S級ヒーロー:黒猫剣士 (ちいさな魔女)
しおりを挟む

第一章
フランと師匠


OP:『転生したら剣でした(岸田教団&THE明星ロケッツ)』


B市に出現した巨大生物。この世界において、巨大怪獣さえも“怪人”と呼称される。

 

口から冷凍ガスを放出し、B市を瞬く間に氷河期へと変えていく。両腕には羽が付いているが、空を飛ばずに羽ばたいてるだけだ。冷気が翼によって広げられて、B市全域を覆い尽くして行く。

 

A市でもある強大な怪人が暴れて大変だというのに、B市は氷河期化して大パニックになる。出動したA級ヒーロー達も冷凍ガスに苦戦を強いられていた。

 

『災害レベル・竜:ペギラ』

 

ペギラ『コオオオォォォオオオォッ!!』

 

ペギラは冷凍ガスを放出し続ける。B市は機能が麻痺して、大パニックになっていく。

 

しかし、ペギラの両足が突然切断される。A級ヒーロー達はその光景を見て、驚愕していた。そして、巨大な剣を持った白いロングスカートに軽装を装備した、一人の少女が現れた。

 

少女「師匠!行こう!」

 

師匠『ああっ!見せつけてやろうぜ!』

 

少女は師匠と呼んだ剣の柄を掴み、ペギラに向かって走る。冷凍ガスを全身に浴びるが、少女は構わずに突き進む。

 

師匠『フラン!寒くないか!?』

 

フラン「平気!」

 

少女の名はフラン。彼女はB市を氷河期に変え、その上拡大し続けるであろうペギラの冷凍ガスを浴びても肉体は凍らず、平然としている。

 

フラン&師匠「『フレイムソード』!!」

 

師匠は炎に包み込まれたかと思えば、フランが炎を纏った師匠でペギラの胴体を斬る。

 

ペギラ『コオオオオォォォッ!!?』

 

ペギラは翼をはためかせて空を飛ぼうとする。冷気をまき散らしながら空へ飛び出ち始めるが、フランは逃走を許さない。

 

フラン「『ドラゴンファング』っ!!」

 

フランはペギラの頭部に師匠の刀身を突き刺し、更にライフル弾のようにその頭部を貫通した。その時、師匠の刀身にペギラの血液が付着しており、其処から師匠がペギラの力を取り込んでいく。

 

師匠『能力吸収!』

 

そして、師匠の剣に新たな力が流れ込んでくる。冷凍怪獣の能力を得たお陰で、冷蔵庫が無くとも食品を冷やせる上に、攻撃に使えば相手を弱らせる事にも繋がる。

 

フラン「師匠!見て!空を飛べる!」

 

フランと師匠は力を共有している。そのお陰で怪人の得た肉体能力を、フランも使用する事が出来る。フランはペギラの翼で空を飛んだ。とはいえ元はペンギンの怪人の為か、空中を浮遊する程度しかない。それでも空を飛べるのは強い武器だ。

 

師匠『ああっ!此れなら怪人が現れても上手く駆け付けられるな!』

 

こうして、B市を後にした二人。A級ヒーロー達が声を掛ける前に、彼等はある人の向かったA市に向かって空を飛んだ。フランが翼をはためかせて、空を飛んだのだ。

 

A市の壊滅した場所に降り立つ二人。其処に居た黄色いスーツに白いマントを身に着けたハゲた男が、その場で落ち込んでいた。彼の隣には、そんな落ち込む彼の姿を見て呆然としている少女の姿があった。少女は、ハゲたその男に助けられたのだ。

 

フラン「サイタマ」

 

サイタマ「おう。そっちも終わったか」

 

フラン「その子、安全な所に」

 

サイタマ「おう」

 

二人は少女を避難場所へ運び出す。少女は避難場所に送ってもらい、少女の知り合いと再会した後に二人に感謝を告げた。そして、二人は帰路に着く。彼等が暮らしているのは、Z市のゴーストタウン化したアパートだ。ゴーストタウン化したものの、ライフラインは通っている。家賃自体は支払う事は無い為、無料の部屋で三人で暮らしている。

 

サイタマ「ほら、これお前等が喜びそうな奴」

 

サイタマが持って来た物は、とある怪人の脳味噌だ。A市て暴れていた怪人をサイタマが倒したのだが、その際にサイタマは二人の為に脳味噌を土産として持ち帰っていたのだ。

 

フラン「ん。ありがとう」

 

師匠『お前が倒した怪人の脳味噌だよな?どれどれ?』

 

サイタマ「フランと師匠は倒した怪人の力を取り込めるだろ?なら、これ欲しいかなと思ってな」

 

サイタマが渡した脳味噌をフランに渡すと、フランは脳味噌を師匠で突き刺した。

 

師匠『能力吸収!名前はワクチンマンで……うっ?!うおおおおおおいっ!?マジか!?こりゃ凄いぜ!!地球の意志によって生まれた怪人を倒したのかお前!?地球の力その物だぜ此奴!?』

 

フラン「おおおおおおっ!!凄い!!力が溢れて来る!!」

 

サイタマ「そんなにか?」

 

サイタマにとっては強いかどうかも分からない相手。しかし二人にとっては、嘗てない程の強敵であった。ペギラを含めた、怪獣の如き巨大怪人達とは比較にならない力だ。

 

フラン「師匠!私、この世界に転生して良かった!師匠と同じで、」

 

師匠『フラン………俺も、お前に出会えて良かったぜ』

 

フランの過去。それは、3年前に遡る。

 

――――――――――――――――――――――――

 

少女はこの世界の出身ではない。元々はサラリーマンであり、色んな作品に目を通してきただけの、ただの一般人であった。

 

どのように死んだのかは今となっては思い出せない。思い出さなくても良いかもしれない。

 

しかし、転生した後は、最悪であった。

 

黒猫の耳、黒猫の尻尾を生やす、幼い少女となった。それは、少女が前世て目を通していた『転生したら剣でした』のヒロイン『フラン』であった。彼は、フランとして転生していたのである。

 

しかし、転生した先ではとんでもない組織の研究成果によって産まれたが、その能力は後から産まれた実験体と比べて最低レベル。それでも強さを無理矢理上げようと実験を繰り返されていた。実験と言っても、実験によって産まれた『新人類』と呼ばれる怪人達と無理矢理戦わされ、殺されずに痛めつけられる生地獄の日々が2年も続いた。。

 

そしてサイタマと出会う一年前、生みの親である『ジーナス博士』から“役立たず”として棄てられた。進化の家から追い出されたフランは彷徨った。白装束の実験体用の衣服しか着てないが、逃げる内に服はボロボロになっていった。肝心な所は見えてないが、見えるのは時間の問題だ。

 

とはいえ、今は夏で猛暑日にも関わらず、全く暑いとは思わない。フランの体質なのか、猛暑日の中でも平気であった。

 

フランは街を彷徨っていた。彷徨っていたフランを待っていたのは、一本の剣であった。

 

剣は空から飛来した後、空腹で倒れるフランの前に降り立って話しかける。

 

師匠『あー其処のお嬢さん?大丈夫か?』

 

フラン(えっ?此の声って、師匠!?何でこの世界に!?)

 

師匠(あれ?この子、もしかして………いやまさかな?)

 

フランは体を起こして、座り込んだまま剣を見た。

 

フラン「………もしかして、師匠?」

 

師匠『えっ?それって俺の事?そりゃ俺は、『転生したら剣でした』の“師匠”に………えっ?お前、まさか!?フランか!?』

 

フラン「あっ………私、転剣のフランになったの」

 

師匠『えっ』

 

フラン「えっ」

 

フラン&師匠『「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!?」』

 

二人はその場で叫んだ。

 

そして、落ち着いた後に二人は近くの河原で座って話をしていた。

 

師匠『そっかぁ。お前も俺と同じ転生者なんだな』

 

フラン「ん。でも私、進化の家で産まれた。実験の日々は辛かった…………同じ実験体に虐められて、博士からは何度も解剖されて………棄てられた」

 

師匠『そっかぁ。俺も“師匠”に転生してから、ずっと色々なモンスター倒してきたんだ。でも、一人で旅してきたから寂しくてな……もしフランに出会えたらなぁなんて彷徨ってたら………まさかこうして出会うなんて思わなかったぜ』

 

フラン「でも、師匠に会えた。フランに転生した意味あった。此れからも、“師匠”って呼んで良い?」

 

師匠『勿論だ。俺の力、存分に使ってくれ!』

 

フラン「師匠。この世界、多分転剣の世界じゃない。師匠の力も何処か変わってるかも。でも、師匠が得た力、私に共有出来る?」

 

師匠『出来ると思うぞ。俺を装備してくれ。その部分は同じ筈だ』

 

フラン「ん。分かった」

 

フランは師匠の柄を握り締める。すると、フランは自らの肉体に何かが流れ込んで来るのを感じた。

 

その時に、フランの脳内に様々な怪人の能力が流れ込んで来る。フランが進化の家で長年欲しがっていた力だ。

 

師匠『この世界のモンスターは“怪人”で統一されてるんだ。例え巨大な怪獣だろうとな』

 

フラン「怪人……じゃあ、私も師匠も、怪人になる?」

 

師匠『ただ、この世界に存在するある組織には、怪人のような特殊な体質又は見た目を持ちながらも、人々を助ける組織があるんだ。倒した怪人の記憶から知ったけどな」

 

フラン「組織………冒険者みたいな感じかな?」

 

師匠『そうだな。だが、どうやって入るか分からないし、取り敢えず今は、生活出来る場所を探そう』

 

フラン「ん」

 

こうして二人は出会う。各地で怪人やモンスターと闘いながら進む内に、出会ったのだ。運命の男と。

 

それは、二人がQ市に出現したとある巨大植物に苦戦していた時だ。

 

フラン「うっ……ゴホッ!ゴホッ!」

 

師匠『花粉が厄介だな!フランの環境適応能力でも、この花粉だけはどうしようもないのか!?』

 

フラン「大丈夫……ゲホッ!ゴホッ!」

 

それは、地面に根を生やす巨大植物『マンモスフラワー』である事を二人は知らない。マンモスフラワーの撒き散らす花粉を吸い、師匠は何ともないがフランは花粉の毒で苦しんでいた。

 

そして、フランが膝を付いた、その時だった。

 

ドパアァァァァンッ!!

 

フラン&師匠「『ッ!?』」

 

突然、マンモスフラワーがへし折れたのだ。そして、二人の前に一人の男が降り立つ。

 

サイタマ「なんかよく分からん奴だったな」

 

マンモスフラワーが崩れ落ちて花粉も減っていくが、それでも空気中には大量の花粉が飛び交っている。しかし、男は平然としており、倒したマンモスフラワーを見つめていた。

 

サイタマ「っ?大丈夫か?」

 

フラン「………ん。大丈夫」

 

師匠『この男………強いぞ!フラン、今は闘わない方が良い!』

 

フラン「分かった」

 

サイタマ「えっ?何だ今の声」

 

師匠&フラン『「あっ」』

 

思わぬミスをした二人。

 

サイタマ「………俺、サイタマ。趣味でヒーロー活動してるんだけど」

 

フラン「………フラン。此方は師匠。師匠が名前」

 

師匠『………俺は師匠だ。フランの剣だ』

 

サイタマ「やっぱ喋るんだ。変わってるな」

 

師匠『まあな。それよりフラン。今後も怪人を倒して行くとして、何処で暮らしていこうか?』

 

フラン「あっ。そう、住む所無い」

 

サイタマ「なら、俺の住んでる来るか?俺の住むアパート、ライフライン使い放題で家賃タダだから」

 

フラン「家賃無料……行く!!」

 

師匠『そりゃ良いや。』

 

此れが、最強のヒーローサイタマと、フランと師匠のコンビの、初めての出会いであった。

 

フラン「あっ。師匠、この花を」

 

師匠『っとそうだったな』

 

マンモスフラワーに突き刺し、マンモスフラワーの能力を会得した師匠。此れで怪人の血液からでも能力を会得出来るようになった。

 

そして、サイタマの案内でZ市にやって来た二人。ゴーストタウンとなった無人街にあるアパートに到着した二人は、漸く落ち着ける部屋が出来て、其処で暫く休息を取った。

 

――――――――――――――――――――――――

 

それから一年後。フランと師匠はF市のショッピングモールへ買い物に来ていた。師匠は布で包み込んでおり、それを背中に背負っている。周りから見れば、ギターか何かの楽器を背負う少女にしか見えない。但し、猫耳や尻尾を隠していない為、かなり目立っている。とはいえ、悪い目線ではない。大半はフランを知る者達で、中には怪人から助けてもらった者達も居るのだ。

 

食べ物を得る為のお金を稼ぐ方法は、悪の組織を潰してお金を回収。かなりお金を溜め込んでおり、一年半は生きていける貯えがあった。その時に後から駆け付けたヒーロー達から勧誘を受けたが、まだ決められない為に断って退散した。

 

それと、フランには完璧な環境適応能力がある事が判明した。季節や水中、例え空気の薄い環境だろうと普通に生きる事が出来る。そんな完全環境適応能力だ。

 

フラン「ヒーローかぁ………やっぱり勧誘受けるね」

 

師匠『ヒーロー協会。3年前にアゴーニっていうアゴの割れた男が立てた組織で、沢山のヒーローが所属してるって話だな。ヒーロー達の給料は、ヒーロー協会への募金が主な収入源らしいな。俺達は散々勧誘断ってきたけど、そろそろ悪の組織から頂戴したお金も底を尽き掛けてるし、所属する事も検討しなくちゃな』

 

フラン「サイタマは、ヒーロー協会に入ってるかな?」

 

師匠『多分属してないだろうな。趣味でヒーローしてるって言ってたし』

 

フランは買い物カゴに鶏肉を容れると、レジに向かって歩く。猫である為か、肉食なのだ。野菜は体が受け付けず、肉と魚という肉食の体質となった。

 

オバサン「あらフランちゃん。今日も買い物?」

 

フラン「ん。お金」

 

オバサン「はいよ。468円ね」

 

フランは財布を取り出し、500円玉と68円を取り出して支払いを済ませる。お釣りを受け取った後、フランは店を出た。その時だった。

 

突如として突風が吹き荒れて、瓦礫や小石が風に乗って飛んできた。フランは片手で顔を覆うが、瓦礫が飛んでくる。車も飛んできて、フランに迫りくる。

 

師匠『硬化!』

 

師匠とフランは全身を硬化させて、全身に降り掛かる瓦礫が当たってもびくともしなくなる。しかし、瓦礫に埋もれていく二人であった。

 

フランが瓦礫を退かした後に空を見上げる。空に居たのは、赤い嘴に白い羽毛を全身に生やす巨大な怪鳥であった。

 

師匠『よし。行くか、フラン』

 

フラン「ん!」

 

フランは布を解いて、師匠を晒した。そして、空を飛んでいく怪鳥を追って、走り出すのだった。

 

『災害レベル・鬼:ラルゲユウス』




ED:『それが大事(大事MANブラザーズバンド)』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

飛行怪獣と超大型巨人

フランと師匠は空を飛んで、ラルゲユウスを追い掛ける。ラルゲユウスは羽ばたいて飛行するだけで、台風と同じ突風を起こした。瓦礫だけでなく、時に車も空中へ吹き飛ばされて行く。F市の上空を飛ぶラルゲユウスに、フランは両腕を羽ばたかせながら背中からワクチンマンのエネルギーをジェット噴射の要領で放ち、加速して追い付いた。師匠はフランの口に咥えられている。

 

二人は気付いてないが、現在D市の上空までやって来た。

 

フラン「ダブルスラッシュ!!」

 

フランは力を込めてラルゲユウスに師匠を振り下ろす。ラルゲユウスは背中を斬られて叫び声を上げる。

 

ラルゲユウスは悲鳴を上げた。

 

師匠『此奴、逃げるつもりだ!フラン!逃がすなよ!』

 

フラン「分かってる!!先ずは、此奴を落とす!」

 

師匠『『ペギラブレス』!』

 

フランは師匠を咥えたままだが、師匠は刀身からペギラの冷凍ガスを放った。冷凍ガスはラルゲユウスの翼を瞬く間に凍らせていき、機動力を奪おうとしていた。ラルゲユウスは飛行能力が低下し、動きが緩慢になってきた。

 

フラン「行ける!!」

 

師匠『よし!此奴も倒して能力頂きだ!』

 

そして、フランが師匠をふりあげようとした、その時だった。

 

突如として横から突風が発生し、周囲のビルもろともラルゲユウスやフランは吹き飛ばされた。師匠はフランを半透明な両腕で包み込むように受け止めながらも、二人揃って突風に吹き飛ばされる。

 

師匠『マジかよー!?』

 

フラン「あ………おっきぃ………」

 

師匠は上空でフランを抱き止めて、フランが再び師匠を口に咥えた後に両腕をはためかせて、突風が来た方向を見た。

 

すると、其処には約270メートル級の巨人が立っていた。腕を横に突き立てており、それが意味するのは、巨人が腕を振った事であった。

 

フラン「彼奴、放っておいたら危険!倒そう!」

 

師匠『ッ!いや、待て。サイタマが敵の肩に居る!』

 

師匠は見たのだ。サイタマが跳んで、巨人の左肩に乗っかった所を。

 

師匠『此処はサイタマに任せよう。俺達は……あっ!』

 

フラン「師匠?あっ……………」

 

二人は、ラルゲユウスの様子を見た。しかし、ラルゲユウスは既に遥か彼方まで飛び去っており、水平線の彼方に僅かな点という形でしか見えなくなっていた。ラルゲユウスは巨人に吹き飛ばされたが、フランと師匠が追ってこない隙を突いて、遥か海の向こうへ飛び去って行ったのだ。

 

彼処まで行くと、追跡は最早困難だ。何故かラルゲユウスは師匠の追跡能力にも引っ掛からない。まるでステルス機能を持った戦闘機が、レーダーにも映らないように。

 

フラン&師匠『「ああーーーーーーーーーーっ!!」』

 

二人は同時に叫ぶ。獲物を取り逃がしたのは痛い。此れではラルゲユウスの能力を獲得出来ない。

 

フラン「………師匠。あの巨人、許さない!」

 

師匠『まあ逃がしてしまったのは今更どうしようもないし、あの鳥よりも巨人の方が強そうだな!やるか!フラン!』

 

フラン「ん!行こう師匠!」

 

師匠『おう!』

 

フランと師匠は飛ぶ。フランは口に師匠を咥えたまま両腕の翼をはためかせ、背中に地球のエネルギーを集めた光の玉を形成して、ジェットのように噴射した。

 

フランと師匠の目指す巨人は、サイタマを踏み付けた後に拳のラッシュを食らわせていた。そして、トドメとばかりに右ストレートで地面を陥没させ、底無しの穴を大地に開けた。D市を瞬く間に壊滅させたのだ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

マルゴリ『俺は、最強だ!』

 

マルゴリ。彼は世界一強い男になるのが夢だった。最強になる為に日々トレーニングを重ねて行く。しかし、マルゴリはある日、天才科学者である兄フケガオの生産した究極のステロイド『上腕二頭キング』を飲んだ事で、山のように大きな巨人へと姿を変えた。そして、兄のフケガオの指示の元に動き出し、D市を歩いたり、腕を振るっただけで壊滅的な被害をもたらした。その力に酔いしれて破壊を繰り返したが、ある乱入者が現れた事でマルゴリは全てを失う。

 

マルゴリは右肩に乗るフケガオの命令で、肩に乗るサイタマを殺そうとした。しかし、間違えてフケガオを殺害した事を強く嘆き、自らの肩に乗るサイタマへその怒りをぶつける。サイタマを地面へ叩き付け、足で踏み潰した後に拳の連撃。そしてトドメに右ストレートを食らわせ、D市を更地にする程の一撃を与えた。

 

マルゴリは息を切らしながら、自分が最強である事に誇りを抱く。しかしそれは、少しの間。

 

左手の掌の中で潰れて死んだ兄の亡骸を見て、嘆き悲しむ。

 

マルゴリ『だから何なんだ?虚しい…………』

 

サイタマ「だよな」

 

すると、マルゴリは自らの左頬へ跳んでくるサイタマの姿を見た。更に、マルゴリはサイタマに頬を殴られて絶命。サイタマの一撃でも肉体は吹き飛ばなかったが、それでもマルゴリは絶命した。

 

しかし、倒れた先にはB市がある。このままではB市が押し潰されて壊滅してしまうだろう。

 

その時だった。

 

フラン&師匠「『『ジュランパイア』』!!」

 

フランは両手で師匠を持ち、背中のジェット噴射を強くして加速。そして、師匠をマルゴリの背中に突き刺し、師匠の刀身を無数の木の根に変えて、マルゴリの体内中に張り巡らせる。そして、木の根からマルゴリの血液を全て吸収していき、マルゴリの肉体を干からびさせていく。

 

マルゴリの落下速度が弱まる。血液を抜かれて体が細くなっていき、元の筋肉質な体は徐々に細くなり始めた。

 

もしマルゴリが生きていればフランと師匠は攻撃されていたが、マルゴリはサイタマに倒されて絶命している。今なら能力を得られる。

 

そして、マルゴリは血液を全て吸い取られ、B市に落ちる前にハゲたマントの男と、噂の黒猫剣士によって何処かへ持ち去られた。B市の人々は、巨人を持ち去る二人の男女の姿を見て、彼等をヒーローと思っていた。しかし、ヒーロー協会に感謝を送ったが、その二人について心当たりが無い協会であった。

 

しかし、彼等が注目対象となったのは、別の話である。

 

師匠『マルゴリか。なんか、可哀想な奴だったな』

 

フラン「でも巨人パワーゲット!」

 

師匠『以前よりパワーが増した気がするぜ!』

 

そして、師匠とフランは並の怪人より強い力を得た為、マルゴリにラルゲユウスを逃した腹いせをぶつけられた為、正に一石二鳥である。




今回は短いです。

《オリジナル怪人》
名前:ラルゲユウス
災害レベル:鬼
シン・ウルトラマンのラルゲユウスそのもの。今回も原作やシンと同様、取り逃がしてしまった。マルゴリが居なければ、確実に倒せた怪人である。

《オリジナル技図鑑》
『ペギラブレス』
使用者:師匠
ペギラの冷凍ガスを放つ。全てを凍らせる冷凍ガスは瞬く間に対象を凍らせて、その場の環境を大雪やブリザードが荒れ狂う環境に変える。一点集中で放てば対象を氷漬けにするだけに留める。

『ジュランパイア』
使用者:フラン&師匠
刀身で突き刺した相手の体内に数多くの根っこを張り巡らせて、根っこから血液を吸い取る。吸い取る速さは根っこの数に比例しており、体が大きければ大きい程吸い取る為の根っこが増える。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

地底人と溶解怪獣

フランはZ市のゴーストタウンにあるアパートに戻り、その一室に入って夕食にした。料理は主に師匠と一緒に作っており、味付けに関しては師匠が向いていた。

 

このアパートはサイタマに案内され、家賃を支払う必要が無い為に無料だ。その上怪人も偶に現れる為、力を得るには良い物件だ。因みにサイタマの部屋はフランと師匠の部屋の玄関から見て左から数えて3番目にある。

 

ベッドや家具に関しては買い揃えなくてはならない為、嘗て壊滅させた悪の組織から盗んだお金で家具や日用品を買い揃え、こうして今は普通の生活を送れている。

 

一日を終えたフランは布団に潜り、眠りに入る。師匠は布団を掛け直した後、フランの隣で浮遊したまま眠りに入った。

 

そして翌朝。フランと師匠は目を覚ます。剣になった師匠は人間の持つ朝の眠気や目やに等に悩まされる事は無いが、フランはそうではない。フランは洗面台で顔を洗った後、朝食にパンを5つ食べる。と、その時だった。

 

突如としてアスファルトが割れる音と衝撃が部屋を揺らす。フランは寝間着のままベランダに向かい、其処から下を覗いた。

 

師匠『どうした?』

 

フラン「師匠。あれ」

 

フランが指を差す場所。其処にはアスファルトを突き破って来た土偶のような怪人達だ。

 

地底王「地上は我等地底人が頂いた!地上人には死んでもらおう!」

 

フラン「師匠!」

 

師匠『おう!行く――』

 

地底王「我は地底王!地上人共、覚悟しろ―――」

 

その瞬間、地底王は踏み潰された。本気の顔をしたサイタマに。

 

フラン&師匠「『あっ』」

 

行く前に倒された。

 

サイタマ「さあ、やろうか!!」

 

すると、地底人は即座に地面の中へ潜り、白旗上げて退散した。

 

サイタマ「………あれ?」

 

サイタマは呆然としていた。しかし、今日はまだ終わらない。

 

再び地面が揺れる。軈て複数のドリルが出たかと思えば、そのドリルが付いた殻を背負う巨大なカタツムリが地面から現れた。殻のドリルで地面を掘り進めてきたのだ。

 

『災害レベル・鬼:カイゲル』

 

フラン「わあ。カタツムリ」

 

師匠『フラン!行くぞ!』

 

フラン「ん!」

 

フランはパジャマからロングスカートの軽装へ着替えると、先程のカイゲルの元へ走り出す。アパートから飛び出した際に、サイタマと並んで走り出す。

 

師匠『あの地底人は後で回収するとして、先ずはあのカタツムリからだな』

 

フラン「ごー!ゴー!」

 

そして、三人はカイゲルに追い付いた後、跳んでカイゲルの上を飛び越えた後に怪獣の前に着地した。カイゲルは前に回り込んで来た三人に向かって、触角を光らせた後に電撃状の光線を放った。それはサイタマに直撃し、服を溶かす。しかし、光線が止まった後のサイタマは全裸にマントを肩に羽織るだけの姿となった。フランは特に気にしてないが、師匠はフランの目を両手で覆う。

 

カイゲル『!!??』

 

カイゲルは驚いた。溶解光線が効かない人間が居る等、信じられなかったからだ。

 

フラン「サイタマ。此奴は私達が倒す!」

 

サイタマ「そっか。危なかったら俺がやるよ」

 

フラン「大丈夫!」

 

サイタマは下がり、フランが前に出る。歩いてカイゲルの前に出るフランは、師匠の柄を握り締めて全身から力を解放した。ワクチンマンから奪って得た光パワーを全身に纏い、紫色のオーラで体を包む。師匠が補助をして、動いても問題ないようにしてくれた。

 

師匠『アースシールド。地球のエネルギーで作ったバリアだぜ』

 

そして、カイゲルは再び触角から光線を放った。万物溶解光線はフランに当たる。しかし、フランに光線は当たるが、フランの体は溶けなかった。

 

師匠『行くぜフラン!』

 

フラン「『マルゴリスラッシュ』!」

 

フランは縦に師匠を振り下ろす。すると、カイゲルの頭と胴体は真っ二つに切断された。硬い殻も一発で切断されて、カイゲルは絶命した。

 

師匠『能力吸収!おっ?』

 

師匠は能力を得てある事に気付く。

 

師匠(能力の組み合わせ。此れだ!能力を組み合わせれば俺も強くなれるし、フランの強化にも役立てる!やっぱり師匠ってチートな剣だな!俺も、師匠に転生した身として、恥じないように努力しよう!フランと一緒にな!)

 

師匠『フラン。部屋に戻ったら、パワーアップした俺の新しい力を教える!』

 

フラン「おー!」

 

師匠『それじゃあ先ずは帰ろう』

 

フラン「ん!」

 

――――――――――――――――――――――――

 

フランの部屋。フランはカレーを食べていた。食べながら師匠の説明を受けるフラン。因みにカレーは師匠のお手製。

 

師匠『俺は新たな能力として、『能力の融合』が出来るようになった』

 

フラン「ムグムグ……それってつまり、怪人の能力を混ぜ合わせて新しい能力を創れるって事?」

 

師匠『そうだ。弱い怪人であっても便利な能力を持ってる事があるからな。それ等を組み合わせて強い能力にするんだ。例えば、この前倒したマルゴリの身体能力と、ワクチンマンの地球の力を組み合わせれば………出来たぞ』

 

師匠は複数の都市を壊滅させる力を持つワクチンマンとマルゴリの力を組み合わせ、新たな力へと変換する。すると、師匠は新たな能力を会得した。師匠の体から金色の光が放たれる。

 

すると、フランも体の奥底から力が漲ってきた。

 

『ワクチンマンとマルゴリの融合完了。新たな能力『アースタイタン』を獲得しました』

 

フラン&師匠「『おおっ、やっと聞けた!アナウンス!』」

 

それは、転剣での仕様であったフランと師匠が強くなった際に聴こえてくるアナウンスであった。

 

フラン「す、凄い!師匠の力が、私にも!」

 

師匠『ああっ。地球の意志とでっかい巨人パワー。相性は良かったのかもしれないな』

 

新たな力を手に入れた二人。

 

すると、フランはある事を思い付く。

 

フラン「サイタマと手合わせしてみる?」

 

師匠『えっ?おい待て、正気か?』

 

フラン「正気。今の私達が何処まで出来るか、試したい。知っておきたい」

 

師匠『………分かった。俺も自分が何処まで強くなったか、試してみたくなった』

 

二人は立ち上がり、再び部屋を出てサイタマの元に向かうのだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フラン「ありがとうサイタマ。無茶な頼み、聞いてくれて」

 

サイタマ「まあ俺も暇だったからな」

 

フランとサイタマ、師匠の三人は、人気のない荒野へと足を運んだ。手合わせするには全力を出さないといけないが、二人が戦うとなると町を破壊してしまう。

 

因みにサイタマのヒーロースーツは他にもあり、現在着ているのは沢山ある予備のスーツだ。

 

師匠『サイタマ。この手合わせのルール、覚えてるか?』

 

サイタマ「俺に参ったを言わせたらお前等の勝ち。逆にお前等が戦闘不能になったら俺の勝ち。ハンデとして俺は一撃しか撃てないけど、お前等は攻撃し放題。こうだっけ?」

 

師匠『覚えててもらえて光栄だ』

 

サイタマとフランの距離が20メートルも離れる。其処でお互いに向き合うようにして立つ。

 

サイタマ「手合わせっつっても、そっちはガチなんだろ?」

 

フラン「勿論。殺すつもりで行く!」

 

師匠『手加減はしない!お前を本気にさせるつもりでやるぜ!』

 

フランは師匠を両手で持ち、戦闘の構えを取る。

 

フラン「行くよサイタマ!行こう、師匠!」

 

師匠『ああっ!!』

 

サイタマはその場で直立したままだ。

 

そして、フランは師匠を両手で握り締めながら、サイタマに向かって走り出した。大地を砕き、土を蒸発させる程の蹴りによって走り出したフランは、サイタマに師匠を振り下ろすのだった。




次回、手合わせと鬼サイボーグ

《オリジナル怪人》
名前:カイゲル
災害レベル:鬼
シン・ウルトラマンのカイゲルそのもの。触角から溶解光線を放ち、当たった物質を溶かしてしまう。当たればS級でも命の保証は無いが、サイタマには通用せず、フランの光パワーのバリアも貫けなかった。殻も水爆では破壊出来ない硬さを誇るが、サイタマやフランと師匠の前では硬さ等意味をなさなかった。

《進化により得た新たな能力》
『能力融合』
使用者:師匠
倒して得た能力、吸収して得た能力や身体機能を融合させる事で新たな能力を目覚めさせる。

『アースタイタン』
使用者:師匠&フラン
ワクチンマンとマルゴリの力を融合して得た能力。地球という自然の力で産まれた怪人と、人間の科学の力で誕生した怪人の力。自然と科学に組み合わせたその体はエネルギー量及び出力が上昇し、放つ光弾や光線はワクチンマンの比ではない。また、肉体変形能力を持ち、最大でマルゴリより遥かに巨大化出来るが、その分エネルギー消費が激しくなる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

手合わせと憎き記憶

フランの横に振り上げた師匠を、サイタマはお辞儀をしながら避ける。フランは両手に翼を生やして羽ばたくと、空中で旋回してサイタマの元を向いた。そして、今度は空中で回転しながらアースタイタンの脚力でサイタマを蹴ろうとするが、体を起こしたサイタマは後ろへ体を傾けて避ける。しかし、攻撃するのはフランだけではない。

 

師匠『アースショット!』

 

師匠が光球を出して弾丸のように撃ち出す。サイタマは光球を避けると、光球は通り過ぎた先の崖に直撃して大爆発を起こした。崖は消滅し、その先の森も数百メートル規模で消滅した。

 

フラン「『六連斬撃』!」

 

フランはサイタマに向かって師匠を振り下ろす。その瞬間、サイタマに向かって6つに分かれた斬撃が空から迫る。

 

サイタマは避けるが、マントの一部が斬れて地面に落ちる。そして、マントの切れ端はフランの6つの斬撃によって消滅した。6つの斬撃は地面に同時に直撃し、数十メートルもの6つの傷跡を地面に作る。

 

サイタマは上空へ跳んだが、フランに代わって師匠はその隙を逃さなかった。

 

師匠『『カイゲルビーム』!』

 

師匠が刀身から電撃状の光線を放つが、サイタマは空中にも関わらず回避した。回避されて岩石に当たる。岩石は当たった瞬間に秒を数える間もなく液状に溶けていき、溶けた際に蒸発音も響く。溶けた上に気化しているのだ。

 

サイタマ「おい、服をまた溶かす気かよ」

 

師匠『マジかよ~空中で避けんのか』

 

フラン「まだ、まだ!」

 

フランは自身の周りに光球を出現させ、空中に浮かばせた。数を増やしていき、まるで星空を思わせる無数の光球が、フランを取り囲んでいた。そして、その光球を弾丸のように放つ、のではなく細長い光線を光球から放った。

 

サイタマは光線を避ける。服が焼けてしまうからだ。更にフランが光球から放つ光線は数を増していき、軈てサイタマのマントに複数の穴を開け始める。

 

しかし、光線はサイタマ本人に当たらない。当たっても意味は無いし効かないにも関わらず、サイタマは避けていた。服が焼けるから受けたくないだけなのだが、フランは「この程度の攻撃は容易く躱せる」というのがサイタマの考えであると勘違いした。師匠はサイタマが攻撃を避ける理由を何となく理解していた。

 

フラン「こんな速さじゃ避けられる!もっと、もっと早く動く!」

 

師匠『フラン!無理はするな!』

 

フラン「無理は分かってる!でもやらなきゃ、サイタマに勝てない!」

 

師匠『フラン……何故そこまで!』

 

フラン「勝てないなんて分かってる!でも、勝つ!!私は強くなるんだ!!そして、馬鹿にしてきた進化の家の連中を見返してやる!!」

 

フランは師匠の柄を口に咥え、四足となる。両手を地面に付け、脚を猫の後ろ脚のような見た目をした爪先立ちとなる。この構えは、フランの本当の戦闘スタイルではないが、最近利用したネットとやらで、この戦闘スタイルを持つヒーローを知ったのだ。S級ヒーロー『番犬マン』だ。彼は獣のような四足戦闘スタイルを主に扱っており、可愛い見た目とは裏腹に圧倒的な戦闘力を持ち合わせていた。動画で見た時、フランは師匠と相談して、この戦法も取り入れる事にした。Q市の守護神たる番犬マンの戦闘方法は、猫の特性を持つフランにも出来る筈なのだから。

 

フランは四肢を巧みに動かして、サイタマに攻める。フランはただで突貫するような馬鹿ではない。四足のまま反復横跳びを行い、無数の分身を生み出した。

 

師匠『おおっ!フラン、いつの間にかこんな技を!?』

 

怪人を取り込んで来たが、少なくとも此処まで速い怪人はまだ取り込んでない。もしかすると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

サイタマ「やるな。強くなるよ、フラン」

 

サイタマも、フランから将来強くなる事を感じ取った。師匠込みもあるだろうが、フラン自身も成長して来ている。

 

フランはサイタマの背後に回り込み、口に咥えた師匠を振り下ろす。サイタマは横へ避ける。サイタマが避けた先の地面が深く抉れた。

 

フラン「『アイシクルトルネイド』!」

 

フランは口から冷凍ガスを放ちながら、その場で回転した。回転により生まれた竜巻はフランを囲むようにして出来た後に、冷凍ガスを取り込んで水色に輝く。そして、サイタマに抱き着いて冷凍竜巻をサイタマに食らわせた。しかし、サイタマの服が若干凍るだけで、サイタマ自身は凍らず、平然としている。

 

サイタマ「なんだ。服が凍ってるな」

 

フラン「っ!やっぱり強い!でも、まだやめない!!」

 

フランは両足に力を入れて、特に腸腰筋に力を入れた後に跳んだ。

 

フラン「強くなる!!強くなって!!進化の家を、見返してやる!!彼奴等の顔を、ぶん殴ってやる!!」

 

師匠『フラン………分かった!俺もお前に協力する!』

 

師匠(話を聞いた時は、俺もゾッとしたな………進化の家って、人類の進化の為に其処までやんのかよ………)

 

――――――――――――――――――――――――

 

フランが師匠と出会う前の、2年前の話。

 

フラン「ぎぃああああぁぁぁあぃいいいっ!!!!!」

 

フランは絶叫を上げていた。

 

フランは手術台に縛られて動けなくされ、足をノコギリで斬られていたのだ。更に、神経に至ってはハサミで斬られる等、あまりにも酷い激痛がフランを襲う。

 

更に、前歯をドリルで歯茎ごと抜き取る。しかし、その前歯も歯茎も瞬く間に再生する。

 

その様子を見る眼鏡を掛けて白衣を着る男。そして、彼と同じ顔に髪型、体格を持つ黒スーツの男が、白衣の男に話し掛けてきた。

 

???「どうだ?被検体の能力値に変動は?」

 

『進化の家創設者:ジーナス博士』

 

???「はい。肉体の再生能力は他の被検体と比べて高く、傷も瞬く間に再生しました。また、欠損した肉体も再生もしくは結合速度も尋常ではありません」

 

『進化の家クローン体:クローン04号』

 

ジーナス「力は弱い癖に再生能力は高いのだな。次は環境適応能力の実験だ」

 

ある時は、溶鉱炉の中に突っ込まれた。

 

フラン「ハァ………ハァ………」

 

鎖で括り付けられ、何度も何度も溶鉱炉の中の溶けた鉄の中で焼かれる筈だが、フランの肉体には何の異常も無かった。

 

次に逆さ吊りで水槽の中にある酸の中へ突っ込まれた。全身が焼けてしまうが、すぐに再生していく。しかし、再生した所でまた焼けて激痛が襲う。しかし、すぐに適応してしまった。

 

ジーナス「ふん。適応能力も良い上に再生能力は良いな。だが所詮それだけの使い物にならんクズか。力が無くては駒にもならん」

 

ある時は、実験により産まれた新人類達の虐めに遭う。

 

フラン「動かない……!」

 

???「ケーケケケッ!そのまま埋めてろよグランドドラゴン!」

 

『災害レベル・鬼:カマキュリー』

 

グランドドラゴン「暴れられるのも面倒だしな。カマキュリー、今日は新たな技を試すんだろ?」

 

『災害レベル・虎:グランドドラゴン』

 

モグラ型の怪人グランドドラゴンによって、床に首だけになる状態で埋められたフラン。必死に抵抗するが、逃げられない。フランの目の前に人型のカマキリ怪人カマキュリーが立つ。

 

カマキュリー「おっと足が滑ったな」

 

カマキュリーが足でフランの頬を蹴る。

 

???「ハハハハハッ!正に手も足も出ないとはこの事だな!」

 

『災害レベル・鬼:獣王』

 

獣王「では先ずは、両目を潰す!」

 

ライオンの頭部を持つ屈強な巨漢の体を持つ怪人が、二本の指に生える鋭い爪で、フランの両目を突き刺した。

 

フラン「がああああっ!!」

 

獣王「おい誰が叫べと言った!?」

 

フラン「ぎゃああああああああああっ!!」

 

獣王がフランの潰した両目の部分を、爪で回して更に血肉をかき混ぜる。その激痛がフランを襲う。

 

カマキュリー「おい!うるせぇぞ!」

 

カマキュリーがフランの口に、自らの鎌の先端を突き刺した。声を出せない、否喋れないようにしたのだ。

 

そして、拷問のような時間が過ぎていく。

 

グランドドラゴン「おい!お前が汚したんだからな!」

 

カマキュリー「自分で掃除しとけよな!」

 

怪人達『ギャハハハハハハハハハハハッ!!』

 

怪人達が去っていく。血塗れとなり、肉片が飛び散る床の上に寝転がるフラン。傷は全て治っているが、立ち上がる気力も起きなくなった。

 

それが毎日続く。そして、2年が経過した頃、ジーナスによって屋上から蹴落とされた。

 

ジーナス「お前はもう不要だ」

 

殺す事は出来なかった為、その場で廃棄した。フランは地面に落とされて顔の半分を潰れてしまうが、すぐに再生した。

 

フラン(逃げよう………此処に居たくない……)

 

地獄の日々が終わる。もう戻りなくない。

 

フランは走り続けた。体力は無いが、それでもよろけながら走り続ける。そして、後に彼女は“師匠”に転生した存在と出会いを果たすのだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フランは口に咥えた師匠を振り下ろし、サイタマを攻撃する。

 

サイタマ「おっ」

 

フラン「喰らええええええええっ!!!」

 

フランは師匠の刀身に地球のエネルギーを強く込めており、今ならば複数の街だけでなく、大陸を一刀両断出来るだろう。

 

サイタマ「はい、俺の勝ち」

 

しかし、サイタマはいつの間にか背後に回っており、フランの頬へ指を当てる。

 

フラン「っ!!まだまだぁ!!」

 

フランは口に咥えた師匠を振る。地面に向けなくて良かった威力が空中に放たれ、空の雲が左右に別れた。

 

尚、三人は知る由もないが、三人の様子を一機のドローンが見下ろしていた。ドローンはジェットを噴射して空中に浮いており、搭載されたカメラで闘いの一部始終を記録していた。

 

???『騒音の元へドローンを差し向けたが、あれがヒーロー協会が例のサイボーグに並んで注目している、黒猫の少女か。成る程、ヒーロー協会が注目する筈だ。エネルギー量も計り知れん。だが、あの男は何者だ?協会に問いただしてみるか』

 

そして、見られてる事を知らない三人の闘いは暫く続いた。

 

フラン「『ヘヴィースラッシュ』!」

 

フランは重い一撃を込めた斬撃を放つ。シンプル故に最強の一撃。フランの諦めない意志に、サイタマは答える。振り下ろされる一秒間で、サイタマはフランと師匠の覚悟に応えた。

 

サイタマ「なら、俺も本気を出してやるぜ。お前は強くなる。だから、見ておけよ」

 

サイタマは、切り札を出す。面倒な相手や、強いと見た相手にしか使わない、自身の取っておき。

 

サイタマ「必殺マジシリーズ………『マジ殴り』」

 

そして、サイタマは本気で殴る。

 

本気で殴られる、事は無かった。目の前で寸止めされて、フランは空中で静止し、師匠の刀身は粉々に打ち砕かれた。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

フランは、刀身が砕けた師匠と共に、地面へ仰向けになっていた。

 

フラン「ううっ……ぐずっ………ぐやじい!!ざいだまにがでながっだぁ!!」

 

師匠『フラン………俺もぐやじいよ!!』

 

フランと師匠は泣いた。フランにとって、進化の家での凌辱の日々と同じ位のショックであった。師匠も、初めて経験した悔しい敗北に、泣くしか出来なかった。

 

そんな二人にサイタマは、しゃがみながら声を掛ける。

 

サイタマ「………腹減った。飯だ飯。なんか喰いたいか?」

 

フラン「………おにぐ!!」

 

サイタマ「おう」

 

フラン「づぎはまげない!!じじょうどぜっだいにがっでやる!!がっでやるんだがらあああ!!」

 

サイタマ「ああっ。俺も何時だって、手合わせしてやるよ」

 

フランと師匠は負けた。まだ二人は泣いていた。そんな二人に、サイタマは敢えてこの言葉を投げ掛ける。

 

サイタマ「泣いても良いけどよ。そんなに悔しいなら、もっと強くなれよ」

 

その言葉が、フランと師匠の決意を強くした。

 

フラン&師匠「『づよぐなるよおおおおお!!!/あだりまえだああ!!!』」

 

そして、フランは師匠を背負って立ち上がる。師匠は刀身が再生しており、徐々に修復していく。とはいえ、再生能力の速度アップと向上は今後の課題だ。今後の敵も強くなる事を考えると、再生能力は必須だ。

 

サイタマ「どんな肉が喰いたい?」

 

フラン「ステーキ!」

 

サイタマ「おう、レストランに行こうぜ」

 

師匠『何時かフランが、野菜も食べられる体になれたら良いな』

 

そして、上空でドローン越しの映像を見ていた男は、闘いを途中からとはいえ録画していた。

 

???『あのハゲマントに黒猫の剣士……ヒーロー協会所属でないのが惜しいな。俺からも接触を図るか?ヒーロー協会を信用してはいないが、マトモな面々も居るのは確かだ。シッチやイサムには報告を入れておくが、監視対象に加えておくか』

 

『S級ヒーロー9位:メタルナイト/ボフォイ』

 

尚、当の監視対象に入った本人達はというと。

 

フラン「美味しいいいぃぃぃー!!!!」

 

師匠『なんじゃこりゃあ!?なんだこのステーキ!?ほぼ丸太じゃあねえか!!』

 

サイタマ「無理………」

 

フランがサイタマにある意味でリベンジを果たしていた。ファミレスで行われていた大食い勝負で、フランがサイタマとステーキの大食い対決をしていたが、フランが勝利したのである。

 

因みに、大食い成功者は10万円もの賞金が当たり、失敗者ㇵ1万円の罰金があった。




オリジナル技

『六連斬撃』
使用者:フラン
剣を振り下ろして放つ6つの斬撃。一度の攻撃で6発も攻撃を同時に行っている。謂わば釘パンチの斬撃バージョン。

『カイゲルビーム』
使用者:フラン&師匠
剣又はフランの指先から放つ溶解光線。カイゲルより何倍も威力は上で、当たった物を溶かす上に気化させる。

『アイシクルトルネイド』
使用者:フラン&師匠
回転しながら冷凍ガスを放ち、自分を中心とした冷凍竜巻を形成して相手を攻撃。相手を凍らせるだけでなく冷気による冷却効果で相手を凍傷により肉体を崩壊させるが、サイタマには通じなかった。

因みに、フランの回想に出てきた出来事なんて、ほんの一部です。みなさんは、フランが進化の家でどんな仕打ちを受けてきたと思いますか?皆さんが想像出来る限りの事を、フランは全部受けてますよぉ。

因みに、メタルナイト越しの会話は本来カタカナが混じってますが、面倒くさいので普通の話し方にしてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

放射性物質捕食怪獣と戦慄の超能力者

サイタマとの手合わせから一週間後。フランと師匠はG市の放射性廃棄物処理場にやって来ていた。サイタマはZ市のマンションで留守番をして、フランと師匠が代わりに出向いたのだ。

 

怪人発生のニュースを聞き付け、二人はサイタマに代わって空を飛びながら駆け付けたのだ。

 

今回出現した怪人は、放射性物質を喰らう巨大怪獣であり、放っておけば放射線が街中に放たれて危険なのだ。

 

幸いな事に、フランは放射能汚染された地域を走っても、初めは苦しんだが、すぐに適応した。そして、師匠と共に放射性物質を喰らっている怪人の元へ到達した。

 

四足歩行の巨大怪獣が、放射能マークが描かれた缶や鉱石を喰らっており、その影響で周囲に放射能が撒き散らされている。

 

フラン「大きい!」

 

師匠『だが、マルゴリやワクチンマン、サイタマに比べれば!』

 

フラン「楽勝!」

 

フランは走る。巨大怪獣、パゴスを倒して能力を得る為に。

 

『災害レベル・竜:パゴス』

 

パゴスはフラン達の姿を見ると、咆哮を上げて襲い掛かってきた。食事の邪魔をされた事を怒っているのだ。

 

パゴスは前脚を振り下ろしてフランを押し潰そうとするが、フランは前脚を師匠を振り上げて真っ二つに切り裂いた。

 

パゴス『ゴアアアッ!?』

 

パゴスは断末魔の悲鳴を上げる。パゴスはもう片方の足を振り下ろしてフランを押し潰そうとするが、フランはもう片方の足も真っ二つに切り裂いた。

 

パゴスは前にそのまま横に倒れてしまうが、パゴスは頭部を起き上がらせた後に、口元大きく開いた。その瞬間、師匠は口の中から輝く虹色の光を見た。それがどんなものか、

 

師匠『ヤバいぞ!!放射性物質を含んだ激ヤバ光線を撃つ気だ!フラン!防ぐぞ!』

 

フラン「ラジャー!!」

 

フランは師匠を盾のように構えて、更に師匠の大きさをパゴスが直立したようなデカさに変えた。

 

そして、パゴスは口から虹色に輝く炎を纏った白い光線を口から放つ。師匠はパゴスの光線を受け止める。地球のエネルギーを全身に纏い、光線を受け止めて行く。しかし、放射性物質は周囲へ広がって行き、このままでは周囲の街は住めなくなってしまう。

 

師匠『フラン!放射性物質が!!』

 

フラン「このままじゃ……町が危ない!!」

 

師匠『これならさっき頭を切り落とせば………いや待て!?此奴、下手に殺したら放射性物質が拡散しちまうじゃねえか!』

 

フランも光線を防ぐのに精一杯だ。今回の相手はデカいだけの怪人ならどれだけ楽だったろうか。しかし、今回の相手はただ倒すだけでは意味が無い。今回の相手は放射性物質を拡散させずに無力化しなくてはならないのだ。このように倒しても周りに影響を与えるタイプは、一番戦いにくい相手だ。

 

フラン「ぐうううううっ!!」

 

師匠『フラン!大丈夫かっと?』

 

突然、光線が上空に舞い上げられ、蛇のようにうねる。そしてパゴスの体も真上に浮き始める。

 

師匠『何だ!?このエネルギーは!?』

 

フラン「師匠!あれ!」

 

フランが指を差す上空を師匠も向いた。その方向には、小柄な少女のような体躯の女性が空中に浮いていた。髪先がカールした天然パーマの緑色の髪に、黒いスリットスカートからはみ出た生足とツリ目を持つ。また、小柄な体躯からは有り得ない色気を放っており、女性が小柄な体躯に似合わぬ大人である事を醸し出していた。

 

???「何をこんな奴に苦戦してんのよ。足手まといだから下がってなさい」

 

女性はそう言った後、片手を振り上げてパゴスを周囲に撒き散らされた放射性物質もろとも持ち上げた。

 

???「放射性物質なんて面倒なモンも含めて、全部お返しするわ」

 

そして、女性は手を握り締めた。その瞬間、周囲の放射性物質がパゴスの体に付着していき、またパゴス自身もその体から大量の血を噴き出しながら、骨が砕け肉が潰れる音を響かせる。

 

そして、パゴスは放射性物質もろとも女性の力によって巨大な玉となり、地面を壊す事なく置かれたのだった。放射性物質の放出も確認されていない。

 

そして、地面に降りてきた女性の元へフランが駆け寄る。

 

フラン「凄い!今の、超能力!?」

 

???「ん?アンタ、まだ此処に居たのね?さっさと帰りなさい。邪魔なのよ」

 

フラン「…………邪魔?」

 

???「そうよ。アンタみたいな奴は足手まといなの。居ても邪魔になるだけだから」

 

フランは心の声で師匠に語り掛ける。

 

フラン(師匠。なんかこの子供、苦手)

 

師匠(まあ変だな。でも此奴に俺達の念話が聴こえてないからって、あまり悪く言うなよ)

 

しかし、何故か女性は不機嫌そうな顔になり、二人にこう言った。

 

???「()()()()()()()()()()()()!!」

 

師匠(聴こえてるって!)

 

予想外だった。まさか聴かれていたとは思っていなかったのだ。しかし、聴こえてるのならば、それはそれで話してみる意味がある。

 

フラン「私、フラン。此方は師匠。師匠と私、コンビで怪人倒してる」

 

師匠『あー、そうだな。俺は“師匠”だ。因みにこれ呼び名とか渾名じゃなくて、実際の名前な?』

 

???「……色んな怪人を見たけど、剣が意志を持って話すなんて初めてだわ。アタシは『タツマキ』よ」

 

タツマキは簡潔に自己紹介を済ませると、タツマキはフランにある質問をした。

 

タツマキ「所で、アンタって前から噂になってた猫耳の少女よね?人間社会で普通に暮らし、剣を持って怪人を倒していく謎の少女。協会で噂になってたけど、アンタで間違い無さそうね」

 

フラン「ん。師匠と怪人倒して来た」

 

師匠『話が出来そうで良かった。俺達はアンタ達の言う怪人かもしれないが、別に敵対したい訳じゃない。そろそろ貯金も尽きそうだし、ヒーロー協会とやらに所属したかった所だ』

 

タツマキは目の前のフランと師匠に敵意が無く、その言葉にも嘘を感じなかった。

 

タツマキ「ふーん。まっ、アタシからも報告しておくけど、ヒーロー協会に入るならしっかりと役立ちなさいよ」

 

そう言った後、タツマキは空へ飛んでいった。

 

その様子を見ていた二人は、その後にパゴスの死体を持ち上げて、人気のない場所へ運び込む事にした。

 

その頃、タツマキは空からフランと師匠様子を見ていた。

 

タツマキ「……あの二人、とんでもない力を秘めてるわね。まだ力を隠してる。まっ、アタシの敵じゃないけど」




オリジナル怪人

名前:パゴス
作品:シン・ウルトラマン
災害レベル:竜
シン・ウルトラマンのパゴスそのもの。放射性物質を喰らい、また放射性物質をたっぷり含んだ光線を放つ事で、周囲の環境に甚大な被害を及ぼす。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

サイボーグと進化の家

モスキート娘と絡ませたかったけど、今回はカットです。他の吸血怪人から力を得れば良いんですしね。


蚊の大量発生。それをニュースで聴いたフランと師匠。Z市にも蚊の大群が迫って来ており、襲われればミイラ化するという恐ろしいニュースだ。しかし、数日後には解決したというニュースが入り、フランと師匠は安心する。

 

すると、二人はサイタマの部屋がある方向から騒音が響くのを聴いた。

 

二人は部屋を出てサイタマの部屋に入る。すると、其処には頭を吹き飛ばされているカマキリのような鎌の手をした両腕を持つ怪人、というより、フランにとって憎々しい敵が死んでいた。

 

その瞬間、フランの中にある怨念が浮上し、フランはカマキュリーの立ってるだけの胴体に向けて走り出した。

 

フラン「うわああああああああああっ!!!!!」

 

フランはカマキュリーの胴体を蹴る。蹴られた死体は床に転がり、サイタマの部屋の床を緑色の血で染めていく。

 

しかし、フランは止まらない。

 

サイタマ「えっ?ちょ、おいフラン!?」

 

師匠『お、落ち着けフラン!』

 

???「先生!?こいつらは!?」

 

サイタマ「このアパートで別の部屋に暮らしてる友達だ。フランと、師匠だ」

 

両腕が金属になっている金髪の青年が、サイタマに問い掛ける。掌の丸い穴から、高熱の炎を噴き出しており、今にも攻撃しそうな雰囲気だ。

 

フラン「うわあああああ!!!ああああああああ!!ああああああああああああああああああ!!!!」

 

サイタマや師匠か、落ち着くよう言われたフラン。しかし、フランはカマキュリーの体を殴り、踏みつぶし、緑色の血に体が濡れても止めない。

 

フラン「うあああああああああ!!あああああ――」

 

サイタマ「その辺にしておけ」

 

サイタマはフランの拳を掴んで止める。

 

フラン「はなしてサイタマ!!」

 

サイタマ「此奴はもう死んでんだよ。それくらい殴れば充分だろ。それに、お前が本当に殴りたい奴等は其奴だけか?」

 

フラン「ッ!!」

 

フランは冷静になる。カマキュリーはもう死んだ。その体はフランが殴り続けた事で、もう肉片しか残っていない。

 

フラン「………サイタマ。落ち着いて来た」

 

サイタマ「そっか」

 

フラン「だから此奴の能力も冷静に頂く。師匠、さっきは、ごめん」

 

師匠『……気にすんな。さっきのお前の様子を見る限り、襲って来たのは進化の家の連中だな。此奴は、フランの言ってたカマキュリーで間違いないだろう』

 

フラン「ん。師匠、早くやろう」

 

師匠『ああっ』

 

フランは師匠を手に取ると、そのまま剣をカマキュリーの血に突き刺し、血を取り込んで行く。

 

師匠『よし。地底王の能力と組み合わせれば、近接戦闘は最強クラスだな』

 

アナウンス『地底王とカマキュリーの融合完了。新たな能力『紅蓮武装』を獲得しました』

 

フラン「新しい能力、ゲットォ!」

 

師匠『よし!』

 

二人は新たな能力を得た。

 

???「ッ!外にも生体反応!先生、此処は俺が!」

 

サイボーグの青年は窓から飛び出し、地面に着地して外の怪人達を倒そうとする。しかし、既に先回りしていたサイタマが既に倒していた。

 

サイタマ「人んちの天井弁償しろ!」

 

???「あっ、やっぱり良いです」

 

そして、フランは師匠の柄を握ったまま部屋の窓から跳んで、二人の元へ辿り着く。

 

フラン「私、フラン。此方は師匠」

 

???「ん?ああっ、自己紹介がまだだったな。俺はジェノスだ。こう見えてサイボーグだ」

 

フラン「ん」

 

フランは、サイタマが倒した二匹の怪人を見る。彼等も、フランを馬鹿にした進化の家の新人類達だ。ならば、やる事は一つ。

 

フラン「師匠、此奴等もお願い」

 

師匠『ああっ』

 

フランは地面に埋まる二匹の怪人に向かって、師匠を振り下ろす。二人は真っ二つにされて、そのまま絶命した。ナメクジ型の怪人ナメクジャラス、カエル型の怪人カエル男、それぞれの能力を融合させて別の能力に変えた。

 

すると、サイタマの体が突然地面に埋まり、サイタマは頭だけが飛び出てるだけの状態になる。

 

サイタマ「おっ?」

 

ジェノス「先生!」

 

サイタマ「大丈夫。なんか、ツクシになった気分だ」

 

そして、ジェノスの方も、ゴリラ型のサイボーグと闘い始める。

 

フラン「あのサイボーグは知らない」

 

師匠『って事は、フランが居なくなってから生まれたのか。あのゴリラサイボーグ』

 

そして、フランが恨みを晴らしたい連中が、目の前に現れた。

 

獣王「くははははっ!!手も足も出ないとは正にこの事だな!良くやったグランドドラゴン!」

 

グランドドラゴン「暴れられるのも面倒だしな」

 

それは、フランを虐めてきた新人類達の主犯格と、フランを地面に何度も埋めてきた、因縁の敵達であった。

 

ライオンの怪人、獣王。モグラの怪人、グランドドラゴン。

 

フラン「………………………は、ははは…………あっははははははははははははははははははははははは!!!!!」

 

師匠『お、おいフラン!?』

 

フラン「まさか、こんな形で復讐を果たせるなんて!!嬉しい!!嬉しいよ!!師匠!!私、漸く此奴等に復讐出来る!!」

 

フランが全身から力を溢れさせる。

 

フラン「サイタマァ!!此奴等は私が全員殺す!!だから、手を出さないで!!」

 

サイタマ「おっ。良いぞ」

 

サイタマは埋まった状態から抜け出し、ベルトの土を払っていく。

 

獣王「ん?おいおいまさか、貴様と此処で再会するとはな!!なぁフラン!!」

 

グランドドラゴン「あーっはははは!!また首だけにしてやろうか?ええっ?」

 

獣王とグランドドラゴンはフランに詰め寄る。

 

フラン「嘗ての私と一緒にしないで。お前達はもう、敵じゃない」

 

それを聴いたグランドドラゴンや獣王も、その言葉に怒りを感じる。グランドドラゴンは「んだとぉ!?」と分かりやすく怒りを顕にしたが、獣王は高らかに笑う。

 

獣王「フハハハハハッ!!あの雑魚なフランがこんな口をほざくとはな!随分態度がデカくなったものだ!!此れは、また立場を分からせてやる必要があるな!!良いか?また両目を潰してやろう!!」

 

獣王はフランの両目に向かって、二本の指を突き出した。フランの両目を潰す為に。しかし、獣王の指二本は、フランのデコピンによって有り得ない角度へ曲げられた。

 

獣王「んがっ!?がああああっ!?」

 

グランドドラゴン「な、なぁ!?」

 

獣王は激痛に苦しむ。グランドドラゴンは信じられないと言わんばかりの驚きの表情を浮かべていた。

 

フラン(師匠。此奴等は私だけで良い。師匠は黙って見てて)

 

師匠(ああっ。気を付けろよ)

 

サイタマは見学。ジェノスはゴリラ型のサイボーグと闘っている。

 

フラン「お前達は私をいたぶった。なら、私もやり返してあげる。倍返しで」

 

そういうと、フランは獣王の腹を蹴った。殺さず、痛みを与えて苦しませる程度に。

 

獣王「が、はああっ!!お、おのれえええええ!!『獅子斬』!!」

 

獣王は残った爪で斬り掛かるが、フランは片手で獣王の爪を弾いた。獣王の斬撃は上空へ飛んでいき、大きな雲を真っ二つに切断する。

 

獣王「おのれええええっ!!舐めるな雑魚があああああああああああああ!!」

 

獣王の上半身が肥大化し、より筋肉もりもりな肉体となる。爪も伸びてきており、此れから必殺技を放とうとしていた。

 

グランドドラゴン「まて!まだ殺すな!!」

 

グランドドラゴンの静止を無視して、獣王は攻撃に入る。

 

獣王「『獅子斬流星群』!!」

 

そして、獣王は音速さえも超越する爪捌きで、無数の斬撃をフランに繰り出して行く。しかし、フランには当たらず、放たれた斬撃全てをフランは軽々と避けて行く。

 

そして、フランは拳を強く握り締めて、『紅蓮武装』を展開した。

 

フラン「『紅蓮連撃』」

 

フランは拳に炎を纏い、獣王を連続で殴る。その瞬間、獣王は殴られた場所から肉片を飛び散らせ、更に全身が炎に包み込まれて行く。炎は全身を炙り、獣王は苦しみの鳴き声を上げながら絶命した。

 

獣王「ぐぎゃああああっ!!た、頼む………………助けてくれ…………」

 

師匠『お前等はフランが助けてと言った時、助けたか?』

 

グランドドラゴン「そ……そんな馬鹿な…………獣王が何故あんな雑魚に………」

 

そして、獣王を倒し終えたフランは、今度はグランドドラゴンを強く睨む。何度も埋められた恨みを晴らす為に。

 

グランドドラゴン「ひ、ひぃっ!!」

 

グランドドラゴンは地面に潜る。潜って地面を掘り進んで行く。

 

グランドドラゴン(あ、あんなの聞いてない!!況してや、何であのクソ雑魚猫が強くなってやがるんだ!?仕方ねぇ!!此処は退散して、仕切り直しだ!!)

 

しかし、グランドドラゴンは甘く見ていた。フランの事を、突然、グランドドラゴンの周りが寒くなり始めた。寒くなる?否、凍り始めているのだ。土が、パイプが、兎に角凍っていくのだ。

 

グランドドラゴン「な、何が―――」

 

自分が掘ってきた穴を見上げた。此方に向かって狂ったように笑いながら口から白く冷たいブレスを吐くフランの顔。それが、グランドドラゴンが最期に見た顔であった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フラン「…………ハァ。スッキリした」

 

フランは口から冷凍ガスを漏らしており、大気も凍らせてしまうその冷たさで、周囲のアスファルトに夏場にも関わらず氷雪が積もっていた。

 

師匠『取り敢えず、あのモグラ怪人の能力やライオン野郎の力を取り込んで来るぞ』

 

フラン「ん」

 

師匠はフランの元から離れると、先ずは獣王の死体の心臓部分に自ら突き刺さる。そして、師匠はグランドドラゴンが掘った穴に入り込み、そのまま凍ったグランドドラゴンに向かって飛んでいくのだった。

 

その頃、フランはジェノスの元へやって来た。ジェノスはゴリラ型のサイボーグ、アーマードゴリラに掌を向けていた。アーマードゴリラは四肢が千切れている。

 

ジェノス「さあ、選べ。知ってる事を全て話すか、俺に滅ぼされるか」

 

アーマードゴリラ「滅ボサレルノハオ前ダ。我ハ進化の家では三番目ノ実力。ソノ程度デハ、獅子ノ如キ獣王ニハ勝テヌ」

 

その時、フランが獣王の遺体を指差した。

 

フラン「獣王なら倒した!」

 

ジェノス「だ、そうだが?」

 

サイタマ「俺何もしてねーけどな」

 

アーマードゴリラ「……………あっ、すみません!全部話しますんで、勘弁してください!」

 

サイタマ「なんだお前、さっきまで片言だったろ?」

 

アーマードゴリラ「カッコつけてました……すみません」

 

フラン「ア”ッ?」

 

アーマードゴリラ「ひっ!?す、すみません!ホントにすみません!」

 

フランとしてはすぐにでもアーマードゴリラを消したい。しかし、アーマードゴリラは自分の事を知らないようだ。最近産まれた新人類には、自分の事は知らせてないのだろう。

 

フラン「お前、名前は?」

 

アーマードゴリラ「あ、アーマードゴリラです!」

 

フラン「なら、ジーナスに伝えて。今から殴りに行ってやるって!早く!!」

 

アーマードゴリラ「は、はいぃぃっ!!」

 

アーマードゴリラは通信アンテナを頭部から出し、進化の家に通信を繋げるのだった。




オリジナル能力

『紅蓮武装』
使用者:フラン&師匠
地底王とカマキュリーの能力を融合させる事で誕生させた能力。武器又は拳に紅蓮の炎と高熱を纏い、触れた物を焼く又は溶かす。また、もしフラン又は師匠が複数の武器を持ったとしても、持った武器全てに炎と高熱を纏って問題なく使用する事が出来る。因みに炎の色は青である。

オリジナル技

『紅蓮連撃』
使用者:フラン
『紅蓮武装』を発動して放つ、炎と高熱を纏った拳のラッシュ。拳からは炎と高熱が放たれて、対象を焼き尽くす。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終兵器と突撃

一方、進化の家ではジーナスがアーマードゴリラから送られてきた通信と映像を目の当たりにして、狼狽していた。自分が作り上げた新人類が、いとも容易くヤラれたのだ。ジーナスのクローン達も、使者が瞬く間にヤラれる様子を見ていたが、理解出来ても信じ切る事が出来ない。

 

ジーナス「そんな馬鹿な!?旧人類撲滅用精鋭戦力が全滅した!?況してや、あの不良品如きに獣王がヤラれる等、有り得ない!!」

 

クローン1号「アーマードゴリラからの通信によりますと、三人は此方に向かって来ております!」

 

クローン4号「奴等が此処にくれば、積み上げてきた研究成果を破壊されかねません!!」

 

ジーナスは、フランが獣王を軽く打ち倒す光景を何度も見返す。これまで自分が積み上げてきた研究成果を台無しにされては、此処まで頑張ってきた意味が無くなってしまう。況してや、モスキート娘まで倒したハゲ男も向かってくる上にアーマードゴリラを倒した青年サイボーグも来るのだ。

 

ジーナスは体を恐怖で震わせながら、最後の決断をする。自分の命さえも犠牲にしても構わない、無謀な決断を。

 

ジーナス「………切り札を使うしかない!」

 

クローン達『『『えっ!?』』』

 

クローン6号「博士!まさか!?」

 

ジーナス「…………阿修羅カブトとマジカルアントを解き放つ準備をしろ!」

 

クローン『『『な、なにぃ!?』』』

 

その瞬間、クローン達が驚愕と恐怖に満ちた顔を浮かべる。クローン達は話し合う。最早切り札に頼らざるをえないが、下手すれば全てを破壊しかねない進化の家の、()()()()()()

 

クローン2号「し、しかし!奴等は危険過ぎます!下手をすれば博士の身も危険です!」

 

ジーナス「分かっているとも!奴等はあくまで最終手段だ!先ずは1階から8階まで無数の罠を仕掛ける!運が良ければそれで済む!」

 

クローン1号「し、しかし………」

 

ジーナス「問題無い!失敗した時に私がどうなるか………分かっている!」

 

なにせ代わりはいくらでも用意出来る。クローン達が生き残っていれば、例えオリジナルたる自分が死のうと彼等が代わって計画を実行してくれるからだ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、フラン達は山の中を駆け抜けていた。フランは空を飛んで目標へ向かっているが、その目的はジェノスとサイタマの案内だ。生かしたアーマードゴリラから場所は聴いていたが、フランの方が進化の家の詳しい場所を知っていたのだ。

 

ジェノス「てっきり、先生もフランのように空を飛べるのかと思って居ましたが」

 

サイタマ「俺は空を飛べねえよ」

 

ジェノス「それで良く間に合いますね」

 

サイタマ「いや、大体何時も間に合ってねぇけどな」

 

ジェノス「成る程。フラン!この先か!」

 

フラン「もうすぐ着く!!」

 

そして、フランは三人を目標の建物へと誘導し、建物の前で三人を止めた。

 

師匠『此処が進化の家。フランが2年もの間、屈辱を受けてきた場所か』

 

すると、ジェノスが両手を建物に翳し、高火力の熱線を放った。建物は爆破し、その背後にあった山も跡形もなく吹き飛んだ。煙が晴れて、更にそれが理解出来る程に山や建物があった場所は焼け焦げていた。

 

フラン「おおっ!ジェノス、グッジョブ!」

 

ジェノス「ああっ。此れが一番、敵を一網打尽に出来る方法だからな」

 

サイタマ「いや、相手も色々準備してただろ………」

 

師匠『だよなぁ………』

 

ジェノスの先制攻撃にフランは目を輝かせる。自分の手で進化の家を破壊したかった気持ちはあるが、それでも爆発で吹き飛んでくれて喜ばしい。サイタマと師匠は、敵に少し同情した。

 

とはいえ、フランは知っている。進化の家の本当の拠点は、見える位置にある建物ではない事を。

 

フラン「でも、まだ終わってない。こっち」

 

フランは瓦礫を退かし、土埃や炭を足で払い除け、地下に通じる扉を掘り出した。

 

フラン「此処から地下の本拠地に行ける。案内するね」

 

師匠『悪いな。お前にとっては………』

 

フラン「大丈夫。確かに嫌な所だけど、今は師匠も居る。サイタマもジェノスも。そして、私も強くなったから」

 

師匠『そうか………じゃ、行こうぜ』

 

そして、4人は地下への入口を通って研究所へ向かう。

 

ジェノス「所で、何故剣が話してる?」

 

サイタマ「今更か」

 

――――――――――――――――――――――――

 

進化の家、切り札を封じる地下室。其処からマシンガンを撃ち続ける轟音が響き渡る。

 

クローン10号「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお―――――」

 

クローン達はマシンガンで応戦するが、巨大な体格を持つカブトムシに無理矢理人の姿を与えたような怪人には通用せず、逆に力強く素早い剛腕によって叩き潰された。

 

そして、もう一体の怪人は、美しい女性の姿をしており、羽もないのに空中に浮いていた。蟻が美少女に擬人化したようなその美少女の周りにいるクローン達は、全てタオルのように絞られている。また、先程まで撃たれていたのか、彼女の周囲を無数の弾丸が取り囲んでいた。しかし、弾丸は少女に当たらずに浮いている。

 

ジーナス「やぁ。阿修羅カブト、マジカルアント。私のクローンを大量に殺したようだね。気は済んだか?」

 

阿修羅カブト「あっ?オメェ気が済む訳ねぇだろ!俺達を地下に閉じ込めやがってよぉ!」

 

マジカルアント「そうだよねぇ。私達は進化の家の最高戦力だよぉ?それなのに、地下深くに閉じ込めるなんてねぇ?酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷いいいいいいいいいいぃぃ!!!!」

 

阿修羅カブトが自身の首に取り付けられた首輪を握って破壊し、マジカルアントが全身の鎖を睨み付けて砂状に変える。

 

ジーナス「お前達は精神が不安定だ!我々でも支配出来なかったから仕方なかったんだ!」

 

阿修羅カブト「支配だぁ!?ぶぁ〜か!俺達はお前等が求めてた新人類の完成形なんだぜ!知能も肉体レベルも、お前等旧人類とは比にならねぇ!!」

 

マジカルアント「そして私は、超能力を目覚めさせたんだよ?だからさぁ………私達こそが貴女達に支配されるべきなんだよぉ。キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」

 

ジーナス「……私は殺しても構わない。代わりはいくらでもいる!だが、どうしても入手してほしいサンプルがあるんだ!だが、恐ろしく強い!お前達にしか倒せない!」

 

そして、ジーナスが見せるホログラム画面には、廊下を移動するフランと師匠、サイタマにジェノスが映っていた。

 

ジーナス「生死は問わない………」

 

阿修羅カブト「ほう……」

 

マジカルアント「キヒ」

 

それを見ていた二体は、漸く獲物を見つける事が出来て嬉しく思えた。




今度、オリジナル怪人とか募集しようかな……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦闘実験ルームと強さの秘密

4人は廊下を移動していた。フランの案内を受けて、彼等はジーナスが居るであろう研究所まで歩みを進めていた。因みに師匠は、フランの背中に背負ってもらっている。

 

すると、ジェノスは廊下の奥から迫って来る存在を感じ取った。レーダーで探知したのである。

 

ジェノス「前方から高速接近反応!しかも二体……いや、下から三体目が!?」

 

サイタマ「あ?」

 

師匠『下から?グランドドラゴンみたいな奴か?』

 

ジェノス「違う!それにしては振動は前方からのみ!恐らく、すり抜けながら進んでる!」

 

フラン「すり抜ける?」

 

フランは疑問に思った。そんな奴は少なくとも進化の家には居なかった筈だ。

 

フラン「私の知らない、実験生物?」

 

師匠『なら実力は未知数か。気を付けよう』

 

フラン「ん」

 

そして、廊下の奥から血塗れのジーナスの頭を掴みながら迫る巨大怪人が、照明を割りながら走ってきた。走って通った際の衝撃波で照明が割れていた。

 

阿修羅カブト「おういたいた!!3匹居るがどいつだ!」

 

ジーナス「あ、あのハゲた男の方だ……!出来れば、あの猫耳の方も………!」

 

阿修羅カブト「じゃあこのサイボーグは要らねぇんだな!」

 

ジェノスは構えを取るが、阿修羅カブトはジーナスを放り出した後にジェノスを手の甲で殴り飛ばして壁に叩き付けた。

 

そして、投げ飛ばされたジーナスは空中で止まる。

 

現代アートのようなポーズとなったジェノスとジーナス。

 

マジカルアント「フフフフッ。此処に居たぁ」

 

そして、床から頭を出し、軈て全身を晒したマジカルアント。全身に黒いオーラを纏っており、周りの破れたガラス片が浮いていた。

 

阿修羅カブト「俺は阿修羅カブトだ!」

 

マジカルアント「私はぁマジカルアントだよぉ!」

 

阿修羅カブト「戦闘実験ルームがあるから、其処で殺ろうぜ!」

 

二匹の怪人の誘いに、サイタマはフランにある事を提案する。

 

サイタマ「フラン。俺もやって良いか?」

 

フラン「ん。良いよ。それに、私自身、ジーナス殴れたし」

 

フランの隣には、頭を床にめり込ませたジーナスの姿があった。マジカルアントはフランがいつの間にジーナスを殴ったのか見えなかった為、初めて出会う強い相手に興奮を隠せなかった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

進化の家、戦闘実験ルーム。

 

フランにとっては、実験体達から虐められる日々が繰り返された忌々しい部屋。

 

阿修羅カブト「広いだろ!この施設で一番デケェ部屋だ!戦力として使えるか、此処で闘わせて実験してんだ!」

 

フラン「…………知ってる。後で此処も破壊するから」

 

マジカルアント「ああっ。貴女は確か、私達が閉じ込められてる内に此処で雑魚共から虐められてたんだねぇ。私達はその時居なかったから、何されたのか気になるなぁ」

 

今のフランはあまり話さない。進化の家で受けた凌辱の日々が、フランの頭の中でフラッシュバックしてるからだ。しかし、それと同じくサイタマや師匠と過ごした何気なく大切な日常も思い出す。

 

もう自分は、あの頃の弱いフランではない。そう言い聞かせたフランは、自らの両頬を両手で叩いた。フランが手を離した時、頬は赤く染まっていた。しかし、フランの顔はもう吹っ切れたかのようにスッキリとした表情を浮かべており、師匠もフランの様子を見てもう大丈夫であると確信した。

 

フラン「よし!もう大丈夫!」

 

師匠(吹っ切れたな、フラン。なら、心配要らないな!)

 

マジカルアント「ん?」

 

マジカルアントは、師匠の念話を聴いた。心の声を聴いたが、誰の声か分からず周りを見渡す。そして、フランが背中に背負う師匠を見た。

 

マジカルアント(いや、まさかね)

 

マジカルアントは気のせいだと思ったが、念の為に警戒しておく事にした。

 

マジカルアント「気のせいか。じゃあ、早くやろ――」

 

と、マジカルアントがそう言った瞬間、マジカルアントは片手を別の方向に突き出した後、片手を握り締めた。そして、阿修羅カブトとマジカルアントに迫る業火が竜巻状となり、軈て空中で一つの球体となった後に、小さくなって消えた。

 

業火が飛んできた方向を見ると、其処には半壊状態となって片目の部分が剥がれて機械の目が丸出しになったジェノスの姿があった。

 

阿修羅カブト「まーだ生きてやがったか」

 

ジェノス「彼奴等は俺が……!」

 

ジェノスはその場から走ろうとするが、走ろうとしたジェノスをサイタマが片手で掴んで止めた。一瞬でジェノスの元に移動したサイタマの速さを、この場に居る誰もが認識出来なかった。

 

サイタマ「ジェノス。手を出すなよ。今は休んで、俺達に任せておけ」

 

ジェノス「し、しかしサイタマ先生!」

 

サイタマ「良いから任せておけよ。俺とフランなら平気だ。信じて待っててくれ」

 

ジェノス「っ!はい、先生!」

 

ジェノスはその場で留まり、サイタマとフランの闘いを見守る事にした。

 

サイタマ「さて、そろそろ始めようか」

 

フラン「ん」

 

サイタマは阿修羅カブトへ、フランは師匠を握り締めてマジカルアントの元へ歩く。

 

阿修羅カブトとマジカルアントは、二人が強者である事を一目で見抜いた。否、先程の二人の動きを見て、それでサイタマとフランを強者だと見抜いていたのだ。

 

阿修羅カブト「おおっ、分かるぜ!お前等強いな!」

 

サイタマ「ガッカリさせんなよ?お前等は此処の最終兵器なんだろ?今朝の奴等と比べて、自信に満ちた顔をしてっから」

 

マジカルアント「きヒヒヒヒヒヒッ!!では、始めようか!!」

 

『災害レベル・竜:阿修羅カブト&マジカルアント』

 

阿修羅カブトが走り出し、マジカルアントはその場から消える。そして、フランの周りに何度も出現と消失を繰り返していた。

 

ジェノス「速い!?いや、もう一体は時間差もなくその場から消えた!?此れが、超能力か!」

 

ジェノスはマジカルアントが超能力の使い手と見抜いた。

 

そして、サイタマの背後に回った阿修羅カブト。フランの背後に回り込んだマジカルアント。阿修羅カブトはサイタマを殴り飛ばそうとし、マジカルアントはそのままフランに超能力で干渉して体内から血を弾け飛ばそうとした。

 

その時だった。サイタマから感じた殺気と一撃で殺される光景を阿修羅カブトは感じ取る。そして、フランに干渉したマジカルアントは、その目で宇宙空間を見た。その時、地球のような惑星が目の前まで迫りくる、押し潰されそうな威圧感を。

 

阿修羅カブト&マジカルアント「「ぬぅっ!?/ひぃっ!」」

 

阿修羅カブトは羽を展開して飛んだ。マジカルアントは再びテレポートで上空へ逃げた。

 

マジカルアント「な、何なのよアンタ達!?」

 

阿修羅カブト「今、手を出したら殺されていた!?何なんだ此奴等!?」

 

隙だらけの筈だ。フランは隙があまり見られなかった。しかしそれでも、二人に攻撃しようとした時に危険を本能で感じ取り、退いてしまったのだ。

 

二人から感じる、人間とは思えぬ圧倒的な力を。自分達より格上かもしれない、圧倒的な力を。

 

阿修羅カブト「貴様等ァァーー!!それ程までの力、どうやって手に入れたんだよぉぉー!!」

 

ジェノス「ッ!!」

 

ジェノスも気になっていた、サイタマの強さの秘密。そして、サイタマと共に居るフランと師匠の力の秘密。

 

マジカルアント「わ、私も気になる!教えて!どうして其処まで強くなったの!?」

 

マジカルアントも同じだ。サイタマとフランの強さの秘密を、どうしても知りたくなったのだ。

 

フラン「…………師匠、良い?」

 

師匠『………良いぜ。知りたいなら、教えてやるよ!』

 

阿修羅カブト「いっ!?け、剣が喋った!?」

 

マジカルアント「やっぱりさっきの声って、あの剣だったんだ………!」

 

ジーナス「馬鹿な………色んな実験体を多く見たが、知性ある剣なんて、聞いた事が…!?」

 

部屋に入ってきたジーナス。骨が折れた腕を、折れていない片手で抑えている。肉体の痛みがジーナスを襲うが、それはジーナスにとって苦ではない。何故なら、此処でサイタマとフランの強さの秘密を知る事が出来るかどうか。それが何よりも重要であった。

 

サイタマ「誰?」

 

フラン「ジーナス。私を捨てた博士」

 

サイタマ「お、おう。まあ良いぜ。フラン、先ずはお前から話せ。俺は後で良い」

 

フラン「ん」

 

そして、フランは師匠の事を説明した。

 

フランが進化の家を追放されてから彷徨い歩いた時に、師匠出会った事。師匠の装備者となり、それから怪人を倒して行く内に、マンモスフラワーと闘って苦戦した事。マンモスフラワーをサイタマが倒した事。それからも怪人や悪の組織と闘って、その力を得て強くなってきた事。フランは全て説明した。

 

フラン「私は、師匠に会えたから変われた。師匠のお陰で私は強くなった」

 

師匠『俺とフランは無敵のコンビだ。此れからも俺達は強くなる。サイタマに、いつか勝つためにもな』

 

ジーナス「し、信じられん!倒した奴の力を吸収して強くなる剣で、その上意思を持って行動するなど!?」

 

マジカルアント「凄い………!欲しい!」

 

フラン「次、サイタマ」

 

サイタマ「ああっ。ジェノスも聴いていけ。で、フランと師匠にもまだ話してなかったな」

 

そして、サイタマは語る。

 

サイタマ「良いか?“続ける”事だ。このハードなトレーニングメニューを毎日続ける事だ」

 

フラン「トレーニング!?」

 

師匠『それだけで!?一体どんなトレーニングをしたらそんなに強くなれるんだ!?』

 

ジーナス「お、教えてくれ!改造手術や遺伝子操作、薬物投与よりも強力なのか!?」

 

全員が期待する。サイタマの続けて来たトレーニングとやらを。

 

サイタマ「そうだ!そして、毎日辛くても続ける事だ。お陰で俺は、3年で此処まで強くなれた!!」

 

そして、サイタマはトレーニングの内容を明かす。

 

 

 

 

サイタマ「腕立て伏せ100回!上体起こし100回!スクワット100回!そしてランニング10キロ!!これを毎日やる!!」

 

 

 

サイタマ以外全員『『……………はっ?』』

 

 

言葉を失う。耳を疑う。聞き間違いと願う。しかし、サイタマが真剣な顔で語った言葉は、嫌でも耳に残ってしまう。

 

サイタマ「勿論、一日3食きちんと食べろ。朝はバナナでも良い。極め付けは、精神力を鍛える為にエアコンを使わない事だ」

 

其処からサイタマは語る。最初は死ぬ程辛く、一日休もうかとつい考えてしまうが、サイタマは強いヒーローになる為に苦しくなりながらもトレーニングを続けた事。足が重くなろうが、腕の神経や筋肉繊維が千切れて激痛が走ろうとも、血反吐を吐き出そうとも続けた事。

 

サイタマ「そして………変化が起きたのは1年半後だ。俺はハゲていた!そして強くなっていた!つまり、ハゲる位死物狂いで己を鍛え込むんだ!それが強くなる方法だ!新人類とか、進化とかで遊んでるお前等では決して此処まで辿り着けねぇ!自分で変われるのが、人間の強さだ!!」

 

ジーナス(じょ、冗談ではないのか?)

 

阿修羅カブト(此奴、マジか?)

 

マジカルアント(凄い………それだけで其処まで強くなるなんて………もしかしてこの男の才能かな?)

 

ジーナスや阿修羅カブトは信じてはいなかったが、マジカルアントはサイタマの言葉から嘘を感じなかった。そして、マジカルアントのみが、サイタマの強さの本当の理由に大方近付いていた。

 

しかし、それを信じ切れない二人が声を上げる

 

ジェノス&フラン「「ふざけないでください/いい加減にしろ!!」」

 

サイタマ「えっ?」

 

サイタマは予想外の反応にキョトンとする。嘘は言ってないにも関わらず。

 

ジェノス「それは誰でも出来る一般的なトレーニングだ!!ハードでも何でもない!!通常レベルだ!!」

 

フラン「何なの!?私達を馬鹿にしてるの!?サイタマが強いのは分かってるけど、その程度のトレーニングで其処まで強くなってる訳無い!!」

 

ジェノス「フランの言う通りです!!俺は強くならなければならないんだ!!そんな冗談を聴く為に、貴男の元へ来たのでは断じてない!!」

 

師匠『お、おい落ち着けよ二人共!』

 

フラン「師匠は黙ってて!!私と師匠は沢山の怪人達と闘って危なかった時もあったのに、そんなトレーニングで其処まで強くなるなんて有り得ない!!私だってやってる!!もしそれでサイタマが強くなってたとしたら、私も師匠ももうサイタマと同じ強さになってる!!でもサイタマに追い付けない!!本当のごどをいっでよ!!ざいだま!!」

 

フランは泣き始めていた。それ程までに、サイタマの話に期待していたのだ。そして、裏切られた気分になった。

 

サイタマ「フラン、ジェノス…………んな事言われても、他に何にもねぇぞ?」

 

そして、そんなサイタマをフォローしたのは、意外な相手であった。

 

マジカルアント「彼は嘘言ってないよ。話した事は全部本当の事だから」

 

フラン「う、嘘………」

 

ジェノス「そんな、馬鹿な!?」

 

フランもジェノスも、マジカルアントから告げられた言葉を未だ信じられずに居た。

 

師匠『じゃあ、本当なんだな!?それだけで?マジかよー!?』

 

師匠は、未だに信じられなかったが、サイタマが嘘を言ってないとするならば、ある疑問が浮かんだ。

 

サイタマが言うようなトレーニングを、実はフランにもやらせていた。しかし、フランはサイタマレベルの強さに達する事が無い。継続は力なりとは言うが、それにしても差があり過ぎる。

 

フランと自分、そしてジェノスと何が違うのか?それ程までにサイタマの成長力が強すぎたのか?

 

阿修羅カブト「………もう良い。秘密を教える気がねぇなら…………もうどうでも良いぜ」

 

阿修羅カブトは怒りにより、全身の甲殻が全て剥がれ、全身の筋肉質な肉体が肥大化していく。10メートルもの巨大な姿へと変貌していく。角も伸びて、全身も紫色に染まっていく。

 

阿修羅カブト「どうせ俺より強くねぇんだろう!だが、テメェはムカついたから、なぶり殺してやる!!」

 

ジーナス「よ、よせ!!阿修羅カブト!!また暴走する気か!?」

 

マジカルアント「さて、どうするかな〜」

 

マジカルアントは空中に浮いた。出入口は阿修羅カブトの暴走により、厳重に無数の分厚い扉によって閉鎖される。

 

フラン「貴女は?闘わないの?」

 

マジカルアント「うーん………阿修羅カブトが勝てるか見てみようかな?暴れてる間に巻き添え喰うのは嫌だし。終わったら、私が相手してあげる」

 

フラン「ん」

 

そして、阿修羅カブトは変身した。阿修羅カブトの最終形態であり暴走形態である『阿修羅モード』を。




オリジナル怪人

名前:マジカルアント
作品:オリジナル
災害レベル:竜
様々な超能力を使用出来る。念動力や念話、読心、探知等といった超能力を行使可能。タツマキ未満ゲリュガンシュプ以上の精度とパワーを持つ。また、相手の話す言葉が真実かどうか見抜く事が出来る。

もしサイタマが語ったこのトレーニングを、他作品のキャラが聴いたらなんて言うんでしょうね?というか、これだけで強くなったサイタマ、成長性高すぎw


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

超能力と変わる者

阿修羅カブトが暴走形態に以降し、時間とともに減っていく残った僅かな理性の中で、阿修羅カブトはサイタマに説明を行う。

 

阿修羅カブト「こうなったらもう、一週間は理性が飛んで、暴走が静まる事は無い!!今はまだ保てているが、理性が無くなっちまった俺はお前を殺し、来週の土曜まで大量殺戮が止まらねぇぜ!強いヒーローだったら俺を止め―――――」

 

サイタマ「スーパーの特売日じゃねぇかぁぁぁー!!!!」

 

説明しつつ阿修羅カブトは暴れ出し、サイタマへ攻撃を繰り出す。拳の連打を浴びせていく内に、阿修羅カブトの理性が飛んでいく。しかし、サイタマは阿修羅カブトの言い放った『来週の土曜』と言う言葉で、今日が土曜日である事。そして今日がスーパーの特売日である事を思い出し、そのショックで叫ぶと同時に阿修羅カブトをアッパー一発で粉砕した。阿修羅カブトは上半身が吹き飛び、緑の血と紫色の血肉で壁や床を染め上げていく。

 

ジーナス「な、何だと………なんだこの男は!?」

 

ジーナスは呆然とした。阿修羅カブトが、たった一発の拳で粉砕されてしまったのだ。粉砕されて阿修羅カブトを見ていたマジカルアントは哀しそうな顔を浮かべていたが、フランの元を見て先程の狂気的な笑みを浮かべた。

 

ジーナス(だが、此方にはまだマジカルアントが居る!精神が不安定だが、色んな意味で阿修羅カブトより危険だ!さあ、どうでる?フラン!)

 

ジーナスは気持ちを切り替えた。まだマジカルアントは倒されていないのだから。隣でスーパーの特売日に間に合わない事を嘆くサイタマと、サイタマにまだ間に合うと励ますジェノスを余所に。

 

マジカルアント「さて、私も戦おうかなぁ。阿修羅カブトが居なくなって退屈だけど………貴方達なら私も楽しめるかな?」

 

その瞬間、阿修羅カブト対策の分厚い施設の壁が崩壊した。天井も砕けて、マジカルアントの周囲に浮く瓦礫群に混ざる。かと思えば、瓦礫は全て一瞬にして形を変えて丸ノコのようになる。百個もの丸ノコとなった破片は、回転しながらフランに迫って行く。

 

フランは師匠を振って丸ノコを全て粉砕する。たった数振りで全ての瓦礫を粉微塵にした。その上周辺に吹き飛ばして自身と師匠に飛び掛からないようにするフラン。

 

マジカルアントは目を光らせる。すると、フランは体中に何かが包み込んでくるような感覚が走るのを感じた。

 

マジカルアント「っ!!ヌオオオオオッ!!」

 

マジカルアントは念力を更に強め、フランを拘束しようとした。しかし、フランは何事も無さそうだ。

 

マジカルアント(止まってない!?なら、師匠と呼ぶあの剣さえ離せば!)

 

マジカルアントはフランの手元に力を集中させると、師匠をフランの手元から弾き飛ばした。

 

フラン「あっ」

 

更に牽制するかのように、何処から持って来たのか、空から天を覆い尽くさん程の大きな山が降り注ぐ。進化の家がアリに見える程の大きさの山がフランに迫る。しかし、フランは両腕を天に翳した。天に翳した瞬間、フランの全身から青白いエネルギーが溢れ出し、そのまま降ってくる山に向かって熱線として放たれた。遠くから見れば、山と比べるとポッキーのような太さにしか見えない。しかし、その熱線は山に直撃した瞬間、山を一瞬にして包み込み、軈て山が小さな瓦礫となる程の大爆発を起こした。大爆発により、砂状の瓦礫となった山は進化の家の周囲に降り注ぐ。

 

マジカルアント「今だ!」

 

山を破壊されてもマジカルアントはめげず、フランの前に瞬間移動をして、フランの体に触れる。そして、このままフランの肉体に流れる血液の流れに干渉し、その上エネルギーを暴走させようとした。

 

しかし、マジカルアントにとって予想外の事が起きる。

 

マジカルアントは血反吐を吐き出し、その場に崩れ落ちた。目からも血の涙を流し、鼻血も垂れ流している。

 

マジカルアント「な、何……故………」

 

ジーナス「ば、馬鹿な!?あのマジカルアントが!?」

 

マジカルアントは、阿修羅カブト以上の最終兵器だ。精神が不安定でコントロール出来ないと言っても、マジカルアントは阿修羅カブトと違って知性的で理性的だ。そして超能力を発現した初めての実験体で、その力は先程のように天さえも覆い尽くす山をも持ち上げる程で、正に天変地異そのものと呼べる超能力の使い手だ。しかし、阿修羅カブトと同じく残忍である事には変わりなく、ジーナスのクローンを躊躇いもなく殺した。失敗作な理由としては、殺しを行う事に躊躇いが無く、生み出した新人類さえも殺してしまいかねないからだ。

 

だからマジカルアントの力を封じ込める為、彼女の機嫌を損ねないよう務めてきた。ある意味、阿修羅カブトより力を入れて。

 

そんなマジカルアントが、顔中から血を噴き出している。

 

対してフランは、何も感じてないように頬を人差し指で掻くだけだ。

 

フラン「もしかして、超能力で私に何かしようと?」

 

その上、超能力を掛けられた事に気付いたのは今この瞬間だ。

 

師匠『俺を弾き飛ばせばフランを倒せると考えたのか。賢明だが、勘違いするなよ。俺を手放したとしても………』

 

その瞬間、マジカルアントは悟る。バリアを張るタイミングを見失った。

 

師匠『フランは、強い』

 

そして、マジカルアントが意識を失う最後に見たのは、首から上が無い自身の体と、真横に翳した片手に緑色の体液を付着させたフランの姿であった。

 

マジカルアントは予想外の敗北に驚きながらも、敗北した事実を受け入れつつあった。

 

そして、倒れたマジカルアントの頭を見下ろしていたフラン。少しだけだが、寂し気な目を浮かべていた。

 

フラン「……此奴、別に嫌いじゃなかったけど、生かしてもきっと色んな人達を殺しに行くよね……」

 

師匠『下手な同情は止めておけ。どっちみち殺すしか方法は無いさ。彼奴等は生かしたら、沢山の人間が犠牲になってたしな』

 

フラン「ん、そうだね」

 

そして、フランは空中に浮いたままの師匠の柄を手に取り、マジカルアントの頭部を突き刺した。

 

師匠『能力吸収!』

 

そして師匠は、マジカルアントの能力を吸い上げていく。マジカルアントの持つ超能力が流れ込んで来る。その上身体能力もアリである以上パワーもあり、10階建てビルを持ち上げられる力があった。

 

師匠『よし、帰ったらカレーにするか!二人を追い掛ければ、俺達も特売に間に合うぞ!』

 

フラン「おおおっ!!カレー!!カレー♪カレー♪」

 

そして、カレーを食べたがるフランはウキウキ気分で、先程出ていったサイタマやジェノスの開けた穴から外へ出ようとする。マジカルアントが崩壊させたにも関わらず、なぜかその穴だけは残っていた。

 

フラン「………ジーナス。貴男に言いたい事は色々あるけど、また今度ね。バイバイ」

 

そして、フランは師匠を背中に背負ってその場からダッシュで去っていった。

 

ジーナス「………もう止めよう、こんな研究は。変わるべきは私なんだ………………」

 

阿修羅カブトとマジカルアントの遺体を見ながら、ジーナスはそう呟くのだった。その顔は、何処か憑き物が落ちたように穏やかとなっていた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、とある街の森林公園の中。其処で猫や犬、蛇等の様々なスーツを身に着けた女性達が、とある者達と合流していた。

 

???「まさかお前達と手を組む事になるとはな。桃源団」

 

『B級賞金首:アニマルメシアのリーダー・キャッツアイ』

 

???「我々の目的こそ違うが、その過程において襲撃する場所は同じだ!なら、此処はいがみ合わずに手を組むべきだ!」

 

『B級賞金首:桃源団リーダー・ハンマーヘッド』

 

キャッツアイ「私達は、全てのペット達が虐待され、捨てられる社会を変える為!」

 

ハンマーヘッド「働かない者にも衣食住が提供される社会にする為!」

 

キャッツアイ&ハンマーヘッド「「いざ、行くぞおおおおおおおおおお!!」」

 

 

アニマルメシア&桃源団『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』』』

 

危険なテロリスト達が、徒党を組み、動き出そうとしていた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

イメトレとテロリスト

フランのイメトレは、最近YouTubeで見たとあるイメトレを再現してます。


フランはアパートの屋上にやって来た。師匠が傍で浮いており、その目を光らせてある物を投影していた。

 

フランは四つん這いになって、四足歩行の状態となって相手をしていた。師匠が投影した、とある相手と闘っている。

 

フラン「シュッ!!」

 

フランは四足で駆け出した。

 

しかし、フランは即座に吹き飛ばされた。壁に両手両足を付けて勢いを殺し、再び床に四足で付いた後に駆け出した。

 

フラン「やっ!えいっ!」

 

フランは相手の攻撃を避けて、更に飛び後ろ蹴りを相手に喰らわせる。しかし、金属音が響くだけで相手は倒れない。相手は攻撃を仕掛けてきた。フランは床を転がり、相手の突き出した攻撃を避ける。両手で床を這い、両足で跳んで獣のように駆ける。

 

そして、フランは両腕で相手のある物を覆うように掴み取ると、そのまま一本背負いで床へと投げ飛ばした。しかし、床に当たっても奴は効いてる様子が無い。

 

相手は………人の十倍もある巨大なコーカサスオオカブトだ。

 

二人がやっているのは、『刃牙シリーズ』において主人公『範馬刃牙』が行ったイメージトレーニングの上位互換たるシャドー訓練だ。師匠が幻術で投影した架空の相手と、フランが闘って総合的トレーニングを行っているのだ。

 

フランが師匠の元から離れる事態を想定して、フラン一人でも闘えるようにする為にフランと師匠が考案したトレーニングだ。とはいえ、最近は怪人の発生も少ないので、今はこのようなシャドー訓練しか出来ない。サイタマに手合わせをしてもらいたいが、あまりにサイタマが圧倒的過ぎるので彼との手合わせは時々やる程度にしている。

 

師匠『なあフラン。そろそろ貯金がヤバいな。そろそろヒーロー協会に所属する事を決めないとな』

 

フラン「ん。でも、筆記はまだ心配。サイタマも誘う?」

 

師匠『だな。今からサイタマの所行って誘ってみるか』

 

そして、シャドー訓練が終了したフランは、サイタマの部屋に向かって歩く。すると、サイタマの部屋の扉が開き、とても慌てた様子をしたサイタマが出てきた。何時ものヒーロースーツを身に着け、「ぶっ潰す!」と拳を合わせて意気込んでいる。

 

サイタマ「あっ!フラン!師匠!丁度良かった!お前等も手伝え!」

 

フラン「どうしたの?」

 

サイタマ「町でテロリストが暴れてんだよ!お前等の力も貸して欲しかったんだ!お前等の為にもな!」

 

師匠『テロリスト?そりゃ大変だ!だが、お前だけでぶっ潰せるんじゃないのか?相手は怪人じゃなくて人間なんだろ?』

 

サイタマ「ちげーよそうじゃねえよ!テロリストのニュース観ろって!」

 

フランと師匠はサイタマに促されて、渋々部屋に戻ってニュースを観た。テレビに流れるニュースには、テロリストのニュースが報道されていた。

 

キャスター『テロリストグループは2つ。1つは“桃源団”と名乗っており、『働かない者にも衣食住が提供される事』と訳の分からない事を宣言しています。“アニマルメシア”は『動物が虐待されない社会を望む』と各テレビ局や政府に訴えております。アニマルメシアは、十年前から世界各地で動物虐待撲滅及び自然の秩序回復を訴える環境テロリスト組織で、伐採施設や虐待の疑いが掛けられた動物園等を襲撃し、死者50名重軽傷者380名もの被害を齎しています』

 

そして次の情報で、サイタマが二人の協力を求めていた理由が判明する。

 

キャスター『桃源団の頭は全員“スキンヘッド”で構成されており、見たことのない新型のバトルスーツを装備しています。そして“アニマルメシア”は全員“動物の特徴を強調”したバトルスーツを纏っており、特にアニマルメシアのリーダー“キャッツアイ”と彼女の側近の女性は“黒猫”のバトルスーツで――――――』

 

フラン&師匠「『………ハァッ!?』」

 

サイタマ「……だろ?俺だけじゃなくて、このままじゃフランまで悪者扱いされちまうぞ!?」

 

フラン「……それはやだ!」

 

師匠『そうなったら今後の活動とかに支障を来たすな。ヒーロー協会に入るのにもマイナス点になりかねん。なら、急いで行こう!』

 

フランは師匠を布で覆い、ベルトで固定して師匠を背中に背負う。そして、サイタマは廊下から屋根伝いに跳びながら移動して、フランはマジカルアントから得た超能力で空を飛び始める。

 

――――――――――――――――――――――――

 

キャッツアイ。彼女達は主に女性のみで構成されるテロ集団で、桃源団のようなチンピラ集団と違って世界各地で動物虐待反対や自然の秩序回復を訴え、開発施設や工事現場の襲撃等を主に行い、更には虐待の判明した家庭に乗り込んでその人を必要以上に武器で意識不明の重体にしてしまう等、過激な活動を繰り返してきた。

 

キャッツアイに賛同した者達はかなり多く、所属した者達はペットを虐められて亡くしてしまった過去を持つ者が多い。その中には虐待こそされなかったが、富裕層の連中によって大切にしてきた動物達を買収された若しくはペットショップや動物園を潰された者も居る。

 

そしてその富裕層の中には、ゼニールも含まれている。

 

アニマルメシアに所属する者達の中には、ゼニールに恨みを持つ者達も居る。

 

キャッツアイ「何故ペットを虐める!?何故動物をいたぶる!?何故あんなに可愛い奴等を簡単に殺せる!?彼等が何をした!?彼等に何の罪がある!?ただ幸せになりたい!ただ一緒に居たいだけなんだ!!飼う連中のエゴ?忙しい?鬱陶しい?そんなの人間のエゴに過ぎない!!我々は、全ての動物達が虐められない、全てのペット達が幸せになれる世界に変える為に、我々は闘う!!」

 

そう大通りで宣言した。ハンマーヘッド率いる桃源団と手を組んだのは、共に社会を変える目的が一致した為だ。ニートが永遠に養われる社会と、動物虐待の無い社会。それぞれ目標は違っても、社会を変えたいという思いは同じ。

 

ハンマーヘッドが盗みを働いた組織から、スーツの実験に付き合わされる事になるのは癪だが、スーツを得た事で更に戦力が上がった。此れならば革命を起こせるのも時間の問題だろう。

 

ハンマーヘッド率いる桃源団がスーツの力任せに破壊活動を行うのに対し、キャッツアイ率いるアニマルメシアはそれぞれの動物の特徴を活かした戦闘を行っていた。

 

象スーツ女「オオオオオオオオオッ!!」

 

象のスーツはノロマにこそなるが、それでもマシンガンの弾すら弾き、鋼鉄製のビルさえも押し倒してしまう。

 

サイスーツ女「ぬぉらあああっ!!」

 

サイのスーツでは、警察車両さえも上空に吹き飛ばしてしまい、コンクリートの地面を殴れば振動で地割れを起こす。

 

隼スーツ女「アハハハッ!!遅い遅い!」

 

隼スーツを纏った女は、両腕を羽ばたかせて空を飛び、警察の発砲した弾を難なく避けていく。そして、滑空によって警官達を吹き飛ばす。

 

蛇スーツ女「凄い!蛇の身体能力サイッコー!!」

 

蛇のスーツのお陰で、バレリーナよりも柔軟な上に瞬発力と脚力で警官達をなぎ倒していく。

 

雀スーツ女「そぉれ!」

 

雀のスーツを纏った女は、隼にも負けない速度で空を駆ける。警官達はついて行く事が出来ない。

 

キャッツアイ「ハハハハハハッ!!良いぞ!!苦しめ!!虐待されて来た動物達の苦しみを受けるのよ!!」

 

猫スーツ女「このまま桃源団と進めば、ゼニールの家まで辿り着けるわ!私の夫が経営していた動物園に住む、動物達の仇よ!」

 

猫スーツ女2「ペットショップを返せ!!あの子達も何もかも!!キャッツ!!絶対ゼニールをやっつけよう!!」

 

キャッツアイ「そうだな!金持ち共の動物虐めも終わらせてやるぞ!!」

 

そして、桃源団とアニマルメシアが進み続けるが、此処で希望が現れる。

 

???「『ジャスティスクラッシュ』!!」

 

突如として自転車が、キャッツアイに向かって飛んできた。

 

象スーツ女「キャッツ!危ないわ!」

 

象スーツ女がキャッツアイの前に割り込み、自転車を殴り飛ばす。自転車は空中で粉々になり、アニマルメシアや桃源団は現れた者を見た。

 

???「正義の自転車乗り。無免ライダー参上!!」

 

『C級1位:無免ライダー』

 

女「無免ライダーが来てくれたわ!」

 

男「彼が来たからにはもう安心だ!」

 

人々が無免ライダーを応援する。

 

ハンマーヘッド「ヒーローか」

 

キャッツアイ「我等の思想を踏み躙る気か」

 

無免ライダー「行くぞ!!」

 

しかし、無免ライダーはハンマーヘッドのパンチを受けて、その場に倒れてしまう。桃源団やアニマルメシアは人々が騒ぐ中、何事も無かったかのようにゼニールの家に向かって歩き出した。




オリキャラ解説

名前:キャッツアイ
災害レベル:鬼
武装:猫式バトルスーツ
能力:生まれ付きバレリーナのように柔軟かつ瞬発力のある脚力。また、頭も回る。また、猫式バトルスーツによりバレリーナより関節が軟らかくなり、変則的な四足戦闘を得意とする。
概要
動物虐待反対及び自然の秩序回復に動くアニマルメシアのリーダー。幼い頃から動物を愛しており、買ったペット達に家族ぐるみで愛情を注いで来たが、自分の知らない所で家族がペット達を殴ったり危険な薬物を食べさせていた事を知った瞬間、家族を包丁で何度も殴って殺害してしまう。しかし、ペット達は既に虐待により大勢が死んでいた。死した子等は丁重に埋葬したが、生き残っていた子等は全員薬物汚染されており、殺処分せざるを得なかった。キャッツアイは半日も泣き続けたが、泣き止んだ後に犠牲となったペット達と同じく虐待されている動物達を幻視した。それからキャッツアイは、もうペット達の様な悲劇を繰り返さないと誓い、動物の虐待を止めるべく、アニマルメシアを結成。同じ思想を掲げる者達と共に世界中でテロ活動に手を出し始める。そして今回、ハンマーヘッドが盗みを働いたある組織から動物の力を得られる新型のバトルスーツを複数提供され、今回集まる事が出来た女性メンバー全員と装備。桃源団と共にゼニールの家を破壊してより主張を強くする事を決意する。何故ならアニマルメシアの中には、ゼニールにある恨みを抱く者達が居るのだから………。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

音速と聖騎士

ここで、転スラの人気キャラを登場させます。本人ではなく転生者ですが、私が個人的に登場させたかったキャラですね。まあ転生者は皆女性限定なんですが。


ゼニール邸。金のウンコビルにある最上階のスイートルームでは、バスローブを身に着けた褐色肌の男性が冷や汗を流していた。執事が部屋に入り、男の名を呼んで避難を促す。彼が大富豪ゼニールである。

 

執事「ゼニール様!お逃げください!」

 

ゼニール「うぅむ………しかしテロリスト相手に逃げ出すというのも、ワシのイメージダウンに…………」

 

こんな危機にも関わらず、自身の地位を心配してしまう金持ち。恨まれるのも無理はない。

 

???「その必要は無い」

 

ゼニールと執事は声のした方向を見た。其処にはポニーテールに軽装の鎧を纏った、如何にも忍者という雰囲気を纏った男が窓際に座っていた。

 

???「その為にも()()は居るんだ」

 

ゼニール「おおっ、ソニック君!しかし、()()()()はどうしたのかね?彼女が居なくては―――」

 

しかし、ソニックは二人の前から音を置き去りにして消え、背後に立った。音速すら越える速度に、ゼニールや執事は冷や汗を流す。

 

ソニック「案ずるなら連中の命だ。ヒナタは既に動いている。俺も今から向かう。アンタ等は死体の山をどう処理するかだけ考えていりゃあ良い」

 

そして、ソニックは再び走り出す。

 

ソニック(桃源団にアニマルメシア……聞いたことのないバトルスーツを身に着けているが、桃源団は力任せの連中ばかりで大した事など無い。問題はアニマルメシア。強さや勢力は間違いなく桃源団より格上。ハンマーヘッドもキャッツアイもB級賞金首だが、キャッツアイの方が骨がありそうだな)

 

そして、ソニックは再び音速を越えて走り出した。

 

――――――――――――――――――――――――

 

一分後、とある森の中で、桃源団とアニマルメシアは金のウンコビルが見えて、より一層覚悟を決めた。

 

ハンマーヘッド「よし、行くぞ!」

 

キャッツアイ「我等の復讐の時だぁ!!」

 

桃源団&アニマルメシア『『『オオオオッ!!』』』

 

そして、暫く歩き続けると、キャッツアイの耳が揺れる。

 

キャッツアイ「っ!何か居る!」

 

それは、ゼニールの家に通じる道の奥から歩いてくる。

 

???「桃源団に、アニマルメシアね?」

 

それは、見る者に冷たい印象を与える黒髪黒眼の麗人で、外見年齢は10代後半から20代前半に見える。

 

???「私はゼニールに雇われた傭兵の一人。ヒナタよ。貴方達を始末しに来たわ」

 

ヒナタと名乗ったその女性は、片手にレイピアを持ち、軽装の鎧を体に纏い、足も銀の脛当てと靴を身に着けている。その上に羽織る足元にも届きそうな白いコートを纏っており、風によって左右に揺れている。

 

キャッツアイ「始末だと?お前一人でか?」

 

ハンマーヘッド「ケッ!たかが女一人だ!やれ!」

 

ハンマーヘッドの指示を受けて、桃源団の男達が走り出す。

 

象スーツ女「キャッツ!私達も続くわよ!」

 

キャッツ「待て!先ずは敵の戦闘力を見極めるのだ!」

 

隼スーツ女「キャッツ!相手は一人だよ!なら、数で押せば行けるよ!」

 

雀スーツ女「いっくよー!!」

 

アニマルメシアも、キャッツアイとその側近を除いた全ての女性達がそれぞれヒナタに向かって攻め始めた。鳥のスーツを纏う女性達は空に向かって飛んで行った後、ヒナタに向かって急降下し始めた。

 

しかし、ヒナタは高速で攻めてきた隼スーツ女と雀スーツ女の二人に向かってレイピアの突きを放ち、その眉間を貫いた。

 

更にヒナタは、レイピアで巧みに突きを放つ。一度の攻撃で6人の頭部を刺し貫く。更に加えて虎スーツの女が振り下ろして来た鉤爪をレイピアで受け止め、頬を蹴り飛ばす。

 

桃源団、アニマルメシアは次々と攻めるが、ヒナタは息を切らす事なく突き技を繰り出して行く。それは、音の速ささえも遅れてしまう程に、突きが速くなっていく。また、突きでなくとも首を斬り落とす事で一撃で倒してしまう。

 

蛇スーツ女「私の動きは読めな―――」

 

蛇スーツ女、胴体もろとも串刺しにされる。

 

サイスーツ女「ぬおおおっ!私の角なら――」

 

しかし、ヒナタに真横へ避けられた後、両目もろとも刺し貫かれたサイスーツ女。

 

ハンマーヘッド(な、何が起こっている!?)

 

キャッツアイ「皆!!くそっ!!」

 

猫スーツ女「キャッツアイ!!駄目よ!!」

 

側近に抱き締められて止められるキャッツアイ。

 

象スーツ女「私なら!!」

 

象スーツ女が鼻を振り下ろすが、ヒナタが振り上げたレイピアによって8つに切り落とされ、更にヒナタの一突きで眉間を貫かれた。

 

ハンマーヘッド「や、ヤベェ!」

 

ハンマーヘッドは両腕を頭の前でクロスさせる。ヒナタのレイピアはスーツに突き刺さるが、元より太かったお陰かスーツ内の腕に到達する事は無かった。

 

キャッツアイ「くそっ!」

 

キャッツアイは片足を振り上げて、ヒナタを攻撃する。ヒナタは後ろにバック転して避けるが、側近の黒猫スーツ女二人が飛び出し、ヒナタを攻撃する。

 

しかし、ハンマーヘッドが地面に両腕を叩き付けて大地を破壊し、衝撃波と共に周囲の地面を巻き上げた。

 

ヒナタは巻き上げられた地面の間を走り抜けて、ハンマーヘッドに迫る。

 

しかし、隙間を掻い潜ったのはキャッツアイも同じだ。

 

キャッツアイは猫の手を握り締めてヒナタに突き出す。ヒナタは紙一重で難無く避ける。

 

ハンマーヘッド「くそったれえええええぇっ!!」

 

ハンマーヘッドは岩を投げてヒナタを攻撃する。ヒナタは飛んできた岩を避ける。しかし、ハンマーヘッドは近くの岩を次々と投げ付ける。ヒナタは全て避けていき、その内の一つは金のウンコビルに直撃して粉々に砕け散る。此処で思わぬ出来事が起きた。

 

黒猫スーツ女2人「「ぎゃああああっ!!」」

 

キャッツアイの側近二人が飛んできた岩に潰されて、血反吐を大量に吐きながら死亡した。

 

ハンマーヘッド「あっ」

 

キャッツアイ「ハンマーヘッドォ!!死ねぇい!!」

 

キャッツアイが頭を蹴り飛ばした。猫の脚力を模した蹴りを受けてハンマーヘッドは大地に頭から叩き付けられた。

 

ヒナタ「仲間割れ?」

 

キャッツアイ「ハンマーヘッドは協定を結んだだけだ。崇高な思想の元で闘う我等を邪魔するな!仲間達の仇を討ってやる!!」

 

ヒナタ「テロ起こしたなら殺される覚悟もしてきなさいよ。それにアンタ達が始めた戦争なら、アンタ達の首で終わらせてもらうわ」

 

キャッツアイ「ちぃっ!」

 

キャッツアイは再び戦闘の構えに入る。しかし、ヒナタは構え方を見て呆れたのか、ため息を吐く。どのような構え方なのかは読者の想像に任せるが、ヒナタから見て素人丸出しの構え方であるとだけ言おう。

 

ヒナタ「……ハァ。素人丸出しだわ」

 

しかし、ヒナタは気付かなかった。キャッツアイが倒したハンマーヘッドが、その場から居なくなっている事に。

 

――――――――――――――――――――――――

 

街中。

 

住人達『わああー!!テロリストだぁー!!』

 

サイタマ「俺達はちげぇって!!」

 

住民達『アニマルメシアだぁぁー!!』

 

フラン「違う違う!」

 

その時だった。二人は背後で何かが爆発して砕け散る音を聴く。その方向を見た二人は、ダメージを受けたビルに向かって真っ直ぐ突き進むのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

和解と透明怪獣

キャッツアイはヒナタの突き攻撃をひたすらに避けていくが、徐々に速くなる為に両肩に突きが2回ずつ命中して地面に胸を打つ形で倒れ込み、地面を2回も転がった。

 

ヒナタ「避けたのは驚いたけど、少し速くしたらこんなものね」

 

キャッツアイ「お、おのれぇ……!崇高な思想の元で闘う私達が………」

 

ヒナタ「………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。なら、まだ引き返せるかもしれない。でも関係無いわ。仕事は仕事。始末させてもらうわよ」

 

ヒナタはレイピアをキャッツアイの眼前に突き出す。剣先が光を反射して光り、キャッツアイを睨み付けるように照らされる。

 

ヒナタ「さよなら。ハンマーヘッドは後で追い掛けるとして、アンタは―――」

 

 

フラン「あっ、居た」

 

 

ヒナタは声のした方向を向いた。キャッツアイもだ。其処で二人は、猫耳を生やす少女が背中に布で覆った剣を背負っているのを見つける。

 

ヒナタ(誰……って、えっ!?ちょっと待って!?此奴確か、転剣のフランよね!?もしかして、背中に背負ってるのが『師匠』なら………()()()()()()()!?って、そうだとしても、今は仕事中!切り替え切り替え!)

 

キャッツアイ「……誰だお前は?」

 

ヒナタが首を横に振る間に、キャッツアイが問い掛ける。

キャッツアイ「……まさか、お前もアニマルメシアに入りたいのか?」

 

フラン「違う。ある事情で潰しに来た」

 

ヒナタ「……そう」

 

ヒナタはレイピアによる突きを、取り敢えずフランに向けて放つ。が、フランは目先にレイピアの剣先が迫った直前で刀身を掴む。

 

ヒナタ「っ!?」

 

ヒナタは驚いた。試しに行った攻撃だが、決して手加減してない。彼女がアニマルメシアのメンバーかもしれないという考えもあるが、目の前の相手が怪人であり尚且つ雇い主のゼニールに危険を及ぼすなら仕事として始末しなくてはならない。

 

しかし、フランは防いだ。

 

キャッツアイ(くそっ!今のうちに逃げ――)

 

師匠(逃さねぇよ!)

 

キャッツアイは猫の身体能力で近くの岩の上に跳び乗ろうとしたが、空中で留まってしまう。

 

フラン「よし。キャッツアイ捕まえた」

 

ヒナタ「……ありがとう、捕まえてくれて。今すぐ始末してやるわ」

 

フラン「いや、警察に連れてく」

 

ヒナタ「いや、此奴始末しないとゼニール給料払ってくれないのよ」

 

フラン「なら、私とヒーローになる?」

 

ヒナタ「ヒーロー?私は別に良いわよ。そんなのになるつもりはないわ。それに私は、テロリストとはいえ人を殺したのよ。そんな資格はないわ」

 

フラン「そう。なら―――」

 

その時だった。3人は遠くから大きな地震の揺れを足元から感じ、遅れてやって来た衝撃音を聴いた。そして、崩れた金のウンコビルが何かに押されたように崩れ落ちて行った。その何かから発せられた電気が雷となって上空へ飛んでいくが、発生源は透明かつ大きく揺れている。

 

ヒナタ「………もう此奴を殺す理由が無いわね。ゼニールが居なくなったなら給料は貰えないわ」

 

フラン「……早く行こう!」

 

ヒナタ「ソイツは?」

 

ヒナタは師匠が超能力で浮かせたキャッツアイを指差す。キャッツアイは未だにフラン達を睨み付けており、まだ諦めてない事が一目で分かる。目には怒りが宿っているのが、素人目にも理解出来る。

 

フラン「もうどうでも良い!」

 

ヒナタ「そう。で、何で私まで?」

 

フラン「一緒に行こう!やることないなら、私と行こう!」

 

ヒナタ「わ、分かったわよ」

 

フランはヒナタと共に走り出す。

 

師匠(もう悪さはやめろよ)

 

キャッツアイ「えっ?きゃあ!?」

 

キャッツアイは師匠の念話を頭の中で聴いた後、岩の上に降ろされた。キャッツアイは背中の痛みに悶えながら起き上がり、走り去って行く二人を見た。

 

キャッツアイ「………あの2人は一体………」

 

すると、キャッツアイは後ろから声を聴いた。

 

???『スーツを提供されておきながら敗北するとはな』

 

キャッツアイ「えっ?」

 

???『まあ実戦データは得られたから良しとしよう。そしてお前はもう、不要だ』

 

その瞬間、キャッツアイの頭部は光線によって撃ち抜かれた。撃ち抜いた相手は手の甲から光線を放つ、大きな体格を持つ巨大なロボットだった。それが、キャッツアイが最期に見た相手であった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、街ではある一体の怪人が暴れ回っていた。その怪人は出現と同時にゼニールの家を破壊し、当の本人さえも家もろとも殺害。そして侵攻を開始した巨大生物だ。

 

ヒーロー協会は作戦本部を設置して、S級ヒーローの『童帝』が作戦に参加。更にヒーロー協会に所属する怪人による災害への対策をメインとする『怪特対(かとくたい)』も配備。速やかな対策の解決を求められる。その上、勝手に動くメタルナイトも動き出しているとの事であった。

 

怪特対が居なくとも解決出来る事案や怪人は数多いが、中にはS級だけではどうしようもない存在も居る。その対策を練る為の怪特対なのだ。

 

怪特対メンバーは室長の『ムナカタ』、専従班班長の『タムラ』、作戦立案担当官の『カミナガ』、非粒子物理学者の『タキ』、汎用生物学者の『フナベリ』の5名のメンバーだ。近い内に新しく優秀な新入りが入るとの報告もあるが、今は新たに出現した怪人の分析と討伐、そして市民の避難が優先だ。ムナカタは室長の為に現場に出る事は滅多に無いが、政府や海外、その上ヒーロー協会幹部を相手にする中間管理職の存在。そして怪人対策の指示も出している。怪特対が思い切った行動及び現場へ趣けるのも、彼のお陰とも言えるだろう。その為か彼が専従班に顔を出すのは滅多に無い。

 

現在彼等は、S級ヒーロー童帝と共に、出現した怪人の弱点分析に取り掛かっていた。

 

タムラ「目標は透明だが周囲の粉塵と足跡で大方の位置は検討が付くな」

 

フナベリ「おまけに赤外線画像だと形状もバッチリね」

 

タキ「なんだよ透明の意味無いじゃん………」

 

???『レーザー照射が効いてない。恐らくレーザーブレードも無意味かもしれないね。透過率はほぼ100%で、吸収率及び反射率0%の体表組織を形成出来るんだね。熱工学兵器には有効だね。今現場に近いS級ヒーローは僕とメタルナイト以外で誰?』

 

『S級ヒーロー第10位:童帝/イサム』

 

十歳もの少年こと童帝は螺旋を描いた円状のキャンディーを舐めながら、怪人の弱点を探っている。怪獣の近くで背負ったランドセルから出した蜘蛛のような脚を使って巧みに移動しながら、透明な怪獣を追跡していた。

 

カミナガ「現在動ける上に近くに居るのはシルバーファングにアトミック侍、超合金クロビカリ、金属バット、閃光のフラッシュの5名だ。彼等はすぐに到着する。キングにも連絡したが、彼は何かと闘ってるとの事で拒否。番犬マンはQ市から動かない。タンクトップマスターと豚神、ゾンビマンは距離が遠く、援軍として到着するのに1時間は掛かる。駆動騎士やタツマキ、ブラストやぷりぷりプリズナーは未だに連絡が付かない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()等は他に出現した多数の怪人達の討伐に時間が掛かり、後20分で到着するそうだ。他はまだ連絡中だ」

 

童帝『なら、僕等でなんとかしましょう。アトミック侍さん、シルバーファングさんにクロビカリさん、バットさんにフラッシュさんが来るまで、此奴を足止めしてみます』

 

タムラ「すまない。天才ヒーローとはいえ、君のような少年に任せる事になるとは、我々が情けない限りだ」

 

童帝『大丈夫だよ。僕も、S級ヒーローだから』

 

そして、童帝の場面に移る。童帝は通信を開けたまま怪獣を追跡して行く。すると童帝は、怪獣がとある場所で動きを止めるのを見た。

 

童帝「怪特対へ。奴は変電所で止まったよ」

 

タムラ『何?何故変電所で止まる?』

 

そして、童帝は見た。そして怪特対やヒーロー協会スタッフは見た。変電所の電気が異常な程に活発化し、一箇所に集まり始めている事を。そしてその集合している場所が、丁度怪獣の目の前である事。そして、透明な怪獣の元へ電気が吸い寄せられていき、口らしき場所で電気が消えていくのを。彼等は見た。

 

そして、怪獣は咆哮を上げて姿を現した。口の中にある無数の牙の間に電気が走る。

 

『災害レベル・竜:ネロンガ』

 

童帝「……そうか。電気を食べてお腹一杯になったから姿を現したんだ」

 

タキ『ますます透明の意味無いじゃん!』

 

カミナガ『エネルギーを蓄え万事整うと姿を現し周囲を威嚇する。理に適ってるよ』

 

童帝「そうだね。サーモで見るより怖い見た目してるよ」

 

童帝も内心驚いていた。

 

タムラ『電気を喰うなら、供給を止めて――』

 

童帝「いや、それは止めた方が良い。下手に止めれば此奴は電力設備を壊しちゃうよ。それに、もう攻撃なら始めてる人が居る」

 

童帝がそう言った後、上空にとある機体が飛んできた。背中に4つの砲塔を備えた、ゴッツい体を持つ金属のロボットだ。

 

メタルナイト『攻撃に入る!』

 

メタルナイトの遠隔操作による戦闘ロボットが、砲塔からミサイルを放つ。しかし、此処で怪獣から思わぬ反撃を受ける。

 

怪獣の頭部にある2つの触覚と一本の角を合わせて、メタルナイトの放つミサイルに向かって電撃を放った。ミサイルは全て迎撃され、更にメタルナイトの操るメインロボットにも電撃が直撃する。幸いにもロボットには電撃及び電磁パルス攻撃対策を施している為、飛行は難無く行える。とはいえ、ダメージはかなり大きい。姿勢制御が乱れ、時折バランスを崩して思うように飛べなくなる。

 

メタルナイト『攻撃を感知して迎撃とは、厄介な!』

 

そして、怪獣は角と触覚から放った電撃を周囲に放つ。怪特対の対策基地や童帝の装置にも影響が訪れ、パソコンや装置が点滅する。落雷音が遅れてやって来た。

 

タキ『どうやら怒らせただけらしいですね』

 

そして、今度はカミナガがとある結果を報告する。

 

カミナガ『班長、童帝君。行動シミュレーションの結果が出ました。奴をこのまま放置した場合、国中の電力全てを吸収された挙げ句、国全体に放電される可能性があります』

 

タムラ『面倒だな!此奴は経産省と官邸がビビるぞ!』

 

童帝「けど下手に攻撃すれば撃墜される。でも、駆除は簡単に終わりそうだよ。僕も今からブレイブジャイアントを起動する。それに………頼もしい援軍」

 

童帝がそう言う。何故なら、怪獣の目の前には、5人のS級ヒーローが到着したのだから。

 

???「デッケぇなこの野郎!妹のピアノコンテスト抜け出さなきゃならなくなった恨み、八つ当たりで晴らしてやるぜ!」

 

『S級ヒーロー第21位:金属バット』

 

???「おいおい今回はかなりデケェ怪獣かよ。まっ、動きも遅いから良い的だぜ」

 

『S級ヒーロー第7位:アトミック侍』

 

???「アズサちゃんかミリムが此処に居れば もっと楽なんじゃがのう。そうは言ってられんわい」

 

『S級ヒーロー第6位:シルバーファング』

 

???(今回の相手はかなり頑丈と聞く。しかし、動きは遅いな)

 

『S級ヒーロー第18位:閃光のフラッシュ』

 

???「奴がどんな電気を撃とうが、鍛えた筋肉の前には無力!」

 

『S級ヒーロー第16位:超合金クロビカリ』

 

そして、其処へメタルナイトや童帝も加わる。S級ヒーローが多数揃い、怪獣討伐に動き出すのだった。

 

因みに、電気を喰う透明怪獣は、『透明怪獣ネロンガ』と命名された。




シン・ウルトラマンの禍特対は『怪特対』、即ち『怪人特設対策室専従班』へと名前を変更しています。読み方は同じで結構です。それと、怪特対メンバーもワンパンマンに合わせてカタカナにして、苗字の方を名前にしてます。

それと、童帝ことイサム(だっけ?)を含めたS級ヒーローの順位が変更されている理由は、後々判明します。まあ、載せた情報だけで大体察せたと思いますが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

S級ヒーローと邂逅

S級ヒーロー達が駆け出した。最初に攻撃を仕掛けたのは閃光のフラッシュだ。フラッシュは他の四人よりも速く動き、ネロンガの全身を斬りつけていく。ただ斬るのではない。ネロンガの関節や目、四肢の付け根を狙って攻撃しており、ネロンガの動きを封じようとした。しかし、ネロンガの関節も皮膚も、想像以上に硬く、また分厚さもあって剣が通らない。目に攻撃しようとすれば、ネロンガは本能で危機を察して顔を反らす。狙いが外れて目に当たらず、フラッシュは舌打ちをする。

 

しかし、遅れて到達した6人のS級ヒーローによる、ネロンガへの一斉攻撃が始まった。

 

金属バット「テメェに妹との大事な時間取られてんだ!!とっととくたばれオラァ!!」

 

アトミック侍「デケェ癖に割と動くが、まだおせぇ」

 

金属バットが手にする銀製のバットをネロンガの右前脚の前に向かって、怒りに任せて振り下ろした。更にアトミック侍も加わり、目にも止まらぬ剣技でネロンガの左前脚を20回も斬った。バットで殴られて凹むネロンガの右前脚、アトミック侍に斬られて多数の切り傷を負うネロンガの左前脚。ネロンガは悲鳴を上げて、角を光らせたかと思えば触覚も合わせて、電気を周囲に放出した。

 

シルバーファングは跳んで避けて、クロビカリは全身の筋肉を膨張させて自身に当たった電撃に耐える。しかし、クロビカリも全身から激痛が走り、流石にヤバいと直感する。

 

アトミック侍やフラッシュも電撃を避ける。金属製の鎧と剣を身に着けているフラッシュや、刀を持つアトミック侍には電気を寄せ付けやすいが、二人は難無く避けた。静電気程度の僅かな電気が来て痺れるだけだ。

 

童帝は自身の切り札であるロボット『ブレイブジャイアント』に乗り、ネロンガをメタルナイトと共に迎え撃つ。乗り込んだ後にブレイブジャイアントやメタルナイトにも電気が当たり、ボディから火花が散る。

 

童帝『ぐっ!?凄い電気だ!』

 

メタルナイト『推定50万キロワットの電気。直撃すれば並の人間では即死だ。頭部にある角状の発電器官を狙うべきだろう』

 

タキ『それでお願いします!そうすれば、ネロンガは電気を扱う事が出来なくなります!』

 

カミナガ『放射性物質含めた有害物質ともに体内から確認されません。飽和攻撃も問題無いかと』

 

タキ『後、これもどうでしょう?漏電性の高い物質をネロンガの体内に撃ち込んでみては?或いは水を掛けてショートさせるというのは?』

 

メタルナイト『無論解析済みだ。奴の皮膚は絶縁性が高く、外から水を掛けても意味はない。狙うならば、俺がこの機体を乗り込ませ奴の体内に漏電性の素材を撃ち込むまでだ』

 

タムラ『すまない。頼むぞ!』

 

こうして、メタルナイトは再び飛ぶが、ネロンガが危機を察したのか、メタルナイトに向けて電撃を放った。メタルナイトに電撃が当たり、性能がより大きく下がり始めた。

 

メタルナイト『ちぃ!機体の損傷が激しい!』

 

このままでは作戦に支障が出てしまう。

 

童帝『くそっ!攻防隙がない!』

 

シルバーファング「じゃが放射性物質が無いならこちらのモンじゃ!」

 

シルバーファングはネロンガの振り下ろした両前脚の爪を受け流し、ネロンガの脚に受け流した分のパワーを乗せた突っ張りを放つ。ネロンガは前脚にダメージを負い、そのまま横向きに転倒。

 

更にクロビカリが光り輝く筋肉の腕を膨張させて、ネロンガの頭部にある角に拳を食らわせた。ネロンガの頭部の角は折れなかったが、ネロンガは仰け反った。

 

しかし、ネロンガは起き上がり、暴れ始めた。尻尾がクロビカリに迫るが、クロビカリは両腕で掴む。しかし、勢いを殺す事は出来ず、両足が宙に浮いてしまう。フラッシュは背中に乗り上がり、金属バットは頭部の角にバットのラッシュを浴びせ、シルバーファングは跳んでネロンガの攻撃を避ける。

 

アトミック侍「やろぅ。タフな奴だぜ」

 

童帝『先程メタルナイトさんの機体がやられたせいで漏電性の材料を撃ち込む作戦は難しい。こうなれば………』

 

童帝はブレイブジャイアントのジェットでネロンガの背中に回り込み、レーザーソードで斬る。しかし、ネロンガの体表が焦げるだけで中々ダメージが通らない。

 

S級ヒーロー7名でも中々攻撃が通らないが、ネロンガもS級ヒーロー達を倒せない。

 

しかし、此処で童帝に対してタムラ班長から連絡が入る。

 

タムラ『ムナカタ室長から連絡が来たが、不味い事になった。ネロンガの駆除がこのまま進まなければ、与党幹事長が防災大臣を通して核兵器使用に言及し始めた。あまり時間は無い』

 

童帝「なっ!?奴を短時間で駆除ですか!?なんて無茶振りを言うんです!?」

 

ネロンガには確かにダメージを与えている。しかし、それでも駆除に成功するにはかなり時間が掛かる。

 

タムラ『気持ちは分かる。この国の政治家が国際社会から怪人の被害と駆除責任を押し付けられるという政治的圧力に勝てない故に、国際社会から勧められた核使用を安易に受け入れてしまったせいによる弊害だな。我々も有効な対策を考える』

 

童帝『………分かりました。高原の魔女さんや灰の魔女さん、オールマイトさん達が援軍に来るなら、ネロンガの駆除も簡単な筈。それまで持ち堪えて見せます!』

 

童帝がブレイブジャイアントを操り、他のS級ヒーローと共にネロンガへ攻撃を続けようとした。

 

と、その時だった。

 

カミナガ『班長。ネロンガに迫る2名の女性が居ます。いや………もう一人、男が居ます!』

 

タムラ『何っ?』

 

カミナガが報告を始めた後、童帝は3つの強い生命エネルギーをレーダーで探知する。

 

童帝(嘘!?何この強い生体反応!?)

 

メタルナイトも同じだ。

 

メタルナイト(な、何だこの生体反応は!?此処までのエネルギー値は、アズサやオールマイト………いや、もしかしたら彼等以上かもしれぬ!?)

 

――――――――――――――――――――――――

 

そして、ネロンガは跳んできた一人の少女によって下顎から蹴り飛ばされた。

 

無数のビル群を吹き飛ばし、自分より遥かに大きいネロンガを蹴り飛ばしたのだ。少女は空中で包まって後ろに5回転もした後、地面に着地した。

 

フラン「よし」

 

師匠『周りの集落にはヒーローを除いて、人が居ないのは確認済みだ。思いっ切り行くぞ!』

 

そして、ヒナタも遅れて到着する。

 

ヒナタ「結構大きいじゃない。あら?」

 

ヒナタは、遅れてやって来たサイタマと出会う。

 

ヒナタ「何アンタ、桃源団の仲間?」

 

サイタマ「いや違う。桃源団が俺と同じハゲだから、ぶっ潰しに来たんだ。で、ハンマーヘッドなら全裸になって逃げた。その後に………関節のパニックに因縁付けられた」

 

ヒナタ「………関節のって………ソニックの事かしら?その人って、細くて速かった?」

 

サイタマ「速いか分かんねえけど、そうだな」

 

ヒナタ(速いか分からないって………まあ良いわ。ソニックを倒すなんてやるわね。知ってたとはいえ、彼がサイタマ……見た目じゃ分からないけど、確かに強いわね)

 

ヒナタは、サイタマが自分やフラン、師匠より強い事を見抜いた。この世界の事をある程度知るヒナタだからこそ、サイタマを目の当たりにして改めて彼の強さを自覚する。

 

そして、ネロンガは自身を蹴り飛ばした相手を見た。ヒナタもネロンガを見る。

 

ヒナタ(でも彼奴、ウルトラマンのネロンガよね?ウルトラ怪獣といいライダー怪人といい、他の作品の怪物共がなんでこの世界に?)

 

それと同時に、S級ヒーロー達も集まり始めた。ネロンガを軽々と蹴り飛ばした少女と、その周りに集まる二人の男女に注目する。

 

特にフランは、以前からヒーロー協会に目を付けられてた事もあってか、ヒーローだけでなく本部も注目し始める。

 

カミナガ『班長。例の少女の存在を確認。自分が保護に向かいます』

 

タムラ『いや待て。まだネロンガが近くに居る。彼女の保護はS級ヒーロー達に任せよう』

 

タムラはS級ヒーローに、フランの保護をS級ヒーローに頼もうとした。

 

しかし、ネロンガが先に動き出した。ネロンガは先程の蹴りで理解する。フランはこれまでの奴等と格が違う。そしてヒナタとサイタマからも、恐ろしい何かを感じる。

 

ネロンガは角と触覚を合わせて、電撃をフランに向けて放つ。フランは防ごうとするが、前に出てきたサイタマに電撃が命中。サイタマの全身に電撃が走るが、サイタマは平然としている。

 

サイタマ「あー、何だこりゃ?電気マッサージか?いや、俺全然気持ちよくねぇしマッサージじゃねえのかも」

 

サイタマはマッサージにすらならない。遠くで見ていた童帝やメタルナイトは、電気が直撃しているサイタマを見て唖然としていた。作戦本部のタキを含めた怪特対も驚いている。

 

童帝『ちょっ!?ええっ!?推定50万キロワットの電気ですよ!?』

 

メタルナイト『し、信じられん!?クロビカリや童帝、俺のロボット以外であの電撃に耐えられるヒーロー等!?』

 

フナベリ『しかもあの人、平然と立ってるようですが……』

 

彼等の動揺なんて露知らずなフランは、サイタマに願う。

 

フラン「あの能力欲しいかも。でも今回はサイタマにあげる。でも、頭は残して」

 

サイタマ「おう」

 

サイタマは拳を握り締める。

 

すると、放電を止めたネロンガは咆哮を上げた。しかしその咆哮は悲鳴のように聴こえる。軈てネロンガはサイタマの元を向きながら透明になり、後退りして逃げようとする。

 

メタルナイト『透明に戻った?危機を察したのか?それにあの男は………』

 

そして、サイタマは拳を強く握り締める。軈て後ろに向けた拳を大きく振りかぶって、ネロンガの居る方向に向かって突き出した。拳から放たれた衝撃波がネロンガに迫る。熱工学攻撃ではない、物理的な衝撃波により、ネロンガの全身が頭部を残してバラバラに砕け散った。青色の体液が周囲に飛び散り、肉片がビルに降り掛かってプラネタリウムを描く。パンチの先にある建物は全て粉々になり、地面には真っ直ぐの道出来て、瓦礫も殆ど蒸発した。

 

サイタマが突き出した方向にはS級ヒーローは居らず、作戦本部も反対側にある。しかし、その作戦本部にもパンチによる振動による地震が起きて、机や椅子も大きく揺れた。

 

タムラ「何が起きた!?」

 

タキ「衝撃波のようです!!震度4.9、衝撃波が通った空間も原子爆弾並の高熱を纏っています!一体、どれ程のパンチを繰り出せばこんな威力を出せるんだ!?」

 

フナベリ「ネロンガは、倒されてるけど………頭部だけ残してる………」

 

カミナガ「恐ろしい奴だ………怪人ではないのに、何者だ?」

 

場面は変わり、サイタマ達はネロンガの頭部にやって来た。フランは師匠をネロンガの千切れた首の断面に突き刺し、師匠に能力を吸収させる。

 

師匠『能力吸収!此れでネロンガの力は俺達の物だ!光線や熱線に対してほぼ無敵になったぞ!』

 

フラン「おおおっ!」

 

師匠『とはいえ、俺達ヒーロー達の前で目立っちまったな。どうする?』

 

ヒナタ「私、何もしてないのだけれど?」

 

サイタマ「………あっ!?そういや今日バーゲンセールだ!!急がねぇと間に合わねえ!!」

 

フラン「あっ。お肉………お魚………師匠!サイタマ!ヒナタ!急ごう!」

 

師匠『はいはい』

 

サイタマの背中に飛び乗って掴まるフラン。師匠はフランの背中に止まる。

 

ヒナタ「私は………いや、アタシも傍に居たから事情聴取されるじゃない!?此処まで来たら乗りかかった船よ!連れて行きなさい!」

 

ヒナタはフランの手を握る。そのせいで後悔する事になるとは知らずに。

 

サイタマ「よし、行くか」

 

ヒナタ「えっ?ちょっま、い、いやぁぁぁぁぁ―――」

 

ヒナタは手を離そうとしたが、時既に遅し。サイタマが走ってしまい、もう手を振り解く事が出来なくなった。下手に振りほどけば、勢いよく何処かに叩き付けられる。それは避けたいヒナタ。

 

フナベリ『走って……は、速っ!?』

 

タムラ『レーダーサイトに通達!逃すな!追え!ヒーロー達も追うんだ!』

 

タムラが指示を出す。しかし、ヒーロー達が追い始めたが、追って行けたのはフラッシュのみだ。空を飛べるメタルナイトやブレイブジャイアントは、損傷が酷い為に上手く空を飛べない。

 

フラッシュ「待て。お前達に聞きたい事がある」

 

サイタマ「うるせぇ!!今からバーゲンセールがあんだよ!!邪魔すんじゃねえよ!!」

 

すると、地面から怪人が出現した。ピクルスが巨大化して人の体を持つ怪人だ。

 

ピクルス集合体「俺様はピクルス集合体!食わずに捨てられたピクルスが集まって生まれたピクルス怪人だ!人間よ覚悟し――」

 

サイタマ「うるせぇ!」

 

サイタマは走りながらパンチして、怪人を瞬殺。フラッシュはサイタマの攻撃力の高さに感心を持つ。

 

フラン「師匠」

 

師匠『いや、此奴は要らないだろ。ただデカいだけの奴だ』

 

師匠からも要らない宣言。哀れなり。

 

フラッシュ(何という攻撃力!?こんな奴がヒーローではないというのが不思議だ………それに、剣が喋っただと!?)

 

ヒナタ「ちょっ………まっ……うぷっ………とまっでぇ」

 

結局、サイタマはスーパーマーケットまで止まることはなく、フラッシュはスーパーマーケットで注目される事になる。サイタマはフラッシュの隣で買い物を始めた。

 

ヒナタはベンチで横になり、酔いが覚めるのを待つのだった。

 

フラッシュ「……で、話がある」

 

サイタマ「なら、家で話そうぜ。買い物済ませたし、夕食奢るぜ」

 

フラッシュ「………良いだろう」

 

フラッシュはサイタマ達に同行した。ヒナタもフラつきながらフランと手を繋ぎ、フラン達に付いて行くのだった。




名前:ネロンガ
元ネタ:シン・ウルトラマン
災害レベル:竜
シン・ウルトラマンのネロンガそのもの。透明化による熱工学攻撃及び光線の無力化は勿論の事、角からの電撃攻撃も可能。また、電気が大好物で、お腹いっぱいになると姿を現す。また、攻撃する際にも姿を現す。

名前:ピクルス集合体
元ネタ:オリジナル
災害レベル:虎
概要
食わずに捨てられたピクルスが集まって生まれたピクルス怪人。巨大なピクルスなので転がり踏み潰す程度の攻撃力しかない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヒーロー名簿と試験

サイタマ宅。アパートの一室で、フランと師匠はヒナタやサイタマ、更にフラッシュやジェノスと共に鍋を食べ始めていた。フラッシュは自宅まで話を聞く為に同行し、ジェノスはサイタマの強さの秘密を探る為に来たのだ。

 

フラッシュ「……音速のソニックか。奴がゼニールの護衛とはな」

 

フラン「知ってるの?」

 

フラッシュ「……昔の同期だ。親に捨てられる形で忍者の里に捨てられた俺と同じく、奴と忍者の里で育ったが、お互いに落ちこぼれだった。でも互いに技を磨き合い、鍛錬を行った。が、卒業の時に俺が首席だったが奴は最下位だった。そして俺は…………すまないが、これ以上は言えん」

 

フラン「………分かった。これ以上訊かない」

 

ヒナタ「ソニックとアンタは、何か因縁があるのね?でも話したくないなら、今は話さなくても良いわ」

 

フラッシュ「………すまない」

 

フランは詮索を止めた。言いたくない事があると理解したのだ。ヒナタはソニックの知らない過去を知って驚きを隠せなかった。ヒナタもこの世界の事は大体知っているが、フラッシュやソニックの事は知らなかった。フラッシュが忍者の里で何かやらかした事を仄めかす描写は見たが、実際になにをやったのか覚えてないのだ。

 

フラッシュ「それで、お前達は何者だ?」

 

そして、サイタマとフラン、ヒナタはそれぞれ説明に入る。サイタマは自身の強さの秘密(筋トレの事)や趣味でヒーロー活動ををやってる事、フランは進化の家で生まれた事を、ヒナタは傭兵として活動している事を、それぞれ説明した。因みにフランは、野菜を食べられない為に肉のみを食べている。

 

フラッシュ「………成る程な。サイタマと言ったな?お前の言った事はにわかに信じ難いが、筋トレを続けた結果、接近戦ではシルバーファングと互角になったクロビカリが居るからな。そして彼女は、人工的に生まれた怪人でありながら普通の人間と同じ暮らしをやっている。そして、意思を持つ剣に、ヒーロー協会では猫耳のお前と同じく噂になっていたサイボーグ。そして各地で噂になっていた女騎士の傭兵、お前の事だったか。どうやら付いて来て正解のようだ」

 

サイタマ「………あっそ。でも俺は今、重大な問題を抱えてんだよ……」

 

ジェノス「問題?先生が抱える程の重大な問題とは一体何ですか?」

 

フラッシュ「………当ててやろう。自分の知名度の低さ、或いは全く知れ渡ってない事を気にしているな?」

 

サイタマ「いや当てんなよ。まあそういう事だ。俺は3年も趣味でヒーローとして活動してきたが、俺より活躍してるヒーローなんて見たことがない。怪人だの、悪の組織だの退治してきた。別にチヤホヤされたいんじゃねえんだ。ただ、有名になっても良いんじゃないか?ファンとか居ても不自然じゃないだろう?フランが介入したのは一年前で、その時から共に戦ってきたよな?フランはどうだ?自分がヒーローだと呼ばれた事あるか?」

 

フラン「んー………考えてみたら、そんなに無いかも」

 

フランもそれなりに活躍してる。師匠の手助けもあるとはいえ、複数の都市が壊滅するような強敵怪人又は悪の組織すら倒して来た。しかし、それを覚えてる人、感謝してくれた人達は少なかった。サイタマがワクチンマンから助け出した少女は、サイタマの事を覚えてくれており、少女の親戚達もサイタマ達に感謝してくれた。

 

しかし、サイタマやフランの活躍を知る者はとても少ない。町に出ても住人からテロリストと間違われる程だ。勿論全員ではなく、覚えててくれた人達も居たが、やはり少なかった。

 

カットしてはいるが、実はネット及びテレビニュースでも、桃源団やアニマルメシアを撃退したのは無免ライダーというヒーローで、ネロンガを倒したのも現場に居たS級ヒーローや怪特対が倒した事になっていた。勿論、無免ライダーは何故そうなっているのか混乱しており、現場に居たS級ヒーローや怪特対は、ネロンガを倒したのは違うと発言しているが、世間にはもうそんな認識が広まっており、訂正が難しいレベルにまで浸透していた。

 

ヒナタ「………」

 

ヒナタはその理由を知っていた。色々イレギュラーはあるが、それでも目の前でサイタマの実力を見れば、彼がもっと有名になっても良いのではないか?そう考えてしまう。

 

ジェノス「まさか、先生にフランは、ヒーロー名簿に登録してないんですか!?」

 

フラッシュ「やはりな」

 

フラン「ヒーロー名簿………やっぱり協会の勧誘受けるべきだったかな」

 

そして、サイタマがヒーロー名簿に登録してない事をジェノスが指摘し、サイタマやフランはヒーローになる為に応募する事にした。

 

すると、此処でヒナタに思わぬ飛び火が来た。

 

それは、夕食後に全員で後片付けを終えた後だった。

 

フラン「ヒナタも登録しよう」

 

ヒナタ「えっ、嫌よ」

 

フラン「えっ」

 

ヒナタ「私はヒーローなんてのに興味は無いの」

 

フラン「どうしても?」

 

ヒナタ「誘ってくれて悪いけど、ごめんなさい。アンタ達がヒーローになれば良いじゃない。私は今まで通り傭兵として活動するわ」

 

しかし、フランは引き下がらない。

 

フラン「えー。ヒーローやろうー」

 

ヒナタ「しつこいわよ」

 

フラン「むー………やろうやろうやろうやろうやろうやろうやろうやろうやろうやろうやろうやろう」

 

ヒナタ「やーめーなーさーい!!」

 

ヒナタはフランの頭に拳骨を喰らわせる。フランは頭を抑えて涙目でヒナタを見る。

 

フラン「ヒーローやろう」

 

ヒナタ「まだ言うか!?」

 

フラン「ヒーローやろう」

 

ヒナタ「………もう、分かったわよ!やるわよ!やれば良いんでしょ!?」

 

フラン「うん!」

 

師匠『強引だなフラン……』

 

因みに、フラッシュやヒナタ、ジェノスは帰っていった。

 

そして応募はネットからでも簡単に申し込みが可能で、サイタマ、フランはネットの応募欄に必要事項を全て記入し、五日後の試験日まで待つのだった。

 

師匠『筆記試験もあるらしいからな。それなりに勉強はしたほうが良いだろう』

 

フラン「ん」

 

サイタマ「そっか。俺も勉強しとくか」

 

サイタマ、フランは勉強により、学力が少し上がった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

Z市にあるヒーロー試験の試験会場。ヒーロー試験に集まって来たのは、数多くの受験者達。その殆どが屈強そうな肉体を持つ男達で、力のゴリ押し目的なのが明白だ。

 

試験会場は男女に分かれている。サイタマ、ジェノス、フランはそれぞれ分かれて会場に向かった。

 

フランは筆記試験を済ませた後、実技試験の為に更衣室でスク水に着替え始めた。

 

筆記試験は、少し勉強すれば解ける問題とヒーローとしての心得を試す作文だけであった。フランはつまらなさそうにしていたが、それでも5日間の勉強期間を得たお陰で難無くクリア。

 

フラン「師匠。フラン、頑張って来るね」

 

師匠『ああっ。お前ならやれる。俺は近くで見守っているぞ』

 

フラン「ん」

 

そして、試験会場を見たフラン。師匠とは念話で会話している。試験会場をよく見ると、5日前に知り合った一人の女性の姿もあった。

 

フラン「あっ!ヒーナーター!」

 

フランは手を振った。ヒナタはフランの方を見て、フランの元へ向かう。目の前に来たヒナタに勢い良く抱き着き、顔を胸に埋めるフラン。

 

フラン「来てないかと思った!でも嬉しい!」

 

ヒナタ「アンタが誘うから仕方無く来ただけよ!というか恥ずかしいから抱き着くな!」

 

結局スタッフに注意されるまで、フランはヒナタに抱き着いた。

 

こうして始まるヒーロー試験。




ヒナタの試験時の服装は、デニムショートパンツに似合う白い半袖衣類を想像してください。かなり際どいと思って頂ければ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

試験と結果

原作ではサイタマは、C級からのスタートでしたが、果たして…………。


実技試験。この試験でヒーローになれる資格があるか否かが試される。頭が良いだけでなく、ヒーローとなって市民や大切な人達を護るには、実力が伴わなくては意味が無い。無論、その逆も然り。

 

その中にはフランの姿もある。ヒナタは既にいくつかの試験を受けている為、先に受けに向かった。多くの女性試験者がヒナタに注目する。

 

そして、フランの出番が来た。フランも猫耳や尻尾を生やした姿に注目を受けており、怪人ではないかと呟く者や可愛らしいと褒める者も居る。

 

実技試験は通常の体力試験だけでなく、素の身体能力をテストした後に特殊能力がある者のみもう一度同じ試験を行う義務がある。

 

女性職員「では第一種目、反復横跳び30秒から始めさせて頂きます!」

 

フランの番に回る。

 

フランは中腰になり、両足に力を入れる。

 

女性職員「よーい、始め!!」

 

そして、フランは反復横跳びを始めた。あまりにも速く、残像が見える程であった。それを見た他の受験者達は顔を青ざめる。どう見ても年下な少女の見せる圧倒的な身体能力を目の当たりにして、顔を青ざめていた。

 

そして、第二種目の1500メートル走に入る。

 

フランは全力で飛ばし、1500メートル走をたったの数秒で走り抜けた。

 

第3種目、重量上げ。フランの3倍もあるバーベルを片手で持ち上げるフラン。その上念動力で空中にも浮かせた。

 

第4種目、砲丸投げ。フランは天井を突き破る程に砲弾を投げたが、念動力で引き戻して手元で浮かせた。そのせいで能力試験において『∞』という前代未聞の記録を叩き出したが。

 

第5種目、垂直跳び。フラン、天井に手を付ける。その後に空中で浮いて、能力試験で再び『∞』を叩き出した。

 

第6種目、モグラ叩き。フランは飛び出すモグラを全て叩いた。

 

第7種目、パンチングマシーン。フラン、パンチングマシーンを粉々に砕く。

 

こうしてフランは全ての体力試験を終えた後、師匠を背中に背負って更衣室て着替え終わる。しかし更衣室を出た後、フランは職員に呼ばれて面接に入る事になった。其処にはサイタマだけでなく、ジェノスやヒナタの姿もあった。

 

面接内容はヒーローになる理由や心得、どう活動していくかの質問であったが、サイタマとヒナタだけ退室して、残されたのはフランとジェノスのみとなった。

 

ジェノスは進化の家を圧倒的な火力で焼き払ったかどうかの質問で、ジェノスはその問いに答えた。

 

メガネ職員「此れは、君がやったのか?」

 

ジェノス「そうだが、それが?」

 

それを聞いた職員達は、彼が成績に似合うヒーローである事を確信し、ジェノスの履歴書に『S級認定』の判子を押した。

 

そしてフランには、ある事を尋ねた。

 

ヒゲ職員「君は、怪人かい?」

 

フラン「そう。私は怪人。進化の家で生まれた」

 

メガネ職員「では何故、ヒーローになりたいと?」

 

フラン「お金を稼ぐ為もある。でも、私はどうしても強くなりたい。復讐とかじゃなくて、勝ちたい相手が居る。それに、怪人がヒーローをやったらいけないなんて思わない」

 

ヒゲ職員「そうか。では、君がヒーローになる為に必要な事は、何だと思う?」

 

フラン「……優しさを失わない事。例えその気持ちが何百回裏切られても。でもいざという時は闘う事。何処かで聴いた言葉だったかな。それが私の、ヒーローに必要な心得だと思う」

 

それを聴いた職員は、彼女の言葉に感心する。それは、ヒーロー協会に所属する大半のヒーロー達が、忘れかけている心得だったのだから。

 

メガネ職員「どうしますか?」

 

上司「………本当ならばS級に上げたいが、筆記試験での結果もある。しかし、こんなに素晴らしいヒーローが下である事は誰も納得しないが、幹部共の圧力もある。よって……」

 

フランの履歴書に、判子を押す職員。その判子には………。

 

――――――――――――――――――――――――

 

サイタマ「………ふう。やっと試験が終わったな」

 

ジェノス「面接も簡単な質問だけだったので、楽勝でしたね」

 

ヒナタ「筆記も少し勉強すれば大丈夫な内容ね」

 

フラン「早く来ないかな」

 

師匠『まあそう慌てるな。“果報は寝て待て”だ』

 

こうして、一時間も食堂で食事をしながら待ち続けていると、現れた職員から合格通知の入った封筒を渡される。

 

サイタマ「おっ。俺は81点のB級だ」

 

フラン「私も」

 

サイタマとフランはB級ヒーローとなった。

 

ジェノス「先生やフランがB級?何かの間違いでしょう。俺が責任者に直訴してきます」

 

サイタマ「いや良いから。其処までしなくて。二人はどうなんだ?」

 

サイタマに促され、ジェノスとヒナタは通知表を見る。

 

ジェノス「100点でした。俺はS級に認定されたようです」

 

ヒナタ「私はA級よ。99点なのは惜しかったわ」

 

フラン「二人共凄い」

 

師匠『ヒナタはあともう少しでS級だったかもな』

 

サイタマ「お前等スゲェな」

 

すると、アナウンスが流れ始めた。

 

『試験合格者の皆様。合格者セミナーが行われますので、第3ホールまでお越し下さい。繰り返します――』

 

サイタマ「まっ、合格しちまえばこっちのもんだし、早く済ませようぜ」

 

ヒナタ「ええっ。他にも合格者って居るのかしら?」

 

ジェノス「いや、俺達だけだ」

 

師匠「まあ、フラン達の試験結果を見ればなぁ」

 

こうしてフラン達は合格者セミナーに向かう。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フブキ組のアジト。豪華絢爛なそのアジトで、一人の女性の元に黒スーツを身に着けた多くの男女が集まっていた。全員がB級ヒーロー達で、超能力を扱うフブキの元に結成されたヒーロー協会でも大きな規模を持つ組織だ。

 

???「そう。噂に聞いた少女がヒーロー協会に来たのね」

 

『B級ヒーロー1位:地獄のフブキ』

 

???「はい。彼女は同じ合格者のサイタマという男と共にB級からのスタートとなります」

 

『B級ヒーロー2位:マツゲ』

 

フブキ「そう。なら、私の元に招待しましょう。フブキ組に勧誘する良い機会だわ」

 

フブキ組、フランに目を付ける。

 

一方、とある撮影スタジオにて、一人の青年がヒーロー協会から届いた映像を見ていた。スマホを耳に当て、ヒーロー協会と通話している。

 

???「そうか。例のサイボーグをS級に。そして例の黒猫の少女はB級のスタートだね?」

 

『A級ヒーロー1位:イケメン仮面アマイマスク』

 

アマイマスク「…………そうか。なら、僕も会いに行ってみるよ」

 

そして、スマホの通話を切ってズボンのポケットに仕舞うアマイマスク。

 

アマイマスク「確かに、興味があるよ。彼等がヒーローに相応しいかどうか、見極めさせてもらおうか」

 

そう口にした後、アマイマスクは再びドラマの撮影に移るのだった。




B級にしたのは、すぐに絡ませたい相手が居たからですね。まあ、言わなくとも分かると思いますが。ずっとアマンダポジを誰にするか迷ってましたが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

合格者セミナーとフブキ組

原作ヒーロー達の順位も何名か変動しています。その理由も分かりますよ。


フラン達は合格者セミナーの行われる教室に移動した。

 

セミナーを担当するのは3名の男達。

 

???「先ずは合格おめでとう。俺はA級49位蛇咬拳(じゃこうけん)のスネックだ」

 

『A級ヒーロー49位:蛇咬拳のスネック』

 

タムラ「怪特対専従班班長のタムラだ」

 

カミナガ「怪特対作戦立案担当官のカミナガだ。宜しく頼む」

 

フラン達の反応は無し。サイタマは風船ガムを噛んでいる。

 

スネック「しかし合格したからと言って調子に乗らない事だ。合格した君達の顔写真や簡単なプロフィールは、世界中にインターネットやSNSを通じて公開されるんだ。ヒーローとなった以上は、ヒーローとしての自覚と責任、節度ある生活を心掛けるように!」

 

タムラ「プロフィールと言っても、顔写真や身長に体重、それから誕生日だな。住所や個人情報に関しては此方で非公開にしているので、住所を特定されて迷惑が掛からないように取り掛かろう」

 

スネックの言葉は高圧的だが、その反面この業界で生きていく上での厳しさがあるという意味が孕んでいた。

 

しかし、フラン達の反応は皆無。その時にサイタマが風船ガムを膨らませている。

 

スネック「聞いているのか!?その間抜け面が全世界に晒されるんだ!恥を掻きたくなかったら………ハッ!」

 

スネックは教員机に跳び乗り、素早く、正確に、しかし鋭い、蛇のような拳法を披露した。そして、片手を蛇のように構えた。

 

スネック「俺のように立派なヒーローを目指せ!」

 

ヒナタ「ヒーローなら机の上に乗るのはどうなのよ?」

 

スネック「ぐっ!」

 

フラン「格好良い!今のって!ほっ!ほっ!しゃー!」

 

フランはスネックの動きを真似た。しかし、素人丸出しで子供が正に見様見真似でやった動きと言わんばかりの動きだ。

 

タムラ「ハハハッ。中々元気な子じゃないか。此れは将来、立派なヒーローになれるかもしれないな」

 

カミナガ「ええっ」

 

しかし、スネックは見抜いていた。確かに素人丸出しではあった。しかしその型は、スネックが初めて蛇咬拳を編み出して漸く形になった頃の動きであった。

 

スネック(馬鹿な!?このレベルまで行くのに、俺でも一年も掛かったというのに!?この少女、ただ者ではない!)

 

スネックはフランが実力のある少女だと見抜いた。

 

カミナガ「では、君達に合格証書とそれぞれの階級を示すバッジとヒーローカードをやろう。此れが君達の身分証明書の代わりにもなる。海外に出向く際にも、パスポートに代わって利用出来る。政府の重要な機関等には入れないが、それでも大抵の施設に入る事が出来る」

 

こうして、フラン達は合格者セミナーを終えた。ジェノスはサイタマの正式な弟子となり、一度クセーノ博士の元へ帰って行った。ヒナタも一度家に帰る事にした。

 

そして、サイタマとフラン、師匠は帰路に着いた。

 

因みにこの後、本来ならば焦った様子のスネックが合格者セミナーの続きと称してサイタマに襲撃する場面なのだが、その事は一切起こらなかった。

 

カミナガ「スネック。新人狩りなんて真似はしないように」

 

スネック「わ、分かっている!」

 

カミナガに止められていた為であった。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

翌日。朝の10時頃。サイタマとジェノスは手合わせをしに荒野へ向かっていたが、フランはB市にやって来ていた。B市で販売しているローストポークを買いに行く為だ。限定品かつ低価格で販売している為、早く行かなくてはならない。幸いにも販売時間は一時間もある。しかし急がなくては先を越されてしまう。

 

フラン「おっにく〜お肉〜♥溢れる肉汁〜♥最高♥」

 

師匠『フランは本当に肉が好きなんだな。体質のせいで野菜が食べられないが、何時か野菜も食べられる体にしてやるぜ』

 

フラン「んっ。なら、野菜食べられる怪人を倒して能力得よう」

 

師匠『或いは雑食の奴を倒そう。それなら、フランも野菜を食べられるようになる筈だ』

 

フランは師匠と共に歩いていると、一台のリムジンがフランの横を通り過ぎる。しかし、通り過ぎた後に道端で止まると、後部座席の扉が開いた。一人の男と二人の女性だ。女性は高級な白いジャケットを羽織っており、リーダーとしての雰囲気を醸し出していた。連れの男は大きな体格で、スーツ越しでも鍛えられた肉体が解る程に盛り上がっている。もう一人の女性は、百合の髪飾りを付けた10代前半の可愛らしい少女で、両手に三節棍を手にしている。

 

???「初めまして!B級の新入り、フランちゃん、で良いかな?私はフブキ組のリリーです。同じB級だけど、74位だから私の方が先輩ね」

 

『B級ヒーロー74位:三節棍のリリー』

 

???「B級3位の山猿だ。今この場には居ないが、リムジンの運転席に居るのは、B級2位のマツゲだ」

 

『B級ヒーロー3位:山猿』

 

フラン「フブキ組?」

 

師匠『どうやら厄介な奴等みたいだな。調べていたんだが、フブキ組はヒーロー協会に存在するヒーローグループの中でも最大の派閥を持ってる。奴等は全員黒スーツを身に着けているのが特徴で、男女問わず身に着けているぞ』

 

フブキ「あら?その剣、やっぱり喋るのね。お姉ちゃんから聞いた時はまさかと思っていたのだけど」

 

リリーや山猿の前に立つフブキが、師匠を指差した。師匠の言葉が聴こえる相手は、師匠が念話を届けている相手か、何かしらの超能力や魔力を持つ者のみだ。

 

リリー「えっ?フブキ様?剣が喋るってどういう事ですか?山猿さんは聴こえました?」

 

山猿「いや、俺も聴こえてない。だが、フブキ様は超能力の使い手だ。恐らく、念話みたいな物でも発してるんだろう」

 

リリー「おおっ、成る程!流石フブキ様♥」

 

巨漢にしては頭が回る山猿。リリーもフブキが念話を聴き取った事に納得し、尊敬と心酔の目をフブキに向ける。

 

師匠『……お姉ちゃん………まさかアンタ、タツマキと知り合いってか、姉妹なのか?』

 

フラン「タツマキ………見た目じゃ分からないけど、お前が妹なんだ」

 

フブキ「悪かったわね………いや、お姉ちゃんの事は良いのよ。私が此処に来たのは、貴方達に用があるの」

 

フラン「私達?」

 

フブキ「そうよ。単刀直入に訊くわ。貴方達、私達フブキ組に入会する気はない?今なら歓迎に、高級なお肉を食べさせてあげるわ」

 

フラン「お肉!あっ、でも……ローストポーク……」

 

フブキ「あっ、えっと………フブキ組に入らない?」

 

フラン「うーん………やだ」

 

フブキ「そ、そう………なら、これはどう?」

 

フブキは両手を広げてこう宣言する。

 

フブキ「私の事を、ママと思って――」

 

フラン「論外」

 

フランは歩いて行こうとする。しかし、フブキは引き下がらない。

 

フブキ「な、何でよ!?私じゃ不満なの!?」

 

フラン「ローストポーク!食べに行く!」

 

フブキ「フブキ組よりそっち!?」

 

フラン「最優先!!」

 

フランは走ろうとした。しかし、此処で地面が大きく揺れる。

 

人々『『キャアアアアアアアッ!!』』

 

男「怪獣だ!逃げろぉ!!」

 

人々が逃げ回る。逃げていく人々の背後には大きな土煙が上がり、建物が崩壊する。

 

そして現れたのは、常に頭を下にし、尾を高く上げているという、長靴やシャチホコを思わせるような体型が印象的な怪獣が現れた。

 

『災害レベル虎:ツインテール』

 

そしてその次に、両手が鞭のようになった二足歩行の怪獣も現れた。

 

『災害レベル虎:グドン』

 

二体は互いに組み付き合っている。ツインテールは小さなトゲのある二本の尻尾でグドンを叩くが、グドンも鞭状の両手でグドンを攻撃する。

 

フランは走ろうとするが、グドンの足元には限定品のローストポークを売っている精肉店があった。そして、グドンが踏み付けてしまい、限定品ローストポークもろとも精肉店が踏み潰されてしまったのだった。

 

フラン「―――――――――」

 

フランの両目から光が消えた。

 

フラン「ロースト………ポーク……………返せ」

 

フランは全身からエネルギーを放つ。周りの木々やビルが持ち上がる程の出力に、フブキは戦慄した。周りの景色でも理解出来るが、フブキはフランが放つ圧倒的な念動力を感じ取ってよりフランの力を思い知る。

 

フブキ「この力………まさか!?有り得ない!!まるでお姉ちゃん…………いや………………パワーだけなら!?」

 

そして、グドンとツインテールも空中に浮いた。

 

フラン「………お前等、喰ってやる!!師匠!こいつ等、食べられる?」

 

師匠『ちょっと待ってろ………鑑定したが、頭が下の奴は美味いぞ!プリップリなエビの味だ!グドンの方も筋があるが、ステーキにしたら美味いらしいぜ!』

 

フラン「よし、なら今夜は怪獣のお肉丸焼きぃいいいいいいいいいい!!」

 

フランは両手からペギラの冷凍ガスを放ち、二匹をあっという間に凍らせた。二匹は冷凍ガスによって凍らされていき、軈て凍傷により息を引き取るのだった。

 

二匹を地面に置いて、フランは舌なめずりをする。大きなお肉が手に入ったのだ。しかもお金をつかわないので食べ放題である。

 

フブキ「強過ぎる………信じられない」

 

リリー「凄い……」

 

山猿「何という力だ……」

 

マツゲ「ああっ………」

 

フブキ達はフランの力を目の当たりにして、冷や汗を流した。もし何時ものように力尽くでフランを勧誘していれば、こうなるのは必然だっただろう。

 

今後はやり方を改めよう。そう決意したフブキであった。

 

そして、フランと師匠はフブキ達にアイコンタクトを取った後、師匠は目を光らせた。凍ったツインテールとグドンを空中に浮かせた後、フランは空を飛んだ。浮かせた二匹と共に、師匠とフランは人気のない場所へ向かうのだった。

 

フブキは空へ飛び去るフランと師匠を見て、益々彼女達が欲しくなった。

 

フブキ「………私、決めたわ!何としても彼女をフブキ組に入会させるわよ!そして……あの子のママになってみせる!」

 

リリー「おおっ!賛成です!フブキ様!」

 

マツゲ「母は兎も角、あれ程の実力者がフブキ組に加われば我々の戦力強化も見込める!流石です!フブキ様!」

 

フブキ様「ええっ。さあ、帰るわよ!あの子を何としてもフブキ組に入会させるわよ!」

 

マツゲ&山猿&リリー「「「はい!フブキ様!」」」

 

フブキ組も帰路に着く。探し回った甲斐があった。フブキはフランの母となり、フランがフブキに甘える様子を妄想してニヤけてしまった。

 

因みに、サイタマとジェノスはうどん屋へ大食い対決して、ジェノスが勝利。手合わせ自体はサイタマが勝ち、今回負けた事でイーブンになったと語るサイタマであった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

夜中のとある荒野。其処で解体されたツインテールとグドン。両目に血が掛かり、所々の肉が剥ぎ取られていた。フランと師匠が解体して料理しているのだ。

 

焚き木の上には、ツインテールやグドンの肉が焼かれており、師匠は念動力で肉を回しており、調味料として買ってきた塩を焼いた肉に掛けていく。

 

フラン「んがあむっ!んむっ!」

 

フランはツインテールの塩焼きに齧り付き、頬張る。噛み続けた後に飲み込み、塩で彩られた味わい深い焼海老の味を堪能する。

 

フラン「ああむっ♥」

 

フランは食べ続ける。一時間掛けて、フランはツインテールやグドンを食べ尽くしたのだった。グドンの味は、筋が通っているが、食べた時の味わいは正に史上最強のお肉とも呼べる味わいであった。




【オリジナル怪人】
名前:ツインテール
元ネタ:帰ってきたウルトラマン
災害レベル:虎
概要
常に頭を下にし、尾を高く上げているという、長靴やシャチホコを思わせるような体型が印象的。尾の先には小さなトゲが並んだ2本の鞭がついており、それで攻撃したり体当たりや噛みつきをする。怪獣の中でうまいと言われている。

名前:グドン
元ネタ:帰ってきたウルトラマン
災害レベル:虎
概要
中生代・ジュラ紀に生息していたとされる怪獣。ツインテールを好物とする。 両腕は鞭のようになっており、敵を叩いたり締め付けたりする事が出来る。因みにグドンもうまいとか。

因みに最後のシーンは、範馬勇次郎が水牛を食べるシーンのオマージュです。グドンの味の評価は、完全にピクルが戦ったティラノサウルスのお肉のオマージュですね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

温泉空間と灰の魔女

前の話に書いたS級ヒーローの順位、書き換えました。


フブキ組の勧誘から3日後。フランは師匠と共に買い物にやって来ていた。場所はC市の一般路だ。しかし、怪人発生はよくある。

 

今回も一人の怪人を倒した。

 

師匠『能力吸収!』

 

フラン「能力ゲットしたー!」

 

見た目は白黒のチェック柄でゴスロリ衣装を着ており、腕が左右合わせて6本あるミイラの怪人だ。

 

『災害レベル鬼:パッチマミー』

 

鋏に縫い付け。敵を拘束するには便利な能力だ。

 

師匠は刀身から針と糸を出した。素早い相手が居た場合、この能力を使えば拘束が可能だ。

 

しかし、今回はまた怪人が現れる。

 

???「俺様は風呂が好きだが、長年行き付けだった銭湯が閉鎖された事に怒り怪人化した銭湯狂だ!お前等、俺の浴場に引きずり込んでやる!」

 

『災害レベル鬼:銭湯狂』

 

浴衣を着て、頭に手ぬぐいを巻いた怪人だ。しかし、彼の周りが突然真っ白な光に包まれる。フランも巻き込んだその光。フランは目を瞑るが、すぐに光は収まる。そして、フランが目を開けると、其処は数多の浴場が存在する広大な異空間が広がっていた。

 

フラン「ん?此処って」

 

師匠『あの怪人が創り上げた異空間らしいな』

 

フラン「って事は、彼奴倒せば温泉入り放題!?」

 

師匠『そうだな』

 

銭湯狂「ふははは!俺はこの空間なら無敵だ!お風呂好きな俺のみが創り出せる『銭湯戦闘空間』温泉と冷水のぶっかけ攻撃を食らえええ!!」

 

銭湯狂がそう叫んだ途端、周りの温泉や水風呂から熱湯や冷水が水のレーザーとなって、フランに迫る。フランに直撃する。しかし、フランは倒れない。

 

フラン「あー気持ちいい♥」

 

フランは風呂を堪能するように、安らいでいるだけだ。

 

師匠『悪いがフランには効かないぞ。お前の力、頂いていくぜ!』

 

師匠はフランの元を離れ、銭湯狂に向かって飛んで行く。

 

銭湯狂「なっ!?剣が飛んできてぐぎゃっ!?」

 

師匠『能力吸収!』

 

師匠は銭湯狂の頭を貫通して、血液から能力を吸収した。銭湯狂は頭を貫かれ、その場で絶命したのだった。

 

師匠『おーいフラン。能力得たし、この温泉空間は俺達の物だ』

 

師匠がフランの元を向くと、フランは服を脱いで椅子に座って体を洗い始めていた。念動力でタオルを操って体を洗い、頭は素手で洗っている。

 

フラン「おー!シャンプーにリンス、ボディソープや専用タオルもある!」

 

師匠『あの怪人、結構便利な能力持ってんだな。此れならサイタマやヒナタ、ジェノスも呼んで温泉を楽しむのも良いかもな』

 

こうしてフランは、買い物次いでに温泉空間を堪能し気分がホッコリした。因みに銭湯戦闘空間は、混浴である。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フランと師匠は空間を解除した。既にフランは着替え終えており、全身から湯気を放出していた。

 

フラン「あー気持ち良かった♥」

 

師匠『偶にはこういうのも良いかもな。ん?』

 

師匠は感知する。また新たな怪人が出現したのだ。

 

警報『緊急警報!!巨大象が出現しました!災害レベル、竜!!』

 

空気が揺れる程の咆哮が響く。爆発音や銃声も響いており、誰かが何かと戦っている事を予感させる。フランは頭の耳を塞ぐ。咆哮が煩くて堪らない。

 

フランは師匠の刀身にサーフィンの要領で立って乗り、咆哮の聴こえた方向へ地面スレスレで飛んだ。声の聴こえた方向へ飛んでいくと、其処には怪獣とも見える巨大な象が、ライオンやカバ、更には人間を踏み潰していた。

 

そして、A級ヒーロー達が交戦している。

 

???「駄目だ!俺の稲妻蹴りが効かねぇ!」

 

『A級ヒーロー21位:イナズマックス/マックス』

 

???「大き過ぎて俺のけん玉も効かない」

 

『A級30位:スマイルマン』

 

すると、隣に居たヒーローがガトリングガンの左手から無数の弾丸を放つが、アフリカゾウには傷一つつかない。

 

???「ちぃ!皮膚が厚すぎる!俺の一斉掃射も効かんとは!」

 

『A級10位:デスガトリング』

 

更に隣のヒーローが象の体に、タケノコが先端に付いた槍による素早い突きを放つが、象の体を貫通出来ない。

 

???「俺のタケノコが……くそっ!」

 

『A級ヒーロー12位:スティンガー』

 

彼等はたまたま動物園の近くに居た為、こうして闘う事が出来た。住民達も避難済みである。

 

更に20名ものA級ヒーロー達が象と闘っているが、象の皮膚を斬れたり肌で弾かれるだけで、深い傷一つ入らない。

 

先に到着したA級ヒーロー達が駆け付けたが、象には掠り傷しか付けられない。

 

フラン「大丈夫!?」

 

フランが師匠から降りて駆け寄る。A級ヒーロー達ボロボロだ。

 

スティンガー「君は、ヒーロー協会の噂の……待て!奴は危険だ!俺達は足止めしてるんだ!」

 

フラン「足止め?」

 

イナズマックス「ああっ。此奴は俺達だけじゃ倒せねぇ。まあ丁度来たみたいだしな………S級ヒーローの中でも自由で、世界中の色んな国を旅する権利が与えられた、“灰の魔女”だ」

 

イナズマックスがそう言った瞬間、突如として象の全身が炎に包まれた。

 

象が悲鳴を上げる。A級ヒーロー24名すら傷一つ付けられなかった巨大象を、瞬く間に炎で包み込んだのだ。

 

師匠『此れは、魔法!?まさか………フラン!上だ!』

 

フラン「上……あっ」

 

デスガトリング「ふっ。S級ヒーローには忌々しさを感じるが、彼女は性格の悪いクズなヒーローの癖に何故か嫌いになれんのだ」

 

フランが上を見上げる。フランと師匠は見た。上空に居たのは、空中に浮かぶ箒に横向きに座りながら空に浮いて、象に先端が光る杖を向けた、灰色の長い髪を持つ美しい美少女の魔女であった。

 

???「どうも。では問題です。大きな象さんを今から倒す、ため息を零してしまう程の美しい魔女は誰でしょう?」

 

そして、美少女は杖の光を先程よりも輝かせて、先程の質問の答えを出した。

 

???「そう。私です」

 

『S級ヒーロー24位:灰の魔女イレイナ』

 

そして、イレイナが杖から魔弾を放った。魔弾は象の体を貫通。象は断末魔の悲鳴を上げた後、鼻を大きく振り上げてイレイナを攻撃しようとした。イレイナは横へスライドするように飛んで、象の鼻を避けた。捕まえようとした象の鼻は空を切るが、すぐに象は頭でイレイナを圧し潰そうとする。

 

イレイナは真上に飛んで、象の突進による頭突きを避けた後、再び杖を象に突き出した。イレイナの周りに冷たい空気が発生し、軈て氷の矢が形成される。イレイナは氷の矢を放ち続けた。

 

象の全身に氷の矢が突き刺さって行き、象は断末魔の悲鳴を上げる。

 

それを見ていたA級ヒーロー達は、最下位とはいえS級ヒーローの実力を目の当たりにする。自分が勝てない災害レベル竜のモンスターを、イレイナは瞬く間に蹂躙していく。

 

そして、イレイナが魔力の刃を連続で放ち、象を斬り裂いていく。象は弱り果てて、その場で倒れ込む。地面を揺らしたが、イレイナは追撃を止めない。

 

イレイナ「放っておけば竜に相応しい被害が出てましたが、皆さんが足止めしてくれたお陰で被害を押さえられそうです。でもまあ、強さは大した事はありませんね」

 

そして、イレイナは大きな魔力の砲弾を放ち、象の眉間を貫いた。象は悲鳴を上げた後、軈てピクリと動かなくなった。

 

フラン「凄い!まさか本物の魔女に会えるなんて!」

 

師匠『S級ヒーローの実力ってヤバいな。あのデカい象を倒しちゃうなんてな』

 

フラン「ん。師匠、あの象の能力も貰おう」

 

師匠『おっ、そうだな』

 

そして、フランと師匠がアフリカゾウの遺体に近付いた。

 

イレイナ「あら?」

 

フラン「ん」

 

出会った。フランとイレイナ。意外な形で早くも新たなS級ヒーロー、そしてもう一人の転生者に出会うフランと師匠であった。




名前:パッチマミー
元ネタ:オリジナル
災害レベル:鬼
概要
メンヘラ女が付き合っていた男に振られたショックで怪人化した。見た目は白黒のチェック柄でゴスロリ衣装を着ており、腕が左右合わせて6本あるミイラ。能力は巨大な鋏で切断し、針と糸で縫い付ける。素材問わずどんな硬い物でも切って縫い付けられる。ミイラなのは身体がバラバラのためそれを支えるために包帯で巻いてある。解くとバラバラの状態で宙に浮く。

名前:銭湯狂
元ネタ:オリジナル
災害レベル:鬼
概要
浴衣を着て、頭に手ぬぐいを巻いた怪人。無類の風呂好きで長年行きつけだった銭湯が閉鎖された怒りによって怪人化した。熱湯や冷水を相手にぶっかけて攻撃する他、広大な浴場のような異空間「銭湯戦闘空間」を作り出し周囲の人物を引きずり込む能力を持つ。

名前:超巨大アフリカゾウ
元ネタ:グラップラー刃牙シリーズ
災害レベル:竜
概要
原作では自然公園に突如出現したが、今作では動物園の象が虐待を受けたストレスや動物園への憎しみによって突然変異を起こして超巨大化。雑食をとなった事で人間や他の動物、更には植物も喰らい尽くしてしまう。しかしその分、肉の旨味が増して行く。象の肉はヘラジカのような味がする為、このアフリカゾウも突然変異したもののとても美味い。

転生者達は女性だけと言ったな?あれは嘘だ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

灰の魔女と語り合い

イレイナ「貴女は………もしかして………」

 

フラン「私を知ってるの?」

 

イレイナ「………うーん」

 

箒に乗って空中に浮いたイレイナは、目の前に現れたフランと師匠を見て、自分と同じ転生者ではないかもしれないと思った。S級ヒーローの中には、他の世界からの転生者も居るのだ。自分もその内の一人である。

 

ブラック企業でこき使われ過ぎて過労死してしまい、女神を名乗る女性からイレイナの体と力を授かり、そしてありとあらゆる魔法の知識を教えてもらい、修行に励んだ。この世界に3年前に転生し、イレイナとして生きてきた。ヒーロー協会に所属したものの、組織の腐敗を見た途端にフリーダムに生きる事を決めた。ヒーローとして活動する反面、旅と豪遊をする為にも詐欺紛いな事やインチキ商法もやった。自身の性格の悪さやクズっぷりは自覚しているが、困っている人達(特に同性)を放っておけずに無償で助ける事もしばしば。

 

そうしていく内にS級ヒーローとなり、悪徳ヒーローであるものの人々から称賛されたりしている。時にイレイナが旅の途中で出会ったある少女達にも出会い、彼女達もヒーローになった。一人はイレイナにヤバい愛を向けており、もう一人からは純粋な愛を向けられている。どちらからも告白を受けているが、断った。しかし、その二人はまだ諦めていない。この場には居ないが、A級上位に到達してしまう程の天才だ。きっとイレイナに追い付くだろう。

 

これは勿論、自分が美しい美女である為にこうなったのだろう。とはいえ、モテモテなのは流石私。そう思うイレイナであった。

 

イレイナ「……いえ。話は後にしましょう。私はこの動物園の虐待の証拠を掴んだので、それを訴えに来たのですが、まさかこんなに大きな象さんに出会うとは。まるで恐竜ですね」

 

フラン「ん。あっ、そう言えば………この象、食べられる?」

 

イレイナ「えっ?」

 

イレイナは耳を疑った。

 

食べる?怪人化したこの象を?

 

イレイナ「えっと………まあ食べられない事は無いと思います。象さんのお肉はヘラジカという動物とよく似た味がすると聞いてます。食べた事はまだありませんが……」

 

フラン「なら食べられる!師匠!早く食べよう!」

 

師匠『まあ待て。こんなに大きいんだ。一旦解体して日にちごとに分けて食べられるようにしよう』

 

フラン「ん!ん!」

 

イレイナ「喋った!?やっぱり貴方達も!」

 

フラン「おおっ!師匠の声聴こえる!?」

 

師匠『やっぱお前も聴こえるのか!魔法使いにも聴こえるんだなぁ』

 

イレイナ「は、はい」

 

A級ヒーロー達『『『っ?』』』

 

A級ヒーロー達は超能力を持たず、魔法も使えない。師匠の念話を聴く事が出来ない為、イレイナとフランの会話に出てくる師匠が誰か分からない。

 

しかし、そんな彼等とは裏腹に、フランとイレイナと師匠は会話を続ける。

 

師匠『象は俺達が持ち帰るが、その前に、此奴の能力を頂いていこう』

 

フラン「えー。でも一応貰おうかな」

 

師匠を持ったフランは、象の傷口に師匠の刀身を突き刺した。そして師匠は能力を吸収し、食べる能力を持つ怪人の能力を複合させていく。

 

『複合完了。新たな能力『雑食』を獲得しました』

 

師匠『おっ。新しい能力ゲットだ!フラン!此れで野菜も食べられるようになったぞ!』

 

師匠がそう告げた後、フランは舌に若干の違和感を感じた。体の中も何処か作り変えられた気がする。

 

フラン「ん?なんか舌がムズムズしてきた」

 

師匠『ああっ。此れで野菜も食べられるようになったぞ。雑食だからゲテモノとかも行けるかもな』

 

イレイナ「ゲテモノ料理ですか………美味しいんですが、見た目はアレですよ。怖い物からキモい物まで千差万別です」

 

そして、フランは両手で巨大象を持ち上げた。

 

フラン「じゃあ、象のお肉でパーティだね。其処で色々話そう」

 

イレイナ「はぁ………分かりました。貴方達について行きます。お腹も空いてますし、お金が入るまで時間がありますからね」

 

師匠『ただ飯貰う気かよ。性格悪いな』

 

イレイナ「自覚はしてます。それが何か?」

 

師匠『何で此奴が愛されるんだ……』

 

そして、フランは象を両手で持ち上げた後に、空へ向かって念動力を使って飛んだ。イレイナも箒に乗ったまま空中に浮いている為、フラン達を追うように飛んで行った。

 

スマイルマン「凄い………あの巨体持ち上げた」

 

イナズマックス「ああ………とんでもねぇ奴が居たもんだぜ」

 

デスガトリング「あれがS級………そして、B級の新入りである怪人の少女………だが、悪い奴ではない。短い時間ではあったが、それだけは解る」

 

スティンガー「だな。俺達も負けてられねぇ。もっと強くなってやるぜ!」

 

A級ヒーロー達『『『『おおおおっ!!』』』』

 

A級ヒーロー達はその様子を見るだけでなく、もっと強くなる事を決意する。彼女達にも負けない為に、そして護りたい人達を護れるようになる為に。

 

――――――――――――――――――――――――

 

イレイナとフラン、師匠は広い荒野に移動した。規格外の大きさをした象の死体は此処に置いておく他なく、此処で無ければゆっくりと食べられないのだ。

 

師匠が象の肉を焼いて調理する中、イレイナとフランは話を続けていた。それぞれの過去話を語っていたのだ。イレイナは飄々と話しているが、フランは哀しげに語る。

 

イレイナ「やはりそうでしたか。貴女達も私と同じだったんですね。でも私と貴方達では、どう転生したかが違うんですね」

 

フラン「そっちは女神様から。私はフランとして転生した。でもイレイナが羨ましい。私、進化の家で散々な目に遭ってるのに………」

 

イレイナ「……それは悲惨でしたね。でも私はだからといって同情はしません。私は私の生まれが恵まれた事を喜ぶだけです。貴女の過去は悲惨ですが、同情を買って欲しいなら他を当たってください」

 

フラン「むぅ………クズ女」

 

少しは気を遣え。そう言いたかったフランだが、イレイナに台詞を先読みされる。

 

イレイナ「気を遣った所で、貴女の過去は変わりませんし下手な同情で貴女を傷付けるだけです。でも貴女は今、幸せではありませんか?師匠に出会い、サイタマさんという人に出会い、ヒナタさんという人に出会い、今こうして幸せな人生を歩んでいるではないですか。それで良いんです。悲しい過去を語って同情を買わせるより、今の幸せを存分楽しみましょう」

 

フラン「………そうだね」

 

イレイナにそう言われたフラン。其処まで言われると、さっきまで自分の過去を哀しく語ってた自分が馬鹿に見えた。

 

フラン「イレイナ。イレイナは旅をしてるの?」

 

イレイナ「ええっ。ヒーローになれば世界中何処にでも行けますから。ヒーローカードは便利です。お陰で色々な国へ赴く事が出来ました。それで分かった事を一つ教えましょう」

 

イレイナは間を置いた後に話し出す。

 

イレイナ「やはり怪人はこの国………というよりこの大陸付近にしか出現しません。他の大陸での怪人発生は殆ど見受けられませんでした」

 

フラン「そうだったんだ」

 

3年も住んでて分かっていたが、やはりこの国の怪人発生及び遭遇率は異常に高い。

 

他の国には滅多に出現しない。

 

この大陸になにかあるのだろうか。

 

師匠『二人共。象の肉で造ったステーキだ!肉厚だぞ!』

 

師匠が象のステーキを料理して、フランとイレイナに見せた。

 

フラン&イレイナ「「おおおおっ!!」」

 

師匠『今日は象の肉が沢山あるからな!奮発して料理してみたぜ!』

 

こうして、象のステーキを食べ始めたフランとイレイナ。象の肉の肉厚な噛みごたえと肉汁、そして師匠の適度な調理により、美味しく食べられたのだった。

 




次回はZ市調査とガボラの回に突入します。その前に、サイタマ達はどうしているのか解説。

サイタマ、家でお休み中。ジェノスが家に居候した。

サイタマ、ジェノスと洗剤や食材の買い物に向かう。

音速のソニックが絡んでくる。原作ではサイタマが周りに迷惑掛けてタンクトップタイガーが来たが………。

タンクトップタイガーが、サイタマやジェノスに絡むソニックに対処する為に現れる。

ソニック暴れ出す。タンクトップタイガーにも攻撃が来るが、サイタマが助ける。

ジェノスが応戦し、ソニックと闘う。

サイタマが間に入り、ソニックに手刀を入れて止める。

こんな所ですかね。台詞はご想像にお任せします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

調査と遭遇

Z市。災害及び怪人発生率が高い国の中で最も危険な都市。様々な噂が存在するゴーストタウンには、誰一人として近寄る者は居ない。

 

ある日のZ市のゴーストタウン。其処に3人のA級ヒーローが調査に派遣された。立ち入り禁止の柵を開けてゴーストタウンに足を踏み入れた二人の男。一人はヒゲが特徴的な紳士風の男で、もう一人は頭巾を頭に着けたガラの悪そうな男だ。しかし、二人はれっきとしたヒーローで、それぞれが実力のあるA級ヒーローだ。

 

彼等が派遣されたZ市の郊外はゴーストタウン化してから謎に満ちており、得体の知れない化け物も居ると噂されている。

 

人は誰も近寄らないが、そのお陰かあるメリットが付いている。

 

???「知ってますか?このゴーストタウン、人が居なくなってからもライフラインは生きてます。此処に住めば家賃はタダになりますな」

 

『A級ヒーロー31位:バネヒゲ』

 

???「冗談は止せよ。誰が好き好んでこんな怪人共の巣窟に住み着くかっての」

 

『A級ヒーロー29位:黄金ボール』

 

黄金ボール「おい、炭の魔女!浮いてねぇで降りて来いよ!」

 

黄金ボールが空を見上げ、空に向かってそう叫ぶ。黄金ボールが見上げた先には、空を飛んでいる一人の箒に跨った少女だ。イレイナと同じ帽子を頭に被り、ハートの形となるように頭と尻尾を重ね合う二匹のイルカのアクセサリーを首から下げている。二匹のイルカの間に♥が飾られている。

 

因みに、イレイナも彼女と同じ物を持っている。少女がプレゼントしたのだ。

 

少女はゴーストタウンを見渡していたが、黄金ボールに指摘されて降りてきた。

 

???「あっ、すみません!ゴーストタウンを見渡していたので!」

 

『A級ヒーロー11位:炭の魔女/サヤ』

 

A級ヒーロー11位炭の魔女。本名はサヤ。彼女はS級ヒーローになったイレイナに異常な程の愛を持っており、イレイナ本人からは引かれている。とはいえ嫌われている訳では無い。

 

黄金ボール「ったく便利だなぁ。魔法使いや超能力者ってのはよ」

 

バネヒゲ「ですね。私達も飛べたら良いのですが。そうすれば市民の皆様の元へより速く駆け付けられるのです」

 

サヤ「こればっかりは仕方ありませんよ。魔法は超能力よりも発現する確率が低いんですから」

 

サヤは生まれ付き魔法が使えた。両親は普通の人間であったが、おとぎ話の中にしか無かった魔法に娘2人が目覚めた事で怪しげな研究機関に売ろうとしたので、姉妹で共に逃げ出した。逃げ出した先で当時S級に成り立てであったイレイナに出会い、魔法の正しい使い方を教わってから恋をした。イレイナから帽子を譲り受け、イレイナを追う形でヒーローとなった。首から下げたアクセサリーは、サヤがイレイナの為に買った品物だ。

 

そしてヒーローネーム“炭の魔女”は、サヤが“灰に近い感じ”と“魔女”を名乗る事を希望し、協会から与えられたものだ。イレイナに近付く為に。

 

サヤは箒から降りた後、2人に質問をした。

 

サヤ「それにしても、このゴーストタウンに何が居るんでしょうね?資料を見る限りだと、災害レベルは竜の奴等がうじゃうじゃ居そうですが」

 

黄金ボール「それは知らねえ。それを調べるのが俺達の仕事だ」

 

バネヒゲ「炭の魔女さんは何か見えましたか?空からこのゴーストタウンを見回していたそうですが」

 

サヤ「いえ。全く。今は大人しくして居るんですかね?」

 

すると、3人は背後から気配を感じた。後ろを振り返ると、3人はある一人の女性と出会う。

 

ヒナタ「あら?アンタ達は………A級のバネヒゲ、黄金ボールに、炭の魔女ね?」

 

それは、普段着の状態のヒナタであった。買い物袋を掴んでおり、袋の膨らみ方と上からはみ出た精肉から見て、団体で焼肉パーティーでも行うのだろうと予想出来る。

 

バネヒゲ「貴女は……最近A級ヒーローになったというヒナタさんですね?」

 

黄金ボール「それに俺達の事も知ってんのか」

 

ヒナタ「それなりに調べたもの。ヒーローの名前と姿は大方把握してるわ」

 

サヤ「そうですか。所で、ヒナタさんは何故此処へ?」

 

ヒナタ「フランに誘われたのよ。サイタマやジェノスも一緒に、自宅で焼肉でもどうって。フランが肉と野菜を、私が高い肉を買いに行ったわ。サイタマとジェノスは人数分のタレとポン酢、にんにく等を買いに行ったわ」

 

サヤ「ジェノス………もしかして、入試でいきなりS級になったという、あのジェノスさんの事ですか!?」

 

バネヒゲ「その方と知り合いとは…………えっ?という事は、ジェノスさんはもしや此処に住んで居るのですか!?」

 

ヒナタ「そうよ?私は此処じゃなくて、B市にアパート借りてるけど」

 

黄金ボール「おいおい、スゲェなS級ってのは………」

 

ヒナタ「良かったらアンタ達もどう?セールとはいえかなり買いすぎたから、4人だけじゃ食べ切れない位買ったから」

 

バネヒゲ「お仕事の途中ですが、終われば喜んでお邪魔しますよ」

 

黄金ボール「そうだな。久々に焼肉食おうぜ」

 

サヤ「じゃあ僕も!」

 

すると、4人はある気配を感じる。何者かがヒナタの後ろに現れたのだ。

 

???「あ………がっ……耳……が…………」

 

『災害レベル鬼:昆布インフィニティ』

 

頭が長い昆布の触手となっている怪人が、両耳に当たる部位から血を流し、鼻血だけでなく血の涙も流していた。軈てその場に倒れてしまい、ピクリとも動かなくなった。

 

ヒナタ「此れは!?」

 

ヒナタが怪人の死体に駆け寄る。人の生死確認のやり方が通じるかは分からなかったが、今回は通じた。

 

ヒナタ「死んでるわ。それにしてもこの死に方は……」

 

サヤ「退いてください。僕が見てみます」

 

サヤは杖を取り出し、怪人の死体に翳した。そして、サヤは怪人の死因を理解する。

 

サヤ「体内がグチャグチャになっています。外側からではなく、内側から………」

 

バネヒゲ「そんな事が………ん?」

 

ヒナタ「どうし………何かしら?」

 

バネヒゲが先に聴き取り、ヒナタが次に聴き取った。黄金ボールやサヤも、同じタイミングで聴き取った。

 

それは、不気味なサイレンであった。何かの警告を表すかのようなその音に、4人は不気味さを感じる。

 

サヤ「気味悪いですねぇ………」

 

黄金ボール「ああっ」

 

すると、黄金ボールは足音にも気付いた。

 

黄金ボール「お出ましだな」

 

そして、その相手を視認した。サイレンのような頭を持つ、細長くも巨大な怪物だ。肉体は腐っているようにも錆びてるようにも見え、腕は足の甲に届きそうなほど長い。一つ一つのサイレンの中には口がついている。

 

そのサイレン部分の口からサイレンのような音を鳴らし、4人を見据える。

 

『災害レベル鬼:サイレンヘッド』

 

バネヒゲ「皆さん!」

 

黄金ボール「おうよ!」

 

ヒナタ「焼肉パーティーの前に、腹拵えね!」

 

サヤ「はい!」

 

バネヒゲとヒナタはそれぞれサーベルとレイピアを取り出し、黄金ボールはチュッパチャップスを噛み砕いた後に特製パチンコを取り出し、サヤは杖を手にした後に箒に跨って空中に浮いた。

 

ヒナタは近くに焼肉の材料を放り出し、戦闘態勢に入る。

 

サイレンヘッドが走り出した。

 

サヤ「黄金ボールさん!」

 

黄金ボール「分かってる!」

 

サヤが杖をサイレンヘッドに向けて、氷の矢を放った。黄金ボールもサヤより遅れたにも関わらず、パチンコを利用して黄金の玉を放つ。氷の矢を黄金の玉が追い抜いた。

 

サイレンヘッドの体に氷の矢が当たる。黄金ボールの放った玉が変形して鋭いコウモリ状の弾丸へ形を変えて、サイレンヘッドの脚に当たる。

 

しかし、氷の矢はサイレンヘッドに当たるだけで砕け散り、黄金ボールの放った形状記憶玉金はサイレンヘッドの指に弾かれてしまった。

 

黄金ボール「マジかよ!?」

 

サヤ「なら、燃やしてしまいましょう!」

 

サヤは炎を放ち、サイレンヘッドを燃やそうとした。しかし、サイレンヘッドの肉体は燃えない。

 

サイレンヘッドはサヤに爪を振り下ろすが、サヤは横に移動して避けた。

 

バネヒゲ「足止めをお願いします」

 

ヒナタ「ええっ!」

 

ヒナタが駆け出した。バネヒゲのサーベルがバネのように螺旋状となり、バネヒゲは動き回るサイレンヘッドに狙いを定める。バネヒゲの必殺技は溜めが必要で、狙いも正確に定めなければ当たらない。速さがあっても狙いが正確で無ければ狙いにくい。

 

ヒナタがサイレンヘッドの下に回り込み、両足の関節を斬る。しかし、サイレンヘッドの足は斬りつける事が出来ず、皮膚に切り口を付けただけだ。とはいえヒナタは攻撃の手を止めない。サイレンヘッドの全身に切り傷を与えて行く。そして、サイレンの口に突き刺そうとした。

 

サヤは魔法で植物を生やし、全身を縛り上げていく。生やした植物は大木の為、サイレンヘッドの動きを抑えていく。黄金ボールは再びパチンコから黄金の玉を放ち、サイレンの頭部を狙い撃つ。攻撃は効かないが、サイレンの頭を後ろによろけさせる。

 

しかし、その時だった。

 

サイレンヘッドの口から大きなサイレンが鳴り響く。

 

ヒナタ「ぐあっ!?」

 

黄金ボール「ぐおおおっ!!」

 

サヤ「あ……ぐぁ………」

 

頭の中に響き、血管が沸騰するかのような感覚が全身に走る。音は徐々に大きくなり、耳を塞いでも意味が無くなる。

 

更に音響攻撃によって、サイレンヘッドを拘束する大木が崩れ始めた。

 

ヒナタ「がぁ………」

 

サヤ「あだまが……あがっ……」

 

ヒナタとサヤは血の涙を流し、頭からも出血し始める。鼻血も出始めて息苦しくなる。サヤは箒から落ちそうになる。

 

バネヒゲ「ぐっ………ですが、いい的です!」

 

バネヒゲは音響攻撃に苦しみつつも、溜めに溜めた必殺技を解き放つ。

 

バネヒゲ「『踏無暴雨威(トムボウイ)』!!」

 

バネヒゲはバネの要領でサーベルを突き出し、刀身を200メートルにまで一瞬で伸ばした。

 

狙いは、音響攻撃を放つサイレンの頭部。流石のサイレンヘッドもバネヒゲの切り札の速度を見抜けず、サイレンの一つを瞬く間に貫かれてしまう。

 

サイレンヘッドは絶叫にも、悲鳴にも聴こえるサイレンを響かせる。しかし、その後にサイレンヘッドの音響攻撃が止まったお陰で、ヒナタとサヤ、黄金ボールも行動可能になる。

 

ヒナタ「このまま、トドメよ!『簒奪者(ウバウモノ)』!」

 

ヒナタはサイレンヘッドから音響攻撃及び、サイレンヘッドの能力を奪う。此れでサイレンヘッドは音響攻撃を使用出来なくなる。

 

ヒナタ「音響攻撃はもう大丈夫!足止めお願い!一回!二回!」

 

ヒナタはサイレンヘッドの体の傷口に二回も刺突を食らわせ、サイレンヘッドの振り下ろした爪を後ろに跳んで避ける。

 

サヤ「良くもやってくれましたね!」

 

サヤは杖を輝かせた後、魔法の糸を杖の先から生成してサイレンヘッドを縛り上げる。しかし、もう片方のサイレンの口を開いた。このまま音響攻撃をしようとしている。

 

しかし、サイレンヘッドは何度も口を開閉するが、何故か自分のサイレン能力が使えなくなっていた。

 

黄金ボール「よく分からねぇが、テメェはもう音響攻撃は使えねぇ!速えだけなら、俺の跳弾玉金の敵じゃねえ!」

 

黄金ボールは再び玉を放つ。住宅に何度も跳弾させて、サイレンヘッドの関節に直撃させる。とはいえ黄金ボールの攻撃が効かないのは想定内。なので、今回放った攻撃には、ある意味がある。

 

サイレンヘッドの四肢の関節全てに当たった玉が溶けて、関節を覆った。その後、関節を覆った溶けた金属が固まって一種の拘束具になり、サイレンヘッドの動きを封じた。

 

その間に、ヒナタはサイレンヘッドに攻撃を仕掛けた。

 

3回、4回、5回、6回。突きを放ち終えた。

 

ヒナタ「此処まで痛めたお礼よ。せめて苦しまないで、楽に死なせてやるわ!」

 

そして、ヒナタは7回目の刺突をサイレンヘッドの傷口に放った。

 

その瞬間、サイレンヘッドはその体を後ろに倒し、軈てその体が塵となって消滅した。

 

ヒナタ「………強さはそんなにだけど、攻撃は厄介だったわね」

 

黄金ボール「バネヒゲ。お前が居なかったらマジでヤバかったな」

 

バネヒゲ「いいえ。皆さんが時間を稼いでくれたお陰です」

 

ヒナタ「ふう………さあ、早くフラン達の所へ行きましょう」

 

サヤ「あっ……焼肉でしたね。僕も食べますよ」

 

こうして4人はサイレンヘッドを倒し、フラン達の元へ向かう。

 

――――――――――――――――――――――――

 

同時刻、ある山の中で大きなドリルが地面から突き出てきた。パゴス、ネロンガにそっくりな体格を持つ巨大怪獣は地面から現れた後、頭のドリルを回転させながら地面を掘り進めるのだった。

 

そしてそれは、ヒーロー協会怪特対にも伝えられた。




《オリジナル怪人》
名前:サイレンヘッド
元ネタ:サイレンヘッド
災害レベル:鬼
概要
文字通りサイレンのような頭を持つ12mほどの細長い体躯をした巨大な怪物。肉体は腐っているようにも錆びてるようにも見え、腕は足の甲に届きそうなほど長い。一つ一つのサイレンの中には口がついており、そこから獲物を誘うための声を出す。警報音や男性の声で支離滅裂な言葉を放送することもある。他のデバイスをジャックして相手を出すこともできる。見た目の割に頑丈でパワーがある。

《ヒーロー紹介》
名前/ヒーローネーム:ヒナタ/未定
元ネタ:転生したらスライムだった件
階級:A級(後にS級の予定)
概要
ヒナタ・サカグチとして転生した女性。ワンパンマンの世界についてある程度知っており、その先に何が起きるのか知っている。とはいえ初めこそ介入するつもりは無く、傭兵として好きに生きてきた。しかし、フランや師匠、サイタマと出会った事でヒーローになり、介入する事を決意する。音速のソニックとは傭兵仲間であった。
能力
・『簒奪者(ウバウモノ)』敵の知識や技術を奪って行使することができる。更に、敵の使役する存在も奪える為、ある意味師匠の上位互換。
・『数学者(ハカルモノ)』論理的思考能力が飛躍して超高速演算が可能となり、戦闘中に最適な行動を取ることができます。
・高度な剣術
・7回攻撃が当たると即死する『デッド・エンド・レインボー』、6回攻撃が当たると3分間苦しみを与えた後に殺す『デッド・エンド・ペイン』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

地底怪獣と放射性物質

怪特対について、シン・ウルトラマンの冒頭に近い感じで活躍載せます。


怪特対は出動要請を受けて現地に移動した。

 

怪特対の手番が出る事はそんなに無いが、それでもS級ヒーローでも対処が難しそうな相手に出撃要請が入る。

 

初出動の際に闘ったのは、一つ目の二足歩行のゾウと言った見た目の怪人。巨体から繰り出される攻撃は勿論脅威だが、更に厄介なのが打撃・斬撃といった物理攻撃を反射する能力である。シルバーファングことバング、アトミック侍ことカミカゼ、超合金クロビカリが出動したが全ての攻撃が反射され、3人は死にかけた。災害レベル竜に指定された怪人相手に不利と思われた。しかし、怪特対が弱点を解析してメタルナイトと灰の魔女イレイナ、そしてイレイナの補助魔法で強化及び属性攻撃を纏ったバング、カミカゼ、クロビカリを含めたS級ヒーロー達と怪特対の連携攻撃により、怪人こと『邪鬼ギリメカラ』の討伐に成功した。

 

次の出動でも、鎧を纏ったハムの怪人が姿を現した。被害こそ鬼レベルだが、戦闘力は竜レベルであった。他の生物の肉をこねくり回して加工して攻撃し、その生物の能力を行使してくる強敵であった。金属バット、オールマイトの2名が先に到着したが、苦戦してしまう。金属製の怪人とゴム製の怪人、そして攻撃的な怪人の肉を利用して攻撃し、後から到着した豚神とタンクトップマスターすらも苦戦。しかし、ハムの怪人である為に『カビ』を生やして動きを鈍らせた事により、タンクトップマスターと金属バット、オールマイトの3人による集中攻撃後、豚神により食べられて消化される。

 

3度目ではとても狡猾な上に強い鼠型の怪獣が現れた。凶悪な怪獣で小さい妖獣に変身して味方をつけたり、バレれば自分の目の中へテレポートして人質に取るなどずる賢い。口から放つ光の針、尻尾から放つ破壊光線、鋭い牙、眼からの光線で攻撃を吸収、強化して口から撃ち返すなど多彩な技を持つ。S級ヒーローのタツマキによる囮作戦により、怪特対の弱点分析が間に合い、A級ヒーロー達により人質は救出。ギャビッシュと名付けられた怪獣は駆除された。

 

そして、4度目がネロンガ戦。S級数名が動いても止めるのが難しい相手を、サイタマやフランが倒した。

 

そして今回が5回目。防災大臣よりガボラと名付けられた巨大怪獣に対処する為に動き出す。公安調査庁から怪特対へ途中参加のアナリストという形で出向した『アサミ』と共に。

 

――――――――――――――――――――――――

 

禍特対の対策基地。其処では、地中を移動するガボラに対する対策会議が進んでいた。

 

タムラ「目標は地底を掘りながら進んでいる。頭がドリルとなっているのか」

 

タキ「奴が掘り進んだ所を掘削トンネルとして利用出来るかもしれませんね」

 

フナベリ「悪いけどそれは出来ないかも………」

 

フナベリは禍特対メンバーにノートパソコンの画面を見せた。フナベリの画面を見た禍特対メンバーを含め、同行していた童帝やヒーロースタッフ、並びに国から派遣された自衛隊、そして監視カメラ越しに見ていたメタルナイトは、画面に映る映像を見て戦慄した。

 

フナベリが映した映像は放射性物質の濃度を映すのだが、それが何とガボラが通った活動経路に色濃く反映されていた。

 

それは、ガボラが放射性物質を撒き散らして放射能汚染を起こしている事を表していた。

 

タムラ「放射性物質の反応!?」

 

タキ「それって、タツマキさんの報告にあったパゴスと同じではありませんか!?」

 

すると、禍特対に新しく加わったアサミが声を上げた。

 

アサミ「それは間違い無いわ。メタルナイトが差し向けた偵察ドローンから送られて来たデータとさっきの放射性物質の反応、そして過去に出現した放射性物質捕食怪獣パゴスの姿と照らし合わせた結果、99%パゴスと同族の怪獣です」

 

タムラ「面倒だな!此奴は、S級だけで対応出来る奴じゃない!前回はタツマキ君とフラン君が居たからどうにかなったが、タツマキ君は10分も掛かる。フラン君は既に連絡済みだが、食事中とあってか到着が20分遅れるそうだ」

 

タムラはタツマキからの報告を受けていた。その中には、フランが放射性物質を受けても平気であるという報告もあった。

 

彼女達ならば、ガボラも難無く倒せるだろう。

 

しかし、カミナガが残酷な現実を打ち明ける。

 

カミナガ「不味い……班長!ガボラの活動経路を予測した結果、奴が放射性廃棄物処理場に向かっている事が判明しました。このままでは3分後に放射性廃棄物処理場に到達してしまいます」

 

タムラ「ぐっ!タツマキ君の到着まで9分程だ!それまでに奴を止めなくては!」

 

タキ「メタルナイトさんは!?」

 

童帝「問題無いですよ。既にメタルナイトは大型地中貫通型爆弾『MOPⅡ』を搭載したロボットを現地に派遣してます」

 

そして場面は変わり、地中を移動し続けるガボラの上空に大型の人型戦闘ロボットが空を飛び始めた。

 

メタルナイト『逃さん!』

 

メタルナイトはロボットの腹部を開き、無数の地中貫通型爆弾をガボラに向けて投下した。一体だけではない。最大10体もの戦闘用ロボットから『MOPⅡ』を放ち続けた。

 

そして、移動中のガボラに多数の爆弾が当たり、大量の土が爆発によって上空へ舞い上がる。一つだけでなく、地震すらも引き起こす爆発の連鎖。ガボラに集中して放たれた。

 

しかし、爆発の煙を突き抜けて、ガボラが通り過ぎていく。地面の中を移動している事を示す土煙は前へ前へと進み続けて行く。

 

メタルナイト『グッ………効かないか。地中貫通型爆弾の在庫が底を付いてしまった』

 

メタルナイトはやむを得ず戦闘用ロボット達を撤退させた。地面の下に居るならばミサイルを撃っても意味はなく、下手に攻撃すればガボラの体内に存在する未知の物質による反応で、何が起きるのか予想付かないからだ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

数分前。サイタマとフランのアパートにて、バネヒゲや黄金ボール、サヤとヒナタと合流したフランと師匠。

 

しかし、家に入れようとした所でフランの連絡端末に連絡が入る。

 

フラン「はい」

 

そして、フランはヒーロー協会から応援要請を受け取った。

 

フラン「分かった」

 

そして通話を切った後、ヒナタ達に告げる。

 

フラン「ヒナタ、焼肉パーティーは先にやって良いよ。ヒーロー協会から、放射性物質を持つ怪獣が出たから、私が呼ばれた」

 

ヒナタ「なっ!?」

 

ヒナタ達は戦慄した。放射性物質持ちの怪獣等、近付いただけでもOUTな存在だ。

 

サヤ「放射性物質持ちなんて厄介ですね……」

 

バネヒゲ「しかし、貴女が呼ばれたのは何故ですか?」

 

フラン「私、放射性物質平気」

 

フランと師匠以外『『『えっ?』』』

 

そして、フランと師匠はヒナタに部屋のスペアキーを渡した後、フランは師匠に乗って空を飛んで移動するのだった。




今回は短いです。

名前:邪鬼ギリメカラ
元ネタ:女神転生シリーズ
災害レベル:竜
概要
一つ目の二足歩行のゾウと言った見た目の怪人。巨体から繰り出される攻撃は勿論脅威だが、更に厄介なのが打撃・斬撃といった物理攻撃を反射する能力である。そのため物理攻撃しかできない者は絶望的な不利を負うことになる。

デュラハム
元ネタ なし
災害レベル竜よりの鬼
概要 ハムが鎧を纏ったような見た目で、その肉は、絶品だが、あまりにも傷付けると腐る。
戦闘方法は、生物の肉をこねくり回して加工して攻撃するため、他の敵の能力を使って攻撃してくる。

名前:ギャビッシュ
元ネタ:ウルトラマンダイナ
災害レベル:竜
概要
凶悪な怪獣で小さい妖獣に変身して味方をつけたり、バレれば目の中へテレポートして人質に取るなどずる賢い。口から放つ光の針、尻尾から放つ破壊光線、鋭い牙、眼からの光線で攻撃を吸収、強化して口から撃ち返すなど多彩な技を持つ。目的は暴れること。ただそれだけである。

名前:ガボラ
元ネタ:シン・ウルトラマン
災害レベル:竜
シン・ウルトラマンのガボラそのもの。ドリル状の尻尾を二本生やし、頭部をドリルの中に隠している。移動するだけで放射性物質を蒔き散らし、肉体も地中貫通型爆弾すら通じない程に頑丈。また、頭部や骨格はパゴスと同じであり、必殺技の激ヤバ光線で攻撃しつつ放射性物質を移動時よりも蒔き散らす。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

援軍と交戦

因みにメタルナイトから請求された地中貫通型爆弾の費用は、怪特対ではなくヒーロー協会の幹部達に回されましたw


ガボラは地底を進み続けた。とうとう放射性廃棄物処理場まで後100メートル。もう未曾有の危機が迫り始めた。このままでは放射性廃棄物処理場は破壊され、放射性物質を食べられてしまう。それだけでなく、ガボラの体内にある未知の物質と反応すれば何が起きるのか想像も付かない。

 

しかし此処で、更に怪特対の頭を悩ませる事案が発生した。

 

???「ゴアアアアアッ!!」

 

???「キイイイィィッ!!」

 

地面を掘り起こして、二足歩行の全身に岩石を彷彿とさせるディティールが見られる硬質的な外観で、中でも顔の外側から喉元を覆う鎧の様な皮膚を持つ怪獣が姿を現した。また、空からも皮膜を広げた翼竜のような赤い体色の怪獣が飛んで来た。

 

『災害レベル鬼:ゴルザ』

 

『災害レベル鬼:メルバ』

 

それをドローン越しに見ていた怪特対が騒ぎ出す。

 

タムラ『新たな怪獣だと!?こんな時に!』

 

フナベリ『2匹はガボラと対峙するつもりかと!もしどちらかが光線を撃ち出せば、ガボラの体内の物質と反応して何が起きるのか………最悪核爆発の可能性も!』

 

タキ『有り得ます!2体の怪獣のエネルギーを分析しましたが、どうやら2体とも光線は放てるようです!何時でも撃ってくる可能性があります!』

 

そして、ガボラは地面から飛び出し、ゴルザに向かって進み始めた。ドリル状の(エラ)でゴルザを貫こうとするが、ゴルザは両手でドリルを掴んで止めた。しかし、掴んだ手から火花が発生し、ゴルザはガボラに後ろへ押され始める。

 

メルバは両腕の大爪をガボラに振り下ろす。ガボラは避けず、その場にドリル状に回転する鰓を叩き付けた。土煙が舞い上がり、ゴルザが隙を突いてガボラに蹴りを放つ。

 

タキ『どうやら、あの2体の狙いはガボラのようですね』

 

フナベリ『ガボラが危険と判断したのかしら?』

 

そして、ガボラのドリルを脇で挟んだゴルザによって上空へ投げ飛ばされ、メルバの体当たりによって吹き飛ばされてしまう。

 

そして、作戦本部でも動きがあった。

 

カミナガ「班長。タツマキより連絡あり。もう現場上空へ到着したとの事。フランも後1分で到着するそうです」

 

タムラ「よし!現場を封鎖する!A級ヒーロー達に招集を掛け、ガボラの居る半径20km以内を立ち入り禁止区域とし、市民が入らないようにするんだ!」

 

怪特対『『『了解!』』』

 

ヒーロー協会のスタッフ達が動き出す。

 

アサミ「さあ、気合い入れて行くわよ!」

 

アサミが自身の尻を両手で叩く。アサミは気合いを入れる時に尻を叩く癖があり、相手に気合いを入れる為に相手の尻を叩く事もする。

 

カミナガ「アサミ君。改めて言うが、バディとして宜しく頼むぞ」

 

アサミ「ええっ。期待してるわ!」

 

そして、カミナガとアサミは作戦本部を抜けて、放射能対策の防護服を身に着けた後に現場の封鎖作業に向かった。

 

封鎖作業の途中で、師匠に乗るフランが上空を通る。彼女の周りに紫色の光球が7つも浮いており、一つ一つから数cm程度の短い光線が放たれており、その推進力を利用してフランと師匠は加速していた。更に師匠も、周りに影響を与えない程度に柄から光線を放って加速していた。街の上を通り過ぎた。その際に、下に居る怪特対メンバーや先に駆け付けたA級ヒーロー達に手を振るフラン。

 

その時、タムラがスピーカーから声を出す。

 

タムラ『タツマキ君が既に現場に到着している!!彼女を援護してくれ!!』

 

フランがタムラの言葉に、フランは首を縦に振った後に自衛隊にも負けない敬礼を行った。

 

師匠『飛ばすぜフラン!!』

 

フラン「レッツゴー!!」

 

師匠は光パワーの光球から放つ光線の出力を増幅させ、より速く加速させ、現場へ急ぐのだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

タツマキ「はぁ………放射性物質なんて面倒なモン持ってる奴とまた会うなんて思わなかったわ」

 

怪特対とA級ヒーロー達が現場を封鎖する1分前、タツマキは現場に到着した。

 

ガボラがゴルザとメルバの2体とプロレスのように闘っている現場に到着し、怪獣同士の争いを見守っていた。

 

その時、ガボラがドリル状の2本の尻尾を大地に突き刺し、頭を包むドリル状の鰓を開いて頭を露わにした。まるで花が開くのを早送りしたかのように開いて現れた頭に、タツマキは驚く。

 

タツマキ「っ!あのパゴスって奴と同じ頭!なら、あの『激ヤバ光線』とやらを撃とうって訳ね!」

 

タツマキは手を翳す。すると、ガボラの開いた口が突然閉じた。更に体の動きも封じられて身動きが取れなくなる。

 

しかし、ゴルザとメルバも動き出す。2体はガボラを討伐しに動いていたが、タツマキが危険と判断し、襲い掛かってきたのだ。

 

タツマキは2体に意識を向ける。しかし、タツマキがいくら最強の超能力の使い手と言えど、二つ以上の行動をする程の力は無い。ガボラは倒せない怪獣ではない上に、軽めの念動力ですら押さえ付けられる。しかし、ゴルザとメルバのように力のある怪獣2体が相手となり、そしてタツマキの意識外から攻撃を仕掛けて来ると話は違ってくる。況してやガボラは放射性物質を蒔き散らす。他の怪人と違って倒しても後始末が難しい怪獣だ。

 

オマケに、3体とタツマキが闘っているのは放射性廃棄物処理場の前だ。下手にタツマキが力を行使したり、怪獣側が光線を放てば放射性廃棄物処理場の核廃棄物が爆発し、放射能汚染が空から風に乗って広がる。タツマキは超能力で身を護れるが、意識外に撒き散らされた放射能汚染まで対処するのは難しいのだ。それこそ、脳が2つも無ければ出来ない動き。

 

当然タツマキは念には念を入れて、自身の肉体を超能力のバリアで守っている。しかしバリアに回せば念動力に力が入りにくくなり、その逆も然り。

 

ゴルザとメルバの2体にも念動力を仕掛けるタツマキ。しかし、それでガボラへの注意が逸れた。ガボラはその隙を逃さず、唯一動く頭を動かして口を開き、パゴスと同じ激ヤバ光線をタツマキに向けて発射した。

 

タツマキ「ちぃ!」

 

ゴルザとメルバを足止めしつつ、タツマキは激ヤバ光線を止める。タツマキの目の前で光線が止まり、周囲に光線が撒き散らされる。

 

その時、ゴルザが額にエネルギーを集めて、必殺技の超音波光線を放った。メルバも目から赤い光弾を放ち続けてタツマキを攻撃する。

 

タツマキ「っ!!私とした事が、この程度の連中に油断するなんて………!!」

 

タツマキは、怪獣達の動きを止めながら光線も押さえ、更には光線や放射能対策として自身のバリアの強さも上げた。

 

しかし、ガボラの放った光線から放たれた放射性物質が周囲に拡散する。タツマキは即座に放射性物質を一箇所に集め始めた。しかし、そうしてしまえば怪獣達や光線、光弾がタツマキにゆっくりと迫ってくる。かと言って放射性物質を集めなければ周囲に拡散してしまう。

 

タツマキ「良いわ!だったらもっと力を引き出すまでよ!アンタ等に殺られる私じゃないわ!!」

 

タツマキは更に出力を上げた。再び怪獣達は動きを封じられて、光線や光弾も押し返されていき、軈て放射性物質も一箇所に集まって結晶化し始める。

 

しかし、ガボラは更に光線の出力を上げた。ゴルザやメルバにも動きが見られた。

 

突如、2体が地面から飛び出した黒い霧に包まれて、軈て内部から骨と肉が潰れる音が響き渡り、口を開けながら肉を咀嚼したような音が響く。

 

軈て霧が晴れて、その怪物は姿を現した。それは、先程のゴルザとメルバが合体したかのような怪獣であった。目も赤く染まり、全身から闇の力を解き放つ。

 

『災害レベル竜:ゴルバー』

 

ゴルバー『ギイャアアァァァァァァァッ!!!』

 

ゴルバーが目を赤く輝かせ、タツマキに迫る。

 

タツマキは念動力で動きを止めようとした。しかし、タツマキは驚いた。ゴルバーがいくら強くなったと言えど、タツマキにとって止められない相手ではない。しかし、ゴルバーは全身から闇のオーラを放ち、タツマキによって動きを鈍くされても動き続けた。

 

タツマキ(何よ!?この力、普通じゃない!!あの2体が合体しただけの力じゃない!!)

 

しかし、タツマキはガボラからの激ヤバ光線にも集中する。しかし、ゴルバーの接近も許さない。

 

タツマキは更に力を上げようとした。しかし、その反動で片目から血の涙を流し出した、その時だった。

 

フラン「師匠!私が放射性物質全部吸い込む!」

 

師匠『おう!俺が周りの放射性物質全部掻き集めてやるよ!』

 

上空から現れたフランがタツマキと激ヤバ光線の前に現れ、口を大きく開けた後にガボラの激ヤバ光線を吸い込み始めた。フランを乗せる師匠は、周囲に拡散した放射性物質のみを念動力で集めていき、フランに吸収させる。『雑食』の能力とパゴスの能力により、放射性物質さえもフランは美味しく食べる事が出来る。吸い込みでも充分に味わえる為、フランは喜んで飲み込み続ける。

 

タツマキ「アンタ達!何しに来たのよ!?」

 

師匠『俺達も応援に来たんだ!お前はそのゴッツい怪獣を頼む!激ヤバ光線を放つガボラは俺達に任せろ!』

 

タツマキ「ふん!言われなくても私なら余裕よ!ホント馬鹿ね!」

 

こうしてタツマキはゴルバーの相手に集中出来るようになり、ゴルバーはタツマキに向かって走り出した。余裕が出来たタツマキはゴルバーに向かって飛んだ。

 

そして、フランは放射性物質を飲み込み続けながらガボラに高速で迫り、師匠もガボラの蒔き散らす放射性物質をフランへ集中させるのだった。

 

そして、フランと師匠、そしてタツマキの活躍により、ガボラは駆除。ガボラはフランと師匠によって宇宙へ運ばれて、師匠が能力を得た直後に被害が及ばないよう肉体は消滅された。

 

タツマキはバラバラにしたゴルバーの死体を見て、一つの疑問を浮かぶ。

 

タツマキ(此奴等………急に合体したかと思えばほんの少しだけど私の超能力に抵抗出来たわね。さっき黒い霧みたいな物が見えたけど………誰かが何かしたのね?)

 

タツマキはそんな疑問を浮かばせながら、飛んでその場を去るのだった。

 

タツマキ「あー……少し疲れたわ。まっ、楽勝だったけど」

 

タツマキはそう呟くが、フランと師匠が入れ替わる形で空から降りてきた。すれ違う時に、3人は会話をした。

 

フラン「お疲れ」

 

師匠『お疲れ様』

 

タツマキ「まっ、中々やるじゃない。でもヒーローならもっと速く来なさい」

 

フラン「はーい」

 

そして、フランと師匠はゴルバーの遺体を持ち上げ、人気のない場所へ運び出すのだった。




《オリジナル能力》
『雑食』
使用者:フラン&師匠
読んで字のごとく、どんな物も美味しく食べる事が出来る。他の食事怪人の能力と組み合わせる事で、無機物や放射性物質さえも美味しく食べる事が出来る。能力を併用すれば、本人の口や体より大きくても問題なく食べる事が出来る。食べ方は使用者の自由で、吸い込みや丸呑みでも問題無し。

《オリジナル怪人》
名前:メルバ
元ネタ:ウルトラマンティガ
災害レベル:鬼
概要
超古代怪獣の一体でガタノゾーアの尖兵。肩口から伸びる突起から巨大な飛膜を広げ、マッハ6の猛スピードで飛行する。目から光弾が出せる。

名前:ゴルザ
元ネタ:ウルトラマンティガ
災害レベル:鬼
概要
メルバと同じく超古代怪獣の一体でガタノゾーアの尖兵。額にエネルギーを集めて、紫の光線を放つ。

名前:ゴルバー
元ネタ:ウルトラマントリガー
災害レベル:竜
ゴルザとメルバが、眠りに付く邪神より力を送られて合体した姿。メルバの目から放つメルバニックレイや、口から放つ黄色い超音波光線が戦力。翼を展開して高速で飛行する事も可能で、おまけに知能も高い。更に邪神の闇の力によって体を覆われ、タツマキの念動力にも抵抗可能となった。

おいおい、ダークマターや隕石、怪人協会編とか始まってないのになんだこの激闘!?

次回、隕石編。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

母と姉

ガボラの異変から暫くたったある日の午前8時。フランは師匠と共にZ市のスーパーへ買い物に来ていた。

 

その間に、フランと師匠は話をしていた。それは、ヒーローランキングが上がった事に付いてだ。師匠が空中に浮かせたスマホからネットを介して、ヒーロー協会のホームページから見れるヒーローランキングを見ていたのだ。

 

師匠『フラン。お前のランキングが上がってるぞ。B級最下位の76位から32位だ。サイタマは75位から46位に上がったぞ』

 

フラン「おおっ!ランキング上がったー!」

 

フランは目を輝かせる。ランキングが上がって嬉しいのだ。

 

師匠『サイタマは街で暴れた忍者を捕まえて上がったし、フランは怪獣や怪人を色んなヒーローの目の前で倒してたからな。オマケに周りを見てみな』

 

フランが周りを見る。人々は買い物をしているのが大半だが、その中にはフランを見てヒーローに会えて喜ぶ子供のような目をした人々も居る。

 

師匠『周りの皆が見てるんだ。お前の活躍を。その活躍を皆が協会に報告してくれたからな。でも次は自分で報告を入れないとな』

 

フラン「ん。分かった」

 

そして、フランと師匠は買い物を終えた。ヒーローとなったお陰で給料が入り、貯金も貯まっている。それなりに生活が上手く行くようになってきた。

 

レジのおばさん「フランちゃん。最近頑張ってるみたいね。ほら、サービスだよ」

 

フラン「おおっ!ありがとう!」

 

フランはレジのおばさんからケーキを貰う。更に途中で寄った肉屋でも、おじちゃんからコロッケをサービスされる。

 

肉屋のおじちゃん「おおフランちゃん。俺みたいな店に何時も来てくれてありがとう!ほら、持って行きな!サービスだよ!」

 

フラン「ありがとう!」

 

街の人達も何名かが、フランに手を振って挨拶をする。漸く落ち着いて来た所でフランはフェンス前に着くと、突然後ろから車の止まる音がした。フランが後ろを振り返った、その時だった。

 

フブキ「フランちゃあああああああん!!ママが来たわよおおおおぉぉぉっ!!」

 

フブキがフランに向けてダイブ。

 

フラン「えっ?急になにっわむっ!?」

 

フブキに抱き着かれたフラン。頭を胸に埋めるフラン。買い物袋も地面へ落ちそうになるが、師匠が超能力で浮かせたお陰でぶち撒けられずに済んだ。

 

フラン「フブキ!やめへっ!!」

 

フブキ「大丈夫よ!ママが来たからには安心して良いわよー!」

 

フラン「ママじゃない!寧ろ不安!」

 

フブキ「そんなー!?」

 

フブキ、ガチでショックを受けている。その場でへたり込む。

 

マツゲ&山猿&リリー「「「フブキ様ァ!!?」」」

 

車から降りてきたリリー達がフブキに駆け寄る。

 

フラン「フブキはママじゃない。あまりしつこくしないなら友達になろう?」

 

フブキ「うぅ………いや、諦めないわ!フランちゃん!」

 

師匠『お前、前までフランと呼び捨てにしてたのに、少し気持ち悪いぞ』

 

フブキ「がふっ………」

 

師匠にトドメを刺され、その場で更に落ち込むフブキ。

 

フラン(なんか、アマンダにすらなれない人だね)

 

師匠(此奴がアマンダポジになるとは思えないな)

 

フラン(でも流石に可哀想だし、条件付きで話しても良いかな。暫く何処かに所属するのも良いかもしれない)

 

師匠(本当に良いのか?)

 

フラン(大丈夫。フブキはしつこいけど、悪い人じゃない)

 

そして、フランは落ち込むフブキに話し掛けた。しゃがんで視線を合わせるフラン。

 

フラン「フブキ。フブキ組に入っても良いよ」

 

フブキ「本当!?」

 

フブキが顔を上げる。フランが立ち上がると同時に、フブキも立ち上がる。

 

フラン「でも、条件がある」

 

フブキ「条件?」

 

フブキ「今度からしつこくしない事、他のヒーロー達に迷惑掛けない事、二度とママと名乗らない事。そして、今まで迷惑掛けてきたヒーロー全員に謝罪しに行く事。それを守れるんだったら、フブキ組に入っても良い」

 

フランから渡された条件。それは、フブキにとって今までの活動全てを否定されるような条件だ。

 

とはいえ、フランと師匠がフブキ組に加わってくれるのはありがたい。そう考えるならば、この条件も悪くない。

 

フブキ「……分かったわ。貴方達を私の娘として、フブキ組の一員として迎えられるなら、安い物だわ!でも、流石に口約束だけでは駄目よ。この書類の、此処へ名前を記して頂戴。師匠だったかしら?貴方の名前は良いわ」

 

フブキは立ち上がった後に、懐から一枚の書類を出した。フランは懐からペンを取り出すと、フブキに指定された箇所へ名前を記した。

 

フブキ「後は、貴女に言われた通り、今まで迷惑掛けてきたヒーロー達に謝ってくるわ。条件も、全部守る」

 

師匠『信用してるぞ。もし破ったなら、俺はお前等を許さない』

 

師匠がフブキ達を睨む。

 

タツマキ「何よヤケに物騒ね」

 

声のした方向を見た。其処にはスリットスカートの先端を全て地面に付けたタツマキが、フブキ組の背後に立っていた。

 

フラン「タツマキ」

 

フブキ「っ!?おおお、お姉ちゃん!?何で此処に!?はっ!!」

 

フブキはフランを再び抱き締める。

 

フブキ「駄目よお姉ちゃん!!フランも師匠も既にフブキ組に加わる予定なのよ!!そして私が、フランのお姉ちゃんになるのよ!!」

 

フラン&師匠『「いや、その理屈はおかしい」』

 

タツマキ「いやソイツ等がアンタの組に加わろうとソイツ等の勝手だし、ソイツを妹にするのもフブキの勝手だけど、今はそんな事で此処へ来たんじゃないのよ」

 

そして、タツマキは此処へ来た目的を話す。

 

タツマキ「私は此処へ招集されたのよ。他のS級ヒーローも全員集まってる筈よ」

 

フブキ「S級ヒーロー達が!?」

 

フブキ組は、S級ヒーロー達が集められる事に驚いた。1人や2人なら兎も角、全員が集まるなんてあまりにも急な事態なのだろう。

 

リリー「S級ヒーローが集められるなんて………それ程の一大事なんですか?」

 

タツマキ「ええっ。まだ詳細は聞かされてないけど」

 

すると、フランがタツマキの手を握る。

 

フラン「私達も来て良い?」

 

タツマキ「ん?いや、S級だけが来るよう言われてるんだけど?」

 

フラン「大丈夫。それに私も、強い友人呼ぶから」

 

タツマキ「………まあ良いわ。精々足を引っ張るんじゃないわよ」

 

そして、タツマキはフブキ達に告げる。

 

タツマキ「フブキ。2人を入れるなら迷惑掛けた奴等に謝罪しなさい。オイタは程々にしなさいよ」

 

そして、タツマキは再び飛んで行った。フランは師匠が浮かせた買い物袋を持つと、フブキの元を向いて言った。

 

フラン「じゃあねフブキ。また後でね」

 

そして、フランは両手に羽を生やし、羽ばたいて空を飛んだ。

 

フブキ「………そうね。姉として、フランを迎えないと駄目ね」

 

フブキはその様子を見た後、リリー達を向いて言った。

 

フブキ「先ずは……今まで迷惑掛けてきたヒーロー達に謝罪しないと。勿論、貴方達にも」

 

フブキは3人に頭を下げた。

 

しかし、3人は慌ててフブキに顔を上げるよう促す。

 

マツゲ「あ、頭をお上げくださいフブキ様!!我々はフブキ組に入り、フブキ様のお力になれる事を誇りに思っております!」

 

山猿「お、俺も同じです!」

 

リリー「私もです!!弱かった私に声を掛けくださった事、ありがたく思っています!こうしてヒーローとして活躍出来るのもフブキ様のお陰です!」

 

それを言われたフブキは頭を上げた。改めて、部下から厚い信頼を得ている事を理解し、思わず笑みを浮かべる。3人のフブキに対する忠誠は厚い。特にリリーはフブキの隣に居るだけで恍惚とする程だ。実を言えば、フブキに娘又は妹呼ばわりされたフランに対し、ハンカチを口に咥えて噛みちぎらんとする程に嫉妬する程だ。

 

フブキ「………皆、ありがとう!じゃあ、行きましょう」

 

マツゲ&山猿&リリー「「「はい!!フブキ様!!」」」

 

フブキは歩き出す。その顔は、何処か憑き物が落ちたような感じだった。

 

フブキ(見てなさいお姉ちゃん!!私は私のやり方で、お姉ちゃんを超えて見せるんだから!!)

 

フブキが元から抱く思想は変わらないが、もうフブキが他のヒーロー達に迷惑を掛ける事は無いだろう。そしてそれは、フブキ組に属する者達も同じだ。

 

この世界に住まうヒーロー達は、所々変わっていく。それが成長に繋がるか、それとも退く事に繋がるのか、それは彼等次第だ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃サイタマは、部屋で漫画を読んでいた。隣ではジェノスが皿を洗っている。サイタマは現在、ヒーロースーツを着用している。

 

すると、サイタマのスマホが鳴り始めた。サイタマはスマホを手に取り、通話に出る。同じ頃にジェノスもスマホの通話に出ていた。

 

サイタマ「もしもし?」

 

フラン『サイタマ。今からZ市のヒーロー協会支部に来れる?』

 

サイタマ「なんだ?暇だから良いけど」

 

フラン『じゃあ今から私と師匠も行くから。支部で会おう。今タツマキや師匠と向かってるから、後でね』

 

サイタマ「ん?おう。分かった」

 

そして、サイタマは通話を切る。

 

サイタマ「悪いジェノス。俺、今からフランに会いに、Z市の協会支部へ行ってくるよ」

 

ジェノス「あっ、先生。少々お待ちを。今、クセーノ博士から頂いた新たなパーツを持って行きます。俺も協会から招集を受けたので」

 

サイタマ「そっか。じゃあ待つよ」

 

ジェノス「ありがとうございます!先生!」

 

こうして、サイタマとジェノスも赴く事に。そして彼等は、Z市に襲い来る嘗てない災害に出会う事になるのだった。




もう原作からはかけ離れてるけど、まあ良いや♥かなり楽しくなってきたかも。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

避難警告と破壊の暴君

フランは師匠に乗って、サーフィンの要領で空を飛び続ける。タツマキと並走する形で空を飛ぶフラン達。すると、Z市全域に警報が鳴り響いた。

 

『緊急避難警報です!災害レベル竜!巨大隕石が現在Z市に向けて落下中!6時間後にZ市の中心街へ落下します!市民の皆様は、直ちに避難してください!訓練ではありません!警察官、ヒーローは階級問わず、直ちに市民の避難誘導を開始してください!繰り返します―――』

 

警報を聴いた3人は驚愕する。

 

師匠『巨大隕石!?』

 

フラン「そんなものがZ市に落下するというの!?」

 

タツマキ「成る程。S級が集められる訳ね。ってか、他に集まってる奴は居るのかしら?」

 

そして、3人はZ市の支部へ到着した。中に入って司令室まで移動し、其処で対応に追われている支部のスタッフ達と合流する。その内の2人が、フラン達を出迎えた。一人は体格の良い男性だ。もう一人は地味な見た目だが、その瞳にはやる気を宿してる事を感じさせる強い目を持つ女性だ。

 

男スタッフ「おおっ!S級のタツマキさん!タツマキさんが来られるとは、ありがたいです!」

 

女スタッフ「そして貴女は、最近活躍中のフランちゃんですね?B級ですが、S級に並ぶ実力者と伺っています!」

 

タツマキ「それは良いから。誰が到着してんの?」

 

男スタッフ「先程怪特対が、市民の避難誘導を開始しました。特にカミナガさんはバディのアサミと街に出向いて、逃げ遅れた市民が居ないか捜索しています」

 

女スタッフ「現在到着しているのは、S級のシルバーファング様、メタルナイト様、高原の魔女様、レッドドラゴン様、ブルードラゴン様の計5名の方々です。間もなくS級ヒーローのジェノス様、同行者としてB級のサイタマさんも来られると聞いています。そして間もなく『破壊の暴君』様も来られるとの――――」

 

 

???「到着なのだあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

その声が響いた後に、支部の壁が粉々に破壊される。フランと師匠、更にはタツマキですら、破壊の際に放たれる風圧や衝撃波に吹き飛ばされそうになる。

 

女スタッフ「ひえぇぇぇ………」

 

スタッフ達は既に物陰に隠れており、壁を壊して現れた相手を陰から見る。

 

粉塵が晴れていく内に、壁を壊した張本人の全体像が浮かび上がり始めた。

 

???「ヒーロー協会から面白そうな事があると聴いたからな!地球の裏側でバカンス中だったが、直ぐに切り上げて此処までひとっ飛びで来たのだ!!」

 

タツマキ「そうみたいね………ってか早く着替えなさいよ!」

 

それは、転生したらスライムだった件に登場する魔王ミリムであった。しかし、彼女はこの世界に転生した転生者の1人である。ヒナタやイレイナと同じく、この世界に別キャラとして転生した転生者である。

 

因みに水着姿となっており、ゴーグルも身に着けてる事から、ミリムがバカンス中である事が伺えた。タツマキに着替えるよう言われたミリムは、タツマキの方を向く。

 

『S級ヒーロー5位:破壊の暴君/ミリム』

 

ミリム「ん?おおっ、タツマキではないか!」

 

タツマキ「はぁ。アンタは相変わらずね」

 

ミリム「大丈夫なのだ。後で弁償はするのだ」

 

タツマキ「そういう問題じゃないでしょうが。ってか何時まで水着なのよ!早く着替えなさい!」

 

ミリム「うるさい奴なのだ「何ですってぇ!?」。それに、面白い奴等も居るな?むっ?」

 

ミリムが、フランと師匠を指差す。ミリムは永く生きて来たが、前世での記憶は未だに持っている。その中にはサブカルチャーの知識もある。

 

そしてミリムは、フランと師匠が『転生したら剣でした』のフランと師匠である事を見抜く。そして、彼等が強者である事も同時に見抜いた。

 

ミリム(ふむ………彼奴等も私と同じ転生者か。成る程。確かに強くなってるのだ!)

 

そしてそれは、フランと師匠も。特に師匠は、サイタマを除いてミリムの力がこれまで闘ってきた怪人とは比較にならないと、力を鑑定して理解する。師匠ですら観測しきれない力を、フランも感じていた。

 

フラン(師匠!此奴、強い!)

 

師匠『ああっ。底が知れない。サイタマ以来だ』

 

ミリム「初めまして。私はS級5位、破壊の暴君。名をミリムと言うのだ!」

 

ミリムは堂々と本名を名乗る。本名を名乗るのは、ヒーローネームがまだ出てないヒーローか、うっかりさんか、或いはミリムのような強者のみだ。

 

ミリム「お前達も中々強いな!今度私と闘ってみるか?」

 

師匠『いや、止めとくよ。少なくとも今の俺達では勝てない』

 

ミリム「おー!まさかと思ってたが、やはり剣が話してるのだ!やっぱりお前達も私と同じというわけか!!」

 

その言葉を聴いて、フランと師匠はミリムが転生者だと理解した。因みに水着姿から、ミリムの魔王としての服装に一瞬で変化している。魔法で即座に着替えたのだ。

 

バング「やれやれ破壊の暴君よ。迂闊に本名は明かしてはいかんぞ。まあお主は強いから心配無いとは思うし、ワシが言えた事じゃあ無いがのう」

 

シルバーファングことバングが司令室にやって来た。

 

ミリム「お前も強いのだシルバーファング。それに、他の奴等もやって来たようだぞ?」

 

そして、壊れた壁の穴から2人の青年が入ってきた。サイタマとジェノスだ。ジェノスはギターケースのような装置を片手に持っており、それがジェノスの取って置きである事が誰の目にも理解出来た。

 

フラン「サイタマー」

 

サイタマ「おっ。フランも来てたのか」

 

フランがサイタマのマントを掴む。

 

シルバーファング「あの男は……ネロンガを倒した男か……」

 

ミリム「っ!?」

 

シルバーファングはサイタマが強い事を見抜き、ミリムはサイタマから視えた計り知れない力のオーラに、冷や汗を滝のように流す。

 

ミリム(な、何なのだあの男!?今まで見てきた奴等とは段違いなのだ!?この力……アズサやブラストよりも………)

 

嘗て出会った彼等をも圧倒する、サイタマの力を視たミリム。自分にとって都合の悪い事は見えないが、どうやら都合の悪い事では無いようだ。その力に、ミリムは笑いつつも冷や汗を流す。

 

タツマキ「ちょっと誰よ、こんな雑魚連れて来たの。普通呼ばれても来るかしら?B級なんて連れて来られても足手まといなのよ。どうせS級に近付きたいなんてくだらない理由でやって来たんでしょ?そんなヒーローなんて居るだけ無駄よ。さっさと出てって―――」

 

ミリム「やめろタツマキ!!」

 

ミリムが叫ぶ。サイタマに指を差そうとするタツマキの右手を、ミリムが掴んで止めた。

 

タツマキ「ちょっとミリム!?アンタ何すんの……ってどうしたのよアンタ!?何キレてんのよ?」

 

ミリム「お前が勝てる相手じゃないのだ!いや、S級全員がかりでも勝てないのだ!」

 

タツマキ「………はっ?」

 

タツマキは耳を疑う。ミリムは相手の力量を見極めるのが上手いのは、タツマキも知っていた。そんなミリムが、どう見ても雑魚にしか見えないサイタマの事を“S級全員でも勝てない”と豪語したのだ。

 

タツマキは馬鹿ではない。超能力を自在に扱うには、それなりに頭も良くなくてはならない。

 

頭ではミリムが嘘を言ってないのは理解してるが、それでも信じ切る事が出来ない。

 

サイタマ「な、なんだこのガキ共?迷子?」

 

ミリム&タツマキ「「あ”っ!?」」

 

ミリムとタツマキがキレる。2人が言われたくない言葉をサイタマに言われたからだ。『お嬢さん』ならまだ自分が若く見られてると思える。しかし、『チビ』や『ガキ』と子供みたいに呼ばれるのは嫌なのである。2人が一番気にしてる呼ばれ方だからだ。

 

ミリム「誰がガキだ?打ちのめされたいか!」

 

タツマキ「許せない………ガキだなんて………私はアンタより年上よ!!」

 

サイタマ「なんだ此奴等?急に空中に浮いたぞ?」

 

しかし、怒りを浴びせられているサイタマはどこ吹く風だ。

 

タツマキ&ミリム「「っ!?」」

 

2人は、自身の威圧又は念動力が効かない事に驚く。タツマキは面食らっていたが、ミリムは冷静になって改めてサイタマの実力を理解する。

 

ジェノス「そいつ等はS級のタツマキと破壊の暴君ですね。最も破壊の暴君は自らミリムと堂々と名乗ってるので、ヒーローネームの意味がありませんが」

 

サイタマ「お前、結構辛辣だな」

 

ジェノス「しかし、実力は本物です。タツマキは強大な超能力を扱い、天変地異に等しい力を持ちます。竜魔人はS級の中でも最強格と呼ばれ、過去に世界を滅ぼすかもしれなかった災害レベル竜の怪人の群れを単独で撃破しました」

 

サイタマ「ほー。強いんだな2人共」

 

タツマキ「………まあ良いわ。精々足を引っ張るんじやないわよ」

 

タツマキが移動し始める。サイタマも移動しようとした。

 

ミリム「おい待て!お前私をガキ呼ばわりして―――」

 

バング「よさぬかミリム。お主はそれでも協会を代表するヒーローか」

 

ミリム「うっ………分かったのだ」

 

ミリムはバングに肩を掴まれる。バングより強いミリムだが、バングに怒られるのはミリムも苦手なのだ。渋々ミリムは床に降りて、タツマキを追いかけて行った。

 

サイタマ「何だ彼奴等?」

 

バング「すまんのう。どうもS級は問題児が多くて困ったもんじゃわい」

 

サイタマ「じいさんもS級なのか?」

 

バング「そうじゃよ」

 

フランがバングに話し掛ける。

 

フラン「おじいちゃん。ミリムって奴、強いの?」

 

バング「強いぞ。S級でも彼奴に勝てるのはアズサちゃん位じゃ。他にも、1位のブラストなら或いはのう」

 

フランも師匠も、バングの言葉に戦慄する。自分より遥かに格上のミリムの実力に、段々と好奇心が湧いてきた。

 

そして、隕石衝突まで、後4時間が経過した。




此処で、現在のS級ヒーローのランキングを載せておきます。面倒なので本名とかは一部除いて載せてません。転生者かどうかは(転生者)で載せます。

原作でもそうでしたが、此れは強さのランキングではないので悪しからず。

S級1位:ブラスト

S級2位:戦慄のタツマキ

S級3位:オールマイト(転生者)

S級4位:高原の魔女(転生者)

S級5位:破壊の暴君(転生者)

S級6位:シルバーファング

S級7位:アトミック侍

S級8位:要塞少女(転生者)

S級9位:メタルナイト

S級10位:童帝

S級11位:レッドドラゴン

S級12位:キング

S級13位:ゾンビマン

S級14位:駆動騎士

S級15位:豚神

S級16位:超合金クロビカリ

S級17位:ブルードラゴン

S級18位:番犬マン

S級19位:閃光のフラッシュ

S級20位:タンクトップマスター

S級21位:金属バット

S級22位:ひらり少女(転生者)

S級23位:ぷりぷりプリズナー

S級24位:灰の魔女イレイナ(転生者)

S級25位:ジェノス

《ヒーロー紹介》
名前/ヒーローネーム:ミリム/破壊の暴君
元ネタ:転生したらスライムだった件
階級:S級
概要
転スラのミリム・ナーヴァに転生した転生者。ワンパンマンの世界についての知識は全く無く、ミリムとして転生してからは偶に出現する怪人や、人間の犯罪者を沢山血祭りに上げた。転生した時期がヒーロー協会が設立した時である。ある日、自身の力で人々を攻撃する強大な怪獣を倒した時に人々から感謝されたのを切っ掛けにヒーローとなる。ミリムらしくわがままな面を持つが、人々への貢献度や協会からの信頼も厚く、ヒーロー達の中でもかなりの交友関係を持つ。
能力
ミリムと同じ戦闘スタイルや能力を持つ。
『竜眼(ミリムアイ)』:あらゆる物事・事象を見通し看破するユニークスキル。遠距離の監視魔法も即座に感知し、直に睨まれれば隠し事はほぼ不可能。ただし自分に都合の悪いものは目に入らない。
『竜耳(ミリムイヤー)』:どんな物音や小言も聞き漏らさないユニークスキル。地獄耳の究極系とも言える。竜眼同様に自分に都合の悪い事は聞こえない。
『憤怒之王(サタナエル)』:怒りを動力にして、魔力(転スラでは魔素だったが)を無限に生み出し続ける。簡単に言えば、ミリムが怒る強さで無限に強くなる。
『狂化暴走(スタンピード)』:緊急時の無差別攻撃状態。滅多に使わない。
『戦闘形態』:戦闘力のセーブを解除した戦闘特化した姿。漆黒の鎧状の服装に加え竜の意匠である紫の翼、額に紅色の一本の角を生やしている。また、魔剣「天魔」も振るう(天魔自体は変身せずとも召喚可能)。
『竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)』:必殺技の一つ。魔力を凝縮した光線(アニメでは水色)を拡散させることで一撃で都市一つ滅びる威力を持つ。手加減して放てる上に、特定の物に被害を与えないように狙い撃つ事も可能。
『竜星爆炎覇(ドラゴ・ノヴァ)』:究極にして最強の魔法。星の煌めきを彷彿とさせる光が降り注ぎ、音・衝撃波・光で周囲を破壊し尽くす技。城だけでなく巨大な霊峰すら破壊してしまうほどの威力。
『不老不死』:老いる事は無く、病や寿命では死ななくなる。但し、他殺による死は例外。

名前/ヒーローネーム:イレイナ/灰の魔女イレイナ
元ネタ:魔女の旅々
階級:S級
概要
魔女の旅々のイレイナに転生した転生者。ブラック企業でこき使われ過ぎて過労死してしまい、女神を名乗る女性からイレイナの体と力を授かり、そしてありとあらゆる魔法の知識を教えてもらい、修行に励んだ。この世界に3年前に転生し、イレイナとして生きてきた。ヒーロー協会に所属したものの、組織の腐敗を見た途端にフリーダムに生きる事を決めた。ヒーローとして活動する反面、旅と豪遊をする為にも詐欺紛いな事やインチキ商法もやった。自身の性格の悪さやクズっぷりは自覚しているが、困っている人達(特に同性)を放っておけずに無償で助ける事もしばしば。
そうしていく内にS級ヒーローとなり、悪徳ヒーローであるものの人々から称賛されたりしている。ヒーロー達の中でも交友関係はかなりあり、A級のサヤやアムネシアから好意を寄せられている。
能力
『ありとあらゆる魔法の知識』:『魔女の旅々』『ドラゴンクエスト』『東方Project』『ファイナルファンタジー』『SKYRIM』や神話を含めたあらゆる創作作品の魔法の知識を持ち、自在に行使可能。また、他の人達に教える事で使用させる事も可能。但し、殆どの魔法は杖を介さなくては使用が出来ない上に他人が扱うには魔力を生まれ付き持ってる事が前提。
『杖と箒の召喚』:手元から杖や箒が離れたり壊れたとしても、手元或いは口に咥える形で召喚出来る魔法。使用する魔力量も少ない為、コスパは良い。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

作戦と実行

こうして、S級の殆どが会議室に集結した。集結と言っても、1人はリモートの形としてパソコンやタブレット越しに会話する形となる。もう一人は欠席だ。

 

隕石衝突まで後3時間と30分。

 

S級1位:ブラスト

 

欠席。

 

S級2位:戦慄のタツマキ

 

タツマキ「まあ、彼奴(ブラスト)は来ないわよね。この程度の事で」

 

S級3位:オールマイト

 

オールマイト(隕石か。一体どれ程の規模なのか。此れだけS級が集まるのならば………“原作”通りとは限らんだろう)

 

『S級ヒーロー3位:オールマイト』

 

S級4位:高原の魔女

 

???「ミリムも来てくれたんだね」

 

『S級ヒーロー4位:高原の魔女/アズサ』

 

S級5位:破壊の暴君

 

ミリム「当然なのだ!こんな面白そうな事、参戦せずには居られんのだ!」

 

S級6位:シルバーファング

 

バング「とはいえ、正直ワシ等でも厳しいかのう。此処までS級が集められる程の隕石、正直不安じゃわい」

 

S級7位:アトミック侍

 

アトミック侍「シルバーファング。俺を信用してねぇのか?俺に斬れないモンはねぇ」

 

S級8位:要塞少女

 

???「はわぁ………緊張しちゃうなぁ…………」

 

『S級ヒーロー8位:要塞少女/メイプル』

 

S級9位:メタルナイト

 

リモート仕様。テーブルに置かれたタブレットの画面には、『SOUND ONLY』の文字のみが映る。

 

S級10位:童帝

 

童帝(やっぱり1位の人は居ないんだ。会いたかったのに)

 

S級11位:レッドドラゴン

 

???「アズサ様。どんな隕石が襲おうとも、我がアズサ様をお守りします!」

 

『S級ヒーロー11位:レッドドラゴン/ライカ』

 

アズサ「ありがとうライカ。でも私だって、家族を守る為に闘うよ。どんなに強い奴とも闘うよ」

 

S級12位:キング

 

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ……………。

 

『S級ヒーロー12位:キング』

 

S級13位:ゾンビマン

 

???(ホントに協調性が無い連中が多いな。後、あのハゲ誰だ?それに………例の黒猫の少女も居るのか)

 

『S級ヒーロー13位:ゾンビマン』

 

S級14位:駆動騎士

 

駆動騎士『…………………』

 

『S級ヒーロー14位:駆動騎士』

 

S級15位:豚神

 

豚神「………」モグモグ

 

『S級ヒーロー15位:豚神』

 

S級16位:超合金クロビカリ

 

クロビカリ(あの男と少女は、ネロンガの時の………是非手合わせを願いたい!)

 

S級17位:ブルードラゴン

 

???「このフラットルテ様に任せるのだ!ご主人様!見ていてください!」

 

『S級ヒーロー17位:ブルードラゴン/フラットルテ』

 

S級18位:番犬マン

 

番犬マン(……誰かが此処に来る前お肉食べたな?)クンクン

 

『S級ヒーロー18位:番犬マン』

 

S級19位:閃光のフラッシュ

 

フラッシュ(やはりサイタマも来たか)

 

S級20位:タンクトップマスター

 

タンクトップマスター(サイタマにフラン………サイタマ君の事は舎弟から聞いていたが、見た目では分からないが確かに強いな………そして、あの少女も強い………2人にタンクトップを着る事を勧めるか)

 

『S級ヒーロー20位:タンクトップマスター』

 

S級21位:金属バット

 

金属バット「へぇ。ネロンガの時に居た彼奴等も居るのか。頼りにしてるぜ」

 

S級22位:ひらり少女

 

???「メイプル……やっぱり緊張しちゃってるね。私がサポートするから安心して」

 

メイプル「う、うん。サリー」

 

『S級ヒーロー22位:ひらり少女/サリー』

 

S級23位:ぷりぷりプリズナー

 

ぷりぷりプリズナー(ジェノスちゃんか。確かに綺麗だ。だがよく見ればサイタマちゃんとも仲良く出来そうだ)

 

『S級ヒーロー23位:ぷりぷりプリズナー』

 

S級24位:灰の魔女イレイナ

 

イレイナ(緊急で来てほしいと言われたので急いで来ましたが……まさか隕石の事だったとは………)

 

S級25位:ジェノス

 

ジェノス(殆どのS級ヒーローが集まっている。今回はそれ程の事態か)

 

B級46位:サイタマ

 

サイタマ「お茶貰える?」

 

B級32位:フラン

 

フラン「隕石、破壊出来そう?」

 

師匠『俺達やサイタマなら可能だろう。だが、破壊した後に降り注ぐ破片全てが街に落ちたら本末転倒だ』

 

すると、師匠の念話に反応する者が現れた。イレイナやタツマキ、ミリムは知ってる為に聴こえているが、敢えて黙っている。

 

アズサ「ん?」

 

ライカ「アズサ様、今の声は……」

 

フラットルテ「あれが噂に聞く喋る剣か……」

 

アズサが師匠を見る。彼女も師匠の念話が聴こえていた。彼女の隣に居るライカやフラットルテも。

 

そして、会議室にある人が入ってきた。

 

タムラだ。怪特対の実質的リーダーであるタムラと、怪特対メンバーが全員集まり、資料を持ってS級の前に立つ。

 

タムラ「怪特対専従班班長のタムラだ。Z市市民の避難が先程完了した為、こうして集まってくれたヒーローと合流出来た。此れより緊急の隕石対策会議を始める」

 

そして、先ずはタキが隕石の詳細を伝える。残り3時間までに激突する隕石について対策を立てる為に。

 

タキ「人工衛星から集めた情報によれば、隕石の大きさは全長80メートル。レーザー測定によって、地球の重力による推定落下速度から計算した被害は、Z市はゴーストタウンを含めて全域が落下による着地の時点で完全消滅、更に地下4千800メートルにまでの大地が吹き飛び、隣接する全ての市が土の津波に飲み込まれます。いえ、落下の衝撃波を考えると、土山が出来上がる前に周辺都市や自然が跡形もなく消えてしまうでしょう」

 

アサミも前に出て、落下後の災害も公開する。

 

アサミ「更に落下後の弊害を想定した所、地殻から溢れ出たマグマが一週間続く破局噴火によって噴き出し、Z市や周辺都市は居住不可能となります。更に火砕流によって生態系への被害も拡大。復興が不可能となってしまいます」

 

童帝「うん。怪特対の分析が正しいよ」

 

サイタマ「そりゃ不味いな。俺、家ぶっ壊されんの嫌だし、隕石壊すしか無くね?」

 

ミリム「賛成なのだ!」

 

アトミック侍「だな。隕石なんざ俺がぶった斬ってやるぜ!」

 

アズサ「うーん……そんな簡単な事なら良いんだけど」

 

メタルナイト『ああっ。俺もそんな簡単な事で済ませられればと願ったがな』

 

メタルナイトことボフォイは、画面にあるデータを映した。それは、怪特対の誰もが恐怖した。それは、童帝を含めた頭のいいヒーロー達も戦慄する。

 

それは、隕石に含まれるエネルギーと放射性物質が、メガトン級の熱核弾頭200個分である事。それが内部で凝縮されて強くなってる事。それは即ち、地球上で粉々に砕いたり爆発させたりすれば、大規模爆発と放射能汚染による被害が地上に降り注ぐ。

 

タツマキ「ハァ……また放射性物質案件?もう勘弁してほしいわ…………」

 

タツマキは、パゴスやガボラといい、貧乏くじを引きまくる自分の運の無さを呪う。

 

ゾンビマン「いやそれだけじゃない。熱核弾頭200個分とかZ市だけじゃ済まねぇ!下手すりゃこの国の大半は消し飛ぶし、放射能汚染が風に乗ってばら撒かれて国が壊滅する!」

 

タムラ「クソッ!パゴスといいガボラといい、放射性物質案件は並の怪人災害よりたちが悪いというのに!」

 

すると、タムラのスマホが鳴る。タムラは全員の了解を取り、電話に出た。

 

タムラ「はい………対応がまだ………室長。それは理解しています……………そうですか。それはありがたい。我々も尽力して隕石破壊を試みます」

 

タムラがスマホを閉じる。

 

タムラ「ムナカタ室長からだ。どうやら他国も今回は協力的な様子だ。今から隕石に接近する為に用意したスペースシャトルを合衆国が用意してくれた」

 

童帝「おおっ!流石は合衆国、仕事が速い!」

 

メタルナイト『こんな時に他国からの同情と融資、支援はありがたい』

 

こうして隕石破壊作戦が本格的となる。

 

作戦を簡潔に話すと、こんな感じだ。

 

1:シャトルに乗り込む人員を選抜。特にタツマキ、イレイナ、高原の魔女、童帝、破壊の暴君の搭乗は絶対。

 

2:隕石に乗り込んで内部から爆破し、エネルギーと破片を超能力や魔法によって凝縮。

 

3:もし内部からの破壊が失敗した場合、外部からの強制破壊により、2と同様の作戦を決行。

 

4:凝縮した隕石を宇宙へ飛ばし、シャトルに搭載した星間砲によって地球から出来る限り引き離す。

 

5:万が一作戦進行中に爆発した場合、地上のヒーロー達は降り注ぐ隕石に対応する事。

 

これが主な作戦の概要だ。

 

そして、隕石破壊作戦が始まった。




科学的分析は苦手ですが、頑張りました。

シャトルの乗員は公開します。
・サイタマ・ジェノス・タツマキ・ミリム・アズサ・イレイナ・童帝・アトミック侍・メタルナイト

原作より更に厄介な隕石。さて、どうするか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

シャトルと破壊作戦

フランと師匠は、Z市ヒーロー協会支部の屋上に来ていた。隕石の破壊とは別にフランが頼まれたのは、隕石の破壊によって降り注ぐかもしれない破片や放射能の対処だ。勿論隕石を止められなかった際の、究極の保険でもある。

 

Z市から見える海の奥から見えるのは、一時間前に打ち上がったスペースシャトルだ。彼処にはタツマキやサイタマも乗っている。魔法を使える魔女2人や最強の超能力者であるタツマキを乗せたのは、破片や放射能、爆発等の二次被害に対処する為だ。フランはあくまで保険なのである。

 

フラン「師匠。サイタマ達なら、やれるね」

 

師匠『勿論だ。彼奴等なら何とかしてくれる』

 

フラン「私も行きたかったなぁ」

 

師匠『まあ今回はサイタマ達に任せよう。俺達は俺達のやれる事をやろう』

 

フラン「ん」

 

すると、フランの元へ一人の男が現れた。

 

バング「よお。此処に居るって聞いたんで、やって来たぜ」

 

シルバーファングことバングだ。彼も屋上にやって来たが、目的はフラン達に会う事だ。

 

フラン「おじいちゃん。どうしたの?」

 

バング「お主に会いに来たんじゃ。怪人でありながらヒーロー活動を行う怪人ヒーロー。ライカちゃんやフラットルテちゃんが先駆けとなり、協会にも怪人ながら人々の為に活躍する怪人ヒーローが現れ始めてのう。それで、お主の事も是非知りたいと思ってな」

 

バングはフランを見る。今まで見てきた怪人ヒーローの中でも、フランは断トツで強い。バングはそんな強い相手を見ると、いつもの癖である事をしてしまう。

 

バング「お主、流水岩砕拳って知ってるか?」

 

フラン「知らない」

 

バング「そうか………武術の一種でな。お主は強いから、武術を習ってみたいか誘ってみたんじゃ」

 

フラン「要らない。私は独自の武術を作ってる」

 

そう言うと、フランはその場で四つん這いになった。そして、獣のように四足移動を行い、四足状態でパンチやキックを繰り出し、ダンスのようなキレッキレな動きを見せる。

 

バング「ほう。中々やるのう。ワシ等みたいに人間用の武術では対処が難しそうじゃのう。じゃが、その武術に名前はあるか?」

 

フラン「技は未完成。名前も決めてない」

 

バング「ふむ…………ではワシが考えて上げよう。そうじゃなあ………番犬マンのように四足戦闘スタイルで獣のように闘う事から…………『四足獣拳法(よんそくじゅうけんぽう)』。ありきたりな名前じゃが、どうじゃろう?」

 

フランはその場で座って考える。

 

フラン「四足獣拳法………ん!それが良い!」

 

こんな時にこの様な会話が出来るのは、フランがサイタマ達を信じているからだ。彼等なら隕石を破壊し、さらなる二次被害も防いでくれると。

 

バング「こんな状況でもその会話が出来るなら、ロケットに乗った彼等を信じても良いかもしれん」

 

師匠(サイタマ……タツマキ……イレイナ……頼んだぜ)

 

師匠もサイタマ達を信じている。地上の安全はフラン達が守り、宇宙から迫る危険はサイタマ達に任せる。

 

バングもまた、フランと同じくロケットに乗った者達ならなんとかしてくれると直感した。その時、フランに見込みがあると判断したバングは、とあるチラシをフランに見せる。

 

バング「なら、此れに出てみないか?」

 

フラン「ん?」

 

バング「格闘大会『スーパーファイト』じゃよ。この大会に出てみたらどうじゃ?」

 

フラン「おー!出たい!」

 

バング「ワシからも推薦するぞ。フランちゃんなら優勝も出来るじゃろう」

 

師匠(スーパーファイトか。四足獣拳法を試す良い機会かもな)

 

フラン(私、絶対優勝する!)

 

フランと師匠は念話でそう会話した。

 

――――――――――――――――――――――――

 

宇宙へ飛んだシャトル内。その中には、宇宙服に身を包んだサイタマ、ジェノス、タツマキ、ミリム、アズサ、イレイナ、童帝、アトミック侍、メタルナイトの9名のメンバーが無重力の中で浮いており、シャトルの窓から宇宙を見つめていた。

 

因みにメタルナイトは直接本人は乗っておらず、偵察用ロボットを代わりに乗せている。

 

サイタマ「スゲェな。まさかこんな事で宇宙に行けるなんてな」

 

ジェノス「ええっ。俺もです」

 

イレイナ「宇宙の星々が輝いてますね。あっ、月があんなに大きい!」

 

タツマキ「アンタ達ねぇ……遊びに来た訳じゃないのよ」

 

サイタマ「わーってるよ。隕石が見えて来たな」

 

サイタマの言う通り、窓の外に地球へ迫る巨大隕石の姿があった。

 

タツマキ「隕石位私が押し返してやるわ!」

 

タツマキは全身から緑色のエネルギーを放出し、両手を翳して念動力を繰り出した。

 

すると、隕石全体が緑色のエネルギーに包まれる。地球へ迫る速度が遅くなり始めた。

 

ミリム「でかしたのだ!このまま破壊しに行くのだ!」

 

アズサ「待ってミリム!」

 

ミリムがヘルメットを被って宇宙空間でも活動出来るように着替えると、シャトルの扉を開けて外へ出た。アズサもヘルメットを身に着けた後に浮遊魔法を発動して、宇宙空間へ飛び出した。

 

二人はタツマキが隕石を足止めしている間に、隕石へ近付いて行く。圧倒的破壊力を持つ遠距離の一撃を放つ。ミリムは魔力を凝縮して水色の光を両手に纏い、アズサは両手を前に翳して恒星のような火球を生み出した。

 

ミリム「先ずは私から!!『竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)』!!」

 

ミリムが集束した光線を放ち、隕石へ直撃させる。当たった光線が隕石に当たる。

 

光線が次々と放たれていき、隕石の表面に当たって大爆発を起こす。爆発の連鎖が次々と起きて、隕石が爆炎に包み込まれて行く。宇宙空間で爆発は起きない筈だが、そんな法則すら無視する大爆発により、隕石は包み込まれて行く。

 

アズサ「よし、私からも!!」

 

アズサは掌から放つ恒星を、爆炎に包まれた隕石に向かって放つ。

 

アズサ「『プロミネンス・ノヴァ』!!」

 

アズサは恒星を隕石に向けて放ち、当てた瞬間に両手を閉じる。

 

アズサ「砕け散れ!!」

 

アズサが両手を握り締めた瞬間、隕石を包み込まんとする大爆発が発生。瞬く間に隕石は炎に包まれていく。

 

シャトル内でも、2人のS級が見せる魔法の力を全員が見つめる。

 

イレイナ「凄いですね………私の出番無さそうです」

 

アトミック侍「けっ。彼奴等横取りしやがって。俺にも手柄を立てさせろよな」

 

ジェノス「此れが魔法………お伽噺とばかり思ってましたが………」

 

サイタマ「ああっ。あの二人スゲーな」

 

童帝「でも油断は出来ないよ。まだ隕石を破壊出来た訳じゃ………えっ!?」

 

童帝はタブレットを見て驚愕する。

 

メタルナイト『童帝!!』

 

童帝「分かってます!!」

 

しかし、二人が報告するよりも早くタツマキが情報を伝えた。額から血を流し、鼻血や血の涙も大量に流しながら。

 

タツマキ「あの隕石……バリアが………ただのバリアじゃないわ………」

 

タツマキはその場に崩れ落ちる。そして、爆炎が吹き飛ばされていき、隕石がその姿を現そうとしていた。

 

タツマキ「………さっきの奴は一体…………」

 

タツマキは周りを探し始める。しかし、居ない事を確認したのか、すぐに隕石を止めようとする。しかし、超能力で干渉したタツマキは、更に口から吐血した。

 

アトミック侍「タツマキ!!」

 

ジェノス「ッ!!隕石から未知のエネルギー反応!!」

 

そして、爆炎が晴れた後に、隕石の全体像が現れた。先程までゴツゴツとした岩石で覆われていた隕石だったが、その正体は隕石ではなかった。

 

丸い形の巨大な円だ。球体だ。どの角度から見ても、完璧な球体と解る。そして、球体はすぐにサイタマ達の元を離れて地球に落下しようとした。

 

タツマキ「ゲホッ!!に、逃がすかぁ!!」

 

タツマキは逃すまいと、更に力を込める。隕石は再び動きが鈍り始めるが、タツマキの出血量も増え始めた。

 

その様子を、月から立ち上がる形で、謎の人型の存在が見ているのだった。




《ヒーロー紹介》
名前/ヒーローネーム:アズサ/高原の魔女
元ネタ:スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました
階級:S級
概要
この世界へメガーメガ神の手により、アズサとして転生した者。300年間高原の家で暮らしつつ災害レベル狼の怪人達やスライムを倒していき、原作通りライカやシャルシャにファルファ、ハルカラにベルゼブブ、ロザリーにフラットルテ、サンドラにと出会い、共に暮らしている。魔界を統治する魔王ペコラからはお姉様と呼ばれている。また、ある事件を切っ掛けにメガーメガ神をその身に宿し、神レベルの力を得ている。
能力
アズサと同じ身体能力を持ち、拳や魔法を扱うが、能力がかなり異なっている。
『不老不死』:老いる事は無く、寿命では死ななくなる。但し他殺による死は例外。
『魔法創造』:魔法を創る事が出来る。創作魔法すらも唱える事が可能。
『錬金術』:物質を錬成して様々な物を創る。錬金術は主に薬を創る事に特化している。
『無限進化』:アギトの如く、トレーニングしたり実戦を積む事で限りなく強くなり続ける。但し何もしなければ強くならない。ある事件により、メガーメガ神を肉体に宿す事で獲得した。もしメガーメガ神が肉体から離れたり消えたりしても、この力が消える事は無い。
『女神の権能』:メガーメガ神から与えられた切り札。彼女曰く、“神”に対する切り札らしい………。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

落下と不時着

今更気付いたけど、S級達もサイタマも、宇宙服身に着けたままにも関わらず本来のポテンシャル発揮してるんですね。自分で描写しておいて難ですけど、凄すぎる…………。


隕石の外側が破壊された時に姿を現したのは、この世においてこれ以上無い位に完璧な形をした球体だ。どの角度から見ても球体にしか見えない。

 

タツマキ(この球体……中に何かが居る!こんなエネルギーを持つ奴なんて………一体何なの!?)

 

そして、ミリムが球体へ殴り掛かる。ミリムが球体を殴り続けたが、球体には傷一つない。

 

ミリム「っ!?何なのだこの球体は!?」

 

アズサ「下がってミリム!『マヒャド』!!」

 

アズサが魔法を唱える。氷が球体に向かって降り注ぐが、全ての氷が砕け散るのではなく、球体に飲み込まれるように消えて行く。

 

アズサ「なっ!?」

 

ミリム「吸い込まれた!?」

 

アズサ「ぐっ!」

 

アズサは赤と青、黒の3つの炎を混ぜた魔法攻撃を球体に向けて放つ。しかし、それは球体に吸い込まれて消える。更に厄介な事に、タツマキが抑え込んだにも関わらず落下速度が上昇していく。

 

タツマキ「まさか………私達の力を………がっ」

 

タツマキはその場で崩れ落ち、念動力も放てなくなり、床に両膝を付いて前のめりに倒れそうになる。

 

サイタマ「っと、大丈夫か?」

 

しかし、サイタマがタツマキを抱き止めて倒れるのを止めた。タツマキはサイタマに抱き止められた事に驚くも、肩で息をする程に疲弊していた為にうっかり本音が漏れる。

 

タツマキ「…………ありがとう」

 

サイタマ「良いよ。誰か、此奴寝かしといてくれ」

 

そう言いつつサイタマは長椅子にタツマキを寝かせた後、サイタマはヘルメットを着けて外に出ようとした。しかし、それより速くジェノスが外へ飛び出した。

 

ジェノス「先生!あの球体はバリアを纏ってるのではありません!あの球体そのものがバリアです!きっと球体の中に居る何かが、バリアを放ち続けて居るんです!」

 

きっとサイタマの一撃ですら、吸収してしまうだろう。ジェノスはそう考えていた。

 

ジェノス「なので、俺が竜魔人や高原の魔女、灰の魔女と共に全力で遠距離攻撃を行います!その時にバリアに隙間が出来る筈です!」

 

サイタマ「おう。その間に俺がぶっ飛ばせば良いんだな」

 

ジェノス「はい!」

 

イレイナ「やっとですか!此処で球体を破壊出来なくては旅が出来ませんからね!終わったら何時もよりお金貰いますからね!!」

 

アトミック侍「相変わらずガメついな。だが、俺も休む暇は無さそうだな」

 

アトミック侍がそう告げた後、球体が光る。すると、シャトルの中に突然怪人達が現れた。緑色の肥大化した上半身を持つ怪人達だ。

 

童帝「怪人!?奴が呼び出したのか!?」

 

アトミック侍「おい。此処は俺達に任せろ!お前はあの球体を破壊しに行け!!」

 

サイタマ「おう。頼んだぞ」

 

そして、サイタマは扉から宇宙へ飛び出した。命綱無しだが、そんな事も気にせずサイタマは宇宙へ飛び出し、隕石に向かって跳んだ。イレイナも命綱を付けた後に、隕石に向かって跳んだ。

 

扉が閉じた後、3人のS級ヒーローが怪人排除に移る。

 

メタルナイト『邪魔だ』

 

メタルナイトが両手を砲塔に変えて、其処から無数の砲弾を放つ。幸いにもシャトルは広い上に核爆発にも耐えられるシェルター並の設計が施されている。その為、銃弾や砲弾を放ち続けて壁に当たっても穴が開く心配は無い。

 

童帝「僕だって闘えるんだ!S級に選ばれた実力を見せてやる!」

 

童帝が背負うランドセルからサソリの脚に似た機械の脚が生えてきて、怪人達を突き刺して殺害していく。

 

しかし、最後の生き残りの怪人が突然変化していく。それは、飛び出た目のような器官を持ち、両手が丸い鈍器になっている二足歩行の怪人だ。

 

すると、突如として怪人の速度が上がる。その場を目にも止まらぬ速さで走り回り、アトミック侍と童帝を吹き飛ばす。メタルナイトが展開した砲台も次々と破壊していく。

 

童帝「は、速い!」

 

アトミック侍「ああっ。だが関係ねぇ!捉えるまで斬りまくれば良いからな!!」

 

そう言うと、アトミック侍は攻撃に入った。アトミック侍は無数の斬撃を周囲に繰り出した。シャトルに穴を開けない程度に、しかし繊細に、そして素早い斬撃を繰り出した。目にも止まらぬ速さで繰り出され、空間に無数の線を描き続けるアトミック侍の剣技。

 

怪人はその中を潜り抜けていくが、飛び上がった瞬間にそのお腹へアトミック侍の刀の刀身が命中した。

 

怪人は断末魔の悲鳴を上げた後、アトミック侍が刀を当てた部分から全身へ無数の線が広がっていく。軈てその肉体はバラバラになり、怪人は絶命した。

 

アトミック侍「………ふっ。そっちは任せたぜ」

 

アトミック侍はシャトルの窓から、サイタマ達に向けてそう呟いた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ジェノスは両腕に装置を取り付けた。10メートルもの長いそれぞれ半分欠けた筒で、両腕を組み合わせれば長く太い砲塔となる。太さで言えば成人男性の平均身長程の太さがあり、しかしそれに反して砲口は鼠サイズしか無い。

 

ジェノス「クセーノ博士から受け取った集束焼却砲!砲口は小さいが、その分遠くまで飛んで火力も上がる!!」

 

水鉄砲と同じだ。水鉄砲も細い口の方が遠くへ飛んで威力も上がる。

 

サイタマ「俺もマジでやるからよ。ただちょっと時間稼いでくれよ」

 

ジェノス「はい!先生!」

 

ジェノスは宇宙服を着てない。サイボーグの為、宇宙空間でも活動可能になるよう改良されているからだ。

 

サイタマはシャトルの上に乗ったまま、飛び上がる準備に入る。嘗てフランにも放った必殺マジシリーズを、今度は狙いを付けた上でより強く放つ為に溜めに溜める。

 

ジェノス「うおおおおおおおおっ!!『集束焼却砲』!!」

 

ジェノスが両腕を合わせて、更に体内のコアから全エネルギーを砲塔へ集め、一気に細い砲口から解き放つ。

 

ミリム「面白い!!面白いのだ!!私も全力で放つのだああああああああああああああっ!!」

 

ミリムは自身の必殺技である『竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)』を、今度は一つの光線に変えて放つ。そして、自身の持つスキル『憤怒之王(サタナエル)』によって魔力を無限に生み出し続け、光線の出力を上げ続ける。

 

イレイナ「全く!!後でボッタクりますからね!!」

 

イレイナは自身の知る魔法の中で、全魔力を解き放つ最強の攻撃魔法を放つ。『マダンテ』。自身の全魔力を解き放って起こす大爆発。あらゆる攻撃魔法の中でも上位に位置する力だ。杖の先端を輝かせて、球体に向けた。

 

アズサ「“炎よ、氷よ、風よ、水よ、雷よ、岩よ、草よ、土よ。集束し、害ある物を穿て”!!」

 

アズサは地球に存在する自然エネルギーを両手の間に集束させ、球体に向けて解き放つ。

 

ジェノス、ミリム、イレイナ、アズサの4人が一斉に放つ全力の一撃。最早怪特対の作戦とは違った行動ではあるが、そんな事はどうでも良い。今はバリアを少しでも破壊する。後30秒で球体は地球へ落下してしまう。破壊した際の隕石がいくつか地球へ落下したが、それらの心配は無い。向こうには他のヒーローが、そしてフランが居る。ならば、自分達に出来る事をやり遂げるだけだ。

 

4人の一撃が球体に直撃する。球体は肥大化して4人の攻撃を防ぐが、今までにない一撃の為か、球体全体が波打ち始めた。ジェノスの細長い熱線が当たり、細さに似合わない爆炎が球体を包む。ミリムの光線が球体に当たり、球体に弾かれた光線が宇宙へ飛んでいく。イレイナの起こした大爆発が球体を襲う。アズサの放つ光線が球体に当たり、吸収されない分が斜めへ逸れて宇宙の彼方へ飛んでいく。

 

イレイナ「がっ………此れは、キツいですね………」

 

先に力尽きたのは、イレイナだ。イレイナはマダンテを使用した事で魔力を使い果たし、宇宙服の中の体が汗だくになっていた。

 

イレイナ「後は、頼みます………」

 

アズサ「任せて!!」

 

アズサは光線を放ち続ける。イレイナは命綱を伝って、シャトルへ戻っていく。

 

ジェノス「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

ミリム「このおおおおっ!!いい加減砕けろおおおおおおおおおおお!!」

 

ジェノスとミリムが叫ぶ。ミリムは壊せない事に怒り、その怒りで魔力を生み出し続ける。

 

アズサも魔力の限り光線を放ち続けて行き、軈て顔に疲労が現れ始める。

 

しかし、球体とて無事ではない。球体にヒビが入っていき、軈て穴が開き始める。

 

球体の内部から光が放たれる。穴が閉じ始めた。

 

アズサ「穴が、閉じる!!」

 

ジェノス「させるかああああああ!!」

 

ミリム「もっとだ!!もっとくらええええええ!!」

 

3人は光線の出力を上げる。すると、バリアが砕けて行く。球体内部の存在は、イレイナの放った一撃必殺のマダンテを防ぐ為にバリアを厚くした。しかし、その後にジェノスやミリム、アズサの継続的攻撃を受け続けた事で、バリアが維持出来なくなってきていた。

 

ジェノス「先生!!」

 

サイタマ「おう」

 

サイタマはシャトルから跳んだ。命綱すら千切り、いつの間にか宇宙服すら砕け散る。しかし、サイタマは何ともない様子のまま球体に迫り、拳を握り締める。

 

サイタマ「必殺マジシリーズ」

 

塞がろうとする穴。しかし、それより速くサイタマが動く。

 

サイタマ「マジ殴り」

 

そして、サイタマのマジ殴りが球体の穴に放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイタマに殴られた球体。

 

 

それは粉々に砕かれ、3つの光線がサイタマや球体の中心部もろとも巻き込んでしまう。

 

ジェノス「ハッ!!先生!!」

 

アズサ「しまった!!!」

 

3人は攻撃を止めた。

 

サイタマを巻き込んでしまい、3人は慌てて攻撃を止める。

 

しかし、爆煙が晴れたあとに現れたのは、全裸になったサイタマと、宇宙空間に浮かぶ一つの小さな時計のような物体だった。

 

???『まさかあのバリアを壊すとはな。“神”に封じ込められたとはいえ、私の力を破るとは思わなかったぞ』

 

そして、その物体はその場で浮遊した。

 

???『タイムジャッカーの残党から逃れたは良いが、“奴”に封じ込められるとは思わなかったな。この世界の生命体も想像以上だ。だが、私のやる事は変わらん。オーマジオウの世界に変える。それは、変わらんのだから』

 

そして、時計のような物体はその場から消えた。

 

サイタマ「………よく分かんねぇけど、強いよ。彼奴」

 

ジェノス「先生!無事ですか!?」

 

宇宙空間で浮いているサイタマに駆け寄るジェノス。肩のジェットを駆使して宇宙空間を移動し、サイタマの手を掴む。

 

ミリム「彼奴とんでもないのだ!ん?どうしたのだアズサ?」

 

アズサ「良いから早くあの人に服を着させてよおお!////」

 

アズサはサイタマが裸となっており、片手を振り回しながら顔を反らす。

 

その頃、シャトルの内部でもアトミック侍達がサイタマ達の活躍を見ていた。

 

アトミック侍「とんでもねぇ奴が居たもんだな」

 

童帝「えええっ!?宇宙空間ですよ!?何で平気なんですかあのおじさん!?」

 

メタルナイト『全くとんでもない奴だ。あの攻撃で平気なだけでなく、宇宙空間にすら裸で平然としている。本当に人間か?』

 

こうして、隕石の破壊に成功したサイタマ達。一方地上でも、とある闘いが繰り広げられていた。




名前:アナザーオーマジオウ
元ネタ:仮面ライダージオウ
災害レベル:神
概要
オーマジオウのアナザー。変身者はいない。それはタイムジャッカーの残党が保険にと保管していたアナザーウォッチが意思を持ち、別次元へと転移し、ヒーローと怪人の気配を感じてこの世界へとやってきた。この世界全てを支配しオーマジオウの世界に変えることを目的とする。能力は時空操作、創造、破壊、次元干渉、ライダー・怪人能力再現などあるやることが可能。

名前:ワーム・サナギ体
元ネタ:仮面ライダーカブト
災害レベル:虎
概要
仮面ライダーカブトのワームのサナギ体。この時点でも軍人だけでも倒せるレベル。しかし、成体となってしまえばかなり厄介である。アナザーオーマジオウの影響によりこの世界に出現した。

名前:ワーム・成体(モンハナシャコ型)
元ネタ:仮面ライダーカブト
災害レベル:鬼
概要
仮面ライダーカブトのワームの成体。今回登場したのは飛び出した目のような器官を頭に持ち、両手が丸まった鈍器になっているモンハナシャコ型。おまけにクロックアップも使える。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

残骸と動き出す連合

地球では、降り注いで来た隕石の破片に、空を飛べるフランと師匠が対応していた。

 

隕石の破片はZ市へ降り注いでおり、全てが降って来れば中心街は壊滅するだろう。既に避難は怪特対とヒーロー達によって完了しているが、それでは意味が無くなってしまう。

 

フランは空を飛び、全身から光パワーによって生み出した光球を隕石の破片に当てていく。光球が当たった破片は爆発によって砕け散り、小さな破片のみが街に降る。それでもビルの窓を割って突き抜けてしまうが、目立った崩壊は起こさない。

 

師匠『向こうは派手にやってるな!!』

 

フラン「大きいのが来る!紅蓮武装!」

 

フランは炎を纏った拳で巨大な破片を殴り、粉砕した。粉々に砕けた後、師匠が念動力で破片を更に砕く。

 

しかし、2つの破片が2人の横を通り過ぎる。とはいえ、2人は慌てない。何故ならば、彼等だけではないのだ。

 

ライカ『ヤアアアッ!!』

 

赤いドラゴンが隕石の破片に向かってブレスを放ち、爆発させて粉砕する。ライカがドラゴンの姿になったのだ。更に、もう一つの隕石には別のドラゴンが対処した。

 

フラットルテ『アタシに任せるのだー!!』

 

フラットルテだ。フラットルテは青いドラゴンの姿となり、降り注ぐ隕石をブレスで凍らせる。熱を纏った隕石すらも凍らせてしまうフラットルテのブレス。隕石は粉々に砕け、凍った隕石がビルの屋上へ落ちる。ビルの屋上に突き刺さったものの、避難したお陰で被害者は居ない。

 

勿論地上でも、ビルの屋上や道路、住宅街でS級A級問わず様々なヒーロー達が落下してきた隕石の破片を次々と粉砕してくれる。お陰で街が多少壊れるだけで、大きな被害を出す事は無い。

 

しかし、いくつかは海に落下しており、その落下による若干の津波までは対処出来なかった。

 

とはいえ、避難用シェルターに集まった市民達は、ヒーロー達の活躍をモニターを介して見ていた。地上と宇宙、それぞれの活躍を映したモニターを、市民達は見ていた。ヒーロー達の勇敢な姿に涙し、歓喜し、讃えていた。自分達の為に戦ってくれるヒーロー達に、誰もが尊敬と感謝を抱く。

 

???「おうおう、やるねぇ。ヒーロー様は勇敢なこった」

 

たった一人を除いては。

 

???「それでこそ俺の獲物に相応しいぜ。いつかこの俺が狩り尽くす為にも、此処で無様に負けるんじゃねえぞ。この、怪人ガロウによって狩られるまでな」

 

その男はそう言った後、避難シェルターを1人去って行った。

 

その男が去った後、いつの間にか隕石の破片は降り注ぐ事が無くなり、宇宙でもサイタマ達による隕石破壊の報告が上がった。

 

『S級ヒーロー、そして2名のB級ヒーローの活躍により、隕石破壊!世界を救った英雄達!』

 

世界中が歓喜した。隕石は国一つに留まらず世界をも滅ぼしかねない危険性を持っていた。それを見事に破壊し世界を救ったヒーロー達を、誰もが讃えた。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

シャトルが空港に降りる。滑走路を走り、シャトルが指定の位置で止まる。

 

多くのマスコミや世界各国の首脳、そしてヒーロー協会の代表者達や怪特対のメンバー、そしてZ市を守ったヒーロー達が、シャトルから降りるヒーロー達を迎えるべく集まっていた。

 

女性アナウンサー「来たわ!!カメラ回ってる!?」

 

マスコミが集まりだす。

 

そして、シャトルから降りてきたヒーロー達。眠るタツマキを背中に背負う、新しい宇宙服を身に纏うサイタマ。顔の半分が焦げているジェノス。童帝によって背負われたメタルナイト。アズサに肩車されるイレイナ。刀を腰に携えたアトミック侍。そして腕を振り回すミリム。

 

全員が降りてきた瞬間、ヒーロー達を出迎える人達からの歓声が響く。誰もが彼等を讃え、マスコミのカメラからフラッシュが耐えない。

 

各国首脳がヒーロー達を讃える。

 

隕石を破壊したヒーロー達。そして、Z市を含めた国を守ったヒーロー達は、彼等からの称賛を受けた。

 

フラン「サイタマ。お帰り」

 

サイタマ「おう。ただいま」

 

――――――――――――――――――――――――

 

その日の夜、とある島にて無数の怪人達が集まっていた。それぞれが海の生物の特徴を持つ怪人達だ。

 

深海族「深海王様。此処で宜しいのですか?」

 

それは、海に住む海人族であり、それぞれが海の生物の特徴に人の容姿を持っていた。彼等は1人1人の体格が大きく、最大で20メートルにも達する者も居る程。しかし、彼等が跪く相手は、数ある海人族の中でも2メートルと小さめではあるが、圧倒的強者である事を現すオーラを放っていた。

 

王冠を被り、赤いマントを被った筋肉質な魚人の男。乳首には♥が描かれ、パンツ一枚だけを身に着けていた。

 

深海王「ええっ。あまり動かなかった天空王から直々にこの島へ集まるよう言われてね。珍しかったからペットも連れて来たのだけど、無駄足では無さそうね」

 

『災害レベル鬼:深海王』

 

そう言った深海王の背後の海から、大きな水飛沫が上がり、深海王がペットと呼んだ怪獣が姿を現した。

 

エビとカニを合わせたような外見を持ち、前脚は左右非対称の大きさのハサミになっている。計六本の脚を持つが、歩行に使うのは逞しく発達した後ろ脚のみで、中脚は細く自重を支えるのに向かない為か、ほとんど動かしていない。

 

すると、大地が揺れ、大地を踏み付ける音が後から響く。深海王のペットである怪獣が咆哮を上げる。

 

『災害レベル竜:レイキュバス』

 

深海王「レイキュバス。まだ攻撃は駄目よ」

 

レイキュバスと呼ばれた怪獣は興奮していた。主人である深海王に敵対している、それぞれの王が現れたからだ。

 

???『ほう深海王。貴様もどうやら天空王に呼ばれたようだな』

 

『災害レベル鬼:古代王』

 

レイキュバスにも負けない巨体を持つ怪獣が、地響きを起こしながら歩いてきた。

 

そしてその背後から、首の骨が音叉のように二股になっている翼竜のような小型の生物群が現れた。

 

『災害レベル鬼:ギャオス』

 

恐竜のような凶悪な見た目をした怪獣達。小型から大型まで居る。ティラノサウルス・トリケラトプス・ステゴサウルスの特徴を持つ怪獣。彼等も古代王と共に続いて現れた。

 

『災害レベル鬼〜竜:凶暴竜・ロックイーター』

 

『災害レベル竜:キングダイナス』

 

深海王「古代王じゃない。氷の中から目覚めたのね」

 

古代王『天空王に叩き起こされたのだ。話があるとな。む?』

 

すると、その場に無数の枝を生やす人面持ちの巨大な大木が現れた。

 

???『深海王、古代王。お前達も天空王に呼ばれたか』

 

『災害レベル鬼:森林王』

 

そして、森林王の背後からも巨大な植物怪獣が姿を現した。

 

『災害レベル竜:ギジェラ』

 

そして、空から突風と共に、天狗のような姿をした怪人が空から降りてきた。空を統べる『天空王』だ。その背後には、彼の息子達であろう怪人達が現れた。

 

『災害レベル鬼:天空王』

 

天空王「おおっ!よくぞ集まった!それぞれペット達を連れて来たようだな!」

 

そう言った天空王の背後にも、巨大な怪獣達が空を飛んでいた。その中でも大きいのが、嘴の中に青い両目を持つ二本脚の鳥型怪獣だ。

 

『災害レベル鬼:レギーラ』

 

天空王「我が息子達を紹介しよう!ホーク、イーグル、ファルコン、カイトだ!」

 

ホーク&イーグル&ファルコン&カイト「「「「おう!!」」」」

 

古代王『天空王!我等を呼び出したのはそんな下らぬ家族紹介の為か!?此処で貴様を殺してやっても良いんだぞ!!』

 

古代王が口に赤い火球を展開する。すると、深海王が手を上げて古代王を静止する。

 

深海王「止めなさい古代王。天空王も私達を集めたのなら、何か考えがあるんでしょう」

 

森林王『………早く答えよ』

 

天空王「おっと失礼。単刀直入に言おう。過去の諍いを一時は忘れて、今回は共に手を組まないか?」

 

今ここに、最悪の連合軍が結束しようとしていた。




さっきまでジオストーム観てたので、洋風な終わり方にしてしまいました。

名前:レイキュバス
元ネタ:ウルトラマンダイナ
災害レベル:竜
概要
深海王の忠実なペット。火炎弾と冷凍ガスを使いわけるほどの知能を持つ。

名前:オリジナル・ギャオス
元ネタ:小さき勇者たち~ガメラ~
災害レベル:鬼
概要
小さき勇者たちに登場したタイプのギャオス。平成3部作のギャオスと違い元々そういう生態の古代生物。比較的小柄で耐久力は低いが肉食の上群れで行動するので非常に危険。首の骨が音叉のように二股になっており、ここから超音波メスを発する。しかし、これには大きな弱点が有り、この部分の骨が破壊されると超音波メスは一切使用出来なくなる。完全な夜行性で強い光を嫌う。最も厄介なところがその細胞に他の生物を怪人化させる効能があり、死体となっても油断はできず入念な処理が必要である。

名前:凶暴竜・ロックイーター
元ネタ:ウルトラマンネオス
災害レベル:鬼(大型は竜)
概要
古代王のしもべ。巨体を誇る大型種と小型種が存在しており、大型種は単独で、小型種は群れを成して行動する習性を持つ。特殊な力はないが皮膚はレーザーすら効かないほど。

名前:キングダイナス
元ネタ:ウルトラマンネオス
災害レベル:竜
概要
古代王のしもべ。ティラノサウルス・トリケラトプス・ステゴサウルスの化石を一つにまとめ、古代王の力で巨大な怪獣の姿に変貌させた。突進攻撃やステゴサウルスのトゲ付き尻尾による攻撃、口から火炎弾を吐く。

名前:ギジェラ
元ネタ:ウルトラマンティガ
災害レベル:竜
概要
森林王が太古の植物から作り上げた人工植物怪獣。幻覚作用のある麻薬の様な黄色い花粉を吐き出す。これを吸い込んだ人間は快楽の夢に落ちその魅力から抜け出せなくなる。植物なので夜間は花粉を出さなくなるが、その間花粉を吸った人間は禁断症状に襲われる。これを使い人間社会を破壊し、その隙に征服するという作戦。

名前:レギーラ
元ネタ:ウルトラマンマックス
災害レベル:鬼
概要
天空王のペット。目からは相手を縛り付ける怪光線、口からは火炎弾を発射し、腹部の両側から鎌を出して相手を拘束する。マッハ2.5で空を飛び衝撃波を発生させる。身体はレーダーに探知されない特殊な体質をしている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

手合わせと勝敗

いくつか日常編を入れて行きます。漫画版のみ見られた番外編にも絡んで行きたいです。


隕石騒動から数日後。フランは師匠と共に荒野へ来ていた。但し、今回は2人だけではなく、サイタマとジェノス、そして何故かタツマキやフブキ、バングや童帝、そしてヒナタやアトミック侍、アズサやイレイナ、ミリムにフラッシュ、カミナガにアサミの姿もある。メタルナイトは来ていない。

 

今回行うのは至ってシンプル。フランとジェノスの試合だ。師匠が審判を行い、サイタマが見守る。そんな試合だ。

 

S級達はフランとジェノスの試合を見に来たのが目的であるが、カミナガとアサミは手合わせによって得たデータを怪特対を介して協会に報告するのが役目だ。

 

師匠無しのフランも、修行と怪人討伐によって力を付けてきた。災害レベルに例えれば竜、いやそれ以上は行くだろう。

 

しかしジェノスもまた、クセーノ博士のお陰で改造を繰り返し、パワーアップし続けている。

 

そんな2人の試合。とはいえ人気のない場所で無ければ、お互いに本気を出せない。

 

フラン「ジェノス。殺すつもりで掛かって来て」

 

ジェノス「無論だ。俺も容赦はしない」

 

フランは不死身だ。そしてジェノスはコアと脳が無事ならば、クセーノ博士の元で直してもらえる。

 

サイタマ「ジェノスー頑張れよー!」

 

ジェノス「はい!先生!」

 

師匠『フラン。ジェノスの火力はマトモに受ければお前も危ない。適応出来るからって油断するな』

 

フラン「ん!」

 

師匠が出した手合わせのルールは、以下の通りだ。

 

1:回避可能な攻撃は必ず回避する事。

2:ふざけずに真面目にやる事。

3:どちらかが戦闘不能になるまで続行。

4:降参宣言はあり。

5:ハンデとして、フランはもしジェノスから5回も攻撃を受けた場合、フランの負けとする。但し、腕で受け止めて防ぐといった防御は例外とする。

6:相手に直接超能力、念動力を使用するのは禁止。但し物を利用したり、エネルギー弾といった遠距離攻撃は例外。

 

そして、それぞれの戦闘スタイルに入る。ジェノスは体から熱を放出し、中腰の構えに入る。何時でも飛び出せる構えを取ったのだ。

 

フランは四つん這いになり、獣のように四足で巧みに歩き回る。四足獣拳法。フランが独自に生み出した、四足の獣スタイルな拳法。

 

師匠『それじゃあ2人共。準備は良いな?』

 

フラン&ジェノス「「ん/ああっ!!」」

 

師匠『では………よーい……………始め!!』

 

師匠が開始を宣言。その瞬間、ジェノスがフランに向かって飛んでいく。そして、両肩からのジェット噴射による飛び蹴りをフランに向けて放つ。しかし、フランは首を横に傾けて避ける。

 

フランは両手を軸にして体を回転させて、ジェノスを蹴落として地面に叩き付けようとした。しかし、ジェノスは片手から熱線を放って加速させ、フランの振り下ろした脚を避ける。幸いにもフランの脚に熱線は当たらなかった。

 

蹴り降ろした足で地面に立ち、再び四つん這いになったフランは四肢を巧みに動かして走る。人型の手足とは思えない程に巧みで、その上虎のように力強く駆ける。

 

そして、ジェノスは回転しながら片足から地面に降り立ち、両手を合わせた後に焼却砲から熱線を放つ。熱線はフランに迫るが、フランは熱線を避けた後にジェノスに向かって跳んだ。フランはジェノスの目の前まで迫ると、拳の連打を放ってジェノスを攻撃する。ジェノスはフランの放つ拳の連打を真上に跳んで避けた。避けた後、片足を上げてフランに向けて振り下ろす。フランは両手両足で大地を蹴り、ジェノスから離れる。ジェノスの振り下ろした足が大地に直撃し、粉塵が空に到達する。しかしその後、粉塵諸共巻き込んだ大爆発が起きる。フランは爆発に巻き込まれ、後方へ飛んだ。爆煙の中から飛び出したフランは、空中で回転した後に再び四つん這いになって地面に着地した。

 

フラン「1回目……!」

 

ジェノス「こんなスピードでは!!」

 

ジェノスは出力を上げて、自身の速さを上げた。フランはジェノスについて行く。ジェノスの放つ連撃『マシンガンブロー』を全て両手で掴んで止める。

 

フランはジェノスの両手を掴んで上空へ投げ飛ばす。そして、口から冷凍ブレスを吐いてジェノスを攻撃する。しかしジェノスも、両腕を合わせた後に両肩や両腕から装置を生み出し、現時点で出せる最大の焼却砲を放つ。

 

フラン「『ペギラブレス』!」

 

ジェノス「『最大焼却砲』!」

 

フランのブレスとジェノスの極太熱線がぶつかり合い、水蒸気が周囲に広がる。冷気と炎がぶつかり合った事で水蒸気が生まれた。その中でフランとジェノスが拳を放ち続けており、避けたり防いだりしながらラッシュを放ち合う。その内の1つがフランの右肩に当たる。2発目が命中した。

 

それを見ていたサイタマ達は、それぞれ感想を述べる。

 

サイタマ「あれ?ジェノス前より速くね?パーツ変えた?」

 

バング「フランちゃんが彼処まで強いとはのう。じゃが、ジェノス君も負けておらん。お互いに攻撃を読み、回避した上で反撃を行う。しかも動きに無駄が無い」

 

フランとジェノスは攻撃を続ける。ジェノスが片手から炎の弾を連続で放ち続けて、フランは四つ脚で駆けながら弾を避けて行く。ジェノスは、フランが片手を地面に付けて体を回転させながら放った蹴りを避けた後、ジェットで加速させた拳をフランの背中に当てる。3発目の攻撃がフランに当たる。

 

タツマキ「ふーん。中々やるじゃない。フブキ、良い人材を見つけたわね」

 

フブキ「凄い……フランがこんなに強いなんて……」

 

タツマキ「フブキ組に入れるんでしょ?なら、彼奴のボスとして相応しい女になりなさい」

 

フブキ「と、当然よ!今まで迷惑掛けてきた人達に謝罪してきたんだもの!フランに相応しい姉になってみせるわ!」

 

フブキは隕石騒動の後、これまで迷惑掛けてきたヒーロー達に謝罪して回った。フブキから謝罪を受けたヒーロー達は、フブキから謝罪を受けるとは思わず困惑していたが、謝罪を受け入れた者は意外にも多かった。勿論許さなかった者達も居たが、それでもフブキからすれば意外な結果だった。

 

そして、フランは自身の周りに光球を生み出し、ジェノスに向けて放つ。ジェノスは光球を熱線で撃ち落とそうとするが、光球は熱線を周囲に弾くだけで止まらない。

 

ジェノス「なにっ!?」

 

ジェノスは光球を避ける。ジェノスの背後にあった丘に光球が直撃し、大爆発で丘のある大地が更地となった。ジェノスは地面に向けて焼却砲を放ち、煙幕を作る。フランは両腕に羽を生やし、羽ばたいて吹き飛ばした。すると目の前にジェノスが現れ、フランの体にジェノスの蹴りが当たる。4発目だ。

 

フラッシュ「凄まじい攻撃だ。此処まで強いとはな」

 

アトミック侍「ああっ。B級にすんのが勿体ないぜ。だがジェノスって奴も相当強いな。俺も一瞬反応出来ねぇ攻撃もあった」

 

イレイナ「強すぎますね………私より強いんじゃないんでしょうか………」

 

そして、ジェノスとフランの勝負が終わる。ジェノスがフランの頬に拳を浴びせる。5発目の攻撃がフランに当たる。地面を何度も転がるフラン。その際に前歯がいくつか吹き飛び、地面に転がる。とはいえ、歯は再び生えてくる為、問題は無い。

 

師匠『この勝負、ジェノスの勝ち!』

 

ジェノス「よし!!」

 

ジェノスが勝利した。ハンデ付きとはいえ、フランに勝てたのはジェノスにとって大きな一歩だ。

 

フラン「………負けちゃった」

 

ジェノス「とはいえ、ハンデが無ければ俺もキツかった。だがお前も強くなってきたな」

 

フラン「次は負けない!」

 

ジェノス「俺もだ」

 

2人は握手を交わす。2人はこの時から、互いをライバルと認め合った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

料理と刺身

『グオオオオ………』

 

怪獣が倒れる。地底怪獣のツインテールだ。この間フランが倒した個体とは別個体だ。地上に現れ、餌を求めて暴れ回っていた。

 

しかし、フランと師匠の活躍によって再び駆除。また美味しいお肉を確保出来た2人は、フブキ組と合流する場所に向かう為に空を飛び始めた。ツインテールの死体を浮かせながら、念動力で空を飛ぶ2人であった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フブキ組全員が全員集う、とある広場。フブキを筆頭に、マツゲ、山猿、リリーを含めた全メンバーが集まった。

 

フブキ「フランから此処に集まってと言われて来てみたけど、まだ来てないのかしら?」

 

リリー「確か、ご馳走を振る舞いたいと言っていましたね」

 

フブキ「それは楽しみだけど、まだフランとあの剣が到着して………あら?あれは………」

 

フブキが上空を見上げる。フブキ組全員も上を見上げる。すると、其処にはツインテールの遺体を浮かせながら、空から舞い降りるフランと師匠の姿があった。

 

フランは広場に降りて、師匠がツインテールの死体をその場にゆっくりと降ろす。

 

フラン「お待たせ。此れから美味しいご飯を師匠と作る!」

 

師匠『ツインテールは突然変異とかじゃなくて、この地球独自の生き物と分かったからな。オマケにぷりっぷりのエビみたいに美味い。なら、生でも食べられるようしっかり調理すれば………お刺身にも出来る!』

 

フラン「此れから師匠と、ツインテールのお刺身作る!フブキ組に振る舞いたい!」

 

フブキ「そ、それは嬉しいのだけど………この怪獣を料理するの!?」

 

フブキが尋ねると、師匠が刀身を曲げて頷いた。

 

師匠『安心しろ!寄生虫対策もしっかりする!まあ見ててくれ。特等席も用意したから、其処で見学してほしい』

 

師匠にそう促され、フブキ組はいつの間にか用意された人数分の椅子に座り始める。

 

そんな最中に、フランはいつの間にかエプロンを身に着けており、師匠も柄に鉢巻きを身に着けている。

 

師匠『それでは………クッキングの時間です!!』

 

師匠が鞘から飛び出す。鞘はヒーロー協会に要請して用意して貰った物で、童帝が師匠をスムーズに引き抜けるよう左右に広がるタイプを造ってくれた。

 

フラン「おおー!」

 

師匠『先ずはツインテールの頭を落とし、全身の殻を削いで剥きます!頭は後で味噌汁の出汁に使おう!』

 

先ず初めに、師匠がツインテールの頭と首の根元に刀身を当てて、そのまま包丁の要領で押し引きをしながら斬る。その後に全身の殻をフランが剥ぎ取った。光パワーの刀身で殻と肉の間を焼きながら斬る。

 

師匠『ツインテールはエビに良く似てるから、調理法もエビと同じでも問題は無かった!だから、このまま行かせてもらう!背に切り込みを入れて開き、背わたを取り除きます!フラン君、背わたを取り除きたまえ!どれが背わたか教えるぞ』

 

フラン「はい!」

 

フブキ組『ほ、本格的だ!?』

 

師匠が背中に切り込みを入れて、フランは師匠が背わたと指摘した物を取り除いていく。

 

師匠『よし。大きさが大きさだから、多めの塩水と冷水で優しく洗い、終わったらキッチンペーパーで拭き取る!』

 

そして、フランは師匠が流した塩水と冷水で、ツインテールの身を優しく洗っていく。とはいえ大きさが桁違いなので、洗うのにかなり掛かった。

 

師匠『それでは、人が食べられるサイズにまで捌きます!』

 

師匠は刀身で巧みにツインテールの身を斬っていき、フランが切り込んだ大根を乗せた皿へ盛り付けていく。次いでに青じそを添えて、人数分の白米も用意。

 

更に、水でしっかり洗った上で捌いたツインテールの頭部を巨大な鍋に容れて、茹でて出汁を取っていく。

 

ツインテールの刺身。盛り付け方は様々だが、フグの刺し身のような盛り付け方から、一般的な刺し身の盛り付け方、更には旅館で見るような刺し身の盛り付け方にまで、千差万別に盛り付けていく。フランは盛り付け方を知ってる訳では無いが、美味しく見える盛り付け方を無意識の内にやっていた。

 

フブキ組は全員が舌鼓を打つ。フブキもツインテールの美味しそうな身を見て、思わず口から涎を垂らしそうになる。

 

アマイマスク「やあ君達。此処で何してるのかな?」

 

フブキ組全員が声のした方向を向くと、其処に居た人物を見て驚いた。フブキは青褪めている。

 

フブキ「っ!?あ、アマイマスク!?どうしてアンタが此処に居るのよ!?」

 

アマイマスク「今日はドラマや番組関係の仕事が無いオフの日だから、フラン君に会いに此処にやって来たんだ。だが、どうやら忙しそうだね」

 

フブキ「え、ええっ。私達にご馳走を作ってくれてるのよ。あの怪獣のお刺身作ってるのよ」

 

アマイマスク「うん。それは分かるよ。見た目も綺麗だが、美味しそうな匂いもする。実に美しい………」

 

アマイマスクも食欲を唆られる。

 

そして、フランと師匠のお刺身料理が完成した。

 

フラン「かーんせーい!!」

 

師匠『俺とフラン制作、ツインテールのお刺身スペシャルだ!』

 

人数分盛られた白米と、人数分の箸、人数分用意されたワサビや醤油、醤油用の小皿、そして様々な盛り付け方をされた刺身、そして味噌汁。シンプルながらも食欲唆る料理に、誰もが目を輝かせる。

 

師匠『それじゃあ、食べてみてくれ。勿論寄生虫対策はしてるからな』

 

フブキ「じゃあ先ずは、私から頂こうかしら」

 

フブキは箸を掴み、刺身を箸で一切れ摘んで取った後、醤油皿にワサビと醤油を添えて、刺身を漬ける。ワサビを刺身に乗せた後、箸で口に運んで食べる。

 

プチッ………ムニュッ………

 

咀嚼した途端、フブキは口の中にエビの旨味が広がっていくのを感じた。口の中で蕩けた後、脂と溶けた身の旨味が口いっぱいに広がり、噛めば噛む程に旨味が刺身から溢れ出て来る。

 

ゴクッ…………

 

飲み込んだ後も、喉の奥から伝わる旨味がフブキの脳を通じて全身に伝わる。フブキは恍惚な笑みを浮かべて頬を赤くしながら、たった一言だけの、しかし心が籠もった感想を述べる。

 

フブキ「ハァ………美味しい……」

 

フブキ組『オオオオッ!!』

 

アマイマスク「ほ、本当か!?なら、僕にも分けてくれ!お礼を望むなら後で払おう!」

 

アマイマスクがフランに近寄り、彼女の両手を両手で握る。

 

フラン「誰?」

 

アマイマスク「あ、ああっ。すまない。僕はアマイマスク。A級1位のヒーローだ。フブキ君が美味しそうに食べていたから、是非僕にも味わわせてほしい」

 

フラン「ん〜………どうせフブキ組以外にも誰か呼ぶ所だし、良いよ」

 

アマイマスク「ありがとう!お礼は必ずしよう!」

 

そして、フランと師匠の合作『ツインテールのお刺身』はフブキ組だけでなく、アマイマスクにも振る舞われた。

 

その味を堪能したアマイマスクは、フランにある提案を持ち掛ける。

 

アマイマスク「此れは美味い!君達は実に腕の立つ料理人だ!是非今度僕が出演するテレビ番組に出て欲しい!料理番組なんだが、僕は恥ずかしい事に料理が出来なくてね………是非出演してほしい!」

 

フラン「や。興味ない」

 

アマイマスク「そ、そうか………まあ、また気が変わったら教えてくれ。此れが僕の名刺だ」

 

アマイマスクはフランに名刺を渡す。彼の連絡先と名前が記された名刺を見た後、フランはアマイマスクの微笑む様子を見た。

 

しかし、フランも師匠も気付いていた。

 

アマイマスクの今見ている顔が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

フブキ「フラン!早くしないと刺身が無くなっちゃうわよ」

 

フラン「わあー!刺身ー!!」

 

フランは走り出す。アマイマスクはフランの元へ歩き出し、ツインテールの刺身を堪能した。

 

その後、フラン達はツインテールの刺身を堪能し、刺身と味噌汁が無くなるまで食事会は続いたのだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

???「成る程。あれがフランさんと意志を持つ剣ですか」

 

その様子を、1人の男性が見ていた。

 

???「いずれお会いしましょう。その時は、私の計画に協力するか静観するか、聞かせて頂きます」

 

そう告げた後、男は足元から粒子状に消えていった。




この小説では、普段は擬音はあまり使いませんが、刃牙シリーズの動画見て、食事シーンに少しだけ擬音を取り入れてみました。

次回、深海王編もとい、地球連合軍編


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章
先兵と進撃


此処で第二章辺りに突入します。

OP:『青い狼(ウルトラマンガイア)』


とある海岸沿いの街で、巨大怪人の襲撃を受ける。首の付け根からタコの脚を無数に生やし、タコの頭部を持つ人型の巨大怪人。海水で濡れた体を滑らせながら、怪人は逃げ惑う人々に宣言する。

 

タコ怪人「聞け!!地上人共よ!!我は深海からの使者『海人族』である!!我等海人族は『天空族』と『恐竜族』、そして『森林族』と手を組み、地上を支配する事にした。大人しく我等に降伏しろ!!」

 

タコの怪人がそう宣言した後、空から鳥の嘴を持つ天狗のような怪人が他の鳥類さえも超える速さで人々の真上を飛ぶ。更に、恐竜に似た小型の怪獣達が、人々を襲い始める。更に、全身が木のようになっている人型の怪人達も人々を取り囲み始めた。

 

人々『きゃあー!!!』

 

人々『助けてくれぇー!!』

 

海水浴を楽しんでいた人々は逃げ惑う。しかし、怪人達の攻撃は計画的だ。人々が逃げ出す先に別の怪人が回り込んでいる。

 

しかし、人々には希望が居る。そう。ヒーローだ。

 

サイタマ「変な奴等だな」

 

黄色いスーツに、白いマントを靡かせる、禿げた頭を輝かせるサイタマだ。サイタマは歩いて背後からタコ怪人の足元に近付いた。

 

タコ怪人「何だお前は?」

 

サイタマ「俺はヒーローをやっているものだ」

 

そして、サイタマは拳を振り上げた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヒナタ「サイタマ!って……もう終わってたのね」

 

現場に駆け付けたのは、サイタマ以外にも居た。とはいえサイタマの周りは血溜まりとなっており、彼一人で怪人の群れを打倒した事が一目で理解出来る。

 

サイタマ「あっ、ヒナタか?」

 

既に怪人達が倒されたと知った人達は、サイタマ達に感謝を伝える。

 

女性「あ、あの!助けてくれて、ありがとうございました!」

 

ヒナタ「私は今来た所だけど、何があったのかしら?」

 

サイタマ「知らね。沢山居たけど、聞き出せてねぇや。まあ強くも無かったけど」

 

ヒナタ「アンタがそう言うとどいつが強いか分かんなくなるわよ」

 

すると、話を聞いていた人達の誰かが声を上げた。

 

女性「あの………私、逃げながら聞いたんです。タコの怪人が自分達の事を海人族と呼んで、他にも天空族や恐竜族、それに、森林族と組んだと言ってました!」

 

サイタマ「なんだそりゃ?」

 

ヒナタ「…………」

 

ヒナタは漸く深海王と闘うのだと知るが、予想外の出来事に驚いていた。天空王が深海王と共に動いており、アニメ版に登場した古代王も戦力を連れて来た。森林王は知らないが、それでもこの地球の自然界を支配する王達が徒党を組んだのだ。原作以上に激しい闘いになる。そう感じたヒナタ。

 

深海王は並のS級ヒーローさえも倒す実力だ。そんな深海王と同等の強さを持つ3体の王と手を組み、地上へ進撃を開始した。

 

ヒナタ「………兎に角、そいつ等が攻めてくるかもしれないなら、協会にも報告しなくちゃ。サイタマが言うように此奴等が弱いなら、先兵か偵察の可能性があるわ」

 

サイタマ「そっか。だからこんなに弱えのか」

 

ヒナタ「………」

 

ヒナタはスマホを取り出す。ヒーロー協会に報告と連絡を兼ねて、攻めてきた新たな敵とサイタマの活躍を報告するのだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

翌日のヒーロー協会J市支部。其処でスタッフ達が話をしていた。

 

女スタッフ「先日サイタマさんが倒した海人族、そして天空族に恐竜族、そして森林族の大群ですが………ヒナタさんの報告によれば、先兵との事です」

 

ヒゲ職員「という事は……また攻め入って来る可能性があるな。至急、S級〜B級のヒーロー達をJ市に集結させろ!避難警報を出して、市民を避難用シェルターに避難させるんだ!」

 

スタッフ達が対応に追われる。

 

女スタッフ「たった今情報が!A級ヒーローのスティンガー、イナズマックス、炭の魔女、白百合の魔女の4名が、陸海空より現れる複数の怪人達と交戦中です!」

 

更に他のスタッフからも報告が入る。

 

男スタッフ1「援軍要請あり!J市上空から襲来した怪人達と交戦中のバネヒゲ、黄金ボール、スマイルマンからです!」

 

メガネ職員「何っ!?」

 

女スタッフ2「巨大怪獣襲来!あっ、今度は土偶のような顔を持つ怪人達が、怪獣と共にJ市に襲来!巨大植物がJ市に出現!J市の全方位が取り囲まれてしまいました!」

 

ヒゲ職員「なんという事だ……!これまでの怪人達の攻撃とは訳が違う!!」

 

海人族という未知の敵。名前からして海からの使者という事だろう。

 

しかし、襲来してきたのは海の怪人達だけではない。天狗のような怪人や恐竜のような怪人、果てには植物のような怪人までもが現れ、徒党を組んで攻撃を仕掛けて来た。

 

これ程までの大規模攻撃は嘗てなかった。いや、単体で大規模被害を出した怪人は居るが、それでも今回はこれまでの怪人被害と比べて異質だ。威力偵察を兼ねた先兵に加えて、戦力を分散させる戦法、しかし一箇所に攻撃を仕掛ける大胆さも兼ね備えている。大胆かつ計画的な攻撃等、これまでの怪人とは明らかに戦法が違う。

 

女スタッフ「怪特対より連絡!J市の避難活動を行いつつ、敵の情報を解読中との事!」

 

メガネ職員「怪特対!今回も彼等の助けを借りる事になるとは!我々も避難を最優先で行おう!出来る限りヒーローや職員で市民を護衛しつつ、避難誘導を行うんだ!」

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、避難警報が鳴り響く雨と落雷、風が強くなっているJ市。その海岸沿いの道路にて、4人のA級ヒーローが交戦していた。スティンガー、イナズマックス、サヤの3人に加えてもう一人、白いショートヘアにカチューシャ、翡翠色の瞳をしており、白いマントを羽織って白を基調とした騎士風の衣服を身に着けた美少女だ。少女の腰にはサーベル用の鞘を携えており、その手にはサーベルを手にしている。

 

彼女はサヤと共に地上に立ち、サーベルを駆使して怪人達を切り裂いて行く。空を飛ぶ怪人達には当たりにくいが、地上を歩く小型のロックイーター達や海人族には当てやすく、小型のロックイーター達の頭を斬り落とす。また、海人族の魚の体をサーベルで斬る。

 

しかし、空から現れた鳥の頭を持つ天狗のような怪人が少女の背後から迫る。

 

サヤ「アムネシアさん!」

 

サヤが魔力の刃を杖から放ち、少女を背後から襲おうとした怪人を真っ二つに斬り裂いた。

 

???「サヤさんも気を付けて!」

 

『A級ヒーロー9位:アムネシア』

 

アムネシアがサヤの背後から迫る魚人の頭部を、サーベルで一突きして即死させる。

 

その時だった。J市の上空を薄暗い雲が多い、J市全体に雨が降り注ぐ。

 

スティンガーは海人族を倒して行くが、トビウオの怪人の跳んで突っ込んで来る速さを見た後に横へ避けた。

 

スティンガー「イナズマックス!炭の魔女!アムネシア!魚共の動きがさっきより速いぞ!」

 

イナズマックス「嘘だろ!?何でだ!?」

 

サヤ「もしかして、この雨のせいですか!?」

 

アムネシア「雨に濡れて身体能力が上がった………というより海人族の場合は本来のポテンシャルに戻ってるのかも!」

 

海人族は元々海に棲む怪人達だ。地上に出た事で身体能力は下がったが、雨に濡れた事で水中と同じポテンシャルを発揮するようになった。

 

更に雨が激しくなる。年に数回程度しか無いと呼べる土砂降りが、J市に降り注ぐ。

 

アムネシア(おかしい……今日は雨の日だったけど、此処まで激しくなかった筈……もしかして、この土砂降りも自然に生まれた天候じゃない!?仮に海人族が狙って攻めて来たにしても………この土砂降りも天空族?の仕業なの!?)

 

アムネシアの予想でしか無いが、少なくとも海人族が攻めて来た時に雨が降るというのはあまりにも都合が良すぎる。

 

イナズマックス「稲妻回し蹴りぃぃ!!」

 

イナズマックスがトビウオ怪人に回転させてからの蹴りを放ち、稲妻シューズから電撃を放って感電させて即死させる。雨に濡れたお陰で海人族により効きやすくなったが、イナズマックスにも電撃が襲い掛かる。しかし躊躇わない。此処で戦わなくては、先程逃げた市民達に危険が及ぶ。

 

先程、4人が駆け付けた時には市民が多く居た。誰もがヒーローの登場に歓喜したが、避難警報が発令されると全員避難用シェルターへ駆け出して行った。

 

其処から4人は、怪人達と戦い続けている。ギャラリーが居なくなったお陰で、戦いやすくなった。お陰で手加減せずに力を振るい、魔法を連発出来ている。

 

とはいえ、何時までも居られない。

 

サヤ「此処が終わったら、僕達も避難用シェルターに急ぎましょう!彼処を守る人達が必要になる筈です!」

 

スティンガー「ああっ!!急ごう!!」

 

スティンガーはタケノコを回転させて放つ、S級にも匹敵する必殺技を放つ。

 

スティンガー「三連……ギガンティック・ドリルスティンガアアァァァ!!」

 

サヤ「“雷よ降り注げ!ライデイン”!」

 

スティンガーのタケノコの槍が複数の天空怪人を貫き、サヤが杖を輝かせた後に空から落雷を発生させて海人族を撃ち抜いていく。

 

アムネシア「ハアアァァァッ!!」

 

アムネシアは小型ロックイーター達の首を全て斬り落とす。高速の剣技を使用して、ロックイーター達の首を全て斬り落とした。

 

スティンガー「よし!俺達も避難所に行くぞ!」

 

イナズマックス「おう!」

 

サヤ&アムネシア「「はい!」」

 

4人はその場から移動しようとした。しかし、彼等は疲弊していた為に気付けなかった。

 

深海王「あのね。貴方達鬱陶しいから死んで構わないわよ」

 

天空王「ふん。ヒーローとやらはこんなものか」

 

森林王「死ぬがよい」

 

その場に現れた3体の王。彼等の攻撃が、4人に向かって降り掛かった。




ED:『believe〜あきらめないで〜』

アムネシア登場させたは良いけど……ヒーローネームまだ考えてなかった。というか、サヤとアムネシアはお互いをどう呼び合うんだろう。

今更ながらヒーローの紹介を。

名前/ヒーローネーム:サヤ/炭の魔女
元ネタ:魔女の旅々
階級:A級
概要
サヤは転生者ではなく、この世界出身の少女である。妹と共に生まれ付き魔法が使えたのだが、それを知った両親は怪しげな研究機関に売ろうとした。これまで普通の両親として愛してくれたのに、魔法を使えた事で金儲けの道具として売られそうになった事で姉妹揃って逃げ出した。逃げ出した先で当時S級に成り立てであったイレイナに出会い、魔法の正しい使い方を教わってから恋をした。サヤはイレイナに狂信的とも呼べる程に恋心を抱くが、妹はイレイナに嫉妬の感情を向けている。イレイナから予備の帽子を譲り受けてから、イレイナを追う形でヒーローとなった。首から下げたネックレス(二匹のイルカが♥の形で向き合いつつ、♥を抱き締めているネックレス)は、サヤがイレイナの為に有り金叩いて買った品物で、イレイナにも同じ物を渡した。
ヒーローネーム“炭の魔女”は、サヤが“灰に近い感じ”とイレイナと同じ“魔女”を名乗る事を協会に希望し、承諾した協会から与えられたものだ。イレイナに少しでも近付く為に。
能力
箒による飛行と魔法の行使といった、典型的な魔女の力を持つ。
・属性魔法(属性ごとの魔法を行使。読者の皆さんが考えられる属性魔法を行使出来ると思えば大丈夫)
・治癒魔法(読者の皆様が想像出来る治癒魔法は何でも出来る)
・時間操作魔法(自分以外の時間を戻したり加速させたり出来る程度。時を遡るとなれば魔力を持つ人間二人分が必要となる)

名前/ヒーローネーム:アムネシア/未定
元ネタ:魔女の旅々
階級:A級
概要
アムネシアも妹のアヴィリアと共に、この世界出身の住人。毎日記憶を失ってしまう呪いをかけられていた。日記に書かれていた自分の故郷である信仰の都エストへ向かって一人で旅をしていたが、イレイナと出会ってからは共に旅をしていた。マントを羽織っているが魔法は使えず、代わりに剣術が卓越している。腰にはサーベルを携えている。
一見能天気な性格をしているが記憶を失う孤独感と恐怖に苛まれており、それを見抜いたイレイナの日々の地道な思いやりによって記憶がないながらも本能的にずっと一緒にいたいと思うようになる。そのためイレイナを失いかけた時にはそれまでののほほんとした雰囲気が一変し、自分を逃がそうとする“ほうき”に泣き叫んですがりつくほど取り乱した。
元凶を倒し、呪いが解けてからは妹と共にヒーロー協会に所属し、ヒーローとなった。
イレイナに恋愛的感情を抱いており、イレイナは断ったものの、それでも諦めずにアピールし続けている。サヤとは恋のライバルとなっており、イレイナに振り向いてもらう為に今日も努力中である。
能力
ヒナタにも引けを取らない剣術を持ち、バネヒゲすらも超越した腕っ節を持つ。その代わり魔法を使えない。弾丸の速度も見切る程の動体視力と身体能力があり、魔弾さえもサーベルで斬って弾く程。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

出撃と進軍

その頃、Z市のゴーストタウンにあるアパートで、サイタマの部屋ではジェノスとサイタマ、フランと師匠が集まっていた。サイタマは漫画を読んでおり、フランは腕立て伏せを行い続けている。師匠やジェノスは食器の後片付けを行っている。

 

ジェノス「サイタマ先生の順位が、B級46位から2位に上昇しました。フランも32位から3位になっている」

 

サイタマ「おっ。結構上がったな」

 

フラン「隕石壊したから。私は降って来た破片を全部撃ち落としてた」

 

師匠『でも妙だな。本当ならS級とかになってもおかしくない活躍だけどな。協会は何を考えてる?』

 

ジェノス「師匠、その事で俺も調べてみたが、やはりまだサイタマ先生の実力を疑う声も居るらしい。それに、特例で上げる制度は無い為に、通常通りにランクを上げて伸し上がっていく他無いらしい」

 

ジェノスが掌から熱風を出して、皿を乾かしていく。

 

師匠『まあ一気に上げて他のヒーローと揉め事を起こすわけには行かないもんな。まあ何事もコツコツと頑張る方が良いからな。フラン、もう1200回目だな』

 

フラン「ん!」

 

フランは腕立てを止めて、息を深く吐く。首に掛けたタオルで、顔の汗を拭き始めた。

 

すると、ジェノスのスマホが鳴り始めた。ジェノスはスマホを取り出し、通話に出る。暫く通話を続けた後、「分かった」と言って通話を切った。

 

ジェノス「先生。フラン。どうやらJ市にて大規模な怪人災害が起きたようです。先生がこの前戦った海人族に加えて、天空族、恐竜族、森林族が徒党を組んで侵攻を始めたようです」

 

サイタマ「怪人が徒党を組んだのか。彼奴等懲りてねぇんだな」

 

サイタマは漫画を閉じてテーブルに置くと、立ち上がって玄関に歩き出した。

 

フラン「待って!私も行く!」

 

フランはその場で服を脱ぎ始める。下着はフブキ組の女性達が用意してくれた。以前に下着を着けてるかどうかフブキに尋ねられた事があったが、フランは着けてないことを報告。その際にフブキとリリーに連れられて、いくつかの私服とフランに似合う下着を用意してもらった。スポーツブラとスポーツパンツの2つを買い、フブキ組からも新たな服を用意してもらった。黒を基調とした軽装な衣装タイプの服装となっており、おへそも出ている、正に黒猫のフランに相応しい装いだ。

 

以前の白いドレスアーマーから、黒の軽装へと衣装チェンジしたフラン。フブキ組全員からの評価が高く、師匠やサイタマからも「似合ってるぞ」と褒めてもらえた。

 

サイタマ「フランお前、此処で着替えるなよ……」

 

フラン「?」

 

サイタマは冷たい目でフランを見る。流石に着替える所は見なかった。そんな感情がある訳では無いが、サイタマはロリコンではない。しかし、フランは気にせず着替え終えた。

 

ジェノス「先生、フラン、師匠。急ぎましょう!」

 

サイタマ「そうだな」

 

フラン「師匠、行こう!」

 

師匠『だな』

 

こうして4人もJ市に向かった。海人族、天空族、恐竜族、森林族の地球連合軍を潰す為に。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、ある広場にて、4つの種族のそれぞれの王が集結していた。それぞれのペット達を連れて。

 

古代王『進捗はどうだ?』

 

深海王「魔法を使える人間が居たわ」

 

天空王「何っ?そうか………やはり下調べをして正解だったな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を使える奴等が、今の時代に居たのか」

 

森林王「だが、所詮は力を持って居ただけの小娘だ。レッドドラゴン族やブルードラゴン族、魔族のような強者では無かったな」

 

深海王「まあ部下共を倒して安心してたみたいだから、挨拶代わりに不意打ちさせてもらったわ。他のヒーロー共も大した事は無かったし」

 

古代王『ふん。所詮は脆弱な人間共だったわけか』

 

天空王「その人間共は、一つの場所に集まっているらしいな。地底人共には人間共の逃げた先へ回り込ませ、地面の下で待機させている。奴等に命令している。我等4人が避難用シェルターとやらに集まれば、地面から出て人間共を攻撃せよとな」

 

4人の王はそれぞれ作戦を立てる。

 

深海王「それじゃあ、先ずは私達王だけで人間共が集まる場所へ向かうわ。レイキュバス、貴方は大人のロックイーター達やキングダイナスと共にこの街を円を描くように進みながら人間共の集まる場所へ向かいなさい!」

 

レイキュバスは深海王の命令を受けて、ロックイーターやキングダイナスと共に走り出した。

 

天空王「ホーク、イーグル!お前達はレギーラと共に空を飛び回り、今度は台風を起こせ!ワシ等が避難所に着いたら、次はギャオスの群れを解き放ち人間共を喰らい尽くせ!」

 

ホーク「任せな!親父!」

 

イーグル「俺達とレギーラで人間共を震え上がらせてやるぜ!」

 

ホークとイーグルの言葉を受けたレギーラは、甲高い咆哮を上げた。

 

森林王「森林族の部下共より報告だ。地底人共はグラボイズを配置しているらしい。時が経てば攻撃を開始させるそうだ」

 

天空王「ほう。地底人共もやるではないか。此処に地底王が居れば完璧だったが、地上人共に油断して殺られたのは残念だ」

 

深海王「そうね。でも今は地底王の事はどうでも良いわ。私達王同士で、人間共の集まる場所を襲撃するわよ」

 

古代王『良かろう。で、1つ確認だ。お前達は“あれ等”を用意しているか?』

 

古代王が“あれ等”と言った瞬間、深海王、天空王、森林王は理解する。

 

森林王「ギジェラは既にこの街を囲んだ。後もう少しで人間共は快楽の夢に溺れ、戦えなくなるだろう。しかし、ソリチュラは………天空王が持ってきた隕石の破片の中にあった種から作ったが………あれは我等が追い詰められた時の切り札だ!」

 

天空王「そうだ!姑獲鳥は………捕獲に成功したものの奴は危険過ぎる!自分達がもしもの時のために念のため連れてきたが、奴はまだ上空だ!それまで息子達とレギーラ、そしてグエバッサーとライバッサーと共に人間共へ攻撃を仕掛ける!」

 

深海王「私もよ。アカミィは私達海人族の最終兵器。奴は全ての生命を喰い尽くす危険な魚よ。共食いが原因で絶滅していたのだけど、生き残りを見つけて手懐けるのは成功したわ。でも、こいつを放てば私もどうなるかわからないのよ」

 

古代王『構わぬ!念の為に配備させておけ!それに、人間共を支配した暁には………我々同士で地球の統治を掛けて戦おうぞ!』

 

古代王が笑う。大地を揺るがす程の笑い声。しかし、王達は笑って返す。

 

森林王「良かろう。だが全てが終われば、次は貴様等だ!人間共を制圧したら、我等森林族が全てを支配する!」

 

天空王「フハハハハハッ!!そうはさせんとも!!人間共も地上も、地球の全てを支配するのは、大いなる天空の支配者たる、我等天空族よ!」

 

深海王「あら?何を言ってるのかしら?生命は母なる海から産まれたのよ?つまり海の支配者たる私こそ、世界中全生態系ピラミッドの頂点に立つ存在よ?人間共を蹂躙したら、全てを支配するのはこの私と、私達海人族よ?」

 

王達『『『『諸々忘れるな(ないでね?)』』』』

 

こうして、王達は互いの拳をぶつけ合った後、人間達の集まる避難所へ向けて進撃していく。世界最悪の連合軍の魔の手が、徐々に迫って来ていた。

 

しかし、それ以上に希望の存在が、J市に迫って来ていた。




名前:地球連合軍
元ネタ:オリジナル
災害レベル:竜
深海王、天空王、古代王、森林王が徒党を組んだ4つの種族で構成された怪人連合。海人族、天空族、恐竜族、森林族による大規模攻撃は、陸海空を制覇し大規模都市を瞬く間に壊滅させる進撃。海に逃げても海人族が船を沈めて水底に沈め、空へ逃げても天空族の起こす天候と空を飛ぶ速さに圧倒され、陸でも恐竜族のパワーと森林族の侵食が待ち受ける。
また、地底王がもし居ればより強力な軍隊となったのだが、王無き地底人達は4人の王の部下となっている。

名前:グラボイズ
元ネタ:トレマーズ
災害レベル:鬼
概要
未確認の古代生物で、地底に生息する巨大ミミズのような姿で完全肉食、地底から現れては動物や人間を食らう。目がないため聴覚が発達しており地上の獲物の位置を正確にわかる。知能も優れており、落とし穴や建物の周りにトンネルを作り陥没させるなど。弱点として岩や硬い物は突き破れない。

名前:シュリーカー
元ネタ:トレマーズ2
災害レベル:狼
概要
グラボイズの体内から生まれる生物。グラボイズの頭部に脚が生えた姿で、グラボイズ一体につき三体生まれる。グラボイズと同様に目はないが、頭部についている熱探知センサーを使って獲物を察知する。熱を発しているものならなんでも食べるため機械を食べてしまうこともある。お腹いっぱいになるともう一体口からシュリーカーを生み出す。武器を持った一般人でも倒せる。

名前:アスブラスター
元ネタ:トレマーズ3
災害レベル:虎
概要
シュリーカーから脱皮して成長した生物。シュリーカーが更にスリムになり、背中と両腹にヒレのよう物がある姿。ケツ噴射でケツから可燃性の物質を出してその爆発の勢いで空を飛ぶことが出来る。シュリーカーと同様に熱探知センサーを使い、防御力はそこまでない。グラボイズの卵を産む。

名前:凶獣・姑獲鳥
元ネタ:ウルトラマンダイナ
災害レベル:竜
概要
天空王の切り札。空気中の電気をエネルギーとしており、その影響かエネルギー系の攻撃は効かない。攻撃法はプラズマ光弾や落雷、エネルギーを吸収した分身体能力も上がる。更に電気を通して未来予知を行うことができる。天空王が見つけたプラズマ生物で、捕獲に成功したが、自身が死ぬという預言をされ、それを地上の人間達だと思い、襲撃を結構した。襲う際に自分達がもしもの時のために念のため連れてきた。

名前:ソリチュラ
元ネタ:ウルトラマンメビウス
災害レベル:竜
概要
森林王が密かに作り上げた最高傑作。宇宙から飛来した隕石の中に枯れて種があり、それを様々な植物を使い、再生に成功させた。根を生やし成長を続けることで体から「ソリチュランフラワー」という白い花を咲かせ、自身の手下である植物人間「ソリチュラン」を生み出して暗躍し、孤独や疎外感を感じている地球人を自身の元へ集めさせていた。 頭部からは神経を麻痺させる花粉を噴出し、全身だけでなく地底にも張り巡らせている蔦を伸ばして相手を攻撃する。また根の部分にはソリチュランによって連れてこられた人々を人質として捕らえている。最終的には自らを地球上のあらゆる生物と同化させ、地球そのものとなることを目的とし、森林王の望む緑の星に変える。

名前:アカミィ
元ネタ:トリコ
災害レベル:狼
概要
深海王の最終兵器。『海の大食漢』と言われ、放っておくと地球上のすべてを食い尽くすと言われる魚。触手から相手のエネルギーを吸収し、急激に成長する。またその触手には毒があり、解毒するには30分以内にアカミィの身を食べる必要がある。どんどん変形しその生物の特殊能力や特技を身につけ強くなるが、その分美味しくなり、あらゆる魚介類のいいとこどりをしたような味らしい。だが既にアカミィは共食いが原因で絶滅していたのだが深海王が生き残りを見つけて手懐けたがこいつを放てば自分もどうなるかわからない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

襲撃と無双

フランは師匠にサーフィンの要領で乗りながら、雨が降る空を飛行していた。サイタマやジェノスとはJ市に着いた時点で二手に分かれて行動し、フランは師匠と共に避難所へと向かっていたのだ。ジェノスはサイタマと行動し、怪人達を蹴散らしながら避難所へ向かうとの事だった。

 

その時、フランと師匠はある男に出会った。それは、何故か大雨の中で裸になっている細マッチョな青年だ。彼はビルの上を走っていたが、フラン達の姿を見て止まった。

 

師匠はフランが話しやすいように青年の前で止まり、フランは師匠の刀身に胡座をかいて座る。

 

ソニック「何だお前は?」

 

フラン「………フラン」

 

ソニック「フランか。成る程、お前がZ市に降ってきた隕石の破片を砕いた黒猫の少女か。お前もしや、深海王を追っているのか?」

 

フラン「深海王?」

 

ソニック「緑色の筋肉質な半魚人のような怪人だ。俺以外にもS級ヒーローが1人戦った。ぷりぷりプリズナーという男だ。しかし深海王は奴を圧倒し、俺もこのザマだ」

 

ソニックの胸元には何かが擦れたような赤みがあり、裸になっている事を考えれば装備ごと破壊されたのだと、フランと師匠は思った。

 

フラン「………分かった。それで、お前の名前は……」

 

ソニック「俺はソニック。では此れで失礼する」

 

その後、フランの横を走って抜けたソニックは、その場から一瞬にして消えた。

 

フラン「師匠」

 

師匠『ああっ。彼奴がヒナタの言ってた音速のソニックか。確かに実力は高いな』

 

フラン「速かった。もしかしたらフラッシュと同じかも」

 

師匠『だが、今は避難所へ急ごう』

 

師匠は再びエネルギーを柄から放って、フランを乗せたまま空を飛び始める。

 

すると、フラン達に向かって空からある大群が攻めて来た。

 

それは、首の骨が音叉のように二股になっており、ドラゴンのような見た目をした翼竜の群れだ。

 

フラン「っ!こんな時にこの群れは!」

 

師匠『やるしかない!この群れを放置するのは危険だ!』

 

師匠は真上を向くが、フランは師匠の刀身に立ったままだ。そして、師匠はギャオスの群れに向かって突っ込んで行き、フランは左手に青い炎を纏い、右手に電撃を纏った。

 

ホーク『おい!親父から許可されてねぇぞ!避難所を襲わせる手筈だろ!?』

 

イーグル『す、すまねぇ!!何故か知らねぇがギャオス共が突然飛び立って行ったんだ!!』

 

ホーク『そんな言い訳が通じるか!此奴等、急にどうしちまったんだ!?』

 

イーグル『知るか!兎に角ギャオスが暴走した原因を探れ!グエバッサーとライバッサーには引き続き暴れてもらえ!』

 

師匠は上空から響く会話を聴いた。聴覚範囲を拡大したお陰で、遥か上空に居る怪人達の会話も聴こえるようになった。

 

師匠『フラン。此奴等は空の上に居る怪人達の戦力らしいな!』

 

フラン「なら、全滅させる!」

 

フランはギャオスの一体に向けて、右手を握り締めて作った拳から電撃を放った。電撃はギャオスの体を貫き、爆発させる。更にもう一匹がフランに迫るが、フランは青い炎を纏った左手の手刀で真っ二つに切断した。

 

師匠『『カイゲルファング』!』

 

師匠は溶解光線を刀身に纏い、刀身に乗るフランが跳んだ。師匠はギャオスの肉体に突き刺さると、外皮と体内を溶かしてしまい、そのまま貫いた。フランは念動力で空を飛んだ後、口から冷凍ガスを吹き出した。冷凍ガスはギャオスの群れを瞬く間に凍らせていき、道路へ落下させていく。

 

ホーク「な、何だ貴様等!?」

 

イーグル「あのギャオスの群れをこうもアッサリと……」

 

ホークとイーグルの2体は、目の前でギャオスの群れを駆逐し続けるフランと師匠の様子に驚いていた。

 

すると、フランは2体の怪人をギャオスの群れの中から見つけた。

 

フラン「師匠、見つけた」

 

師匠『よし。やるか』

 

そしてその頃、ある場所に1人のS級ヒーローが向かっていた。




今回は短いです。

改めてフランと師匠の能力を載せます。あくまで現時点なのですが。

『能力』
怪人又は倒した相手の能力を得る事が出来る。フランと師匠にもそれぞれ生まれつき特殊な力を持ち合わせている。ロボットも例外ではない。此れまで得てきた能力は以下の通りである。
『完全適応能力』
フラン固有の能力。どんな環境や力にも適応する事が出来る。フランの不死身たる所以も此処から来ており、攻撃にさえも適応し耐性を持つ事が出来る。但しサイタマのような自分より格上の攻撃は適応しきれず、肉体が回復するだけである。その理由は不明で、本人もよく解ってない。
『アースタイタン』
ワクチンマン✕マルゴリを合わせて創った能力。320メートルにまで巨人化(服もサイズ調整可能)。光パワーによる光弾、光線の遠距離エネルギー攻撃。地球エネルギーの使用。体の一部又は刀身を巨大化。飛行能力。
『マンモスフラワー』
体の一部を植物化。地面に突き刺して吸血の根を生やして操る。殺人花粉を広範囲に撒く。突き刺した刀身から根っ子を無数に生やして血を吸い取る。
『ペギラ』
両腕に翼を生やして飛行。口又は刀身から冷気を放ち、相手を凍らせてしまう。放ち過ぎると周りを氷河期に変えてしまう。
『能力融合』
今まで倒して得た能力、吸収して得た能力や身体機能を融合させる事で新たな能力を目覚めさせる。
『四足獣拳法(よんそくじゅうけんぽう)』
四つん這いになる戦闘形態。獣のように駆けたり闘ったりした上でダンスのようにキレキレな動きが出来る。また、師匠を口に咥える事で師匠と連携を取る事が出来る。
『カイゲル』
当たった物を溶かす溶解光線を放つ。
『パゴス』
放射性物質を捕食可能。放射能汚染を起こす激ヤバ光線。地面を掘り進む事が出来る。
『紅蓮武装』
地底王とカマキュリーの能力を融合させる事で誕生させた能力。武器又は拳に紅蓮の炎と高熱を纏い、触れた物を焼く又は溶かす。また、もしフラン又は師匠が複数の武器を持ったとしても、持った武器全てに炎と高熱を纏って問題なく使用する事が出来る。因みに炎の色は青である。
『獣王』
爪を伸ばす、又は刀身を5つに分裂させて、一度の攻撃で5つの斬撃を放つ。『獅子斬流星群』により、連続で斬撃を放ち続ける。
『グランドドラゴン』
地面を掘り進める事が出来る。硬いアスファルトや鉱石するも掘る事が可能。
『マジカルアント』
様々な超能力を使用出来る。念動力や念話、読心、探知等といった超能力を行使可能。タツマキ未満ゲリュガンシュプ以上の精度とパワーを持つ。また、相手の話す言葉が真実かどうか見抜く事が出来る。アリの為、10階建てビルを素手で持ち上げられるパワーがある。
『ネロンガ』
透明化による熱工学攻撃及び光線の無力化は勿論の事、角からの電撃攻撃も可能。電気を食べられる。
『ツインテール』
体の一部又は刀身を鞭状にする。
『グドン』
両腕又は刀身を鞭状にする。
『パッチマミー』
巨大な鋏で切断し、針と糸で縫い付ける。素材問わずどんな硬い物でも切って縫い付けられる。
『銭湯狂』
熱湯や冷水を相手にぶっかけて攻撃する他、広大な浴場のような異空間「銭湯戦闘空間」を作り出し周囲の人物を引きずり込む能力を持つ。空間は混浴かつ体や頭を洗うのに必要な物やシャワー、座る椅子も無限にあり、銭湯や温泉にある風呂が全部ある。
『雑食』
超巨大アフリカゾウと様々な捕食系怪人を組み合わせて生み出した能力。肉や野菜、魚や菓子だけでなく、石や大木さえも何でも食べる事が出来る。
『ガボラ』
ドリル状の鰓を生み出し、体に纏う事で地底を楽に移動出来る。また、放射性物質を捕食出来る上に、溜め込んだ放射性物質を光線にして放つ事で攻撃出来る。
『ゴルバー』
目から放つメルバニックレイや、口から放つ黄色い超音波光線。翼を展開して高速で飛行する事も可能。ワクチンマンの光パワーと対をなす闇の力を行使可能。
『料理王』
様々な料理を作っていった師匠が発現した能力。美味しい料理の作り方を閃き、実行すれば最低限の材料でも美味しい料理を作る事が出来る。


オリジナル技

『カイゲルファング』
使用者:師匠&フラン
カイゲルの溶解光線を刀身に纏い、物を溶かしながら切断する。意味はあまり無いが、再生能力や分離能力を持つ相手に対抗したり、硬すぎる体を持つ相手に対抗する為に編み出した。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

灰の魔女と避難所

J市の海岸沿いの道路。其処へ1人の魔女が空から箒に乗って降りてきた。S級ヒーローのイレイナだ。彼女は道路に倒れているある2人の元へ歩み寄り、手に持った杖で魔法を唱える。

 

イレイナ「……『傷よ、癒えよ(ヴァルネラ・サネントゥール)』」

 

イレイナは回復魔法を唱えた。すると、イレイナが回復させた2人の体に出来た傷が治り始めた。その相手は、血反吐を口から吐き出しながらうつ伏せで気絶するサヤと、何本も歯が折れているアムネシアだ。2人の怪我も折れた歯も、時間が巻き戻るように治っていく。

 

イレイナ「『ベホマズン』」

 

更に、地面に倒れているイナズマックスやスティンガーの元に近付いた後、倒れている2人に向かって回復魔法を再び唱えた。すると、イナズマックスやスティンガーの体の傷も瞬く間に治っていく。

 

サヤ「ん………あっ………い、イレイナさん!?イイイレエエエイナサアアアアン!!」

 

サヤはイレイナの姿を見るとすぐに起き上がり、自分を治してくれたのがイレイナであると知り、驚きつつもイレイナに抱き着こうと飛び掛かる。イレイナはサヤの下顎を掴んで止めた。

 

イレイナ「お元気で何よりでぇす!アムネシアさんもどうですか?」

 

アムネシアは起き上がった後にイレイナの姿を見かけると、イレイナに即座に抱き着いた。

 

アムネシア「イレイナさん!来てくれたんだ!ありがとう!」

 

そして、サヤはイレイナの手を退けた後にイレイナを抱き締めた。2人に抱き締められたイレイナは、2人の頭を撫でる。

 

イレイナ「はいはい。今はそんな事をしてる暇はありません。何があったんですか?」

 

イレイナが尋ねると、スティンガーとイナズマックスが左右に揺れながら起き上がり、何が起きたか説明した。

 

スティンガー「俺達は地球連合軍とかいう連中を足止めしてたんだ。雑兵を全員倒したから避難所へ向かおうとしたら、不意打ちに遭ったんだ」

 

イナズマックス「全部で3人だ。1人は天狗みたいな空飛ぶ怪人で、2人目は半魚人みたいな怪人だ」

 

スティンガー「そして最後の1人が樹木みたいな奴だ。恐らく奴等が地球連合軍のボス共だ」

 

サヤ「スティンガーさんとイナズマックスさんの言う通りです。彼奴等は他の雑兵と違って小柄でしたが、強さは本物です」

 

アムネシア「うん。不意打ちとはいえ、私達は何も出来なかった」

 

イレイナ「………そうですか。恐らくですが、そいつ等は避難所に向かいましたね?」

 

イレイナが問う。4人はイレイナから怒りのオーラを感じた。それが黒いオーラの形となって出て来ているのを、4人はその目で見た。

 

スティンガー「………あ、ああっ。そうかもな」

 

イレイナ「………皆さんの体はもう治ってきた筈です。私は避難所に向かいますので、ついて来てください」

 

イレイナはその場に箒を召喚した後、横向きに乗って空を飛び始めた。その際にイレイナは、無数の翼竜達と戦うフランと師匠の姿を目撃した。

 

イレイナ(そちらはお任せします。避難所は任せてください)

 

イレイナは高速で飛んだ。

 

イナズマックス「俺達も行くぞ!イレイナちゃんに負けてられねぇ!」

 

スティンガー「おう!皆を護る奴は1人でも多い方が良いな!」

 

サヤ「はい!アムネシアさんも行きましょう!」

 

アムネシア「うん!」

 

4人もイレイナを追い掛け始める。サヤの箒にアムネシアも乗り、サヤは箒に乗ってイレイナを追い掛ける形で空を飛び始める。スティンガーとイナズマックスも、ビル群の屋上を伝いながら走り続けた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、避難所には大勢の避難民が集まっていた。護衛として3名のヒーローが市民を護っていた。

 

デスガドリング、スネック、そしてヒナタの3名だ。

 

デスガドリング「奴等は恐らく、避難用シェルターに集まって来る。穴を1つでも開ければ其処から俺が全弾放って蜂の巣にしてやる」

 

スネック「もし空から来ようが、俺とヒナタで対応する。ヒナタ、お前音響攻撃が出来たよな?」

 

ヒナタ「ええっ。サイレンヘッドから奪った能力ね」

 

スネック「今は市民が近くに居るんだ。それは使わないでくれよ」

 

ヒナタ「分かってるわよ」

 

すると、避難所の壁が破壊される。そして、其処から深海王が姿を現した。

 

深海王「見ぃつけたぁ!!」

 

人々がパニックになる。

 

ヒナタ「成る程。深海王が此処で来るのね」

 

ヒナタが深海王の前に出る。

 

深海王「あら?貴女は誰かしら?」

 

ヒナタ「名乗る名は無いわ。此処を襲うつもりなら、死んでもらうわ」

 

デスガドリング「そうか。なら俺は上を警戒しよう。スネック。お前も周囲を警戒してくれ」

 

スネック「分かった」

 

正直深海王程度ならヒナタでも倒せる。しかし、決して油断してはいない。

 

何故なら今回は、深海王だけではないと予想してるからだ。避難所に攻めてくる王は、他に3体も居る。

 

そして、天井が突然崩れ落ちて来た。天井の瓦礫が落ちてきた。

 

デスガドリング「ちぃ!」

 

デスガドリングが左腕のガドリング砲から無数の砲弾を放ち続けて、瓦礫を全て破壊する。

 

しかし、瓦礫の中に紛れている、高速移動で無数の砲弾を回避し続ける影。そして、デスガドリングの懐に入り込み、その腹に鋭い爪を突き刺した。

 

デスガドリング「ごはぁ!?」

 

入り込まれたデスガドリングは回避が出来ず、その場に崩れ落ちてしまう。

 

スネック「デスガドリング!があっ!?」

 

スネックの左肩を鋭い枝が貫いた。スネックは貫かれた肩諸共空中へ上げられてしまう。それは床を突き破って姿を現し、軈て異形の姿を曝け出した。スネックを床へ叩き付けるように放り出した。

 

森林王「ふん。弱い」

 

天空王「フハハハハッ!人間共!降参するなら今の内だぞ!今頃ヒーロー共は、外で暴れている我がペット達の相手で忙しいだろうからな!」

 

天井と壁が壊された事で、避難所の中でも暴風と豪雨が吹き荒れたり降り掛かったりと、人間側の動きが制限される事態が起きる。

 

人々は逃げようとするが、更なる絶望が人々を襲う。

 

古代王『チビ共が。逃げられるとでも、思っていたのか?』

 

古代王が開いた天井から見下ろしてきた。

 

ヒナタ「だから何?私がアンタ達程度で―――」

 

しかし、ヒナタは予想出来なかった事態に遭遇してしまう。

 

アンチ男「うわああああっ!!助けてくれえええ!!」

 

突然小太りの、ヒーローをアンチしていた男が、床を突き破って現れた地底人の1人に捕らえられてしまう。

 

更に床を突き破って地底人達が次々と現れて、市民達に襲い掛かる。

 

ヒナタ「なっ!?くっ!」

 

ヒナタは高速で移動し、アンチ男を捕まえていた地底人の頭を一突きで貫いた。

 

更に市民達に襲い掛かる地底人達を、ヒナタは次々と斬り付けていく。

 

しかし、その隙を見逃す王達ではない。

 

天空王「見事よ!だがワシ等の!」

 

森林王「数多の攻撃を!」

 

古代王『防ぎ切れるか?』

 

深海王「さあ、殺戮の始まりよ―」

 

その瞬間、深海王の全身が爆炎に包まれる。爆炎はすぐに晴れるが、雨のお陰で全身が治り、更に異形の怪物となった深海王の姿が現れる。

 

深海王「何よ此れから面白いというのに。誰かしら?」

 

それは、深海王が開けた穴から現れた2人の男女。先程の爆炎は青年から放たれており、もう1人の女性は杖から無数の氷の矢を放った。狙いは地底人達であり、地底人達を次々と刺し貫いていく。

 

ジェノス「お前が地球連合軍のボスの1人か」

 

イレイナ「みたいですね。あの半魚人はお任せします。私は市民を守りつつ、3体の王を蹴散らしましょう」

 

イレイナは魔女とは思えない程の跳躍で、避難所の中心へと跳ぶ。ジェノスは掌を深海王に向けて告げる。

 

ジェノス「先ずは貴様からだ。排除する」

 

ジェノスはそう告げた後、深海王に向かって跳んだ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

怪獣と戦争

サイタマはヒーローとしての勘が鈍い事は、村田版でも結構上げられてましたね。でも最後の最後にはちゃんと来てくれる。そんな原作主人公です。だから、サイタマにはフランの代わりに怪獣達を相手にして頂きます。勿論彼一人だけではありませんよ。


その頃サイタマは、J市を彷徨っていた。避難用シェルターの場所が分からなくなり、宛もなく走り回っていたのだ。

 

サイタマ「ヤベェ、迷っちまった~」

 

此処に来る途中で立ちはだかってきた怪人達を倒して来た。半魚人みたいな怪人、サイタマが夢で見た地底人そっくりの怪人、天狗のような空飛ぶ怪人、恐竜みたいな怪人、そして全身植物の肉体で出来た怪人達だ。

 

サイタマ「しっかし此奴等、今までの怪人と違って動きが変だったな。なんか俺に殺られても逃げずに向かって来たし、変な所から攻撃するし、なんか連携してるみたいだったな」

 

サイタマから見ても、これまでの怪人達とは動きが違う。サイタマにワンパンされた怪人が居た時、初めこそ驚かれたが、その後は逃げずに連携を取ってきたのだ。攻撃を合わせたり、サイタマが攻撃する瞬間に地底人が彼を地面に引きずり込んだり、恐竜族が背後に回ってきたり、天空族が空から風を起こしたり、海人族が粘液でアスファルトを滑らせたりしてきた。更に味方が殺られた瞬間に攻撃してきたりと、連携攻撃を繰り出して来た。

 

サイタマから見ても、これまでの怪人達と比べて連携が上手く取れていた。とはいえ、サイタマに対しては焼け石に水である。

 

サイタマは歩き続けていると、あるヒーロー達と出会した。

 

???「何という事だ!此奴等を相手にしてる暇は無いというのに!」

 

『S級ヒーロー3位:オールマイト』

 

大きな体格で筋肉質、更にアメリカンなスーツに赤いマントを身に着けた、正にヒーローに相応しい風貌の男が、怪獣の群れと交戦していた。

 

蟹のような怪獣ことレイキュバスが赤い目となって炎を放つ。オールマイトは右腕に力を込めて、パンチを繰り出して風圧を放つ。

 

オールマイト「『TEXAS SMASH』!!」

 

オールマイトは炎のブレスを風圧で消し飛ばし、レイキュバスは風圧で後方へ吹き飛ばされてしまう。

 

更にトリケラトプスとティラノサウルスのような体と頭を持つキングダイナスが、ステゴサウルスみたいな棘付きの尻尾を振り回してオールマイトを攻撃。オールマイトは片手でキングダイナスの尻尾を受け止めたが、針の先端がオールマイトの体に当たる。しかし、その肉体に刺さろうとした針が逆に折れた。オールマイトはキングダイナスを3回転して振り回した後に上空へ投げ飛ばす。オールマイトは跳んでキングダイナスに迫ろうとするが、横からの攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

それは、大型のロックイーターだ。ティラノサウルスに似た体格に加え、長い両腕を持つ大型ロックイーターは、オールマイトに噛み付いた。オールマイトはロックイーターの口を掴んで、そのまま背負い投げの要領で道路へ投げ飛ばし、背中から叩き付ける。

 

オールマイト「『CAROLINA SMASH』!」

 

オールマイトは両腕を☓の字になるよう組んだ後に大型ロックイーターへ向かって飛んで、左右の手でクロスチョップを放つ。大型ロックイーターはクロスの形で粉砕されてしまい、血飛沫が周囲に飛び散った。

 

サイタマ「スゲーな彼奴」

 

オールマイト(むっ?彼処に居るのは………成る程!彼がサイタマ君か!確かに見た目では分からないが、私には解る!彼は強い!)

 

流石に底は知れないが、それでも自分達を上回る圧倒的な力を感じる。

 

サイタマ「オッサン此処で闘ってたのか?」

 

オールマイト「ああっ。だが私は此処で立ち止まる訳には行かないんだ!避難所へ一刻も早く行かなくてはならない!先程ヒーロー協会から応援要請があり、避難所が襲われたとの連絡が入った!ジェノス君とイレイナ君が交戦しているが、嫌な予感がするのだ!」

 

サイタマ「おっ。それなら此処は俺に任せてくれよ」

 

サイタマがそう言った後、大型ロックイーターの一匹がサイタマの頭に触れる。しかし、禿げてるせいかつるんと滑る。

 

サイタマ「頭に触んな!」

 

サイタマが大型ロックイーターを殴り飛ばす。大型ロックイーターは一瞬にして無数の肉塊となり、周辺に飛び散る。

 

ファルコン「馬鹿な!?」

 

カイト「おいファルコン兄貴!グエバッサーとライバッサーを呼べ!」

 

上空では2体の怪人が空へ飛び立つ。更に足止めと言わんばかりに空からギャオスの大群がサイタマに迫る。

 

サイタマ「俺が此奴等食い止めとくからよ」

 

オールマイト「ッ!!分かった!!君に任せる!!また後で会おう!!」

 

オールマイトは走り出す。サイタマの強さは知っていたとはいえ、自分を信じて託してくれたサイタマに感謝した。

 

オールマイト(だがこの流れでは、サイタマ君は避難所には来られない………ならば、私が行こう!皆で力を合わせれば、どんな連合も怖くはない!)

 

オールマイトは駆け出す。S級ヒーローの中でも上位に立つ実力者が、避難所へと迫って来ていた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃避難所でも、激闘が繰り広げられていた。

 

イレイナ「皆さん!!この異空間へ避難してください!!」

 

市民『『『うわああああああ!!』』』

 

イレイナが展開した空間の穴へ、市民達が避難していく。

 

深海王「一匹もぉ…………にぃがぁさぁなああああああああああああああい!!!」

 

ジェノス「行かせるかぁ!!」

 

ジェノスが深海王をぶつかり合う。深海王は雨のお陰で本来の姿となった為に、その強さは竜よりになっているだろう。しかし、ジェノスはフランとの模擬戦を介してさらなる改造を重ねていき、更に強くなった。ジェノスは深海王のラッシュを受け流しつつ打撃を与えて行く。

 

ジェノス「『ガドリングブロー』!!」

 

ジェノスがラッシュを繰り出す。まるで腕が二対千本に増えたかのように繰り出されるそのラッシュは、一見するとただの連打に見えるが、深海王は気付く。

 

深海王「ぐっ!?がっ!」

 

深海王(ま、不味いわ!此奴、私の頭を集中して狙ってる!!いくら雨のお陰で再生出来る私でも脳が破壊されたらアウトよ!)

 

深海王はジェノスのラッシュを受け続けたが、口から溶解液を噴き出してジェノスを狙い撃つ。しかし、ジェノスはそのパターンを読んでいたのか、ラッシュを中断して後ろへ肩からジェットを噴かせて飛んで下がる。

 

ヒナタ「あらあら、そんなものかしら?」

 

天空王「馬鹿な!?何だこの速さは!?」

 

ヒナタは天空王からの攻撃を避けて行く。更に避けるだけでなく、ヒナタは避けた後に天空王の体に突きを放つ。此れで3発目。後4発突けば天空王を即死させられる。別にそうせずとも、闘う中で天空王の頭を突ける。様子を見たかったが、もう良いだろう。

 

ヒナタ「悪いわね。もう此処で―――」

 

しかし、ヒナタに無数の幹が伸びてきた。森林王が伸ばしてきたのだ。

 

更に古代王が口から火炎弾を放ち、ヒナタを攻撃する。ヒナタは火炎弾を避けるが、天空王が起こした風によって吹き飛ばされる。

 

ヒナタ「ちぃ!そう言えば他にも居たわね!」

 

ヒナタの前に天空王、森林王、古代王が立ち塞がる。

 

古代王『人間共にもこれ程強い奴が居たとはな』

 

森林王「ああっ。汚らわしい人間如きの分際で!」

 

天空王「一気に決めるぞ!」

 

古代王、森林王、天空王の3体の王がヒナタに迫る。

 

深海王もジェノスとの戦いを続けた。




オリジナル魔法

名前:『ヘルプスペース』
使用者:イレイナ
空間を作り出す魔法。避難用の異空間であり、核シェルターよりも確実に安全な避難用空間。イレイナはこの中に大量の食糧を備蓄しており、一つの市に住む住民程度なら一週間は養える。外から入るにはイレイナが展開した黄色い空間の穴から入れる。イレイナが解除するか気絶しなければ外に出られない。尚、外から避難用空間の中は見えないが、中からは見える。イレイナのみが空間を行き来出来る。


オリジナルワザ
名前:『ガドリングブロー』
使用者:ジェノス
ジェノスのマシンガンブローの進化技。技自体はマシンガンブローと変わらないが、速度と威力が増した。また、それに加えて狙った場所のみを集中的に攻撃し続ける。素人目には、手が千本増えたかのように見える。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

切り札と天空王の最期

深海王「貴男も中々やるわね!天空王から地上人を嘗めるなと言われたけど正にその通りだわ!」

 

ジェノス「もう再生したのか!?」

 

深海王とジェノスは、いつの間にか避難所から離れていた。深海王とジェノスが交戦を繰り返す内に、いつの間にか外へ飛び出していたのだ。道路の真ん中で激闘を繰り広げる間に、ジェノスの体は内部の機械が見えたり、左腕が潰れてしまう程の損傷を受けた。対して深海王は所々に裂傷や傷穴が開いたりしているが、すぐに治ってしまう。

 

雨が降ってるせいで深海王の体は何度でも再生する。ジェノスが叩き込んだ焼却砲も暴風豪雨のせいで上手く威力が出ない。その為、深海王に致命打を与える事が出来ない。先程の集中攻撃では深海王を後少しまで追い詰めたが、深海王が溶解液を吐き出したせいで避けるしかなかった。しかしそのせいで深海王の再生を許してしまい、深海王は体が治ってしまう。其処まで再生を繰り返したならば、体力の消耗も激しい筈だ。恐らく雨によって体力も回復し続けているのだろう。

 

深海王「随分叩き込んでくれたようね。でも、貴男が私へ叩き込んでくれたどの一撃も、もう完治してしまったわ。その代わり、貴男の体はもうボロボロよ?殴った時に分かったけど、貴男は普通の人間じゃないわね?」

 

ジェノス「俺はサイボーグだ。パーツさえあれば何度でも直せる」

 

深海王「へぇ面白いわね」

 

ジェノス「だが此処にやって来るのは俺と灰の魔女だけではない。ヒナタも居る。そして最強のヒーローは遅れてやって来る。貴様等ごときが決して敵わない、無敵のヒーローが」

 

深海王「へぇ。それは楽しみだわ。でも、切り札を持ってるのは貴方達だけじゃないの。まあ、切り札を使う暇なんて無いでしょうけど」

 

ジェノス「?」

 

すると、避難所から悲鳴が聴こえてきた。

 

市民達『『『キャアアアアアアッ!!』』』

 

ジェノス「っ!?何をした!」

 

深海王「ペット達に暴れて貰えば注意を反らせるけど、それでも何人かは強いヒーローが避難所に来るでしょ?それが分からない程私達も馬鹿じゃないわ。だから私達は、切り札を此処で使う事にしたのよ。空からは凶獣・姑獲鳥が攻めて、ソリチュラが市民達へ攻撃し始めた頃ね。アカミィは……いえ、まだ早いわね。さあ、護り切れるかしらぁ?1人の魔法使いが避難させてたみたいだけど、まだ全員避難しきれてないのは今の悲鳴で分かったし、私達が優勢なのは確かね」

 

深海王はお腹を撫でる。切り札は自身の体内に居る。手懐けたとはいえ、油断は出来ない。深海王はジェノスを相手にしながらも、お腹の中に居る切り札を吐き出す為の体力は温存していた。

 

出て来ようとする此奴を押さえる為に。

 

ジェノス「ぐっ!」

 

ジェノスは深海王を無視して避難所へ戻ろうとした。その際にジェノスは見た。避難所に乗り上げる女性のような体を持つ全身銀色の巨大な人型怪獣の姿を。そして、避難所に咲く巨大な白い花の姿も。

 

深海王「行かせるとでも思った?」

 

ジェノス「ぐはっ!」

 

ジェノスは深海王に蹴り飛ばされた。

 

ジェノスは地面を転がった後に立ち上がる。避難所からは爆発と何かが凍る音、燃え盛る音、そして雷が発生する音が響く。恐らく灰の魔女とヒナタが戦っているのだ。そして、集まってきたヒーロー達も闘っているのだろう。

 

ジェノス「そっちは頼むぞ!」

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃避難所内では市民達の避難が続いているが、それでも残った市民達に怪人達が襲い掛かる。

 

ヒナタ「ぐっ!」

 

イレイナ「ヒナタさん!」

 

ヒナタは襲い掛かる怪人達を次々と斬り裂いていくが、市民達が混じってるせいで思うように斬れない。

 

更に地底から姿を現したミミズのような生物達が飛び出し、市民達に向かって飛び掛かる。

 

『災害レベル鬼:グラボイズ』

 

イレイナ「ッ!!」

 

イレイナは隙かさず氷の矢を放ち、グラボイズを貫いた。しかし、他にも地底から次々と怪物が現れ始める。グラボイズの頭部に脚が生えた姿をした怪物と、その怪物が更にスリムになり、背中と両腹にヒレのよう物がある姿をした怪物が現れた。

 

『災害レベル狼:シュリーカー』

 

『災害レベル虎:アスブラスター』

 

アスブラスターは尻から可燃性ガスを放ち、その爆発を利用して空を飛び始める。

 

サヤ「イレイナさん!」

 

其処へ避難所に間に合ったサヤが駆け付けて、アスブラスターに向けて冷気を放つ。アスブラスターはサヤによって全身丸ごと凍らされていく。

 

地上を走るシュリーカーも、アムネシアのサーベルによって真っ二つに切断される。

 

アムネシア「イレイナさん!」

 

アムネシアはシュリーカーを討伐して、イレイナの元に向かう。

 

更にその間に、スティンガーとイナズマックスも到着し、シュリーカー達を次々と蹴散らして行く。

 

イレイナ「アムネシアさん、サヤさん。間に合ってくれてありがとうございます。スティンガーさんとイナズマックスさんも、間に合ってくれてありがとうございます!」

 

スティンガー&イナズマックス「「おう!」」

 

そして、最後の3人がイレイナの異空間へ避難した。イレイナは出入口を閉じる。

 

イレイナ「『縛れ(インカーセラス)』」

 

イレイナが呪文を唱えて、杖からロープを放つ。ロープは地底人達を縛っていき、拘束する。

 

地底人1「なんだと!?」

 

地底人2「小癪な!」

 

地底人達が周囲から襲い掛かる。

 

イレイナ&サヤ「「『護れ(プロテゴ)』」」

 

イレイナとサヤがそう唱えた途端、イレイナ、サヤの周囲にバリアが張られた。地底人達はバリアに攻撃し続けるが、全く破れず苛つき始める。

 

イレイナ「『スクルト』『ピオリム』『バイキルト』」

 

サヤ「おおっ!唱えるの速いですね!」

 

イレイナは周囲のヒーロー達に強化魔法を掛ける。更にサヤは杖を振り回すと、何処からともなく現れたタル爆弾が空中から現れ、地底を進むグラボイズを上から爆撃する。グラボイズは音で地上に飛び出したが、サヤの放つタル爆弾の爆撃によって撃破されていく。

 

アムネシア「力が溢れてくる!ありがとうイレイナさん!」

 

アムネシアは力が増したのを体感で感じて、走って地底人達を斬り裂いていく。

 

しかし、地底人だけでなく森林族、海人族、更には天空族が空、地底、更には避難所の壁を開けて恐竜達も次々と現れる。

 

ヒナタ「さて、先ずはアンタからよ!」

 

天空王「舐めるなぁ!!」

 

天空王が暴風を起こすが、ヒナタはサーベルで風を斬る。口から出した火炎弾も斬り裂かれ、天空王は再び天空へ逃げ出した。ヒナタは接近戦が主な戦法の為、上空へ逃げられると面倒だ。飛行魔法は持ってない為、跳べない訳では無いが空中では動きづらい。

 

天空王「仕方あるまい………姑獲鳥!ワシと共に闘え!」

 

天空王がそう叫ぶ。しかし、姑獲鳥から返事が無い。既に解き放った筈の切り札だが、動きが見られない。

 

天空王「姑獲鳥!?何をしている!?」

 

天空王が何事かと思い、上を見上げた。すると、有り得ない光景が目に映った。

 

ホーク「お、親父………すまねぇ」

 

イーグル「強過ぎる………地上人共を嘗めてた………」

 

空から落ちてくる、二人の息子達。そして、天空王が見たのは………………1人の少女が姑獲鳥を頭から持って支える姿だった。

 

『災害レベル竜:凶獣・姑獲鳥』

 

フラン「師匠!能力ゲットした!」

 

師匠『ああっ!また俺達は強くなれたぞ!』

 

それは、フランと師匠だ。師匠の刀身は姑獲鳥の額に突き刺さっており、フランが片手で倒れそうになる姑獲鳥を支えていた。

 

天空王「馬鹿な!?」

 

ヒナタ「止まってるなんて間抜け過ぎないかしら?」

 

その瞬間、天空王はヒナタのサーベルによって背中から胸を貫かれた。心臓を丸ごと貫かれてしまう。

 

天空王「ま、まさか………この天空王が…………」

 

その時、天空王は死ぬ間際に、ある事を思い出した。

 

それは、襲撃を仕掛ける前に姑獲鳥から自らの死を予言された事。

 

そして、ある1人の男に唆された事を。

 

――――――――――――――――――――――――

 

天空族の住まう雲の楽園。

 

その王宮の玉座。其処に座る天空王の前に、1人の男が現れた。見た目は人間の男だが、何処か怪しい雰囲気を纏っていた。

 

天空王『何者だ?』

 

???『アポもなく訪れた事を謝罪致します。私の名はメフィラスです。皆様に地上をいち早く制圧出来る方法を教えに来ました』

 

天空王『地上を?確かに地上をいずれ制圧するつもりであったが、何を考えている?』

 

メフィラス『私はこの美しい星が欲しい。ですがその前に、地球の皆さんの実力を確かめる為のデモンストレーションを行いたいのです』

 

天空王『我等にモルモットとなれと言うのか?お断りだ。それに、星だと?貴様はこの星の人間ではないのか?』

 

メフィラス『その話に関してはまた後程。それに、もし皆様が勝利した暁には…………このベーターボックスを授与して差し上げましょう。天空族、恐竜族、海人族、森林族、地底族の皆様にもお配りしましょう』

 

その後、ベーターボックスの性能を見せてもらった所、部下がこれまでとは桁違いの力を得ただけでなく、巨大化し空の怪獣達を蹂躙した。

 

天空王はその話に乗ってしまった。同盟を組む提案も彼から教わった物だ。偵察の件も、切り札の件も、何もかもメフィラスという男の入れ知恵だ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

天空王(今だから解る…………我等が負ける事を奴は知っていたな!この天空王が………この様な策略に!くそぉ!)

 

天空王は絶命する寸前に、空の彼方へ手を伸ばしながら恨み言を告げる。

 

天空王「巫山戯るなぁ!!メフィラスゥゥゥゥッ!!」

 

ヒナタ「っ!?」

 

そして、天空王は仰向けに倒れてしまい、そのまま息を引き取った。

 

ヒナタ(今……何か叫ばなかったかしら?)

 

ヒナタはそんな疑問を抱きながらも、襲い来る怪人達を次々と斬り伏せていく。

 

森林王「馬鹿な!?あの最速を誇る天空王が!?」

 

古代王『有り得ぬ!?こんな馬鹿な事が!!』

 

深海王「何ですって!?ちょっとレイキュバスはどうしたのよ!?グエバッサーは!?ライバッサーは!?ロックイーター共は!?ギャオス共は!?いくらなんでも遅すぎるわよ!!」

 

王達は動揺する。更に彼等に追い討ちを掛ける出来事が起きた。

 

サイタマ「それこいつ等じゃね?」

 

オールマイト「SMAAAAASHUUUUUUUU!」

 

その場に現れたサイタマが、数多の怪獣達の頭部をその場に放り投げる。古代王と深海王の足元に、グエバッサーとライバッサー、ロックイーターにレイキュバスの頭部が放り投げられた。

 

更に、古代王の背後に居た怪獣達がオールマイトの突進によって貫かれた。

 

サイタマ「フランと師匠の土産にと思って持って来たんだけど」

 

オールマイト「まさか私が走って数秒で片を付けるとは思わなかったが、イレイナ君達が頑張ってくれたお陰だ!此れで我々も思い切り闘える!!」

 

そして、死体を見た古代王、深海王、森林王は動揺する。

 

古代王『貴様等………まさか貴様等が我等の部下やペット達を!?』

 

深海王「ふ、ふざけんじゃないわよ!!こんな、こんな巫山戯た人間共に!!」

 

森林王「おのれ!!おのれおのれおのれえええええええええええ!!!」

 

森林王が蔦を伸ばして来たが、フランが口に咥えた師匠が刀身から放つ糸と針によって、森林王は床に縫い付けられてしまう。

 

森林王「ば、馬鹿な!?」

 

フラン「んむっ」

 

師匠『植物の怪人か。此奴も今から頂くか』

 

更に、ジェノスに思わぬ援軍が駆け付ける。

 

ぷりぷりプリズナー「先程は手酷くヤラれたが、今度はそうは行かないぞ!!」

 

それは、深海王に打ちのめされたS級ヒーロー、ぷりぷりプリズナーであった。ジェノスは援軍が来た事に歓喜し、ぷりぷりプリズナーと共に深海王を迎え撃つ。

 

そして、古代王の前にサイタマとオールマイトが立つ。

 

ヒーロー対地球連合軍の戦いは、間もなく終わろうとしていた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

取り逃がした脅威と最終決戦

天空王が倒された。王達は動揺するが、それでも彼等は闘う。

 

深海王は、ジェノスとぷりぷりプリズナーの2人と闘っていた。ぷりぷりプリズナーは理由は省くが全裸となり、逞しい筋肉が震えている。

 

深海王「また私に負けに来たのかしら!?言っておくけど雑魚が2匹揃った所で私には勝てないわよ!!」

 

深海王がぷりぷりプリズナーの胴体を殴る。しかし、ぷりぷりプリズナーは避けない。寧ろ仁王立ちをして、深海王の拳を受け止めた。

 

ぷりぷりプリズナー「ああっ、俺は確かに貴様に負けた。しかし、俺が負けた原因は強さだけではない!俺が負けたのは、俺が護りたいと願う全ての男子達に対する“愛”が足りなかったからだ!!」

 

ぷりぷりプリズナーの体が膨張する。不思議と彼の背後に天使の翼が浮かぶが、それは増えていた。2対6つといった天使の翼。勿論実際に生えてきた訳では無いが、深海王とジェノスはその光景に目を奪われる。

 

ジェノス「なんてエネルギー!?ただの身体能力だけで此れ程のエネルギーを!!此れがS級か!」

 

深海王「そ、そんな馬鹿な!?有り得ない!!有り得ないわ!!」

 

深海王は、これまで感じた事のない未知の感覚、即ち『恐怖』によって体が震えていた。しかし、それと同じ位に海の王としてのプライドが深海王の中で厚くなる。

 

ぷりぷりプリズナー「ジェノスちゃん。後は俺がやる。貴男はイレイナちゃん達を援護してほしい!頼む!!」

 

ジェノス「分かった!頼むぞ!」

 

ジェノスはその場から走り出し、避難所へ乗り込んだ。

 

ぷりぷりプリズナー「此れから俺がやる事は、全ての男子達への愛と、その男子達を悲しませようとする貴様への怒りを………拳に乗せて放つ一撃だ!!海よりも偉大な愛と怒りの力を、受けるがいい!!!!」

 

ぷりぷりプリズナーの膨張した拳が虹色に光る。本当に膨張し光っているのではなく、周囲の人間にはそう見えるだけだ。無論それは、深海王も例外ではない。

 

深海王「ふ、ふざけないで頂戴!!そんなもので私が!!この深海王がやられると思ってるの!?この、海の王たる私が!!そうよ!!私は深海の王!!海の王!!海は生命の源である母の如き存在!!つまり母なる海の支配者たる私こそが、世界中全生態系ピラミッドの頂点に立つ存在なのよ!!その私に楯突いたという事は――――」

 

ぷりぷりプリズナー「それがどうした!!大いなる愛に比べれば、海なんてただの小さな水溜りだ!!そして俺は“愛”の為に闘うヒーロー!!今の貴様よりも、今の俺が強い!!」

 

深海王「――――――――――――っ!!!!!!!」

 

深海王はキレた。もはやヤケクソだった。深海王は力に任せて拳を振り下ろす。

 

ぷりぷりプリズナー「シン・エンジェルウウウウウウウウウウウウウウウ………スマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッシュッ!!!!!!!」

 

ぷりぷりプリズナーが己の持てる全力と、“愛”を込めた拳を深海王に向けて放つ。深海王の拳とぶつかった。

 

深海王「私は海の王………人間の拳如きがあぁぁっ!!」

 

ぷりぷりプリズナー「大いなる愛は、海よりも大きいのだ!!」

 

ぷりぷりプリズナーの拳が深海王の拳を押し潰し、軈て彼の胸元を貫いた。雨を吹き飛ばし、空が晴れる程の一撃により、深海王の上半身が跡形もなく吹き飛んだ。

 

ぷりぷりプリズナー「………ふー……ハッ……」

 

ぷりぷりプリズナーは息を吐いた。

 

ぷりぷりプリズナー「それにしても………あの男に治して貰ったが、まさか此処までの力を………一体何者なんだ?」

 

ぷりぷりプリズナーは自身の背後を見た。自身は深海王に負けて気絶していたが、ある男に体を治して貰った。その時、体の底から力が湧き上がり、今こうしてリベンジに成功した。

 

治した男は見当たらない。もしかしたら近くに居るかもしれないと感じたからだ。もしまた会えたら、お礼にディープキスをしよう。そう考えたぷりぷりプリズナーは、その場にうつ伏せとなって倒れた。この技を使ったせいで、暫く動けそうになかった。

 

だから、彼は気付けなかった。深海王の体から飛び出した小さな魚が、下水道へ入り込んでしまった所を。そしてその様子をビルの屋上から見つめる、黒スーツを着た胡散臭い男の姿を。

 

――――――――――――――――――――――――

 

サイタマ「何だ此奴?恐竜みてぇだな」

 

オールマイト「ああっ、ボス達の中でも一際大きい!サイタマ君は周りの怪獣達を頼む!」

 

サイタマ「おう」

 

サイタマは自分達に向かってくるロックイーター達を迎え撃つ。その間にオールマイトが古代王の前に立つ。

 

オールマイト「君の相手は私だ!!」

 

古代王『ほう。確かに強い!嘗てこの地球を支配していた恐竜族の長である、この古代王に倒される資格がある!』

 

古代王は脚を上げると、そのまま足を振り下ろしてオールマイトを潰そうとした。

 

しかし、オールマイトは片手だけで古代王の足を受け止めた。そして、そのまま片手を上げて押し返した。後方へ後退る古代王。

 

古代王『ほう!貴様のような実力者が地上に居たとはな!天空王の話は真であったか!だが我等を滅ぼしたければ、隕石を落とす他無い!』

 

オールマイト「そうか!ならば………私も本気で君を倒そうじゃないか!!」

 

オールマイトは右腕に力を込める。オールマイトが放つ圧倒的なパワーが、右腕に込められていく。

 

古代王『おおっ!!おおおおっ!!認めよう!!貴様こそ我が追い求めていた強者だ!!侵略も同盟も最早どうでも良い!!我も全力を持って貴様を討ち果たさせてもらおう!!』

 

古代王はそう叫ぶと、口を大きく開いた。開いた口の奥から大きな火球を生み出し、オールマイトに狙いを定める。

 

古代王『喰らえ!!『ジュラシックバースト』!!』

 

古代王が口から放つ、極太かつ周囲のビルやアスファルトを熱気だけでドロドロに溶かす熱線。自身に向かってくる熱線に対して、オールマイトは拳を振り下ろす。

 

オールマイト「『DETROITOOOOOO………SMAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASHUUUUUUU』!!」

 

オールマイトの全力の一撃が、古代王の放つ熱線とぶつかり合う。

 

オールマイト「ヌオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

オールマイトは拳に更に力を込める。古代王の放ち続ける熱線がオールマイトの拳に当たり続ける。しかし、熱線は一瞬にして押し返され、古代王の熱線はオールマイトの拳によって跳ね返される。その影響により、恰もオールマイトの拳から放たれたかのような炎の拳へと姿を変え、古代王の胸に直撃する。軈て、古代王の胸を貫通し、遥か上空へ吹き飛んでいく。

 

古代王は血を口から吐いた。

 

古代王『見事………死ぬ前に貴様の名を聞きたい……』

 

オールマイト「私はオールマイト!正義の味方だ!」

 

古代王『オールマイト…………貴様は我を破った……最高の戦士よ……………尊敬にあた…………い………………』

 

古代王は最期まで言葉を紡げず、その場にうつ伏せとなって倒れる。倒れて絶命した時の古代王の顔は、何処か安らかな雰囲気であった。

 

オールマイト「………君達のした事は許される事ではない。しかし、どうか安らかに…………」

 

オールマイトは古代王の頬に近付き、撫でる。

 

サイタマ「終わった?」

 

オールマイト「そちらも終わったんだね」

 

サイタマ「ああっ」

 

一方のサイタマも、既に決着が付いた。彼の背後には怪人や怪獣が全て弾け飛んだ死体となっており、道路は血肉のプラネタリウムとなっていた。

 

サイタマ「中はフランが居るんだ。大丈夫だろ」

 

オールマイト「あの猫耳の少女だね?私も見に行ってみよう」

 

二人は避難所へ歩いていく。すると、サイタマは振り返る。しかし、気のせいかと思い、避難所の方を向いた。

 

サイタマが振り向いたのは、先程までぷりぷりプリズナーを見ていた男が居た屋上のあるビルだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フラン「イレイナ!サヤ!ヒナタ!そして此処に居るヒーロー達!此奴は任せて、皆は周りをお願い!」

 

イレイナ「分かりました。私達は雑魚達を引き受けます」

 

ヒナタ「まあ大丈夫だろうけど、気を付けて」

 

イナズマックス「オラァ!!俺はまだまだやれるぞ!!」

 

スティンガー「俺もだ!!」

 

スネック「次は油断しない!此処がお前達の墓場だ!!」

 

サヤ「アムネシアさん!後ろは任せます!!」

 

アムネシア「サヤさんも気を付けて!」

 

A級ヒーロー、そしてイレイナ達は周りに現れる怪人や怪物の駆除に入る。地底人達や天空族、海人族、森林族、恐竜達は彼等の猛攻を受けて隊列が乱れつつあった。

 

森林王「貴様等人間………いや、貴様は自然に産まれた者ではないな?人間に生み出された出来損ないの命が!!」

 

フラン「……何とでも言えばいい。でも、私は出来損ないなんかじゃない!!」

 

森林王「我は森林の王!!森は生命を地上に育んできた!!しかし森は徐々に失われ始めた!!お前達人間共によって!!よって我等森林族が、貴様等人間共を根絶やしにする!!そして、そんな人間共に味方する貴様もな!!」

 

フラン「………やってみろ」

 

師匠『フランは出来損ないなんかじゃない。お前は決して勝てない』

 

森林王はフランに向かって進む。

 

次回、真の最終決戦。




オリジナル技

『シン・エンジェルスマッシュ』
使用者:ぷりぷりプリズナー
ぷりぷりプリズナーが腕だけでなく、全身の力に加えて自身が抱く“愛”の強さに比例して威力が上がるストレートパンチ。深海王の再生する肉体の殆どを消し飛ばし、天候さえも変えてしまう。代償として暫く動けなくなってしまう。この技は本来ぷりぷりプリズナーの技ではなく、メフィラスがぷりぷりプリズナーを治した際に与えた力によって行使可能となった。以降放つには、ぷりぷりプリズナーが強くならない限り一生放てない。

『ジュラシックバースト』
使用者:古代王
古代王が口から放つ煉獄の熱線。摂氏10万℃の熱線を放ち、一つの山を消し飛ばす威力がある。

次回、森林王との決着に入ります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終決戦と闇の魔法

森林王が全身から枝や根を伸ばし、フランを捕らえようと伸ばして来る。フランは四足になり、師匠の柄を口で咥えながら床を走る。獣のように身軽に走るフランは、森林王の伸ばして来る触手を軽々と避けて行く。時々片腕を振るって伸びて来る蔦や枝を吹き飛ばすフラン。背後から迫る無数の根を、師匠が刀身から放った超音波メスで斬り裂いた。無数のギャオスから得た能力であり、複数のギャオスの能力を融合させてより強力なメスと化した超音波メスの切れ味で、森林王の体を次々と斬り裂いていく。

 

森林王「ぐおおおっ!!おのれ………半端者の生命ごときに!」

 

森林王が口から無数の花粉を放つ。フランは目から光線を放ち、花粉を全て焼き払った。

 

森林族「王に続けー!!」

 

地底人「せめて、一矢報いてやる!」

 

海人族「王の仇だぁ!!」

 

森林族が地面から次々と現れる。地底人、海人族も次々と現れる。

 

サヤ「どんだけ来るんですか!?」

 

アムネシア「王は居ないのに………」

 

イレイナ「………仕方ありませんね。此れはあまりにも強過ぎる上に苦しみを与えることを喜ばなくてはなりませんので基本使いたくありませんが………此処で決着付けさせて頂きます!」

 

イレイナの杖が輝き始める。それは、イレイナの使う魔法の知識の中にある闇の魔法………ある映画では“許されざる呪文”と呼ばれる最強の魔法である。その内の一つを、イレイナは唱える。

 

イレイナ「『クルーシオ』!!」

 

サヤ「っ!?イレイナさん!その魔法は!!」

 

サヤはイレイナから魔法を教わった時に知った、許されざる呪文と呼ばれる『闇属性』の魔法の一つを見て、驚愕したのだ。

 

それは、魔法を掛けた相手に死よりも辛い苦しみを与える魔法だ。呪文の効果を長く持続させるためには「苦しめようと本気で思い」、かつ「苦痛を与えることを楽しむ」必要がある。

 

地底人、海人族、森林族に魔法が掛かる。光線状の魔法が敵全員に伝達して当たる。

 

地底人&海人族&森林族『『『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!』』』

 

地底人、海人族、森林族が頭を抱え、その場で苦しみながら地上に出て苦しみながら動く魚のように動き回る。

 

イレイナ「ふふっ、いい気味ですね」

 

イレイナは若干楽しんでいる。

 

スティンガー「あ、彼奴がやったのか?」

 

イナズマックス「とんでもねぇな……」

 

ジェノス「此れも魔法なのか………恐ろしいものだ」

 

避難所にやって来たジェノスは、イレイナの放ったクルーシオの威力に恐ろしさを感じた。

 

そして、森林王との決着も付き始める。

 

森林王が地面に両腕を突き刺し、大地から巨大な木の根を生み出してフランに向けて伸ばす。

 

森林王「我は森林の王!!我こそが至上の生命なのだ!!」

 

フラン「なら、私はお前を超えて行く!!」

 

フランは師匠の柄を両手で持つと、空中へ跳んで巨大化した刀身を森林王に向けて振り下ろした。

 

フラン「『カイゲルスラッシュ』!!」

 

そして、森林王は真っ二つに切断された。しかし、斬る速度はあまりにも遅い。

 

森林王「ぐおおお………しかし、我は大地がある限り再生する!」

 

しかし、再生されない。

 

森林王「ま、まさか………傷を溶かして再生を!?おのれえええぇぇっ!!こうなったら………ソリチュラアア!!出番だあああ!!」

 

森林王がそう叫ぶ。フランと師匠は周囲を警戒する。

 

しかし、怪人達が苦痛に耐え兼ね倒れて行く音と苦痛からくる絶叫以外の音は響かない。

 

森林王「っ!?ソリチュラ!!何をしておる!!早く攻撃しないか!?」

 

フラン「何も来ない」

 

師匠『もしかして、誰かが倒したのか?』

 

森林王「そ、そんな馬鹿な…………」

 

そして、フランは森林王の元を向いた。

 

フラン「降伏して。今なら見逃してあげる」

 

森林王「降伏だと?貴様如きに誰が降伏するかぁ!!」

 

イレイナ「『アバダ・ケダブラ』」

 

森林王は腕を伸ばす。フランは師匠を振り上げてトドメを刺そうとした。しかし、此処で緑色の光線が背後からフランの横を通り抜けて、森林王に直撃する。森林王は緑色の細い光線に当たると、先程まで騒いでいたのが嘘だったかのように前のめりに倒れた。そして、そのまま動かなくなってしまった。

 

フラン「死んだ?」

 

師匠『『鑑定』………どうやら本当に死んだようだ。あの魔法は…………恐らく死の呪いだ。こんな植物の王とも呼べる怪人も一撃で葬るなんてな』

 

そして、イレイナは手に持った杖を消した後にフランの隣へ歩いて来た。

 

イレイナ「初めて使いましたが、あまり乱発すべきではありませんね」

 

フラン「それより、私の獲物を横取りされた」

 

イレイナ「元からそのつもりでしたからね」

 

フラン「クズ女」

 

イレイナ「失礼な。此れでもヒーローですよ」

 

フラン「ヒーローなら横取りなんてしない」

 

イレイナ「私は出来ます。手段は選びませんので。それより、この森林王の力は要らないんですか?要らないなら燃やしますが?」

 

フラン「貰う!師匠!」

 

師匠『分かってるさ』

 

こうして、空と森、海や恐竜が徒党を組んだ地球連合軍は壊滅した。各種族は敗走し、イレイナの拷問魔法により死より恐ろしい苦しみを味わわされた以上、もう地上への進撃を目論んだりはしないだろう。

 

――――――――――――――――――――――――

 

???「お見事でした。この星の人類の強さ、この目で見届けさせていただきました」

 

その男の横では、とある植物怪獣が灰となっていた。それは、森林王が切り札としていたソリチュラであった。

 

この男は、ソリチュラを倒したのだ。たった1人で、森林王の切り札を倒したのである。

 

???「ぷりぷりプリズナーさんに『ベーターシステム』の試験運用を行いましたが、驚きました。まさか元の大きさを保った上であの力を一時的に発揮するとは。此れは流石の私も予想出来なかった」

 

天空王の息子達に試した時は巨大化したというのに、ぷりぷりプリズナーは元の大きさのまま巨大化時のパワーを発揮した。しかし、一時的な力に過ぎず、ぷりぷりプリズナーは暫く動けなくなった。

 

???「この星の人類を生物兵器として転用出来る事はぷりぷりプリズナーが証明したが、まだまだ足りない。もう少しだけ私のデモンストレーションにお付き合いしていただきますよ」

 

『災害レベル竜:外星人第0号メフィラス』

 

メフィラスはそう言うと、足元から無数の粒子状となるように消えて行った。




オリジナル技

『カイゲルスラッシュ』
使用者:フラン&師匠
カイゲルファングと同じだが、違いはゆっくりと溶かしながら斬る事。明らかに拷問向け。再生能力を持つ相手の傷を溶かし、再生を阻害する。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ファンレターと怪人執事

次回は、機械天使さんのある作品とコラボしたいと思います。


4体の王が手を組んだ地球連合軍の侵略は、ヒーロー達の勝利で終わった。あの後はイレイナが避難空間から市民を出して、市民は健闘したヒーロー達を讃えた。多くの人々の声援を受けたヒーロー達。

 

死体は大半がフランが持ち帰ったが、いくつかはメタルナイトが持ち帰った。

 

それから数日後。フランと師匠は自身の部屋で昼食を作っていた。今回は海人族の体を切って、海鮮丼と刺し身、そして寿司を作っている。

 

フランと師匠の他にも、部屋に5人の男女が入って来ていた。サイタマ、ジェノス、そしてとある3名の怪人だ。

 

一人は怪人のお面を被る黒いマントを着た男。彼は怪人ではあるが、正確には怪人のお面を被る事でそのお面の元になった人の力を使う事が出来る人間だ。怪人としての名前は、『お面怪人・マスケイド』。

 

『災害レベル不明:お面怪人・マスケイド』

 

他の二人は怪人と言うより、人間の少女の外見をしている。一人はダークプリキュア。もう一人はダークドリーム。二人はこの世界の住人ではないが、ある経緯でこの世界に転生し、マスケイドと共にヒーロー活動を行っている。

 

では何故この3人が、サイタマやジェノスと共にフランと師匠の部屋に居るのか?それは、マスケイドが買い物に出向いた際にサイタマとフランに出会い、フランと師匠が転生者である事を見抜いた。サイタマに初めこそ怪人として始末されそうになったが、敵意が無い事を示した上にダークプリキュアとダークドリームの2人が介入し、オマケにフランと師匠が敵意が無い事を証明したお陰で、こうして同じアパートで暮らせるようになった。ダークプリキュアとダークドリームも行く宛が今の所無いので、このZ市のゴーストタウンにあるサイタマとフランのアパートで暮らしている。

 

マスケイド「悪いな、俺達までご馳走になって」

 

フラン「大丈夫。怪人の肉余るほどあるから」

 

ダークプリキュア「今更だが、怪人の肉って食べても大丈夫なのか?」

 

ダークドリーム「大丈夫よ。前に食べたでしょ?」

 

ダークプリキュア「そうだけどよ……」

 

そして、調理を終えたフランが盛り付けた皿をお盆に乗せて持って来る。念動力で複数のお盆を空中に浮かせ、持てない分を浮かせて持って来た。

 

フラン「完成ー!」

 

師匠『待たせたな!海人族の刺身舟盛りスペシャルに、海人族の海鮮丼だ!』

 

フランと師匠がテーブルに乗せた、船のような形の皿の上に乗る色とりどりの刺身と、美しい盛り付け方をされた海鮮丼が、人数分置かれた。

 

全員『頂きます!』

 

そして、全員が刺身と海鮮丼を食べ始める。

 

タコ怪人の脚。食べやすい大きさに切っており、食べるのに苦労はしない。

 

ジェノス「ふむ。歯応えがある弾力が良いな。オマケに切り方も上手く出来ている」

 

ダークプリキュア「おー美味い!歯ごたえが良いなこりゃ!」

 

そして、刺身も味わうサイタマ達。

 

サイタマ「おっ。こりゃ行けるな」

 

マスケイド「二人共料理上手いな!こんなに美味しいなら店とか開けるだろ?」

 

師匠『店かぁ。悪いがその気は無いな』

 

フラン「私も」

 

フランは刺身を口にしながらそう言った。

 

フラン「お店は面倒。師匠とヒーローやってるのが良い。だって師匠は私の師匠だから」

 

師匠『フラン………俺は嬉しいぞぉ!!』

 

師匠は大滝のような涙を流す。

 

ダークプリキュア「ふっ………良い親子だな」

 

ダークプリキュアにはそう見えた。

 

こうして食事を終えた後、ベランダにある物が落ちて来た。

 

フランがベランダに出て落ちて来た物を拾う。それは、パラシュートの付いた大きな段ボール箱だ。それを持って中に入るフラン。

 

フラン「大っきな段ボール箱が落ちて来た!」

 

サイタマ「段ボール?」

 

それを見たジェノスが告げる。

 

ジェノス「それは恐らく郵便ですね。此処には配達が来ないので、こうして空からパラシュート付きで降下してるんてすよ」

 

サイタマ「郵便?マジかよ」

 

フラン「師匠!開けよう!」

 

師匠『よし。開けてみるか』

 

師匠が念力で箱を開けると、中には大量の封筒が入っていた。その大半の封筒の表には『ジェノスさんへ』或いは『ジェノス様へ』と記されていた。但し、その中には『サイタマさんへ』だったり『フランちゃんへ』と書かれた封筒もある。

 

ジェノス「手紙ではなくファンレターのようですね。サイタマ先生やフランの物もあるようです」

 

フラン「ファンレター………サイタマのもある」

 

師匠『良かったなフラン!ファンレターが来るなんて、凄い事だぞ!』

 

サイタマ「どれどれ……」

 

サイタマがドキドキしながら封筒を開けて、中身を見てみる。その一枚にはこう書かれていた。

 

『応援しています!一撃で敵を倒すのが格好良かったです!』『偶に見せるキリッとした顔が格好いいです!』

 

サイタマ「おおっ。応援の手紙が多いな」

 

フラン「ん」

 

フランも封筒を開ける。中身を見ると、こう書かれていた。複数入っていたようだ。

 

『フランちゃん可愛い♥』『フランちゃんカワユス♥』『結婚してください♥』『フランちゃんハァハァ♥』『ロリコンで良かったぁぁ!!』『フランちゃん可愛いグヘヘ♥』

 

フラン「ヒィッ」

 

フランは顔を青くして手紙を手放した。その内容を師匠が見た瞬間、師匠の全身から黒いオーラが溢れ出て来る。

 

師匠『こいつ等………探し出してとっちめてやる』

 

マスケイド「やめろぉ!」

 

その内容を周りの皆も見た。

 

ダークプリキュア「マジかよ。変な連中しか連れてねぇな」

 

ダークドリーム「此れは流石に無いよ……」

 

サイタマ「フラン……大丈夫か」

 

ジェノス「………」

 

サイタマも同情しており、ジェノスは冷めた目で手紙を見ていた。

 

フラン「………大丈夫。落ち着いて来た」

 

しかし、フランは涙目になりながら両手が震えていた。震えながら次の手紙を読むフラン。

 

『フランちゃんへ。この前の地球連合軍との闘い見ました!可愛くて小さいのに私達より頑張って偉いね!覚えてないかもしれないけど、私は氷河期化したB市で助けてもらったの!本当にありがとう!お礼としては難だけど、どうか食べてください!』

 

その手紙は何かと糸で繋がっており、手繰り寄せてみるフラン。すると、それはフランが食べ損ねていたローストポークの材料セットだった。

 

フラン「おーー!!ローストポーク!!」

 

師匠『しかもセットで送ってくれたのか!マトモな手紙があって良かったな!』

 

マスケイド「だな。それにしても、手紙の大半がジェノス宛か。なんて書いてるんだ?」

 

ジェノス「まあネットに載ってあるのと変わらない。『顔が格好いい』『クールで素敵です』『いつも応援してます』といった物が殆どだ。こんなのは俺の外見しか見てない奴等のコメントでしかありませんが」

 

サイタマ「お前、自分で言ってて恥ずかしくねぇのかよ…」

 

そして手紙を漁っていると、突然地響きが起きる。

 

フラン「怪獣!!師匠!!」

 

師匠『ああっ!全く最近多くて驚くばかりだぜ!』

 

フランは窓から飛び出すと、後から師匠も追い付いてフランを刀身に乗せる。サーフィンの如くフランは師匠に乗り、地響きの響いた場所へ向かって師匠は飛んで行った。

 

サイタマ「フラン最近活躍してるな」

 

ジェノス「ええっ。俺も一度勝ったとはいえ、フランに負けていられません。俺も強くならなくては」

 

すると、手紙を漁ってたマスケイドが、サイタマにある物を見せる。

 

マスケイド「サイタマ。これ、サイタマとフラン宛ての手紙だよ。他の封筒と違って、ヒーロー協会からだって」

 

サイタマが受け取ると、その封筒の表面にはこう記されていた。

 

『B級ランカー同率1位、サイタマ&フラン』

 

それは、先程マスケイドが言った通り、ヒーロー協会からの手紙である。そしてそれは、サイタマフランがA級に上がれるチャンスである事を、怪獣退治に向かったフランと師匠は知る由も無かった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、フランは師匠に乗って怪獣の出現した場所へやって来た。

 

???『キュアアアアアアア!!』

 

その怪獣は、頭部が巨大な目玉となっており、両手が鞭になっている人型の怪獣だ。目玉だらけの手足胴体という名状し難い姿をした不気味な怪獣だ。

 

『災害レベル竜:ガンQ』

 

???『ギュオオオオオッ!!』

 

『災害レベル竜:コッヴ』

 

もう一体の両手が鎌のようになっている怪獣だ。

 

二体は全身から闇のオーラを放ちながら街で大暴れしており、その足元では二人の男達が逃げ惑っていた。

 

頭にバンダナを巻いた背の低い少年と、背が高い青年だが、全身紫色でヘタのないナスのようだ。少年は頭が丸いが、青年は頭が長い。どうやら人間ではなく怪人のようだ。

 

『災害レベル狼以下:執事ザケンナーA、B』

 

執事A「うわあああっ!!なんでザケンナー!!」

 

執事B「襲って来るでザケンナー!!」

 

しかし、ガンQとコッヴに追われてる所を見るに、どうやら襲われてると見たフランと師匠。

 

フラン「一応助けよう」

 

師匠『良いのか?』

 

フラン「特に人間に害も無さそうだから」

 

師匠『よし。なら行くか!』

 

フラン「ん!」

 

そして、フランと師匠はガンQとコッヴに向かって行くのだった。




名前:お面怪人・マスケイド
元ネタ:オリジナル
災害レベル:不明(お面によって力が変わる)
概要
怪人のお面を被る黒いマントを着た男。普通の人間だがお面をつけるとそのお面の人の力を使うことができる。顔を隠せるのであればフルフェイスマスクも可能。元々は転生者で仮面ライダーのような変身する力が欲しいと頼んだが、何故かお面で変身できるようになってしまった。その力で一先ず人助けしていたが、何故か怪人に間違えられてしまう(怪人のお面を使ったのが原因)。そのせいで色々言われ、人やヒーローから攻撃される始末。絶望しかけたが、自分の好きなアニメ・特撮の人物達の言葉や成り立ちを思い出し、いっそ怪人として救おうと決めた。お面で変身できるためお面を作れるようになり、ワンパンマンの世界でのヒーローや怪人のお面だけでなくアニメ・特撮でのヒーロー・怪人・怪獣のお面も使える。フランやサイタマとは買い物時に遭遇した。その時にフランと師匠が転生者だと知る。

名前:ダークプリキュア
元ネタ:ハートキャッチプリキュア!
災害レベル:鬼
概要
ムーンライトの妹で、最後は大好きな父に看取られて光となって消えたが、この世界で復活した。自身のやるべきことを探していたところに怪人が現れ、子どもが襲われそうになったところを助けた。その時子どもやその親から感謝された時、胸に温かい物を感じ取り、プリキュア達はこのために戦っていたのだと改めて彼女達を理解した。その後マスケイドが人を救ったが嫌味を言う者がいたのでちょっとお灸を据えた。その後彼に追いつき、助けた彼等に変わって礼を言った。そのことがきっかけで知り合い、共にヒーロー活動をしている。

名前:ダークドリーム
元ネタ:Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!
災害レベル:鬼
概要
ドリームの友達。生みの親であるシャドウによって消滅したがこちらの世界で復活した。怪人が人を襲っているところを助け、笑顔でお礼を言われ、胸に温かい物を感じ取り、ドリームもこのために戦っていたのだと改めて理解した。その後ダークプリキュアが現れ、私と同じ気配を感じて来たと言われ、そこから同じプリキュアだと知る。お互いに話が進み、友達になった。彼女経由でマスケイドとも知り合い、3人チームで活動するようになった。

名前:執事ザケンナーA
元ネタ:ふたりはプリキュア MaxHeart
災害レベル:狼以下
概要
頭にバンダナを巻き背の低い執事ザケンナー。Bの方がしっかりしていない時のツッコミ役でもある。一応執事の仕事はちゃんとこなせるがBのドジに巻き込まれる。ドツクゾーンが倒された後、謎のワームホールでこちらの世界に来た。そこで怪獣に襲われていところをフランに助けてもらい、お礼として無償で働いている(一緒にいれば大抵大丈夫だと思っている)。戦闘力は特にないが悪運が強い。

名前:執事ザケンナーB
元ネタ:ふたりはプリキュア MaxHeart
災害レベル:狼以下
概要
背が高く飽きっぽい執事ザケンナー。一応執事の仕事はちゃんとこなせるがよくドジを踏む。ドツクゾーンが倒された後、謎のワームホールでこちらの世界に来た。そこで怪獣に襲われていたところをフランに助けてもらい、お礼として無償で働いている(一緒にいれば大抵大丈夫だと思っている)。戦闘力は特にないが悪運が強い。

名前:ガンQ
元ネタ:ウルトラマンガイア
災害レベル:竜
概要
謎の人気を持つ怪獣の一つ。謎の力によって地球に現れた。超能力が使え、攻撃吸収・放射、吸収光線で相手を吸収して無数の目玉による精神攻撃をする。

名前:コッヴ
元ネタ:ウルトラマンガイア
災害レベル:竜
概要
謎の力によって地球に現れた。額から射ち出す光弾と両腕の鎌を武器に持つ。戦闘力なら怪獣の中で上位に入る。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

コラボ回1:次元の穴と未知の世界

今回からコラボとなります!機械天使さん!ありがとうございます!
『戦姫魔法少女!御唱和ください!我の名を!』↓
https://syosetu.org/novel/304564/#


フランと師匠は新たに出現した怪人と闘っていた。怪人は一体ではなく、複数存在する怪人達だ。

 

フラン「師匠!」

 

師匠『ああっ!蹴散らすぜ!』

 

フランが念動力で相手の動きを全て止める。師匠が両目から紫色の光線を放ち、怪人達を撃ち抜く。

 

『災害レベル不明:ロッチマン』

 

ロッチマン「じょうじ」

 

ロッチマン「じょうじじょうじょう……」

 

ロッチマン「じょう………じ!!」

 

ロッチマン達は倒された仲間に構わず、フランを取り囲むように駆ける。一歩目から約300キロの速度で走れるのだが、成長したフランの敵では無かった。寧ろ、師匠で斬れば斬る程に能力を得ていくので、戦力アップとウォーミングアップにしかならない。

 

その数は300体。しかし、数だけの烏合の衆など、フランと師匠の敵ではなかった。

 

師匠『そら!能力融合!』

 

師匠はこの間得た天空族や海人族、恐竜族や森林族、地底人の能力を融合させる。空、海、恐竜、森、地底人の能力を得れば陸海空において本当の意味で行動出来るようになる。

 

更に、マンモスフラワーやペギラ、ネロンガ、カイゲル、パゴス、『紅蓮武装』、獣王、グランドドラゴン、ガボラといった怪獣や怪人を融合させる。

 

最後に『アースタイタン』も融合させる事で、新たな能力を手に入れた。

 

アナウンス『融合完了。『ロギアフェアリー』を習得しました。追加を確認。『脱皮』『クロックアップ』を習得しました』

 

師匠『よし!能力ゲット!』

 

フラン「おー!」

 

フランと師匠は怪人の遺体を一箇所に集めると、そのまま凝縮し、軈て炎で焼いて灰に変えた。そして、そのまま土に還した。

 

フラン「怪人討伐!」

 

師匠『にしても、フラン活躍が認められたな!早くもA級に昇格したんだからな!』

 

フラン「でも……サイタマより下なのは納得行かない」

 

A級ヒーローになったフラン。執事ザケンナーの二人を助けた後、ヒーロー協会Z市支部にサイタマと趣き、A級への昇格を受けた。その時にサイタマがフランより順位が一つ上になったが、フランはそれが少し不満だった。とはいえ昇格出来たのは良い事なので、フランは渋々納得した。

 

師匠『まあ仕方ないさ。少しずつ上がっていけば良いさ。そんなに焦る必要は無い』

 

そして、フランと師匠はゴーストタウンに帰って来た。しかし、此処でゴーストタウンに新たな怪獣が出現した。

 

突然地響きが起きる。

 

火山のような形をしたクレーターを無数に生やす球体が、転がりながら進んでいた。不思議な事にその周囲に謎の渦が浮かび上がっており、師匠はそれが何か理解していた。

 

『災害レベル竜:ブルトン』

 

師匠『おいおい今度は時空を操る怪獣かよ!?』

 

フラン「全くこの世界は、退屈しない!」

 

師匠『そうだな!んじゃ、早速倒すとするか!』

 

フランは師匠の柄を掴み、ブルトンに向かって走る。しかし、フランはブルトンに向けて走ったと思いきや、突然目の前に出て来た壁にぶつかってしまう。

 

フランが起き上がる。目の前の壁は壁ではなく、アスファルト道路だと気付く。

 

フラン「嘘っ!?何で!?」

 

師匠『恐らく時空間に影響を与えて、普通でない現象を引き起こしてるんだ!急いで倒さないとヤバい事になる!』

 

フラン「なら早速!」

 

フランは立ち上がってブルトンを睨む。すると、ブルトンのクレーターから針が飛び出し、電波のような物を発生させる。

 

すると、時空間が再び歪む。何かをされる前に攻撃する。

 

フラン&師匠「『『禁憎森々(きんにくもりもり)』!!』」

 

フランが師匠を地面に突き刺すと、その周囲の建物を破壊して大森林が発生する。そして、師匠自身も植物化しており、大地と繋がるようになる。

 

大森林はブルトンを取り囲むと、その体に巻き付いて縛り上げる。

 

フラン「『ボンボン爆弾』!!」

 

木々から生成された無数の果実がブルトンに向かって降り注ぎ、ブルトンに当たって爆発を起こす。爆発の瞬間に小型の種爆弾をばら撒き、更に他のボンボン爆弾が爆発すると種爆弾が連鎖で爆発し、ボンボン爆弾が爆発して新たな種爆弾をばら撒き、ボンボン爆弾の爆発により種爆弾が爆発するという、半永久的爆撃を可能とした。

 

ブルトンの針もいつの間にかへし折れてしまい、大爆発によってブルトンも大爆発を起こした。

 

しかし、それだけで終わる程甘くは無かった。ブルトンが先程まで居た場所に黒い大穴が開き、周囲の木々や建物を飲み込んで行く。

 

フランと師匠は突然の次元の穴に対処出来ず、そのまま吸い込まれてしまう。

 

フランと師匠が吸い込まれた後、穴が閉じた。そして、サイタマがその場に現れた時には、圧倒的な破壊痕のみが残っていた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フランは目を覚ます。体を起こすと、自分がベッドで眠ってる事を知る。そして、自身の居る部屋が見覚えのない部屋である事を知る。

 

フラン「……師匠?」

 

師匠『呼んだか?』

 

フランが声のした方向を向くと、其処には元の剣の姿となった師匠の姿があった。

 

フラン「………此処は何処?」

 

師匠『俺も分からん。分かってるのは、あの怪獣を倒した事で俺達は別の次元に引きずり込まれたって所だな。その証拠に、俺もさっき目を覚まして時計とか見たけど、どうも俺達の知る世界の時計だが、日付や年月の表記が違うんだ』

 

フラン「そう。師匠、どうする?」

 

師匠『あの時にあの怪獣の力を取り込めなかったのは痛いな。次元を越える方法を探すしか無い』

 

フランはベッドから降りる。いつの間にかパジャマに着替えており、下着の感触も無い。

 

フラン「誰かが着替えさせてくれたのかな?」

 

師匠『ああっ。その事を話し忘れてたな。黒髪ロングの綺麗な女性が、お前の服を着替させてたんだ。体も拭いてくれたんだぞ』

 

フラン「そう」

 

フランが扉に向かって歩くと、突然扉が開き、1人の女性が現れた。

 

???「あっ!目、覚ましたんだね!」

 

女性はフランに近付く。

 

フラン「お前、誰?」

 

???「私?私は月読調。この家に住まわせて貰ってる。貴女は、2日も眠ってたんだよ」

 

フラン「私、フラン。此方はスーパー凄い剣の師匠。今はヒーロー協会でA級ヒーローになった」

 

調「ひ、ヒーロー協会?何それ?」

 

フラン「えっ………あっ、もしかして………ねえ、この世界に怪人は居るの?」

 

調「怪人?居ない訳じゃ無いと思うけど……怪獣は偶に見るかな」

 

師匠(やはり、俺達の居た世界と違うのか)

 

フランと師匠は、今居る世界が違う世界だと益々確信した。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フランと師匠が転移した海鳴市のとある道。其処で1人の少女が、一つの刀を拾った。

 

少女「何これ?」

 

少女は刀を拾うと、その鞘を誤って引き抜いてしまう。

 

少女「うわっ………って、これ!本物の刀!?凄い綺麗………」

 

すると、少女の背後から声がする。

 

イジメっ子「おい!何してんだ弱虫!」

 

イジメっ子2「おいおい何だ此奴?刀なんか持ってやがるぜ!」

 

それは、少女を虐めていたイジメっ子の集団だった。男女合わせて全員で3人。男2人に女が1人だ。

 

少女「貴方達関係ないよ」

 

イジメっ子3「何?偉そうにしてんじゃないわよ!」

 

イジメっ子の1人が少女を蹴り飛ばす。その時、刀が地面に突き刺さってしまう。

 

少女「やめて!!」

 

イジメっ子「はっ?オメェが生きてんのがイケねぇんだ!オメェいつも気に食わねぇんだよ!」

 

イジメっ子2「ギャハハハッ!!そらもっとやろうぜ!!」

 

イジメっ子達が再び少女を蹴り上げる。すると、イジメっ子の少女が、虐められていた少女に再び蹴りを放とうとした、その時だった。そのイジメっ子脚が、突然後ろへ傾いた刀によって、いともたやすく切断されてしまった。

 

イジメっ子3「ギャアアアアアアアアアッ!!足が!!足があああっ!!」

 

イジメっ子「おい!!何してんだよ!?」

 

イジメっ子2「おおおい!!救急車を呼べよ!!」

 

イジメっ子達が慌てる。しかし、少女は刀の元へ走って来て、その柄を再び握る。

 

その時だった。少女の頭の中に声が響き、少女は頭を抱える。

 

???『おおっ、可哀想な小娘よ。今まで惨めな目に遭って辛かっただろう?だがもう安心して良いぞ。お前には復讐をする権利がある』

 

少女「誰?もしかして、貴方が?」

 

少女は抜いた刀に話し掛ける。その時、少女の隣にエジプト神話のアヌビス神に似た姿をした、謎の霊体が現れた。

 

???『そうだ。俺の事は『アヌビス神』とでも呼んでくれ。俺はお前の剣であり、俺はお前の力だ!お前は此れより剣の達人となる!お前に最早敵は居ない!お前が此れから何をしようと、俺はお前の力だ!俺がお前を肯定する!』

 

少女「……そうだ!もう私は弱虫なんかじゃない!」

 

少女は立ち上がる。血に濡れたアヌビス神を手にして、狂気の笑みを浮かべた。

 

少女「此奴は死んで当然の女だ!お前等もぶった斬りたくなったよ!」

 

少女はイジメっ子達に歩み寄る。

 

イジメっ子「ま、待て!待ってくれ――」

 

その時、イジメっ子は首を斬り飛ばされた。次に最後のイジメっ子がターゲットとなる。

 

イジメっ子2「だ、誰かぁ!!助けてくれぇ!!」

 

イジメっ子は木々の間を掻い潜って逃げようとするが、少女は木々を通らずにアヌビス神を振り下ろす。その瞬間、木々の向こうに居たイジメっ子の上半身と下半身が真っ二つに切断された。

 

イジメっ子2「な、何故ぇ!?木は何ともないのに………」

 

しかし、少女は殺した事に罪悪感は無かった。何故?それはこの刀が肯定してくれたからだ。今は気分が良い。

 

アヌビス神『ブルトンを倒した黒猫の少女を殺せ!その剣を破壊しろ!我が主たる『神』の命だ!奴等はこの世界に迷い込んでいる!お前は達人だ!何者にも勝てる!!さあ行くのだ!!お前は誰にも負けない!!絶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ対に、負けんのだ!!』

 

少女は狂気に満ちた笑顔のまま、その場から去る。アヌビス神に従い、フランと師匠を倒す為に動く。




《オリジナル怪人》
名前 ロッチマン
元ネタ テラフォーマー
災害レベル 虎〜神
テラフォーマーのまんま見た目で、超高速戦闘と飛行技術を待つ火に弱いという弱点があったが、焼死体となった同族を食らうことで炎の耐性もついた個体もいる。
虎レベルの小さな部隊から神レベルまで進化した個体などもいるため正確なレベルが出せない。

名前:ブルトン
元ネタ:ウルトラマン
災害レベル:竜
概要
四次元空間を操ることができる。テレポートや怪獣を召喚したり、時間と空間を歪ませて混乱させることが可能。また四次元空間になんでも収納できる。

名前:アヌビス神
元ネタ:ジョジョの奇妙な冒険
災害レベル:虎〜竜以上
概要
エジプトの刀鍛治が作り出した妖刀。刀に触れた者を操ることができ、それは人や動物はもちろんのこと、怪人や怪獣でさえ操ることができる。日本刀にも負けない切れ味で物体を透過して斬りつける事ができる。更に一度受けた攻撃の性質を憶える性質があり、闘えば闘うほど相手の動きを記憶して強くなっていく。しかも宿主が変わっても刀身が無事ならば一度憶えた攻撃は忘れず、宿主が何かしらの力を持っていればその力を組み合わせることも出来る。また操る際に相手の脳内にアヌビス神のイメージで現れることもできる。
追加設定:ワンパンマンの『神』の尖兵である。『神』が人類を四次元空間に閉じ込める為に解き放ったブルトンを倒したフランと師匠を倒す為、フランと師匠の天敵となるであろうアヌビス神を送り込んだ。

《オリジナル能力》
『ロギアフェアリー』
地球に存在する自然と生命のエネルギーを自由自在に扱える。それを応用して森林増殖、生命創造、海洋浄化及び溶岩操作、炎熱発生、大地操作、電撃、氷結、空気操作、風量操作、光パワー、闇エネルギー、変異や進化等を含めた、自然と生命の力を自由に扱える。また、自然エネルギーを肉体にも反映し、肉体を自然物に変える事が出来る。流動又は固形化によってどのような体になるか異なるが、完全に消滅しない限り物理攻撃が効かなくなる。また、自然物に応じた移動方法も存在する。また、ワクチンマン同様に自然エネルギーを利用した攻撃を行ったり、肉体の大きさを変化させる事も可能。マルゴリの3倍は大きくなれる上に、大きさによる鈍足化は無い。但し正確に小さな相手を狙えるかは本人の技量次第。例えるなら、ONE PIECEのロギア系能力とジョジョの究極生命体カーズの力を足して2で割ったような能力。

『脱皮』
自らの体を服ごと皮に変えて、内側から突き破って現れる完全復活能力。一回脱皮する度に身体能力を十倍向上させる。

『クロックアップ』
仮面ライダーカブトの能力名と同じだが、異なる時間の流れを渡るのではなく、単純に加速するだけ。しかし単純な分強力である事に間違いは無く、重ねがけすればより速くなれる。

《オリジナル技》
『禁憎森々(きんにくもりもり)』
使用者:フラン&師匠
大地に花や木々で出来た森を形成し、自身の肉体を大樹に変化させる。また、使用者の望む植物を生成出来るが、空想上の植物を再現する事は出来ないが、何かしらの方法で力を得れば生成可能となる。そうでなくとも、似たような物は形成出来るであろう。生態系への影響も強いだろう。

『ボンボン爆弾』
使用者:フラン&師匠
木々から生やした爆発性の果実を降らせて攻撃する。更に、果実が爆発した後に小さな種状の爆弾を周囲へばら撒き、炎か高熱を与えれば爆発する。種爆弾一つ一つが爆発の連鎖を起こして周囲を吹き飛ばす。元ネタは『原神』のクレーが使用するボンボン爆弾。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

コラボ回2:自己紹介と休息の大切さ

フランと師匠は調の案内で、食堂へとやって来た。調曰く、彼女はこの世界にやって来て、現在この八神はやての家に居候しているそうだ。

 

服ははやての服を借りており、フランは師匠を鞘に収めた状態で自己紹介を改めて行う。はやてと、はやての守護騎士であるシグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラ4名も交えて。

 

そして、調の肩から現れた小さな半透明のウルトラマン達も紹介を行う。

 

フラン「改めて、私はフラン。ヒーロー協会A級ヒーローにして、協会に所属する数少ない“怪人ヒーロー”」

 

調「怪人?」

 

フラン「ん。怪人」

 

タイタス『怪人………』

 

ザフィーラ「成る程。確かに人とは違った特徴がある」

 

フラン「この剣は“師匠”。スーパー凄い剣」

 

調「師匠?」

 

フラン「師匠」

 

調「えっと……師匠が名前?」

 

フラン「ん!」

 

フランが何時もより強く頷く。

 

シャマル「そ、そうなのね。でも、怪人なのにヒーローやってるのね。偉いわね」

 

フラン「えっへん」

 

ヴィータ「アタシみてぇにチビなのにな」

 

フラン「お前も、チビ」

 

ヴィータ「アアンッ!?」

 

師匠『フラン、そう言ってやるな』

 

調達『?』

 

調達が辺りを見渡す。

 

フラン「もしかして、聴こえてる?師匠の声」

 

調「師匠って……もしかして、その剣……生きてる?」

 

師匠『ああっ。そういや皆の前で話してなかったな。俺は“師匠”だ。フランの師匠だよ』

 

ザフィーラ「喋る剣………デバイスではないようだ」

 

シグナム「そうだな………意思を持つ剣という事か。どうなってるんだ?」

 

師匠『まあ俺も其処は分かってない。気が付いたらこの姿になっててな。でも、フランと出会ってから怪人や怪獣を倒す日々が続いて、ヒーローになって、そしてフランと俺は目標が出来たんだ』

 

調「目標?」

 

フラン「サイタマに勝つ事。あの男は私と師匠の超えるべき目標。だから、強くなる為に毎日トレーニングを欠かさない」

 

調「そう。でも、無理しないでね」

 

フラン「それじゃ駄目。サイタマに追い付く為にも無理しないと勝てない」

 

調「それが駄目。貴女は色々張り詰め過ぎ。それじゃ、いざという時に力を出せなくなる。時にはよく休んだり、よく遊んだりするのも大事」

 

フラン「遊ぶ………それ、分からない。ずっと鍛錬続けてたから」

 

師匠『あー………そりゃ俺が悪かった。フラン怪人だが、それ以前に女の子だもんな。ヒーローとしての活動だったり、サイタマ超える為に鍛錬させたりで、子供らしい事をさせてやれなかったしそうしなかった俺の責任だ……すまなかった、フラン』

 

フラン「師匠は悪くない。私が望んでやってたから」

 

師匠『フラン…………いや、そうであっても子供らしい事をさせなかったり教育不足だったりってのは、そういうのは保護者の責任なんだ。謝らせてくれ』

 

師匠も今になって気付いた。フランが強く望み、それに応える為に強くなる為の修行を付けてきた。しかし、例えフランが望んだ事であっても、それでもフランに子供らしい生活をさせなかったり、フランが怪人とはいえ子供に危険な事をさせてるのは、完全に師匠の失態だ。しかし、先程も言った通り、フランが自分で強く望んだ事なので謝る以外の言葉が出て来ない。

 

はやて「せやったら、フランちゃん此れから休息の取り方とか学んだらエエやん。この世界を可能な限り案内するし、調ねぇも一緒ならエエやろ?」

 

調「うん。ゼットさん、タイガ、タイタスさん、フーマ、ノアさん。この世界を案内しよう」

 

ゼット『お任せください!』

 

タイガ『話を聞く限り、フランは休む事を知らなさそうだからな!色々教えてやろうぜ!』

 

タイタス『休息も立派な鍛錬だからな』

 

フーマ『だな。今日は楽しもうぜ』

 

ノア『そうね。今すぐ帰らせるのもあれだし、今日位は楽しんで行きましょう』

 

こうしてフランは、調達と休暇を満喫する事にした。海鳴市を回って満喫する為に。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ー海鳴市・翆屋ー

 

翆屋にやって来たフラン。此処には街一番の美味しさを誇るシュークリームがあるので、調やはやての案内でやって来た。

 

フラン「シュークリーム?お肉やお魚じゃないの?」

 

師匠『野菜も食べられるようになったとはいえ、フランは肉や魚を基本食べるからな。確かにスイーツとか食べてなかったかも』

 

はやて「偏食はアカンよ。偶にはスイーツも食べ。此処のシュークリームはホントに美味いんや」

 

そして、店員がシュークリームを運んできた。シュークリームはいくつかの種類があり、どれも美味しそうだ。

 

フラン「な、なぁにこれ!?」

 

調「シュークリームだよ。もしかして………」

 

師匠『スミマセン………完璧に俺のせいです!』

 

師匠は自責の念に囚われる。

 

フラン「ハムッ!!」

 

フランがシュークリームを口にする。その瞬間、フランにとって未知の味が口に広がった。外の衣はサクサクとしており、しかし中からトロリとした濃厚なクリームが溢れ出て、噛めば噛むほど外の衣と中のクリームが絡み合い、濃厚な味わいを口に広がらせる。

 

フラン「何これ奇跡!凄く美味しい!」

 

フランは口元が汚れまくる事も構わず、シュークリームを食べ始める。

 

師匠『思えばスイーツとか食べさせてなかったな。元の世界に戻ったら、スイーツカフェとか寄ってみるか』

 

フラン「スイーツ、食べたい!」

 

師匠『よし。今度サイタマ達も誘うか』

 

そして、フラン達は次の場所へ向かう。

 

ー海鳴市・ゲームセンターー

 

フラン「ゲームセンター?」

 

師匠『そういや、ゲームセンターなんて行った事無かったな』

 

調「今日は休日だから、好きなだけ遊んで」

 

フランが目に止めたのは、UFOキャッチャーだった。UFOキャッチャーの中にある、ビーフジャーキーに目を惹かれたのだ。

 

フラン「おおっ!お肉!!お肉!!」

 

はやて「フランちゃん、これ取りたいん?ならやってみてや」

 

はやてがUFOキャッチャーにお金を入れる。師匠が操作方法を説明した。

 

師匠『良いかフラン。このUFOキャッチャーはレバーでUFOを操作するんだ。取れるかもしれない位置で止めて、中の商品を取るんだ。出来るな?』

 

フラン「やる!」

 

フランは転生者だが、長年の苦しい実験により精神が幼くなっている。その上、UFOキャッチャー、もといゲームセンターに来るのは初めてだ。

 

UFOキャッチャーのレバーを操作し、UFOをビーフジャーキーの元まで寄せる。そして、ボタンを押した。すると、初めてにも関わらずUFOは2つのアームでビーフジャーキーを掴み、そのまま出口まで運ぶ。そして、出口まで来た途端にビーフジャーキーは落ちるが、出口に入って取り出し口から出て来た。

 

フラン「おっ肉!おっ肉!おっ肉!」

 

フランは目を輝かせる。

 

次に来たのは音ゲーだ。音楽のメロディーに合わせて流れて来る光をタッチするゲームだ。他にも太鼓の達人といったゲームにも注目する。

 

『曲を選んでね!』

 

フラン「私、音楽知らない」

 

師匠『まあフラン。曲を知らなくても楽しめるぞ、音ゲーは』

 

調「音ゲー………」ソワソワ

 

ゼット『調?どうしたでありますか?』

 

調「あっ、いや………こんな機会無かったから………つい興奮しちゃって……………」

 

はやて「やったらエエやん」

 

調「………良いの?私、大人だけど………」

 

フーマ『良いじゃねえか。こういう機会は今まで無かったんだろ?今日は思いっ切り楽しもうぜ!』

 

調「………うん!」

 

続いてレースゲーム。マリオカートだ。

 

フラン「やった!1位!」

 

師匠『やったなフラン!』

 

調「うわああんっ!負けた!」

 

タイタス『もう少しだったな』

 

タイガ『調も楽しそうで良かったぜ』

 

こうしてゲームセンターでエンジョイしたフラン達。次の目的地へ向かう時、こんな会話をした。

 

フラン「えっ?調って、怪獣食べないの?美味しいのに」

 

調「食べないよ………あっ、でもツインテールやグドンは美味しいって聞いた事ある」

 

フラン「じゃあ今度食べてみて!ツインテールお刺身にしたら凄く美味しい!それに色んな怪獣も食べてみたい!ゼットン♥ホロボロス♥アントラー♥テレスドン♥焼くか煮るか蒸すかなぁ♥美味しいかなぁ」

 

はやて「あの子等は食べたらアカンで」

 

調「食べないで」

 

フラン「じゃあ今度、怪獣倒したらお肉奢る!調も怪獣倒したら食べてみて!!」

 

調「………良いのかな?マン父さんやゾフィー父さん達に相談してみるよ」

 

ゼット『うーん………別に禁止されてないから良いのでありましょうな』

 

タイガ『いやいやいやいや………倒した怪獣を食べるって…………父さん………許すかなぁ?』

 

タイタス『倒した生き物の命を食べるか。成る程、確かに自然の摂理ではある』

 

フーマ『けど………俺等もそれやってねぇからな。大丈夫なのか?』

 

ノア『私は良いと思うわよ。乱獲なんてしないなら』

 

こうして海鳴市を巡りに巡って、休暇を満喫するフラン。しかし、彼等は気付いていた。

 

刀を持つ少女が、密かに自分達を狙っている事に。




月読 調 身長170㎝ 体重秘密 スリーサイズ86/62/90

使用ギア「シュルシャガナ(ヒカリ改良)」

本来の歴史ではレセプターチルドレンとしてマリア、切歌とFIS組と呼ばれてフロンティア事件の時に激突をするのだが今作ではネフィリム暴走時に切歌をかばいがれきの下敷きとなり死亡をしたがゼットと一体化をして光の国へと行きそこでウルトラ兄弟やほかのウルトラ戦士との出会いで明るい性格へとなる。

ヒカリやエイティから色んな事を学んだり、レオからは宇宙拳法を学んだりなど原作よりも格闘術や技術などを学んでいた。ゼットライザーの開発を手伝ったりしていた。

本作始まる前にゲネザークを追って本来はナツカワ・ハルキのポジションに彼女が入りゼット共にウルトラメダルを回収をして怪獣や宇宙人と戦い命の重さなどを体験をしてゼット共に乗り越えていく。

やがて最終決戦でデストルドスを倒してゼット共に光の国へと帰還をしてからも様々な任務をこなしていき成長をする。

そしてゼロと模擬戦をしている時にゾフィーから新たな任務を受けてかつて自身が住んでいた次元へとゼット共に向かいそこで日本へと降りたちシンフォギア本編へとなる。

フロンティア事件のライブでシュルシャガナを使い、さらにその後のFISと二課との激突の際にゼットの正体を明かす。

シェムハとの戦いを終えた後も地球に残り、迫りくる宇宙人たちと戦っている。

シュルシャガナ 調が使用をするギアで本来は調自身の適合率が低いためLiNKERを使わないと纏えないが今作ではヒカリによって改良を加えられてLiNKERを使わなくても使用をすることが可能である。

Z本編でのシュルシャガナは原作通りの姿をしてバロッサ星人やリクを救うために姿を纏い戦っている。

Z本編終了後光の国へ帰還後シュルシャガナは大改装されてゼットの力が加わったことでアルファエッジなどの形態にチェンジすることが可能となりゼットランスアローやウルトラゼットライザー、べリアロクを武器に戦うことが可能となり頭部のところにスラッガーが装備されるなど改良されていた。さらにかつて共に戦ったセブンガ—やウインダムなどの特機が彼女の周りに現れて共に攻撃をしたりするなどが可能になっている。

ギアなども攻撃力などが上がりヨーヨーに光エネルギーを纏い八つ裂き光輪のように飛ばして攻撃をすることが可能になった。

のちにフロンティア事件の際にゼロ、ヒカリ、メビウスの光エネルギーをシュルシャガナ新たな姿へと変わる。ゼロのゼロスラッガーにメビウスブレス、ナイトブレスが両手に装備されるなどの改良をされたのである。

ゼロとメビウス、ヒカリのエネルギーを得たことでウルティメイトゼロ、ストロングコロナ、ルナミラクル、ゼロビヨンド、グランバードゼロ、メビウスブレイブ、バーニングブレイブ、フェニックスブレイブ、ハンターナイトツルギの力が使えるようになり状況によってゼロモード、メビウスモード、ヒカリモードへと切り替えることが可能となった。
エクスドライブモードでは一気にゼット、メビウス、ゼロの最強形態が合体をした姿へとなり必殺技は「ワイドメビュームナイトティウム光線」を放つ。

さらに新たにタイガ、タイタス、フーマ、マックスの4人のウルトラマンの力が加わり現在はシュルシャガナ基本形態はゼットの状態で状況でゼロ、メビウス、ヒカリ、タイガ、タイタス、フーマの力を解放させる感じに変化された。

さらにティガの力も加わりパワーアップをする。そこにジード、エックス、コスモス、ロッソ、ブル、グリージョの力も加わっている。
さらにダイナの力も加わりパワーアップをしている。

ノアギア 神の力事ウルトラマンノアの力が調の力としてシュルシャガナのように纏われた姿。ノアイージスを始めノアの技をすべて使用可能でノア・ザ・ファイナルなども使用可能と思われる。さらにはウルトラマンネクサスの技なども使用可能でメタフィールドを張ることができる。

調が所持をしている道具やメダル

ウルトラゼットライザーとアクセスカード

メダル ゼロ セブン レオ ウルトラマン エース タロウ ティガ ダイナ ガイア コスモス ネクサス メビウス ジャック ゾフィー ウルトラの父 ギンガ エックス オーブ ビクトリー エイティ ジョー二アス ジード ベリアル ネオス 21 グレート パワード マックス ロッソ ブル タイガ タイタス フーマ ウルトラ兄弟メダル ウルトラの母のメダルである。

トライガーショット改 メビウスがヒカリに頼んでかつて自身が使用をしていたトライガーショットを光の国の技術を使い生成をしたもの、メテオールがないのでウルトラメダルの力を解放機能へと変えて後ろのメテオール装着部分に三枚のウルトラメダルをセットをすることが可能にした。ほかは通常のトライガーショットと変わらないが威力などは上がっており光エネルギーを利用をした攻撃でノイズを倒すことができる。

メダルをセットをして使いたい技を弾として発射させて攻撃をしたり拘束をしたり相手を落ち着かせる弾を放つ。

レーザーライフル ストレイジ時代に調が使っていた武器でこちらもトライガーショット同様ヒカリに改良をされたものへとなっている。スコープをセットをすることで長距離からのスナイパーライフルへと変わったりガトリング砲のアタッチメントを付けるなどの改良を受けている。こちらも光エネルギーを使って放つのでノイズを倒すことができる。

ノアブレスレット ウルトラマンノアが調に授けたブレスレットでノアギアを纏う際やウルティメイトイージスを装着をすることが可能となった。これを掲げることでウルトラマンノア
さらにブレスレットの中にレーザーライフルなどが収納されており状況によってそこから取りだすことができる。

ウルトラファイナルフュージョンブレス ウルトラ戦士の力が入ったものでこれを使うことでゼットをファイナルフュージョン形態へと姿を変える。

ウルトラマンゼット ゼロの自称弟子でゼロに無理やり時空を超える際についてきたがはぐれた際に調の地球へと落下、そこで暴れているネフィリムに対してゼスティウム光線を放ち撃破をして調を助けて一体化をする。

以降は調と共に成長をしていきゲネザークの戦闘の後からウルトラフュージョンを使い様々な宇宙人や怪獣たちと戦い最後の敵セレブロがデスドルトスとの戦いで一度敗北をして調にこれ以上傷つけたくないと分離をしようとしたがそれでも自分といたいという調の言葉を聞いて本当の意味で完全一体化をして最後の敵デストルドスに勝利をして光の国へと戻る。

現在もたまに地球の言葉を間違えるが調に教えられて以降はきちんとしゃべったりしている。調曰く切歌みたいという。

だがそれでも調のことを大事に思っておりヒーローズゲートを開いて彼女の悲しむ心を感じて抱きしめたりするなどパートナーを大事に思う心は誰にも負けていないという。

Z本編では調と一体化をしている期間が長いのか等身大の変身をしても普通に戦闘をするぐらいまで戦っている。

オリジナル ゼットライザーに何もセットせずにスライドさせてトリガーを押して変身をするゼット本当の姿、この姿でも戦えることができてトライガーショット改を使った必殺技を使ったのはこの形態が初めてである。

ウルトラフュージョン形態

ウルトラマンゼット アルファエッジ ゼロ セブン レオのメダルを使って変身をする宇宙拳法を使った戦い方で相手を倒す形態通常の基本形態でもありこの小説でも地球での戦いで変身をした姿もアルファエッジからである。

ゼットランスアローを使った攻撃やゼットライザーを使ったりなど様々な戦い方をする。

必殺技は「ゼスティウムメーザー」だがゼスティウム光線にとどめを譲っている。

ウルトラマンゼット ベータスマッシュ ウルトラマン エース タロウのメダルを使って変身をするパワー形態、その力で相手を吹き飛ばしたりゼットランスアローを振り回して使うなどパワー形態として書かれている。

必殺技は相手をアッパーで殴る「ゼスティウムアッパー」である。

ウルトラマンゼット ガンマフューチャー ティガ ダイナ ガイアのメダルを使って変身をしたトリッキーな戦士、主にこの形態に変身をして翻弄をするなど活躍が多い形態でもある。

必殺技は「ゼスティウムドライブ」だがガンマイリュージョンを使うことが多い。

ウルトラマンゼット シグマブレスター ゾフィー メビウス ティガのメダルを使って変身をするウルトラマンフュージョンファイト限定のフォーム、本編では使用をしていないのでデュランダル護衛の際に変身をした姿でパワーと炎の上半身にスピードと冷気の力の下半身を持つ戦士。

両手のクリスタルからブリザードセイバーとバーニングセイバーを生成をして攻撃をしたり炎の蹴りと氷の蹴りを発動させたりと属性攻撃をした戦いが得意である。

必殺技は「ゼスティウムレイバースト」である。

ウルトラマンゼット デルタライズクロー ゼロビヨンド ジード ベリアルアトロシアスのメダルを使い変身をしたゼット最強の形態。今作でも最強でありカ・ディンギルの砲撃をべリアロクで受け止めたり、暴走をした響がふるったデュランダルを撃ち勝っている。

もちろんべリアロクだけではなくトライガーショット改やゼットライザー、ゼットランスアローを使った攻撃を使用をすることが可能でほかのウルトラフュージョン形態を凌駕をする力を持っている。

必殺技は『ゼスティウム光輪』べリアロクを使った攻撃の『デスシウムスラッシュ』である。

ウルトラマンゼット ファイナルファイズフュージョン ファイナルフュージョンブレスを使うことで変身ができるようになった最強のゼットの姿、全身はデルタライズクローのようだが、胸のプロテクターはウルトラマンタロウのプロテクターが、さらに色などもゼロの赤も混じった感じとなる。

左手のフュージョンブレスをまわしてウルトラ戦士の顔を押すことで様々な技を使用をすることができる。ギンガストリウムや、ギンガビクトリーとは違い二つの技だけじゃなく、タイプチェンジをした技も全部使用をすることが可能で、さらにアイスラッガーやウルトラランスなどの武装も再現ができる。
ウルトラマンから始まり、フーマまでの力を持っている。



ディスクをまわしてウルトラマンタロウの顔が出てきたところを横の押す。

『『ウルトラマンタロウの力よ!』』

ディスクをまわす。

『『ストリウム光線!』』

ゼットの隣にウルトラマンタロウの幻影が現れて共にストリウム光線を放つ。

ウルティメイトゼット

ウルトラマンノアが入ったことで、手に入れた時空を超えることができる鎧、ウルトラマンゼロが装着をしているのと同じだが、こちらはノア自身からもらったものなのでゼロよりも強靭な鎧となっている。

基本的にオリジナルかアルファエッジが使用をする。必殺技も同じくファイナルウルティメイトゼロ、ウルティメイトソードである。

今は、リリカルなのはの世界で滞在をしており、ゼットに変身をするが、状況でタイガ、タイタス、フーマ、ティガ、ダイナ、ノアに変身をする。
なおダイナはノアの力によりティガ同様に三タイプ自由に変身が可能になっている。

カプセル怪獣としてゼットン、ホロボロス、アントラーも所持をしてる。
次回、アヌビス神に入ります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

コラボ回3:襲撃と刀剣

フラン『オオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

調『ぎゃああああああああああああああっ!!』

 

海鳴市の遊園地にやって来たフランと調は、ジェットコースターに乗って楽しんでいた。車椅子に乗るはやては、その様子を近くで見ていた。はやての近くには師匠が布に包まれた状態で立てられており、布の隙間からフランを見守っていた。

 

フラン「ああ、楽しかった!」

 

調「こんなに遊んだの、初めてかも!」

 

師匠『二人共楽しそうにしてたな。フランが遊んでいるのを見てると、俺も嬉しくて泣きそうだぜ!』

 

はやて「師匠さん、ホンマに親バカやなぁ」

 

フラン「師匠!今度はクレープ!」

 

師匠『分かった分かった。慌てなくてもクレープは逃げないぞー!』

 

フランは師匠とクレープ屋に向かう。

 

調「ホントに親子みたい」

 

はやて「せやなぁ。ホンマに羨ましいわぁ」

 

調「うん……………はやて、少しフランちゃん達と居てくれる?」

 

はやて「えっ?うん、ええけど」

 

はやては車椅子を漕いで、フラン達の元へ向かう。調は真顔のまま何も話さず、3人から離れる。

 

ゼット『調?』

 

ノア『………敵が来たみたいね』

 

調は歩くと、その隣に一人の少女が現れる。人気のない廃墟まで歩いていくと、調は現れた少女に話し掛ける。

 

調「………何か用?」

 

少女「………お前に用は無い。私の狙いは、お前と共に居た、あの黒猫の少女だ」

 

調「フランちゃんが狙い?なら、尚更行かせない」

 

調はシンフォギアを解放した。

 

調「『Various shul shagana tron………』」

 

衣服が消えて裸になった後、回転した後にギアインナーを体に纏う調。頭部ユニットも装着され、ツインテールにヘッドギアが装着される。脚部にも装甲を纏い、両手に装甲を纏い、胸元に『Z』のマークが施されたアーマーが装着された。両手にヨーヨーを持ち、調は戦闘態勢に入る。

 

『シュルシャガナ』。調の扱うシンフォギアであり、ウルトラマンの力を行使出来るよう、光の国のヒカリの技術によって改良された聖遺物だ。

 

少女「っ!話に聞いてなかったが、この世界にもヒーローが居るのか!良いだろう!フランと師匠の前に、先ずお前から始末してやる!」

 

少女は刀を抜いた。片手に持つ鞘から刀を抜くと、刀身を輝かせながら柄を握る。

 

タイタス『っ?剣術についてはあまり知らないが、構え方が慣れてないように見える』

 

フーマ『そりゃそうだぜ。ありゃあ少し剣を齧った程度のド素人だ。そうだろ、タイガ』

 

タイガ『そうだな。だが、なんか不気味だ。注意しろ!調!』

 

調「うん」

 

調もなんとなく感じていた。脚部のローラーを起動し、スケートの要領で移動する。

 

少女は走って追って来た。少女は調に追い付き、刀を振り下ろす。調は少女の刀を避けて行く。その中で、少女の攻撃は鋭さや太刀筋はあるけど、振り方や構え方は完全にフーマの言う通りド素人だ。しかし、だからこそ不気味だ。

 

調「やっ!」

 

調は蹴りを放つ。少女は調の蹴りを受けて後方へ下がるが、すぐに体勢を立て直してすぐに斬り掛かる。調は刀を避けたが、背後の壁が切断されて崩れ落ちるのを見た。

 

調「速さもある!」

 

油断すれば首を切断される。調はヨーヨーを放ち少女を拘束しようとした。しかし、少女はヨーヨーを刀で弾き飛ばすと、壁の向こう側へ移動した。そして、壁の向こう側から刀を振る。

 

その瞬間、調の胸元に切り傷が出来て、少し出血した。

 

調「ぐっ!?」

 

しかし、おかしい事が起きていた。インナーや装甲には傷が無いのに、調の肌だけが切断されたのだ。壁や衣服、装甲をすり抜ける能力。となれば、物理的な防御は意味が無い。

 

タイガ『平気か調!』

 

調「大丈夫!『ゼットスラッガー』!」

 

調は頭部から放ったスラッガーを放ち、壁を突き抜けて少女の刀に当てる。少女はゼットスラッガーに押されるが、すぐに弾いて調に迫る。調はヨーヨーを巧みに操って少女を攻撃するが、少女はヨーヨーを弾いていく。

 

調が気付いたのは、戦って数分経過した後だ。

 

少女の動きが徐々に良くなっている。否、自分の動きを読んでいるかのように速度が上がり、パワーも増して来ている。

 

タイガ『なんだァこいつぁ!?動きが速くなってきてるぞ!?』

 

調「速さだけじゃあない!力も増してきてる!!」

 

調はヨーヨーに八つ裂き光輪のような光エネルギーを纏わせ、少女に向ける。手加減したら勝てない。しかし地球人を殺す事は出来ない。なので狙いは刀身だ。しかし、少女は光輪を避けた。

 

少女「ほう。こんな技もあったか。だが、もう覚えたぞ!」

 

少女は次にやって来た光輪を、ヨーヨー諸共切断した。

 

調「なっ!?」

 

ゼット『マジでございますか!?』

 

ノア『調!聞いて!そいつは恐らく、一度見たり受けた攻撃を覚えて上回る能力があるわ!マックスが嘗て戦った、完全生命体イフに近い能力ね!そして能力の根本はあの刀!あの少女は操られてるの!』

 

調「嘘ぉ!?そんな事が!?」

 

それでは尚更少女は殺せない。しかし、少女の肉体に変化が訪れた。それは、突然少女の背後に現れた時計のようなアイテムが飛んできて、少女の体に寄生した。少女の肉体が変異していく。

 

少女?「ガアアアアアアアアア…………クハハハハッ!!まさか此処で怪人化するとはな!!アナザーウォッチ!!仮面ライダー!!成る程、此れは良いぞぉ!!』

 

少女は人間だった頃とは思えない程に変わり果て、バッタのような頭を持った黒い戦士の姿となった。ベルトの真ん中には、バッタの顔のようなバックルが取り付けられており、口の中が渦を巻いている。

 

更に異形の怪人となった少女の背後に、少女の姿に近い姿をした、胸元にホッケーパッドを付けた戦士達が姿を現した。

 

調は、ウルトラマン達は、嘗てウルトラマンが共闘した地球が生み出した人間サイズの戦士の噂を、光の国で聞いた事があった。ウルトラマン曰く、その姿を、こう呼んだ。

 

調&ゼット「『仮面………ライダー?』」

 

少女?『貴様は前座であったが、中々強いな!その首を取る前に、名乗らせてもらおう!俺はアヌビス神!どうやら俺の秘密に気が付いているようなので、自己紹介をさせてもらおう!』

 

少女の口から話し出したアヌビス神。

 

『災害レベル虎〜竜以上:アヌビス神』

 

『災害レベル鬼:大量発生型番外相変異・アナザーバッタオーグ』

 

調は追い込まれる。ローラーで道路を走り続ける調だが、その背後からは、10機ものバイクに乗ったアナザーバッタオーグが追ってくる。アヌビス神が操る少女は、アナザーバッタオーグの隊列の先頭をバイクに乗って走る。

 

アヌビス神『逃がすかぁ!!』

 

バイクの速度が速くなる。調のローラースケートに合わせて、バイクの速度が上がり始めたのだ。

 

調「ヤアアアッ!!」

 

調はウルトラマンジードの力を反映して、シュルシャガナの装甲をジードの基本形態『プリミティブ』のデザインへ変化させる。

 

調「操られてる子を解放してもらう!!やぁっ!!」

 

調は反転した後、飛んで膝蹴りを放つ。しかしアヌビス神はバイクごと身を横に傾けて回避し、他のバッタオーグもバイクごと体を傾けて避けた。

 

調「嘘………今のが避けられるんだ」

 

アナザーバッタオーグ「そんな間抜けな攻撃当たると思うなよ!このビチグソがぁ!!」

 

アヌビス神はバイクから跳んだ後、調に向かって飛び掛かる。他のバッタオーグも調に向かって飛んで行き、一斉攻撃に入る。

 

10体からの拳の殴打。調は全てを拳法で回避し受け流すが、バッタオーグ達の速度は徐々に増して行く。アナザーバッタオーグは刀を抜いており、拳の殴打に混ぜて斬り掛かっている。次第に全身痣だらけになりつつある調。斬られ続けてペースも乱れ始めた。

 

調「タイタスさん!」

 

タイタス『うむ!ぬおおおおおっ!!』

 

調はタイタスの力を纏い、バッタオーグ達を衝撃波で吹き飛ばした。アナザーバッタオーグも例外ではなく、共に吹き飛ばされて壁に激突する。

 

アナザーバッタオーグ「ぬぉっ!?まさかまだ此処までの力を!?だが、衝撃波は覚えたぞ!そのパワーもな!」

 

調「ヌオオオオッ!!」

 

調は力でアナザーバッタオーグに迫り、パワーと光パワーを乗せた拳を振るい、アヌビス神の宿る刀を破壊しようとした。しかし、途中から現れたバッタオーグがアナザーバッタオーグの背後から現れ、調の拳はバッタオーグの腹に命中。バッタオーグは爆発四散した。

 

アナザーバッタオーグ「量産型とはいえ一体を粉々に砕くか!何と言うパワーだ!!成る程、主から聞いた“光の星”の奴等と似たような戦士という訳か!!こんなパワーで殴れば、操られてる此奴も吹き飛んでた所だが、もう覚えたぞ!」

 

調「ヒッ」

 

調は一瞬恐怖し、背筋が凍りそうになる。

 

アナザーバッタオーグ「ゾッとしたようだな!!行くぞ!!」

 

アナザーバッタオーグが刀を振り下ろす。調は両手で掴んで止めるが、他のバッタオーグ達から背後から蹴られてしまう。蹴り飛ばされた調は、地面を転がってしまう。

 

アナザーバッタオーグ「トドメじゃあ!!」

 

アナザーバッタオーグは調に斬り掛かる。調はやむを得なくゼットライザーを取り出し、ウルトラマンゼットに変身しようとした。

 

師匠『させねぇ!!』

 

フラン「やっ!!」

 

突然刀が、大きな西洋剣に弾かれる。それは、駆け付けたフランと師匠であった。

 

フラン「ごめん遅れて!」

 

師匠『俺達を付けてた奴を相手してくれたんだよな?急いで探してやっと見つけたが、此れはヤバいな』

 

師匠がアナザーバッタオーグを見る。

 

アヌビス神『フハハハハハッ!!此れは驚いたぞ!!まさか向こうから現れるとはな!!』

 

調「はやては?はやてはどうしたの!?」

 

師匠『心配すんな。彼女には事情を説明して、家に送って来た』

 

フラン「調!一緒に闘おう!」

 

アナザーバッタオーグ「面白い!ならば来るがいい!」

 

アナザーバッタオーグは残った9体のライダー達と共に駆け出す。フランと調は共に構えた。




《オリジナル怪人》

名前:大量発生型番外相変異・アナザーバッタオーグ+アヌビス神
元ネタ:オリジナル(シン・仮面ライダー要素あり)
災害レベル:鬼(アヌビス神のお陰で竜以上)
概要
『シン仮面ライダー』の11体の量産型怪人だが、その内の一体がアナザー化している。蝗害の如く一糸乱れぬ統率された動きで敵に襲いかかる獰猛な兵隊である。一体一体は災害レベル虎程度でA級ヒーローでも倒せるが、集団による攻撃はかなり厄介。更にアナザー化の影響により、全ライダーに能力を共有している。此れだけならまだ調でも対応出来るが、アヌビス神が加わる事で一体が受けた又は体験した攻撃や能力を覚えて集団が更に強さを増して行く。質より量、量より質とはあるが、質と量の2つを見事に備えた最強の攻撃布陣である。尚、バイクにもアヌビス神を通してライダーが体験した事に対して強くなる能力が反映される。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

コラボ回4:圧倒的強さと機転

アナザーバッタオーグとの戦闘は激しさを増す。フランと師匠が駆け付けた事で、調の負担も軽くなる。バイクに乗って迫る量産型バッタオーグ達の蹴りを、調はタイタスのパワーで吹き飛ばした。

 

調はウルトラマンマックスの力を解放し、マックススパークの付いた左手を空高く掲げて光を吸収し、両腕を逆L字型に組むことで発射する『マクシウムカノン』を放つ。バッタオーグは3体が同時に貫かれ、大爆発を起こした。残りは6体。もうマクシウムカノンは効かない。

 

ゼット『調!彼等は一撃必殺で倒す必要があるです!一気に決めますぞ!!』

 

調「うん!ゼットさん!」

 

調は残りのバッタオーグと対峙する。5体のバッタオーグは調の前に立ち塞がる。

 

その頃、フランと師匠は、アナザーバッタオーグとアヌビス神と激しい戦闘を繰り広げていた。

 

師匠とアヌビス神がぶつかり合い、金属音が響き続ける。

 

走りながら剣と剣がぶつかり合い、無数の三日月のような衝撃波が周囲に放たれ、まるでドームのような形となっていく。

 

フラン「ァあああああああああ!!!」

 

アナザーバッタオーグ「ぬぉおおおおおおお!!!」

 

あまりの速さに海鳴市全域を、一筋の光線が走ったように一般人には見えた。

 

しかし、フランは劣勢であった。初めは頬を斬撃が掠めて、剣の押し合いでは力負けしそうになる事が増え始めた。

 

師匠『ぐっ!がぁっ!』

 

師匠の刀身が徐々にひび割れ始めた。

 

フラン(師匠!!師匠が砕けて行く!!これ以上奴が強くなってしまったら……いや、師匠は負けない!!私も負けない!!もっと強く力を上げる!!)

 

しかし、現実は厳しい。アヌビス神の力により、アナザーバッタオーグは徐々に強さを上げていく。

 

本来『ロギアフェアリー』の効果により、流動化出来る筈のフランの肉体だが、何故か実体が捉えられ、そしてダメージを負わされていく。アヌビス神の効果にしては可笑しい。他にも何かある。

 

アナザーバッタオーグ「どうした?眠っちまったか?フラン!!」

 

アナザーバッタオーグは右脚の蹴りを放ってフランの左足を蹴る。骨が砕ける音が響き、フランは体勢を崩す。アナザーバッタオーグはアヌビス神を振り下ろそうとするが、フランは右手の人差し指と中指を立てて、電撃を放った。電撃はアナザーバッタオーグに直撃し痺れさせていく。推定50万キロワットの電撃であるが、アナザーとはいえ仮面ライダーの身体能力なのか、膝を付くだけで耐えていた。

 

アナザーバッタオーグ「成る程な……!此れは凄まじい電撃だ!!だが…………覚え、たぞ!!」

 

アナザーバッタオーグはすぐに立ち上がり、両腕を勢い良く斜め上に突き上げて電撃を振り払った。

 

しかし、それはフランの狙いだった。強くなったとしても、刀剣を使うならば独特の癖がある。

 

フラン(師匠!!)

 

師匠『任せろ!!パッチマミーの能力発動!!』

 

師匠は以前倒したゴスロリミイラの怪人から得た能力を使い、糸を括り付けた無数の針を放ち、自身の形状をハサミに変化させた。ハサミでアヌビス神を斬ろうとするが、アヌビス神をアナザーバッタオーグが横へズラした事で、柄の先端しか斬れなかった。とはいえ隙は出来た。アナザーバッタオーグの全身に針を通し、そのままフランが地面に推し倒し、師匠が縫い付けていく。そして、アヌビス神も無数の針と糸で縫い合わせて行く。

 

アナザーバッタオーグ「ぐっ!成る程な!だが!」

 

しかし、アナザーバッタオーグはすぐに拘束を振り解いた。

 

アヌビス神「成る程。俺を拘束してその間に殺すつもりだったな?」

 

フラン「ひっ」

 

師匠『マジかよ』

 

フランは顔を青くした。師匠も冷や汗を流す。

 

アナザーバッタオーグ「ゾッとしたようだな!!不死身の貴様も感じたか!!死の恐怖を!!」

 

アナザーバッタオーグに攻めるフラン。今ここで倒さなくては、確実に危険な気がした。師匠も光弾やレーザー、氷のミサイルや巨大化も行うが、次々と避けたり防がれたりされ、徐々に手数が無くなっていく。

 

アナザーバッタオーグ「馬鹿め!!貴様等がどれだけ力を上げようと、俺と仮面ライダーの身体能力のコンボパワーに、敵うか!!」

 

アナザーバッタオーグが跳び上がる。フランは超能力で周辺のアスファルトを持ち上げて、アナザーバッタオーグに向けて放つ。アナザーバッタオーグに当たっていくが、アヌビス神でも時々弾いていく。

 

アナザーバッタオーグ「何しても無駄だ!!」

 

アナザーバッタオーグは蹴りを放つ。空から蹴りの体勢となって迫るアナザーバッタオーグを、フランはギリギリの所で避けるが、大地はアスファルト道路が全て粉砕され、大爆発を起こした。大地からマグマが噴き出し、その場は溶岩と砕けた大地と化してしまった。

 

フラン「師匠!あれを!!」

 

師匠『本気か?』

 

フラン「本気!」

 

師匠『分かった!俺に任せろ!』

 

しかし、フランは細工を施していた。砕いたアスファルトの破片から、小さな光の粒が放たれたかと思えば、それが全て光る。更に、他の粒も輝きを放ち、周囲を瞬く間に光が包み込む。

 

アナザーバッタオーグ「ぐはっ!?閃光か!!」

 

そして、フランは光の中でアナザーバッタオーグに飛び掛かる。

 

アナザーバッタオーグ「馬鹿か!!こんなチャンス作って置きながら捨て身で来たか!!だが、そんな事をすれば貴様は終わりだぁぁ!!」

 

そして、アヌビス神でアナザーバッタオーグはフランの胴体を突き刺した。

 

アナザーバッタオーグ「貰ったああ!!」

 

フラン「ガハッ」

 

フランは口から血反吐を吐いた。

 

アヌビス神『やった!勝った!やりましたぞ神よ!!このアヌビス神が、フランの命を殺したのです!!ぃやったあああああああ!!』

 

フランは空中で腹を貫かれた状態で吊るされており、腹を貫く刀身はフランの頭へ迫っていく。そのままフランの上半身を斬ろうというのだ。

 

フランは刀身を両手で掴んで止めようとするが、その力があまりに強過ぎて押し込む事も引っこ抜く事も出来ない。

 

アヌビス神『無駄な事だ!掴んでも、押し込む事も引っこ抜く事も出来んぞ!!この妖刀、お前達の力も速さも能力も覚え、既に上回っているのだ!!』

 

アヌビス神が刀身を更に上へ上げていく。

 

フラン「がふっ………私を、斬るの?」

 

アヌビス神『ああっ、バラバラに斬り裂いてやる!我が主が喜ぶぜぇ!!』

 

フラン「やめた方が……良い………死ぬ……………」

 

アヌビス神『やめるかぁ!!このまま体を真っ二つにしたら、オメェをバラバラに斬り裂いて、内蔵をぶち撒けてやるぅ!!』

 

アヌビス神の力が更に強くなる。フランは更に血反吐を吐き、胸元にまで刀身が上がって行く。

 

アヌビス神『ガルガルゥ!!グヒヒヒヒヒヒっ!!』

 

アヌビス神は勝ち誇っていた。師匠を失い、抵抗する気力すら見せなくなったフランを、このままではフランは殺されてしまう、事は無くともバラバラの肉片にされてしまう。

 

フラン「…………此れで逃さない!」

 

フランは自身の両腕を凍らせた。その時、アヌビス神をアナザーバッタオーグ諸共両腕を凍らせる事で、アヌビス神を拘束した。

 

アヌビス神『何をしても無駄だと分からんのか!!』

 

フラン「………一つ質問。師匠は何処?」

 

アヌビス神『何を言って…………っ!?』

 

アヌビス神は気付く。今思えば、フランは自分だけで特攻してきたのだ。あまりにも戦闘としては安直過ぎるし、自らの刀剣を手放すような事を彼女がする筈が無い。

 

アヌビス神(………さっきの閃光は目眩ましなのは理解してるが、あれはフランが真正面から来る事をフェイクと見せかけないようにする為の、ダブルフェイク!?まさか!)

 

しかし、気が付いた時には遅かった。

 

師匠『良くも俺の娘を!!絶対許さねぇ!!このままお前を、貫いてやるぜ!!』

 

師匠は空高くから落下して、強いエネルギーと灼熱の炎を纏い、所々が砕けながらも、アヌビス神に向かって特攻する。

 

師匠『『メテオ・ドラゴンファング』!!』

 

同じ相手に2度も通用しない、二人の奥の手だ。

 

そして、師匠はアヌビス神を貫き、次いでにアナザーバッタオーグのベルトもその際に破壊した。

 

アヌビス神『ギャアアアアアアアアアッ!!!』

 

その瞬間、アヌビス神は極度の高温と衝撃波によって粉々に砕かれた。フランに突き刺さった刀剣も、粉々に砕けて消滅し、その切っ先が地面に落ちた。アナザーバッタオーグも元の少女の姿となり、少女はその場に倒れてしまった。

 

しかし、師匠もただでは済まなかった。

 

師匠は地面に落ちてしまい、刀身が完全に砕けてしまった。柄もひび割れており、いつ砕けてもおかしく無い状態だ。

 

フラン「あっ………師匠!!」

 

フランは腹からの痛みも構わず、師匠に駆け寄る。砕けた師匠に近付き、抱き締めて『ロギアフェアリー』の力を発動し、生命エネルギーを分け与える。

 

フラン「待ってて!今治す!」

 

フランは手元を光らせた。その光を師匠に翳した瞬間、秒単位で師匠の体が戻って行く。

 

師匠『フラン………すまないな。今回は流石に危なかった』

 

フラン「大丈夫!!師匠は私が治す!!だから、死なないで師匠!!」

 

師匠『馬鹿だなぁ………俺はお前と同じで再生出来るんだ。少し経てば治る………』

 

フラン「そんなの関係ない!!師匠は必ず治すと決めた!!また一緒にご飯食べに行きたい!!また一緒に遊園地とか行こうよ!!治るとか、不死身だとか、そんなの関係ない!!上手く言えないけど………師匠に助けられた私は、師匠を助けたい!!」

 

師匠『フラン………ありがとな』

 

そして、その場へ調がやって来た。他のバッタオーグが居ない所、そして全身傷だらけ痣だらけな所を見るに、倒せたのだと理解出来る。

 

調「終わったんだね」

 

師匠『ああっ』

 

フラン「終わったよ………」

 

 

 

 

 

しかし、まだ終わりでは無かった。アヌビス神は切っ先が破片として残っていた。

 

それを、その場に居た一人の野次馬が拾ってしまう。

 

ノア『まだよ!!!』

 

ノアが叫ぶ。しかし、時既に遅し。

 

調、フランが振り向いた時には、その野次馬は既に洗脳されていた。

 

アヌビス神『フハハハハハハハッ!!此れで俺に攻撃出来まい!』

 

野次馬が人質に取られた。

 

フラン「このっ!ぐっ………」

 

フランは指先に光パワーを集束させるが、再生がまだ終わってない腹から激痛が走る。

 

フラン「ガハッ!!」

 

フランが血反吐を吐き出した。

 

師匠『フラン!』

 

調「嘘でしょう!?」

 

アヌビス神『さあ、もうお前達の力は完璧に覚えた!もう貴様等は俺には勝てない!!』

 

アヌビス神が野次馬を操り、刃を投擲した。

 

その時だった。

 

???「そこまでにしてもらおうか」

 

その声が聞こえた瞬間、アヌビス神が放り投げられた先に巨大な空間の穴が開いた。

 

アヌビス神「なにいいいぃぃぃぃぃっ!?」

 

アヌビス神はそのまま、空間に開いたワームホールへ吸い込まれて行った。




次回、コラボ最終回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

コラボ最終回:S級1位と帰還/楓の木

長らくお待たせしました。前半はコラボの終わりで、残りはS級のメイプルとサリーの所属する組織の紹介を載せます。前回の話を少し編集して増やしたので、先に見る事をオススメします。


フラン達は呆然としていた。

 

あれ程苦戦したアヌビス神が、いとも容易く葬り去られたのだ。

 

フラン「何が?」

 

???「漸く見つけられたな」

 

声のした方向を向いた。其処にはヒーローらしいマントにヒーローらしい鎧を身に纏った男が、ワームホールを背に立っていた。

 

ノア『ブラスト!?』

 

調「知ってるの?」

 

『S級ヒーロー1位:ブラスト』

 

ブラスト「そうか。お前、ウルトラマンノアを宿しているな?」

 

調「えっ?何でそれを……」

 

ブラスト「友人だ。だが今回はノアと話をしに来た訳では無い。俺は、彼と彼女を連れて帰る為に来たんだ」

 

ブラストはそう言った後に、フランと師匠を指差した。

 

フラン「私達を?」

 

師匠『フラン。此奴、強いぞ。少なくとも、他のS級より遥かにな』

 

規格外の強さを持つミリムやアズサより強い。師匠はそう感じた。ブラストは上手く隠しているが、師匠は僅かなオーラを感知出来た。

 

ブラスト「噂には聞いていたぞ。世界でも数少ない『知性を持つ武器(インテリジェンス・ウェポン)』よ。お前の声は俺も聴こえている」

 

師匠『そうか。だが、俺達、元の世界に帰れるのか?』

 

ブラスト「ああっ。お前達が倒したブルトンは、俺達が現在戦っている奴が創った刺客だ。先程の剣もな。このままこの世界に留まれば、また奴は新たな刺客を送り込むだろう」

 

すると、ワームホールから青と空色の鎧を身に着けた金髪の青年が現れた。

 

???「ブラスト!カミがまた動き出した!他の時空に干渉して、信奉者を増やしている!」

 

ブラスト「分かった!彼等を送ったら、すぐに行こう!」

 

そして、青年はフランと師匠の元を向いて挨拶をした。

 

ペイン「ん?ああっ、君達がブラストの言ってた。俺はペイン。元S級5位のヒーローだ。もしメイプル達に会ったら、『集う聖剣は今も活躍してる』と伝えてくれ」

 

『元S級ヒーロー5位:勇者ペイン/ペイン』

 

ペインはそう言うと、ワームホールの中へ戻っていった。

 

調「………行くんだね」

 

フラン「ん。私達には、戻るべき世界がある。師匠と一緒に、生きてく」

 

師匠『そうだな。また会える時が来るさ』

 

フラン「そしたら、美味しい怪獣のお肉、食べよ!」

 

師匠を背中の鞘に収めながらブラストにおんぶされるフランは、目を輝かせながら調を見つめた。圧が凄い。

 

調「アハハ………か、考えておくね」

 

こうして、ブラストの助力により、フランと師匠は元の世界へ帰って行った。

 

フラン「またねー!また会えたら遊ぼう!」

 

調「うん!またね!」

 

調に見守られながら、ブラストと共にフランと師匠はワームホールへと消えて行った。

 

余談ではあるが、調は怪獣の肉は食べないらしい。

 

――――――――――――――――――――――――

 

一方その頃。フラン達の世界。

 

B市では怪獣が暴れていた。それも2体。いずれも人類が手に負えるような相手ではなかった。

 

ギアレックス『ゴアアアアアアァァッ!!』

 

『災害レベル竜:ギアレックス』

 

二本の脚を持つ巨大生物だ。右側面の巨大な突起からビーム状の体液を発射して、ビルを破壊している。

 

そしてもう一体は、二足歩行の恐竜、過去に出現した古代王に近い姿をしたロボットだ。

 

『災害レベル竜:メカゴジラ』

 

2体は街を破壊しながら暴れているが、どちらも建物を破壊しながら争っている。ギアレックスはメカゴジラの攻撃を走って避けて行き、メカゴジラは口からフィンガーミサイルを放ってギアレックスを攻撃する。

 

人々は逃げ惑い、怪獣同士の戦いから逃れようとする。

 

しかし、ヒーローはやって来た。

 

少女「きゃっ!!」

 

少女が一人、アスファルトの上に転んだ。

 

父親「おい!大丈夫か!」

 

母親「しっかりして!」

 

両親が逃げるのを止めて、少女を抱き締める。しかし、少女は足を挫いており、走る事が出来ない。

 

ギアレックス『ギャオオオオオッ!』

 

ギアレックスが体液を飛ばす。レーザーのような体液が、その家族へ迫って来る。

 

家族は目を閉じて、抱き締め合う。死を覚悟した、その時だった。

 

サリー「『超加速』!」

 

メイプル「『カバームーブ』!」

 

彼等の前に、海のように青いコスチュームを身に纏うサリーが、残像を描きながら現れた。かと思えば、サリーの目の前にメイプルが瞬間移動の要領で現れて、大きな盾で体液を防ぐ。

 

メイプル「『悪食』!」

 

メイプルに攻撃を吸収される。光線のような体液が無数の紫のキューブが集まったオーラへ変わり、盾に開いた口のような穴へ吸い込まれて行った。

 

サリー「大丈夫ですか?」

 

少女「わあ!ひらり少女だ!要塞少女もいる!!」

 

父親「ほ、本当だ!ありがとうございます!」

 

母親「ありがとうございます!では、私達は此れで!」

 

父親が娘を背負い、母親は父親と娘に続くように走り出した。

 

???「メイプル!周囲の避難は完了だ!」

 

『A級ヒーロー:侍少女/カスミ』

 

メイプル「よし!皆、怪獣達を倒すよ!!」

 

楓の木『『『おおーっ!!』』』

 

メイプルの掛け声と共に集まる、6人の男女。そして、サリーとメイプルが並んで立つ。

 

彼等は、ヒーロー協会に所属するヒーロー達で、少数精鋭の組織である。その名も『楓の木』。メイプルとサリーが、前世で好きだった作品の組織名を、そのまま採用したのだ。

 

そして、少数精鋭の楓の木のメンバーは………全員A級ヒーローであり、S級に匹敵する実力と個性を持つ者達だ。

 

マイ&ユイ「「てぇーい!!」」

 

『A級ヒーロー:ツヴィリングハンマー/マイ&ユイ』

 

マイとユイ。A級ヒーローであり、幼そうな外見とは裏腹に、そのパワーはS級さえも凌ぐとされている。二人がそれぞれ持つ2つのハンマーで、災害レベル竜の巨大怪獣さえも粉砕してしまう。反面素早い相手には弱く、防御が弱い弱点がある為、メイプルとは良くトリオで任務に出ている。

 

ヒーロー協会でも珍しい、二人一組のヒーローである。その為、双子で同じ順位に位置しており、ヒーローネームも双子に合わせて名付けられた。

 

マイとユイは同時にギアレックスへハンマーを振り上げた。ギアレックスは本能で危険を察知して後ろへ避けるが、双子がハンマーを振り上げて発生させた衝撃波は、ギアレックスを吹き飛ばし、その体をボロボロに削って行く。

 

マイ「行くよユイ!」

 

ユイ「うんお姉ちゃん!」

 

マイとユイはハンマーを持って走る。鈍足ではあるものの、ギアレックスならばあっという間に追い付ける。

 

ギアレックスをハンマーで吹っ飛ばすマイとユイ。

 

メカゴジラは走り出して、足を上げて双子を潰そうとした。

 

???「おっと!お前の相手は俺だ!」

 

『A級ヒーロー:屍の王/クロム』

 

メカゴジラの足の裏を、大盾で防ぐ赤黒い鎧を身に着けた男。彼の名はクロム。A級ヒーローであり、アンデッドを彷彿とさせる装備を身に着けており、メイプルやゾンビマンを足して2で割ったような力を持つ。戦う間に肉体が再生し、更に10秒間どんな攻撃を無力化する聖なる光がクロムに降り注ぐ事で、楓の木の再生盾として機能している。そのしぶとさから、協会からはゾンビマンに並ぶ再生能力持ちとして、屍の王というヒーローネームが与えられた。

 

クロム「っぉぉぉおおおおおおおおおお!!」

 

クロムは大盾でメカゴジラの足を弾き、剣を振り上げてメカゴジラの足を切断した。

 

???「流石ねクロム。私も張り切っちゃおうかしら」

 

『A級ヒーロー:歩く武器工場/イズ』

 

イズはA級ヒーローではあるが、様々なヒーローと取引をして武器を提供している生産系ヒーローでもある。彼女が生み出す道具は日常生活においても活気的な物であり、その利益は協会でも随一だ。

 

金さえあればどんな物でも生産可能で、S級にも負けない超広範囲爆破も可能な爆弾やミサイル、兵器さえも創り出せる。財力は協会トップクラスで、道具販売の利益で得たお金で沢山の武器を生み出している。

 

イズ「それ!」

 

イズはミサイルを放つ。メカゴジラの胴体に放たれたミサイルは全て爆発し、メカゴジラの胴体に穴が空き、機材が雪崩のように崩れ落ちて行く。

 

メカゴジラは口から白熱光を吐き、イズを攻撃する。しかし、イズは目の前に壁を生成して、メカゴジラの白熱光を防ぐ。

 

イズ「“歩く武器工場”なんて在り来りな名前だけれど、お金さえあれば何でも創れるから否定出来ないのよね」

 

イズがトドメに爆弾を投げ付ける。今度は火力任せではなく、強酸性の液体が入った爆弾だ。メカゴジラの頭部に命中した後、爆発と共にメカゴジラの頭に酸が降り掛かる。メカゴジラの頭は酸で溶かされていき、そのまま溶かされて動かなくなった。

 

???「私も負けられんな!」

 

『A級ヒーロー:侍少女/カスミ』

 

カスミ。A級ヒーローの中でも一二を争う剣士であり、アトミック侍の弟子でもある。彼女は様々な型の刀術を使いこなし、技の多さはヒーロー協会の剣士の中でも屈指である。

 

カスミ「『一ノ太刀・陽炎』!」

 

カスミはギアレックスの目の前に瞬間移動をして、ギアレックスの突起を刀で斬った。しかし、あまりの硬さに表面の皮膚しか斬れなかった。

 

カスミ「『二ノ太刀・斬鉄』!」

 

しかしカスミは攻撃を止めない。刀を振り下ろし、今度は攻撃を貫通させる。ギアレックスの突起が真っ二つに切断された。

 

???「僕の出番を取らないでよね!」

 

『A級ヒーロー:魔法図書館/カナデ』

 

カナデはヒーロー協会所属の魔法使い。中性的な見た目のせいで分かりにくいが、実は少年である。S級ヒーロー童帝が科学の天才ならば、カナデは魔法の天才である。人付き合いが得意ではなく、傍目には何を考えているのかわかりづらい。実はずば抜けた記憶力を持つ天才。3000ピース以上あるミルクパズルのピース一つ一つの形を全て覚えておくことができるだけの記憶力に加え、大規模な図書館に所蔵された全ての本をあっさりと読み尽くす処理速度も併せ持つ凄まじい頭脳の持ち主。ボードゲームの類も圧倒的な実力を誇り、まるでゲームのCPかのごとく自分の実力をレベル別に調整するという離れ業も当然のごとくやってのける。

 

なお、マイとユイにとっては全く歯が立たない強敵であり、頭脳派なサリーをほぼ完封する腕前のメイプルですら本気のカナデには一度も勝てていない。

 

カナデ「『メラゾーマ』」

 

カナデは魔法を唱えた。彼の隣に本棚のようなオブジェクトが現れ、本棚から出て来た本が開き、高火力の火球を放った。

 

彼が所持するキューブ状の杖は『神界書庫(アカシックレコード)』という魔法の書庫が付与されており、日替わりで戦闘系・生産系・その他の能力をそれぞれ3つずつランダムに取得できる。尚、一日経過すると『神界書庫』で取得した能力は消滅する。

 

後、同じ形の杖である『魔導書庫』を獲得し、『神界書庫(アカシックレコード)』と融合。これにより『神界書庫』で得た魔法・魔術を魔力を消費する事で『魔導書』にして『本棚』に保存し、使用時に即発動できるようになった。さらにその後、ある怪人から同種の杖である『技能書庫』を獲得し、融合させた。こちらは魔力を使用しない技能を『技能書』にして『本棚』に保存し、使用時に即発動できる。つまりランダム性はあるもののあらゆる魔法や技能を好きな時にノーコストで使うことができるのである。

 

ただし、『魔導書』『技能書』ともに消耗品であり、一度使用するともう一度取得するまで同じ魔法は使用できないというデメリットが存在する。

 

また、『本棚』に保存されたスキルは『神界書庫』で得たスキルであっても使用するまで消滅しない。

 

それでも魔力を消費せず魔法や技能を使えるというのは大きなメリットがあり、此れはS級のイレイナやアズサ、A級ヒーローの魔法使い達ですら出来ない事だ。

 

カナデ「『レッドバインド』!」

 

カナデが飛ばした大火球メラゾーマは、ギアレックスの頭部に命中。大爆発を起こした。更にカナデは、魔導書を消費して魔法を唱える。更に、炎の縄でギアレックスを縛り上げる。

 

カナデ「『魔女狩りの王(イノケンティウス)』!」

 

その時、カナデの魔導書から炎の巨人が出現。ギアレックスを片手で抑え込むと、そのままギアレックスの体内へ拳を叩き込んだ。

 

ギアレックスは全身から無数の棘を放つ。炎の巨人から体を揺すって逃れると、そのまま咆哮を上げた。

 

ギアレックス『グオオオオオオオオッ!!』

 

その瞬間、棘が咆哮と共鳴して同じ様な音を発生させた。

 

楓の木『『グッ!』』

 

楓の木は耳を塞ぐ。音響攻撃は流石に想定外であった。

 

ギアレックスは咆哮を上げた時、炎の縄の拘束が解かれたのを認識した。そして、その場から逃げ出し始めた。

 

咆哮を上げたのは、逃げる時間を稼ぐ為だ。

 

サリー「『超加速』!」

 

サリーはギアレックスの懐に入り込み、ギアレックスのアキレス腱を切断した。

 

ギアレックス『アアアッ!!』

 

サリー「おりゃあああっ!!」

 

サリーはギアレックスの片脚を切り刻み、機動力を奪う。ギアレックスは噛み付き攻撃を行うが、サリーは紙一重で避ける。更に残った足を振り回すが、サリーは避け続ける。

 

サリーに傷一つ与えられず、ギアレックスは苛立って攻撃が大振りになる。

 

サリー「メイプル!」

 

メイプル「『カバームーブ』!」

 

サリーの目の前にメイプルが現れ、メイプルがギアレックスの攻撃を体で受け止めた。体にギアレックスの爪が当たる。しかし、メイプルは吹き飛ばず、ダメージは受けていなかった。

 

ギアレックス『グゥッ!?』

 

ギアレックスはその時、ある光景を幻視した。

 

自分はかなりデカイ体を持つ。目の前のメイプルは、自分に比べれば小物だ。しかし、何故だろうか。

 

目の前にメイプルが居る。

 

しかし、その体は自分より遥かに巨大で、ビルよりも高くて大きく、無数の触手や砲台、鬼や3つ首の竜を生やしたメイプルの姿が映る。

 

その姿はまるで、難攻不落の要塞の如し。

 

ギアレックス『ギアアアアアアッ!!!』

 

ギアレックスはなりふり構わず、メイプルに向かって行く。口を大きく開けてメイプルに噛み付いた。

 

メイプル「『水底への誘い』!『悪食』!」

 

メイプルは盾と盾を持つ腕を無数の触手に変えてギアレックスの頭部を拘束し、そのまま触手でギアレックスの頭部を喰らう。ギアレックスの頭部は一瞬にして喰らいつくされ、そのままアスファルト道路の上に倒れた。

 

メイプル「よし!」

 

サリー「なんとか退治出来たね」

 

人々『『やったー!!』』

 

人々『『楓の木だー!!』』

 

人々『『俺達は助かったんだ!!』』

 

人々は楓の木を讃え始める。避難した人々は街へ戻り、街や人々を救ったヒーローへ感謝を伝える。

 

そんな中、イズはメカゴジラの残骸を調べていると、奇妙な事に気付く。メカゴジラの体の中には、コックピットがあり、その中で怪人がレバーを操作していた。

 

イズ(このロボットは………怪人が操作していたのね。でも見た限り、災害レベルは狼位ね。そんな怪人が、どうやってこのロボットを手に入れたのかしら?)

 

イズは、メカゴジラが誰かによって提供されたと悟る。災害レベル狼の怪人が、どうやってメカゴジラを、というより何処から手に入れたのか、謎であった。

 

そして、その様子を見ていた、太っちょな紳士。彼は物陰から楓の木のメンバーを見ていた。

 

???「ふむ。実に面白い!メフィラスの言う通りだ!この星の住人と中々興味深い!素人が操っていたとはいえ、私の目玉商品を破壊するとは!」

 

『災害レベル虎:怪獣バイヤー・チャリジャ』

 

チャリジャ「しかし、メフィラスによれば、暗黒盗賊団が迫っているようだ。面倒になる前に、私も退散させてもらうとしよう」

 

そして、チャリジャはその場から姿を消した。

 

そして数日後。ヒーロー協会は嘗てない事態に陥る事になる。




ランキング表示は、S級以外はほぼ載せない事にしました。

それと、転生者は他にも居ますよ。ブラストと共に来た者達や、昔S級に居た者、引退した者、そしてブラストと共に去った転生者達が居ます。

《ヒーロー紹介》
名前/ヒーローネーム:ペイン/勇者ペイン
元ネタ:防振り
階級:元S級5位
概要
元S級ヒーロー5位にして、防振りのペインに転生した転生者。現在はヒーロー時代に結成した『集う聖剣』のメンバーと共に、ブラストと仲間達と共に“神”と闘っている。
能力
不明。但し、他作品の『拳』以外の『勇者』の力はほぼ総て使えると思って頂ければ幸いである。

《オリジナル怪人》
名前:ギアレックス
元ネタ:メタルギアソリッド ピースウォーカー
災害レベル:竜
概要
別名、『核竜』と呼ばれる人工的に作られた怪人。元は海外共同で作成された対怪人用の生物兵器らしいのだが、神クラスの怪人の介入をきっかけに行方不明とされ、何時の間にか都市伝説扱いに。
しかし、各地で核兵器が喪失し、更に軍事基地や町が滅びる寸前に、ギアレックスらしき姿を見て、存在を確認。同時に甚大な被害を見て、竜クラスとなる。
右側面の巨大な突起からビーム状の強力な体液を噴射したり、咆哮に共鳴する無数の棘を飛ばして咆哮の範囲を拡大したり、更にはシン・ゴジラのような体内放射も出したりする。

名前:メカゴジラ
元ネタ:レディ・プレイヤー1
災害レベル:竜
概要
映画レディ・プレイヤー1に登場したタイプのメカゴジラ。チャリジャが何処かの世界で捕獲してきた。チャリジャの現時点での目玉商品である。主な武装は口から吐く白熱光とフィンガーミサイルなど。自立行動もできるが、内部にコックピットがあり操縦できる。

名前:チャリジャ
元ネタ:ウルトラマンティガ
災害レベル:虎
概要
時空を股に掛ける怪獣バイヤー。商売の種である怪獣の捕獲、あるいはこの世界の住人に自分の商品を売りつけにワンパンマン世界に来た。普段は白塗りのチャップリンのような風貌の太っちょ紳士の姿で活動している。物質透過能力を使って、壁から顔だけを出して屋内の様子を確かめたりする事が出来る。蝙蝠傘を使って空中を飛行し、手から青い破壊光弾を発射して敵を攻撃する事も可能。とはいえ戦闘はあくまで最低限の自衛を行うくらいであり、基本的に危機が迫ると怪獣を召喚したり、別の世界に移動するなどして逃げ出す。

《オリジナル組織名》
名前:集う聖剣
元ネタ:防振り
原作の防振りと同じく、ペインをリーダーとしたヒーロー派閥組織。A級以上のヒーローで構成されたヒーロー協会最強の組織であったが、ブラストと共に3年前に出現したムカデ長老ととある怪獣との交戦中に起きたある出来事により、現在は集う聖剣のメンバーと共にブラストと旅をしている。
リーダー:ペイン
サブリーダー:ドラグ(元S級22位)
メンバー:フレデリカ(元S級24位)、ドレッド(元S級23位)
モブメンバー:剣を主に扱う騎士風の装備を身に着けたA級ヒーロー達。防振りより人数は少ない。

名前:楓の木
元ネタ:防振り
原作の防振りと同じく、メイプルがリーダーを務める少数メンバーで構成されたヒーロー組織。『集う聖剣』のライバルであり、友達でもある組織。メイプルとサリーがペインやドラグと入れ替わる形でS級に入った事で、更にその名は広がる事になる。一人一人がS級に匹敵する程の実力又は技術、戦略性を持ち、一筋縄ではいかない異常な実力者ばかりである。その為、一般人からも『人外魔境』『魔界』の異名が付けられた。但し、恐れられてるだけなので、嫌われてるかと言われればそうではない。
リーダー:メイプル(S級8位)
サブリーダー:サリー(S級22位)
メンバー:クロム(A級)、イズ(A級)、カスミ(A級)、マイ&ユイ(A級)、カナデ(A級)

ヒーローネームは私が考えてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章
予言者の死と道場勧誘


いよいよ暗黒盗賊団ダークマターの章に入ります。

それと、ミリムのヒーローネームを変更しました。


シババワ。彼女は高齢の女性ではあるが、この世界でも数少ない魔法使いであり、その中でも『占術』に特化した予言者だ。その予言の的中率はなんと100%で、様々な災害の到来、怪人の出現、怪獣の襲来、そして悩める人々の未来を予言し的中させてきた。とはいえ、シババワ無しでも解決出来た事案は数多くある。それでもシババワの護衛を、ヒーロー協会は欠かさず行ってきた。

 

ヒーロー協会のシババワの警護は、政府からの要望でもあった。その予言を利用しようという輩が現れて悪用されれば、どんな事が起きるのか想像出来ない。況してや、世界各国の首脳や国王、そして権力者や裏社会の住人からすれば、喉から手が出る程に欲しい人材だ。

 

なので、ヒーロー協会はヒーロー達にも負けない黒服の護衛達と、A級以上のヒーローで、G市にある彼女の仕事場でシババワの警護に当たっているのだ。

 

訪れる客にも念を入れて、怪しい人物ではないのかチェックを受けている。

 

先ずはボディチェック。怪し気な武器、危険な薬物等の持ち込みが無いかの確認である。主に女性のスタッフが行う。

 

次に魔法、超能力による最終確認だ。超能力者や魔法使いのスタッフかヒーローによって、隠している物が無いかチェックする。

 

そんなシババワの今日の仕事は、今回は半年後の未来を占ってほしいという占いだ。今日の依頼主は、二人一組の男女。このカップル、半年後に結婚を控えているのだが、幸せな結婚式を迎えられるか、未来を見て欲しい為に、シババワの元を訪れたのだ。

 

サヤ「『レベリオ』。よし、大丈夫ですよ」

 

今回警護に当たっているヒーローは、A級の『炭の魔女』であるサヤだ。今唱えたのは、『レベリオ』。暴露呪文と呼ばれ、隠された物体やメッセージ、目に見えない物体、通路などあらゆる秘密のメッセージや隠れた印を暴き出す魔法である。練習すれば簡単に出来る上に捜し物にはピッタリの為、魔法薬や錬金の素材探しをする魔法使いや錬金術師、探偵業や警察に所属する魔法使いに良く好まれる呪文だ。

 

カップルの持ち物を確認したが、凶器になる物は検出されなかった。

 

サヤ「シババワ様、お客様です」

 

シババワ「うむ。お疲れ様」

 

サヤがカップルを通す。

 

黒服「炭の魔女、お疲れ」

 

サヤ「はい。じゃ、僕は此れで」

 

黒服「ああっ」

 

サヤは入り口に戻る。再び警護に当たる為に。

 

カップル男「シババワ様。半年後に僕等は結婚出来るでしょうか?」

 

カップル女「お願いします」

 

シババワ「分かった。どれ………見てやろう」

 

シババワは半年後の2人を占った。初めは何時も通りの雰囲気を見せ、二人の待ち受ける未来を見ようとした。良いことも悪いことも、関係なく伝えるつもりだ。

 

しかし、数十秒も水晶を見つめ続けたシババワであったが、すぐに険しい表情を浮かべ始めた。

 

黒服「し、シババワ様!?どうかされましたか!?」

 

カップル「「えっ?ええっ?」」

 

黒服が駆け寄り、カップルは困惑するばかり。

 

シババワ「なんという事じゃ………嘗てない危機が迫っている!“地球が……ヤバい”!」

 

その場に居る誰もが困惑する中、シババワはその一言だけを発した。

 

シババワ「何としても皆に伝えなくては!()に気付かれてしまった!ヒーロー協会に、特にイレイナに伝えなくては……うぐっ!?」

 

シババワは胸を片手で抑え始める。心臓の位置を抑えているのだ。

 

シババワ「おのれぇ……!早くも気付きおったか!じゃが、お前の思い通りにさせんぞ!」

 

その時、シババワは懐からペンを取り出し、近くの紙に何かを書き始めた。

 

サヤ「あの、どうかしましたか?」

 

シババワの慌ただしい声を聞いたサヤは入り口を開けて、何事かと尋ねた。その時、シババワがテーブルにメモを残し、心臓の位置を片手で抑えながら床に倒れる様子を見てしまった。

 

黒服「す、炭の魔女よ!頼む!シババワ様が突然倒れられて!早く治療を!」

 

サヤ「は、はい!『トータルヒーリング』!」

 

サヤは回復呪文を唱える。怪我や病気も治す万能の回復呪文だ。しかし、シババワは起き上がらない。肉体に見えた皮膚炎や内出血は治っているが、人形のように起き上がらない。

 

そうなれば、死んだのだろう。だとすれば、蘇生呪文はもう無意味だ。

 

サヤ「………すみませんが、ザオリクは魂を呼び戻して瀕死や仮死状態を治す魔法で、本当に死んだ人を生き返らせる事は出来ません」

 

黒服「そうか………ん?」

 

大予言者シババワ、死亡。しかし、彼女はメモを残していた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、フランと師匠はサイタマ達と共に、ある道場へやって来ていた。其処は、シルバーファングことバングの道場で、長い階段と高い山岳の天辺に建っていた。流水岩砕拳を伝授させる道場で、バングはサイタマ達を呼んで自身の拳法を教えようとしたのだ。

 

流水のように滑らかで、尚且つ無駄のない動き。流水のように攻撃を受け流して相手に返す。攻防共に隙のない闘い方。正に技の極地と言うべきだ。

 

因みに今回のフランは、懐かしの白いドレス風の軽装備を身に着けている。

 

バング「とまあ、こんなものかのう。どうじゃ?興味は無いか?」

 

フラン「おおっ!凄い!」

 

フランは目を輝かせていた。

 

バング「おおっ、そうか。それで、お主等はどうじゃ?流水岩砕拳、やってみんか?」

 

バングは、フラン以外のメンバーに尋ねる。

 

サイタマ「いや、街で偶然会って面白いモンみせてくれるって言うから来てみれば、俺は別にやらねぇ。ジェノスは?」

 

ジェノス「いえ、結構です。俺はこんなサイボーグですし、何より俺が求めるのは強い火力と破壊力ですから」

 

師匠『フランは興味津津だな。習ってみるか?』

 

フラン「別にいい」

 

すると、オレンジ色のチャラそうな男が飛び出して来た。

 

???「貴様等!流水岩砕拳を愚弄する気か!一番弟子チャランコ、参る!」

 

『バングの門下生:チャランコ』

 

しかし、フランはチャランコの拳を四つん這いになって避けると、右手でチャランコの足を払って転ばせる。そして、転ばせた後に額へ拳を当てる。猫パンチを放つ時、フランは猫のように座っていた。

 

チャランコ「ギャッ!参った!」

 

サイタマ「猫パンチかよ」

 

フランは頭の両耳を2回も揺らした。

 

フラン「弱い」

 

バング「まあ………すまんのう。お主は四足獣拳法の使い手じゃったな」

 

ジェノス「バング。お前の道場は実力者揃いと聞いたが?」

 

バング「少し前まではそうだったんじゃ。じゃが……皆辞めて行ったよ」

 

サイタマ「何でだ?」

 

バング「一番弟子がおったんじゃが、そいつが暴走してのう。実力のある弟子達を皆再起不能にしてしまい、それを見た皆が逃げ出したんじゃ」

 

フラン「一番弟子?」

 

バング「名前は“ガロウ”。戻って来た後、儂が奴をボコボコにして破門にした。それで、今はチャランコだけが門下生なんじゃよ」

 

師匠『成る程なぁ。その一番弟子、とても大切な存在なんだな』

 

バング「まあのぅ」

 

その後、ヒーロー協会の黒服のスタッフがやって来た。息が荒く汗も全身から流している。階段を登ってやって来たのだろう。

 

黒服「シルバーファング様!ヒーロー協会の者です!この度、S級ヒーロー全員に緊急招集が掛けられました!急ぎ、協会本部までご同行願います!」

 

バング「緊急招集?」

 

黒服「ん?ああっ!ジェノス様もいらっしゃいましたか!!S級全員出席せよとのお達しなので、是非来て頂きたいのですが!」

 

ジェノス「レベル竜が出たのか?分かった」

 

いきなり過ぎる出来事だが、ジェノスはすぐに承諾した。

 

師匠『早いな。前のお前なら吟味してただろ?』

 

ジェノス「彼の雰囲気からして、尋常ではない事が伺えた。恐らく竜以上の何かが来るかもしれない」

 

バング「そうかのう?」

 

すると、黒服がバングの疑問を晴らす事になる。

 

黒服「い、いえ!灰の魔女様も出席されるとの事です!帰って来た彼女の真剣な顔は初めて見ました!高原の魔女様にふくろう便?を介して経緯を話した所、二つ返事でOKしたとの事です!」

 

バング「イレイナちゃんが?そうなるとただ事ではないようじゃのう」

 

ジェノス「そうらしいな。先生やフランも行きますか?」

 

サイタマ「良いぜ。暇だから」

 

フラン「ん」

 

黒服「勿論です!そちらのお二方も将来有望な方々!お越しいただけるのはありがたい事です!」

 

こうしてフラン達は、ヒーロー協会本部へ向かう事になる。

 

――――――――――――――――――――――――

 

遡る事数分前。とある外国にて、イレイナはある怪人を相手にしていた。肌が黒い人達が多く、ヤシの木も生えてる平和な南国の島だ。しかし、怪人発生率があまりにも低いとはいえ、出ない訳でない。本国と違って、ヒーロー協会のような組織や強いヒーローに強い一般人が居る訳では無いのだ。

 

???『ブヒイイィィィッ!!』

 

『災害レベル虎:スケル豚(すけるとん)

 

豚の骨が組み合わさって出来たような怪人だ。トンファーのような武器を振り下ろし、イレイナを潰そうとする。

 

イレイナ「当たりませんよ!」

 

イレイナは突然全身を光らせたかと思えば、球状になってその場を転がり始めた。スケル豚のボーン豚ファーを避けた。

 

そして、口の中へ杖を突っ込むと、そのまま魔法を唱えた。

 

イレイナ「『ボンバーダ』!」

 

その瞬間、スケル豚の体内で爆発が起きた。肉体は周囲に血肉をばら撒いて吹き飛び、骨は焦げ跡を付けたままバラバラに砕け散った。

 

イレイナ「まあこんなものですね」

 

人々『『『灰の魔女様ー!』』』

 

人々『『『綺麗ー!』』』

 

人々『『『ありがとう!』』』

 

周囲の人々から称賛を受けるイレイナ。その骨を回収し始める。

 

イレイナ「豚の骨はいい出汁が取れそうですね。フランちゃんのお土産にしましょうか」

 

イレイナはそう言いながら骨を回収していると、その場にふくろうが姿を現した。ふくろうは手紙を口に咥えており、イレイナの浮いてる箒に止まる。

 

イレイナ「ん?」

 

イレイナは素材回収を止めると、ふくろうが持って来た手紙を受け取り、中身を見た。

 

アズサ『イレイナ。ヒーロー協会がS級全員に緊急招集を掛けたんだよ』

 

イレイナ「緊急招集?すみませんがお断りさせて―」

 

アズサ『()()()()が亡くなったって』

 

イレイナ「…………はっ?」

 

イレイナはふくろう便を地面に落とした。イレイナの顔が驚愕に染まっていた。

 

アズサ『昔、イレイナもシババワにお世話になったよね?シババワが最後に貴女の為にって、メッセージを残したんだけど。この手紙を見たら、すぐに来てね。私、待ってるから』

 

イレイナ「シババワさんが…………分かりました。すぐに向かいます!」

 

イレイナの顔がいつにもまして真剣になる。地面に落ちたふくろう便を鞄に仕舞うと、箒をその場から消した。

 

イレイナ「警察さん。不法入国の件は不問でお願いします」

 

警察「あ、ああ………」

 

イレイナは警官に挨拶した後、その場から体を螺旋状に変えて姿を消した。『姿くらまし』と呼ばれる瞬間移動系の魔法だ。詠唱が必要な移動呪文と比べて、詠唱の必要無く何処にでも行ける便利な杖魔法だ。

 

警察「………あの女、素行が悪いのに人々を救ったりもするから逮捕しにくいんだよな」

 

警察官は文句を言いつつも、内心彼女に感謝していた。




《オリジナル怪人》

名前:スケル豚(すけるとん)
元ネタ:オリジナル
災害レベル:虎
概要
豚の骨が組み合わってできた外観の怪人。食われてきた豚たちの怨念が集結して誕生した。トンファー型の武器「ボーン豚ファー」を使用する。いい出汁が取れるとか取れないとか。

名前:ふくろう便
元ネタ:ハリー・ポッターシリーズ
災害レベル:狼以下
概要
魔法の国が生み出したふくろう。魔法使い達の通信手段。手紙をふくろうに運ばせる。魔法の国のふくろうは特殊な能力を持っており、どこにいても相手の居場所を見つけてくる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

招集と会議室

OP:『ヒカリカナタ(影山ヒロノブ)』


A市に存在するヒーロー協会本部。その中にある廊下を歩くフラン達。すると、暫く歩く間に一人の侍に出会った。

 

アトミック侍「よお。シルバーファングじゃねえか」

 

彼は、アトミック侍。S級7位のヒーローであり、核弾頭にも匹敵する程の戦力と呼ばれる剣豪だ。

 

アトミック侍「それに、ジェノスやサイタマ、それにその黒猫のガキもいんのか」

 

バング「そうじゃ。サイタマ君もフラン君も、いずれS級になる逸材じゃからのう。連れて来ても文句は無いじゃろう」

 

サイタマ「おっさん、シャトルで見たな。あれ?俺自己紹介したっけ?」

 

アトミック侍「直接話した回数は少ないが、ヒーロー名簿に名前があるからよ。それに、オールマイトも認めてたからな」

 

オールマイト。深海王、天空王、森林王、古代王、そして地底軍が手を組んだ地球連合軍とJ市で戦ったS級ヒーローで、S級屈指の身体能力を持つ。

 

アトミック侍「それと、A級昇格おめでとう。異例のスピード出世だな」

 

フラン「ん」

 

サイタマとフランは、A級への昇格が認められた。本来なら一人ずつしか昇格出来ないのだが、隕石の破壊に加えて地球連合軍との戦いの功績によってB級首位となった。サイタマとフランはその功績を認められ、二人はA級へ昇格したのだ。

 

フラン「おじさん、宜しく」

 

アトミック侍「おじさん言うなよ。俺はまだ37だ」

 

フラン「そうなの?」

 

師匠『おっさんだと思うけどな』

 

すると、フラン達に話し掛ける者がもう一人現れた。

 

タツマキ「あら、フランにマントじゃない」

 

サイタマ「マントって俺か?」

 

フラン「タツマキ」

 

師匠『よお。久し振りだな。タツマキも招集を受けたのか』

 

タツマキ「そうね。2時間も待たされてるのだけど、何も連絡も無いのよ」

 

タツマキはかなり焦らされてる様子で、待っているという事が素人目にも理解出来た。

 

ジェノス「シルバーファングにアトミック侍、それに戦慄のタツマキも集まるとは。余程の事態らしいですね」

 

サイタマ「来て良かったな」

 

すると、廊下の突き当たりから二人の男女が現れた。

 

怪特対のカミナガとアサミだった。

 

カミナガ「ご足労頂き感謝する。此れから会議室でシッチさんや怪特対、S級の会議が開かれる」

 

アサミ「それと、そちらの方々は先の隕石騒動及び地球連合軍との闘いにて、目覚ましい活躍をされましたね。シルバーファングさんの見込んだ方々ならば、是非とも出席して頂きたいです」

 

サイタマ「えっと、アンタ等は?」

 

ジェノス「彼等は怪特対です。ヒーロー協会に所属する怪人及び怪獣対策チームです。その分析能力は凄まじく、災害レベル竜の怪人達を討伐に導いた程です」

 

サイタマ「スゲェんだな。宜しく頼むわ」

 

アサミ「よろしくお願いします。サイタマさん」

 

カミナガ「そろそろ会議が始まる時間だ。全員、集合しよう」

 

こうして全員移動する。フランは何が始まるのか、ドキドキしながら歩いていた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

そして、場面はヒーロー協会本部会議室に移る。テーブル全体がホログラムを空中に映せる最新式となっており、作戦における状況を即座に把握出来るようメタルナイトによって提供された機材だ。

 

そして、そのテーブルを囲むように座る25人のS級ヒーローと二人のA級ヒーロー。合計27人のヒーローが集まっていた。師匠はフランの背中に背負っている鞘に収まり、静かにしている。

 

S級25位:灰の魔女イレイナ

 

イレイナ(シババワさんが亡くなるなんて………)

 

イレイナは哀しい雰囲気を纏っていた。彼女は現在、S級の中で招集理由を知る数少ない存在だ。昔、シババワの占術には何度も助けられた。シババワには返し切れない恩があるのに、亡くなってしまった。悲しくて仕方ない。

 

S級24位:ぷりぷりプリズナー

 

ぷりぷりプリズナー(ジェノスちゃんも良い男だけど、サイタマちゃんも悪くないな)

 

S級23位:ジェノス

 

ジェノス(余程の一大事なのか?殆どが出席している)

 

S級22位:ひらり少女

 

サリー「隕石騒動以来だね金属バット。こんなに集まるのは」

 

S級21位:金属バット

 

バット「なんだろうと関係ねぇさひらり。鬼だろうが竜だろうが、俺は戦うぜ」

 

S級20位:タンクトップマスター

 

マスター(サイタマ。成る程、見た目では分からんが、確かに強いな。彼にもタンクトップを着させてみるか?)

 

S級19位:閃光のフラッシュ

 

フラッシュ(サイタマ。やはり来たか。それにフランも)

 

S級18位:番犬マン

 

番犬マン(……誰か屁こいたな)

 

S級17位:ブルードラゴン

 

フラットルテ「何が来ようがフラットルテの敵では無いのだー!」

 

S級16位:超合金クロビカリ

 

クロビカリ(皆が俺の身体を見てる?見ている!)

 

S級15位:豚神

 

豚神「………」ムシャムシャ

 

S級14位:駆動騎士

 

駆動騎士「……………」

 

S級13位:ゾンビマン

 

ゾンビマン(彼女が噂の黒猫の剣士か。俺に並ぶ不死身ぶりと聞いたが………本当か?)

 

S級12位:キング

 

キング「………」ドッドッドッドッ

 

S級11位:レッドドラゴン

 

ライカ(何があろうと、私がアズサ様をお守りします!)

 

S級10位:童帝

 

イサム(やっぱり1位の人は来ないんだね。会いたかったなぁ)

 

S級9位:メタルナイト

 

欠席。

 

S級8位:要塞少女

 

メイプル「緊張しちゃうなぁ………」

 

S級7位:アトミック侍

 

アトミック侍(シルバーファングの奴、あの3人を弟子にする気か?あのフランって嬢ちゃんは俺が剣の腕を見てやりたかったがな)

 

S級6位:シルバーファング

 

バング「で、どんな集まりなんじゃ?カミナガの奴は待機を命じておったが」

 

S級5位:破壊の暴君

 

ミリム「知らないのだ〜。私はもう1時間も待たされて何も聞かされてないのだ〜」

 

S級4位:高原の魔女

 

アズサ「私も。高原の家にベルゼブブを住まわせたから、怪人の襲撃があっても大丈夫だと思うけど、あまり皆を待たせたくないね」

 

S級3位:オールマイト

 

オールマイト「心配いらないさ!シッチや怪特対は信用出来る!彼等には、何度も助けられたからね」

 

S級2位:戦慄のタツマキ

 

「でもあまり待たせすぎよ!私なんかミリムより長く待ってんのよ!」

 

S級1位:ブラスト

 

欠席。

 

A級:サイタマ

 

サイタマ「お茶貰える?」

 

A級:フラン

 

フラン「ハンバーグ食べたい」

 

………空気を読まない発言は見られたものの、会議が始まろうとしていた。




ED:『UNION(オーイシマサヨシ)』


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。