竜の妖精は騎士となりて。 (ろーたそ)
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プロローグ

フェアリーテイルの小説描きたいな

なんかいいドラゴン居るかな

Fgo起動

せや!メリュジーヌとアルビオン出せばええんや!

っていうただの思いつきで考えた。


意志なんてものは存在しなかった。

 

”ソレ”に明確な感情はなく、筋も骨も、繊毛も体毛もない。

嬉しいも楽しいもなく、悲しいも苦しいもなかった。

だが、確かに生命としての心臓は動いていた。

 

 

”炉心”

 

 

 

それが動いているだけで生命とはとても呼べるものではなく、その湖に落ちた”ソレ”はただ”生きる”だけだった。

 

だが、そんな湖の近くにふと顔を出したある少女が居た。

 

 

 

 

「○○○○!!そいつ動いてるわ!危ないわ!」

 

「でも……うんん。きっと大丈夫……」

 

その少女は危ないと言われながらも”ソレ”を掬いあげ、こう尋ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

この時、”ソレ”は初めて感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”美しい”と

 

その日、本当の意味で生まれた”ソレ”は『私』へと変わった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

フィオーレ王国

人口 1千700万の永世中立国。

そこは魔法の世界……

 

魔法は普通に売り買いされ、人々の生活に根付いていた。

 

 

 

 

 

そしてその魔法を駆使して生業とする者共がいる。

人々は彼らを魔道士と呼んだ。

 

魔導師たちは様々なギルドに属し、依頼に応じて仕事をする。

そのギルド、国内に多数。

 

 

そしてとある街に、とある魔導師ギルドがある……。

 

かつて……、いや後々に至るまで数々の伝説を生み出したギルド……。

 

 

その名は……

 

 

 

 

 

”妖精の尻尾(フェアリーテイル)”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てゆーか!なんでこんな作戦にあたしが参加することになったのー!!?」

 

 

 

今こうして現在、馬車に揺られながら叫んでいる彼女の名前はルーシィ・ハートフィリア

 

フェアリーテイルに所属している星霊魔導士である。

彼女はフェアリーテイルに憧れて入ったのだが、なにかと災難なことに巻き込まれて(現在進行形)こうして叫ぶことが多く、フェアリーテイルの中では数少ない常識人である。

先程も言った通り、彼女は星霊魔導士であり、契約した星霊を戦闘の「道具」扱いせず、同等の立場として接する優しさを備え、時には星霊王さえ説き伏せる度胸を見せるほどである。

 

「オレだってめんどくせーんだ。

ぶーぶーゆーな」

 

隣で気だるげにルーシィへと言う彼の名はグレイ・フルバスター

 

フェアリーテイルの魔導士の1人で氷の造形魔法を扱う。

フェアリーテイル内でもトップクラスに入る……のだが、悪癖でよくすぐに服を脱ぎ出すことが多い。

いつの間にか上裸になっていることが多く、その度に突っ込まれる。

 

 

「マスターの期待だ。

私たちはその期待に応えるべきじゃないか?」

 

そしてルーシィ達の対面に座る女性はエルザ・スカーレット

 

妖精女王(ティターニア)の異名を持つフェアリーテイル 最強の女魔道士。

 

鎧を身に纏っており、別空間にストックしている武器を呼び出す魔法「換装」が得意。

 

 

フェアリーテイルでは数少ないS級魔導士の中に入っており、その実力は正に妖精女王の名に相応しいと言われている。

だがギルド仲間のレビィから"ちょっとHな"本を借りたり、「誘惑の鎧」なる露出の激しい鎧を買っていたりと、むっつりスケベな模様とちょっと抜けた面もある。(ナツとグレイと3人で一緒に今になっても風呂に入ったりするほど)

 

「でもバトルならガジルとかジュビアだって いるじゃない」

 

「2人とも別の仕事に入っちゃったからねー」

 

 

馬車の中に居る猫が1匹 ハッピー。

ハッピーもフェアリーテイルの一員であり、いつも緑のネッカチーフ(小物入れを兼ねている)を首に巻いている可愛い青猫。

 

翼(エーラ)という魔法を使え、使用時には背中に羽が生えて飛行できる。大人一人ほどは運ぶことができるので、それなりに力持ち。

 

ナツが拾った卵から生まれ、後にギルドに加入したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………てか

………まだ……

着かねー……の……か……」

 

 

エルザの隣に座り、浮かぬ顔をしている男はナツ・ドラグニル。

 

「火竜(サラマンダー)」の異名を持つフェアリーテイルの魔導士。

 

好きなものは火、嫌いなものは乗り物。凄まじい大食いで、後述の体質の為どんなに熱い食事をとっても舌を火傷しない。

幼い頃に火竜 イグニールに育てられた過去を持ち、消えた彼との再会を望んでいる。マフラーはイグニールからの大切な贈り物で常に首元に巻いている。

彼の扱う魔法は”火の滅竜魔法”。

イグニールから教わった魔法で火を放ったり、拳に纏わせることなどが可能だ。

 

「けっきょく、いつもの5人メンバーよね。」

 

「そのほうがいいだろう?

今日は他のギルドとの初の合同作戦……

まずは同ギルド内の連携がとれている事が大事だ。」

 

今回こうしてルーシィたちが動いているのは、フェアリーテイルのマスター直々の依頼からであった。

 

魔導士ギルドにフェアリーテイルのように正規のギルドがあれば、反対に闇のギルドが存在する。

そしてそんな闇のギルドの中でも3つの巨大勢力が存在し、それを一括りに周りは”バラム同盟”と呼んでいる。

 

今回はその一角である闇ギルド 六魔将軍(オラシオンセイス)

 

たった6人のメンバーで結成されているが、その実力は1人1人が一軍を相手にできるほどのレベル。

 

地方ギルド定例会では六魔将軍を今回討伐するべく、4つのギルドで連合軍を結成することになった。

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)

 

青い天馬(ブルーペガサス)

 

化け猫の宿(ケット・シェルター)

 

 

そしてルーシィたちは現在、連合軍が集まる集合場所へと向かっているのだが……

 

「見えてきたよ!

集合場所だ!」

 

 

ハッピーは馬車から外へと顔を出し、見ると集合場所に到着したことをみんなに伝える。

 

外から見ればなにやらハートを主張している建物で俗世からはかけ離れた集合場所であった。

 

「趣味悪いわねぇ……」

 

 

「青い天馬(ブルーペガサス)のマスターボブの別荘だ」

 

「あ、あいつ……かぁ」

 

 

ブルーペガサスのマスター ボブ。(一応男性)

 

 

「に、苦手だなぁ……」

 

「そ、そう言うな……

あれでもうちのマスターが手を焼いたほどの実力者だからな……」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

 

 

 

「ま、まだ……つかねぇ……の……か…」

「着いてるよナツ」

 

 

 

そこから招かれたフェアリーテイル一同は青い天魔(ブルーペガサス)のメンバー ”白夜”のヒビキ ”聖夜”のイヴ ”空夜”のレンによって持て成す(男性は対象外)

彼らをトライメンズと呼び、青い天魔にはイケメン魔導士がとにかく多く、その中でもダントツで女性からの人気が多いのが彼らトライメンズであった。

 

そして最後の青い天魔のメンバー”一夜”の登場でエルザもある意味震えるレベルの男である。

 

「すまん。私もこいつは苦手なんだ…

すごい魔導士ではあるんだが……」

 

「おい!ブルーペガサスのクソイケメンども!

あまり うちの姫様方にちょっかい出さねぇでくれるか?」

 

「……帰っていいよ 男は」

 

「「「お疲れさまっした」」」

 

「こんな色モン よこしやがって!

やる気あんのかよ!」

 

「試してみるか?」

「僕達は強いよ」

 

グレイとブルーペガサスの間で亀裂が走る中

、喧嘩の匂いを嗅ぎつけたナツは突然、起き上がり…

 

「なんだ喧嘩か!まぜてくれ!!!」

 

「やめないか お前たち!」

 

「エルザさん」

 

「ひぃぃ!?」

 

「相変わらず…素敵なパルファムだね♡」

「近寄るなぁ!!!」

 

いい加減、耐えれなかったエルザは背後に回った一夜を扉の方へと殴り飛ばす。

すると、一夜が殴られると共に扉には1つの影が……

その者は一夜の頭を右手で受け止めると腕から一夜の頭が氷始める。

 

「こりゃあ ずいぶん ご丁寧な挨拶だな

貴様等はラミアスケイル 上等か?」

 

この男の名はリオン・バスティア

かつて師匠 ウルにグレイと共に氷魔法を教わった兄弟子である。

師を超えることを目標にしていた彼はウルを殺したデリオラを殺せば超えたも同然と、1度は復活させようとガルナ島を巻き込んだ大規模な事件を起こした張本人である。

だが、封印を解いたデリオラは、ウルによって既に事切れておりデリオラによる被害は最小限に抑えられた。

後にこうして蛇姫の鱗(ラミアスケイル)へと加入し、今回の作戦に参加したのである。

 

「リオン!?」

 

「なっ、グレイ!!」

 

 

そしてラミアスケイルのメンバーが続々と揃う中、フェアリーテイルにとっては懐かしのメンバーの顔が集まっていた。

リオンの仲間であるシェリー…なにかとルーシィにとっては嫌いな相手である。因縁の関係がこのギスギスとした亀裂が走る空気感を作る中…

 

 

 

「やめい!」

 

 

扉の先からの声によって一気にそちらへと視線が集まる

 

「わしらは連合を組み、『六魔将軍』を倒すのだ!

仲間うちで争ってる場合か!」

 

「ジュラさん」

 

「ジュラ!?」

 

「こいつがラミアスケイルのエース…”岩鉄”のジュラ…」

 

”岩鉄”のジュラ

ラミアスケイル 最強の魔導士であり、聖十大魔道の1人。

聖十大魔道とはイシュガルの地において偉大な魔導士と認められたものに与えられる名でもあり、その名の通り強さに関してはまさに1級品だ。フェアリーテイル マスターであるマカロフもその1人である。

 

「私でも聞いた事ある名前…」

「妖精もペガサスも4人でしたね

私たちは 3人で十分ですわ」

 

「ひどいよ!おいらも ちゃんと数えてよ!」

 

 

「これで3つのギルドが揃った

残るはケット・シェルターの連中のみだ」

 

化け猫の宿(ケット・シェルター)

未だ名前だけでここに来る者の顔すらわからず、そのギルドの名前もあまり聞かない名であった。

 

「連中というか ”2人”だけと聞いています」

 

「2人だと!?」

「こんな危ねぇ作戦に2人だけよこすってのか!?」

 

「うわぁっ!?」

 

すると屋敷の中で集まっていた全員の背後からなにやら転けたことで可愛らしい声が聞こえてくる。

 

「ん?」

 

「い、痛い……

あ……あの………遅れて ごめんなさい。

ケット・シェルターから来ました ウェンディです。よろしくお願いします////」

 

一同が驚いた。

 

「なっ…」

 

「子供?」

 

そう、ケット・シェルターからの魔道士が子供であるということに、その見た目からもまだ15にもなってないであろう少女がである。

 

「むっ、ウェンディ殿…2人だと我らは聞いていたのだが……残りは」

 

ジュラは1人だけしか居ないウェンディにそう尋ねると…

 

 

「すまない。ちゃんと居るよ」

 

すると、ウェンディの後から屋敷の中へと入ってくるもう1つの影。

こちらも同様にウェンディと全く同じ身長の白髪の少女だが、ウェンディと違うのはその”見た目”だ。

全身をメタリックブルーの鎧で固め、目元を鎧と似たデザインのバイザーで覆っている。

両腕の小楯のような武装をしており、いかにも物騒な見た目であった。

 

 

 

 

 

 

「ほらメリュ、挨拶しないと!」

「そうだねウェンディ。

ボクはケット・シェルターが1人” 妖精騎士” メリュジーヌだ。

よろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして連合軍が全員、揃ったのであった。




続くかは不明


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13対6

思った以上に見てくれてる方が居て有難いです


「これで全てのギルドがそろった」

「話進めるのかよ!!!」

 

「それにしても…」

「この大掛かりな作戦にこんなお子様2人をよこすなんて…」

 

 

「むっ…失礼だね。少なくとも貴方よりはボクは速く動けるし、強いよ」

 

そう、メリュジーヌはシェリーに噛み付く。

その声音からは絶対的な自信があった。

 

「な、なんですって!?」

「それに2人だけじゃないし。ね、シャルル」

 

「……まったく、バレてたのね…」

 

 

すると、メリュジーヌの後ろから顔を出す影が1つ。

それはハッピーと同様に喋る猫であった。強いて違う所を上げるなら性別の部分と見た目だろう。

 

「シャルル ついてきたの!?」

「当然よ。メリュジーヌが居るとしても貴方たち2人だけじゃ不安だもの。」

「むっ、でも安心して。

ウェンディとシャルルはボクが守るから」

 

「あ、あの……私、戦闘は全然できないんですけど……皆さんの役に立つサポートの魔法はいっぱい使えます…だ、だから 仲間はずれにしないでくださいぃ」

 

「す、すまんな…少々、驚いたがそんなつもりは毛頭ない。

よろしく頼む ウェンディ…そしてメリュジーヌ」

 

こうしてなんやかんや騒がしいメンバーが一同全員集まったのであった。

 

「わぁ!エルザさんだ!本物だよ シャルル メリュ!」

「噂は聞いているよ”妖精女王”。その強さもね…おっとさすがにこれから共にする仲間の前で顔を見せないのは失礼だね。」

 

そう言うとメリュジーヌは覆っていたバイザーが外し、顔を顕にする。

 

「よろしく頼むよ」

 

 

「…ああ、エルザでいいさ」

 

 

一瞬、エルザですら見惚れてしまうほどに美しいと感じるその顔はまさに可憐と呼べるほどだった。

 

「あの子たち、将来美人になるぞ」

「いまでも十分可愛いよ。」

「さぁ、お嬢さん方…こちらへ」

 

「はや!?」

 

早速、ウェンディとメリュジーヌに近づく青い天魔一同にツッコミを入れるルーシィであった。

 

 

「……ふむ、あの娘 なんというパルファムだ 只者ではないな…」

「気づいたか一夜殿……

あれはわしらとは何か違う魔力だ。」

 

少なくとも一夜やジュラはウェンディの魔力がこの場に居る者たちとはまた違った独特の流れを持つ者だと感知していた。

それは2人だけでなく…

 

「エルザ殿も気づいているようだが」

「さすがだ」

 

エルザも同様に気づいていた。

 

「更にはあのメリュジーヌと呼ばれる美女……彼女のパルファムもとんでもない……」

「ああ、”アレ”で普通ならとんでもない……魔力でいうなら私以上だ」

ジュラはそう断言する。

メリュジーヌを見てまず膨れ上がるように常に放たれる魔力は正にこの場に居る誰よりも魔力量は高い。

更にはそれだけの魔力がジュラにも分かるほどに視えているが、メリュジーヌにとってはいつも通りのモノだろう。彼女が本気を出せばいまの倍は魔力は膨れ上がると断言していた。

 

そして……

 

 

 

「(やはりあのメリュジーヌという少女……とてつもないほどだ。魔力でいえばマスターマカロフにも届く…….いやもしかすると……それにしても……)」

 

 

 

 

 

”あの鎧……かっこよすぎる!!!”

 

そう内心でエルザはメリュジーヌの鎧を見て同じ鎧を纏う者として同じものを感じながらも彼女のブルーの鎧を見惚れていたのであった。

 

 

「オレンジジュースでいいかな」

「おしぼりどーぞ」

 

「あ……あのぉ……」

「なんなのこのオスども!」

「まぁいいじゃないか。

……でも、ウェンディを狙ってるなら悪いけど、ウェンディはボクの生涯のパートナーでもあり、恋人でもあるんだ「め、メリュ!?」狙うのならこのボクを跳ね除けてからウェンディを奪うがいい!!」

 

 

というこの場でメリュジーヌはとんでもない発言をするのであった。

 

「なるほど……そういう関係だったんですね…」

「俺たちには眩しすぎる……」

「これもアリ……だな…」

 

「も、もうメリュー!!!」

「いた、痛い。ボクは悪いこと言ってないよ……」

 

「だから遊びに来たんじゃない。

すぐに片付けるんだ!!」

 

「「「かしこまりました!お師匠様!」」」

 

「メェーン☆」

 

「また呼び方変わってる…」

「あれだけ一貫性がないと いっそあっぱれだよな おい…」

 

 

……と、冗談はこれまでにして一夜は全員が揃ったことを確認する。

 

「さて 全然そろったようなので私の方から作戦の説明をしよう!」

「そのポーズって必要なのかしら…」

 

「まずは”六魔将軍”…オラシオンセイスが集結している場所だが……

…………と その前にトイレのパルファムを……」

「おい!?てかそこにパルファムを付けるな!」

 

「「「さすが先生!」」」

「また呼び方変わった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、今度こそ作戦説明が行われる。

 

「ここから 北に行くと ワース樹海が広がっている。

古代人たちはその樹海にある強大な魔法を封印した…その名は”ニルヴァァァッナ”」

「だからポーズは要らねぇんだよ…」

 

「「ニルヴァーナ?」」

 

「聞かぬ魔法だ…」

「ジュラ様は?」

「いや しらんな」

 

フェアリーテイルもラミアスケイルの一同もみな、一夜が呟いたその魔法の名は聞いたことがなかった。

 

「ニルヴァーナって知ってる?ってか魚いる?」

「結構…」

 

相変わらずシャルルに相手にされないハッピーであった。

 

「メリューは聞いたことある?」

「………古代人……ニルヴァーナ……少なくとも、ボクの中では禁忌魔法という情報だけはある」

 

禁忌魔法……

かつて過去に作られた強大な魔法のことを指し、それは世界を巻き込む程の力を持つモノや果てには存在しているだけで危険だと印を付けられた魔法のことを言う。

主に、黒魔道士ゼレフが編み出した ”呪歌(ララバイ)”やかつて楽園の塔の支配者であるジェラールが行使しようとした煉獄破波(アビスブレイク)などもこの禁忌魔法の一覧に入る。

 

 

「そう…メリュジーヌちゃんの言う通り、古代人が封印するほどの破壊魔法…禁忌魔法にあたるというのは分かっているんだが…」

「その詳細は僕達もわかってないんだ…」

 

「破壊魔法…」

「なんかやな予感が…」

 

 

「オラシオンセイスが樹海に集結したのはきっと、ニルヴァーナを手に入れるためなんだ。」

「我々はそれを阻止するため……オラシオンセイスを討つ!!!」

 

「やっぱりポーズ…」

「おりゃ、もうツッコまねぇぞ…」

 

「こっちは13人…敵は6人。」

「だけど侮っちゃいけない」

「この6人がまたとんでもなく強いんだ」

 

ヒビキは自身の魔法である古文書(アーカイブ)を展開することで空中にホログラムが映される。

 

「アーカイブ…」

「これも珍しい魔法だな…」

「初めて見ましたわ」

 

 

すると、アーカイブによって検索を掛けたヒビキは全員の前にホログラムである者達の姿を写す。

 

「これは最近になってようやく手に入れたやつらの映像だ」

 

 

「毒蛇を使う魔導士 コブラ」

 

逆立った茶髪と蛇を思わせる鋭い目や牙が特徴的な青年。隣には翼を生やした紫色の蛇が写っている。

 

「悪そうな面してんなぁ。このツリ目やろう」

「「お前も似たようなモンじゃねぇか」」

 

 

「その名からして スピード系の魔法を使うと思われる レーサー」

 

高い鼻と常に顎当てと一体化したサングラスを着用している青年。

 

「ほぉ……なんだっていいが 気に食わねぇツラだ…」

「同感だな……」

 

「ふーん…まったくボクを差し置いてレーサーだなんて名前……」

「メ、メリューも落ち着いて…」

 

「大金を積めば 1人でも軍の一部隊をも壊滅させるほどの魔導士 ”天眼”のホットアイ」

 

六魔の中で最も大柄な男性。

顔も他の人よりもカクついており、修道士のような服を着用している

 

「お金のため…?」

「下劣な……」

 

 

「心を覗けるという女 エンジェル」

 

途轍もない露出度の服を着た白髪で頭に黒いリボンを巻いた少女

 

「なんか本能的に苦手かも…こういうタイプ」

 

「で、この男は情報がすくないのだが”ミッドナイト”と呼ばれている。」

 

髪の上半分が黒く、下が白い変わった髪型をしている男性で顔を下に向けて目元は見えず、なにやら宙を浮く絨毯の上に足を組んで座っている様子が映る。

 

「”真夜中”…妙な名前だな」

 

「そして奴らの司令塔 ブレイン」

 

色黒で、顔中に黒い文様が張っているのが特徴の男性。普段はインナーも着けずに白いロングコートを羽織っている。

その右手には骸骨を装着した杖を持っており、どこかその見た目からも含め、不気味さを感じさせる男である。

 

「それぞれがたった1人でギルドのひとつくらいは潰せるほどの魔力を持つ。

我々は数的有利を利用するんだ」

 

相手が6人であれど、その魔力量はヒビキが説明した通り一軍に表せるほどの魔力。

やろうと思えばこの6人がいれば一国すらも滅ぼせるだろう。

なら作戦でこちらが取れるなら数で押すしかないということだ。

 

「あの 私は頭数に入れないでほしいんだけど…」

「私も戦うの苦手ですぅ…」

 

「ウェンディ!弱音吐かないの!」

「大丈夫。ウェンディはボクが守るよ」

「あんたがやったらウェンディが強くなれないでしょ!?」

 

「ねぇ ねぇ どうする?おいらたちは頭数に入ってないよ」

「プイッ!」

 

 

と、まぁ実際には戦えるのはナツやグレイといった戦闘タイプだろう。

ルーシィも戦えないことはないがウェンディに関しては攻撃魔法を持ってはいないためそうなるとこちらも1人減ることになる。

だが、一夜は2人を安心させるかのように言葉を発する。

 

「安心したまえ 我々の作戦は戦闘だけにあらず!

奴らの拠点を見つけてくれればいい!」

 

「拠点?」

 

「ああ、そうだ。

今はまだ、捕捉していないが…」

「樹海には奴らの仮説拠点があると推測されるんだ。」

「もし可能なら奴ら全員をその拠点に集めて欲しい」

 

「でもどうやってだよ」

「殴ってにきまってんだろー!!!!!」

「このバカ」

「結局戦うんじゃない…」

 

「……集めた後はどうするんだ?」

 

そう、仮にその拠点に全員を集めたとしても6人が集まれば、より倒すのは難しくなる…とエルザは考えた。

 

すると、一夜は空を指すように指を立てる。

 

「我がギルドが大陸に誇る天馬…その名も”クリスティナ”で拠点諸共葬り去る!」

 

「それって魔導爆撃艇のことですの?」

 

青い天馬が所有するペガサス型空中戦艦。強力な魔力弾を放ち直下の標的を破壊することができる。

それを拠点に集めた6人をまとめて倒すという作戦である。

 

「てか、人間相手にそこまでやるの!?」

「そういう相手なのだ!」

「あ、ひゃい!!!」

 

「よいか!戦闘になっても決して1人で戦ってはいかん!

敵1人に対して必ず2人で挑むのだ!」

 

「そんな物騒なぁ〜」

「こ、困りますぅ!」

 

「情けない声出さないの!」

 

 

「よし!燃えてきたぞ!

6人まとめて俺が相手してやらぁ〜!!!!」

 

そう言い、屋敷の扉を破壊して真っ先に走り抜けるナツであった。

 

「ちょっと!ナツ!」

「まったくあいつは…」

「つか、作戦聞いてねぇだろ」

 

「それがナツです!!」




早くメリュジーヌを活躍させるためがんばるます!


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妖精騎士

フェアリーテイル見ながらfgo周回してました。フェアリーテイル久々に初めから見るとほんとおもしろくて止まらなかった


妖精騎士

 

「まとめて俺が倒してやらァァァァアアアァァァァァ!!!」

 

「フェアリーテイルに負けてられないな。行くぞシェリー!」

「はい!リオン様!」

 

「俺達も行くぞ!!」

 

 

フェアリーテイルが1番手に走る中、それぞれのギルド連盟の者たちは後を追う形で走っていき、館を離れる。

それを静止しようとしたジュラだが、もはや聞く耳持たず…こうなれば仲間であるリオンも止まらないだろう。

やれやれこの先が思いやられると感じるジュラだったが、また逆にどこかこの全員の活気よい勢いに笑みが出てくるのであった。

 

 

「ほら!メリュもみんなに着いていかないと!」

「……ウェンディとシャルルはさきに行ってて」

 

「どういうことよ!?」

 

その中、走り出そうとしたウェンディとシャルルはメリュジーヌが突然止まったことで声を掛ける。

彼女は先に行くように2人に伝えるが、なぜかみんなを追わない理由をメリュジーヌは答えない。

 

「行くわよ!ウェンディ!」

「シャルル……でも…」

「なにか理由があるんでしょ。

理由もなしにメリュジーヌが行かないわけない。それにあんたならあのナツってやつよりも真っ先に出てたでしょ」

 

「ふふっ、よく分かってるね。後でボクも追いかけるから安心して、すぐ駆けつける」

「……わかった!それじゃあ待ってるから!」

 

そう言い、ウェンディとシャルルはナツたちの後を追いメリュジーヌは一時的に離れることとなる。

 

「……さて……」

 

メリュジーヌは再び離れた館の方を見て歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ……」

「メェーン…」

「なにはともあれ。

作戦開始だ 我々もいくとしよう」

 

「ところでジュラさん…」

「む?」

「あなたは、かの聖十大魔道のひとりと聞いていますが」

 

 

聖十大魔道

 

それは評議員が認定した大陸を代表する10人の魔導士のこと。

その力は個々で最強クラスと呼ばれるほどであり、フェアリーテイルのマスター マカロフとジュラもこの聖十大魔道の1人に入っている。

 

「その実力は、マスターマカロフに匹敵するので?」

「いや、滅相もない。

聖十の称号は評議会が決めるもの、わしなど末席……同じ称号を持っていてもマスターマカロフと比べられたら天と地ほどの差があるよ」

 

「ほう…それを聞いて安心「なにが安心したんだい」」

 

すると、2人が会話していたところにとある1人の声が介入する

 

「む、メリュジーヌ殿。戻ってこられてどうかしたのか?」

 

再び館に帰ってきたメリュジーヌが一夜とジュラの前に現れた。

 

「な、なにか忘れものでもしたのかな。」

 

「ああ、なに……さっきからどうにもボクの鼻に刺さる匂いがしてね」

「む?それは一夜殿の魔法のことかね?」

 

「………いや、星霊の臭い匂いだよ!」

 

それとジュラと話していた場所から一瞬にしてメリュジーヌは一夜の前に高速移動すると、目にも止まらぬ速さで両手に装備しているメタリックブルーの小楯を一夜の腹へと炸裂させる

 

「ぐほっ!?!!??」

「なっ!?メリュジーヌ殿!一夜殿になにをっ!?」

「こいつは一夜に化けたふざけた星霊って訳だよ!」

 

すると、小楯から自身の魔力放出することによって館の壁へと吹き飛ばす。

吹き飛ばされた一夜は能力が解けたかのように分散する。

そこには小さな青い人形のようなモノが二体現れる。

 

「こいつやばい!」

「いたい!いたい!エンジェルの元に戻らないと!」

 

そう言うと、すぐに姿を消した2体の星霊。

 

「な、なんと…気づいていたのかメリュジーヌ殿…かたじけない」

「ああ、ボクは人よりも鼻が何十倍にも優れているからね。”最強種”であるボクは」

 

と、すこし自慢げに語るのであった

 

「恐らく、さっきトイレに行ったところですれ違いでやられたんだろうね。」

 

「くっ、このことをみなに伝えなければ…」

「ジュラ…君には一夜の応急手当を頼むよ。その後に来てくれ…君はボク以外の連合の中で一番強いからね」

 

「わかった……だがメリュジーヌ殿はどうするのだ?」

「ボク?……それは勿論、いまからウェンディのところに向かうまでさ。

じゃあ頼むよ…」

 

そう言ったメリュジーヌは全身に魔力放出によってジェット機のように空へと飛んでいくと加速して全員の後を追う。

 

 

 

「……なんという恐ろしい子だ…」

 

この数秒の行動によって彼女という存在はジュラの中で強者へと変わった。

 

 

 

ところで

 

 

 

 

 

 

 

「メ、……メェぇぇぇぇん……」

 

一方、トイレの中では、顔をボコボコにやられた一夜が気絶していたのであった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

メリュジーヌ、一夜、ジュラより先行した一同は目的でもあるオラシオンセイスと対面していた。

一同がオラシオンセイスを探すために樹海へと足を踏み出そうとしていた時、すでに用意していたブルーペガサスのクリスティーナが空中移動していたところを逆に奇襲を受けて破壊されたのだ。

 

そしてこうして、連合軍とオラシオンセイスは向き合う形となった。

 

「蛆どもが……群がりおって…」

「君たちの考えはお見通しだゾ♪

……ただ君たちの仲間のせいで向こうの奇襲は失敗したゾ…」

 

と、連合軍の前で不愉快そうにするエンジェル…

 

「そこは仕方ねぇさ。仕事は速えほうがいい。それには、あんたらは邪魔だからな…」

「お金は人を強くする……デスネ!

いいことを教えましょう。世の中は金が全て……そして「「お前は黙ってろ!ホットアイ!」」

 

 

「ぐぅ………」

 

「なんか…眠ってる人居るんですけど…」

 

ヒビキの情報通りのメンツだがこうして目の前にすると全員が全員独特なメンバーすぎるとルーシィは心のうちで思う。

 

 

「まさかそっちから現れるとはな」

 

誰も語ることなく、互いに亀裂が走る。

こうして連合軍にとっては目的である6人を前にした。

クリスティーナも破壊された以上、当初の計画の流れはもう破綻した。

なら…

 

 

「おい」

「ああ…」

 

「ふっ……聞こえるぞ…」

 

「「探す手間が省けたぞ!!」」

 

そう言い、ナツとグレイはオラシオンセイスの元へと我が先と言わんばかりに真っ先に走り出す

 

「やれ」

「OK」

 

 

ブレインはただ一言、そうレーサーへと発するとそれに答えたレーサーはその場から一瞬にして姿を消す。

すると、身体を動かして加速することでより一層、速い速度を生み出す。

レーサーはナツとグレイの背後へと周り、2人が気づいた時には…

 

「モーター!!」

 

既に攻撃を受けていた。

 

 

「「ナツ!グレイ!」」

 

 

 

……

 

 

「「えっ?」」

 

2人を心配するようにルーシィは声をかけるが、なぜか声が重ねってるように聞こえたルーシィ…隣を見ると、まるで鏡があるかのように自分が目の前に居るのであった。

向き合うルーシィ、片方は鞭を手に持つとそれで困惑していたルーシィを攻撃する。

 

「バーカ☆」

「な、なにこれぇ!?私が、え…えぇ!?」

 

「シェリー!」

「はい!」

 

ナツとグレイに続くようにリオンとシェリーも駆け出す。

 

「んぅ〜……見えた…デスネ!!」

 

ホットアイはこちらへと近づいてくる2人を相手にする。

目を光らせて魔法を発動するとリオンとシェリーが居た足場が突然、不安定になり2人はまるで初めから池沼に居たかのように柔らかくなった地面に下半身が呑み込まれる。

 

「愛などなくとも、カネさえあれば…デスネ!!!」

 

そしてホットアイは更に魔法によって柔らかくした地面を操作していき、津波のように操ると2人を完全に呑み込む。

 

「なんだこれは!?地面が…っ!!」

「愛の方が大事ですわ!リオン様」

 

 

 

 

「僕はエンジェルを」

「ずるいや!」

「俺は頭をやる!」

 

ヒビキたちも走り出し、それぞれが目的を口にして動くが加速したレーサーはそうさせまいと3人へと攻撃をする。

 

「(速い!速すぎて見えない)」

 

「速えことはいいことだ」

 

もはやレーサーを止めるものは誰も居なかった

 

 

「換装!!」

 

「”聞こえるぞ”」

 

エルザは自身の魔法 騎士(ザ・ナイト)によって鎧と武器を呼び出し、瞬時に着替える。

天輪の鎧を身にまとい、無数の剣を召喚する。

 

 

「舞え!剣たちよ!」

 

そう命令し、剣は一斉にコブラへと放たれる。

だが、コブラはその場から1歩も足を動かすことなくまるでどこに剣が来るのかがわかっているかのように避けてみせた。

 

「なっ……太刀筋が読まれている…」

 

隙をついたレーサーはエルザの背後へとまわるが、エルザはそれになんとか反応してレーサーの蹴りを剣で防ぐ。

 

「換装!飛翔の鎧!」

 

新たに鎧を纏う。

飛翔の鎧は速度をあげる豹柄の鎧と2つの双剣を手にもつ。速度を上昇させた傍から相手を斬る攻撃だが、それでもレーサーの速度を上回ることはできなかった。全てを避けられたのである。

 

「お、速ぇな!!」

「だがな、聞こえてるぞ…ティターニア!」

 

コブラはエルザの背後へとまわり…

 

「次の動きがよぉ!!」

 

その腹へと蹴りを放つ。

 

「(やはり…読まれている)」

「読まれてるだぁ?違ぇだろ!

”聞こえる”つってんだよ…」

 

 

「ぐっ……てかなんでてめぇは寝てんだよ!」

 

起き上がるナツは対面で宙に浮く絨毯の上でずっと眠っているミッドナイトへと自身の魔法 滅竜魔法を行使する。

 

「起きろやコラァ!」

 

火竜の咆哮によって炎を放つが、直撃したと思った炎はネジ曲がるようにミッドナイトを避けた。

 

「な、なんだ 今の魔法が当たらねぇ」

「よせよ

…ミッドナイトは起こすと怖ぇからよ!」

 

 

レーサーはその自由な加速でナツへと近づくと、全身へと容赦なく打撃を放つ。

それに追いつけないナツは防ぐことも攻撃することもできず、ただ一方的に受けるのみであった。

 

それぞれ連合軍は反撃の一手を繰り出そうとするが、その全てをオラシオンセイスによって上からねじ伏せられるのであった。

かの、妖精女王と呼ばれたエルザでさえも…。

現に、コブラに全ての太刀筋を読まれ避けられているのである。

 

「聞こえるんだよ…

その息遣い、筋肉の収縮、思考もな…」

 

そう答えるや、コブラはよりエルザに近づくとエルザの記憶を読み取った。

かつての楽園の塔で奴隷生活、その風景が浮かび上がると一瞬コブラは動揺する。

 

「なっ……

そうか、お前もか」

「隙あり!」

 

その隙をついたエルザは即座に剣を振り下ろそうとするがホットアイの地面の変形によって空へと吹き飛ばされる

 

「見えた…デスネ!!!」

「コブラ!もたついてんじゃねぇぞ!」

 

またレーサーも蹴りを放ち、エルザに止まることの無い攻撃が繰り出されていく。

 

「ちっ…キュベリオス!!」

 

コブラの傍らに居る紫の蛇 キュベリオスはエルザへと近づくと、その右腕に噛み付き、地面に落とす。

 

「キュベリオスの毒はすぐには効かねぇ…

苦しみながら息絶えるがいい!」

 

オラシオンセイスを前にたった数分にして連合軍は全滅状態になった。

もはや満身創痍の連合軍は立ち上がることも適わず、ただ地面に這い蹲ることしかできなかった。

 

「ゴミ共め…まとめて消え去るがよい…」

 

そうしてブレインは自身の魔法を放とうとする。

 

「なんですの…この魔力…」

「大気が…震えている!」

 

 

「助けて……メリュ…」

 

次々と倒れていくところを岩陰から隠れて見ていたウェンディ。

自分にはあの6人と戦う魔法なんてなにもなく、ただ震えて友であるメリュジーヌが来ることを願うばかりであった。

だが、それに答えるかのように空からある存在が落ちてくる…。

 

「そこまでだよ」

 

 

地面に着地すると立っていたのは駆けつけたメリュジーヌであった。

 

 

「メリュ!!」

「遅れてごめんよウェンディ…すこし遅かったようだね。」

 

倒れている連合軍を見てそう言うと…魔法の行使をしようとしていたブレインはメリュジーヌの発言に汗を流す。

 

「ウェンディ……だと……」

「どうしたブレイン」

「なぜ魔法を使わない…」

 

 

そしてメリュジーヌは歩き出し、6人の前に立ち…。

 

 

「悪いが、ここから妖精騎士のボク…メリュジーヌが全員を相手してあげるよ」

 

そう高らかに6人を前に宣言したのであった。




次回、メリュジーヌの本気(1割)が出ます

思った以上に評価や感想いただけて嬉しく思います。
自分もメリュジーヌをもっと書きたいのでこれから頑張ってくんで気長に気楽に見てくださるとありがたいです(メリュジーヌとウェンディをイチャイチャさせたいだけ)


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ペリーダンサー

気づけばお気に入り数とか跳ね上がっててびっくりしました。
こんな見てもらい、お気に入りをつけて貰えるのはほんとありがたいです

そして金木犀さん、赤頭巾さん誤字報告ほんと助かりました。ありがとうございます


「悪いがここからはボク1人で相手をしてあげるよ」

 

 

「やめろ……そいつらは思った以上に…強ぇんだぞ!」

 

静止するグレイ。

オラシオンセイスの強さはいまをもってようやくわかった。確かに一ギルド、一軍を相手にするだけの実力はある…

それを1人の少女に相手させるなどできるわけが無い…いやそもそも、相手にすらならないだろうと逃げるように言う

だが……

 

「ボクより弱い君たちが倒れるのは分かるけど、まぁウェンディに被害がなかったのは褒めてあげる。

あとはゆっくり休むといいよ」

 

そう答え返すだけであった

 

「はっ……ただのちびっ子が俺の速さについてこれるわけがねぇだろ!」

 

そう言い、レーサーはこちらへと歩いてくるメリュジーヌへと高速移動によって動き出す。

連合軍の誰も反応ができなかった速度、既に背後にまわったレーサーは背中に加速させた蹴りを放とうとするが…

 

「やめろ!レーサー!」

 

ブレインはレーサーを止めようとするがそれも遅かった。

 

「なっ!?」

 

確実に入ったと確信したレーサー。

だが、見ればそれは確信から疑問に変わった

なぜ俺の足は掴まれている。ありえない……と

 

そう、メリュジーヌがレーサーの足を片手で受け止めていたのである。

 

「見せてあげるよ……本物の”速さ”っていうのは…」

 

そう言い、メリュジーヌはレーサーの足を掴んでその身を空へと投げると…

 

「こういうことを言うんだよ!」

 

地面に立っていたメリュジーヌを見ていたオラシオンセイスたちはなぜか目を瞑ったわけでも、逸れたわけでもないのにもはやその場に影すらなかった。

そしてただ強い衝撃が空で発生しているのを肌で感じて、空を見ればそこで無数の打撃をレーサーが浴びていたのを目撃した

 

「ぐあぁぁぁぁあああぁぁぁ!?!?!?!!?」

 

そうしてメリュジーヌはレーサーの身をブレインの足元へと蹴り、気絶したレーサーを渡す。

 

「どう?ボクを前にして自分が速いなんて言わせるものじゃないよ」

 

 

この時、本当の意味でブレインは冷や汗をかく。

見えなかったどころではない。動いたことすら、察知することすらもできなかった。

まるで初めからその場に居なかったかのように消え失せた目の前の少女…

そして自身の足元で気絶している仲間のレーサーを見て確信をした…

だが、ブレイン以外の4人は仲間をこんなにされて黙っていられるわけもなく…

 

「てめぇ!!いけ!キュベリオス!!」

「これは黙っていられない……デスネ!」

「許さいないんだゾ!」

 

それぞれがメリュジーヌを囲うように魔法を行使する。

コブラはキュベリオスに命令してその肌に噛みつかせる。

それに抵抗することもなく、メリュジーヌは肩に噛まれている生物を見つめる。

 

「はっ!態々、キュベリオスに噛まれるたぁ!てめぇはもうおわ「ボクにこの程度の毒が効くと思ってるの?」……は?」

 

噛まれても尚、平気な顔でメリュジーヌはキュベリオスの顔を掴んでは肩から離れさせるとそのまま地面へと叩きつけてキュベリオスを気絶させる。

 

「キュベリオスー!!!」

 

「視えた……デスネ!!」

 

ホットアイも同様に魔法を発動したことでメリュジーヌの足元が崩れて、下半身を呑み込む。

そして地面を変形させて操作し、そのまま全てを呑み込んで窒息させようと計画するが……

 

「この”程度”の魔法で死ぬほどボクは簡単な仕組みじゃあないんだよ」

 

 

そう言うと、ただの魔力放出によってメリュジーヌはホットアイの魔法を打ち消してみせた。

その力にオラシオンセイスは全員が心の内で感じた……

 

 

 

”規格外”だ……と

 

 

 

 

 

 

それは連合軍も同様だった。

 

「何なんだあいつ……」

「強い……」

 

「メリュジーヌって子がこんなに強いなんて……」

 

先程まで連合軍を圧倒したオラシオンセイスがこうも簡単に赤子のように相手されている目の前の光景が信じられなかった。

先ほどのレーサーへの攻撃も誰も目で追うことすらできなかった。

それはあのエルザですらもだ…

 

「(私ですらあのレーサーという男の速さにやっと追いつけるほどなのに、メリュジーヌはそれを容易く目で追い…更にはその何倍もの速さを見せつけた。まるで話が違う)」

 

 

「な、なんなんだゾ!?お前は!!」

「悪いが敵には容赦しないから」

 

そう言い、まとめてトドメを刺そうとメリュジーヌは自身の魔力を高めるが…

 

 

 

 

「そこまでだ」

 

 

 

メリュジーヌの行動を止めたのはブレインだった。

 

「っ!?ウェンディ!!」

「ご、ごめんメリュゥ……」

 

自身が相手していた間にブレインはウェンディを捕らえていたのだ。

 

「くそっ…(ボクとしたことが情けない…)」

「どうやら天空の巫女と親密な関係らしいな。貴様は……まさかお前ほどの大物が隠し玉として出てくるとは思ってなかったぞ。妖精騎士」

「ウェンディをどうするつもりだ…」

 

「なに、少しこいつにはやってもらいたいことがあるのでな。もしなにかしら、我らに被害が出る動作をしてみせろ……その時はこの女を私の魔法で殺す」

 

そう宣言して自身の持っていた魔杖をウェンディの首元に突きつける。

どこから手に入れてのかは知らないがメリュジーヌの情報も持っているブレインはウェンディを捕らえたことで一時的にメリュジーヌを抑えることに成功した。

 

「わかった。……だが、ウェンディを傷つけてみろ…その時は”竜”の怒りを思い知ることになるぞ人間」

「我々も全滅はごめんだ。少し協力してもらうだけさ」

 

 

そう言うとブレインは自身の魔法によって黒緑のゲートを生み出す。

メリュジーヌは自身の装備を解除してブレインへと近づく。

 

「ご、ごめんねメリュ…」

「気にしないで。君とシャルルだけはボクが守ってみせるから」

 

「さぁ、入れ」

 

ブレインの開いたゲートをメリュジーヌは潜り、ウェンディも連れていかれそうになっていたところを…

 

「ウェンディ!メリュジーヌ!」

「シャルル!」

「待ってて、おいらが助けるから!」

 

連れ去られるウェンディを見てシャルルとハッピーが走り出す。

そしてウェンディに近づいた2人、シャルルがウェンディの手を掴んだ……と思いきや、

 

 

「あ、あれ」

「ちょっとあんた!!」

 

「ナツゥー!」

「シャルルー!」

 

そうしてウェンディとハッピーはブレインによって連れ去られ…

 

「うぬらに用はない。妖精騎士が居ないのなら赤子も同然……消え失せろ!!常闇回旋曲(ダークロンド)!!」

 

そうしてブレインは魔杖から闇のエネルギー波を連合軍へと放ち、全員をまとめて消そうとするが…

 

 

「岩鉄壁!!」

 

ジュラの魔法によって大地の形を変えて、ブレインの魔法を相殺して全員を守る。

 

「間一髪…」

「ジュラ様!!」

「おお!」

 

「すごいやジュラさん!」

「ありがとう。助かったよ」

 

全員を守ることができたジュラだが、それでも着いた時には既にここで行われた戦いは終わっていた。

メリュジーヌの参戦もあって相手にも予想外の結果が生まれはしたが、それでも奴らの計画に破綻する程のモノではなかっただろう。

 

「クソ…あいつらは……ってありゃ?」

「消えちまったか」

 

先程まで居た6人はブレインが魔法を放った後にここから姿を消していたのである。

 

「ンだと、コラァ〜!!!」

「ウェンディ…」

 

なんとかダメージを受けていながらも立ち上がる連合軍

 

「完全にやられた」

「あいつら 強すぎるよ。メリュジーヌちゃんとジュラさんが来てくれたおかげでなんとか助かったけど……僕らじゃ手も足も出なかった…」

 

「オラシオンセイス…なんてやつらだ…」

 

 

こちらは数で押し切るつもりだったのに、それすら手玉を転がすかのように弄ばれ、こちらに大ダメージを与えたのだ。

ヒビキや連合軍はアーカイブで手に入れた情報以上のモノが奴らにあることを思い知る。

 

「頼りのクリスティーナまで…」

「うむ。こちらも危ういところだった…

あの心がのぞける女の使い魔…恐らく精霊。こちらの計画がバレていたのだ……一夜殿に化けて、メリュジーヌ殿が居なければワシもやられるところだった」

 

「あの、あれに乗っている人達は!?」

「それなら問題ない」

「クリスティーナは目的地まで遠隔操作で向かうから、仮説拠点が判明した後で僕たちが乗り込むはずだったんだ」

「そっか……よかったぁ…」

 

「オラシオンセイスめ……我々が到着した途端に逃げ出すとは…さては、恐れをなしたな!」

「あんたもボロボロじゃねぇか!!」

 

ボロボロになりながらも一夜の周りに煌めく輝きは光を失うことなく一夜が傷ついていても輝き続ける

 

「これしきの怪我なんでもなぁい。

みなさんにも私の痛み止めのパルファムを」

 

試験管のフタを開けて、そこから出てくる一夜の魔法 香り(パルファム)によって傷を追った連合軍の痛みを一時的に和らげていく。

 

「あいつら、よくもウェンディとメリュジーヌとハッピーを……どこだ!どこ行ったコラァ〜!!!んぐっ!?」

 

数秒前にボロボロにされたというのにそんなこと気にしてないと言わんばかりの勢いでナツは立ち上がり、消えたオラシオンセイスを探しだそうとするが後ろからマフラーを引っ張られて首が締まった状態で倒れる。

 

「翼!?」

「猫が飛んでる!!?」

 

見ればシャルルの背中から2つの翼を生やし、空を飛んでいるのである。

 

「これは翼(エーラ)っていう魔法よ。

ま、驚くのも無理はないでしょうけど「ハッピーと被ってる」なんですって!!」

 

「自分が驚いてるじゃないの…」

「とにかく!ウェンディとメリュジーヌ、オス猫のことは心配ですけどやみくもに突っ込んでも、勝てる相手じゃないってわかったでしょう」

「シャルル殿の言う通りだ。敵は予想以上に強い」

「メェーン…」

 

強さだけでなく、相手の情報も足りないこの現状においては……更には…

 

「ぐぅ……うぅ……」

 

エルザは木に持たれながら、キュベリオスに噛まれた右腕を抑える。

 

「エルザ…」

「しっかりして!!」

「……うっ……ぐぁあ……」

「ヘビに噛まれたところから、毒が回ってるのね…」

 

コブラはすぐに効くものではなく、遅効性でゆっくりと毒が回るモノだと言っていた。

つまりはこのままエルザは身体を毒に犯されていき、いずれは最後に抵抗する力と失い毒に殺されることになる。

 

「一夜様…」

「わかっている。マイハニーのために…

痛み止めのパルファム、香り増強!!」

 

試験管から放たれる痛み止めのパルファムに一夜は自身の魔力を更に注ぎ込むことで効力をより強くする

 

「でも、痛み止めで毒が治るの?」

「先輩のパルファムは傷だけじゃなくて、毒の浄化作用もあるんだ。」

 

痛み止めのパルファムを放たれるエルザだが、それでも一向に毒が治るどころか収まることを知らずにゆっくりと広がっていく。

 

「エルザ!大丈夫か!?」

「よ、余計苦しんでねーか?」

「お、おやぁ……め、めぇ〜ん……」

 

「どうしよう…」

「ルーシィ…すまん。ベルトを借りる」

 

そうルーシィの言葉を聞く前にエルザはベルトへと手を掛けて、取る。

 

「ちょっ!?いやぁ〜////」

 

勿論、ベルトが外れたことでスカートが脱げてブルーペガサスの3人は目をハートにするが、後にルーシィにボコられるのであった。

 

「ベルトでなにするのよ…」

「すまん。このままでは戦えんのでな」

 

そう言い、エルザはベルトを毒が回っている右腕へと強く巻いていき…

 

「斬り落とせ!!」

 

「なっ!?」

「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ!!」

「頼む……誰か……」

 

静まる一同…、だがそんな中エルザの腕を斬り落とす役目に出たのは…

 

 

 

 

 

「わかった…俺がやろう。」

 

リオンであった

 

「リ、リオン…本当にやる気なの?」

「今、俺たちはこの女を失う訳にはいかん。」

 

実際、エルザの戦力もオラシオンセイスを倒すことにおいては必要戦力だ。

それをリオンはわかっており、このまま毒で死なれては困ると合理的な選択を取る。

 

「けど…」

「もう!どれだけ甘いんですの!妖精さんは!!

このままでは、エルザさんは死んでしまいますのよ…」

「あんたに何がわかるっていうのよ!」

「これも、リオン様の愛ですわ…」

 

「やるんだ早く!このままでは全身に毒が回る!」

「やめろ!リオン!」

 

「貴様はこの女の命より、腕の方が大事か?」

「他にも方法があるかもしれねぇだろ…短絡的すぎだ…」

「相変わらず甘いな 。グレイ…」

 

連合軍で不穏な空気が走る。

エルザやジュラ、リオンは腕を斬り落とすことに、だがグレイやヒビキなどは他にも方法があると……

だが、こうして互いに仲間同士言い合ってる間にウェンディたちは危険な敵の手中に、そしてエルザは毒がゆっくりと全身に回っていっている。

最終的にはどちらかを決めるしかない……

そんな中……

 

 

「ウェンディなら助けられるわ」

 

 

シャルルの一言にみなが反応する。

 

「今は仲間同士で争ってる場合じゃないでしょ。

力を合わせてウェンディとメリュジーヌを助けるの…ついでにオス猫も」

「あの小さい子が解毒の魔法を使えるの!?」

「すごいな」

 

 

「解毒だけじゃないわ。解熱や痛み止め、傷の治癒もできるの。」

「な、なんか…私のアイデンティティーが脅かされているような…」

 

「…でも、治癒の魔法ってロストマジック。失われた魔法じゃなくて?」

 

治癒の魔法は一夜の痛み止めのパルファムの完全上位互換とも呼べる。

治癒の魔法を扱うものは早々、魔導士には居ない。

 

「まさか、天空の巫女ってのに関係あるの?」

「ウェンディは…あの子は天空のドラゴンスレイヤー….天竜のウェンディよ。」

 

 

「「「「「なっ!?!?!」」」」」

 

 

「……ドラゴンスレイヤー」

 

ナツと同じドラゴンスレイヤー…

滅竜魔法をドラゴンから教わった存在…

だが、一つナツの中で引っかかるモノがあった

 

「ちょっと待て!あのメリュジーヌって奴は自分でドラゴンって言っていた!あいつもドラゴンスレイヤーなのか!?」

 

そう、ブレインとメリュジーヌのやり取りの時…

 

『わかった。……だが、ウェンディを傷つけてみろ…その時は”竜”の怒りを思い知ることになるぞ人間』

 

 

そうメリュジーヌは口にした。

それを確かにナツは聞いたのだ

 

 

「あの子はドラゴンスレイヤーではないわ。

でも……メリュジーヌはドラゴン……に限りなく近い存在の子よ」

「ドラゴン……イグニール…」

 

ここに来て2つの衝撃的な発言をシャルルは連合軍の前で語る。

だが、いま2人のことを詳しく語るにはあまりにも時間がなさすぎる

 

「詳しい話はあとよ。いまはエルザを助けること…いま私たちに必要なのはウェンディよ。あいつらもウェンディを必要としている。」

 

「となれば…」

「やることは一つ…」

「ウェンディちゃん達を助けるんだ!」

 

「エルザのためにも」

「ハッピーもね!」

 

「よぉぉし!行くぞぉぉぉおおぉ!!!!」

「「「「おー!!」」」」

 

 

ここに連合軍は団結した




早くウェンディとメリュジーヌでイチャイチャさせたい(白目)


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天空の巫女

うおおお、気づいたらUA1万行ってたり、お気に入り300超えてたり、評価数10超えてたり……しかもランキングに58位に入っていたり……ほんと読んでくれてありがとうございます!!!!!

これからも頑張っていくので楽しく読んでもらえるように書いていきます!!(文才はありませんが笑)


ワースの樹海の奥、所々に残る古代人が使用していたであろう建物とその建物と土地を囲むように滝が流れている。

そしてその奥にある洞窟は村の神事の際に、巫女がこもり神の言葉を聞いたという…

 

しかし、今ではもはや誰も住めるようなところではなく、ただ建物が残った廃墟とも呼べるだろう。

そこはオラシオンセイスは隠れ場所として使用していた。

 

「「うわぁ!?」」

 

ウェンディ、ハッピー、そしてメリュジーヌはオラシオンセイスに捕らえられて現在この洞窟の中に連れてこられたのであった

 

「乱暴するな!女の子なんだぞ!」

「ハッピー…」

 

その言葉を聞いてブレインはハッピーの顔を掴み、持ち上げる。

その強く、握り締めていきハッピーはそれに抵抗するも大きさもあり何も出来ずに掴まれたまま…

 

「ふん…」

 

投げ飛ばすのであった

 

「ハッピー大丈夫…」

「うぐ…安心してウェンディ、メリュジーヌ…オイラが絶対逃がしてあげるからね」

「頼もしいね」

 

そう、安心させるようにハッピーは言うものの、3人の前にはオラシオンセイスの全員がこちらを逃がさんとばかりに見つめてくる。

 

「ブレイン。この娘はなんなんだ…ニルヴァーナと関係してんのか?」

「そんな風には見えないゾ?」

 

「そうか!売ってお金にするつもりデスネ!!」

「おめぇは他のこと考えられねぇのかよ」

「金さえあれば、愛でも手に入りますネ!!」

 

「こやつは天空魔法、治癒魔法の使い手だ…それもドラゴンスレイヤーだ」

「「「ドラゴンスレイヤー!?」」」

 

「ってことはコブラと同じなんだゾ!?」

 

「え……」

 

その言葉にウェンディも反応する

 

「はっ、そんなことぁどうでもいいさ」

「これは、金の匂いがしますネ」

 

「このウェンディを使い、”奴”を復活させる!」

 

彼らの中で共通認識でもあるその者をウェンディの天空魔法、治癒魔法を利用して復活させるのだろう。

 

「奴って誰だ!」

「よ、よくわかりませんけど…私、悪い人たちに手は貸しません!」

 

メリュジーヌでも誰かまでは推測できないが、少なくともオラシオンセイスほどのモノたちがウェンディの治癒魔法を借りなければならないほどのモノ、ということはなにかしらその者は致命傷を追っているのか、それ以上のナニカだろうと予測する。

 

「貸すさ。必ずな…

うぬは必ず、奴を復活させる」

 

「…(ウェンディが必ず復活させると、どこからそんな確信を得ている?少なくともボクらのギルド…ケット・シェルターはフェアリーテイルやラミアスケイルほど大きなモノじゃない…それこそ知られるほど活動をしている訳でもない…)」

 

初めに連合軍が集結する際に、ケット・シェルターの名前を出した時にルーシィや他のメンバーも名前に覚えがない程だ。

それにケット・シェルターの活動はそれほど広くもなく、他ギルドと交友なんてする訳でもないから関係は絞られるだろう…

 

 

 

「(ウェンディが絶対に復活させるほどの存在……まさか……)」

 

 

メリュジーヌはウェンディから”ある男”について聞かされたことがある。

だが、まだそれが本当かは分からない…その男の情報もウェンディから聞いただけに過ぎず、メリュジーヌが知り得るのは名前だけだった…

だからいまは心の内に潜めて、メリュジーヌはウェンディとハッピーの傍から離れずに守るようにしていた

 

「レーサー、動けるか?」

「ぐっ……まだそいつに受けたダメージが残っている……くそっ……この俺が…」

 

レーサーは自身のスピード以上を出せるモノなどこの世に存在しないと自負していたが、それも呆気なく目の前の少女に越されて更には反応すらできずに大打撃を与えられた。

その痛みもここで苦しむほどにまだ残っていたのだ

 

「ふむ……ウェンディ、うぬがレーサーを治せ」

「わ、わたしは!「ウェンディ、ここは言うことを聞いておこう」な、なんで…」

 

「えっ!?な、なんでだよ!!オイラやメリュジーヌが居ればこんなヤツらボコボコにできるよ!」

「ごめんよハッピー。

ボクもそうしたいけど、いまボクらに拒否権はないんだ……悔しいけど、いまはそこの奴の言うことを聞いた方がいい。」

「ふん、よく分かっているようだな」

 

 

「……わかったよ。メリュジーヌが言うなら…」

 

そう言い、ウェンディはレーサーに近づくと治癒魔法を掛けてレーサーの傷と痛みを治していく

 

「これが治癒魔法……天空魔法か…」

「レーサーよ。”奴”はここに連れてくるのにどれくらい時間が掛かる?」

「……遠いな。いくら俺でも1時間はかかるぞ…」

「かまわん。」

 

「なるほどな。あいつが復活すればニルヴァーナは見つかったも同然だ…」

「コブラ、エンジェル、ホットアイ…。

貴様らは引き続き、ニルヴァーナを探せ」

 

「でも、あの人が復活すればそんな必要ないと思うゾ」

 

3人を無視して話を進めるオラシオンセイス。

 

「だから、誰を復活させようとしてるんだよ!」

 

「万が一、ということもある。

私とミッドナイトはここに残ろう…」

 

「なら、競争しない?先にニルヴァーナを見つけた人が…「賞金100万ジュエル…のった!デスネ!!!!!!」…100万は高いゾ……」

 

「ねぇ、メリュジーヌ…ウェンディ…。

こいつら、さっきから何の話してるの?」

「わ、わかんない私にも…。

一体どんな魔法なの…ニルヴァーナって」

 

 

「ふっ…光と闇が入れ替わる魔法さ」

「随分と曖昧な言い方だね」

 

「お前ほどのモノならもう察しはついているんじゃないか?」

 

「………さぁね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ウェンディ達が捕らわれ、ニルヴァーナを探し始めた裏では…ナツ達一同は数組に分散してウェンディ達を探していた……。

 

 

「フェアリーテイル」のナツとグレイ、そして「ケット・シェルター」のシャルル

 

 

「ラミアスケイル」のリオン、シェリー、ジュラ

 

 

「ブルーペガサス」の一夜、レン、イヴ

 

 

 

 

「……待ってレン。一夜様の姿が見えない!」

「一夜様、どこに?」

 

 

 

 

その頃、樹海の中で……

 

 

 

 

 

 

「れぇ〜ん……いヴ〜……どこに行ったぁ……

 

 

 

メェェェェェン……」

 

 

案の定、逸れていたのであった。

 

そして毒に侵されているエルザの傍にはルーシィとヒビキが残っていた。

 

 

「みんな…急いで、お願い……」

「焦っても仕方がないさ。

僕らは、今僕らにできることをするしかない」

 

 

そう言い、ヒビキは自身の魔法のアーカイブを開く。

 

「向かう者、留まる者……。

僕達は即席の連合軍だけど、チームとして機能しなければやつらには勝てない…

いくらメリュジーヌちゃんやウェンディちゃんが居るからって、彼女らに頼ってばかりじゃいけないということさ」

 

「その魔法…ジュラさんがアーカイブって言ってたけど…」

「そうさ。これでみんなの動きを確認できるんだ。他にも僕たちの位置を彼らに知らせることもできる…ここを集合地点として、いざと言う時に誰かが迷った場合僕のアーカイブならすぐにでも教えられるからね。

……ナツくん達の場所は…ここか」

 

 

 

そういう、ナツ達一同は……。

 

 

「天空のドラゴンスレイヤーってさ、何食うの?」

「空気」

「うめぇのか?」

 

「さぁ?」

「それ……酸素と違うのか?」

「じゃあメリュジーヌは何食うんだ?」

「あの子は基本、食べることないわ。」

 

 

 

 

 

 

『まぁボクは人間と違って食事という食事をそれほど取らなくていいからね。水さえあればどうにでもなる』

 

 

 

「な〜んて、ウェンディの前で言ったら怒られてたりもしてたわ…

それに、あの子はね。あんたに会えるかもしれないってこの作戦に志願したのよ」

「俺?」

「同じドラゴンスレイヤーでしょ。聞きたいことがあるらしいの

あの子に滅竜魔法を教えたドラゴンが7年前にいなくなっちゃったんだって…あんたなら、そのドラゴンの居場所を知ってるかもって」

 

777年7月7日……。

その日をもってウェンディの親ともいえるドラゴンは彼女の前から姿を消した。

 

「そのドラゴンの名前は?」

「天竜グランディーネとか言ったかしら?」

 

ナツを育てたイグニールもガジルを育てたメタリカーナもその日に姿を消したと言われている。

これは偶然にしてはあまりにも出来すぎているとナツの中で考える。

そんな同じ日にドラゴンが突然姿を消すものなのか……

 

 

「そうだ!ラクサスは!?」

「じいさん言ってたろ。あいつはドラゴンスレイヤーじゃねぇ」

 

ラクサスは幼い頃、身体が弱く魔法という魔法を覚えられるほどではなかった。

だから生みの親であるイワンは彼の肉体に雷の滅竜魔法の魔結晶を埋め込んだことによってラクサスは雷竜の力を扱うことができている。

だから彼らの育て親はドラゴンでもなんでもないのだ。

 

「メリュジーヌの親もグランディーネなのか?」

「………いいえ、彼女は別よ。言ったでしょ…ホンモノのドラゴンに限りなく近い存在」

 

「その限りなく近い存在ってのがどういうことかイマイチ、俺にはよくわかんねぇんだが」

 

グレイは疑問を口にする。

それはつまり、ドラゴンなのか…そうじゃないのか……ナツたち同様に滅竜魔導士なのか…

それが掴みきれなかった。だがあの強さは少なくとも、あの小さな少女が出せる力ではないと言い切れるだろう。

 

「私も詳しくは分からないわ。でもメリュジーヌは私とウェンディの前で1度、自分のことを話したことがある……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、神竜と呼ばれたドラゴンが居た。

そのドラゴンはかつて魔法と呼ばれるモノが生まれるよりも前、あらゆる種の頂点に立っていたドラゴン……竜種における「冠位」。

 

ドラゴンからも恐れられていたそのドラゴンの名は「アルビオン」と呼ばれていた。

メリュジーヌの話だと、地球が誕生した時から居たとか……。

 

神竜アルビオンは神秘がまだこの世の大地に輝き続けていた時代よりも前から存在していた。

だがある時代から人間は魔法という手段を得たことで、世界にあった神秘はゆっくりと消えていった。

 

「ここはもう人間の世界だ」とやがて受け容れ、世界の裏側…星の内海へ移動しようとした時には既に裏側へ移動するための孔を穿ちようがないほどに神秘は衰退しており、転移のしようなどなくなっていた。 それでもアルビオンが諦めることはなく、『神秘による転移ができないのなら、物理的に移動する』と神秘の残る地底へと潜っていき、最期は地中で力尽きた。

最後まで諦めず、アルビオンは自身の左腕を切り捨ててまで進もうとしたがそれは叶わなかった。

 

切り離された左腕は湖の中で動くことすらないままのただの肉塊でしかなかった。

ソレに興味を持つものは居らず、ただ不気味がる奴しか居なかった……

 

だがそんな中、そんなものに興味を抱いて唯一肉塊に近づいた少女が居た。

 

 

 

 

 

『…大丈夫?』

 

 

その時にメリュジーヌはウェンディとシャルルと出会ったのだ

ウェンディのその一言で命は救いあげられた

 

 

「……どういうことだ?」

「ちゃんと聞けばかが「んだとぉ〜!?」

つまり、神竜……神の竜か……メリュジーヌはそのアルビオンの左腕……ってことで合ってるのか?」

「そういうこと……らしいわ。

メリュジーヌが語る限りではね…」

 

 

その話が本当なのかどうかは分からないが少なくとも、それが本当ならメリュジーヌはドラゴンの部類に入るだろう。

ナツもメリュジーヌを匂った時からドラゴンの匂いがしたと感じていた。

 

「もしかすると、メリュジーヌに聞いたらイグニールやグランディーネのことも知ってんじゃねーのか?」

「確かに!グレイ頭いいな!!」

「ウェンディが聞いてたけど知らない…もしくは覚えてないって言ってたわ。」

「そうなのか…」

「わかるくらいションボリすんな」

「…それよりも……ってなによこれ!?」

 

話しながら走り、前を見れば樹海が黒く染まり、自分たちが立っている場所とはまるで違う異世界が目の前に広がっているのでないかと思ってしまうくらいに木々が、大地が全て漆黒に染まっていた。

 

「木が……黒い……」

「気持ち悪ぃ…」

 

すると、ナツ達の背後から足音が聞こえてくる。

 

 

「ニルヴァーナの影響だって言ってたよな。ザトー兄さん」

「ぶわぁっほぉ〜。あまりにも強い魔法で大地が死んでいくってなぁ…ガトー兄さん」

 

 

 

 

辺りを見ればいつの間にか、無数の男たちにナツ達は囲まれていた。

 

「ちょ、ちょっと囲まれてるわよ!?」

「ニルヴァーナの影響だってなぁ」

「さっき言ったぜ☆ガトー兄さん」

「そうだったかい?ザトー兄さん」

 

 

目の前の兄弟?含めて囲んでいる男たち全員がどこか猿を思わせるような顔をした者達だ

 

「うほほぉ!!

サルだ!サルが2匹いんぞ!おい!!」

 

「オラシオンセイス 傘下…ネイキッドマミー」

「ぎゃっほぉー!遊ぼうぜぇ」

 

「闇ギルドの1つか…」

「やられた……。

敵は6人だけじゃなかったのね!!」

 

 

「ああ……だが、こいつは丁度いい!!」

「ウホホホホ〜♪ちょうどいいウホ〜」

「何言ってんのあんた達!?早く突破して逃げないと!!」

 

「逃げるだァ?何言ってんだ

せっかく向こうから出てきてくれたんだ……奴らの拠点の居場所を聞き出す!!!」

「待ってろよ!ハッピー!ウェンディにメリュジーヌ!!!」

 

「フフン、終わりだぞ!てめぇら!!」

 

囲われて、数も圧倒的に向こうの方が多い。

だと言うのにシャルルは目の前の2人の男、ナツとグレイは堂々と敵の目の前で倒すと高らかに宣言しては、魔法を使う構えを取ってみせた。

 

「なんなのよ…フェアリーテイルの魔導士は……こんな大勢に勝てると思ってるの!?」

 

 

 

 

その頃、ナツ達がネイキッドマミーに襲われていた直後、他の別チームも別の傘下闇ギルドに奇襲を受けていた。

新たな敵に囲まれながらも、それぞれは捕らわれたウェンディ達のために止まれないと邪魔をしてくる敵を倒していくのであった。

 

そして…この男もまた襲われていた。

 

 

 

「メ、メェ〜ン。

ちょ、私、みんなとはぐれて1人になっちゃって…だから決して怪しいものじゃ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

メェーーーーーーーーーン!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、闇ギルドとの戦闘が樹海で行われている間にレーサーはブレインに言われた通り戻ってきた。

 

 

「まいったぜ……。

思ったより時間かかっちまった…。こんなに重いとスピードも思うように出ねぇ」

「なにを言うか。ぬしより速い男など存在せぬわ」

 

「目の前のやつにやられたけどな」

 

そう言い、レーサーは睨むようにメリュジーヌを見る。

 

「あやつはもはや人間の枠にすらならんさ」

「ふん……」

 

そう言い、帰ってきたレーサーが連れてきたのは人ではなく巨大な紫の棺桶だった。

鎖で厳重に縛られており、中からも外からもそう簡単に開けることはできないだろう

 

「あれは……」

「棺桶?」

 

「ウェンディよ。お前にはこの男を治してもらう」

「私!そんなことしません!」

「そうだそうだ!!」

 

「いや、お前は治すさ。治さねばならんのだ……」

 

 

そう言い、ブレインは魔杖を棺桶へと向けると鎖が全て解除される。

そうしてゆっくりと棺桶の蓋が消えていき、中身が顕になる……

そして中に捕らわれているのは……

 

 

 

「え………」

 

「この男はジェラール。

かつて評議員に潜入していた男だ」

「そんな……そんな…」

 

「…やっぱりか」

 

メリュジーヌは横目でウェンディを見ると口を開けて驚いている姿を見る。

 

「つまり、ニルヴァーナを知る者だ」

「…ジェラール……」

「えっ、知り合いなの!?」

 

「エーテルナノを浴びてこのような姿になってしまったのだ。

だが、死んでしまったわけではない。」

 

ジェラールはかつて楽園の塔の支配者であり、評議員にジークレインとして潜入していた男。

ゼレフ復活を計画していたが、エルザやナツ…フェアリーテイルの活躍でその計画は失敗に終わり、楽園の塔が崩壊した後に行方不明になっていた。

その後、どういう風に捕らわれたのかは分からないが今こうしてハッピーにとって強敵だった男がいま目の前で縛られて生きていることを知る。

 

「元に戻せるのはうぬだけだ。

この男はお前の恩人なのだろう?」

「えぇ!?」

「……っ………」

 




一応、メリュジーヌの竜化……とかは考えたりしてます。(まぁほぼもっと先の話になりますが)
この世界のアルビオンは神竜、純血竜、境界竜とか呼ばれてたりしてたけどいまの時代では昔過ぎて情報がほぼないって設定です(評議員の上の人ですらその名前があることしか知らない)のでウェンディとシャルルはこの時点でとんでもないことをメリュジーヌから聞いてることになってるけど……まぁそれを知るのはもっと先の話ってこと!


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少女と亡霊

「俺たちの恐ろしさを思い知らせてやろうぜ。ザトー兄さん」

「ひゃっほぉう。早いとこやっちまおうぜガトー兄さん」

「野郎どもやっちまえ!」

 

 

「つーかどっちも兄貴かよ。やるぞナツ!」

「おうよ!!猿狩りだぁぁあ!!!」

 

そう言い、囲われていたナツとグレイは一斉に襲いかかってくるネイキッドマミーの魔導士たちをいとも容易く倒していく。

ナツの火の滅竜魔法、そしてグレイの氷の造形魔法によって……

その様子を見ていたシャルルはこいつらも化け物だ……と感じとるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ウェンディ達の居る洞窟では…

 

 

「ジェラールが…なんでここに……」

 

棺桶の中に縛られているジェラール…

青髪の右目付近に赤い紋様を刻んだ男……

 

 

「ジェラールって、あのジェラールだよね……」

「ハッピーも知ってるの…?」

「知ってるもなにも、こいつはエルザやナツ…みんなを殺そうとしたんだよ

それに評議員を使って”エーテリオン”まで落としたんだ!」

 

エーテリオンとは

評議院の保有する超絶時空破壊魔法。宇宙空間の「衛星魔法陣(サテライトスクエア)」から標的にした大地に放つ超特大魔力の塊。その1発だけで国1つを滅ぼせるほどの力を持っているとされ、ジェラールはそれを利用して楽園の塔を完成させるために利用したことがあったのだ。

 

「そう……みたいだね…」

「生きていたのか…こいつ!!」

 

「この男は、亡霊に取り憑かれた亡霊……。

哀れな理想論者…しかし、うぬにとっては恩人だ」

「……っ……」

「恩人?どういうこと!?」

 

「さぁ、早くこの男を復活させろ」

「ダメだよ!絶対こんなヤツ復活させちゃダメだ!」

 

「復活させぬなら…」

「やめてぇ!!」

 

ブレインはジェラールの首元にナイフを刺し、次は確実に斬ると言わんばかりにナイフをジェラールの首元に押し付ける。

勿論、意識のないジェラールには抵抗する力も存在せずジェラールの命は今、ウェンディの手に掛かっていることになる。

 

「お願い…やめて……」

「治せ。うぬなら簡単だろう?」

 

「ジェラールは悪いやつなんだよ!?ニルヴァーナだって…」

「それでも私…この人に助けられた…。

大好きだった……なんか悪いことをした噂は聞いたけど…私は信じない…」

「何言ってるんだ!現にオイラたちは「私は信じない!」」

 

「まぁ待ちなよハッピー」

「ど、どうしたんだよメリュジーヌ…」

 

少なくともハッピーたちは目の前の男と面識があるようだが、印象は最悪と見ていいだろう。

ハッピーの怒り具合からしても…

 

「君たちにとっては敵…だとしてもウェンディにとっては大切な人の一人だ。

ボクもウェンディの口でしか聞いたことないが、それを考えるとジェラールがそんなことするとは思えない」

「メリュ……」

 

 

ジェラールの話をする時の君はいつだって楽しそうに話す……そう心の内でメリュジーヌは楽しそうに話すウェンディの笑顔を思い出す。

 

「……すこし考えさせてください…」

「ふっ、よかろう。5分だ」

 

 

 

「(ナツゥ…不味いよ!早く来てよぉ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

 

「だぁぁぁぁあ!なんだよこいつら雑魚じゃなかったのかよ!」

「意外とやるじゃねぇか!」

 

「嘘だろ。俺たちネイキッドマミーがたった2人の魔導士にやられるなんてぇ…」

「嘘だろぉ…ネイキッドマミーがたった2人の「それさっき言ったぜ。ガトー兄さん…」」

 

ナツとグレイによってネイキッドマミーの魔導士たちを倒すことには成功したが意外と弱くはなかったらしく、少し苦戦したことでナツとグレイも疲労を感じていた。

だが、こんなとこで止まっている訳にもいかず…

 

「おい阿呆ザル!おめえらのアジトはどこだ!!」

「言うかばぁか!ぎゃほほほほ!」

「この阿呆ザルぅ…っ!!」

 

そう言い、苛立ちを覚えたナツは目の前のザトーに対して頭突きをするのであった。

 

「客人…後は……頼んだぁ……」

「客人だぁ?」

 

「よぉ、燃えカス野郎!何時ぞやの時は世話になったなぁ!ハエども」

 

そう木の上から声がしたことでそちらへと振り向くナツとグレイ。

 

「なっ!?」

「おめぇは……よぉ!そよ風野郎!久しぶりだな、元気にしてっか!?」

「んな関係じゃねぇだろ!おい!!」

「空気読め…」

 

この男の名はエリゴール。

かつては闇ギルド「鉄の森」(アイゼンヴァルト)に加入していた魔導士で、ゼレフ書の悪魔「ララバイ」の能力で自分たちからギルド権をはく奪したマスター達を腹いせに殺そうと計画していたが、ナツに倒されたことで評議員に捕まるも逃走していまはオラシオンセイスの用心棒をしていた。

 

「この日を待っていたぞ。ハエ共の復讐の時を、死神の復活の日を!!」

「リベンジマッチか」

「おもしれぇ!!」

 

「あんた達まだ戦う気なの…めちゃくちゃを通り越してるわよ……」

 

 

また他のチームも同様に……

 

 

「空気魔法 エアリアル!!」

「雪魔法 ホワイトアウト!!」

 

レンとイヴは襲撃してきた闇ギルドを相手に軽々と相手にし、倒していき別の所でも…

 

 

「”合掌”岩鉄粉爆!!」

 

ピクト魔法によって描かれたワイバーンをラミアスケイルは見事倒すのであった

だがナツとグレイの元ではエリゴールの登場によって更に苦戦を強いられていた。

 

「さすがに先のサル共とは比べもんにならねぇな!!」

「任せろ!火竜の鉄拳!!」

「来い!!」

 

炎を纏った拳で殴るが風によって炎を逸らしていき、威力をエリゴールは消していく。

 

「ちょっと!炎と風って相性最悪じゃないの!!」

「属性だけで言えばな。

前の時は苦戦したらしいが、昔と今じゃあ全然違ぇさ…」

「燃えろぉぉぉおおぉぉ!!」

「こいつ!?」

 

威力を逸らしているように見えたが、逆にナツの魔力によって炎は増していき、風では逸らしきれないほどになっていき…

 

「火竜の鉤爪!!」

「ちっ…小僧!随分と力を上げたようだな!」

「悪ぃがエリゴール…そろそろお前をぶっ飛ばしてハッピー達を探しにいかなきゃならねぇからよ!」

「余裕こいてんじゃねぇ!これでも喰らえ!翠緑迅(エメラバラ厶)」

 

強力な鎌鼬を起こして、その鎌鼬をナツへと放つ。その威力によって周りにと衝撃を放つほどでいまにも吹き飛ばされそうなシャルルを捕らえ、グレイは身を縮める

 

「はっ、どうだこの破壊力。俺だって遊んでた訳じゃねぇさ…てめぇに復讐するためにち力をつけ「くだらねぇ…」なっ!?」

 

「復讐がどうとか、相変わらずちっせぇことやってんじゃねぇぞ…エリゴール。」

「なにぃ!?」

「もっとあんだろ。なんかこう…燃えるような理由とかよ」

「っ……そうだな。もう関係ねぇさアイゼンヴァルトもオラシオンセイスも……俺は一魔導士としててめぇに勝つ!!!」

 

ナツの一言によって吹っ切れたエリゴールは更に自身の魔力を高める

 

「はっ、上等だ!!かかってこいやぁぁ!!」

 

それに答えるナツ。

相手がその気ならこちらも全力で答えると言わんばかりに魔力によって炎を生み出し、ナツは全身に待とうと吹き荒れるように炎が天にまで届く。

 

「おおぉぉぉぉおおお!!」

「これで吹っ飛べぇぇ!!!」

 

 

 

 

「魔風掌!!!!!」

 

エリゴールの全力風撃を放つ。

だが砂煙の中からナツは攻撃を受けながらも両拳に炎を纏わせてエリゴールへと向かい…

 

「紅蓮火竜拳!!!!!!!」

 

 

その風を圧倒するかのような炎によって無数の拳をエリゴールへと放つのであった

 

「か、かなわねぇ……」

 

「もうちっと手早く終わらねぇのかよ!」

「や、やるわね(これが…サラマンダーの力…)」

 

「おいコラ!寝てんじゃねぇぞ!ハッピーとウェンディにメリュジーヌはどこだぁ!!」

 

そう言い、気絶したエリゴールに許さんとばかりに身体を揺らして無理やり起こそうとする

 

「オイオイ」

 

「わかった!言うから…言うから脳を揺らすのやめろぉぉおぉおおぉぉぉ!!」

 

エリゴールの悲鳴が響くのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれのチームが情報を手に入れている間、あの男は……

 

「今日のところはこれくらいで許してやろう。命拾いしたな若人たちよ…」

 

戦闘の後だと言わんばかりに顔に傷を受けた一夜……レンとイヴの2人とはぐれた後に襲撃を受け、彼らと同様に倒して見せた……

 

 

 

 

「だから助けて!」

「うっせぇよ、おっさん」

「失礼な!私はまだ29歳だぞ!!」

 

ように見えただけであった。

木の棒に手と足を縛られて運ばれている一夜であった

 

「能ある鷹は爪を隠す……メェ〜〜〜ン」

 

 

 

 

 

 

そしてエリゴールからアジトの場所を聞いたナツ、グレイ、シャルル。

 

「ここか。ハッピー!ウェンディ!メリュジーヌ!!」

「ちょっと!敵が居るかもそれないのよ!?」

 

 

とシャルルの言う通り、洞窟の外からの声は案の定オラシオンセイスにも聞き取れるモノだった

 

「は、ナツだ!!」

「レーサー近づかせるな」

「オーケー」

 

そう言い、レーサーは外へと一瞬で走り出す

そうして洞窟の外に出てからも加速し続ける男は即座にナツ達の居場所を捉えた瞬間にナツの場所へと走り出し反応させずに攻撃を行う。

 

「ぐあっ!?」

「くそっ!!あいつだ!!」

 

 

「さぁ、時間だ。」

「ダメだウェンディ!こいつに「うぬは黙れ」」

 

そういい、軽く魔法でハッピーを吹き飛ばして黙らせる

 

「天空魔法、治癒魔法…今使わずして、何時使う……やれ!」

「ジェラール……」

 

「……っ……」

 

メリュジーヌはただウェンディの判断に委ねるだけだった。

ここで復活させようとさせまいと最悪はここを自分の力で抜け出して洞窟まふごと吹き飛ばすことだってできる。

だが、それを隣のウェンディが望んでいるかと言えばそうではない……

なら彼女の決断を待つしかないだろう

 

 

 

「ここは俺がやる!ナツ、お前は行ってやれ!!」

「わりぃ!」

 

「行かせるかよ!!」

 

そう言い、レーサーは加速させようと足を動かすが思うように動かず滑ったことに地面が凍らされたことに気づく。

 

「シャルル!いまだ羽を……って」

 

レーサーの先程の加速の余波で目を回しそれ所ではないシャルルが目を回していた

 

「しゃねぇ!これで行ってこい!!」

 

そう言い、崖から下に降りられる氷の滑り台を作るグレイ

 

「しっ!行くぞお!」

「ちょっとなによぉぉぉぉおおぉぉ!!!」

 

ナツに抱き上げられるシャルルはそのまま滑って下へと降りていく

 

「てめぇ…この俺の走りを止めたな!」

「滑って転けただけだろうが

それに前も自慢の速さで負けてたしな」

「言ってくれたな!!」

「オマエの相手は俺1人で充分だ!!」

 

そして下へと降りたナツとシャルルは3人を探すがどこにも居らず、シャルルは滝の向こうに洞窟があるのを見つけると

 

「きっとあの中よ!!」

「3人とも待ってろ!!」

 

そう言い、洞窟へと走り出す

そして洞窟の入口へと着いた時、中の状況に驚きを隠せないモノがナツは目にする

 

 

「なっ!?……お前は!!」

「ふっ……」

「ごめんなさい……私……」

 

計画が進んだことに喜び笑みを見せるブレイン、そして自身の行いに謝るウェンディ…

そしてナツの前に立っているその男は……

 

 

 

 

 

 

 

「ジェラール!!??」

 

 

復活を成し遂げたのであった



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デッドGP

久々にフェアリーテイル見直しながら書くの楽しい


「エルザ…まずいよ。

毒がどんどん回ってる……」

 

目で確認ができるくらいにエルザの右腕は毒に侵されていた。

普通の人の肌色が濃い紫色へと変わっており、今は意識を失っているが戻ればまた苦しみだすだろう

 

「ヒビキ、ウェンディはまだなの?」

「……それが誰とも繋がないんだ」

「そんな……」

 

「安心してくれ。必ず繋いでみせる……」

 

 

 

 

 

 

洞窟では…

 

 

 

「……ごめんなさい……ごめんなさい…

この人は…私の、恩人なの……」

「ウェンディ!あんた治癒の魔法使ったの!?」

 

シャルルはウェンディの魔力が減っているのを見て聞く。

そしてウェンディの目の前に立っ男ジェラールもその治癒魔法によって完全に復活した

 

「何やってんのよ!その力を無闇に使ったら!」

 

すると、ウェンディは力を使ってしまったことで気を失う。

それをメリュジーヌは受け止める…まだ完全に使いこなせていない天空魔法を無理に行使すればそれこそ肉体的にも精神的にも負荷が掛かる。

 

「大丈夫……気を失っているだけだよ」

「なんでお前がこんなところに居るんだよ!!ジェラール!!」

 

1度倒したはずの男が目の前に居ることに理解できないナツは考えなしに炎を拳に纏わせて突っ込んでいく

 

「……っ……」

 

だがそれをジェラールは自身の魔力で簡単にナツを壁へと吹き飛ばす

 

「相変わらずすさまじい魔力だな…なっ!?」

 

そしてジェラールに近づいたブレインも同様に、魔力によって吹き飛ばされる

誰彼構わず襲ったジェラールは洞窟の外へと歩き出し、その場を後にした……。

 

「ナツ!しっかりして!!」

「ぶはぁ!!ジェラール!!どこ行きやがったぁ!!」

「行ったわよ」

「あんにゃろぉ!!もう1回殴ってやらぁ!!」

 

そう言い、追いかけようとするが…

 

「あいつは何者かは知らないけど…いまはウェンディを助けるのが先でしょ。エルザを助けるためにも」

「無闇に動かないことだね。

どうせ、君たちと彼の間でなにがあったのかは知らないけど…今の君1人だけで倒せる相手じゃない」

「ぐっ…わかってんよ……行くぞハッピー!」

「あいさー!!」

 

そう言いハッピーはナツを持ち上げ、シャルルはウェンディを持ち上げて空を飛ぶ

 

「メリュジーヌはどうすんだよ」

「ボクだって飛べるさ」

 

そう言い、足から魔力放出を行うことで自在に空を浮く

 

「かっけぇ!!」

「とりあえず行くわよ!!」

 

そうシャルルは言い、その場を離れる。

やられたブレインは何とか地面へと潜って回避していた

 

「…計算外だ。

いや、拘束具を外した私のミスか…」

 

何も喋らず、こちらへと無闇やたらに攻撃を行ってきた…

 

「しかし、以前のヤツは私にここまでの敵対心は持っていなかったはず……

眠っている状態でニルヴァーナの話を聞いていたとでもいうのか…」

 

眠っている状態で聞いていた……そしてジェラールがここからすぐに離れた……

 

「まさかジェラール!!

貴様ニルヴァーナを独占するつもりか!させぬ!させぬぞ!!あれは我々のもの!誰にも渡すものかぁ!!コブラ!聞こえるな!ジェラールが逃げた。奴が逃げた先にニルヴァーナがある!!」

 

 

 

 

 

 

「オーケー。聴こえたぜ…ついでにジェラールの足音もな」

 

洞窟から離れていたコブラはブレインの怒りようもジェラールが復活したことも感じ取っていた。

それに答えて、コブラも再びジェラールの後を追う。

 

そしてナツたちが救出に成功した時、グレイはレーサーを相手にしていた

 

「くそっ……なんて速さだ。野郎」

「俺のコードネームはレーサー。

誰よりも速く、何よりも速く、ただ走る」

「はっ、女の子に負けてた奴がよく言うぜ」

「よく吠えたな妖精。今度こそ殺す!!」

 

再び動き出そうとしたレーサーだが、ふと空から気配を感じたレーサーは空を見上げる。

すると先程、洞窟から離れた5人が居たのであった。

そしてそれはグレイも確認した

 

「助け出したか!」

「馬鹿な!?中にはブレインが居たはずだろ!!どうやって…」

「ブチのめしたに決まってんだろ!!」

「くそっ…行かせるか!!」

 

そうして加速したレーサーは空へと飛び、ナツとウェンディを打ち落とそうとする

 

「ナツ避けろ!!」

 

気づいた時には後ろへとレーサーに回られていた4人……だが……

 

「悪いが時間を掛けてる場合じゃないからね。3人とも舌を噛まないように!!」

 

そう言い、メリュジーヌはナツ、ウェンディにハッピーとシャルルを掴むと加速してレーサーの足蹴りを避ける

 

「また貴様かぁ!!」

「ふん、もう君に用はないんだけどね」

 

「いかせねぇに決まってんだろ!」

 

そう言い、空を飛ぶメリュジーヌに再び近づこうとするレーサーだったが

 

「アイスメイク…城壁(ランパート)!!」

 

レーサーの目の前に巨大な氷の壁を作り出すことで進む先を阻止してみせた

 

「頼んだメリュジーヌ!!お前ならすぐエルザの所に行けるだろ!!」

「グレイ何言ってんだ!!お前も魔力いまのでも使いすぎたろ!!」

 

「こいつ俺が相手する!!ここは死んでも通さねぇからよ!!」

「わかった。君に任せる」

 

そう言い、空で更に加速したメリュジーヌは4人を持って駆け出す

 

「必ずエルザを助け出すからなぁぁぁぁあ!!!!」

「……当たりめぇだ…」

 

「貴様……二度とこの俺の走りを止めたな…」

「何度でも止めてやるさ。

氷は命の時だって止められる。そしてお前は永久に追いつけねぇ…妖精の尻尾でも眺めてな!!」

 

 

 

 

 

 

グレイとレーサーから離れた所でメリュジーヌは4人を降ろす

 

「ここからは走るようにしよう」

「このままビューンって飛ぶことはできないのか?」

「そうしたいがボクもそれほど魔力を使えないからね。”この姿”の状態だと燃費が悪い」

 

「そうなのか…てかあの野郎!なんでこんなところにいやがるんだ!」

 

『ナツくん、メリュジーヌちゃん聞こえるかい?』

 

「この声は……」

「ヒビキだね」

 

ヒビキがアーカイブによって脳内に音声を届けている

 

『良かった。繋がって良かった…誰にも繋がらなくて焦ってたんだ』

「どこだ?」

 

『静かに、敵には恐ろしく耳の良いやつが居る。だから君たちの頭に直接語りかけているんだ』

 

「なんだが頭がフワスワする感じ…」

 

『メリュジーヌちゃんとも連絡が取れるということはウェンディちゃんも救出成功したんだね』

「ああ。ここに居る」

『そうか。良くやってくれた!

これからこの場所までの地図を君たちの頭にアップロードする

猫くんはダメージと魔力の低下で繋がらない』

 

すると先程までなかった地図の情報、エルザの位置情報が頭の中にストンと落ちてくることにメリュジーヌは驚く。

 

「どうしたの2人とも?」

「すげぇ!アップルすげぇ!!」

「こんなすごい魔法もあるんだね。驚いたよ……わかったとなったら行くとしよう」

 

 

 

 

そうしてアーカイブでこちらに近づいてくることをアーカイブで確認するヒビキ

 

「急いでくれナツくん…急がないと、もう時間が……」

 

エルザの方を見ると身体にまで毒がゆっくりと侵食されているのが見てわかる

 

「エルザ……ナツが戻ってくるまでは私が守るからね。絶対……」

 

 

 

 

 

 

そしてその頃、グレイは…

 

 

「さぁ、俺の力を見せてやろうか」

「くそっ……」

 

ナツやメリュジーヌ達をエルザの元に行かせ、レーサーを相手にしていたがやはりレーサーのスピードは速く、目で追えることもできずに打撃を受けていた。

 

「ここからだぜ!!”デッドGP”開催!!」

 

そう天に上げて腕を下ろすと…

 

「なっ!?魔導二輪だと!?」

「さぁ、地獄のモーターショー!!

こいつは俺の速さに合わせた二輪だぜ。遅せぇやつには乗れねぇよ」

 

そう言い、レーサーは自身と同じ赤色の魔導二輪に乗り、大地を駆ける

 

「上等だぁ。その勝負乗ってやれやるよじゃじゃ馬がぁ!!」

「ほう…速ぇな」

「ご丁寧にSEプラグまでついてやがる!」

 

SEプラグとは

この世界には魔力をエネルギーとして走る乗り物が数多く存在し、魔導二輪もその1つである

その中でも、魔導四輪や魔導二輪などに装備されているSEプラグは操縦者の魔力を内部機関に供給することによって動かすものである。

 

「(こいつで魔力を削られるのもきついが、そうも言ってられねぇ…)行くぞオラァ!」

「おもしれぇ。

俺とレースで勝負しようと?」

「ルールがねぇんだ!後で吠え面かくんじゃねぇぞ!!」

 

 

そう言い、大地を駆ける2つの魔導二輪。

グレイとレーサーによるデッドGPは観客が居なくとも走り続け、ゴールのないレースが始まる。

いや、互いのこのレースのゴールは”相手を倒す”ということがゴール。共に大地を駆け隙を互いに伺う。

 

「へぇ〜、いい子ちゃんの正規ギルドのわりには、いいセンスしてんな!」

「”フェアリーテイル”をなめんじゃねぇ!アイスメイク”槍”(ランス)!!」

 

グレイは自身の氷の造形魔法によって複数の槍を生み出し、それをレーサーとバイクを狙い破壊しようとする。

 

「まだまだおせぇよ!」

「くそっ!やりにきぃな!!」

「お前にこれを躱せる速さがあるかな!!

”ハイサイド・ラッシュ”」

 

そう言い、魔法陣を展開するとそこから複数のタイヤがグレイをターゲットに弾のように放たれる

 

「タイヤッ!?」

 

だがグレイはなんとかそれをバイクに乗って避ける

 

「やるじゃねぇか!!

だがな、デッドGPはここからが”本番”だぜ!!」

 

すると、グレイトレーサーはバイクで樹海の洞窟へと入っていく。

すると、レーサーのバイクに装填された魔導弾を一気にグレイへと放つ

 

「さぁ、これも躱してみな!」

「クソ、めちゃくちゃしやがる…」

「どうしたよ!!色男!!」

 

魔導弾を無数にグレイへと放ち、それを逃げるようにグレイはバイクで躱していく。

その途中、グレイは逃さなかった……

通り過ぎる瞬間に自身と組んだ連合軍の一組であり、兄弟子でもある存在を

 

「リオン!!」

「なっ!?グレイ!!」

「いい所に居たぜ。乗れ!!」

 

「リオン様!?」

「心配するな!お前は待機していろ!!」

 

そう言い、再びレーサーの元へと駆けるグレイとリオンであった

 

 

 

 

 

「待機……と言われましても……」

 

 

と、取り残されるシェリーであった

 

 

 

再び、戦いはレースの中に戻り、魔導二輪でなんとかレーサーを追いかけるグレイ

 

「リオン。あいつをやってくんねぇか?

運転しながらじゃ、うまく魔法が使えねぇんだ」

「そういうことか…ならよく見ておけ。俺が造形魔法の手本を見せてやろう!」

「一言余計だよ!」

「さぁ、いくぞ!!」

 

かつえはウルの元で氷の造形魔法を教わった。

だが、ウルはデリオラを封印という形で、デリオラを氷に閉じ込めた

そのウルでさえ完全に滅ぼせなかったデリオラを倒せれば師を越えた事になると考えたリオンはかつては片手のみで氷の造形魔法を扱っていたが…

 

『話にならん。造形魔法に両手を使うのも相変わらずだな!』

 

そう言っていた……だが

 

「リオン…お前、両手で魔法を!?」

「ふん…ウルの教え…だろ?」

 

 

 

「アイスメイク”大鷲”(イーグル)!!」

 

リオンの氷の色は薄緑色。グレイが非生物の造型「静の氷」を得意とするのに比べ、動植物を模した「動の氷」を多用する。

彼の魔法は限りなう生物に近い動きと強力な動物を造形可能だ

複数の氷の大鷲によって的確な狙いでレーサーとバイクを狙い、見事にバイクを破壊した

だが

 

「やったか!?」

「いや、手応えがなかった」

 

本人のレーサーは居なくなっており、

 

「遊びは終わりだ。」

 

 

「「アイスメイク…」」

 

「”大猿”(エイプ)!!」

「”大槌兵”(ハンマー)!!」

 

 

「中々素早い造形魔法だな!!

速ぇことはいいことだ。だがまだだ!!」

 

いとも容易くレーサーはグレイとリオンの造形魔法を躱し、彼らの肉体へと蹴りを放ちダメージを与える。

 

「俺の速さには到底追いつけねぇな」

「くそっ、当たらねぇ!!」

「落ち着けグレイ。

四時の方向だ……集中すれば捉えられん相手ではない」

「集中か……よし」

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ!リオン!」

「俺の合図で打て、全力でな!!」

 

そう言い、2人は自身の上半身に来ていた服を脱げ捨てる

 

「(なぜ服を脱ぐ!?そして速い!)」

「(なぜ服を脱いで……いえ、それも”愛”)」

 

追いついたシェリーもレーサーと同じように考えていた。(後半は別の意味で)

 

「今だ。正面50メートル先!」

「見切った!!”氷欠泉”(アイスゲイザー) !!」

 

地面から大量の氷を間欠泉のように噴き出させ…

 

「白竜(スノードラゴン)!!」

 

上へと上がらせてからリオンも同時に氷の造形によって竜を作り、逃げ場所を失わせて襲わせるがそれでも避け続けるレーサー。

 

「くそっ!更に、スピードを上げた!?」

 

「どうした!こっちだ!!」

 

「くっ!!」

 

見切ったはずのスピードも攻撃は当たることすらなく、レーサーの思うように攻撃を受け倒れる2人。

だがその瞬間、リオンの目にあるモノが映る……それを見てリオンは一つの違和感を感じ取った

 

「テメェらの攻撃なんぞ、一生かかっても当たらんよ…俺の速さには誰も追いつけん!!そろそろテメェらにトドメさして娘を連れ戻しに行くか」

 

「ふっ……耳を貸せ、グレイ。

奴の”弱点”を見つけた」

 

グレイはそれを聞き、リオンへと近づくと耳元でその”弱点”を聞く。

 

 

 

 

 

「……なるほどな。それが本当ならその作戦はアリ…だな」

「何を2人で言ってやがる」

 

「ああ、行くとするか」

「こっからが本番だぜ!!」

 

2人は互いに拳を合わせて鼓舞し、レーサーを再び相手にする

第2ラウンド開始であった。



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スーパフリーズアロー

ここらへんはアニメ通りの展開だけどあとちょっとしたらメリュジーヌを活躍させる予定です



「リオン様……一体なんの話を……」

「作戦会議か……無駄なことを……」

 

 

「いいか……わかったな…」

「なんだと!?」

 

そう言うと、油断を突いてリオンはグレイの足元を凍らせてから更にグレイを氷ごと上へと跳ね上げていく。

 

「リオン!!てめぇ!!」

「リオン様!?なにを!!?」

 

「お前はそこで見ていろ。グレイ!!」

「仲間割れか?エグいなぁ、おい」

「勘違いされては困るな…こいつとは仲間でない。

たまたま、同じ師の下にいた。それだけだ」

 

「しかし、リオン様…」

「つべこべ言うな。今回の手柄はラミアスケイルがいただく。行くぞシェリー!」

「は、はい」

 

そう言い、なにもできないグレイは氷の中で動くことすら出来ずにその戦いを見るだけしかできなくなった。

突然の行動に理解が追いつかないシェリーだったが、リオンに呼ばれていまはそうしてる場合じゃないと切り替えて前に出る

 

「やれやれ…。

そういう思い上がりが勝機を逃すんだ……まぁ、元々テメェらに勝機なんざねぇがな」

「ほえてんじゃねぇぞ!」

 

「人形劇”ロックドール”!!」

 

そう言い、岩の巨人をシェリーは生み出して拳を放つ巨人だが当たるはずもなく…

 

「遅い遅い!!」

「見えない!」

「こんな魔法では俺を捕えられんぞ!!」

 

「こっちだぜ!ノロマ!!」

「おもしれぇこと言うじゃねぇか!!」

 

リオンの挑発に乗ったレーサーはターゲットをシェリーからリオンに変えて、走り出したリオンを追いかける。

そのまま平原から樹海の方へと走ったリオン。

 

「貴様の”弱点”はその攻撃力のなさ。どんなにスピードがあろうが決め手に欠ける!」

 

 

1度、立ち止まりリオンはレーサーがこちらに来るのを確認するとギリギリまで引きつける。

勿論、何を狙っているのかは知らないレーサーだがどんな魔法でも避ける自信を持つ彼は止まることなくリオンへと近づく……だが

 

「アイスメイク”針鼠”(ヘッジホッグ)!!」

 

自身の背中に氷の刃を無数に生やし、針鼠のハリのように造形する

 

「くっ!!」

「突っ込めば串刺しだぞ!!」

「さぁ、どうした!自慢のスピードでここまで来てみろ!!」

 

そう言い、更に挑発してレーサーから離れるリオン…

 

「甘いな……ギアチェンジ”レッドゾーン”!!」

 

すると、レーサーの周りを纏う形で赤いオーラが発生し、先程まで味わったどのスピードよりも加速してみせた。

そしてそれに勿論、リオンは反応することができず背中ではなくガラ空きの前の肉体を蹴られて吹き飛ばされる

 

「いまのが俺の”トップスピード”だ

格下相手に最初から本気でやると思ったか?」

 

「まだまだ…」

「おいおい、どこ行く気だ!!」

「ぐわぁ!!」

 

打撃を受けてもリオンは止まることなく走り続ける。

先程居た場所から……

 

「最初の威勢はどうしたぁ!!」

「くっ……」

 

気絶しそうになりながはも気を失いことを己が許さず、リオンはただ走り続ける……

 

「アイスメイク”大鷲”(イーグル)!!」

「当たらねぇのがまだわからねぇのか?ほらほら、どうした!止まってみえるぞ!!」

 

そうして何度も何度も攻撃を与え続けるレーサーはリオンは地面へと叩きつける

 

「テメェはオレに決め手に欠けると言ったな……決め手ならこんなもんでも充分だ。」

 

そう言い、リオンが放った造形魔法の氷を折り、その破片でリオンの首元へと近づける。

ただ、それだけでもリオンを殺すことができると言ってみせる。

 

「俺のスピードがあればテメェの何かの魔法を使うよりも速く動ける」

「まだそんなこと言えるのかよ……メリュジーヌにやられた奴が」

 

追い詰められても尚、リオンはレーサーを煽る

 

「よく言ってくれるぜ……アイツにはいずれ、俺の速さを再び教えてやるさ!ガキだからと今度はなめて掛からん!あいつさえ居なけりゃ俺は最速の男だからなぁ!!」

「くっ……」

 

「俺は六魔将軍……六つの魔、六つの祈り……決して崩れない六つの柱……その柱を揺らす者には、死あるのみ!!」

 

そう言い、振り上げた氷の破片でリオンの首を掻っ切ろうとするが…

 

「やはり……さっき、遠くの鳥がものすごい速さで飛んでいるのを見て貴様の魔法の正体がわかった気がした。」

「んっ……」

 

「貴様の魔法は自分自身の速度を上げる魔法じゃない。

相手のいや、正確には一定範囲内の体感を下げる魔法……つまりは…俺が”遅くされていた”だけ……はなから、メリュジーヌの速さにはお前は追いつけねぇんだよ……アイツがスピードの魔法なのかは知らねぇがな…」

 

リオンは本当の意味でレーサーの魔法を暴いてみせた

遅速魔法。それが彼の本来の魔法であった

 

「そしてその魔法が一定範囲にしか効果がない以上、その範囲外から貴様を見た時…」

 

「まさか!?」

 

何かを察したレーサーは先程上へと上げられた氷を見る。

そこにはてっぺんの氷が割れて、凍らされていたグレイが立っており、その手には造形された氷の弓と矢を構えていた。

それも今レーサーが居る直線上に…

 

「貴様のスピードは奪われる!!」

「こ、このために奴から俺を遠ざけて!?」

 

「なるほどな。よぉく見えるぜ!」

「しかしあれ程の距離だ!!当てれるはずがない!!」

 

レーサーとリオンが居る場所と氷の塔からだと結構の距離があり、レーサーでもグレイの視認はしずらい。

それはまた逆にグレイも同じだとレーサーは語る。

 

「当てるさ。

何かをなし得ようと強い”想い”持っている時のフェアリーテイルは【最強】なんだ!!」

 

 

彼らの強さ、想いの強さ、ギルドの強さは一度戦いを交えたリオンだからこそ分かる。

グレイの兄弟子だからではない……【フェアリーテイル】のグレイだからこそ、必ず当てれると…

 

「スーパーフリーズアロー!!!!」

 

 

そうしてグレイは渾身の魔力を込めた氷の大矢をレーサーに向かって放つ

 

「は、はやい……」

 

魔力の余波によって割れるグラス。一直線にこちらへと放たれた氷の矢が当たるはずがないと心の中で思いながらも避けることができなかった……

 

 

 

俺の”祈り”……それは、誰よりも”速く”………速く……

 

 

 

 

 

氷の光が強く周りへと放たれると共にその矢はレーサーを確実に貫いた。

そして見事、レーサーを倒してみせた2人であった

 

 

「やったなリオン!!」

「こんなのがあと5人も居ると思うとゾッとするな……」

「もう、本当に仲間割れしたかと思いましたわ」

 

「さすが俺の兄弟子だ」

「ふん」

 

そうして2人は拳を合わせて勝利を味わう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだだぁぁぁぁああぁぁあ!!!!」

「「「っ!!??」」」

 

「オラシオンセイスの名にかけて、ただの敗北は許されねぇ!!」

 

そう言い、レーサーは上着を脱ぐと上半身になにやら赤い点滅が5つあるラクリマを装着していた。

 

「あれは!?」

「爆弾のラクリマ……」

「野郎。まさか!?」

 

「一人一殺!!」

「このっ……なっ!?」

 

グレイは造形魔法で止めようとするが、先程の渾身の一撃にほぼ全ての魔力を使い果たしたことで魔法を使うことができなかった

 

「はっはっはっはっ!!お前らもお終いだぁ!!」

 

そう言い、爆弾を抱えて近づいてくるレーサーはもはやこちら側もダメージが大きく魔力もない。

今から逃げたところで爆弾の爆破を防げない……

ならばと、グレイはリオンとシェリーの前に立ち庇おうとするが……

 

走り出したのは……

 

「「リオン(様)!!??」」

 

リオンは誰よりも先にレーサーへと走り出し、その身を犠牲にレーサーを崖から共に突き落とす。

 

 

「(まったく……世話の掛かる弟弟子だ……)」

 

 

レーサーの爆発に巻き込まれる

 

 

 

 

「いやぁぁぁぁああぁあぁあああ!!??」

 

「リオォォォオオォォォォン!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ウェンディ達が捕えられた洞窟では…

 

「ぐぅっ!?レーサーが…やられた…。

六魔の一角が崩れたというのか!?」

 

ブレインの顔にある黒い紋様の一つが消え失せた。

それが何を意味するのかは連合軍には分からないが、ブレインにとって…それはオラシオンセイスの1人が欠けたことを意味した。

ありえない……レーサーはそこはへんの魔導士とは違う…だというのにやられた…

 

「私は敵を侮っていた……くそっ…

こいつを起こす羽目になるとはな……」

 

ブレインが見つめる先に居るのは連合軍との顔合わせの時から今までずっと眠りについている男……

 

「ミッドナイト」

 

ブレインの呼び声でようやくその瞳を開くミッドナイト…

 

「んっ……んぅ……」

「目覚めたか。…奴らを1人残さず消せ!!」

「わかったよ……”父上”……」



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「リオン……」

「そ、そんな……リオン様が……」

 

「あいつが……あいつが死ぬはずがねぇ!!探すぞ!来い!!」

 

そう言い、落ちていったリオンの元へと造形で滑り台を作りすぐにグレイは降りていく。

 

 

 

 

 

 

「(なぜ……リオン様が……だれの……せい……)」

 

 

シェリーの中で一つの”闇”が生まれる

 

 

 

 

 

そして一方、ジュラはリオンとシェリーと別れてこちらへとオラシオンセイスが向かってくることを知ったジュラはその場で立ち止まっていた

 

「そこに居るのはわかっている…出てこい」

「さすが聖十の魔導士…デスネ!!」

 

すると、ジュラの立っていた足場の地面が柔らかくなり、その土がジュラを丸呑みにしようとするがその柔らかくなった土を再びジュラは固めて、複数の土柱を生成するとそれを目の前の敵へと放つ。

だがそれを魔力壁で防がれると、再び柔らかくされる

 

「私は土を柔らかくする魔法、そして貴方は硬くする魔法……デスネ!!

さて、強いのはどっち……デスカ!?」

「むんっ……無論、魔法の優劣に非ず…強い理念を持つ者が勝つ!!」

「違いマスネ。

勝つのはいつの時代も金持ち…デスネ!!」

 

ジュラとホットアイ、同じ土魔法を扱う者同士の戦いが始まる

 

 

 

 

 

 

 

その頃…

 

「……っ……」

 

ルーシィ、ヒビキはナツがウェンディを連れてくるのを待っていた。

一刻も早くこちらに到着しなければエルザの身がいよいよ危うい状態にまで来ていた。

ルーシィはただナツが速く着くのを祈るのみ…

だが…

 

「ぷはぁっ!着いたァ!!」

「ナツ!!」

「どうなってんだ!?急に頭の中にここまでの地図が…」

「ヒビキの魔法だろう?」

「ご名答。よく来てくれた。それよりもウェンディちゃんを」

「そうだね……すこしウェンディには悪いけど……」

 

そう言いメリュジーヌはウェンディを寝かせると、彼女の胸に手を当ててメリュジーヌは魔力を一瞬、ウェンディの全身に電気のように流し込む

 

「んぅ……」

「目覚めた?ウェンディ…」

「あ……あぁ……メリュ……メリュゥ…私、…ごめんなさい、ごめんなさい……」

 

先程までの記憶を思い出し、自分が何をしたのかがフラッシュバックしていた。

オラシオンセイスに力を貸してしまい、ジェラールを復活させてしまった。

そうすることによって、連合軍に余計な問題を増やしてしまったという罪悪感…

だが、メリュジーヌはそんな彼女を見て抱きしめる

 

「大丈夫。ウェンディのせいじゃないよ…あの場では仕方なかったんだ。ボクが居てもアイツらにウェンディが何をされるか分からなかったんだ」

「うぅ……メリュゥ……」

「それといまこっちも大変なんだ。エルザが敵の毒に侵されて動けないの」

 

そう、問題のエルザはいまも隣で苦しみながら毒に侵されていた。

それをウェンディも見たことで、いま自分がなにができるのか…なにをするべきなのかを自分でしっかりと分かっていた

 

「エルザが毒蛇にやられたんだ…頼む!!」

「オラシオンセイスと戦うにはエルザさんの力が必要なんだ」

「お願い!エルザを助けて!!」

 

エルザの戦力はメリュジーヌやジュラに続く強さだ。

この連合軍において戦力的に欠けるのは最悪を意味する…

そしてナツやルーシィにとっては仲間の1人であり、大切な家族だ。

それをウェンディに治してもらうために頭を下げる

 

「も、勿論です!いま、私にやれることを……やります!!」

 

「良かったぁ……」

「いつまでのびてんのよ。ダラしない」

「あいぃぃ……」

 

そうしてウェンディは横になるエルザの隣に座り、両手をエルザの前に出す。

そうすると薄緑のオーラがエルザの身体を優しく包み込んでいく

 

「(ジェラールがエルザさんに酷いことをしたなんて……そんな事……)」

 

治癒魔法を発動してエルザはオーラに包み込まれてる間にゆっくりと皮膚の表面に現れていた毒色は消えていき、綺麗な肌色へと戻っていく。

そしてエルザの先程まで苦しんでいた顔もゆっくりと落ち着いていき、毒が消えたことを意味していた。

 

 

 

 

そして樹海のある場所では…

 

 

「……っ……」

 

この男、ジェラールはただゆっくりとある場所へと進んでいた。

その場所がなんなのか、どういう目的で使われているのか……それはただ1人、ジェラールしか知る由がない。

ここには彼ともう1人……

 

 

 

 

「(それにしてもこいつ…心の声が聞こえねぇ……。

心の声さえ聞こえれば、後を着ける必要もねぇのに…)」

 

オラシオンセイスの1人、コブラであった。

ジェラールを解放した後にブレインはコブラへとジェラールを追跡するように命じられていまこうして動いていた。

コブラは相手の心の声を聴くことができる。だからこそ、エルザとの戦いの時に彼女の剣筋を視ることができた。

だが、いま後を着けている男 ジェラールからは心の声が一切しない。普通、人間なら誰しもあるはずのモノが今は聞こえないのだ

 

「(止まった……?)」

 

だが追いかけてきたはいいものの、コブラはここがどこなのか分からなかった。

事前にブレインから貰った樹海の森の情報には載っていなかった場所だ

そしてジェラールがなにをするのか監視する

 

「…まさかブレインの言った通り、ここに”ニルヴァーナ”が……」

 

禍々しく紫色に光る巨大な樹木、そして周りから鎖が生えて縛られている樹木にジェラールは片手で触れる。

そうするとより強く光を放ち、その光は巨大な光柱へと変わり天まで届く。

 

「ついに見つけた!俺たちの”未来”!!」

 

 

 

 

そして、エルザの治療に専念するウェンディは…

 

「これで毒の方はなくなりました。あとはエルザさんが目を覚ますだけです」

「「じっ〜……」」

 

そうしてエルザを見つめるルーシィとナツ…

すると…

 

「んぅ……」

「「「よっしゃー!!!」」」

 

先程までとは違い、顔色も良くなり元通りに戻ったエルザはしっかりと息をする。

それを確かに聞いた3人は喜びを出すように声に上げる

 

「ルーシィ、ハイタッチだ!!」

「良かったぁ〜!!」

 

 

「シャルルゥ〜」

「……1回だけよ」

 

「ウェンディ、メリュジーヌ……ありがとな」

 

そう言い、こちらに手を出してくるナツ。

ウェンディとナツがハイタッチし、次はこちらに手を出してくるのにメリュジーヌは理解ができなかった。

 

「なぜボクにもするんだい?別に君のギルドの一員でもなく、ボクが治療した訳でもないのに」

「そんなことねぇさ。途中メリュジーヌがオレ達を担いで動いてくれなかったらもっとエルザは苦しんでた。こうやって治ったエルザを見れたのはなにもウェンディだけのおかげじゃねぇ…メリュジーヌのおかげでもあるんだ」

 

「……そうなの?当然のことをしたまでだけど……」

 

と、ナツの言葉にすこし歯痒い感覚に襲われたメリュジーヌは先程のハイタッチをナツとする。

 

「しばらくは目を覚まさないかもですけど…もう大丈夫だと思います」

「いいこと?これ以上、ウェンディに天空魔法を使わせないで頂戴…天空魔法はウェンディの魔力を大量に使うの。」

 

「私のことはいいの!!それよりも私…」

「……っ……」

 

 

「あとはエルザさんが目覚めたら反撃開始だ」

「うん!打倒オラシオンセイス!」

「おう!ニルヴァーナは渡さないぞ!!」

 

そうハッピーが口にした時だった

突如、背後からとてつもないほどの大きな轟音と共に背後が眩しく感じるほどの光の柱が現れる。

そしてその光とは違う真っ黒触手のようなモノも天に立つ

 

 

「黒い光の柱……」

「まさか!?」

 

 

「あれは”ニルヴァーナ”!?!?」

 

とてつもないほどの魔力と共に、ジェラールとコブラの居る場所では大地を揺らすほどの衝撃が発生し、地中からなにかが起動したかのようにその巨大物体は出てくる。

 

「見つけたぞ!あれは俺たちの…俺たちのものだ!!!」

 

その巨大物体が自分たちが求めていたニルヴァーナだと肌で感じる魔力と目で捉えた黒い光の柱で確かな確信を得るコブラ

 

そしてその光は勿論、ワース樹海に居るオラシオンセイスも連合軍も全員が確認した

 

 

「父上…」

「間違いない!!」

「おめでとうございます。

僕はギルドの魔導士共を殲滅してきましょう。真夜中までに……父上はニルヴァーナの元に」

「うむ」

 

そうして洞窟に居たブレインとミッドナイトも動き出す。

それは誰もが同じ、ナツもニルヴァーナの魔力を感じ取り…それを誰が起動したのか…

 

「ニルヴァーナなのか!?」

「ま、まさかオラシオンセイスに先に越されたのぉ!?」

 

「あの光……ジェラールが居る!!!」

「……ジェラール……ナツ、どういうこと!?」

 

その名前がなぜルーシィは出てきたのか理解ができなかった。

だがそれを口にした本人に聞くよりも先にナツはニルヴァーナの方へと走り出し、説明もせずこの場から離れた

 

「(私の……私のせいだ……)」

「(会わせるわけにはいかねぇんだ。エルザには……あいつは俺が……潰す!!)」

 

 

そして、ニルヴァーナの光を確認したグレイとシェリー……

 

「くそっ…なにがどうなってんだ!?」

 

あの光が恐らくニルヴァーナだということは察したがそれを誰が起動したのか…オラシオンセイスがもう起動したのか…

駆けつけた方がいいのだろうが、いまは兄弟子であるリオンの安否が気になって仕方がなかった。

だからこそ落ちていった場所にグレイはシェリーと共に駆けつけてリオンを探していた

 

「(リオン様は誰のせいで……)」

「リオン!!返事やがれ!!リオーーン!!」

「……こいつか」

 

シェリーはその瞳にグレイを捉える

 

 

そして一方でも…

 

「あれは……なんだ!?」

「ニルヴァーナ…デスネ!!」

 

戦闘を行っていたジュラの方で天に届く光の柱を確認した。

 

「安心してくださいネ。

まだ本体は起動していない…封印が解かれただけ……。

しかしお金の匂いがプンプンする…デスネ!!ふっふっふっ!!!」

「(こんな奴を相手にしている暇などない!……いやだが、任務はオラシオンセイスの討伐……戦うしかないのか!!)」

 

先にニルヴァーナの起動をさせられたことであちらに向かう方がいいのだろうが、まだニルヴァーナ自体がどういうものか情報がないジュラにとっては優先するべきはやはり目の前の男、オラシオンセイスの1人を倒すのが先なのではないのかと迷いが生まれる。

 

「金、金、これで私達は金持ち……に……あ、ああ……あああぁぁあああぁぁぁぁ!!!!!」

「はぁ!?な、なんだ今度は!?」

 

突然、叫び出した目の前の男の奇行に驚くしかなかった。

 

当初の計画とはかけ離れた行動だが、それでもニルヴァーナの起動はこちら側からすれば世界を巻き込みかねないモノだ。だからこそ、いまはオラシオンセイスよりも先にニルヴァーナを止めるしかない

 

「ナツくんを追うんだ!!いまはオラシオンセイスよりもニルヴァーナの停止を優先しよう!」

「ナツ…ジェラールとか言ってたよね…」

「説明は後!それより今は「ああぁぁあああ!?」」

 

「エルザが居ない!?なんなのよあの女!!ウェンディに一言の礼もなしに!!」

「どうしよう……私のせいだ……私がジェラールを治したせいで…ニルヴァーナが見つかって…エルザさんや、ナツさんが…」

「まずい…っ!!」

 

ヒビキはウェンディに何かを行うとしたがそれよりも先に…

 

「ごめんよウェンディ…」

「っ!?」

 

背後に回ったメリュジーヌがウェンディを気絶させる

 

「ちょっとメリュジーヌ!!あんたウェンディになにしてるのよ!?」

「なに…ウェンディの中に嫌な魔力が流れるのを感じたから止めたまでだよ」

「それで道中で僕が説明する…みんな行くよ!!」

 

そうしてヒビキ達はナツを追いかける

 

「メリュジーヌちゃん、よくやってくれた。」

「どうして?てか何で走ってるの!?」

「ナツくんとエルザさんを追うんだよ」

 

メリュジーヌはウェンディを抱えて、そしてルーシィとヒビキ…ハッピーにシャルルは突然のことに頭が追いつかないことで説明を求めていた

 

「僕達も光に向かおう」

「確かにウェンディはすぐグズるけどさっきのはやりすぎなんじゃないの?メリュジーヌ」

「ボクはあの黒い柱からウェンディの魔力に干渉するの察知した。竜は眼がいいからね!」

「ドラゴンってなんでもありね…」

 

と自慢げに言いはするが、メリュジーヌはその黒い魔力がウェンディの魔力だけじゃなく精神をも蝕もうとしているのを視認した

それに気づいていなかったウェンディだからそれを止めるために気絶させてということだ

 

「それでいい。……本当のことを言うとねニルヴァーナという魔法を知っているんだ」

「え!?」

「ほんとに!?」

「ただその性質上、誰にも言えなかったんだ…。

この魔法は意識してしまうと危険だからなんだ。だから一夜さんもイヴもレンも知らない」

 

「どういうことなの?」

「これはとても恐ろしい魔法なんだ。これは光と闇を入れ替える魔法…」

「光と…闇?」

「あのブレインって奴も言ってたね」

 

「まず封印が解かれると黒い光が上がる。正にあの光だ

黒い光はまず手始めに光と闇の狭間に居るものを逆の属性にする。」

 

つまり反転……。

光と判定されたモノが一瞬でも黒い感情を感じてしまえばその時点でニルヴァーナの魔法に掛かってしまう。逆に言えば闇と判定されたモノは少しでも白い感情があれば光へと変わる。

 

「強烈な負の感情を持った光の者は闇に堕ちる」

「それじゃあウェンディを気絶させたのは…」

「自責の念は負の感情だからね。あのままじゃあウェンディちゃんは堕ちていたかもそれない」

 

ニルヴァーナの起動でその範囲内に居るものは誰であれ正義と悪が入れ替わる。

それを防ごうとしても防ぐ算段を持たなければ結局、反転して闇へと堕ちる。

 

「人間は物事の善悪を意識し始めると、思いもよらない負の感情を生む。

”あの人さえ居なければ”、”辛い思いは誰のせい?”、”なんで自分ばかり”それら他の全てもニルヴァーナにジャッジされたらその時点で魔法は発動する。」

 

 

 

 

そしてそのニルヴァーナの力は……

 

 

「なっ!?シェリー!!なにっをぉ!?」

 

シェリーの魔法によって生み出された木の人形はグレイを吊し上げ、その首を閉める。

 

「しぇ……りぃ……」

 

グレイは意識を手放し、地面に倒れる…

 

「仇は打ちましたわリオン様……次は誰ですか?こいつと同じフェアリーテイルですか?」

 

対象を闇に反転させ、そしてまた一方も…

 

「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!金!金!金!カネェェェェ!!」

「な、なんだと言うのだ!!」

 

 

「カネェェェェェェエェエェェェ!!!!!!!!!……などいりません…デスヨ」

 

なにかから解放されたかのようにに突然、ジュラの目の前の男ホットアイは顔を輝かせた

 

「はぁ!?」

 

先程からの敵の行動にもはや理解が追いつかず変な声を漏らしてしまう。

突然叫び出すわ。突然落ち着き出すわ。突然顔を輝かせるわ……もう対処のしようがなかった

 

 

「私、生き別れた弟のために必死でした!

お金があれば見つけ出せると思ってました……デスヨ。

しかし!それは誤ったと気がついてしまった…デスヨ。」

「え、えぇ…???????」

「さぁ!争うことはもうやめにする…デスヨ。

世の中は愛に満ちています!おお、愛!

なんと甘美で慈悲に溢れる言葉でしょう……この世に愛がある限り、不可能はないの…デスヨ。」

 

ガシッ…と突然ホットアイはジュラを優しく愛を伝えるように包み込み抱きしめる

 

「???????????」

「さぁ、共に私のかつての仲間の暴挙を止めましょう。

彼らに愛の素晴らしさを教えるのぉ〜!!…デスヨ。」

「えぇ〜……と?????」

 

闇は光へと反転し、光は闇に反転する。

 

 

 

 

「そのニルヴァーナが完全に起動したら私達はみんな悪人になっちゃうの?」

「でもさ、それって逆に言うと闇ギルドの人達はみんないい人になっちゃうってことでしょ?」

 

「そういうことも可能だ。

ただニルヴァーナの恐ろしさはそれを意図的にコントロール出来る点なんだ。

例えばギルドに対してニルヴァーナが使われた場合、仲間同士で躊躇なしの殺し合い、他のギルドとの戦争を簡単に起こせるんだ」

「そんな……」

「なるほど、それをジャッジした時点で発動するんだ。対象側からすれば防ぎようがないね。」

「ああ、だからこそこうしてまだ起動している段階ならまだ間に合う……だから僕達で止めるんだ!!」

 

その話を聞きルーシィ達はより一層、ニルヴァーナへと足を早めるのであった



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星霊合戦

「要するに、正義と悪が自在にいつでも入れ替えれてしまうって訳ね…」

「どうしようナツが悪人になっちゃったら……」

 

 

 

『誰でもいいから掛かって来いやァ!!全員、ぶっ飛ばしてやるぞコラァー!!!!』

 

 

 

 

「えぇっと…」

「いつもと大して変わらない気がします」

「正義も悪も関係ないってことね…」

 

「とにかくナツくんとエルザさんに追いついてニルヴァーナを止めないといけない。」

 

 

そしてナツは…

 

「エルザには近づかせねぇぞぉ!ジェラール!!!」

 

 

と叫びながらニルヴァーナの方へと走り出していた。

ナツはかつてジェラールを相手にし、楽園の塔の計画を壊したことがあった。

そんな悪人がまさかこうして出てくるとはナツ自身も思わなかった。

このままほおっておいたらまたエルザを泣かせるかもしれない。

家族を泣かせる奴に会わせるわけにはいかないと怒りを覚えながら走る。

するとそこに…

 

「ん?この匂いは…な、やっぱりグレイ!」

 

川に倒れるグレイを見つけたのだ

 

「お前、こんなところでなにやってんだよ…あの速えぇのどうなったんだ?」

 

返事がない……いまはジェラールのこともあるが、仲間を放置したまま進むのもあまり良くないと感じたナツは川からグレイの脇に手を回して移動させる。

 

「ったくよ。こっちは急いでんだっつの、起きろバカ!!」

「…んっ……」

 

「グレイ…?」

 

ナツは自分の足元が動いたことに気づくと、グレイは縄を引っ張る…すると川の底から筏が浮かび上がり、ナツとグレイはその上に立っていた

 

「筏の上ー!!??…うぷっ…」

『掛かったなナツ。確か…お前の弱点は乗り物だ』

 

その通り、ドラゴンスレイヤーはなぜか全員統一で乗り物酔いをする。

電車、車、船、……といった多くのモノがその中に入り、ドラゴンスレイヤーの弱点と呼べる場所だ

 

「どうだ。揺れる筏の乗り心地は」

「お、お前ぇ…ぐ、グレ『うるせぇんだよ。さっさとくたばりやがれ』」

 

『乗り物酔いのツリ目野郎……なんてな、いつもの喧嘩もこれで終わりだ』

 

そう言い、氷で造形した槍をナツへと向ける

 

『あばよ!!』

 

そう振り下ろそうとした時、突然氷の槍が割れた。

何事かと思えば矢で槍を射貫かれたのだ。グレイは放たれた方向へと…

 

『誰だよ!!』

 

複数の槍を造形して放つがその全てを見事に矢を的中させて相殺する。

 

「なにしてんのよグレイ!!」

「オイラたちだよ!?」

 

「であるからしてぇ〜もしもし」

 

ルーシィの星霊 サジタリウスの矢であった。

彼女は自らを弱いと言っているが、彼女自身は星霊を使役し、その力を借りることで共に戦う強さを持つ。

星霊の中でもより上位の黄道十二宮の鍵を7つ所持している

 

「ル、ルーシィ……おぷぅ……」

「名前読んでから吐きそうになるのやめてくれないかなぁ!?」

「もしもしぃ☆」

 

「グレイ酷いよ!いくらなんでも、魚を横取りするとかなら分かるけど!」

「それと大概だけど…」

 

『うるせぇんだよ。てめぇら……こいつ片付けたら相手してやるから黙ってろ』

 

いつもと様子のおかしいグレイ……それは今の発言ではっきり分かった

普段の様子と言動の違いがまるっきり分かるくらいに変わっているグレイを見てもしかするとニルヴァーナの魔法に掛かったのかと予測する。

 

「なんか……揺れる…揺れてる…。」

「止まってるからしっかりしなさい!!」

「ナツ!!今助けるぶわぁ!?」

 

翼を発動してナツを筏から離れさせようと動くハッピーだが、全身を凍らされる。

 

「オス猫!?」

「ハッピーになにするのよ!?」

『”ハッピーは空を飛ぶ。運べるのは1人、戦闘力なし”情報収集完了…』

 

なにかをブツブツと呟くグレイ

 

「何言ってるのよ…本当にどうしちゃったの!?」

「ニルヴァーナの影響を受けるとああなってしまうのか…」

 

『グレイから見たルーシィ……”ギルドの新人、ルックスはかなり好み、少し気がある”』

「と、突然なによぉ/////」

 

「”見た目によらず純情、星霊魔導士”……ほう、星霊ね。おもしろい!!」

 

そう言い、グレイは氷魔法をルーシィへと容赦なく放つ。

突然の行動に反応できなかったルーシィは身を丸めようとしたがそれをヒビキが防ぐ。

 

「違うね…君はグレイ君じゃない…何者だ」

「グレイじゃない……?」

『グレイから見たヒビキ”ブルーペガサスの一員、男前、詳しく知らない”ちっ……情報不足か…

グレイから見たメリュジーヌ”女、強い……ドラゴン…”ドラゴンだと!?』

 

「……っ……なにを言い出すかと思えば…」

「なんだか様子がおかしいわね」

「ニルヴァーナの影響を受けるのは善と悪の感情の狭間に居る人だけ…グレイがそんな感じに揺れ動くはずがない……あんた誰よ!!」

 

『ふっ……ふっふっへっへっへ…ピーリピーリ』

 

すると、グレイの姿からルーシィの姿へと変わる

 

「あ、あたし!?」

「君、頭悪いだろう。こんな状況でルーシィさんに変身しても僕達が騙されるはずはない」

『そうかしら?あんたみたいな男は女に弱いでしょぉ?ほらぁ♡』

 

と、服を着ていたのすこし手で上げると、胸が顕になりそれをヒビキとサジタリウスは凝視する

 

「いやぁぁぁぁあぁぁぁあ!?!?」

「ゆ、揺れてる……」

 

「「確かに!!」」

「上手いこと言うなぁ!!!」

 

「まったくなんてはしたない魔導士なのかしら…」

「いやあれあたしじゃない!!いや、あたし?だけど……えぇぇーん!!もう意味分かんない!」

『”星霊情報収集完了”へぇ、すごい…結構鍵持ってるんだ…星霊王に謁見まで、魔力の割にはなかなかやるね…それじゃあサジタリウス、”お願い”ね?』

 

するとルーシィとヒビキの後ろに居たサジタリウスが突然、弓を構えてヒビキへと矢を放つ

 

「サジタリウス!?」

「なによこの裏切り馬!?」

 

「ち、違いますからして……それがし、こんなこと……しようとはぁ」

 

サジタリウス自身も自分に何が起きたのか理解出来ていなかった。

身体が勝手に動き、意志とは逆にヒビキを狙ったのだ

 

「ヒビキ、しっかりして!!

まさかあんた私の星霊を操ったのね!?」

『そう、今のあたしはあんたと同じことができるのよ。』

「申し訳ありませんルーシィ殿、ヒビキ殿……身体が勝手に」

 

「まどろっこしい…なら本体をやればいい!!」

「ちょっとメリュジーヌ!!」

 

担いでいたウェンディを地面にゆっくりと降ろして、偽物のルーシィへとメリュジーヌは近づく。

 

『あんたは……あの時邪魔してくれたわね。それにとっても危険だもの……』

 

すると、瞬時にルーシィの姿からウェンディの姿へと変わるとメリュジーヌの動作が一瞬止まりその隙をついて…

 

『これでも殴れる!?』

「ぐっ……(ウェンディの姿まで…)…殴れない……可愛すぎて殴れない!!」

「しっかりしなさいメリュジーヌ!!」

「だってシャルル!ボクの嫁をどうやって殴れって言うんだ!!」

「そういう問題じゃないでしょー!!!!」

『へぇ……メリュジーヌの弱点みーっけ♡えいっ♡』

 

そう言うと、偽物のウェンディはそのまま上着を脱いでメリュジーヌの目の前で裸になり…

 

『これならどぉう?♡』

「「……ぶわはぁっ!?!!??」」

「ちょっとあんたたちぃ!!!」

 

 

メリュジーヌとヒビキは大量の鼻血を出して倒れる

 

『はい。完了♡』

 

そしてウェンディはルーシィの姿へと戻る。

すると、ルーシィの姿に戻った途端、普段サジタリウスの矢の攻撃がこちらへと行われる

 

「シャルル!ウェンディだけでも連れて逃げて!こいつヤバい!!」

「言われなくてもそうするわよ!!メリュジーヌ!!あんたも急ぎなさい!」

 

「ぐっ……ボクがこんな情けない姿を…すまない。ルーシィここは君に任せる…」

「ええ、任せて!!」

 

そう、鼻血を拭いてシャルルの飛んで行った方へとメリュジーヌも走り出す。

 

「サジタリウス、強制閉門!!しばらく休んでなさい…」

「申し訳ないですからしてぇもしもしぃ」

 

星霊は所持者によって強制的に閉門して星霊界へと戻すことができる。

ダメージを追った場合や、魔力切れの前など……こういう非常事態の時などに……だが、

 

『それじゃあ”人馬宮の扉”サジタリウス♪』

「お呼びでありますかぁ〜もしもしぃ」

「えぇ〜!?」

 

「って…これはいかなることでぇもしもしぃ!?」

 

すると、筏の上に居るルーシィは再び、サジタリウスを召喚する

本物のルーシィもサジタリウスも一体、なにが起こったのか理解が追いつかなかった

 

『あんたを呼んだのはあたし…だから今はあたしがあんたのオーナーよ♡』

「確かにそのとおりでありますがぁもしもしぃ……」

 

『というわけだから、あの飛んでる猫撃ち落としちゃって♡』

「い、いや…それがしは……」

『なぁに?オーナーの言うこと聞けないの?』

「姿と能力は同じでも……貴殿は本物のルーシィ殿ではござらぬ」

 

そう分かっていたとしてもサジタリウスの身体は忠実にオーナーであるルーシィの命令だとそれに従い、構えを取る。

 

「分かっているのにぃ……」

 

逆らえない……。

 

「ルーシィ殿ぉ……」

「わかってる!サジタリウス、強制閉門!!」

 

強制的に再び星霊界へと戻そうと鍵をサジタリウスへと向けるが…

 

「あれ?」

『無駄よ。あたしが呼んだ星霊だもん。強制閉門はあたしにしかできない…

さぁ、早くあの猫を撃ちなさい!』

「うぅ……申し訳……ありません……」

 

サジタリウスが構えを止めず、シャルルを撃ち抜こうとした瞬間…

 

 

「もういいゾ。ニルヴァーナが見つかったってことはあのガキの役目も終わってるってことだゾ」

 

新たな来客がルーシィの居る反対側に現れる。

 

『そっかぁ!!』

 

すると偽物のルーシィはその姿を解除し、サジタリウスの開門も解かれる

 

「サジタリウス!!」

「ルーシィ殿…次はちゃんとお役に立ちますからしてぇもしもしぃ…」

 

そしてオーナーが居なくなったことでサジタリウスは星霊界へと戻る

 

『へへひひひぃ〜…ピーリ、ピーリ』

「はぁいルーシィちゃん。エンジェルちゃん登場だゾ」

 

そいつはオラシオンセイスの1人、心が覗けると言われているエンジェルだった

 

「オラシオンセイスの1人ね!」

「そう。この子達は相手の姿、能力、思考…全てをコピーできるの」

 

だから先程、ルーシィに変身してその能力である星霊を呼び出すこともできた。そしてウェンディにも変身することもできたのだ

 

『ジェミーだよ』

『ミニーだよぉ』

 

「双子宮の星霊 ジェミニ。私も星霊魔導士だゾ」

「あたしと同じ…(いまはヒビキもナツも戦えない……あたしが戦うしかない…)」

 

先程のサジタリウスが操られて矢を受けたヒビキ、そして筏の上に乗っていることで酔ってしまっているナツはもうまともに動けないだろう。

この場で戦えるのはルーシィのみとなった。

 

「(幸いにもここは川、水がある。…ついてるわ)」

「私、君の持ってる鍵が欲しいの。君を始末して星霊をいただくゾ」

「そうはいかないわ!開け”宝瓶宮の扉”アクエリアス!!」

「ジェミニ閉門」

 

すると、ルーシィは川を媒介にして呼び出す。

その星霊は青の長髪に下半身が魚の人魚の星霊

どの星霊よりもルーシィとは長い付き合いなのがこのアクエリアスである

 

「やっちゃって!あたしも一緒で構わないから!」

「最初からそのつもりだよ」

「最初からって…」

 

「全員まもめて吹っ飛びなぁ!!」

 

その手に持っている壺からも更に水を呼び出し、海の如く水を暴れさせようとする

だが…。

 

「開け、”天蠍宮の扉”スコーピオン」

「天蠍宮!?黄道十二門!!」

 

そこにはサソリの尻尾を形をした銃を背中から装着した男が現れる

その男こそがスコーピオン

 

「そう!この俺、ウィーアー!!Yeah!!!!」

「すこぉ〜ぴおぉん♡」

 

「はいぃ!?!?!?」

 

突然のアクエリアスの変わりように驚くルーシィ。

 

「ウィーアー、元気かい。アクエリアス、久しぶりだな、イェア」

「私も寂しかったわ♡…グスグス」

「…まさか、あんたの彼氏って」

 

「そう、この人♡」

「ウィアァ、はじめましてぇアクエリアスのオーナー」

 

「てかアクエリアスのキャラァ!」

「スコーピオンに余計なこと言ってみろ。テメェ、再起不能どころじゃねぇぞ…わかってるなぁ?」

「はいぃ……」

 

もはやいままでで見たことの無いアクエリアスを見て驚かされるルーシィ

いや驚きを隠せないことばかりだな今日……と思いながら後ろでイチャつく2人。もはや戦闘と呼べるよかこれ…

 

 

「オーラルが見えるレストランがあるんだが…」

「行く行くぅ♡」

「イェア…そういうことで帰っていいかい。エンジェル?」

「どうぞぉ〜」

「うえぇ!?ちょっと、アクエリアス…まっ…」

 

もはや閉門、うんぬん関係なしにアクエリアスは星霊界に帰ったことである意味、切り札を失ったルーシィ

 

「星霊同士の相関関係も知らない小娘は私には勝てないゾ!!」

「うっ!!」

 

星霊が消えたことでエンジェルはルーシィへと近づき、蹴り飛ばす

 

「(どうしよう…最強の星霊が封じられた…。

いや、もう1人居るじゃない!最強の星霊が!)開け、”獅子宮の扉”ロキ!!」

「王子様、参上」

 

「レ、レオ!?」

 

レオ、かつてはフェアリーテイルの一員だった魔導士……として通していたが実はその正体は星霊で元オーナーと色々とあったが星霊王に再び、星霊として戻ることを許された後、ルーシィの星霊として彼女を守る獅子となった

 

「お願い!あいつを倒さないと、ギルドが!」

「お易い御用さ。」

 

「ふっ、言わなかったかしら?大切なのが星霊同士の関係…開け、”白羊宮の扉”アリエス」

「「っ!?」」

 

「ごめんなさい、レオ…」

「…アリエス……」

 

「カレンの星霊…アリエス。どうしてここに…これじゃあロキまで戦えないじゃない…」

 

そう、かつてブルーペガサスにはカレンという星霊魔導士が居た。そのオーナーの星霊だったのがレオとアリエスだった。

星霊は互いに関係を持っている。アクエリアスとスコーピオンのようにレオとアリエスのように……星霊も呼び出された時いつかはこうなることを予想はしていたが、それは星霊にとってもルーシィにとってもつらい選択だ

 

 

「なんであんたがカレンの星霊を……」

「アリエス……カレンの……星霊……」

 

「カレンを始末したのは私だもの」

「「なっ!?」」

 

「これはその時の戦利品だゾ♪」

「うぅ…すみません……」

 

かつてカレンは星霊を道具のように酷使していた…それがアリエスで、それを見兼ねたレオは自ら人間界へと召喚し、留まった。

星霊魔導士は星霊を一体召喚するだけでも大量の魔力を消費する。

他の星霊を虐待させない為にもレオはカレンの強制閉門も拒絶して人間界に居たが、後にカレンは自身の魔法である星霊魔導士を使えない状態でクエストに向かった。

だが、カレンが帰ってくることはなく事故で命を落としたと言われていたが……

 

「あの女、大した魔力もないのに無理して二体同時開門をしよとしてね。

自滅だったゾ。まぁ、トドメを刺したのは私だけど♪……私は色んな星霊魔導士を始末して鍵を奪ってきた。君の使っている星霊もいただいちゃうゾ…」

 

「カレン……カレンを……この女が……」

 

そう、ヒビキとカレンはかつて交際していたが事故死と伝えられて絶望した。一体自分の怒りと悲しみはどこに向ければいいんだ……と、だがその真実がいま、こうしてヒビキの目の前で告げられた

 

「(僕の恋人の……カレンの…命を!!!!)」

 

 

憎い……憎い……許さない。この女が居たからカレンは……こいつのせいで……

星霊魔導士が…こいつらが、こいつらのせいで……

ヒビキの中に闇が生まれていく

 

「(ダメだ!憎しみに囚われたら、ニルヴァーナに心を奪われて闇に落ちてしまう……考えちゃダメだ…)」

 

今にも増幅しそうな己の中の怒りと憎しみ、だがそれを意識してしまえばもうニルヴァーナの手中に収まってしまう。

完全に呑み込まれたらもはや自分ではどうしようも出来ないほどに闇に染まるだろう。

だからこそ、ヒビキは抗うのであった……己の中で…

 

 

 

「せっかく会えたのに、敵味方なんて……ロキ、元の世界に帰って」

 

友人であるアリエスと戦わせる訳にはいかない。

そんな辛い思いを2人にさせたくないとルーシィはロキを閉門し、星霊界へと戻そうとするが…

 

「見縊らないでくれルーシィ。

たとえかつての友だとしてもオーナーが違えば敵同士……主のために戦うのが星霊」

「たとえ恩ある相手だとしても、主の為なら敵を討つ」

 

 

「「それが僕(私)達の誇りだ!!!!」」

 

互いが友であったとしても呼ばれたからにはそれに応える……星霊にとっては分かっていたこと、いつかはこうなる……互いに向き合い、オーナーの目的のために成し遂げる。その邪魔になるならと……覚悟をいま示したロキとアリエスを前にルーシィは止めろとは言えなかった…

それじゃあ2人の覚悟を蔑ろにしてしまうから…

だが、それでも…

 

「(そんな……)」

 

 

 

 

 

辛すぎる。

 

 

 

 

 

 

「あれぇやるんだぁ。ま、これはこれで面白いからよしもするゾ」

「違う……こんなの、こんなの間違ってる……」

 

 

互いに殴り合い、蹴り合い……オーナーのために……

 

「うん。さすが黄道十二門のリーダー

戦闘用星霊レオ相手じゃ分が悪いか。

よぉし、それじゃあ…開け、”彫刻具座の扉”カエルム。

ほぉら、カエルム…標的だゾ」

 

エンジェルはなんと二体同時開門をした。

機械のような姿で球体の星霊

 

「アリエスがレオの動きを止めた瞬間を狙って」

 

オーナーであるエンジェルの命令に従い、カエルムはその見た目を変形させて砲台へと変わる。

するとチャージを初めて魔力を高めることで一気に魔力砲を放とつ。

すると、その魔力砲はレオだけでなく、アリエスごと撃ち抜いたのだ

 

 

「あはははは!うまくいったゾ」

 

 

「レオ…っ!!」

「アリエス……すまない…ルーシィ…。」

「いいオーナーに会えたんだね…良かった…。」

 

 

 

 

 

 

「どう?これが二体同時開門。んぅ〜、強力なレオはこれでしばらく使えないゾ」

「信じられない…」

「なにが?どうせ星霊なんて死なないんだからいいじゃない」

「でも痛みはあるんだ。感情だってあるんだ……あんたそれでも星霊魔導士なの!?」

 

 

「開け!”金牛宮の扉”タウロス!!」

「もぉ〜!!お任せあれぇ!!」

 

ルーシィはタウロスを呼び出し、エンジェルへと攻撃するようにお願いする

だが…

 

「ジェミニ」

「「ピーリピーリ」」

 

再び、エンジェルはジェミニを召喚して二体同時開門を行う。

カエルムは砲台から変形してその形を剣にする

 

「俺のナイスボディーを泣かせるやつは誰であろうと許さん!もぉ!?」

『おいでぇ♡モーモちゃん♡』

「ルーシィさ〜ん♡」

 

『一丁上がりぃ〜!♪』

 

またもやジェミニはルーシィへと変身し、その手に剣に変形したカエルムを持ってタウロスを色気で誘き寄せるとカエルムで吹き飛ばす

 

「タウロス!!…っ…あれ、あたし……」

「体力もないのに、星霊をバンバン召喚するからだゾ」

「……そんなっ……」

 

ルーシィは知らなかった…

まさかこんな形で友人を戦わせてしまうことになるということに…

いや、考えたくなかった……星霊が人間界で行われる戦いで共に戦う姿を…

そして、今目の前の敵であるエンジェルにも魔力的にも圧倒的に負けているルーシィは為す術がなかった

 

「自分に倒されるってのもマヌケな話だゾ♪」

 

ルーシィはジェミニが変身した自分に殴られる…

 

「くっ……」

「あはははは!いい気味!!」

 

「アリエスを……解放して……」

「はぁ?なにそれ?」

 

「あの子…前のオーナーにいじめられてて、ずっと辛い思いをしてたの……だから!」

『………っ!!』

 

「きゃっ!!」

 

「人に物を頼む時はなんて言うのかな?ルーシィちゃん♪」

「お願い……します…」

 

ルーシィは頭を下げる。

 

『……っ……』

「アリエスとロキを……一緒に居させてあげたいの……それができるのは、私達は星霊魔導士だけなんだ……」

 

ルーシィはカレンの事件を知っている。

ロキ本人から聞いたからこそ、今度こそはロキとアリエスを一緒に居させてあげたい。

アリエスが苦しむ姿をロキに想像させたくないからこそ、そのためならルーシィは星霊のため……仲間のためにも例えそれが敵であったとしても頭を下げる

 

「ふぅ〜ん。タダで?」

「なんでもあげる……鍵以外なら私のなんでもあげる!!」

『………』

 

「じゃあ命ね!ジェミニ、やりなさい!」

 

ジェミニはカエルムを持っ手をあげる。

振り下ろせばルーシィの頭を跳ねることもなんだってできる

ジェミニはオーナーの命令を……

 

 

 

 

 

「ジェミニ……?」

『……綺麗な声が…響くんだ。』

 

 

 

ジェミニは他者の姿、能力、思考……そして記憶をコピーする。

情報という情報を手に入れられる

そしてジェミニはルーシィの記憶がその頭に流れてきた…

 

 

 

 

『ママ!ママ!あたし星霊大好き!』

 

『星霊は盾じゃないの。

目の前で消えていく仲間を放って置く訳にはいかないでしょ!』

 

 

 

 

ルーシィの想いがジェミニにへと流れ込む…

 

 

 

 

『でき……ないよ……。

ルーシィは心から愛してるんだ!僕達…星霊を……』

「なっ!?」

「……ジェミニ……」

 

星霊だって生きている。人のように喜ぶ感情も怒る感じも悲しむ感情だって……思いを共有し合うことだってできる。

だからこそ、ジェミニはルーシィに触れてルーシィが本心で星霊を愛していることをその身に感じ取った。だからこそ、そんな人を本当に愛してくれている人をジェミニは手を掛けることができなかった。

 

「ちっ……消えろ!!」

 

ジェミニの閉門を行う…。

 

「もう!この役立たずが!!」

 

するとジェミニはあることに気づく

ルーシィの背後に回った仲間であるヒビキはそっとルーシィの首元に両手を回す

 

「……ヒビキ……?」

「まさか、闇に落ちたのかこの男!

ははははは!」

 

 

だが……

 

 

 

 

「じっとして……。

僕の魔法”アーカイブ”が君に一度だけ超魔法の知識を与える……」

 

 

そうしてルーシィの頭へと手を触れると、アーカイブを発動しその脳へと情報を送る。

 

ルーシィを中心に光の魔法陣が何重にも発動し、ルーシィはその情報がゆっくりと頭の中へと入っていく

 

 

「これ、なに?

頭の中に知らない図形が!?」

「危なかった……。

もう少しで僕は闇に落ちるところだった

だけど君と星霊との絆が、僕を光で包んだ…君ならこの”魔法”が…」

 

「おのれぇ!カエルム!」

「頼んだ……ルーシィ……」

 

嫌な予感がしたエンジェルはカエルムに命令し、砲台へと変形するとヒビキとルーシィをまとめて撃ち抜くように指示する

そして情報が全て、ルーシィの中にアップロードされると…

 

 

突然、風景が宇宙の様なものに変わり周りには惑星らしきものが無数現れる

 

 

「天を測り天を開き…あまねく全ての星々

その輝きをもって、我に姿を示せ。

テトラビブロスよ。我は星々の支配者アスペクトは完全なる荒ぶる門を解放せよ」

 

 

「ちょっ!?何よこれ!カエルム早く!!」

 

 

 

 

 

 

 

「全天88星、光る…”ウラノメトリア”!!」

 

カエルムの一撃はルーシィを前に届かず、詠唱を終えると全天88星ごとく、全ての種類の星霊の力を秘めた星の光はエンジェルを包み込み、その光で切り刻んだ

 

 

「えぇっ!?あれ?」

「君ならやれると思った……”ウラノメトリア”」

 

ヒビキの助けもあり、ルーシィはなんとかオラシオンセイスの1人、エンジェルを倒してみせたのであった

 

 

 

 

 

まぁ本人はなにがあったのかまったく覚えてないようだが…



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