでお楽しみにw」
ライズ「なんでハチミツで傷が治るんだよ……」


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少年と双子と弱肉強食★

すみません……なかなか戦闘シーンに悩んで遅れました。


 

 

レティ視点

 

~チャンプルタウン~

 

まってまってまって!?流石にその回復は不味いって!?

 

「レギィ!『スケイルショット』!!」

「レギァ!!」

「あっ……。」

 

レギィが全身の鱗を逆立たせて鱗を発射する。

飛ばされた鱗は弾丸の如くアオアシラへと降り注いでハチミツのツボを割り、回復をやめさせる。

だけどこれによりアオアシラの全身にある血のように紅い深紅の体毛が逆立ち始める。

 

「ッ!ォォォォォオオオアアアアアアアアア!!!!!」

 

アオアシラの咆哮が宝食堂どころかチャンプルタウン全体にすら響くのではないかという程の大音量で響く。

私はあまりの声の大きさに耳を塞ぎ立っていられなくなる。

 

「あー……やっちゃいましたね……。

アオアシラの『どはつてん』です。」

「『どはつてん』ですか?」

「えぇ……この技を使ったアオアシラは制御不能ですよ。」

 

アオアシラの目が赤く染まっており、明らかに激怒しているのがよく分かる。

 

「レギィ!『シューティングスター』で牽制して!!」

「レーーギュァァァアアア!!!セルッ!?」

「ォォォォォオオオアアアアアアアアア!!!!!」

 

アオアシラが自分へのダメージを完全に無視してレギィへと向かっていく。

なんなら直撃した『シューティングスター』に至ってはダメージを受けて怯む様子すらない。

傷自体は付いてるからダメージはあるんだろうけどこれ相当不味い!?

 

「グォウッ!!ォオオ!!!ァァァァアアア!!!」

「ギュッ!ギアッ!?セルアッ!?」

 

アオアシラがその鋭い爪を振り下ろす度にかまいたちが軽く発生している。

攻撃自体はかなりめちゃくちゃだけど一撃一撃を行うごとに威力が明らかに上がってる!?

 

「レギィ!『アクロバット』!!」

「レギァァアアア!!!ギュァッ!?」

「レギィ!?」

 

私はレギィに『アクロバット』を指示するけどアオアシラはまるで何も感じてないように攻撃を受けながらレギィの尻尾を掴んで投げ飛ばした。

 

「ォォォォォオオオアアアアアアアアア!!!!!」

「ギッ!?レギュアアッ!!!」

 

レギィはなんとか立ち上がるけど壁がかなり陥没してるから凄いダメージがレギィに入ってるはず……

 

「そういえばヴィオ姉が相手の力を利用して投げ飛ばしたりする技があるって言ってたっけ……よし!」

 

問題はどうやってチャンスを作るかだけど……

 

「ォォォォォオオオアアアアアアアアア!!!!!」

 

アオアシラがレギィへと走り出してその爪を振りかぶる。

 

「レギィ!攻撃の勢いを利用して腕に噛みついて投げて!!」

「レギュッ!?ァァァァアアア!!!!」

「オアアアアア!?!?」

 

私の言ったことをレギィは少し困惑しながらも行ってくれた。

レギィは振り下ろされた腕に噛みついてその勢いを利用してして地面へとアオアシラを叩きつけた。

 

「レギ……ァァァァアアア!!!」

「レギィ!『げきりん』!!」

「ァァァァアアア!!!!!」

「アオアシラ!『どはつてん』!」

「ォォォォォオオオアアアアアアアアア!!!!!」

 

地面に自分の力を利用して投げられたアオアシラは明らかに動きが鈍くなっていた。

レギィの『シューティングスター』でそこまでダメージが入って無かったってことはそういう事なのだろう。

 

レギィとアオアシラが暴走状態になりながらの殴り合いが続く……ただこの光景をみてて正直私には思うところがある。

 

「ここってかくとうジムじゃなくてノーマルジムでしたよね……。」

「まさに怪獣大戦争ね……。」

 

ヴィオ姉がなんか言ってるけどキコエナーイ……

 

「レギィ!!」

「アオアシラ!!」

「レギュァァァァァアアアアアアアアア!!!!!」

「ォォォォォオオオアアアアアアアアア!!!!!」

 

アオアシラが殴り、レギィが尻尾で凪払う。

アオアシラの強靭な爪がレギィの何重にも重なった刃鱗を何枚も切り裂く……だけどレギィはその切り裂かれた鱗すらも攻撃に使ってアオアシラへと猛攻を加えていた。

だけど勝負はすぐに決まる。

 

「レギュァァァァァアアアアアアア!!!」

「ッ!?ォォォォォオオオアアアアアアアアア!?」

 

レギィが先程の要領でアオアシラの腕に噛みついて投げ、地面へと叩きつける。

そのまま地面へを引きずるように振り回して投げ飛ばした。

 

「ガッ!?ォオオ……」

 

アオアシラがめり込んだ壁から出てくるとそのまま前のめりに倒れていった。

目を見れば気絶していることがわかった。

 

「レギュァァァァァアアアアアアア!!!!!!

 

……ァァアア……!」

 

レギィは勝利の咆哮をあげたけどそのまま力尽きてしまった。

 

「両者戦闘不能。

倒れたのはアオアシラが先ですのでスカーレットさん、貴女の勝利ですね。」

「やったぁぁぁぁぁあ!!!」

 

正直今回はかなり危なかった……ありがとう!レギィ!ボルンガ!!

 

「とりあえず一段落しましたし少し休憩にしましょうか。

お二人はその後で。」

「わかったわ。」

「それで構いません。」

 

とりあえず私はレギィをボールに戻してからすぐに治療をして皆を労うことにした。

 

 




マグロ「アオアシラの新技紹介」

『ハチミツぐい』

ノーマル 変化 PP5
・最大HP1/3を回復
・持ち物にミツがあればその種類によって能力が上がり、HPが1/2回復する。(食べたら無くなる。)

『どはつてん』
ノーマル 物理 威力90 命中100 PP5

・使う度に『こうげき』が一段階上がる。
・げきりんのように一度使うとしばらく同じ技を使い続ける
・技を使い終えると1ターン反動で動けなくなり、こんらん状態になる


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少年と双子と次のジム

すみませんが二作品同時での執筆になるといい加減午後5:30にこっちを投稿するのがきついんで次回から0時投稿に変更させて頂きます。


 

 

ライズ視点

 

~ハッコウシティ~

 

 

「はぁ……こっぴどくやられたな……。」

 

結局俺達もあの後にアオキさんに挑んだんだが結果は散々なものだった。

 

ジム戦は俺がザボアザギル、ウロコトル、を突破されてバサルモスでギリギリ勝利。

ヴィオはまさかのシュニン、テツノワダチ、パーモットを突破されてオトシドリでギリギリ勝利。

 

アオアシラ戦に至ってはほぼ壊滅状態にさせられてなんとか相討ちまで持っていった。

 

「そうね……それにしてもわたしに関しては『イカサマ』をオトシドリに覚えさせてなかったら確実に負けてたわね……。」

 

今はハッコウシティの俺の自宅に集まって次の目的地の話と今回の反省会をしていた。

丁度良いので俺はヴィオが言っていた『紅兜』……『二つ名』という個体について聞いてみることにした。

 

「なぁヴィオ、『紅兜』……『二つ名』ってのは一体なんなんだ?」

「……向こうの世界において通常の種と生物学的には同種ではあるけど厳しい生存競争の中独自の進化を遂げた桁違いの強さと全く違う姿の個体よ。

『特殊個体』にはいくつか分類があるのだけどその中でも『二つ名』の個体はそこそこ数がいるポピュラーな個体で強さもかなりバラバラなのが特徴ね。

最も強い個体ならばただその場に居るだけで災害を引き起こす古龍と同等以上の個体も居るから狩猟には特別な許可を必要とする程ね。」

「『特殊個体』か……」

「ある意味私のダルシムなんかも特殊個体なのだけどね。

とはいえまだ幼体だから微妙な所なのだけど。」

 

あいつも特殊個体なのか……なら……。

 

「俺のバサルモスはどうなんだ?あいつだけ群れのやつらと違ったが……。」

「残念ながら特殊個体じゃなくて亜種の扱いね、ただ亜種が成長しきった個体はまだ発見されてないから……貴方のバサルモスが進化すればそれは完全な新種ということになるわね。」

「新種……か。」

 

俺はバサルモスの入っているヘビーボールを見ながらそう呟く。

 

「とりあえず今日の反省をしましょうか。」

「そうだな……今は考えても仕方ない……。

それにしてレティ……よくアオキさん相手に被害それだけで済んだな……。」

「えへへ~!ヴィオ姉の知識のバトル知識を参考にしてみたんだ~!」

「確かにやり方事態はゲームの頃のやり方とにたような感じだったわね。

わざと攻撃を受けさせるなんてこの世界の人にはあんまり考えられない行動だから驚いちゃったわ。」

 

ゲームだからあり得た戦法と現実だからあり得た戦法か……おそらくこの逆の例もいくつかありそうだな。

後で俺もヴィオから色々と聞き出すとしよう。

 

「そういえばレティ、ボルンガもレギィも尋常じゃないダメージ受けてたけど大丈夫だったの?」

「あー、ボルンガの方は大丈夫なんだけどレギィが無茶しすぎだってジョーイさんに怒られちゃって今は安静にしてる必要があるんだって。

明日にはボールから出しても良いって言われてるからそれまでの辛抱かな。」

「……お互いに暴走状態になるような技での殴り合いだったからな。

あの手の技は制御が効かない分やりすぎてしまう事例が頻繁に報告される。

確かに威力が高いが出来るだけ使い所は見極めておけよ?」

「うん、わかった……レギィ……本当にお疲れ様。」

 

そう言ってレティはレギィの入ったモンスターボールを撫でて労う。

ボールもレティに反応したのか若干揺れていた。

 

「まぁ正直今回の一番の壁はアオキさんだった……あの人はジムリーダーとしての技術だけならパルデアで一番なんだよ……。」

「……やっぱり?」

「あの人はシンプルな強さもあるけど恐ろしいのはその搦め手と単純なパワーによるごり押しの使い分けが上手いことなんだよ……。

とはいえ次のジムリーダーも油断は出来ないぞ。」

「次は何処に向かうの?」

「実力順で考えりゃまぁナッペ山に向かうのが正解なんだがな……南6番エリアの洞窟を通ってベイクタウンに向かう。」

「そうなると次はエスパージムな訳ね……。」

「あぁ、先に言っとくがエスパータイプが相手だからと安易にあくタイプで行くなよ?」

「どういうこと?エスパータイプの技が効かないんだしこっちのが良くない?」

「あの人の手持ちの半分がタイプ一致フェアリー技使ってくるから一撃で沈められるぞ。」

「「あっ……」」

「まぁ対策が無いって訳でも無いんだが……一番有利を取りやすいのはむしタイプだな。」

「私は……ボックスに居る虫タイプで使いやすそうなのはエクスレッグだけどフェアリー技が重いわね……。

ちょっと高いからあんまり買いたくなかったのだけどあれの購入を検討するべきかしら……。」

「あれ?なんのこと?」

「……正直この世界でこの戦法が通じるか全く分からなかったから検討する気にはならなかったのだけどね……。

『きあいのタスキ』を利用した戦法よ。」

「「…………アレかぁ……」」

 

俺とレティは思わず苦笑いを浮かべた。

 

この世界において『きあいのタスキ』とは……やたらと購入に必要な金額が多い割には使うようなタイミングがあまり無い道具だったからだ。

 

 




ライズ「きあいのタスキがあまり使われない理由?
バトルやってると余程の事が無い限り一撃でやられるなんて無いんだよ……」
マグロ「まぁゲーム世界の場合対戦での強さが固定だったからこそ価値の高いアイテムではあったんだがね……。」


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少年と双子と南6番エリア

 

 

ヴィオ視点

 

~南6番エリア~

 

 

私達は昨日の反省会で話した次の目的地、ベイクタウンへと向けて南6番エリアの山へと来ていた。

前に行こうとしたけどライズに止めとけって言われてそれっきりだったのよね。

 

するとライズが洞窟の目の前で何故か降りたので私達も降りる。

 

「ここが南6番エリア……ベイクタウンへ向かうための洞窟ね……。」

 

するとライズはボールにガーグァを戻してしまった。

どういうことなのかしら?

 

「あぁ、先に言っておくが二人ともライドポケモンはボールに戻しておけよ?」

「え?どういうこと?」

「「アギャ?」」

 

確かに……あの子達の足なら普通のポケモン相手なら逃げられるしこの洞窟の中歩いていくより楽なのだけれど……。

 

「ここの洞窟なんだが結構好戦的なポケモンが多い。

代表的なのと言えばガバイトやジヘッドなんかがそうだな。

だが地面からはダクトリオが襲ってくる上に空中からはキラーメ達が『じばく』を使ってくる。

この辺ははエリアゼロやナッペ山に次いで危ない危険地帯なんだよ。」

 

なにその地獄絵図……でもそれはそれとしてガバイトとジヘッドはなんとしてでも捕まえたいわね……進化すればかなり強力な600族になるもの。

するとライズが私をジト目でみてくる……な、何よ?

 

「……先に言っとくが強力なポケモン欲しさに一人で突っ走って戦うなよ?」

「ギクッ!?」

「ヴィオ姉……。」

「し……仕方ないじゃない!ジヘッドもガバイトもその進化系がすっごく強いんだもの!!」

「気持ちは分からない訳じゃないが状況を考えて動けってことだよ。

唯でさえ登るだけでも疲弊するようなエリアでしかもどいつもこいつも強いんだ、複数と出会せば連戦が続いて面倒な事態になる。」

「うっ……確かに……特に好戦的なあの二匹ならバトルの音を聞き付けてこっちに勝負を仕掛けてきてもおかしくはないわね。」

 

そう、この世界のジヘッドやガバイトはかなり好戦的な個体が多くて勝負の音を聞き付けた他の個体が乱入する事態も全く珍しくないと言われる程だ。

実際問題その連戦に耐えきれなくて大怪我させられたって言うニュースもそんなに珍しく無いのよねぇ。

 

「特にキラーメの『じばく』は一番警戒しとけ、あれはかなりの爆音と光が発生するから確実に場所がバレる。」

「しかも洞窟の中だから危ないもんね。」

 

だけどレティのそんな言葉にライズは予想外な答えを言う。

 

「いや、そっちはそんなに心配いらない。

まぁ入れば分かるだろう……。」

 

そういってライズは一人洞窟へと入っていく。

 

「あ!ちょっと置いていかないでよ!」

「あー!二人とも待ってよーー!!」

 

_________________________________________________

 

「嘘……。」

 

私は洞窟に入ってからしばらくすると信じられない光景を目にした。

 

「なんて大きい洞窟……確かに『じばく』で崩れる心配はいらない訳だわ……あまりにも空洞が広すぎるもの。」

「ねぇ、ここの壁とかの岩とんでもない硬さだよ!」

「山の上にはバンバドロとかも普通にいるからな、そいつらが定期的にバトルなんかもしてるから地面への負担がえげつないんだ。

だからこの洞窟は尋常じゃない程岩盤が硬い。

まぁこの洞窟を作り出したのもポケモンらしいがな……一体何の目的で作ったのだか……。」

 

ライズは一人で考え込み始める。

こうなると長いのよね……。

 

「ほらほらライズ、ここで考えても仕方ないわよ。

それよりも早く行きましょう。」

「あ、ライズ君道とかは分かるの?」

「ん?あぁ、問題ない。

ポケモンレンジャー達が設置した目印に沿って移動さてしてれば危険度はそこそこ下がる。

あの辺はレンジャー達が定期的にスプレーを撒いてるからな。

ただ中にはスプレーの臭いに慣れて普通に襲いかかってくるやつもいるから油断はするなよ?」

「わかった!でも目印って?」

「そこに松明が設置してあるだろ?あれに沿っていく。

一応遠回りっちゃ遠回りだが追いかけ回されながらよりはマシだよ。」

「へぇー、あ!見て見てヴィオ姉!ストリンダー!」

 

ライズに感心するように納得していたレティだったけど向こうにいる故郷のポケモンを見て目の色が変わったわね……。

でも確かにストリンダーは懐かしいわね。

 

「この辺はちょくちょく見かけるぞ、たまに人間の前に出てきて自分の演奏を聞いてもらおうとしてくる時があるからある意味このエリアのマスコット的な存在だな。」

「あ、確かに向こうは誰かの目の前で演奏している子もいるわね。」

「あー、あっちにはたくさんのガバイトと一緒に演奏してるよ!!」

 

ゑ?

 

「レティ……今……。」

「…………アウトだ。」

「へ?え?どういう……!?」

 

レティがガバイト達へと指を向けて少し大声で喋ったのもあってあっさりと気付かれた。

 

「「「…………」」」

「逃げるぞ?」

「うん!!」

「ええ!!」

 

私達は全力で走って山を登っていった。

 

あ、まってちょっと息が!?

 

私は運動苦手なのよ!?

 

 




マグロ「いやホントに悩んだ……モンハンモンスターに超能力関係の基本いないし……なかなか決まりにくかったわ……
何が選ばれたかは今後のお楽しみに。」


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少年と双子とベイクタウン

スミマセン寝落ちして投稿しわすれましたぁ!?


 

ライズ視点

 

~ベイクタウン~

 

俺達はしばらく南6番エリアでジヘッド達に追いかけ回されたりして結局連戦をする羽目になってしまい、予定よりも到着が大きく遅れてしまった。

 

結局その日は野宿して一日を過ごして翌日にベイクタウンへと到着した。

 

「ねぇライズ君、今回のジムって本来のジムの順番を考えると二番目に強いんだよね……流石に修行とかした方がいいかなぁ?」

「いや、正直リップさんとアオキさんならこの前戦ったアオキさんの方が圧倒的にキツかったからどっちかというとこの辺はポケモンの強さが基準になるんだ。

そこだけならまぁアナザーポケモンを持っている俺達ならそんなに問題は出ないんだ。

アオキさんがあんまり評価されないのはあの人がそこまで本気を出すことをしないからだな……。」

 

俺はレティの質問に対してこの前戦ったアオキさんを思い出して青い顔をしながら答えた。

 

「……ねぇ?嫌な予感がするのだけど……もしかしてあの時のアオキさんって……。」

「……あの人にしては珍しくガチで叩き潰しに来てたぞ。」

「頭痛くなってきたわ……。」

 

あの人技術だけで見ればパルデアでも最上位だからなぁ……なんならトップよりも技術は上らしいし。

 

「って事は……。」

「正直リップさんと本気でのアオキさんならアオキさんのが強いからな……まぁリップさんはリップさんで弱点のタイプのポケモンを使おうとすると徹底的に対策されてるせいで逆にカモネギにされるわけだが……。」

「アオキさんはむしろ真っ向から絡め手でねじ伏せてネギガナイトにしそうね……。」

「ネギガナイト?カモネギは進化しないだろ?」

「え?するよ?」

 

んん?

 

「「「あれ?」」」

 

やっぱり出身の地方が違うと変に話が食い違う時があるんだよなぁ。

 

ジム施設に入ってみるとそこにはジニア先生が居てしばらくアナザーポケモンの生態についての話で盛り上がった。

 

「いやー、やっぱりライズ君の考察は面白いですねぇ。

ボクと違ってライズ君は実際に目で見て日頃の行動等からちゃんとした論文に仕上げるんだからスゴいですよ。

普通はポケモンの性格とかも出るから個体差がかなり大きく出てしまうのですが……同じデータを100以上取ることでしっかりした情報を得ていますから。」

「それを言うならポケモン図鑑をスマホロトムのアプリとして誰でもダウンロードして自分で図鑑を作れるようにしたジニア先生だってスゴいですよ。

俺の知り合いの博士達も称賛していましたよ?」

 

正直専門的過ぎる話が続き過ぎているのでレティとヴィオにはジムテストの登録手続きを頼んである。

流石にあの二人がこの話に加わろうとすれば『オーバーヒート』するのが目に見えてたしな。

 

そう思っていると受付の方から二人が戻ってきた。

 

「終わったよー!」

「ジムテストはエクササイズですって、施設の隣にある広場で黒いジャージの女性から話を聞い欲しいって言ってたわよ。」

「わかった、それじゃディスカッションはまた次の機会に。」

「そうですか……残念ですが仕方ありませんね。

あぁそうそう、あとでキハダ先生によろしく伝えておいてください。」

「キハダ先生に?わかりました。」

 

なぜキハダ先生に?一応ジムが終わったら学校に戻ってみるか。

 

俺はそう思って三人とジム施設から出た。

 

 

_________________________________________________

 

ヴィオ視点

 

 

「そういうことだったかぁ……。」

 

私達はジムテストでの説明を受けるために隣の広場に向かったのだけど……黒いジャージを着た女性……その条件に合う人を見つけたライズは顔を手で押さえてそう呟くように言っていた。

 

うん、まぁ正直ずっとこの服装以外見ない人で条件に合う人が私達の知り合いに一人いたからもしかしてとは思っていたのだけど……。

 

「……え?キハダ先生?」

「お?ようこそ転入生達!

『喜怒驚楽エクササイズ』へ!」

 

そこにはチャーレムと共に沢山の人達とエクササイズをしていたキハダ先生の姿があった。

 

「なにやってるんですかキハダ先生……。

それ以前に先生ってバトル科の先生ですよね?

なんでここでエクササイズのインストラクターになってるんですか……。」

 

流石のライズも首を傾げながらそうキハダ先生に聞いていた。

 

「いやー、ジムリーダーのリップと私は子供の頃からの付き合いでね。

負けた方が勝った方の言うことを聞くってルールでポケモン勝負してその……ゴニョゴニョ。」

「そりゃかくとう使いのキハダ先生とエスパー使いのリップさんならリップさんのが圧倒的に有利でしょうに……。」

「うぐっ……そうなのだけどね。

ま!身体作りにもなるし授業がない時に手伝ってるんだよ!」

「つまり割と日常的に負け越してる訳ですか……。」

「おぐあっ!?」

 

キハダ先生が軽く崩れ落ちた。

おもってたのだけどライズ…….貴方って偶にかなりの猛毒を吐くわよね……

 

 

 




ライズ「………作者」
マグロ「はい……」
ライズ「もう少し睡眠時間増やしとけ」


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少年と双子と謎過ぎるエクササイズ

 

 

レティ視点

 

 

~ベイクタウン~

 

 

 

「それではジムテストを始めるぞ!

心と体の準備は良いか?」

「「「はい!」」」

 

ライズ君がニャンター、ヴィオ姉がダルシム、私が体系的にニャローテが更に進化したマスカーニャを出そうとしたんだけど……。

 

「大丈夫にゃ!」

「ギギッ!」

「ボルァ♪」

 

なんかボルンガがマスカーニャを出す前に自分から飛び出して来ていた。

 

今までこの子のお世話をしてきていて気付いたけど……この子割と子供っぽい所があって遊ぶのとか楽しそうな事があると目を輝かせて出てくるんだよなぁ。

まぁそんな所が可愛いんだけど。

 

私達の返事を確認するとキハダ先生が楽しそうにジャンプする。

 

「それではレッツエクササイズ!!

感情を爆発させてくれ!」

 

あの……エクササイズですよね?

感情を爆発ってどういうことですか!?

 

とりあえず私達はキハダ先生の指示した場所へと移動する。

 

「このエクササイズには基本的に決まった動きみたいのは無いんだ!私とチャーレムが出すお題と同じ感情を爆発させてくれ!!」

 

いやまって意味わかんないですよ!?

 

「よし!じゃあまずは思いっきり驚いてくれ!!」

 

キハダ先生がそう言うとチャーレムはとんでもない表情になる。

 

目が伸びすぎてるんじゃないかってくらい飛び出し、顎が外れてるんじゃないかってくらいに開かれて何故か歯がギザギザになっており、舌がぐるぐる巻きになって飛び出していた。

 

「ぶっふぉ!?!?!?」

 

ヴィオ姉が驚いたのかツボに入ったのか知らないけど崩れ落ちた……。

ギィギはなんかのけ反りすぎて自分の尻尾を噛んでる……。

 

「え、えぇぇえええ?」

「ボルァ!?」

 

ボルンガは驚いたような表情で固まって身体に付いていた泥が一気に落ちていった。

まってボルンガどうやったの!?

 

ライズ君は腕を組んだまま不動になってるけど……良く見たら目が思いっきり開いてるけど白目になってる!?

ニャンターに至ってはいつの間にか自分の防具を着せた案山子になってどこかに行ってる!?

 

「なかなか皆出来てるじゃないか!

それじゃ次は目一杯喜べ!!」

「チャム!」

 

チャーレムはさっきと同じくらいに顎を開いて頬が斜め上まで上がっていやらしいくらいに目を細めてすんごい変な笑みを浮かべていた。

 

「わ、わーい!」

「ボルァ♪」

 

私が結構無理矢理な笑顔を浮かべるとボルンガは"にぱー"って効果音が出そうなくらいに可愛い笑顔を浮かべていた……やばい!写真に残したい!!

 

ライズ君を見てみると後ろを向いて強くガッツポーズしていてニャンターはライズ君の身長くらいの高さまで跳び跳ねてた。

たまに思うけどニャンターの跳躍力すごいなぁ……。

 

「良いぞ良いぞ!!

次は心の底から楽しめ!!」

「チャチャチャチャチャチャ、チャーチャッチャッチャッチャッチャ!!!!!!」

 

今度はチャーレムが思いっきり目を見開いて狂ったように大笑いする。

怖いって!?

 

「ボルァァア♪」

 

ボルンガが地面に落ちた自分の泥でゴロゴロしていたので私はちょうど良いチャンスだと思ってスマホロトムを取り出して……。

 

カシャ!カシャカシャ!!!!

カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ!!!!!!!!!

 

私はシャッターチャンスとみて激写する。

 

ヴィオ姉を見てみると……。

 

「腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐………」

 

すっごい怖い笑みを浮かべて最早不気味な笑い声を出していた。

だから怖いよ!?

 

ライズ君は……。

 

「にゃっはーー!!」

 

ニャンターをたかいたかいしてた……楽しそうだしニャンター可愛いし良いなぁ……。

 

「よーし!今度はぷんすか怒ってくれ!!」

「チ゛ャ゛ァ゛?」

 

今度はチャーレムの口が歯茎が見えるくらいに開かれて顔の輪郭が崩壊するくらいに皺が寄りまくってて青筋が何本もくっきりと出ていてドスが効いた低音で鳴き声を出した。

怖すぎるよ!? 

 

「むぅ……!」

 

私は剥れたような表情になってボルンガは……。

 

「ガァァァァアアアアア!!!」

 

頭の筒から蒸気を出して咆哮した。

まって……ボルンガスッゴいノリノリなんだけど!?

 

ヴィオ姉の方を見てみると……冷めたような冷たい視線で舌打ちしそうな感じの表情になってた……。

 

ライズ君は……前に怒ってた時みたいに目が細められて額に青筋が浮かんでいていかにも『あ゛?』って言いそうな表情だ……。

ニャンターは……『ビーストへんげ』してるんだけど!?

 

「よしよし!!このままどんどん続けていくよー!!

しばらくしたら身体をもっと動かす為にバトルもしていくからなー!!」

 

 

 

 

この後不規則に同じようなお題が何度か来てバトルを何回か繰り返してたんだけど思ったよりもハードだった……。

 

そして最後のバトルが終わった時なんだけど……。

 

「ギ?………………ネビュラァァァァァァァアアアア!!!」

 

何故かヴィオ姉のギィギがギギネブラに進化してた……。

 

 

 

 

 

 

 

なんで!?




マグロ「チャーレムの表情の元ネタ」

驚き:ワンピース
喜び:ワンピース(黒ひげのチェリーパイを食べるシーン)
楽しむ:デスノート(夜神月)
怒り:刃牙(範馬勇次郎)


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少年と双子とリップ

 

 

ヴィオ視点

 

~ベイクタウン~

 

 

まさかダルシムがこのタイミングで進化するとは思わなかったわね……いやまぁワンチャンあるかなぁ程度には思ってたけど本当に進化するなんて想定外よ……。

 

まぁ戦力が大幅に強くなったと考えれば良いのかしらね?

 

「それにしても途中で戦ったトレーナー達……なかなか強かったわね。」

「そうだな……まずこのベイクタウンまで来れるってだけでも猛者の証とも言える。

だがジムリーダーのリップさんは弱点をほぼ完璧にカバーして戦うからシンプルに手強いぞ。」

「そうなるとやっぱり普通に通りやすいタイプの技をタイプ一致で使うのが一番良いのかな?」

「正直それが一番いいな。

何よりもあの人の場合純粋な火力が高いから下手に絡め手使うよりも正面突破の方が勝負になりやすいんだよ。」

 

なる程ね……確かにエスパータイプって案外火力の高いポケモンだらけだもの……。

サイコメイカーイエッサンのワイドフォースだけはマジで許さん。

 

それにブリムオンも確かとくこうがトップレベルで高かったはずだし……あら?もしかしてエスパータイプってゴリラだらけ?

 

「とりあえずジムの受付にさっき挑戦申請は出したからリップさんが居るあの高台のバトルフィールドに向かいましょうか。」

 

私達は受付でジムチャレンジを早速行う事を伝えてすぐにバトルフィールドに向かう。

 

だけど基本インドアかミライドン任せの私にあの坂道はそこそこキツいわね……。

 

 

_________________________________________________

 

私達がバトルフィールドに到着するとまだリップさんは来ておらず、とりあえず到着まで先に誰が戦うのかとかを決めておく。

 

結果としては一番手として私が、二番目にライズ、最後にレティが戦うことになったわ。

 

私は最初に出すつもりのポケモンのボールを握りしめて気合いを入れる。

すると私達が来た場所……入口の所から何か話し声が聞こえてくる。

話相手の声が聞こえないし電話かしら?

 

「そうね……わかった、こっちで進めておくわ。

キャッチコピーは分かりやすく『ナチュラルに美しさを』。

アイシャドーの新色も発注シクヨロね?」

 

んん?シクヨロ?

 

気のせいだろうか……やたらと懐かしいバブリーな話し方が……。

 

その人はスマホロトム片手に傍らに二匹のチャーレムを引き連れてやってくる。

派手ではあるけどその人の美しさを強調するような白と紫のミニスカートワンピに白のオープントゥヒール。

女性本人は美しい褐色肌に紫色の髪、目元のアイシャドーと口紅が特徴的なとても綺麗な女性だった。

 

ってCMとかで良く見た事があるこの人!?

 

「……いつもありがと、それでは失礼しまーす。」

 

その女性は電話を切るとこちらへと振り向く。

 

「おはようございまーす、ジムリーダーのリップよ。

ってライズちゃんじゃないの~!おひさー!」

「相変わらずお忙しそうですね。」

「そうね~、でもなかなか楽しいわよ?

今度またナンジャモちゃんといらっしゃいよ!

またモデルとして写真撮ってあげるから!」

 

モデル!?

 

私とレティは瞬時にライズへと振り向く。

ライズがモデルとか……ちょっと見てみたいわね……。

 

「それ結局ボツにしたやつじゃないですか……それに元々あれは俺了承した覚え無いんですけど……。」

「んもー、細かい事は良いじゃないの。

相変わらずイシツブテみたいに頭がガチガチなんだから~。」

「全く……俺の本業は学生と博士だというのに……。」

 

私は地味に興味の湧いたライズのモデル姿での写真を想像したら割と良いネタになると思い付いてすぐに行動に移した。

 

「あら?学生だって普通にモデルをしている子も居るわよ?

それにたとえポケモン博士を目指しててこう言うのとはやっぱり切っても切れない関係になるはずよ?」

「あらやだそこのパイオツカイデーな娘わかってるじゃない。

最近は学生ほモデルだって増えて来てるしポケモン博士たってメディアとの付き合いを考えれば芸能界とは切っても切られないわよ?」

「貴女も貴女でそもそもの本業はメイクアップアーティストだったはずでは?」

「んもー、相変わらずねぇ。

それにしても貴方達……キハダちゃんが、とってもゴイスーだって誉めてたわよ~。」

 

ゴ……ゴイスーて……。

 

やたらともとの世界では死語となってた言葉を使うわね……。

 

「んふふ~、かわいい挑戦者ちゃん達……リッププロデュースのエクササイズで更に美しくなれて嬉しいでしょ?」

 

あれやっぱり本当にリップさんが考案したのね……。

 

「ポケモンの身体もちゃあんと綺麗にしてるし……ナイス美意識ね、人間もポケモンも身嗜みは大事だもん。」

 

まぁ悪い気はしないわね……ダルシムの身体だってタオルで丁寧に拭いたりしてたもの。

だけどすぐにリップさんの視線はジムリーダー特有のプレッシャーを感じる視線へと変わっていく。

 

「誰でも変われるマジック……それがお化粧。

それがメイク!!リップのメイクでポケモンちゃんもーっと美しくしてあげる!!」

 

「「いくわよ!!」」

 

私達は一斉にお互いのポケモンを繰り出した。




マグロ「(ヽ´ω`)」
ライズ「どうしたよアホ作者。」
マグロ「お仕事がデスマーチ(ヽ´ω`)」
ライズ「知るか」


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少年と双子とヨガの力

すみません、最近仕事がデスマーチ続きで寝落ちしました(ヽ´ω`)


 

ヴィオ視点

 

 

~ベイクタウン~

 

 

「リキキリンちゃん!」

「リキキキーー!!」

「ダルシム!!」

「ネビュラァアア!!」

 

私はさっそくさっきのジムテストで進化したダルシム……ギギネブラヨーガ種を繰り出した。

対するリップさんはまるでキリンリキの本体が尻尾に食べられて乗っ取られたようなポケモン、リキキリンを繰り出す。

 

ってか名前的に多分キリンリキの進化かしら?

というかキリンリキって進化するのね……正直能力が全く予想できないわね。。

 

 

「うーん、ナンジャモちゃんの新しいポケモンちゃんにとっても似てるわね。

それに貴女……とっても良い素材……どんな魔法をかけようかしら?」

「バトルの終わった後で良ければ是非ともお願いしたいですね。

ダルシム!『ヨガのポーズ』!!」

「ギギギッ!」

 

ダルシムが『ヨガのポーズ』によってこうげきを一段階上昇させる。

正直そんなに強い技じゃないけどなんか外したくないのよねぇ……それにダルシムは進化したのが原因か今まで覚えられなかった技をたくさん覚えられるようになったのよね。

 

「あら?意外と物理攻撃が強いのかしら?

まずは様子見よ!『しねんのずつき』!」

「キリリキィ!!」

「ダルシム!ギリギリで『テレポートアタック』!!」

「ギギッ!ネビュラ!!」

「キリキィ!?」

 

リキキリンが頭部に思念を集中して強力な頭突きを仕掛けてくるけどダルシムは私の指示を聞いてギリギリまでリキキリンを引き付けてから姿を消した。

姿を消したダルシムに頭突きを仕掛けて来たリキキリンは攻撃を外して背後から突如として現れたダルシムののしかかりに直撃した。

 

 

「『テレポート』を活用しながら攻撃なんて面白いじゃない!

良いわぁ、聞いてた通り面白い娘!

リキキリンちゃん!『かみくだく』」

「リキキリキィ!!」

「ダルシム!『ヨガファイア』で牽制!」

「ギギアッ!」

 

リキキリンが頭部を覆うもう一つの頭部にあるキバがエネルギーを纏ってダルシムへと襲い掛かる。

私はダルシムが新しく覚えた必中技『ヨガファイア』で牽制をするけど1、2発程度じゃ対して怯まないわね……,

ダルシムのタイプはエスパー・ほのおタイプだからあんまり受けたくは無い……また『テレポートアタック』で回避と攻撃を行いたい所だけどあれ制限があって割とめんどくさいのよね。

 

「ダルシム!『ズームネック』!!」

「ギギッ!」

「リキキッ!?」

 

ダルシムのズームパンチもとい『ズームネック』でリキキリンの『かみくだく』噛みつかれないようにリキキリンの長い首に巻き付いて遠心力を利用して投げ飛ばした。

 

「リキ!」

「あっさりと受け身取る辺りやっぱり強いわね……。」

「伊達にパルデアで二番目に強いジムリーダーはやってないわ。」

「やっぱり一筋縄じゃ行きませんよね!

ダルシム!『テレポートアタック』!」

「リキキリンちゃん!背後に『リフレクター』!!」

「ギィィイイギッ!!キギッ!?」

「リキ!」

 

ダルシムはリキキリンの背後にまたテレポートするけどリップさんの指示でリキキリンはピンポイントで背後に『リフレクター』を張って簡単に攻撃を防いだ。

 

「そのまま『かみくだく』!!」

「リキィィイイイ!!」

「ギギアッ!?」

「ダルシム!?」

 

さすがに空中での近接攻撃を防がれてしまっては受け身を取るのも難しく、ダルシムは弱点の攻撃を受けてしまう。

 

「ダルシム!『ズームネック』で動きを止めて!!」

「ギギッ!ァァァァァアアア!!!」

 

ダルシムは『かみくだく』で噛みつかれながらもその首を伸ばしてリキキリンを締め付けて下手に身動きが取れない状態にする。

 

「リキキリンちゃん!耐えてそのまま連続で『かみくだく』!!」

「リキッ!キリッ!キリッ!キリッ!キリッ!」

「ガッ!ギギァァアアア!!!!!」

「リキッ!?」

 

リキキリンは畳み掛けるように連続でダルシムへと『かみくだく』を行って来るけどダルシムは締め付けをさらに強くすることで上手く力が入りにくくなっていた。

 

「ゼロ距離で『ヨガファイア』連打!」

「ギギギギギギギッ!!!」

「リキ……キッ!?キリキィィィイイイイ!?!?!?」

「リキキリンちゃん!?」

 

ゼロ距離からのタイプ一致『ヨガファイア』を受けまくったリキキリンは先頭不能となった。

 

「へぇ……やるじゃない。」

 

リップさんの視線がより鋭くなる。

やっぱり今まで戦ったジムリーダーと比べてかなり手強そうな気配か漂ってくる……。

 

まだ油断出来そうにないわね……。




マグロ「新技紹介デス(ヽ´ω`)」


『テレポートアタック』
エスパー 物理技 威力90 命中95
ヨガの力で相手の背後にテレポートして襲い掛かる。
急所に当たりやすく、15%の確率で怯ませる。
連続で使うと失敗する。

『ヨガファイア』
ほのお 特殊 威力85 命中ー
ヨガの力により確実に当たる。

『ズームネック』
ノーマル 物理 威力20 命中100
ヨガの力で首を伸ばして相手を拘束して逃げられなくする。
締め付けで5ターンの間同じ威力のダメージを与え続ける。


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少年と双子と読み合い

すみません、勝手ながらこっちの投稿を来月までお休みさせて貰います。

いい加減にスランプが入ってきました……
なかなか頭の中にストーリーが浮かばなくなってきたのでちょっとストーリー練る時間をください。


 

 

ヴィオ視点

 

~ベイクタウン~

 

「さぁいくわよ!サーナイトちゃん!!」

「サナッ!」

 

次にリップさんが出してきたのはサーナイトだった。

正直火力が高くて無難に強いのもあるから油断出来ないわね……。

 

それにサーナイトのタイプであるエスパー・フェアリーの弱点はどく・ゴースト・はがねタイプでエスパーの弱点2つをフェアリーで打ち消している。

しかもどくタイプの弱点はエスパータイプなのもあるから実質的な弱点は2つに絞られる。

 

だけどサーナイトは『マジカルフレイム』に加えて『シャドーボール』も覚えられるのもあって自分の弱点を全てカバーすることが可能になっていた。

 

「成る程……ライズが弱点のタイプのポケモンを出せばむしろやられると言ったわけね。

しかもサーナイトの低い物理耐久力はリフレクターでカバーして自分の高い特殊耐久力を活かして戦えるわけですか……。」

「あら?あっさり見抜かれちゃったわ。

その考察力とってもゴイスーね。

もしかしてライズちゃんと色々と話し合ったりしてるからかしら?」

「あいつと旅をしてると自然に色々考えるようになるんです。

ダルシム!『ズームネック』!」

「ギギァ!!」

 

ダルシムがその長い首を伸ばしてサーナイトへと襲いかかる。

でもサーナイトは冷静に最小の動きでダルシムの首を避け続けていた。

 

サーナイトって確か基本的にテレパシーとかそういうのが種族特有の特性で合った気がする。

多分指示もなしに避け続けている理由がこれなのだろう。

 

そうなると必然的にリップさんの考えやダルシムの心を読んでるのだと思う。 

ならまずはリップさん側の視界を塞ぐ必要があるわね。

 

「ダルシム!地面に『マジカルフレイム』!」

「ネビュラッ!!」

「サナッ!?」

 

突然地面へと攻撃しだしたダルシムにサーナイトが困惑したように見える。

そして土煙が発生してリップさんやサーナイトの視界を塞ぐ。

 

とはいえ私の方も若干見えにくいからここはダルシムに任せないと。

 

「サーナイトちゃん!『マジカルシャイン』!」

「サァァナァァアアアア!!!」

「ダルシム!無視して『テレポートアタック』よ!」

「ギギギッ!ギアッ!!」

「サナッ!?」

 

私はタイプ相性を考えていくらタイプ一致とはいえ『ムーンフォース』よりも威力が低く、ほのおタイプを持ったダルシムなら余裕で耐えられると判断して無視してダルシムに攻撃させた。

 

「あらやだ大胆!!」

 

まぁ確かに我ながら大胆な戦術だとは思う。

だってこの世界ではわざと攻撃を受けるなんて事をやってのけるトレーナー自体がほぼあり得ないんだもの。

 

「ダルシム!畳み掛けるわよ!『ズームネック』てなぎ払い!」

「ギギギッ!」

 

私の指示でダルシムは首を伸ばして大きくしならせてサーナイトへとぶつけにいく。

 

「サーナイトちゃん!『サイコキネシス』で動きを止めなさい!」

「サーナァ!」

「ギギッ!?」

「ダルシム!パワーで無理矢理解除しなさい!」

「ギギ!!ギ……ギ……ギギ……ギギギギギギィィィイイイ!!!」

「サナァ!?」

「嘘ぉ!?」

 

正直ダルシム自体がエスパータイプだからというのもあるけどダルシムは『ヨガのポーズ』でこうげきを上昇させて特性によってこうげきが二倍になっている。

 

お陰でサイコキネシスをパワーで無理矢理解除してそのまま殴り付けるなんて事が出来ていた。

そしてダルシムの『ズームネック』を受けたサーナイトは戦闘不能になっていた。

 

「サ……ナァ……。」

「ごめんなさいね、サーナイトちゃん。

ゆっくり休んで頂戴ね。

いくわよ!クエスパトラちゃん!!」

「クェェェェエエエ!!!」

 

私はリップさんが出したポケモンの鳴き声を聞いた瞬間無言ですぐにライズの横にいるガーグァへと顔を向けてしまった。

 

よくみるとレティやライズもガーグァへと顔を向けており、複数の視線にさらされたガーグァは……。

 

「クェ!?クェ!?クェェェェエエエ!?!?」

 

と困惑するように鳴いていた。

 

「…………あの子後でクエスパトラちゃんとツーショット撮ってみたいわね。」

「激しく同意します、ライズならたぶん断る理由もないと思うので。」

 

この時このフィールドにいる皆の気持ちが一瞬一つになった気がしていた。

 

「まぁともかく始めるわよ!

クエスパトラちゃん!!『シャドーボール』!」

「クェェェェエエエ!!!」

「まずッ!?ダルシム!『テレポートアタック』で避けながら攻撃!」

「ギギッ!」

 

流石にダルシムの巨体じゃ『シャドーボール』を避けるのは難しい。

『ヨガフレイム』で相殺する手もあるけどそれで爆発を起こして似たような状況にされると今度はこっちも困ってしまう。

 

「クエスパトラちゃん!!背後に『シャドーボール』!」

「クェェェェエエエ!!!」

「ギギャァッ!?」

「嘘ッ!?」

 

また読まれた!?

 

流石にエスパータイプ特有の高いとくこうから放たれる弱点攻撃はダルシムでもきつい!

 

どうしたものかしら……。




マグロ「(ヽ´ω`)」
ライズ「…………二作品同時投稿が響いたんだろ」
マグロ「うみゅ……」


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少年と双子と最強のD

いやぁ、長らくお待たせしました!
休んでいた間に大量の小説を読み漁っていたので少しは読みやすくなってると良いなぁ……。

それにしても最強のミュウツー来ましたね。
皆さんはどうでした?


 

ヴィオ視点

 

~ベイクタウン~

 

 

正直ここまできついとは思わなかった……ジムの順番を飛ばしているから当然と言えば当然なのでしょうけどね。 

リップさんのポケモン達は単純に隙が少ない。

それに加えてリップさん本人かポケモンなのかはどっちとも言えないけど確実にこっちの行動を読みとって動いてる気配がある。

 

特にサーナイトなんかはそのような傾向が強かった。

 

とりあえずクエスパトラは速さと特殊面での火力の高さが厄介ね。

 

「ダルシム!『ズームネック』で脚を薙ぎはらって!」

「ギギッ!!」

 

私は腕を薙ぎ払うような仕草をしながら途中で指を一瞬上にあげるようにダルシムへと指示する。

 

「そんなバレバレの指示じゃ当たらないわよ!」

「クエッ!!」

「かかった!」

「クエッ!?」

 

ダルシムはわたしの私の意図を汲み取ってクエスパトラがジャンプで避けた瞬間に動きを止めた。

 

「空中なら避けられないわよね!!ダルシム!!」

「ギギャァァァァァアアアアアア!!!」

「クエッ!?クエスパッ!?クェェェェェェェエエエエエ!?!?」

 

ダルシムはそのまま首を上に鞭のようにしならせながら頭突きをする。

クエスパトラは鳥ポケモンではあるけど形としてはエミューなんかに近いから飛行能力は皆無であり、空中で攻撃を避けられるようなポケモンはかなり少ない!

 

案の定クエスパトラはダルシムのズームネックを避けきる事は出来ずに直撃して吹き飛ばされる。

 

「クエスパトラちゃん!」

「ク……クエ……ガクッ」

「…………戦闘不能ね、ここまでたった一匹で追い詰められるなんてね。

貴女……とってもゴイスーじゃない!

テンションアゲアゲになっちゃうわ!!

行くわよ!!フラージェスちゃん!!!」

「フラェェェェエエエエエエ!!!」

「うっげ!?」

 

私は思わずかなり引いてしまう。

 

正直一番想定したくない最悪の相手だった。

 

フラージェス……伝説、準伝説、幻のポケモンを除いたこの世界における全ポケモン(パルデアは知らないけど)の中でも二番目に『D』……つまりは『とくぼう』が高いポケモン。(まぁ一番はやっぱりツボツボだけどあれは色々と規格外だからパス。)

 

その種族値は脅威の154と600族の中でも異常なとくぼうを持っているヌメルゴンすらも上回る数値であり、伝説のポケモンであるホウオウやルギアと全く同じ数値である。

 

しかも金銀伝説と名高いルギアとホウオウは『とくぼう』が最も高いポケモンであり、それと同じ数値を持つフラージェスを相手にするという事は特殊攻撃面ではこの二匹と戦わされているような物だ。

 

いやまぁ厳密にはHPとか夢特性込みならルギアやホウオウのがもっと固いのだけどね。

 

「ダルシム……行ける?」

「ギ……ギギッ!!」

 

ダルシムは若干苦しそうにはしているけど力強く頷いた。

これはダルシムは倒されるのを想定して動くしかないわね。

 

「ふふっ、その反応……この子の最大の強みを知ってるみたいね?」

「本気で洒落にならないくらいには特殊系の殴り合いで強いのは知ってますよ。」

「大正解!フラージェスちゃん!お色直しよ!新しい自分に生まれ変わって!!テラスタル!!」

 

リップさんがテラスタルオーブを取り出して大気中からテラスタルエネルギー吸収させる。

エネルギーが溜まりきったテラスタルオーブをフラージェスへと投げる事でフラージェスは全身を水晶に包み込み、内側から水晶を破って新しい姿になって現れる。

 

全身がテラスタルの水晶によって覆われたフラージェスは頭部に巨大な紫色の一つ目を模したような不気味な冠を付けて現れた。

 

「フラァァァジェ!!!!!」

「リップのマジック・マキアージュ!

毛穴の奥まで染み込ませてあげる!!

フラージェスちゃん!!『サイコキネシス』!!」

「ジェス!!」

「ダルシム!!『テレポートアタック』避けながら攻撃!!」

「ギギァ!!ギギッ!?」

「ダルシム!?」

 

ダルシムは確かに『テレポートアタック』を用いて『サイコキネシス』フラージェスの背後を突いたけど『サイコキネシス』から抜け出したはずなのにダルシムは空中でその動きを止められていた。

 

読まれた!?……いえ、これは!!空間その物に『サイコキネシス』をかけてる!?

 

「フラァァァジェ!!!!!」

「ギ!?ギギギッ!ギギャァァァァァアアアア!?!?」

「ダルシム!」

 

ダルシムはフラージェスの『サイコキネシス』で柱に叩きつけられてしまい、仰向けになってぐったりしていた。

その頭部(一瞬尻尾と間違えた)を見てみると目を回しており、気絶していることが分かる。

「お疲れ様ダルシム……ゆっくり休んで頂戴。」

 

私はダルシムをボールへと戻して次のポケモンをどうするかで悩む。

 

多分今の手持ちだとまともに先制出来なければきついと思う……あの子も強力な先制技を複数持ってるけど若干条件が……待てよ?

 

「…………賭けにはなるけどかなり刺さるんじゃないかしら?」

 

私は少し考えてからそう判断して最近育てた新しいポケモンのボールを取り出す。

 

「お願い!エクスレッグ!!」

「エクスッ!!」

「ちょ!?流石にそれはバイヤー過ぎるわ!?」

 

明らかにリップさんが焦った、やっぱりこれが最適解だったのね。

 

私が繰り出したエクスレッグは頭部には謎の"白いハチマキ"を巻いており、ある一つの技に完全に特化させた運用となっていた。

 

「エクスレッグ!!『であいがしら』!!」

「レッッッ!!!」

「フラッ!?」

 

エクスレッグのタイプ一致の最強クラスの先制技によりリップさんのフラージェスが大きく吹き飛ばされていったのだった。

 

 




ライズ「かなり久々だな……つかお前はミュウツーどうしたんだよ?」
マグロ「ソロだとほぼ不可能なの分かりきってるから土日にでもやろうかなと……」
ライズ「…………運営相当殺る気出してきてるよなぁ。」


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少年と双子と砂狗竜★

 

ヴィオ視点

 

~ベイクタウン~

 

 

私が繰り出したエクスレッグはまさかのテラスタルすら使わずにタイプ一致の先制技である『であいがしら』……というかライダ○キック一発でリップさんのフラージェスを蹴り飛ばしてしまった。

 

なんなら柱にフラージェスがぶつかって粉砕した上になんかパリーンって音まで聞こえる。

 

「……レッグ。」

 

エクスレッグはなにやら無駄にカッコよく着地してこっちに戻ってきた。

こだわりハチマキの強さは知ってたけど避けられないレベルの速さで攻撃する先制技でこんな事になるなんて……。

 

「え……えぇ……フラージェスちゃん一撃ぃ!?

ってそのエクスレッグちゃんの頭にあるの『こだわりハチマキ』!?

通りで耐えられない訳だわ、バイヤー過ぎよその戦術……。

あなたの強さはまるで溶けないマジックね……。」

 

まぁ正直元々一発芸としか思ってなかった戦術ではある。

それがまさかここまで刺さるなんて……今後ともエクスレッグはレギュラーメンバーとしてずっと手持ちに入れとこ……。

 

私はエクスレッグのニックネームを敬意を込めて『ブラックさん』と決めてブラックさんをボールに一旦戻した。

 

「お……おいヴィオ……なんだ今の。」

「…………タイプ一致で1.5倍の威力で虫タイプ最強の物理技をこだわりハチマキで更に1.5倍の火力でやってみたんだけど……。」

「えっと……確か『であいがしら』って出てきた最初にしか使えなくて……『こだわりハチマキ』って一つの技しか使えなくなるんだよね?

倒せなかったらどうするつもりだったの?」

「最悪やられるか一旦待避させてから交代してもう一発?」

「流石に一発芸過ぎると言いたいが……まぁ初見殺しだな。」

 

流石に後先考えなさすぎる戦術なのもあったからレティとライズからは若干引かれた目で見られてしまった。

流石にその反応は私も傷付くわよ?

 

「そういえば貴女達は他のジムリーダーのアナザーポケモンとも戦ってるのよね?

私のこの子ともやってみるかしら?」

 

そういってリップさんは一つのボールを取り出した。

やっぱりリップさんも持ってのね……。

 

「「「やります!」」」

「あら三人とも?じゃあとりあえずライズちゃんとレティちゃんのジムチャレンジを先に終わらせましょうか。」

 

とりあえずライズ、そしてレティの順で一旦リップさんのポケモンとジムバトルを行う事になり、私はそれが終わるまでめちゃくちゃ仕事してくれたダルシムとブラックさんを労う事にした。

 

というかブラックさんのポテンシャル本気で凄まじいんじゃないかしら?

『ふいうち』に『とんぼがえり』まで一致で撃てるって……。

 

_________________________________________________

 

しばらくブラックさんとダルシムの二匹と一緒にバトルを見学してしばらくしてようやく二人の挑戦が終わった。

 

「私の戦い方を知っているライズちゃんはまだ良いとしてもレティちゃんがパワーによるごり押ししてくるのは想定外過ぎたわ……。」

 

結果としてライズは2匹やられて勝利、レティは自分に有利なポケモンにサイクルを回してバワープレイによるごり押しで勝っていた。

 

いやまぁ実際にレティって戦術的にはごり押し選ぶこと多いのよね……思い切りが良いというか。

 

「さて、誰からやってみる?」

「私……と行きたいところだけど一旦頭の中で整理したいこともあるから二人に先手は譲るわ。」

「あ、なら私もライズ君先でいいよ!」

「いいのか?」

「うん!それにライズ君が戦った後の方が多分戦いやすいと思うし。」

 

レティ……まぁ同意見なのだけどね。

なんか段々レティが私の腹黒い所を真似てきてる気がするわね……。

 

だけど私は次の瞬間予想だにしなかったアナザーポケモンと出会すことになった。

 

「オイ……まぁ良いけどな。

それじゃリップさん、よろしくお願いします。」

「ふふ、黄金の美しさを味わわせてあげるわ!

ドスアピポスちゃん!!」

「アポァァァァアアアア!!!」

「ブッフォ!?」

 

ドスアピポス!?

まってまってまって!?

まさかのエクスプロア!?懐かし!?

 

ドスアピポスは既にサービス終了したモンハンのスマホゲームに登場したオリジナルのモンスターである。

しかもあるイベントに出てきた個体に私は一回しばかれた事があるから若干トラウマなのよねアレ……。

 

「ヴィオ!どうした!?」

「大丈夫?ヴィオ姉?」

「ゲッホゲホッ……ごめんなさい……想定外過ぎるのが出てきてビックリしちゃっただけよ。」

「ならいいが……行ってくれ!ウロコトル!」

「ウロロァァァアア!!!」

 

対するライズはウロコトルを出してきたはいいけど……多分ドスアピポスはじめんタイプを持ってるから相性不利ね……所見だから様子見でライズは出したのでしょうけど……。

 

とりあえずあの個体……大首領の個体じゃないといいのだけど……。




マグロ「アナザーポケモンの情報紹介になります。
この作品でのドスアポピスは感応結晶から取り出したエネルギーがサイコパワーに変異している形になります。」

ドスアポピス
じめん・エスパータイプ
アナザーポケモン

特性『???????????』(夢特性)

通常特性
『すながくれ』
『すなのちから』


・『???????』(ノーマル・変化)
・『???????』(じめん・特殊)
・『?????』(むし・物理)
・『???????』(エスパー・物理)


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少年と双子と大首領★

 

 

ライズ視点

 

~ベイクタウン~

 

「ウロロァァァアア!!!」

 

ウロコトルはドスアピポスの前に出した瞬間から常に威嚇を続けており、どこか落ち着きがない様子だ。

あのアナザーポケモン……ウロコトルはあいつの何を感じ取って警戒しているんだ?

 

後ろから表情を見てみるとかなり冷や汗をかいてるようだ。

これは本能的な恐怖か?

 

「ウロコトル……まずは戦いやすいフィールドを作るぞ。

『マグマダイブ』!!」

「ウ……ウロロァァァアア!!!」

 

若干反応が遅れていたがウロコトルは地面を溶かして潜り、周囲を溶かしながら囲んでいく。

 

「へぇ……カエデちゃんから聞いていたけどなかなか厄介な技ね、下手に動いたら避けられた上にこっち方がダメージ貰っちゃうもの。

ドスアピポスちゃん、じっと待つのよ。」

「ァァアアス。」

 

ドスアピポスを見てみるとかなり冷静であり、この状況にも全く動じている様子がない。

やっぱり想定外の状況や動きがあるまで待つといった動きにかなり慣れている様子だ。

 

こういう相手は奇襲の効果がかなり薄い傾向があるから余計に厄介なんだよなぁ……。

 

「ウロコトル、『ドリルライナー』!」

「ウロロロロロロ!!!」

「ドスアピポスちゃん!『サイコファング』!」

「アポァァァァアアアア!!!」

 

ドスアピポスの真後ろの地面が赤熱化を初め、溶けた地面から高速回転しながらウロコトルがとびかかってくるが、リップさんの指示によりドスアピポスは真上に大きく飛び上がってウロコトルの死角に回って喉元を光らせてから口元にサイコパワーで生み出した牙を作り出した。

 

「反応が速い!ウロコトル!『てっぺき』!!」

「ウロロァァァアア!!」

「アポアッ!?」

 

ウロコトルの全身に纏わりついていたマグマが急速に冷えていき、黒く鋭い黒曜石の鎧となる。

ドスアピポスのサイコパワーによる牙はウロコトルを捉えるが黒曜石の鎧のあまりの硬さに文字通り歯が立っていなかった。

 

元々自然に冷えた場合でもかなりの防御性能を誇る黒曜石の鎧だが、ヴィオから聞いたウロコトルの成体、アグナコトルの話を聞いて思い付いたんだが思ったより上手く行ったな。

 

「ドスアピポスちゃん!そのまま『サンドバレット』!」

「ポアッ!!」

「ウロロアッ!?」

 

ドスアピポスの喉元がまた光り、その口から青い輝きを纏った砂の弾丸がウロコトルを吹き飛ばした。

不味いな……じめんタイプも持ってたか。

だがあの喉元……おそらくあれがサイコパワーを生み出してるっぽいな。

 

ウロコトルのダメージが少し大きい。

多分じめんタイプの特殊技だな。

 

「ウロコトル!すばやさを上げるぞ!『ニトロチャージ』!!」

「ウロロァ!!」

 

ウロコトルは全身に炎を纏い、自分のからだに付いた黒曜石の鎧を溶かしながらではあるが加速してマグマに潜っていく。

ドスアピポスの周辺の地面が赤熱化していき、後ずさっているがその目は未だに冷静さを失っていない。

いままで感じていたこの違和感……このポケモン戦い慣れし過ぎている。

 

例えジムリーダーのポケモンだとしてもここまで表情一つ変えない程慣れてるのは俺はアオキさんのポケモンくらいしか見たことがない。(アオキさんの所はやたらと忙しいせいか尋常じゃないくらい戦い慣れしてて余計に難易度が上がっている。)

 

「ァァァアアアス。」

 

すると突如としてドスアピポスは目を閉じて何かに集中していく。

喉元が光っている為恐らくエスパータイプ特有の行動なのだろうが嫌な予感がするな。

 

「ウロコトル!マグマを掬い上げながらとびかかれ!」

「ウロァァァアア!!!」

「ドスアピポスちゃん!『レイジングロア』!」

「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ス゛!!!!!!!!!!」

「コァッ!?ウロァ!?」

 

ドスアピポスは思わず怯む程の凄まじい咆哮を放ち、それを至近距離で聞いてしまったウロコトルは空中で体勢を崩してしまい致命的な隙を生んでしまう。

そこへ横から小さなドスアピポスのに近い見た目のポケモンが突撃してきて『たいあたり』を食らわせる。

 

「なっ!?」

「ふふっ。」

 

リップさんの様子からこいつは野生のポケモンではないのか?

何も言ってこない辺りルールには反してない、ってことは特性か技の効果だな。

動きを止めながら仲間を呼び寄せるのかどんな能力だ……。

 

チラッとヴィオを見てみるとものスッゴい青い顔になって頭を抱えていた。

これ絶対ヤバい奴だ。

 

黒曜石の鎧が溶けていたから先程のような硬さは無いとはいえ『てっぺき』で防御力が上がっているために思ったよりはダメージは無さそうだが厄介だな。

 

「ァァアアス!ァァアアス!!」

 

新しく現れた個体はドスアピポスに比べるとかなり小さく、喉元の光もあまり無い辺り幼体なのだろう。

だが問題はそれがどれだけ増やされるかだな。

こいつはきついな……。

 

 




マグロ「技紹介になります。」

『サンドバレット』
じめん 特殊 威力80 命中ー
サイコパワーを纏った砂の弾丸を操り、必ず命中させる。
サイコパワーにより『ひこう』タイプや『ふゆう』を持ったポケモンにも当たる。

『レイジングロア』
ノーマル 変化 
・敵味方関係なく全員を怯ませる。
・『テレパシー』、『ぼうおん』によって無効化可能。
・使う度に相手が怯む確率が半分になっていく。
・控えに戻ると確率が戻る。
・子分がいると……?

マグロ「アポピスが現れたのは特性の影響になります。
特性は次回のお楽しみに」


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少年と双子と想定外★

間違えてアピポスのことをアポピスって全部やっちゃってた……。
やらかしたなぁ……。


 

 

 

ライズ視点

 

~ベイクタウン~

 

 

「ァァアアス!」

「ァァアアス!!!ァァアアス!!!」

 

しばらくウロコトルをマグマに潜らせて様子を見ていたがあの小さいやつ……確かドスが長の個体に付く名前だから仮に『アピポス』と呼称するがあいつが何処かに行く様子はない。

そうなると戦いが終わるまでは追撃をしてきそうだな。

 

だがドスアピポスとアピポスの複数相手にウロコトルは今のままじゃキツすぎるな。

 

ヴィオから聞いたウロコトルの成体……アグナコトル……賭けるしかないか。

 

「ウロコトル!溶岩を大量に巻き上げて『てっぺき』!」

「ウロロァァァアア!!!」

 

溶岩の海から飛び上がったウロコトルはその衝撃によって巻き上げられた大量の溶岩を体に纏わせて急速に冷却して黒曜石の鎧を生み出す。

 

「防御を兎に角固める気ね。

アピポスちゃん!ドスアピポスちゃん!『サンドバレット』で畳み掛けて!」

「ァァアアス!!」

「ァァァアアアス!!」

 

まぁぼうぎょを固めた相手には特殊技を使ってくるわな。

しかもアピポスが更に増えているな、だがまだだ!!

 

「ウロコトル!!更に溶岩を巻き上げて『てっぺき』!」

「ウロロロロロロ!!!」

 

ウロコトルは全身に纏った黒曜石の重さを自身の体重に乗せて地面へと強い衝撃を与えて溶岩を噴き出させる。

噴き出した溶岩が更にウロコトルへと纏われて鎧は更に重厚になる。

 

「ウッロァ!!」

 

ウロコトルは自分へと向かってくる『サンドバレッド』二発を黒曜石の鎧を分厚く纏ったその脚で払って意図も容易くかき消した。

 

「嘘っ!?ノーダメ!?どれだけ分厚いのよ!?」

「ウロロロロロロ!!!」

 

ウロコトルの鎧は全身を包み込んでおり、関節の可動を邪魔しないように所々切れてはいるがそこが弱点になら無いように黒曜石の鎧が関節部分を覆う形で伸びている。

 

「ウロコトル!!イメージするんだ!成長した自分を!」

 

すると俺の腰にあるボールが動き出して勝手に外に出てきた。

 

「ザボアッ!!」

「えっ!?ちょ!?ザボアザギル!?」

「ザボアッ!!ザバッ!!」

 

ザボアザギルは何かを訴えかけるようにウロコトルへと吠える。

そしてザボアザギルは『アイスアーマー』を纏って更に訴えかけるように吠える。

 

「ザッバァッ!!」

「ウロロァ……ッ!ウロロロロロロロロロロロァァァァ!!!!!!」

 

ウロコトルは更に溶岩を大量に巻き上げて凄まじい冷気を発生させる。

 

んん?冷気?

 

「「「あれ?」」」

「ザバ?」

 

俺達三人とザボアザギルは揃って首を傾げる。

 

本来はウロコトルの成体であるアグナコトルは溶岩の鎧を纏い、炎の熱線を吐き出す『炎戈竜』と呼ばれるポケモンになる。

だがその生息地は火山であり冷気を出すなんて事はまず無いのだ。

 

あれ?そういえば特殊な亜種と呼ばれる違う成体を持つ個体に雪原に適応した個体が居るんだっけか?

ってことは……『てっぺき』の冷却とザボアザギルの『アイスアーマー』参考にしたのが原因かこれ!?

 

「ウロロロロロロロロロロ!!!グラァァァァアアアアアアアア!!!」

 

ウロコトルは周囲の溶岩を完全に凍結させて黒曜石へと変化させ、自分をとてつもない冷気で包み込む。

 

ってかザボアザギルの冷気がなんかめっちゃ吸われているようだ。

ウロコトルの体はどんどん凍結していき、吹き荒れた吹雪による竜巻がウロコトルを完全に覆い隠す。

そこ中からバリバリとなにかを内側から破る音と光が発生して青黒く、白い雪と氷を纏ったウロコトル以上の大きさを持った両足、鋭い背鰭を持ち、とても頑強そうな甲殻と氷と雪の鎧に包まれた尻尾と次々と現れていく。

やがて吹雪を吹き飛ばしてウロコトルはその進化した姿を周囲へと晒した。

 

「グルルルァァァァァァアアアアアアナッ!!!」

「アグナコトル……亜種!!」

 

ヴィオの呟きからやはりウロコトルが進化したのは『炎戈竜』ではなく『凍戈竜』アグナコトル亜種であることが確定した。

 

確か原種よりも防御力か高……い……防御力?

 

俺はひたすら積ませた『てっぺき』を思い出す。

 

「偶然にしては出来すぎてるが好都合か!!」

 

俺はスマホロトムをアグナコトルへと向けて変化した能力を見る。

 

すると……。

 

_________________________________________________

 

アグナコトル(とうかりゅうの姿)

アナザーポケモン

こおり・ドラゴンタイプ ◇『はがね』

 

特性:グラシスアーマー

 

『フリーズバースト』

『ダイヤモンドアッパー』

『ドリルライナー』

『ゆきげしき』

 

_________________________________________________

 

ほのお系統やら『てっぺき』全部変わってる!?

 

というよりアグナコトルが今の姿に適応するために完全に忘れたのか?

 

「ッ!!まさか進化するなんて!!油断せずいきましょう!

ドスアピポスちゃん!!『レイジングロア』!!」

「ァァァァァァァァアアアアアアス!!!」

「「「ァァァァァァァァァアアアス!!!!」」」

「グルルルァァァァァァアアアアアア」

 

とてつもない咆哮が放たれるがアグナコトルはむしろ咆哮で返す程の余裕を持っていた。

 

アピポス達の喉元が強く青白い光を放ち、集団で襲いかかってくるが……。

 

「アグナコトル!!『フリーズバースト』!!」

「ルァァァァァァァァァアアアアアア!!!」

「嘘ッ!?」

 

アグナコトルはその硬い嘴を何度もガチガチと鳴らして吹雪を凝縮したような絶対零度のブレスを吐く。

襲いかかってきたアピポス達は全員『こおり』ついており、大きな隙となる。

 

「トドメの『ダイヤモンドアッパー』!!」

「グァァァァアアアア!!!………………ルァァァァァァァァァアアアアアア!!!!」

「ポォォォォオス!?!?」

 

地面へと潜り、氷のドリルとなったアグナコトルによって凍って動けなくなっていたドスアピポスは吹き飛ばされて柱に激突する。

 

「ァァァァァス………。」

 

 

 

 

 

 




マグロ「アグナコトルは次回に回して今回はドスアピポスの特性になります。」

特性:『しょうしゅうのだいめい(召集の大鳴)』
・技を使う度に高確率でアピポスを呼び寄せる。
・ダメージを与える際にアピポスの数×10の威力で追撃をお行う。
・『レイジングロア』を使うとアピポス達がダメージを与えなくても追撃を行い、威力が一匹につき30となる。

ちなみに本来はスタン咆哮はこっちの方なのですが特性の関係上レイジングロアの方をスタン咆哮にさせて貰いました。


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少年と双子と進化した仲間達★

 

 

レティ視点

 

~ベイクタウン~

 

 

「ドスアピポスちゃん戦闘不能ね……三人共勝負に負けて美しさでも引き分けだなんて……。」

 

リップさんはアグナコトルの一撃で柱まで吹き飛ばされたドスアピポスを見てそう答える。

 

それにあの土壇場で進化したアグナコトル……確かにすっごいきれいだったなぁ……キレイなものに慣れてるはずのリップさんが思わず美しいって言うのも分かるかも。

 

「あなた達イイ……!すっごく……うん!最高……!

いずれビッグになる前にリップが囲っちゃおっかな?」

 

するとテンションが凄い上がった様子のリップさんがそう言いながら私たちに抱きついて来た。

リップさんさすがにモデルなだけあってすっごく良い香りがする……どんな香水を使ってるんだろう?

 

少しすると私達二人を離してリップさんはライズ君のところに……って!?

 

「ちょっ!?」

「それはダメ!!!」

 

すると私達二人の方に振り向いたリップさんがすっごく不穏な笑みを浮かべてこちらを見てくる。

まって……なんか変な事考えてないよね!?

 

「あら~?ヴィオちゃんにレティちゃんってばやきもち?

ライズちゃんったら色男になったじゃない♪」

「「まって!?そんなのじゃないですから!?」」

「あんまり二人をからかわないでくださいよ……。」

 

私達二人は慌てて否定するけど……これ平気だよね?変な勘違いされてないよね!?

でもライズ君……全く動じた様子が無いのはちょっと……イヤだなぁ。

 

「あらぁ?でも二人はまんざらでも無さそうだけど?

まぁライズちゃんって前から割と鈍感だし今後どうなるか楽しみにさせて貰いましょうかね。

あ、そういえば三人ってジムが終わったら記念撮影してるんだったかしら?」

「確かに記念写真は毎回取ってますけど鈍感って何ですか鈍感って……。」

「確かにライズは鈍感よね。」

「あはは……ごめん、私も否定出来ないや。」

「レティまで!?」

 

うん……確かにライズ君ってすっごく鈍感だよね……。

 

「ふふ、まぁまぁ良いじゃないの。

さて、折角のリップとの記念撮影だもの、ここはヨガなポーズでもいかがかしら?」

「ヨガのポーズですか?」

「ん?ヨガ?」

「な……なんで二人して私を見るのかしら?」

 

私とライズ君は思わず二人同時にヴィオ姉へと顔を向ける。

うん、まぁ私達でヨガと言ったらやっぱりヴィオ姉しか居ないよね。

 

「そういえばヴィオちゃん、ジムテストの時のエクササイズもすっごく上手だったってキハダちゃんが褒めてたわよ。

ふふ、これは期待しても良さそうね。」

「ある程度は知ってますけどマニアックなやつとかは勘弁してくださいね?」

 

私達はとりあえずヨガのポーズを皆で取りながら記念写真を撮ることになったんだけど……このポーズ結構きつい……ヴィオ姉やダルシムにライズ君良く出来るなぁ……。

 

 

_________________________________________________

 

 

記念撮影が終わった後、リップさんは次の仕事があるらしくてすぐにそらとぶタクシーに乗ってどこかへと去って行っちゃった。

一応ジムバトルが終わった後に技マシン貰ったりはしてるから全体的に見れば今までのジムでの流れとそんなに変わらないんだけどやっぱり人気モデルの人って大変なんだなぁ。

 

リップさんとのバトルが終わった後、私達は新しく進化したアグナコトルとダルシムの二匹が進化前とどんな風に変化したかとかを調べる為に久々にピクニックをしていた。

 

「やっぱりダルシムは基本的にギギネブラの特殊個体なだけあってライズのギギネブラにかなり似てる部分があるわね。」

「なる程な……確かに骨格が同じってのもあるが外見での見た目が色以外に完全に一致してる辺り主に変化してるのは体内なのかも知れないな。」

「あ、アグナコトルの纏ってる氷結構速く溶けてるよ。」

「ん?ほんとだ……そうなるとアグナコトル自体はあまり体温を自分で調節しにくいのか?」

 

やっぱりこうしてじっくりとアナザーポケモン達の特徴を見ていると分かるんだけどこの世界のポケモン達と比べるとすっごく限定的な環境に特化してるポケモンが多いんだよね。

 

「アグナコトルってもしかして自分の住んでる環境に凄く頼ったポケモンなのかな?」

「あ、レティそれ正解よ。

アグナコトルの原種は火山地帯を生息地にしていて溶岩を泳いで体に纏うことで身を守る鎧としても武器としても使ってるのよ。

対するライズのアグナコトルと同じ亜種は豪雪地帯とかの洞窟なんかを根城にしてるんだけど、雪だけじゃなくて溶けた雪を凍らせた氷まで纏うから原種よりも硬いのよ。

とはいえ時間が経つと溶岩が冷えてより硬くなる原種と比べて亜種は時間が経つに連れて溶けちゃうからどっこいどっこいなのだけどね。」

 

私はアグナコトルのお世話をしながら見るけど……。

 

「コッ?」

 

首を傾げてて可愛いけどこの子がそんなに強いなんて……。

 

私はこの子の頭を撫でてあげると目を細めて甘えて来てる。

可愛いなぁ。

 

 

「あ、次はナッペ山向かうけどジムをスルーしてそのままスター団いくぞ?」

「「へ!?」」

 

まって!?そんな大事な事あっさり言わないで!?




マグロ「アグナコトルの能力いきますよ~」

アグナコトル(とうかりゅうの姿)
アナザーポケモン
こおり・ドラゴンタイプ

特性
『グラシスアーマー』(夢特性)
・出てきた最初のターンのみ物理攻撃のダメージを受けない
・3ターン目になると氷が溶けて『ぼうぎょ』が半分になり、『とくぼう』が1.5倍になる。
・天候がゆきげしきだと氷が溶けない。
通常特性
・『アイスボディ』
・『シェルアーマー』


・『フリーズバースト』
こおり 特殊 威力100 命中95
みずタイプの攻撃としても扱う。
相手をかなしばり状態にする。

・『ダイヤモンドアッパー』
こおり 物理 威力90 命中100 
相手の壁技を破壊する。
ステータス変化の影響を受けない。

・『ドリルライナー』
・『ゆきげしき』

種族値

H:80
A:90
B:160
C:105
D:80
S:85


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少年と双子とナッペ山

 

 

レティ視点

 

~チャンプルタウン~

 

私達はナッペ山に存在するフリッジジムを経由してスター団フェアリー組のアジトへと向かうために一番近場のチャンプルタウンに来ていた。

 

そらとぶタクシーから私達は降りると早速ライズ君が仕切って色々と必要な準備を教えてくれる。

 

「やっと着いたか……ヴィオ、レティ、まずはナッペ山に入るにしても今のままだと自殺行為にしかならないから色々と準備するぞ。」

「へ?どういうことなの?」

「文字通りだよ、このナッペ山は見ての通りの雪山だがこのパルデア地方の中でもかなり広大なエリアなんだ。

ただでさえ気温がマイナスを超えるような所にこの格好で向かって生きていられると思うか?

特にここ最近は吹雪が酷いからな。」

「最低でも防寒具に丈夫なテント、保存食と必要な物はそれなりに多いわね。」

 

知らなかった……ナッペ山の環境ってそんなに厳しいところだったんだ……。

 

「とりあえず制服についても冬服は当然として手袋とかマフラーも買っとけ、保存食に関しては俺が必要そうなやつを見積もって買い込んどいておく。

ナッペ山には何度か入っているからその辺のノウハウはあるから安心しろ。」

「って事はやっぱりフリッジタウンのゴーストジムやナッペ山のこおりジムのジムリーダーとも知り合いなのかしら?」

「まぁそんなところだ、グルーシャさんはともかくとしてフリッジタウンにいるライムさんはナンジャモやリップさん、カエデさん達みたいにジムを副業としてるタイプだから用がある時はこっちから直接出向く必要がある場合が多いんだ。」

 

ジムを副業にしてる人か……そういえばよく考えて見たらそういう人って結構多い気がする。

 

『カエデ』さんに『コルサ』さん、『ナンジャモ』ちゃんに『ハイダイ』さん、『アオキ』さんはリーグ所属の人らしいから別として『リップ』さんもそうだしさっきライズ君が言ってた『ライム』さんって人もそうなんだよね?

 

あれ?ジムリーダーの殆どの人がジムをついででやってない?

 

そんな事を考えてると……。

 

「レティ、その辺は気にしたらキリがないからやめとけ。」

「あれ!?なんでライズ君私の考えてる事が分かったの!?」

「お前はその辺結構顔に出やすいから分かりやすいんだよ。」

「ふふ、そこもレティの可愛い所よね?」

「言っとくけどヴィオも人の事言えない時あるからな?」

「ふぇ!?」

 

うん……ライズ君の言いたいことは分かるんだけどその言い方だとヴィオ姉に可愛いって言ってるようなものだよ?

ヴィオ姉も顔を赤くしてるし可愛いんだけどなんか複雑……。

 

「鈍感……。」

「ん?なにか言ったか?」

「なんでもないよ!」

「なんでそんなにむくれてるんだよ……。」

 

はぁ……ライズ君って胸の大きい人が好きなのかなぁ……。

私は自分の胸にあるプレートへと目を向ける。

 

「なんで双子なのにこんなに違うのかなぁ……。」

 

するとヴィオ姉が私の隣に来てライズ君に聞こえないように小さな声で話しかけてくる。

 

「レティ、気にすることは無いわよ。

あいつはそんなの気にするタイプじゃないわ。」

「ヴィオ姉……。」

「それに貧乳はステータスよ!希少価値なのよ!」

「うるさいよ!?」

 

ヴィオ姉に言われるとものすっごく悔しいんだけど!?

 

うぅ……やっぱりこれヴィオ姉に気付かれてるよね……ライズ君に対する反応からやっぱりヴィオ姉も……。

 

「……なんで目を逸らしてるの?」

「ななな、なんでもないわよよ?」

 

はぁ……やっぱり私達って変なところで双子なんだって実感するなぁ……。

 

「おい、いい加減買い物始めないとフリッジタウンに着く前に更に野宿がもう一泊増えるぞ。」

「え!?それは困るよ!」

「チャンプルタウンで一泊してからでも……ナンデモナイデス。」

「よろしい。」

 

ヴィオ姉がめんどくさがってるけどライズ君のジト目に流石に黙っちゃった。

 

 

 

_________________________________________________

 

 

ナッペ山対策の買い出しを終えた私達はそれぞれのライドポケモンに乗ってチャンプルタウンからナッペ山へと向かった。

 

だけどライズ君はナッペ山の入口でいきなり止まって何故かガーグァをボールに戻していく。

 

「ライズ君どうしたの?」

「ガーグァを戻したってことはナッペ山じゃガーグァでの移動は難しいのかしら?」

「まぁそれもあるんだがな、出番だぞ!アグナコトル!」

「コォォォオオオオオトル!!」

 

するとライズ君はアグナコトルを外に出して荷車を弄っていく。

 

「アグナコトルで移動するつもり?」

「でもアグナコトルにその荷車使えるの?」

 

ライズ君の荷車はガーグァに使いやすいように形を考えて設計されてるって聞いてるしアグナコトルだと荷車は凄く引きにくそうだけど……。

 

「お前ら家で散々俺の得意分野見てきただろうに?」

「ふぇ?」

「まさか……。」

 

ライズ君が何処から取り出したのか謎過ぎるレバーを倒すと荷車からいくつものアームが出てきてアグナコトルの背中のヒレに邪魔にならないように変形しながらくっついていく……ってなにそれ!?

 

少しするとアグナコトルの背中にヒレが荷車本体を分割するような形でくっついていた。

ライズ君はそこに飛び乗るとアグナコトルの顔を撫でていく。

 

「ほら、モタモタしてると置いてくぞ?」

「え!?あっちょっと!?」

「待ちなさいよ!?」

 

私達はライズ君の後を追うようにコライドン達を走らせて着いていく……ってまってライズ君めちゃくちゃ速いんだけど!?

 

 




マグロ「DLC……ヒャッハーーー!!!」
ライズ「追いこらまて作者!?どこ行く!?」


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少年と双子と不穏な吹雪★

 

 

ライズ視点

 

~ナッペ山~

 

「トルルルルァァァァァアアアアア♪」

「アギャァァス!?」

「アギャス!?アギャァァス!?」

 

俺達の乗る三匹のライドポケットの鳴き声が響き渡る。

1匹は水を得た魚のように楽しそうに……もう一匹はそのポケモンのあまりの移動速度の速さに驚愕している。

 

そしてもう一匹は………。

 

「ミライドン!流石に雪の上をタイヤ状態だときついわよ!?」

「アギャァァァス!?!?」

 

雪に足を取られまくって泣く泣くダッシュを使えないヴィオとミライドンの姿だった。

 

「待って!?ライズ君待って!?ヴィオ姉が雪に嵌まった!?」

「ん?またか、アグナコトル!」

「コッ!」

 

俺の指示を聞いたアグナコトルは急ブレーキをかけて止まる。

なお俺は良くガーグァに投げ飛ばされているのでこの手の事には慣れており、吹き飛ばされずに済む。

 

「ライズのアグナコトル速すぎるわよ……。

特性『ゆきかき』でも持ってるのかしら……。」

「そもそもの生息域が雪山とかの氷雪地帯ならそりゃ動きも速くなるもんだよ。」

 

実際アグナコトルの表情を見ているととてもはしゃいでいるのが良く分かる。

まぁ今までウロコトルだった時にナッペ山で出してあげたこともなかったからな、始めての場所でテンションが上がっているのもあるかもしれない。

 

「やっと追い付いたわ……レティはともかくライズ速すぎるわよ……。」

「アギャァァス……。」

 

ミライドンは雪にかなり足を取られており、若干疲れた様子だ。

 

「ミライドン、でんきエネルギーで若干浮いたりとかは出来ないのか?」

「アギャァァア……アギャ!アギャッス!!」

 

ミライドンは軽く首を傾げて考え込むような表情になり、ダッシュ形態へと体を変化させて車輪を回転させ、でんきエネルギーを放出する。

するとミライドンはほんの数センチ程ではあるが浮くことに成功した。

 

「問題は移動出来るかどうかね……ミライドン?どうかしら?」

「アギャァァス……アギャッス!」

 

ミライドンはゆらゆらしながらなにかを試しているような様子を見せた、足の部分にあるブースターのような部位からエネルギーを放出することで浮いた状態で走ることに成功していた。

 

「アギャァス!!」

 

移動が快適になったミライドンはやたらと機嫌を良くしてアグナコトルの周囲をひたすらぐるぐるとしていた。

 

そんなほほえましい場面をもう少し見ていたかったんだが……。

 

「ロトォォォオオオ!!!ロトォォォオオオ!!!」

 

俺のスマホロトムのアラートが鳴り始める。

 

「な、なに?」

「ライズのスマホロトムからね。」

 

二人は困惑した様子だ、まぁこのアラート機能は基本滅多に見られないからな。

俺はスマホロトムを起動してアラートの内容を見る。

 

「…………不味いな、二人とも、近くの洞窟に避難するぞ。

あと少しで吹雪がやって来る。」

「うぇえ!?こんな急に!?」

「ナッペ山の天候が最近荒れやすいってのは聞いてたけどそこまで酷いのね。」

 

正直俺もなにか妙だとは思っている。

ここ最近はやたらとナッペ山の天気が荒れやすく、今までは全く観測されなかった竜巻(・・)まで発生する始末だ。

 

それに同時期にナッペ山全域に謎の巨大な氷塊が何度か発見されている。

 

今はグルーシャさんとライムさんが組んで探索してくれているらしいが……どうにも嫌な予感がする。

 

「グルルルァァァ……コッ!コルッ!!」

 

アグナコトルが周辺の警戒をしながら泳ぐように雪の上を滑り、避難できそうな洞窟を探していくと一ヶ所の洞穴を見つける。

見てみるとポケモン達も何匹か避難している様子だった。

 

「ナイスだアグナコトル!

レティ!ヴィオ!こっちだ!!」

「わかった!コライドン!」

「アギャス!」

「ミライドン!」

「アギャギャ!」

 

俺達は洞窟の入口手前辺りでそれぞれのライドポケモンをボールへと戻して洞窟へと入っていく。

 

俺のポケモンがどんどん進化して巨体のポケモンばかりになってきたからこの手の洞穴みたいなタイプは若干入りにくくなってきたな……。

 

外を軽く見てみると急な猛吹雪によって視界が埋め尽くされており、今外に出れば下手したら遭難するのが目に見えていた。

 

洞窟の方へと顔を向けるとそこには焚き火を準備している二人と、避難していたアルクジラ、その進化系のハルクジラやクマシュンにセビエ、ユキハミ、ユキワラシやカチコール等といったこおりタイプのポケモンまでもが怯えた様子で避難していた。

 

この怯え方は吹雪は関係なさそうだな、このポケモン達は吹雪には比較的慣れている上に普通に行動出来るようなポケモンまでいる。

確かに外は風が強く、フリージオが吹き飛ばされてるのは見えるが……。

 

正直今のこの状況から考えればこのポケモン達は何かから逃げてきたと見るのが妥当だが吹雪が原因で無いとすればもう選択肢としては一つしか残っていない。

 

この山に一体何が現れたっていうんだ?

どう見ても状況的にこのポケモン達は自分達を圧倒するような絶対的な強者から逃げてきたような反応だ。

 

グルーシャさん達にメッセージを送っておくか……。




マグロ「なぞのポケモンのデータ紹介」

?????(?????のすがた)
こおり・ドラゴンタイプ
アナザーポケモン

特性:?????



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少年と双子とスター団フェアリー組。

 

 

ヴィオ視点

 

~ナッペ山~

 

結局あの後夜まで待ってはみたけど吹雪の勢いが弱まる様子は全く無かった。

 

私達は結局洞穴で一夜を過ごすことになり、その場にいたポケモン達も加わって結構ワイワイと賑やかなキャンプとなった。

 

翌朝……。

 

「クマックマシュッ!マシュマシュ♪」

 

私の体を誰かが揺すってくれた事によって目が少しずつ覚めてく。

 

ってかなんか寒いような……。

 

私は少しずつ凄まじく眠くて重い目蓋を開いていく。

 

「マシュマシュ♪」

 

目を開けると目の前には数匹のクマシュンが私の体に乗っかったり体を揺すったり手を握っていたりしていた。

だけど言わせて頂戴。

 

「萌え~~~~!!!!」

 

私はクマシュン全員を腕に抱き締める。

めっっっちゃくちゃ冷たいけどすっごく可愛い!!

 

「ヴィオ姉~!いい加減起き……え?ヴィオ姉がこの時間に起きてる!?」

 

ちょっと!?さすがに失礼じゃないかしら!?

私だって早く起きる時くらい……くら……い?

 

…………あら?私……転生してからまともに早起きした覚えが無いわね?

 

「ラ……ラララララ……!?」

「ラ?」

「ライズ君ーーー!!!ライズ君ーーー!!!大変だよーーー!!!ヴィオ姉が早起きしてるーーー!!」

「ちょ!?」

「はぁ?ヴィオが早起きなんてそんな……え?」

 

今度はライズがテントに入ってきて固まる。

 

あの……ホントに失礼だと思うのだけど……。

というか流石にライズに寝間着姿を見られるのは少し恥ずかしいんだけど……。

 

「…………あ、わりぃ。

俺は外で待ってるから準備が終わったら来てくれ。」

 

ライズも私が何を言いたいのか気付いたのか顔を若干赤くして早歩きで洞穴の外に向かっていった。

 

「クマ?」

「クシュンッ!……クマ?」

 

ライズったら妙な所で察しが良いのよね……それにさっきみたいに照れたりした所も可愛いのよね……。

 

「はぁ……レティもいるから考えないようにしていたのだけどね……。」

「ふぇ?何が?」

「なんでもないわ……とりあえず着替えちゃうから待ってて頂戴。」

 

私はクマシュンの姿にめっちゃ萌えながら着替えを済まして外に出てレティと二人でテントを閉まってライズの所に向かった。

洞穴の外ではライズがアグナコトルの背中にくっついていた荷車のメンテナンスをしていてアグナコトルは雪に体を擦り付けてゴロゴロとしていた。

待って……あれも可愛すぎるんだけど……。

 

「そっちも準備出来たみたいだな。」

「うん!いつでも出れるよ!」

「そうか、また天気が悪くなられても面倒だからさっさとフリッジタウンに到着してすぐに下山するぞ。」

「え?下山するの?折角登ってきたのに?」

「「アギャス?」」

「レティ、スター団フェアリー組の場所は覚えているかしら?」

「え?スター団フェアリー組は……あぁ!そっか!だから降りるんだ!」

「そういうことだ、地味に厄介な場所にアジトを作っているんだよ。

とりあえずフリッジタウンに着いたらタクシーの登録だけ済ましてすぐに出発するぞ。」

 

 

 

そうして私達はそれぞれのライドポケモン達を走らせて行ったんだけど……実はフリッジタウンには出発して2時間もかからなかったのよね。

 

結局そのままポケモンセンターでポケモン達の回復とそらとぶタクシーの登録だけしてすぐに下山していった。

ただ私達は降りる時はミライドン達の滑空を使えば大丈夫だけどライズはどうするのかと思ったら。

 

「出てきてくれ、ギギネブラ。」

「ネビュラァ♪」

「俺を喰わないでくれ……。」

 

ライズはアグナコトルから荷車を外してボールに戻したと思ったらギギネブラを出した。

 

そういえばギギネブラも生息地域がこういう氷雪地帯だから全然問題ない訳よね。

そして少し荷車を弄るとギギネブラが背負うような形で荷車がくっついた。

 

ライズのこの無駄な技術力の高さはなんなのかしら……。

 

「さて、俺も滑空して下山するから気にせずいくぞ。」

「う……うん。」

「わかったわ……。」

 

正直私達の顔はひきつってしまう。

うん……流石にね?

 

しばらく空を滑空して雪解け水の流れに沿って移動していくとだんだん雪がない地面が見えてくる。

その場所は美しい川にとても綺麗な花々が咲き誇っていてとても幻想的な場所だった。

 

「綺麗……!」

「ほんとね……こんな場所がパルデアにあったなんて……。」

「その前にあるスター団のアジトさえなければ俺としても同感と言いたかったんだがな。」

 

ライズは私達があえて視界に入れてなかった……というか入れたく無かった物を言ってしまう。

 

「やめて……現実を突きつけないで頂戴……。」

「それ以前に俺達が何しに来たと思ってるんだ?」

 

やめて!?心が折れちゃう!?

折角こんな綺麗な場所に来れたのにこっからアナザーポケモン達による蹂躙なんてしたくないんだけど!?

 

「幸いこの辺の植物はポケモン達の影響をめちゃくちゃ強く受けてるからすぐに元に戻る。

気にせず突撃するぞ。」

「「ちょ!?!?」」

 

ライズはそのままスター団アジトの前まで先に向かってしまう。

 

「「ちょっとまって!?」」

 

 

 




オルティガ
「ッ!?!?なんだか寒気が……。ホットミルクでも飲もっと。」


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少年と双子と坊ちゃま

 

 

レティ視点

 

~北3番エリア『スター団アジト前』~

 

それぞれライドポケモンから降りてスター団アジト方面まで進んでいくとちょうどその進行方向に校長先s……ネルケが無駄に髪を整えながら待ってた。

 

いつから待ってたんだろうあの人……アカデミーの仕事もあるだろうに。

 

「ライズ、レティ、ヴィオ。

スターダスト大作戦、進んでいるな。

残るボスは二人か……。

この作戦のおかげでいろんなことが見えてきて助かってるぜ。」

 

校長先生……げふんげふん、ネルケはグラサンの位置をこまめに調整しながらそう話すけど……その仕草がすでにボロ出してますよ……。

隣のライズ君とヴィオ姉も顔がひきつってるもん。

 

「……?ところで三人はカシオペアをどう思っている?」

「カシオペアを……ですか?」

「んー、そうね……私としてはただただ怪しいわね。」

 

あー、ヴィオ姉とカシオペアって仲が良いんだか悪いんだかよくわからないんだよなぁ。

実際私にはあんまり仲が良くないように見えるんだけどライズ君は『じゃれあってるだけだ』って言ってるし。

 

「レティはどうなのかしら?」

「んー、私かぁ……不思議な人って印象かなぁ……。

やたらとスター団の内情に詳しすぎるってのも大きいけど。」

 

正直今思ってみればカシオペアはスター団の事についていくらなんでも詳しすぎる気がするんだよね。

いくら元スター団とは言っても普通ここまで知ってる物かな?

知ってるとしても元々凄い上の立場だったんじゃないかなって思ってる。

 

「ライズ君は?」

「俺か?……正直情報が足りなすぎてわからないって所だな。

ある程度目星は付いてきたが証拠がない。」

「うぇ!?嘘!誰々!?」

「悪いんだが確信が持てるまで待ってくれ、間違いでしたで済ませて良いような問題でもないからな。」

 

あぁ……そっか、確かに今のスター団の噂とか考えると色々とその人が危なくなっちゃうもんね。

 

「……なるほどな。

オレはな、カシオペアがスター団を恨んだり憎んでいるとは思えない。」

「あ、確かに……どっちかと言うとスター団の事を大事に思ってたような素振りも多かったよね。」

「それもあるな、だがあいつが団を解散させたい本当の理由は一体……。」

 

少し考え込む校長先生だけどすぐに首を振って切り替えた。

 

「……そろそろ見張りに戻るぜ。

アジトに挑むなら呼んでくれよ?」

 

クラベル校長先生はそう言い残して無駄に綺麗な姿勢で去っていっちゃった。

そういう所ですよ……。

 

_________________________________________________

 

 

あの後とりあえず軽く休憩を入れてからスター団アジトの入口まで向かうと門番っぽい人とメガネをかけたチョビヒゲのおじさんが話しているのが見える。

 

「…………それではまた後程ピアノのお稽古の時間に。

坊ちゃまによろしくお伝えください。」

「わっわかりました!イヌガヤさん!」

 

私達は入口の所で話している二人の会話を聞いていて色々と疑問が沸いてきた。

 

「ピアノの稽古?」

「坊ちゃま?」

「イヌガヤ……どこかで聞いたような。」

 

ライズ君はどうやらあのおじさんの名前をどこかで聞いた覚えがあるみたいだけど詳しくはよく覚えていないみたいで頭を捻ってる。

すると……。

 

「……おや?」

「「「あ、気付かれた。」」」

 

隠れて聞いていた事に気付かれたみたいだから素直に私達は二人の前に向かっていく。

話してたの聞かれちゃってたかな?

 

「あなた方も坊ちゃまのご学友の方々でしょうか?」

「坊ちゃま?すみません、だれの事だか……。」

「あら?そういえば確かにここのボスって……。」

 

私達が坊ちゃま?っていう人物に対して特に知らないことを伝えるとイヌガヤさんって人はちょっと残念そうにしていた。

 

「左様でございますか……。

ご存知無いかもしれませんが、ここはオルティガ坊ちゃまが率いるフェアリー組『チーム・ルクバー』のアジト……。」

 

イヌガヤさんがここに付いて話し始めると隣にいたスター団の団員が若干青い顔をし始める。

っていうかやっぱり『坊ちゃま』ってここのボスの事だったんだ。

 

「あっあの、そういうの勝手に教えないで……。」

「大変失礼致しました、この方々どちらさまなのでしょう?」

「多分私達の敵です!」

「多分て……いやまぁ合ってるけど。」

 

するとイヌガヤさんは若干目付きが鋭くなってこちらを見てくる。

 

「成る程……ということは坊ちゃまの敵……ということで?」

「まぁ……そうなります?」

「どのみちカチ込みに来たのは変わら無いんだから敵で良いんじゃないかしら?」

「少なくとも否定する要素は無いな。」

「ふむ、成る程……であれば。」

「へ………?」

 

なんか隣にいる門番の人が置いてけぼりになってるなぁ……。

 

「ワタクシと一戦願えませんでしょうか?」

「どうする?ライズ君?」

「私としては別にそこまで影響は無いとは思うわよ?」

「そうだな……どのみち突破するにしてもバトルは避けられないわけだし……わかりました、受けてたちます。」

「ありがとうございます、それでは参ります!!」

 




マグロ「うーむ、2000文字を目標にしてるとどうしても短くはなるけど……一番負担の無い文字数がこれなんだよなぁ。」
ライズ「とりあえずは遅れないようにだけはしとけよ?」
マグロ「うむ(´・ω・)」


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少年と双子とチーム・ルクバー

 

 

レティ視点

 

~北3番エリア~

 

 

「さて、どなたがお相手になってくれますかな?」

 

イヌガヤさんはボールを取り出して既に構えている。

 

「私が行く!いいかな?」

「ええ、構わないわよ。」

「頑張れよ。」

 

よーし!張りきっちゃうぞ!

 

「お行きなさい!ギモー!」

「ギギギッ!」

「いっくよー!ボルンガ!」

「ボルァァァァアアアアアア!!!!」

「ぬぅ!?」

 

するとイヌガヤさんは初めて見るであろうボルンガの巨体に軽く驚いたのか少し固まっていた。

 

「これはこれは……初めて見るポケモンです。

どの地方のポケモンなのかすら検討もつきません。

ですが相手にとって不足はありません!

ギモー!『あくのはどう』!」

「ギモモモモ!ギモー!!」

「ボルンガ!『アイアンヘッド』!!」

「ボルァァァァアアアアアア!!!」

「ギモ!?ギギギギ……ギモォォォォオオオオ!?!?」

「ギモー!?」

 

ギモーの『あくのはどう』をボルンガは真正面からその鋼を纏った頭部で叩き潰す。

捕まえてからずっと鍛え続けたボルンガは最初に出会った頃と比べて格段に強くなってて、『アイアンヘッド』を地面に叩きつけるだけで軽く地面が割れる程の威力になっていた。

勿論その威力によってとてつもない衝撃が地面と空気に伝わるからギモーはその衝撃波で軽々と吹き飛ばされてしまう。

ギモーってそんなに体重重くないからやっぱり吹き飛んじゃったか……。

 

「ボルァ!」

 

ボルンガがすごく誉めて欲しそうにこっちを見てくる。

この子ほんとこういうところめちゃくちゃ可愛い……。

ヴィオ姉とライズ君の方に視線を向けると……なんか顔がひきつってた。

 

「ね……ねぇ、ボルンガの火力……なんかジムで見た時より威力さらに跳ね上がってないかしら?」

「ジムでのバトルを経験して強くなったんだろうとは思うが……これ多分道具だな。」

「あ?ばれた?実はこの前『ちからのハチマキ』をデリバードポーチで買ったんだよね。

この間のジムだとまだ本当に効果があるか半信半疑だったから使ってなかったから。」

 

まぁボルンガにどうやって持たせるか凄い悩んだんだけどね……結果的に頭の出っ張りに巻いたけど。

 

「ちからのハチマキでもここまで威力変わったかしら?」

「元々強くなったのと合わせて上がり幅が大きく見えるんだろうな。」

 

 

「なんという火力……それに今の衝撃波からしてワタクシでは相手にすらなりませんか……。

…………これはこれは。」

 

するとイヌガヤさんは吹き飛んで目を回していたギモーをボールに戻してもうひとつ持っていたボールは取り出さずに降参した。

 

あれ?もしかして今の私達ってかなり強くなってる?

すると私が首を傾げていた事に気付いたライズ君がこっちに来て顔を近付けてくる。

え?え?え?ななななに!?

 

「レティ。」

「ひゃ、ひゃい!?」

「少なくとも二番目に強いジムリーダー突破してる時点でこの辺のトレーナーの大半よりは確実に強くなってるぞ?」

「へ?」

 

えっと……その……無駄に緊張して損しちゃった……。

そうだった……ライズ君めちゃくちゃ鈍感なんだった。

 

するとヴィオ姉が軽く頭を抱えながらやってくる。

 

「はぁ……ライズったら、そんなんじゃいつか刺されるわよ?」

「何がだ?」

「うーん、確かにライズ君が刺されないかちょっと心配かなぁ。」

「だから何でだ?」

 

ライズ君……。

 

「大変仲がよろしいようで……。」

「「「ッ!?」」」

 

あ、イヌガヤさんとスター団の人忘れてた!?

 

「それにしてもお見事ですな。

我が主オルティガ坊ちゃまはワタクシ以上にやり手ですのでご注意くださいませ。

それでは失礼します。」

「おっ……お疲れ様でスター…………。」

 

あ、行っちゃった……凄いマイペースな人だったなぁ……。

ってか主って……あの人ってここのボスの使用人さんかなにかなのかな?

するとスター団の門番さんが話しかけてくる。

 

「今の紳士はね、アカデミーの前の校長?みたいなんだけど?

今のボスの教育係?らしくて時々ボスを迎えに?くるの……。」

 

なんかやたらと疑問系なのが気になるけどアカデミーの前の校長先生だったんだ……すごい人だったんだ。

 

「前の……そういえば確かアカデミーは一度教員が総入れ替えされていたような……。」

「そうそう、だからその入れ替え前の……って話してる場合じゃなかった!?

キミ達が敵だと確信したのでわたしは報告してきまーす!

お疲れ様でスター!」

「「「いや確信するの遅いって!?」」」

 

門番の人は慌ててアジトに入っていったけど……なんというかこの人もこの人でなかなか濃いなぁ……。

 

『う~~ううう あんまりだ…H E E E E Y Y Y Y あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!おおおおおおれェェェェェのォォォォォ うでェェェェェがァァァァァ~~~!!』

 

すると今度は例のごとくタイミング良くヴィオ姉のスマホロトムが鳴るんだけど……だからヴィオ姉の着メロは毎回なんなの!?

 

「もしもし?」

 

普通に電話に出てるし!?

 

『…………毎度ながらその着メロ設定はどうなっているんだキミは……。

それよりも見張りに対処出来たか?』

「ええ、問題ないわよ。

レティが軽く戦意喪失させたわ。」

『戦意喪失?……まぁいい、そのアジトの主はスター団フェアリー組……チーム・ルクバー。

ボスのオルティガはスター団メカニック担当、ボスの中では最年少だが腕は確かだ、侮るなよ?』

「大丈夫だよ、少なくともリップさんは突破出来たからな。」

『…………まぁいい。

彼は基本的に自分より他人に行動させる司令官気質。

だが少しプッツンしやすく怒るとボス自ら戦地へと乗り込んでくるだろう。』

「それって司令官としてはどうなんだろ?」

「レティ……。」

『…………言うな。

ともかくひたすらしたっぱ達を倒していくしかない。

オルティガが現れるまでしたっぱ達の猛攻を凌ぐんだ。

準備が出来たらゴングを鳴らして大作戦開始!

チーム・ルクバーにカチこんでくれ。』

「了解。」

「要はいつも通りね。」

「よーし!頑張るぞー!」

 

そうしてカシオペアは通話を切る。

 

私はボルンガ、ヴィオ姉はシュニン、ライズ君はバサルモスを出して準備完了している。

 

「よし、今回は兎に角暴れまわるぞ!」

「え!?今回はゴリ押し!?」

 

大丈夫かなぁ………。




したっぱA「オンドゥルルラギッタンディスカー!?」
したっぱB「オデノガラダハボドボドダー!?」
したっぱC「ザヨゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォ!?!?!?」
したっぱD「ウソダドンドコドーン!?!?」

したっぱの悲鳴が響き続けるのであった。


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少年と双子とメスガキのようなショタ

 

 

レティ視点

 

~スター団フェアリー組アジト内部~

 

 

 

こ れ は ひ ど い 。

 

目の前で起きている光景に私達は軽く引いていた。

何故なら……。

 

「ギャァァァァア!?!?」

「フェアリーにどくはやめてくれぇぇぇえええ!?!?」

「そんなデカイはがねで叩き潰さないでくれェ!!」

「引かれるゥゥゥウウウ!?!?」

 

トレーナーごと巻き込むような大型のアナザーポケモン達の蹂躙が起きていた。

シュニンはひたすら転がってはポケモン達の防御ごと粉砕しながら引いていく。

ギギネブラは空の上から猛毒の雨を降らせたり毒の爆弾をいろんな所に設置してちょっとした地獄を生み出している。

ボルンガは頭を振り下ろしてフェアリーポケモン達を粉砕しながらその頭によるアッパーでトレーナーごとポケモンを吹き飛ばしていた。

 

吹き飛ばされていた人達は全員海に落ちていたから無事だけど……これは流石に酷すぎる。

 

「ライズが作戦が要らないと言うわけね……そもそも話になってないわね。」

「とはいえアナザーポケモンはドラゴンタイプも多いから完全に油断は難しいがな。」

「うーん、大丈夫かな……吹き飛ばされたあの人達……。」

 

そうして蹂躙されていくスター団を見ていると……。

 

『守りきれませんでした……そろそろボスの出番です!』

 

スピーカーから声が響き渡り、アジトの一番大きなテントからブロロロームとブロロン達のエンジン音のような鳴き声が聞こえてくる。

 

テントの入り口が開かれるとそこには……。

 

「「「ドピンク!?!?」」」

 

全身ピンク色で所々にハートの模様が施されてネオンが目に痛いとんでもないカラーリングのスターモービルが出てくる。

そしてそのスターモービルの上に立つのは……。

 

ピンク色のスーツに身を包み、真珠色の杖を持った一見ちっちゃい子供に見える人だった。

 

「ショタ来たァァァァァァアアアアア!!!!」

 

ヴィオ姉が何か言ってるけどたまにあることだし意味もわからないから私はスルーする。

 

「へー……ふーん……オマエらがオレ達に喧嘩売ってきてる三人組なんだ……。

ショージキ予想外だよ、もっとゴツいの期待してたのに。」

 

あれ?なんか嘗められてる?

スッゴいイラってくるんだけどこの人……。

 

「ま!誰でもいいんだけどさ、オレが負けるとかないし。

フェアリータイプのかわいくないとこじっくり体験していけばいいんだ!」

 

この人……この人……なんかムカつく!!

 

「ヴィオ姉……ライズ君……ここは任せて貰ってもいいかな?」

「え……あぁ、いいわよ?」

「あ、あぁ……。」

 

すっごい上から目線な上にこの見下されてる感じは流石に嫌だ!

 

「へー、オマエがやんの?ならかわいがってやるから吠え面かいて帰れよ!いけ!マリルリ!!」

「粉砕するよ!ボルンガ!!」

「リルルリリ!!」

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!!」

「ルリリッ!?」

 

ボルンガの様子を見ると頭の筒から蒸気を何度も吹き出してる。

あんなの言われて黙ってられる訳がない。

 

「マリルリ!あんな図体ばかりのやつにビビる必要はない!『アクアテール』だ!」

「ルリ!リルゥゥウ!!!」

「ボルンガ、真っ正面から受け止めて。」

「ボルッ。」

 

私とボルンガはあえて避けずに真っ正面から受け止めた。

はがね・じめんタイプであるボルンガにみずタイプは弱点だけど今はボルンガはスター団のしたっぱ達を蹂躙して泥まみれになっている。

 

つまり……。

 

「なっ!?」

「リルルリ!?」

「ボルンガ……『アイアンヘッド』!!」

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!」

 

特性の効果で実質的な弱点は『じめん』と『かくとう』くらいしかまともにない!!

仕返しとばかりにボルンガは頭を振りかぶって地面へと叩きつける。

そのはがねエネルギーは怒りによって増幅されて軽く地面を割るような威力になっていた。

 

「ヒェッ……。」

 

オルティガの顔が若干青くなるけど関係ない、全力で叩き潰す。

 

「レティ……かなり怒ってるわね。

それにしてもわからされる生意気なショタ……悪くないわね。」

「何をいっているんだお前は……。」

 

ヴィオ姉がなんか言ってるけど無視!

 

「へ……へへ……へぇ……や、やるじゃん。

でも俺のポケモンはまだまだいるんだ。

このくらいで勝った気になるんじゃないよ?

いけ!プクリン!」

「プクリ……ピッ!?」

「グルルルルルル………。」

 

ボルンガは出てきたプクリンの目の前で睨み付けながら唸り声を出していた。

 

「プクリン!『あまえる』!」

「プク……プクリ?」

 

プクリンはやたらとあざとかわいいポーズでボルンガにすり寄るけど……。

 

「ボルンガ。」

「ボル……ボルァァァァァァアアアアアアア!!!」

 

ボルンガは容赦なくプクリンへと『アイアンヘッド』を叩き込む。

『あまえる』でさっきみたいな威力にはならなかったけど一撃で倒すには十分過ぎた。

 

「嘘だろ……い、いけ!バウッツェル!!」

「バウッ!…………きゅーん。」

「ま、負けるな!『どろかけ』で視界を塞ぐんだ!」

「バ、バウッ!」

 

バウッツェルはボルンガに泥を掘り起こして投げつけてくる。

本来なら弱点だけどもとから泥まみれであり、泥の池に潜ることもあるボルンガにはまったく意味がない。

 

「ボルンガ……『マッドブラスト』!!」

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!」

「きゅーん!?きゅーん!?バウッ!?」

 

ボルンガは地面へと頭を叩きつけてからその頭の目の前を巨大な泥沼にして尋常じゃない大きさの泥塊を作って掘り出した。

掘り出した泥塊をアッパーの要領でバウッツェルへと投げつけるとバウッツェルは避けきれずに泥に潰されてしまったのだった。

 

 




ライズ「レティのぶちギレなんてはじめて見たぞ……。」
マグロ「将来一緒に生活して怒らせないようにな。」
ライズ「え?なんでそんなことを……。」
マグロ「無自覚ってこっえ。」


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少年と双子とルクバー・スターモービル

 

 

レティ視点

 

 

~スター団フェアリー組アジト内部~

 

 

オルティガのポケモン達を全員倒すとオルティガはどんどん癇癪を起こしていく。

 

「はぁ!?おかしいだろ!?

なんでオレが追い詰められてんだよ!?

たった一匹にこっちのフェアリーポケモン全滅させられるし!

ふざけんなよ!ルクバー・スターモービル!!!」

「「「ブロロァァァァァアアアア!!!!!!」」」

 

オルティガの言葉に答えるようにオルティガが乗っているスターモービル、『ルクバー・スターモービル』が咆哮する。

その咆哮と同時に周囲には薄い桃色の霧が立ち込めていく。

 

「『ミストメイカー』だ!!」

 

戦闘を開始すると同時に発動する特性……。

この特性によって発動する『ミストフィールド』はドラゴンタイプの攻撃の威力を半減させて地面に触れているポケモンは状態異常にはならない効果があるんだっけ。

 

「ルクバー・スターモービル!!『ホイールスピン』!」

「「「ブロロァァァァァアアアア!!!!」」」

「ボルンガ!真っ正面から受け止めて!!」

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!!」

 

ルクバー・スターモービルが急旋回しながらボルンガへと向かっていく。

 

ボルンガは硬い鎧と特別に頑丈な頭殻に覆われた頭をルクバー・スターモービルへと向けて受け止める。

 

「クソ!オレが直々に改造したルクバー・スターモービルでも押しきれないとかどんだけ馬力が高いんだよそのポケモン!?」

「「「ブ……ブロロ……ブロロ……ブロロァァァァァアアアア!!!!」」」

 

ルクバー・スターモービルに付いているブロロロームとブロロン達が踏ん張る鳴き声がするけどそれを受け止めるボルンガは軽く後ろへと押し込まれているくらいで完全に受けきっていた。

 

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!」

 

ボルンガはそのままルクバー・スターモービルを押し返していく。

 

「ル……ルクバー・スターモービル!!『アイアンローラー』!!」

「「「ブロロァァァァァアアアア!!!!!」」」

 

ルクバー・スターモービルがマフラー部分から炎を吹き出して衝撃波を発生させて周囲に立ち込めていたミストフィールドを霧散させていく。

 

『アイアンローラー』は使い所が難しいけど最強クラスの威力を誇るはがねタイプの物理技だ。

『ホイールスピン』は押し込まれる程度で済んだけど流石にこの威力を完全に受けきれない。

 

「ボルンガ!『もろはのずつき』!!」

「ボルルルァァアアアアアアアア!!!!」

 

ボルンガは全身に纏った泥を頭に収束させて固める。

すると泥は水分をなくしていき巨大な一つの岩へと変化してボルンガの頭には三重の頑丈な装甲を持った巨大な鎚となる。

 

ボルンガは衝撃波を出してミストフィールドを吹き飛ばしながら突進してくるルクバー・スターモービルへ向かって頭を軽く下げてずつきの姿勢を保ちながら向かっていく。

 

「「「ブロロア!!」」」

「ボルルァァ!!」

 

互いの技が激突してとんでもない衝撃がこっちにまで伝わってくる。

なんならヴィオ姉は衝撃でライズ君の方へと倒れ込んで巻き込まれたライズ君も倒れている。

それにライズ君の手がヴィオ姉の…………モゲテシマエバイイノニ。

 

ルクバー・スターモービルの上を見てみるとオルティガが衝撃に耐えきれずにひっくり返ってるのが見える。

あの様子を見て若干気分が良くなった。

 

いわタイプの技である『もろはのずつき』とはがねタイプの技てある『アイアンローラー』だとタイプ相性の都合上どうしても後者の方に軍配が上がっちゃうけど………。

 

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!」

「「「ブロロァァァァァアアアア!?!?!?」」」

「はぁぁぁぁああああああ!?!?!?」

 

結果としてはボルンガがルクバー・スターモービルを思いっきりぶっとばしちゃった。

元々ボルボロスっていう種族のポケモンは肉弾戦にすごく特化した体の作りをしているらしく、そな頭突きの威力は大型モンスターの中でも特に高いらしい。

ただ『砂漠の暴君』と呼ばれるポケモンには突進においても敵わないらしい。

 

一体この子達のいた故郷はどれだけの修羅場なんだろう……想像したいようなしたくないような……

 

「なんではがねタイプ最強の物理技がいわタイプの技に押し負けるんだよ!?おかしいだろが!?」

 

オルティガはそう叫ぶけど能力差が激しかったりすると結構タイプ相性は無視してもなにも問題ないような威力になる。

例えばこれはヴィオ姉が教えてくれたんだけど『ケッキング』なんかが良い例らしい。

生半可な耐久じゃ効果がいまひとつでも一撃で倒しきるような威力の攻撃であれば防ぎきる事は到底不可能なのだそうだ。

 

「ルクバー・スターモービル!!ふんばれ!『マジカルアクセル』!!!」

「「「ブロロァァァァァアアアア!!!」」」

 

スターモービルがフェアリータイプのエネルギーを収束して突進してくる。

けど……正直スターモービル独特の攻撃って似たようなものばかりだったんだよね……だから……。

 

「ボルンガ!!『アイアンヘッド』!!」

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!」

 

ボルンガの『アイアンヘッド』による頭突きがスターモービルへと直撃して……なにか金属がひしゃげる音が響くのだった。




マグロ「…………正直タイプ相性的なのもあるけとレベル差がw」


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少年と双子と浮眠竜☆

来週の火曜日深夜の投稿は旅行の帰りなのでお休みします。


 

 

レティ視点

 

~スター団フェアリー組アジト内部~

 

 

「なんで負けるんだ!!

なんで……なんで!!何でだよぉぉぉぉおおお!!!」

 

オルティガは車体の半分ほどがひしゃげて前面にいたブロロロームが目を回しているスターモービルの上でそう叫ぶ。

 

対するボルンガは技を相殺する為に使った『もろはのずつき』の反動で若干額の鎧が歪んではいるけどピンピンしていた。

 

「くそっ!くそっくそっくそぉ!!

こいつはまだ言うことちゃんと聞かせきれないから使いたくなかったけど!!

まだ終わらないぞ!終わってたまるもんか!!」

 

そう叫んだオルティガは往生際悪くさらにボールを取り出すけど……このパターンだとやっぱりオルティガも持ってたかぁ……。

 

オルティガの持っているボールはさっきから使っていたゴージャスボールではなくてドリームボールを取り出していた。

だけどボール越しからでもわかる程尋常じゃない威圧感がある。

 

「ボルンガ……気をつけて。」

「ボルァ!」

 

オルティガは壊れたスターモービルから飛び降りてボールを構える。

 

「いけよ!パオウルムー!!」

「うっっっっげ!?!?!?」

 

その名前が出た瞬間ヴィオ姉がものスッゴく顔を青くした。

なんか凄く嫌な予感がする。

 

そのボールから出てきたのは宵闇を連想させる黒色の体毛と甲殻に全身を覆われたナマケロのような顔を持ったもふもふのドラゴンのようなポケモンだった。

 

「ウルルルルルルルッ!!!」

 

いままでのフェアリーポケモンとはうって変わってどっちかと言うとあくタイプっぽい印象を受ける。

 

「なんて威圧感……体の所々に傷がある辺りかなり戦いなれてそう。」

「ボル……ボルァァァァァァアアアアアアア!!!!」

 

ボルンガも一瞬その威圧感に押されそうになっていたけど自分を鼓舞するように咆哮を行い、闘志を燃やした。

 

「ウルルル……。」

「パオウルムー……オレは……オレ達はこのまま終わるわけにはいかないんだ……あの人を……あの人が帰ってくる場所を守らなきゃ!!だからいまだけでも良いんだ!力を貸してくれよ!!」

 

オルティガは願うようにそうパオウルムーへと訴えかける。

パオウルムーはしばらくオルティガを見つめてからこちらへと向き直り、強い敵意をこちらへと向けてくる。

どうやら一時的なのかどうかは知らないけどオルティガを認めたらしい。

 

「ボルンガ……いくよ!『マッドブラスト』!!」

「ボルァァァァァァアアアアアアア!!!」

 

私はまずは様子見と牽制に『マッドブラスト』をボルンガへと指示して遠距離から攻撃を試す。

 

だけどパオウルムーはそれを最小の動きであっさりと回避してこちらへと向かってくる。

簡単に見切られてる!?

 

「ウルルァァァァァァアアアアア!!!」

「パオウルムー!!『サマーソルト』!!」

「パルルルルァァァァァァアアアアア!!!」

 

パオウルムーは俊敏な動きでボルンガの側面へと回り込んでその場で翼を羽ばたかせて宙返りと同時に尻尾をボルンガへと叩きつけてくる。

 

「ボルァッ!?ボルァァァァァァアアアアアアア!!!」

 

だけどボルンガの全身につけられた鎧は軽く傷が出来る程度で済んでおり、ダメージはかなり押さえられてた。

多分威力的にパオウルムーのタイプとは違う技。

でもノーマル技っぽいのに何故か攻撃の時に強い風圧が発生していたのが若干気になった。

 

パオウルムーは宙返りした後はその場で羽ばたいていたけどすぐに降りてくる。

もしかしてあの巨体なのもあって滑空が限界なのだろうか?

 

「パオウルムー!!『エアバキューム』!!」

「ウルルル!!!」

 

今度はパオウルムーが瞬間的に首に空気を送り込んだのか凄いスピードで首が膨張して風船のように膨らんだ。

 

「ナニソレ!?どうなってるのその首!?」

 

パオウルムーの長かった首は凄まじい膨張によって全身すらも包み込めそうな程膨らんでおり、膨らむ前には見えにくかった首筋の模様が膨らんだ事でまるで目のような模様となっていたのがわかった。

 

「パオウルムーの恐ろしさを教えてやる!!『たつまき』!!」

「ウルルル!!!」

「ボルルルッ……ボルッ!?……ガ……。」

「ボルンガ!?」

 

どうしたんだろう……ボルンガは今の姿ならだいぶ特殊攻撃に強いのにたつまきを受けた瞬間に大きく脱力している。

まるで眠たそうに……それに私もこの風を浴びていると眠たく……まさか!?

 

「パオウルムー!!『ようせいのかぜ』!!」

「ウララララッ!!」

「ボルァ!?……アァ……zzzZZZZZ ……。」

「ボルンガ!!」

 

ボルンガはこうかはいまひとつの『ようせいのかぜ』を受けて倒れ込んでしまう。

その顔を見ていると寝ているのが分かる。

でも『ようせいのかぜ』や『たつまき』にそんな効果は……まさか!?

 

「パオウルムーは風を使う時に体内の睡眠ガスも一緒に撒き散らすんだよ!

簡単に勝てるとは思うなよ!!」

 

攻撃と同時に眠らせて来るなんて……一気に雲行きが怪しくなってきた……。

 

 




マグロ「パオウルムーのステータス一部紹介」

パオウルムー(れきせん・あしゅのすがた)
フェアリー・ドラゴンタイプ
アナザーポケモン

特性:スカイスキン(??????)


新技

『サマーソルト』
物理 命中90 威力85 ノーマル

20%の確率で『すばやさ』と『かいひ』が一段階上昇する。

『エアバキューム』
変化 命中- 威力- ひこう

空気を取り込むことで姿と特性を変化させる『パオウルムー意外が使うと失敗する』
『ぼうぎょ』と『とくぼう』が1段階上昇する。
姿が変わると技が『フライングプレス』に変化する。


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少年と双子と眠り対策

スミマセン……旅行終わってから連日の仕事の激務で寝落ちしてた……。


 

 

レティ視点

 

 

~スター団フェアリー組アジト内部~

 

 

「パオウルムー!『フライングプレス』!!」

「ウルルア!!」

「ッ!?……zzzZZZZZ……。」

「ボルンガ!起きて!!」

 

ボルンガは寝ている間にパオウルムーから攻撃を受け続けている。

幸いダメージはそんなに大きくは無いみたいでボルンガは煩わしそうにするだけで済んでるけど……それでもダメージは蓄積し続ける。

これを何度も受け続けていたらかなり不味い……。

 

「ヴィオ!これを使え!」

 

私達がパオウルムーに苦戦しているといつの間にかニャンターを取り出して樽で何かをしていたライズ君が一つのビンを取り出して投げてくる。

 

「えっ!?ちょっ!?うわぁっととと!?」

 

私は投げられたビンをギリギリで受け止められたけど危ないよ!?

危うく落とすかと思っちゃったよ!?

 

「え?ライズ君これ何!?」

「ニャンター曰く元気ドリンコだそうだ!睡眠効果を持つ攻撃をしてくるアナザーポケモンとの対決に用いられるらしい!」

「うぇ!?と、とりあえず飲ませればいいの!?」

「ボルルルル……。」

 

すると眠気が覚めたのかボルンガが薄く目を開いて私の方へと顔を向ける。

様子を見る限り私達の話も一応聞けていたらしい。

 

「ボルンガ!これを飲んで!」

「そう簡単にさせねぇよ!パオウルムー!『たつまき』!」

「オルルルルル!!」

 

私はビンの蓋を開けた元気ドリンコをボルンガへと投げつけるけどオルティガがそれをさせまいとパオウルムーに『たつまき』を指示して妨害する。

 

「ボル………ンガァァァ!!」

 

ボルンガは眠そうな体を動かして吹き飛ばされそうになっていたビンを口でキャッチしたと思ったら……。

 

「ンガッ………ゴクンッ。」

「ちょ!?!?」

 

ボルンガがビンを噛み砕いてそのまま中身ごと食べちゃった!?

それ大丈夫じゃないよね!?怪我してない!?

 

「ペッ!」

 

幸いボルンガは噛み砕いたビンをちゃんと吐き出してくれたからよかったけど割と本気で焦った……。

元気ドリンコを飲んだボルンガは一気に目を見開いて立ち上がる。

 

「そんな量でそこまで巨大なポケモンに効果なんて出るはずないだろ!

パオウルムー!『ようせいのかぜ』!」

 

「ウルルルル!!ウルァッ!?」

「ボルルルルルゥ………!!」

 

ボルンガはパオウルムーの『ようせいのかぜ』を避ける様子も無く真正面から受け止める。

だけどボルンガのその瞳が眠気によって閉じる様子はなく見開かれており、なんなら筒状の頭殻からは蒸気を吹き出しており、軽く興奮状態になっているようきも見える。

 

何を使えばこんなのが出来るの……?

 

「材料は今日の『ミツハニーみつ』とそこら辺に生えてた『ニトロダケ』だにゃ!だから安心するにゃ!」

「まってまってまってまって!?あきらかやばそうなのがあるんだけど!?」

 

ニトロダケってなに!?この辺そんな物騒すぎる名前のが生えてたの!?

 

「しばらくは眠らなくなるがそんなに長くは効果が持たない!

早めに決めろ!」

「わかった!!」

 

するとオルティガが杖を自分の掌に叩きつけながらイラついた様子でパオウルムーに指示を出していく。

 

「眠らなくなったってなんだってんだ!パオウルムー!『たつまき』!!」

「ウルルルル!!」

 

またもや『たつまき』がボルンガへとおそいかかる。

だけどボルンガのその泥と鋼の鎧にはほとんどまともにダメージが入ったおらず、逆にパオウルムーへと突撃を始める。

 

「ボルァァアァァアアアアア!!!!」

 

うん、おもいっきり大興奮してる……。

 

「ボルンガ!聞こえてたらマッドブラストでパオウルムーに泥を被せて落としt……。」

「ボルルルルァァァァァァアアアアア!!!!」

「なんかめっちゃ暴走してるんだけど!?」

「ありゃ?ニトロダケかミツハニーのみつの量間違えたかにゃ?」

「ニャンター……今日のサンドウィッチの材料マイナス一品な?」

「ニャニャァァァ!?!?」

 

ボルンガは咆哮しながらパオウルムーへと向かって突進していく。

 

「避けろ!パオウルムー!」

「ウルルッ!パルアッ!?」

 

『もろはのずつき』を使っているようにも見えたけどよく見ると違っていて、暴走して突進しているようには見えるけど周囲に全身に纏った泥を撒き散らしながら突進しており、パオウルムーが突進を避けた後に泥を貰っていた。

 

ってことはギリギリ理性が残ってる?

なら泥で重くなって地面へと降りた今がチャンスだ!!

 

「ボルンガ!!トドメの『アイアンヘッド』!!」

「ボルボルボルボルボルボルァァァァアアアア!!!!」

「ウルァッ!?ウルァァァァァァアアアア!?!?」

「パオウルムー!?」

 

暴走の勢いをそのままに『アイアンヘッド』により頭部に鋼を集中してからの地面を抉りながら放つアッパーカットによってパオウルムーは大きく吹き飛ばされてしまう。

 

さすがのパオウルムーもそのあまりの威力から気絶していた。

 

 

 

 




マグロ「書かな……書か無けれ……zzZZZ」


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少年と双子とオルティガの過去

 

 

 

ヴィオ視点

 

 

~スター団フェアリー組アジト内部~

 

 

 

一年と数ヶ月前……。

 

 

「もうーっ!なんでだよー!!」

 

ピンク色の衣装に身を包んだオルティガスター団のボスの一人、オルティガは杖を何度も掌に叩きつけるように癇癪を起こしていた。

原因は簡単である。

 

「あの車モドキ、全然動かなかったな。」

 

メロコは辛辣な言葉を述べる。

 

この頃スター団はいじめっ子への対抗策としてスターモービルの開発に専念していた。

オルティガはスター団のメカニックとしてこの開発に力を注いでいたのだがその試作品を動かそうとしてのその重量にスターモービルの当時のエンジンの出力ではまともに動くことすらままならなかったのだ。

 

「スターモービルね!!車モドキって名前じゃない!

徹夜して作ったんだよ!」

 

オルティガはそうメロコへと叫ぶが若干論点がズレていた。

そしてそんなオルティガへ冷静に原因を分析したピーニャがその答えを出す。

 

「あきらかにパワー不足だよ。

カルボウ2匹で動かすにはスターモービルが重すぎる。」

 

事実スターモービルの重力はその通りかなり重くなっており、未だ進化すらしていないカルボウ二匹だけで動かすのは到底不可能な超重力となっていた。

 

そんな様子をみていたかくとう組のボス『ビワ』は少し残念そうに答える。

 

「これが動けばいじめっ子も絶対ビックリするのにね……。」

 

皆の様子を見たオルティガは失敗したことによりイラついていた顔を申し訳なさそうに歪めて謝る。

 

「ごめん……こんなはずじゃ……。」

 

そんな様子のオルティガをシュウメイはフォローする。

 

「落ち込む事はござらぬ。

かような傑作をハンドメイドとはオルティガ殿は誠に天才……。」

 

だがオルティガは悔しそうにその言葉に返答する。

 

「……動かなくちゃ意味ないじゃん。

こんなことならママに頼んで車買って貰えば良かった……。」

 

そんなぼっちゃん丸出しの発言に若干皆が引くがメロコがまた辛辣な意見を答える。

 

「そんなこと言ってるからナメられんだよ。」

「なっ!」

「メロコやめとけって。」

「やめねーよ。」

 

どことなく挑発的な態度を取るメロコはオルティガの元へと歩いていく。

 

「やめねーよ。

親とか金とか頼るのやめるって団作った度団作った時掟にしたろ?」

「…………。」

 

メロコはそう辛辣にそう、答えた。

 

「動かねぇならうごくように動かねぇなら動くようにりゃいい!パワー不足なら騙せ出せばいいだろ。」

 

「でもどうするの?」

 

ビワは不安そうにオルティガ達へと視線を向ける。

そんなビワにメロコが答える。

 

「カルボウ育てて進化させる。

その火力をスターモービルに使う。」

 

だがメロコの答えた解決策には一つ大きな問題があった。

 

「スター大作戦まで残り僅か……。

間に合うでござるか?」

 

シュウメイはメロコへとそう問いかける。

 

当時スター団はいじめっ子達をまとめて脅かしてこれ以上自分達のような人が出ないようにするためにスター大作戦というのを計画していた。

だがそのスター大作戦の予定日は刻一刻と迫ってきており、あまり時間に余裕があるわけではなかったのだ。

 

「間に合わせる!」

 

そう答えたメロコは何処かへと走り去っていく。

 

「メロちゃん!」

 

そう言いながらビワは追いかけようとするがすでにメロコはかなりの距離を走り去っており、合流は難しそうだった。

 

「……………。」

 

ピーニャはメロコの事をフォローするようにオルティガへと話しかける。

 

「メロコもさ……口はともかく悪気がある訳じゃないよ。」

 

そんなピーニャにオルティガは少し落ち着いた様子でピーニャへと返事をする。

 

「…………知ってる。

なんだよちくしょう……。」

 

オルティガは踵を返してスターモービルの改良へと専念していくのだった。

 

_________________________________________________

 

「ちくしょう!負けて悔しいのにオマエらを認めているオレもいる!」

 

オルティガはしばらく昔を懐かしむように呆然としていたけど少ししたらすぐに私達の方へと向き直って若干スッキリしたような様子でこちらをみていた。

 

「負けたらボスを降りる……。

掟を破るのは団に対する裏切りだもんな。」

 

オルティガはそう言いながらパオウルムーの治療を行っていく。

治療を終えた後はボールへと戻してから私達の元へとやってくる。

 

「仕方ないからやるよ、光栄に思えよ!!」

 

偉そうに上から目線なのは変わらないけど何かスッキリした様子でオルティガはそう答えて私達にバッジを渡してくる。

 

代表してレティがバッジを受け取って握手を交わす。

 

ついでに乗っかって私達も握手をしている手に片手を乗せていく。(ライズは若干戸惑い気味だったから無理矢理乗せた。)

 

その瞬間をスマホロトムに撮影して貰ってまた一つ私達は思い出を増やしていった。

 

撮影が終わると何か思い出したようにオルティガはポケットを漁ってわざマシンを取り出した。

 

「ただでは帰さない……オレのお気に入りも持ってっとけ。」

 

そう照れた様子でオルティガはレティに『マジカルシャイン』のわざマシンを手渡していた。

 

さてはこの人ツンデレだな?

ツンデレショタ……ハァハァ……じゅるり。

 

「言っとくけどオマエらすっげームカつくかんな!

でもすっげー強いのも認める!

オレのスターモービルを壊すとか!…………修理できなそうなくらい。」

 

オルティガが若干落ち込む。

 

 

 

 

うん……まぁ可哀想なくらいひしゃげているわね……少なくとも。

 

 



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少年と双子と一年半前の真実

 

 

ライズ視点

 

~スター団フェアリー組アジト内部~

 

 

 

しばらく俺達とオルティガが話しているとゲート前で戦ったイヌガヤさんがやってくる。

 

「……オルティガ坊っちゃま。」

「爺や。

ピアノの時間か……お迎えに来たんでしょ。

今ちょうどボス引退したとこだしそろそろ家にも帰るよ……。」

 

オルティガは何処か申し訳なさそうな表情をしている。

とはいえその原因の一つでもある俺達としてもなんとも言えないな。

 

「いえ、坊っちゃまにご紹介したい人がいるのです。

……ワタクシのちょっとした知り合いです。」

 

そうイヌガヤさんが若干目をそらしながらなんとも言えなさそうな顔をして一緒に来ていたのは校長先s……ネルケだった。

 

「ネルケと呼んでくれ。」

 

チラっとレティとヴィオは必死に笑いを堪えている。

お願いだから噴き出すなよ?

 

「ふーん……目的は何?」

 

オルティガはだいぶ校長……もといネルケを怪しんでいるようだな。

いやまぁ明らか怪しいからな……。

 

「アパレル会社の御曹司……そんなあんたが何故スター団に?」

「いきなり質問なんて無礼だね。

そんなの他の団員と同じだよ……オレもいじめられてたから……。」

 

オルティガはそう嫌な顔をして答える。

 

正直スター団のやつらと何度も接してきて少し分かってきたことがある。

どうやらスター団は元々はいじめの被害を受けていた奴らが集まった集団だったということだ。

それがどうして今のような状態になったのか……正直まだ全部分かっている訳ではないがボス連中はみんなある人物の帰りを待ち続けているということだ。

 

正直オレはここに強い違和感を感じている。

そこの部分だけ具体的に誰なのか徹底的なまでに情報が無いからだ。

 

「やはりアカデミーにいじめはあったのか……。」

 

ん?どういうことだ?

現アカデミー校長であるネルケがアカデミーでのスター団発足の原因となるようなレベルのいじめを把握していない?

 

「知らないのも無理ないよ。

今の学校は平和そのものだもん。

いじめっ子はまとめて学校から居なくなったし。」

「……どういうことだ?」

「……それについては前校長のワタクシからお話しましょう。」

「……爺や。」

「およそ一年半前、スター団は自分達をいじめた相手と騒動を起こしました。

大事にはならなかったものの前代未聞の事件です。

それがきっかけでいじめの加害者だった生徒達はアカデミーをやめていきました。」

「そんな記録アカデミーには……!」

 

どういうことだ?アカデミーの記録にそもそも残ってすらないだと?

それだけの騒動が記録から残らないはずは無いが……。

 

「ありませんでしょうね……記録は当時の教頭が消してしまいましたので……。」

 

成る程……隠蔽があったわけか。

 

「記録を消した!?

あぁ……なんということでしょう……。」

 

校長先生……素が出てるぞ。

 

「スター団への対応に悩むワタクシの前にある生徒が現れました。

その生徒は団の責任はすべて自分が取ると言いました。

引き換えに仲間達の処分の免除をお願いしてきたのです。」

 

おいちょっとまて……まさかその生徒が……。

 

「え!?それって……!そんなの聞いてない……!!」

 

するとオルティガの様子が急変して明らかに焦り始めた。

やっぱりスター団のボス達の待ち人はその生徒らしいな。

「ワタクシはその願いを受け入れスター団の処分を見送りました。

そしてその生徒には一年半の留学を言い渡しました。」

「一年半……?留学……?」

 

どうやらネルケには思い当たる節があるみたいだな。

 

「……処分の代わりです。

スター団はいじめの被害者です。

心のお休みを取っていただきたくて留学たいう名目でご実家のガラル地方に帰省してもらいました。

そんな矢先当時の教頭が自身の責任から逃れるため事件に関連する記録をサーバーから消してしまったのです……。」

「なんてことを……!隠蔽されていたのですか……!」

「勿論教頭には然るべき対処を行いました。

しかしその行為を止められなかったワタクシや他の先生も同罪です……。

責任を取ってワタクシは校長という職を引退し当時の先生方も全員一緒に辞めていただきました。」

「それで一年半前、先生達が総入れ換えになったのですね……。」

「ご迷惑お掛けしましたね。」

 

レティとヴィオが堪えきれずに噴き出す声が聞こえる。

 

うん……隠す気があるのだろうか校長先生は……。

 

「爺や!どうして今になってそんな話を?」

 

オルティガは同様しながらもそうイヌガヤさんへと問いかける。

するとイヌガヤさんは若干申し訳なさそうにしながらも答える。

 

「……坊っちゃまもスター団も今のままではよくありません。

何かきっかけになればと……。」

 

確かにな……俺達も宝探ししている時に所々で暴走している新人達が居たのを覚えている。

 

「今更仲間裏切ってオレだけ学校行くなんて考えられないよ。」

 

するとイヌガヤさんはだいぶ優しい表情になってオルティガを見る。

 

「スター団の皆が大事なのですね。」

 

するとオルティガは照れたように答える。

 

「当たり前だろ、オレの……宝物だもん。」

 

 

宝物か……。

オレに取ってはある意味アナザーポケモン達が……仲間達が宝とも言えるが……この宝探しで見つけるオレにとっての宝ってのはなんなんだろうな……。

 

俺はここ最近常に感じる空からの気配に向けて顔を振り向く。

 

そこにはなにも居ないはずなのに何か……大切ななにかがいる気がするんだ。

 

 



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少年と双子とスター大作戦

 

 

ヴィオ視点

 

 

~北3番エリア『スター団アジト前』~

 

 

とりあえずやることを終えた私とレティはアジトを出ていく。

ライズは機械関係でしばらくオルティガと話したいことがあると言って今はオルティガと一緒にアジトに残っている。

後でブリッジタウンに向かうから先に行っててくれとも言っていた。

 

確かにライズの家はからくりだらけでそのからくりも全部ライズの手作りらしいからスターモービルを作ったスター団のメカニックとは色々と話をしてみたかったのかもしれないわね。

 

そしてアジトから出て少しした所で案の定私のスマホロトムから着メロが鳴り始める。

 

軽快なリズムと共に笑い声のようなイントロの…………ってこれはやば!?

 

『やらないk……』

「も、もしもし?カシオペアかしら?」

 

 

私は慌てて通話を起動する。

ここにライズが居なくて助かった……。

出会った当初ならまだしも今はこの手のやつでライズに引かれたくはない。

 

『…………。』

 

通話に出たのはいいのだけれど肝心のカシオペアがしばらくの間無言で若干困る。

 

『…………人の趣味をどうこう言うつもりは無いのだが……もう少し……まともな物を設定する事オススメすr……。』

「ううううるさいわよ!?さては中身全部聞いたわね!?」

『…………正直すまなかったと思っている。』

「やめて頂戴!?素直に謝られる方がダメージでかいのよ!?」

「え?え?ヴィオ姉いきなりどうしたの?」

「な、なななんでもないわよ?」

「え……でも……?」

『…………真面目な話といきたかったんだがな。

さて、三人共……と言ってもライズは今はオルティガと一緒のようだが……お前達はオルティガからボスの証、ダンバッジを貰ったようだな。』

「ええ、これで良いのでしょう?」

 

そういって私はオルティガから受け取ったダンバッジを取り出してカメラへと向ける。

 

『ふむ、確かに。

これでボスがいなくなったチーム・ルクバーは終わりだな…………オルティガ…………。』

 

やはりカシオペアはボスと密接に関わりがあるみたいね……いつもカチコミが終わった後は寂しそうにボスの名前を言うもの。

 

『…………すまないな。

いよいよ残るボスは一人……作戦がうまく進んでいるのはひとえに三人のおかげ……ネルケもサポートとしてとても活躍してくれている。

三人とネルケは知り合いと言っていたが付き合いは長いのか?』

「いえ、ライズは兎も角として私達はこの地方に引っ越したばかりだからそんなに長い訳じゃないわ。

会うのもたまにってくらいだし。」

 

だって校長先生だし……とは言いたくても言えないのよねぇ。

 

『ふむ……いずれにせよ頼もしい友人だな。

まるで昔の皆みたいだ……。』

「みんな?」

「まぁ予想はしてたわ。」

「え?ヴィオ姉どういうこと?」

 

どうやらレティは感づいてはいなかったみたいね……カシオペアの正体について。

 

『……学校だいじめられてた子達がスター団を結成したことは知ってるな?

団を結成し、しばらくしてボス達はいじめっ子たちと全面対決を行った。』

「それがスター大作戦……そうでしょ?」

『その通りだ。

結果はスター団の大勝利……いや、勝負にもならなかった。』

 

勝負にもならなかった……?どういうことかしら?

 

『……いじめっ子達はみな戦いを放棄したんだ。

スター団を恐れた彼らは次々と学校を辞めていき……そのせいで団員達は周囲に悪い印象を持たれてしまったんだ。

…………余計な話だったな。

今回の報酬だ、三人のスマホにLPをチャージしておこう。』

 

スマホロトムを確認すると10000ものLPがチャージされていた。

これまたすごい量ね……。

わざマシンの方も作れるのが色々と増えてて助かるわ。

 

『わざマシンを使いこなして残りのボスも頼んだぞ。』

 

カシオペアはそう言い残して通話を切っていった。

私達はいつもの補給班……ボタンを待つためにその場を動かないでいたけどボタンは結構すぐに到着してきた。

 

「え……えと……来たけど……。」

 

何故かスッゴい目を私から反らしている上に顔も若干赤い気がする。

 

ははぁん?

 

そして案の定いつも通り私のミライドンとレティのコライドンがボールから飛び出してきた。

 

「アギャス!」

「アギャ!アギャ!」

 

「ぐああ!?あんた達は出てくんな!?」

 

ボタンも二回もよだれまみれにされたのが余程キツかったのか明らかに動揺した様子だ。

 

二匹がボタンの匂いを嗅いだらすぐにいつも通り……、

 

「あぁぁぁーーー…………!!!!」

 

ボタンは二匹にめちゃくちゃにされて徐々によだれまみれのあられもない姿になっていく。

ちょっとしたイタズラを思い付いた私はボタンのバッグに薄~い本を忍ばせてライズをアジトから呼んでおく。

 

「ちょちょちょっと!?ヴィオ姉!?」

 

レティが慌てて止めに来るけどもう遅い。

元々アジトのすぐそこだったからライズは呼び出してすぐに到着して……。

 

「いきなり呼び出してどうし…………なっ!?」

「み……見るなぁぁぁぁぁぁあああああ!?!?!?」

 

あぁ……やっぱりボタンはこうじゃないとね。

 

 

…………でもなんか若干モヤっとしたわね。



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少年と双子とフリッジタウン

 

 

ライズ視点

 

 

~北三番エリア~

 

 

ヴィオのやつわざとだなあんにゃろ……。

 

「あだだだだ……あだだ!?わ……割れるゥ!?喰われるゥ!?砕け散るゥ!?」

「誰の手がサザンドラだって?」

 

手で喰うってなんだよ……。

 

「潰れるッ!?流れるッ!?溢れ出るッ!?」

「よし……まだまだ余裕がありそうだなヴィオ?」

「ァァァァァアアアア!?!?目覚めちゃうから!?流石にこれ以上は!?

こういうのはナンジャモさんの役割で……アイタタタタタ!?!?」

 

とりあえず俺はヴィオの頭を締め上げている間にボタンへの状況説明をレティに任せた。

肝心のボタンは……。

 

「ね……ねぇ、アレ……止めなくていいん?」

「うーん……流石にあれはヴィオ姉が悪いし……。」

 

レティも呆れた様子でヴィオを見ていた。

 

今回の顛末をボタンへと聞かせた後の反応だが……正直まるで最初から知っていたようにそんなに全く動揺が無かった。

 

やっぱり条件が合いすぎている……まだ証拠が足りないがやはりカシオペアは……。

 

「……へー、スター団そんなことがあったん。

いじめを無くしたかったのに今では自分達が恐怖の対象……マジウケる……先生も生徒もバカばっか……。

みんながいじめられてた時……他の誰か一人でも気付いてたらスターは悪者じゃないよってすぐにわかったはずなのに……。」

 

そう答えるボタンは強く拳を握りしめていた。

 

「そんなバカばっかな学校で戦ったってみんなバカ見るだけなのに……。

スター団なんか作っちゃってマジボスってのもきっとどうしようもないアホだよ。」

 

ボタンはそう絞り出すように答える。

オレにはやっぱりこいつがそうとしか思えない。

ならオレが言うべき言葉は……。

 

「…………そうか?もし本当にマジボスがただのアホなら……あいつらがあそこまで信頼するはずも……ましてやスター団をまとめ上げる事も出来なかったと思うけどな。」

「ライズ君?」

「……!………………そんなんじゃないよ。

ん、今回の報酬。」

 

ボタンは一瞬少し暗い表情を見せたがすぐにいつもの表情へと戻って大量のポケモンの落とし物をレティへと預けていく。

 

「次は最後のボス……みんな……頼んだ……フゴッ!?。」

 

そう答えてボタンは振り替えって去ろうとしたけどまんまるボディの羽毛に埋もれてしまう。

 

「な……なに……がッ!?」

 

俺はとっさにガーグァの入ったボールをよく見るといつの間にか抜け出していた痕跡があった。

 

考え事に集中し過ぎて気付かなかったか。

 

そう……ボタンがぶつかったのは……。

 

「クェェェェエエエエエ♪」

「いやぁぁぁぁあああああ!?!?!?」

 

ボタンは結局ガーグァにもみくちゃにされていったのだった。

 

すまんボタン……。

 

_________________________________________________

 

 

 

結局ボタンは涙目になりながら帰っていった。

 

その後俺達はそらとぶタクシーを呼んでフリッジタウンへと向かっていく。

 

正直思った以上にスター団との戦いでの消耗は少なく、ポケモンの回復はすぐに終わったのでそのまま俺達はそのままフリッジタウンのジム施設まで向かう。

 

正直俺はライムさんのジムテストでなにやらされるかに関しては粗方検討がついていたので登録及び事前説明は二人に任せて寝泊まりするテントの設営に加えて作戦を練っていた。

 

少しすると二人がジム施設から出てきたのでテントの戸締まりだけして俺は二人と合流する。

 

「あ!ライズ君!今回のジムテストはオープニングアクトだって!」

「まぁ所謂前座ね……割とナンジャモのジムテストに近い感じかと思ったけどやること自体はただの連戦みたいね。」

「だと思ったよ……まぁあの人らしいがな。

あぁ先に言っとくが……いつもと同じような戦い方は出来ないと思った方が良いぞ。」

 

ライムさんはこのパルデア地方で一番毛色の違った戦いをする。

 

問題は二人同時でやって貰えるかどうかだな。

 

一人で戦うのと二人で戦うのではここのジムの難易度は桁違いに変化するからな。

 

「とりあえずあのステージにいるMCの人に話は通しておいたって言ってたからその人を……ってすぐ見つかったわね。」

 

ヴィオがそう答えながら顔を向けた先にはこんな寒い所でシャツ一枚にズボンをまくり上げためちゃくちゃ寒い格好をしたマイクを持ったおじさんだ。

 

まぁ実はあの人とも知り合いなんだがな……。

 

俺達はとりあえずそのおじさん……MCカマーさんの元へと向かっていく。

 

「来たな前座を任されたトレーナー……ってライズじゃねぇか!ひっさしぶりだなオイ!」

「お久しぶりです。

それにしてもカマーさんも相変わらずよく凍死しませんよね……。」

「あっはっはっ!この程度お茶の子さいさいサイホーンよ!

そこの嬢ちゃん二人はさっき連絡貰ったチャレンジャーだな?

もう一人ってのはやっぱりお前さんか。」

「えっと……?知り合いなの?ライズ君。」

「相変わらず貴方の人脈には驚かされるわね。」

 

レティは相変わらず困惑の表情だがヴィオは慣れてきたのか呆れるたけだった。

なんだかんだでナンジャモのお陰で広がった人脈にはちょくちょくお世話になってるんだよなぁ……。

 

「おっと、自己紹介がまだだったな。

受付に少しは聞いてると思うがオレの名はMCカマー!

このジムの審判も務めている。

ライズとは……。」

「ナンジャモに引きずり回されてた時にライムさんの所にも寄っててな……その時に知り合ったんだ。」

「そういうことだ。

まぁ昔話に花を咲かしても良いんだがとっとと本題に入ろうか。

これからキミ達には…………ポケモン二匹で戦わせるダブルバトルをしてもらうよ?」



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少年と双子とダブルバトル

 

 

レティ視点

 

~フリッジタウン~

 

 

「ダブル……!」

「バトル……!」

「そうさ!

ダブルでポケモン勝負カマせばアゲが2倍で客席アゲアゲ!会場爆アゲ!フリッジ雪解け!

温まったライブ会場にジムリがご機嫌に登場!

ジムテストはクリアってワケ!」

 

私達が首を傾げるとDJカマーさんがリズムに乗ってノリノリでジムテストの説明をしてくれる。

……若干聞きにくいけど。

 

「ステージで上がればアクト開始!

3連勝するまで途中退場はノーだ!

覚悟してチャレンジしてくれよ!」

「まぁ分かりやすく言えばダブルバトルの連戦に勝ち進む事がジムテストだ。

まぁ見栄えとかは気にするだけ無駄だからとりあえず勝つこと考えればいいよ。」

「ライズ!?さすがにそいつはひでーよ!?」

 

ライズ君ったら相変わらず変な所でドライだなぁ。

 

「正直前座ですし観客からすれば本命はライムさんなんですから。」

「まぁその通りなんだがよ……一応皆チャレンジャーのバトルだって楽しみにしてんだぜ?」

「バトルでそんなの気にしてたら隙になるだけですって。」

 

うん……まぁ正直それはわかる。

 

「相変わらずだなオイ……さて、オープニングアクト&ジムテスト!

カマしちゃう準備はOKなのかい!?」

「「「はい!」」」

「それじゃぶっつけ本番!ステージに上がってくれよ!」

あと今回は三人組だから一人ずつ交代でやってくれても構わねぇぜ!その方が盛り上がりそうだぜ!」

「それでいいのかしら……ジムテストって……。」

「あはは……ハイダイさんとかナンジャモさんにも言える事だったけど以外と皆適当だよね。」

「基本皆こんなものだよ。」

 

私達は三人共ステージに上がるとどんどん観客達がステージの客席に集まってくる。

あとなんかお墓?が雪を移動してるように見えたのは気のせい?

 

「人が集まるの速いわね……。」

「カマーさんがフリッジタウンのお知らせに早速書き込んでいたらしい。

いつの間にやったんだか……。」

「やっぱり皆ライムさんが好きなのかな?」

 

それなりに人が集まったタイミングでカマーさんがマイク片手に話し始める。

 

「レディース&ジェントルメン!

今回のライブ、オープニングアクトはこの三人のチームによるダブルバトル3連勝だー!!

挑戦者達に最初に立ちはだかる相手は……そよ風を呼ぶ少年パフォーマー!ユーヤン!!」

 

目の前には対戦相手の小さな褐色の男の子が現れる。

でもこのジムでのジムテストを任されるくらいだ……実力は相当高そうだなぁ。

 

「ダブルバトル……1+1……その答え、君は知ってるのかな?」

「さぁチャレンジャー諸君!最初の相手は誰かな?」

 

するとヴィオ姉が珍しく率先して手をあげた。

 

「まぁ任せて頂戴。」

「チャレンジャー側の挑戦者は双子の姉のバイオレットだ!

さぁさぁどんなバトルを見せてくれるんだYO!」

 

「簡単には勝たせないよ!カゲボウズ!ボチ!」

「カゲゲー!」

「バウッ!」

「ダブルバトルでの戦略の幅広さを見せつけてあげるわよ!ミミッキュ!リキキリン!」

「ミミミッ!!」

「キリリキィ!!!」

 

まってヴィオ姉いつの間にその二匹捕まえてたの!?

 

「あー、レティ?

一応ヴィオのやつはエリア周辺のポケモン全てを捕獲してから次の目的地を目指して動いてるぞ。」

「え!?知らなかった……。」

 

そういえばヴィオ姉はちょくちょくどっかいく時があったけどてっきり迷子にでもなっちゃってたのかと思ってたんだよね……。

 

「ミミッキュ!厄介な……カゲボウズ!ミミッキュに『シャドーボール』!ボチ!同じくミミッキュ!に『たたりめ』!」

「カァァゲ!!」

「バウ!!」

「集中攻撃!?」

「ダブルバトルだとそこそこ狙われやすい戦法だ。

一匹一匹を確実に倒すというならベストだからな。」

 

普通に考えて集中攻撃を受ける側はかなり部の悪い状況に立たされる。

だけどヴィオ姉は全く動揺する様子すら見受けられない。

 

「リキキリン、『サイドチェンジ』!」

「キッ!!」

 

するとリキキリンとミミッキュの場所が一瞬で入れ替わってさっきの攻撃が全てリキキリンへと向かっていった。

けどリキキリンは無傷で済んでる。

そういえばリキキリンってエスパー・ノーマルだっけ……ヴィオ姉の前世からくるバトルの知識ってホントにすごいものがあるなぁ……確かにこれなら下手に攻撃が出来ないもん。

ゴーストタイプとノーマルタイプの組み合わせってこんなに厄介なんだ……。

 

「ミミッキュ、『トリックルーム』!」

「キキキキッキキ!!」

 

ミミッキュの技で周囲の空間が妙に歪み始める。

 

「確か遅いポケモンのほうが速く動けるようになるんだっけ?」

「あぁ、だが欠点として強い集中力を必要とするからどうしても発動までに時間がかかるんだ。

中断こそされないが『きあいパンチ』に近いものがある。」

 

…………あれ?ミミッキュって特性でどんな攻撃でも一回だけほぼ無傷で耐えるよね?

 

 

 

 

「あれ?これ防ぐの物凄く難しくない?」

 

するとリキキリンの隠し持ってた道具が発動する。

あれってルームサービス!?



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少年と双子とトリックルーム

 

 

ヴィオ視点

 

~フリッジタウン~

 

 

ミミッキュの『トリックルーム』の発動にあわせてリキキリンに持たせていた『ルームサービス』が発動してリキキリンの『素早さ』が下がる。

 

普通に考えれば効果としてはデメリットでしかないんだけどそれは『トリックルーム』下では全く変わってくる。

 

この世界における『トリックルーム』は比較的ゲームとの相違点が少ない技であり、フィールド内のポケモンを敵味方問わず素早さ関係を逆転させる。

 

つまり全力の動きが遅ければ遅い程ポケモンの動きが素早くなり、元々素早いポケモンは体の感覚が鈍りまともな動きすら出来なくなる。

空間が歪むという効果の都合上フィールドの各所が歪んで平行感覚すら麻痺してくるというのもあり、慣れていないポケモンはこれを発動されるだけでなにも出来なくなる程だ。

 

ただこの点は大きいけど明確な弱点として適切な訓練を受けてトリックルームに慣れていれば全く効果が無くなるのだ。

最大の弱点である持続時間の短さは変わらない為に結局短期決戦なのは同じなのである。

 

「畳み掛けなさい!ミミッキュ!『シャドークロー』!リキキリン!『シャドーボール』!」

「カ、カゲボウズ!ボチ!避け……ッ!」

「遅い!」

「カゲエッ!?」

「バウバウバウゥゥゥウウウ!?!?」

 

ミミッキュは一気に素早く加速してカゲボウズへと『シャドークロー』で切り裂き、リキキリンはルームサービスにより下がった素早さを逆手にとって瞬時にボチの目の前に移動してゼロ距離で『シャドーボール』を叩き込む。

 

「カゲボウズ&ボチ戦闘不能!!

勝者チャレンジャーバイオレット!

圧倒的じゃねぇかぁ!」

「うぅ……1+1の答え……2であってるよね?」

 

相手の子が若干涙目で可哀想だとは思うのだけど……。

 

「ダブルバトルは足し算じゃないわよ。」

 

正直掛け算割り算なのよねぇ……ゲーム的に考えるとするなら。

 

とぼとぼとさっきの子がステージを降りていくとステージ周辺のライトが光り、周囲の声援が大きくなる。

 

「フリッジステージは最新技術!

観客のボルテージが上がる程ライトアップするシステムだ!その調子でどんどんカマしていってくれよ?」

 

成る程ね……これは確かに盛り上がりが分かりやすいわね。

これならテストとしてもちゃんと成立する。

 

とりあえず私はレティ達の所へと戻る。

 

「ヴィオ姉すごかったぁ!いつの間にあんなのを?」

「元々考えてたのよ。

それに前世だとダブルバトルでの『トリックルーム』なんて良く見る構築だもの。」

「とはいえお前のポケモン達にあの『トリックルーム』を慣れさせるのは相当大変だったんじゃないか?」

「ええ、確かに時間がかかったわよ。

実際まともな動けたのがこの二匹だけだったもの。」

「すごいなぁヴィオ姉……。」

 

私達が軽く雑談しているとカマーさんがマイク片手に進行を続けていく。

 

「続きまして!次の対戦相手は……人を選ぶ音楽家!ベシャミ!」

 

音楽家が人を選ぶのはどうかと思うのだけど……。

 

カマーの呼び出しにあわせてやたらとウエスタンな服を着たミュージシャンの女性がステージに上がってくる。

 

「弱さをっ補っい強く!二っ匹のユッニゾンハーモニー!」

 

うん……ちょいちょいリズムを外してるわね……内容は良いのだけど確かにこれは人を選びそう。

 

「んじゃ次は任せてくれ。」

「わかった、気を付けてね?」

「あんまりやりすぎないのよ?」

「わかってる。」

 

ライズは軽く手を振ってバトルステージへと向かっていく。

すると私の言葉が気になったのかレティがこちらを見て聞いてくる。

 

「ねぇヴィオ姉、やりすぎないでねってどういうこと?」

「そうね……よく考えてみてレティ。

ライズの手持ちには何しかいないのか……シングルとダブルバトルの理不尽な違いを。」

 

ライズが定位置に来たのを確認すると相手は早速ポケモンを出してきたわね。

 

「いくわよGO!GO!ゴースト!ムウマ!」

「ゴースゴスゴスゴスゴス!!」

「マァッ!」

 

ただでさえ単体でポケモン数匹を余裕で相手する程のポテンシャルを持っている。

 

そしてライズは手持ちを唯一不明なポケモンを除き全てがアナザーポケモンで構成されている。

 

そして今のライズのアナザーポケモンは4匹が進化している。

 

つまり……。

 

「いくぞ!アグナコトル!ザボアザギル!」

「コルルルルルルッ!!」

「サバァァアアアア!!!」

「な、なんだあのポケモン達はぁぁあああ!?」

 

一気に会場の声援が大きくなって更にステージがライトアップされていく。

 

「うっわ容赦無いわね……。」

「やっぱりアナザーポケモン二匹が並ぶと狭そうだね。」

「レティ……気にするのそこなのね……。」

 

やっぱりレティはどことなくズレているのよねぇ……でも直感的な考えは一番鋭いからちゃんと見れてはいると思うのだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにライズは軽々と圧勝していった。

流石に可哀想だったわね……。

 



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少年と双子とオープニングアクト

 

 

レティ視点

 

~フリッジタウン~

 

 

ライズ君の容赦無さすぎるパワープレイによる派手なバトルで会場が熱気に包まれてフィールドの床の部分が紫色に発光する。

 

「この床もライトだったんだ……。」

「…………これバトルで壊れないのかしら?」

 

ホントにどうなってるんだろ……ライズ君のアグナコトルとザボアザギルだけでもかなりの重量なのに……。

それに今気付いたけど全く床にダメージが無いような……。

 

そんなことを考えてたらライズ君がちょうど戻ってきた。

 

「お疲れ。」

「お疲れ様……というよりやりすぎじゃない?」

「本当はニャンター主軸と行きたいんだがなぁ……タイプ的にきついからこうなった。」

 

あ、そういえばニャンターって他のタイプの技使ったりタイプ変わったりしてたからあんまり気にならなかったけどメインはノーマルタイプとかくとうタイプなんだっけ………。

 

「まぁ確かに相性はあんまり良くなさそうね。」

 

どっちもゴーストタイプには効かないもんね。

 

しばらく話しているとカマーさんから呼び出しの合図がちょうど来る。

さて……そろそろ私も向かわないと!

 

「よーし!次は私の番だし頑張るぞー!」

「気を付けろよー。」

「頑張るのよー!」

 

ライズ君とヴィオ姉の声援を受けて私はさっそくバトルフィールドに向かう。

なんかチラっとアグナコトルとザボアザギルがライズ君を甘噛みしてたのが見えた気がするけど気のせい……だよね?

 

「お?来たな?

お前達のアクトで声援もライトもド派手になってきたぞ!

いやぁまさかの飛び入りサプライズだ。

二人がここまでカマすとは!スカーレットにも期待してるぜ?」

「はい!よーし!誰が最後の相手かなぁ?」

 

するとカマーさんが顔をニヤけさせながらマイクを片手に話し始めた。

あれ?どういうこと?

 

「次でラストだ、三人目最後のお相手は……!

このオレ!MCカマーだ!」

 

「え?ェェェエエエエ!?!?

司会がバトルに出るなんてアリなの!?」

「オレだってこれでもジム所属のトレーナーなんだぜ?

司会もポケモンもおてのもの!ダブルでお手玉してやるよ!

いくぜ!フワライド!ヤミラミ!」

「フワワワワッ!」

「ヤミヤミー!」

「ヴィオ姉だってアナザーポケモン無しでやってたし……よし!いくよ!イダイナキバ!コータス!」

「コーー!!」

「ドンファァァァァアンド!!!!」

 

コータスの特性『ひでり』が発動して雪が常に降り続けていたフリッジタウンの天気が『にほんばれ』になる。

それを利用してイダイナキバの特性『こだいかっせい』が連続して発動してイダイナキバの力が強くなる。

 

「ファァァァァアンド!!!!」

 

イダイナキバの特性『こだいかっせい』は場の状態が『にほんばれ』だと自分の一番高い能力が強くなる特性らしい。

イダイナキバは特に力強くなるように特訓させてたから少なくともスパイスで強化されてた頃と同じくらいの力にはなっているはずだと思う。

 

「オマエも見たこと無いようなポケモン持ってるのかよ!?

おいおいどうなってんだお前らは!テンションが上がるじゃねぇか!」

「イダイナキバはまだ可愛い方ですよ!

イダイナキバ!『はたきおとす』!」

「ファァァァァアンド!!」

「ヤミラミ!『さきおくり』だぜ!」

「ヤミミッ!ヤミヤミヤミィ!!」

 

イダイナキバがあくタイプのエネルギーを鼻に集中してフワライドへと攻撃をしかけるけどヤミラミが何か押さえつけるような動作をすると同時にイダイナキバが突然動きが押さえられた。

確か技を出すのを物凄く遅らせる技だっけ。

 

「なら!コータス!『かえんほうしゃ』!!」

「コォォォォォォオオオオ!!!!」

 

コータスがまるで『オーバーヒート』のような威力の『かえんほうしゃ』を使う。

 

コータスには『こだわりメガネ』を持たせてるから特殊攻撃が物凄く強くなってる。

ただ道具の副作用であとは手持ちに戻さない限り『かえんほうしゃ』以外が使えなくなっている。

でもひでりで発生している『にほんばれ』の効果でほのおタイプの技の威力が大きく上がってる上にタイプも一致してるからここまでの威力となっている。

 

「フワァァ!?!?」

「フワライド!?なんつう威力だ!?」

「ヤ……ミミミ……ヤミ……ヤミィ!?」

 

このタイミングでさきおくりの効果が切れてイダイナキバの『はたきおとす』がヤミラミに直撃してヤミラミが吹き飛ばされた。

 

「ヤミラミッ!?」

 

どっちも一撃……ヤミラミとフワライドは二匹とも戦闘不能になっていた。

 

「なんつう威力の高さ……ぶちカマされたぜ!」

「「「「うおぉぉぉぉおおおお!!!!」」」」

 

すると客席の方のボルテージが最高潮になったみたいで最後の仕掛けであるフィールド中央のモンスターボール状のライトが照らされる。

 

あとなんかめっちゃカチコールとかユキハミが群がってる!?

 

「サンキュー!三人とも!ジムテストは合格だ!おめでとう!

みんな盛大な拍手をー!」

 

ライズ君とヴィオ姉もフィールドに上がってきて合流すると同時に客席全体から凄い拍手が聞こえてくる。

 

「背筋がブルっちまうほどの一体感!

メインを呼ぶ準備はパーぺキ!」

 

それってカマーさんがそんな寒そうな格好してるからなんじゃ……。

 

「それでは皆さんご一緒に!本日の主役……!!

 

 

カモン!!ソウルフルビート……ラァァァイム!!!!」

 

 

 



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少年と双子とラップバトル

 

 

ヴィオ視点

 

~フリッジタウン~

 

「それでは皆さんご一緒に!本日の主役……!!

カモン!!ソウルフルビート……ラァァァイム!!!!」

 

カマーさんがそう叫ぶと同時に客席からとてつもない声援が発生する。

 

「「「「「ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!ライム!」」」」」

 

強烈なライムコールと共にステージにこのジムのジムリーダーであるライムさんが上がってくる。

 

あら?この顔どこかで見覚えが……。

するとライムさんが瞑っていた目をクワッという効果音が鳴りそうな勢いで開くと……。

 

「黙りな!!」

「「「「「ッ!!!」」」」」

 

ライムさんの一喝で客席にいた全員が一瞬のうちに静かになる。

凄い迫力ね……。

 

「アンタたち……。」

 

するとライムさんはどこからともなくマイクを取り出し……。

 

「ジェラシー感じるノイジー!

ナイスな加減に御機嫌かい!?」

「「「「「イエーイ!!ごっきげーん!!ライム!ライム!ライム!ライム!」」」」」

 

いきなりラップを歌い始めた。

何故に!?

 

「あぁ、二人はあの人のラップは初めてか?

このジムの基本はこんなもんだ、それに言ってたろ?前座(・・)だって。」

「ああ……そういうことなのね……どっちかと言うとジムのがついでな訳ね……。」

「あはは……でも楽しそう!」

 

レティは気楽で良いわね……。

 

「オープニングサンキューベイビーズ!

アタイが来れば退屈させないよ!」

 

ライムさんはこちらに向いてそう言ってくる。

それとカマーさんが手招きをしていたので私達はとりあえずステージから降りていく事にした。

どうやらこれからしばらくライムさんのステージが始まるみたいだ。

 

「ジムテストお疲れ様。

マジで最高だったよ、ありがとう!

しばらくライムタイムだからジム受付に報告しておいでよ。」

「分かったわ。」

「うーん、でもライムさんのステージも見てみたいな……。」

「なら俺がここで録画しとくよ。

それなら後で見れるだろ?」

 

そう言うとライズは懐から折り畳み式の三脚を取り出してスマホロトムに取り付けて固定する。

そんなもんなんで用意してるのよ……準備良すぎないかしら?

 

「一応浮かせて撮ってもいいんだがしっかり固定した方が綺麗に録れるからな。

一応ライムさんのステージには定期的に来てるんだよ。」

 

あぁ……そういえばライズのジム関係での人脈忘れてたわ……案の定ライムさんとも知り合いだったわねこいつ……。

 

「じゃあお願いしても良いかしら?」

「お願い!すぐに戻ってくるから!!」

「任せとけ。」

 

結局またライズだけが残って私達がジム受付に報告することになった。

とはいえさっきから一人で色々と任せてしまってるから若干申し訳なさがあるのよね……けど私とレティってテント設営とかその辺苦手なのよねぇ……。

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

『YO!YO……!』

 

「あら?」

「なんだろ?」

 

私達がジムでの受付を終えてジム施設を出ると会場からステージの声がここまで響いてくる。

ずいぶんとリズミカルな話し声だし多分ラップ対決ってとこかしら?

 

私達がステージに向かうとライムさんと一人の青年がラップ対決をしている所だった。

 

「今日こそ負かすぜ!ラップバトルで♪

YO友!倒すぜイッツ仰向け♪

オレの ラップ 聞けよ ジムリーダー♪

オレは トップ 店の バイトリーダー♪」

 

店のバイトリーダーの辺り割と無茶な言い方したわね……。

若干リズムずれてたわよ?

 

『ズンズンチャッチャカ……ズンズンチャッチャカ……。』

「バイトじゃ リーダー?♪

RHYME(ライム)じゃ ビギナー♪

敗者は 帰りな 去っときな♪

アタイは ライム♪優しさ 皆無♪

じゃないか? ライク ザ・ダイナマイツ♪

ワックで ワナビな アンタには♪

ラップで 学びな ナンマイダ♪HEY!」

 

ライムさんは青年に近づきながらそう返す。

なかなか容赦ないわね……でも実際にラップを聞いてみるとリズムを一切外してないのもあって凄く上手いわね。

 

『ズンズンチャッチャカ……ズンズンチャッチャカ……。』

 

すると青年は若干涙目になりながら……。

 

「完敗 惨敗 両成敗!

次こそ リベンジ 午後3時ー!」

 

と言いながら走り去ってしまう。

 

会場が一気に唖然としてライムさんに至っては白目だ。

 

ってか午後3時って何よ……それ以前に両成敗どころかライムさんに全く返せてないじゃない……。

 

「待ちな!まだノッてきなよ!!

ハァ……なんだい午後3時って!自由なバイブスキメやがってさ!」

 

というか流石に自由過ぎないかしら?

明らかに何も関係なかったわよねあれ……。

 

するとライムさんは若干モヤっとしたような感じでラップを続ける。

 

「諦め 早めで 悲しいね!

骨ある 相手は 居ないかね!メーン!」

 

何気この人のラップちょいちょいゴーストネタ突っ込んで来るわね……ゴーストジムのジムリーダー伊達にやってないわね。

 

するとライズが溜め息をつく。

 

「はぁ……わりい、ジムバトルの開始が遅れる。

流石にこれは俺が付き合わないとダメそうだ……。」

「どういうこ…………あぁ、確かにお呼びね。」

 

私がライズの言葉に疑問を持つとライムさんの視線が思いっきりライズの方へと向いているのがわかる。

 

「わりい、しばらくライムさんのラップに付き合ってくる。」

「なら私もついてくわよ。

なかなかない機会だもの。」

「あ!私もいくいくー!」

 

結局レティもライズにくっついて行くことになってステージに上がっていく……。

 

しばらくラップバトルが続いて疲れそうね。



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少年と双子とソウルフルビート

スンマセン寝落ちしました


 

 

レティ視点

 

 

~フリッジタウン~

 

 

「アンタらなかなかやるじゃないか。

ライズはともかくとしてそっちの二人がアタイと一時間耐久でラップ出来るとは思わなかったよ!」

「ふぅ……ふぅ……流石に喉が疲れたわ。」

「うーん、楽しかったけど結構頭使うな~これ。」

「まぁ最初のうちはそんなもんだろ?

慣れれば割と何も考えなくてもやれるぞ?」

 

それでも1時間耐久はきついよぉ……。

それにしてもライズ君はなんでそんなにやってて疲れた様子ないんだろ?

 

「さて、盛り下がった空気もアンタらのおかげで一気に戻ってきた事だし……本題と行くかい?」

「ほ……本題?」

 

私が首を傾げるとライムさんが白目で目を見開いてマイク片手に近付いてくる。

流石に恐いよそれ!?

 

「アンタらトレーナー!アタイはジムリー!

だったらやること 一つじゃねぇかい?」

「ッ!!」

 

だけどライムさんもやっぱりジムリーダーだ。

ラップ口調ではあるけどジムリーダー特有の威圧感がある。

 

「アンタら三人!アタイは一人!

順番決めろよ?こっちはOK!」

 

ライムさんは誰からやるか待ってくれるみたいだから今のうちに話し合わないと。

 

「誰からやる?」

「俺はどの順番でも問題ないぞ。」

「なら私にやらせてくれないかしら?

ジムリーダー相手にどこまで通用するのか見てみたい物があるのよ。」

 

珍しくヴィオ姉がやる気を出しまくってる。

いつもこんなにやる気出す時って少ないんだけどなぁ……何を試すつもりなんだろ?

 

 

ヴィオ姉はスマホロトムのボックスアプリの機能を起動して数匹のモンスターボールを転送して代わりに別のボールををいくつか受け持ってた。

 

何が出てくるんだろ……?

 

「アタイにゴーストタイプ使わせたら右に出るものはちょっと居ないよ?」

 

ライムさんにどの順番で挑むのか伝えるとそう答えながらフィールドの定位置まで向かっていく。

とりあえず私とライズ君も観戦側のエリアへと移動してヴィオ姉を応援することにした。

 

「アタイはライム!

a.k.aソウルフルビート!

語りなバイブス!霊・運命!勝負するフィールド!!」

 

あれ?a.k.aってフレーズどっかで聞き覚えが……?

 

「いくぜミミッキュ!化かすぜジュペッタ!!」

「キュキュッキュ!」

「ジュペペッ!」

 

ライムさんが早速繰り出して来たのはミミッキュとジュペッタ。

あんまり動きが速いって訳じゃないポケモン達だから多分トリックルームも想定してる?

 

「いくわよ!シビルドン!テツノワダチ!」

「シビビビビッ!!」

「ウィル・ドン・ファァァァアアア!!( ´∀` )b」

 

ヴィオ姉はシビルドンとテツノワダチのコンビ……弱点をつくことを狙ってないようにも見える……。

 

それにしてもテツノワダチは相変わらず表情豊かだなぁ。

 

「ダブルバトルはライム'sスタイル!

かわるかわるでワンダフル!!」

「確かにダブルバトルは状況がシングルより動きやすいわね。

なら早速こちらが動きやすいようにさせて貰うわ!

テツノワダチ!『エレキフィールド』!!」

「ドン・ファァァァアアア(。ゝω・)ゞ」

 

ヴィオ姉がいきなり動いた。

周囲のフィールドに電撃が迸る。

これによってテツノワダチの特性『クォークチャージ』が発動する。

 

『クォークチャージ』は『こだいかっせい』のエレキフィールド版で、ヴィオ姉は確かテツノワダチが素早く動けるように鍛えていたはずだから上昇しているのは素早さのはず。

 

「フィールドチェンジ!得意な環境!

アタイは何度も経験済みさ!

ジュペッタ!『こごえるかぜ』!」

「ジュペペッ!」

 

ジュペッタがナッペ山から冷気を集めてヴィオ姉のポケモン達へと向かわせる。

 

確かこれは攻撃範囲が広くて当たれば確実に『すばやさ』が下がる技だ!

 

「流石にその技はノーセンキューよ!

シビルドン!テツノワダチごと巻き込んで『ほうでん』!」

「シビビビビルルルッ!!」

 

ちょっ!?

ヴィオ姉は容赦なく仲間のはずのテツノワダチごと巻き込んで『こごえるかぜ』に『ほうでん』をぶつける。

 

さっき発動させていた『エレキフィールド』の影響でシビルドンの『ほうでん』の威力も上がっていて、『こごえるかぜ』を相殺するどころかライムさんのポケモン達へと向かっていく。

 

「ミミッキュ!ディフェンス!『ひかりのかべ』!」

「キュキュキュッ!!」

 

ミミッキュが自分達へと『ひかりのかべ』を展開した事で『ほうでん』の威力が大きく弱まってあんまりダメージが通っていない。

 

ただミミッキュは特性である『ばけのかわ』が発動して早速ミミッキュの首がポトリと折れた。

 

肝心のテツノワダチは思いっきり『ほうでん』をモロにくらっていたけどケロっとしている。

テツノワダチはじめん・はがねタイプだから巻き込んでも問題ないと思ったのかな?

 

味方ごと……それにしてもなんで数あるポケモンのなかからシビルドンを選んだんだろ?

 

 



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少年と双子とライム

 

 

ヴィオ視点

 

~フリッジタウン~

 

 

うっわぁ……よりにもよって『ばけのかわ』持ちのミミッキュに壁張りさせるとか厄介なことを……。

 

「とはいえ『ばけのかわ』さえ剥がせれば!

テツノワダチ!ミミッキュに『アイアンヘッド』!」

「ウィィィィイイイイル!!!~(´∀`~)」

 

相変わらずこの子可愛いわね……やたらと顔文字が。

 

テツノワダチが『クォークチャージ』で大きく上昇した『すばやさ』を利用して凄まじい速度で転がりながらミミッキュに向かっていく。

 

それとレティのイダイナキバと私のテツノワダチの特性はほぼ同じ効果だけど決定的な違いがあることに気付いたのよね……。

イダイナキバは『こだいかっせい』で一番強い『こうげき』が強くなったけど私の見立てだとざっと2~3割マシって所だった。

でも私のテツノワダチは『すばやさ』がざっと5割増程になっている。

 

『クォークチャージ』と『こだいかっせい』の増加量に違いがあるのか……もしくは上昇する能力によって違うのかしら?

 

「ジュペッタ!『こごえるかぜ』で床を凍らせな!

ミミッキュ!横に避けな!」

「ジュペッ!タァァァァァァアアアア!!!」

「ウィィィイル!?!!(゜ロ゜ノ)ノ」

「キュッ!」

 

私が考え事をしていたらライムさんが的確に指示を出してくる。

 

確かに転がって移動するテツノワダチに対してその妨害の仕方は有効ね。

 

正直ここで使っても当たるか微妙だからあんまりやりたくなかったけど……。

 

「テツノワダチ!角を出して『じしん』を床に叩きつけなさい!!」

「ウィル・ファァァァアアア!!o(*`ω´*)o」

 

テツノワダチが回転途中で収納していた角を伸ばして出して地面へと無理矢理叩き付けて『じしん』を引き起こす。

 

このやり方は角に大きく負担をかけさせちゃうから後でケアしないと……。

 

だけどおかげで床に張られた氷はバキバキに砕け散った上に……。

 

「キュ……キュミッ!?」

「ジュペッ!?!?」

 

やっぱりダメージが入る距離には居ないわね……。

とはいえ二匹が『じしん』の衝撃でバランスを崩したわ。

ジュペッタは浮けるからすぐに体勢を立て直しそうだしここは!

 

「シビルドン!今のうちにミミッキュに『ラスターカノン』!」

「シビビビビビッ!!」

「ミミミッ!?」

「ミミッキュ!『ひかりのかべ』で踏ん張りな!」

 

ラスターカノンは誰にも邪魔されずにミミッキュへと直撃していった。

ライムさんも避けられないのが分かってたのか避けたり相殺したりはするつもりもないらしい。

 

「ミィ……ミィ……キュキュッ!」

 

ひかりのかべでダメージが大きく減ってるからか結構ギリギリとはいえ耐えられたわね。

 

「電気技の効かないそっちの子で味方ごと『じしん』、さらに特性『ふゆう』でじめん技の攻撃を食らわないシビルドンで味方ごと『ほうでん』と来たかい。

どちらも味方すら巻き込む危険な技だけどよく考えてるじゃないか!」

 

正直シビルドンに関しては『タイカイデン』でも別に良かった感はある。

でもダブルバトルって時点で『こごえるかぜ』は最優先で警戒せざるを得なかったから実質弱点が一つもないシビルドンを今回は採用している。

テツノワダチは電気タイプのポケモンとの組み合わせが純粋に相性良いからって感じね。

 

「シビルドン!『ほうでん』をし続けて!!」

「シビビビビビビルルルル!!」

「ミミッキュ!『ひかりのかべ』で踏ん張りな!」

「キュキュッ!!!」

 

シビルドンがエレキフィールドから電気を吸収して『ほうでん』をずっと続けて牽制し続ける。

 

途切れずに攻撃をし続ける事で下手に身動き出来ないようにする。

ミミッキュはずっと『ひかりのかべ』で防御し続けているからジュペッタの行動に気を付けたいわね。

 

それにゲームと違って現実での『ひかりのかべ』と『リフレクター』は物理的な防御壁としての機能があるから威力が足りないとダメージすら入らないから厄介なのよね。

 

「テツノワダチ!『スマートホーン』で確実にいきなさい!」

「ジュペッタ!『ふいうち』!」

「ドォォォォォ……オオ!?!?ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!」

 

やられたわね……とはいえうちのテツノワダチの物理耐久は!

 

「ドォォォォォオオオン!!L(゚皿゚メ)」」

 

その程度で倒される程柔じゃないのよ!

 

「ミミッ!?キュキュゥゥウウウ!?!?」

「ジュペッ!?ジュジュジュジュジュッ!?」

 

ミミッキュへと弱点であり、タイプ一致の物理必中技である『スマートホーン』が直撃して『ひかりのかべ』が解除される。

これによってシビルドンの『ほうでん』を防ぐ盾が無くなってジュペッタへと『ほうでん』が直撃する。

 

「こいつは驚いた。

まともに怯んですらいない程硬いのかい。」

「この子は防御方面は見た目通りの硬さしてますから。」

「成る程ね……。」

 

するとライムさんはまたマイクを取り出した。

 

「幼いパワーに 後がない!

まだまだ アタイは 負けてない!」

 

さっきからちょいちょい好きあらばラップ挟んでるなぁこの人……。

 

「いくよ!ハカドッグ!ストリンダー!」



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少年と双子とコンビネーション

すみません……寝落ちでしかも熟睡しちゃってました……。

疲れが溜まってるのかな?


 

ライズ視点

 

~フリッジタウン~

 

 

一気に二匹倒されて残り二体となったライムさんがくり出したのはハカドッグとストリンダーだった。

 

ハカドッグはゴーストタイプだがストリンダーはでんき・どくタイプのポケモンだ。

 

そうなるとライムさんが誰をテラスタルするのかは分かりきっていた。

 

それにさっきから会場はライムさんのポケモンを撃破したことで大きく盛り上がっていた。

 

『ライムのポケモン撃破!?うひょー!興奮してきたよ!!』

 

それにヴィオのポケモン達が声援に反応して大きくやる気を出しているようにも見える。

 

そしてライムさんがマイク片手にラップをしながらテラスタルオーブを取り出した。

 

「セットリストは いよいよラスト!

ハウっていくよ!CLAP YOUR GHOS!!」

「「「ばうっ!!」」」

 

ライムさんの言葉を合図にいつの間にか客席に何匹め埋まっていたハカドッグ達が雪から全身を出してくる。

つか何匹いるんだよ……。

 

「あ、ライズ君!あんなところにも!」

「ん?……また妙な位置に……。」

 

レティの指差す方向に注目してみるといつの間にか現れていたっていたボチがやたらとリズムにノリノリで乗っていた。

 

「アタイの歌は 死者をもよみががえらせる!

DJ.BOCHIもごきげんだね!」

 

そう答えたライムさんはテラスタルオーブを握りしめてエネルギーを込める。

 

エネルギーが溜まりきったテラスタルオーブを投げつけ、ストリンダーがテラスタルのクリスタルによって全身を包まれる。

 

そしてクリスタルを内側から破って現れたのは幽霊のような薄紫のオブジェを冠として乗せたゴーストテラスタルしたストリンダーだった。

 

『ゴーストテラスタル最高!!ライムマジ輝いてるよ!』

 

ライムさんのテラスタルによって会場の熱気が更に跳ね上がる。

 

「畳み掛けさせて貰うよ!ハカドッグ!『ゴーストダイブ』!ストリンダー!『ハイパーボイス』!!」

「ばうっ!!」

「リィァァァァアアアアアアアア!!!」

 

ハカドッグは地面に潜るような形で姿を消してストリンダーは『ハイパーボイス』による避けようがない広範囲攻撃でシビルドンとテツノワダチを攻撃する。

 

「シビビッ!!シビッ!」

「ウィィィイルル!!( ゚皿゚)」

 

シビルドンはそこそこ効いているように見えるがテツノワダチには殆ど効いていないようだ。

 

しかもテツノワダチはじめんタイプも持っているのでストリンダーの得意なでんき技も無効に出来るのがかなり大きい。

 

「大丈夫?」

「シビッ!」

「ファァァァン!!( ´∀` )b」

「なら良かったわ!シビルドン!『ドラゴンテール』を何時でも放てるように展開してテツノワダチに横から巻き付いて!」

「シビッ!?ビルル!」

 

するとなにやらヴィオのやつが妙な指示を出し始めた。

一体なにを狙ってるのかさっぱり分からない。

 

「テツノワダチ!横回転で『こうそくスピン』してそのままストリンダーに向かって!」

「ウィル・ファァァァン!!(。ゝω・)ゞ」

 

今度はテツノワダチが『ドラゴンテール』を発動させたシビルドンが巻き付いたまま『こうそくスピン』を発動させてストリンダーへと突撃していく。

 

ノーマル技である『こうそくスピン』はゴーストタイプになっているストリンダーには効果は無いがヴィオはシビルドンの補助として用いているようだ。

 

「あれってシビルドンの目が回らないのかな?」

「まぁそうなってもおかしくはないんじゃないか?

シビルドンはさっきの指示に戸惑ってたあたりぶっつけ本番っぽいし。」

 

だがヴィオの狙いそのものは大体予想がついた。

恐らくヴィオが狙ってるのは遠心力を利用した『ドラゴンテール』の威力増加とさっきのハカドッグへの『ゴーストダイブ』への対策だな。

 

「ストリンダー!『たたりめ』で迎え撃ちな!」

「ストッ!ダァァァァァァアアアア!!!!」

 

ストリンダーの冠が輝いて威力の上昇した『たたりめ』が二匹へと襲いかかるが、たたりめはら本来相手が状態以上になっていなければ威力はあまり高くはならないのだ。

 

恐らくはストリンダーのでんき技でまひさせてから『たたりめ』が本来の運用だったのだろう。

 

「ダッ!?リンダァァァァァァアアアア!?!?」

 

『たたりめ』は高速回転するテツノワダチ達によって弾かれ、ストリンダーへと直撃する。

 

ストリンダーは避けることが出来ずに遠心力なよって威力の増したストリンダーの『ドラゴンテール』をまともに受けてしまう。

 

「バウッ!!キャインッ!?」

 

背後から『ゴーストダイブ』でハカドッグが奇襲を仕掛けてくるが回転によって死角の無い『ドラゴンテール』によってそのまま吹き飛ばされてストリンダーへとぶつかっていった。

 

「バウッ!?」

「ダッ!?」

 

バリィン!という音と共にストリンダーの全身を包むクリスタルは砕け散り、ストリンダーとハカドッグは戦闘不能となる。

 

どうやら遠心力で増加した威力で『ドラゴンテール』特有の吹き飛ばしを貰ってぶつけられた事で大きすぎるダメージになっていたようだ。

 

 

 



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少年と双子と似ているアナザー★

 

 

ヴィオ視点

 

 

~フリッジタウン~

 

「パンチラインは段違い!

負けてもアタイはSO FINE!」

 

結局最後までライムさんはラップを挟んできたなぁ……。

 

それにしても遠心力による『ドラゴンテール』の威力向上が思ってたより数倍強かったわね……もっとゲームとかにはない技のアレンジのレパートリーを増やすべきね。

 

それに後半はともかく前半でのライムさんの判断力と的確な指示には驚かされたわね……もしポケモンの能力が同じくらいだったら勝てたかどうかかなり怪しいかも知れないわね。

 

「さて、時間も押してることだしこっちが回復終わり次第二人のチャレンジ受けてやるよ!」

 

ライムさんは控えで待っていたライズとレティに向かってそう答えながらかなり手慣れた様子で治療を施していく。

 

確かここのジムリーダーもチャレンジャーを試す役割もあって本気の場合は別のポケモンを用意してるって聞いてるけど……もし本気のポケモン相手だと正直アナザーポケモン出しても勝てるか五分五分な気がする。

 

ダブルバトルはどうしても経験を詰む事が比較的難しいバトル……。

 

何よりシングルに比べて兎に角複雑な状況に陥りやすいからこそ純粋に人気が少ないというのもあった。

 

…………アナザーポケモンまでダブルとか言わないわよね?

 

 

 

_________________________________________________

 

 

ライムさんのポケモン達の治療が終わってライズ達との勝負になってを二回程繰り返してようやく私達のジムチャレンジが終わる。

 

ライズはアグナコトルとザボアザギルのコンビネーションで一気に蹂躙、レティはレティで相方のポケモンに『てだすけ』を使わせてボルボロスで蹂躙とまともな勝負になったのは私だけだった。

 

なんか若干悔しいわね。

 

「HAHAHA!!良いねぇ!

アンタらの魂ビンビン感じたよ!

アタイを唸らせるとは気骨がある!

フンッ!ジムバッジ持っていきな!」

 

そうして私達はライムさんからゴーストバッジを貰って記念に一枚撮影をしておく。

 

「さてと、本当ならアタイのライブを特等席で聴ける権利もついでにと言いたいんだが……話は聞いてるよ?こいつとやりあいたいんだろ?」

 

そういってライムさんは懐から凄まじい威圧感を放つダークボールを取り出した。

やっぱり例のごとく持ってるのね……。

 

「アタイのアナザー!オマエのアナザー!

どっちが強いか白黒OK?」

「白黒OK!勝つのは私!

アナザー扱い誰にも負けない!」

 

私はライムさんのラップに対して恥ずかしくはあったけどラップで返答する。

 

「やたらと今日はやる気があるな。」

「というよりヴィオ姉の場合さっさと暖かい所に戻ってぬくぬくしたいのが本音じゃないかなぁ。

ヴィオ姉って毎回変な時にしかやる気を出さない所あるし。」

「ちょっと!?」

 

流石に失礼だと思うのだけど!?

私だってたまには……たま……には……。

 

私は今までの自分の行いを振り替えって気付いた。

 

「…………そういえばいつもそんな感じだったわね。」

 

ぶっちゃけ否定出来るような事なにもやってなかったわね私……。

少しは自分を省みるべきかしら……。

 

「とりあえずアタイのこいつとやり合うのはヴィオって事で良いのかい?」

「ええ、アナザーにはアナザーです。

アナザーポケモンの扱いはライズの方が一枚上手でしょうけどアナザーポケモンの知識は私の方が上手ですからね。」

「ほう、ならこいつの正体当ててみな!」

 

そういってライムさんはダークボールを放り投げて中に入っているアナザーポケモンをくりだした。

 

「ラドバァァァァァァアアアア!!!!」

 

そのポケモンは全身をセキタンザンのようなコールタールによって全身を包まれており、そのコールタールには全身を覆い尽くす程のとんでもない量の骨がまとわりついており、かなり大型のポケモンの物と思われる巨大な角を持った頭蓋骨の一部を両足に張り付けていた。

 

そしてそのフォルムは……。

 

「まるで……シュニンみたい。」

 

レティがそう呟くのも無理はない。

なぜならこのポケモンは……。

 

「獣竜種 竜盤目 獣脚亜目 鎚竜下目 バルキン科……骨槌竜……『ラドバルキン』……!

言っちゃえばうちのシュニン……『ウラガンキン』の先祖に当たる種類よ。」

 

そう言って私はシュニンをボールから出した。

 

「ンガァァァァァァアアアアア!!!ンガ?」

 

シュニンは出てきたと同時に顎を地面へと叩きつける。

目の前にいるラドバルキンを見つめると首を傾げてお互いに見つめ合う。

 

ガンガンッ!ガンガンッ!

 

ラドバルキンとシュニンは交互に顎を地面へと叩きつけてまるで挨拶をしているように見える。

 

そして二匹揃って私の方へと向く。

 

正直こっちみんなと言いたいけど割と可愛いので許す。

 

「それじゃアタイのラドバルキンとあんたのウラガンキン?でバトルといこうじゃないか!近い種類のアナザーポケモン同士どっちが強いのか!」

「ええ!言っておきますがうちのシュニンは堅いですよ!」

 

 




マグロ「アナザーポケモンの紹介になります。」

ラドバルキン(ほねのよろい)
ゴースト・じめんタイプ
アナザーポケモン

特性:???????


?????(ゴースト 変化)
???????(じめん 物理)
???????(じめん 物理)
????????(ゴースト 物理)


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少年と双子と骨槌竜

すみません……昨日は6時間ほど外を歩き回る事になって帰ったあとも家事をやってたので疲れがかなり溜まっててそのまま眠りました……。


 

ヴィオ視点

 

 

~フリッジタウン~

 

 

 

シュニンとライムさんのラドバルキンの大きさを比べると圧倒的に向こうの方が大きく見える。

 

ゲームでやってた頃のうろ覚えだけどサイズ感的には……最大銀~金冠くらいはありそうね……そうなると相当長生きの個体かしら?

 

ただ厄介なのが……さっきチラッとスマホロトムの機能でラドバルキンのタイプエネルギーをジャッジしてみたら強いゴーストタイプとじめんタイプの反応を関知したとたということだ。

 

余程強力なゴーストタイプの技を持ってる……もしくはゴーストタイプであるのは確実だ。

 

そうなってくるともはやゲームの知識が全く役に立たなそうね……ゴーストタイプの強力な技となると限られてくるけどゴーストの性質はどのみちかなり厄介になるわね……。

 

「シュニン、気を付けるわよ?相手は格上と思いなさい!」

「ンガァァァァァァアアアアア!!!」

 

シュニンは地面を顎で地面を叩きわって威嚇をしていく。

 

「まずは様子見見といかせ貰うよ!」

「シュニン!『じしん』!!」

「ンガァァァァァァアアアアア!!!!!」

 

シュニンが私の方へ指示を送ると早速地面へと大きく振りかぶって地面を叩きわって強い振動を発生させた。

 

「骨を地面に突き刺しな!」

「バルッ!」

 

だけどラドバルキンは冷静に全身に張り付いている骨を地面へと突き刺して『じしん』による影響を無効化する。

 

ゲーム違って『じしん』はしっかりと体を固定する術がある場合ダメージになりにくい……。

 

「シュニン!骨をひっぺがすわよ!『はたきおとす』!」

「おっと、そいつは受けたくないね!ラドバルキン!『ホネまとい』!」

 

シュニンが尻尾を振り上げてラドバルキンへと体を回転させながら振り下ろすけどラドバルキンは地面から大量の骨を出現させて自分の骨を盾にする。

 

ラドバルキンは壊れたり取れた骨を落として地面から現れた骨を纏う。

 

「実質ノーダメージ……!やっぱり骨の鎧が厄介すぎるわね。」

 

ラドバルキンは確かゲームの方だと龍属性以外には殆ど通らなかったわね……。

 

「今度はこっから畳み掛けさせてもらうよ!

ラドバルキン!『ホネブーメラン』!!」

「バルルルァァアア!」

 

ラドバルキンが両足付け根にある巨大な角の骨を体からはがして組み合わせる事で巨大な『ホネブーメラン』となった。

 

「シュニン!横方向に『ころがる』をして弾き返して!」

「ンガァァァァァァアアアアア!!!」

 

『ころがる』によってシュニンへと向かってきていた大型の『ホネブーメラン』を弾き飛ばした。

 

「あの時は攻撃技をサポートに使ってたが今回は防御に応用するとは……!

ラドバルキン!『ボーンラッシュ』!」

「バルァァアア!!!!」

 

ラドバルキンは自身の体の骨を全て外側に向けて暴れまわる。

 

シュニンはいわタイプがあるからあまり受けたくは無いわね。

 

「シュニン!『かやくがん』で盾を作って!」

「ンガ!ンガァァァァァァアアアアア!!!」

 

シュニンは尻尾を振り回して巨大な『かやくがん』を周辺にばらまいて攻撃してくるラドバルキンを『かやくがん』まで誘導する。

 

「ッ!ラドバルキン!その岩を刺激すんじゃないよ!」

「バルッ!?」

 

ラドバルキンは『かやくがん』への攻撃をギリギリで止めたけどもう遅いわ!

 

「シュニン!悪いけど耐えてよ!『じしん』で着火!!」

「ンガァァァァァァアアアアアアアアアア!!!!」

 

シュニンは顎を地面へと叩きつけてばらまいた全ての『かやくがん』へと衝撃を与えて同時に着火する。

 

「バルァァァァアアアアア!?!?」

「ラドバルキン!?」

 

幸いシュニンはいわ・ドラゴンタイプでほのお技は1/4のダメージになる。

 

自分の出した『かやくがん』での自爆程度なら余裕をもって耐えられるのだ。

 

「……やっぱり骨の鎧がかなりダメージを吸収してくるわね。」

「今のはかなり危なかったよ。

ラドバルキン!『ホネまとい』!」

「シュニン!『ころがる』で纏われる前に骨を砕くのよ!」

 

シュニンはラドバルキンが纏うために出した骨へとその巨体を生かして『ころがる』。

なんとかラドバルキンが纏う前にかなりの骨を砕いたけどそれでもそれなりに纏われてしまった。

 

「ラドバルキン!『ポルターガイスト』!!」

「バルルルル……!」

「はぁ!?」

 

嘘でしょ!?そんな技まであるなんて!?

 

するとシュニンに持たせていた『オボンのみ』が勝手に動き出してシュニンを攻撃し始める。

 

「っっ!?!?」

 

シュニンはなにが起きているのか分からず混乱しているようだ。

 

「シュニン!それを口でキャッチするのよ!」

「ウラッ!ガァァァァァァアアアア!!」

 

シュニンは『ポルターガイスト』で襲いかかってきた『オボンのみ』を口で受け止めて噛み砕く。

 

『ポルターガイスト』で受けたダメージは回復出来たけど無理矢理使わされたのは痛いわね……。

 

そして良くみるとラドバルキンの姿は元の場所にはおらずどこにいったのか探していると……。

 

「ッ!?!?シュニン!横から来るわ!避けて!!」

「遅いよ!『ボーンラッシュ』!!!」



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少年と双子と新しい力

 

 

ヴィオ視点

 

~フリッジタウン~

 

「バルッ!バルバルバルバルバルァ!!」

「ガァァァァアアアアア!?!?!?」

「シュニン!?」

 

シュニンはラドバルキンのタイプ一致弱点技である『ボーンラッシュ』をまともに受けてしまって大ダメージを受けてしまった。

 

それでもまだ全然倒れる気配がない辺り流石の耐久力とも言えるけど流石に何度も受けていられないわ。

 

「シュニン!お返しに『はたきおとす』!」

「ウラァァァァァァアアアアア!!!」

「バルァァ!?」

 

シュニンはさっきまで受けたダメージを返さんとばかりに尻尾を勢いよく薙ぎ払ってラドバルキンを吹き飛ばす。

…………薙ぎ払う?

 

私は咄嗟に手元のスマホロトム越しにシュニンをスキャンしてみる。

するとやっぱり『はたきおとす』が無くなってこの土壇場で新しい技をピンポイントで習得していた。

多分ここ最近わざと攻撃を受け止めてからねじ伏せるを方針に訓練してた影響が強く出ちゃったかなぁ……。

 

「とはいえ好都合ね。

シュニン!いまのうちに『かやくがん』!」

「ラガッ!」

「させないよ!ラドバルキン!『ホネブーメラン』で起爆してやりな!」

「ウララッ!」

 

シュニンは私の指示通りに『かやくがん』をばら蒔いてくれたけどそうはさせまいとライムさんの指示でラドバルキンが自分の纏っている骨を投げ飛ばして『ホネブーメラン』を放つ。

 

ばら蒔いていた途中の『かやくがん』はそれによって起爆されてしまうけど狙い通り!

 

「シュニン!『しっぺがえし』!!」

「ンガァァァァァァァァァァアアアアア!!!!!!」

 

『しっぺがえし』は攻撃を受けた後に出せば威力が二倍に跳ね上がる強力なあくタイプの技!

耐久力抜群のシュニンとは相性ピッタリだわ。

 

まぁ『はたきおとす』のが何かと便利だから後で覚え直させるけど。

 

「バルルァッ!?」

 

ラドバルキンがシュニンの突撃をまともに受けてしまい、全身に張り付いた骨をばら蒔きながら吹き飛ばされていく。

 

「なんつう威力してんだい!?

まさかさっきの『かやくがん』はわざと起爆させて自分から食らうために出させたのかい!?」

「シュニンの圧倒的な耐久力なら余裕で耐えられますからね!それで無理矢理『しっぺがえし』の威力を上げたんですよ!」

「やっぱり『しっぺがえし』かい!さっきの土壇場で良くそんなピンポイントに覚えられたもんだ!」

 

正直かなり幸運だったと言わざるを得ない。

『はたきおとす』は相手が道具を持っていれば威力は上がるが二回目以降は道具がはたきおとされて無くなっているから上がらないのだ。

逆に『しっぺがえし』は条件こそ厳しいが上手く使えば毎回威力を二倍にして攻撃が出来る。

 

しかもさっき受けたダメージでシュニンの特性が発動してそれなりの数の『かやくがん』が周囲にまたばら蒔かれていた。

 

「バ……バルルルル……!」

 

ラドバルキンは全身に張り付けた骨の破片をバラバラと落としながら立ち上がる。

タイプ一致ではないとはいえあの『しっぺがえし』をまともに受けきる辺り多分あの骨がダメージを押さえていそうね。

 

「ラドバルキン!『ホネまとい』!」

「バルルルルッ!」

「やらせないわよ!シュニン!『じしん』で着火!」

「ンガァァァァァァァァァァアアアアア!!!」

 

シュニンが顎を地面へと叩きつけた事によって起きた『じしん』によって周囲にばら蒔かれた『かやくがん』を同時に起爆する。

 

これによってラドバルキンの付近で大爆発が起きて纏おうとしていた骨をまとめて焼き払う。

さらにラドバルキンの黒い粘液のような物の正体は黒油殻と呼ばれる外殻から生成される特殊な粘液であり、それなりに可燃性もある。

 

「バルァ……バルァ……!」

 

ラドバルキンは全身をに火がついて『やけど』を全身に負っていた。

『やけど』という状態異常は継続的にポケモンにダメージを与える状態たてまやる。

 

「ちぃ!勝負をしかけきか。

ならアタイらも覚悟決めないとね!ラドバルキン!『ボーンラッシュ』!

」「バルルルルルァァァァァァアアアアアア!!!!」

「ンガァァァァァァァァァァアアアアア!!!!!」

 

二匹の巨大なアナザーポケモン達の咆哮がフィールド中に響き渡る。

 

残ったなけなしの骨を巨大化させて突撃するラドバルキン。

 

「シュニン!真正面から受け止めて!」

「ウラッ!ンガンンンンンンンンン!!!!!」

「バルルルルルァァァァァァアアアアアア!!!!!!」

 

ラドバルキンはひたすらにラッシュを仕掛けてくるが『やけど』により思ったよりも力が出せないのかシュニンに殆どダメージを入れられてない。

 

「シュニン!『しっぺがえし』!!」

 

対するシュニンは全てを受けきりながらその顎に膨大なあくタイプのエネルギーを収束してラドバルキンへと振り下ろした。

 

「ンガァァァァァァァァァァアアアアア!!!!!!!」

「ラドバァァァァァァァァァァアアアアア!?!?!?」

 

とてつもない炸裂音と共に大量の煙が視界を埋め尽くす。

煙が晴れた先に立っていたのは……。

 

「ラドバルキン戦闘不能!勝者!チャレンジャーバイオレット!!」

 

 



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少年と双子とパルデア最高峰

若干スランプ再発ぎみ……。
オリジナルで話考えるのやっぱり難しいな……。


 

レティ視点

 

~フリッジタウン~

 

 

ヴィオ姉のバトルが終わった後とりあえずジム施設に戻ってポケモン達の回復をしていたらハッサク先生がやってきてやたらと興奮した様子で私達のバトルの感想を話してきた。

何でそんなに興奮した様子なのか聞いてみたらハッサク先生はドラゴンポケモン専門の四天王なのもあってドラゴンタイプのアナザーポケモン達にかなり興味をそそられたらしい。

 

私としては別にアナザーポケモン達の話を続けてても良かったんだけどライズ君がそろそろネモがこっちを先回りしかねないから話は今度にしようと言ったのもあってハッサク先生がかなり残念そうにしてはいたけど話を話を程々に切り上げて出発の準備をすることになった。

 

「ううむ、とても残念ですが先を急ぐのであれば仕方ありません。

では私は先にリーグでお待ちしております。

貴方達との勝負をとても楽しみにさせて頂きます。」

「ええ、その時には俺達も更に成長してみせますよ。」

 

ライズ君からはハッサク先生って実際はめちゃくちゃ涙脆い人とは聞いてるけどやっぱり普段の教師としての姿や四天王としての先生を見ているとあんまり実感無いなぁ。

 

「ライズ君~!こっちはもう準備出来たよ~!」

 

そんな事を思っている間に私とヴィオ姉は旅の準備を完了してコライドン達に跨がってライズ君の準備を待つ。

するとしばらくしないうちにライズ君の方も準備が終わったみたいで既に荷車をアグナコトルに取り付けて乗り込んでいた。

 

ちなみにナッペ山に入ってからニャンターが外に出てる様子が無いからどうしたのかライズ君にさっき聞いたんだけど……。

 

「ニャンター?あいつなら『ホットドリンク無しで雪山にゃんてやってられないにゃ!?』って言いながらボールに引きこもってるよ。

なら作ればいいじゃないかと思わなくもないんだが……純粋に材料がこの辺に無いらしい。」

 

あー、そうなると最後のジム……ナッペ山ジムのジムリーダーであり、こおりタイプ使いのグルーシャさんとのバトルはどうするんだろ?ライズ君の手持ち的にニャンターがいないとつらそうなんだよなぁ。

 

「そういえばたまーに気になるのだけど……本当にグルーシャさんって男なのかしら?」

「ん?どういうこと?」

 

するとヴィオ姉がまた変な質問をする。

本当にってどう言うことだろう?

 

「あー、まぁ言いたい事は大体予想ついた。」

 

するとライズ君がこめかみわ押さえながらヴィオ姉の方を向いている。

 

「確かにあの人は性別を間違われやすいどな……グルーシャさん結構気にしてるからやめてやってくれ。」

 

とライズ君は頭を押さえながら呆れた様子で答える。

 

確かに若干女の人っぽいなーとは思ってたけど気にしてたんだ……。

するでヴィオ姉はつまらなそうに答える。

 

「ちぇ、もしこれで実際は違いました~とかなら面白かったのだけど……まぁこれはこれてアリね。」

 

と言いながらメモ帳に何かを書いていた。

 

というかミライドンに乗りながらメモを取る辺りヴィオ姉すごいなぁ……。

 

 

 

 

 

しばらくコライドン達を走らせてると段々と頂上が見えてくる。

 

ナッペ山ジムは一番上にある訳じゃないらしいけどこの山の頂上であるパルデア最高峰の一角は『パルデア10景』のうちの一つで、そこにそらとぶタクシーの飛行ポイントが設定されているらしくて私たちはひとまずそっちに先に向かうことにしていた。

 

それにしてもライズ君のアグナコトルが悪路に物凄く強い。

 

コライドンやミライドンの通れないような道でもあっさりと越えさせてくれる。

体全体が長いからやりやすいのかも?

 

そんなこんなでしばらく山を登り続けて数時間するとついに山の頂上……パルデア最高峰が見えてきた。

 

大きな看板が目印って聞いてたけどホントに分かりやすいなぁ……。

 

 



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少年と双子と古龍と言う生き物

 

 

ライズ視点

 

~ナッペ山ジム施設~

 

 

俺たちはパルデア最高峰のそらとぶタクシーを登録した後、そこから下って真っ直ぐにナッペ山ジムのジム施設に向かって到着した……んだがなぁ……。

 

「ライズ!ヴィオ!レティ!」

「ネ……ネモ!?」

「いつの間に先回りを……。」

「いやぁ、いよいよ最後のジムだってチリさんから聞いたんだ~!

だからフリッジタウンからここまで頑張って来ちゃった!」

 

…………確かネモってライドポケモンとかそらとぶタクシー使わない主義だったような気がするんだが。

俺が初めてこいつとあった当初はここまで体力無いどころか運動音痴だったはずだが……バトルの体力がフィジカルにも影響したのか?

 

…………いずれにしろ人間業じゃねぇな……こっちが寄り道したとはいえなんでこっちのライドポケモンより速く着けたんだ?

 

「でも私……貴方達が負ける事は全然心配してないんだ!

トップも三人の事気にしてたし!

ジムリーダーとの勝負は二人で応援に行こうかな!」

「え!?」

「ちょっ!?」

 

まって……オモダカさん忙しいんじゃないのかそれ……。

 

「見る側にも実りある最高の勝負!期待してるね!」

 

ネモはそう言い残すとジムの外に走り去って行った。

 

「言うだけ言ってハードル上げていきやがった……。」

「まさかチャンピオン二人から見られることになるなんて……。」

「しかも一人はトップのオモダカさん……。」

 

相変わらず嵐のようなネモの空気のせいで俺達はしばらく呆然としてしまった。

 

 

 

 

 

しばらくして気を取り直した俺達はジムの受け付けに行き、早速ジムテストの登録をする事にした。

 

「ようこそナッペ山ジムへ。

挑戦者のお名前を登録します……ライズさん、バイオレットさん、スカーレットさんですね?」

「「「はい。」」」

「当ジムリーダー、グルーシャと勝負するにはジムテストをクリアする必要があります。

ナッペ山ジムのジムテストは……雪山すべりです!!」

「雪山……。」

「すべり……?」

「ライドポケモンに乗って用意されたコースを時間内にゴールしてください!

詳しいルールは当ジムを出て左手の坂を登った先にある雪山すべり開始地点で説明しますね。

それでは行ってらっしゃい。」

「「「はい!」」」

 

俺達は受け付けを終わらせたのでそのまま外へと向かっていく。

 

「それにしても雪山すべりかぁ……なんか楽しそうだね!」

「それでも制限時間もあるらしいからある程度急がないといけないわね……。」

 

急ぐ……か。

 

「急がば回れだ、雪山はただでさえ危険が多い。

下手に焦って急ごうとすればそれこそ事故を招く可能性もある。

それにグルーシャさんは無理のある課題を出すタイプじゃないから安心しろ。

ゆっくり確実に行けば必ず間に合うよ。」

「成る程……要は安全第一ってことね。」

「急がば回れかぁ……私達も割と似たようなことやってるよね?」

 

うぐ……レティも痛いところ突くな……

 

「ペパーに悪いとは思ってるが……流石にオージャの湖の今の状態はかなり異常だからな……下手に行けばポケモンすら殺しかねない。

ヴィオから聞いた限り保険に保険を重ねる必要があるだろうからな。」

「そうね……古龍種はあの世界のモンスター達の中では別格の強さを誇るわ。

まぁゲームでの難易度的には慣れるとそこまで強い相手では無いのだけれど世界観としては古龍種とそうではないモンスターとでは絶対的な差が存在するわ。」

 

古龍種……生きる災害そのものと聞いてはいるがそこまでか……。

 

「幸いこの世界に来ているオストガロアは写真を見る限りまだ育ちきっていない子供の個体だと思うから強さとしては古龍種の中でもかなり弱い部類になると思うわよ。

本当に強い古龍は生態系そのものを壊滅的にするもの。」

 

一応ヴィオから聞いている話ではただそこに存在するだけで周辺を生物が生息するのに適さない程天災が異常発生する神域にする……なんていうアナザーポケモンもいるくらいらしい。

 

少なくとも伝説のポケモンと同等以上と考えた方が良さそうだ。

 

「まぁ『アルバトリオン』なんかは特殊過ぎるから例外としても弱い個体でさえ敵へ落雷を集中させたり自分の強化を行う『キリン』、猛毒に濃霧とそれに伴う擬態による透明化を行う『オオナズチ』、暴風雨や吹雪、竜巻を引き起こす『クシャルダオラ』、自分の体から出る粉塵による爆発や熱風、その熱量による周辺への自然発火を引き起こす『テオ・テスカトル』にその雌個体の『ナナ・テスカトリ』……まぁ揃いも揃って化物揃いね。」

 

どいつもこいつも最低でもホウエン地方の伝説のポケモンであるグラードン、カイオーガ並みと考えるべきか……。

 

「特に『ミラボレアス』と呼ばれるモンスターにだけは絶対関わってはいけないわ……。

あれは……下手しなくても世界を滅ぼしかねない力を持っているもの。

実際あの世界ではその怒りを買った国や古代文明がいくつも滅びているもの。」

 

実はヴィオにそのポケモン達のスケッチを見せて貰ったことがあるんだが……白いドラゴン(・・・・・・)ポケモンだけはどっかで見た覚えがあるだよなぁ……それに何か大事なことを忘れているような違和感がある。

 

 

 



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少年と双子と雪山すべり

 

レティ視点

 

~ナッペ山~

 

 

私達はアナザーポケモンの話をしながら移動をしていると受付の人が待っていた。

いつの間に先回りしてたんだろう……。

 

「やぁ、待っていたよ。

ここが雪山滑りの開始地点だ。」

「もしかしてジム施設から直通で来れる所でもあったんですか?」

「まぁね、とは言っても職員専用だからどのみち君達には外から来てもらうんだけどね。

それが君達のライドポケ……なんか一匹だけやたらと大きくないかい?」

 

やっぱライドポケモンとはいってもアグナコトルは大きすぎて目立つよね。

 

「あぁ……本当ならクエスパトラに近いポケモンをライドポケモンにしてたんだが雪山での活動には向いてないので手持ちの他のポケモンと登録を入れ換えたんです。」

「あぁなる程ね。

まぁナッペ山だと良くあることだし大丈夫か。

さて、君達には大自然のコースをライドポケモンで滑ってもらうよ。

目標タイム以内にゴール出来ればジムテストクリアだ!

早速ジムテスト『雪山すべり』に挑戦するかい?」

「「「はい!」」」

「「アギャッス!!」」

「コルル!」

 

コライドン達もやる気十分みたい。

 

「白銀の世界をエンジョイしてね。

それではまずはバイオレットさんからスタートだ!」

「分かったわ、じゃあ先に行ってるわね。

行くわよ、ライドオンッ!ミライドン!」

「アギャァァァス!!」

 

なんかヴィオ姉がやたらとノリノリでミライドンに乗って滑っていった。

ライドオンってなんだろう?なんとなくニュアンスは分かるけど。

 

_________________________________________________

 

「バイオレットさんがゴールしたみたいだね。

じゃあ次はスカーレットさんどうぞ!」

「はい!行こうコライドン!」

「アギャッスアギャッス!!」

 

コライドンの乗るとこの子も楽しそうにしているのが良く分かる。

まぁ確かにジムテストといっても実際にやってることは遊びみたいなものだからなぁ。

 

「それじゃ行ってきまーす!」

「アギャース!!」

 

私は早速コライドンを滑らせる。

 

「アギャース♪」

 

コライドンは腹這いの姿勢になってタイヤみたいな胸の部分を中心にして少し素早く滑る。

水掻きのある脚でうまく雪を掻き分けて方向転換も出来るみたい。

 

「お?コライドン!あの旗と旗の間を通り抜けるように滑ってみよう!」

「アギャ!」

 

コライドンは体を傾けて脚をうまく使って方向転換しながら坂道を上手く滑ってる。

 

制限時間は1分半って聞いてたけどこの分ならもっと早く着きそう!

 

「アギャギャ♪アギャース♪」

 

コライドンも滑っててとても楽しそうだ。

ジムが終わったらしばらく滑って遊ぶのも良いかもしれない。

 

「あ、あれがゴールかな?コライドン!」

「アギャッス!」

 

私達はゴールが見えてきたから若干前のめりな姿勢になって加速していく。

 

「ゴーーーール!!!」

「アギャァァァス!!!」

 

ゴールすると横にはヴィオ姉が待ってたみたいでこっちにやってくる。

 

「レティもなかなか楽しんでたみたいね。」

「えへへ~!滑ってたらなかなか気持ち良くってね。

コライドンもすっごく楽しそうにしてたよ!」

「ふふっ、こっちのミライドンも同じね。

さてと……次はライズの番ね。」

 

ヴィオ姉が雪山の上を見ているのに釣られて私もライズ君のいる上の方を見上げる。

 

やっぱりアグナコトルが大きいのもあって目立つなぁ。

 

少しするとアグナコトルがだんだん長い体を雪山に滑らせて行って……って!?

 

「「はっや!?」」

「「アギャギャッス!?」」

 

アグナコトルは雪をまるで泳ぐような形で滑ってて私達が滑ってた時の倍くらいの速さで進んでいってる!?

 

ヴィオ姉からライズ君が進化させたリージョンフォームは雪原地帯や氷雪地帯での活動に特化してるって聞いてるけどそれにしたってすごい速いよ!?

 

気が付いたら30秒もしないうちにゴールしちゃった。

 

「ふぅ……久しぶりな上にアグナコトルでやるのは初めてだったが勘は鈍ってなかったな。

アグナコトルもご苦労様。」

「コルルルルル♪」

 

アグナコトルはライズ君が降りた後に甘えるように嘴をライズ君の顔に擦り付けてる。

たまに甘噛みするようにライズ君の頭を加えてるけどこの子なりの愛情表現なんだと思う。

 

……ライズ君若干寒そうだけど。

 

「ウロコトルだった頃は全身に高熱を纏ってるからあんまり甘えられなかったものね。」

「あー、確かに。」

 

思い返してみればウロコトルだった頃は遠くから羨ましそうに見ていたり呆れてたりしてただけで自分から甘えに言ったりはしてなかった。

そういえばほのおタイプのポケモンはそういう子が多いって連絡先交換したメロコさんから聞いたことあったなぁ。

 

少しするとさっきの受付の人がスキーをしながらこっちまで降りてきた。

 

「みんなゴールおめでとう!

最高のすべりだったよ!特にライズさんは現役時代のグルーシャのような……っといけないいけない。

ジムテストは大成功!結果を受付まで報告してね!

じゃあ先に受付で待ってるよ!」

 

現役時代のグルーシャさんのような?

 

私達はライズ君の方を見ると若干目をそらしながら冷や汗をかいてるのが分かった。

 

「…………グルーシャさん本人から仕込まれたんだよ。」

 

ほんとライズ君の顔は何処まで広いんだろ……。

 

 



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少年と双子とグルーシャ

 

 

レティ視点

 

~ナッペ山~

 

 

私達は早速さっき下ってきた坂道を逆走してナッペ山ジムのジム施設に戻ってきた。

 

「三人ともご苦労様。

おめでとうございます、ジムテスト無事クリアです。

ライズさん、バイオレットさん、スカーレットさんには当ジムリーダーと勝負する資格が与えられます。

絶対零度トリック……ジムリーダー『グルーシャ』に挑みますか?」

「どうするライズ君?早速挑んじゃう?」

「負けたら負けたで反省に活かせば良いだけだ。

ジムリーダーの中でも一番の強さだがやれるだけやってみよう。」

 

負けたら負けたで反省に活かせるか……あんまり考えたこと無かったなぁ……何だかんだ今までまともに負けたのってライズ君だけだしなぁ。

 

「うーんヴィオ姉はそれでいい?」

「私?私も概ねライズと同じ意見よ。

それに一回戦えば対策だって立てられるわけというのは変わらないし最強のジムリーダーというのも気になるわね。」

 

あ、やっぱりバレてた……。

 

それにしても絶対零度トリックか……今までいろんな二つ名聞いてきたけどこれまた凄そうなだなぁ。

 

「よーし!それじゃあお願いします!」

「それではバトルコートにご案内します。

それではこちらまでどうぞ。」

 

ジムの受付さんに従って私達は外に出て早速すぐ近くのバトルコートまで向かっていく。

 

向かってみるといつの間にか観客の人達がかなりの人数集まっていた。

 

少し進んでみると中央に何故かアルクジラがポツンと立っていた。

 

「ホエー!」

 

アルクジラは私達を見てから楽しそうにしながら跳ねている。

少し相手をしていると観客やアルクジラ達が一斉に同じ方向を見始めたので何かと思って私達もそっちに目を向けた。

 

「そんなとこに居たのか。

うぅ……サムい……。」

「ホエッ!ホエーー!」

 

新たにやってきた人物はそう呟きながらアルクジラの方へと向かっていく。

その人物はかなり中性的な見た目をしており、一軒どっちなのか迷っちゃうけど声を効くと男性なのが良く分かる。 それにアルクジラが目に見えて機嫌が良くなってきてるあたり多分彼がグルーシャさんだと思う。

 

それにしてもあんなに厚着してて寒いって……もしかしてとんでもない寒がりなのかな?

 

「…………挑戦者の人……ってやっぱりライズじゃん、久しぶり。」

「久しぶりです、グルーシャさん。

今回はチャレンジャーとして挑みに来ましたよ。」

「なる程ね……そっちの二人は初めまして。

僕はグルーシャ、元プロのスノーボーダー。

今はジムのリーダーやってる。」

「初めまして!ライズ君の旅仲間のスカーレットって言います!レティって呼んでください!」

「私もライズの旅仲間でスカーレットの双子の姉、バイオレットよ。

私の事もヴィオで良いわ。」

 

グルーシャさんはマフラーを更に顔を覆うように持ち上げて話を続ける。

ホントに寒そうにしてるなぁ……服装はものすごくヌクヌクしてそう!

 

「レティにヴィオね……覚えとく。

それにしてもあんたらの滑りはうん……クールだった。

でもあまり気を良くしないで。」

「へ?」

「どういう意味かしら?」

 

するとグルーシャさんは山の頂上の方へと身体ごと向けてなにか思い返すような様子で答える。

 

「雪山は危険だ。

簡単に人生のコースを狂わせる。

ポケモン勝負も同じ……いつだって慣れ始めが一番恐ろしい。」

 

グルーシャさん……過去に雪山で何かあったのかな?

それにしても慣れ始めが一番恐ろしい……か。

 

「こんな日に僕に挑むなんてやめた方が良いのに……。

…………本当に僕と戦う?」

 

ッ!?

 

今まで戦ってきたジムリーダー達には皆特有の威圧感みたいのがあったけどグルーシャさんの威圧感だけら別格みたいに強い!?

 

でも!

「そんなこと言われたら余計見返したくなってきました!」

「確かにね……私達だってトレーナーですから舐めないでくださいよ!」

「そう……僕も仕事だから悪く思わないでね。」

 

そう言ってグルーシャさんはトレーナー用のエリアまで移動していく。

 

「よーし!じゃあ早速行ってくる!」

「任せたわよ?」

「気を付けろよ?」

 

私もトレーナー用の位置に移動して早速モンスターボールを構える。

 

「雪のように冷たい現実を教えてあげるよ。

行ってくれ!モスノウ!」

「行くよ!イダイナキバ!」

 

 

 

 

 



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少年と双子と成長

すみません……途中で寝落ちしちゃって気づいたら7時でした……。


 

 

レティ視点

 

~ナッペ山~

 

「僕は止めたからね。

打ちひしがれても知らない。」

 

むぅぅぅうう!!

とことん舐められてる気がする。

流石にこうも下に見られてると腹が立ってくる。

 

「モスノウ、『おいかぜ』。」

「スノォォォオオオ!!」

 

グルーシャさんの指示で向こう側から少し強い風が吹いてくる。

確か素早さを二倍にする『トリックルーム』のようなタイプの技だっけ……違うのは反映されるのが自分側のみという事……。

常に動きをサポートするような形で風が吹き続けるらしいからこれも並大抵の努力じゃ使えない技なんだろうな……下手に使えば風に振り回されるのが目に見えてる。

 

「イダイナキバ!『にほんばれ』!」

「ファァァァァンド!!」

 

イダイナキバの『にほんばれ』で雪が軽く降っていたナッペ山が雲一つない程の青天となって強い日差しが降り注ぐ。

 

「ドンファァァァァアアアア!!!」

 

イダイナキバはこだいかっせい』が『にほんばれ』によって発動してより力強くなる。

奇しくも初手はお互いが場を作りあう形になっていた。

 

「ふーん……『にほんばれ』か……なにするつもりなのか……。

モスノウ、『ふぶき』。」

「モスノォォォオオオ!!!」

 

早速来た!

私は攻撃にあわせてテラスタルオーブに力を込めて投げつける。

 

「なっ!?」

「いきなりテラスタル!?」

 

『ふぶき』がイダイナキバを襲う直前にイダイナキバの全身をテラスタルの結晶が包み込んで『ふぶき』を完全に防ぎきる。

 

そして結晶を内側から破って出て来たイダイナキバの頭には。

 

「ドンファァァァァアアアア!!!!!」

 

燭台を模した形をした赤い冠……ほのおテラスタルの冠がその頭部には現れていた。

 

「行くよ!『ほのおのキバ』!!」

「ドンファァァァァアアアアンド!!!」

 

イダイナキバの持つ巨大なキバが炎に包まれ、モスノウに向かって襲いかかる。

『にほんばれ』の後押しとテラスタルによってその威力はかなり大幅に上昇しており、『こだいかっせい』による強化も受けている。

 

「モスノウ、『むしのさざめき』で牽制しながら回避」

「イダイナキバ!ごり押しちゃって!」

「ドンファァァァァアアアア!!!!!」

 

モスノウから来る『むしのさざめき』をその高い耐久で受け止め、それによって来る衝撃を完全に無視しながらイダイナキバは突撃していく。

 

「スノォォォオオオ!?!?」

 

イダイナキバの『ほのおのキバ』はむし・こおりタイプのモスノウは致命的な大ダメージとなって一撃で倒されていった。

 

「……なる程ね、最初にいきなりテラスタルを切る人は今までも何人かいたけどまともに活かせる人はほんの一握りだった。

耐久力の高いポケモンの耐性を変化させて攻撃を受けきってそれを無視させて戦う……なかなか厄介だね。」

 

どうやら刺さってくれてたようで助かった。

この戦術はヴィオ姉からヒントを得て生まれたものだったりする。

ヴィオ姉曰くこの世界の人達はエースポケモンを皆一番最後に持っていきたがるから手の内がある程度読みやすいって言ってた。

ヴィオ姉の前世での世界のポケモンだと先手でいきなり出したりとか最初のポケモンを場を整えさせてからすぐに自爆技で退場させたりしてエースのポケモンに繋いでいくっていう戦術もあるらしい。

 

こっちの世界だとそういうやり方はない訳じゃないけどかなりマイナーな部類になる。

 

何故なら一匹を犠牲にしてエースに繋げるとなると数での不利が生まれてしまうからだ。

 

特に実力差がある場合はその差がより大きく開いてしまう。

 

「準備に一匹使うなら一匹で準備からエースとしての役割までこなせるようにすれば一石二鳥!」

 

なによりも『にほんばれ』の短い効果時間を一番有効活用出来る。

 

「いくよ、ツンベアー。」

「ベァァァアアア!!!!」

 

今度はツンベアー……天候を雪に変えてて良かった。

確かツンベアーは特性に『ゆきかき』があるからナッペ山特有の『ゆきげしき』をそのままにしていたらおいかぜと合わさって手がつけられなくなってた……。

 

それにもし特性が『ゆきかき』じゃなく『ゆきがくれ』だった場合は攻撃が当たりにくい上にすばやいからどのみちかなりキツかったのは間違いないと思う。

ライズ君が警戒する訳だ……今は私の奇策が刺さってるってだけでまともにやってたらこっちが手も足も出ない状況まで追い込まれてた。

 

「僕が弱点のタイプへの対策してないとでも?

ツンベアー『じしん』!」

「ベッァァァアアアア!!!!」

 

ツンベアーが地面を殴り付けて『じしん』を引き起こす。

イダイナキバは地面にいる以上確実に避けられない。

たけど!

 

「イダイナキバ!『じしん』で押し返しちゃえ!」

「ファァァァァンド!!」

 

イダイナキバで鼻で地面を叩きつけてより大きな(・・・・・)『じしん』を引き起こしてツンベアーの『じしん』を相殺するどころか飲み込んでいく。

 

イダイナキバは『こだいかっせい』で強くなってる上に『いのちのたま』を持たせてる。

しかも元々じめんタイプだったから同じタイプの技なのもあって威力は更に上がっている。

 

「ッ!?!?ベッァァァアアアア!?!?!?」

 

じめんタイプを持たないツンベアーの『じしん』くらいなら簡単に飲み込める!

 

 



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少年と双子と最後の手段

 

 

レティ視点

 

~ナッペ山~

 

「……ツンベアー戦闘不能か。」

 

グルーシャさんはそう答えるとそのままツンベアーをボールへと戻していく。

 

まさか比較的打たれ強いツンベアーが『じしん』一発で倒せるなんて……もしかしたら急所に入ったかも。

 

それにしてもやっぱりパラドックスポケモンのポテンシャルはアナザー程ではないにしても異常なくらいに高い。

 

『こだいかっせい』に『クォークチャージ』……条件こそ違うけど育て方次第でかなりの型が生まれると思う……。

エリアゼロって一体……。

 

「さて……いけ、ハルクジラ。」

「クルラァァァァァァアアアアアア!!!」

 

ハルクジラ……確かあそこにいるアルクジラの進化系で特に耐久力がかなり高いらしい。

そうなると確実に弱点を突いていかないと持久力負けしそうだな。

 

「イダイナキバ!『ほのおのキバ』!」

「ファァァァァンド!!!」

「ハルクジラ、受け止めて。」

「クラァァァアアアア!!!」

 

ええっ!?イダイナキバのテラスタイプ一致で『にほんばれ』状態での特性といのちのたままで込めて威力をとにかく上げた『ほのおのキバ』を受け止められた!?

しかもハルクジラはびくともしてない!?

 

っ!?そっか!?『あついしぼう』!?

 

「ハルクジラ『アクアブレイク』!」

「ハルクッ!!」

「ッ!?!?」

 

ハルクジラがイダイナキバのその重たい身体を上にかち上げてから落ちてきた所に向かって水を纏った尻尾に薙ぎ払われた。

 

「イダイナキバ!?」

 

幸いイダイナキバは耐えてくれたけどかなり威力が高い……!!

『にほんばれ』じゃなかったら不味かった!

 

「ファンド……ッ!!」

 

良かった、まだ戦えるだけの体力は残してるみたい。

 

…………あれ使うしか無いかぁ……。

 

「イダイナキバ……いくよ!」

「ドンファァァァァアンド!!!」

「イダイナキバ!『ギガインパクト』!!」

「ファァァァァァァァァァアアアアンド!!!」

 

イダイナキバはハルクジラに突撃していく。

 

「ハルクジラ、『アイススピナー』で向かい打て!」

「ハルルルルァァァァァアアアアア!!!!!」

 

ハルクジラが氷で出来たフィールドを回転して滑るようにイダイナキバへと向かっていく。

まるで独楽のような高速回転だ。

対するイダイナキバは進むごとにどんどん加速して自分を取り巻く圧倒的なエネルギーが強くなって行き、フィールドをエネルギーの余波で破壊しながら進んでいく。

 

「ドンファ!!」

「ハルルァ!!」

 

お互いに強力なエネルギーを纏った二匹はぶつかり合い、大爆発が引き起こる。

状況が全く分からないほどの煙に覆われており、どうなってるのかが分からない。

だけど少しすると何かが砕け散るような音と同時にドサッという何かが倒れるような音がした。

 

「イダイナキバ!?」

「イダイナキバ戦闘不能。

とはいえこっちのポケモンを二匹持ってかれた上にハルクジラがここまで消耗させられるなんてね。」

 

グルーシャさんの言葉に釣られて私はハルクジラを見てみる。

 

「クルル……ハルァ……ハァ……!!」

 

そこには全身が傷だらけになっていて息も切れている満身創痍と言える状態のハルクジラがいた。

 

「お疲れ様、イダイナキバ……。

いくよ!グレンアルマ!」

「アルマッ!!」

 

私は次のポケモンにグレンアルマを繰り出す。

実はライズ君がニャンターの鎧を手に入れるついでに私達は私達で『イワイノヨロイ』と『ノロイノヨロイ』を確保してそれぞれカルボウから進化させていた。

 

「グレンアルマか……こっちはみず技もあるしハルクジラにはほのおはあんまり効かないけどどうするつもり?」

「簡単ですよ!グレンアルマ『ラスターカノン』!」

「グレァ!!」

 

グレンアルマは両肩の鎧を手に移動させて大砲のような形にして銀色の砲弾をハルクジラへと打ち込む。

 

「ハルクジラ!『こおりのつぶて』で迎え撃て!」

「ハルルァ!!」

 

ハルクジラの周辺から氷の弾丸が無数に出来ると同時に浮きはじめる。

浮いていた氷の弾丸は無数に群がってグレンアルマの放った銀色の砲弾へとぶつかり続けるけどグレンアルマの『ラスターカノン』の勢いが弱まる様子はない。

 

グレンアルマの『ラスターカノン』はそのままハルクジラへと向かった直進していき直撃していく。

「ハルァァ!?!?」

 

ハルクジラは『ラスターカノン』が炸裂した衝撃で後ろへとひっくり返る。

炸裂した時に結構な爆発起きたけどそれでもひっくり返る程度で済む辺りハルクジラの耐久力が余程高いのかそれとも単純に体重が重すぎるのか……。

 

「ハルクジラ戦闘不能……か。」

 

確かグルーシャさんのジムでのポケモンは4匹……つまり次がラストでありテラスタルポケモンが来る!!

 

「いくよ!チルタリス!!」

「チルルル!!」

 

チルタリス!?ドラゴンタイプのポケモン………これは注意が必要かも。

 

 



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少年と双子と必殺級の一撃

すんませんまた執筆途中で寝落ちしました(ヽ´ω`)


 

 

レティ視点

 

~ナッペ山~

 

 

「確かに言うだけのことあるけど踏み外せばすぐに奈落だよ。

勝負と雪山は似てるんだ……あっという間に姿を変える!

テラスタル!!」

 

来た!

 

グルーシャさんは懐からテラスタルオーブを取り出してエネルギーを溜め、チルタリスへと投げた。

 

チルタリスの全身がテラスタルの結晶によって包まれ、それが砕けると中からは全身が結晶化して頭部には巨大な雪の結晶のような形の冠が乗っていた。

やっぱりこおりテラスタル!

 

「いつだって絶望は隣り合わせ。

……震えながら眠って!チルタリス『れいとうビーム』!!」

「チルルルルッ!!!」

 

いきなり仕掛けてきた!

流石にテラスタルの力も合わさってるとなるとタイプ相性で有利でもあんまり受けたくない!

 

「グレンアルマ!『かえんほうしゃ』!!」

「アルマァ!!!」

 

グレンアルマはまた肩のアーマーを腕にスライドさせて両手を組み合わせて砲台へと変形させる。

腕からは『ラスターカノン』を超える勢いで炎が噴射される。

 

グレンアルマの『かえんほうしゃ』とチルタリスの『れいとうビーム』がぶつかり合い、若干『かえんほうしゃ』の方が押されてきている。

 

「このままじゃ不味い……!グレンアルマ!避けて!」

「ッ!!アルマッ!!」

 

グレンアルマはアーマーを元に戻して、すぐに横に避けていく。

 

「逃がさないよ。

チルタリス、『ぼうふう』!」

「チールルルルル!!!」

「グレンアルマ!『めいそう』!」

「アルマッ!!グッ!?」

 

タイプ一致での『ぼうふう』ともなると流石にかなり痛いけど『めいそう』で『とくぼう』を強化すれば無理やり耐えれる!

 

「アルッ!?アッ……アルマッ!?」

 

グレンアルマは『ぼうふう』を耐えきったけど様子がおかしい。

めいそう込みで受けたからダメージはそんなに大きくないはずなのにフラついている。

 

まさか……!?

 

「『こんらん』!?」

「どうやら運が無かったみたいだね。

チルタリス!『れいとうビーム』!」

「チルッタァ!」

「グレンアルマ!無差別でも良いから『かえんほうしゃ』!!」

「アッ……アルッ?……アルマ?」

 

だけどグレンアルマは『こんらん』によって訳も分からずに自分を攻撃してしまった。

更に『れいとうビーム』の直撃を受けて足元を凍らされて回避も困難にされてしまう。

 

『めいそう』があるから耐えられるけどこれ以上は!?

 

「トドメだ『りゅうのはどう』。」

「チィィィィルァァァァアアアア!!!」

 

チルタリスから龍の形をしたドラゴンエネルギーの波動が口から放たれる。

龍はうねりながらグレンアルマの元へと向かっていく。

 

「グレンアルマ!!!」

 

グレンアルマはまだ『こんらん』の影響が強いのかこちらが指示を出していないのにアーマーをスライドさせて砲台を作る。

 

すると頭部の炎が消え去り、全身の炎が腕の砲台へと集中していく。

 

「アッ…….アッ……アルマァァァァァァァァアアアア!!」

 

そして砲台から炎を圧縮したような凄まじい熱を発する砲台が放たれた。

 

砲弾は『りゅうのはどう』の胴体部分を何度も貫通してチルタリスへと向かっていく。

だけど『りゅうのはどう』もこちらのグレンアルマへと向かっていきお互いに技が直撃する。

 

「チルゥゥゥゥウウウウウ!?!?」

「アルマァァァァァァァァアアアア!?!?」

「チルタリス!?」

「グレンアルマ!?」

 

私はすぐにスマホロトムでグレンアルマの能力をスキャンする。

 

すると『かえんほうしゃ』の部分が『アーマーキャノン』という技に変化しようとしていた。

 

ただ無茶して使ったからか完全に覚えられてはいないようだ。

 

グレンアルマは『アーマーキャノン』を放った姿勢のままじっとしており、こちらからは気絶してるのかが良く分からない。

 

対するチルタリスは墜落こそしたけどテラスタルは解除されてない。

 

「危なかった……グレンアルマ戦闘不能だね。」

 

グルーシャさんがそう言うとグレンアルマはその姿勢のまま膝だけ曲がって後ろへと倒れていく。

 

どうやら立ったままだったのは足元が凍っていたからのようだ。

 

「お疲れ様……グレンアルマ。」

 

私はグレンアルマをボールへと戻していく。

 

「いくよ!ハッサム!」

「サムッ!!」

 

私は三匹目にハッサムを繰り出す。

この子はヴィオ姉から貰ったストライクが進化したポケモンだ。

進化できるようにメタルコートを持たせていたらしい。

 

特性はテクニシャン……そして持ち物は『こだわりハチマキ』になっている。

 

「チルタリス……いける?」

「チルッ!」

「わかった……チルタリス!『れいとうビーム』」

「ハッサム!『バレットパンチ』!!」

「ハッサム!!」

「チルッt……チルァ!?」

「なっ!?」

 

ハッサムは凄まじい加速でチルタリスへと向かっていき、『れいとうビーム』を放とうとしていたチルタリスをそのハサミ一つで吹き飛ばして中断させる。

 

そして吹き飛ばされたチルタリスは落下防止用の網に強く打ち付けられて身体がめり込んでおり、そのまますぐにテラスタルが解除された。

 

「…………あれ?」

 

ヴィ……ヴィオ姉……何がどうしたらこうなるの!?



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少年と双子と特殊個体

すみません……昨日は仕事がデスマーチ過ぎて疲れが……


 

 

ヴィオ視点

 

~ナッペ山~

 

 

「はぁ……僕のこおり溶かされた。」

「…………?」

 

レティはハッサムでトドメを刺してからという物呆然としている。

まるで何が起きたのか分からないみたいな反応をしている。

 

「逆境をものともせず未来を切り開く熱意……!

昔の自分を思い出すよ……。」

「へ?昔の自分……ですか?」

「いや、何でもない。

ジムバッジを渡さないと。」

 

するとレティが再起動したように気を取り直す。

 

「え?あぁ、ちょっと待ってください。

出来ればヴィオ姉とライズ君のジム戦もやってからでお願いしても良いですか?」

「うん?大丈夫だけどどうしてだい?」

「合格記念にジムリーダーと皆一緒に記念写真取りたくて。」

「えっ……一緒に写真取るって……?

うう……そういうのサムいから普通に嫌なんだけど……仕方ない……特別だ。

ただし他の二人が勝ってからだよ?」

「よし!なら大丈夫!」

「へ?」

 

グルーシャさんはレティが何も心配してないようなその声に疑問を持ったのか首を傾げる。

 

「だってヴィオ姉もライズ君も私より強いし!」

「…………え?」

 

レティ……そんなにハードルを上げないで頂戴。

 

_________________________________________________

 

 

まぁ実際の所結果としては私達の圧勝となった。

というか純粋に相性が良すぎた。

 

私は『いのちのたま』を持たせたルカリオを使って必中技の『はとうだん』で牽制しつつ弱点でありタイプ一致技の『バレットパンチ』や『インファイト』でひたすら殴るだけだったのが大きい。

 

とは言えこの戦法は事前にかなり練習して覚えさせないといけない。

何故なら必中技を使うという特性上追尾式の攻撃となるけどそれが直撃する前に接近戦を行ってしまうと事故って自分に当たってしまうケースが多いからだ。

 

まぁそれ込みで波動の感知によって三次元的な視覚を持っているルカリオを選んだわけだけどね。

 

まぁ物理も特殊も両方強いルカリオにこれやらせればかなり強いんじゃね的な思いつきで特訓してたけど……ここまで刺さるとは思わなかったわね。

 

だけどグルーシャさんにとって一番ダメージが大きいのはそこじゃなかった。

 

「こおりポケモンのジムリーダーの僕が……ジム用のポケモンとはいえこおりポケモンで負けるなんて……。」

 

ライズはグルーシャさん相手にこおりタイプであるアグナコトルを出して殲滅していた。

 

ライズはナッペ山に登る前、チャンプルタウンに寄った時にさらっとアグナコトルのテラスタイプをはがねに切り替えていて『アイアンヘッド』を覚えさせていた。

 

しかもアグナコトルはかなり耐久が高いのもあって殆どの攻撃を弾いたりこおり技に至っては身体に纏って鎧にしたりと完全なメタになってしまっていたのだ。

 

うん、あれは仕方ないわ。

 

グルーシャさんはもはや崩れ落ちて自信を失っていた。

あんなにこっちを見下してるような感じで自信家っぽい感じだったのに見事にわからされたわね……。

 

とりあえずグルーシャさんからこおりジムバッジを貰って皆で記念に撮影をして肝心の対アナザーポケモン戦に入る。

 

「アナザーポケモン……確かに僕も捕まえてはいる。

だけど本気でやめた方が良いと思う。

あのポケモンはかなり気性が荒くてまだあんまり言うことを聞かないんだ。」

「…………もしかして最近のナッペ山での異常気象の原因って?」

 

ライズは何かを思い出したようにそう質問をする。

正直私としても竜巻って時点で嫌な予感がしてる。

 

「あぁ、こいつはついこの前ナッペ山頂上付近で暴れていたのを捕まえたばかりなんだ。

ボールから出すだけならまだギリギリおとなしいんだがバトルとなると途端に指示を聞かないんだ。」

 

そう言ってグルーシャさんはボールを取り出して投げ、中に入っていたポケモンを出す。

 

「オロロロロロ………。」

 

そのポケモンは全身を純白の鱗と甲殻に覆われており、その翼脚と顔の周辺にはかなりもふもふとしていそうな純白の毛が生えている。

さらにその牙は凍結しており、純白に青みがかった氷が刃のような形となって定着している。

 

全体的に保護色となるように適応したのだろう純白の肉体をは雪に完全に溶け込んでいる。

 

まるで鱗や甲殻は鎧、氷の牙が剣の騎士のような風格だ。

 

つまりこのアナザーポケモンは……!

 

「ベリオロス……氷刃佩くベリオロス!」

 

よりにもよってアイスボーンで追加されたベリオロスの特殊個体!?

 

「………ライズ……レティ。」

「どうしたの?ヴィオ姉?」

「何かあったか?」

「…………このモンスターは古龍相手に縄張り争い出来るレベルの強さを持ってるわ。

少なくともこれにこれに勝てなければオージャの湖のアナザーポケモンは話にならないと思った方が良いわ。」

「「っ!!」」

 

 



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少年と双子と白騎士

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ナッペ山~

 

 

「どうする?僕としてはあんまりオススメはしないけど。」

 

グルーシャさんは一応こっちの心配をしてくれているらしい。

だけどその心配をするのも無理はない。

特殊個体のモンスターは他の個体を大きく上回る力を持っていてその大半が古龍と渡り合える程の実力を持っている。

 

グルーシャさんの言うことを聞かないとなると最悪の自体も想定する必要がある。

 

本来モンスター同士の争いは殺し合いであり生存競争。

私からしてみればこの世界のポケモンの生態の方がおかしく見えてくる。

 

確かにポケモンにだって食物連鎖は存在する。

だけど大半がきのみで十分だったりするし倒されても精々気絶する程度で済むことが多い。

 

この世界はそういう面で見てみるとかなり歪だ。

 

「やります……!

私達はこれ以上の強敵も相手にしなきゃいけないんです。

こんなところで止まってなんて居られません!」

 

やっぱりレティは勇気があるわね……。

 

「そっか……覚悟が決まってるならもう止めない。

ベリオロス、僕をまだ認めてないなら好きに動いていい。

でもトレーナーとの絆を深めたポケモンの強さを舐めないで。」

「…………オロス。」

 

ベリオロスはグルーシャさんを一瞬見たけどあの状態だと好きに動きそうね。

 

「よーし!いくよ!ボルンガ!」

「ボルァァァァアアアア!!!」

 

レティはベリオロスに対してボルンガ……改造ボルボロスを繰り出したわね。

 

タイプ相性的に考えるとタイプ一致での弱点を狙える分ボルンガがかなり優秀でしょうけど私としてはアイスボーンの頃でかなり警戒の必要だった凍結が怖いわね。

動きを封じられたらその時点で大幅に不利になるもの。

 

「ルロロロロロロ…………!」

「オロロロロロ…………!」

 

二匹はお互いを牽制しあいながらフィールドを回るように動いてるわね。

縄張り争いでもよく見る威嚇ね。

 

「ボルンガ!防御を固めるよ!『てっぺき』!」

「ボルァァァァアアアア!!!」

「ベリオッ!!」

 

ボルンガの前に大型の盾のようなものが現れて全身の鎧と甲殻、鱗等の防御力が大幅に上がる。

だけどベリオロスは変化技特有の隙を付いて真後ろに回って尻尾を凪払いにくる。

 

「ボルンガ!受け止めて!」

「ボルッ!」

「オロッス!!オロ!?」

「『アイアンヘッド』!!」

「ボルァァァァアアアアアアアアア!!!」

「ベリッ!」

 

ベリオロスはボルンガ!に対して攻撃が全く入らなかったのに驚きはしてたけどすぐに己を取り直してボルンガの『アイアンヘッド』をかなり余裕を持って回避していた。

 

やっぱりかなり素早さが高いわね。

 

「レティ……あの身軽さをどう対処するのかしら……。

ベリオロスという種は基本的にかなり身軽に動くから動きを捉えるのは至難の技よ。」

 

『氷刃佩くベリオロス』という特殊個体は肉弾戦と氷塊ブレスが主体の近接戦に特化した変化を遂げていて竜巻ブレスは吐かなくなっている。

けどこの間ナッペ山で起きていた異常気象を考えると……。

 

「ベリオロロロロ!!!」

 

ベリオロスが氷ブレスを吐いてボルンガへとぶつかるとそこを中心として氷の竜巻が発生する。

 

やっぱり通常種の竜巻ブレスも使えるようになってる!?

 

「『アイスサイクロン』……拘束効果も持ってるから気を付けた方がいいよ。」

 

拘束……つまり『まきつく』とか『まとわりつく』、『ほのおのうず』みたいな継続ダメージ&交代封じって事よね……。

前世でのマルスケゴツメほのおのうずとかいうふざけたコンボを思い出す……。

あれはほんと物理じゃ突破しようがないからきついって……。

 

そんな事を思い出してるとベリオロスがその場で大ジャンプして竜巻の上部へと向かって滑空する。

 

もちろん竜巻に煽られてぐるぐると竜巻の周囲を回るけどベリオロスは狙いどおりなのか全く迷わずに横からボルンガへと襲い掛かる。

 

遠心力と重量、高さ、スピード……これらが全て合わさってると考えると流石に洒落にならないわね。

 

「ボルンガ!左に『アイアンヘッド』!」

「ボル……ボルァ!!」

「ベリャッ!?」

 

ボルンガはレティからの指示を受けて目を閉じて左に旋回しながら『アイアンヘッド』でベリオロスを迎撃する。

『アイスサイクロン』で視界が悪くなってたからあえて視界を閉じてレティの指示に集中したわけね。

これはポケモンがトレーナーとの信頼関係をしっかり取れてないと出来ないわね。

 

「ベルルッ!!ルロロロロロロァァァアアア!!!」

 

今度はベリオロスが遠くで観戦していたこっちまで凍えそうな程のとんでもない冷気を口から放つ。

これは特殊個体になってから習得した凍結ブレスね。

これは流石に食らったら動けなくなるわね。

 

だけどボルンガはその身体の大きさ故に避けられない。

 

「『じしん』で砕いて!」

「ボルァァァァアアアア!!!」

 

ボルンガが地面に頭を叩きつけて『じしん』を引き起こして地面と自分に生えていた氷のトゲを全部粉砕してすぐに動けるようになった。

 

やっぱりレティ……今回の対策でわざと『どろあそび』を忘れさせたわね。

 

これはどうなるかわからなくなってきたわ。






ベリオロス(氷刃佩く姿)
こおり・ドラゴンタイプ
アナザーポケモン

特性:?????

・『アイスサイクロン』
こおり 特殊 威力40 命中85 
あいてをこおりの竜巻で4~5ターン拘束する

・『ブリザードブレス』
こおり 特殊 威力80 命中90
相手を20%の確率でこおり状態にする

・『すてみタックル』
・???????(こおり・物理)


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少年と双子と絆技

 

 

ライズ視点

 

~ナッペ山~

 

 

「ベリオロロロロロロッッ!!!!」

 

ベリオロスは呼吸を荒くして咆哮する。

口からも冷気が漂っており、白い煙が出ていた。

 

ヴィオから聞いたがアナザーポケモン達は怒り状態になる事で強さが別格になる個体も多いらしい。

その分攻撃も激しくなるが疲れやすくなる……だが冷静さは失わないらしいからここからが正念場といったところか。

 

「来るよ!」

「ボルッ!」

「ベルルルルァァァァァアアアアアア!!!!」

 

ベリオロスは口から冷気のブレスを吐き出して下から上に斬り上げるように二回放ってボルンガの左右を氷の壁で塞ぐ。

 

すると一気に大ジャンプをして上から冷気を纏った翼脚で殴りかかる。

 

「ボルンガ!『もろはのずつき』!!」

「ボルルルァァァァァアアアアア!!!!」

 

ボルンガは頭を上に反らしてかなりのエネルギーを額に集めて地面を踏みしめて迎え撃つ。

 

「…………ベリオロス!『ブリザードブレス』を吐きながら反動を利用して後ろに飛ぶんだ!」

「ッ!!ベリアッ!!」

「嘘ッ!?」

 

グルーシャさんがいきなり指示を叫びながら伝えたと思ったらベリオロスは一瞬顔をしかめたがグルーシャさんの指示通りブレスの反動を利用してボルンガの『もろはのずつき』を回避した。

しかも『ブリザードブレス』の直撃でボルンガが全身を凍りつかせてる。

金属が軋むような音がするから恐らく鎧の間接部も凍らされたな。

 

「『アイスブレイク』!」

「ベリァァァァアアアア!!!」

「『てっぺき』で受け止めて!」

「ボルッ!ァァァァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

ベリオロスがまた先程のように冷気を翼脚に纏わせて殴りかかりに来る。

対するボルンガは動けず『じしん』、『アイアンヘッド』、『もろはのずつき』を使えなくされている為に『てっぺき』で防御能力を上昇させて受け止める。

 

ベリオロスの『アイスブレイク』の衝撃でボルンガの全身を覆っていた氷が砕け散る。

だがそれと同時にボルンガの出していた盾状のはがねエネルギーが砕け散る。

 

「ボルアッ!?」

「ボルンガ!?」

 

こいつは……防御能力を下げたのか!?

つまりみずタイプの『アクアブレイク』に似ている効果か!?

 

「ベリオロス……確かに僕はまだ君に認められるだけの実力は無いかもしれない。

だが絆を結んだトレーナーとポケモンは同じ強さの野生のポケモンとは比べ物にならない程の力を発揮する事があるんだ。

今だけでもいい……僕を信じてくれないか?」

 

グルーシャさんは後ろに下がったベリオロスに触れながらそう話す。

だがグルーシャさんの触れた手がベリオロスの冷気で凍り始めており、ベリオロスの毛は逆立っていた。

 

しかしベリオロスはグルーシャさんをしばらく見つめた後またすぐにフィールドへと戻り……。

 

「ベル。」

 

グルーシャさんに頷きながらそう吠える。

あれは信じるというよりは『自分を上手く扱って見せろ』と言った所か。

 

「すごいわねグルーシャさん。」

「あぁ……伊達にジムリーダーを任せられる程の経験を積んでいないということだ。

あの言葉だけで言うことすら聞かずに信頼すらも無かったベリオロスがグルーシャさんへ向ける表情を変えた。

恐らく最初にずっと指示を出さなかったのはわざとだろうな。」

 

ヴィオ曰く正直ボルボロスとこの特殊個体のベリオロスでは本来は圧倒的にベリオロスの方に軍配が上がるらしい。

だがそのボルボロス……ボルンガがここまで余裕を持ったまま食らいつけてるのもあの鎧とレティとの絆があるからこそなんだろう。

 

それに何やら額に付いていた砕けた紫色の結晶体の色が変化してるような……。

 

「ボルンガ……やっぱり負けてられないよね。」

「ボルッ。」

「私達だってこんなに強くなれたんだもん……こんなところで負けてなんかいられない。

何よりもヴィオ姉とライズ君の強さに追い付きたい。」

「ボロスッ!!」

「なら私達の絆の強さを見せつけよう!」

「ボルルルァァァァァアアアアア!!!」

 

ッ!?ボルンガの額の結晶体が修復されて水色に変化した!?

 

「はぁ!?絆石が修復した上に色が変化!?

そんなの向こうの世界にも無いわよ!?何がどうなってるのよ!?」

 

絆石……?まさかヴィオはあれの事も知ってるのか。

 

するとボルンガの結晶体から光が溢れてレティへと向かっていき腕にまきつくように集中する。

すると腕には水色の結晶がいくつも嵌め込まれた卵のようにも見える石が嵌め込まれていた。

 

「これは……ッ!!いける!!ボルンガ!」

「ボルァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

レティの腕に現れた石が光輝き、開くような形で変形してまるで翼を広げたドラゴンポケモンのような形へと変わる。

それに呼応するようにボルンガの額の結晶も光輝く。

 

ボルンガが大きく後ろに下がり、地面に頭を振り下ろす。

 

いつものように地面を抉りながらの頭突きかと思ったが抉る深さが違いすぎる。

しかも抉れた地面がどんどん頭に溜まって巨大化していく。

 

「ボルンガ!『ボロスチャージ』!!!!」

「ボルァァァァアアアア!!!!!!!」



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少年と双子と絆石

 

 

レティ視点

 

~ナッペ山~

 

 

なんだろう……この腕に付いた石を通してボルンガと深く繋がってるような感覚がする。

 

「ボルァァァァァァアアアアアア!!!!!!」

 

ボルンガが半径4m程の巨大な雪塊を投げ飛ばす。

 

しかも塊にはじめんタイプのエネルギーも集中しているみたい。

 

「ベリオロス!『アイスサイクロン』で押し返せ!」

「ベルルルルァァァァァアアアアアア!!!!」

 

ベリオロスが雪塊の進行方向に向けて複数の竜巻ブレスを放つ。

いくつもの竜巻が雪塊を押し返そうとぶつかるけどその圧倒的な重量故か押し返すには至らない。

しかも雪塊にはじめんタイプのエネルギーが混ざっていて『アイスサイクロン』で塊が削れる様子もない。

 

「押し返せないか……!

ベリオロス、かなり無茶になるだろうが任せてくれるか?」

「グルッ……!」

「ベリオロス!『アイスブレイク』と『すてみタックル』!」

 

っ!そう来た!?

 

ベリオロスの『アイスブレイク』はあくまでも翼脚に冷気を纏わせて接近戦闘に持ち込む技だか『すてみタックル』なら確かに同時に扱う事が出来る。

 

ベリオロスは翼脚に冷気を纏わせて身体を横に向け、雪塊に対してタックルを行う。

 

「ベルル……ッ!!ベルルルルァァァァァアアアアアア!!!!」

「ボルンガ!!!『もろはのずつき』ぃぃぃいいいい!!!!」

「ボルルルァァァァァアアアアア!!!!!!」

 

私達は雪塊に狙いを定めて上から叩き潰すように『もろはのずつき』を叩き込む。

最初はちょっとずつ押し返していたベリオロスだったけど『もろはのずつき』を入れてからどんどん押されていく。

 

「べ……ッ!!リオ……!!ベルルルルァァァァァアアアアアア!!!!!!」

 

そして雪塊……『ボロスチャージ』に『もろはのずつき』の威力が加わった攻撃にベリオロスが直撃した。

 

「ベルル……ァァァア……。」

 

ベリオロスは立ち上がろうとしたけど途中で力尽きてそのまま倒れていく。

 

「ベリオロス戦闘不能、君の勝ちだよ。」

「いやったぁぁぁああああ!!!」

「ボルァ!」

 

ベリオロスに勝てたのとボルンガが更に強くなったことが自分の事のように嬉しくなって私はボルンガとハイタッチして飛びながら喜んでしまう。

 

冷静になってみると割と恥ずかしい……。

 

だけど喜んでたのもつかの間……。

 

「レティ、ちょっと来なさい?」

「え?」

「あ、ボルンガは一旦ボールに戻ってて頂戴。」

「ボル?」

 

何故か私はヴィオ姉に肩を捕まれてボルンガをボールに戻されながら引きずられていく。

 

ちょっとまって!?

 

 

_________________________________________________

 

 

とりあえずグルーシャさんに挨拶だけして私はヴィオ姉、ライズ君と一緒に人気の無いナッペ山頂上付近に来ていた。

 

「いきなりどうしたの二人とも?」

「俺……というよりはヴィオだな。

正直俺もここまで強引にやった理由がわからない。」

 

さっきからヴィオ姉がこの腕にある石に視線を向けてるけどこれのことも知ってるのかな?

 

「はぁ……まぁ良いわ。

とりあえず私達がここに移動した理由としてはその絆石よ。」

「絆石?」

「ヴィオ、確かボルンガの暴走の原因になっていたあの結晶の事も絆石と言ってたな。

どう言うことなんだ?」

 

え?ボルンガの額の結晶も?

でも暴走させるような効果があるのなら絆石なんて名前とは全く合わないような?

 

「少し事情が複雑なのよ。

元々は絆原石っていう巨大な結晶体を削って作られるのがレティの腕に付けている絆石なのよ。

ただボルンガの額に付けられてるのは悪意のある人が絆石を盗掘して改造した結果モンスター……こっちで言うアナザーポケモンの意思を奪ってコントロールするっていう代物になったのよ。

だから厳密にはこれも絆石の一種なのだけど……正直今は私にも予想までしか出来ないわ。

だって改造モンスターと仲良くなって暴走が起きないっていうのが既に私からすれば異常事態だもの。」

「ポケモンの意思を奪う……。」

「…………まるでロケット団だな。」

 

私はボルンガの入ったボールを見つめながらその光景を思い浮かべる。

勝手に拐われて改造されて意思まで奪われる。

そんな事をやるような人がいるなんて……。

 

「…………ヴィオ、一つ聞きたい。

今後ボルンガに暴走の危険性はあるか?」

「向こうの世界の状況次第と言った所かしら……とはいえレティの絆石の形からして多分大丈夫。

原因となる『黒の狂気』は多分終息した後ね。

もし終息してなくともこの世界には絆原石は無いはずだしそもそもの世界自体が違うから可能性は限りなく0に近いと思うわ。」

 

良かったぁ。

ボルンガがまた暴走するって考えたらすごく嫌だし。

でも一番の疑問が残ってる。

 

「ねぇヴィオ姉。

絆石って結局なんなの?」

「…………ある意味この世界でいうモンスターボールのような役割を持った道具よ。

あの世界にはライダーと呼ばれるモンスター達との絆を育む少数民族のような人がいるのよ。」

 

 

 



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少年と双子と湖の王者

 

 

ヴィオ視点

 

~オージャの湖~

 

 

あの後グルーシャさんにオージャの湖に向かうことを伝えてかなり入念に準備をしてから向かった。

でもいざ到着してみると……。

 

「「…………。」」

「…………まぁこうなるでしょうね。」

 

私たちは目の前に広がる惨状に思わず言葉を失っていた。

 

オージャの湖は前世の日本でいう琵琶湖レベルの超巨大でとても美しい湖だ。

 

だけど今はその湖が見る影もなくなっている。

 

「…………湖が埋め立てられてる。

あんな大きさの湖にどうしたらこれ程の量のポケモンの骨が……。」

 

辺り一面に写るのは水ではなく骨……骨……骨……。

尋常じゃない量の骨が散乱し、辺り一面真っ白なのだ。

 

「…………おかしいな。

あの大きさの湖を埋め立てるにはこのパルデア全てのポケモンの骨でも物理的に足りないはずだ。

それに明らかこのパルデア地方で見たことがない骨格の骨がいくつもある。」

「この地方で見たこと無い骨……ってあれは!?」

 

私はバッグから望遠鏡を取り出して今見つけたポケモン……いや、モンスターの骨を観察する。

 

「間違いないわ。

これはモンスター……いえ、アナザーポケモンの骨ね。

骨格は……飛竜種……それも前翼脚竜、つまりはベリオロスみたいな翼を脚として使っているモンスターの骨格ね。

翼の骨の刃物みたいな鋭さや頭の特徴からして多分……"ナルガクルガ"の骨かしら?」

 

他を見てみると軽く見渡すだけでドスジャギィ、ディノバルド、ライゼクス等の大型や中型モンスターに加え大量の小型モンスターの骨まで発見出来た。

 

少し気になることが出来た私はこの時の為に調査の名目でリーグから借りたドローンロトムを飛ばしてスマホロトムにその映像を送らせる。

 

「何かわかったのか?」

「えぇ、正直憶測でしかないけどもし当たったのなら最悪の事態と不幸中の幸いが発見出来るわ。」

 

はっきりいってこの量のアナザーポケモンの骨が大量にここにある時点で可能性としては二つある。

 

一つはそれだけの量のアナザーポケモンがこのパルデアに来ており、オストガロアが狩り尽くした。

だけど正直この可能性はゼロに近いと思っている。

 

何故ならそれだけの事態に陥っていたのなら私達がそれを知らないはずがなく、なおかつこの骨には肉や鱗、甲殻といったアナザーポケモンの遺体の一部が殆ど残っていない完全な白骨だからだ。

 

つまりこの骨は相当前にオストガロアが食べた後であり、時期的に考えてもこの世界に来る前の物のはずなのだ。

 

「っとやっぱりあったわね。

しかもかなり大きいわよ。」

「っ!?!?ウルトラホール……っ!!!」

「骨が……滝みたいに流れ出てるっ!」

 

私のスマホロトムにはオストガロアが簡単に通れそうな程の巨大なウルトラホールが空いており、そこからはとてつもない量の骨が滝のようにあふれでており、その光景からあのウルトラホールがどこと繋がっているのかが一発で分かった。

 

「十中八九オストガロアの元々住んでいた竜の墓場と繋がっているわね。

少なくとも他のモンスターからの乱入は無さそうね。」

「竜の墓場?ヴィオ姉その場所って……。」

「…………オストガロアって種はどれもかなり高い捕食欲求を持っているのよ。

その触手や体液で獲物を自分の棲みかに引きずり込んでから捕食する。

そうやって積み重なった骨でオストガロアの巣は骨で埋め尽くされていって最終的に竜の墓場と呼ばれるまでに至るのよ。

あそこに繋がってるとなると……あぁ、やっぱりあれも流れてきてるわね。」

 

ドローンロトムの視点を変えるとそこには台座の上に設置された大型の弩弓……バリスタが流れていた。

 

見た感じ装填されているバリスタの矢にはワイヤーが接続されているので拘束用バリスタ弾が装填されてるみたいね。

 

「こいつは……まさか兵器か?」

「えぇ、と言っても正確に言うなら狩猟兵器ね。

あの世界のアナザーポケモン達に人間の力のみで対抗しようものならこういう小細工が必要になってくるのよ。」

 

まぁこんなの使ってるのは基本超大型古龍とか禁忌級を狩る時くらいで他で使うのはカムラの里の百竜夜行くらいだから向こうでもあんまり使うような武器とは言いにくいんだけどね。

 

撃龍槍は……流石に無いわね。

 

「ライズ、ここにテント張ってオストガロアの行動を観察するわよ。」

「分かった。

それと情報を改めて確認しておきたい。」

「ええ、構わないわ。

あとは懸念事項としては秘伝スパイスの位置ね……もしオストガロアが食ってたら確実に勝ち目無いわよ。

相手は古龍の中でもかなり上位の存在よ。

 

今私達が相手にしようとしてるのはちょっとした伝説のポケモンだと思いなさい。」

 

ポケモンと違ってモンスターはこっちを本気で殺しに来る……弱肉強食であり、敗北=死へと繋がるこの世界とは真逆みたいな殺伐とした世界の絶対強者……準備し過ぎて損する事はない。

 

 



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少年と双子と骸の龍

 

 

ヴィオ視点

 

 

~オージャの湖~

 

 

さーて、一番の大問題であるウルトラホールをどうした物かしら……。

 

あそこまで巨大なものが現れてるなんて……あのサイズなら他の大型モンスターが入り込んで乱入みたいなのになってもおかしくはないわね。

 

「ヴィオ、あのウルトラホールを放置しておくとどれだけリスクがあると思う?」

「…………向こうの世界の状況次第だけどあのサイズなら伝説のポケモン並の強さを持ったやつが普通に入れるわ。

もし乱入でもされたら確実にこっちか死ぬと思うから絶対に対策しないといけないわ。

ハッキリ言ってリスク以外なにも無いのよ。」

 

するとライズがネックレスに嵌まっているウルトラボールへと視線を向けている。

多分UB関係のポケモンがいるのでしょうけど……まさかルナアーラとかソルガレオとかの伝説系じゃないでしょうね?

 

「はぁ……仕方ない。

俺はあのウルトラホールを何とかして閉じるから二人……いや三人にはオストガロアを頼みたい。」

「へ?」

「三人……?」

「あら?気配は消していたつもりだったのですがあっさりとばれてしまいましたか。」

 

思わず声がした方向に顔を向けると……。

 

「オモダカさん!?」

「どうしてトップがここに……って考えれば当然ね。」

「察していただきありがとうございます。

説明の手間が省けますね。

とりあえずライズ、貴方にはあれを閉じる手段があるのですね?」

 

まぁオージャの湖があんな状態になる時点で異常事態な上にそこに住み着いたのが異常な強さを持った謎のポケモンともなるとトップチャンピオンであるオモダカさんが出ても全くおかしくはない。

 

ただやっぱりライズの方が気になるわね。

やっぱりアローラでのウルトラホール騒ぎに深く関わってるのかしら?

 

「えぇ……一応。

本来ウルトラホールはあんなに長く繋がることは無いので言う必要が無かったんですけどね。」

「なるほど……確かに今までであれば一瞬で閉じていましたからね。

流石はアローラ出身と言ったところでしょうか?」

「アローラでもあれに関われるのは一握りですよ。

自分が言うのもなんですがね。」

 

とライズは若干苦虫を噛み潰したような表情で答える。

やっぱりあんまり関わりたくは無いのかしら……。

彼ってあんまり自分の過去を話したがらないのよね。

 

「となると問題はどうやってオストガロアを引きずり出すかですね。」

「そっちは問題ないと思います。

あのポケモンは捕食欲求がかなり高いので獲物が縄張り近くにいるようなら自分から襲いにいくので。

どっちかと言えば姿がこの骨のせいで見えにくいので奇襲されやすいことです。」

「…………ねぇ、何かしらのお肉かなにか投げ入れれば姿を見せたりとかしないかな?」

 

あ…………。

 

この世界にすっかり馴染みすぎてたから忘れてたけど確かにその手があった。

向こうの世界ではトラップに肉を使うの普通によくある罠だ。

特にイビルジョーに近いレベルの食欲を持ったオストガロアには効果は確実にあるわね。

 

ただまぁ状態異常は多分狙いにくいから姿を出させて奇襲を封じるのはいけそうね。

 

「確かに合理的ですね。

こちらのリスクも少なく先程の情報からしても何かしらアクションは起こすでしょうから居場所の特定にも役立ちます。」

「とはいえ多分出てくるのは触腕で本体は湖に隠れてると思うわ。

だから触腕に攻撃を集中してまずは怒らせて本体を引きずり出すしかなさそうね。」

「バイオレットさん、貴女はあのポケモンについて良くご存知のようですね。

何か他に警戒する必要があることはありますか?」

「…………あの触腕なんですけど本当の頭じゃないと思って戦うと多分痛い目を見ると思います。

確かに実際はただの触腕ですけど実際に戦うのならあの触腕一つ一つ強力なポケモンだと思った方が良いです。」

「その理由はなんでしょうか?」

 

オモダカさんはどんどん聞いてくるけど正直これ以上答えたら確実に怪しまれるわよね……。今さら気にする事でも無いのでしょうけど。

 

でも今は安全第一ね。

 

「オストガロアというポケモンは自身の口以外にも触腕の先端からもかなり強力なブレスを扱う上に触腕に他のポケモンの骨をくっつけて本来オストガロアが使うことが出来ないような技をいくつも使うことが出来るんです。

先端の骨の特徴から何を使うかはある程度予想出来るのでそちらは任せてください。」

 

とはいえここはゲームじゃなくて現実……ゲームで使ってた骨以外を使ってくる可能性が高いのよね。

 

「…………後程色々と聞きたいですが今は良いでしょう。

少々お待ちください。

誘き出す用の餌を取り寄せます。」

「わかりました。

ライズは何かこっちで手伝う事はあるかしら?」

「無い、強いて言えば邪魔されないように押さえててくれ。」

「任せて頂戴。」

 

とりあえずの懸念事項はだいぶ潰せたわね。

あとは私達の強さ次第ね。






ライズ視点


「…………わりぃ、まだ完全に回復しきってないのにまた力を使わせちまう。」
「…………。」
「そうか……もう少しだけ待っててくれ。
そうしたら……一緒にまた光のある太陽の下でまた遊ぼう。
今はもう少し休んでいてくれ、『ネクロム』」
「………シ……シカ……リ。」


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少年と双子と古龍の驚異

すんません、また寝落ちです。


 

 

 

レティ視点

 

~オージャの湖~

 

 

オモダカさんの用意した餌でオストガロアを誘き出す作戦はかなり上手くいっていた。

 

かなり巨大な骨つき肉を湖に投げ入れると骨で埋まった湖の下から骨の龍のような触腕が二本現れて噛みついたりして何か調べるように巻き付いていく。

 

「掛かったわね。」

「しかし本体はまだ出ていないようですね。」

「あのポケモンの本体を引きずり出すなら触腕にダメージを与えて怒らせるしかないと思います。」

 

ヴィオ姉はやっぱり前世?の世界でオストガロアの事をよく知ってるのもあってかなり冷静なのが分かった。

 

ゲームで何度も出てきたような存在が今目の前にいるって……どんな気分なんだろ。

 

そんな事を思っているとオージャの湖に開いている巨大なウルトラホールの辺りから白銀の光の柱が発生した。

 

ライズ君……。

 

『お前ら人間じゃねぇ!!お前ら人間じゃねぇ!!お前ら人間じゃねぇ!!』

「あら、ライズからね。

やっぱり何かあったのかしら?」

 

…………ヴィオ姉の着メロ相変わらず変なのばっかだなぁ。

 

ヴィオ姉はスマホロトムを起動してライズ君との通話を繋ぐ。

 

「もしもしライズ?そっちは大丈夫なの?

あの光の柱ってそっちから出てるんでしょ?」

『あぁ、というかこっちが出してる。

悪いが思ったよりウルトラホールがデカ過ぎる上にかなり不安定だ。

流石にこれを塞ぐのには時間がかかる。

10分で良いから耐えてくれ。』

 

ライズ君はそう言い残して通話を切った。

 

「良かった……ライズ君無事だったんだ。」

「とはいえ10分ですか……確かアローラのウルトラホールは塞ぐだけならそこまでかからないと聞いていましたがそれ程の事態と考えるべきでしょうね。」

「私としてはあの白銀の光が気になるわね。

一体何をやっているのかしら……。」

 

確かにライズ君の方は気になる。

けど向こうはそう待ってはくれないみたい。

 

「ヴィオ姉、オモダカさん。

オストガロアがこっちに気付いたみたい。」

「いよいよね。

幸い足場はこの骨のお陰でしっかりしてるからアナザーポケモンの体重でも大丈夫だと思うわ。

いくわよ!シュニン!」

「ンガァァァアアアア!!!」

「出てきて!レギィ!!」

「レギァァァァアアア!!!」

「行きなさい!キラフロル!」

「キラララ~!」

 

私達がポケモンを出したのに反応したのか触腕がこちらに両方とも向いて胴体部分を覆う巨大な骨の塊が現れる。

 

「あいつの本体側から出てくる青い液体には絶対に触れちゃダメよ!

粘性が物凄く高いから足場の骨が張り付いてまともに動けなくなるわ!」

 

ヴィオ姉がそう叫んですぐにオストガロアが触腕をくねらせて咆哮する。

 

「オロロロロァァァァァアアアアアア!!!!!!」

 

確かにあれは生物の首がして良い動きじゃないなぁ……。

 

それによくみると下顎に擬態させてる部分が空洞になってて肉が一切無いのがわかる。

 

骨の間から見える青く発光してる部位が全身に纏われた骨と合わさってより不気味に見えてくる。

 

本当にこれが生物なの……?テツノワダチやイダイナキバと相対した時にも思ったけど今回はそれ以上に恐ろしい何かを感じる。

 

「これが……古龍……!」

「今の形態は基本物理攻撃くらいしかしてこないから遠距離から少しずつ攻撃を集中させるわよ!」

「わかった!」

「今はというと何段階かあるわけですね?」

「ええ!とりあえずだんだん話す余裕無くなりそうなので次の形態に移行してから話します!

シュニン!『かやくがん』!」

「ンガァァァアアアア!!!!」

 

シュニンがヴィオ姉の指示で『かやくがん』を出していくけど今回は尻尾を振るときの遠心力で飛ばさずに転がって移動しながら『かやくがん』を飛ばしている。

 

凄い……いつの間にあんなのが出来るようになってたんだろ!

 

「レギィ!『スケイルショット』!!」

「レギァァァァアアア!!!」

 

私はレギィの背中に乗って空を飛びながらオストガロアの触腕に向けて攻撃を集中させる。

 

絆石が腕についてからポケモンの背中に乗るとその子の事がまるで手に取るようにわかる気がする。

何かが繋がってるようなそんな感じがするんだよね。

 

レギィの『スケイルショット』がオストガロアの触腕に当たる。

だけどレギィから飛ばされた鱗はガキィンとかなり硬い物がぶつかったような音を出して全部弾かれた。

 

「嘘っ!?」

「レギァ!?」

 

ヴィオ姉の予想だとほぼ確実にドラゴンタイプが入ってるって聞いてたけど全くダメージが通らないなんて!

 

「レティ!その全身の骨の鎧は全てがアナザーポケモンから取れた物よ!生半可な威力じゃ抜けないわ!」

「物理的な攻撃に強いのでしたらこちらはどうでしょうか!キラフロル!『マジカルシャイン』!!」

「キィィィラアアア!!!」

「オロロロロロロォォォオオオ!!!」

 

オモダカさんのキラフロルが光輝いてオストガロアへとダメージを与える。

 

そっか!物理的じゃなければ骨の鎧に防がれにくいんだ!

 

するとオストガロアが体を反転させていく。

 

「あ、逃げちゃう!」

「いいえ、これは……!」

 

体を反転させたオストガロアは体を持ち上げて……。

 

「オロロロロロロォォォオオオ!!!!!!」

 

その正体を現した。

 

「これが……!オストガロアの本体!」

「第二形態の捕食形態よ!皆!食われるんじゃないわよ!」



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少年と双子と竜の武器

 

 

レティ視点

 

 

~オージャの湖~

 

 

オロロロァァァァァアアアアアア!!!!

 

オストガロアが体を反転したと思ったら骨の鎧が持ち上がって本体が骨の海から体を出してきた。

 

まさか体を反対向きにしてこっちと戦ってたなんて……。

 

口の部分はマーイーカやカラマネロみたいにかなり大きな嘴があるけどその奥には物凄く鋭そうで大きな牙が無数に生えていた。

 

あれで口に入れられたら確実に生きられないだろうなぁ……。

 

すると突如触腕の頭部分を骨の海に埋めて何かをあさり始める。

 

「一体何を……。」

 

ヴィオ姉を見てみるとかなり緊張した顔なのが良く分かる。

この行動が無視出来ないってことなんだと思う。

 

しばらくすると触腕が骨の海から頭を出すけど明らかに形が違うことに気付いた。

 

「他のポケモンの一部をくっつけたの!?」

 

片方は刃のような鋭い甲殻が特徴的なポケモンの体の一部だったと思われる部位でドラゴンポケモンに擬態させた頭に装着した事で斧みたいな姿になっている。

 

もう片方は……まさかあれはシュニンと同じウラガンキンの顎!?

 

「爆鎚竜ウラガンキンの顎に斬竜ディノバルドの尻尾ね……鋭い方は叩きつけると粉塵が舞って爆発するわよ!」

「分かった!」

「それでは我々は少し後退した方が良さそうですね。」

「結構離れないと巻き込まれますがこっちを狙われると不味いのでライドポケモンを出しておいて下さい。

ミライドン!出てきて!」

「アギャァス!!」

「ゴーゴート!頼みます!」

「ゴォーー!!」

 

オロロロァァァァァアアアアアア!!!!

 

両方の触腕を武装したオストガロアは全身をくねらせながら咆哮する。

 

凄い威圧感……今まで相手したヌシポケモンとは比べ物にならない!

 

「来るわよ!」

 

オストガロアが刃の付いた方の触腕を骨の海に叩きつけると前方に加えて斜めにも粉塵がまっすぐ舞ってすぐに爆発する。

幸いシュニンは転がって避けててキラフロルは体が小さいのもあって当たる様子は無いみたい。

今のところ遠距離の心配は無さそうかな。

 

「オルロロァァァアア!!!」

 

オストガロアのウラガンキンの顎が付いた方の触腕の目に擬態してる所や吸盤と思われる光る部分が強く発光すると地面から巨大な岩の剣がこっちに向かって生えてくる。

『ストーンエッジ』だ!

 

「レギィ!焦らず避けて!」

「セルルルルッ!!」

 

レギィは『ストーンエッジ』を避けながら追撃で鱗をオストガロアの本体に向けて発射するけど直撃しても効果がかなり薄いみたい。

若干煩わしそうにしてるけどそれだけだ。

 

「体の表面もかなり硬い……レギィ!『りゅうのはどう』!」

「レギァ!!!」

 

レギィの口からドラゴンの形をしたエネルギー体が飛んでいく。

 

オストガロアは両触腕部の口と本体の口から赤黒くて禍々しいエネルギーを貯めて迎撃をする。

 

「ッ!?レティ!絶対に避けなさい!!」

「分かった!レギィ!」

「セルッ!」

 

オストガロアから放たれた赤黒いエネルギーは『りゅうのはどう』をいとも容易く消し飛ばしてこっちにまで飛んでくる。

 

三方向に飛んできてるのが厄介だけどレギィの高い空中機動力ならなんとか避けられる!

 

「ヴィオ姉今のは!?」

「あれは全ての古龍が多かれ少なかれ持っていながらも自らの弱点となる龍属性エネルギーによるブレスよ。

龍属性は同じ属性以外を全て封じる効果があるから多分食らえばドラゴンタイプ以外が無くなるわ。

それにドラゴンタイプとかくとうタイプ、ノーマルタイプくらいしか技が使えなくなるかも。」

 

なにそれ!?

 

「名付けるなら『ドラゴンブラスター』ってとこかしら……。」

「そうなるとかなり厄介ですね。

なるべく迎撃はせずに回避する方向で行きましょう。」

 

すると今度はディノバルドの尻尾を付けた頭を骨の海に沈めてまた漁り始める。

 

今度は青白いトゲのような甲殻を取り付けて槍のような形になっている。

 

「白海竜ラギアクルス亜種の背電殻!

今度はでんきタイプの技が飛んでくるわよ!」

「オルロロァァァアア!!!!」

 

言ってる側から早速電撃がこっちに向かって飛んでくる上に本体から青黒い粘液も一緒に飛んできてそれが帯電している。

 

「ちょっ!?なんかめっちゃ狙われてる!?」

「シュニン!『アイアンヘッド』!」

「ンガァァァァァアアアア!!!」

「オルルロロロロロロ!!!」

 

シュニンの『アイアンヘッド』に合わせてオストガロアのウラガンキンの顎を付けた触腕が叩きつける合うような形でつばぜり合いになる。

シュニンが押されてる……もしかして『アームハンマー』!?

 

まって!?明らかに技を5つ以上使ってる!?

 

「触腕の武器を変える度に技構成も変化するようですね。

キラフロル!『ヘドロウェーブ』!」

「キラキラァ!!」

「オルロロロロッ!?オルロロァァァアア!!!」

「キラァ!?」

「キラフロル!?」

 

青白いトゲの付いてる方の触腕に薙ぎ払われたキラフロルが吹き飛ばされてオモダカさんのボールに強制的に収納させられる。

そしてオモダカさんの手持ちからドドゲザンが出てきた。

 

『ドラゴンテール』まで使ってくるなんて……。

 

「強い……っ!」

 



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少年と双子と手数勝負。

 

 

ヴィオ視点

 

 

~オージャの湖~

 

 

 

正直想定を大きく超えるわね……。

技の種類が多すぎるわ、5種類以上の技を使ってくるのはテラレイドだけで良かったのに……。

 

「多分フォルムチェンジに合わせて技構成が大きく切り替わるんだと思うわ。

普通は姿が変わっても変化する技は一つくらいだけど多分オストガロアはほぼ全部切り替わってる。」

 

考えたくは無いけどゲームの時と同じなら触腕に引っ付く骨の組み合わせは6通りで技も『ドラゴンブラスター』以外が全て切り替わると過程する。

 

そうすると"6×3=18"。

つまり18もの技を切り替える事が出来ると考えた方が言いかもしれない。

 

もし全部のタイプの技が用意されてると考えたら最悪ね……。

 

「来た!ヴィオ姉!」

 

オストガロアが今度はウラガンキンの顎を取り付けた触腕を骨の海に沈める。

 

とりあえずまだ未確認なのはブラキディオスの腕ね。

正直あれもあれでかなりの脅威だからあまり相手したくは無いわね。

 

オストガロアが触腕を骨の海から引き抜くと……。

 

「嘘っ!?」

 

ブラキディオスじゃない!それにディノバルドでもウラガンキンでもラギアクルス亜種でもない!

あの嘴に特徴的な鶏冠のような部位は!?

 

「ゲリョスの頭骨!?」

「ゲリョス?」

 

オストガロアがゲリョスの頭骨に付いている嘴を何度ガチガチとアグナコトルのように鳴らす。

レティとオモダカさんは警戒こそしてるけど一番注意を反らしてはいけない所に気が付いてない!

 

「『フラッシュ』が来るわよ!全員目を瞑りなさい!」

「え!?わ、分かった!レギィ!」

「レギャァ!」

「ドドゲザン。」

「ドゲッザ。」

 

バチバチピカァァァァァン!!!

 

案の定ゲリョスの鶏冠から目を瞑ってても眩しいとハッキリ感じられる程のとてつもない閃光が発生していたけどなんとか全員直視せずに済んだ。

 

やっぱりゲームと違って骨の種類が4種類だけじゃない。

こんな搦め手も使ってくるなんて!?

 

「ッッ!!」

「あぶなっ!?」

「これは……ドドゲザン、受け止めて下さい。」

「ゲッザン!」

 

ゲリョスの頭骨を張り付けた触腕がこっち目掛けて毒を纏いながら薙ぎ払われてくる。

 

さっき触腕で、『ドラゴンテール』使ってきた辺りこっちは『ポイズンテール』ね。

 

さらに今度はラギアクルスの骨を纏った方の触腕を骨の海に沈める。

だけどこれ以上二本の触腕ばかりに集中してしまうと本体への攻撃が疎かになってしまう。

 

「シュニン!本体に『ジャイロボール』!」

「レギィ!『りゅうのはどう』で合わせて!」

「ドドゲザン!残ってる触腕が動くようなら『ふいうち』!」

「ンガァァァァァアアアア!!!」

「レギァァァァァアアアア!!!」

「ゲッザァ!」

 

「~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!

オルロァァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

本体が怒り出してこっちに『ドラゴンブラスター』が飛んでくる。

 

「ヴィオ姉!オモダカさん!捕まって!」

「レティ!」

「助かります!」

 

レティがいち早く『ドラゴンブラスター』の発動に気付いてくれたみたいでレギィの脚に捕まってなんとか無事で済むことが出来た。

 

そして骨の海からオストガロアの触腕がまた出てくる。

ただ良く見るとオストガロアは両方の触腕を骨の海に沈めていたのが見えた。

 

骨の海から現れたのは重厚過ぎる爪状の巨大過ぎる黒色に紅色のメッシュが入った甲殻に身を包んだ触腕。

 

もう片方は数ヶ所欠けたようなギザギザとトゲドゲしくもどんなものすらも切り裂きそうな鋭さを持った虹色に鈍く輝く刃を持った青い大鎌をハサミのように装着した触腕だった。

 

最悪ね……ここまで来るともはや原作の強さなんかとは比較にならない!

 

「ショウグンギザミにダイミョウザザミ……!

よりにもよって矛砕きと鎧裂の一部とか冗談じゃないわよ!?

シュニン!!絶対に攻撃を受けちゃダメよ!貴方の甲殻でもあれは容易く切り裂くわ!

レティ、オモダカさん。

盾の方はほぼ破壊不可能と思ってもらっていいです。

青い方の攻撃はは絶対に受けないようにしてください!

あれはたとえハガネールでも切り裂かれます!」

「うぇぇえええ!?!?」

「分かりました。

ドドゲザン!戻ってください!

ミガルーサ!お願いします!」

「ミガルサー!!」

 

オモダカさんは動きが進化前のキリキザンに比べ鈍くなっているドドゲザンは不利と判断したのかミガルーサにポケモンを入れ換えた。

 

するとライズのいた光の柱が消えて向こう側からギギネブラが飛んできている。

 

良かった……ライズの方は片が着いたみたいね。

 

「ん?」

 

良く見るとライズの後ろに常識的に考えてあり得なさすぎるポケモンが引っ付いてるのが分かる。

 

赤色と桜色に発光するエネルギー体のような翼に蒼黒い結晶体のような特徴的な体。

 

巨大な翼に対して小さな胴体、そしてそれに付いたアンバランスな程に大きな腕。

 

そう、ライズと共に飛んでいたポケモン。

その正体は……………。

 

「い……いいい……色違い月食ネクロズマ!?!?」

「ネクロム!悪いがラストにもう一仕事頼む!『プリズムレーザー』!!」

「クロロロロロッ!!!ズマッ!!」

 

ライズからの指示でネクロズマから極光のレーザーがオストガロアへと放たれていった。



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少年と双子と物理的な力

いやぁついに蒼の円盤来ましたわぁ!

自分的にはギガイアス居ないのがかなり残念ですが色ゴルーグ引っ越せたのが良かったです


 

 

ライズ視点

 

 

~オージャの湖~

 

 

オルロァァァァァァァアアアアアア!?!?!?!?!?

 

よし、不意打ち気味だが本体に直撃した。

 

だが命中時に発生した煙が晴れていくとそこには殆どダメージが通ってないオストガロアの姿があった。

 

「ネクロムの『プリズムレーザー』が殆ど効いてないか……常々思うがアナザーポケモンの体に純粋な物理以外は通りにくいな……。

ネクロム、調子はどうだ?」

「……ズマ……シカ……リ……。」

 

ネクロムの表情を見るが先程の『プリズムレーザー』の反動も来ており、あまり調子は良くなさそうだ。

 

「悪いな……まだ完全に回復しきれてないのに。」

「クロロ……シカ……シカリ。」

 

俺としては昔のある一件以来回復まで長引いていたネクロムをこんなタイミングで使うのはあまり気が進まなかった。

だがあのレベルのサイズのウルトラホールを閉じるにはネクロムの力が必要不可欠だったし不意打ちに関してもおそらくギギネブラでは大したダメージにならないと判断したからだ。

 

だがそんな俺の心情を察したのかネクロムは俺に近寄ってその大きな腕で軽く抱きついてから離れる。

 

「ありがとう……しっかり休んでてくれ。」

「……シカリ。」

 

俺はネクロムをボールへと戻した。

 

ようやくまともに回復したばかりなのにすまないな。

 

すると今度はオストガロアの様子がどんどん変化していく。

 

オ……オオオ……オオオオオオ…………オルロァァァァァァァアアアアアアアアアア!!!!!!

 

ッッッッ!?!?!?

 

オストガロアから尋常じゃない程の威圧……以前ウルトラホールで見かけた純白のドラゴンポケモンのごとき異常過ぎる程の威圧感がこちらに押し寄せてくる。

 

周辺の天気まで変化していき、積乱雲のように分厚く、雷の発生している雲が空を覆い尽くして周辺一体が真っ暗になる。

 

オージャの湖が蒼く発光して周辺はまるで洞窟の中にいると錯覚しそうな雰囲気となり、オストガロアの触腕部にある蒼く発光していた部分が深紅に染まってその口からは紅黒く禍々しいドラゴンエネルギー……龍属性が漏れだしていた。

 

ついに本気って訳か。

 

「オルガロァァァァァアアアア!!!!」

 

オストガロアの触腕に引っ付いてるとんでもない鋭さを持っていそうなハサミが龍属性のエネルギーを纏って巨大化する。

 

だが同時にはがねタイプのエネルギーだと!?

 

「オロロルロァァァァァアアア!!!!」

 

オストガロアは目を深紅に光らせながら触腕をこっちに伸ばしてくる。

 

「ギギネブラ!『しっぽきり』!」

「ギギアッ!!」

 

俺の乗っていたギギネブラが身代わりに変化して代わりにバサルモスが出てくる。

瞬時に龍属性エネルギーとはがねタイプエネルギーを纏ったハサミが通りすぎるが身代わりが切断されただけで何も影響は出なかった。

 

「ヴァ?( ゜ A゜ )

ヴァァ?( ・д・)⤵️」

 

バサルモスは現在の状況が良く分かっていないのか何度も下と今の上空の景色を見直している。

 

だがバサルモスには滑空能力も飛行能力もない。

 

つまりは……。

 

ヴァァァァァァァァァアアアアアアアアアア!?!?!?!?!? ゚ ゚ ( Д  )

 

バサルモスと俺は共に落下していった。

 

俺はこんな時の為にパラシュートがあるので問題はない。

 

あの骨の鎧があるかぎりオストガロアに対して遠距離からの攻撃ではまともなダメージを入れられない。

かと言って接近戦を仕掛けるにはリスクが大きすぎる。

 

だがオストガロアは構造上死角が全く存在しないが無防備な部位が一ヶ所ある。

 

本体の上部はかなり分厚い骨の鎧に包まれており、その強度はネクロムの『プリズムレーザー』の威力を激減させる程だ。

 

だがアナザーポケモンが威力を減衰させにくいエネルギーを用いない完全な物理攻撃……ホエルオーすらも軽々と超える体重を持ったこいつが上から落ちれば……!

 

「バサルモス!ドラゴンダイブ(物理)!!」

ヴァァァァァァァァァアアアアアアアアアア!?!?!?Σ(´□`;)

オロロロロロロァァァァァァアアアアアアアア!?!?!?!?!?!?

 

「はぁぁぁああ!?!?」

「ちょぉぉおお!?!?」

 

ヴィオとレティがなんか叫んでいるな。

だがあいにく落下の音で聞こえん。

 

俺はパラシュートを開いて滑空し、様子を見る。

 

バサルモスが背中から落下した衝撃により、オストガロアの骨の鎧が粉々とまではいかないがヒビまみれになり、触腕の骨すらも軽く粉砕していた。

だが骨はまだ体に纏われてるままで武器を奪えてないな。

しかもバサルモスは背中の鉱石が骨に刺さって動けそうにない。

 

「バサルモス悪い!『だいばくはつ』!!」

「ヴァァァァア( ;∀;)」

 

次の瞬間、バサルモスの全身から光が溢れだし、巨大なキノコ雲を形成するほどの『だいばくはつ』が発生していく。

 

バサルモスは力尽きてボールに強制的に回収されていった。

 

しかし肝心のオストガロアは……。

 

 

オルロァァァァァァァアアアアアア!!!!!!!!!!!

 

全身の骨が無くなったくらいで本体側はまだ紅黒いエネルギーを迸らせながら怒り狂っていた。

 

そして尋常じゃないエネルギーが口に終息していき、とんでもない大きさのレーザーをこちらに発射してきた。

 

 

 



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少年と双子と最後の進化★

 

 

ライズ視点

 

~オージャの湖~

 

 

 

目の前にいるオストガロアから三方向から収束した『ドラゴンブラスター』が俺へと向かってくる。

 

あの範囲では流石に回避不可能だ。

だがどうやって守る……ッ!

ネクロムにもう一度"アレ"を使って貰うわけにもいかない!

唯一耐えられそうなバサルモスはさっき『だいばくはつ』を使わせてしまったせいで今は力尽きている。

 

ザボアザギルの防御もすぐには出来ない!

 

流石にこれは死……ッ!?!?

 

「ヴァァァァァァァアアアアアア!!!!!!」

 

すると突如として懐のボールからバサルモスが出てきてオストガロアの『ドラゴンブラスター』を受け止める

 

「バ、バサルモス!?無茶するな!ただでさえもう瀕死なんだぞ!?」

「ヴァァァァァァァアアアアアア!!!ヴァァァァアア!!」

 

バサルモスは俺の言葉に聞く耳を持たず体内の熱を収束して口から吐き出して『ドラゴンブラスター』を弾いていく。

 

だが威力が足りなすぎる!

 

ドラゴンブラスターはバサルモスの身体をどんどん削っていく。

しかも背中の甲殻がどんどん割れているのが分かる上にそこからグツグツと煮えたぎるマグマのようなものまで出ているように見える。

 

ピンクの結晶は既に全て砕け散っている。

 

「バサルモスゥゥゥゥウウウウウウ!!!!」

「ヴァァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

俺の声に呼応するようにバサルモスに現れたヒビがどんどん全身へと広がっていき、そこから蒼白い光が出ている。

 

するとどんどんオストガロアの『ドラゴンブラスター』をヒビから体内に吸収し始めた。

 

まさかこのエネルギーを吸収して無理矢理進化する気か!?

 

そんなことしたらバサルモスがどうなるか分かったものじゃない!!

 

「ヴァァァァァァァァァァアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」

 

バサルモスの外殻が全て砕け散り、露になった光輝くバサルモスはその姿をどんどん変化させていく。

 

より鎧のように強固な甲殻……いや、重殻へと変化させ、短かった尻尾が長く強靭な物へと形を変えていく。

そして何よりも異様な変化をしているのがその背中であり、まるで第二の翼の如く中央を避けて薄く、そして幅広く伸びた重殻の内側には火山の火口のごとくマグマが流れ出している。

そしてその全身が『ドラゴンブラスター』を吸収する毎にどんどん黒く染まっていき、口からは赤黒いドラゴンエネルギーがあふれでていた。

 

「ヴァァァァアア!!!」

 

進化したバサルモスがこっちを見て何かをやれと言うような意思を見せている。

 

このままだと折角進化したバサルモス共々俺がやられるだけか!

 

「受けとれ!!」

「グラァ!」

 

進化したバサルモスは口で俺が投げた結晶をキャッチして飲み込む。

オイ……いやまぁこいつの身体なら問題なく機能するか。

 

俺はテラスタルオーブにパワーをチャージして投げてバサルモスをテラスタルさせる。

 

少しずつ押し返してはいるがそれを分かっているのか『ドラゴンブラスター』の出力がさらに跳ね上がる。

火事場の馬鹿力ってやつか……なら俺だって全力で望むだけだ!!

 

バッグからこの地方では使わないだろうと肥やしにしていた白いリングを取り出して腕に装着し、そのリングに藍色に輝くクリスタル……ドラゴンZクリスタルを嵌め込む。

 

クリスタルに全力で力を込めて両手を龍の口に見立てて噛み合わせ、力強く開いていく。

 

これにより俺のZリングを通してバサルモスの飲み込んだドラゴンZクリスタルへと力が注ぎ込まれる。

 

普通ならあり得ない量のドラゴンエネルギーがバサルモスの口から溢れ始め、そこから紫の身体に赤黒い雷光を身に纏った龍が現れてオストガロアの『ドラゴンブラスター』をまた押し返し始める。

 

「俺達の全力……ッ!!100%を超えた120%以上のフルパワァァァアアア!!!

『アルティメットドラゴンバーン』!!!」

「ヴァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

 

ついに龍は『ドラゴンブラスター』を切り裂き、周囲に弾き返し、オストガロアへと迫っていく。

 

「オルロロロロロロロッ!?!?!?

オロロロロロァァァァァアアアアアアアア!!!!!」

 

今オストガロアの身を守る()は存在しない!

ならここで一気に決めてやる!!

 

「手伝えヴィォォォォオオオオオ!!!レティィィィィイイイイイイ!!!」

「シュニン!!『じじん』!!!」

「レギィ!!!!『シューティングスター』!!!!」

「ンガァァァァァァアアアアア!!!!」

「ギルルルルルルァァァァァァアアアアアア!!」

 

俺達の『アルティメットドラゴンバーン』にシュニンの『じしん』による強大なじめんエネルギーと大量の流星群のようなレギィの刃鱗が降り注ぐ。

 

「オルロァァァァァァァアアアアアアア!?!?!?」

「ヴィオ!!」

「任せて!!いくわよ!ダークボール!!」

 

ヴィオが懐から空のダークボールを取り出してオストガロアへ投げていく。

 

ぶつかったダークボールへとオストガロアは吸い込まれていき、完全に中へと入った。

 

一回……二回……三回……

 

どうだ!?




オストガロアの能力です

オストガロア
アナザーポケモン
ドラゴン・ゴーストタイプ

特性:『がいりゅうのほこり』

複数の特性をあわせ持つ。

・『ムクロマトイ』
毎ターンフォルムが変化する。
フォルムによって一部のタイプの技が強化される。
フォルムが変わる毎に技が3つ変更される。

・『エンシェント』
古龍が発する特有の性質。
ただそこにいるだけで周囲の環境を自分の有利な環境へと変化させる(オストガロアの場合周囲を骨の海へと変化させる。)
相手が使う技の消費PP二倍

H:120
A:112
B:138
C:130
D:120
S:80


・『ドラゴンブラスター』
ドラゴン 特殊 威力120 命中95
タイプ相性を完全に無視して攻撃する(ドラゴン相手でも弱点にならない)
1ターン溜めた後に強大な龍属性エネルギーを放出し、当てた相手からドラゴンタイプ以外を消して攻撃技はノーマル、かくとう、ドラゴンの3タイプ以外を使えなくする
反動として1ターン動けなくなる


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少年と双子と新種

すんません、寝落ちしました


 

 

 

ライズ視点

 

 

~オージャの湖~

 

 

 

カチッ……。

 

 

この音を聞いた瞬間俺達は安堵に包まれた。

 

「ふぅ………危なかった……。」

「ヴァァァァアア……。」

 

俺と元バサルモスは思わずその場に倒れ込む。

流石に一瞬走馬灯が見えたぞ。

 

すると向こうからヴィオとレギィから飛び降りたレティがこっちに走ってくる。

 

「うおっ!?」

「全く……ひやひやしたわよ……本当に心配したんだから……。」

「どれだけオストガロアを攻撃しても全然『ドラゴンブラスター』を反らせなかったんだもん……ホントに良かった。」

 

よく見ると軽く目頭に涙が浮かんでいるのが見えた。

 

ってかヴィオの爪が肉に食い込んでるんだが……。

 

「悪い……オモダカさん、手伝っていただきありがとうございました。」

「いえ、私はほぼ何も出来ませんでした。

有効な攻撃は分かっていても能力が大きく足りていませんでしたから。」

「いえ、有効な攻撃を瞬時に見抜いて貰わなければ確実に消耗戦で負けてました。

オストガロアの骨の鎧は数の有利を簡単に覆すくらいの頑丈さでしたよ。

少なくとも俺達の手持ちが数匹やられてもおかしくありません。

俺だってバサルモスを使い捨てるような戦い方をしてようやく骨を全て壊すのが限界でしたから。

こいつが進化してくれなければかなりキツかったですよ。」

 

俺がそう言うとヴィオが思い出したかのように「あっ!?」と呟いた。

 

「そうよバサルモス!いえ、今はグラビモスというべきかしら。

こっちもこっちで驚いたわよ!」

「あぁ、俺もあんな土壇場で進化するなんて想定外だったよ。

瀕死の状態から進化したんだから尚更な。」

「いえ、確かにそれもあるけどそうじゃないわよ!

グラビモスはグラビモスでも新種と言っていい姿よ!」

 

新種?一体どういうことだ?

 

「やはりバイオレットさん、貴女はアナザーポケモンについてライズ以上にご存じのようですね……。」

「…………正直俺達としてもヴィオの事情は説明しにくいんです。

普通に話したとしてもあまりにも嘘っぽ過ぎてどう説明すればいいか……とりあえず向こうの世界の事情や情報を詳しく知ってるとだけ覚えて頂ければ。」

「…………納得はしにくいですがそういうことにしておきましょう。

それで新種と言っておりましたが?」

「どういうことなの?ヴィオ姉。」

「こっちを見て頂戴。」

 

そういってヴィオはバッグからスケッチブックを取り出して俺達にあるページを見せてくる。

こいつは……グラビモスか?

 

だが俺のグラビモスと見比べて見ると背中の巨大な重殻を持っておらず、細部も所々違う。

 

「こっちはまぁ通常種のグラビモスね。

普通のバサルモス達が成長することによって鎧竜と言われるこの姿になるの。

だけど鎧竜と言っても実はいくつか派生があるのよ。」

 

そういってヴィオがページを捲ると今度は先程の姿から黒く変色したようなグラビモスが描かれている。

 

「こっちは黒鎧竜グラビモス亜種と呼ばれているわ。

まぁこっちは厳密に言えばさっきのグラビモスと同じ種族なんだけど生態の差によってここまで姿が変化するのよ。

 

そして見てほしいのはこっち。」

 

すると今度は俺のグラビモスとほぼ同じ姿で俺のグラビモスの各所に見られる特徴的な紅黒い線のような模様がない個体が描かれていた。

 

「こっちはグラビモスの辿異種と呼ばれる個体よ。

こっちも厳密には同じ種族だけど長い年月を経た事で溜め込むことが出来る熱エネルギーが増えすぎた結果一気に排熱するために胴体や頭部、尻尾とかが異常発達を起こした個体になるわ。」

 

そういえばさっきまで気が付かなかったが絵で見てみると割と目立つ部位が見つかった。

 

よく見ると腹部の方にもかなり大きな排熱口が空いているのが分かる。

 

「まぁ見ての通りこっちもこっちで若干ライズのグラビモスとは変化があるわ。

たた色や能力なんかも亜種や辿異種とは大きく違ってるあたりするから……名付けるとするなりグラビモス希少種の辿異種ってとこかしら?

というかそもそもバサルモス亜種の成体が未発見な訳だから向こうの世界に知られたら大騒ぎになるわよ?」

「ヴァァア?」

 

グラビモスは話の内容があまり分かってないのか首を傾げている。

 

こりゃ今度詳しく調べておく必要がありそうだ。

 

 



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少年と双子と本来のヌシ

すんません、また寝落ちです。

それと来週と再来週の二週間程投稿を休もうと思います(ちょっとした冬休みとしてじっくり休みたい。)

次回の投稿は来年の8日くらいになると思います。
かなり早いですがメリークルシミマス&よいお年を


 

 

レティ視点

 

 

~オージャの湖~

 

 

あれから少ししてオモダカさんはリーグな方に今回の件の報告をしに戻っていった。

 

相変わらずライズ君とヴィオ姉がよく分からない話を続けててふと周囲を見渡すとある一つの事実にきがついた。

 

「ね、ねぇ?なんか骨がどんどん消えていってない?」

「え?」

「こっちの周辺の足場は問題無さそうだが……あぁ、そういうことか。」

 

どうもライズ君も今何が起きているのかに気付いたみたい。

オージャの湖の外側からどんどん骨が消えていってる。

私達が立っている足場も骨だからこのままだと湖に落下してそのままミガルーサとかに襲われちゃう。

 

「あの島に一旦向かうぞ!レティ頼む!」

「わかった!レギィ!皆も乗せて!」

「レギァァアアア!!」

 

流石に今対処に時間取られてたら安全な足場に向かうまでさらにかかってたと思う。

 

とりあえず私はレギィの背中に乗り、ライズ君とヴィオ姉ををその強靭な

脚で掴んでいた。

 

二人とも痛くないよね?

 

「骨が消えてくなんて……普通に考えて物理的にあり得ないと思うのだけど?」

「なんかヴィオ姉が最近よく使う『エレキフィールド』が解除される時みたいだね。」

 

私がそう思い付きで呟くとヴィオ姉とライズ君の二人が驚いたような顔でこっちを見てくる。

え?私なにか変なこと言っちゃった?

 

「そっか……ポケモンの技……いや、多分特性ね。」

「そういえばただそこにいるだけで環境を変える程の力を持つって言ってたな……もしかしたらこっちの世界に来た影響で特性として強化されたんじゃないか?」

「陸地に着いたらちょっとスマホロトムで調べてみる必要がありそうね。」

「そうだな、俺もグラビモスを調べる必要がありそうだ。」

「そうなると今日は調べ物で1日潰れそうだね~。

あ、小島が見えてきたよ!レギィ、あそこにお願い。」

「レギァッ。」

 

私達はさっそく見えてきた小島に到着したのでそこに皆降りていく。

どうも周辺にはかなりの量のシャリタツがいるあたりここにはシャリタツの巣でもあるのかもしれない。

 

「スシ……。」

「シャリシャリ……。」

「スシスシ……。」

「スメシ……。」

 

なんかシャリタツ達を見ると全員が元気が無いように見える。

やっぱりオストガロアから逃げてきたのかな?

 

そんな中に一匹だけすごく変な子を見つけた。

 

「オレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイ……。((( ;゚Д゚)))」

「ヌシ……。」

「ヌシヌシ……。」

 

群れの中でも特に一番大きく、周囲からも心配されてるように見える。

それにこの怯えようからして多分オストガロアに襲われたのかな?

 

ん?ヌシ?

 

「ねぇ、ライズ君、ヴィオ姉。」

「ん?なんだ?」

「何か見つけたの?」

「ここにいた本来のヌシポケモンって偽竜のヌシって言うんだよね?」

「へ?確かそうだけど……。」

「シャリタツって確かヘイラッシャの口の中に入って強化したり指示を出したりして擬態もするよね?」

「あぁ、特性の『しれいとう』の効果だな……まさか!?」

「うん、多分あそこで震えてる子が偽竜のヌシなんじゃないかな?」

「…………ヌシ?」

 

やっぱりよく見ると群れで一番大きいだけじゃなく強さも多分他のシャリタツとは桁が違うみたい。

とりあえずオストガロアがもう暴れなくなった事をこの子に伝えてあげないと。

 

「ちょっと良いかな?」

「シャリ?」

「スシスシ?」

「ヌシ?スシヌシ?」

「シャリスメシ?」

 

シャリタツ達が一斉にこっちをみて首を傾げてるのにちょっと癒されるけど今はそっち気にしてる場合じゃない……。

でも可愛いなぁ……。

 

「安心して、オストガロア……ここで暴れてたものすごい大きな骨だらけのドラゴンポケモンは私達が捕まえたから。

もうここで暴れる心配は無いよ。」

「スシッ!?」

「ヌシ!ヌシヌシ!」

 

周囲のシャリタツ達が一気に表情が軽くなってとても安心したような様子になっていく。

だけど一番大きい個体だけまだ震えている。

 

「シ………シンジラレヌッ!」

 

…………んん?

 

「マダツヨイチカラミズウミニノコッテイル!

ソナタラガツカマエタトイウナラソレヲミセヨ!」

 

シャリタツは凄く怯えながらそう言った。

 

え?ええ?

 

「しゃ……。」

「しゃ……。」

「「「シャベッタァァァァァァアアアアア!?!?!?」」」

「「「スシ?」」」



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少年と双子としゃべるポケモン

あっぷねぇ!?何故か予約投稿したデータ消えてて焦りました。

改めまして新年明けましたおめでとうございました(過去形)
皆様今年もよろしくお願いいたします!


ライズ視点

 

~オージャの湖~

 

 

シャリタツが……しゃ……喋った?

 

「…………人間の言葉を話すニャースやテレパシーで会話を可能とするポケモンがいるという事例は聞いたことがある。

だがまさか実際に出会うことになるとは思わなかった。」

 

シャリタツはポケモンの中でもかなり知能が高い部類だ、それを考えてみればむしろ人の言葉を話すことが出来たとしても不思議ではないのか……?いや、声帯はどうなってるんだ?人のように会話することでコミュニケーションを取るような生物ならともかく鳴き声だけで完結してしまうのがポケモンだぞ?」

 

「ラ……ライズ君?」

「途中から心の声が漏れてるわよ……。」

「っと……すまない。」

 

見たところこのシャリタツはヌシというだけあってかなり大型の個体だな。

おそらくこのシャリタツはこの湖のポケモンの中でも特に長生きなのもあるんだろうな。

 

「オイ!キイテイルノカ!!」

「っと……すまない。

ヴィオ、オストガロアをボールから出してやってくれ。」

「えぇ、出てきてちょうだい。」

 

ヴィオがすぐにオストガロアの入ったダークボールを取り出した。

 

「オルロロロロ……。」

 

オストガロアがダークボールから出てきて湖に着水する。

 

「あれ?」

「なんか元気無いわね?」

 

オストガロアは自分の触腕を見たり自分の胴体を触れてため息を吐いておりだいぶ元気がない。

 

正直俺としては心当たりがあるので若干後ろめたい。

とりあえずオストガロアの骨探しについては後で考える必要がありそうだな……。

 

「オレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイ……。」

 

あぁ……やっぱりトラウマを再発させたか。

 

「オロロロ……。」

 

オストガロアもオストガロアで若干落ち込んだ様子を見せながらウルトラホールに触腕を突っ込んで漁って……んん?

 

「オ……オイ?なんでウルトラホールがまた空いてるんだ?」

「オロ?」

 

オストガロアは胴体を傾げてはいるがウルトラホールを漁る触腕は止めてない。

ウルトラホールからは次々と骨が取り出されており、それを一つずつ見ては気に入らない物はウルトラホール内に投げ込んでいた。

 

「あー、シャリタツ?シャリタツ?とりあえずオストガロアについては見ての通りだ。

一旦落ち着いてくれないか?」

「オレハスシジャナイオレハスシジャナイオレハスシジャナイ……ハッ!

ス……スマヌ、トリミダシテシマッテイタ。

マサカホントウニツカマエテイルトハ……。」

 

流石にいつまでもさっきみたいな怯えている状態でいられても面倒だから声をかけたが思ったよりも立ち直りが速くて助かった。

 

「シャリタツ、すまないがオストガロアの言葉を翻訳して貰うことって出来るか?」

「ホンヤク……ツマリヤツノコトバヲニンゲンノコトバデツタエレバヨイノダナ?」

「そういうことだ、頼めるか?」

「ウム。

スシ、スシヌシシヌー!」

 

シャリタツは首を縦に振って了承するとオストガロアへと若干震えながら声をかける。

 

「オロロロロ?」

「スシヌシシススシ。」

「オルロロア。」

「シャリシヌヌシシヌ。

ニンゲンヨ、ヨイゾ。」

 

どうやら本当に翻訳が出来るみたいだ。

ニャンターだけは何故かアナザーポケモンの言葉が分からなかったみたいだったから若干の不安はあったが本当に出来るとは……。

 

「オストガロア、とりあえずいくつか聞いても良いか?」

『ヨイゾ。』

「まず一つ聞いておきたいんだがお前はこの穴を通って来たって事か?」

『ワレノスニフシギナアナアイタ。

ナワバリニナニモノカシンニュウシタトオモッテハイッタ。』

 

そうなるとウルトラホールはこいつが開けた訳じゃないってことか……。

 

『キガツイタラコノミズウミニイタ。

モドロウトシテモ全身がハイラナイ……ダケドスアナニツナガルアナヲイツデモツクレルヨウニナッタ。』

 

ん?んん?

 

「つまりはこっちに来たのは偶然だけど巣穴に戻れないからここを巣穴の変わりにしようとしてたってことかしら?」

『ウム。』

 

オージャの湖の様子がおかしくなっていたのはそういうことだったんだな。

 

…………正直後ろめたい気持ちが余計に強くなっちまったな。

 

「あー、その……生存競争をしていたとはいえ骨の鎧全てを砕いてしまって悪かった、さっきからの落ち込み具合って多分体に纏ってた骨の事だろう?」

『ヨイ……ジブンガヨワカッタダケ。

タシカニワレヲワスレルホドイカッタガシュダンヲエラバナカッタオマエタチノホウガツヨカッタ。

ソレダケダ。』

 

自分が弱かっただけ……か。

ヴィオやニャンターの話にも聞いてたがやっぱり弱肉強食の傾向がかなり強いみたいだな……。

 

向こうの世界……か。



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少年と双子と忘れてた目的

寝落ちしました(´・ω・)


 

 

レティ視点

 

~オージャの湖~

 

 

アナザーポケモン達の世界っていつも思うけど余程殺伐としてるんだなぁ……。

 

「あっ。」

「ヴィオ姉?どうしたの?」

 

隣で色々と骨を調べてたヴィオ姉がなにか思い出したみたいに突然声を上げる。

 

「そういえばひでんスパイスのこと忘れてたわ。」

「「あっ……。」」

『ヒデンスパイス?』

 

オストガロアとの戦闘とかグラビモスの進化とか喋るシャリタツの事ですっかり頭から抜けてた!?

 

「ねぇシャリタツ、あなたここのヌシならひでんスパイス……光る味のやたらと尖ったハーブ知らないかしら?」

 

ヴィオ姉が私たちが忘れてた事をしっかりと聞いてくれたんだけど……。

 

「ッ!!…………シ、シラヌ。」

「「「…………。」」」

 

冷や汗ダラッダラでめちゃくちゃ誤魔化せてないよ……。

 

するとオストガロアがシャリタツを触腕で巻き付け始めた。

 

「ウワッ!ナニヲスルヤメ……アッ!?チョットマッテ!?ハナス!ハナシマスカラソレダケワァ!?」

 

さらっとなにやってるのオストガロア!?

片方の触腕でシャリタツを捕まえてもう片方の触腕でブレスをいつでも出せる状態でシャリタツに向けてすっごいジト目で見てる!?

 

というかドラゴンタイプのシャリタツに『ドラゴンブラスター』は洒落にならないから止めてあげて!?

 

結局オストガロアは少しするとジト目のままではあるけどシャリタツを下ろしてくれた。

ただ確実に嘘ついたら酷い目に会うやつだこれ……。

 

「ハァ……サイゴノヒトカブダッタノダガ……。

マァヨイ、オヌシラニハオンモアル。

スグニムカウカ?」

「あ、それなら少し待ってちょうだい。」

 

そういうとヴィオ姉がスマホロトムを取り出して電話をかけている。

多分相手はペパーかな。

 

「ねぇシャリタツ、シャリタツはなんで人の言葉を離せるようになろうと思ったの??」

「ムッ?リユウカ……トクニリユウハナイナ。

スコシハツオンガムズカシイガヤレナクハナサソウダッタカラヤッテミタラハナセタダケダ。」

 

あぁ……うん、根本的に練習とか云々以前にやったら出来たってだけだったんだね……。

 

「俺は材料でも確保してくるかな……ちょっと買い物してから戻ってくるよ。」

「こっちも話は着いたわ、すぐに向かうそうよ。」

「わかった、そうなるとペパーがこっちに来てライズ君も戻ったら向かおっか。

シャリタツもそれでいい?」

「ペパートヤラハシラヌガソレデヨイゾ。」

 

 

_________________________________________________

 

 

ペパー達が来るまで30分くらいシャリタツを介してオストガロアと色々と質問したりされたりをして話してたらちょうどペパーとライズ君が同時に到着してきた。

 

「わりぃ、途中でライズとばったりちゃんでさ。

一緒に買い物付き合ってたら時間かかっちまったわ。」

「すまん……料理談義で盛り上がりすぎてついな……。」

「ううん、こっちもオストガロアとお話してて楽しかったから大丈夫!」

「うぉっ!?話には聞いてたがこれがここに現れてたアナザーポケモンちゃんかよ!?

確かにこの半端ない存在感はやばすぎちゃんだな…….。」

 

あー、確かに写真とかで見るよりも実際に目の前にいるとなんか凄い威圧感が違うよねぇ。

 

「薄々感じてはいたけどやっぱ古龍の生態って他の生物に比べると色々とおかしな部分が多いのよねぇ。」

「ヴィオ、後で詳しく頼む。

さて、案内頼めるかシャリタツ?」

「ウム、コッチダ。」

「オストガロア、私達を乗せて貰っても良いかしら?」

「オロロア。」

 

オストガロアがヴィオ姉の言葉に対して頷くとその触腕を使って私達をさっき見つけて被った胴部分の骨に乗せてくれる。

 

こんな大きな骨どんなポケモンが持ってたんだろ……。

 

しばらく進み続けていると今度は湖に浮かぶ別の湖島が見えてきてシャリタツの案内に従ってそこをぐるっと回っていくと少し不自然な岩場を見かけた。

 

「もしかしなくてもここね。」

「もしかして隠すよりも侵入防止の意味合いのが強い?」

「ウム、ヘタニフサグヨリモカンゼンニフサグコトデジカンカセギニナルノデナ。

ヘイラッシャ!」

「ラッシャァ!」

 

シャリタツの合図に応じて水中からかなり巨大なヘイラッシャが現れて壁を破壊すると洞窟への入口が現れる。

 

「サテ、コノナカダ。」



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少年と双子とひでん:からスパイス

 

 

ライズ視点

 

~オージャの湖~

 

 

俺達はシャリタツの案内に従って隠されていた洞窟へと入っていった。

そして洞窟に入った途端にペパーが目の色を変えて走り始める。

 

「あった!きっとあれだ!」

「ちょっとペパー!?」

「待てって!」

 

ペパーが向かう先にはやたらと赤く輝いているハーブが生えており、今までの傾向からしてこれがひでんスパイスなのは間違いないと分かるような代物であった。

 

が……なんかすげぇ嫌な予感がする。

 

今までのひでんスパイスって確か他の食材の味をたったひと振りで塗りつぶしかねない程尖った味をしていた。

 

今まで発見したのは甘味・苦味・酸味・塩味の四種の味がやたらと尖っていたものだ。

 

人間の感じる味覚的に順当に考えれば最後は旨味になるんだが……流石にあの色はどうみても違う。

 

そうなると残るのは味覚ではなく痛覚……つまり……。

 

「ひでん:からスパイスって所か……。」

「な……なんか近付くだけで痛いんだけど?」

「ねぇ……これってもしかして……。」

「あぁ……周囲に辛み成分が飛び立ってるんだろうな。

多分香りの成分にも辛みが含まれてるんだろうな。」

 

俺はとりあえずこんなこともあろうかと買っておいた防塵ゴーグルを着けておく。

 

「最後の秘伝スパイス……ッ!!」

 

ペパーはそれを調理等で使うポリ手袋を着けて採取する。

 

「シャリタツ、ありがたく使わせて貰うぜ。」

「ウム……。」

 

ペパーはすぐさま調理に使えるようにスパイス用のグラインダーを使って粉状に加工してからスカーレットブック及びバイオレットブックに乗っている秘伝スパイスのページを開ける。

 

「えーとなになに?本によると……

ひでん:からスパイスは代謝を上げる!

循環機能に効き目があっていっぱいの汗と一緒に体から毒素も出ていくんだってさ!」

「基本的には辛みの強い香辛料の延長線上なんだろうが……これは相当扱いが難しいぞ。」

 

粉の状態だと若干マシになるみたいだが粉塵が少しでも目や鼻にでも入ったりすれば洒落にならないだろう。

 

「あぁ、でも考えてたって仕方ねぇよ。

んじゃさっそく調理開始だー!!」

 

そう言うとペパーは凄まじい速度でピクニックグッズを組み立てていく。

 

すると隣にいたレティ達から声をかけられる。

 

「ねぇねぇ、私達も何か手伝おうか?」

「ん?あぁ、大丈夫だ。

少しの間だけ待っててくれ。

そうだな……ここの洞窟の大きさなら皆出せそうだな。

オストガロアだけは湖側にいて貰うことにならがここは皆で食べるとしよう。」

 

正直そのくらいまで薄めないと食えたもんじゃないだろう……お陰で今まで採取したひでんスパイスは実は結構残っている。

 

あまりにも味が強すぎるのだ……とはいえたった少量でもマフィティフにあれほどまでの効果を発揮している事から大丈夫だろう。

 

「わかった!ヴィオ姉!」

「ええ、とりあえず出来るまでの間はみんなのお世話をしておきましょうか。

私も謎の多い古竜の事……オストガロアの事ももっと知っておきたいもの。」

 

最近のヴィオは俺が生物学を個人的に教えているのもあってアナザーポケモンの生態調査なんかに何かと乗り気になったりすることが多くなった気がするな……。

まぁそれはそれで良い……のかな?

 

「ペパー、スパイス半分程貰うぞ。

手分けして作ろう。」

「おうよ!」

 

流石にポケモン含め全員分のを作る……つまりは32人前だからな……まぁ体の小さいポケモンだったりもいるから実際の量としては15~18人前ってとこだろう。

 

ペパーは毎度の事ながらバッグの中に尋常じゃないほど食材がパンパンに詰められており、普通に全員分いける量の食材がある。

さて……俺は全員分とは別にネクロム用にと事前なレシピをよく練っておいた特別なのを用意しておくか……。

 

「うおおおおおおお!!ずりゃ!!おりゃー!!」

 

相変わらずペパーの調理速度が若干おかしい……あれで趣味レベルはないと思うんだがなぁ……。

 

_________________________________________________

 

 

「全員お待ちどうさん!ペパーお兄さんの元気印!

ファイナルスパイスサンドだ!」

「俺の作ったもんもあるぞ、これなら皆食えるだろうから順番に受け取ってってくれ。」

 

しばらくした後全員分のサンドウィッチを作った俺達は汗を軽く手拭いで拭いながらも皿を皆に渡していった。

 

「オレモヨイノカ?」

「あぁ、もちろんだ。

それに元々はお前のものだったわけだしな。」

「ソウカ、ナラアリガタクイタダコウ。」

 

シャリタツにも俺達のサンドウィッチを渡して全員分に行き渡らせる。

 

だが一つ突っ込ませろペパー……。

 

「…………お前の事だから味は良いんだろう。

だが……その燃え盛るようなオーラはなんだヲイ……。」

「あぁ……いやー……そのー。」

「目をそらすってことは自覚あったのね……。」

「まぁこれはこれで良い記念写真が取れる……のかな?」

 

記念撮影を終えた後俺達はとりあえずネクロムとマフィティフへと食わせる時の世話をするために先に食うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

……が。

 

とりあえず味は想像を絶する程辛……いや、痛かったと言っておこう。

 

一応は旨かった。

 



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少年と双子と蘇るポケモン達

 

 

ヴィオ視点

 

~オージャの湖~

 

 

い……痛かった……。

ペパーの作ったからスパイス入りのサンドウィッチは美味しいには美味しかったけど辛い通り越して痛いレベルだったからなかなか食べきるのに苦労したわ……。

 

ライズの作った方も少し食べさせて貰ったけどこっちはだいぶ食べやすかった……ただ美味しさだとどうしてもスパイスの持ち味を余すこと無く活かしたペパーのサンドに軍配が上がったわね……。

 

私達が食べ終わった辺りで毎度の事ではあるけどミライドン達がボールから勝手に出てくる。

 

あと何気にライズの方からもガーグァが出てきてるわね。

 

「アンギャ。」

「アギャギャ。」

「クエッ。」

 

もはや何を言いたいかは分かりきってるのもあってペパーにライズも三匹の分を予め用意していたみたいで二人からこの子達の分を受け取って口に放り込んであげる。

 

「ギャアンス!」

「アギャッス!」

「クェェッ!!」

 

三匹は食べた途端に跳ね上がり、ミライドンとコライドンが紫色の光を放つ。

多分これでこの二匹のコンディションは完全に戻ったと思って良さそうね。

 

「クェェェェェエエエエエ!?!?!?」

 

あぁ……ガーグァが嘴から『かえんほうしゃ』……いえ、『オーバーヒート』を吐きながら尻からなんかすごい光が………。

 

「クェェェェェエエエエエ!!!」

 

スポンッという効果音が鳴りそうな感じでガーグァがまた卵を産んだ。

ただその色が……。

 

「に……虹色?」

「食え……るのか?」

「いや食べちゃダメなんじゃないかしら?」

「とりあえずこれは取っておくか。」

 

モンハン本編でも見たこと無いわよこれ……。

 

「それじゃマフィティフも……。」

「俺もこいつをネクロムに食べさせてやらないとな……。」

 

あ!そうよ!ネクロム!

 

「ライズ!あの色違いネクロズマ!」

「あぁ……話すよ。

とりあえず先にこいつらにサンドウィッチを食わせて症状が回復するかだけでも見させてくれ。」

 

ライズはそう言って胸のネックレスに嵌まっているウルトラボールを取り出してネクロズマをボールから出す。

ペパーもライズに続くようにマフィティフを出してあげていた。

 

…………マフィティフと一緒に見てみるとよく分かるけどこのネクロズマ……かなり弱ってるわね。

いえ……ライズがこれを放置するとも思えないしこれは弱ってると言うよりもなにかを拒絶している?

 

「マフィティフ、今食べさせてやる。」

「ネクロム、口を開けてくれ。」

 

ペパーはさっきのからスパイスを使ったサンドウィッチ、ライズはさっき一つだけ別で作っていたサンドウィッチを千切って食べやすいように渡している。

 

なんかライズのサンドだけ虹色に光っているように見える……確か全部のスパイスをバランスが良くなるように混ぜたって言ってたけど……。

 

「最高に元気が出るぞ。」

 

ペパーが優しい笑みを浮かべながらマフィティフにそう言う。

 

「俺とライズ、ヴィオ、レティが……皆がうんと頑張ったんだ。

また昔みたいにさ、いっぱいいーっぱいボール遊びをしよう。

元気になってくれ……それだけでいいから……。」

「アギャ……。」

「ギャァァス……。」

 

ミライドンとコライドンまで心配そうな表情をして二人とマフィティフ、ネクロズマを見ている。

二匹がサンドウィッチを食べたのを確認してから時間がゆっくりと経過していく。

 

「マフィティフ……よくがんばったな……。」

「ネクロム……。」

 

だけど二匹が一向に元気になる様子がない。

 

ペパーは後ろを向いてはいるけど必死に声を押し殺してるのがよく分かる。

 

その時……テーブルに置いていたマフィティフのボールが地面へと転がり落ちてマフィティフの目の前に落ちる。

 

するとマフィティフが目を開けてバウッと無き声をあげる。

 

「ッ!!」

 

ペパーが振り向くとそこには必死に立ち上がろうとしているマフィティフの姿がある。

話を聞いてた限り動けなくなってからかなり時間がたってるはずなのに……。

 

「バフッ……ワフッ!」

 

立ち上がったマフィティフはゆっくりとたどたどしい歩みではあるけどボールのもとまで歩き、口に加えてペパーの所まで持っていった。

 

「ああ……っ!」

 

ペパーが感動のあまりマフィティフの元へと走るけど途中で転んでしまい這うような形になってまでマフィティフの元へと向かう。

 

「ワフン!」

 

ペパーはマフィティフの口からボールを受けとる。

 

「うん……うん!」

 

ペパーは感極まったように泣きながらマフィティフへと抱きつく。

 

「ッ!ネクロム!」

 

ライズも何かに気付いたのかネクロズマの元へ急に振り返る。

 

するとネクロズマのエネルギー体の体からさっきまでの数倍の光を放ち始める。

 

ネクロズマが閉じていた目をゆっくりと開けるとライズをその大きな腕で抱き始める。

 

「シカリ……シカリッ。」

「ネクロム……ようやく……お前と一緒にまた旅が出来るな……。」

 

私はすぐにレティと他の皆を呼んで一旦この二人とマフィティフ、ネクロズマとの時間を大切に出来るように静かにするよう伝える。

 

やっとここまで来たわね……。

 

 



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少年と双子と博士達の状況

 

 

ライズ視点

 

~オージャの湖~

 

 

 

 

俺とペパーはあれからしばらくそれぞれの相棒の復活を喜んでいた。

 

どれだけの時間がたったかすらも忘れてただただお互いの相棒とのふれあいに興じていたと思う。

 

ただ……そういえばヴィオとレティの二人はと思って周囲を見渡した時……。

 

 

『WRYYYYYYYYYYYY!!!!WRYYYYYYYYYYYYY!!!!……』

 

……………まぁいつも通りのヴィオの着信音である。

雰囲気が台無しな事この上ないがおそらくタイミング的にフトゥー博士とオーリム博士だろう。

 

「はぁ……たぶん博士達だろうから出てくれ。」

「ご……ごめんなさいね?」

「ヴィオ姉…………。」

「そ、そんな目で見ないで頂戴よ!?」

 

すっげぇ微妙な空気になったな……。

ペパーもこっちと目をあわせて苦笑いしてる。

 

唯一ミライドン、コライドン、ガーグァのみが首を傾げてるくらいか。

 

『ハロー子供達、こちらフトゥー。』

『ハロー子供達、こちらオーリム。』

 

若干ペパーの顔付きが変わる。

何かを疑ってるような表情だ。

 

『二匹が戦いの力以外全てを取り戻したようだな。』

『ライド状態で壁に捕まれば『がけのぼり』移動も可能になったはずだ。』

「アギャ!ギャ!」

「ギャギャッス!?」

 

この反応は……何で知ってるの?というよりはそうなの?って感じだな。

なんで自分の事なのによく分かってないんだコイツら……。

 

『皆に任せて間違いは無かった。』

「ケッ、何様だよ……。」

 

確か二人はペパーの所に全く帰っていないんだったか……。

 

『その声は……ペパー。

そこにいるのか?』

「……………。」

『ずっと……ずっと連絡をとりたかった。

……君以外に研究所に入れる人間がいなくてね。』

「……はぁ?」

「博士……そんな言い方は……。」

『確かにすまないとは思っている……だが頼みがある。

全員と共にコサジの小路の灯台にある研究所に行ってくれ。』

『キミ達が目的地に着いたらまた連絡する。』

 

俺はここで話を切らしてはならないと感じた。

ここで切ってしまったらもっとこの家族の関係が拗れてしまう。

俺はそう思って今まで思っていた疑問を一つぶつける事にした。

 

「お二人共……一つだけ聞かせてください。」

『なんだね?』

「前々から疑問でした。

お二人は……もしかしたらパルデアの大穴から帰りたくない等ではなくそこから動く手段が無い、もしくは動くわけにはいかなくなった……そういう状況にあるんじゃないですか?」

「ッ!!おい!それは一体……ッ!!」

『…………これに関しては実際に来て見て貰いながら説明したい。』

『本当にすまないと思っている、これの続きは次にさせてくれ。』

 

そう言って博士達はヴィオのスマホロトムとの通話を切断した。

 

この反応……やはり当たりか。

 

「ライズ……前々から疑問だったってどういう事なんだ?」

「そうだよ、確かに私達もずっとペパーに会いに来てないのは何でだろうって思ってたけど……。」

「…………。」

 

ヴィオだけはなにか思い当たる節があるみたいだな。

 

「まず一つ目の疑問……なぜ帰らないのかという所だ。

これに関しては消去法で考えれば『帰りたくない』もしくは『帰ることが出来ない』、『帰る訳にはいかない』の三つが選択肢に上がる。」

 

まぁこれはかなり単純な推理だ、だが今までの旅を考えてみると色々とパルデアの大穴に対する疑問点が出てきたんだ。

 

「まず一つ目の『帰りたくない』、こっちに関してはまぁあり得ない訳じゃないだろうが可能性は低い方だとは思ってる。

それにこっちは考えれば考えるほど沼に嵌まる話になるから深掘りはする必要がないから除外。

二つ目の可能性である『帰る事が出来ない』、こっちについては色々な原因が考えられる。」

「うーん、帰る手段を失ったとかそういう話?

エレベーターか何かに異常が起きて大穴から出る手段が無くなっちゃったとか。」

「…………確かあそこはテレポーターが設置してあった。

その手の異常が起きたのならたぶん地上の方だ。

エネルギー源とかは大穴の中にあった気がする。」

「でもおかしくない?上の方で異常があるなら他の人が気付くなりするはずだよね?」

 

そう、そこが俺がこの可能性に対して疑問に思った事だ。

少なくともさっきみたいな形で連絡出来るなら他の人に頼むなりして上を復旧させるなり出来るはずだ。

それにペパーにそれが伝わってないのもおかしい話だ。

 

「あぁ、だからこそ三つ目の可能性だ。

『帰る訳にはいかない』、俺はこっちの可能性が高いと思ってる。

テツノワダチやイダイナキバのようなパラドックスポケモン、ひでんスパイス。

たったこれらが一つが大穴から出た時点ですでにここまでの騒ぎになってるんだ。

特にパラドックスポケモン……もしかしたら二人はそいつらを大穴から出さないように抑えてるんじゃないか?」

「…………。」

 

ただ正直俺としてはまだ引っ掛かってる部分が多い……これにしたってチャンピオンなりに伝えて支援して貰うなりやりようはあったはずだ。

 

「…………どうだろうな。」

 

ペパーはただその一言だけ言ってピクニックセットの片付けをし始めてしまった。

 

やはりペパーとしても納得しきれる話じゃないか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………本当にアンタ達なのか?」



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少年と双子とネクロズマとウルトラホールの原因

 

 

ヴィオ視点

 

~オージャの湖~

 

 

ピクニック用のテーブルとかを全部片付け終わり、少したった当たりでライズはネクロズマの入ったウルトラボールの嵌まったネックレスを握りながら私達を呼んだ。

 

「いい加減俺とネクロムの事を話をしようと思う。」

 

ライズはそう言うとネックレスからウルトラボールを取り外して月食ネクロズマをボールから出した。

 

赤く輝くエネルギー体……色違いのレックウザとかは度々アニメや映画でも出ていたけどそれ以外での色違いの伝説のポケモンなんて前代未聞ね……。

 

いや、ネクロズマはそもそもウルトラビーストだから別に可笑しくはないのかしら?

 

「シカリ……。」

「俺がこいつと初めて出会ったのは俺が7歳くらいの頃だったか……同時俺は博士達の手伝いで海のポケモン達の生態調査を手伝ってたんだ。

まぁ今思うと二人からすれば俺を遊ばせる為の口実だったのかもしれないんだが……まぁそれはともかくとしてその時にたまたま海で倒れていたこいつを見つけたんだ。

とはいえ当時は今とは違う姿だったんだがな。」

 

たぶん通常フォルムの事でしょうね……そもそも月食ネクロズマも日食ネクロズマもネクロズマにルナアーラ、もしくはソルガレオと融合するのが前提だもの。

 

「当時のネクロムはかなりボロボロでな。

全身に入ったヒビや赤黒い雷……おそらく龍属性の攻撃が原因だったのかかなりの重症でな。

俺が二人に無茶言って付きっきりで面倒を見ていたんだ。」

 

ネクロズマは甘えるようにライズの頬に顔を擦り付け、ライズはそんなネクロズマの頭を撫でながら続きを話す。

 

「結論から言えばネクロムは回復までに1年以上かかった。

どうも龍属性による浸食が余程酷かったらしくて傷薬やきのみ関連による回復がかなり効きにくくなってたんだ。

ただ……ネクロムは完全に力を取り戻した時はドラゴンタイプを持っている。

龍属性の性質を考えてみるとドラゴンタイプとしての致命的な弱点とも言えるこの属性による攻撃……しかもかなりの重症をこいつに負わせる程だ。

たぶんだがアナザーポケモン達の居る世界……この中でも相当強力なポケモンによる攻撃を受けたんだと思う。」

 

ネクロズマはいくらドラゴンタイプとはいえ伝説のポケモン……普通に考えれば古龍クラスの存在と考えて問題ないはず……。

それにウルトラネクロズマに重症を負わせる程の龍属性エネルギーの使い手なんて数が限られている。

 

あり得るとすれば……まさか奇しき赫耀?

…………なんだかとても嫌な予感がする。

 

「ネクロムが目覚めてからはやたらと懐かれてな。

それ以来俺とネクロムはずっと一緒に過ごしてた。

ただ……俺が11の頃……エーテル財団がウルトラビーストの騒ぎを引き起こした。

しかも財団の組員の中にあるロケット団の残党が潜入していた……そいつは俺達を襲撃してまだ完全に回復しきってなかったネクロムを誘拐……しかも何処から捕まえてきたのかコスモッグというポケモンを使ってある実験を行い事故を引き起こした。」

 

……ッ!

 

「事故の影響でコスモッグは意識のみをネクロムに移して死亡、ネクロムはこの姿になったがその際に身体にまだ残っていた龍属性エネルギーが暴走を引き起こして殆ど動けない身体になった……俺達の方で色々と検査したが全く原因を掴めなかった。」

「まって、そうなると今のネクロズマ……ネクロムの方の意識はどうなってるの?所謂二重人格的な状態なのかしら?」

「ん?あぁ……認識としてはそれに近い。

だがネクロムの意識もコスモッグの意識も両方記憶やらも共有している。

だからネクロムはコスモッグでコスモッグはネクロムとも言えるんだ。」

「シカリシカリッ!」

 

ライズ……。

 

「そしてあの事故を境にアローラの各地で妙なウルトラホールが現れるようになった。

バサルモス達が現れたのも丁度その時期だな。」

「バサルモス達も?ってことは今現れてるアナザーポケモン達はそのネクロズマに引き寄せられてるのかしら?」

「当時俺はそう考えていた。

ただ……ネクロムに残った龍属性エネルギーとこの地方に空いたウルトラホールを解析してこの間ようやく判明したんだが……ネクロムの龍属性エネルギーに引き寄せられていたのはアローラだけだった。」

「はぁ?ならパルデアの各地に現れてる奴らは一体何に引き寄せられてるんだ?」

 

ペパーの疑問も当然ね……辻褄が合わなすぎるもの。

それに一体何に引き寄せられているのか……何が原因なのかがわからない限りこの地方の生態系はめちゃくちゃになることが分かりきってる。

 

「ウルトラホールの解析を続けて結果ある共通する波長を見つけてそれの発信源を探ってた。

そしてこの間ようやく見つけた。」

 

そういうとライズは時々出していたメモだらけの地図を取り出して地面に広げ始める。

地図には全く理解できないような物がかなりびっしりとかかれていて今ままでウルトラホールが出現した場所に丸がされており、そこからいくつもの線が伸びている。

そしてすべての丸から伸びるいくつもの線がとある一つの場所で交わっており、そこには一際大きい丸が書かれていた。

 

「パルデアの大穴……間違いない。

パルデア地方のウルトラホールの原因……それはこのパルデアの大穴の中心部の地下深くにある。」

 

 



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少年と双子とスター団かくとう組

 

 

レティ視点

 

~スター団かくとう組アジト前~

 

 

私達はあの後ペパーと一旦別れて私達の旅の最後の目標であるスター団かくとう組へのカチ込みを先に始めることにした。

 

ペパーは若干複雑そうな表情してたけどこっちが終わるまで待ってくれる事になった。

 

ミライドンとコライドンが崖を登れるようになったお陰でどく組の方面から道を無視して簡単に来ることが出来た。

 

アジトのすぐ近くまで来るとまたタイミング良くヴィオ姉のスマホロトムが鳴り始める。

 

『ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘヘヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!』

 

なんか今回のはやたらとうるさい着信音だなぁ……。

流石に自分でもうるさいと分かってたのかヴィオ姉が若干顔をしかめながら通話に出る。

 

『……5つ目のアジトに近付いて来たな。

その先に最後のチームがいる。

よくここまで戦ってくれた……三人ともありがとう。』

「まったく……ここまで来れば途中でやめるなんて無いわよ。

乗り掛かった船だもの。」

「そうそう、それに何だかんだで楽しいしね。」

「お前達の間に何があったのか……俺も知りたい所だしな。」

 

すると今度は後ろの方から足音が聞こえてくる。

まぁここまで来ればやっぱり来るよね。

 

「ヴィオ!レティ!ライズ!カシオペア!」

『ネルケも来てくれたか。』

「クライマックスのアジトだからな。」

 

校ty……ネルケはリーゼントを身体を反らしながら撫でるような仕草をしてカッコつけながらそう言う。

 

正直ちょっと……うん。

 

『ネルケの働きにも礼を言いたい。

最初あなたを疑っていた……本当にすまない……。』

「……いいってこと。

このアジトが終わればスターダスト大作戦は完了かい?」

『いや、スター団真の黒幕……マジボスが残っている。』

 

マジボス……。

 

「そいつの足取りは?」

『全てのボスが引退すれば姿を見せるだろう。』

 

正直私達はマジボスの正体……それに加えてカシオペアが誰なのかも粗方予想はついていた。

ついに答え合わせの時がやってくるんだね……。

 

「……そうか。」

『終わりは近い、くれぐれも頼んだぞ。』

 

カシオペアはそう答えて通話を終了した。

 

「カシオペアさんの通信は……切れましたかね。

皆さんのお陰でスター団を少しずつ理解出来ました。

私がなすべき事……そしてくだすべき決断も……。」

 

校長先生……口調戻ってますよ。

これじゃまともに隠せてすらいないです……。

 

「皆さんには感謝してるぜ、くれぐれもお気をつけろですよ!

……若者言葉は慣れませんね。」

 

やっぱり隠す気無いですよね校長先生!?

 

校長先生はそのままスター団のアジト方面に向かっていった。

 

 

 

_________________________________________________

 

 

私達もアジトの方へと向かうと門番にはアイドルのようなフリル付きのスカートに白をベースにした改造制服を来た強面の化粧をした長身の女の子が立っていた。

 

その目の前には校長先生が立っている

 

…………むぅ、やっぱり胸が大きい。

 

っていうかあの顔って確かかくとう組のボス!?

 

「……なかなか筋がいい。

私のポケモンの攻撃を退けるなんてね。」

 

校長先生の周囲にはかくとうタイプのポケモン達が数匹囲んでいた。

 

ってか状況やばいって!?

 

「そちらもな……名前はビワっていったか?

研ぎ澄まされた技だ。

しかしボス自ら門の見張りとはな……。

仲間のしたっぱ達を信じてないということか?」

「……黙りなさい。

私は私以外誰も傷ついて欲しくないだけよ。」

 

なんか雰囲気めっちや険悪なんだけど!?

何したの!?ってか何があったの校長先生!?

 

「優しいボスさん。

……勝負再開といこうか!」

「「「ちょっ!?」」」

 

私達は流石に慌てて止めに入る。

カチこみは本来私達の仕事だし校長先生が主体でやっちゃ別の方で考えてもまずい。

 

「……誰?」

「ヴィオ、レティ、ライズ!来てくれたのか!」

「先走り過ぎです校t……ネルケ。」

「実力行使はこっちの仕事よ。」

「あぁ、ここは俺たちに任せてくれ。

というかいきなり何があったんです?」

「あぁ、団員らしき生徒がいたんでちょっと話しかけたんだがいきなり襲われてひと勝負してたところだ。」

 

いや軽率過ぎるって!?

ただでさえスター団ここがラストなんだからそりゃ相手もピリピリしてるよ!?

 

すると今度は横から誰かが歩いてくる足音が聞こえる。

 

「ビワちゃん!やっぱりここにいた!」

「タナカちゃん……!」

 

スター団の制服にヘルメットと星形サングラスをかけた女生徒はビワさんを心配するような様子で話しかけている。

 

「ちょっと大丈夫?怪我してない?」

「大丈夫だから……!タナカちゃんは安全な場所へ!」

「ここは引き受けるれビワちゃんはアジトへ戻って!」

「……引かない……引けない!」

「ビワちゃん!もうやめて!」

 

…………どうしよう……すっごくやりづらいんだけど。

 

「マジボスが帰るまで……かくとう組チーム・カーフを……スター団を守らないと……!」

「だったら尚更少しでも休むの!」

「ボスの私が……引くわけには……。」

「ビワちゃんお願いよ!友達の言うこと聞いて!」

「わかった……タナカちゃん、ごめんなさい!」

「もう!違うでしょ!お疲れ様でスターでしょ!」

「お……お疲れ様でスター!」

 

そうポーズを決めながら言ってビワさんはアジトへと戻っていった。

 

「ここからはわたしが相手!みんなまとめてかかってきなさい!」

 

私達が全員揃って苦い顔をしていると校長先生が話しかけてくる。

 

「……三人とも、さっきの勝負でオレもポケモンもフラフラだ……。

悪いがここは頼んでもいいか?」

「え、ええ……わかったわ。」

「……すまない。

ここは見張らせてもらう!」

 

どうしよ……ほんっとにやりづらいんだけど!?

 

「仕方ない……だがまぁ好都合だ。

悪いが二人とも、今回のカチこみは全部オレに任せてくれないか?

ようやく調子が戻ったんだ……こいつもウズウズしてるんだ。」

 

そう言ってライズ君はネックレスを握りしめている。

 

「……わかった。」

「無理しないでね……。」

「あぁ……!」

「ビワちゃんは私が守る……準備は良いわね?」

「無論だ!」

「参ります!!」

 

 



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少年と双子と伝説の力

 

 

ライズ視点

 

 

~スター団かくとう組アジト前~

 

 

『~~~~~ッ!!!』

 

オレのネックレスに嵌まっているウルトラボールから溢れる程ネクロムから強い意思を感じる。

 

お前だってまともに戦うのもかなりご無沙汰だし暴れたいよな……!

 

「行きますよ!グレッグル!」

「ケケケケッ!」

 

タナカはいつもの(ダサい星形)ポーズを行いながらボールからグレッグルを繰り出してくる。

 

俺はネックレスを掴んでボールのロックを解除し手の内で本来の大きさへと戻す。

 

「久々のまともなバトルだ。

暴れるぞ!ネクロム!!」

「シカリッ!!」

「なっ!?なんですかそのポケモンは!?」

 

タナカはネクロムを見た途端すぐさまスマホロトムを取り出して図鑑機能を使ってネクロムを調べていた。

だがヒットしなかったのか若干顔に焦りが見える。

 

「……データ無し……!少なくともこの地方のポケモンではないということですか……!」

「ネクロム、一応全力を出しすぎると大怪我させてしまう可能性があるから力加減だけ気を付けてくれ。」

「シカリノッ!」

 

グレッグルはネクロムを見た瞬間一気に身震いしているのが見えた。

 

どうやら特性はきけんよちの方らしい。

 

「少なくとも弱点のタイプの攻撃は持ってる……。

でもタイプがわからない以上下手に考えても仕方ない!

グレッグル!『ヘドロばくだん』!」

「ケッケケケケ!」

 

グレッグルは毒の塊を口から吐き出してネクロムへと投げつける。

 

「シカリッ。」

 

だがネクロムはただ翼を少し強めに羽ばたかせるだけで『ヘドロばくだん』をあっさりと押し返した。

 

「なっ!?」

「ネクロム『シャドーレイ』だ!」

「リノッ!!!」

 

ネクロムが上空へと飛び上がり翼を大きく広げて正面から見ると満月のようにも見える姿となる。

 

翼の所々からゴーストタイプのエネルギーが溢れて中央で収束してレーザーとなりグレッグルへと襲いかかる。

 

「グレッグル!避けて!」

「ケケッ!ケッ!?」

 

グレッグルはすぐさま横へと大きく飛んだが『シャドーレイ』がネクロムのサイコパワーに反応して急旋回してグレッグルへ向かって飛んでいく。

 

「グレッグル!?」

 

グレッグルは『シャドーレイ』を避けきれずに直撃して一撃で戦闘不能へと陥る。

 

「クッ!戻って!

オコリザル!頑張ってビワちゃんの為の時間を稼いで!」

「キィィィィイイイ!!」

「オコリザル!『インファイト』!」

 

今度はオコリザルが出てきてすぐさまかくとう技の中でもかなり強力な『インファイト』を使ってくる。

出てきてすぐに技を使える辺りかなり訓練されていて相当な実力なのもよくわかる。

だがな……。

 

「ウキャッ!?」

「嘘っ!?ゴーストタイプ!?」

 

ネクロムへと向かっていったオコリザルの拳はそのまますり抜けていき、オコリザルは拳を空振った形でそのままネクロムを通り抜けていく。

 

「ネクロム!『フォトンゲイザー』!」

 

ネクロムが全身の黒い装甲を光輝かせて攻撃的なエネルギーはと変換してすり抜けていたオコリザルのいる後方へと乱射する。

 

「ウキャァァァァアアア!?!?」

「オコリザル!?」

 

オコリザルは広範囲へとばら蒔かれたレーザーに貫かれて一撃で戦闘不能になった。

 

「私は負けてもいいの……でも……まったく時間を稼ぐことも出来なかった……。」

 

タナカの手持ちはあの二匹だけだったようで頭を抱えていた。

 

「…………とはいえ一時でもビワちゃんが休めたなら私は満足。

役目は果たしたしこの子達も回復させたいから私も戻るわ!

お疲れ様でスター!」

 

結局またいつものポーズをしてから彼女はアジトの中へと走り去っていった。

 

『モエルーワ!バリバリダー!モエルーワ!バリバリダー!モエルー……(ry』

 

ヴィオのスマホロトムか……ってなるとカシオペアだな。

 

「もしもし?カシオペア?」

『ヴィオか……見張りに対処できたか?』

「ええ、ライズが一匹で軽々と蹂躙していったわよ。」

『ッ!そうか。

そのアジトを拠点としているのはスター団かくとう組……チーム・カーフ。

ボスであるビワは格闘技の選手でありみんなの戦闘指南役だ。

スター団の宣戦布告に一番警戒しているだろう。

侵入者を潰すために先鋒で勝負をしかけてくる可能性がある。』

「ええ、実際こっちも……というかネルケが勝負を受けてたけどだいぶ消耗させられてたわ。」

「ボス自らが見張りをやるなんて思いもしなかったよね。」

『やはり……!どうなったんだ!?』

 

俺達はとりあえず目の前で起きた出来事をそのままカシオペアに伝えていく。

すると明らかに動揺するような声が聞こえた。

 

『あのビワ姉が逃げた……!?

……となるとやはり正攻法でアジトを攻略するしかないな。

準備が出来たらゴングを鳴らして大作戦開始!

チーム・カーフへカチ込んでくれ。』

 

カシオペアはそう言い残して通話を切った。

 

するとネクロムがこっちに顔を寄せて甘えてくるが、若干不完全燃焼気味で不満そうな顔をしている。

 

「安心しろネクロム、これからカチ込みだ。

集団戦になる上にボスは最低でも校長クラス……相当な強さのはずだ。

さぁ!蹴散らすぞ!」

「シカリノッ!!」

 

俺はそのままヴィオ達にボスが出てくるまでとりあえず入り口でネルケ達と一緒にいるように伝えてゴングを鳴らした。

 

 

 

 

ネクロム……こうして一緒にまた戦えるのが本当に嬉しい……今度は俺達の全力をぶつけられる相手を探そうな。



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少年と双子と蹂躙

 

 

ライズ視点

 

 

~スター団かくとう組『チーム・カーフ』アジト内部~

 

 

俺はゴングを思い切り鳴らしてアジトに入っていく。

とりあえず三人には待機して貰うが久々の相棒とどこまでやれるか俺は試したい!

 

少しアジトを歩いていくとスピーカーから起動したのか甲高い音が聞こえてくる。

 

『ピィィーガガ……!!

ひとつひとつの星は小さくともみんなで光れば星座となる!

我らスター団最後の砦!負けるわけには行かないぞ!』

 

その言葉を皮切りに正面から大量のしたっぱやポケモン達が走ってくるのが見える。

 

まぁ他の所もそうだが基本不意打ちだとか騙し討ちしかけてこないからこいつらには好感が持てるんだよなぁ……。

 

「居たぞ!居たぞぉぉおおおお!!!」

「野郎・オブ・クラッシャー!!」

「全★速★前★進★DA!」

「攻撃ィィィィイイイ!!!」

「突撃ィィィィイイイ!!!」

「ヤマト魂を見せてやる!!」

「ちくわ大明神。」

「そんな装備(どうぐ)で大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない。」

「だれだ今の!?」

 

…………何故だろう、一気にテンションが下がっていく。

というかこいつらからは何故かあのアホ(ナンジャモ)と同じような雰囲気を感じる……いや、ノリとしてはあいつのファン共のが近いか?

 

来てるポケモンは……エルレイド、ケケンカニ、ドクロッグ、マンキー、オコリザル、カラミンゴ、ナゲツケザル、タイレーツ、キノガッサ、ハリテヤマの計10種類ってとこか……どいつもかなり育てられてるな……。

 

「とはいえエルレイド以外の全員がエスパータイプが一貫しちまってるんだよな……。

ここはあまり時間をかけて無駄にネクロムを消耗させるわけには行かないか。

ここは一発デカイのでいくぞ。」

「シカリノッ!シカリッ!!」

 

ネクロムは羽ばたいて上空へと飛びエネルギーを集中させる。

その間にもしたっぱ達のポケモンから『サイコカッター』、『こおりのつぶて』、『ダストシュート』、『ロックブラスト』、『なげつける』、『タネマシンガン』、『うちおとす』等が飛んでくる。

 

だがその全てがネクロムの前方に収束した圧倒的なサイコパワーの余波によって吹き飛ばされ、一撃もネクロムに直撃することがない。

 

「ネクロム、久々だが力加減ミスるんじゃないぞ!」

「シカリッ!!」

 

ネクロムから誰に物を言ってやがると言いたげな表情がこっちに向いてくる。

 

こいつは相変わらずの負けず嫌いだな。

 

「いくぞ!『プリズムレーザー』!!」

「クロロロロロッ!!リノマッ!!」

 

ネクロムがサイコパワーを解き放つと同時に一瞬光輝き、『はかいこうせん』並の太さを持った極太のレーザーが発射される。

 

「ウボァァァァァアアアアア!?!?」

「ぬわぁぁぁぁぁあああああ!?!?」

「ビワちゃんばんざぁぁぁぁぁい!?!?」

「スター団に栄光あれぇぇぇええ!?!?」

「神は言っている……ここで死ぬ定めではないと。」

「ぶるぁぁぁぁぁあああああ!?!?」

「オデタジノカラダハドボドボダァ!?!?」

 

若干勢いが余ってしたっぱごと吹き飛ばしてしまったがあの様子だと全員無事そうだな……無駄にネタに走ってるっぽいししぶといなこいつら……。

 

「ボス……わたしたちもうダメ……かも……ガクッ。」

「我が生涯に……一片の……悔い……ありっ!」

「まともに……時間稼げなかった……。」

 

俺は若干横で目をそらしてるネクロムに視線を向けるが下手な口笛で誤魔化そうとしている。

相変わらずだな……まぁでも懐かしい……。

 

『『『ブロロロロロンッ!!』』』

 

アジトの一番奥の辺りからまるでエンジンが複数かかるような聞き覚えしかない鳴き声(・・・)が聞こえてくる。

 

「来たか……。」

「シカリ……ッ!」

 

一番奥の巨大なテントからオレンジ色の塗装が施され、岩が砕かれているような背景のスター団マークが入ったスターモービルが現れる。

 

その上に乗っているのはやはりビワだ。

 

だがそれ以上にやたらと古傷が多く力強い威圧感を感じさせるあのブロロローム達が若干気になるな……。

 

ビワは身に纏っていたマントを放り投げると俺に力強い視線を向ける。

 

それに加えて後ろからレティ達の足音が聞こえる。

どうやらこっちを追いかけてきたみたいだな。

 

「……うん、大丈夫。

誰であれ何であれスター団を狙うなら砕くだけ!

もう背中は見せない……ウォオオオーーーッ!!!」

 

ビワが咆哮すると同時に今まで感じたどのジムリーダー、どのヌシ、どのボスよりも強い威圧感が俺達を襲ってくる。

 

「クロロロロロァァァァァァァアアアアアア!!!!」

 

ネクロムがお返しとばかりに咆哮を返し、俺は腕にZリングを装着し、リングにネクロムの本来の姿(・・・・)と合体前の姿の後頭部のような模様が刻まれたZクリスタルを装着する。

 

だが使うのはアナザーポケモンとの時だ。

 

「ネクロム……気を抜くなよ?」

「クロロマッ!」

 

俺は久々に感じる高揚感を抱きながらネクロムと声を掛け合う。

 

さぁ!全力でやるぞ!!



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少年と双子とビワの実力

 

 

ライズ視点

 

~スター団かくとう組チーム・カーフアジト内部~

 

 

「行って!ドクロッグ!」

「ロッグッ!!」

 

先発はドクロッグか……毒状態にされればいかにネクロムといえど限界が出てくる。

 

「ネクロム、どくタイプの攻撃にだけは気を付けろ。」

「シカリッ!」

 

それにしてもこのドクロッグ……たぶんだがアナザーポケモンと普通に渡り合えるレベルで育てられている。

スター団のボス達の中で最も強いとは聞いてたがここまでとは……。

 

「ここは私達の場所……これ以上荒らさせはしない!!」

 

それにドクロッグがボールから出た瞬間かなり強く身震いしていた。

特性は『きけんよち』な上におそらくエスパータイプが割れたな。

ビワの表情も若干険しい。

 

「ネクロム!『フォトンゲイザー』!!」

「クロロロロロロマッ!!」

 

ネクロムが全身の結晶から光輝くレーザーを発射して四方八方からドクロッグへと襲い掛かる。

 

「ドクロッグ!『かわらわり』で弾いて!」

「ロッグ!ドック!ドッグ!ロッグ!!」

 

なっ!?相性の悪いかくとう技で弾きやがった!?

いや、明らかに弾いた部分のダメージがデカイ!

 

「ネクロム!そのまま『シャドーレイ』!!」

「ドクロッグ!『ふいうち』!」

「ロッグ!!」

「リノッ!?」

「ネクロム!!」

 

しくった……よりにもよって『ふいうち』を持ってたか……。

ネクロムはエスパー、ゴーストタイプだ。

流石にあくタイプの攻撃はかなり痛い。

特性で軽減こそ出来るがそこまで強い効果ではないのも痛いな。

 

「叩いたら叩き潰す!!最後まで立っていた者が勝つ!!」

 

こりゃ油断はダメだな。

 

「ネクロム!『フォトンゲイザー』!」

「同じ事よ!『ふいうち』!」

「ネクロム!全方位発射!」

「クロロロロロロマッ!!」

「ドクロッ!?クロッグゥゥウウウウッ!?!?」

「なっ!?ドクロッグ!?」

 

ドクロッグはネクロムの『フォトンゲイザー』に叩き落とされてそのまま一撃で戦闘不能になる。

 

「っ!!なんて威力……!ナゲツケザル!お願い!」

「ウッキャー!!」

 

ナゲツケザルか……こいつもこいつであくタイプの技である『なげつける』を持っている可能性がある。

 

「ナゲツケザル!『がんせきふうじ』で機動力を奪うわよ!」

「ウキャキャキャッ!!」

 

ナゲツケザルが地面を掘り起こして岩石をいくつも取り出して投げつける。

 

あれを喰らうと素早さが下げられて攻撃を避けにくくなる。

これもこれであまり喰らいたくはない。

 

「ネクロム、『フォトンゲイザー』で全て粉砕してくれ!!」

「シカリノッ!!」

 

ネクロムの『フォトンゲイザー』がすべての岩を粉砕してナゲツケザルへと向かう。

 

「ナゲツケザル!『タネばくだん』!!」

「ウキャッキャキャキャキャ!!」

 

ナゲツケザルが手に持っているきのみを爆発させて『フォトンゲイザー』の光が土煙によって霧散させられる。

 

どうやら彼女はかなり頭が切れるらしい。

まさかこうもあっさり『フォトンゲイザー』の特徴に気が付いて簡単に対処されるとは……。

 

あくまでもフォトンゲイザーはエスパーパワーで収束こそさせてはいるがその本質は全身の結晶体から発生する光そのものだ。

だからこそ土煙のような光を乱反射するような事をされると簡単に防がれてしまうのだ。

 

「ネクロム!『シャドーレイ』!同時に『つきのひかり』!!」

「クロロロロロッ!!」

 

ネクロムは上空に飛行して己の姿を月に見立て、ゴーストエネルギーを収束させる。

それと同時にネクロムが吸収したルナアーラとしての性質である月の力とネクロムの光が合わさり優しい光を放ち、ネクロムの傷をみるみる回復させていく。

 

これは両方とも行動に似通った部分があるからこそ出来るコンボだ。

 

「ナゲツケザル!『インファイト』!!」

「ウキャキャキャッ!!ウキャッ!?」

「なっ!?すり抜けた!?ゴーストタイプね!」

「正解だ、今だ!」

「ネクロマッ!!」

「ウキャァァア!?!?」

 

ネクロムの体をすり抜けた事によってナゲツケザルは大きな隙を産み出しており、簡単に直撃して地面へと吹き飛ばす。

 

地面に激突したナゲツケザルはまたもや一撃で倒された。

 

「ッッ!!……強い。」

 

やはり相性はこっちのか圧倒的に良いがそれ以上にビワの腕がめちゃくちゃ上手い。

これは油断してるとネクロムがやられかねないか。

 

「ルカリオ!!」

「アオォン!!」

 

ルカリオか……地味にネクロムとは相性があまり良くないな。

 

「ネクロム!『フォトンゲイザー』!!」

「クロロロロマッ!!」

「ルカリオ!!『あくのはどう』!!」

「アォォォオオン!!!」

 

ルカリオが腕に黒い波動を溜めて放つ。

『フォトンゲイザー』が一撃で半分近く消されたか……少なくともこのルカリオは特殊方面に特化させてるっぽいな。

 

「ルカリオ!!『りゅうのはどう』!!」

「ガルルルッ!!」

 

ルカリオの手から今度は竜の形を模した波動が発生して完全に『フォトンゲイザー』を弾き返した。

 

…………こいつはちょっと楽しくなってきたな。

なぁ?ネクロム?

 

「クロロロロロロロッ♪」

 

 



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少年と双子と歴戦の王★

今回は若干巻きますw


 

 

ヴィオ視点

 

 

~スター団かくとう組チーム・カーフアジト内部~

 

 

「ルカリオ!!」

「ガル……ル……くぅーん……。」

 

あっという間にルカリオまで倒したわね……。

弱点が突けない上に『あくのはどう』まであったと言うのに……。

 

強い……いえ、強すぎる。

 

「あれがライズの本来の実力……元々ライズのポケモン達は殆ど育ててない状態だったのが実感出来るわね……強さ以前に信頼も自信も技術も何もかもが桁が違うわ。」

「うん……見ただけで分かるよ……ライズ君はずっと一緒にバトルをし続けて来たんだ……あのポケモンと一緒に。」

 

ライズは終始笑みを浮かべながらずっとバトルしてる。

 

指示に関してもなんなら何も言わなくても完璧に合わせている時もある。

 

どれだけの経験を積めばあそこまで至れるのかしら……。

 

ゲームとは違うと分かってはいてもちょっと悔しいわね。

 

「行くよ!コノヨザル!」

「う゛ぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!」

 

コノヨザル……ゴーストタイプになった影響かみんな鳴き声がホラーチックになってるのよねぇ……この子のは悲鳴にしか聞こえないわよ。

 

とはいえ月食ネクロズマはエスパー・ゴーストタイプだから『ふんどのこぶし』だけは喰らいたくはないわね。

 

「ネクロム、耐えられても面倒だ。」

「シカリ……ッ!!」

 

ってちょっと待ちなさいまさか!?

 

「ネクロム!『プリズムレーザー』!!」

「クロロロロロズマッ!!!」

「コノヨザル!『ふんどのこぶし』!!」

「がぎぎぎぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?」

「コノヨザル!?」

 

まぁ流石に禁止級伝説の最高火力を貰えばいくらタイプ一致四倍弱点とはいえ火力が足りなすぎる訳ね。

 

しかも一撃でコノヨザルを倒して交代させたのもあって反動が回復するには十分な時間が生まれてる。

 

ビワだってかなり強い……指示の上手さも実力差をかなり埋めている。

でも……。

 

「地力の差だけは埋めきれてない……。

これは根本的な強さの問題ね……。」

 

ビワのボールは4つ……これで最後の一匹が倒れたってことは……。

 

「わたしは……負けない。

だから……力を貸して!カーフ・スターモービル!!」

「「「ブロロロロァァァァァアアアアア!!!!」」」

「ネクロム!!!」

「クロロロロマッ!!」

 

カーフ・スターモービルの咆哮にネクロズマが咆哮で返す

 

「『ギアチェンジ』!!『10まんばりき』ィィイ!!」

「「「ブロロロロロロァァァァアアアアア!!!!」」」

「『プリズムレーザー』ァァァァアアアア!!!」

「クロロロロロロロロロマァァアアアア!!!!!」

 

 

ネクロズマが放つ『プリズムレーザー』にカーフ・スターモービルは正面に展開したじめんタイプのエネルギーを壁にして進み続ける。

 

だけど防御技なんかで防いでる訳じゃないからスター・モービルの装甲が少しずつひしゃげている。

 

「負けて……たまるものかぁぁぁぁあああ!!!」

「ブロロロロロロァァァァアアアアア!!!!」

 

後ろに突いていたブロロン達は『プリズムレーザー』に耐えきれなくて吹き飛ばされてる。

だけどブロロロームだけは装甲を歪めながらもどんどんレーザーを突き進んでネクロズマへと攻撃を命中させていった。

 

「シカリッッ!?!?」

 

ネクロズマは反動と『10まんばりき』のダメージもあって大きく吹き飛ばされているけどまだピンピンしてる。

とっさに『つきのひかり』で回復しながら受けたのね……。

 

対するブロロロームはさっきのが火事場の馬鹿力だったのかそのまま地面に黒煙を出しながら落ちて戦闘不能になっていた。

 

まさかスター・モービルまで一撃なんて……。

 

「まだよ!!」

 

っ!!

 

「ヴィオ姉……やっぱり。」

「えぇ、問題はどのアナザーポケモンかね。」

「それにしても……なんでこんなにパルデアの各地に出てきてるんだろう……私達みたいに対処できてる人が多いみたいだからいいけどハブルポッカやオストガロアみたいな例まであるし。」

 

確かに……それどんどん出てくるアナザーポケモンも存在としての力が強くなっていってる気がする。

 

古龍クラスの特殊個体なんか出てきたら洒落にならないわね……。

 

 

 

 

本当に出ないわよね?

 

「お願い……力を貸して!ネルギガンテ!!」

「ェ゛……。」

「グルロロロロロロロロッ!!!」

 

見事にフラグ回収してんじゃないわよ私ぃぃぃぃいいい!?!?!?

 

しかもあのびっしりと生えた黒い(・・)トゲに特殊個体程じゃないとはいえ黒くなりつつあるキズだらけの角!!

 

どう見たって最低でも歴戦……下手したら歴戦王クラスじゃない!?

 

とはいえあの時のオストガロアも普通にG級の個体しかやってこないような行動もあった……そうなるとやっぱりこう言うのも出てきてもおかしく……おかしく……洒落にならないわね。

 

「気をつけてライズ!そいつは古龍……つまりオストガロアみたいな奴を積極的に補食する古龍種よ!

しかもその全身のキズからしてめちゃくちゃ経験豊富なはずよ!

ついでに異常なくらいに再生が速いから気を付けなさい!」

 

あぁもう!どうなって来てるのよこの世界は!?




ネギのステータス


ネルギガンテ(れきせんおう)
ドラゴン・かくとうタイプ
アナザーポケモン

特性:めつじんりゅう
ふたつの特性を合わせ持つ

・さいせいするトゲ
接触攻撃を受けると相手の最大HPの1/16を削り、まきびしを撒く。
毎ターン自分の最大HPの1/16を回復する。

・かつぼうのこくそう
古龍種との戦闘時一番高いステータスが1.3倍(すばやさのみ1.5倍)になる。(味方も含む)
ゴーストタイプやフェアリータイプにもかくとうタイプやノーマルタイプ、ドラゴンタイプの技が当たる

種族値

H:155
A:160
B:115
C:20
D:80
S:120


『??????』かくとう・物理
『?????????』ドラゴン・物理
『????????????』ドラゴン・物理
『??????』ノーマル・変化


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少年と双子と怪獣大戦争

すんません寝落ちしました


 

 

レティ視点

 

 

~スター団かくとう組チーム・カーフアジト内部~

 

 

 

……ッ!!

 

オストガロア程じゃないとはいえとんでもない威圧感……!

 

隣にいるヴィオ姉も若干青い顔してる辺りやっぱり相当強いアナザーポケモンなんだと思う。

 

「ヴィオ姉、あのネルギガンテって一体どんなポケモンなの?」

「向こうの世界に存在する新大陸って呼ばれてる新しく発見された大陸にのみ存在が確認されている謎の多い古龍種よ。

古龍種なのもあるから多分タイプにドラゴンは入ってると思うわ。」

「古龍ってことはオストガロアと同じ?」

「えぇ、実際オストガロアとは全く違う種だけど分類としては同じよ。

そもそも古龍っていうのは生態系から逸脱した存在……ネルギガンテも例外ではないわ。

ネルギガンテの逸脱した点……それは古龍種のみを狙って喰らう古龍ってことよ。」

「え?古龍種のみを?」

「ええ、その為か兎に角戦闘に特化したような能力になってて凄まじい再生能力を素で備えてる化け物よ。

あの傷だらけの身体……特徴を見るに特殊個体の方じゃなさそうだけど最低でも歴戦の個体と見て間違いないわ。」

 

歴戦……それだけの数の戦いをオストガロアみたいな強大なポケモン達と繰り広げたんだ……。

 

大丈夫だよね……ライズ君……。

 

「やるぞ……ネクロム!!」

「シ……シ……シカリッ!」

 

ライズ君のネクロズマの額にある万華鏡のような柄の三角の模様から銀色の光が放たれ始める。

 

模様はどんどんせり上がっていって長めの三角柱がネクロムの額から引き抜かれていった。

 

すると白銀の光がネクロムの全身から放たれて姿が見えなくなる。

 

「なっなんなの~!?」

「『ウルトラバースト』よ。

ライズのZリングに付けられたウルトラネクロZっていう特殊なZクリスタルの力でネクロズマが本来の姿を取り戻すのよ。」

 

どんどん光の勢いは弱くなっていってなんとかその姿が少しずつ見えてくる。。

 

身体は関節の部分が無く、腕が反転して脚になっている。

全身を覆っていた紺色の結晶の身体は白銀の輝きを放っていて、2対4枚の大きな翼を持っていた。

その頭部はまるでドラゴンポケモンのような形状になっていてさっき引き抜かれた三角柱の両端が目になっている。

 

「キレイ……。」

 

白銀の輝きを放つネクロムはまるで太陽のようにも月の光を放つようにも見える。

完全に姿が見えるようになってからはオーラ(・・・)のような物を纏っていてとてもキレイな光を放っている。

 

「ん?んんん??」

「どうしたの?ヴィオ姉?」

 

ヴィオ姉がオーラを纏ったネクロムを見てからスッゴく顔を青くしていってる。

一体どうしたんだろう?

 

「ね……ねぇレティ……あのネクロム……どうみてもオーラを纏ってるわよね……。」

「え?確かになんかオーラっぽいの纏ってるけどそれがどうしたの?」

「…………アレ纏ってるってことは多分……全能力が一段階上がってるわ。」

「へ!?」

 

私は思わずすぐにスマホロトムを取り出してスキャン機能をネクロムに向けた。

すると確かにこうげき・ぼうぎょ・とくこう・とくぼう・すばやさの全てが一段階上がってるのが確認出来た。

ついでにタイプも変化していてエスパー・ゴーストタイプだったのにエスパー・ドラゴンタイプになっていた。

 

「ネクロム!『フォトンゲイザー』!!」

「クロロロロッ!!!」

「ネルギガンテ!『めつじんけん』!!」

「グロロロロロッ!!!」

 

ネクロムの全身からさっきまでとは桁違いの量のレーザーが発射されてネルギガンテへと向かっていく。

ネルギガンテの巨体も相まって次々と当たって全身に生えたトゲがどんどん折れていくけどそれを気にすること無くネルギガンテは進んでネクロムへとその拳を叩きつける。

 

だけどネクロムは殆どダメージが入ってないみたいだった。

 

「っ!ねぇヴィオ姉!ネルギガンテのトゲがもう生え変わってるんだけどどういうこと!?」

「さっき言った再生能力よ。

ネルギガンテは古龍としての動く災害みたいな能力こそ無いけどあの異常な再生力のせいでとんでもないタフネスを持ってるの。

しかもあのトゲは時間が立つにつれてどんどん黒く変色して硬化して最終的にそれを周囲に飛ばしたりもしてくるわ。

ネルギガンテにとって武器でもあり防具でもあるのよ。」

 

そっか……ネルギガンテは存在そのものが災いみたいなポケモンなんだ……。

 

あれ?なんかそんな感じのポケモン達がこの地方にも居るってレホール先生から聞いたことがあるような?

 

「ネルギガンテ!!破棘滅尽旋・天(はきょくめつじんせん・てん)!!」

「グロロロロロァァァアアアアッ!!!」

「ネクロム!!『シャドーレイ』!!」

「シカリノッ!!!」

 

ネルギガンテが拳を大きく振り上げてから地面を翼の棘で抉りながらネクロムへと向かって突進していく。

ネクロムは全身の光を一点に集中させてネルギガンテを迎え撃つべくレーザーを放つ。

 

レーザーはネルギガンテにぶつかってはいるけど棘が砕けては生え変わってを繰り返していて傷もすぐに再生してる。

 

ネルギガンテがネクロムへと接近すると角を振り上げて全身の棘をネクロムへと飛ばしてぶつけてきた。

 

周囲に飛び散った棘が地面に深く刺さって軽くクレーターを作っているあたり凄まじい威力なのがわかる。

 

だけどネクロムには殆どダメージが入ってなかった。

 

 

 

 

 

 

なにこれ……まるで伝説のポケモン同士の戦いに見えてきた。



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少年と双子と全力の一撃★

 

 

ライズ視点

 

~スター団かくとう組チーム・カーフアジト内部~

 

 

 

「ネルギガンテ!!もう一度『破棘滅尽旋・天(はきょくめつじんせん・てん)』!!」

「ネクロム!!『プリズムレーザー』で迎え撃て!!」

「グルルァァァァァアアアアアア!!!!」

「クロロロロロロマッ!!」

 

お互いの攻撃が威力が高過ぎる為か貫通し合い威力が減衰しつつではあるが直撃する。

 

ネクロムは基本的に被弾する度に『つきのひかり』による回復を受け身を取らせながら挟ませているが向こうのネルギガンテも似たような感じだな……いや、むしろ常時『じこさいせい』でも使ってるんじゃないだろうか?

 

「やはり一撃で決めないとダメか……。」

「それは私も同じよ……ネルギガンテですら追い付くのが限界だなんて……一体そのポケモンはなんなの?」

「小さい頃から一緒に育ってきた親友だよ!

ネクロム!!こうなったら一撃で仕留めるためにアレでいくぞ!!」

「クロロマッ!?」

 

ネクロムは若干不安そうに俺を見ている……確かにアレは俺の身体(・・・・)への負担がかなり大きい。

だがこいつの回復速度じゃ一撃で決めないと埒が明かない。

 

「問題ない!俺を信じろ!」

「…………シカリッ!」

「こちらだってまだ見せてない技があります!

いくよ!ネルギガンテ!!」

「グロロロァァァァァァアアアア!!!」

 

俺はゼットリングに力を込めて顔の目の前に両手をクロスさせる。

外側に回すように腕を動かしてから腕を前に伸ばしてクロスさせ、自分のこめかみへと両手の人差し指を持っていく。

そのまま左腕をネクロムへと向けて力を明け渡すように流していく。

 

相変わらずポーズこそめちゃくちゃ恥ずかしいがこれがZ技だから仕方ない……技によってはもっと恥ずかしい。

 

「ぐっ!?」

 

前に使ったのはたった一度だったがやっぱり凄まじい体力を持ってかれる!?

Z技はトレーナーの全力すらもポケモンに明け渡すがやっぱりネクロムのだけは負担が桁違いか!

 

「…………ッ!!!」

 

俺から膨大なエネルギーがネクロムへと流れ込み、凄まじいオーラを放ち始める。

 

「これが俺とネクロムが解き放つ全力のZ技だ!!」

「グロロロァァァァァァアアアア!!!!!!」

「アローラ地方の!!ネルギガンテ!!」

「グルルァァァァァアアアアアア!!!」

 

向こうはお互いの動きがシンクロするように拳を振り上げて地面を抉るように拳を地面に叩きつけながら滑空する形で進んでくる。

 

一見『破棘滅尽旋・天(はきょくめつじんせん・てん)』のようにも見えるが拳からは炎が吹き出しており、どれだけ凄まじい摩擦熱とエネルギーなのかがよく分かる。

それにあのシンクロするような動きに明らかに限界を超えたような力……レティの絆技とやらを思い出させる。

 

対するネクロムは全身の光輝くエネルギーを口部に一点集中させ、凄まじい大きさのエネルギー玉を作り出す。

 

そのエネルギー玉はさらにどんどん巨大化していき、やがてネクロムの全身すらも包み隠せる程の大きさとなる。

 

…………とはいえこれでもアイツ(・・・)のよりはちっちゃいんだがな。

 

「いっけぇぇぇえええネルギガンテ!!『滅尽龍拳(めつじんりゅうけん)』!!!」

「グルルァァァァァアアアアアア!!!!!!」

「ネクロム!!『天焦がす滅亡の光』!!」

「クロロロロロロロマァァァァァァァァァアアアアア!!!!!」

 

ネクロムの『天焦がす滅亡の光』とネルギガンテの『滅尽龍拳』がぶつかり合い、俺達すらも吹き飛ばしかねない程のエネルギーが爆発する。

 

とっさにレティ達を庇うためにエーテルパラダイス製のエネルギーフィールド装置を俺の背後に起動してレティ達を衝撃波から守り、俺はエネルギーフィールドに貼り付けにされる形で吹き飛ばされる。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

流石にビワはあまりの威力の余波により吹き飛ばされたみたいだがあっさりと空中で態勢を立て直して受け身を取っていた。

 

すげぇな……。

 

凄まじい爆発が終わり、尋常ではない範囲に土煙が発生しており、ネクロムもネルギガンテの姿も見えない……。

 

だがネクロムの全身が放つ光が全くこちらに見えてこない。

 

まさか負けたか……?

 

「シカ……リノ……ッ!」

「クロロロァァァ………。」

 

土煙が晴れ、そこに立っていたのは……辛うじてフォルムを戻しながらも根性で踏ん張っていたネクロムだった……。

ネルギガンテは傷こそ回復してはいるが完全に気絶しているのだった。

 

俺はあまりの嬉しさにはしゃいでしまい、ネクロムの元へと走っていく。

 

「よっし!!!よくふんばったネクロム!!!」

「クロロ……マァァァァアア………。」

「えっちょっまっ!?」

 

だが俺はこの時考えるべきだった……。

フォルムが元に戻っているということは……戦闘続行不能な程に消耗仕切っており、いつ気絶してもおかしくないということに……。

 

「ァァァァァァァアアアアアアアア!?!?!?!?」

 

結果として俺は倒れ混んできたネクロムを生身で受け止めることになったのだった。






・『滅尽拳(めつじんけん)
かくとう 物理 命中100 威力80
30%の確率で相手の防御を下げる

・『破棘滅尽旋・天(はきょくめつじんせん・てん)
ドラゴン 物理 命中80 威力150
命中させると自分の『ぼうぎょ』と『とくぼう』が下がるが当たった相手が交代するまでターン終了後に最大HPの1/16のダメージを与え続ける

・『滅尽龍拳(めつじんりゅうけん)
ドラゴン 物理 命中100 威力160
かくとう技としても扱う
弱点のタイプだった場合威力が1.3倍になる
1ターン反動で動けなくなる


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少年と双子とビワ

 

 

ヴィオ視点

 

~スター団かくとう組チーム・カーフアジト内部~

 

 

 

「皆……ごめんなさい……!」

「えっ!?ちょっ!?ライズ君!?ライズ君ーーー!?!?」

 

し……締まらないわねぇ……。

 

片や呆然自失になっていて片や気絶したネクロズマに押し潰されていてレティや飛び出てきたライズのポケモン達に救出されようとしていた。

 

「はぁ……とりあえずライズが目覚めるのを待ってからのが良さそうね。」

 

 

 

_________________________________________________

 

 

1年と数ヶ月前……。

 

 

「ごめんなさい……やり過ぎちゃったかな……。」

 

現在ビワの目の前には死屍累々とでも言うべきかピーニャ、シュウメイ、オルティガ、メロコのポケモン達が全員気絶させられていた。

 

「気にすんなって、実践形式のトレーニング頼んだのボクらじゃん!」

「でも……。」

 

全員のポケモンをボロ雑巾の如く倒したビワは目の前の光景に若干後悔をしており、心優しい彼女にはとても受け入れがたい光景となっていた。

 

「謝罪の必要などござらぬ。」

「ビワ殿の稽古のおかげで我は手練れ街道まっしぐらゆえ。」

「オレもビワさんがいなかったらポケモン強化出来なかったもん。」

「マジボスもビワ姉のおかげでいじめっ子と戦えるって言ってたな。」

 

だがズタボロにされた側の他のボス達四名はビワと自分達との実力差を理解した上での望みでもあり、格上と戦うことでより実力を付けることを目的としていた為誰も後悔している様子は無かった。

 

「ホントマジ感謝だよな、ビワちゃんスター団の鏡!」

「うふふ、そんなことないよ……!」

「たださ、練習始めてもう4時間……オレそろそろ限界だよ……。」

「あっごめんね!じゃあ皆は休憩!私はランニングしてくるよ!」

 

ビワは確かに優しい……優しいがそれはそれとして訓練による妥協は無い。

優しくはあるが甘くは無かったのだ。

4時間もの練習を交代でとはいえずっと行えば流石のボスとはいえ全員疲れるのである……………ビワ以外。

 

「我等は交代でトレーニングだがビワ殿は常時誰かを指導……その身体が心配にござる。」

「シュウメイ君ありがとう。

最近ね、どれだけ疲れてもどれだけ泣きそうでと平気なの。

皆で一緒にジムバッジをマネして団のバッジ作ったでしょう?

アレを見るだけでね、私は力が沸いて頑張ろうって思えるんだ!」

 

彼女のその微笑みに彼らはいつも元気付けられていた。

 

 

_________________________________________________

 

 

「頑張った……けど……ダメだった……わたし……。」

 

 

ライズが起きるまでの間彼女は他のスター団の人達への後悔かずっと泣きながら謝っていた。

 

ライズが起きてから少しして彼女はだんだん落ち着いてきたのかこっちまで移動してきた。

 

ただ私としては倒れたネクロムに潰されてケガ一つ負ってないライズにツッコミを入れたい……本人曰く慣れだそうだけどそういう問題じゃないと思う。

 

「あなた……強かった。

掟ってこともあるけどこれを貰ってほしい。」

 

そう言ってビワはライズの手にかくとうジムのジムバッジをアレンジしたと思われるダンバッジを渡して肘を曲げたまま腕を前に出してくる。

 

私とレティはどういう事なのか最初は気がつけ無かったけどライズは心当たりがあったのか……。

 

「あぁ、そういうことか。」

 

と言って納得したような表情になって腕を組み合った。

 

そういえばライズはアローラ出身なんだったわね……確かにあの地方ならそういうノリは多そうね。

 

「私も混ぜて!」

 

するとレティがライズ達の方へと飛び出してそのまま肩に手を回す。

 

「レティ、どうせやるならまたいつもみたいに記念写真といきましょ。」

 

私はスマホロトムを起動して私もその中に入り、撮影する。

 

「皆には私のポリシーみたいな技もぜひ使ってほしいな。」

 

ビワはそう言ってわざマシンを渡してくる……って!?

 

「インファイトのわざマシン!?」

 

とんでもないの渡してきたわね……このわざマシンってめちゃくちゃ貴重品な上にあんまりレシピが出回ってない上に市場価格もかなりのレア物なのに……。

 

「良いのか?かなりの貴重品だろう。」

「いいの、レシピの方も持ってるからいつでも作れるし。」

「そうか……ありがたく頂戴しよう。」

「……………………………………………。」

 

するとビワは何か悩むような表情をしてから口を開く。

 

「スターダスト大作戦のライズさん、スカーレットさん、バイオレットさん。

特にライズさんは戦って分かったけどあなた嫌な人じゃないよね。

あの子があなた達を……特に相棒であるライズさんを見る目で分かったんだ。

ただ少しの間私の事を見ないで欲しい。

ちょっと辛くて…………ウウッ……ウォオオオーーッ!!!」

 

ビワさんはそのまま男泣きをしながら奥の方に凄まじい速さで走り去っていった。

 

戦ってる時とかでもちょいちょい思ったけど彼女って……色々とギャップが凄まじいわね……。

 

 

 

 

 

 

 



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少年と双子とマジボス

 

 

レティ視点

 

 

~スター団かくとう組チーム・カーフアジト内部~

 

 

 

ビワさんが凄まじい速度で進行方向にある障害物を弾き飛ばしかねない勢いで男泣きしながら走り去っていった行った後校長先生とさっきゲートの前で戦ったタナカさんがこっちに合流してきた。

 

「……終わったようだな、三人共。」

「ビワちゃん……。」

「校ty……ネルケ、そいつって……。」

「あぁ、ゲート前で戦った団員だ。

話がしたくて来て貰った。」

 

彼女は若干複雑そうな顔をしながら校長先生に問い返した。

やっぱり……そうなっちゃうよね。

 

「……話っていうのは?」

「あんた、他のしたっぱとはボスに対する接し方が違う。

その理由を教えてくれないか?」

「目ざといわね……いいわ、話すわ。」

 

すると彼女は若干辛そうな顔をしながら口を開き始める。

 

「わたし……ビワちゃんを疎ましく思っていたの。

美人でスポーツ万能……トレーナーとしても優秀。

入学してすぐビワちゃんはアカデミーの人気者になった……それまで一番人気だったわたしを追い越して。」

「それで嫌がらせを……?」

「えぇ……クラスメイトに呼び掛けていろいろと……本当にバカだった……。

でも所詮子供の遊びよね……飽きたら次の刺激が欲しくなる。

すぐにクラスのいじめのターゲットがわたしに変わった。

…………因果応報よね、でもそんなバカなわたしにビワちゃんは手をさしのべてくれた。

居場所が無いとしんどいよねってわたしをスター団に誘ってくれたの。」

「いじめてた本人を……凄い女性だな。」

 

私も本当に凄いと思う……それに彼女は所々にその優しさが見て取れたしボールだって捕まえたら回復するヒールボールだったもん。

  

「……本当にそう思う。

団に入ってからは楽しかった。」

「スター団がいじめをしているという噂もあるが……。」

「今までの話を聞いてもそんなふうに思うの?」

「まぁそうなるだろうな……やっぱり一部の新人達の暴走と考えた方が自然なんだろうな。」

 

ライズ君の言う通りスター団の皆は結成当初からいるような人程凄く良い人達ばかりだった……。

だけど私達が登校初日に見たアレもまた事実なんだよね……。

 

「今のわたしがあるのはビワちゃんとスター団のおかげ。

わたしたちの大事な宝物……取らないで。」

 

その言葉を言い残して彼女は立ち去っていった。

私達もなんとも言えない気持ちを抱えながらアジトを後にする事にした。

 

_________________________________________________

 

 

『ウホッ……良いおとk…。』

「カ、カシオペア?何かしら?」

 

ちょっと待ってヴィオ姉なんでそんな慌てて出たの!?

 

とりあえずタイミング的に考えてもやっぱり今までと同じ目的かな?

 

『何をそんなに焦ってるのだ?

……それはともかく三人共、ビワからボスの証……ダンバッジを貰ったようだな。

これでボスがいなくなったチーム・カーフは解散に近付いた。

ビワ…………。

…………すまない、ともかくこれですべてのチームボスを引退させることが出来た。

ボスの座を降りた五人は遅かれ早かれ団を解散するだろう。

じきに不登校をやめてアカデミーに戻るはずだ。』

 

すると校長先生がまた私達の所に合流してきた。

 

「三人とも、お疲れさんだ。」

『その声はネルケか。』

「カシオペアもお疲れさんだ。」

『あぁ……約束の報酬だ、三人のスマホにLPをチャージしておこう。』

 

確認してみると私達のスマホにそれぞれ2万LPずつチャージされているのが確認出来た。

 

いつも思うんだけどカシオペアはどうやってこれだけのLPを調達してるんだろう?

 

すると校長が思い出したようにバッグを漁ってポケモンの落とし物を沢山取り出し始める。

 

「……おっと!そういえば今回はオレが補給班もやるんだっけか。」

『あぁ、三人に追加報酬を渡してくれ。』

 

私達は大量の落とし物をとりあえずライズ君の荷台に載せておく。

バッグにも入るけど結局これが一番楽なんだよね。

 

『いよいよスターダスト大作戦は最終段階に入った。

残る仕事はあと一つ……。』

「マジボス……いえ、あなたを倒す……でしょ?」

『…………気付いていたのか。』

 

っ!やっぱり……!

 

「単なる状況証拠を整理したらあなたしか候補が居なかったってだけよ。」

『…………そうか、ならば話は早いか。

だが先に謝らせてくれ、隠し続けるつもりは無かったんだが言い出すタイミングが無くてな……。』

 

若干気まずそうにカシオペアはそう言う。

 

…………うん、思い返してみると確かにあんまり良いタイミング無かったかも?

 

『スター団を結成したのはわたし、団の皆は仲間でわたしのかけがえのない宝だった。』

「…………カシオペアはもしかして仲間の皆がこれ以上立場が悪くならないようにこの作戦を決行したの?」

『…………それもある。

だが今のスター団はみんなを不幸にするだけ……だから諦めがつくよう掟に従って解散させたいんだ。』

 

カシオペア……。

 

『…………夜に学校のグラウンドで待つ。

ネルケも居てくれると助かる。』

「分かった。」

『では待っている。』

 

そう言い残してカシオペアは通話を切っていった。

 

「まさかとは思っていましたがカシオペアがマジボスだったとは……そしておそらくその正体は……。」

「校長先生、それ以上は実際に会って確かめるべきです。」

「…………それもそうですね。

待ち合わせ場所は夜、アカデミーのグラウンドにて。

…………準備して落ち合いましょう。」

 

そう言い残して校長先生も先に学校へと戻っていったのだった。

 

 



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少年と双子とマジボス

 

 

ライズ視点

 

~テーブルシティ近辺上空~

 

 

俺達はマジボスとの最後の戦いに向けてテーブルシティまで戻っていた。

 

この調子なら学校に到着する頃にはちょうど良い時間になるだろう。

 

するとテーブルシティまで移動している途中であきれた様子のヴィオが話しかけてくる。

 

「それにしても……用意周到すぎないかしら?」

「なにがだ?」

「この荷車……荷車?のことよ。

いつの間にネクロズマに装着出来るように改造してたのよ。」

「ん?あぁそういうことか。

それなら話は簡単だ、最初からだよ。」

 

レティとヴィオの二人は今俺の荷車に乗っており、その荷車はネクロムの腕に装着されるような形で変形して吊り下げられた状態でテーブルシティまで飛行している。

 

「元々着想を得たのはそらとぶタクシーだがな。

元々この荷車はネクロムに運んでもらうように作っていたものなんだよ。

幸い姿が変わった後でも軽く微調整して問題なく装着できたから助かったがな。

こっちのアカデミーに入る頃にはまだアローラに置いてきてたんだがガーグァを拾ってからはちょうど良いから送って貰ってたんだよ。」

「あぁ……そういうことね。」

 

ヴィオは何か納得したような表情をしてからまた呆れたような表情へと戻った。

 

「へぇ……通りでネクロムはまたライズ君と一緒に旅が出来る事にこんなに喜んでるんだ。」

「クロロマッ♪」

「あぁ、元々旅とかはこいつと一緒に行こうと思ってたからな……俺もまたこんな形で旅できて嬉しいよ。」

 

こうしてしばらく雑談をしながら時間を潰しているとすぐにテーブルシティが見えてくる。

 

ちょうど外も暗くなってきたから到着した頃には良い時間帯になるだろう。

 

すると何かを見つけたのかレティがアカデミーの方を指差した。

 

「あれ?校長先生が入り口にいるよ!!」

「ん?あの特徴的なリーゼントは確かに校長だな。」

「一体どうしたのかしら……とは言うまでもないわね。」

「ネクロム、あの人の前に一旦下ろしてくれ。」

「シカリ。」

 

ネクロムは俺の指示を聞いてゆっくりと高度を下げて降下位置を調整していく。

 

地面へと到着してから俺はネクロムに装着しているパーツを解除して荷車を元の状態へと戻す。

 

「よう、三人とも。」

「校長先生……?」

「おっと……今の俺はネルケだ。

いや……お芝居はそろそろ閉幕だな。」

 

何を言っているんだこの校長先生……。

 

「今こそ三人にオレの正体を明かそう……ハッ!」

 

すると校長先生は制服に手をかけて放り捨てて変装を解いた。

 

「今まで身分を偽っていてすみません。

実はネルケはアカデミー校長……クラベルだったのです!」

「「「…………最初からバレてましたよ?」」」

 

俺達は思わず同じ言葉をハモらせてしまう。

いやまぁ……そりゃな。

 

「えっ!?校長ショック!完璧な変装だったはず……!」

「色々と細かい所でボロ出しすぎですよ……。」

「ちょいちょい元の校長先生の部分出てたもんね?」

「というか後半もはや隠す気も無かったですよね?」

「…………確かによく考えたらネルケ中何度か校長の素が出てたので仕方ありません。

しかし驚くべき事実はまだ残ってます。

私こそがスター団マジボス……カシオペアだったのです。」

 

…………。

 

「いや、物理的に不可能です。」

「最低でも誰か協力者居ないと無理ですね。」

「えっと……その……ごめんなさい。」

 

何がしたいんだこの校長……。

 

「いやいや本当ですよ!

カシオペアとの電話もあらかじめ録音した音声をこう……なんか上手いことやっていたのです!」

 

それでヴィオの意味不明な着信音に反応するのは不可能なんだがな……どのタイミングで何が鳴るかはヴィオ曰く完全ランダムらしいし。

 

「さぁ三人共!マジボスである私と最後の決闘を始めましょう!!」

 

そう言ってかなり無理矢理ではあるが校長は勝負を仕掛けてくる。

 

………が正直付き合う理由がない。

 

「ヴィオ、ここ任せてもいいか?」

「え?ええ、別にいいけど。」

「へ?いや……あのちょっと……っ!?」

「はぁ……まぁライズから頼まれたしここは私が付き合いますよ校長先生。」

 

俺はレティを連れて校長先生を無視して校内へと突入する。

 

止めようとした校長はヴィオが足止めしてくれたから問題はない、だがとりあえず保険はかけとくか……。

 

「レティ、タイム先生を校長先生とヴィオの所に連れていってくれ。」

「へ?うん、分かった!ライズ君はどうするの?」

「俺はカシオペア……いや、アイツと決着をつけに行くよ。」

 

 

 

_________________________________________________

 

 

~アカデミー校庭~

 

 

俺が校庭へと入り、カシオペアと思われる奴を探していると後ろから声をかけられる。

 

「ライズ……来てくれたか。」

 

そこにはフードを被り、イーブイのバッグを背負った俺達のよく知っている人物がいた。

 

「レティとヴィオはどうしたんだ?」

「ヴィオは何故か喧嘩を売ってきた校長を足止め中、レティにはタイム先生を呼んできて貰ってるよ……ボタン。」

「…………そうか、君はやっぱり分かっていたんだね。」

 

ボタンはフードを外して素顔を見せる。

 

「いつから分かってたんだ?」

「シュウメイを倒した辺りでもう予想はついてたよ。

ただ単純に消去法で考えたら当てはまるのがボタンしか居なかったからな。」

「…………お前の考えていた通りわたしこそがマジボス……そしてカシオペアの正体だ。

学校前でしたっぱを倒したライズの強さを見てスターダスト大作戦を思い付いたのだ。

わたしの力さえあればLPなど湯水のごとく増やせる。

報酬があれば乗ってくると思ってな。」

 

なるほどね……。

とはいえ何故か毎度毎度ヴィオのとこなのかは……まぁ予想は出来るし言わないで置くか。

 

「補給班としてずっと動向を見張っていたぞ。

あとはわたしを打ち負かせばスター団は完璧に終わる。

……その為に動いて貰った。」

 

そしてボタンはなにかを惜しんでいるような顔をすると懐からボールを取り出して構える。

 

「だが同時にスター団を終わらせたくない気持ちもある!

やすやすと負けるわけにはいかない!

最後の勝負……準備は出来ているか?」

「あぁ……その為に俺はここに来たからな。」

「……感謝する。」

 

俺はスマホロトムを配信モードに切り替えてあのバカ(ナンジャモ)に連絡を取る。

 

「これで準備は整った。

これで勝負を全団員に通達出来るはずだ。」

「そうか……ありがとう。」

 

配信をオンの状態にしてから俺達はすぐにバトルフィールドのトレーナーのスペースへと向かう。

 

「……改めて名乗っておこうか。

わたしがスター団マジボス"カシオペア"……ではなくボタン!

……マジボスの力の前に頭を垂れてひれ伏すがいい!!」

「アナザーポケモン研究第一人者……ライズ。

決着をつけるぞ!スター団!!」

 

 

 



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少年とスター団との決着★

数パートに別れる予定です


 

 

ボタン視点

 

~アカデミー校庭~

 

 

「勝負するなら手は抜かない!それがスター団の掟!

いくよ!ブラッキー!」

「まずは様子見だ!ザボアザギル!!」

 

私は先発にまずブラッキーをくりだす。

 

ライズはザボアザギルか……色々と調べたけどやっぱりライズのポケモンの情報は殆ど得ることが出来なかった。

というよりライズ達以外にこのポケモン達の情報がネット上に何一つとして存在していなかった。

 

だけど手掛かりとしてこの地方に現れるウルトラホールについて色々と個人的に(主にハッキングを駆使して)調べた結果いくつかの"どうぐ"の入手に成功した。

 

「なっ!そのポケモンがブラッキーだと……!」

 

今のブラッキーは私がなんとかして全員分入手することが出来たある"どうぐ"によってフォルムチェンジをしており、より強力なポケモンへと強化されていた。

 

今のブラッキーは体毛の下には鱗がびっしりと生えて目は赤く染まっており、尻尾はより細長くしなやかに……そしてその先端の体毛の中には複数の鋭く長いトゲが生えている。

 

更に前足にはブレード状に発達した翼を備えており、ブラッキーの面影が若干残るもはや別のポケモンへと変化している。

 

更に防御方面に特化したブラッキーの能力が反転し、こうげきとすばやさがかなり高いポケモンとなっている。

 

「…………その特徴、アナザーポケモン関連か。」

 

っ!やっぱり見ただけで分かった……アナザーポケモン専門のポケモン博士なのは知ってたけどやっぱり凄いな……。

 

「うん、貴方のポケモン達と対等に張り合うならこれくらいはやらないと勝負にすらならないもん。」

「後で色々と教えろよな全く……ザボアザギル!『アイスアーマー』!」

「ザブッ!ザボァァ!」

 

ザボアザギルの全身が氷で出来た鎧に覆われてより攻撃的な姿になる。

確かザボアザギルはこおり・みずタイプだったはずだからこれで『ゆきげしき』とか覚えてたら不味いかも……。

でも今の姿のブラッキーなら色々と有効打はある!

 

「ブラッキー!『せいなるつるぎ』!」

「ブラッキッ!ブラァッ!!」

「ザボアザギル!『アクアジェット』!!」

「ザババババッ!!」

 

っ!速い!あんな巨体でよくあんな速く動けるなんて……!

 

ブラッキーの『せいなるつるぎ』を見られた以上は下手に近づくことは無さそう……だけどそれだと物理寄りのザボアザギルにはあまり打点はないはず……。

 

「ブラッキー『トゲとばし』!」

「ブラッ!ブルァ!」

 

ブラッキーが長くなった尻尾の先端に隠されたトゲを展開して回転させるように振り、一瞬だけ勢いよく動かして遠心力を利用してトゲを発射する。

 

「ザボアザギル!『ハイドロポンプ』で迎え撃つんだ!」

「っ!ブラッキー!避けて!」

「ブラァッ!!」

 

しくじった……まさか『ハイドロポンプ』を使ってくるなんて思わなかった。

あと少しでも指示が遅れていればブラッキーに直撃して危ないところだった……。

今のフォルムは元の姿に比べてかなり防御方面が弱い……例えザボアザギルのとくこうが低くても威力の高い『ハイドロポンプ』は流石に受けたくはない。

 

「ザボアザギル!『撃竜槍(アクアジェット)』!!」

「ギルルルルァァァァァアアアア!!!」

 

ザボアザギルがドリルのように高速回転しながらこっちまで突撃してくる。

 

あれは多分『せいなるつるぎ』じゃ威力不足で弾かれる!

 

「ブラッキー!『つじぎり』!」

「ルルァァァアア!!」

 

ブラッキーが翼にあくタイプのエネルギーを集中させてザボアザギルに対してすれ違い様に切り裂く。

 

ザボアザギルの纏っている氷の鎧……その頭部部分にあるドリル状のトゲが輪切りにされて切り落とされ、ザボアザギルにそこそこのダメージが入った。

 

やっばり物理面がかなり硬い……!

 

「っ!!ブ……ブルァ……!」

 

ブラッキーの様子がおかしい……よく見てみるとブラッキーも胴体横に螺旋状の傷が出来ていて大きなダメージを負っていた。

 

かするだけであそこまでのダメージだなんて……。

 

「ザボアザギル、一回『アイスアーマー』を解除だ。」

「ザブァ!」

 

どういうつもり?折角のアドバンテージを自分から捨てるなんて……。

 

ザボアザギルがライズの指示にしたがって身体を覆っている『アイスアーマー』を砕いて振り落とす。

 

「ザボアザギル!『たくわえる』!!」

「ザブァ!ザボボボァァアアア!!!」

 

っ!?ザボアザギルが大きく息を吸って何かを『たくわえる』ように飲み込むとさっきまでの四足のサメのような姿から大きく変化して腹部がまるで巨大なボールのように膨れ上がりカエルのような姿になっていた。

 

それに『たくわえる』はほうぎょととくぼうを両方上げる技だからかなり不味い。

 

「ブラッキー!『おぼろづき』!!」

「ブラッ!!ラッキー!!」

 

ブラッキーが赤い瞳を光らせて姿を消し、ザボアザギルの周囲に赤い跡が回っていく。

 

赤い瞳の跡が上空へと跳躍して姿を表したブラッキーが回転しながらトゲの生えた尻尾を叩きつけるようにザボアザギルへと叩きつける。

 

「嘘っ!?」

「ブラッ!?」

 

全く効いていない!?

しかも全く怯む様子もない!?

 

「ザボアザギル!『ハイドロポンプ』!!」

「ザババババババッ!!!」

「ブラァァッ!?!?」

「ブラッキー!?」

 

ブラッキーが至近距離での『ハイドロポンプ』をもろに食らって大きく吹き飛ばされた。

 

ブラッキーの様子を見てみると目を回して気絶しているのがすぐに分かる。

 

やっぱり一筋縄じゃいかない!





ブラッキー(ナルガクルガのすがた)
げっこうポケモン
あく・ひこうタイプ

特性:じんりゅうのちから
接触技の威力が1.2倍になる
音技を受けると30%の確率でひるむ

H:95
A:110
B:65
C:60
D:65
S:130

『トゲとばし』 ひこう 物理 威力25 命中95
2~5回攻撃する 攻撃する度に10%の確率で『まきびし』を撒く

『おぼろづき』 あく 物理 威力120 命中80

1ターン目に姿を消して2ターン目に攻撃する
当てると50%の確率で怯ませるが外すと反動で1ターン動けなくなる


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少年とスター団との決着 その2★

 

 

ライズ視点

 

~アカデミー校庭~

 

まさかボタンがアナザーポケモン関連の物を回収してたとはな……ちょくちょく情報だけは来てたが現物の場所が分からない物が複数あったが全てボタンが回収していたのだろう。

 

それにしてもただでさえあらゆる環境に適応し、いくつもの進化を持つイーブイの進化系統に相性のよいアナザーポケモンのどうぐを持たせる事であんな風にフォルムが変化するとはな……これ他の博士達に知らせたら大騒ぎになるぞ。

 

「流石ライズ……初見でこうもアッサリと倒してくるなんて……いくよシャワーズ!」

「シャーワッ!!」

 

こっちもこっちで通常のシャワーズとフォルムが違う。

 

全身を覆う蒼色の鱗に背中にはオレンジ色のトゲを生やし、腹部等の身体の下部はクリーム色の鱗が覆っていた。

 

更にトゲからは青色の電気がバチバチと弾けており、明らかにでんきタイプを持っているであろう事が簡単に予想出来た。

 

「今度はみず・でんきタイプってとこか……ザボアザギルじゃ不利だな。

一旦戻ってくれ。」

「ザババッ!」

「頼んだ!アグナコトル!」

「カカカカカッ!!」

 

アグナコトルは嘴をバチバチと鳴らしながら出てきてシャワーズへと視線を向けている。

 

「アグナコトル……多分こっちも相当硬いポケモンだよね。

シャワーズ、焦らずにいこう。」

「シャーズッ!!」

「シャワーズ、『あまごい』!!」

「シャワーーー!!」

 

シャワーズが空へと電撃を放つと周囲の天気がみるみるうちに悪くなっていき、雨を通り越して雷雨が降ってくる。

 

水で濡れてる以上下手に凍らせるとこっちの身動きに影響が出てきそうだな。

 

「アグナコトル!『ドリルライナー』!!」

「カカカカカカカッ!!」

 

アグナコトルが身体をうねらせながらシャワーズへと不規則な動きで接近して全身を螺旋状に回転させて突進を仕掛ける。

 

「シャワーズ!『でんこうそうげき』!!」

 

なっ!?パーモットの専用技を使えるのか!?

それに不味い、でんきタイプが無くなってしまえばこっちが弱点を突けない。

 

「シャーズッ!!」

「コトッ!?」

 

あまりの威力にアグナコトルの身体が大きく仰け反り、大きく距離を放されてしまう。

 

対するシャワーズは吹き飛ばされてはいたがアッサリと着地し、あまりダメージが入ってはいないようだ。

 

「シャーズッ!!シャシャシャシャシャシャッ!」

 

すると突如としてシャワーズが全身を振るわせると背中の甲殻、トゲから電気がバチバチと鳴り始める。

 

まさか身体を高速で振るわせる事で発電してるのか!

 

「シャーーズッ!!!」

 

シャワーズが吠えると同時に周囲にスパークが発生する。

 

まさかと思いスマホロトムで解析するとシャワーズにでんきタイプが復活しているのが判明した。

 

おそらく特性によるものだろうがなかなか興味深いな。

 

「アグナコトル!一旦潜れ!!」

「カカカッ!」

 

俺は少し試したい事が出来たので一旦地面に潜らせる事で一旦ボタンを警戒させておく。

 

「シャワーズ!音に気をつけて。」

「シャワー!」

 

シャワーズが頭部の横にあるヒレをピクピクと動かして地面の下からの攻撃を警戒している。

 

それに尻尾の先端が地面へと溶け出している。

やはり元のシャワーズとしての能力も健在のようだ。

 

「アグナコトル!『ダイヤモンドアッパー』!!」

「カカカカカッ!!!」

「シャワッ!シャッ!?」

「嘘っ!?」

 

地面からアグナコトルが飛び出すと同時に凄まじい冷気が地面から吹き出して周囲の雨ごとシャワーズを凍らせて動きを封じながら攻撃を直撃させる。

 

とはいえ効果はいまひとつ……ダメージはあんまり入ってないな……だが作戦としてはかなり有効だ。

 

だがおそらく次はまともに入らないだろう……さっきのシャワーズの回避はかなり素早く、『ドリルライナー』だったなら確実に回避させていただろう。

今回のは完全な初見殺しなだけだ。

 

「シャワーズ無事!?」

「シャッ……シャワッズ!!」

 

シャワーズは身体を振るわせて身体の氷を剥がしていく。

 

「一瞬であれだけの範囲を凍らせるなんて……シャワーズ!『かみなり』!」

「シャーー!!」

 

っ!雨の中での『かみなり』は必中!防ぐ以外に選択肢はないな!

 

「アグナコトル!上空に『フリーズバースト』!!」

「コトォォォォォオオオオ!!!」

 

アグナコトルが上空の数分を一気に凍結させる事で氷の傘を生み出して『かみなり』を弾いていく。

 

とはいえタイプが一致している技なのもありかなりの威力で一瞬で傘が破壊されてしまった。

 

そしてアグナコトルの身体に付着した氷がどんどん溶けていく。

 

「今だ!『ドリルライナー』!!」

「シャワーズ!『でんこうそう……。」

「コォォォォォオオオオ!!!」

「なっ!?速っ!?」

「シャァァァアアアア!?!?」

 

アグナコトルは身体に付着していた氷の鎧が溶けた影響で関節などに張り付いていた氷等も取れて先程よりもすばやい攻撃を行い、シャワーズがなにか行動する前に直撃させる。

 

シャワーズは直撃により大きなダメージを負って吹き飛ばされて気絶した。

 

だが……正直相当キツイな。

殆ど戦闘能力がアナザーポケモンと何ら遜色無い……。

 

これがまだあと4匹め残っててテラスタルまである……あまり考えたくはないな。




シャワーズ(ラギアの姿)
みず・でんきタイプ
あわはきポケモン

特性:『はいでんかく』
でんき技の威力1.2倍、でんきタイプが無くなってもターン終了後に元に戻る。

H:100
A:65
B:60
C:125
D:65
S:110

わざ
『でんこうそうげき』
『かみなり』
『あまごい』
『ハイドロポンプ』


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少年とスター団との決着 その3★

 

 

~ボタン視点~

 

 

不味い……ブラッキーに続いてシャワーズまでやられた。

それに加えてライズのポケモンはまだ一匹も倒れてない。

 

かなり消耗はさせてるとは思うけどそれでも数の不利はかなり大きい。

 

どうにかして複数体を一気に倒さないと。

 

「いけ!ブースター!!」

「スタァァァァアアアアア!!!」

 

今のブースターは私が入手したアナザーポケモン由来の鎧を持たせた結果たてがみがカエンジシのようになり、額から後ろに流れるようにうねる強靭な角、さらにドラゴンポケモンのような翼を手に入れていた。

 

元々の鎧はこんなカエンジシっぽい要素は何処にも無かったんだけどなぁ……。

 

今のブースターのタイプはほのお・ドラゴンに変化していて特性や能力、技まで大きく変化している。

 

「その骨格は……いや、今はいい。

アグナコトル、戻れ。」

「コッ!」

 

ライズはアグナコトルをボールに戻していってヘビーボールを取り出した。

 

ってことはバサルモスだよね……不味いな。

タイプ相性的に不利だ。

 

「いくぞ!グラビモス!!」

「ヴァァァァァァアアアアア!!!!!」

 

っ!?バサルモスじゃない!?

姿がかなり似てる……いつの間に進化させてたの?

 

「グラビモス!先手必勝だ!『じしん』!」

「グラァァァァァァァァアアアアアア!!!!!」

 

不味っ!?

 

「ブースター!飛んで!」

「ブースタッ!」

 

ブースターが翼を大きく羽ばたかせてなんとか『じしん』を回避する。

流石にバサルモス……今はグラビモスだっけ?あの子の『じしん』は相当な威力なのは分かりきってたから受けたらひとたまりもない。

 

「うっ!?きゃぁ!?」

 

っ!?なんて威力!?フィールドの外にいる私ですらまともに立てない程の衝撃!?

 

「ブ、ブースター!『ふんじんばくはつ』!!」

 

ブースターが全身を一瞬燃やしてからグラビモスの周囲に粉塵をばらまいていく。

 

「グラビモス!『ふんか』だ!!」

「ヴァァァァァァァァァァァァアアアア!!!!!」

 

グラビモスが大きく盛り上がった背中から溶岩を噴き出し始めて大量の溶岩と岩を爆発により発射する。

 

「それは悪手だよ!!」

 

グラビモスの噴き出させた溶岩に反応して着火されて一気に爆発する。

 

「なっ!?グラビモス!?」

「グォァァァァァアアアアアアア!?!?!?」

 

流石にあれだけの爆発を一度に直撃すればダメージも期待できるはず!

 

「グラビモス!『がんせきふうじ』!!」

「グルォァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

なっ!?

 

「スタァァアアアア!?!?」

「ブースター!?」

 

嘘でしょ!ブースターの『ふんじんばくはつ』によって発生した土煙が晴れてグラビモスの状態を今見たけど軽く身体から岩がポロポロと崩れる程度でまともにダメージが入ってない!?

 

「ブースター!『ドラゴンダイブ』!!」

「ブースタァァァァァアアアア!!!」

 

ブースターがドラゴンエネルギーを纏いながら空からグラビモスへと向かっていく。

でも『がんせきふうじ』の影響を受けているからか動きがかなり鈍くなっている。

 

「グラビモス!『マグマライザー』で打ち落とせ!」

「グルォァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

グラビモスが背中、腹部、尻尾、角から凄まじい熱線が吐き出させる。

流石にあの熱線はほのおタイプに極端に強いブースターに当たったとしてもかなりのダメージを受けてしまいかねない。

 

「よし!零距離で『ばかぢから』!!」

「グラビモス!尻尾で凪払え!!」

「グォァァァァァアアアアアアア!!!!!」

 

グラビモスが全身を回転させてまるでハンマーのような尻尾をぶつけて吹き飛ばしていく。

 

「ブースター!?」

 

ブースターがグラビモスの尻尾の直撃を受けて大きく吹き飛ばされた。

 

お陰で『ばかぢから』を直撃させる前に大きく距離を取られてしまった。

 

「ブースター!一気に近づいて!」

「グラビモス!『がんせきふうじ』で動きを阻害しろ!!」

「ブースター!『ドラゴンダイブ』で薙ぎ倒して!」

「シャァァァアアアア!!!」

 

ブースターがドラゴンエネルギーを纏いながら飛行してグラビモスの攻撃を悉く粉砕しながら向かっていく。

 

やがて0距離までたどり着く。

 

今だ!

 

「ブースター!『スーパーノヴァ』!!」

「ブースタァァァァァアアアア」

 

ブースターがどんどん全身に炎を纏っていき、どんどん周囲へと赤い粉塵が傘撒き撒き散らされていく。

 

「なっ!?グラビモス!身を守りながら腹部から『マグマライザー』!!」

 

嘘っ!?自爆覚悟!?

 

一気に粉塵に着火していってブースターが吹き飛ばされていった。

 

「ブッ……ブースター!?」

 

吹き飛ばされたブースターは目を回して気絶していた。

 

だけど向こうを見てみると凄まじい音と振動をひきおこしながら倒れていった。

 

お互いに戦闘不能……!

 

ようやく一匹目……!





ブースター(テオのすがた)
ほのお・ドラゴンタイプ
ほのおポケモン

特性:えんおう
自分への接触技を使ってきた相手を確実に火傷にする
自分がほのおタイプの技を使ったターンの最後に相手のポケモンの最大HPの1/16のダメージを与える

『ふんじんばくはつ』ほのお 特殊 威力80 命中100
必ず後攻で発動する。
相手が先にほのおタイプの技を使った場合すぐに爆発して相手を怯ませる。

『スーパーノヴァ』ほのお 特殊 威力150 命中80
当たっても外しても反動で1ターン動けなくなる。
使った後は反動が切れるまでほのおタイプが無くなる

『ばかぢから』
『ドラゴンダイブ』


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少年とスター団との決着 その4

すんません時間が足りないんでポケモンの情報は明日まとめて乗っけておきます。


アカデミー校庭~

 

「行って!サンダース!!」

「サンダァァ!!」

「いけ!ギギネブラ!!」

「ネビュラッ!!」

 

お互いに一匹ずつ戦闘不能の相討ちとなり、俺達は同時にポケモンをくりだした。

 

こっちか出したのはどく・ドラゴンタイプであるギギネブラで、ボタンが出したのは何やら全身の毛が青白くなっており、前足が黄色の甲殻に覆われとても大きく発達した爪を持っている上に太く発達しており、顔の口部分も黄色の甲殻に覆われと短くも力強さは感じさせる角を持っている。

 

さらに尻尾は長く発達しており、筋肉質に見えるのにしなやかさも兼ね備えているように見えた。

 

見た目からしてでんき・かくとうタイプといったところだろうか?

だがまだ確定ではないから様子見は必要だろうな。

 

「ギギネブラ、まずは様子見だ!『どくびし!』」

「ギギギギッ!!」

 

俺は相手の動きを見るためにギギネブラに『どくびし』を指示する。

『どくびし』は交代した相手をどく状態にするだけで単体だとかなり弱いが二回目を行うことによってその強さは大きく変化する。

二回目のどくびしによる効果は交代してきた相手を猛毒状態にするという非常に強力な効果になり、一部の無効化出来るポケモンを除きほぼ全てのポケモンに連続しての戦闘時間の限界を大きく減少させることが出来る。

 

所謂俗に言う受けポケモン等のその場に居続ける事に意味があるポケモン達にとっては出すことすら難しくなるといあのは死活問題だった。

 

「っ!!サンダース!『ドラゴンクロー』!!」

「ダァァァァァァァァァス!!!!!」

 

やっばり的確に弱点突いてくるよなぁ。

 

「ギギネブラ!『ヘドロばくだん』!『みがわり』!」

「ギギギギギギッ!!!」

 

ギギネブラは尻尾の先にある口のようにも見える部位を大きく広げて地面へと張り付けて紫色のヘドロのようなもので覆われた『みがわり人形』を産んで上空に飛び上がる。

 

サンダースは『みがわり』の効果により攻撃をみがわり人形の方へと向けてしまい、それを攻撃してしまう。

 

するとみがわり人形が爆発してサンダースを大きく後退させる。

 

「『みがわり』に攻撃技をあわせて来るなんて……。」

 

これ自体の発送はヴィオから貰った者だ。

あいつは前世の記憶とやらのお陰か俺達には考え付かないような事をあっさりといくつも思い浮いていく。

 

「サンダース!『らいこうちゅう』!!」

「サンダァァァァァアアアア!!!」

 

サンダースが周囲から青白い電気を集めて玉にして発射してくる。

 

「ギギネブラ!『みがわり』!」

 

俺はギギネブラに再度みがわりを指示して『らいこうちゅう』を防ぐ。

だが二回連続の『みがわり』によってギギネブラの体力は大きく削られていたが、事前に持たせておいた道具のお陰で体力は少しずつではあるが回復している。

 

「っ!『くろいヘドロ』!」

 

流石ボタンだな……こうもあっさりと見抜くとは。

 

ヴィオの奴は何を当然な事をとでも言うかのように話してはいたがこの世界において『くろいヘドロ』のヒエラルキーはかなり低く、また効果に関しても認知度はかなり低い。

 

何故なら自分から好んで己のポケモンへ汚物を渡そうとする奴等基本おらず、若干の毒性に加えてカントーという地方でロケット団が引き起こした事件も大きく関係していた。

 

『くろいヘドロ』は意外なことにどくタイプ限定ではあるが『たべのこし』と同じ効果を持ち、それ以外のポケモンには逆の効果……つまりダメージを与える効果を持っている。

 

普通に考えればこれは欠点でしかないのだがヴィオはこの欠点すらもメリットに変える戦術を知っていた。

 

ホントにあいつの知識は研究者としてもトレーナーとしても興味深いものばかりだ。

 

「サンダース!『インファイト』!」

「ダァァァァァァァァァス!!!!」

 

サンダースが持ち前の素早さを生かしてジグザグに動いてこちらを翻弄しようとしながらギギネブラへと向かっていく。

 

「サンダァァァァァアアアア!!!」

 

サンダースがギギネブラへと向かってその前足を叩きつけようと飛びかかったのを確認してから俺は冷静に指示を出す。

 

「ギギネブラ!『ベノムイーター』!!」

「ネビュルルルルルラッ!!!」

 

ギギネブラがその首を大きくうねらせながら伸ばしてサンダースへと噛みつく。

 

「ダァァスッ!?」

「なっ!?」

 

やっぱり監視してたといっても細かい所の情報までは知らないようだ。

 

「サンダース!『10まんボルト』!!」

「ダァァァッス!!」

 

だがギギネブラにはあまり効いておらず、ギギネブラはさらに噛む顎に力を込めた。

 

「サン……ダッ……ッ!?」

 

サンダースの表情が悪くなっていく。

どうやらどく状態へとなったらしい。

 

「ダァァァァァァァァァス!!」

「っ!?!?ネビュルルラッ!!!!」

 

サンダースが最後のあがきとばかりに先程よりも威力の高い『10まんボルト』を長時間放出する。

 

ゴムのような性質を持ったギギネブラの身体があるとはいえあれだけの電力の攻撃を受け続ければ流石にあまりよくはない。

 

どんどんギギネブラの体色が紺色へと変化していき、特性の発動により火力の上がったギギネブラの攻撃によりサンダースは倒れていった。

 

ギギネブラの体力は半分以下か……きついな。



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少年とスター団との決着 その5★

 

 

ボタン視点

 

~アカデミー校庭~

 

サンダースまでやられてしまった……それにライズのギギネブラの色が変化して明らかに能力が上がっている。

 

多分ガケガニの特性『いかりのこうら』に近い能力なのだとは思うけど本格的に不味くなってきた。

 

こちらは残り二匹に対して向こうは5匹……しかもうち二匹がまだ出てきてない状態……。

 

「リーフィア!お願い!」

「フィーア!」

「っ!この威圧感……ブースターと同じ古龍の姿か!」

 

古龍……?

私は聞き覚えのない単語に少し戸惑ってしまう。

 

でも恐らくはアナザーポケモン関連の事だろうことは察しがついていたのでここはあえて考えないことにした。

アナザーポケモン達は一度考え始めると疑問がいくらでも出てきてしまうから……。

 

今のリーフィアはフォルムが大きくことなっていて緑色だった身体はすっかり紅葉したような山吹色へと変色しており、ブースターのような鬣を首もとに生やしている。

手足には鱗と堅牢な甲殻、鋭い爪が生えていて後頭部から後ろに向かって何本か角が生えていた。

 

尻尾は長く延びて葉っぱのような形状から大きく変化して先端には筍のような形に膨らみ、首から尻尾の先端にかけて鬣が延びている。

 

今のリーフィアはくさ・ドラゴンタイプになっててその力は私の今の手持ちの中でも二番目(・・・)に強い。

 

「リーフィアなら少なくともくさタイプ……恐らく特徴から追加タイプはドラゴンか。」

 

っ!一発でバレてる……!

 

「ギギネブラ、あまり近付き過ぎるなよ。」

「ギギッ!!」

 

相変わらずライズの戦い方は堅実だ。

でもだからこそここまで警戒して下がってくれたのは非常にありがたかった。

 

「リーフィア!『バンブーランス』!!」

「リィィィフィア!!!!」

 

リーフィアが大きく跳躍して地面へとその前足を叩きつけると大きく離れていたギギネブラの周辺の地面から大量の竹が凄い速度で生えてきた。

 

「ギッ!?」

「なっ!?これは竹か!?」

 

ギギネブラに何本かの竹が直撃してダメージを与える。

周囲にある竹が邪魔しているから少なくとも飛行は出来ないと思う。

リーフィアはどんどんフィールドに竹を生やしていって自分の戦いやすい空間に作り替えていく。

 

「ギギネブラ!『みがわり』!」

「リーフィア!『ふいうち』!」

「フィア!!」

「ギィィィィィィィイイイイ!?!?」

「ギギネブラ!?」

 

ギギネブラはいきなり上から現れたリーフィアによる一撃でみがわりを出す前にすぐに倒された。

 

やっぱり耐久が大きく減ってたみたいだ……もし耐えきられて『みがわり』を使われてでもしていたらかなり不味かった。

 

「頼むぞ!ザボアザギル!」

「ザバァァァァアアア!!!」

 

ライズの次のポケモンはザボアザギルか……こおりタイプは今のリーフィアには極端な弱点になっているから絶対に喰らいたくはない。

 

「リーフィア!『かげぶんしん』!」

「フィァァアアア!!」

 

リーフィアの竹による視界不良を利用して『かげぶんしん』を使わせる。

『かげぶんしん』は相手の撹乱にはもってこいだけど唯一欠点として分身には影が出来ないっていう致命的な弱点のせいで使える場面が大きく限られる技でもある。

 

だけど影ならこの竹林て十分過ぎる程確保出来ているからそうそう本体を見破られることはないだろう。

 

「ザボアザギル!『ハイドロポンプ』で竹林を凪払え!!」

 

っ!!やっぱりそう来るか!

 

ザボアザギルの吐き出した大量の水によってリーフィアの分身が竹林ごとなぎ倒されていく。

 

リーフィアの作り出す竹は成長速度こそ凄まじいけど通常の竹よりも枯れやすくて比較的折れやすい……垂直に突く分には十分な強度になるけど横からの衝撃にはめっぽう弱いんだよね。

 

このお陰で影が分かるようになったしまった……流石のライズもこのチャンスを逃すとは思えない。

ここは被弾覚悟で行くしかない!

 

「ザボアザギル!上だ!『ハイドロポンプ』!!」

「リーフィア!『こうかくまとい』!」

「ザバババババッ!!」

「ッッっ!!!フィーア!!!」

 

リーフィアはザボアザギルから攻撃を受ける前に自分の身体にブレスを吐いて即席の白い甲殻を作って受ける。

 

この状態になると動きが鈍くなる上に『バンブーランス』な威力が下がって竹も生やしにくくなるから痛いけど『ぼうぎょ』と『とくぼう』が上がる!

 

元々みずタイプにはかなり強いからダメージもほとんどない。

 

アイススピナーを警戒して上に跳ばして正解だった。

 

「リーフィア!『せいなるつるぎ』」

「フィィィィィィィィィィイイイア!!!」

 

リーフィアが側に落ちていた竹を口に加えて剣のように扱ってザボアザギルを切り裂いた。

 

「ザッ!?サボア………ッ!!」

 

弱点なのもあって元々消耗していたザボアザギルはそのまま倒れていく。

 

だけど……。

 

「ッ!?フィア!?」

 

ザボアザギルが倒れると同時にリーフィアの身体に即席の白い甲殻が更に出来ていた。

リーフィアの特性が発動したってことは攻撃を受けていた!?いつの間に!?

 

よくみるとリーフィアの身体が若干凍り付いている。

 

…………やっばり油断できない。





リーフィア(がおうのすがた)
しんりょくポケモン
くさ・ドラゴンタイプ

H:105
A:120
B:110
C:60
D:100
S:105

特性:ネムリノヨロイ
攻撃を受けると『ぼうぎょ』『とくぼう』が一段階上がり『すばやさ』が一段階下がる。
『こうかくまとい』含めて三回同じ効果が発動した最に相手をねむり状態にして自分も1ターン動けなくなり、甲殻が剥がれて『ぼうぎょ』『とくぼう』が元に戻る。

わざ

・『バンブーランス』 くさ ぶつり 威力120 命中95
甲殻を纏う度に威力が40ずつ下がる。

・『こうかくまとい』 くさ へんか
甲殻を纏い『ぼうぎょ』と『とくぼう』を一段階上げて『すばやさ』を一段階下げる。
一度纏うと甲殻が剥がれないともう一度使えない



サンダース『ジンオウのすがた』
かみなりポケモン
でんき・かくとうタイプ

H:65
A:110
B:60
C:100
D:60
S:130

特性:ちょうたいでん
でんき技を使う度に身体に電気を蓄える。
3回使うことにより自身のすべての能力を一段階上昇させる。

わざ

『らいこうちゅう』でんき とくしゅ 威力75 命中90
35%の確率で相手を麻痺にする。
『ちょうたいでん』発動後は威力が25上昇して確実に麻痺させる


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少年とスター団との決着 その6★

 

 

ライズ視点

 

~アカデミー校庭~

 

 

あのリーフィア……攻撃を受けた部位が突然白い甲殻を纏ったな。

技の指示も無かった辺り特性による物なんだろうが効果がどうにも読めないな……。

それに下手にこおりタイプのポケモンで攻めようものなら『せいなるつるぎ』で手痛い反撃を受けてしまう。

 

そうなるとどうするべきか……

 

今の手持ちは無傷の状態のネクロムとニャンター、消耗しているアグナコトルの三匹でグラビモス、ギギネブラ、ザボアザギルが戦闘不能になっている。

 

アグナコトルを出してもさっきの二の舞になるのは見えている。

ならここで出すべきなのは……。

 

「ニャンター!頼むぞ!」

「お任せあれにゃ!!」

 

今ニャンターに持たせている鎧は青空のような蒼と何もかもを飲み込みそうな黒の二色の甲殻及び鱗によって構成された鎧だった。

 

その手には同じく蒼い鱗に包まれた大剣を持っていた。

 

ピケタウンで入手した物とは色違いになるがこの鎧をつけているニャンターは覚える技が変化していた。

 

「ニャンター!まずは『ビーストへんげ』だ!」

「ニャァァァァァァアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!」

 

ニャンターは『ビーストへんげ』を使うことでフォルムが変化して『こうげき』が大きく上昇して素早さが上がった。

 

「ピーニャの時の技……!リーフィア!気を付けて!」

「フィィア!!」

 

…………やっぱりだ、リーフィアの動きが大きく鈍くなっている。

 

「ニャンター!『かんつうブーメラン』!!」

「リーフィア!『バンブーランス』で防いで!」

「リィィィィイイイッ!!!」

 

リーフィアが地面に前足を叩きつけてニャンターの投げた『かんつうブーメラン』の前に竹を生やす。

だが甘い!

 

「なっ!?」

「リィ!?フィァァァアア!?!?」

 

伊達に貫通という名前がついてる訳じゃない。

ニャンターのブーメランはリーフィアが作り出した竹を悉く"貫通"してリーフィアへと襲いかかる。

 

そしてリーフィアに『かんつうブーメラン』が直撃してリーフィアの身体がさらに白い甲殻に覆われた?。

 

それにしても今の『バンブーランス』……少し妙だったな。

あまりにも出てくる竹の量が減っていた。

普通に考えれば前方に大量に発生させるだけでも十分防御として成立するはずだがあまりにも出てくる竹の量が少なかったのだ。

 

恐らくだがあの甲殻が生えた場合竹を生やす能力が下がってしまうと言うことか。

 

するとリーフィアの様子が大きく変化していった。

なにやら様子がおかしい……。

 

「リ……フィ……フィァア………フィィィィィアアアア!!!!」

「なっ!?」

「にゃんと!?」

 

リーフィアの全身に生えた白い甲殻の全てに一気に亀裂が入り、白い煙が吹き出し始め一気に爆発する。

 

「ニャンター!自爆覚悟で済まないが『おおタルばくだん』!!」

「にゃんですとぉ!?でもやるっきゃないにゃ!ニャンターは度胸にゃぁぁぁああああ!!!」

 

ニャンターは俺の咄嗟の指示に自分の目の前に『おおタルばくだん』を設置して自分から起爆することで自爆する。

 

正直これに関しては完全に勘で動いた。

 

これを喰らうのはあまりにもヤバいと思ったのだ。

 

「あっちゃぁぁぁぁぁああああ!?!?ダメージはすくにゃいけどあっついもんはあっついにゃぁぁあああ!?!?」

 

ニャンターの毛に軽く引火していたが今のニャンターのタイプはほのおタイプが追加されており、あまり大きなダメージになっていない。

 

それに今の煙……『おおタルばくだん』で巻き上げられた奴が今近くで野次馬していたポケモンまで飛んで吸い込まれたんだが……一瞬でそのポケモンが眠らされていた。

 

リーフィアは大きく体勢を崩してしまっていた。

 

「まさかあんな方法で防ぐなんて!?」

「よしっ!ニャンター!今だ!『れっかざん』!!」

「旦那さんさては鬼畜かにゃ!?ともあれ容赦はしないにゃよぉ!ニャニャニャニャニャニャニャッ!!」

 

ニャンターが新たに習得した技『れっかざん』による無数の連続攻撃がリーフィアへと襲いかかった。

 

「フィッ!?フィィア!?フィァァァ!?」

 

攻撃が当たれば当たる程リーフィアに白い甲殻が張り付いていく。

 

やっぱりさっきの爆破はリーフィアにはかなり負担が大きいようだ。

 

攻撃が当たっているというのにリーフィアは全く避けようとする様子がない。

 

「リーフィア!?」

「リ……リィ……リィィィィイイイ……フィィィィィィィイイイイイ!!!!!!」

「にゃにゃにゃっ!?!?」

 

リーフィアが最後のあがきとばかりにまた爆発してニャンターがモロに巻き込まれた。

 

「ニャンター!?」

「にゃ……にゃにゃ……zzzZZZ………。」

 

ニャンターはまともに抵抗する事も出来ずに強制的に眠らされてしまった。

 

「フィ……フィァァァ……。」

 

だが同時に耐えきることが出来なかったのかリーフィアも地面に倒れていった。

 

目を回しているのが分かる。

 

戦闘不能には出来たがニャンターが眠らされたか……残りは全快のネクロムとかなり消耗しているアグナコトルか……。

 

 





『れっかざん』ほのお 物理 威力20 命中85
外れるまで連続で当たり続けて最大10回ヒットする。


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少年とスター団との決着 その7

 

 

ボタン視点

 

 

~アカデミー校庭~

 

 

もう最後の一匹……ライズのポケモンはニャンターは眠ってるから大丈夫、アグナコトルは大きく消耗させられている。

 

そうなるとやっぱり最後の一匹……ビワ姉との戦いの時にチーム・カーフを蹂躙したネクロムってポケモンさえ突破出来れば……。

 

「いくよ!ニンフィア!!」

「フィィイア!!!」

 

私は最後の一匹……私の手持ちの中で一番の実力を持ったニンフィアをくりだした。

今のニンフィアはたまたま私が見つけたウルトラホールから流れてきた鎧を持たせた事で他のブイブイ達と同じく大きくフォルムを変えていた。

 

唯一ニンフィアに持たせた鎧はあのニャンター用のサイズじゃなく人間の大人が着用するような鎧……というか和服に近いものだった。

 

サイズがサイズだから一部をニンフィアに持たせたんだけどたったそれだけでもフォルムが変化した事からこの鎧の元になったアナザーポケモンは余程力が強いんだろうなぁ……。

 

ニンフィアの姿はまるで色違いのように美しい青紫と純白の毛に鱗、アグナコトルのような形の魚と爬虫類を合わせたような尻尾に顔や背中にある美しいヒレが生えている。

反面脚の爪が大きく発達してとても鋭く大きくなっている。

だけどこれにニンフィアのリボンが合わさってもとから可愛かったニンフィアがさらに可愛くなった。

 

ただ……今のニンフィアのタイプはフェアリー・ほのおタイプになってて正直見た目詐欺も良いところだと思う。

 

「まるで狐のような特徴にアグナコトルのような発達の仕方をした魚竜種の特徴……単純に見ればフェアリー・みずといった所だが……断定するには速そうだな。」

 

やっぱりライズは見抜いてくるか。

 

「ニャンター、ゆっくり休んでてくれ。」

 

ライズはニャンターをボールに戻して腰についてるボール用のホルスターに戻す。

 

あれ?良くみたらホルスターのボールは6つ……そのうちの一つがガーグァなのは知ってるけどネクロムってポケモンのボールは一体何処に……。

 

「まさかここまで追い詰められるとは思わなかった。

お互いに実質最後の一匹同士……俺はまだ二匹残ってるが状況的にこいつが突破された時点でアウトだ。

全力でぶつかるから覚悟しておけ!」

 

そう言ってライズは服の内側からネックレスを取り出してその中央の飾りの一部を外すと一気にサイズがモンスターボールと同じように大きくなった。

 

まさかあれがモンスターボールの一種だったなんて……。

見たことがないタイプだ……少なくともこの地方やガラル地方じゃ全く流通してないんじゃないかな?

 

「いくぞ……ネクロム!」

「クロロロロロロロロロロロロッ!!!!!」

 

ライズがボールを投げるとまるでウルトラホールのようなエフェクトと共に赤く光る発光体と紺色の結晶のような身体を持ったポケモン……ネクロムが現れた。

 

直接目の前で相対してみると良く分かる。

凄まじい威圧感……今までに出会ったどのポケモンよりも桁違いのオーラを感じる。

 

一体このポケモンはなんなのだろう……伝説のポケモンと言われても納得出来そうだ。

 

「いくぞ……ウルトラバースト!!」

「クロロロロロロロロマッ!!!!!!!」

 

ライズの腕輪に付けられたクリスタルが光り輝くと同時にネクロムの姿が大きく変化していく。

紺色の結晶体が白銀に染まり発光体も白銀へと色を変えてフォルムがドラゴンのような姿へと変わっていった。

 

もし本当にドラゴンタイプならこちらが有利だけどあのポケモンの強さは十分過ぎるほど見せられている。

 

「いくよ、ニンフィア!!テラスタル!!」

 

私は懐からテラスタルオーブを取り出して力を込める。

 

「フィァァァアア!!!!」

 

ニンフィアの姿がテラスタル結晶に覆われて頭にハートの形をした冠を被ってピンク色の結晶に身を包まれたニンフィア……フェアリーテラスへと変化した。

 

するとライズも懐からテラスタルオーブを取り出し始めた。

 

やっぱりライズもテラスタルをしてくるか……。

 

「光輝け!!テラスタル!!」

 

ライズが投げたオーブによるネクロムの全身がクリスタルに覆われ、内側から破り紫色の大きな瞳のような飾りをした冠を頭に乗せているネクロムが現れた。

 

不味いなぁ……エスパータイプに変化した事でドラゴンタイプが消えてエスパータイプのみになった以上こちらで弱点を突くのは難しくなった。

 

…………あそこまで強化されたとなるとこっちも様子見なんて言ってられない。

 

「ニンフィア!『妖炎なる舞(ようえんなるまい)』!!」

「フィィィィア!!フィァァァァァァアアアアア!!!!」

 

ニンフィアが炎を纏った泡を大量に出しながら爆発してして青白い炎を吹き出しながらフォルムを変化させる。

 

「いくよ!ライズ!!」



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少年と全力のぶつかり合い

 

 

ライズ視点

 

 

~アカデミー校庭~

 

 

青い炎……タイプはフェアリー・ほのおタイプだったのか。

 

正直見た目の特徴的には水棲のポケモンの特徴が強く出ていたがまさかほのおタイプだとは思わなかったな……。

 

それに燃える泡……恐らくだが可燃性の高い油……いや、あれだけの量の泡となると潤滑油クラスの粘性の低い物を分泌しているのか?

 

それにあの青白い炎……イッシュ地方の電設のポケモンであるレシラムが攻撃に用いたというのを聞いたことがあるな。

 

科学的に考えるなら相当な高温なはずだ。

あれは食らえばいくらネクロムといえどかなりのダメージになりそうだな。

 

「ネクロム!『フォトンゲイザー』!!」

「シカリッ!!リノッ!!」

 

ネクロムが頭部の冠が光輝き、広範囲に大量のレーザーを発射して自分のサイコパワーを駆使してその全てがニンフィアへと向かって曲がっていく。

 

「ニンフィア!潤滑油で滑って!!」

「フィィア!!」

 

ニンフィアが身体を震わせて前方に泡を大量に発生させながらフィールドを縦横無尽に滑り抜く。

 

『フォトンゲイザー』のレーザーが数発そのまま地面にぶつかって外れているがサイコパワーのホーミング性能は高くこのままなら打ち落とされない限りは直撃するだろう。

 

「ニンフィア!『きつねびあわ』!」

「フィア!フィァァァアア!!」

 

ニンフィアが更に身体を大きく震わせて大型の燃える泡を後方へとばら蒔いて『フォトンゲイザー』を迎撃する。

 

潤滑油で滑ることによるあの素早さに魚のような身体を上手く用いた高い旋回能力……更に燃える上にぶつかると爆発する泡……これは厄介だな。

しかもニンフィアが通った跡がしばらく燃え続けているからこれは接近戦を想定したポケモンで戦えば確実に鴨にされてしまうだろう。

 

「ニンフィア!『月下泡影(げっかほうよう)』!!」

「フィァァァアア!!フィィア!!」

 

ニンフィアがネクロムへと向けて急接近しながら級ブレーキをしながらネクロムの巨体を覆い尽くす程の巨大な泡を作り出して発射する。

 

あのサイズでしかも簡単に割れないとなると『フォトンゲイザー』や『シャドーレイ』のような線の攻撃じゃまともに割ることが出来ないだろう。

恐らく貫くだけじゃ足りない、割るのなら大きな穴を開ける必要がある。

 

だが『プリズムレーザー』では割るだけなら出来るだろうがその後に反動で動けなくなる。

 

それに泡で拘束するだけとも思えない。

なら泡はわざと受けるしかない!

 

「ネクロム、いつでも迎撃出来るようにわざと受けろ!」

「ッ!!シカリッ!!」

 

ネクロムの方も俺が何を意図しているのかを理解したのかすぐに全方向へと迎撃を出来るように全身にサイコパワーを溜めている。

 

ネクロムがこの姿になれるようになってからなんとなくだが俺とネクロムが何か繋がっているような感覚を俺は感じている。

だからこそネクロムと俺はほぼノータイムで何を考えているのかを理解し合う事が出来る。

 

正直こいつとずっと一緒にいるからってのも大きい、だが事実として最悪指示無しでも俺達は連携を可能としていた。

ならなぜわざわざ指示を出したのか、それはボタンへ真っ向から立ち向かう事を伝える意図もある純粋に指示をするかしないかで行動の正確性が変わるためだ。

 

「フィィィィィィィイイイイイ!!!」

 

泡で包まれたネクロムの正面から立ち向かって跳び上がり、月を背後に口に青白い炎を放つ潤滑油を溜めて凄まじい勢いのレーザーを放つ。

 

蛇行しながら向かってくるか……。

 

待てよ……待て…………今だ!!

 

「ネクロム!『プリズムレーザー』!!!」

「ッ!!クロロロロロロロロマッ!!!!」

 

ネクロムが全身の光を一点に集中して放ち、ニンフィアの放つレーザーへと真っ向から立ち向かう。

 

お互いの攻撃が相殺されて爆発するが『プリズムレーザー』の方が威力が高く、枝分かれしたレーザーがニンフィアへと直撃して吹き飛ばされる。

だがネクロムを包み込んだ泡が大爆発を起こしてネクロムもダメージを受ける。

 

お互いへのダメージは結構大きいな。

完全な直撃ではないにしろこの威力か……。

ネクロムからこちらに伝わる感覚から可燃性の高いガスも内側に内包してるなこれ。

 

「…………ボタン、いくぞ。」

「ッ!!うん!」

 

俺はZリングに装着している『ウルトラネクロZ』の力を完全解放してネクロムへとその全てを注ぎ込む。

 

「ぐっ!?」

 

ポーズを終えると共に俺から凄まじい力が抜けていき、俺は膝をついてしまう。

だが後はその全てを叩き込むだけだ。

 

「ニンフィア!あれ(・・)で迎え撃つよ!」

「フィア!」

 

ニンフィアは大量の泡を上空へと飛ばし、その全てを融合させて超巨大な泡を作り出す。

 

青白い炎を出している泡の内側がどんどん変色してまるで太陽かと見間違う程の黄金の巨大な球体を生み出す。

 

それが臨界を迎えて凄まじい熱波を放ちながら墜ちてくる。

 

「ニンフィア!!『墜陽(らくよう)』!!」

「ネクロム!!『天焦がす滅亡の光』!!」

 

それぞれの最大の一撃がぶつかり合う。

 

だが徐々にだがネクロムの一撃が泡を押し始めている。

 

「…………ッ!!!ニンフィア!!全ての力を注ぎ込んで『ムーンフォース』!!!」

「フィァァァァァァアアアアア!!!!!!」

 

するとニンフィアが『墜陽(らくよう)』と同じくらい巨大な『ムーンフォース』を放ち、『墜陽(らくよう)』と融合させて迎え撃つ。

 

「…………ネクロォォォォォォォォォォム!!!!!」

「クロロロロロロロロロロロロッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

お互いの攻撃が限界を迎えて炸裂し、お互いのポケモンがアカデミーの壁まで吹き飛ばされた……。



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少年と双子とスターダスト☆ストリート

すんません……また寝落ちしました。


 

 

ライズ視点

 

~アカデミー校庭~

 

 

ニンフィアとネクロムの全力の一撃同士がぶつかり合い、お互いのポケモンがアカデミーの壁にめり込むまで吹き飛ばされる。

 

ネクロムと繋がっている俺に帰ってくる反動も凄まじく、ウルトラバーストを結局維持し続ける事が出来ずに解除されてしまった。

 

「シ…………シカ…………リッ!」

 

だが元の姿に戻ってもネクロムはまだ完全に力尽きてはおらず、壁から少しずつ自分の体を起き上がらせていく。

 

だがまともに飛行するほど力は残っていない……ニンフィアは……。

 

「フィ……フィィィァァァ…………。」

 

良く見てみるとニンフィアは目を回して気絶しており、テラスタルによって覆われたクリスタルの身体が砕け散り、そのままボタンのボールへと回収されていった。

 

「お疲れ様ニンフィア……これで……終わり。」

 

ボタンは悔しそうに顔を反らしながらそう呟く。

 

「終わったよ、みんな……。」

 

ボタンは今までのボス達と同様何か懐かしい事を思い出すように目を瞑り、どこかやりきったような顔をしていた。

 

だが同時にどこか寂しそうにしていた。

 

しばらくすると気持ちの整理もついたのかボタンが俺に声をかけてくる。

 

「ありがと……ライズ……それにヴィオ、レティ、ネルケも……。」

 

ボタンはそう言いながらゲートのある方へと顔を向けてそこにいつの間にか来ていた三人へと声をかける。

 

「お疲れ様二人共……。」

「二人ともがんなったわね…….まぁ色々と聞きたいことが出来たのだけど。」

 

まぁ、ヴィオの言いたい事は分かる……俺としてもなかなか気になっていた。

 

「うん、後でそれも教えるよ。

これでうちもスター団も終わ……。」

「待ってくだ……くれないか?

改めて確認したいことがある。」

 

ボタンが終わりと言いきる前に校長先生が待ったをかける。

というか校長先生……口調口調……。

 

「確認?」

「マジボスであるあんたが何故スターダスト大作戦を企てた?」

「解散しようって言ったのに誰も団やめないから……。」

「マジボスが命令しても?」

「お願いはしても命令はしない。

……そういう団の掟だし。」

 

まぁやはりそうだろうな……今までの団のボス達と話をして……戦って……俺達としてもあいつらにとってスター団という存在がどれだけの物なのかは身を持って知っていた。

だからこそ諦めきれなかったんだろうな……皆との繋がりを……自分達の築き上げたスター団が解散するということを。

 

「掟……ボス達も掟を大事にしていた。」

「だから掟使って団を解散させようと思った。」

「掟で決められた理由ならみんなスター団をやめると?」

「そう……掟にのっとって戦わなきゃダメだった。」

「それでスターダスト大作戦を…………。」

 

掟……恐らく彼らは虐められた過去があるからこそこの決め事を重要視したんだろうな……。

 

「カシオペア……最後にひとつ聞かせてくれ。

あんた達にとってスター団……団の仲間達はどういう存在なんだ?」

 

「……………………………………大事な……宝物だよ。」

 

ボタンは心からそう思っている為か少し寂しそうな顔をしてそう答える。

 

すると校長先生が姿勢をきっちりとただし始めた。

 

あ、ついに隠す気完全になくしたなこれ。

 

「よろしい、よくわかりましたボタンさん。」

「……はっ?」

 

ん?あれ……ボタン…………まさか?

 

「私からボタンさんにお話したいことがあるのです。」

「え?しゃべり方どうした!?

急に怖……。」

「……そうですね。

まずは正体を明かしましょう……ハッ!」

 

校長先生は変装に使っていた制服やカツラ等を一気に脱ぎ捨てる。

 

するとボタンが心底驚いた顔をしていた。

 

「こっ……校長ーっ!?」

 

まさかあんなバレバレの変装に気付いてなかったのか!?

 

「カシオペアがボタンさんならばネルケはクラベルだったのです。」

「……いやなんで!?

というか三人はネルケ……校長の事……!」

「知ってたわよ?」

「うん、割と最初から。」

「隠す気無いだろってくらいにバレバレの変装だったし。」

「ふぐっ!?」

 

あ、校長が崩れ落ちた。

 

「ス……スター団の皆さんときちんとお話するためです。

教師と生徒……まして校長が相手では皆さんの本音が聞けないと思ったからです。」

「だからってえー……変装までする!?

ヅラのチョイスも意味わからん……。」

「ぬぐぅ!?

…………コ……コホン。

そろそろ良いでしょうか?

皆さんいらしてください。」

 

皆さん?

すると入口側から複数の生徒が……ってあいつらか。

 

「……え?」

「久しぶりだなマジボス!」

「……ピーちゃん。」

「久しぶりってか初めましてだろ?

本当の名前も今知ったしさ。」

「……メロちゃん。」

「初めて見るマジボスのご尊顔。

誠に眼福でござるな。」

「……シュウメイ。」

「えーと本名ボタンだっけ?

元気にしてたの?」

「……オル君。」

「やっと会えたね……すっごく心配してたんだよ……。」

「……ビワ姉。」

 

スター団のボス……いや、元ボス達がこれで全員勢揃い……校長先生め。

なかなか粋なことをするな。

 

「じゃあせーので……。」

「「「「「お疲れ様でスター!!」」」」」

 

 

 



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少年と双子とSTC

 

 

ライズ視点

 

~アカデミー校庭~

 

 

 

「さて、ボタンさん。

そしてボスの皆さん……アカデミーを代表しスター団に申し上げます。」

 

校長先生がスター団のボス達全員の前で改まってそう答える。

 

スター団のみんなは緊張してるのが目に見えて分かるが……いままでのネルケとしての反応から考えれば……。

 

「本当に申し訳ございませんでした。」

 

校長先生はそう答えながら深く頭を下げた。

そしてその対応にボタンが大きく動揺する。

 

「……え?」

「アカデミー校長クラベル一生の不覚です……。」

「……え?え?」

 

ボタンが今の状況が何一つ理解できてないのかかなり混乱しているな。

まぁ無理もないか……ボタン達からすれば退学を言い渡されてもおかしくないと思っていただろうしな。

 

「スター団結成の理由……活躍はボスの皆さんに聞きました。

私が赴任してから見ていたいじめのないアカデミーの姿は……あなたがたの悲しみと怒り……勇気が勝ち取っていたということを。」

 

俺達もパルデア中を回っていて最近知ったことだがスター団自体はアカデミーを離れて好き勝手やってた訳ではなく普通に困っている人の手助けや居場所のない者達の新しい居場所になっていたりと噂が宛にならないレベルでの善良性を示していた。

 

やはり一部の勘違いした新人達の暴走が根本的な悪い噂の原因だったのだ。

 

「……結論から言います。

スター団への解散要望およびボスの皆さんへの退学勧告は……ただちに撤回いたします!

 

するとスター団のボス達全員の表情がどんどん困惑から明るくなっていく。

 

「つまりそれってさ……。」

「ええ!スター団の解散はもはや必要ありません!!」

 

校長先生がオルティガの疑問に大きな声でそう言いきった。

 

今この場は俺のスマホロトムからナンジャモの宣伝を通じて今パルデア全土に向けて配信している。

スター団全員へしっかりと伝える意図もあったのだろうな。

 

そしてボス達は余程嬉しいのかボタンの元へと集まって抱き合っている。

 

「やったぁー!ボタンちゃん!これからもみんな一緒だよ!」

「恐悦至極でござる!」

「で、でも……うち、皆を裏切って……。」

 

カシオペアの正体がボタンだと勘づいた頃から思ってはいたが……やっぱり負い目を感じていたか。

だがあの様子なら大丈夫だろう。

 

「スターダスト大作戦のこと?クラベル校長から聞いたよ。」

「団にこだわって退学しそうなボクらを心配しての行動だろ?」

「普通に解散って言われてもハイそうですかってオレらじゃねぇし。」

「我らを思うボタン殿の心中察するに余りある……。」

「心配させてごめんね、わたしたちもう大丈夫。」

 

オルティガ、ピーニャ、メロコ、シュウメイ、ビワはボタンにその本心を次々と伝えていく。

 

「だ!だとしても……。」

 

とボタンが言い淀んでいると校長が手を叩いて全員が校長へと顔を向ける。

 

空気を読んでくれと言いたいところだがまぁまだ校長の話はおわってないみたいだしな。

 

「……話を続けますね。

先程申し上げたようにスター団への解散要望は取り下げます!!ただしスター団の皆さんが行った……」

 

あぁ……だいたい察しがついてきたわ……。

 

「長い無断欠席!」

「うぐっ。」

「制服の改造!」

「ぬうっ!?」

「アカデミー備品の勝手な持ち出し!」

「ゲッ。」

「ライドポケモンの改造および爆走!」

「うぅ……。」

「……などなどなど!学則違反もろもろは見過ごせません!」

 

まぁ校長先生として立場を考えれば当然といえば当然なのだろうな。

 

スター団の全員の顔が暗くなっていく。

 

「ゆえに処分として奉仕活動をしてもらいます!」

「奉仕活動……?」

「はい、スター団の皆さんにはSTCの運営をお願いします。」

「エス、ティー……なんの略?」

「SはStar(スター)、Tは"T"raining(トレーニング)、Cは"C"enter(センター)を意味します。

スタートレーニングセンター。

アカデミーとポケモンリーグで新設するトレーナーを育成するための施設です!

これは三人がアジトにカチこんでいる時にひらめきました。」

 

ん?つまりは……あれを生徒にやらせるわけか?

 

「スター団の戦法やアジトはユニークかつ独創的!

ですのでアジトはトレーニング施設として、スター団はSTCスタッフとして活動を継続していただきます。

……以上、質問はございますか?」

 

既にあるスター団のアジトを活用して無駄な出費を一切出してない辺りが流石だな……

 

思い付いたの校長でもこの辺の多分オモダカさんだなこれ?

 

「いや、楽しそうだしなんかwin-winっぽいけど……。」

「オレ達がいうのも変だけどさ、ボタンも一緒にやろ!」

「左様……ボタン殿もともに……。」

「学校も一緒に通おう!何があっても私たちが守るよ!」

「スター団も学校も両立できたらいいなってボクらで話してたんだ。」

「……ダメか?」

「みんな……。」

 

 

ボス達の説得にだいぶ悩んでいるのかボタンは俺達の方に顔を向けてくる。

 

「三人とも……どう思う?」

 

そんなの決まってるさ……。

 

「「「ボタンがやりたいことを選べば言いと思う()。」」」

「で…でもでも!うーん……うーん……。」

「今決めなくても大丈夫ですよ、ゆっくり考えてください。

ひとまず解散しましょうか……団ではなくこの場を!」

 

その辺はきっちり訂正する辺り校長らしいな……。

 

 



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少年と双子とボタンのやらかし

 

 

ヴィオ視点

 

~アカデミー校長室~

 

 

 

「三人共いらっしゃいましたか。」

 

私達はあの後バトルの後始末と自分のポケモン達の回復をしたり軽く休憩を入れてから校長室にやってきた。

 

実はさっき解散した直後に校長先生がライズに耳打ちして私達含めて後で校長室に来てほしいと言われていたらしい。

 

「スター団の一件に関してお礼を伝えたくてお呼びしました。

貴殿方がいなければ私はスター団の皆さんに誤った処分をしてしまうところでした。

誠にありがとうございます。」

「いやいや、こっちもこっちで見過ごせなかっただけですし。」

「途中から何だかんだで私達もどんどんスター団の疑問が増えてましたから。」

 

すると入口の方からドアをノックする音が響いてくる。

 

「どなたでしょうか?」

「……ボタンです。」

 

あら?校長先生ボタンの事も呼んでいたのかしら?

でもなんか反応がおかしいような?

 

「どうぞ入ってください。」

「おジャマします……。」

 

そう言って校長室に入ってきたボタンだったのだけど……なんかすっごく冷や汗かきまくってる上に気まずそうにしてるわね?

なんかいやな予感するのだけど?

 

「STC……えっと……みんなと……やってみたいんですけど。」

「それは素晴らしいですね。

良いお返事をありがとうございます。」

 

あぁ、さっきの件の返事……ならなんでそんな気まずそうにしてるのかしら?

 

「でもあの……うち……みんなより処分重くなるような気がしてて……。」

「スターダスト大作戦を指揮したから……ですか?」

 

それもそれで理由としては変じゃないかしら?

確かにスター団のボスやスター大作戦っていうやらかしはあっても皆を守るためだったのだしスターダスト大作戦も皆を退学させないためだったわけよね……どういうことかしら?

 

「いや違くて……うち、完璧悪いこともしてて……。」

「完璧悪いこと?」

 

あ、あら?なんかボタンの冷や汗の勢いが増してめっちゃ目が泳いでるのだけど……本気で何をしたのかしら?

 

「スターダスト大作戦でギャラとして配ってたLP……あれ、リーグのLP管理システムハッキングして……ちょっと、あの……不正発行してて……。」

「ちょっ!?」

「え゛っ!?」

「…………そう来たかぁ。」

「あぁ……なんということを……。」

 

そのとんでもない事実に私達は驚きの余り固まってしまった……ライズに至っては頭を抱えている。

 

ちょっとまって……マジで待ちなさい……それって私達も不正発行したLP使ってた訳だからどう考えてもアウトよね!?

 

「そもそもポケモンリーグのシステムわハッキングできるとは……。」

「や、そんなにムズくない……じゃなくてごめんなさい……。」

 

すると立ち直ったレティが私とライズに小さな声で耳打ちしてくる。

 

「ね……ねぇ?ポケモンリーグのシステムってそんな簡単にハッキングされるようなものなの?」

「…………普通にムリ、一部の地方のなんかはリーグに重要機密なんかの情報も入ってるからどの地方のリーグシステムも防犯対策はかなり万全にしてあるし追跡なんかの体制も万全……のはずなんだが。」

「私のスマホ……あれでもカシオペアもといボタン用に防犯用のアプリ20は入れていたのだけど……彼女はあっさりと抜けてた辺り相当よ?」

 

というかリーグの内情に関してそこまで詳しく知ってる辺りライズもライズね……。

 

「……流石にその件は私の範疇を超えますね。」

「一応ポケモン博士としての俺の権限があっても流石に黙っとくって訳にはいかないな……。」

「ポケモンリーグのトップであるオモダカさんにも相談してみます。」

「……ですよね。」

 

まぁ直接的な被害としてはリーグ側だものね……。

ちなみにライズに聞いたのだけどポケモン博士には一応警察と同様の権限も軽く持ち合わせてるらしい。

ポケモン犯罪や研究所からポケモンが盗まれるリスクを下げるためとも聞いている。

 

「申し訳ありませんがライズさん、スカーレットさん、バイオレットさんには少々席を外していただけますでしょうか?

準備が出来次第スマホロトムに連絡を入れさせていただきますので本日はテーブルシティの中でお待ちいただけますでしょうか?」

「わかりました。」

「ボタン……その……大丈夫だよね?」

「なんとかなるように努力はしてみます。」

「…………オモダカさんは一応話は分かる人だ。

だがかなり合理主義な所に加えて強引な所もあるから……まぁアオキさんのようにならなければ御の字だろう。」

 

ライズ……流石にそれは笑えないわ。

 

だけど私はいままでに会ってきたオモダカさんとアオキさんの事を思い出す……。

 

 

 

……………………ホントに笑えないわね。

 

あの人なら普通にやりかねないんじゃないかと思えてしまった……。

ボタンの無事を祈るしか出来ないわね……。

 

 

結局その後、私達はアカデミーの寮にあるライズの自室に集まっていままでの事を整理したり雑談したりして1日を終えていったのだった。



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少年と双子とスターダスト☆ストリートの終わり

 

 

レティ視点

 

~ポケモンアカデミー入口~

 

 

『ホワァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!(キボクラボイス)』

「「うるさっ!?」」

 

ボタンの一件の翌日の昼頃、私達はアカデミーの正門前に集まって何処かでお昼を一緒に食べようかと話していたらいきなりヴィオ姉のスマホロトムからすっごく耳障りな叫び声のような着信音が聞こえてきた。

 

毎度思うんだけどヴィオ姉は何を思ってこんな着信音にしてるんだろう?

 

「もしもし?」

『……ヴィオ?』

「あぁ、やっぱりボタンね?」

『うん、ちょっと話があってうちらが初めて会った学校の階段前にライズやレティと一緒に来て欲しい。

……待ってる。』

「え?あっちょっとボタン?……切れちゃったわね。」

「なんか随分と強引な呼び出しだったね。」

「まあ色々と不器用な性格なんだろう。

その辺は色々と察してやった方がいいだろう。

とりあえず場所も近いことだし向かうとするか。」

 

確かに……ボタンって基本的に頭すっごく良いけどちょくちょく変な所で天然というか不器用というかそういうところが見受けられる気がする。

 

とりあえず階段の前にいくと下の方に確かにボタンがいるのが見えたからそのまま向かっていくことにした。

 

「おーい!」

「ボタ~ン!」

 

私とライズ君が声をかけるとボタンは振り替えって私達の方に向く。

 

「……お疲れ様でスター。」

「「「?」」」

「団作ったメンバー6人で最初に考えた挨拶。

……ダサすぎて逆にアリだよね。」

 

あっ、ダサいって自覚あったんだアレ!?

 

「……LP不正発行の件、ヤバいことになると思ったのにあっさり許された……。」

「本当!?よかったぁ……。」

「いやほんとあのカミングアウトはだいぶ焦ったわよ……。」

「まぁリーグ側がなにも言わないなら俺としてもこれ以上とやかく言う理由も無いな。

本当によかったよ。」

 

するとボタンが目を反らす。

 

「うぐっ……その……ホントにごめん。

えっと……ポケモンリーグでエンジニアとして奉仕活動すればチャラだって。

卒業後もぜひ来て欲しいって言われた。」

「相変わらずあの人はその辺ちゃっかりしてるなぁ……。」

「ポケモンリーグのエンジニアなんてすごいじゃん!」

「まぁ普通に考えれば大出世なのでしょうけど……アオキさんみたいにならないでね?」

 

…………うん、アオキさんのやつれ方はちょっとその……ね?

 

「うん……校長にもオモダカって人にもなんかすごく褒められたし。

素晴らしい才能!だとか……。」

「確かに才能としちゃ凄いんだが……仕事の内容とかその辺は大丈夫そうなのか?」

「うん、そんな大した量じゃないし結構簡単なものばかりだから大丈夫。

…………………………呼んどいてごめん、リアルで話すの苦手なん。」

「ううん、気にしないで。

その辺はなんとなく分かってたから。」

「まぁだいたい予想はついてたよ。」

「その……助かる。

……うまく言葉が出てこないし……だけど……あの……あ、ありがとう……ございました。

三人のおかげでスター団も仲間も救われた……。

感謝してもしきれない、だからこれ……。」

 

そういってボタンはわざマシンを私達に一枚ずつ渡してくれる。

 

するとライズ君とヴィオ姉が凄い顔になってる……え?何?そんなに凄いわざが入ってるの?

 

「えーっと……何々……ゑ?」

 

私はスマホロトムを使ってボタンから渡されたわざマシンに入っている技を調べてみる。

するとその画面には……。

 

「りゅ……りゅりゅりゅ『りゅうせいぐん』!?」

「い、良いのかしら?こんな貴重品を……それも三枚もだなんて。」

「あぁ……俺みたいな立場でも滅多にお目にかかれない高級品だぞ。」

「うん、それに貴方達なら多分使えるはず。

……それと……皆に借り……返したい。

何かあったら言って。

特に機械とかハッキングとか得意分野……。」

「「「ちょっ!?」」」

「ふふっ冗談。

三人が困った時は今度はうちが助けるんで。

じゃあまたね、お疲れ様でスター。」

 

ボタンはそのままあの地獄の階段を走り抜けていった。

 

「…………まぁ頼もしいと言えば頼もしいわね。」

「だな……それにボタンのやつ……ネモと比べても遜色無いと思えるくらいには強かったぞ……若干焦ったわ。」

「それにしてもあの階段をあんなペースで走っていって大丈夫なのかな?」

「「…………あっ。」」

 

そうして私達が一斉にボタンが駆けていった地獄の階段の上の方を見上げてみると……。

 

「コ……コヒュー……コヒュー……カハッ……。」

 

あ、やっぱり……あれすっごく辛いもん。

それにボタンって相当なインドアっぽかったしなぁ……。

 

「…………助けにいくか。」

「締まらないわね……ホント。」

「まぁでもこういうのがある方がいつもの私達らしいんじゃないかな?」

「それもそうね。」

 

とりあえず私達は階段を登って死にそうな顔になってるボタンを保健室まで連れていくことにした。

 

 



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少年と双子と一時の別れ

 

 

ライズ視点

 

 

~テーブルシティ~

 

 

 

俺達はボタンを送り届けた後、テーブルシティにある『輝きのデストロイヤー』という謎過ぎるネーミングの店に入って少し遅い昼食を食べていた。

 

「それにしてもゴリランダーにメレシーか、面白い組み合わせのポケモンを店員としている店だな。」

「…………。」

「どうしたのヴィオ姉?顔がひきつってるよ?」

「ナンデモナイワヨ……。」

 

ゴリランダーはゴリランダーで全身にメレシーのダイヤを使ったと思われる装飾を着けているが動きの邪魔にならない場所のみに限っていて場所によってはまるで武器のようにも使えそうな物もある。

ゴリランダーがマスコットっぼいんだが用心棒も兼ねているんだろうな。

 

「さて、ボタン……というかスター団の件も片付いたからペパーに連絡をしなきゃな。」

「そうね、なんだかんだ数日待たせてしまってるものね。」

「それにポケモンリーグも挑める状態だからそっちもやりたいよね。」

 

そう、なんだかんだで色々な事が終わりに近付いてきているのもあってやらなければならないことややるべき事が複数重なってきている。

 

ポケモンリーグに関してはパルデアの大穴調査の許可をもぎ取るのに最低限チャンピオンクラスになっておきたいになっておきたい。

 

ペパーとの約束を果たすのに加えて今の状況からして最終的に俺たちで大穴に潜る必要があるのは確実だ。

それに博士の研究所となると最低限の機械知識もあって強さもしっかりあるやつといえば一人しか居ない。

 

そうなってくるとボタンも一緒に来て欲しい所なんだが……オモダカさんからのリーグへの奉仕活動の件もある。

調査に手伝って貰うんなら少しはリーグ側に協力するなりして貢献しておく必要もある。

 

…………仕方ないか。

 

「なぁ、一つ提案なんだが……一旦3手に別れないか?」

「ふぇ?どういう事?」

「今俺達の最終的な目標はパルデアの大穴になにが起きているのかを調査……出来れば解決しておきたい。

その為にもペパーの件に関しても無視出来ないしな。

そこでパルデアの大穴に入るなら最低限の調査許可はもぎ取りたいが……彼処はパルデア屈指の危険地帯だ。

最低でもチャンピオンクラスが1人……いや、二人は居ないと許可をもぎ取るのは難しいかもしれない。

さらには博士の研究所に入るとなると危険地帯でも自衛が出来るような強さを持っている機械に強いやつが欲しい。」

 

するとヴィオが納得するように何度か頷く。

 

「そう言うことね、ペパー、ネモ、ボタンの三人も一緒に行けるように説得する必要があるわけね。」

「あぁ、一応オモダカさんへの説明とボタンの同行許可の交渉は俺が向かったほうがいいだろう。

だから二人にはペパーや博士の件の調査、ポケモンリーグでのチャンピオンクラス取得を別れて行って欲しいんだ。」

「…………よく考えたら私達ずっと一緒だったけど別れて行動ってあんまり無かったよね。」

 

そういえば言われてみればそうだな。

旅をしてる時も別に別れる理由も無ければ単独行動をする理由も対してなかった。

 

流石にプライベートくらいは守るが基本的にずっと一緒の旅だったわけか。

 

「まぁ別れると言っても精々1日二日で済むと思うわよ?

どっちかと言うとライズの方が時間かかりそうで心配だわ。」

「あぁ、そっちは問題ない。

今までの度でアナザーポケモンの生態研究やら他のポケモンに及ぼす効果やらの研究成果が今大量にあってな。

リーグ側もリーグ側で未知のポケモンの情報は常に欲しがってるから十分交渉可能だ。」

 

問題としてはどのくらい質問責めにされるかなんだがな……確実に1日2日は拘束されるだろう。

 

「…………私がリーグに行ってくるわ。」

 

するとヴィオがあまり悩む様子もなくあっさりと実質自分がチャンピオンになると答えた。

 

「別にリーグを舐めてるとかそう言うのはないしペパーの件も大事だとは思ってる。

でも……多分バトルという一点に限って言えば今の所戦術の情報量的に私のが確実だと思うわ。

これでも伊達に前世でバトルを繰り返してないわよ。」

 

そうか……そう言えば元々ヴィオは前世でこの世界をゲームとして楽しんでいたんだったか……。

世界中で人気のゲームとして出ていた……つまりはバトルをする人口は下手したらこの世界よりも多いかもしれない。

この世界じゃポケモンと一緒にいてもバトルに人生を捧げてる人はかなり少ない。

それに現実と違ってゲームならバトルが終わった後すぐさま次の人とバトルのような行為を何度も続ける事が出来るわけだ……。

 

「うぅ……私じゃ確かにヴィオ姉にあんまり勝てないからなぁ。」

「あら?レティだって十分強いわよ。

なんと何度もバトルしてきているけどヒヤッとさせられるのはしょっちゅうだもの。

それにゲームと違って現実じゃ戦術は結構失敗を起こしやすいわ。

私が勝ててるのは初見殺しが多いだけよ。」

 

そうは言うがヴィオ……『きあいのタスキ』持ちやチイラの実を持たせて『こらえる』を覚えさせたかくとうタイプのポケモンに『きしかいせい』とか酷い時は無理矢理耐えて『がむしゃら』からの先制技を使ってくる時点で初見じゃなくても普通にまともに勝てる気があんまりしないぞ。

 

 



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紫の少女とポケモンリーグ

 

 

ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ試験会場前~

 

 

 

ライズ達と三手に別れた後私はテーブルシティすぐそこにあるポケモンリーグへと来ていた。

 

試験会場となる施設の前のポケモンセンターでそらとぶタクシーの登録をしていると入口側で話し声が聞こえてきてそこに視線を向けてみるとオモダカさんがいるのを見かけたので声をかける事にする。

 

「オモダカさん。」

「おや、バイオレットさん?

いよいよポケモンリーグに挑戦されるのですか?」

「はい、なので手持ちも今まで育てて来たポケモンの中でも特別特訓していたのを持ってきました。」

「それはそれは……所でスカーレットさんの姿が見えないようですが……?

ライズさんは先程ボタンさんの手伝いとデータの提出、論文の作成で缶詰になっていますが……。」

 

ラ……ライズ……。

 

「目的地が複数出来たので一度別れてから合流する事にしたんです。

別に一つ一つにしても良かったんですが今まで私達が離れて行動する事も無かったなと思ったんです。」

「そうでしたか……つまりこのリーグもただの通過点に過ぎないと考えているんですね?」

 

っ!オモダカさんから凄い威圧感が漂ってくる。

でもこんなの今までヤバイ奴らばかり相手しててもう慣れてるのよね。

 

「えぇ、まぁ見ていてください。

ちょっと度肝を抜かして頂こうかと思ってますから。」

「そうですか、それでは楽しみにさせて頂きましょう。

さて……チャンピオンランクになるための最後のテストは……。」

 

最後のテストは……?

 

「こちらの建物で行われているのです。」

「…………。」

 

溜めるだけ溜めて最後に叩き落としたわね……。

 

「バイオレットさんのご健闘を心より祈っております。

後程お会いできるのを楽しみにしておりますよ。」

「ええ、首を洗って待っててください。」

 

そうしてオモダカさんはリーグ施設の中に入っていった。

 

それにしても良く言った物ね……あの目を見れば分かる。

検討を祈っているとか楽しみに待っているのは確かだろうけどそこには油断も隙も何処にもない。

そして自分が負けるとは思っていないような圧倒的なまでの自信に満ちた目……慢心しない自信家程厄介な人は居ないわ。

 

慢心しないって事はつまりそれだけ自分の実力を見極められている証拠でありその上で自信に満ちているのであればそれは経験による物に他ならない。

下手しなくても普通のポケモンでアナザーポケモンを対処してきそうね。

 

すると先程までオモダカさんと会話していた職員の人が話しかけてくる。

 

「それでは早速ポケモンリーグチャンピオンテストに挑戦されますか?」

「はい!」

「えーとポケモンアカデミーのバイオレットさんですね。

お持ちのジムバッジは8個……と!

はい!それでは面接室へお入りください。」

 

め、面接?

 

なにそれ聞いてないんだけど。

 

 

職員の人に連れられて私はリーグ施設内のある一部屋の前へと訪れる。

 

職員の人がノックをすると中から『どうぞ』という声が聞こえてくる。

 

「それではお入りください。」

「はい、失礼します。」

 

私は扉を開けてからお辞儀をして閉め、面接官と思われる女性……チリさんのデスクの前に置かれた椅子の右横に移動して"座らずに立っている"。

 

少しチリさんが感心したような表情になる。

 

伊達に最初の人生で何度も面接やってないわよ。

 

「本日はお越しくださりありがとうございます。

どうぞおかけください。」

 

チリさんのその言葉を聞いてから私は横にある椅子にちゃんとした姿勢を崩さないように意識して座る。

 

それにしてもこの人こんな事するイメージ無かったから結構意外ね……。

 

「面接官のチリです。

これよりチャンピオンテストの第一次試験……面接テストを行います。」

「えーと、お持ちのジムバッジは……おお、8個ですか!

今からバイオレットさんにいくつか質問をさせていただきます。

回答によってはその時点でテスト不合格となる場合もございますのでご注意ください。」

 

気を付けなきゃね……それにしても四天王の前に面接って……この世界がおかしいのかこの地方がおかしいのかわからないわね。

 

「それでは始めます。

本日はどのようにしてお越しくださったんですか?」

「テーブルシティから徒歩で来ました。」

「それは良いですね。

普段通われている学校のお名前を教えてください。」

 

……?質問の意図が良くわからないわね。

 

「ポケモンアカデミーです。」

「そうでしたね、本日はポケモンリーグまで何をしに来られたんですか?」

「もちろんチャンピオンになるためです。」

「ええ、ええ……それ以外ありませんよね。

ではチャンピオンになってどうなさるおつもりですか?」

「…………私達の目標……この宝探しの最終目的……パルデアの大穴を目指します。」

「ッ!!!な、なるほど……そうでしたか。

続いて8つのジムの中でもっとも苦戦したのはどこですか?」

 

苦戦した所……正直一択しかないのよね。

 

「チャンプルジムです。」

 

あの紅兜だけは何故か強さの桁が一つ抜けてたのよね……ガノトトスの異空間タックルはコツさえ掴めばなんとかダメージは押さえられるけどあれは本気でヤバかったわ……。

 

「ほほう。

ではそのジムで挑戦したジムリーダーの名前は?」 

「アオキさんです。」

「……………………しっかりと覚えていますね。

アオキさんのポケモンのタイプは覚えてますか?」

「ノーマルです。」

 

だいぶ溜めた後チリさんは笑みを浮かべて若干空気を緩める。

とはいえ私まで油断するわけには行かないので引き締めた気が緩まないように注意する。

 

「素晴らしい!

チャンピオンテストに辿り着ける実力をお持ちだということはバイオレットさんはたくさんのポケモンと出会ってきたと思います。

その中で最初に選んだポケモンの分類は覚えていますか?」

 

っ!そこまで知ってるのね……プライバシーもなにもあったものじゃないわね。

確かホゲータは……。

 

「ほのおワニポケモンです。」

「……流石です。

申し訳ありません、同じ質問を繰り返させてください。

バイオレットさんはチャンピオンになってどうなさるおつもりですか?」

 

これは……意思確認なのかしら?あとはちゃんとリーグに挑戦してきたかどうかとかそう言うことなのかしら?

それにしてもなぜ面接?

 

「……私達の宝探しの最終目的地であるパルデアの大穴へと潜ってこの地方に起きている異常、それに友達の因縁に決着をつけさせてあげたいんです。」

「…………そうですか。

それでは最後の質問です。

バイオレットさん、ポケモンは好きですか?」

 

……冗談言わないで頂戴、そんなの一つに決まってるわ。

 

「好きじゃなければ家族のようにふれあうことも出来ませんから。」

 

するとチリさわが目を閉じて沈黙をする。

 

「…………………………………………。」

 

 

 

だ、大丈夫……よね?



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紫の少女と四天王

 

 

ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ会場内部~

 

 

「…………………………………………。」

 

チリさんがしばらく無言のままでいると急に笑みを浮かべて緊張感が一気に解ける。

 

「お疲れさん、以上で面接は終いや。

バイオレット、おめでとさん。

一次試験……面接テスト合格や!」

 

ふぅ、なんとかなったみたいね……それにしてもあまり面接の質問の意図が良く分からなかったわね?

 

「いやぁ、一発合格するとはなぁ。

というかあんたさんやたらと面接慣れしとらんかったか?

とてもその年で出来るような態度ちゃうでそれ。」

 

あぁ……そういえばこっちだとそもそも面接なんて子供がやるようなもんじゃなかったわね。

前世だと16の時点でバイトの面接とかあったから感覚が麻痺してたわね。

 

「さ!気持ち切り替えて次の試験や。

二次試験は四天王とのポケモン勝負……その名も実技テストや!」

 

…………いやあの……面接に実技テストとかどっかの受験かなにかなのここは?

いやまぁある意味受験に近いのかも知れないけど……。

 

「そのまんまやないかーいってツッコミは無しな。

ポケモンリーグ選りすぐりの四人のトレーナーとの連続勝負……それに各ジムリーダーから聞いとるで?お前さんらあのアナザーポケモンっちゅうのとのバトルも希望しとるんやろ?

あのポケモンらは実力が明らか次元が違うさかい本テストとは別口でやらせてあげるつもりやから楽しみに待っとき。」

「あ、やっぱり案の定全員持ってるんですね。」

「そりゃあなぁ……パルデア各地であんな暴れとるさかいうちらが駆り出されて捕獲及び調査もやっとるって訳や。

それにライズからもある程度聞いてるで?

あのポケモンらがこの地方に現れる原因……あの大穴にあるそうやないかい。」

 

パルデア各地で……か。

おかしいと思ってた……ジムリーダー全員が所有しているのもそうだけどスター団のボス達が捕獲している分に私たちが捕獲した分……あまりにも多すぎる割には情報が殆ど出回ってなかった。

 

多分四天王の人達やオモダカさんなんかが捕獲して下手に騒ぎにならないように情報操作していたんだ。

 

「ま、認める認めないは置いとくとして激しい戦いになるさかいしっかり準備してから奥の部屋に進みや。」

 

チリさんは面接の結果についてもう一仕事があるらしくて後から向かうらしい。

 

私も手持ちのポケモン達の様子を確認してしっかりと"道具"を間違えてないかもチェックした後チリさんの言っていた奥の部屋へと進んでいく。

 

しばらくは一本道が続いて緊張感が出てきたけどすぐにもう一つの扉が見えてくる。

 

私はそこを通っていくとその部屋には巨大なバトルフィールドと"剣盾"以前の通信対戦の専用フィールドを思わせる不思議な作りの壁や天井、床に覆われた巨大な部屋に到着した。

 

「他の四天王の達は一体……?」

 

部屋の中には誰もおらず、若干緊張感が増してくる。

 

すると後ろの扉が開く音がしてチリさんが部屋に入ってきて私とは反対側のフィールドへと陣取った。

 

どうやら最初の相手はチリさんらしい。

 

「そんじゃあ早速始めよか。

四天王の露払いはこのチリちゃん!

うんとかわいがったるからせいぜい……きばりやぁ!」

「こっちのポケモン舐めてたら痛い目を見ますよ!」

「そいつは楽しみや、いくでぇ!ナマズン!」

「行くわよ、ヤルキモノ!」

「ナマッ!」

「ウッキャァァアアアア!!!」

 

確かチリさんは地面タイプの使い手だったわね。

『じしん』なんかは威力が特に高いし気を付けないと。

 

「ようやっと戦えるなぁ!すぐに終わったら承知せんでー!

それにその育て方……わざ進化しないようにしとるな?」

「やっぱり気付きます?」

「そりゃなぁ、特性の『なまけ』なんかは結構デメリットが大きいさかいちょくちょく見るもんや。

だけどその分能力は上がりにくい傾向があるのはもちろん知っとるよな?」

 

確かにこの世界においてわざとケッキングにしないというトレーナーは一定数いる。

だけど調べた限りそのトレーナーの大半はある"どうぐ"の存在を知らないからこそその真価を殆ど発揮できていないようだった。

 

「ええ、でも進化前ポケモンは育て方次第で全く別のベクトルで化けるものですよ。」

「そんならその力、早速見せてもらおか!

ナマズン!『だいちのちから』!」

「ヤルキモノ!『ドわすれ』で受けきりなさい!」

「ズッズマッ!!」

「ウキャ~~?ウキッ!?」

 

ヤルキモノがとぼけた顔をして『ドわすれ』を発動させてチリさんのナマズンによる『だいちのちから』を真正面から直撃する。

 

だけど……。

 

「んな!?なんやとぉ!?」

 

残念ながらヤルキモノには全くと言って良いほどダメージが入っていない。

 

「結構この世界じゃ知られてないんですよね。

この道具……"しんかのきせき"は!」

 

この道具は進化先のあるポケモンに持たせて戦わせる事で真価を発揮する道具であり、その効果は……"ぼうぎょ"と"とくぼう"が1.5倍という破格の倍率になることだ。

 

たかが進化前のポケモンの1.5倍と舐めていると痛い目にあう。

進化前ポケモンの恐ろしさを教えてあげるわよ。



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紫の少女と圧倒

ノリと勢いに任せて新しいダンまちの二次創作で新しい作品を投稿しました。

『DQM(ダンジョン・クエスト・モンスターズ)』
https://syosetu.org/novel/340006/


 

 

ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ会場内部~

 

 

「『しんかのきせき』やと……あれを持たせるだけでそこまで化けるはず……?」

 

この世界において『しんかのきせき』があまり注目されてない一番の理由としては努力値や性格補正の事が一切この世界では知られていない事にもある。

 

特に性格補正に関してはポケモンの性格を変更する性格ミントの類いが色々と問題視されているのもあって殆ど出回っておらず、努力値に関してはどのポケモンを倒せば良いか全く記憶しきれておらず手探りの状態から調べていたからやっぱり調整にかなりの時間がかかってしまった。

幸い適当な八百屋さんにでも行けば『きのみ』なんかはだいたい揃うのもあって努力値ダウンのきのみを収集するのはなかなか骨が折れたわ。

 

基本的にこの手の能力値が大きく関わるタイプの道具はこの二つの調整が出来ているのと適当なのでは効果の大きさが大きく異なってくる。

 

「この道具の防御面への補正は1.5倍ですよ?そんな簡単には突破させませんよ。」

「なら交代するまでや、行くんやドンファン!」

「ファァァンド!!」

「対策してないとでも?ヤルキモノ、『のろい』!」

「ウッキャァァァァアアアア」

「しもうた!悪手やったか!」

 

そう、このヤルキモノは物理も特殊も両方受けれるように育成している。

ビルドアップの方が能力上昇のスピードが遅いから物理耐久に寄せて育成している。

 

何より『のろい』は『こうげき』も一緒に上げる事により耐久を上げつつ火力も上げる事が出来る利点がある。

『すばやさ』こそ下がってしまうけど私のヤルキモノのコンセプトを相手の攻撃を受けきって耐久した上で倒す事だからなにも問題ない。

ヤルキモノは『ビルドアップ』も覚えられるけど『のろい』には別の使い道がある。

 

「なら急所に当てるまでや!ドンファン!『ストーンエッジ』!!」

「ファァァァアンド!!」

 

ドンファンが地面を叩きつけると巨大な岩の刃がいくつも現れてヤルキモノへと向かってくる。

タイプ不一致程度ならたとえ急所でも受けきれるわね。

 

「ヤルキモノ!『のろい』で受けきって!」

「ウッキ!!ッ!!!」

 

ヤルキモノは紫色のオーラを出して『ストーンエッジ』を受けきる。

ダメージは案の定殆ど無いわね。

 

「なんちゅう硬さしとるんや……!」

 

殆ど効いてはいないけど回復のタイミングだけは間違えないようにしないといけないわね。

この世界はゲームと違ってポケモンの正確な体力が把握しにくいから確定何発とかそういうのを計算しにくい。

 

『のろい』のデメリットである『すばやさ』低下は相手に攻撃を当てにくくなるけどそこはやり方次第よ。

 

「ヤルキモノ!さらに『のろい』!」

「そんな『すばやさ』を下げ続けててええのかい?

ドンファン!『ストーンエッジ』!」

「ドンファァァァアアアア!!!」

 

どうやらドンファンを下手に近付かせる気はないみたいね。

さっきと同じ岩の刃が向かってくる。

 

「今よ!ヤルキモノ!『ストーンエッジ』を破壊して『じごくづき』!投げ飛ばしなさい!」

「ウキャ!ウッキャァァァァアアアア!!!」

「ウソやろ!?」

「ファァァァアンド!?!?!?」

 

ヤルキモノは私の指示通りに向かってきた『ストーンエッジ』半ばでへし折って投げ飛ばす。

 

『すばやさ』が低いのであれば相手の攻撃を利用するなりカウンターのように攻撃するなりやりようはいくらでもあるのだ。

 

ついでにヤルキモノは吸収技である『ドレインパンチ』も覚えることが出来るけどそれを採用していない理由としてはゴーストタイプへの打点が一切無くなってしまうので却下してある。

 

ドンファンは投げ飛ばされた『ストーンエッジ』を受けて大きく吹き飛ばされていく。

ヤルキモノの進化系であるケッキングの攻撃種族値は160で対するヤルキモノの攻撃種族値は80と進化前と進化後で二倍の性能差を誇る。

だけどヤルキモノは特性が『なまけ』ではなく『やるき』であり、先程三段階詰んだ『のろい』によってこうげきは2.5倍……つまりケッキング以上のパワーになっているのだ。

 

ほんと積み技がなぜこの世界であまり注目されて居ないのかが理解できないわね。

 

「ヤルキモノ!へし折った『ストーンエッジ』を振り回してもっかい『じごくづき』!!」

「ウッキャァァァァアアアア!!!!!」

「まずっ!?ドンファン!『アイアンヘッド』で迎え撃つんや!」

「ファァァァンド!!ッ!?!?ファァァァアアアア!?!?」

「なんやて!?」

 

ヤルキモノはドンファンの『アイアンヘッド』ごと『じごくづき』で叩きつけて一撃で戦闘不能へと陥らせる。

 

「な、なんつう威力や!?……こりゃあかん!」

 

チリさんはあわてて次のポケモンを出してくるけどヤルキモノは次々と倒していき最後の一匹であるドオーが出てくる。

 

「まさかヤルキモノ一匹にここまで追い詰められるなんて想像もせんかったわ……。」

「耐久戦法はあまり好まれませんが確実に詰ませるならとても有効ですからね。

ヤルキモノ、『なまける』で回復。」

「ウキッ!!」

 

ヤルキモノはケッキングのように寝そべって傷を一気に回復していく。

 

「回復まであるわけかいな、おっそろしいわぁ。」

 

さて、テラスタルポケモンね……トドメと行きましょうか!



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紫の少女と無双

すみません、寝落ちしたらスマホの充電切れてデータが多少飛んでしまいだいぶ投稿が遅れました。


ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ会場内部~

 

 

「ナッハッハ!それにしてもやるやん!やっぱ自分おもろいわ!さぁチリちゃん最後の一匹や!気張るでドオー!」「ドォォォオオオ!!」

 

最後の一匹はドオーか……今までの傾向が傾向だから最後のテラスタル枠は別のタイプのポケモンかと思ってたけど完全な統一だったわね。

 

「いてこましたる!ドオー!隆起せえ!」

 

チリさんかテラスタルオーブを取り出してドオーへと投げてテラスタルする。

テラスタルはやっぱりじめんタイプ、つまり一致技の威力がさらに上昇する!

 

「ヤルキモノ!距離を詰めなさい!」

「ウキャ!」

「足元気ィつけや!ちぃと揺れるからなぁ!

ドオー!『じしん』!」

「ドッォォォオオオオオ!!!!」

 

ドオーが一度二本足で立ち上がってから地面へと倒れかかると凄まじい揺れがこの部屋を襲う。

なんか部屋の外からかなりの悲鳴が聞こえる気がするけど気にしたら負けね。

 

それにしてもなんて威力!?地震慣れしている元日本人の私でも立てないレベルの揺れだわ。

 

するとヤルキモノのいる地点で大きな爆発が起きてヤルキモノが大きなダメージを受けているのが見える。

 

見た感じ急所に当たったっぽいわね。

でもその程度であれば!

 

「ヤルキモノ!!『じごくづき』ィィィィイイイイイ!!!!!」

「ウッキャァァァァアアアア!!!」 

「んなっ!?」

「ドっ!?」

 

急所に重い一撃を受けたヤルキモノだけど軽々と耐えて見せてそのままドオーへと向かっていく。

 

確かに急所に当たった時の一撃はかなり重く、どれだけ積み技を詰んでいても意味がない。

 

だけど『しんかのきせき』はバフによる能力上昇ではないから急所のダメージすら軽減する!

 

「ドッ!?」

「ドオー!?」

 

カウンターのように放たれたヤルキモノの『じごくづき』はドオーへと突き刺さり、ドオーをこの部屋の壁まで吹き飛ばしていく。

 

壁にぶつかり、めり込んだドオーはそのまま倒れてクリスタルの体が砕け散り元の姿へと戻っていく。

戦闘不能ね。

 

「ドオー戦闘不能……良く頑張ったで……。

自分やるなぁ!」

 

チリさんはそう拍手しながら言うけどかなり悔しそうにしており、視線は明後日の方を向いている。

 

「あー、ズルいズルい。

こんなんかなわんやん。」

「すみません、ほぼ詰ませるような形のポケモン使ってしまって。

ただ私も今回はかなり本気で来てたので。」

「謝らんでええよ、ただチリさんかがまだまだやったってだけの話やし。

まぁあそこまで行けば負けたこっちがスカッとするほど気持ちええストレート負けなんやもん。

実技テストを突破出来るトレーナーはほんの一握りなんやけどヴィオなら問題ないやろうな。」

 

正直戦法が戦法だから若干申し訳なさがあるわね……。

 

「四天王二人目はもっと強いからきばるんやで。

おーい!次出番やでー!」

 

するとチリさんは背後にある扉へと振り向き、大きな声で呼び掛ける。

 

「はーい!」

 

すると扉から出てきたのはポピーちゃんだった。

そういえば彼女も四天王って言ってたけどマジだったのね……。

どう考えても歴代最年少間違いないでしょうね……。

 

「チリちゃん負けちゃったんですー!?」

「せやねん~ごっつ強かったわぁ。横で見学しとるからチリちゃんの仇取ったってね。」

「わかりましたの!

折角の二次試験ですけどおねーちゃんはここでバイバイ……ポピーのポケモンちゃんみーんなカッチカチですので!

やわーいこうげきなんてへっちゃらもへもへなんですの。」

 

ポピーちゃんのその顔には余裕の表情を浮かべており、明らかに強者の余裕であることがすぐ分かる。

とはいえこちらもガチで勝ちに来てる。

そう簡単にやられてたまるもんですか。

 

 

「おいでなさーいな!ポピーのおともだち!」

「パオォォォオオオン!!」

 

っ!?ダイオウドウ!?見た目に反してホントにゴッツイの出してきたわね!?

はがねタイプメインならこっちはこの子よ!

 

「行くわよ!ピカ様!」

「ピッカァ!」

 

私はここでピカチュウを出す。

もちろんライチュウに進化させてないのはわざとであり、道具に関してもしっかりと『でんきだま』を持たせている。

 

ピカチュウは『でんきだま』を持つことによりこうげき、とくこうが二倍になり、どちらも種族値的には100を越える化物へと変化する。

 

しかしそれはあまり知られてないようでチリさんからは困惑、ポピーちゃんからは余裕の表情が見て取れた。

 

「やっちゃえダイオウちゃん!パオーンとふんづけあそばせー!」

「パオォォォオオオン!!!」

「ピカ様、行けるわね?」

「ピかピッカァ!」

 

そしてここで私はライズ達にも秘密にして特訓させていたある技を指示する。

 

「ピカ様!『ばちばちアクセル』!!」

「ピーカピカ!!」

「パォォォオオオオ!?!?」

「ダッ……ダイオウちゃん!?」

「なんや今の動き!?」

 

ピカ様はまるで瞬間移動したかのような動きでダイオウドウへと突撃してダイオウドウを大きく後退させる。

 

この技は『しんそく』が確定急所技になったような仕様の技であり、たとえダイオウドウでも受ければ大ダメージとなる。

 

さぁピカ様!叩き潰すわよ!

 



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紫の少女とピカチュウの無双

 

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

「ダ、ダイオウちゃん!お返しの『10まんばりき』ですの!」

「パオオオン!!!」

「ピカ様!『ふわふわフォール』で避けて落下と同時に『かわらわり』!!」

「ピカッ!」

「パォォオ!?!?」

「なんですのそれぇ!?」

「ピカチュウが風船で空を飛んどるやと!?」

 

やっぱりこの世界だとピカチュウが『なみのり』や『そらをとぶ』を"なぜか"習得出来るという事実は知られていないらしく、ポピーちゃんもチリさんも目を剥きそうなくらい驚いていた。

 

「ピカピッカァ!!」

「パオアァァァァン!?!?」

 

落下の衝撃を利用したことで『かわらわり』の威力が向上した上に『ふわふわフォール』の威力まで加算された一撃は流石のダイオウドウも耐えられなかったようですぐに倒れていく。

物理耐久こそ確かに硬いけどもっと硬いポケモンを私は何匹も知ってるからなんとも言えないのよねぇ。

 

「アーマーガアちゃん!ピカチュウちゃんを倒してくださいですの!」

「カァァァァアアアア!!!」

 

アーマーガア……積み技である『ビルドアップ』や『てっぺき』、能力上昇をしていればしている程威力が上がる『つけあがる』や防御が高ければ高い程威力の上がる『ボディプレス』なんかを覚える凶悪な耐久ポケモン。

ただこっちはまぁ積まれる前に殴れば割とどうにでもなるわね。

それにピカ様にはあまり関係がない。

 

「アーマーガアちゃん!『てっぺき』ですの!」

「カァァァア!!」

 

アーマーガアの目の前に白銀に輝く盾のようなものが現れてアーマーガアの身体が一気に堅牢になる。

 

「これならそう簡単には突破されませんの!」

「甘いわよ!ピカ様!『ざふざぶサーフ』!」

「ピッカッチュウ♪」

「カァァァア!?!?」

 

ピカチュウは何処からともなくサーフボードを出して電撃を纏った津波を呼び寄せてサーフィンをしながらアーマーガアへと向かっていく。

 

「ここ、今度は『なみのり』ですのぉ!?」

「ピカチュウってあんな技まで覚えるんか……初めて知ったわ……。」

「ガガ……カァ!?」

 

お?アーマーガアが『まひ』状態を引いたみたいね。

 

「んな!?『まひ』やと!?」

「どういうことですのぉ!?」

「ピカ様!『ばちばちアクセル』でトドメ!」

「ピカピカピカピカピカビッカ!!」

「カァァァァアアアア!?!?」

 

アーマーガアはピカ様の『ばちばちアクセル』の直撃により吹き飛んで壁に激突する。

 

「きゅ、急所ですのぉ!?」

 

残念ながらピカ様の『ばちばちアクセル』は確定で急所に当てるとかいうイカれた性能をしている。

 

たとえ『てっぺき』をされたとしても急所に当てるという特性上どれだけ能力が上げられようが下がろうが関係ない。

 

「ドータクンちゃん!頑張ってくださいですの!」

「~~~~!!」

 

ドータクン……ピカ様には関係ないけど特性が地味に厄介なのよね。

弱点のほのおタイプに対する耐性を得る『たいねつ』と弱点のじめんタイプへの無効耐性を得る『ふゆう』の二種類がある。

 

まぁどのみちピカ様無双なのだけどね。

 

「ピカ様!『ばちばちアクセル』連発!!」

「ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピッカッチュウ!!」

「~~~~!?!?!?」

「ド、ドータクンちゃん!?」

 

まぁ半減すらされないなら強制急所連打すれば良いだけの話なのよね。

 

「ならこの子ならどうですの!『ジバコイル』ちゃん!」

「ジバババン!ジバババン!」

 

ジバコイル……そうなるとでんき技の『ばちばちアクセル』によるごり押しはと言いたいけど……。

 

「ピカ様!『ばちばちアクセル』!」

「甘いですのよ!ジバコイルちゃん!受け止めて『ラスターカノン』ですの!」

「ピッカッ!」

「ジバババン!」

「今ですの!」

 

かかった!

 

「ピカ様!ゼロ距離で『かわらわり』!」

「ピッカッ!」

「ジバババン!?!?」

 

ピカ様は『でんきだま』のお陰で攻撃種族値だけでみれば110相当というとんでもない火力となっている。

いくら防御が硬いジバコイルでもこの攻撃の高さから放たれる『かわらわり』は洒落にならない火力となる。

 

それに殆ど耐えることも出来ずに吹き飛んだあたり少なくとも『がんじょう』じゃなさそうね。

 

…………というかピカ様で一撃となるともしかしなくてもレベル差めちゃくちゃある?

 

私は今まで戦ってきたポケモン達を思い出す。

 

……………………良く考えたら化物クラスのポケモンとばかり訓練してたわね?

ピカ様達は秘密裏に特訓してたとはいえアナザーポケモン相手で訓練してたからもしかしなくてもレベル70~80クラスになってる?

 

 

私はちょっと考えるのが怖くなったから戦いに集中することにした。



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紫の少女と最初の犠牲

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

「最後の一匹ですの!デカヌちゃん!ピカチュウちゃんをやっつけてですの!」

「カンンンンンヌゥゥゥウウウウ!!!!」

 

ポピーちゃんが最後に出したのはデカヌチャン……ってか通常の個体よりも倍以上大きくないかしら?

サイズ感がどうみてもレジェアルに出ていたオヤブンポケモンのそれなのだけど……。

 

そしてポピーちゃんは何処からともなくテラスタルオーブを取り出し始めた。

 

「デカヌちゃん、おめかししーましょ!」

 

ポピーちゃんがそう叫びながらオーブをデカヌチャンへと投げ、テラスタルが発動する。

クリスタルに覆われたデカヌチャンの頭部には斧を模した冠が乗せられていた。

 

タイプ一致のテラスタルはタイプ一致技の威力が更に上がる都合上火力がヤバくなりがちなのよね。

 

「カチカチなほうが勝ち!だからポピーの勝ちー!

デカヌちゃん!『デカハンマー』!」

 

デカヌチャンの頭部にある冠から光が放たれ、ただでさえ巨大なハンマーは尋常じゃないはがねタイプのエネルギーが集中して巨大化し、もはやダイマックス技とほぼ遜色無い程規模の大きい攻撃が放たれる。

 

流石にこれは避けられないわね……威力的には実質ギガインパクトみたいな性能している技がタイプ一致&テラスタイプ一致で放たれるとなるといくらレベル差があっても耐久の低いピカチュウでは限界がある。

 

「ごめんピカ様!最後のあがきで『ばちばちアクセル』!」

「ピかピッ!?ピィカァ……。」

 

ごめんピカ様、流石になにもせずにやられるくらいならあがかないと気がすまないのよ……。

ピカ様の呆れたような表情からは『本気か?仕方ないなぁ……。』というような意志が感じ取れる。

 

育てたのは良いのだけどかなり短期間での猛特訓をしただけだったからやっぱりまだなつききってはないようだ。

ただ私のバトルの戦術は彼らにもあっているのか誰も文句を言わずに特訓に着いてきたのだから心配はない。

 

前世なら普通だった捨てるような使い方はやっぱり今世だと抵抗があるわね……。

 

「ピッカァ!!!」

「カンヌッ!?ヌヌヌヌヌヌ……ヌチャァァァァアアアア!!!!」

 

結果としてデカヌチャンへ『ばちばちアクセル』は直撃して確定急所攻撃により大ダメージは入ったけどそれを耐えきったデカヌチャンによる反撃の『デカハンマー』でピカ様は倒れてしまった。

 

こうげき及びとくこうが化物クラスになっても素の耐久は低いままだものね……。

 

「や、やりましたの!チリちゃんの仇を取ってやりましたの!」

「やるやんポピーちゃん!チリちゃんでも一匹すら倒せなかったってのに悔しいわぁ……。」

 

…………喜んでるとこ悪いのだけどね。

 

「忘れてませんか?まだ後5匹いますよ?」

「「ゑ?」」

「ごめんなさい!リングマ!行くわよ!」

「グマァァァァァァァアアアアア!!!!」

「リ、リングマちゃんですの!?」

「な、なんや!?しかもごっつ大きい上に『しんかのきせき』やと!?リングマには進化先は無いはずやで!?」

 

残念ながらお二人は知らないようだが大昔のシンオウ地方、ヒスイ地方と呼ばれていた頃のあの場所にはかなり厳しい条件でのみ進化するガチグマというリングマの進化系が存在している。

 

ライズ曰く今の時代にはガチグマへの進化報告は一切途絶えていて絶滅したポケモンや元々進化前が居ないただの近縁種という説もあったらしいわ。

 

でも私が調べた限り進化に必要なピートブロックの存在自体は確認出来てるから少なくとも進化できない訳ではない。

 

つまりはリングマの進化は失われていないために『しんかのきせき』は適応されるのだ。

 

「チリさんには驚愕の事実でしょうけどリングマの進化系はじめんタイプもあったりしますよ!

リングマ!『ほのおのパンチ』!」

「グマ!グマァァァァァァァアアアアア!!!」

「カ、カヌ!?ヌチャァァァァアアアア!?!?!?」

「デ、デカヌちゃんんんんん!?!?!?」

 

リングマの『ほのおのパンチ』は技の反動で動きが鈍っていたデカヌチャンへと直撃して壁まで吹き飛ばす。

 

いい加減同じようなぶつかり方を何度かしているせいで壁にヒビが入ってきている気がするわね……。

 

「カ……カヌ……。」

 

デカヌチャンはその巨大なハンマーを手から落とすとそのままクリスタルの身体が砕け散ってそのまま倒れていった。

 

タイプ不一致とは言え腐っても各所で恐れられているポケモンじゃないわね。

 

「は……はっちゃれもへもへぇ~……。」

 

 

ポピーちゃんはなにやら気の抜けるような声と共に崩れ落ちてしまった。

 

その…………なんというか…………ぬか喜びさせてごめんなさい。



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紫の少女と社畜

また寝落ちしてもうた……


 

 

ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

崩れ落ちていたポピーちゃんは目頭に涙を貯めてチリさんの所へと向かっていくと。

 

「あーん!あーん!チリちゃんのかたたたきポピーとれませんでしたー!」

 

肩叩きって……これはこれで新しいわね。

 

「かたきな、まだ肩凝る歳ちゃうよ。」

「私はこの歳でもたまに……。」

「ア゛ァ゛ン?」

 

ヒェ……おっそろしい。

チリさんきれるキレるとそんな怖いんだ……。

 

「イエ、ナンモナイデス。」

「ほんでポピーちゃん、負けたら次の人呼ばな。」

「あらーそうでしたー!

おじちゃんよぶのおひさしぶり!」

 

そう言いながらポピーちゃんは扉の方へとトテトテと走っていく。

 

それにしても久しぶりか……そうなるとここしばらくのリーグ挑戦者は殆どがポピーちゃん、またはチリさんに勝てずに止まっていたみたいね。

 

「おじちゃーん!でばんですよー!」

 

ポピーちゃんの声を合図に扉が開いていき、そこから一人の見覚えしかない人影が現れる。

 

うん、ライズから聞いてはいたけど……いたけどね?

あの……その……。

 

「お、お疲れ様です。」

「いえ、こちらこそ……どうも、アオキです。」

 

サラリーマン、ジムリーダーと来て今度は四天王まで兼任されているアオキさん。

少なくともこの地方……いや、この世界のどの地方を探してもアオキさん以上忙しい人はそう居ないだろう。

そしていつも以上にやつれている気がするその顔と死んだ目に私はそう答えずにはいられなかった。

 

「…………ライズさんとスカーレットさんはいらっしゃらないので?」

「はい、多分今度挑戦しに来るとは思いますけど今回は別行動を取ってます。」

「そうでしたか……その反応を見るに既にご存知のようですが面倒なことに四天王も兼任なんです。

ジムでは自分と似ているノーマルタイプを使っていますがここでは違うタイプでやれとお上から言われてまして……文句があればトップにお願いしますね。」

 

ただでさえジムリーダーやってるのに四天王用のポケモンも別に用意してる!?

 

普通ひとつのパーティーに集中しないと中途半端な状態になりやすいものだけどすごいわねアオキさん……。

そしてそんなアオキさんを顎で使うオモダカさんって……。

 

話している間にアオキさんはコートの外にあるトレーナー用のスペースへと向かっていく。

 

「それでは業務開始です。

よろしくお願い致します。」

「こちらこそよろしくお願いします!」

「それでは……トロピウス!」

「ピィィィイイイイ!!」

「行くわよ!レアコイル!」

「ジジジジジ……ッ!」

 

トロピウス……そうなるとアオキさんのタイプは『ひこう』か『くさ』といった所だろうか?

どちらにせよ最初の有利は取れたわね。

 

「この度はひこうタイプでお世話になりますね。」

 

親切ね……。

とりあえず『にほんばれ』なんかされるとダルいから一撃で倒したいけど……あれを使う為にはどうしても隙が出来ちゃうから難しいわね。

 

「レアコイル!『じゆうりょく』!」

「ジジジッ!」

「ピィッ!?」

 

レアコイルの『じゆうりょく』によりフィールドの重力が一気に重くなり、トロピウスは地面に伏せる形となってとても動きづらそうになっている。

 

レアコイルの持ち物はもちろん『しんかのきせき』にしてはいる。

だがレアコイルはきせきが無くともB95C120D70という中間進化とは思えない強さになっている。

体力こそ低いがここまで硬いときせきを持った際に能力は

B142C120D105とかいう化物クラスへと進化を遂げてしまう。

 

ついでにこのレアコイルの特性はまさかの夢特性である『アナライズ』になっていてわざと攻撃を相手の攻撃が来るまで待って使えば威力が1.3倍になる。

ぶっちゃけ普通に強いポケモンだ。

 

まぁ地面タイプに弱いからそいつが出てきたら『でんじふゆう』とか使わないとまずいんだけどね。

 

「『じゅうりょく』ですか……少々面白い技ですね。

トロピウス、『にほんばれ』です。」

「ピィィィイイイイイイイ!!!」

 

あぁ、やっぱり持ってるわよね『にほんばれ』。

そうなると多分『ソーラービーム』は採用しているはずね。

あと一枠はひこう技としてもう一枠になにいれてるか怖いから一気に仕留めないと。

 

「レアコイル!『でんじほう』!」

「ジジジッ!ジジジジジジジッ!」

「ピィッ!?ピィィィイイイイ!?!?!?」

 

レアコイルの『でんじほう』は通常よりもかなり速い速度でトロピウスに向かっていく。

この技は命中制度がものすごく低いからあんまり採用されない技ではあるけど『じゆうりょく』と併用することで大きく性能が化ける。

『じゅうりょく』で相手のポケモンはかなり身動きが取りにくくなり、『でんじほう』はそもそも電気の塊なので重力の影響を受けない。

さらにレアコイルには私の方でレールガンの概念を伝えてあって、実はあの『でんじほう』の中心にはちょっとだけはがねタイプのエネルギーが練り込まれていた。

 

まぁお陰で技のもう一枠をラスターカノンで固定しなきゃいけなくなったけどどのみちタイプ一致技だし問題ないわね。

 

とはいえにほんばれ……ファイアローとか居ないわよね?



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紫の少女と磁力無双

 

ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

「チルタリス!出て来てください!」

「チルァァァァァアアア!!」

 

チルタリス……『コットンガード』による防御上昇能力は凄まじい受け性能だけどレアコイルは特殊メインで組んでるからあまり意味はない。

 

ただ晴れ下で出して来た辺り『かえんほうしゃ』とかの炎タイプの特殊技は持ってそうね。

 

「チルタリス!『ムーンフォース』!」

 

『ムーンフォース』!?はがねタイプのレアコイル相手にそんなの……いや違う!目眩ましか!?

 

「レアコイル!『ひかりのかべ』!!」

「チルタリス!『かえんほうしゃ』!!」

 

やっぱり持ってた!!特性が『がんじょう』じゃなくてアナライズだから直撃貰ったらかなり危なかった!

 

ただレアコイルの展開してる『ひかりのかべ』が凄い勢いでひび割れてる……これは数秒持つか微妙ね。

 

「レアコイル!『ラスターカノン』メインでの『レールガン』!!」

「ジジジジジッ!!」

 

レアコイルが『10まんボルト』と体に付いている磁石、はがねエネルギーを利用して強力な電磁石を擬似的に作り出して加速用のレールを作り出す。

 

「先程の物ですか、『かえんほうしゃ』を電撃へ直撃させて下さい。」

 

やっぱりかなり冷静に対処してくる。

 

確かに電撃へと攻撃を直撃させられてしまえば電磁誘導が出来なくなってしまう。

『でんじほう』がメインなのであればそれで威力はほぼ全て失われるでしょうね。

 

でも『ラスターカノン』がメインなのであれば話は別。

一度加速を開始したはがねエネルギーは質量のないエネルギー攻撃じゃ止まらない!!

 

「チルッ!?チルァァァァァアアア!?!?!?」

「止まりませんか……どうやら対策されてるようですね。」

 

電磁誘導による超加速した『ラスターカノン』は本来相性の悪いはずの『かえんほうしゃ』をあっさりと貫いてチルタリスへと直撃していった。

 

本来エネルギー攻撃である『ラスターカノン』で物理的な質量攻撃を行えるように訓練するのはだいぶ苦労したわ。

エネルギーをかなりの量集中しないと物理的な影響力を付与できなかったもの。

 

「『てっていこうせん』の概念を教えといて正解だったわね……。」

「…………エネルギーを固めて無理矢理物理的な攻撃にしたわけですか。

以前のジム戦で知ってはいましたが相変わらずの発想力のようで……。」

「正直あんなあっさりと最善の対応してきたんで凄い焦りましたよ……まさか『ムーンフォース』を目眩ましに使ってくるなんて驚きましたもん。」

 

それにしてもアオキさん……ずっと表情筋が死んでるせいで動揺みたいな感情の起伏が分からないから反応に困るわね……。

 

「オドリドリ!出番です!」

「ドリドリィ~♪」

 

オドリドリ……あの黄色い姿は所謂パチパチスタイルってやつね。

となるとタイプはでんき、ひこうタイプ……このポケモンはフォルムによってタイプが違うのも厄介な点ではあるけど一番厄介な点としては豊富な補助技にある。

 

特に一番警戒したいのは『ちょうのまい』や『フラフラダンス』といった能力上昇や妨害といった変化技だ。

 

「オドリドリ、『フラフラダンス』です。」

 

やっぱり使ってきた!?

 

「レアコイル!目を閉じて『ラスターカノン』!!」

「ジジジジッジジッ!!」

 

レアコイルの『ラスターカノン』はほぼ正確な軌道でオドリドリへと向かっていく。

 

ゲームと違っていくつかの補助技は視覚さえ封じれば効果を及ぼさない類いの補助技がいくつかある。

特に『フラフラダンス』や『あやしいひかり』、『フラッシュ』等といった視覚に強く影響する技は特にそうね。

あとは耳さえふさげば効果のない技とかもある。

 

そういった対策もあって私は視界を使わない敵の感知手段なんかも一通り教えてある。

 

本当現実とゲームは違いすぎてどうしても前世で使ってた戦術も一部使いにくいのよねぇ……。

 

「ドリッ!?」

「ほとんど影響がありませんか。

オドリドリ、『こごえるかぜ』で動きを妨害してください。」

「ドリドリィ~!!」

 

いやな技使ってくるわねぇ……でもここはあえて受けるしか無いわね。

 

「レアコイル!無視して『ラスターカノン』型の『レールガン』!!」

「ドリィィィイ!!ドリッ!?」

「やはり避けられませんか……。」

 

オドリドリは凄まじい加速力で迫る『レールガン』で一撃で倒れていった……C120は伊達じゃないわね。

 

その後ムクホークが出てきたけど『インファイト』を食らった程度でそこまでの痛手ではなかったわね。

レアコイルは物理方面が特に硬いのもあってタイプ不一致の弱点くらいならレベル差も大きいのもあってまともなダメージになってなかったわね。

 

「火力だけでなく耐久力も一級品ですか……これは根本的な力が全く足りないですね……。

はぁ……最近の若者はずいぶんと恐ろしいようです。」

 

アオキさんはそう言って最後のボールを構える。

 

「カラミンゴ!出てきてください!」

「カルラララララ!!」

 

最後はカラミンゴか……タイプ一致の『インファイト』だけは食らいたくはないわね。



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紫の少女と肉切骨断

すんません寝落ちやらかしました


ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

 

カラミンゴ……確かタイプはひこう、かくとうタイプだけどラストに持ってきてるから確実にひこうテラスタル。

タイプ二重一致の『ブレイブバード』or『アクロバット』に加えてタイプ一致の『インファイト』みたいな超火力技が本気でキツいわね。

 

特にレアコイルはさっき一度『インファイト』食らっているのとダメージの蓄積もあってカラミンゴの『インファイト』を貰えば耐えられるかかなりあやしいわね。

 

しかもカラミンゴは特性『きもったま』があるからインファイト警戒でゴーストタイプを出した所で全く意味がない。

 

そうなると選択肢はほぼ無いわね……。

 

「レアコイル、ごめん。

後続に繋げるために攻撃を受けて貰う。」

「ジジ……ジジジジッ!」

 

確かに『インファイト』は強力だけど使えば防御能力が著しく下がる。

なら出来るだけ使わせるだけ使わせて防御を下げて後続に繋げるしかないわね。

 

「やはり右肩上がりの強さです。

これは楽出来ませんか……髪が乱れますが風向きを変えましょう。」

 

アオキさんの死んだ瞳にいつもの姿からは全く感じられない強敵特有の威圧感が宿る。

 

やっぱりこの人……強さ云々以前に経験の桁が違う。

 

アオキさんがテラスタルオーブに力を込めてカラミンゴへと投げてテラスタルする。

頭に風船のような飾りの付いた冠……やっぱりひこうテラスタルね。

 

「先輩風を吹かせましょうか。

少しばかりご注意を……カラミンゴ。」

「カラッ!!」

 

なっ!?速すぎる!?

今の一瞬でゼロ距離まで接近してきた!?

 

「…………『インファイト』です。」

「カラララララララッ!!!」

「ジジジッ!?ジジッ!?ジッジジジジッ!?」

 

レアコイルはタイプ一致の弱点攻撃となる『インファイト』を受けて一撃で倒されてしまう。

 

……全く動きが見えなかったわ。

一瞬冠が光ったように見えたけど『インファイト』はひこう技じゃないからテラスタイプとは一致しない。

 

…………ちょっといやな予感がするわね。

 

「ごめんなさい!ヤルキモノ、出来るだけ耐えて頂戴!」

「ウキャッ!?」

 

アオキさんが何をやったのかはなんとなくだけど察しがついてる。

でも確証は無いから一度ヤルキモノに耐えて貰ってしっかりと視ておかないと確実な事は言えない。

 

下手に確証も無しにやってまともに食らえばそれこ勝機そを逃すことになるわ。

 

「…………ここはあえて乗ってあげることにしましょうか。

カラミンゴ。」

「カラッ。」

 

ッ!?来た!やっぱり速い!!

それに見間違いじゃない……確実に頭の冠が輝きを放っていた。

 

「『インファイト』。」

「カララッ!!」

「防いで!!」

「ウキャッ!!ウキッ!?!?キッ……キキキキ!?ウッキャァァァァァアアア!?」

 

攻撃を受けたヤルキモノが大きく後方へ吹っ飛ばされる。

ヤルキモノは強化さえすれば硬いけど強化前はそこそこ硬い程度でしかない……ダメージから見ても多分『のろい』をつかっても耐えられないわね。

 

ここまでくると悪あがきね……。

 

「ヤルキモノ、『じごくづき』の準備。」

「ウキ……!」

「これ以上あまり防御能力をむやみに下げたくはありませんね。

カラミンゴ『アクアブレイク』。」

「カラララララララッ!!!」

 

来た!案の定冠が光ってる!

 

「前方に『じごくづき』!」

「ウキッ!ウッキャァァァァァアアア!!」

「カラララララララッ!!!」

 

カラミンゴの攻撃でヤルキモノは吹き飛ばされて戦闘不になってしまう。

とはいえ相討ち覚悟の『じごくづき』が先程直撃したのもあって防御が半分に下がっているカラミンゴもかなりキツそうだった。

 

「…………移動の時だけ『ブレイブバード』使ってますね?」

「おや、やはりバレましたか……流石です。」

 

技を移動にのみ使用してキャンセルする。

そんなテクニックがあるなんてね……やってること自体はもはやスマブラに近いけど確かに利にかなってる。

 

でも『インファイト』二発で防御が半分な上にさっきの『じごくづき』のダメージも込みなら多分あと一撃でいける。

 

なら使うならピカ様一択ね。

 

「行くわよピカ様!」

「ピカッピッカ!!」

「ピカ様!『ばちばちアクセル』!!」

「ピッ!!」

 

ピカ様は『しんそく』クラスの速さでカラミンゴへと突撃していく。

 

『でんこうせっか』とか『マッハパンチ』みたいな優先度が+1されるタイプの技はこの世界だとかなり速い程度で済む為最悪避けられてしまう。

だけど『しんそく』クラスとなると話は別でこの領域までくるともはや動きが見えない。

 

だからこそこの一撃で確実に仕留める!!

 

「カラッ!?カラララララララッ!?!?!?」

 

ピカ様の神速の一撃はカラミンゴの急所へと入り、カラミンゴはテラスタルの結晶化が解除されて崩れ落ちる。

 

やっぱりほぼ耐久は残ってなかったわね……ヤルキモノが頑張ってくれなかったら不味かったわ。

 

「良くやったわピカ様!!」

「チャ~~~♪」

「はぁ……飛ぶ鳥ポケモンを落とす勢いです。」

 



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紫の少女とドラゴーン!!

ヤバい……最近毎日寝落ちしてきてる(ヽ´ω`)


 

 

ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

 

「見違えました、トップが気に入る訳です。

えーと……次は最後の四天王です。」

 

勝負が終わり、お互いのポケモンを回復させあった後アオキさんはその場で後ろの扉へと向いて声をかける。

 

「……ハッサクさんどうぞ。」

 

…………流石にこの距離でしかも扉越しとなると聞こえないんじゃないかしら?

 

「……来ませんね。」

 

案の定扉の向こうから反応は帰ってきておらず開いてもいない。

 

若干呆れた様子のチリさんとポピーちゃんがアオキさんのそばまで移動してくる。

 

「あの……聞こえてへんとちゃいます?」

 

チリさんが呆れながらアオキさんにそう言うと彼の目が更に死んだ目になっていき、ため息を軽くつきながら扉の方へと少し移動していく。

 

「……ハッサクさんどうぞ。」

 

…………その声の大きさだとまだ距離が全然遠いと思うのだけど?

 

「アオキさんもうちょい声……声出さんと……。」

「……………ハッサクさん。」

 

ち……ちっちゃい……アオキさん基本がそこまでやる気があるタイプじゃないからどうしてもこうなっちゃうのね……。

 

「はぁ……しゃーない。

ハッサクさーん!!出番やでー!!」

 

チリさんが頭を軽く抱えてから大きな声を出して四天王最後の一人であるハッサク先生を呼ぶ。

流石にここまで大きな声だと問題なく聞こえたのかハッサク先生が入ってきた。

 

「バイオレットくん。

よくいらっしゃいましたですよ。」

 

ハッサク先生は私に朗らかな笑みを見せて向かえると若干ムスッとした顔をしてアオキさんを半目で睨む。

 

「アオキは……またチリに呼ばせましたね。」

「…………。」

 

アオキさんは思いっきり顔を横にそらしている。

 

そこからしばらくの間ハッサク先生からの説教がアオキさんに続いていき、あまりにも長くなりそうなのでとりあえず次に使うポケモンを選んでいく。

するといい加減自分を出せと言いたいのかあるダークボール(・・・・・・)が揺れている。

 

まぁドラゴン使いの人相手なら多分大丈夫よね……私も私で参考になりそうだしこの子を使った戦闘もいい加減経験を積みたかったからちょうど良いわね。

 

「分かったわ。

ただやりすぎないように注意して頂戴?」

 

私がそう伝えると『分かった』と言うように一度大きく揺れてから揺れが収まる。

準備が整ったのでバトルの定位置へと戻るとハッサクさんが話しかけてくる。

 

「あなた方ならいずれここまでたどり着くと思ってましたですよ。

若い芽の成長は本当にね、著しい。

これ程までに早く相見えること……想像を遥かに超えていました。

本来教師とは教え子を導きその成長を助ける者……ですが今は教育者としての本分は忘れ……貴女を倒すだけにこの力を振るいましょう!」

 

ッッッ!!!今まで戦ってきた中でも一番のプレッシャー!?

だけど……今この手の中にいるこの子(・・・)の物よりはマシよ!

 

「実技テスト最後の砦を守る竜ハッサク!

騒然たる勝負の息吹を身をもって教えてあげましょう!!

行きなさい!オンバーン!!」

「オンバァァァァァァァン!!!」

「…………全てを飲み込みなさい!オストガロア!!」

「オロロロロロァァァァア!!!!」

 

私は遂にダークボールからこのポケモンを解放した。

するとこの部屋中にウルトラホールが抉じ開けられて大量の骨が流れ込んでくる。

 

「こ、これは!?」

「なんやなんや!?こんな大量の骨!?」

「うわぁいっぱい流れ込んでくるのですぅ!?」

「…………。」

「この子の特性ですよ。

どんな場所でも自分の得意なフィールドに書き換えてしまう。

この子を他のアナザーポケモンと同じと見るとあっさり負けますよ!」

 

オストガロアが二本の触腕を骨の海へと突っ込むと二つの骨を纏った状態で出てくる。

 

今回はウラガンキンとディノバルドね。

 

攻守のバランスが悪くないわね。

 

「貴女も本気という訳ですね。

ならば私も全力で迎え撃ちましょう!

オンバーン!『ハイパーボイス』」

「オストガロア!無視して『斬熱刃(ざんねつじん)』」

 

オンバーンが耳栓が欲しい程凄まじい音量の声を出してくるけどオストガロアは全く効いておらず、オンバーンが『ハイパーボイス』を使っている隙に真っ赤になる程熱せられたディノバルドの刃をオンバーンへと叩きつけて爆発させる。

 

粉塵までおまけしてたのね……。

 

結果としてオンバーンは一撃で落とされて戦闘不能になる。

今一つでもこの威力となるとやっぱりこの子のレベルって相当やばかったのね……。

 

「ゴーストタイプでしたか……そうなると見た目からしてドラゴン・ゴーストといった所でしょうね。

かのギラティナと同じタイプにその佇まい……素晴らしい竜をお持ちですな。」

 

竜……ね。

 

この子はその程度じゃ済まないわ。

あらゆる生態系を逸脱した生きる災害……それが古龍種なのだから……。



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紫の少女と古龍の力

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

「行きなさい!ドラミドロ!」

「ドララララッ!!」

 

ドラミドロ……確かどく・ドラゴンタイプのポケモンね。

地味にこっちが弱点突きにくいタイプのポケモンね……。

 

「オロロロロロロ。」

 

オストガロアはまた骨の海に触腕を潜らせて先端に装備している骨を付け替える。

 

今回はラギアクルスとブラキディオスの骨ね

 

粘菌爆発と雷骨塊による電撃の包囲網なら大抵のポケモンは引っ掛かるでしょうしなんとかなりそうね。

 

「ドラミドロ!『りゅうのはどう』!」

「ドルララララララッ!!!」

「させないわよ!オストガロア!『ねんきんばくはつ(粘菌爆発)』!!」

「オロロロロロロロァァァアアアア!!!」

 

オストガロアは自分の前方にある骨の海にブラキディオスの頭殻付きの骨を装着した触腕を凪払うように振りかぶり、それによって付着した粘菌が色をどんどん緑から赤へと変化させていき爆発して大量の骨を上空に打ち上げてドラミドロの『りゅうのはどう』を防いだ。

 

「やはり一筋縄では行きませんか。

ドラミドロ!『ハイドロポンプ』で骨を凪払うのです!」

 

やっぱり狙ってきた!

流石に一時的とは言え骨を凪払われるのは勘弁よ!

 

「オストガロア!『りゅうのはどう』!!」

「オロロァァァァァァアアアア!!!」

 

オストガロアは触腕二本の先端にある噴射口から二発の『りゅうのはどう』を放って『ハイドロポンプ』をあっさりと打ち消す所が貫通していった。

 

流石に四天王のポケモンというだけあってあっさりと回避はされたけど二発の『りゅうのはどう』を同時発射可能という事実はドラゴン使いであるハッサクさんからすれば脅威以外の何物でもないだろう。

 

オストガロアはまた骨の海に触腕を突っ込んで骨を漁り始めた。

 

今回は……ゲームじゃ使ってなかったやつねこれ。

形状からかんがえてこの一つはおそらくガムートの頭骨……もう片方はどうみてもベリオロスの牙ね……

 

どうやらオストガロアはやっぱりゲーム本編と違ってありとあらゆる属性の骨を取り出せるようだ。

 

「オストガロア!『アイスサイクロン』!」

「オルルルロァァアアアア!!!!」

 

オストガロアはベリオロスの牙付きの頭骨を装着された触腕の噴射口から空気を大きく吸い込んで強い力で一気に氷属性エネルギーと共に発射する。

 

結果発射された氷塊はドラミドロの真下へと直撃すると巨大な氷の竜巻が発生してドラミドロを閉じ込めていく。

 

軽くスマホロトムで調べた限りこれは『ほのおのうず』のこおりタイプver.のような技のようだ。

 

竜巻が長時間発生しつづけており、ドラミドロへと拘束ダメージを与えつづける。

 

「ドラミドロ!『ヘドロばくだん』で抜け出すのです!」

「オストガロア!『アイスハンマー』!」

「オロロロロロロロァァァアアアア!!!!」

「ドララララッ!!ドラッ!?ドルァァァァァアアアアア!?!?!?」

「ドラミドロ!?」

 

ガムートの頭骨によってドラミドロは発生していた氷の竜巻ごと叩き潰した。

 

結果としてドラミドロは一撃で倒れていった。

 

やっぱり古龍のポテンシャルは凄まじいわね

 

「なんというパワーでしょう……まさかドラミドロがああもあっさりと倒されるとは……。

いきますよ!アップリュー!!」

「プリュァァァアアア!!!」

 

アップリュー…….的が小さいから攻撃が当たりにくいわね。

 

「アップリュー!『やどりぎのたね』!」

「やらせないわ!『アイスサイクロン』で全部弾き飛ばして!!!」

「オルルルロァァアアアエア!!!」

 

よし、やどりぎは全部吹き飛ばせた!

 

「オストガロア!『アイスサイクロン』をさらに発射よ!」

 

身体が小さくて攻撃が当たりにくいポケモン相手にはどうするか。

答えは単純……。

 

「避けられない状況を無理矢理作っちゃえば良いだけの話なのよ!」

「リュッ!?リュッ!?」

「ぬっ!?不味い!アップリュー!『ドラゴンダイブ』で抜け出すのです!」

「させませんよ!オストガロア!『ドラゴンブラスター』!!」

「リュッ!リュッ!リュッ!リュウッ!?」

「ガロァァァァァァァァァァアアアアアアア!!!!」

 

オストガロアの触腕及び口から放たれたとてつもない太さのレーザー攻撃はアップリューに回避させるのを許さずに直撃する。

 

「リュゥゥゥウウウ……。」

「戦闘不能ですから……お疲れさまです。」

 

とりあえずあと二匹!このままガンガン向かうわよ!



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紫の少女と突撃する巨剣

 

 

ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

 

「お行きなさい!オノノクス!!」

「オノォォォォォオオオオオ!!!!」

 

オノノクス……!まだ後ろに一匹いるってのに凄まじい迫力ね……。

 

このポケモンには元々思い入れもあるのよね……図鑑完成した後に確定で手に入る黒いオノノクス……あれの達成感は素晴らしかったもの。

 

オストガロアは冷静にオノノクスが現れてからすぐに触腕を骨の海に沈めていって新たな武器を発掘する。

 

今回は鎧裂ショウグンギザミの鎌と矛砕ダイミョウザザミのハサミね……ほんとこの子の巣にはどんだけヤバいモンスターの素材が埋まってるのよ……。

 

技は……成る程ね。

 

「オストガロア!『つめとぎ』!」

「オロロロロロロッ……!」

 

オストガロアは矛砕のハサミで鎧裂の鎌を研ぎ始める。

 

元々鎧裂の鎌はディノバルドの頭骨の顎で研いでいたけどまさか矛砕のハサミでも研げるなんてね。

まぁ矛砕のハサミの堅牢さは凄まじいからこその芸当なのでしょうね。

 

「オノノクス!『がんせきふうじ』!」

 

隙をみせればやっぱりこっちの動きを妨害してくるか……流石にすばやさはあまり下げられたくはないかな。

 

「オストガロア、『キングシールド』。」

「オロロロッ!!」

 

オストガロアは矛砕の盾をしっかりと前方へ構えて飛ばされてきた岩石を全てガードしていく。

出来れば直接攻撃の方を防ぎたかったけど仕方ないわね。

 

「ぬっ!それはギルガルドの……!まさかその技を覚えるポケモンが他にいるとは。

それにその頭部に取り付けた物が変わる毎に技構成も変化していますね。

であれば下手に向かうのは下策ですか。

オノノクス!引き続き『がんせきふうじ』!」

「オノォォォォォオオオオオ!!!!!!」

 

一番されたくない選択肢ね。

流石に二回目連続で無効化技を使った所で成功率が下がるせいでどうなるかは目に見えてるからここは相殺した方が良さそうね。

 

「オストガロア!『きじんだいかいてんぎり(気刃大回転斬り)』!!」

「ガロロロァァァァァァァァアアアア!!!」

 

オストガロアは触腕を大きく後ろに振りかぶって身体ごと回転させながら触腕を振り抜いて高速でその鎌をオノノクスへと向かわせる。

 

「オノノクス!『アイアンヘッド』と『ドラゴンクロー』で防いでください!」

 

っ!二種類の技の同時使用!?

でもその程度なら!

 

「オロロァァァァァァアアアア!!!!」

「オノォォォォォオオオオオ!?!?」

「オノノクス!?」

 

オノノクスへと向かって振るわれた鎌はオノノクスのあらゆる防御をいとも容易く貫いてオノノクスを壁まで吹き飛ばして気絶させる。

 

まさか一番とは……いやまぁハンターの技をモンハンのモンスターが使えばこうなってもおかしくはないのかしらね。

 

「合格までもう一息ですよ!お行きなさい!セグレイブ!!」

「グレィィィィブッ!!」

 

セグレイブ……確かセビエやセゴールの最終進化だったわね。

 

あの子達は元々希少なポケモンだからこの地方でもあんまり持ってる人っていないのだけど流石は四天王ね……。

 

「テラスタルジュエルをその冠に!大いなる竜よ!降臨なさい!」

 

ハッサク先生はそう叫んでテラスタルオーブに力を込めてセグレイブに投げつける。

 

テラスタルの結晶に包まれたセグレイブの冠にはドラゴンの形をした冠……ドラゴンテラスの証が存在していた。

 

確かセグレイブの専用技はドラゴンタイプだったわね。

 

「それならこっちもテラスタルよ!」

 

私もハッサク先生に対抗するようにテラスタルオーブに力を集中してオストガロアへと投げつける。

 

この子はテラスタイプは一切変えてないからドラゴンテラスのまま……なんだけど何故だろう?

冠の竜が白く見える……ってかどうみてもミラルーツ型にしか見えない。

 

古龍にはまだ私達が知らない要素が多いって事なのかしら?

とはいえどのみち厄ネタの匂いが凄まじいのだけど……。

 

「ぬぅ!?白いドラゴンテラス!なんと美しい!

しかし今は戦いを優先しましょうか。」

「……ハッサク先生。」

「なんでしょうか?」

「提案なんですけど……互いの最大の一撃をぶつけ合いませんか?」

「っ!なんと魅力的な……良いでしょう!

あなたの龍と私の竜……どちらの全力が強いか勝負と参りましょう!」

「グレィィィィブッ!!」

 

どうやらセグレイブの方もかかってこいと言いたげね。

 

「オストガロア、瘴龍形態でいくわよ。」

「ッ!!オロロロ?」

「ええ、大丈夫よ。

というか多分そのくらいじゃないと下手したら押し返し切れない。」

 

正直あのセグレイブを見て確信した。

 

あれは四天王レベルのポケモンじゃない。

多分本当の意味での本気のポケモンだ。

 

ならこっちも本気でやらなきゃ失礼というものよ!

 

「オロロァァァァァァアアアア!!!!!!!!!!!」

 

オストガロアが私の指示通り瘴龍形態へと移行したのを確認してから周囲の空気がピリピリとするのを感じる。

 

こりゃヤバいわね……。

 

「オストガロア!『ドラゴンブラスター』!!!」

「セグレイブ!『きょけんとつげき』!!!」

 

「オロロァァァァァァアアアア!!!!!」

「セェェェエエエグレィィィィブッ!!!!!!!」

 

互いの最大の一撃がぶつかり合ってとんでもない爆発が発生する。

 

オストガロア……負けるんじゃないわよ!

 




『きじんだいかいてんぎり』威力120 命中80 ノーマル

まもるを貫通してステータス変化によるダメージ軽減を無視する


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紫の少女と極地

すんません……疲れが溜まりすぎてたのかすぐに寝落ちしてしまいました……。


 

 

ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ施設内~

 

 

お互いのポケモンの最大火力の技がぶつかり合い、ポケモン達の様子を伺うことが出来ない。

 

ただオストガロアはその圧倒的な巨大なその肉体と骨の鎧ゆえに煙の中からでもすぐに見つけることが出来た。

 

だけどその身体にまとわりついていたはずの骨の鎧はかなりヒビが入っており、相当なダメージを受けているのが分かる。

 

しばらくすると爆発によって発生した煙もどんどん薄れていき二匹の骨の龍……オストガロアの触腕がうねっている影が分かる。

 

テラスタルも解除されてないってことはこっちの勝ちかしらね。

 

「グレィィィブ……。」

 

煙が完全に晴れるとオストガロアの前にはテラスタルが完全に解除され目を回しているセグレイブの姿があった。

 

「ドラゴーン!!」

 

ハッサク先生は何かを堪えるような表情をしながらそう叫ぶ。

 

どういう意味なのかしら?

 

私が疑問に思っていると今度は横から拍手が聞こえてくる。

 

「ほ……ほんまにやってもーた。

しかもポケモンを殆ど出さずに……。」

「あらまー!!」

「お「……す、素晴らじいっ!」…………。」

 

ちょっ!?ハッサク先生!?

アオキさんが喋ったタイミングとハッサク先生が泣き始めたタイミングが完全に被ったせいでアオキさんの目が更に死んでるんですけど!?

 

「小生、感動じで……うぼぉおおいおいおいおい!!」

「ハッサクおじちゃんなかないで!

いいこいいこですからね!」

 

え、絵面が酷い……誰が見ても泣き叫ぶ大の大人を幼女が甘やかすように慰めてるようにしか見えないわよこれ……。

 

チリさんも頭に手を当ててため息をついている。

 

「すまんなヴィオ、うちらの大将たまにこうなってしまうんや。」

「だ、だっでぇ!じがだな゛いじゃな゛い゛でずがあ!」

「い、いえ……私としてはいいんですが絵面が……。」

「そこんとこは目を瞑っておいてくれ……ウチらも自覚はしとる。」

 

あ、自覚はあるのね……。

 

「代わりに進行するけどチャンピオンテスト二次試験実技テストは……文句無しの合格や!」

「わー!カッチカチですー!」

「……はい。」

「よ……よぐがん゛ばりま゛じだ!!」

 

テンションの落差があまりにも酷い……。

 

「おめでとさん!

……って言いたいとこやけどチャンピオンテストはもーちょっとだけ続くねん。

お次がいよいよチャンピオンテスト最後の関門、奥の扉を見てみぃ。

うちらのスーパー総大将……最終テストの試験官はこの先で待っとる。

四天王をその実力で腕ずくかき集めたチャンピオンランク最強のトレーナーや。

ま!チリちゃんにも勝てた自分なら楽勝やろうけどな。

……サービスしたるから負けるんやないで。」

「おねーちゃんのポケモン、ポピーすきなのです!

だからね!がんばれーってしますの!」

「えーっと、グッド「竜は一寸にして昇天の気あり!」

 

あ、アオキさんんんんんん!?!?

ハッサク先生またですか!?

 

「おわっビックリした!?いつの間に復活を……?」

「貴女ならきっとなしとげることでしょう!

さあ行きなさいバイオレットくん!その小さな手で大きな勝利を掴んできなさい!」

 

あの……わざとじゃないんでしょうけどホントにアオキさんが不憫でならない。

 

私はオストガロアを治療して大量の骨をもとあった場所……オストガロアの巣にウルトラホールを経由して片付けてから進んでいく。

 

奥の扉に入ってからその道をまっすぐ進みつづけていくと奥の方にエレベーターが見えてくる。

多分あれで上がれってことよね。

 

私はオモダカさんに挑む前にしっかりと手持ちのポケモンを整理していく。

流石にチャンピオン相手だもの……かなり本気で挑まないと……。

 

整理が終わった私は早速エレベーターに乗る。

中を見てみると止まれる階は一つだけとなっており、屋上となっていた。

 

この施設屋上にもバトル用のフィールドがあるのね……。

 

エレベーターで上に上がりつづけて屋上へと到着するとちょうどすぐ目の前にあるバトルフィールドにはオモダカさんが既に配置についていた。

 

「ようこそバイオレットさん。

貴女とポケモンリーグの頂点でお会いできて大変喜ばしいです。

最終テストはトップチャンピオンであるこの私、オモダカとの勝負……勝利すれば合格ですよ。」

 

トップとの勝負……正直以前オージャの湖の時に見たポケモンでさえ凄まじい育成がされているのが一瞬でわかった。

一筋縄じゃいかないでしょうね。

 

「でもその前にひとつ謝りたいことが。

私、リーグ委員長としてよろしくない欠点がありまして……ポケモン勝負に一切妥協が出来ないのです。」

 

ッ!!!!

 

本気でヤバいわねこのプレッシャー……間違いなく今までで一番ヤバい……!

でもこっちだって負けられないのよ!

 

「そのせいか最近は合格者が現れず困っています。

しかし貴女ならチャンピオンネモのようにとてつもないことをやってのけるかも……。

それではご準備はよろしいでしょうか?」

「望むところです!」

「貴女の才……見極めさせていただきます!」

 

 

 



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紫の少女と頂上決戦その1

 

 

ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ屋上~

 

「行きますよ!クエスパトラ!」

「オーロンゲ!頼むわよ!」

「オォォォォオオオロンッ!!」

 

正直この人相手にほぼ初見殺しなさっきまでの未進化編成でまともに勝てるとは思っていない。

もちろん一部のポケモンはガチだから今の編成にもいれてはいるけど流石にチャンピオン相手に手を抜くほうが失礼と言うものだ。

 

そして私の前世の世界で先発でのオーロンゲとなると基本的に役割は一択になる。

 

「ぜひ私に勝利してチャンピオンになってくださいね。」

 

オモダカさんはそう楽しそうに話すけどまったく隙が見当たらない。

はっきり言ってこの人の戦意はネモと良い勝負だと思う。

多分少しでも隙を見せれば一瞬でこっちが落とされるわね。

 

「それにしても早速相性が最悪ですね。

クエスパトラ、『リフレクター』!」

「させませんよ!オーロンゲ!『ちょうはつ』!」

「クェェェス……!」

「…………ハッ!」

「クェェェェェエエエエエ!!!!!」

 

うっわこっちの世界の『ちょうはつ』ってそんな感じなのね……スッゴいバカにしたような顔して鼻で笑うなんて。

 

「……やはり『いたずらごころ』ですか。」

「やっぱり知ってますか。」

「以前に何度も苦戦させられましたよ。」

 

オモダカさんはそう苦虫を噛み潰したような顔をして答える。

 

このオーロンゲの特性『いたずらごころ』は変化技を素早さを無視して優先度+1……つまり先制技と同じ扱いで放てると言うかなり強力な特性だ。

だからさっきクエスパトラに『リフレクター』を指示したのを確認してから『ちょうはつ』を私が後から指示したのにこっちの方が早く行動した訳だ。

 

これの嫌な所としてこの特性を持つポケモンは基本的に先制で使われたくないような嫌な変化技ばかりを持っている事だ。

特にオーロンゲやエルフーンなんかは若干害悪寄りになる。

 

「クエスパトラ、戻ってください。

行きなさい!ドドゲザン!」

「ドゲザンッ!」

 

出たわねこの地方特有のキリキザンの進化系。

でも今のうちに最低限だけでも仕事をしてしまおう。

 

「オーロンゲ!『リフレクター』して交代よ。」

「ロンゲ!オォォォォオオオロンッ!!」

 

オーロンゲが『リフレクター』を張り終えたのを確認して私はすぐにオーロンゲをボールに戻した。

 

今回私が採用したオーロンゲはサポート完全特化型の持ち物が『ひかりのねんど』で技が『リフレクター』、『ひかりのかべ』、『ちょうはつ』、『すてゼリフ』となっている。

だけど特性『いたずらごころ』は唯一の欠点としてあくタイプに対して変化技を使うと失敗してしまうという点がある上に相手のドドゲザンはあく・はがねタイプ……あく・フェアリータイプのオーロンゲではほぼ何も出来ないのだ。

 

「行くわよ!トロピウス!」

「トロォォォオオオ!!!」

「トロピウスですか……ドドゲザン!『ストーンエッジ』です!」

「ドゲザッ!!」

「トロッ!?ピィィィイイイ!?!?」

 

うっわ結構キツいわね……あっさり急所に当ててきたわ。

でも不一致の弱点程度で倒れる程私は柔な鍛え方はしていない。

 

『ストーンエッジ』を受けたトロピウスは持たせていたある"きのみ"を食べ始めてその顎にまた同じきのみを生やした。

 

「それは確か……アッキの実ですか?

そうなると特性は『しゅうかく』?どう言うことでしょうか?」

 

この世界ではきのみの効果は殆ど知られてなくて情報が少ない。

きのみを使う有名な人とかだと私の故郷のチャンピオンであるダンテがリザードンに四倍弱点であるいわ技の対策としていわタイプの弱点攻撃の威力を半分に押さえるヨロギの実をバトルタワーで持たせてるくらいだろうか?

 

そしてトロピウスに持たせたアッキの実の効果は物理攻撃を受けると『ぼうぎょ』が一段階上昇する効果だ。

はっきり言ってこれ単体だけならそこまで強いかと言われると微妙な性能になるけど特性が『しゅうかく』持ちである技を覚えさせていた場合は話が大きく変わってくる。

 

「トロピウス!『こうごうせい』!」

「まともに回復はさせません、ドドゲザン!再び『ストーンエッジ』!」

「ドッゲッザン!!」

「ッ!!ピィィィイイイ!!!!」

 

トロピウスはドドゲザンの一撃をあっさりと耐えきって『こうごうせい』で回復していく。

 

更にアッキの実を特性で回収した後に『ストーンエッジ』を受けたことによりまたトロピウスがアッキの実を食べ始めて更にぼうぎょが上がる。

『リフレクター』込みで考えればこの状態になると物理攻撃で突破するのは急所に何度も入れない限り不可能になってきてる。

 

しかもついでにまた『しゅうかく』でアッキの実を再回収してきたわね。

 

流石のオモダカさんも違和感に気付いたのかポケモンを入れ換えてくる。

 

「クエスパトラ!もう一度お願いします!」

「クェェェェェエエエエエ!!!」

 

うっわ……相性わっる。

 

流石にとくぼうが2段階も下げられるタイプ一致技とかいうぶっ壊れた性能をした専用技である『ルミナコリジョン』を食らうのだけはごめん被る。

 

「ごめんトロピウス、戻って!

行くわよ!アーマーガア!」

「カァァァァァアアア!!!」

 

さて、かなり苦労して捕まえたこの子の特性にオモダカさんが気付かないと良いんだけど……。

 

 



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紫の少女と頂上決戦その2

すんません寝落ちしてました


 

 

ヴィオ視点

 

~ポケモンリーグ屋上~

 

 

「クエスパトラ!『ルミナコリジョン』!」

「クェェェェェエエエエエ!!」

「アーマーガア!無視して『ビルドアップ』!」

「カァァ!!カァァァァァアアア!!!」

 

オモダカさんははがねタイプを持っているアーマーガアに対して相性の悪いはずのエスパー技を使ってくる。

おそらくアーマーガアのとくぼうを一気に下げて後続へと繋ぐつもりなのだろう。

 

そしてアーマーガアはあらかじめ持たせていたタラプの実を齧ることでとくぼうを逆に1段階上昇させる。

それに加えて『ビルドアップ』を使ったことでこうげき、ぼうぎょも一段階ずつ上昇させていた。

 

「クェェエエエ!?!?」

「能力が下がらない……いえ、能力変化を反射された?

アーマーガアの特性は『プレッシャー』か『きんちょうかん』のはず……。」

「残念ながらどちらも不正解です!アーマーガア!更に『ビルドアップ』!」

「これは下手に出し続ける訳には行きませんね、ドドゲザン!お願いします!」

「ドゲザッ!」

 

ドドゲザン……おそらく『ストーンエッジ』による急所狙いといった所だろう。

若干こうげき技の相性が良くないけど溜めきれればなんとかなりそうね。

 

「ドドゲザン!『しねんのずつき』、『アイアンヘッド』、『ドゲザン』!!」

 

はぁ!?技の三種同時使用!?

ドドゲザンの頭部の刀にエスパー、はがね、あくの三種類のエネルギーが収束して練り合わさっていく。

 

流石にあれは耐えれるでしょうけど急所に受けたら洒落にならない!

 

「アーマーガア!『ビルドアップ』で無理矢理耐えて!」

「カァァァァァァアアアアア!!!」

 

アーマーガアの全身が『ビルドアップ』を詰む度に更に強靭さを増していく。

 

アーマーガアは前世だと硬いポケモンと見られがちだけどそれは能力上昇を上手く詰めていればの話だ。

実際のぼうぎょ種族値はたしか105、確かに高いと言えば高い方だげもっと化物じみたぼうぎょを持っているポケモンは大量にいる。

 

「ッ!驚きました。

まさかこれを正面から受けて意図も容易く耐えて見せるとは……。」

 

アーマーガアは能力上昇の詰み技である『てっぺき』、『ビルドアップ』、『のろい』に加えて回復技である『はねやすめ』、ぼうぎょが高ければ高い程威力の上がる『ボディプレス』、相手の変化技を封じる『ちょうはつ』、そして今回採用している能力が上がれば上がるほど威力の上昇する『つけあがる』と豊富な技を覚える。

 

今回の私の型は比較的スタンダードなタイプで『ビルドアップ』、『はねやすめ』、『ちょうはつ』、『つけあがる』の物理受け兼詰みアタッカーとしての役割を持たせている。

 

持ち物として持たせたタラプの実は特殊攻撃を受けた後にポケモンが食べる事でとくぼうが上場するというさっきトロピウスに持たせていた『アッキの実』の特殊yerといった性能をしている。

 

これにより比較的特殊方面に対して弱いアーマーガアでも特殊方面でも受けることが出来る。

 

『ちょうはつ』採用の理由としては受けポケモンが苦手とする『状態異常』に陥らせるタイプの技をあまり受けないようにするためといった側面がある。

 

私のアーマーガアの特性は夢特性の『ミラーアーマー』……自信に与えられる能力変化を追加効果での発動込みで反射するという特性で自分自身は普通に能力上昇が出来る。

 

テラスタルのレイド結晶からこの特性で出てきた時はものすごく驚いたわよ?

 

とはいえこれを使わない手はない。

 

ちなみに『てっぺき』と『ボディプレス』の組み合わせを使わない理由としては割りと単純な話でゴーストタイプに何一つ通らないからである。

 

それにしても今の技……なんつう威力してんのよ……ぼうぎょ3段階も上昇させたアーマーガアがあんな大きく削られるなんて……流石はチャンピオンといった所かしら?

 

「アーマーガア、『はねやすめ』よ!」

「カァァァァア!!!」

 

アーマーガアは地面へと降りて翼を畳んで休み始める。

するとみるみるうちに先程受けた傷が塞がっていく。

 

ドドゲザンは……まだ動けそうにないわね。

やっぱりあのわざはそうとう無茶をして使ってたのでしょうね。

さっきの一回だけでかなりスタミナを消耗しているように見える。

 

『能力上昇は合計7段階……こうげき2.5倍でつけあがるの威力は160……なんとか受けるかしら?』

 

そうこう考えているうちによドドゲザンが体勢を立て直したわね。

 

「ドドゲザン!もう一度です!」

「アーマーガア!『つけあがる』!!」

「ドッゲザァァァァァァアン!!!!!!」

「カァァァァァァアアアアア!!!!」



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紫の少女と頂上決戦その3

すんません……寝落ちした上に寝てる間にスマホの電池切れました(´・ω・)


 

 

ヴィオ視点

 

 

~ポケモンリーグ屋上~

 

 

「ドゲザァァァアアアアア!?!?」

「カァァァァァァアアアアア!?!?」

 

お互いの技が相殺しあってその余波によってお互いのポケモンが吹き飛ばされる。

 

とはいえ『ビルドアップ』を詰んだアーマーガアはぼうぎょの方も3段階、数値的には2.5倍になっているだけあってダメージはあまり受けてない。

ただ『ドゲザン』の特徴である必中攻撃のせいで避けることが出来ないのが痛いわね……。

 

対するドドゲザンはタイプ不一致の効果は今一つである『つけあがる』を受けてそれなりにダメージは受けているけどまだ2~3回は耐えられそうね。

威力160の技をこうげき2.5倍にして放ったと考えればかなりダメージが入るはずだけどやっぱり強い人相手にタイプ不一致と今一つの両方が入っちゃうとあんまりダメージはないわね……。

 

「ふむ……。」

 

オモダカさんは何か少し考え込むように目を瞑る。

多分なんか対処法が思い付きそうなのね……なら今のうちに出来るだけ『ビルドアップ』を出来る限りの詰んでおかないとね。

 

「アーマーガア!『ビルドアップ』!!」

「待っていましたのよ!『ストーンエッジ』!!」

 

まず!?

 

「アーマーガア!『はねやすめ』で釣りやり耐えて頂戴!」

「カァァァァァアアア!!カァァァァァアアア!!」

 

それにしてもおかしいわね……『ビルドアップ』てぼうぎょもかなり上がってるはずのあのにここまで吹き飛ばされたとなると確実に急所に入ったわねこれ。

 

咄嗟に『はねやすめ』を指示できなかったらやばかったわ。

 

『はねやすめ』と言う技はただ回復するだけの技ではなく使ったターンだけ自身の持つ『ひこう』タイプを消す効果がある。

 

アーマーガアははがね、ひこうタイプだから本来『ストーンエッジ』は等倍のダメージになる。

だけど『はねやすめ』後ははがね単タイプになるから効果は今一つとなる。

 

とはいえさっきの攻撃のダメージと合わせて『はねやすめ』の回復量は十分じゃないわね。

流石に限界そうだから仕掛けないと厳しいわね。

 

「アーマーガア!『つけあがる』!」

「カァァァァァアアア!!!」

「ドドゲザン!『アイアンヘッド』ではじきなさい!」

「ドッゲザ!!」

 

正面から突っ込むアーマーガアに対してドドゲザンは頭を振りかぶってその刃をぶつけようとする。

 

「アーマーガア!急旋回!」

「カァァァァァァアアアアア!!!」

 

アーマーガアは突如としてドドゲザンの周囲を回るように低空飛行しながら脚で地面を抉るように進む。

 

この動きはレティのセルレギオス……レギィの動きを参考に編み出している。

 

ただこれアーマーガアにすっごい負担をかける動きをさせるからそう何度も使える手じゃないのよね……。

 

「カァァァァァアアア!!!」

「ドゲザッ!?」

 

結果としてドドゲザンの振りかぶった刃は空振って逆にアーマーガアの『つけあがる』による高威力の滑空蹴りが炸裂する。

 

「もう一度『つけあがる』!」

「カァァァァァアアア!!!」

「ドドゲザン……今です!」

 

追撃の『つけあがる』でトドメを刺そうとするとドドゲザンはまるで吹っ飛ばされた時から用意していたようにさっきの『アイアンヘッド』、『ドゲザン』、『しねんのずつき』の三種に加えて岩に覆われた巨大な刃を頭に形成していた。

 

まさかあの岩は『ストーンエッジ』!?つまり四種混合ですって!?

 

しかもドゲザンの効果で避けられない!なら正面からやるしかない!!

 

「アーマーガア!!」

「カァァァァァアアアアアアア!!!!!!」

「ドッゲザァァァァァァアン!!!!!!」

 

お互いの技が正面からぶつかり合い爆発が起きる。

 

爆発の土煙からお互いのポケモンが吹き飛んでいくのを見て様子を見てみたけどどっちも目を回している。

どうやら完全な相討ちになったみたいね……。

 

「お互い戦闘不能ですか……これは面白くなってきましたね。」

 

正直アーマーガアが落とされたのが地味に厄介だ。

しかもさっきの何かガラスが割れるような音がしたから多分『ひかりのかべ』の効果も切れている。

 

「オーロンゲ!もう一度お願い!」

「ロンゲ!」

「行きなさい!ゴーゴート!」

「ゴォォォト!!」

 

ゴーゴート……かなりマイナーな所から来たわね。

そうなると技は……『ウッドホーン』くらいしか予想が出来ないのが痛いわね。

 

「ゴーゴート!『ビルドアップ』!」

「させません!『ちょうはつ』!」

「…………プッ。」

「ゴォォォオオオオオ!!!!」

 

うっわ……今度は蔑んだ目で見て吹き出したわよこの子……。

 

「『リフレクター』!」

「『じゃれつく』!」

「ゴォォォォオオ!!」

「ロッ!?ロンゲ!」

 

流石にゴーゴートで特殊は無いだろうと考えた私は先にリフレクターを張ることにした。

これで物理ダメージは半分になるけど『じゃれつく』は弱点なだけあってダメージが大きいわね。

流石にオーロンゲをここで切りたくは無いわね。

 

「オーロンゲ!『すてゼリフ』!」

「ロンゲッ!ゲロゲロゲ!」

「ゴォォォォオオ!!!!」

 

オーロンゲはなにかカエルのような鳴き声を出すとゴーゴートを更に怒らせて自分だけボールに戻っていく。

 

一体何を言ったのよ……。

 

さて、次はこのポケモンね。

 

 

 



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