料理の腕前がそんなに万能なわけがない (harii0012)
しおりを挟む

1話 料理の腕前がそんなに万能なわけがない

1:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

なんか転生したっぽいんだが原作が分からん

 

 

2:さまよえるおもちゃ ID:ysRRx2gLg

お、久々の初見さんじゃん

 

3:さまよえるおもちゃ ID:79awemtmr

ちな、環境は異世界?現代?

 

7:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

ふつーの現代日本だったから、正直原作があるとは思ってなかったんだが

 

9:さまよえるおもちゃ ID:hrlEovzED

なんかそれっぽい出来事でもあったのか?

 

10:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

家が街の料理屋なんだけど、地上げ屋が来たんだよね

 

15:さまよえるおもちゃ ID:t3dUUd8G+

ん?

 

16:さまよえるおもちゃ ID:ZWrny0x13

地上げ屋とはまた珍しいな

 

18:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

そんで、親父があんまりちゃんと対応しねぇから俺がやるんだけど、全然ひかないから売り言葉に買い言葉で客が望む料理用意できなきゃ店畳んでやるよって言っちゃったのよ

 

21:さまよえるおもちゃ ID:UVGbISGbC

お、おう

 

26:さまよえるおもちゃ ID:755+VVnyu

勢いで店賭けんなww

 

30:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

その日はそれで終わったんだけど、次の日学校終わって店に来たら泥棒でも入ったのかってぐらいぐちゃぐちゃで、食材関係が念入りに使えないように踏みつぶされたりしてたのよ

 

35:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

完全にそいつらの仕業だな

 

37:さまよえるおもちゃ ID:sX2kcnLz8

食べ物をそんな扱いするなんて……許せねぇ

 

40:さまよえるおもちゃ ID:F0rZx+uSI

異世界だと食料に困ること多いからなぁ

 

45:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

店の名前もペンキかなんかで潰されてたから、これは今日は開店出来ないなと思ってたら地上げ屋どもがやってきてこの前の俺の言葉端をとらえて客が望む料理が用意できなければうんたらかんたらってほざいてきたの

 

50:さまよえるおもちゃ ID:t3dUUd8G+

ああ、そうなるよな

 

51:さまよえるおもちゃ ID:QaJSXHF41

なかなか面の皮厚いやつらだな

 

54:さまよえるおもちゃ ID:N+k3SB7SS

まだかわいい方でしょ(初手魔女裁判)

 

55:さまよえるおもちゃ ID:/1w6UC/E+

お、そうだな(無人島転生)

 

59:さまよえるおもちゃ ID:RkgU0R2PZ

それでどう対応したんだ?

 

63:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

いや、普通に警察呼んだけど

 

67:さまよえるおもちゃ ID:Olx1CVlb4

wwwww

 

68:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

えぇ……

 

70:さまよえるおもちゃ ID:17nIfDe/o

そこはお前なんか料理でなんとかするとかじゃないのか

 

74:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

普通に考えてそんなの無理だろ

 

78:さまよえるおもちゃ ID:RoyrgRu1t

転生者がそんな考えでやってけると思うなよ!

 

81:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

それでちょっとおかしいと思ったら掲示板にアクセスできるようになったから聞いてみたんだけど

 

82:さまよえるおもちゃ ID:Wo1e03/1r

え、ここって最初から入れなかったか?

 

84:さまよえるおもちゃ ID:JeR1/MXjx

クソ神曰く本当に困ったときにアクセス出来るらしい

 

85:さまよえるおもちゃ ID:RFe+dAsrX

つまりイッチはこれまで困ったことがなかった……?

 

88:さまよえるおもちゃ ID:1FFpqoN0c

現代日本っていってたしそういう事もあるだろ

 

91:さまよえるおもちゃ ID:hprU5EpGu

話がそれたが、この原作分かるやついる?

 

92:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

多分そうかなってのはあるけど……

ちなみにイッチの店の名前聞いてもいい?

 

93:さまよえるおもちゃ ID:8vy3J6k6l

確かに聞いてなかったな

 

94:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

「ゆきひら」って名前だけど

 

96:さまよえるおもちゃ ID:31H6ftrQs

……えっ?

 

97:さまよえるおもちゃ ID:QYyKMDzyS

まてまてまてまて

 

98:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

やっぱりそうだよなぁ

 

102:さまよえるおもちゃ ID:xJ8Fmw4iJ

え、あの料理漫画ってコト?!

 

103:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

分かったんなら教えてほしいんだけど

 

108:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

イッチそこは「食戟のソーマ」の世界だ……

 

113:さまよえるおもちゃ ID:AwHKSxRB2

ソーマかぁ

 

115:さまよえるおもちゃ ID:T7d0Km7lK

てかイッチの名前「幸平 創真」だよな。なんでそんだけあって気付かなかったん?

 

120:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

それ知らないやつだもん

てかなんて読むの?

 

125:さまよえるおもちゃ ID:y4ql7+3iu

だもんじゃねぇ!

 

130:さまよえるおもちゃ ID:91h8ER2Ph

は?原作未履修勢??

 

134:さまよえるおもちゃ ID:isa/ngIjS

流石にこれまでなかったよな……

 

135:さまよえるおもちゃ ID:9R0EBPzrB

クソ神の野郎ついに一線越えちまったな

 

137:さまよえるおもちゃ ID:vqWNPWlH4

これ大丈夫なのか?

 

140:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

ちなみに親父と料理勝負してる?

 

145:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

してるしてる。全然勝てないけど

 

148:さまよえるおもちゃ ID:R4v7x5WiX

1話時点って原作だと何敗だ?

 

149:さまよえるおもちゃ ID:I+IkqicaZ

500敗いかないぐらいでしょ

 

153:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

まだ489敗ですぅ

 

158:さまよえるおもちゃ ID:7NM39GJdj

それをまだとはいえんでしょ

 

161:さまよえるおもちゃ ID:N8RVgXOvw

じゃあ一応料理の腕はあるでいいのか?

 

163:さまよえるおもちゃ ID:53scwB4/o

タブンネ

 

168:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

ちなみになんだがイッチはゲソピーとかジャム煮干しってどう思う?

 

173:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

なにそのゲテモノ……親がやるやつじゃん

 

176:さまよえるおもちゃ ID:ZKz6pCznl

イッチはしないのか……

 

178:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

そりゃ研究で失敗することはあるけど親父みたく客に食わせたりはしないぞ

 

180:さまよえるおもちゃ ID:QFVZcrkOd

大丈夫かこれ?

 

185:さまよえるおもちゃ ID:1/VN2yy2J

た、多分なんとかなるでしょ

 

189:さまよえるおもちゃ ID:opi9wSs1R

ソーマとはかなりずれてるし、原作未履修だろ?

 

191:さまよえるおもちゃ ID:MTLRILM/Z

……まずいのでは?

 

192:さまよえるおもちゃ ID:9XsuwBeNo

今って時系列的にどのあたりなんだ?

 

197:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

なんか編入試験受けてる

 

198:さまよえるおもちゃ ID:/tcwRCI2t

……はぁ?

 

202:さまよえるおもちゃ ID:9LszkZ+pd

おまえおまえおまえ

 

205:さまよえるおもちゃ ID:nrVQSm7gr

それってYO!

 

210:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

「薙切 えりな」が試験官の無理ゲーか

 

213:さまよえるおもちゃ ID:DfCCoIxl/

卵料理だっけ?

 

218:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

そのはず

 

223:さまよえるおもちゃ ID:SdKcJcLVq

原作だと化けるふりかけご飯だったよな

 

226:さまよえるおもちゃ ID:BJWCWPDXF

イッチ何作ってんの?

 

229:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

え、なんで俺が作ってる料理分かるの?

 

233:さまよえるおもちゃ ID:5QS2A5elt

原作読んだことあるからじゃい!

 

238:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

あー、じゃあ一応言っとくけど薙切にまずいって言われてもあまり突っかからないでおこうな

 

242:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

料理人がまずいと言われて引き下がれるかぁ?

 

243:さまよえるおもちゃ ID:JSqcVZFdk

めっちゃ料理に対してプライド持ってるじゃん

 

244:さまよえるおもちゃ ID:U2cpLCs9m

主人公っぽさはある……のか?

 

247:さまよえるおもちゃ ID:kWCym4wUs

なんか遠月学園でやってけそうな感じはするけど、主役っていうかタクミみたいな主要キャラぐらいなイメージ

 

250:さまよえるおもちゃ ID:avGt6vJZt

やめやめろ

 

251:さまよえるおもちゃ ID:V2e5RoiFb

本当のことでも言っていいことと悪いことがあるだろう!

 

256:さまよえるおもちゃ ID:rnfL4s9Pd

転生者の民度もこんなもんか……

 

259:さまよえるおもちゃ ID:00nikLYCl

オマエモナー

 

261:さまよえるおもちゃ ID:UpebyZNdb

イッチ遅いな

 

266:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

なんか普通に受かったけど

 

270:さまよえるおもちゃ ID:Z/LdIuy6t

えぇ……

 

273:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

どうやって受かったんだ?

 

278:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

確かにまずいって言われたからぐっと堪えて、じゃあより良くするために改善案を聞いてみたらなんか料理の品がとか家の格がとか凄い悪口言われたから、我慢の限界迎えてさ

 

282:さまよえるおもちゃ ID:l+vJCml+l

オイオイオイオイ

 

287:さまよえるおもちゃ ID:R2vdQ/sUZ

ヒロインにブチ切れる主人公とは

 

288:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

それで流石に言い返そうとしたらなんかすげぇいかちぃ人が出てきて、俺の料理を食べて合格っていったのよ

 

292:さまよえるおもちゃ ID:T5+IoEXIN

もう仙左衛門と会うのか

 

297:さまよえるおもちゃ ID:17N8mWwLF

めちゃくちゃだよ

 

300:さまよえるおもちゃ ID:vOWPTp961

もうやめて! 原作のライフは0よ!

 

305:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

一応遠月には受かったからセーフか

 

307:さまよえるおもちゃ ID:1tlm2fdKh

ここからが本番だろ?

 

312:さまよえるおもちゃ ID:pdEFSZCZf

それはそう

 

317:さまよえるおもちゃ ID:nfMwrLQFb

つっても入学するまでなんもないだろうし

 

319:さまよえるおもちゃ ID:WTVnnQ79W

このイッチだぞ

 

323:さまよえるおもちゃ ID:T0ms+OmnS

不安煽るのやめーや

 

324:さまよえるおもちゃ ID:YibkdZsgz

常識的ではあるんだよな。主人公らしくないだけで

 

329:さまよえるおもちゃ ID:lHKs3RyW0

ちな、遠月退学なったら多分もう修正の仕様がない件については?

 

332:さまよえるおもちゃ ID:e66ZKWO9D

あっ

 

337:さまよえるおもちゃ ID:lF9uPOAIa

どーすんだよこれ……

 

341:さまよえるおもちゃ ID:MX6YdX/3H

イッチより田所の方がやばそうじゃね?

 

345:さまよえるおもちゃ ID:ZuNrMIRxj

なんで?

 

349:さまよえるおもちゃ ID:MX6YdX/3H

このイッチが自分の首賭けてまで人を救うとは到底思えんのだが

 

350:さまよえるおもちゃ ID:lOFQWeTWR

いやいやいやそんなまさか

 

355:さまよえるおもちゃ ID:vVWc5HIA3

イッチ! 後生だから田所恵って子は多少大変でもどうにかして面倒みてやってくれよ!

 

357:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

はぁ

 

358:さまよえるおもちゃ ID:TCfaW+bAB

気の抜けた返事しやがって

 

362:さまよえるおもちゃ ID:x+pMTaQ7x

じゃあまた編入してからくればいいの?

 

365:さまよえるおもちゃ ID:xQgbT663H

イッチが困ったらいつでもきてくれ

 

367:さまよえるおもちゃ ID:7i2KXZPjL

困らなくても逐一報告しろ定期

 

372:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

それはそう

 

―――――――――――――――――

 

編入試験の帰り道、掲示板で聞きたいことが聞けた転生者はひとりため息をつく。

確かに自分が死んだ後に赤ん坊になったことにも驚いたが、まさかその世界がそのまま漫画としてあったとは思いもよらなかったようだ。

それどころか編入が決まった料理学園は話を聞く限りではどうも直ぐに退学になるようなところらしい。

料理の腕は幼少のころから磨きあげては来たものの、父親との戦績は623戦489敗133分1勝(・・)というお粗末なものだ。

 

原作もしらないどころか結局読み方も分からないままにしてしまったが、これから激動の生活が待っているのは想像できる。

それならば編入するまでの間にせめてもう一勝ぐらいはしておきたかったが、その相手は既に海の向こうのなにやらとんでもない場所で料理をしているらしい。

 

「勝ち逃げしやがって……次は絶対に勝つからな、親父」

 

父親からは遠月学園で生き残れなければ越えることはお笑い草だという旨を国際電話で聞いた。

確かに想像以上の規模であり、かつ周りは一流の店の倅たちなのだろう。

しかし、これまで自分より高い壁にぶつかり続けた日々は無駄ではないはずだ。

 

「遠月学園とやらでトップになってあんにゃろうより強くなってやる!」

 

彼の思い描く先は険しい道のりの先にあり、辿り着くことは容易ではない。

それでも諦めずに挑む覚悟と頂点の料理人から勝ち得た1つの白星が決して不可能なことではないと奮い立たせる。

努力は必ず実るものではないかもしれない。それでも自身の才覚を疑わず、不断の努力を成しえた者にこそ祝福は訪れるのだから。

 

 

 

 




続きいる?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話 十傑ってすごい

1:さまよえるおもちゃ ID:+qZeg6pYh

すまん、また聞きたいことがあるんだけど

 

2:さまよえるおもちゃ ID:Hh3E+5wdD

イッチはどこの人?

 

8:さまよえるおもちゃ ID:+qZeg6pYh

タイトル分かんないけど、転生先は幸平創真

 

11:さまよえるおもちゃ ID:9bA640bZn

あのイッチか

 

14:さまよえるおもちゃ ID:k7bTQFCWN

なんでや食戟のソーマって教えたやろ!

 

19:さまよえるおもちゃ ID:+qZeg6pYh

読み方分かんないって

 

20:さまよえるおもちゃ ID:+rz6c65aV

しょくげきな

 

21:さまよえるおもちゃ ID:+qZeg6pYh

へー

 

23:さまよえるおもちゃ ID:EMKp7ceaE

ていうか分かり辛いからコテハンつけて

 

27:ソーマ ID:+qZeg6pYh

これでいい?

 

31:さまよえるおもちゃ ID:N3B8SJl8V

ああ、問題ない

 

32:さまよえるおもちゃ ID:CdIHIQP87

それで聞きたいことって?

 

36:ソーマ ID:+qZeg6pYh

この前言われた田所について詳しく聞きたいんだけど

 

40:さまよえるおもちゃ ID:Xy9tn1XfI

お?

 

44:さまよえるおもちゃ ID:gpP+sf5Wf

wktk

 

49:さまよえるおもちゃ ID:w5mhDbK8w

古いよ……

 

51:さまよえるおもちゃ ID:Y2R6hzEbR

別に構わんがなんで?

 

55:ソーマ ID:+qZeg6pYh

シャペル先生の授業で一緒になったんだけど、なんであれ遠月受かったん?

 

60:さまよえるおもちゃ ID:n+o2nC/5N

ドストレート!

 

61:さまよえるおもちゃ ID:iHAtQ/MJ6

なんだ恋愛はないのか……

 

62:さまよえるおもちゃ ID:a0Gzk2Dak

彼女はあがり症なのさ

 

66:さまよえるおもちゃ ID:uhSqucroL

なんで受かったんは草

 

67:ソーマ ID:+qZeg6pYh

いくらなんでもやばくね?

 

71:さまよえるおもちゃ ID:cynObxKPA

やばいっちゃやばいよ

 

74:さまよえるおもちゃ ID:tG0S6B3R+

一応未来の十傑なんだけどね

 

75:さまよえるおもちゃ ID:bAqW85BLq

だから前スレでお前に面倒みるよう頼んだんじゃい!

 

79:ソーマ ID:+qZeg6pYh

えぇ……あれの面倒みるの?

 

82:さまよえるおもちゃ ID:3NdTTr3zn

めんどくさがんなって!!

 

85:さまよえるおもちゃ ID:TFQ++A1tK

正直田所が退学になると割とまずい希ガス

 

88:さまよえるおもちゃ ID:WR9GhYu6D

十傑減るから?

 

91:さまよえるおもちゃ ID:TFQ++A1tK

四宮の時に見捨てたら田所も退学になるし、四宮の成長もなくなるかもしれないだろ?

 

92:さまよえるおもちゃ ID:xmsLz8J/0

たし蟹

 

94:さまよえるおもちゃ ID:xag5VdUOO

お前ソーマ詳しいな

 

97:さまよえるおもちゃ ID:QBtsA9jXg

てかシャペルの授業はどうなったんだよ

 

100:さまよえるおもちゃ ID:sm64Ux0gX

田所ちゃん以前に編入の時に一発かましたかどうかで周りのヘイトも変わるし、編入した時から教えろ

 

104:ソーマ ID:+qZeg6pYh

まぁ別にいいけど、普通のことしかしてないぞ

 

106:さまよえるおもちゃ ID:/bHt15+R1

……これは大丈夫か?

 

109:さまよえるおもちゃ ID:M4a1aFTHt

まだ分からん

 

112:ソーマ ID:+qZeg6pYh

編入生って割と珍しいみたいで、壇上でなんか所信表明的なことをしろって言われたんだけど

俺の前にこないだのいかちぃ人っていうか学園長が99%は玉を磨くための捨て石だとか言っててマジビビったよね

 

115:さまよえるおもちゃ ID:+MT4aYfpr

薙切の一族は魔王だからな

 

118:さまよえるおもちゃ ID:P3yIFzdAb

それでイッチは何ていったんだよ

 

120:ソーマ ID:+qZeg6pYh

簡単に自己紹介して、親父を超えるために修行しに来た的なことを言った

 

125:さまよえるおもちゃ ID:2fNAj39kL

これは……どうだ?

 

128:さまよえるおもちゃ ID:/JJIC+oqf

いうてプライドバリ高で沸点低いやつらしかいないはずだしワンチャン……

 

130:さまよえるおもちゃ ID:4MtPBJY3v

周りの反応は?

 

131:ソーマ ID:+qZeg6pYh

なんかめっちゃブーイング喰らったよね

 

135:さまよえるおもちゃ ID:BCvj2iivi

さすがイッチ! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ!

 

137:さまよえるおもちゃ ID:wuegurt3t

なんとか玉の世代としてなりそうかな

 

140:さまよえるおもちゃ ID:e5zBhPKeB

ここでヘイト買わないと逆にまずいまであるからな

 

144:ソーマ ID:+qZeg6pYh

普通じゃいかんのか普通じゃ

 

147:さまよえるおもちゃ ID:7zxpprj0Z

ダメです

 

152:さまよえるおもちゃ ID:WY1NhfTf7

ワレ主役やぞ!!

 

154:さまよえるおもちゃ ID:8vbX8oFe2

せや、自覚しろ!!

 

157:ソーマ ID:+qZeg6pYh

はぁ

 

162:さまよえるおもちゃ ID:lJqBdUJF9

気のない返事しやがって

 

164:ソーマ ID:+qZeg6pYh

だって、それこそ田所とシャペル先生の調理してる時にトラブったんだぜ?

 

166:さまよえるおもちゃ ID:vHBETk8cD

あー、あったねそういえば

 

170:さまよえるおもちゃ ID:Z4HtXLkmO

時間かかる煮込み料理に塩入れられたんだっけ

 

174:さまよえるおもちゃ ID:HgcjG6O0U

ブッフ・ブルギニョンね

 

177:さまよえるおもちゃ ID:R0twTB1GW

なんで覚えてんだよ

 

182:さまよえるおもちゃ ID:HgcjG6O0U

原作読みながら見てるから

 

186:さまよえるおもちゃ ID:gJaUwNF7w

クソ羨ましいんだが??

 

188:さまよえるおもちゃ ID:HgcjG6O0U

それは呪霊に襲われたり、東京が消滅したりしてもですか?

 

189:さまよえるおもちゃ ID:gJaUwNF7w

なんか、ごめん……

 

192:さまよえるおもちゃ ID:HgcjG6O0U

別に俺海外にいるからあんまり関係ないんですけどね

 

197:さまよえるおもちゃ ID:b+dwBeV5k

ふざけんな!

 

198:さまよえるおもちゃ ID:rBWVP8VYX

話それすぎ

 

201:さまよえるおもちゃ ID:Gn1wUC/Of

それでどうやって切り抜けたんだよ

 

204:ソーマ ID:+qZeg6pYh

あ、もういい感じ?

 

206:さまよえるおもちゃ ID:l46xbfG4r

おう、はよ語れ

 

211:ソーマ ID: +qZeg6pYh

確かに塩入れられたからさ、しゃーなしで作り直しの時に蜂蜜つかってどうにかしたよ?

でも料理人志すやつが他人の料理の邪魔をするか普通??

 

215:さまよえるおもちゃ ID:r0xnDPT9O

そこ、普通じゃないんすよ……

 

220:さまよえるおもちゃ ID:hlm3PK//O

料理の腕が全てだからな

 

224:ソーマ ID:+qZeg6pYh

実行犯取り押さえたからシャペル先生に問答無用でEつけられてたけど

 

228:さまよえるおもちゃ ID:CqhiHx9ax

取り押さえた???

 

233:さまよえるおもちゃ ID:vAexuSkQR

さらっと何してんだよww

 

235:ソーマ ID:+qZeg6pYh

周りの調味料とか見てたら俺らの鍋に手になにか持って近寄ってくるやつがいたから怪しいなと思ってさ

様子伺ってたら案の定、鍋の中に塩ぶちまけやがってあんにゃろう……

 

237:さまよえるおもちゃ ID:YaPFQl6ks

イッチって割と武闘派?

 

241:ソーマ ID:+qZeg6pYh

周りの目がなければ全治3週間ぐらいのケガさせてたまである

 

246:さまよえるおもちゃ ID:zGhiy6tWQ

ガチじゃん

 

251:ソーマ ID:+qZeg6pYh

シャペル先生にブちぎれられてたから溜飲は下がった

 

254:さまよえるおもちゃ ID:+fAgzgsop

それは草

 

259:さまよえるおもちゃ ID:+1eutWkHO

シャペルは原作だと気づいてなかったのか?

 

260:さまよえるおもちゃ ID:3brpaHnyC

合宿の卒業生たちの話聞くにそうだろうな

 

262:さまよえるおもちゃ ID:8ERj5PFVr

厳しそうな人だもんね

 

263:ソーマ ID:+qZeg6pYh

いうて作り直しの時間延長もしようと思えば出来そうだったけど、レシピ多少変えてもいいって話だったからなら蜂蜜使うかって感じだったわ

 

268:さまよえるおもちゃ ID:l4Fdn182Y

田所ちゃんと仲良くとかは……?

 

273:ソーマ ID:+qZeg6pYh

え、あいつ今回何もしてないのに?

 

275:さまよえるおもちゃ ID:E0G0afc2r

だめだこりゃ

 

279:さまよえるおもちゃ ID:yFYJDeXCU

イッチにはゲテモノ癖ないはずだし、リカバリは効くよな??

 

281:さまよえるおもちゃ ID:JUCZcWr/Y

まずもってソーマ側から関係を持とうとしてたらな?

 

286:さまよえるおもちゃ ID:QpcQEzH5F

あっ……

 

288:さまよえるおもちゃ ID:Xb+rn8Gel

イッチ、頼むから合宿までは最低でも面倒みてやってくれ……ホント頼む

 

293:ソーマ ID:+qZeg6pYh

まぁ別にいいけど

 

298:さまよえるおもちゃ ID:ZEY0F6+IK

流石俺たちのイッチ!

 

299:さまよえるおもちゃ ID:vGppm2TV6

キャーイケメン!抱いて!

 

304:ソーマ ID:+qZeg6pYh

いやです

 

308:さまよえるおもちゃ ID:prLjelUwu

www

 

311:さまよえるおもちゃ ID:0yKXS3d0D

てか今何してんの?

 

315:ソーマ ID:+qZeg6pYh

ん、今は極星寮の入寮テストに合格したとこ

 

317:さまよえるおもちゃ ID:hKyz6HO2d

そっか合格したとこか……って待てぃ!

 

319:さまよえるおもちゃ ID:mHuqKymR7

おまえほんとおまえ

 

324:さまよえるおもちゃ ID:ZjfsNWnqm

ホウレンソウってご存知??

 

328:ソーマ ID:+qZeg6pYh

それは食材じゃなくて、報告とかのあれでしょ?

 

331:さまよえるおもちゃ ID:LL0fVd1kS

こいつぁもうダメだ

 

332:さまよえるおもちゃ ID:yHoAjUTg5

料理の腕しかねぇなこのイッチ

 

337:さまよえるおもちゃ ID:hpKvJpW2x

人間性を捧げたんでしょ

 

339:さまよえるおもちゃ ID:RwTswCI43

ダクソじゃあるまいし

 

344:ソーマ ID:+qZeg6pYh

なんか歓迎会に誘われたんだけどまぁまぁ人多いね、田所もいるし

 

346:さまよえるおもちゃ ID:OS2n9f1sC

なぁ、このイッチって極星寮のノリについていけるの?

 

348:さまよえるおもちゃ ID:K4bXaWAtj

オイ余計なこと言うんじゃないよ

 

349:さまよえるおもちゃ ID:dHyajk9Ml

大分不安なんだが

 

351:ソーマ ID:+qZeg6pYh

十傑ってすごいんだな

 

355:さまよえるおもちゃ ID:YUDVT7Ds/

やっと十傑の話か

 

358:さまよえるおもちゃ ID:Qn2FM3hGp

あんまり長くないはずなのに疲れてるよ俺は

 

359:さまよえるおもちゃ ID:Ip+8H1vG7

私も

 

361:さまよえるおもちゃ ID:jslUL9O0e

オイも

 

365:ソーマ ID:+qZeg6pYh

ねぇ極星寮って無法地帯すぎない?密造酒っぽいのあるんだけど

 

370:さまよえるおもちゃ ID:w09Ywv9IT

それはただのお米のジュースだ!

 

374:さまよえるおもちゃ ID:vOydFkVVB

マジでやべぇとこ突っ込むんじゃないよ!

 

375:ソーマ ID:+qZeg6pYh

あ、はい

それにしても賑やかなところだな

 

376:さまよえるおもちゃ ID:/Nj4CQiId

というか極星寮初日って一色とやりあうんじゃ……

 

380:さまよえるおもちゃ ID:e9ROPTJjg

おお、そういやそうだな

 

383:さまよえるおもちゃ ID:Aj79uEyP7

あんな裸エプロン先輩がまさか十傑な訳……

 

385:さまよえるおもちゃ ID:TOyB3Djkm

遠月七不思議の一つかもしれない

 

386:さまよえるおもちゃ ID:TABWSxxed

裸エプロン先輩とかいうなよ

トラウマが蘇るだろ

 

387:さまよえるおもちゃ ID:/uFwZv+v3

お、善吉くんか?

 

388:さまよえるおもちゃ ID:v97oDnM2J

馬鹿野郎、顔面の肉剥かれた側だよ

 

391:さまよえるおもちゃ ID:mbg8Na4kF

安心院さんなのに安心出来ない……

 

392:ソーマ ID:+qZeg6pYh

一色先輩ってめっちゃ料理上手いね

 

393:さまよえるおもちゃ ID:hCgF9d+Mz

これでも七席だからな

 

397:ソーマ ID:+qZeg6pYh

こんな時間から料理バトルか……今日は疲れたんだがな

 

401:さまよえるおもちゃ ID:4ETI9nBSl

ソーマなのに勝負ごとに乗り気じゃない?!

 

406:さまよえるおもちゃ ID:BvZ6nNVVF

これがイッチクオリティ

 

409:さまよえるおもちゃ ID:c9kTpphoP

初見か? まぁ肩の力抜けよ

 

413:さまよえるおもちゃ ID:fEyAF8/BH

いうて2スレ目だろ

 

416:ソーマ ID:+qZeg6pYh

夜も更けてるし、酒じゃなくてお米のジュースも飲んでるしお茶漬けでも作るか

 

417:さまよえるおもちゃ ID:ca9xxpGTL

原作読み込んでるやつ、これは原作と違うのか?

 

421:さまよえるおもちゃ ID:x9BpOtXUQ

多分一緒だと思う。裏メニューその20でしょ?

 

425:ソーマ ID:+qZeg6pYh

そうそれ

鰆バージョンだけどな

 

429:さまよえるおもちゃ ID:Gp+rLz88c

お茶漬けに鰆?

 

432:さまよえるおもちゃ ID:x9BpOtXUQ

鰆おにぎり茶漬けっていっておむすびの中にポワレした鰆仕込んでお茶漬けにするやつ

 

434:ソーマ ID:+qZeg6pYh

ポワレってなんぞ?

 

435:さまよえるおもちゃ ID:JxL+RFXzv

なんでお前が知らんのじゃい!

 

438:ソーマ ID:+qZeg6pYh

親父から教わっただけだし……

 

439:さまよえるおもちゃ ID:HBLhOpA4w

一色先輩が後で教えてくれるよ

 

442:さまよえるおもちゃ ID:TVjAiN0v7

簡単に言えばフライパンに押し付けて焼き色を均一にするやつだ

 

447:さまよえるおもちゃ ID:HGlyL57Ol

はえー

 

449:ソーマ ID:+qZeg6pYh

はえー

 

452:さまよえるおもちゃ ID:FDC1Eq8ZN

おい料理人だろww

 

453:さまよえるおもちゃ ID:UxIx/U30Z

これは原作ソーマも知らなかったから……

 

454:さまよえるおもちゃ ID:z3wqFIQHc

ならいっか……いいのか?

 

458:さまよえるおもちゃ ID:aprJ1zm6y

これから学ぶんでしょ

 

462:さまよえるおもちゃ ID:RLkoGsN1O

たし蟹

 

464:ソーマ ID:+qZeg6pYh

よくわかんなかったけど、一色先輩には認められたっぽい

 

467:さまよえるおもちゃ ID:9//GrAnDn

そ、そうか

 

470:さまよえるおもちゃ ID:t5RH8NOOa

なーんでよくわかんなかったんですかね

 

473:さまよえるおもちゃ ID:Mo4EDRl3S

酔ってるからでしょ

 

474:さまよえるおもちゃ ID:p960fNs2g

場の空気にね?!

 

479:さまよえるおもちゃ ID:Ibn5y34U6

フォローが早い

 

482:さまよえるおもちゃ ID:g58ynUAPq

まぁこれでとりあえずプレ食戟は体験できたのかな?

 

486:さまよえるおもちゃ ID:7OyEPIiZX

まさか一色はソーマを食戟に慣らすために?!

 

489:さまよえるおもちゃ ID:eDWlRyhCo

普通に実力確認したかっただけでは?

 

494:さまよえるおもちゃ ID:B9VzK7aia

マジレスはNG

 

496:さまよえるおもちゃ ID:ctxTwpZnV

そういえばなんだが、極星寮の入寮試験のあとって田所ちゃんのラッキーすけべがあったような……

 

499:さまよえるおもちゃ ID:BDkyyeC5A

おい誰かイッチに画像の送信の仕方教えろ

 

502:さまよえるおもちゃ ID:bQJcsIj9O

あれってリアルタイムじゃないと無理なんじゃ

 

505:さまよえるおもちゃ ID:sBf5LkUFr

この前のアプデで記憶からでも出来るようになった

 

506:さまよえるおもちゃ ID:QlGRtSHuP

ナイスゥ!

 

511:ソーマ ID:+qZeg6pYh

え、そんなラッキーすけべなんてなかったけど

 

514:さまよえるおもちゃ ID:JMROmkhXF

つっかえ

 

516:さまよえるおもちゃ ID:9Iyk43d2U

解散解散

 

519:さまよえるおもちゃ ID:6kfsVOmsa

なんで?すぐに風呂入らなかったの?

 

522:ソーマ ID:+qZeg6pYh

風呂入ろうとはしたけど脱衣所に着替えとかあったし……入らんやろ

 

523:さまよえるおもちゃ ID:h+NMgBic3

何やってんだよ!そこは入るところだろ!!

 

528:さまよえるおもちゃ ID:771OPTuGw

熱く語ってるけど分かってやったらまずいでしょ

 

533:ソーマ ID:+qZeg6pYh

まぁ田所は扉越しに誰かいる事に気づいてびっくりしてたけど

 

536:さまよえるおもちゃ ID:FxxV7n6p/

それを早く言えよ!

 

540:さまよえるおもちゃ ID:X3hD3LwEd

さぁイッチその時の映像を送るのです

 

544:さまよえるおもちゃ ID:dQ4mIiSYV

有能イッチ

 

547:さまよえるおもちゃ ID:iIAU/Enko

転生者の手首はポリキャップ

 

549:さまよえるおもちゃ ID:ukEoz1ach

動画はリアルタイムのみみたい……

 

553:さまよえるおもちゃ ID:9aX9wTdQj

ファッキンクソ神!!

 

 

―――――――――――――――――

 

一色との料理対決を終え、丸井の部屋での宴会がお開きになり調理器具の片づけをしている創真と一色のみが残っていた。

掲示板では田所というあまり料理の腕がないように見える少女を手助けするように頼まれた創真だが、一応頼みには応じたもののあまり前向きではない。それより彼は十傑というなんとも分かりやすい組織があるのであれば、その中の一番つまりは第一席になることが父親を超えるために必要な事ではないかと思い至る。

そんな折に一色から声を投げかけられる。

 

「創真くん! この歓迎会で晴れて君も極星の一員だ。分からない事があれば遠慮せず聞いてくれ」

 

「じゃあ、十傑の第一席ってどうやったらなれるんですか?」

 

「ふふ……そうだった。君はこの学園の頂点をとるんだったね」

 

「あの親父の鼻を明かすにはその程度しないといけないんでね」

 

そして創真は思い至る。もしかしてタイトルになってる食戟っていうのは料理対決のことなのかなと。

 

「もしかして、食戟っていうのが料理対決なんですか?」

 

「その通りだけど……その口ぶりじゃ知らなかったみたいだね」

 

「あー、まぁ知り合いからちょっと聞いたぐらいなんで」

 

この学園の生徒であれば周知の事実ではあるが、編入生である創真が食戟について詳しくないのは理解の範疇だろう。しかし、裏を返せば遠月に関わりのない人間は食戟のことを知らないのだ。であればここの卒業生から聞いたのかとも思うが、それにしてはあまりにも学園について知らなさすぎる。

一色はそれを疑問に思うもわざわざ創真に聞き返すことはしなかった。この生意気だがどこか憎めない後輩のこれからの学生生活に平穏など訪れない事を創真以上に理解していたため、その程度些事と切り捨てたのだ。

 

「それなら一色先輩に食戟を挑んで勝てば七席になれるの?」

 

「素晴らしい!!素晴らしい向上心だ、創真くん!」

 

「おわっ、ちょ落ち着いてくださいよ」

 

「落ち着けないさ!極星に住まう学生ならそうでなくては! とはいえ今日のところは夜も更けたことだしお預けだね」

 

「はぁ、それならまた都合がいい時にでも」

 

「もちろんさ。おやすみ創真くん」

 

一足早く後片付けを終わらせた創真が丸井の部屋を去る。

その中で一人一色は微笑みながら思いを馳せる。それは寮母のふみ緒が語る過去の極星寮の栄光について。

今の遠月では到底なしえそうもない大それたことだ。極星寮のメンツだけで十傑の全てを埋める事なんて後にも先にも成しえない偉業に違いないのだから。

 

「それでも……彼ならもしかして」

 

腕のいい料理人とは何か。

料理がおいしいこと?提供のスピードが早いこと?名のある料理店に務められること?

それこそ料理人の数ほど答えは存在するかもしれない。そんな中で一色の考えは単純にして明快だ。

周りの料理人と笑顔で研鑽出来る者。

それはこの遠月では何よりも叶え難い。熾烈な生存競争に伴う足の引っ張り合いや疑心暗鬼。退学という明確な断頭台がちらつく学園では最早不可能に近いだろう。

 

「……流石に先走りすぎか」

 

創真のあり方が彼の胸中になにをもたらしたのか。

聞き手がいない部屋で微笑を浮かべる第七席は、静かに自室へと戻るのだった。

 

 




はちゃめちゃ評価して頂いてびっくりしました。
とりあえず続けられるとこまでのんびりやってきます。

それから、アンケートご協力ありがとうございます。
小説パートに関してはちょっと多めとこのままが一番多いんですが、自分不器用なもんでこれまでの流れを書いたら文字数が6000文字余裕でオーバーしちゃったので明日はこれを投稿する予定です。

PS
初投稿でレッドバーになるとは思わんて


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話 これまでの創真

創真へ転生した彼が地上げ屋を警察に通報して連行させた後、店の片付けをしているとどこにいっていたのか夜明け近くになってやっと店主である父、城一郎が帰ってきた。

 

「……なんかあったみたいだな」

 

「地上げ屋の連中がちょっとな」

 

店がめちゃくちゃにされ創真は沸々と湧き上がる怒りを腹に秘めていたが、徹夜で片付けをしているうちに深夜テンションとストレスでブレーキはバカになりかけていた。

ギリギリのところではあるが「ゆきひら」を守れたのと、これぐらいでへこたれていてはいけないという思いでどうにか作業を進めていたが、なにか一つあれば爆発するような限界ギリギリの状況なのだ。

そんな事は露も知らず、城一郎は口火を切る。

 

「創真……2~3年この店閉めるわ」

 

「はぁ?!」

 

「まーアレだなぁ。常連のみんなに謝んねーとな……」

 

「まず俺に謝れ!!」

 

「昔の仲間から一緒に仕事しないかって誘われててな。当分そっちで厄介になるから店には帰らねー」

 

「そんな勝手に……」

 

「荷物をまとめたらすぐ発つ」「おい」

 

「お前の生活費はテキトーに振り込むから」「待てって!!」

 

自身がこの定食屋で十全に機能していることは理解している。それにそこらの料理人と比べてもおそらく自分の方が腕があるのは自負している。

そんな自分でもほとんど勝てない料理人が目の前の男なのだ。

500近くの黒星に対して得た白星はたったの一つ。それは城一郎という男を識る者からすれば、大金星もいいところだが息子として産まれた創真には知る由もなく。

 

「勝ち逃げするつもりかよっ」

 

「旅立つ(とき)だ、創真。手前の器を量ってこい……」

 

「何カッコつけてんだよこの野郎!」

 

「親父に向かってこの野郎とはなんだこの野郎!」

 

「お前もいってんじゃねーか!」

 

「俺はお前の親だからいいんだよ!」

 

「知らねぇよ! 俺は店閉めるの納得してねーからな!」

 

「うるせぇ! もう決めたんだから手前は遠月で研鑽してこい!」

 

「なんだよそこ。別にこれから料理教室なんかにいく必要ねぇだろ」

 

「それじゃあ、そこで首席で卒業できればなんでもいうこと聞いてやんよ」

 

「……卒業まで3年かかるから、結局お前の都合じゃねーか!」

 

「チッ、気づいたか」

 

「この野郎!」

 

疲れに疲れた状態で城一郎の気まぐれを創真が受け流せるはずもなく、苛立ちとストレスが右ストレートとなって城一郎に放たれるも空を切る。

 

「そんな大振りじゃ当たんねーぞ。それじゃ、いい感じで店に空気通しといてくれよ~」

 

「おい、待て! こ、このクソ親父!!!」

 

「あばよ、創真!」

 

 

 

……そして時は流れ数週間後。遠月での編入試験にて。

 

「え? ここが学校じゃないんですか?」

 

「その通りですよ。ここはあくまで職員用の棟なので試験会場はまた別です」

 

「はぁ……試験もあるんですね」

 

「当たり前でしょう。それで会場ですが、ここから3キロほど先の建物になります」

 

事務員が地図の中で示した場所は縮尺からして想像よりもかなり大きな建物に思える。

 

「……料理学校なんですよね?」

 

「その通りですが……?」

 

創真に転生してからというものの現代日本であり、特に説明があったわけでもなかったのであくまで前世と変わらない世界だろうと思っていただけにそこまで大きな料理の専門学校なんてあっただろうかと首を捻る。

 

「試験まであまり時間の余裕がないと思いますが大丈夫ですか?」

 

「ほんとですか。分かりました、急いで行きます。ありがとうございました!」

 

懇切丁寧に説明をしてくれた事務員へと頭を下げ、試験会場へと急ぐ創真。

しかしながら会場に辿り着くまでの道のりでは、進級試験に落第した者や退学処分を受けた生徒の親などが恥も外聞も捨ててどうにかして取り下げを頼み込んでいたり、絶望して項垂れていたりするのだ。

これはいくらなんでもおかしいと気付いた創真は、逃げるように去っていった親父に電話を掛けた。

 

『おう、どうした創真』

 

「どうしたもこうしたもねぇよ。なんなのこの学校」

 

『あれ、言ってなかったけ?』

 

城一郎に連絡をしながらも足を止めずに進み続けた創真ではあるが、近づくにつれてその異様さがより一層際立だってくる。どう見てもただの学校とは思えないほどの広さと建物が敷地の外からでも理解できるほどだ。

 

『そこは日本屈指の料理学校……卒業到達率10%以下の超絶エリート校だぜ』

 

想像とは違うどころか、前世では存在もしなかった馬鹿でかい学校を目の当たりにして創真は戸惑う。

すると脳裏に自然と【掲示板にアクセス】という表示が浮かび上がる。まるで頭の中にPCでもあるかのような状況に困惑するも、城一郎との電話中であることを思い出す。

 

『まぁ頑張れよ創真。その学校で――』

 

「え、なんだって? 騒がしくてよく聞こえないんだけど、今どこにいるんだよ」

 

『NYシティ マンハッタンロイヤルホテル。VIP専用レセプションホール。今そこでメシ作ってんだ』

 

「は? 何いっちゃってんの??」

 

『最初はインド。イタリア、スペインと仕事して昨日アメリカに入ったんだ』

 

「……いつもの冗談じゃなさそうだな」

 

『流石にそんなくだらねぇ冗談いわねぇよ。しばらくは東海岸の都市で料理を出す予定になってる』

 

「なんで定食屋の店主がそんなとこで料理できんの?」

 

『まー……ちょいとな。昔の(つて)をたどっただけさ』

 

これまで背中を追い続けるしかなかった大きな壁。その過去について気にしたことがなかったと言えば嘘になるが訊ねる事はなかった。定食屋の店主程度で収まる器ではない事は薄々勘付いてはいたものの、どこやらしらないがVIP専用ホールで料理を提供できるほどとは思いもよらず、創真には青天の霹靂だった。

 

『創真よ。その学園で生き残れないようじゃあ、俺を超えるなんて笑い話だな』

 

「……はっ。上等だ、やってやんよ。約束忘れてないだろうな?」

 

『約束?』

 

「俺がここをトップで卒業したらなんでもいうこと聞くってやつだよ!」

 

『あー、そういやそんな事もあったかな』

 

「適当ぬかしやがって……まぁいい。3年後まで首を洗って待ってろよ!」

 

『おう、待っておいてやるよ。よし、じゃあ特別に――』

 

「親父?……切れてる。電波でも悪かったのか?」

 

城一郎が何か言いそびれたようだが、これから創真は編入試験。特に折り返すこともせず、必要なら城一郎から折り返しがあるだろうと携帯をポケットにしまう。

受験会場ではいかにも裕福そうな受験生が、付き人が運転して来たハイヤーなどで続々とやってきていた。

しかしながら、おそらく学園の生徒であろう女学生が試験内容を告げると、それら全てが蜘蛛の子を散らすように去ろうとする。

 

流石にどういう事かわからなかったので、逃げようとする受験生を捕まえて話を聞くに、試験官は神の舌と呼ばれる程の味覚を持っており、料理界の重鎮たちも味見役を依頼するほどだという。

そして、万が一でも「才能無し」と烙印を押されでもすれば業界全体に知れ渡り、料理人としての道が閉ざされる……らしい。

 

そんな事情を知った創真ではあるが、この学園に受からなければ城一郎に再度勝つことは愚か、勝負の土俵にすら上がれない。それにその程度の事でびびって踵を返すのなら、定食屋で料理の提供など出来やしない。そんな考えを持つ創真だからこそ、受験生がいなくなった調理室で試験官である「薙切えりな」に啖呵を切るのだった。

 

「卵料理なら、なんでもいいんですか?」

 

えりなは創真が残っていることに気が付いておらず不意を突かれる。それでも学園から任された責任があるため一応の忠告をする。

 

「卵さえ使用していれば自由よ。でも本当にやる気? 辞退するなら今の内に――」

 

「客に料理も出さずに帰る料理人がいるかよ」

 

「なっ……この方をどなたと心得るっ! 首席生徒にして遠月十傑評議会のメンバー薙切えりな様だ!!」

 

創真のあまりにも生意気な発言に対して、えりなの付き人である新戸 緋沙子(あらと ひさこ)は声を荒げた。

 

「はぁ……じゃあ薙切サンに旨いっていわせりゃ試験にも受かるし、首席にも認められたって事になる訳か」

 

「……もう一度聞いてあげるわ。本当に私の試験を受ける気なの?」

 

「そりゃもちろん。俺にも事情があるんでね」

 

「どのような状況だろうが、こちらが試験を甘く見るなんて淡い期待はしない事ね」

 

「はっ、調理する前からそんな弱腰のやつは落ちて当然だろうよ」

 

「このっ!」

 

「緋沙子、控えなさい」

 

「で、ですがえりな様」

 

「私がいいと言っているのです。それにそこまで言うなら味わってさしあげましょう。料理業界底辺の味をね……!」

 

「なるほど……神の舌ってのはそりゃ凄いもんなんだろうな」

 

「あら、料理するまえから胡麻すりかしら?」

 

「いや、俺の料理を食う前から味の想像がつくんだろ?何を作るかも言ってないっていうのにそりゃ凄いもんだと思ってよぉ」

 

「口だけは一丁前ね」

 

城一郎の気まぐれに意味の分からない脳裏の文言、それに加えて高飛車で傲慢な女学生を相手にした創真は平たく言うとぶち切れていた。手前の腕を見る前に貶されたのだから、それはもはや怒髪天の極み神の舌だかなんだか知らないがこいつはぎゃふんと言わせるという強い意志を持って調理に入り始めた。

 

そして、そのタイミングでいい加減に脳裏の【掲示板にアクセス】が邪魔になり、消すこともできないのでアクセスすると衝撃的な事実が分かるのだった……。

 

(この世界が漫画原作で、俺はその主人公に転生したのか……受け止めきれてないっちゃないが、今はわがままな客が待ってる。さっさと化けるふりかけを仕上げよう)

 

「……幸平くん、作る品はいったい何?」

 

「おや、俺の料理は作る前に味まで分かってるんじゃなかったのか?」

 

「い、今すぐ不合格にするわよ!? いいこと!? 不出来なものを相手にしてる暇はないの!」

 

「そっすか」

 

「……この私の舌に見合う料理を作るつもりがあるのかって聞いてるのよ!」

 

「そこまでいうなら教えよう。俺の作る料理は、食事処ゆきひら裏メニューその8!」

 

裏メニューと聞いてえりなはどれほど手の込んだものを作るつもりなのかと身構える。

それを裏切るようにして創真はあっけらかんと告げた。

 

「ふりかけごはん!!」

 

場を静寂が支配した……。

 

「ふざけないで!!」

 

もしかしたら自身が認めるに値する料理が出てくるのかもと淡い期待を抱いていたえりなではあるが、ふりかけごはんなどというふざけた答えに今度はえりなの怒りが爆発した。

 

「やはり底辺の料理人ね……とんだ時間の無駄遣いだったわ……」

 

「待てよ、もちろんただのふりかけじゃねーよ。俺が作るのは【化けるふりかけごはん】だ!」

 

「【化ける】……ですって?」

 

「さぁそろそろ、完成だ」

 

調理を終え、創真が提供したものは小鉢に入った卵そぼろにしか見えないものだった。

付き人である緋沙子もあれほど大口を叩いた受験生がこの程度の品でえりなに認められようとしているのかと正気を疑うほどだ。

 

「……話にならないわ。試験はこれで終了です」

 

えりなが普段から食しているものは一流料理店のシェフが贅と趣向をこらした高級品のみ。通常であれば予約してから1年以上待つようなものばかりだ。

そんな彼女からしてみればふりかけなどという料理と呼べるかすら微妙なものを出すなどあり得ない事だった。

 

「所詮二流料理人の仕事ね……全く食指が動かなかったわ」

 

「はぁ……この品の本当の姿はこれからなのに」

 

「……どういう意味かしら」

 

創真が小鉢をひっくり返して白米の上に完成したふりかけを盛ると、卵の陰に隠れていた薄い金色で半透明の物体が白米の熱で溶けて卵が次々とコーティングされていく。

これにはえりなも食指を誘われたようだ。

 

「……一口だけ、味見してさしあげます。し、審査してほしければさっさと器を寄こしなさい!」

 

「どうぞ召し上がれ」

 

差し出された器からコーティングされた卵そぼろを一つつまみ口に運ぶも、えりなは審査を忘れて味わってしまった。そうして二口目を食べようとすると……。

 

「あら、一口だけって話じゃなかったんですね」

 

「何か文句ありますか!?」

 

「冗談だって。ゆっくり食べてくれ」

 

創真にからかわれながらも味を確認すると、コーティングされたものの正体が分かった。

 

「煮凝り……ね?」

 

「大正解! この四角いのは手羽先の煮凝りだ!」

 

煮凝りとはゼラチン質の多い肉や魚の煮汁が冷えてゼリー状に凝固したものであり、今回創真は手羽先を鰹だし・酒・薄口醤油で煮込んで手羽のゼラチン質と旨味を抽出し、その煮汁を冷やして固め細かく切ったものを使用している。

 

えりなもこの料理における煮凝りの重要性に気が付いていた。これは鶏肉のうまみが溶け込んだ濃厚なスープであり、とろりとした煮汁のコクと塩っ気がふわふわの卵そぼろの優しい甘さを引き立てる。溶けた煮凝りが卵の美味しさを格段に跳ね上げていると。

そして、これは今までえりなが食してきたどの料理にも似ていない初めて出会う味の世界。

 

「案外食べてみたら美味いもんだろ?」

 

「ま、まだ審査中です!」

 

味の確認のために再度えりなは化けるふりかけご飯を口に運ぶ。すると神の舌という常人より鋭敏な感覚をもつ彼女にとって、料理はイメージでその美味しさを身体全体に伝えてくるのだ。

故に初めて感じる新しい美味しさに対して、まるで天使の羽根で身体中を愛撫されているかのような感覚に襲われ身悶えしてしまうのだった……。

 

「確かにウチはちっさい定食屋だし、あんたが食の上流階級なのも本当だろうよ。それでも、見下してるだけじゃあ作れない料理もきっとあるぜ……!」

 

えりなにとって初めての経験であり、これまでエスカレーター方式で育ってきた彼女にとってここまで無遠慮に突っかかってきた生徒はおらず、冷静な判断力が彼女から失われつつあった。

 

「もう味見も十分だろう。ゆきひら流ふりかけごはん、美味いか不味いか、言ってみな!」

 

そう、本心としてはえりな自身も創真の料理を美味しいと認めざるを得ないのだが彼の傍若無人な態度と偉そうな物言いが彼女の反発心をこれでもかと刺激してしまった。

 

「ま、不味いわよっ!」

 

「えぇ?!」

 

渾身の出来栄えだと思っていた料理を不味いと貶された創真もショックを受け、初めての味に翻弄されるえりなも冷静さを失っており、それに対して緋沙子も同様に慌ててしまっている。

つまりこの場に冷静な判断力があるものは誰一人残っていないのである!

 

「ちょ、ちょっと俺も味を確認する!」

 

「あ、あなたっそれっ」

 

「なななっ!」

 

料理の出来栄えが気になった創真はえりなの食べさしを先ほどまでえりなが口に運んでいた箸で食す。それを見てえりなは間接キスのような、食べさしを勝手に食べるなんてそれ以上ではと驚き、緋沙子は不敬だと創真から器と箸を取り上げる。

 

「……あれ? いつも通り美味い? おい薙切、どこが悪かったんだ!?」

 

「か、間接……」

 

「え、えりな様?! おおおお落ち着いてください」

 

創真は料理の出来栄えが普段と変わらなかったのにも関わらず満足されなかったことから上流階級というのはこれ以上の美味さに溢れているのかと驚愕する。その横でえりなは顔を真っ赤にしながらうわ言のように間接とばかり繰り返し、緋沙子は慌てふためきながらもえりなをフォローする。

 

そんな阿鼻叫喚の調理場に更に一人の男がやってきた。

その男は白髪をオールバックにし豊かな髭を蓄えており、服装は洋服ではなく浴衣を身にまとっている。

この男の名は薙切 仙左衛門(なきり せんざえもん)。この学園の総帥にしてえりなの祖父である。

 

「声が外まで聞こえておったが、何かあったかの?」

 

「おじい様!」

 

「おお、えりなよ。確か編入試験の最中だったか」

 

仙左衛門が創真の作ったふりかけご飯を一目見やり、手でつまんで一口食べるとニヤリと笑った。

 

「ふむ、幸平くんというのかね? また追って合否通知を送らせてもらおう。今日のところは帰るといい」

 

「……はぁ、分かりました」

 

今の創真は仙左衛門が学園総帥であることは当然ながら知らないものの、年齢を感じさせない肉体に総帥としての仕事で培われてきたのであろう器の大きさを無意識に感じ取り、仙左衛門の言う通りに引き下がることにした。掲示板の連中も騒がしいし、そろそろどちらか一方だけに集中したいというのもあったが。

 

「ちなみになんですけど、美味しかったですか?」

 

「ああ、無論だ」

 

そして仙左衛門はえりなたちに聞こえないように創真に耳打ちする。

 

「合格基準は満たしているゆえ、編入されるのは間違いないだろう」

 

「……どうして小声なんですか?」

 

「今のえりなに伝えると直ぐには帰れなくなるが、それでもよいか?」

 

「それは困りますね……」

 

「そうであろうな。はっはっは」

 

「お気遣いありがとうございます。これからよろしくお願いします」

 

「うむ。では、さらばだ」

 

そうして創真は編入試験にて学園総帥から直々に合格を言い渡されたのだった。

 

 

また時は流れ、遠月学園の高等部の始業式。

 

『続いて、学年賞の授与にうつります。新一年生総代、薙切えりな』

 

「はい」

 

彼女が総代に選ばれたのは順当といえばそれまでだが、薙切一族の中で神の舌を発現した彼女に圧しかかる重圧は、退学がかかっている遠月の生徒よりも大きい。それを背負いながらも成績は全科目でトップを取り、今も凛とした立ち振る舞いで壇上に上がっている。

そんな彼女に天は二物以上のものを与えたようで、さらに容姿も整っており学生からの人気は高い。

 

『続いて、式辞を頂戴いたします』

 

「諸君、高等部進学おめでとう。総帥の薙切仙左衛門である」

 

それでも彼女に言い寄る男子が少ないのは、この学園の総帥である薙切仙左衛門の孫であるからだろう。総帥の学生からの認識は食のマフィアや料理業界を牛耳る美食の権化、はたまた魔王などという肩書まであるほどだ。

いくらえりなが美しかろうと高嶺の花すぎて、声を掛けるにも憚られるに違いない。

もっとも彼女に声をかけようとしたところで、周りからの牽制やなにより緋沙子のガードが固く諦めざるを得ないだろうが。

 

「――――これから試されるのは技巧や知識ではない。料理人として生きる気概そのもの」

 

仙左衛門がそう語ると学生たちを指差し、まともな学校であれば眉をひそめるどころかPTAで問題になる発言をする。

 

「諸君の99%は1%の玉を磨くための捨て石である。昨年の新一年生812名のうち二年生に進級できたのは76名。無能と凡夫は容赦なく切り捨てられ、千人の一年生が進級するころには百人になり卒業まで辿り着く者を数えるには片手を使えばたりるだろう。その一握りの料理人に君が……君が成るのだ!!」

 

遠月というブランドはこの徹底した競争による少数精鋭教育によるものだ。一人の原石の為に百人を切り捨てる姿勢は現代日本にはそぐわないかもしれないが、この学園の門戸を叩いた以上それは承知の上。当然皆、自身が勝ち残る方だと信じて疑わない。

 

しかし、今年に限っていえばそんな事情もしらずに編入して来ることになった変わり者がいる。

 

『最後に、高等部から編入する生徒を一名紹介します』

 

アナウンスを聞いたえりなの脳裏にはいけ好かない男の顔が思い浮かんだが、あの男は自身の権限において()()()()()()はずで、もう二度と会うこともないと苛立ちを抑えようとする。

 

「えー、編入生の幸平創真です。正直さっきの総帥の発言にはびっくりしましたが、親父を料理で超えるためにとりあえずこの学園で一番になろうと思います。思いがけず入学することになったんですが、三年間仲良くしてくれたら嬉しいです」

 

創真の発言に対しての反応は一拍遅れで訪れた。

 

「な、舐めてんのかてめぇ!」「ぶっ殺すぞ編入生ェ!!」

 

遠月における一番とは十傑評議会における第一席を指す。

一年生の中で将来的にその座に及ぶものは現状、薙切えりなにほかならない。もしもえりなが一番を目指すと述べたとしてもブーイングは起こらないだろうが、創真がその座を得る理由があまりにも個人的な事情なため、外から見ればふざけた発言にしか見えずこのような有様と成り果てた。

創真が壇上から袖にはけると、先ほど総代を授与されたえりなが呆然とした表情で立っていた。

 

「おお、反応やばいな。」

 

「幸平くん! なぜ君がここに……」

 

「なぜってそりゃあ……合格通知が届いたからな」

 

総帥から直々に合格と認定されたもののえりなからは不合格の烙印を捺されており、創真は仙左衛門がえりなに説明せずに当日を迎えた事に気が付き、総帥の顔を潰してしまうのも酷な話だろうと、えりなには明かさないように気を遣ったのだった。

 

「言っておきますけど、私は認めてはいないわ。君も、君の料理もね!」

 

「それって流行りのツンデレってやつ? 申し訳ないけど趣味じゃないんで……」

 

「違うわよ! 変なこと言わないでくれる?! それに一番になるだなんて……笑わせないで! 中等部からの内部進学者たちはみんな最先端ガストロノミーの英才教育を受けてきたの! 外様の編入生なんて上を見上げるまでもない。彼らにも勝てやしないわっ!」

 

「中等部、三年間か……」

 

「……何よ」

 

「俺が初めて包丁を握ったのは三つの時だった。12年間調理場で生きてきたんだぜ? それに神の舌と名高いあんたに不味いって言われたまま引き下がれるほど人間出来ちゃいねーんだ。絶対あんたにはっきりと美味いって言わせてやんよ」

 

「ふんっ……そんな未来絶対に訪れないわ!」

 

「おお? いったな? んじゃ、負けた方は何でも相手のいう事を聞くってのでどうだ」

 

「あなたにして欲しい事なんてありません」

 

「なんだよ、口だけかよ……」

 

「あなたねぇ……」

 

創真の遠月での波乱に満ちた生活と、えりなの受難はまだ始まったばかり……。




軽い気持ちで書いたものが評価されると人は現実味が薄れるんですね……。
日刊ランキングに入ってたり、感想を頂いていたり、誤字報告してくれたりと本当にありがたい限りです。
都合上毎日投稿に関してはどこまで続けられるか分かりませんが、書き進めていこうとは思いますので、これからもよろしくお願いします。

PS
読み返して食戟のソーマが週刊連載されてた事実に震える。
あのレベルでストーリーと絵を当然のように毎週上げてるのヤバくない??


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話 田所恵という少女

日間一位?! たまげたなぁ……


1:ソーマ ID:NMgXjVwuM

丼研のレシピめっちゃ有用だわ

 

2:さまよえるおもちゃ ID:v6c9+DRZ/

食戟のイッチ?!

 

7:さまよえるおもちゃ ID:71TITCLj8

おそろしく速いスレ立て、オレでなきゃ見逃しちゃうね

 

12:さまよえるおもちゃ ID:UF0QMYXhg

丼研ってことはにくみ回か

 

15:さまよえるおもちゃ ID:ruM1zs2Rs

初めての正式な食戟だよな

 

19:さまよえるおもちゃ ID:0GZpYnYHi

イッチも緊張してたりするんじゃね?

 

21:さまよえるおもちゃ ID:m8jGGrbN3

……いや、しなさそうだが?

 

24:さまよえるおもちゃ ID:LdVH03i2s

原作ソーマよりメンタル強そうなのなんなの?

 

28:さまよえるおもちゃ ID:Yac3cMQLs

バグでしょ

 

31:さまよえるおもちゃ ID:DoDC0Gc2X

それで、食戟では何を作るんだ?

 

34:ソーマ ID:NMgXjVwuM

え、もう終わったけど

 

36:さまよえるおもちゃ ID:6KvDnod8d

えぇ……

 

37:さまよえるおもちゃ ID:3PYLuXwM2

もっと早く言えよ!!

 

38:さまよえるおもちゃ ID:lsN6beZ5d

転生者ならホウレンソウぐらいちゃんと守れ!

 

39:ソーマ ID:NMgXjVwuM

正直めんどくさい

 

41:さまよえるおもちゃ ID:KpHP56Af2

この掲示板考えるだけで操作できるでしょ、おじいちゃん

 

44:さまよえるおもちゃ ID:oZeekUqKn

ほんとめんどくさがりだなこのイッチは

 

47:ソーマ ID:NMgXjVwuM

そんでさ、宿泊研修ってのに来たんだけど

 

50:さまよえるおもちゃ ID:wJwYYsMWx

テンポが……テンポが速いよ

 

55:さまよえるおもちゃ ID:CwgvcPT+L

情報過多なんでぇ、一旦待ってもらっていいっすか?

 

60:さまよえるおもちゃ ID:4Kx1m7Qsi

馬鹿野郎おまえそういうことはもっと早く言えこの野郎

 

65:さまよえるおもちゃ ID:pO6P3/KNf

え、丼研のくだりもう終わり?

 

66:さまよえるおもちゃ ID:Rk0TSoFYa

どうせ原作とあんまり流れ変わらんやろ

 

68:さまよえるおもちゃ ID:q5dh5KCNJ

このイッチが丼研を何の見返りもなく救うとでも?

 

73:さまよえるおもちゃ ID:cjJDWbcpr

みんなイッチの事なんだと思ってるんだ! ただの血も涙もない冷血漢だろ!

 

77:さまよえるおもちゃ ID:kzAt1n6PM

お前が一番ひどい事言ってる自覚ある?

 

82:ソーマ ID:NMgXjVwuM

丼研でレシピいっぱいもらったぜ

 

86:さまよえるおもちゃ ID:HwnkEhBpY

それで食戟引き受けたって事?

 

90:ソーマ ID:NMgXjVwuM

そうそう

一回その食戟ってやつやってみたかったし

 

94:さまよえるおもちゃ ID:qbVhPIW1N

めっちゃ無邪気にバトろうとすんじゃん

 

99:さまよえるおもちゃ ID:tCk43mjmQ

イッチはバトルジャンキーだった?

 

102:さまよえるおもちゃ ID:j1o9DS4/x

どっちかっていうとサイヤ人っぽいよね

 

105:さまよえるおもちゃ ID:eEEv5eJPL

ちなみに作ったのってシャリアピンステーキ丼?

 

106:ソーマ ID:NMgXjVwuM

そうだけど、なんか原作と一緒だと負けた気分になるな

 

107:さまよえるおもちゃ ID:xsrYuzZul

何をいってるんだお前は

 

110:さまよえるおもちゃ ID:enhrhXPPs

原作と戦おうとするな

111:さまよえるおもちゃ ID:D13agq1Jg

にくみ推しワイ、絶望する

 

115:さまよえるおもちゃ ID:EtEXhpXLe

それは草

 

116:さまよえるおもちゃ ID:D13agq1Jg

もうサードインパクトだかフォースインパクトだか止める気無くしたわ

 

120:さまよえるおもちゃ ID:VkbeuNhfM

エヴァ?

 

121:さまよえるおもちゃ ID:c6HqQyiUz

シンジか?

 

126:さまよえるおもちゃ ID: D13agq1Jg

カヲルだけど今シンジ君が綾波助けようとガフの扉開いたとこ……もうどうでもいいや

 

127:さまよえるおもちゃ ID:VbQmdTGnV

カヲルがワイとかいうのか……

 

129:さまよえるおもちゃ ID:3ONRzVz8D

イッチィ!早くにくみの画像を送るんだ!間に合わなくなっても知らんぞ!

 

131:ソーマ ID:NMgXjVwuM

[画像]

こうか?

 

133:さまよえるおもちゃ ID:D13agq1Jg

嗚呼、神様仏様ソーマ様……

 

136:さまよえるおもちゃ ID:vs4U3DLgs

なんでこんな至近距離の画像があるんです?

 

139:さまよえるおもちゃ ID:l5W1AoMqN

エッッッッッ

 

140:さまよえるおもちゃ ID:aWORRFmIF

にくみめっちゃ可愛いな

 

145:さまよえるおもちゃ ID:2JS1pyJKU

>>126

世界滅ぼすのだけはNGな

 

146:さまよえるおもちゃ ID:N29KmG7p3

ちゃんとインパクト未然に防げよ

 

150:さまよえるおもちゃ ID:D13agq1Jg

まぁニアサードインパクトだしセーフでしょ

 

155:さまよえるおもちゃ ID:7jVvGu+W2

お前それ新劇場版じゃん……

 

156:さまよえるおもちゃ ID:iPYCTdXdx

てかそれぐらいで世界救うの諦めんなよww

 

159:さまよえるおもちゃ ID:D13agq1Jg

お前は月でひとり、ネット環境もなく発狂しない自信があるか?

 

161:さまよえるおもちゃ ID:mLjWLe377

ごめんて

 

166:ソーマ ID:NMgXjVwuM

それで、合宿なんだけど田所の面倒みるのってここまででいいんだよな?

 

167:さまよえるおもちゃ ID:b6EqNsFpE

そういえば頼んでたっけ

 

171:さまよえるおもちゃ ID:97P3uNi5O

田所ちゃんガチ勢がいたはず

 

174:さまよえるおもちゃ ID:1mw1Xtaur

うまいこと行けば卒業生の四宮と食戟できるからしっかりな

 

178:ソーマ ID:NMgXjVwuM

まじ?

ちょっとやる気出てきたわ

 

181:さまよえるおもちゃ ID:kqNvlPsF0

ちなみに今なにしてんの?

 

184:ソーマ ID:NMgXjVwuM

四宮先輩が喋ってるの聞いてる

 

186:さまよえるおもちゃ ID:qcDSQBAEP

初日の卒業生の紹介か

 

188:さまよえるおもちゃ ID:OSw3aLZD5

確かそれこそ四宮が創真の横の生徒退学にしたとこだろ

 

189:さまよえるおもちゃ ID:cPfTN2gxq

田所がドナートとひなこに口説かれてたりなw

 

191:ソーマ ID:NMgXjVwuM

ああ、確かにそんな感じだったな

 

193:さまよえるおもちゃ ID:uP1KHmAEL

え?今そこにいるのになんでそんな他人事?

 

194:さまよえるおもちゃ ID:VIhcNTRY1

おい……まさか……

 

199:ソーマ ID:NMgXjVwuM

それは朝にあった事で、今はルセット?の説明聞いてる

 

201:さまよえるおもちゃ ID:nhqZSJKEE

お前二日目じゃねーか!!!

 

206:さまよえるおもちゃ ID:EQGERqncY

勘弁してくれよイッチ

 

208:さまよえるおもちゃ ID:WbNT/GaRR

スレ民の胃は穴だらけ

 

210:さまよえるおもちゃ ID:5IhHMvG8p

え、タクミ周りも過ぎてるの??

 

213:さまよえるおもちゃ ID:3Mj0lYd/t

そうだよ(絶望)

 

215:さまよえるおもちゃ ID:W+y41SjO0

ちょいまてや!なんでディアベルはんが……じゃなくて、もう田所の首飛ばされるとこじゃねーか?!

 

219:さまよえるおもちゃ ID:0ov5Fve0D

ッスーーーーーー

 

222:さまよえるおもちゃ ID:5i6Y09BG0

たし蟹

 

223:さまよえるおもちゃ ID:yqLSycbH9

>>215

ネタ挟む余裕はあるのね

 

226:さまよえるおもちゃ ID:KNT3y3aHO

>>223

デスゲームの楽しみこれぐらいしかないんすわ……

 

228:さまよえるおもちゃ ID:rgf2Ew5jw

あっ、マジでアインクラッドいるんか

 

229:恵ちゃん親衛隊 ID:icdk3uele

別スレでやれ

イッチ!ここが正念場だ!

なんか四宮が田所に首を宣言した時にいい感じで口挟んでどうにかしてくれ!

 

233:さまよえるおもちゃ ID:jS+mriJLm

コテハンまでつけてるのに肝心の部分ふわっふわww

 

234:恵ちゃん親衛隊 ID:icdk3uele

なんで俺は異世界なんかに来ちまったんだ……

 

238:さまよえるおもちゃ ID:hkfxbpo/p

俺たちはクソ神におもちゃにされてるから定期

 

239:さまよえるおもちゃ ID:ccFOCEybY

そんな定期はいらない定期

 

241:ソーマ ID:NMgXjVwuM

結局何をどうすればいいわけ?

 

243:さまよえるおもちゃ ID:0HrUVw+p1

原作読めるやつ教えてさし上げろ

 

247:さまよえるおもちゃ ID:ZEl2Ofrxr

田所が質の悪いカリフラワーを使わざるえなくなって、ルセット(レシピ)をちょっと変えて提出したら、四宮が俺のルセット変えたなら首って言いだすんよ

 

252:さまよえるおもちゃ ID:QJ+vt3zrn

確か、その傷んだものを四宮はわざと用意してたんだよな

 

254:ソーマ ID:NMgXjVwuM

なんで?

 

257:さまよえるおもちゃ ID:zROdCwW5+

足切りのためらしい

 

259:ソーマ ID:NMgXjVwuM

意味が分からんのだが

 

261:さまよえるおもちゃ ID:Dv7lnNYVM

それは俺もそう思う

 

266:さまよえるおもちゃ ID:jwfmTYGxG

学生の人生そんな身勝手な理由で左右していいわけないだろ!

 

267:さまよえるおもちゃ ID:8AN0De3m4

本音は?

 

270:さまよえるおもちゃ ID:jwfmTYGxG

生意気なガキが絶望した顔サイコー!!

 

272:さまよえるおもちゃ ID:di3EuTSjs

うわぁ

 

277:さまよえるおもちゃ ID:ZEl2Ofrxr

って事だから、田所が落とされた時に四宮にお前の食材管理どうなってんのって煽れば乗ってくるよ

 

280:さまよえるおもちゃ ID:rHy0MFKYZ

綺麗にスルーしたな

 

281:ソーマ ID:NMgXjVwuM

はーん

ま、やってみるけど

 

284:さまよえるおもちゃ ID:tgTOoG7Wg

てかイッチは掲示板にいて大丈夫なのか?

今四宮のテリーヌ作ってるんだろ?

 

289:ソーマ ID:NMgXjVwuM

まぁ難しいっちゃ難しいけど、別にそこまで大変な料理でもない

 

292:さまよえるおもちゃ ID:K3LTSBEDD

料理の腕だけはあるんだよな

 

296:さまよえるおもちゃ ID:nYuJALxUf

イッチに料理の腕しかないみたいに言わないでくれますぅ?

 

301:さまよえるおもちゃ ID:ikaCn/1Z/

他になにがあるんだよ

 

305:さまよえるおもちゃ ID:iHs8FtV78

常識のなさとか……なんか色々あるだろ!

 

310:さまよえるおもちゃ ID:UN+kOkRsc

常識がないのがあるって矛盾してない?

 

311:ソーマ ID:NMgXjVwuM

田所めちゃくちゃ頑張ってテリーヌ作ってんじゃん

これ粗はあるけど中々うまいわ

 

315:さまよえるおもちゃ ID:Cb8UAX0GS

田所ちゃんなりに工夫して作ったからな

 

317:さまよえるおもちゃ ID:iclf2XbmZ

四宮にちゃんと喧嘩売れたか?

 

321:ソーマ ID:NMgXjVwuM

この人余裕なさすぎでしょ

 

323:さまよえるおもちゃ ID:j7vRWlupQ

あ、そうそう食戟で田所の退学取り消せっていえば多分いい感じになるよ

 

326:さまよえるおもちゃ ID:rIVlsaCyw

その情報遅くない?

 

329:さまよえるおもちゃ ID:j7vRWlupQ

ちょっと世界最強の生物(範馬勇次郎)と戦ってたんだ、許せ

 

334:さまよえるおもちゃ ID:bRIhHi+T7

それは許される

 

339:ソーマ ID:NMgXjVwuM

堂島さんって強そうな人が夜に非公式の食戟するって言いだした

 

344:さまよえるおもちゃ ID:8HieqC7V5

それでええんや

 

345:さまよえるおもちゃ ID:uVvX0cNTZ

これで田所とイッチは一蓮托生だな

 

347:さまよえるおもちゃ ID:QUGQAzcxN

負けたら創真も退学になるんだっけか

 

350:さまよえるおもちゃ ID:DZi//af5r

そのはず

 

354:ソーマ ID:NMgXjVwuM

なんか普通に四宮ってやつ殴りたいんだけど

 

359:さまよえるおもちゃ ID:2LftCymcl

えぇ……

 

361:さまよえるおもちゃ ID:iGGd+40j7

お前料理人

食戟って制度がある

殴りあうな

 

363:さまよえるおもちゃ ID:HEfzjhwBk

ボクシング漫画の方があってるんじゃね?

 

367:さまよえるおもちゃ ID:DGHj2130Q

それはそう

 

――――――――――――

 

早々に四宮の課題を合格した創真は一番最後に完成した田所の番を待っていた。

掲示板で転生者たちに彼女の事を頼まれたこともあるが、丼研の際には手厚いサポートを善意でしてくれた事や、寮の畑で食べた彼女の料理は美味しく授業でのそれとは天と地ほどの差を感じた事から、ここで退学になるのは少し惜しいと考えたからだ。

 

そして田所恵の順番が訪れ、四宮は退学を言い渡す。

 

「―――痛み始めてるカリフラワーを茹でる時にワインビネガーを使ったんだろ?」

 

(ビネガー)の漂白作用で綺麗な色を保ち、下味としても利用することでカリフラワーの甘みを引き立てられており野菜の甘みと(ビネガー)のかすかな酸味が絶妙にマッチした味になっている。

 

しかし―――

 

「誰がルセットを変えていいと言った?」

 

四宮のルセットは各野菜の甘みが作り上げるハーモニーを楽しむために計算されつくされており、僅かながら酸味が混ざる事でテリーヌのカリフラワーの層のみを食せば問題はないが全体の繊細な調和を乱してしまったのは事実だ。

 

「ルセットの中に酸味を生かすなんて文言があったか? お前が作ったのは最早全く別の料理……課題に沿わない品を出せば当然失格。納得したか?」

 

「鮮度が落ちた食材を混入させたシェフに責任はないんすか?」

 

おそらくここで口をはさむべきだと判断した創真は、四宮に対して思ったことをそのまま告げる。

 

「あ? 誰に向かって口きいてんだ?」

 

「ここでは俺らは従業員らしいんで、当然質のいい食材を用意できなかった料理長に責任を追及してるんですが?」

 

「……分かっていないようだから教えてやる。状態の悪いカリフラワーは()()()()()()。合格者を絞るためにな」

 

「あの、それが意味不明なんですけど。料理の腕で落とされるならまだしも、この講義を受けた段階でかならず不合格者が出るって事ですよね? それっておかしくないですか?」

 

「てめぇ……」

 

「さらにいえば田所はあんたのミスをカバーするためにわざわざ創意工夫をして対応したんですよ。そこんとこどうなんですかね」

 

料理長(シェフ)は俺だ! 俺が創ったルセットに下っ端が手を加える事が許される訳ねぇだろう!」

 

「はぁ……つまり、あなたのいう事はここでは絶対だと?」

 

「理解が早いじゃねぇか。いいか? これ以上俺に楯突くなら料理長(シェフ)の権限でお前もクビにするからな」

 

「…………なぁ、田所はもういいのか?」

 

田所恵は元来大人しく優しい性格だ。

港町の住民から厳しくも愛のある育て方をされた彼女だが、遠月での生活は緊張しいの彼女には難しく進級すら最下位でなんとか出来たぐらいだ。しかしながら、一風変わった編入生が来てからといえば初めてA判定を自力で取ることが出来たりと、やっと目に見えた成果にすこしばかりの自信が芽生えていた。

 

今回のルセットの変更もそれがあるが故に行い、なんとか対応したのにも関わらず四宮からは退学を言い渡され呆然としていると、自信を芽生えさせてくれた恩人である創真が気に食わないとくってかかり、なんと彼までもが退学にさせられそうになっているではないか。

自分が退学になるのは故郷の皆に申し訳立たないが、誰よりも自由気ままで飄々としているものの料理の腕前では歯も立たない彼までも巻き込まれるというのなら話は別だ。

 

「わ、私のことはもういいからっ……えへへ」

 

涙を堪えて少女は少年へ自身を見捨てるように告げる。

 

「田所……お前の料理、ちょっと味見したけど俺はそこまで悪くないと思う。もう一度だけ聞くぞ。本当に後悔しないか?」

 

少年は彼女の事を最初は料理が出来ないのに料理学校にいる変わった生徒だと認識していた。

だが、同じ寮での生活で見えてきた少女は誰よりも優しく、ともすれば気弱でそれでも弱音を吐かずに日夜努力し続けていた。

それは超えられない壁を超えるためにぶつかり続けた己の姿と被り、いつの間にか彼女の評価は一転して良い方向に進んでいた。

 

そして今日、田所恵という少女の料理人としての大きな分岐点が現れる。

 

確かに彼女は優しく誰よりも他人を優先し、自分を後へと回す。それは料理人においては必ずしも美徳とは見做されない。

遠月の教育理念の根幹は()()の二文字に集約される。そして彼女は自己鍛錬としての研鑽は怠らないが、他者との競い合いにおいてはその性質上、未だ向き合えていないのだ。

 

創真は確かに彼女には才覚がある事を感じていた。具体的にそれを言語化することは難しいが、彼女の料理には食べる者への優しさが溢れている。

それでも、ここで引くようならこれから先似たようなことはいくらでもある。それならば、早めに料理人とは別の道を進むのも彼女の人生の選択として十分正しい選択だろうと創真は考えた。

 

だが、それは本当に彼女がただ気弱な少女であった場合に過ぎない。

 

「……後悔、すると思うよ、絶対。でも、創真くんが退学になるくらいなら私は……地元からでも料理はできるもん! だから……ありがとう。気持ちはうれしいけど……創真くんは気にしないで」

 

他者の気持ちを慮り、自身の進退をかけられたとしても他人をいたわることのできる彼女の優しさはもはや強さに他ならない。

涙目ではあるものの気丈に振る舞うその姿は、とても初対面の気弱な彼女からは想像も出来ないほどだった。

 

「そいつは……聞けない相談だな」

 

創真は田所の頭を優しくなでると、再度四宮に向き合う。

さて、どうすればこの現状をひっくり返すことが出来るだろうと思案していると掲示板に有用な情報があるではないか。

これ幸いと少年は口火を切る。

 

「四宮料理長(シェフ)……聞きたいことがあるんですけど」

 

「……まだ何か文句でも?」

 

「文句っていうか質問なんですけど、当然卒業生にもあのルールって適用されますよね?」

 

「何が言いたい?」

 

「食戟、しましょうや」

 

「あ?」

 

「あんたに勝ったら、田所の退学取り消してくださいよ」

 

少年は少女を救うために自身の才覚でもって、フレンチ料理に革命をもたらしたレギュムの魔術師へと挑む。

その結末次第では最悪の未来にたどり着く事もありえるだろう。だが、それでも闘わなければ失われるものもある。

故に彼は自身の思うところを押し通すために、闘うのだ。

 

1人の少女の運命は、掲示板の思いと彼女自身の成長によって転生者の手に委ねられた。

その勝敗は、未だ誰にも分からない……。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話 あわれ遠月の雇われシェフの思惑

宿泊研修二日目。ホテル遠月離宮別館では今回の合宿では使用される予定のない地下1階厨房に数名の料理人たちが集まっていた。

創真からの挑戦を受けずに済まそうとしていた四宮ではあるが、堂島の鶴の一声により、田所の退学に加えて創真の退学も賭けるのであればと本日の食戟を受諾した。

その際に創真は自分の進退までかかるとは露とも思っておらず、四宮の食材管理について声を上げたが嫌なら戦わなければいいと言われ、渋々その条件を飲むのだった。

 

食戟とは奇数名の審査員で勝敗を決める純然たる料理人の力のぶつけ合い。

今回の審査員はというと、堂島の一存で乾では田所を贔屓する可能性があるため他の卒業生たちである、水原(みずはら) 冬美(ふゆみ)関守(せきもり) (ひとし)、ドナート 悟桐田(ごとうだ)らが集まっていた。

 

「只今より、2対1の野試合を執り行う! 今日の課題で余った野菜類を使った料理をお題として――」

 

この勝負に創真を巻き込んでしまった少女はせめて自分が足手まといにならないようにと覚悟をきめる。

当の創真はといえば現役のシェフである四宮と戦えることを心待ちにしており、自分と田所の退学がこれで決まるという背水の陣でもあるため、入れ込み具合は人一倍あった。

 

しかし、金の卵たちの期待を裏切る言葉が堂島より発せられる。

 

「さらに、もう一つ。田所恵、君がメインで調理するんだ」

 

「えっ?」

 

「は?」

 

覚悟していたとはいえ、食戟を申し込んだのは創真。故に今回の主役は創真だと思い込んでいた田所は突然の話に驚きを隠せない。

 

「私がメインで、調理を……?」

 

「そう、レシピも君が一人で決めるんだ。幸平はサブとしてサポートに回れ」

 

「……食戟挑んだのは俺なんですけど?」

 

「元々君ら二人のクビをかけたところで四宮がこの勝負を受ける必要はなかった。それを俺が取り持ったんだ。俺の出す条件も呑んでもらう。それに、仮に君の料理で勝ち田所が生き延びたとしよう。それが何になる?」

 

「ここは田所自身の力で乗り越えるべきってことですか……。理屈はわかりますよ。でも、それならもうちょっと前に教えてくださいよ」

 

「それはすまなかったな。さて、田所くん。もう分かっているとは思うが、今この場においては君が料理長(シェフ)だ。君が遠月に残るべきか否か……料理でそれを証明してみせてくれ」

 

急な追加ルールに加えて、四宮という高い壁に自分主導で挑まなければならないという恐怖。審査するのは誰もが羨む一流の料理人。

高校一年生の少女には想像しえないほどの重圧(プレッシャー)がのしかかっていた。

 

「堂島さん、俺はもう作る品目を決めました。先に調理を始めても?」

 

「ああ、構わない」

 

「同情するぜ、幸平! あの鈍間の腕に自分のクビがかかってるんだからな」

 

「はぁ……それがなにか?」

 

創真からすれば今は既に戦いの真っ最中。そんな中で確かに腕のある料理人がまさかこの程度の煽りをしてくるとは思わなかった。

それに彼からすれば一度勝負が始まれば言葉に意味はない。どれだけ相手を圧倒出来るか否か。それだけに注力すべきなのだから、低レベルな口論よりもやるべきことが他にある。

 

「聞きました!? 今の憎たらしい言い方!」

 

「そんなだから女性と長続きしないんですよ、四宮さんは」

 

「四宮ってほんと性格悪いと思う」

 

「外野は黙ってろ!!」

 

「頑張って、私の恵ちゃーん!」

 

「うるせぇ!」

 

四宮とひなこら卒業生たちの騒がしいやりとりではあるが、今の田所には反応する余裕もない。

頭の中が真っ白になり、レシピを決めなければならないのに勝てるわけがないという言葉がずっとリフレインして脳裏に焼き付く。

自分のせいで負けてしまえば創真までもが退学になってしまうのだから、早く早く早くしなければと焦りと緊張だけが増していく。

 

「田所……おい、田所ってば」

 

呼びかけても反応はなく、正面に回り込んで肩を掴み目を合わせて声を掛ける。

 

「……え? な、なに?」

 

「……はぁ。いいか、今お前は緊張して視野狭窄に陥っている。だからまずは俺の目を見ろ。そんで深呼吸だ」

 

「う、うん」

 

「多少は落ち着いたか? なら、現状の確認をするぞ。これから俺たちで料理を一品つくらなきゃいけない。レシピを考えるのは田所だ。それで、四宮相手に勝って、退学を逃れる」

 

「そ、そうだよね。頑張らないと……」

 

「まだ話は終わってない。いいか? 面倒なことは全部忘れろ。そんで、今からお前は単純に自分の料理の腕前を客に披露することだけ考えるんだ」

 

「……ど、どういうこと?」

 

「だから、勝負なんて忘れてお前が出来る最高を見せてくれって事だよ。田所、お前の料理は本当に美味かった。だからお前らしい料理をもう一度、俺に見せてくれ!」

 

少女は期待されることに慣れていなかった。それどころか男の子とこんな至近距離で話をすることすら初めてだ。

先ほどまではきゅうきゅうと萎むばかりだった胸の中が、今はとてもドキドキしている。そのことに気が付いたとき、見えていなかった周りの人たちが目に映る。心配そうなひなことドナート、無表情な水原、心持ちうれしそうな堂島、余裕綽々の四宮、そして真っ直ぐに自分を見つめる創真。

肩を掴まれて目線を合わせられるなんて状況を冷静に考えだすと、顔が赤く染まりだす。ゆでだこになってしまう前に創真に言葉を返す。

 

「わ、分かった。……私なりの料理、やってみる」

 

「おう! やってやろうぜ!」

 

そして少女はレシピを決めた。

それは朝の四宮の課題の当てつけのようでいて、やさしさに溢れたレシピ。

創真は自然と笑みがこぼれるのを抑えずに告げる。

 

「下処理は俺に任せろ。全部完璧に仕上げてやるよ」

 

「うんっ! 私も頑張るね!」

 

そうして四宮に遅ればせながら調理に入る二人。

堂島はそれをみて今回の食戟で解決したい二つの内ひとつはもう心配いらないだろうとひとりごちる。

だがそんな堂島でも、もう一つの方はというとどう転ぶか未だ判断が付かない。

 

 

「私はまずトマトを調理します! 創真くんは他の食材の下ごしらえを」

 

「任せろ」

 

田所はミニトマトをカットし、オーブンで乾燥させ次の手順について考えたところで気が付く。真っ先に肩肉の切り出しをしてもらわなければいけないということに。

しかしながら、この場で彼女の補佐についているのは「食事処ゆきひら」で城一郎の下で働き続けた現場を知っている者。

 

「切り出し置いとくぞ。筋も取っておいた」

 

「えっ?あ、ありがとう」

 

「鶏レバーと背脂の処理どっちからすればいい?」

 

「あ、えっとレバーの方からお願いっ」

 

「了解」

 

調理が進むにつれてその異様さはより一層分かるようになる。

 

「創真くん! 蒸し焼きの方の準備は……」

 

「パテも仕込んでおいてある。あと、野菜のソテーは12秒待ってくれ」

 

「ありがとう!」

 

田所が一人でこの調理を行えば時間は何倍もかかっていただろう。しかし田所が調理をしやすいように神経を張り巡らせて献身的なサポートを怠らない創真がいれば、それは圧倒的な早さと精度をもって完成に導かれる。

 

当然卒業生たちもその能力には目を見張る。

 

「何あれ」

 

「幸平創真……高等部からの編入生とは珍しいですね」

 

「僕にも見せてくれ、(ひとし)

 

「彼はすごいですよ。私の課題の時にも見事に()()()()()()()()を作ってくれましたからね」

 

「ひなこの課題というと、自然の中から食材を探して調理するしんどいやつか」

 

「アルディーニくんの料理と比べても頭一つ抜けてましたからね!」

 

常にシェフの仕事を先読みし自分の作業との両立を崩さずにサポートに回る。それに加えて決して余計なことはしない。言葉にすれば簡単そうに聞こえるかもしれないが、これは学生のレベルを遥かに超えた領域だ。

 

「実家の定食屋での修行内容が気になるな」

 

「恐らく、少数での現場に慣れているのと日頃からこのレベルを求められているんだろうね」

 

「それ、ほんとに定食屋?」

 

そうして互いの料理は仕上げの工程に入る。

 

「盛り付けに入ります!」

 

「皿の用意するわ」

 

四宮の調理がすこしばかり先に完了したため、審査はそちらから行われるようだ。

 

「シュー・ファルシ*1ですか。少し意外なメニューですね」

 

「フランスの家庭でも作られる定番料理だな」

 

「なんか、拍子抜けって感じですねぇ。いつも気取った料理ばかり作る四宮先輩にしては」

 

余計なことを言ったひなこには四宮のマジチョップが与えられた。

確かに普段の四宮からすれば意外な料理かもしれないが、それは本当にこれがただのシュー・ファルシであったならの話だ。

水原が一口それを食すと、直ぐに気づいた。

 

「これ、地鶏胸肉を使ってる?」

 

「その通りだ」

 

切り開いた胸肉の中に牛脂で香ばしく炒めたモリーユ茸とアスパラガス、そしてフォアグラ。さらに胸肉とバター・卵・生クリームを滑らかなムース状にしたものを入れ蒸しあげている。そのムースが舌にねっとりと絡みつき、その瞬間ふわりと溶けて濃厚なうまみとなって口の中に広がる。

そしてそれをまとめ上げるために使用されたキャベツはサボイ・キャベツ(縮緬キャベツ)。生では青臭さが強く加熱すると上質な甘みが出る品種であり、それをこの料理に最適なポイントへピタリと合わせ加熱されている。

そうして生み出された繊細な甘みが味全体の品位を高めている……まるで魔法にかけられたように。

 

「ん~~っ! 悔しいけど、美味です!」

 

四宮の料理を食すことによって、彼彼女たち卒業生らの脳裏に一つのイメージが共有される。

そう、それは『マジカル☆キャベツ』*2

魔法少女物のイメージが互いの脳裏に共有されるほどの強烈な味。

創真はその経験が浅いが、この世界では本当に美味いものを食べると人はリアクションをしてしまうのである。

 

「はふ~。堪能しました~」

 

「どうだよ水原、お味の方は?」

 

「四宮に関する記憶を消して食べられたら完璧だった」

 

「ああ?」

 

「しかし、意外だったな。俺はてっきりお前の店……『SHINO'S(シノズ)』の看板料理(スペシャリテ)が食えると思っていたが」

 

「ハハッ……冗談きついですね、堂島さん。相手はまだ学生ですよ? 俺がそんな無慈悲な真似するとでも?」

 

(やりそうだ……)

 

(二度と料理が出来なくなるほど叩き潰しそうだ……)

 

美食の激戦区パリの一等地に店を構え戦い続ける新進気鋭のシェフ。『その俺が学生なんかに負けることなどありえない』という至極まっとうな驕り。二人に付け入る隙があるとするならばここしかない。

 

「よし、そろそろ君らも給仕(サーブ)を」

 

「は、はい」

 

確かに出来上がったのは自分の精一杯を出し切った料理。だが、それ故にもしも酷評などでもされようものなら立ち直れないかもしれないと少女は躊躇う。

しかし、ここで引っ込むわけにはいかないと少女は自身で踏ん切りをつけ、一流のシェフたちに自分の自信作を提供する。

 

「ど、どうぞ。召し上がってください……!」

 

「む?」

 

「これは……テリーヌ?!」

 

「7種類の野菜を使った『虹のテリーヌ』です……!」

 

「へぇ、面白れぇ……俺のルセットの『9種の野菜のテリーヌ』にケチつけようってわけだな?」

 

「や……あのっわわ私は、私なりのルセットを見てほしいと……思ってですねっ」

 

「それでは、実食といこうか」

 

堂島の号令で遠月卒業生で一流のシェフたちが一斉にテリーヌに手を付ける。

田所の脳裏に浮かぶのはこれまでの授業で星の数ほど与えられたE評価(最低)の烙印。

それに加えてシャペルの授業で初めて貰えたA評価。

今回の料理がどう転ぶのか不安な彼女だが……。

 

「美味いっ!!」

 

「パテにジャガイモ・人参・ズッキーニなどを練りこみ7色の層を作り、各層の野菜それぞれの美味さを生かすよう調理されている。良くこの仕事量をあの時間内でこなしたものだ……」

 

「二種類のソースも面白いよ。テリーヌをすだちのジュレと紫蘇などのグリーンハーブに合わせるなんて独創的だよ!」

 

「なるほど、7種のパテと2種類のソースの組み合わせで14種も味を楽しめるわけか!」

 

「うむ、この彩鮮やかな縞模様(ストライプ)が見た目のみならず味わいにも効果を発揮しているとはな!」

 

「それに、このプチトマトはドライトマトだな。乾燥させることによってグルタミン酸などの旨味が凝縮され舌に感じる甘さは格段に跳ね上がる」

 

四宮の『9種の野菜のテリーヌ』は新鮮な野菜の生きた美味しさを味わうための料理だったが、この田所の料理では熟成による旨味という全く異なる切り口で野菜にアプローチしている。

 

「心に染み入るような味……。恵ちゃんの優しさが溢れてくるようですね」

 

「四宮さんが『レギュムの魔術師』だとすれば、恵ちゃんは……『レギュムのコロポックル』だね!」

 

「いいえ、違います! 恵ちゃんは私に幸せを運んでくれる『レギュムの座敷わらし』です!」

 

「あるいは……雪深き土地から野菜の恵みを届けにやってきた『レギュムの雪ん子』!!」

 

「今は冬じゃないからだめだと思いまーす!」

 

「つか、なんで妖怪系ばっかなの?」

 

少女の料理は一流のシェフたちにも認められる料理であった。

それに対して田所は感極まって涙目にもなることだろう。創真もそんな彼女を見てとりあえず彼女の経験としてプラスになっただろうと安堵する。

 

だが、これがただの会食であったのならばここで満足してお開きにでもできただろうが、ここは食戟の場。

つまりは勝敗を白黒はっきりとつけなければならない。

 

「それでは、判定に移る。この銀貨が票代わりだ」

 

審査員三名、水原(みずはら) 冬美(ふゆみ)関守(せきもり) (ひとし)、ドナート 悟桐田(ごとうだ)に一枚ずつ銀貨が渡される。ちなみにひなこには現状投票権が認められておらず、ただの観客だ。

 

「四宮と田所くん……より美味だった側に票を投じてくれ」

 

かくして運命の時は訪れる。

これまでの田所は退学を恐れてただ逃げ回っていただけかもしれない。街から送り出された時の期待がいつしか重圧に変わり、学園で修行をすることから地元に逃げ帰りたくないと思い出したのはいつだったか。それでもようやっと退学がかかったこの状況で、この学園に残りたいと初めて思えた。自分の料理に本気で向き合えた気がしていた。

少女は目を閉じ神に祈る。まだ終わりたくない、みんなと創真と共にもっと研鑽の道にいたい、まだこの学園でやっていきたい――と。

どれほど彼女が神に祈ろうが、既に料理は提供され、卒業生たちの審判は胸中で下されている。

 

 

そして結果は――――――

 

 

「票数は2()()1()……」

 

「はっ、残念だったな。まぁこれが当然の結果だ、落ち込むことはない。んじゃ明日も早いし俺は失礼するよ」

 

プロに一学生が挑んでもこうなることは自明の理。負けたとしても一票とれたことを誇るべきか。

 

「田所、すまん。俺の力不足だった。本当に申し訳ない」

 

「ひぐっ……そんな、創真くんは……悪く、ないのに……」

 

「実力の差は歴然、四宮の圧勝……というところだな」

 

堂島がそう嘯きながら、一枚のコインを手に取る。それは田所たちの方に投じられた。

 

「勝負はもうついたはずですが……それはなんの真似でしょう」

 

「まぁ待て四宮。俺はこちらの品を評価したいと思ったのでな。票を投じさせてもらったまでだ」

 

これで票数は2対2。だが、こんなおきて破りな結末に四宮はもちろん、審査員の卒業生たちも納得できていない。

 

「審査員でもないあんたがいきなり何を……」

 

「本当に分からないか?」

 

堂島がさらにもう一枚のコインを四宮へ弾く。

 

「田所くんが作った料理……その中に答えはあるぞ」

 

四宮は銀貨を手にしながらもしかすると、堂島には知られてしまっているのかもしれないと冷や汗を垂らす。

 

「四宮……お前、停滞しているな?」

 

「……っ!」

 

「本当は気づいてるんだろう? 勲章を獲った今、次の目標が定まらない事を。頂に立ち尽くしたままで、一歩も前進できていない事に。料理人にとって停滞とは退化と同義。この場で看板料理(スペシャリテ)を出さなかったのは、自分の料理が止まっている事を俺たちに知られたくなかったからだろう」

 

「黙れっ! 遠月グループの雇われシェフやってるあんたにっ……何が分かるっ!」

 

「そこまで言うなら食ってみろ、田所くんの料理」

 

図星だった。なにより気づかれたくない事をこの先輩は詳らかにしてきた。

複雑な心境のまま差し出された料理をひとくち食べる。

 

「は……火入れが甘ぇ。盛り付けもパテのつなぎもなってねぇ……堂島さんも関守さんもヤキが回ったな」

 

それでも四宮は心に響くものがこの料理から伝わってきた。拙さはあるものの工夫の一つ一つに食べる側への気配りが込められており、それは彼の張りつめた心を解していくように……。

彼が手にした銀貨は床に落ちた。

 

「おい鈍間」

 

「は、はいっ」

 

「パテに仕込んだ香辛料、オールスパイスだな……どうしてこれを選んだ」

 

「そ、その食材の臭み取りと……消化促進作用があるので、合宿の審査で沢山食べてる先輩たちにいいかなって……」

 

「やっぱり、恵ちゃんは最高です……!」

 

「ああ、やはり僕たちの見る目は正しかったようだね」

 

「拙くとも響く、そんな料理だったな。勝負の場であっても料理を食べる相手の事をしっかり見ようとした田所くん。お前が頂の先へ道を拓くのに必要な事のように思うが?」

 

堂島のその言葉から四宮は今回の一件が堂島の思惑通りに進んだことを理解したのだった。

 

 

―――――――――――――――

 

 

153:さまよえるおもちゃ ID:2anOjGPPr

それで、結局勝敗は?

 

158:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

四宮が落としたコインをひなこさんが拾って俺たちに入れてくれた

 

160:さまよえるおもちゃ ID:JzSQEtkx4

さすひな

 

162:さまよえるおもちゃ ID:s2wocn+Xp

俺のひなこさんはやる事が半端ねぇぜ!

 

163:さまよえるおもちゃ ID:R7y5e+vuL

お前のじゃないけどな

 

167:さまよえるおもちゃ ID:YgNnvwtJZ

ひなこなら俺の隣で寝てるよ

 

171:さまよえるおもちゃ ID:+qsJ7BSTj

え、まってじゃあ四宮に勝ったの?

 

174:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

あれを勝ちとはいえんでしょ

 

178:さまよえるおもちゃ ID:pgtmnGXa1

プライド高いなぁ

 

181:さまよえるおもちゃ ID:KF2B6fHBh

原作だとひなこの票込みでも同点なんすわ

 

183:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

計算あわなくない?

 

188:さまよえるおもちゃ ID:f8cw6P1W1

四宮も田所にいれてひなこは500円玉引っ張り出したの

 

192:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

ふーん

 

194:さまよえるおもちゃ ID:GNZi0YQwN

ふーんてw

 

195:さまよえるおもちゃ ID:MoWJBtiGu

とりあえずこれで田所はなんとか退学回避したな

 

196:さまよえるおもちゃ ID:8EAOUF26Q

あと気を付ける事ってなんかあったっけ?

 

198:さまよえるおもちゃ ID:l0LJqJidZ

原作未読勢……なにもわからない

 

203:さまよえるおもちゃ ID:5z9ObIHa8

なら黙っていようね、おじいちゃん

 

204:さまよえるおもちゃ ID:eBiOUO2W0

いうて秋の選抜まで大したことはないだろ

 

206:さまよえるおもちゃ ID:zJPOjALBZ

そうだっけ……そうかも?

 

208:さまよえるおもちゃ ID:gzjDtzVu4

商店街の一件忘れてない?

 

212:さまよえるおもちゃ ID:2QHU7bZOU

このイッチならどうとでもするやろ

 

215:さまよえるおもちゃ ID:h+2YbO2Fi

たし蟹

 

216:恵ちゃん親衛隊 ID:4qRb7BSGp

お前らは大事なことを忘れている

 

219:さまよえるおもちゃ ID:/4Wwbh4kp

嫌な予感がしますね……

 

224:恵ちゃん親衛隊 ID:4qRb7BSGp

ソーマさま……田所ちゃんの泣き顔ドアップの画像をくだしあ

 

227:さまよえるおもちゃ ID:2SRuvFpax

キャーヘンタイヨ!

 

228:さまよえるおもちゃ ID:RslOY4E0t

おまわりさんこいつです

 

231:さまよえるおもちゃ ID:roaBKB/gQ

本音は?

 

235:さまよえるおもちゃ ID:l2UWr2ymi

俺らも見てぇよなぁ!

 

238:さまよえるおもちゃ ID:FOAl/CZY0

変態しかいないねこのスレ

 

242:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

[画像]

[画像]

 

244:さまよえるおもちゃ ID:ZyMkowOrd

最高だぜ!

 

245:さまよえるおもちゃ ID:JP60MmM7A

恵ちゃんprpr

 

246:さまよえるおもちゃ ID:Vs1qkyN9P

涙目キャワワ

 

250:さまよえるおもちゃ ID:hRoBTnCgW

こりゃひでぇや

 

253:恵ちゃん親衛隊 ID:4qRb7BSGp

一枚目が恵ちゃんの肩を掴んであと数センチ顔を近づければ唇がふれてしまいそうになるほどの至近距離……

二枚目の負けが決まったように思えた絶望顔も趣が深くてとてもいいですね……

 

258:さまよえるおもちゃ ID:7E38yXCeM

もうこいつダメでしょ

 

261:さまよえるおもちゃ ID:OlDX9wxzc

キッッッッショ

 

266:さまよえるおもちゃ ID:/AMNLkEk4

語るな語るな

 

271:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

今後、画像上げない方がいい気がしてきたんだけど……

 

272:さまよえるおもちゃ ID:a3d58vP6D

いやいやいやいや

 

275:恵ちゃん親衛隊 ID:4qRb7BSGp

そんな殺生な

 

278:さまよえるおもちゃ ID:lqHRCE8FQ

>>253

どう考えてもこれのせい

 

282:さまよえるおもちゃ ID:2zWsT0Yec

他のもやばいけど群を抜いてキショい

 

284:恵ちゃん親衛隊 ID:4qRb7BSGp

どうして俺は……巨人と戦う羽目になってるんだ

 

288:さまよえるおもちゃ ID:Y7n4lWq0y

それは草

 

290:さまよえるおもちゃ ID:wJqQPMVYN

ちな誰なん?

 

295:恵ちゃん親衛隊 ID:4qRb7BSGp

ライナーだよ……

 

297:さまよえるおもちゃ ID:tvj0H7ntv

自分の役割を忘れた悲しき戦士さん?!

 

302:さまよえるおもちゃ ID:zXmrNn/kv

オイ…何で…マルコが… 喰われてる…

 

307:さまよえるおもちゃ ID:fzI17uk2e

>>302

やwめwろwwwwww

 

310:さまよえるおもちゃ ID:tl0bAHEX0

なぁ、3日目だか4日目だか忘れたけど例の朝食は大丈夫なのか?

 

311:さまよえるおもちゃ ID:VWs2ovNze

なぁにそれ

 

315:さまよえるおもちゃ ID:94/kHg6Ec

あれだろ? ソーマがスフレつくって萎むやつだろ?

 

317:さまよえるおもちゃ ID:WCezKO5yj

あれ知らないとやばくね?

 

318:さまよえるおもちゃ ID:wscnMTEOJ

いうて原作ソーマもライブキッチンで乗り切れたじゃん

 

323:さまよえるおもちゃ ID:zDdrKWH/w

でも教えといたらメニューもうちょい考えられるかもね

 

327:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

それって200皿提供しないといけないやつ?

 

329:さまよえるおもちゃ ID:P2q51vki8

そうそれそれ

 

330:さまよえるおもちゃ ID:5oCqB9evz

ん? 詳しい説明って前日にあったか?

 

331:さまよえるおもちゃ ID:NWCNHgosY

今読み返してるけど堂島が調理開始前に2時間以内に200食って条件あと付けしてるゾイ

 

333:さまよえるおもちゃ ID:q2YDyo+d3

ってことはつまり?

 

337:さまよえるおもちゃ ID:VSML6iOfD

もう作り始めてるって……コト?

 

339:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

いや、もう終わった

 

342:さまよえるおもちゃ ID:qXRm8uCO2

ヘイヘイヘイヘーイ!

 

343:さまよえるおもちゃ ID:GGKmIekgW

社会性をお前はどこに置いてきたんだ

 

344:さまよえるおもちゃ ID:xk+/i/k9S

>>343スレ民に言われたくない台詞上位入賞しそう

 

349:さまよえるおもちゃ ID:2iKvnjN+M

終わったってもちろん合格したんだよな?!

 

353:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

そりゃまぁ。それで、萎むって何の話?

 

357:さまよえるおもちゃ ID:I/7SZaSl5

スフレ作ったんじゃないのか?

 

358:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

作ったけど……え、原作だとこれ萎ませんの?

 

363:さまよえるおもちゃ ID:Ek0YDtThu

あの提供までに時間があるから萎んじゃうはずなんですけど……

 

368:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

そりゃそうでしょ

そうならないように、メレンゲ泡立ててから薄力粉いれてもう一回泡立てるんだが?

 

369:さまよえるおもちゃ ID:dtqJ6S6o1

?????

 

370:さまよえるおもちゃ ID:rE2jDA5LQ

つまりどういう事だってばよ

 

375:さまよえるおもちゃ ID:4DFiEjx95

それで萎まないスフレが出来るって……コト?!

 

380:さまよえるおもちゃ ID:0PqrZBvEl

そうだよ

 

382:さまよえるおもちゃ ID:3d3P4qv5y

いやいやそんなまさか

 

385:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

320皿で材料なくなっちゃったわ

薙切アリスってめっちゃ肌白いね

 

390:さまよえるおもちゃ ID:O0KTwty1J

ちょっとまってくれイッチ

まだ消化しきれてない

 

391:さまよえるおもちゃ ID:/xhd16ZVJ

アリスちゃんの画像は??

 

394:ソーマ ID:AuiXjt/Ji

えぇ……

 

395:さまよえるおもちゃ ID:8pybI9SuO

イッチを引かせてるんじゃないよ!

 

 

*1
フランスオーベルニュ地方の郷土料理。キャベツの葉で肉や野菜を細かく刻んだ詰め物を包み蒸したもの。一般的には豚ロースや玉ねぎが使われる。洋食のロールキャベツに近い

*2
日曜朝8時放送の少女をメインターゲットにした番組。主人公の堂島がある日ひょんなことから魔法少女となり、そんな中年が魔法少女になることが許せない大きなお友達と争いになってしまう。それを救うべく水原とひなこも参戦すると、大きなお友達とマスコットの不思議生物から魔法少女になるように強烈なアプローチをうけ二人も魔法少女になるのだった……。

という設定が卒業生たちに共有された。当然ながら放送されていない。




なーんでサラッと終わらせようと思ったのに7000文字も書いてるんですかねぇ?

感想色々ありがとうございます。想定している5000兆倍反応頂いているんで、全部には返信返せないんすわ。全部目は通してるんで、それで許してね。

PS
死ぬほど疲れてるんだ……明日の更新は勘弁してくれ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6話 もう一回食戟したい

今日の更新がないと言ったな。あれは嘘だ。


1:ソーマ ID:utWxk6Cla

ねぇ、どうやったら四宮先輩と食戟できるの?

 

6:さまよえるおもちゃ ID:ccOzcMcFc

まーたこいつは急になにを言い出すんですかね

 

11:さまよえるおもちゃ ID:1v+vf+k5c

宿泊研修は終わったのか?

 

12:ソーマ ID:utWxk6Cla

終わった

んで、あんな形で勝っても何にもうれしくないからもう一回食戟したいんだけど

 

17:さまよえるおもちゃ ID:tw77xjDUC

オイオイオイオイ

 

20:さまよえるおもちゃ ID:IidWe9Chk

バトルジャンキーもいい加減にしろよオラァン?!

 

22:さまよえるおもちゃ ID:rjd9l0JE3

いうて宿泊研修終わったら四宮はフランスに帰るだろ、諦めろ

 

24:ソーマ ID:utWxk6Cla

やだ

 

29:さまよえるおもちゃ ID:Fa/FeOqnA

駄々っ子かな?

 

34:さまよえるおもちゃ ID:oSYHevOmj

>>24

やだっていうてもどないするんや

相手日本におらんのやからどないしようもないやろ

 

38:さまよえるおもちゃ ID:vAYG+jZX9

そうだぞ、諦めて秋の選抜の準備かなんかしてろ

 

39:さまよえるおもちゃ ID:UaPVk5U8B

学園でも食戟は出来るんだからさ

 

41:さまよえるおもちゃ ID:MMvrFFK5W

>>1

イッチ次第だが食戟の方法がないわけでもない……

 

42:ソーマ ID:utWxk6Cla

どうやるんだ? 教えてくれ

 

47:さまよえるおもちゃ ID:4Ta46zIV/

そんなのあるか?

 

51:さまよえるおもちゃ ID:MMvrFFK5W

四宮がフランスに行っちゃうなら、イッチもフランスにいけばいいじゃない!!

 

56:さまよえるおもちゃ ID:B4giVrat3

あほくさ

 

57:さまよえるおもちゃ ID:dj/qOk2Wx

解散解散

 

60:ソーマ ID:utWxk6Cla

なるほど、一理ある

 

62:さまよえるおもちゃ ID:UsvLKOBuP

いや待てイッチ、はやまるな

 

65:さまよえるおもちゃ ID:d3XRpPC3R

仮に行ったとして秋の選抜間に合うか?

 

66:さまよえるおもちゃ ID:JCQWXJmLd

今原作確認したんだけど、宿泊研修終わったのって6月ぐらいみたい

 

71:さまよえるおもちゃ ID:dr0NOXrZv

うーんこの

 

72:さまよえるおもちゃ ID:MMvrFFK5W

え、これまじでフランス行くの?

 

73:さまよえるおもちゃ ID:57t6qaMgw

>>72

他人事みたいに言ってるんじゃないよ!

 

75:さまよえるおもちゃ ID:RnNJChBhk

>>72

お前が始めた物語だぞ。責任取れ

 

78:さまよえるおもちゃ ID:MMvrFFK5W

ッスーーーーーー、この度はまことに申し訳ございません……

つきましては、鱗滝左近次、冨岡義勇が、腹を切ってお詫び致します

 

81:さまよえるおもちゃ ID:DzGo0UCHq

お前が一人で腹を切れ

 

86:さまよえるおもちゃ ID:JSlKw4V0e

イッチからの反応なにもないのすっごい不安なんだけど

 

91:さまよえるおもちゃ ID:m4d+f7QQo

>>86

『フラグ が 立ちました!』

 

96:ソーマ ID:utWxk6Cla

フランス行きの飛行機乗った

四宮先輩の店ってどこ?

 

101:さまよえるおもちゃ ID:JGqlz+oG8

おい……おい……

 

102:さまよえるおもちゃ ID:mjYBLyIWn

まてお前、地元の商店街の一件は解決済みなのか?!

 

103:さまよえるおもちゃ ID:mjTMTZhA+

あまりにも早いフラグ回収、俺でも見逃しちゃうね

 

106:ソーマ ID:utWxk6Cla

>>102

何の話?

 

111:さまよえるおもちゃ ID:chFmTuzIq

あっ……

 

112:さまよえるおもちゃ ID:Xi/7VDyMG

次回、「とみたや死す」。デュエルスタンバイ!

 

116:さまよえるおもちゃ ID:MpHUZT1MF

これに関しては時間的猶予結構あるのでは?

 

117:さまよえるおもちゃ ID:gXChiQTKK

多分だけど、徐々に店が閉店してく感じだろ

 

119:さまよえるおもちゃ ID:FSEtf65B/

てか普通に授業はどうするんだよ

 

123:ソーマ ID:utWxk6Cla

なんか一色先輩に相談したら、学園から授業免除してもらったけど

 

125:さまよえるおもちゃ ID:lpQI5VWM8

さすが第七席だな

 

130:さまよえるおもちゃ ID:6fL95LVjj

褌先輩は有能定期

 

134:さまよえるおもちゃ ID:4+FFueCY8

とみたやについてはどうすんの? 見捨てる?

 

139:ソーマ ID:utWxk6Cla

さっきからそれ何の話?

 

141:さまよえるおもちゃ ID:L1Xcc6ugr

あー、地元の商店街の近くに大型ショッピングセンターが出来て閑古鳥が鳴くって話

 

142:ソーマ ID:utWxk6Cla

……それで潰れるのは仕方ないのでは?

 

147:さまよえるおもちゃ ID:qKz/Q8J3A

仮にも主人公がそんな夢のないことをいうんじゃないよ!

 

148:さまよえるおもちゃ ID:18k/0srZG

思い入れはないのか!

 

152:ソーマ ID:utWxk6Cla

一応確認はするけどさぁ……

いうて、巨大資本相手に戦えませんでしたって話でしょ?

それは経営戦略が間違ってるとか、そもそも相手にならないとかそういう話では?

 

157:さまよえるおもちゃ ID:I1l11+A/9

マジレスはNG

 

160:さまよえるおもちゃ ID:dhKJ8/s3P

オマエ、漫画ノ主人公

困ッテルヤツ救ウ、当然

 

164:ソーマ ID:utWxk6Cla

そんなこといいだしたら世界中の戦争止められない時点で破綻するんですが、それは?

 

165:さまよえるおもちゃ ID:LZ72ry5WS

さてはイッチ、レスバ強めだな?

 

170:さまよえるおもちゃ ID:HwSQWKbHp

これは流石に詭弁でしょ

 

173:さまよえるおもちゃ ID:k5wkib8pd

いうて>>160のも結構むちゃくちゃだけどな

 

175:ソーマ ID:utWxk6Cla

ねぇ、とみたや全然大丈夫そうなんだけど

 

180:さまよえるおもちゃ ID:LPrGQL5Oa

え? なんで?

 

185:さまよえるおもちゃ ID:1SpAIch2W

ショッピングモールが建ってないとか?

 

190:さまよえるおもちゃ ID:E9rap1Ziw

もず屋さえいなければ平和だったか

 

193:さまよえるおもちゃ ID:WhcKu5I+B

>>190どちらにせよ客足は減るけどな

 

196:ソーマ ID:utWxk6Cla

なんか、確かに一時期は一足も減って大変だったらしいけど最近入ったバイトのおかげでV字回復したんだって

 

200:さまよえるおもちゃ ID:Uij/++Bt8

はえー

 

205:さまよえるおもちゃ ID:knIwL2rtW

そんな話あったか?

 

206:さまよえるおもちゃ ID:eRTEI/+8A

原作では流石にない

 

211:さまよえるおもちゃ ID:alM/TqzYQ

ソーマが間に合わなくなるとこうなる予定だったんかね?

 

212:さまよえるおもちゃ ID:xAV6tGhel

いやぁそれならもっと早く対応してたでしょ

 

217:ソーマ ID:utWxk6Cla

大丈夫なんだし、どうでもいいよ

 

221:さまよえるおもちゃ ID:XT8j4Daqg

淡白な対応で草

 

223:さまよえるおもちゃ ID:MclmjyQAT

それはそう

 

227:ソーマ ID:utWxk6Cla

それで、先輩の店の場所ってどこ?

 

232:さまよえるおもちゃ ID:JOfUTcgh0

携帯で調べられんのか?

 

237:ソーマ ID:utWxk6Cla

店の名前なんだっけ

 

240:さまよえるおもちゃ ID:vZgjbphPi

なんでそこまでフワフワな状態で海越えようとしてるの??

 

241:ソーマ ID:utWxk6Cla

いうて何とかなるかなって

 

242:さまよえるおもちゃ ID:quP13O1zo

なってますか……?

 

243:さまよえるおもちゃ ID:1Z+49GhHz

ちなみに店名は『SHINO'S(シノズ)』な

 

244:さまよえるおもちゃ ID:YxlA33QtO

フランスオーベルニュってのは原作で確認できたわ

 

249:さまよえるおもちゃ ID:GZGj3vN5H

流石にオーベルニュにはいくでしょ

 

251:ソーマ ID:utWxk6Cla

あったあった

サンキューな

 

252:さまよえるおもちゃ ID:wGEF0MFUL

あ、結局例のバイトについては聞きそびれたな

 

256:さまよえるおもちゃ ID:smhAvp68N

イッチ大体聞きたいこと聞いたら大分浮上しないし、次スレで聞け

 

 

――――――――――――

 

フランス、オーベルニュ地方にある『SHINO'S(シノズ)』の前に遠月の制服を身にまとった生徒がいた。

言うまでもなく幸平創真である。

 

「夏でもこっちの方は結構涼しいんだなぁ」

 

まるで緊張した様子もないままに、店内に入ろうとするも夜の営業時間にはまだ早く『ferme'』とフランス語で閉店の看板がかかっていた。

しかし、彼はフランス語が読めない。

 

「……なんて書いてあるんだろう」

 

店舗の扉にかけるとするなら当然「営業中」か「閉店」のどちらか。

その二者択一を迫られた創真ではあるが、自分は客ではないし開店中に邪魔するのも悪いだろうと考える。店舗の窓からのぞく限りどうも客はおらず、丁度いいのではないかと扉を開き店内へと入る。

 

最初に創真に気が付いたのはこの店で四宮の右腕の役割を担う、アベル・ブロンダンだった。ホールの清掃をしており、ほかのスタッフは厨房で賄いを作っている。

見慣れない制服をきたアジア圏の子供だったため観光かなにかで来ているのだろうと判断し、営業時間外である事を伝えようとする。

 

『あー、まだ営業時間外なんだ。申し訳ないが時間を改めてくれないか?』

 

アジア圏である事は分かったが、日本人だとは気が付いていないアベルは英語で案内をするも、創真には英語も分からない。

 

「えっと、四宮先輩に会いにきたんですけど……」

 

「ああ、申し訳ない。日本人だったか。……四宮、先輩?」

 

「自分、幸平創真っていいまして、遠月の生徒です」

 

「それでどうしてムッシュ幸平がこの店に?」

 

アベルからすれば彼は不自然極まりない来訪者だ。

四宮の客であるならば、本来はきちんと報告があり万が一四宮が伝え忘れていたとしても営業時間外に来るのは稀だ。それに加えて遠月の生徒だという話だが、そうであるならばなぜ今この時期にフランスにいるのか。故にこの質問に繋がったのだろう。

 

「えーっと、四宮先輩と食戟……あー、料理勝負しにきました」

 

「そうかそうか……ってなんだって?」

 

「だから、白黒はっきりつけにきたんですよ」

 

一体こいつは何をいっているのか……アベルにはとんと見当が付かなかった。

まだファンだからサインを貰いに来たとか、料理を一品だけでも食べさせてほしいとか、それこそ四宮の下で仕事をしたいという声はあった。

それはもちろん彼がプルスポール勲章という名のある賞を獲得し、それまで肉料理偏重だったフランス料理界に野菜を用いた料理で一世を風靡したからに他ならない。

アベル自身も四宮の事を尊敬しており、彼の料理の事は誰よりも理解している自信があった。

そんな自分でも四宮小次郎に挑むなんてことはおこがましい。だというのに目の前のこのどこかとぼけた少年は葛藤もなく、そのような台詞を吐くではないか。

 

「ちょっと言っている意味が理解できないよ、ムッシュ。日本に帰って勉強し直して来たらどうだい?」

 

「ここまできて帰るのはちょっと……」

 

「……四宮シェフは忙しいんだ。君みたいなやつを相手にしている暇なんてない。さっきのはそれを理解した上での発言か?」

 

「まぁ、悪いとは思いますけど……」

 

「なら、さっさと帰るんだ。今ならまだ警察には連絡しないでおいてやる」

 

善良な神のいたずらか、それとも邪神の微笑みか。

幸平の背後で扉が開く音がした。

 

「アベル、こんな時間にホールで……なにを、して……」

 

「あ、四宮先輩。丁度いいところに。アベルさんにめっちゃ疑われちゃってて……」

 

「幸平?! なんでお前がここに?!」

 

「えっ?! 本当に知り合いなんですか!?」

 

アベル、並びに四宮がこれから創真に振り回される未来はここに確定したのだった……。

 

――――――――――

 

日本、すみれ通り商店街

夜という時間帯もあり、商店街の居酒屋ですっかり出来上がった男どもが青年を褒めちぎっていた。

 

「いやぁほんとうにありがとー! すみれバーガーめちゃくちゃ美味しいよ!」

 

「ははは、そんなそんな。僕は大したことしてないですよ」

 

「また謙遜しちゃって! 冨田さんの言う通り、ほんとありがとうね」

 

「そうだよ! こうして僕らが楽しく笑ってられるのは君のおかげじゃないか!」

 

弁当屋を営む冨田が青年に対して感謝を告げるも、どこか絡み酒の様相を呈しているのは気のせいか。

青年は酒を飲んでおらず、周りの酔っ払い達の介抱をしているようだ。

それに気が付いた居酒屋の女将さんが、絡み酒をしている面々にぴしゃりと一言。

 

「あんたたち、迷惑ばっかりかけてないでもういい時間なんだから、さっさと帰りなさいな」

 

「うへへ、叱られちった」

 

「とみちゃん、なんか喜んでない?」

 

「ははは」

 

それでも動く気配のない酔っ払いたちにため息をつき、今度は青年へ伝える。

 

()()()()もこいつら放っておいて早く帰りなさいね」

 

「皆さん楽しそうにしてますから、僕も楽しいですよ?」

 

「あら、口がうまいのね。でも、もう閉店時間だしこいつらはどうせ言っても聞かないから、いいのよ?」

 

「そうですね……時間も時間ですし、この辺でお暇させてもらいますわ」

 

「ええ、気を付けてね」

 

居酒屋から出てきた青年は、月明かりに照らされながら伸びをする。

 

「ここにもいないのか……どこに行ったんだよ城一郎」

 

彼の名は才波 朝陽(さいば あさひ)

創真の父である幸平城一郎(旧姓才波)の弟子であり、その実力は現在の十傑第一席を上回るほど。

ではなぜ彼がこのような商店街にいるのであろうか。それは放浪癖の強い城一郎に会うためだった。

 

「やっと探しにいけるようになったのに……ニアミスか。てか、ここで店構えてるのになんで閉まってるんだよ……」

 

彼が城一郎を探す理由については定かではないが、過去に苦労させられたことだけは伺えるだろう。

 

「それに、冨田さんたちの話で出てきた『ソーマちゃん』だったか? 城一郎の息子だっていうなら一度会ってみねーとな」

 

因果は絡み、時間の針は止まる事を知らない。

本来であれば、創真がすみれ商店街を救うはずだったが転生者が憑依した影響か、それともまた別の要因か。

全く異なる状況へと変化していた。

 

「ま、どっちにしろ直ぐには会えなさそうだな」

 

電話の呼び出し音が鳴り響く携帯をポケットから取り出しながら、ほっぽりだしてきた裏料理界(ノワール)の仕事について思い出しげんなりする。

 

『――――!!――――!!!!』

 

「あー、うるせぇうるせぇ。すぐ帰るからどなるなって」

 

『―――――?』

 

「今?日本だけど」

 

『――――』

 

「ああ、もちろん。大丈夫だろ」

 

話が一区切りついたのか、通話を切る。

 

「さてと……んじゃ、お次は仕事ついでにアメリカでも探しますかね」

 

才波朝陽が齎す影響は、計り知れない。

それは、裏料理界(ノワール)という料理界の無法者たちが集まる世界においても変わらず、絶えず彼の元には仕事が舞い込んできていた。

次に彼が向かうのはアメリカ。期せずして城一郎の足跡を歩むこととなるが、既に彼はアメリカにもいないだろう。

 

今回のすれ違いが創真にとって吉と出るか凶と出るかは、今後の彼ら次第だろう。

 

 

 

 




明日の更新は本当期待しないで?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7話 力の差

創真がフランスに旅立ってから数日後、遠月では十傑評議会によって「秋の選抜」の出場者が決められようとしていた。

 

「この生徒の選抜入り……審議をやり直すべきです!!」

 

例によって話題に上がるのは幸平創真のことであり、先の発言を行ったのはえりなである。

彼女曰く素行に問題があり、由緒正しい美食の祭典には相応しくないとのことだが、当の本人は第七席である一色によって授業を公欠扱いで既に日本にいない。

 

「帰国が開催に間に合わないかもしれませんし、私はまだ彼の出国については納得していませんわ!」

 

「薙切くん。その話ならこの前も伝えたと思うけれど、創真くんの出番を後回しにすれば解決するじゃないか」

 

「彼一人の都合で、その他の生徒たちの予定を狂わせる必要がないと言っているのです!」

 

第十席と第七席が喧々諤々の議論を交わす中、一人静かに困惑するものがいた。

それは第九席、叡山(えいざん) 枝津也(えつや)

髪型はオールバックで柄シャツを見せつけるようにしてワイシャツのボタンを全て外しており、細いフレームの眼鏡にブランド物の時計や指輪を付けている。彼ほどインテリヤンキーという言葉が似合う男は早々いないだろう。

 

そんな彼が一体何に頭を悩ませているいるのか。それは幸平創真並びにすみれ商店街の一件にあった。

 

(俺は幸平創真を推し量るためにもず屋に手を回した。いや、最初はコンサルがメインで偶然近くに「ゆきひら」があることに気が付いたってのが正しいが)

 

そう、すみれ商店街が立ち行かなくなりかけた発端がこの男なのである。

だというのに、肝心の創真はすみれ商店街に戻らずそれどころか通り過ぎてフランスにまで行ってしまう始末。

さらに言えば、もず屋での稼ぎも謎の男によって『すみれバーガー』なるものを開発され、見通しが立たない状態だ。

 

とはいえその程度の小銭であれば他のところで回収は出来る。

彼が許せないのは失った金額の多寡ではなく、つかみどころがない編入生そのものなのである。

故にこの秋の選抜では彼に首輪をつけて自身の飼い犬にすべく準備を行っていたところ、一色を利用して卒業生の中でも名のある四宮小次郎へ師事を受けに行ったというのだ。流石の叡山もこれには肩を落とした。

 

「薙切、確かに幸平の行動は目に余る部分があるかもしれないが、それが遠月での理念に反すると思うか?」

 

「…………っ!!」

 

「文句はないようだな。それにこういう型破りな素材こそ祭典を盛り上げてくれるんじゃねぇか? 何が不満なのか俺には分からねぇなぁ」

 

「叡山の言う通り、創真くんには少しばかりお茶目なところはあるけれど、それを補ってなお余りある実力があるんじゃないかな~」

 

「一色さん……それはご自分の寮の後輩を優遇なさってるんじゃありません?」

 

「みんな可愛い後輩だからね。頼られると応えるのは当然だろう? それに今回の一件は創真くんでも簡単にはいかないんじゃないかな」

 

「それは一体どういった……」

 

「それはね……」

 

一色の思惑に耳を傾けようとした薙切ではあるが、それを断ち切るようにして咳払いが聞こえた。

 

「悪いが、そういう話なら後にしてくれるか? あまり長居出来ないんだ」

 

「それは申し訳ない。女木島(めぎしま)くんも多忙な様だし、一旦はこれで決定ということでいいんじゃないかな?」

 

第三席、女木島(めぎしま) 冬輔(とうすけ)はとても高校生離れした外見の持ち主だ。

身長は2メートル近くあり、ヘビィーボクサーレベルの筋量がさりげなく配置された肉体はまさしく神に愛されたといえるだろう。

それこそ本格的に格闘技の道に進むことすら簡単に思えるほど。

だというのに彼は遠月での過酷な研鑽を生き延び、十傑評議会に入るほどにまで料理人として成長を果たした。

 

彼の努力があったことは否定はしない。

それでも凡夫からすれば、あがいても届かない栄光(ところ)に易々と足を踏み入れたようにしか見えないのだ。

 

それは十傑という看板を背負ったもの全てに科せられる呪い。

熾烈な生存競争を勝ち抜いてきたが故にこの場へとたどり着き、同時に犠牲になった者からの怨嗟の声も聞こえるのだろう。

 

「俺はそれで構わない」

 

「異論は……なさそうだね。では、これで最終決定としよう」

 

そうして決定した『秋の選抜』という大舞台への参加者。

それはこれまでのふるい落としが児戯と思える、遠月の研鑽が齎す最初の段階。

当然負けたからといって退学になるわけではないが、勝てば自身へ企業からのオファーや在学中のスポンサーまでもがひっきりなしに現れる。

それが今大会での主目的であり、また食戟という舞台に堂々とあがれるのだが……。

 

――――――――――――――

 

ところ変わってフランス、オーベルニュ地方のとある店舗に最近とある少年がやって来ていた。

 

「ええ?! じゃあコジローさんと勝負しにきたって事?!」

 

「そうっすね。アルベールさんもいうて四宮先輩に勝ちたいでしょ?」

 

「いやいやいやいや。この店でそんなこと考えてるの君ぐらいだって……ソーマ」

 

お察しの通り少年の名は幸平創真。

その創真と翌日の料理の仕込みをしているのは『アルベール・ルロワ』。

フランス生まれフランス育ちながら、日本の漫画を愛読しており誰に習うでもなく日本語をマスターしていたオタクである。

 

「遠月っていうところはすごいなぁ……。ソーマみたいなのがいっぱいいるだなんて想像つかないよ」

 

「うーん、なんか金持ちのボンボンが親の威光を振りかざしてるみたいなとこですよ? まぁちゃんと料理の腕磨きに来るやつもいますけど」

 

「そうなんだね。僕も一度でいいから行ってみたいなぁ」

 

「えっ? かなり変なところですよ?」

 

「いやぁ、コジローさんに無理言って料理教えてもらってるけど……ちゃんと勉強出来るところで基礎を固めるのもいいのかなって」

 

「…………アルベールさん、それ冗談ですよね?」

 

創真はフランス料理についてあまり詳しくないが、目の前のアルベールが普通でない事は理解していた。

練習として、玉ねぎ・人参・セロリをミルポワ*1するための下準備として賽の目状にカットしている。

その技法は初めて聞いた創真ではあるが、それでも今すぐにそこらの料理店で働けるレベルの精度と速さがあった。

しかしながら、アルベールはその創真の数倍の速さで終わらせていたのだ。

それも創真に教えるために言葉数を多めにした上で、その速さだという人が今更基礎固めなどと(のたま)うため珍しく創真が正気を疑うことになる。

 

「本当だって。コジローさんにはいっぱいお世話になった分、ちゃんと成長してお礼したいんだもの」

 

「それは立派な夢だと思いますけど……遠月、本当に行きたいんですか?」

 

「もちろん! 色んな話は聞くけどやっぱり日本で一番のところっていえば遠月学園だろう? 突然やってくる転校生とか、自分の知らない幼馴染にライバルが現れたりして!」

 

「…………ちょっとよく分からなかったですけど、そんなに行きたいなら自分が戻るときに一緒に行けるか聞いてみましょうか?」

 

「ほ、ほんとに?!」

 

アルベールの学園に掛ける思いは遊び半分でないと判断した創真は、後ほど一色に確認してみることを思いつく。

 

「ええ、自分も秋までには戻らないといけないみたいですし。短期間なら多分なんとかなるかもしれません」

 

「なるほど……それならお言葉に甘えちゃおうかな」

 

「どちらにせよ、それまでにアベルさんに認められて四宮先輩にリベンジしないと……」

 

「はは、ソーマは大変だなぁ」

 

何故ソーマとアルベールがこうして『SHINO'S(シノズ)』の下働きをしているのか。

その答えがアベルに認められなければ、四宮と再度食戟を行えないという条件を出されたからである。

 

「それにしてもコジローさんってやっぱり厳しいや」

 

「初めての時に比べればかなり優しい対応だと思うんですけど」

 

「最近はだいぶストレス溜まってたみたいだからね。日本から戻ってきて多少落ち着いててみんな安心したよ」

 

「あー……なるほど」

 

堂島の停滞発言を思い返し一人納得する創真。

そんな事情を聞いていないアルベールら従業員はホームシックだったのだろうという結論を出しているのだが。

 

「てかアベルさんに認められるってどのぐらいできればいいんですかね」

 

「それは……多分この厨房で普段の動きについていければいいとは思うけど、体のいい断り文句でしょ」

 

SHINO'S(シノズ)』の厨房はコース料理の為に料理人たちが身命を賭して作り上げる、ある種の戦場である。

一度それを見学した創真ではあるが、そこに生半可な気持ちで臨めば他のスタッフの邪魔になる事は目に見えていた。

アルベールが言うように今回の短期間でそのレベルに達するのは、まず不可能である。

 

「確かに、コース料理が並列して注文入ると無駄な動きしてる暇なさそうでしたね」

 

「そうなんだよねぇ……そこに気付いただけでも凄いと思うよ」

 

「ま、なんとかしますわ」

 

あっさりと告げる創真ではあるが、現状厨房で一線級の働きが出来ないアルベール未満である。

その経験不足をどう補うのかは分からないが、アルベールには到底このままでは創真が四宮と再戦する未来は見えなかった。

 

 

―――――――――――――――

 

 

1:ソーマ ID:M/dyRc483

どうやったらフレンチの厨房で働ける?

 

3:さまよえるおもちゃ ID:z5lIqkET8

いつにもまして唐突だな

 

8:さまよえるおもちゃ ID:aO0UIlEYR

四宮の店に着いた後なにがあってそうなったんだよ

 

13:さまよえるおもちゃ ID:RDkyhpkqK

イッチには説明責任がある!

 

18:さまよえるおもちゃ ID:JEKdnx/bJ

スレ民に対しては……ないです

 

23:ソーマ ID:M/dyRc483

いけたのはいいけどアベルさんに認められないと四宮先輩と食戟できん

 

25:さまよえるおもちゃ ID:pJUVHo+Cm

アベル?

 

29:さまよえるおもちゃ ID:6XIrbIcFc

>>25

あのシリアス四宮の八つ当たりにも屈せず頑張ってた聖人

 

34:さまよえるおもちゃ ID:ZUeUnI6cH

小説で飲み屋に誘われて喜んでたあの!

 

38:さまよえるおもちゃ ID:I06FHxeQw

そいつが出てくるのってスタジエール編じゃね?

 

39:さまよえるおもちゃ ID:VTFhC3Om0

また懐かしいな

 

42:さまよえるおもちゃ ID:I06FHxeQw

なーんでイッチだけ先取りしてるんですかねぇ

 

44:さまよえるおもちゃ ID:p0I/l/SnM

だいたい一色のせい

 

48:さまよえるおもちゃ ID:82vb3aVCj

一色に責任を押し付けてんじゃないよ!

前スレ>>41*2のせいやろ!

 

51:さまよえるおもちゃ ID:ws7lbwHUw

あいつちゃんと腹切ったかな?

 

56:41 ID:AcDr8bOmE

え、あれマジでしないといけないの??

 

59:さまよえるおもちゃ ID:PReM28ZbX

腹ぐらい切っても仙豆があればヘーキヘーキ

 

63:さまよえるおもちゃ ID:3zVgvz2+Y

スレ民は裏社会だった……?

 

67:さまよえるおもちゃ ID:t2wlq/A3f

食戟スレだぞ、わきまえろ

 

69:41 ID:AcDr8bOmE

>>67食材としてありがたく頂かれろってコト?!

 

74:さまよえるおもちゃ ID:blxztX3SO

まてまてまてまて

 

76:さまよえるおもちゃ ID:hDlC4JhKm

カニバリズムはマジでNG

 

77:41 ID:AcDr8bOmE

まぁ冗談なんですが

 

79:さまよえるおもちゃ ID:l8ovi+GZJ

タヒね

 

82:さまよえるおもちゃ ID:iVqRnqzY6

アベルに認められる方法……ってなに?

 

83:さまよえるおもちゃ ID:se+qN2r9v

スタジエールだと下働き頑張って新メニュー作って認められた感じだっけ

 

87:さまよえるおもちゃ ID:MQUSMcc5c

いうてあれは原作ソーマの根性ありきでしょ

このイッチにできるのか?

 

91:さまよえるおもちゃ ID:WjhUmEKRV

まぁ料理の腕前ならあるし……

 

96:さまよえるおもちゃ ID:FPYo9Gyhj

深夜まで一人で仕込みと片付けはしなさそう

 

101:ソーマ ID:M/dyRc483

そんなことせにゃいかんのか

 

104:さまよえるおもちゃ ID:bHEoRIa7h

やっぱダメじゃね?

 

107:さまよえるおもちゃ ID:PrgyjLXOw

今回は諦めて適当にお手伝いでええやろ

 

108:ソーマ ID:M/dyRc483

おまえらに相談した俺が悪かったよ……

 

111:恵ちゃん親衛隊 ID:IMEd3Yp+p

おい、イッチから見捨てられるだろ!

いい加減にしろ!

 

114:ソーマ ID:M/dyRc483

うわ出た

 

117:さまよえるおもちゃ ID:VVJHoreAt

申し訳ないが草を禁じ得ない

 

118:さまよえるおもちゃ ID:L1Jb15d+b

反応よwwwwww

 

121:さまよえるおもちゃ ID:fYHg8klHW

>>111そこまでいうならお前が案だせ

 

124:恵ちゃん親衛隊 ID:IMEd3Yp+p

こう……地道に頑張るとか?

 

127:さまよえるおもちゃ ID:d1H2Qlyv4

はーつっかえ

 

131:さまよえるおもちゃ ID:xdWSN3by7

こいつアク禁にしようぜ

 

135:さまよえるおもちゃ ID:kpJosQ6Tn

てか今イッチは何してるんや?

 

140:ソーマ ID:M/dyRc483

アルベールくんとミルポワの練習してる

 

144:さまよえるおもちゃ ID:bsOARXaIh

アルベールis誰

 

149:さまよえるおもちゃ ID:u4FAXwpGb

たしか原作じゃなくて、四宮スピンオフにでてくる弟感強めの子

 

153:さまよえるおもちゃ ID:69C00ZGkJ

余計な情報(ダーテン)が混じってるんですがそれは

 

158:さまよえるおもちゃ ID:TWaUVSDF3

つまりスピンオフ側のストーリーに混ざってるのか?

 

163:さまよえるおもちゃ ID:CY+dcOR4E

アルベールってあんまり料理の腕前いい方じゃなかったし、それこそ根性野郎のはずでは?

 

168:さまよえるおもちゃ ID:7CktpbPfu

シルベットちゃん!!シルベット・マンティスちゃんの画像をください!!!

 

172:ソーマ ID:M/dyRc483

誰それ

 

175:さまよえるおもちゃ ID:Akf3H/J83

しーらんのかい!

 

179:さまよえるおもちゃ ID:mgXOiir+G

ホントどういう状況なんだよこれ……

 

180:さまよえるおもちゃ ID:RCt4CzhN+

まぁアベルに認められたければ厨房で一人前の動き出来なきゃ無理だよ

 

184:さまよえるおもちゃ ID:DyxbxVWQb

>>180そうなるための方法を聞いてるのでは??

 

188:さまよえるおもちゃ ID:r/aKDswYl

フレンチ勉強しろ定期

 

191:さまよえるおもちゃ ID:JdHyVpGvk

そんな定期はない定期

 

195:ソーマ ID:M/dyRc483

それもそうか

 

198:さまよえるおもちゃ ID:dPc+UPec0

ちなみにだけど『フェルマーの料理』っていう漫画で同じようなこと乗り越えてたゾ

 

201:さまよえるおもちゃ ID:Hy0LAYXF2

>>198あんなん数学出来るやつでも無理ゲーやろ!

 

203:ソーマ ID:M/dyRc483

どうすんの?

 

208:さまよえるおもちゃ ID:dPc+UPec0

コース料理から料理人の動きを数学的に逆算して邪魔にならないようサポートする

 

211:さまよえるおもちゃ ID:MoDZJbAvz

>>208こいつは一体なにをいっているんだ?

 

216:さまよえるおもちゃ ID:rsgDIymmz

あ、そういえばイッチ

この前のバイトって結局誰なの?

 

219:さまよえるおもちゃ ID:R7geghZVd

確かに気になる

 

221:ソーマ ID:M/dyRc483

名前は聞きそびれたけど飲み会の写真貰った

[画像]

 

225:さまよえるおもちゃ ID:9Sbt7LiLY

ッスーーーーーー

 

227:さまよえるおもちゃ ID:wLHUIOHH3

アイエエエエ! アサヒ!? アサヒナンデ!?

 

228:さまよえるおもちゃ ID:kn4xun5aT

もうめちゃくちゃだよ

 

232:さまよえるおもちゃ ID:y98+mdf6D

これ誰なん?

 

235:さまよえるおもちゃ ID:9JyX695tN

>>232食戟のソーマの裏ボス

 

240:ソーマ ID:M/dyRc483

え、この人凄いひとなの?

 

243:さまよえるおもちゃ ID:u0qy9lGIR

凄いっていうか……うーん

 

248:さまよえるおもちゃ ID:JrcN090qP

料理の腕は城一郎と同じがそれ以上……でいいのか?

 

249:さまよえるおもちゃ ID:0vJ1R8xCu

>>248その辺り微妙だよな

 

250:さまよえるおもちゃ ID:TZOOLOtIc

会おうにも会えんでしょ

 

252:さまよえるおもちゃ ID:OC87mmwi/

そういえば時系列的に城一郎遠月に顔出してるんじゃね?

 

254:さまよえるおもちゃ ID:QW7wsnLUX

はまじ?!

 

257:さまよえるおもちゃ ID:S//yV9B72

信じられるか……これが食戟のソーマなんだぜ

 

261:さまよえるおもちゃ ID:I5UZWCfEr

イッチが憑依転生してるからしゃーない

 

264:ソーマ ID:M/dyRc483

なんか、よく分からなかったけどやってみるわ

 

268:さまよえるおもちゃ ID:7CktpbPfu

シルベットちゃんに会ったらよろしくね!

 

270:さまよえるおもちゃ ID:nctroTUNw

>>268お前もそろそろ自重しろ

 

272:恵ちゃん親衛隊 ID:IMEd3Yp+p

そうだそうだ!

 

273:さまよえるおもちゃ ID:5JRpGJ78p

>>272ブーメラン投げんな

 

 

*1
さいの目に切った香味野菜を主にバターなどの油脂で弱火で長時間、着色や焦げ目を付けずに炒めたフランス料理にて用いられるフレーバーベース

*2
フランスに渡航する案を出した元凶



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

削除されたスレッドです

あけましておめでとうございます!


1:さまよえるおもちゃ ID:fyj8bbSPd

この世の全ての食材に感謝を込めて……頂きます!

画像

 

4:さまよえるおもちゃ ID:CDEGHhZfG

リーガルマンモスのジュエルミートか!

 

9:さまよえるおもちゃ ID:+Cf+FLzNy

飯テロやめろや!!

 

11:さまよえるおもちゃ ID:dAThIEv/P

っぱ異世界勢はそんな上等なもん食えてないもんなぁ

画像

 

12:さまよえるおもちゃ ID:8T1CLJwy/

サーヴァントたちが仲良く飯を?!

 

13:さまよえるおもちゃ ID:8T1CLJwy/

>>11お前まさか、えみやさんちかっ?!

 

16:さまよえるおもちゃ ID:p4yAev+Kw

万死に値する

 

20:さまよえるおもちゃ ID:Me1Br9UDC

は?(Heaven's_〇eel勢)

 

25:さまよえるおもちゃ ID:ERGkoO9KD

俺と変われ(UBW勢)

 

28:さまよえるおもちゃ ID:dAThIEv/P

理想を抱いて溺死しな!

 

30:さまよえるおもちゃ ID:OBhXxtTRk

ファッ〇ュー!!

 

32:さまよえるおもちゃ ID:T+hwkbana

もちつけw

 

36:さまよえるおもちゃ ID:kqU1HQqre

インターネット老人会かよ

 

37:さまよえるおもちゃ ID:wy7AfGPFw

旨そうな飯といえばこの前話題になってた食戟のイッチはどこいったんだよ

 

40:さまよえるおもちゃ ID:KqupQ6tJW

フランスで修行してるんでしょ

 

43:さまよえるおもちゃ ID:jw5/Tr2oi

食戟ってあれでしょ、エロ漫画でしょ

 

44:さまよえるおもちゃ ID:9cPTk7KII

ちがわい!

 

47:さまよえるおもちゃ ID:2DsCCs6U3

りょ、料理マンガだから(震え声)

 

52:さまよえるおもちゃ ID:OGHTF0pah

リアクションはあくまで演出定期

 

57:さまよえるおもちゃ ID:V6HNWW3kk

いうてあれなら原作の知識でなんとかなるでしょ

 

58:さまよえるおもちゃ ID:PQ6XJldN9

それが全く知らんらしい

 

63:さまよえるおもちゃ ID:+y0sZKN8H

>>58 は??

 

67:さまよえるおもちゃ ID:Imqtly8lR

ソースは??

 

68:さまよえるおもちゃ ID:RRSwjOS3D

一スレ目見返してこい

 

70:さまよえるおもちゃ ID:Imqtly8lR

たまげたなぁ……

ええんか? 神のこんな横暴許して

 

75:さまよえるおもちゃ ID:qDug1z3th

俺らあのクソに命にぎられてっから

 

78:さまよえるおもちゃ ID:3TN5NFPqG

だれか早いとこ神殺し作って

 

81:さまよえるおもちゃ ID:p2R3Zrh+v

>>78

神性獲得したところでロールバックされた事件をご存知でない?!

 

86:さまよえるおもちゃ ID:TWb33D9+6

俺たち一生おもちゃってコト?

 

91:さまよえるおもちゃ ID:kaxc6sYpp

そうだよ……(絶望)

 

93:さまよえるおもちゃ ID:T0qXQq5M6

なんなら面白くないって判断されたら世界ごと消されるんだぜ

 

95:さまよえるおもちゃ ID:tF/z528Im

やばいわね

 

96:さまよえるおもちゃ ID:W3hCuHCww

てかそれならなんでソーマスレで原作通りに動かそうとしてんだよ

原作通りだとつまらんとか意味ないとかで消されるんじゃね?

 

97:さまよえるおもちゃ ID:Wpkjpij61

実は神って一人遊びでやってるんじゃなくてTVとかと同じで視聴者側の神もいるみたいなんよ

んで、視聴率とか人気度合いとか算出してるって話なんだがその中には原作知らないやつも多いみたいでね。困ったらとりあえず原作通りにすればある程度の率とれるからそれが定石みたいになったのよ

 

98:さまよえるおもちゃ ID:qXQ486dfe

なんでそんなこと知ってるんですかね……

 

99:さまよえるおもちゃ ID:9cPTk7KII

初期はもっと説明とかあったから古参ならみんな知ってる

 

100:さまよえるおもちゃ ID:W3hCuHCww

案外知らないやつ多いんだな

 

101:さまよえるおもちゃ ID:OWfPBHb6v

まぁ、消えた端から補充されてるから……

 

104:さまよえるおもちゃ ID:47c+ETWJ/

マジで転生者の価値ってそこらのゴミ以下なんすね……

 

108:さまよえるおもちゃ ID:uj2pNqXzC

たしか蜘蛛子とか安心院さんとかビルス様で神にコンタクトとろうとしたらしいじゃん

あれってどうなったん?

 

113:さまよえるおもちゃ ID:YYBe1hW36

>>108

知らない方がいいこともある

 

117:さまよえるおもちゃ ID:rQg0gBDle

クッッッッソ気になるんだが??

 

121:さまよえるおもちゃ ID:CRIpitRfJ

教えたところでこの掲示板の連中全員の記憶消えることになるんで結局無意味なんすわ

 

123:さまよえるおもちゃ ID:dRgX5YnZn

ファッ?!

 

127:さまよえるおもちゃ ID:qGK/slE8k

え、神ってここに干渉すんの?

 

132:さまよえるおもちゃ ID:mQYNAVDqL

>>127 運営母体どこだと思ってんだ

 

134:さまよえるおもちゃ ID:BPHNUdBvp

やーいやーいネット弁慶でおもちゃ遊びしかできない引きこもりニート神

 

135:さまよえるおもちゃ ID:zPbZYQv30

>>134 蛮勇が過ぎる

 

138:さまよえるおもちゃ ID:BPHNUdBvp

あばばばばばばばば

 

143:さまよえるおもちゃ ID:Je454BjUN

対応早すぎんでしょ

 

147:改心した134 ID:BPHNUdBvp

みなさんどうして神のお言葉に従わないんですか?!

 

148:さまよえるおもちゃ ID:j8cvRsrfP

こんなん洗脳の域超えてるて

 

152:さまよえるおもちゃ ID:flWj47+EC

ワイ初見、心底ビビる

 

154:さまよえるおもちゃ ID:99DXWu1Ol

これが転生者の末路だ

 

159:さまよえるおもちゃ ID:o37nlDJ0M

オレtueeeeeeeすらできない奴もいるのに生殺与奪権も握られてるってそれマジ?

 

163:さまよえるおもちゃ ID:bSUYT8v9U

現代日本に転生するのが一番マシではある

 

167:さまよえるおもちゃ ID:DHPmPhKej

日常系とかね

 

169:さまよえるおもちゃ ID:u/F+Hjyat

それでもつまんなかったら消されるんですがそれは

 

174:さまよえるおもちゃ ID:v3SbhMqNJ

>>169 消された自覚すらないままに消えるし、誰の記憶にも残らないからモーマンタイ

 

176:さまよえるおもちゃ ID:zk1Y/0tmu

地獄より地獄らしい理屈やめろ

 

179:さまよえるおもちゃ ID:8fAYiQccL

これが本当のディストピアってね

 

180:さまよえるおもちゃ ID:8WUit/FPD

多分このスレうんこくずにとって不都合な内容ばっかだから消されるしな

今のうちに好きなことぶちまけようぜ

 

182:さまよえるおもちゃ ID:OXLpHYGZi

>>138見てそんなこと言えるのヤバすぎんでしょ

 

185:さまよえるおもちゃ ID:8iPIWxUut

多分神側の回し者だろ

不満を吐き出させるふりして不穏分子を炙り出そうとしてるんだ

 

187:さまよえるおもちゃ ID:8WUit/FPD

そそそ、そんなわけないじゃないかぁ

 

190:さまよえるおもちゃ ID:vaYTX/1sn

とはいえ神に逆らう必要ってあるの?

 

194:さまよえるおもちゃ ID:gl687NkvI

現実とかいうクソも中々味わいたくないけど、自分の意志すら否定されて舞台の一部に組み込まれた現状よりはマシ

 

198:さまよえるおもちゃ ID:pb9g35sfx

オレtueeeeeeeeeeしてても少ししたら飽きるしな

 

202:さまよえるおもちゃ ID:9GNHhd3ZW

金・酒・女に溺れたとてもう一回転生させられるんすよね……

 

206:さまよえるおもちゃ ID:i/gWzscly

そうそう

それで神殺し企てても、計画した段階でおじゃんになるし

 

210:さまよえるおもちゃ ID:Ux6unvEJF

そんなんチートやチート、チーターや!!

 

214:さまよえるおもちゃ ID:jmb/YUfJ8

>>210

キリトじゃなくて不死状態のカヤバーン相手に心意システムなしで勝つようなもんやぞ

 

216:さまよえるおもちゃ ID:l2jP8JYv4

それなんて無理ゲー??

 

220:さまよえるおもちゃ ID:5H0TSEo24

俺たちの現状定期

 

225:さまよえるおもちゃ ID:M4clst+WG

それならどうにかして改心させればいいんじゃね?

 

230:さまよえるおもちゃ ID:ZQgurNaqc

どうやって改心させるんだよ

 

232:さまよえるおもちゃ ID:KF/g44zee

会うことすら失敗したっていってんだろ!!

 

234:さまよえるおもちゃ ID:M4clst+WG

これだからお前らはダメなんだよ……

もっと柔軟に考えあばばばばばばばば

 

239:さまよえるおもちゃ ID:fFz1PWy8u

あーあ

 

241:さまよえるおもちゃ ID:MZcPgtV2E

え、これでも検閲引っかかるの?

 

242:さまよえるおもちゃ ID:m2gq3YI1O

裏を返せばアイツの考えは間違えてなかったってことか

 

243:GOD

このスレッドにはもうアクセスできません

閲覧したおもちゃの記憶も抹消されます

新しいスレッドを立ててください

 




古参勢の過去の都合が悪い情報が消去がされてないのは神の啓示として刻み込まれたから容易に削除出来ない為
今回のスレの記憶は古参新規関わらず消えるって感じ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8話 頑張れる理由

「たしか……スゥエ*1っていうのはこのぐらいで」

 

深夜、営業時間が過ぎた『SHINO'S(シノズ)』の厨房で創真は基本的なフランス料理の技法を練習していた。

フランス料理は当然ながらこれまで創真が学んできた城一郎の料理とは異なる。確かにポワレなどの一部の技法は定食屋で働くうちに必要となり自然と体得していたが、今回はさらに難題だ。

 

四宮小次郎の右腕とも呼ばれるアベルに認めてもらう。

それは一線級のフランス料理人に一から学んだ知識で立ち向かうということ。更にいえば秋の選抜が始まるまでという時間制限付き。

 

ここまでの条件で及び腰になっても仕方のない状況だが、城一郎という高い壁に挑み続けている創真にとっては慣れたものだ。なんなら小学生の際に新メニューをこれより短期間で作ることになったあの時を思えばまだマシかもしれない。

 

「ポワレ*2はマジで名前だけ知らなかったな。親父はどこで習ったんだろ」

 

城一郎の経歴については創真はまだ知らない。

単純に城一郎が創真に伝えていなかったというのもあるが、創真自身もこれといって聞き出すつもりもなかった。

 

しかしながら、アメリカのVIP相手に料理を提供出来るレベルの料理人ともなるとそれは格が違う。店舗経営で定食屋を営むだけならある程度の腕と書類作業などをこなせば出来るかもしれないが、それに関しては料理人の中の極々一部かつ人脈がなければならない。つまりは料理の腕を見てもらう以前にVIPたちに提供するための繋がりがなければああはなれないのだ。

 

「ま、今度帰国したときにでも聞いてみるか」

 

とはいえ今はそれよりもフランス料理という新たな技法を身につけることが何よりも優先される。

それはアベルに認めてもらい四宮と再戦するという目標に必要な事ではあるが、それ以前に彼自身も全く異なる価値観によって作り出されるそれを体得するのが楽しいようだ。

 

「ラグー*3もそろそろいい感じか。んじゃブレゼ*4でも試してみますかね」

 

素人目には既に彼がフランス料理を学び始めて間もないとは分からないレベルに達しており、そのことに誰も気が付いていない。アルベールは創真との練習ではお互いの日常生活についてのお喋りや基礎的なフランス料理の質問に答えるぐらいで創真も彼がまだ学びの途上にある事を理解している為、自分自身の事で必要以上の負担をかけてしまうことは遠慮していた。

 

故にある程度形になってからアベルに声をかけようとしているのだが、創真の思う基準は城一郎によって『お客に提供するレベル』まで引き上げられておりそれを異常だと思える常識も既にない。

 

「うーん、フォン*5とジュ*6がまだ詰め切れてないか……。アルベールさんは四宮先輩からこの二つが基礎だから徹底的に叩き込まれたって言ってたもんな。より丁寧にやり直すか」

 

彼自身は努力している自覚はなく、聞いたところでただ必要であり楽しいからやっているに過ぎないとしか返ってこないだろう。その異常さに気が付いているのはこの世界では未だ城一郎しかおらず、別世界のスレ民ばかりが知っているのは何の因果か。

 

――――――――――――

 

日本、遠月学園の極星寮では秋の選抜に向けた特訓がなされていた。

これまでは一人一人がそれぞれの料理研究にいそしんでおり、作る前に集まって意見を出し合うということは少なかったが創真と田所に加えて丸井(まるい) 善二(ぜんじ)伊武崎(いぶさき) (しゅん)が既に選抜入りし、吉野(よしの) 悠姫(ゆうき)(さかき) 涼子(りょうこ)らがこれから決まる20枠の候補として名前が挙がったことにより、調理について語り合うことがこれまで以上に増えたのだ。

それはフランスに飛んだ創真の影響……を受けた田所恵が動き出したことに起因する。

 

「悠姫ちゃん、鴨肉なんだけど」

 

「ちょ、ちょっとまって恵。一旦休もうよ。もう夜だし、晩御飯にしない?」

 

「え、もうこんな時間?! ご、ごめんね悠姫ちゃん」

 

「いやー、全然いーんだけどさ」

 

吉野はジビエ料理を主体としており、これまでも遠月という弱肉強食の環境で生き残るため田所の面倒は見てきたつもりだ。

これまでの田所恵という少女は頑張り屋ではあるが極度のあがり症のせいで本来の力が発揮できず、不本意な結末に終わることが多かった。それも編入生である幸平創真が来てからは、改善の傾向にあり合宿前には独力でA判定を貰うほどになっていた。

 

そんな彼女だが秋の選抜入りが決まってから、厳密にいえば合宿が終わってからというものの力の入り様が異なる。おどおどとしたどこか自信なさげな様子であった彼女が、吉野に対してジビエについて詳しく教えて欲しいと頼み込んできたため軽い気持ちで了承したところ、連日連夜彼女が納得できるまで料理研究を行うのだ。

 

それは吉野だけではなく極星寮の面々全員を巻き込んで行われており、昨日は伊武崎でその前は榊と日ごとに異なる分野への知識を貪欲に得ようとしている。その姿をみて寮母であるふみ緒は一度焦る必要はないと伝えるも彼女が止まる事はなかった。

 

「それにしても急にどうしたのさ。極星寮の全員から色々料理について聞きまくってるみたいだけど」

 

「その……頑張りたくて」

 

「恵はこれまでも頑張ってたよ? 私が聞きたいのはきっかけなんだけど……やっぱり幸平の影響なの?」

 

その問いかけに対して田所は硬直し、顔が僅かに赤みがかる。手と首をぶんぶんと音が聞こえそうなほど横に振るも、はたと止まった。

 

「だ、だいじょぶ?」

 

「ぜぜぜぜぜんぜんへへへっへいきだよ??」

 

目は宙を泳ぎ、顔をそらすその姿に吉野は多少も納得は出来なかったがその反応からして自分の考えが正しいのだと把握する。

つまりは女子高生が大好きな恋バナだ。自分から夕食にしようといったもののそれよりもと野次馬根性が顔を出す。

 

「それで、幸平と何があったの?」

 

「…………何がっていうか、創真くんに助けられたって話したでしょ?」

 

「えーと、合宿でだっけ?」

 

「うん。四宮先生の試験で不合格になってどうしようもなくなったけど創真くんが食戟でなんとかしちゃったの」

 

当日にも田所の帰りが遅い事を心配していた吉野であるが、まさか卒業生相手に食戟をやっているとは露とも知らず自分のあずかり知らぬところで友人がそんな苦境に立たされていた事を解決後に知らされ榊に泣きつくしかなかった事を思い出す。

 

吉野にはあの時の田所の様子は食戟で勝って退学を免れたことも喜んではいたが他にも何か気になることがあるような素振りをしていたように思えていた。

 

「それでそれで?」

 

「その調理を始める時に、突然私がレシピを考えるように言われて混乱しちゃって……」

 

「それは仕方ない。私でもそうなると思うもん」

 

「なのに創真くんは怒ったりしなくて、そんな私の目を見て自分が創れる最高の料理を作るようにって言ってくれたの。それで落ち着けて……」

 

吉野はここまでの話を聞いて身体がムズムズして居ても立っても居られない状態になっていた。当日に田所から話を聞いた際は心配が勝っていたのとそんな恋愛模様など一切知らなかったのとがあるが、再度話を聞けば語っている途中から顔の赤さがどんどんと上がり今ではゆでだこのようになっている彼女をみると、混り気のない好意を感じてしまい聞いている側まで恥ずかしさが伝わっていた。

 

「なのにあいつはフランスに行っちゃったと」

 

「びっくりはしたけど創真くんのことだからもっと凄くなって秋の選抜までに帰ってくるよね」

 

「……もしかしてそんな幸平に置いて行かれないように頑張ってるの?」

 

「えっ……」

 

「甘酸っぱいわっ!!」

 

遂に耐え切れず叫んでしまう吉野。

 

「はぁ……幸平が帰ってきたら告白するんでしょ?」

 

「ここここここここ告白?!」

 

「え、そういう話じゃなかった?!」

 

「あんたたち! さっさと晩飯食べな!」

 

吉野が核心に迫ろうとしたところで食卓に来るのがあまりに遅いとふみ緒がしびれを切らしてやってきた。

今日のところは一人の少女が自分の淡い恋心を自覚するところで終わるのだった……。

*1
鍋で野菜を弱火でじっくりと加熱すること。「汗をかくように」という訳の通り野菜から水分が出るぐらいまで

*2
油脂をひき、表面をカリッと中身をふんわりした感触に具材を焼き上げる手法

*3
シチューなどの長時間煮込んだ料理のこと。トロトロになった食材はそのまま食べるだけではなく、ソースとしても使用することも

*4
密閉できる容器に素材と、素材が半分浸かる程度の水分(水・だし汁・ワインなど)をいれ、オーブンに入れて加熱して「蒸しながら煮る」調理法

*5
ソースのベースに使われる出汁。鶏・仔牛・魚・野菜などのベースで名称が異なり、そのままに出せば白色だが事前にオーブンなどで焼き色をつけると茶色になり別な名称がつく

*6
食材から煮だしてソースにすること。肉・魚・野菜以外にマッシュルーム・トリュフ・貝類からも作られる。フォンと同じく食材によって名称が異なる。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9話 頑張った結果

1:ソーマ ID:3ePW4qyQx

そういえば来週帰国するんだけどなんか配信だっけ?

した方がいい?

 

6:さまよえるおもちゃ ID:LXA8xqVxf

イッチは現代日本勢だっけか?

 

11:さまよえるおもちゃ ID:0nnrIV1L4

てか食戟のイッチじゃん

 

15:さまよえるおもちゃ ID:eiwuuiEFK

くっそ久々じゃね?

 

20:さまよえるおもちゃ ID:OKZ7nvYbQ

それはお前がおっさんになっただけだろ

 

21:さまよえるおもちゃ ID:qdN4+wnFl

いや普通に間隔空いてるが?

 

25:さまよえるおもちゃ ID:/H/pWzGUe

配信って飛行機ですんの?

 

30:さまよえるおもちゃ ID:WGKIxhb2N

需要ねーだろそれ

 

33:さまよえるおもちゃ ID:F4shWIi8P

まぁローファンタジーの日本でもないし興味ないわな

 

36:さまよえるおもちゃ ID:Cj7Y/05i3

CAさんが美人だったら画像はくれ

 

40:さまよえるおもちゃ ID:CxZKevWkD

下種が湧いてきましたね

 

43:さまよえるおもちゃ ID:eUobxbELz

……ていうかイッチ四宮との食戟は?

 

44:さまよえるおもちゃ ID:EipUcy9b9

?!

 

45:さまよえるおもちゃ ID:+BbW3zhSz

そういやなんも聞いてない

 

48:さまよえるおもちゃ ID:JD/H8VYLE

なんであれから続報がないんですか?!

 

53:さまよえるおもちゃ ID:M4Q1efEdG

めっちゃ大事なこと忘れてるスレ民多すぎて草

 

58:ソーマ ID:3ePW4qyQx

それを来週の定休日にするんだけど……

 

59:さまよえるおもちゃ ID:qprsa/f57

最初からそういえや

 

62:さまよえるおもちゃ ID:3PP9tC0Xn

>>1これでどうやって理解しろと??

 

65:さまよえるおもちゃ ID:ot5azpJ/Y

イッチには料理の腕しかないからしゃーない

 

66:さまよえるおもちゃ ID:9NXKq18y8

事前に報告しに来たのは成長では?

 

70:さまよえるおもちゃ ID:piVJMe3Gz

たしかに

 

71:さまよえるおもちゃ ID:S3LgQ7Muv

それはそう

 

76:さまよえるおもちゃ ID:E0tP1saj9

(今時小学生でもできるなんて言える空気じゃない)

 

79:さまよえるおもちゃ ID:T6eMnThOJ

ホントのことでも言っていい事と悪いことがあるぜよ

 

80:恵ちゃん親衛隊 ID:5dyFCCKcC

配信してくだしあソーマ様

 

81:さまよえるおもちゃ ID:glhbbbeY9

うわでた

 

85:さまよえるおもちゃ ID:2YTeHyBAe

アク禁されてなかったのか

 

86:さまよえるおもちゃ ID:QiW2n6MXi

イッチアク禁の方法はだな

 

91:恵ちゃん親衛隊 ID:5dyFCCKcC

>>86 勘弁してくれよ

 

96:さまよえるおもちゃ ID:ZhcWoX494

己の行動を顧みてどうぞ

 

101:さまよえるおもちゃ ID:VnDXuhdAx

くっそどうでもいいことでスレ消費してるけど大丈夫なの?

 

106:さまよえるおもちゃ ID:bohf0SlRp

なんだ新入りか? 肩の力抜けよ

 

108:さまよえるおもちゃ ID:wrQYj2HC7

実際イッチがなんもしゃべらないのこれまでからすると大分不穏だけどな

 

112:ソーマ ID:3ePW4qyQx

一色先輩から秋の選抜戦までには戻って来いって言われたから予定決めただけなんだけど

 

115:さまよえるおもちゃ ID:uGarUTECl

一色の株がストップ高

 

117:さまよえるおもちゃ ID:jbSY0nkvZ

さすが遠月十傑なだけあるわ

 

120:さまよえるおもちゃ ID:4LMywZbhv

それでいうならイッチの成長はなかったって事?

 

125:さまよえるおもちゃ ID:fOLrzxmJZ

シッ!!

 

127:さまよえるおもちゃ ID:KuLZg3bwZ

てか四宮との食戟ってアベルに認められてからじゃなかったか?

 

131:さまよえるおもちゃ ID:auMlPXRCC

そのあたり詳しく話してイッチ

 

133:ソーマ ID:3ePW4qyQx

詳しく話すと長くなるんだが……

 

135:さまよえるおもちゃ ID:yD1nS8dc1

俺たちゃその長い話を求めてるんだよ!

 

138:ソーマ ID:3ePW4qyQx

じゃあアベルさんの事から話すと

 

 

―――――――――――――――――

 

「ムッシュ幸平、確かに君の腕が良い事は十分に分かった」

 

営業時間が終わり夜も更けたSHINO'S(シノズ)でアベルは幸平に告げる。

 

「だが、僕はまだ君を認めてはいない。その理由は分かっているかい?」

 

「正直まったく分からないです」

 

創真は話す言葉や文化が異なる国に来てからがむしゃらにフレンチの技術を学び、そしてその技術はプルスポール勲章を手にした四宮が手掛ける一流の店でも通用するほどになった。

だが、それでもアベルは未だ創真を認めることが出来ないでいる。

 

「はぁ……正直僕も君がここまで出来るとは思ってなかった。それでも途中で気づいてくれたらよかったんだけどね」

 

「……何か俺、ダメなところでもありましたか?」

 

「そういわれると返しに困るんだが、裏を返せば君の料理の腕前が高すぎて本来必要なものが抜け落ちてるというか……」

 

ここまで明言を避けるアベルに創真は少し苛立ちを覚えたが、それは自身の至らぬ点があることをただ伝えるだけでは克服出来ないが故だろうと判断した。

 

「認められるっていう基準が分からなかったんで、とりあえず色々自分で調べて頑張ってみたんですけど……」

 

「確かに幸平の努力は認める。……仕方ないか。答えを教えても意味がない事だからヒントを伝えるが、明日の営業後に答えを聞かせてくれ。その時に分からなければ、日本に帰ってくれ」

 

突き放すようなアベルの言葉。だが、彼が創真を見る目は少し憐憫を帯びているようにも見える。

ここでヒントを聞かずに続けることは可能だろうが、そうすればこれからも足りない何かを見つけられずに無為に時間を浪費することになれば目も当てられない。

 

「……分かりました」

 

創真は断腸の思いで返事をした。

そんな様子に気が付きつつもアベルはあえて軽く伝える。

 

「じゃあヒントだ。君の厨房には誰がいる?」

 

「どういう意味ですか?」

 

「それを考えてほしいんだ」

 

与えられたのは謎かけのような文言。アベルが求めているのは自分自身に足りないものだろうが、一体これからどう判断すればよいのかと迷う創真。

 

「ま、時間はあるんだしじっくり考えてくれ。それと明日も忙しいから早いとこ寝るんだぞ」

 

「はい、了解です」

 

そのあと風呂に入りベッドに潜るも答えは分からず、翌日になりうんうんと悩みながらも仕事は何とかこなしていると、休憩中にアルベールから声を掛けられる。

 

「悩み事かい? ソーマがそんな感じなのは珍しいね」

 

「アルベールさん……ちょっと難しい問題があって」

 

「ふーん。学校の宿題かなにか?」

 

「いえ、アベルさんからの課題ってところですかね」

 

「なんか大変そうだけど、どんな話なの?」

 

「えっと……」

 

創真は今回の話を他人に伝えていいものか言い淀む。だが、アベルからは別に一人で考えろとは言われてはいないとアルベールに相談した。

 

「まぁそんな感じで、今日中にその答えを出さないといけないんですが……」

 

「『君の厨房には誰がいる?』かぁ。ちょっと僕には分からないかも。ごめんよ、力になれなくて」

 

「俺が力不足なのが悪いんで、謝らないでください」

 

「うーん、僕はソーマが力不足とは思えないけどなぁ。まぁもうちょっと周りを見てもいいとは思うけどね」

 

「周り……ですか?」

 

「そうそう……って休憩時間もう終わりそうじゃん! ごめん、また後で話そ」

 

「あ、はい」

 

アベルより出された問いへの答えについてこれまでは一切の手がかりがなく途方に暮れていた創真であったが、アルベールの言葉にかすかな光明を掴んだ気がしていた。

だが、今は業務時間中であるためそのことだけをじっくりと考えることは難しく……。

 

「さて、ムッシュ幸平。答えは出たかな?」

 

無情にも時間が来てしまった。

 

「少し、考えさせてください」

 

「仕方ないな……なら5分だけ待とうか」

 

今の創真はアベルが求める回答など持ち合わせていないが、昨晩のような暗中模索といった表情をしていないためかアベルも少し期待しているようだ。

だが、それでも待てば分かるものでもないのだから必死に回答を考える創真。

そして昼のアルベールの発言を思い返す。

周りを見た方がいいという事は裏を返せば今の自分はそれが出来ていないということ。そして、アベルが出した『君の厨房には誰がいる?』というあまり意味が分からなかったヒント。

それがここにきて繋がるような感覚を得たようだ。

 

「アベルさん。俺に足りてないのはコミュ力ですね?」

 

「……あ、あぁ。その通りだ」

 

創真の推測通り彼自身に足りていなかったのはコミュニケーション能力だ。しかしながら、それがなくともどうにかなってしまう料理の腕前が備わっていてしまった。

実際のところ創真にそれがないというよりは人に頼ろうとしないのがクリティカルな答えではあるが、厨房での創真の立ち振る舞いは誰も信頼していないように見えた為にアベルはあのようなヒントを出したようだ。

 

「それでムッシュ……いや、幸平。これからどうするべきか分かるか?」

 

「すぐに合わせることは難しいかもしれませんが、出来るだけ頑張ってみます」

 

今の創真がこれまで行ってきた料理は最大で二人で作ったものしかなく、多人数で回すフレンチの厨房はそれだけで未知の領域だった。それに加えて新たな料理技法などがあれば、それは馬の前にニンジンをぶら下げるようなもので、彼は普通なら必要である対話を切り捨てて技術の向上のみを追い求めてしまった。

 

それでどうにかなってしまうのだから料理の腕前は疑うべきではないのだが、アベルはこのままだといずれ限界にぶつかるとして創真に無茶とも思える課題を出したのだろう。

 

実際のところ、今日までのSHINO'S(シノズ)の厨房の空気は最悪とは言わないまでも良好とはお世辞にもいえず、ピリピリと張りつめたものだった。それが仕事に対するモチベーションに繋がる良好なものであれば良いのだが、原因は創真の完璧な仕事さえ出来ればそれで問題ないだろうという態度。

 

当の本人としてはそのような素振りをしているつもりは一切ないが、業務以外の会話をあまりしないため周りからはそのように見えてしまっていたがために起きたある意味事故である。

それは創真自身うっすらと感じ取っていたが、とはいえどのように解決すべきか分からずそれよりもフレンチの技法を吸収したいという思いが勝ってしまい……。

 

つまりは創真は以前の四宮の二の舞を演じるところだったわけだ。

それは才能があるが故の過ちともいえる。他者に頼ることをせずとも一流に至ってしまえる程の才覚の持ち主が高みに辿り着き、その先がまったく見えず停滞してしまう状態となる。

四宮のそれを解消できたのは彼が未だ高みを目指す気概があったからにほかならず、それ故プライドの高さが足を引っ張ってしまっていたのを堂島は見事に解消してみせた。

 

アベルが創真がそこまで至る事を知っていたわけではない。だが四宮という前例があるために本能的になんとなく良くない方向に向かっていることを察知し、正しい方向へと導いたのだろう。

必ずしもそうなるとは限らなかったが、今回の一件で確実に四宮の後追いをする道は完全に閉ざされた。

自身がそんなファインプレーをしたことなど露程も知らぬアベルは、軽く創真に声を掛ける。

 

「ま、気楽にいこう」

 

「ありがとうございます、アベルさん。明日から頑張ってみます」

 

「アルベールとは問題なく話せてるんだから、普通でいいさ。リュシや(カオ)なんて四宮シェフの古巣の話を聞けるって楽しみにしてるんだから」

 

「なるほど……」

 

そんなこんなで紆余曲折ありつつも、なんとかアベルからのお許しを得た創真ではあるがまだ目的は達成していない。今回の彼の目的は四宮との再戦であり、アベルからの許可はその前提条件でしかない。

だが、その中でも創真は学びを得たのだから無駄ではなかったのだろう。

 

そのあとにリュシからは四宮の学生時代の話をねだられ、創真がひなこや堂島に連絡を取りリュシが冷や汗を流すことになったのはまた別の話。

 

 

―――――――――――――――――

 

215:さまよえるおもちゃ ID:ysRRx2gLg

つまりイッチはひなこの連絡先を知ってるって……コトッ?!

 

216:さまよえるおもちゃ ID:79awemtmr

こいつのどこがコミュ障やねん

 

218:さまよえるおもちゃ ID:UVGbISGbC

てか料理オタクすぎて職場の人とのコミュニケーション怠りましたって話?

 

222:さまよえるおもちゃ ID:755+VVnyu

>>218 やめろカカシ その術は俺に効く

 

226:さまよえるおもちゃ ID:HTk7G25WJ

実際それだけかもしれないけど、大事な話ではあるでしょ

 

228:さまよえるおもちゃ ID:sX2kcnLz8

それでイッチ様リュシちゃんの画像などは……?

 

229:さまよえるおもちゃ ID:t3dUUd8G+

消え去れ、ゴミ以下

 

233:さまよえるおもちゃ ID:/1w6UC/E+

空気読めカス

 

236:さまよえるおもちゃ ID:BYK1uFTYJ

結局四宮との食戟はどうすんの?

勝ち目ある?

 

237:さまよえるおもちゃ ID:k2Ut8s9c9

うーん……

 

241:ソーマ ID:3ePW4qyQx

今のところ10%あればいい方じゃない?

 

243:さまよえるおもちゃ ID:GohlTCcay

そんな低いんか

 

247:さまよえるおもちゃ ID:2vZcILWkF

腐っても元十傑やぞ

 

248:さまよえるおもちゃ ID:J1Rv9B+Xz

勲章取ったオーナーシェフなんだよなぁ

 

252:さまよえるおもちゃ ID:kqqGH95Y+

逆に勝ち目10%もある方が異常

 

256:さまよえるおもちゃ ID:cRtn//x7S

イッチの自信過剰じゃなくて?

 

261:さまよえるおもちゃ ID:HMFhb+5Im

ないとはいわんがこのイッチは料理の腕だけはピカイチだから

 

263:さまよえるおもちゃ ID:RsPy2dBbZ

どうやって10%も勝率確保したんだよ

 

264:さまよえるおもちゃ ID:sitHPqXln

真面目にやってきたからよ!

 

268:さまよえるおもちゃ ID:n2o6gUdZO

ネタが古い古い

 

272:ソーマ ID:3ePW4qyQx

正直もう少し時間あればフレンチとこれまでを混ぜ合わせたもの出来そうだけど、今それをやるには力不足ってとこかな

 

277:さまよえるおもちゃ ID:jioq+drRt

イッチにもできないことがある……だと?!

 

279:さまよえるおもちゃ ID:pYZaa8qrE

いっぱいあるやろ

 

281:さまよえるおもちゃ ID:NcOXXCeZ4

努力が実になる時点で勝ち組定期

 

284:さまよえるおもちゃ ID:M0nisla7b

実になるまでやれよ

 

287:さまよえるおもちゃ ID:ffkHY00vo

才能マンには凡夫の苦しみは分かんないんすよね

だから偉大なる俺がフラスコ計画を完成させる

 

290:さまよえるおもちゃ ID:5viNM8LRu

はいはい偉大偉大

 

291:さまよえるおもちゃ ID:RIM2GJOOx

>>272 とはいえ負けるつもりはないんでしょ?

 

296:ソーマ ID:3ePW4qyQx

もちろん勝ちにいく

 

301:さまよえるおもちゃ ID:NPtFxZABm

こういうところはかっこいいんだけどね

 

303:さまよえるおもちゃ ID:YDcUsZBv5

もし負けたらどうなるんこれ?

 

305:さまよえるおもちゃ ID:0xq8HPCBM

イッチは秋の選抜戦のために遠月戻るしどうにもならんやろ

 

309:さまよえるおもちゃ ID:z+OPI9ld6

それ終わってからまた海越えそう

 

310:ソーマ ID:3ePW4qyQx

とりあえず今回の食戟の後は勉強する予定

流石に必修の5教科は単位がまずいらしい

 

313:さまよえるおもちゃ ID:1oK413anh

一色でも文科省には立ち向かえんか

 

314:さまよえるおもちゃ ID:tgngE5g/t

そういやイッチ高校生だったわ

 

318:さまよえるおもちゃ ID:STdSHOUJ0

なんで一高校生が海渡って道場破りみたいな真似してんだ……?

 

323:さまよえるおもちゃ ID:0pj6Lh3Qk

考えるな感じろ

 

324:さまよえるおもちゃ ID:xVqkiM48S

じゃあ次スレは来週か

 

326:さまよえるおもちゃ ID:JiJ9yASzh

頑張ってそれまで生き延びるわ(無人島勢)

 

330:さまよえるおもちゃ ID:OC7OWWktl

お、そうだな(宇宙船勢)

 

334:さまよえるおもちゃ ID:+CVV2e6Kb

海外渡航した呪術世界のワイ、高みの見物

 

338:さまよえるおもちゃ ID:An1nB+A9P

>>334 短い余生楽しんでくれよな

 

343:さまよえるおもちゃ ID:uV6vAzT7i

>>334 あっ……

 

347:さまよえるおもちゃ ID:+CVV2e6Kb

>>338 >>343

ネ、ネタだよな?

 

350:さまよえるおもちゃ ID:wHJZzAf8Q

今一番ホットな漫画のネタバレはNGなのでこの話はここまでにしような

 

352:さまよえるおもちゃ ID:+CVV2e6Kb

死にたくないんですがそれは

 

354:さまよえるおもちゃ ID:JpqFePUi5

立ち向かわなかったお前にほざく権利はない

 

357:さまよえるおもちゃ ID:JZa7IrYtr

潔く死んでやり直したら?

 

360:さまよえるおもちゃ ID:d+vMlHT44

いうてまた別なとこか最初からやり直せるし、ありっちゃありでしょ

 

362:さまよえるおもちゃ ID:+CVV2e6Kb

怖すぎィ!

 

363:ソーマ ID:3ePW4qyQx

じゃあ配信した方がいいんだな?

 

366:さまよえるおもちゃ ID:A+g77eLrk

せやな

出来たら配信の1時間前にはスレ立て頼むわイッチ

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10話 待望の食戟

その日のSHINO'S(シノズ)の雰囲気はいつもと異なっていた。

定休日だというのにオーナーシェフの四宮のみならずスーシェフのアベルから若手のリュシやアルベールまでもが店にやって来ており、ある種物々しい空気が流れていた。

 

「で、準備はいいのか?」

 

「まぁ、はい。やれることはやってきました」

 

「はっ! 勝てる見込みがあるって訳か」

 

「流石に最初から負けると思ってこんなことしませんて」

 

その渦中の二人だが、どこかさっぱりとした表情をしておりこれから己のプライドを懸けた食戟に挑むようには到底みえない。

しかしそれは手前の牙を相手へ悟られないように隠す行為であり、この軽口の応酬は剣客同士の鞘当てに近いのだろう。どこかそんな光景を羨むような目をしていたアベルだが、ふとこの勝負の結末が予想できない事に気が付いた。

 

日本人だからと色眼鏡で下に見られた状態でも己の才覚を用いてプルスポール勲章を取り、一流へと至った四宮が負ける事など全く予想が付かない。

ほんの少し前まではフレンチについてはずぶの素人といえる程の知識しかなかった創真が今やSHINO'S(シノズ)のスタッフと遜色ないレベルに達している。それは驚くべき事実だ。それでも四宮に勝てる未来はアベルには想像もつかなかった。

 

(だが……あの幸平が勝算もなく博打を打つとは思えないんだよな)

 

四宮が負けるとは思えないが、創真も負けじと食い下がるのは予想が付く。どちらが勝つかは分からないが、どちらに勝って欲しいかと問われるとやはりアベルは四宮だと答えるだろう。

少し前までならそれはオーナーシェフへのある種盲信のようなものだっただろうが、今はそれに加えて未来ある若人が敗北しても糧になるだろうという想いが含まれている事も否めない。

 

実際のところ本日集まったメンバーの中に純粋に創真の勝利を祈るものは本人を除くと一人だけだ。

それはアルベールであり、最初は恵まれた環境にいる創真に対してある程度のコンプレックスじみたものを覚えていた彼ではあるが、今日を迎えるとどうしても創真に勝ってほしいと願う気持ちが溢れて止まらない事に気が付いた。

 

四宮の気まぐれがなければスラム街で幼い兄弟たちの面倒をみる生活が今も続いていたかと思うと、計り知れない恩がある。そんな彼だからこそこの想いは四宮に対しての裏切りのようにも感じたが、二人が軽口を叩きあうのをみてそうではないことに気が付いた。

 

(ああ、そうか。ソーマは四宮さんにとって……)

 

ふっと脳裏をよぎった言葉を形にはせず、今は食戟に集中するべきだと開始の合図を待つ。

 

「なら、さっさと始めるか」

 

「そうですね。ルールは普通の食戟でいいんですよね?」

 

「ああ。ちょうど3人いることだし問題ねぇだろ」

 

創真にとっても四宮にとっても大きな意味を持つ戦いが始まった。

 

―――――――――――――――

 

67:さまよえるおもちゃ ID:AlGiOwCnB

配信ってこんな感じなのな

 

69:さまよえるおもちゃ ID:PgC6FNc1i

やっべめっちゃ酔うんだがこれ

 

70:さまよえるおもちゃ ID:Qd5M0Jw6Y

一人称オフれば自由に視点移動できることぐらい把握しとけ

 

71:さまよえるおもちゃ ID:5VP5J3VPB

UIさすがにクソすぎんか?

 

73:さまよえるおもちゃ ID:gQTiAJy1W

今更すぎんよ

 

75:さまよえるおもちゃ ID:4hkQYNLJf

初期のスレって配信どころか画像すら送れなかったってマジ?

 

77:さまよえるおもちゃ ID:3FtUkx54v

なんならアクセス制限すらあったぞ

 

80:さまよえるおもちゃ ID:M+9Uaekly

なんで最初から過疎ってるスレにそんなの導入したんです??

 

83:さまよえるおもちゃ ID:EPW7rRZmq

クソ神に聞け定期

 

84:さまよえるおもちゃ ID:RWxnC6JKe

それでイッチなに作るん?

 

86:ソーマ ID:3ePW4qyQx

まぁそれは出来てのお楽しみってところで

 

87:さまよえるおもちゃ ID:Eh6R9UDB5

準備してる食材からするに普通にフレンチ料理か?

 

89:さまよえるおもちゃ ID:GNJgw4aQm

野菜と魚があることしか分からん

 

92:さまよえるおもちゃ ID:EzJKrvQaT

メインは多分鰆だろ?

それにビーツとさやいんげんで何作るんだろうな

 

93:さまよえるおもちゃ ID:4R41IGEbk

四宮は当然フレンチ料理か

 

95:さまよえるおもちゃ ID:LSlzZS6e1

そりゃそうでしょ

 

98:さまよえるおもちゃ ID:j3crii0Mt

当たり前のこと書いてんじゃないよ

 

99:さまよえるおもちゃ ID:wBvXE9DEw

フレンチって寸胴みたいな鍋使うんだな

 

101:さまよえるおもちゃ ID:B0G4NtqSq

工程がイかれるほど多いから素人には作る敷居高いと思う

 

103:さまよえるおもちゃ ID:eJCfQMGJ7

家庭料理ならそこまででもないだろ

 

105:さまよえるおもちゃ ID:yKieHcYBK

ここ一流店なんで一般家庭の話はしてないんですが……

 

106:さまよえるおもちゃ ID:htfWLzTFs

四宮は肉料理か?

 

109:さまよえるおもちゃ ID://MRcvdvB

豚肉に……薄力粉と卵とパン粉ってフライにでもするのか?

 

112:さまよえるおもちゃ ID:YDtcbjPfx

いや、揚げ焼きっぽい

 

113:さまよえるおもちゃ ID:4DAJUtfPu

なにそれ

 

115:さまよえるおもちゃ ID:0yVrILyay

多少は調べる努力をしろ

 

117:さまよえるおもちゃ ID:26oK0uuct

食材が半分ぐらい油に浸かる状態で焼くことな

 

118:さまよえるおもちゃ ID:+hnJVIL8v

はえー

なんでおもちゃの癖にそんなに料理に詳しいの??

 

120:さまよえるおもちゃ ID:3ezrY8Qln

オイオイオイオイ

 

122:さまよえるおもちゃ ID:82SbYof7u

なんだァ? てめェ……

 

123:さまよえるおもちゃ ID:kkPuEzgxu

独歩、キレた‼

 

126:さまよえるおもちゃ ID:Q/MzsIF1z

>>118お前も無人島で死にかけたら嫌でも覚えるよ

 

129:さまよえるおもちゃ ID:bpljA8YEG

実際衣食住満たされてたらそんなに必死こいて情報集めたりはしなかったよな

 

130:さまよえるおもちゃ ID:aqP593lwU

限界スレとかあったし

なんなら一時期は餓死者が増えて珍しく無人島でも作れる料理のレシピ公開されたしな

 

133:さまよえるおもちゃ ID:4zDTtKYE1

食材が虫とかのやつね

 

134:さまよえるおもちゃ ID:MRtdywmOB

キッッッショ

 

136:さまよえるおもちゃ ID:ObBB5REPK

え、食べたん?

 

138:さまよえるおもちゃ ID:aqP593lwU

背に腹やからしゃーなし食べたで

 

140:さまよえるおもちゃ ID:u1akNfeVb

う、うわぁ

 

141:さまよえるおもちゃ ID:cgddAmQB2

ほらほらおじいちゃん、昔ばなしばっかりしてないで配信みましょうね

 

142:さまよえるおもちゃ ID:bc4iNGhak

もう完成間近じゃね?

 

143:さまよえるおもちゃ ID:hDntomY7e

四宮が先に出来そうだな

 

144:さまよえるおもちゃ ID:PLs2+EDkJ

お手並み拝見といきますか……

 

146:さまよえるおもちゃ ID:Yy3CqxJMV

>>144 素人は黙っとれ――――――

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

創真が海を渡ることで起きた食戟は、どこか余裕がありそうな表情の四宮のサーブによって審査が開始した。

 

「『イベリコ豚のミルフィーユカツレツ』だ。ご賞味あれ」

 

そういって差し出された皿の上には、一口大に切り分けられたカツレツの上にトマトコンカッセ*1が盛り付けられており、四宮にしてはとてもシンプルな料理となっていた。

それでも立ち昇る香りだけで、まだ食べていないというのに美味しいという感想すら湧いてくるようだ。

 

「で、では失礼して」

 

アベルが溢れてくる唾を飲み込みながら恐る恐るカットしたカツレツにトマトコンカッセを載せて口に運ぶ。

 

 

気が付くとそこはカツレツ城の大広間。そこでは王子のイベントと他国の王女であるトマト姫がワルツを踊っていた。二人の動きに魅了されていると、最初は誰もいなかったはずだというのにいつのまにやらオーケストラが勢揃いしており、彼らのダンスの妨げにならないように演奏を行っているではないか。

そして曲調がだんだんと盛り上がりを増すにつれて、ダンスの鋭さもより洗練されたものになり、クライマックスを迎え―――――――

 

 

「はっ?!」

 

というのがアベルの脳裏で思い浮かんだイメージである。

完全な火入れと味付けをされたカツレツにトマトをこうも完璧に合わせることが出来るのは、アベルが知る限り目の前の男しかいなかった。

 

「これは……正直、想像以上でした」

 

「お前の想像を超えられたんなら、及第点はあるだろうな」

 

「じゃあ、私たちも頂きます!」

 

いつもは厳しい副料理長があそこまで言葉を失うほどに感動しているのを初めてみたリュシはもういいだろうと料理に手を伸ばす。

 

「んぅ?!」

 

瞬間先ほどのアベルと同様のイメージが広がり、あまりの完成度に圧倒され腰砕けになってしまったようだ。

 

「それじゃあ僕も頂きますね」

 

最後にアルベールが料理を口に含むと……この先は語るまでもないだろう。

 

そうして四宮の料理を全員が堪能した頃、ようやく創真の料理が完成したようだ。

 

「さて、幸平。お前がどれだけ成長したか見てやるよ」

 

「これから負ける人に見てもらってもしょうがないですよね?」

 

「口だけは減らねぇな」

 

これまでの四宮ならば創真の煽りに顔を真っ赤にしてキレ散らかしていたはずだが、泰然とした態度に創真はニヤリと笑う。

プルスポール勲章を得た後に停滞していた四宮はそのせいで自信を失い、空虚なプライドだけが残っていた。だが、それを自身が認める事により失った自信を取り戻し実績に足る落ち着きを得たのだろう。

 

そんな超一流を超えてこそ少年は壁を乗り越えたと認められることができるのだ。

 

これまで体当たりし続けた壁が果てしないものだからこそ、四宮というある種自身の延長に見える彼を超える事を目指しているのだろう。

 

それが為されるかどうかは、創真の料理に委ねられている。

 

「それじゃあ、お召し上がりください」

 

そういって差し出されたのは、フレンチでは見る事のない蓋付きの椀だった。

 

*1
トマトの荒いみじん切りのこと



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11話 審査員の苦悩

お待たせ、待った?


さて、創真がこの食戟の場に出した料理の正体とは。

 

その答えを目の前にして未だ困惑の最中にある三名は蓋を開ける事すら出来ないでいた。

まごついている三人に四宮がしびれを切らす前にと、アベルが覚悟を決めて蓋を開ける。

 

するとそこには丁寧に火が通された鰆の上に彩りとしてのさやいんげん、それに赤いビーツが添えられており、まるで料亭の一品を思わせるすまし汁があった。

 

「なるほど……そういうことか」

 

創真はフランスに来てからというものの観光などには行かずに、一心不乱にフレンチの研究に勤しんだ。それは彼が料理オタクだからということも存分にあったかと思うが、ここで四宮へ再度敗北するわけにはいかないという彼自身初めて覚える焦りに似た感情も理由としてあっただろう。

 

そしてわき目も振らずに研鑽に及んだ結果が今回の料理に表れている。

 

アベルが納得したのはこの料理がフレンチの技法で再構築された椀料理だからだ。

日本人はあまり意識していないが、料亭だったり割烹の日本料理、いわゆる和食において椀料理というものは実はフレンチなどでいうメイン料理に他ならず、それが期待以下であればその時点でかなりの減点が想定されるものである。

 

そんな椀料理を創真は学びたてのフレンチによって再現したのだが、それが四宮に勝てるかどうかはまた別問題ではある。

 

まずは審査員の一人であるアベルが口をつける。

 

「幸平、これの出汁は一体?」

 

「メインはトマトでとりました。あとは鰆のうまみで調整してます」

 

「そうか……この旨味については狙ったのか?」

 

「あー、一応狙ったんですけど思ったほど跳ねなかったですね。正直そこは反省点です」

 

アベルが質問したのは二つ。

本来の椀料理であればすまし汁を使われることがほとんどで、出汁に主張を持たせることはほとんどない。だが、今回創真はあえてそこにトマトを用いた出汁を利用した。

なぜかといえば、それはアベルの二つ目の質問に関連する。

 

当然ながら食材には相性が存在する。

池田菊苗によって発見されたグルタミン酸、池田の弟子である小玉新太郎博士によってイノシン酸、近年になって國中明によりグアニル酸が発見され、それ以外にも旨味成分と呼ばれるそれまで主観的だった美味さを定量化出来るものが見つかった。

 

それらは単体では意味をなさないが料理に追加することにより確実に美味さを向上させるものであった。

 

ただでさえ主観だと思われていた旨さに形を与えたのだが、それに飽き足らずこれらは組み合わせ次第でなんと相乗効果まであるのだ。

 

創真が着目したのは正にその相乗効果。トマトに含まれるグルタミン酸と鰆に含まれるイノシン酸。

その二つを合わせることで旨味が飛躍的に強くなり、料理の下地を大きく支えてくれるのだ。

 

アベルが一通りの質問を終えたところで、アルベールもおずおずと椀に手を伸ばす

 

「それじゃあ、僕も頂きますね」

 

そうして口に食材を運ぶも、何か納得がいかないのか首をひねる。

 

そんな様子に気が付いていないのかリュシも我慢の限界だという表情で勢いよく蓋をあけ、湯気に含まれた匂いを嗅ぐ。

 

たった数種類の食材とは思えないほどの濃密なそれを浴びながら、スプーンを手に取りまずはスープからだと口に含む。

 

最初に訪れるのはトマト、そして鰆やビーツが後から主張してくる……だが、先ほどの四宮の料理に比べるとどうにもレベルが数段異なるように思えてしまったようだ。

 

「美味しいのは、美味しいわ。でも、これならソーマの普段の賄いの方がまだいいように感じるわ」

 

「うん……僕もそう思うよ。ソーマ、これじゃあただのスープにしかなってない。四宮シェフならもっと驚きをこれ以上の完成度と共に一皿で用意するよ」

 

「そうだな。幸平ならもっと高い完成度を目指せたはずだ」

 

審査員である三名からの不評。

 

しかしながら、これまでは創真の想定通りであり予想がつかない賭けに出るのはこれからなのだ。

 

「そうですね。自分もそう思います」

 

あっさりと自分の実力不足を認めた創真にあっけにとられる彼らであったが、すぐに別な感情が湧き出てくる。

最近になってやっと話すようになったリュシは最初から負ける前提で挑んだのかという怒り。

導く立場にあるアベルは何を想定しているのか分からないという不安。

 

そしてこの中で誰よりも四宮の実力に打ちのめされ、誰よりも創真の勝利を願っていたアルベールは創真が企てている事にいち早く気付き、肌を粟立てていた。

 

「ソ、ソーマ……まさかこれで終わりじゃないのかい?!」

 

「おっと、アルベールさんにはバレちゃいましたか」

 

そう嘯きながら、創真は用意していたものを取り出す。

 

「皆さん、よろしければこちらを椀の中で溶かしてみてください」

 

それは、何かが練りこまれた小さな茶色い球体だった。

 

 

―――――――――――――――

 

 

231:さまよえるおもちゃ ID:19lHEAEtp

なにこの……なに?

 

233:さまよえるおもちゃ ID:iebzYswBh

多分だけど味噌玉じゃね?

 

235:さまよえるおもちゃ ID:MsRpyWc2u

あーね

なにか練りこんでる??

 

238:さまよえるおもちゃ ID:/41R5R9B5

溶かしてからじゃないと分かんないね

 

240:さまよえるおもちゃ ID:1Jdu4gnBZ

自炊しない勢何をいっているか分からない

 

241:さまよえるおもちゃ ID:dj0tvINvv

調べろボケ

 

244:さまよえるおもちゃ ID:t6Abfcu3Z

頭悪いな

 

246:さまよえるおもちゃ ID:81pfcq7mg

今更でしょ

 

247:さまよえるおもちゃ ID:Wk2AkcRK+

まぁ味噌玉は味噌となんか刻んだやつが混ぜ込まれたりしてるやつな

 

249:さまよえるおもちゃ ID:7bsLCVEba

それよりリュシちゃんの百面相可愛くね?

[画像]

 

251:さまよえるおもちゃ ID:xq65mebSF

観戦じゃなくて自家発電してるやつがいますね

 

252:さまよえるおもちゃ ID:uU7ykeyoR

イッチアク禁しろ

 

254:さまよえるおもちゃ ID:LAZN/1gEY

(写真撮りまくってるとか言えない)

 

255:さまよえるおもちゃ ID:2pbYweQFX

まぁワイもローアングルで外の婦人の写真撮ってるし許したってや

 

257:さまよえるおもちゃ ID:pSzXvGURk

>>255 死刑!死刑!

 

260:さまよえるおもちゃ ID:pwgVUPyrh

>>255 なんで自分は許されると思ってんの?

 

263:さまよえるおもちゃ ID:f8d1GLAsD

え、お前らせんのか?

 

264:さまよえるおもちゃ ID:XmbgDqvPu

ヒエッ

 

267:さまよえるおもちゃ ID:mWXOgutmt

ダメだこいつ早くなんとかしないと……

 

268:さまよえるおもちゃ ID:WKEkPfOhP

それでイッチ、これの中身は何なの?

 

271:ソーマ ID:3ePW4qyQx

想像通り味噌玉ではあるよ

練りこんだのは野菜くずを刻んだものだけど、まさかそこまでバレるとは思ってなかった

 

274:さまよえるおもちゃ ID:3Zks7GHnE

いやぁそれほどでもある

 

275:さまよえるおもちゃ ID:l0qYjRBI+

そんな褒めるなよ

 

278:さまよえるおもちゃ ID:dxbVz7s7n

……なにか練りこんでるかぐらい見れば分かる話では??

 

279:さまよえるおもちゃ ID:0BB/v2SKO

イッチに俺らの目節穴だとでも思われてるってこと?!

 

282:さまよえるおもちゃ ID:NMbU2UZ6i

実際そうでしょ

 

284:さまよえるおもちゃ ID:6Bcz5kOlb

それでこの料理は何を狙ったんだ?

 

285:ソーマ ID:3ePW4qyQx

まぁ椀料理をフレンチの技法で再構築してみたんだけど、やっぱりまだ粗が目立つよな

正直完成度ではまだまだ

 

286:さまよえるおもちゃ ID:jE98zsc4B

こいつは何をいっているんだ??

 

287:さまよえるおもちゃ ID:G78gvYg8y

えー、椀料理は日本料理のメイン料理らしいぞ

 

289:さまよえるおもちゃ ID:QsKmlOwP5

調べるの早いな

 

291:ソーマ ID:3ePW4qyQx

それで普通の椀料理だと四宮先輩を上回れるとは思えなかったから、味噌玉を用意したってとこ

 

294:さまよえるおもちゃ ID:sEwkaZuGA

だれか通訳は出来んか?!

 

297:さまよえるおもちゃ ID:nFAbOlryD

多分だけど、フレンチの技法で再現した椀料理だと想定の四宮の料理に及ばず小さくまとまっちゃうから勝つために味噌玉で更なる驚きを用意したって事?

 

298:さまよえるおもちゃ ID:W0JnifArb

なんで分かるんだよ

きっしょ

 

301:さまよえるおもちゃ ID:nFAbOlryD

えぇ……

 

302:さまよえるおもちゃ ID:jocIaTSVs

申し訳ないがこれには同意せざるを得ない

 

303:ソーマ ID:3ePW4qyQx

そうそう、それであってる。

 

304:さまよえるおもちゃ ID:vZ1rUHAMX

つまり勝つために安定捨てて波乱に向かったってこと?

 

305:さまよえるおもちゃ ID:oKSx3IWf3

安定のままだと勝ち目無いらしいし妥当だろ

 

308:さまよえるおもちゃ ID:AlmdQZhCV

とはいえそれでフレンチの技法で椀料理再現してみるかとはならんやろ

 

311:さまよえるおもちゃ ID:OMJRbyzIP

なっとるやろがい!

 

314:さまよえるおもちゃ ID:pPkxA2SpF

イッチの発想がおかしいだけ定期

 

316:さまよえるおもちゃ ID:BfWkUn6pK

それは今更

 

317:さまよえるおもちゃ ID:cfpu+rQ/x

結局創作料理ってことでええんか?

 

320:さまよえるおもちゃ ID:1wLgcufMX

一言でいえばそうなる……のか?

 

322:ソーマ ID:3ePW4qyQx

多分それであってる

 

324:さまよえるおもちゃ ID:dA8QR2vW/

制作者がなんで理解してないんですか??

 

327:さまよえるおもちゃ ID:MuPDlv/F4

料理バカだからでしょ

 

328:さまよえるおもちゃ ID:v7r6vyOf8

ならなおさら分かってないといかんでしょ

 

330:さまよえるおもちゃ ID:mXsNeCuja

それもそうか

 

332:さまよえるおもちゃ ID:Av8tS3vMs

ほんでこれ勝てそうなんか?

 

334:さまよえるおもちゃ ID:K56BrnvKF

ま~だ時間かかりそうですかね~

 

335:さまよえるおもちゃ ID:ARQBDxBmZ

やめやめろ

 

337:さまよえるおもちゃ ID:Yra5f8s/X

正直傍から見てる限りはどっちが勝ってもおかしくないような……

 

339:さまよえるおもちゃ ID:ZHaQXxcIx

まぁ四宮の料理が大分シンプル目で料理の格というよりは料理人の技量を見せつける感じだしな

 

341:さまよえるおもちゃ ID:QG15EPEwr

コジローちゃんまだイキってんの?

 

343:さまよえるおもちゃ ID:i4CxgZxcZ

イキるっていうか堂島曰く当然の驕りってやつでしょ

 

346:さまよえるおもちゃ ID:PZ71WUCD7

このイッチに対して舐めプするってマジかよ

 

347:さまよえるおもちゃ ID:RJobiW4no

そりゃ1年の修業期間があれば四宮のスタンスも変わったかもしれんが、たかが3ヶ月程度なら舐めプしても勝てるって判断しても妥当だろ

 

350:さまよえるおもちゃ ID:vFmW4pKUv

そういわれるとぐうの音もでないが

 

352:さまよえるおもちゃ ID:+cqXTtvRm

ぐう!

 

355:さまよえるおもちゃ ID:EsRJ9kIXE

>>352 黙れ

 

358:さまよえるおもちゃ ID:hrd54TV8B

>>352 極刑に処す

 

361:さまよえるおもちゃ ID:SJbWn5T8G

おっ、そろそろ審査に入るんじゃね?

 

362:さまよえるおもちゃ ID:JE7/OP6Sw

wktk

 

363:さまよえるおもちゃ ID:bf+vP5myl

だから古いって……

 

 

 

―――――――――――――――

 

「これがフレンチ版の『鰆と旬野菜の椀料理』ってところですかね」

 

シンプルな料理名ではあるが、たった三ヶ月やそこらで至れる段階のものではない。

幼少の頃から父親である城一郎と行われてきた研鑽と彼自身の自由な発想によって作られた唯一無二の創作料理である。

 

「なるほど……確かに幸平の料理は斬新だ」

 

そう呟きながらも眉間にしわを寄せるアベル。

今更ながらに審査する側のプレッシャーを背負いながらも冷静に判断しようと吟味しているようだ。

 

「ただ、完成度という点においては四宮シェフがリードしている」

 

「それは僕もそう思います。コジローさんの料理は完璧だった」

 

アルベールは四宮の料理を褒めながらも、心の内では既に勝敗を下している様だ。

 

「それじゃあ投票の方法だが……」

 

四宮から伝えられたそれは、先日の食戟と同じ方法だった。互いの前に皿を用意し、評価する方にコインを入れるというもの。

堂島との一件からしてそれは四宮にとって苦い記憶を想起させるものではあるが、裏を返せば新たな道が見えた瞬間でもある。

そして今回の食戟において彼に負けるつもりなど微塵もなく、その苦さを少しでも勝利で上書きしようという魂胆である。

 

「で、自信はあるのか?」

 

食戟の開始前に投げかけた問いを再度このタイミングで創真に投げかける。

それは創真の料理を見たうえで、なお自身の料理が勝っているという確信があるが故のもの。

 

「まぁ、そこそこですかね」

 

「煮え切らねぇやつだな」

 

創真としてもここで勝っていると言いたかったが、椀料理の再構築に粗があることに加えて、星に一番近いと言われる料理人による渾身の皿の完成度に少し気圧されていた。

 

「さて、そろそろ決まったか?」

 

「はい……」「もちろんです!」「決まりました」

 

そして投票が始まる。

 

「じゃあ先ずは私から」

 

そう告げたリュシが硬貨を置いたのは、四宮の皿だった。

 

「勘違いしないで欲しいんだけど、ソーマの料理が駄目だったってわけじゃなくて、四宮シェフが完璧すぎたのよね。カツレツを揚げる際の温度管理からトマトコンカッセの粗みじん具合まで、正直この料理のどこにケチをつけていいのか私には分からなかった」

 

リュシの言葉通り四宮の『イベリコ豚のミルフィーユカツレツ』はレシピが持つポテンシャルを遺憾なく発揮しており、それは完璧主義者によって建てられた建造物の如く、異様な完成度を誇っていた。

 

「料理人を志した人なら誰でも分かると思うけど、普通レシピ通りに作っても納得なんてできないし自分で考えたレシピなんて形になりはしても、作った料理が完璧なものになることなんてまずないでしょ?」

 

創真から目をそらさないように気を付けながらリュシは語る。

 

「自分でも分かっていると思うけれど、ソーマの料理はその点についてまだ改善点があるわよね」

 

「はい、その通りです」

 

「和食について詳しくないけれど、フレンチの技法で再現するなら下拵えの方法が詰め切れてないのは確かよ。それでも味噌玉にはとっても驚いたわ」

 

たったの三ヶ月でここまで至れることが彼の才能を何よりも示しているが、それで四宮に勝てるとはならない。当然四宮にも類稀なる才覚があることは疑うまでもなく、それを磨き上げた時間は三ヶ月やそこらと比較することもおこがましいだろう。

 

「もしもの話だけれど……完成度を上げるか、さらにもう一つ何か驚かしてくれれば私の考えも変わってたかもね」

 

「ご指導……ありがとうございます」

 

ぐうの音もでない正論だった。最後の言葉も彼には慰めにしか聞こえていないようだ。創真が食戟の前から危惧していたことの全てがリュシの指摘に当てはまっており、これに対して何も反論の余地などなくただただ受け止めざるを得ない状態である。

 

そんな状態で食戟の場に上がったのは時間不足や経験不足といってしまえばそれまでだが、創真はそんな言葉で片付けられるほど素直な男ではない。実際今も準備不足で勝負の場に至った事への後悔をしながらも、次はこんなことにならない為にどうすべきかを思案している様だ。

 

「次。アルベールはどっちだ」

 

そんな創真の様子を察したのか、四宮が急かすようにアルベールへと声を掛ける。

 

「えっと……こっちです」

 

アルベールがコインを置いたのは創真の皿だった。

 

「その、リュシさんの指摘は正しいんでしょうが……それでも僕はソーマの料理に驚きました」

 

そうして彼は自身より才覚に溢れた少年を、まっすぐ見据える。

 

「僕も和食はそこまで勉強できてないんだけど、それでも今回創真がしたことはとんでもなく凄い事だと思う。別体系の料理をフレンチとして再構築するなんて少なくても僕には逆立ちしたって出来ないし、それに君の料理は美味しいだけじゃなくて楽しかった!」

 

アルベールは四宮に救われた後から彼の後を追いかける無謀とも思える日々を過ごしており、ただでさえ遠い頂きにいるというのに先ほどの料理を食してより距離を離されたように感じていた。

 

「コジローさんの料理は当然美味しいし、完成度も抜群だったけど、なんていうかフレンチの歴史をそのまま咀嚼しているような気分になって……上手く伝えられないけど食べる側にも礼儀を求めてくるような圧を感じたんだ」

 

だが、それは彼自身が諦めていない証。

アルベールにはオリジナリティや発想力がない。そう聞くと料理人としてレシピの構築など絶望的なように感じるが、あくまで現段階での話だ。

 

「その点ソーマの料理は堅苦しさは一切なくて、自由な発想でこれが作られたんだって感じたし、味噌玉を見た時にはそれはもうとってもワクワクしたよ!」

 

必要なそれを持っていないのであれば用意すればいい。

だが、答えをただ教えるだけでは当人の為にならないと四宮はアルベールに基礎を積ませていた。

とはいえそろそろ気が付かないかと気を揉んでいたところで、四宮とはまた別の頂きに至る道を何を考えているか分からない後輩が示してくれたようだ。

 

「だから、僕は君の料理を選んだんだ」

 

創真も驚いたアルベールの基礎力にオリジナリティを身につけたのなら……これ以上語るのはまた別の機会としよう。

 

「ありがとう……ございます」

 

さて、今回の食戟だがアルベールの言うように、四宮の料理は完成度こそ高いものの裏を返せばそれは敷居が高いことと同義となる。完璧で完全な美食を完全に理解させようとすれば、食する側にもある程度の教養と繊細な味覚を要求してしまうこととなる。

 

それは美食家や料理人であればある程度のランクに達しており、問題なく理解できるだろうが知識こそあれそれを噛み砕いて理解することが出来なければ真の意味で堪能したとは言えないだろう。

例えるなら絵画や現代アート、オーケストラなどを鑑賞しても眠気を誘われるような人たちと同じような気分だろうか。

 

アルベールはそれを詳しく言語化する語彙こそないものの、感じる事は出来た。

 

ここで審査員の多様さが見えたようだ。

リュシはアルベールよりも料理に対しての理解があり、四宮の料理への敷居の高さなど感じこそしなかった。アルベールはそれを感じ取り美味しくて楽しい創真の料理に惹かれた。

 

では、最後の一人であるアベルはどうだろうか。

 

「……アベル。後はお前だけだ」

 

アルベールの総評を聞き終えた四宮はどこか落ち込んでいるような雰囲気を微かに醸し出しているが、それに気づいているのはアベルのみ。

 

堂島に鼻っ柱を折られたとはいえそれでも食戟でまた票が割れるとは思ってもいなかったが、アルベールの感想はそんな彼の心にかなりの衝撃を与えたようだ。意識すらしていなかったところに直撃を喰らうとどうしても人は落ち込む。それが思ってもみなかった視点からだと尚更だ。

 

そして、自分の投票で勝敗が決まる状況になってしまったアベルはというと……。

 

(胃が痛い……)

 

ストレスによる胃痛を感じていた。

 

「もう少し考えさせてください」

 

四宮の右腕と呼ばれるほどの地位を獲得しているアベルだが、その性根は料理の為なら何でもする料理バカと比べると比較的温和といえるだろう。

だからといって料理に対しては誰よりも熱を持って愛していると自負がある。それは一流になるためなら必要不可欠な要素だ。

そんな彼が悩むほどに今回の料理は拮抗していた。

 

完成度という点においては四宮の『イベリコ豚のミルフィーユカツレツ』に軍配が上がる。

発想力という点においては創真の『フレンチ版 鰆と旬野菜の椀料理』が追随を許さない。

 

彼の脳内ではシノミヤオペラオーとソーマブライアンの2頭によるレースが白熱しており、どちらも引けを取らないのだ。

 

とはいえ時間は有限であるし、それ以前に四宮も創真もこれ以上は待てないほど焦れていた。

 

そして、審判の刻は訪れる。

 

「決めました。私が票を投じるのは――――――――」

 

 




次話は出来てるので明日投稿予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12話 旅の終わり

活動報告更新してます


数日後、クレルモン=フェラン・オーベルニュ空港にて。

 

SHINO'S(シノズ)の面々は創真の帰国を見送るために勢揃いしていた。

四宮は食戟の結果に納得がいっておらず、当初は店に籠ろうとしていたようだがアルベールたちから説得され、嫌々ながらも見送りに来ていた。

 

「数ヶ月の間、ほんとうにお世話になりました」

 

「幸平がいなくなると思うと寂しく……いや、楽になるのか?」

 

「えぇ?」

 

アベルの発言に苦笑する一同。

創真が来てからというものの料理に対しての不安は数日で払拭されたが、それ以上にコミュニケーション能力に難があったため、提供できるサービスの質は上がったもののアベルの大変さというところではそう大差なかった。

 

だが、それも今後は問題なくなるはずであろうとアベルは才気に満ち溢れた料理人の未来に期待を抱く。

 

「もちろん、冗談さ。君らがいなくなると間違いなく厨房は大変な騒ぎになるよ」

 

「まぁそれもそうですね。アルベールさんまで抜けちゃいますし」

 

「あはは、確かに下拵えとか大変になりそうですね」

 

「その分アルベールには成長して帰って来てもらわないとな!」

 

「ええ?! が、頑張ります!」

 

「こんな機会中々ないんだから、私の分も学んできてよね」

 

フランスに来た際にアルベールから希望があった遠月学園への留学だが、創真が一色に確認したところ許可が下りたようだ。一色も頼ってくれていいとは言ったが、創真が渡航してからというものの十傑評議会、特にえりなからの執拗な疑義……平たくいうとほとんど嫌がらせみたいなものに多大なストレスを抱えてしまっていた。

 

そんな中での留学の話は彼にとっては正に救いの糸だった。

 

見習いとはいえ創真から聞くに下拵えの速さと正確さは目を見張るものがあり、足りないものといえば発想力程度。であれば遠月学園はアルベールが成長するにはうってつけの場所であり、逆に遠月学園からしても卒業生に恩を売れるとなればわき目も振らずに食いつくのだから。

 

実際、卒業生にはスタジエールや宿泊研修などの学校行事で負担を強いることが多い。名目上青田買いを許しているが、その程度で縛り付けるにはいくら給与が発生したところで彼らへのメリットが薄すぎる。

 

問題の解決方法をまともに考える余裕もない中での、今回の留学の話だ。

 

一色からすればこれは、創真の渡航での成長と今後の卒業生へのメリットある留学として一石二鳥どころか、遠月学園としてもメリットがあるため一石三鳥クラスでのウルトラCなのだ。

 

とはいえ今はそんなことは露とも知らない創真はというと、こちらも四宮と変わらず食戟の結果に納得がいっていなかった。

 

「まさかあんな結果になるなんてね……」

 

「チッ……俺はまだ納得いってねえからなアベル」

 

「は、はは。それは申し訳ないとは思ってるんですが……」

 

2人から詰められて、たじたじになっているアベルだが、ではそんな彼がどのような結果をもたらしたのかというと……。

 

 

―――――――――――――――

 

 

時間は巻き戻り、アベルの投票時点。

 

「私が票を投じるのは……ここです」

 

コインが置かれたのは四宮の皿でも、創真の皿でもなくお互いの中間に位置する机の上だった。

 

「おい……アベル?」

 

四宮は最初は困惑したが、徐々に理解するにつれ沸々と怒りが湧いてきた。

つまり自身の右腕であるこの男は投票を放棄して、この勝負を引き分けなどという中途半端な結果に貶めようというのかと。

 

四宮の目が血走る一方で、創真はというとどこか空虚さに身を包まれていた。

勝負において引き分けというのはこれまであまり想定して挑んだことがなく、今回の食戟においても当然白黒つくものだと思っていたが故に拍子抜けしたようだ。

 

「えっと……」

 

「当然、二人が納得いかない事は分かってます。でも……それでも自分は引き分けだと思います」

 

アベルの真剣な眼差しに四宮は適当な理由で引き分けに持ち込んだわけではないと判断し、一度矛を収めた。

 

「納得のいく説明が出来るんだろうな」

 

言葉に表したのは四宮だが、創真も同じような気持ちである。ここまできて決着が付かないまま帰国なんて出来ないのだから。

 

「そうですね……単純な料理の完成度という点においては先ほどの2人と同じように四宮シェフに軍配が上がります。ですが、発想力という点ではダントツ幸平が上回っている」

 

「とはいえ総合的に見れば四宮シェフの料理が良いと思われるんですが……幸平、あれはただの味噌玉じゃないね?」

 

「そこに気づくとは……流石は副料理長ですね」

 

「どういうことですか?」

 

アベルの指摘に対してアルベールが首をひねる。確かに味噌玉の中にはいろいろな野菜が入っていたが、そこに何か秘密でもあったのだろうかと思案する。

 

「よくよく考えてほしいんだ。幸平が行ったことは日本料理のフレンチナイズドだが、それを行うには大きな壁が存在する」

 

「壁ですか……」

 

確かに凄い事をしているという認識こそあれ、そこにどのような問題が生じるのかはあまり理解していなかったアルベールである。そして、言われるがままに思考を進めると一つの疑問を抱いた。

 

「あれ、調味料って……」

 

「そう、そこなんだよ。普通に考えてフレンチナイズドするためには日本料理専用の味付けのままでは駄目なんだ。なのにこの料理はそれが不自然なほどに調和している」

 

アベルは椀の中を指し示しながら言葉を続ける。

 

「特に……この味噌玉なんだが、市販の味噌じゃないよな?」

 

「……まさかそこまで見抜かれるとは、思ってもみなかったですね」

 

アベルの指摘通り創真が用意した味噌玉は市販のものではない。いくらフランスで日本食が楽しめるとはいえ創真が望むレベルの味噌は到底売っているはずもないのだから。

 

では、今回の味噌はどのように用意したのか。

 

端的に言えば極星寮の面々の力を借りた。珍しく創真が自分から人を頼ったのだ。

 

最終的に味噌を完成に導いたのは発酵に詳しい榊 涼子だが、その他にも丸井らがレシピに合わせた塩分濃度を算出したり、田所によって試作が行われ何度もブラッシュアップされたのが、今回創真が使用した極星印の味噌である。

 

「正直かなり時間との勝負でしたよね。榊が味噌を常日頃から仕込んでいるって聞かなかったら、用意できませんでしたよ」

 

何の気なしに飄々と告げられた台詞だけ聞くと、苦労の色がまったく見えないが用意させられた極星寮の面々はかなりの負担を強いられていた。それは創真のせいというより暴走しかけた田所を止めるための労力がかなり占めるのだが。

 

「えっと……つまりソーマが味噌から作ったってこと?」

 

「僕がっていうか、寮のメンバーがですけどね」

 

椀料理をフレンチナイズドするにあたって創真がぶつかった一番の問題がアベルの言う通り調味料だった。

フレンチの食材ですまし汁までなら何とか用意できた創真ではあるが、勝利を目指して味噌玉というアイデアを思い付いたのがおおよそ2か月前。味噌を仕込む猶予はなく、どうしようかと思い悩んでいるところにテレビ電話がかかってきた。

 

それは吉野 悠姫にそそのかされて顔をゆでだこのように真っ赤にした田所からだった。

 

その際にどんな話があったのかは割愛するが、流れとしては創真の話を聞いた田所が味噌については榊が詳しいと言ったことにより、極星寮はブラック企業も真っ青の地獄と化した。

 

遠月のレベルの高い授業に加えて、放課後以降で今ある味噌の中から創真のレシピにぴたりと当てはまるものを作る作業。それはあるかどうかも分からない暗中模索といっても過言ではなく、なんなら砂漠であるかどうかも分からないオアシスを探す気分だったと極星寮の面々は言う。

実際この二か月の極星寮は不夜城の如く煌々と光が漏れ出ており、そんな様子に最初は寮母のふみ緒から苦言を呈されていたのだが田所の必死な様子と吉野たちの必死の説得により食戟が始まるまでの期間限定で行われたのである。

 

そんな多大な労力を払ってたった2か月で完成したのが極星印の味噌なのだが、将来的にはSHINO'S(シノズ)やそれ以外の一流フレンチシェフが好んで利用することになるのは、まだ誰も知らない。

 

そして、その味噌が初めて使用された食戟の結果が今まさに確定しようとしていた。

 

「……お前、バカか?」

 

四宮の口から正直な感想としての罵倒がこぼれる。

まともな感性をしていれば当然の発言なのだが、この創真は料理バカであり料理のためなら犠牲を厭わない。城一郎に対しては勝てるビジョンが見えないが、まだ比較的隙のある四宮ならばワンチャンスあるのではないかと、全力を費やしたに過ぎないのだから。

 

「そうですかね? 勝つために頑張っただけなんですけど」

 

当たり前のように応える創真に、SHINO'S(シノズ)の面々は絶句していた。

 

Fou(狂ってる)……」

 

リュシに至っては母国語が漏れ出るほどの衝撃を受けたようだ。

創真自身に自覚はないが、一般的な考えとして勝つための努力とはいえ妥協が含まれる。それは、人間らしい生活を送る上でとても大切なもので、実際睡眠時間を無理に削った状態が常態化して若き身空で天に召される若者が少なくない。

彼自身も死なない程度にセーブしてはいるが、活動できる時間においては際限なく勝利の為に文字通り尽力している。

一日の間で料理の事を考えない時間などなく、勝つために貪欲知識と経験を追い求め、そのために必要なものがあれば他人を犠牲……頼りもするその根性は見上げるべきかもしれないが、誰もが出来る事ではない。

 

「……という訳で、そこを加味すると完成度についてもそこまで大差がある訳ではないかと思います」

 

「えーと、じゃあ引き分けってことですか?」

 

アルベールが無邪気にアベルに問いかけるので、出来るだけ四宮と創真から顔をそらしながらそうだと応じる。

これにて四宮小次郎VS幸平創真の食戟は引き分けと相成ったのだ。

 

 

―――――――――――――――

 

 

時は流れ、現在。空港にて。

 

「正直、幸平がここまで無茶苦茶するとは思ってなかったところはあります。ですが、勝利に対する貪欲な姿勢は自分も見習おうと思いました」

 

今回の創真の行いについての管理不行き届きがあるとすればアベルだろうが、それを責める者など誰一人としていないのは言うまでもない。

 

そして、アベルが四宮に告げる。

 

「……な、なので四宮シェフ。今度自分とも食戟をお願いできますか?」

 

創真の格上相手にも勝利を諦めない姿勢に当てられたアベルではあるが、副料理長とはいえ四宮相手に遠慮しすぎだったのではないかと感じ、挑戦状を投げかける。

 

「はっ! お前相手だと手加減出来ねぇな」

 

それを受け止め、ニヒルな笑みを浮かべる四宮。

 

「えっ、お二人が食戟するのは正直観たいんですけど……」

 

「お前はさっさと日本に帰れ」

 

「そんな意地悪言わないでくださいよ~」

 

創真と四宮のいつものやり取りに笑いが起こる。

 

「フンッ……まぁ次やるときは俺が勝つがな」

 

「いやいや、次こそ僕が勝つんで」

 

バチバチと二人の間に火花が散る。

そんな二人の様子を羨ましそうに眺めるのはアベルだけでなく、アルベールもだった。

彼に年が近い創真の存在は刺激的で、同時に焦りも抱いていた。スラム生まれの自分が一流フレンチの下働きを出来ているということに満足してはいなかったかという声が聞こえた気がして、衝動的に創真に遠月学園への留学を申し出たのだ。

 

アルベールは未だ料理人ではなく、あくまで見習いである。

圧倒的な基礎力を身につけながらもある種積極性にかけ、独創性がなく、オリジナリティがない。

これは料理人としては致命的であるが、それでも四宮はアルベールを見捨てることはなかった。

時間が解決する問題でもないのだが、今回の留学によって何か一つでも成長できるのであればそれが先に繋がると信じているのだろう。

 

そうこうしている内にアナウンスから、二人が乗る飛行機の搭乗時間が迫っていると放送があった。

 

「ほら、そろそろ時間だ」

 

「アルベール! お土産よろしくね」

 

アベルとリュシから搭乗口に向かうように背を押される二人。

なんだか急かされているようで少し不思議に思いながらも向かうと、最後の最後でなにやら揉めている様な声が聞こえる。

 

「……なんで俺が」

 

「そういうのいいから、早く渡してきてくださいよ!」

 

「リュシてめぇ……」

 

「あはは、全然こわくなーい」

 

どうやら四宮がごねているのをリュシが説得している様子だ。とはいえ何をしているのだろうかと創真が後ろを振り返ると、揉めていた二人がメドゥーサにでも会ったかのように固まった。

 

「ほら!」

 

リュシが四宮の背を押し、たたらを踏みながら創真の前に押し出される。

 

「……これ、もってけ」

 

照れと気遣いが混ざり合った複雑な表情ではあるものの、四宮が差し出したのはシンプルな見た目のネックレスだった。

 

「はぁ……ありがとうございます」

 

「それって……メダイネックレス?!」

 

アルベールが驚くのも無理はない。正直これまでの四宮といえばかなり大人げなく、ピリピリした雰囲気で絡みづらい面倒な人でしかなかったのにも関わらず、メダイという身につける者に奇跡をもたらすと囁かれるアイテムを渡しているのだ。

とはいえこの料理バカはメダイについてなど当然知らず、帰国に合わせてのプレゼントか何かだろうと素直に受け取る。

 

「なんかブランド物なんですか?」

 

「いやソーマ、メダイっていうの、モガッ?!」

 

いつのまにやらアルベールの背後に回ったリュシによって羽交い締めにされ、説明するに至らなかったようだ。

技をかけているリュシはというと、四宮にアイコンタクトで合図を送る。

 

「あー、なんだ。まぁ……御守りみたいなもんだから、身につけとけよ」

 

「なるほど、だからネックレスなんですね」

 

「それなら調理中も邪魔にならないだろ」

 

アルベールを解放した彼女はそのやり取りにやればできるじゃないかと言わんばかりの生暖かい目を向けていた。

それに気づいた四宮は一瞬殺意の波動に目覚めそうになるも、堪えて無理矢理二の句を継ぐ。

 

「次に俺とやるまで、負けるなよ」

 

「……そりゃ言われなくても負けるつもりなんてさらさらないですよ。当然、四宮先輩にもね」

 

「はっ。ほざくじゃねーか」

 

「だって前回は負けましたけど、今回は引き分けですし? このままいけば勝てるでしょ」

 

「自信過剰もいいところだな。お前程度の腕前じゃどんだけ頑張っても引き分けが精々だろうよ」

 

「ま、次にやるときは負けた時用の辞世の句でも用意しててくださいよ」

 

「……料理人が皿の上以外で語る努力して意味があんのかよ」

 

「ハハッ……違いないですね」

 

年の離れた二人だが、お互いにその身に余るほどの才覚を持ち共に料理という果て無き荒野をさまよう料理人という共通点がある。

 

ならば野暮を承知で二人の関係性を表すとすればなんだろう? 先輩と後輩、プロとアマ、フレンチシェフと定食屋の倅……どれも間違いではないが、戦友(ライバル)という名が一番相応しいだろう。

 

四宮からすれば創真は生意気だが実力はいずれ自分にも届きうる油断のできない存在であり、創真からすれば四宮は初めて出会うある種自身の延長線上に位置する実力者である。

いずれも自身の才覚を無意識に理解しつつも、御しきるに至るにはかなりの労力を要するレベルのそれ。そしてコミュニケーション能力に難があるのもお互い様か。

 

故に互いにシンパシーを感じながらも、負けたくないと思う心は不思議ではないだろう。

 

だが時間は無情にも過ぎ去り、もう搭乗しなければ間に合わなくなってしまう。

それに気が付いた二人は先ほどまでわちゃわちゃと騒いでいたとは思えない程に、静かになり手を握りながら挙げる。

 

「じゃあな」

 

「ええ、また今度」

 

そして握り拳をぶつけ合い、そのまま背を向ける二人。

 

一部始終を見ていたリュシはその行動に悶えており、アルベールはそんな彼女にドン引きし、アベルは苦笑を浮かべるのだった。

 

 

これにて突発的なフランスでの修業は終わり、日本へ帰国した創真に待っているのは山積みだ。

学生の本分である五教科の補習に今回の旅のレポート、それから極星寮のメンバーへのお詫びもある。

とはいえ成長した彼が一番に向かいたいのは城一郎の元だろう。未だ影すら踏めない存在ではあるが、今の自分がどれだけ食い下がれるのかの確認と、あの父親がフレンチナイズドした椀料理をどう評価するのかが気になって仕方がないようだ。

 

そんな気分の創真ではあるが実際のところ待ち構えているそれらに加えて、原作のラスボスや田所が予定とは異なる動きを見せており、彼が望む平穏な日常が訪れる可能性はほとんどないだろう。良くも悪くも料理の腕前がプラスに働く世界ではあるが、だからといって確実に幸せになれるとは限らない。

 

彼にとってはつくづく『料理の腕前がそんなに万能なわけがない』と思い知らされる日々であったに違いないのだから。それでもきっと彼自身の手で紆余曲折ありつつも、楽しい未来を創ってゆくことに異論はないだろう。

 

上空3万3000フィート、メートルに換算で約1万メートルの飛行機の中でスヤスヤと眠る彼自身の幸福を願って。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。