クズ勇者。 (雀鉄砲)
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クズ勇者。

 

 

勇者。

それは幾千もの試練を乗り越え、魔王を倒し得られる称号。

 

だが、この勇者は幾千もの試練も乗り越えず、ましてや魔王なんかを倒しに行かない正真正銘のただのクズだった。

本人曰く、「いやぁ…魔王?さん倒しても何が残るんですか?あの人を倒したところで争いの火種は増え続けるばかりですよ?というか戦争なんかをしても意味がありませんよ、ほらとっとと平和公約でもなんでもして争いなんかなくしてくださいよ。

…あっその手もあるのか…(ボソッ)

まあ?食事は用意してくれたり?洗濯とか家事諸々をやってもらってらは助かるんですけどね?それで次の休日、実は女の人とデートするんですかお金とかもらえないっすかね?いやぁもちろんタダだとは言いませんからなんとか…」

 

と何処かのひろ○きが言いそうなことをペラペラと喋り、幹部は愚か、スライム一体も倒さないというなんとも勇者らしからぬ勇者がいた。

 

そしてこの勇者が選ばれたのを王様はひどく絶望し、自分たちでどうにか魔王を倒すと言い勇者を切り捨てた。

ここまで10年近くかかっていた…

 

そしてさらに20年が経った。

魔王軍が人間の領土を抑え

7:3という圧倒的絶望が王や国軍を感じている中、勇者と呼ばれた男はどこか山の中でのほほんと暮らしていた。

そこにどうにかせねばと藁に下がる思いで、王の娘の王女が、勇者を訪ねていた。

 

 

「…あなたが勇者様?」

「…勇者?違います山田太郎です。」

「ヤマダタロウ?まあいいわ…それより貴方、魔王軍がもう侵略を進んでいるのは知ってるわよね。貴方勇者でしょう?だったら早く魔王を倒すために準備をしてちょうだい。」

「いや、だからぁ争いはぁ何も生まないって言ってるじゃないすかぁ、だったらぼくがぁ、戦っても仕方ないと思うんです。はぁい。」

「ごちゃごちゃうるさいわね…

貴方勇者に選ばれたんだから魔王を倒すのは当たり前でしょ?だったら早く魔王討伐に行くわよ!」

「いやいやそんな強引にぃ…やっても、意味ぃ…ないと思うんすよね…」

「ダル…めんどくさいわね貴方…」

「だるい人?めんどくさい人?あー…ぼくぅ心が傷つきました

名誉毀損で訴えますぅ慰謝料100万用意して下さい。」

「金ならいくらでも積むわよ…だから、お願い。

人助けだと思って。」

「金でぇ人が釣れると思わないでください。」

「ほんとにだるい人ね!あんた!どんなけ戦いたくないのよ!」

「争いはいやです。だからあと3日。

3日時間くださいそれで全てを終わらせます。」

「…?あんた20年近くもそういう態度してるくせにどんなツラして言ってるわけ?」

「こんなかおですぅ」

「…はぁー…わかった…3日で全てを終わらせるってならいいわ飲んであげるわよ…ただそれを言い訳に逃すわけにはいかないから見張りはしっかりつけてもらうわよいいわね?」

「はい。あーでも第一見張りって外で見張ってるんですよね?いや部屋に入られるとプライバシーの侵害だから僕ちょっとそういうの嫌だからその…できれば1人の見張りだけ…」

「あーもー!めんどくさい!ほんとクズ!死んでしまえ!」

 

 

 

 

約束の3日が経ち、王女は仕事を終え、勇者の方へ向かっていった。

そして勇者のある家のドアをノックしドアを開ける。

 

「…3日経ったわよ…さぁふざけた事してるなら私が一から性根をたたきなお…は?」

 

 

「おや王女様、こんなへんぴな所はご足労ありがとうございます。」

「は?だれ?いや何その格好…えっタキシード?気持ち悪っ…」

 

「はっはっは王女様はご冗談がお得意なようで…

さあ行きましょう、魔王城へ。」

「あーはいはい魔王城…は!?魔王城!?貴方こそご冗談はおやめなさいよ!ばか!死ぬわよ!」

「大丈夫です。バッチグーです。では行きましょう。」

「は?え?ちょっちょっとえっえぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 

 

(何この急展開…)

 

魔王城に着いた王女と勇者御一行は魔王のある魔王城に行き、勇者は魔王と話がしたい、だから!武器納めて!話し合いに来ただけだから!となんとか場を納め魔王と何故か話し合う展開になっていた。

王女は大丈夫かな…私ここで死ぬのかな…あー親孝行とかまだ全然できてないんだけどなぁ…やる事いっぱいあるし…

と涙目になりながら思っていると、勇者が片膝を立て魔王に発言する。

 

「魔王様…私に提案がございます。」

 

えっなんで敬語なの?貴方本当に勇者よね勇者だったらもう少し魔王に堂々とした態度でしてよ。なに片膝立てて頭下げてるの?本当に勇者?

と王女が思っていると周りもザワザワとし始め、いや勇者には作戦があるんだ…と周りはヒソヒソと話している。

 

 

「なんだ…言ってみよ」

 

「ありがとうございます…では単刀直入に…」

 

皆が固唾を飲むと、勇者はあっけらかんとただ無表情で発言する。

 

 

「娘さんを僕にください。」

「は?」

「よかろう、ここで死をくれてやる。」

「待ってください。魔王様は大変研究を愛しているとお聞きになりました。僕はまだまだですが研究をしたり、論文の本を読んできたつもりです。

勇者と魔王の子供となりますと…勇者と魔王の力をどちらを引き継ぐのかを検証し、歴史に刻むのです…どうです?興味湧きませんか?」

「…」

 

こっこいつなに言ってやがるんだ…と王女はドン引きしていた。

そして魔王はふむと考える素振りを見せる。

 

「ただ、魔王の力で戦に名を残すのは簡単ですが、研究という魔王の新たな可能性で名を残す…大変興味深いと僕は考えております。

どうでしょうか…?」

 

…終わった…と王女は目を瞑り神に祈るポーズをした。

そして5分経たないうちに、魔王は考える素振りを辞め勇者を見下ろした。

 

 

 

「よかろう。貴様の話に乗っかろう」

「…まじか…」

「魔王様感謝致します…ただ一つだけ僕たちのお願い…いえ僕のお願いがあります…どうか領土を5:5に戻してくれませんか?」

「…こちらのメリットは?」

「人とは美味しい料理を作るのです…

知ってますか人の肉って、はっきり言って不味いのです…そう動物の肉は人の肉よりもとても栄養が取れてとても美味しいのですよ?少しではありますがこちらに唐揚げという鳥を油で揚げた肉がございます。こちらをどうぞ…」

 

えっえっなにしてるの唐揚げって…えっ…

ってえええ!毒見せずそのまま魔王様食ったし!えっまさか毒とか入れて…

 

「魔王様には毒無効の特性があるのはご承知の上です。

それと、魔王様には食に目がないとか…休みの日には娘に手料理をして喜ばせるといった情報も…」

「…可愛いかよ…」

「…フハハハハ‼︎面白い。

よかろう、その条件も人間の食文化を輸入する。それでのんでやろう」

 

あっああ…こんなあっさりと簡単に王国の領土が…

 

「おい娘よ出て来い、勇者に挨拶しろ。」

 

そう魔王が言うと、黒い塊の中から1人の少女が出てくる。

ただその容姿がめっちゃ可愛かったのだ。

 

「…」

「可愛い…」

 

「初めまして。勇者様。

私が魔王の娘でございます。以後お見知り置きを。」

 

とお辞儀をして勇者と魔王の娘の挨拶で話し合いの場が終わった…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それにしても…って感じよね…ほんとにこれでよかったのかしら…」

「僕はいいと思いますよ。これからの被害が僕1人で済みそうですし。戦いは無くなったし」

「良くないわよ。貴方も幸せになるのがサイコーのハッピーエンドよ」

 

「えっ僕ハッピーですよ?勝手に決めつけないでください。

娘さんがあんな可愛いなんて思いませんでした。あっそうだご褒美、女の人…そうだな、なるべくレベルが高い女の人を連れてきてください。あっロリはダメですよ犯罪者になるんで、だから手配お願いしますね。」

「…」

「…お願いしますね」

「…勇者様…戦を終わらせた事誠に感謝いたします。」

「はい。ですので早速女の人を魔王の娘さんの前の練習相手にしたいので早く手配してくれませんか?10人くらい」

「ですが、私ごとではありますが単刀直入に言わせてもらいます。」

「?はぁ、別にどうでもいいですけど女の人は用意してもらえ「歯を食いしばれ!このクズ勇者がぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

そう言うと王女のアッパーが勇者の顎にクリーンヒットし、魔王と勇者?の因縁はクズにより終わった。

 



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