世界で一番守りたいモノ (古明地こいしさん)
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第0話 キッカケは大切だと思えた女の子

「ここか...」

 

刃は階段を登り、例のターゲットを探している

しかし銃撃音が聞こえるため、判別に難しいと考えてるのだろうが、一方的な撃ち合いが続いてるのを聞いて、そちらは違うと判断し、反対方向を向いて刀を構える

 

「さて...銃も点検してきたし...あとは相手をいくら動きを止められるか....」

 

撃ち合いは終わったようだ。もちろん、その撃ち合いは拮抗状態になってるだけかもしれない。

だが撃ち合いが終わったのは殺気が無くなったので刃は判別できた

 

「ッ!」

 

刃は直ぐに刀を振り回し、ターゲットを斬り落とそうとするも、動きが見えてるかの如く、避けている

 

「ちょちょちょい!落ち着いて!待とうよ!?」

 

「あのな...、殺す相手に待てもタンマも聞くか」

 

銃撃を刀で叩き落とす刃

そして左太もものホルスターに入れてある銃を取り出し撃つ。

前情報から即避けられるのは分かってたから、避けられても直ぐに刀で応戦する

 

「やるな」

 

「そっちこそ!けど、そんな刀で倒して気持ちいい?」

 

「使いやすいから使ってるだけだ」

 

またもや刀で銃撃を叩き落とす。そして銃撃をやり返すもすぐさま避けられる

それの同じ事の繰り返しだ

 

「ッ!」

 

千束は避けたが、その後ろで千束を狙っていた男を射殺した

 

「...私の事心配してくれた?」

 

「抜かせ、んなわけねぇだろ。勝負に水刺されるのが嫌なだけだ」

 

「勝負...勝負かぁ...じゃあさ?次の攻撃、私が勝てば私の言う通りにして貰えない?」

 

「...俺が勝てば俺の言う通りか...シンプルでいいな...いいぜ」

 

お互い一定距離を保つ。そして刀を構える

 

「コインが落ちたらスタート。それでどうだ?」

 

「うん。いいよ」

 

コインを投げる

 

銃はホルスターに戻し、睨み合う...と、思ったが、千束は睨んでいない

ニコニコしている

まぁいい...

 

コインが落ちるまであと5秒...4...3...2...刀を強く握る

落ちた!

 

銃は全て弾く、しかし蹴飛ばされる

 

「ソラっ!」

 

手榴弾を投げる。何を使ってはダメとは言われていない

 

「ッ!」

 

モノを壁にして手榴弾の爆発から守る千束、こちらはさっさと作戦を建て直す...が、やることは決まっている。爆発の音に乗じて千束に近づいてお互い額に銃を擦り付ける

 

「...この場合どうすんだ?」

 

「うーん...ね?今のDAに嫌気...さしてない?」

 

っ、確かに言われてみれば...DAはやりすぎだ。だからと言って俺たちにどうにかする術はない。

 

「どうすんだよ。お前、生きてると問題出るぞ?それに俺も失敗でどっか飛ばされるし...」

 

「だからこそだよ。考えがあるんだけど...どう?もし...私と一緒に来てくれるなら...守ってあげようか?もちろん貴方も私を守ってね?」

 

その言葉で、少し吹っ切れた気がした

 

「降参だ。で?」

 

「...行こっか。私の希望」

 

「んじゃお前は俺からしたら俺の花か?」

 

太ももを蹴られた

 

「恥ずいこといわんでええわ!」

 

「女男なのか...?よろしくな。千束、俺は榊原刃」

 

「私は錦木千束」

 

今ここに友情の握手が交わされた



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第1話 始まりの日

「ん...朝食作るか...」

 

目が覚め、冷たい空気を吸い、はいた。

肺が痛いと反応するほど冷たかったが、それが逆に目覚めるために1番いい

隣の部屋で恐らくまだ寝てるであろう女はこの時間には起きてこない。

最悪起きて6時だ。今は5時

だが俺にとってはこれが日常的だ

 

「ほいっと」

 

俺は千束の部屋の扉を開け、机に目覚まし時計を置いた

アイツは俺が起こしに来ないと起きないという悪癖が着いてしまったため、それを治す治療をしている...つもりだ

コーヒー作って、朝ごはんという名のパン焼いて仕事に向かおうと思っていた矢先に家電が鳴る

 

「はい...先生...まさか仕事とか...はい...千束叩き起してすぐ向かいます」

 

俺の作戦は全て台無しとなった。アラームを解除し、千束を叩き起す

 

「おいコラ千束、起きろ。仕事だ」

 

「まだ時間あるよぅ...」

 

「そっちの時間じゃない。俺たちだけの仕事だ。来ないなら俺が斬り伏せて来るが?」

 

ばっと飛び起きて馬乗りになる千束。顔はいつものほんわかした顔から険しい顔に

 

「約束」

 

「...起きたな。俺は木刀取りに行くから先に行っとけ」

 

「起こすために言ったなコノヤロー!」

 

「今度連れてける範囲でどこか連れてってやるから許せ。それよりさっさと着替えろ。んじゃ」

 

部屋から出て、俺は自室に戻る。クローゼットの奥のボタンを押してクローゼットが変形し、更に奥から木刀が現れる。握って一振...終わるとバットケースに入れて背負う。次は銃、誰かさんのせいで実弾が使えないから生存率を上げるために弾消費は激しいがダブルタップだ

 

「...よし」

 

窓から千束が出発したのを確認した。俺も行かなければな

 

「...なんちゅー音出してんだよ...あんなのよくDAは誤魔化せるよな...」

 

着いた途端、爆音が鳴り響く。音からして機関銃か、そんなのぶっぱなして大丈夫なのか?上からそんな命令降りるとは思わんが

 

『千束、刃。撤退だ。千束の方にはミズキが迎えに行く。刃はそのまま店に』

 

「了解」

 

クルリとその場を回り、反対車線に移ってお店へと向かう

結局使わなかった木刀達、いやまぁ手入れがめんどくさいから助かるが

 

「おはようございま〜す...まぁ、誰もいないよな。全員出張ってる訳だし、着替えるか」

 

着替え、店用の木刀を腰にさす

 

「やっほー!凄いの聞いたね!バババババンって!」

 

「あんまり公言すな。まぁ銃撃凄いのは認めるが」

 

「止めちゃう化け物が1人いるけどねぇ...」

 

「避けちゃう化け物が1人いるけどねぇ...」

 

「イチャイチャすんな!見せつけてきやがってコノヤロウ...嫌味か!」

 

ミズキに殴られたが...

 

「別にイチャイチャなんてしてないっすけど?いつもこうだし」

 

「それをイチャイチャ言うんじゃ!」

 

「3人共揃ってるな」

 

「先生、あの後あっちの方はどうなったんですか?」

 

「報告待ちだ...が、いい報告は期待できんが...」

 

機関銃ぶっぱなんてそんなの許されるわけないからなぁ...

どうなる事やら...

 

「こっちの仕事しますか」

 

「そうだね!着替えてくるね〜!」

 

さて...いつもの日常に戻りますか




ちさたきやいば「リコリコラジオ〜」

刃「文字なのにラジオってなんなん?」

たきな「確かに、そもそも私出てすらいないんですが...」

千束「そこ2人ィ!空気読もうよ!台本無視して喋らない!」

刃「いや俺ら台本とか無いしそもそもこれ架くuぐっ!?」

たきな「...千束の言いたいことは分かりました...ですが、何をするんですか?」

千束「それは...これから先、読んでもらってどんどん知ってもらおう!では!」

ちさたき「お疲れ様でした〜!」

刃「千束...たきな...お前らあとで覚えてろよ...」


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第2話 電波塔の英雄と英雄殺し

「刃、今日に例のリコリスが来る。あまりイジメるなよ?」

 

例のリコリス...例の...あぁ、機関銃ぶっぱしたリコリスの事か。

やっぱり流されたか

そりゃそうだ。先生から聞いたが取り引き相手諸共殺したらしいし

処罰はくだるだろう。懲罰とかじゃなく、ウチに来るだけマシか。

いや、アイツ千束の戦い方を学ぶと常識が壊れるけどな

 

「とりあえず先生、荷物裏から引っ張って来ます」

 

「ああ、頼む」

 

千束は買い出し、俺は店で力仕事。適材適所だ。ミズキはというと...呑んだくれている

 

「ここにも母となるべき才能が結婚という障害に阻まれてるのよ...」

 

大きな声でうるせぇよ...

 

「よっと、持ってきましたよ...リコリス...(例のリコリスか...)っと...リリベルの榊原刃だ。よろしく」

 

荷物を置いて握手した。すると

 

「井ノ上たきなです。かの有名な方から学べると聞いて...」

 

学ぶ...か、そういう事になってるのか。

適当にはぐらかしたな...楠木さんも

 

「もう1人は...」

 

「ああ、買い出しに出かけてるって、帰ってきたな」

 

「先生!大変!食べモグの口コミでホールスタッフが可愛いって!」

 

「アタシの事だよ」

 

「冗談は顔だけにしとけよ」

 

それはそうと目の前のリコリスは眼中に無いのか?

 

「あら、リコリス...って!?何手ぇ握ってるの刃!」

 

「いや、握手したタイミングで千束が帰ってきただけだ。他意はない」

 

「それにしては長く手をお握りになってたような...おい、待て。それはシャレにならないから。アンタの木刀は木刀でも真剣になるからやめなさいよ!?」

 

無言で腰に刺してあった木刀を抜き、片手上げでミズキに向かって振り下ろそうとするも

 

「やめなさい。千束、今日から2人で組んで行きなさい。刃はソロだ」

 

「えぇ〜、どうせなら3人で行こうよ〜」

 

「いや効率悪いだろ...それに俺はソロの方がやりやすい」

 

そうして千束とたきなは仕事に向かった。自己紹介も歩きながらするらしい

 

「いらっしゃいませ」

 

店の方はこっちでやってくが昼休憩に来ていた千束からのメールにとんでもないモノが写っていた

 

「なるほどな...この人が狙われてる理由は後ろの取引現場が写ってたからか...行くか...先生、出かけてきます」

 

スマホのGPS機能を確認しつつ、追っかけることにする。しかし千束がUターンして喫茶リコリコの方へ向かっていた。だが元いた場所さえ分かればあとは推測で行ける。その前に電話で通信機つける事を話す

 

『お前、なんで俺と場所変わってんだよ...まあいい。通信機つけとけ。万が一があるしな』

 

『そんなに心配だった?』

 

『ああ、護衛対象がな。切るぞ』

 

電話を切ると耳にしっかりと通信機をつけ、走る...と、たきなが撃ってる姿が見えたが、たきな以外見えない

 

『おい、たきなが撃ちまくってるぞ。何を教えたんだ?』

 

『えぇ!?とりあえず止めて!』

 

無理無茶なんでも言いやがる...が

 

「それを聞くのが俺の仕事だな」

 

車を乗り越え、バットケースから木刀を取り出す。店でさしてる木刀とは強度が違うものだ。たきながこちらに向けて撃ってきたが全て叩き落としてたきなを曲がり角に連れ込む

 

「撃ちすぎだ、バカ。夜目が効かないんだから無闇矢鱈に撃つな。護衛対象に当たればどうすんだ?」

 

「あのままいけば終わってました!」

 

「まぁ普通ならそうだが、俺たちの下にいる限りは俺たちのやり方に沿ってもらう...っと、来たか」

 

「止められた!?」

 

「ああ...後ろのドローンどうする?」

 

「音出して撃った方が威嚇射撃になるからたきな、頼める?」

 

「...はい」

 

3...2...1...千束と俺は直ぐに曲がり角から出て襲撃犯へと応戦する

 

「っと、ちっす!そんな物騒なもの持つのはやめとけって」

 

「痛っ!?」

 

優しく、銃を持つ手を叩き、銃を落とさせる。そして強く首の後ろを殴り気絶させる

 

「ガッ!?」

 

「あんまり手を煩わせない!」

 

銃の穴に木刀を突き刺し暴発させ、峰打ちする

 

「千束〜、そっちはどうだ?」

 

「あとは応急処置だけ〜。たきなは沙保里さんお願〜い!」

 

バットケースを拾い上げて木刀をしまい、抜け出してきたリコリコに戻ることに

 

「これが...電波塔の英雄と英雄殺し...」

 

戻ってきたら客はもういなくなっており、疲れた顔をしたミズキが

 

「...ごめんちゃい?」

 

「ぶん殴るぞ?」

 

「それより刃、たきなはどうだった?」

 

「...合理性を求めすぎて、逆に空回りしてるって所ですかね...まぁそこは本人が気づくべき場所ですから俺からは何も言いません」

 

「そうか...後片付けは任せていいか?」

 

「はい」

 

そうして次の日には喫茶リコリコに新たな店員が増えることとなった...が、俺は非番であったので家の中の片付けなどしていた

 

「そういや煮込みハンバーグ食べたいって言ってたな...作っとくか」

 

など、普通の生活を送りたいのが個人的な意見でもあった



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第3話 どうして木刀?

「たきな、仕事には慣れたか?」

 

テーブル拭きながらたきなに問いかける。約一名呑んだくれているが

それは無視だ。千束は頼んでおいた買い物へ出かけている

 

「はい。大体は...それより...どうして木刀を腰に?」

 

「ん?あぁ、落ち着くんだよ。一応コスプレ扱いでこの店でも通ってるし、店の外出る時は外してっからな」

 

「そういえばあの日の夜、木刀使ってましたよね...どうして...」

 

「んなもん、真剣使ったら殺すからに決まってるだろ?」

 

左腰にある木刀に手をかける。今の自分がある理由が木刀ってのもなんだかな

 

「アタシの前で自慢話かぁ!!?」

 

「うっさい呑んだくれ。はよ男見つけな」

 

「たっだいま〜!」

 

千束が帰ってきた。家に送る分のも頼んでるから荷物運んでもらった分、俺も手伝わないと

 

「千束〜、刃がたきなを裏に連れてって何かしようとしてたぞ?」

 

「おいコラ、私にすら手ぇ出さないクセに新人にセクハラか?んん?」

 

「しとらんがな...あと人の木刀取るな...たきな、止めてやってくれ」

 

「...お2人はどういう関係なんですか?」

 

「「へ?」」

 

どういう関係...?と言われても...

 

「逃亡者とその追っ手?」

 

「そこは嘘でも駆け落ちしたって言え!バカぁ!」

 

「その2人は同棲してるからなっ!...甘ったるい...」

 

「強固な信頼関係があってあの連携だったんですね」

 

おうおう、同棲を信頼関係と捉えるのはどうかと思うが悪い方向に捉えられなくてなにより。

そしてあがる時間になったあとはそれぞれ着替えて帰路に着く

 

「たきなに木刀の事聞かれたわ」

 

「そうなの?あ!なんて答えたか当ててあげる!ずばり、人を傷つけたくないから「ちげーよ」ちぇ...なんて答えたの?」

 

「真剣使ったら殺すからってな。あと木刀に慣れて落ち着く」

 

「あんまり変わんないじゃん!」

 

この子供は...今度激辛麻婆豆腐でも作ってやろうか

 

「よし!お風呂入ってくるからご飯用意しといてね!」

 

忙しいやつなのは変わらない。さて、何作るか...冷蔵庫に買ってきてもらった食材しまう

 

「今日のご飯なに!?」

 

「はよ風呂行け。あとドライヤー忘れんなよ」

 

天ぷらでも作るか。エビもあるし、卵よし、野菜もナスにしいたけ。ちくわ...油もこの前のが残ってるし

 

「んじゃ準備しますか」

 

お米は炊くだけでいい。あとは菜箸で作ってくだけだ

 

「♩」

 

作ってるとドタドタと足音が聞こえる。まだ出てくるには早い。なら音聞いて出てきたな?

 

「揚げ物!やっぱエビフライ!?」

 

「体拭いてから出てこい。タオル巻いてるのはいいが床が濡れるだろ」

 

しばらくして千束はしっかり髪を拭き、乾かしてから出てきた

 

「あれ?床濡れてると思ってたんだけど...」

 

「拭いといた。万が一の事を考えてな」

 

「さすが!お嫁さんに欲しいくらい!」

 

「じゃあ俺は花婿になるからその野望は潰えるな」

 

皿に移し終え、エプロンを取ってテーブルの上に並べる

 

「嘘でも結婚してやんよとか...言ってもいいじゃん...」

 

「絶対言わねぇ...痛っ...」

 

すね蹴られた




ちさたきやいば「リコリコラジオ〜」

刃「1つ飛んだな。このコーナー」

千束「忘れちゃってた(・ω<) テヘペロ」

たきな「それより木刀の話、大分先になると思ってましたが、案外早かったですね」

刃「木刀である理由に意味なんてないからな。必要なのは剣技だけだろ」

千束「にひひ...」

刃「それよか千束、さっきから気持ち悪い笑いしてどうした?」

たきな「恐らく刃さんとのシーンが出てて、緩んでるだけかと」

刃「たきなともこういう関係なはずなんだがなぁ...」

千束「たきな〜、発砲許可出すから刃撃っていいよ」

刃「シャレにならんからやめろって...たきなもその気になるな!!?」

ちさたき「次回、ハッカー登場!」


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第4話 雰囲気が違うというか...

大分ストーリー変わります!


「ん?」

 

マナーモードにしているはずなのに端末が動いている

つまるところ仕事の方の端末だ。

端末に目を落とすと楠木さんからだ。

 

「そういや例の材料足りてなかったな...悪い!ちょっと出てくるから先生、任せます。千束、たきな出かけてくるよ。たきなは練習しとけよ?じゃ」

 

そう言って店をあとにした

 

「...さ、アイツがいなくてもやれるって女のあたし達で見せてやろうじゃない」

 

「はい。確かこう...」

 

「例の材料って何か足りないのあったのかな?ま、いっか!先生!ブラック2つ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

端末のコール音を出して緑色のボタンを押す。そして端末を耳に翳す

 

「もしもし、刃です」

 

『近くに人は?』

 

「いませんよ。店は誤魔化して抜け出してきましたから」

 

公園まで歩こうと考え、信号のない道を歩く。端っこを歩き車に気をつけつつ

 

「たきながいる中、俺に連絡を渡すってのは危険な綱渡りだったのでは?」

 

『タヌキが。こうして話してる事を千束が知ればなんというだろうか?』

 

「...ま、用件とかはあとにして...たきなは上からの圧力、そしてその処遇ではなく、切り捨てる事でDAの顔をブらさずに立ててる...と言った所ですかね」

 

『貴様は本当に捨てるには惜しい人材だ...だがこうして離れた。やはり千束の下へは別の人物に頼むべきだったな』

 

少し...いや、かなり怒りが込み上げてきたがここは公園。

公共の場だ

誰が見てるか、誰がいるかなんて自由だが迷惑になったり問題事にする訳にはいかない。

もとよりリコリコを抜け出してきたのもこういう事から耐えるためだ。

千束(アイツ)が傍にいると余計に怒りが強くなる

 

「なぜウチなんですか?左遷するならもっと別の場所があるじゃないですか。それに再度研修生として...というのもありますし...いや、そもそもリコリスとしては活躍してもらうが、扱いはこっちに任せるしかない...なんて考えてませんよね?」

 

『分かってるなら結構、今回はその確認と任務を言い渡すためにな』

 

「それ、トップがわざわざ言わなきゃいけない話なんですか?先生通してくださいよ...」

 

『通してある。だから抜け出せたのだろう?』

 

なるほどな。先生もグルだった訳か

 

「じゃあその任務、たきなの評価を上げるためにたきなの同行を許可させてください。千束は置いてきますから」

 

『...戻すつもりは無いぞ?』

 

「ええ、だから"評価"を上げるためだけ、それだけでいいです。対応は...まぁトップなんですからできるでしょう?それじゃあいつも通りメールで送ってください。確認後消しますので」

 

ピッと切ったあとに一息、ため息をついたあと

 

「盗み聞きとは関心しないな。まぁ俺らからしたら必要な事なのかも知れんが」

 

ざさっと木陰からあっさりとたきなが出てきた。しかも店での姿でだ

 

「どこから聞いてた?」

 

「私がいる中連絡するのは〜辺りからです...」

 

ほぼ全部か...まぁその辺から気配はしたが、予想は当たってたか

 

「幻滅したか?こうして楠木さんとやり取りしてるっての。もちろん俺が頭地べたに擦り付けたらたきなは恐らくだが復帰できる。たきなが復帰するのを望んでるのは分かる。もしそれがたきなの幸福なら喜んで地べた這いずり回ってやる」

 

「千束への弁明はどうするんですか?」

 

「...たきなの為っつったらアイツは怒りながらも許すだろ。買い物とかまだ行ってないしちゃんと謝罪も込めて色々やんねーとだけど」

 

そうだな...俺たちのとこに左遷させたのはきっと、人の心を知っとけっていう楠木さんなりの優しさでもあんじゃねぇのかって考えはするが

 

「で?どうする?俺をぶん殴るもいいぞ。手加減なしで殴ってくれて構わん。騙してたようなもんだしな」

 

「殴りませんよ。私が来てるのに話を続けてくれましたから」

 

ベンチが目に入ったため座ってたきなに隣りに座るようにポンポンと叩く

 

「...正直驚きました。もしかしたら復帰できるかもって淡い期待を抱いてましたが...」

 

「ま、確かに淡い期待だったな...たきなは結果と過程の順番を間違えてる節がある。けどそれは個人プレーとチームプレーで大きな差が出るってだけでこれから頑張ればいいさ」

 

少し間を置いて、話した

 

「俺たちの所は居場所になんねぇか?」

 

「...まだ分かりません。今までリコリスとして生きてきましたから。けど...おふたりといると...頑張れるって気がするんです」

 

ふっと笑ってしまった。それは決して嘲笑ってる訳ではなく、嬉しい笑いだ

 

「なら次楠木さんに会ったら、本気でこっちで働きながら仕事するって気持ちなら、面と向かって言いな?使うのは結構です。俺らの命令つーか、お願い聞きながら戦ってって、そうやってケジメつけな?」

 

「...はい。なんというか、刃さんって、リコリコでの時と千束と話してる時と先程の仕事モードで凄く変わりますね」

 

初めてだろう。彼女が...たきなが笑った瞬間を見たのは。けど直ぐに真顔に戻ってしまったが、メールをお互い確認し、明日の午前9時に集合して10時に終わらす予定でたきなと連絡先を交換した

 

「ただいま〜。なんでかたきなと会ったわ。あと売り切れだった...」

 

「そっか...あ!明日時間ある!?」

 

「悪ぃ、いつもので呼ばれてるから予定埋まってる。夜に埋め合わせすっから許してくれ!」

 

「ちぇ〜...じゃあ夜は約束だよ?破ったら近距離で...撃つからね」

 

はいと応えて仕事に戻った。明日、初めてのたきなとのタッグでのチーム戦か。何とかできたらいいが...




ちさたきやいば「リコリコラジオ!」

やいば「リスまだ?」

ちさと「登場するのにはまだ早いよ...」

たきな「私のターンですからね」

やいば「たしかに大事か...」


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第5話 不殺の心得

主人公はとある作品の誰かさんを意識して書いてます。あそこまで汚くないけど


予定の場所に着く。どこか見やすい場所はないか確認し、指定されたビルとは反対に廃ビルがあったため、そちらに向かうようたきなに連絡する

 

「来たか。これで向かい側のビルを確認しな」

 

双眼鏡を渡し、俺は他の物を用意していく

 

「はい...あの人達を処理すればいいんですよね?」

 

「ああ、だが殺すのはダメだ。そりゃ怪我ぐらいは仕方ないけど、相手にも生きる権利はあるからな。俺たちがこうして生きてるように」

 

「ではどうすれば?私達の任務内容は知っている情報を聞き出したあと始末と書いてあったではないですか」

 

確かに始末とは書いてあった。だが

 

「始末イコール殺害ではないだろ?別に更生させりゃいい」

 

「...」

 

「ま、ここはファーストの俺に任せとけ。たきなは急所は外して、けど確実に動きを封じてくれ。この前のドローン射撃、一撃で落としたことから信頼してるんだぜ?」

 

あの射撃能力は高く評価している

夜でありながら1発で当てたこと、判断力は悪くない。こちらで話し合えばたきなも間違えることはない

 

「んじゃ行くぞ」

 

「行き方は?」

 

「ロープウェイ、繋げてある。見たところ警戒態勢に入った程度だ。これなら全然大丈夫。窓ガラス割ったら直ぐに遮蔽を作るように」

 

「はい!」

 

今回は実弾と非殺傷弾の2つの拳銃を持ってきている

もちろん両方ともダブルタップ

 

「行くぞ!」

 

ロープウェイに乗って途中で、円形になるように実弾で撃ち続ける。そして割って突入する

 

「右に行け!」

 

たきなは転がりながらも直ぐに隠れた。

そして自分は敵中に飛び込む

 

「敵襲!」

 

「そらっ!」

 

全員の足下を木刀で倒す、しかし遠くにいるやつにはたきなに任せている

 

「たきな!10時方向!」

 

「っ!はい!」

 

たきなは正確に急所を外して撃つのを止めてる

さすがと言ったところだ

 

「ば、化け物だ!なんだこの白髪の野郎は!!?」

 

銃弾が来る前に弾き飛ばす。非殺傷弾を片手で撃ったりとするが基本木刀だ。

 

「さて...こんだけか」

 

見受けられる数は倒し尽くした。

ロープで巻き付けて何も出来ないようにしたが

 

「本当に始末しなくていいんですか?」

 

「任せろって...それより出てこいよ。リコリス共」

 

「え?」

 

ゾロゾロとリコリスが出てくる。まるでこのタイミングを見計らっていたかのように

 

「白い髪のリリベル...ああ、反逆者ですか。でもまぁこっちもやらなきゃいけない仕事だから譲って貰えませんか?」

 

譲って...か、んなこと気にしねぇけど、やることは気に食わない

 

「ん?そっちにいるのは味方殺しのリコリス?」

 

それを聞いた瞬間木刀を床に叩きつけていた。

煙がたちこめる

 

「たきなァ!!早くソイツらどっか連れてって尋問しとけ!俺は...コイツらに俺を敵に回すとどうなるか教えこんでやる」

 

「ッ!」

 

たきなは一瞬怯み、安全な場所に連れてくのが精一杯だったようだ。尋問よりコチラが気になるみたいだ

 

「相手は1人!死なない程度に撃っちゃいな!」

 

1人、速攻で司令塔のファーストに近づき拳銃を破壊して手刀で気絶させる

倒れたのを確認するとその場から跳んで離れ、感覚でわかっている範囲の弾を弾き飛ばす

 

「ば、化け物...!!?いや、鬼!?」

 

「化け物...鬼で結構...降参するなら今の内だぞ」

 

「なんで仲間殺しの味方をするんだよ!」

 

1人、蹴飛ばして吹っ飛んだ。あとは残り1人。だが戦意は喪失している

 

「ふぅ...さっさと帰れ。鬼が邪魔をしたつったらある程度は処遇が軽くなるはずだ」

 

1人は重い体に鞭打って歩いて、1人は気絶してるファーストを連れて帰っていた

 

「...さて、ソイツらの尋問だな」

 

「あ、一応終わらせました...あの戦いを見たら直ぐにはきました」

 

早いこって、んじゃ結果聞きますか

 

「ただ貰っただけとのことです...置いてあるのを...嘘だと思うんですが...」

 

「そうか」

 

それを聞いて直ぐに縄を解いた

 

「ちょ!?何をして!?」

 

「んー?解放してやるんだよ」

 

「お前...いや、あんた達いいのか?」

 

「いい訳ありません!!この人達はテロリストで」

 

それを聞いて確かに、と口にしたが、こうも言った

 

「少し道を外しただけだろう?なら生き方をしっかりすりゃあ、俺たちみたいにならずに済む。ほい、全員解けたな。あとは治療だが」

 

「お前ら!」

 

全員が並んでいる。何しようとしてんだ?

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

「...んじゃ、さっさと逃げろよ?またリコリスに出会って殺される〜なんてお前らゴメンだろ?あ〜、あとリコリスに関しての話は他言無用な?他言したら俺がたたっ斬りに行くから」

 

「「「うっす!」」」

 

そして後片付けし終えて乗ってきたバイクにたきなも乗せて帰る

 

「...殺さないって心があるんですね」

 

「そりゃ、誰かさんに誓ったからな。男として誓いを破るわけにはいかない」

 

「......私は戻れないんでしょうか」

 

1つ、間を置いて、信号に捕まったタイミングで言う

 

「だろうな。あの人が戻すような優しさを持ってるなら自身を犠牲にしてたさ。

たきなが左遷されたって事はそういうこった。けど俺たちの所に移動させられたってのはある意味運命的でいいんじゃないか?」

 

「....ロマンチックな事を言うんですね。諦めませんが、これからよろしくお願いします。刃さん!」

 

なんと先程まで腰に捕まっていたのに誰かさんみたいに強く抱きしめてきた。

うーん.....役得?まぁいいか...心開いたならあとは千束とのタッグの時の戦いだな




ちさたきやいば「リコリコラジオ〜」

千束「今回私出てないんだけど!?あとなんでイチャイチャしてるの!?」

刃「知らない設定で話進めるんだから本編で口にするなよ?」

千束「うっさいわボケェ!この女たらし!」

たきな「...刃さんはなにか悪い事したんですか?」

千束「無自覚!?」

刃「次こそはリス登場すんぞ。文字通りリスがな」


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