東方回転精 (匿さん)
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一話

「はぁ、」

 

冷たく乾燥した空に、大きなため息をつきながら手をこすり合わせる。

 

すると、

 

「まもなく、3番ホームに○○方面○○行きの電車が到着いたします。黄色い線の内側までお下がりください。」

 

と、アナウンスがあった後、いつもの音楽が流れ電車が到着し、それに乗る。

 

6時過ぎだからか同年代らしき高校生やサラリーマンたちで電車の中はそこそこ混んでいた。そこから二駅が過ぎ、今日のうちにやるべきことや、リュックの中の参考書読んだりしていると、人の数もちょっとずつ減っていき、ようやく座ることができた。 

 

電車に揺られて10ほどたっただろうか、ガンガンにきいた暖房と程よく揺れる車内のせいで、参考書を読んでいるにもかかわらず強烈な睡魔に襲われていた。

 

やべぇ、ここで寝たら確実に寝過ごしてしまう!

 

駄目だとわかっていながらついつい瞼を閉じてしまう。

 

耐えろ!耐えろ、、、耐え、、、

 

ここら辺で俺の記憶は途切れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッ!今どこ!

 

いつの間にか寝ていたことに気が付き、寝過ごしていないか確認するために横を見ると、

視界いっぱいに緑と茶色が日入り込んできた。

 

え、森?なにこれ夢?

 

あり得ない状況に、寝ぼけて霧がかかったようにぼんやりとした頭は急に目覚める。そして森林特有の湿った空気、木に寄り掛かった体勢だった為に痛む背中。

 

とりあえず、立ってみる。

 

なんか、やけに目線が低いな、それに股もスースーするし。

 

と、周りを見渡しながら自分の股に手をやるが、その手は自分のナニにあたることなく空振りする。おかしいな、と思い目をやると、、、

 

「ない!!!」

 

そこにはワンピースを身にまとった自分のものだがじぶんのものでない小さな体があった。おまけに、ナニもない。自慢するほどでもないが嘘でも十数年間一緒に生きてきた俺のムスコだぞ?それがなくなったとなれば当然パニックにも、、、ってそんなこと言ってる場合じゃないだろう?

 

おかしくなった自分の体を調べること数分、色々なことがわかってきた。

 

まずは、顔。近くにあった小さな水たまりで確認したところ、整った顔のパーツ、さらりと伸びた髪の毛、やっぱり幼くかわいい女の子が映った。

 

次に、上半身。手や腕は短くなり、幼女だからか胸も断崖絶壁である。一番の大きな変化は背中の羽だろう。顔を確認した時それに気づいたが、別に飛べるわけでもなく、ただただ邪魔なだけだった。

 

最後に、下半身。手や腕と同じように足も短くなっていたが、やはり、ナニがなくなったのはいろんな意味でショックだった。

 

「マジでどうしよう?」

 

木の根に腰掛け、自分の体について考えていた。そしてある一つの答えが導き出される。

 

「よし!悩んでいても仕方がない、とりあえず歩いて道に出よう」

 

 

舗装されていない森は小さなこの体にとっては、とても歩きづらかった。

 

それにしても、この体って何なんだろう?幼女で羽が生えてるって妖精しか知らないけど、、、羽も偽物じゃなさそうだしなぁ、、、

 

もしかしてこれって今流行りの異世界転生ってやつ?

 

そんなことを思っていると、やっと道に出た。舗装こそされていないが、平らで草も生えていない人の気配を感じさせる道だった。  

 

「よし、このままいくと人に会えるかもしれない!」

 

あれ?ちょっと待てよ?こんな妖精みたいなのがいる世界なんだから、人間がいる確証なんてなくね?人かと思って声掛けたら化物でしたっていうオチいやだよ、俺。

 

変なことを想像したせいで、若干小走りになりながら森の小道を進んでいく。すると、道のずっと先に小屋みたいなのが見えた気がした。

 

「やった!家だ!」

 

今度は小走りではなく全力疾走でその小屋に向かっていく。

 

が、近づくにつれて俺は失速していった。

 

「え?」

 

遠くからだったので分からなかったが、それは小屋ではなく小さな店だった。普通ならこんな森の中になんで店が?と思うところだが僕の意識は店にかかっている大きな看板に注がれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「香、霖、堂?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




文字数がすくねぇ!


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二話




大晦日なので初投稿です。


香霖堂が何か分からない人はお父さんお母さんに聞いてみよう



「香、霖、堂?」

 

はえ~、小説とかで見る『頭の中が真っ白になる』ってこういう事だったのか~

 

現実逃避しても何も変わらない。

 

目の前にあるのはあの(みなさんご存じ)香霖堂。あり得ないと思いたいけど、ここが東方projectの世界だと仮定すると、背中に羽が生えているのも納得できないこともない。

 

ってことは、俺って妖精?幻想入りってそのまま来るんじゃないの?

 

もし仮にここが幻想郷だとして、はたして自分は妖精として生きていけるのだろうか?

 

住処は?食事はどうしよう?ここは、オーソドックスな人里に行くか、いや、妖精を入れてくれるかわからないし、そもそもひとくくりに東方projectの世界って言っても、いろんな媒体があるわけで、酔蝶華みたいなほんのりマイルドな世界だったらましだけど、逆に原作STGみたいな皮肉バンバン言い合う世界だったらHardどころかLunaticだよ!

 

 

 

「ウーン」

 

もう無理、一般人の脳ミソじゃあこんなの処理しきれないよ。もういっそのこと、霖之助さんに突撃して「働かせてください」って頼んでみるか?いや、そんなのどう考えても不審者じゃん。でも、それ以外の案は思いつかないしなぁ。

 

店の前でうんうん唸っていると、いきなり目の前の扉が開く。

 

「ヴァ”ッ!」

 

「・・・」

 

「ど、どうも」

 

「君かい?僕の店の前でウロウロしてるのは」

 

 

本物じゃん!なら、ほんとに東方の世界に来たってことかぁマジでやっていけんのかな。

 

 

「えぇ、まぁ、スイマセン」

 

「へ~野良妖精の割には随分礼儀がなってるんだね。それで、何か用かい?」

 

 

やべぇよ、めっちゃ不機嫌そうじゃん。でもこのチャンスを逃すとどうなるか分からない。

 

もしここで失敗したら、どこにあるかも入れるかも分からない人里に行かなくちゃいけないし、ここに着く前は何もなかっただけでだけで、その道中にトラブルが起こるかもしれない。

 

問題は雇うのを渋った時にどう説得するかなんだよね。

 

 

あっ!そうだ!

 

 

 

 

「用がないなら、僕は読書に戻らせてもらうよ」

 

「ちょっ、ちょっと待ってください!」

 

 

あぶねー、もう少しで締め出されるとこだった。よし、さっき閃いた口説き文句に賭けるしかない。

 

 

「あの~ここで働きたいな~とか思ったりしてて~」

 

「ありがたいけど、生憎従業員の募集はしていないものなんでね」

 

 

やっぱり、断られるかぁ、まあこれも想定内。もう少し粘ろう。

 

 

「そこをなんとかお願いします。お給料なんていらないです!ほらお、じゃない、私、ほかの妖精より知能とか高いですよ」

 

「3+6は?」

 

「へ?」

 

「3+6は?」

 

「9?」

 

 

これって試されてる?妖精ってそんな馬鹿なの?よく⑨とか言われてるけどほんとにそんなレベルだったんだ。よぉし、そうなら楽勝だぁ!

 

 

「16×55は?」

 

「880」

 

 

いきなりレベルが跳ね上がったぞ、オイ!これ以上難しくなったら暗算じゃきついぞ。しかも答えた後霖之助さん凄く悩んでいるけど僕これ採用されんのかな。

 

 

「君、魔法の森に住んでるのかい?」

 

「い、いえ、さっき気が付いたらもりになかにいて」

 

「へー、生まれたばかりの妖精だなんて珍しいね」

 

 

怪しまれたかと思って結構焦ったぞ。でも、いい感じの雰囲気になってるし、これは採用じゃない?

 

「給料いらないっていったよね?」

 

「はい!要りません!」

 

「生まれたばかりの妖精なんて珍しいし、何より、これくらい計算が暗算で出来れば会計も任せられる。よし、採用だ!」

 

「ありがとうございます!!」

 

 

人生初の就職が香霖堂ってどうなんだ、、、

 

 

 







やっと霖之助さんと登場です。今後のキャラに関してはめちゃ優しい岸辺露伴みたいな感じでいきたいなぁと思っています。

後、10時からある東方Mー1のライブ楽しみです。






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三話



年始で忙しかったので初投稿です。





朝起きると、知らない天井が目に入った。

 

「え、どこ?ここ?」

 

少し考えて、

 

「あっそっかぁ」

 

夢じゃなかったのかぁ、本当に東方の世界に来たのか、そういえば僕は元の世界に戻れるのだろうか?体が妖精だから出れないとかあるんじゃないのかな。

 

でも、そう考えると初日に香霖堂で雇ってもらえたのはかなりラッキーだな。しかも、住処がないみたいなことを言ってみたら、空き部屋まで貸してくれたし。

 

帰りてぇなぁ、、、

 

そんなことを考えていると部屋の扉がノックされる。幻想郷では珍しく洋風な構造の家だと昨日、霖之助さんが自慢していた気がする。

 

「もう起きてるかい。ユウ?」

 

「起きてますよ店長」

 

ユウ、この世界での僕の名前だ。

 

名付け親の店長曰く、妖精みたいな様々な現象の権化は、名前が付く事で己という存在がはっきりするらしい。知らんけど。

 

チルノとかクラピとかもそんな感じなのかな。

 

「店長か、案外悪くない響きだな。とりあえず、用意ができたら業務内容を説明するから店の方まで来てくれ」

 

「分かりました」

 

香霖堂って外の世界の物も取り扱ってるんじゃなかったっけ、色々感づかれないように気をつけなきゃ。一応、生まれたばかりの妖精というていだしねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

「意外と早かったね、それじゃあ早速ここ、香霖堂について説明していこうか」

 

それから、約30分みっちり説明された。基本情報は僕が知っている香霖堂と大して変わらないようで安心したが、外の世界のものだけでなく、妖怪用や魔法、果ては冥界の道具まで扱ってるとは知らなんだ。

 

「基本的なことはざっとこんな感じだが、今日君にやってもらいたいのは店番だ」

 

「えっ、いきなり店番なんてやって大丈夫なんですか?」

 

「客なんて滅多に来ないからね」

 

「自分で言ってて悲しくないんですか、、、」

 

「とりあえず、僕は隣の蔵で外の道具の鑑定をしてるから、よろしく頼むよ」

 

「はい!店長!」

 

店長が出て行ってから物であふれかえっている店内を見回してみる。玩具にゲーム機、PCから洗濯機、ブラウン管テレビまである。中には、怪しげなお札や僕の背丈より大きい刀もあった。

 

「あっ!ファミコンじゃん」

 

見慣れた小豆色の機体が目に入る。

 

「でも電気がないからなぁ」

 

そんな現代ではなかなかお目にかかれない珍しい品々を眺めていると、

 

「なんだこれ、仮面?」

 

ふと目に入ったのは、虹の模様が入った仮面だった。何か特別というわけではないが、どこかで見たことがあるように感じてならなかったのだ。

 

「どっかで見たことがあるような…なんだっけ?」

 

なんとなく思い出せそうな気がしたが、ドアの小窓にちらつく人影によって遮られる。

 

「あれ?お客って来ないんじゃ…」

 

などとつぶやくと同時に勢いよくドアが開かれる。

 

「文々。新聞号外でーす!」

 

 




遅くなってスイマセン、ダクソとかバレットフィリアやってました

主人公の能力開花はあと数話待ってください…


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四話



Wi-Fi君が死にかけて、創作意欲がなくなっていたので初投稿です。






ドアを吹き飛ばす勢いで入ってきたそいつの名前を俺は知っていた。

 

そう、「伝統の幻想ブン屋 射命丸文」だ。

 

うわー!本物だー!すげえ!やっぱ本物もかわいいなぁ......おっと、興奮しすぎて、接客するの忘れてた。まあでも仕方ないよね、今まで架空のものだと思ってたのでものがいきなり目の前に現れるんだもの。店長もだけど

 

その頃、相手はというと、ここに妖精がいて、しかも働いているとは思ってなかったらしく、お互い不意を突かれ気まずい沈黙が流れていた。

 

そんな中、俺はきちんと接客という使命を全うすべく、そしてこの空気を打開すべく口を開いた。

 

「いらっしゃいませ、何かお探しでしょうか?」

 

持っている知識をフル活用してできるだけ店員っぽくふるまってみたが、何故か目を大きく見開き、度肝を抜かれたような表情をしている。何かやらかしたのだろうか?

 

そう心配になっていると、いきなり表情を明るくし

 

「あやややや、あの香霖堂に店員が...しかも、妖精!これは一つ記事が書けますねぇ...取材させてもらっても?」

 

なんだこのパパラッチ!?二次創作でもこんなキャラだったけど、いざ実際に対面してみたらめんどくせぇ!文花帖らしきメモ帳も持ってるし、根掘り葉掘り聞かれるとと面倒だから断っておこう。

 

「いやーちょっと取材というのは難しいですね...」

 

「断りますか、なら...」

 

なんだ?何か出そうとしてるし...もしかして怒らせた?しかも、最後意味ありげな含みを持たせてたし、やべぇ、設定どおりの実力だったら間違えなく勝てないぞ...

 

「あ!あった。」

 

身構えている俺に差し出されたのは、大きな葉っぱに包まれた謎の物体、流石に怪しいので訝しげに

 

「なんですこれ?」

 

「見てのとおりですです。取材を受けてくれたら差し上げますよ。」

 

「は?」

 

思わず本音が漏れてしまった。なんせ、射命丸が自信満々に差し出してきたのは、団子だったからだ。

 

え?舐められてる?あっそうか、妖精だから甘いものでも出しとけば喜ぶとでも思ったのかもしれない。正直食べたいけど、もらってしまったら取材を受けないといけないので断っておこう。

 

「申し訳ないのですか、お断りさせていただきます。」

 

「ぐぬぬ、団子も効かないとは、他の妖精には効果抜群だったのに...ますます興味深いですね。いいでしょう、今回はまた別の機会にということで。」

 

そう言って飛び立とうとするのを呼び止める

 

「ちょ、ちょっとまってください!」

 

「なんです?もしかして受ける気になってくれました?」

 

「いえ、結局本来の用事が何だったのか聞いてなかったので...」

 

「あやややや、これはうっかりしてましたねぇ。これです。」

 

今度は、さっきとはうって変わって、新聞が出てきた。

 

「霖之助さんに渡しておいてくださいね~それでは今度こそ、行きますね。」

 

「ええ、また。」

 

「またってことはいつかは受けてくれるってことですよね?」

 

「お断りします。」

 

「諦めませんからね~」

 

笑いながらそう言って、飛び立っていった。

 

ふぅ...やっと落ち着いたか、なんかイメージ通りだったな。

 

なんて呑気なことを思いながら先ほどもらった号外に目を通す。

 

「どれどれ...あっこれ裏だ。」

 

表にはもちろん、一番の重大記事が載っている。今回も、それは例外ではなかった。

 

「え?スペルカードルール制定?」

 

 



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五話



例大祭準備やらなんやらで忙しかったので初投稿です。
(ココから下現在)
なんて言ってたら一年が経っちゃいました…そろそろまた春例くるし…




 

やっと今が時系列で言うとどのくらいか分かった。それだけでも大きな進歩だが、まさかの紅魔郷前かぁ~

 

って事はこれから全異変をリアルタイムで体験できるって事だよな。それは嬉しいんだけど如何せんどのくらい危険かが分からない。だからあまり迂闊なことはしない方がいい気もするし...

 

考えても現状は変わんないからとりあえず、業務に戻ろう。

 

カウンターの椅子に座って客を待ちながら新聞にざっと目を通す。

 

俺が知ってるのと何ら変わりない。これなら出来そう...ってかそもそも弾幕って出せんのかな?何で出来てるのか見当もつかないのに。

 

あっそうだ!店長に聞いてみよう!求聞史紀で「戦闘は好きじゃないから弾幕ごっこしない」みたいなこと書かれてた気がするけど弾幕の出し方くらい知ってるだろ。

 

タイミング良く射命丸さんと入れ代わる様に店長が戻って来た。

 

「あっ店長!丁度良かった!さっき射命丸さんっていう人が来て…」

 

「知ってるさ、今日は掃除で忙しいから天狗と長話は遠慮しときたかっただけさ、と言いたいところだけど彼女の様子から察するに向こうも同じな様だね。」

 

来てたの分かってたんかい…そのくせ何も言わずにさっさと新聞読み始めてるし…

 

「ふーん」

 

反応薄っ!これって結構重要なんじゃないの!?そのまま戻られると不味い…もうめんどくせー!直接聞いてやる!

 

「店長…それに書いてある弾幕ってどうやって出すんです?」

 

「妙な事聞くんだね、君。妖精なんてデフォルトで出せるもんだと思ってたんだが…」

 

「出せるわけないじゃないですか!」

 

「生憎僕はそういうのに疎くてね、だが知人が体の内側の霊力やら魔力やらを圧縮するイメージだと言ってた事はあるよ。」

 

「へーちょっとやってみますね。」

 

知人…?魔理沙とか霊夢とかか…?まあいいや、内側の霊力?魔力?を圧縮するイメージね…

 

「ふんっ!グググッゥ…」

 

そう思って力み始めた瞬間、制止の声がかかる。

 

「オイオイオイオイオイ!ちょっと待て!大切なコレクションに何かあったらどうするんだい!?練習するなら店の外でやってくれ!」

 

「は〜い…」

 

そりゃそうだよな、当たりどころが悪いと死ぬような弾を室内でぶっ放して何も起こらない訳ないもんな。

 

しぶしぶ薄暗くなった外に出て、昨日歩いた道を戻りながら開けたところを探していく。

 

そろそろ日が暮れるな…俺の知識が正しければここの森は妖怪が結構いるんじゃなかったっけ?さっさと終わらせて帰らないと。

 

そう思った矢先、

 

 ガサッ

 

ん?

 

 ガサッガサッ

 

何かが動いている音が離れたところから聞こえる。しかも近づいているではないか。

 

何か来てる!ど、どこかに隠れなきゃと思ったが隠れる所は道の真ん中だから無いし、かと言って香霖堂に戻るには離れすぎている…

 

ああクソッ!明日練習すればよかった。

 

そんな事考えてる間に音の発生源はすぐそこの草むらまで来て、ぬっと顔を出した。

 

「ウオォッ!ムカデだッ!」

 

そこには人の頭ほどのムカデの頭があった。完全に目があってしまったからか下の進行方向ではなくこちらに向かってくる。

 

とうとう全体像があらわになったが、それは3メートル程ある巨大な怪物だった。

 

ど、どうする?一応店にあったサバイバルナイフはあるが…

 

その時、いきなり巨大ムカデが加速して向かってきた。

 

「速っ!逃げろ!」

 

が、相手は妖怪ムカデ、逃げ切れるわけもなく5mも行かないうちに巻き付かれる。 

 

「ヴッ!痛い痛い痛い!!」

 

ヤバいヤバい!体から出ちゃいけない音してるって!何とかしないとほんとに死ぬ!

 

「うおおおおぉぉぉっっ!!」

 

雄叫びを上げながら拘束されていない手でナイフをムカデに突き刺す。しかし、現実は非情だった。

 

 ガキンッ!

 

最後の頼みの綱が折れた。深い絶望の最中、目の前にはすでにムカデのグロテスクな口があり、死期を悟り抵抗を止め目をつぶり死を待つ。実際はほんの一瞬の出来事だが、とてもゆっくりとした時の流れだった。

 

親孝行ぐらいしたかったな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シルシルシルシル

 

 

 

 

何だ?この音?それにまだ食われていない?

 

不審に思い目を開けてみる。そこにはムカデの口は無く、奴は音にしている下の方を見ている。恐る恐る自分も首を動かしてみると…

 

 

 

 

「爪が回転しているッ!?」

 

 

 

 

 





例大祭に行ってきました。楽しかったです。(小並感)

東方wikiで時系列調べたけど、複雑すぎてよくわかんない
(ココから下現在)
一年前の後書きをそのまま放流…

大変長らくお待たせしてすみません…








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