死神の幻想 (エヌラス)
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1.一護転生!?__空座町を襲う敵!

どうもエヌラスです!
ライナーがヘブバンの世界行くやつ読んでる人は多分知ってるかなぁ〜って自分は思ってます(ポジティブ)

ライナーの方すらまともに更新できてないのに何してんだと言われればそれまでですがブリーチとライナー、何とか頑張って両立させるので応援お願いします!


「なんだよこいつ…なんでこんなバカデケェんだよ!?」

 

空座町上空、この町を守る死神代行“黒崎一護“は突如現れた化け物に動揺していた。一護の装いはボロボロになっており身体はあっちこっちに傷が出来ていた

 

全長およそ200mと思われる巨体を街に横たわらせ…そして様子を見てるのか動かない。巨体のせいで町は壊れ…下は地獄のような世界になっていた。

 

(そしてなんで街の人達ににも見えてるんだ…てことはこいつは虚とかじゃないっていうのか…?)

 

何故こんなことになったのか______状況は約30分前に遡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

幽霊が見える高校生______今は空座町の死神代行を務めている黒崎一護は…空座町上空の霊圧の異変を感じ取り空をパトロールがてら飛び回っていたのだ

 

(何もない…なのになんだこの違和感…今までとはまた違うこの感じ…)

 

いつどこで何が起こってもいいように全身に気を巡らせていく。

 

「っ!?」

 

その瞬間、一護の真上にとてつもない気配が襲いかかった。霊圧ではなく気配だ____次の瞬間には一護を簡単に…いや一瞬この町を覆い尽くせるのではないかという影が現れた

 

「く…っ!!」

 

即座に瞬歩を使って回避を試みようとする…だがいくら走ってもその影が途切れることは無い。その間にも影はどんどん濃くなっていく

 

(ダメだ…回避できねぇ!!回避したとして町が…!)

 

脳内でそう結論づけた瞬間、一護は無意識に背中の大剣の様な斬魄刀___斬月を手に取っていた。同時に上を見る

 

「なっ…!?」

 

瞳に映った巨体は想像より大きくそれに一瞬気圧されるが____

 

 

「月牙……天衝ッ!!!」

 

 

斬月から高密度の霊圧を放つ。だが相手を斬り裂く前に壁のようなものに防がれ月牙天衝が砕け散る。

 

(断空とはまた違う防御の壁…!?)

 

 

「ぐっ…ううっ!!____ぐあああぁあああッ!!!!」

 

何がどうなっているのか、一体コイツはなんなのか_____何も分からずに一護と空座町は大きな巨体に押しつぶされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ…く…っそ…!」

 

幸いにも影の端あたりだったお陰なのかなんとか下から這いずり出た一護、出れたとはいえあっちこっちに傷を作り装いも破れていた

 

「な、なんだ…これ」

 

直後目に映った光景に、一護は目を疑った。辺り一面が火の海とかしていたのだ

 

「嘘だろ…!」

 

絶望より先に少しでも希望に縋りつこうとしたのか、上空に一気に飛び上がる

 

燃える街…聞こえる鳴き声…崩れゆく建物…

 

空座町は文字通り、地獄と化していた。

 

 

(まだだ…まだ諦めるのは早い)

 

ここ空座町は重霊地でありかつては藍染惣右介がここで王鍵を作ろうとしていた。きっとこれほどの異変であれば即座に護廷十三隊が駆けつけてくれるはず…

 

___それまで持ちこたえなければ、俺が守らなければ…この町を…

 

「…!?__なんだ!?」

 

動きがなかったはずの巨体が大きく上に上がる。一護の目の前に四つの目が現れる。その目は一瞬大きく膨れ上がり…そして大きな爆発とともに光り輝いた。

 

「くそ…しまっ___!?」

 

その攻撃を避けることも出来ずに喰らう一護。身体が吹き飛んだような感覚が全身を支配した後に______全ての感覚が消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんだ……くそ……口が…腕が…)

 

口が着いているのか、腕があるのか、足があるのか、頭はついてるのか、体は未だ存在しているのか…

 

何も分からない…自分がどうなってるのかさえも分からない。

 

黒崎一護は、そう考えているうちに再び無へとなっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ご!…おい!一護!!」

 

「ぶへぁ!?」

 

聞きなれた声を受け取り、次の瞬間思いっきり頭突かれる感覚と共に意識を取り戻す

 

「いってぇ…!__コン?? 」

 

目の前にいるのは一護の姿をしたコンだった。普段はぬいぐるみのコンなのだが一護が死神である時は一護の素体に乗り移らせている

 

「なんだよ!ムフフしてたのに突然連れてこられてさ!!なんだ!?都合のいい設定だろ!?一護と俺はあれだ〜みたいな!雑すぎんだろ!?」

 

「なんでお前がいんだよ……ってかここどこだよ!?」

 

コンを見ている内に一護は自らがさっきまで何をしているのかをちょっとずつ思い出す

 

「気が付いたらこんな感じで廃れた街にいてよぉ…」

 

「空座町は…!?」

 

「…周りを歩いたら空座町ってもんはなかったぞ?___っておい一護!?」

 

コンが話している最中に一護は立って走り出す。

 

(町は…家は…みんなは……ルキア達は…!)

 

様々な不安が渦巻きながら走る。だが何を見回しても廃れた街だった。

 

「ちょっ…ぜぇ…はぁ…い、いちご…!!___わぷっ…!?」

 

一護を必死に追いかけ走っていたコンだが突如止まった一護の背中にぶつかる形で追いつく。

 

「なんでいきなりとまんだよ!?」

 

「感じねぇ…」

 

「は…?何がだよ…」

 

「誰の霊圧も…感じねぇんだ」

 

 

「…まじかよ」

 

 

 

 




評価や感想、お願いします!!してくれたら作者喜びますよ!!


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〜第1章〜 死神代行とセラフ部隊
2.chance encounter


お気に入りと評価ありがとうございます〜!!

あとコレ時系列的には死神代行消失編と千年血戦篇の間ってことでお願いします…!
俺がバチバチのアニメ勢で今度の展開すら分からないために…そしてあの衣装一護くん見た目めちゃくちゃ好きなんでもっと活躍させてあげたいんすよ…()




「なぁ一護〜!いつまで飛んで移動するつもりだよ〜!」

 

「るせぇ静かにしてろ!」

 

崩れてめちゃくちゃになった街を地面を蹴りながら凄まじい速度で移動する一護、そうして移動を繰り返していると街並みもだいぶ変わってきており都会感が増している…その代わり受けた被害も大きくなってきているようで原型がない建物も見受けられた

 

(この配置は空座町にはねぇ…なら逆にここはどこなんだよ…)

「一護見ろよ!」

 

再び飛び上がろうと脚に力を入れた時だった、コンが何かを指さして一護を止めた

 

「…?____これ…!?」

 

落ちていたのは新聞、発行している場所は…東京とだけ書いてあった。時間の経過があったせいなのかは知らないがボロボロになっており所々しか読むことが出来なくなっていた

 

「謎の生物…が飛来?」

 

記事に大きく書いてある事を口にしていくが大方あまりにもファンタジーすぎる内容だらけだった…ツギハギにはなってしまうが世界の軍隊は通用しなかったなどと書いてあった

 

だからこの街もめちゃくちゃになってしまった、ということなのだろうか

 

「一護!!」

 

「なんだ?」

 

新聞を読み終わり考えていると不意にコンが一護をつついて話しかけた

 

「あそこ見ろよ!」

 

「…爆風?」

 

コンが指さした方向に明らかな爆風が舞っていた、距離もそれほど遠くは無い。人がいる…

 

「行くぞ、こん中入れ」

 

コンを服の中に入れて再び地を蹴り爆風が待っている場所へと一気に詰め寄る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2時方向キャンサー3体!!」

 

鎌を持った少女___朝倉可憐がキャンサーを叩き潰すように切りさき声を出す

 

「ちょっ…多くない??」

 

片目を髪の毛で隠した金髪の少女___茅森月歌ががすかさず文句を垂れるとすぐさま眼鏡を掛けた少女__和泉ユキがツッコミを入れる。

 

「んな事言ってる場合か!?」

 

「司令官!!実戦経験積ませるためとはいえこれは多くない?」

 

通信機を起動させすぐさま上への愚痴を垂れる、だが司令官から帰ってきたのは非常な現実。

 

『少しもちこたえて頂戴、もう少しで近くにいた31Bが援護に行くから』

 

「むりむりむりむり!!持ちこたえられないぃ!!」

 

「おいタマァ!!」

 

「はいぃ!!」

 

「弱気な事いうてんなぁ!!___うっ…!」

 

大剣使いの逢川が相手のデフレクタを割った瞬間にタマに気を取られて足を滑らせる。大剣使いが足を滑らせるのはほぼ命取りに近い…数が多いなら更にその危険は深まっていく。

 

「めぐみさんっ!!」

 

タマがすぐさま援護に入ろうと走り出すがどうやっても間に合う距離ではなかった

 

「ッ!?」

 

だが攻撃が来る前に”上から”降り注いできた大剣がキャンサーを貫いて破壊した。

 

「な、なんや…!?」

 

キャンサー達も少女達も一斉に上を向いた、それがお互いにとって敵なのか味方なのか…

 

「何とか間に合った…よな!?」

 

大剣が降ってきた場所に少し遅れて黒い衣装を身にまとったオレンジ髪の男が1人、凄まじい速度で落ちてきた

 

「わわっ…!?」

 

月歌が近寄り警戒しつつも驚きの声を上げる、徐々に煙が晴れていき落ちてきた正体が明らかになった。

 

「でかい剣に…オレンジの髪の毛??」

 

「あ、あの〜…貴方は??」

 

タマがそう質問を投げかけると、大剣を軽々しく扱い肩に乗せた男が言った

 

 

 

「黒崎一護、死神代行だ」

 

 

 

 

 

 

 

 




こんな幼稚園児みたいなやつが書いた文を読んでくださりありがとうございます…

そして最近割とスランプ気味になっておりまして…全然手が付けられないんすよ、なにか克服方法ありますかねぇ

そして書き終わったのはいいんですけど短くてすいません…!!ちょうどいい終わり方だとおもったんですよ!!

評価や感想お願いします!!

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3.その男____死神につき

お気に入りや感想ありがとうございます!励みになるのでもっとじゃんじゃんください!!

音楽聞きながら書いてるとスラスラ書けるようになりましたねぇ…ブリーチの曲とかBGM聞いてると自然と浮かぶみますよ!()

そして時間軸について説明(言い訳を)
一応2章には入っておらず、1章のワッキーの宣戦布告とデススラッグ戦の間から始めてるつもりです。
31Bがでてきた問題に関しては正直言って特に何も考えてませんでした、強いて言うなら月歌達が最後に適正検査を乗り越えたのでは…?という勝手な想像からと次の2章に出てくるから出しとくか〜てきな勝手でした…

長々と言い訳絡みですいません()
今後は頑張りますのでお許しを…

そして今気付いた…死神って霊力ある人間にしか見えない。つまり月歌達見えなく無いっすか??
それと同時にこじゅと気が合いそう


「死神代行…?」

 

その場にいた少女達はまるでそれが聞き慣れない単語かの様な振る舞いを見せた。まぁ確かに実際の所、死神代行だなんて通用するのは尸魂界だけかもしれない…

(最初の頃なんて尸魂界でも機能してなかったけどな…)

 

懐かしい時代を思い出す一護、取り敢えず大剣を担いだまま少女達に近寄った。勿論全員警戒をして武器を構えたりしている

 

「そんなんじゃねーって、援護しに来ただけだぜ」

 

そうは言っても信じてくれねぇだろうなぁとも思いつつ彼女達の反応を待つ_______

 

「心強そうな味方が来た!」

 

だが金髪の二刀を持った少女が即座に味方と言い、一護が頭から転げる

 

「えぇ…!?そんな簡単で良いのかよ!?」

 

「そうだぞ月歌…!まだ分かんねーんだぞ!」

 

眼鏡を掛けた少女が一護と一緒にツッコむ。

 

「ほら、ユッキーともこんなに息ピッタリのツッコミするし…最初にめぐみん達を護ってくれたし、それだけで十分信頼できるよ?」

 

言ってる事は大分滅茶苦茶な筈なのだがその目はしっかりとしていた、信じろと言わんばかりの真っ直ぐな目

 

「お、おう…?」

 

「あ、折角なら握手しよ。あたしは茅森月歌!31Aの隊長やってんの。よろしく〜」

 

そう言いながら右手を差し出してくる、まさかこんな人物がこの部隊を纏め共に戦っているとは…カリスマ性と言う奴なのだろうか

 

「さっきも言ったが黒崎一護だ、宜しくな」

 

取り敢えず右手を差し出して握手を交わす。

 

(男の人ってこんな感じなんだ…なんか新鮮)

 

セラフ部隊に入ってからまだ間も無いが、その間正直と言って男との関わりは一切無かった。久しぶりというかほぼほぼ喋った事すら無かった異性との会話がこんな状況なのが新鮮に思えた

 

 

 

「ええ所やけど申し訳ないな、敵さんはそう待ってはくれんそうやで!」

 

 

めぐみがセラフで攻撃を受け止めながら叫ぶ。気付けば辺りはキャンサーが集まり、パッと見ても8体ほど囲んでいた

 

「なんやこのキャンサーおっも…!」

 

めぐみの上から覆い被さるように脚を振り下ろしていたキャンサー、その重みに耐えきれずにめぐみが膝をつこうとしてた時だった

 

「えっ…?」

 

「うおおっ…!________あぁ軽なった…?」

 

先程まで月歌の前に居た一護がその大剣を身軽に振りかざしキャンサーを吹き飛ばしていたのだ。月歌達が驚いている間にもう一体に斬り掛かり後ろに仰け反らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんだ…この感覚)

 

一護は大剣____斬月を握りキャンサーと闘いながら少しの違和感を感じ取っていた。

 

(斬ってるのに…相手を直接斬ったって感じがしねぇ)

 

どれだけ力を込めて振るっても仰け反りはすれど傷を付けられた感覚はしなかった。

 

「よし!今だ!」

 

(…なんだ今の!?)

 

後ろからホーミング式の弾丸が放たれ一護の目の前に居たキャンサーを貫く、それと同時にそのキャンサーから剥がれる様にして纏っている”何か”が消えた

 

これならいけるかもしれない、本能的にそう感じ取った一護は斬月に凄まじい霊圧を込める。

 

「月牙ッ……」

 

 

幾度として使い続けて来た技、自らが死神である証の1つ…

 

「うおっ…!?なんや!?」

 

「めぐみさん!あの人が凄く光ってますよ!!」

 

「まさかこの揺れ…あの人のせい…!?」

 

「おいおい嘘だろ…?何しようとしてるんだよ…」

 

「まぁまぁユッキー!___おーい!!デフレクタは割れてるから全員倒せると思うよ〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天ッ衝ォォッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

斬月から霊圧の塊が斬撃の形となり放たれる。そのままの勢いで周りにいるキャンサーを全て粉々に打ち砕いて行った

 

 

__________________________

 

 

 

 

「ザ!月牙天衝っ!!」

 

「ウチも出来るやろうか…同じ大剣やし」

 

タマが自らのセラフを振り回して子供の様にさっきの一護の真似をする

 

「なんか辞めてくれ…恥ずかしく見えてきた」

 

一護はそんなタマを見ながら顔を隠した、なんとなく恥ずかしくなってきたのだ。これは言えないが相手が子供だからだろうか…

 

「助けてくれて有難う、何処から来たの??」

 

月歌がめぐみとタマの間に入り感謝を伝える、それと同時に質問を投げ掛けて来た

 

「空座町だよ、東京の辺にある…」

 

「東京か…これが何時の時代の地図か分かんねぇけどもう今じゃ世界中がキャンサーに覆われて何処に何があるか…」

 

ユキが電子軍事手帳から様々な地図を見比べ頭をひねる

 

「え…は…!?さっきのが世界中にいんのかよ!?」

 

「え、あぁ…」

 

それが本当なら本格的に色々とヤバい事になる、霊圧なんか1ミリも感じないし死神達はどうなったのか、家族は…友達は…石田や茶渡、井上は一体何処に行ってしまったのだろうか、不安ばかりが一護の足枷となっていく

 

「だからあたし達セラフ部隊が居るって訳!」

 

「おい月歌、喋り過ぎだ」

 

「それにしてもこんな服見た事ない…剣も凄く大きい…」

 

可憐がまじまじと見つめながら喋っていく

 

「あぁ、これ霊圧で出来てんだ。一応見せておくけどこれが死神代行証」

 

「へ〜!何これ!」

 

「やっば分かんねぇかぁ…」

 

これが役に立った事なんて碌に無い、精々…完現術の時くらいだろうか…

 

「この大剣にも名前あるんか??」

 

「ああ、あるぜ____”斬月だ”」

 

「斬月…カッコイイ!」

 

「黒崎さんよ…そんなに喋って良いのか?あたし達が敵か味方かまだハッキリしてないじゃないか」

 

「へ?何言ってんだよ、さっき一緒に助け合ったじゃねぇか。それに俺こんなに話してるんだしもう警戒もしてない」

 

「そ、そうか…」

 

 

その時だった、後ろから数人の集団が瞬間移動のように現れた。

 

 

「皆さんお待たせしました!!って_____その人は??」

 

「なんだ、もう終わってるにゃ」

 

「あ?__あんな奴Aにいたか??」

 

「どうでも良いが男か…これは面白そうな実験材料だ…!」

 

(…なんかあの人の大剣、色んな人の圧を感じる…!)

 

31Bの柊木梢は人一倍霊感が強い為何と無くではあるが色々見えちゃいけない物も見えてしまう。死神である一護にはなんか色々憑いている為

 

___じーっと見つめていた

 

「…なんかめっちゃ見られてんだけど?」

 

見られている事に気付いた一護が柊木を見ながら隣の月歌に話しかけた。

 

「い、いえっ…!!」

 

(そもそもこの人自体に2人くらい気配感じるんですけど〜!?しかも怖い…!!)

 

「取り敢えず一護はどうしようか、連れて帰る?」

 

「この状況を考えればそれが妥当だろうな、強そうだがキャンサーのデフレクタを叩けては無かったし」

 

「あれデフレクタっていうのか」

 

「ん…ああ、あれをまず破壊しないとキャンサーには攻撃出来ない」

 

だが問題が1つあった、セラフ部隊の基地に一護を連れて行けるのかどうかだけであった

 

「だが問題は司令官達がそれを許すかどうか…」

 

どう言い訳や説明をすればちゃちゃっと事が済むのか、それを考えながらユキが頭を抱える

 

 

 

「あ、ユッキー!皆にはバレないように連れて来いだって〜!」

 

「月歌…お前聞いたのかよ」

 

「え?ダメだった?」

 

「…因みになんて言った?」

 

「死神代行の男の人連れて来たよ〜って、後滅茶苦茶強いって事だけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」




ライナーでもそうでしたがキャンサーはセラフではないとDPに傷を付けられないという公式設定があるためDPが割れたあとはただの塊なんで傷をつけられる。そうした方が月歌達も活躍できるであろうという作者の小話…

初期の月牙天衝ッ!!の言い方も好きだけど千年血戦篇あたりの溜めがはいりまくった月牙天衝もすきなんだよなぁ…

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4.一護、司令官と会う

色んな人に見てもらえてめちゃくちゃ嬉しいです、UAやお気に入り、ましてや評価が増えてるのを見るとモチベがめちゃくちゃ上がるんで!!

てことで評価や感想、お気に入りお願いします!!


31A、及び31Bが乗せられたヘリコプターがセラフ部隊が配置されている基地へと到着する。

 

様々な隊員が駆け寄り荷物や戦利品を取り出し、又はヘリに異常が無いかを確認し始めた

 

「相変わらず壮大だなぁ〜」

 

そんな事を言いながら月歌は袋が入っている台車を押していた、様子を知っている隊員を除き_____滅茶苦茶怪しそうな目で見られていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜司令官室〜

 

「もう良いぞ」

 

「ぶはっ!!」

 

ユキにそう言われやっと出れると言わんばかりに、袋からオレンジ色の髪をした男が出てくる。それに七海と司令官は少しばかり目を見開いた

 

「はぁ…はぁ、なんで袋なんだよもっとあったろ…!?__息もしずらかったしよ!!」

 

オレンジの少年は息が整うのを待たずに月歌に襲い掛かる勢いで詰め寄った。

 

「てへぺりんこ!!」

 

「…〜ッ!!!」

 

詰め寄られて尚巫山戯通す月歌に、一護は今にも背負った刀を抜き放ちそうになっていた

 

 

 

 

事は数時間前に遡った。

 

 

司令官に事を伝え、取り敢えず一護を戦利品扱いとして持ち帰る事となった、だが問題は出来る限り騒ぎを大きくせずしてどう一護を持って帰るかと言う話になった…既にヘリコプターは位置に着地しておりそう時間を掛けてはいられない

 

「瞬歩で着いて行くってのはどうだ?」

 

一護が一番最初に口を開く、確かに良い案なのだが…

 

「あの瞬間移動みたいなやつか…だが基地の周りにあるセンサーでバレる」

 

「変装は如何でしょう!?」

 

次に口を開いたのはタマだった、意外と良い案ではあるが…

 

「誰も服に予備が無いからな…あと男だからサイズもダメだ」

 

「無理ですか…」

 

「はいはいユッキー!!」

 

「…一応聞いておいてやる」

 

「いっその事なら普通に歩く!!」

 

「はい次ー」

 

もはや反応する必要すら無いとユキが無視する

 

「ええっ!?」

 

「大体お前な、そんなんやったら確実に大混乱だわ」

 

帰って来た部隊が物騒な大剣背負った男連れて帰って来ましたなんて混乱を招くだけだ、それが女だけのセラフ部隊だと特にアウトになるだろう

 

「ちぇー」

 

月歌の意見を最後に何も出なくなる、そろそろヘリも待ってはられないだろう…

 

「ん〜…あ!」

 

ヘリの方を見つめていた月歌が何かを見つけたのか走っていく

 

「またアイツは何を…」

 

 

顔に?を浮かべたメンバーの元に結構大きな袋を携えた月歌が戻って来た。

 

「見てみてこれ!袋、滅茶苦茶デカいから此処に入ったら?」

 

「成程…これは良い案ではないですか??」

 

いや何処が良い案だ。こんなもんに入ったら人権的な物が無くなりかねない…

 

「まぁ〜…それしかないか?」

 

否定せずにユキが答えた。巫山戯るな

 

「おい待て、人袋に詰め込む気か??」

 

「つべこべ言ってられんやろ、はよ入りーや」

 

「おいおいおい…!!」

 

全員が謎に一致団結し一護を袋の中に詰め込み始める、一護は最初は抵抗していたのだが押し込む手が徐々に増え途中からは首に手刀を貰いぐったりと動かなくなってしまった

 

 

 

 

 

 

そして今に至る

 

 

 

 

 

「茅森さん、もう少しばかり優しくお願いするわ」

 

 

「司令官、次から誰か拾ったら袋じゃない何かに詰めて持ってきてやってくれ…」

 

司令官がやれやれと言わんばかりに溜息を吐き、一護も言葉を発した…二度とこの様な事が起こらない様にと

 

「此処からは私と七海だけで良いわ、31Aは休息を取って頂戴」

 

そう言われ、31Aは司令官室から出て行った

 

__________________________

 

 

 

「初めまして、私の名前は手塚咲…此処セラフ部隊の司令官を務めてるわ」

 

「七海です、司令官の補佐として此処に居ます」

 

「俺は黒崎一護、多分分かんねぇと思うけど死神代行だ」

 

取り敢えずお互いに挨拶を済ませて話を始める、自己紹介の時点で司令官と七海が一護に最初に持った印象はそっち向けの痛い人と言う事、だがキャンサーまみれの土地で生き残っていた事…そしてユキからの報告、キャンサーを討伐していたと言う事から戦闘能力はある様で、只の痛い人では無い様だ

 

「私達から聞いても良いかしら?」

 

「ああ」

 

「貴方は何処から来たの…そしてその大剣は何?」

 

死神代行証に触れる暇も無く、その挙動から変に怪しまれない様に、取り敢えず死覇装のまま椅子に座った一護、大剣は取り敢えず横に置いてあるが後ろに居る銃を構えた兵により常に見張られていた

 

「俺は空座町から来たんだ、突然出て来たデケェヤツと戦いになって押し潰された筈なんだが気が付いたら此処に居たんだよ」

 

「…」

 

確実に怪しまれている視線が一護に刺さる、だが疑われている以上素直に話すしかない。例え嘘くさくても身の白を証明しなければ殺されるだろう

 

「そしてコイツは斬月、俺の斬魄刀だ」

 

「斬魄刀…?」

 

「さっき死神って言ったろ?そいつらは全員刀を持ってるんだ…俺はまぁ特殊な感じだったけど、取り敢えず死神の魂みたいなもんだ」

 

「そう…その言い方だと他にも死神は居るみたいね」

 

「ああ、沢山居るぜ。でも霊圧って奴を感じねぇからこの世界には居なさそうだ…そしてその世界にも帰れそうにねぇんだ。なんか知らねぇか?」

 

「残念だけど今の私達にそれ程の技術はないわ、ましてやこんな状況だと作ろうにも足りない物が多すぎる」

 

「そうなのか?」

 

「此処に来る途中に見ただろうけど今の日本はほぼ壊滅しているの」

 

「あのキャンサーって奴にか?」

 

「ええ、残った人類は必死に足掻いてるの。世界中がキャンサーに侵略されたあの日から…」

 

「そのキャンサーってのはなんなんだ?なんでこんな…ましてや世界中って言ったな?こんなに追い詰められてるんだよ」

 

問いかけに司令官は少しばかり口に水分を含み…ゆっくりと語り掛けた。50年前、地球にキャンサーが現れ人類が敗戦を辿ってきたこと

 

現代兵器が効かなかった事、全滅寸前でセラフ部隊が結成されている事を…

 

「なんだよそれ…」

 

全てを聞かされた後、一護は息をする事すら忘れそうになっていた

 

「じゃあ空座町を襲ったアイツもキャンサーって事なのか!?」

 

「現状のそんなサイズのキャンサーは確認できてないの、でももしそれが本当なら……更に人間側が不利になるわ」

 

「200m超…」

 

横に立っている七海も息を飲む

 

「…なぁ司令官」

 

「…?」

 

「そのセラフ部隊ってのに俺も混ぜてくれねぇか?」

 

「…!?」

 

司令官の表情が一瞬だが崩れた、それは仲間が増える事に対する安堵かそれともただ一護が更に怪しく見えたか…

 

「…」

 

「第一此処は俺の住んでた世界じゃない、しかも外には訳の分からん奴らがうじゃうじゃと居るんだ」

 

「…普通の人間としてドーム内で暮らすと言う選択肢もあるのよ?」

 

「目の前で起こった事を見捨てられる程、俺はクズでもねぇんだ…」

 

「…綺麗事ね」

 

「綺麗事でも良いさ…」

 

一護は横に置いてある斬月に触れながら口を開く、死神になり…一時はその力を失い_____再び取り戻した力

 

元の居場所に戻る為にも、命懸けで戦う所を見た彼女達の為にも

 

「俺は全てを護りたい、その為に手に入れた力なんだ」

 

一護の瞳は真っ直ぐに司令官を捉えていた。

 

(真っ直ぐな瞳…嘘偽りは感じられない)

 

1度息を吐いて吸う……そうして

 

「黒崎一護…と言ったわね」

 

「ああ」

 

「貴方の手を貸して頂戴」

 

「良いぜ」

 

「でも……同じ部隊として信じられる何かが欲しいの、まだ貴方を完璧には信じられないのよ」

 

「…なら俺と戦え」

 

「…!?」

 

「剣を交えて想いをぶつけれるんだ、良いとは思わねぇか?」

 

何も難しいことでは無い、今までそうしてきたように…世界が変わろうとも一護は今まで通りにやる

 

「ええ、良いわ…だけど戦うのは私じゃないわよ?」

 

「なに…?」

 

「こう見えても私は元セラフ部隊、怪我をして前線には立てない身なの______だから私より強い子を連れて来てあげるわ」

 

司令官はこう考えた、戦いを外側から見る事によって一護の戦いを見てみたいと…死神代行がどんな戦いをするのか、そしてその力はどのくらいなのか……

 

 

 

 

 

「ああ、良いぜ」

 

 

一護は笑い、司令官と手を取った

 

 

 

 

 

 




ネタバレは控えますが3章後半的なことになってしまえば一護は確実にブチギレますよね…


そしてタイトルはなんとなく初期のブリーチを再現したみたりしてるんですけどどうでしょう!!


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5.ノブレス・オブリージュ

UA1000突破ありがとうございます!!
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「おいコラ一護ォ!!!」

 

「ぶへっ!?」

 

つい数時間前に司令官と話をし、明日その人物と戦う事になった一護。その間、存在は秘匿される事となり厳重な警備と共に、アリーナに一番近い場所に1日過ごす事となった。外や窓付近にも監視の目がある為、少しばかり窮屈な思いではあるが我慢する…幸い楽しみになりかけていた食事は美味しかったからまだ良い

 

 

そして今、忘れてたコンのドロップキックを食らっていた

 

 

「なにコン様忘れとんじゃボケェ!!ヘリに何とかしがみ付いて此処まで来たんだぞアァ!?」

 

「こ、コン…!!わすれ____大丈夫だったか!?」

 

「おい今忘れてたって言いそうになっただろ!?」

 

「いやほんと…すまん」

 

「そしてなんだこの状況、隔離かよ…」

 

周りの監視の目に気付いているのか辺りを見回しながらコンが喋る。

 

「今は大人しくしてろ」

 

長年の付き合いだ、一護の空気を察したのかコンも詰め寄るのを諦め椅子にちょこんと座る。それと同時に一護も用意されたベットに横になり息を吐く

 

「ちぇ〜、暇だなぁ」

 

 

 

(井上、茶渡、石田、ルキア、恋次…無事か?)

 

 

一護は募りに募った不安と共に一夜を過ごした

 

 

__________________________

 

〜現世・空座町〜

 

 

「一護が行方不明だとぉ!?」

 

「黒崎一護が…?」

 

「ああ、そうなんだ…」

 

重霊地、空座町に異変があった為、様子見を任される事となった

 

六番隊隊長”朽木白哉”

 

六番隊副隊長”阿散井恋次”

 

2人は空座町に着いた瞬間にあっちこっちが異様に凹んでいた光景に目を疑った。だが漂う霊圧の感じで黒崎一護がなんとかしたと安堵したのも束の間___石田達に呼び止められ今に至った

 

「霊圧を辿ってもこの凹んだ場所で不自然に途切れている…」

 

「黒崎くん…」

 

暗い空気の中朽木白哉が口を開いた

 

「黒崎一護の最後を見た人物は居るか?」

 

「いや、誰も居ない…なにせいきなりだったから反応が遅れたんだ」

 

「そうか…」

 

「朽木隊長、どうします?」

 

「…とにかく今は報告するしかないだろう」

 

「そうですね…」

 

黒崎一護は一体何処に消え、空座町に一体何があったのか…白哉達は悩まされていった

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地・アリーナ〜

 

 

「取り敢えず今は31A、31B、30Gの3部隊にこのアリーナに来て貰ったわ。30Gにはまだ伝えてないのだけれどもしかすると今日から新しい隊員が来るかもしれないの、それも男の」

 

A,Bは状況を分かっているので何も言わないのは知っていた、だが30Gには気の揺らぎひとつも感じられなかった。流石は30世代の生き残りというやつだ

 

「それでうちの隊長さんを試験官に選んだって訳かい?」

 

「ええ、彼女はとても聡明よ…黒崎一護を試すには1番最適なの」

 

「ではなぜわたくし達まで?」

 

「それは…貴方達にも見て、感じて欲しいの…彼が私達の味方なのか、敵なのか」

 

「成程、期待に応えられるかは分からないが頑張ろう」

 

30Gの部隊長、白河ユイナが前に進み礼をした。集中力は何時もより高く身に纏う圧も月歌達が初めて見た時よりかは格段に上がっていた

 

 

 

 

 

「…紹介するわ、彼が黒崎一護よ」

 

 

 

そんな中司令官が口を開き、後ろからオレンジ髪の少年___黒崎一護が入ってきた

 

 

 

「私は30G部隊長白河ユイナだ、今回君の対戦相手になる。よろしく頼む」

 

「俺は黒崎一護だ、よ、宜しくお願いします」

 

最強だと言われていたのでもっとガサツな人間かと思っていたのだが思ってたよりも華麗でそして礼儀が正しく少しばかり困惑する

 

「それじゃあ始めようか、黒崎一護」

 

「ああ、白河さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員がそれぞれ距離を取り、一護とユイナを中心にして散らばる。

 

「黒崎一護」

 

「なんだ?」

 

「本気で来てくれ、こちらは手加減する気は一切ない」

 

「当然だ、俺もねぇよ」

 

お互い少し笑みを零す。そして…

 

 

「”ノブレス・オブリージュ”」

 

「…っ」

 

「すげぇユイナ先輩…!」

 

彼女がセラフィムコードを唱えた瞬間、一瞬白い光が包み直後____白い剣がまるで翼のように現れ右手に収まる。それに一護は勿論…月歌や蒼井までその武器に見惚れてしまう

 

その光景を見た瞬間、一護の瞼に映ったのは朽木白哉の姿だった。

 

(いけね…気を取り直さねぇと)

 

大きく息を吸い……一言発す

 

 

 

 

 

 

「”卍解”」

 

 

 

 

 

 

「っ!? 」

 

黒崎一護が言葉を唱えた瞬間、黒と赤の凄まじい風が一護を覆いアリーナ全体を風が覆った。31A、31Bは勿論…30Gでさえ一護を中心に漂うその凄まじい”圧”に気圧されていた。

 

 

(なんだ…!?この圧力は…!)

 

一護と対峙しているユイナは剣を構えながらも少しばかり額に汗を浮かべた。

 

そして次の瞬間、何かを振るう音と共にその風は一気に消えていく

 

 

 

 

「”天鎖斬月”」

 

 

 

 

「黒崎一護、それは?」

 

自らのセラフを持ちながらユイナが一護に問い掛ける。一護は素直にそれに答えた

 

「これは卍解って言うんだ、そして此奴は斬月じゃなくて天鎖斬月…見た目は弱々しいって言われんだけど、これが俺の本気だ」

 

刀になった天鎖斬月をユイナに見せながら一護が話す。ユイナはそれに1度頷き再び構えを取った、虚化は…人に見せられる物でも無いしそう易々と見せたくは無い

 

 

「行くぜ…白河ユイナ」

 

「来い、黒崎一護」

 

 

_____一護は自らの想いを剣に乗せ

 

 

_____ユイナは一護の想いを受けるべく

 

 

 

 

 

 

戦いは始まった。




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6.最強vs最強

UAがちびちびとでも伸びていっててうれしいです、もしこれでへブバンやブリーチにはまってくださる方々がいるなら自分もとても嬉しいです。こんな思春期真っ盛りが妄想しまくった話しか書いてないですがこれからもよろしくお願いします。


「おおおおあああっっ!!」

 

天鎖斬月を大きく振りかぶり一護がユイナに先制攻撃を仕掛ける、お互いの刃が激突し顔を火花が照らす。そのまま何度も刃を交わしていく。だが5撃目を叩き込もうとした一護の刀の切っ先がユイナを掠める前にユイナは大きく左に傾いた

 

「っ!?」

 

「はっ…!」

 

全力で振り下ろしていた為、大きく態勢を崩した一護に容赦のないユイナのセラフが襲い掛かる、初撃は何とか躱したが続く攻撃は躱せずに血が舞った

 

「ぐっ…ぁ…!」

 

攻撃に顔を歪めるが即座に距離を取る、舐めていた訳では無いが正直驚かされた

 

「手加減はいらぬ、全力で来い黒崎一護!!」

 

「言ってろ!!」

 

刃に霊圧を溜め込み大きく振るい月牙を放つ。切っ先から放出された斬撃がユイナに目掛けて迫っていく。

 

 

「はああっ!!!」

 

「なんだと…!?」

 

だがユイナはそれを気合いを込めた横振りだけで月牙を切り裂いた、その瞬間猛烈なスピードで地を蹴り一護に迫る。

 

「っ…!__っらァ!!」

 

「ふ……はぁっ!!」

 

斬撃に次ぐ斬撃、お互い1歩も譲る事なく刀と剣が凄まじい速度と力で交わっていく。黒い月牙と白いオーラが交わりまた再び火花がそれを打ち消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

(ユイナ先輩すげぇ…!!__でも一護も強い…、あたしじゃ目で追うのが精一杯だ…)

 

2人の剣舞を見ていた月歌が目で追いながらそう思う、あの中に入れば確実に…一瞬で死んでしまう、そう感じてしまうくらいに速かった…

 

「な、なぁユッキー…!」

 

「な、なんだよ月歌…?」

 

隣に居たユキも2人の凄まじい戦いに固唾を飲んで見守っていたらしく額からは緊張の冷や汗が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(黒崎一護…お前の刀からはなぜこんなにも私を突き動かす意志を感じる?不思議なものだ…こうやって武器同士を打ち合わせる事が無かったからか…?)

 

白河ユイナは戦いながらも不思議な感覚に陥っていた、戦って一護の刀を受ける度に自分のセラフを伝って一護の想いが伝わってくる、そしてそれに応えようと体が勝手に反撃の一撃を叩き込もうとしていく…

 

今まで人と武器を介したことは無かった、セラフ同士を打ち合わせる事は軍の掟で禁止されていたからだ。だから今回…一護のはセラフでは無いと聞いた時少し緊張した。他人と剣を交え…ましてや斬るなどと、人間を守るセラフ部隊が人を斬る…何とも笑えない話だ

 

(だが今は違う、何だこの気持ちは…私は黒崎一護と刃を交える事を心地よく思っているのか…?)

 

セラフ部隊最強と言われ長らく自分達を上回る”敵”を見つける事は無かった。

 

(黒崎一護…一撃を交える度私の反応を上回る一撃を入れようとしてくる…)

 

時たま放つ見た事も無い黒い斬撃、天鎖斬月という刀の刃、その全てで打ち合う。

 

(…そうか、私も闘いに身を投じ過ぎたのか…)

 

殺し合いはせずとも只一護の意思を感じるだけで良かった、だが今のユイナは目的が変わっていた

 

______この男を超えたい

 

 

「はああああああああああっ!!!」

 

次の瞬間、凄まじい力がユイナの底から漲るように現れた。

 

それはセラフを伝い、身体を伝い、ユイナの心にさえ届き、温め、力を引き出していく

 

___長らく忘れていた感覚が体の奥から掘り起こされていく…

 

「久しぶりに見たねぇ、あんなユイナちゃん」

 

「ああ、そうだな…」

 

同じ30Gの月城最中と蔵里見が、戦う部隊長を見ている。最早付け入る隙など何処にも無いだろうと諦めている

 

 

「黒崎一護!!」

 

白いオーラを剣に纏わせユイナが叫ぶ。

 

「白河ユイナァッ!!!」

 

それに応える様に黒いオーラが一護を覆う。

 

 

__次の一撃で全てが決まる。全員がそう確信した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでっ!!!!!」

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

2人が地を蹴ろうとした瞬間、司令官の怒髪天を穿く様な声がアリーナを支配した。それに気を取られて2人のオーラも消えていく

 

「もう良いわ、充分に伝わった」

 

「ほんとか!?」

 

「でもまだ完璧に信用した訳じゃないわ、これからに期待ね」

 

「なんだよそれ…」

 

「それと白河さん、有難う。お疲れ様 」

 

「いえ、こちらこそ……??」

 

司令官に礼儀正しく礼をしたユイナだったがその直後に突如気を失ったかの様に倒れそうになり、それを一護が支えた

 

「大丈夫か…!?」

 

「す、すまない…!」

 

突如触れられたせいか、ユイナは少しばかり顔を赤くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっほ〜!!恋愛ゲー展開来たああ!!」

 

「おい月歌、おまえおっさんかよ」

 

 

 

 

 

 




ユイナ先輩更木剣八かよ


そして内容の薄っぺらさを隠す言い訳をひとつ


「日常の隙間で読めるような内容を(?)」


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7.knockout

どうもこんにちは〜!!
最近の大寒波怖すぎてほんとうにやばいですよ、関西なんてえぐかったですもん…


 

「黒崎一護、貴方を遊撃隊に任命します」

 

ユイナとの戦いの翌日、まだ傷も完璧に癒えていない一護が司令官に呼び出され言われた第一声がこれだった。

 

「ゆ、遊撃?なんだそりゃ?」

余りに突然の事を言われ素っ頓狂な声を出してしまった一護、司令官はそんな一護を気にせずに淡々と伝える

 

「貴方にはまだ言ってなかったわね、基本セラフ部隊は____」

 

そこから解説されたのはセラフ部隊に関する詳しい情報だった

 

基本的に1部隊6人でABCに分けられている事

 

その代で1番優秀と認められた部隊にAが授けられる。正直言ってあの茅森なんたらがAの部隊長と言われた際には少しばかり司令部に心配の思いが募った、強いと言えどあれが隊長って…

 

「説明は以上よ、そして後数時間後に貴方の正式な入隊式が行われるわ」

 

「はぁっ!?何勝手に進めてんだよ!第一俺まだ傷も治ってないのに!!」

 

「貴方の回復速度は目を見張る物があるわ、そして傷自体大した事無いもの」

 

何処が?ユイナ先輩とやらにあっちこっち切り刻まれの突き刺されの割と重症になる傷ばかりだったと思うんですけど?

 

「良いから出なさい、後その変なぬいぐるみは取り敢えず隠して頂戴。下手な混乱を生むだけだと思うから」

 

「んだとぉ!?!?」

 

只隣に座ってじっとしていたコンは、どうやら入隊式に入れては貰えない様だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり疲れる…」

 

入隊式が終わり自室となりかけている監禁部屋に入る一護。

 

セラフ部隊全メンバーの前に立ち自己紹介は中々に疲れてしまう、しかもそれが全員異性だったと言う事でそのハードルは更に上がってしまった、主要部隊にも、その他隊員達にも一切男が見受けられなかった。後々分かった理由では何故かセラフは男では発現しないと言う事だった…

 

(一番最初にセラフって奴を作った奴は相当な女好きって事か…?)

 

しかも全員個性がありそうな人達ばかりだった、茅森は相変わらずヘラヘラとこっちに手を振るしで…

 

「まじで男居ねぇんだな此処…」

 

「まじで!?女だけ!?」

 

……コイツだけは喜びそうな空間ではある

 

「おいコン、余計な事したら縛るからな」

 

取り敢えず念には念を入れコンにはきつく言っておく一護。

 

(監禁部屋も今日まで、明日からはどうやら部屋が用意されるみたいって司令官言ってたな…)

 

慣れつつあるこの空気の中、一護は再び眠りに着く事となった。

 

_______________________

 

〜次の日〜

 

「朝からの呼び掛けに応じてくれて有難う。早速だけどちょっとした任務に当たって欲しいの」

 

1晩で目立つ傷は全て癒えた一護は早速と言わんばかりに司令官からの呼び出しにあった。早めに朝御飯を済ませておいて良かったと内心思いつつも表には出さない…読み取られてそうではあるが

 

「一体何させんだよ」

 

「貴方には取り敢えずこの周辺のドーム付近を散策して貰うわ。勿論キャンサーも点在しているけどどれも差程大した事無い筈…デフレクタが割れなくても逃げられる筈よ」

 

「…」

 

司令官の言い方もそうだが、こう…敵が居るのに自分の攻撃が一切通らないむず痒さと言うか…しかもそれが月歌達の言う雑魚とかだと更に腹立つ

 

「後デフレクタが割れないのはセラフ部隊の中では死活問題、今どうにか出来ないか少しばかり模索中よ。後々貴方にも関わって貰うわ」

 

「ああ、分かった」

 

其処で一旦息を入れる司令官、これからが一護にとっての本題となるだろうと少しばかり察していた

 

「そして貴方にもこの周辺の地形は把握して欲しいの。いざと言う時に黒崎一護は私達にとって大きな戦力になる筈よ」

 

大きな戦力、そう言うからにはセラフ部隊は追い込まれているのか…?そんな探りを入れてしまいそうになる

 

「期待に応えれるよーに頑張るよ」

 

「ええ、期待してるわよ」

 

「…あとそうだ!」

 

一護は司令官室を出る前に司令官に問い掛ける。朝から見掛けなかったので司令官なら分かるかと思っての事だ

 

「月歌達見なかったか?_色々聞きたい事があんだけどアイツらならまだ聞きやすいんだ」

 

「茅森さん達は今日はこれから用事があるの、夕方まで帰ってこないわ」

 

「そうか、あんがとな」

 

それだけを聞きたかったのだが、茅森達が居ないのなら仕方ないと思いつつ一護は司令官室を出た

 

__________________

 

 

〜1時間後〜

 

 

「とはいえ此処ら辺にキャンサーって奴が居る様には見えねぇけどな」

 

地面を蹴って飛び上がる、そんな何時もの移動方法をしながら一護は周りを見回していた。ほぼ廃墟と化していた街並みだったが人が通った後は見受けられていた

 

(この電子軍事手帳って奴で連絡をするんだったな…)

 

出発の前に渡された電子軍事手帳という端末型の携帯を貰い、そこに映された地図を見る

 

ドームが見つかったら絶対に人には見つからない様にする、セラフ部隊とドーム内の人間は話す事も許されないと言う規則らしい

 

(でもなんでだ…?)

 

部隊が直接会えば今は狭い場所で暮らしてるドームの人間達だって少しは勇気づけられる筈だ。色んな情報だって出回れる…

 

(今は良いか…)

 

そう思い顔を上げた瞬間、電子軍事手帳から七海の声が響き渡った。

 

『黒崎さん聞こえますか?』

 

「あ、ああ…!聞こえるぞ!___何かあったのか!?」

 

一瞬びっくりしたが渡された際に説明を受けていた、何か緊急の用事があれば七海か司令官などが通信を仕掛けてくるということだ

 

『黒崎さんの最寄りのドーム付近でキャンサーを多数検知しました、中には恐らくレベル2が居ると思われます』

 

「レベル2?なんか良く分かんねぇけど取り敢えず俺は其処に向かえば良いのか!?」

 

『はい、それで足止めをお願いします。直ぐに31Aと31Cを其方に向かわせます、戦闘中になったとしてもこの通信は切らないでください。宜しくお願いします』

 

「ああ分かった!」

 

一護は再び送られて来た情報を手に先程よりも思い切り地面を蹴り飛ばし大きく移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやがった…!」

 

暫く飛ぶと奥には新宿ドームと言われる場所が見え、其処ら中にキャンサーが居るのが確認できた。

 

 

 

「うおおおおおおああぁぁッ!!」

 

 

 

一護は背中から斬月を抜き放ち月牙を叩き込む。2、3匹のキャンサーが仰け反り後ろに倒れ一護の存在に気付いたキャンサー達が続々と現れる。

 

「纏めて掛かって来やがれッ!!!」

 

自身を囲むキャンサー達、一護は最早攻撃しても通るか通らないか…そんな事さえ忘れていた。その瞬間にキャンサーが大量に飛び掛る、1体目の鎌を防ぎ2体目を斬月で弾き飛ばす。

 

(数が多い…ッ!___こうなったら…)

 

キャンサーが一護を屠らんと飛び掛かって来る。その瞬間、1番キャンサーが一護に近付く瞬間に_______

 

 

 

 

 

 

 

「卍解ッッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一護が発した二言により凄まじい霊圧の奔流がキャンサー達を飲み込んで吹き飛ばしていく。体勢を崩し宙に舞うキャンサー達だったがまだデフレクタに傷は着いていなかった。

 

 

 

「月牙天衝ォッ!!!」

 

 

 

 

 

天鎖斬月を両手で構え周囲のキャンサー達に月牙天衝を叩き込む。体勢を崩し防御すらままならない今なら凄まじい霊圧を叩き込んだ月牙天衝なら…

 

一護が放った月牙天衝は周りの建物をも巻き込み倒壊させた。

 

 

 

そして…一護の周りを覆っていたキャンサー達も、一匹残らず消え去っていた

 

 

 

 

 




ドームに兵士がいたような描写あった気がするんだけど、あれはセラフ部隊の兵士?それともセラフ部隊とは関わりのない一般兵士??

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8.Hollow

ライナーの方が中々更新できずに申し訳ないです…!今はこっちの方の筆がめちゃくちゃ乗ってて…本当にすみません!


「消えた…!?」

 

キャンサーの大群に月牙天衝を放った一護は、その手応えの無さに驚きを隠せなかった。なにせ確実に体勢を崩しその後に全力で叩き込んだ_____そしてそれを躱された

 

一体どんな方法で…どんな速度で躱されたのか全くもって検討すらつきやしない、死神のように瞬歩を使ったなんて事は100有り得ない…

『黒崎さん聞こえますか?こちら七海です』

 

「ああ、聞こえる」

 

電子軍事手帳から七海の声が聞こえ、一護はそれに答える。近くに端末を翳してなくても相手の声が届き此方の声も届く、これだけは滅茶苦茶便利だと思いながら一護は会話を続ける

 

『付近の映像から先程お伝えしていたレベル2のキャンサーの情報を特定しました。名称は”デススラッグ”1体…敵集団は新宿ドームに進行中との事です、至急』

 

「新宿ドーム…?」

 

言われた単語に聞き覚えがある…そんな事を思っていた時だった__________後ろから凄まじい気配が一護に迫った

 

「っ!?」

 

半ば歴戦の勘とも言える物で攻撃を躱し建物の上へ登る一護。通信越しの七海が少しばかり驚いた様な声を出していた

 

『黒崎さん…大丈夫ですか…!?』

 

「大丈夫だ!」

 

四足歩行の大型キャンサーが此方を見つめている、一護も見つめ返す。

 

(ドームに被害が出る前に俺が食い止めねぇと…!)

 

「一護〜!!」

 

「お前ら…!」

 

後ろから声を掛けられ振り返ると、31Aのメンバー6人が集まっていた。

 

「なんやコイツ…」

 

「これが…レベル2…」

 

建物の端まで寄ってくると全員デススラッグが嫌でも視界に入る、そのデカさと気味の悪さに気圧される

 

「一護、戦った?」

 

「いや、1回だけ攻撃を躱しただけだ…でもお前らが訓練で相対したキャンサーとは比べもんになんねぇくらいに強ぇ」

 

「でも司令官達が先輩を向かわせてるのでもう安心では…!?」

 

タマがそう言う、確かに先輩部隊が此処に来ればこの程度のキャンサーはどうって事無いだろう。だが問題が有った

 

「あれじゃあドーム防衛が間に合わねぇぞ…!」

 

ユキが様々な計算を行いその結論に辿り着いた。今は何故か月歌達を解析するかの様に立ち止まって向いているが、何時その興味が失われ歩み始めるかは分からない…このまま相手が止まってくれるのが1番良いのだがその可能性は略無いだろう…

 

「あっ…!アイツ動き始め…」

 

月歌達が動き始めたデススラッグに一瞬の困惑を抱いたその瞬間に一護は動き始めていた。地面を蹴り飛ばし勢いをつける

 

「はああぁぁッ!!!」

 

刀を振り被り首を狙う。だがその斬撃はデフレクタにより弾き飛ばされ変わりに相手が一護に視線を__興味を向けた

 

右脚を大きく振り被るデススラッグ、一護はそれを避けようとするが後ろにはドームが…もしその一撃が凄まじい威力であれば被害が出てしまう………

 

「っ…!?____うぁぁぁあああっ!!」

 

一瞬の迷いが戦場では命取りになってしまう、一護は直撃は刀で防いだ物の勢いが殺せずにコンクリートの地面に叩き付けられた、瓦礫が飛び散り辺りにも被害がいってしまう

 

「一護っ!!」

 

建物の上から見ていた月歌達が声を出した、助けに行かないと…守らないと…そうは分かっていても一護が吹き飛ばされたキャンサーに自分達が勝てるのだろうか…

 

「行こう…皆!」

 

「月歌…!?」

 

「あたし達はドームを守りに来たんだ、キャンサーを倒して守らなきゃならないのに一護だけに任せてたら恥だよ!」

 

そう言うと横に大剣を担いだめぐみが歩み寄った。鼻を啜りながら言葉を発する

 

「それにアイツデフレクタの割れへんのやろ?やのにあんなやっとんねんや……!叩き割れるウチらがこうじゃセラフ部隊の示しつかんで!!」

 

その言葉に全員が背中を押される、戦おう…恐れている場合では無い…

 

「どうする、隊長」

 

ユキが真っ直ぐ月歌を見つめ問う。月歌はただ…今までの自分達を信じて口を開いた

 

 

「訓練通りに倒そう、それがあたし達のやるべき事だ」

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

『護……一護…!』

 

「…此処は、あんた…」

 

場に不似合いな位の青い空に白い雲、そして下を見れば海があった。そして一護の前には……黒い衣装を着込んだ_________”斬月”が立っていた

 

此処は黒崎一護の精神世界である、過去にも命の危機に瀕した際に此処の世界にやって来ては弱い一護に何度も力を貸してくれた

 

「斬月のおっさん!なんで今…」

 

『一護、お前は未知なる敵に怖気付いているのか?』

 

「仕方ねぇだろ…こっちの攻撃が効かねぇんだ…」

 

『思い出せ一護、我々にも確実なる手段がある事を…それをお前は既に持っている事を…』

 

「___俺がそれを…持ってる…!?」

 

『奴らは未知の生物だ、だが生きていれば確実に魂魄…”魂”は確実に存在する』

 

「魂…」

 

『それを喰らい尽くす力が、お前にはある筈だ一護…!』

 

そこまで言われて漸く一護はハッと気づく、忘れていたとは言わない…死神の力を取り戻してからは使った事も無かった…他者の魂を喰らい尽くし、その養分とする虚…

 

一護にもそれに近い姿があった

 

「虚化…」

 

そして一護が持つ月牙を刀に纏わせ剣術として使うと言う技、普段は即座に月牙天衝を放てるようにしている為にそんなにしないのだが…その2つが合わさればもしかすると…叩き壊してダメージが通るのかもしれない

 

 

『恐怖を捨てて刃を振るえ、一護!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…なんだ!?」

 

デススラッグとの戦いを始めていた月歌達は突如地震の様な揺れに逢い驚いていた、それはデススラッグにも予想外の事だったらしく月歌達との戦いより揺れに興味がいっていた

 

「な、なんです…!?この黒いオーラみたいなの…!?」

 

タマが震えながらオーラを見つめる、それは全員に見えており出処を目で追っていく…

 

「彼処って…一護が倒れてた所じゃ…!?」

 

そしてそのオーラの出処が徐々に短くなっていく、此方に歩み寄っていた証拠だった

 

「あっ…黒崎さんが______え…?」

 

つかさが指を指して、そしてその顔を見た瞬間に硬直する…

 

「な、なんじゃ…その姿は…!?」

 

一護から発せられる異様な空気とその顔に着いた面に、流石のサイコパスキラーであるカレンでさえ気圧されていた

 

 

 

『皆、下がっててくれ』

 

 

_______其処には、虚化した一護が立っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




虚化の仮面なんて初めて見たら普通トラウマもんでしょ??
しかも感受性豊かな年頃の女の子だったら特にじゃないですかね??

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9.Death Slug

Twitterとかでよく見る絵を描くことで作品への愛を表現しているのを見ているとうわぁ、めちゃくちゃいいなぁってなるんですけど自分は絵がかけないッ!!

なので文字でこうして作品に愛を伝えたいと思います!(唐突の決意)


そして赤バー着いてますよおおお!!!
ありがとうございます!!
これからもよろしくお願いします!!




「…仮面?」

 

デススラッグとの戦闘中、負傷していた筈の一護が仮面を被り再び月歌達の前に立っていた

 

(やっぱりこの仮面…付けると怖ぇよな)

 

仮面越しに目を瞑る、誰しもこの仮面を付けた一護を見れば一度は瞳が恐怖に支配されていた。ルキアも最初の方はどんな力を付けようとしているんだと心配もされた

 

「命さんのモノマネですか!?」

 

『へっ…?』

 

「今は仮面付けて遊んでる暇はないわよ…!?」

 

『いやっ…え?』

 

いや遊んでいる訳では無い、動揺しているとユキが一護の肩を叩いた

 

「一護、悪いけどうちの隊には可笑しい奴が多くてな…皆正常な思考をしてないんだ……でもそれもお前の力なんだろ?なんか肌に纏う感覚が卍解って奴をした時みたいな感じだったからさ」

 

「肌が痛い…」

 

後ろでつかさが肌を摩るのを見てやれやれと言わんばかりに言葉を発したユキ、その横に月歌が躍り出て一護の目を見て言った

 

「だからあたし達が支えるよ一護、皆で倒して生きて帰ろう!」

 

『お前ら…』

 

一護は何処かで見誤っていた様だ、彼女達が自分自身が思っていたより強い事を…守らねばと思っていたがその必要が無い事を

 

 

『ああ、すまねぇ……行こう』

 

「りょーかい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デススラッグは自分達の目の前に居る人間達が何かしらの話し合いをしているのを興味本位で見ていた、途中の揺れには驚きがあったが今はもう止み目の前には仮面を付けた少年、そして6人が立っていただけだった

 

まだ余裕である、だが正直飽きて来たのも事実だった。終わらせよう…このくだらない戦いニモ…

 

 

 

 

「何かを溜め始めました…!」

 

剣を持ったタマがデススラッグの動きを見て叫ぶ、予備動作が存在する溜め攻撃だとすればその威力と範囲は相当な物になると予想する

 

「ユッキー!」

 

「どう止めるべきだ…?」

 

横から攻撃を叩き込んで溜め自体をキャンセルするか…?いやそれじゃあ間に合わない…

 

『俺に任せろ』

 

「一護…!」

 

傍から見れば只のカッコつけも良い所の馬鹿野郎だ、だが月歌達は信じた

 

仮面越しの一護の目はそんな不安をはじき飛ばすくらいの自信に満ちていたからだ

 

 

 

 

「一護が攻撃を相殺するからその間に側面から叩こうっ!!」

 

「一護!溜め来るぞ!!」

 

全員が視線を送り合い散らばる、ユキは散らばる最後に一護に叫んだ。一護はそれに頷く

 

 

 

 

 

 

 

(霊圧を注ぎ込め、相殺なんてもんじゃダメだ…もっと…もっと…!!)

 

天鎖斬月に自身が持つ霊圧の全てを注ぎ込まんと力を入れる、周りに黒いオーラが迸り地面が砕けていく…自身の力のピークを感覚で察知し天鎖斬月を振るい技を出す

 

 

 

『月牙ッ……天衝ォォォッ!!!!』

 

 

 

同タイミング、デススラッグの溜め攻撃が襲う。

 

 

横に薙ぐような光線と月牙が…

 

 

「すげぇ…」

 

 

___ぶつかり

 

 

「やるやないか…」

 

 

___拮抗する

 

 

「今だっ!!」

 

今までに見た事も無い力と力の奔流に飲まれそうになる6人、だが月歌が叫んだ事により引き込まれかけた意識を戻しセラフを再び構え直す

 

 

横から月歌とタマの剣で斬り、めぐみの大剣でねじ伏せ、横から来た脚などの蹴り払いはつかさとユキの正確な銃撃でそれを吹き飛ばす。

 

 

「ワシくらいになればこれくらいは余裕じゃアアアッ!!!」

 

狂気的な笑みを浮かべながら相手の首元、そして無防備になっている頭上に乗っかり鎌を振り回す

 

『めちゃくちゃしやがる…』

 

これには一護も正直笑いが込み上げてくるくらいには滅茶苦茶だった。

 

そして流石に損傷箇所が多い為か一護を潰す事を諦めたデススラッグは溜まった残りの光線を全て月歌達に向け始めた

 

「やっば…!」

 

月歌目掛けて光線が襲い掛かる、双剣を防御に展開し_______

 

 

 

「てぇい!!!」

 

 

 

___その瞬間少し不釣合いな気合いの声が聞こえ、直後光線が塵となって消えた

 

 

「おタマさんっ!」

 

 

タマはその小さな身体を生かし、総攻撃の間の一瞬で下に潜りデススラッグの放っていた光線の真下を狙い軌道をずらしていたのだ

 

「はぁ…はぁ…私だってこのくらい…!」

 

「フラついてるぞ…!今だ一護!」

 

ユキが一瞬のチャンスを逃さずに一護に指示を飛ばす、一護はそれに頷いて再び技を放った

 

 

『あァ!____”月牙天衝”ッ!!』

 

 

「なんや和泉!アイツの攻撃、効かんとちゃうんか?」

 

「いや…アイツの目を見てたらなんとなく…それにあたし達結構デフレクタがキツイ…」

 

残量こそあるものの帰還時の時などを考えておくとそろそろ温存時ではあった、デフレクタを全て無くすとセラフ隊員は死んでしまう。温存も考えないといけないという面倒臭さがあるのだ

 

 

 

「あっ!___割れたわ!!」

 

月牙天衝がフラついたデススラッグに直撃、凄まじい衝撃と共にデフレクタが破壊される音が響いた

 

(割れた…!これならいける…俺でも…ッ!!)

 

 

デフレクタを叩き割った一護の後ろから月歌が物凄い勢いでデススラッグに詰め寄る

 

 

「任せろおおお!!!」

 

 

一護は内心まだ任せてはいない、何も言ってないぞと思いながらも後ろに移動し擦れ違う

 

 

 

 

「頼んだ、月歌」

 

 

 

 

「うん、任せて」

 

 

 

虚の仮面を取り外し擦れ違う瞬間に月歌と短な___だがお互い力の籠った一言を交わす。

 

 

 

「はああああっ!!」

 

 

 

2本の剣がデフレクタの割れたデススラッグの体に突き刺さる、甲高い鳴き声の様な音を間近に受け一瞬月歌の体が竦んでしまう

 

(やばい怖い…、でも…でも…!)

 

 

 

「負けるかあぁぁ!!」

 

 

生物を斬る感覚を両手に受けながら剣を振るう、斬る度に伝わって来る嫌な感覚を一身に受けながら_____それでも人類の未来の為に…

 

 

 

 

「やった……」

 

何回斬っただろう、気がつけばデススラッグはその動きを止めて只佇むだけの骸になっていた。月歌はそれに気づいた瞬間全身の力が抜けた様にセラフが手から抜け落ち、身体も倒れ掛け_______それを駆け寄って来たユキ達に支えられた

 

「大丈夫か…!?」

 

「ナイスです月歌さん!」

 

「皆ありがと…もう足ガクガクだわぁ…」

 

 

それを少し離れた場所で見届けていた一護、やはり何時どの時も仲間が居るのは心強いと思いながら見届けていた

 

 

「…?」

 

だが一瞬、月歌達の後ろに佇んでいるデススラッグが動いた様に見えた……目の赤い光も、日光のせいか分からないが赤く光っているのかそもそも消えているのか…

 

 

(キャンサーの死体は残るなんて聞いて……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らぁ!!!!逃げろォッ!!!」

 

 

 




タマさんってヒーラーですけどハフバのムービーだとなんか防護?デフレクタ?みたいなの出して援護してたし…ヒーラーならそれはそれで織姫みたいで面白そうだなぁってw

そして次回、多分オリジナル展開が出てきます

作者ツイ、フォローくださいな
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10.人類の希望

一瞬とはいえあれだけあるハーメルンの作品の中からまさかのこの作品が日間評価の中で60位に並ぶことが出来ました!!
めちゃくちゃ嬉しいです、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!ハーメルンの中でヘブバン伸びろ伸びろ…()

そして赤バーがもう一段階のびてまたまたですが滅茶苦茶うれしいです!
いつも見てくださったり、お気に入りや感想、評価ありがとうございます!


 

 

 

しくじった、今はその気持ちが一番大きい。まさか死んだ筈のキャンサーが再び動き始めるなんて知らなかった…キャンサーに対する知識をちゃんと持っておくべきだったと後悔する

 

(くっ…そ…!!)

 

一護は抱き合って喜んでいた月歌達の後ろで再び動きだしたデススラッグにいち早く気付き、天鎖斬月を持って走り出す。その身体は先の戦いで傷が付き、完全に気を抜いていたせいで走り出しは遅かった

 

「月歌っ…!!」

 

動き出していたデススラッグに月歌達も気付き始めたが確実に回避には間に合わなかった

 

「月牙…!!」

 

一護は霊圧を天鎖斬月に流し込み月牙天衝を放とうとするが、その射線上には月歌達がいた事に気付き攻撃を辞める。当たってしまえば生命の保証が出来ないのだ

 

「うおおおおあぁぁっ!!!」

 

1秒でも時間を伸ばそうと声を出し刀を大きく振り被る。そしてそのまま投げ飛ばした。デススラッグ目掛けて飛ばした天鎖斬月は

 

 

「なっ…」

 

_____本体には当たらず、デフレクタに弾かれ近くに刺さった。

 

 

成す術が無い、その気持ちが心の隅に現れた瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はあああぁぁっ!!!」」

 

 

天を穿つ様な一撃がデススラッグに叩き込まれた。その一撃でデススラッグのデフレクタは全損し本体が晒される

 

 

「今だ!!」

 

「ああ!」

 

デフレクタが全損し怯んだデススラッグ、その下に立ち大剣を構えた女性が大きく声を出し、そのまま金の髪を靡かせた1人の女性が踊る様に宙に舞いデススラッグの身体を斬り裂く。

 

 

デススラッグは斬られながらも抵抗をしようとするが盾での防御がそれを防いだ、盾を投げ飛ばした張本人はロリータファッションと言うべきなのかは分からないが、他のセラフ部隊より目立つ衣装をしていた

 

「有難う菅原」

 

「これくらいの事、造作もありませんわ」

 

お互い短い一言を発して、再びデススラッグを斬り裂く。そしてデススラッグはとうとう抵抗する事も無く斬り裂かれ___消滅した

 

 

 

 

 

 

その場所には、少し大きな白い塊が立ち上り___さっきまでの戦いが嘘の様な静寂が訪れた

 

 

 

「「…!?」」

 

(一瞬だった…ユイナ先輩達、すげぇ…!)

 

 

余りにも一瞬すぎる戦いに月歌はもちろん、一護さえ困惑を隠しきれなかった。そして一護達は直ぐ___その正体に気付かされる

 

 

「白河、ユイナ…!?」

 

 

入隊試験と称した戦いの時に一護と打つかった30Gの隊長、31よりも1世代古い部隊の生き残りと言う事もあり卍解した一護を押すと言う強さを誇っていた

 

だがその実力はキャンサーとの戦いでも遺憾無く発揮されていた___否、キャンサーとの戦いでその真髄を発揮している様に見えた

 

 

「あんた達、大丈夫かい?」

 

「うおっ…!?」

 

「うおってなんだい、うおって…」

 

気付けば月歌達の後ろに3人が立っており、その1人の長身の女性__蔵里見が話し掛けていた。それに気づかなかった月歌が驚いた声を上げ、それに対して蔵が苦言を口に出す

 

「ユイナ先輩…!」

 

「久しぶりだな」

 

二人は面識がある様で詳しい状況などを交換していた

 

「結構ギリギリでしたね…」

 

「よくデススラッグを此処で足止めしてくれた、ギリギリの所で助ける事が出来た。お疲れ様」

 

ユイナの淡々として、それで心からの労いを受けた31A…だがそれぞれ個々に思う事があり、その隅の塊は暫く取り除く事は出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あんた達、あんなヤツと戦ってたっての!?」

 

 

「マジでゲスか…!?」

 

少し時間が経ち、その間に30Gは残りのキャンサーの掃討へと向かって行った。そしてそれと同じタイミングで少し離れた場所に現れた31Cのメンバーが月歌達に近寄り言葉を発する

 

(アイツら…確か31Cのメンバーだった様な…Aと同じで此処の防衛に当たってたのか?)

 

だが次の瞬間、少しばかり耳を疑う様な事を一護は聞いた

 

 

「まぁでも、あんたらがあのデカブツと戦ってる間に討伐数は稼がせて貰ったわ___黒崎一護って言う男も大した事無いみたいね」

 

 

討伐数…?稼いだ?何を言っているんだこの隊長は…、それにドームの守備に当たってるとは言え顔は余裕そうだった。それ程強くないキャンサーと当たっているのか___討伐数稼ぎの余裕からか…

 

「黒崎さん、実は…」

 

無意識に歩み寄っていた一護に、タマが言葉を発して止める。そして何故この様な事になったのか…その経緯を一護は聞いた。

 

「…なんだよそれ」

 

少し前からCとのちょっとしたいざこざ的な事があった事

 

 

 

出撃前に再びAを掛けた戦いを挑まれていた事

 

 

 

月歌達はそれを放棄しドームの住民を最優先した事

 

 

 

そしてデススラッグを見た際に31Cの隊長は逃げてしまっていた事…

 

 

黒崎一護自身は関係なくとも聞けば聞くほど腹の立つ事ばかりがタマの口から放たれていた、逃げていた癖に良くもまぁそんなにぬけぬけと______

 

「取り敢えずドームの方に向かおう、まだキャンサーの生き残りが居るかもしれない」

 

危うく再び歩み寄ろうとした一護だったが、真剣な声で発せられた月歌の一言で止まった。

 

(月歌…)

 

その顔は普段の月歌からは感じ取れないくらいの真剣さを感じた、勝負に負けていたとしても守れたならそれで全て良いと言うかの様に…

 

それには一護も大人しく引き下がる、そして31Aは山脇を半ば無視する形でその場から歩いて行った。少しの時間そこに取り残された山脇は隣に立つ豊後には気づかれない声量で呟いた

 

 

 

 

「討伐数は、私達の方が上なんだから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、さっさと負けを認めなさいよ。電子軍事手帳にもこうやって正確に数が記載されているのよ!」

 

月歌達に勝った事を証明する数値を見せつけて山脇は胸を張る。デススラッグとの戦いからの疲れと色々な思う所、そして31Cの勝負に負けてしまった月歌達はそれなりに追い詰められていた

 

「こんなに頑張ったのに…」

 

タマが我慢出来ずに口から悔しげな言葉を漏らす、31Aの人間では無い一護も無性に悔しくなってしまう。

 

 

 

 

「きゃああああっ…!」

 

次の瞬間だった、月歌達の近くに居た子供がキャンサーに襲われそうになっていた

 

「っ…!?」

 

「え…?」

 

刹那の瞬間月歌がデフレクタを使い、キャンサーと子供の間に入りキャンサーの攻撃を防ぎ、攻撃を叩き込んで一撃でデフレクタを破損させた。その一瞬の事に山脇は反応出来ずに居た

 

「月歌っ…!」

 

無理矢理動いたせいなのか月歌が体勢を崩す、それにユキが駆け寄ろうとするがデフレクタを破損させられたキャンサーが肌に感じるくらいの殺意と共に鋭い脚を振り下ろした

 

「くっ…!!」

 

反撃をしようとする月歌だが体勢を崩すせいで間に合わなかった。

 

「月歌ッ!!」

 

「……っ!!」

 

目を瞑って月歌が攻撃を防ごうとする、だがキャンサーの攻撃は何時まで経っても月歌を襲わなかった。何も来ないと疑問を抱いた月歌が目を開ける

 

 

「よぉ…無事か茅森」

 

「一護…!」

 

月歌とキャンサーの間に一護が割って入り、攻撃を”片手で持った”斬月で受け止めていたのだ。卍解は解いてあるのか刀は分厚い大剣に戻っていた

 

「デフレクタが割れれば俺でも倒せる……」

 

そのままキャンサーを押し返して後ろに倒した。次の一撃を叩き込もうとする一護の周りを青色の霊子が渦巻く

 

 

「月牙……天衝ォッ!!」

 

片手で振るわれた斬月の月牙天衝は、それでもキャンサー一体に振るう一撃にしてはあまりにもオーバースペックすぎるものだった。

 

 

「立てるか月歌…」

 

「あんがと…君も大丈夫?早く親の元に帰りな」

 

「ごめんなさい…!!___ありがとう!」

 

キャンサーの完璧な消滅の後、一護は月歌の手を取り立ち上がらせた。立ち上がった月歌は子供に心配の声を投げ掛けた

 

直ぐに感謝の言葉を述べて親の元に走ったのを見送った月歌と一護、その後ろには31Aのメンバーが立っていた。

 

「子供か…?__外壁の破れた所から外に出てきたのか?」

 

「さぁ?」

 

ユキが月歌の横に立ちながら子供を見ていた

 

 

「そんな…全然気付け無かった、茅森…黒崎一護…貴方達が助けてくれなかったら、今の子が犠牲に…」

 

震えた声を出しながら山脇が月歌の近くに寄って来る。既に31Cは全員集まっており、それぞれの表情は余り良くない物に見えた

 

「月歌はさ、こんな奴なんだよ…」

 

「は…?」

 

困惑した山脇に対して、ユキは口を開いた

 

「頭は良くない、性格も可笑しくて、何考えて生きてんのかも良く分かんない奴なんだ」

 

「ねぇユッキー…、それ褒めてる?」

 

隣でか細い声を出す当の本人を無視して、ユキが言葉を続けた

 

月歌は目の前の欲…Aを掛けた戦いより、自分達の使命やその時に1番大事な事を成し遂げる奴だと…、目の前の欲を優先して1番大事な事を忘れている山脇とは違う奴と言う事を…

 

「私が…目の前の欲に溺れていた……」

 

「それは、否定出来ませんね」

 

山脇の隣に立つ佐月マリが認めてしまっていた

 

「何認めてんのよ!?」

 

相変わらず意気投合の欠片も無いチームだなと思ってしまう。

 

「そんな理由だけでAが欲しいんならくれてやるぜ、なぁ月歌?」

 

腕を組んで胸を張ったユキが月歌に問い掛ける。

 

 

 

 

「それはやだ」

 

「みろ………え、やなの?」

 

思わぬ返答が月歌の口から吹き零れユキが困惑する。一護も天地がひっくり返る様な衝撃に身を襲われた。

 

さっきまでの格好良さは一体何処に消えたんだよコノヤロウ

 

「だってAが一番優秀なんだろ?ならAが良い」

 

「ふふふっ…!あはははは!___そっちの隊長さんも欲に溺れてる様ね!」

 

思いがけぬ返答に山脇が吹いて、涙を浮かばせながら言葉を連ねた。

 

 

 

「なんでそんなヤツが隊長やってんだよおおおおお!!!」

 

 

ユキが頭を抱えながら叫んだ、ほかのメンバーを頭を抱えそれぞれの言葉を月歌に叩き込んでいた。

 

 

 

「ありがとー!!」

 

 

ふと、ドーム側から声が聞こえ月歌達全員がその方面を向く

 

 

 

「流石はセラフ部隊だぁ!!」

 

 

見ればドーム中の人が隊員が仕切る場所のギリギリまで詰め寄って月歌達に拍手喝采を送っていた

 

 

「流石、人類の希望だぜ!!」

 

 

凄まじい感謝や希望と言う言葉の反面、それは本当に世界はセラフ部隊に託されていると言うプレッシャーにもなった。

 

だがそれをプレッシャーだと思う人間はセラフ部隊には居ない。それぞれが再び意気込み…生きている人間を守ろうと言う再び確固たる決意へと結びついた

 

「手、振ってやれよ」

 

「え…?」

 

「優秀なAの部隊長さんなんだろ?、手くらい振ってもバチは当たらねぇさ」

 

一護が大剣を背中に担ぎながら月歌に口を開いた、最初は少し困惑していた月歌だったが一護の言葉に押されて笑顔で___ガッツポーズを掲げる。すると更にドームからの歓声が凄まじい勢いを挙げた。

 

「ほら!皆もやろうよ!!凄いよ!!」

 

 

月歌のその一言に、めぐみを先頭として手を振ったりする。

 

「…」

 

「一護もほら!!」

 

「え?いや俺は…」

 

腕を組んでいた一護を、月歌が無理矢理にでも腕を上げさせる

 

「余所者とかだからって気にしないっ!!ほーらーー!!!」

 

「うおっ…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も暫くは、拍手喝采が鳴り止まなかった

 





とりあえず次の話で一章編は完結ですね多分w
次はライナーのほうも進めないとw




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11.幼い彼女 ループする世界

ヘブバン1周年おめでとうございます!久しぶりにスマホゲーでドハマリできるものに出会えました!!

ABコラボのストーリーも色々凄まじかったですね!!イベスト最初大喜利とかで笑ってたのにギャン泣きでしたよ最後とか特に!


〜司令官室〜

 

「今回のデススラッグとの戦い、そしてドーム住民を守ってくれたこと…感謝するわ。貴方達…良くやったわね」

 

 

 

あの後、住民達から喝采を受けその背中を押され、残るキャンサーの掃討へと狩り出た31Aと31C。途中少しサイズが大きなキャンサーとも戦いになったが特にそれと言って苦戦する事は無く、後は先輩部隊に引き継がれて基地へ帰って来た。

 

夜遅くになった為か司令官からは取り敢えず今日は休みなさいと言われ風呂に入る気力すら起きず各自ベッドに入り____そのまま泥の様に眠った

 

 

____その後布団が色々臭ってしまったのはまた別の話…

 

 

 

 

 

 

そうして一夜開けた今日、司令官室に呼び出された31A、31C及び黒崎一護は何時もより柔らかな表情で座っていた手塚司令官から感謝の言葉と労いを受けていた

 

「あの後直ぐに残りも討伐されたわ、本当に有難う」

 

(なんか総隊長のじーさんみてぇだな…)

 

その中で一護は内心そう考えつつも司令官からの言葉を受けていた

 

「黒崎一護も良くやってくれたわ、デフレクタが割れないと分かっていてもキャンサーに立ち向かうのは素晴らしい事よ」

 

「当たり前だろ、仲間守る為に立ち向かうのは何処も同じだ」

 

一護の返答に司令官は頷き、七海から渡された書類に目を通しながらある話題を上げた

 

 

「…そして、討伐数でのAを賭けた戦いは…数値は31Cが圧倒的に勝利、で良いのよね?」

 

「…っ」

 

31Aと31Cによるその代で最も優秀とされる”A”を賭けていた戦い、それは数字上では言わずとも31Cが勝っておりいくらレベル2のデススラッグを討伐したとは言えカウントは1だった

 

「私達あれだけ頑張ったのに…」

 

タマが制服の裾を掴みながら声を震わせる、関係無い一護でもその気持ちは分からなくも無かった。31Aの顔が全員曇っていく、悔しさ故か_____”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…良くない」

 

 

 

 

 

 

「「…っ!?」」

 

 

だが山脇から返って来たのは余りにも予想外すぎる返答だった、それに31Aのメンバーそして31Cのメンバーも驚いていた

 

「それは何故?貴方達は勝利したのよ?」

 

司令官からの問いに山脇は目を伏せて言葉を返した

 

「今回、私達は負けたくない…それ一心で戦ってました… 」

 

「…」

 

「本来私達は…キャンサーを倒す為に戦ってるのに」

 

「ええ…貴方達はキャンサーを倒して世界を守る。その為に居るの」

 

「…」

 

一護には計り知れなかった。彼女達が背負っている物の重さが、年齢なんて差程変わらない筈の彼女達がセラフ部隊となり

 

仲間を

 

ドーム住民を

 

世界を

 

護る為に戦うと言う事、それがどれだけ重い事なのだろうか…

 

「負けたくない一心で戦ってると、守れる物も守れないの…この勝負、私達が未熟でした」

 

そう言う山脇の目は何かが浮かび上がっている様に見える、それは悔しさなのだろうか

 

(悔しさ以外にも何かを感じる…)

 

だが一護が、それだけでは無い事に何と無くだが気づいていた

 

「私達の負けです」

 

「おめでとう御座います、貴方達はこれからも31Aです♪」

 

それまで山脇の横で黙っていた佐月が笑顔のまま31Aに拍手をしていた

 

 

「やったー!」

 

「どれだけAが良かったんだよ…」

 

相変わらずの月歌っぷりにユキがツッコミを入れる。それに全員がクスッと笑う

 

 

 

 

 

____その後、順調に司令官に報告が終わった31Aと31C、黒崎一護は何時もより早くに司令官室を出る事が出来た

 

 

 

__________________________

 

 

 

「黒崎さん、少しばかりお時間良いですか?」

 

事が終わり死覇装から普段着に戻った一護、それと同時に佐月マリが話し掛けて来た

 

「ん?ああお前… 」

 

「ぶんちゃんの事で伝えたい事があるんです」

 

豊後とは関わりが余り無い一護だが、マリからの何時になく真剣な気迫を受け、着いていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、一護!」

 

「なんだ、お前らもか」

 

 

連れてこられたのは31Cの部屋の前だった、其処には31Aのメンバーも全員集合していた。

 

(なんだなんだ…また部隊長から因縁でも掛けられんのか…?)

 

負けたと自ら言ったとはいえ悔しい筈だ、言葉の一つや二つ言いたくなる物だろう…

 

「出来れば私達の部屋に入ってください」

 

そう言いながら部屋の扉が開けられ一護以外は素直に入って行く

 

「あー、俺も?」

 

「はい」

 

女子の集団生活部屋に入るのは割と気が引けるのだが…マリが良いって言ってるから其処は大人しく入って行く

 

 

 

部屋に入ると最初に目に入ったのは、布団で安らかに眠っている豊後と、その手を握って静かに見つめている山脇の姿だった

 

(山脇から何時もの気迫が感じられねぇ…)

 

髪でその横顔を覗く事は出来無かったが身体が震えていた、まるで今にも泣くのを必死に堪えるかの様に…

 

「これから、ぶんちゃんの記憶が消えます」

 

「なっ…!?」

 

「えっ…!なんで!?」

 

突然の言葉に全員が驚きの声を上げた、その中でマリが冷静に…でも何処か弱々しく言葉を続けた

 

「これは周期的に訪れる物なんです」

 

 

 

其処から伝えられた事実は全て、余りにも現実から掛け離れていた物だった。幼い頃にキャンサーに襲われ、其処から記憶障害になってしまった事、そして其処からずっと…成長していく山脇を他所に豊後は1人繰り返して行く事

 

1週間に1度…セラフ部隊に入った後の記憶が全て…

 

どれだけ楽しい思い出も、辛い思い出も全て…消えて無くなって行く…

 

「そんな…」

 

「だからか…!」

 

ユキは思う節が有るらしく、それを後から仲間に入った一護に伝えた

 

「…嘘だろ」

 

それと同時に豊後の息がゆっくりとなり、顔もさっきよりさらに安らかになった様に見える

 

「…あ、今深い眠りに入りました」

 

そのマリの言葉と同時に、堰が切れた様に山脇から大粒の涙と嗚咽が零れ始めた

 

「ぶんちゃんは今でも、このごっこ遊びの中に居るんです」

 

2人が珍妙な衣装をしているのは山脇がずっと…ずっとループする豊後の記憶に着いていく為に…

 

「でもイヴァールちゃんは1人成長していく、そして早くこのごっこ遊びを終わらせて2人で成長して行きたい…幼馴染としての彼女の願いなんです」

 

 

Aを狙っていたのも、全ては豊後の為だった様だ…早く出世して上の研究者達に訴えてこのループから解き放って欲しいと言う山脇の想いだった

 

「そんな……それならAなんてワッキー達にあげて……!!」

 

「私達より!!」

 

「…っ!?」

 

話を聞いて、我慢ならないとAを譲る事を口にする月歌。だがそれを上回る声量でマリが口を開いた

 

「31Aには貴方達が相応しいんです…だからもし出世した時に、この事を訴えて欲しい…」

 

それはマリの心からの願いであり、月歌達の目標の一つとなる事だった。

 

「…マリー」

 

「それをなんで俺にも…?」

 

一護は不思議に思った、この事を伝えるなら31Aだけで十分だった筈だ。なのに何故わざわざ31Aでは無い一護も呼んだのか…

 

「それは、貴方は1人で数部隊の戦力を持ってる…そして今最も上の立場に近いのは黒崎一護さん、貴方なんです。利用するみたいで申し訳無さはあります…でも」

 

本気で申し訳無く思っているのか、目を伏せて言葉を連ねる佐月マリ。そんなマリに一護は怒る訳でも無く___只静かに頭に手を乗せた

 

「あー分かった分かった、茅森達も、俺もとっとと上の奴らに言えば良いんだろ?」

 

「…黒崎さん」

 

「一護…分かったマリー、私達頑張るよ!」

 

「皆さん…!___有難う御座いますっ…!!」

 

 

 

そうして深々と頭を下げるマリを見て一護は再び、何時まで居られるか分からないこの世界で兎に角頑張ろうと言う決意を抱いた。

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

〜現世〜

 

 

 

「なんだコイツらッ…!?__”斬魄刀が効かねぇ”!?」

 

再び空座町で起こった時空の歪みにも感じ取れたズレを感知した尸魂界は六番隊を派遣した。

 

其処で朽木白哉、阿散井恋次が遭遇したのは斬魄刀が通用しない未知の生命体だった

 

「リヒト・レーゲン!!」

 

滅却師である石田雨竜も応戦しているが、傷一つ付けられている様には見えなかった

 

「…卍解”千本桜景厳”」

 

六番隊隊長朽木白哉は、自らの斬魄刀を下にして刀を落とす。すると地面に吸い込まれる様に刀が消えていき、地面から千本もの巨大な刀身が現れ、桜が舞い散る様にして敵を襲う

 

「何…」

 

だが先程と変わらず敵はダメージ一つすら受けてない様に此方に襲い掛かって来る。

 

「隊長の卍解でもダメだと…!?畜生ッ…!!」

 

「阿散井ッ!」

 

敵の攻撃を蛇尾丸で受け止めるが、後ろから現れた敵に背中が抉られかけ___

 

 

「エル・ディレクトォッ!!」

 

横から茶渡泰虎の右腕の完現術、ブラソ・デレチャ・デ・ヒガンテから放たれた拳が敵を貫く。敵は凄まじい衝撃に飲み込まれ___爆散して消えた

 

 

「なっ…!?」

 

その場の全員が驚きの声を上げる。

 

(まさか、完現術者なら倒せるというのか…?)

 

朽木白哉は冷静に考え、その結論に至ったのだった

 




自分いつも書く時はストーリーを横で流しつつ音楽を流して執筆してるんですけど、ぶんちゃんのあのシーンでブリーチのharukazeっていう曲が流れて、それが妙にマッチして泣きそうになってましたw
ほんとぶんちゃんにもワッキーにも幸せになってくれ、無理なら俺が書いてやるぞ…()

そしてこれにて1章完結となります!この時点で様々な人がお気に入りや評価をして下さって一時期はランキングにまで入って…ほんとありがとうございます!!

これからも期待に応えれるように頑張ります!!


なぜ完現術ならキャンサーを倒せるのか…?


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断章 死神と6姉妹
12.完現術___そして鍛えろ6姉妹!


お気に入り100件突破ありがとうございます!!
これからもブリーチとヘブバンを少しでも広めていけれるように頑張ります!!

そしてそのふたつにハマった人!!ヘブバンは今ならリセマラ時ですぜ!ログインするだけでコラボキャラ貰えますしss一体確定ガチャ回せますよ!!

ブリーチのゲームならブレソルがありますよ!!ほんへ再現が凄まじい必殺技に回しやすいガチャ、黒崎一護ピックアップありますよ!!()


完現術____それは物質に宿った魂を引き出し、使役する能力そして魂魄が虚の力に強く影響されていればその能力の開花は凄まじいものとなる…

 

一護が虚化をしてデフレクタを割ったように…完現術もまた、キャンサーに対する特攻を持っているのか否か。それを知る者はまだ誰もいない

 

 

__________________________

 

 

 

「ダメージを与えただと…っ!?」

 

空座町に突如現れた未知なる脅威に、六番隊隊長朽木白哉、副隊長阿散井恋次、そして石田雨竜、茶渡泰虎は黒崎一護が不在のまま戦いに身を投じていた。だが未知の敵は阿散井の始解も、朽木の卍解”千本桜景厳”でも傷一つすら付ける事は出来なかったのだ。だがその中で唯一傷を付けた者が現れた

 

 

___茶渡泰虎、完現術者である。彼は右手に巨人の右腕(ブラソ・デレチャ・デ・ヒガンテ)左手に悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)を使用し戦う事が出来るのである

 

(茶渡君なら出来るのか…?この敵を…倒す事が…)

 

石田雨竜は状況を素早く整理、兎に角今は茶渡泰虎に頼るしか無いと考えた

 

「隊長、アイツなら…!」

 

「兄も同じ考えか…」

 

同時に朽木白哉も阿散井恋次も同じ結論に至った。茶渡の完現術なら倒せると…

 

 

「茶渡君、今から君を守って僕達は戦う。何とか出来るかい?」

 

茶渡の横に移動し、石田が考えた作戦を短く伝える。

 

「ああ、数は多くない……余裕だ」

 

短く、だがその力強さを感じる答えに頷く

 

「それは良かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………はぁ…」

 

「茶渡君、大丈夫か?」

 

「大丈夫か茶渡」

 

1時間に渡る未知の敵との戦いが漸く終わった。攻撃は茶渡の完現術、そしてその茶渡を千本桜景厳、蛇尾丸、リヒトレーゲン等を駆使し守り抜いた

 

「にしてもコイツらはなんなんだ…」

 

「この歪みの様な物…まだ消える気配は無いか…」

 

白哉がそう呟き、気は進まずとも研究専門である十二番隊隊長__涅マユリに連絡を取ろうとする。彼なら嫌でも此奴を研究するだろうと…

 

(だがこの歪みは何なのか…仮にこれに黒崎一護が入って行ったと言うのなら…)

 

調査報告では、黒崎一護の霊圧が消滅した辺りにもこの歪みの様な物が有ったと言う。その時には即座に消えたその歪み…、

 

「…」

 

ふと右手を伸ばし、その歪みに触れてみる。仮に此に謎があれば…事件解決に1歩進むのでは無いかと言う考えと共に…

 

 

 

 

「何ッ…!?」

 

だがその歪みに触れた瞬間、白哉の身体が光り輝き吸われる様にしてその歪みに入って行く

 

 

「隊長!?」

 

恋次が手を伸ばし白哉を掴もうとする、白哉もその伸ばされた手を握ろうとするが__________

 

「隊長ォォッ!!!」

 

その前に完全消滅した歪みは、白哉を連れ去る形となった

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地〜

 

 

「はぁ…?俺が31Eを鍛える…!?」

 

「ええ、彼女達6人は全員が同じ家族なの。これ隊員リストよ」

 

「…」

 

半ば強引に押し付けられた隊員の名簿のコピーを目で通しながら黒崎一護は手塚司令官の言う事を聞いていた

 

(大島家…部隊長は大島一千子…長女かよ、分かり易いな…!!)

 

「デススラッグ戦から31Aは既に戦線復帰、貴方ももう充分動けるでしょう?」

 

なんなら月歌達はあの後何処からか練習していた楽器達でライブをしていた。一護もその場所で聞いていたが中々に盛り上がれる場所となっていた

 

「ああ…動けるさ」

 

背負う物も1つ増えたからなと思う。

 

「…随分と顔付きが変わったわね、来たばかりの頃も気迫は有ったけど今はまた違う気迫だわ」

 

「おう、色々有ったからな」

 

「そう、そしてオペレーション・プレアデス、貴方にはそれにも参戦して貰うわ」

 

「えぇ……」

 

「それ程私達は期待してるのよ、貴方達に。仮面を被ればキャンサーにもダメージを与えたその力に」

 

「なんでもお見通しかよ…」

 

「…只の報告書よ」

 

「そうかよ……でもまぁ分かった。取り敢えず最善は尽くす」

 

「期待してるわ」

 

そうして一護は司令官室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う訳で、俺が黒崎一護…まぁ死神代行だ」

 

最早通用せずとも反応が分かる自己紹介をして前に立つ6人を見る。と言うか1人寝てる

 

「四ツ葉!起きて四ツ葉!」

 

「むにゃ……」

 

(立ちながら寝てる…だと…?)

 

 

「手鏡に写る私…あぁ、美しい…!」

 

(なんか弓親見てぇな奴居るな…てかこっち見ろよ)

 

 

 

「はぁ…はぁ…男の人にナニされるんだろ私達…ッ!!」

 

(やべぇなんでセラフ部隊に居るんだ…)

 

 

「これ中々開かないなぁ…」

 

1人はピッキング…の様な事をしようとガチャガチャしている。だがそれは代行証だった

 

「おいそれ代行証!?何時の間に!?」

 

「さっき拾った」

 

「拾った、じゃねぇの返せ!!こんの____」

 

「これなんの鍵?」

 

「鍵じゃねぇ!!代行証だ返せコラァっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ほんとに俺は、此奴らを鍛えていけるのだろうか…

 




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13.6姉妹__それぞれの役目

お気に入り110超有難うございます!!
評価や感想なども励みになってます!
これからもちょっとした暇つぶしになれるような作品になるように頑張ります!
そして最近ライナーもこの小説もなんだかスランプ的なものになたそうで更新が遅くなるかもしれません…お許しを


〜セラフ部隊基地・ナービィ広場〜

 

一護は静かなナービィ広場で、1人ベンチに腰かけていた。

 

 

(貴方にはあの6人を強くして欲しいの)

 

 

近く大規模作戦を伝えるその少し前に、司令官から一護に託された任務

 

それは大島家6姉妹…31Eを前線でも戦える様にする事

 

…他部隊とは違い6姉妹で構成された彼女達はそれぞれの姉妹を思う気持ちはあったのだが、どうしても一千子以外は枷となり自分を守れないと言う事に陥る事もあったらしい。実際今日のアリーナでは連携は其処其処合っていたがやはり単体になるとダメになる事が多い…

 

 

(其れを取り除いて1人でも戦える様にするって言ったってよぉ…俺も妹とかを護りたいって気持ちは死ぬくらい分かるからなぁ…)

 

特に長女である大島一千子は人一倍姉妹愛が強い、セラフが盾と言うだけあり戦い方は妹達を守ろうと身を顧みない戦い方をしていた

 

(こんな時、浦原さんならどうすっかな…)

 

黒崎一護の力の全てを作ってくれた人と言っても過言では無い人の顔を思い出しながら考える

 

あの人は乱暴で訳が分からないまま自分を鍛えてくれたが結局其れが良い方向へと転び今に至っている。

 

(時間も無い、俺に知識も無い、ならやっぱり短期間で即座に…浦原さん譲りの俺のやり方でやるしかない)

 

浦原喜助がやった時の様に、自らが敵として立ち様々な覚悟や戦い方を教え込む。

 

「取り敢えず、今日は寝るか…」

 

ベンチから立ち上がり歩く、暫く歩くと黒髪の少女とすれ違った。

 

「…?」

 

髪で顔の表情は読み取れなかったものの、一護にはどうしても其れが…泣いている様に感じていた

 

__________________________

 

〜次の日・アリーナ〜

 

 

「黒崎さん、今日は何をするんですか?」

 

一護より先に来ていた大島家6姉妹、その長女の一千子が一護に話し掛けた。

 

「昨日みたいに連携の更なる上達とか?」

 

 

「…いいや」

 

6人の反対に立つ様にして一護が歩いていく、最初は何をしてるんだろうと見ている6人だったが丁度正反対に立った瞬間、一千子だけ少しばかり顔を曇らせた。

 

「…」

 

斬月に手を掛け、背中から引き抜く。そしてその切っ先をそのまま6姉妹に向けた

 

「「…!?」」

 

「今日は俺とやるぞ、6対1の戦いだ」

 

「ち、ちょっと黒崎さん…!?」

 

「別に殺し合いをする訳じゃねぇぞ、俺をキャンサーだと思って6人で掛かって来い。後ろからだろうが囲んでだろうが何でも良い」

 

いまいち状況が掴めない大島家を他所に一護が淡々と言葉を連ねていく。

 

 

まぁそれは当たり前だ_______なにせ師だと思っていた人物が突如敵対なんてしたらそら困惑だってする

 

 

(俺ん時もそうだった…)

 

 

彼女達の戦い方を1度見た一護だからこそ出来る事であるとも思う。弱点は全て把握済み…其れを徹底的に潰せばきっと彼女達はもっと強くなれる…

 

 

 

「はぁぁぁ…」

 

一護が斬月を両手で構え、霊圧を注ぎ込む。周りの地面が揺れ彼女達にもひしひしと伝わる様で……

 

 

 

「黒崎さん本気だ____姉さん!」

 

二以奈達がセラフを展開し構える前に一千子が流石と言える速度で前に飛び出した。明らかな攻撃の前の溜めだと察知し自らが飛び出して来たのだろう

 

「大島家長女ここにあり…っ!!」

 

自身の盾型のセラフを展開し妹達を護る盾となる。

 

「二以奈達はセラフの展開を…!」

 

「分かった」

 

 

 

 

「作戦は練り終わったか?」

 

 

妹達に指示をし終わった後のタイミングで一護が一千子に問い掛ける。少しばかり遅れて返答が返って来た

 

 

「はい…なんで突然こんな事になったのかは知りませんが…黒崎さんなりの考え方があっての事ですよね?」

 

 

「…まぁな、じゃあ行くぜ!」

 

 

「はい!!」

 

 

 

「月牙……天衝ォッ!!!」

 

 

次の瞬間、一護の斬月から放たれた凄まじい斬撃の圧が一千子のセラフにぶつかる。盾型のセラフとは言え一千子が手で持っている訳では無く周りを浮いている…それを手の動きに合わせて何時も防御をするのだが…

 

(くっ…何この衝撃…っ!?)

 

 

まるで自分が今盾を手に持って防いでいる様な衝撃が一千子を襲っていた。

 

「一千子姉さんっ!」

 

「遅せぇ!!」

 

 

「「っ…!?」」

 

月牙天衝を何とか防ぎ妹達への被害は防いだ、だがその衝撃で体勢を崩した一千子に何時の間にか後ろに回った一護が斬月を首元に当てていた

 

「何時の間に…!?」

 

「そんな気張んなよ、別に殺しゃあしねぇよ…」

 

「一千子姉さんっ!!」

 

「姉さんっ!」

 

 

気が付けば剣型セラフを構えた二以奈と三野里が後ろから一護を斬り掛かろうとするが……

 

「っ…!!ダメ!」

 

 

「奇襲を仕掛けるなら…ちゃんと息を合わせてからにしろ」

 

そう言葉を発し、2人を”剣圧”で後ろに飛ばす。

 

 

「おっと…!!」

 

「くっ…なんでバレたの…」

 

「殺気が強いと気付かれやすいって浦原さんが言ってたんだ」

 

殺気が強ければ腕の動き、体の動かし方…何処を見て何処に攻撃を与えるか全てが感覚で分かる。其れは後ろからでも該当する

 

背中を見て攻撃を叩き込もうとする明確な敵意は肌を伝いひしひしと伝わってくるもの…

 

(其れさえ感じ取れば…弾き返すのは容易!)

 

「あちゃ…バレた…」

 

射撃音が聞こえまた違った2方向からセラフのエネルギー弾が飛んでくる。だが一護は其れを瞬歩で躱しまた再び左右から斬り掛かって来た2人を躱した。

 

 

「姉さん!」

 

再び6人が1箇所に集まる。一護は斬月を肩に置きながら其れを見ていた。

 

 

「今…多分全員死んでたよ…」

 

三野里が最初に口を開いた、さっきの攻撃は全て躱されたが自分達個人個人に反撃を仕掛けてくる様な事はしなかった。剣を振った圧で吹き飛ばし…後は全て躱して…

 

余裕なんだ、黒崎一護にとって自分達を殺す事なんか造作でもないと言う事なんだ…

 

「姉さん、どうしよう…」

 

 

 

「まずその姉貴頼りを辞めたらどうだ!」

 

 

 

二以奈が最早無意識の様に一千子を呼ぶと、少し離れた場所にいた黒崎一護がそう声を出した

 

「…!!」

 

「姉貴が下を守るのも大切だけどな、其れと同じくらいに姉貴を守るのも大切だ!」

 

「黒崎さん…」

 

「全員がそれぞれ頼りあって戦え!!」

 

本来なら戦いなんて無かった筈だ、其れをこうやって駆り出されて戦わせられてるんだ。だったらとっとと強くなってとっとと戦いを終わらせて6姉妹として平和に暮らそう…

 

「そうすりゃ強くなれんじゃねぇのか!_____俺はそう思うぞ!」

 

一護から言えるのは此処までだろう、後はあの6姉妹がどう受け取りどう動くのか…

 

「…」

 

6姉妹はそれぞれ目を合わせて頷き合う。其れを一護が読み取る事は出来ない

 

「黒崎さん!もう一度お願いします!!」

 

さっきとは明らかに目つきが変わった6人に、一護は少しばかり微笑んで

 

 

「ああ、良いぜ」

 

 

もう一度斬月を構え直した

 

 

 

 




浦原喜助スタイルを真っ当に継いだら一護もこんな教え方になるんだろうかって思いながら書いてましたね


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14.豊後を救え!?

1つのTwitterでのリプが...1人の底辺作家にやる気とモチベとなんか色々を運んでくださってきた…めちゃくちゃうれさいです!!ありがとうございます!!

そして今年になってからヘブバンをあっちこっちで見るようになりましたね!コンビニだったり友達が始めてくれたりコラボカフェがやったり、電車の中でちらっと見えたり…

1ヘブバンユーザーとしてはめちゃくちゃ嬉しくてなんだか自分の事のように嬉しく思ってます!

これからもそうやって拡がっていく輪の中の一欠片にでもなれ来いなぁって、大きな夢を掲げながら小説を書いていきます!

よろしくお願いします!

そして始まった2度目の大島家イベント…四ツ葉と六宇亜の見る目が変わるぞこのイベスト…(())


「はぁ…はぁ…」

 

「つ、強い…」

 

それぞれ6姉妹がさらなる結束を高めてから約1時間_____大島家6姉妹は一度も一護にダメージと言える物を与えてはいなかった

 

「まだまだいけます…!」

 

「いや、今日は此処までにするか」

 

「でも…」

 

「良いからとっとと休め…!」

 

其れでも尚立ち上がろうとする一千子達に一護は少しだけ語尾を強くして言葉を放った

 

「其れにお前らの其れ、デフレクタって奴がもうカツカツだろ」

 

メーター的な物こそ見えないが彼女達全員の身体が重くなっているのだろう、最後の方なんて連携が1番磨かれており流石に此は、と思ったが個人個人の速度が遅く簡単に避けれた

 

もしあれをフル体力の時にされていたら流石の黒崎一護も危なかったかもしれないと…そっと胸の中に秘めておく

 

「ほんとだ…!」

 

「もしかして、気づいてた?」

 

五十鈴が立ち上がりながら一護に問いかける。その横でごろんと寝転んだ四ツ葉も「気付いてたならもっと早く言ってよ〜…疲れた…」とブツブツ呟いている

 

「…いや、何となくだ」

 

「其れにしても本当に強いですね黒崎さん、今までの戦いもめちゃくちゃ頼りにされてたんだろなぁ…」

 

「こら六宇亜…」

 

「俺は強くなんてねぇよ…今までの戦いも一人じゃ絶対に勝てなかった。一人で戦って…死にかけた事も有ったし…」

 

「そうなんですか…?」

 

「ああ、今の俺があるのは…俺に力をくれた仲間が居るからだ。だから俺は強くなんてない」

無力だった自分がこの力を手に入れたのだって、斬月を使えたのだって、虚化を制御出来たのだって、勝てないと思われた敵に勝つ事が出来たのだって、再び力を分け与えてくれたのだって…

 

全部、織姫や茶渡、石田やルキアや斬月のおっさん、尸魂界の奴らがいたからだ

 

「…」

 

「お前達は家族じゃねぇか、だから今は家族を護る為に闘えば良いんだよ」

 

最初は例え小さな想いや目標でも、必ず最後には何か大きな物を救えるきっかけとなる。失う前に大切さを知れる

 

「…はい!黒崎さん!」

 

そうしてアリーナを出た黒崎と31Eは今日は其処で解散となった

 

 

__________________________

 

〜次の日〜

 

 

「豊後と山脇が行方不明だと…!?」

 

次の日、朝早くから司令官に呼び出された一護は衝撃一言を発せられた。説明された状況はこうだった

 

池袋付近の地下を探索中に逸れてしまった豊後、一度基地に戻った31Cだったが豊後の事を1番に考えている山脇が軍の規則を無視して独断で池袋地下へ向かった、そしてそのまま二人と連絡は取れなくなってしまったと言う事だった

 

「そして早朝に残りの31Cメンバーと31Aがほぼ独断で駆けつけに行ったわ、その後その付近で巨大なキャンサーの反応があったの____恐らく彼女達ではまだ全員固まったとしても勝てる保証は少ない…」

 

先輩部隊の捜索を待たずに駆け出して行った31Aと31Cのメンバー達も聞いた瞬間、心の中で何だかほっとしていた。

 

茅森達らしい選択で何だか良かったと…

 

「其れで、俺に助けに行けと?」

 

「ええ、31Eも連れて行って頂戴。昨日はアリーナに傷が出来るくらい訓練したみたいだし…」

 

「…悪い」

 

昨日の戦いの真っ最中で、一護が放った月牙天衝がアリーナの屋根をぶち壊したらしくその後直ぐに修理作業が始まったと聞かされた

 

「任せられるわね?」

 

「はい、やります…」

 

有無も言わさぬ圧力で一護が黙らせられ呆気なく行く事となった。扉を開けて司令官室を出ると

 

 

 

 

大島家6姉妹が立っていた

 

「お前ら…」

 

一千子が1歩踏み出し口を開く、後ろに立つ5人も何時もとは明らかに雰囲気が違う様できっちりスイッチが入ってる

 

「話は七海さんから聞いています、茅森さん達を助けに行きましょう」

 

「…ああ、行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

〜池袋地下〜

 

 

「着いた…!」

 

ヘリからデフレクタを使い地面に着地した31E、尚一護だけはほぼ瞬間移動の速度で地に足をつけていた。するとお出迎えと言わんばかりに小さいキャンサーが地下から現れ一護達を囲む。

 

「うへー…お出迎えじゃねぇか…」

「今の私達なら大丈夫よ…」

 

(何か良い雰囲気じゃねぇか…!)

 

昨日とは打って変わった雰囲気の31Eを横目に背中の斬月を抜き放つ一護、そして______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「散れ___”千本桜”」




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15. いざ月歌達の元へ

この小説を読んでくださったり、お気に入りや感想…評価までも下さりありがとうございます!!

ヘブバン小説もっと増えて…増えて…


「散れ___千本桜」

 

「「っ…!?」」

 

キャンサーに囲まれてしまった一護達の周りを凄まじい速度で舞う桜の吹雪が襲い掛かった。デフレクタは割れないものの桜の花びらの本流に襲われたキャンサー達は堪らず体勢を崩し吹き飛んでいった

 

(この技…まさか…っ!?)

 

黒崎一護はその技に見覚えがあった、そしてその技を使う本人も誰なのかを…

 

「あ!彼処から人が……瞬間移動してきたぁ!?」

 

五十鈴が指を指した方向に立つ人物、次の瞬間には黒崎一護達の前に立っていた。

 

「白哉…!」

 

「…黒崎一護」

 

六番隊隊長”朽木白哉”だった。

 

「な、なんで白哉が此処に…!?」

 

「私にも分からぬ…」

 

「え…知り合いなんですか黒崎さん!」

 

「あ、あぁ…」

 

 

 

__________________________

 

 

「此で最後…!!」

 

そう言いながらセラフを使った二以奈が最後のキャンサーを倒してとにかく付近は落ち着いた。

 

「取り敢えずこの地下に行くぞ、白哉も話は其れからで良いか?」

 

其れに白哉も同意し、黒崎一護達は地下に入って行く。既にセラフ部隊が通ったと思われる跡があちらこちらに見受けられ戦闘を行って奥へ進んだ__そう考える他無かった。

 

「白哉もなのか…!?」

 

一番最初に起こったあの歪みと言う物に巻き込まれたと白哉が言った、その体験は全て一護が体験した事と全くもって同じであり__やはりあのデカブツのせいだと考える

 

「私以外は全員無事だ、その歪みに吸い込まれた瞬間___其れは閉じたからな」

 

「そ、そうか…」

 

「あ、あの…」

 

一護と白哉が会話をしながら歩いていると、ふと後ろから一千子が出てきて白哉に話し掛けた

 

「此、良かったらどうぞ」

 

そうやって差し出されたのは程よい三角に握られたおにぎりだった。取り敢えず受け取ったが何故?と言わんばかりの空気と目線を一護に送ってくる

 

「いきなりどうした…?」

 

「あ、いや…何だかお腹が空いてそうで…と言うかさっきからずっと鳴ってて…」

 

そういった次の瞬間、白哉から腹の虫が鳴る音が聞こえた。話に夢中だったせいか一護は勿論本人すら気付いていないと言う事態だった

 

「朝私が厨房を借りて握ってきたんです。途中でお腹がすいたりとか…山脇さん達にも渡そうって…」

 

「前半だけ聞いたら只のピクニックじゃねぇか」

 

頭を抱えながら言う一護、だが白哉は暫くそのおにぎりをまじまじと見つめていた。一護は正直白哉の性格上こう言う物は食べないと感じていた。もし断ったらどう一千子をカバーしてやろうかと頭を捻ろうとして______

 

「…礼を言う」

 

「んはぁっ!?」

 

「はいっ!___美味しかったら言って下さいね!」

 

其れだけ言うと一気に顔が嬉しそうになり、そのまま再び二以奈達の横へと戻る一千子。

 

一護はまさかの返答に空いた口が塞がらなかった。

 

「お前…そう言うの食うの??」

 

「私とて腹は減る、彼女達からは何の敵意も感じぬ…大方兄は私が疑り深いとでも思っていたのだろう?」

 

「え、あぁ…いや」

 

「此処に来てから2日…彼女達には恩が出来てしまったな」

 

(あれ、コイツこんな事言う奴だったか??)

 

そのままおにぎりを口に入れて食べ始めた白哉、走りながらでも大丈夫かと聞いたが大丈夫だそうで、後ろの彼女達もまだまだいけるとの事で一護達は更に歩みを進めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…!?」

 

「また揺れた…!」

 

「あ〜れ〜…」

 

更に深く潜った道の途中で、今まで揺れた中で1番大きな揺れが一護達を襲った、不意打ちに四ツ葉が倒れ、六宇亜が其れを受け止めた

 

「白哉…」

 

「珍しく気が合うな黒崎一護」

 

2人はアイコンタクトを交わし一護が斬月を抜き放つ。

 

「え…なにを…?」

 

困惑する一千子達を他所に斬月を大きく振るう___するとその箇所の床が抜け落ち、下の階層が見えた。其れと同時に…

 

「茅森さんっ…!!」

 

「いっちー…!?」

 

茅森達31Aと、山脇達31Cを見つけた。だがその反対側には…揺れの原因とも思える大型キャンサーが立っていた

 

「あたし達が束になっても勝てるか分からない……ワッキー!!ぶんちゃん!!」

 

月歌が状況を簡潔に説明している最中にフラフラになっている山脇と豊後目掛け大型キャンサーが飛び上がり踏み潰そうと2人を襲う。

 

「散れ、千本桜」

 

だがそのキャンサーは横からの桜の花びらに押され吹き飛び倒れる

 

「大丈夫か2人とも…!」

 

その間に一護が2人を回収、月歌の横に瞬歩で移動をする。白哉もその後直ぐ様距離を取り一護達の横に現れた

 

「女性ばかりか…」

 

「ああ、何でもこのセラフ部隊全員女で構成されてんだとよ」

 

「あれ、一護の友達!?めちゃくちゃイケメン!」

 

「茅森今は其れ所じゃねぇだろ!?」

 

冗談を言って笑ってはいるものの、31Aも31Cも2部隊ともかなり負傷しているのか肩で息をしておりあちらこちらに怪我を見受けられていた

 

「茅森さん、後は31Eに任せて下さい 」

 

一千子達が自ら前に立ち、月歌に口を開いた

 

「でも…」

 

「そんなにボロボロで、其れ以上は危ないですよ」

 

「いっちー…」

 

「其れに私達だってとっても強くなりました、此処は私達に任せて下さい」

 

「…分かった、ユッキー!みんな!後ろに下がって休も!」

 

そう言ってユキ達を先導する月歌、一護も気を失ってしまっている2人を抱えてそのまま移動する。

 

「行こう!二以奈、三野里、四ツ葉、五十鈴、六宇亜!」

 

「兄らの戦いに、私も混ぜてはくれぬか」

 

「白哉さん…!」

 

横に並んだ白哉が刀を鞘から抜き放ち、相手に向けながら口を開く。

 

「兄には恩がある、恩を返す時に返さなければ…一死神としての恥と無様となる」

 

「よ、良く分かりませんけど味方が増えるなら其れは良い事です…!___行きましょう白哉さん!」

 

「黒崎一護、兄も見ておけ」

 

「でも…」

 

「彼女達を鍛えたのは兄だろう、いざと言う時に信じず何時信じると言うのだ」

 

「…!!」

 

白哉にそう言われ、大人しく後ろに引き下がる。

 

 

31Eと朽木白哉、その戦いが始まろうとしていた

 




凄まじき仁義、それが護廷十三隊って気がしますねぇ!?

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16.誇りのための___白帝剣

私情なんですけど最近ブルアカ始めたんですよね、最終章で先生定規振り回しながら走るって聞いたんで…

あかん、シロコとおじちゃんが可愛すぎる。一生1章に閉じこもってたいくらいにアビドスが好きや


(キャンサーと呼ばれるこの敵、斬魄刀は全くもって効かなかった。其れは私だけではなく黒崎一護の斬魄刀でさえ…)

 

「朽木さん、今から作戦を短く伝えます。」

 

斬魄刀を構えた白哉が目の前の大型キャンサーを目で捉え自らがどう動くべきかを考えていた時だった、横に立った一千子が作戦を伝えると白哉に言う

 

「…どうする?」

 

「貴方のその刀はキャンサーのデフレクタには通用しません…だから最初は私達でデフレクタを破壊します。だから割れた瞬間、貴方のその力で倒してくれませんか?」

 

「分かった。其れに従おう」

 

此処は無闇に反発したとして自ら死にに行く様な物だ、しかも第1彼女達には恩がある。其れを踏みにじる選択肢はそもそも無い

 

「来た…!!」

 

大型キャンサーがその腕を目の前の敵を殺そうと振るう。

 

「っ…!___二以奈!」

 

「はいっ!!」

 

その攻撃を一千子が受け止め、そのまま妹の名前を呼ぶ。即座に反応した二以奈がキャンサーの腕を伝いレイピアの型のセラフで腕を刺す。

 

『___!!__!!』

 

「良し…三野里!」

 

「はいよっ!!」

 

キャンサーの攻撃を躱した二以奈が三野里を呼ぶ。攻撃を器用に躱しつつ三野里がセラフを振るう。

 

「攻撃おまたせっ…!!___うわっ…!?」

 

『___!!__!!』

 

三野里のセラフが相手の腕にひっかかり抜けなくなってしまった。あわよくば切り落とそうとしていたのだが二以奈の攻撃の箇所と微妙なズレが生じていたのだった。

 

「三野里!」

 

「わ、おっ…!!」

 

そのまま三野里は腕を大きく振るったキャンサーにセラフごと吹き飛ばされていた。もし壁にぶつかれば確実にデフレクタは散り死んでしまう

 

(体勢が立て直せない…力強すぎでしょ…!!)

 

 

 

 

 

「縛道の三十七 吊星」

 

 

 

「お、おお…?」

 

 

壁にぶつかる寸前、白哉が唱えた縛道が発動し蜘蛛の巣のようなネットが三野里を包んだ

 

「とっとっと…」

 

ボヨンと跳ねてネットから飛び出すが其処は三野里の運動神経でカバーする。

 

 

「有難う!!」

 

「礼はいらぬ」

 

 

 

その間にも四ツ葉や六宇亜といった遠距離のセラフの使い手は離れた場所を走っていく。

 

「うへー、人を働かせるんじゃねぇよ〜…」

 

「四ツ葉姉!早く早く!」

 

「あいあいー!」

 

四ツ葉と六宇亜が充分な距離を取った事を目で確認した五十鈴がキャンサーの前に立つ。

 

「はああぁぁぁぁっ!!」

 

五十鈴が大鎌のような形をしたセラフを振るい風を起こす、まるで其れは何かしらの強攻撃を仕掛けそうなくらいに…

 

『____!!』

 

させるかと言わんばかりに叫び、五十鈴を握り潰そうと両腕を拡げる

 

「ひっかかったね」

 

『__!?』

 

不敵な笑みを浮かべた五十鈴、次の瞬間___キャンサーの両腕を弾が貫きそのままボトリと落ちた。

 

 

両方から六宇亜と四ツ葉が銃型のセラフを使って腕を吹き飛ばしたのだ

 

「傷がついてる方を四ツ葉姉に任せといて良かった〜」

 

「この妹、姉を利用しやがったー…」

 

軽口を叩きながらもお互い顔は笑顔だ。

 

 

「腕が無いんじゃ何も出来ないだろうっ!!」

 

五十鈴が、両腕が消え困惑を隠しきれないでいた大型キャンサーにそう言い大鎌を全力で振るう。その瞬間にデフレクタが破損し辺りにキラキラと散らばっていく

 

『______!!!!!!!』

 

大鎌でデフレクタを両断され、デフレクタを破壊されたキャンサーが耳をつんざくような咆哮を上げる。

 

「今だ!!」

 

五十鈴がデフレクタを使い一千子の元にテレポートし、ほかの妹達も来ていた。

 

「…」

 

単身でキャンサーの元に立つ白哉、自分より数倍大きなキャンサーに向け言葉を放った。

 

「私と同じ様に兄はあの姉妹を侮りすぎた…」

 

斬魄刀を逆手に持ち、目を伏せる。周りでは刀を逆手に持った白哉に対し一護以外の全員が困惑の声を上げる

 

「刀を逆手に持った…!?」

 

「なにを…!?」

 

(来た…)

 

 

「私は彼女達の想いと言う物に全力を使い応えねばならぬ…」

 

 

そのまま斬魄刀から手を離す。

 

 

 

 

「卍解_____”千本桜景厳”」

 

 

「な、なんだ…!?」

 

 

刀が地面に吸い込まれるように消え、地面から千本もの巨大な刀身が現れ、桜並木のように白哉の後ろへ並ぶ

 

 

__次の瞬間、千本の刀が全て桜の花びらに変化し白哉を囲む様に靡き始めた。

 

「な、なんだ…あれ」

 

「綺麗です…!!」

 

「あれがアイツの卍解なんだぜ、俺より派手だろ?」

 

「そうですね、凄い…」

 

 

 

 

 

「終景・白帝剣」

 

 

 

 

 

そう白哉が唱えた瞬間、億とも数えられそうな花びらが全て白哉の周りに装備される様に集まっていく。

 

 

ある花びらは刃となり、ある花びらは翼となって白哉に集約され____千本桜を全て纏った白哉が居た

 

 

「っ…!!」

 

『___!!!』

 

直後、2人がぶつかる。凄まじい爆発と衝撃が周りを襲い、各々が吹き飛ばされぬよう踏み留まった

 

「風すご…!!」

 

「一護の後ろに隠れといて良かった〜…」

 

「俺は大丈夫じゃねぇぇぇ…!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ、居た!」

 

煙がはれ、一番最初につかさが見付けた。

 

「…」

 

季節や場所外れな桜が舞い散る中に白哉が立っており、相対してる筈のキャンサーが見受けられなかった

「…白哉さん!有難う御座います」

 

「大した事はしてはおらぬ、ただ恩を___返しただけだ」

 

桜の花びらが再び白哉の手元に斬魄刀として戻り、一度振ってから鞘に収めてそう言った

 

 

 

 

(ったく…彼奴らしいな)

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 

「豊後さん!山脇さん!!」

 

その後31Cは無事再び6人となった、豊後の記憶の事などを詳しく聞かされ本当に後少し遅かったら確実に危なかったと言う印象を更に受けた

 

一護はその後31Eの事を司令官に伝えて強化役を降りた。彼女達はもう強いと言う確信を持って…

 

 

白哉の処遇についても司令官から一護と同じ扱いにすると言う決定を受けた。つまり司令官直属の部隊は白哉と一護になったと言う事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____そして、31A,31B…そして一護を起用した大規模作戦が…幕を開ける




最後の終わり方なんですけど、ちゃんと訓練から始まりますよ()


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〜第2章〜守るべき盾…そして戦うべき剣
17.新しい朝___ぽかーん


気がつくとUAが13000…!!ありがとうございます!!


私情になりますが最近遊戯王にハマってまして…遊星と遊馬が好きです()

今回はとりあえず平和をイメージに頑張ってみました!
これからは少しばかり重くなりそうなので…

そしてココ最近見たブリーチのMVのキタニタツヤさんの永遠っていう曲がなんとなく蒼井さんぽく感じてしまった俺は末期…?


 

31A,31Cを救出し其れから二日が経った日に、31Aと黒崎一護は司令官室に呼ばれ新たな作戦を伝えられた

 

 

”オペレーション・プレアデス”

 

作戦の内容は、神奈川県南西にある旧国道246号沿いの泰野盆地に巣くうキャンサーを排除しつつ箱根の入り口となる拠点までを奪還すると言う物だった。道を拓く役目として斬り込み隊の31Aと黒崎一護が選ばれた

 

 

この作戦には他にも31B,D,E,F 30B,Gの計7部隊を使った大規模作戦と伝えられた。

 

 

 

「もう今日から31Bと合同で訓練を行って貰うわ、朝早くに呼んだのはこの為よ」

 

「うい…」

 

「おい月歌起きろ…!明らか司令官に取るべき態度じゃないぞ…!」

 

まだ寝ぼけ眼の月歌が司令官に向かってピースを作りながら返事を掛け、ユキが月歌を揺さぶって起こそうと尽力する。

 

「ぐだぐだですね…!」

 

その後も起こすのを諦めたユキは自分が変わりに司令官の指示を聞き通し、月歌を引き摺って帰って行った。

 

 

 

「今回は過去1大規模な作戦だ、一護の力も頼りにさせて貰うぜ」

 

「ああ、その為の力だ」

 

別れる直前にユキと一護はお互いに拳をコツンとぶつけながら言った。

 

 

__________________________

 

 

〜数時間後・ジム〜

 

 

 

「えーっと…」

 

「ぐだぐだじゃねぇか…此処ら辺に31Bの部隊長が居るんじゃねぇのかよ…」

 

訓練の時間が少しずつ迫る中、31Aと黒崎一護は31Bの部隊長に挨拶をしに行こうと月歌の勘を元に探す。だが月歌の勘とやらは全くもって役に立たず最早迷子を探す作業と化していた

 

「ほら此処!ジムになら居るって!」

 

「最後のチャンスだぞ月歌〜」

 

「うるさいなユッキー!あたしの勘舐めんなよ!」

 

そう言いながらジムの入口に入ろうとした時だった。

 

 

「おいおいまてまて…!!」

 

月歌達よりも先にジムに入っていく四足歩行の生き物に驚きを隠せなかった。

 

「と、トラ…!?ホワイトだし…ホワイトタイガー!?」

 

「なんでこんな所に…!?しかも放し飼い…!!」

 

「行ってみよーぜ!!」

 

「あっおい月歌!!」

 

ユキが止める前に好奇心に駆られてしまった月歌が走っていき、止めようと全員がジムの方へ入って行く。だがタマだけは一護の後ろにそそくさと入り、チラッと覗いてくる

 

「い、一護さんは……此処に残りますよね??」

 

「何言ってんだタマ、ほら行くぞ」

 

「みぇ…」

 

一護にしがみ付くタマを荷物の様にして抱えて後を追った。なにかしらネルかと思ってしまったのはまた別のお話…

 

 

__________________________

 

〜ジム〜

 

 

「……何やってんだお前ら」

 

「あ、一護にタマ!今絶賛モフってる所!」

 

「うちの部隊長さんがとうとう動物とも対話出来る様になったってさ」

 

ジムに入り暫く歩くと、ユキとつかさとめぐみと可憐を見つけて近付く。4人の目線の先にあった光景は……

 

「お〜よしよしよしよし…気持ち良いか??」

 

「ヴァゥゥ〜」

 

「そうかそうか〜!!」

 

31Aの部隊長がその虎と会話をしていた所だった、しかも相手は勿論人間は無いので鳴き声で月歌の言葉に答え月歌がなんでか其れに頷いていると言う光景だった

 

 

(本当に会話出来てんのかよ…)

 

「ヴァウ?」

 

ふとその虎が一護の方を振り向いて鼻を動かす。突如嗅ぐような動作をされ少しばかり驚く

 

「…なんだよ」

 

「ヴァウ…」

 

散々鼻を動かしてとった行動は____その大きな身体を月歌の後ろに隠したのだ。

 

「一護さんを避けた…?」

 

可憐がボソッと呟き、月歌が鼻を抑えた

 

「はぁ!?___ってかなんでテメェは鼻抑えてんだよ!」

 

「え…だって動物って鼻良いんでしょ…?なら一護は臭いって事じゃないの…?」

 

「止めろよ!鼻摘んで其れ言うなよ!!」

 

「失礼します!!___すんすん…」

 

タマが一護の後ろからひょいっと登場し全身をくまなく鼻で嗅いでいく。傍から見れば中々えげつない光景である事は確かだ…だが当事者は取り敢えず臭くない事を証明する為に精一杯である

 

「臭くありません!」

 

「当たり前だろ!」

 

「えー?ほんとかなぁ一護くん」

 

「なんでそんな作ってワクワクしそうな人っぽくなるんだよ…」

 

「お、分かってくれるか。ナーイスハッキーング!」

 

「はぁ…ってか其れよりも此奴の名前とか分かるもん無いのか??」

 

「此処まで飼い慣らされてるって飼い主さんが居るって事だもんね」

 

そう会話してると月歌が虎と同じ目線になり問い掛けた

 

「運転免許証とか有る」

 

「ヴァウ!」

 

突如した訳の分からない質問に虎が

 

「有る訳ねーだろ…」

 

「無いかー、いや免許有ったらほら身分証明書だし分かりやすいでしょ?」

 

「お前は役員か」

 

「え〜…」

 

 

 

 

「その子の名前はビャッコって言います」

 

 

「…!?」

 

気付けば一護の後ろからひょっと現れた華奢な少女がその虎の名前を言っていた

 

(コイツ…いつの間に…?)

 

気付かなかった、何時の間に現れて後ろから歩いて来ていたのか全くもって分からなかった…

 

「お、図らずしもターゲットはっけーん」

 

1人勝手に考え込む一護を他所に月歌がターゲットと言う。つまる所彼女が31Bの部隊長と言う事になる。

 

「司令官から話は聞いてます、31Aの茅森さんですよね?」

 

「いいえ!31Zです!!」

 

初対面でも相変わらずボケをかましていく月歌に相変わらずと感じているが相手は何も反応を返してこない…もしかしてドン引きでもしたかと顔を覗き込むと…

 

 

 

 

 

 

「…ぽかーん」

 

 

目を見開いてフリーズしていたのだった




蒼井さん可愛いなぁ…()


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18.走る背中____新たな部隊長

このペースでカキカキして行けばいずれかは本編に追いつきそうで怖いなぁという今日この頃、でも思うんすけど俺ってできた世界の上で改変加えてカキカキしてるだけですけど、あの人達って何も無い白紙からあんなストーリーを書き出してる…ほんとすげぇなぁ…


Twitterでも言ったんですけど2章はめちゃくちゃよかったのでそれに恥じないものにしたいと思います!


「相手さんぽかーんってしちゃってるよ!!」

 

遂、数十秒前に初対面した相手に向かってボケをぶつける茅森月歌、だが相手はツッコむ訳でも呆れる訳でも無く只目を見開いてぽかーんとしていた

 

「ヴァウ!」

 

「___はっ…!ビャッコ有難う」

 

ビャッコと呼ばれる虎が一声鳴くと相手の部隊長は元の世界に戻ってこれたようだ

 

「…大丈夫か?」

 

「貴方が黒崎一護さんですか、話は聞いてます…なんだって1人でキャンサーの大群に突撃をして生きて帰ったとか…」

 

「おいまてまて!!俺そんな事してねぇぞ!!」

 

何時の間にか一護の知らない所で余りにも膨れ上がり過ぎた噂が流れている事に気付く当の本人。

 

「似た様な事はした事有るだろ?何なら本当にやりかねないだろ」

 

「しねぇし出来ねぇよ…」

 

「其れより相手さん何か言いたげやで」

 

相変わらずの空気感になりつつある中でめぐみが何とかかんとか話を戻そうとしてくれた

 

「こっちの自己紹介がまだでした…!」

 

「ああほんとだ…」

 

「あたしら何しに来たんだよ…」

 

 

 

「私は31Bの部隊長の蒼井えりかです。今回の作戦で一緒ですね!頑張りましょう!」

 

 

「かわいい…!!」

 

「は??」

 

月歌の第一声が可愛いから始まった事に、一護は流石には?と心からの声が漏れ出た

 

「だって…いやこっちにはかれりんが居る…!」

 

「カレンちゃんでしたぁぁ!!!」

 

「今はカレンちゃんかぁ!!!」

 

 

「ぽかーん…」

 

 

「大丈夫かこのメンツ…」

 

 

__________________________

 

〜15分後〜

 

「「テストで100点を取れる才能!?」」

 

その後何度か話が逸れ掛けていたが何とか持ち直し、各々が自己紹介を終えめぐみが蒼井に何の才能を持っているのかを聞いた所だった

 

一護は才能が何か関係あるのかという感じだったがかれりんが説明をしたおかげで何とか理解出来た

 

(このセラフ部隊…上の奴らに不信感が募るな…)

 

だが情報が増える度に一護の中に軍に対する不信感が少しずつ募り始める

 

「ほんまもんの天才やん…」

 

「此処に来て最初のテストもか!?」

 

「はい、満点です」

 

そんなの余りにも学生にとっては羨ましすぎる才能である

 

「お前らは何かしらの才能を認められてこの部隊に居るって事か、て事は蒼井の他のメンバーも才能が有るって事か?」

 

「はい、皆何かのエキスパートです。ビャッコも含めて」

 

「え?」

 

「…?」

 

「その虎…ビャッコもセラフ隊員って言う気か?」

 

「ヴァウ」

 

まるでそうだぞ、と言わんばかりに1鳴きするビャッコを一護は見つめる。蒼井も頷いた

 

「そのビャッコの特技は分かんのか?」

 

流石にセラフ隊員とは言え虎は虎、やはり此処はガブッと行くとかそう言う獣地味た答えが____

 

「オセロが出来ます」

 

 

 

「知性的すぎんだろ!!」

 

 

 

余りの的外れな返答に一護が大声で叫んだ、んなアホな…

 

「くっ…負けた…」

 

その横でタマが悔しいと言わんばかりに膝を着いた

 

 

 

 

「アホの集まりか」

 

 

ユキがやれやれと言わんばかりに口を開く。

 

 

「では、トレーニングに戻りますね」

 

「あ、ああ…邪魔して悪かったな」

 

会話を聞いていた蒼井がとうとう面倒臭くなったのかは知らないがトレーニングに戻ろうとしていた。月歌が邪魔してすまなかったと言い蒼井を見送っていった

 

 

 

 

 

 

「あれ?一体あたしら何しに来たんだ?? 」

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

〜夜〜

 

「…」

 

その日の夜、中々寝付けなかった一護は1人で外に出歩いていた。もうそれなりに行き来しているおかげか迷う事も無くなった

 

「兄もか、黒崎一護」

 

「白哉…!」

 

後ろから声を掛けられ振り返ると其処には白哉が立っていた、相変わらずの隊服と隊長羽織りを身に纏いその腰には斬魄刀が挿してあった

 

 

「此処は安全だぜ白哉」

 

首を横に振りながら一護が言うが白哉は顔色一切変えずにとある物を出してきた。

 

「此を見ろ」

 

「…此は、カメラ…?」

 

「兄はこんな物が有る所を安全と言うのか?」

 

「なんだよこれ…何処で見つけた?」

 

「街灯の近くに有った、私には隠されているかの様に見えた」

 

となると此の目的は…監視カメラとしか言い様が無い。いや確かに此処の基地には多分監視カメラ持ち歩いてそうな奴なら居そうだ。

 

「気味わりぃな…」

 

半ば取り上げる様にして白哉からカメラを取る

 

(だがもし此が軍の付けた物ならば…)

 

 

 

 

 

其処ら中にカメラが隠されていても可笑しくは無い、もしそうなると_________

 

 

「なさい……」

 

「「…?」」

 

ある結論に辿り着きそうな一護達だったが其処に1人の今にも泣き出しそうな声が聞こえた。声の主は誰かと近付いて行くと…

 

「蒼井… 」

 

「黒崎さん…!?」

 

昼間に会ったあの儚げな少女__31Bの部隊長の蒼井えりかだった

 

「お前なんで…其れにそんな泣きそうになって_____あっおい!」

 

大丈夫かと声をかける前に振り向いて逃げられてしまった、後を追おうとするが白哉に止められた

 

「なんで止めんだ白哉!」

 

「黒崎一護…貴様何故彼女が1人で居るのかが分からぬのか」

 

「…っ!」

 

泣きたいならとっくの昔に泣いている、そんな彼女は昼間はずっと笑顔でいた。何処か後ろめたさが有る様な笑顔だったが確かに彼女は笑っていた

 

「汲み取れぬとは言うまい」

 

「…」

 

只走っていく背中を…一護は眺めるしかなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、ただ背中を_________

 

 

 




最近少しばかり小説が描きにくくなったような気がするんすよね…なんかこう、文とか描きにくくなったというか…



Twitterでやんす
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19.訓練開始!___いる意味…

もうちょいで4章後半が公開されそうですね!!

PVからも色々と読み取れて色々な謎が増えていくばかりですなぁ…



〜アリーナ〜

 

 

日が丁度真ん中に位置する午後、一護は一足早くアリーナに辿り着き他のメンバーが到着するのを待っていた。

 

 

「一護さんこんにちは!」

 

暫くすると31Aの聞き慣れた声が聞こえて声の方向へ振り向く、見慣れたメンバーに______1人だけ可笑しい奴が居た

 

「おう____お前んとこの部隊長…どうした?」

 

後ろでつかさと可憐に担架で運ばれてくる月歌を見ながら一護が問い掛ける

 

「私達さっきまで座学だったんだ、作戦のフェーズとかで色々とな」

 

ユキが一護の横に立ち、訳を説明する。

 

「ああ、俺は紙で渡されたな…」

 

今日の朝にフェーズとか何とか書いてあった紙を七海から渡され一応目に通すと言う行為をしていた

 

「ええ!?良いな一護!!あたしらも紙で渡されたかった…!!」

 

「そんなをしたらあたしら確実に死ぬぞ」

 

「一護って慣れてる?フェーズとか作戦とか」

 

「んなもんした事ねぇだろ…大抵の敵なんか飛び込み参加みてぇなもんだ」

 

「やっぱり一護だけ卑怯だ!!」

 

「うるっせぇな…」

 

 

__________________________

 

 

 

「今回の作戦はいくつかのフェーズに分かれていて、状況に応じて行動目的も変わってくるわ。一つずつ着実にさ熟せるように」

 

「了解であります!」

 

「良い返事ね、これからも心掛ける様に」

 

(分かってんのかコイツ…)

 

一瞬だけ月歌を疑った一護、其処から先も作戦の説明は暫く続いた。今回は神奈川県のある場所にある盆地を奪還し、其処の場所にいるキャンサーを全て殲滅する事

 

 

「そうすれば西に進むルートを確保出来る様になるわ」

 

「そういや聞いてなかったが西はどうなってんだ?」

 

「…此処よりも更に強いキャンサーが蔓延ってるわ、作戦は何度も立てたけど…」

 

其処から先は言わなくても今の現状が教えてくれている、一護は其処で手を出し話を制した

 

「分かってくれたなら何よりよ___そしてこの作戦は今後の展開を有利に進める為の極めて重要な作戦なの、しっかり訓練して本番に備えて頂戴」

 

 

まずはフェーズ1の説明だった、フェーズ2の作戦開始ポイントまでの移動、ポイントが仕掛けられており其処まで移動すると言う作戦だった。只、行軍路を確保するだけの様に聞こえるが場所は険しい山道が多く窺え尚且つ距離は2000m

 

フェーズ1最終地点の距離はおよそ2100m…

 

 

「その途中はほぼ敵の勢力圏、でもその後も作戦が続く。戦闘回数は最低限にしなさい 」

 

「…」

 

「速度と火力を重視した戦闘になるから、まずは其れに合わせてみて」

 

何処から何処までが戦闘範囲が分からずに、無駄な消耗を避け目的地まで移動…正直いって彼女達には難易度が高すぎるとも思える作戦だ

 

「あるふぁ…?べーた??___何言ってんのか全然分かんねー!!!」

 

 

もう既に31Aの部隊長は限界を超えている様に窺えた

 

「大丈夫か月歌…」

 

「ユッキー…後は任せた」

 

「押し付けるな」

 

手塚司令官が横目で月歌達を見つつ作戦をそのまま伝えていく、

 

「…今日の訓練では作戦の要所の一つ、阿夫利神社までの安全経路を確立する事が目的よ、まずは山道での戦闘に慣れる事を意識して」

 

「エミュレーターでの訓練を開始します、行ってらっしゃいませ」

 

うんともすんとも言う暇もなく、七海がエミュレーター稼働のスイッチを押した

 

__________________________

 

 

「…っ」

 

一瞬少しばかりの違和感を感じ目を瞑る、だが次の瞬間には景色が山になっており感じる空気も其れに近くなっていた

 

「おー!!すげー!山だ!ハイキングに来た気分!……何て事言ってたら司令官に怒られそー…」

 

「なら言うなよ…」

 

早速月歌が背伸びをしながらはしゃいでおり、其れをユキが宥めると言う何時も通りがあった。

 

「……」

 

一護も当たりを見回し自らが立っている場所を再確認する。足の質感も全て本当に山道に来たかの様に感じた

 

「すげぇんだな」

 

この感覚には素直に驚く

 

「私達はもう慣れちゃったけど黒崎さんは初めてなんじゃない?」

 

横に歩いて来た可憐が一護を見ながら言う、其れに一護は頷いて再び空気を吸った

 

(訓練とは言え気が抜けねぇな…)

 

元いい抜く気は更々無い、彼女達の負担を少しでも減らして守り抜くと言う自らの目標…

 

「よし、行こうぜ」

 

スイッチが入った月歌がセラフを持ち仲間に呼び掛け、全員がセラフを持ち頷く

 

「とか言ってたら早速きおったでぇ!!」

 

めぐみが横にセラフを向けつつ叫ぶ。

 

 

「クレストホッパーだ!数は一つだが気を抜くなよ皆!!」

 

月歌がそう言い全員が早速陣形を組んでいく

 

(コイツらはいざって時は人が変わるみてぇだ…)

 

そう思いながら斬月を持つ。その瞬間に……キャンサーが襲い掛かり戦いが始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「一護さん、さっきからあんまり役に立ってない…!!」

 

一応斬月を肩で支えながら歩く一護に対しタマがどストレートな言葉をぶつけた

 

「おいタマぁ!!」

 

「は、はいぃ!!」

 

「コイツが出る幕もないっちゅー訳や、誇れる」

 

「カバーしろよ、其処は俺をカバーしろ」

 

「はっ!アンタ今まで活躍してきたやろ、偶には休んどけ」

 

「なら俺今回の作戦に居んのかよ…」

 

活躍をしたいと言う訳では無い、だが余りにも出番が無さ過ぎるのだ。この世界では主人公じゃないかもしれないが一応元の場所では主人公してんだぞ。おいコラ作者…テメェに言ってんだよ

 

「さぁな、でもなんかしらあるんやろ」

 

「無責任だなお前」

 

さっきから隠れ移動し走りながら目的地まで向かっているのだが数少ない戦いの内一護は一度も活躍していなかった、大抵後ろで斬月を構えて終わっているのだ

 

「一護、そう言う時は作者に文句を言えば良いんじゃない?」

 

「は??」

 

突如始まった月歌の訳が分からない一言に一護も素で答えてしまう

 

「また訳の分からない事言ってるようちの部隊長は…」

 

「てへぺりんこ!」

 

「ああああああああああっ!!!」

 

「うわっびっくりした…お前もどうしたんだよ」

 

「うふふ、2人だけの会話よ。此は優しく見守るのが筋だわ」

 

「お、おう…」

 

何かしら凄まじい圧力を感じながらも作戦が終わるまで一護の活躍は何一つとして無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の話は…ほぼこれ訓練の説明みたいなもんですね()


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20.訓練Day.2___一護といちご

最近再びブルアカ熱が高まりつつあるこの頃…
エデン条約編見終わったあと、裏切りもんがァァァ!!!やったりしますけどほんとに透き通る世界観は最高やな!


〜尸魂界〜

 

「一護くんに続き、朽木隊長まで…」

 

尸魂界は今、大混乱とも言っていい状態になっていた。死神代行黒崎一護と、六番隊隊長朽木白哉、この両名を失った今…攻め入られたりすれば均衡は確実に潰れると言う状況だった

 

「涅隊長は未だ籠って何やらしてるようだしねぇ…山爺も動き出したみたいだし…穏やかでは無いね…」

 

八番隊隊長京楽春水と、十三番隊隊長である浮竹十四郎もまた事件解決の為に動き出したのである

 

「全隊長副隊長を用いての捜索、そして時々現れるあの未確認の敵」

 

「聞いた話に寄れば斬魄刀が効かないって聞いたけど?そんなもんに勝てんの〜?」

 

「まだその原因が分かってない…数人の負傷者が出た様だがその内の1匹を生け捕りに出来たみたいだ」

 

「死神である僕達が生け捕りかぁ…」

 

「ああ、だがそんな事言ってられないからな。鬼道は通じなくても縛道は通用する…足止めでもしておくしかない 」

 

「その敵、山爺の流刃若火ならどうだろう??」

 

尸魂界最強の死神と言われ、その強さは1000年以上超える者が現れないと言う凄まじさ___

 

 

 

 

 

 

一番隊隊長であり、総隊長と言われる男…山本元柳斎重國

 

 

 

 

「元柳斎先生のか…、だが事と次第に寄れば先生動き出してくれる筈だ…」

 

「どちらにせよ、涅隊長が頑張ってくれないと動き出せないみたいだしねぇ…現世での単独行動の禁止も中々辛いものだよ…」

 

「その割にはお酒なんて飲んで…全くお前は」

 

「…へへ〜」

 

「そう言えば涅隊長関連では浦原喜助も現世で動いてくれているみたいだ」

 

「本当かい?__そんならもう原因究明は直ぐ其処だねぇ…」

 

 

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地・アリーナ付近〜

 

 

「…」

 

昨日に引き続き今日も、作戦の為の訓練に励むべく一護は一人で歩いていた。31Aは午前中は相変わらず座学らしく今日はめぐみと月歌の叫び声が響き渡っており多分作戦には支障が出るだろうなぁ…と考えている。

 

「…白哉も見かけねぇし」

 

朽木白哉は現在30Gに配属されていると後に聞く事が出来た、1番最前線に立っている彼女達と共に戦うと言う事が出来るのがまたアイツらしいとも思えた

 

「はぁ…訓練かったりーなーおい…」

 

「さっさと終わらせるにゃ…」

 

(にゃ…?)

 

一護を追い抜く様にして2人が歩いていく、あの方向からするに今日から合同で訓練をする31Bのメンバーだろう…

 

「集中して……私がしっかりしないと………あ」

 

「蒼井…!」

 

「黒崎さん…」

 

彼女の顔を見た瞬間に脳裏に過ぎたのはあの日の夜、彼女が一人で泣いていた所だった

 

「なぁ…蒼井」

 

あの時は白哉に止められ聞き出せなかったが今回は聞き出そうと考え__________

 

 

『兄は彼女の気持ちすら、汲み取れる事が出来ぬ男か?』

 

「…っ」

 

同時に甦ったあの日言われた白哉からの言葉、ほぼ叱責と言っても良いだろう…

 

「ど、どうしました?」

 

「いや、何でもねぇ………」

 

問い掛ける彼女の目は少しばかり揺らいでいた、辛い筈だ…何か有る筈だ…

 

だが寄り添って声を掛けるには余りにも自分達には日数が少なすぎる…

 

「また後で会いましょう、黒崎さん」

 

「ああ…」

 

返事をすると、蒼井がまた再び何かを呟きながら歩いて行った

 

 

(……)

 

一護には、何気ないやるせ無さが残ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アリーナ〜

 

 

「集まったわね、今日は貴方達だけではなく31Bと合同で訓練をして貰うわ」

 

「31Aの皆さん、其れと黒崎さん…宜しくお願いします!」

 

「よう来たか、お互い頑張ろうぜ!所で今夜ど___」

 

「はいはい月歌、ナンパは止めろ」

 

「いてっ…」

 

ユキが月歌の頭にコツンと手刀を当てる、最近どんどん容赦が無くなりつつあるなと思いつつ見ておく

 

「ユッキー痛い…嫉妬は良くない、暴力はもっと良くない 」

 

「はぁ!?」

 

「………良いかしら?」

 

夫婦漫才でも始める空気感を司令官がピシッと整えさせた。

 

「一通り、自己紹介でもしておきましょうか」

 

「そうね」

 

蒼井に対する言葉に司令官が頷く、そしてお互いの簡単な自己紹介が始まった。言っても只の名前の伝え合いだった

 

「貴様のセラフ…いや斬魄刀とやらか、寄越せ」

 

「何言ってんだお前、無理に決まってんだろ」

 

31Bの樋口聖華と言われる奴からは斬魄刀を執拗に狙われ…

 

 

「ひっ、ひぇ…」

 

「なんでそんなビビってんだよ… 」

 

「いや、あの……」

 

柊木梢という奴には只ひたすらにビビり散らかされた

 

 

「水瀬いちごだ」「水瀬すももにゃ」

 

最後の2人は珍しく姉妹だった、2人とも目付きがとんでもなく危なっかしくこれはまた一悶着有りそうだなと感じた

 

「あれ、此から作戦する時一護といちごで被るんじゃない?」

 

「イントネーション変えれば分かるんじゃねえのかよ…」

 

「そうだな、この作戦に”いちご”は2人も要らねぇな」

 

 

 

「「っ!?」」

 

そう言うといちごは懐から銃を取り出し一護に突きつけた

 

「なんだテメェ…」

 

「っ…」

 

拳銃を突きつけられた途端に一護の周りの空気が代わり、それにいちごだけではなくすももまでもが押されている。

 

「あ、あ…皆逃げちゃった…」

 

視界の端で梢が誰も居ないとこ目掛け話し掛けているのも見えたが、気にする余裕が無かった。何せ初っ端から拳銃を突きつけられ余り良い気分では無い、かと言って手を出す訳には行かず睨みつけるしか無かった

 

「チッ…」

 

先に諦めたのはいちごの方だった、文句ありげに一護を睨みながらその場を去り少し離れた場所に立つ。

 

「阿夫利神社までのポイントは昨日31Aと黒崎さんが抑えました、今日はその先に有るポイントアルファ、ヤビツ峠

までのルートを制圧することが目標になります」

 

空気が不味くなっている中、七海が我関せずと説明を続けていく。

 

 

「31Aと黒崎さんが先導、31Bが周囲を警戒する陣形で行軍してください___尚阿夫利神社までは安全に行軍出来る事をお忘れなく、それでは…」

 

其処まで説明した七海が即座に訓練プログラムを起動させ一護達は一瞬視界が白い世界になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「31Bと行動するなんて意外な感覚…」

 

全員が1つの箇所に集まり最初に月歌が口を出した、場を和ませようとしているのか…それとも只そう思っただけか…

 

「群れて行動だなんて非効率極まり無いにゃ」

 

「…!?」

 

だが一番最初にその輪から抜け出してしまったのは水瀬姉妹だった、すももが最初にそう言い、いちごが其れに続く

 

「全くだぜ…おい蒼井、テメー足引っ張んじゃねぇぞおい」

 

(…んだよコイツら)

 

内心不満ばかりが募ってしまう一護、何故この2人はこの部隊に入ったのだろうと言う言動ばかりだった

 

「取り敢えず行こう、作戦は______」

 

 

両部隊長の支持の元、全員がヤビツ峠に向かい行軍を始めた。だが一度崩れた物は簡単には戻らない…

 

 

 

 

 

「月牙____」

 

「此奴はあたしらの獲物だ…っ!!」

 

「っ!?」

 

一護がデフレクタの割れたキャンサーに月牙天衝を放とうと構えたが、2人に割り込まれ攻撃を寸止めする。

 

「何しやがんだ!おめぇらの部隊長はそんな指示だしてねぇだろ!」

 

「あぁ?あんな部隊長の支持聞いてたら死んじまうぜ」

 

「そうにゃ」

 

「……」

 

本人が居ると言うのに好き勝手言う2人に対して一護は内心今にも怒りかねなかった

 

「落ち着け一護、お前が此処で怒ったとして更に空気が悪くなるだけだ…」

 

「和泉…」

 

ユキが目線で落ち着けと伝えてくる、何とか其れに頷くが…

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も只ひたすらに、31Aと黒崎一護、そして31Bのズタボロ連携が繰り広げられていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「31A、31B両部隊はポイントアルファに到着。経路の確保に成功しました」

 

「どんなもんだいななみん、あたし達に出来ない訓練なんて無いのさ!」

 

「はい、結果としては成功しています…ですが」

 

「戦ってる時間が長すぎるわ、もっと効率的に敵を処理する様にしなさい」

 

確かに31A、31Bはヤビツ峠に到達し訓練は成功となる。だがこんなに時間を掛けてはいざ実践時に犠牲が出ないとは言い難い

 

敵が出る数、道の造形が今のままとは限られない…

 

 

 

その後もお互いの部隊が噛み合う事は無く、今日の訓練は終了した。




何だこの水瀬姉妹!?(ほんへはもっと可愛いキャラだったですよね…)


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21.その日の夜___一護の部屋死す?

2章を再び一周してきたんですけどやっぱり1番グッとくるお話ですよね、この何かしらに来るという感じ…

それをなんとか頑張って書いていこうと頑張りまする…
ストーリー見てると描きたい欲が凄まじいので…


〜セラフ部隊基地・一護の部屋〜

 

 

「はぁ…こんな部隊でやってけんのかよ…」

 

「何だよ一護、随分機嫌わりーじゃねーか」

 

帰って来てから即座に布団に寝転がる、既に夕食は済ませ後は寝るだけと言う時間帯になった

 

あの後も結局最後までいちごやすももが勝手な行動ばかりをしていき月歌が野球で勝負を挑むと言う展開に。勿論普段からやっている姉妹には叶う訳も無く滅多打ちにされ子供の様に暴れる月歌の姿があった

 

「コンか、お前今まで何処居たんだよ」

 

「ずっと部屋に居たぜ、何せこの部屋出入り激しいんだぜ。こちとらずっとぬいぐるみっぽくなってねぇとバレんだろ」

 

「怖ぇ事言うんじゃねえよこの…!」

 

「いてててて…!!」

 

冗談の様に笑うコンの耳パーツを抓っていると、扉をコンコンと叩く音が聞こえた

 

「なんだ…こんな時間に」

 

 

『いっちごー!!起きてる??いや起きてー!』

 

『止めろ馬鹿…寝てたらやべぇだろ!』

 

「…」

 

扉越しでも嫌でも分かった、月歌だ…何ならユキも居る

 

「はいはい」

 

取り敢えず出ない訳には行かず扉を開ける、するとその2人だけではなく31Aの6人が揃っていた

 

「何だお前ら、こんな時間に…」

 

「悪い一護、部屋にスペースって有るか?」

 

何故か目を合わさないユキが一護にそう聞く。

 

「え?ああ…有るけど」

 

部屋もあれから異動となり、今はセラフ部隊が1番栄えていた時に作られた6人部屋を1人で使うと言う悲しき事態となっていた。何なら部屋を使う事は余り無くミニマリストもビックリの状態だった

 

「あたしらが買い物した奴が有るんだけどな、其れ部屋に置いてけなくてよ…捨てるのもなんだから預かっといてくれねーかーって…」

 

「別に余裕有るから良いぜ」

 

「ほんとか、助かる!」

 

「有難う御座います!」

 

全員が礼を言う、其れ程までに大事な物なのだろうか。取り敢えず全員を部屋に入れその物を置いていって貰う

 

「…?_んだこれ、木の箱?なんか入ってんのかタマ」

 

「其れはミツバチの巣箱です!」

 

「は?」

 

「嫌だから…ミツバチの巣箱です!」

 

「おい待て、何でミツバチの巣箱なんだ。預かるもクソもねぇだろこんなもん!」

 

「使用はしてないのでどうかご自由に!」

 

「おいふざけんじゃねぇぞ!!」

 

追い掛け回そうとしたその次に可憐がそっと小さな箱を置いた。

 

「…んだよこれ」

 

「…結婚指輪」

 

「は??」

 

「スーパーで売ってた結婚指輪…」

 

「んでそんなもん売ってんだよ!てか誰が使うんだこんなもん!しかも置く程のもんじゃねぇだろえがこれ!」

 

その間にも物がまた1つ増えた

 

「白い恋人… 」

 

「ええ、白い恋人よ」

 

「菓子だろうが!!てめぇが食えって!!」

 

「夜に夜食はしない主義なの」

 

「明日でも明後日でも良いだろうが!!」

 

そうやって言っている間にも物が増えていく

 

「おい和泉何だこの紙切れは」

 

「其れは…旅行ギフト券だ」

 

「は???___旅行ギフト券?」

 

「ああ、使ってくれ」

 

まるで何かしらの力がある武器かの様に渡してくる、と言うか此はほぼ押しつけでは無いのだろうか…。しかもよりにもよって和泉がこんな物を…

 

最早言葉は出ずにぽんぽんと和泉の肩を叩いた

 

「何かあたし哀愁漂う目で見られてんだけど…」

 

「和泉も疲れてんだよな… 」

 

「よいしょと…」

 

そんな事を言ってる合間にも物がまた増える

 

「なんだこれ…」

 

「樽や、ウイスキー寝かせんねん」

 

「要らねぇよ!俺酒飲まねぇしこんなもん大体未成年が買うもんじゃねぇだろ!! 」

 

「知らん、有ったから買って来ただけや」

 

「其れを俺の部屋に置くんじゃねぇよ!!」

 

そして最後に月歌が何かを置いた、一件家具の様に見える為まだ使えそうであるなと…

 

「棺桶ね、これ…後はい、鍵」

 

「…」

 

渡された鍵を反射的に受け取りそのまま棒立ちする。思考が追いついていないのだ。今なんて??棺桶??

 

「何で棺桶だよ!!お前らさっきから…一体何処で買って来やがったこの野郎ッ!!!」

 

「フレーバー通りのお店で」

 

「そうかよ!品いっぱいだなコラァ!!!___だが其れを俺に渡すな!!どうしようもねぇだろ棺桶なんてよ!!」

 

「ほら…仕舞うスペースにでも」

 

「仕舞う!?何を!?」

 

「遺体?」

 

「不吉な事言うんじゃねぇ!!」

 

 

 

 

その後も軍の人達に止められるまでひたすらブチギレ続け翌日朝から司令官に呼ばれた一護だった。

 

 

因みに一護の部屋にはミツバチの巣箱や棺桶と言った物が置いてありそう言う趣味だと勘違いが生まれた事態も少しばかり出来た様だ…

 

 

 

 

 

 




前回と次回のあいだだと思っててください…
なんなら21.5でもよかったのか…?


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22.起こるすれ違い___交わる運命

そういえばこの世界にどうして白哉を連れてきてしまったのだろうと後悔してしまう今日この頃




「よう!偉そうな死神!俺の名前はk…」



「散れ___千本桜」


〜アリーナ〜

 

「本日もフェーズ1の訓練です」

 

「うへぇ…」

 

「はい!」

 

「同じ部隊長なのに何だこの反応の差は…」

 

今日も今日とて作戦の為の訓練に参加する2つの部隊と黒崎一護、もう作戦は2週間と少ししかあらず今のままの連携では確実に殺られると言う空気が少しばかり有った

 

「一応こっちの方が優秀ですよ!」

 

タマが無い胸を張り全力でドヤるが誰にも反応されず端に寄っていじけて行く

 

「今回は前回の様な戦いはしないで、お互いがお互いの良い所を活かして戦って頂戴」

 

其れだけ伝えると七海がアリーナのシステムを起動させ辺り一面が自然に覆われた場所へと変化する

 

「昨日通りに31Aが攻撃、そのバックアップを31Bがすると言う感覚で良いですか?」

 

「ああ、其れの方が昨日と同じでやりやすいしな」

 

「分かりました!」

 

月歌と蒼井が早速作戦会議を開きお互いに頷く

 

「一護は今日はバックアップに入ってくれ」

 

「え?__ああ」

 

「そっちの方が多分一護もやりやすいと思う、デフレクタが割れない以上いざって時は任せられるから」

 

「そうか、分かった」

 

月歌も月歌なりに考えているのだろう、何時もとは打って変わった冷静さで作戦を次々と組み立てて行く

 

「月歌!キャンサー来たぞ!」

 

「分かった!皆、戦闘準備!」

 

 

 

「お前らおせーんだよ!!」「2人でメタメタにしてやるにゃ!」

 

「あっ…2人とも!!今は31Bはバックアップです!」

 

全員がセラフを展開した瞬間に、すももといちごが先に飛び出し止めようとする蒼井を突き放しキャンサーと交戦を開始する。

 

「蒼井は2人を頼む、皆行くぞ!」

 

 

 

その後も2人の身勝手な行動は続いていく、その度になんとか制止しようとする蒼井だったがしようとする度に2人の勝手な行動はどんどん酷くなっていく、それはポイント付近での大型キャンサー戦の時もそうだった

 

 

 

 

 

「っ…!!」

 

斬月を両手に持ち、一護が大型キャンサーの攻撃を防ぐ

 

「31Aの皆さん、今です!」

 

「行くぞすもも!」「了解にゃ!」

 

蒼井が指示を出す瞬間に2人が前に出ていく。セラフを持った2人が一護に構わず攻撃を繰り出そうとする

 

「待って下さい!其れでは一護さんが…!」

 

「くらいやがれッ!」「ほいさにゃ!」

 

「ッ!?」

 

一護の事はお構い無しに2人が攻撃を繰り出しキャンサーを討伐する、だがその下にいる一護にも攻撃が当たりそうになっており月歌達も驚く

 

「討伐完了だな、行くぞすもも!」

 

「にゃ」

 

2人は颯爽とその場を立ち去りポイントへと歩いて行く

 

「っ…てぇ」

 

「一護さん!」

 

いちごの撃った弾が少しばかり掠ったのか血を流している一護に蒼井が駆け寄る。

 

「平気だ、安心しろ」

 

「でも血が…」

 

「大丈夫だって…心配しすぎだ」

 

斬月を振り回し自分が大丈夫だと言う事を証明する一護、だがその傷はじくじくと痛み只長年の経験による我慢だった

 

(セラフってのはこんな威力してやがんのか…掠っただけだってのにそれなりに痛ェ…)

 

なんてもん持たせてんだ上の輩は、と言いたくなるくらいだった、もし此で反逆などが起きれば…

 

(想像するのも嫌になる…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様、一護」

 

「おう」

 

その後ポイントへと到着した一護達は何とかかんとか制限時間内に倒せていたらしく合格を貰った、だが実践レベルとは行かないらしく更なる精進を求められた。その後は直ぐ解散となり全員がそれぞれの目的を持って解散となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アリーナ付近〜

 

 

「…」

 

その後、入浴と晩御飯を済ませた一護は人気が少なくなった基地を歩いていた。死覇装を身に纏い斬月を背中に掛けており今からアリーナに行くぞと言わんばかりの見た目だった

 

(あの2人、なんでセラフ部隊に入ったんだよ…隊長の指示も聞けねぇで滅茶苦茶邪眼じゃねぇか、傷だって微妙にいてぇしよ)

 

半ばほぼ八つ当たり……鬱憤ばらしだった

 

 

ドスドスと歩きアリーナの中に入ると、誰かが戦っている音がした。剣や銃から放たれる音では無い、もっと鈍い音だった

 

(誰だこんな時間に…)

 

ちらっと覗く様にして見ると其処には蒼井の姿があった、1人で盾を縦横無尽に駆け巡らせまるで攻守一体の様な動きをさせていた

 

実際に小さなキャンサーの集団を相手に引けを取らぬ戦いをしていた。防ぎ叩きを繰り返して数を減らしていく

 

「すげぇ…」

 

「えっあっ……__ひゃっ…」

 

一護が無意識に声を漏らし、蒼井が其れに気付いて意識をそっちに持って行ってしまった

 

「っ…!!」

 

躓いた事に気付いた一護は瞬歩で移動し後ろに倒れた蒼井を抱き寄せて事無きを得た

 

「大丈夫か?蒼井」

 

「は、はい!大丈夫です!」

 

だが気付けば蒼井と一護の周りを約3桁のキャンサーがうろついていた。

 

「このモード、1番難しく設定してあるんです。キャンサーの動きや能力、そして数も…」

 

「それを1人でやってたのか?」

 

「はい、2時間程ですけど…」

 

(この数と一匹一匹の強さ、蒼井はただモンじゃねぇ)

 

「あ、あの…立っても良いですか?」

 

「ああ…」

 

立ち上がった蒼井が少し顔を赤くしながらスカートを払う。一護は周りのキャンサーを見ながらも何処かにアリーナの制御装置的な物が無いか探していた。いくらバーチャルと言う物であれど精神的にも数がキツい、ある意味死にそうである

 

「止めらんねぇのか?このモードは」

 

斬魄刀を抜き放ち肩に担いだ一護が同じく戦闘態勢に入った蒼井に問い掛ける。戦闘態勢に入ったと言う事は……

 

「いえ、このキャンサー全部倒さないとクリアにはなりません。その…ごめんなさい」

 

ペコペコと頭を下げる蒼井をなんとか抑え、一護が口を開いた。

 

「いや、気にすんなって…元はと言えば俺が撒いた種だからな__其れに今の作戦の連携にもなりそうだろ?」

 

「はい!そうですね!__一緒に頑張りましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ…_____”卍解”ッ!!!」

 

斬月よりも此処は天鎖斬月で戦った方がまだ役に立てると判断した一護は即座に卍解。虚化まで使用を考えたが今は戦える確証が持てる卍解だけに留めておく…

 

其れに蒼井がこの顔を見れば…性格上必ず何かしらに影響しそうだったからだ…

 

 

 

 

 

 

 

(此が卍解…茅森さん達が言ってたのは本当だったんだ…)

 

 

目の前で起こるエネルギーの奔流を見ながら蒼井が何処か感動を交えた瞳で見ていた。

 

 

「来るぜ、蒼井…!」

 

「はい!黒崎さんはその刀でキャンサーの隙を作って下さい!その隙を私が突いてデフレクタを破壊します!」

 

「あ、ああ…!!」

 

先程までとは検討も付かない指示の速度、一護も何とか全てを1回で拾い戦闘態勢に入った

 

 

 

構える2人に___大量のキャンサーが押し寄せて来た

 

 

 





スイッチが入った蒼井は必ず強いと思ってます!
そして最近ストーリーをさらさらっと見ながら思ったんですけど、今んとこ一護が来て何かしら変わった運命…なくね??



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23.月牙の嵐____そして過去

ヘブバン4章後半、ムズすぎんだろあれ…

そしてイベント…ビャッコ主役だから期待してたのに最後の終わり方は…あれはよくない…


そして茅森月歌を書いてるとリコリコのちさとさんにみえてくるなぁ…


「一護さん、カバーします!」

 

「ああ!」

 

蒼井が横から突進するキャンサーを盾で受け止め、一護が前から迫るキャンサーを月牙で薙ぎ払う。

 

セラフ部隊基地のアリーナの電子世界で黒崎一護と蒼井えりかは2人でそこら中を囲むキャンサーと相対していた。いくら相手が電子世界の作り物と言っても斬られたりしたら本当に死にそうな迫力などに押され一護は只ひたすらに月牙天衝を放ち続けていた

 

「クソッ…!キリがねぇぞこんなもん!___お前何時もこんなもん一人でやってんのか!?」

 

キャンサーを切り飛ばし蒼井の後ろに立った一護は半ば文句を言うかの様に話し掛けた

 

「は、はい…!体力を付けるには丁度良い練習なんです!」

 

「これ練習どころか即死じゃねぇか、実戦なら泣いて笑いたいぜ…ったく」

 

「不吉な事を言わないで下さい___第3フェーズ来ます!」

 

周り一面が白く染まり、再びステージが変わりキャンサーの種類も数も変わっていた

 

「此が最後なんだな!蒼井!」

 

「はい!今まで通りならそうです、でも1番数が多いので頑張りましょう!」

 

「行くぜ_______月牙天衝ッ!!」

 

 

 

怯ませる為の月牙天衝を放ち第3フェーズが始まった。

 

「一護さん、まず右に月牙天衝をお願いします!」

 

「右か…っ!_____月牙…」

 

月牙天衝を放とうと刀を構えた瞬間に左から攻めてきたキャンサーが腕を振り下ろそうとしていた

 

「危ない…!!」

 

即座に其れに気付いた蒼井が盾をキャンサーと一護のすれすれに移動させ攻撃を防いだ、凄まじいコントロールの盾がキャンサーの懐に入りデフレクタが破損する

 

「一護さん!」

 

「分かってるっ!!____”月牙天衝”!!」

 

デフレクタが割れたキャンサーは破壊され消えていき後ろから被さる様にして攻めて来ていたキャンサーは全員吹き飛んで体勢が崩れていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後もう少しです…!」

 

 

 

 

「月牙天衝!!」

 

 

 

「そっちです!!」

 

 

 

「月牙天衝ッ!!」

 

 

 

 

 

「最後です!!」

 

 

 

 

 

 

「月牙…天衝ォッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁっ…!」

 

「お疲れ様です、一護さん…!」

 

斬月を地面に突き刺し崩れ落ちる一護の横で蒼井が懐から取りだしたタオルで汗を拭っていた、一応息は上がっている様だが一護の様に疲労感は感じ取れなかった

 

「はぁ…はぁ…っ!__なんで、そんな平然と立ってれんだお前…」

 

息が何とか整い始めた一護は蒼井に質問をなげかけた。蒼井は只真っ直ぐに見つめながら返して来た

 

「慣れ、ですかね」

 

 

__________________________

 

 

〜セラフ部隊基地・ベンチ〜

 

「ほら、これやるよ」

 

「有難う御座います!」

 

ベンチに腰掛ける蒼井に近くの自販機で飲み物を買って来た一護が歩み寄った。空はすっかり更けており人の流れも差程気にならなかった

 

「あの、それ重くないんですか?」

 

斬魄刀を未だ担いだままの一護に蒼井が少しばかり心配の声を掛ける。確かに良く考えればアリーナを出た時点で蒼井はセラフを謎の空間に仕舞い込んでいた

 

「ああ…」

 

代行証を取り出して自らの死神を解き、普段の格好に戻る一護。蒼井は只それを見つめていた

 

「セラフとは全く違いますね」

 

「当たり前だろ、死神とセラフは全然ちげぇだろ?」

 

「其れもそうですね」

 

会話が続かない、と言うか何でこんな時間帯に2人きりでベンチ座って飲み物飲んでるのだろうか。いや確かに何だかんだ戦い終わって2人して飲みに行こうみたいな雰囲気になったのは確かだ。不味い…もしこんな状態を誰かに見られたりでもしたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、何してんの2人共?」

 

 

「……」

 

「あ、茅森さん!」

 

今1番見られたくない人物に見られてしまった。一護は頭を抱えて溜息をつき蒼井は顔を明るくさせた

 

 

__________________________

 

 

 

「なーるほどね、一護も災難だったねぇ」

 

あの後半分くらいからかわれ気味だったが状況を素直に理解してくれたお陰で助かった。そして茅森も蒼井と話したかったらしく一護は離席しようとしたが蒼井も茅森も別に大丈夫と言って3人でベンチに腰掛けていた。

 

 

「俺もキャンサーに慣れねぇといけねぇからな、丁度良かったさ」

 

「そう言えば一護って今まで何と戦って来たんだ?__その死神とか言うもんとかイマイチ分からないんだけど…?」

 

「お前は霊が居るって言って信じるか?」

 

「いや、居ないでしょ?」

 

「そうだな、話終わりだ」

 

普段から幽霊が見えて其れで死神の力貰ってあーだのこーだの言っても普通は信じれないと思う、だからこそ余り話さない様にしておこうと思っている一護

 

「でも一護のその姿を見たら信じられなくても信じると思うけどなぁ」

 

チョコレートシガレットを咥えた月歌が口でモゴモゴさせながらそう言う

 

「そう言うもんなのか?」

 

「霊なら、蒼井の部隊にも詳しい人が居ます」

 

「へー、またそいつと喋ってみたいもんだな」

「で、一護はどんな人生を歩んで来たんだ?」

 

「しつけぇな…」

 

月歌はこうなればユキでも呼ばない限り諦めが悪い

 

「信じるか信じねぇかは勝手にしてくれ」

 

其れだけ言うと、一護は2人に対して此までの事柄を端折りながら話し始めた

 

 

 

生まれつき霊が見えた事

 

 

 

ルキアに死神の力を貰った事や白哉達死神との戦い

 

 

 

 

 

 

破面との死闘

 

 

 

 

 

 

 

一度は失った力

 

 

 

 

 

完現術者達との戦い

 

 

振り返れば振り返る程一護自身もずっと戦ってんな俺ってなるレベルで死闘まみれであった。

 

 

 

 

「ぽかーん…」

 

「ほらな、そうなるだろ」

 

取り敢えず話終えると、途中から話のスケールがデカ過ぎたせいなのか蒼井がぽかーんとしていた

 

「蒼井!?おーい蒼井!」

 

「___はっ…!」

 

月歌が何度か蒼井を揺らすとビクッと跳ねて意識が戻った。ビャッコだけではなく月歌がやっても何とか起きるみたいだ

 

「す、すいません…話のスケールが大き過ぎて」

 

「大丈夫だ、そんなもんだろって思ってたからな」

 

「でも其れを見るからに嫌でも信じちゃうよなぁ…____で、蒼井はどんな人生を送って来たんだ?」

 

「は?」

 

唐突の月歌の話の切り替えに一護と蒼井がキョトンとする

 

「…今の一護さんの話、必要でしたか?」

 

「いや、誰かが過去を語れば語りやすいかなぁって」

 

「俺、利用されたって訳かよ」

 

「良いじゃん、細かい事気にしない!」

 

 

「じゃ、俺は戻るわ。そう言う話はお前らだけでしとけ」

 

そう言って立ち上がる一護、だがその前に少しばかり俯いたままの蒼井が呟いた

 

 

 

 

 

「別に、2人が思ってる程…私の人生は面白くも何とも無いです。只只…平凡な…1人の人間ですよ」

 

 




最後あたりはすんません、風邪引きながらほぼあともうちょいなのでゴリ押せみたいなノリで描きました…
後々修正(覚えてたら)はいるので言います…


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24.前に進む理由___それでも蒼井は

なんやかんや言いながらでもやっぱり執筆は楽しいですね!w

でも日常パートはどうも苦手なんですよねぇ…めちゃくちゃほんへよりになってしまう…

一体どうすれば日常パートも上手くオリジナルでかけるでしょうか…


「蒼井の人生は、只々平凡です」

 

静かに、語り出すようにして蒼井は自身の過去を少しずつ話始めていった

 

「そうなのか?」

 

「はい、強いて言えば勉強の虫でしたから」

 

何処か寂しさが混じった声で蒼井がそう言う。去ろうとしていた一護も足を止めていた

 

「黒崎さんも聞いてて大丈夫ですよ、そんな面白い話でも無いですけど…」

 

照れるかの様に頬に指を添えながら蒼井が言う。一護は少しばかり考えたが蒼井の言葉に甘えてもう少し此処に居る事にした

 

「両親は2人とも教師でした、だから良い点を取る事でしか褒めて貰え無かったです」

 

「んだよそれ…こんな面の良い娘持ってそりゃあねぇだろ」

 

「えっ…あ、あの…」

 

「…?__どうした蒼井」

 

一護が呟いた瞬間、蒼井が少しばかり俯いた。月歌で表情が見えない為に少しばかり心配になった。やっぱり蒼井にとって過去は辛いものなのだろうかと

 

「はいはい一護は黙ってて」

 

「お前に言われると無性に腹立つ…」

 

「…其れに蒼井は、ハイパーサイメシアなので暗記だけは得意だったんです。」

 

「ハイパー…んだよそれ」

突如飛び出した聞き慣れない単語に一護と月歌が首を傾げた

 

「あれだよ一護の近くにいそうだろ?こうやってオラは怒ったぞー!!みたいな感じの奴」

 

「そんな奴いねぇよ!!____いねぇよな…?」

 

自分で否定しておいて少しばかり不安になってしまった、居ない様な気がするのだが何処かで聞いた事の有る感じだったからだ。例えば同じ雑誌に載ってても必ず交わる事の無い2つのストーリー的な感じの…そんな感じだった

 

「そんな元気そうな玉を打つ人じゃないですよ…!__1度見た物は必ず覚えられる。そんな能力です」

 

「へぇ!そりゃあ良いじゃねぇかよ」

 

「すご…!!其れじゃあ座学とか最強じゃん!」

 

「ふふっ…そうですね」

 

「良いなぁ…私も欲しいなぁそんな能力」

 

月歌がそう言った瞬間、蒼井の表情が少しだけ曇った様に窺えた

 

「…そんな良い物では無いですよ」

 

「そうかなぁ?」

 

「其れでテストは毎回、100点でした」

 

「良いじゃんか!」

 

 

 

 

「でも…其れだけでした。得意なのは暗記した回答を埋めるだけで、其れだけだったんです。其れ以外に取り柄がありませんでした…」

 

少し俯きながらそう言う蒼井、月歌と一護はそんな蒼井を見る事しか出来なかった

 

「…蒼井?」

 

「皆は夢があったり、他にやりたい事があったり夢中になれる物があったり…蒼井には暗記は出来ても蒼井自身は空っぽだったんです」

 

暗記さえ出来てしまえば正直あとは全てどうにかなる、教えあったり目標にわくわくしたり…そんな事が1度も無かったのだろうか

 

 

だが一度見てしまえば全て覚えてしまう能力は周りから見れば羨ましい物であったが、蒼井本人からすればある意味呪われている物でもあった筈だ

 

「其れに気づいた時は愕然としました…」

 

「でもよ、暗記が得意なら親と同じで教師を目指せば良かったんじゃねぇのか?」

 

一護がそう言うが蒼井は首を横に振った

 

「個人的にはそんな目標も無かったです」

 

「でも今は31Bの部隊長だ、それなりにやりがいはあるんじゃないのか?」

 

「茅森さんはそうなんですか?」

 

蒼井のその問いに月歌は何も気持ちも無く只純粋に答えた

 

「ああ、手間は掛かるけど良い仲間だ」

 

「良いお仲間に恵まれたんですね」

 

「まあな」

 

「でも、蒼井は茅森さんの様には慣れていなくて…何時も皆さんを巻き込んでしまってて…」

 

立ち上がって2人とは逆の方向を見る蒼井、

 

「だろうな、見てりゃ分かるさ」

 

「蒼井は最初、部隊長に任命された時に漸く全う出来る使命を見つけた。皆を纏めて、引っ張って、誰も死なせない…皆で世界を守るんだって、その為に蒼井は頑張るんだって…そう決意を固めました」

 

「…蒼井」

 

「でも、実際は出来なかった…蒼井には、向いてなかったんです…皆先に逝ってしまって、誰も残らなくて…そんな光景がずっと続いて」

 

ポツポツと語られる蒼井の心情は、余りにも重かった。其れを普段から感じさせない様にしているのも驚いたが、其れ以上に其れを1人で抱え込んでいる蒼井を考えれば…其れは本当に本人にとっての地獄だっただろう

 

「其れは終わりの無い…途方もない地獄の様で…、何処までも何処までも続いて行く悪夢で」

 

そう言う蒼井の肩が少し震え、腕をギュッと抱き締めていた

 

「なぁ蒼井___」

 

 

「おめぇさっき言ったじゃねぇか、自分にも全う出来る使命を見付けたってよ。じゃあ何で其れを最後まで貫き通さねぇんだ?」

 

月歌と一護、2人が口を開いたのはほぼ同時だった。其処は大人しく月歌が譲ってくれアイコンタクトで感謝を伝える

 

「蒼井にはもう…貫き通す覚悟が足りません」

 

「なら何で隊長やってんだよお前は…」

 

「一護…!」

 

月歌が一護を止めようとするが構わず一護は続ける

 

「俺の知ってる隊長ってのはよ、どんだけ力が有ろうが無かろうが己の信じたもんだけを信じてバカみてぇに突き進むってのが定番だぜ」

 

誇りと信念で揺らぎ、迷った者も居る。正義を貫き通す為に向こうへ行った者や自身の想いの為に戦った者も居る

 

信じられなくとも、前に進んだ者だって居た

 

「能力が有るとか無ぇとか関係ねぇ!___只、自分がそう決めたってんなら死ぬまで貫け」

 

「…!!」

 

「少なくとも俺とコイツはお前を信じてるからよ、隊は違えど此だったら少しくれぇはお前も信じれるんじゃ無ぇの?」

 

「茅森さんと黒崎さんは…私を必要としてくれてるんですか?」

 

「ああ、だからさっきのアリーナ…2人で潜り抜けただろ?俺はお前を必要として、お前は俺を必要として戦ったじゃねぇか__だから俺はお前の力を知ってる、お前のその力を信じる理由がある」

 

蒼井が一護の盾となり、一護は蒼井の剣となり戦った

 

「ああ、あたしも蒼井の力を信じてる。一護みたいに一緒に戦った訳でも無いけど…訓練の時に頼りにしてるぜ____でも一護だと純愛だけどあたしだと百合か…?」

 

珍しく月歌が良い事言ったと思ってしまったがその後直ぐに其れをぶち壊していく

 

「何言ってんだおめぇはよ」

 

一護が軽く小突くと月歌は両手を顎に添え舌をチラッと出して言う

 

「てへぺりんこ!」

 

「和泉が発狂する理由が分かった、其れされるとクソムカつくな」

 

「えぇ!?一護までそんなん言うの!?」

 

「あたりめぇだろ、其れされて見ろよクソムカつくぞ!」

 

「なんだとぉ!?」

 

「ぷふっ…なんですかそれ…」

 

2人がぎゃーぎゃーと言い合ってると気付けば蒼井が笑っていた、其れは月歌のてへぺりんこから来たのだろうか、2人の取っ組み合いからウケたのだろうか分からなかったが…

 

 

「んだよ…ちゃんと笑えんじゃねぇか」

 

「見ろ!!一護!!ウケたじゃないか!!」

 

「ぜってーおめぇのてへぺりんこじゃ無ぇよ」

 

「やった!!何でユッキーが此処に居ないんだよ…ちくしょう!」

 

「てめぇは人の話を聞けよ!」

 

「ち、ちょっと2人とも…!ぷっ…何ですかその顔…っ」

 

そして暫くの間お互いに変顔をさせながら取っ組合う2人を蒼井はずっと笑って見守ると言う光景が続いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「はっ…はっ…疲れたぁ」

 

「ふ、2人共大丈夫ですか?」

 

「全然大丈夫…」「あぁ…大丈夫」

 

倒れる2人を眺めながら蒼井が心配の声を掛ける、2人は大丈夫と言いベンチに這う様にして腰掛けた

 

「そうだ…蒼井を必要しているのは私達だけじゃない。ビャッコだって居るじゃん」

 

そんな月歌の一言に蒼井が静かに頷く。その目はさっきとは少しだけ変わりしっかりと前を見据えていた

 

「黒崎さん、茅森さん、有難う御座います。少しだけ前向きになれました」

 

「なら良かった____じゃ、最後にもう1つ宜しいでしょうか」

 

「はい?」

 

「何でそんな聞き方なんだよ…」

 

何処か紅茶を高くから注げそうな人の物言いで質問をする月歌に一護がそう言う。

 

「そんなになってまで前に立ち続ける理由って何なんだ?部隊長任せられる時に断るって方法も有っただろ?」

「いえ、今は…えっと」

 

「今は誰も死なせない様にとかじゃ無くなったのか?」

 

「其れは勿論あります…!でも…きっと…蒼井にはそんな力が無いから…」

 

「またなってんじゃねぇか…」

 

「いや…、頑張ります…!信じてくれる2人が居ますから…!」

 

「一護がビビらしたー」

 

「んだと!?」

 

「取り敢えずさ、蒼井…この作戦が終わったら全員で祝杯でもあげよーぜ」

 

「皆さんとですか?」

 

「あたしと蒼井の2人きりでだ」

 

「其れ俺がいたら意味無ぇじゃねぇか」

 

「…あ」

 

「ふふっ…じゃあ楽しみにしてます」

 

そうして、蒼井は少しばかり前を向く様になった。その後月歌と一護は2人で密かな約束を交わした

 

 

 

 

 

蒼井に、一人きりの地獄なんてもう二度と作らせやしないと

 




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25.柊木と黒崎_____23A

ブリーチ見たことある人に聞いてみたい…どこの月牙天衝のシーンが好きですか??

ちなみに俺は因幡影狼佐戦の「この時を待ってたんだ…!」からの虚化月牙天衝が大好きです()

そして今回は俺個人的に勝手な解釈が入り込んだ話となっています!
なんかおかしい点があれば言ってください…!


 

(今日も作戦に向けても訓練か…ったく、俺はまだしもアイツらは育ち盛りだろ…)

 

世界の情勢がこんなだとは言え遊びっぽい遊びはしないのだろうか、第一この基地にそんな物は存在しているのだろうか…

 

(そういやあったな)

 

何も無いと言う理由からある意味のゴミ置き場にされてしまった自身の部屋、其処に置いてある数々のゴミ達は何処で手に入れて来たのだろうか。

 

(仕方ねぇ…合流時間まで周り歩くか)

 

空を飛んで一気に移動するのも有りだが、あの司令官曰く其れをすると防衛システム的な物が四方八方から飛んで来る様で致し方なく諦めている

 

捌こうと思えば捌けるが彼女達を巻き込みたくは無いと言う思いがあるからだ

 

「一護?何処行くんだ?」

 

「あ、ちょっと散歩だよ」

 

「俺様も連れて行け!!」

 

「……ったく、しゃーねーな」

 

外に出ようとした瞬間、貰った棺桶の中からコンが覗いて話し掛けて来た。外に出たいと言うコンに一護は最初こそダメだと言い掛けたが…

 

もうほぼほぼ外に出てないコンの事を思うと少しばかり後ろめたさが有り、一護が抱いておくと言う同意の元外に出る事にした

 

(ぬいぐるみが歩いてたりしたら31Bのアイツとかの餌食になりかねねぇ…)

そんな事を思いながら脳内で31Bに居る樋口の事を浮かべる、アイツは未だに電子軍事手帳に

 

『お前のその斬れ味の良い刀を見せてくれ』

 

と迷惑メールのレベルで送られてくる、しかも同じ被害にあっている茅森は素直に見せているらしく一護に対する催促が酷くなりつつあるのだ

 

セラフの研究者とはいえ斬月、そして天鎖斬月が何かの役に立つとは言い難い

 

 

「行くぞ、コン 」

 

「おうよ」

 

コンを抱え部屋の扉を開け廊下を暫く歩く、近くには白哉の部屋も有るみたいだが本人は全く使ってはいない様だった

 

(またアイツにも話、聞いてみっか)

 

30Gと未だに過ごしているみたく、白哉の優秀さが垣間見えていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい一護、彼処見ろよ」

 

「んだよ…」

 

外に出て暫く歩くと、沢山の人物の名が刻まれた場所に出てきた。やけに綺麗なその場所は一瞬でセラフ部隊の隊員として戦いそして散っていった者達への墓標だと言う事を理解させた

 

だが今はそれよりも、その近くで泣いている少女に目がいった

 

「セラフ部隊にこんな少女なんていたか…?」

 

「バカ言え一護…!よく見ろよ!」

 

見覚えの無い顔に少しばかり警戒をするが、取り敢えず泣いているのを見逃せない一護は近付く

 

 

だがその少女、良く見れば身体が少しばかり透けているのだ

 

「まさか…コイツ、霊なのか…?」

 

「今更気付いたのかよ…!」

 

霊なら尚更放って置く事は出来ずに話し掛けようとすると、先に少女が声を掛けて来た

 

「お兄ちゃん…私の事見えるの?」

 

泣き過ぎた為か頬を赤くさせて一護を見つめる

 

「ん、ああ…。ってかお前こんなとこで何してんだ?」

 

「気が付いたら此処に居て…お母さんもお父さんも居なくて…お姉ちゃんもまだ来ないし……うわあああん!!」

 

「ああっ…!ちょ、おい…!泣くなって…!」

 

必死に宥めようとする一護とは反対にその泣き声を強めていく少女、この声量で周りには聴こえていなさそうなのはやはりこの子が霊だという確証を持たせている

 

 

 

 

「ごめんね…心配だったよね、今戻った________よ………………?」

 

 

その時だった、後ろからおずおずとした声が聞こえ振り返る。

 

「お前…、見えてんのか?」

 

「え、ええぇ…!?く、、く、黒崎さん…、何でその子見えて…っ、てか何で泣かせてるんですか!?」

 

「人聞き悪ぃなおい!!」

 

其処には31Bの柊木梢が居た。彼女は両手に色々な物を持ち其れがこの子に渡そうとしている物だと言うのが分かる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死神代行…ですか」

 

「ああ、俺の街には霊が沢山居てよ…魂葬して回ってた時があったんだ」

 

「そうなん…ですね、だから黒崎さんの周りにはそんなに大量の…いえ、何でもありません!」

 

「今なんつった…?クソ怖ぇんだけど…?」

 

「最初は目付きが怖くって周りの子達も怖く見えましたけど、今なら全然怖くないです」

 

「…」

 

人と話す照れ笑いをしながら背筋が凍りそうな事を言う柊木に苦笑いをしながら一護は話を聞く

 

聞けば柊木も似た様な事をしているらしく、このセラフ基地に迷い込む悪い霊を封じる結界や其れを作る札、成仏させる左目など…

 

「だからお前は眼帯はめてんのか」

 

話が分かる人物では無いと只の厨二病と化してしまう内容だった。一護は一応は信じる事としている

 

「はい、もし常に外していると無差別成仏になりかねないので…もしかしたら死神状態の一護さんも…」

 

「やっぱりおめぇ怖ぇな…」

 

此処に来て最大の天敵が現れたかもしれないと思う。しかも何処となく剣八を彷彿とさせるようなしないような…

 

「取り敢えずこの子を成仏させようと思ってるんですけど、中々きっかけが分からなくて……」

 

「その左眼で成仏させれば良いんじゃねぇの?」

 

「其れはそうなんですけど…できれば左眼は、その…使いたくないんです」

 

過去に何かあったのか、突然しどろもどろになる柊木。それを詮索する程の仲でも無い為何も聞かないでおく

 

「そうか」

 

「…黒崎さん?」

 

代行証を取り出し死神の姿になる。死神化する瞬間を初めて見た柊木は少しばかり戸惑ったか黙って見ていた

 

「ほら、泣きやめよ」

 

「うぇ…ひぐっ…、」

 

(俺が何とかしようと思っては見たが、無理矢理魂葬ってのも俺の性にあわねぇ。何とか納得させて魂葬させねぇと…)

 

少女の頭に手を置き撫でて宥めようとする、取り敢えず手掛かりが無いかと思いつつ少女に質問をする

 

「お前、名前は?」

 

「私?私はね…”佐原ヒユ”って…」

 

落ち着いてきていた少女が名前を言った瞬間、死覇装の中に隠れていたコンが一瞬だけ大きな声で叫んだ

 

「んだよコン…」

 

「その名前、その上の石碑で見たぞ…真ん中辺りに書いてあった…!」

 

「っ!?」

 

コンの発言に咄嗟に上の石碑__コンが言っていた場所を見る

 

 

_______23A”佐原ヒユ”

 

 

 

確かに其処には書いてあった、死んだセラフ部隊隊員の1人だった

 

 

「どうしたんですか?黒崎さん…」

 

「石碑を見てくれ、コイツは元々第23A部隊に居た”人間の1人”だ」

 

「そんな事が…!?」

 

「あっからコイツは此処に居るんだ、多分…死んで記憶を亡くしたとしても、姿が幼くなってたとしても…多分此処で見届けようとしたんじゃないのかって…」

 

「そんな…」

 

「お兄ちゃん達…セラフ部隊…、聞き覚えある…」

 

さっきまで黙っていた佐原ヒユと言う少女は何か思ったのか一護達の言葉に覚えがあるのか唸っていた

 

「23A部隊だったんだよな、お前も…」

 

「23A…そうだ、皆…!」

 

「なっ…!?」

 

「え、えぇ…!?」

 

少女__いやどんどんと姿が大人びていく佐原ヒユ、一護も柊木も後ずさる様にして驚いていた

 

「…こんなに増えて、今は31まで…」

後ろの墓標を見て、悔しさに涙を浮かばせ手は血が滲むほど握られていた

 

「お兄さん、そしてお姉さん…迷惑を掛けてすみません」

 

さっきとは打って変わって落ち着いた声音で礼を言う佐原ヒユに一護も柊木も途端に敬語になっていた

 

「其れにお姉さん、貴方はセラフ部隊の隊員さんですよね?」

 

「は、はい…!」

 

「みっともない私なのに、諦めずに色々と有難う御座います_そしてお兄さん」

 

「お兄さんは止めろ…俺は黒崎一護だ」

 

「ふふっ…じゃあ黒崎さんで____私の名前を、彼処から見つけ出してくれて有難う御座います。私みたいな人をあれだけの中から見つけ出してくれるって…何だか恥ずかしいですけど」

 

「見つけたのは俺じゃねぇけど、ソイツも今は喜んでるよ」

 

事実である、実際死覇装の中がうるさい。黙らせたい

 

「見ただけで分かります、今の日本は貴方達や私達の後の代で沢山の領土を取り戻したって…。」

 

其処でまた涙を滲ませる、だが其れはさっきとは違う印象を持てた

 

「私達の死はきっと、無駄じゃなかったって…何だか可笑しいですけれど…良かった…。皆…無駄じゃ無かったよって…伝えてあげないと」

 

「ああ、何時までも其処に居ると。仲間に置き去りにされちまうぜ」

 

「あはは…、其れはそうですね…!___私が見えてるって事は、2人とも成仏はさせてくれるんですか?」

 

「…柊木、お前に任せて良いか?」

 

「えっ…!?わ、私ですか…!?」

 

「ああ、こう言うのは同じセラフ部隊の人間がやるってもんだろ」

 

「あ、は、はい…!分かりました…」

 

 

 

 

一護と変わり、柊木がその人物の前に立つ

 

「2人とも、優しい人ですね」

 

「えっ…、あはい…有難う御座います…!」

 

「最後に、名前を教えて貰っても良いですか?」

 

「はい…!__柊木梢です!」

 

「柊木さん…良い名前ですね、仲間にも伝えておきます。」

 

「はい…!」

 

「黒崎さんも有難う御座いました。この恩は何時か」

 

「おう」

 

礼儀正しい態度を取るヒユ、拳を突き出して来たのでなんやかんや一護も拳をコツンとぶつける

 

「その大きな刀…少し触らせて貰えませんか?___何だか私のセラフに似てて…」

 

「其れくらいなら別に良いぜ」

 

そう言いながら背中にある斬月を手渡すと「おっとっと…」

と言いながら受け取り柄から馴染み深く触ってく

 

「ふふ…有難う御座います」

 

「それじゃあ…いきますね」

 

「はい…」

 

柊木が静かに左眼の眼帯を取り外すと、ヒユが1度息を吸いその後下から消えていく

 

『柊木さん、黒崎さん、最後に気を付けて欲しいキャンサーが居ます』

 

「「…!?」」

 

『そのキャンサーは…コンクリートを砕いて潜って、私達は其れに錯乱させられ___全滅しました』

 

「嘘…だろ?」

 

「そんなキャンサーが…?」

 

『でも、大丈夫…貴方達ならきっと…』

 

其処まで言った瞬間に完全に消えていくヒユ。最後までその顔は…少女の時よりずっと、穏やかだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうちょっとでフェーズ2の訓練ですね」

 

「ああ…」

 

ヒユを静かに見送った2人は、気が付けば訓練の時間が近付いており少々早歩きをしながらアリーナへ向かっていた

 

「でも意外でした…、黒崎さんが優しい人だったなんて…」

 

「俺はどう言う風に見られてたんだよ…」

 

「あ、あはは…目付きが悪くて男の人で怖いって…」

 

「生まれつきだ悪かったな!?」

 

「す、すいません…!!」

 

「ったく…」

 

「ヒユさん、ちゃんと逝けたでしょうか」

 

「さあな、でもちゃんとしたとこに逝けたんじゃねぇか?」

 

「そうですね、そう思いましょう!」

 

「…其れにアイツが言ってたキャンサーも気になるな」

 

「そうですね」

 

「取り敢えず考えても仕方ねぇ、今はお前らんとこの姉妹を何とか止める方法を考えねぇと」

 

「あはは…」

 

そうして訓練は幕を開けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…此処は?」

 

さっきまで確か、優しい2人に見送られて仲間の場所へ逝こうと思ってた筈何だけど…

 

「何でこんなとこおんねんこの女………待て待て待て…!!」

 

「えっ…!?」

 

 

 

 

 

 

「何でお前から”一護の霊圧”を感じんねや!?」

 

 

 

 




これ書いてて思いました、3章知ってる人からするとただの悪魔じゃないすか??俺…()


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26.新しい自分____変わる心

前話での唐突のオリキャラ要素をぶっ込んでみましたがやっぱり設定上割としんどいなぁって思いました。感想でも言われましたが(ここではネタバレ防止のため言いません)食い違いが起こるんですよねぇ…

でも折角出してはいましたのでこれからのストーリーでその不都合をなんやかんや結び付けられるようにしたいと思います!頑張れ、未来の俺!!

あと個人的には細胞がそうではなかったとしてもその人としての想いは絶対にあるという都合良き解釈で…

そしてそろそろオペレーションプレアデスまでの道のりがマンネリしてきとる…、でもところどころ大事な部分があるから飛ばせるに飛ばせない…w


〜尸魂界・五番隊隊舎〜

 

「はぁ…」

 

「なんや、そんなおっかない顔しおって」

 

突如として訳の分からない世界に飛ばされ、其処でおかっぱ頭の人に拾われたヒユ

 

 

「まだ色々と混乱してて…」

 

 

あの後即座に尸魂界では隊首会が開かれた、なにせ消えた黒崎一護の霊圧を持っている…、だが本人は何処かで優しい2人に見送られたのと名前しか覚えておらず、其れに嘘の気配も感じなかったのだ

 

一時は十二番隊で保護すると言う意見が(涅隊長のみ)有ったのだが却下された。彼に預けておくと彼女の人権は保証されない…

 

だがその代わりに彼女は自身の血液を少しばかり涅マユリに分けると言う件で終わった。

 

「んでウチの隊で取り敢えず保護するっちゅーわけや、分かるか桃」

 

突如として後ろに立っていた五番隊副隊長”雛森桃”に話を振った五番隊隊長”平子真子”

 

「え、あ…はい」

 

「聞いとったんか…____オレは忙しいからなぁ…桃頼めんか?」

 

「えっ…!?」

 

「そう言うのは女同士が1番分かり易いっちゅーこった。その隊服みたいな珍妙な衣装も取り敢えず死覇装に着替えさせたり、じゃ後は頼んだわ」

 

「あっ…ちょっと…!平子隊長!!」

 

有無も言わさずに即座に消えていく隊長、ポツンと残された2人は顔を見合わせた

 

 

「宜しくお願いします…?」「あ…え、宜しくお願いします?」

 

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地・アリーナ〜

 

 

「こんな雑魚、一瞬で蹴散らしてやるよ!」

 

「おいっ…!」

 

「いちごさん…っ!」

 

今日から始まったフェーズ2の訓練、前回の地点からのスタートとなりそれぞれが更なる気合いを入れている筈だったが

 

(前よりもエスカレートしてんじゃねぇか…!)

 

水瀬姉妹の言動は更にエスカレートしており、蒼井も其れに押されていた

 

他のメンバーも見てはいる物の片割れは興味が無さそうに目を逸らしもう片方はおずおずと見ているだけだった

 

連携こそ見直して進んではいるが、此では31Bは必ず何処かで潰れてしまう

 

 

 

「おいお前ら…」

 

 

 

「一護…っ!!後ろだっ!!」

 

 

「っ!?」

 

一護がもう一度何かしらの声を掛けようとした時だった。後ろからキャンサーが一体目前まで迫っていた、差程強くないキャンサーだが背中からモロに喰らえばデフレクタを持たない一護は切り裂かれてしまう

 

(斬月…間に合うか…っ!?)

 

右手に持っていた斬月を後ろのキャンサーにぶつけようとするが確実に間に合わず_____________

 

 

 

「やぁっ!!」

 

 

 

 

「っ…!!」

 

だが一護に攻撃は通らなかった

 

 

 

一護とキャンサーの少しの隙間に蒼井がセラフの盾を滑らせ攻撃を防いだのだ

 

「すげぇ…」

 

「ぼーっとしてんなや一護!」

 

「行くぞォッ!!!」

 

盾で防いだ次の瞬間に後ろに回っためぐみとカレンがキャンサーを襲撃し討伐する

 

「大丈夫ですか?一護さん」

 

「あ、ああ…助かった。にしてもこんな隙間に盾滑らすってすげぇなお前…」

 

素直にその技術に対して賞賛を送る一護、だが蒼井は首を横に振って其れを否定した

 

「まだまだ駄目です…もっと頑張らないと」

 

「そうか…」

 

月歌と一護が説得したとは言えやはり蒼井のこの考え方は直ぐには変わらないらしい、1人で抱え込むと言うか何と言うか…

 

 

 

 

 

 

一護にもそんな時期があった、破面と対峙する中1人で只背負い続けようとして其処で改めて仲間に助けられた

 

 

 

 

 

(只、仲間つってもこんな奴らばっかだしよ…どうすりゃ良いんだ俺は…)

 

 

 

 

「お疲れ様でした」

 

視界が変わり元のアリーナへと戻る、31A、31Bの前に司令官と七海が立っていた

 

「7秒のオーバーがありましたが連携は前より良くなっています」

 

「ななみんが言うなら間違いない!」

 

「本番はどう言う状況になるか、私達も全く予想がつかないわ。今回のミスも含めてしっかり見直して頂戴。フェーズ2は合格よ」

 

 

「やった!!」

 

 

オペレーションプレアデスまで残り16日、このままのチームでは必ずしも…死人が出る

 

(アイツらは、一体何がしてぇんだ)

 

未だ自分勝手な行動や言動ばかりを繰り返す2人に、一護は怒るなどと言う感情より先に…何を考えているのかと言う気持ちになりつつあった

 

 

__________________________

 

〜尸魂界・技術開発局〜

 

「フム…可笑しいねェ…」

 

尸魂界に存在する護廷十三隊、その中で十二番隊には技術開発局と呼ばれる凄まじい技術力を持った科学者達が巣籠る場所が在った

 

護廷十三隊十二番隊隊長にして技術開発局二代目局長である涅マユリはなにやら難しい機械類の中でその不気味な顔を歪ませていた

 

「あの半死神の霊圧を持ったあの女からとったサンプル…、確かに黒崎一護の霊圧は有る…だがもう1つが可笑しいんだヨ…!」

 

何度もサンプルから様々なデータを合わせてみるがどの生物にも一致はしなかった

 

「何故だ…!何故だ…!!」

 

焦りが段々と怒りへと変わっていく

 

 

 

 

 

 

 

「何故この世に存在する”全ての生き物”のサンプルと適合しないんだネ!!!」

 




BLEACHの千年血戦篇第2章たのしみっすなぁ…


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27.休暇___消えていく時間

とうとうUA2万超えましたよ!!
嬉しいです!ありがとうございます!


〜セラフ部隊基地〜

 

「白哉、お前んとこで分かった事は有ったか?」

 

「兄が期待する様な情報など持ってはおらぬ、兄こそ何か情報は有るのか?」

 

「俺もさっぱりだ、此処んとこずっと次の作戦の訓練ばっかでよ。変に外にも出れねぇし…」

 

「…そうか」

 

フェーズ2の訓練を全て終え1日ばかりの休暇を貰った黒崎一護はたまたま帰って来ていた白哉をとっ捕まえ話をしていた

 

「霊圧も白哉以外に感じる奴がいねぇ、31Bの柊木って奴は別だがな」

 

「…」

 

「第一俺もお前も何に引っかかってこの場所に来たってのが分かんねぇんだよな」

 

此処に来てまあそれなりに日は経っている、だが一向にこの世界から脱出する方法が見当たらない。最初は長い夢でも見ている様な感覚だったが白哉が此処に居ると言う事は自分だけの夢では無いと言う事

 

「私には空間が歪んでいる様に見えたが…」

 

「俺は分からなかった、潰される様になったからな…此処まで長ぇと石田もチャドも井上も心配してるだろうな…」

 

「黒崎一護、また会おう」

 

「え…?あっお前!?」

 

次の瞬間、コーヒーカップを置いた白哉が代金だけを置いて瞬歩を使い何処かへ消えた

 

「あれ!?さっきまで此処に確かにお弟子さんの声が…」

 

 

(…アイツは30Gの)

 

 

消えた2秒後、小さな身体を精一杯伸ばしながら白哉が消えた辺りをキョロキョロして______瞬歩を使ったかの様にして消えた。突如の事でビクッとなる一護だった

 

 

 

 

「…何だったんだ」

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地・フレーバー通り〜

 

 

「あ、黒崎さん!」

 

「一護!とうとうお買い物デビュー?」

 

「蒼井、其れと茅森じゃねぇか____後うるせぇよ」

 

2人の距離は今までよりずっと近くにある様な感じを察知して少しばかりホッとする

 

「そう言うお前らは何してんだ?」

 

「蒼井の楽器探し」

 

「へぇ〜、蒼井もあのバンドやんのか?」

 

「はい」

 

「もう我慢出来なくてあの二人に言っちゃって…今こうやってデート中」

 

「い、いえーい?」

 

横に居る蒼井の手を繋いでピースする月歌、蒼井も便乗して横で小さくピースをする。こんなとこユキが見たら絶叫もんだなと思いながら口を開いた

「おし分かったおめぇ無理矢理連れてんだろ」

 

「何でそうなるの!?」

 

「む、無理矢理じゃないですよ…!?」

 

「わーってるわーってる」

2人に手を振って笑顔で答える

 

「じゃまた!明日からまた頑張ろう!」

 

「黒崎さん、それでは…!」

 

「おう、お前らもな」

 

 

ポケットに手を突っ込んで歩いて行く一護を見る月歌と蒼井、一護に話を聞かれない場所まで行ってから月歌は蒼井にボソッと言った

 

「良かったじゃん、一護に会えて」

 

「…」

 

その一言に、蒼井は小さく頷いた

 

__________________________

 

 

〜ナービィ広場〜

 

 

フレーバー通りの店を粗方見回った一護は、ナービィが大量に居る広場へとやって来た。ある意味公園に近い場所では隊員達がベンチに座ったり、1本だけ生えている大きな木に凭れ掛かったりなどリラックス出来る場所だった

 

「はぁ…」

 

芝生の場所に寝転び溜め息をつく

 

 

(此処んとこ、悩んでしかいねぇな…)

 

今まで悩みが無かったと言う訳では無い、様々な事に悩まされて来た。だが今回ばかりは異性の…しかも本人でさえ抱えきれてない問題と来た

 

(井上ならどうっすかな…卯ノ花さんなら…)

 

個人的にそう言うのに長けている人達の顔を思い浮かべてみるがやはりヒントは何も無かった

 

第一水瀬姉妹の行動も謎ばかりだ、セラフ部隊が嫌なら無理矢理にでも抜ければいい

 

なのに何故其れをせずにしかも蒼井にばかりに固執しているのだろうか…

 

「あっ!一護さん!」

 

「…?_____お前ら、元気してっか?」

 

後ろから声を掛けられ振り向く、其処には31Eの6人が立っていた。相変わらず四ツ葉だけは眼を擦っており眠たそうだ

 

「ラフな一護さん初めて見た…」

 

「あのなぁ…俺を何だと思ってんだ」

 

「いっつも大剣背負ってる気がします…」

 

そう言えば31Eと行動してる時は大半死神の姿で居る事が多かった気がする

 

「お前らはオペレーションプレアデス…やんのか?」

 

確かにあれは合計8部隊で行う大掛かりな作戦と聞いていた、その中にも31Eは入っているのかと思って聞いてみる。一千子達は頷いて答えた

 

「でも私達は支援役です。私達は一護さん達みたいに強くないですから…」

 

「後方支援か、なら良かった」

 

何処か恥ずかしげに答える一千子達に対し一護は胸を撫で下ろすかの様にして言った

 

「良かった…?」

 

「ああ、お前らが後ろに着いてるなら後ろを振り返る必要はねぇ。思いっきり前に進めるってもんだ」

 

全員が、思った事と全く別の事を言われて驚いていた

 

(なーんか一護って時折ドキッとさせてくれる…)

 

五十鈴がそんな事を思いながら頬をポリポリと掻く

 

「…ふふっ、一護さんなら大丈夫だとは思いますが、無茶だけはしないで下さいね」

 

一千子がそう言い二以奈や三野里、四ツ葉や五十鈴や六宇亜が頷いた

 

「ああ、おめぇらもな」

 

「まぁ黒崎さんなら何とかして下さるでしょう?」

 

「俺だけの力じゃどうにも出来ねぇよ、だからこそ俺達で力を合わせなきゃならねぇんだ」

 

「あはは、一護らしい意見だね!」

 

「私達はこれで…、無事に作戦を終わらせましょう」

 

「ああ、頑張ろうな」

 

 

__________________________

 

〜尸魂界・五番隊隊舎〜

 

 

 

「おぉ、似合っとるやんけ」

 

平子が何処となくフラッと逃げて戻って来た時にはヒユは死覇装姿となっており、雛森とも打ち解けたのかワイワイ話し合っていた

 

「隊長!!」

 

雛森が平子に歩み寄りまた再びチクチクと小言を飛ばす。一見しっかり話を聞いている様に見えた平子だが顔を見れば話を聞いていない事は一目瞭然だった

 

「話聞いてるんですか!?」

 

「わったわーった…ほら、んな事よりも」

 

そう言いながらヒユに鞘に納められた刀をホイっと投げる

 

「わわっと…!」

 

其れを受け取り、重さに一瞬戸惑ったが何の問題も無く持つ

「こ、これって…?」

 

「見たら分かるやろ、ほんもんや」

 

「…」

 

鞘から刀を抜くと、白く綺麗に研がれた刀身がヒユを映す

 

「これは浅打つってな、俺ら死神は絶対に持つ物やねん。一護の霊圧感じんねんからお前やったら浅打、変えられるんやないんか?」

 

「一護さん…」

 

ずっと胸にひっかかるその名前、誰かに見送り出された

 

でも何処で…?

 

 

誰に…?

 

 

忘れた訳では無い筈なのに、分からない…

 

 

ドロっとした液体で先が見えないかの様に…

 

顔も…今じゃ完璧に見えなくなってしまった。寧ろ顔なんてあったのだろうかと思えるくらい…

 

服は1人が黒くて、もう1人は…スカートを履いていた…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、聞いてんのか?」

 

「あっ…!?はい!!」

 

何時の間にか目の前まで迫っていた平子に驚き後ずさるヒユ、そんなヒユを平子は真っ直ぐな瞳で見つめた

 

「焦る必要ないねん、無理矢理記憶を呼び戻したりしても何の良い事も無いからな。ゆっくりでええから少しずつ思い出してき。」

 

「分かりました…」

 

 

まだ、焦らないでおこう…

 

 

 

 

 

_____でも、誰だっけ…何を…考えてたんだっけ

 




抜かせばいいんだろうけど大切で、なのにあまり長いとグダってしまう…。




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28.倒すべき相手___一護虚化

ヘブバンあるあるかもしれませんが運営さんって割と斬属性に対して厳しすぎやしません??

火属性斬、エモーショナルソウルとか全然使えなくないですか??
もう打と、優しくて突が有利とか多くないすか??


特に打有利とか泣きそうになるんすけど…


「31Bの支援タイミングは少しばかり気になるけど、合格ね」

 

「やった!」

 

休暇から2日掛け31Aと31B、そして黒崎一護はフェーズ3の訓練を何とか合格する事が出来た

 

フェーズ2までとは違い平地での作戦だった。最初こそ31Bの支援タイミングや月歌達のタイミングがズレていたりしていたが最後は全く其れを感じさせない動きだった

 

(あの2人、此処2日は大人しいな…)

 

蒼井もこの2日間で少しずつ明るくなってきている、其れと同時に水瀬姉妹も前の様に連携を態と崩したりなどせず普通に参加していた

 

「蒼井!今日も練習しようぜ」

 

「はい!」

 

「元気だなー…」

 

「私もやります!バンド!」

 

「ふふっ…私達もやろ、つかささん」

 

「ええ、そうね」

 

「お前ら、その後の特別哨戒任務も忘れんなよ」

 

「んだそれ」

 

「ああ、お前には説明してなかったな…」

 

またしても何も知らない黒崎一護はユキに今絶賛31Aが当たっている任務について様々な事を聞いた

 

ロータリーモールと呼ばれる大型キャンサーが基地の裏側に存在しており、茅森達は此処数日其れを探して哨戒していると言う事だった

 

(バンドの練習も毎日してる…って事はコイツら一日過密過ぎ無ぇか…?)

 

前に物を届けた時も蒼井含め、最初はダルそうなユキでさえ全員が楽しそうに楽器を引いているのが印象に残っている

 

出来れば彼女達には平和な時間が多くあって欲しい…

気付けば一護はその場を去ろうとしていた司令官に声を掛けていた。彼女達には聞こえない距離で

 

「なぁ…司令官」

 

「何?」

 

「今日の特別哨戒任務、俺にやらせてくれねぇか?」

 

「其れはまた突然ね…どうして?」

 

「今アイツら忙しかったりするんだ、世界を救うのが本業とは言え息抜きくらいさせてやりたい」

 

「…貴方の仮面の姿は小型キャンサーなら討伐出来るレベルにまで成長しているわ。其れはデータにも現れてる。脅威度は其処まで無いとしても大型キャンサーに其れは通用するのかしら?」

 

「俺一人に大型キャンサーを討伐させようとすんじゃねぇよ…もし見つけて俺が殺られ掛けたら、コイツで連絡すりゃ良いんだろ?」

 

一護は懐から取り出した電子軍事手帳を見せながら司令官に言う。

 

「…なら彼女達には今日は特別哨戒任務はしなくても良いと伝えておくわ。後条件が幾つか…」

 

「タダでは離させてくれねぇってか」

 

「ええ、裏切られたりされたら私達じゃ貴方には叶わないもの」

 

「良く言うぜ…」

 

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地・裏側〜

 

 

「…キャンサーが居ねぇって事は、略略取り返してんじゃねぇか」

 

あの後即座にセラフ部隊基地から出た一護、司令官から課せられた条件は

 

・常にGPSで位置を監視する事

 

・ドームの住民とは接触禁止

 

の2つだった、GPSを付けておくのはある意味効率的ではある。ロータリーモールを発見した際の位置情報などを即座に伝えられるからだ

 

(住民との接触禁止ってのも驚きもんだな…、人類を守ってるってのに良く分かんねぇぜ)

 

廃墟となった街を飛び回り屋上を伝いながら移動していく一護。此に関しては彼女達セラフ部隊よりも効率が良いと自負している

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだこれ…」

 

暫く移動すると、何やら不自然な穴が存在している場所があった。屋上からその付近の道路に着地して穴を見る

 

どっからどう見ても掘られていたその場所は周りが浮き上がっており確実に人間が出来る物では無かった

 

「デケェし…こりゃ十中八九キャンサーの仕業か…」

 

一人呟き、少し離れた場所まで移動する。移動した跡の盛り上がった場所は存在せず相当奥深くまで潜って移動したと見える。

 

「潜るキャンサー…」

 

 

 

 

 

 

 

 

『コンクリートを砕く勢いで潜って…錯乱させられて…、私達は全滅しました…』

 

 

 

 

 

 

聞いた事が有った、前に柊木と共にその消滅を見送ったヒユと言うセラフ部隊隊員…

 

 

 

 

 

「……」

 

自分の中に在る激情を抑える様に地図を確認する。特別哨戒任務に当たって渡された地図、其処には月歌達が既に行った場所が記録してあった

 

数日掛けて31Aが探しても姿形すら捉えられなかったキャンサー、もう哨戒任務の範囲を超えているのだろうか

 

(んな訳無ぇだろ…此処らはドームが多い、アイツらにとっても餌場の筈だ)

 

『仮面の力、期待してるわよ』

 

司令官に大口叩いたからには少しでも彼女達に渡せる情報が有った方が吉……

 

「…?」

 

その時だった、微かに地面が揺れ…その揺れが徐々に激しくなっていく。

 

「なんだ…っ!?」

 

電子軍事手帳を懐に仕舞い込み斬月を抜き放ち構える。その揺れは最早地震と呼ぶレベルへと変わっていき_________突如揺れは収まった

 

 

「……おさまっ____________ 」

 

 

揺れが収まった事に疑問を抱いた瞬間だった。真下が崩壊し一護は其れに呑まれそうになるが何とか宙に浮き回避する

 

大きく穴が空いた箇所に粉塵が巻き起こり、その正体を隠していたが其れも何本かの触手の様な物により晴れていった

 

「まさかテメェの方から来るとはな…」

 

 

斬月を構え、その大きなドリルの様な形をしたキャンサーに対して怒りと喜びを交えた声で一護が言う

 

 

 

 

 

 

「ロータリーモール…、テメェは俺がぶっ倒す。さっさとアイツらの自由時間を増やしてやる為に____そしてヒユ達に託されてんだよ…」

 

 

正直虚化からの月牙天衝で大型キャンサーにダメージを与えられるかはイマイチ微妙なくらいだ。前のデススラッグの時は無我夢中で放っていた為、感覚が掴めていなかった

 

 

だが殺れるか殺れないでは無い、殺らないといけないんだ。

 

勝たなきゃいけないから…此処に立っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卍解ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロータリーモールが突如宙に浮いた少年が言葉を発した瞬間、凄まじい爆風が辺りに吹き荒れ視界を阻む

 

目障りだと感じ周りに着いている触手で一気にその風を掻き消し________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よォ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、ロータリーモールが戦慄する。

 

 

 

目の前に居る男は大剣を刀に変え、顔には珍妙な仮面を付けただけだった。だがキャンサーとしての生存本能が訴えているのだ

 

 

 

 

殺せ______ソイツハジャマニナルと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 






虚化のセンス本当にいいなぁ…永遠に見てられる…w




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29.真の恐ろしさ___諦めという言葉



ヘブバンってあれ最後何章まで進めるんですかねぇ…
あのままストーリーが進んでいくと最終的に月歌達とお偉いさんがぶつかりそうな展開になりそうなんですけど…
進撃の巨人のファイナルシーズンみたいなノリになるんすか…??

そしてホロウの力って生物の魂とかを喰らうっていうヤバいやつ…これ一護大丈夫かぁ??(他人事)


『…!』

 

ロータリーモールは上に居る一護に自らの接近戦は通用しないと捉え触手の様な物からプラズマ弾の様な物を数発放つ

 

『ハァッ!!!』

 

一護は其れを全て月牙で相殺する。様子見の様な行動を取るロータリーモールに対して一護も慎重に行動していく

 

『…!!』

 

再びプラズマ弾、先程の2倍の量の弾が迫る。

 

『ッ!』

 

其れを飛び回り全てを躱し、最後の一撃を見せつけるかの様に左手で掴み_________粉砕する

 

 

『クソ…』

 

だが粉砕した瞬間、一護の左腕にスパークが走りダランと垂れて動かなくなる

 

神経と筋肉が全て麻痺しており、今の一護の左腕は使い物にはならなくなってしまった。時間が経てば治るのだろうが戦闘は1秒さえ命取りになってしまう

 

 

『効くって分かった瞬間これかよ…ッ!!』

 

 

其れの証明かのように効くと分かったロータリーモールは、只只管に先程の何倍の量のプラズマを一護に目掛け飛ばす

 

空中に居ても確実に正気があるとは限らない。一護は次から次へと飛んでくる弾を切り裂き、躱し、月牙を放ち全て撃ち落とす

 

『…らァッ!!』

 

ロータリーモールが再びプラズマ弾を放とうとした瞬間、瞬歩で後ろへ回る。何処かへ消えた目標を探しデカい巨体を揺らし見渡すが______

 

『月牙天衝ォッ!!!』

次の瞬間、背後に突如現れた一護が月牙天衝を放ち、ロータリーモールは防ぎきれずに月牙に呑まれていく

 

だがセラフと言う武器でもなく、片手だけの月牙天衝では決め手に欠けている

 

 

その証拠としてロータリーモールはダメージなど食らっていないかの様に一護の方を向いた

 

『クソッ…!』

 

まだ左腕は回復しておらず右腕だけで天鎖斬月を握っている状態の一護は何かしらの打開策を考えつつ戦っていた

 

(遠距離から放つ月牙天衝じゃダメージは通らねぇ、一気に削るには至近距離…略ゼロ距離じゃねぇと…、隙は作れるか____いや作るしかねぇ…!)

 

だが其れよりも先にロータリーモールが触手を畝らせ攻撃のモーションに入っていた

 

あの当たれば厄介の攻撃を躱すには、不本意ではあるが下に降りて戦うしか方法が無い。攻撃パターンも変わってくるだろうが今は至近距離で叩くしかない…

 

再びプラズマ弾の様な物を放つが同時に一護も地面に足を着けていた

 

(此だけやってりゃ司令部も気付いてる筈だ…、アイツらを出さねぇ為にも直ぐ終わらせねぇと…)

 

少しずつ一護の中に焦りが生まれ始めて来ていた、彼女達を前に出す時間を少しでも短くしてやりたい。そしてヒユの敵を取りたい。だが斬魄刀じゃ斬れない目の前のキャンサー…

 

様々な物が一護の中で枷となっていき焦りを加速させていく

 

『___!!』

 

ロータリーモールが一護を目視し地面を抉りながら突っ込んでくる

 

『ッ!!』

 

再び瞬歩___、一護がいた場所の地面が抉れその先にある建物がロータリーモールに破壊され崩れていく。

 

『突っ込んできやがった…』

 

建物が崩れ白煙があがりロータリーモールの姿を隠す。だがその煙が晴れても

 

 

 

 

______ロータリーモールの姿は無かった

 

 

 

 

 

 

其処で一護は気付いた、このキャンサーの真に恐ろしい所を…

 

攻撃力自体は差程無い、麻痺攻撃も見極めれば即座に回避して攻撃に転じられる。突っ込む攻撃も回避など月歌達でも余裕で出来る筈だ…ヒユだって

 

だが白煙に包まれその場所から消えたロータリーモール、奴は現れる際に地面から現れた

 

 

(アイツらが全滅して、茅森達が見つけられなかった理由が漸く分かった。コイツは____)

 

『ッ…!!』

 

その瞬間一護の下が凄まじい勢いで崩れて一護も其れに巻き込まれていく。視界が瓦礫などで満ち溢れ体勢を立て直せない

 

1度何かの拍子に地面に潜られれば場所の特定は略不可能に近いと言う事だった

 

『ぐっ……うああアアアアッ!!!』

 

下から突っ込んで来たロータリーモールの尖った先端、その先に有る多数の目が一護に向けられる

何とか下を向いた一護が月牙天衝を放とうとするその前にロータリーモールがその身体の尖った先端で貫かんと向けて来る

 

『あぁぁぁッ!!』

 

ロータリーモールの先端を天鎖斬月で受け止めダメージは避けたが勢いまでは殺せずそのまま上に上がり地面へと放り投げられた

 

『がっ……がはっ…!』

 

アスファルトの上に身体を投げ出され倒れ込み咳き込む。何とか斬魄刀は離さずにいれたが其れを握る力が湧いてこなかった。虚の仮面も少しずつ剥がれていっていた

 

 

_____其れは只身体にダメージが蓄積していたからか…

 

 

 

 

___はたまた何処かで”諦め”と言う2文字が浮かび始めていたからか…

 

 




麻痺はあのゲームではロータリーモール戦時の状態異常の攻撃でこんな感じかな?ってかきました!


そして色々背負い込みすぎなまま戦いに出るって一護の悪いとこですよね!!


でもいつもそれを励まし叱咤してくれる仲間がいるから……??
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30.思い違い___仲間というもの

ロータリーモールって実際いつから存在してたんだろ…、あんな大型キャンサー軍が見逃すかどうかだし、実際にドーム潰して回ってそうな感じがあるなぁ…
下からドーンって





そして私情なんですけどブルアカ最終章も見終わりましたわ、めちゃくちゃいい作品に出逢えたなって思いました!


そしてブルアカ書きたくなってきた…(管理ガバガバ)


「はっ…はっ…」

 

仮面が罅割れ剥がれ落ちていく、一護は既に様々な枷に嵌められていた

 

(大型キャンサーを1人でぶっ飛ばす何て言っておいて此か…)

 

天鎖斬月を突き立て立ち上がる、もし此処で自らがやられ死んだとしてもこの世界の異物が消えるだけだ。次に繋ぐ為に戦う…

 

 

『____!!』

 

 

ロータリーモールが咆哮の類の声を上げ此方へ突っ込んで来る。一護は月牙天衝を放とうと片手で構える。左手はまだ痺れが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『__には、信じてくれる2人が居ますから!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『_____!!』

 

 

 

ロータリーモールがアスファルトなどを砕きながら進み少し進んだ所に有ったマンションに激突する。マンションは下に空けられた穴に耐えられず崩れ落ちていき再び埃などが大量に舞う

 

だがロータリーモールは自身に手応えが無い事に気付いた、大量の目で先端を確認するが血など一滴も無かった…

 

__逃げられた、と言う事は人間は背後に立っている…

 

一護の行動パターンを学び再び後ろに振り向くロータリーモール。だが背後に一護の姿はおらず困惑気味に辺りを見回す

 

 

『悪ぃな…俺はまだ負けられねぇんだ』

 

 

頭上から突如聞こえた声にロータリーモールが上を向こうとする、だが其れよりも先に凄まじい剣圧がロータリーモールを襲い地面に叩きつけられる

 

至近距離からの虚の力が混ざった月牙天衝、ロータリーモールを形成する魂の1つ”デフレクタ”が急速に削り取られ喰われて千切られていく

 

『______!!!』

 

そして凄まじい音と共にデフレクタが爆散しロータリーモールが雄叫びを挙げる

 

 

 

 

 

「仮面付けてても…割れるくらいまで霊圧込めねぇと、デフレクタは割れねえってのか…クソ」

 

 

虚の仮面は今度こそ粉々に砕け散り、其れを修復させる事すら出来ないと直感で感じていた一護はそう言い放つ

 

 

「なっ…!?」

 

だが次の瞬間だった、一護とは真反対の方向を向いたロータリーモールが凄まじい勢いで地面を掘っていった

 

「逃がすか…っ!_______月牙天衝ッ!!」

 

一護が逃がしてなるものかと声を出し、何とか力を振り絞り握った両手で月牙天衝を放つ。だが其れが当たる前にロータリーモールは土煙に塗れながら姿を消したのだった

 

「はぁ……はぁ………ッ!!」

 

一護が肩で息をしてロータリーモールが消えた場所を見つめていると不意にポツ…ポツと雨が降り始めた。そして直ぐに其れは本降りへと変わり土砂降りの雨が一護を、壊れた街を…只管に打ち付けて行く

 

 

一護は只、叫ぶしか無かった。己の無力を…虚化すれば勝てるなどと思っていた慢心を…

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地〜

 

 

「…」

 

基地に帰って来ても雨はまだ降り続いていた、止む事を知らずに…何ならさっきよりも強いかもしれない

 

彼女達にはきっと気付かれていないだろうし其処まで回る仲でもない

 

 

手塚司令官からはロータリーモールを逃した事については特にお咎めはなかった。只、司令官は一護に対して「お疲れ様」とだけ伝えていた

 

一護の電子軍事手帳から凡ゆるロータリーモールの記録を抜いていくのを只見ていた。その時でも心の中にはモヤッとした塊が佇んでおり其れが今も続いている

 

大口を叩いた以上は結果を残さらなければならなかった。1人でも大型キャンサーをぶっ倒すくらいには、成長していると思ったが其れはとんだ勘違いだった。仮面を付けても精々デフレクタを破壊させる程度…セラフを持たないから仕方が無いと言われても…自分の信じていた力が通用しないのはそれなりに心に来てしまう

 

 

(こんなとこ、アイツらには見せられねぇな)

 

今頃ライブの練習で頑張っているであろう月歌達の顔を思い浮かべる、蒼井のその中に混じったお陰で更に蒼井には笑顔が似合う様になった。前みたいなネガティブ発言も消えつつある…

 

 

 

 

 

「一護さん…!」「一護…っ!」

 

「お前ら…!何で…」

 

よりにもよって1番会いたくない2人に会ってしまった、蒼井と茅森だ。他のメンバーはおらずこの2人だけが一護の元に駆け寄って来た

 

「何で一人で行ったんだよ!」

 

月歌が一護の襟首を掴む勢いで詰め寄り声を出す。蒼井もそっと歩み寄って口を開いた

 

「…聞いたのか?」

 

「はい、帰りが遅いなと思ってたんです。だったら司令官がロータリーモールがって…」

 

「…」

 

「あたしら仲間だろ!?何でそんな1人で行くんだよ、行くなら皆でだろ!」

 

「俺は只、お前達の時間を奪いたく無かったんだ…飯も…風呂も…バンドも、少しでもこの世界から自分達の世界に入り込める時間を……逃しちまったけどな」

 

2人から目を逸らしてしまいながらも言葉を連ねる一護、だがその言葉を遮ったのは___蒼井だった

 

「黒崎さん、其れは違うと思います」

 

「…?」

 

「黒崎さん、蒼井達の目を良く見て下さい」

 

そう言われるがまま、蒼井達の目を見る。2人は一切嫌な顔一つもして無かった

「黒崎さんの気持ちも凄く有難いです。蒼井達が楽しい時間を過ごして…其れをキャンサー達に奪われたくないって…蒼井も黒崎さんの立場ならそう考えていたかもしれません」

 

「…蒼井」

 

「でも、蒼井は前に黒崎さんと茅森さんを信じる事にしました。黒崎さんも言ってくれましたよね?__俺を信じろって 」

 

「…ああ」

 

「なのに黒崎さんは蒼井達の事を信じてくれないんですか?」

 

「そんなつもりで言ったんじゃ…」

 

少し後ろに下がった一護に、詰めるように月歌が来る。2人の目はやはり一護を責めたりする様な眼差しでは無かった

 

「一護って前に言ってたよな、俺は別の世界だからあーだのこーだのって。でもあたしらにとっては関係無いんだよそんなの、だって今こうして話してるし、仲間だろ?」

 

「そうです、蒼井に仲間の大切さ、人を信じる事を教えてくれたのは…黒崎さんじゃないですか…!」

 

其処で漸く気付く事が出来た

 

「…」

 

俺は、黒崎一護は大きな思い違いをしていたのかもしれない。俺は只キャンサーが居なくなり彼女達が笑顔で暮らせる世界が在れば良いと思っていた。其れさえ叶えられれば他はどうでも良い…自らを顧みず戦いに応じていたかもしれない…

 

だが彼女達は一護の事を別世界の住人だとは思ってなかった、大切な1人の人間、大切な仲間だと…

 

頼る頼られるでは無く、1人のセラフ部隊隊員として信じるか信じないか…

 

彼女達は自らを不幸だなんて考えて無かった。黒崎一護が勝手に悲劇のヒロインに仕立て上げていただけだった

 

「すまねぇ…俺はお前達の事を勘違いしてたみてぇだ」

 

頭を下げてそう言う一護

 

「何をどう勘違いしたのかは聞かないでおくけど…次彼奴と戦う時はあたしらを頼れ」

 

「ああ」

 

「蒼井も、部隊は違えど仲間ですので!」

 

「ああ…」

 

「其れに黒崎さんなら、蒼井ももっと頑張れます!」

 

蒼井が天使の様な笑顔でそう言い、横に居た月歌と一護の動きが止まった

 

「ああ…______ん?」

 

「えっ、あっ…!__忘れて下さい…」

 

自らの発言の爆弾加減に気付いたのか蒼井が顔を真っ赤にして縮こまる

「お〜…」

 

手をワキワキしながら蒼井をニヤニヤと見つめる月歌に蒼井が更に丸まりながら言葉を発した

 

「茅森さん…!揶揄わないで下さい…!」

 

 

 

__________________________

 

〜現世・空座町〜

 

 

 

「へっくし!」

 

「井上、大丈夫か?」

 

「え、あ…風邪かな?」

 

 

 

__________________________

 

 

〜虚圏〜

 

「ぶぇぇあっっくしょぉい!!!」

 

「ネル様!?!?」

 

「オイラに鼻水とかその他諸々が…」

 

「あぇ…風邪…??」






6月になりましたよ!!気がついたら1年の半分…



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31.強さの秘密___一護の気持ち

UAが伸びてるのを見てると本当にあっ読んでくださってるんだなぁってのを感じてそれが更なるモチベに繋がってます!いつもありがとうございます!


〜アリーナ〜

 

「31Aと黒崎一護隊員は少しだけ残って貰えるかしら」

 

司令官にそう言われ、月歌達が立ち止まる。オペレーションプレアデスもいよいよ近付き、今日は最終段階フェーズ5の訓練だった。元々キャンサーを掃討しているのとやはりあの姉妹が大人しいお陰で難なく1日で終わる事が出来た…

 

もう少しで、オペレーションプレアデスは始まろうとしている。其れにロータリーモールについてもあれ以降また見つかっていないとの事で月歌達を困らせていた

 

 

「どったの司令官」

 

蒼井達31Bが居なくなってから月歌が司令官に問い掛ける。最早タメ口なのを認めたのか呆れたのか、月歌の時だけはタメ口でも何故かOKになっていた

 

(其れで良いのかよ…)

 

内心一護はそう思っていたが、表に出せば確実に干されていそうで怖い為、見なかった事にする。後はユキが良い感じにしてくれる事を祈り…

 

「貴方達には様々な事を言って申し訳無いのだけれど…ロータリーモールの攻略法は有るの?」

 

「あー…そう言えば考えて無かった…」

 

セラフを持ってないとは言え、其れなりに戦える黒崎一護を翻弄し、麻痺攻撃や建物などの建造物を破壊し錯乱もさせられる突進。デフレクタが割れた瞬間のあの逃亡速度

 

速攻と連携で戦っている月歌達には少しばかり相性が悪いキャンサーだった

 

「何時も通り速攻?」

 

「馬鹿言え月歌、あの麻痺攻撃が厄介だ。遠距離からも飛ばせる様だし考え物だぞ」

 

月歌の肩を持ちながらユキが首を横に振り、可憐も其れに頷いた

 

「其れに目眩しで突進されたら…近距離のあたし達が攻撃出来ない」

 

「うへぇ〜…思ってたより面倒臭い」

 

「一護は戦ってどうやったんや?___手応えとか何か有るやろ?」

 

ふと、めぐみがそう言う。確かに1度実物と戦った事の有る一護なら何かしらの情報を得られるのかもしれないと思ったのだろう

 

「確かに攻撃はややこしいんだけどよ、斬った時の手応えが何時もより無かったんだ…何て言うか、デフレクタがまだ薄いみたいな…」

 

あの時、虚化した月牙天衝を放った時に感じた感覚。あれが間違いで無ければロータリーモールは其処ら辺の中型キャンサーよりもデフレクタが少なく感じた。

 

地下をスムーズに移動出来る為にデフレクタを減らし効率化を測ったかは分からないが何かしら理由が有りそうだ

 

「其処を突けば行けるんじゃねぇか?」

 

「ええいまどろっこしいッ!!!___何時も通りに速攻でぶった斬れば良い話よォ!!」

 

話のトロさに我慢出来無くなったのか、とうとう可憐からカレンちゃんが出て来てしまった

 

「ま、カレンちゃんの言う通りかもな」

 

「だが月歌、最後はどうする?___確実に地面を掘って逃げるぞ?」

 

「ユッキーの言う通りなんだよなぁ…其処をどうする、か……」

 

「…??」

 

そう言った瞬間、月歌が蒼井を見て言葉を停めた。蒼井も月歌を見つめて固まっている

 

「蒼井のセラフでさ、前操って一護とキャンサーの隙間に飛ばしたじゃん??」

 

「はい…」

 

「其れでさ、逃げ道を塞いだらいけるくない??」

 

「私のセラフでですか…??」

 

「そうそう」

 

「作戦としては悪くねーが…蒼井がどう言うかだな」

 

ユキが蒼井の肩を持ち言う。確かに彼女は31B、31Aである月歌達とは別部隊であり更に部隊長、早々簡単に動かせる立場では無い。第1無理矢理連れて行くと言うのも相当気が引ける

 

「蒼井は大丈夫です!行きます!」

 

だが取り敢えず課題1はクリア。蒼井は寧ろノリノリと言えるレベルで月歌達に着いて行くと言った

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

〜司令官室〜

 

 

 

 

「許可するわ」

 

「まじか…」

 

課題2も呆気無くクリアした。まさかあの手塚司令官が一瞬で別部隊部隊長を31Aに貸してくれるとは…

 

「其れくらいの作戦じゃないと勝てないってのは黒崎さんで証明済みよ。見つけたら連絡するからその時は宜しくね」

 

「やったー!」

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地・ナービィ広場のベンチ〜

 

 

「よ、どうしたんだこんな時間に」

 

あの後暫くはバンド練習などをして時間を潰していたが、やはりそう簡単には見つからなかったのか月歌達が呼ばれる事は無かった。そしてそのまま夜が更けて行った時間に、一護は蒼井に呼ばれていた

 

「こんばんは黒崎さん。ちょっと話があったんです、良かったら隣どうぞ」

 

少しだけ横に詰めた蒼井、一護が『おう』とだけ言い横に座る

 

「電子軍事手帳なんか使ってくっからまた何か有ったって思ったけどよ、何とも無さそうで良かった」

 

「驚かせたならすみません…」

 

「で、話ってのは??」

 

「黒崎さんは強さの秘密みたいなのって有りますか?」

 

「強さの秘密?」

 

「見てると思うんです、何でそんなに戦うんだろうって…しかもあの話が本当なら此処は自分の世界でも無いのに、何の得もしないのに。どうして身体を張れるんですか?」

 

「…」

 

「蒼井には分からないんです…どうして蒼井なんかが盾なんだろうって、誰も護れないのに…このセラフで私が皆さんを護るイメージも湧きません…」

 

「強さの秘密何て無ぇよ」

 

「え…」

 

一護の答えに蒼井が目をキョトンとさせた。強さの秘密何て無い、只一護の胸の中にずっと有り続けるのは

 

「皆を護って戦う、其れだけだ」

 

誰かに命令された訳でも無い、誰かにそうしろと言われた訳じゃない。只力が有るなら…其れを只無駄にする訳では無く誰かを護る為にその力を振るう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴様が、死神になれ____』

 

 

 

 

『一護…只私は、お前を護りたかっただけだ____』

 

 

 

 

『馬鹿言え、其れを持ってる奴を良く見てみろ____』

 

 

 

 

力を手に入れて護る強さを知る事が出来た

 

 

『見ているだけでは…身体が鈍る_____』

 

 

『無駄だと言っているんだ…ッ!____』

 

 

『君だけが、間違った過去を歩んでいる_____』

 

 

力を前にして、心が折れそうになった事も有った

 

 

 

1度その力を失い、どうすれば良いのか迷った事も有った

 

 

 

その時でも一護の中にはずっとずっと___護りたいと言う唯1つの思いが有った

 

 

 

 

 

「なぁ、お前は何で自分を責めても…そうやって前に立ち続けるんだ蒼井」

 

「…あ」

 

蒼井も本当は気が付いてる筈だった、もし本当に心が折れたのなら司令官などに言って、セラフ部隊を辞める事だって出来た筈だ。どんな過去が有ったのかはまだ分からない、自分をあれ程責めると言う事は相当な事だと思う。

 

だが其れでもなんで、そのセラフを使い鍛錬を絶やさず、前に立ち続け、あの2人にさえ怯まずに説得を試みようとしているのか

 

 

「お前にも有るじゃねぇか、”護りたい”って気持ちがよ」

 

「蒼井にも…まだ護りたい気持ちが?」

 

「後___セラフのイメージも湧かねぇってたよな?」

 

「え、はい…」

 

「今思い付いたぜ、とっておきのイメージが」

 

「…?」

 

「盾はどんな攻撃でも防ぐ、だから”無敵”ってのはどうだ?どんな状況でも折れず逃げず味方を支える盾。もし其れが壊れそうだってんなら俺達仲間を頼れ、そうすりゃ盾もお前もずっと無敵だ」

 

「無敵…、インビンシブル…」

 

「い、インビン…?何て?」

 

無敵では何とも捻りが無い様に思えた蒼井は心の中で其れに名前を付けた。”インビンシブル”と言うとっておきの名前だ…

 

「いえ!____何でも無いです!」

 

蒼井はその意味を伝えようとしたがやはり止めておいた、笑顔でそう答える。

 

「ま、解決したなら良かったってもんだ」

 

 

「有難う御座います黒崎さん__この名前、大切にしますね」

 

「ああ、良く分かんねぇけど大事にしてくれ」

 

 

 

蒼井の中で様々な物が一護と月歌の手により変えられていく。完全に後ろ向きだった蒼井の心は少しずつ前へ前へ進んで行く

 

 

「……」「……」

 

其れを影から見ている、2人が居た…

 

 




インビンシブルは本来月歌の活躍なんですけどねぇ…どっかで活躍の機会つくるか…



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32.発見_____平子の悩み

四章後半マジで越せない…!なんやかんやで火パが使えないのマジでしんどいし雷パステージ多すぎやしません…?


そして書いてると思うんですけどダダ甘恋愛って1度は書いてみたい気がするんすけど書けねぇなぁ…


〜セラフ部隊基地・訓練終了後〜

 

「近く茅森さん達とライブをするんですが、其れに私も出る事になって…もし良ければその、見に来てくれますか?」

 

今日の訓練は、ほぼ最終調整の様な物だった。そろそろ本当のオペレーションプレアデスが始まる。様々な部隊を使った大規模作戦なだけあり、訓練をする一護達も、司令官達も、基地全てが忙しなかった

 

「何時やんだよそんなの…」

 

そんな中突如として蒼井からライブに誘われた一護は困惑の表情を浮かべた

 

「茅森さん曰く___作戦前の前夜祭だそうです!」

 

「まじかよ…」

 

屈託のない笑みでそう言われ返す言葉も無くなってしまう、茅森達なら何かしらやりそうだと思ったのだがまさか前日とは…

 

しかも前夜なら基地も更に忙しいとは思うんだが、許可はちゃんと取っている様でそれ即ち司令官許可したって事になる…

 

「わーった行くよ……席とかあんのか?」

 

其処は大人しく折れて蒼井に聞く一護。蒼井は笑顔を更に明るくさせて言う。一護にとって其れは最早眩しいとも言える物だった

 

「席は茅森さん達が特等席って言ってくれてました」

 

「特等席か、楽しみにしとくぜ」

 

「はい!」

 

蒼井もすっかり茅森達に慣れたのか今では良く喋る様になった、其れと同時に一護と一緒に居る時間も少しずつ増えつつあった。胸の奥に有る物を話さずとも少しずつ、蒼井のあの孤独を埋めつつあるなら…其れで良いと一護も感じていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『緊急連絡、有明ドーム南4kmに_____』

 

 

「「…!!」」

 

その時だった、突如基地に鳴り響いた緊急連絡。其れは有明ドーム南4kmにキャンサーが見つかった、待機中の31Aらは直ちに出撃せよとの事だった

 

「まさか…」

 

一護が拳を握る、横に居た蒼井も息を呑んだ

 

「ロータリーモール…」

 

「蒼井、行くぞ」

 

「はい!」

 

2人の、のほほんとした空気は一瞬で消え去りお互いにスイッチが入る、蒼井が走り出した後に一護も代行証を持ち_______

 

「…?」

 

ふと、握った代行証から黒い霊圧が僅かながら滲み出た。過去に其れが起きた時はルキア達の声が聞こえ、其処から本来の代行証の持たされた意味を知るきっかけとなった

 

 

「…!」

 

反射的に耳を近付けて音を拾おうとするが何かを聞き取る前に黒い靄が消え再び只の代行証になっていた

 

「黒崎さん…?」

 

蒼井が振り向いて一護の方面を見る、その顔には少しばかり心配が浮かんでいた。一護とは違い霊圧が見えないであろう蒼井ならすれば一護の行動は疑問だらけだろう

 

「いや…何でも無ぇ…行くぞ」

 

ポケットに入れた代行証からは再び黒い靄が現れ、沸々と代行証から抜け始めていっていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「集まったか」

 

どうやら蒼井と一護が最後だった様で、他のメンバーはもう既に揃っていた。真ん中には司令官が立っており、やはり今回の呼び出しが只のキャンサー討伐では無い事を悟らせていた

 

「貴方達も予想は出来てると思うけど、有明ドーム付近に大型キャンサーが居ると知らせが入ったわ」

 

有明ドーム付近は一護が1度ロータリーモールと戦い、ある意味敗北をしてしまった場所でもあった

 

「一護、今度はあたし達が一緒だから何も心配するなよ」

 

一護の胸を軽く小突いて月歌が笑う、蒼井も横に立ち月歌に言う

 

「蒼井も期待に応えられるよう頑張ります!」

 

ユキも可憐もめぐみもタマもつかさも、全員がやる気に満ちていた。誰も今に不満を抱いてる奴なんて見受けられなかった

 

「ああ、行こうぜ」

そして準備されたヘリに乗ろうとした時だった、司令官達が蒼井達を止めた

 

「今回、貴方達から聞いた作戦は連携のタイミングが最も重要になるわ、蒼井さん…貴方が31Aを指揮しなさい」

 

突如として指揮を任命されそうになっていた蒼井が驚く

 

「わ、私がですか…!?そんな…」

 

たじろぐ蒼井に司令官が真っ直ぐとその瞳を蒼井に合わせて口を開いた

 

「訓練を思い出してみなさい、貴方は既にその才能を、能力を身に付けているわ」

 

「そうでしょうか…」

 

「良いんじゃねぇか?31Aには出来ない指揮がお前なら出来んじゃねぇの?」

 

「そうそう、だからやっておくんなまし」

 

「お前ほんとカッコ悪いセリフカッコ良く言うよな!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜尸魂界・五番隊隊舎〜

 

 

「んで桃、何か変化有ったかー?」

 

ヒユに少しばかりの買い物を頼み五番隊隊舎を抜けさせたすぐ後、平子は雛森に聞いていた。ヒユと雛森はもうすっかり仲を深めており孤独感は一切与えていなかった

 

「まだ疑ってるんですか…?」

 

「いや俺もな、別にアイツの事疑ったりしてる訳やないねん…爺さんとかがな報告せえってうるさいねんや…斬魄刀も持たせてもうたしな」

 

「そう言う事でしたか…!其れに対してはちょっと気になる事が…」

 

「なんや?」

 

「日に日に霊圧が…濃くなってる様な気がするんです」

 

「よー食って寝たら霊圧も増えるやろ」

 

「そう言う事では無くて…!!______ヒユさん自身の霊圧も確かに少しは見えます、でも其れ以上に黒崎さんの霊圧が濃くなってるんです…」

 

「一護の霊圧がか?」

 

「はい、あの状態で斬魄刀の力を使えば…始解は確実、もししかすると卍解まで到れる可能性が」

 

雛森の表情から其れが嘘では無いと言う事を察した平子

 

「其れ以外は本当に至って普通の女の子です!記憶に関してはまだまだですけど…」

 

「そうか分かった、引き続き頼むで桃」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ヒユ、お前さん一体その記憶に何を隠しとるんや…何処で一護と会った)

 

 

そして何処から一護の霊圧を増やしていっているのか…平子は柄にも無く考える事となった

 







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33.vsロータリーモール___封じられた速攻

ヒユと雛森がなんかする平和回かきてぇ…
なんならこの小説の平和回まみれの小説作れば…!?()

そしてイベスト見ましたかね??
感想にもありましたがヒユさんの仇もクソもなくなってしまうかもしれません()




〜有明ドーム付近〜

 

 

「しっ……居たぞ」

 

前回の哨戒範囲から少し離れた場所にロータリーモールは佇んでいた。やはり周りの建物は崩れたり傾いたりなどで原型を留めておらず奴が移動したり破壊したりと、そんな痕跡がいくらでも見受けられた

 

「なんやアイツ…遊んでんのか?」

 

めぐみがセラフを構えつつそんな事をボサっとと呟く。タマも一護の後ろでガタガタ震えながら声を出す

 

「遊んでいるとしたら何と趣味の悪い…」

 

「だが今は動きを止めてる、叩くなら今かもしれねーぜ」

 

「ユッキーの言う通りかもしれないな」

 

何時も以上に真剣な空気が漂う中、一護は自身の胸から湧き出る違和感に気を取られていた

 

(何だ…この感覚、前にも俺はこんな感覚になっちまった事が有る…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『望実を、仲間を…助けられるなら、構わねぇって言ってんだろ…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

(…まさかな)

 

 

 

そんな事は無いと、其れ以上の事は考えないでおく。今は目の前のロータリーモールを倒す事だけを考えておかなければ

 

「どうかしましたか?一護さん」

 

首を振ると、何時の間にか背中にびっちりくっついていたタマが何事と言う顔で一護の方を見ていた

 

「いや何でも……何でそんなベッタリなんだ離れろよ」

 

 

 

(國見さん…良いな)

 

 

 

「みぇ………いたっ!?」

 

無理矢理引き剥がすとまるで猫の様な声を上げて尻餅を着いた

 

「あ…」

 

同時にユキが阿呆の様な声を漏らした

 

「なぁユッキー…あれあたしらの事見てるよな?」

 

同時に月歌が少しずつ顔を青くさせながらユキに言う

 

「國見お前…」

 

一護が何かを言おうとした瞬間、ロータリーモールが此方に向けて

大量の触手を向け其処から黄色のプラズマ弾を何発も撃って来た

 

 

「___攻撃来ます!!」

 

31Aと一護の反応が遅れたが蒼井だけはいち早く反応しセラフを展開、直後ぶつかった攻撃を弾いていた

 

「くっ…」

 

大型キャンサーの攻撃を少し後ろに下がりながらも何とか耐えた蒼井、盾が庇ったお陰かあの神経麻痺も訪れてはいない様だった

 

「予定は狂ったけど…皆行くぞ!!」

 

次の瞬間、セラフの切っ先をロータリーモールに突きつけた月歌が叫ぶ。

 

「ったく、しまらねーなー!」

 

ユキ達も続々とセラフを展開、戦闘態勢を取る

 

「っ…!」

 

一護も背中から斬月を抜き放ち構える、其れと同時にめぐみが一護の隣に歩み寄り口を開いた

 

「同じ大剣のよしみや、同時に先制攻撃したろや!」

 

ガッツポーズでそう言うめぐみに一護が答えた

 

「俺は良いけどよ、おめぇんとこの和泉が許さねぇだろ」

 

「あー好きにしてくれ、あの大量のプラズマ弾を全部躱して一撃叩き込んでくれるならあたしらも嬉しいけどよ…っ!」

 

横目でそう言いながらも大量のプラズマ弾を撃ち落としていくユキ。此には全員から「お〜」と言う声が漏れる

 

「…何だよ、早く行けよ」

 

褒められ慣れてないのかそっぽを向きながら一護達に声をかける。

 

「ほな行くで!」

 

「ああ!」

 

直後2人が建物から飛び出しロータリーモール目掛け走り出す。一護は建物の屋上を巡り近付いていく。めぐみは下の道路をデフレクタを使い一気に駆け抜けていく

 

 

「蒼井、あたしらも行こう」

 

「はい!和泉さんと東城さんは援護を、朝倉さ…」

 

「今はワシじゃぁ!!」

 

「…カレンちゃんさんは茅森さんと國見さん、そして蒼井と一緒に前に出てあの二人と叩きます!」

 

素早い指示が飛び交う中月歌達は1字1句を聞き逃さず立ち回る。そんな中ロータリーモールを斬撃が襲った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月牙天衝ッ!!!」

 

 

 

「何やそれ!?羨ましすぎるやろ!?」

 

 

最初にめぐみが辿り着き、後ろからロータリーモールに斬り掛かる。一瞬反応が遅れ振り向いたその瞬間を一護の斬月から放たれた月牙天衝が襲った

 

「んだよ技なんてどーでも良いだろ」

 

「いやどうでもええ事あらへん!アイデンティティに関わる!」

 

言い合う2人の先に居るロータリーモールが起き上がり一護達の方を向く

 

「来るぞ…っ!!」

 

「分かっとる!!」

 

お互いに別の方向へ行き建物に隠れる。対象を失ったロータリーモールが取る行動は簡単

 

 

_____建物を破壊し対象を見つけ出すと言う破壊行為

 

「此で姿が隠せる!___うぇ!?」

 

「其れはロータリーモールも同じだ…!___ぐっ…!」

 

「わっ…!?」

 

追いついた月歌やタマ達が土煙にまみれ姿が見えなくなってしまった。それぞれの位置に着き月歌達を援護する筈のつかさやユキも、一護達の場所が土煙などにまみれ援護のしようが無くなっていた

 

 

 

 

「くそ…此じゃあ援護のしようが無いぞ…!」

 

「皆大丈夫…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逢川!近くに居るか…!?」

 

「声は聞こえる!!けど姿が見えん!」

 

「くそ…!」

 

土煙を晴らおうと斬魄刀を振り翳そうとする一護、だが近くにめぐみが居ると分かり容易に其れも出来無くなってしまった。もしその一撃で当たってしまえば後は想像すらしたくもない

 

(國見…茅森、蒼井…!無事か…っ!)

 

地面を蹴り土煙が及ばない高さまで駆け上がった一護、先程よりかはいくらか晴れているもののまだロータリーモールの姿が見えないくらいには舞っている。

 

『…護!___一護!!』

 

雑音まみれだった通信機からユキの声が微かだが聞こえた、すかさず耳を当てて音を拾おうとした瞬間だった。下から猛烈な勢いを感じ振り返るよりも先に本能で避けた

 

「あれは…!?」

 

嫌な予感の正体はロータリーモールが放った大量のプラズマ弾だった。避けて良かったと胸を撫で下ろすがやはり只撃って来た訳では無く…

 

 

「くそっ…!次から次へと…!」

 

 

第2弾、第3弾と確実に狙って撃って来ていた。其れを避け、斬魄刀で斬り落としていく。だがそのお陰か急速に地上の土煙が消え去っていき、めぐみ達の姿を見る事が出来ていた

 

蒼井達も見付ける事が出来、ひとまず安心する。だが状況は良いとは言え無かった。31Aが此だけ分断されてしまうと自慢の速攻が略出来ないと言う事になる

 

 

だがめぐみを拾いそのまま月歌達の元へ向かってもその前にロータリーモールに見つかるもしくは月歌達が出逢えば終わる。だがめぐみを後回しにしても確実に勝てる訳では無い

 

『ウチなら無事や!今向かっとるで!』

 

だがその瞬間、まるでめぐみが一護の思考を読んだのかと言わんタイミングで通信機を使っていた

 

『ウチが着くまで一護が月歌達の面倒見たってくれや!』

 

 

 

 

 

 

 

 

今の状況では余りにも心強い言葉を受け、一護は静かに頷いてロータリーモールの近くへと飛び降りた

 

 




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34.vsロータリーモール__決着

ヘブバンのイベントは本当にプレイヤーを狂わせると思うんです、31Eにハマったり31Bや30Gにハマったりととりあえずイベントがある度に新しい部隊に沼っていくという俺がここに…

皆さんはどんなイベントが好きですか??

ちなみに俺はトロピカルだねぇ!で有名なあのイベントです。丁度二章を終えてなんとなく水着かわよっていう簡単な気持ちで見てみたんです。

…イベント終わりの瞬間はまじで前がみえねぇレベルの大泣きぶちかましてました。外で見なくてよかったレベル…


__________

・追記
文才を下さい


蒼井達の目の前にロータリーモールは佇んでいた、だが此方に興味は無いのか将又気が付いて無いのか全く違う方向に向けプラズマ弾を放ち続けていた

 

「やっぱりデカい…」

 

タマが口をガタガタ言わせて震えており、月歌もセラフを持つ手が少し震えていた。直ぐに退けば良い筈なのだが今少しでも動けば此方を向くのでは無いかと言う恐怖が襲っているのだ

 

 

____だからこそ、ロータリーモールの初撃に反応が遅れてしまった

 

「……茅森さん!國見さん!後ろに…!」

 

「くそ___間に合わ……!」

 

ロータリーモールが突如、此方を向き身体を突進させてきた。月歌達が咄嗟に防御の姿勢を取るが______

 

「「…?」」

 

だが攻撃が月歌達に届く事は無かった

 

「くっ…ぐぅ…っ!!」

 

其処には一護が立っており斬魄刀でロータリーモールを防いでいた。斬月は今にも砕けそうな勢いで音を立てており長くは防げないと言うのを感じさせていた

 

 

 

(耐えろ…!デフレクタが割れてない今俺に出来るのは彼女達を守る事…っ!)

 

斬月が軋んでいるのが分かる。だがもう少しだけ時間を稼げば彼女達は逃げてくれる筈だーーーーーー

 

 

「…!?」

 

次の瞬間、ロータリーモールが大きく右に弾かれ飛んでいき建物へ身を突っ込んだ。直後盾形のセラフが目の前を舞い持ち主の元へ戻っていく

 

「一護さん、蒼井の役目…取らないで下さい!」

 

手元に戻ったセラフを縦横無尽に回転させながら蒼井が笑顔で口を開く、だがその表情は笑ってはいるが目は笑っていなかった…只まだマシなのはほっぺたが膨らんでいる。まるでリスの様な可愛さが怖さを中和していた

 

「はい…すんません」

 

そんな蒼井に只一護は謝る事しか出来無かった、そんな二人に割って入った月歌がまあまあと制す。初めて月歌に助けられた気がした

 

「敵さんはもうピンピンみたいだ」

 

月歌が指差す先でロータリーモールが起き上がり此方を向こうとしていた

 

「みてぇだな…」

 

「蒼井のセラフは攻撃用ではありませんから、稼げても数秒です」

 

 

 

 

 

「其れだけあれば充分じゃあぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

「カレンちゃん!?」

 

「俺達も行くしかねぇ…!」

 

 

直後カレンちゃんが素早い勢いでロータリーモールへ突っ込んでいく、少しばかり遅れたが月歌と蒼井、そして一護が続いていく

 

 

 

「ひひひひぃっはぁぁ!!!」

 

カレンが凄まじい身の熟しで錯乱させながらセラフでダメージを与えていく

 

「行くで!タマ!」

 

「はい!!」

 

カレンが着地した瞬間、代わりばんこの様に入れ替わり今度はめぐみとタマが攻撃を叩き込んでいく

 

『_____!!』

 

ロータリーモールもやられてばかりでは無く、周りの触手をうねらせ周りの女共を叩き落とそうとするが……

 

「そう簡単にさせるかよ…!」

 

「やぁっ!」

 

遠距離支援に回った2人が流石とも言える手際で触手を撃ち落とし攻撃をキャンセルさせた

 

『今ので大幅に削れた筈だ、月歌!一護!後は任せる!』

 

通信機越しのユキの声に月歌と一護が目を合わせて一気に駆けて行く

 

 

「っ…!!」

 

だが駆けて行く最中で一護の足が縺れ地面へと倒れそうになるが何とか踏み留まる

 

「一護…っ!?」

 

「大丈夫だ…!アイツらが作ってくれたチャンス、無駄には出来無ぇ…っ!!」

 

そのまま数歩はフラついていたが即座に立て直す、月歌は何かを言おうとしたが一護の目を見て諦めた

 

(今の一護には何を言っても聞かないか…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はああぁぁっ!!」

 

 

月歌が二刀流を自在に操り、ロータリーモールを上から何度も切りつけていく。ロータリーモールは姿こそ追おうにも先程のダメージラッシュが響いているお陰か月歌の姿を捉えられずにいた

 

 

「此で……どうだっ!!」

 

1度下まで切りつけ、再び上空に飛び上がり月歌が最も素早く動ける角度から斬りつける

 

『_____!!!!!』

 

ロータリーモールのデフレクタが散り散りになり外殻が剥がれ露わになる

 

「蒼井!準備!」

 

「はい!任せて下さい!! 」

 

その直後、やはり逃げようとしたのかロータリーモールが数歩下がり凄まじい速度で地面を掘ろうと____

 

「逃がしません…っ!!」

 

だがその地面とロータリーモールの間に蒼井が盾を滑らせ防ぐ。

 

「くっ………うぅ…!!」

 

ロータリーモールと蒼井、その2人の力が激突し拮抗していた。蒼井は逃がさないと言う絶対的な意思…ロータリーモールはこの場から逃げさろうと___________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃がすかよ…」

 

 

 

 

 

『__!?』

 

ロータリーモールは気付けば自分の横に男が立っている事に気が付かなかった。気が緩み力の拮抗が無くなりロータリーモールは弾かれる

 

「月牙_____ッ!?」

 

 

「なっ…!?」

 

ロータリーモールは一護の方を向かずに何処かを眺めていると思いきや、突如として形態変化を起こした

 

 

硬そうな外殻が花のように開き内側を露わにする、内側はまるで大砲の様に長い筒が一護を捉え_______

 

「一護さんっ!!!!」

 

蒼井が危険を察知したのか大きく叫ぶ、だがその時には既にロータリーモールはその筒状から光線の様な物を吐いていた

 

 

『____!!!』

 

「______天衝ォッ!!!」

 

 

一護も放とうとしていた月牙天衝を放ち応戦する、だが今回ばかりはロータリーモールより黒崎一護の力が勝った。

 

『____!?』

 

ロータリーモールと一護の間に在るエネルギーが爆散しお互いを爆風が包んだ。一護に続くべきかどうかを一瞬躊躇った31Aと蒼井、だが……

 

 

 

「今だ!!!一気に叩いてくれ!!」

 

 

 

 

爆風から抜け出した一護がそう叫び、其れらを聞き取った月歌達が一気に攻め入る

 

「逃げる気は無いみたいだからな…、正面からならあたしらの特権だ!!」

「何か無駄に格好良いじゃねぇか…!?」

 

そんな軽口を飛ばし合いながら一斉に攻めていく、ロータリーモールは反撃を行おうとするが今までに無い速度の連携が襲い最早何も出来ずにいた

 

「此でどやぁっ!!」

 

めぐみの一撃が入った瞬間、再びロータリーモールを覆うデフレクタが爆散した

 

 

 

 

 

「頭開いたからには逃げられないだろ…!」

 

 

 

 

 

 

最早地面に潜れなくなっていたロータリーモールは、茅森月歌の一撃によりトドメを刺された

 

 

 

「よし!」

 

セラフを突き立て地面に踏み留まった月歌がガッツポーズをする

 

「あの白い奴は立たへんのか…?」

 

「確かに____まだ倒せてないのか!?」

 

「いや、アイツが消滅する瞬間は確かに見た。其れにまだ生きてるって言うなら今頃襲われてても可笑しく無い」

 

「そっか、なら大丈夫だな」

 

「ああ」

 

ユキがそう言った瞬間、月歌が突如として項垂れ直後大きく背を伸ばした

 

「_____ああぁぁぁぁぁ!!!、お腹空いたぁ!!!もう帰りたい!!!」

 

「何時も通りだなお前は…ほら、さっさと連絡して帰るぞ」

 

「はーい!」

 

 

 

(…どうしちまったんだ俺)

 

 

「…?__黒崎さん?」

 

「いや、何でも無い…」

 

__________________________

 

〜尸魂界〜

 

 

「はぁ…はぁ……くっ」

 

浅打を右手に持ったヒユが肩で息をしながら立ち上がる。華奢な身体には幾らか切り傷が存在し、其れを見る雛森はただひたすら胸を締め付けられていた

 

 

「戦闘センスは有るんやろうけどな、全然あかんわ」

 

 

もう反対に立っていたのは平子真子だった。右手には逆撫を持っており、少しばかり血が付いている

 

 

 

 

 

 

「そんなんでアイツの霊圧が抑えられると思うんちゃうぞ、ヒユ」

 

 

 

「っ!_____はい!」

 





もう既にノートには3章までの構想を練ってあります(書けるとは言ってない)


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35.私の斬魄刀は______

タイトルもオシャレにしてみたいなぁと思う今日この頃…

そしてUA26000ありがとうございます!!
これからもちまちま頑張ります!


 

 

(速い…!)

 

ヒユが眼前に迫った平子の斬魄刀を何とか躱し体勢を立て直すが、其れでも次の瞬間にはまた目の前に平子が立っていた

 

 

 

 

なぜ平子がヒユと闘っているのか、其れは少し前に遡った

 

 

 

__________________________

 

 

「っ…」

 

「大丈夫ですか!?ヒユさん!」

 

最近漸く慣れてきた五番隊での雑用の最中、ヒユは突然吐き気に襲われ倒れそうなった。今回は隣に雛森が居たお陰で支えられたが最近はしょっちゅう倒れそうになる事が増えていた

 

(またこの感覚…誰かが私に入り込んでくる感覚…)

 

体の内側からジワジワと入り込んでくる

 

____其れは何処かで感じた様な感覚で

 

 

 

____温かくて

 

 

 

____決して嫌な感覚では無かった

 

 

最初の方こそ流れてくるこの感覚を一方的に受け入れていたが、最近になってそれを自分が受け止めきれなくなっていた

 

そして此処数日、夢に”白い自分”までもが出てきてしまう羽目になった。その事を雛森さんに話すと一緒に隊長に掛け合ってくれた。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…!?」

 

今この状況になっていた、平子隊長曰く兎に角実戦で感覚を掴むしかあらへんと、アイツと同じ様になって言ってたんですけど……

 

(此、確実に殺しに来てる…!?)

 

刀の太刀筋、時に放ってくる鬼道と言われる物。其れら全てに確実に死の匂いが漂っていた

 

「ほれほれ、まだ俺ァ始解すらしとらんぞ?」

 

「そんな事言われたって…、私どうすれば良いのか…!」

 

今こうやって隊長の刀を自分の刀で受け止められてるのも偶然の産物だと感じている

 

「ええか、その霊圧持っとったヤツはなんやもうよぅ分からんくらいに実戦で成長していきおった。今お前にはその霊圧が有る」

 

「え、ええ…!?」

 

「しかも自分の霊圧よりも多くな、そら気持ち悪もなるわ。想像するだけでゾっとするで」

 

「そ、そんな…」

 

「ええか、こうやって実戦して自分で感覚掴め」

 

 

平子は何処かで感じていた、ヒユの中に眠る力はまるであの時のような黒崎一護に何処か似ていた

 

(本人1度も戦った事無いとか言うとるけど、俺の刀受け止めれるって事は何処かしらで戦っとったんや。アイツの霊圧が少しでもコイツの力になったらええんやけどな…)

 

とは言え斬魄刀での戦い方や鬼道すら教えた事は無かった、未だ上からの許可が降りず斬魄刀でさえ始解したりしたらへし折れとか言う余りにも無茶苦茶な命令だった

 

(まぁ始解しても何とかなるやろ)

 

「っ…!?」

 

拮抗していた斬魄刀を押し返し平子は距離を取る、そして自らの斬魄刀を逆手に持ち_________

 

「倒れろ、”逆撫”____」

 

 

(刀の形が変わった…其れに甘い匂いが…?)

 

ヒユは最初平子の斬魄刀の形が変わった、其れだけを感じていた

 

「ほ〜ら、ボーナスタイムや」

 

とことこと歩きながら近付いて行く平子真子。ヒユは其れに容赦無く斬り掛かり………………

 

 

「何処斬ってんねん、俺ァこっちやぞ」

 

だが気が付けばヒユの横に立っていた…

 

(其れだけじゃない…!)

 

右にも、左にも、上にも、下にさえも平子が居るのだ。兎に角斬り掛かるが全て当たらずに空を割いていた

 

「俺の斬魄刀は逆撫っちゅーてな、まぁ色々反転させんねんや。どや凄いやろ」

 

四方八方にふらふらと歩く平子。それに追いつこうと斬魄刀を振るうヒユだったがやはり当たらない

 

「平子さん…、其れ狡いです…!」

「アホか、実戦に狡いも何も無いで」

 

「確かにそうですけど…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______このままじゃ駄目だ

 

時たま飛んで来る平子からの斬撃を避けながらヒユは只管に考えていた。このままじゃ駄目だと

 

 

平子隊長も只、意地悪をする為に私と戦ってるんじゃない、私に何か有るから…其れを伝えようと刀を交えてる筈なんだ

 

記憶すら無い私を拾ってくれて、まだ日は浅いけど色々とお世話になっていた

 

傍らで見守ってくれてる雛森さんにもお世話になったなぁ…隊服くれたり一緒におやつ食べたり…

 

(なのに私は、何も返せてない…)

 

働かざる者食うべからず、妙に聞き覚えの有る言葉が耳をよぎっていく

 

 

 

 

 

 

 

(なんや…ヒユの霊圧、なんや流れ方変わっとるやないか)

 

始解を解かず様子を見ていた平子が霊圧の流れが変わった事に気が付いていた。其れまで好き勝手にしていた霊圧が綺麗に刀へと流れていっているのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未だ記憶は取り戻せそうに無い、だが今ので思いっきり思い出した事が有った

 

自分は何かと戦った事が有る、そしてその時に使っていた相棒は_______”大剣”だ

 

 

 

「わわっ…!?」

 

具体的なイメージが頭の中で浮かんだ瞬間、ヒユの握る斬魄刀が変形した。突如の変形に平子が驚いて後ろに下がり距離を取った

 

(漸く始解か…さぁて、どんな見た目が_____ )

 

 

「って……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

 

斬魄刀と言う物、基本的に何処か和と言う文化を感じる物と思っていた。一部を除くが…

 

だがヒユの斬魄刀は明らかに系統が違う、見た目が余りにも…檜佐木修兵や阿散井恋次の言葉を借りるなら”サイバー”っぽいのだ

 

 

 

(何か…大剣って重たい筈なのにしっくり来る…)

 

 

ヒユは突如変形した自身の斬魄刀、その柄の部分を握りながら考えていた。妙にしっくり来るのだ…形も何処かで見た事有る様な、そんな気がしていた

 

 

 

 

「おめでとさん」

 

何時の間にか始解を解いていた平子が斬魄刀を鞘に納め此方に歩いて来ていた。先程までヒユが見ていた方向とは逆の方向から来ていた為やはり遂さっきまで見ていた平子は瞞しだった様だ

 

「え、あ…有難う御座います?」

 

大剣となった斬魄刀を見ながら答えるヒユ、身体の中に有った気持ち悪さも消えていくのを感じていた。寧ろ今は比べ物にならないくらいに程良いバランスを取れていた

 

 

(早いな…無意識に一護の霊圧を減らして抑え込んで、自分の霊圧と混ぜよったわ…今までやったら一護の霊圧が増えていくばかりやったのに)

 

この時、平子真子は少しばかりだが察しが着き始めていた。何故ヒユが黒崎一護の霊圧を持っていたのか

 

何故涅マユリが適合出来ない生物の遺伝子を持っているのか

 

 

 

 

 

(コイツ、記憶無くす前に一護と会っとるやろ)

 

雛森と手を合わせて跳ねるヒユを見ながら平子は考えていた

 

 

__________________________

 

 

 

〜セラフ部隊基地・医務室〜

 

 

 

「黒崎一護、貴方には今回のオペレーションプレアデス……降りて貰います」

 

 

「は…?」

 

 

医務室にやってきた司令官の突如の一言に、黒崎一護は只「は?」と答えるしか無かった

 




敢えてまだヒユの斬魄刀の名前は書いとかないようにします(())



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36.戦線離脱___あたしらの過去

キャラクターの容姿は頭の中で想像出来ても、俺はイラストが書けないんです。絵心がないから…

どれだけ絵心ないかって??
顔書いた瞬間に既にバランスがおかしかったり身体棒やったり…
本当に保育園児の方がいい絵描きますよってレベル…



そしてBLEACHの千年血戦篇決別章いやぁ〜作画とか最高すぎて毎週バイト終わったら爆速帰宅してテレビで見てますわぁ…
平子隊長カッコよすぎる。そして肝心の一護はアニオリ徘徊しとるだけやんけ()


 

 

「何で俺が戦線離脱なんだよ…っ!!____くっ…!」

 

「黒崎さん無理しないで下さい!」

 

突如として言い渡された戦線離脱、其れに納得出来ない一護は司令官に掴み掛かる勢いでベットを飛び出すが上手く動けず蒼井に支えられた

 

「傷なら直ぐ治る!俺はまだ闘える!!」

 

「…分からないのか」

 

「白哉…っ!」

 

気が付けば病室の入口に朽木白哉が立っていた、一護を見る目は何時もと変わらず…だが奥底には他者を思いやるような…そんな目をしていた

 

「気が付いている筈だ、兄の霊圧は日に日に下がりつつある事に」

 

「其れが何だよ…!?戦えりゃ問題ねぇだろ!?」

 

 

 

 

「…先の戦いで月牙天衝すら放てなかったではないか」

 

 

 

 

其れでも戦おうとする一護に白哉が余りにも鋭すぎる言葉を使った。一護自体其れに気が付いてはいた…だが今そんな事で引く訳には行かない…

 

 

だから心の奥底に潰しておいた…だがそんな意地っ張りの様な物は直ぐ様消されてしまった

 

 

「そんな状態でロータリーモールを潜り抜けたのかよ…!」

 

「一護、何で言ってくれなかったんだ…?」

 

そんな状態でも戦えてた事に驚きを隠せないユキ、その傍らなんで言ってくれなかったんだ。まるでそう言っているかの様な視線を送る月歌

 

「言える訳…無ぇだろ…」

 

その一言に、その場に居た全員が押し黙った。一護の気持ちは痛い程分かる…もし自分に当て嵌めたりしたら同じ事をしているかもしれないからだ

 

 

もう誰も、一護を咎める事も…同情も出来無かった

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

明日は前夜祭だから貴方達ももう休みなさいと言う司令官の一言でその場は解散となった

 

 

 

 

 

蒼井だけが唯一最後まで残っていたが、「明日もあるんだから一護がもう休め」と言うと少しばかり悲しげな顔を見せたが大人しく帰って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

戦線離脱を言い渡され、どうにも気が入らず2時間の時が経った。辺りはもうすっかり暗くなっており、其れに気付いた瞬間腹の虫が鳴った

 

「…何か食いに行くか 」

 

幸い身体は既に治りつつあり1人で出歩く事も容易かった、なので一護は1人売店に向かおうとした。その瞬間扉がノックされ2人の声が聞こえた

 

 

「居るか?」

 

「居なくても開けるにゃ」

 

 

2人の声は腐る程聴いている為、何も言わずに扉を開ける。其処にはやはり水瀬姉妹が立っていた

 

「何だ、お前ら…」

 

「すまねぇが話が有るんだ、良いか?」

 

どうせ碌な事では無いだろうと思いつつも聞くと、意外な答えが返って来た。2人の目を見るが至って真面目な目をしており、其処に嘘偽りは見えなかった

 

「分かった。只、俺も腹減っててよ…外でも良いか?」

 

「ああ…」

 

__________________________

 

〜ナービィ広場〜

 

ナービィ広場の何時ものベンチに一護、いちご、すももの3人で腰掛ける。周りには誰の気配も感じず話しやすさもあった

 

「最初にあたしらはお前に謝らなきゃいけない…すまなかった」

 

「すもももにゃ、本当に悪かったと思ってるにゃ」

 

 

「突然だな…」

 

腰掛けた瞬間に2人は再び立ち上がって、一護に向けて土下座の様な勢いで頭を下げた。何時もの2人からは想像が付けられない態度の変わり様に流石に気味が悪くなってさえくる

「ああ、さっき茅森とも話して来た…。此はアイツだけじゃなくて黒崎一護…あんたにも話しておきたいんだ」

 

「すもも達が蒼井に何であんな態度を取っていたのかをにゃ」

 

「…別に気にしちゃいねぇよ」

 

「…そうか」

 

「……」

 

一護の返答に2人が目を合わせる、そしてそのままお互いが黙り込んでしまった。だが目だけはお互いを見ておりまるで

「お前が言えよ」「姉さんが言うにゃ」とでも言いたそうな目での会話をしていた

 

「あー分かったよ…!」

 

「んだよ…」

 

 

 

「あのな…、蒼井と絡んでくれてるのは嬉しいんだが…これ以上連むのは辞めてくれって」

 

「…なんでだ?」

一護からすれば突然蒼井と縁を切れなんて言われてる様なものだった。そのことを分かっていたのか2人は一護の目を見ようとはしない……一護自身今自分がどんな視線を2人に向けているかは分からない…

 

「言いたい事は分かってるにゃ、実際茅森の時も大体って言われたにゃ…」

 

「じゃあなんで俺に____」

 

「実は、蒼井はあたしらよりも前の部隊29Aの部隊長だったんだ」

 

「___!?」

 

その一言に一護は驚いた、だが同時に何処か納得している箇所が有った

 

31部隊が初めてとするならば余りにも強い、そして蒼井自身の言動…過去に何か在った様なあの言い方

 

「そうだったのか…」

 

自然と落ち着いた声音になる。其れに対して2人は特に何も言う事は無く、そのまま少しずつ蒼井の事…自分達の此れ迄の行いの意味を話してくれた

 

かつて蒼井率いる29A部隊は、蒼井を残して全滅してしまった事

 

蒼井はその事を毎晩の様に夢に見て…忘れられない事に1人苦しんでいる事

 

そして2人は蒼井に自信を持って欲しいから、1歩間違えれば部隊が解散しかねない荒治療をしている事

 

その理由は…

 

「似ている、か…」

 

「そうなのにゃ、すもも達が昔出会った少女に瓜二つだったにゃ」

 

其処から2人は、お互い交互にその少女について一護に話してくれた。元々殺し屋として生きていた2人には、余りにも眩し過ぎた子だった様だ…

 

 

「でも或る日、クライアントがミスをしてあたしらの正体がばれちまった」

 

真っ先に始末されるべく2人は誘き出され銃を突きつけられた…そして放たれた弾丸は____________

 

「そんな言い方をするって事は…」

 

一護の問い掛けに、2人は何も言わずに只事実を告げた

 

「ああ、死んでるよ」

 

「…そうか」

 

 

「だから初めて蒼井を見た時、アイツなんじゃねぇかって一瞬息が止まり掛けた」

 

「しかもあんな記憶を持ってて、1人で苦しみ続けて…すもも達には見てられなかったにゃ」

 

「そうだったのかよ…」

 

 

「___兎に角、あたしらはこんなやり方しか無いけど…其れでも蒼井には自信を持って貰いてぇんだ!」

 

略、土下座の様な勢いでいちごが頭を下げる

 

「今じゃ蒼井は茅森と、そして黒崎一護ばっかりにゃ…其れじゃ意味が無いんだにゃ…!」

 

「…悪ぃが其れは出来無ぇよ」

 

「「…っ!」」

 

2人の心からの叫びに、一護は首を横に振った

 

「でもお前らの気持ちも分かった、俺からも頼む。同じ部隊でアイツを救い出して悪夢から放てるのはお前達だけだ」

 

「黒崎…」

 

「蒼井は誰も失いたくねぇって言ってた、お前らなら其れを守れるんじゃねぇの? 」

 

2人の顔を見て一護が頷く、2人も頷いた

 

「サンキュだにゃ」

 

「有難う…黒崎」

 

「ああ、オメェらも明日は前夜祭だろ?___後、作戦開始までにせめてアイツに謝っとけよ」

 

「そうするよ」

 

「そうだにゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして話は終わり、2人を見送った一護はその足でアリーナへと向かった

 

「黒崎一護さん…」

 

中に入ると案の定七海が立っており、一護を止めるべく前に立った

 

「…どいてくれねぇか?」

 

「そう言う訳にはいきません」

 

「頼む、この通りだ…」

 

「…」

 

傷は既に治ったのも同じ。只、今は霊圧が不安定なだけ……ならその不安定を叩き壊すくらいに戦えばいい…

 

いちごもすももも蒼井を護ると約束した。なら明後日の作戦には必ず参加しなければならない。一護も蒼井を護ると約束したからだ、霊圧さえ戻ってしまえば司令官も文句は無い筈だ

 

「…少しだけですよ」

 

「…ああ」

 

代行証を手に握りながら答えた。目の前には既に最初のキャンサーが何体か存在していた

 

 

 

 

 

「月牙天衝ッ!!!」

 

 

キャンサーと一護の間に、凄まじい爆発が起こった

 




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37.私達を信じて___確かな約束

ヘブバン、1.5周年まであと少し…それまでにこの話が出てるかどうかはちと怪しいですが楽しみですね!!

そしてお久しぶりです!!めちゃくちゃ久しぶりの投稿になってしまい申し訳ありません…!リアルが色々立て込んでてなんやもうとんでもない事に…

そして気がつけば8月…暑すぎて狂う〜^


________

間に合いませんでしたね、はい。

とりあえずイベントは最高でした!!
ユイナ先輩かっこいいし可愛いねっていう…
あと水着も言わずもがなえっち


「…」

 

アリーナに籠り只管自らを、壊す様な勢いで訓練をしている黒崎一護。そしてそのアリーナの端の方に立っていた七海は只黙って一護を見守り続けていた

 

其れが只、司令官に『黒崎一護が無茶をしない様に』と見張りを頼まれたからしているだけか…

 

其れとも其処に私情が入り込んでいたのか。まだ本人が知る由は無い

 

「…っ」

 

只、アリーナの制御権を内蔵しているタブレット端末を握る手が力み、少し汗ばんでいたのに気付いたのはもう少し先だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああぁぁァァッ!!!」

 

__何度も

 

 

____何度も

 

 

______何度も

 

 

只管に月牙天衝を放ち続ける。敵が何体、何十体、何百体現れようとも只、只管に…

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

とうとう卍解する霊力すら残されていないのか、一護の斬魄刀は天鎖斬月から斬月へと戻っていた。其れに気付いた時には既に日は登っており、彼方此方から様々な声が聞こえていた

 

「お疲れ様でした」

 

「お前居たのか…まさかずっと此処で待ってたのかよ」

 

「…はい、もし何かエラーが有れば困るのは私達なので」

 

「ちょっと待て。道理で途中難易度が高く感じてたのかよ…!!」

 

途中から出てくるキャンサーのレベルがデススラッグ辺りのレベルになっていた事が在り、今の一護の状態で凄まじい苦戦を強いられた

 

(今回はキャンサーのデフレクタが無ぇ状態でやらせて貰ったが、実際はそうはいかねぇ…此じゃあどうやっても作戦に出れねぇ…!!)

 

徐々に焦りが浮かび始める、七海は嫌でも其れを肌で感じ取っていた

 

「取り敢えず今日はお休みになさって下さい。前夜祭ライブ…見に行くんでしょう?」

 

「…ああ」

 

思う所は沢山有った、だが其処までして焦ったとしても変わらない状況は在る。只、今は身体が鉛の様に重たい…

 

(やっべ…流石に無茶しすぎちまった…)

 

だが自分の部屋まではまだ距離があり、何とか意識を持たせながら進む。だが限界が訪れ__________

 

 

「__わわっ…!!」

 

数歩進んだ場所で一護は前に倒れ込んでしまった。最後に誰かの悲鳴を耳に入れながら…

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

「…ってて」

 

「あ、気が付きました?」

 

「ああ、すまねぇ…………ってちょっと待て」

 

目が覚めた瞬間、見慣れた景色が入り込んで来て取り敢えずは落ち着く。何となく意識は無かったが、何とか部屋まで戻れたのだなと安堵した

 

 

だが其れは一瞬で崩れ視界の外から聞き慣れた声____蒼井えりかの声が聞こえた

 

何故彼女が此処に居るのか、平然と一護の部屋に入り込んでいるのか。問い詰めてやりたかったが、何となく理解する。自分は途中で倒れ運ばれたと言う事を

 

「…俺、お前に運ばれたのか?」

 

「はい!蒼井が頑張って運びました!」

 

腕をふんすと差し出しながら蒼井が答える、本当に華奢な見た目からは裏腹に余りにも力強すぎやしないか…??

 

「なんか、すまねぇな…」

 

「いえいえ!それよりずっとアリーナに居たんですか?」

 

「…」

 

何も答えない一護。だが蒼井くらいになってくると、嫌でも分かる様だ

 

「待機って言われてたのに…」

 

「焦っちまったんだ、大規模な作戦が始まる…そんな時に俺の霊圧が減っていって…白哉が言うみてぇに俺、霊圧をまた無くしちまうのかなって」

 

「……黒崎さん」

 

「其れに俺はお前と約束しただろ?__二度と1人にはさせねぇって…」

 

一護が其処まで言った時だった。蒼井が一護の目を正面から見据えながら口を開いた

 

「そんなに、蒼井達が頼り無いですか?」

 

口から出る声音は何時もとは違い、心の底から…其処にちょっとの怒りを混ぜていた感じだった

 

「っ…」

 

「蒼井達は只、黒崎さんに護られる為に前に出てなんか無いです。蒼井達はセラフ部隊で本来は護る側何ですよ?」

 

「……悪ィ」

 

「其れに蒼井達には色んな仲間が居るじゃないですか、茅森さんに和泉さん、いちごさんに…すももさんも」

 

指で数えながら蒼井が仲間の名前を口に出していく

 

「どんな人も、蒼井の掛け替えの無い仲間です。其れは黒崎さんも同じです____其れにもし…黒崎さんが死んだってなったら、蒼井はもうどうしたら良いか分からなくなってしまいます」

 

少しばかり頬を染め、蒼井が言う。其れは蒼井の本当の気持ちであると一護も分かっていた

 

「ははっ…何だよそれ」

 

だが黒崎一護とか言う或る意味の朴念仁は、その想いの本当の場所を見ていなかった

 

「なので今回のオペレーションプレアデス、少し寂しいですが黒崎さんは安静にしてて下さい。蒼井達がササッと地図を埋めて帰って来ますので!」

 

「…ああ」

 

「もしオペレーションプレアデスが無事に終わったら、黒崎さん…」

 

「…?」

 

俯いて指を弄る蒼井を不思議に見つめる、もしや体調が悪いのかと思うが……また其れは違いそうだ

 

「蒼井の言う事、1つ聞いてくれませんか?」

 

「……おう。ちゃんと無事に帰って来たらな」

 

 

 

そうして前夜祭が始まるまでの数時間、眠る一護の傍らに蒼井は座っていた。定期的に何かに魘される一護の手を握り微笑む

 

「…これからも、ずっと蒼井達を宜しくお願いしますね?______一護さん」

 

 

 

 

__________________________

 

〜カフェテリア〜

 

 

「うぇ〜い、見てるぅ〜!?あたしは見えてるぅ!」

 

「…何してんだ?」

 

入るなりいきなりサングラスを掛け、訳の分からない手つきをした月歌がおり困惑を隠せない。と言うより隠す意味が無い…

「遅いぞ、黒崎一護」

 

「何だよ白哉、おめぇも来てたのかよって……」

 

白哉の声が聞こえその方を向く。だが次に一護の視界に入り込んできた白哉は、何時もとは余りにも衣装が違い綺麗な3度見をしてしまった

「…」

 

何と本日の主役タスキを掛け、その顔には丸メガネとちょび髭が付いていた

 

「お、お前…そんな事するキャラだったか…?」

 

だが笑いより先にある1種の恐怖を感じた、普段を知る一護だからこそ感じる事の出来る謎の恐怖心…

「…其処の茅森月歌に乗せられただけだ」

 

「似合ってるじゃーん!」

「止めてやれ月歌、次から朽木さんがどんな顔をして良いか分からなくなるだろ…!」

 

ユキが奥から出て来て、いそいそと白哉のタスキ等を回収、そのままの勢いで月歌を回収し奥へと戻って行く。和泉ユキだからこそ出来る凄まじいスピードプレイに、一護だけではなく白哉も心做しか感心していた

 

「黒崎一護、兄は此度の戦いどうする心算だ」

 

「俺は基地に居るしかねぇよ、蒼井とも約束しちまったしな」

 

蒼井と交わした1つの約束、それを破る訳にはいかなかった

 

「…そうか」

 

「そう言うお前はどうすんだよ、呼ばれて無ぇ訳無ぇか…」

 

「ああ、私は30Gと行動を共にする」

「もう鉄板のペアだな」

 

「…黒崎一護」

 

白哉が一護を見ながら口を開く、一護も自然と目線を合わせた

 

「…?」

 

「兄は其れなりに戦いには出てるが、霊圧等は見つけたか?」

 

「…いいや、全然」

 

「忘れるな黒崎一護、我らの役目は元の世界に戻る事。この世界への過度な干渉はよせ」

 

「…」

忘れてた、とは言わない。白哉が気にしてるのは一護のこの世界に対する思いの変化だろう

 

最初こそは元の世界に戻れると信じていたが、此処最近其れを諦めている自分も居た、其れ所か月歌達と親睦を深めこの世界を離れたく無いと言いそうになる自分が居るのも事実

 

「…わーってるよ」

 

少しの沈黙の後、一護は静かに返事を返した

 

 

 

 

 

 

そうして、彼女達She is Legendのライブが…始まった




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38.司令官として___本当の力

皆さん知ってました??
感想で教えてもらったんですけどね、初期設定の中にキャンサーのデフレクタは破壊出来ないことはないらしいんすよ。ただそれにはほぼ不可能な火力がいるだけで…

おや、これは…(月牙天衝を見ながら)


「…すげぇな」

 

彼女達が組んでこの基地内で演奏しているバンド、シーイズレジェンド。

 

時偶やるライブだがやはり演奏のレベルが凄まじく高かった、あれで未経験者が居ると聞くので素直に驚かされる。だが今日は何時もより演奏に気合いが入っている様にも見えた

 

そして其処に入っている蒼井でさえ、何の違和感も無く見れていた…手にある傷は相当楽器を練習したようにも見えた

 

(…んだよ、すももといちご達も居るじゃねぇか)

 

ふとカフェテリアの端を見ると水瀬姉妹の2人が覗く様にして見ていた。ほんとあの二人は素直じゃない…一護に気持ちを明かした後も蒼井自身には何も伝えられていない様だ

 

 

「其れじゃあラスト!!聞いてくれ!_____”Dance! Dance! Dance!”」

 

気付けばラスト楽曲、彼女達のテンションがより一層上がっていく。最初は乗り気ですら無かったユキでさえ、あの中でも1位を争うくらいにはノリノリでは無いのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(楽しい…!!)

 

蒼井は只、只管に今を楽しんでいた。少し演奏が先走ってしまっても、周りが直ぐにカバーしてくれて…そして皆が自分達を見てくれて、自分も前に立てている様になって

 

(そして……黒崎さんが見てくれている)

 

1番前で、1番自分に近い所で、叫べば気付いてくれそうな距離で聞いてくれている。

 

素性も全く分からない

 

言動は荒っぽくて、戦い方も技も何処かワルそうな感じも在って、でも強くて…その強さは暖かさも在り、一緒に立っていると自分も強くなった様な心強さが有り

 

____そして自分が初めて好きになってしまった

 

セラフ部隊に居る限り、自分にそんな感情が生まれる事など無いと思い切っていた。其れは茅森月歌達も同じだと思うし…一護は何時か取り合いになる可能性だってある

 

(其れなのに好きになってしまったんです…蒼井は悪い子ですね)

 

今此処で好きと叫びたい、思いっきり心の底から口に出して…大きな声で…

 

(だけど其れは”あの約束”に取るって蒼井が決めたんです…我慢我慢…!)

 

一護と交わした約束、お互い忘れられる筈も無い…

 

 

その時まで、その想いはそっと仕舞っておこう

 

 

__________________________

 

〜2時間後〜

 

 

「「アンコール!!アンコール!!」」

 

最後の楽曲を弾いてからアンコールを受け付け2時間が経った。だが未だに耳を塞ぎたくなるくらいのアンコールがカフェテリアを包み込んでいた。だが月歌達は明日から作戦でもある為、もうアンコールは出来ないとそう伝えた

 

全員残念がったが明日からは作戦の者も居る為お開きとなった

 

 

「黒崎一護、少し良いかしら?」

 

ステージ奥に入っていく彼女達を見届けた次の瞬間、一護は手塚司令官から声を掛けられていた。見た所七海も付いていないみたいで私情の様だった

 

「何だ?__俺に何か用か? 」

 

「ええ、今からアリーナに来て頂戴」

 

「…?__分かった…」

 

突如としてアリーナに呼ばれた一護、この時の一護はまだ知らなかった…手塚司令官がこれから行う事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒崎さーん?__あれ…?」

 

ライブが終わり、直ぐ様一護の場所へ向かった蒼井。だが一護の姿は見えずに少しばかり寂しさを感じる。さっきまで居た筈の一護…一体何処へ行ったのだろうか

 

 

 

__________________________

 

〜アリーナ〜

 

 

「んで、用って何だよ。わざわざこんなとこに呼び出して」

 

「単刀直入に言うわ、あの姿になりなさい」

 

「死神のか?___今の俺は霊圧が略無ぇんだ…もしかすれば戦えねぇかもしれねぇ」

 

「ああそう、なら今回の作戦は参加させられないわね」

 

「…!?」

 

溜息をつき、手塚が帽子を深く被る。そしてまるで一護に対し冷たい目でこう言い放った

 

 

 

 

「今回の作戦______誰かが死ぬわよ」

 

 

 

 

「ッ…!!」

 

突然言われた一言に一護が困惑する、その困惑を見透かしさらに畳み掛ける様に司令官が言葉を放つ

 

 

 

 

「そうね…蒼井えりかさんが死ぬと言ったら?」

 

 

 

 

まるで未来がそう決まっている、そんな風な言動をとっていた。その瞬間に一護が懐から代行証を取り出し叫ぶ

 

「____巫山戯てんじゃねぇぞッ!!」

 

次の瞬間、死神の姿へと変わった黒崎一護が手塚を斬り掛かろうと斬月を振り下ろしていた

 

「そうやって直ぐに頭に血が上る、貴方の悪い癖よ______”夏草や、兵どもが夢の跡”!」

 

「っ!____づぁ…!?」

 

斬月を振り下ろした瞬間に手塚司令官が自身のセラフを呼び出しそのまま斬月を下から掬い上げた。薙刀型のセラフはそのまま一護の身体を下から斬り裂いていく

 

「クソッ…!!」

 

血をポタポタと垂らしながら後ろへ下がる一護、手塚司令官は感心している

 

「あら、今ので少しは抉り取ったと思ったのだけれど」

 

「なんなんだよ…!!此に一体何の意味があんだよっ!!」

 

困惑に怒り、そして何処か悲しみを感じさせる一護の問いを手塚司令官は一蹴する

 

「愚問ね、其れに気付けない貴方が1番愚かなのよ」

 

「意味が分かんねぇよ!!突然斬り掛かって……っ!?」

 

「ふっ…!!」

 

一護が話をしている最中に、手塚司令官がトランスポートを使い背後へと回った。流石の一護も其れに気付いて振り返るが、反応が遅く肩辺りを切り裂かれる

 

「…っ!」

 

肩を抑えながら再び後ろへと下がる一護、だが司令官はそのまま突っ込んで行き_____2人の武器が鬩ぎ合い拮抗状態へと陥る

 

「何で…!俺があんたと戦わないといけねぇんだよ…!?」

 

「卍解はどうしたの?_貴方の言う月牙天衝は?」

 

「さっきから質問ばっかりしてきやがって…!俺の質問にも答えてくれよ!」

 

さっきから手塚司令官は一護に対し質問しか投げておらず、反対に一護からの質問には一切答えていなかった

 

「…貴方分かってるの?自分が弱くなっている事に」

 

「んなもん言われなくてもわかってる…!」

 

「私が言ってるのは其処じゃないわ、貴方の戦う意思よ」

 

「…戦う、意思だと…!?」

 

「そうよ、貴方最近力を失ってる…蒼井さんから聞いたわ」

 

「分かってんならなんで…!?」

 

「なら其れを取り戻そうとは思わないの?」

 

核心を突かれてしまった、その瞬間一護に致命的な隙が生まれた。

 

「はぁっ…!!」

 

薙刀を巧みに扱い、拮抗状態を押し返しそのまま右足、そして左腕を斬り裂く

 

「ぐっ………!!」

 

後ろに蹌踉めく様にして下がる一護。斬月を突き立て、何とか体勢を崩すのは防いだ。だが様々な箇所から血がポタポタと垂れており本来なら既に痛みで動けるレベルでは無い

 

「此だけ切り刻んでも倒れない、さっきの戦う意思が無いと言う事は訂正しようかしら…でも」

 

再び薙刀を器用に振り回し突き立てる

 

 

 

「今、貴方は何処か霊圧とやらを戻そうとするのを諦めてるんじゃ無い?」

 

 

 

「…っ!!」

 

 

その一言に、今まで手塚司令官を睨む様にして見ていた一護の目が揺らぎ目線を外した

 

「____どうやら当たりの様ね」

 

 

一護自身にも分かっていた事だった。今回の霊圧の失い方は前回と違って余りにも急速に進んで行った。まるで誰かから霊圧を奪われている…そう錯覚するくらいには一護も感じていた

 

(だがもし誰かから奪われたとして…其れを本当に取り戻せるのか…?)

 

もし仮に奪われていたとしてもだ、外に1度放たれた霊圧は循環していく。だが略の人間が霊圧を持たない世界で誰に対して循環するのだろうか…

 

基地の彼女達には感じられず、チマチマ出撃する任務でさえ周りに霊圧と思われる物は一切感じられ無かった

 

(どうすれば良いんだ…斬月…)

 

自身の斬魄刀に問い掛ける、だが答えは帰ってこない。きっと自分自身の問題なのだろう…

 

(俺は…もう、立てないのか…)

 

心が凍ってしまったかの様に冷たい、其れのせいか両手両足からも力が抜けていく様な感覚に陥っていく。斬月でさえ握るのがやっとだった

 

「もし其処で終わりだと言うなら…司令官として私は貴方を殺します。元々外部の人間である貴方を、何とか上の反発を押し返して此処に入れた…其れは正解だったわ。31A達との戦いで我々人類は急速に領土を取り返しつつある…でも」

 

司令官が1度空気を吸い、吐く。

 

「其処で終わりと言うのならずっとそうしてなさい。今楽にしてあげるから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(気付いて頂戴、貴方は此処で終わる様な男では無い筈よ)

 

セラフ部隊司令官である手塚咲、彼女は今心の中で最早祈る様にしながら一護に歩みを進めていた。勿論彼を殺す事など彼女にとっては余りにも重すぎる事である

 

だが鬼の司令官としてこうするしか他には無いと、自分は余りにも不器用過ぎる事を今は呪うしかない

 

(力を無くしかけた事は周りから聞いていたけど、其れを更に加速させているのは黒崎一護自身の気持ちの強さ…)

 

根本から叩き治さねば、どうしようも無い領域だ。其れに自分は人を励ますのには向いていない…

 

ふと、茅森月歌ならどうするだろうと考える。だが其れも一瞬にして消え去った

 

_________目の前まで、歩んだからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(蒼井にも約束をした、この世界でも仲間が出来た…其れも此処までかもしれねぇ…)

 

「良いのかしら?」

 

目線の上から声が掛かる。だが其れに答える声は無い

 

「本当に良いのね…?」

 

2度目の忠告、だが答えは無い

 

 

 

「あの子達は一体どう思うのでしょうね______」

 

 

 

「…っ!!」

 

薙刀が振り下ろされる直前の一言に一護の目が大きく開く。そして薙刀を斬月で受け止めた

 

「……!?」

 

最期の抵抗かと想い力を込めるが、其れ以上の力で受けているのか薙刀は一向に動かない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

「此処は…」

 

気が付けば大量のビル街の屋上へと立っていた、見覚えが有る世界。此処は___良く斬月のおっさんや内なる虚と何かしらある時に呼ばれる場所だ

 

「斬月のおっさん!居るのか…!?」

 

周りを見ながら叫ぶが一向に斬月の姿も、内なる虚の姿も見えない

 

「黒崎さん…?」

 

「っ!?_____お前は…」

 

後ろから突如した女性の声、其れに気付いて振り向いた____そしてその正体に驚く

 

 

「佐原…、何でオメェが此処に…其れに其れ、死覇装じゃねぇか…!?」

 

「え、えっと…イマイチ状況が掴めなくて…此処に私を呼んだのは黒崎さんですか…?」

 

「俺がお前を…?」

 

「私も分からなくて…と言うか…話せば長くなると言うか……っ…あれ?」

 

「お前…何泣いてんだよ…」

 

気が付けばヒユは目から涙を流していた

 

「あれ…何で…、こんな大切な事を忘れてたんだろ…、そうだ…!黒崎さんだ…、柊木さん…!」

 

「お、おい…!?」

 

気が付けば、一護に抱きついてワンワンと泣き始めたヒユ。取り敢えず分からないから、頭を撫でておくと更に泣き方が酷くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずび……すびばせん…」

 

「お、おう…落ち着いたか?」

 

「はい…!其れに私が此処に呼ばれた理由が分かりました…」

 

「そうか…!」

 

「___此です」

 

そう言って懐から取り出したのは、黒い球体だった。球体のサイズは差程は無いがその中に眠る霊圧は凄まじい物だった…

 

「て言うか此…俺の霊圧じゃねぇか…!?何でオメーが…!?」

 

「あの時、その斬魄刀に触った時に私はそのまま逝くと思ってたんですけど…”空っぽの私に多分死神の霊圧が入った”んですかね…その時に黒崎さんの霊圧をガッポリ食べちゃって…」

 

「て事はお前まさか…!?」

 

「はい…今は尸魂界ってとこで平子隊長達と」

 

 

「平子とォ!?」

 

取り敢えずヒユが、尸魂界に行ってしまったとか言う訳の分からない事に驚くが、其れと同じくらいにまさかの平子のお世話になってる事に驚いた

 

 

『なんやお前文句あるんか!?』

 

 

とドヤされそうではあるが其処は驚かせてもらう、アイツにそんな事が出来るとは…

 

「そして其れからは…多分、私の存在をあっちで維持する為に一護さんの霊圧をまた少しずつ食べちゃって…」

 

「お前なぁ…そんな菓子みてぇに…」

 

まさかのヒユが犯人だったのだが余りにも怒りづらく呆れ声しか出す事しか出来ない

 

「でもやっと自分の霊圧を持つ事が出来て、一護さんの霊圧が無くても動けるようになったんだと思います。そして今此処で漸く返せる。多分私の中から一護さんの霊圧が無くなるのでこうやって話せる事は出来なくなりますが…その球には少しだけ私の霊圧を入れてるのでもしかしたらです…へへ!」

 

「今さり気無く怖ぇ事言いやがった…」

 

「其れはさておき!早く行かないといかないんじゃ無いですか!_____皆さんを、護るんですよね!」

 

「でも…」

 

「良いから早く砕いちゃってください!___こっちは皆さん無事ですから!」

 

「そうか…」

 

ヒユの目を見る、彼女は明らかに最初に出会った時よりも確実に強くなった。心も…身体も

 

(其れに比べて俺は…情けねぇ)

 

「私はこっちを護る為に頑張りますので、私の場所もお願いします___そして何時か、全てが元通りになります様に!」

 

 

「ああ、任せてくれ…!」

 

ヒユの手から受け取った球を握り潰す様に砕く

 

 

「また会いましょう、黒崎さん」

 

 

「ああ、お前も元気でやれよ」

 

 

次の瞬間、視界が白く染まっていき…精神世界の崩壊を直感した2人は別れを告げ____元の世界へと戻って行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何…、この悪寒は…!)

 

手塚咲が何かを感じ取り一護から距離を取った、その直後___一護から凄まじい圧が解き放たれ、其れは凄まじい爆風となりアリーナを包み込んだ。その風が止んだ後黒崎一護の声が聞こえる

 

「有難な、手塚司令官。俺は行かねぇといけねぇ」

 

「…ええ、そうね。でも彼女達は数十時間前に行ったわ」

 

「は…!?俺達そんなにやってたのかよ…!?」

 

「ええ、お陰様でお互いクタクタよ 」

 

「言われて見りゃあ身体が重い…、クソ…」

 

2人が疲労を感じた直後……

 

 

 

「手塚司令官…!」

 

アリーナの中に入って来た隊員の1人が肩で息をしながら走って来た

 

 

 

「オペレーションプレアデス範囲内に、何か異様なモノを識別しました…!!」

 

 

「「…!?!?」」

 

 

 

 

 

 

 




おかしいな、適度なボリュームのはずが筆が止まらなかった()



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39.アイビーのお守り___予感

作者は、時系列を学んだ!!
____しかし作者は死んでしまった


〜オペレーションプレアデス決行日・午前7時〜

 

オペレーションプレアデス最後の打ち合わせの為に31A、31Bのメンバー全員が集まっていた

 

「蒼井…此付けて行ってはくれねぇか?」

 

「いちごさん…此は、植物…?」

 

そんな中、今にも消えそうな声でいちごが蒼井に話し掛け、とある物を渡した。

 

「アイビーって言うツルを腕に巻いておける様にシュシュにしてみたんだ」

 

「作ってくれたんですか…?蒼井の為に…」

 

「ああ、皆でな」

 

「忙しい私も参加したんだぞ…」

 

「良かったです…喜んでくれて…!」

 

「ヴァウ!」

 

31Bの全員が口々に様々な事を蒼井に言う。蒼井は余りの嬉しさに目に涙を浮かばせた

 

「あ、有難く付けさせて頂きます…!!___此を付けたら不滅の蒼井になれます!!」

 

「其れに、昨日もだったけど…本当に今まですまなかった…」

 

「いえ、もう良いんです」

 

「蒼井…」

 

「此から一緒に、戦ったりご飯食べたりして過ごせば良いだけですから!____蒼井こそ…今まで御免なさい。こんな情けない部隊長、心配だったと思います。でも…」

 

蒼井は腕にアイビーのシュシュを付けながら力強く言った

 

「もう、不滅の蒼井えりかですから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツら、良い感じになったな」

 

其れを遠目から眺めていたユキと月歌。ユキが最初にそう言い、月歌も其れに頷いた

 

「皆さん、おはようございます」

 

「あれ、ななみんだけ?」

 

「はい、手塚司令官は只今席を外しておりますので」

 

今回の作戦確認の指揮を執るのは珍しく七海1人だけだった、本来なら此処に手塚司令官が現れ今回の作戦の全てを確認してくれている

 

「まぁななみんも指揮力高いしいけるでしょ!」

 

「お前は手塚司令官をなんだと思ってるんだよ…」

 

「…では、作戦の説明を______」

 

其処から数十分に掛けて今回の遠征作戦、オペレーションプレアデスについての詳しい解説が始まった。見たい時には何時でも、電子軍事手帳から確認が可能だが下手に電池を減らす訳には行かない為、出来れば此処で覚えたい。

 

(まぁ其れも、月歌を除いてだがな…)

 

部隊長茅森月歌は大概覚えていない、その為、和泉ユキがその負担を負って立っている

 

(月歌の戦闘センスは凄いんだけどな、もっと作戦を覚えていて欲しい物だ…)

 

そんな事を思いつつも、メモを取ったりして作戦を聞いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだななみん、一護は?」

 

作戦の説明が終わり、最終調整に入った時だった。月歌が一護が居ない事に気付き、七海に聞く

 

「黒崎一護さんは先日から見掛けておりません」

 

「そっか〜…何処行っちゃったんだろ」

 

いくら今回の作戦から外れたとは言え、見送りをしない様な人間では無いと思っていた月歌、少しばかりの不満が募った様な気がした

 

 

(何だろう…アリーナの方から凄い気が…!?)

 

31Bの柊木梢は、自身の身の回りをチェックしながらアリーナの方角を眺めていた。彼処だけ何と無くだが、気配が凄まじく可笑しいのだ。只其れは黒崎一護の様な荒々しさも感じられず未知の気だった

 

其れは言わば歴戦の猛者の気迫にも思えた

 

「柊木さん?大丈夫ですか?」

 

「はっ…いえ…!大丈夫です!」

蒼井の声掛けによって気に呑まれそうになったのを、何とか押し戻す事が出来た

 

(多分、黒崎さんだろうな…アリーナで、何をしてるんだろ…)

 

敢えて口には出さなかった。きっと一護は一護なりに頑張ってるんだろうという想いが有ったからだ

 

(其れに蒼井さんだって気になってる筈…私も前を向かなきゃ…)

 

 

 

そうして各自が軍のヘリに乗り込み、基地を後にして行く

 

 

 

 

______オペレーションプレアデスが始まった

 

 

__________________________

 

〜数十時間後・セラフ部隊基地〜

 

 

「クソ…!何でそんな大変な事を早く言ってくれねぇんだ!!」

 

悪態を付きながらセラフ部隊基地の中を黒崎一護が走って行く、事は数分前______

 

 

 

「オペレーションプレアデス範囲内に……謎の反応が…!其れも大きいです!」

 

 

手塚司令官とヒユのお陰で自身の力と霊圧を取り戻した黒崎一護。数十時間の戦闘で身体はボロボロだったが未来と言うのはどうも理不尽極まりない物だった

 

即座に司令官が何処かへ走って行き、一護は数分だけ其処に取り残されてしまった____だが数分後に司令官からの翌日からのオペレーションプレアデス参加が認められた

 

既に日も暮れていた為、黒崎一護の出撃は明日となったが、一護がそれを断固反対し、最後は一護が「瞬歩で行く!」と言い張り話は平行線に_____司令部側が折れて一護は瞬歩での移動となった

 

「かなり距離があります…其れでも、行きますか?」

 

「当たりめぇだろ、其れくれぇの覚悟が無ぇとな」

 

「…分かりました。ですが条件が有ります…」

 

だがその代わりに幾らか条件も着いてしまった。その条件であるいくらかの小型道具を貰いに一護は走って行く

 

(蒼井、約束破っちまうが許してくれ…。俺ァもう大丈夫だからよ……皆待っててくれ…!)

 

焦る想いを何とか押し殺し、一護は走って行った

 

__________________________

 

〜夜・野営地付近〜

 

「こんな景色が在ったなんて、偶には野営も悪く無いかもな」

 

茅森月歌は、夜の景色を見ていた。普段の明るい基地からでは見えない空を…様々な星の輝きを

 

(何か寝れないなぁ、別に作戦は何事も無く進んでるのに)

 

今日だけでフェーズ5まで進んだ。余りにも順調すぎるくらいに…

「茅森さん」

 

「わっびっくりした…、蒼井か」

 

「驚かせてしまいましたか?___すいません…」

 

「いやいや別に良いよ。てかもう交替だっけ?ちゃんと寝とかないと明日が持たないぞ〜」

 

「えへへ…でも何だか寝れなくて、こう言う経験って修学旅行みたいで」

 

「確かにな、今じゃ出来ない事をあたしらはやってる。このままキャンサーなんか居なかったらって思うけどね」

 

「ふふっ…其れはそうですね…、でも蒼井達は其れを叶える為に今、こうして立ってるんですよね」

 

「そりゃそうだ」

2人は静かに空を眺める。

 

「綺麗ですね」

 

「ああ、一護にも見せたやりたかったくらいにはな」

 

「ちゃんとお留守番してると良いんですけど…」

 

「はは、蒼井は本当に一護が好きなんだな」

 

「〜〜〜っ!!」

 

月歌が揶揄う様に言い、蒼井が顔を真っ赤にしていた。何か頭から煙が出てる様な気もするが、此は気のせいだろう…多分

 

「ま、まぁ…黒崎さんは、、私にとって大切な人なのですので…ですからえっと…!」

 

「自分から自爆してない…??」

 

「うう…」

 

其処で蒼井が、まるでダンゴムシの様に丸くなり動かなくなった。月歌はそんな蒼井の頭をポンポンしながら謝る

 

「___でも、ちゃんと言いたい事が有るならしっかり言えよな。あたし達セラフ部隊は何時死ぬか分からないしな」

 

「…はい」

 

何時に無く真面目にそう言う月歌に、蒼井が頷いた

 

「ま、あたし達が負ける事なんて早々無いけどな!ユイナ先輩と朽木さんも今回の作戦に居るし安心安全!後は歩けば良い話!」

 

「はい!早く帰って茅森さん達と祝杯、あげましょう!」

 

「おっ!覚えててくれたか!あははっ!」

 

「__おーい、盛り上がってるとこ悪いけど…交代だぞー」

 

2人で笑っていると、茂みからユキが歩いて来ており2人にそう言う

 

「はーい!」

 

「分かりました!」

 

2人はお互い顔を見合せ、ユキの場所へと歩いて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ…!!まだ掛かんのかよ!!」

 

『だから言ったでしょう、かなり距離が在るのよ』

 

「分かってはいたがよぉ…!!」

 

荒廃した街の屋上を歩き渡り、木々を飛び回り、一護は只只管に彼女達の元へと進み続けていた

 

腕には1つのブレスレットを装着していた。其れは司令官曰く、一護自身の力を測定したりする物らしい。他人に力を覗き見されるのは好きでは無いが、其れだけ付けとけば蒼井達の元へ行ける…安いもんだ

 

『今の周りはどう?』

 

「有り得ねぇくらいにキャンサーを見かけねぇ」

 

『其れは当たり前よ、彼女達が進んでいる物』

 

「って事はもうそろそろか…」

 

『まだよ』

 

「まだなのかよ!!!」

 

『ええ、後、食料と水を摂りなさい』

 

「何で分かんだよ…」

 

『見てるもの』

 

「気持ちわりぃな!!ブレスレットか!?この!?」

 

『壊したら出撃は取り消すわ』

 

「ぐっ…!!」

 

そう言われてしまうと、もう一護は反撃が出来ない。安いもんだとは言ったがまさか健康なども管理されてしまっているとは…

 

帰ったら何かしらゲンコツしてやりてぇと思いながら進んで行く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

「…か!!」

 

(ん…なんだよ、今あたし寝てるんだけど…)

 

「おい……るか!!」

 

(慌てるなって…何かあったの…?)

 

「おい…!起きろ!!」

 

 

 

「うわぁ!?」

 

月歌は最早テントから転げ落ちる勢いで飛び起きた。其れをユキが見下ろしている

 

「威勢の良い目覚めだな」

 

「いや…そんな心算は」

 

「月歌さん!ユキさん!なんだか周りが可笑しいです!」

 

其処にタマが走り寄って来た。普段のタマとは想像のつかない真面目さに月歌の気も引き締まる

 

「何か有ったの?」

 

「何と言うか…静か過ぎます…」

 

「早朝だからじゃない…?」

 

朝早いと流石に生き物も寝ているだろうと考える。でもまぁもしかしてと思い月歌は言う

 

「分かった。取り敢えず朝の散歩がてら周り観てくるよ」

 

そう言って歩き出した瞬間だった

 

 

『茅森さん、応答は出来る??』

 

 

司令部から、突如として連絡が来たのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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40.紅きcrimson___

さてさて、第2章もいよいよ大詰め!!
是非ともこの作品にお付き合い下さい!!

作者も頑張りますよォ!!!


そしてもしかしたら俺を追い抜く作品が生まれるかもしれない…、やはり負けたくないもんがありますね…。頑張りますよ〜!


『此方司令部、茅森さん応答は可能?』

 

早朝、オペレーションプレアデス2日目が始まった瞬間に月歌達は周りの異変に少しずつ気が付き始めていた。そしてその瞬間に発破を掛けるかの様に司令部からの通信が入って来た

 

「はいよ、移動中だし大丈夫」

 

月歌がそう言って答えると、司令部は何やら深刻そうな声音で伝えて来た

 

『昨晩からドローンを飛ばして周辺状況を確認しているのだけれど...』

 

正確に言えば、一護に忍ばせておいた大量のドローンの事だった。飛んで行くとか言う奇想天外な発想を聞いた瞬間に手塚司令官は、「じゃあついでにドローン運ばせとくか」と言う何とも軽いテンションで発案し、此に全員が賛同した。此は因みに本人は気付いていない

 

『…周辺の昆虫や鳥などの小動物の反応が極端に減っているの。そっちでも何か確認出来た?』

 

「ああ…今其れで皆と話し合ってたんだ」

 

『気付いていたのね…なら気を付けて頂戴。何かの前触れかもしれないわ』

 

「つまりボス戦って事か…!!」

 

「そんなのに出会ったらあたしら死ぬぞ」

 

ハッとなる様に言った月歌に対して、ユキが相変わらずのツッコミを入れる。だが何時もの様に斬れ味は無かった…

 

 

やはりこの場所に居る全員がその異変を感知しているのかもしれない…

 

『もし何か不振な事が有ったら直ぐに連絡して頂戴』

 

其れを最後に司令部からの通信が途切れた

 

「司令部も何かに気付いてる、此もしかして本当に何か有っちゃったりしない…?」

 

「覚悟はしておいた方が良さそうだな」

 

「やだ怖いなぁ…」

 

「…何か聞こえませんか?」

 

不穏な空気が漂う中、タマが何かを指差して言う。月歌達も釣られて其方を見る__________

 

「キャンサーだ…!!」

 

一体一体の強さは差程無い所謂雑魚…だが数だけは異様に多かった。どうやら相手も此方に気付いているらしく一斉に向かって来る

 

「来たぞ…!!”あたしの伝説は、ここから始まる”!」

 

即座に反応しセラフを呼び出した。全員が各々セラフを持ち戦いが始まった

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

(静か過ぎる…)

 

木々が多くなって来た場所を伝いながら辺りを見回す一護。だがその周りの異様な静かさに少しずつ嫌な予感を感じていた

 

(距離は差程無ぇ筈だ……もう少し飛ばすか…)

 

瞬歩の速度を更に上げていき、一護は月歌達の元へと急いだ

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

「何だ、キャンサーの気配が無くなった…」

 

 

戦い始めて数分、やはり個体の強さは全く無く全員の息を合わせれば直ぐに片付けられた。だがその後にはキャンサーの気配を全く感じなくなってしまった

 

「…何だこの音」

 

「ん…?何か聴こえたか?」

 

その直後、月歌の耳に何かしらの音が聴こえた立ち止まった。だが略同じ場所にいたユキには聞こえておらず少し戸惑う

 

「なぁユッキー、遠くから何か叫んでる声しない? 」

 

「……確かに聞こえるな、何か嫌な予感しかしないぞ…」

 

暫く耳を澄ますと聞こえて来た様でユキが頭を抱えた

 

「恐らくこの声が元凶の筈だ、気を付けろ月歌…」

 

「分かった、方角は分からないけど気を付けて進むぞ…あたしから司令部に連絡を入れておく。ユッキーはデータ照会を至急頼む」

 

「ああ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから着いて来ている31Bのメンバーにも伝えておき、此方は樋口が解析を始めていた様だ

 

「行くぞ…」

 

幸いにも木々が有る所の為、慎重に進めばきっとバレないとそう考えて忍び足で移動をしていく。岩なども有り、隠れる場所には案外困らなかった…心配と言えばこの先に隠れる場所が有るかどうか…

 

 

周りにキャンサーが出ない事が唯一の有り難さだった

 

______その瞬間、司令部から連絡が入った

 

「お!?何だ何だ…!?」

 

直後、七海からの緊迫感が伝わる声が月歌達に聴こえて来た

『ポイントアルファから距離凡そ1万、11時方向に大型キャンサーが出現しました』

 

「大型キャンサー…!」

 

「…やっぱり居たのか」

 

『此を以降”RedCrimson”と呼称します』

 

そしてそのRedCrimsonと呼ばれる大型キャンサーは、9時方向から3時方向に進んでいる…その先には軍の防衛ラインが存在しており突破されかねないとの事

 

 

そして外見からの特徴、長距離砲撃を可能とする攻撃器官を有している可能性が有ると言う事だった

 

更に最悪な事に、そのRedCrimsonと1番距離が近い部隊は

 

___31Aと31Bだった

 

『他部隊の撤退が完了するまで、足止めをして下さい

 

『敵は新種のキャンサーであり、尚且つデータからも今迄のどのキャンサーよりも強力だと言われています』

 

「待ってくれななみん…!そんな奴とあたし達が戦って生きて帰れる保障が有るのかよ…」

 

濁流の様に流れる情報の中、月歌が言葉を挟んだ。訓練の際でもレベルが高いキャンサーには苦戦を強いられ…其れでも何とか乗り越えて来た。だが今回は其れを遥かに凌ぐ領域のキャンサー

 

いくら元29A所属の蒼井や、今年の最強と謳われている31Aだとしても生きて帰れる保障が有る様には感じられなかった

 

 

『尚、現時刻を持ってオペレーションプレアデスは破棄となります。まずはポイントアルファまで移動、その後は司令部の指示に従って下さい』

 

 

「作戦…破棄だって?」

 

「残念ながら失敗って訳だな」

 

「「なっ…!?」」

 

「落ち着け、お前ら…」

 

其れにタマ、めぐみ、月歌の3人が確実に動揺していた。だが即座にユキが落ち着かせ様とする

 

「そんなの納得いかねーよ…」

 

当たり前だ、作戦の破棄なんか誰も望んじゃ居ない筈。命を懸けた2日間を否定する権利など誰にも存在しない…存在してたまる物か

 

「気持ちは分かる…だが受け入れろ」

 

「でも…」

 

「良い加減にしろ月歌、もしこのまま突っ走れば必ず仲間の誰かが死ぬ。そうしたら悲しくなるのはお前だけじゃない…生命を背負っている事を忘れるな」

 

「ユッキー……、分かった。ポイントアルファまで行こう」

 

「良い子だ…」

 

月歌が全員に部隊長命令を出し、オペレーションプレアデスは破棄。取り敢えず31A及び31Bはポイントアルファまで退避となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと着いたか…蒼井、報告頼む」

 

暫く走り、ポイントアルファまで退避に成功した月歌達。全力疾走では無いと言えど精神的にも追い詰められているせいなのだろうか。何時もより足が重く感じている者も少なくは無かった

 

「分かりました…」

 

蒼井が司令部に報告を行い、司令部からの連絡が入る

 

『了解しました。只今RedCrimsonとの接触まで900…800…、其方からの視認は可能ですか?』

 

蒼井が辺りを見回し、難しそうな顔をする。月歌の見るが其れっぽい物は何も確認出来無かった

 

「難しいです…、現在地の視認性が悪く明確に視認が不可能です______」

 

そうして会話をしていた次の瞬間、凄まじい揺れと咆哮を月歌達を襲った

 

「な、何だ…!?」

 

全員が1つに固まり、蒼井が前に出て直ぐ様防御を展開する。その直後、凄まじい熱を持った爆風が蒼井達を襲った

 

「くっ…!?」

 

「…こっちに攻撃は飛んでないみたいだ、何処か近くを撃ったかもしれない…!」

 

「嘘やろ…今で直撃やない言うんか…!」

 

凄まじい熱を持った爆風が過ぎた直後に、月歌達が立ち上がった

 

「蒼井、大丈夫か?」

 

「平気です!」

 

最初に爆風を防いだ蒼井だが、デフレクタの減りも差程では無かった様で月歌を見る目は未だ死んでなどいない

 

『…夫!?___茅森さん___!?』

 

「司令部…!」

 

『手塚よ!今一体どうなったの!』

 

司令部も把握出来てはいなかったのか、奥からは慌ただしい声が響き渡り通信相手である手塚司令官すらその声からは戸惑いを隠し切れていなかった

 

「分からない…!爆発が聞こえたと思ったら直後に爆風が…!」

 

『…分かったわ。今司令部が推測した情報によれば砲撃の威力、そして射程は此れ迄のキャンサーとは一線を画していると推定された…、よって司令部はRedCrimsonの緊急排除を決定』

 

その瞬間、月歌達の背筋が強ばる。最早何を言われるかなんてその場所に居た全員が分かりきっている事だった…、少しばかり間を取り手塚司令官が言葉を放つ

 

『31A、31B両部隊に命じます。蒼井さんの盾で砲撃を防ぎつつ、トランスポートでRedCrimsonまで接近、そして其れを討伐しなさい』

 

「無理だろ…あたし達だけじゃ」

 

『勿論其れは承知している、だけれどこのまま引き下がり防衛ラインが突破されれば多くのドームが壊滅。其処に住む住人達は全て全滅する事になる…』

 

「和泉だ、横から入る様で悪いが増援は来るのか?」

 

『…悪いけど貴方達二部隊、他部隊は撤退若しくは射程距離外に撤退させます』

 

「悪いが私らに任せる、その理由が有るんだな」

 

『そうね…時間と、無理な増援で犠牲を増やさない為よ』

 

「やっぱりか、増援を出すのは悪手って事かよ…」

 

『其れに集まる時間も、蒼井さんの防御が無いと貴方達も終わりよ。だから私達は犠牲が最も少なく…そして成功率が高い方を選んだ』

 

成功率が高い…そう言われたとしてもあの威力の化け物を、この人数で相手をするのは余りにも分が悪い。ある意味死ねと言われている様な物だ…

 

只そんな事、司令部も分かりきっている筈だ。だからこそ何も言えない…

 

『只この作戦は蒼井さんの防御力があっての事、厳しい戦いになる。無理強いはしない…もし断るのなら次の作戦を考えるわ』

 

「いや、やります…蒼井にやらせてください…!!」

 

断ると言う選択肢はそもそも存在していないだろう…、そして其れを断ると言う選択を_____蒼井がする筈無かった

 

『…茅森さんは?』

 

「勿論、蒼井がやるならあたしらもやるさ」

 

蒼井と目を合わせて頷く。月歌の心にも迷いは無かった…

 

 

此処には仲間が居る、ユッキーが居る…そして蒼井が居る。信じる…只其れだけを胸に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 

「何だよ今の爆発…!!おい…司令部っ!七瀬!!手塚!!返事してくれ…ッ!!」

 

一護の方にも、爆発の音と爆風は届いていた。しかもその音がしたのは明らかに月歌達辺りの方角だった

 

司令部に直ぐ連絡を掛けるがノイズばかりで一向に返事は返って来ない…

 

 

「何だよ…!」

 

最早使えなくなった無線を投げつけ、一護は走り出そうとした。だが気が付けば辺り一面にキャンサーが蔓延っており一護の行く手を阻もうとしていた

 

「なんなんだよ…!!何がどうなってんだよッ!!」

 

一護は理解出来ない状況に声を荒げ斬月を抜き放った。そして________

 

 

 

 

 

 

 

「卍…解ッ!!!」

 

 

 

 

 

一護がキャンサーと戦い始めたその先では_________空が赤く光っていた

 




一護…頑張れ( 'ω')

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41.嫌な予感___オレガマモル

この小説を書き始めてもう40話!!そしてそのタイミングでUAが3万突破しました!!

有難いことまみれのフルコースですよ!!
これからも頑張っていきます!!


「はぁ…はぁ______”月牙天衝”…!!」

 

凄まじい霊圧の奔流がキャンサー達を襲い、次々とデフレクタを破壊しそのまま消えていく。そこら辺のキャンサーであればコツを掴んだ一護にとってはかなり攻めやすい相手となっていた。だが……

 

(この数はなんなんだ…!アイツらの方から来てたみてぇだが…)

 

正直瞬歩で逃げると言う手がある、だがこのままこの数のキャンサーを後ろへ行かせる事となれば確実にドームに被害が行く事は分かりきっていた

 

月歌達の役目はドームを護り、そして世界を取り戻す事…ならばキャンサーを見掛けたら即座に殺さねば、さもなければセラフ部隊としての面目が潰れてしまう

 

「俺一人で此はいくら何でもしんどいな……畜生…」

 

手を額に当てて息を整える。力を取り戻したばかりで未だ身体の中を凄まじい量の霊圧が暴れている…その状態での虚化はかなりのリスクがあった。

 

(だけど今はそれを考えてたら先にやられちまう…セラフを持ってない分俺はアイツらより更に力を込めねぇと押し負けちまう…)

 

かなり数は減ってきた筈だ…今ならこの一撃でこの場に居るヤツらを消し飛ばす事も可能の筈だ。

 

 

 

『一瞬で決める_____月牙…天衝ォッ!!』

 

 

一瞬だけ、一護の額に虚の仮面を被せそのまま月牙天衝を放つ。身体の中の霊圧が一気に高まり…ほんの一瞬闘争本能に身が包まれかけたがそれを何とか虚化を解除し防ぐ

 

 

「はぁ……はぁ……早く馴染んでくれ、俺の身体…!」

 

 

卍解は解かずにそのまま走り始めた。周りのキャンサーは全て消し飛んだのを確認しつつ更に速度を早める

 

だが瞬歩ではなく徒歩での移動が良いと何となくだが一護も感じていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「接近戦ならまず距離を詰めないとな…」

 

「セオリー通りに時計回りに迂回して死角から突っ込んで奇襲するか?」

 

月歌達二部隊は声がした方向に着実に進んでいた。陣形は蒼井率いる31Bを前へと移動させていた、盾となる蒼井が前に入ればいざと言う時に攻撃を防ぎ後ろから月歌達31Aが奇襲を掛けれる。それが相手に通用するかどうかは本人を見なければ分からないが…

 

「こっちを識別する方法が分からないからなぁ…、もし全方位の攻撃があればそれで皆終わりだ」

 

そう言った直後だった、再び凄まじい音圧の咆哮が月歌達を襲う

 

「目標の咆哮…!!距離約5000m…!」

 

「近い…、もしかして気づかれたか!?」

 

先程よりも明らかに縮まった距離、只此方に移動して来ているのか月歌達の気配を感じ、只目標を消し飛ばさんと移動して来ているのか…だが相手が長距離砲を積んでいると言う情報の中、此処まで詰められたのなら確実に射程範囲内と言うのは此処に居る誰もが理解した

 

「いちごさんすももさん!注意を此方に向けます、その間に戦闘準備を!」

 

誰よりも早く動いたのは蒼井だった、いちご達よりも更に前に出て冷静に指示を飛ばす

 

「待て蒼井…!アイツなんか溜めてやがるぞ!!」

 

其処で初めていちご達が目にしたRedCrimsonの姿、距離が離れていてもハッキリと目にする事が出来、其れが奴がどれだけの大きさなのかを想像させた

 

「口を大きく開けてるにゃあ!!」

 

そして恐らく口が射出口なのだろう、其れ程までに大きく開けた口からは此方側からも視認が可能なくらいのモノを溜め込んでいた

 

「気をつけろ!やべぇのが来る!!」

 

「ヴァゥゥゥ…!!」

 

ユキがセラフを展開、そんな物で迎え撃とうとも明らかに消し飛ばされる。それを分かってでも無意識に前へと______

 

「皆さん伏せて…!」

 

それより先にセラフを展開したのは蒼井だった、盾型のセラフから大きなシールドが現れ月歌達全員を包んだ。そのコンマ0.1秒後

 

 

覆われている周りが見えなくなる程のエネルギーが蒼井達を襲った。

 

「蒼井っ!!」

 

「くっ……!!」

 

いちご達が蒼井に近付こうとするが、展開しても尚襲う爆風が近付けさせてはくれない

 

「っ…!!」

 

蒼井の盾が割れるのと同時にRedCrimsonの攻撃も止み、一先ず攻撃が止んだ事を理解する

 

「皆さん無事ですか!?」

 

直ぐ様蒼井が自らの身体よりも月歌達に安否を確認する

 

「31A、全員無事だ!助かったよ…!」

 

「どんな威力しとんねん…」

 

「蒼井さんなら何とか防げるみたい…でも」

 

「…あの蒼井さんの消耗を見て、連発で来たら流石に…」

 

 

 

「いいえ…」

 

 

 

蒼井の消耗具合を考えて、明らかにあんな物が連発で…しかもあれ以上の威力が無いとも言い難い。そんな物を食らい続ければ蒼井が潰れるのなんか誰でも分かっていた

 

だが蒼井は首を横に振り、其れを否定した

 

「私が何度でも、何回でも防ぎ続けます!」

 

「蒼井…」

 

分かっていた、蒼井自身にもきっと連発で来れば持たない事なんて…

 

だが蒼井に自然と不安と言う感情なんて存在していなかった、

 

_茅森月歌達なら

 

__自らを信じてくれていた水瀬いちごやすもも

 

___こんな自分自身に着いて来てくれていた同じ部隊の仲間達なら

 

 

きっと倒してくれる。必ず犠牲なんて出ないって…

 

そして蒼井自身が、基地で待つ彼と約束しているから

 

だからこそ倒れる訳にはいかないし仲間を死なせる訳には行かない。

 

 

 

「デフレクタが続く限り防ぎ続けます、その隙に皆さんで懐に忍び込み…倒して下さい!」

 

 

「もし、そのデフレクタが尽きたら…?」

 

月歌の口から無意識に、そんな言葉が漏れ出る。蒼井は何処か内心笑ってしまう、決して悪い意味では無い

 

茅森さんも、蒼井を心配してくれるんだな…

 

普段は何処か部隊長とは言えないオーラを纏っていた筈の彼女から…本気で人の命を心配する言葉が出た

 

(本当に茅森さんは…優しい人です。でも…)

 

「蒼井は、大丈夫です。お互いの得意分野を合わせてチームとして強くなる…さんざん一緒に学んで来たじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌な予感がする。

 

 

ふと蒼井の言葉を聞いた茅森月歌が最初に思ったのはそんな言葉だった。

 

今まで良い予感ばかり感じて来た茅森月歌自身に嫌な予感がするなど初めてだった

 

此処で蒼井に行かせれば確実に蒼井は死んでしまう…、蒼井の事を信じている。だがこれはどうも変えられようの無い事実、そんな感じに思ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼井、ダメだ…」

 

「茅森さん…?」

 

人間と言うのは1度最悪な考えまで達してしまえば、例え相手が拒むだろうと分かっていてもその考えから遠ざけようと最善の事を考えてしまう物だ

 

「嫌な予感がするんだ、今まで良い予感しかしなかったのに…なんか____」

 

 

「___らしくないですよ、茅森さん」

 

「……」

 

やはりそうだ、蒼井が此処まで来て後ろに下がるなんて…そんな事無い。分かっていた、なのになんで、こんな事を言ってしまったんだろう

 

「今は敵を撃破して、皆で生き残る。其れだけを考えましょう」

 

その”皆で”には、蒼井自身が含まれているのだろうか…

 

 

「蒼井が先行します、敵の攻撃を何とか耐え切るので私には構わず進んで下さい……良いですね?」

 

最早、蒼井の目からは有無を言わさない気迫が溢れていた。半ばそれに押される様に月歌も頷く

 

 

 

 

 

 

「有難う御座います!茅森さん、皆さん、行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよ今の爆発…、んで何だよこの嫌な予感…」

 

茅森月歌が感じた背筋が凍るような最悪の予感、其れを黒崎一護も感じていた

 

その嫌な予感を感じた直後、再び雑魚キャンサーの集まりが一護を襲う。

 

 

「どけ、どけ…!!どけどけどけどけぇぇっっ!!!」

 

斬り倒す、斬り倒していく、ひたすら、ひたすら、ひたすら、ひたすら、

 

左からも、右からも、上からも、後ろからも前からも何処からでも

 

 

「俺が皆を護るんだよォッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____俺が護らなければ、蒼井達を…

 

 

 

 

 

 

”””””オレガ……マモラナケレバ…




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42.無敵__そして

2章もいよいよ大詰め!!
黒崎一護が関わりどのように世界が変わるのか…その先にある未来はなんなのか。是非見届けていただけると幸いです!


 

「行くぞ!蒼井!みんな!!」

 

31A、31Bが一気に物陰からテレポート、一気RedCrimsonの真正面へとワープする事に成功する。だがRedCrimsonも其れを分かっていたのかの様に直ぐ様口から赤い塊を射出する

 

「此処からは、何人たりとも通しません!!」

 

作戦通りに蒼井が1番前に立ち、その攻撃を防ぎ切る。そしてRedCrimsonの射出口が剥き出しとなった、どうやら撃ってから暫くはクールタイムとやらを置かなければならない様だ

 

だがそれは同時に、蒼井に対する先程の一撃の重さを表す事となった。そんな負担を顔に見せる訳も無く蒼井が振り返って叫ぶ

 

「今です!お願いします!」

 

 

 

「ああ!!蒼井が作り出してくれた隙を逃すな!」

 

「あたりめーだろーが!!」

 

セラフを構えそれぞれがそれぞれの思いを胸に抱えRedCrimsonへと進んでいく

 

 

「ウチがいくでぇ!!」

 

めぐみが大剣をRedCrimsonへと突き刺す。痛みからか顔を振り暴れるRedCrimsonに吹き飛ばされ地面に叩き付けられる

 

「ぐっ…くっそ!」

 

「逢川!!」

 

「ウチに構わんとどんどん行かんかい...!!」

 

その一言に頷きその直後にユキといちご、つかさが頭部目掛け何発もセラフのエネルギー弾をぶつけていく。だがその途中にRedCrimsonが口を閉じてしまった

 

「ひひゃぁあああ!!」

 

カレンが鎌型のセラフを振り回しRedCrimsonへと乱舞撃を叩き込むが_____

 

「手応えを感じんぞ!!」

 

「クソ…攻撃をしてもムダだってのかよ…!」

 

「また何かを溜めている可能性があるな」

 

樋口がセラフを撃ち込むが敢え無く弾き飛ばされていく。

 

「なら横からならどうだっ…!!」

 

月歌がテレポートを使いRedCrimsonの横へと移動。落下までの数秒に舞う様に斬撃を叩き込む

 

「月歌!限界だ!!」

 

「クソ…!!」

 

再びトランスポートを使いユキ達の元へと戻る。

 

「デフレクタも邪魔してる…それにあの口が閉じたら攻撃が効かないかもしれない…どうする月歌」

 

「特攻部隊の名が泣いちまうぞ」

 

だがRedCrimsonも口を閉じてる間は攻撃できない筈だ。先程の様に大技の後には溜めが__________

 

「「っ!?」」

 

そう思った瞬間だった、RedCrimsonの背中の方面から赤い針が大量に発射され月歌達へと降り注ぐ

 

「茅森さん…!!」

 

「大丈夫だ蒼井!!これくらいなら防げる!!」

 

蒼井が盾を展開しようとするがそれを月歌が止める、蒼井ばかりに負担を掛ける訳には行かない…其れにこの程度なら防げる

 

「ユッキー!皆!何とか防いでくれ!!」

 

直後全員が防御姿勢へと入る、大剣を上に突き出す者、デフレクタを最大まで防御へと展開させる者、全て弾かんと鎌を振り回す者………

 

 

「ぐああっ…!!」

 

「きゃあ…!!」

 

「っ…!!」

 

だがその直後に降り注いだ夥しい数の赤い針に全てなぎ倒されてあちらこちらに吹き飛んでいく。

 

「くっそ……」

 

それは正に死の赤い雨…さしずめbloodrainとでも洒落こみたいくらいだった

 

「月歌っ!!」

 

RedCrimsonの1番近くへ吹き飛ばされたのは月歌だった、そしてその直後…まるで月歌にトドメをささんとするRedCrimsonの一撃が襲おうと________

 

「はああぁぁぁぁっ!!!」

 

蒼井が一瞬にして月歌の前に立ち、盾を展開。その直後再び視界が見えなくなる程のエネルギーの奔流に巻き込まれる

 

「ぐ……くっ……」

 

攻撃が止み、蒼井も同時に地面へと倒れ込みそうになる

 

「蒼井っ!!」

 

「茅森さん!!速く!!」

 

「でも…」

 

「私はまだ大丈夫ですから!!」

 

倒れ込みそうになった蒼井を抱えようと近寄るが本人が其れを拒み指示を出す。分かっていた事の筈なのに…

 

「っ……!___皆一気に行くぞ!!」

 

1度決めた事は最後までやり抜く、再び月歌達は突っ込んでいく。

 

「その口貰ったァッ!!」

 

カレンが先行し大きく開いた口を含めた頭部を次々と斬り裂いていく

 

「すもも!同時攻撃行こう!!」

 

「茅森が指示するなだにゃ…!」

 

一瞬狼狽えた隙にすもも、月歌が特攻をかけ斬り裂く。その直後にいちごやユキ達による遠距離メンバーの攻撃。

 

「よし!!狙えば口のクールタイムを伸ばせるかもしれない…!」

 

「いや…来るぞ!!」

 

口の部分を攻撃すれば先程の様にクールタイムを伸ばせる、そんな考えは次の瞬間に打ち砕かれてしまった。口を閉じたその直後に凄まじいエネルギーが放出される

 

「っ…!」

 

だがそれを蒼井が防いでいく、後ろに少しずつ下がりながらも懸命に盾を前に出し月歌達を守らんとする。

 

「くっ…!」

 

攻撃が止むと同時に蒼井のセラフも自動的に収納され、蒼井が膝を着く。自分の役目を果たし…そして月歌達が攻撃をしている合間に少しばかりの休息を…、最早それがひとつのルーティンになりつつある

 

だがRedCrimsonもそこら辺の雑魚キャンサーなどとは違う、今自分が1番排除するべき者を見定め…後はそれを殺して進むだけ

 

「蒼井…っ!!」

 

背中から大量の赤い針が今度は月歌達ではなく、蒼井を狙い撃ち出された

 

「流石にあれは撃ち落とせねぇ…!!」

 

「蒼井はまだまだいけます!!」

 

蒼井が盾を広げ赤い針を全て防ぎ切る、だが先程とは違い何発かは盾を貫通したのだろう…蒼井の身体から血が滴り落ちていた

 

「くっ……そ!!」

 

いちごがセラフを放つ、だがその前に再び口を閉じられ全て弾き落とされた

 

「さっきより速い…」

 

口が開いている間のクールタイム、そして攻撃のパターン…ユキの力をもってしても計算は不可能だった

 

「めちゃくちゃだ…」

 

こんな者を相手に討伐は愚か時間稼ぎすら出来るのか、柊木達にそんな考えがふつふつと滲み出ていく。

 

 

「来る___」

 

月歌がそう叫んだ直後、再びRedCrimsonの口から凄まじいエネルギーが放出される蒼井達を包む。

 

「蒼井っ…!!」

 

「無理だ月歌、今は近付くな!!」

 

「でも…!」

 

明らかに盾の守備範囲が減りつつある、蒼井の消耗が凄まじい事を更に痛感させられる

 

「っ……はぁ……はぁ………お願いします…!」

 

再び攻撃が止み、蒼井が指示を出す。月歌達は頷いて攻撃を仕掛ける。

 

「月歌、あたしらが一斉に撃つからその瞬間…弱点を狙え。もしあの赤い針が飛んで来たら何とかしてやる」

 

「ユッキー…いちご…任せたっ!!」

 

近距離組が飛び出す直前、遠距離型のセラフを持つユキ達がそう言い親指を立てる。月歌も其れに親指を立てて返す

 

「おタマさん!カレンちゃん!めぐみん!横に避けて!」

 

第一陣、31Aの4人が飛び出しRedCrimsonの注意を引く。その直後ユキ達の攻撃がRedCrimsonの視覚外から放たれ凄まじい爆発を起こした

 

『_______!!!』

 

耳が壊れそうな程の叫び声を上げて暴れるRedCrimson、そのブチ切れ具合には流石にビビりそうになる。だが倒さなければいけない…

 

恐らくこの攻撃が最後になる。蒼井も、皆も其れ程までに消耗させられている。セラフだって限界になりつつあった

 

「ヴァウウ!!」

 

ビャッコが鎖型のセラフをRedCrimsonの各所に巻き付け拮抗戦が起こる。鎖がギチギチと音を立て今にも千切れそうだ。だが_____

 

「充分!!」

 

戦場での1秒、余りにも致命的な隙を月歌達は突いていく。

 

「せやぁっ!!!」

 

「にゃあっ!!!」

 

「はああっ!!」

 

 

「すもも!めぐみん!こじゅ!」

 

 

「たぁっ!!」

 

「ひひゃあっ!!」

 

 

「おタマさん!カレンちゃん!!」

 

 

「行け!!茅森!!」

 

「行ってください…茅森さん!!」

 

 

「蒼井…皆…!!」

 

 

(皆が託してくれた攻撃、絶対無駄にするもんか…!!)

 

嘗て無い程の力をセラフに込めて月歌が二刀流のセラフを大きく振り翳す

 

「ウヴ…ッ!!」

 

其処でビャッコの鎖が引き千切れ、RedCrimsonが拘束から解除される

 

「だけど遅いっ!!」

 

だがその瞬間には月歌がRedCrimsonに対し凄まじい連撃を与えていた。

 

(今なら何でも出来そうだ…気分が良い…!!)

 

2本のセラフを両手に抱え、まるで1本の剣を扱うかの様に大きく振り翳す

 

「此が最後だ…!!喰らええええっ!!!」

 

 

『_______________!!!!!』

 

 

その一撃、RedCrimsonが纏っていたデフレクタが今までにないくらいの音圧と共に爆散する

 

「月歌!!」

 

「やべ…、落ちる……」

 

「ヴァウ!」

 

力がふっと抜け落ち、そのまま落下する月歌。だが其れをビャッコが鎖を巻き付け此方側へ引きずり込んだ

 

「あいてっ…!!___助かったぜビャッコ…」

 

「ヴァァ!」

 

 

 

 

 

「よし…!!皆いけぇ________なっ…!?」

 

 

 

デフレクタが割れ、後少しと来た瞬間だった。RedCrimsonが今までとは比べ物にならないエネルギーの量を溜め込んでいるのが目に写った

 

 

「月歌…!!限界だ…撤退するしかねぇ…!!」

 

意識が戻ったユキがそう月歌に言葉を掛ける。だがどう考えても此は避けられる距離では無かった

 

「避けられる距離じゃない…!!」

 

「死ぬぞ…!!皆!!此処で!!」

 

「くっ…」

 

どう足掻いても避けられる距離では無い、だが何とか撤退しないと此処で全員死ぬ事になる。

 

(手は無いのか…、どうすれば…!!)

 

 

「諦めないで下さい!!蒼井が必ず護りますから!!」

 

 

焦る月歌に、蒼井の言葉が飛び込んで来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(無理だ…言葉だけで、なんの力も湧いてこない…)

 

蒼井自身、既に限界を超えている様な物だった。盾でさえ次が精一杯だろう…そしてあの攻撃…途中で防ぎきれなくなるかもしれない…

 

 

 

 

『盾はどんな攻撃でも防ぐ、だから”無敵”ってのはどうだ?どんな状況でも折れず逃げず味方を支える盾』

 

 

「っ……」

何処かでした、黒崎一護との会話。蒼井えりかに…大事な事を教えてくれたその会話。

 

(やっぱり…黒崎さんに励まされてばっかりだ…でも、そうだ…)

 

 

 

 

「そうなんだ…、私は……”無敵”!!」

 

一護からの言葉が、蒼井を立たせる力となる

 

(そうだ…もう蒼井はひとりじゃない…)

 

今も、昔も、蒼井えりかの周りには信じて着いて来てくれていた仲間が沢山居た。

 

(進むんだ…)

 

その中で出来た初めての男の人の仲間…信頼し、助け合って…そしてその中にある少しだけ甘酸っぱい感情

 

(どんな地獄を目の当たりにしても…)

 

彼とも約束をした、絶対無事で帰ってくるって…

 

 

(そうしたら、沢山甘えてみたり…しても良いよね)

 

 

クスッと…場に似合わない笑みが零れる。そしてそれは直ぐに勇気の力へと変わる。

 

 

「蒼井…?」

 

 

目の前の蒼井が、凄まじい白い光に包まれていく。其れはまるで月歌達を導く天使のような……それでもって…最期の生命の輝きの様な儚さを纏った…

 

 

「”インビンシブル!!”」

 

 

直後、今までとは比べ物にならない量のエネルギーが月歌達を包み明るく照らしていく。だが其れを打ち壊さんとRedCrimsonが最大火力と思われるエネルギーをぶつけていく

 

 

 

 

 

 

「うああぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 

 

今にも身体がぐちゃぐちゃになりそうだ、泣いて叫び出したくもなる。

 

だが其れ以上に、嘗て無い程の全能感に包まれていた。

 

(私が…私が…護るんだ……!!)

 

盾がどんどん欠けていく、だがそんな事がどうした。まだ動ける……

 

「蒼井っ!!!もう限界だ!!!」

 

(茅森さんが何か言ってる…でも、ハッキリとは聴こえない……また後で聞こうかな……)

 

その直後だった、RedCrimsonの攻撃の終着と蒼井のセラフの終わりが同時に発生しその間に存在するエネルギーが小さな爆発を起こした。セラフが散らばり蒼井も吹き飛ばされる

 

「蒼井ぃぃぃぃ!!!!」

 

月歌達が居たスペースはそもそもそんなに大きくなかった、そしてその爆発は今の蒼井をボロ切れの様に吹き飛ばし___落下させる事すら容易だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ごめんなさい…茅森さん……、黒崎さん…約束、破っちゃったなぁ…)

 

身体が吹き飛ばされて宙を舞う蒼井、だが体勢を立て直す力も、そして近付く死に抗う事も…出来なかった

 

(……でも、良かった。護れる事が出来て……)

 

だが気がつけば、身体を揉んでいた風が収まっていた

 

(落下したのかな…でも、地面に転がった感じが無かった。それに暖かい…)

 

 

「すまねぇな…遅くなって」

 

 

(誰だろう…聞き馴染みのある声だ…)

 

其処で少しずつ理解する、誰かが…自分を抱き抱えている事を

 

「此を飲めって言っても無理そうだな…今はノーカンだ、許してくれよ」

 

直後、蒼井の口に何かの液体が少しずつ流し込まれる。流されるがまま飲み込んだ液体は…美味しいとは思え無かった

 

「手塚が俺に持たせた物の中に入ってた…此があればセラフで受けたダメージを少しばかり回復する事が出来るってよ…少量だったから持ってた5本全部使いきっちまった」

 

声が少しばかり鮮明に聞こえる様になり、身体が楽になる

 

「…副作用は意識を失う、こんな物戦場では使えないってアイツ言ってたろ…」

 

(…そうか、やっと分かった……この温かさ、何処かぶっきらぼうで優しい声…)

 

 

 

 

其処で蒼井の意識は、途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…!?」

 

蒼井が吹き飛ばされた瞬間、黒い影が蒼井を抱き抱え月歌達の元へと戻って来た。そのまま月歌を抱え後ろへと下がる

 

「蒼井…!」

 

「意識を失ってるだけだ、悪ぃな…遅くなって」

 

「……一護!!」

 

 

 

 

 

 

「ああ…、もう安心しろ____助けに来たぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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43.仲間__全てを護る力

今回も再びオリジナル要素を……ひとつまみ()


 

「一護…!!」

 

落下した筈の蒼井を救い、月歌をユキ達の場所へ移動させたのは一護だった。だがそんな一護の違和感に全員が直ぐに気づいた。

 

「黒崎さん…、ボロボロじゃないですか…!」

 

タマが最初に口に出した、一護がまとう死覇装はあっちこっちが破けボロボロになっており身体にも数え切れない程の傷がついていた___そして卍解した天鎖斬月も刃に傷が付き…所々で欠けていた

 

「大丈夫なのかよ…」

 

いちごがそう言うが一護は只頷く

 

「ああ、俺は大丈夫だ」

 

そう言って肩からカバンを降ろし月歌達の場所に置く。

 

「こん中には幾らか薬品とかが入ってる筈だ」

 

月歌がカバンを開け、中身を見る

 

「ほんとだ…色々入ってる」

 

「樋口、お前なら使い方分かるよな?」

 

「…誰に物を言っている」

 

「頼んだ…」

 

そう言い、再び天鎖斬月を握りRedCrimsonの方向を向く。まるで観察する様に一護を見ているRedCrimson___どうやら出方を見る様に攻撃はして来なかった

 

「ちょっと待って!まさか1人で行くつもりなの…!?」

 

「そんなの無謀すぎる…」

 

「一護…撤退するしかない…!」

 

つかさと可憐が一護を止めようとする。

 

「…止めねぇと、後ろにある物が全部壊れてく。其れにお前らはもうボロボロだろ?」

そう言って笑う一護に、月歌は再び自分では止められないと痛感する

 

「其れは一護だって…!」

 

「……」

 

 

 

『________!!』

 

 

 

「___後ろッ!!!」

 

 

「っ…!」

 

とうとう耐えきれなくなったのか、RedCrimsonが大きく叫び背中から大量の赤い針を放出する。一護も再びRedCrimsonの方へと視線を向け天鎖斬月を構える

 

「一護______」

 

 

「月牙天衝ォッ!!」

 

直後、凄まじい霊圧の斬撃と多数の赤い針が空中で激突し爆発を起こす。

 

「一撃で…相殺だにゃ…」

 

蒼井でさえ防ぐのが精一杯だった筈の一撃をいとも簡単に相殺する一護に、すももが驚きの余り腰を抜かす。そして爆風が過ぎ去った瞬間、今まで月歌達の前にいた筈の一護も消えていた

 

「一護…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつが、RedCrimson…」

RedCrimsonの眼前に立つ一護、目線を合わせている為今は宙に浮いていた

 

(クソ……今の月牙天衝でまた俺の中で暴れ回ってやがる…)

 

ほぼすっからかんだった肉体と言う器、其処に突如として凄まじい量の霊圧がぶち込まれた。元は所有者自身の霊圧だとは言え流石にいきなり全部突っ込まれると来る物がある

 

「さっさと終わらせるしかねぇ…」

 

額に手を当て、霊圧を注ぐ。直後風が吹き始めその風が形となり一護の周りで吹き荒れ_____爆発する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ…あれ…!!」

 

「あれは…一護の仮面だ」

 

爆発した風が月歌達の髪を靡かせていた、そんな中いちごが指を指して一護の方を見ていた

 

「仮面…?」

 

「そう、確か…虚化って言ってた気がする」

 

「虚化…何だか厨二病臭い物だにゃ…」

 

「でもその仮面を付けた一護さんは最強ですよ!」

 

胡散臭そうな物を見る目で話すすももに、タマが某ヒーローのポーズをしながら答える

 

 

(黒崎さん…何だか焦ってる。其れに何時もよりも纏ってる気が荒々しい様な…)

 

治療を受けつつ、柊木が一護の方を見ていた。皆とは違って少しばかりの霊圧が見える彼女は一護の異変に気が付いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『____!!』

 

目の前の男が妙な仮面を着けた、其れを目で捉えた瞬間男が視界から消えていた事にRedCrimsonが驚く

 

 

 

 

(あのデカさなら後ろからならいけるはずだ…!!)

 

RedCrimsonの後ろへと回り込んだ一護が再び凄まじい霊圧を纏う。

 

『月牙_____なっ…!?』

 

だが月牙天衝を放つより前に再び赤い針の攻撃、後ろに居る筈の一護を正確に捉えていく。

 

『ぐっ……あがっ……!!』

 

反応に遅れた0.1秒、その間にも赤い針は一護の身体を大量に貫いていた。

 

『はぁ……はぁ…___っ!?』

 

貫かれた部位を気にする暇もなく再び赤い針の一斉掃射。だが今度は空中を移動し全て躱しきっていく。攻撃が止まり再びRedCrimsonへと注意を向ける

 

『なっ…!?』

 

次の瞬間、RedCrimsonは開かれた口を月歌達の方角に向け、今にも放とうとしていた

 

『待て、やめろ_______』

 

 

 

 

 

 

「くそ…!アイツ……」

 

月歌達もまた、RedCrimsonが此方へと攻撃してこようとしているのを理解していた

 

「皆…なんとか_______一護!?」

 

 

何とかして躱そうと考えている最中、攻撃と月歌達の間に一護が瞬歩で移動する

 

 

 

 

『うおおぉぉォォォォォォァァッ!!!』

 

 

 

 

そして次の瞬間一護の周りを嘗て無い程の霊圧が吹き荒れ暴風へと変わる

 

「うっ…」

 

「柊木…!?」

 

唯一気を感じ取れる柊木が口を抑えて屈み込む。ある程度耐性がある筈の柊木でさえ、この霊圧に耐えきる事は出来なかった。急いでいちごとすももが抱き抱え離れようとするがやはり間に合わな______________

 

「うわ…!!」

 

「きゃ…」「くっ…」

 

「蒼井…っ!!」

 

その瞬間、凄まじい爆風が月歌達を襲う。吹き飛びそうになった蒼井を月歌が掴んで堪え倒れていたメンバーも木などにぶつかって行った

 

「爆風だけ……まさか…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あああああぁぁぁァァァ!!!!』

 

 

RedCrimsonの砲撃と一護の月牙天衝が真正面からぶつかり、凄まじい爆風へと変化する。上空にまで上り詰めた互いのエネルギーはその地形を変化させる程の物を秘めていた。

 

____パキッ…

 

 

『っ…!!』

 

 

仮面にヒビが入り1つの箇所が砕け散った、だが仮面を修復する余裕など今の一護には無かった。少しでも力を緩めれば確実に天鎖斬月事吹き飛ぶ…そうなれば必然的に後ろの月歌達まで犠牲にしてしまう

 

(そんな事…俺がぜってぇにさせねぇ…っ!!)

 

護ると決めたんだ、俺が…必ず、蒼井を一人きりの地獄から救い出す為に____いちごやすももがもう決して目の前で犠牲になる人が生まれない為に

 

____セラフ部隊の全員が、それ相応の…平和を謳歌する為に

 

 

『俺が……!!』

 

ヒユから渡された霊圧は自然と一護の身体と馴染もうとしていた、本来なら暴走する事も無く所有者の肉体へと帰る筈の霊圧。だが所有者に馴染む前に凄まじい量の霊圧を溢れさせると少なからずとも確実なデメリットが現れる

 

RedCrimsonでの戦いの霊圧の使用、そしてその中での虚化その霊圧の使用量は嘗て藍染やウルキオラとの戦いと互角だった

 

其処までしてしまえば中に眠ったはずの重たい仮面……決して現れる事の無いだろうと思っていた筈の姿…

 

『護るんだ……助けるんだ……』

 

一護自身、自らの霊圧が暴走している事なんてとっくの昔に分かっていた。このまま使い続ければ再び虚に飲まれる可能性も有った

 

『ぐっ…!!』

 

限界だった、内側から無限に湧き出る力…それに飲まれないように必死に耐えているが、其れももう長くは持たなさそうだった。虚の仮面も半分にまで欠けていき、既に虚化状態では無い可能性が高い

 

 

 

 

 

『馬鹿野郎!!___その刀には俺達全員が霊圧を込めてんだ、一護1人の霊圧を戻すくらい…大した事じゃねぇんだよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

『っ…!!』

 

ふと、嘗て死神の力を失い…其れを取り戻させてくれた時に恋次が放った言葉を思い出した

 

そうだ……今の自分自身には尸魂界の隊長や副隊長、ルキアや恋次_____それにヒユだって霊圧の中に居るではないか…

 

(そうだ…俺1人なんかじゃねぇ…)

 

勝手に1人で抱え込んで、嘗て月歌達にも言われた事だった。

 

其れに今の自分は虚に飲まれた時よりも遥かに強くなっている…飲まれる様なやわな人間に成り下がったつもりなど無い…

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

”だから、俺に力貸せよ……俺の中の虚”

 

 

 

 

”ちっ…気付きやがったか、肉体はあの時よりも遥かに強くなってるって事をよ…そうだよ、今のお前じゃあん時の虚化…完全虚化って言った方が良いか?___それすら使いこなせるだろうよ”

 

 

”使い熟せるかせないかじゃねぇ、使い熟すんだよ”

 

 

”ハッ!!相変わらず馬鹿な野郎だ”

 

 

__________________________

 

 

 

 

「一護さんの髪が伸びてます…!!」

 

RedCrimsonの攻撃を凌ぎ続けていた一護の肉体に少しずつ変化が訪れていた。

 

髪は背中を覆い尽くす程まで伸び、後ろからでも分かるくらいに…半分の仮面…その箇所から角が伸びて出ていた

 

 

 

 

「あれは…!?」

 

 

次の瞬間、RedCrimsonの攻撃が全て掻き消されていった

 

 

「「っ!?」」

 

 

此方の身を案じたのか、一護が月歌達の方角を振り向いた。

 

肌は白くなり、半分になった仮面からは角が生え明らかに人間とは程遠い姿になっていた

 

だが敵意を感じる事は無かった、此方を見る仮面では無い方の目は何時もの一護とは変わらない…強さと優しさに溢れた目だからだ

 

 

 

 

 

「どんな力も、全部使い熟して…俺が倒してやるよ」

 

 




え、なんだその姿って思ったそこの君!!!

ブレソル2周年って検索してくれ!!図らずともわかる!!!()

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44.行く末___代償

作者は選考などのストレスにより死にかけている!!


RedCrimsonは眼前に迫る敵が突如変異を起こし自分の前に立っている、その事に生まれて初めて恐怖を感じていた

 

先程の女達の集団はまだ雑魚として扱えるレベル__盾の女を除いてだが…まだ勝てた

『…』

 

目の前に立つ男だって遂さっきまではボロボロの身で良く戦ったと言えるレベルだった

 

だが其れが一転、奴の姿が変わった途端この焦りが生まれていく…

 

排除せねば…目の前の男ごと此処ら一体を消し飛ばさなければ……

 

『________!!!!!!』

 

 

 

 

先程までとは比べ物にならないレベルの咆哮を上げるRedCrimson、其れを見る一護の目は変わらずに敵を見据えていた

 

『_____!!』

 

口の部分のクールタイムが終わっていない為、RedCrimsonは背中から先程の2倍とも言える量の赤い針を放出し其れを全て一護を含めた広範囲に飛ばし尽くした

 

まるで後ろに居る月歌達を守りながら自らを守れるか___そう試すかの様に

 

 

「一護!こっちは何とかするから、気にせずやってくれ!」

 

後ろに居た月歌達がそう一護に叫ぶ、だが次の瞬間一護は斬魄刀”天鎖斬月”を左から右へと薙ぎ払った

 

 

 

 

『月牙天衝』

 

 

 

直後、月歌達までも覆い尽くしていた筈の赤い針は全て消え去り変わりに月牙天衝を余波がチラチラと月歌達に降っていた

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……滅茶苦茶じゃねぇか」

 

驚きを隠せないいちご達、だが同時に自分達は散々そんな人間に喧嘩を売ってたりしたのかと言う恐怖心も存在した

 

「あれ、もしアイツが短気な奴だったらすもも達はとっくに消し飛んでたにゃ…」

 

「ああ…なんかまた後で謝りたくなってきた…」

 

 

 

 

 

 

 

『___!?』

 

攻撃を全て相殺され、相手が視界から消えた事に隙が生まれたRedCrimson。その隙を逃す事無く一護は極限まで接近____月歌達は愚かRedCrimsonでさえ捉える事の出来ないスピードで全身を月牙で斬り裂いていく

 

『_____!!!』

 

再び対象が目の前に現れた瞬間、クールタイムが終了しRedCrimsonが再び自らの口を閉じる

 

そして再び____今度は周りの地面が揺れRedCrimson付近の地面が割れる程の力を秘めたエネルギーを溜め込んでいく

 

「おいおいなんだよあれ…!?」

 

「こっちまで揺れてる…一護さん!」

 

ユキ達も震える空気に身体がビクっと反応する、だが反応は出来ても手足が動かせなくなっていた。其れは恐怖と言う物だった

 

「一護!!其れはいくら何でも…」

 

月歌が震える手足で一護に大声を出す、だが出た声でさえ一護に届いているかどうかは分からなかった

 

 

『安心しろ、俺が護る』

 

 

「っ…!!」

 

だがはっきりと、一護の声で返事が帰ってきた。周りのメンバーにも聞こえた様で耳を疑ったりしている者もいた

 

 

『はっ…!』

 

直後、一護の片方しか無い角からRedCrimsonに引けを取らない大きさのエネルギーが溜まっていく

 

『ウオオォォォォォッ!!!』

 

一護の今の状態はほぼ虚と言う存在に近かった、そしてその虚だからこそ扱える技____それが虚閃

 

 

『______!!!!』

 

 

『ハァァッ!!!』

 

次の瞬間、先程とは比べ物にならないエネルギー同士がぶつかり爆発を起こす。お互いに引かず…ぶつかるエネルギーは周りへと広がり爆風へと変わる

 

 

「くっ…!!」

 

「にゃ…!?」

 

すもも達も吹き飛ばされまいと耐える、中にはセラフを突き立て耐えようとする者がいた。だが決して目だけは誰も離そうとはしなかった…この戦いの行く末を見守らなければならない…そんな気がしたからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あんなデタラメな事するのは、あの子くらいだろうねぇ」

 

「ああ…」

 

黒崎一護とRedCrimsonのお互い最後の一撃は、本来見えない程遠方にいる筈の30Gにも見えていた。蔵がやれやれと言わんばかりに呟き其れにユイナが短く相槌を打つ

 

「この霊圧…黒崎一護、兄は一体何を…」

 

 

(この輝き、黒崎一護…)

 

あれだけ黒に塗れた激突など生まれて初めてだった。だが白河ユイナにはあの禍々しいエネルギーの中には黒崎一護と言う男の全身全霊が乗っている様にも見えていた

(やはり面白い男だ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『________!?』

 

 

拮抗状態から少しずつ、少しずつ…RedCrimsonの方が押されていく。RedCrimson自身のエネルギーは永久的に放出出来る物では無かった

 

『っ…!』

 

だが其れは黒崎一護も同じだった、角に少しづつヒビが入っていく。

 

(負ける訳にはいかねぇんだ…、絶対に…!!)

 

 

 

 

「また爆発…!?」

 

「もう勘弁してくれ…!」

 

次の瞬間、先程よりも1段階大きな爆発が月歌達を襲い、それぞれが最早愚痴とも言える事を口から吐き出す

 

 

 

『おおおっ!!!』

 

 

その爆発で出来た数秒の隙、此が恐らく最後の隙となるだろう…次は確実に防げはしない

 

天鎖斬月を両手で握りしめ、RedCrimsonの頭部へと食い込ませる。まだ固い…デフレクタが無いとは言えやはり斬れにくい物がある

 

『_____!!』

 

RedCrimsonが抵抗する、だが捉えた切っ先はそのままRedCrimsonを抉っていく

 

『月牙……』

 

一護が握る天鎖斬月に霊圧を注ぎ込む。斬撃を行うその瞬間に持ち主の霊力を喰らい、刃先から高密度の霊圧を放出する事で斬撃その物を巨大化して飛ばす…

 

『天衝ッ!!』

 

次の瞬間、RedCrimsonを月牙天衝が穿ちそのまま真っ二つにしていった

 

 

『はぁ……はぁ……』

 

そしてRedCrimsonは大きな音を立てて消え去り、そこには討伐の証ともいえる白い巨塔が立った

 

 

 

「やった…倒した…!!」

 

一瞬の静寂、其れを打ち破ったのは月歌だった

 

「ユッキー…皆、蒼井…!やった…!!」

 

「月歌……!」

 

「やったぁ…」

 

膝を着く者、倒れ込む者、手を上に突き出すもの、がっつく者。其処での喜び様は凄まじかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…』

 

赤い空がだんだんと消えていくのを見ながら、一護は仮面を外そうとする。正直今にも意識が飛びそうなくらいには追い込まれていたが何とか着地まで意識を保とうと________

 

 

『…!?』

 

だが外そうとした仮面が流れないのに一護が気付く。無理矢理に剥がそうとしても全くビクともしなかった

 

 

 

”バカがよォ…あんなもん使ってタダで済むと思ってんのかよ。相変わらず脳みそが緩い野郎だ”

 

 

頭の中に声が響き渡る。そして次の瞬間…一護から凄まじい量の霊圧が吹き出る

 

『あっ…がっ……クソ………ああああああァァァァァァァァ!!!!!』

 

 

其処で一護の意識は暗い暗い暗闇へと消えていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一護…!!」

 

 

空中にいた筈の一護から突如霊圧が吹き出し暴れ始める、そしてそのまま月歌達の近くへと落下した

 

「おいおい大丈夫かよ…」

 

「まぁあれだけの戦いをした後だしね…」

 

心配の顔を向けるユキと其れを見て微笑む可憐。月歌がそのまま一護に近づいて行き担ぎ上げようとする_________

 

 

 

 

 

「だめにゃ!!茅森!!ソイツから離れるのにゃ!!!」

 

 

「え_______」

 

一瞬だがすももの肌がピリっとなった。殺し屋としての尋常では無い本能が一護に近付くなと……そう問い掛けていた

 

何事だとすももの方を振り向いたその瞬間_________月歌の背中を斬り裂かんと一護が刃を向けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメです…一護さん」

 

 

 

「蒼井…!!」

 

 

だがその斬撃を防いだのは、先程まで倒れていた蒼井だった。セラフのスキルを使い…月歌と一護の間に盾を滑らせ間一髪防ぐ

 

 

 

 

「茅森さんは…大切な仲間ですよ…、一護さん!!」




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45.獣___一護を止めろ

最近ヘッドホンで音楽を聴きながら執筆するのが好きなんですけど、ヘッドホンだと周りの音が聞こえないっていうけどあれは本当に外でやったら死にますね…(後ろから家族に脇腹刺されて悶絶してた人)


「そんな…もう誰も戦える奴なんて居ないよ…一護…!」

 

掠れた声でそう言う月歌の前で、一護は目の前に現れた盾目掛け何度も天鎖斬月を振り下ろしていた。その顔は先程とは違い全て仮面に覆い尽くされ表情は見えない

 

だが此だけはハッキリと分かった、此は一護では無い…一護の意志で月歌達を攻撃する事なんて有り得無いと

 

 

 

『ウオオオオオオァァァァ!!!!』

 

 

「っ…!」

 

次の瞬間、盾を壊せない事に苛立ったのか右手を盾__その先に居る月歌の方へと向ける。直後その手からは一護が良く纏う見覚えのあるカラーのエネルギーが溜まり始める

 

「月歌…っ!!」

 

(月牙…、一護…あたしに攻撃する心算だ__)

 

ユキが悲痛な声を上げ月歌を呼ぶ。だが今の月歌には、最早動ける気力はもとい…今の一護と戦う気力さえ残っていなかった

 

 

「何をボサっとしておるッ!!!」

 

その瞬間、可憐のもう1つの人格___カレンが飛び出し一護に鎌を振り下ろす。だがその一撃は片手で握った天鎖斬月に防がれ、ギチギチと音を立てて拮抗する

 

「こっちを向かんか馬鹿者がァ!!」

 

鎌を拮抗させたまま脇腹へと蹴りを入れるカレン、流石の一護も危機感を感じたのか月歌への月牙を止めカレンの方向を向く

 

「やっとこっちを見おったわ、お前とは一度本気で殺り合ってみたかったんじゃ!!!____満足させてみろぉ!!」

 

勇猛果敢に振り回し一護へと突っ込むカレン、再び天鎖斬月とセラフが激突する

 

「ダメだ、カレンちゃん…!」

 

目の前で始まった凄まじいスピードで振り下ろされる刀と鎌を見ながら月歌が手を伸ばす。

 

「しっかりしろ茅森!」

 

だがその手を何時の間にか横に居たいちごに掴まれ引き戻される

 

「いちご…」

 

「立て!お前はそんな奴じゃねーだろ!?」

 

「でも…」

 

そうやって月歌を鼓舞するいちごの脚は震えて今にも倒れ込みそうになっていた。当たり前だ…先程までRedCrimsonと互角か其れ以上の戦いをしていた仲間が突然その力をこっちへと向けていく、怖いのは当たり前だった

 

「私も…まだ行けます…!」

 

「蒼井…!」

 

すももに肩を貸されながら、蒼井が月歌の場所へと近付いていた。誰でも見れば分かる…足元はふらつき傷口は応急処置しかしておらず、其れで動けばまた傷口が開いてしまう可能性さえあった

 

「月歌、あたしらも行くしかねー」

 

「ユッキー…、でも其れって殺すしかない…」

 

「いや、そうでも無いみたいだ…顔を見れば分かるがさっきとは違って全部が仮面に覆われてるだろ?__だからあの仮面を壊すか剥がすか…そうすればアイツを元に戻せる。賭けにはなるけどな」

 

「でも其れに縋るしかウチらが生き残れる術は無いっちゅー訳や。どうや月歌…後はお前だけやぞ」

 

「…」

 

周りを見れば、それぞれがセラフを持ち一護を本気で元に戻そうと…覚悟を決めた目をしていた

「…分かった。その賭けに乗る」

 

「助かる。此だけの数で向かって、数秒でも動きを止められたら良いんだけどな」

 

「確かに…其れにユッキーが賭けだなんて珍しい」

 

「もう二度とこんな賭けはやりたくないね…はぁ」

 

「ははっ…そりゃそうだ______皆、力を貸してくれ」

 

月歌がセラフを両手に抱え立ち上がった。信頼出来る仲間と…一護を元に戻す為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ…流石にこのワシでもキツイか…」

 

久しぶりに本気で人を殺そうと、其れ程の勢いで行ったにも関わらず攻撃は全て躱され逆にこっちだけが傷を負っていったカレン

 

華奢な身体にはあっちこっちに切傷が着き、白い肌には血が流れていた

 

(何とか致命傷だけは避けておったが、よもや此処まで傷を作るとは…殺人鬼の名が泣くわ)

 

そしてそんなカレンを見る一護は、相変わらず仮面で表情が読み取れない

 

「どうした?掛かってこんのか?」

 

明らかに安い挑発をするカレン、そもそも今の一護に人の言葉が通じるかは分からなかったが、其れでもやるしか無かった

 

「ハッ…また其れか」

 

再び右手を突き出す、そしてその手先から月牙のエネルギーが溜まり始めていく

 

「カレンちゃん!!」

 

だが突如後ろから声が聴こえ振り返る、振り返った先では月歌が無謀にも走って寄って来ていた

 

「馬鹿者がッ!!」

 

「其れがそーでも無い!」

 

一直線に向かう月歌に対しカレンが大声で怒鳴る、だがそんな怒鳴りに笑顔で言葉を返し_________その直後大量のエネルギー弾が一護目掛け発射された

 

「エネルギー溜めんのも大変なんだけどなぁ…」

 

ユキがズレた眼鏡を掛け直し撃ち込んだ方を見る

 

『…』

 

再びカレン達に向けた攻撃を止め、天鎖斬月を振りユキの攻撃を_____全て月牙で弾き飛ばしそのまま消滅させた

 

「分かってはいたけどショックだな…」

 

ユキが溜息を吐く、だが其れでもその出来た一瞬の時間で動いてくれる仲間を……信じて

 

「そんなお洒落でも無い仮面はとっとと外すべきにゃ…!」

 

すももが凄まじいフィジカルで一護へと近付きセラフを振るう

 

「にゃっ…!?」

 

だが今度はそのセラフを刀ではなく左手で受け止め、そのまま握り締める。力を込めて引き抜こうとするがやはり力量が凄まじい…

 

「でもすももの武器はこれだけじゃないにゃ!」

 

セラフから手を離し太ももに有るホルスターに手を伸ばして、その中からずっと前から持っていた拳銃を取り出す。標準を一瞬で合わせ手を目掛け3発撃ち込む。だがその手はビクともせず逆にセラフを投げ飛ばされてしまう

 

「くっ…!」

 

 

 

「全く、日々調整してやってる私のセラフをこんな無下に扱うとはな…黒崎一護」

 

セラフが飛ばされた方向から樋口の声が発せられる

 

「人間相手に実験をする時が来るとは思って無かったよ……さぁ、どんな数値を叩き出してくれる!?」

 

ランチャーの様な形をしたセラフからビームを放つ。一護は当然のビームを弾き落とそうと刀を振るう_____

 

『!?』

 

だがそのビームを斬り落とした瞬間、一瞬眩い光が一護を包み次の瞬間何かしらのネットが一護を包んでいた

 

「驚いたかい?此はちょっと特殊でね…ビームに錯覚させたカプセルの様な物さ」

 

「すげー…」

 

解説している数秒、一護は不思議そうにネットを見ていたが……

 

 

『アアアアァァッ!!!』

 

 

「なっ…」

 

次の瞬間には咆哮だけでネットは全て千切られバラバラに飛んで行った

 

 

「とでも言うと思ったか…、そのネットにはまだ仕掛けが有るぞ」

その直ぐ後、一護の周りを漂っていたネットが突如繋がり電流を流していった

「いくら貴様が化け物と言えども生物は生物、馬鹿みたいな電流を流せば少しくらいは____」

だが次の瞬間には一護が樋口の視界から消えていた。大抵予想は着いていた為後ろを振り返る樋口

 

____だが1歩遅く、一護の斬魄刀が樋口を斬り裂いていた

 

(くそ…しくじった____)

だが間一髪避けたお陰で其れ程の深い傷にはならずにそのままトランスポートを使い後ろへと下がる

 

「ひぐみん!」

 

「五月蝿い茅森、この程度でギャーギャーと喚くな」

 

「とは言えセラフ改造しすぎじゃない?怒られないの?」

 

「研究してるのは私だ、だが此処迄効かないとなると本格的にあの化け物にはお手上げだな」

 

そうやって視線を向けた先では、柊木が一護に走って行っていた

 

「こじゅ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「一護さん…!聞こえますか一護さん!」

 

水色の鎌のセラフを一護の刀にぶつけて柊木が叫ぶ。だが、その相手に言葉が聞こえているかどうかは分からずに、逆にそのまま刀で薙ぎ払われてしまった

 

「くっ…!!」

 

何とか体勢を持ち直し着地する柊木、そして柊木を薙ぎ払った一瞬の隙を着き、ビャッコが鎖型のセラフで一護の腕と足を拘束する

 

「ヴァウ!!」

 

猛々しく吠えるビャッコに鼓舞され逢川達が突っ込んでいく。

 

「ウチのセラフで叩き割ったるわァ!!」

 

そう叫び飛び上がる逢川、その下を國見が勢い良く走り一護へと近付いて行く

 

「怖い怖い怖い…!!__けど一護さんには元に戻って欲しい…っ!!」

 

竦む脚を何とか奮い立たせ國見が一護に駆け寄る

 

『ヴァァァァッ!!!』

 

だが叫び声だけで空中に居た逢川を國見が居た場所へと落とす

 

「いたっ…!」

 

「あたっ!!」

 

2人が絡まって倒れる、其れを見下ろす様に見た一護の2本の角からは禍々しいとも言えるエネルギーが放たれようと溜まっていた

 

(おタマさん!!めぐみん!)

 

あんな物を至近距離で喰らえば確実に死ぬ、其れ所か遺体すら残るか分からない

 

「オラッ!!」

 

だが次の瞬間、銃弾が何発か一護の角へと当たり_____片方の角が砕け散った

 

「いちご!」

 

「こんだけ撃って1本かよ…!」

 

直後、行き場を無くしたエネルギーがその場で暴発し大爆発を起こす

 

「2人が…!」

 

あの中には逢川、そして國見が居た。だがその周りには、蒼井のセラフが浮いており2人を守ったのだと一瞬で理解した

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

直後、セラフがミシッと音を立ててそのまま崩れていった

 

「蒼井のセラフが…!」

 

「茅森さん…!今の内に一護さんを!」

 

気にするな、と言わんばかりに月歌に言葉を投げ掛ける蒼井、其れに背中を押される様に月歌は走り出した

 

(そうだ、悩んでる暇は無い。皆が全力で作ったチャンス…!)

 

煙の中を走り一護の元へ駆け寄る

 

「っ…!?」

 

だが煙の中から突如天鎖斬月が視界に映り、何とか二刀を使い防ぐ

 

(ビャッコの鎖も千切られてる…!)

 

煙が晴れ姿を現した一護、角は1本折れたままだったが相変わらず意志を感じられず月歌へと刃を向けていた

 

「一護!良い加減に目を覚ましてくれ!」

 

耐え切れずに叫ぶ。その間にもギリギリと二刀のセラフは押されていき、最早拮抗状態を保てなくなっていた

 

(クソ…このままじゃ斬られる…っ!)

 

その瞬間、膝を着いた月歌の真上を盾型のセラフが通過し一護の顔面へとクリーンヒットする

 

「!?」

 

驚いて後ろを振り返ると、蒼井が肩で息をしながら懸命に立っていた。きっと蒼井が最後の力を振り絞り投げたのだと理解する

 

直後、一護の顔に付いていた仮面が粉々に砕け散り、同時に蒼井のセラフもガシャンと音を立て砕けた

 

「…一護」

 

そのまま倒れた一護、髪の毛が段々と短くなっていき何時もの見慣れた長さへと戻る

 

「はぁ…はぁ……戻った?」

 

「一護さん……良かった… 」

 

立ち上がる月歌の後ろで今度は蒼井が倒れ込んだ、其れに気付いたいちごとすももが駆け寄る

 

「…気を失ってるだけだ」

 

「良かった…」

 

 

程なくして、ヘリが何台か此方へと向かっていると言う知らせが入り、月歌達はその場所に待機となった

 

その間…余り口を開く者はいなかった

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

「”卍解”___千本桜景厳」

 

 

後もう少しで橋頭堡が設立される中、30G及び朽木白哉は残るキャンサーを全て薙ぎ倒していた

 

オペレーションプレアデスが中止とされた後、工作員と共に作戦を離脱する筈だったが、白河ユイナが其れを止めた

 

 

遠方で見えた凄まじい光とエネルギー、そして爆風。其れは茅森月歌達が死力を尽くし新型キャンサーと激闘を繰り広げている証だった

 

31A達が頑張っている。だから私達もノコノコと帰る訳には行かない、と大胆にも司令部の意向を無視し、橋頭堡を作成する工作員達を死なせまいと戦いに身を投じていた

 

「ちょっと朽木さん!!私の盾の仕事を奪わないで下さる!?」

 

大量に舞う億の桜は余りにも季節に似つかわず、だが見とれてしまいそうな程の綺麗さを持っていた。

 

「綺麗な桜…」

 

「小笠原隊員、千本桜景厳は億の刃…触れれば忽ち切り裂かれる故…」

 

「意外と怖いぃ!?」

 

 

 

 

 

 

「私を無視するなぁ!!!!キーッ!!!」

 

 

 

 




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〜第3章〜 明かされる正体
46.新章開幕__一護と仲間


UAがまだまだ増えていってて嬉しいです!!
このままの勢いで色んな作品が生まれてきてくれないかなぁ…
ヘブバン二次創作盛り上がって…()


 

『目的地まで後120秒、降下準備をしてください』

 

「ああ…」

 

無線から聞き慣れた七瀬の声が聴こえ、ヘリの安全装置を解除する。

 

(霊力も霊圧ももう大丈夫そうだな…)

 

周りには1人しかおらず、その人物も大して話す人間では無い為、無言の時間が続いていた

 

 

死神代行、そして今はセラフ部隊となって戦っている黒崎一護。RedCrimsonとの戦いから1週間が経った今日___一護は戦線復帰を果たしていた

 

31Aも既に戦える状態だったが基地で休暇と言うスケジュールになっている

 

31Bは部隊長である蒼井とそして蒼井のセラフが直るまで部隊は休止と言う扱いだそうだ。 蒼井本人こそ意識は既にあるものの未だリハビリ等で毎日騒がしい様だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間前〜

 

 

「富士山…?」

 

「ええ」

 

まだ日が昇りきっていない早朝、黒崎一護は電子軍事手帳の手塚司令官からの呼び出しにより司令官室へと出向いていた。其処で言い渡されたのは富士山の麓および山頂の偵察…

 

「また、RedCrimsonとかが居る訳じゃねぇよな?」

 

「そんな脅威はまだ確認されてないわ、其れにあんな物が頻繁に出てしまう羽目になれば…人類はとっくの昔に滅んでる」

 

「そうか…」

 

「話を戻すわよ、最新の哨戒部隊の報告によれば麓付近のキャンサーが減っているとの報告が入ったの」

 

「偶々重ならなかったってだけじゃねぇのか?」

 

「…その可能性も有る。だから戦闘準備だけはお願いね」

 

「…」

 

「仮面を被った貴方の戦い、見たわ」

 

「っ…」

 

触れられたくは無かったのか、一護の肩が震えた

 

「その事が今上の方で問題になってるの、セラフ部隊にその力を奮った事…怪我を負わせあのままでは殺していた事もね」

 

「ああ…分かってる」

 

意識がハッキリしている訳では無いが、身体が覚えている…彼女達を斬ろうと刀を奮った事を…虚閃を放とうとした事を…そして蒼井に救われた事を

 

「だから本来ならこの作戦を31Aに任せるのを、私が独断で貴方に任せる事にした 」

 

「なんで…そんな事を?」

 

「貴方の強さは此までの戦いで嫌と言う程証明されている、そんな戦力を失って…セラフ部隊に余裕が有ると思う?」

 

「アイツらも充分強いさ」

 

「貴方…分かっていないみたいね」

 

「なんだよ…その言い方」

 

「…まぁ良いわ。兎に角今は貴方の信頼を得る事が大切よ」

 

其処で司令官がソファーへ腰かけ、資料の様な物を机に置く。其処には空座町や黒崎一護、そのような単語が散りばめられていた

 

「…そして貴方と朽木白哉、空座町から来たって聞いたけどそんな街はこの日本にも世界にも存在しなかった」

 

「…」

 

「…貴方達が別の世界から来た、そんな非合理的な噂も経ち始めてる。このままじゃ事が公になる事を防げはしないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方達…一体何者なの?」

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

結局その問いに答える事は無かった、正直一護自身自分がどうやって元の世界へ戻るのか…そしてどうやって此処に来たと説明して良いのか分からずに、そして忙しさの中で忘れようとしていた。只一言言えたのは…

 

 

 

『まだ其れに俺は答えられねぇ、何て言うかこう…説明の仕方が分からねぇんだ。でも此だけは信じてくれ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺は…お前達を護る為に戦う。その気持ちに嘘偽りはねぇ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜セラフ部隊基地・31Aの部屋〜

 

「…さて、休暇だし何処か行こっか!」

 

1人何時もの服へと着替えた月歌が何処かへ行こうと誘いにかける、月歌も今日までは案外大人しくしていたのだがとうとう我慢が出来なくなったのか

 

「偶にはのんびりさせてくれ…まだ疲れが取れて無いんだよ…」

 

「私も…お肌が荒れそう…」

 

「あんな事があったし、あたしもパス…」

 

「ウチもパスで」

 

「私は…もう少し休みたいです」

 

「ええー!?皆同意見!?_____ちぇ…」

 

こうなれば1人で出ようと歩き出そうとした月歌を國見タマが止める

 

「月歌さんは…!あんな事があっても一護さんを信じられるんですか?」

 

この数日、31A全員が個人で考えてはいた。だがそれぞれ余り触れずにいた問題だった

 

「私は…信じたいです…、でも、あの時」

 

セラフを持ち味方に其れを向ける、其れだけでも國見タマと言う1人の少女の心は張り裂けそうになっていた。でも目の前で叩き伏せエネルギーをぶつけられそうになった時

 

 

恐怖が生まれた

 

 

自分の事を大切にしてくれて…自分も一護自身を大切に思っていた。だが其れを急速に塗り潰す程の恐怖を襲ったのだ

 

「まぁ無理も無いわな…あんな殺意向けられたん生まれて初めてやわ」

 

ゴロンと寝っ転がっていためぐみが胡座をかき言う。其れに続く様に全員がそれぞれ言葉を放つ

 

「ええ…私もどうすれば良いのか、其れに朝倉さんの肌に傷残しちゃって…」

 

「あの時…カレンちゃんのお陰で大丈夫だったけど、私だったらとっくに死んでた…」

 

1番一護と剣を交えた可憐、彼女の傷はまだ残っており東城が綺麗な肌があーだのこーだのと言う羽目になった

 

「あたしも正直恐怖が勝っちまったな…もし彼処で運が無ければ、あのまま皆皆殺しだぞ」

 

「「……」」

暫くして、その静寂を打ち破るかの様に月歌が口を開いた

 

「それでもあたしは一護を信じる」

 

「……茅森さん」

 

「だって一護の背中を見てた全員なら分かるだろ?何時もの一護を…一護が言った言葉を」

 

「……」

 

「皆を護る為に身体ボロボロにして戦ってるじゃん。デススラッグの時も…ロータリーモールの時も、RedCrimsonの時も」

 

紛れもなく何度も命を助けられた

 

「一護のあの力はきっと望んで手に入れた力じゃない、あたしはそう思ってる」

 

「…そんな根拠有るんかいな」

 

「仮面を初めて見せた時の一護、覚えてるだろ?」

 

デススラッグとの戦いで初めて仮面の姿を見せた一護、戦ってる最中も…仮面を解く時も一護の月歌達を見る目線は何処か恐怖を交えていた様な気がして仕方が無かった

 

___ガタッ

 

「「っ!?」」

 

その時だった、不意に月歌達の扉が変な音を立てた

 

「誰だ!?」

 

扉の前に立っていた月歌が凄まじい速度で扉を開けた

 

 

 

「あっやべ!?」

 

 

 

 

 

「え…??」

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を開けた先に居たのは、小さな1つのぬいぐるみだった。しかも立って喋った……




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47.語られた過去__1つの結論

新章が始まってここからは本格的に色々とやっていこうかなと思います。それに伴い3章は少しばかり長くなるかもです…、ちゃんと回収しきれるかどうかはその時の俺に任せますがもし設定上おかしいなぁ…とかあったらその時は遠慮なくお願いします!!

これからもお付き合い下さい!


 

 

 

よぉ!!俺様の名前はコン!!一護と一緒に空座町から此処の場所に来ちまったキュートなぬいぐるみだ!!

 

なのに最近と来たら、俺を置いて話は滅茶苦茶進むわ、一護怪我しまくるわ。挙句の果てには俺の存在が忘れられちまった!!!

 

なので俺はアイツが居ねぇ間にこっそり抜け出してやった。正直マップもクソも無いからこうやって迷子った訳だけどな!!

 

バレないでそそくさと歩いていたら扉越しに一護の名前が聞こえたもんで聞き耳立ててたらなんかバレちまったぜ!!

 

 

 

 

 

「喋る…ぬいぐるみ!?」

 

「あぁ……まぁ……」

 

「嘘つけ月歌、そんなんおるわけないや________おった!?!?」

 

逢川がそんなの居ないと、何かの見間違いだろうとベットから降りて覗く___いた

 

「クマ…??…でも可愛い」

 

「クマじゃねー!!どっからどう見てもライオンだ!」

 

「ほんとだ…!可愛い!」

 

「え、あ…」

 

奥からどんどん現れる美少女に、コンは最早クマでもライオンでもどっちでも良いやと思い始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えずお前が一護と一緒に来たぬいぐるみって事は分かった」

 

ひとまず騒ぎが大きくならない様にと31Aの部屋へとコンを入れ話を進める。余りにも非科学的すぎる事にユキまでもが頭を抱えていたが、取り敢えず黒崎一護の物と分かれば何となく持ってても違和感が無いなぁと言う結論に至った

 

(…やわらけぇ〜!!)

 

「ほんとにぬいぐるみだ…」

朝倉可憐と言う少女に異様に気に入られ膝の上に乗せられているコン、取り敢えず美少女と触れられてるので、何でも良いやと思いつつ堪能しておく

 

「中身もしっかりぬいぐるみか斬り裂いて確かめて見ようかのォ?」

 

「ッ!?!?」

 

一瞬、ほんの一瞬だったが朝倉カレンが居た方向から途轍もない殺意を感じた。驚いて振り返るが目に映ったのは、不思議そうな顔で此方を見る可愛い可憐の顔だった

 

(はぁ…ビックリした、だよな…こんな可愛い奴がそんな物騒な事言う訳無いよな)

 

 

「でも1番最初から一護と一緒に居るならさ、一護の話とか聞かせてよ!」

 

「そうですね!一護さんの事聞かせて下さい。何時も一護さんに聞いても答えてくれないんですよ…!」

 

「え?あー…まぁ良いぜ!」

 

別に言ったとしても、大して何も変わらないだろうと思い、自分が一護と出会った時から話し始めた。どうして一護はああなったのか…

 

護る為に死神の力を手に入れ、死神として活動し始めた事。

 

ルキアを助け出す為に自らの斬魄刀の魂を引き出し隊長達と渡りあった事。

 

 

井上織姫を助け出す為に虚圏へ乗り込み破面と戦ったこと。尚此処にコンは居ない

 

 

藍染惣右介を止める為に最後の月牙天衝を会得し、漸く互角に渡り合い___死神の力を失った事。此処にもコンは居ない

 

 

1度は失った力を取り戻すべく完現術へと手を伸ばした事。漸く会得したと思えば全てを奪われ、其れでも諦めず手を伸ばし続け____

 

 

そして再び死神の力を取り戻し、初代死神代行を倒す為に刀を振るった事。

 

 

 

 

 

 

「うーん…余りに非現実的と言うか何と言うか、この世界でそんな事が起きてるとは…」

 

全てを話終わった後に月歌が最初に言ったのはその一言だった

 

「あれだけだけ強いと納得せざるを得ない…」

 

「でも待ってくれ、この日本には過去に空座町なんて存在してない…」

 

電子軍事手帳を見ていたユキがそう言う

 

「て事は…外国?」

 

「いや、空座町を漢字で書くなら日本しか無い筈だ…だが…」

 

「うーん…?どう言う事だ…?」

 

「オレも分かんねーんだよ…ある日部屋でボケーッとしてたら気が付いたら一護と一緒に荒廃した場所に立っててよ…」

 

「何それ…まるで異世界転生みたい…!」

 

突然、黙って話を聞いていた東城が目を輝かせた

 

「ああ、東城は最近そう言うの読んでるんだっけか」

 

「ええ…!!まさか其れを本場で体験してるなんて…!」

 

「本場の異世界転生って何だよ…」

 

「兎も角、オレ様も何で一護が自分の事を話したがらねぇのか良く分からねーんだよなぁ」

 

コンが腕を組む、月歌達も首を傾げていた。だがユキだけは違っていた。なんなら納得している節も有った

 

「当たり前だろ…こんな話されてもあたしらで信じる奴は少ねぇぞ?」

 

「確かに…、そしてあの仮面の力も望んで手に入れた物じゃなかったのね」

 

「あんなデタラメな力、元々普通の人間が持って良い物じゃない筈…其れを1人抱えているって、どんな気持ちなんだろう…」

 

可憐がそう言い、指先を合わせる

「取り敢えず、其れが分かっただけでも良しとしようぜ。あたしらも一護の仲間だし一緒に寄り添えば良いじゃん」

 

「まぁ…そう言うもんなんやろな」

 

ひとまず一護の過去、そして悩みの種となっていた仮面の力…其れら全てが知れた事に安堵し、同時に一護への恐怖が消えた31Aだった

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

〜浦原商店〜

 

 

(黒崎サンも朽木サンも消えた…霊圧の痕跡も此処まで日が経てばもう分からなくなってしまった)

 

大型機械に囲まれながら様々な資料を手に取る男___浦原喜助。彼もまた今回の事件の解決に尸魂界と共に解決しようとしていた___尚涅マユリからは猛反対されたが総隊長のある意味のゴリ押しである

 

(其れにあのヒユさんと言い…、そのDNAがこの世でも尸魂界でも…なんなら虚圏の物とも一致しない。今じゃ彼女の中の黒崎サンの霊圧も小さな光になった)

 

山積みになる問題、だが其れを解決する術が今は全くもって浮かばない。一種のお手上げ状態だった

 

 

だが空座町が何者かの大型生物により破壊された事は確か、今でもニュースになっておりマスコミやオカルト好きが騒いでいたりする

 

(あの日に黒崎サンは死神で外に出ていた…つまりその生物が黒崎サンを連れ去った。だがどうやって…)

 

そもそも破面だとしても今の黒崎一護を連れ去るなんて到底出来そうには無い、其処まで強くなった彼を連れ去るレベルの敵…

 

今の尸魂界が対処出来るレベルなのだろうか

 

(此はもう1つの世界がどうこう言ってる暇じゃない)

 

この世界の隅々まで居ないとなれば、其処で辿り着く結論は1つだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐らく黒崎一護と朽木白哉は何らかの手段により別世界へ飛ばされ_________

 

 

 

そしてその鍵を握るのは何者の成分も一致しないヒユと言う少女

 

 

 

 




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48.迫る距離__動き出す歯車

ヘブバンが最終章にも満たない中、どうやらこの作品はまるで最後のようなノリに入り始めてる気がするんですが…??
例えば二つの世界繋いじゃったらそりゃあもう…ラストでは…??あれ??ヤバくない??


 

 

「___ん……井上さん?」

 

「えっ…!?あっ…!なんの話だったっけ?」

 

「大丈夫かい?最近人の話を聴きそびれるのが多いじゃないか…」

 

「無理もない、一護が消えてからもう其れなりに経つ。浦原さんも調べてくれているみたいだが進捗は無さそうだ」

 

「そうか…、取り敢えず今日はこのくらいにしよう。何かあったら連絡してくれ___そして井上さんは取り敢えず休んで、黒崎の事が心配なのは分かるけどもまずは君自身がしっかりしないと」

 

「うん…そうだよね、有難う石田くん」

そう言って石田と茶渡、井上はお互いに別れてそれぞれ帰路に着く

 

 

「茶渡くん…井上さんの事だけど」

 

織姫が見えなくなってから石田が横にいる茶渡に声を掛ける

 

「ああ…本人は隠してるつもりらしいが明らかに無理をしているな」

 

「やっぱりそう見えるかい?」

 

「…」

 

「まったく…!黒崎の馬鹿は何をしているんだ」

 

「最近変な虚も増えているからな、唯一不可解なのは人間にも見えることだ」

 

茶渡が言う虚、黒崎一護がこの街から消えてから定期的に現れる機械の様な生命体だった。だがその虚はどうやら人間にも視認出来るようで逃げ惑う人間を追い掛けて殺害すると言う事件まで起きていた

 

「特段攻撃が強いって訳でも無いが、アイツらの厄介さは防御だ。僕のゼーレシュナイダーでの攻撃もまるで効いては無かった…」

 

「俺の完現術でも一体を倒すのに其れなりに叩き込む必要がある…」

 

今はまだ出て来ても1、2体…だがこれからもしそんなものが大量に出てくる。もしくは大型が出てきたりしたら確実にこちら側が不利になる

 

「朽木白哉が消えた時に現れた謎の歪み、もしかすれば黒崎も其処に消えた可能性が有るな」

 

尸魂界も其れ以降は余り介入しようとはしていない。事件は確実に隊長格を派遣させねばならぬレベルへと上がっていたが、今隊長を派遣したとしてもまた歪みに吸い込まれれば尸魂界も戦力を失う

その状態で破面などが出てくれば確実にこの世界が終わってしまう______とは言えどもこのまま歯噛みして待っている訳にも行かない

 

「…」「…」

 

 

落ちる夕日を眺め、石田と茶渡は再び歩き始めた

 

 

__________________________

 

〜尸魂界〜

 

『今日は此処までや』

 

「はぁ……はぁ………おわったぁ…」

 

自らの斬魄刀を床に突き立て肩で息をするヒユ、対する平子は未だ平然と立っていた。少しばかり違う所が有ると言えば仮面を付けている事だけだった

 

「ドアホ、また修練場の床に突き立てて穴開けてどないすねんお前」

 

「あ……ああっ!?」

 

「もうそろそろ俺のマネーは出してやらへんぞ」

 

「すいませんすいませんっ!!」

 

「嘘やけどな」

 

「平子隊長…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、その平子隊長が付けてた仮面って何なんですか?」

 

修練場から出て行き、五番隊隊舎へと歩いて行く二人。その途中でヒユが平子へと問い掛けた

 

「あァ______」

 

もう1度見せるかの様に仮面を着ける平子、ヒユは突如変わった霊圧を感じ取ったのかビクッと肩を震わせた

 

『そんなビビんなや、とって食うたりせーへんから』

 

「……私でも出来ます?」

 

「無理やな」

 

「即答!?」

 

「因みに一護も出来んぞ___まァ彼奴の場合おっかないけどな」

 

舌を出しウエッとした表情をする平子。ヒユはその中を見透かそうとするがあの顔を奥を覗く事は出来無かった

 

 

 

 

(言うたやろ、お前ん中には一護の霊圧が有る…んなもん今つこうたら耐えられんなって死ぬんはお前や…)

 

その中に在る、平子真子の心配の情…其れを今のヒユが知る術は無い

 

 

 

 

__________________________

 

 

〜富士山・山頂付近〜

 

 

 

「やっぱり何も居ねぇぞ」

 

『…そう』

 

黒崎一護と朽木白哉は2人で富士山の麓から山頂まで移動していた。道中キャンサーはほぼおらず山頂に来てもやはり影一つ無かった

 

「…なんか隠してるんだろ」

 

訝しげな顔をしながら電子軍事手帳に言葉を投げる一護、だが司令官からの返事は酷く淡々としていた

 

『別に。只、今私達の間である仮説が出てるの。其れを今の貴方達に話す必要は無い…其れだけよ』

 

「そうか」

 

其れを深く追求する必要は無いと考え、素っ気無い返事を返す

 

『お疲れ様、此で任務は終わりよ。今から迎えのヘリを向かわせるから待機しておいて』

 

そして電子軍事手帳の通信が切れ、再び静寂が訪れた。だがその静寂も直ぐに壊される

 

「黒崎一護…」

 

「んだよ白哉」

 

辺りを見回していた白哉が、不意に声を掛ける

 

「兄は、セラフ部隊について違和感は感じぬか?」

 

「違和感…?_んなもん感じねぇけど」

 

「…そうか」

 

「何だよ、何か気になる事が有るなら言えよ」

 

「……この事は呉々も他の、特に彼女達には伝えるな」

 

「分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あの基地の墓標が有る場所には、何の霊子も感じ無かったのだ」

 

 

「…!?」

 

 

 

 

 

 




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49.心から__警告

感想からも来てたのですがいい感じに千年決戦篇と絡ませてみたいなと作者は思いました。新しい一護この作品でもだしたいというのが本音です。でもそれをすると時間軸とかがさらにこの世の終わりになりかねないというのも本音…今ここまででも伏線ばらまいてそれを回収できるかどうか

一つの作品としてきれいな終わりを迎えられるのかどうか。やるだけやって汚い終わり方をするのがなんだかいやだなという俺のわがままですけどね()




 

「霊子を…感じなかった…!?」

 

朽木白哉とともに富士山の偵察へと訪れていた黒崎一護、山頂まで特にキャンサー達が出ることもなく平和に進んだはずだった。だが山頂へ到着し帰還のヘリを待っている最中…朽木白哉の言葉に一護は反応した

 

 

霊子…現世で亡くなった魂というものは霊子となり魂魄となる。そしてそのまま尸魂界か地獄か…少なくとも一護の世界ではそういう仕組みなのである

 

「そりゃあこの世界に尸魂界とかがねぇからじゃ…」

 

「ならばヒユという少女はどう説明をつけるつもりだ黒崎一護」

 

「…!」

 

「少なくとも彼女がいた痕跡には霊子がわずかながら感じ取れた…兄の霊圧とともにな」

 

彼女も元セラフ部隊…キャンサーと戦い、そして死んでいる。彼女だけは唯一一護たちに出会う前から記憶をなくし霊体になっていた

 

今にも消えそうな彼女に霊子などを仕込んだ記憶はなかった

 

「でも俺は霊圧を渡してなんて…」

 

だがそこで一つの可能性に気が付いた

 

 

 

 

 

 

『しっくりくるなぁ…』

 

 

 

 

消える直前、一護は彼女に自身の斬魄刀斬月を手に持たせていた。だがたかが斬魄刀を握らせただけで霊圧の受け渡しができるなんて聞いたことも見たこと…

 

 

いや…一度だけ似たようなことをしたことがある。石田と出会い立てのころにメノス・グランデを討伐しようとした際に、当時霊圧などといった概念などを知らない一護に変わり石田が一護の斬魄刀を頭に装着して戦おうとしたことがあった

 

他人に影響を及ぼしやすい一護の膨大な霊圧、そして空っぽの状態から唯一死神にまでなったヒユ…

 

もし仮にヒユに元々霊体としての才能があれば…、そしてそこにこの世界に来てしまった不純物である黒崎一護が接触してしまったら……

 

____これは本当に、取り返しのつかない出来事へなっているという可能性がある

 

 

 

「でもそれとこれとは話が別だ!ヒユには偶々才能があった!それでいいだろ!?」

 

「…その可能性もある。だが黒崎一護…基地にいるあの得体の知れない生き物は知っているな」

 

「ナービィ…だろ?」

 

「ナービィについては誰に聞いたとて、そして調べたとしても何も無い。セラフ部隊は様々な情報を持っているがそこだけ白紙というのはあまりにもおかしいとは思わぬか?」

 

「 …」

 

その時点で既に白哉の中では結論がひとつ飛び出していた、そしてそこまで言われれば黒崎一護も理解を拒否しようとも受け入れなければならないひとつの結果となっていた。

 

「…迎えが来たようだ」

だがその続きが口から出ることは無かった、ちょうど視線の先にはヘリが1台こちらへと向かっておりそれが迎えのヘリだと分かるのに時間はかからなかった。

 

その会話は一護にとって忘れられない会話になるのに、そうそう時間はかからなかった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

セラフ部隊基地 31Aの部屋

 

 

 

「そういえばよー」

 

可憐に気に入られ、膝の上にずっと乗せられていたコンが口を開いた。

 

「コン、どうしたんだ?」

 

「お前らって31Aってグループなんだろ?」

 

「バンドみたいに言うなよ…」

 

パソコンで作業をしていたユキが突っ込む。

 

「いやユッキー、あたしらバンドやってるぜ」

 

「…確かに」

 

月歌に正論を叩き込まれてぐぬっ…と下を向く。まさかコイツに正論を言われる日がくるとは…

 

「31Aってんならお前らより前の部隊とかも存在してるってことだよな?」

 

コンの一言に月歌があー、と言い話す

 

「今の所は30Gが一番最古の部隊って聞いてる、個人で見ればもっと前の人もいるけどね」

 

31Bの蒼井えりかは元々29Aに所属していたって本人から話された。もしかすると蒼井のように元々前の部隊にいた隊員がいるのかもしれない

 

「29より前に所属していた人って今もいるのかな?」

 

「どうだろうな、大半は前線から降りてるか死んでるか…墓標の数を見てもわかる通りほぼ全滅してる部隊が多いからな…」

 

「ユイナ先輩に聞いてみれば分かるかも…!」

 

「30Gの白河隊長か…確かに悪くはないかもな」

 

「となれば早速連絡だー!」

 

「…コイツ、怖いもんとかないだろ」

 

「全くもってその通りだな…」

 

普通先輩とかに連絡する時は大概こう…なんか態度を謹んでやるはずなんだが…流石のコンでもそこら辺は理解しているらしく月歌の行動に驚いていた

 

 

 

__________________________

 

 

〜浦原商店〜

 

 

「だからァ〜…ヒユさんをお借りしたくて…」

 

『何回も言うけどウチの娘はかさんで!』

 

電話越しに響く関西弁に浦原は耳を貫かれそうになる。だがここで引く訳には行かないと何とか電話を切られないようにする。

 

「ヒユさんをちょっと調べるだけじゃないですか!?」

 

『それがあかん言うとんねん!アイツまだ義魂丸すら使いこなせへん位の死神やぞ!?__お前がこっちこんかい!』

 

「いやほら…尸魂界を追放された身ですから、世間体が…」

 

『何つまらんこと言うとんねん!もう切るからな!』

 

「あっちょ…」

 

そこで電話が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…ったくアイツぁ…」

 

「すごい声が響いてましたけど…誰と電話を?」

 

電話をぶち切り適当に携帯をしまい込む平子、その横に立っていたヒユが恐る恐る声を掛けた

 

「ヒユか…お前いつの間におってん」

 

「あ、えっと…瞬歩で!__なんだか瞬間移動みたいで楽しいなって」

 

「もう瞬歩まで出来るようにになったんか、早いやっちゃなぁ」

 

「お父さんみたいな感想やめてくださいよ…、後は今雛森さんに鬼道と縛道を教えて貰ってるんです!」

 

「えらいやっちゃ、そういやお前最近なんかあったか?」

 

「…?__いきなりどうしたんですか?」

 

ヒユをじっと見つめながら平子が言う。なんとなくだが最近のヒユは以前よりももっと心構えが前進しているような。なんとなくだがそう感じていた

 

「…夢で一護さんに会いました」

 

「!?___会ったんかお前…じゃあ記憶も…」

 

「まだ記憶は全部とはいきませんがちょっとばかり、わたしの斬魄刀…元はセラフが主になってると思うんです」

 

「セラフ…?」

 

「はい、わたしの世界での武器です。宇宙からきた生物に唯一有効な武器だったんです」

 

「それがお前の元いた世界いうわけか…」

 

「はい、そして今電話していた人って…きっと世界に関わることですよね?」

 

「…気づいとったんか」

 

「私…元の世界ではもう死んだ人間のはずなんです。それが黒崎さんのお陰で黒崎さんがいた世界に来れた…そして今黒崎さん達が元の世界にもどれるきっかけが出来ようとしている」

 

「私も力になりたい、黒崎さんを取り戻して”正しい世界と歴史”にもどしたいんです!」

 

「…はぁ」

 

ヒユを見下ろす平子の目が逸れる。

 

(俺ァこういう押され気味の目されると止められへんゆーねん…)

 

だがそれがヒユの意思、この世界に来て初めて自分から唱えた心からの言葉。

 

「…しゃーないなぁ、ちょっと待っとけ」

 

乱暴にしまい込んだ携帯を取り出し、電話を掛け直した

 

 

__________________________

 

 

〜セラフ部隊基地〜

 

 

「…」「…」

 

白哉と一護を乗せたヘリが基地に到着し、それぞれが降りていく。

 

「お疲れ様」

 

普段は居ないはずの手塚司令官が立っており、とりあえず頷いて通り過ぎようとした黒崎一護達。

 

だがすれ違った瞬間、氷よりも冷たい視線と言葉が2人を撫でた。

 

 

 

 

「これ以上、余計な事をしないでちょうだい」

 

 

 

 

「「…ッ!?」」




正しい世界…正しい歴史……


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50.好まぬ争い___招待

何この時空を超えた全面戦争みたいな絵面で前話終わらせてしまうとかいう…




 

「っ…!!」「ッ…!」

 

冷たい声が2人を撫でた瞬間、2人は司令官達の方を向き斬魄刀に手を添えた。それに反応した周りの兵士が銃を2人に突きつける

「貴方達、やめてちょうだい」

 

だが銃を降ろさせたのは司令官だった、最初はそれを無視しようとした兵士達だったが2度目の言葉に気圧され銃を降ろす。

 

「テメェ…なんのつもりだ…!?」

 

斬魄刀に手を添えたままの一護と白哉、だが依然司令官は何もしかけてくる気はない雰囲気を出していた

 

「…別に貴方達と争うつもりは無い、第一貴方達と争ってもいい事なんて何も無いわよ」

 

「だったらさっきの言葉はなんだよ…、これ以上はってどういう意味だよ…!」

 

「貴方達に教える義理はない、ただこれ以上余計な事をするなら私は貴方達を人類の敵と見なして排除するしかない…もちろん茅森さんや蒼井さんの手を借りてね」

 

「っ…!!」

 

斬魄刀を抜き放とうとした一護を、更に司令官が言葉で畳み掛ける

 

「いいの?戦うことになれば…あなたの相手は”彼女達”になる」

 

「…!!」

 

その彼女達が指す言葉の意味を分からない程一護も馬鹿ではなかった。震える手を何とか斬魄刀から放す

 

「…貴方達の会話は基本的にどこでも聴こえてる、出処は教えないわよ」

 

「なんでそんな真似を…」

 

「…ここは日本最後の軍事基地、クーデターが起こらないように対策は徹底するのが当たり前じゃない?」

 

「まさか基地のあっちこっちに…アイツらにも付けてんじゃねぇだろうな…?」

 

黒崎一護が言うアイツらは言わずともその場にいた全員に理解出来ていた。まさに一触即発…少しでも回答を誤れば確実に一護は背中から斬月を抜き放とうとしている。あとのことなんて考えず…自分が信じるものの為に

 

「…」

 

「何とか言えよ…!」

 

「…ノーコメントね」

 

「ッ…!!」

 

 

「やめぬか、黒崎一護…」

 

「白哉…!」

 

今にも抜こうとしていた一護を止めたのは隣にいた朽木白哉だった。

 

「貴方は何とも思わないの?」

 

止めた白哉に対し、またも質問を投げかける司令官

 

「今ここで争ったとして互いに良き点など存在はせぬ、私はただそう思って止めただけだ」

 

「そう」

 

「黒崎一護、あ奴らは兄と私を失う訳には行かないはずだ」

 

今まで上げてきた勝利、ここ数ヶ月は必ず黒崎一護と朽木白哉の名があった。つまるところ優秀な戦力である、それを簡単に失う訳には行かないはず…

 

「それに護ると一度決めたものは守り通せ…それが兄の心では無いのか」

 

もし今ここで斬月を引き抜き争うことになれば一護達と戦うのは確実に月歌達だ。元々仲間だった者たちに剣を抜くのは一護も…彼女達にとってもあまりにも嫌な事になる。避ける為には自分が1度落ち着かなければならない。

 

息を吸い、吐く。その最中ゆっくりと刀から手を離す。

 

「ああ、悪ぃ…」

 

「とにかく”少なくとも”私達は敵ではないわ」

 

「少なくとも…?_おい…!」

 

少し引っかかった言い方をした司令官に一護が言葉を投げかけようとする。だがその最中に司令官はすでに階段を降りていってしまった。

 

「…」

 

少しづつ、何かが崩壊していく。やっと固まっていったはずの何かが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜セラフ部隊基地・一護の部屋〜

 

 

「おいコン_____コン?」

 

部屋に戻りいるはずのコンを目で探す、だが部屋には気配一つもなく…おまけに霊圧すらそこには残っていなかった

 

(アイツどこ行きやがった…!?)

 

霊圧の痕跡を探りながら進んでいく、あんなぬいぐるみが自力で歩いていたら確実にホラーもいいところだ。バレる前に回収して今度は縛り付けておいてやろうと考えながら____________

 

 

 

 

「一護!おかえり!」

 

「オウ!一護!」

 

 

霊圧の痕跡を辿っていくと、月歌達の部屋へとどんどん近づいていっていた。

 

嫌な予感がしていた__________

 

 

そしてそれは当たっていた。遅かった。しかも寄りにもよって31Aの部屋…そこの前に立っていた月歌とコン…最悪のペアだ

 

「コンテメェ何勝手に____」

 

「ちょ、ちょっと待て!!せめてコイツの話を聞いてやってくれ!!」

 

「あん!?」

 

 

「一護!」

 

 

コンの横に立っていた月歌が一護の前に立つ。なんとなく目を合わせずらい…それにまだ治りきってはいない絆創膏が目に写り更に目があわせずらくなる

 

「何はともあれあたし達はこれからも仲間だ!」

 

「…!」

 

「だからこれからもよろしく!」

 

「月歌…」

 

相変わらず屈託の無い笑顔で言葉を放つ月歌に一護の中にあった重りが音をたてて崩れていく。

 

「いや、ずっとこれを言いたくて探してたんだけど。皆いま風呂行ってるんだけど、あいつらも同じ気持ちでいるんだ」

 

「コンから聞いたのか?」

 

「うん、全部聞いた。死神の事も…虚の事も」

 

「いつかは話そうと思ってたんだけどな…」

 

「別に何も気にしなくていいぜ、だってさっきも言った通りあたしらは仲間だ。それに変わりは無い」

 

「あァ、そして俺はお前らに謝らねぇといけねぇ」

 

あの日あの時、虚に喰われかけていたとはいえ守ると誓ったはずの刀を月歌達の方へ向け……殺しかけそうになったことを

 

「すまなかった」

 

「いいよいいよ気にすんなって、あと明日31Bの奴らと集まってパーティするぜ。一護もちゃんと来いよ!」

 

「…分かった____って明日ァ!?」

 

「え?うん明日。だって一護いなかったじゃん」

 

「あ、ああまぁ確かにそうかもしれねぇ…」

 

 

頭を抱える一護、そしてそれを見て笑う月歌。この後31Aのメンバーが全員帰ってくるまで2人の話は続いたという…

 




司令官のあの何考えてるか分からん、それでも月歌達には寄り添う体勢が好き。

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51.パーティ___義骸

3章はラーメンの後に寿司食ってデザートにケーキ食うくらいに重そうな章だと思ってみてください。でも俺のことだしそんな残酷な描写はしません()

甘いかも…?

そして前回の司令官の、偉く攻撃的な構えなのに危害は加えたくない…えらく矛盾してる感じがしたと言われたので補足的なものを…

軍の人間としてはこれ以上懐に潜り込まれたくないという種の威嚇行為。そして1セラフ部隊隊員としてこれ以上真実に近づけば元より余所者の2人を始末しなければならない…彼女也の葛藤というやつです。ややこしくて申し訳ないです


 

「オペレーションプレアデス終了を祝って…」

 

 

「「かんぱーい!!!」」

 

 

基地の中のフレーバー通りにある店を貸し切り行われている31Aと31Bの打ち上げ。最初は一護と月歌、そして蒼井の3人だけのはずだったのだがどうやらほかのメンバーにも漏れていたらしく、結局2部隊での開催となった

 

「なんで私まで参加しなきゃならないんだ…研究で忙しいと言ってるだろう…」

 

「まだ言うか樋口!参加してくれるならアイツの刀調べていいつったろ!?」

 

樋口の肩を持ちながらいちごが言い、樋口がそれならば仕方ないとため息を吐き飲み物を口に含む。逆に一護は口に含んでいた飲み物を盛大に吹き出した___しかもその先にはタマがいた。

 

「うぇあ!?!?__きちゃない!!」

 

「げっほ…!!おいまて初めて聞いたぞ!?」

 

次の瞬間、凄まじい速度で一護の眼前に迫ったいちごが耳打ちをしてくる

 

「黙って都合あわせろよ…!!」

 

「ふざけんなあんな奴に渡したらまともに返ってくるわけがねぇ…!」

 

どうからどう考えても、涅マユリに似た空気を纏う少女。最初に会った時から言われてはいたがなんとか躱してきていた____だがそれも今回で終わりそうになっていた

 

「今日は皆揃っての約束だろうよ…、樋口は半ば無理矢理私とすももで連れてきたんだよ…!」

 

「んでそれに俺が関わるんだよ…」

 

「リハビリ中の蒼井の車椅子作ってくれたんもアイツだし恩返しするにはお前の刀しかないんだ…!頼む…!」

 

そう言われ、蒼井に視線を落とす。月歌達とワイワイ話す蒼井にかつてのような暗い雰囲気はもう残っていなかった…今日は無理矢理許可を貰い抜け出してきた…そのために特殊な車椅子を開発したのも樋口…

 

「そう言われると見せても…いいのか?」

 

「だろ?___」

 

もしかしたら樋口に渡せば何かしら世界の解明に繋がるかもしれない、向こうももしかしたら涅マユリ…そして浦原さんが動いてくれているかもしれない…

 

浦原さんと樋口が会えば何が起こるんだろな…、そんなことを不意に考える。

 

もうかなりの期間会えていない仲間の顔も過ぎっていく。元に戻りたいという気持ちもまだ胸の奥にある…だがそれと同じくらいに膨れつつあるのがここで彼女達を守って戦うという選択だった。

 

__戻れるまでは彼女達を護る。だがもし今自分が戻ってしまえば…?撃破出来ているとはいえキャンサーも次第に強くなっていく、もし今後更にもっと強いキャンサーが出現した際彼女達は勝てるのだろうか…

 

彼女達をまた庇護対象として見ている訳では無い、今までの戦いや会話で彼女達は自分達で道を切り開けるという所を見せ付けられ納得したはずだ。だがそれでもチラつく彼女達の敗北____

 

1度見てしまい、関わってしまえば世界が離れたとしても関係の無い話だとは言えない

 

見知った顔が死ぬのはどれだけ離れていても辛く、苦しいことだ。

 

「…さん」

 

それを俺は今まで様々な戦いで知ってきた。だからこそ________

 

 

「一護さん?」

 

「…蒼井?」

 

「はい、一護さんのよく知る蒼井です」

 

焦点が定まった目で蒼井の方を向く。まだリハビリ中の蒼井だったが痩せている様子もなく変わらぬ姿だった

 

「悪ぃ、ボーッとしてた」

 

「一護さんはよくボーッとするのが悪い所ですね」

 

「ははっ、まったくだ」

 

「それにしてもここまで皆さんが盛り上がるとは思いませんでした…」

 

視線を向けた先ではいつの間にか離れていた一護が可憐___もといいカレンと腕相撲を展開していた。

 

「だな、これも全員生き残ったからだ」

 

「蒼井も生きれて良かったです。もしあのままだったら死んじゃうなぁって」

 

「俺も必死だったからな」

 

駆けつけた時、正直自分がどうしたかなんてほぼ記憶にはなかった。ただ司令官から渡された薬を飲ませペラペラと……

 

 

 

___待てよ

 

 

同時にブワッと冷や汗が滝のように流れ出す。

 

 

「一護さん!?汗凄いですよ!?」

 

横で心配する蒼井を手で制し、もう反対の手で凄まじい速度で思考を回転させる

 

あの時の蒼井は意識を保つのに精一杯。確か貰った薬は液体____どう飲ませた俺は…

 

 

「いや、なんでもねぇ…!皆んとこ行こうぜ!」

 

これ以上はまずいと考え思考をシャットダウン。蒼井を押していちご達の元へと向かった

 

 

__________________________

 

〜数時間後〜

 

「なぁ蒼井」

 

パーティが始まり数時間、様々な話が絶えず続けられるこの場所で月歌が蒼井に問いかけた。

 

「蒼井は元々29Aの隊長だったんだろ?」

 

「はい、そうですよ?」

 

突然の質問に頭にハテナを浮かべる蒼井、月歌はそのまま言葉を連ねる

 

「蒼井よりも前のセラフ部隊隊員っていたのか?」

 

「うーん…」

 

月歌からの問いに蒼井が首を傾げる。

 

「当時の蒼井は全然余裕がなくてそれどころじゃなかったので…もしかしたら30Gの白河隊長なら分かるかもしれません!___力になれなくてごめんなさい」

 

「いやいいさ!それだけでも進展ありだからな、蒼井も早く治して復帰しようぜ」

 

「はい!月歌さん!」

 

 

 

__少しづつ、歯車が回り出す。古豪との出会いが彼女達の運命を大きく替え____

 

 

そして黒崎一護達の運命をも大きく狂わせていく…今はまだ小さくとも…やがてその狂い、言わば歪みは大きくなっていく。

 

 

__________________________

 

 

〜現世〜

 

 

「ここが黒崎サンのお家ですよ」

 

「へぇ〜…!」

 

クロサキ医院と大きく書かれた看板をまじまじと見つめながら中をのぞこうとするヒユ、だがそれを浦原が止める

 

「今はまだ接触しない方がいいかもしれませんねェ」

 

「うーん…そうなんでしょうか…?」

 

浦原喜助の機械の数々がヒユを隅々まで解析している最中、とりあえずの暇潰しとして義骸を使い外を出歩いていたヒユ達。

 

『義魂丸も渡しておきますから大丈夫ですよぉ』

 

そう言われて渡されたのはなんとなく知っているウサギの義魂丸だった。噂によれば女性死神の中でもトップで人気の品であり特に十三番隊副隊長はこれを過剰なくらい愛用しているとの噂…

 

 

最初は中々扱いに慣れなかったものの、流石は浦原クオリティ。すぐに馴染めた、ファッションセンスはヒユのおまかせとなった

 

変な服の数々を進められたのはまた別の話__

 

「鉄斎さんが解析を見守っててくれていますので、私達は気ままにパーッとね」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

平子隊長が言ってたイメージとは全く違う印象があるが特に嘘をついていたりするわけでもなさそうなのでひとまずは安堵する。

 

それにこうやってまともにオシャレをするのも久しぶりのような気がする。セラフ部隊に入ってからなんてそうそう出来るものじゃなかったし_______

 

(あれ…)

 

自身の違和感に気づくヒユ。

 

(あれ、私セラフ部隊に来る前…何してたっけ)

 

親がいる、それは覚えている。だが顔が浮かばない…

 

どこに住んでたか、だれといたか、何をしていたか、

 

(なんで思い出せないんだろ…)

 

「ヒユさん?」

 

「え、あ…!ボーッとしてました!すいません!」

 

「いえいえ、まだ義骸にも慣れきっていないんでしょう…もう少し慣らしましょう」

 

頭を下げるヒユに対し柔らかく答える浦原、だか内心正直かなり考え込んでいた。

 

 

(彼女の身体から感じる霊圧…黒崎サンはほぼ無いに等しいですが、それに変わって感じたことの無いエネルギーを纏い始めている?)

 

涅隊長が言っていたこの世界に存在していないエネルギーと言われるもの…最初は彼女の身体の中からしか確認できないと聞いていたはずのエネルギーが、今では身近にいるだけで感じるようになってきていた

 

(これがなにかのキーになるか、それとも災いの種となるか)

 

災いの種になるなら、尸魂界も放ってはおかない。だがそうなれば確実に彼女は殺されるであろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そうなる前になんとしてでも解析、そして事を上手く運ばないと…黒崎サン達の為にも)

 

 

 




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52.研究___始まりの雷鳴

物に名前をつけるのっていざオリジナルを考えてみるとなると被らないようにと、めちゃくちゃ難しいものですね…

いい感じにまとまるまでに既に1週間…中々しんどい!!


 

〜セラフ部隊基地・研究所〜

 

 

「ふむ…」

打ち上げが終わりそのままの足でセラフ部隊の研究所に引っ張られた黒崎一護、その視線の先では樋口がかつてないほどの盛り上がりを見せていた。

 

(コイツ…マジで賢けぇんだな…)

 

周りを見渡せば様々なセラフやキャンサーに対する資料などが散らばったり貼ってあったり、ぐちゃぐちゃではあったがどれもこれも有意義な資料ばかりだった

 

「そこら辺の資料は下手に触るなよ、お前らからは分かりにくくても私からは分かりやすく置いてあるんだ……それとも詳しく解説してやろうか?」

 

「いや…遠慮しとくぜ」

 

「そうか、遠慮するなら私から聞いていいか?」

 

斬魄刀に様々な機械を装着させている片手間で一護に質問を投げかけてきた樋口。一護は少しばかり警戒してしまった…さっきまでの口調とは変わりどこか探りを入れている__と言うよりその先を予言できている。それで尚探りを入れようとしてきているように感じたからだ

 

「なんだよ…」

 

 

 

 

「まず大前提で私の仮説だが、黒崎一護…そして朽木白哉、2人はこの世界の人間じゃない」

 

 

 

 

 

 

樋口の言葉に一護の肩がピクっと震えた、

 

「…!」

「顔を見なくても気配でわかる、わかりやすい奴だ…」

 

斬月に機械を付け終わり、パソコンがある椅子へと腰掛ける。そしてその椅子をくるっと一護の方へ回転させた

 

「そしておそらく私達よりも過去の世界…別の次元からきた。どうだ?」

 

「…なんで過去の世界って言える?」

 

「何、軍事電子手帳…ある意味のスマホだがお前達はこれの使い方を知らなかった。その時点で既に分かっている。何せ当たり前の物だからな…私たちにとっては」

 

(確かに、俺達が使ってたのはこんなハイテクな機械なんかじゃねぇ……ガラケーだ)

 

「世界を超えてきた原因はおそらくキャンサー…どんなキャンサーかは知らんがソイツが時空を超えさせて偶々お前たちの世界に来た___仮説だがな」

 

「…俺が向こうの世界にいた時に、最後にデケェ生き物と戦った。あん時の俺ァ必死で覚えてなかったが今考えればキャンサーと言われても頷ける」

 

多数のエネルギーの塊の弾の数々、そして時空を歪めさせる歪みの作り…

 

「災難な奴だな、わざわざこんな世界に飛ばされてしまったんだ」

 

「…」

 

思っていたよりこちら側に心を寄せてくれているのだろうか…

 

「だがそれはこっちとしては大歓迎だ、敵対勢力の調べばかりしていては嫌な情報ばかり目に入る。それに比べてお前はおそらく味方だ…その仲間ってやつの情報なら希望に満ち溢れているだろう?」

 

「…そう、なのか?」

 

ダメだった、一瞬でも彼女に期待してしまった俺がバカだった。あの人程酷くはなくともそのまま過ごしていけば確実にあの研究狂いの男になってしまうかもしれない…

 

「それに私は見たことが無いものを研究するのも好きだ、研究者としては当たり前の事だがな___出たか」

 

後ろのコンピュータがピッという音を出して樋口に知らせる、なんの音だと思う一護を他所に椅子を一回転させた樋口がPCの方へと向ける

 

「この剣はどうやって作った?」

 

「…わからねぇ」

大体素材とかあるのだろうか、だってこれ皆の霊圧込めて作った刀から生えてきたとしか言いようがない気がする。

 

鉄を打って作ると言った正攻法をしていない一護はもはやイレギュラーの塊だった

 

「鉄…では出来ていないらしいなこれは」

 

これっていわゆる想いの力の塊…ってやつでは無いかと内心考える

 

「当たり前か、別の世界から来たならこの世界には無い素材があっても納得が出来る…本来なら分解して隅々まで調べたいところだがお前は貴重な戦力だ。そんなことをしようものなら確実に私が殺されるな」

 

 

 

「分解は殺されなくてもやめろよ」

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

〜現世〜

 

 

 

「おやおや…鉄斎さんから連絡が〜」

 

そう言いながら携帯を取り出し耳を当てる。

 

「もしもしどうも〜____解析が終わったとの事です。帰りましょうヒユさん」

 

「あ、分かりました!」

 

一護の家を離れ、空座町を歩き回っていた2人。だが鉄斎から解析終了の電話がかかり帰ろうとする

 

「っ…!」

 

そうして振り返った瞬間、浦原の動きが止まった。

 

「貴様は…特記戦力の1人!」

 

立っていた1人の男が、浦原を見て驚愕の表情を浮かべていた

 

(何者かは知らないが嫌な予感がする…)

 

義魂丸をヒユには持たせているが戦うとなれば彼女はまだ幼い、戦闘経験がない彼女を前線に出す訳には行かなかった

 

「黒崎一護を探してたんだがな、何故奴の霊圧を感じないのだ」

 

「そりゃあ当たり前でしょう、黒崎サンは今はお留守ですから」

 

「その様子じゃあどこに言ったか知ってるみたいだな、素直に教えてくれれば楽ですむ」

 

白く綺麗な服装_まるで死神たちの纏う死覇装の真反対のような服に身を包み、破面のような仮面を左目あたりに付けた男は目の前にいる浦原にそう問いかけた

 

(まずいな、本気でアタシ達も分からないんですけどねぇ…そんなこと言っても敵サンは信じてくれなさそうですし)

 

「おい、聞いているのか?」

 

「聞いてますよォ…急かさないで貰いたい。それにアタシだけ名前が知られてるのも卑怯じゃないですか」

 

 

「いいだろう」

 

 

後ろにいるヒユが義魂丸を取り出そうとしているのをなんとか手で止める。今ここで刺激してしまえば街の景色を変える___なんてことになりかねない

 

 

 

 

 

「イーバーン__アズギアロ・イーバーンだ」

 

 

 

 

 

 

 

____そしてほぼ同時刻、尸魂界に雷鳴が降り注ぐ




怒 涛 の 3 章



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53.意思___コソコソ話

一護と白哉がおらずのまま始まる千年血戦篇。ヒユ達がどう絡んでくるのかお楽しみにでございます

そして1話1話を作りこんでいこうと思うので、少しばかり更新が遅れる場合がございます。こんな作品待ってる人いないかもですがもし待ってくださるのなら…その時はお願いします

そして既になんか雰囲気がダメになってきている___


 

(浦原さんに止められてるけど…私が出ないと…!)

 

ポケットの中にある義魂丸を、手汗が出る程に握りしめ浦原の後ろに立つ佐原ヒユ。戦闘訓練や鬼道の訓練は受けていても…この世界とキャンサーとではあまりにも戦い方が変わる

 

(浦原さんを守らないと……この街を、守らないと…!!)

 

だがそう考えれば考える程に手足の拘束が強くなったように感じてしまう。それ程に格の差を肌でひしひしと感じていた

 

前に出たとして時間を稼げるかどうか……

 

「心配しないでくださいヒユサン、あたしゃこう見えても結構やる方なんですよ」

 

「おい…」

 

浦原の後ろでアズギアロが手を振る、だが浦原はそれをガン無視し話し始めた

 

「それに貴方には今後重要な役目が回ってくるはずだ…その時まで守るって決めてあるんですよアタシ達は」

 

「はい…分かりました」

 

ヒユはこの世界に来てから、守られてばかりだった。何をするにも誰かに____

 

「電話…?」

 

次の瞬間、平子から渡されていた携帯が鳴り懐から取り出す。

 

(雛森さんからだ…)

 

とりあえず通話キーを押し耳に当てる。

 

『もしもし、ヒユさん…』

 

耳から聴こえた声だけでも、雛森が落ち込んでいると言うことは明白だった。

 

「どうしたんですか雛森さん…!?」

 

『さっき尸魂界に白い外套を纏った集団が山本総隊長に宣戦布告をしたの』

 

「えっ…!」

 

尸魂界に対して宣戦布告、突然すぎる出来事に一瞬頭がストップしそうになった。なにかの冗談かとも考えたが声の感じや彼女の性格…嘘をつくとは思えなかった

 

『それで、その際に一番隊副隊長の雀部長次郎さんが戦って亡くなったって…』

 

「雀部さんが…!?」

 

一番隊、山本元柳斎重國が率いる護廷十三隊で最強と言われる部隊、最初に会った優しげなおじいさんがまさか1000年以上も総隊長であり続けたときはあまりにも驚いて腰を抜かしそうになってしまった。

 

 

『これ、すっごく美味しいです!!』

 

 

割と無礼を働いたからだ…

 

そしてその横にいつも立っていた、雀部長次郎と呼ばれているこれもまた貫禄があった人だった。

 

関わりはあまりなく、数回だけ言葉を交わしたのだがその数回でのインパクトは凄まじく

 

 

特に山本総隊長のことについて1度聞けば日が暮れるまで只管に語り続けられ流石のヒユもギブアップしてしまった。

 

(あの時平子隊長が来てくれなかったらそのまま…)

 

1度だけ剣を交えた時には、真っ直ぐな総隊長に対する敬意などがその刀にのっていた。あまりにも実力不足のため数回しか打ち合え無かったがそれだけでも彼がどれだけ尊敬しているのか…嫌という程伝わった

 

(白い外套…)

 

目の前の__アズギアロと名乗った男を目で見る。その目がどんな色をしているかは分からないけど…きっと酷い目でその人を見ていることだけは理解出来た

 

 

 

 

(なんだあの女……空気が変わった…?)

 

 

 

 

アズギアロは浦原と目を合わせていたのだが突如として後ろの女の霊圧の昂りを感じそちらへ目を移した。

 

 

(ヒユさんの霊圧が上がっていく…!?___)

 

後ろから感じていた霊圧がどんどんと大きくなっていくのに驚いて後ろを見る、そこに立っていたヒユは動いてはいないものの霊圧は鋭く、目もそれに呼応するかのように鋭くなっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(浦原さんが驚くこと、あるんだな…)

 

黒崎さんとの出会いで、空っぽだった私が再び生を持った。死んだはずの私がなんであそこにいたのか分からないけど…きっと運命だったのかもしれない

 

 

 

 

『皆!今助けるから…!!』

 

 

 

無茶だと言われていた任務

 

分かりきっていた結果

 

次々と殺されていく仲間

 

セラフさえ…彼らの生きた証でさえ粉々に砕かれ、最期ですら顔を見せて貰えなかった絶望

 

そんな毎日を送り、心身共に疲労していたところを作戦でミスをして地下から現れたアイツに全滅させられた

 

(そんなはずの私がここに立ってる…)

 

今の自分にセラフは無いが、代わりに平子隊長が信じて持たせてくれた斬魄刀がある

 

この世界で過ごし、その1ページに雀部長次郎という一人の男の名前がヒユの心に刻まれている

 

それほど関わりがなくとも…、仲間を失うことはいつの時も心がギュッとなる。

 

『ヒユさん…!?_』

 

電話越しに聴こえる雛森の声、そのまま携帯を下ろし通話終了キーを押す。最後まで雛森は何かを言おうとしていたが今のヒユには何ひとつとして返ってこない…

 

「浦原さん、私に戦わせてください」

 

「えっ…!?でも_____」

 

「お願いします、戦わせてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(今のヒユサンが戦って勝てるかどうか、正直アタシにも分かりません)

 

ヒユが戦いたいというのは浦原も何となくはわかっていた。おそらく尸魂界で何かがあってそして目の前にいる男と何か関わりがある…

 

(最近少しずつ変な歪みも見えますしねェ…一部回収、解析してるものの。いつ結果が出ることやら…それに)

 

今の彼女が持つ斬魄刀も、彼女自身の能力も今はあまりにも未知数な点が多すぎる。それに敵の正体わからぬまま彼女を前に出す訳にもいかない…

 

相手が下手に利用すればそれこそ平子真子に合わせる顔が無くなってしまう

 

 

なのに、何故だろうか…

 

初めて黒崎一護を尸魂界に送り出した時のような、期待を彼女にしてしまう…

 

彼女なら何かを見せてくれるのでないか、彼女なら可能性を作り出すのではないか…

 

 

 

 

「ならばヒユさん…私から1つ条件があります」

 

 

唾を飲み込み、浦原喜助はある賭けに出た

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

〜セラフ部隊基地・ナービィ広場〜

 

 

 

「…」

 

黒崎一護はナービィを膝に抱え胸の内にある不信感や違和感に苛立ちを募らせていた

 

 

『これ以上、余計な事をしないで頂戴』

 

 

富士山への偵察任務の最後、手塚司令官から言われた警告。それが何を意味するのか…そして第一なぜ白哉との2人きりの会話が外へ筒抜けているのか…

 

(ダメだ…考えれば考える程不信感しか募らねぇ…)

 

何か大きな物が裏で動いていそうな、そんな嫌な予感に包まれる。

 

(蒼井達セラフ部隊にまで関わること…、それに本来遺体が多い場所にはあるはずの霊子が1ミリも無いこと…)

 

やはりもう一度手塚司令官に直接聞きに行くしかないのだろうか____

 

だがそうなれば月歌達を敵に回してしまう羽目になる。

 

 

 

 

「お前が黒崎一護だな」

 

 

「おわっ!?」

 

1人考えに老け込んでいると、突如後ろから声をかけられひっくり返る。

 

「…」

 

「ってて…」

 

ひっくり返った一護を見下ろすように1人のセラフ部隊隊員が佇んでいた。立ち方から月歌達とは一線を超えた感覚を肌で感じる

 

「誰だ、お前…」

 

「我は月城最中、30Gの隊員だ。お前と同じ場所からやってきたというあの朽木白哉と同じ部隊である」

 

「ああ…30Gか」

 

立ち振る舞いから溢れ出る強者の風格に納得もいく、現在最古であり最強の部隊30G。白河ユイナを筆頭とする凄まじい戦闘能力を持った集団である

 

(なんかちっさいのが1人いたような…)

 

一護の刀を見て無性に興奮し、一時はお弟子さんとか言ってきたような…

 

 

 

「…」

 

 

それはさておき…一護は月城最中と名乗った隊員の前に立った。

 

「それで、俺に何の用だ?」

 

「茅森達がお前と話したがっていた」

 

「…茅森達が?」

 

「先程話をしてな、茅森がお前にも話しておきたいとのことだ」

 

「なら今ここで俺に話せばいいじゃねぇか」

 

「…我は話すのが苦手なのだ。それに…」

 

そう言いながら月城は辺りを見回す。一護もなんとなくだが何故ここで話さないのか…その真意を見出すことが出来た

 

 

___彼女があまり話すのが好きでは無いということ、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

(外でするにはあまりにもまずいネタってことかよ…)

 

 

 

「わかった、俺からアイツらのほうに掛け合ってみる」

 

「ああ」

 

とりあえずその場所を離れ月歌達の元へと向かう。何やら大きな出来事にまた巻き込まれそうだ……

 

 

 

 




ヒユさんこう見えて意外と好奇心旺盛なんですよ…
だから尸魂界に来た時はそりゃあもうあっちこっちに顔を出して…そして人柄の良さで案外溶け込むとかいう…

記憶ある程度戻ってからもそれは変わらず、逆にキャンサーと戦っていた経験が生きるかと思いきや…

平子隊長に止められるんですよね(スピンオフかな?)

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54.見えないモノ___進展の予感

個人的には戦闘シーンをぶわあああっ!って書きたいんですけどかなりそれは後になりそうだな…
それはさておきヒユさん頑張れ…


〜31Aの部屋〜

 

「それで、月城最中ってヤツからお前らに通されたんだが…俺に用があるって?」

 

あの後即座に月歌に会いに行き、丁度部屋に入ろうとしている31Aのメンバーを見つけコンタクトを取る。やはり外で話すと不味い話題なのか部屋の中へと招待された

 

 

「年頃の異性の部屋に入って最初の一言が其れかい?全く連れないねぇ…そんなんじゃモテないよ〜?」

 

「うるせぇ、こちとら気を逸らすのに必死なんだよ」

 

「なんだ、意識してんじゃん〜!」

 

あっはっはと笑いながら一護の肩を叩く月歌。周りで見ている31Aのメンバーも其れに笑ってしまう、その中一護が耐えきれず叫んでしまう

 

「ふふふ…一護さんも意外とおとk…いだだだだ!?」

 

「おいタマァ!!!」

 

「いだっ…!はいぃ…!いだだ…!!」

 

頭をめぐみに鷲掴みされながらも返事をするタマ

 

 

 

「アイツだって年頃や、配慮してやれ」

 

 

「おい待て変な誤解が広まるだろ…!」

 

 

その後も暫くはじゃれあいが続き、全員の体力が消えそうになるまで続いた

 

 

 

 

 

 

〜30分後〜

 

 

 

 

 

「其れで…はぁ、話って…?」

 

「よくぞ聞いてくれた一護!」

 

「くっそ…腹立つ…!」

 

 

「一護は今まで戦って来た中で仲間の遺体とかって見た事有る?」

 

 

「…!」

 

まさか、月歌達もこの疑問に辿り着いていた…いや恐らくだがあの月城最中と言う人物が何かを吹き込んだのだろうか…

 

「…いや、そもそも俺達の周りじゃ誰も死んでねぇだろ?」

 

事実ではある、今までの戦い___デススラッグやロータリーモール、レッドクリムゾンとの戦いで辛くも死人を出す事は無かった

 

「一護が居なかった時、レッドクリムゾンの後だったかな…休暇で暇してた時にヘリポートから叫び声が聞こえてさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お願い!!最期に会わせて!!』

 

 

『何かあったのかな…ユッキーちょっと見に行こうぜ』

 

『ええ…ったく…』

 

傷も治り元気が有り余っていた月歌はユキを連れて外を出歩いていた。その最中ヘリポートの方面から誰かの泣き叫ぶ声が聞こえ何事かと向かう

 

 

「月歌…!止まれ…」

 

「えっ…」

 

ヘリポートが見え、自分達が身を隠せる場所で月歌を止めるユキ、その視線の先には恐らく先程任務から帰ってきた部隊…そしてその部隊から一人欠けている事に気付くのにそうそう時間は掛からなかった

 

『お願いします!!最期に顔を見せてください!』

 

司令官に掴みながら涙を流す隊員、だが司令官は変わらぬ態度で接する

 

『ダメよ、軍の規則に反するつもり?』

 

『そんな…最期まで一緒に戦った仲間なんです!』

 

『そうしてあげたいのは山々だけれど、其れは出来ないの』

 

『うっ……ああぁぁぁぁ!!!』

 

その場で泣き崩れる隊員に生き残った別の隊員が歩み寄る、其れを見下ろす司令官の目は何時もとは変わらないがその奥には……きっと何かがあるかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『最期に会わせて貰えないって…どんな気持ちなんだろな』

 

その帰り、気不味くなった雰囲気のまま歩く2人の姿があった

 

『さぁな…、そんなの経験したもんにしか分からねぇよ…』

『アタシは無理矢理でも見に行くかも』

 

『損傷が激しかったらどうする?__目も当てられない状態だったって可能性もあるだろ?』

 

『其れもそうなのかな…』

 

その日は其れで落ち着いた、だが月歌の中にはどうしても説明できないモヤが掛かった様な気がしてどうしようもなかった

 

そしてパーティの日に蒼井に話を聞き、なんとかかんとかその人物と会う事が出来た

 

 

「其れが…月城最中か」

 

「うん、一応同盟を結んだつもりでいる。軍の秘匿する情報ってやつを追う者同士でね」

 

「また大きく出たじゃねぇか…、大丈夫なのかよ」

 

「本来はハッキングが得意なユッキーに任せたい所だけど、こればかりは生命までもが関わるかもしれない…バレない様に本から見ていこうって所」

 

「そうか」

 

「其れで、一護にも協力して欲しいんだ」

 

「俺に?」

 

「一護は強いから任務に出る回数も多いかもしれない…だから外に出た時に何か情報が手に入らないかって」

 

「……出来る限り見ておく」

 

「助かるよ〜、これで一護とも同盟!」

 

「元々仲間ってもんだろ…」

 

「其れはそうかも…あはは!」

 

(あの時、軍に違和感を感じたのは俺だけじゃなかった…月歌の事だがユキも着いてるなら大丈夫の筈…)

 

白哉と共にに感じた時の話、あれはまだこいつらにするべきでは無いと思った一護はひとまず話を終わらせ31Aの部屋を出た

 

 

 

_____そしてその後直ぐ…明日に新たな任務の作戦説明をすると言うメールが電子軍事手帳へと届いた

 

 

 

(このタイミングで作戦だと…?___俺ァともかくアイツらは大丈夫なのかよ…)

 

そう考えながらも、従うしかないこの状況。ひとまず一護はベットへとついた

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

〜現世・空座町〜

 

 

「おいおい、まさかこの女が俺の相手か?」

 

浦原喜助が後ろへ下がり1人の少女が前に立った、この事にアズギアロは失望を隠す訳でも無く大きくため息を吐いた

 

「彼女の事舐めてると痛い目見るっスよ〜」

 

「はっ、こんな小娘直ぐに終わらせてお前の元へと行くぞ浦原喜助!」

 

 

(さっきから私の事小娘だのなんだの好き放題言って!)

 

顔は無表情をなんとか貫いているが内心は最早、火山が噴火した様な怒りに達していたヒユ

 

(雀部さんを殺して、そして私の事をバカにして…この人の仲間もそんな奴ばっかなんですか!?)

 

無言である、だが内心はとてつもなくうるさい

 

「すー…はぁ…」

 

刀を引き抜きアズギアロに向ける、正直人の形をした相手とやり合った事が無い為に元来守るべき対象だった人に…少しばかりの抵抗感があったが誰かが背中を押してくれている様な気がしていた

 

(きっと黒崎さんだろうか…私が此処に来た意味、絶対に黒崎さん達を元に戻さなきゃ行けない…此処で死ぬ訳にはいかないんだ…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれは?」

 

空を見た浦原が突如として空中に現れた裂け目に意識を集中させる。

(最近虚の存在が余りにも多く消えているとの報告があった時に必ず現場にあった謎の歪みに似ている…)

 

いやそれよりだ。其処からうねうねと現れ始める怪物に反応するのに少しばかりの間が出来てしまった

 

「ヒユさん!!」

 

「えっ………な…!?」

 

ヒユの名前を呼び、同タイミングで影が出来上がりヒユが上を見る。

 

 

「なんだあれは…!?」

アズギアロも上を見上げ固まっていた。浦原喜助だけが見えていた幻覚ではないことがその時点で理解出来た

 

「貴方たちの仕業じゃないんすか?」

 

「そんな訳があるか…!」

 

その間にも怪物は歪みからさらに顔を覗かせて漸く止まった。まるで覗く様に街を見渡している数多くの目が浦原達へと向けられる

 

「こりゃあマズいんじゃないっすか…?」

 

ほぼ上半身と腕の様な物を生やしているだけなのだが、其れでもかなりのサイズがあった

 

「其れに周りに歪みが出来ている…」

 

その時点でいくらか察しが着いた、黒崎一護及び朽木白哉は此奴に拐われている

 

(分からない事だらけが進展する筈っす…、なんとしてでも今此処で奴のサンプルを回収する…!)

 

予定変更、浦原喜助も自身の斬魄刀を抜き放ち宙へと舞った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方地面では、ヒユ…そしてアズギアロが相見えていた

 

 

 

 




もし良ければ感想、評価お願いします!!

そして作者のエックスです。良ければフォー!!よろしくお願いします!
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55.薄氷の信頼___1つでも

お久しぶりです!!
もう既に1ヶ月ほど経ってるような気がしますが最近本当に忙しくて小説書く暇が無さすぎて…
ヘブバンも4章後半最終日で詰まってるなぁ…、流石に5章来るまでには越したいけど…うーん



〜司令官室〜

 

 

翌日朝飯を済ませ、そのまま集合時間になり集まる31Aと黒崎一護。もはや軍での扱いは特記戦力の1人となっており切り込み部隊である31Aとのセットは当たり前になっていた。

 

「オペレーションプレアデスからまだ時間は経ってないけど、あなた達には再び作戦を伝えるわ」

 

椅子から立ち上がり月歌達の目を見る、月歌はその目を見ながら答えた

 

「アタシ達と一護ってことは、またそれなりに重要?」

 

「ええ、そうね。この作戦が成功すれば今までたどり着けなかった西日本侵攻へと足掛かり…それに東海、北陸地方の奪還が可能になる作戦。失敗は許されない」

 

そのまま液晶パネルにマップと思われるものを表示させ詳しく説明を始める

 

 

最終地点はかつて軍を支えるイージスタワーと呼ばれるものがあり、だが過去に戦線を維持出来ずに放棄という決断を下された松本拠点の威力偵察。

 

 

だがその前に、31A…そして30Gの2部隊には威力偵察の場所が5箇所も伝えられた

 

金峰山、鳳凰山、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳、霧ヶ峰の5つだった

 

この5つは松本拠点奪還作戦に欠かせない重要ポイントと伝えられた。その5つの威力偵察を行い哨戒機材などを設置、後の松本拠点奪還作戦の為の安全の確保だそう。

 

「それに今回はあなた達だけじゃない、最終的には全14部隊を参加させる大型作戦になるわ」

 

「おいおい、それじゃあ軍の大半がこの作戦に関わることになるぞ…!」

 

「重要とは聞いたけど…思ってたよりデカい作戦なのでは…!?」

 

今頃その大きさに気づき驚く月歌、司令官は一瞬困り顔になったがすぐにいつもの無表情に戻り話をする。

 

「その通りよ和泉さん、それ程までに私達はこの作戦に力を入れてる。それに今まで同じ作戦案が発令された過去があるけど、全て撤退を余儀なくされた…」

 

「だがそれを突然やれと言われても…」

 

ユキが言うことは最もだった、そんな大掛かりな作戦を突如伝えられたとしても彼女達にも心の準備などがある

 

「時間はあるわ、その為の訓練期間も設けてあるわよ」

 

流石というべきか否か、ユキ達が怪訝していた突如そんな作戦に放り込まれる可能性は消えた。

 

「前回のオペレーションプレアデスで理解したけど、今のセラフ部隊はかつてないほどの戦力に満ち溢れている___黒崎一護達を除いてもね」

 

「…」

 

遠回しに”信頼している”と言っているように聞こえる言葉、月歌達は素直に受け取り小さくガッツポーズをしていたが一護にはどうも素直に喜べない

 

前の出来事かそれとも31A、そして月城最中と打ち立てた軍の秘匿する情報を探しているからか…

 

「だからこそ、かつて何度も失敗したこの作戦を遂行しようとしてるの。頼めるわね?」

 

「分かった、づかっちゃん」

 

「…は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

〜30分後・カフェテリア〜

 

 

 

 

「酷い〜!!あれじゃただのパワハラだよぉ!!」

 

コーヒーをイッキした後に仲間に訴えかけるように叫ぶ月歌。だがそれに同情する人間はそこにはいなかった

 

「自業自得だろ…」

 

「ウチもそう思うわ」

 

「茅森さんはあまりにも命知らず…!!」

 

「づかっちゃんって言ってからの手塚司令官…あれはもう鬼を超えてるわ…」

 

「真面目な顔でわかった…からのあれは、流石に怒られるよね…」

 

「にしてもどーするよ月歌、これからあたしらは30Gと合同で威力偵察…そのあとは松本拠点奪還の訓練に、時間が足りなさすぎる」

 

「そんなの隙間時間でやるしかないよユッキー、うちにはハッカーと諜報員がいるから平気平気!」

 

「あたしはまだしも東城…お前大丈夫か??」

 

「ふふん、任せておきなさい!」

 

「本当に大丈夫かぁ…?」

 

人的要因による不安要素はあるもののひとまず今後の計画をねっていく31A、黒崎一護もそこにおり計画を聞きつつ自らの役目を考えていく。その最中だった

 

 

「あ…!?」

 

突如一護の視界が黒く染まりびちゃっとした液体が顔を覆う。その後にザラザラした何かがひたすらに顔を舐め回すというただの確キルコンボが一護を襲った

 

「おいビャッコ…!!」

 

「吐き出すのにゃ…!!」

 

そんな声が聞こえ、再び一護の顔は元の世界に戻る。だがやはり妙に暖かい液体と舐め回されたような痕はありこれは現実だと叩きつけられた。

 

「誰だんなことしたのは_____ビャッコ…?」

 

いっぺんどつき回そうと勢いよく後ろを振り返るが、そこにいたのはこちらに頭を押し付けるビャッコだった。後ろからは車椅子を押しながら近づく水瀬姉妹…そしてその車椅子にいるのは蒼井だった

 

「ヴァウ!」

 

「どわっ!?その巨体で抱きつくな…!!」

 

オペレーションプレアデスより前は近づいてくれさえしなかったはずのビャッコが突如として距離を詰めてきた事に混乱しながらも抱きついたビャッコに後ろへ倒れもみくちゃにされまいと抵抗する一護

 

「だぁぁああああっ!!!」

 

「ふふっ…、すっかり懐いちゃいましたね」

 

「蒼井…!蒼井も…お前らも見てないで助けろ!!」

 

蒼井、そして31Aのメンバーに助けを求める一護。だが誰も彼も微笑ましい目で見てくるだけで誰も助けてくれない。

 

「いてっ…顔にヒゲ擦り付けんな…っ___舐めるなぁ!!!」

 

このある意味の戦いはしばらく続いた、蒼井も水瀬姉妹31Aも……通り行く人達も助けてくれない中…ただひたすらに擦り付けられ…舐め回される一護の姿がそこにはあった

 

 

 

__________________________

 

 

〜現世・空座町〜

 

 

(おかしい…何故こんな事になっている…!!)

 

アズギアロ・イーバーンは今自身が置かれている状況を理解しようとするのに必死だった。

 

あのお方の命により黒崎一護と戦い戦闘不能にしようとし…だがいま現在として黒崎一護が出てくる様子はなく挙句の果てには留守だのと言われ…

 

こんなデカイ生き物を目の当たりにしていた。正直今目の前には異分子…そして特記戦力の1人”浦原喜助”がいる。手柄を立てるチャンスだ。

 

(だが目の前の女も、浦原喜助も殺す訳にはいかないな…これをダシにして黒崎一護をおびき出す…)

 

あの方に自分は使える兵士であることを証明する為に、どれだけ行動を計算し考えてきたか…

 

「私の計画の邪魔を…!!」

 

怒るその目はヒユの方を向いておらず、上空に顔だけ出した巨大な生き物に向けられていた

 

(あれ…私無視されてる…?)

 

それに気づいたヒユ、なんか複雑な気分になる…

 

「おい女」

 

「女じゃないてす、佐原ヒユです」

 

「そんな事どうだっていい、今はアイツを退ける。そうでもしないと私もお前も____ここで死ぬぞ」

 

確かにその通りである、今のヒユには確実にあんな巨体と目の前の男を相手にするなど無理だ。浦原さんがサポートにいるとはいえ確実に退けることは難しいだろう

 

「…メリットは?」

 

「ヤツを倒す、私達の計画の邪魔になる」

 

「計画…?」

 

「…教える義理はない。いいな?」

 

「……私は必ず貴方を斬ります」

 

相変わらずヒユの目からは怒りが消えない、だが相手はそれを笑い飛ばした。

 

「やれるものならな…っ!」

 

「あっ…!!ちょっと!」

 

アズギアロが飛び出し、ヒユもそれに続く。

 

 

 

その上空には、様々な鬼道が巨大生物を襲っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(この巨大な生き物…さっきから全然動かない、誰かを狙っているのか?)

 

正体、目的、そもそも生きているのか、全てが不明なまま戦いに入ったことを正直後悔していた浦原喜助。だが相手に話が通用するとは思えなかった

 

(距離を取りサンプルを回収できたら楽なんですけどねェ…)

 

これは自分の持論だったのだが、奴の周りにはなにかしらの見えない障壁がある。そう考えた

 

(必ず進展させる…ココ最近起き始めている虚の大量消失に滅却師と名乗る男、恐らく尸魂界になにか大きな奴らが近づいているはずだ…!)

 

雀部長次郎の死など、黒崎一護が消えてからこの期間で様々なところから不審な情報が入ってくる。

 

 

 

せめて何か1つでも解決すれば_______そう思いつつ浦原喜助は自らの斬魄刀を振るった。

 




セラフ部隊はいたずらにセラフで戦うことを禁じられている的な感じの設定があったためあまり触れないでおこうかなと思ってたのですが、一護と誰かが訓練とかで戦うのって…皆さん的にはどう思います??

下手くそな日常パートばかりでやはり飽きてくるのかなと思ってしまい…


そして作者のエックスです。良ければフォー!!よろしくお願いします!
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56. 小さな天才剣士__出会い

今この作品っておそらく長期のあいだ話みたいな感じでかなりつまらないな〜と思う人も多いと思います!

これからそのつまらなさを消せるような、そんな感じのものをかけたらいいなと思う今日この頃です()

ヘブバンすら終わってないので最終回はまだまだ先かもですねぇ…
それともヘブバンという世界に一瞬だけ存在していた存在なんてことも……


〜ナービィ広場・ベンチ〜

 

「最近どうだ?」

 

「蒼井はまだまだ先になるかもですが、皆さんはもう復帰出来そうですよ!」

 

ベンチに腰をかけ座る黒崎一護とその横に杖を抱えながら座る蒼井えりか、恐らくここ数日で特に回復が著しいのは蒼井だった

 

(あの薬まだなんかあんのかよ…)

 

内心そう思いつつもあるが、蒼井自身の力だとも思える。今の蒼井からは、嘗ての暗さは全て消え去り、年相応の感情を見せるようになっていた。いちごやすももとも上手くいっている様で彼女の空白の時間を埋めていってくれそうだった

 

「今回の作戦は、前にも同じ様な作戦が出された事が有ったんです」

 

「そうなのか?」

 

突如話題を変えてきた蒼井が言ったのは、現在軍が総出であげている作戦だった。

 

「はい、前も様々な部隊が出撃しましたが…」

 

そこで押し黙る、一護も今も取り返せてはいないと言われた時点で察してはいたが…

 

「全滅、若しくは退却し放棄したと…」

 

「やっぱりかよ…」

 

「その途中にあるイージスタワーと呼ばれる物も廃棄されました」

 

「イージスタワー…、なんだよそれ」

 

「私も其処までは分からないんです、噂話では今ではセキュリティが作動し誰も入れない場所になっているとか…今回の作戦の中には恐らく其れを取り返す名目も有る筈です…」

 

耳打ちするかの様に言った蒼井に特に違和感を抱かなかったが少ししてハッとなる

 

「お前…もしかして俺達がコソコソしてるの知ってるのか…?」

 

「ふふっ…茅森さんのせいでバレバレですよ」

 

何となく予想が付き頭を抱える、蒼井にはプライベート時に話してしまっているらしい

 

「大丈夫ですよ、考える時間は蒼井にもありました。そして今まで亡くなった人達を思えば…なんだか違和感が有った様な気がして」

 

「そうか…」

 

「もし上の人達が何かをしているなら蒼井には許せないです…、なので蒼井達も協力する事にしました。いちごさんとすももさんは一護さんに恩があるって」

 

「更に広がった…」

 

最早このままにしておけば31全ての部隊がこの暗躍に関わり兼ねない…

 

「この事は内密に頼む…、本来ならお前達も巻き込む訳にはいかねぇんだけどな…」

 

「今更何を言ってるんですか、蒼井達は仲間を見捨てないって言ってるんです。早速此処で見捨てられない状況があるんですよ」

 

笑ってそう答える蒼井。

 

「お前…なんか変わったな」

 

「そうでしょうか…?____だったらそれは茅森さんと一護さんのおかげです!」

 

「俺ァなんにもしてねぇよ…」

 

「そういう訳でもありません、一護さんのおかげで今まで多くの方が変わられました。蒼井もいちごさんもすももさんも…きっとこれからも多くの人や運命も変えてしまうんだろうなって蒼井には思えます」

 

「……」

 

「だから今回もきっと大丈夫です、皆さんと力を合わせれば上手く行きますよ!」

 

「有難う、蒼井」

 

そう言ってお互い他愛も無い話を続けていく、彼女達にとっても一護自身にしてもこう言う時が一番の幸せになる事が多かった

 

(俺が向こうの世界に帰るまでにどれだけの奴らと話せるんだろな…)

 

ふとそんな事を思い、心がぽっかりとする様な気に襲われた

 

 

 

 

__________________________

 

〜数時間後〜

 

 

 

「て事で始まりました!!31Aと30Gの親睦会!!」

 

「「おー!」」

 

「…」

 

蒼井と話て数時間が経った。特にやる事も無い為に近い作戦の事を考えていると月歌から連絡が掛かり今に至る

 

(まァ…アイツらしいっちゃらしいか)

 

辺りを見回すと店には自分達以外誰一人おらず店員が此方をじっと見つめているだけだった

 

「こんな夜に誰もいねぇのはこの基地じゃ珍しいな」

 

「茅森さん達で貸切にしたんだって」

 

「貸切…、めちゃくちゃするじゃねぇか…」

 

後ろから可憐にそう言われ頭を抱えた。少し前に31Aの部隊長はかなり無茶苦茶をすると軍の人間の話がチラッと聞こえた際にはもう頭を抱えていた…

 

「だがこうやって作戦前に仲を深めると言うのも大事だ、その点は月歌に感謝だな」

 

「ユイナ先輩に感謝された…!やったね」

 

小さくガッツポーズを決める月歌を見ながら立っていると、ふと目線外から声を掛けられた

 

 

「貴方がセラフでも無い刀を振るう死神さんですか?」

 

声が聞こえる、だが周りに居る気配がしない。上を見ても右を見ても左を見ても……姿が見当たらない

 

「え、何ですか?絶対わざとやってますよね…!?」

 

「あ、下か」

 

下を見ると、國見タマと対等位の…もしかしたらそれより小さい女がちょこんと一人立っていた

 

「下かって何ですか!?初対面で失礼ですよ!!」

 

ムキーッと地団駄を踏みながら文句を言う少女に対し一護はどう対応しようかと困る。と言うか一体何処の部隊だろうか…

 

「今、此処は貸切だ。飯なら別の場所が有るぜ」

 

「最早、部外者扱い!?とことん失礼ですね貴方はぁ!!!」

 

「…??」

 

「よせ小笠原、黒崎一護が困っているだろう?」

 

そう言いながら二人の間に入ったのはまさかの白河ユイナ。其処で一護はハッとする。

 

「お前…30Gなのか?」

 

「何ですかその顔ぉ!?私登場してからずっと先輩としての威厳見せれてませんよ!?」

 

「彼女は小笠原緋雨、戦闘能力は部隊の中で最強とも言えるだろう。其れに……」

 

まだギャーギャーという小笠原に聞こえない様にしようと距離を詰め一護へと耳打ちをする

 

「彼女のセラフは訳あってハンドガンでな…、普段腰に着けてる刀も使う事は無いんだ…。同じ刀使いを他に見つけて嬉しいんだろう…」

 

「あー…」

 

頭を搔く、と言うより最早なんだか可哀想になってきた。セラフは本人の一番気力が湧く物に近いとか言ってなかったか?と思いつつもひとまず無礼を詫びようとする

 

「悪ぃ…」

 

「同じ刀使いとして最悪のファーストコンタクトですよ全く…」

 

「んで、何で俺に声掛けたんだよ…?」

 

「切り替え早くないですか…?___まぁ良いでしょう」

 

コホンと咳払いして一呼吸、腰に掛けてある刀…その刀身を少しだけ見せる。

 

 

 

「っ!?」

 

 

「えっ…なになに!?」

 

「やはり始まるか…」

 

 

突如店の空気が冷え、全身が殺意に貫かれたような感覚に襲われ反射的に代行証を取り出す。月歌達も驚き身構えたが月城達はやれやれと言わんばかりに溜息を吐いた

 

「ふっ…!!」

 

目を見開いた小笠原が一護の代行証を手から弾き落とす。

 

「っ…、てめ…っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたしと少しだけ、手合わせしませんか?」




ひさめっちかっけ…


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57.天才剣士と死神代行__3分の攻防

何故いきなりひさめっちがズイズイと前に出てるかと思ったそこの貴方。

今回のイベストですよイベスト、あれ見たらひさめっちの見る目が本当に変わりますよ。

そして最近こう…タイトルネタが尽き初めて来ましたね()


 

「様々なゲームをする前に、わたしと手合わせしましょう」

 

抜きかけた刀を鞘に納め、小笠原が再び問いかけてくる。

 

「…いいのかよ、他にもいろんな催しがあるんじゃねぇのか?」

 

冗談じゃないと笑い飛ばし、一護がそう言う。だが小笠原は先程よりも胸を張り言った

 

「心配ありません、3分で終わらせますから」

 

「…なんだと?」

 

その言葉に一護が少し反応する、それを分かったのか小笠原が畳み掛ける

 

「わたし、天才剣士なので」

 

「俺が3分でやられるっていいてぇのか?」

 

「さぁ…、どうでしょうね」

 

「でも…」

 

ふと冷静になり月歌達は大丈夫かと思い目を向ける、今日は親睦会のはずだったのだが割と最悪なことになってる気がする

 

 

「刀で語り合うって剣士っぽいね!!見てみたい!」

 

 

「…」

 

別に悪くなってなかった、なんならさっきより盛り上がっているような気がした。

 

「貴方の部隊長はいいようですね、白河さんはどうですか?」

 

(頼む…月歌には期待してはなかったが白河ユイナ…あんたならここを止めてくれるはずだ…!)

 

一護は心の底からそう願った、今冷静に考えれば親睦会の初っ端がこんな物騒な始まりになるのは些か…

 

 

「ふむ、同じ剣を使う者同士…存分に仲を深めてくれ!」

 

 

(………)

 

 

「なら早速やりましょう…貴方の技はかなり荒々しいと聞きますので、アリーナは如何ですか?」

 

そう言った瞬間、月歌が間に入り目を輝かせて言葉を放った。

 

「じゃあさ、これからやる親睦会の勝負の開幕戦だ!先輩部隊30Gvs我ら31A!」

 

 

 

 

「「おー!!」」

 

 

 

 

(……ああ、うん)

 

 

冷静になったのは自分だけなんだなと更に思ってしまった一護、その周りでは謎に盛り上がっている奴らと呆れているが謎のボード作成に取り掛かるユキの姿が見受けられた

 

 

__________________________

 

〜アリーナー

 

 

「私はいつでもいいですよ〜!」

 

31Aと30G、そしていつでも2人を止められるようにと七海が遠くから見守る中一護と小笠原は2人で真ん中辺りに立っていた。だが…

 

「そんな距離とる必要もねぇだろ〜!!」

 

「え?」

 

「聞こえてねぇじゃねぇかっ!!」

 

小笠原と一護の距離はかなり空いていた、もはやお互いの声が聞こえないくらいには遠い。実際小笠原が聞こえてない

 

「いいですよ!__月牙天衝ってやつも見てみたいので!」

 

「んな事言っても…」

 

一護自身そんなに人に対して技を放つのは好きでは無い、しかも守ろうとしているセラフ部隊のメンバーに…

 

「私が勝ったらそうですねぇ、お弟子さんにでもなってもらいましょうか?」

 

「急に何言うんだよ」

 

「同じ刀使いとして親近感があるからです」

 

「ハッ、言っとくがオメェに卍解を見せる気はねぇぞ」

 

そう言い背中にある始解状態の斬月を抜き放つ。彼女に始解状態の月牙をぶつけたとしても卍解と月牙天衝、そして…虚化。

 

(そこまでする必要があればするしかねぇ…だがあの小柄であの刀…、どう見てもサイズがあってねぇ)

 

「それは残念ですね…、なら力づくで見せてもらいましょうか…っ!」

 

刀を鞘に収めたまま後ろへと回した小笠原、次の瞬間腰を落とし地を蹴り_____________

 

 

「ッ…!?」

 

「ほう…」

 

これは意外と言わんばかりの顔をする小笠原、だが一護はそれどころではなかった。

 

 

一護の目の前…いや正確には一護の斬月と鍔迫り合いをしていた。

 

(なんだ今の…、速すぎる。俺が止めれたのはまぐれだ…!クソ…!!)

 

「剣から動揺が見えますよ?」

 

「…るせぇ!」

 

幸い小柄故か力はそこまでなく、斬月で後ろへと押し返した。だが先程まで斬月に掛かっていた力はあの小柄なものから出されたのかと疑うくらいに重かった

 

「もし今ので斬れていたら流石にびっくりしますよ、そんなので31部隊最強…ましてや様々なキャンサーを倒したなんて」

 

「黙って聞いてりゃめちゃくちゃ言いやがって…!」

 

幸い距離はある、あのうるさいくらいの口を塞ぐには月牙をぶつけてビビらせる位のことはする。

 

「んなに見てぇなら見せてやる!!」

 

斬月に霊圧を注ぎ込み、1つの斬撃として小笠原に向けて放つ。

 

 

 

「ちょ一護…、あれやりすぎじゃ!」

 

遠くで見ていた月歌が指を指す、だがユイナ達は首を横に振って言った。

 

 

「黒崎一護は小笠原を侮りすぎだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…」

 

今何が起こった…

 

「まさか……”今のが月牙天衝”ですか?」

 

目の前にいる小笠原に向けて始解状態の斬月の月牙を全力で放った、だが届かず途中で真っ二つにされていた。

 

「嘘だろ…」

 

刀すら抜いていなかった…いや正確には抜く速度が凄まじいだけ…

 

「言っておきますけど、今のは抜いてすらいませんよ?」

 

「…そうかよ」

 

少しづつ、少しづつ一護の中に焦りが生まれる、自らのことを30Gでは最弱と言った少女を前に一護は片膝をつかされそうになっていた。

 

(さっきの一撃、あれは正確に俺の首を跳ねる一撃だった。こいつが最弱っておかしいだろ…!)

 

たった数回の打ち合いで、一護は確信した。そうして動きへと変換していく。その先では再び抜刀しようとしていた……

 

 

「「卍解ッ!!」」

 

 

「っ!」

 

 

その二言、たった二言が一護の姿を大きく変えた。風の中から姿を現した一護を見て小笠原が目を見開く。

 

「それが…卍解」

 

「好き好んで見せる姿じゃねぇよ」

 

「いいじゃないですか、わたしはかっこよくて好きですよ」

 

「そう言ってくれるだけマシだな」

 

刀を抜き放ち構える小笠原、一護も天鎖斬月となった刀を持ち構える。

 

(大剣から刀に変わった…だけど流れてくる気はさっきよりも数倍…いやそれ以上ある、一護さん自身の気も凄いですね…)

 

「はぁっ!!」

 

「っ…!」

 

一護が大きく前に踏み出し刀を下へ振る。だが小笠原は上からの一撃を刀でいなし横へと避ける。

 

(身長が高い相手は必ず上から押さえ込もうとする…、一護さんも例外では無かったですね)

 

だが次の瞬間、下の地面へとぶつかったはずの一護の刀が小笠原の額をかすめていった。

 

「やっぱ躱すか…!」

 

「女の子が顔に怪我したら危ないですよ…っ!」

 

「どうせ避ける癖に何言ってやがるっ!」

 

小笠原が鞘に収めた刀を再び抜刀、一撃が受け止め再び両者拮抗していた。

 

(あの抜刀技、はえぇ…!正確に俺を斬ろうとしてくる…)

 

(一護さんの刀、先程よりも格段に速度が上がっている…、そしてこの刀から流れ込む一護さんの感情…)

 

「ふっ…!」「やぁっ!」

 

再びお互いの刀をぶつけ合う、小柄故に押されるはずの小笠原が一護を押し返した。

 

「っ…、くそっ!」

 

一護は小笠原と何度も刀を打ち合う途中、小笠原の刀から流れてくる彼女の意思を感じている。まるで揺れがひとつもない水面のような平静、相手を見極め瞬時に対応するその平常心。

 

(だけど、なんだ…)

 

その奥にある、途方もなくどす黒い”違和感”

 

揺らぎがない水面の底、あまりに深く…到底手が出せないような領域。そこにある違和感

 

「なにか別の場所に集中していますね?」

 

「お見通しかよ…っ!」

 

「それはもちろん、天才剣士なのでっ!」

 

刀と刀がぶつかり火花を散らす。互いに徐々に速度が上がり始める。

 

 

「やっ…、たぁっ!!」

 

 

「ふっ……、うぉぉあっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう少しだな」

 

「そうですわね」

 

「そうだねぇ」

 

「…?もう少しって…」

 

離れた場所から観戦する月歌達だったが、時計をちらりと見た月城がそう言い30Gのメンバーだけが頷く。月歌が気になり聞くが…帰ってきた返事はあと少しでわかるとだけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首筋を狙われるような太刀筋を何とか躱し、天鎖斬月で一撃を叩き込もうとする一護。

 

 

「っ…!」

 

(来た…、隙が…!!)

 

千載一遇のチャンス、何かに気を取られた小笠原が一護の剣筋を見誤る。

 

 

『月牙…!!』

 

もはや出し惜しみはナシだ、そう思い天鎖斬月に霊圧をぶち込んでいく。

 

___次の瞬間だった

 

 

 

「ごはっ…!!」

 

 

「っ…!?」

 

小笠原が血を吐き倒れた。それに驚いた一護が月牙天衝を放つ構えを辞め距離を詰めた

 

「大丈夫かよ…!?」

 

「はい、大丈夫ですよ…」

 

焦りが出る一護に対し、冷静に口元の血を拭き取る小笠原。

 

「でもお前、血が…!」

 

「天才剣士ですので」

 

「…は?」

 

「天才剣士は3分間しか戦う事が出来ないのです」

 

一瞬混乱し刀を落としかけるがなんとか保持、冷静に頭を回転させて小笠原の言葉を噛み砕こうとする

 

「え、ああ…あれか?強い力故の代償みてぇなものか?」

 

 

 

 

「いえ、設定です」

 

衝撃発言を聞き天鎖斬月を手から落としながらもツッコむ。

 

「設定!?」

 

「はい」

 

「それおめぇが1番言っちゃいけねぇやつだろ!?」

 

「やはり天才剣士には時間制限が付き物でしょうに」

 

「なんでそっちの方が当たり前みてぇに言ってんだよ…!?」

 

「天才剣士ですので」

 

「それしか言わねぇじゃねぇか!!」

 

ツッコミに全てを降った結果気がつけば一護の卍解は解け元の姿へと戻っていた。

 

「結局結果着かずでしたね」

 

遠くから見ていた月歌達が近寄り一護達へ言う。

 

「一護的にはあのまま戦ってたらどうだった?」

 

「身も蓋もねーな…」

 

ユキの言う通り身も蓋もない質問を投げかける月歌、一護は斬月を拾い背中に収めながら言った

「どうだろうな…、勝ってたかもしれねぇし負けてたかもしれねぇ」

 

最初こそ侮っていた、だが戦いに激しさが増すにつれ一護も自然と自らの全力をかけようとしていた。きっと恐らくあのまま戦い続けていれば……

 

”虚化”まで出さなければならないかもしれなかった

 

正確な太刀筋に小柄な身体を活かした戦い方

 

「お前が刀のセラフを持ってたら最強なんじゃねぇのか…?」

 

「申し訳ありませんね!!銃のセラフで!!」

 

「…悪ぃ」

「でも私にはお弟子さんがいますから!__ちゃんと刀型のセラフを持つお弟子さんがいますからね!!!」

 

「そんなドヤ顔で他人の自慢されてもよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「ん?今震えたか夏目」

 

(今の気配…、なんだ…?)

 

 

「おーい、無視か?」

 

 

 

 




あれ、お弟子さんっていつひさめっちのお弟子さんになったんですっけ()


作者のエックスです。良ければフォー!!よろしくお願いします!
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58.ぶった斬れ__私の一撃

4章後半最終日のラスボスで足止めくらってる俺なんですけど、これ5章っていつ来るんですかね。やっぱり半年に1度くらいとかでしょうか…?
そうなると最終回とか何年後になるんだろって思ったりしてるんですよね、というか今は最終回がどうなるのかとか全然予想つかなさすぎて……




今回の話読みにくいプラス作者のロマンというかなんというかが積み込まれています、心して読みましょう。


 

(っ…頭が、私何をして…)

 

目が覚める。まだ意識ははっきりしておらず身体を動かそうとするがまだ動かなかった。

 

幸いにもなんとなく腕と足に感覚がありどこも吹き飛んではいないようだ、だが視界の半分が赤く染まり片目に血が流れ込んでいるのをじわじわと理解する。

 

「っぁ…!」

 

そして同時に頭痛に襲われ、強制的に意識がはっきりと回復した。

 

(そうだ…私と浦原さん、そして敵のあの人で上に現れたでかい怪物と戦おうとして…)

 

次の瞬間だった、見覚えしかないおかっぱの髪型が視界に映り独特の関西弁が耳へと流れ込む

 

「おん?目ェ覚めたか?」

 

「ヒユさん…!!心配しましたよ…!」

 

「その声…、平子隊長に、雛森さん…?」

 

「まだ動かん方がええぞ」

 

「っ…」

 

起き上がろうとした瞬間に視界がボヤけ再び倒れる。雛森が抱えてくれたおかげで地面に倒れ込むのは防げたがやはり動けそうにはなかった。

 

「浦原さんは…!?」

 

「アイツか?___あいつも重症や、無茶しおってさかいに…」

 

「というか街はどうなったんですか…!」

 

「説明したるから喚くなや、体悪するで」

 

「そんな事より…」

 

未だいつものようにどこか冗談を帯びた声を発する平子に微かに苛立ったヒユが詰めよろうとするがそれよりも先に平子が威圧のかかった声で口を開いた

 

 

「今は周りより自分のこと優先せぇや、そう何回も言わせんなや」

 

「…」

 

いつもとは違う声音に少しばかり竦むヒユ、隣にいた雛森は耳元で囁く。

 

「心配してたんですよ、平子隊長は…」

 

「あ?桃今なんかいうたか?」

 

「いえ…!何も!」

 

(私の事…心配して)

 

「ヒユさん!起きましたか…!」

 

「浦原さん…!?」

 

意外と平子隊長は不器用なのではと思った瞬間、重症だと言われていた浦原が駆け寄ってくるのを見てギョッとした。

 

「お前動くな言われてたやろ…」

 

「いえいえ、この程度の傷なんてことはありませんよ。そんな事より…」

 

そう言ってはいるが身体には包帯が巻かれ、尚且つ頭からはまだ血が滲んでいた。自分が気絶している間に何があったのかと聞こうとしたが…

 

 

「ヒユさん、先程までいたあの巨大な敵に唯一攻撃を当てられたのは貴方だけでした。あなたが斬った敵の一部を解析してもらっていますが…おそらくここから何かが動くとアタシは踏んでます」

 

「ご、ごめんなさい…なんだか今前後の記憶がフラフラしてて覚えてないんですけど…私の一撃だけで退いたんですか?」

 

「あの巨大な腕で吹き飛ばされれば混乱するッスよ、アタシどうしようかと思いました……でも生きててよかった」

 

 

 

 

「……」

 

それを言われようやく自分が先程までどうなっていたのか思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

少しづつ疲労していく浦原を救う為に自ら斬魄刀を使い前に立つヒユ。だが相手の巨大な怪物はヒユのことを視界に入れなかった

 

「なんで…、こんなに斬ってるのに…!!」

 

腕を一撃で斬り落とすかのような勢いで振り下ろされる斬魄刀、だが相手は何かに守られるように弾かれる。

 

(鬼道もあらかた撃った…、なのに消費しているのは私達だけ、それになんでこいつは私を見ないの…!?)

 

斬魄刀を始解させ斬り掛かるが相手にはまるで通用していなかった。

 

 

「こっちを見てよ!!浦原さんばっかり狙って!!」

 

 

そう叫ぶ反対で、攻撃をくらった浦原が大きく宙を舞う。だが何とか踏みとどまり再び始解した斬魄刀”紅姫”を使う。

 

 

『”剃刀紅姫”!!』

 

浦原がそう叫び紅姫を振るうと、剃刀の刃のような鋭く紅い斬撃が相手を襲った。

 

「これでもダメッスか…こうなったら”奥の手”を使うしかないっすかね…」

 

そう呟き、そのままヒユの方を見る。自身の奥の手________即ち”卍解”

 

(だが人目につく場所でこれを使えば巻き込みかねない…)

 

次の瞬間だった、凄まじい光が浦原を襲いそのまま包まれていく。

 

「しまっ_____」

 

 

「浦原さんっ…!!」

 

先程までこちらの様子を伺うかのように攻撃をしていた巨大な化け物が突如大量の赤い光を浦原に向け、瞬きをした瞬間に閃光が浦原を襲った。

 

閃光が消え、視界が戻る。浦原喜助と思われる影が地面目掛けて落ちていく。

 

 

_____そして弾け飛んだ。

 

 

 

「えっ…!?」

 

「いやぁ〜…危なかったッス…」

 

「ええっ!?」

 

先程まで一斉攻撃を受けていたはずの浦原が横にいることに驚きを隠せず逆に落ちそうになるヒユ。

 

「どうやら狙われているのはアタシだけみたいっすね、あの滅却師さんはどっか行っちゃったみたいだし…やれやれ」

 

「え、あ…ほんとだ」

 

「ほうほう…そしてそれがヒユさんの始解ですかぁ…」

 

「は、はい…!」

 

「手応えはどうです?」

 

「”当たり”はするんですけど…何かに弾かれて」

 

「__それはおかしいッスね…」

 

「え?」

 

「アタシの攻撃は当たるというよりあの敵さんの周りで消えたりずらされたり…もはや受け入れていないような感覚なんです…」

 

「それって…」

 

そこから先を言う前に浦原が先に言葉を発する、

 

「アタシが何とか気を引いてみます、ヒユさんには申し訳ないですが全力を敵さんにぶつけて頂きたい」

 

「アタシが飛竜撃賊震天雷炮を打った瞬間を合図としてください、雛森さんの事だ…どんな感じかは分かるはずっす」

 

「…分かりました!」

 

再び2つに別れ敵を囲むように立つ。

 

(攻撃する場所は一点に…身体が生えている裂け目のようなものは当たり判定がなくぐにゃりとまがる…)

 

後ろへと回りながら先程までの情報を整理していく、直後敵を紅い光が包み込み浦原が時間稼ぎを始めたことを知る。

 

(一撃で全力を叩き込む…、その為にはもっと近づけ…!!)

 

瞬歩を使い一気に距離を詰め細い指のようなものが生えた箇所の付け根を狙おうとする。次の瞬間凄まじい霊圧の一撃が敵に叩き込まれ合図だということを即座に理解する。

 

 

 

「はああああああぁぁっ!!!」

 

 

 

腹の底からの絶叫と共に始解した大剣を振りかざす。

 

 

 

「……なんで_____」

 

 

 

だが

 

 

やはり

 

 

相手に一撃を与えられた感覚は無かった。

 

「っ…!!」

 

自らが惨めになっていく、その瞬間だった

 

かつて、自らが前線に立ち____キャンサーに仲間の命事踏み荒らされた事が浮かぶ。当時のセラフ部隊の戦い方では全くもって通用しなかったあのキャンサー。助けを求めようとしても巨大な範囲攻撃が襲い連絡すら取れず___次々と仲間が

 

__倒壊したビルに巻き込まれ

 

 

___キャンサーと共に地に引きずり込まれ

 

 

____全員の死体すら見つからないことを思い絶望に包まれ自らの生涯を終えて…おそらく作戦自体は失敗に終わり今もあのキャンサーはのうのうと生きているだろう……

 

 

 

 

 

『ああ、任せろ』

 

 

 

 

直後、黒い死覇装を身にまとったオレンジの髪の少年が頭に浮かんだ。明らかにセラフ部隊では無い見た目にその大剣…、そして自分たちの代でも見なかった男という性別。彼の言う言葉には謎に信じてしまう力強い魅力があった。

 

 

 

 

 

(そうだ…、この世界は一護さんの世界…。ここには一護さんの愛した全てがある。)

 

そうだ、彼が向こうの世界で役目を果たしているはずだ。なのに自分が諦めてたまるか…

 

都合の悪いことを全て記憶から消し亡霊になっていた自分を助けてくれたのはあの人だ、あの人の力を背負いそれをようやく返し、それでもまだ生きているのはあの人のおかげだ。

 

誰でもない__元セラフ部隊佐原ヒユだ。

 

 

「くっ…!!」

 

こちらに気を向けないとはいえども敵としては認識している、その証拠にもう片方の腕のようなものをこちらに向けてこようとしている

 

(あれに捕まったら死ぬ…)

 

 

 

 

「”縛道の七十九 九曜縛”!!」

 

 

巨大な腕の1部に九つの黒点が囲い、中心目掛けて縛り上げる。言わずもがな浦原喜助の技だった。縛り上げられ動かせなくなった腕…だが明らかに長くは持ちそうにはない。

 

 

(託されてる…、私に…!!)

 

大剣が軋み始める、それ程までに自身の手に力が籠っている。その瞬間、光がヒユを包んだ_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐原ヒユには元々、セラフ部隊としてのセラフを扱う力が存在している。死しても魂に刻まれたその情報は記憶となり受け継がれていた。その記憶を一瞬でも思い出し自らの過去を知った瞬間___自らの力の本質を引き出すことの出来る状態となる。

 

 

そこに異分子である黒崎一護との接触により混ざりこんだ死神の力と…虚の力

 

異分子同士が接触し混ざり込むことで生まれる更なるイレギュラー…それまでお互いを邪魔しあっていた力同士が記憶の再構成と共に混ざっていく____________

 

 

 

 

 

 

 

『私と一緒に___”大太刀”』

 

 

 

無意識に出てきた言葉、かつて自らのセラフを呼び出す際にも似たような言葉を放った記憶_______

 

始解が大きく姿を変えていく、平子真子がいうサイバーな感じを残したまま大剣から

 

その名の通り、敵を一刀両断する為だけの大太刀へ。

 

 

曖昧だった記憶から作り出されたセラフの斬魄刀が、セラフとしての面影を残しながら溶け込んだ死神、そして虚の力とともに姿を変えていったのだった。

 

 

(なんだ…、ヒユサンの斬魄刀が変わった…!?___始解が変わるなんてことがあるのか…!?)

 

 

 

 

『月牙……天衝ッ!!!』

 

 

無意識に心の中で浮かび上がり、口に出す。この世界では言葉というものは絶大な力となる。

 

(その技は…黒崎サンの)

 

そう思った次の瞬間だった、ヒユからは想像ができない黒い斬撃の塊が付け根を斬り飛ばそうとジリジリと下がっていく。

 

「くぅぅぅぅっ!!」

 

まだ斬り飛ばすにはあと少し力が足りず止まりそうになる。

 

(お願い…私と一緒に戦って…!!)

 

そう願った瞬間だった___5人の手が大太刀を握った。

 

「っ…!!」

 

その手が誰なのか、ヒユにはすぐに理解できた。かつて共に戦った仲間の手だ。

 

「皆……、行こう…!!」

 

ヒユを見て微笑みながら頷いた5人がそれぞれ力を込めた。息はピッタリでなくとも…なんだかんだで仲の良かった5人…

 

(なんだか大太刀が握りにくいな…)

 

微笑み、1粒の涙を流す。

 

 

____次の瞬間、そのままの勢いで付け根を斬り飛ばした。

 

 

「やった…!」

 

「ヒユサンっ!!」

 

喜びも束の間に、縛道が解けた手のようなものが大きく振りかざされヒユと浦原を巻き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……」

 

何が起こったのか理解できなかった、だがひとつ言えるのはここは地面だ。それを理解した途端に意識を失いかける。だがまだ失う訳には行かない…だって

 

掠れる視界に5人が映っているから。

 

 

 

 

『私たちの分まで、進んで』

 

 

 

はっきりと5人が同時にその言葉を口から放った。目を見て微笑み合いながら、そのまま粒となり消えていく

 

 

 

「皆…ま、って…」

 

 

それを最後にヒユの意識は暗闇へと消えた。

 

 

__________________________

 

 

 

 

「そうか、私…」

 

傍らにあった斬魄刀を握り締める、今は元々の刀へと戻っているがあの言葉は忘れてはいなかった。

 

 

「それにあの自分のことを滅却師と名乗った人も、いつの間にか帰ってますし…あの巨大な奴もどっか行きましたし…ひとまずは一件落着ッス」

 

「でもまだ…」

 

「…はい、最悪のパターンは2つ一気に事が起こることッス。滅却師の件とヒユさんの件…滅却師は宣戦布告を尸魂界に出しあいつはまたいつ出てくるか分からない。それにあのデカイ生き物…」

 

ヒユの件はともかく滅却師のほうだ、彼らと全面戦争をするなら少なからずとも朽木白哉や黒崎一護の力が必要となってくる。

 

 

「幸いにも敵さんの一部だけは収集出来ました…、それとこれ…滅却師の人が移動した際の歪み…」

 

これらを使いそして時空が凄まじく歪んでいる断界…上手く使えばもしかすれば…

 

「そしてヒユさん、貴方の霊圧…」

 

「私の霊圧…ですか?」

 

「はい、少なからずともこれから貴方の力が必要になってくる…協力して下さいますか?」

 

「もちろんです」

 

(この戦いで何があったのかは分からないが、ヒユさんはかなり強くなった…おそらく先程の月牙天衝といい黒崎さんの面影がある)

 

ヒユの成長、そして歯車が少しづつ完成していくのを感じながら、浦原喜助は倒れた

 

 

「あれぇ…?なんでぇ?」

 

 

 

 

「だから言われてたじゃないですか…!?」

 

 

 

 

 

___そう、重症である。

 




今回の説明、なんだか呪術廻戦みたいだな…(それをイメージした)
んでなんかヒユさんの、セラフィムコードと卍解が混じったな…()
名前の感じなんですか、もうちょい考えてみたかった気がするんですけどね…やっぱりシンプルなものがめちゃくちゃいいと思うんですよ。

可愛らしい?ヒユさんには似つかわしくない大太刀で振り回すギャップ的なもの、作者はそういうのが好きなんですよ!!()



作者のエックスです。良ければフォー!!よろしくお願いします!
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59.金峰山___先輩らしさ

なんだかんだ言って深夜テンションで描き始めたこの作品がめちゃくちゃ知ってて貰ってて凄く嬉しいんですよね、突然ですけども…

1つの物語として、1つの皆さんの暇潰しとして読んでいただけたら凄く嬉しいです!


そしてずんちゃんずんちゃんと過ごしてたら気がつけば12月…、なんか月日クロックアップしてる…()


〜ヘリポート〜

 

「では、30Gからは朽木と小笠原を連れて行ってくれ」

 

「いいの!?2人も連れて行って!」

 

「ああ、私達だけでもその間は何とか出来る。それに親睦会のついでだ…2人から様々な事を学ぶといい」

 

「この天才剣士に任せておいてください」

 

「…?____兄のセラフとやらは銃型だろう」

 

「…………もういいです」

 

(拗ねた…、アイツ拗ねた…)

 

久しぶりの白哉との対面も束の間、心無い白哉の一言が小笠原を傷つけ拗ねさせる。それに対しやれやれと首を振る蔵達を見るに何度もあるような感じがした。

 

 

 

(親睦会を通じて30Gとはかなりの情報を共有できた…、最後は白河達に助けられたな)

 

 

あの後利きポテトチップスといった謎のゲームから始まり、ロシアンたこ焼きやロシアンたい焼きなど…

 

(今思えば食いもんばっかじゃねぇか…)

そして問題は最後のアームレスリング…

 

30Gの月城最中があまりにも強すぎたのだ、1番手をかって出た逢川は即死し次になんとなくで黒崎一護もやってみた。

 

(それのせいか…?今も腕がいてぇ…)

 

お互い拮抗し時間切れで勝負つかずとなった。最後は可憐…いやカレン…

 

連続で3戦目だというのに拮抗した2人の勝負、可憐の身体自体にあれ程の力が秘められているということにまず驚いたが……逢川、黒崎、そしてカレン…その戦いに耐えきれなくなった机が潰れたのだ。

 

 

『ここは私達が何とかする、お前達は上手く逃げろ…!』

 

 

焦りながらも後輩達を庇う先輩部隊には流石に尊敬する。あの後風呂掃除をしている現場を見ても……尊敬はする

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ白哉、お前親睦会に顔出してなかったじゃねぇか…」

 

小笠原の横に立っていた白哉に声をかける一護。相変わらずの格好に立ち方の白哉は一護の方を見ると声を出した。

 

「鍛錬を怠る訳には行かぬ」

 

「そうかもしれねぇけど、それでも参加しといた方が……」

 

 

「黒崎一護、貴様は少し彼女らとの距離を詰めすぎでは無いか?」

 

「っ…」

 

「私達は一時を過ごしているだけであり、この世界とやらの住人ではない」

 

「それは分かってるけどよ…、今俺達がいるのはこの世界だぜ…!____見過ごせねぇんだよ、俺は」

 

「……別れは突然に来る。それだけは胸に留めておくことだ」

 

「…ああ 」

 

そう言うと白哉は刀に手を置き一言呟いた。

 

「私もここには、長く居すぎたと思っている…」

 

「白哉…」

 

白哉の言うことは一理ある。実際向こうには浦原喜助やもしかすると尸魂界の人達が自分達を元の世界に返そうと奮闘しているのかもしれない

 

(そうだ…、別れは突然きちまうんだ…)

 

せめてその日までは、ここで出会った仲間達を支えていきたい…

 

(井上や石田、茶渡にルキアに恋次に…向こうにもかけがえのない仲間がいる。)

 

おそらく心配してくれているだろう仲間の顔を思い出し目を開く。

 

 

「何してんの一護!もう出るよ!」

 

ヘリ付近にいた月歌が離れた場所にいる一護に声を掛ける。

 

「ああ!悪ぃ!」

 

一護は返事を返し走り寄って行った。

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

金峰山・鳳凰山・甲斐駒ヶ岳・八ヶ岳、その4つを威力偵察をするという任務を与えられた31A…そして30G。最初は不安が大きくどのような旅路になるかと思っていたのだが……

 

 

〜金峰山〜

 

 

「やぁっ…!!」

 

ハンドガンのような形のセラフをまるで刀のように扱いキャンサーを一掃する小笠原。31Aのメンバーも戦いながら前へと進む。

 

「どっからどう考えてもこれ過剰戦力じゃねぇのか?」

 

斬月を背中に背負いながら一護がぼやく、もう少しで金峰山の威力偵察が終わろうとしていたが一護自身大して活躍をしていなかった

 

「油断は禁物ですよ黒崎さん。それに過剰戦力なのはある意味安心できます」

 

セラフを持ったまま周りを見回す小笠原がそう言う、その続きを言おうとする前にユキが口を開いた。

 

「まあ、そうなのかもしれないな…戦力があればあるほど個人の余裕が生まれる」

 

「流石ユッキー…!ナーイスハッキーング!!」

 

「関係ねぇだろ…?」

 

「それ私が言おうと…」

 

ココ最近のユキはなんやかんや月歌に褒められるのを満更でもなさそうだった。そんな二人の間に挟まれながら小笠原が呟いていた

 

(どこか先輩って感じがしねぇな…)

 

「でもよ、本当にお前も強ぇんだな」

 

「いきなりの罵倒!?」

 

「いや、罵倒したつもりは…」

 

「くっ…こうなるならあの時に完璧にボコっておけば…!!」

 

「先輩が後輩をいじめようとしてます…!」

一護と小笠原の間にタマが入る、2人は冗談交じり…のはずだが周りには伝わりにくかったようだ。一護はタマの肩をトントンと叩いて呟いた

 

「國見…こんな先輩になったらダメだぞ」

 

「キィーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白哉、お前さっき言ったよな。別れは突然来るって」

 

白峰山の哨戒もそろそろ終わろうとしていた、後はユキがドローンを飛ばし情報を本部に送る。それで終わりだった…その間の周りの警戒時に一護は白哉に声をかけた。

 

「それでも俺は護りたいものを護る、少なくともこの手が届く限りはぜってぇにな」

 

「…そうか、兄らしい判断だ」

 

「…ああ」

 

 

「おい…!!こっち来よった!!」

 

 

「「…!?」」

 

 

白哉の返事に一護が頷いた時だった、警戒していた逢川がセラフを構えて声を出す。

 

「おいおい冗談だろ…、こっちまだ半分だぞ…!!」

 

画面をずっと眺めながらユキがボヤく。

 

「単体の強さはさほどだけど数は…20くらい…!?どうして…!」

 

「やっと来おったか…、退屈しとったんじゃあっ!!」

 

戸惑うつかさの反対に意気揚々とセラフを出すカレン。

 

「言っててもどうにもなりません、ここは前線の私達で食い止めます。ユキさんはその間に終わらせてください」

 

「私は万が一を考えてユッキーの傍にいる…!」

 

「分かりました、茅森さん…頼みます」

 

「オメェら大丈夫か!!」

 

「一護さん、白哉さん…少し手を貸してください」

 

「ああ…」

 

「…」

斬月を背中から抜く一護、鞘から刀を引き抜く白哉。その二人を見て頷いた小笠原はセラフを手に持った。

 

 

 

 

 

(少しは先輩らしい所をみせなきゃ…!!)




久しぶりの白哉戦闘書けそう(ワクワク)

色んなシチュ思い浮かぶけど、なんかもう設定がバグり散らかしてきましたね…()


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60.最弱ーーー次なる仲間

5章が来てしまった…
俺まだ4章後半終わってないのに…

そしてこのヘブバン3章…見直しててわかった。月歌達哨戒の為の訓練してるやん…。
めちゃくちゃ何もなかったかのようにスキップしてる…。すいません


 

 

(今はこの力をコイツらの為に使う、茅森達はこの世界を…俺はこいつらを…)

 

 

 

「______卍解ッ!!」

 

 

 

始解状態の斬月を卍解、天鎖斬月へと形を変えた斬魄刀を持ち一護が構える。

 

「ユキさんが終わるまでセラフを持った私達と貴方がた…、トドメは出来る限りやりますので黒崎さんと朽木さんにはサポートを…!」

 

「ああ…!」

 

「”散れ、千本桜”」

 

構える一護の横に立つ白哉の柄から先…刀身部分が解号と共に桜の花びらへと変わる。その億をも超える花びらが刃となりキャンサーに襲いかかる

 

「綺麗な技…!」

 

「黒崎さんとは全く違う刀の能力…」

 

つかさと可憐が見惚れ、吸い寄せられかける

 

「あれに触れたらズタズタになりますからね、気をつけてくださいよ」

 

「こわっ…!?」

 

その横でも吸い寄せられていためぐみが後ろに下がった。

 

そんな言葉が31Aから飛ぶ中、白哉は冷静に刀を振るい千本桜をキャンサーに振るう。

 

ダメージこそ入らないものの敵を怯ませるには充分な火力があり、花びらに巻き込まれたキャンサーは体勢を崩していく。

 

 

「皆さん今ですっ!!」

 

 

直ぐに遠距離型のセラフを持ったメンバーによる攻撃が行われ、不安定な体勢のキャンサーに確実なダメージが入った。

 

「ふっ…」

 

白哉の千本桜が器用に舞い、彼女達の道と思わしき物が出来ている。

 

「桜の道かァ…、悪くはないのぅ…!!」「当たったら痛いとか冗談であってや…!?」

 

「マント…!!マントが持ってかれかけた…!!」

 

「んな服装してたら巻き込まれるだろ…!!」

 

ギャーギャー様々な言葉が飛び交いながらキャンサー達へトドメを刺そうと走りよる一護達。途中タマのマントと帽子が持っていかれそうになっているのを一護が抑えていた。

 

 

(デフレクタさえ外れてしまえば、白河さんにも劣らぬ黒崎さんの一撃で一掃できる。皆さん頼みました)

 

その期待に応えるかのように31Aのメンバー達がデフレクタをひたすらに破壊していく。

 

「後は任せろ…ッ!!」

 

テレポートで後ろへ下がったメンバーと交代するかのように一護が前に出た。

 

 

 

「月牙天衝ッ!!!」

 

デフレクタが割れ、一瞬の隙を着いた一護の月牙天衝が地面ごとキャンサーを抉り取る。その場にいたキャンサーを全て倒すことは出来なかったが残っていた数少ないキャンサーは体勢を立て直すかのように逃げていった。

 

 

 

 

「よし…終わったな」

 

「悪い皆…、こっちも今終わった」

 

戦闘を終え月歌達の元へと戻った一護達、ちょうど哨戒用のドローンを全て回収したユキが手を合わせて礼を言う。

 

「ひとまず、これで金峰山の哨戒は終わりですかね」

 

「そうだな、後は報告して帰還って流れになってる」

 

「やった〜、終わった! 」

 

「あのな、帰るまでが遠足と一緒だぞ?」

 

セラフを持ったまま腕を上にあげる月歌、ユキはその横で呆れつつもどこか笑っていた。あの二人の空気もどことなく完成し始めているように一護には見えていた。その影響もあってか周りの31Aのメンバーの目はやけに生暖かい

 

 

「なんだよその目!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしてもすげぇな…」

 

一護が小笠原に声をかけた。先程の戦闘で小笠原のセラフの射撃の精密さはつかさ達を充分に上回りすぎていた。そのあとの援護もかなりのものだった

 

「ふふっ…私は天才剣士ですから!」

 

「…もしアンタのセラフが剣だったら、それこそ最強なんじゃねぇのか?」

 

「それはどうでしょうね…、私は30Gの中では最弱ですから」

 

意外な言葉が小笠原から飛び出し驚く。

 

「嘘だろ…?」

 

「本当ですよ?ちなみにあの中で最強と謳われているのは月城さん、そして蔵さんです。」

 

「あの二人が?」

 

「ええ、あの二人が共闘した日には勝てる人はこの世界にはいませんよ。私も練習で手合わせしましたがかなり苦戦しました…黒崎さんならもしかすると」

 

「その先は言うんじゃねぇよ、第一俺も好き好んで手合わせするようなもんじゃねえしな」

 

「ふふ…、そうですか」

 

「んだよ…、なんで笑ってんだよ」

 

最弱と過小評価し、一護の目の前の少女、だがあの時小笠原と刀を交えた時に流れてきた”異様な圧”は一体なんだったんだろうか…。

 

 

「いえ…、それよりも明日の鳳凰山の哨戒。おそらく桐生さんが貴方達と一緒に向かうでしょう」

 

先程とは打って変わって真面目な声色になる小笠原、一護も自然と気を引き締めていた

 

「あの人からも何か学べるものは必ずあると思います。ただ…」

 

「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

~翌日・セラフ部隊基地~

 

次の日、集まった31Aのメンバーに向けて狐の面を着けた少女が礼儀正しく挨拶をしていた

 

「私は桐生美也と申します、今日は一日よろしくお願いいたします」

 

昨日に小笠原から聞いた情報とあまりに違い、少しあっけにとられた一護。

 

(んだよ、警戒して損したぜ…)

 

一人ずつに改めて礼をする桐生という少女を見ながら頭を掻く。そして一護の前に立ちーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「黒崎さんっ…!」

 

「っ…!?」

 

突如として狐の面を取り目を合わせた、しかも手を握ってまで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めて見た時からビビッと来ていました…!日本伝統文化保存同好会に入りませんか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(桐生さんは和にめんどくさいくらいに食らいついてきます、かくいう私もすでに何度も勧誘されていて…)

 

 

 

 

 

そんな小笠原の言葉が脳内で反射しながら思った

 

 

あー…、こういうめんどくささなのね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




30Gはキャラを濃くかきたい…

作者のエックスです。良ければフォーロ!!よろしくお願いします!
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61.仲間__嫉妬

これを書いている時は俺はバイト終わりのクリスマスイブ、なんなら年越してる…。

そしてふと思ったんですが、めちゃくちゃ話が難しくなってません??。たまに俺自身が理解できない時あるんですよね…、メモってるのに()




〜浦原商店〜

 

「これとこれを利用すれば……、これも違う…!」

 

辺りはすっかり暗くなり、周りの人間達も全員寝静まっていたが浦原喜助だけはまだ動き続けていた。その身体は先刻の戦いで傷を負い重症では無いものの休養を要するものだった。

 

(ココ最近の現世で確認された霊子の痕跡…、まるで歪みのようなものになってるッスね…しかもとんでもないエネルギー量だ)

 

あの後尸魂界へと赴き、雀部長次郎の隊葬に参列した。山本元柳斎重國から溢れる霊圧はいつも以上に荒ぶる炎のように燃え盛っており、周りの隊長、副隊長格もピリついていた。

 

 

そしてその足で奴らが乗り込んだと言われた一番隊隊舎へと足を運び奴らの痕跡が無いかと隅々まで調べた。

 

今わかるのはあの時アズギアロと名乗った滅却師霊子とどこか酷似しており、正体不明の奴らが滅却師だと…その確証がつこうとしていた。

 

(でも今の尸魂界にその情報を流せば確実に混乱を招く羽目になる…、ただでさえ開戦は5日後と言われ準備に忙しい)

 

その忙しさの中、元々尸魂界を追放されている自分に耳を傾けてくれるのは誰かいるのだろうか……

 

だからこそ今はヒユを含めた異世界組を先に何とかしようとしていた、ヒユから渡された血液や霊圧などを更に解析していく。その霊圧はどの隊長達からとはまた違うエネルギーを帯びておりそれだけでも異質の存在という確信を突いてきていた。

 

(ヒユさんの霊圧にあるこのエネルギー…、そしてヒユさんが習得したとされる2段目の始解…)

 

普通ならありえないことばかりだが今はそれにかけるしか無かった。それを上手く使えば…次元を超える扉なんてものを作るのも夢では無いかもしれない

 

「ははっ……、とにかく試すしかないっスねぇ…。」

 

器具なども考えれば確実に大量の場所と時間を浪費する。ただでさえ宣戦布告をされている尸魂界にこちらまで気にする余裕などないだろう。

 

「一先ず休憩としますか…」

 

画面に映る大量の情報を1度整理し1つのファイルに纏めていく。

 

 

 

「…!________ここならもしかして…」

 

 

そのファイルの中に1つ、浦原喜助の目にとどまるものがあった

 

 

 

 

__________________________

 

 

〜一護side・鳳凰山〜

 

 

(ここ2日の哨戒でコイツらが疲れてねぇといいんだが…)

 

声には出していなくとも31A全員が少しづつ削れているのを感じ取っていた一護。目の前には数体のキャンサーがおり手こずるレベルではないのだが少しだけ連携などのミスがあり桐生からも指摘されていた。

 

「っ…!!」

 

(茅森…)

 

「ごめん一護、倒し損ねた…!」

 

デフレクタを削った月歌が少しだけふらつき、その間に入った一護がキャンサーを月牙で斬り裂く。

 

「あァ、心配すんな」

 

背中に斬月を納め、月歌の近くへと歩み寄る。

 

「なぁ、一旦休みにしないか?」

 

桐生へと声をかける一護、桐生は1度電子軍事手帳を見て少し考えていた。面で顔は見えないが…

 

「そうですね、まだ時間に余裕もありますし…1度休憩にしましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「茅森、お前最近大丈夫かよ」

 

座る月歌の横に腰掛けた一護が話しかける。月歌は1度笑顔を作り首を横に振ろうとした。だが直ぐに崩れ黙って暫く考えるような素振りをしていたが…、一護の目を見ると息を吐いて「バレたか…」とだけ呟いた。

 

「アイツらには言わないでやるから、俺でよければ聞くぜ」

 

 

そう言うと月歌は頷いて一護をメンバーから少し離れた場所へと連れて行った。

 

「…最近さ、私達の物語ってなんか突然規模が変わったじやゃん?、いやまぁ世界を救うって時点で規模は大きいけど、今じゃそれに加えて軍が隠していると思う情報やつかさっちの記憶まで探して…、信じてきた人たちまで疑う様なことをして…」

 

(東城がある意味この軍を疑うきっかけになっちまったからな…)

 

ポツポツと言葉を放つ月歌のマグカップが少しだけ震えていた。

 

 

「31Aの部隊長として皆の生命を預かってて、蒼井のこともあってさ…強くならなきゃって思った矢先にこれじゃあきっと後悔する…」

 

そう言って俯く茅森月歌、彼女の本来の明るさが揺らぐほどに追い詰められているのが伝わってきていた。その影がどこかかつての自分に似ているような気がしてしまい一護は声を出す

 

「茅森、お前が考えてる程仲間は弱くねぇよ。だから全部抱える必要はねぇんだ」

 

「でも…」

 

「俺には石田やチャド、井上っていう仲間がいるんだ。アイツらは充分に強かったのに俺は勝手に勘違いして、アイツらを巻き込めねぇって。自分で全部解決させようとしてた時があった」

 

まだ死神の力を手に入れて間もなかった頃、破面達がこちら側へと攻めてきた時に自分だけで守らなければと…戦えるのは俺だけだと思っていた時があった。

 

だがそれは間違いだったのだ、茶渡や井上、石田も…強くなろうとしていた。

 

「そうなんだ、なんか意外…」

 

「んでよ、結果的に言えば一発ぶん殴られて思い知らされたんだ、あいつらは弱くないって…弱いのは俺の方だって」

 

「…」

 

「だから茅森、お前は1人で考えるんじゃねぇよ。生命背負ってんのはお前だけじゃねぇ…」

 

同じ志ならきっとそれぞれがそれぞれの生命を背負って戦っているはずだ。

 

「一護…」

 

「和泉達もいるんだ、心強いじゃねぇか」

 

31Aの中でもこの2人の距離感は最近縮まりつつある気がする。パッと見でもかなり親密だった。

 

(一護にも蒼井がいる気がするんだけどな…、今はいいか)

 

「…なんだよその目」

 

「いや別に、でもありがとう」

 

 

「黒崎さんの志…、この桐生も素晴らしいと思いますよ」

 

 

「うわっ…!?」「っ!?」

 

突如後ろから聞こえた声に一護と月歌が2人して飛び上がる。そこにはいつの間にか桐生美也が立っており面越しにニコニコしていた

 

「突然後ろに現れるんじゃねぇよ…」

 

30Gはどこかしらぶっ飛んでるところがあるなと思いつつ口を開く一護、だが反対に桐生は声を一切変えずに口を開いた

 

「黒崎さんは、きっと仲間のことを大切に思ってらっしゃるんですね」

 

「別に、俺が今までそれで痛い目見たりしてるからよ」

 

「人生経験が豊富ってやつですね」

 

「そう言われると俺がおっさんくせぇみたいなことになってんじゃねぇか…」

 

「一護も、みゃーさんもありがと。アタシもっと仲間のこと見てみるよ」

 

二人を見ていた月歌がそう呟いた。それに一護と桐生はお互いに一瞬だけ目を合わせて

 

「おう」

 

「ええ」

 

とだけ返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(アイツどんだけ一護と一緒にいるんだよ…、まったく)

 

一護と月歌がコソコソと距離をとってから数分、和泉ユキの心の中もモヤモヤが増大しつつあった。本人は無自覚である

 

「大変よ朝倉さん…和泉さんが嫉妬してる」

 

「修羅場の予感…」

 

「月歌もえげついことするな…!」

 

「ユキさんの嫉妬…!!」

 

 

 

 

 

 

 

「お前らうるせぇ!!!!」

 

 

 

 

 

その後の鳳凰山哨戒は滞りなく終了していったが、やけに距離感が近いような月歌とユキがいたのはまた別の話…

 

 

 

 

 

「黒崎さんどうか…!!日本伝統文化保存委員会に!!」

 

 

最後の最後までひたすらに勧誘され続けた黒崎一護。最後はダダまで捏ね始めたためにさっきまでの戦闘時のかっこよさが消え失せてしまっていた。

 

 

 




はて、石田や織姫や茶渡がヒユと会うのっていつだろう


作者のエックスです。良ければフォーロ!!よろしくお願いします!
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62.想い___

モチベーション不足のお時間がやってまいりましたね…、書く気力はあっても最近すぐに終わるってことが…。
老いたなぁ…


〜セラフ部隊基地〜

 

 

「一護!ライブやるから来てよ!」

 

30Gと協力しながら行っている威力偵察もある程度終わったある日、部屋に押し掛けてきた月歌がライブをやるといいいつも通りにチケットを渡してきた、特等席とやらにご招待されるのはこれで何度目だろうか

 

「いつだよ」

 

「明日」

 

「おう…………………………って明日ぁッ!?」

 

突拍子もない事を言われ椅子から転げ落ちた。そんな反応を見て月歌も「ユッキーと同じだ…」と謎に感心していた。

 

「お前ら疲れてねぇのかよ…!」

 

甲斐駒ヶ丘の威力偵察を一昨日、そして八ヶ岳の威力偵察を先日に終わらせていた31A連日共に朝から夕方まで歩き回り、キャンサーと戦い和泉がドローンを使用し巧みにマッピングなどを終わらせて行った

 

あの後も31Aに同伴する30Gのメンバーは変わっていき……

 

 

 

 

 

『お前にロリータポイントは渡しませんわ!!!』

 

『いらねぇよそんなの!!』

 

 

 

 

だのなんだのと全身フリフリとした動きにくそうな衣装をしていた奴にあーだのこーだのと言われた…、

 

だが無事にニードルワームやダイヤモンドアイと呼ばれていた中型のキャンサーを蹴散らしていった。

 

菅原という30Gの盾使い、見た目や言動などは相変わらず個性が強いがあの盾の扱いは蒼井さえ凌ぐレベルだった。

 

(あとまだ一緒に動いてねぇのは月城、蔵、白河の3人だな…。あの3人は他のメンバーが認めるぐれぇの強さだ。これ以上哨戒に何かしら影響があることはねぇだろ)

 

実際白河ユイナとは剣を交えて強さを理解している。アイツの剣から流れてくるものをブレない強さに覚悟。どこか退屈なお堅い剣だったのも理解している

 

だがそれ以上に奴自身の圧倒的な強さがこちらへと伝わってきていた。それこそ卍解無しでは戦えないレベルの…

 

 

 

「一護ー?」

 

「…いや、なんでもねぇ___ってかお前チケット、多いぞ」

 

「ん?」

 

月歌が一護に渡したチケットは3枚、一護は1人でいつも向かうため1枚あれば充分だった。残る2枚を手に持ち月歌へと返そうとする…だが

 

「いや、あと2枚はコンと蒼井の分だよ」

 

何故蒼井とコンの分なのだろうかという驚きよりも先に茅森自身がコンのことを知っていることに驚いた。

 

「コンと会ってんのかよ…!?」

 

「…うぐ」

 

一護の言葉に、奥でひっそりとしていたコンがたまらず声を出した。

 

「お前…、ったく」

 

「大丈夫、誰にも言ってないからさ」

 

「これからもそれで頼む」

 

「任せて」

 

「…あとなんで蒼井の分だ?お前が渡せばいい話だろ?」

 

「ちっちっちっ、分かってないなぁ一護は」

 

「…?」

 

頭にハテナを浮かべる一護をニヤけた顔で見た茅森はそのまま部屋を出ていく。

 

「まあそういう事だから!!あたし達練習で忙しいから後はよろしくー!!」

 

 

 

 

「……しゃあねぇ、行くか…」

 

茅森が居なくなり、静寂が訪れた部屋の中。一護はボソッと呟き懐へチケットをしまい込んだ。

 

 

__________________________

 

 

「…」

 

 

とは言えども基地内は案外広いもので、歩いていると意外と時間がかかってしまう。蒼井に連絡をいれると「ナービィ広場で待っています」とだけ送られてきた。

 

「ナービィ広場はもう少しだな…」

 

基地内の脳内マップが完成しつつあるなと内心誇りつつ歩いていると、突如後ろから声を掛けられた。

 

「っ…!?」

 

しかも背中に人差し指を添えられていた、本来なら気づくはずの距離だ。気づけなかった驚きと同時に本能的にこの場から動けないという命令が身体中に出ていた

 

「アンタが黒崎一護だね?」

 

「…だったらなんだ」

 

後ろからでもわかる、あからさますぎる敵対心を秘めた視線。

 

「別に驚かす気はなかったんだけどねぇ、基地内だからって緩みすぎじゃないのかい?」

 

「それはどうも…、これからアンタみてぇな奴に引っかからないように気をつけるよ…!」

 

「ふぅん、菅原ちゃんの言う通り可愛げがないのは事実みたいだ」

 

そう言われ指を離される、すると嘘のように体が動きそのままの勢いで振り返る。

 

「あたいと会うのは交流会ぶりだね」

 

「アンタ30Gの…!」

 

目の前にいたのは30Gの蔵里見だった、先程のような敵対心は感じられず警戒を解く。

 

「ほんとに心から驚いてたみたいだね…」

 

驚いたような顔をしている蔵に一護が頭をがしがしとかきながらボヤいた

 

「冗談とはいえありゃやりすぎじゃねぇの…?」

 

「ちょっとした挨拶さ、茅森にも言われたね」

 

「アイツとも会ったのかよ…!」

 

「生意気だからパンツ脱がしてやったよ、本人からはノーパンで過ごせるって喜ばれたけどね______なんだいその目は」

 

「いや、まぁ…そういう話は他所でやってもらっていいすか…?」

 

蔵を見る一護の目はもはや不審者を眺める視線だった、無駄にそういうところに敏感なのか…蔵が叫んだ

 

「なんだいその敬語は!?さっきみたいな図々しさは何処にいった!?」

 

「はぁ…」

 

とりあえずわかる、後輩をいびってノーパンで過ごさせる超絶変態だということだろう。でもあの顔は確実に茅森に翻弄されたのだろうなと直感で理解した。そこだけは同情しなくもない、そこだけは……

 

「それでアンタに話があるんだよ、単刀直入に言えば茅森を止めて欲しいんだ」

 

「…なんでだ?」

 

さっきまでのような空気が一瞬で消えた。一護にあるのは警戒ではなく心の底からの疑問だった。

 

「アンタらは月城ちゃんと手を組んで何やら大きいことをしてるって茅森から聞いた」

 

「…」

 

内心何やってんだ茅森と思いながらそのまま話を聞く。

 

「もしバレたら何をされるか分かったもんじゃない、あたい達が今までの戦いで死体を見なかったように…」

 

ここから先は言葉を言わなかった、どこで誰が聞いてるか分からないからというものもあるのだろうか。目を見ればわかる…彼女がどれだけ本気で言っているのか…

 

だが一護自身もブレない、ブレる訳にはいかない。

 

「…俺に言うんじゃねぇよ」

 

「どうしてか聞いてもいいかい?」

 

「俺はアイツらがしてぇならそれを支えるって決めてんだ」

 

 

「あたいのトロピカル巻きがあってもかい?」

 

一瞬の間を開けて放たれた言葉に一護は頭を傾げた

 

「……?」

 

「……まさかアンタも」

 

目の前に立つ蔵が震え始め一護はギョッとする。

 

「茅森といいアンタといいなんでトロピカル巻きを知らないんだい!!、ここに来たら絶対お世話になるだろう!?」

 

「知らねぇしならねぇよ!!」

 

「こうなったら今ここで____ん?」

 

まるで地団駄を踏みそうな勢いだった蔵が、電子軍事手帳から来た音で止まった。

 

「月城ちゃんからだ…、まったくしょうがないね…」

 

ついついと器用に扱い返事を送り返していた、その時の顔は先程とは打って変わって笑顔だった。

 

(コイツ…、月城とどういう関係なんだ…?)

 

一護が頭の上にハテナを浮かべる

 

「今日はこのくらいで済ませてやるね、でもあたいは絶対に諦めない。必ずあんた達の作戦とやらから月城ちゃんは返してもらうよ」

 

「だから俺に言っても____いねぇし…!!」

 

一護が返事をする前に目の前から消えていた蔵里見、また先程のように後ろにまわられたんじゃないかと思い見渡すが普通に歩く隊員の姿だけだった。

 

(なんだよアイツ…、やめろだのなんだの無茶苦茶言いやがって…)

 

蔵がどれだけ月城をこの事柄から外そうとしようとも、本人が首を縦に振らなければ動かない。しかもその月城当の本人はやる気が満々であり今も時たま茅森達と顔を合わせている。

 

「っ…、早く行かねぇと」

 

蒼井を思い出した一護は再びナービィ広場へと走って行った。

 

 

__________________________

 

 

〜空座町・浦原商店〜

 

 

「浦原さん、俺達を呼んだ理由って…?」

 

浦原喜助に呼ばれ浦原商店へとやってきた井上織姫、茶渡泰虎、石田雨竜、3人はいつもの和室へと通され暫く待たされていた。

 

「とりあえずまぁ端的に言いますと…」

 

浦原の後ろにいる少女も気になるが、とりあえず呼んだ理由を聞き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒崎さん、取り戻しますよ」




蔵っちとの初関わりがこれかぁ、
でも彼女とはもっと関わるかもしれないね黒崎一護…



感想と評価待っています…()

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63.深まる結束__一か八か

お久しぶりです〜!

お久しぶりですを冒頭の挨拶にするの辞めたいけど、そこまで頻度高く更新できないのが難点だなぁ…

そして4章後半こせました!!やっとです!!
そして外で見るべきではなかったストーリー、めちゃくちゃズビズビ言わせて見てましたわ(傍から見れば不審者)

今回タイトルを結束__UNITYにしようと思ったんですけど、遊戯王のカードにまんまあったなと思って辞めました。というかタイトルのネタ切れです


〜ナービィ広場〜

 

「悪ぃ!遅くなっちまった!」

 

「いえ、蒼井も来たばかりです」

 

一護が走る先には蒼井がおり、近くの椅子に腰掛けていた。

 

「はぁっ…、はぁ……蒼井お前…」

 

「はい、もう歩けるようになりましたよ」

 

そう言って立ち上がる蒼井を見て、一護が安堵の息を漏らす。

 

「そりゃあよかった…、あとはオメェのセラフが戻れば前線復帰か?」

 

「そうですね、でもまだリハビリだったり休んでいる間に色々落ちちゃったので…そこ辺りですね」

 

蒼井が再び座り、横に腰かける様に促す。一護はそれを見て蒼井の隣へと腰掛けた。ベンチと言うには少し小さめだが、2人が座るには充分だった

 

「そうか…、ほかのメンバーは?」

 

「蒼井以外で31Bとして今も任務に付き始めています、すももさんといちごさんはまだ毎日こっちへ来てくれるんですよ…蒼井の為に」

 

「よかったじゃねぇか、仲良くなったみてぇでよ」

 

「…いいんでしょうか、蒼井なんかが…」

 

隣に座る蒼井の表情が少しばかり暗くなった。

 

「今も偶に思うんです、蒼井は仲間を全滅させてしまった…過去の部隊、過去の作戦で…蒼井以外は全員…」

 

膝の上の蒼井の手がぎゅっと握られ、震えている。一護も内心どう声をかけようかと悩んでいた。蒼井が抱いている苦悩はきっと自分には分からない…それほど深く重いと…

 

 

 

「蒼井、俺ァ頭悪ぃからそんないい事は言えねぇけどよ…。」

 

「…?」

 

「後悔よりもこれからを考えた方が俺は思うぜ、お前が背負ったもんは重いかもしれねぇ…、それでもお前は生き残ったんだ」

 

「一護さん…」

 

「少なくとも…、俺はこうだと思ってる」

 

 

 

 

 

「散った仲間に、お前の不幸を望むやつなんていねぇって」

 

 

 

 

 

 

「…!」

 

「お前のことだから最初から仲間の為に色々考えて動いてたんだろ?仲間がそれを知らねぇわけがねぇさ」

 

「一護さん……、」

 

俯いた蒼井の声が震えている、手には滴り落ちた物があった。一護は蒼井の方を見ずに言葉を語りかける

 

「だからしっかり胸を張って、今の仲間を頼れ。お前も…アイツらも、もう弱くなんかねぇよ」

 

「はい……っ!」

 

「…、蒼井オメェ何泣いて…!?」

 

「一護さん…っ!!」

 

横を見ると、涙を必死に堪えようと袖で涙を拭う蒼井の姿があった。そして次の瞬間音もなく一護の後頭部に冷たい何かが当たる感覚…

 

 

「オイ、何うちの蒼井泣かせてくれてんだ?」

 

そしてその冷たい感覚は2つに増える。

 

「もしオマエが泣かせたのなら、命の恩人であっても容赦はしないにゃ」

 

「……、これは誤解だ。オメェらが思ってることじゃねぇよ…!」

 

変な汗が一護の額から流れる、返答を間違えれば確実に撃つという確信。

 

「…らしいけど、蒼井はどう思う?」

 

「一護さんの言葉で…っ、蒼井は…蒼井は…!」

 

再び裾で目頭を覆う蒼井、その瞬間額にある感覚が1層強まった。

 

「蒼井言い方…!!」

 

「へぇ〜…、で何か言い残したい事は?」

 

「一応聞いておいてやるのにゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「誤解だって言ってんだ…」

 

 

 

 

次の瞬間、額の感覚が無くなり突きつけられていたものが直される音がした。とりあえず安心して振り返るとやはり任務終わりの31Bのメンバーがいた。前に立っていたのはすももといちご、2人は一護の顔を見るなり笑う

 

 

 

 

「ま、冗談だけどな」「すもも達がそんな簡単に銃を突きつけるような人間に見えたのかにゃ?」

 

 

「思いっきり突きつけてんじゃねぇか…!!」

 

「これ、どうぞ…!」

 

今でも汗が止まらない一護は横に回ってきた柊木から手ぬぐいをかり汗を拭く。

 

「お前が蒼井を泣かせるなんてことはきっとねーからよ」

 

「の割にはあっさり俺を犯人扱いしてたぞ!?」

 

「はぁ、だから冗談って言ってるのにゃ。それにすもも達は最初から聞いてたのにゃ」

 

「嘘だろ!?」

 

「ばっかすもも…!それは言うなって…!!」

 

口を塞ごうとするいちごを巧みにかわしながら、すももがニヤニヤとしながら話続ける

 

「それに2人のいい空気を邪魔するのも悪いってにゃ〜」

 

その一言で蒼井の顔がボっと赤くなり涙が全て蒸発するのかというくらい熱くなる。

 

「…?」

 

正直いい空気か?、蒼井の心の底からの悩みだぞ?と言わんばかりに首を傾げた一護を見ていちごやすもものみならずビャッコ達まで後ろに下がった

 

「嘘だろコイツ…!」

 

「ヴァウ…」

 

後ずさるビャッコ達の顔を見ながら一護が更に疑問を深めた。

 

「…なんだよ」

 

「…くだらん、私は研究に戻るぞ」

 

ふん、と鼻を鳴らした樋口がそう言い歩いていく。

 

「あいつもあいつで素直じゃねぇーな…」

 

やれやれといちごが首を振った

 

「重ねて言うけどよ、どういう事だよ」

 

「あいつ今任務が終わったら直ぐに研究室にこもりやがる」

 

「でもそれは蒼井のセラフを直す為だったのにゃ」

 

「樋口さん…」

 

「前にあたしらが見に行ったんだからな、間違いじゃねぇよ」

 

「樋口に許可取ってねぇのかよ…」

 

「言ったら絶対拒否るに決まってんだろあいつなら…」

 

「まぁ、そうだな」

 

妙に納得させられ黙る一護。

 

「そしてあたしらはこうやって31Bの信頼を得ていってる、蒼井が戻ってきたら今まで以上に強え31Bが待ってるぜ」

 

ガッツポーズをするいちごを見ている蒼井の顔は___再び目尻に涙が溜まっていた。しかもさっきよりもでかい

 

「っ…」

 

すっと後ろにさがろうとする一護を、すもも達が抑えた。どうやらこの話は31Bだけの問題にはさせないらしい…

 

 

「皆さん……!!」

 

 

ぶわっと溢れ出した顔のまま_____何故か一護の胸へと顔を埋めた。

 

「つめっ…、お前どんだけ泣いてんだよ…!?」

 

一護の服が急速に濡れていく、それとは真反対に新しい涙を流し続ける蒼井。一護を挟んで反対の31Bのメンバーは笑顔で見ていた。

 

「なんで俺も巻き込まれてんだよ…!」

 

「さぁな、命の恩人だからじゃね?」

 

「すももも、そう思うにゃ。頭でも撫でてやればいいんじゃないかにゃ」

 

その一言に言い返そうとしたが、喉元で堪えた。今ここで何かを言い出しても無粋だろう。

 

「…ったく、やるよ…」

 

埋めている蒼井の頭を撫でる、少し乱暴にも見えるがその中には温もりがあった。

 

「ううっ…、うぁ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

_____再び蒼井の涙が増えたのは、また別の話。

 

 

 

 

 

__________________________

 

〜浦原商店〜

 

「黒崎くんを…!?」

 

「「取り戻せる…!?」」

 

一番最初に反応したのは井上織姫だった、茶渡と石田はお互い顔を合わせてから同時に驚く。

 

「はい、ですがこれには一か八か…賭けになります。その確率を高める為に今回はこの人に協力してもらいます」

 

そうして手招きされ後ろから現れたのは1人の少女だった、だが服装や斬魄刀などから尸魂界の死神だと3人は理解する。

 

「佐原ヒユです…!よろしくお願いいたします!」

 

「まあまあそんな固くならずに、とりあえず座ってくださいッス」

 

「ヒユちゃんか、よろしくね!横どうぞ!」

 

「ありがとうございます!」

 

そそくさと織姫の横へと座るヒユ、それを確認した浦原がさて…と話を切り出す。

 

「恐らく死神だと判断したと思いますけど、その人は死神じゃありませんッス」

 

そんな浦原の一言に3人が一斉に驚いた。

 

「死神じゃない…!?」

 

「そうなんですよね…こんな服装してますけど…、あはは」

 

頭を抱えて笑う少女からは、言わなくても分かるほどの霊圧が出ていた。どこか感じたことのある霊圧…

 

「まさか…この霊圧は黒崎の」

 

「正解ッス、流石は石田さんッスね」

 

「黒崎くんに会ったの!?」

 

「え?あ、まぁ、何度かですけど…」

 

井上の勢いに押され後ずさる、だがその分だけ再び近づき眼前に迫った。

 

「元気にしてた!?身体は!?、お腹とか痛そうにしてなかった!?」

 

(何このお母さんムーブは…!?)

 

「落ち着け井上、その人も困っている」

 

「え、あ…!___ごめんね!」

 

茶渡という人に言われ我に返ったのか、顔を赤くしながら後ろへと戻っていく井上。

 

(井上さん、すごく美人な人だなぁ…スタイルもいいし)

 

そして関係ないようなことを考えるヒユ、ここまでの慌てよう、相当黒崎一護の事が心配だったのだろう。

 

(むぅ…)

 

自分でも初めて抱くのではないかというモヤモヤを抱く。

 

(いけないいけない…、今はしっかりと集中しないと…)

 

内心自分の頬を叩き思考を戻す。

 

「それで、彼女が黒崎をどうやって…?」

 

「それなんですけどね、最初に言った通り賭けになりますよ。」

 

今現状人手が多い方がいいのだが、尸魂界は宣戦布告を受け現在はとてもでは無いがこちらに手を貸してくれるような状況では無い。

 

ならばこの数で挑まなければならないのと

 

「あのデカブツが現れてくれないとどうしようもないっすよね…」

 

そう言いながら取り出した1つの球体。黒く光るクリスタルのような輝きを放つ物を手の上で転がしながら浦原は、説明を続けた

 

「このクリスタルにはヒユサンの霊圧とエネルギーを濃縮させてあります」

 

あのデカブツの攻撃のひとつ、歪みのようなものにはおそらく次元をも超えることが出来る可能性を秘めている。

 

「推測では朽木サンも黒崎サンも、どこかの世界に飛ばされている。そしてヒユさんは別世界から現れ黒崎さんと会っている…」

 

「だからその歪みの中に佐原さんのエネルギーを入れて、その世界へ繋がる道のようなものを作るってことですか?__そんなめちゃくちゃな話…」

 

「はい、石田さんが言うように自分でもめちゃくちゃなことを言ってる自覚があるッス。でももうこの話はこんなに飛躍しなければ説明ができない…」

 

説明をしている浦原の額には汗が少しばかり出ており、今回の作戦もといい博打がどれだけのものかを悟らせていた。

 

「仮に出来たとしてもその子が黒崎と会った世界に行けるなんて保証がないでしょうに…!」

 

「だから”賭け”なんです、そして今回そこへ行くのはヒユさんです。私たちはその隙と時間稼ぎをするんです」

 

「そんな危ない…!!」

 

一番最初に口を開いたのは井上織姫だった、だがヒユが手でさえぎった。

 

「井上さん…、これは私が受けた役目なんです。黒崎さんは私を救ってくれた…だから今度は私が黒崎さんを救う番なんです。例え自分がどうなろうとも…」

 

だがそんなヒユの覚悟を今度は織姫が遮った。その目には涙が溜まっておりヒユも驚いた

 

「ヒユちゃん、自分を大事にするのが一番だよ…?__黒崎くんだってそう言うよ…」

 

「井上さん…」

 

「それに一護なら、道さえ引いておけば何時でも来そうだ」

 

茶渡がそう言い立ち上がる

 

「一護を取り戻すなら俺はなんだってやる、今回の作戦…確証はないだろうが成功率を高める為に俺を使ってくれ浦原さん」

 

「茶渡さん…」

 

「……はぁ」

 

石田がメガネを直し、立ち上がった。

 

「こんなどこかのおとぎ話のような作戦に乗っかるなんて…僕も毒されたか…」

 

「石田…」

 

「今は気になることが沢山ある、この前襲ってきたやつのことも…奴が言っていたと聞いた滅却師のことも…だが協力はする」

 

「私も…、黒崎くんを取り戻したいから!精一杯頑張る!!」

 

 

 

 

「皆さん、協力感謝します」

 

 

 

浦原がそう言って頭を下げた時だった、外に凄まじい音が鳴り響き全員を驚かす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰か…、助けてくださいっス…!!」

 

「ネルちゃん…!?」

 

外へ出ると、落下跡のような場所からネリエルがはみ出していた。だが身体には傷が付き所々から血が出ておりかなり凄惨な状態だった。

 

井上が近づき自らの力を使う。

 

(これが井上さんの力…)

 

噂には聞いていた物を目の当たりにし、感心するヒユ。みるみると傷が治っていき口が開けるほどにはなった瞬間…ネルが井上達に懇願した。

 

 

「助けてくださいッス…!!いちご!!みんな…!!___虚圏が…!!」

 

 

「虚圏が…?」

 

 

 

「虚圏が…!!みんな殺されて…!!」

 

 

 

 

「「っ…!?」」

 

 

 




これにておそらく現世組は次の話を除いて、あまり登場しないかなと思います、今後の考えているストーリーに沿って行くとですが…

時空超えるとかもはや壮大を極めてて新手のご都合主義が産まれそうになってる…??

まぁタグにもあるし大丈夫か…


そして書けば書くほどネタは生まれど、描きにくさが増していく日常パート


作者のエックスです。良ければフォローなどよろしくお願いします!
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64.恋のキューピット作戦

まえがきをお借りして今のエヌラスの悩みをおひとつ…

この作品を始めた当初は、死神代行消失編と千年血戦篇の間の時間軸ではじめたんですよね。
でもアニメとか漫画見てると千年血戦篇以降の一護出したいじゃないですか。
でも今現状作品を見てるとかなり難しいじゃないのかなってふと思い始めてまして…
ヘブバンとBLEACH、元々合わせずらいものを深夜テンションで初めてしまった身なのですが。このままだと作品の満足度も低くなりそうで正直怖いんですよね。

でもやっぱり出したいじゃないですかあの黒崎一護を。

どうすればいいんですかねほんと……

一度千年血戦篇の方の時間軸をいくらかずらすべきなのか否か…


その迷いもあって今回の話は千年血戦篇パートを削っているためにめちゃくちゃ少ないです…


〜セラフ部隊基地・カフェテリア付近〜

 

 

「…お前ら、何やってんだ?」

 

「あ、一護!」

 

「黒崎さん、お久しぶりです!」

 

眉をピクピクと動かす一護に対し、そろそろライブが始まろうとしているカフェテリアの壁に寄り付く大島家6人。

 

「中…入らねぇのかよ」

 

「これが大島家流のライブ観戦なのです!」

 

「…ああ、そう…」

 

茅森達に話を通せば中に入れてもらえるとは思う。というよりカフェテリアでのライブって金取るのだろうか…

 

(コイツらの貧乏精神は知っていたが、ここまで来るとなんかすげぇな…)

 

待機している大島家を他所に、一護は1人入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、一護さんここです!遅いですよ〜!」

 

前の方に近づくにつれシーイズレジェンドのグッズやらなんやらを手に持っているレベルが高くなっていた。その中聞き馴染みのある声が聞こえ……

 

「もういたのかよ、はえぇな…」

 

蒼井の横へと腰掛ける。この2席だけ異様に近い気がするような気がするがそこは気にしないでおく。

 

「当たり前ですよ、参加は出来なくても蒼井はファンなので!」

 

「前にギター弾いてたもんな」

 

レッドクリムゾンと戦う前にもライブがあり、その時は蒼井もギターとして参加していた。本人曰く人生で初めてだと言うのだか非常に完成度も高く再起を祈る声も未だ聞こえてくるほどだった。

 

「黒崎さんも、参加しては?」

 

「いや、俺ァそういうのは向いてねぇよ」

 

過去にもそれでてんやわんやしている、それを思い出しげんなりとする。

 

「…そうですか」

 

「…また気が向いたらやってやるよ」

 

何となく蒼井の返事がきになったため即座に変更。げんなり感を消し去ろうとする。

 

 

「まさかこうやって再び、茅森さん達のライブを見れるだなんて…」

 

「んだよいきなり」

 

「正直あの時、蒼井は必死でした。皆を生かすために自分を捨てて…」

 

白河ユイナも言っていた、本来ならあるはずのないセラフの輝き。

 

(白河は最期の輝きってたような…)

 

「でもそんな蒼井を救ってくれたのは黒崎さん…、蒼井はそんな黒崎さんに感謝しています」

 

「ああ…」

 

「だから…、その……」

 

蒼井が突然俯き指をくるくるとさせている。

 

「どうしたよ、言いてぇことあるならハッキリした方がいいぜ」

 

「そ、そうですよね…___よし…!」

 

一度深呼吸をし、意気込む蒼井。何をそこまで緊張しているのかと疑問に思うがそこを言ってしまうとまた夜一さんにしばかれそうなので留まる。

 

 

 

「こ、これからも…蒼井と仲良くしてくれますか…?」

 

 

「……当たりめぇのこと言ってんじゃねぇよ」

 

何を改まって言うことだろうか、顔を赤くしている蒼井の頭を無造作に撫で回す。「わぷっ…」と声が聞こえたが今は大人しく撫でられていた

 

「良かった……!!」

 

そのまま声を漏らす蒼井、だがその声は茅森達によってかき消されてしまった。

 

(今はこれでいいんだ……これで)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆!!来てくれてありがとう!!」

 

茅森はいつも通り、楽器を肩から掛け前に立つ。一護と蒼井は来ているかと視線で探し見つける。

 

(よし、いい感じに2人並んでる…!上手くいっただろうか)

 

実は椅子が近いのも、当たり前だがチケットの席が隣なのもそれを一護に渡しに行かせたのも、考えたのは全部月歌なのである。

 

2人の距離感を察するに結構レベルが高そうだった。しかも逢川めぐみいわく黒崎一護は気づいていないという難易度上昇コンテンツ付き。

 

(ユッキーには止められたけど、このライブであたしは2人をゴールまで導いてみせる…!!)

 

新曲もある、2人がくっつくまで何とか繋いでみせる…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、ありがとう…!!」

 

 

 

 

 

 

終わってしまった…。ダメだった、最初から最後まで結局2人の距離感は縮まらず尚且つ開かずだ。

 

(ちくしょう…、あたしが恋のキューピットになろうと思ったのに…!!)

 

その時だった、いつの間にか横に立っていた逢川めぐみが月歌の肩を叩いて首を横に振っていた。

 

(同情されたよ……はぁ)

 

明日から再び始まる訓練…、

 

 

 

 

茅森月歌の恋のキューピット作戦は見事に失敗したのだった。

 

 

 

 

__________________________

 




一応平和パートはここら辺で終わりかなと考えてます。
原作知ってる人なら分かるでしょうけど、3章の後半辺りから4章後半までほぼ休まる場所ないですもんねぇ…



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65.平和を願う心__鈍感

前回の話、タイトルミスったりしてグダグダでしたね…、確認してあんまり起こらないようにしないと()
それに39話辺りからズレてたぁ…(全部修正しました)

そして前回に悩みをぶちまけて、色んなアドバイスを貰ったのですがそのアドバイスと共に自分なりに頑張ろうと思います!

ヘブバンとBLEACH、両方の面白さを知ってもらって皆様の暇つぶしになればと頑張ります!!

応援よろしくお願いいたします!


〜黒腔内部〜

 

 

「浦原さん本当に凄いですね…!」

 

浦原喜助が開発した現世と尸魂界、そして虚圏を繋ぐことの出来る黒腔を走りながらヒユは驚いていた。

 

「もうしがない駄菓子屋ってやつを信じれなくなりましたよ…」

 

「あははぁ〜…」

 

1番後ろを走る浦原喜助に声をなげかける。ヒユを先頭に井上織姫、茶渡と…2人は浦原さんのことを分かっているようで2人して苦笑いをしていた。

 

「井上さん、茶渡さん…あの時私に説明してくれてありがとうございます」

 

「ああ、気にするな…」

 

「石田くんって言葉足らずだもん、誤解するよ」

 

「今回の件…、滅却師がやったって予想が着いてるけどそうすれば石田さんは私達の敵に…」

 

「ううん、そんなことないよ」

 

言い出しずらかったが、石田雨竜が滅却師の生き残りと聞いた瞬間から考えていた言葉を口に出す。だが井上織姫が強く首を横に振り否定した。

 

「…そうですよね、ごめんなさい…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕は滅却師だ、死神や破面を助けることは出来ない…』

 

虚圏から助けを求めてやってきたネルの言葉を受け、ヒユは直ぐに向かうと言った。井上織姫と茶渡泰虎も頷き浦原喜助も着いてきてくれると言っていた。

 

たが石田雨竜だけは1人首を横に振った。

 

何故_____と問い掛けるよりも早く、井上織姫と茶渡泰虎が理由を説明した。

 

___石田雨竜は滅却師の生き残りであり、亡き祖父の考えを何よりも尊重している。

 

あの黒崎一護もそれを了承しており、おそらく今回この場に一護が居れば大人しく頷くということだった。

 

『僕も家に戻って、今回の件を調べてみるよ』

 

(あの時もう少し遅かったら私石田さんの胸ぐら掴んでたかもしれない…)

 

今回の虚圏の件が終われば謝ろうと思い再び気を引きしめる。

 

(虚圏って虚や破面が大量にいるって聞いたけど、なんでそんな所を襲うんだろ…)

 

この世界に来てまだ間もない為、滅却師や破面、死神の関係性がイマイチ掴めていない。

 

昔黒崎一護達は破面とバチバチにやり合ったと、尸魂界も全面的に戦ったとは聞いたことがあれど、破面達の親玉はまさかの死神……

 

(隊長にはまた時間があれば話したるって言ってたけど…)

 

 

 

 

 

「もう少しで着きますよ!座標は近いはずッス…!」

 

後ろから声をかけられ一気に意識が現実へともどる。ネルが引いた場所に近い座標ということは敵がまだ近くにいる可能性が高い_______

 

(もし戦いになったら…、話し合いも出来ないのかな)

 

斬魄刀に手をかけ、ふとそう思う。

 

向こうの世界では敵はキャンサーだった、言葉すら通じない…

 

だがここに来てからは人だ、言葉だって通じる…

 

(尸魂界にとって大事な人を亡くした…、でも、それでもあたしは…言葉が通じる者同士で争うなんて好きじゃないな…)

 

一度光が包み視界が激変するまで、ヒユの心の中はその言葉で溢れていた

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊基地・ヘリポート〜

 

 

「今日の霧ヶ峰ってとこが最後じゃねぇのか?」

 

休みを1度挟み、再び威力偵察へと向かおうとする31Aと黒崎一護。だが残すところは霧ヶ峰だけとなっており七海も頷いていた。

 

「ああ、だが気は抜けない…今日の場所は何せ30Gと31A、そして君というメンバーだからな…何かしらあってもおかしくは無い」

 

少し離れた場所で待機していた30Gの部隊長である白河ユイナが一護へと声をかけた。

 

「今日は30Gも総動員かよ」

 

横に並んでいた30Gを見ながら一護が声を発する。

 

「司令部も気を抜けないのだろう、これが成功すれば私たちは関西へと進む足がかりを手にすることが出来る」

 

「そうなのか…?」

 

その言葉に対し静かに頷くユイナ、31Aの雰囲気とは打って変わって30Gの空気は少しばかりピリついているように見えた。

 

「あんまり気張るといい事ねぇぞ…って言いてぇところだけどあんたらなら大丈夫なんだろな」

 

「いつも通りだ、逆に31Aはあの雰囲気でよく対応できるな…」

 

「それがアイツらのいい所だ…」

 

2人が視線を向けた先では、茅森月歌が和泉ユキにちょっかいをかけるといういつもの光景が繰り広げられていた。

 

それを見ている30Gのメンバーも呆れつつも笑顔が漏れている。

 

(そこが31Aのいい所…か)

 

いつか、もし離れる日が来たとして…

 

あいつらは俺達を笑顔で送ってくれるのだろうか…

 

(いけね、何考えてんだ俺は)

 

 

「どうした?黒崎一護」

 

「…いや、なんでもねぇ」

 

 

__________________________

 

〜霧ヶ峰・旧茅野市街〜

 

 

「ここに来て町か…… 」

 

霧ヶ峰までヘリコプターで向かい、目的地付近になれば飛び降りてトランスポート。もう何度もやり慣れた行動をして市街まで歩く。

 

「ここにいる人達はちゃんと避難出来たのかな」

 

「さぁな、でも避難できてるって信じるしかないだろ?」

 

廃墟と化した街並みを見ながら月歌が声を出す、ユキがフォローに入るが30Gはともかく31Aは少し落ち着かない様子だった。

 

「む…?何をしている」

 

「いや…お前らは来ねぇ方がいい」

 

瓦礫の下に見えた”服”を隠すように一護が動いていると、不審に思ったのか月城最中が声をかけてきた。

 

「そうか…」

 

月歌達の方に視線を向けながら話したおかげか察して何も言わなかった月城。

 

「察しが良くて助かる」

 

頭を下げながら立ち上がると、月城も隠すように立っていた。だが…

 

「逆に目立つぞそれ…」

 

「…そうなのか?」

 

一護にそう言われ目を丸くした月城、この最強のセラフ部隊員と呼ばれた人間にもこんな所があるのだなと思ってしまう。

 

「はいはい月城ちゃん、こっちこっち」

 

お互いの静寂を壊すように割って入ってきたのは月城と同じく30Gの蔵里美だった。

 

「おまっ…、なにすんだよ…」

 

「蔵、何かあったのか?」

 

「いや別に…、ただずっと同じ場所にいると怪しまれるよ?」

 

「それもそうだな…」

 

そう言いその場所から離れる、さらにグイグイと月城を押す蔵。

 

「わかったならユイナちゃんの所に行っておいで、茅森達の心配でいっぱいみたいだからね」

 

「蔵、お前…」

 

「いいからいいから、行った行った!」

 

半ばゴリ押しで蔵が月城をおしていく、不審に見つめる月城だったが相手が蔵だからなのかそのまま白河の方へと歩いて行った。

 

 

「半ば無理矢理じゃねぇかよ…」

 

屈んだ状態から立ち上がった一護が、死覇装についた汚れを落としながら言う。

 

「それでも信じてくれるんだから、ほんと月城ちゃんは心配になるね」

 

「アイツ、意外と単純っぽそうだ……ってぇ!?」

 

一護が月城の方を向きながら放った言葉の最中に蔵から平手打ちを喰らう。

 

「アンタ、さてはモテないだろう?」

 

「それ今の会話に関係ねぇだろ?」

 

蔵のことを訝しげな目で見る一護、蔵は一瞬目を見開いたが次の瞬間には溜息へと変貌していた

 

「それだからアンタは……、ったくあの子も可哀想ねぇ」

 

やれやれと言わんばかりの態度をとる蔵に対し、一護の頭の上にハテナが増えていく

 

「あの子…?お前何言ってんだよ…?」

 

「……本気で言ってんのかい?」

 

「……おう」

 

「……そうかい、あんたもどこかあの子に似てるね」

 

「んだよいきなり…」

 

「強いけど、人の気持ちには微塵も気づいてくれない…あたいにはあの子の気持ちがわかるよ」

 

「なんかむず痒くなってくんだけど…!?」

 

話を聞いている一護が身体をかくような仕草をする、だが次の瞬間

 

 

 

 

「蔵っち!!一護!!後ろ!!」

 

 

 

 

セラフを持った月歌がこちらへと走ってくる、その方向を見れば中型のキャンサーがこちらへと迫ってきていた。

 

 

 

 

「”五穀豊穣…刈り入れ時だね”…!!」

 

 

 

だが月歌がこちらへと来る前に蔵がセラフを呼び出しすかさずキャンサーへとダメージを与えそのままの勢いでデフレクタを破壊する。

 

 

「月牙天衝ッ…!!」

 

 

デフレクタが割れ隙が出来たキャンサー目掛け始解状態の斬月から月牙天衝を放つ。デフレクタさえ割れてしまえば一護でも倒せる為、そのまま地面へとたたきつけられたキャンサーは悲鳴をあげて消えた。

 

 

 

「2人とも大丈夫!?」

 

「あたいを誰だと思ってるんだい、コイツはさておきあたいはこのくらいじゃ死なないさ」

 

「んだと…!?」

 

「お互い、後悔しないといいけどね」

 

「……もしかしてアンタ、」

 

一護が言葉の続きを口にする前に、割って入った茅森月歌に遮られた。

 

「蔵っち、何の話?」

 

「こっちの話さ、それで?そっちは終わったのかい?」

 

「ああ、今ユッキーがドローンでの解析を終えたところだし先に進める」

 

「なら行こうじゃないか」

 

「うん…、一護も行こう!」

 

「ああ、さっさと終わらせて先へ進まねぇとな」

 

 

そう言って進み出す月歌と蔵、そして黒崎一護。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その先に訪れる困難を、未だ知る者は誰もいない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前回に平和回は終わりだと言ったな、あれは嘘になってしまった許してください()



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66.霧ヶ峰__隙だらけ

ネタバレ注意なので、5章PV未閲覧の人は前書きスキップでお願いしますm(_ _)m






月歌のセラフが何かが原因で一刀になってしまってそれで気になるところで終わったのですが…なんか既視感あるなぁって思ったら


黒崎一護じゃないですか!!
二刀の斬魄刀が一刀になり、それが本来の斬月…
黒崎一護じゃないか!!(歓喜)

いやまぁ月歌のセラフの本当の姿が一刀とは限らないんですけどね、二刀流が過去に前例がない点も含めてきっと月歌のセラフは一刀になるのかなと()
二刀流のままならSAOですね(こじつけ)



 

〜霧ヶ峰・旧茅野市街〜

 

 

 

「来たぞ…!」

 

「この数なら一気に叩けるで!」

 

「ならそれで行こう!」

 

31Aが先陣を切りキャンサーを蹴散らしていく、30Gは後ろに立ち後方を警戒していた。

 

 

『31Aの攻撃力を活かしつつ、経験を積んだ我らが状況におおじてカバーする。その布陣でどうだ?』

 

霧ヶ峰を北へ進む最中、一度連携をとるための作戦を立てた際に白河ユイナによってたてられた作戦

 

30Gの状況カバーに、振り回されつつあった31Aだが何とか戦闘を数回して慣れてきていた。

 

「黒崎一護、君は積極的には戦わないのかい?」

 

目の前で31Aがキャンサーと戦闘を繰り広げている最中、立っていた黒崎一護に白河ユイナが声をかけた。一護は手に持っている斬魄刀を見ながら言った

 

「俺が戦いに加わりすぎればアイツらに変な癖がついちまう」

 

そう、もし一護がいる前提の動きをしてしまい…一護達が消えてからもその影響が残ってしまえば確実にどこかで隙が出来てしまう…

 

彼女達には彼女達だけで戦って欲しい、一護自身が手を貸すのは状況が深刻になった時でいい。ある日どこかでそう決め、月歌達にも言って許可はとってある。

 

『そっか…、そうだよね』

 

月歌からは少し寂しげな返事も来たが、しっかりと31Aの斬り込み部隊長として恥じぬ活躍をしている。

 

「それに俺と白哉はいつ消えるかわかんねぇからよ、それは明日かもしれねぇしこの後すぐかもしれねぇ…そんな人間が31の斬り込み部隊に混ざる訳にはいかねぇんだ」

 

「…そうか、だが黒崎一護…」

 

ふと真剣な顔付きになったユイナが一護の目を真っ直ぐ見つめ言う。

 

「…?」

 

「お前も、もうセラフ部隊の1人だ。いつか消えると言えども、私は黒崎一護…そして朽木白哉の2人をセラフ部隊の人間として認めている」

 

「…そう言ってくれると助かるよ」

 

後ろの方で耳を立てている白哉も、静かに頷いていた。その頷きに気づけたのは…きっと黒崎一護だけだろう。

 

「ふ…、いつかは戦ってみたいものだな。我と蔵の2人で…」

 

月城がふと、そんな言葉を口にした。

 

「あんたらセラフ部隊で最強なんだろ…、しかもタッグなら誰も勝てねぇとか聞くし俺が勝てる訳ねぇだろ…」

 

「なら我と一体一だな」

 

「戦うっていう決断には変わりねぇんだな…」

 

呆れたように言う一護に対し、拳に力を込めながら話す月城最中。その目は静かだが内側には昂る炎が見えるようだった

 

「小笠原が認めたその剣術、それに技__真っ向から打ち破ってみたいものだ」

 

「ちょいちょい月城ちゃん、ストップストップ。それ以上言うとあんたが敵みたいじゃないか」

 

謎に昂っている月城の肩を蔵が叩く。次の瞬間には月城の目から燃える炎は消えていた。

 

「…まぁ考えといてやるよ」

 

「ああ、約束だな」

 

 

 

 

 

 

 

(お前達と全力で戦う時は、俺と白哉がお前達セラフ部隊から離れた時だけかもしれねぇな…)

 

ふと前に言われた司令官からの言葉を思い出し、内心そう呟いた。きっと来ないとはいえないそんな可能性の世界…

 

(もしその時は…、俺はコイツらと全力で戦えるのだろうか。)

 

後ろにはキャンサー、前にはセラフ部隊…なんて可能性のあるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし終わったー!!」

 

「流石だな、31Aはあの時よりもさらに成長している。このままだと抜かされる日があるかもしれないな…」

 

「流石にユイナ先輩達は越えられないよ…」

 

「当たり前ですの、貴方たちとは踏んできた場数が違うのですから」

 

「菅原さん、そう言って抜かされたら恥ずかしいですよ」

 

「なんですって!?」

 

「2人とも、みっともないぞ…」

 

「あれ、一護?」

 

「なんだ?」

 

「また考え事?」

 

コイツは本当に無駄に感だけは鋭い、最近じゃ考え事してると直ぐに見抜かれそうになる。

 

「いや、なんでもねぇよ。わりぃ」

 

そう言い一護は合流する。月歌もふーんとは言ったもののその後すぐにまた別の会話を始めていた。

 

 

__________________________

 

 

〜霧ヶ峰・森林地帯〜

 

 

「ちっ、囲まれてもうた…!」

 

31Aが先頭、30Gは後方の警戒の陣形のまま市街地跡を抜け森林地帯へと踏み入れた。

 

作戦予定経路にいるキャンサーを蹴散らして進む最中、集団戦法をとるキャンサーと遭遇。変わらず月歌の指示で蹴散らして行くが最後の最後で逢川が囲まれてしまった。

 

「めぐみん!」「めぐみさん!」

 

「逢川…!」

 

数が増えたために一護も参戦していたが、逢川を助ける余裕は無かった。

 

「一護、余所見しない…!」

 

「クソッ…!!」

 

卍解を使えば確実に怯ませる事が出来る、だが月歌達もその霊圧にあてられてしまえばかえって迷惑になってしまう。

 

過去に連携がてらにアリーナで訓練している最中、月歌の指示で卍解を使った瞬間だった。卍解した後のほんの数秒だけ月歌達の動きが鈍くなったのだ。

 

たかが数秒と言えども戦場では命取り、かといって一護の霊圧は一護自身でも自在にコントロールするのは今でもかなり難易度が高い。

 

なので本当に生命の危機に瀕した際や、仲間が全滅に追い込まれた時以外には月歌の指示に任せてあった。

 

(さっき茅森が連絡をとってた30Gはどうなってる…、敵の追手はねぇっつってたからこちらに気づいてくれるかどうか…!!)

 

「っ…!?」

 

斬魄刀で上から来るキャンサーの引っ掻きを受け止める。だがその一撃に違和感を感じた。

 

(ここらで見るキャンサーにしてはやけに強ぇ…!?)

 

一体一体は大したことないと言いたいが、コイツらに限ってはそうでも無かった。

 

「ユッキー!ここらの敵影ってそんなに無かったよな!?」

 

「あ、ああ…!!ドローンも故障はしてねぇのになんで…」

 

そうして混乱している間にも茂みの死角からキャンサーが出てくる。

 

「黒崎一護ォ!!ワシがひたすら斬り裂いてやる!一気にお前の技でトドメをさせぇ!!__諜報員も協力しろ!」

 

「あ、ああ…!!」

 

カレンがそう言い、一気に走り出す。東城も少し遅れて銃撃を片っ端から叩き込んでいく。

 

一体どこでそんなに息が合うようになったのか、正確な銃撃を叩き込みキャンサーを怯ませ、カレンが片っ端から斬り裂いていく。

 

「”月牙天衝ッ”!!」

 

デフレクタが割れたキャンサーに容赦のない広範囲に及ぶ月牙天衝が襲う。

 

 

「黒崎一護ォ!!」

 

「ああっ!!」

 

空中で謎に回転していたカレンが逢川の方へ首を振った。その意味を一瞬で理解した一護が逢川の元へと走り出した_______その瞬間だった

 

 

 

「逢川さん!避けてください!!」

 

 

「…あ?」

 

 

突っ込んで行く真っ最中に聞こえた声、言われた通りにセラフを上にして盾のようにする逢川…そして止まれない黒崎一護。

 

 

 

 

「おわああぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

そして正確に、大量に飛んでくる銃弾。それらはキャンサーを全て一掃し______黒崎一護にも当たりかけていた。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

「皆さん!」

 

「油断は禁物だよ…!」

 

気づけば、先程まで月歌達が通って来た道を30Gが走ってきていた。月歌達の方はユイナや月城が一掃していた。

 

 

 

「危ねーじゃねぇか!!」

 

何事もなくスルーされかけていたので、銃弾を撃ち込んだ2人へと叫ぶ。だがその2人___桐生美也と小笠原緋雨は2人で顔を見合せてハテナを浮かべていた。

 

「いやわかんねぇみてぇな顔してるけど、危うく__」

 

「アンタならかわせただろうに」

 

横で話を聞いていた蔵が言葉を挟む。

 

「流石に限界があるわ!!」

 

「はぁ…、まったく____」

 

「っ…!?」

 

次の瞬間、突如蔵が一護目掛けセラフを振りかざしてきた。反射的に斬月で受けようとしたがそれよりも先に一護の____後ろまで迫ってきていたキャンサーにヒットした。

 

 

 

 

 

「だからあぶねーって…」

 

冷や汗を流しながら言う一護、蔵は呆れたような顔で再び言葉を放った。

 

「本当に、油断は禁物だよ」

 




俺が苦しめられたヤツが次の話に出てきますね、多分ですが



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67.目指した物__先輩達

ヘブバン5章前半のあの楽曲、YouTubeで見たのですがシーンといい曲といい神過ぎてモチベが素晴らしく上がってきましたぜ!!

それはそうとガチャでモチベが下がる今日のこの頃…(矛盾)

そしてTwitterで言われた一言。

”空気朽木白哉”

…ほんとすんません()


〜霧ヶ峰・車山付近〜

 

「そろそろ森林地帯を抜けるか…ユッキー、現在地を確認しておくれ」

 

森林地帯をそのまま真っ直ぐ駆け抜けた31A、30G、そして黒崎一護。途中キャンサーとの戦闘は避けられなかったが囲まれた以降にピンチに陥ったことは無かった。

 

「…車山手前の丘陵地帯だな。予定通りだ」

 

「おっけー、じゃあこのまま進もうか。ユイナ先輩達もそれでいい?」

 

「ああ、ただ視界が突然開けるからな…各自警戒は怠らないようにとだけ言っておこう」

 

「了解、それじゃ行こうか」

 

月歌の指示、そしてそこにある抜け穴ををユイナが補填し前に進む。

 

一護自身作戦を立てたりするのがあまりに好きでは無いために従う他ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵影なしやな、風景だけはのどかなもんやで」

 

「そうね、キャンサーさえ居なかったらピクニックに来たみたい」

 

「それいいねつかさっち!平和になったらみんなでここにピクニックに来ようよ!ユイナ先輩達も連れてさ!」

 

そんなことを言っていると、別方面へと敵影確認に向かっていた菅原が溜息をつきながら戻ってきた。

 

「相変わらずお気楽な人ですわね……、こちらも敵影無しですわ」

 

「まぁそう言ってやるな、平和な世界になったら時間はかかるだろうが徐々に私達セラフ部隊も元の生活に戻ってしまうだろう…」

 

風景なのどかの中、咲いた花に手を添えたユイナが言葉を連ねる。

 

「その時は全員で集まって、ピクニックをするというのも目標になるな」

 

「その時はあたいが弁当でも作ってやるとするよ」

 

「なら我がそれを手伝おう」

 

「月城ちゃんとあたいなら、ピクニックよりも気がむく料理が作れそうだね」

 

「ふふっ…、ところで月歌。次はどうする?」

 

緩んだ空気を締め直すように、ユイナが月歌に次の指示を促す。

 

「そうだな…、とりあえずデータ収集からかな。ユッキー解析よろしく。他のみんなは警戒と休憩を交代で取ってくれ」

 

その指示に全員が頷き、各自休憩と警戒となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたは休憩、しないのかい?」

 

「…一応これでもしてるよ」

 

解析をするユキの傍でユイナと月歌は、これからの予定や帰りはどうするかなどといった作戦を立てていた。

 

それを見ながら警戒に当たっていた一護に、蔵が声をかけてきた。

 

「嘘だね、アンタの周りの気が全く緩んでない__むしろさっきより引き締まってやしないかい?」

 

「……バレバレか」

 

「あたいを舐めるんじゃないよ?」

 

「アンタに関しては初対面から警戒しかしてなかったしな…」

 

「…それじゃまるであたいが敵みたいじゃないか、傷つくね」

 

「はっ…、嘘言え」

 

そこでお互いの気が緩み、笑いが漏れた。

 

「…ところでアンタらは、月城ちゃんを巻き込んで一体何をするか聞かせて貰おうじゃないか」

 

「またそれかよ、俺もそんなに知らねぇよ。第一アイツらも俺を巻き込まねぇように動いてるしな」

 

「アンタもハブられてるのかい」

 

「その言い方やめろ…それに俺はアイツらの記憶や知識に関してはさっぱりだしな。言わば護衛みてぇなもんだよ」

 

「ふーん」

 

「聞いた割にはつまんなそうな返事をしやがるな…、」

 

「アンタが知らないなら茅森に聞くまでだからね」

 

「だろうな、でもアイツはそんな簡単に口を割らねぇぞ」

 

「なら強引な手を使うまでさ、月城ちゃんを危ないことに巻き込ませるのはゴメンだからね」

 

「月城は望んで自ら茅森達に着いたんだ、そんなに大事なら本人の意思を尊重してやれよ」

 

「……あたいには夢があるんだよ」

 

「…?」

 

「平和になった世界で月城ちゃんとやりたい夢があるんだ」

 

「……なぁそれ、聞いてもいい____」

 

 

「おーい、くらっち、一護ー!来てくれー!」

 

一護が問いかけの言葉を投げる前に、月歌から2人に呼びかけが来た。2人は顔を見合わせて___月歌の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これを見てくれ、簡易分析で気になる結果がでた」

 

ユッキーから見せられた簡易分析結果を見る。

 

「北東方向だ、車山山頂付近にかなり大きめの反応がある」

 

「ハブ役の可能性が高いから、向かって確認しようと思ってる。」

 

「それがいいだろうね、全員集合だよ」

 

そうして全員を呼びかけ、そのまま事情を説明しのどかの風景が続く山頂へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ…、なんでしょうか!?」

 

頂上まで後少しの距離で、前を走っていたタマがこえをだした。

 

「恐竜の骨みたい…」

 

指を指した方面を見ると、山に不自然に骨のような物が見えていた。この距離からでもかなり大きく思わず息を飲む。

 

「でも反応があった割には敵1匹もおらへんやん」

 

「不気味なほど静かね…」

 

周りを見渡せど、ハブどころかキャンサー1匹も見当たらず全員が困惑する。

 

「ユッキー、反応があったのはこの辺りで間違いないよな?」

 

「ああ、座標は間違ってないんだが…」

 

「ちょっと待つんだよ」

 

「どうした?蔵っち」

 

「…嫌な予感がするね」

 

先程とは打って変わって、緊張が走った声で蔵が言う。

 

「白河部隊長、車山山頂から偵察するから単独行動の許可、もらえるかい?」

 

その言葉にユイナは一瞬だけ悩むが、仲間を信じるかのように言った。

 

「必要なんだな、任せる」

 

「ありがと、それじゃあ行ってくるよ」

 

「俺も行かせてくれ、月歌いいか?」

 

「わかった、頼んだ蔵っちと一護」

 

山頂へと走っていきそのままテレポートを使い消えた蔵。背中の斬魄刀に手を添えながら空中へと瞬歩を使い空へと上がる。

 

 

 

 

「なっ……」

 

「…!?」

 

テレポートで飛べる距離まで上にあがり、全体を見渡した蔵と空へと上がり更に全体を見たわした一護。

 

 

 

 

 

だがそのふたりが目にしたものは……丘陵全てを覆い尽くすほどのサイズのキャンサーのようなものだった。

 

 

(俺の見間違いか…?、だがアイツは動いてねぇ__だがあの特徴は完全にキャンサーの…それにアイツはどこかで見たことがある…)

 

「ありゃキャンサーだよ、黒崎一護」

 

気付けば横にいた蔵が下へと落下しながら言葉を投げかけてきた。念の為近くまでよった一護が聞き返す。

 

「…蔵、分かんのか…!?」

 

「ああ、見間違えるはずがない……最悪だよほんと…。早く戻って知らせるよ」

 

「ああ」

 

そうして2人は再び地上へと戻った。

 

 

 

 

 

 

「どうだった?」

 

「最悪のニュースだよ…」

 

「どういう事だ?蔵…」

 

 

 

 

「その先の丘陵全てが、キャンサーの個体だよ」

 

 

 

 

 

「「っ…!?」」

 

あまりに衝撃の言葉に、31Aだけではなく30Gのメンバーさえもが驚愕に包まれた。

 

「どういうことだよ…!」

 

「体長は少なくとも200m以上、あたいも見たことがないくらい超大型だよ」

 

その言葉に最初に反応したのは白河ユイナだった。

 

「わかった、一旦ここから離脱する」

 

「りょ、了解…」

 

まだ現実味がないのか、月歌の反応が少し遅れた。場数が違うとはまさにこの事だろう。

 

 

念の為気づかれないようにという指示の元全員が警戒をしながら先程の森林地帯へと走っていく。黒崎一護は殿を務めるかのように1番後ろへと走っていた

 

 

(あのデカさ、それにあの腕の感じや頭の感じ…俺はアイツをどこかで……まさか…)

 

走っているあいだ、ずっと黒崎一護はあの超大型キャンサーについて考えていた。

 

「……」

 

30Gの真ん中あたりを走る人物にも、同じくそのキャンサーの事を考えている人物がいた……

 

 

__________________________

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「っ…、んなあほな…!あんな馬鹿デカイ丘がキャンサーっちゅうんか…!!」

 

全力で走りどこまで来ただろうか、気付けば周りは先程のように木々で覆われていた。

 

「あぁ、俺と蔵が見たんだ。間違いねぇよ…」

 

「動きはあるの?」

 

「いや、動作確認はとれなかったね。ピクリとも動いちゃいないよ」

 

可憐の言葉に蔵がそう言う。その横にいたタマが

 

「もう死んでいるのでは無いでしょうか?」

 

と言ったが、それをユイナが否定した。

 

「分析では反応を見せている、生きていると考えるのが妥当だろう」

 

「…再分析結果が出た。あれは間違いなくキャンサーだ」

 

「「…」」

 

その言葉に31A、30Gのメンバーも言葉が出ていなかった。

 

「…月歌、どうする?」

 

生死を分ける判断を、ユキが月歌へとする。しばらく目を伏せていたが月歌が答えを出した。

 

「っ…」「んなことあるか…」

 

「…それが正解だな」

 

緊急とはいえ、おそらくこれが31A初めての任務失敗となる。だが誰もそれを非難することはいだろう、それは基地内も同じだ

 

「緊急撤退、最短距離で帰投ポイントへ向かおう」

 

「月歌、最短ルートとは言ったが元のルートは敵も強く数が多い。西側の迂回路を使おう、戦闘時間も考えればこちらの方が確実に早いが…どうする?」

 

「…わかった、そうしよう」

 

悔しそうに目を瞑り頷く月歌に、ユイナがそっと手を頭に差し伸べた

 

「元気を出せ、月歌」

 

「…」

 

「我々は確実に進んでいる、このデータを持ち帰り衆知を合わせ敵を打倒するのが目的だ」

 

 

「それに忘れるな、”撤退は負けた訳では無い”」

 

「っ…」

 

「今は、勝つために一刻も早く基地へと戻ることを目指せばいい。」

 

「うん、そうだな…そうだ…、ユイナ先輩…ありがとう」

 

ユイナ先輩の厳しくも暖かい言葉が、月歌へとのしかかるプレッシャーを溶かしていく。そしてようやく笑顔を見せた月歌にユイナも頷いた

 

「よし、進もう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…霧が出てきたな」

 

「視界がいつもの半分以下だ、月歌…速度を落とすか?」

 

ユイナの言葉を受け、西側へと迂回しつつ撤退を目指す31A、だが途中から霧が出てきており視界も確実に悪くなっていた。

 

(クソッ…、気を抜けば茅森達を見失っちまうな…。)

 

一護自身も視界の悪さに少しばかり苦戦していた。前にはタマがおり身長が小さい彼女は割と見落としそうになってしまうことがある。本人には失礼極まりないため言えないが__

 

「いや、急ごう。あのでかいのが暴れ出せばあたし達が危ない」

 

「わかった、だが奇襲にはどう対応する?この霧だと仲間がはぐれる可能性もある」

 

「あたしが前に立つよ、ユッキーは2列目でフォローしてくれ」

 

「…なら、30Gも手伝うとしようか」

 

少しばかり悩みが残る月歌に、ユイナが手を差し伸べる。

 

「月城、蔵、茅森部隊長に従い先頭に立て。後ろに1匹も通すな」

 

「わかった」「あいよ」

 

ユイナの指示に対し、一切の悩みも見せず頷く月城と蔵。

 

 

(改めてアイツはすげぇな…)

 

 

「黒崎一護も先頭に来てくれ、君の反応速度や技を信頼している」

 

「…ああ」

 

「朽木白哉は私達の後ろでカバーを、全員それぞれ頼んだ」

 

「…了解した」

 

ユイナと月歌がそれぞれ作戦を組みたてていき、そのまま走り出す、走っている間にも霧がどんどんと濃くなり………

 

 

 

 

 

 

「月歌!!止まれ!!」

 

「っ…!?」

 

少し進んだ次の瞬間だった、突如開けた場所へと出た瞬間に和泉が月歌へと叫ぶ。

 

何事かと後ろを振り向いた月歌に、その更に後ろから何かが姿を見せてきた。

 

「っ…!!」

 

次の瞬間に黒崎一護は駆け出していた。どこか毒々しい紫の身体を月歌へと叩きつけるかのように、まるで鞭のようにしならせていたからだ。

 

 

「一護…!!」

 

 

「くっ………!!___うぉぉあああっ!!」

 

斬月で受けた瞬間、足元にくぼみが出来た。それほどまでに一撃が重かった。だが斬月を振るいその攻撃を何とか後ろへ押し返す。

 

(んだコイツ…、今までのキャンサーとはワケが違ぇ…!!)

 

「大丈夫か黒崎一…っ…!?」

 

「っ…!!」

 

ユイナが駆け出そうとした瞬間、その後ろから白い卵のような物があり、それを蹴破りもう一体__同じ個体が出てきていた。その卵の破片がユイナへと飛んできていたが、それを後ろにいたはずの白哉が全て始解の千本桜で叩き下ろしていた。

 

 

 

「…すまない朽木白哉、そしてまさかこれが裏目に出るとは…」

 

 

「ユイナちゃん…」

 

「蔵、後ろだ」

 

蔵と月城の後ろにも、再び卵のようなものを蹴破り同じ個体が出てきていた。

 

「だが叩き潰すだけだ」

 

月城がセラフを肩に乗せてそういう。蔵もそれを見て少しばかり微笑んだ。

 

 

「月歌、この三体の内その一体を3人で受け持って欲しい。残りは我々に任せてくれ」

 

「大丈夫なのか…!?」

 

「心配ご無用ですわ、あたくし達も伊達に場数は踏んでいませんもの」

 

ユイナ達の後ろに着くように、菅原達が立っていた。

 

「でも…」

 

「それにこちらなら、セラフ部隊最強のコンビがいる。この2人なら一体を倒すことなど造作もないことだろう」

 

それを聞いた蔵と月城から笑みが漏れていた。

 

「…だってさ、月城ちゃん。いつもの無茶振りが来たよ」

 

「蔵…、またサポートを頼めるか?」

 

「それがあたいの仕事さ」

 

そこまで言った瞬間、人一倍大きな声で蔵が叫んだ。

 

 

 

 

「さぁ後輩ども!!____こっちはあたい達お姉さんに任せな!」

 

 

「もなにゃん…蔵っち…!」

 

「月歌、迷ってる時間は無いぞ…!」

 

そうしている間にも31Aの前に立つキャンサーはその紫の個体を震わせて今にも攻撃を取ろうとしていた。

 

「…そうだな、あたしらは目の前のキャンサーに集中!!絶対に倒すぞ!!」

 

「ええ!」「うん!」「はい!」「やったろやないか!!」「よし!」

 

それに全員が頷いた。

 

「俺が1番手でいいか?」

 

一護が月歌へと声を掛ける。月歌は一瞬だけ一護の目を見てそれを理解し…

 

「ああ、派手なのかましてくれ!!」

 

一護の胸に拳を置いた。それに一護も笑みをこぼした。

 

「ああ!!」

 

「来るぞ…!!」

 

ユッキーがそう叫び一護がキャンサーへと走り出した。

 

 

 

(…俺はアイツらを護って戦う…。アイツらが見つけた目標を完遂させるために…!!)

 

 

次の瞬間、キャンサーが再び畝り先程よりも紫の発光を強めた。

 

「っ…!!!」

 

それを受ける、先程よりも重い衝撃が宙へと浮かぶ一護に襲いかかる。だが一護が叩きつけられることは無かった。そのまま一護の周りを凄まじい圧が覆う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卍解ッ!!!」

 

 

 

 




良ければ評価や感想お願いします!!


作者のXです。このような作品を作っている主の生態はここにあります

https://twitter.com/NLAS1106?t=w8Xgm-0H20wuB5PtJmu4fQ&s=09


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68.それぞれの意地__2つの月牙

ライフストーンより石をくれって言ってた初心者時代

ライフストーンの方がありがたいとか思い始めてた少し前。

そして今じゃ……


”どっちもいっぱいくれ”

という最悪の結論に至った自分…()


 

〜月城・蔵side〜

 

「っ…」

 

後ろで巻き起こる圧のようなものにあてられてか、横にいた月城最中が背筋をぞくっと震わせた。そしてその顔には…普段滅多に見せない笑みが浮かんでいた。

 

「どうしたんだい、月城ちゃん」

 

そんな顔を見て、蔵が声をかけた。

 

「いや…、やはりあの圧のようなものを受けると自然と笑みが浮かびそうになる…」

 

「やれやれまったく…、月城ちゃんはアイツにゾッコンだね…羨ましいよ」

 

やれやれと首を振りながら答え、最後に声量を落とし言葉を放つ蔵。月城はそんな蔵に気づかず口を開いた。

 

「黒崎一護と戦い逢うためにも、まずはコイツだな」

 

目の前にその巨体を畝らせながらこちらの様子を伺うキャンサーを見て2人は再び気を引き締めた。

 

「そうだねぇ、あれほど大口を叩いておいて負けたら笑いもんだよあたいら」

 

「我と蔵が組めば負ける筈が無いだろう___いつも通り頼む」

 

「分かってるよ、月城ちゃんのカバーはあたいに任せな!」

 

お互いセラフを構えた瞬間、目の前にいたキャンサーが身体を畝らせる。

 

「行くぞ…、蔵…!!」

 

「あいよ!!存分に暴れてきな!!」

 

 

__________________________

 

〜ユイナ・白哉side〜

 

(ヤツはなんだ…?今まで見てきたキャンサーとはあまりにもかけ離れている…)

 

白哉は目の前にいるキャンサーを冷静に捉え、刀を抜き放ち特徴を見る。

 

「始まった見たいですわね」

 

「ええ、あの二人なら心配はないでしょう」

 

「誰がなんと言おうともあの二人はセラフ部隊最強のコンビ…、人数では私達の方が多いのですから負ける訳には行きませんね…ね、白河さん」

 

「ああ、月歌達の方も始まったようだ。我々も目の前のキャンサーに集中せねばな」

 

「白河部隊長、陣形はどうする?」

 

ある程度の特徴を眺め、白哉がユイナに問いかけた。

 

「私と朽木白哉の2人で前に出る。防御は菅原に集中してもらいたい」

 

「ええ、私が全力で盾になりますわ」

 

「小笠原と桐生には遠距離からのサポートを頼めるか?」

 

「了解しました」「この天才剣士にお任せ下さい」

 

(…剣士)

 

白哉が内心でそう思うが、本人にバレてしまえばめんどくさいので言わない。

 

「朽木さんは後でシバきますからね」

 

「…!?」

 

心でも読まれたかと言わんばかりの反応を示した白哉がしてやったりという顔をする小笠原。

 

「…驚きましたか?」

 

「…」

 

「2人とも、そこまでだ」

 

だが前に立つユイナが言葉を放ち小笠原と白哉の空気が一斉に変わる。

 

「来るぞ!!」

 

その声に全員が頷き、ユイナと白哉が駆け出した。小笠原と桐生はセラフを構え視線を2人の周りへと映す。

 

 

「散れ、千本桜」

 

自身とユイナを包むように展開された千本桜、ユイナも舞う千本桜を見ながら頷く。

 

(見せてやろう、30Gの結束というものを…)

 

目の前にいるキャンサー目掛けそんな想いを抱きながらユイナは駆けて行った。

 

 

__________________________

 

 

〜月歌・一護side〜

 

 

「うおおおおおおっ!!」

 

目の前のキャンサーが身体を振るい、空中にいる一護を打ち落とそうとする。

 

「っ…!!」

 

横払いの攻撃をすんでのところで避け体勢が逆向けになるが、その際生まれた隙を見逃す一護ではなかった。

 

「月牙天衝ッ!!」

 

キャンサーに放たれた月牙天衝、その風圧が後方に回っているユキ達にも届いていた。

 

「悪くない一撃じゃ…」

 

「ひとまず任せてください!」

 

「うちかてやれるとこ見せたるからな!!見とけよ!!」

 

「カレンちゃん!おたまさん!めぐみん!行くぞ!!」

 

地面に着地する寸前に月歌、タマ、カレンの3人と交差する。3人の言葉に静かに頷く一護。

 

「月歌達の援護だ!!攻撃に入った瞬間を狙う!!」

 

「ええ!!」

 

一護の先にいるつかさとユキも準備はバッチリ出来ており、31Aの連携の高さ…レッドクリムゾンの時よりもさらに磨かれていると実感する。

 

 

 

 

「やあああっ!!」

 

最初に剣を振るったのはタマとめぐみだった、自らの身体には似合わないサイズのセラフを全力で振るいキャンサーに確実なダメージを与え、そこにめぐみが容赦のない叩きつけを行う

 

「おたまさん、めぐみんナイス!!」

 

テレポートで後ろへと下がったタマと交代でカレンと月歌が同時に突っ込んだ。目が着いているのかは定かでは無いが一瞬だけキャンサーの動きが止まる。

 

「っ…!!下が_____」

 

次の瞬間だった、キャンサーが突如紫に光り、膨らみを帯びた。

 

「クソッ…!!」

 

後ろにいたユキと前にいたカレンが同時に予感に気づくがそれよりも先にキャンサーは全身を絞るような動きをした。

 

 

 

「っ…!!」

 

 

隙を与えまいと再びキャンサー目掛け走ろうとした一護が見たのは紫の煙だった。それは月歌、タマ、めぐみ、カレンの全員を一瞬で飲み込み一護も次の瞬間には飲まれていた。

 

 

「っ…!!うああっ!!」

 

すぐさま上の方向へと向き、月牙天衝を空目掛け放つ。次の瞬間には辺りの煙が消え去り視界が元に戻る。

 

「一護!」

 

「お前ら、大丈夫か!?」

 

「うちらは大丈夫や!デフレクタで何とか守れる!」

 

「姑息な手を使うのぉ…!!」

 

「…っ」

 

後衛までは影響は及んでおらず、前衛も多少なりとも混乱はあれど大丈夫だった。ただ…

 

「國見、大丈夫か?」

 

「あっ…、はい!」

 

唯一タマだけ少しばかり気に掛かった。一護が言葉をかけようとする前に、めぐみが言葉を発した。

 

「無理すんなやタマ、自分えらい顔真っ青やで」

 

「でも…、それじゃあまた皆さんの足でまといに…!」

 

「足でまといや思っとるやつなんて誰もおらんがな…、それよりもタマに何かある方が悲しむで」

 

「めぐみさん…」

 

「一護、後衛の方までコイツ届けたってくれへんか?_その後またすぐ前衛戻ってきてくれ言うけど」

 

「…ああ、わかった」

 

そう言ってタマを片手で拾い上げ担ぐ。そうした瞬間にカレンや月歌、めぐみからとんでもない目で見られた。

 

「自分…、なんちゅー持ち方しとるか知ってるか?」

 

「いや、別にいいだろ…?それに軽いから全然平気だ」

 

「コイツには何を言っても無駄だとワシは思うぞ」

 

「殺人鬼に言われると見直したくなるっての…」

 

「とりあえず頼んだ!___あいつももう待っちゃくれなさそうだぜ」

 

月歌がそう言い振り返ると再び紫に光ったキャンサーが膨らみ始めていた。

 

「完璧に膨れ上がる前に叩けばええねんやろ?」

 

「恐らくな」

 

「叩いて殺す…!!」

 

 

 

 

一護はそのまま後ろの後衛__ユキとつかさがいる場所まで下がった。

 

「びっくりした…」

 

「なんでびっくりすんだよ」

 

瞬歩で目の前に現れた瞬間、セラフを向けられ手を出す一護。

 

「今はそんな事言ってる暇ないだろ、それで?__國見に何が?」

 

「少し体調が悪ぃみてぇだ、多分さっきの霧で良くねぇもんでも吸い込んだんだろ」

 

「不甲斐ない…」

 

下ろしたタマがそう言って拳を握る。

 

「んな自分を責めるこたねぇよ。逢川も言ってたようにお前に無事でいて欲しいんだ」

 

「黒崎さん…」

 

地に置いた斬魄刀を拾い上げ月歌達の方へと振り向く。そして再び向かう前に一言だけ発した

 

「あんまり気負いすぎるなよ」

 

そう言って次の瞬間には消えていた。

 

「あーもう…、忙しい奴だな…」

 

「…?國見さんどうしたの?」

 

「…あっ、いえ…別に!」

 

つかさに言われ、反応するタマ。そういうタマは、いつもより深く軍帽を被っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…!コイツ硬ないか!?」

 

「いや!でもさっきより鈍い!!」

 

「鈍いならそのまま叩いてやるわァ!!ワシに恥かかせおって!!」

 

3人となった前衛のまま、ひたすらにキャンサーを叩き続ける。紫のキャンサーは攻撃こそ厄介だがパターン化しているのか段々と簡単に攻撃をかわせるようになっていた。

 

 

「コイツッ…!?」

 

だが次の瞬間、紫色の物体を上へと吐き出した。その物体は月歌達の頭上を悠々と超えていき____

 

「ユッキー達だ!!」

 

相手の目的にいち早く気付いたのは月歌だった、急いでユキ達に知らせようとする。

 

 

 

 

 

 

 

『ッ_____らぁっ!!』

 

 

 

 

 

だがその前にその紫の物体が真っ二つに斬られ空中で爆散する。次の瞬間には一護が月歌達と立っていた。

 

 

「一護っ!!」

 

『悪ぃ、遅れた』

 

「一護すげー!!」

 

『!?』

 

仮面を間近で見るのは始めてのはず、織姫の時も間近で見せた時は怯えられていた。だが月歌達は怯えるどころか逆にすげー!!とかかっこええやん!!とか、そんな言葉が投げかけられていた。

 

「つまらん考えをするなよ黒崎一護!__ワシの方がよっぽど怖いわ!!」

カレンの言葉に唖然とする

 

『……』

 

「そうそう、うちらには殺人鬼おるからなぁ…。今更仮面付けてもビビらんで」

 

「ああ、それが一護なりに頑張って手に入れた”皆を護る力”なんだろ?__ならそれを否定する意味も理由もないよ!!」

 

そういった月歌の後ろで、後衛からの攻撃に怯みが生まれ始めているキャンサー。正直今ここで言うかと思ったがそれよりも先に笑みが零れた。

 

『ははっ…!___ありがとう、お前ら』

 

「よし…行こう!!」

 

「おう!」「ふっ…」

 

キャンサーの方向へ全員が視線を向ける、キャンサーは後衛の攻撃に苛立ったのか再びあの攻撃をするべく身体にエネルギーを溜めていた。

 

「させるかァッ!!!」

 

だが横面をめぐみの大剣型のセラフで殴り飛ばされ暴発する。

 

「うおっ…!?」

 

暴発に巻き込まれかけたのを危ういところで一護が拾い上げる。

 

「すまん、助かった!」

 

『ああ』

 

 

 

「なら溜められないように掻っ捌く迄よォ!!」

 

カレンがそう叫び鎌を振り回しキャンサーへと連撃を叩き込む。だがキャンサーもそこまでやられている訳でもなく身をよじらせてキャンサーの上に着地しようとしていたカレンの地点をずらす。

 

「なっ…!?」

 

着地場所がなくなり空中に自由落下状態となったカレン、キャンサーはそのまま勢いをつけて身体をよじらせ回避ができないカレンに向けて身体をぶつけようとする_____だが…

 

 

「っ…!!」「っ…カレンちゃん大丈夫!?」

 

その身体を受け止めたのは一護と月歌だった、かなりの勢いのはずだが悲鳴をあげることなく月歌が受止めていた。

 

(コイツ…弱ってるのか…?)

 

一瞬の手応えが最初に喰らった時よりも軽く感じていた。

 

「一護…!」

 

『…ああ!!』

 

2人が同時に武器に力を込め、そのまま押し返す。そうしてもう一度距離を取った。

 

『もうこれ以上隙は作れねぇぞ…!』

 

「ああ…、何かしらの一撃を与えて隙を作らないと…」

 

 

『あたしらを忘れんなっての!!』

 

 

突如軍事電子手帳からユキの声が響き、次の瞬間に凄まじい一撃がキャンサーを襲った。

 

「ユッキー!!」

 

振り返ればユキが親指を立ててこちらを見ていた。どうやらあの一撃がかなりの負担になったのか膝を着いていた。

 

「隙出来た!!」

 

「おっしゃあ!!行くで!!」

 

「先に倒すのはこのワシじゃあああっ!!」

 

先手を打ったのはめぐみとカレン、2人がキャンサーを挟み込むように立ち上がりそのまま全力の力を込めデフレクタを叩き割ってゆく。

 

キャンサーが金切声を上げた瞬間、デフレクタが砕け散り周りに飛散していた。

 

 

『今だ…!!うおおおおおおああああッ!!』

 

 

天鎖斬月に霊圧を注ぎ込み、自らの斬撃に変えて放とうとした瞬間だった。

 

「ちょっと貰うねそれ」

 

『は?』

 

月歌がまるでロウソクに火を移すかのように自らの二刀のセラフに一護の霊圧を流していた。

 

『んな事出来んのかよ!?』

 

「なんか出来た!!すげええ!!!」

 

お前も知らなかったのかよと全力で叫びながらもそのまま目の前のキャンサー目掛け2人が放つ。

 

 

『月牙天衝!!』「月牙天衝!!」

 

 

何故かふたつとなった月牙天衝がキャンサーを包み襲いかかる。2倍とはいかなくともキャンサーを葬るには充分な火力だったのかそのままキャンサーは爆散した。

 

 

「はぁ…勝った…!!」

 

「お前にはほんと驚かされることばっかだ…」

 

背伸びをする月歌の横に立っていた一護がそう言い、月歌が

 

「でしょ?それが新時代のスターだよ」

 

「んだそれ…ははっ…」

 

「ドヤ!___はははっ!!」

 

「あっははは!!」

 

霧が晴れる中で、月歌と一護がお互いの顔を見てずっと笑っていた。それは可憐とめぐみが近づくまでずっと続いていた。

 




これ虚化って千年血戦篇見てたら一護出来るんじゃないかって思うんですよね(未だ心配なところ)

だってやっと尸魂界に着いた一護が空に上がって、大量に殺された仲間達をみて、明らかに瞬歩とは違った移動したじゃないですか()
仮面はなけれど、虚の力っぽそうなのですがどうなんすかね()


作者のXです。このような作品を作っている主の生態はここにあります

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69.離れゆく2人___ダーテン

気がつけばこの死神の幻想もUAが5万を突破してて、尚且つ高評価が維持できてて、めっちゃ嬉しいです!!

BLEACHとヘブバン、両方1話から何度も見て頑張って書きますのでどうか最後までお付き合いお願いします!


 

「よっしゃ…!!倒した!!」

 

目の前にいたキャンサーが月牙天衝を真正面から受け爆散する。爆風が消えた後にそのキャンサーの姿はなく、また周りに逃げた形跡も確認出来なかった為に撃破扱いと判断した。

 

「なんやアイツ…、移動する訳でもなかったし…」

 

「ああ、逢川の言う通りだ。攻撃パターンも今までとはまるで違う…」

 

全員で一点に集まり、辺りの安全を確保する。

 

「おタマさんは!?」

 

「大丈夫だ、少し眠ってるだけだ」

 

タマに駆け寄る月歌、気に寄りかかりすうすうと息を立てるタマを見て安堵する。

 

「あの紫の煙みたいなものに、少しばかり毒性のものが入っていたみたい。皆は大丈夫のはずだけど身体が小さい國見さんには少し苦しかったみたい…」

 

「すまねぇ、俺がもう少し早く煙を晴らせれば…」

 

「ううん、あれだけ早く煙が晴れたのは一護さんのお陰。私達だけじゃもっと酷いことになってた」

 

卍解、そして虚化を解いた一護が拳を握る。だが可憐がそれを否定した。

 

「ほかの皆は…!?」

 

しばらくタマを見ていた月歌だが、ハッとしたように辺りを見回し声を出す。

 

「…?」

 

だが後ろへふりかえった瞬間、桜の花びらが1つ月歌達の周りを舞った。

 

「…どうやら、あっちも終わったみてぇだな」

 

そういう一護、その視線の先では柄から先が無くなった刀を握る白哉が立っていた。

 

「あの刀…刃が無い?」

 

「いや、アイツの刀はそういうもんなんだ」

 

月歌達が驚くが、一護だけは驚かず見ていた。次の瞬間には大量に舞っていた桜の花びらが柄の先へと集まっていき刃となった。

 

「す、すげー…」

 

「んだよ、白哉の野郎卍解もしてねぇのかよ…」

 

頭をがしがしと掻きながら言う一護に全員が驚く。

 

「じゃあなんやアイツ…、あれが一護が使う卍解っちゅーやつやないんか…!?」

 

「前にも言ったろ?俺たち死神の斬魄刀には卍解と始解があるって…俺のこの斬月は元々始解して出てくるんだ」

 

「つまりあの刀…、刃先が花びらになって舞うのが始解って事か?」

 

「和泉すげぇな…、んでアイツの卍解は…」

 

一瞬の言葉だけで始解を見抜くユキに一護が驚きつつも言葉を続ける。

 

「「ごくり…」」

 

 

 

「刀が柄含めて全部が花びらになる。」

 

 

 

「「!?」」

 

 

「あれは喰らったことあるが、かなりはえぇし数も多い。億の桜の花びら全てが襲いかかってくるって感じだな」

 

あの時勝てたのはほぼ奇跡のようなものだった。実際戦い終わった後、一護は立てないくらいの重症だった。一歩間違えたら死んでた

 

「それじゃ季節外れのお花見出来るじゃんって思ったけど、出来ないじゃん!!」

 

「茅森、それやったら確実に死ぬぞ」

 

やだー!!アレで花見したいー!!と叫ぶ月歌を他所に一護が白哉の方を見る、全ての花びらが刃となり刀を鞘に収めている白哉。その周りには30Gのメンバーが全て揃っていた。

 

「撃破完了だ、月歌達よりも手こずったな…」

 

こちらへ歩み寄りながらユイナがそう言った。月歌はハッとなりユイナへと駆け寄る

 

「ユイナ先輩、怪我とかない?」

 

「ああ、それにあの程度なら余裕だ。あの二人は……ふっ、言うまでもないな」

 

違う方向をみたユイナが笑みをこぼす、その先には既に戦闘を終え休憩している2人の姿があった。

 

「白河部隊長達は今かい?」

 

「我らは既に撃破した」

 

遅かったぞと言わんばかりの言葉をなげかける2人に月歌とユイナ達は苦笑する。

 

「手厳しいな」

 

「あの2人めちゃくちゃ強いじゃん…、なんかどっか盛ってるでしょって思ってた…」

 

「あのな月歌、そういうのは思ってても口に出さないもんなんだぜ」

 

やれやれとユキが月歌の横に立つ。その傍ら何か言いたげにしていた蔵だったがそこをなんとか堪えていた。

 

「…とりあえずあの厄介そうなのは見当たらないね、だが視界が悪い……1度平地に出た方がいいんじゃないのかい?」

 

「そうだな、月歌…どう判断する?」

 

蔵の言葉に首を縦に振ったユイナが月歌へと指示を求める。

 

「…蔵っちの言うことに賛成。でも安易に平地に出てそこにいるキャンサーに挟まれたりしたら厄介だ」

 

「なるほど…二正面作戦だが、時差をつければ大丈夫だろう___なら30Gが1度周囲の敵を引き付けておく。31Aの攻撃力で平地側のキャンサーを掃討してくれ」

 

 

 

「了解、気をつけて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

「霧が晴れてきたわ!」

 

30Gと別れ平地側へと走る31A、時間はかかったもののようやく霧が晴れ始めていた。

 

「かなり時間を食っちまったな…、とにかく急ごう!」

 

「月歌、あんまり急いで視野を狭めるなよ」

 

「ああ、わかってる」

 

 

「あ!__あそこに湖が見えます!もうすぐ平地です!!」

 

再び走り始めようとした瞬間に、少し先にいたタマが声を出して言った。

 

「やっと山岳地帯抜けられるんか…」

 

「このまま一気に平地に抜けるぞ!キャンサーは発見次第すぐ掃討。そして一護はあんまりバンバン技撃たずに温存しておいて!」

 

「ああ」

 

「巨大なやつが出た時の切り札にする!」

 

親指を立てる月歌にユキが怪訝な顔をする。

 

「ウチの部隊長、ほんとこんなんで大丈夫かぁ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…?」

 

31Aのメンバー全員が平地へと出た瞬間だった、奥には大きな湖が見え…そしてそれより手前の陸地になにやら巨大な建物があった。

 

「立派な建物があるな…」

 

「見覚えがある…」

 

「朝倉、見覚えあんのか?」

 

「そうか、一護は知らないのか。あれがおそらく司令部の言っていたイージスタワーってやつだ」

 

(司令部の建物…、まためんどくせぇもんが出てきやがる…)

 

「でもあれ…周りに何か張り巡らされてる…」

 

「なんやねん、あの緑色のやつ…」

 

「まるで封印されてるようじゃねーか…」

 

それぞれが言葉を連ねる中、東城つかさだけは…他の全員とはまた違った表情でそのタワーを見つめていた。

 

 

「この建物の形……」

 

「どうした?何か思い出したのか?」

 

「…幼い頃に、お母さんに連れてこられたことがあるような気がするの…」

 

「東城が?なんでてめぇがこのタワーに…」

 

「…一護、黙ってはいたがもう誤魔化せねえだろな…」

 

「31A総動員の隠し事か?」

 

「まあ、そんなところだ」

 

「聞いても、いいか?」

 

「…東城の母親の事だよ、あいつの母親は…」

 

「…」

 

「元セラフの研究所長だ」

 

「っ…!?」

 

「だがアイツいわく部隊所属前の1ヶ月の記憶がねぇみたいだ。何も聞き出せなかったが…」

 

 

その後ろでは月歌が、つかさへと聞いていた。ユキと一護が再びつかさの方へ視線を向ける。

 

(和泉はここで、あいつの消えた記憶が目覚める可能性があるって思ってんのか…。)

 

「軍の施設としかあたし達は聞かされてないけど、どんなものなの?」

 

「…それは、ええと………なんだったかしら」

 

「…ちっ、記憶操作か」

 

ユキがハッとなり舌打ちをする。東城つかさの空白の1ヶ月…それは恐らく母親が研究所長だったことが絡んでいると見ていたのだろう

 

「記憶操作だと…?」

 

あまり聞こえのよくない言葉に一護が眉を潜めた。ユキも頷いているがどこか自信がなさげだった

 

「ああ、あたしはそう見てるけどな。司令部に言ったとしても取り繕って貰えるかどうか…」

 

「いやでもわからんで、こいつの場合普通にど忘れしとる可能性ある」

 

「…」

 

めぐみの言った言葉に一護とユキが固まった、何せその可能性は捨てきれないのだ。本人は優秀な諜報員などと言ってはいるもののそれはどちらかと言えば豆知識や雑学などに長けており、戦闘に役立ったことは無い。

 

「待って…、ここまででかかってるの…」

 

「…それを言うってことはど忘れの方か?___いや待て分からなくなってきた」

 

頭を抱え始めたユキ、その傍ら可憐が東城へと歩み寄っていた。

 

「頑張れ…、思い出すのだ」

 

「朝倉のもう一つの人格じゃねぇか…、お前良い奴か?」

 

一護がため息をつきながら言葉を放つ。その言葉に可憐___カレンが目を赤く光らせた

 

「あぁ?サイコキラーにそんなモノがあると思うか?」

 

「あるだろ…」

 

その後、横に立つカレンからサイコキラーとは思えない言葉の数々を聞きながらつかさが少しづつ記憶を辿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…つまり、ここがつかささんのお母さんの研究所… 」

 

「つまりはここがセラフの研究所…!!」

 

「せやったら、東城のおかんのこともわかるかもしれんっちゅーことかいな」

 

その後数十秒にわたって東城つかさから捻り出された言葉を可憐が訳し、それにタマやめぐみが驚いた。

 

 

「だったら、なんとしてでもガサ入れしねーとな」

 

月歌が目を開き、そう言った。だが……

 

「軍すら放置した場所だぞ、中にキャンサーもいるかもしれない……危険すぎる」

 

その言葉に月歌が珍しくユキに対して声を荒げた

 

「つかさっちの母親の死に関する何かが見つかるかもしれないんだよ!?____皆で協力しようって決めたじゃん!」

 

「茅森……」

 

ある日虚に母親を殺された一護は、母親の死の真相を突き止めんとする月歌その気持ちに頷ける。

 

「冷静になれ月歌、近づけないと分かっててこの情報を開示してきた可能性もある」

 

「どういう事だよそれ…」

 

「分かんねーのかよ、死ぬんだよ」

 

「…っ」

 

「そんくらい危険な場所かもしれねーんだぞ。それともお前はあれか?仲間を犠牲にしてまでその情報を手に入れたいのか?」

 

和泉ユキが言うことも最もだった、簡単に侵入できるものなら司令部もそんな情報を提示はしないはず__そして何よりもあそこに進入するということは、軍の隠してきた真相を知る…つまりは軍に逆らうようなものだ

 

「……そりゃあ命のほうが大切だよ」

 

「だろ?」

 

目を伏せ言う月歌に、ユキがすこしばかり安堵の表情を見せた。だが次の瞬間、それが崩されることになる

 

 

「仲間のはな」

 

「おい、お前……それじゃ…、だったら…あたしは……」

 

一瞬動揺を隠せずにいたユキだがすぐさま声をいつものトーンへと戻した。

 

「なんだよ…」

 

「あたしは…、命を軽く扱う奴は許せない」

 

「あたしの生命だ、文句言われる筋合いはねーよ」

 

「茅森、おまえ落ち着け___」

 

一護が2人の間に入ろうとしたが、それよりも先に低くなったユキの声がその場にいた全員を止まらせた。

 

 

「月歌、それ本気で言ってるのか?」

 

「本気だよ、それに言ったじゃん…!!___唐突に亡くなってただでさえ辛いのに、謎まで突きつけられてるつかさっちの為に協力するって!!」

 

ユキへと歩き、声を荒らげる月歌。だがユキも月歌へと近づき声を荒げた。

 

「危険を冒してまでかよ!?」

 

「当たり前だ!その為ならあたしの命は…」

 

 

 

 

「命より大事なものなんてねーんだよっっ!!」

 

 

 

止めるよりも早く、ユキが月歌の胸ぐらを掴んだ。掴んでも尚…月歌は言葉を止めない

 

「時には命懸けにならなくちゃいけないことだってあるんだよ!!」

 

「月歌…っ!!___お前なぁ!!」

 

「こんな大事なことを前にして、怖気付いてる暇があるかよ!!!」

 

「っっ…!!!!」

 

言葉が詰まったユキが胸ぐらを掴んでいた手を雑に解き叫んだ。

 

 

 

「もう知らねぇ!!勝手にしろよ!!」

 

 

 

胸ぐらを掴まれていた手を解かれ後ろへと下がった月歌も叫ぶ。

 

 

 

 

「ああ…勝手にする!!」

 

 

それを最後にお互い別の方向を向いた。それに31Aのメンバー全員が狼狽える。

 

「あれだけ助け合って、支えあった2人が…」

 

「私がこんなこと言うせいで…」

 

東城が顔を歪ませた、それは罪悪感によるものだろう…

 

「東城は悪くねぇよ……」

 

「黒崎さん…」

 

「…ただ仲良いのが仲間ってんじゃねーんだ」

 

「……」

 

 

 

 

だがその間にも、2人の距離感は離れていく。少しづつ________少しづつ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

〜虚圏〜

 

 

 

「はぁ……、はぁ……」

 

始解が解けた斬魄刀を砂へと突き刺し肩で息をする佐原ヒユ。だがその身体には切り傷や刺し傷で赤く染まっていた。

 

(私が護らないと…、生き残った虚圏の人達を護らないと…!)

 

そう思うヒユの周りには大量の虚圏の住人達、そして滅却師の死体。全てのパーツが揃っている物もあれば…全てが揃わないものもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にしぶといですねぇ…、陛下の情報(ダーテン)には貴方のことはありませんでしたが……ここで死んでもらい〼」

 

 

「っ……」

 

 

 

 

 

 




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70.怒り___2人の想い

お久しぶりです。

私情でございますが、自分は4月から社会人として実家がある京都を離れ東京にて一人暮らしを始めました。
慣れるまで割と更新頻度などが落ちますが何卒見守っててください。


 

 

 

『ヒユちゃんはさ、優しすぎるんだよね』

 

 

かつてセラフ部隊にいた時、メンバーから言われたそんな言葉が頭をよぎる。その時はそんな事ないよと笑って冗談交じりに返した記憶がある。

 

 

 

 

 

 

 

「フーッ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落ち着け、たった今怒りに任せて刃を振るい…額に切り傷を受けたばかりだ。

 

(頭では理解してる…、でも身体と心は…目の前の男を今すぐにでも斬りたいって……)

 

まるで手足のコントロールを別の誰かに移してるかのような感覚に襲われていた佐原ヒユ。彼女の目の前には剣を持った眼鏡の男が立っており、その佇まいからして強さというものを纏っていた。

 

(躱すのがあと少しでも遅れていたら…今頃は頭の中身を見せていた…、雀部さんを殺った人達はこんなに強いの…!?)

 

様々な情報が脳内で錯綜する中、ヒユは必死に目の前の敵へと刀を向ける

 

「おや…?___よく見れば貴方、見ない顔ですね?」

 

「…」

 

首を傾げながら挑発のようにこちらへと声をかける男。だがヒユはその言葉に返事すら返さなかった

 

「…まぁいいでしょう。多弁は銀、沈黙は金とも言いますから。ですが______」

 

 

「っ…!?」

 

反射的に下へ向けた刀に男の剣が交わり拮抗状態となる。

 

「…その力は危険だ。情報に載ってないとはいえここで始末させてもらいましょう」

 

 

「誰がアンタなんかに…っ!!」

 

刀を上へ押し上げ男を後ろへと押し飛ばす。男は一瞬驚いた素振りを見せたが直ぐに再び能面のようになる。

 

 

 

 

 

 

再び虚圏に火花が散ったのはそのすぐ後だった

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

〜虚圏・上空〜

 

 

 

「っ…!」

 

浦原喜助特性の黒腔を抜け最初にヒユ達が見た景色は上空からでもわかる数々の炎と……そして横たわる人達、その周りにはおびただしい程の血が流れ、凄惨な戦場だということを突きつけた。

 

「三天結盾!」

 

着地する寸前に織姫が自らの髪飾りを変形させ防護壁の様なものを作成、それを足場に着地する。

 

「……」

 

着地した場所は丁度、どこかのグループが住んでいたような村の中だった。

 

 

「おい、そっちはどうだ?」

 

 

「「っ…!?」 」

 

かなり近い場所から声が発せられ反射的に物陰へと身を隠す。井上や佐渡、浦原の3人も近くの物陰へと隠れ息を殺していた。

 

「むぐっ…」

 

足音すら聞こえる距離の中何かを喋ろうとしたヒユの口を塞ぎヒユ自身も自分の手で自分の口を塞いでいた。

 

 

「もうここには居ないな、あっちへ行くぞ」

 

「ああ」

 

近づいていた足音が離れていき、ひとまずは難を逃れる。完全に音も聞こえなくなってからもう一度外を覗く。

 

(こういうのは再度確認必要っと…)

 

そんなことを思いながら確認をしている時だ、さっきまで抵抗していたネルがなんの抵抗もしなくなった。

 

「えっあれ……あっ!!」

 

気づけばヒユに抱かれていたネルがぐったりして動かなくなっていた。

 

「ごめんネルちゃん…!!」

 

「ご、殺す気ッスかアンタ…!!」

 

「よかったネルちゃん!!ほ、ほんとごめんね…!!」

 

「ぐえええええっ!!!」

 

息を吹き返したネルをギュッと抱きしめていると、付近に隠れていた浦原や茶渡、井上がソロソロと集まってきた。

 

「ひとまずはやり過ごせたみたいッスね…でもあの様子じゃもうここに生きてる破面や虚は居ないと見るのが妥当でしょ」

 

「…ほんとだ、誰も反応してくれない」

 

井上が髪飾りの1つを飛ばし周りの破面や虚の様子を見ていく、彼女の双天帰盾が反応しないということは…浦原の言った通り治療できる物がないということの証明となった。

 

「まさか、ペッシェとドントチャッカも…」

 

「その2人はどうしてるの?」

 

平常時ならその名前のインパクトに少しばかり混乱しそうだが、今はそんなことを言ってられやしないだろう

 

「わかんないッス、一護達に助けを呼ぼうとしたあたしを守ってそのまま……」

 

「いや、その可能性はないみたいッスよ___ほら」

 

「「…?」」

 

2人の話を遮り、指を指す浦原。その先で地面の砂がもそもそもと動いており____その次の瞬間

 

 

 

 

「ぶはっ…!!!」

 

 

 

砂からお尻が生えてきた。

 

 

 

「……!?」

 

「このケツ…!!さてはペッシェッスね!!!」

 

「フンガあああァァァっ!!!」

 

生えてきたおしりに喜びながらネルが頭突きをぶつけていき、ネルの言葉に井上があたふたとなぜか慌てていた。

 

「ネルちゃん女の子がケツとか言っちゃダメだよ…!!」

 

「いや…、あの……」

 

混乱するヒユを他所に「痛い!!痛い!!」と泣き叫ぶケツを蹴り続けているネル。茶渡がヒユの肩を叩き呟いた。

 

「一応あれが…、ペッシェだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人が…ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということで、この人がペッシェさんです!」

 

「…」

 

ヒリヒリと赤くなっているお尻を擦りながらようやく砂から這い出てきたペッシェを浦原が紹介する。だがヒユの目はもはや不審者を見るような顔になっていた。

 

「そこの少女!初対面なのにその目はなんだ!?失礼とは思わないのか!?」

 

「いや…、初対面でおしり向けて登場されたら…多分誰でもこうなるかと」

 

「ぐぬぬ…!!」

 

何も言えないのを悔しがるかのように拳を握りしめているペッシェを見ながらヒユが内心で呟いた。

 

(この人がかつてネルさんを守ってたって聞いたけど、もしかしてドントチャッカさんもこんな人なのかな…)

 

もし次もこのテンションで出てこられたら流石に刀を抜きそうだ。

 

「違う違う!!こんな話をしている暇は無い!!_黒崎一護が居ないのは少々困ったがまぁいい…」

 

再び黒崎一護の名が出る中、ペッシェは少しばかり息を吸い落ち着きを取り戻す。

 

「ペッシェさん、ネルさんの時もそうだったんスけど…今回のご相手はそこまで強いんスか?」

 

扇子を仰ぎながら浦原が聞くと、少し間が空いてからペッシェは語り始めた。

 

「…ああ、奴らが使う戦術は今まで戦ったことがないやり口だった。それにあの炎…あれは霊子で作られた炎だ」

 

「霊子の炎…ですか」

 

「そのせいで本来燃えるはずのない虚圏の砂や建物が燃やされ、子供や女までも容赦なく殺されたいったさ」

 

「そんな…」

 

「惨い事をする…」

 

周りを見れば分かるが、改めて説明を受けるとその凄惨さがひしひしと伝わる。

 

「我らもただやられている訳では無いと武器を取り戦ったが、奴らがとるもの全てに対応できず…統率は崩れていった。逃げ惑うしかなくなった我らをまるでいたぶるかのように次々と殺していき…」

 

「…………」

 

「ドントチャッカともはぐれた私は、1人砂の中に潜り何とかやり過ごした。そして今に至る」

 

「状況は理解しました…、ですが助けに行くと言っても彼らの向かう先が分からないとなれば…」

 

「それに関しては問題ない、あいつらは使えない女や子供は殺して行ったが、私たちのように戦う破面や虚は捕獲と盗み聞きしていた____ドントチャッカ、アイツは強い。もしやられているとしてもあれほどの手練を捕獲しないとは思わない」

 

「なるほど…、じゃあドントチャッカさんの霊圧を…」

 

どこから取りだしたか分からない端末を懐から取り出した浦原、だがそれと同時に少し離れた場所からかなり大きな爆発音が響いた。

 

「「っ…!?」」

 

 

「っ…!!」

 

「あっ、、ヒユちゃん!!」

 

気がつけばヒユは1人走り始めていた、直ぐに気づいた井上が止めようとするが、聞く耳を持たずそのまま走って行く。

 

「こういう所、なんとなく黒崎サンに似てるというか…、皆さん追いましょう!」

 

その言葉に茶渡と井上が目を合わせ、少しだけ微笑む。彼女に最初から不信感などをあまり抱かなかったのは…本当に彼に似ているのだからかもしれない。

 

「わかった」「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがそんなことを思っていた井上や茶渡を他所に、ヒユは1人胸の内から溢れる怒りを抑えようと必死だった。

 

 

 

(もうこれ以上殺させやしない…!!破面だって虚だって死神だって…!!)

 

溢れ出る怒りは彼女をどう導くのだろうか…、その時のヒユ達にはまるで検討もつかなかった。

 

 

 

__________________________

 

〜セラフ部隊・アリーナ〜

 

 

(…なんだ、この気持ちわりぃ感じは…)

 

31Aとの共同訓練の最中、一護は自身の奥から溢れる怒りに似たようなモヤモヤに苛まれていた。

 

一護自身現在、怒りに包まれているわけではないはずなのにそれとは真反対にどんどんと膨れ上がるのを感じる

 

(これじゃあまるであの時みてぇじゃねぇかよ…)

 

 

 

『俺が…”斬月”だッ!!!』

 

 

 

久しぶりに自身の中の白い自分に唆されているような感覚……あまり気持ちいいものでは無い。

 

 

「クソッ…!!」

 

気づけば目の前に立っていたキャンサーの攻撃を始解の斬月で受け止める。

 

(ただでさえ今は31A自体がギスギスしてやがんだ…っ!!これ以上面倒ごとは辞めてくれってんだよ!!)

 

前回の任務から時間は立っているが、今は月歌もユキも2人して最低限の会話…ほぼ作戦内でだがそれ以外に言葉を交わすことは無くなっていた。

 

他の31Aのメンバーも無闇に入りづらいのか今行っている訓練も連携があまり取れていない。

 

一護自身誰かを引っ張ると言うことはあまり得意では無い。彼女達には力で答えていくしかないというのに部隊長と作戦参謀のような立ち位置の2人が険悪ではどうしようもない。

 

(近くデケェ作戦ってやつもあるんだ…、このままじゃ困るのは俺たちだけじゃねぇ……)

 

キャンサーを払い除け、そのトドメを逢川めぐみに任せる。

 

「ほんま、あの2人喧嘩しとるで」

 

「ああ、見りゃわかんだろ…」

 

「ウチらもやりにくいったらありゃせーへんわ」

 

「お互い…譲れないからだろうね」

 

 

生命をとしてまで東城つかさの記憶にたどり着きたいという茅森月歌

 

 

反対に生命が1番大事だと、もっと慎重になるべきだという和泉ユキ。

 

 

(それに囲まれた東城の気持ちも考えてやれってのに…)

 

その2人を引き離してしまったと、東城つかさはかなり悔やんでいた。

 

 

『あの二人を引き剥がすくらいに、私の記憶は大事なのかしら…』

 

おそらくあの二人はその事には気づいていない、もしかすれば自分の意見だけを見ているせいでそれに気づいていないかもしれない。

 

 

 

(この訓練が終わったら、アイツに相談でもしてみるか…)

 




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