スキルツリーがバグった【俺ら】の現地事情 (神薙改式)
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序章・ガイア連合合流編

 どうも、以前から色々漁っていたけど遂に我慢出来なくなって手を出してしまった作者のクズなので初投稿です。

 全然知識無い見切り発進ですが生暖かい目で見ておいて下さい。


 現地霊能者の家系に生まれた事で適正も知らずに頑張った結果、俺…なんかバグっちゃったみたいです…。

 

 

 

 切っ掛けは我が家での覚醒修行として行われた瞑想だった、自我を薄めて無我の境地に近付いた事で個が薄まり前世を知覚して覚醒したのだが、そこからは只管異界への対応を続ける二度目の青春だった。

 

 別に裏稼業が嫌というわけでもなく、寧ろ覚悟ガンギマリな身内達に任せているといつ死んでもおかしくない位人が良い人達ばかりだから率先して俺自身異界に足を運んでいたのだが、その中で気がついた事は『俺と身内とでは素質の差が天と地ほどもある』という事だろうか?

 

 霊視の能力が低い俺はバケモノ共を見る程度の力しかない訳だが、身内の中にはそれすらもまともに出来ない、うっすらとした靄としか認識出来ない位才能限界が低い人も大半であり、そんな人達が立ち向かおうとしても返り討ちにあうのが関の山である。

 

 だから俺は頑張った、ひたすらに頑張って皆を戦える様にする為に前線に立ちながら修行と実戦の日々を送っていた。

 

 弱らせたバケモノを羽交締めしてトドメを刺させたり、奇襲する際に暗示でも掛ける様に囁いて攻撃させたり、自分の魔術を使う感覚を元に魔力みたいなものを流し込んで体内を循環させたり本当に色々…いやまぁ流石にエロ方面は除くが色々やってみた。

 

 結果として俺の努力は実を結んだのか、仲間として認識している相手がパーティーに居る間、その相手の素養の上限を俺と同じ位階まで引き上げる擬似的な覚醒を引き起こす異能を習得していた。

 

 擬似的であっても見れてるのならばそこから正式に覚醒するのなんてあっという間だし、更にそこから同じパーティーで経験を積めば現状の俺が到達している程度と同程度迄には体感サクサク上げれる様になる異能である。

 

 親世代からすれば今まで覚醒出来ずに悩んでいた事をあっという間に解決した俺には感謝してもしたりないとの事だったが、当然上手い話には裏があり…具体的にはそれまで順調に伸びていた俺の力がこの異能を得た途端に滅茶苦茶伸び難くなったのだ…見積もりでいえばざっと十分の一以下になり能力が全然上がらなくなり、これには正直恩恵を受けていた皆も渋い顔となった。

 

 結果的にではあるが一番霊的素養が高そうな俺が善意で皆の強化を図った結果、果てしなく弱体化してしまった様なものであり、善人ばかりであるが故に彼等の苦悩は大きかったのだ。

 

 というか取得した異能の効果的に俺の自力が高くなければ効果が十全に発揮されないというのに、その自力が上がり難くなっているときた…まぁ、所謂『産廃』というやつである…。

 

 そっからは的確に弱点突ける様にスカウターみたいなモノクルや、簡易的に属性を付与出来る塗料等を開発してみたりしたのだが、奥に進む程敵が強くなる特性を持つ異界相手では小手先の誤魔化しなど無いも同然、次第に行き詰まるのは自明の理だったのだ。

 

 現状に問題が発生すれば頭を合わせて相談するのは組織としての当然の事であり、その日の俺達は一族の家長や大事な役所が車座になって相談していた。

 

「このままでは何時異界からアヤカシ共が溢れ出てくるかまるで分かったものではないぞ…」

「かといって現状我等が強くなる為の手段が乏しい故に対応出来なくなる日もそう遠くはないからのぉ…」

「すんません、結果を焦り過ぎてマジですんません…」

「いやいや、謝んなって(ハジメ)君…お前さんが頑張ってくれたからこんな断絶寸前だった霊能組織が全員凄腕霊能者の一味になれたんだ、感謝はすれども文句言う様な奴がいたら俺が殴って黙らせる位だよ」

 

 落ち込む俺に対して励ましてくれる小谷の親父さんとそんな親父さんに同意する様に頷く一族の皆…マジで申し訳なさが半端ないぞ…。

 

「とはいっても流石にこれ以上は儂等だけであの成長していた異界をどうにか出来るとは思えんぞ…」

 

 しかし俺を励ます皆の表情は、そんな浅田の爺様が語る絶望的な事実によって暗く沈む事になってしまった…。

 

「まさか俺達が苦労して攻略していた異界が唯の一フロアだっただけじゃなく、苦渋の思いで南雲の倅だけで行かせても三層以降も続きそうだからなぁ…」

「あそこにはゲームで言えば中ボスみたいなデカブツが居たし、そう考えると最低でもあそこが折り返し地点…後二層は確実にあると見て良さそうですね…」

「今出来る事といえば異界から出て来るバケモノ共を一君が改良してくれた療養施設に張り込みながら食い止める事くらいだからなぁ…」

「個人的にはあの施設って異界から採れる資源の質がそこまで良くないから結構微妙な出来なんですけどね…追加で焼け石に水であっても傷薬とか霊薬改良して療養中に食べてもらう事でブーストしている状態だけど、それにしたって本場の霊地じゃなくて異界で自生している奴をなんとか使える&食える様にしてるから味も微妙な上に体感半分程度しか回復しないとか…」

 

 資源も、技術も、質に至るまで何から何までまるで足りない…唯一あるのは他の資源がしょぼ過ぎて過剰投与になって無駄にしてしまうから貯蔵されている謎物質だけとか…うごごごご…。

 

 会議中だというのに世知辛い台所事情によって頭を抱えて唸る俺を見やり、

 

「…一応、この地を守護してきた誇りはあったが…いよいよもって外部に頼る事になりそうじゃのぉ…」

「外部…なぁ…」

「俺も南雲の倅のお陰で覚醒する事が出来たが、正直外部の霊能組織は以前の俺等とドングリの背比べ状態みたいだしなぁ…南雲さん、なんかそこら辺良い感じの話とか聞いてたりせんか?」

 

 そうやって小谷の親父さんが話を振ったのは、この集まりの中でほぼ唯一と言って良い現状の未発達なネットワークを利用した情報収集を可能としているウチの父さんだったのだが、その表情は何とも言い難い困った様なものだった。

 

 …そういえば以前からパソコンに向かって難しい表情を浮かべていたけど、それが関係しているのだろうか?

 

「あぁ〜…一応それらしいのは見つけたんだけれど…」

「なんだ? やけに歯切れが悪いじゃないか。なにか問題がある組織だったのか?」

「…そうだな、取り敢えずどんな組織なのか説明するが、先ず彼等は『只管に力を求めている集団である』という事だな。値切ったりはしないがボッタクリもしない、常識もあるし所謂適正価格で依頼を受けて攻略するといったまるで表の住人みたいな集団なんだ」

「ほう、それで? それだけならば確かに今までの業界からすれば異端であろうとも、我々と同じ様なモノではないのか?」

「えっと…それがぁ…」

 

 そう言う浅田の爺様に対して、父さんは何故か此方を見遣りながら言葉を濁しており、少ししてから覚悟を決めた様に言い淀んでいた口を開いた。

 

「彼等はねぇ…ほとんどが一般の出で霊能が関係していない者が殆どだった上に、何やら一定の思想で只管に戦い続けている様なのです」

「その思想とやらが何かは分からないのか?」

「いえ、一応それらしき単語がオカルト方面にチラホラと出ていました。近年の異界の発生率の上昇やバケモノ達による被害の増加、それに伴う人心の乱れによって齎される現象……」

 

 父さんの挙げる要素に思い当たる節がある俺は思わず緊張から生唾を飲み込んでいた。

 

「『終末』……これによる人間文明の崩壊、彼等ガイア連合はこれに対して危機感を募らせており、これに備えて己を高め続けているとの事です」

「それ…俺が前に異界に対して言ってたやつじゃあ…」

「そうだな、一が前に異界に対して持っていた危惧と同じ様な感覚を彼等も持っている…そういった意味では彼等に異界への対応を頼むのは適切とも言えますね」

「ならば我々はガイア連合へと依頼を出し、以降は彼等のサポートに回るという事で良いな? 意見のある者は…おらぬな、ならば南雲の方に依頼を出してもらう事を頼む故、我等は出せる報酬の工面をしよう…それでは此度の会議はここまでとする」

 

 浅田の爺様が下した決議に則って各々自由に動き始める中、俺は報酬に払えそうな物を考えながらも何処か心の中で引っ掛かる疑問に後ろ髪を引かれていた。

 

(ガイア連合…なんかで聞いた覚えがある気がするけど…なんだったっけ?)

 

 

 

 尚暫くしてガイア連合の総本山である『星霊神社』で行われたショタおじとの会話によるワンシーンにて…。

 

「君なんでそんな資質と真っ反対に頑張っちゃってるの?」

「なんでさ…?」




 新年早々新しい小説書いてる作者の屑!!

 …いやね、色々な人が書いてるの見たら雑魚物書きとして惹かれちゃうものがあるんですよ…なんというか流行みたいなもんなんですよ。

 まぁそんな物書きエンジョイ勢の戯言はさておき、今作の主人公は『現地民大歓喜なお手軽覚醒ブースター及び超万能生産職』がコンセプトとなっております。

 戦闘で無双するのは他に書いてる作品の主人公に任せるとして、今作の主人公は現地民の霊能組織に染まっている為、只管に全体の質を向上させる事に腐心しております。

 尚見た目のイメージについては名前で分かるでしょうが『ありふれた職業で世界最強』の主人公である『南雲ハジメ』です、最初は違う名前&見た目でしたが、素質考えたらこっちの方が合ってる事に気付いて変更加えました…。

 見た目は黒目黒髪(所々若白髪有り)で五体満足で目もちゃんとあるけれど、印象だけは奈落落ちした後の状態となってる感じですね、裏の世界に入った理由が理由だけにさもありなん。

 後、主人公のメガテン知識はそこまでは無く、ガイア連合について名前を聞いてもピンと来なかったのはこのせいです(原作様でもメガテン知識の無い転生者は普通に居たのでおかしくないはず)


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第二話 装備に目が行くのはただの癖です

 そんな訳で第二話ですね、いつもの事ながら始めたばかりの作品はやる気が溢れてて書き易いったらありゃしない…このやる気が継続すれば良いのになぁ…。

 そんな訳で今回ガイア連合と合流しようと思ったのですが…これ下手したら後ニ〜三話位掛かりそうかも?(汗)


 俺達の手に負えないという事でガイア連合に依頼を出した結果、下見という事で霊視等で調査が可能な者を先に送るという事でやって来てくれた連合員さんを駅まで迎えに行き待っていると、それらしき雰囲気を持って礼装らしき眼鏡を掛けた女性がホームに入って来た後此方を見た途端目を見張っていたのだが…あの人どう見ても学生…だよな?

 

 その後、彼女は恐る恐るといった感じで此方に近付いて来た為、本人確認の為に先に決めた符牒を投げ掛ける事にした。

 

「『失礼ですがブナ林への観光予約をされている星霊(ほしたま)大地(だいち)様でしょうか?』」

 

 …正直女性が来るんだったらもうちょっと中性的な偽名でも考えとくんだったな…。

 

ウッソでしょマジかぁ…えっと『ブナ林保全組合の方ですか?本日はよろしくお願いします』」

「良かった、それでは自己紹介を、私は今回の観光案内役をさせて貰う『南雲一』と申します、よろしくお願いいたしますね。それでは外に車を停めてあるので、それで送らせてもらいますね」

「ハ、ハイ…ヨロシクオネガイイタシマス…」

 

 何やら彼女は此方に対して矢鱈と緊張しているようだが、取り敢えず話し易い様に先ずは組合の共用車(中を覗き込まれにくい様遮光シール完備の箱バン)に乗ってもらい、移動しながら話し合う事に。

 

 彼女の持って来ていたキャリーバッグを後ろに乗せて運転席へと俺が座ると、彼女が背負っていた(恐らく式神が入っていると思わしき)リュックサックを膝の上に置きながら助手席に乗り込んだのを確認した後、拠点へ向けて出発する。

 

 慣れた地元の道を運転しながらそれとなく視線を向けてみるが、どうにも彼女はそこまで強そうには見えないし、なんならウチの組合員の誰とやり合っても一方的にボコされる様な…いや、流石に事前調査に組織の最大戦力が来るとかそんな馬鹿な話は無いだろうし、そもそも組織の戦力が凡そ横並びな組織とかウチの組合位なもんだろうしな。

 

 …てかさっきからめっちゃ難しそうな顔して考え込んでいるけれど大丈夫なのだろうか? ちょっと聞いてみるか?

 

「所で他所の組織を知らない勉強不足で恥ずかしい限りなのですが、少しばかり説明させてもらっても宜しいでしょうか?」

「ふえっ!? え、えぇ…一応組織に不都合が無くて私が話せる程度ならば大丈夫ですよ」

「それじゃあ失礼かもしれませんが、今回ウチの異界を調査しに来たとの事ですが、ガイア連合の戦力ってぶっちゃけどれ位のものなのでしょうか? なまじウチの組合は他所の組織と比べても異常だという事が理解出来てしまっているので、単純な比較対象が無いんですよ」

 

 少なくとも方向性は違えど全員の力量が同じ霊能組織とか、普通に考えて才能がモノいう筈のオカルト業界じゃあ絶対に有り得ない代物だしな。

 

「そう…ですね、分かり易い例を挙げるの為に少し前提条件を書いておきたいのですが、南雲さんはゲームとかされたりしますか?」

「そうですねぇ…うちの組合は話に聞く他所の組織とは違って地元民の有志が協力して発生した異界を抑えているので、常に資金もカツカツなんで娯楽も最低限だったのですが、最近になって多少改善出来たので其方にも手を出したりしている組合員も少しは居ますね…まぁ、その一人が自分なんですが」

「ならばドラゴンクエストというゲームはy「やりますねぇ!! やりますやります!!(食い気味)」そ、そうですか…」

 

 確か前世では1980年代のゲームってドラクエで言えばⅢまでだった筈だけれど、なんか色々と娯楽が発展しているこの世界だと既にⅤまで出てるんだよな…まさかのヒロイン選ぶ選択肢でハードモードに突入出来るハーレムルートが追加されてるとは思わなんだが…。

 

「まぁ、それなら話は早いですね…ドラゴンクエストにあるレベル制を当て嵌めるのなら、私達みたいな調査に向かう者は最低限低難易度の異界…例えるなら始まりのダンジョンという事にしておきましょうか、そこであれば自力で生還出来る程度の戦闘力を持っていて、それをレベルで当て嵌めるのならば『5』だと考えて下さい」

「ふむ、低難易度と言われれば確かにその通りですね…なんだかそう言われると逆にウチの異界はどれ位なんだと思えてしまいますが…」

 

 なんせ一層毎に凡そ敵の強さが二回り程跳ね上がるのである…これ普通に考えて難易度ヤバいのでは?

 

「で…失礼は承知ですが、先程駅で対面した際に南雲さんの凡そのレベルを測らせてもらったのですが…」

「あぁ、駅で此方を見てから何処か反応がおかしかったのはそれででしたか…まぁなんでもアリなオカルトの世界だし、対策出来てない此方の落ち度ですわなぁ…見た所その眼鏡の礼装がスカウターの役割を果たしてる感じですね?」

「えっ!? こ、これで確認してるって分かるの!?」

 

 おや随分と見た目相応な反応だこと…こっちの方が素の性格なのかな?

 

「緊張させてましたかね? まぁ、ウチは先程も言いましたが地元民による義勇隊みたいなもんですから、別に気軽にやってくれても構いませんよ? それでまぁ、礼装については自分が主に拠点の整備や装備の調整etcといった下準備をしてますからね、そんな事やってると自然とそういった物に目が行くし、どんな効果をしてるのか推察してしまうもんなんですわ」

 

 というか色々な礼装作ってると朧げとはいえ、どんな効果を持ってるのかが見ただけで理解出来るというかなんというか…。

 

 因みに彼女が掛けている眼鏡の礼装は大体『霊視の強化・弱点看破・命中精度上昇』といった所だろうか? かなり高性能な逸品である所を見るに上質な素材を惜しみもなく使っているのだろうが…いや、これは信頼関係を築けてない今聞く様な事では無いな。

 

「す、凄いですね…流石はレベル15まで上げている猛者というかなんというか…」

「あ、自分のレベルそれ位だったのか…なんだかそこまで高くなくて残念な様な、寧ろそれ位ならあの異界の攻略をしてもらう事に希望が持てる様な複雑な気分ですね…」

「えっと…一応ウチの連合にはトップを除けば幹部格はレベル30は超えている方も居られるので、余程の事がなければ問題は無いとは思いますが…」

 

 何その修羅勢…と言いたいけれど、寧ろ微妙に不安というか…。

 

「30…かぁ…」

「えっと…どうされましたか?」

「いやねぇ…ウチの異界について凡その体感で感じ取った事を話させてもらっても良いですか?」

「はい?」

 

 不思議そうな彼女へとウチの異界について説明する事にしたが、大まかに言ってウチの異界は大分難易度が高めだと思われるという事である。

 

 先ずウチの異界は異界の中でバケモノが増え続けるタイプの異界であり、その増殖が異界のキャパシティを一定値超える事で超えた分が大量の雑魚へと分割されて外に放出されるのである。

 

 これによって村に被害が出る事も多々有り、俺の母さんもこのスタンピードによって溢れ出したバケモノに殺されたのだが、腹立たしくもこれについては関係無いので一旦置いておく。

 

 重要なのはこのスタンピードは異界の中である程度狩っておけば抑えられるのだが、そうしようにも外に出てくるバケモノと異界の中に居るバケモノとでは単純に強さが違うのである。

 

 外に放出されるバケモノがレベル1だとするならば、一層に居る奴等のレベルは大体5、二層に居る奴等は大体10、今まで入れた最奥の三層に居る奴等は15レベルであり、それ以上の強さを持つ中ボスらしき存在が奥へと続く道を封鎖している状態なのである。

 

 そんな中をレベルが上げれなくなった俺とそんな俺と限界を共有している組合員が突破したとしても、その先に待つのは経験則からしてレベル20のバケモノが蔓延る四層に恐らく更に+5されて25レベルの奴等が居そうな五層、そして下手したら更に上、レベル30の奴等が居るかもしれない六層が待ち構えている可能性があるのである。

 

 しかもこの層からの放出については奥の層程増殖傾向が低いとはいえ同じ様に増えており、それが放出されれば一気に下層も連続でスタンピードが起こる事待った無しである事が分かっており、一応一層と二層の奥に続く通路に罠を仕掛けてあるとはいえ、それも何処まで効果があるかは判らないと地獄みたいな未来が待っているのである…。

 

 正直言って最奥がスタンピードを起こそうものなら、最悪ここら一帯の市町村滅びるんじゃないかな? 前の恐らく三層で起きたであろうスタンピードはうちの組合が壊滅寸前までいって何とか食い止められたけど、次は更に数がヤバいだろうから正直キツイと思うんだよなぁ…。

 

 そしてそんな内容を連合の彼女に話すと…。

 

「…これ最悪ショタオジ案件なんじゃあ…?」

 

 レベル30の話を聞いて出てくる名前って事はさっき言ってたトップなんだろうけど、そんな相手の呼び方が愛称? ガイア連合って意外と上下関係ゆるゆるでフレンドリーな組織なんだろうか?




 サラッと明かしましたが主人公は母親をアクマに殺されてる事による覚悟ガンギマリ勢でもあります。尚母親は霊視出来る程度のほぼ一般人だったので、主人公の目の前で散々恐怖を植え付けられた上で頭から食い殺されました。

 尚主人公は既に覚醒済みだったけどヘタレていた事で力が出せなかったのですが、目の前で母親が食い殺されたことでキレた事で吹っ切れた感じです(尚当時の肉体年齢は六歳です)


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第三話 早過ぎる分水嶺

 三ヶ日連続投稿しようとしたけど無理だったよハルトォォォォォッ!!

 カオ転掲示板の纏め見ながら書いてるけど、読み進めていけばいくほどこの主人公がヤバい事やってしまう事が分かって早まった感がヤバい件について…これバランス調整めっちゃ大事じゃねぇか(頭抱え)


 移動を終えて異界の麓である拠点に到着して組合員を紹介していったのだが、ガイア連合の佐倉さん(あの後移動中に聞いた、本名は『佐倉千代』との事)がうちの組合員見てドン引いていたり、その後大分口数が少なくになってしまったので取り敢えず拠点に連れて行くと、そこでは呆気に取られて百面相していた。

 

「あの、佐倉さん? …知識も碌に無い素人による日曜大工みたいな改造しか出来ていない拠点なんですが、そんな唖然とする位酷い有様だったんでしょうか?」

 

 確かに色々納得出来る様なモノでは無いとは言え、正直それを他所から来た人が見て呆気に取られるのは…うん、心にクルものがあるな…。

 

 なんて思っていたのだが、そんな俺に対して錆び付いた機械の様に此方を向いた佐倉さんは俺の考えとは真逆の答えを返してきた。

 

「いえ、すいませんが南雲さん…その認識は全くの逆なんです。寧ろ出来が良過ぎて驚いてるんですよ…」

「出来が良過ぎる…って、この『唯の掘立て小屋』から素人が『術式も碌に知らないで』、素材に付いても『異界から適当に回収してきたそれっぽいモノ』を、全体像すら碌に分からないまま『感覚頼り』で突っ込む様に改造していって、その結果積み上げた『子供の積み木みたいな出来』のこの拠点がですか? 一応良さげな素材が入り次第追加で補強とかはしてますけど…所詮は素人の行き当たりばったりですよ?」

「南雲さん…その台詞他所の霊能者の前で溢そうものなら呪われる事必須ですよ?」

「えぇ…」

 

 自分の力量不足を嘆いただけで呪われるとか何それ怖い…。

 

「良いですか南雲さん? 幾つか他の霊能組織を見てきた私が聞いた話と併せてこの拠点以上と言えそうな霊地ですが、はっきり言ってたったの三つだけなんです」

「…嘘だろ?」

「所がどっこいこれが現実です…一つ目は私達ガイア連合が拠点としている星霊神社、二つ目は東京の根願寺ですがこれは戦前のモノが受け継がれているだけのものであり、正直なんとも言えません…それで最後の一つが代々イタコ達が引き継いで管理している恐山ですが、ここも正直な所瀕死の状態と聞いています」

 

 ちょっと待て、じゃあなんだ…下手したらここまで酷い様な異界が全国各地にあって、そんな状態なのに俺が作った下手くそな日曜大工以下の拠点しかないと?

 

「あっ、もしかして人材や武器とか伝承が良いから何とか出来ているとか?」

「第二次世界大戦の際に霊能に長けた人物は根切りにされた上、各家に伝わる霊装どころか鍛錬法さえも根こそぎ強奪や焚書されたと聞いています」

「えっ!? じゃあ今残っている霊能組織って…」

「曰く『競馬で例えるのならば競走馬どころかロバ』…だそうです」

「」

 

 競馬が分からない俺でも分かる事がある…ロバではそもそも競馬では勝負の場所にすら立たないという事だ…。

 

「じゃ、じゃあ今まで他所の霊地ってどんな対応してたんですか?」

「幸いまだ弱いアクマしか出ない事もあって『何とか』対応出来ているといった感じですね」

「あぁ、何とか出来て…『何とか』?」

「…アクマのレベルが1〜3なんかか多いんですが、人間で例えればレベル1が覚醒者に相当し、レベルがあるのと無いのとでは隔絶した格の差が存在するんです」

 

 そこら辺は何となく分かる、レベル1の覚醒者にとってレベル0である非覚醒者の攻撃は碌に通りはしないし、マトモに害そうとするのならは拳銃でも持ってくる必要があるだろう…まぁ、それにしたって今の俺には普通の銃弾なんて殆ど通用する気はしないけど。

 

 いや、今はそんな自分の経験を振り返るよりも『何故今そんな話を持ち出したのか』という事の方が重要だ、俺の疑問に対して一切明るい雰囲気も無しにそんな話を持ち出すという事はつまり…。

 

「…ま、まさか?」

「えぇ、そのまさか…各地の霊能組織に現役でマトモなレベル持ちは殆ど居らず、いうなればレベル0.5どころか『非覚醒者が自分の事を霊能者だと思い込んでいる』という場合もザラにあります」

 

 残酷な事だった…

 

「嘘だろ…なんでまだ日本保ってるんだよ…」

「臭いモノに蓋をする様にロクデモナイ手段を取ったりしている場所も多いですが、覚悟がキマッている所ならば一族総出の特攻で異界の主を倒したり…」

 

 本当に…

 

「最悪の場合は【人柱】を用いた封印ですね…これにいたっても技術が足りない為にその場凌ぎにしかならない事も多いらしいですが…」

 

 残酷な事だった…。

 

「なんでだよ…なんでそんな簡単に命投げ出せるんだよ…俺達みたいに他所頼るとか、いや…したくてもそもそもドングリの背比べで出来ないのか…」

「そうですね、そしてそんな事を繰り返していれば当然の様にジリ貧になるので、何時かはアクマによって滅ぼされる事になります」

「は、ははっ…つまりあの日の俺みたいな目に遭ってる奴がこの世界には腐る程いて、なのにそいつらは力が無いのに使命感だけでその命を投げ出していると…」

「まぁ、敢えて酷い事を言えば彼等は強くなる方法すら知らないので、無駄死にしているともいえますね」

 

 佐倉さんが何とも言えない表情で追い討ちの様な事を言ってくるが、恐らくここの異界にすら手を焼いている俺に対して優先順位を決めて諦めろと言っているのだろう…でもまぁ。

 

「あの時読んだ漫画のキャラって…こんな気持ちだったのかねぇ…?」

「漫画…ですか? どんな作品なんです?」

 

 俺がふと、前世で読んだ漫画の事を呟くと、中々にサブカル好き(特に漫画)な佐倉さんが当然の様に乗ってきたので、前世についてバレない様にそれとなく教える事にした。

 

 …まぁ、詰まるところここが俺にとっての分水嶺だったのだろう。

 

「俺自身読んだのが十年以上も前だからうろ覚えだけど、大雑把に物語を説明するのならマジで何でもアリな現代異種格闘漫画だった筈ですね」

「ふむふむ…(修羅の刻シリーズみたいなヤツかな?)」

「大きな目標としては主人公の父親超えがあるのですが、中々にシリーズが続いているのに達成されてないんだったかな?」

「成る程…(なんかグラップラー刃牙みたいだな?)」

 

※因みに現在(1980年代)に於いて刃牙シリーズはまだ一話たりとも描かれておりません。

 

「で、そんな中一般人からしたら傍迷惑な富豪が『宮本武蔵』を現代に蘇らせて、警察相手に人斬り祭りを開催、その惨劇を見てある武術家がこう言ったんですよ…」

「………」

「『俺が守護(まも)らねばならぬ』…って」

「…南雲さん、一つ聞かせてもらっても宜しいでしょうか?」

「は、はい? 何でしょうか?」

 

 あれ、なんか佐倉さんの様子がおかしい様な…?

 

「その漫画の名前って『グラップラー刃牙』って言いませんか? 後その武術家の名前は『本部以蔵』って言いませんか?」

「…もう既に刃牙って刊行されてましたっけ?」

「一巻どころか一話たりとも存在していませんねぇ…」

「と、いう事は…」

「歓迎しましょう、盛大に!!(ヤケクソ)」

「ハッピーバースデー俺ェッ!!(同上)」

 

 まさかの同類かよぉ!!

 

「ならば正確に明かしましょう、私達ガイア連合…その色々な意味での正式名称は『転生者相互互助団体ガイア連合山梨支部』っていうんですが」

「前半分かるけどなんで『山梨支部』…?」

「…安価は絶対…安価は絶対だから…」

「…つまり掲示板かなんかで組織名決めたのか? 正気か?」

「…そもそもの発端が掲示板だったから仕方なし」

「マジかよ…」

 

 嘘だと言ってよバーニィ…なんか依頼出して良かったのか如何なのか分からんくなってきたぞ…。




 因みに今回名前が明かされた『佐倉千代』ちゃんは、元の掲示板の方でも登場している、簡易式神であるパラスちゃんの献身から蟲型沼にドハマリしちゃった後のガチ勢です、つまり主人公は将来強さ的に抜かされる事が確定しています…悲しいなぁ。

 …まぁ、主人公の資質と特殊スキルを考えれば絶対に戦闘系俺らには追いつかないんですけどね、後天的に覚悟ガンギマリになったのが悲劇というかなんというか…。

 多分戦闘やってる面子でタイマンの殴り合いと仮定するなら、勝てる相手なんて不動のやる夫ニキとか極稀にしか戦闘しない痛いの嫌いで精神的に弱いゆかりネキとか辺りじゃないかな?


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第四話 ガラパゴス的な発展

 仕事始まったら時間の経過が早く感じる今日この頃…書いてる途中に物が出る度に説明していて進行が宜しくない事に気がついたけれど、後回しにしたらネタ忘れそうになるから飛ばし難いというジレンマ…もっと書くのを上手くなりたいですな…。

 それと唐突に申し訳ないのですが、主人公の名前と見た目を変更しました…名前は『南雲 一(なぐも はじめ)』で見た目は『ありふれた職業で世界最強』の彼を奈落落ち前の見た目のまま奈落落ち後の雰囲気と所々に白髪でイメージして頂ければ大体それです、目の前で母親食い殺されたガチ勢だからね、仕方ないね。

 一応見た目を変えた理由としては、まとめ見ていた際に地方の鍛治氏やってる【俺ら】にエミヤが居る事が発覚したのでネタ被りは宜しくないと考えて変更しました…後は資質から考えた連想ゲームが元ですかね、下手すれば元のキャラよりも合ってるかもしれないというやるせなさよ…。


 あの後色々グダグダになってはいたが、なんとか平静を取り戻した俺達は取り敢えず依頼の内容通りに現場調査というか異界の状況確認の為にチームを組み、異界へと潜ることになったのだが、その際にもまたしても今度は俺が原因で一騒動起きる事になってしまった。

 

「あの…先程準備していたアイテムは一体何処へ…?」

「あぁ、この『収納バッグ』に仕舞ってあるぞ?」

「え? いやこれ如何見たって唯の…とは言い難いですけど市販されてる様なポーチですよね? その中にさっき机に置かれてた予備の武器とかアイテムが入ってるんですか? 物理法則バグってません?」

「まぁ、内部空間の弄って誤魔化してるからな、元の奴でも容量的にはざっと佐倉さんが背負ってるそのリュック位の量なら三つ程入るんじゃないか?」

 

 そう言いながら分かり易い様にポーチから予備の武器(概念付与した鉈)を取り出すと、佐倉さんは漫画みたいにポカンと大口を開けてしまった…前世分合わせないでおくが女の子がやって良い顔じゃないぞ…。

 

「つまりそのポーチって、ゲームなんかでよく見る『魔法の袋』って事ですか?」

「寧ろその概念を適用して作られている感じだな…下手にこんな物(如何見ても使い込まれている鉈)を持ってたらお巡りさんに手錠を掛けられかねないし…因みに外から確認される時用にフェイクとして小物を入れておく事も出来るぞ」

 

 概念で拡張されている都合上、取り出したい物をちゃんと認識していないとそれは『そこには無い』って事になるからね、一応所有者以外にも製作者特権として俺は認識出来る様にしてあるけど、流石に他人のプライバシーを何の用も無いのに見るつもりは無いから今まで一度も確認した事無いけどな。

 

 因みに俺がフェイクとして入れているのはいざという時の為に霊薬で作った手作りカロリーバーである、尚ある程度味には拘って作ったのでそこそこ満足な出来ではある…が、その分回復量的には元の霊薬の七割程度しかないけどな!!(オイ)

 

 説明の傍らそんな事を考えていたらいつの間にか佐倉さんが静かになっていたので、如何したのかと思って見てみるとなんか魂でも抜けていそうな顔をしていた…これ俺またなんかやらかしたパターンだな?(名推理)

 

「…今度は俺何やらかした?」

「…現在ガイア連合では装備の輸送、特に武器の輸送について頭を悩ませている…と言えば理解していただけますでしょうか?」ニッコリ

「…コレが有れば一発で解決だな、手土産として幾つか持って行くか…てかその微笑みはなんか怖いからやめてくれ」

 

 浅田の爺様達が報酬何にするか決めかねてるけど、これ俺がガイア連合入って技術提供すればお釣りが来るレベルなのでは?

 

 そんな皮算用をしながらもこのままでは佐倉さんの荷物の量が多くなり過ぎかねない為、組員共用ボックスから予備の収納バッグを取り出して渡しておく。

 

「それじゃあ取り敢えず佐倉さん用にこれを渡しておくから、そのベルトを留めて本人認証やっといてくれないか?」

「本人認証…またとんでもない事しているみたいですけど、それって如何やってるの?」

「登録した相手の魔力みたいなのを記録させるだけの簡単な内容だけど? 因みに同じ様な術式はこの組員共用ボックスにも掛けてあるけど、こっちのは更に『舌切り雀』に出て来る『大きなつづらと小さなつづら』の概念から作った『つづらシステム』を付与して盗難防止対策もやってあるな」

 

 まぁ、こんな田舎の山奥にコソ泥する様な奴は今まで一人たりとも居なかったから、これについては実際の効果の程は不明なんだけどな。

 

「防犯対策もしてあるんですか…因みに術式の発動基準と効果の方は如何なっているんですか?」

「緊急時の事も考えて発動基準は悪意の有無だな、悪意を持って盗もうとした奴が『箱』に触れると、まずはこんな風に…警告が表示される」

 

 デモンストレーションの為に整備モードへと切り替えて警告を表示させると、雀が翼で丸を描きながら箱を囲い込んでいる様な警告マークが浮かび出た。

 

「盗もうとする相手に警告出しちゃうんですか?」

「一応気の迷い程度ならこれでやめてくれるかもしれないしな、モチーフにした概念からして良心の呵責があればあんなオチは無かった訳だし、そこら辺利用して概念補強してる感じだ」

「成る程、じゃあそれでも無視して盗もうとした相手の末路って…」

「収納バッグなら物を入れれば入れる程手元には無い財産が消えていくし、武器を取ろうものなら簡単に壊れる上に必中効果付きで自分に飛んでくる」

「何それエグい」

「因み収納バッグに入れた物は少ししてから消滅する様になるな」

「追撃が地味過ぎる上に嫌過ぎる」

 

 尚手元にない財産が無くなればそれ以降は身包みを剥がされる事になるので、マジで強欲は身を滅ぼすという典型例となる。

 

「さて、なんか色々と説明してばかりになったけど、そろそろ異界の方に行くとしますか…異界内部に幾つか拠点は作ってあるけど、突っ切るだけでも一日仕事だからなぁ…」

「え゛? そんなに広い異界なんですか?」

「あれ、言ってなかったっけ? うちの異界って一層毎にシンプルに円錐状の山の形をしてて山頂に次の層へ続く空間の歪みがあるんだが、頂上目指して真っ直ぐ登るだけでも日が暮れる位デカいぞ…まぁ、だからこそスタンピードする迄猶予があるとも言えるんだが、定期的に間引こうとしても広過ぎるからメンバーによっちゃあ平気で数日潰れるんだよなぁ…」

 

 結果貯まるのは概念補強によく使う事になるよく分からん金属であるが、これ使っても市販のポーチや鉈は概念的な容量が少ないのか強化上限低めなんだよな…体感的に市販の物はレア度で言えばノーマルだから、三回程度しか強化出来ないみたいな感じ。

 

 製鉄や製造出来る場所なんてウチにはないから如何足掻いても雑魚装備のままというね…一応小物は一から出来るからそれなりに良い出来…大体レア程度か? は出来るんだが、作り手の俺がちゃんとした知識が無いから凄い微妙な効果になるんだよな…。

 

 正直局所的にしか効果のない小物よりも、近所から譲ってもらった機織り機で布から造り上げた防御力強化(物理・魔法両面に効果有り)した作務衣の方がめちゃくちゃ有用だったりするからな、バケモノに噛み付かれても穴一つ空かない布ってなんだよ…。

 

「あの…私普通の登山装備しか持ってきてないんですが…」

「あぁ、戦闘面に関しては組合でサポートするから、佐倉さんは解析と足滑らせたりしない様に気を付けてくれ」

「あっ、そうか…他所と違って皆さんちゃんと戦えるから周りの事任せても大丈夫なんでしたね」

 

 他所の霊能組織ェ…。

 

「本当に日本の未来が心配で仕方なくなってきたぞ…まぁ、そんな訳でうちの感知系やってる細見さんが敵の居場所をサーチするから、佐倉さんは見つけたヤツの詳細確認、宜しくな」

「ちゃんとそこら辺の役割分担は出来てるんですね…」

「霊能関係で知識が無いから手探りでやってるだけであって、ぶっちゃけ戦闘に関しての役割分担なんて各々が出来る事をゲームの似た様なジョブに割り当てたら、大体どんな風に動けば良いのか分かるしな」

 

 まぁ、正直そこら辺の感覚を説明するのが一番面倒だったまである位だし…ヘイト管理とかバックアタック防止とか射線確保しながら誤射しない為のドクトリンとか確立するのにどれだけ時間が掛かったか…。

 

「おーい、こっちの準備はもう完了したぞー?」

「おっと安住さん達を待たせてたか、すいません今向かいます…それじゃあ行くするか、佐倉さんは集団の真ん中位に居れば良いから」

「あ、はい分かりました…そういえば南雲さんのポジションって何処になるんですか?」

「俺? 俺は前衛と中衛を行ったり来たりだな。今にして思い返せば転生者だからだろうけど、皆より能力は高いからゴリ押し出来るし、道具での支援も皆が使うよりも製作者である俺の方が効率的に使えるからな…よし、準備完了! それじゃあ気を付けて行きましょうか」

「はい、分かりました!」

 

 

 

※暫くして戦闘中にて

 

 

 

「死に晒せクソゴミがァッ!!」

「何あれ怖い…」




 尚、武器は銃ではなく両手に一本ずつ持っている鉈である模様…返り血やら自身の負傷とかが加わると猟奇度爆上がりですわ。

 取り敢えず主人公の近接に於ける戦闘スタイルは負傷を最低限に抑えて突っ込むガンギマリ戦法ですが、ちゃんと仲間の事も考えて一撃離脱を心掛けている感じではありますね…諸事情により他の近接系がやった方が上手くいく事の方が多いという哀しみを背負っていますが…。


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第五話 二日経過

 戦闘についてはカット…というか現状レベル15の集団がレベル5と10の奴等をワンパン虐殺しまくっているだけなので描写する意味が無いというか何というか…。

 因みに真っ先に突っ込んでいるのは主人公ですが、ガンギマリ勢なので戦闘に対する適正はあるけども、根本的な理由から戦闘適正自体は大分低い方だったりします…戦闘巧者で色々ヤバい奴ではあるけれどそこら辺で自分自身の足を引っ張っているのでそれ程強くなかったりしており、色々盛ってあるようでもその分削られている所はあるんです。


※ブナ林異界第二層から三層へ続く直前の休息地にて…

 

「あ〜、やっぱり二層のバケモノ…じゃなくてアクマだったか? それらのレベルは10との事だったな…まさか多少のバラツキすらなく統一されていたのは驚いたが…」

「まぁ、レベル15の私達の一撃で滅せられるのならばこの程度が妥当な塩梅じゃないんですかねぇ〜?」

「しかしいよいよ明日は三層ですなぁ…一君の想定通りならば私達と同じレベル15相当の相手だらけ、死なない程度に気張って行きましょうという事で乾杯!!」

『『『かんぱ〜い!!』』』

「か、乾杯…」

 

 拠点の広間に今回の異界調査に来ている組員+佐倉さんが各々飲み物片手に明日の三層探索に向けて英気を養う為に軽い宴会を開いていた、尚先程交わした乾杯の回数は四回目であり、完全に出来上がっている状態である。

 

 普段は結界などによって安全地帯であるとはいえ死地には違いないという事で酒については程々に…という事になっているが、今回に関しては数名のハンドルキーパーというか警戒係以外の酒好き全員が大いに飲んでいる。

 

「なんか…すまんな、普段は精々ほろ酔い程度だったのに、安全が確認された途端にこんな事になっちまって…」

「まぁ、今までよく分からない相手に押さえ付けられていた反動だと思えば、まだ大人しい方なんじゃないですかね?」

 

 というのも今回同行してくれているガイア連合の佐倉さんによって『ディスポイズン』を筆頭に幾つかの回復アイテムの成分を理解する事が出来、その結果素材自体はこの異界でも普通にそこらに自生していた為、調査の傍ら暇だった後衛によって採取されていたらしいそれらを拠点に着くなり俺に押し付け、結果酔っても即回復して明日に備える事が出来るからと羽目外してこうして呑みまくっているのである。

 

 因みに覚醒してレベルが上がっていくと普通なら酔い難くなるのだが、そこら辺は俺が一手間加えたコップ等を使っているので覚醒者でもちゃんと酔う事が出来る仕様となっている。

 

 …俺自身酒は呑まないのだが、日頃から命を張ってアクマ連中と切った貼ったをしていれば不幸な事故だって起きたりする為、そんな時に気分を紛らわせる手段に酒で酔って嫌な事は全部吐き出してしまう事にしているのだ。

 

「それにしても皆さんこんなに酔って大丈夫なんでしょうか?」

「少なくとも絡み酒とかされる心配は無いから安心しても良いぞ」

「それは皆さんの酒癖は悪くないという事ですか? まだアルハラとか普通にある時代なのにマナーしっかりしてるんですね」

「いや、絡み酒してきた時に暫くの間術式封印して強制禁酒状態にしてやった事が何回かあったからだな(怒)」

「まさかの調教結果でしたか…」

 

 だる絡みしてきた上に頭からゲロぶちまけられた時は、良く暴力を我慢出来たもんだったよ…当時はレベル差ある状態だったから下手にぶん殴っただけで殺しかねないから我慢した訳だけど…。

 

「ははっ、あの時の上田さんは覚醒して以降まともに酔えなくなってたらしいからね、久しぶりの酩酊で色々箍が外れていたんだろうさ…今の所外の結界なんかは問題無さそうだよ」

「あ、糸井さんお疲れ様です…いや、それでも善意の結果ゲロぶっ掛けられるとか誰だってキレますよ…」

「うわ…それはなんというかご愁傷様です」

 

 斥候能力が高い糸井さんが戻って来て報告してくれたけど、これ本来なら拠点の整備って俺の役割だったんだけどな…また暫く禁酒期間でも設けてやろうか…。

 

「やあ佐倉さん、ウチの組合は他所とは大分違うみたいだけど何か問題になっていたりはしないかな?」

「あはは…寧ろ今まで異界の探索はパラスちゃんや他の式神ちゃんとだけで実質一人だったので、こんなに頼もしい人達と一緒に異界探索するのは逆に新鮮な気分ですね」

「あっ、そうだそうだ、その式神っていうのは一体何が出来るんだ? なんか色々出来るみたいな事言ってたけど、戦場で気を抜くなんて出来ないから後回しにしていたから今の内に知っておきたいんだが」

 

 特に問題が無かった為昨日から忘れていた事を聞いてみると、何故か佐倉さんは此方を見ながら頬を引き攣らせてしまったのだが、次の言葉は思わず目を逸らしてしまう内容だった。

 

「あ〜…別に良いですが…戦場で気を抜かないっていうのは…あの振る舞いの事、ですよね?」

「はは…まぁ、一君は何時もの如くエゲツない殺意振り撒きながら暴れ回っていたからねぇ…やっぱり初めて見る人は驚くよねぇ…」

「」←冷や汗&目逸らし

 

 いやでも憎い相手に対して怒りが湧くのは普通だよな?

 

 そんな感じで少しばかり気不味い雰囲気となっていたが、そんな雰囲気も佐倉さんの式神を見せてもらうと一瞬で吹き飛んだ。

 

「うおすっげ…なんだこれマジで天才の所業かよ…」

「一君、その式神ってそんなに凄いモノなのかい? 知識の無い僕から見たらマスコットの様にしか見えないんだけど…」

「分かる人が見たら腰抜かすんじゃないですかね? 俺初めて日本刀の事を芸術品だって言う人の気持ちが分かりました、これはもう芸術と言っても過言じゃないっす」

「ふふーん(ドヤァ」

 

 佐倉さん曰く一番思い入れがあるという式神の『パラス』を見せて貰ったのだが、正直な所今の自分とは隔絶した実力差をヒシヒシと感じさせる、そんな素晴らしい出来だった。

 

 …そしてまぁ、そんな素人の目から見ても素晴らしいと言えるが故に、逆に言えてしまう事もある訳で…。

 

「所で佐倉さん、一つ質問良いだろうか?」

「あれ? なんだろうこの嫌な予感は…」

「このパラスを前回メンテナンスしてから変な所に寄っていたらしていたりしませんでしたか?」

「うん? 何の事? 別に前回のメンテナンスからここに来るまでに寄った場所なんて、パラスちゃんの健康祈願のために諏訪大社に寄った位しかないけれど?」

 

 …うん、明らかにそれが原因だろうな。

 

「えっとですね…大変言い難い事なんですが、現在パラスの内面を一つの家だと表現しましょう、庭付きの大変手の込んでいる誰が見ても立派だと言える様な邸宅です…想像出来ましたか?」

「う〜ん? …うん、出来たよ?」

「それじゃあその邸宅の庭に運び込まれるモノをパラスが経験した出来事や、他所から付与された加護なんかだとします、これらは強化の為に邸宅に運び込まれて飾られたり増築の材料に使われる事で最適化される事になります」

「ふむふむ、成る程分かったわ」

「そんな資材の中に違う意味で『御立派』な銅像がデカデカ置いてあるのが今のパラスの内面です」

「」

 

 空気が凍ったがまぁ致し方なし、取り敢えず次回のメンテナンスの際には慎重にやってもらう事を進言しておく。

 

「多分諏訪大社に寄った事によってミシャクジサマだったっけか? そこら辺から加護を貰ったんだろうけど、正直パラスにそんな加護要るのか? って気はするが、もしも捨てないのならメンテナンスは慎重にしておいた方が良いと思うぞ?」

「えっと…無くす方には…」

「以降諏訪大社の神様関連に白い目向けられ続ける勇気があるならどうぞ。一応フォローしておくけどそんな悪いモノでもないとは思うぞ? やるかどうかは置いといてマッサージとか覚えさせたらリンパマッサージとか滅茶苦茶上手くヤレるかもしれない訳だし」

 

 エロい事って基本気持ちいい事だしね、マッサージしている最中は兎も角終わった後のリラックス効果はかなり大きいんじゃないかな?

 

 尚、この後暫く佐倉さんが悶えてしまっていたが、その間に他の式神等を見せてもらっていると、ふととあるスキルが目に映った。

 

「うん? なんだこのスキル…『トラエスト』? …ほーん?」




 インフォメーション:ヤバい奴が見つけちゃいけないスキルを発見しました、異界攻略難易度が減少します。

 因みに主人公が得意な分野は『改造及び改良』であり、実物でも設計図でも良いので取り敢えず元になるモノがあり理解している事が前提であり、霊薬料理については元になる霊薬の素材を食べやすく美味しい食材にする為に改造するだけで実際に料理を作るのは他の人任せであり、前例が無い物を一から物を作るのにはかなり時間や手間が掛かる事になります(戦闘用作務衣が代表例)

 …まぁ、つまりは一度理解したら後は早いというか、そっからはリソースの許す限りひたすらに改良及び改造しまくってジオンのMSみたいにアホ程種類が増えまくりかねないんですけどね…。

 それだけにブーストスキルの存在が存在感を放つ訳でして…まぁ、そういう事です。


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第六話 続・異界案内

 書ける間に書いとけの精神、鉄は熱いうちに打てって事ですね。

 因みに感想で書かれていましたが、主人公のスキルって実際戦闘関係ではそこまででは無かったりしますね、言っちゃえばレベルが上げ易くなるだけでそのレベルを上げるかどうかは当人の努力次第ですし。

 一応星霊神社で神主にネタバレさせてからキャラ紹介を書くつもりなので、恐らく二話か三話後位になら予定です…結構掛かったなぁ…。


 翌朝、ディスポイズンのお陰で昨夜の宴会なんか知った事かと言わんばかりに元気な組合員達を一旦集めて、昨夜の成果を発表する事にした。

 

 因みに昨夜俺の思い付きに付き合ってくれた糸井さんと佐倉さんは既に遠い目をしていた…俺もそうだけど今回の発明については今までの労力はなんだったんだよ…という気分になった訳だし。

 

「はい、そんな訳で昨夜の内に佐倉さんの式神見て設計及び開発出来ちゃった発明品の発表したいと思いまーす」

「あ〜…南雲の倅がまた遠い目してるって事は…またなんかとんでもないモノ作り上げたな?」

「しかもこんな時に発表するって事はかなり実用性が高いヤツだよな…」

「エンチャントスタンプみたいなお手軽高性能の例もありますからねぇ…」

「しかも糸井さんの雰囲気もアレな所を見るに、既に効果の程は確証済みって事なんでしょうね…」

 

 憂鬱な俺の態度に集められた組合員達は全員察して何とも言えない雰囲気に、勘の良い人は嫌いじゃないよ。

 

 そんな訳で集めた皆を発明品がセットしてある倉庫へと連れて行く。

 

「という訳で此方の倉庫に増設しました赤い鳥居と青い鳥居、此方同じ階層に存在している各拠点へと繋がるポータルと成っています。赤い鳥居の手前に設置してある装置に行き先を設定してから魔石を投入する事で行き先の青い鳥居と空間が十秒間繋がる様になっているので、これにより異界の探索が超効率化される事となりました、はい拍手〜…」

『うわぁ…』パチ…パチ…パチ…

 

 尚原理はトラエストの『ダンジョンを脱出する』という術式の仕組みを分析した事で『場所を限定した事で脱出先を指定する』という事を可能にしただけという、そこまで難しい内容ではなかったりする…。

 

 まぁ、これを新しい場所に設定しようとするのなら、その場所の安全を確保したり地脈を繋げておく必要がある訳だが、そこら辺はそもそも異界の拠点を作る際に安全確保の為に結界の作製を行っており、地脈の接続についても電線気分で各拠点同士接続してあるので、もう後は新しく鳥居と装置を設置するだけだったのだ。

 

「一応安全対策として何処か一箇所でも使われていたら他の場所は使えない様にしてあったり、鳥居を開いて通過する際にちんたらしていても三十秒は通過するまでの猶予が発生するから安心してくれ。因みに三十秒過ぎても鳥居との間にある様な奴は強制的に行き先側へと排出されるからそこんとこ宜しく」

 

 因みに排出される場合は結構勢い良く吹っ飛ばされるので、下手したら怪我する事請け合いである。

 

「それじゃあ何かこれについて質問とかあるか?」

「取り敢えず強欲かもだけど、無料じゃなくて魔石が必要な理由はなんなんだ?」

「起動させるのに呼び水になる魔力反応が欲しかったんだけど、切っ掛けを固定しておかないと近くで魔力的な反応が起きるだけで起動しちゃう様なガバガバセンサーになっちゃうからです」

「魔石が無い場合はヤバくないか?」

「あー…適当に手持ちの中で使えそうで反応が良かったモノで作っただけだから確かに勿体ないな…それじゃあ後で使い回し可能な自然チャージ式のカードキーでも作っておきますわ。一応魔石式の方も使えるアイテムの種類は増やした上の機能は残しておくんで、カードキーの方がチャージしきれてなかったら待つか諦めて魔石使って下さい」

 

 因みにこんな感じのディスカッションは俺が新しい開発をした際に毎回行われていたりする。前に移動能力向上させる為に『力を込めて地面を踏むことにより、込めた力に比例して反発力を発生させ高速移動出来る靴』を作って、結果として『戦闘中に敵の攻撃をガードした際、踏ん張った力に靴が誤作動して敵を巻き込んですっ飛んだ』という敵も味方も目が点になるような珍事が起きた事があったので、それ以降から続く大事なルーチンなのである。

 

 …いや本当にあの珍事は良い教訓になったわ、すっとんだ後に俺一人で他のアクマの群れに遭遇しちまって、多勢に無勢だったからクソ苛立つけれど撤退する羽目になった訳だし…。

 

「それじゃあそんな訳で夜の内に現状作ってある各拠点全てにポータルの開設は出来ているので、各々常に二、三個は魔石を保持して探索する様にしましょう、以上で今回のディスカッションを終わりとします…よし、それじゃあ遂に三層のアクマ共の調査をしていきますか」

 

 俺がそういうが早いか即座に気持ちを切り替える組合員達と、そんな俺達についていけずに少しばかりビクつく佐倉さん…そしてそんな佐倉さんの様子に和んでしまう俺達組合…基本俺達ガンギマリな上に俺以外オッサンオバサンどころかジジババに片足突っ込んでいる面子ばかりだからね、可愛い子が居たら構いたがるのは仕方ないよね。

 

 そんな訳でいつもよりは和やかな雰囲気ではあるが…

 

「アナライズ完了、対象は【夜魔】モコイでレベルは全員15、電撃に耐性があり衝撃が弱点です!」

「了解、という訳で早速死ね」つ衝撃の小秘石ポポポーイ

『ウゲゲェッ!?』WEAK!!

「総攻撃チャーンス!! オラ死ねぇっ!!」

 

 アクマ死すべし慈悲はない、ガンギマリだからね、仕方ないね。

 

「メガテンの異界なのにペルソナしてる…」

「おん? 佐倉の嬢ちゃんどうかしたかい?」

「い、いえいえ何でもないです、ないんですハイ…」

 

 こんな感じでアクマ登場→アナライズで弱点察知→アイテムやスキルなんかで弱点突いてからのフルボッコが基本の流れとなっており、ダメージ的な消耗はあまり無いという順調な攻略をしているのであった。

 

 因みに俺は特技というか何というかでアイテムの扱いが上手い為、同時に複数のアクマが出て来ても弱点を突くのは容易だったらするのだが、こんな米帝戦法してたら速攻で物資が尽きる為、出来る限り温存しろというのが組合員達からの有難い御言葉である…。

 

「さて、それじゃあアイツが件の中ボスなんだが…」

「此方には気がついている様ですが襲ってきませんね…アナライズ完了、対象は【妖鬼】オニでレベルは…25? えっと、物理耐性で雷と破魔が弱点です」

「アイツ一定の範囲から出て来ないけど、その範囲外から攻撃しようとしてもバリアみたいなのがあって攻撃出来ないんだよな…それにしても中ボスというには周りに比べて高過ぎじゃね? てかなんか言い淀んでいたけれど、なんか問題でもあったのか?」

 

 因みに範囲としてはアイツの三歩で攻撃出来る程の狭い圏内なので余裕のクソゲー待った無しである…お前星熊童子でも何でもないただのモブオニだろうがクソッタレ。

 

「いえ、先程のモコイもそうだったのですが、他所で戦う時と比べて微妙にレベルが違うというか…それ以外にも何故か全体のレベルが整っている事や、それなのに出て来るアクマの種族がバラバラ過ぎるというか…なんかこう違和感があるんですよ…」

「なにかそうなる『原因』があるって事か…そう言われれば確かにこの山についてもコピペしたのかってくらい他の層と同じ形状な上に地脈まで同じだったし、もしかしてこの異界…人為的に作られたヤツなのか?」

 

 マジでそうならブッコロ案件なんだけど、そういう風に見ようとしてもやけに整い過ぎている様な…?

 

「取り敢えず当初の目的は達成出来たので一度戻って本部へと連絡させてもらいますね」

「それでは此方も駅まで送らせてもらいます、調査の程有難うございました」

「いえいえ、此方もこんな短期間にかなり強くしてもらえたのでとても助かりましたよ、具体的には5レベル程一気に上がりましたし!! …まぁ、新しいスキルは覚えませんでしたが」

 

 どうやら佐倉さんはたった数日の異界探索でも複数回レベルが上がったらしい…話には聞いていたのだが、矢張り転生者はそこら辺の素養がかなり高いのだろうか?

 

「かなり上がったなぁ…まぁ、スキルとかについては落ち着いた頃に改めて覚えるんじゃないのか? ウチの組合員も最初以外皆レベルアップとスキル習得のタイミングは別だったし」

「…ちょっとそれどういう事なんでしょうか?」

「…あるぇ?」(・3・)

 

 これまたなんか変な事になってるパターンだな?




 増えるガイア連合への手土産&ちょこちょこ出される才能の片鱗。

 取り敢えず現在判明している主人公の謎スキルについて。
《メリット》
・パーティーメンバーのレベル上限が主人公の現在レベルと同じになり、レベルアップまでの速度はスキル習得前の俺ら(=転生者)と同じ位の速度が加算される。
・同じ転生者にも効果は有り、何なら素のレベルアップまでの速度が倍になったと見ても良い位。
《デメリット》
・主人公自身の経験値獲得量が超絶ダウン。
・何やらスキル習得がレベルアップと同時ではなく遅くなってしまう模様。

 一応これら全部一つのスキルの影響なんですが、このスキルは大分面倒臭い事をしてくれているとだけ言っときます…いやまぁ、自分が途中で生やしたり調整したりした結果もあるんですが、それでもコイツ本当に面倒臭いな(オイ)

 後感想くれたら作者が喜びます(ボソッ


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第七話 地元からの旅立ち

 今回で取り敢えずガイア連合へと合流出来たけど…もうちょい細かく描写するべきなんだろうか? でもカオ転といえば星霊神社でショタオジと合流してからがメインな気もするからそれ以外の描写するのもあれなので…。

 …まぁ、これからの展開について一番問題になるのは、元ネタの修羅勢とかトップ陣のニキネキ達がどれ位居て、どんなキャラなのかといった描写が少ないって事ですかね…富豪俺達のギルニキとかペルソナ使いの承太郎ニキの活躍がまとめサイトには少ないんですよね…正直描写少なくなりそうで今から戦々恐々しております…(震え声)


 佐倉さんが報告に戻ってから数日後…今我等が『ブナ林保全組合』が管理している異界の六層入り口拠点(四層と五層にはボスが居なかったので、護衛してもらいながら其々入り口と出口に拠点は作っておいた)で俺はある意味窮地に追いやられていた…。

 

 と、言っても別に危険が迫っているという訳でもないのだが、それならなんで窮地に追いやられているかだって? そんなの…

 

「そ、それじゃあウチの異界について、宜しくお願いします」

「おう、ウチの神主に挨拶しに行く前に四層から六層まで入り口と出口の拠点をそれぞれ作ってくれたんだ、しっかり攻略の方は進めておいてやるよ」←スカーフェイスのどう見てもカタギじゃない大男

「適時三層以下の間引きもしておくから安心してくれ」←まるで鴉を彷彿させる様な格好に深淵の様に濁った目をした不吉な雰囲気の男

(頼もしいけれど圧がヤバいぞ!? 上位勢ってどんだけヤバい集まりなんだよ!?)

 

 ガイア連合の上位勢である霊視ニキと狩人ニキが目の前で滅茶苦茶気炎上げてヤル気(誤字にあらず)に満ち溢れているからだよ!! てか既に攻略に出向いている面子も居るけど本当に行動が早いな!?

 

 兎に角戦意というかオーラみたいなのがマジでヤバい、やる気に満ち過ぎてこの四層に到達する前の三層のボスなんて寧ろ哀れになる様な片付けられ方(自慢の力を真正面から抑えられている間に内臓根刮ぎ抉られて終わり)をしていたので、興味本位で見に来た組合員は全員宇宙猫状態である。

 

「所であの…どうしてそんなに戦意が溢れているのか聞かせてもらっても?」

「うん? あぁすまない…実はこの異界攻略の依頼は俺達のトップであるジョタおじから直々に頼まれていてな、何やら占術の結果で有用そうなモノがあると出たから回収か調査に向かってほしいと言われているんだ」

「有用そうなモノ…ですか? それはつまりこの異界の特異性に関わるモノという事ですかね?」

「恐らくな、そして話を聞いてみればここは鍛錬に最適な場所であるとも聞くし、何より依頼の報酬としてガイア連合内での優先権が報酬として出されているのだ、これは受けなければ損というものよ」

 

 どうやら以前の調査結果から連合内で本腰を入れて調べてみた所、この異界がかなり有用な事が分かって本格的に攻略する事になったのだというが、こう聞くと本当に前世で微妙に聞き齧ったガイア連合らしいノリ何だなと実感する。

 

「まぁ、でもそれだけじゃなくて事前に掲示板の方で虫姫ネキが散々境遇の良さや収納袋を自慢していたからな…その怒りでヤル気もアップするし、実際に来て現物をタダで貰えたとあれば意欲も増すというものよ」

「うむ、これは本当に良いモノだ…俺なんてこの装備と武器だからな、移動中は鞄に仕舞っているとはいえ、何度職質で中身を見られかけた事か…まぁ、そんな悩みもこのポーチがあれば今後気にしなくて済むのは素晴らしいの一言だ」

 

 そういってそれぞれ腰に巻いてあるポーチを見遣る二人なのだが…二人ともの格好(スーツとコート)に市販のポーチが致命的に合ってなくて何にも言えねぇ…(チベスナ顔)

 

 しかし佐倉さんが報告に戻る際に色々自慢しても良いかと聞いてきていたのだが、それがこんな効果を齎すとは…やっぱり利便性って大事なんだな。

 

「まぁ、流石にタダで物資の融通するのは今回だけですけどね? こんな事何度もやってたら金も物も足りなくなるし、謂わば今回のコレはウチの異界攻略に真っ先に乗り出してくれた人限定とかそんなノリで渡しているだけですし」

「そう聞くとマジで幸運だったな、依頼渡してくれたジョタおじに感謝だぜ」

「それじゃあそろそろ時間も押してるから、後の事はお願いします」

「任せろ」

 

 頼もし過ぎる戦力に後を任せてから異界を出て、他の組合員に声を掛けてから荷物を取りに家へと向かうと、家では居間で父さんが母さんの遺影の前で何か考え込んでいるようだった。

 

「あれ? なんかあったのか?」

「あぁハジメか…いやなに、ずっと地元で育って来たお前が初めて他所に行く事になったのを母さんに報告してたんだよ」

「いや今までだって修学旅行なんかで東京とか行ったりしてたじゃん、それに俺の家はここなんだし暫くしたら普通に帰って来るつもりなんだけど?」

 

 なんか父さんが妙な事を言い出した…いや確かに今回ガイア連合へ出向くのは地方の霊能組織へ何か助力出来ないか探す為に行くつもりだから暫く外に出ているつもりだけど、そんな何年も地元から離れるつもりは無いんだが?

 

「いや何…母さんがいなくなってからあの異界を攻略する事ばかりを考えていたハジメが自分から他所に行きたいというのを見て、今までずっと我慢させてしまっていたんじゃないかと思ってね」

「俺が我慢してた事なんてあのクソ異界を速攻でぶっ壊してやりたいって思ってた事位だぜ? 力が無かったから歯噛みしながら堪えてた訳だけど」

「ははは、本当に血の気が多いなぁ…でも、こうやって自分の意思で外に向かうのを見送る事になるとこう…感慨深いモノを感じるよ」

 

 そういう父さんは肩の荷が降りた様な穏やかな表情をしており、いつの間にか俺は今生の父親にそんなに心配を掛けていたのかと驚いた。

 

「…じゃあさ、今度帰って来た時…二人で晩酌でもしようぜ」

「おや、ハジメはお酒が苦手じゃなかったっけ?」

「唯の呑まず嫌いだから分かんない、下戸かもしれないし下手したら笊かもしんない…取り敢えずガイア連合に行ってる間に適当な人から飲み方教えてもらってみるよ」

「それは…うん、楽しみだなぁ…」

 

 そう言って朗らかに笑う父さんを見てから時計を見ると、そろそろ良い感じの時間となっていたので家を出る事にする。

 

「それじゃあそろそろ俺は行くから、身体壊したりしないよう気を付けなよ?」

「異界についてもある程度解決したし、そうなるとやりたい事も出来る様になるからね、ボチボチやっていく事にするよ」

「それじゃあ、行ってきます!」

「ああ、いってらっしゃい」

 

 

 

 父さんと約束を交わした後、遠路はるばる電車を乗り継ぎ山梨へと向かい、道案内として待ち合わせしていたガイア連合の修行僧達(価値観【俺ら】だからなのか坊主じゃないのもいてちょっとビックリした)と合流した後、ついでという事で俺も荷物を担いで山を登る事に。

 

 そして俺は俺の資質とスキルについてまだ認識が甘かった様だった…。

 

「うおっ!? こ、これが覚醒ってヤツなのか!?」

「見える…私にも見えるぞ!!」

「俺、開眼!!」

 

 何故か揃って覚醒した【俺ら】を尻目に、俺自身は別方向に困惑していた。

 

「えぇ…」

「おいアンタ…ソレって…」

「側に立つその幻影…正に幽波紋(スタンド)』!!

「いや、メガテンの世界なんだからペルソナだろ」

 

 星霊神社に到着したら何故かペルソナに覚醒していた件について…どうしてこうなった?

 

「いやマジでどうしてこうなった?」

「それについては僕の方から説明させてもらおうか」

 

 唯の独り言だったのだが、そんな疑問はいつの間にか目の前に現れていた人物から返事が来た。

 

「あ、ショタおじちーッス!! そんな事より俺も覚醒したんだから専用式神プリーズ!!」

「あ、俺も俺も!! 俺も嫁式神ちゃん欲しい!!」

「いやいや、ここはこの中で一番長く修行やってる俺からだな…」

「はいはい、分かってるから順番が来るまで待っててねー…というか、君なんでそんな資質と真っ反対に頑張っちゃってるの?」

「なんでさ…?」

 

 いや、俺なんかやったのか?




 次回ショタおじによる主人公のペルソナと能力の解説回となります、今回案内として同行していた修行勢俺らは幸運とだけ言っておきますね。

 というか感想でタッカーになる事になるとは思わなんだ…読者さんが鋭いのか自分の張った伏線がショボ過ぎただけなのか…?

 後関係無いけどネタ使いまくれるからモブ転生者達使い易いな…? まぁ、使い過ぎても持ちネタの少なさが露呈するだけな気がするから自重はしますが。


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第八話 スキルに関するアレやコレや

 そんな訳で漸く出せたスキル解説回…めっちゃやりたかったのに説明出来ない時間が続くのって結構ストレスでしたわ…。

 でもそのせいで前回から引き伸ばしたペルソナ説明も併せてスキルの説明だけて一話が終わってしまった…しかもメインのスキルの説明だけでしかないからサブのスキルに関しては全然説明出来ていないというね…これに関しては次回のキャラ説明でさせて貰おうと思いますんでご了承下さい。


 場所を移してジョタオジの部屋、というか会議室の様に使っている部屋へと移って話し合う事に。

 

「別に堅苦しい挨拶するのもアレだから、もう本題に入っちゃおうか、先ずは直近の事でペルソナに目覚めたみたいだけど、もう詳細は理解したかい?」

「あー…うん、俺のペルソナはアルカナが『隠者』の『トーマス・アルバ・エジソン』だな…ペルソナシリーズって3しかやった事無いんだけど、エジソンなんか出たっけかなぁ…」

 

 分かりきってる疑問をボヤきつつも隣に自身のペルソナを召喚すると、そこに現れたのは筋肉ムキムキマッチョマンでライオンヘッドなアメリカンヒーローモドキ…即ち『FGOのエジソン(第三再臨の姿)』が出現するのだった…いや、マジでなんでFGO仕様なんだよ?

 

「姿については恐らくだけど下手に近代に近過ぎるせいで神秘が足りないから、転生者の認知の影響を受けちゃったんだろうね…」

「普通そんな事ある? てかペルソナに覚醒してジオが使える様になったのは良いんだけど、これに対応してか電撃耐性が付くのは分かる、雷使ってるのに感電とかネタにしかならないからな」

 

 え、真のトール? 分かってて言ってるんだよ。

 

「でも弱点:地変属性ってなんだ? なんかで見た事ある気がするけど…デビチルだったか?」

「マグナ系やテラ系の術が該当するヤツだね、前世じゃあマイナーだったかもだけど、大地に関係している奴は結構使えるんじゃないか?」

「…それ中位以上の奴等結構使ってこない? なんなら下位のアクマも使ってきそうなんだけど?」

 

 もしかして俺の耐性結構ハードモードだったりする?

 

「まぁ、そこら辺は装備でどうにかするとして、スキルの方はどうなんだい?」

「…戦闘系のスキルは『スラッシュ』と『くいしばり』と『ジオ』だけだな…寧ろ『戦闘でも使えそう』っていう様なスキルの方が多いとかどうなってるんだよ…」

 

 しかもゲームで見なかった様なスキルばっかりだし。

 

「『道具の心得』に『改造の心得』、『概念付与』に『大量生産技術』と『作業効率化』とかどう考えても生産職のスキルじゃん…関係無いの『状態異常耐性』位で俺の今までの戦闘で培ってきた努力の成果が全然見当らねぇ…」

「まぁ、根っからの生産職だったって事じゃないのかな?」

「ウソダドンドコドーン‼︎」

 

 マジで戦闘スキルが欠片たりとも見当たらない件について、というかもしかしなくても今まで道具を作る時に矢鱈と上手く行っていたのはこれらの影響だったのか?

 

 ペルソナに目覚めてからこれらのスキルを自覚出来る様になったけど、マジで生産関係のスキルばっかりで殆ど戦闘に寄与してないじゃん、これで出来る事なんて装備強化による基本性能の強化だけだよ!?

 

 自身のペルソナについて俺が慄いていると、そんな俺を見て苦笑していたショタオジが更に追撃をかましてきた。

 

「多分君がそれだけしか戦闘系のスキルを習得していない理由についてだけど、さっき君の事をアナライズさせてもらったんだけどねぇ…ものの見事に資質が生産系、しかも改造とか改良方面に振り切れてる滅茶苦茶歪なステータスになってたんだよね」

「マジかよ…具体的にはどんな感じだったんだ?」

「攻撃系も防御系も回復系さえも1あるか無いかでほぼ99%生産特化、寧ろ極振りと言っても過言じゃないレベルだよ」

「ウソダドンドコドーン‼︎(本日二回目)」

 

 それじゃあマジで俺戦闘系の才能欠片たりとも無いじゃんか!? こんなんで今までやってきたとか『たたかう』コマンドで殴り続けるだけのチンパンじゃねぇか!?

 

「てかもしもそうならなんで今まで俺前線に立って戦い続けれたんだよ…結構良い感じにアクマ切り捨てる事出来てたんだが?」

「そりゃあ『資質』と『才能』は別モノだからね、例え殴る事しか出来ないんだとしてもただのテレフォンパンチと、ジャブやフックにストレートといった感じで使い分ける事が出来るのとじゃあ大違いだし」

「それにしたってある程度前線張ってたらある程度それに見合ったスキルが生えそうなモノだけど、どうしてこうなった…」

「そりゃあまぁ、君もある程度元凶のスキルには気が付いているんじゃないかい?」

 

 そういうショタオジは微笑みを浮かべたままであったが、その微笑みは先程までとは少し違い、これから発表される大一番を期待しているかの様な愉悦とも言えるモノが含まれていた。

 

「あー、やっぱりこれかぁ…『軍勢変生』スキル。名前見ただけで一応どんなスキルなのか分かるけど、どういう意味で元凶になってるんだ?」

 

 これもしも俺が知ってるヤツと同じ効果のスキルだとしたら、マジでレベルさえどうにか出来れば世界が変わるぞ。

 

「大雑把に説明すれば『君が仲間だと認識している対象のレベル上限を君の現在のレベルまで擬似的に引き上げる』といったモノだね、ある程度範囲は決まっているだろうけど、君の地元の状況を考えるとかなりの広さはありそうだね」

「でもその分デメリットがあった訳か…」

 

 まぁ、普通に考えてレベル上限撤廃スキルとか人権スキルだもんなぁ…とか諦め半分に考えていた俺だったが、そのスキルはその実、かなりの地雷スキルでもあったのだと知らされた。

 

「今詳しくアナライズしてみたけれど、ゲーム的に説明すればメリットとしては非覚醒者を覚醒しているのと同じ状態にする『擬似覚醒』、レベル上限がスキル所有者の現在レベルまで引き上げられる『レベルキャップ解放』と、スキル所有者の獲得経験値量と同量の経験値を加算する『経験値ブースト』、スキル所有者のステータスの二割分加算する『常時バフ』の三つがあるね」

「…何そのブッ壊れって思ったけど、その言い方だと同じくらいあるのか…デメリット…」

 

 まぁ、寧ろ無い方がおかしい効果してるもんな。

 

「その通り、デメリットはスキル所有者の獲得経験値の減少である『経験値デバフ』がまず一つ目、これはメリットの経験値ブーストで加算される経験値とは別モノ扱いみたいだね、減少する前の量が経験値ブーストでは適用されているみたいた」

「これに関してはスキルが発現した時から強さが上がらない感じがしてたから知ってた」

「二つ目のデメリットは『運以外の全ステータス二割減』」

「ちょっと待って、いきなりデバフキツ過ぎない!?」

 

 二割って俺常に全力の五分の一は封じられた状態で戦ってたの!?

 

「これに関してもメリットの常時バフは減らされる前のステータスが参照にされてるから安心ではあるね、それにこれ位でも現地民の才能『裸馬』とかよりは高い方だからまだマシなんじゃないかな?」

「それってつまり同レベルの転生者にはボロ負けって事なんじゃあ…」

「それじゃあ三つ目のデメリットに行こうか「オイ」三つ目のデメリットは『生産以外の資質のロスト』だね」

「?????????????????」

 

 待って、それってどういう事?

 

「総括して言えば『生産以外の資質を全て犠牲にしてこのスキルは出来ているけど、それでも足りないからステータスが削られている』って感じだね」

「ドウシテコウナッタ…」

「因みにこの前帰って来た虫姫ネキの状態見て分かった事だけど、このスキルで上げたレベルは謂わば砂や粘土で作り上げた不安定な器みたいなモノで、上げてから数日MAGを吸収せずに放置したら上げたレベル分どんどん下がっていくみたいだね」

「えっ、そんな感じになってたのか?」

 

 流石にそれは初耳というか、今まで組合でそんな事無かったんだが?

 

「一応定期的にMAGを吸収すればちゃんとレベルも安定するし、安定する迄に必要なMAGも本来の必要な量よりは遥かに少なくて済むみたいだね。後本来ならレベルアップの時に習得する筈のスキルもレベルが定着した時に発現するみたいだね」

「はえー、知らなかったそんなの…」

「で、話は相談なんだけど…」

「この流れでやる取引に関しては要相談かなぁ…」

 

 まぁ、何言うつもりなのかは大体分かってるけどね?




 そんな訳で作中でショタオジが話してたけど、コイツマジで戦闘系スキルを持ってません、転生してからの人生を殆どアクマとの戦闘に費やしていたので駆け引きなんかはかなりのもとですが、それら全てスキルとして昇華されていおらず、マジでアイテム投げまくる以外やる夫さん並みに戦闘に向いていないスキル構成しています。

 後見て分かる通り怠け者にはスキルの恩恵は低かったりしますので、掲示板で文句ばっかり言ってる連中には効果が薄かったりするし、同じ様に名前だけで何もしない様な名家()にも効果が薄いスキルでもあります。

 一応最低限レベル1以下にはならないという保証はありますが、寧ろそんな状態で見放されるという事は…ねぇ?(暗黒嘲笑)

 そんな訳で主人公が強くなれないという事を代償に、とことんまで努力しているガンギマリの現地民や修羅勢には有り難いスキルなのでした。

 ※流石にスキル盛り過ぎだったので【スキルリンク】は撤廃致しました。


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キャラシート 南雲 一

 そういえば今更ですが、今作はオリジナルスキルや独自解釈込み込みです。

 技術部がどんな事してるのかやどんなスキルを持っているのかが分からない為、自分で適当に作って突っ込んでいる状態なのです。

 そして現状出来て技術成長チート位しか出来ない主人公…戦闘で活躍出来るのはまだ暫し先の話ですね。


「本名」   ・南雲 一(なぐも はじめ)

「ハンドル名」・ブーストニキ

「性別」   ・前世/今世 男/男

「仕事」   ・地方の霊能組織の底上げ(願望)

        技術部の全体加速装置(現実)

「成長タイプ」・運(これ以外は二割減)

「戦闘タイプ」・HFO(ヒューマン・ファイター・男)

        アイテムユーザー

        ペルソナ使い(隠者 エジソン)

「口調」   ・相手によって変動

「終末対策」 ・地元の地脈及び結界の強化と改善

「趣味」   ・ふざけた事を抜かす奴に地獄を見せる事

 

 

【経歴】

 

 六歳の頃に地元の霊能組織で行われる修行(寺での座禅等)で覚醒した後、軽い修行していた際に管理していた異界『ブナ林』が氾濫し、母親が目の前で嬲られた挙句頭から捕食されるという出来事でガンギマリになった。

 

 転生者らしく順調にレベルアップをしていたが、途中で周りと自身の才能の差に気が付き、既に絆されていた為何とか力になろうとガンギマリの精神で戦力の底上げに取り組み、中ボスのせいで行き詰まっていたのもあり何年も自身の強化を後回しにして取り組んでいた影響で『軍勢変生』スキルを開発してしまった。

 

 結果全体の底上げには成功したものの、結局中ボスには敵わない事には変わりないと判断した為ガイア連合を頼り、異界の難易度を調査に来た佐倉千代(通称:虫姫ネキ)によって日本の霊能組織の現状とガイア連合の本質を知る事となった。

 

 ガイア連合に赴いてからは主に製造班の作業場で『軍勢変生』スキルによる作業場単位での強化を行いつつ、自身も延々と依頼されたアイテムや装備への改造を施して資金を稼ぎ、ある程度目処が経てば即座に困窮している地方へと赴き強化を施している。

 

 …が、元々ガンギマリなせいで作業し続けるのが苦痛でもあり、時折暴走して修行用異界へと飛び出し、その度に恩恵を受けていた作業所は唐突なバフ切れでミスしそうになる(但し効率が爆上がりするのでバフを受けないという選択肢は無い)

 

 その為罰として暴走する度に『置物』期間が延びる為、徐々にではあるが改善していっている。

 

 

【連合加入時ステータス】

 

人間 レベル16

耐性 電撃耐性 破魔耐性  地変弱点 呪殺弱点(非装備時)

 

覚醒スキル

《攻撃系》

・スラッシュ(敵単体に斬撃属性の小ダメージを与える)

・ジオ(敵単体に電撃属性の極小ダメージを与える)

 

《防御系》

・食いしばり(HPが0になった際、一度だけHP1で復活)

・状態異常耐性(状態異常になる確率を半減する)

 

《生産系》

・道具の心得(アイテムを複数同時の使用や自動消費が可能)

・アイテムブースタ(特定のアイテムの効果を強化する)

・改造の心得(アイテムや装備を強化改造する際に効果が上昇する)

・概念付与(アイテムや装備を強化する際に追加で能力を付与出来る)

・大量生産技術(大量のアイテムを纏めて作る際に量に応じてプラス補正)

・作業効率化(アイテムを作る際の速度と熟練度にプラス補正)

 

《補助系》

・軍勢変生(味方に『擬似覚醒(覚醒難易度を大幅に緩和効果有り)』、『レベル上限限定解放(スキル所有者のレベルまで)』『経験値バフ(転生者並みの量を加算)』『固定値バフ(所有者のステータスの二割)』『スキルリンク(所有者と同じスキルを使用可能とする)』を付与し、自身に『経験値デバフ(獲得量一割に)』『運以外二割減』『戦闘系の資質デバフ(ほぼゼロへ)』を付与。 ※経験値バフの効果は一時的なものであり、継続して戦闘でMAGを供給する事で固定化する事が可能)

 

 

戦闘スタイル

 長年強化や補修を重ねてきた鉈を使っての近接戦と、自作のアイテムを湯水の如く叩きつける米帝戦法の中距離戦の二通りがある。

 

 性格からしてマッチしているのは近接戦であり、本人の戦闘経験から冷静に敵の攻撃を斬り払ったり出来るだけでなく、フェイントやトリッキーな動きから繰り出す一撃で大打撃を与えられたりするが、これらは別にスキルとなっている訳ではないので若干回避率や会心率が高いといった程度のものだったりする(それでもステータスに反して生存率は高め)

 

 しかし本領と言えるのは大量に持ち込んだアイテムによる圧殺であり、弱点看破から回復にバフデバフからの物量攻撃をほぼワンアクションで行える器用さを持っており、特定の状況下で自動的に道具を使用される仕込み等もされており、開発技術が長じれば更なる発展も見込める。

 

 …但し元々感覚が庶民なのもあり、面倒臭いから殲滅の為にパーっと使いたくても掛かる費用に後々憂鬱になってしまうのが弱点。




 本人の性格とスキルがとことん噛み合ってない系主人公…尚、主人公の連合内で最も望まれる立場は技術部の作業所に永住してバフ掛け続ける人柱です(辛辣)

 正直軍勢変生スキルが生産系スキルにまで影響与えるのが致命的なまでに人柱適正高めているけれど、本人の望みや本来の想定では外を向いているというね…。

 尚スキルの習得数と熟練度はそのまま軍勢変生で周りにも反映されるので、引っ切り無しにトンデモ技術まで叩き込まれるのも逃げ出す原因となっております…。

 ここまで書いておいてアレですが、【軍勢変生】スキルが目覚めなければ大分普通(?)な生産系【俺ら】になっていたので何とも言えない奴とやっております。


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第九話 ガイア連合で出来た『趣味』

 という訳で今回はショタオジとの取引で何を求めたのか、そしてキャラシートで書いた趣味についての言及回ですね、主人公は新しく出来た趣味も兼ねて連合の一部に対する憎まれ役となっております。

 尚ショタオジからすればめっちゃ有り難い事ではあるので基本的にちゃんとフォローはするつもりだったり…その結果地獄を見る事になる訳ですが…。


「う、うあぁ…」

「あがが…ががっ…」

「ううぅうぅ…」

 

 ガイア連合に加入してから数日経ったここは星霊神社の修行場、そこの一角には現在普段では考えられない様な重苦しい雰囲気が立ち込めており、そこに普段『滅多にどころか全く修行に来ない』者達が『集められて』おり、彼等彼女等は皆一様に『痺れて行動不能となっている』状態で恐怖に満ちた表情を浮かべて呻いていた。

 

 尚、そんな異様な状況なのにも関わらず周りの修行僧達がなぜ助けないのかというと、そんな渦中の真っ只中に彼等ガイア連合のトップであるショタオジが困った様な表情をしながら特に何もしていない様子を見て、何かしらの意図があるのだと察し、それならば『触らぬ神に祟り無し』という事で遠巻きに見ているだけに留めているのである、流石は俺らだロクデモナイ。

 

 そして暫くすると、そこに一人の男が両脇にこれまた全く修行に来ないメンバー(彼等も麻痺で動けなくなっている)を抱えてやって来ると、適当に空いているスペースに転がして人数を確認すると、ちゃんと全員居るのを確認出来たらしく、満足そうに頷いた…因みに彼こそが今作の主人公である『南雲 一』である(メタ発言)

 

「よし、ちゃんと集めれたな…さてクソ雑魚アイテムで麻痺してるからロクに話す事も出来ないだろうお前らに一方的にコチラがベラベラと喋る事にするが、今現在ここに集められているのは普段からロクに働かないのに掲示板でグダグダと文句しか言わない様なクソ野郎共とクソ女郎共だ、お前ら自身もそれは理解してるだろ?」

 

 因みにどうして当人達だと分かっているのかと言えば、逆タンした…事にしておいて実際はショタオジに占術でバラしてもらったからだったりする。

 

 何故ショタオジがこんな事に協力してくれているのかというと、ショタオジのスタンスはせめて覚醒しておいてくれれば後は専用式神でのんびりレベリングしていれば良いと考えており、俺はガイア連合を調べる際に見た掲示板で余りにも低い民度に苛ついていたので、ショタオジからの依頼を引き受ける代わりにこういった連中に対して『厳しいモード』の修行を『強制させる権利』を貰ったのである。

 

 一応基準としては『マジでやる気の無い奴』や『質の悪い性格をした奴』なんかを俺が掲示板で見つけてショタオジに確認をとってもらい、その際星霊神社に居る幹部達に判決を仰いで許可が出た奴等に対してのみ権利を行使出来る様にしており、この際にあくまで『俺の判断で見つけ出して依頼を受ける対価として強制的にやらせた』というスタンスで教える事にしている。

 

 …正直ガイア連合って、一人くらいこんだけ過激な統制やる汚れ役や嫌われ者が居ないとダメな気がするんだよね。

 

 ここに来る前に慣れない掲示板でまごまごしながら見てたら、折角のサーチ用式神なのに警報切ってユキジョロウに殺されたとかいうクソボケの話見て、しっかり締める所は締めなきゃダメだってめっちゃ思ったからな…もしもこのクソボケに直接逢えたらマジで何らかの対策取らないと、アレまた同じ事やらかしかねんぞ…。

 

「…てな訳でマトモに努力もしないのに声だけはデカいお前らの将来を心配しているショタオジの事を思って、俺がショタオジに修行を強制するよう頼んで覚醒出来る様にしておいたから泣いて喜べ!!」

 

 おーおー皆してめっちゃ泣いてるじゃん、そんなに喜んでくれて企画した甲斐があったもんだよ…まぁ、麻痺で動けない上に顔色は真っ赤だったり真っ青だったりするがな!!

 

 そんな程度で怒るんだったらさっさと覚醒して式神任せな左団扇生活してれば良いだろうが!! お前ら全員ログ確認してマジで何もせず寄生虫状態だったって事は調べれてるんだからな!?

 

「因みに覚醒すればした奴はそこで解放してやるし、強制的にやるとしても最大三日だけで、それが終わった時点で俺がさっさと覚醒させてやれるからそこだけは安心しとけ〜」

 

 所々暈した説明をした後に一応の救いについて教えるとクソ共が目を見開いて驚いたのは予想していたが、修行僧側からもどよめきが聞こえて来たのでついでに話を聞く事にしてみると、矢鱈と筋肉質な修行僧の一人がワナワナしながら歩み出て来た。

 

 明らかに挙動不審な奴だったが、そんな彼の姿を見たショタオジがなんか滅茶苦茶気不味そうな顔して目を逸らした辺り、マジで何かがあったんだろうか?

 

「ほ、本当に覚醒する事が出来るのか?」

「あ〜…覚醒までの閾値は確実に低くなるだろうな、一緒に登山しただけの修行僧勢が同時にアッサリ覚醒してたし」

「そうか、漸く苦労が…報われるのか…」

「いやでも、ある程度修行した方が覚醒した後の能力は良くなるぞ? 実際コイツらに三日は『厳しいモード』受けさせるのって少しでも覚醒後の能力良くする為でもあるんだし…って聞こえてないなこりゃ」

 

 そんな風に俺が心配から説明をしたのだが、そんな俺の心配は隣で聞いていたショタオジのとんでもない説明によって掻き消される事になった。

 

「えっとね、うん…彼に関してはそこら辺の心配は無いかな…」

「なんか理由があるのか?」

「彼既に何回も『厳しいモード』の修行を受けてるのに、それでも何故か後一歩覚醒出来てなくて心が折れかけちゃってたんだよ…」

「マジかぁ…参考に聞きたいんだけど、何日分受けてたんだ?」

「修行が合ってなかったら中々覚醒しないものなんだけど、彼が受けた回数は脅威の『十二日分』、勿論この回数は現在ガイア連合内でのトップだよ…」

「〜〜〜ッ!?」

 

 実は今回の義務行使権獲得の為に俺自身もやってなきゃ不公平だろうと考えて覚醒者向けに考えていたという『覚醒者用地獄体験ツアー』を受けみたのだが、普通にキツかったので三日で十分な体験をしたという事にして辞めさせてもらっていたのだが…アレを前提に考えて『多い』っていうのを五日とか七日とか想定してたのに、まさかの大幅に上な十二日である…コイツ精神状態大丈夫なのだろうか?

 

 そんな事を考えつつも取り敢えずデモンストレーションになるだろうと考えて、当の修行僧に『軍勢変生』スキルを使用してみた結果…何故か雄叫びと共に全身の筋肉が一気にパンプアップしたかの様に膨れ上がり、一瞬で着ていた服が破けていき腰回りしか残っていない筋肉ムキムキマッチョマンの変態が誕生してしまった…ドウシテコウナッタ?

 

「これが…これが夢にまで見た覚醒!! 素晴らしい!! まるで生まれ変わったみたいだッ!!!!!」

「側から見たらマジで別人にしか見えねぇよ…ヘラクレスみたいになってるじゃん」

「おや、よく分かったね?「え?」どうやら彼は【英雄】ヘラクレスの転生者でもあったみたいだね…てか特殊スキル生えてるし…『十二の試練』?」

 

 それ絶対『厳しいモード』乗り越えて来た報酬みたいな発現の仕方じゃないですかやだー!? 十一回死んでも復活出来る上に復活したらしたで耐性ゲットしそう(小並感)

 

「本当に出逢えて良かった、心の底から感謝してもしたりないから今度何か入り用になったら是非頼ってくれ!! この感動…早速先に覚醒した友人達に伝えてくる!!」

 

 そう言って風の様に駆けて行く半裸のマッチョマン…いや先にサイズの合う服探しておけよ…。

 

「あぁうん、行ってら〜…極端な例かもだけど、やっぱり覚醒前に出来るだけ修行積んだ方が覚醒してから強くなれるって事なのかね?」

「流石に彼みたいなのは例外だろうけど、事前に経験を積んでおけばスキルが適応された時点で覚醒するのは間違ってないだろうね」

「さて、そんな訳でショタオジからも太鼓判が貰えた覚醒確定修行だが、取り敢えず『厳しいモード』を三日以上やってる奴は即覚醒、出来てない奴は下積みという事で三日分貯まるまでコイツらと一緒にやってみようか?」

 

 

 

 …尚、結果として大量にガイア連合の覚醒者は増加し、それに伴いやる事が増えたショタオジと元凶である俺のデスマーチが確定する事になったとさ。




 今回登場したヘラクレスになっちゃった人はオリキャラですね、今後再登場するなら『ヘラクレニキ』とか呼ばれてるんじゃないでしょうか?

 ストック式の命と死んでも死因の耐性ランクを一日の間一つ上げて復活する耐久力に、一日一つ回復するストック等かなりの強スキルです…尚これに加えて物理耐性と電撃耐性が素であるので更に死ににくいというね。

 尚、アホみたいな難易度で覚醒した結果狂雷がしつこくアプローチを仕掛けてくる模様…ドンマイ!!


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第十話 人生何が役立つか分かったもんじゃない

 前回書き洩らしていたのですが、覚醒前に幾ら修行しても軍勢変生スキルの効果で覚醒する時にレベルが一気に上がったりはしません。

 ただ単に『元から素養が高過ぎると覚醒しにくい事があるが、その分覚醒した際に強力なスキルが発現しやすくなる』という原作から存在する現象なのです。

 …まぁ、流石にヘラクレニキの場合は身体変化するという大幅な特殊展開を盛りましたけどね?


 クソムシ共矯正(誤字に非ず)ツアーから数日後…俺はショタオジからの依頼を受ける『前段階で』死にかけていた…。

 

「はい、次は各種ストーン系の制作手順でその次に大小の違いでやるからね」

「あ、反射の概念理解出来た? じゃあ次はカーン系のアイテム作りで実践してみようか」

「そうそう、このタイミングでこの素材を使えば身代わりの概念が強化されてホムンクルスの出来が良くなるんだよね」

「あっ、成る程確かにそこで手を加えていれば三つ先の制作過程でリソースに余裕を持たせられるね、流石改造特化」

「武器型式神にこの特性をもたせれるようになるのはまだ先だと思ってたけど、これは良いブレイクスルーが来た感じかな?」

 

 『五人に分裂している俺』が『五人に増えているショタオジ』によって其々技術に関する知識を教えてもらったり、新しい改善技術を考え出したりしているのだが、それが何を示しているかというと、

 

「「「「「あべしっ!?」」」」」

 

 絶賛地獄の詰め込み教育中なのである…。

 

「あ、ブーストニキが顔中のありとあらゆる穴から血を吹き出した…もしかしてこれ過労死しちゃった?」

「はいはい、リカームリカーム」

「やっぱりまだ個別操作は出来ても別個に分けるのは難しいみたいだね」

「まぁそもそもがこの分身製作って、一人で大規模な儀式行う為に作られたみたいだから、元々戦闘系寄りの分類で覚え難いみたいなんだよなぁ…」

「それでも知識ゼロからここまで術式改造して、たったの数日でモノに仕掛けているのは流石だよね…これブーストニキ下手したら製作と改造関係だけなら色々インチキ臭い俺より上なんじゃない?」

「うぼぁ…死亡経験五人分は同じ内容でもやっぱりエグいな…てか効率良く学習出来るとはいえめっちゃ脳細胞酷使してる感じがして将来が心配なんだが…」

 

 ショタオジによって蘇った俺は、休憩の為に設けられた時間を無駄にしない為に、再度瞑想状態に移って分身の術式を今さっき学習した事を改造に活かす様励むのだった…因みに改造の為の時間は取られないので、今の内にやらなければまたしても同じ様な死因を辿るだけであり、大分必死だったりする。

 

 現状俺の扱う分身の術は『体力や魔力を共有する分身を作り出す術』であり、しかも時間経過で維持する為に体力と魔力が消費されていき、下手に作業を同時に進行しようものならご覧の有様なのである。

 

 ならばなんでしっかりと習得してから勉強しないのかというと、単純にこの術式がショタオジが言っていた様に元々戦闘用だったものを、ショタオジがそのふざけた資質の高さで戦闘以外にも使っているからというのが原因なのである。

 

 そうなると俺の戦闘系に対するクソみたいな資質では何処まで習得出来るか分からない為、それならばやれる間に色々覚えていこうのノリで今現在無茶振りしているだけなのである。

 

 まぁ、お陰様で『体力変換*1』とかいうチキンレースみたいなスキルが発現したがな…これ戦闘系じゃないのか(困惑)

 

「…よし、ホムンクルスの概念で分身との分別具合の強化完了…こ、これなら消耗は別々に済ませれる筈だ」

「あぁ、身代わりの概念から本体と分身を別人として見做す様にしてるのか…それにしてもこれだとコスト掛からない?」

「今回は教えてもらえてる都合上無料で蘇生してくれるんだし、それなら今の内にコスト掛けまくって技術更新からの低コスト化目指した方が時間無駄にせずに済むだろ」

 

 金で時間は買えないけれども、リソースで時間は引き出せるのだ。

 

「でも普通何度死んでもそうしようとは思わないよ?」

「いやそれでも一編に纏めて覚えれた方が結果としては時間有意義に使えるんだから覚えておいて損はないだろう?」

 

 実際五倍の効率とか破格過ぎると思うんだ(尚ショタオジの倍率)

 

「その割には会話長引かせて時間稼ぎしている様に見えるんだけど?」

「それはほら…今こうやってる間にも改造は続けている訳なんだし? …うん、流石に死ぬと学習内容が纏めて押し寄せて来て、頭の中ごっちゃになるから整理したいんです許して下さい」

「素直で宜しい」

 

 目見開いたままの真顔ははっきり言って怖いからやめてクレメンス。

 

「てか実際改造に関してはそろそろ生産系への派生術式が出来上がりそうなんだけど、なんかパーツが足りないというか…俺自身歴とした人間なのに、人としての概念が足りない感じがするんだよなぁ…?」

「ん〜? それだったら折角ペルソナ持ってるんだし、条件さえ満たせるのならスキルカード使ってあまり得意じゃない様な汎用スキルとか習得すれば良いんじゃない?」

「あ〜…得意じゃない汎用スキルカード、かぁ…持ってるっちゃ持ってるんだけどねぇ…」

「あれ、ブーストニキってそういうスキルカードとか持ってたの? まだ式神持ってないからてっきりそういうのは興味無いと思ってたんだけど」

「…まぁ、何で持ってるかはどんなスキルカードかを見て貰えば凡そ分かるだろうさ」

 

 そう言ってから収納ポーチ(技術力強化で容量凡そ二倍)から取り出したのは、【房中術】を筆頭にエロ系汎用スキルをこれでもかと詰め込まれたスキルカードである。

 

 そしてそんな物を何も気にせず受け取った『童貞の』ショタオジはというと…。

 

「ブッフォ!!?!」

 

 盛大に吹き出してた…さもあらん。

 

「ガイア連合に来た時偶々やってた闇鍋ガチャを記念って事で引いてみたら、まさかのラストワン賞で引き当てちまったんだよな…昔っからビギナーズラックはそこそこある方だったけど、こんなアホみたいな事で発揮されるとは思わなかったぞ…」

「え、えぇ〜…いやでも、それならこれ解析したりはしなかったのかい?」

「俺からすればそれ福引で特に趣味でも無い様なエログッズを持ってるのになんで使わないの? って言われてる様なもんだぞ? 正直相手も居ないのにこんなん貰っても困惑しかなくてずっと仕舞ったまま今まで忘れてたレベルなんだわ」

「あぁ、成る程なぁ…確かにそれは分からなくもないかなぁ…」

 

 同じ部屋で童貞野郎が二人、何とも言えない表情でエロスキルカードを見つめるというアホみたいな状況が出来上がった。

 

「まぁ、こんな事してても何も始まらない訳だし…ショタオジの言う通りなら少なくともこの手のスキルは俺には欠片たりとも無いからな…解析するかぁ…」

「うん、なんかごめんね?」

「謝んなよ虚しくなる…」

 

 そして取り敢えず簡単に解析してみた結果はというと…。

 

「汎用スキルだから問題無く習得可能、かぁ…」

「…するの?」

「勿体無いしな…という訳で」

「うん?(流れ変わったな)」

 

 スキルカードを人差し指と中指に挟みながら持って部屋の入り口迄移動し、ショタオジの方へと向き直り…。

 

「メモリスティックじゃないけれど一発ネタ『T2ルナメモリのインストール再現』逝っきま〜す!!」

「ふぁっ!?」

 

 驚くショタオジを置き去りにして、ブーメランの要領でスキルカードをカード手裏剣の様に投合、高速で回転しながら部屋の中を飛翔するスキルカードをショタオジは呆けた顔して見るしかなく、クルクルと回転しながら俺の元に戻って来たスキルカードはそのまま頭にぶつかるタイミングで習得をする事で突き刺さる様に俺へと吸収されていく。

 

「キタキタキタキタキタ〜!!」

 

 …これにて無事、スキルカード『夜の帝王(商品名)』習得成功である。

 

 てか滅茶苦茶ふざけた内容だけど、スキルカードの作り自体はかなり高度なモノだったからいつの間にか【スキルカード生成】のスキルまで生えてるし…なんで【カードハント】のスキルじゃないのさ?

 

「…っ…つはっ……っ……っ!?」

 

 尚この後ショタオジは笑い過ぎで一度死んだ。

*1
スキル発動時魔力が足りない場合は体力を消費して発動出来る様になる




 安心して下さい、当初の目的だった分身スキルは無事開発&習得成功しましたよ。

 後、笑い死んだとはいえ超圧倒的格上であるショタオジを殺した事で主人公は3レベル上がり19レベルとなりました…こう書くと明らかにデバフがエグ過ぎる…。


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第十一話 置物デビュー

 そんな訳で本格的なガイア連合デビューですが、今回はお試しというかガチで置物回となっております。


 アホな事してショタオジが笑い死にしさせてから報復である真・地獄の詰め込み教育(時間加速結界まで作っての詰め込み)を経て、ショタオジから合格貰える程度には学びきった次の日。

 

 休息も取れないまま詰め込まれ続けた結果ロクに働かない頭のまま、俺は現在分身して技術部や工作班達がそれぞれ確保している作業場へと一人ずつ分身を送り込んでいた。

 

「あれ、アンタは確か…ブーストニキだったか? こんな所で何やってんだ?」

「というか顔色真っ青だけど大丈夫なの? しっかりと休んでおいた方が良いんじゃない?」

「あ゛ぁ゛〜…アンタらは確かエドニキとアルニキさんだっけ? いやいや、こっちもショタオジから頼まれた依頼で来てるんだからそうもいかないんだよ…」

 

 てか依頼とはいえ少しでも稼いでおきたいからな、顔見せついでに置物にでもなっておくつもりなのである。

 

「まぁ、それにショタオジも昨日についてはやり過ぎたって事で、今日は置物でも良いって言ってたからな、取り敢えず椅子一つ使わせてくれないか?」

 

 そう聞くとエドニキは少し何かを考えてから倉庫の方へと向かい、抱えているエドニキが隠れる程度にはかなりの大きさを持つ安楽椅子を持って来た。

 

「座ってもたれ掛かるとと確定で【ドルミナー】によって眠るけど、揺れる度に【生命の泉】と【チャクラウォーク】の効果で回復出来る上、回復し切きるか飯時になったら自動で目が覚める安楽椅子でも良いか?」

「あ、それ確か大分前に休憩中に座っておけば回復が捗るとか言って作ったのに、実際の効果が揺れの間隔が遅くて微妙過ぎる&大き過ぎるから持ち運びに不便な上に、前提に『回復しきるまで起きれない睡眠』がデメリット過ぎる事で滅茶苦茶不評だったヤツじゃん…なんで分解してないの?」

「一部の奴等に変に人気で、そっから口コミで広まったのか時々注文が来るんだよな…」

 

 ※主にナルシストな連中から『安楽椅子で眠るボクも美しいっ!!』とかそんな感じの理由で人気だそうです…。

 

「あ〜…まぁ最悪天井の梁からハンモックぶら下げて使うつもりだったけど丁度良いから使わせてもらうか…その隅っことかに居ても良いか? 一応部屋に居る事が大前提だし」

「(大前提?)いやまぁ、そこって言っちゃえば完成品の集積所だし、そんなに動く訳じゃないんだったらいいんじゃないか?」

「おう、すまんな、一応明日まで依頼は続くし、そん時はちゃんと作業に参加させてもらうわ」

 

 そう言ってから安楽椅子を許可された場所まで運び、用意しておいたアイマスクと防音ヘッドホンを装着し、ペルソナを出してから【軍勢変生】を作業室に範囲指定して発動、そして安楽椅子へ…あっ、これめっちゃ良い感じに眠れs( ˘ω˘ )スヤァ…。

 

「…おい、アイツ今どっからアイマスクとヘッドホン出した?」

「てかエジソン(?)出したまま寝てる…あの人ペルソナ使いだったの!?」

「うん!? なんかめっちゃ調子良い気がする…今なら一ランク…いゃ、二ランクは上の物が作れる気がする!!」

「なんかよく分からんがフィーバータイムktkr‼︎」

「笹食ってる場合じゃねぇ!!」

 

 尚、俺が寝てからこんな騒ぎが起きていたのだとか…。

 

 

 〜そして昼前になり〜

 

 

「ん…く、ふあぁ〜…よく寝たが…確かにこりゃあ効率悪いな…星霊神社っていう霊地で寝てたのに回復量が7%しか上がってないとか最早誤差だろ…てか利用者の回復状態分からないの微妙に使い回し辛くないか?」

「あっ、ブーストニキが起きたぞ!? 皆して囲め逃すな!!」

「うん?」

 

 時間になった事で目が覚めて、最早アイテムメイカーとして癖となっている道具の性能チェックと改造をしていると、俺が起きた事に気が付いた技術部俺らの一人が声を上げて他の技術部俺らを呼び寄せ、それによって一瞬にして周りを囲まれてしまう俺。

 

「うぉぉっ、なんだなんだなんだぁっ!? あっ、術式乱れて分身消えた!!」

「そのアイマスクとヘッドホンはどっから出したんだ!?」

「そのペルソナの効果ってどうなってるのか教えてくれよ!!」

「めっちゃ技術力アップ出来たんだけど貴方が来てからそうなったんだよね、もしかして技術力の神様なの!?」

「てか他の技術系の作業場にも寝てるアンタが居たんだけど、簡単に分身出来る様になったのか!?」

「うおぉぉぉっ!? 寄るな押すな一人ずつ話sあっ」( ˘ω˘ )スヤァ…

『あっ…』

 

 其々が目を迸らせながら詰め寄ってくるその姿に思わず怯んでいると、その間に詰め寄って来たエドニキ肩を捕まれ、不安定な安楽椅子に座っていた俺はそのまま背もたれへと凭れ掛かってしまい、分身の術式を発動したまま+ペルソナを出しっぱなしにしていた影響で回復し切っていなかった俺は無事再度就寝、作業場は沈黙に包まれた。

 

「おいエドニキ…」

「いやいや、確かに俺が触れた事でブーストニキがまた安楽椅子に座ったのかもしれないけれど、それ以前に皆して詰め寄ってたからブーストニキも大分仰け反ってたんだろ」

「…ねぇ兄さん、これって後どれだけ寝てるのか分かる機能とか付いてないの?」

 

 互いに責任をなすり付け合おうとする実に【俺ら】らしい泥沼が繰り広げられそうになる前に、アルニキが先に確認しておくべき事を聞いておこうとしたのだが、当のエドニキは自身が作った物である為当然の様にそのスペックを把握していて…。

 

「いや、正直休憩用に作った物だからちゃんと休めきれば自動的に目が覚める様になってるし、それなら別に無駄な機能だと思って付けてなかった…ん〜だ〜が〜…うぅん?」

「どうかしたの?」

「なんかいつの間にか付けられてるな…利用者の回復状況確認出来るシステム…」

 

 付けてないと告げようとしたらいつの間にか付けられていた件について…と言いたげなエドニキに対して周りが首を傾げ、放置されていた間に誰かが手を加えたんじゃないのかと質問するも、当のエドニキ本人が首を横に振って否定した。

 

「渡す前に問題無いか一通り点検してたけど、その時は別に前と変わらない状態だったからそれだけはない」

「って事は…どういうこった?」

「起動状態のアイテムに途中で手を加えるのは技術者として誰もやらないだろうし、だとすればついさっきブーストニキが目を覚まして再び寝る事になった間に誰かが機能を追加したか…だな」

「その誰かって…」

「そりゃまぁなぁ…」

 

 その場の皆で見遣る先は当然の如くブーストニキであり、そんな彼が座る右手側の手摺りには『現在回復量79%:常時消費状態につき起床予定時刻:夕方』と書かれたホログラムモドキが浮かんでいる。

 

「…飯食って夕方まで作業しとくか」

『そだね〜…』

 

 色々あり過ぎて逆に落ち着いた技術部の面々は取り敢えずどうしようもないという結論を出して食堂で昼飯を食べる事にした。

 

 …まぁ、クッソ便利な置物があるのに、そんな上手い事話が纏まる訳もないんですがね?

 

「うん? 誰か廊下を走ってるのか?」

「足音の数からして結構いる感じが?」

 

 入り口近くに居た技術部の【俺ら】が廊下から聞こえてくる音に首を傾げる、別段納期とか決まってる訳でもないガイア連合に於いて、こんなドタバタした騒動は逆に珍しかったりする為直ぐに気が付いたのだろう。

 

 それによって足音に気づいたもう一人廊下側に居た技術部の【俺ら】もその足音の感じからして一人ではなく複数人居るのだという事に気が付いた。

 

 …気付いた所で何も変わりはしないんだけどね?

 

 ドタバタした足音が技術部の作業場前まで来ると勢い良く扉が開かれ…他の作業場で働いている製造系【俺ら】達が勢い良く入ってきた。

 

「ここにブーストニキの本体居ない!?」

「あっ居た!! てか寝てるぅ!?」

「取り敢えずウチのライン製造部に来てくれ!! いきなり効率が下がって滅茶苦茶になってるんだ!!」

「いやいやウチのホビー部にも来てくれないとこれから作業が大詰めなんですけどぉ!?」

「おいちょっと待てブーストニキは最初から俺達のところに来てたんだからこっちが優先だろうが!?」

 

 居るだけで作業効率がアップする置物とか皆欲しいに決まってるんだよなぁ…尚最終的にには見兼ねたショタオジが全員制圧して式神製造部へとお持ち帰りしたんだそうな…ちゃっかりしているものである。




 尚、当のブーストニキ本人は夕飯前に目が覚めての第一声は「腹減った…てかトイレトイレ…」だったそうな…そりゃあ丸一日寝てたらそうもなるよ。

 後主人公の式神については作者が微妙に悩んでいるからであり、一応出す予定と候補は決まっていますのでご安心を。


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第十二話 大は小を兼ねる筈

 前回に引き続き今回も製造系…というよりは専用式神についてですかね?

 まだ今回はちゃんと動きはしませんが、チラッと外見のヒントが出てるんで誰なのかを想像していただければ…まぁ、安直なネタに走っているだけなんですけどね?


 昨日の俺が寝ている間に起きて終わってた『置物争奪戦』は無事…というか何というか人では足りないのに注文ばかり天井知らずにやって来る、ショタオジが率いる式神製造部に回収され、ショタオジ以外の製造系【俺ら】は普段の生産力が四割増しという凄まじい効率を叩き出したのだとか。

 

 反対にそれ以外の製造系が午前中と比べてそこまで酷くない筈の落差をガッツリ受けて効率が下がり、午前中との比較でかなりお辛い状態だったとの事だったが、この結果見るに本当に分身の術式覚えておいて正解だったな。

 

 尚、食堂なんかはステータスアップの恩恵しかなかったので、元に戻ったところで特に変わらなかったのだとか…飯関係は習得出来ないんだよなぁ…。

 

「と言っても俺が製造系やってるのって、ショタオジが依頼として割と良い感じの報酬用意してくれるからやってるのであって、依頼の期間が終わったら地方周るつもりなんだが?」

 

 尚朝食の際にぶっちゃけた話をしたら大恐慌が起きた模様、さもあらん。

 

「え〜、困るよ君ぃ…正直昨日の強化受けちゃったらバフ無しでやる作業とかかなり苦痛なんだけど…」

「知らん、そんな事は俺の管轄外だ」

「とほほ…こりゃあ取りつく島もなさそうだね…」

 

 偶然隣になった少佐ニキと話しながら朝食(回復しきっているので普通の食事)を摂っていると、食堂の入り口からショタオジが頭を覗かせてこちらを見てきた。

 

「ブーストニキ、後で渡しておきたいモノがあるから僕の部屋に寄っておいてね」

「うん? 別にここに持ってきてくれても良かったんじゃないのか?」

「それでも良いけど式神とはいえ自分の女の子の裸体を皆にみられる事になっても良いの?」

 

 ショタオジからの用件はまさかの俺専用式神についてだった、予約混んでるって言ってたのにはえーな、オイ。

 

 そんな俺の予想に漏れず食堂内では幾らかザワつきが起こったが、製造関係の【俺ら】は寧ろ納得の表情で頷いたりしていた。

 

「良かったじゃないかブーストニキ、専用式神おめでとう」

「あぁ、ありがとうな少佐ニキ…でもショタオジ、なんか式神貰えるの早くないか? 確か専用式神の予約って大分先まで一杯だっただろ?」

「いや、流石に既に持ってる人よりも持ってない人の方が優先されるよ? ただ単にそれよりも上の優先順位にガイア連合への貢献度が高い人が来たりしたりもするけれど」

 

 まぁ、確かに【俺ら】に強くなって生き延びてもらいたいショタオジからすれば、新米への式神制作は優先度は高いよな。

 

「でもそれにしたって早くないか? 確か話が出たのって三日前だろ?」

「その三日前よりも先に『一緒に登山しただけで全員覚醒させた』なんていう非常識な功績立てられたら優先しない訳ないでしょ? 普通ならもっと時間は掛かる筈なんだよ?」

「ウチの組合が覚醒やレベル上げに苦戦していたのは分かってるけど、資質に溢れている転生者であってもそう上手い事は行かないんだな…」

 

 中々世の中上手くいかないものである…としみじみしていると、何故か当のショタオジは苦い表情を浮かべていた…はてさて?

 

「まぁ、資質はあっても所詮は【俺ら】というべきか、【俺ら】だからこそというべきか…痛い事やキツイのを嫌がって楽な方に逃げちゃうんだよねぇ…」

「おい…オイィ? 折角覚醒したのに更に良くなろうとしないとかマジか?」

 

 思わずジト目になって食堂内を見渡してみると、食堂に居たほぼ全員がサッと目を逸らして見ないフリである、これは酷い。

 

「少佐ニキは?」

「あー…私も前世では争い事からは程遠い一般人だったからねぇ? 結局中々覚醒しない事に業を煮やして『厳しいモード』を二日受けて覚醒した訳だが」

「ならばヨシ」

「あ、それでオッケーなんだ」

「あの痛みに立ち向かう覚悟があるのなら、俺はそれに敬意を払います」

 

 正直アレは元とはいえ一般人が受けるべき内容じゃないからね、わかりみが深い…。

 

 でも、それでも目を逸らしている輩が半数近くは居るんですが? 抜き打ちチェックという名のウザ絡みでもしてやろうか? 上手くいけば新しいスキルが手に入るかもしれないらしいぞ? そんな事俺には無かったが(嫉妬)

 

 そんな俺の考えを悟られたのか、何人かが身震いしているのを見て思わずコイツらは駄目だなと溜め息を吐いてしまうが、もうそこら辺はまた後にしようとショタオジの部屋へと向かう事にした。

 

「まぁ、取り敢えず用件の方は了解した。俺も折角自分専用の式神なんだし、ちゃんと性能の確認とかしておきたいからな」

「あ、式神製造部も造形に手を入れている部分があるから、後で改良案とかあれば教えてくれって言ってたよ」

「前世どころか今世ですら美術の成績3の俺にどうしろと? てか多分だけど下手に俺が力を入れたら不気味の谷現象が起こりかねんぞ?」

 

 いつもは手を抜いてやってた訳だけど、実際一度本気で作ってみた能面の粘土細工は周りからも「モデルと同じ能面の筈なのに生きているみたいで気持ち悪い」と気味悪がられてたし、そのせいなのかいつの間にか碌でもない気配纏いかけてたから速攻で潰す羽目になった位の嫌な思い出である…てか多分アレアクマ化してたんじゃなかろうか?

 

「寧ろ何か作るだけで不気味の谷現象起こせるとか、どれだけ製造系に振り切れてるのさ…いや、寧ろ今回に至ってはそっちの方が効果があるのかな?」

「うん? どういう事だ?」

 

 不気味の谷現象が有効になるとかどんな理由だよ?

 

 そんな事を考えながら移動しているとショタオジの部屋に辿り着き、ショタオジは机に置かれていた一抱え程の箱を俺に渡してきた。

 

「はいこれ」

「うん? うわぁ…そういや式神って起動するまでは生首状態なんだったか」

 

 入っていたのは金髪少女の生首にしか見えない待機状態の式神が入っていた…これパッと見猟奇殺人現場にしか見えねぇぞ…。

 

 で、要望として意見が欲しいとの事だが…。

 

「やっぱり首だけしかないと容量が少なく感じるな…ふむ、この前やった『厳しいモード』で溢れた血肉の余りを使うのも良いけど、流石にそればかりだと性能が偏りそうだし…なぁなぁショタオジ、ちょっと後で他の仕事も手伝うからなんか材料分けてもらっても良いか? ちょっと全身造るわ」

「別に材料に関してはタダでも良いんだけど、仕事手伝ってくれるなら良い素材奮発しちゃおっかなぁ〜」

 

 …という訳で作業場に向かう前に分身の術を使いそれぞれの作業場へと向かわせる、昨日は結局寝たままだったので実質初出勤である。

 

「おやブーストニキ君が来てくれた様だね、それじゃあ一つお願いしようかな」

「はいはい、ペルソナペルソナ〜…それじゃあ今日は俺専用式神の改造やってるから、なんかあったら連絡オナシャス」

 

 同じ現場に居たフェイスレスオジに一言告げてから自らの作業へ移行し、肉体の素となる物体X(アレな成分多めな為に伏字)を練り上げていき、式神の頭部に記されたガワの情報を元に、更に人へと近付ける為に自身の体内を参照にしてそのデータを式神のガワに最適化させながら肉体を形成していく。

 

「うん? なぁなぁブーストニキ君、それは一体どういう作業をしているんだい?」

 

 そう聞いてくるフェイスレスオジに先程の内容を説明すると、なんか色々説明し辛い難しい顔をして頭を悩ませていた。

 

「いやそれ…大丈夫なのかい? 式神のガワを使って身体を増やす事で色々出来る様になるのは分かるけど、自身の身体を参照にしたら呪いとか受けたりした時危なくないの?」

「スキル関係は殆ど無くしてデータを式神のそれに完全に最適化させてあるから問題無い、ちゃんと俺と彼女は別人扱いだし、レベルが上がれば更に別人として確立されていくから大丈夫だよ」

「はぁ〜何とも器用な事をするもんだねぇ…」

「まぁ、改造改良特化の俺はこの式神ヘッドみたいな素がないとどうしようもないけれど、その分それさえあれば幾らかやりようはあるからな」

 

 そんな事を考えている間に術式が安定しだし、これで後はもう時間の経過を待つだけで式神の全身が完成するのを待つだけである。

 

「それにこれなら最初っから『俺に出来る事は式神にも出来る』様になるからな、これで容量までも大量に稼げるんだからめっちゃお得じゃね?」

「…ちょっとブーストニキ君、その話詳しく」

「え?」

 

 この後他の製造部にも集られて複写術式を大量に造る羽目になったのだが、そんな事するくらいならレベル上げたりして術式覚えてくれませんかね? え? 餅は餅屋? 分かるけれどそれ面倒だからっていう本音が漏れてない?




 因みに今回主人公が開発した術式ですが、普通に半終末前の技術を先取りしているヤバいものだったりしております。

 …という事は実際に半終末前になったら更に技術が進む訳ですからね、ヤバいですね♪(他人事)

 因みに複写術式は書いてある通り殆どスキルはありませんが『あれば便利だろう』というクッソ下世話なお節介で【房中術】のスキルだけは全部に搭載されていたりします。

 これで式神に探索させてるだけのヒキニートでも、部屋でニャンニャン式神とやってればレベルも上がるのでショタオジもニッコリというもんですよ!!


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第十三話 専用式神ゲットだぜ

 あーさー目が覚めてー、真ぁっ先にぃおーもーいーうーかーぶー…。

 

「作業場行きたくねぇ…」

「ん、おはようハジメ」

「おーう、おはようさん【ユエ】」

 

 昨日の惨事を夢に見て憂鬱な気持ちで愚痴りながら目を覚ますと、同じ布団で寝ていた専用式神の【ユエ】が挨拶してきたので、こちらからも返しつつ観念して起きる事にした。

 

 彼女の見た目は『ありふれた職業で世界最強』に出て来るメインヒロインである彼女そっくりであり、こうなったのもただ単に式神製造部が『南雲ハジメにそっくりなんだったら式神は当然ユエでしょう!!』という理由でこうなったのだとか…いや知らんがな。

 

 まぁ、俺自身も専用式神については『装備も豊富に用意されている人型』である事と『サポート寄りの後衛型』と『作業用に省エネモード搭載してくれ』としか言っていなかったので全部当て嵌まると言えばそうなのだが…。

 

「むぅ…」

「どうした? 昨日の今日でなんか問題でも起きたか?」

「別に家の中なんだし、【名前】で読んで欲しい」

「…昨日の今日で情緒発展し過ぎじゃね?」

 

 起動したの昨日の夕方だぞ? 借りてる部屋に戻ってからずっと細かく調整し続けたり【房中術】スキルで繋がり続けていたけれど、ここまで効果あるものなんだろうか?

 

 …後【房中術】は『気の交わり』をメインに添えるのなら別に肉体的に交わらない緩い方法もあるので早とちりしない様に、会ってその場で即合体とか盛った猿じゃ無いんだぞいい加減にしろ。

 

 …いやこれ誰に向かっての文句だよ。

 

「いや一応『名前隠し』の意味も込めて呼んでるんだが?」

「今ここに居るのは私とハジメの二人だけ、だから大丈夫」

 

 ごねるユエだが残念、それだけではダメなのである。

 

「折角ショタオジに【姓名偽装】掛けてもらったのに、普段から本名で呼んでたら効果が無くなるだろ…」

「駄目…?」

「少なくとも俺の掛けた【情報隠蔽】は外れかねないから駄目だな」

「…ハジメのケチ」

 

 ケチなんじゃなくてちゃんと安全を確保しているだけなんだよなぁ…。

 

 まぁ、実際の所はショタオジがそういった外からの干渉はカットされる様に仕込みを入れてあるので問題無いのだが、正直そんな事をする輩が他にも碌な事をしない訳が無いので、俺の仕掛けた【情報隠蔽】を抜けずに諦めるのならば慈悲として放置、もしも【情報隠蔽】を抜いてしまってもショタオジの【姓名偽装】は抜けないであろうから、そこで騙されて何かしらやらかしてきた奴が居れば本命の破魔・呪詛属性の即死魔法(貫通仕様)がカウンターとして襲い掛かる様になっているのだ。

 

 …が、そうなると不満が出て来るのは折角の名前を呼んでもらえないユエである。

 

「………………」

 

 見てくる…ユエがめっちゃジト目で見てくる…いやこれマジで何かしら対応取らないと拗ねられるヤツか?

 

「…分かった、今日の仕事が終わったら自室に何かしらの処置しておくからそれまでは我慢してくれ」

「ん、分かった…それまで我慢する」

 

 どうやら許された模様…正直ここまで身近に女性が居た経験が無いから、どう対処したら良いのか完全に手探りなんだよなぁ…。

 

 ってか【会話】スキル入れてる筈なのに、なんでこんな無口キャラなんだ? 別に好みじゃないという訳でもないが、式神のコアの個性とかなんだろうか?

 

 …もしかして俺の認識が反映されているとか? でもありふれのユエって結構愉快な性格していた気が…うぅん?

 

「まぁ、別に今考える事でもないか…」

「んぅ? ハジメ、何かあったの?」

「いや、ただ単に過ぎた事考えてただけだからどうでも良い事だ、それよりも朝飯食いに行くか…」

「分かった、それじゃあ着替える」

 

 そういうが早いが、俺の目の前で寝巻きを脱いで着替え始めるユエのあまりの行動の速さに思わず固まってしまい、直ぐ後に再起動して頭を抱えてどうすれば良いのか丸で分からない現状に対する頭痛を堪える俺…。

 

「ハジメ? 急に頭を抱えてどうしたの?」

「いや、昨日の今日で矢鱈と成長していると思ってたのに、羞恥心が欠片も感じられない行動してるのを見て何とも言えない気持ちになってるだけだ…」

「羞恥心? それならしっかりある」

「なら男の前で服脱ぎ出すのは辞めろや」

 

 そう言って叱ると、ユエはまるでそんな事を俺が言うだなんて想像さえしていなかったかの様に、目を見開いて驚いていた。

 

「え、本当に?」

「いや本当も何も出会って数日も経ってない男女がそこ迄の間柄になるとか、緊急事態やそれこそそういう水商売や強姦魔なんかの関係位だろうか…まぁ、ガイア連合の専用式神に関しては元からそういった目的で作ってる奴が多く居るのは事実だけどな」

 

 そう説明する俺に対して、ユエは我が意を得たりと言わんばかりに深く頷いた。

 

「うん、それだと思ってた」

「それ?」

「私は『そういう目的』を求められているものだと思ってた」

「いやなんでやねん…」

 

 思わずツッコミを入れてしまったが、それに対して返された答えは余りにも俺自身の自業自得だった事を教えられる内容だった。

 

「だって私は最初にハジメから【房中術】のスキルを追加されたから」

「うん?」

「【房中術】のスキルは『そういう事』を目的に良く入れられるスキル…昨日のハジメも私を抱き締めながら確認がてらの解説中にそう呟いてた、だからハジメも私の自我が出来たら『そういう事』したいから昨日ずっと『健全な【房中術】スキル』を使ってたんだと思ってた…」

「oh…」

 

 これは状況証拠だけ見れば、確実にこれから酷い事する気満々な強姦魔の所業ですね間違いない…完全に俺が悪いんじゃねぇーか!?

 

 いやちょっと待ってくれ、俺は昨日部屋に戻った時は既に夕方だったから鍛錬用の異界に行く時間が無く、仕方がないから【房中術】で少しでもユエのレベリングをしようとしただけなんだよ…。

 

 そしてその事をしっかり誤解無き様ユエに説明した結果…。

 

「…ハジメのエッチ」

「いやさっき俺がした説明聞いてましたっ!?」

 

 なんか最早理不尽の領域である…ってかもしかしてこれ俺の事からかってないっすかね?

 

「おいこらちょっと? なんか微妙に口元笑ってませんかねぇ?」

「ん、きっとハジメの気のせい…私は真面目に抗議している」

 

 そう言いながらもどんどんニヤけていってませんかねユエさんや。

 

 ちくしょう…確実に好感持ってくれる様に雁字搦めにされてる相手とか、逆に引け目感じるからそこら辺の縛りをかなりゆるっゆるにしておいた結果が、こうやって遊ばれる事になるとか選択ミスったのかねぇ…?

 

「でも、正直な所を言うと、私はちょっとがっかりしている」

「がっかりしている? 何をだよ?」

「折角【房中術】スキルを入れてくれたのにハジメが私に手を出さない事」

「……………は?」

 

 え〜…う〜んと? えぇ…?

 

「いやなんでさ?」

「私達式神は主人、つまり私の場合はハジメの為だけに造られた存在、ハジメはそういった拘束をするのが嫌でその縛りをかなり緩めたけれど、大前提として私はハジメの為に存在しているから、ハジメに求められる事がとても嬉しい」

「ふむ、成る程?」

 

 俺達人間とは違い造られた存在だからこそ感じる思いを一切の澱みも無くスラスラと告げていくそんなユエの姿には、俺自身がそういった事を禁ずる縛りを解除してあるからこその真摯さを印象付けた。

 

「私達式神は主人が居なければ存在意義が無く、言い換えれば求められれば求められる程に満たされるし、逆に遠ざけられればその分死んでしまいたくなる程苦しくなってしまうもの、だからこそハジメが【房中術】のスキルを私に付与した事が分かった時、私はハジメに求められているんだって、凄く嬉しく感じた」

「自我に目覚めたばかりだろうに、良くもまぁここまで育ったな…」

 

 そんな真摯に想いを語るユエの姿に少しばかり心を動かされ、もう少し対応を変えるべきかなと俺自身も考え始めていた…。

 

「だからこそ私はハジメと【房中術】がしたいし【房中術】で【房中術】な【房中術】に【房中術】な事も凄くしたい!!」

「直前の雰囲気返してくれませんかねぇ!?」

「という訳で【房中術】!! しようっ!!」

「ふざけんな馬鹿野郎!!」

 

 まぁ、当の本人によって秒で考え直しましたけどね!?

 

 流石に朝からそんな爛れた生活やってられる訳が無いので力づくで仕事に向かう事にした…なんで朝からこんなに疲れなきゃならんのだ…。




 こんな感じで専用式神の【ユエ】さんとなります、見た目はモロ『ありふれ』の彼女ですね…という事は本名はというと…?

 本編中書いた通りこの主人公、ユエに対して掛けられているセーフティー殆ど外している大馬鹿野郎ですが、複写術式で倫理観とかも備えさせてあるのでそれ程問題は無い筈だったのです。

 …まぁ、起動して初手に緩いとはいえ長時間に渡る【房中術】によるレベリングなんか行ったせいで頭の中ドピンクの淫乱式神になっちまいましたがね!!(つまりは結局の所自業自得)

 因みに名前隠しわしようとした原因はショタオジとの会話でそういった危険性を聞かされたからだったりしますが、当のショタオジもここまで慎重になる奴は初めてだったのでちょっと困惑していたりします。

 …まぁ、主人公の能力の事考えたら、当人もその近くに居る式神も警戒しておいて損は無いんですけどね?

作品コード:148-6177-1


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第十四話 【詰め合わせパッチ】について

 なんか書いてると矢鱈と解説が多くなる気がするウチの小説…まぁ、説明は書いてて楽しいからね、仕方ないね!!


 あの後色ボケしているユエを着替えさせて食堂に向かう事にしたのだが、此処で一つ問題が発生した。

 

「やっぱりコンパスの長さが違うから、かなり移動スピードに差があるな…」

「ん、別に私が走れば良いだけなんじゃないの?」

 

 こっちがいつも通りに歩いていると、ユエの歩幅が狭い為に置いて行きかねないのである。

 

 昨日は起動したてでなんか危なっかしい雰囲気があったので背負って帰っていたのだが、しゃんとしている今もこうなのはちと面倒臭い。

 

「そんな事やらせて周りから式神の事思いやれてない奴だと思われたくない」

「それなら戦闘モードになれば同じ背丈になれる」

「いや、そんなどうでもいい事で戦闘モードになるとか、省エネモード付けた意味自体無くなるじゃん」

 

 いや確かに昨日確認した戦闘モードになれば解決する問題でもあるんだが、それは何というか間違えた使い方にしか思えないのですが?

 

 例えるならばゲームする為に買ったプレステ3でDVD見る様なもんだぞ?

 

 用途としては間違ってないんだろうけど、それってコレジャナイ感半端なくない?

 

 そんな事を考えていると誰かが此方に気が付いたのか寄って来る気配がした…強制【厳しいモード】の一件から結構な連合員に避けられてる筈だけど、一体誰なんだろうか?

 

「おはよう、ブーストニキ」

「おん? あぁ、ヘラクレニキだったか…なんで肩に式神乗っけてんの?」

 

 声を掛けてきたのは以前の覚醒から会えばフレンドリーに声を掛けて来るヘラクレニキだった。

 

 彼はあれから基本的に星霊神社の修行用異界に入り浸りの生活を送っているらしく、ストック式&やられればやられるだけ耐性が強化される【十二の試練】スキルで順調にガチ勢の仲間入り有望株へと育っているらしい。

 

 で、そんなヘラクレニキが何故か肩に専用式神であるイリヤを乗せていたのである…確かイリヤって俺が式神の胴体作り上げてからショタオジによって一番最初に『全身型』にアップデートされた式神の筈だから、普通に他の式神よりも重量がある筈なんだが…しかもヘラクレニキが取っておいた『生体素材』が成人男性八人分程詰め込まれてるから、うちのユエより概念的にも重いのでは?

 

「確かそのイリヤってヘラクレニキが溜め込んでた『生体素材』全部使ったトンデモない代物なんだろ? 概念的にも重くnいてっ!?」

「ハジメ…失礼」

「ほう、其方のユエ嬢は既に自我が目覚めているのか、凄まじいな」

 

 ド直球に重さについて聞こうとしたら、ユエに横腹小突かれたのだが、当のヘラクレニキ本人は全く気にしていない所か、ユエの自我がある事に興味を示している様であり、どうにも重さについては気にしている様子は皆無だった。

 

 …ゴリマッチョになった結果、以前の頭だけしかろくに重さがない状態は寧ろ軽かったりしたのだろうか? てか壁際に移動したけれど廊下が狭くなってて隠キャっぽい【俺ら】が通りにくそうにしてんな…。

 

「話を聞くに人に近ければ近い程自我に目覚めやすくなり、手っ取り早い方法として汎用スキルを大量に入れれば良いと聞くが…ブーストニキもそうしたのか?」

「あ〜…昨日の今日だからまだ広まってない感じか…細々と汎用スキルを入れるのが結構容量的なデッドスペース作っちまって無駄が出るから、俺の人としての概念をデータ化して式神に覚えさせる、謂わば【汎用スキル詰め合わせパッチ】みたいなのを作ってインストールさせたんだよ」

「そこらの式神なんか目じゃない…ぶい」

 

 人様にマウント取って煽るんじゃないよ。

 

 なんか微妙に彼方さんのイリヤがジト目をしているので、ユエの頭を鷲掴みにして馬鹿な事が言えない様にぐりぐり頭を動かして黙らせる…楽しそうだなオイ。

 

「多分今日明日にでも購買部から発売されるだろうが…そうだな、宣伝も兼ねてヘラクレニキにはプレゼントでもしておくか」

「む!? 唯の汎用スキルでも千マッカは軽くするのだから、これも恐らく軽く数万マッカはするものだろ? そんな気軽に渡して良いのか?」

「良いんだよ、そもそも詰め合わせだと言った所で人気どころの【料理】は俺自身の料理の技量がそこまで高くないから【男料理】みたいな事になってるから、カレーとかなら兎も角フレンチや精進料理みたいな細かいのは追加で【料理】スキルを入れてくれ」

 

 因みに特に問題無いのは【食事】なんかの凄まじく基礎中の基礎である物を除けば【水泳】とか【登攀】といった身体を動かす系のスキルだったりする。

 

 つまり現実では『外れスキル』呼ばわりされている様なものばかりなので、この【汎用スキル詰め合わせパッチ】の値段も良くて三万行けば高い方だろう。

 

「まぁ、それでも個々の汎用スキルを入れるよりコイツ突っ込んだ方が容量的には三割程空く様にはなるけどな、ガッチガチに戦闘スキル入れるんじゃないのなら個人的にはお勧めの品だな」

「ふむ、確かに私のイリヤも『全身型』に変えてもらって大幅に容量が空いているから、確かに有用ではあるのだが…」

「どうせ【俺ら】は『ガイア』の名前が表す通り自己中の集まりなんだ、やりたい様にやるし気に入った奴は贔屓する。言っちまえばヘラクレニキのやった『厳しいモード』十二日突破した事に対する祝いみたいなもんだと思っといてくれよ」

 

 多分その時俺がガイア連合に居たら、普通に何か慰めかなんかでアイテム贈ってただろうしな。

 

「むぅ…そうか、感謝する」

「あ、それと恐らくというか推測の域を出ない事なんだが、汎用スキルって【食事】スキルで判明している『霊薬の効果が高くなる』みたいな『人に近くなる事で副次効果が発動する』特性があるから、多分それに入ってる【水泳】スキルみたいな『水で行動する』スキルを入れれば『霊温泉』の効果が上がるだろうし、【深呼吸】スキルなら回復速度を底上げ出来ると思うぞ」

 

 …ん? なんか俺達の話を聞いていた【俺ら】が一瞬反応したような?」

 

「『人に近付けばより人らしくなる』…か、成る程良い話を聞いた、重ねて感謝する」

「あ、それと事前に言っとかないと式神に勘違いされかねんから言っておくが、その【詰め合わせパッチ】の中には【房中術】も入ってるから、プラトニックな関係でいきたいなら事前に言っておいた方が良いぞ、ウチのユエみたいな早合点しかねんからな」

「…ハジメの鬼畜」

「俺は俺みたいに頭抱える事態になってほしくないだけだ」

「お、おう、そうか…何があったかは聞かんが災難だったな…む、本当に必要な容量は少な目な感じがするな」

 

 ホントな、付き合うのは初見の印象でも良いとして、そこからはしっかりと段階踏んで行かなきゃ駄目だと思うんだ、俺。

 

 …なんか廊下に居た【俺ら】が一斉に購買部に向かって走って行ったが…今から飯の時間なのに朝から購買で済ませるつもりか? …まさかさっきの話聞いて【詰め合わせパッチ】買いに行ったとか? …ちゃんとマッカ足りるのか?

 

 尚、この後購買部から怨嗟の呻き声が聞こえてきたし、ヘラクレニキにタダでやったのなら俺にも寄越せとかふざけた事言ってくる輩共も居たが、後者に関してはふざけた性根を擦り潰す為に権利を使って【厳しいモード】へぶち込み、取り敢えず五日受けさせてから解放された後に【詰め合わせパッチ】を上げる事にした、何やら色々新スキルも入手したみたいだからアイツは目的の物に新スキル、ガイア連合側は戦力の強化とwin-winの関係だな!!

 

 そんな近い未来更に【俺ら】に恐れられる事になる事態を気にしつつもヘラクレニキと別れた後、ふと気が付いた。

 

「…あ、そうじゃんそうすれば良かったんだ」

「うん? どうかしたの?」

「いや、歩幅が合わない問題の解決だけどさ…」

 

 そう言ってから左手をユエの背中に回しながら左手をユエの膝裏に添えて抱え上げる。

 

「うん、ヘラクレニキみたいに連れ歩けば解決する問題だったな」

「…ハジメ、他の人が見てる…」

「別に問題起こしてないんだから大丈夫だろ」

 

 式神居なくて僻んでる奴? 最長でも【厳しいモード】三日受ければ覚醒させてやるから行こっか?

 

 …え? 非人型式神頼んじゃった? …に、二体目目指して頑張れ!! そのガッツで地方依頼回ればきっと直ぐだぞ!!(汗)




 本編で書くかどうかは未定ですが、ヘラクレニキのイリヤは流石に成人男性八人分も詰め込む事は出来ないので、後付け装備として七つの霊装を作ってもらっており、戦況に応じて使い分けていく感じとなっており、イリヤ自体の重さはそこまで無かったりします。

 え? イリヤが使う七つの霊装に心当たりがある? そうだね、クラスカードだね!!

 …普通にヘラクレニキの話書いても面白いのではないのだろうか? まぁ、現状これ以上作品増やす気は無いけども。

 追記:誤字として出されてましたが、ハジメがやってるのは両手でやるお姫様抱っこじゃなくて片手で抱え上げるやつをやってます、覚醒者だからそこら辺は軽いだろうと思ってやってるので間違いじゃないんです。


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第十五話 人類の発展にエロスは必要不可欠

 因みに現在幾つか主人公の影響で変化が起きており、具体的には『少佐ニキといった後発組が既に合流出来ている』や『覚醒者が増えた事でショタオジは式神作製作業に貼り付け状態だけど、マンパワーが増えた事で鍛錬用異界の上層は下手したら獲物が足りない状態になりかねない程狩られている』などの変化が起きています。

 これによって技術は進むし素材は増えるしでガイア連合としては嬉しい限りだし、ショタオジも異界下層の処理が少しは楽になると中々に順調だったりしております。

 …まぁそんな風に内側が余裕を持って見れるようになったのなら、今度は外側に目が行くもので…という話の少し前が今回の話となっております。


「やってくれましたねぇ…ブーストニキさん…」

「は? 何の事だミナミィネキさん?」

 

 本日本体が来たのはそろそろ消費アイテム生成しておいて備えておくかという事で、エドニキ達が担当している工作班に来ていたのだが…何故かミナミィネキから詰め寄られている件について。

 

 正直ユエが拗ねてるオーラ出してるからやめて欲しいんだが?

 

 ってか一応美人さんの筈なのになんでこの人からは寒気みたいな物を感じるんですかねぇ? 周りの【俺ら】も一部の奴等は俺の事哀れなヤツを見る様な目で見てくるし…なんか実はヤバイ人だったりするのか?

 

「あの【詰め合わせパッチ】の事ですよ、あれが出たせいで『個別で売ってる汎用スキルカードはオワコンだ』とかいう風評被害が出ているんです」

「大分値段する事になった筈だから大丈夫なんじゃないのか?」

 

 提出した実物と術式見て高くなりそうみたいな事をあの時の制作班は言ってたけど、目論見が外れたのか?

 

「実は術式自体複雑に見えて意外と習得難易度は低かったので、造るのはとても簡単だったんです。それでいて汎用スキル自体は元からお安めだから【詰め合わせパッチ】も相対的に一万五千マッカ程と安くなり、結果として『容量食う汎用スキルを細々と買うより【詰め合わせパッチ】買った方がお得だ』って話になり、汎用スキルカードが大量にダブりかねなくなったんです」

「成る程なぁ…まぁ、俺自身作る術式はなるべく初心者でも覚え易い様に心掛けてるし、それで簡単に作れるならそっち作った方が資源が無駄にならずに済みそうだしな」

 

 まぁでも結局個別で汎用スキルカードを制作する需要はなくなりはしなさそうだけどな、あれ自体の容量はパッチに比べたら当然少ない上に値段もそれ相応にクソ安いし。

 

 …何よりコミュ障の奴とか寧ろ会話したくないとかで【会話】のスキルカードを入れないとかやってそうだしな。

 

「それに幾ら習得難易度が低いとはいえ、普通にスキルカードを作るよりも難しい為通常のスキルカードを作って練習する過程で汎用スキルカードは増えてしまいます」

「そうなったら不良在庫で倉庫を圧迫してしまう…か」

「えぇ、最終的にはマッスルドリンコなんかに変換してしまえますが、流石に対比効果が釣り合わなさ過ぎてタダでさえ少ないスキルカード製作をしてくれる【俺ら】が居なくなってしまい兼ねませんよ」

「だったら統合すれば良いじゃん」

「…へ?」

 

 俺の一言で熱くなりかけていたミナミィネキが一気にクールダウン、ポカンとした表情になるが美人はそんな表情でも美人なんだというのが良く分かるな。

 

「………」デュクシデュクシ

「痛い痛い、やめろユエ」

 

 …やめなされやめなされ、嫉妬で横腹ど突くのはやめなされ…。

 

「…あらあら、これは可愛らしい…じゃなくてブーストニキさん、統合するとは一体?」

「いや、そのまんまの意味でダブりそうなスキルカードを製作者が解けば、そのままあの術式に使う資材として再利用出来るだろ?」

 

 それ位の遊びはあの術式に持たせてあった筈だぞ?

 

 実演する為に【収納ポーチ】に溜め込んでいる資材を幾つか取り出し、其々【水泳】と【食事】のスキルカードを製作してミナミィネキに手渡して確認させる。

 

「ほい、見ての通り超基本的な【水泳】と【食事】のスキルカードだ」

「えぇ、確かに確認しました」

「そんでこれらをこうして…」

 

 目の前でスキルカードを解いてから術式で一つに纏めて【詰め合わせパッチ】のスキルカードへと精製する。

 

 余分となったスキルカード一枚分は【白紙のカード】として分離され、これもまた新しいスキルカードへと再利用する事が可能である。

 

「ほい、こんな感じで再利用可能だから、これからも単品で汎用スキルカード作っても問題無いぞ」

「…これやろうと思えば戦闘用スキルカードでも作れたりしますか?」

「おっ、それは戦闘系の資質皆無な俺に対して喧嘩売ってる感じかな?」

「あっ、ごめんなさい…」

 

 尚、ある程度術式を弄れる技量持ちならば、戦闘用の詰め合わせパッチを作れる様に弄れる事は明言してはおく。

 

「それにしてもここまで使い勝手が良い術式をよく作り上げましたね…」

「つっても元はと言えばただのスキルカード製作術式を少し弄って作っただけだから、体感そこまで難しくはなかった感じなんだよな…てかそれ以上に同じ汎用スキルだからって事で【房中術】入れたらユエが勘違いしちまったし…」

 

 この時俺はやらかしていた事を理解していなかった…飢えた獣の目の前で盛大に良い匂いを漂わせる肉を巻き付けて挑発するが如き行いをしていたという事を…。

 

「ブーストニキさん【房中術】スキルを取得してらっしゃるので!?」

「え? いや、ショタオジから分身の術教えてもらう時に汎用スキルが足りないからって事で、ガチャのラストワン賞だった『夜の帝王』って名付けられてたスキルカード使って覚えただけだぞ?」

「あ、私が作ったスキルカード使ってくださったんですね、ご当選おめでとう御座います!!」

「「ふぁっ!?」」

 

 ーーコイツ(・・・)が『あの』エロスキルカード作った張本人かよぉっ!?

 

 思いっきり目を剥く俺達二人を他所に、ミナミィネキは感動した様に詰め寄り俺の手を取ってきた。

 

「あの素晴らしいセットを躊躇無く習得して下さるブーストニキを見込んでお願いしたい事があるんですが!!」

「いや、分身の術習得する為に習得している汎用スキル…というか人間味が足りないとかいう理由で丁度手元にあったスキルカードを使っただけなんだけど…」

 

 今にして思い返せば人間味足りないってなんだよって話だよな…頭薩摩とでも言いたいのだろうか?

 

「いえいえそれでもあのスキルカードが辿り着いたという事こそがある種の運命!! ブーストニキさん、私達の『ガイア連合技術スケベ部』に加入しませんか!?」

「やだよ」

 

 そんな事してるくらいなら地方に行って、現地霊能者に【軍勢変生】掛けてアクマ刈り取らせてる方が万倍マシだよ。

 

「そんな御無体な!?」

「寧ろなんで快く受け入れると思ったし?」

 

 ただでさえ覚えて間もない分身の術を制御する為のマルチタスクで頭痛めてるのに、なんでもう名前の時点で嫌な予感しかしないグループに入りたがると思ってるんだよ…。

 

「野良悪魔との人外エッチやメシアン天使の堕天プレイとかやりたいとは思わないんですか!?」

「後者についてはクソ天使相手にやるのは確かに愉しそうだけど、前者についてはそんな事してるよりもドタマかち割るか核潰して資材にした方が遥かに有意義だな」

「ハジメ…そんな趣味あったの?」

「そもそも日本霊能業界がこんな事になってる原因がメシアンだから、それ位の愉悦はしたい」

 

 ショタオジや掲示板の話を聞くにアイツら狂信タイプのイカれポンチらしいから、そんな奴等が快楽堕ちして不可逆の変化起こすのとかめっちゃ面白そうじゃん?

 

「成る程、それでは友好の証としてこれを…」

「うん? …いや【甘美なる堕天への誘い】ってなんじゃこりゃ…対天使用悪魔変化スキルの複合スキルカードか? いや俺天使仲魔にする位ならフォルマや資材にするだけなんだが?」

「これはただの私からの好意ですよ、気が向いた時にでも…なんならそちらの式神ちゃんとのプレイにでも如何ですか?」

「…ハジメがしたいなら私はいつでもバッチコーイ」

「乗るなユエ、戻れ」

 

 …まぁ、人からの好意はなるべく受け取っておくべきだよな…。

 

「はいはい、そんじゃあ適当にエログッズなりなんなり改造して欲しい物があったら持って来てくださいな…」

「っ!! 宜しいのですか?」

 

 色々諦めて大人しく貰ったスキルカードを習得し、改めてミナミィネキへと向き直る…このスキルカード結構無駄が多かったな…。

 

「その『スケベ部』とやらには加入しないけど、なにかしらやれる事があるなら手伝う、それ位の立場にしといてくれ…アンタのテンション微妙に疲れるんだよ…」

「ありがとうございます!! それじゃあ早速持ってくるのでお願いしますね!?」

 

 そう言って資材置き場に駆けて行くミナミィネキの背中には、やる気とエロスに満ちたパワフルさが満ち溢れているのだった。

 

 …尚、この後まさかの一日中エログッズを改造しまくる事になり、報酬もミナミィネキから幾つかのエログッズと共にかなり色を付けて貰えた為、少しばかり心がグラついたのは秘密である…。




 という訳で主人公は『ガイア連合技術スケベ部』との伝を入手しました…実は主人公とは性格的にあまり相性は宜しくなかったりするけども、技術的にはかなり(スケベ部にとって)有り難い存在だったりしますね…具体的にはクッソ不安定なエログッズが一気にマトモに使える様になる程度には性能が向上していたりします。

 因みに以前のキャラデザシートで書き忘れていましたが、もしも【軍勢変生】が生えなかった場合、主人公の能力は生産系なのは変わらず、殆ど小威力の技ばかりという器用貧乏な感じになる所でした。


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第十六話 何事も事前準備が大事

 そろそろ地方支援のお話、というか時系列が原作からしても飛び飛びでどれ位経っているのか分からないので、かなり適当な事書いてありますがご了承下さい。


「装備良し、アイテム良し、資材準備良し、なんだけどなぁ…はぁ」

 

 スケベ部勧誘から更に幾らか過ぎた後、ショタオジからの依頼で各作業場へと置物になっていたが、時折暴走した事で気分転換として地元の拠点の改造を完成させたり、他転生者の支援としてやる夫さんの拠点でジュネス建てたり、銀さんの所で【大社】の結界やら設備の向上、人員の強化等を熟しながら働く事半年。

 

 実際はもっと短い期間で済む筈だったのだが『他人に強制する癖に自分はブッチするのかよ!?』というまぁまぁ耳が痛いド正論をぶつけられたので、罰として置物期間が依頼とは関係無しに延びたりした事で目標が更新、それによってまた別途資材集めをしていたりしている内にこんな長さになっていた…煽り耐性もっと高めなくちゃ駄目だなぁ…。

 

 まぁ、そんな訳でそれぞれ仕事を熟していた事で目標の資材と金額を稼げていざ地方巡り!! と意気込んでいた矢先、ある意味で予想されていた現実がやって来ていた。

 

「まだ作業の手伝い、ってか置物やっててくれよブーストニキぃ!!」

 

 朝の食堂での技術者系の【俺ら】達による引き留めである…。

 

 一人二人ならまだしも、俺が地方に向かうという話を聞いた他の技術者達が次々と集まって来て、現在三十人超えの大人数で引き留めにかかっているのである、最初は話し合いだったのが今では縋り付いてきている奴までいるので滅茶苦茶鬱陶しい。

 

 俺が地方の支援に出たいという意思に関しては最初から言っていたこともあり、幸いにしてショタオジは苦言はしても本人の自由意志を尊重してくれるので、そこら辺は俺のやりたいようにやらせてくれるのは有り難い事である。

 

 …正直ショタオジ自身も結構引き留めたそうな事言ってきていたので大丈夫だったのかは怪しかったが、一応今も少し離れた所からちひろさんと一緒に少し困ったような顔をしながらも静観してくれている。

 

「別に二度と帰ってこなくなる訳じゃないんだし、資材や資金が必要になれば戻ってくるんだからその時にまた作業進めれば良いだけだろうが?」

「いやでもブーストニキ滅茶苦茶【収納】系のアイテム作ってたから、絶対暫く出たままになるだろ?」

「それはそう」

 

 取り敢えず当面の目標は近畿地方と中部地方の制覇である、具体的には地元からじわじわ広げて日本列島を内側から安全地帯にしていくのが目標である。

 

 それ位は出来そうな量の資材は掻き集めたし、ついでに出来るだけ現地で資材を集める事にはしているのでそれなりに長くなるのは確定しているのだ。

 

「…具体的はどれくらいかかりそうなの?」

「依頼受けながら各組織を説得しつつ回っていく訳だし…くっそ甘く見て大体半年?」

 

 流石に車を使うとはいえ、個人の脚で全国の霊能業界行脚しようとしたら、たった二つの地方だけでも軽くそれ位は掛かっても不思議では無いんじゃないかな?

 

 てか下手したら相手の人間性が掲示板で見る様なクソだった場合、連発すれば平気で一年以上掛かるだろうな、覇権霊能組織()だったりする場所も結構あるみたいだし。

 

「取り押さえろっ!!」

「ちょ、おいバカやめろ!? 放せコラ!?」

「三十人に勝てる訳ないだろ!! 良い加減にしろ!!(※全員レベルは最高でも10程度です)」

「馬鹿野郎お前、俺は克ぞお前!?(※レベル21です)」

 

 スキルの影響でステータスは下がっているけど、当然の様にレベルの暴力で勝った。

 

「うぅ…動けない…」

「バインドハリセンってなんぞや…」

「マモレナカッタ…」

「君達普段から鍛えてないからだよ…」

 

 馬鹿はするけどちゃんと真面目ではあるので下手な事が起きない様に、対馬鹿手加減用に作っておいた【バインドハリセン(与ダメージが0になる代わりに超高確率の【バインド】付与&自身より低レベルの相手に対する状態異常耐性貫通)】で全員しばき回して制圧するだけにしておいた。

 

 ショタオジも呆れ顔で言っている通りだが、製造しているだけでも確かにレベルは上がるが当然の様にその上がり方は遅々としたものであり、流石にそんな奴等相手に取り押さえられる程柔ではないつもりだ。

 

 …因みに俺のスキルによる経験値デバフについてなのだが、製作している時に入る経験値は戦闘の際に入るモノとは別ものとしてカウントされているのか、デバフの対象に入っていなかったりする…元が少ないからアレとはいえ、戦闘して入る経験値量と製作して入る経験値量が同量とかマ?

 

「せめて…せめて一週間とか我儘言わないから一月に数日位は帰って来てくれヨォ…」

「一月程度で一々ここまで帰って来いとか無茶言うなし、そもそも移動手段が車なんだから駐車料金もガソリン代も馬鹿にならんわ」

「トラポート要員確保位しておけよぉ…」

「悪いが基本的に作業場に釘付けだったんでな、ガイア連合の『密輸課』とはコンタクト取れてないんだわ」

 

 つまり周りまわって技術部の所為だったりする…縛り付けられ過ぎて途中でキレて異界に飛び込んで暴れてたんだけど、別に俺悪くないよね?

 

「誰かブーストニキに充てがえる【トラポート】持ちは居られませんか!?」

「今なら運営に掛け合って装備や式神『優先強化指名権』プレゼントしますよ!!」

「いやその権利基本的に指名されるのショタオジに次いで俺なんだけど?」

 

 因みに製作や強化に関してだが、これ迄の経験から地味に俺と他の技術系【俺ら】とでは、仕様の違いがあった事が判明した。

 

 俺はスキルによって『習得した物の製作速度や改造能力はショタオジを除けばトップクラス』であり、新規開発についても何かしら参考例が有れば問題無く出来てしまったりとかなりの万能型であり、これにより様々な物の改造依頼が来るのである。

 

 しかしこれによって他の技術系【俺ら】が劣っているかと言われるとそうではなく、彼らの場合は『完成度に強化幅等が非常に高い』という点で俺よりも圧倒的に優れているのである。

 

 例えるならデフォルトで『威力10、強化限界5』のアイテムがあるとすれば、俺の方は『同じスペックの物を大量に作り、あっという間に限界まで強化出来るがそれ以上には出来ない』感じであり、対して他の技術系【俺ら】の場合は『製作速度や改造能力は平均でも名称に【+5】とか付いて【威力25、強化限界10】のアイテムになる』といった具合である。

 

 因みにこれは一例で述べた内容であり、個々人の得意分野であれば製作速度も俺に匹敵する者だって普通に居る…あの【ジオストーン】職人の量産速度に至っては俺のブースト有りだと軽く俺の製作速度抜いてくるんだよな…。

 

 そんな訳なのでこの仕様が掲示板で発覚した後、他の技術系【俺ら】が作った逸品を資材や資金が貯まり次第強化しようとしている奴が、俺の所に装備や式神持ってきて強化を任せてくるパターンが激増したのである、ふぁっきゅー。

 

「というか現実問題として移動が面倒だから支部とか作りにならないので? 派出所はまだしも貸家とか設備クソ雑魚だから外部の人材雇って支部造るみたいなのを聞くけど?」

「うん、その言葉を待っていたんDA⭐︎」

「うん?」

 

 なんか妙な予感…。

 

「という訳で説明宜しくね〜」

 

 そう言うショタオジの隣に控えていたちひろさんが呆れた様な顔をして一歩前に出た。

 

「はぁ…人手が足りないから支部が作れないという事でガイア連合運営陣の会議により、限定条件付きですが非転生者でもガイア連合に加入する事を認める事になりました、条件については各人掲示板の方でご確認願います」

「お〜、ええやん…で、なんで俺が言い出すのを待ってたんだ、ショタオジ? なんか微妙に変な予感がしてるんだけど?」

「やる夫さんがやったみたいに支部の隠れ蓑としてジュネスを建てるんだけど、前にブーストニキってそれの建設に関わってたじゃん? それをテンプレにして地方支援って事で建設してこない? 依頼って事にしておくからさ」

 

 これまた怪しいけれどもメッチャ美味しい内容出してきたなオイ…。

 

 確かに以前のアレをテンプレさえしておけば俺のスキルであっという間ではあるだろう、そっから改造していけば更に効率も跳ね上がるだろうし、なんなら転生者を支援する事で結果として各地方の支援にも繋がる、一石二鳥ならず三鳥も四鳥もいけそうな話だ。

 

 何より支部ともなれば建設現場に近くの霊能組織も集まってくるだろうから、そんな彼らとの顔繋ぎをしておく事で後々霊地強化な為に回る際の説得なんかも楽になるだろうから受けておいて損は無い筈だが…さっきの予感がなんだったのかは気になるな…少しばかり様子を見ておくべきか?

 

「因みに最初の建設予定地は君の地元なんだけど、異界攻略が終わったガチ勢もある程度なら手伝ってくれるってさ」

「よし万事俺に任せとけ、最高の支部を作ってやろうじゃないか!!」

 

 あんなど田舎に超大型店舗が出来るとかガイア連合万歳!!




 尚、支部建設を手伝ったガチ勢の思惑としては『もしかしたら装備強化してくれるかも?』という打算もありましたが、普通に郷土愛溢れる地方ガチ勢な主人公なので当然の様に快諾、それどころか実質タダでやっていたので逆に申し訳なくなったガチ勢が本気で作業に取り掛かっております(尚、作業効率は流石に宜しくは無い模様)

 話の展開的には原作で言う支部建設が決まった所ですね、これらの雛形作ったやる夫さんマジ凄過ぎるのでは?

 …尚こうして各地の霊能組織に顔を繋げる事によって、自動的に『ブーストニキはガイア連合の上位陣である』と周りに周知させる事になり、結果としてやる夫さんみたいな『強さでいえばそこ迄だけど働きがヤバいから幹部級』という扱いに…。

 しかも当人の性格から積極的に地方の霊能組織に絡んでいくし、そしたら自然と地方でも名が売れるので認知度で言えばかなりの物になるというね、実質地方の霊能組織からすればガイア連合の顔役ですよ…つまりショタオジからすれば煩わしい現地民相手に於ける体の良いスケープゴートですね♪

 尚、後々この世界線ではマジで対現地民からの認知度はトップになりかねん模様…例外述べるならアメリカで主に活動している狩人ニキとか、南米で活動している雷神ニキみたいな各地に根を下ろして精力的に活動しているメンバーは現地に於ける認知度ではトップになってますね。

 追記:『克』については別にぶっ倒そうという意思が無かったので敢えてこの表記となっております。


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第十七話 ヤリタカッタダケー

 やりたい放題やってたら『因果応報足りないんとちゃう?』という至極最もな感想が来た為、置物ブッチした場合は置物期間が報酬無しで延長される罰を喰らうようにしました、ご指摘感謝致します。

 所で『第◯◯話』って毎回サブタイつける時に忘れてて見返すのって自分だけなんでしょうかね?


 目の前の建物を満足気に見つめる俺とそんな俺を呆れた様に見つめる霊視ニキ(他のガチ勢は解散と共に直ぐ帰って行った…切ない)

 

 尚、目の前に建っているのは新築ピカピカなガイア連合京都北部支部基ジュネス京都北部支店…つまる所俺の地元に出来たガイア連合の新しい支部なのである。

 

 最も異界【ブナ林】から遠い我が家から車で十分のクソ近立地であり、つまり組合員の住居のど真ん中に新しく建ったこの支部はその山を切り開いた馬鹿デカい敷地面積全てに強固な霊的防衛能力を宿したスーパーな支部なのである!!(あと表面に薄らと結界も張ってあって汚れにも強い)

 

 因みに具体的な霊的強度はといえば、現在の東京で根願寺が管理しているボロボロ状態の結界よりは防御力は上である…でも正直此処より上の結界とか【山梨支部】と【恐山】位しかないんだよね…いやホントしっかり戦前の状態から崖っぷちらしいけれども守り抜けてる【恐山】はマジでスゲェよな!!

 

 因みにこのジュネス、新築ピカピカとはいえ実は現状裏側であるガイア連合京都北部支部としての機能しかロクな働いていなかったりするのだが…。

 

「着工から僅か一月で完成……ブーストニキのスキルどうなってるんだ?」

「一応初めて建てた時はしっかりと地鎮祭から地固め、基礎構築に骨組み建設とか色々やって三ヶ月掛かったんだけどねぇ…ほら、俺造れば造るほど効率が良くなるからさ」

「だからってデパート一棟建てるのは最早【生産】じゃなくて【建設】の分類だろうが、マジでどうなってんだよ…」

 

 そこら辺はほら…一番面倒な地鎮祭や店舗のは他がやってくれてるから、後はもう重機をオカルトパワーでゴリ押し強化したからというか…。

 

 そもそも俺の認識が拠点建ててた時の拡大解釈でしかなかったから、なんかもう建物だっておんなじ様なもんって認識なんだよね…駄目だ、流石にここでそれ言われると自分の認識がイかれている事を自覚せざるを得ないぞ…(汗)

 

「これ何処まで出来るのか一度調べておいた方が良いかもしれんな…」

「タダでさえ資質が技術系に極振りなのにその幅がガバガバとか、お前の判定どうなってるんだよ?」

「多分ショタオジによる詰め込み教育で『何かしら造る事=生産』って事にされてるんじゃないかね? 確かやってる最中に結界の事とか式神生産の事とか詰め込みまくられてたけど、アレよく考えたら微妙に生産とはカテゴリ違う感じだし」

 

 結界は本来なら【防御】の系統に寄ってるし、式神も【降霊】のジャンルは言い換えれば【強化】に当て嵌まる筈である…結界自体は多分【軍勢変生】スキルが目覚める前に齧ってたからギリギリセーフだったんだろうけど、少なくとも【降霊】については俺自身の認識があやふやな事を突いて無理矢理覚えさせたんじゃないだろうか?

 

「それなんて洗脳?」

「まぁ、本来なら出来なかったかもしれない事が出来ているのは有難い限りだし…一番嬉しい物も完成したからな」

「あの裏ジュネスに作ってたデカいターミナルの事か?」

「Exactly(その通りでございます)」

 

 正直アレこそが個人的に支部作って欲しかった最大の理由だしね。

 

「見てても何かMAGを利用する装置としか分からなかったんだが、一体アレは何だったんだ?」

「まだ世界的にはGPが足りないから使える人は限定されてるけど、大ターミナル間でのみ行えるワープポイントだな」

 

 取り敢えずこれが成功したのなら山梨支部の麓に借りてある借家と楽に行き来する事は出来る筈だ。

 

「は? アレって異界限定じゃなかったのか!?」

「異界の外ではワープは不可能……そんな風に考えていた時期が俺にもありました」

 

 具体的にはショタオジに詰め込み教育施される時までな。

 

「アクマは元よりペルソナ使いやデビルシフターってさ、認知存在に寄ってるんだってさ」

「…まさか?」

「現状この二つは大ターミナルによる特殊な霊脈通信網を利用すれば、データ送信の要領で転移させる事が可能となっております…」

 

 因みにイメージとしてはロックマンエグゼのホームページみたいな電脳空間が大ターミナルに作ってあり、それによって混雑の解消を図っております。

 

 …まぁ、それについても電子系はまだそこまで収めれてないから、今のセキュリティ方面はガバガバのガバなんだけどな、だからこそ山梨支部の自室じゃなくて麓の借家に作った訳なんだし。

 

 そんなこんなで霊視ニキと共に裏ジュネスへ向かい、クッソ私的な理由で建てた『ゴットイーター』シリーズのターミナルそっくりな大ターミナル(一応超高性能なパソコンや結界の起点としても使用可能、というか表向きは強力な結界の発生装置である)を起動して稼働状態に問題が無いかを確認する。

 

「ふむ、問題は無さそうだな…ちゃんとMAGの流れも安定しているし電波(?)状態も良好、これならワープ実験も出来そうだな」

「いや、ちゃんと稼働したのは良いが、事前に実験はしてあるのか?」

「一応ちゃんと向こうで段階踏んで実験してあるし、なんなら俺自身が身体張って試しておいたから大丈夫…な筈」

「オイ」

 

 いやだって、流石にこの距離で試した事なんか無いよ…。

 

「取り敢えずまぁ、此処で使ってみて問題が無いかどうか霊視ニキには見ておいてもらいたいんだけど駄目だろうか?」

「成る程、それがブーストニキが俺に声を掛けた理由だったのか…まぁ、良いだろう、格安どころか殆どタダで装備や式神を強化してくれたんだ、この程度の雑用だったら喜んでやってやるよ」

「すまんな」

 

 そんな訳で早速大ターミナルを起動し電脳空間へ、問題無く移動出来る事を確認した後本命の支部麓に設置してある大ターミナルへワープしようとしたのだが、此処で問題が発生した。

 

「…向こうの電源落ちてやがる…」

 

 まさかの前提条件の崩壊である…MAGで稼働する装置である都合上停電なんて起こらない筈なのだが、そこてふとある事を思い出して現実に戻る事にした。

 

「む、特に問題は無かったみたいだが忘れ物でもしたのか?」

「あぁいや、ちょっとしたトラブルというかちょっと待ってくれ…あ、もしもしショタオジ? ちょっと聞きたいことがあるんだけと良いか?」

『ブーストニキ君ブラックカードの機能改造して携帯電話にするとか何やってんの?』

 

 今後外部を招くという事で作られた【俺ら】専用の【ブラックカード】…元々は過保護なショタオジによる安全ブザーの様な物なのだが、其方で使う事が無かった為に身分証明書程度にしか使っていなかった物である。

 

 そのブザー機能の術式にちょっと手を加えてショタオジとの直通電話にしたのだが、ちゃんとショタオジ本人が出て来てくれて一安心である。

 

「まぁ、そこら辺は後で謝るけど、所で一つ聞きたいんだけど麓で俺が借りてる部屋の大ターミナルってショタオジが電源落としたりしてないか?」

『うん? 霊脈確認してた時に切り忘れてるの見つけて切っといたけれど、何かあったのかい?』

「ワープ実験やるから電源入れといてくれない?」

『うん? ごめん、もう一回言ってくれない?』

 

 なんか珍しくショタオジが困惑してるな…霊視ニキも困惑しているショタオジが珍しいのか目を見張ってるし。

 

「だからペルソナ使いの特性利用したワープ装置の実験したいから、麓に設置してある大ターミナルの電源入れてくれない?」

『え〜なんで君そんな危ない事誰にも相談せずにやっちゃうのさ…』

「周りにペルソナ使いが居ないからね、仕方ないね」

「いや、僕もペルソナ使いでもあるんだけど? いやそれにしてもホント良く出来てるねこの転移システム」

「オイトップ何やってんの!?」

 

 まさかのショタオジ顕現である、何やってんすかアンタ。




 サラッと電脳異界モドキを作り上げる馬鹿野郎はコイツです。

 後世界が不安定になる半終末まで行けば普通の覚醒者でもワープ出来るかな? って感じですが、多分その時には電脳異界とかにも手を出してるんじゃないですかね? 各地で簡単にアクセス出来る修行用異界として良さそうかもですわ(感想によるアイデア本当に有難いです)

 …まぁ、半終末前に覚醒イベント入る予定なんで、そこで梃入れされる事によって出来る様になる感じなんですけどね。


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第十八話 雑談と種明かし

 勢いがある内にひたすら書き続ける!! それこそが物書く時のコツですよ!!(グルグルアイ)

 あ、でも誤字修正とか指摘とかあればちゃんと反映致しますよ?


 裏ジュネスの大ターミナルを前にして元から居た俺と霊視ニキ、そしてターミナルワープをしてやってきたショタオジ(恐らく式神)は一旦休憩という事で適当に俺が持って来ていたツマミ(主にジャーキーやスルメ等)を食いつつ、ユエが淹れてくれた茶を呑みながら話し合っていた。

 

「つまりいつも通りブーストニキは『やれそうだからやってみよう』の精神でターミナルと転送技術を確立しちゃった、という事かい?」

「それでやってしまうところを見るとやっぱブーストニキも【俺ら】なんだって分かるよな…」

「そうかな…そうかも…」

 

 だって想像していた事が色々実現出来たら誰だってやりたくならない? 俺はなる。

 

「一応安全に気を使ってプログラム的な防衛はしていても、素人による恐らくガバガバセキュリティだろうから山梨支部には設置しなかったし、此処のターミナル自体も実はジュネスの敷地外に設置してあるからアクマが出て来てもジュネスとターミナルの二重結界で侵入妨害してあるから安心は出来る筈だぞ」

「あぁ、なんかこの部屋だけ区切られてると思ったら、そんな形になってたのか…確かに此処の地形を考えれば外側ではあるな」

 

 下手打って拠点にアクマの集団が強襲とか洒落にならんしな。

 

「ふーむ、でもこんなに良く出来てるんだったらウチの本社に置いても良さそうではあるけど…ちょっとこの大ターミナルウチの【デジタル技術部】に持って行っても良いかな?」

「う〜ん、確かに本業が居るなら見てもらった方が良いからそうしようかね…それじゃあそれにプラスしてショタオジが俺に詰め込んだ技術一通りスキルカードにしてみたんだけど、ちゃんと出来てるか確認してくれるなら良いぞ」

「あぁ、暗くなって工事出来なくなると暇とか言って作業場に篭って何かしてるのかと思ってたが、そんな事してたのか…というかショタオジ直々に詰め込みとか…大丈夫だったのか?」

 

 俺の修行内容に対して霊視ニキが心配そうに見てくるが、正直分かりきっている事を聞かれているも同然である。

 

「軽く本体だけでも二十数回は過労死したな、連動して分身も死んでたけどそれも含めれば大体五倍だな」

 

 つまり合計で三桁回数死んでた…って事ぉ!?

 

「いやブーストニキ分身出来るのかよ!?」

「生産程度なら出来るけど戦闘力皆無の置物をな、マジで影法師みたいなもんよ」

 

 そう言いながら目の前でギニュー特戦隊のポーズを其々決めながら実演してみせるが、同じ奴がやってる姿を見て霊視ニキは微妙に引いていた…是非もないよね!!

 

 因みにこの分身の術式もスキルカード化してみたけれど、それ相応に習得難易度は高くなっているので悪しからず…多分習得する為に死に掛けるけど、習熟する為にはレベル30位は最低限ないと俺みたいに死にまくらないと駄目な難易度だと思う。

 

「まぁ、実際ブーストニキの特殊スキルのお陰もあって製造系は速度も技術も軒並み効率大幅アップしてるからね、覚えてもらった甲斐があるよ」

「その強化された事で作られる物が『リーゼント型バスターヘッド』とかそんなレベルのジョーク(ガチ)アイテムだったりするから微妙な顔になる事も多いけどな…」

 

 『これさえ装備していれば頭部の防御力は他の防具に比べて多少は下がるが、式神パーツを移植とかせずにメギド程度の威力を持った万能属性光線をぶっ放せるぜ!!』とかほざいていたのはエドニキだっただろうか…見た瞬間余りの馬鹿らしさに眩暈がしたね…。

 

 …まぁ、コレに関して一番アレだったのはレトロスタイルな番長コスしている【俺ら】に対してめちゃくちゃ受けていた事だろうけどな、訳が分からないよ。

 

「まぁ、何時もの技術部みたいで安心ではあるわな…そうだショタオジ『コレ』が例の異界で核になっていたと思われる霊装だ、丁度良いから受け取っておいてくれ」

 

 そう言って霊視ニキが取り出したのはボンヤリとした青い光を放つ金属質の平べったい箱型の霊装であり、あの異界『ブナ林』の大元であるという事しか分からない霊装であった。

 

 だがしかしそこはガイア連合盟主にしてトンデモ超人たるショタオジ、一目でコレが何かを言い当てた。

 

「おや、これは根願寺が損失してた筈の鍛錬用異界の核だね」

「根願寺の鍛錬用異界の核だぁ? なんでこんな所にそんなモンがあるんだよ?」

「こんなど田舎にそんな都会の物があるとかおかしくない? 誰が持って来たんだ?」

「ふむ、ちょっと占術で調べてみるか…」

 

 そう言うとショタオジは懐から札を取り出し、何か呪文を小声で唱えると札から円錐形の光が放たれてホログラムの様に像を結び、そこには見覚えのあるブナの大木の根元に鍛錬用異界の核を埋めている、何処となく見覚えのある男性が映っていた。

 

 …所でこの分身と思わしきショタオジ、なんで持ち物ちゃんと持ってるんだろうね?(現実逃避)…これ下手したら後でお叱り受けるかもしれんなぁ…。

 

「この人がこの核を持ってた人なのか? なーんか地味な印象だけど…どっかで見た覚えがある気がするなぁ…」

「う〜ん? …あ、もしかしてアイツじゃないか? Fate/zeroで衛宮切嗣の過去回想に出て来た『衛宮矩賢』」

「おぉ〜、御名答だよ霊視ニキ…ついでに言うとかなり珍しい戦前生まれの【俺ら】だったみたいだね」

「「んんっ!?」」

 

 こんな時にまで関係してんのかよ!?

 

「ふむ、どうやら彼は根願寺の霊装なんかを管理・守護してきた一族だったみたいだね、日本が敗色濃厚になった時にそれっぽい霊装をダミーに残して、色々とヤバい代物を一族が離散してでもメシア教の手に渡るのを阻止する為に日本各地にバラバラに分かれて封印していたみたいだね」

「それじゃあその時の封印が経年劣化したせいであの異界が出来たって事なのか?」

 

 もしもそうだとしたら俺根願寺の事どんな目で見れば良いのか分からなくなっちまうよ…。

 

 そんなことを考えていたのだが、ショタオジから齎された解答は思わず俺と霊視ニキを黙らせてしまうものだった。

 

「いや、今の根願寺なら兎も角、戦前のしっかり霊的防衛施設としての役割を果たしていた頃の根願寺の術者、それも敵の手に渡ればロクでもない事になるのは確定な代物を扱ってた術者だから、その封印術は軽く数百年は持ってもおかしくない筈、それなのにその封印が解かれているとなれば…あぁ、やっぱりか」

 

 そう言って新しく映し出されたホログラムには、クッソ忌々しいメシアン数名と【エンジェル】を始めとした天使系が何体か映し出されており、掘り返した異界の核の封印に何かしら手を加えようとしている所だった。

 

「「……………」」

「ご覧の通り、メシア教が何らかの方法で矩賢氏の足跡を見つけ出し、『如何にかして』隠し場所を判明させた上で異界の核を掘り返し、余計な事をしたせいで核が暴走、それから数十年もの間異界『ブナ林』が展開されていた、っていうのが事のあらすじみたいだね」

 

 ショタオジがそう言い終わるのと同時に、何やら異界の核が漏電している様に電気や火花を飛び散らせるといった怪しい挙動を引き起こし、異界が展開されると共にメシアン共の目の前に超巨大な泥で出来た巨人…恐らく霊視ニキ達が戦ったという異界のボス【地霊:ダイダラボッチ】が現れた。

 

 驚きながらも攻撃を仕掛けるメシアン共だったが、着弾した事でその泥の身体から弾かれて落ちてきた泥の塊により、戦場だけでなく空を飛んでいた天使共も泥の重量により身動きが取れなくなり、その結果メシアン共はダイダラボッチの攻撃を避けるどころか防ぐ事も出来ずに叩き潰されてあの命を散らせる事となった。

 

「「メシアンザマァ!!」」

 

 俺と霊視ニキ大歓喜である。

 

「という訳でこうして誰も制御する者が居なくなった異界は、只管地脈からMAGを吸収して異界内に特定の制御されたアクマを生み出し続け、許容限界が来たら異界の外に放出を繰り返す傍迷惑な代物になった、という訳だな」

「取り敢えず何もかもメシアンが悪いという事が分かりました」

「アイツらホント絶滅してくんねぇかなぁ…」

 

 全くもって霊視ニキに同感である。

 

 取り敢えず言えるのは『メシア教は邪教!!』間違いないな!!




 この後大ターミナルを山梨支部に持って行ったら案の定サボりだと判明したショタオジと一緒に居た事で『お前なら直ぐに本物だって分かっただろう!?』とお叱りを受けました。

 そんでもって異界【ブナ林】は言ってしまえば人工異界であり、その起源は根願寺の修行する為の特別な核を用いた物であり、これを持ち込んだ衛宮矩賢氏が偶々封印に選んだ場所が巨木のお陰で太い霊脈があったブナ林だったので、ブナ林がそのまま異界になったって感じですね。

 …因みにどうやってメシアン共が厄ネタ隠す為に姿を眩ませた衛宮一族の足取りを掴めたのかって? なんか矢鱈と顔が整ってる新人神父がメシア教に取り入る際に、手土産として何人かの衛宮一族の足取り教えたらしいっすよ?

 …所で注意書きみたいに※1とかの書き方どうすれば良いのか分かる方居られませんでしょうか?(見つけれない雑魚作者)


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第十九話 休憩時間に休憩出来るとは限らない

 (支部設立回はワープ解禁で)カットだ。

 そんな訳で一応準備回って感じですかね、後注釈機能がマジで便利ですわ。


 それから半月、なんか怪しい&ロクでもなさそうな奴等ばっかりの【デジタル技術部】に安全面確保してもらった事により全支部建設完了!!

 

 どうやったかって? 建設予定地に【トラポート】持ちの【俺ら】に向かってもらい、予定地の近く*1に大ターミナルを設置して、本体をそれぞれの大ターミナルに纏めて繋げてある通称『デスクトップ』に居座らせる事で距離を誤魔化して各地に分身を派遣し、纏めて建設を進めていったのである。

 

 …まぁ、結果としてやっぱり従業員が決め切れずに建てれちゃうから、暫くの間連合員は各々で溜まり場としてでも使っておいてくれって感じだけどな。

 

 そんな訳で各地に支部が出来た事はイコールとして各地に大ターミナルが設置出来たという事でもあり、滅茶苦茶移動が楽になった。

 

 俺以外のペルソナ使いやデビルシフターも最初は恐る恐るといった感じだったが、今では他の【俺ら】を煽り倒す程に有効活用してくれやがっている…。

 

「そのせいで他のワープを使えない連中から理不尽でしかない文句が来て敵わんのだが、そこら辺どう思うよワープマウント取ってたハム子ネキ?」

「まぁ、特権階級の有名税ってやつじゃないの?」

「じゃあその特権階級として、昨日散々掲示板でワープマウント取りまくってた癖して俺にヘイト擦り付けたハム子ネキのワープ権限一時的に凍結しちゃっても良いか?」

「あぁすんません、ワープマウント取るのは控えるんでそれだけはご勘弁を…」

 

 最近【デジタル技術部】で転生者向け掲示板のシステムチェックがてら巡回するから、こちとらそこら辺ちゃんと分かってんだぞ?

 

 …てか色んな掲示板のチェックする事になって知った事だけど、結構式神達も俗っぽい感じなのな、巡回してる事に気付いたからって所有者とヤる為の架け橋になって欲しいと頼まれるとか誰が想像出来るよ?

 

「てかそれ以上に今の俺は休憩時間なのに電脳空間に来てまで粘着するんじゃないよ」

「だってブーストニキ予約制辞めて直接取引に変えたから、なるべく早くに声掛けないと装備の強化出来ないじゃん」

「…ここに居ても休めないとか抽選にした方が…いや、運のステータスが思いっきり影響してくるだろうし、もうこれからは掲示板で依頼安価でも取るべきなのかねぇ?」

 

 俺は好き好んで忙殺されてるショタオジ*2とは違って休める時には休むのが信条なんだよ、パフォーマンスは常に良好な状態をキープしておかなきゃ、いざって時に痛い目に遭いかねんからな。

 

 …てか此処だとリカームで復活させられる奴がそれなりに常駐してるから、マジで『忙殺』の言葉が過労死って意味に直訳されるのに小さな問題にしかなってないという、黒い笑い話にしかならない地獄なんだよな…。

 

「てかそもそも現金払い禁止にしたのに何でまだ注文が殺到してるんだよ…」

「そりゃまぁペルソナ使いだからなのか、ブーストニキの作ったり関わったりしたモノって式神だろうが機械だろうが認知世界でも効果発揮するし、製作速度も滅茶苦茶早い上に強化もガッツリ上げてくれるから、お金にもマッカにも糸目を付けないガチ勢程注文しない理由はないでしょ」

「やり手だと言われてる筈なのに忙し過ぎて素直に喜べねぇ…」

 

 もう少し余裕を持った仕事の入れ方をするべきか? いや、でもちょくちょく休憩入れるよりもキッチリ纏めてしてた方がやる気も出るしなぁ…。

 

「それにショタオジが持って来た『ロゴスリアクト』のお陰で浅い層でも短い時間で安定して大量のマッカを稼ぐ事が出来る様になったしね」

「…アレが原因なのかよ…」

 

 ウチの組合が作られる原因となった異界の元である『鍛錬用異界の核』こと『ロゴスリアクト*3』なのだが、アレは現在星霊神社が以前から管理してガイア連合員が戦闘や稼ぐ為に使われていた異界に組み込まれていた。

 

 名前に反して能力は足りてないし材質も希少ではあるが元ネタとは全く別物なパチモンでしかないのだが、その能力が『地脈や霊脈、周囲のMAGを吸収し、吸収したMAGの量に応じて異界と事前に決めておいたアクマを出現させる』という中々に強力なモノな上、既に展開されている異界で用いた場合は『異界のMAGを設定した量奪い取りその場に指定したアクマを召喚する』という異界ブレイカーとしても使えそうな能力まで秘めていた事が判明したのである。

 

 その為ショタオジが珍しく強権とも言える程強引に利用方針を決め、今では星霊神社の保有している不思議のダンジョン方式な異界で、最早数ヶ月先まで予約が埋まる程延々とマッカやらフォルマが美味しい敵ばかりを量産する装置と化しているのだった。

 

「地方民が霊的都会である山梨支部との余りも酷い格差でお通夜になってたね」

「一応俺もロゴスリアクト解析して量産出来ないかやってるけれど、正直オリジナルにも備わってるあのクソ燃費、アレどうにかしないとマトモに地方の貧弱異界で使おうものなら霊地自体が潰れかねんのが難点なんだよなぁ…」

 

 寧ろそんな代物ガンガン使ってるのに、なんで平然としてるんだよあの不思議のダンジョン…。

 

「それに周囲のMAGを奪い取る仕様上、MAG不足に陥った周りのアクマ共が群れを成して襲って来かねんから、地方に配ろうにもマジで地力を上げるのが重要事項なんだよなぁ…」

「それでこの前ショタオジや【事務員俺達】に対して根願寺の伝手を使いたいって申請してたの?」

「そうそう、今まで銀さんややる夫さんみたいな地域密着型の【俺ら】が紹介してくれた現地民や、その現地民の口コミで広まった範囲での支援しか出来なかった訳だけど、その口コミの評判が中々好評だからって事で漸く根願寺に対しても有効な実績が積めたらしいんだよな」

 

 まぁ、多分最後の一押しとなったのは以前やった各支部の高速建設なんだろうけどな…あの時かなりの数の霊能組織と接触して有用性を売っておいたから、それなりの評判になってるんじゃないだろうか?

 

「ふーん、そうなんだぁ…(大分前から【事務員俺達】が各地からブーストニキについての問い合わせが来ているけれど、こっちの事優先させたいからはぐらかすの辛いって愚痴ってたのは黙っておいた方が良いんだろうなぁ…)」*4

「そんな訳でこういった休憩時間を使って無料配布出来る簡易的な装備を量産している訳なんだわ…だからそんなに穴が開きそうな程見つめても、現状のハム子ネキには微塵も役に立つ代物じゃないから諦メロン」

 

 さっきから物欲しそうな顔で量産している槍の穂先を見つめるのやめなさい、こんな一派一絡げの量産品(ランクHN、強化値MAXの10)とかアンタにとっては投げナイフ程度の玩具でしょうが…。

 

「なーんだ、てっきり新型で空間から射出出来るの【収納ポーチ】が出来たとか聞いたから、てっきりそれで使う弾用の武器作ってると思ってたんだけどなぁ…」

「それに関しては何時も支援してくれてる【富豪系俺ら】への感謝の印として防衛用【収納ポーチ】を何個か作って送っておいたな。特にギルニキ専用の【王の財宝】はなんか使用者が明確に想定されててイメージがガッチリしてたからなのか、元ネタ通りのちっさい鍵型なのにも関わらず、アホみたいな量の装備を詰め込む事が出来たな」

 

 てか入れる物のネタが俺だけじゃあ思い浮かばなかったから、適当に技術部にギルニキへのカンパ募って突っ込んでいったせいでリスト持ってるギルニキさえも入ってる物調べてなきゃ何があるのか分からないんじゃないかな?

 

「…そうやって何も考えずにやらかすの見てたら、やっぱりブーストニキも【俺達】なんだなって分かるよね」

「そんな感じの台詞つい最近も聞いた気がするなぁ…」

 

 せやかて避けられてるから一人でやるのは仕方なくない? 自業自得? それはそう。

*1
主に建設業者が利用するプレハブ小屋の中

*2
忙しいのは好きでも何でもないよ?byショタオジ

*3
掲示板で決めた通称、見た目がまんまfateのそれにそっくりだったから

*4
もしもバラした場合確実に不和の種になるので大正解です




 因みにロゴスリアクトの順番待ちの権利は主に転生者側にありますが、式神チームも順番待ちしていますし、なんならロゴスリアクト使用中の防衛役をやって楽して敵が来るのを待ち構えている式神チームも居たりします…まぁ、入り口近くだから低レベルの式神達にとっては丁度良いレベリング場扱い出来ますからね。

 因みに何で此処に置いたのかって? 例え浅層であろうともクソみたいな最悪燃費でガンガンダンジョンのMAG吸い取るからダンジョンのMAG濃度が必然的に下がるからだよ(尚、それでも微々たる物な模様)

 てな訳で次回から遂に地方支援の前段階たる根願寺強化回ですね、ちょっとばかしネタに走るつもりなので先に謝っておかせてください、すいませんorz


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第二十話 物事は段取り通りに行く方が珍しい

 前回後書きでネタに走るとか言ってたのに然程ネタっぽくならなかった件について…やっぱり思いついた事書いてるだけだとこんなもんなんですかねぇ?


 さて、無事に根願寺を通じて地方の支援を出来ると思っていたのだが、流石にそれは見通しが甘くあり、具体的には【軍勢変生】スキルの詳しい効果が分からないから実演しろというお達しが来たのである。

 

 確かに【大社】等一部でやってみせたとはいえ紹介する側である根願寺では前例が無く、効果も碌に分からない異能で霊能を強化する等言っても信用する事など出来ず、かと言って最近どんどん評価を上げている【ガイア連合】からの推薦を無碍にする事も出来ないので、まずは効果の確認をさせてくれとの事だった。

 

「そんな訳で、今俺達は根願寺が保有する覚醒修行用の異界前に来ておりま〜す!!」

「ハジメ殿…何やら自棄になっておらぬか?」

「ん、録画しているのならある程度分かり易くするのは大事」

 

 俺の某珍獣ハンターみたいなアホなテンションによる撮影*1に戸惑いつつも聞いてくる【葛葉キョウジ】さんと、そんなキョウジさんに対してズレたボケをかますユエという何処にもツッコミが居ない現状なのだが、正直こんなテンションじゃないとやってられない面子というかなんというか…。

 

 始まりは俺が根願寺に出向いた際にどうやってスキルの効果を根願寺に確認させるかという問題に対して、俺が地方から召集している術者や裏について知っているだけの非覚醒者を覚醒させますので、それの確認役としてそれなりの立場にある人さえ居れば後は適当な異界にでも突入すれば良いオッケーです、という普通に聞けば頭を疑う様な内容の条件を出してまず紹介されたのがキョウジさんだった。

 

「ーーっは!?」

「ほぅ、お主……」

「貴方…『覚悟』している人ですね?」

「矢張りお主も護国の者か…」

 

 ガッシィィィィィンッ!!!!*2

 

 …といった具合に一瞬で意気投合したのだが、そこから紹介されたメンバーが余りにも情けなさ過ぎ、無理矢理テンションを上げていないとやってられない様な人材だったのである。

 

 何せ『レベル1有れば良い方』であり『レベル0.3のほぼ未覚醒』やら『装備がNどころか素材同然』なんていう余りにもあんまりな状態の揃い踏みだったのである。

 

 そしてある意味何よりも俺を恐れさせた内容というのが…。

 

「あ、あんなんで大丈夫なのかよ」(←前原圭一 LV0.3)

「いや、確かに心配するのも分からなくはないけど、ガイア連合の一員なんだったら大丈夫…なんじゃないか? そっちはどうだ? 鬼の力とやらでなんか分かったりしないか?」(←菜月昴 LV0.5)

「いや、転生体だからってつってもあの人が俺らより遥かに強いって事くらいしか分かんねぇぞ?」(橘木ヤマト LV1)

 

 俗に言う『死に戻り』やら『ヒロイン凌辱』系の作品に登場する主人公やヒロインキャラそっくりな奴ばかりという、お前らよく今まで無事でいられたなとしか言えない奴等ばかりが来たのである…しかも見た目そっくりな奴等ばかりなのに、誰一人として【俺ら】じゃないというビックリ案件な上、才能限界も日本の霊能者特有のアレ具合という惨状…。

 

 …これワンチャン地元に居たら元になった作品みたいな目に遭ってたんじゃないだろうか? 但し死に戻り無しなのにクリアルート皆無で確定バッドエンドしかない状態だけど。

 

 まぁ、そんな訳で俺の勝手な不安を解消する為にも取り敢えず先ずは装備更新からだな、こんな貧弱装備じゃあ流石に【軍勢変生】スキルによるバフがあっても下手したら痛手を貰いかねないからな。

 

「さて、それでは自分のスキルの検証…ってあぁ、元一般人が多いガイア連合内での異能の呼び方の事なのでお気になさらず…まぁ、検証をする為に皆さんが来る前にざっと此処の異界の中を探索して粗方出て来るアクマの調査をしておいたので、皆さんに『これ』を配っておきますね、ユエも配るの手伝ってくれ」

「はい、一人一つ」

「む? この腕輪…見た目は既製品の様だが霊装となっているのか?」

「そうですね、異界に居たのが物理攻撃しか使えないアクマだけだったので、身に付ければ【物理耐性】ーー要するに物理攻撃のダメージが半減しますーーが付与されるブレスレットを即興品ですがさっき作っておいたので、事故らない為にも付けておいてください」

『『『何だその神装備!?』』』

 

 皆して面白い位に驚いてるけど、実はこれ見た目の通りアクセサリー枠のほぼ最低レア枠(一応耐性が付与されるので最低ではない)だから【物理耐性】以外に効果は無いし、防御力も無い上に【物理耐性】自体がブレスレットの強化上限を犠牲にして付与している特殊強化だからこれ以上なんにも出来ないっていうね…。

 

 素材がどんな物でも良いから市販のブレスレットと雑魚アクマのフォルマで出来るっていうコスパの良さと、余りにも簡易な作りである為道具が不必要な事だけが取り柄という中々に残念な装備である。

 

 …まぁ、今回みたいな急に必要になった時なんかや、めっちゃ安価な籤なんかの参加賞としては丁度から時々作ってるんだけどな。

 

 …因みに使うフォルマを変えれば耐性も変わるので、暇な間に他の耐性に変えただけのクソ雑な亜種を作ってたら、ハム子ネキがコンプ欲刺激されて一人で全種類分コンプする為に籤を引に来た挙句、まさかの外れを外しまくり上位景品を根刮ぎ当てていったという珍騒動が発生したのには渇いた笑いしか出なかったぞ…。

 

「はい、それじゃあ次は各自の武器をどうにかしましょうか」

「いや、俺普通に刀持ってるんだけど?」

「それ霊刀じゃなくて神秘の欠片も無い唯鋭いだけの刀じゃないですか、改造しても良いならその刀でも良いですが、そのままじゃあ下手すれば刀の方がへし折れますよ?」

 

 そう言ってから俺は見本として愛用している二本の鉈を取り出して見せると、長年手入れと改造を続けて来た鉈はここ最近ガイア連合に入ってから更に上がった技術力のお陰で俺が抑えなければただそこにあるだけで『圧』を放つ妖刀の様な代物となっている為、参加者は仰け反ったり気絶しかけたりと様々な反応を見せた。

 

 …が、ここでまさかの誤算が発生した。

 

「あ、あれ? なんだろこれ? …【ディア】?」

「ぱ、【パトラ】? …あ、なんか落ち着いたかも…」

「こ、これが本当の覚醒か!? …でも覚醒して覚えたスキルが【くいしばり】って…」

「今度は武器見せただけで覚醒するのか…」

「仕方ない、ハジメの武器はレベルで言えば10はあるから、どうあがいてもここの人達にとっては格上なのに、その圧力を受けたら覚醒するのもやむなし」

 

 非覚醒者の精神がやられない為に先に【軍勢変生】を使っておいたのだが、その影響でまさかの武器を見せただけで殆どの参加者か覚醒してしまったのだ…しかも鉈の圧力により覚醒したからなのか初期スキルが揃いも揃って何かしらの回復スキルというね…。

 

「どうすっかねぇ…幸いまだ何人か覚醒出来てない人も居るから、その人達の覚醒支援と全体のレベリングでもやって検証完了って事にしても良いですかねキョウジさん?」

「う、うむ…まさか霊地で何年もの修行をせずとも覚醒するとは…正直それだけで十分な結果とも言えるだろうが、他にもその異能に備わっている能力についても検証が必要だからな、宜しく頼む」

「(そういやショタオジも修行についてなんかそんな事言ってたっけ?)了解です、それじゃあ異界に入っただけで覚醒してしまわない様一度【軍勢変生】を切りますが、適当にそこら辺の雑魚アクマを抑えますんで、そこからトドメを刺してください」

 

 そんなこんなで全員して異界に入り、早速目に付いた【ガキ】に【デビルパライズ】をぶん投げて麻痺させ、転かして踏みつけた所で非覚醒者に【軍勢変生】を使用して可視化、そのまま麻痺して動けない【ガキ】を任せると、俺があげた槍を使って寄って集って突き刺し殺すという中々に殺意溢れる素晴らしい対応をしてくれた、その殺意goodだ。

 

 その後は予想外の展開でやる事が前倒しになりまくったので特に山場も無く、異界自体がショボいのもあって全員のレベルが5になるまでひたすら狩る事でこの日の検証は終了してしまった…なんだかなぁ…。

*1
撮影係:汎用スキル【撮影】を入れてある一旦木綿式神

*2
握手しただけです




 ブーストニキとキョウジさんはなんかもう目が合った瞬間に『盟友!!』ってなる位ビビッときたのでトンデモなく力強い握手してました、そのせいで微妙にユエがジト目になった位です。

 因みに地方から来たキャラ達の例に出されたのは他の地方から呼ばれた人(今回は他の仕事で来れなかった)の補助として付いて来た奴の方が多く、本来なら呼ばれた人達の方がレベルが高かったりします(それでも1や2だけど…)

 …まぁ、そのレベル差も今回の【軍勢変生】一回で超えられちゃったんですけどね?


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キャラシート ナグモ ハジメ

 再びのキャラシート、本編の【軍勢変生】を習得しなかった場合、どんなキャラになってたの? という謂わば他所様行きのバージョンですね。

 こちらもこちらでかなりアレな事になっていますが、ある意味マイルドな仕上がりなんじゃないかな?

※今作の微妙な伏線擬もあるので微注意であり、頭空っぽにして見て下さい。


「本名」   ・南雲 一(なぐも はじめ)

「ハンドル名」・魔王ニキ

「性別」   ・前世/今世 男/男

「仕事」   ・地方の霊能組織の底上げ

「成長タイプ」・万能型

「戦闘タイプ」・魔法による牽制とアイテムによるゴリ押し

 ・デモニカユーザー

 ・ペルソナ使い(隠者 エジソン)→(審判 D・E・M)

「口調」   ・相手によって変動

「終末対策」 ・地元の地脈及び結界の強化と改善

「趣味」   ・装備やデモニカの魔改造

 ・神様関係を抜いて気に入った現地民や外様との交流()

 ・尋問(なんなら拷問でも可)

 

 

【経歴】

 

 この世界線だと母親だけでなく父親もアクマによって殺された事で復讐心が強化されており、本編の『全体を強化しよう』という考えではなく『自分が強くなる事で奥の奴等を駆逐しよう』という考えで強くなっていった【俺ら】的には正統派な方であり、他所の作品に出てる場合は大体これが基本。

 

 結果として常に最前線に立ってボロボロ(身体中傷痕だらけであり傷隠しの軟膏で隠している&ストレスにより全白髪)になっていたのを組合が心を痛めてガイア連合に依頼を出し、結果異界攻略とガイア連合への合流がなされた。

 

 【軍勢変生】スキルは無い為そこまでショタオジからは注目されていなかったが、生産能力に関しての才能は自前である為本編での大ターミナルを開発する傍ら、ショタオジの分身を見稽古で本編と同じ戦闘力皆無な分身術を開発、修得していたりする。

 

 本編同様大量生産と改造技術が群を抜いて得意な為、よく【俺ら】からは依頼を依頼を出されているが、本編よりも長く組合に居た為ガチさが酷く、基本的に修羅勢や自身の認めた基準で努力している奴や、総数自体が少ないのに影響はヤバいというペルソナ使い以外からの依頼は全部却下している程。

 

 ただまぁ、地方勢の支部強化や土地強化の依頼なんかは寧ろ喜んでやるというのは本編と変わらない感じである。

 

 尚、技術者系【俺ら】とは普通に仲は良いし良く技術交換もしているし、なんなら馬鹿みたいな浪漫(戦艦復活やガンダム製作等)の開発にだって嬉々として協力して本来の性能を遥かに超える魔改造を施したりするヤベー奴。

 

 組合で修羅となっていた期間が長かった為倫理観が本編よりも欠如しており、NTRなどの胸糞悪い趣味は無い(ダークサマナーを除く)けれども『据え膳食わねば男の恥』という事で結婚なんかはしないけれどもめっちゃ食っており、そこら中に子供が居る又はヤった相手が大幅に強化(房中術の影響)された状態だったりする…。

 

 尚倫理観が本編よりも低い分ミナミィネキとはめっちゃ仲良くなっており、ガイア連合【スケベ部】では早い段階で名誉顧問扱いを受けている。

 

 尚、現地民に対しては【軍勢変生】スキルは持ってないものの、その下位互換である【コーチング】スキルを習得している為、地道に地方霊能組織を訪れては異界解決の序でに強化を施し、据え膳食いつつも出された女性が気になる相手が居るというのならば【房中術】スキルを仕込ませて襲わせたり、その間に自分は相手が居ない奴を見つけて食ってる等やりたい放題である…。

 

 …尚、本編よりも長く組合に居た事でダークサマナーにも遭遇して組合員が被害を受けており、その結果アクマだけでなくダークサマナーに対しても憎悪を燃やしている為、表面上は陽キャなれども一皮剥けば怨嗟の炎が燃えている状態であり、現地民や外様との交流()もその怨嗟を晴らす一面であったりもする。

 

 

【連合加入時ステータス】

 

 人間 レベル38

 耐性 電撃耐性 破魔耐性 

 弱点 地変弱点 呪殺弱点 (非装備時)

 

 覚醒スキル

《攻撃系》

・スラッシュ(敵単体に小威力の斬撃属性ダメージ)

・ヒートウェイブ(敵全体に小威力の物理属性ダメージ)

・アギ(敵単体に小威力の火炎属性ダメージ)

・マハラギ(敵全体に小威力の火炎属性ダメージ)

・ブフ(敵単体に小威力の氷結属性ダメージ)

・マハブフ(敵全体に小威力の氷結属性ダメージ)

・ジオ(敵単体に小威力の電撃属性ダメージ)

・マハジオ(敵全体に小威力の電撃属性ダメージ)

・ガル(敵単体に小威力の疾風属性ダメージ)

・マハガル(敵全体に小威力の疾風属性ダメージ)

・コウハ(敵単体に小威力の祝福属性ダメージ)

・マハコウハ(敵全体に小威力の祝福属性ダメージ)

・エイハ(敵単体に小威力の呪怨属性ダメージ)

・マハエイハ(敵全体に小威力の呪怨属性ダメージ)

・メギド(敵全体に中威力の万能属性ダメージ)

・エナジードレイン(敵単体に小威力の万能属性によるHPMP吸収ダメージ、確率で【魅了】を付加する)*1

 

《状態異常系》*2

・マリンカリン(敵単体に確率で【魅了】を付加する)

・セクシーダンス(敵全体に確率で【魅了】を付加する)

 

《回復系》

・ディア(味方単体のHPを小回復する)

・メディア(味方全体のHPを小回復する)

・パトラ(味方単体の状態異常を回復する)

・リカーム(HPが0の味方単体をHP半分で復活させる)

 

《補助系》

・マハタルカジャ(味方全体の攻撃力を二段階上昇させる)

・マハスクカジャ(味方全体の命中・回避率を二段階上昇させる)

・マハラクカジャ(味方全体の防御力を二段階上昇させる)

・デクンダ(味方全体の能力低下効果を消去する)

・チャージ(次に行う力依存の攻撃を上昇するチャージ状態を付与する)

・コンセントレイト(次に行う魔依存の攻撃を上昇するチャージ状態を付与する)

・ラスタキャンディ(味方全体の全能力を二段階上昇させる)

・コーチング(発動中味方単体に『擬似覚醒』『レベル上限限定解放*3』『経験値バフ*4』を付与し、自身に『経験値デバフ50%』『全ステータスデバフ10%』を付与する)

 

《パッシブ系》

・食いしばり(HPが0になった際、一度だけHP1で復活)

・状態異常耐性(状態異常になる確率を半減する)

・ミナゴロシの愉悦(クリティカル率を大きく上昇させる)

・力渡し(チャージ状態を他の対象に移す事が可能)

・蛇の交わり(色事関係補正の大幅上昇)*5

 

《アイテム系・作業系》

・道具の心得(アイテムを複数同時の使用や自動使用が可能)

・アイテムブースタ(特定のアイテムの効果を強化する)

・改造の心得(アイテムや装備を強化改造する際に効果が上昇する)

・概念付与(アイテムや装備を強化する際に追加で能力を付与出来る)

・大量生産技術(大量のアイテムを纏めて作る際に量に応じてプラス補正)

・作業効率化(アイテムを作る際の速度と熟練度にプラス補正)

 

 

【戦闘スタイル】

 基本本編と変わらない戦闘スタイルに加えて各種消費の少ない属性魔法を揃えており、更に強化魔法や【力渡し】で味方を補助する事が可能となっている為、元からしてサポートタイプだった事が良く分かる状態となっている。

 

 しかしやっぱりというかなんというか修羅だった期間が長かった&ダークサマナーの影響で戦闘に対しては苛烈の一言であり、期間が長かった分更にエグい事だって平然とやれてしまう狂人に近い精神性で近くに居た相手からはドン引きされる事請け合いである。

 

 専用式神については既に技術力も高かった為コアの部分や時々の進行をショタオジに見てもらいながら自力で作り上げており、その結果出来上がったのが人型はFGOの【沖田総司(オルタ)】の見た目でデモニカ形態が【三世村正】の見た目をした『デモニカ式神』という見た目だけならトンデモな逸品であり、魔王ニキの低火力を補う様に高火力の物理スキルと電撃系スキルを大量に搭載している。*6

 

 人型形態とデモニカ形態の二つを備えている上にデモニカ形態でも独立行動が可能であり、それとも連携をしているがデモニカでもある為当然の様に乗り込んで戦うのが一番効率的であり、その場合は魔王ニキ自身にコントロールが移り低燃費技で相手の隙を作り、そこに村正に搭載されている極悪燃費で強力なスキルの数々をブッパしまくるストロングスタイルになる。

 

 因みに単独行動の際は何故か村正自体が不器用な為、物理スキル以外は魔王ニキに搭乗してもらわないと使えないという残念な事になっている。

*1
ミナミィネキとの交流後習得

*2
ミナミィネキとの交流後ry

*3
スキル保有者の半分まで

*4
ローグロウ程度

*5
ミナミィネキとのry

*6
尚、実際の所【善悪相殺】は搭載されてません




 本編よりも闇が深い為、【俺ら】に知られる頃にはヤバい側面も知られた事で通称が【魔王ニキ】となっています、こんだけの才能突っ込んで出来たのが【軍勢変生】とかそりゃあ効率は段違いでも産廃呼ばわりされても仕方ないっすわな。

 …まぁ、やってる事『トンデモ兵器開発して全国そこら中で手を出してハーレム作り上げてるも同然』っていうヤベー奴ですからね、そりゃあ見た目も併せて魔王呼ばわりされるわな、と。

 因みにカジャ系とラスタキャンディの記述に関しては脱字じゃなくて強化特化の性質な為、ガチでその戦闘中解除されない限り永続効果となってます。


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第二十一話 やメク(やっぱりメシアンはクソ)

 前回に引き続き根願寺編となっております、そろそろ地方へ手を延ばす頃合いかも知れませんけどね?

 因みに現状のキョウジさんのレベルは18となっております、大体修練用の異界が浅い所だと1〜3となっており、深くに行っても10〜13程度で本当に新人研修向けな異界って事ですね、これも東京大結界のお陰という事で。


 翌日以降の【軍勢変生】スキル検証を兼ねた根願寺戦力根本解決は滅茶苦茶順調に進んでいった、そりゃあ今まで憎くとも力が無くで恐れていた相手がただの雑魚に成り下がってる訳だし、そうとなれば狩りまくるわな…組合の時もそうだったから良く知ってるわ…普段温厚な広野さんでも鬼神もかくやな暴れっぷりだったからなぁ…。

 

 そんな訳で今まで燻るだけでマグマの様に煮えたぎっていた意欲が爆発し、あっという間にレベルを上げていく霊能力者達を横目に俺は只管ドロップしたフォルマやマッカを回収していき、時折【アナライズ】を付与した眼鏡で状況を観測していく。

 

「ふむ、進捗はどうだねハジメ殿?」

「予測通りですねキョウジさん、覚醒した時に目覚めたスキル以外は其々の資質に合ったスキルを習得していってる様ですね…と言ってもまだ最大で中威力のモノまでしか出ていませんが、それでもある程度の資質の傾向は掴めてきたかと」

「ほう、生産が得意だとは聞いていたが、分析もかなりのモノなのか」

 

 今現在は先日の補助として来ていた人達がそれなりと言える10レベルとなった事で、一度招集で呼ばれた人達と交代して彼等の本格的な覚醒とレベリングを行っており、そのついでに【アナライズ】によって各家に成長の傾向があるかどうかを確認し、各家の伝承についてどれくらい正しいのかを検証している最中なのである。

 

「何もかも道具で補ってるだけですけどね…それで本題に入るのですが、矢張り教えてもらった伝承と食い違う成長をしている者の数の方が多いですね…」

「矢張り…私も含めて本来組織を継ぐべき者ではなく分家等であったか…」

「ガイア連合で聞いた話によれば先の大戦、メシアン共に有力な霊能力者は根切りにされ、霊能の乏しい者や本来仲間である筈の他家を売った裏切り者だけが生き残ったとの事ですからね…葛葉ライドウなんかは余りにも強過ぎたから日本を人質にとって自害させたらしいですし…」

 

 本当にメシアンは碌な事しないよな、マジで滅んでくれないかねぇ…。

 

 そんな事を考えていると一通り狩り終えたのか、本日の参加者達が戻ってきたので一通り【アナライズ】して状態を確認する事に。

 

「おっ? 【ヒートウェイブ*1】習得とか中々安牌取れてるな…こっちは【会心波*2】とか中々の殺意ヨシッ!! こっちは…oh切なさ乱れ切り…じゃない【刹那五月雨斬り*3】かぁ…頑張って命中させれる様にしような?」

「なんだか物理系多くない?」

「まぁ、修行内容や本人の意思によって習得する技の傾向が変わったりするからなぁ…キョウジさんとか諸に物理・呪殺方面のスキルばっかり取得してるのも以前教えてもらった修行内容鑑みればそういう事なんでしょうし」

「そうだな、確かに私の修行内容からすればそうなるのも当然ではあるか」

 

 まぁ、やってた事を覚えていくのは普通だし、術をメインに使ってた人は普通に術を覚えていくからただ単に今回は近接戦で挑んでいるばかり居たっていうだけの話だな。

 

 因みに戦闘系の資質が死に切った俺氏、悪足掻きで道具関係のスキルを極める為に足掻いていたら、想定通りのスキルと予想外のスキルに目覚めてちょっとウハウハな模様…やっぱり人間何事も諦めずにチャレンジしてみる事だな!

 

 …それに丁度ガイア連合の方でも新しい装備が開発されていってるらしいし、『アレ』が完成すれば中々戦力として活躍出来るのではないのだろうか?

 

 まぁ皮算用していても仕方ないので今は目の前の仕事に集中する事にしよう。

 

「さて、それでは皆さんはここ数日の努力によりガイア連合に於けるレベル15、世間一般で言えば『達人』とされる領域に辿り着きました…うん、分かります…『たった数日で成れる達人ってなんだよ?』って思いますよね? 実際本当の達人と比べれば自分のスキルによる促成は使い方だけ知っている一般人が銃を所持する様なもの…つまりは側だけのハリボテでしかありません」

「序でに言えばある程度レベル相応であっても自力で同レベル帯になった人より一枚劣るから注意」

 

 まぁ、そこら辺は本人の努力で鍛え上げた技量で幾らでも補えるが、敢えてその事については言わない方が危機感持って鍛え続けてくれるだろうから言わないがな。

 

「しかしハリボテとはいえ達人レベルは達人レベル、普通に覚醒した人物でさえ碌に相手の事を見抜けないメシアン(クソ共)天使(害鳥)は攫いに来たりするとの事なので、ここまで鍛えた人物に至っては垂涎モノと言えるでしょう」

 

 実際アイツら神の声も聞こえないろうあだからね、そんな訪れかねない危機の説明に対して不安そうだったり怒りを滲ませる者達が居るが、ここで騒いでいても仕方がないので次善の策を授ける事にする。

 

「そんな訳で今回皆さんが戦闘を行なっている傍ら、自分が集めて素材から作ったこのミサンガを渡しておきます」

「ん、今回は一人二本ずつ」

 

 そう言ってからユエと一緒に各人へ夜中の暇な時間にチマチマと作っていたミサンガを渡していく。

 

 因みにこのミサンガ、白黒の凄まじく安っぽい見た目をしてはいるのだが、なんと百均【物理耐性】ブレスレットよりも高性能なR装備だったりするのである。

 

「因みに性能としてはカバーとしての効果は重複はしませんが『運』が僅かに向上し、本命の効果としてはレベル1未満に偽装する事が可能となります」

「更に力尽きてもミサンガが壊れる代わりに一度だけギリギリで耐えられる*4事も可能」

 

 この通り大分過保護な内容なので、ミサンガという使い捨ての地味ビジュアルとなっているのである。

 

「ハジメ殿は神代の術者だったのか?」

「結局ただ同然で貰った槍(R相当)や剣(左に同じ)も下手な家宝より上等な代物だったからなぁ…」

「ウチの家宝だった宝刀(UC)に至っては何やら清浄な気配*5さえ漂わせている霊剣(HR)になったぞ…」

「もしやハジメ殿は現人神なのでは?」

「というか実質神なのでは?」

「見てるだけの実質ネグレクト野郎な四文字思い出すから神扱いは止めろ」

『アッハイ』

 

 いかんいかん、思わず敬語投げ捨てて威圧してしまった…でもやっぱりあんな部下の統率さえマトモにしないクソ野郎を連想させる呼び方とか嫌だわ。

 

「まぁ、そんな訳でそれを装備していれば不意の事故でもなんとか…出来たら良いなぁ(遠い目)」

「そこは自信無くとも言い切って欲しいですぞハジメ殿…」

「いやだって現状の俺程度の奴なんてこれからの将来ポコジャカ出て来るって予測が立てられてるし、現状でも各地に支部が出来たからある程度補給はどうにかなったけれど、それでも各地の異界で連合員が事故ってたりする有様なんですよ? それなのに『やったか!?』させれるだけの装備とか不安でしかないというか…緊急離脱の護符*6でも作っておくべきか?」

 

 でもあれどこでも使えるけれど素材が地味に重いからまだ量産に向いてないんだよなぁ…。

 

「ふむ? それはどの様な一品なので?」

「戦闘離脱と異界脱出を兼ねた使い捨ての護符ですね、材料が異界の霊木なのですが、言ってしまえば人様の土地の資源だから手を出し辛いというかなんというか…」

 

 この護符を開発した結果、山梨支部の浅層に生えてた樹木が片っ端から切り倒されて荒野になり、結果として出て来るアクマが総取っ替えされたのを見て、人間ってやっぱり愚かなんだと再認識したわ…。

 

「ふむ、異界の樹木程度が必要なのであれば別に問題無いですな」

「え?」

「安全第一、皆の者!! 樹木を伐採してゆくぞ!!」

『『『おおぉぉぉぉぉーーーっ!!』』』

「MATTE!?」

 

 流石に山梨支部の二の舞はアレだったので、組合に居た時の知識を元に間伐する程度に抑えました…てかたかがこの程度の人数に対してアホ程霊木貰ったんだけど、これどう消費しようかな?

*1
敵全体に小威力の物理属性攻撃

*2
敵全体に小威力の物理属性攻撃。クリティカル率が高い

*3
敵単体に5回小威力の物理属性攻撃。命中率が低い

*4
【くいしばり】スキル付与

*5
祝福属性付与&道具として使用する事で【ハマ】発動

*6
トラエスト &トラフーリ搭載




 たった数日でレベルが10以上上がる…普通だな!!(ゲ並感)

 でも実際【俺ら】が死ぬ気で鍛えたら一日もせずに達人レベルには成れるんじゃないかと思ってる…まぁ、そんな事したところで本編で言ってる通りのハリボテの雑魚にしかなりませんが…。

 後、彼等はガチ勢なので当然の事ですが『レベル10の壁』はアッサリ突破しております。

 まぁ、アレってそもそも式神頼りな引き篭もりの事言ってるだけですからね、普通に前に出て戦ってる彼等には無縁ですし、同じく『レベル20の壁』も多少の怪我でなければ猛然とやれますからね、問題になるのは相手が必勝パターンとか持ち出す『レベル30の壁』ですが…まぁ、現状はブーストニキがそこまで行けてないのでね…悲しいなぁ。


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第二十二話 愉快な現地民と新たな厄ネタ

 頭空っぽで書けるからめっちゃ楽しくてドンドン書ける!!

 …でもドンドン書けるから辞め時見当たらなくてアークナイツ小説に戻れない…普通に続き思い付いてるのにどうしよう?(汗)

 あと今回の話は後半かなり下世話な内容となっておりますので、注意してください。


 てててて〜ん♪(某ゲームの宝箱開けた時の効果音)

 

 …まぁ、アイテムゲットした訳じゃ無くて前回から凡そ半月、根願寺レベリングツアー(適当命名)に参加した術者達のレベルをほぼ限界(レベル20)まで上げられた事の報告をノリでお知らせやってる様なもんなんだけどね?

 

 え? 雑魚異界しかないのにどうやって上げたのかって?*1

 

 試作品の【劣化版ロゴスリアクト*2】を使って異界が消滅しない程度にMAGを吸い上げ、レベリングに適した相手を作り出して後は参加者皆でタコ殴り、ね? 簡単でしょ? 因みに素材はショタオジに大量の対価を払った事で譲ってもらった『ヒヒイロカネ』である…お陰で溜め込んでたマッカが払底したのが痛い…。

 

 そんな事しながらガンガンレベル上げをしつつ、其々の資質を調べてそっちの方に伸びる様に修行をする事で持ち味を活かす成長を遂げさせて居たのだが、そうなれば予想外の資質を持った人物も居る訳でして…。

 

「苗木君…やっぱり運が関係するスキルばっかり習得していくねぇ…」

「う、嬉しいけれども複雑だなぁ…」

 

 その筆頭である『苗木誠』君…名前の通り初代『ダンガンロンパ』の主人公ソックリな彼なのだが、何の因果なのか滅茶苦茶幸運系のスキルを取得しまくり戦闘スキルは皆無、ステータスも結果的に極振りな俺とは違う真の意味での【運】極振り。

 

 レアな敵からレアな素材やフォルマが大量にドロップ出来るという、何処となくスライムニキを彷彿させる様なスキル構成をしているのである…まぁ、こっちは【くいしばり】なんかの生存スキルが無いから、ミサンガがなければ一度やられたらおしまいなんだけどね?

 

「そんな訳で霧切さんはなるべく苗木君フォローして上げて欲しいけど、君もそこまで戦闘が得意が得意という訳じゃないから安全第一にね?」

「えぇ、そうね…全くアクマの存在は本当に度し難いわね…」

 

 で、コチラはそんな苗木君を補佐として連れて来た『霧切響子』ちゃん…当然というかなんというかこの子も『ダンガンロンパ』の彼女ソックリなのだが、保有しているスキルが霊視…詰まる所【アナライズ】系と多少の射撃と破魔系のスキルを保有しており、どこぞの高校生探偵を更に探偵らしくした能力だと言える。

 

 二人の関係はアクマ関係の事件で知り合い生き延びて来たらしいのだが、その後に警察との繋がりを持っていた霧切さんが一般人ながらもアクマについて調べていた苗木君を誘って根願寺へとやって来たという、完全に一般の出だったらしい。

 

 因みに…

 

「それにしてもあの時も凄かったけれど、カヲルさんってそんなに凄い人だったんだなぁ…」

「まさか最近巷を賑わせているガイア連合の幹部だったなんて…あの企業やってる事が多過ぎて未だに真実が分からないのに…」

 

 この世界の『ダンガンロンパ』は【N案件】だったらしいっすよ? お陰で二人共ペルソナに目覚めた*3から専門のカリキュラム組む必要が出来た*4訳だし…アイツほんまええ加減にしろよ…。

 

 捕えられた彼等に対してあの腐れ外道が魔の手を伸ばそうとした初日に、連続誘拐事件から『N』の気配を察したカヲルさんが異界を外から風穴空けて乗り込んで『N』の思惑を何もかも台無しにしてやったんだとか、やっぱりカヲルさんはスゲェや!!

 

「まぁ、俺みたいな雑魚とは違ってあの人は正真正銘の強者だからねぇ…張り合えるのなんて他の幹部級*5位なんじゃないかなぁ…?」

 

 そんな訳でなんか最近はガイア連合内でも根願寺との連絡役みたいな感じで事務型から幹部扱いされてる様だが、正直そこまで強くないから多分立ち位置としてはやる夫さんと同じ感じなんだろう…今度少しでも防具強化しに行こうかなぁ…。

 

「ハジメさんが勝てないってガイア連合の幹部って凄いんだなぁ…」

「ん、ハジメはそもそも身内との勝負でアイテムを使うのは無駄遣いだって考えるから勝率が低いだけ、大盤振る舞いすればそこそこ勝てる…筈」

「素のステータスが常時弱体化してる上にレベル差もあるのに無茶言うなよ…それこそ戦闘系幹部一人倒そうとするだけで素寒貧になっちまう…」

「負けないとは言わないんですね?」

「そこら辺は俺も『男の子』って奴だからね、見栄張りたくはあるんだよ」

 

 一応アイテム使った必殺コンボみたいなのは持ってるけれど、『アレ』を盛大に使った所で俺のリソースが尽きるかその前に相手が力尽きるかのチキンレースだし、正直そんな事勿体無くてやってられないんだよね…ついでに言えば『あの人』には普通に真っ向から打破される気しかしないし…。

 

「あ、居た居た、お〜いハジメさ〜ん!!」

「うん? おう橘木君か、どうしたんだ?」

「いや〜、ちょっっっとお聞きしたい事が有るんですがぁ…あ」

 

 赤字待ったなしな予測に遠い目をしていると俺を探していたのか橘木君がやって来たのだが、俺以外にも人が居る事のを見ると硬直して何やら目を泳がせ始めてしまった。

 

「どうした? 何か聞きたい事でもあったんじゃないのか?」

「いや、そうではあるんだけど…ちょっと人前では聞き難い事というか…」

「うん? まぁ、話も一通り済んだ事だし二人とも自由にして良いよ」

「あ、はい分かりました、鑑定有難うございます」

「私も鑑定有り難うございました」

「ほれ、今なら別に問題無いだろ」

「いやいや、ユエさん居るのに無茶言わないで下さいよ!?」

 

 二人は離れていったのだが、橘木君はユエの方を気にして本題に入らない…さてはこの話…。

 

「もしかして下ネタかそんな感じの話なのか?」

「うぐぅ…そ、そうとも言えるけれどそうでもないと言えるというか…いや、霊能組織としては今ハジメさんのお陰で鍛えてもらってるお陰で強く成れてるからこそ、アイツらの為にも今の内に知っておきたい事というかなんというか…」

「俺が関係しているから知っておきたい事?」

「…もしかして?」

 

 中々話を切り出さない橘木君の曖昧なヒントに頭を悩ませていると、隣で聞いていたユエがジト目になって橘木君を睨み、睨まれた橘木君はダラダラと汗を流し始めて更に目をキョドらせる。

 

「今のヒントでなんか分かったのかユエ?」

「多分【軍勢変生】で上げたレベルがちゃんと資質として受け継がれるかどうか気にしてるんだと思う」

「………で、回答は?」

「…は、はい…その通りでございます」

 

 はぁ〜… あ ほ く さ

 

 …とは言え、確かに資質が子供に引き継がれるかどうかは霊能組織としては確かに大事なんだろうし、俺自身が促成した事で得た力はハリボテだって言ってたから不安になったんだろうな。

 

 さて、そうなるとしっかりと考えて答えてやるべきなんだろうが…。

 

「すまんがそこら辺の遺伝については一切分からん」

「ええっ!?」

「いやな? ガイア連合に入る前に俺が居た組織はそもそもが出来てから歴史が滅茶苦茶浅い一般家庭の有志ばかりだったから、霊能関係全部手探りだった上に全然代を重ねてなくて、血がどうとかいう話以前の問題なんだよ」

 

 なんせ始まりが第二次世界大戦終末からだしな、代の積み重ねなんて欠片たりともありゃしない上、そもそも俺自身が一番若い世代だったからな。

 

「その上俺自身異界攻略に打ち込んでた身だから、遂この前まで完全新品な童貞君だった訳よ、子供なんて居る訳ないじゃん? そんな訳でさ…」

「あれ? なんか嫌な予感がしてきた様な…」

「橘木君…君実験に協力してみない?」

「うわぁやっぱりだぁっ!?」

 

 丁度補佐役にホの字っぽい子が居るみたいだしさ、丁度良いから抱いちゃいなよyou?

 

「し、失礼しましたぁ〜〜〜!!」

「あ、逃げた…」

「ふむ、あの反応…まさか彼もチェリーなのかねぇ?」

「ハジメ、どうする?」

「う〜ん…面白そうだし女性陣嗾けてみようかね?」

 

 結果、ある程度橘木君の事を嘘でもないけど本当とも言い辛い程度に捏造した話を三人娘に伝えてその気にさせ、それぞれ用に【房中術】や【性技】に【絶倫】スキルなんかといったスケベ部御用達のスキルカードと、ペルソナ使い以外にもスキルカードのスキルを習得し易くする【スキル習得補助具*6】を実験への協力代金の前金として渡しておいた。

 

 その後はキョウジさんにも手伝ってもらってそれ用の部屋を一部屋借り、橘木君が途中ヘタレて逃げない様に部屋を魔改造して『(一晩経つか)S◯Xしないと出れない(必中)部屋*7』へと改造し、スケベ部から貰っても使わなかったそれ用アイテムを適当に配置して翌日を待つ事に。

 

 翌日、専用の【アナライズ】で確認してみた結果、如何やら俺の【軍勢変生】スキルで上げた霊的資質は一段階落ちるものの、しっかりと子供へと引き継がれる様です…これは…厄ネタじゃな?

*1
別に誰も聞いてない

*2
使用者に戦闘経験があり、更にレベル以下のアクマしかよびだせない

*3
苗木君は【イアソン】で霧切さんは【ポワロ】

*4
忙しいやる夫さんの手を煩わせる訳にはいかない(使命感)

*5
やる夫さんや銀さんは除く

*6
装備している間セットされたスキルを使える様になり、適正次第だがそのスキルを習得出来る様になるアームバンド

*7
当然ながら室内の看板には括弧内の文字はかかれておりません




 やりたい放題やってる結果面白い現地民発見伝&実験の為とはいえ恋する乙女の縁結びをしちゃったぜ⭐︎とかやってる馬鹿はコイツです。

 因みに馬鹿な事やってますが一応自分が他人を人生の墓場に蹴り落とした自覚はありますので、ちゃんと保証はするつもりではありますよ?

 具体的には師匠と各地のサポートに回って、霊的何でも屋をやってた彼等を地元への招待して支部に配属させたりとか、何言われるかは分からない為微妙に腰が引けながらもミナミィネキに胎教に詳しい黒札について紹介してもらったりとかやってます。

 因みに霊的資質が引き継がれた理由ですが、霊的資質については両親がレベル上限を更新していたからです。

 理由としては当然の如く【軍勢変生】の効果ですが、現状の彼等は資質で言えばR〜HR相当なのですが【軍勢変生】によって一時的にとはいえブーストニキの資質を反映されているのでSR相当となっております。

 そんな両親を持つ事によって子供の方はHR以上確定、ブーストニキも面倒見る気満々なので、努力すればSRクラス(実際は下位SR相当)も夢じゃない事になっております、ヤバいですね(笑い事ではない)

 因みにこれから数年終末なのにも関わらず、局所でベビーブームが再発するらしいっすよ?(すっとぼけ)


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第二十三話 プライベートって言葉は存在しないんだろうか?

 前回の話で現地民にスキルカードを使っていましたが、感想でのご指摘によりスキルカードの内容を習得し易くなる装置と一緒に渡した事にいたしました、ご指摘感謝です。

 因みに現在の時間軸は原作の『★ガイア連合大蔵省スレpart7』以降の空白期ですね、多分色々やってる時間なので、折角だからこのタイミングで接触してそうな方を登場させる事にいたしました。


 未来ある若者を人生の墓場に突き落としてから更に数日、ショタオジと根願寺からの許可を得て大ターミナルを設置し、昼は根願寺で夜は連合の日々を過ごしていたら毎日のあまりの充実具合にウッカリ過労死してしまい、これはイカンと丸一日休みを取る事にして特に何も無い電脳空間でボケッとしている事にした。

 

 因みにユエは山梨支部に居る間は基本的に食事や夜以外は異界で鍛錬と稼ぎが主となっており、壊滅的過ぎる俺の生活費管理や趣味用の小遣いを稼いでおり、今現在は隣には居ない…うん、こう書くとマジで俺マダオだな。

 

 まぁ、ユエ本人にも小遣いとして収入の三割を渡している*1ので、その小遣いを貯めて何かしら買いたい物があるとの事だったが、プライベートな事かもしれないので詳しくは聞いていない。

 

 そんな訳でユエも居ないから退廃的な時間の潰し方も出来ないし*2、普段から分身出しまくって脳の処理能力をフル稼働させていたのが今回の原因なんだろうから、偶にはゆっくり情報の整理でもしていようかねぇ? と思っていたのだが…。

 

「おや、面白そうな場所を見つけたと思ったけれど、既に先客が居ましたか」

「…誰だテメェ?」

 

 新たに作っている式神造形部発の霊装開発に関する進捗を確認していた際、俺以外入れない様にしてあった筈の個人空間に突然ノイズが走ったかと思うと、まるでそのノイズから滲み出る様に車椅子に乗った赤いスーツに常に逆光で目元が見えず、総白髪のクッソ怪しい風貌のオッサンが出現したのだった。

 

「私かね? 私の名前は『スティーブン』とでも呼んでくれたまえ」

「おうそうか、そんじゃあそのスティーブンさんはなんで人の部屋に無断で入って来てんだよ」

「おや、元いた場所で追われる身となってしまってね、慌てて脱出してみたんだが、それによって偶然ここに出て来てしまったみたいなんだ」

「アンタさっきここに来た時『面白そうな場所を見つけた』とか言ってたから、絶対に確信犯だろ…」

 

 なんなんだこの胡散臭過ぎるオッサン…例えるなら『FGOで召喚されるサーヴァントが片っ端からDr.ロマニの事を胡散臭いと感じるレベル』で胡散臭いぞ…。

 

 ってか今感じてるこの感覚をサーヴァント達も感じてたんだとするのなら、マジで悪態の一つや二つ吐きたくなる気持ちも分かるわ、だって今の俺めっちゃ白い目で見てる自覚があるもん。

 

「はっはっはっ、いやすまないね…確かにここに来たのは自分の意思ではあるが、同時に元居た場所を追われる身になったというのも嘘じゃないんだよ?」

「元居た場所追われるとか何やらかしたんだよアンタ…」

「いや何、とてもありふれた理由さ…平たく言えば何時の間にか派閥争いに巻き込まれていて、巻き込まれていると気がついた時には既に私の居た派閥が敗れていたというだけの話さ」

「そうかい…で、そんな派閥争いに負けてこんな所に逃げ延びて来たアンタはこれから如何するつもりなんだ?」

 

 さっきの直感を信じるならばコイツはDr.ロマニみたいな『悪くはないんだけど致命的な事をやらかしてしまってる奴』という事になるので、この直感を信じて取り敢えず会話を続けて行く事にする。

 

「ふむ、取り敢えずこの空間を使わせてもらったりは出来ないだろうか?」

「生憎と現状安全対策の為に俺以外が手を加えたりする様な事は禁止していてな、俺の所属している組織のトップも『何時問題が起きるか分からないから、常にリソースは全部管理出来る程度にしておいた方が良い』って言ってたから、まだ余分を解放する気はないんだよ」

 

 下手すればこの電脳空間にアクマが出現するらしいからな、俺の支配下でそんなふざけた事絶対にさせんからな。

 

「そうかい、困ったねぇ…ならばもし良ければだが、君達の組織のトップに掛け合ってもらって、私を入れさせてもらう事は出来ないかね?」

「それは…いや、如何なんだ?」

 

 ガイア連合は転生者ーー現在呼称:黒札ーー支援の為にショタオジがトップに立つ組織で基本的になのだが、俺が掛け持ちしている『デジタル技術部』には既に正体までは分からないが、何かしらのヤバい人外がショタオジ認可の下で黒札と偽って働かされている*3事を知っている為、そこら辺に関してはショタオジの一存でしかないのだ。

 

 正直外部の人間を入れるのを渋るショタオジが容易に想像出来はするが、俺しか入れない様にロックしてある筈のこの電脳空間にアッサリと侵入した腕前を見るに、科学と神秘どちらにも精通しているとんでもない存在を放逐するのも何が起こるか分からない為回避はしたい。

 

「取り敢えず相手方の要望は聞いてみる事に損は無いと思うんだが、そこら辺我等が盟主殿は如何思われる?」

「おや?」

 

 俺のショタオジに対する声掛けにスティーブンは驚いた様な顔を浮かべる。

 

 ふはははは、正直この電脳空間は俺自身と言っても過言じゃないからな、電脳空間内の相手に気付かれない様に外部に連絡取る位朝飯前なのだ!!

 

 …まぁ、それでも結局電脳空間という自分が有利な場所なのに戦闘系のスキルは生えないんですよねぇ…つらたん。

 

「はぁ…君は何かしらの運命にでも魅入られてるのかってくらい色々やってくれるね…まぁ、今回の判断については本当にファインプレーだったと言っておこうか…後別にいつも通りに話せば良いと思うよ」

「あ、そう? じゃあ難しい話とか馬耳東風なんで、後は任せたショタオジ」

 

 そうして正規手段であるポータルから俺の個人空間にやって来たショタオジに後の交渉を任せて、そのまま二人のやり取りを眺める事に。

 

「さて、こうして顔を合わせるのは初めてだね、スティーブン」

「ふふふ、ああ初めましてだなガイア連合盟主殿、ネットワーク関連については自信を持っていたのだが、ここには素晴らしい運用者が居るようだ」

「まぁ、彼の場合は少々特殊な方法で管理してるからね、それじゃあ早速だけど話を詰めていこうか」

 

 ふ〜む、めっちゃ真面目なショタオジの雰囲気からして、もしかしてこのスティーブンってオッサン、マジでヤバい奴だったりするんだろうか?

 

「まぁ、私に関しては先ほども話した通り以前居た組織の派閥争いに巻き込まれてしまってね、新しい場所を探していた時にこの場所を見つけて興味を惹かれてね、ここでなら私の手腕もしっかりと発揮されると思うんだが、如何だろうか?」

「まぁ、アンタ程の力量なら何処でもやっていけると思うけれど、それでも手元に置いて何するか動向を観察出来るのは有り難いね」

「ショタオジがそこまで言うとか何やらかしたんだよこのオッサン…」

 

 思わず声に出てしまったが、下手すれば黒幕扱いされても仕方ないくらいヤバいショタオジがこうも警戒するとかどう考えてもヤバい奴なんだけども、逆に何やったのか気になるのは人としての性なんだろうな。

 

「う〜ん、端的に言えば別世界で終末の引鉄大量にばら撒いて、大量の人死と終末を更に加速させた感じかな?」

「ヤバい奴じゃん」

 

 え? ヤバい奴じゃん(大事な事なので二度言いました)

 

「私としては自分で起こしてしまった思いがけないトラブルに対して、人類が対策出来る為の手段を皆が使えるように配布したつもりだったんだがねぇ…」

「分かった、これ本気で言ってるみたいだし、オッサン善意と天才特有の凡人に対する無茶振りでやらなくても良い地獄への道を全力で舗装した感じだな?」

 

 しかも他人の話を聞かずにやった感じと見た…いやマジでそうなら監視の目必須やないかい…。

 

 俺の推察に対して苦笑いで答える二人に対してそんな事を考えながら、変なタイミングに居合わせたもんだと頭を抱える俺であった。

 

「あ、そういやうちの連合員には即バレしかねないから、取り敢えずこれでも着て誤魔化しとくのをオススメするよ」つ『スティーブコスプレセット』

「因みに俺も監修してるから、ちゃんと周りにはスティーブだと思わせる思考誘導効果付きだぜ」

「ええぇ…」

*1
尚収入の分配は研究費三割、趣味一割、生活費三割、ユエへの小遣い三割である…ユエに大半渡して残りや素材でやりくりしようとしたら徹底的に抗議された結果である

*2
ミナミィネキに悪魔娼館開いたから是非とか言われたが断固お断りである

*3
not働いている




 てな訳でこれから『デジタル技術部』でこき使われる事になるスティーブンさんの合流で御座います。

 で、スティーブンが来れば勿論『例のアレ』もガイア連合に入ってくる訳でして…そうだね、魔改造だね(まだ本格的に使えるのは後になるけど)

 そんな訳で次回以降もお楽しみください。


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第二十四話 戦も問題解決も事前準備が八割決める

 今回は前回の後書き通り『例のアレ』こと『悪魔召喚プログラム』についてのお話しですが、ぶっちゃけ未来の被害をそれなりに抑える展開になりますね、下手したらガイア連合に関わってたら救われるみたいな宗教出来そうな内容ですわ。


「あんの天災逆光眼鏡なんつう厄ネタ作ってやがる…!?」

 

 スティーブンが俺のプライベート電脳空間に不法侵入してきてから数日後、俺はショタオジから「もしかしたら必要になるかもしれないと思って『彼』から貰ってきたんだけど、出来れば『コレ』の解析とか安全装置とか作っておいてくれないかな?」という事で渡された一つのシステム。

 

 注意しつつ調べてみれば出て来た『悪魔召喚プログラム』という厄ネタな単語に一瞬意識が遠のいたが、マジで取り組まなきゃヤバいという事でガイア連合での時間全てを『ショタオジからの秘匿依頼だから』と言って他の緊急性の高い依頼以外を断りながら*1分身全員で並行しながら解析を進めていたのだが、これが滅茶苦茶厄介で面倒な代物だった。

 

「なんでよりにもよってファッキンマザーファッカー由来なんだよー…認知度で言えば妥当なんだろうけど、それ位ならこの世界のメシアン見てれば作らない方がマシだと分かるだろ常識的に考えて…」

 

 この通り、なんせ根幹部分にクソ四文字の【加護】が関わっており、この【加護】をさっ引いてしまえばそもそもの*2悪魔召喚が安全性の面から行えなくなり、精々がインストールした機械に『悪魔召喚可能という神秘』を宿した事による微弱な対終末耐性を獲得させる程度の効果しかない。

 

 それにしたってクソッタレの【加護】有りの時に較べれば雲泥の差であり、現状のガイア連合が作り上げれる対終末耐性を有した機械の方がマシなレベル。

 

 【加護】有りのやつに比べれば大型船なんかにも対応出来るようには改造したが、ハッキリ言えばコイントスレベルの確率で動けば良いね程度の運ゲーというゴミ具合である。

 

「一応両方掛け合わせればなんとかほぼ確実に稼働出来る程度にはなるが、最近の大量生産に連合仕様のモノ自体が耐えられんし、耐えれたとしてもなるべく不安要素は排除したいんだけど、肝心の神性の宛てが無いんだよなぁ…」

 

 言ってしまえば自他共にアンチメシアンだと自覚している俺からすれば腹立たしい事この上ないのだが、この四文字の代わりに入れられるような神性が見当たらない為どうしても不完全な代物にしかならないのである。

 

 大体何処の神格であっても『我』が強いものであり、こんな悪用し放題なシステムに当て嵌めようものならやりたい放題して大惨事待った無し、ならば『我』が強くない神格入れれば良いじゃんと思うかもだが、そんな奴は大抵何処ぞの神話の二番手以下であり、そんな奴を添えようものなら確実に上の奴に好き勝手される事間違い無しである。

 

 …ってかそもそもの話として悪魔召喚についても『その神話が現代でもちゃんと信仰されてる必要がある』上に『その土地で信仰されてる(というか知られている)度合いがどれ位かによって稼働率も変わる』という、まるでfateの認知度補正みたいな前提があるんだよな…少なくとも無神論者ばかりの日本じゃあ稼働しないのがデフォのゴミ待った無しだな。

 

 そんな訳でどこぞの神性を当て嵌めても現段階ではロクに機能しないというオチが待っているのである。

 

 まぁ、終末にでもなればアクマ共が地上に出て来るから当人(当悪魔?)達が信仰を稼げばまだ使い道は有るんだろうが、そんな中途半端に終末が来る確率よりもある程度から一気に終末が来る確率の方が高いだろうから、その時使えるようになっても側の機械がダメなってるだろうから優先度の低いサブプランでしかないんだよなぁ…。

 

「いや…寧ろ効果範囲を限定する機能を付けて信仰がされてる地域限定で使える様にすれば、その分認知度補正も上がるから高位の分霊を呼ぶ事も…いやいや、そんな事やったらGP激増待った無しだろうが…でも対決戦仕様として考えれば割と外国の霊能組織的にはアリな仕様なのか?」

 

 他にも祀っている神社の境内に信心深い氏子だけにしてその場限定で使えば、日本でも神霊の高位分霊が呼べるかもしれない?

 

「いやいやいやいや、現状考えれば現地民のレベルは低いんだから、召喚した瞬間氏子が干からびて終了だろうが、何考えてんだ俺…」

 

 なんかもう色々煮詰まっているせいでアホな思考に囚われて仕方が無いな…てか、こんなに悩む羽目になってるのも何もかんも『ヤツ』が悪い。

 

「まっさか、メシア教に『N』が関わってるとか世紀のクソとゴミの最低タッグかよ…」

 

 しかもソイツと思わしきイケメン神父が『悪魔召喚プログラム』の開発を引き継いでいるだろうというのが大まかな予測なのだとか、どう考えてもアカン事になる未来しか見えないんですがそれは…。

 

 アイツの事だから絶対『悪魔召喚プログラム』インストールしてるヤツを強制起動させて、無理矢理MAG吸い尽くした挙句高位分霊召喚させて暴れさせるテロとか、そもそも天使ですらない魔人なんかを召喚させるとか平気でやりかねないし。

 

「くそぅ…こうなりゃ、あのぺ天使共にも異種返しとして『十戒』元にした強制プログラムでも作って、ガッチガチに不利押し付けてやるのも有りか?」

 

 …寧ろ微妙に内容が違う『セーフティープログラム』を作っておけば『十戒プログラム』を使う奴はメシアン認定出来るし、対過激派メシアンが相手になった時とかの罠に出来るかも?

 

 …いや流石に似た様なプログラム一緒に出してたら、流石のメシアンでもおかしい事に気が付いて罠を看過したりはしないか…いやでも本当に? だってメシアンだぞ? 天使の大半が人型なのに何の疑問も持たない上に、神の声が聞こえているのかどうかすら分からない天使の言う事ホイホイ聞いちゃう様な頭空っぽの連中だぞ? 途中で切り替え可能とかにして『汎用性のセーフティーと神性系の十戒』みたいな感じで差別化したら、普通に名前の印象で騙されたりしそうだぞ?

 

「…取り敢えず両方作ってみるか…」

 

 普通に有り得そうだから妥協して『十戒プログラム』も『セーフティープログラム』も両方作ってみる事にした、最終的な判断はショタオジ達上層部に任せておく事にする。

 

「さて、そうとなれば後はインターネットでメシアン側の『悪魔召喚プログラム』をウチのに強制アップデート出来る様にしておけば、いざって時にこの前聞いたスティーブンが並行世界でやらかしたらしい『悪魔召喚プログラム』のネット拡散みたいな大惨事での被害は抑えられるな」

 

 一人延々と作業場の隅でノートパソコンを叩いていたのだが、漸く一段落したデータを纏めてショタオジに渡しに行こうと前を向けば、何故か目の前に立っているミナミィネキ…。

 

「…防音や覗き見防止の為に結界張ってたからパソコンの中は見られてないだろうとは思うけど、何時からそこに?」

「一応ブーストニキさんがパソコン叩いている間はすぐ近くで他の作業をしていましたよ? ただ少し前から一段落した様な気配を見せていたので、ほんの十分程度立っていただけですよ?」

 

 つまり俺が色々纏めれる算段が付いた辺りから立ってたって事ですか…。

 

「あー…それで一体全体何の用があるんだ? 一応ショタオジから頼まれた依頼の報告してこなくちゃならんのだが…」

「それに関してはそれが終わってからでも構いませんが…ブーストニキは私に『借り』がありますもんね?」

「うぐっ…」

 

 コレに関しては言うまでもなく、以前の相談*3の借りを取り立てに来たという事なのだろう。

 

「分かった、それじゃあ何をすれば良いのか教えてくれて、あまりにも無理じゃない範囲でならある程度の損も呑んでやる」

「ありがとうございます、頼み事についてなのですが…ブーストニキさんの改造に関しての技量、あれって異界に対してはどれくらい出来るのかを先に聞かせてもらって良いですか?」

「異界に対して? まぁ、ギミックがあるならそのギミックを外から弄れる程度にはあるぞ?」

 

 実際そうやってダークゾーンだらけの異界を外から全部マグネタイトへと解体してやった事もあるし。

 

 そう答えるとミナミィネキはまるで我が意を得たりとばかりに勢い込んだ。

 

「それ程出来るのなら是非とも頼みたい事があるんです!! 丁度良い感じの異界を現地民から勝手に処理してくれって任されたので、ブーストニキさんにはその異界を【肉欲界】へと作り変えて欲しいんです!!」

「」

 

 出来なくもないのがまたアレな感じの依頼が来たなぁ…。

*1
それでもちょっかい出してきた奴は問答無用でしばいて分からせた

*2
俺はやりたくも無いが

*3
【第二十二話 愉快な現地民と新たな厄ネタ】で妊婦の胎教に詳しい黒札の紹介等




 てな訳で、次回はブーストニキVS頭退魔忍の頭が痛いお話です!! …その内エロゲニキとか呼ばれそうな展開で書いてる自分が草ですわ。

 まぁ、単純にミナミィネキならどんな依頼するかまとめサイト見てたら見つけちゃったので、ネタとして使う事にしただけなんですけどね…。


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第二十五話 興が乗るとやりすぎる事あるある

 取り敢えず初めに謝罪を。

 多分大丈夫だとは思いますが、今回と次回は結構アレな表現が入る感じなので、もしも運営から警告喰らったら大人しく修正入れるつもりでして、微妙に更新遅れるかもしれません。

 …いやでももっとアレな描写された作品が平然とあったりするから、この程度の表現だったら全然問題無い…筈…(不安)


 ミナミィネキに依頼された翌日、ちゃっちゃと面倒事は終わらせてしまうかと考えて話に聞いた異界へユエと向かい、地元霊能組織に一報をいれた後、粗方異界の中を掃除してからミナミィネキの要望通りに『肉欲界』とやらを作成しようとしたのだが、詳しい打ち合わせをしていた訳ではなかったので初っ端からつまづく事に…。

 

「取り敢えず主目的としては夜魔のフォルマを量産する事が第一になってるんだから、属性や傾向をそっちに寄せるようにすれば良いのか?」

「ん…だとしたら…エロトラップダンジョン?」

 

 ある程度の方針を決めようとしていると、珍しくユエから意見が出されたのだが…。

 

「ふぅむ罠要素? 別にフォルマ集めるだけならアクマが出るだけの異界で良くないか?」

「特定のフォルマだけを求めるのなら質の良い物もきっと欲しい筈、ミナミィネキさんはそこら辺妥協しないだろうから、絶対欲しがると思う」

「言われてみれば確かに…てかなんかミナミィネキと親しくでもしてるのか?」

 

 俺自分からはあんまりミナミィネキに会いに行かないから、ユエもあまり顔合わせる事は無いと思うんだが…。

 

「ミナミィネキさんは色々な汎用スキルカードも取り扱ってるから、時々買わせてもらってる」

「汎用スキルカード? 汎用スキルなら【詰め合わせパッチ】と同じ内容のモノが既にあるだろう?」

「むぅ…それだけじゃなくてもっとしっかりした料理スキルを筆頭にした家事スキルへの更新の為に必要」

「アッハイスイマセン…」

 

 そこら辺前世から適当だった男だったけど、今世になって覚醒したら生物的に強くなっちゃって更に雑になったんだよな…でも父さんとの二人暮らしだったから、寧ろ料理は出来る様になった方なんだけど…。

 

「それに妊娠してなくても母乳が出る様になる汎用スキルカードも買ったから、これで搾乳プレイだって出来る!!」

「だからお前さんはなんで申し訳ない気持ちにさせた途端にエロネタに走るんだよ…てかなんでよりにもよってやりたい内容が搾乳なんだよ…」

 

 あまりにもバカバカし過ぎて一気にどうでも良くなっちまうだろうが…。

 

「全ては飽きのこさせない幸せな夫婦でのしっぽり生活の為」

「いや、それについては今度新しく式神が増えるから控えるって伝えただろうが…」

「先輩式神として後輩に見せつけて威厳を示す!!」

「はいはい威厳()威厳()」

 

 マジでウチのユエはどうしてこうなったんだろうなぁ…やっぱり初手で【房中術】入れたのが全ての間違いだったのかねぇ…?

 

「って今はそんな事よりも仕事仕事…取り敢えず罠による難易度上昇とそれに伴い報酬が強化される仕様は…そうだな、取り敢えず単純に進む程度なら雑魚ばかりの楽な異界にしか見えないが、そっちの通路を一番奥の出口であるワープゲート前まで進むか、ある程度感知能力がある奴には分かる隠し通路を作っておいて、そっちに進めばランダムな罠による難易度上昇と、それに伴うドロップや宝箱の質の向上がされる様にしておけばそれっぽいか…」

 

 ついでに異界の雰囲気も通常ルートは洞窟みたいな壁だけど、罠ルートになると徐々にエロゲなんかで出てくる肉感のあるブヨブヨした壁になる様にでもしておくか。

 

「通常ルートはほぼ一方通行で三箇所程奇襲用の横穴を用意しておけば良いとして、配置する敵は通常ルートなら相手捕まえてエロ方面でMAG獲得を狙うゴブリンLV1とかオークLV3みたいなエロゲ男優役を配置、そいつらを雑魚にする事によって発生する余剰リソースを罠ルートに振るとして…そもそも罠ってどんなヤツにすれば良いんだ? エロアイアンメイデンとかか?」

 

 それやるとしたらアイアンメイデンの中の針取っ払って、それに【房中術】スキルを仕込んだローパーを合体させたりしないと駄目だから絶対作るの面倒くさそうだよな。

 

「地面に落とし穴用意して【麻痺】と【拘束】仕掛けてくる触手壺とか、頭上から落下してくる装備だけを溶かすスライムなんてどう? 他にも全部の罠に追加効果として【魅了】状態異常付与とかどう?」

「流石に罠の度に【魅了】は面倒な気がするが…いっその事ソウルシリーズの状態異常みたいな蓄積型の【魅了】とかの方がそれっぽそうだな…」

「それなら罠ルートに入るとピンクの霧に包まれるみたいな感じで常時晒される方がそれっぽい」

「成る程それ採用、どうせなら【魅了】の状態異常に【レベル】の概念引っ付けて、放っておいても自然回復しない様になるとか、行動不能判定がレベル分重ね掛けされるようにしておくか」

 

 そんなこんなでエロゲ以外にも『こんなネタあった気がする』で罠を仕掛ける俺と、ミナミィネキとの雑談で色々と『ロクデモナイ』知識を習得しているユエが一緒にストッパー皆無のエロダンジョンを作っていった結果…。

 

「…流石にこれは不味くないか?」

「ん、快楽のアリ地獄程度ならミナミィネキはまだ甘いっていう筈」

 

 ふと冷静になって見返してみると【魅了】無効であっても気休めにしかならないクソ異界が誕生していた…何だよ【魅了ガードキル】って…しかも新しく【魅了】喰らい過ぎると発症する【発情】*1とかいう訳分からんバステが生成される様になってきたし…。

 

 罠ルートは通常ルートみたいなエロゲ男優アクマは居ない為捕獲の為の暴力で事故死する事は無いが、代わりに高レベルの触手LV15やらスライムLV18*2やらによって離脱も難しい状態に追いやり【魅了】状態を悪化させていくのがコンセプトである為、下手したら本人の意思で死ぬまで自意識で異界に残り続けて異界の為にMAGを生み出す機械にしかねないアリ地獄になってしまったのだ。

 

「正直これ消さないとヤバいんじゃないのか? 俺流石にエロ関係でガイア連合に怒られたくなんかないぞ…」

「ん…でも中々に良い出来だから一度はミナミィネキさんに見てもらいたい」

「あ〜…確かにどれだけやれば良いのか分からんし、駄目であっても一応は雛形に出来るかもだから、取り敢えずデータをミナミィネキに送って判断仰いでみるとするか…」

 

 そんな訳で異界のデータを一通り纏めてミナミィネキに送る事になったのだが、流石に異界で使える機械は持ってない(悪魔召喚プログラム入りは必要無いと思って置いてきていた)し異界の中からデータを外に送る手段も無いという事で、丁度良い時間でもあったので昼飯を食いに行こうという事で異界を出だ。

 

 万が一民間人が入ったらヤバいという事で、対民間人用に認識阻害の結界(非覚醒者には中が見えない様になり、何となく寄るのを避ける様になる程度の物)を張っておき、結界の中にも『現在異界の調査中である為入るべからず、ガイア連合』と書かれた看板を立てておき、ガイア連合の名前で地元霊能組織を牽制しておく。

 

 ザックリとした内容だが、マトモな霊能組織であれば現在飛ぶ鳥を落とす勢いで勢力を拡大していくガイア連合の不興を買いたくはないだろうし、もしも詐称と思われて連絡が行ったとしても、事前に俺が異界に向かうと事務方には伝えてあるので問題無しであり、もしもこの看板を見て逆に入ろうとする奴が居たとしてもほぼ一本道となっている異界を真っ直ぐに進んでしまえば異界の主っぽい【ホブゴブリンLV5】が居る為騙されてくれるだろう。

 

 そう考えて一度異界から離れ、近くのバーガー屋で昼飯とミナミィネキの返信を待っていたのだが、そうしているとバーガー屋に似つかわしくない女性が入ってきたのだが、なんか見覚えある顔してるなぁ…と考えている内にその女性は店内を見渡して俺を見つけるとそのまま一直線に俺の所へ…嫌な予感しかしない…。

 

「突然すいません、貴方様はガイア連合の方でしょうか?」

「あ〜…その通りだが…何の用なんだ?」

 

 嫌な予感センサーの導くまま、周囲に使い捨ての認識阻害の結界を展開して相手の出方を待つ事に…。

 

「私はこの地の霊能組織に所属する『水城不知火』と申すのですが、どうかお願い致します、私の娘がガイア連合に異界の処理を頼んだという話を聞いた事で自分なら解決出来ると意気込んでしまい、其方に任せた異界へと突入してしまった様なのです。誠に申し訳ありませんが救助へのご助力をお願い出来ませんでしょうか?」

「ウワーソレハタイヘンデスネマカセテクダサイ‼︎」

 

 今度は『退魔忍』組織かよどうなってんだ俺の縁!?

*1
【魅了】状態に加えて攻撃力・防御力・命中回避が1ターンごとに一段階ダウン

*2
メガテンのアレではなく半透明なエロゲ仕様のアレで耐性盛り盛り




 因みに話の流れはまとめサイトにもある『小ネタ 対魔忍系現地霊能組織VS催眠エロ種俺たち』の展開が微妙に形を変えて前倒しされた物だとでも思っておいてください。

 ちょっと詳しく言えば

1.霊能組織当主のアサギがブーストニキが異界改造の為に来訪した連絡を受ける
2.ガイア連合にイチャモンつけて有利条件もぎ取る為ゆきかぜに「うちの組織じゃあの異界無理だわ」とプライド煽る様に言って異界に向かわせる
3.後は待つだけだった筈が他の退魔忍がゆきかぜが飛び出したのを不知火に伝えてブーストニキの元へ

 …って感じですかね、当然の如くブーストニキがフラグ建ててたのでガッツリ回収される訳ですが…。

 尚、この異界は相手を捕獲して飼い慣らす事が主目的となっているので、長期間MAGを排出させる為にこの異界内に居るアクマが排出する『体液』は十分な生命維持にも使えるという、ブーストニキの慈悲が含まれております…まぁ、異界の特性上その『体液』は全部『媚薬』でもあるので、飲めば飲む程ドツボにハマるんですけどね?


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第二十六話 そして人生の墓穴へ…

 という訳で、前回に引き続き退魔忍回となっております、結構『アレ』な話になっておりますのでご注意を。


 結論から言えば不知火の娘『水城ゆきかぜ』を救出する事は成功した、まぁそもそもの話としてあの異界はエロトラップダンジョンである為、死ぬ事は滅多に無いからミイラ取りがミイラになるような事にならない限り、生還する事自体は異界とは思えないレベルで簡単な異界なのである。

 

 …詰まる所は生きてはいても問題があったりする訳であり、今回もそんなパターンだったのである。

 

「で、この二人をハジメはどうするの?」

「どうするっていっても、治してやるのが一番なんだろうけどなぁ…」

 

 ユエのジト目に対して右も左も見たくない俺は天を仰ぎながら遠い目をしていた…何で左右を見ないのかって?

 

「あはぁ♡南雲様、もっともっと気持ち良くしてくださぁい♡♡♡」

「んんっ、はぁ…はぁ…♡あぁ、お手を煩わせてしまいすいま…せん♡南雲様…でも、でもぉっ…♡♡♡」

 

 救助対象と同行者が見事に目も当てられない位の痴態を晒しているからだよ!! 必死で反応しないように気を逸らしてるんだから、抱えられてるのにかこつけて身体を押し付けてくるのはやめてくれ!!

 

 説明すると、あの後救助に向かって行くことになったのだが、不知火が不安なのでどうしても行かせて欲しいと言って引き下がらず渋々連れて来たのだが、まさか不知火の耐性一覧に【魅了弱点】があったのである…てかそれと【混乱弱点】以外の状態異常は軒並み耐性持ちだったので、何らかのスキルが関係しているのだと思われる。

 

 それでそんな【魅了】に対して紙装甲な不知火がエロトラップダンジョン異界に入れば速攻でお荷物になる事は確定していたので、急遽【魅了無効】の護符を作って装備させたのだが、今度はゆきかぜの方がやらかしてくれていた。

 

「まさか一発で罠ルートに入るとか想像出来るかよ…」

 

 どうも罠ルートへの分かれ道迄に配置されていた奇襲ポイントで二回とも奇襲を受けていたからか慎重になっていたらしく、一発で罠ルートを見つけてそのまま進んでしまったらしいというのが痕跡から判明したのである。

 

 腐っても退魔忍というか、だからこその退魔忍というか…そんな訳で罠ルートに入ったユキカゼは見事に罠を踏みまくり、母親からの遺伝らしい【魅了弱点】で速攻で【魅了】からの【発情】状態へとなっていた所を俺達に発見されたのだが、ここで不知火がやらかしてくれたのだ。

 

 発見した時のゆきかぜは『全裸の状態で』此方に頭を向けたうつ伏せ状態となっており、不知火はそんな娘の姿を見て最悪の想像をしてしまったのか、異界製作者として罠が発動しなくなる俺の隣から俺の静止の声も聞かず、慌てて助けに行こうと駆け出してしまったのだ。

 

 …因みにこの異界の罠は侵入者がある度にランダムで生成される様になっており、更にある程度拘束したら勝手に解放する様になっている為、ゆきかぜの状態がどれ位までヤバいのかまでは近付いて判断しないと分からなくなっていたので、不知火の不安も理解出来なくもないのが何とも言えない所である。

 

 で、先程も言ったがこの異界のトラップはランダム生成される為、超至近距離に幾つものトラップが生成される可能性もあり…。

 

「目の前でエロトラップによる影牢並みの罠の連鎖を見る事になるとか、誰も想像出来ないし固まっちまうだろうが…」

「…美しい、あれ以上の芸術作品は存在し得ないでしょう」

「いや、その台詞言うとユエがあのトラップ群作り上げたことになるんだが?」

「じゃあ実際にトラップの設定なんかを決めたハジメが言うべきだった?」

「…俺あそこまで変態じゃないぞ?」

 

 マジで芸術作品並みに罠が連鎖して、装備解除や【混乱】を付与された上で【魅了】通り越して【発情】状態となり、『本番』まではいかなかったがぐちょぐちょのべちゃべちゃとなってゆきかぜの後ろから同じ姿勢で崩れ落ちたのだった…もうなんていうか絵面がヒデェよ。

 

「でも何が酷いって【魅了】が悪化したから濃度が濃くなったとでも言いたいのか、【発情】の状態異常って【パトラ】じゃ治らないってのか酷過ぎるだろ…」

「一応【魅了】や【混乱】までは私の【パトラ】で治せるから良いけれど、帰りながら掛け続けてたら当然魔力が足りなくなるから、ここはもうさっさと帰るべき」

「そうだな、取り敢えず見事に罠のせいでこの二人が【アイテム封印】喰らってるから【トラエスト】頼んだ」

「りょーかいー【トラエスト】」

 

 因みに装備全解除*1されてる二人にはちゃんと身体を隠す為の布を巻いておいて、周りから見えない様にしてあるので一応(最低限の)問題は無い…だからといって見られてないからとナニってんじゃないよゆきかぜ!! 普通に音は聞こえるんだからな!?

 

「あらブーストニキさん、丁度良いタイミングで戻って来ましたね」

「ミナミィネキ、なんでここに来てるんだ? 支部で合流じゃなかったのか?」

 

 なんかもう遠い目をしてしまう様な現状のまま異界を抜けると、何故か目の前には少し前に連絡を送って合流待ちだった筈のミナミィネキが立っていた。

 

「ブーストニキさんから貰った資料にとても面白そうな内容があったので、早く確認したくて密輸課に頼んで【トラポート】してもらったんです!」

「成る程納得、それじゃあ取り敢えずこの二人をさっさと治療しておきたいんで、移動しながら話す事にしましょうか」

「あれ? そのお二人…もしや?」

「この地域の霊能組織に所属している『水城不知火』さんと『水城ゆきかぜ』ですね、ゆきかぜは反骨精神が旺盛だったのか俺達に任されたこの異界の話を聞いて突入、運悪く罠ルートに突っ込んでしまいこの様、不知火さんは俺に救援を求めて一緒に向かったら娘のアラレもない姿に思わず駆け寄った顔で罠に落ちて同じ様な目に…って感じですね」

 

 ホント改めて思い返しても酷い話だ…。

 

 そんな事を考えていると未だに俺の身体に擦り付いてくる二人を観察していたミナミィネキが、何かに気付いたのかこちらを見てきた。

 

「この【発情】という状態異常、資料にもあったから気になっていましたが、中々に面白い性質を持っているみたいですね」

「簡易的な【アナライズ】じゃあよく分からなかったのに、流石ミナミィネキというかなんというか…」

「取り敢えずこの状態異常には【パトラ】の様な簡易的な全体解除は効きませんね」

「知ってる、もう試した」

「後は初期段階ならば【魅了】を治せる【ディスチャーム】なんかでも回復させられそうですね、流石は専用アイテムといったところでしょうか」

「マジで? 汎用性が無いからって事で一つたりとも持ってないんだけど俺?」

 

 まさかのこれから先の時代は全状態異常に合わせた其々の回復アイテムが必要になる時代が来るのか!?

 

「いえ、既に深刻化している様なので使っても軽減する程度なので、この場合は別の手段をとった方が手っ取り早いですね」

「はぁ…別の手段?」

 

 うん、なんか嫌な予感がしてきだぞ?

 

「一応深刻化していると言っても一過性のものですからね、てっとり早く言えば【房中術】スキル持ちの相手と『交われば』解除可能です、そんな訳で出番ですよブーストニキさん♪」

『!!』

「やっぱりかよ…」

 

 ミナミィネキの言い方からして予想出来てたぞこの野郎馬鹿野郎。

 

「いや、俺にはユエが居るから遠慮したいんだが?」

「ん? 私は別にハジメにとって私が一番なら他に何人居ても問題無い、寧ろもっと居て欲しい位」

「ちょっとユエさん!?」

 

 まさかの味方だと思ってた相手から狙い撃ちされたんだが!?

 

 あぁ、これが橘木君が俺に人生の墓場に突っ込まれた感覚と同じ状態なのか…あの時は知的好奇心と下衆な楽しみでやっちまってゴメンな。

 

「ハジメは底無しな上に上手過ぎて下手したら私のコアが壊れかねない、でもハジメ毎回満足してないみたいだったから、早く新しい式神仲魔かお妾さんプリーズ」

「えっ、毎回ユエが終わった時に眠ってたのってそういう事だったのか!?」

「ほう、やはりブーストニキさんウチの『悪魔娼館』に来たりしませんか? 色々手伝ってくれるならお安くしておきますよ?」

「手伝える事なら依頼で受けるけど、アクマとやるのはノーセンキュー」

 

 そんな感じでいつものノリで話していると、不意に両腕に絡まっていた力が強くなったので目を向けてみると、最早完全に出来上がっている顔をした二人の姿が…。

 

「おうちょっと待て、不知火はゆきかぜっていう子供が居るなら当然旦那が居る筈だよな!? ゆきかぜも落ち着け、もしも好きな奴が居るならそいつが【房中術】使える様にしてやるからそっちに行っとけ、成り行きでやっちまったら絶対後悔する羽目になるぞ!?」

「私の夫は既に鬼籍に入って久しいです…♡」

「アイツ全然覚醒しなくて私の方が強くなったから身を引いた上に〜♡今じゃ彼女作っちゃってるからもう興味なんてありませ〜ん♡」

「oh…」

 

 な、中々随分と霊能界隈あるあるな重たい話が飛んで来たなオイ…。

 

「い、いやそれでもゆきかぜはそこそこ強そうなんだし、霊能組織なら婚約者とか居るんじゃないのか!?」

「正直あんなオッサンの相手するぐらいなら南雲様に嫁ぎたい位で〜す♡というか二番手でも妾でも、何なら愛人でも良いからお側に居させてくれませんか?♡」

「ん、許可する」

「ユエさん!?」

「因みに解除するなら『生』必須ですし、副作用で『デキ易い』ので注意してくださいね〜」

「御忠告ありがとうなミナミィネキ!! でもそれはそれとしてタスケテ!!」

 

 ちょ、三人とも引っ張んな!? そこ何? えっ、ラブホ!? ちょい待て流石にミナミィネキは混ざろうとするなやこれは治療でもあるんだろうが!? あぁもうちくしょう…責任取ってやってやらぁ!!

 

 

 

 …三人相手なのに圧勝してしまった…これヤバくないか?

*1
当然の如くしたぎすらない




【悲報】ブーストニキ現地民の嫁が出来る【しかも母子】

 責任取って二人とも娶ったしちゃんと大切にはするつもりな模様…やったね水城親子、元の方よりはハッピーな展開だぞ!!(尚ベッドの上では毎度惨敗している模様)

 因みに『生』とはいえ【房中術】スキルでちゃんと避妊はしているので問題ありませんし、終末まで(正確にはユエと子供が出来るまで)は子供を作る気はありません、ちゃんと正妻は大事にする男です。

 それと話は全然関係無いけど、ニキネキ呼びってそれ自体が愛称とかさん付けみたいなもんってイメージがあるけれど、何故かミナミィネキはニキネキ呼びの後にさんを付けるような印象があるんだけど、これ俺だけだったりするのかなぁ…?


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幕間 その頃の掲示板

 今回はカオ転らしく掲示板回です。

 一応カオ転らしく一度位はやっておくべきだと思ったので書いてみましたけど、結構久々に書いた気がするなぁ…。

 他の掲示板書いてる様な作品と比べたら短めかもしれませんが、そこら辺は作者の書きやすい量(約三千字)が目安とやっているので許されよ許されよ…。


750:名無しの転生者

 【朗報?】五車の里見つかるが歓楽街となる【悲報?】

 尚、同時に退魔忍の存在も確認される。

 

751:名無しの転生者

 何っ!? 本当に実在したのか退魔忍!?

 ってか歓楽街化ってどういう事だよ?

 

752:名無しの転生者

 俺等以外にも現地民にエロゲキャラが居るのを見つけて「ならあのキャラも居るんじゃね!?」と大騒ぎして探し始めたよな。

 …結果今迄最初に見つかった作品以外一人として見つからなかった訳だけど…。

 

753:名無しの転生者

 どうもエロゲキャラってマジの一般人か、逆にそこそこやれるレベルの奴等ばかりなせいで俺等を頼りにして来ないから、結果として情報が集まらなかったみたいだな。

 

754:名無しの転生者

 というかマジで歓楽街ってどういう事なんだ?

 退魔忍達が自分の適正に気が付いて風俗開始したとか?

 

755:>>750

 発端はミナミィネキが地方の異界を祓うでもなく「どうにかしてくれ(意訳)」っていう依頼が来たから、折角なんだし『肉欲界』作って夜魔のフォルマ集めに便利な所を作ろうぜ!! って所から話が始まったらしい。

 尚、このタイミングでは依頼を出されただけで対面していなかったからミナミィネキは相手の顔を知らず、対応していた事務員系俺達はそもそも『退魔忍』シリーズを知らなかったから分からなかったんだと。

 

756:名無しの転生者

 俺達の必須科目である退魔忍を知らない!?

 どんだけピュアなんだその俺達は…。

 

757:名無しの転生者

 まぁ、そこら辺は人によりけりじゃね?

 俺だってネタとしては知ってても原作知らないやつとか結構あると思うし。

 

758:名無しの転生者

 レスリングシリーズは知ってても淫夢は知らないみたいな感じか。

 

759:名無しの転生者

 (淫夢は汚いと聞いて見ないのは)仕方ないね。

 

760:名無しの転生者

 ちょちょちょ、待ってくださいよ!?

 

761:名無しの転生者

 (淫夢を下に見るとか)もう許せねぇからなぁ!!

 

762:名無しの転生者

 でも実際汚いネタ多い…多くない?

 

763:名無しの転生者

 (アレ程度で汚いとか)あぁん? 最近だらしねぇな!?

 

764:名無しの転生者

>>763

 あれ? 言い方からしてコイツ淫夢側の擁護しているのでは…?

 

765:763

 いやだって、ブーストニキから喰らった強制ショタオジ修行【厳しいモード】での惨状見てたらね…。

 

766:名無しの転生者

>>765

 なんだって!? ぜってぇ許せねぇ、ブーストニキ!!

 

767:750

 因みに五車の里や退魔忍について報告してくれたのもブーストニキだゾ。

 

768:名無しの転生者

 …またブーストニキだったのか…。

 

769:名無しの転生者

 めっちゃどう言えば良いのか迷うやーつ…。

 

770:名無しの転生者

 前にも根願寺で『淫妖蟲』やら『超昂閃忍』とか探し当ててたよな…。

 まぁ根願寺に来てた『淫妖蟲』メンバーは全員なんかの詫びで地元に引き取ったっらしいけど。

 

771:名無しの転生者

 ついでに言えばそっからの伝で『魔胎都市』なんかも見つけてたぞ…。

 

772:名無しの転生者

 いやぁ、微妙にズレるけどオヤシロさまは強敵でしたね(ガチ)

 

773:名無しの転生者

 なんでまだGP低めなのにも関わらず既にレベル25相当が出てくるんだよ、あの土地人心も何もかもおかしいだろ…。

 あの時点で交渉出来なかったら一地方が奇病によるテロで壊滅*1とか勘弁してくれ…。

 

774:名無しの転生者

 ホント俺達にやった仕打ちは許せねぇけど、それと相殺出来るくらい貢献してるのがめっちゃ評価し辛いんだが…。

 

775:名無しの密輸課転生者

 いや、俺は寧ろ助かってるけどな…【収納ポーチ】マジで便利過ぎ、輸送量大幅アップクソ程有難いんだけど。

 

776:名無しの転生者

 最近は一般俺等にも出回る様になったけど、初期の頃は【密輸課】の負担軽減の為に【密輸課】優先で配備されてたんだっけ?

 

777:名無しの密輸課転生者

 そそ、俺らに仕事用として配布されたのは車さえも入るらしいトランクケースタイプだったけど、マジの容量お化けで話に聞く所ブーストニキが血肉使ってまで強化してあるみたいで、マジで仕事にしか使えない様にしてあるらしい。

 

778:名無しの転生者

 何と言うか、あの人のそこら辺ぶっ飛んでる所や融通の効かなさマジでヤバいよな…。

 

779:名無しの転生者

 話に聞く所によれば既に覚醒しているから受けなくても良いショタオジの修行を『強くなれる可能性があるなら受けない方が損だろう』とか言ってとか言って受けに行ったんだろう?*2

 

780:名無しの転生者

 因みにその話にはプラスして『序でに専用式神って血肉多い方が強くなれるんだって? なら専用式神に使う為の血肉集めとしてスプラッタ系やれば一石二鳥だな!!』とか言ってショタオジ達をドン引きさせたとか…。

 

781:名無しの転生者

 残当というか何でそんなにぶっ飛んでるんだよあの人…。

 

782:名無しの転生者

 俺が聞いた話だと、噂の覚醒補助スキルの影響でレベル限界以外が現地民レベルまで堕ちたから、何とかして強くなろうと藻搔いているらしいぞ?

 

783:名無しの転生者

 あぁ、矢鱈とエグいスキルだと思ってたけど、そんな副作用があったのか…いやそれ産廃って言わね?

 

784:名無しの転生者

 そんなので喜ぶのなんか霊能資質ロバな現地民位だろ。

 

785:名無しの技術部転生者

 その現地民支援出来るからブーストニキからしたら痛し痒しなんだよなぁ…。

 

786:名無しの転生者

 え? ブーストニキが現地民に入れ込んでるのってマジだったの? 雑魚に貢ぐとかあの人正気か?

 

787:名無しの転生者

 でも実際ブーストニキが色々現地民強化しているからこそ、最近はそこら中から救援依頼が来る事減ったんだけどな。

 …但しあの人現地民に対してもそれなりに厳しいから、碌でもない奴が霊能組織のトップだった場合、見込みのある奴見繕って鍛え上げさせた上で組織を乗っ取らせるとかしたみたいだぞ?

 

788:名無しの転生者

 それマ? もしかしてそれが五車の里歓楽街化の理由だったりするのか?

 

789:750

 それに関しては半々って所かなぁ…なんか聞いた話によると元々ミナミィネキに頼まれて『肉欲界』の製作を手伝う事にしたらしいんだけど、どうにもブーストニキが来て異界改造に着手したのを見計らって五車の里当主だった『井河アサギ』が若手のエースだった『水城ゆきかぜ』を唆してほぼエロトラップダンジョンとして完成していた『肉欲界』に突っ込ませたのが事の発端らしいんだわ。

 

790:名無しの転生者

 退魔忍をエロトラップダンジョンに突っ込ませるとか、確実にエロい展開発生待った無しだろ。

 

791:名無しの転生者

 オイオイオイ逝ったわアイツ(ゆきかぜ)

 

792:750

 皆の予想通り見事に罠に引っ掛かってたゆきかぜを、母親である不知火から依頼されたブーストニキが発見し、同行してたのに余計な事して罠に引っ掛かった不知火共々救助した後、異界の進捗見に来てたミナミィネキと一緒にアサギを問い詰めた結果見事にアサギがボロ出して、ミナミィネキ直々にお仕置きコースへ…。

 その間良さそうな人材を探していたら『ふうま小太郎(決戦アリーナの姿)』と遭遇して『ブーストブートキャンプ』を開催…哀れふうま君はブーストニキの手により超進化をとげ、アサギ(&多数の女性退魔忍)を手篭めにして立派な組織の長へと成り上がりましたとさ。

 

793:名無しの転生者

 こ、小太郎ダイーン!?

 サラッとハーレム作ってて草。

 

794:名無しの転生者

 あれ? それだと歓楽街になった理由がまだ分からないぞ?

 

795:750

 そっちについては元々ミナミィネキ案件だって御館様鍛えてる間にミナミィネキに任せてたら、いつの間にか五車の里の経営網を利用してエログッズやらエロアイテムの販路開拓してて、見事なまでに五車の里がエロ堕ちしてたから、ふうま君がなんか色々諦めて【魅了】系を長所にする為に新規開拓する事にした結果なんだとか。

 実際(哀みが理由の)ブーストニキだけじゃなくて(クッソノリノリな)ミナミィネキも積極的に協力してるから、エログッズやエロアイテムの質は滅茶苦茶高いし、ふうま君自身も里の未婚女性陣食い漁ったエロスキルやら既に全国販売し始めてる経営スキルが高かったから以前よりも五車の里は盛り上がっているんだとか。

 

796:名無しの転生者

 ふうま君に隠された才能が!?

 ってかエロスキルと経済スキルって両方霊能組織のトップにとっての最重要スキルやんけ…まさかの男の退魔忍なのにSSR枠やったんか。

 

797:名無しの転生者

 ってかふうま君里の女性陣食い漁ったとか、俺も何人か欲しかったなぁ〜…。

 

798:750

 まぁ、エロ関係についてはブーストニキとミナミィネキというスケベ部ツートップ監修による高品質品だからね、仕方ないね。

 あ、因みにブーストニキは異界からの救助の際に、ちゃっかり水城母娘をいただいて嫁に貰ってたらしいゾ(爆弾投下)

 

799:名無しの転生者

 ファッ!?

 

 

*1
お決まりのN案件でした

*2
因みに何も収穫は無かった




 そんな訳であの後の五車の里がどうなったかについてですね、ミナミィネキによって性の風紀が乱れそうだったので、大慌てでブーストニキと御館様が調整した感じとなっております。

 因みにふうま君と時音ちゃんはブーストニキが持参した劣化版ロゴスリアクトで、近くの異界を潰しながら生み出した格上アクマ相手を数日間延々とやらされた事でレベルは20迄引き上げられる事となりました(=アサギ超え)

 序でに以前出た【スキル習得補助具】でエロ関係も完備させたので、これによりふうま君の【魅了】耐性を無効にまで跳ね上げ、退魔忍というエロに対して極端に弱い種族を逆にふうま君という凄腕の性技の持ち主に縛り付ける事により、やる夫さんの所に居るニアスみたいに【特定個人(この場合はふうま君)以外からの精神異常耐性】及び【特定個人以外からの性交無効属性】を入手致しました。

 …最初はブーストニキの嫁達が面白半分で時子ちゃんにふうま君との関係を弄られてたのが、健気な時子ちゃんに絆されてブーストニキに頼んだのが始まりであり、ここまでとんでもないハーレムになるとは欠片たりとも思ってなかったんですけどね…。


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第二十七話 合間の戦闘と善意の押し売り

 なんか前回の掲示板よりも幕間みたいになってしまった回ですが、言ってしまえばまだ次の展開まで間があるのでその間のガイア連合へのサポート回ですかね? 一応はある程度の帰属意識もあるんだよっていうお話です。


「先制やります【アギ】!!」

「そこっ、セイッ!」(絶命剣*1)ザシュッ!

「援護するおっ!!」ペチッ⭐︎《BIND‼︎》

「隙見せたんなら死よやァ!!」(スラッシュ*2)グシャァ!!《クリティカル‼︎》

 

 現在、地方の霊能組織強化が一段落したとの事で根願寺に来ているメンバーの入れ替えが行われているのだが、メンバーが揃うまで余裕があるとの事なので、とあるマヨナカテレビをやる夫さんのパーティーに加えてもらいながら攻略中である。

 

「レベルは彼方の方が高いのは分かっていますが、矢鱈とクリティカルな攻撃が多いですね…」

「それどころかここ迄安定した探索って初めてじゃないでしょうか? 私まだ回復魔法ニアスさんに対しての数回しか使ってませんよ?」

「ん、私も強化魔法位で回復魔法殆ど使ってない…多分ここのシャドウがそこまで強くないから」

 

 俺とニアスさんが前衛となり、ユエとやる夫さんの所の不知火さんと未来さんが後衛、後詰めをやる夫さんのペットである亀のココ・ジャンボに任せ、手持ち無沙汰にしてると何されるか分からないやる夫さんに状態異常付与をメインにした銃*3と《ガード成功時弱点無効及び奇襲を感知可能》な盾*4を渡して最低限身の守りを可能にしておき、集団の真ん中で司令塔として援護に徹してもらった。

 

 …因みに滅茶苦茶遠慮して受け取ろうとしなかったので、取り敢えず今回だけ俺の安心の為に装備しておいてくれと言って渡してあるのだが、丁度良い感じだけど俺がやってるタンク役が抜けたら無理してタンク役やりそうだし、渡したままにしておくの悩むなぁ…。

 

「ほわぁ…やっぱりブーストニキは凄く強いおねぇ…」

「何というか私達や敵の動きを熟知している感じがしますね」

「そりゃあガイア連合に入るまでにも素人集団で立ち回ってたから、何やろうとしているのかなんて多分普通の軍隊よりも理解していると思うぞ?」

 

 まぁ、攻めに攻めて相手に反撃の隙を与えない立ち回りが基本だったから、防御に関しては然程得意ではないんだけどな、やられる前にやるのが正義だ。

 

「おっ、レアドロか? 防具なんかに使えそうだな…いや、視た感じこれアクセサリーの素材だな? やる夫さん、こういう素材は全部貰って良いんだよな?」

「まぁ、やる夫達には素材の使い道は分からないから、ブーストニキみたいな技術部に貰ってもらう方が有意義だお…それより他のドロップについての方が此方が七でブーストニキが三とか大分貰い過ぎなんじゃないかお?」

「こっちも普通に儲けさせてもらってるから全く問題無いぞ」

「ん、寧ろ現時点で普段の儲けよりも総合的に多い感じ?」

 

 そう、ユエの言う通り今回のやる夫さんへの同行なのだが、想定よりもかなり儲けが美味しいのである。

 

 それというのもやる夫さんのスキルは幸運系が多いのでドロップが滅茶苦茶美味しく、そのまま売っても美味しいしなんなら加工すればかなりの額になりそうな物がチラホラ散見されるのである…これ以上は下手したら寧ろ貰い過ぎになるやもしれんな?(汗)

 

「所で、結局俺だけじゃあの二人をちゃんと鍛える事が出来なくてやる夫さんに投げたけど、何か問題とか起きてはいないかな?」

「おっおっ、二人ともとても良い子だから皆と仲良くしているし、ちゃんと強くなってるから安心するお」

「えぇ、少なくともやる夫よりは身の程を弁えていますから、ちゃんと二人とも頑張れていますよ」

「ぐふぉっ!?」

 

 不知火さんからの不意打ちでやる夫さんが心に大ダメージを受けてしまったが、実際言ってる事は全くもって間違っていないので何のフォローもされる事はないし、する事も出来ないのである。

 

「それなら安心…だっ!! っと…千切れろオラ!!」【ガルストーン】→攻撃《クリティカル‼︎》

 

 通路で角待ちしていたシャドウに対して通路の壁を利用しつつ【ガルストーン】を投げ付けて突風を起こし、その突風により壁に叩き付けられているシャドウに対して巨大化させてある愛用の鉈で壁を利用しながら首を断つ。

 

「戦法が技巧派なのもそうなのだろうが、やたらとクリティカルな攻撃を出来るのだな…そういったスキルは所持していないのだろうにどういう事なのだろうか?」

「頭や首とか胴体とか致命傷になりそうな場所に確実に当てていってますもんね、そのせいで何度かヒヤヒヤする様なタイミングもありましたけど…」

 

 俺の戦闘スタイルについてニアスさんと未来さんが話し合っているが、それについては簡単な話である。

 

「それに関しちゃ普通に弱点と思われる所を狙ってるだけだからあまり関係無いですね、そもそも【コロシの愉悦】系は無意識に知らない筈の敵の弱点を狙う様になるスキルらしいですが…」

 

 あれって中々に異質なスキルだよな、無意識に相手の弱みを見抜くとかドSの素質でもあるんじゃないの?

 

「因みにハジメが滅茶苦茶近接戦するのは『肉を切って骨を断つ』が基本スタイルだから…うん、こっちが注意してないと時々『モゲル』」

「ガイア連合に来てから効果の高い傷薬なんかが簡単に買える様になって、例え怪我しても簡単にくっ付く&生えるし、なんなら【地返しの玉】なんかで死んでも簡単に復活出来るから『一歩前へ』がやりやすくなってて良いよな」

「「「「ヒェッ…」」」」

 

 一見こっちに重症負わせた様に見えるから相手も油断するし、その隙を突いて強烈な一撃をぶち込んでやれば気が抜けてて防御が甘くなってる敵に大打撃を与えられるしね、戦場で油断してる方が悪い(真顔)

 

「ちょ、ちょっとそれはやる夫達には真似出来ない精神だお…」

「でも仲間が危なくなったらやる夫さん前に出るでしょ?」

「まぁやる夫は【くいしばり】系のスキルそれなりに持ってるから、これ程いざという時の盾になるのに向いてるスキルはないと言っても過言じゃないお」

 

 う〜ん、この聖人とも狂人とも言える両極端なメンタルよ。

 

「で、やる夫さんが危なくなればメンバーの皆は当然の如く身を挺して死んでもやる夫さんを護る、と…」

「愚問ですね、考えるまでも無い」

「ちょ!?」

「やる夫先輩の為なら肉盾程度にしかならなくても護りに行くのは当然ですよ」

「待って!?」

「そもそもやる夫が居なければ既に無かったこの命、やる夫を生かす為なら惜しくも何とも無いな」

「皆何言ってんの!?」

 

 ついでと言わんばかりにやる夫パーティーに話を振ってみれば、全員真顔でこの即答っぷりである、全くもって頼もしい限りだな!!

 

 そしてそんな覚悟ガンギマリな自分のパーティーメンバーに対して、普段堂々としているやる夫さんが怯んでしまっている、コノシュンカンヲマッテイタンダー‼︎

 

「そんな訳でその銃や盾はやる夫さんにあげるから、これからはしっかり身の安全を確保してピンチに陥らないようにしておこうNE!?」

「おぉう…りょ、了解だお…」

「取り敢えずは今みたいに安全を確保してある位置で敵の行動を阻害するのを重点的に訓練して、如何にパーティーが崩されない様にするのかを考えていこうNE!?」

「確かにそもそも崩されなければ問題無いお」

「でも全体的にパーティーが脆いから、せめて【物理耐性】以上を持ったタンク役の式神作る事にしよう、幸い今回の探索で良さそうなドロップが幾つか手に入ったから、どうせならこれ使って俺の式神製作の練習を兼ねたヤツを送らせてもらおうKA!!」

「えっ!? さ、流石にそれは申し訳がないお!!」

「大丈夫大丈夫、どうせ特殊環境下でしか使えない式神になるだろうからデザイン皆無の代物になるだろうし、制約なんかがガッチガチに固まったヤツになるだろうから、寧ろやる夫さんに使用感を調べておいて欲しいんだYO!!」

「う、うぅ〜ん…わ、分かったお…それじゃあ式神製作お願いするお…」

 

 やったZE!!

 

 取り敢えずこれなら今回ショタオジが言ってた『やる夫さんの防御面が不安問題』もある程度解決出来るやろ…それじゃあショタオジに協力してもらって、一反木綿型式神を作る時の型枠貸してもらうことにするか。

*1
敵単体に中威力の物理属性攻撃。クリティカル率が高い。

*2
敵1体に小ダメージ

*3
今回の為に買って来たモデルガン…の違法改造品、勿論見つかれば確実にお縄につく様なヤバい代物

*4
今回の為に通販で買ったライオットシールド。




 そんな訳で実はショタオジの愚痴聞いてお節介焼きに出向いて来たというお話でした、やる夫さんの防御面アップで皆ニッコリや!!(尚その分増える探索回数と探索時間…)

 経緯としてはショタオジのリフレッシュの為にカービィのエアライドやってたら、折角ショタオジが慣れない操作なれども作り上げれたハイドラをネコマタがデビルスターで粉砕⭐︎玉砕⭐︎大喝采!! してしまい凹んでた時にポロっと溢れ出た愚痴を聞いて、なんか可哀想だし何時も手伝ってくれたりしてるからやる夫さん嵌めてくるか…って感じの前日譚があったり無かったり…いや書いててアレだけど中々に外道だなコイツ。

 因みに作戦としてはやる夫のメンタルにダメージ加えて怯んだ所に要望押し付けるとかいう、普通ならかなり迷惑な事をやってます…自己犠牲が酷いやる夫さん相手だから皆複雑な顔で許す内容ですね。

 後、ドロップが美味いって言ってたのは今回言ってた式神製作に使う為のモノを探していたのですが、想定以上に集まっててマジでやる夫さん用に造る式神の分引いても利益が出たレベルで拾えていたりします…やる夫やっぱり幸運の置物であった方が皆幸せなのでは…?


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第二十八話 戦力強化の一手

 前書き思いつかないなり…(でもなんか書いとかないと落ち着かない奴)


 人員は集まったけど品性が足りない面子もそこそこ来てしまったとの事で、今日も根願寺に行けない事になりガイア連合山梨支部へ。

 

 やる夫さんへの式神については受け取らせる為の手段について少しばかり審議が起きたが、やる夫さんの安全には変えられないとの事でお咎め無しになり、式神注文の順番待ち破っても良いのかという文句については全部自費…という事にしようとしたらショタオジ筆頭にペルソナ使い達やガイア連合の上位部等の多方面からめちゃめちゃカンパが来た…言外に掛かる圧が凄い…。

 

 まぁ、それで製作に関しても自分の自由時間にやるから問題無いだろうという事で黙らせて式神を作る事にしたのだが、途中でショタオジややる夫さんに恩義を感じている人達からの口出しが滅茶苦茶多く、その結果やる夫さんに渡すと言っていた『汎用性皆無な式神』からは多いに逸脱した代物になりかねなかった為、急遽隠蔽工作を施す事に…。

 

 まぁ、それでも過剰性能となってしまったが、そこら辺はもう諦めてやる夫さんがガイア連合に愛されてるんだという事で納得してもらう事にした。

 

「ヘイヘイヘ〜イ、ブーストニキィ今お時間だいじょ〜ぶ?」

「おうハレゼナネキか、やる夫さんの式神も出来た事だから今から何しようか考えてた所だけど、なんか問題でもあったのか?」

 

 やるべき事が一段落したので次に何をするか考えていると、ロボットや浪漫に命掛けてる技術班ロボ部に所属している『ハレゼナネキ』が声を掛けてきた。

 

 彼女はその流暢な日本語と金髪である事から薄っすらと察せられるが、父親が日本人で母親がアメリカ人のハーフであり、その結果遺伝子が変にハッスルしたのか見た目が『グランブルーファンタジー』に登場する『ハレゼナ』を角を無くしてヒトミミにした様な、日本では先ずお目にかかれないようなあり得ない見た目をした合法ロリ巨乳であり、その結果周りから虐めやセクハラなんかの被害を受けて原作の様にヤベー奴の殻被ったオタクという、色々と闇が深い経歴持ちだったりする。

 

 幸い原作の方よりも世間が引き篭もりも仕方なしと理解出来る様な境遇だった為に行き着くところまでは行っていないが、ガイア連合との出会いがあってからは最早家族と連合員(式神含む)以外とは対応に天と地程の差があるのだとか…まぁ、俺は連合内でしかハレゼナネキを見た事無いから真相は知らんがな。

 

 で、そんな彼女だが現在はグラブルの4コマで妄想として出て来た『ギガントスーツ』を作る事を目標とし、少し特殊ではあるがその関係から式神製造部も掛け持ちしており、製作に行き詰まった所から俺に話を持ち掛け知り合った経緯がある。

 

 初めは量産と改造を本領としている俺に対して何を持ち掛けてくるのかと思っていたが、ハレゼナネキが『ギガントスーツ』の素体にしようとしている【デモニカ】なる特殊スーツはなんと科学の力で造り上げられた、非覚醒者でも着るだけでアクマを認識&戦闘可能とする夢の素敵スーツなのだとか。

 

 コイツは開発協力するっきゃねぇ!! となったのだが、本来科学の力で作っていた筈の【デモニカ】がどうすれば科学力でアクマを認識出来るようになるのか分からなかったロボ部は、コアとなるパーツを【マガタマ】なる節の多い昆虫みたいな形状をしたヤベー呪物で代用して開発を進めているのだとか。

 

 俺に回ってきた内容は各パーツの調整や改良してなんとか形にするのを手伝って欲しいのだとか。

 

 そんな訳でちょくちょく送られて来るパーツを指示書の要望通りに改良して送り返しつつ、自力で指示書を参考にパーツを作り上げる事を続けていたのだが、確か前回の時点で全身一通り作れる様になった筈なのに今回もそんな感じの要望なのだろうか?

 

「問題なんてナッシ〜ングッ!! 漸く【アレ】が出来たからぁ…試運転、見ていかない?」

「おぉマジか、是非とも行かせてもらおうか…所で試運転って誰が装備するんだ? ロボ部って極論ヒョロガリばっかりだからマトモに扱えないだろ?」

「そこら辺は百万ニキ確保してあるからだいじょ〜ぶだよ」

「…なんかあの人ほぼ技術班のモルモットだよな…」

 

 個人的に生い立ちや因縁という意味で言葉に出来ない人こそが先程話に出て来た『百万ニキ』なのだが、現地民の霊能名家()生まれだったのだが家に対して嫌気が差して家出し、私立探偵を経営していた所ガイア連合の存在を知り合流した経緯を持つ。

 

 …そして本名が家を出た事で苗字を捨てているのだが『九郎』といい、この名前と職業やら何やらを考えると概念に強く干渉してしまう【俺ら】的にはクソ邪神の強化に繋がってしまうのでは…? と危惧された事により急遽として方向性を変える為に色々口出しというか対策を取る羽目になってしまっている。

 

 具体的には専用式神『ブラスタ』を敢えて超高額の百万マッカもする様な超高性能の代物とし、その製作費用を利息無しの借金扱いにする事で技術部に協力し、そこそこ割りの良い依頼報酬として支払い返していくスタイルとし、システマや狙撃等の軍で習う様な技術を覚えさせたり等する事で『斬魔大聖デモンベイン』の主人公『大十字九郎』に寄っていた因子を『スーパーロボット大戦Zシリーズ』に主人公としても登場した『クロウ・ブルースト』側に傾けようとしているのである。

 

 本人もデモンベインシリーズは知らずともペルソナシリーズを知っていた事から邪神の脅威は理解しており、渋々ではあれどもこれらの要素を受け入れている事で山梨支部や各地の異界で鍛えつつも、ちょくちょく技術部に顔を出す生活を送っているのだ。

 

 …因みに幼少期は『隻狼-SEKIRO-』の重要人物である『九郎』そっくりであり、今でも得意な料理としておはぎが美味いという要素を持ち、これらの要素を纏めて『三重苦労ニキ』と呼ばれる事もあったのだとか…。

 

「了解した、それじゃあ俺も試したい物があるからついでに頼ませて貰おうかね」

「ん〜? 百万ニキが問題無いんだったら良いんじゃないの?」

「いや、俺の場合はそっちの実験結果を反映する必要があるからそっち待ちだな、具体的に言えば新しい式神造るのにデモニカの稼働データが欲しい」

「…ブーストニキまたとんでもない事やらかす気?」

 

 なんか胡乱気な視線を向けられるけれども失敬な、新しい試みを思いついたのならば試さずにはいられないのは造る者の性だぞ。

 

「俺って【軍勢変生】スキルの影響でレベルが上がり難い上、戦闘系のスキルが全然取得出来ない状態になってるじゃん?」

「そだね〜、確か普通なら有り得ない式神ちゃんの方が遥かに高レベルになってるんだっけ?」

「だな、現状俺がレベル23なのに対してユエのレベルは28…俺がMAG生産量増加のスキルや保有MAG量増加のスキル積んでて、ユエにMAG消費軽減なんかのスキル入れてないと俺が干からびかねない状態だな…」

 

 ユエはこれらの対策と偶然とはいえ低燃費モードを入れてたお陰で、日常生活なら多分レベル20差位なら現状は問題無く過ごせてはいるが、それでもなるべくレベルを均等にしておかないと不味いので、結果として毎晩【房中術】によるユエのノックダウンが頻発している訳なのだが…。

 

「まぁ、そんな訳で俺自身が戦う手段持ってないから戦闘スキル覚えさせた武器式神を使ってた訳なんだが、そうなれば今度はボディの貧弱さが目立ってくる訳じゃん?」

「手脚どころか頭消し飛ばされようとも即座に治して襲い掛かる姿見て、貧弱って言う奴は居ないと思うんだけど…」

 

 そこら辺は気の持ち様だ、やれば出来る。

 

「そんな訳で今度はボディ強化の為にデモニカのコアを式神にしようと思ってな、唯の機械じゃあ俺の【軍勢変生】は意味無いから式神をデモニカとして鎧う事で強化しようってな」

「ふぇぇ…またブーストニキがとんでもない事やってるよぉ…」




 実は武器式神と化していた愛用の鉈、様々な攻撃スキルと【貫通】を筆頭に【物理プレロマ】【物理ギガプレロマ】【巨大化】等の汎用スキルで足りなかった火力面をサポートしており、普段は以前通りの鉈としてMAG消費をセーブして戦闘時には最大でバスターソードもビックリな身の丈以上のデカさになる事が可能なトンデモウェポンとなっております。

 そしてアクマ視点だとこんな物騒な武器持った奴が全身血みどろで欠損しようとも即座に修復して叩き斬りに来るという…ホラーかな?

 てな訳で次回は漸く前から伏線張ってたデモニカ回ですね、式神体どうするかまだ決まってないけれどどうしよう…別に三世村正でも良いけど、あっちで既に採用してるから違いを演出したいんですけどね…。


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第二十九話 テストとテスト

 書いてる内に話が逸れるのはウチの小説じゃあよくある事なのでスルー推奨です!!(オイ)

 そんな訳でデモニカテストから脇道に盛大に逸れ、最後に新たな仲間の誕生回ですね。


 デモニカ試運転用に造られた異界に到着すると、そこには既にデモニカを着込んだ百万ニキと思われる人物を囲む様に技術班ロボ部と式神製造部が居て、その輪から少し離れて全体を見る事が出来る所にショタオジ(本体)がスタンバイしていた。

 

「ショタオジも来てたのか」

「やぁブーストニキ、一応事前に安全確認はしておいたとはいえマガタマ使ってる訳だからね、頼まれたとはいえ提供した側としては何かあった時の為にスタンバイしておくのは当然じゃないかな?」

「そんな事言って仕事サボる為に来てるだけだろ、騙されんぞ」

「ありゃまバレたかー⭐︎」

 

 ジト目で尋ねればアッサリとサボりだった事をゲロるショタオジだったけど、普段からやってる仕事の量とかどう見たってブラック超えてダークネスだからね、別にチクったりなんかしないよ。

 

 一応問題が起きた時の為に来ているのは本当の様だったので見守りに徹しているショタオジは置いといて、俺はデータ取ってる技術班の近くまで寄ってから百万ニキと思われるデモニカ装着者へと声を掛ける。

 

「多分百万ニキお〜っす、デモニカの装備し心地はどんなもんだ?」

「おうブーストニキも来たのか、一応一通りシステマや狙撃なんかの普段からやる様なモーションやってみたけど、問題無く動けそうだな」

「そりゃあ重畳、流石に戦闘を前提として造られてるのに動き阻害されたら堪らないからな」

 

 話ながらも百万ニキはシステマの型を繰り出したりパルクールの様にそこら中を飛んだら跳ねたりしていく。

 

「しっかし何度見てもバケツヘルムみたいな頭装備だよな…実際の所あのシステム積み込めるのならアレじゃなくても良いんだよな?」

 

 実際俺が製作しているヤツなんて見た目全然違うしな、無骨さで言えば多分どっこいどっこいなんじゃないだろうか?

 

「あの形状は原典に忠実にしてあるだけだからねぇ…それにあの形状なら装着するのに然程労力が必要無いから、一応覚醒したら一人でも着込める様にはなってるよ?」

「あぁ、そういえば取り敢えず全体作り上げたけど百キロ近い重量になってたんだっけ? 今回のデータが取れたらそこら辺の重量の改良もやってみるとするか…」

 

 あれ程重いと普段から鍛えてない一般人なんかは、下手したら着込んでる最中に『(首の骨が折れる音)』みたいな事故に繋がりかねんもんな…。

 

「いやいや、それよりも幾ら一人で着れると言っても普通に手間だから、ブーストニキは瞬間装着出来る様な技術の開発してくんない?」

「そっちは俺の【道具の心得】で【収納ポーチ】から…こんな風に装備出来るから、それ用の設定組んだ【収納ポーチ】造れば良いだろう」

 

 話ながら現在製作中である俺のデモニカの【ランスロット・アルビオン】を展開してやると、周りの視線が一斉にこちらを向いた。

 

「…コードギアスのランスロット?」

「俺の体型に合わせて作ってあるから微妙に形状は違うが、一応モチーフはソレだな」

「おーランスロットかぁ、元になるデモニカ以外にも違うヤツを造ってたのか?」

「丁寧に各パーツ見せてくれたんだから、後はそれをベースに好きなヤツ組めば良いだけだったんだよ百万ニキ…あっそうだ、これその時設計したデモニカの素体データな?」

 

 指示されたモーションをこなしながら質問してくる百万ニキ説明しつつもアルビオンを改めて収納ポーチにしまい直し、今度はマネキンに着せて隣に立たせて百万ニキのモーションから取れたデータを元に随時性能の更新をしていく。

 

 一応必要かと思って作っておいたデモニカの骨格とも言える素体のデータが入ったメモリを技術部に渡すと、渡された技術部は慌ててそのメモリの確認を初めてしまい、周りに集まっていた技術部もそれに殺到してしまった。

 

「お〜い、次は何すれば良いんだ?」

「…すまん百万ニキ、なんか俺の渡したデータに夢中になってそっちに集中し始めやがった…取り敢えず俺が引き継ぐから指示通りにやってくれ」

 

 百万ニキが次のモーションの指示を聞いても技術部の面々はデータに夢中で聞いておらず、仕方がないので俺が引き継いで指示を出していく事に…。

 

 剣道から始まりアクション映画のシーンやブレイクダンス等々、片っ端から集めていくが特にこれといった不備は無く、寧ろ百万ニキがやった事無さそうなヤツまであって大丈夫なのかと聞いてみても、曰く『イメージすればデモニカが動きの補助をしてくれるからそれでなんとかなっている』のだとか。

 

 流石は技術部、訳の分からん変態共の巣窟呼ばわりされているのは伊達じゃないな。

 

「なんか凄く『お前が言うな』って言いたくなったんだけど、ブーストニキなんか変な事考えてない?」

「うん? 別にショタオジが訝しむ様なおかしな事は考えてはない筈だが?」

「そう? 気のせいだったかな…?」

「…激務続きで疲れてるんじゃないのか? もうちょっと休める様に掛け合っておくか? あ、百万ニキ次はラジオ体操だって…なんで最初の方にないんだこれ?」

 

 後ショタオジに関しては出来る範囲でならある程度肩代わりしてみようか?

 

 …いや、そんな事して余裕作ってやっても片っ端から仕事詰め込むのが【俺ら】だから、結局は別のやる事やるだけか…。

 

「ははは…まぁ、最近はブーストニキが作った電脳空間の真似事で電脳異界を作れる様になったからね、異界内の時間を加速させればちょっとの時間でしっかり休める様になったから」

「いやそれ寿命前借りしてるだけでは…?」

 

 相変わらず無茶するなこの盟主様は!?

 

 いやまぁ、ちゃんと時間を掛けてゆっくり休めてるんだったら本人の精神的には何の問題も無いんだろうけど、側から見たらワーカーホリックにしか見えねぇぞ…いや、ワーカーホリックなのは前からだったけどな?

 

「てか電脳異界かぁ…俺も頑張って作ってみたけど失敗したんだよなぁ…」

「そのレベルで異界製作は無茶が過ぎるでしょ…」

「いやいや、俺電脳関係の方が適性高いみたいだったから、しっかりと管理すればワンチャン良い具合の修行用異界が作れるんじゃないかと思ってやってみたら、豪邸程度の大きさしかないけどちっさいのは一応出来たんだよ」

「えぇ…出来たのか…」

「格ゲーなんかで偶に見る白一色のトレーニングルーム擬きがな!! あ、百万ニキ次ランダムに坂になるドリフの滑る階段だってさ、対応力の検査かこれ?」

「いやなんでさ?(二重の意味で)」

 

 丁度今回やってるデモニカの試運転なんかには良さそうな程度の広さはあったんだよね、実際アルビオンの調整やる為に使ったりもしてたし。

 

「終末で万が一地元が駄目なった時用のバックアップみたいな感じで地元の再現したかったのに、自分のやり方だと山どころか土の段階から一つ一つ再現していかないとダメだというね、寧ろサイバーパンク作り上げる方が万倍楽とか信じられるか?」

「おっ? 近未来都市創り上げようとして作ってた『アルカディア』が、実質妖精の森として出来上がってる僕に対して喧嘩売ってるのかな?」

「お、おう、無自覚に煽ってすまんかった…」

「今やってる電脳異界開発手伝ってくれるなら許すよ」

「おっとこれはなんか選択ミスったか?」

 

 確か開発ってアレだろ? 実際に電脳異界の中に入って物理演算や空間的な落とし穴とかを筆頭に演算のおかしな所をチマチマやっていくアレだろ? …時間足りなくね? あぁいや、さっきショタオジが言ってたみたいに時間加速があるから大丈夫なのか…ほんとぉ?

 

「まぁいいや、取り敢えず依頼については了承した、明日以降のガイア連合に居る間にちまちまやっていくわ、取り敢えず百万ニキの動作テストも一通り出来たみたいだから次に移るか」

「うん? 漸く終わったか…で、次は何するつもりなんだ?」

「いや、デモニカの核に式神使う事で俺が動かすだけじゃなく、自力でも動いて戦えるデモニカを作ろうと思っててな」

 

 装備すれば自己強化出来るし、手が欲しい時は個別に動かせるとかめっちゃお得じゃね?

 

「うん?」

「デモニカの装着自体は俺の戦闘力の補助になるから、体・速型のパッシブスキルマシマシにやってあるんだよ、ホイマネキン取り除いて札状態の式神をシューッ!!」

 

 無事起動、ヨシ!! ツインアイもなんか緑じゃなくて蒼色だけどちゃんと光ってるからヨシッ!! …いや、なんか他の緑に光る部分も蒼に光ってない?

 

「…よし、取り敢えず稼働状態はどうだランスロット?」

『各部異常無し、問題無いよマスター』

「なぁんか聴き覚えのあるボイスだなぁ…具体的には白き龍関係」

「概念侵食されてるっぽいけど、これもしかして技術部一枚噛んでない?」

「移動に便利だって事で汎用スキルの【人型変化】欲しくて、造形部のメディアネキから購入しましたねぇ!!」

 

 という訳で新しいデモニカ式神はガワは『コードギアスのランスロット・アルビオン』で性格と恐らく人間態が『FGOのメリュジーヌ』となりました!! …これMAG消費馬鹿高くなったりしない? マジで大丈夫なのか?




 別に【三世村正】でも良かったけどネタに走りたくなったので【ランスロット・アルビオン】こと二つの名前に惹かれて誕生した【メリュジーヌ】となりました!!

 デモニカ形態ではブーストニキが乗り込んで、飛んだりしながらもランスロットらしからぬ特大鉈振り回しをしたりしつつもヴァリス(メギド〜メギドラオンまで発射可能)なんかも使うけど、一番の注目ポイントは【真・全門耐性】を始めとして【三分の活泉】に【三分の魔脈】やら【三段の恵体】による耐久性ですね、他にも当然の如く【くいしばり】も入れてあるので中々にしぶといのではないかと。

 これに加えてブーストニキがアイテムで強化してやれば中々良い戦いが出来る…んじゃないかなぁ…?(実は今迄大分脆い方だったので防御力が欲しかった)

 一応前々からデモニカ乗る様になったら登場させる予定だったスキルがあるので、それによって単純な戦闘力だけならそこそこにはなったと信じたいですね…。、

 それにしてもやっといて何だけど、大分小さいキャラが多いなウチのメンバー…ちゃんと大人なのブーストニキと不知火しか居ないぞ?(困惑)


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第三十話 身体は闘争を求める

 とある方の感想で面白そうなネタを頂いたので早速使っていくスタイル。

 これもしかしたら半終末直前のミサイルパーティー、展開変わるかもしれんな…。


あの後百万ニキのブラスタもデモニカ仕様に変更するかどうか聞いてみたけど、誰になるのか分からない為新たなビアンカ・フローラ問題になりかねないと言われて断られてしまった…まぁ、残念だったけど候補が多い*1からね、仕方ないね。

 

 取り敢えず百万ニキにはブラスタの優先改造権を約束してR型とB型両方とも使える様に換装式の装備を造っていたのだが、取り換え自由なヤツを造っていたからなのか、はたまた同時進行で完全機械化デモニカを製作していた際にパーツ毎に作っていた経験が影響しているのか、またしても妙ちきりんなスキルが生えてきた。

 

 正直新しいスキルはデモニカを使い続けていたら生えてくるだろうと思っていたのだが、まさかこんなタイミングで、しかも微妙に俺の分野からは外れてるときたもんだ…が。

 

「これは…意外とウケそう…か?」

 

 取り敢えずやってみなければ分からない、という事で試作品を作って問題がないかチェックをしていると、条件を満たしたのか元々お目当てだったスキルが発現し、検証を兼ねつつも調子に乗って夢中になってやっていたら、連合員にバレない様に家でしていた為ゆきかぜにバレた。

 

「ねぇねぇ、ハジメがやってるそれ、私もやってみたい!!」

「別に構わないけど…意外とこういう浪漫に理解示してくれるのか…」

「何よ…好きな人が夢中になってる事を好きになりたいと思っちゃダメなの?」

「可愛いかよ…」

 

 …との事だったのでやらせてみる事にしたのだが、その結果はというと。

 

「これ一般に出回ったらスッゴく流行りそうじゃない?」

「お、マジか? それじゃあ本格的に連合に話持って行こうかね?」

 

 という流れになったので、ある程度調整した後にガイア連合の上層部にプレゼンしてみる事に。

 

「このスキルを使って……こういうのをしようと思うんだけど、ショタオジはどうだと思う?」

「う〜ん、これは面白そうだから採用!!」

「そんじゃあある程度機材なんかはこっちで準備するんで、場所提供の方はオナシャス」

「しょうがないにゃあ…良いよぉ♡」

「…うん? なんか違和感が…まぁいいか」

 

 取り敢えず安心と信頼のショタオジへの相談を通しておく事で、他の人事部や管理部門へと話が通し易い様に工作しておき、序でに必要なモノを揃えていく。

 

 ショタオジの反応からしてこれなら恙なく話が進むだろうと皮算用をしていたのだが、ここからなんか話が変な方向にすっ飛んで行き始めた…具体的に言えば俺の計算が甘かった、ショタオジが場所提供してくれる時の変な反応に気付いておくべきだったのだ。

 

「……なスキルを取得出来てしまった訳で……をやろうと思ってるんだけど『やるぞ!! 寧ろやらん方が有り得んだろう!?』おおう…」

 

 取り敢えずトップであるショタオジの許可が取れたからと裏方にも同じ様なプレゼンで説得に向かったのだが、もうここら辺から相手のテンションがはっちゃけていた。

 

 確かに浪漫だしやりたくなるのも分からなくはないけれども、前世での元ネタを知らん民な俺からすれば寧ろオマケで出来る事の方が嬉しかったりするんだが…。

 

 そんなこんなで裏方や【富豪俺ら】の説得も成功し過ぎな位に成功したので、必要となる設備とその予備をある程度余裕を持って増産しておき、必要となれば逐一生産出来る程度には準備を整えておいた。

 

 …まぁ、その見積りも全くもって甘かったとしか言えなかった訳なんだがな…。

 

 ……………

 ………

 …

 

「どうして…どうしてこうなった…?」

「ブーストニキ言い出しっぺなんだから早く作って役目でしょ!?」

「いつになったらプレイさせてくれるんだよ、待ちきれないよ!!」

「次は俺の番だぞ順番抜かすんじゃねぇ!!」

 

 連合上層部へのプレゼンから数日、最早ルーティンとも言える昼間の根願寺訪問を終え、夕方からのガイア連合での作業時間になったのだが、普段はあまり人が居なかった俺の作業スペースは以前の状況からは考えられない程侃侃諤諤としており、そんな中で喧騒の中心となっている俺は分身総出なのにも関わらず、死んだ目で設備の量産と修理を繰り返していた。

 

 全ての切っ掛けは朝食の際にあまりにも想定が甘かった俺の一言が原因だった…偶然同じ席になった同僚であり友人でもあるヘラクレニキと百万ニキ相手にふと、そういえば試運転やってくれる人が必要だな…と考えて飯を食べ終わった食器を出す際に誘ってしまったのが全ての原因だった。

 

「そういえば二人ってアーマードコアシリーズってやった事あるのか?」

「うん? 勿論あるぞ」

「今世でも出てるのはやってるけど、一応シリーズはある程度追ってる程度にはやってたなぁ…」

「ふーん…そんじゃあ戦場の絆はやった事あるか?」

 

 因みに俺は両方未経験だったので、今世でガイア連合関係が出したヤツを参考にプレイさせてもらっている。

 

「あるな、あれは良い物だ…」

「据え置き型がメインだった俺からすればちと金が掛かっちまうのが難点だったが、あれもあれで悪くはなかったな」

「それじゃあそれらが合体したようなヤツが出来たんだけど、プレイ出来るって言ったらやってみたいか?」

『『『『『………は?』』』』』

 

 何故か二人だけじゃなくて周囲に居た奴等まで反応した…。

 

「ちょっとブーストニキ、その話詳しく」

「いや、食器返しに行かなくちゃならんし、根願寺へのお勤めもあるんだが?」

「そんなもん後回し「お? その台詞俺の前で言うか? お?」ア、スイマセンデシタ…」

 

 ただ単に口が滑っただけという事でまぁ許してやろう、正直時間が微妙に押してるし…飯食いながら雑談し過ぎた。

 

「そんじゃ俺根願寺行ってくるから、返事については夕方の作業場に来てくれたら良いから」

 

 そんじゃね〜、とその時は軽く話を終えて根願寺に向かったのだが、夕方に山梨支部に帰ってから*2が大変だった。

 

「…なんだこの騒動?」

「ん、凄く騒がしい…」

 

 丁度五時の五分前といった時間に山梨支部に戻ると、何やら技術部の作業場周りが滅茶苦茶騒がしくなっていた。

 

 嫌な予感に気配を隠しながら覗き見てみるといつもの技術部の面子だけでなく、普段顔を見せない様な連中や戦闘幹部組の何人かまでもが異様な熱気を纏って俺の作業スペースの周りで屯しているのだった。

 

「ユエ…悪いけど今日の帰りは遅くなるどころか、下手したら夜中になるかもしれないって不知火達に伝えておいてくれないか?」

「…ん、頑張れハジメ」

 

 一緒に来ていたユエと別れて意を決して集団の前へ、異様な熱気を纏った集団は俺の姿を認めると、我先にと俺の元へとやって来た。

 

「ブーストニキ! リアルアーマードコアが出来るって本当か!?」

「俺はガチな戦場の絆が出来るって聞いたぞ!?」

「もしかしてオリジナルロボットのアッセンブルやりたい放題なんですか!?」

「取り敢えず実物出すから作業場まで通せや馬鹿共が…」

 

 次の瞬間まるで事前に決めていたかの様に俺の作業場まで道が開けるが、モーゼの十戒と例えるには余りにも開かれた海の威圧感が高過ぎてヤバかった。

 

 そんな高レベルの圧もある中、気を失いそうになる状態でもなんとか意識を保ちつつ自身の作業場まで到着した俺は、作業場の隣にヘラクレニキでも余裕で入れる筐体を取り出して設置し、ターミナルを通してショタオジに専用に用意してもらった電脳異界へと接続した。

 

「はい、なんかいつの間にやら色々な憶測が立っている事に大分ドン引きさせてもらったが、先日やったデモニカの試運転で良い感じの結果が出た為何時も通り改造してた訳なんだが、完全に機械だけの原作版と思えるデモニカ作り上げたからなのか妙ちきりんなスキルに目覚めてな」

「なんかまたブーストニキがサラッと技術のブレイクスルー引き起こしてる…」

「今はそこは気にするな、完全に機械化出来たけどそのせいでまた重量が百キロいっちまったんだから事実上の失敗だ…そんな訳で妙ちきりんなスキルである【アッセンブル】ってスキルなんだが、簡単に言えば作ったパーツを組み立てて新しいモノを作れるスキルな訳なんだわ」

 

 つまり既存の物同士を連結させて別の物を作り上げるスキルであり、冒頭でも言っていたが改造と量産がメインな俺には微妙にズレたスキルなのである。

 

「で、こんなスキルの説明したらもう予測出来たらしいアンタらの為に無駄そうな説明は大分省くけど、そこの戦場の絆みたいな筐体に入れば自動的に汎用スキルである【機体操作】スキルが付与され、ショタオジに作ってもらった電脳異界でゲーム版とリアル版、両方のアーマードコアみたいな事が出来る様になりました」

 

 割れる様な歓声、事前に察知出来たので耳を塞いで防御はしたが、それでも全身を叩きつける様な声量は最早痛いレベルである。

 

「電脳異界に対応させてあるとはいえ完全機械版デモニカをベースにしてあるからまだ不十分かもしれないけれど、一応『ホワイト・グリント』型や『エスペランザ』型、他には『ハングドマン』型なんかのアーマードコアシリーズの機体は一通り予備パーツ含めて作ってあるけど、流石にここまで来るのは想定外だったからひたすら量産出来るまでなるべく壊さない様遊び、時間を守って楽しんでくれ、以上後は声掛けたヘラクレニキと百万ニキ以外は早い者勝ち、一人三十分までな!!」

 

 次の瞬間『殺到』という言葉が当て嵌まるレベルの勢いで筐体に群がる【俺ら】を尻目に、俺は只管筐体とパーツを造る作業に入る事となった…マジでどうしてこうなった…?

*1
少なくとも三人、微妙な線でもう一人、ブラスタも自我あるじゃんとなれば更に一プラスして合計五人である、これは多い(確信)

*2
昼は霊薬料理の試食も兼ねて根願寺で食べている




 そんな訳でリアルアーマードコアが実装されました、電脳異界へは実際に入っておらず現実世界の筐体から操作している感じですね、まとめサイトにもあるアリスさんが現実世界から遠隔操作式神使って電脳異界で活動しているアレみたいなもんですね、あっちとの違いは式神じゃなくて電脳異界対応型のデモニカで本人も現実世界から操作している点ですけど。

 詳しい設定なんかは次回にやるつもりなんでお楽しみに。


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第三十一話 作製可能機体と【アッセンブル】スキルについて

 色々設定ねっていたら【アッセンブル】スキルの事半分程度しか説明出来なかったでござるの巻…正直詰め込み過ぎた感じがヒシヒシと感じられますね…またお気に入り登録者が減りそうで憂鬱ですわ…。

 あ、あとこの世界線のミサイルパーティーの展開微妙に変化する事が確定致しました(事前報告)


 リアルアーマードコアもとい【アッセンブル】スキルについてだが、何もデモニカ専用という訳では無くその汎用性はかなりの高さを誇っている。

 

 なんせこのスキル直訳して『組み立てる』と呼ばれる通り、モノを組み立てて別のモノへと纏め上げる事が可能であり、アーマードコアシリーズみたいなリアルロボだけでなく、ボトムズシリーズやガンダムシリーズの機体だろうが、下手すればスーパーロボットだって多少滅茶苦茶な内容であろうとも、作り手の施した機体の設定さえしっかりしてれば再現が可能なのである。

 

 そしてそれは人型ロボットだけの話ではなく、戦車や戦闘機、果てには面妖な変態兵器*1だって作れてしまうのである。

 

 流石に現実では存在しない素材を何か他の物で代用する場合は、例外を除いて概念強度が下がって完成品の出来が劣化するけれど、逆に元々の材質が分かっていなければ適当な金属使っててもそれなりに見た目を繕えば性能も様になるガバ仕様でもある。

 

 詰まる所何が言いたいのかと言えば…。

 

「コジマ兵器の威力が低い…低くない?」

「だからそこは緑色に変えたメギド系の呪文をそれっぽく見せるようにしろって言っただろうが!?」

 

 トンチキ兵器を作りたいなら、この世界にある何かしらの超常能力を屁理屈を捏ねてそれっぽくし、それらに対して電脳異界の物質数値を変動させる事によってそれっぽく『魅せる』必要があるのである。

 

 …実際変態兵器をそれっぽく作れた時は思わずガッツポーズしてしまった位だからな、それ以降のコジマ兵器擬きの製作*2がどれだけ楽になった事か…。

 

 因みに現在は順番待ちで溢れたロボ部や、オリジナル機体を作りたいという野心溢れる【俺ら】に【アッセンブル】のスキルカードと【スキル習得補助具】を量産し、製造に回れる母数を増やす為になんとか分身をやりくりして教え込んでいる最中である。

 

「てか浪漫あるから早く作りたいってのは分かるけど、初手から屁理屈案件に手を出してるんじゃねぇよ、やるならガンダム系列とかからにしとけって」

「いやアレルナチタニウムとか必要になるじゃん、どうやって造れば良いんだよ?」

「何もガンダム造れとは言ってないだろ、量産機体とかで慣らしておけって事だよ」

「あー、成る程」

「因みにオススメの機体もあるんだが、実はサプライズとしてあのリアルアーマードコアのとあるステージに登場する事になって「うぉい!! 何処だブーストニキィ!?」…なんぞ?」

 

 制作しながら話していると、リアルアーマードコアが置かれている場所から百万ニキが俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 

「あぁ居た居た、あの魔改造ヒルドルブは一体何なんだ!? カーチャン*3との戦闘する前に戦う筈のチャンピオン・チャンプスがヒルドルブになってた上、そいつから原作じゃあ有り得ないとんでもない突撃喰らって墜とされちまったんだけど!?」

「おぉ、当たっちまったのかあの魔改造ヒルドルブに…丁度今話に出してたんだけどサプライズとして入れてたヤツだな」

「あんな物騒過ぎるサプライズとか普通いらねぇよ!? なんかブーストで飛んで来るしガトリングも弾幕ヤバいしどうなってんだアイツは!?」

「ただ単にそのまま出しても玩具にされて終わりだったろうから、アーマードコアの技術を組み込んでガチタン仕様に変えただけだぞ?」

 

 折角使えそうなギミック(フロム)が手元にあるのに使わないとか、普通に考えて勿体なくない?

 

「因みにどうでも良い話だけど、やろうと思えば機体選択の時に棚に置いてあるコントローラーをコンソール下部に挿して、KONAMIコマンド入力したらジェフティを選択する事が出来るぞ」

『マジで!?』

「実験機だからたった二機しか製造していない上、メタトロンなんて金属存在しないからガッツリ性能落ちてるポンコツだけどな」

「駄目じゃん!?」

「でもジェフティを使ってみたいかと言われたら使ってみたいよなぁ…」

「ベクターキャノンとか浪漫だもんなぁ…」

 

 おや、意外と皆さん未練がある模様…。

 

「別にベクターキャノンだけならコピペして他の機体に搭載すれば良いだけだろ」

「いやいや、ジェフティでブッ放すからこそ意味があるんでしょ」

「ならこっちの世界でメタトロンぶっ倒すかなんかしてフォルマゲットすることだな、そうすれば概念補強される事で元ネタ基準の性能を発揮出来るだろうさ」

「いや無茶言うなし…」

「最悪天使系のフォルマをクソ程集めて凝縮すればある程度の緩和も可能になるんじゃないのか? ざっと一千万位集めなきゃならんだろうし、クソ手羽先共が素材だから暴走しかねんだろうが」

 

 どうも俺が概念ばっかり扱うからこんな要素が付加されたみたいなのだが、この『元ネタと思われるモノといった少しでも関係している要素を利用する』っていうのが概念強度を確保する為の手段だな。

 

 もう少し分かり易く説明するなら『先に作り上げた骨組みにそれっぽい材料を使い肉付けしていく』って感じだな、後は純粋に量が必要となるのだが、当然ながら概念が近い物の方が必要量は少なくて済むし、逆に概念が遠いと変質しかねないから注意が必要だ。

 

 今回の場合で言えば必要量が10ポイントだとすれば、メタトロンのフォルマは元ネタじゃないから5ポイント程度で、天使という共通点しかないエンジェルのフォルマだと0.0000001ポイント程度とかじゃないだろうか?

 

 因みにこの概念による再現技術、伝説上の金属を再現する方が楽だったりする。

 

 具体的には『イッポンダタラは昔の日本で鍛冶やってたなら、ヒヒイロカネみたいな日本にある伝説上の金属の造り方だって知ってる筈、ならイッポンダタラのフォルマは実質ヒヒイロカネ製造に利用可能だよね!!』みたいなどう考えてもおかしい屁理屈を【アッセンブル】スキルで悪用すればヒヒイロカネを生産する事が可能だったりするし、なんならした…正直もっと以前に欲しかった。

 

 そんでもって現在はこの作り上げたヒヒイロカネを超拡大解釈して『ヒヒイロカネがあるなら他の伝説鉱石も存在する筈、ならばそれが今無いのは近い性質の鉱石に変化したからなのだ!!』とかいう屁理屈から他の伝説に登場する様な金属の再現が出来ないか挑戦中である…アダマンタイトとか色んな作品に出てるからマジで欲しい…。

 

「てかそんな苦労してまでゲームでしか使えないモノ作った所でなぁ…」

「何言ってるんだ? 別に【アッセンブル】スキル持ってるなら現実でも簡単に作れる様になるぞ? 電脳異界で作ってるのはそっちの方が資材の調達が楽だし、シミュレーションし易いから電脳異界で作ってるだけだぞ? ほれ、証拠のジェフティ」

 

 そう言って先程話していた実験機の『現実で作っていた片割れ』であるジェフティを隣に立たせ、専用のコントローラーから指示を出して様々なポージングをさせる。

 

「因みに資材の都合から人間大の大きさで作り上げたが、その分必要な量は減ってるから完成度としてはかなりのもんだと自負しているぞ」

「う、お…おおぉ……」

「で、ちゃんとコクピットなんかも作り上げているから、後は資材と動力、それと置き場をちゃんと確保すればマジもんのロボットを作り上げるのも夢じゃないぞ? 実際俺も今一機作ってる最中だしな」

『ウオオオオッ!!」

 

 う、うるせぇ…スキル習得の意欲を焚き付ける為に敢えて見せた訳だけど、こりゃあ成功し過ぎたか?

 

 因みに俺が作っている機体はマジで素材が何もわからない為好き放題出来るのだが、モチーフが【アイツ】だから乗っ取られかねないのがなぁ…。

*1
ソルディオス・オービットのこと

*2
材質の問題と話題で釣る為に最初はアーマードコアシリーズにする事を決めてた為

*3
スピリット・オブ・マザーウィルの事




 因みに話の途中に出て来た魔改造ヒルドルブですが、普通に地上戦をやろうとしたら大分酷い事になるので空中からチクチクするのが鉄板です。

 それとサラッとスピリット・オブ・マザーウィルが話に出て来ましたが、ちゃんとVOBも再現されているのでミッションの人気は滅茶苦茶高いです…まぁ、ナーフされる前のクソ難易度なんで魔改造ヒルドルブに辿り着く前に落とされまくっていましたが…。

 後、ブーストニキが作っている機体ですが、ヒントを出すとすれば『神をも殺す最終兵器』ですかね…アンチメシアン拗らせてるのでこの設定に惹かれた模様。

 次回はリアルロボゲー以外の【アッセンブル】スキルの使い道ですね、コスプレ勢や戦闘ガチ勢も沼に引き摺り込む所存です(オイ)


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第三十二話 【アッセンブル】のもう一つの使い方

 全然関係ない話だけどブーストニキの友好関係って結構狭かったりしています。

 話しかけられたら返事は返すけど、親しいかと聞かれれば事務的なのが多い感じというかなんというか…。

 多分親しいと感じてるのは原作からはショタオジ、霊視ニキ、カヲルくん、やる夫さん、話に出てこないけど銀さん辺りで、他には幹部クラスが少々…。

 親しいのかと聞かれたら首を傾げるけど、なんだかんだで気にしたりするのがミナミィネキとかハム子ネキみたいな残念枠ですね。

 だから寧ろ仲が良いのは互いに尊重し合ってる外部関係者の方が多い感じとなっております。


 ロボ部達に【アッセンブル】スキルを習得させる様になってから更に一週間経過し、漸く彼等が使い物になったので一息つける事に…。

 

 その間ユエとのレベル差が更に酷い事になりそうだったのでやむなくレベル制限を設けたり、余り構ってやれなかったメリュジーヌがユエの補助付きのレベリングでいつの間にか自我に覚醒していて拗ねていたりと色々あったが、久しぶりにゆっくり嫁達との交流を楽しんだり、気の向くままに完全機械製のデモニカの改良等をしていた。

 

 …しかし『口は災いの元』と言うべきかなんなのか、緊張が途切れて意識が緩んでいると口が軽くなるのはどうやら俺も同じだったらしい。

 

「そういえば根願寺での勤めは順調に進んでいるのかブーストニキよ?」

「まぁ、ボチボチって所だな…相変わらず地方に戻った霊能者の代わりにやって来る修行者の中にロクデナシが混じる事があるらしいけど、そいつらの選定と排除で時間を取られたりする事以外は概ね順調に底上げは出来ている筈だ」

 

 そんな会話を談話室で交わしているのは日課の中層異界攻略を終えたヘラクレニキだ。

 

 最近二体目にサポート型の式神を頼んだら美遊(運・魔タイプ)が贈られた為、管理や維持コストなんかの面から三体目を頼むかどうか悩んでおり、即ちクロを頼もうかどうか悩んでいるんだという至極【俺ら】らしい話から雑談へと話が流れていくのは当然でもあった。

 

「どうにも一応根願寺の招集で集められた当時の現地に於ける精鋭達だからとはいえ、流石に隠蔽無しだと強くなり過ぎてるのは誰の目から見ても明らかだった訳だしな」

「そしてそんな側から見たら異常でしかない成長には何かしらの絡繰があるに違いない…そう考えて探りを入れる腐った輩が出て来るのは至極当然、という訳か」

「そう、そんでもって覚悟ガンギマリな彼等は術者としては強くても、交渉事をそこまで得意としていない場合だったりある訳で…口車に乗せられたりして情報を聞き出されたりしたみたいなんだよな…」

 

 幼い頃から修行に打ち込んでたりすると、どうしても政治系というか交渉事とかする機会が無くて騙され易いもんな、ソースは退魔忍。

 

「ままならんなぁ…しかしどうやってそういった輩を見抜く事が出来たのだ? 別に読心が出来るという訳ではあるまいに?」

「単純に予定と違う奴が暗示使って来ていたのをキョウジさんが見破っただけ」

 

 あの人本当に頼りになり過ぎて申し訳ないんだが…。

 

 で、そんな尊敬している人について語ろうとした結果、気が抜けていた俺は思わずやらかしてしまうのであった。

 

「いやぁ、本当にキョウジさんは凄いからな? この前も俺が【アッセンブル】スキルで手を貸したとは言え、組み上げた新しい剣術や術式をバリバリに使いこなしてるんだもん、マジで凄いわ」

「なんと、ブーストニキにそこまで言わせる程の傑物とは…うん? 【アッセンブル】スキルで手を貸した? それはどういう意味だ? アレはロボットを筆頭に機械を作り上げるスキルではないのか?」

「ん〜? あのスキルの本質は『組み上げる』事だから、別に対象は機械だけじゃないぞ? 当人の協力と資質や才能が必要になるから何処まで出来るかは当人次第だけど、やろうと思えばスキル弄って新技開発だって出来るしな」

 

 因みに俺は戦闘系の資質が死んでいるからこの方法はある分類の技を除き、愛用の大鉈式神やメリュジーヌを使用している時限定である。

 

 そんな俺の話を聞いて何か考え込み始めたヘラクレニキは、何処となく神妙な顔をしながらも前のめりになって集中し始めた。

 

「それはつまり…資質と才能さえあればゲーム等で登場した技を再現する事も可能…そう見て良いのか?」

「ふむ…極論言えば『それっぽい技は出来る』だろうな、但しリアルアーマードコアみたいに此方の世界の法則を元にしたパチモンに過ぎん技だが」

 

 どう足掻いても『それっぽいだけ』というだけだが実はこの再現技、一応と言って良いのかデメリットも存在する。

 

「先にデメリットから話しておくが、再現した技については俺はセーフティーとして『モーション中に意識して技名の発声をする事』を掛けてるから、技によっては側から見たら厨二病な事については我慢してくれ、それが嫌なら他の【アッセンブル】持ちに解除してもらう事だな」

「ふむ、ならセーフティーを掛けなければどうなるのだ?」

「仲間に対して技名を教えるだけで発動するし、その時そいつの方を見てたら間違いなくフレンドリーファイアになる、てか最悪寝てる時に寝言で呟いただけで暴発しかねない」

「うむ、セーフティーは必須だな」

 

 最初の時は「これで『魔人剣』完成だな」って呟いた瞬間、暴発して目の前の机ぶっ壊しちまったからクッソビビったわ…通常のスキルに比べて暴発し易くなってるらしいのが難点なんだよな。

 

「メリットについては技にもよるが『複合属性』になる事だな」

「『複合属性』だと?」

「そのまんまの意味で例えば『スラッシュ』と『ザン』を組み合わせた場合、出来た技である『魔人剣』は『斬撃属性』と『衝撃属性』の二つが判定に出る事が分かっていて、喰らった相手に一度に複数の判定を重ねて強いる事が出来るぞ」

 

 因みに威力は単発式なら『使用したスキルの威力合計値÷使用したスキルの合計数』とかなり分かり易いものとなっているし、連撃型はこれにヒット数の分割った判定が入る感じでそこら辺は元とそこまで変わらんな。

 

「これを両方弱点にしている相手に喰らわせられればポケモンみたいに四倍弱点だって狙えるし、更に属性混ぜて同時に弱点を突けるのなら狂気染みたダメージも出せるんじゃないかな? 俺は資質足りないから試せんが」

 

 出来るかどうかは分からんが『ガードキル』系が得意な【俺ら】とかは弱点にまで堕とせそうだし、全属性弱点にして超複合属性攻撃とかしてオーバーキルとか狙ってみたいよな。

 

 そんな取り留めもない妄想を膨らませていると、深刻そうな顔をしたヘラクレニキがいきなり頭を下げてきた…いやちょっとここ他にも人が居るのにヘラクレニキみたいな目立つ人がそんな事したら強制的に注目の的になる事待った無しなんですが…?

 

「えーっと…いきなり頭を下げてどうしたんだヘラクレニキ?」

「すまん、出来ればで良いのだが【アッセンブル】のスキルを持つ知人は俺にはブーストニキしか居ないから、最近の忙しかった状況も理解している上で頼みたい事がある」

「いやまぁ別に良いけれど、取り敢えず顔上げようぜ? 何があってそんなに深刻そうな顔してるんだよ?」

 

 そう言って俺が諭すとヘラクレニキは顔を上げ、何やら憂鬱そうな表情で訳を話してくれた。

 

「今となっては俺もハッキリ理解しているが、俺はFateに出て来るバーサーカーのヘラクレスにそっくりだ」

「そうだな、固有スキルとして【十二の試練】まで持ってるとか、マジでヘラクレスを連想するな」

 

 俺が理解を示すと、ヘラクレニキは我が意を得たりといった様に深く頷く。

 

「そうだ、固有スキルの【十二の試練】がある故に俺はここまで強くなる事が出来た訳だし、何時も大助かりしている…しているのだが…」

「だが?」

「あのスキルがある事で寧ろ『射殺す百頭』は無いのかという質問が絶えんのだ…」

「うわぁ…」

 

 これ側から聞けばどうでも良いけど、本人からすれば切実なヤツじゃん…。

 

「つまりスキルとして【射殺す百頭】を作って欲しい…って事か?」

「すまん、身勝手なのは重々承知してはいるのだが、そろそろあの失望の眼差しが堪えるのだ…」

「ヘラクレニキェ…」

 

 この見た目と違って残念な感じ、正に【俺ら】と言えるんだろうな…。




 この後頑張って劣化版とはいえ接近戦用と遠距離用の【射殺す百頭】を作り上げてしまい、コスプレガチ勢にも【アッセンブル】スキルを教え込む羽目になりました。

 因みにこのスキル製作ですが、当然ですが元の動きが単純な程再現し易いので、テイルズ系の技とか結構再現度が高めとなっております。


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第三十三話 思わぬ穴とヤバいネタ

 そういえばあまり考えずに出したネタだったけど、ひぐらしの舞台背景である昭和五十八年って西暦だと1983年だから、ごちゃ混ぜサマナーの前半時間と大体合ってるんですよね…もっとしっかり描写しておくべきだったかも?


「いや〜、ブーストニキはホント良い物作ってくれたよね」

「はん? 何の事だショタオジ?」ダイスチェック:自動成功

 

 ちと根願寺の方からガイア連合に対して相談したい事が出来たのでショタオジの所に向かうと、本題に入る前の雑談でショタオジから急に感謝されたでござるの巻…。

 

「いや、あのリアルアーマードコアあるじゃん? あれでオリジナル機体作ろうと思ったら前提条件として【アッセンブル】スキルが必要になるから覚醒する事が必須になるじゃん?」

「まぁそうだな、スキル覚える為にはまず覚醒する事が大前提だもんな」

「でもそもそもあのリアルアーマードコア自体がデモニカな上、アレのミッションに出て来るターゲット外のモブ敵って、ブーストニキが用意した人工アクマみたいな物だから滅茶苦茶簡単に覚醒出来る様になったんだよね」

「え?」

 

 なんか今聞き捨てならん言葉が聞こえた気がするんだが?

 

「うん? ほら、電脳異界に出て来る敵モブに機械化している雑魚アクマ達が居るじゃん?」

「いや、俺そもそもあの電脳異界広過ぎるからあんまり管理出来てないぞ? そんでもって俺が管理出来てるのはセレクト画面と各機体の保管、それと特殊なステージ*1の管理に電脳異界の環境設定だけなんだが?」

「…という事は?」

「メンテナンスのお時間Death…」

 

 

 

〜只今想定外の事態が発生した為、急遽拙作『リアルアーマードコア』のメンテナンスを実施致します、尚再開迄の時間は未定となっているのであしからす…〜

 

 

 

 当然、プレイヤー達からの文句が噴出した。

 

「製作者権限で遊べなくするとか横暴だ!!」

「折角長い時間待ってたのに中断させるとか理不尽だ!!」

「安全性が確保されてなかった事が分かったんだから、メンテナンスするのは当然だろうが…」

 

 内部の調査を分身に任せながらも外部から問題が起きていないかを調べる為、山梨支部に設置している特大ターミナル*2の調査を行なっていると、今までプレイしていたり順番待ちをしていたらしい【俺ら】が揃って詰め寄り、一気に騒がしくなってしまった。

 

「想定してなかったアクマが出たからって言っても、あのゲームで使う機体ってデモニカなんだから問題無いだろ?」

「威力保証する為にスキル入れてるとも聞いてるし、それなら例え襲われても迎撃出来るんじゃないのか?」

「現状ではレベル1かそれ未満しか出て来てないとはいえ、何時レベルが上がって未覚醒者に被害が出るか分からんからやってるんだよ」

 

 後、誰でも使える様に機体のレベルは5固定だから事故が起きないとも限らないしな。

 

「てか普通そこら辺の安全性確保してから出すもんじゃねぇのかよ?」

「明らかにモノ作る側としての意識がなってないんじゃねぇ?」

 

 ブチィッ!!

 

「そもそもの話β版は百万ニキとヘラクレニキにやってもらう予定だったのを、お前らみたいなのがやらせろと押し寄せてきたせいでいきなり数が必要になりで慌てて作ってた訳なんだが、俺はこいつ(リアルアーマードコア)造るの全部自費だったんだからこのまま計画頓挫したって事で、全部ボイコットからのリアルアーマードコア計画を他の奴等に丸投げしても良いんだぞ?」

 

 そもそもの話面白そうなスキルが生えてきたから〜って事で、いつも世話になってるガイア連合に少し位は善意の供与をしようかと考えて作っただけであり、このままだと確実に俺が損するだけだから俺が作った分を全部引き上げて、電脳異界の管理やら七面倒臭い内容を他の奴等に任せて計画辞めても良い訳だしな、これぞガイア。

 

 俺のこの発言を聞いた他の【俺ら】が俺のガチギレ具合を悟った事によって、これ以上下手な言わせるとマジで辞められかねないと判断した事により、余計な事を言った奴等は無事沈黙。

 

「正直今からでも数絞ってβ版にしてしまいたい…」

「そんな!? 既に俺達にとっては毎日の楽しみレベルの娯楽だっていうのに御無体な!?」

「そういう奴が居るからこうやって渋々メンテナンスしてるんでしょうが…」

 

 しっかし、何が原因でアクマが発生しだしたのやら…って言っても凡そ理由は分かるんだけどな。

 

「…やっぱりか」

「やっぱりって何がだい?」

「MAGの発生源、プレイヤーである【俺ら】が原因だって事…まぁ、話聞いてそうじゃないかとは思ってたけど、これなら各筐体にフィルター付ければ電脳異界に湧く事は無くなるだろ…」

 

 正直『トロンレガシー』みたいな作品が広く知られるとヤバいかもだが、現時点でならそこまで問題にはならない…筈*3…。

 

 てか、まだ放送されてないけど『仮面ライダー龍騎』みたいな『並行世界から誘拐される』作品とか、この世界だとかなり致命的な概念なのでは…?

 

 だけど発生源である【俺ら】の中には普通に簡易アナライズを簡単に振り切るガチ勢も居るので、下手したら影響受けてそういったヤバいアクマが出て来てもおかしくないんだよなぁ…。

 

 まぁ、その手の懸念は今は置いといて目の前の問題を対処しないとな。

 

「という事で筐体に思念MAG用のフィルタープログラムを設置してみるけど、これで問題無ければ再開する感じかね?」

「漸く解決案が出来たのか…」

「これ程長い一時間は初めてだぜ…」

 

 俺の宣言にホッとした様子を見せるゲーマー系を筆頭とした【俺ら】だが、そんなに楽しみにしていてくれたというのは、例え前世含めればいい歳した連中である【俺ら】であろうとも嬉しく思うな。

 

「序でにプレイ中に問題が起きてないか調べる為にも、追加で筐体にモニタリング機能を付けようと思うんだが、そこら辺はプレイする側としてはどんな感じよ?」

「私はそこまでの腕前じゃないからちょっとなぁ…」

「エンターテインメントを志す側からすれば寧ろなんで今迄無かったのかと聞きたいくらいだな!!」

「俺は寧ろ後で見直して反省点とか欲しいから、録画機能が欲しい位だな」

「了解、公開は当人の自由でプラスで録画機能だな」

 

 う〜ん、まぁその位なら自分で作れそうだし、再開まで時間掛けてもまた文句出そうだからちゃっちゃとやってしまうか。

 

「なんか最近思ったけれど、ブーストニキって自分のやれる事に関してはショタオジ並みに働くよな…」

「あ〜…確かに他のメンバーにも出来る様に仕事割り振ってるけど、基本的には早いしクオリティはちゃんと維持してるから自分でやりたがる方だよな…」

「ついでに言えば他の俺らみたいに気に入ってる相手の依頼はガシガシ受けてるゾ」

「もしかしてブーストニキって…大分ワーカーホリック気味だったり?」

 

 次の作業に移る俺の背中を見送りながら、そんな会話が交わされていたのだとか…。

 

 そんな会話がされてる事も全く知らずに俺が作業場で全筐体にプログラムのアップデートを行なっていると、聞き忘れた事があると言ってショタオジ(分身)が訪問してきた。

 

「所でブーストニキ、リアルアーマードコアの話になる前に何か相談したがってたみたいだけど、何を言いたかったんだい?」

「あぁ、そういや話忘れてたな…いや、根願寺で各地の霊能組織から人集めて強化図ってるけど、結局の所数が微々たる物だからジリ貧が耐久戦に持ち直した程度にしかなってない訳じゃん?」

 

 結局それもGPが上がっていく訳だからジリ貧でもある訳なんだが…。

 

「うんうん、メシア教の目もちゃんと誤魔化せてるから各地の霊脈が少しは安定してきてるね」

「でも将来どうなるか分からないから、結局の所は不安だよなって感じの話をキョウジさんとしていた訳なんよ」

「あの人も愛国心ある上に護国の人だからなぁ…」

 

 理解出来ないモノには手を出さないけど、言い換えれば理解出来れば滅茶苦茶活用するからな…都市伝説を術式に落とし込むとかやっぱあの人天才の部類だろ。

 

「そんでもってそんなキョウジさんが自衛隊に素晴らしい護国の人を見つけたらしくてさ」

「うんうん…うん?」

「どうしたショタオジ?」

「いや何でもない…続けてどうぞ」

 

 変なショタオジだな…。

 

「そう? まぁ、そんな訳でその人と意気投合したキョウジさんが、是非ガイア連合にその人を紹介したいって提案してきたんだよ、なんせ数は力だしな」

「ッスゥー…所でブーストニキ、その自衛隊の人の御名前はなんていうんだい?」

「五島陸将だな、調べたら中々凄い人らしくてビックリしたわ」

「交渉駄目です」

「なんで!?」

 

 そんなヤバい人なのか!?

*1
VOB使用ステージや常時スリップダメージ有りの任務等

*2
大ターミナルを幾つも置いてある地域や施設の大ターミナルを統括する為のターミナル、性能やら機能はそれこそ大ターミナルとは桁違いの物となっている

*3
希望的観測




 注意:ブーストニキはメガテンシリーズの知識を殆ど持ち合わせておりません。

 そんな訳でギリギリ交流してないけれども五島さんとの伝を作り掛けてたブーストニキでした、多分というか絶対顔合わせたらガッシィィィィィンッ!! してたと思う。


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第三十四話 ダンス・ダンス・ダンス

 因みに現在の時間軸は恐山異界を攻略している最中であり、恐山にジュネスというかガイア連合支部が建つ前ですね、ブーストニキが一辺に各支部を造り上げたせいでここら辺の出来事が前後しております。


 話を聞くに全ての始まりである『真女神転生』での終末は件の五島陸将(ゲームでの表記は『ゴトウ』なのだとか)がアクマと手を組んで起こしたクーデターが切っ掛けとなり、アメリカ大使のメシア教徒である『トールマン』が東京にICBMをぶち込んだ事で引き起こされるのだとか。

 

 …いや確かにそんな前情報があるんなら関わろうとするのを戸惑うのも分かるけど、寧ろ事前に色々教え込んでおいてバカな事をしない様に抑えた方が良いのではないのだろうか?

 

「そう思って掲示板でも聞いてはみたが…ものの見事に反対意見しかなかったなぁ…」ズンチャ♪ズンチャ♪

「いや…当然というか寧ろなんで民度最悪だろう掲示板で聞いたんだよ?」

「いやほら、分かり易く人が集まるじゃん? それなら聞きやすいかなぁ…って」ズンチャ♪ズンチャ♪

 

 現在、ガイア連合総出で行っているイタコ達が昔から管理する恐山異界の攻略にて、中々に消耗してしまっていた俺は先に回復する為に戻っていた百万ニキと休憩の傍ら先日ショタオジに却下された提案の話を交わしていた。

 

「でも普通アクティブな奴は外で活動しているのが基本だろうし、そういった意見に賛同しそうな現地民派の奴は地元活動に忙しくて、特定の掲示板以外を見て回る暇なんか無いんじゃねぇのか?」

「dsyn〜…まぁ、それ以前にただでさえ根願寺と協力してるから表に出れないのに、そこから更に自衛隊と協力するのは存在隠せないよね? ってツッコミが来たから諦めざるを得なかったんだけどね」ズンチャ♪ズンチャ♪

「良く良く考えればそれもそうだよな…所で一つ聞かせてもらってもいいか?」

 

 なんか百万ニキが俺とユエとメリュジーヌを見て訝し気にしている…なんか俺ちょくちょくこんな展開になってるな? ズンチャ♪ズンチャ♪

 

「なんだ? 答えれる事ならなんでも答えるぞ?」ズンチャ♪ズンチャ♪

「なんで三人してギャングダンス踊ってるんだ?」

「この前なんか偽マフティーみたいな奴*1が深刻そうに悩んでてつい気になって相談に乗ったんだが、一緒に解決法見つけたらお礼に教えてもらえたそいつの奥義。効果内容は『踊っている間【生命の泉】と【チャクラウォーク】の効果を得る』ってヤツで、それを参考に作ってみた装備の試運転だな」ズンチャ♪ズンチャ♪

「ん、中々楽しいししっかり回復も出来る」ズンチャ♪ズンチャ♪

「凄いよねーこれ」ズンチャ♪ズンチャ♪

 

 異界でなら移動しない事で罠とか踏まずに済むから、中々に有用なんじゃ無いだろうか?ズンチャ♪ズンチャ♪

 

「悪目立ちする事さえ除けば中々有用そうな技…技? なんだな?」

「因みに俺の場合だとギャングダンスだったってだけで、教えてくれた奴の場合は『反省を促すダンス』だったな」ズンチャ♪ズンチャ♪

「え? 個人によって踊る必要があるダンス違うのか?」

「さぁ? 俺とアイツの例しか知らないから分からんなぁ…因みに回復量に関しては流石に本家のよりは一枚劣るけど、ギャングダンスだからなのか人数が増えれば回復量も増えたな」ズンチャ♪ズンチャ♪

「楽しいだけじゃないのが凄い」ズンチャ♪ズンチャ♪

「原作再現だけじゃないんだよ!」ズンチャ♪ズンチャ♪

 

 因みにその時のパートナーはウチの中でも悪ふざけが好きなユエとゆきかぜである…不知火は横で楽しそうに見てるだけで参加せず、当時のメリュジーヌは自我に目覚めたばかりだった為宇宙猫になってた。

 

「ほ〜、因みに人数による回復量の違いとかも分かってるのか?」

「一人だと元の八割かねぇ? 二人で九割で三人揃って十全だな」ズンチャ♪ズンチャ♪

「う、う〜ん…微妙な性能だなぁ…」

「個人的にはインド関係の奴に是非とも使って欲しい物なんだけど、これ何が面白いかって踊ってる間回復し続けるから、疲れ知らずで踊り続けれるせいで踊り楽しめるなら空腹になるまで踊り続けれる事だろうな…よし、回復完了」バァァァァァンッ!!×3

 

 回復終了後は決めポーズ、これは欠かせない。

 

「決めポーズも完備してるのかよ」

「いやこれはその場のノリ」

「ん、ノリは大事」

「必須と言っても過言じゃ無いよね」

「オイ」

「でもギャングダンスって各キャラの決めポーズまで含めてってイメージないか?」

「それはそう」

 

 別に決めポーズなんかやらなくても回復しきってるから問題ない筈なんだけど、何でだろう不思議だね?*2

 

「因みにもう一つの面白い点として、このダンスって例え元ネタというか踊りを知らなくても参加するだけで身体が勝手に動くんだよな」

「実際元ネタ知らない筈のボクも一緒に踊ろうとするだけで踊れるようになってるからね!」

「何だそのクソ楽しそうな補助機能」

「ん、実際とても楽して便利」

「最初気付けたのは反省を促すダンス全く知らなかったのに真似して踊ろうとした時なんだけど、その時に『違う! そうじゃなくてこうだ!!』って指摘されたらスキルの範囲に入ったんだろうな、身体が勝手動きだしてそっからはもうノリノリだよ」

「そんな話聞いたら、確かにインド関係の奴に使って欲しくなるのも理解出来るな」

 

 まぁ、でもあの時は側から見たらクッソ不審な男二人が一心不乱に煽る様な踊りを踊り続けているという、どこからどう見ても怪しい儀式でしかなかったからな…実際ショタオジが俺達を止める為に呼び出されるまで、二人してノリノリで踊ってたから儀式みたいなもんだったんだろうが…。

 

「さて、それじゃあまた殴り込みに行ってこようと思うんだが…この感じからして、もしかして解放し終えた感じか?」

 

 いつの間にやら異界の奥から感じられる独特な威圧感が薄れてしまっている事に気が付いたのだが、恐らく最前線で戦っていたメンバーが封印されて荒れ狂っていたイタコの祖霊を鎮める事に成功したのだろう。

 

「まぁ、既にヘラクレニキが敵の攻撃全部無効状態にしてたからな、無敵の盾があるのならそりゃあ後に残るのは蹂躙だろうよ」

「途中から出て来るアクマ全部攻撃効かないのに、ヘラクレニキの【強者の重圧*3】でヘラクレニキから逃げられない状態になってたから絶望してたのはクッソ愉快だったな」

 

 既に万能以外効かない為、何やっても無駄でしかないのに逃げようとしても圧が強過ぎて逃げられず、絶望しながらヘラクレニキを前に何も出来ず消し飛ばされる姿は…うん、愉悦ゥ!!

 

「ブーストニキ、おーいブーストニキ…ロクでもないスマイル浮かべてるぞ〜」

「おっとすまんかった…」

「ブーストニキのアクマ嫌いも筋金入りだよなぁ…」

「まぁ、それよりも嫌いなのはメシア教なんですけどね」

 

 アイツらホント全滅してくんねぇかなぁ…この世の問題の八割ってメシア教が由来なんじゃないかとマジで思えて来るわ…ってか実際そうなんじゃないかな?*4

 

「まぁ、ブーストニキが霊視ニキ並みにアンチメシアンなのは有名な話だもんな」

「少なくとも突然家に訪問してきたメシアンの首斬り飛ばす程度には嫌っているからな」

「…すまん、ブーストニキは霊視ニキ以上のアンチメシアンだったわ…何やってんだよアンタ」

「普段から一般人除けの結界張ってて周囲にはバレてないし、ちゃんと復活と記憶処理しておいたから大丈夫大丈夫」

 

 因みに隣に引っ越してきたっていうそのメシアンは、何故か次の日以降俺の姿を見る度に震え上がり、暫くしたら違う場所に引っ越していきましたけどね、不思議だね(すっとぼけ)

*1
『小ネタ 反省を促すダンス』の偽マフティーニキ

*2
答え:【俺ら】だから

*3
オリジナルスキル:敵対対象を逃走不可にして自分だけを狙わせる

*4
因みに残りはニャルを筆頭にした愉快犯共




 尚初手首斬りなんていう蛮行に及んだ理由は、メシアンが地元の異界が出来た原因だったと知ってから帰って来た翌日だったからという、滅茶苦茶タイミングが悪かったのも要因の一つだったりしており、やらかした本人も無意識で斬り飛ばしていた模様。

 まぁ、それ以降吹っ切れたのだとも言えますけどね。

 因みにこの世界での恐山攻略でのラストアタックは偽ティーニキの狙撃だったり…現在はモノホンの銃は入手出来ないので、ブーストニキによって魔改造されたエアガンを使用しております。


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第三十五話 ブーストニキの終末対策

 そんな訳でブーストニキの地元終末対策回となります。

 正直今作を書き始める頃から大まかには決まっていた内容だったので、そこまで書くのに苦労は無かったけれど、下手したら説明文だらけで全然会話が無い回になりそうだったのがヤバかったですね…しかも台詞あっても殆ど独り言になってしまったという…ヤバいぜ(汗)


「此処にも埋めてあっちにも埋めてあるし海中のやつも念入りに数も多くして埋設済み…よし、全部の楔をしっかりと設置完了、後は起動すれば良いだけなんだが…やっぱり邪魔だなぁ…あの害虫共…」

 

 恐山攻略から暫くして実家に帰って来た俺は、今まで後ろめたくて紹介出来ていなかった嫁達の事を父さんを筆頭とした組合に紹介していったのだが、既に俺が原因で複数の嫁持ちとなった橘木君が移住している事や、その話を聞いた他の重婚者な【俺ら】が移り住んでいた影響で「あぁ、お前もそうだったんだな」という様な軽い感じで流された件。

 

 父さんも当然の様にその一員だったのにはマジで驚いたぞ、なんか価値観が変な時代に回帰してませんかね? 皆一夫一妻の家庭ばかりなのにどうしてこうなった?

 

「まぁ、でもそのせいでヘラクレニキには悪い事した気もするなぁ…」

 

 尚、ガイア連合から来る連中はハーレム野郎ばかりな事を除けば人間性はマトモな連中ばかりだった為、同じ様に人が出来ているヘラクレニキが単純に大江山異界の攻略ついでに俺の所に寄ってきた際、組合の皆がヘラクレニキの式神達を見てロリハーレム作り上げてると勘違いしてしまい、慌てて俺と一緒に誤解を解く羽目になったのは完全に余談である。

 

 …まぁ当の式神であるイリヤと美遊達は、時折ヘラクレニキの事を野獣の眼光並みの熱視線で見つめている時があったり、式神達専用の掲示板で愛を語っていたりするから時間の問題なのかもしれんがな…。

 

 閑話休題、それでボチボチ世界的にもGPが上昇して危険度も上がってきている感じだったので、地元の安全性を更に盤石なものにしなくてはならないかという危機感に駆られた俺は、以前から考察していた特殊な『楔』を丹後半島全域へと打ち込む作業へと取り掛かっていた。

 

 …因みに大江山なんかで活動している霊能組織なんかにも協力する話はつけてあるので一応違法ではないのだが、その過程で大分後ろめたいやり取りが行われそうになり、ギリギリで必要な物は出すから穏便な手段を取るよう指示する羽目になり思わず遠い目になってしまったぞ…確かに安全は大事だけど堅気に手を出しかねないのはアウトなんだわ。

 

「取り敢えずの地鎮はこれで何とかなるから良いとして、本格稼働が出来ないのがマジで痛いな…ジワジワと効果発揮させていけばワンチャン…か?」

 

 そんなこんなで現在行っているのが土地に巡っている霊脈の安定化を図る『楔』の打ち込みであり、霊脈の地点に埋設する事により自動的に霊脈の位置迄潜り込み、これによって楔を打ち込んだ所を繋ぐ様に『境界』を発生させ、この境界によって管理者等の特定の者から招かれたアクマ以外の発生を境界内の特定の場所*1だけに限定させたり出来る、謂わば擬似的な『霊域』や『聖域』を作り出せる代物なのである。

 

「しっかし、あのフィルターがあんなに役に立つとは思わなかったな…」

 

 しかしその性質上ちゃんとした境界を作る為には数が必要なのにも関わらず、物に対して必要なマグネタイトが多目に要る代物であり、そんなに数を作っていたらまず間違いなく霊的な方面で破産確実な状態だったのだ。

 

 以前作ったリアルアーマードコアのフィルターで集めたMAG、アレを限りなくマッカに近い代物*2や物質的なマグネタイトに変化させる技術が出来たので、かなりの量を生産する事が出来、その製造権利を連合に寄贈する*3傍ら交渉で必要な量だけ貰う事が出来たので作り出せたのである。

 

 尚、今現在もジャンジャン山梨支部ではマッカ擬きやマグネタイトが作り出されており、新しい機体を作り上げられる制作班と、それを使って楽しめるゲーマー側も両方ともにウッハウハなのだとか…良かったね。

 

「それにしても…アイツらにバレない為とはいえ流石にこの量はクッソ怠いなぁ…」

 

 兎にも角にもそんな経緯で完成した大量の楔だが、目障りなメシアンにバレて妨害されない為にも一人で地道に埋設していたのだが、矢張りまだGPが低めとはいえ雑魚アクマが湧く様になっていたので、そいつらを狩りながら埋設していったのだが、結果として一人で数千本もの楔を埋設するのは例え覚醒者であってもクッソ疲れるという事である。

 

 しかし万物は滅びるものであり、この楔だっていつ駄目なるか分からない為手を抜くなんて言語道断、本来ならば数百本で良い所を念を入れて各楔の周りに補助の楔を打ち込んだ事による数千本である。

 

 こうする事によってこの楔の周囲も安全が確保され、そこまで霊能に詳しくない者であっても定期メンテナンス等をし易く、土地の安定を永くに渡って続けられるという算段なのである…取らぬ狸の皮算用とか言ってはいけない。

 

 正直この楔に関しても一から十まで俺が管理するならばこんなに面倒な事をせずとも済むのだが、流石に俺だけの土地じゃあ無い訳だし、念の為あまり俺に頼らずともメンテナンスや補修を出来る様な仕組みにしておいたのである。

 

「うん…何時かは俺だって居なくなる、そんなセンチメンタルな気分に駆られて作ったモンだけど、中々良い感じなんじゃねぇか?」

 

 少なくともこの楔がしっかりと機能している間は、隔絶した実力を持つアクマ以外は住民に影響を与えられない筈だし、もしもそんな奴が来たとしてもこの楔は防衛及び妨害に特化している上に多重構造になる様設置されているので、攻められている間に住民の避難を済ませれる程度の時間は稼げる筈である。

 

「…まぁ、現状では十全に機能させられないので精々が境界内のGPを抑えて発生するアクマのレベルを上げさせない程度なんですけどね初見さん…ホンマメシアンのクソ共がヨォ…」

 

 悪態吐きつつ手元のモニターで埋設した楔の確認を行うと、丹後半島の大雑把な地図が映し出されて楔を埋設したポイント及び、各地の霊脈情報が表記される。

 

 楔を埋設したポイントは正常な状態を示す緑色の光点となっており、霊脈は水色の線となって各地を繋ぎ、楔同士を繋ぐ黄色く太めの線が境界となっている。

 

 これの何処かに異常が発生すればその場所が赤くなり異常を知らせてくれるので、別画面に書かれたパターンを参考に原因を探れば対象出来る…筈である…。

 

「あ、やべ…そういやそうだった」

 

 いかん、この内容俺自身には簡単に見えるけど、よくよく考えたら技術部のサブリーダー任せられかけてた俺の『簡単』が本当に簡単かどうか分かったもんじゃないから、ちゃんと他の人でも理解出来るかどうか見てもらわなくちゃならないんだったわ危ない危ない…。

 

 取り敢えずこれの扱い方纏めた説明書を組合の魔術組に見て貰い、問題点が見つかればそれの洗い出しと改善をする事にしようと決めてジュネスに戻ると、何やら集まっていた【俺ら】が皆してパソコンを囲み真面目な雰囲気に…。

 

「ただいま…と言いたかったんだが、なんか問題でもあったのか?」

「いや一番最初に言ってるじゃねぇか…楔? とやらの設置お疲れさん、早朝から出てたのに今まで掛かるとか結構な大仕事だった感じなのか?」

「いや、途中で雑魚アクマも出てたから序でに狩っておいた結果遅くなった感じだな、それでそんな真剣な顔して何みてたんだ?」

「う〜ん…ブーストニキは現地民ガチ勢だから先に言っておくべきかねぇ…取り敢えず今はちゃんと落ち着いているか? 正直アンタにとっては心構えが要りそうな内容だから準備出来たら教えてくれ」

 

 え、何その嫌な予感のする前振り…。

 

「…OK、準備出来たから何があったのか教えてくれ」

「エジプトで多神連合とメシア教が激突していて地元霊能者が押されてる、状況は明らかに劣勢の為現段階で救援を視野に入れているんだとか」

「…は???」

 

 ………は?????

*1
異界や神社仏閣等

*2
多分偽札とかそんなレベルの代物なので、制作段階でショタオジから持ち出し厳禁の制約が付けられる様になっている

*3
こんな物独り占めしていたら絶対に大量の文句と、それと同じだけ制作依頼が山の様に来るのが目に見えていた為




 てな訳でブーストニキの終末対策は『地元の安定化及び聖域化』となっております。

 まぁ聖域と言っても宗教的なもんじゃなくて、寧ろ人間至上主義でアクマの排他が先に来る、ブーストニキらしい独善的な代物になりますけどね?

 尚、現状はブーストニキが管理権握っているので丹後半島はブーストニキの支配下に置かれている様な状況となっており、その影響で丹後半島に在住しているメシアンはなんか住み心地がメッチャ悪く感じているそうです。

 後この聖域が本格稼働した場合、聖域内に於いて敵対者は強制的に反射や吸収、無効等の有利属性耐性が軒並み耐性迄引き摺り落とされる羽目になり、弱点を喰らえば通常二倍が更に倍、四倍ダメージで追加に全ステダウンを受けるクソギミックが仕込まれております(尚メシアンは敵対していなくても敵対判定な模様)


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第三十六話 エジプト勢の救出とシモい話

 エジプト関係のお話ですが、今作では日本に移住してきたエジプト勢は東京には行かず、ブーストニキの地元である丹後半島に移住する事にします。

 それとサブタイにもある通り下ネタ注意と、今回から若干ブーストニキの箍が外れます。


 エジプトピンチの速報を受けてから暫くの月日が経った後、俺なりのやり方&ガイア連合が許容出来る範囲で色々と支援を行なっていたのだが、支援の甲斐無くエジプト神話は再び滅亡。

 

 …その際エジプト神話のトップ達による独断から胸糞な多神連合に対する裏切り行為が行われたが、何とか被害をそこそこ程度に抑えつつその際起きた混乱に乗じて生き残りである避難所に居た墓守の一族を回収、色々大慌てで救助作業を進めていた為根願寺の皆さんには滅茶苦茶頭を下げて裏工作をして貰う事になった…アイツら(エジプト神話トップ共)本当に許さねぇからな…。

 

 そんな訳で生き残ったというかエジプト神話のクソ共に巻き込まれかけた他多神連合の有能霊能者(大体レベル10とかそこら辺、良くて20辺り)を各々の故郷に帰していく作業をこなしていき、序でに許可が取れればで良いからと大ターミナルを持ち帰って貰い、気に入れば各地に設置して貰い行動範囲を拡げてみる事に。

 

 流石にあちら側のアクマは同地域以外に存在するターミナル間での自由移動は制限させてもらったが、これで各地の支援なんかも行う事がし易くなっただろうし、場合によっては同地域内に於けるターミナル同士で構築した電脳空間でクソ手羽先共とドンパチする事だって可能となった筈…。

 

 因みにこのターミナル、支配権がその地域の登録されたアクマでは無く天使となった場合、強制的に外部との繋がりが分断される上に俺の作る『聖域』を発生させ、数多の悪辣状態異常を山盛り発生させた上でターミナル諸共塵も残さず自爆させるという対メシアン悪用対策がなされているので、安心して使用する事が可能となっている。

 

 と言っても墓守の一族は故郷に帰ればペ天使による餃子化や苗床化待った無しだろうから、結果的に俺の地元へと移住して貰う事になった…ちょっと前まで過疎化状態だった地元が一気に賑わう事になったよ、やったぜ(遠い目)

 

 後、今後の事を考えると残された墓守一族を護る為に一緒に日本に来たエジプト神話勢*1が苦しい立場になると言われた&ガイア連合の上層部からエジプトでの無断行動*2について『お前責任取れよ(超意訳)』と青筋立ててお説教されたので、墓守一族を率いていたクレオパトラの転生者であるマナちゃんを娶る事になりました(白目)

 

 そしてその事に不満を抱いたのか、いつの間にか愛用の鉈を使って作り上げてた武器式神が本霊通信をしており、結果として【人間変化:S】を貰って『永遠のアセリア』に出て来るアセリア…を大人にして色々豊満にした様な姿に成れる様になって夜這いしてきました…(諦観)

 

 父さんどうしよう、また嫁が増えてしまったよ…*3

 

 まぁ、別に普通に二人とも良い子なんだから全然問題無いんだけどね? 見た目のせいで【俺ら】からは「いつの間にやら種族が【魔王】になってそうだな」とか言われたり、六人相手でも平気で圧勝(意味深)していたりと自分の底が抜けてる事を改めて自覚する事になったりと頭が痛くなる事が増えたんだよなぁ…。

 

 …尚、こんな事ばかりに勝てているからなのか、いつの間にやらそっち方面の資質が生えてきていたらしく、その手のスキルばかり習得する様になってきた…もっと戦闘に直接関与するスキルを覚えてくれ俺よ…。

 

「泣けるぜ…」

「む、どうかしたのか? 汝に問題があるのならば相談に乗るぞ? 何せ最早我等エジプト神話は汝等ガイア連合の意向一つで簡単に消し飛ぶ様な存在だからな」

 

 自分の将来の方向性を悲観していたら、丁度慣れない日本での生活はストレスが溜まるだろうからと、個人で分譲出来る範囲の電脳異界の使用権を渡しておいたハトホルが、世界創世の権能*4で異界内をエジプト仕様に改装出来たのか出て来て質問してきた…にしてもハトホルさんちょっと悲観的過ぎない?

 

「あぁ、気にしないでくれ…ただちょっと、自分の習得するスキルが『アッチ』方向のモノばかりでな…戦闘に関する資質が無い事は知ってはいたけれど、かと言ってこっち方面に伸びるとか誰が予想出来たって話だよ…」

「そ、そうか…確かに汝の閨からは今では滅多に見ないような益荒男のソレと同格…いや下手すればそれ以上のMAGが渦巻いていたからな…」

 

 嘘だろそこまでヤバいの俺?

 

「途中参加してた女神からもそう判断されるとかマジかよ…」

「と、途中参加とは何の事だか分からんな…」メソラシ~

「嘘付け、ヤってる最中不知火に憑依してただろ、ゆきかぜにバステトも憑依してたのも普通に見抜いてたし、例え夫婦になって月日は浅かろうが嫁の様子が見抜けない様な盲だと思ってくれるなよ?」

 

 てかヤってる間は房中術で互いのMAGが混ざり合うんだから、不知火のMAGに混ざったアンタ達のMAGが分からない訳が無いだろうが…。

 

「理由は分からんかったが二人ともそれぞれ同意があったみたいだから流したが、何があってあんな事したんだよ?」

「うぐ…いや、そのな? 折角電脳異界を分譲してもらった身で言うのも情けない事なのだが、あの異界は汝が作った物であろう? それ故に例え譲って貰った物だとしても汝の根本にあるアクマに対する嫌悪感の残滓が私の権能を阻害していてな…」

「あ〜…え? それマジで? マァジかぁ…」

 

 そこまで? そんな残滓が強烈に残る程俺のアクマ嫌いって強烈なのか?

 

 そういえば確かに昨日電脳異界の分譲して暫くしてからこっそり見に行ってみたけれど、確かに全然進んでなさそうだったもんなぁ…いや、あれ俺のせいだったのかよ…。

 

「流石に異界を分けて貰った手前文句も言い辛くてな、申し訳ないが不知火に頼んで加護の代わりに汝の精を分けてもらう事にして異界の改装を行わせて貰ったのだ」

「うわぁ…それは済まんかった、それについては逆に此方の落ち度だな…今度からは残留思念の精査も必要だなぁ…所でハトホルがその理由で不知火に憑依していたは理解したが、バステトがゆきかぜに憑依していた理由は知ってるのか?」

 

 確かバステトって今は異界内部で作る農作物に関わっているんだよな? 昨日の時点でまだ異界が出来ていなかったのなら農作物への干渉具合とか分からないのでは?

 

「バステト神曰く『ハトホル神が既にこうならば私が手を加える時も同じ様になるだろうから、先に貰っておくべきだろうな』と言っていたが…」

「言っていたが?」

「彼女は多産のシンボルであり性愛を司っている*5上、自由気儘なネコがシンボルでもあるからなぁ…」

「…つまりヤりたいからヤりに来た、と?」

「…恐らくは」

 

 無言になる俺達の間を通り抜ける冷たい風を幻視する…いやいや、つい先日まで氏子がピンチだったんだぞ?

 

 いや、寧ろそのピンチが無くなったから開放的になったとか? 少なくともエジプトからの撤退戦では避難民全員を乗せた空間拡張バスを守護していた際、バスを護っていた彼女の気迫は本物だった筈だ。

 

 …にしても…なぁ…?

 

「あ、あの…一応バステト自身しっかりとゆきかぜに対価としての加護を施していたし、私からも彼女への加護を施しておくからどうか容赦の程を頼む…例えやらかしていたとしても最早数少ない同胞なのだ…」

「いやまぁ、それならスタイルが豊満になる加護でもやれば良いんじゃないか? それなら普通に喜ぶだろ」

 

 なんだかんだで不知火に比べて貧乳なの気にしてたみたいだし。

 

「ただまぁそれとは別にちょっとだけお仕置きというか…うん、ちょっと実験に付き合ってもらう事にしようか…」

「な、何卒…何卒容赦を…」

「神なんだからそんなに畏まるなって…ただ丁度良い事に性愛司ってるんならちょ〜っと俺の底を調べさせて欲しいだけだから…」

 

 うん、一応今まで気にはなっていた事なんだし、専門家に聞いてみる事にしましょうか。

 

「…うん? え? あの、妻達については如何なんだ?」

「昨夜途中で二柱共戻っていったから知らんだろうが、毎回俺一人余裕で残って皆ダウンしちまうんだよな…だから寧ろ申し訳ないと思われてて何処かで発散してくるのを勧められてるレベルって言ったら…如何思う?」

「………わ、私も愛と美を司る神なのだが…手伝わせて貰っても良いだろうか?」

「…お好きにどうぞ」

 

 結果、一応底の把握は薄ら出来たけど、底に着く前に二柱共ダウンしてしまった…流石に日本迄来た事による弱体化の影響がモロに出ていたか?

*1
ハトホルやフェニックスにバステト等

*2
実は救助活動については直前まで現地に張り付いていて、まだ許可が出てなかった段階で動いていた

*3
まぁ、皆幸せに出来るんだったら良いんじゃないかな?by父

*4
Wiki参照

*5
Wiki参照




 尚今回の件でもピンピンしているブーストニキ、女神二柱、それもその手の事が得意でもある女神を相手にしたにも関わらず無事生還した為、世界から偉業認定を受けて更なるエロスキルを発現させる模様…何やってるんだこの馬鹿は…。

 …まぁ、一応原因というか女神相手に出来ちゃった理由もあるんですけどね? それについてはまた次回。


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第三十七話 変化と決意表明

 取り敢えず書きたかった事一気に書いた感じの更新です。


「ショタオジ〜…ちょ〜っと質問宜しいか?」

「……………」

「わぁ…凄い嫌そうな顔だぁ…」

 

 つい先日説教されたばかりだったから気不味いながらも聞きたい事が出来たのでショタオジの所にやって来たのだが、当のショタオジは俺の顔を見るや否や『いー』とでも言いたそうな位顔を顰めた嫌そうな顔で出迎えた。

 

「いや今回は違うから、ハトホル達に教えて貰った事ではあるけど純粋に質問に来ただけだから」

「はぁ…まぁ良いよ、何があったのか言ってみなよ」

 

 何とか弁解しようとすると、その前にショタオジが諦めて話を聞いてくれる体勢になってくれた、やったぜ。

 

「取り敢えず最初はなんか矢鱈と発現する様になったエロスキルの底を知る為の検証として、悪戯とも呼べないけれど下らない事やってたバステトをハトホル共々頂いた後の話なんだが」

「いきなりぶっ飛んだ濃い内容が飛び出てきたなぁ…」

「でまぁ、二柱ともノックアウトした事後に話し合ってみた所、訳分からん事に交わってる最中ハトホルが俺から薄らと【神性】を感じたらしいんだよね」

 

 正しく青天の霹靂だったわ、神性って何だよ?

 

「えぇ…(困惑)」

「そんな訳なのでアナライズの程、宜しくお願い致します」

「いやまぁ、分かったけどさ…」

 

 深々と土下座する俺に対してアナライズを使用するショタオジ、この手の内容は簡易的なヤツだと何が原因とか一切不明なんだよな…。

 

「ふむ、さて何処から見るべきか…うん?」

「お? 早速何か原因見つけた感じか?」

「…うん、恐らくというか絶対これだね…もしかして最近ペルソナ出してない感じだったの?」

「…え? そっち方面の問題だったのか!?」

 

 てっきりエロスキルが影響してるのかと思って、周りから死んだ目してるって突っ込まれながらも確認してたんだが!?

 

 えぇ〜…そんなの有りかよ…と意識を己の内側に向けてみれば、即座に発覚する違い。

 

「うっわマジかぁ…いつの間に【ペルソナ変化】なんか起きてたし…」

「普通アルカナまで変わる様なそこまで大きな変化が有れば、即座にペルソナの変化に気が付くものだけど…何かあったのかい?」

「何かあった…ねぇ」

 

 ショタオジの質問に対して、一瞬で心当たりに辿り着いた俺は思わず声のトーンを落としてしまい、それを目敏く察したショタオジは真面目な雰囲気を纏い身を正した。

 

「いやさ? アクマと人間の間に感覚のズレがある事は理解してるよ? でもその上で許せない事があると、如何してもね?」

「それは…エジプト神話の主神達がやらかした大量道連れの事かい?」

「いや、それもあるけどあれだって先にエジプト神話がクソみたいな被害を多神連合から受けた仕返しみたいなもんだから、その場に居た俺としてはエジプト神話主神格らはクソだと思うけど、全力出さなかったのにデカい被害出してた多神連合もクソだと思ってるよ?」

 

 あんな戦力の逐次投入で被害ばかり大量に出してるの見たら、したくないけと微妙にアイツらの気持ちも理解出来るもん、なんなら一番被害受けてたエジプトの霊能組織の人達がクソ程可哀想だったわ。

 

「でもまぁその時はハトホルみたいな人間側に立って守護する奴が居たから抑えられたんだよ、問題は日本に帰って来て根願寺と交渉している時だったんだわ」

「根願寺と? 彼等が何かやらかしたのかい?」

「いや、寧ろ過去のやらかしについて謝罪をしようとしてたのに肝心の相手が【ヤタガラス】の一柱しか来なかったし、そのヤタガラスもクッソ申し訳無さそうな態度で謝ってから帰っていったらしい」

 

 実質日本神側から根願寺に対する縁切りである、ふざけんな。

 

「あ〜…成る程…ね」

「暫く頭の中真っ白になってポカンとしてたけど、キョウジさんが絶望に打ちひしがれてたのを見て今度は目の前が真っ赤になる位にブチ切れたわ…ふぅ〜、多分ペルソナの変化はそのタイミングだろうな」

 

 確かにあの時はブチ切れ過ぎてて周りが分からなくなって、気付いたたらユエから手の怪我を治療されてた位だったからな、何かあっても気が付かないわ。

 

「そういえばあの後俺の怒りを目の前で見ていたキョウジさんも『まるで様々な道具を作り出すハジメ殿に相応しい、壮大な機械の神が顕現した様だった』って言っててキョウジさんにしては珍しい表現だと思ってたけど、あの分だとマジでペルソナの事を知らないキョウジさんが、精一杯の表現で言い表したからなんだろうな…」

「壮大な機械の神…ねぇ? もしかしてここで出そうとしても狭い感じなのかな?」

 

 そう聞いてくるショタオジの心配に対して、何の問題もない事を教える為に俺のすぐ隣にペルソナを顕現させる。

 

「いや、あの時はブチ切れによる精神の激情化から違う形態を取っていただけで、本来の俺の新しいペルソナ…

 

審判【デウス()エクス()マキナ()

 

コイツはこのコアみたいな部分だけが顕現する感じだな」

 

 そこに現れたのは黄金色をしたクリスタルの様な八面体の結晶体だった。

 

「…これ『石のような物体』とか呼ばれる終末の切っ掛けだったりしない?」

「ゴメン、自分の側面だけどマジで俺も一瞬そう思っちまったわ…」

 

 なんつう不吉な見た目してるんだよ俺のペルソナ…。

 

 俺達のそんな失礼極まりない発言にショックを受けたのか、光の明滅を繰り返すDEM…うん、こんなコミカルなヤツなら終末なんか引き起こさんわな。

 

「それにしても、だとしたらキョウジさんが見たっていう機械の神っていうのは、一体何だったんだい? 話を聞くにそのDEMが発現させる他の姿らしいけど?」

「そっちに関してはこの部屋に合わせる様に展開すれば良いだけだな」

 

 そう言いながらDEMに思念を送ると、DEMは自身を包み込む様にドンドン機械のパーツを展開していき、円筒状になったそれを天井迄展開、そこから柱の様になった自身を中心にまるで生産工場の様な…いや、実際生産工場と同じ様にベルトコンベアを四方八方へと伸ばしていくのだった。

 

 一通り形成された後に各ベルトコンベアから流れて来る様々な種類の道具の数々は、正に俺が今迄作ってきた強力な逸品達だった。

 

「これは…またとんでもないモノへと覚醒させたねブーストニキ…」

「神が衆生を見捨てたというのならば矮小なれども精一杯、神の代わりにこの手を伸ばそう…異端としか言えないファクトリータイプのペルソナ、それが俺の【デウス・エクス・マキナ】だ」

「成る程、神への怒りと失望、そしてそれでも人を助けたいという願いから変化したペルソナという訳だね…うん? でもこれじゃあ機械の神とは呼べないんじゃない?」

「そっちはマジで激情態とかそんなタイプだわ…若しくは色々スキルが変化してるから、俺自身がまだ気付いていないだけで完全に使いこなした姿なのかもしれないな」

 

 まぁ、多分何が出てたのかは大方の予想はついてるんだけどな…完成図でも幻出してたのかねぇ?

 

「それにしても、本当に戦闘力が皆無のペルソナだねぇ…」

「それについては言うな…ヤベェ事に極小ダメージのジオしかなかったのに、今回のペルソナ変化でそのジオすら無くなっちまったんだぞ…」

「えっ、あの弱点として喰らわせてもちょっと怯む*1位でダウン取れないあのジオが無くなっちゃったのかい?」

「おう、攻撃よりも寧ろ何時でも充電させれる便利スキルでしかなかったジオが、だ…自分で言ってて何だが泣きたくなってきた…」

 

 転生者とは…才能とは一体…うごごごご…。

 

「まぁまぁ、代わりに少しだけ嬉しいニュースを教えてあげよう」

「おん? なんぞや?」

「獲得経験値の取得量減少やステータスの減少が少しばかり緩和されてるみたいだよ?「マジで!?」まぁ、如何やらブーストニキのそれは足りない分の前借りだったみたいだからね、これからも頑張って鍛え続ければ何時かは他の【俺達】みたいに成長出来る様になるんじゃないかな?」

 

 まさかの希望の星が灯ったのか!?

 

「じゃ、じゃあ戦闘スキルも覚えれる様になるのか!?」

「あ、流石にそれは別、戦闘スキル関係はこれからも絶望的だと思った方が良いよ」

「チクショーメー‼︎」

 

 ノゾミガタタレター

 

「ブーストニキさん!! 性欲の女神に打ち勝ったエロテク、是非ともご教授お願い出来ませんか!?」

「ファッ!? ミナミィネキ!? ミナミィネキナンデ!?」

 

 ちょ、やめ!? レベルもステも足りないから逃げれない!! こうなればショタオジも巻き込んで「はい、【異常ガードキル】からの【発情式マリンカリン】」おまっ!?

 

 …取り敢えずこの後の俺の記憶は一切残っておらず、気付けば幸せそうな顔して寝ているミナミィネキと一緒に【悪魔娼館】の一室で寝ていた所をユエ達に叩き起こされたのだった。

*1
先手取れたら行動を一番最後に回せる位




 別にミナミィネキは負けてませんよ? ただ単にブーストニキが加減無しでで来たから普段より楽しめたので満足して寝てるだけです。

 後、ミナミィネキがブーストニキより高レベルな為、【房中術】の仕様によりレベルが上がり、レベル26になりました…ぼちぼち半終末に入るのにガチ勢並みのレベリングしててこれは泣ける。

 因みに素面ならミナミィネキとのやり取り(意味深)はブーストニキの気が引ける為、普通にボロ負けする事になります…エロスキルの数が同じ位でブーストニキの方が上位スキルあっても、レベルやらはミナミィネキの方が高いからね、仕方ないね!!

 あ、所でDEMに関してはよそ行き用のキャラシートのペルソナ欄に透明化で既にネタバレされてたのには気付きましたか? 実はそれ書き込み忘れてるの三時間程経ってから思い出して追記したんですよね(笑)


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第三十八話 彼らのその後とDEMの影響

 そんな訳で日本神に見放されたキョウジさん達は一体如何なるのかという因果の収束回及び、ペルソナ変化した事による更にバグった技術部への影響回となっております。


「成る程、この形式の結界ならば問題無く国防の為に機能するであろうな、あいわかった、それでは早速現場に向かおう」

「む? すまないがこの書類、ここに関して聞きたい事があるのですが…成る程その様な意図が、ならば問題無いでしょう」

「……………(タンタンタンタンタン‼︎)*1

「…めちゃめちゃ真面目に働いてますねぇ…」

「まぁ、例え日本神に見捨てられようとも、護国の志は本物の人達ばかりだからな」

 

 日本神から見放されたという現実に余りにも酷く傷心しているキョウジさん達葛葉一党が放っておけない為、ガイア連合での鬼の様に忙しい仕事を手伝う事で一旦忘れてしまわないかとトチ狂った提案をしてみた所、キョウジさん達は最早現実に疲れてしまったサラリーマンの様にアッサリと引き受けてしまった。

 

 結果としてキョウジさん達は高めたレベルの暴力で如何しても非覚醒者が多いガイア連合の事務職に、山の様に積もっていた書類仕事をまるで奪い合うかの様に処理していた。

 

 …でもまぁ、こんなに勤勉な姿勢の裏側には働いていないと今迄の頑張りの半分程が無に帰してしまいそうな現実から逃げているとも受け取れるんだけどな…おいたわしや…。

 

 なんというか見てられないので場所を変える為に移動すると、何故か一緒に話していたちひろさんも着いてきた。

 

「あれ? 俺になんか用事でも?」

「いえ、今回の日本メシア教との合同建設について「やらかしかねないから手伝いませんよ」…いえ、寧ろそうだろうと思っていたので予め依頼を受けない様にお願いに来たのです」

 

 ありゃ、取り越し苦労だったか。

 

「あぁ、そうだったのか、すみませんね話遮ってしまって…お礼に新作の【ダンスブレスレット*2】でも要りますか?」

「いえいえ、他にも向かう技術者系の方達に誘われても『事務方から禁止されている』という建前を持っていて欲しかったので、後【ダンスブレスレット】は有り難く貰っておきますね」

 

 そう言って接客スマイルのままブレスレットを受け取るちひろさん、こりゃ別に要らなかったパターンだな。

 

「御配慮感謝、それ踊りが苦手な人でも何かしら踊れる様になる代物だから、忘年会なんかで活用してくださいな」

 

 一応しっかり意識すれば他のダンスも可能だけど回復量下がるっぽい事も判明したけど、一発芸ならBGMでもかければ踊れる位にはなるだろう。

 

 尚、後日になって事務方の僅かな休憩時間の最中、ちひろさんがダイエット目的で踊っていたら覚醒する事になり、事務方からの【ダンスブレスレット】の生産依頼が急増したのはここだけの話である…ちひろさん、意外と普通に喜んでたのかね?

 

「しかし…ペルソナ変化したらここまで負担が軽くなるとかヤバいな…『生産特化型』がもう『生産極振り』レベルになってないかこれ?」

 

 実は現在変化したペルソナの性能検査という事で召喚中でもあるのだが、新しくなった俺のペルソナDEM、召喚場所が俺の隣だけでなく何故か離れたターミナル内の電脳空間にも召喚出来る事が分かっており、俺自身が居なくても召喚したターミナルに繋がる他のターミナルにも効果…詰まる所室内へのブーストを施す事が可能だと判明したのだ、実質何処でもブースト状態である。

 

 しかもこれにプラスしてターミナルに各自で小型端末でも繋いでおき、俺又は製作者の知識と必要なだけの素材を基にまるでゲームの様に製作工程をすっ飛ばして完成品を作り出す【クリエイト】スキルも発現し、一応完成品に対する知見がしっかりしていればしている程質に差は出るが、最低品質は(俺の知ってる範囲であれば)良判定が保証された上で、圧倒的な迄の時間短縮が可能となった。

 

 …まぁ、その結果が暇を持て余した馬鹿どもによるトンデモアイテムの量産でもあるので、そこら辺に関しては頭の痛い事である…。

 

 因みに今まで触れていなかったが、機械系がメイン能力である為当然の様に調理に関しては殆ど役に立たなかった俺の能力だが、今回の件でブースト以外にも下拵えの過程をすっ飛ばせる*3事が発覚し、珍しく食堂の面々から感謝される事となった…あんまり関わった事なかった面々だからビックリしたけれど地味に嬉しい。

 

 尚、この強化で一番恩恵と被害を受けたのはショタオジだったりする…そりゃまぁ今までも大量に仕事が持ち込まれていたのを、今回のショトカ機能で一気に効率化出来る様になったので多大な恩恵とも言えるのだろうが、結果として減った分大量にショタオジ案件な依頼が増えるだけであったのだ…その結果クッソ何とも言い難い表情で見られた事には凄く罪悪感を覚えたものである…。

 

「それにしても…やっぱりこれ俺に対する負担はそんなものでもないけれど、俺の重要性が高過ぎるから何かの拍子に俺が呪殺とかされたらヤバそうだな…」

 

 少なくとも山梨支部に居れば安全なのだろうが、流石に地元から離れ続けるのとか嫌だし…でも俺が呪われたらそのタイミングで俺が管理しているターミナルなんかから呪詛が奔流しそうではあるんだよなぁ…呪術的なブレーカー機能でもアップデートしておくか?

 

 便利になったのならばそれに応じて安全策も立てておかないと、何かあってからじゃあ遅いからなぁ…。

 

「ペルソナ能力が強化されていよいよ各地を電脳異界で模倣出来そうになってるのに、俺のせいで全部オジャンになるとか嫌だもんなぁ…」

 

 因みにペルソナ能力が強化された事で一番強化されたのは電脳関係であり、以前は出来て豪邸程度の創造も、今では地元の完全コピーまで出来る様になった程であり、現在管理出来る範囲で異界を全国各地分拡げつつ、ショタオジの作った電脳異界である『テラ』及び『アルカディア』の管理手伝いをしながら勉強中である。

 

 …DEMが関係しているからなのか、如何しても俺が一から造るオリジナル電脳異界って完全機械化された自然ゼロのサイバーパンク世界になっちまうんだよなぁ…一層の事『ソドム』とでも名付けてゲームやらなんやらの娯楽に特化させた退廃都市にでもしてやろうか?

 

 …アンチメシアン的に凄くそそられて来たぞぉ? 連合員にアンケート出して娯楽内容の募集と試運転頼んでみるか? 能力強化に伴って覚醒者であれば誰でも電脳空間に入れるまで改良出来た訳だし、これ普通に有りだな?

 

 そんな訳で事務方に戻り…。

 

「ターミナルに『電脳異界に造るテーマパークに欲しい娯楽』っていうアンケート依頼出したいんだけど許可貰えないっすかね?」

「なんかまたとんでもない事言ってるけど、ブーストニキの事だし悪い事にはならんでしょ…良いよー」

 

 となって依頼を出してみてから数日後…。

 

「やっぱりリアルアーマードコアが強すぎたのかねぇ? 全然アンケートが集まりゃしないぜ…」

 

 既に最大級の娯楽として燦然と輝く物があるせいで全く集まらないアンケート依頼がそこにはあった…。

 

 まぁ、プレイヤー各々の能力格差によるバランス崩壊防ぐ為のリミッター機能とかもアップデートした上で、既に各支部にも配備されてるから現地民にも大体的に拡まってるからな…プレイしているだけてワンチャン覚醒出来ちゃう『リアルアーマードコア』ワンプレイたったの100円又は1ガイアポイント!!(尚黒札は寧ろMAG放出しまくって稼がせてくれるので無料な模様)

 

 …因みにこんなふざけた値段設定の影響でガイアポイントを持て余している現地民にゲーム廃人が大量発生しているのだとか…ガイアポイントのレートがマッカに応じて変動するからヤケクソになって設定したのマジで間違えたな…。

*1
高速で只管書類の確認と判子押しを繰り返している

*2
【生命の泉】と【チャクラウォーク】を兼ねて踊れるアレ

*3
流石に味付けなんかは個人の領域なので無理




 覚醒した事でデスクワークの傍ら専用式神によって稼ぐ事が可能となったちっひさん、めっちゃウキウキ気分で異界に行ってみるけど染み付いた裏方の影響でなんか違うと直ぐに裏方に戻る模様…これぞ社畜!!

 尚アンケート依頼が全然受けられなかったのは連合といっても山梨支部内にしか出していなかったのが原因であり、各支部にもクエストとして出してた場合報酬として払われる『10ガイアポイント』目当てに依頼に殺到する現地民が居た模様…そうだね、リアルアーマードコアの廃人衆だね!!

 後日それに気が付いて出した結果、ガチ操作勢による更なるリアリティが得られるという事で連日アリーナに人が群がる様になる模様…。


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第三十九話 ナカーマ

 今回書いてて自分天丼ネタ好きなんだなぁ…って感じましたね(小並感)


 ガッシィィィィィンッ!!!!*1

 

「貴方も…『覚悟』している人ですね?」

「そう言うお主こそその気迫、護国の鬼となりうる人材であろう」

「うむうむ、矢張り二人とも共鳴した様だな」

「なぁにこれぇ?」

「まるで意味が分からんぞ!?」

 

 互いに熱く握手する俺と五島陸将、そんな俺達を見て深く頷くキョウジさん、そしてそんな状況に宇宙猫になりながらもネタに走るショタオジと自衛隊ニキ…自衛隊の五島陸将との邂逅の場となった【ガイア連合山梨第二支部】には熱くも混沌とした空間が出来上がっていた。

 

 ……………

 

 ………

 

 …

 

 事の始まりは数日前、とある掲示板を見た俺がショタオジの所に駆け込んだ事から始まった。

 

「ショォタオジィッ!! 五島陸将さんと会談する事になったってマジィ!?」

「こんな嬉しそうなブーストニキ初めて見た…で、確かに本当の事だけどそれで何の用なんだい?」

 

 ドン引きしているショタオジだったが、五島陸将はキョウジさんがめっちゃ推していた愛国心の持ち主なのだという、そんなもん聞いていたら用件なんて決まりきっているだろう。

 

「連 れ て け ⭐︎」

「や だ よ」

 

 速攻で拒否されてしまっただと!?

 

「連れて行ってくれないと言うのなら今すぐにでもペルソナ引っ込めた上で、俺に権限がある山梨第一支部に設置されてるターミナル、ゲーム系の権限全部フリーにした上で地元に引き篭もる形でストライキするぞ!?」

「ただ単に会談に連れて行かないだけなのにそこまでする!?」

 

 軽く権限フリーにしただけでロクデモナイ奴ならチートやりまくるだろうし、ここまでやれば多分ショタオジに対して叛乱起こるんじゃないかな?

 

「アレだよ、個人的には超世界的有名アイドルに会えるだけじゃなくて、握手会やってる上にサイン貰えるかもしれないっていうチャンスなんだよ」

「なんかそう言われると途端にブーストニキが極まったドルオタに見えて来たんだけど…」

 

 国が大変だからと手探り状態でも必死に護る為に頑張る人ってカッコいいじゃん? そんなんもう推すしかないんよ。

 

 え? 原作だとクーデター起こしたヤバい奴だろうって? そこら辺上手く誘導する事こそがアドバイザーとしての役割なんじゃねぇかな?

 

「はぁ、しょうがないなぁ…分かったから問題は起こさないでよ?」

「おう、ハッキリ言って感情型の俺は交渉事については論外な自覚があるからな、そこら辺はそっちに全部任せるわ」

 

 そんな訳で渋々なショタオジを納得させて山梨第二支部の会談場へ向かった結果…。

 

「「ハッ!!」」メトメガアウー

 

 上記の通りである。

 

 その後ショタオジとの約束通り交渉事には一切口を挟まずに大人しくしておき(尚同行していた自衛隊ニキは「会談中ブーストニキがずっとニッコニコで逆に怖かった」との事)見守っていたのだが…。

 

「え? デモニカの改良自衛隊に任せちゃうの? だったら俺も機械式のヤツ改良したいから出向させてくんない?」

「なんと!? 南雲殿も協力してくれると言うのならばこれ程心強いものはないぞ!!」

「このタイミングでなんて事言い出すのさブーストニキ…」

「分身で良いから!! 分身だけで良いから!!」

 

 こんな感じで自衛隊にも協力する事になった。

 

 結果…。

 

「ふ〜む、如何やらブラックボックス式*2は能力値が高く強力なスキルを習得する可能性はあるが、能力の上がり幅や耐性に弱点、習得するスキルにバラツキが多いみたいだな」

「反対に南雲殿が作ったという機械式は能力値は本人依存の『運』を除き全て統一されており耐性も物理系が耐性でそれ以外は平凡、スキルも低威力の物ばかり習得するがその分容量が多く有りカスタマイズにゆとりがある感じですね…」

「…これ機械式ベースに黒箱式を補助に付ければヤバい化け方するな?」

『お前は一体何を言ってるんだ?』

 

 機能に最低保証がされている上に追加で能力付与が行われる【ハイブリッド式デモニカ】が完成しました。

 

「はえ〜銃火器ってこんな事になってるんだな…」

「今度からはガイア連合でもある程度の銃火器売り出される様になるから、ブーストニキの持って来た【収納ポーチ】も含めて実質なんでも銃火器持ち運びが可能になるな」

「これが【火炎弾】かぁ…あっ、他の属性弾作れるなこれ?」

「知 っ て た」

 

 各ターミナルで【各種属性弾】の製作が可能となりました。

 

「ほ〜う…これが銃撃戦をする為の効率的な陣形か…」

「うむ、味方への誤射を減らし退却を支援する為の物だな」

「でも弾切れの隙を狙われたら危ないだろうし…あぁ、弾切れに関係する問題を殆ど無くせば良いのか」

「南雲殿は一体何を言ってるのだ?」

 

 各種デモニカに【残弾表記】及び【弾丸自動供給】及び【弾倉自動交換】及び【小型ターミナル増加に伴うターミナルの倉庫機能】がアップデートされました。

 

 又、式神用スキルカード【銃撃のすゝめ】が完成しました、簡易式神にも余裕でインストール可能な容量なので基本スキルとして是非どうぞ。

 

「これデモニカを機械的に接続出来たら戦車や装甲車も対アクマ仕様に換装出来る感じか?」

「機械式のヤツのコアシステムに取り付けたら行けそうな感じじゃね?」

「遠距離になったら折角の長射程がダメになってしまう…」

「じゃあ作ってみようか? 長距離対応のデモニカシステム?」

「神かよ(神かよ)」

「クソ四文字と同列視はNG」

「アッハイサーセンした」

 

 機械式デモニカコアに既存の機械との接続性をアップデートしました、これに伴い超長距離狙撃システム【赤原猟犬*3】が製作されました。

 

 

 

「いやぁ…皆真面目だから色々出来て楽しいなぁ…」

「真面目にとんでもない事やらかすブーストニキのせいで何人か胃を痛めたり、逆にどこまでやれるのかとはっちゃけるヤツが出てきたけれど、それについては如何思うよ?」

「前者には申し訳無い感じもするけれど、後者については皆向上心に溢れていて大変結構!!」

「テンションおかしいけど大丈夫? なんか五島陸将に感化されてない?」

 

 いやだってここまで色々やる気に溢れてる人多いとか、めっちゃやり甲斐感じでもおかしくないでしょ。

 

 それにここの人達根願寺で紹介して貰った地方術者みたいに、基本的には効率重視でふざけた装備作ってヒャッハーとか、クソみたいな相談とか依頼出してこないしでめっちゃ話し易いんだもん。

 

「自衛隊ニキも一度一日技術部の様子見て、その惨状知ってみると分かるだろうけどマジで頭の痛くなる案件ばかりだからな?」

「そんなに酷いのかよあそこ…」

「蠱毒皿とか筆頭に即死案件扱いまくるのに、現場猫案件頻発してるのとかザラだからな?」

「うわぁ…」

 

 因みにやらかして死んでも「はいはい、リカームリカーム」で終了である、本当に馬鹿みたいな理由で行使される奇跡()というね…メシア教の連中にこれら一連の流れ見せてやったら発狂するんじゃね?(笑)

 

 所で一つ気になってたんだが…。

 

「自衛隊ニキいつの間に両『性』類になったんだ?」

「…五島陸将に俺が原因でガイア連合の事がバレてからだな…」

 

 めっちゃ気配変化してたせいで最初誰だったのか分からんかったんだが…いやこれダメじゃね?

 

「…元に戻そうか?」

「いや、俺が…俺のせいで地獄を見る羽目になったあの子を…俺があの子を護らなきゃ…護らなきゃならないんだ…」

 

 なんかめっちゃ重たいトラウマ背負っちゃってませんかねぇ? 何やってんのさショタオジ。

 

「あ〜…じゃあよく考えてみろ自衛隊ニキ、その子は今現在自衛隊ニキの肉体そのものでもある訳だ、それなのに自衛隊ニキは戦場に出るつもり満々でもある訳だ…その子危険に晒しても良いのか? 矛盾してない?」

「で、でも俺はあの子を護らなくちゃならない…でも今のままじゃあの子が危険に…」

「…ふむ、よしじゃあこうしよう…『自衛隊ニキからその子を離し、その子には新しい身体を与える』…こうする事で自衛隊ニキがその子をちゃんと護れる様にしよう」

 

 え? どっかで聞いたことがある様な展開だって? そうだね、ブラックジャックのピノコだね!!

 

「ブ、ブーストニキ…」

「まぁ、費用やなんやかんやはそれなりに良いお値段がするだろうけど、これなら自衛隊ニキは元に戻れてその子もちゃんと個になれるから問題無いだろ」

「…っ、ありがとう…」

*1
そこそこのレベル持ち同士が握手しただけです

*2
マガタマ使用タイプ

*3
射程が機械側依存の霊視及び狙撃補助システム、放たれた弾丸には誘導補正が付く




 因みに結果としては『元の見た目に戻った自衛隊ニキ(両性具有)と専用式神ボディに記憶と意識を切り取り転写して誕生した蘭子ちゃん(両性具有)』という一部の性悪な【俺ら】を除いて『後遺症解決出来たんだ良かったね』的な感じで迎えられる展開に。

 何故か蘭子ちゃん側にも【アウトサイダー】スキルで御先祖様が語り掛けているけれど、普通に御先祖様と仲が良いのでアイドル活動のアドバイスなんか受けているが、それよりも自衛隊ニキ大好きなので普段は自衛隊をしており、休日にアイドル活動をしていて、その際自衛隊ニキはプロデューサーみたいに支援している感じです。

 自衛隊やってるのは自衛隊ニキからしたら複雑だけど、本人の強い要望と御先祖様の後押しに負けて渋々認めました…今では自衛隊でも歌って戦える超人気アイドルでもあります。


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第四十話 ブーストニキに当て嵌めた【俺ら】らしい反応

 やりたい放題やっていたらしっぺ返しが来るのは世の常というかそんな回。

 …まぁ、大人しくやられるつもりは無い訳ですが。


「はっはっはっ…だぁめだこれ…」

 

 現在、五島陸将率いる自衛隊の五島部隊VSガイア連合盟主ショタオジという見る人が見れば結果の分かりきっている戦闘に、何故か俺は自衛隊側として強制参加させられていた。

 

 事の始まりは五島陸将が四天王である【鬼神 ゾウチョウテン】からの啓示を受けた『らしく』、試練を乗り越え仲魔にした際に様々な情報と共に甘言を受けた事により気が大きくなってしまったのか、まるで初代『真・女神転生』の様にクーデターを起こそうと言い出してしまった『らしい』のである。

 

 そしてそれをショタオジに相談してガイア連合の協力を得ようとした『らしい』のだが、当のショタオジはこれを拒否して『四天王程度で気が大きくなっている自衛隊は分からせちゃおうね〜(超意訳)』という事で五島部隊纏めて相手にする事になった『らしい』。

 

 …因みに説明が全部過去形なのは、この話を俺が聞いたのはこれらの話が全部終わった後に、ショタオジから「申し訳ないんだけど黒札達から『ブーストニキがTS自衛隊ニキや自衛隊に協力し過ぎて厄介な事になったんだから、ブーストニキにも罰を受けさせろ!!あ、蘭子ちゃんは別に参加させなくても良いよ?』っていうクレームが大量に来ちゃってね? 悪いけれど一緒に受けてくれない?」という事で受ける羽目になったのである。

 

 …これ終わってもふざけた事言う奴居たら、そいつにショタオジの真似した覚醒修行(安全性未確認)強行してやろうかなぁ?

 

 …クレーム付けてきた奴に女も居るだろうのにやるのかだと? うるせぇ、こちとら男女平等拳は標準装備なんじゃい。

 

 そんな訳で自衛隊に混じって量産型デモニカを着込み、ショタオジ相手にドンパチしている訳なんだが…。

 

「ファwww【軍勢変生】スキルでステータス上がってる上で『軍勢化』してるから軍団のレベル的には100超えてそうなのに、全くもって攻撃が当たる気しねぇwww」

「笑い事じゃないッスよ南雲さぁん!? なんすかあの滅茶苦茶具合、あの人本当に俺等と同じ人間なんすか!!?!」

 

 既に戦車や戦闘ヘリといった機械群は無力化されており、歩兵群もその大半が敗北判定によって戦場からの退場をしいられている。

 

「おうよ、アイツは歴とした人間だぞぉ!! ただ単に【俺ら】(馬鹿共)を纏め上げられる様な奴がこの程度の人数にやられる訳がねぇって話だ、なんせ定期的に俺なんか比べ物にならないバカ戦力纏めて相手にしてるのに、息も切らさず無傷の完勝してる位だからなぁ!! ほれ来たぞ来たぞぉ!!」

「ちょぉぉぉっ!? 撃て撃て撃てぇっ!!」

 

 う〜ん、アホみたいな濃い弾幕が張られているのに避けようともしない処か、パラパラ踊って寧ろ被弾増やしたりしてるのに傷一つ付いてねぇやウケるw

 

 …いや笑い事じゃ無いが?(真顔)

 

「【スクラップ&リビルド*1】再成完了…起動せよ、アームズフォート【グレートウォール】」

「うんっ!?」

「うおぉぉぉっ!? これが南雲さんが言ってた【アームズフォート】ってヤツかぁ!?」

 

 唐突に戦場の外周に現れる巨大な縦長の箱型をした列車にも見える機動兵器【グレートウォール】の出現にショタオジだけでなく、事前に教えてあった筈の自衛隊の面々まで驚いていた。

 

「なんか仕掛けてるとは思ってたけど、こんなモノを作り上げていたとはね…」

「まぁ、偶にはショタオジにも楽しんでもらおうっていう気遣いみたいなもんだよ、盛大に楽しんでいってくれや…全砲門照準完了、全弾発射」

 

 俺の合図と共に備え付けられたガトリンググレネードやミサイルが、最早無作為に見える程のレベルでぶち撒けられ戦場を耕していく。

 

 因みに素材に使われているのは先に無力化された戦車や戦闘ヘリ等の機械群である為、追加で持ち込んだ訳でもないから問題にはならないし、他にも『現在進行形で組み立てある』ので何の問題も無いのである。

 

「うおぉ…事前に教えられてたから分かってたけど、こうやって爆発や流れ弾が何もかも計算されててこっちに来ないってのは信じられん光景だな…」

「しかもこれ全部長射程デモニカで相手を捕捉しているからアクマ相手に有効打になり得るんだろう? この弾幕ならあの化け物みたいな主将も「いや普通に無理だぞ?」…え?」

「いやだから、希望持ってるみたいだけど普通に無理だぞ? なんせ俺の支配下にあるからあの【グレートウォール】も【チューンアップ*2】通常以上…大体レベルで言えば二倍程度の性能は発揮してるけど、アレ…誰も乗ってなくて俺だけで操作している状態だから基本『レベル=俺』な訳よ、だから正直この弾幕はな…」

 

 そんでもって俺の現在レベルはこの前ミナミィネキとヤってから変わってないのでたったの『26』しかなく、このレベルを倍にした所で所詮はレベル『52』の雑魚である…詰まる所。

 

「ただ単に盛大なだけの雑魚による目眩しなんだよなぁ…凹むわ」

 

 一頻り続いた爆炎の後、トンデモない破砕音が響いたと思うと【グレートウォール】の側面にバカデカい穴が空けられて次の瞬間には大爆発、そんな爆炎の中から現れたショタオジは怪我一つ無く…いや、少しだけ訂正、バカみたいにドカドカ爆発が続いた影響なのか所々に煤が付いてたわ。

 

「流石に空間其の物が煤まみれだとちょっとは引っ掛かった感じか?」

「う〜ん…それもあるんだろうけど、ちょっと妙な感じがしたんでね…ブーストニキ、君まだ何か仕込んでないかい?」

 

 う〜ん、流石はショタオジ滅茶苦茶鋭い…ってかまぁ、本職にここまで気付かれてなかったのなら俺としては大金星レベルだな。

 

「御名答、念の為周囲に対する隠蔽も兼ねてやってた事だったんだが…まさかショタオジのその反応からして気付いていなかった感じなのか?」

「うん? もしかして結構大々的にやってた感じなのかい?」

 

 う〜ん…この反応の感じマジでか?

 

「…あぁいや、そうか…このご時世『あの場所』も近代化やターミナル置きまくったせいで余りにも普遍的になったもんだし、寧ろショタオジからすれば『あって当然』だから気にしてなかったのか?」

「…あ〜そういう事?」

「まぁ、ショタオジ強いしそういうのスルー出来るもんな…そんな訳で早速お見せしよう…これが俺の切り札の一つ【異界墜とし】だ」

 

 世界が歪み…俺とショタオジ、そして今回の模擬戦に於ける証人であるガイア連合の動画撮影用式神だけが俺の作り出した電脳異界へと引き摺り込まれる。

 

「いやぁ、見事なもんだねぇ…確かにこのご時世そこら中に電波やらが飛び交ってて、すぐ側に電脳異界を造られてても意識してなきゃ分からない」

「序でに言えば今回ショタオジからすれば『息抜き』程度の認識だったみたいだからな、そこら辺利用して『リアルアーマードコア』を適用する事でショタオジを擬似的にプレイヤー(レベル低下)に出来なきゃ、即座にこの電脳異界ぶっ壊されて逃げられてただろうよ」

 

 擬似的にとは言えショタオジは『聖域』となっているこの空間の影響を受けて弱体化する事になり、ある程度はこの世界のルールに従わざるをえなくなる…まぁ、幾ら弱体化していても元が俺よりは圧倒的に強者だから多分破ろうと思えば何時でも破れるんだろうけどな…。

 

 とはいえ、だ…。

 

「そうは言ってもこの世界はあくまでもバニラの『リアルアーマードコア』だからな…ルールとして俺はショタオジに攻撃出来ないし、ショタオジも直接俺には攻撃出来ない」

「そしてブーストニキはこの異界にゲームを『適用』していると言っていた」

「相変わらず思考が速くて羨ましい事だ…じゃあいくぜ? 『ミッションについて説明させて貰う』」

 

 今回のターゲットは三機のアームズフォートである『ソルディオス・オービット』、『アンサラー』、『スピリットオブマザーウィル』との実質時間制限ありな連戦だ。

 

 一戦毎に現場は変わるが武器以外の機体の損傷度は持ち越され、下手な機体を使おうものなら待っているのはアンタの敗北だ。

 

 普段と違う慣れない身体だろうが俺はアンタに絶対の信頼を持っている…魅せてくれよ、主将?

 

 それでは…ミッションスタートだ。

*1
【アッセンブル】からの派生スキル、ガラクタからでも新品の別物へ構成可能

*2
搭乗している乗り物の性能にスキル保持者のステータスを加えた上でレベル二倍のステータスへと強化




 唐 突 に 始 ま る リ ア ル ア ー マ ー ド コ ア 。

 いや、戦えよってなるけど、今回の自衛隊とショタオジの対戦に参加するのはブーストニキの望んだ事じゃないし、かと言って正面からぶつかってただ負けるのもこれ企画した黒札連中が喜ぶだけなので腹が立つ…という訳で『呪術廻戦』の領域展開擬きでショタオジにリアルアーマードコアやらせて時間を浪費させる作戦をとりました。

 因みにショタオジもちゃんとリアルアーマードコアは履修済みなので対応可能となっておりますし、敢えてブーストニキの仕掛けに付き合ってる状態なので、やろうと思えば権限奪い取って反動で行動不能にする事も可能です、悲しいね。

 因みにショタオジが煤被ってたのは地球地脈から微妙にズラされて、ブーストニキの支配下である電脳異界に戦場が移りつつあった為、同じ位感覚にズレが生じた影響ですね、ブーストニキのやった『異界墜とし』は格さえ有れば謂わば明確なショタオジメタとなる筈です…まぁ今のブーストニキにはそれが全然無い訳ですが…。

 …まぁ、本来ならレベル差でアッサリ異界壊されるけど、今回に限ってはショタオジが先行譲ってる上に全部受け止めるスタンスで遊んでいたから引っ掛かってくれただけなんですけどね?(しかもゲームを適応させれたのもショタオジが手を抜いていたからという理由の為、ブーストニキキレて真顔になったりしているという…)

 ※色々やり過ぎとの事だったので多少修正致しました、現在の状況は『ショタオジが付き合っているからこそ術に嵌ってる』と考えて下さい。


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第四十一話 当然の帰結

 感想で『ブーストニキ盛り過ぎのイキリ過ぎやろ』という内容のものを貰ったので、ちょっとだけ前話の手直しさせて貰いました、具体的にはショタオジがめっちゃ遊んでいる事とかですね。


「イエスッ!! 軌道の問題で時間食ったりアプデで爆風の範囲が拡がってたから微妙に喰らったりしたけれど、合計時間十分針切り達成やったぜ!!」

「かはっ…はえーよショタオジ」

 

 せめてもうちょっとドラマティックな演出してくれよ、折角作ったステージやアームズフォート群がTAS動画並みにぬるぬる弾幕避けながら叩き潰されるスーパープレイ集になっちまってるじゃねぇか…。

 

 因みに当然の事ながら各アームズフォートの操作は俺がしていたのだが、各機にそれぞれ三割分注ぎ込んだ分身で操作していたので『アームズフォートを撃破される=俺にダメージが行く』っていう方程式出来上がっているのである…まぁ、以前の分身やられたら即アボンよりかは遥かにマシだけどな。

 

 ついでに言うとこの電脳異界は外に居る自衛隊の為にホログラムで投射されており、ボチボチショタオジが戻る事もお知らせしてあったりする。

 

「いやー、やる必要がある娯楽って如何なんだとは思っていたけれど、合法的に遊んでも良いって考えるとスッゴイ気が楽だね」

「そいつは重畳…使い捨てとはいえ特大ターミナル作って連戦用の電脳異界を作り上げた甲斐があったってもんだよ…」

 

 まぁ、あの特大ターミナルは正確にはこの電脳異界造る為以外にも使い道はあるんだけどね? 脇道運用みたいなものだ。

 

「はい、それじゃあゲームクリアした事なんだし、リアルに戻る為の出口はあっちだよー」

「いやいや、その前に折角クリアしたんだから報酬も貰わないとね?」

「なんだ? この電脳異界でも欲しいとか言うんじゃないだろうか?」

 

 どうせ廃人AC乗り用に近日アプデする『死闘・機械の巨影群』で似た様なミッション出すんだし、それの試運転でもやってくれるってのか?

 

「ちゃんとミッションをクリアしたんだから、正当な報酬を支払われるのは当然だよね?」

「うんそうだな、真っ当な意見でもある…取り敢えず今回のこれは『遊び』でしかなかったんだし、三日ショタオジの仕事を手伝う位が妥当かな?」

 

 ショタオジも楽しんでいた様なんだし、そこまで長い期間手伝わなくても良いよね?

 

「はっはっはっ、それはありがたいけども、それと同時に白々しいなぁブーストニキは」

「いやはや、何のことだかさっぱりだねぇ?」

 

 …イヤホントナンノコトイッテルンダロウナー?

 

「ちゃっかり一人だけここに残ってタイムアウト狙うとか許さんぞお前」(能力解放によるレベル強制解除)

「…ノゾミガタタレター」

 

 思惑普通にバレテーラ…ってうわショタオジ馬鹿野郎、無理矢理本来の力解放したせいでこの電脳異界壊れ始めたじゃねぇか!?

 

「来いメリュジーヌ、リア」

 

 此方を捕縛しようと構えるショタオジを前に、即座にまだ継戦意思がある事を示す為にデモニカ形態のメリュジーヌと大鉈形態のリア*1を呼び出す。

 

「おっ、残り体力一割程度なのにまだやれるガッツがある感じかい? 良いよ良いよ受けてたとうか」

「うっわ圧倒的に格上だと分かっているけど腹立つ〜…そんじゃあまぁやりますか」

 

 開戦の準備として【収納ポーチ】から赤い生々しい球を取り出し、それを握り潰しながら平行して虹色の飴を噛み砕く。

 

「【龍の生肝*2】からの【ラスタキャンディー*3】其々【アイテム効率超倍化】で効果三倍、残りの時間で【チャージ】と攻撃かますだけ…で、普通に時止め状態の筈なのにショタオジは動けている…と」

 

 これマジで絶望以外の何でもないよな…まぁ、普通にこうなるだろうって事は、同じ事が出来る承太郎ニキが何時もボコボコになってるのを見てたから大体知ってたけど。

 

「うわぁ…龍王アクマのフォルマを使って【龍の眼光】再現するって…しかも単体とはいえ【ラスタキャンディ】まで再現しちゃったかぁ…それらについて販売や製造許可する気はある感じなのかい?」

「流石に最初からこれらに頼り切りはアレ過ぎるから、簡易アナライズぶっ壊せるレベル30から解禁にする予定だ」

「え〜…それじゃあさっきのミッションの報酬にそれらの解禁はどうだい?」

「う〜ん…いや、流石にそれでも堕落しそうだから覚醒当初から『各カジャ系』でレベル10から【ラスタキャンディー】、20で一枚下がる【獣の生肝】だな」

 

 正直レベル30でも使えて良い代物だとは思っていないけど、製作者の俺自身がね? うん、レベル30まで行ってないからね? …悲しいなぁ。

 

「それじゃあまぁ、これが現状出来る俺の最大火力だ…受けてくれるかい? ショタオジ」

「あぁ、いつでも来るが良いよ」

「はぁ…そんな風に俺が強者の振る舞い出来るのは何時になるのかねぇ?」

 

 【チャージ】を完了させて大鉈を構え、何時でも『撃てる』様にする。

 

 対峙するショタオジは気楽ながらも透き通る様な笑みを浮かべ、まるで吹けば消えそうな儚さを感じさせるにも関わらず、その存在感は山の様にどっしりとしている。

 

 今から撃つ業は俺の性格上、ショタオジ相手にはそこまで効果を発揮出来ないが、それでも俺が創り上げた業の中では一番信頼を寄せる業である。

 

梵天王魔王自在大自在(ぼんてんのうまおうじざいだいじざい)除其衰患令得安穏(じょごすいがんりょうとくあんのん)諸余怨敵皆悉摧滅(しょよおんてきかいしつざいめつ)

「えぇ…まさかのソレかぁ…」

 

 おう、盛大に八つ当たりされてくれや。

 

「首飛ばしの颶風(かぜ)ーー蝿声(さばえ)*4

 

 吹き荒れる殺意の奔流がショタオジに対して殺到する。

 

 先程のショタオジによる力の開発のせいでガタが来ていた電脳異界には俺の殺意を受け止めれる程の強度は無く、データで構成された地面を片っ端から0と1の記号へと分解しながら吹き飛ばしていく。

 

 壊れかけとはいえ異界さえも崩壊させていく殺戮の嵐に、それを真正面から受けるショタオジはーー

 

「髪が乱れただけ…か」

 

 崩壊して何も無い空間を泰然自若に浮かんでいるだけであった。

 

「まぁ、ブーストニキの攻撃ってどう見ても【アクマ特攻】に重点置いているからね、人間相手だと効果が薄くなるのなら残当じゃないかな?」

「失…礼な…アクマ寄り…だけじゃなく…ダーク…属性にだって…特攻は…入るぞ? 後メシアン」

「あぁもう息も絶え絶えになっちゃう位無茶しちゃってさぁ…ほら【リカーム】」

「あ…あ〜、うん、すまんかった」

 

 奇跡による暖かな蘇生の力が注ぎ込まれて【食いしばり】と根性論で無理矢理生きている状態だった俺の状態が持ち直される…まぁ、残り体力一割程度の状態なのに、超大技合体させまくったようなのぶっ放せば自滅は必須だわな。

 

 …まぁ、例え死ぬとしても立ったまま死ぬ事で誤魔化す事も出来るし、なんならそのまま【オートアイテム】スキルで【地返しの玉*5】を使えば大体バレずに復帰出来るけどな。

 

 …まぁ、流石にそんな事したら五島陸将辺りにはバレそうだから、事前に使う予定ではあったんだけどね? 俺の我儘で自滅してショタオジに汚点を付けるのは流石に許されんわ、うん。

 

「は〜…それにしても結局ショタオジという存在のが遥か遠くの頂である事しか分からなかった結果で〆かよ…」

「まぁ、最後の技に関してはブーストニキの殺意で即死確率が増幅されるみたいだから、僕が特攻対象だったら冷や汗位は流していたんじゃないかな?」

「おぉ…そこまで言わせれるんだったら中々収穫はあった感じだな、それじゃあ俺は敗者らしく控えに戻っておくわ」

「ブーストニキの特殊スキル作り出せる様な狂気がヤバいってだけであって、レベル自体はまだまだなんだからちゃんと修行は手を抜かない様にね?」

「そんなもん当然でしょうが」

 

 そうして二人して現実世界に戻り、俺は控えに移動してショタオジはそのまま残りを刈り取りに…この後も様々な手を自衛隊は尽くしたが、ショタオジの前では呆気なく全てが無駄に終わる事となった。

 

 …因みに、この後案の定ショタオジに手も足も出なかった俺を煽る目的やら【龍の生肝】についてグダグダと俺より実力も無いのにムカつく奴等が絡んできたので、考えていた通り模倣式覚醒修行(安全性未確認)を喰らわせようとしたら、ショタオジから「それはヤバい」と止められたので、代わりにショタオジの【新地獄巡り】に叩き込む事にした。

*1
元ネタのアセリアと違い成長している姿なので呼び方を変えた

*2
【龍の眼光(追加ターンを得る効果=時止め)

*3
全能力一段階増加出来る【ラスタキャンディ】のパロアイテム、少しだけ柔らかいので噛んでも口内を怪我する心配無し

*4
属性ガードキル+冥界波 +万物粉砕+マハムドバリオン+マハガルダイン+マハザンダイン

*5
味方1体の戦闘不能状態をHP50%で回復する




 因みに【首飛ばしの颶風】の前にやっていた詠唱は完全にテンション上げる為なので、ブーストニキは(なんなら作者自身も)詠唱の意味を全くもって理解しておらず、唱える事によるメリットは集中力を上げる事しかないという、クッソ不敬な事やってます(笑)

 そんでもって結果は分かっていた通りショタオジの圧勝、唯の生産職が盟主に勝てる訳が無いので当然の結果ですね、序でに言えば最後の冷や汗云々も唯のリップサービスです、ショタオジはアクマじゃないから実際の所は分からんしね。


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第四十二話 追加の罰とやらかしの報い

 感想にて納得の指摘や『イキリ太郎やん』や『ギャフンが足りない(意訳)』といった内容が良く送られるようになり、自分が何も考えずに書いたらどれだけメアリースーになるのかを痛感しましたね…それにしても皆さんのご指摘は耳が痛いけれども凄く納得出来るものが多くて中々に悩ましくなって参りました。

 そんな訳で感想の意見を取り入れて自分なりにやってみたギャフン回となっております、後今回アンケートをやっているので出来れば投票の程宜しくお願い致します。


 てな訳で先日の罰として根願寺及び自衛隊への出向禁止と、ショタオジの創った第二電脳異界【テラ】の管理人として添えられる事となりました…アァン、ナンデ?(レ)

 

「参戦するだけだったら自衛隊ニキと比べて罰が軽いのと、この前勝手に追加の覚醒修行擬きをさせようとしていたからだね」

「え〜…でも実際アイツらの素行調べたらサボってばっかで殆ど何も働いてなかったどころか、連合にとって不都合な事*1ばっかりやらかしてたから、差し引きでアイツらの自業自得って事になったじゃん」

 

 アイツらやる夫さんが預かって担当していたペルソナ使いにまでちょっかい掛けてたんだから、普通に考えてアウトじゃね?

 

「それはそうだけど、それを置いておいても勝手にあそこ迄やるのは宜しくないから、その事についての罰といった感じだね」

「あそこ迄って…連続自爆死体験の事か?」

「あれで鍛えられるのは精神力位だからね、後は何度も蘇生させられるからもしかしたら【食いしばり】系のスキルを習得するかって程度だね」

「そっかぁ…」

 

 覚醒者だから出来る装備品による【自爆*2】による死亡経験及び、それに巻き込まれる事による爆死経験からの蘇生を集めた奴等で各々一回ずつ体験させ、いざという時の覚悟を付けれる様にして精神を鍛えさせようという内容だったんだが?

 

 別に一日中やる訳じゃなくて全員が一度【自爆】し終えたら終わりなんだし、そこまで酷くは無いんじゃないか?

 

 …まぁ、モタモタする様だったらこっちから操作して【自爆】させる位はするつもりだったが。

 

「いや、君が思ってるよりも非人道的だからねそれ?」

「そうかな? …本当にそうかな?」

「ネタじゃなくて真面目にそう思っている…だと!?」

 

 いやだって、敵に捕まって拷問されるとかそんな状況想定したら、いざって時にクソみたいに苦しむ羽目になる位なら、いっその事一瞬の痛みで消し飛べた方が楽だし、復活する為の手段を確保出来てるんだったら寧ろ反撃への一手に出来そうじゃないか?

 

「少なくとも俺の戦術の一つには『蘇生手段が危険値になるまで只管【自爆】を繰り返す』っていうのがある位には有利技扱いなんだが?」

「それ下手にやったら相手によってはそのまま魂盗られるヤツだから絶対駄目だよ?」

「言われなくても俺だって仲魔が居ない時に厄介な雑魚の群れに囲まれた〜とかでない限り、損失の方が多くなるから絶対にやらんわい」

 

 なんせ敵味方問わない無差別技だからな、一応三人とも【収納ポーチ】に仕舞ってから【自爆】するっていう手もあるけれど、それするくらいならバフ掛けて敵切り捨てる方が何倍もマシだからな。

 

 …てか本音を言えば【自爆】したら復活出来るとはいえ、前提行為として『命を捨てる』から、連続使用したら絶対弱体化するだろうから、(二重の意味で)死ぬ程痛いんだよな…。

 

「まぁ積極的にやらないのなら良いか…それともう一つは普通に高度な異界・霊脈技術はガイア連合の秘匿技術だから、情報流出の懸念がある外部組織との演習で使うのはアウトだからだよ」

「うん? …え、あれ? あ、これマジで俺のやらかし案件だったのか?」

 

 え、てっきりあの演習で俺が自衛隊側として駆り出されたのって、寧ろガイア連合の技術力の一端を見せつけろって事だと思ってたんだが?

 

 現状でもレベル30も行かない面々ばかりの自衛隊の前で、ド派手な演出をする事によってそんな事が出来る技術を持つガイア連合と友好的にする事による旨味と、それらによって登場するレベル50超えの容易に相手を虐殺出来かねないアームズフォートによる脅威、そしてそんな存在を相手に言動から分かる通り容易に制圧する事が出来てしまうショタオジという逆らう事すら馬鹿らしくなる超存在…普通にヤバくないか?

 

「確かにあの演出は自衛隊にとってはとても有効な手段だったのは認めるよ、だけど正直そこまでやるのは過剰過ぎだったんだよ…ブーストニキも異界から出た後の彼等を見てただろ?」

「あ〜…うん、殆ど絶望してたもんな…え? つまり俺避けられてたのか…」

 

 あの後最初は分からなかったけど、なんか自衛隊での居心地も微妙に悪くなってたしな…流石にやり過ぎだったって事か…うわぁ、申し訳ねぇ…。

 

「あ…いやでも、技術部隊の連中は寧ろめっちゃ寄ってきたぞ?」

「そりゃ自分から技術者やってる連中なんてマッドの集まりだから当然でしょ…」

「………」スッ

「目を逸らしても現実は変わらないよ」

「いやそうだけど…そうなんだけどさぁ………そうかぁ…そういう風に見えちまったのかぁ…」

 

 つまりあの時の引いていた目は、俺の事をバケモノだと見る目だったって訳なんだよな…。

 

 いやまぁ、確かに派手にやり過ぎたのかもしれないけれど、頑張った結果ぎコレっていうのは…うん、なんか辛いなぁ…。

 

「つまり自衛隊への出向を禁止するっていうのは、俺と自衛隊互いに距離を置いた方が良いって事も理由の一つだって捉えれば良いのか?」

「そうだね、それに加えて根願寺への出向も禁止しているのは、ブーストニキってある程度やれると思ったら直ぐに行動に移す事が多いから、それで今回みたいな秘匿技術を出されたりしたらまた問題になりかねないからね、今回みたいなやらかしをされる位なら、君には完全に傘下となっている他の組織以外へと関わる事は許可出来ないよ」

「………」

 

 なんとも尤もな理由と結果であり、ぐうの音もでないとは正にこの事だろう。

 

「皆良く頑張っているから俺も張り切ってたんだけどなぁ…間違えちまっていたのかぁ…」

「ひたすら貪欲な迄に頑張るのは君の美徳なのかもしれないけれど、今回については寧ろ頑張り過ぎだったから間違えた感じだね」

「やるせないなぁ…」

 

 なんか…下手に根願寺の件で上手く行き過ぎてた感じなのかね? もしかして根願寺の時もこんな感じで引かれていたりしたんだろうかねぇ…。

 

 駄目だ、この事考えていたらドツボに嵌る…ただでさえ気が重いのに今迄もやり過ぎて引かせてたかもしれないとか考えたら鬱になりかねん…。

 

「さて、そんな訳でこちらの都合もあるけれど、主にブーストニキがやらかさない様に行動を制限させてもらうっていうのが今回の罰の内容な訳なんだ、それに併せて山梨第一支部に居てもらう間にして貰いたいのが先程も罰として言った通りの第二電脳異界【テラ】の管理だね」

「いや、別にそれについては俺のペルソナが作る側の人間だった【エジソン】から、最早機械そのものでもある【DEM】になった事で親和性も増してやり易くなってるから良いけれど、そんな事が罰になるのか?」

 

 正直今回やった話で傷心してるだろうから、他人とあまり関わらずに済む様に電脳異界の管理人任せるっていうのならまだ人間味を感じられるが、相手は平然と生馬の目を抉る事だって出来るショタオジなんだし、多分しっかり俺にとっても罰になる様な面倒事を投げつけて来るつまりなんじゃないだろうか?

 

「なるなるなるなるメッチャなる、いや〜ほら僕ってば術式なんかは出来るんだけど、プログラムに関しては最近始めたばっかりのアマチュア*3だからデバッグ作業に時間が掛かっちゃうんだよね〜」

「あぁ…第一異界である【アルカディア】の時点でデバッグが出来てないっぽいのに、【テラ】は下手にコピペしまくって拡げたせいで色々不安定な場所もあるんだっけか? それなのに管理人足りないからデバッグが追い付かなくなくて…それで丁度良く管理するのに向いてそうな俺が罰受ける事になったから押し付けようと…まぁ良いか、それじゃあなんか必要な知識があるならいつも通りぶち込んどいてくれ」

 

 やるべき事はちゃっちゃとやってしまいたいからな、時短の為にはこの手に限る。

 

「うんうん、罰とはいえしっかりと引き受けてくれて本当に助かるよ…それじゃあ【テラ】の世界情報の序でに上級神クラスの世界管理権能と信仰MAGの受け皿としての権利もあげるから、後は宜しくね〜」

「ちょっと待てなんか聞き捨てならない要素が「罰の内なのでクーリングオフは不可能でーす」ぐおおおおおおっ!?」

 

 いや、マジで信仰MAGってなんの事だよ…?

*1
黒札から紹介されて入った金札へのパワハラやモラハラ等

*2
敵味方全体に万能ダメージを与え、自身を戦闘不能にする

*3
尚ルシファーの知識により腕前はプロ顔負け




 作者が考えたそれっぽいギャフン回はどうだったでしょうか?

 取り敢えずトンデモない超人であるショタオジについては思考が止まりそうだけど、ヤバい性能の機械群を使役するブーストニキは銃火器っていう自分達も扱うそれらを遥かに進化させた物なせいで理解出来てしまうから、そんな物を次々扱うブーストニキは恐怖の対象だろうなって思うんですよね。

 てな訳でブーストニキ、一月もしない内に自衛隊への出向禁止令発令です。

 そして次のお仕事の場所は第二電脳異界【テラ】で御座います。

 【アルカディア】と違ってデバッグ作業やってる奴が欠片たりともいない中で、アホみたいな面積の異界を神主ロトムと一緒に開拓()する内容となっていますが…取り敢えず続きがどうなるかはアンケート次第ですかね。


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第四十三話 裏の理由とそんなもんな人生

 先ずは謝罪させて下さい。

 まさかのアンケートが様式美として入れた『どうでも良いから続きを書け』が一番に来てしまったのですが、取り敢えず今まで通り更新する事にはしつつ、アンケート期間の間も考えていたので申し訳ないですが2と3の合わせでやっていこうと思います…4に投票してもらった方には無駄にアンケートしてもらった事になり申し訳ありませんでした。


「ぐ、痛たたた…何度かやってるけどこうも痛むっていう事は、やっぱり単純に俺の力量が足りてないからなんだろうなぁ…」

「いや、それ以前の問題で、今回は権能レベルのものが含まれてるから、それが今のブーストニキの器には厳しかったっていうだけの事だよ?」

「おー、ロト主お疲れさん…その様子だと待たせちまったみたいだな、すまんかった」

 

 目が醒めていつも通り頭に走る激痛を慣れたものだと思いながら起き上がると、すぐ側で俺の目覚めを待っていたロトムの姿をしたショタオジの分身である、俺の通称『ロト主』が暇そうに上下逆様になりながら浮かんでいた。

 

「どうせ余裕が出たら電脳異界の調整しなくちゃならないから大丈夫だよ〜」

「うへぇ…相も変わらずショタオジは本体も分身もワーカーホリックだな…」

「ちょくちょく当然の様に過労死しているらしいブーストニキには言われたくないかなぁ〜?」

「俺の場合は遣り甲斐味わっていたら死んでるだけなんで、問題はあるけど大丈夫なんですぅ〜」

 

 やりたい事やって楽しみながら死んでるだけなのに過労死って正直おかしいよな、普通に死ぬ時も痛い訳じゃないしそこまで苦しくもないから、楽しいまま『フッ』と意識が無くなって気付けば蘇生させられている感じなんだよな。

 

 …まぁ、多分アドレナリンとかそんな感じの脳内麻薬の影響なんだろうけど、そのせいで蘇生した後は滅茶苦茶怠いんだよな…グエー、って感じだ。

 

「てか取り敢えず現状の【テラ】について確認しておかないと駄目なんだが…なんか感覚がおかしい様な…?」

 

 具体的には身体の関節が殆どなくなった様な感じが…。

 

 違和感について即座に視線を自身の身体に向けてみると、なんとも見覚えのある四角い膝も肘もないブロック状の手脚と身体が視界に映った…。

 

「いや、なんで【スティーブなりきりセット】を着せられてるんだよ…」

 

 しかも【変化:A】付いてるから身体まで変化するタイプのヤツだし…。

 

「あ、それは本体が前々からブーストニキに手伝って貰う時に使って貰おうとして準備してた変装と権能使用する為の補助具だね」

「変装って何があったし…いや、それよりもそうだよ、権能についてなんの事なのか教えて欲しいんだが?」

「そのままの意味で【テラ】の整備をし易くする為の権能だけど?」

 

 いやだからそれが分からないんだよ。

 

「なんで整備するだけなのに【権能】なんて仰々しいものになったんだ? 別にショタオジが作った世界なんだから【権限】程度で良いだろう?」

「う〜ん、それについては別に本体もこの電脳異界についてはそこまで執着が無いから、連合の皆で好きにしても良いから手を加え易くなる様上げているって所だね」

「理由雑過ぎだろ…」

「後広過ぎて【権限】だとマトモに対応してたら時間掛かり過ぎるからね、早く楽したいから【権能】をあげた感じかな」

「オイ絶対そっちの理由が本音だろ」

 

 いや確かに今調べてみた感じマジでこの【テラ】が広過ぎるっていうのは分かるけどさ…。

 

「いや、他にも理由はあるよ?」

「ほう、楽をしたいといういかにも【俺ら】らしい理由以外にも訳があると? ならばその訳を聞かせてもらおうか!」

「ブーストニキのペルソナが【DEM】にペルソナ変化した影響で性質が変化し始めてるから、いっその事信仰MAGの扱い方を学んでもらおうと思ってね」

「…は?」

 

 てっきり悪ふざけ全開なネタが飛んでくるのかと思っていたので、こちらもテンション上げ上げにして待ち構えていたのだが…いやちょっと待て、マジでどういう事だ?

 

「すまんロト主、ちょっと理解が追いつかない…説明してくれないか?」

「いや、そりゃあ神性獲得していたり、材料を現地調達したと言ってもリアルでアームズフォートを作り出せる位なんだから、変質してない方がおかしいでしょ」

「え、マジでヤバい感じなのか今の俺って?」

「ヤバいかヤバくないかで言えばギリギリかな? ブーストニキって神に対する不信感からペルソナ変化させた訳だけど、それで『機械仕掛けの神』なんていう無個性の極みみたいな神格になっちゃってるせいで、下手したら四文字扱いされかねない位にはヤバいかな?」

 

 …ッスー…。

 

「よし今から死ぬから葬送頼むわ」

「寧ろこんな状態で自我消したら統合され易くなるし辞めてよね?」

「よし死ぬの辞めた、ロト主対策教えてくれ、いや教えて下さいお願いします」

「わぁお、美しさすら感じる見事な土下座…」

 

 あんなヤツ扱いされる位なら死んだ方がマシだけど、死んだら更にヤバいとかどうすれば良いんだよ…。

 

「取り敢えずブーストニキに必要なのは、一つは単純に個を強めて新たな機械神になる為自身の存在の格…つまりはレベルを上げる事と、もう一つは周りからの影響を制御する為に信仰MAGの扱いを覚える事だね」

「…つまり【軍勢変生】の影響でレベルが上げ難くなっているから、先に技術を習得して勝手に送られてくる信仰MAGの扱いを覚えろ、そう言う事なんだな?」

「うんその通り、僕達としても身内に四文字又は四文字の触覚が出来るとか死んでもごめんだからね」

 

 あんなのが組織探ってくるとかヤバいなんてレベルじゃないからな…連鎖して天使まで湧いて来そうだし本気でやらないとな…うん?

 

「そういえば以前ニャルのデビルシフターを変化させてたけど、あの技術の応用は出来ないのか?」

「別に出来なくはないけど…あれは言っちゃえば体質改善みたいなモノであって、君の場合はアルカナが【愚者】…即ち【ワイルド】じゃないから、変化させた場合はブーストニキはブーストニキじゃなくなってしまうだろうね」

「…それは流石に最後の手段だな…」

 

 流石にヤバくなった場合はそれも手段の一つにさせて貰うが…兎も角そんな未来にならない様に、しっかりMAGの扱いを憶えるぞ!!

 

 …尚、後々外部の人間を招き入れる事になり様々な理由で発生したMAGの消費先として送り込まれる事になるのだが、その大半はやる事が無いが故に行われる自慰行為によるエロMAGな模様…俺は廃棄孔じゃないんだぞくそったれめが…(by未来のブーストニキ)

 

「そういえば、この補助具を身に付ける事で権能が使える様になる訳じゃないんだな…なんと言うかマジで俺が権能を上手く使えるようにサポートしている感じか?」

「権能自体はブーストニキ自身に付与されてるけど、その補助具は装着している間だけ装着した人の一番得意な資質を弄る事で、先に決めておいた資質について習得し易くなる機能が付けられているんだ」

「へぇ〜、資質の操作…いやいやちょい待て資質の操作ぁ!? ショタオジそこまで出来る様になったのか!?」

 

 一瞬ショタオジすげーで流しそうになったけれど、ちょっとこれは聞き逃さない内容だぞ!?

 

「うん、資質の操作だよ、ブーストニキが来て【軍勢変生】の影響を見てから時々暇を見ては製作していたんだけど、前々から資質と性格が合わない俺達も結構居たから悩んでたんだけど、その問題が解決して暫く前に出来た感じだね」

「マジかよなんで俺知らなかったんだ…って、もしかして自衛隊に出向してたからか?」

「そうだね、丁度その時期だよ」

 

 う〜んなんともタイミングが悪かったのか…いやまぁ、そんな事はどうでも良いんだ重要な事じゃない。

 

「もしかしてその技術を習得すれば、俺もちゃんと戦闘系を習得出来るかも知れない!?」

 

 そう、諦めていた事が可能となるかもしれない未来が見えて来たのだ、これは夢が膨らむぞ!!

 

 尚、現実は俺にとって厳しいモノだった模様。

 

「あ、ゴメンだけどブーストニキは無理だよ?」

「え゛?」

「だってこれ一番得意な資質から本人が扱える最高資質を、補助具で指定した他の資質の空き容量へ何割かロスしながら反映させるっていう代物なんだけど、ブーストニキの場合は戦闘系なんかの資質の空き容量そのものを削って【軍勢変生】作ってるんだもん、割り振る先自体が無くなってるから割り振ろうにも割り振れないよ」

「…マジで?」

「マジで、割振れるとしたら最近になって生えて来たエロ方面位じゃないかな?(笑)」

「ウソダドンドコドーン」

 

 はー、人生ってやっぱりクソゲーですわ!!




 なんか変なテンションになったりしてるブーストニキですが、ただ単に現実辛くて無意識の内に現実逃避しているだけです、推しに拒絶されるとかファンとしては死にたくなるだろうからね、仕方ないね(遠い目)

 所でブーストニキに電脳異界作らせておいてアレだけど【俺ら】の中には普通に異界作るのに適性がある奴も居たんですね(まとめサイトの『終末後の推し活動』参照)まぁ、あの結果が彼にとって幸せか不幸せかと聞かれれば…(目逸らし)


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第四十四話 ブレないアンチメシアン思考

 そういえば転生者は前世の世界に居たアクマの転生体との事だけど、ブーストニキそこら辺の情報出る前に出したから当て嵌まるヤツが思い付かないんですが…苛烈な生産系(しかも何故かエロにも派生する)ってなんだよ…。

 しかもよそ行きバージョンの渾名が魔王呼ばわりなのに、マジで魔王な甘っカスな転生者も出て来るし…これじゃあ魔王名乗れないよorz


「そういえば、現状ブーストニキって何処まで出来るんだい?」

「何処まで…とは?」

 

 ロト主から『取り敢えず世界の法則に介入してみようか!』とかいう無茶振りをされ、四苦八苦しながら(ショタオジ基準での)ガバガバ管理されている電脳異界に対してハッキングの要領で地道に介入していると、当のロト主からそんな要領を得ない質問が飛んで来た。

 

「いや、本体から聞いておいてくれって言われてたんだけど、ブーストニキの地元である丹後半島と近海十キロの地脈にブーストニキのMAGが流れ込んで来たから、何かアイテムでも仕掛けたのかなって」

「あぁ、暫く前*1に霊脈に埋め込むタイプの楔を作って埋め込んでたんだけど、空港なんかの結界を日本メシア教の連中と張る時に連中、俗に言う過激派のゴミども言いくるめて海外に誘導したらしいじゃん?」

「そうだね、だからこそ日本に残っているのは風見鶏な穏健派だけで、彼等は現実見てガイア連合に頼っている訳だもんね」

 

 正直な所アイツらに寄生されているように思えるから、俺としては今の状況って虫唾が走る位なんだけどな…まぁマジで腹立たしいけど、力が無けりゃあ何も出来ないのがこの世界でもあるから何も手出し出来ないんだよな…泣けるぜ。

 

「まぁ、そんな訳で過激派が居なくなった今なら、ある程度大胆に動いても大丈夫だろうと考えて埋めておいた楔を起動して、地鎮と霊脈の安定化を図ってみたんだよ」

「あぁ、それでブーストニキのMAGが地脈に流れ込んで来てたのかい…いや、この際だからハッキリ言うけど、ブーストニキのMAGって人間や式神以外にはデフォルトで怨念染みた悪意が混ざり込んでるから、地脈が汚染されないかヒヤヒヤするんだよね」

 

 えっ、何それは…いやちょっとマジで待って、何俺そんな厄ネタ仕込んでたの? もしかして特級呪物かなんかだったの?

 

「もしかして俺の設置した楔撤去した方が良かったのか?」

「いや、そんな事はないよ? そもそもあの楔だけならブーストニキの想定通りに地脈を安定化させてる程度で済むだろうし…ただまぁ、少なくともブーストニキが嫌う相手は無意識に丹後半島から離れようとするだろうね」

「つまり出力を上げればメシアンやアクマが地元から居なくなる可能性がワンチャン…?」

「他所に流れ込んで混乱の元になるだけだからやめてよね? まぁ、この前の日本メシア教トップとの会談で、少なくとも丹後半島に駐在しているメシアンが引きこもりになって教会から出てこなくなった上、相談しようとした友人メシアンが丹後半島訪れたら教会以外の場所では寒気がすると相談して来たとかいう話が雑談で出て来たから、もう既に手遅れなんだろうけど…」

 

 つーまーりー…?

 

「少なくとも地元ではメシアン見ずに済むんですね? やったー!!」

「いや、なんか向こうも不審がってて人員増やして原因探るって言ってたよ」

「それって滅茶苦茶メシアンが増えるって事じゃないですかやだー!!」

 

 …でも普通に考えて肉体持ってる人間が自分の領域(この場合は教会)から出たくなくなるとかヤバい…ヤバくない?

 

 …まぁ、そこら辺は注文が来てから考えれば良いか、別に身内に被害がある訳じゃないし。

 

「一応理由も分かった事だから、向こうにはこっちから説明しておくよ」

「え、そんな事してもらって良いのかロト主?」

「だって君メシアン目の前にしたら殺しかねないでしょ?」

「実際一度アポ無しで家に来たメシアンを首チョンパしたしな」

「そんな君を他のメシアンに会わせに行かせるとか、普通にアウトだと思うんだ*2

 

 うむ、我が事ながら我慢出来る気全然無いしな、その判断は正しいわ。

 

「それにねぇ…うちのスタンスもちゃんと分からせる良い機会だと思ってね」

「うん? …なんか嫌な予感がして来たんだが…?」

「おっ、相変わらず良い勘してるねぇ…うん、この前の会談の時にちょっとリップサービスが過ぎたみたいでさ…穏健派のメシアンがこっちの事カレピ扱いしてるんだ…」

 

 ヤらねば(使命感)

 

「………」スチャ(E:呪詛により変質している大鉈)

「こらこら、無言で武器を装備しないの」

「取り敢えず上位陣三人程ん首を取れば良かろかぃ?」

「似非薩摩弁になってもダメだから、それにそんな事したら折角海外に出て行った過激派が戻って来ちゃうでしょ」

「チィッ!!」

 

 おのれメシアン、手を出しても出さなくても面倒臭いとか何処まで行っても鬱陶しい奴等めぇ…。

 

「う〜ん、最早悪党染みた表情…相変わらず殺意だけは凄まじいというか、殺意だけである事にホッとするべきか悩ましいなぁ…」

「それを言ったらお終いだろうが!?」

 

 気にしてるんだから言外に戦力外通知するのやめてくんない!? 一応タルタロスの下層なんかも利用して頑張ってレベル上げしてるんだからな!?

 

 …まぁ、ミナミィネキとヤってからレベルが上がってないという現実からもう既にお察しなんですけどね? 最近エロい事やってた方がレベルが上がり易いんじゃないかと思えて来てるんだが…サバト(意味深)でもやれば一気にレベル上がるのでは?(錯乱)

 

「まぁ、そんな訳でちゃんと向こうにもその事を分かってもらえるように、ブーストニキを例に出して『ガイア連合は多種多様な考えの者が居りますので、当然この様な者も居り、そこの所は御了承下さい』って釘刺しておこうかと思ってね」

「成る程…いやそれつまり俺説得すれば良いじゃんとか考えて訪問してきたりしないか?」

 

 アイツらの事だから洗脳とか常套手段だろうし、例え話に聞く穏健な奴だとしても「神の愛を伝えればきっと理解してくれる筈!!」とか頭お花畑な事言って、クソどうでも良い興味も無い説法を延々としてくるっていう自信があるんだが?

 

「まぁうん、するだろうねぇ…」

「そもそも来たら反射的にそのままぶっ殺しちゃうんだが?」

「いやいや、幾らブーストニキでもそこまでは流石にタチの悪い冗談「したぞ?」え?」

「だから、首チョンパしたぞ? 前に来たアポ無しで来たメシアン…ショタオジに話してなかったっけ?」

「…念入りに忠告しておくね?」

「それでも来る様だったり嫁や身内に手を出そうものなら、例え死ぬのが分かっていても殺しに向かうつもりだが…取り敢えず証拠として俺の思念固めたマグネタイトでも用意した方が良いだろうか?」

 

 試しにMAGが物質化し易い電脳異界環境でアンチメシアンの感情オンリーなマグネタイトを作ってみると、最早黒一色で光を一切反射しない、硬質で真球をしたマグネタイトの結晶がそこには出来上がっていた。

 

 …これは中々良い素材になるのでは? いや、普通に元(俺)のレベルが低いからそこまで高い効果は出ないか、せめて触媒程度だな。

 

 まぁ、コレ見ても来る様だったら本当に自殺志願者として切り捨てるって事で…一応面倒にならない様に蘇生はさせるけど、蘇生させてもまだ囀る様なら即座に斬り捨てるし、一線踏み越えたらコレ使った道具でマジ呪うぞ。

 

「…うん、一切の歪みも無い綺麗なまでの真球をしたマグネタイトだね、普通マグネタイトってもっと色々な形をとるモノだけど、ここまで綺麗な真球にするとは腕を上げたねブーストニキ」

「ロト主、遠い目している所悪いがそれはアンチメシアンの事考えて作ってる時だからだぞ? 何も考えずにマグネタイトを作ろうと思ったらもっと違う形になるからな?」

 

 証明の為に今度は何も考えずにただマグネタイトを作る事だけを考えて結晶化させると、ある程度球体であっても普通にゴツゴツした見た目のモノが出来、そんなマグネタイトを見てロト主はまた遠い目をした。

 

「取り敢えずコレらを見せて説明すれば流石の頭メシアンも納得してくれるだろうから、それに追加して一応匿名という事にしてブーストニキの名前は出さない様にしておくよ」

「一応支部長って事で普通に凸されそうだけど…まぁ、その時はこっちで対処()しておくわ」

 

 そういう事になった。

 

 因みに当然の様にメシアンは来て、一応アポ取って来たので話には着いたが、やっぱり頭メシアンだったので丁重に首取ってから蘇生させてお帰りいただいた、本当にアイツら面倒だな。

*1
拙作の『第三十五話 ブーストニキの終末対策』の時

*2
注:冗談だと思ってます




 取り敢えずガイア連合にはアンチメシアンな奴も居る事を伝える事が出来たので一安心しているけれど、肝心のブーストニキの周りにはメシアンがチラホラ寄ってくるようになったという…まぁ、下手したら殺されかねないんですけどね?

 因みに途中でトチ狂ったブーストニキがエロレベリングとかほざいてたけど、実は一気に経験稼ぐよりも房中術なんかでジワジワと稼いだ方がレベルキャップに引っかからないから当たらずとも遠からずだったり…実際ショタオジ笑い殺した時以外はエロで大半稼いでいたのでなんだかなぁ…。


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第四十五話 続・出来る事と頼み事

 感想で前世何の転生体だったかについて聞いてみた所、スサノヲが意外とブーストニキと共通点が多かった事にビックリした作者です。

 …まさか母親が死んでいる事だけでなく、縁結び(ヤらないと出れない部屋の事)まで重なるとか誰が想像出来たよ…。

 まぁ、一番問題なのはやる夫さんの本来のペルソナがジョニデ似の『アイツ』だって事ですけどね!! アンチメシアンがアンチなのはメシアンだけって事にするべきか…?


「うんまぁ、ガイア連合の狂犬注意な事実は置いといて話を戻すけど、ブーストニキ…というかDEMが出来る事の詳細って分かっているのかい?」

「そう、だな…まず一つは初めてDEMを自覚した時にショタオジの前でも見せた工場化、展開した大きさによって出来る物も変わるけれど、最低でも本体の大きさの影響もあって、素材さえあれば簡単な防具程度なら安定して作れるし、相変わらず大量生産は得意だから銃弾なんかも大量に用意する事が出来るな」

 

 因みに現在進行形で外ではそれらを含めた消耗品がガンガン生産されているのだが、何が一番チートかと言えば必要なのは作る為の資材と俺の召喚コスト位だけであり、その召喚コストも極々軽微で燃料とかも必要無い上にメンテナンスフリーな点だよな。

 

 …でも多分コレについても戦闘系の資質が無くなった反動だろうから、元通りならもっと違うパターンあったんだろうなぁ…。

 

「うん、そのお陰で特に消耗品に関して手を取られる事が無いのは有り難い限りだね、お陰で新しい研究や開発に集中出来る訳だし」

「まぁ、品質の方も相変わらず一歩及ばないから、時々は技術部の方でも作ってやった方が良いとは思うんだがな…」

 

 因みに最近よく作っているのは各種属性弾なのだが、実は【俺ら】内での消費先は初心者や危険を犯したく無い連中と、一部の銃に適性があった奴等だけであり、製作した大半の弾丸は自衛隊が消費しているとの事。

 

 …例え怖がられていたのだとしても、彼等の助けになれているのならば俺は本望だよ…。

 

「…次にペルソナが製作側じゃなくて機械そのものになった影響からか組み立て専門だった【アッセンブル】から派生習得した電脳異界だけじゃなく、現実の機械にまで分解から再構成と影響を及ばせる【スクラップ&リビルド】と、俺か分身が搭乗している事が前提だが、搭乗機体の性能を凡そ倍にまで強化する【チューンナップ】…コイツらは自衛隊との演習でショタオジ相手に使ってたヤツだな」

「別に大した強さは無かったけど、いきなりグレートウォールが作り上げられて行ったのはちょっとテンション上がっちゃったね」

 

 分かってた事だけど、サラッと言われるには傷付く言葉だわぁ…。

 

「…楽しんでもらえていた様で何よりだよ…あぁ、因みにあれについて実は俺の分身を入れておいたターミナルを事前に置いといて、製作と同じタイミングで電脳異界をグレートウォールに対して結界みたいに限定展開して隠蔽施してたから、実は演習場の外からはグレートウォールの姿や砲撃は分からなくなってたのは気付いてた?」

「知ってた」

「ですよね〜…」

 

 う〜む、例えロト主であろうともズバッと無慈悲に切り捨てるな…精進が足りん。

 

「そんでもって【俺ら】の影響で少なくとも先進国ではネット環境や電波環境が整っているから、それを利用した電脳異界の創造とその中での悪巧みって所だな、本来ならアームズフォート全部作って分け身じゃない分身添えてから呼び込むつもりだったのに、ショタオジったら速攻で見抜くからエンタメ出来なかったよね」

「う〜ん、流石にその量をアレ(ゲームモードの事)でやるのは面倒だし、そうなってたら最初から容赦無く全力出して電脳異界壊してたんじゃない?」

「…寧ろエンタメとしたら丁度良い塩梅だったのかよあの状況…」

 

 まぁ、一応制限時間あった訳だから、そこまでして俺に付き合ってくれる理由なんか無いわな。

 

「それで話を戻すが、先に言った生産能力と電脳干渉能力を組み合わせれば、DEMを繋いだ電子機器からも制限は掛かるがアイテム生産とか出来るかもしれない…と思う」

「珍しく断言しないんだね?」

「いや、一応俺だってあそこまで言われたら反省するっての…まぁ、何となく感覚で出来そうな範囲を探る為に電化製品見て回ったけど、多分前提として必要なのは『通信機能が有り』『液晶パネルか映像を映し出す事が出来』『タッチパネル又は簡易的なコントローラーが有り』『最低限スマホ程度のサイズが必要』って所だろうかね?」

 

 …いや、自分で言っといてなんだけど、この条件って何だかなぁ…。

 

「それの条件って結構ガバガバだよね?」

「おう…多分やろうと思えばテレビとリモコンでも出来るし、映画館の射影機でもやれる気がしてる位許容範囲が広いんだよな…」

 

 つまり電波がある場所なら大体の通信機器で利用出来てしまうのである、俺の能力ってなんか矢鱈とガバガバというか制約が緩い所が多いよな?

 

「まぁ、なんて言ったってかなり新しい時代に概念が出来た機械の神だからね、そこら辺の融通は効かせやすいのかもしれないよ?」

「新しいから強度が弱い代わりにやりたい放題ってか? まぁ、流石に取り出し口である画面とか電波環境によって出来る事は制限受けそうだけど、後者に関しては今連合って作ってる【COMP】、アレがあれば少なくとも最大一回で百発、AK-47に換算すれば弾倉三つ分は作れる筈だ」

「なんでAK換算?」

「いや、弾倉毎製造しようと思ったら丁度三つ分出来そうだったから…」

 

 弾倉一つは約3.3発分だったからね。

 

「あ、因みにこれは本体限定だけど、どうにもエジソンだった頃から俺が使う機器は物理的に壊されない限り故障する事は無いみたいだぞ? なんか直に影響を受けるからか常に調整されてるみたいだわ」

「地味に便利だけど、別にそれ日本に居て使われる事なんて無いんじゃないかな?」

 

 うん、マジでロト主の言う通り、この能力ってワザとヤバい場所に行ったりしない限り、日本だと全然実感出来ないんだよなぁ…。

 

「だからこそエジプト脱出の時まで気付かなかったんだよなぁ…途中逃げながらちょくちょく車体を調べてたんだけど、全く問題起きてないから漸くおかしい事に気付いて発覚したんだが、どうにも軽い凹みや磨耗程度なら勝手に直るっぽいんだわ」

 

 多分レーシングカーで爆走していてもタイヤ交換不必要程度の補助機能だな、エジプト爆走してた時も何回か盛大に跳ねたからヤバいかと思ってたのに、フレームどころかタイヤも問題無く使えた位だし。

 

「…所でロト主、ちょっと相談に乗ってもらっても良いか?」

「ん〜? 特にガイア連合に不利益にならないなら大丈夫なんじゃない?」

「いや、さっき【COMP】使えば遠隔地でも生産出来そうって言ったじゃん? それってつまりその【COMP】の周りに俺の影響も及ぼせる訳だから、繋がってる【COMP】を通じて受信者に【軍勢変生】を掛ける事も可能だと思うんだよ」

 

 多分これなら発信拠点で対面せずに済むからそこまで迷惑は掛からない…よな?

 

「おぉ、あの思い付いたからって即座にやらかすブーストニキが、本当に反省しているのか事前に許可申請してる…」

「いや、これについては昼休みにゆきかぜと電話してた時に、俺と電話してる間は元気が湧いてくるって言ってたんだけど、丁度その時飯食いながら【軍勢変生】使ってたから、もしかして通信越しでも可能なのかと思ってな…思い付いたら即行動なのは、組合の時に少しでも現状を良くしようとして、思い付いた事全部実行していたからノンストップだったんだよな…」

 

 まぁ、少しずつ良く出来ていてもそんなの俺が生きている間だけだって考えていたからな、少しの時間も無駄には出来なかった結果が『即断即決考え無し』っていう状態だったのは認める。

 

 正直よく詰みにならなかったなとは思うけれど、そこら辺はあの異界が元々訓練用だったって事なんだろうな。

 

「まぁ、別にちゃんと話を通せば良いんじゃないかな? お気にの金札を強くしたいって考える黒札も多いだろうし、ある程度制限設ければ通るんじゃないかな?」

「よっし、ロト主がオッケー出したなら多分大丈夫だろ…いやでも発信中何か映像でも流しておくべきかね?」

「いや、そのスキル使ってる間は戦闘中なんだろうし、大人しく無音で黒画面でも流しておきなよ」

 

 俺が少しでも良い配信を考えるのに、ロト主は酷い言いようである。

 

「でもただの黒画面とかなんか出てきそうじゃない? 最近キョウジさんがそこら辺の都市伝説とか怪談まで管理下に置き始めたから、そういった連中が存在しているって分かってるから不安なんだが?」

「なんかあの人もあの人で最初とキャラ変わり過ぎじゃない? 最近漫画やゲームとかのキャラクターみたいな動きし始める様になったんだって?」

「そんな事言ったら俺らだって前世から見ればその手のキャラだぞ?」

 

 尚、この会話をしている二人はマイクラのスティーブとポケモンのロトムである…どう見たってよく分からん絵面だな、ヨシ!!




 因みにこんな風に駄弁ってますが、現在真面目に修行している最中だったりしています、分身扱うんなら並列思考は出来ないと脳の処理とか追いつかないからね。

 …そこら辺考えるとナルトって頭の中どうなってるんでしょうね? 影分身の術って分身が消えた時にその経験がフィードバックされるってものですが、それでも幾つもの影分身を長時間ザラに出してたらその経験も莫大になってフィードバックされる訳だから…アイツってマジもんの天才なのでは?


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幕間 その頃の掲示板 その2

 ちょっとエタったと思っていた作品が更新された喜びで最初から読み返していたら見事に更新すっぽかしていた作者です(オイ)

 で、何書こうとしていたのか忘れてしまうという大失態を犯してしまったので急遽掲示板回にしたのですが、今回はサイコロ振って展開を決めてみたんですよね…まさかな展開になったので笑いながら書く事になってしまいましたが…。

 それではどうぞです。


50:名無しの転生者

 なんかリアルアーマードコアしに来たら、ターミナル前に人が倒れてたんだけど…。

 しかも周りに相談したら、さも当然の様に専用式神らしき子が三人来て運んで行っちゃうし…。

 

51:名無しの転生者

 えぇ…(困惑)

 

52:名無しの転生者

 どういう事なの…?

 

53:名無しの転生者

 ここ数日よく見る光景なのに知らないって事は、もしかして>>50はここ最近になってガイア入りした新人か?

 そうでもなきゃ良くも悪くも有名なブーストニキの事知らん筈がないだろうし。

 

54:>>50

 ブーストニキis誰?

 

55:名無しの転生者

 説明しよう!!

 ブーストニキとはガイア連合が誇る現地民ガチ勢のヤベー奴である!!

 

56:名無しの転生者

 具体的な事を挙げていくとすれば、

・現地民強化する為に無自覚で自分の資質削ってスキルを作り出す。

・最早碌に機能してなかった根願寺を、愛国ガチ勢と意気投合してその派閥を強化して建て直す(メシアン対策も完備)

・自衛隊にも協力して五島の対霊組織を(笑)から(ガチ)へと仕立て上げる。

・何故か時折依頼で地方に出向くと、その度にエロゲ系のキャラに逢うわ陵辱系展開にカチ合うわで鬱展開ブレイカーもやってる。

 …なんかが主に有名だな、序でに言えば自衛隊に行ってた時は勢いで色々開発していた結果として、銃火器やデモニカ関係が異様な程発展したから俺等に恩恵がなかった訳ではないんだよな…。

 

57:名無しの転生者

 まぁ、その分やらかしてる事も大量にあるがなクソがっ!!

 

58:名無しの転生者

 おっと、これはブーストニキアンチさんかな?

 それじゃあブーストニキのやらかし列伝どうぞ。

 

59:>>57

 おうよ任せろ、ここが酷いぞブーストニキ!!

・非覚醒者を強制的に【厳しいモード】に叩き込んでいく

・依頼されても選り好みが酷過ぎて殆ど依頼を受けない

・駄弁ってる際に目を付けられたら覚醒してても強制【厳しいモード】送り

・やっても無駄でしかない現地民強化にリソースの無駄遣い

・矢鱈とエロゲ関係の現地民と交友関係が出来ている

・海外霊能組織の難民を勝手に受け入れる

・終末に直通しかねない五島に滅茶苦茶肩入れ

 

60:名無しの転生者

 以上、ブーストニキに対するアンチの意見でした。

 

61:>>50

 なんか所々に嫉妬が混じってる感じだけど、コレ普通にヤバい奴なのでは?

 

62:名無しの転生者

 善人ではあるけれどもそれ以上にヤバい奴ってだけだよ?

 てかあの人頭俺らじゃなくて頭ガイアーズだから、やる事なす事が結構な割合で苛烈になるんだよなぁ…。

 

63:名無しの転生者

 でも最近はそんな強制される奴も居ないし、真面目にやってたら割と良くしてくれるゾ。

 強制【厳しいモード】だって不真面目というかショタオジや連合に対して脛齧りしてたり、問題起こして皆から顰蹙買う様な奴が主にぶち込まれるだけであって、マトモな民度してたりそもそもROMってれば別段何も言ってこないしな。

 

64:名無しの転生者

 嘘だっ!!

 こっちはのんびりしているだけだったのにいきなり【厳しいモード】にぶち込まれたんだぞ!?

 

65:>>63

 う〜ん? 多分それ>>64の言うのんびりが度を越してたんじゃないのか?

 俺なんて初期から居たけど毎日登山やれる様な体力が無いって事で、和紙造りと緩い筋トレを兼ねた修行してたけど、いきなりブーストニキが来たと思ったら暫く見てるだけで特に何もして来なかったぞ?

 寧ろ俺含めて一緒に筋トレしてた奴等にスポドリの差し入れまでしてくれた位だし。

 

66:名無しの転生者

 意外と気が利く所もあるけれど、ブーストニキが戦闘しているとこ見てたらそんな感想ぶっ飛ぶんじゃないかなぁ…?

 

67:名無しの転生者

 そういや最初の方は作業場に監禁状態にされてたらレベルを上げ難くなるって焦りから飛び出したりしてたらしいけど、最近はそんな話も聞かなくなったよな。

 ってかそういや俺もブーストニキの戦い方見た事ないな…あの人何時戦闘経験積んでるんだ?

 

68:名無しの転生者

 話に聞く所によると日中は拘束されるから、朝早くの時間からやってるんだとか?

 正直そんな時間から動いてる事自体俺達らしく無いよな。

 

69:名無しの転生者

 てかブーストニキって手広くやってるけど苦手な事とかあるのか?

 例のスキルのせいで戦闘系スキルを覚えれないって話は聞くけど、それ以外の苦手な事とか聞いた事が無いぞ?

 

70:名無しの転生者

 いやだってあの人基本的に一人で作業してるからボッチだし…。

 

71:>>63

 いや何言ってるんだよ、普通に話し掛けたら会話に乗ってくれるぞ?

 この前も偶然連合の食堂で晩飯食ってたから隣座って良いか聞いてみたけど、特に迷う様な事なく許可してくれたし話しながら飯食ってたぞ?

 

72:名無しの転生者

 この>>63さては陽キャだな!?

 ここは我等陰の者が集う掃き溜めであるぞ!!

 断じて日向の者が迷い込む様な場所では無いぞ!?

 

73:>>63

 いや、俺も前世は陰キャだった口なんですが…。

 ただまぁ、前世が事故からの孤独死だったからね…記憶無い間にコミュ頑張ってたらいつの間にか陽キャみたいになってたんだよなぁ…。

 まぁでもそんな状態だったのに掲示板に魂惹かれたのは、最早前世陰キャ故の習性なんだなって感じだったわ。

 

74:名無しの転生者

 oh…なんか…すまんかったな。

 

75:>>63

 別にそのお陰で今の家族とも仲良く出来てるから気にする事でも無いぞ?

 てかそんな事言ったらブーストニキの方が悲惨だし、そんなブーストニキ以上に悲惨な奴だって居るだろうから気にすんなよ。

 

76:名無しの転生者

 うん? まさかのブーストニキに悲しい過去が?

 

77:名無しの転生者

 メガテン世界で悲しき過去といえば身内がアクマに殺されたとかだけど、そこら辺かね?

 

78:>>63

 流石にプライバシーの侵害になりかねないからそこら辺は言わないけど、そんな感じで結構気安く色んな事教えてくれる人だぞ?

 

79:名無しの転生者

 えぇ…あんな刺々しい雰囲気と見た目で意外にも陽キャだったのかあの人?

 

80:名無しの転生者

 そこまでノリ良かったら苦手な事とかも平然と教えてくれそうだな…。

 

81:>>63

 嫌いな事や苦手なモノだったら前に気になって聞いてみたら、特に気にする事なく遠い目しながら教えてくれたぞ?

 

82:名無しの転生者

 >特に気にする事なく遠い目しながら

 えぇ…それマ?

 

83:>>63

 おう、たった数本のチューハイでべろんべろんに酔っ払いながらだったけど、コソコソ探られるよりは分かり易くて寧ろ良いってケタケタ笑いながら言ってたな(尚遠い目してるので微妙に怖かった)

 

84:名無しの転生者

 たった数本のチューハイで悪酔いするのか…。

 意外と酒癖悪いんだろうか?

 

85:名無しの転生者

 霊薬なんかで酔いは直ぐに醒ませるとはいえ、そこまで酒に弱いんだったら飲まない方が良いんじゃないのか?

 

86:>>63

 いや、なんかブーストニキ曰く『酔っ払いテンションになるだけで特に問題無い』って言って、実際その後も別れてブーストニキが帰る時は散々呑んでたのに、素面と殆ど変わらない足取りで帰って行ったから問題無いんだろ。

 

87:名無しの転生者

 ちゃんと自分の許容範囲は把握してるって事なのかねぇ?

 てかそんな事よりブーストニキの嫌いな物や苦手な事って何なんだ?

 

88:名無しの転生者

 それ俺も気になる、悪趣味かも知れないけれど本人が別に知られても構わない範囲みたいだから是非とも知っておきたいぞ。

 

89:>>63

 う〜ん…まぁ、あの時のブーストニキも別に広めてくれても構わないって言ってたから、別に良いんだろうなぁ…。

 そんな訳でブーストニキの嫌いなモノだけど、まぁまずトップに来るのは『メシア教』だわな。

 どうにも地元の異界が発生した元凶だったらしくて、この事話す時にブーストニキが纏ってた雰囲気は【マハムドオン】並の怨念にも感じるレベルだったな、正直ちびるかと思った。

 

90:名無しの転生者

 あぁ、確か今では連合や付近の霊能組織にとって採取兼訓練用異界にもなってる【ブナ林】だったっけ?

 なんか異界の核であるアイテム取り除いても既に土地に異界が定着してしまっていたから、一層の事有効活用するかって事になったんだっけ?

 

91:名無しの転生者

 で、その異界が出来上がる元凶になったのがいつも通りメシアンだった、と…ホントあいつら余計な事しかしないな…。

 

92:>>63

 そんな訳で次点が『害あるアクマ全般』との事。

 前はアクマと見れば即殺レベルだったのが、連合に来てからショタオジの仲魔を筆頭にそこまで悪くない奴も居るから、付き合い次第なんだって悟ったとの事…まぁ、そうでなけりゃあ地元にエジプト神話勢招かんわな。

 

93:名無しの転生者

 噂によればチャラくなったフェニックス相手には落ち着けとツッコミ入れてて、ハトホルとバステトの二柱は愛人にしてる上、某三幻神からフォルマ譲ってもらってホビー部と一緒に神のカードを作ったりと仲良くやってるらしいな。

 

94:名無しの転生者

 神のカード(ガチ)やめろや…え、マジで作ったの? 神のカード?

 

95:名無しのホビー部転生者

 まぁ、ホビー部主導でだけどね? フォルマ貰う為の取引役として一番親しいし弱み握ってる間柄だからって事でダメ元で頼んでみたんだけど、なんかブーストニキも前世でエンジョイ勢のデュエリストだったから、リアルソリッドビジョンで動くモンスターを見てみたかったらしいよ?

 実際開発に協力してくれたしメッチャ助かったわ。

 

96:名無しの転生者

 大元が暴露するとかガチじゃん…てかもうリアルソリッドビジョン出来てるのかよ。

 

97:>>63

 草生えるわ、そんで今度は嫌いなモノじゃなくて苦手なモノについてなんだが、なんだかんだで付き合いがあるけど苦手意識があるって事で【ミナミィネキ】が苦手なんだとか。

 

98:名無しの転生者

 草、ブーストニキってスケベ部名誉顧問扱いされてるのにミナミィネキ苦手なのかよ。

 

99:名無しの転生者

 嫁の数とか片手で数えきれないのにスケベじゃないとか嘘だろ。

 

100:名無しの転生者

 そういえば入りたての頃に記念で引いたガチャがミナミィネキの傑作なんだったっけ?

 そんでもってその縁からスケベ部誘われるも断って、代わりにエログッズの改良頼まれたりしている内にズルズル引き込まれて、実質入部である名誉顧問扱いという今に至る…という事か。

 いや何この展開ギャグかなんかか?

 

101:名無しの転生者

 でも最初期に比べたらスケベ部プロデュースのエログッズってめっちゃ性能上がったよな…何時も嫁シキガミとのプレイで大活躍させて貰ってます。

 

102:名無しの転生者

 非人間タイプ用のグッズもかなりの数が揃ってきたから動物タイプの相手も安心安全の大活躍!!

 スケベ部本当にありがとう!!

 

103:名無しの転生者

 最近は色んな用途に合わせた汎用エロスキルカードも格安で販売してくれる様になったし、マジでスケベ部様々だよな。

 

104:★スケベ部部長

 因みにそれらのエログッズは全部ブーストニキに安全調査してもらった物だから、是非快適なエロライフを楽しんで下さいね!!

 この前もエログッズの売れ行きが好調過ぎて品薄になり掛けたから、ブーストニキのDEMで大量生産して貰ったんですよね、本当にブーストニキ様々ですよ。

 

105:名無しの転生者

 ファッ!? ミナミィネキやんけ!?

 

106:名無しの転生者

 てかエログッズ大量生産って…そんな事まで出来るんかあのペルソナ…。

 

107:名無しの転生者

 つまりDEMはエロの神だった…?

 

108:名無しの転生者

 某鬼戒神「誠に遺憾である」

 

109:名無しの転生者

 いや、この場合DEMというよりも本体であるブーストニキこそがエロの神なのでは?

 

110:名無しの転生者

 それだけじゃないぞ!!

 ブーストニキのハーレムは殆どエロゲキャラでそうじゃなくてもエロ関係に引っ張りだこなキャラばかり!! 更にショタオジには及ばないがネットの世界に電脳異界なんて代物を作れる様になってるんだからある意味創造神レベルになっている!!

 つまりブーストニキはエロゲ大権現なんだよ!!

 

111:名無しの転生者

 エwロwゲw大w権w現www

 

112:名無しの転生者

 そうなると嫁シキガミちゃんだけが特にエロネタそこまで関係無い(房中術とかは除く)のが勿体無いな…。

 

113:★スケベ部部長

 【朗報?】ブーストニキの嫁シキガミちゃん、本霊ガチャで御立派様引き当てる【悲報?】

 シキガミちゃん本人もなんだか渋い顔しちゃってますね…。

 

114:名無しの転生者

 これはもう世界がブーストニキにエロの神になれって言ってるんだな、間違いない!!

 

115:名無しの転生者

 もうこのままエロ技能を磨いて貰って天使共全部堕天させちまおうぜ!!

 

116:名無しの転生者

 つまりエロは世界を救う!!

 

117:名無しの転生者

 微妙にブーストニキが乗ってきそうな提案やめろやw

 

118:名無しの転生者

 あの人アンチメシアン拗らせてるからマジで乗って来そうなのがなぁ…。

 

119:名無しの転生者

 五車の里近くに【肉欲界】作った前例があるからなぁ…。

 




 掲示板監視中のブーストニキ(分身)「クッソ否定しちまいたい内容だけど四文字の駒になんかなりたくないし、それに他の神格とかマトモに発現させれる自信なんか無いんだが…うごごごご…」

 因みに今回のダイス表ですが、
1:主神級の創造神
2〜3:一般創造神
4:戦神
5〜7:電脳神
8〜9:エロ神
10:一回目は振り直し、二回目は【????】
 結果【1d10】→『8』という事でエロ方面へと舵がきられました…ガチで一発で出たんだから俺は悪くねぇ!?

 因みに当たる確率が違うのは才能がどれだけ現状あるかなので、単純にブーストニキの現状の資質の二割はエロという感じになっています(笑)

 …そういえばあまり関係無いですが、ブーストニキの一番苦手なものは『父親がカラオケで歌う十八番の曲(主に最愛の人との別れの歌)』となっております…。

 転生者達によって前世の歌が既に流行っているのですが、その中でもトーマpの『オレンジ』がなまじ霊能関係に居るせいで魂とか来世の事とか信じれるせいで滅茶苦茶感情移入して歌われる為、それを聞くとお労し過ぎて辛くなるのだとか。


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第四十六話 真面目だったり不真面目だったりな家族会議

 ちょっと前回に引き続きふざけて振ってみたダイスがヤバい結果出したので思わず笑いながら書いてみました、ダイスの女神は淫乱だったのだろうか?(笑)

 後、【軍勢変生】に関してちょいとばかしデメリットを…と言っても霊能クソ雑魚現地人には大差無く、寧ろ他黒札や現地人SSRと更に関わり難くなった感じですかね?


「いや、許可した俺も俺だけど、まさかこんな事になるとはなぁ…」

「…ん、ちょっと流石に予想外…」

 

 現在、流石に嫁が六人も居たら手狭になってしまったという事で、京都北部支部近くに新しく建てた家で家族会議と称して全員に集まってもらい、近況の報告をし合っていた。

 

 因みに俺含めて嫁達皆して何とも言えない表情をしていると補足させてもらう*1

 

「DEMの影響で神性に寄り始めているいってるから、最悪の展開を回避する為に修練積んでいたのに、まさかのタイミングで現状現人神程度に収まっているとはいえエロの神になるとか誰が予測出来るんだよ…」

「まぁ、そうは言ってもちゃんと製造や建造についての権能もある訳なんだから、そこまで悲嘆する事もないんじゃないかしら?」

 

 そう、以前の【俺ら】内での掲示板にて俺の事をエロ神だのエロ大権現だのと囃し立てた連中が、俺の分身が迷って口出ししていなかったのを良い事に他の掲示板でも騒ぎ立て始め、急いで止めようとした時には既に様々な掲示板で俺に対するエロ神ネタが流行してしまい、俺の中の神性がエロ方向へと大きく傾いてしまったのである、これは酷い。

 

 一応不知火が言っている様に、今迄の生産活動の積み重ねから製造関係の能力もショタオジ曰く『中々高い感じ*2』との事なのだが、それでもエロ関係の権能の方が割合としては製造関係の五倍はあるってどういう事だよふざけんなし。

 

 そんなん最早伝説を語られるとしたらエロがメインになるドスケベ神話レベルじゃねぇか…。

 

 お陰でエログッズ作る時に最初から超高性能で超高機能な代物が作れる様になってしまったが、違うそうじゃない、せめて地元を外敵*3から護れる程度には戦闘能力が欲しいのだ…。

 

 取り敢えず今回の件であのエロ神ネタを囃し立てた連中を【厳しいモード】に放り込むのはなんか負けた気がするので、取り敢えずエログッズを販売しないよう働き掛ける事にしてやったのだが、本当になんて事してくれるんだよ全く…*4

 

「そうは言っても、こうも戦闘系のスキルが無いと建造中の奥の手が完成していない現状、防衛力が不安過ぎるんだよなぁ…正直他の黒札連中に頼むのもなんだし…どうしてこうなった」

「ん、多分というか絶対切っ掛けは『(一晩経つか)S◯Xしないと出られない(必中)部屋』だと思う。ウチの多神連合から送られてくる注文筆頭だし…私達式神には効果無いみたいだけど…」

「ぐっふぅっ!?」

 

 そうなのである、以前根願寺に作ったあの最早悪意すら感じられるあの部屋なのだが、実はエジプト神話壊滅後ガイア連合が最早崩壊したと言っても過言じゃない多神連合に協力する際、運営が各神話勢に対して欲しいもののアンケートを取った結果かなり上位の方に子作りや子育て関係の要望が大量に来ていたらしく、まさかの運営が悪ふざけでこの部屋について話を溢したのだとか。

 

 結果、最初は半信半疑でもガイア連合が教えてくれたのだからと試してみた多神連合だったのだが、即座に効果が判明した事で注文が殺到、流石に今は世界中回る訳にもいかない為根願寺にあるガチの部屋とは違い、量産する為に使い捨て形式の結界札式で販売しているのだが、それであっても飛ぶ様に売れている始末である…そんなに子供作って養う事出来るのか?

 

 因みに後程半終末になってから多神連合の神々に理由を聞いた所、俺が作った影響からなのか、どんなに親が脆弱な霊能力者であろうとも、子供が確実に霊能を備えている事が各神話の出産等に関係している神々によって確認が取れた事で分かった上、ヤれば確実に出来る事から『種無しと石女ですら子が出来るとかどんな術式だ!?』という事で解析しようと買い漁っていたのだとか。

 

 尚、俺のエロ関係の術式はミナミィネキからエログッズ製作の為、手当たり次第にぶち込まれたエロスキルを闇鍋レベルにごった煮した結果作られているオリジナル術式である為、其々の神話に縛られている多神連合では到底再現不可能だったとの事…専用式神にも匹敵しかねないとかこんな所でそんな評価されても全然嬉しくなんかない。

 

 てかこの部屋に関する術式自体、元々ユエとの子作りが出来ないかを模索しての副産物でしかないからな、結果としては現状GPの影響で想像妊娠程度迄しか行けなかったんだけどな、チクショウ…。

 

「ま、まぁ、その話は置いといて…黒札以外に頼むとなると次の話にも繋がるんだが、地元の人達に頑張って貰うとしても、俺の影響でレベル上げした人達にも新しい問題が出てきたみたいだし…」

「確か数値に表したら上限がハジメの減少している各ステータスに固定されてるんだっけ? 修得スキルの違いで差別化は計れているけれど、黒札以外の元々レベルが高い人達とはジワジワと基礎に差が出てきてるって言ってたね」

 

 そう、ゆきかぜの言う通り【軍勢変生】を利用した人が増える事でデータが増えていった事で、新しいデメリットが発覚したのである。

 

 まず前提として俺のステータスは【軍勢変生】の影響で二割下がっている状態なのだが、この減った分は今までパッシブに使われていたから致し方なしと諦めていたが、残りの八割分がそのまま【軍勢変生】の影響下で二〜三レベルを上げた人のステータス限界になってしまう上に、レベルアップで上昇するステータスの伸びも悪くなるとの事…言ってしまえばレベルだけならHRやSR相当には成れるのだが、中身のステータスがR相当なのである。

 

 因みに最近発覚した驚愕の事実として、俺の【軍勢変生】で下がっているステータスはバランス型なのもあり、現地民SSRで同レベルの最も高いステータスよりも低いとの事…泣けるぜ。

 

 そしてこの問題なのだが、これから俺がやろうとしている事に結構大きい影響があるので、あまり放ってはおけない問題だったりする。

 

「正直これだと連合から許可貰ってやらせて貰う予定の『ブーストタイム』がかなり使い勝手悪くなりそうなんだよなぁ…」

 

 そう、以前ロト主に許可貰っていた内容であるCOMPを用いた遠隔【軍勢変生】なのだが、既にレベル上限に達している人は別に問題は無いのだが、まだレベル上限に達していない人が早くレベルを上げたいからと利用すれば、元々手に入る筈だった強さが失われてしまいかねないのである…これは俺としても全くもってよろしくない事である。

 

「識別機能を付けて未覚醒かレベル上限まで行った人しか利用出来ない様にするのはどうだい?」

「確かにメリュの言う通りそれも考えたんだが、配信受ける前提として微妙に容量食うアプリ入れる事になるんだったら配信受けなくなるんじゃないかと思ってな…」

 

 未覚醒の時から入れておいて自分の限界知っておくとかして将来設計するなら兎も角、折角そこそこ容量使ったのに上限まだで利用出来ないとか、アプリ購入費用滅茶苦茶勿体なく感じない?

 

「ハジメみたいに武器式神で補うのは?」

「リア、その選択肢は俺がガイア連合に居るからそこそこ気軽に選べた選択肢なのであって、一般的な霊能力者の財源だとリアクラスの武器式神所か俺の大鉈レベルでも破産待った無しの代物なんだぞ? これからは一般人も終末の影響で覚醒していくんだとしたら、絶対に取れない選択肢だわ」

 

 そもそも俺のやり方だって俺自身が生産者であるからこそ使える手段な訳だしな、自産自消、俺の好きな言葉です…だから他の生産系以外の黒札連中もアイテムや装備の自作、やろう!!

 

 …まぁ、それをやりたがらないからこその【俺ら】なんですけどね?

 

 そんなこんなで会議を進めて行き、取り敢えず配信を受ける為には大ターミナルで認定を受ける事でカードキーを発行してもらうか、懇意にしている黒札から発行してもらう、又は半径十キロ以内に大ターミナルが無い状況だと受信可能という設定で配信する事にしたのだが…なんか他にも問題起きそうなんだよなぁ…。

*1
無表情が二人居るけど眉とか微妙に下がってるから一応分かるぞ

*2
ショタオジから見れば取り敢えず製造主体の中級神性レベル

*3
主にメシアンやアクマ等

*4
因みに後日俺を探しに来た件の奴等が初手土下座で謝って来たので、なんか虚しくなって赦す事にした




 因みにダイス結果はエロ関係が【1d100】で結果『100』というクリティカル…どういう事なの?

 後、製造は『69』で戦闘が『02』と大変ブーストニキらしい本人の気質に合ってない結果が叩き出されたので、作者としては大変満足しております(クソ野郎)

 尚、エロ方面に吹っ切れてきておりますが、普通にミナミィネキにはまだ敵いません、レベル足りないしブーストニキ自身は嫁でもない相手とは別にやりたい様なタイプじゃないからね。


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第四十七話 テストと依頼

 ボチボチ話を進めなきゃという事で導入となります。


 家族会議で色々対策を話し合ってから更に数日後、現人神に近づいたからなのかボチボチロト主から課せられた【テラ】の管理が微妙にやりやすくなっている事に気が付いたのだが、それと同時にDEM関係の問題も発覚した。

 

「ロト主ー、ちょっとここら辺の土地改変しちゃっても良いか?」

「うん? 何か問題でもあったのかい?」

「いや、問題があったというか属性が合ってなかったというか…」

 

 そう、滅茶苦茶機械な見た目しているDEMだが、実際に機械適正が高くなっている為【テラ】のような大自然の環境だと地味に管理がし辛いのである。

 

「うーん、まぁ別にここら辺は特に何かに使う様な予定も無い辺境だから、環境掌握能力のテストも兼ねてやりやすい様に変えちゃっても良いよ」

「やったぜ、そんじゃあ早速…よっと」

 

 許可も出たので早速管理範囲内を自身の属性に変化させていくと、直前まで緑豊かな草原だった土地は金属質の鋼の大地へと、まるでペンキをぶち撒けたかの様に変化していった。

 

「よし、これで出来たな…どうよロト主、これ何点位だ?」

「うーん…63点」

「合格点すら行ってない…だと…?」

 

 あっれ〜? 結構上手く行った自信あったんだけどなぁ? どこら辺がだめだったんだ?

 

「うん? いやいや、合格点は半分の50点だよ? 残りの50点は評価点だから」

「えぇ…普通学校とかだと合格点って70点以上で赤点が30点以下とかじゃないのか?」

「いや、本体が前世も含めて幼少期から霊能関係にどっぷりだったからねぇ…一度も学校行った事ないからそこら辺分かんないや、hahaha」

「おう、いきなりドス黒い闇噴出させるのやめーや…」

 

 ロト主ヘラヘラ笑ってるけど、それ一般的にはめっちゃお労しい話だからな!? 子供がマトモに学校行けてないとか普通あっちゃイカン事だと愚考する次第なんですが!?

 

 …え、お前も今生だと義務教育の範囲しか行ってないだろって? 前世で一応大学まで行く程度にはやってたから良いんだよ!! …まぁ、大学は頭の出来が悪くてついて行けなかったから中退した訳だが…。

 

「というか、なんなんだいこの金属? 正直この金属が有り得ないから点数控えめなんだけど…」

 

 そう言いながら金属になっている地面を突くロト主、その地面は金属なのにも関わらず強く押せば凹むのに、指を離せば元に戻るというゴムの様な弾力を有していた。

 

「えぇー…でも単に柔らかくもあり硬くもある上、必要以上に熱くも冷たくもならないから転んでも怪我をし難い安心安全な設定にしてあるだけだぞ?」

「ミスじゃなくて意図的にやってたのかい?」

「流石に設定が滅茶苦茶過ぎるから物理法則がガッチリ効いてる現実には持ち出せないけど、この電脳異界ならそこら辺の融通も効くから安全面を配慮した物にしたんだよ」

「それじゃあちゃんと考えてやってたから、プラスして10点あげちゃおうかな」

「やったぜ70点超えだ」

 

 ヒヒイロカネとかオリハルコンみたいな伝説にある様な上等な物じゃなく、ただの想像上にしかない代物だから物理法則下に出たら即座に消えちまうんだよなぁ…儚いぜ。

 

「所でこのテストの評価基準ってなんなんだ?」

「僕の本体だけど?」

「…俺寧ろなんで合格出来たんだ?」

 

 ショタオジの合格基準ってかなり厳しいモノだったよな? マジでなんで合格出来たんだ?

 

 てかそう考えると63点も中々高得点だったなこれ!?

 

「流石に資質なんかはちゃんと考慮して採点しているから安心しなよ、それに今回のテスト内容に関しては明確に基準を用意してあるから、それを越えられているかどうかが大事な訳なんだしさ」

「基準が用意されてるって…なんか依頼されるパターンか?」

「察しが良くて大変結構、ずっと電脳異界に居続けるのもそろそろ辛いだろうブーストニキにちょっとしたサプライズさ」

 

 そう言って(恐らく)右手の人差し指を立てたナイショのポーズをしながらコチラにウィンクしてくるロト主。

 

 …本体でやったらイケメンならなんでも似合うと感じる様なポーズだけど、ロトムの姿でやられても可愛らしいだけなんだよなぁ…。

 

「依頼の内容は一体なんなんだ? テストの内容からして一応異界関係のモノみたいだけど、異界攻略がメインな感じか?」

「そうそう、まず大前提としてなんだけど、この前の自衛隊との模擬戦あったじゃない? あのブーストニキともプロレスしてたあの出来事」

「あ゛〜…うん、何もかも知らされたのが後回しだった事でここ最近一番メンタル削られたアレか…」

「わ〜お遠い目…まぁ、取り敢えずその時の原因に五島陸将からのクーデターへの誘いがあるんだけど、既に海外がヤバいからもっと地固めとかを本格的にやろうという事になったんだよ」

「まぁエジプト行ってたから海外がヤバいのは知ってる」

 

 当然の権利みたいに高レベルの手羽先共が戦場で我が物顔で闊歩してるもんな、本当にふざけんなって感じの案件である。

 

「うん、敵地であろうと平然と高レベル天使を出してくるメシア教に対抗して世界中で侵略作戦を繰り広げているメシア教への【妨害】と、いざ最後にメシア教により侵略された場合に対抗できるようになる為の【地固め】をしているんだけど、前者についてはエジプト神話が壊滅した時から既にブーストニキが色々やってくれてたからね、それに乗っからせてもらう事にしたんだけど…」

「そういや俺が融通したターミナル使って海外勢力に過激派にバレない程度のテコ入れしてるんだったっけ?」

「ぶっちゃけブーストニキの支援でほぼ事足りてるから、連合としてやってる事は霊装や霊薬作る為の素材を横流しする程度だけどね?」

 

 まぁ、日本の現地民に対する支援すら嫌がる奴が多いレベルで自分本位な奴が多いガイア連合にしては寛大な方だよな…まぁ、現実が見えてる上層部の判断なんだろうけどな。

 

 他人への支援なんて、末端のカイジのモブとしてでも出て来そうな黒札は絶対にそんな事しないって自信満々に言えるぞ、チクショウめが…。

 

「それで国内での地固めについてなんだけど、もう流石にここまで来たら成長し続ける異界とか邪魔なだけだから【天樹山】を筆頭にした超高難易度異界の攻略をしていく事にしたんだ」

「うん? 話の流れからしてそれらの異界攻略に協力する事が依頼に関わってるっぽいが、それがさっきのテストとなんか関係あるのか?」

「忘れたのかいブーストニキ? これらの超高難易度異界はメシア教が日本神を封印する為に作った異界だよ?」

「…あ〜、人の手が入ってるから、それ見極めて分解(バラ)してこい、って事か?」

「正解!!」

 

 成る程なぁ…確かに自然発生した概念的にも強固な異界に比べて、人の手が介入した異界は何かしらの『癖』が出るもんだしな、それさえ見極めれば多少は異界の攻略も楽になる…のか?

 

 言ってしまえば裏口攻略であるのだが、一応俺自身も時間は掛かるが野良異界を外から資源へと変換してやった事はある為、出来ない事は無いだろう…あの時は異界をバラされる事を焦った異界の主が外に飛び出して来たのでボコボコにした訳だが、今回の場合主として設定されているのは封印された日本神だろうし、それならボスエリア以外全部バラしても向こう側からは特に何もしてこない…筈だよな?

 

「てかそれならショタオジが出向けば一発なのでは?」

「流石に本体はそう何度も気軽に外には出られないからね、仕方ないね…それにブーストニキ以外にも異界関係の資質が高い子も何人か居るから、その子等の経験値稼ぎに丁度良いかな〜? といった感じでね」

 

 あぁ…そういえば告白以外なんでも出来る奴とかがそうなんだっけ? 俺アイツだけはマジで無理なんだよなぁ…好き嫌いとかじゃなくて純粋に無理というか…。

 

「…アイツ最終的に『愛しの先輩』とやらを自作した異界に拉致監禁でもするじゃねぇかな…?」

「…まぁ、終末になったらそっちの方が安全なんじゃないかな…?」

 

 ヤンデレという存在の恐ろしさから、温厚な気候である筈の電脳異界なのに俺とロト主の間にヒュルリと冷風が吹いた気がした…。




 因みに人の手が入った異界は自然発生したものに比べて癖があるというのは今作のオリジナル要素ですので悪しからず。

 まとめサイトにあった『ニャル子さんは吟遊GM、なお実際のダンジョン攻略』にてショタオジが異界裏取りとかしてニャルをフルボッコにしてたから、同じ様な事を異界関係の適性がある黒札なら可能なんじゃないかと思ってやっております。


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第四十八話 攻略と邪神対策

「えっと、ここがこうなっているから…こうこうこう解いて行けば…む、すいません、次の群れが出て来そうなんで掃討お願いします」

「了解しました、総員構え…っ撃てぃっ!!」

 

 棲家である異界を追われて飛び出したは良いものの、異界を囲む様に張られている結界により外界とは隔絶されている上、待ち構えていた自衛隊による本来見せ札でしかなかった筈の一斉射を、ターミナルから行われる無尽の補給で何度も繰り返す事によってなす術もなく消し飛ばされていくアクマ達、奴等が最期に浮かべる恐怖で引き攣った顔は実に愉悦である(外道)

 

 …それにしてもやっぱり弾幕張って一方的にボコるのは良いな…なんか戦闘の参考にならないだろうか? 王の財宝みたいに自分の横に銃展開して制圧射撃とか? ギルニキにあげた【収納ポーチ】参考にすればいけるか?

 

 因みに現在はショタオジからの依頼で【天樹山】を外から解体していく作業をしていると、解体したエリアから出て来るアクマを自衛隊の皆さんが数の暴力で蹴散らしていき、それでも生き残ったアクマを黒札達による更なる暴力ですり潰していく事大凡一時間半。

 

 最初の10分程は異界の解析に充てさせてもらい、20分掛けて異界の解体に慣れていき、それからは持ち運び型のターミナル*1から補給が済む度、即座に異界の解体に移る事を繰り返していった事で【天樹山】の異界は殆ど解体が完了していた。

 

 …因みに俺は先日の一件から自衛隊の人達に後ろめたさがあるので、ユエ達みたいな俺に繋がる仲魔は連れず、人前というのもあってスティーブンと間違われるのもアレという事で、今回は【がんだむなりきりセット*2】を装備している状態であるのだが…。

 

「……………」ジトー

 

 …異界の主との戦いに備えているガイア連合でもトップクラスの霊視能力を持つ霊視ニキが当然の様に変装を看破しており、物言いたげな視線がめっちゃ痛い件について…なんかもう視線だけで「ヘタレてんじゃねぇよ」という声が聞こえて来そうなレベルである。

 

 いやだって事前調査的な感じで自衛隊ニキに俺の事エゴサしてもらったら「なんかまだビビってる人がそこそこ居るみたいだ」との事だったから、正直対面するのめっちゃ気不味いじゃん。

 

 なので念の為に持って来ていた【念話】スキルを付与したアクセサリーで、事前に霊視ニキへとバラさない様口止めをお願いしたのだが、なんせ急に必要になった為に一方通行でしかないので霊視ニキからの返事が無いから了承してくれたのかどうなのかが分からないのだ。

 

 多分何も言わずに放置してくれているのだから了承してくれたのだろう…多分。

 

「さて、そろそろ異界の主を残すのみとなっておりますが…最後に作戦の確認をしておきましょうか?」

「いや結構、そもそも今作戦中の休憩の際に何度かやっていたのでな、既に準備は万端だ」

 

 第一部隊であり【五島直属部隊】が居る事で、必然的に控えている五島陸将に確認を取ってみると、どうやら既に何度もこの作戦中に確認を取っていたのだとか、本物の軍人はやっぱり格が違うな。

 

 因みに異界の主攻略に関する作戦は『1.残されているボス部屋前の廊下からボスアクマをアナライズ、2.自衛隊が突っ込み有効である状態異常やステータスダウンといった能力減少系の弾丸を打ち込みまくる、3.黒札が突っ込んで数の暴力を弱点狙ったフルボッコで叩き込む』という某アークソファイブのラストバトル以上にクソみたいな集団リンチである、これは酷い。

 

 因みに状態異常弾については既に上位版の【悪化】やら【発情】やらガチでヤバいのもかなりの数配られているので、下手したらボスアクマの見たくも無い様な痴態を見る羽目になるかもしれないのは微妙にご愁傷様である。

 

「了解です、それじゃあ自分はこれ以降出来る事も無いので、他の異界の解体度を確認して来ますね」

「うむ、下手をすれば半日以上拘束されかねなかったからな、協力誠に感謝する(…それと、先日の事については直接謝罪出来ずに済まなかったな、本当に協力感謝する、ハジメ殿)」

「っ…いえ、貴官等のお役に立てれて光栄です」

 

 まさかの五島陸将にバレてますやん…ちょっと待ってこの人アナライズ系の霊能そこまで高くない筈でしたよね? なんで分かったんすか?*3

 

 取り敢えずバレているのは五島陸将だけらしいのでそそくさと電脳空間へと移り他の超高難易度異界攻略の支援に向かう事にしたのだが…ヤンデレネキの所は解体どころか殆ど支配下に置いておく事で味方へのバフをモリモリにし、結果的に自衛隊への補給だけで異界の主がそろそろ落ちそうなんだとか…やっぱアイツヤベーわ(自分の事を棚に上げつつ)

 

 でもまぁ流石にそこまで順調に行ってるのは異界操作に特化しているらしいヤンデレネキ位らしく、他の異界ではなんとかして異界の縮小化や難易度の低下程度で後はゴリ押しみたいな所も多かった為、そんな彼等のサポートに回る程度にしておいた、異界操作出来る人が増えれば結界とかの質も上がる事になるからね、経験は大事。

 

 

 

「…で、一通り回ってきて異界の攻略も無事に済んだから、自分の修行に戻って来たのかい?」

「いやだってあれ以上俺居ても何もする事無いしな、宴会だって絶対根願寺に対する悪口とか出る事確定してるんだから、そんな胸糞悪くなる場所に進んで行くよりも修行して地力高める方が何倍も有用な時間の使い方でしょ」

「う〜ん、流石は現地民ガチ勢」

 

 そして只今の現在地である第二電脳異界【テラ】にて、俺は再びロト主と一緒なって修行の続きをしているのであった。

 

 因みに俺の格好は超高難易度異界に向かったその足で来ているので、当然の様に【がんだむなりきりセット】である、当然ロト主にはクッソ不審者スタイルにしか見えていないので思いっきり笑われた。

 

「一応神様連中からすればつい先日レベルの感覚ってのは分かってるけどさ? それでもしっかり反省している人を許さないのは人としてダメだと思うんだよね、まぁアクマだから人じゃ無いんだけど」

「まぁ、人も人で其々のスタンスがあるからね…確かこの前海外にターミナル設置しに出向いたら、地元のマフィアというかダークサマナーに襲われたんだっけ?」

「普通に弱かったから逆に殲滅したけどな…どうにも邪神がなんか暗躍しようとしたタイミングで足踏み入れたみたいだったから、そこまで厄介な事にはならなかったけどな…そろそろ何かしら探知機でも作ってアイツのやることなす事先手打てるようにするべきか?」

 

 なんかボチボチアイツに顔覚えられ始めてる気がするんだよなぁ…俺カヲルさんと違って邪神の罠とか結構引っかかりそうだから、マジでそろそろ対策立てないと危なそうなんだよなぁ…。

 

「ふーん、なんか作戦とかあるのかい?」

「作戦というかなんと言うか…取り敢えずコレを見てくれば分かるわ…」

 

 そう言って取り出したのはホログラムの地球を投影する機械なのだが…何故か映し出された地域の殆どに赤い点が付いている状態になっているのだった。

 

「…話の流れから察するに邪神の活動している場所なのかな?」

「そのつもりで作ったんだがなぁ…設定が難しくて現状『邪神が関わった場所』が表示されてるだけで、実際に邪神が居るかどうかの確認がめっちゃ取りづらい…下手に精度良くしたらあっちに探知されかねないから、そこ等辺の匙加減がクッソ難しくて途中で投げた未完成品だよ…」

 

 これ関わった結果の存在まで映し出すから、最初不知火やゆきかぜなんかにも反応してめっちゃビビったんだよなぁ…他にもブナ林異界にもなんか関わってたみたいだし…本当にアイツどうにか出来んもんだろうか?

 

「ふむ…いや、この程度なら本体に任せれば完成させられるんじゃないかな?」

「いやでも正直俺の失敗作をショタオジに丸投げするのはなぁ…」

「こっちとしても邪神に関してはさっさと対応したいからね、寧ろ任せてくれると嬉しいかな?」

「…それじゃあ頼んじゃおうかな?」

 

 結論から言えば半終末直前に装置は完成し、最初の内は邪神の企みもそこそこ未然に阻止出来たが、邪神側もそれならばと単純なものを連発したり等して目眩しをして本命を仕込んできたりして、その本命に先手を打てるかどうかというチキンレースの様相を呈してくる等、結局邪神が厄介な事には変わりないというような結果になってしまったのだった…ショタオジにカヲルさん、面倒事増やしてすんませんです。

*1
電波を利用して何処でも使えるタイプだが、その仕様上ハッキングやら安全性が低くなるのが難点…今回は大勢の黒札が居る為、安全と見做して持って来た

*2
見た目は『箱ガンダム』と目出し穴が空いている紙袋だが、装備したら周りからは人間大の初代ガンダムに見える。

他のガンダム版もあるしサイズも大きいダンボールだから、下にちゃんと防具の装備も可能な為、地味に人気が有る

*3
五島「ただの勘だ」




 宴会に不参加決め込んだブーストニキ、日本神の地雷発言を奇跡的にスルー出来た模様…多分聞いてたら宴会台無しどころか協力関係御破算な大惨事待った無しだったのでマジでセーフ。

 尚、宴会でこの話聞いた黒札はドン引きした目を発言した日本神に向けており、それ等の神とは絶対に付き合わない様にしようと決めた模様…下手に仲良くして変なとばっちり喰らいたくなんかないもんね。

 ニャルからのブーストニキに対する認識は『何故かエロ系のシナリオには大抵顔出してきて完全勝利収めていくのに、据え膳(時折罠有り)は一切食おうとしないエロの化身』という本人が聞いたら憤慨しそうだけど、実際にマジでそうなっているからなんの否定も出来ない感じになっています(笑)

 因みにニャル対策の装置に関しては一番メインとしての機能はニャルレーダーであり、ニャルだけは何かに化けていても即座に看破する事が可能であり、逆にニャルだと思ってるだけのただの狂人とかには全く反応しない為、そういう連中が起こす問題には対処し難いという問題があったりする。


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第四十九話 稲刈りシーズンと解放の余波

 はい、サブタイで稲刈りとか書いときながらボチボチ田植えシーズンという事で家の手伝いが忙しくなってきた作者です(笑)

 …いや本当に更新遅れてすんませんです、多分これから本格的に田植えやら何やらな時期が来るので、遅くなるかもしれませんが、なんとか完結目指して頑張りたいです。


 眼前に広がる黄金色に実った稲穂を眺めつつ、俺は今後の終末を見据えて瀬戸内異界に終末後でも使える農機具が本当に使えるかどうかのテストを兼ねた、改造コンバインによる稲刈りの手伝いに来ていた。

 

 因みに普通のコンバインをただ単に異界内でも使えるだけだと、覚醒者に収納ポーチ持たせて昔ながらの手作業で刈り取る方が早く済むのは地元で確認済みである…そんな訳であの日のリベンジとして馬力*1も故障対策*2も収容量*3も何もかもグレードアップさせた改造自走式コンバインで、いざ勝負!!*4 今日に備えて滅茶苦茶強化してあるから、MAGさえ足りればそこ等の雑魚アクマだって単機で殲滅可能だぞ!!(どこ目指してるんだとか言ってはいけない)

 

 …折角高性能に改造したコンバインが、人力で済むから別に要らないって言われて納屋で埃被ってるのを見るのはもう嫌なんじゃ…。

 

「ん〜…実家で米作ってる身としては、いつ見てもここの田んぼは絶景だな」

「あの…ブーストニキ? 口調に対して能面なのと纏ってるオーラが一致してないよ?」

「ち、近付いただけで呪われそうなのじゃぁ…」

 

 ちょっと魔法少女ネキ失敬な、確かにリベンジで昔の事思い出してるから虫の居所が悪いのは自覚してるけど、こんなに善良でなんの悪さもしてないサクナヒメを呪う訳ないだろうが、いい加減にしろ。

 

 …てか実際にもっと大きな不機嫌な理由は別の所にあるしな。

 

「あ〜…すまんな、地元が稲刈りシーズンで大変になるから事前に休み取って稲刈り手伝ってたのに、余所者だかなんだか知らんが態々乗り込んで連合で販売しているって詐欺で掴まされたアイテムのイチャモン付けてきたクソガキ霊能者を売り付けた詐欺師諸共分からせたりしててな…」

「その子よくブーストニキに対してそんな事やれたね…ってかブーストニキって現地民なら無条件で手助けしてるんだと思ってたよ…」

「いや、俺の助ける対象は『努力している人*5』だからな? 性根が腐った様な奴等とか普通に捌き回す対象だぞ?」

「寧ろわしからすれば、今の霊能業界のご時世でガイア連合に楯突く様な無謀な奴等が居た事がビックリじゃよ…」

 

 どう見てもアクマとの戦闘では使えそうも無いただの木刀持って「ガイア連合の装備って言われて買ったのになんなんだよこのゴミみたいな木刀!? 弁償にもっと上質な霊装や式神寄越せよ!!」とかふざけた事を言って殴り掛かってきたので、取り敢えず捌き倒して一度頭を(物理的にも)冷やさせて話を聞く事にしてみたのだった。

 

 その結果購入までの経緯を聞き出し、元凶の詐欺師を土地の管理者権限で摘発した後に二人共の犯罪歴を調べてみた結果、他にも殺人やら強盗なんかの余罪がわんさか出てきた為、取り敢えず捕まえてしまったから殺すのもなんだし、犯罪者だからという事で契約で縛って強制労働に就かせる事にしたのだった。

 

 なんか聞いた話によるとガイア連合内にも【地獄湯】とかいう犯罪者の裁判も兼ねた更生施設があるらしいけど、そこそこ距離が離れているから連れて行くのも面倒だし、他にも犯罪者が増えるか簡単に移送出来る様になったら連れていく事にして、その間を組合以外の現地霊能者に任せてたら普通にぶっ殺す事になって人材が勿体なさそうだから、ブナ林異界で最低限装備は渡しておいて強制素材集めの刑に就かせる事にした。

 

「他にも夢枕で…あ〜、名前なんだったっけな? まぁ忘れちまったけど何かしらの神格何柱かが、折角俺が大量に私財突っ込んで敷いた終末対策を『自分が顕現するのに邪魔だから』って理由で、コッチになんのメリットも提示しないのに全部撤去しろ〜とか、他にも延々と無茶苦茶な事言ってくるクソ神格共が喚いていてな…ソイツ等を滅するのに時間使わされたせいでちょっとばかり眠りが浅いんだよ」

「あぁ〜…居るよねそういった自分が神なんだから下の存在である人間は自分達に従うべきなんだっていう暴論振り回す神格…」

「正直言って良いか? そやつら正気か?」

 

 こちとらレベルが上がり辛い中でも必死こいて隙間時間見つけて(子供はいないが)家族サービスしつつもレベリングして、この間漸くレベル28にまで上げられて30の大台に登れそうになったんだぞ、現世に碌に現界出来ない様な連中に負ける訳が無いんだよなぁ…。

 

「…まぁ、コイツらが俺を舐めて掛かる理由だけど、多分俺が常時各地の霊能者達に渡しているレベル偽装の霊装を着けてるから、パッと見では唯の雑魚なのに支部長やってる様に見えているのが原因なんだろうけどな」

「え、でもブーストニキってなんていうかこう…強者の雰囲気? みたいなの纏ってるから、普通それに気が付いて手出しとかしないものなんじゃないの?」

「む? わしはそんな雰囲気全然感じんぞ? なんというか徹夜三日目で世界呪ってそうなプログラマーって言われたら納得しそうな雰囲気じゃが、強そうとは感じんな…」

 

 ふむ、やっぱり気配に関しても俺より高レベルの魔法少女ネキ相手だと見抜かれるけど、逆に低レベルのサクナヒメ相手だと問題無さそうだな…なんか怨念というか感情系はバレてるというかMAGが漏れてるのかね?

 

 まぁ、そっちの方が丁度良い戦闘力の隠れ蓑になりそうだから、寧ろ上手い具合に隠せてるみたいだしヨシッ!!

 

 因みに魔法少女ネキは修羅勢だから、当然の様に俺よりレベルは遥か上だゾ★ …泣けるぜ。

 

「で、そういった訳で解放されて調子に乗ってる日本神達がウザいから、サクナヒメに分霊派遣でもしてもらって土地神に据えさせて貰いたいんだが、ダメだろうか? 今ならめっちゃ氏子増えるチャンスでもあるぞ?」

「うえぇっ!? な、なんでそんな話になってるんじゃ!?」

「いやなに、なんせ解放された日本神の中に結構な割合で黒札を取り入れようと、今迄必死になって祀ってくれていた氏子達を一方的に解雇した奴等が居るからな、その中に前に俺が根願寺で鍛え上げてた人達も結構居たから、その人達が一族引き連れてうちの支部に集まってるんだよな…」

「あっ…(察し)」

 

 分かる? 今迄頑張ってた人達が資質がショボいからっていうだけの理由でポイされてるんだぞ? 例え弱くても必死になって護ってくれてた相手にこの仕打ちは情が無さ過ぎなんよ。

 

 てか正直その地の名家()であったとしても、実際の人間社会に於ける権力的なものはしっかりあった訳なんだから、そんな重鎮捨ててぽっと出の黒札据えても上手く行くのか? 何と言ってもあの【俺ら】だぞ? 下手したら人間関係上手くいかないからって投げ出しかねない連中だぞ?

 

 因みにこの疑問については数年後になってこの政策をとった日本神が、そこそこの割合で解放前よりも落ちぶれた事からお察しの結果であった…何だかなぁ。

 

「だから正直言ってこの前の作戦で解放された日本神共は、基本的に誰も土地神として据えたくない」

「あぁ…だからブーストニキそんなにブチ切れてる状態だったんだね…」

 

 イエス、オフコース…最近ストレスで血圧が心配なハジメさんですよ。

 

「う〜む、分霊…分霊なぁ…やってみても良いが精々が【ノヅチ】程度になるが構わんか?」

「でぇじょうぶだ、基本的に土地の安定は俺の方で訓練兼ねてやっとくし、サクナヒメは移住してきた霊能者達の新しい神輿をしてくれれば、後は好きに田んぼ弄ったりしてくれれば良いから」

 

 実際ウチの地元田んぼばっかりだからね、やりたい放題やってくれても全然大丈夫だぞ。

 

「…うむ、分かった!! ならば迷えし子供らの調べ役、このサクナヒメが受け入れよう!!」

「感謝!! 圧倒的感謝ッ!!」

「う〜ん、この全く敬ってない感じのするやり取り…所でその移住してきた霊能者達ってレベルの方はどれ位で何人程居るの?」

「うん? 既にブナ林で鍛えてるから平均レベルは『25』で、人数に関しては大体三百人そこらかな、丹後半島支部建てる前は限界集落目前だったのに、今となっちゃ滅茶苦茶賑わってるぞ」

「それつまり殆どわしより強い者達なのじゃが!?」*6

 

 因みに稲刈り対決の魔改造コンバインは、接戦の果てに負けてしまったが圧倒的な効率の良さで快く受け入れられる事となった…試合に負けたが勝負に勝った感じなのか?

*1
マシン型デモニカ技術使用

*2
スキルカード【地獄のマスク】等他多数インストール済み

*3
安心と信頼の【収納ポーチ】技術使用

*4
尚対戦相手は手伝いしに来てる妖怪達である

*5
一神教(特にメシア教)は除く

*6
現在20レベル




 はい、そんな訳で丹後半島支部は順調にメンタルズタボロな元名家()さん達の移住先となっております。

 流石にエジプト神話の神々を土地神にする訳にもいかないのでサクナヒメを招きましたが、結果的に中堅レベルの霊能者に囲まれて、サクナヒメめっちゃフィーバーモードになってます、それ見てまどかがジェラってサクナヒメに詰め寄ったりしてキマシタワーになっててQBはニッコリです、ほむほむは宇宙猫です(笑)

 さて、次回は原作で言えば霊視ニキのハワイ旅行()帰りですかね? 多分ハワイからの避難民に対する支援回ですかね?


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第五十話 対外神様対応係

 書いてて思ったけれど、終末どころか半終末さえ来ていない現段階で此処まで終末対策練ってるブーストニキって結構異端だったりするんだろうか?

 なんか終末になってもブーストニキの周りだけ、ある意味愉快な事になってそうな感じになって来ましたわ。

 というかまた投稿が遅くなってしまった…何故だ…。


 実は俺、なんかいつの間にか連合から外神担当の役職まで与えられているのだが、最初っから交渉なんて無理だと自覚しているので交渉用の式神を新しく作ってもらう事となり、要望として『万が一に備えて戦う事も出来るし交渉とか作戦も立てれる様なの』という風に頼んだら、結果として『アークナイツ』に出て来る【グレイディーア】が送られて来た。

 

 正直作戦立案は出来たとしても交渉関係は力こそパワーだ、っていうガイア連合式ストロング形態*1を採用してそうなんですが…え? そこら辺は交渉系スキル入れる事で補ってるから大丈夫? ほんとぉ?

 

 …てか一番怖いのは本霊通信したらクトゥルフ関係が引っ掛かりそうな事なんだが…おい、なんだそのポカン顔は? え、もしかしてノリと勢いで作ったのか? 正直アイツら人間に友好的なノーデンスでもアレっていう連中ばかりなのに、そこら辺考えずにやってたとか…いやいい、もうショタオジに頼んで制限掛けてもらってくるわ…。

 

 因みに以前あった問題であるMAGの不足という問題については、現在進行形で現人神化が進行しているせいなのか、俺の保有可能なMAG総量が純粋な人間だった時から跳ね上がっており、専用式神であっても後数体は余裕で養う事が可能は量となっている…尚現人神化していってるのに戦闘力に関しての上昇は微々たるものだった模様…ちくせう。

 

 そんなこんなで外様神との交渉はグレイディーアに任せて、俺は交渉で決まった仕事を即座に熟していくというのが外神様とのやり取りに於ける一連の流れとなっている。

 

 …正直な話ショタオジもそうだけど、分身が出来るから何とかなってるだけであって、これ一人の人間にやらせて良い量の仕事じゃ無いんだよなぁ…。

 

 そんな訳で現在俺は日本に避難して来たハワイの霊能組織の生き残りの為に創られた孤島で、代表としている『カマプアア』と相談しながら土地の調整を行っていた。

 

 …でも正直な所俺が得意としてるのって最早電脳世界であって、現実に対する干渉とか出来なくもないだけでそこまで得意じゃないんだよなぁ…。

 

「それじゃあ島の環境整備する為の結界を貼らせてもらうからな?」

「おう、建物から環境と何から何まで悪いな」

 

 そう言ってこちらに詫びを入れてくるカマプアアだが、腕を組んでニヒルな感じの笑みを浮かべている姿からは全くもって申し訳なさ等感じなかった。

 

「そんな全然悪く思って無さそうな顔で言われてもなぁ…」

「まぁ、そっちがしてきた依頼に対する前払いだからな、別にそこまでこっちが下手に出る理由も無いだろ」

「それはそう、全くもってその通り」

 

 某豚フェイスなこの神だが、一見ふざけた見た目に反して【養豚】や【農耕】に【海】や【豊潤】まで司っており、更に戦神としての面まで持っているという割とヤバい神格なのである。

 

 …なのであるのだが、そんな神であってもブレないガイア連合の『終末来ても生活の質は維持していたい』という俗物感満載の意見でパイナップルやバナナ等、果物系を食べられる様にしたいという理由で歓迎して受け入れていたりしているのである…なんだかなぁ…。

 

 まぁ、俺からしても一応信徒に対してそこそこマシな対応をしているこの神格に対してはそれなりに好印象なのもあり、こうやってそこまで得意ではない環境整備を頑張っているのである。

 

 …でもこれ俺がやるよりあのヤンデレネキに任せた方が絶対簡単に熟せるんだよなぁ…まぁ、当の本人は以前の高難易度異界の解体任務行ってる間に『愛しの先輩』とやらに虫が寄って来てるとかいう理由で断った訳なんだが…今の所何故か俺がアイツのやらかしのフォローしてる*2からまだ犠牲者っていうか人死には出てないけど、そろそろ現実教えて告白させてみるべきだろうか?

 

 …レベルが上がれば概念的な魅了も上がってるだろうし、相手はまだ唯の一般人なんだからマジでワンチャンあるんじゃね? よし、今度やってみるか。

 

「所でちょっと気になってたんだけど、確かハワイの霊能組織ってエジプトでの決戦に来てなかったよな? 多神連合には参加してるんじゃなかったのか?」

 

 エジプトから必死こいて離脱した後、そこそこ回収出来た世界各地の霊能者達を其々の国へと返す際に、ハワイへと送り届けた霊能者は居なかった筈なのだが、こうやって多神連合の崩壊を元に来ている以上参加していた筈なのだが…?

 

 因みに俺は当時そもそもハワイに神話がある事すら知らなかった為、ハワイもメシア教の傘下なんだと勝手に思っていたんだよな…。

 

「いやお前、ウチは言ってしまえばメシアン共がうじゃうじゃ居るアメリカの目と鼻の先にあるんだぞ? それなのにウチから戦士の氏子を派遣しようものなら速攻で非戦闘員達を攫われるに決まってるだろ」

「あぁ…防衛上の都合って事でボイコットしたのか…」

 

 でもまぁ、確かに目と鼻の先に敵の本拠地があるとか気も休まらないだろうし、分からない事もなくはないんだよなぁ…。

 

「まぁ、そうやって戦力維持しててもこのザマな訳だし、あの戦争の後でお前さんが戦場に来ていたのを知って若干後悔したがな」

「あん? どういうこっちゃ?」

 

 俺あの時そこまで有名だったか? 精々があそこに出向いた事で『態々戦場の裏方として出て来るバカ』程度の認識なんじゃないのか?

 

「あの戦争で散々霊装放出した後に、また自腹切ってターミナルを各組織にばら撒きまくったとか聞いたから、俺みたいな出向かなかった組は正直損したって悔やんでたな」

「成る程それでか…てかターミナル欲しいんだったら連合通して買えばよかったじゃん」

「それでもタダで貰えるなら貰いたいだろうが」

「全くもってそれはそう」

 

 タダより高いものはないとは言うけれど、どうせならタダで貰えた方がお得だからタダの方が良いよな。

 

「まぁ、結局後になってから後悔するのも嫌だったんで購入させてもらったんだがな、お陰でメシアン共の侵略の際に多少は犠牲を抑える事が出来たから、あのターミナルを開発してくれたアンタには組織関係無しに感謝してるんだぜ?」

「お、おうそうか…」

「礼と言っちゃなんだがウチの氏子と一発ヤってくか? 別にやり捨てでもこっちにとっては得でしかないから大丈夫だぞ?」

「ちょっと感動したのに台無しだよバカヤロウ」

 

 なんでそんな話が出て来たのかと思ったら、どうやら日本に来ていないエジプト神話勢*3が、俺がマナを嫁に取りフェニックスやセトにハトホル、バステトとも仲が良い事を上手い事女好きなガイア連合員に取り入れたとして自慢しているらしく、その事を悪魔内での掲示板で煽っていたのだとか…。

 

「えぇ〜…いやマジかぁ…アイツら今の状況で良くそんな呑気な事言ってられるな…」

「うん? その言い分だとなんか違うのか?」

「いやまぁ、確かに取り入れられたと言われたらそうかもしれんが、何と言うかマナは嫁だから知り合っていく事で愛していってる訳だし、日本に移住している霊能者達は魔界に逃げ帰った連中に対する信仰なんて最早皆無で、エジプト脱出の時に護ってくれてた神格だけしか信仰されてないぞ? その神格達も理不尽してくれやがった主神格達とは縁切りしちまってるし」

 

 日本に移民して来た霊能者達の中には、家族を主神達の都合で殺された人も居るから、そんな人達に至っては恨み節増し増しな状態だったからな、下手したら堕天とか反転みたいな事になるんじゃねぇの?

 

 …ハトホルとバステトについてのその後? 本神達の性格もマトモだから嫌いになれない上、不知火とゆきかぜが仲良くなってて同衾にも誘うから断り辛いんだよ…加護貰えているからって旦那が他の嫁でもない神とヤるのって不満じゃないんだろうか?*4

 

「はっはっはっ!! つまりアイツら結果的にあの戦争でミイラにした自分所の霊能者と何人か巻き添えで攫った分以外を損切りしたせいで逆に全部ロスしてるような状態だったのか!?」

「俺からしてもあのやり方は本当に正気疑うレベルだから、絶対に地元に呼び寄せたりする気無いしな…てかこの前も魔界からハトホル達の脛齧りしようと霊的通信入れようとしてたから、アイツらのホットライン全部遮断してやった訳だし」

「はっはっはっはっはっ!!」

 

 因みにショタオジ監修で山梨第一支部に敷いてあるレベルの結界参考に張ってあるから、滅茶苦茶苦労したけど大分良い出来の代物で夢への干渉もされなくなったのが個人的にはラッキーだったな。

*1
技術力を盾にしたゴリ押し

*2
実はヤンデレネキが色々物騒過ぎて周りが心配な為ちょくちょく確認取ってる

*3
オシリス等魔界に逃げ帰った奴等の事

*4
そもそもブーストニキが毎回分身の術で個々人で相手出来るから不満なんて更々無いとの事




 ブーストニキが懐に入れた相手からの要望を中々断れない性格な所為で、ズブズブな関係になっているブーストニキとエジプト女神の二柱、最早家庭内どころか一緒に移住して来た神格達からも嫁扱いである。

 尚、式神嫁達は別にこれまでと変わらずに愛してくれるのならば何人増えても構わないタイプ(本霊が御立派様と無機物神と龍な為人とは価値観が違う)なのと人間の嫁達が水城親子みたいな、同じ家庭に互いを良く知っている相手が居ないマナを気遣って善意で二柱を招いている感じですね、つまりブーストニキの心配は唯の杞憂です。

 因みに出来た初日に家庭環境を知る事になり、あまりの性の乱れ具合にグレイディーアは早速宇宙猫状態でした(笑)


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第五十一話 人間諦めが肝心と被害対策

 五十話超えてるのに半終末に到達してないとかマジ? な作品はこちらでございます。

 …いやね、問題起きる前に伏線仕込んでおきたいのに話が脱線しまくって置き忘れてるんすよ…悪い癖ですなぁ…そんな事を愚痴りながら更新でございます。


「は? 米国のメシアンがクトゥルー呼び出して米国機能不全にしたのにも関わらずガイア連合に助けを求めてる? 何それ馬鹿なの? 死ぬの? もしかしてトロイの木馬仕掛けるつもりとか? 地方防衛策ギリ間に合ったっぽいけどまだロクに試運転出来てないんだが?」

「正しくは某邪神がメシア教に侵入していたのを見破ったけれど、邪神が悪足掻きで起動させた天使召喚プログラム…の改変版である邪神召喚プログラムでクトゥルーが召喚され、クトゥルーの影響で米国が機能不全に陥ったから連合に助けを求めた、って感じですね」

「どっちにしろ面の皮厚過ぎて呆れるだけだな…ほい、効果別媚薬一式セット完成」

「…はい、確かに確認出来ました、いつもありがとうございますね」

「対価に見合った働きしてるだけだから気にせんくて良いってのに…」

 

 現在山梨第一支部にて、ミナミィネキからの依頼の品*1を製造しつつ、ここ最近あった事の雑談を交わしていた。

 

 …因みにエログッズ関係の製造についてはミナミィネキが試作品を持ち込み、俺がそれをブラッシュアップした後にミナミィネキの審査を通し、OKが出れば増産するというのが毎度のパターンになっているのだが…。

 

「………」

「あら、なにかあったのブーストニキ? なんだかスケベ部名誉顧問になった時みたいに遠い目してるわよ?」

「最早当然の様にエログッズの用途を理解して改善していける自分の変わり具合に思わずな…てかもう既にエロ権能持ちの現人神みたいになったせいで、スケベ部名誉顧問じゃないとか否定しても白々しいだけなのが虚しい…」

 

 少し前まではバリバリに嫌悪感持って拒絶してたのにな…なんかやる気の無い黒札連中とか、クソみたいな理由で今迄支えてくれてた氏子達を切り捨てる日本神連中見てたら、例えエロ目的であろうとも精力的に働いているスケベ部の方がマシに思えてるんだよなぁ…。

 

「おやっ、つまりブーストニキさんは正式にスケベ部に入ってくださるんですね!?」

「まぁ特にやる事は変わらないから、側から見ても大して大きな違いなんて無いだろうから良いけどさ…取り敢えずは終末に向けての需要見込んで、もうちょい本腰入れてエログッズの生産するのと並行して、娼館利用する奴に少しばかりの警告とかは出すつもりだけどな」

 

 ミナミィネキのやってる【悪魔娼館】なんだが、気兼ね無く利用出来るという点でそこそこ人気があるのだが、最近利用者が増えた事で別の問題も出て来たのである。

 

「お客さんも大満足でリピーターや引き取りされる方もいる位ですけど…何か問題でも有りましたか?」

「そいつには無くても、そいつの式神には問題が出てるんだよなぁ…」

「あぁ、そういう事でしたか…」

 

 別にちゃんと式神と話し合った上で娼館利用するんなら良いんだぜ? でもそうじゃなくて『推しだから手を出すなんてトンデモない』とか何とか言って娼館にドハマりする奴が問題となるのだ。

 

「愛されてるのに手を出さないどころか他所に愛人作って貢ぐとか、嫁式神側からすればNTR以外の何でもないから脳破壊される事案がちょくちょくあるんだよなぁ…」

「う〜ん、でも別に黒札には問題起きてないから大丈夫なのでは?」

「…そういやミナミィネキは黒札偏重派だったな」

 

 人の事を言えた義理では無いけれど、本当にこのガイア連合には多種多様な考えがあり、それに伴った問題も起きるんだという事を思い出した。

 

「ミナミィネキにも危機感持って貰いたいから詳しく説明するが、確かにそれぞれの嫁式神が脳破壊された所で黒札本人には問題は起きないが、脳破壊された式神は情報処理能力がそっちに取られて落ちる事が分かっていてな…娼館に通う様な奴はそれなりに稼ぎがある連中だけど、それってつまり戦闘に出てるんだわ」

「うん? 戦闘に出てるのに連れて行ってる式神の処理能力が下がってるの…不味くないですか?」

「実際ここ最近前まで問題無く相手出来てたアクマとの戦闘で式神の判断が遅れて死に戻った奴がちょくちょく出て来始めてるな」

 

 その結果一緒に居た式神もやられて修復したり何だのをさせられる身にもなると、式神から原因である脳破壊案件を聞く羽目にもなる為、まるで痴情のもつれに巻き込まれたかの様な気分になるのである。

 

 俺等は物理的な修復は出来てもカウンセリングの精度は人によるんだから、基本的にコミュ障ばかりなのにマジで勘弁してくれよ…。

 

「てか下手したら感情部分が暴走して刃傷沙汰になりかねないから、マジで洒落にならんのよ…」

「刃傷沙汰って…式神にはプロテクトが掛けられてるから主人の黒札には手出し出来ないんじゃないんですか?」

「いや、主人に対してじゃなく娼館で雇われてるアクマに対してだよ…メンテしてる最中に自分の掌見ながらそんな感じの事ボソボソ喋ってる奴が居たんだよ」

「えぇ…」

「取り敢えずその時は強制的に落ち着かせてから所有者の黒札呼び出して腹割って話し合話せる事で解決しようとしたけども、何と言うか『憧れは理解から最も遠い感情』だったかな? 私の推しがそんな事言う筈無い!! って脳死で否定するわ、婿式神の方も婿式神の方でイエスマン設定だったからそもそも前提として腹割って話せないとかいうクソみたいな状況だったんだよな…」

「まぁ、基本私達コミュ障ばっかりですもんね…」

 

 マトモに話は進まないわ、そいつが娼館から引き取ったっていうアクマが影に隠れながら嗤ってるのがクソムカつくわで、滅茶苦茶腹立たしい事仕方なかったぞマジで…。

 

「で、余りにも話が進まなくてプッツンしちまってな?」

「え゛? 又何かやらかしたんですか?」

「ここ最近になって漸くマトモに覚えれた戦闘スキルの【マリンカリン*2】を婿式神に使ってやり、主人に対する本音だけをダダ漏れにしてやったんだよ」

「何やってるんですかブーストニキ…」

「まぁ、そしたら今まで抑圧されてた不満や恋慕や嫉妬といった激重感情が出るわ出るわの大洪水、更にその状況で勢いに任せてなのか口説き始めてなぁ…如何やらその黒札式神に【交渉】スキルも持たせてたのか、次々と怒涛の勢いで口車に乗せてあっという間に性交渉にまで持ち込んだかと思いきや、主人をお姫様抱っこして速攻で帰って行ったんだよな…俺と娼館から買ったっていうアクマを放置して」

 

 マジで嵐の様な勢いで交渉して押し切って去って行ったから、俺と放置されたアクマはポカンとするしかなかった位である。

 

「そういえばこの前折角引き取られたアクマが一体返品されてましたね…」

「多分というか絶対ソイツだわ…だって件の婿式神が主人と本格的に結ばれた事とか、邪魔だったアクマが居なくなって快適になったとかで主人の黒札と一緒に礼しに来たからな」

 

 因みに他人の式神に勝手に術使った事でお咎めされる事になっていたのだが、当の本人達が庇ってくれた事や、ショタオジがアクマ相手にするよりかは健全な方に舵取りしてくれたからって事で、一日事務職の書類手伝いで済ませてもらえる事になった、マジサンクスです。

 

「取り敢えず折角のパートナーとして式神が居るのに娼館を利用しようとしている黒札に関しては、そんな感じの理由で注意喚起する事にしようと思ってるんだわ、娼館も別に悪くは無いんだろうけど金の無駄使いになりかねんし、何より式神にストレス貯めて事故った結果方々に迷惑掛けかねないからそこら辺は了承してくれ」

「ふ〜む、確かにそこまで被害が出るんだとするとちょっと考えてしまいますね…まぁ、うちの娼館は黒札だけじゃなくて現地民も利用してますから、そこまで気にしなくても良いという事にしましょうか」

「折角スケベ部に入ったっていうのにいきなり収入減らす様な口出ししてすまんな、一応注意喚起する時にさり気なく商品とか部屋を勧めたりしておくから、それで勘弁してくれ」

 

 そう言って頭を下げると、ミナミィネキは困った人を見る様に眉根を顰めながらも、少しばかり苦笑する程度で許してくれる事になった。

 

 なんだかんだでミナミィネキは良い奴なのではある…エロ大魔王だけどな。

 

「そういえばブーストニキさん漸く戦闘でも使えるスキルを覚えれる様になったんですね」

「そうは言っても基本的にエロ関係のスキルだから補助スキルばっかりだけどな」

「そんなブーストニキにぃ…お勧めのスキルがあるんですが…どうします? 習得してみません? 習得しましょうよ? 習得するべきですよね、それじゃあどうぞ」

「えぇ…なんか強引過ぎない? まぁ負目があるから習得してみるけどさ…何々? …【ファイナルヌード*3】?」

 

 ブーストニキ の 霊的魅了 が 跳ね上がった !!

 ブーストニキ は 男から も 性的 に 見られる様になった !?

 

 …やっぱりミナミィネキ悪魔娼館の邪魔された事怒ってません?

*1
主にスケベグッズやそっち系の消費アイテム

*2
敵一体を悩殺状態にする。ブーストニキはエロ権能によって方向性も設定可能

*3
敵全体に確率で魅了を付加し、3ターンの間、攻撃力と防御力を2段階低下させる




 因みにミナミィネキは純度100%のお祝いの気持ちでプレゼントしております(クレオパトラの専用技では? とか突っ込んではいけない)

 霊的魅力が跳ね上がったのはブーストニキの特性の影響なので全くの偶然でしかなかったりします(笑)

 やったねマナちゃん(クレオパトラの転生体)旦那もファイナルヌードを覚えたから、ダブルファイナルヌードとかしてふざけられるよ!!

 尚相手の性癖は完膚なきまでに崩壊する模様。


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第五十二話 防衛前と取引の確認

 という訳で半終末直前の過激派によるICBMカーニバル直前回となりますが、皆様にここで一つ前提情報の御通達をば…。

 この世界線では原作で多神連合の崩壊を決定付けたエジプト神話崩壊の際、ブーストニキがある程度悪あがきをして有力霊能者をそこそこ救助している上、お土産に特殊仕様の大ターミナルを譲っております。

 これによって世界各国で矢鱈と防衛戦が上手く行っており、ガイア連合とは友好的なれど連合を頼って日本にまで来た神話勢力は大分減っております…そんな状態で原作のICBMカーニバルが発生したらどうなるでしょうか?

 …はいそうですね、ブーストニキによる特大のガバで御座います(白目)

 それではそんなガバに対するリカバリー回、どうぞです。


 特大の問題が発生した、過激派ゴミメシアン共による全世界一斉核攻撃とのリーク情報が穏健派から齎されたのである、しかも件の核を搭載したICBMにはアクマ召喚機能付きとの事、マジでざけんな。

 

 連合は速攻で長時間の会議*1を恙なく終え、その結果連合を頼ってやって来た外様達を矢面に立てて日本の防衛をする事にした。

 

 しかし、各地の神話勢力が思いの外自国防衛を粘れているらしく、現状で連合に身を寄せている神格が思った以上に少なかった為、なるべく安全に配慮した上で黒札達にも迎撃作戦の補助に参加してもらう事になったのだとか…。

 

 その結果というか何故か…。

 

《それではミッションを説明する》

 

 俺がオペレーターをする事になった…何でだよ?

 

 因みに今の俺はそこそこの人数の黒札達と共に、以前にとある【富豪俺ら】の一人が余りの多忙さから「誰にも邪魔されない場所に別荘建ててゆっくりしたい」という理由で『沖ノ鳥島に』建てられた別荘を魔改造した前線基地の電脳空間内である。

 

 …尚折角建てられた別荘なのに当の【富豪俺ら】が利用中に結局仕事が気になって帰ってしまうワーカーホリックになっていた為、今日に至るまで全然利用されていなかったとの事、本当に気の迷いだったんやなって…。

 

 そんな訳で最早実質所有者の居ないこの建物の大ターミナルと、もう一箇所大分北側に外様を動員して創らせた人工島…神工島? に設置した大ターミナルを用いて大規模な電脳空間を敷設する事で、飛行不可能な神格にも足場を提供出来る様にして超大雑把な防衛網を敷設する事にしたのである。

 

 しかしここで以前行われた俺の黒歴史…ショタオジによる自衛隊公開処刑に於けるとあるワンシーンを思い出した黒札が、ふと余計な事を掲示板で呟いたのが現状に於けるデスマーチの始まりだった。

 

 因みにその呟きの内容は『…そういや自衛隊に分からせやってた時、ブーストニキが電脳異界からリアルに居るショタオジ目掛けてグレートウォールの一斉射してた訳だけど、あれ応用すればリアルアーマードコアでICBMの迎撃出来るんじゃね?』という内容である…。

 

 君の様な勘の良い餓鬼は嫌いだよと言いたくなる様なそんなレスによって『その手があったか!?』みたいな天啓を受けた首脳陣により、再度行われる事となった会議へと引っ張り込まれ、俺としても日本のピンチには手を貸さないわけにはいかないので、ショタオジ協力の元こうやって舞台装置へと組み込まれる事となったのである。

 

 …因みにマジで俺自身の能力をフルスペック活用して戦場となる電脳異界及び各黒札が持ち寄った機体の決戦仕様*2を維持している為、俺自身はオペレーターや補給以外一切の迎撃行動が取れないという、滅茶苦茶歯痒い状態となっている…。

 

 しかしまぁその結果作戦は修正され、今現在前線には多数の神格とそれとほぼ同じ数の作品も機体もごちゃ混ぜなロボット群が其々の戦域でスタンバイしているという、余りにもカオスな光景が広がっていた。

 

『なんかはじまた』

『微妙に機械音声に変換してあるから雰囲気でてるなぁ〜』

『まぁ、どう考えてもAC意識してるもんな』

『こんな大舞台でやるとか、ブーストニキも意外と分かってるじゃん』

 

 連合からの依頼で作戦参加する事になった連中が好き勝手言ってるけど、戦場任せられてるから下手な口出しとかしてやる気下げられるとかなったら俺の責任になるから出来ねぇ…。

 

《今回の目標はイかれた手羽先共によって日本に向け発射されたICBMの迎撃、及び当ICBMに搭載されていると思われるメシアン製の【天使召喚プログラム】とかいう産廃によって召喚される手羽先共の処理だ》

 

 今回メシアン共によって打ち出されるICBMには核だけでなく胸糞悪い仕掛けによって、爆発と共に周囲一帯のMAGを無差別に吸い取って天使を召喚するという、産廃というには産廃という言葉に対して失礼なんじゃないかと思う程の塵が搭載されている事が判明している。

 

『メシア製だからどうせろくでもない機能が搭載されてるとは思ってたけどさぁ…』

『胸糞な事するのにかけて右に出るヤツは居ないだけはあるな』

『そもそもメシア教と胸糞でタメ張れる奴とか某邪神位しかいなくね?』

『そんでもってその某邪神が件の【天使召喚プログラム】作ってるんだよなぁ…』

『廃棄物の汚泥和えかな?』

 

《因みに言っておくが今回の戦線は念を押して三段階用意してあるが、核爆発が起きた場合はそれによる影響で電脳空間に問題が発生するかもしれない為、出来る限り最前線で離れた所にあるヤツを狙って欲しい》

 

 実際今回の作戦で一番弱いのってある意味黒札達の機体だからな…ゲームとして楽しむだけで殆どリアルへとアウトプットしてないから、幾らやり込みしている事によってレベルが高くても、所詮は電脳空間の限界が活動可能なエリアの限界だし、電脳空間の消滅がイコールで機体のロストに結び付くんだよなぁ…因みに次点で弱いのは飛べない神性であり、泳いで無事な電脳空間へと上がらなくてはならない為である。

 

 一応電脳空間に直撃でもしない限りは崩壊しない程度の強度はあるつもりだが、それでも電脳空間がやられたら一気に戦線が崩壊しかねないので頑張って遠距離で弾幕を張ってもらいたいものである。

 

《事前に聞いているとは思うが、今回の依頼に於ける報酬は参加した事による最低保証と出来高性だが、撃墜数に関しては此方で各機や各神格の動向を全て把握している為、ひたすらICBMの撃墜に集中して欲しい…当然の事だがサボりと見做せば報酬は無くなるからな? 別段命の危険がある訳じゃ無いんだから、積極的な行動を期待する》

 

 因みにこれに関しては今回の作戦に参加している神格もほぼ同じ待遇なのだが、身内贔屓が酷いガイア連合なので出来高のハードルが『本作戦に参加している黒札の最低撃墜数以上ならば追加報酬有り』との事らしく、下手したらICBMが来ずに基本給だけになりかねない恐れがあるのだとか。

 

 …いやこんな大事な場面で一応仲間である奴等のテンションガタ落ちさせかねない依怙贔屓するのやめーや…。

 

 そんな訳で外様達は仲良しグループで屯している黒札達へと不満の視線を向け…ず、とある一機のロボに対してのみ不満の視線を集中させていた。

 

 様々な神々から向けられる不満の視線を一身に浴びても小揺らぎもせず、寧ろ上機嫌さを隠そうともせず電脳空間外で・・・・・・浮遊するその機体の名前は《天霆號ネガロギアアーゼウス》であり…俺が地元防衛用にコツコツ作り上げていた『奥の手』でもある。

 

『所でブーストニキに聞きたいんだが、リアルに出ているアーゼウスって誰が乗ってるんだ? あんなデカいの造ってたとか支部長クラスだと思うんだけど、全然心当たり無いんだが?』

《…俺の分身をエネルギータンクにしてる式神体の雷神が乗ってる》

『…なんだって?』

《だから『俺の分身を動力源兼霊的パイプにする事でMAG切れを防ぐ』事で『相応のエネルギーキャップは受けつつも好き放題暴れ回れるゼウス』が乗ってる》

『………ブーストニキ、端的に言ってバカでは?』

《日本が終わるかもしれない危機的状況下で思い付く限り最大限の努力をして何が悪い?》

 

 実際こうして何も出来ない俺には他者に運命を委ねる以外出来る事等何も無いのだ、それならば最大限出来る事何だってやるつもりだ。

 

 今回の俺にとってはアーゼウスこそがこの局面を乗り越えた先を迎える為に必要な賭け金だったというだけの話、溜め込み続けて何もかも無くなる位ならギリギリまで吐き出して抗い続けてやるだけだ。

 

「分の悪い賭けは嫌いなんだがな…」

『はっ、そんな事言う癖に俺様に一点賭けたぁ矛盾してねぇかよ、契約者殿?』

 

 電脳空間の中、DEMを搭載した指揮所で独り言を呟いていると一時的な霊的パスを繋げているゼウスからからかいの念話が送られて来た。

 

「うるせぇぞ脳内下半神、てか今回限りの取り引きでしかないんだからその呼び方辞めろや」

『オイオイオイ、仮にも契約結んでるんだから間違った事ぁ言ってねぇだろうが…【今回の核迎撃作戦に参加して【南雲一の観点から】積極的に参戦する事により、報酬として今作戦に使用した【天霆號アーゼウス】を問題無く稼働させられる状態でギリシャ神話勢力へと譲渡する】って内容でな』

「それプラス【但し譲渡する際に【ガイア連合幹部】又は本契約を交わした【南雲一】の許可する戦闘以外ではギリシャ神話勢力の専守防衛以外での使用には制限を掛ける】っていうのを忘れるなよ」

 

 これらが今回俺がゼウスと交わした契約の全容だ、ハッキリ言って何処かしらにデカい穴が空いている様なガバガバ契約なのかもしれないものだが、そこら辺は時間が無かった為にマトモに内容を詰める事が出来無かったのである…契約から試運転を経て今日まで一日分も時間無いとか嘘みたいだろ?

 

『ふん、勢力拡大に利用出来ないのは歯痒いが防衛に関しての不安は取り除けるんだから上々だよ…なぁ、お前さんうちの陣営に来ようとは思わないか?』

「生憎と、親も家も嫁も居る地元の日本から全く喋れもしない外国語圏へと離れる気なんざ欠片も無くてな…同じ様に故郷を護る為に連合を頼ったアンタなら焦がれる程に共感出来る話だと思うが?」

『違いねぇ…おい、契約はしっかり守れよ?』

「バカみたいに連続稼働させなければ十分御神体として使える様にはしてやるさ…さて、もう直ぐクソッタレメシアン共の汚い花火が来る筈だ、俺は全体オペレーターとして機械に徹するからマトモに相手出来なくなる、手を抜くんじゃねぇぞ?」

『ハッ、全能神の放つ雷霆…存分に振るってやろうじゃねぇか!!』

*1
側から聞くと意味不明だが、ショタオジによる時間操作結界のお陰で短時間なれども濃密な話し合いを行ったとの事

*2
レベルキャップを解放して搭乗者のレベルやステータスの反映及び、スキル等を機体でも使用可能にする為リンクさせるチューニングの維持を施している




 ゼウスinアーゼウス(ヤリタカッタダケー

 そんな訳で今作では黒札(安置からロボ操作)とゼウス(雷霆パラダイス)がやりたい放題やって迎撃する感じとなっております、まさかの外様大活躍で日本神ポカン案件。

 因みに現段階でブーストニキのレベルは29ですが、当然の事ながら遙か格上のゼウスとの契約なんて無茶振りですので酷いしっぺ返しが待っております、サイコロの出目をご期待下さい。

 後、ちょっと今度書くつもりの未来if回で迷っている事があるので、アンケートの方出来ればで良いのでお願いします。

 因みに簡単に説明すると1だとブーストニキが苦虫噛み潰した様な顔で悩む様になり、2が微笑ましくも冷や汗で顔を引き攣らせる事になり、3があまりにもあんまりな事で頭痛に襲われる内容となっております(笑)

 オススメ度としては1>3>2…ですかね?


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第五十三話 振り返りと現状

 はい、そんな訳で半終末突入でございます…長かったなぁ…でもこっから終末まで話が続くとかマ?

 なんか軽い息抜きのつもりで書き始めたのにこうなるとちょっとビックリしてますが、とりあえず完結する迄は頑張って書きますよ〜書く書く。


「漸く一安心…って所だなぁ…」

 

 過激派メシアンによる全世界へ向けたICBMによる核とアクマによる終末を自ら引き起こすという、どう考えても狂ってるとしか言えない作戦は日本を除きまずまずの成功を収めた。

 

 GPは跳ね上がりそれに伴いアクマの出現も以前と比べれば桁違いに増え、されども日本が持ち堪えた事によって未だに物理法則も働いてる…言うならば世界は『半終末』とでも呼ぶ状態へと切り替わっていた。

 

 数多のICBMに立ち向かう黒札のロボと神々だったが、その中でも特に派手な活躍をしていたのは当然というかなんというかアーゼウスに乗ったゼウスだった。

 

 …うん、GPの影響でレベルが制限されているから【マハジオバリオン】とまでは行かないとはいえ、飛来するICBMやそれが爆破する事によって召喚されるクソ手羽先共を御自慢の雷霆(スキルとしては【電撃プレロマ】と【電撃ギガプレロマ】が効いてる【マハジオダイン】レベル)で片っ端から消し飛ばしていってたので、そりゃあもう滅茶苦茶目立ってた。

 

 アーゼウス自体に【貫通】スキルが常備されているので目に付く限りの全てのICBMを消しとばしていったのだが、残念ながら敵も馬鹿ではなかった様で迎撃される前に自爆させて手羽先共を召喚する作戦へと切り替えていった。

 

 勿論放置なんて出来る訳ないので蹴散らしていくのだが、此処でも電脳空間という制限が存在しないアクマや、極小数だが機体をリアルへとアウトプットしていた黒札達が盛大に活躍していた。

 

 ゼウス操るアーゼウスによる派手な雷霆は勿論、百万ニキの電脳空間仕様にする事で逆にリアルから電脳空間に送り込める様にしたブラスタBによる超長距離狙撃なんかも、敵が作戦を変更して手前で起爆して召喚させるのを防ぐファインプレーを連発していた。

 

 ある意味凄かったのは、ロボ部に所属する『叢ニキ』という、趣味が高じてまさかの『叢-MURAKUMO-』というゲームに出てくる【クラウドブレイカー】と呼ばれる機体のシリーズ五機全部を造ってリアルにアウトプットした変たi…ゲフンゲフン、趣味人である。

 

 叢ニキは保持している機体が多いのを活かして弾切れするや否や機体を倉庫にトラポートさせ、整備させている間に他機体で出撃して速攻弾切れまで撃ち尽くして次の機体へ…を繰り返す滅茶苦茶金食い虫な戦法を取っていたのだが、本人曰く「弾薬費用は全部連合が請け負ってくれるって言ってたから、派手に暴れさせてもらっただけだぜ」との事…尚、後程連合の運営部からしこたま怒られた模様…一人だけ弾薬費が桁違いなんだもんな、そりゃ当然怒られるわ。

 

 他にもヤバかった奴として挙げられるのは『(自称)大統領ニキ』なのだが…うん、アレに関しては戦闘力も中々なのだが、それ以上にテンションがヤベー奴なのである…。

 

 何がヤベーって「私は大統領(になる男)なのだから!!」を合言葉に愛機である【メタルウルフ】をぶん回し、戦場のどこに居ようとも簡単に分かるレベルの喧しさで搭載している兵器をぶん回すヤベー奴である(大事な事なので二回言いました)

 

 あのどう考えても物理法則に喧嘩売ってる様な武器収納と弾幕を再現する為に、件の【メタルウルフ】には【収納ポーチ】系の技術をガッツリ使って呆れる程大量の燃料と弾薬を確保しており、それによって得たふざけた継戦能力でほぼ唯一作戦開始から終了まで補給を挟まず前線を張り続けたヤベー奴なのである(大事な事なのでry)

 

 …まぁでもこの人の何が一番ヤベーのかっていうと、元々アメリカ生まれの【俺ら】というクッソ希少な存在だけど、最初期からメガテン世界だと知っていたのにアメリカ大統領を目指すから連合はどうでも良いというスタンスをしていたのに、リアルACが出てその概要を知った途端山梨に移住して来た上、そっから本来レベルが上がり難い筈のリアルACで既にレベルが50を超えているらしい修羅勢なのである…何がそんなにこの人を駆り立てているんだ…?

 

 まぁ、こんな愉快や面々の他にも矢鱈と焼け野原ボイスが印象的な『主任ニキ』による、搭乗機体の【ハングドマン】を常時供給が行われる電脳空間にて半ば固定砲台にする事により、火力と連射性を原作のあのミッション並に高めた【ヒュージキャノン】がICBMも天使も関係ねぇとばかりに焼き払ったりする等の活躍も見せており、結果的に過激派メシアンによる全世界を標的としたICBMによる自作自演核戦争からガイア連合は日本を護る事に成功したのだった。

 

 途中で日本への攻撃が上手く行っていない事を察知した過激派が大量のICBMを日本に向けて放ってきたが、それも撃ち漏らして日本に落ちる事はなく、寧ろ電脳空間から出れなかった神々にとってのボーナスタイムとなるだけで終わった。

 

 …まぁ、その結果日本神がなんか当初立てていた計画よりも活躍する事が出来ずに文句を言ってきたが、俺としては一つでも通せば即アウトな状況でそんな重役出勤してくるような連中よりも、多少がめつくてもちゃんと最初から最後まで護りに動いてくれた外様の方がマシだから、文句言って来られてもどうでも良いから無視安定なんだよなぁ…。

 

 

 

 …で、そんなこんなで無事日本をICBMの脅威から救った事で一安心出来る様になった俺が現在何をしているのかというと…。

 

「………暇だ」

 

 絶賛防衛戦による反動の為、三日経った今でも第二電脳異界【テラ】に(修行の一環で)建てさせられていた病室にて絶対安静中となっております…。

 

 なんで完璧に近い位日本護れたのに反動を引き摺っているのかというと、そもそも電脳空間を安定させる事自体がギリギリだったのに爆破されても数回なら大丈夫な様強化していたり、少しでも継戦能力上げる為に電脳空間上に配置された奴等の補給の補助*1したりしていたので、言ってしまえば連合が想定していた以上のリソースを戦線に割いていたのである。

 

 それに何よりもアーゼウスの支援にリソース取られまくり、結果として作戦終了するまで自分自身のリソースも削って戦線の維持に努めていた為、体力や魔力だけでなくスタミナや免疫力まで低下しており、常時バッドステータスである【衰弱*2】を患ってしまったのだ。

 

 しかも俺の無茶による反動でなっている為自然回復を促すしか効果的な治療は無く、無事に日本を護れたのにその歓びを嫁達と分かち合う事さえも出来ないのである…正直言って虚しいぞ…。

 

「…まぁ、そこら辺はまだマシな部類なんだよなぁ…」

 

 ボヤきながら『利き手ではない左手』で微妙にまごまごしながらリクライニングベッドを起こして、座れる状態にしてテレビを見る事にする。

 

 …うん、当然と言えば当然だけどあまりにも範囲が広過ぎたからね、対価として『右腕』と『右脚』に『右眼』と、何故か右側ばかりロストする羽目になったんだよな…。

 

 多分利き手側だったからリソースとして優秀だったからだと思うんだが、あの作戦でこれらを使った時は既に意識が朦朧としてたから、何が起きたのか全然覚えてないんだよなぁ…。

 

「【衰弱】状態が治らないと手脚についてはどうにもならないらしいし、序でにレベルも6減少…ショタオジ曰く半終末になったからレべリングはし易くなっただろうとは言っていたけど、時間…掛かりそうだよなぁ…」

 

 まぁ、日本護れたから良いんだけどね?

 

 …そう思ってなきゃやってらんないよ。

*1
ほぼオートリロードレベル

*2
【虚弱】の上位互換で治るまで他の状態異常に必ず罹り、最大HPMPを半分にし、全ての回復効果を半減させる




 そんな訳でアホ程手痛いデメリット受けた代わりに日本防衛はアッサリ成功致しました、正直ここまでしなくても防衛は成功する筈でしたが、その場合は日本神が原作みたいにデカい顔する事になったので、ブーストニキ的には不快にならない結果となりました。

 右半分を殆ど無くしてしまっていますが、これらに関してはダイスの結果ですね…取り敢えず【1d4】で回してみたら【3】が出たので『レベルダウン(ダウンする量は二十面と十面の合計値)』で【6】というショボい結果になったのと『自然回復まで弱体化+状態異常付与』に『回復する迄四肢や眼のロスト(出目参照)』となったので今度は【1d6】振ってみたら【3】が出たので、四肢と両目に番号振って六面ダイスでロストする箇所を選びました。

 因みに普通に自然回復を待つとしたらロストした部分を戻せなくなるので、現在ロストした部分はショタオジによる封印でロストした時のまま時間停止させてある状態です。

 それでは次回の更新内容についてですが、前回言っていた未来ifですね、具体的にはブーストニキと退魔忍親子との間に出来た子供達についてで御座います。


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水城姉妹

(時間が流れるの)はっやーい!!

 てな訳でアンケートの結果『スケベェ…』が選ばれた為、ブーストニキには頭を抱えてもらう事になりました(ゲス顔)

 因みに他のアンケートの結果は、『エジプト』だとホシノ以外のアビドスメンバーがホシノと仲良くなっちゃって、主にシロコとノノミがメシア教から引き抜こうとわちゃわちゃ騒動を起こして、ブーストニキは生粋のメシアンであるホシノと娘達のやり取り見て苦虫噛み潰した様な顔してます。

 『忍者』だと忍術研究部の三人(この場合だとマナの子供がイズナ)が忍者に憧れて五車の里で本格的な忍者修行してる話になりましたね…但し五車の里という事で『退魔忍が基準の忍者』となる訳ですが…ブーストニキは娘達が頭退魔忍にならない様ちゃんと兵法とか教える羽目になってます(笑)


 世界が魔界に堕ちてそれなりに…具体的には終末になってから産まれた黒札達の子供が十代半ば迄育った頃。

 

 ブーストニキの悪癖でもある心配性によって、過度なまでに対策が施されていた丹後半島は、世界が終末なのにも関わらず終末前の様な平穏さを保ったまま土地だけが広くなるだけで済み、周りの変化に対応しつつも終末前から特に変わらないその環境に多方向からの関心を寄せられる場所となっていた。

 

 その結果ちょくちょく他所のロクでもないアクマ達から狙われる羽目にはなってはいるが、ブーストニキの指針によって育児等に注力されている結果、終末になってから最早絶滅クラスで数少ない安全な子育て機関が揃っている為、多くの子持ち黒札だけでなく世界中の多種多様な神話勢から子供が留学に来ており、実際に襲撃しようものならその後族滅されかねないようなアンタッチャブルゾーンと化していた。

 

 …というか実際何度か襲撃や謀略を仕掛けて来た勢力が族滅された事があるし、酷い場合は襲撃企てたとある神格に飼われていた(誤字にあらず)氏子(と呼ばれているだけの実質奴隷)から情報がリークされた事で先手を打ち、神格潰して氏子達を回収&素質に合わせて就職先斡旋とかした事もあった。

 

 そしてそんな地上の楽園*1の管理者であるブーストニキにも子供が出来ているとなれば、反感買わない為に謙ったり美味しい目に与ろうとゴマすりされている…という事も無く。

 

「ちょっとハナコ!! あなたまた卑猥なモノ買うつもりでしょ!?」

「あら、コハルちゃんも興味ありますか? ミナミィさんの新作ですよ?」

 

 ガイア連合丹後半島支部、裏ではそうなっているものの表向きはジュネスとして建てられていたここでは、隠れ蓑であったとしてもその役目を果たす為に当然様々な用品が売られているのだが、そのラインナップはその支部を運営する黒札によって特色が出ており、それはブーストニキが運営している丹後半島支部でも同様であった。

 

「あ、ある訳ないでしょ!! なんでそんな興味ある事前提で聞いてくるのよ!?」

「え? でもこの前の『家族会議*2』でコハルちゃんがログ消そうとしながらそういうグッズ買ってるのはどうしよう…ってゆきかぜお母様が言ってましたよ?」

 

 そして丹後半島支部の…というかブーストニキの特色として何が売り出されているのかと言えば、終末後対応の電子機器やらをメインに売り出しているのだが、肝心の一番人気がなにかと言えば…まぁ、言ってしまえば『子作り用アイテム』等を筆頭にした十八禁エログッズなのである…。

 

 終末になってからは確実に妊娠・出産する為の設備や環境は重要だからね、そりゃあ儲かりますよ…終末を迎えて子作りから成人する迄の一連の流れをガッツリとサポートする、それが丹後半島支部の人気の秘訣である。

 

 尚、そんな立ち位置が確定した今となってもメシア教過激派の殲滅を諦めないブーストニキの事は、未練がましいと言うか往生際が悪いと言うか…。*3

 

「な、何でお母さんがその事知って…ってかそれだとお父さんにもバレて…っ!?」

「あ、お父さんはとっくの昔に把握してたけど、コハルちゃんが恥ずかしがってたからって黙っていてくれたみたいですよ?」

 

 一応売っているモノの内容が内容なので、ジュネスの最奥の意図的に目立たない場所(しかもトイレとかも無いほぼ裏方側)に配置する事で、ただでさえ終末による土地の広がりに併せて拡張した、最早一つの街レベルに広い*4ジュネスで見つける事等出来る筈も無く、風紀的な面はしっかりと守られているのであった。

 

 …まぁ、そのアダルトコーナー内も空間拡張されており、買った商品を即座に楽しめるラブホ染みた店も出されており、下手したら色町と呼べるレベルで設備が豊富になっている訳なのだが…。

 

「うぇっ!? じゃ、じゃあ私がこの前買った『モノ』についてもっ!?」

「何だか濁しながらでしたけど『三日前にもアンナ物買って…女子の成長って本当に早いんだなぁ…』って黄昏てましたね…」

「うわぁぁぁああっ!? 完全にバレてるゥッ!!?!」

 

 そして此方がそんなアダルトコーナーやエロサイトを頻繁に利用してエログッズを買い漁る、ブーストニキの娘である『ハナコ*5』と『コハル*6』である…因みに二人共常連なのでアダルトコーナーの店員にとっては最早お得意様である。

 

 どれくらいお得意様なのかと言えば、一応未成年禁止になってる筈のアダルトコーナーの店員達が、もうずっと前から来てる*7から呆れてクッソ雑な態度になっている上に、普通に年齢考えればアウトなエログッズを販売しているレベルである…ちょっと君達爛れ過ぎてない?

 

「というか、なんでハナコはそんな『家族会議』の内容知ってるのよ!?」

「終わった後にお父様達が『お楽しみ(意味深)』しているらしいので、私もそれに便乗させて貰おうかと思いまして…」

 

 尚、産まれて直ぐブーストニキの霊的魅力に当てられた結果、筋金入りのファザコンとなっており、そういうエログッズを買うのもいつしかブーストニキとヤる為の予行演習なんだとか…。

 

 これらについて当然ブーストニキは把握しており、頭を抱える悩みの種の一つとなっている。

 

「なにそれ羨ましい…今度の家族会議何時だったかしら…?」

 

 因みに此方も同じくブーストニキにゾッコンな筋金入りのファザコンであり、実際の所この二人に関してはドングリの背比べでしかなかったりするし、なんならそういったモノの質や量はコハルの方が圧倒的に上だったりするし、それらを買う為にレベル上げを頑張っているまであったりする…。

 

 此方も当然ブーストニキは把握しており、そのあんまりな事実を初めて知った時は目が死んだ。

 

 他の子供達は問題無かったのだが、何故か水城親娘との間に出来た子供だけ、矢鱈と影響を受けてしまっており、この二人の後に生まれた同じく現地人の嫁であるマナとの間に出来た子供である『遊戯』は問題無かったのに、である…当時は家族全員して首を傾げたモノであった。

 

 …まぁ、原因は単純に退魔忍因子のダメな部分が強く働き過ぎ、結果としてエロ方面に偏っただけなんですけどね? ホント邪神って碌な事しねぇな!!*8

 

 そんなこんなで程度の差はあれ脳内真っピンクなこの二人、何が酷いって普段はエログッズについてモラル気にするコハルがハナコに噛み付く癖して、さも当然の様に親の情事に混ざろうとするのである…しかも二人してご丁寧に近親でも問題無く子供を作れる術式を習得した上で、だ…泣けるぜ。

 

 因みに初めて乱入されそうになった日、余りにも酷い出来事にブーストニキは珍しく連合本部の酒場に向かい、酔い潰れる程酒に逃げた程である。*9

 

「まぁ、とっくの昔にバレていたみたいで、強制的に【睡眠】にされた上で摘み出されてしまいましたけどね」

「むぅ…やっぱり父さん中々受け入れてくれないわね…」

「でも何だかんだでお父様って押しに弱いらしいですし、きっと十六…か最悪成人年齢の二十歳になったら折れてくれますよ!!」

「確かに人間のお母さん達もそんなノリで行ったらしいし、きっと行けるわよね!?」

 

 尚、当の二人は父親との結婚を全くもって諦めていない模様…頑張れブーストニキ、負けるなブーストニキ、例え負け確なのが分かっていても、心をしっかり持つんだぞ!!

 

「…悪い、やっぱ辛えわ」*10

 

 …ちゃんと言えたじゃねぇか。

*1
但し怠惰は許されない

*2
ブーストニキと嫁達による経営方針の話し合いと家族間に関する雑談等

*3
尚、身内や終末に際して移住してきた政治家俺達によって大体丸め込まれる模様

*4
というか実際住もうと思えば住めるレベルに物がある

*5
不知火との子供

*6
ゆきかぜとの子供

*7
下手なアルバイトよりもアダルトコーナーに詳しいレベル

*8
某ニャの字「これは流石に冤罪では?」

*9
そして当然の如く相席に居たミナミィネキに食われてた

*10
商品管理の為に来ていた為、話を最初から聞いていたブーストニキの図




 そんな訳でブーストニキの霊的魅力に充てられた娘ちゃん達のお話でした、流石に実の娘から肉体関係迫られるのは想定外だったブーストニキ、ニャルラトホテプぜってぇ許さねぇ!! な毎日を送っております。

 因みに退魔忍因子がエロ関係の原因ですが、別に能力が低い訳でも無く、他の子供達共々極々普通に優秀な子達ですよ? ただちょっとエロに対する熱意が凄いので、既に将来見越して準備している感じですけど。

 尚、他の嫁達の子供もちゃんと考えてはありますが、普通に良い子達(ある程度性格に難があったりもする)なので特に描写してもアレかなと思い、省かせていただきました。


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キャラシート 『南雲 一』 その2

 半終末に入り丁度良いタイミングという事で改めて主人公のキャラ紹介と現状までの経歴を投稿させて貰います。

 半終末になった事である程度マシになったとはいえ、結局そこまでよろしくなっていないブーストニキの状況やら、実は結構ヤバい事やらかしているという事実の確認となりますね。


「本名」

・南雲 一(なぐも はじめ)

 

「ハンドル名」

・ブーストニキ

 

「性別」

・前世/今世 男/男

 

「仕事」

・地方の霊能組織の底上げ

・技術部の全体加速装置

・エログッズ製作監督

・弾薬等物資量産

・機械式デモニカ製造

・リアルAC運営(サブ)

・電脳異界複数管理運営(メインサブ両方)

 等々etcetc…

 

「成長タイプ」

・魅力>>>運(これ以外は普通になった)

 

「戦闘タイプ」

・HFO(ヒューマン・ファイター・男)

・アイテムユーザー(『王の財宝』モチーフ)

 

「口調」

・相手によって変動、一応空気は読めない事もない

 

「終末対策」

・地元の地脈及び結界の強化と改善

・(結果的に)海外難民受け入れ及び順応支援

 

「趣味」

・レベル上げ(最近漸く少しマトモに上がれる様になった)

・現地人強化(受け入れた霊能組織を鍛えている)

 

 

【所持スキル】

 

《攻撃系》

・スラッシュ…敵一体に斬撃属性の小ダメージ

 

《防御系》

・食いしばり…HPが0になった際、一度だけHP1で復活

・状態異常耐性…状態異常になる確率を半減する

 

《状態系》

・マリンカリン…敵一体に高確率で【発情】を付与する

・セクシーダンス…敵全体に高確率で【発情】を付与する

・ファイナルヌード…敵全体に確率で【発情】を付与し、3ターンの間、攻撃力と防御力を2段階低下させる

 

《生産系》

・道具の心得…アイテムを複数同時の使用や自動使用可能

・アイテムブースタ…アイテムの効果を強化する

・改造の心得…アイテムや装備を強化、改造する際に成功率が上昇する

・概念付与…アイテムや装備を強化する際に追加で能力を付与出来る

・大量生産技術…大量のアイテムを纏めて作る際に量に応じてプラス補正

・作業効率化…アイテムを作る際の速度と熟練度にプラス補正

・異界製作(電脳):S…電脳空間に異界を創り出し運営する事に超補正

・アッセンブル…範囲と設計図に材料を指定する事で組み立てるが、材料が設計図と違う場合弱体化する

・クリエイト…品質は一定となるが製作過程を飛ばして製造出来る

・スクラップ&リビルド…破損したモノを資材を消費する事で新品か別の物へと再構成する

・オートリペア…接触している機械を徐々に修復していく

・スケベ部名誉顧問…エロ系アイテムや施設を製作する際品質を最上にする

 

《補助系》

・軍勢変生(味方に『擬似覚醒(覚醒難易度を大幅に緩和効果有り)』、『レベル上限限定解放(スキル所有者のレベルまで)』『経験値バフ(転生者並みの量を加算)』『固定値バフ(所有者のステータスの二割)』『スキルリンク(所有者と同じスキルを使用可能とする)』を付与し、自身に『経験値デバフ(獲得量五割に)』『戦闘系の資質デバフ(ほぼゼロへ)』を付与。※経験値バフの効果は一時的なものであり、継続して戦闘でMAGを供給する事で固定化する事が可能)

・魅惑の軀…【魅了】系スキルが敵の耐性を貫通し、高確率で有利行動を取る様になるが狙われ易くなる

・魔性の者…レベルが自分と同じ、又は自分よりも低い相手との交渉を有利にする

・超越者の威圧(微)…自身の領域内に限り敵対者のステータスを割合でダウンさせる

・アイテム効率超倍化…自分がアイテムを使用する時に上昇値や効果時間を三倍にする

・オートアイテム…事前に設定したアイテムを状況に応じて使用する

・チューンアップ…乗り物への搭乗時、搭乗している乗り物の性能にスキル保持者のステータスとスキルを加えた上でレベル二倍のステータスへと強化

 

 

【戦闘スタイル】

 単体での戦闘スタイルは基本的に自身の執念を用いて強化した対アクマ・メシアン特攻を持つ鉈を使っての近接戦と、自作のアイテムを湯水の如く叩きつける米帝戦法の中距離戦の二通りであるが、最近自衛隊から銃器を購入出来る様になった為、自身で大量生産と改造を行い、【王の財宝】の様に自身の背後の空間に展開して弾幕を張るスタイルも増えた。

 

 本気でやる場合は鉈状態のリアとデモニカ状態のメリュジーヌを装備した上で、シキオウジロボや自作の大型ロボへと乗り込み各自のスキルを盛り盛りにして暴れることになる。

 

 

【性格とこれまでの経歴】

 今作品の主人公で頭ガイアーズ。

 

 幼少期になんちゃって霊能組織の一員である家での修行として瞑想していた事で前世の記憶を覚醒、それから暫くはお気楽に過ごしていたのだが、地元の異界から溢れたアクマによって母親を目の前で食われるという凄惨な経験からアクマを憎悪し、ひたすらに異界へ潜りアクマを皆殺しにしていく修羅となった。

 

 しかしそんな彼を放って置けなかった霊能組織の仲間達がなんとか着いてこようと努力する姿に正気を取り戻し、そんな彼らを護る為になんとか力になろうと決意し、これによって内面には『アクマに対する憎悪』と『仲間に対する庇護欲』がごちゃ混ぜとなってしまった。

 

 作中での経過を経てガイア連合へと合流した後、一応マシな者も居る事には居ると知っていても、将来が絶望的だと知っており、やれる素質や鍛える為の最高の環境があるにも関わらずグダグダとしている黒札達への嫌悪感(昔の自分も出来る資質はあったのに、何もしてなかったから母親を殺される事となった事がある為)等から他の霊能組織を強化する事を考え、結果として根願寺との交流を始める(この頃にユエと出会う)

 

 各地から集められた(一応)精鋭達の熱意に当てられ彼等をお得意の【軍勢変生】で鍛え上げ、少しずつ人員を入れ替えながら各地の異界発生状況への対応をしていく事となった。

 

 この時期に連合により地元の異界である【ブナ林】が攻略されたのだが、その結果異界発生の原因としてメシア教が関わっていた事を知って憎悪の対象にメシア教が含まれる事となる。

 

 その後は憎悪の一因であった【ブナ林】の無害化によってある程度は落ち着いたものの、とんでもなく強大な存在であるメシア教へどう対処すれば良いのか分からない為、ひたすら出来る事を増やして行く日々を過ごしている。

 

 その結果嫁であるユエ公認で更に嫁が増える事となり、内面としても困惑はあるものの、結果として憎悪よりも守護に対する関心が高まってきている。

 

 自衛隊に対するやらかしで凹んでしまったりもしているが、人に対する守護の意識は変わっておらず、何かしらの協力出来る事があるのならばやろうとするスタンス。

 

 アクマに対する憎悪も無くなっているわけではないが、ショタオジの仲魔やエジプト神話の氏子を護ろうとしていた神々の本気さから、一部はマトモな神も居るという事を認識しており、そういった神々への態度は軟化し始めた。

 

 …矢先に解放した日本神の根願寺や氏子切り捨て発言や、折角頑張って敷設してきた終末対策を邪魔しようとしてくる行動によって、日本人なのに大半の日本神嫌いになっており、支援物資を中抜きしても自身の氏子を大切にしている海外神の方が友好的な神格が多い状態となっている。

 

 例外として氏子も碌に居なかった為人にとってマトモな人格をしているサクナヒメや、一応根願寺に対して祀ってくれてた事への感謝を示したヤタガラスにリアの本霊であるフツヌシは数少ない日本神の中でも好意的に見ている神格である…実質ブーストニキに対するホットラインとも言える…。

 

 尚、この結果日本神に見放された霊能組織(ブーストニキによる強化を受けていた組織)が日本中からブーストニキの居る丹後半島に集まっており、そこで制限(レベル偽装)を解いてサクナヒメを祀る様になり、けっかサクナヒメがザマァ系小説の如く強化される事となった。

 

 この事態を見てブーストニキに連絡を入れたくとも、肝心のブーストニキが以前の煩い日本神対策にその手の霊的連絡網を軒並み遮断しており、それによって神格が降臨し易い場所の一つである【天橋立】も実質通行不可となっている。

 

 こんな事して日本神とはギクシャクしていた状態で、メシア教過激派からのICBMパーティーの際、日本神に対して不信感を持っていたブーストニキからすれば当然ではあったのだが、黒札とゼウスを盛大に盛り上げていた為、実は日本神からはそこそこ恨んできている者もいるのだとか。

 

 尚、この事について当のブーストニキ本人は気付いておらず、現状では巨大な爆弾に長さ不明の導火線が付いており、しかもその導火線には既に火が付いているも同然の状態だったりする…火消しが間に合わなければ? ハハッ♪




 【悲報】ブーストニキ、神々の降臨素で妨害していた【ヤバいやらかし】

 尚、話通せればちゃんと天橋立だけ除外とか出来るけれど、その話をする前にバカが一柱ちょっかい掛けてきた為、完全シャットアウトしている模様…しかも日本神はこんなしょうもない事でショタオジ筆頭に借り作りたくないから躍起になってる模様…。

 しかも自分達封じておいて海外神招き入れたりしてる訳だからね、本人気付いていないだけでやらかしまくりですよ(尚招かれた海外神は気付いててスルーする形で煽っている模様…ヤバい)

 因みに次回はブーストニキ周りの人物や今作に登場しているオリキャラ達の現状なんかを投稿させてもらう予定ですので、宜しくお願い致します。


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ブーストニキの嫁+αについて

 嫁達の説明書いてたら普段の二倍の量書いてたとかマジィ?

 これ下手したら次オリキャラ達書こうととしても同じ量書く事になりかねん…のか? いや、そこまで話に関わってないから少なくて済む?

 取り敢えず流石に各キャラの戦闘スタイルとかまでは書けていませんが、簡単なキャラ紹介をどうぞです。


【対人関係】

 

・ユエ

 

 嫁式神でありブーストニキにとってガチの執着対象。

 

 他の嫁達も勿論大事だし執着しているけれど、それ以上にブーストニキが『家族』を重視していた為、初めての嫁であるユエだけは別格となっている。

 

 別に元ネタとかは関係無く、寧ろ元ネタであるありふれをブーストニキはそれ程知らないレベルなのだが、なんだかんだで『色々な初めて』のパートナーである為、実際の所依存と言えるレベルまで達している程であり、夜の時間(意味深)でユエがクタクタになるのもこれが影響している。

 

 実は彼女筆頭に嫁や愛人が増える度にブーストニキの中の『メシアンやアクマに対する憎悪』と『故郷を護りたいと思う執着』のバランスが後者に寄る様になる為、現段階でのメシアンに対してのスタンスは『腹立たしいしふざけた事言ってくるならブッ殺すが、力やモノも無い現状では攻め込めはしないから手出しはしない』程度には落ち着いている。

 

 ユエ自身もブーストニキのこの心情を理解しており、ガイア連合製式神である為ブーストニキには危険な目にあってほしくは無く、嫁を増やす事に関しては結構積極的だったりする。

 

 執着が強過ぎる為初めての子供が出来るまで他の嫁達と子供を作るつもりは無い程であるのだが、現状進捗は亀としか言いようがない。

 

 一応副産物として人間同士であれば不能であっても絶倫へと変貌させ、石女と呼ばれる様な女性であっても、元気な子供の妊娠出産を可能にさせれる程の技術は有しているが、今の段階で子供を作ろうにも妊娠から出産まで特製の部屋に閉じ込めておく必要がある為、流石に現実的じゃないという事でやってない。

 

 此方については明確に子供が欲しいブーストニキの影響で原作よりもショタオジの研究が進んでおり、既に研究内容からして世界がまだ物理法則に囚われているのが原因だと判明したので、なんとか終末に出来ないかと悩んでいる最中。

 

 実は出すタイミングを逃しまくっているのだが、真の姿というか戦闘モードはあるのだが、作者がポンコツ過ぎて出すタイミングを逃しまくってる…実際何度か出てるんだけどなぁ…。

 

ブーストニキからの評価は「俺の愛、何があっても手放すつもりは無い」

 

 

・水城ゆきがぜ

 

 原作にも登場してるけど此処では現地人嫁で皆さんご存知退魔忍のあの娘。

 

 ミナミィネキからの依頼で【肉欲界】創ってたら、まさかの休憩している間に突っ込んで色々アヘアヘになってしまった何時もの退魔忍。

 

 異界の特徴で新しく生まれた状態異常である【発情】状態になり、解除する為にブーストニキとまぐわう事となり、その結果ブーストニキが責任をとるという事で母親である不知火共々嫁入りした。

 

 普段は昼間の内は【ブナ林】での鍛錬を兼ねた戦闘を重ねて実力を鍛えたり、丹後半島支部での経営陣の一人として勉強や実践を積んで貢献している。

 

 旦那であるブーストニキがハーレム作ってる事に関しては、霊能組織ってそういう家庭環境がそこそこ見受けられるので、特に気にしていないどころか普通に嫁達の仲が良いので楽しく旦那へとご奉仕(意味深)している。

 

 母親である不知火も嫁な事は自分を育ててくれた母親が長年苦労を掛けていたり、男ひでりで色々持て余していた事は知っていたので、今の生き生きしている姿は嬉しくもあるがなんとも言えない部分もある。

 

 幼馴染の男と昔は結婚しようとも約束していた仲だったのだが、ゆきかぜが十代前半で覚醒し、その後メキメキと実力を付けるゆきかぜに対し、覚醒しても資質がショボかった彼はゆきかぜにビビって離れたまま他の女へと流れ、その事にショックを受けたゆきかぜは微妙に男性不審でもあった…まぁ、ブーストニキとの一連の流れでそんな感情消し飛びましたけどね。

 

 そんな経緯な為、正気に戻った際はブーストニキの事を色々と疑ってはいたものの、以前の破局からずっと任務にのめり込んでおり、結果知らず知らずの内に人肌が恋しくなっていた為、家に居る際はメッチャ尽くしてくれるブーストニキに即座に堕ちた貫禄のエロゲチョロイン。

 

 まだ夫婦仲というかそこら辺が実はまだ良く理解出来ていない為、夫婦というよりも彼氏彼女の関係みたいに感じている面もある。

 

 因みに元ネタ同様スッゴイまな板だったのだが、ブーストニキの提案によってハトホル神の加護を受け、母親である不知火に負けず劣らずな巨乳になった為、無邪気に喜んでいたりしたのだが、巨乳のデメリットを思い知って悩ましく感じているのだとか(笑)

 

 ブーストニキからの評価は「始まりはアレだったけど、人間適応するもんなんだな…にしても普段はちゃんと親離れしている様なのに、夜になると一緒にねだってくるのは色々アブナイんだが…?」

 

 

・水城不知火

 

 現地人嫁で母親の先達、未来ではめっちゃ頼られる事確定してます。

 

 娘であるゆきかぜと共に問題解決の為にブーストニキにいただかれ、その責任を取るという事で娘と共に嫁入りした。

 

 普段は戦闘からは一歩引いて家庭を優先するスタンスを取っているので、レベルに関しては衰えない程度の鍛錬だけ積み、主に家事をメインとしているのだが、ブーストニキから簡易版の分身の術を教えてもらっている為、凄まじくゆとりのある生活を送っている。

 

 ハーレムに関してはそもそも入れてもらった側だから何か言える立場じゃない以上に、ブーストニキのテクが凄過ぎてもう離れるという選択肢が頭に無いという、正にエロゲ界の住人の様な理由だったりする…これは酷い。

 

 既にゆきかぜという娘が居るものの、ブーストニキとの子供も普通に欲しがっているので、そこだけが数少ない不満点ではあるのだが、ちゃんと本人から時(と書いて終末と読む)が来たらユエも妊娠出来る様になるから、それまで待っていてくれと頼み込まれているので我慢している。

 

 …その分夜()が激しいのだが、不知火以上にブーストニキが上手なので毎晩満足して気絶している…ちょっとこの経産婦爛れ過ぎでは…?

 

 家に常在している関係上ブーストニキへの仲介を望んで訪ねて来る神格への対応を請け負っており、その結果事務的な対応で済ます男神とはビジネス相手みたいな感じだが、女神達との仲は良い為、立場とか投げ捨てた女神ばかりのお茶会を開いたりする剛の者、ブーストニキ含めた各旦那はその胆力にドン引きしたが、見事成功を納めていたので最早尊敬されている。

 

 最近の悩みはハトホル神からの加護の影響で胸がすごい事になってしまった*1のだが、どうしようなかったので夜のお楽しみ用に使えると前向きに考える様にしている。

 

 ブーストニキからの評価は「多分不知火がいなければここまで家族や家が纏まる事も無かったらだろうから、とても感謝している…んだけど、モーニングコーヒーに母乳使ったりするのは危ないって…」

 

 

・メリュジーヌ

 

 ロボ(デモニカ)だったりロリ(変化で大人ver有り)だったりドラゴン(変化でry)と属性大盛りの化身。

 

 ブーストニキが自身の脆弱さ(比較対象は同レベル帯の黒札)を問題視していた際に、技術部から『デモニカ』を開発するのを手伝ってくれないかと誘われた事で、外付けの防御性能と人手が足りない際の自立戦力を期待して造り上げたハイブリッド型デモニカの式神。

 

 元ネタ通り本霊も【龍王アルビオン】なのだが、元から防御力と機動力だけ求めて作られている為攻撃性能が殆ど無く、出来て装備されている武器を使用する程度しかない為、強大なドラゴンのイメージと異なりかなり燃費が良かったりする。

 

 …なんて上では書いているけれど、実は初期段階では『装甲悪鬼村正』の『相州五郎入道正宗 』にしようと考えていたのだが、頭ガイアーズなブーストニキと正義バカな政宗が一緒になったら止まる事無く自滅エンド迎えそうだった為、急遽違う機体に変更した結果誕生した経緯を持つ。

 

 …更にぶっちゃけると此方の場合『正宗七機巧』を強化再現した兵装も搭載するつもりだったのだが、ブーストニキの性格からして普通に死な安精神で使い熟す事が出来たとしても、作者自身が村正やった事ないから『神形正宗・最終正義顕現』を理解出来てない為残念な事になるからだったりする…多分ロウルート行ってたらメシア教ガイア派とかになって過激派相手にこれ乗ってドンパチしてたんじゃないかな?

 

 人化についても元ネタである『枢木スザク』にしようかとも思っていたけれど、それやったら『スザクの中にブーストニキが入り込む』とかいうアレ過ぎる絵面になった為、急遽機体名からの連想ゲームでメリュジーヌが誕生した経緯があったり…そんなこなした結果ハーレム具合が加速する羽目になったんですけどね。

 

 普段については意外とでもなんでもないかもしれないがノリが良く、近所の子供達の良きお姉さんをしているのだが、その美しさやノリの良さなんかで脳がバグってしまったり、それどころか男女問わず初恋奪っちゃったりしてる罪な女…尚、ブーストニキの周りはブーストニキの影響を受けて魅力が上がりやすくなっている為、ブーストニキ一家はある意味初恋キラーだらけだったりする。*2

 

 ブーストニキからの評価は「防御能力や機動力は想定通りとても頼りになっているのだが、嫁になった事で纏う事に負い目が出来てしまったが、でも纏わないと拗ねるんだよなぁ…所で纏ってる時なんかテンション高めだけど、そんなに良いのか?」

 

 

・マナ

 

 ゆきかぜと同じく原作にも登場してる墓守一族の見守り役兼、ガイア連合との繋がりの為に実質人質()とも言える立場であるクレオパトラの転生者。

 

 本来祀っているエジプト神の大半から切り捨てられ、残ってくれた数少ない神々毎ブーストニキによって日本へと避難させてもらった事で、ガイア連合との繋がりを作る為にも嫁入りする事になった。

 

 実際の所はエジプト脱出する際にブーストニキが全力全壊で追撃してくる天使共をぶっ殺しながら護ってくれていたので、その時点で惚れていた為棚ぼたな選択肢だったりしました…まぁ、日本に来たらハーレムがあったと知ってちょっと呆然としてましたけどね?

 

 普段はエジプトや他からの避難民のまとめ役や、日本で頑張っているエジプト神の手伝いに、魔界に逃げ込んだ他のエジプト神への(塩)対応なんかをやっており、ブーストニキの支援や『クレオパトラの加護*3』のお陰でブーストニキの方針でメシア教以外ほぼ各勢力に対する優劣が無い丹後半島支部限定とは言え、中々良い環境を作り上げている。

 

 実は丹後半島支部にはちょくちょく他の逃げ延びてきた神話勢も居るのだが、黒札に嫁げたのは現状マナだけなので大分羨ましがられている…なんだかんだとハーレムが増えているのでチャンスがありそうに見えてマナの一件は『連合からの強制』が前提にあったからであり、マジでマナは運が良かっただけだったりする。

 

 因みに例のエジプト女神二柱が氏子であるマナに頼まなかったのは、まだ嫁入りして日が浅いマナに遠慮したからという子供を思う母親みたいな理由だったりする。

 

 ブーストニキからの評価は「なんだかんだで人間だけとはいえ外様の対応めっちゃ助かってる…惚れた理由が吊り橋効果っぽいのが申し訳なく感じるが、ちゃんと釣り合う男でいたいとは思う…そういや俺が汗汗かいてる時に抱き付いたらそっちにも着いちまうからいい加減やめとかない?」

 

 

・リア

 

 何気にハーレムメンバーとしては最古参と言ってもいい武器娘であり、ユエに次ぐブーストニキの執着対象。

 

 メリュジーヌがハーレムに加わった後、ブーストニキが戦術の幅を広げる為に長年愛用していた鉈を武器式神化したのだが、実は話していないだけで既に呪物と化していた為意識自体は存在していた為、やろうと思えば直ぐに人型へと変化する事も可能だった。

 

 しかしブーストニキ自身は武器として自身を求めている事は知っていたので、渋々ながらも引っ込んでいたのだが、マナが新しくハーレム入りした事と、式神の前提である『主人に対する好感度バリ高』の影響で嫉妬から人型へと変化してハーレム入りした経歴を持つ。

 

 意識を持った時自体はかなり古く、元はブーストニキがブナ林異界へと挑む際に護身用程度として親から買ってもらった鉈だったのだが、此処から様々な強化を施された事で何度も存在を上限突破していた為、ステータスだけで言うならゲーム中盤位の性能があったりした。

 

 そんな訳で難なく武器式神化する事も出来たのだが、力魔型なのに加えて人型状態の姿が元ネタに比べて大人&闇堕ちチックな重装備の為、羽はあってもまだ飛行する事が不可能だったりする。*4

 

 闇堕ちチックな見た目に関しては、元が呪物だった為性格がヤンデレに近いからであり、実はブーストニキや他のハーレムメンバーや組合メンバーが居ない間は瞳のハイライトも消して殆ど何もしなくなり、側から見たら恐怖を覚えるくらい超精巧な実物大の人形に見える程。

 

 メリュジーヌと異なり攻撃系に極振りしてある為、ガンガン消費していく短期決戦タイプな為相方は必須。

 

 普段は外にいる間は鉈の姿に戻ってブーストニキの腰に下げられており、家やブーストニキが修行で一人だけで鍛錬している間だけ人型になって家で待機している。

 

 実はサブ用の鉈や収納空間に入れてある銃器達も呪物化している影響で意識がある為、最近ブーストニキとずっと一緒に居るそれらに対して嫉妬している。

 

 ブーストニキからの評価は「長年一緒に戦ってきてくれていた相棒、なんか最近式神になった筈なのに俺の癖知り尽くしてるんだよな…まぁ、何故か不思議には思わなかったけどな」

 

 

・グレイディーア

 

 対神性連合式交渉術履修済物理魔導混成実態脳筋式神。

 

 段々と増えていく丹後半島支部周りの外様の神格との交渉用に新しく増やした式神。

 

 …だったのだが、一応【交渉】スキル等もちゃんと搭載されているのだが、雑というか大雑把な部分があり、相手が舐めたマネをする様なら締める事も辞さないとの事。

 

 一応現状で丹後半島支部に来ている神格は、性格も人間に寄り添うタイプの神格達が送られてくる為暴発はしていないが、ゴネる様な相手には問答無用で圧を掛ける辺りブーストニキと似通っていると言えなくもない。

 

 普段交渉事が無ければ鍛錬に出るというバトルジャンキーであり、能力的にはバランスタイプであり、遠近隙無くある程度の補助や回復も器用貧乏程度には納めている為、式神なのにも関わらず一人で修行用異界へ何度か赴いていた事があり、ブーストニキからチーム組む事を強制させられている。

 

 まだ製造されて間もないのと交渉役として製造されたという意識があり、元ネタからクトゥルフ系に影響されない様制限が加えられ、ある程度の自制が効く様になっている為、現状では嫁というよりは上司と部下の様な関係性となっており、とんでもない事爛れている家庭事情には当初遠い目をしていた…のだが、これまた式神の前提の影響とブーストニキの霊的魅力の影響で既に陥落寸前だったりする。

 

 ブーストニキからの評価は「まだ会ってそれ程時間を重ねた訳じゃないが、これから頼る事も増えていくだろうから宜しく頼む…所で修練後とかにタオル持ってきてくれたりするのは有り難いけれど、上半身の汗を拭う時に見つめてくるのはなんなんだ? 一応気付いていないフリした方が良いんだろうか?」

 

 

《嫁じゃないけどおまけ》

 

・ミナミィネキ

 

 皆さんご存知エロのヤベェ女にして【悪魔娼館】の女主人。

 

 原作にも登場しているが、今作ではブーストニキがビギナーズラックでミナミィネキの作ったラストワン賞を取った事で興味を持たれた。

 

 ブーストニキが製造能力に特化した資質だった為更に興味を持ち、不安定だったり壊れやすいエログッズの強化と量産を頼む事になった為、ただ単に依頼者と業者の関係だった。

 

 その後某『◯◯◯しないと出れない部屋』関係でブーストニキが頼った結果、逆にミナミィネキが『肉欲界』を作って欲しいと依頼を出した事で関係が深まる事に…今考えてみれば此処からソッチ方面に転がり落ちていったんですかねぇ…。

 

 結果的に【発情】の状態異常を発見した事で更にブーストニキへの興味を持つ事となり、どうせならと自身が経営している【悪魔娼館】に誘ったりする等かなり好意的になるが、当のブーストニキ自身が愛していない相手との行為に嫌悪感があるので拒否する事。

 

 しかし後日特に何も思ってない筈のエジプト女神二柱を抱いた事を知り「それなら私も専門家墜としたテク味わいたい!!」という理由でワンナイトした辺りそれなりに執着している模様。

 

 ブーストニキからの評価は「エロい事が絡まなければ物腰も柔らかでマトモそうに見えるんだけどな…でもまぁ、黒札以外どうでも良いってスタンスな時点で俺とは根本的に反りが合わん人だよ」

 

 

・ハトホル神&バステト神

 

 エジプトから避難して現在丹後半島支部電脳異界エジプト区の管理者をしているブーストニキの愛人枠。

 

 元々はエジプトでの対過激派との戦闘で支援に来たブーストニキが、多神連合側が敗退する際に氏子達を救出する為にかなり力を貸してくれていた事に恩義を感じている。

 

 とはいっても自分達はアクマであり、ブーストニキが支援している最中にアクマに対して嫌悪感を抱いている事を知っていたので、特段何かする事も出来ずにもどかしい想いを抱いていた。

 

 そんな折に電脳異界の途中に不都合が起きた為、不知火と契約を交わしてコッソリブーストニキの精を貰おうとしたのだが、普通なら気付かれない様に隠蔽を施していた筈なのに、ブーストニキがソッチ方面に成長していた&日本というちゃんと力が発揮出来ない土地であった為に即座にバレた。

 

 結果として最近矢鱈と夜が強くなっていた事に疑問を持っていたブーストニキが、無事帰還出来た事で今更な気の緩みでも出来ていたのかとても珍しい事に二柱に手を出し、それをチャンスと捉えてそれ以降もなんだかんだと関係が続いていたりする。

 

 尚、他にも避難民達が祀っている女神達の内、ブーストニキを狙っている神格がいない訳ではないのだが、流石に素面状態のブーストニキが「それなんか違わないか?」となっている為手出しされていない模様…。

 

 ここら辺各神話勢がそれなりに平等な丹後半島支部に於いて、エジプト神話勢の優遇されているポイントであるのだが、そもそも主神達がやらかしたせいで見限られている為おり、暫定ブーストニキがトップに据えられている様な状態だったりするからである。

 

 ブーストニキからの評価は「支援に行ってた時も撤退する時もかなり頑張っていたから、正直言ってかなり好感が持てる神格達だな。流石に日本じゃあそこまでデカく祀れないけど、これからも仲良くさせてもらいたいものである」

*1
具体的には更なるサイズアップと常時母乳体質になった

*2
尚、結果としてマトモに外を出歩けなくなっているブーストニキは普段着に【がんだむなりきりセット】を装備しているザマである

*3
小ネタ エジプト陣営の昔と今

*4
羽自体は滑空程度なら装備を外せば可能、他にも瞬間的な加速に使用する事は可能であり、羽ばたきの反動で突っ込んでいくイメージ




 書き終わって見返してみるとかなり爛れた事になってますなぁ…避妊とかしてなかったら現時点で既にサッカーチーム程の人数居たんじゃないんだろうか?(笑)

 後話は関係無いけれど、現時点でのブーストニキによるエロスキルの効果は妊娠必中だけじゃなく、やろうと思えば事前操作で双子や三つ子とか男子女子の選択なんていう、どんな子供が出来るかを親の素養の範囲内で選択する事が可能です…こう書くとガンダムSEEDのコーディネーターみたいなかなり悍ましい能力してんなコイツ。


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ブーストニキの知人達

 はい、そんな訳でまたしても大分遅れてしまいましたね…アクナイの新しいローグライクに嵌ったり、熱中症になってくたばってる内にモチベがヤバくなったり、めっちゃグダグダしている内にこんなにも間が空いてしまい申し訳ありませんでした。


【対人関係(知人・友人編)】

 

・ヘラクレニキ

 

 初めての強制【厳しいモード】を開催する際にデモンストレーションとして覚醒させて以降、なんだかんだと友好関係が続いている、見た目Fateの狂ヘラクレスな転生者。

 

 ステータスの成長傾向が体・力型の上、スキル構成が余りにも死に難いモノとなっている為、強くなる事こそが趣味な面も相まり、半終末直前には既にレベル50を超えているという、貫禄の修羅勢となっている。

 

 その筋骨隆々な見た目に反してただの脳筋ではなく*1、寧ろかなりの技巧派であり、ちょくちょく同行者を驚かせているのだとか。

 

 保有している式神は多数確保の為に魔特化にしたイリヤ、回復及び補助等の後方支援用に魔・速型の美遊、罠への警戒と余裕があれば遊撃へと回せる速・運型のクロエとなっている。

 

 …のだが、案の定というか何というか…余計なお世話を働かせた式神製作班がクロエに【詰め合わせパッチ】を搭載した事によりそっちの方に流れかけ、ヘラクレニキは何とか説得しようとしたのだが、イリヤと美遊もクロエ側に回り、三人からのおねだり攻勢に出られて逢えなく陥落…例え今は筋肉モリモリマッチョマンだったとしても、前世が唯の一般市民だった男が美少女三人からの攻勢に敵う筈なかったのである。

 

 その為、最近のブーストニキとのやり取りは装備やスキルの事だけでなく、そういった女性の扱い方なんかも増えているとかなんだとか…。

 

ブ「で、最近三人娘とはどうよ?」

ヘ「私はそっち方面伸ばしてないから三人相手とか枯れかねんのだが…」

ブ「…オススメのサポートアイテムとか要るか?」

ヘ「是非とも買わせてもらおう…」

 

 

・ハレゼナネキ

 

 技術班ロボ部所属でグラブルの4コマに出ていた『ハレゼナ用ギガントスーツ』が欲しくてデモニカ製作に邁進していた金髪ロリ巨乳、尚スーツは作ってもスキル構成が純粋な技術者のソレなので、基本的には観賞用である。

 

 ステータスは突出した部分は無いが、逆に言えば安定しているオールラウンダーであり、何気に遠近両方可能な上ある程度ならば回復や補助も熟る万能型であり、安定した能力によって順調にレベルを上げれている為、現在レベルは18と中々のものだったりする。

 

 見た目のせいで記憶が戻る前の幼い頃からイジメやセクハラなんかの対象にされていて引き篭もりがちだったのだが、記憶が戻ってガイア連合の存在を知ってからは、自分以上に美人な人や他にも熱中している事があるから気にしない人に、そもそも陰キャなせいで近寄ってこない等の理由で大変過ごしやすかった為、殆どずっと山梨支部に引き篭もっている。

 

 身長だけ見ればロリなのだが、胸見れば分かる通りというか元ネタよりも歳上であり、実は現在25歳だったりする為、周りからは「ショタオジ並みに見た目と年齢の差がデカ過ぎて脳がバグる」と言われていたりするとかなんとか…。

 

 最近になって漸く納得のいく『ギガントスーツデモニカ』が出来たので、今度は『ゴットギガンテス』を造ろうと画策しており、現在は製作と並行してリアルアーマードコアで操縦訓練している模様(尚、此方も作れたとしても主な用途は鑑賞用になってしまうが…)

 

 因みに専用式神は戦闘・家事・技術補助と詰め込みまくって器用貧乏となっているシロウ(グラブル)であり、当然の様に専用ギガントスーツも作り上げてある。

 

ブ「で、リーチの関係上操縦系が揃いも揃って満足に動かせないと…」

ハ「ブーストニキィ…これ操縦関係もう少し楽にならないの?」

ブ「全体的に小さいもんな…Gガン方式導入してみるか?」

ハ「あれ確か全身複雑骨折しかねないんじゃなかったっけ…?(汗)」

 

 

・百万ニキ

 

 主に技術班のモルモットの様な生活を送っているが、されてる側の本人が某邪神の強化とかされてたまるかという思いから、自主的に参加している為にセーフとなってる。

 

 ステータスは速・運型であり、強襲からのデバフ祭りによって優位を取り、そこから相手に立ち直る暇を与えさせずに畳み掛けていく害悪戦法を得意としており、結果レベルは現在26と中々のもの(但し修羅勢とまではいかない)

 

 何気に名前の『クロウ』が創作モノでそこそこ見るモノである為、結構他にも選べる選択肢があったのだが、本人がメカ好きだった為にスパロボZのクロウに寄せる事を選んだ。

 

 但し現状そこまで恋愛ごとに興味を持っておらず、原作のクロウの様なモテまくりの展開を回避する為、食事量はマトモだったり借金の返済も常識的な範疇で済ませていたりしており、微妙に元ネタからは外して対策しているとの事。

 

 実際に目論見は成功しており現状見事なまでに女性の影は無く、本人も緩い借金返済の側ゲームやらレベリングに邁進している。

 

ブ「にしても百万ニキってまだ二十代前半だったよな? 性欲持て余したりしないのか?」

百「そこら辺は前世の死因が原因で、彼女居たのに気付けば痴情のもつれに巻き込まれて最終的に五体バラバラにされたから欲が湧かないんだよ…」

ブ「…いや、自分の死に様見るとか、それは最早心霊体験なのでは?」

百「暫く浮遊霊してたんだけど、付き合ってた子がなんとか吹っ切れたの見て成仏しようとしたら転生してて、あの時は本当に参ったぜ」*2

 

 

・叢ニキ

 

 元々連合の脛齧りしているだけで掲示板もロムってるようなヒキニートだったのだが、リアルACの登場とそれに伴う自作機の製造可能の話を聞き、即座に覚醒を果たして自作ロボの製作と操縦に命燃やしてる、リアルACでのヤベー奴(その1)

 

 ステータスは力・速だがスキルや装備で徹底的に遠距離からの確殺を狙うスナイパースタイルと、制作したマシンに乗ってドンパチするスタイルである為、実質速のステータスが移動用の死にステ状態となっているレベル34の壁越え達成者。

 

 因みに壁越えといっても各機体を作り上げる資金を掻き集める為に暴れ回っていた副産物でしかなく、実際各機体を作り上げた後は機体の維持費を稼ぐ為の戦闘以外は殆どしなくなった為、これ以上のレベルアップは中々遅くなりそうとの事。

 

 何でそんなに機体を作ってたのかといえば、単純に初めて遊んだゲームであり一通りストーリーをクリアした辺りで事故死したせいで未練タラタラとなっており、やりたくても時代が追いついていない為に発売されておらず、結果欲だけが煮詰められて限界に達していたからだったりする。

 

 ガチ過ぎてリアルACのステージ一覧内に『叢-MURAKUMO-』の再現ステージを作って入れている程と、己の欲に一直線である。

 

ブ「まさかまだまだ先だと思ってたステージ製作やれるとはな…」

ム「やりたい事があるなら人間本気になれば何だって出来るって事だな」

ブ「…なんか邪竜でもインストールされてないか?」

ム「? 何の話だ?」←前世の享年十代前半な為その手のゲームはノータッチ

ブ「…すまん、俺の失言だったわ」

ム「…?」

 

 

・大統領ニキ

 

 アメリカ出身でアメリカ育ちなちょっと珍しいタイプの転生者…に見せかけて『大統領になる』という夢を追いかけて努力する真面目な優等生の仮面の裏で『特別なスーツ』の製作に熱意を燃やすリアルACでのヤベー奴(その2)

 

 ステータスは魔・体で支援もそれなりに可能だが魔法による派手な制圧も得意としている為、単独でも指揮官としても上手く立ち回れる優秀さを持っており、レベルは叢ニキよりは低いけれどもそれでもレベル23とおかしな事になっている。

 

 前世では日本生まれの日本育ち、後アメリカ在住だった為『日本は良い所だけどアメリカの方が最高だぜ』という考えなので最初っからアメリカ生まれだった今生には普通に喜んでいた…コイツなんで転生出来たんだろうな?

 

 可もなく不可もない前世だったので今世ではやる気に満ちており、取り敢えず手始めとして大統領を目指しているという、何処となく失礼な心構えだったのだが、暇つぶしに見ていた掲示板からリアルACの話を見つけて大統領魂が燃え盛った。

 

 半終末を迎えた事でアメリカがヤバい事になっているので、友人救出に向かおうとしている狩人ニキについて行ってアメリカ復旧するのが最近の目的。

 

ブ「で、レベルが足りないからアウト判定喰らってるのか…」

大「メタルウルフさえマトモに運用出来ればやりようはあるんだが、リアルACのメインサーバーに接続出来ないから、整備出来なくてアウト判定を喰らったんだよ…」

ブ「うん? 半終末になったから外国のターミナルでもリアルACに接続出来るようになってるぞ?」

大「…え?」

 

 

・主任ニキ

 

 声と見た目が某焼け野原であり、性格が主任で愉快犯的な一面を持っているけど、連合内では覚醒しているのに事務方でマジの主任もやっているけど、本性としてはリアルACでのヤベー奴(その3)

 

 ステータスは魔極型で火炎系及び核熱系のプロフェッショナルであり、自身の生み出した地獄の様な戦場を悠々と歩き回る姿は某テーマパークネタのソレである…が、根本的に魔極型なので機動力が死んでおり、その為機体に乗った方が強くなるレベル14の事務方。

 

 以前から連合内でその見た目と軽い性格とで初対面の黒札達から警戒されていたのだが、別段何かやらかす訳でもなく、休憩中に技術班に差し入れ片手にデモニカ開発の進捗を見に来たりする程度で大人しかったので、その内気にさらなくなっていた。

 

 しかしリアルACが出回る事になった後…奴は弾けた。

 

 具体的に言えばめっちゃリアルACに熱中というかどハマりしてしまい、主任としての仕事は熟すがそれ以外のプライベートな時間を殆どリアルACに割くようになり、その結果初となるリアルACによる覚醒を果たしたのである。

 

 主任ニキ当人曰く『魂がリアルACの重力に惹かれた』との事だが、それを体現するかの様に『ハングドマン』の操作は他の追随を許さないレベルで極まっており、何故がハングドマンに搭乗している時だけゲームであった主任仕様のあれやこれやを発現させる特殊スキルを発現させる程。

 

 一時は事務方を放り投げるのではないかと恐れられていたのだが、意外な事に事務方は続投し、今現在も就業時間は真面目に働いているとても珍しい黒札だったりする…但し残業は絶対しなくなったし、ほぼ毎日リアルACではっちゃけてはいるのだが…。

 

ブ「てっきり覚醒したら前線に出るもんだと思ってたけど、何で主任のままなんだ?」

主「やだなぁブーストニキ、そんなの安定した生活が大前提なんだし、何より常日頃から何もかも焼き尽くしてたらその内何も無くなっちゃうじゃないですかぁ…資源は大事に、丁寧に使っていかなくっちゃねぇ…?」

ブ「えぇ…(ドン引き)」

主「なーんてね、冗談ですよ、じょーだん!! そんな物騒な事考えてる訳無いじゃないですか、アハハハハッ!!」

*1
というかただの脳筋ならアクマの搦手にやられる為ここまでレベルは上げられない

*2
尚、元凶はお決まりの前世における某邪神だったり…




 多分これでオリキャラの黒札達は書けた…筈…自分の作品なのに登場キャラの把握がしきれていない駄作者は自分です(オイ)

 因みに次回からは原作でも黒札側の話があまり出てないから、自力でネタを捻り出さなきゃならないんですよね…もうこれネタ提供求めた方が良いんじゃないかな?(遠い目)

 こんな駄作でもまだ追ってくれるという方はこれからも地道に更新していきますので、これからも何卒よろしくお願い致します。


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第五十四話 半終末後のターミナルと海外支援

 という訳で漸く始まった半終末編、ここまで長かった…。

 取り敢えずこっからは原作見返していき、ブーストニキが何かしらやりそうなやつがあればそれらについて書いていくって形になりますね。

 …というか今回の話がまとめサイトにあった胸糞展開変えたくて以前から貼ってた伏線回収する回ですし…。


 世界をメシア教の目論見から無事(?)終末から半終末と呼べる様な状態へと軟着陸させる事に成功したガイア連合であるが、それによる様々な変化は当然発生する訳であり、それは弱体化から復帰した*1ブーストニキにも当然起きた。

 

 例えばそれは技術的ブレイクスルーであり、半終末への移行に伴い、大多数の黒札から喜ばれたのが『ターミナル間転移の敷居下げ』であり、今までペルソナ使いかデビルシフターにしか出来なかったそれが覚醒者ならば誰でも転移可能となったのだ。

 

「でも物資の輸送コストの削減は微妙なんですね?」

「そのまま輸送しようとしても不安定だからプラスしてコスト30%増し位にして保護しておく必要があるからなぁ…まだまだ密輸課の仕事は無くなりそうにないっすな」

 

 一通りターミナルの調査をして分かった事を報告しにいくと、一番欲しかった物資輸送の能力が微妙な進展具合だったので、事務方のちひろさんにチクチク嫌味を言われてしまったが、これに関しては世界変化の結果なんだし、俺別に悪く無くない?

 

 尚、これまでターミナル転移がペルソナ使い&デビルシフターの特権だった事でそれ以外の奴等にマウント取ってた連中は、今回の一件で無事逆に煽り散らかされた模様。

 

 尚、その煽り返される一幕とブーストニキの反応。

 

『誰でも転移出来るようになっててザマァw』

『逆に煽られるようになって悔しいでしょうねぇw』

『 ど ぼ じ で ぞ ん な 酷 い 事 い う の ぉ っ !?』

「…前々からこうなるって言ってたのに煽り続けてたとか、自業自得過ぎてどうでも良いわ…」

 

 他にも海外支援について、クソ狂信者共によって日本を除き世界はほぼ魔界に落ちたと言っても過言ではなくなった、それにより世界中が現在地獄の様な有様となっている。

 

 各地の霊的組織や神話勢力、極々稀にいるそういった伝承の酔狂なアクマが保護したりしない限り、只人にとっては何処もかしこもが死地と言える様な環境である。

 

 アメリカなんかは過激派メシアンと人間アクマ問わずブッコロマシーンなプルートーに、世界半終末化の発端であるクトゥルフなんかがそれぞれテリトリーを築いており、他にもアバドンによる蝗害やら過激派の手羽先共によって戦線が移行された事による中華戦線など、何処もかしこも地獄絵図としか言いようのない現状である。

 

 そんな中特に酷いのがロシアであり、ただでさえエゲツない環境なのにも関わらず生命線でもある電子機器がイカれ、そんな環境だからなのか伝承なんかで語られる人類に対して害を及ぼすアクマが矢鱈と多く、更には獲物を求めて過激派の手羽先共がちょくちょく出張ってくる始末であり、下手な異界なんかよりもよっぽど過酷な環境となっていた。

 

「一応スラブ神話? とかいうのがあるらしいけど、その中の神の一柱が『チェルノボグ』なのがなぁ…うん、あの『破壊神 チェルノボグ』だな…この時点でろくでもねぇ…」

「てかメガテン作品に出てくるスラブ神話の神々が少な過ぎる…元々口伝だった上にキリスト教と共産党の台頭で駆逐されてたから、揃いも揃って自国民の筈なのに、向けてるヘイトが高過ぎる…」*2

「まぁ、普通自分達捨てたような奴等に友好的になる筈無いしな」

 

 というか何より不運なのは、このロシアという国、お国柄(共産主義)の影響で黒札が全然居ないのである…支援するもなにも支援しようという奴が居ないので、支援もクソもねぇのである。

 

 一応零細霊能組織はあったので、そんな彼らがエジプトでの決戦に参加していた事でブーストニキとの縁が繋がり、今回の半終末騒動で多少なりとも対応出来ているのが救いではあるか…。

 

 そしてなんでここまでツラツラとロシアの現状を書いていたのかというと、アメリカへの海外支援を行うに際して、少しでも海洋アクマに邪魔されない様にする為、ロシアからアラスカに渡ってカナダを経由して行こうという事になった際、序でにロシアへの軽い支援を行う事にしたのである。

 

 …まぁ、この流れでブーストニキが動かない訳が無く救援に向かおうとするけれど、現状ターミナル関係で重要な立場となっている為マトモに動かしてもらえなくなっているんですけどね…。

 

「…で、そんなマトモに動けない筈のブーストニキなのに、何で現時点でひょいひょい移動しながらロシア東部の支援やってんの? フットワーク軽過ぎか?」

「まぁ、本体である俺は何もさせてもらえなくても、分身作ってしまえば良いだけの話だしな」

「そう言って人命救助と称して人拉致るのはどうかと思うがなぁ…」

 

 そう言われてせめて何かやれる事でも、と考えてやらせてもらっている改造バスの運転席からバックミラーで中を覗き込むと、そこには先程行ったカルトの拠点襲撃で行く当てが無くなった人達の姿が見えた。

 

 なにやら一人だけの覚醒者が性別おかしな状態になっているのだが、これに関しては『性を超越(意味深)する事によって超常の存在になれる!!』という理由で去勢されたのが原因なんだとか*3…尚成功者は彼もとい彼女だけだった模様…。

 

 なんでこんな事になったのかって?

 

「いやだって邪神センサーが反応したって事はヤツの化身が居るって事だぜ? 潰しとかなくちゃ碌な事にならないのは分かりきってるし、その結果住居が無くなった人に対して少なくても自立支援位はやらないと、人としてダメだろう」

 

 そ う い う こ と で す 。

 

 因みにニャルの化身に対する決め手は、アメリカ行きに同乗していた狩人ニキによる腹パン(致命攻撃)である…アメリカの現状作り出した元凶だから、前々から一発ぶち込みたかったとの事。

 

 というか一番可哀想なのは性転換する羽目になった覚醒者君ちゃんであり、まさかの性転換した直後に俺達が乗り込んできたのだとか…彼女ちゃんも居るのにこれとか、こんなん不運としか言いようがないぞ。

 

 てか二人とも名前『アナスタシア』っていうのか…なんかアイマスとFGOで見たような顔してますね。

 

「それよりもこっちはまだ目的地であるアメリカに到達すらしてないんだけどなぁ…」

「それについては…すまん」

 

 取り敢えずその性転換したアーニャ君ちゃんと彼女さんについては、色々申し訳ないので丹後半島支部で引き取る事にして、それ以外にもカルトに身を寄せていた人達については、支援物資やターミナルの強化を取り引き材料として先に述べた霊能組織に引き取ってもらう事になった。

 

 …因みに、転移や引き取りに際してついでという事で全員覚醒させたのだが、その光景を見て去勢しなければならなかったアーニャ君ちゃんの瞳からはハイライトが消失してしまうのであった…必要な犠牲だったのです(全力目逸らし)

 

 その後はちょくちょく他にも難民支援をしつつ無事アメリカへと到着し、そこから先は拠点(いつものジュネス)と大型ターミナルを建設してターミナル転移で帰還する事に…流石にアメリカ内部をまで手を出す事は許可されませんでした…残念。

 

 これからはアメリカ各地を探索していく黒札達に任せて、俺は時折送られてくる援助要請に従って、拠点の建設や大型ターミナルの設置*4なんかをしていく事になるのである。

 

 …まぁ、目下一番俺が力を入れている海外支援って何かと言えば、中華戦線への霊装支援なんですけどね? アンチメシアン多くてめっちゃ気が合う奴等ばっかりで素晴らしい環境である。

*1
序でにレベルが上がりやすくなってテンション上がった結果、一気に40レベルになった

*2
今作の独自設定です

*3
一応志願制だったのだが、状況からしてほぼ強制だったとの事

*4
因みに現地への行きに関しては、各黒札に持って行ってもらう携帯型のターミナルを座標とした転移である




 そんな訳で無事(?)アナスタシアコンビの救助完了です。

 正直この時の為にニャルレーダー作ったと言っても過言じゃないくらい、まとめサイトのあの展開がイヤだったんですよね…。

 …で、それに伴いちょっとしたアンケートを取りたいと思っているので、宜しければ御回答の程お願いいたします(アンケしてばっかだなコイツ)


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第五十五話 技術の進展と新たなやらかし

 取り敢えず今回も前回に引き続き日常回ですね、やりたい放題やってます。

 …所で皆さんなんで作者としてはネタ気分で入れた選択肢に投票するですかね?(苦笑)今回はまだアンケートの結果は締め切りませんが、取り敢えずアンケートについては本日締めとさせていただく予定ですので宜しければ投票の程お願い致します。


 半終末になった事で物理法則が緩んだことによる影響だが、ブーストニキは結構色んな所に受けていた。

 

 世界の修正力が下がった事でオーバースペックであった【軍勢変生】スキルによるデバフがある程度緩和され、それによってレベリングが捗った事もそうであるが、ブーストニキにとって嬉しい希望となったのは『式神との子作りに進展が見えた事』であろう。

 

 なにせどうアプローチを変えてみても物理法則が邪魔して成し遂げれなかった事なので、その嬉しさはひとしおであった…が。

 

「流石に十月十日専用結界張った場所に留まらせるのは宜しくないだろ…」

「むぅ…おのれ物理法則…」

 

 誠に…本当心底残念な事に、いくら子供を作りたくても最低限専用構築した結界に嫁式神を待機させておかなければ、あっさりと流産してしまうだろうという予測結果が出て来てしまったのである。

 

 別に嫁式神を引き篭もらせておいても構わないという奴ならば別段問題は無いのだが、俺もユエも様々な場所で活動するタイプであり、無駄に長期間引き篭もっている事を許容出来ない性なのである、っていうかマトモに活動出来ないとか発狂しかねんわ。

 

 そんな訳で思った結果を出せなかったこの術式は、俺以外の活用出来る黒札の為にショタオジを通して連合へと公開する事にして、治験結果を増やしてもらう事にした。

 

 …因みにこの術式は何時もの『ヤればデキる』結界にプラスして、結界内に居る人外を一時的に人間と同じ様にしてしまえる効果を付与したものであり、人間の内にやる事やればデキるという既成事実を作れば良いという発想である。

 

 しかし、結界の外に出た途端式神の身体に戻ってまう為、そうなれば胎内の胎児が死んでしまう事は必定なのである。

 

 つまり母体が人である事が重要なのであり、婿式神が居る女性黒札ならば問題無く子供を作れて育てられるだろうという予測結果が出ている為、役立てれる様それらの手段を探っていたショタオジを通して連合に流したのである。

 

 因みにこの結果に対して、ミナミィネキから「エロ方面の子作りという極限られた一面だけは私を超えましたね」という太鼓判を貰う事となった…せめて嫁式神でも問題無く子作り出来る様になってから貰えませんかね?

 

 因みに霊能の素質を継がせる研究に関しては理論上は完成しているのだが、流石に術式が出来てからの結果が然程取れていない為、ちゃんと効果を実証出来たとは言い難かったりする。

 

 尚、ある程度研究に対して光明が見えたので、今度は死産や流産防止に胎児が奇形児になったりする様な問題を起こさない様にする術式と、それを付与するアクセサリーの開発に着手する事にした、生まれてくる子供は元気に産まれて欲しいからな。

 

 さて、話は変わってお次はCOMP案件についてなのだが、これに関しては原作を知らない俺は取り敢えず言われた通り資料を見て再現したのだが、上手く出来てしまったのでちょっと悪ふざけで別verも作ってみたのだが、これが微妙に騒動を引き起こしてしまった。

 

 始まりは丹後半島支部の支部長として定期的に行っている、支部に加入した新人との顔合わせの際、日本人なのにも関わらず銀髪に見える小学校高学年位の少年*1がいた為、思わずその見た目からポロッと溢してしまったのが始まりだった。

 

「デビチル男主人公だと…?」

「ん゛っ!?」

「いや、お前さんその反応まさか家族も「いや、今世両親はちゃんとした人間だし、弟も異父兄弟とかじゃないんで大丈夫です」お、おう…なんか凄い食いついたな…」

 

 俺の溢した言葉に過剰な反応を示した少年に対し、ある確信と共に浮かんだ元ネタの出自*2を思い出して聞いてみると、めっちゃ苦虫を噛み潰したような顔をして、即座に否定して来た。

 

「うちは家族仲は良好なんですが、記憶が戻ってなかった頃にこの銀髪にも見える髪で虐められてたんですけど、両親も弟も皆黒髪の中俺だけこんな髪だったんで、もしかしたら自分は拾われた子供なんじゃないのかと、そう思って直接聞いてしまったんですよね…」

「いや、家族仲が良好な時にそんな質問するってオイ…」

「はい、ご想像の通り両親には滅茶苦茶怒られましたし、怒られたのと同じくらい泣かれる羽目になりましたね…今にして思えば本当にバカな事したと思ってます」

「まぁ、自分の子供から疑われるとかショックだわな」

 

 しかし、転生者の家庭環境って大体そうだけどややこしい事になり易いんだな…あのやる夫さんでさえ、友人関係はマシだったけど家庭環境は何とも言えないレベルだったし、最早転生者である事って一つの呪いみたいなもんなのでは?

 

 因みに今回の顔合わせで転生者である事が発覚した【デビチルニキ】なのだが、発覚&覚醒の原因は彼の地元にあった元自殺の名所であった廃ホテルでの肝試し(これも虐めが原因だった)であり、そこに発生した悪霊と対峙した事で二重の意味で覚醒した所をウチの支部の所属者(非覚醒者)が駆け付けて保護したんだとか。

 

 そのまま夏休みという事もあって山梨第一支部に日帰りで黒札登録しに行き、それからオカルト方面に関して修行する為、連合が出しているカバーストーリーである『ガイア連合夏季合宿〜小学生の部〜*3』に参加して経験を積む事にした。

 

 で、その結果としてデビルサマナーとしての適正がある事が発覚したのだが、ここでのやらかしがちょっとした騒動の発端だった。

 

 支部長室で机を挟んで向かい合う俺とデビチルニキは、これからの活動方針についての相談を行なっていた。

 

「はいおかえり、実質二泊三日の体感一週間修行はどうだったよ?」

「ちょっと…うん、噂に聞く【厳しいモード】の修行よりはマシだろうけど、なんていうかあまり受けたくはないし、時差ボケしそうな感じではあるな…」

「そこら辺はこれからのオカルト関連の活動に必須の内容なんだから、諦めて受け入れとけ…実際あれらで受ける内容は専門課程みたいに、後々覚えておいて良かったって思える様な内容だからな…正直マジで重要な点だけであって、覚えるべき内容としては全然足りないレベルだがな」

「うへぇ…マジですか」

 

 まだ未成年である彼が受けて来たのは、半終末によって敷居の下がった電脳異界を利用した座学の様なものであり、そこで大半を座学に割いて時々沸いてくる電脳悪魔を相手に実習の様な形式で実践を積ませる形式である。

 

 因みにデビチルニキ本人は散々だったとでも言いたげな雰囲気を出しているが、実際上記の内容を見れば分かる通り、クソみたいに簡単な内容ばかりで辛い修行が無い為、数ある修行の中ではクソ楽な部類だったりする。

 

「それじゃあ丹後半島支部への正式な加入を加入に際して、ウチの方針としては初心者セットみたいな形で当人に合わせたレア相当の装備を一式贈る事にしている訳だ」

「あ、向こうでは貸し出し武器だけだったんでそれは有難いですね」

「それらとは別にデビチルニキの場合は珍しい事にサマナーとしての才能もあるという事で、ちょっとばかし俺の悪ふざけみたいなプレゼントを贈りたいと思っているんだが、受け取ってくれるか?」

 

 そう言ってから横に置いてあったジュラルミンケース*4を机の上に持ち上げ、ロックを解除した後デビチルニキの方に向けて『ソレ』を見せつける様に開いた。

 

 …なんでいつもみたいに【収納ポーチ】から出さないのかって? ただのノリだ察しろ。

 

「これは…【デビライザー】!? 完成していたんですか!?」

「正式名称は【デビルライザーガン】だがな、コンプやガンプ程多機能な訳じゃないが、取り扱いの容易さと安全性の確保をメインに据えて開発した物だ」

 

 …嘘である、実際は俺がデビチルプレイヤーだったから、以前ふとした拍子に再現してみたくなったから作っただけの代物だ…一応説明通り安全性確保の為のセーフティは色々仕込んであるぞ?

 

 いやまぁ、デビチルやってた民としては是非とも装備して欲しい一品ではあるからね、デビチルニキがソックリだから仕方ないね(責任転嫁)

 

「いやでも、これまで持ってたらマジでデビチルみたいじゃないですか…」

「別にデビチルニキはアクマとのハーフとかじゃないんだし、前提からして崩壊してるんだから問題無いだろ、それに実験としてショタオジがネコマタ出し入れしてたけど、見た目も別に変化とか起こさなかったし」

「あ、だとしたら本当にデビライザーみたいなだけのコンプなんですね…あれ? この中に入ってるのって…」

「おう、気付いてくれたか、ショタオジがデビチルニキが山梨第一支部に来た時にデビチルニキの守護霊やってたヤツをイヌガミにして入れといてくれたk「来いっ、クール!!」ちょっと君早く…え?」

 

 俺が言葉を言い切る前にデビチルニキが即座にデビライザーを起動させると、そこから出て来たのは良く知っている白くて細長い胴体のあのイヌガミではなく、何故かデビチル版の【ケルベロス】そのものになっていたのだった。

 

「…ふん、こうして会話出来る様になるっていうのも不思議な気持ちだが、先ずはお約束に則っていこうじゃないか…我が名は【魔獣 ケルベロス】のクール、コンゴトモヨロシク」

「クール!!」

「相変わらず泣き虫だなぁ、セツナは…」

 

 以前亡くなった愛犬が姿を変えたとはいえ甦り、そんな愛犬に感極まって抱き着く主人、とても感動的なシーンな訳だが…。

 

「…これ絶対面倒事が増えるヤツじゃん…」

 

 尚、この後デビチルニキの召喚がトリガーとなったのか、予想通りデビライザーで召喚されるアクマは軒並みデビチル版へと変化する様になり、あの可愛らしい造形の愛好家達がこぞってデビライザーと発展版の【キングライザー*5】を買い求める様になり、滅茶苦茶忙しくなる様になってしまった。

 

 因みにデビライザーから他の封魔管やコンプに移せば元の姿に戻る安心設計らしく、時折ショタオジがネコマタ達をデビチル版にしている姿も見られる事になったのだとか。

*1
実際は黒髪だけれど、認知がバグって銀髪に見えている

*2
デビチルの主人公は母子家庭なのだが、父親が某アクマで弟の父親は某天使とかいうクッソ複雑な家庭である

*3
因みに参加条件は黒札からの勧誘のみであり、当然一般への公開はされていない

*4
今回の為に態々用意したジュラルミンという名のヒヒイロカネケース、今後使うかは不明

*5
元ネタを揃えておくのは製作者の基本




 因みにデビライザー使用時のアクマは主人に危害を及ぼす事は不可能となっていたり、召喚可能数が一体だけの代わりに消費MAGが激減していたり、召喚されたアクマが素でカジャ系二段階程掛けられた状態になっていたりする等の差別化が図られています。

 後、活動報告でブーストニキが何しているかの質問所を作っておいたので、興味のある方は気軽に質問入れておいてください、下手すればなんか新しい設定が生えてくるかもしれません。


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第五十六話 彼(彼女?)の問題解決

 今回アンケートの結果三倍以上の差を付けた結果を書こうとしたのですが、書いているうちに普段以上の量になりそうだったので、珍しい事に続きモノとなっております。

 …にしても皆さん好きですなぁ(笑)


 さて、以前アメリカ行きの途中で寄ったロシアにて、二人丹後半島支部に引き取った訳なのだが、その内の男性であるアナスタシア(現在通称:アーニャ)が『去勢する事によって性別を超越し、その経験によって覚醒する(覚醒出来るとは言っていない)』によって男の証を失って一か八かの覚醒チャレンジを受けていた訳であり…。

 

 しかもそれで覚醒したのがアーニャ君ちゃんだけという大惨事な上、覚醒した事で回復系の魔法二つと情報収集スキルという破格のスキル習得はあれど、耐性が二つだけなのに対して弱点が四つもある*1という地獄絵図な模様…せめてもう少し早く着けばもっとマシな状態で助けれたんだろうか…?

 

 兎に角、結果的にとはいえそんな悲惨な状況に対して滅茶苦茶決意を固めてアーニャ君ちゃんは臨んでいたのにも関わらず、俺が目の前で他の奴等をお手軽覚醒させちゃったせいで決意台無しのハートブレイクを受けてしまい、そんなアーニャを放置出来る筈もなく彼女さん(アナスタシア)と一緒に引き取ったのだが、今日はそんなアーニャ君ちゃんにとって今後に関わる重要な検査を受けてもらう事となった。

 

 …そう、男に戻れるかどうかという、今後の尊厳に関わる検査である。

 

 丹後半島支部に備え付けられている、最新の外科手術さえも可能としている病室の診察室、そこには現在俺とロシアから連れて来た二人に、連合本部から態々足を運んでもらったフェイスレスニキが、検査の結果を報告する為の重苦しい空気を生み出していた。

 

「…で、どうだろうかフェイスレスニキ? 彼は元の性別に戻せそうか?」

「正直現状の性別が無い状態を詳しく調べさせて欲しい欲求がない訳でもないけど…まぁ、ブーストニキにはいつも楽をさせてもらっているから、さっさと結果話してしまおうか」

 

 そう言って結果が書かれているカルテを覗き込んでいたフェイスレスニキは顔を上げると、一頻り俺達を見渡してから重たい口を開いた。

 

「結果から言えば元に戻そうと思えばちゃんと『人として』元の男性に戻す事は可能ではあるよ」

「本当ですか!?」

「よ、良かったぁ…」

 

 検査の結果を聞いて喜ぶ二人だったが、そんな二人に対して俺はフェイスレスニキの言い回しに嫌な予感を覚えるのだった。

 

「なぁ、フェイスレスニキ…その言い方的に『霊能関係には』何かしらの問題が出るって事なのか?」

『え?』

「…ご明察だよブーストニキ、元の性別に戻す事は問題無く出来るだろうね…但し『性別を超越した事によって得た異能』だから、逆を言えば『性別を戻す事によって弱体化する』可能性が非常に高いと思われるよ」

 

 言われてみれば頷けるかもしれない内容に、俺は思わず俺は苦虫を噛み潰した様な表情をしてしまい、半終末を迎えて世界が非情な変遷を遂げていく経験をした二人は、そんな世界をこれからも生きて行く為に最も必要な『力』が喪われるかろしれないという事実に絶望の表現を浮かべた。

 

「元々大分無茶というかノリと勢い? で中途半端な儀式して得た力みたいだからね、耐性の貧弱さは恐らくそれが原因なんだろうけど、そんな中途半端な儀式をしたせいで、元の性別に戻そうものなら最悪霊能の永続的な喪失も視野に入るレベルだね」

「本当にあの邪神は碌な事しないな…」

「…ふうっ」

「アーニャ大丈夫!? 気をしっかり持って!!」

 

 いかん、まさかの自分が受けた儀式がノリと勢いによる産物だったと知ったアーニャ君ちゃんが精神崩壊を起こし掛けてるぞ!? フェイスレスニキは俺等黒札相手のノリじゃなくて、現地民なんだからちょっとは加減してやれよ!?

 

「そこで私の提案としては、そんな中途半端な状態ではなく一層の事完全に女になってしまう事を選択肢に上げさせてもらおう」

「おいちょっと待てフェイスレスニキ、その提案のなにが『そこで』なんだ?」

「「?????」」

 

 あぁもうあまりにも話の深刻さ変わり過ぎて、さっきまで絶望的だった二人が宇宙ネコ状態になってるじゃないか、話の温度差酷過ぎてグッピーが死んでしまうぞ…いやうちじゃあグッピー飼ってないけども。

 

 そんな俺達の反応が不服だったのか、フェイスレスニキは不満気な顔で文句を言って来た。

 

「だって元に戻しても弱体化する可能性が非常に高い上、儀式も中途半端だから今のままだと霊的にも不安定だからどっちかに寄せた方が断然良いし、それなら一層の事未練きっぱり絶って、女性になった方が霊質上げれるからそっちの方が良くない?」

「いや、彼女さんが居るからな? なんなら付き添いで来てくれてる彼女がそうだからな?」

 

 フェイスレスニキの実利的な面を推した説明に対して情の面から説明すると、フェイスレスニキは予想外だったのかとても驚いた表情をしていた…まさか気付いてなかったのか?

 

「え? …てっきり家族で姉とか妹とかそういった関係だと思ってたんだけど…」

「いや確かに髪の色や瞳の色とかも似てるけどさぁ…流石にチ◯コ無くなったから手術で新しいのを付けるとか、家族に対して説明出来るか?」

「それ寧ろ恋人に対して説明する方がハードル高くない?」

「…確かに」

 

 そもそも今回は前提として彼女であるアナスタシアが知ってたからスルーされてたけど、普通に考えたらかなりおかしな状況だよなこれ、うん、これフェイスレスニキ別になんも悪くなかったわ。

 

「まぁ、良いか…それでどうする? 個人的には一度自分から捨て去ったんだから、それを拾い直すのはかなりリスクが高いから、正直やめておいた方が良いとだけ言わせてもらうけど? 下手したらブーストニキの【軍勢変生】でもどうしようもない案件かもしれないしね」

「確かに下手したら霊的資質が無くなるかもしれないから、流石にそうなると資質を励起させてる俺のスキルでもどうにもならないかもしれんが、それだともう実質選択肢一つだけじゃねぇか…」

 

 こんなんほぼ強制だぞオイ…。

 

 そんな苦い思いを抱きながら当人達を見てみると、当人であるアーニャ君ちゃんは俯いて悩み続けていたのだが、そんな彼氏を見守っているアナスタシアは暫くアーニャ君ちゃんを見つめていたのだが、何やら意を決した様にアーニャ君ちゃんの肩に手を置いた。

 

「…ねぇ、アーニャ? 私は別に何時迄も貴方がそばに居てくれさえすれば、男女の差なんて関係無いのよ?」

「でも…二人共女性になったら子供はどうするんだい? ボク達で末代なんて寂しいよ」

「いや、女同士でもやろうと思えば子作り程度なら、準備はいるが簡単に出来るぞ?」

「「…え?」」

 

 どうやら一度自分から性を捨てたアーニャ君ちゃんからすれば、悩みの中心は子供が出来なくなる事だったらしい…それなら別段二人共歴とした人間なんだから、ちょいと手を貸せば簡単に問題解決出来る事を教えてやる事にした。

 

「古今東西の変身して人間に手を出す神話の魔術を改造すれば、片方の遺伝子を元に精子作って相手の女性と子供を作る事も出来るし、なんなら女性になったからといっても一時的に『生やす』魔術だってある位なんだし、人外とヤルんじゃなく人間同士でヤルんなら、方法なんて腐る程あるぞ?」

「まぁ、ブーストニキは性差よりも難易度の高い事にチャレンジしてる訳だし、女性同士程度とかなんの問題も無いだろうねぇ」

 

 なんなら男性同士ですらやろうと思えば子供作れるからな…あのミヨシノアニキとナナシ君*2とかな…。

 

 噂伝いの弟君が可哀想な感じだったから可能な範囲で装備製作とかで手伝ってたけど、二人の関係の真相に気付いた時には手遅れだったんだよなぁ…ナナシ君が兄であるミヨシノアニキに手を出して調教モドキちゃったから、頭痛堪えながら医療班と一緒になって男でも妊娠、出産出来る技術を開発しましたよ、ええ!!(逆ギレ)

 

「それじゃあフェイスレス先生、よろしくお願いします」

「うんうん、技術については既にガイア連合では確立されているからね、安心して任せて欲しい」

 

 思い出すだけで頭の痛い出来事に遠い目をしていると、いつの間にか意を決していたらしいアーニャ君ちゃんが、フェイスレスニキに完全な女性への移行手術を頼んでいた、まぁ一度悩んだ点だからね、またそこまで悩む事でもなかったのかな?

 

 さて、これにて二人の問題は一件落着かな? もう俺の出番は子作りの段階まで行けると二人が判断した時に手を貸すくらいだろうし、不安が一つ解決してめでたしめでたし…だよな?

 

 

 

 ーー数日後ーー

 

 

 

「………ドウシテコウナッタ?」

「すぅ…すぅ…」

「むにゃ…ふふっ…アーニャかわいぃ…」

 

 朝、俺のベッドには正式に女性となったアーニャとアナスタシアが、俺含めて真っ裸になって眠っていた…二重の意味で頭が痛いが何度でも言わせてもらいたい、ドウシテコウナッタ?

*1
しかも弱点の内一つは氷系が多いロシアなのに氷という絶望感である

*2
まとめサイト『黒札転生者のクズアニキと現地人弟のお話』より




 そんな訳でアーニャ君ちゃんはアーニャちゃんとなり、いつの間にやらブーストニキと寝てました、勿論彼女であるアナスタシアも同意の上で一緒です。

 さぁブーストニキよ、読者達の為に責任を取るのです()


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第五十七話 やらかし感染

 そんな訳で原因解説回となりますが、前半は少しだけシリアス風味ですが後半になると途端に馬鹿らしくなるので、頭を空っぽにして読むのをお勧めします。


 どう見たって二人相手に朝チュンしてしまった状況に頭を抱える俺、視覚を塞いでいる結果嗅覚から朝チュンの更なる証拠が臭ってくるから、謎の頭痛とのダブルコンボで遠い目不可避である…。

 

 思い出せ、思い出すのだ我がやらかし性能高めのポンコツヘッドよ…俺は昨日は何をしていた? 取り敢えず思い出せるところから思い出していくぞ。

 

 アーニャ君ちゃんが手術する事を受け入れ、アーニャちゃんになる事を決めて幾日か経った後、世間ではクリスマスで盛り上がっている中、突如基地の近くに大量の子供アクマが現れたのだが、仕事の為に山梨支部に居た為急いで祓おうかと向かった俺に対して、ショタオジが待ったをかけた後に子供アクマ達に対してこう問いかけた「君たちはどこから来たんだい?」と…。

 

 曰く【覚えていない、でも切り取られ、閉じ込められていたのだけは覚えている】

 

 曰く【恐ろしく怖いものに括り付けられ飛んできた、破裂するとともに解放された】

 

 即座に祓う気なんか失せた、こんな目に遭った彼等に対してこれ以上無体な真似なんて出来る筈もなかった。

 

 しかもショタオジから話聞いて何も言えなくなっている俺に対して、直前まで俺の雰囲気に怯えていた筈の子供アクマ達が心配して寄って来ているのである、不安気に「何処か痛いの?」とか「ボク達、何か悪い事したの?」とか聞いてくるのである、心へし折れるわ。

 

 血反吐吐きそうになりながらもショタオジの指示に従い、穏健派達が子供アクマ達を招き入れてクリスマスパーティーを開く準備をしている傍ら、外部から下手な干渉をされないように、またしてもクソな事をやらかそうとしている過激派の対処の為と外神達を普段のMVPレートを大分下げた状態でレイド戦を開いて外に目を向けさせる作業に移った。

 

 まぁ、件の過激派がやらかそうとしていた作戦はグッダグダな事に(外様基準で)クソ雑魚の『魔人 ケムトレイル』とかいう出て来ても碌に害が無い上、数日でMAG不足による自滅を起こす奴等に化けた模様、直前のローテンション吹っ飛ばすレベルに笑える出来事だったわ。

 

 そんで一頻り仕事を終えて交代したので直帰しようかと思ったのだが、ここでミナミィネキから黒札でのクリスマスパーティーをしているので、偶には来てみませんか? と誘われ、普段断り続けている上、今日に限っては落ち着いたら子供アクマ達の事を思い出して落ち込みそうだから、という事でユエ達を先に帰して参加する事にしたんだったな…。

 

 で、だ…ここから先…何があったんだっけ? 確かそこまで度数は高くないものの覚醒者でも酔える酒を出されて、それ飲んで適度にほろ酔い状態になったのまでは憶えているが…。

 

「あ゛〜…確か唐突にカラオケ持ってこられて九十点未満だと罰ゲームだと言われて、その時点でそこそこ酔いが回ってたからはっちゃけて『裸執事』歌ってたけど、結局八十六点で罰ゲーム受ける事になって…あぁそうか、試作品で失敗作の【アムリタソーダ】飲む羽目になって【泥酔】引いたのか…」

 

 本来ならば状態異常を回復させる【アムリタソーダ】が、製造に失敗した事で何かしらのバステを付与する効果になってたから、それが罰ゲームに丁度いいという事でもってこられたんだっけ?

 

 …で、結果として見事に泥酔してしまった俺は、流石に宜しくないからと家に帰されたんだと思うが…マジでどうやったらそんな状況から朝チュンする様な展開になるんだよ…?

 

「…いや、俺マジで昨夜は何してたし…?」

「あら? それだったらアーニャの為に抱いてもらっただけよ?」

「もしかして覚えてないんですか…?」

「あ〜…うん、取り敢えず二人共おはようって事で昨夜の片付けしていこうか?」

 

 ぼけっと思考に耽っていたら当の二人が目を覚ましたので、ぐちゃぐちゃだったり逆にガビガビだったりする身体を洗う為、寝室の隣に併設してあるシャワールームに行く事に…何時もの事だから寝具は汚染防護で常時綺麗に出来るけれど、流石に身体は洗っておかないと気になるからな。

 

 で、各々綺麗になりつつちゃんと服を着て食卓に着く事にしたのだが、どうやら昨夜の出来事について、我が家に於いて知らなかったのは俺だけだったらしく、ユエ筆頭に嫁達は全員承知の上であり、まさかの朝食を食いに来た父さん*1まで先に知らされていたのはなんだか疎外感を感じる…。

 

 話を聞けばアーニャ*2の手術が終わった際、手術で変化させたのは肉体であって、霊的な部分はまだ不安定だったりするので、手っ取り早く変化させたいのならば『経験(意味深)』を積む事で自身の性自認を変えた方が良いと説明されたらしい。

 

 因みにアナスタシアまで一緒に居たのは経験積んでる最中に、アーニャが不安がらない様サポートするつもりでいたのだが、酔ってタガが外れていた俺によってよがり狂っているアーニャの姿を見て、羨ましくなっていた所に既にメス堕ちしていた当のアーニャ本人によって引き摺り込まれて一緒に頂かれる事になったのだとか。

 

「…でもハジメは相談されても受け入れるのを悩んだろうし、教えられたのも昨日でハジメは帰りに泥酔していたから丁度良いと思って勧めた」

「僕の方も彼女達に説明された内容聞いたらハジメに任せた方が良い案件だと思ったし、なんならハジメは責任取るって前々から言ってたし、餅は餅屋ってヤツだよ」

「いやまぁ、確かに現状俺が適任だし必要なら手助けしただろうけどさぁ…なんで素面の時に言ってくれなかったんだよ? 初体験を相手が覚えていないとか普通嫌なものなのでは?」

 

 少なくとも俺だったらそういった記憶は良いモノにして覚えておきたいぞ? 妊婦みたいになるまでされるのが良い記憶かは分からんが。

 

「でもそれなら素面の時のハジメって、例え必要な事であっても引け目感じていそうだし、それなら酔って前後不覚の時の方が勢い任せで行けるでしょ?」

「それに気持ちよくなりたいならハジメさんが全開の方が気持ちいですし、それならば矢張り酔っていたのは都合が良かったかと思いますわ」

「その…ワタシの初めての時みたいに責任を感じられると、気持ちよくなる事よりも申し訳なさが先に来ると思ったので…」

「ぐうの音も出ねぇ…」

 

 確かに相手を気持ちよくする為ならスキル全開にした方が良いだろうけどさぁ…ちょっと皆さん前提を忘れちゃってませんかねぇ?

 

「…レベル四十の俺が全力全壊でレベル1の二人とヤルとか、死にかねん上に下手したら霊質が変化しかねんのだが?」

『……あ』

「はぁ…だから素面の時に頼みましょうって言ったじゃないの」

「「「えぇ…」」」

 

 ジト目で問題点を挙げると、マジで忘れていたという様にポカンとした表情を見せる嫁六人と、それに対して呆れた様に頭を抑えるグレイディーア、尚当の二人と父さんはドン引きしていた。

 

 式神の嫁達は兎も角人間である二人まで忘れているのは、恐らく俺の【軍勢変生】スキルで同レベルまで上がれる様にしているから、そこら辺の心配をする必要が無かったからなんだろうなぁ…。

 

「い、一応ハジメが暴走とかしない様に見張ってたから…」

「ん、地返しの玉も準備万端だった」

「リカバリー出来れば良いって話じゃないんだよなぁ…」

 

 メリュジーヌとリアが弁明しているけれども、霊質の変化というものは現状ほぼ一方通行なので、何かあったら責任問題待った無しなんですがねぇ…?

 

「…取り敢えず二人共、ヤッてる最中に劇的な変化があったりしたとか、何か昨日に比べての違和感とかあったりするか?」

「…なんだか身体の内側からガラスが割れた様な感覚はありましたね…」

「それとアーニャやハジメさんの事を感じ易くなった気がするわね…」

「…取り敢えず、またフェイスレスニキに来てもらって、今度はアナスタシアも一緒に診てもらうとするか…」

 

 もしかして俺の【軍勢変生】ってやらかし性能まで付与しちゃうとかいうデメリットとか無いよな?

*1
因みに普段は近くの母屋暮らし

*2
頬を赤らめて呼びやすい様に呼んでくれと頼まれた




 という訳でブーストニキよ(嫁達の代わりに)責任を取れ(連座)

 尚二人の症状は激し過ぎる霊的なやり取りに粉々に霊器が砕かれたのですが、ブーストニキの歪なスキルツリーの結果が他者への干渉である為、砕かれたその場で修復されていく事になり、ギリギリで命を繋いでいたりします。

 しかし霊器の状態は謂わば素焼きもされていない土器の様なモノであり、安定剤代わりでもあるブーストニキの側から長時間離れると、軟弱な状態である霊器は崩れて死にかねないトラップとなっております、言っちゃえば【軍勢変生】でパワーレベリングした奴が怠けて鍛えなかったらレベルダウンするのと同じ原理ですね、それの命まで掛かってるverです。

 因みに【軍勢変生】では別にやらかし因子は付与されません、単純に皆問題無い程度にレベルを上げている&普段のブーストニキは問題が起きない程度にセーブしているので、そういった問題点が頭の中から抜け落ちていただけです(因みにグレイディーアは薄らと覚えていたけれど、既におっ始めていたので止めれなかった感じです)


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第五十八話 対応と二度ある事は三度あるとまた対応

 ちょっとアークナイツの方でとあるキャラの名前に吹いて、思わずこちらが終わってもいないのに向こうの二次作をまた書こうとしていた優柔不断作者です…でも名前被り(多分あっちはコードネーム)とかネタにしたくもなるじゃんね。

 そんな訳で前回の続きとなります。


 結局、あの後またフェイスレスニキに足を運んでもらって二人の様子を見てもらったのだが、矢張り二人共霊基が砕かれてから再構築されている事が判明した。

 

 そして再構築されたといってもまだまだ安定していない為、安定させる為にも最低でも一週間は俺のMAGを充満させた同じ家屋で暮らす様にしろとの事。

 

 結果、在宅ワークみたいな感じに自室に置いてあるターミナルを通して、山梨支部へとデイリークエストである大量消費される回復アイテムや、使う時はあっという間に消えていく属性弾等を製作して転送していく。

 

 …その事について現地民軽視の黒札が文句を言っていたらしいが、俺の所に来たそいつらの要望は容赦無く優先度最低、又は他の開発部へと回す事にしてやった*1…アイツら本当に学習しないな。

 

 午後からはアナスタシア達をずっと家に引き籠らせるのも不健康という事で、主に休日なんかでしかやらない散歩や買い物へと(荷物待ちとして)一緒に出掛けたり、霊能者ビギナーである二人の身を少しでも守る為に其々の素養に併せた訓練を開始していく事にする。

 

 因みに二人の素質に関して、アーニャは何故か人間なのに破魔以外の弱点属性が消えるというかなりの強化が入り、アナスタシアは火炎と呪詛弱点の氷結と破魔耐性という如何にもお国柄といった感じだった。

 

 …のだが、二人ともこれにプラスして【番の絆*2】という特殊スキルが生えていたのだが、このスキルの『伴侶』の対象が互いになっているのならば別段問題無いのだが、何故か俺まで対象に含まれている件…伴侶の意味を一度調べておけと言いたくなるスキルである。

 

 因みに俺にはこのスキルが生えていないので効果は無い(無常)(一方通行)(そもそも常に同行するのは不可能)

 

 さて、そんな二人の変化についての話を前座とさせてもらって、一つ本題に入らせてもらうとしようか。

 

 前世には『二度あることは三度ある』という諺があったものだが、その諺は前世風の世界にメガテン要素が加わって変質したこの世界にも存在しており、こんなどうでも良い事を考えているのも目の前に実例が現れたからであり、詰まる所ーー。

 

「なして俺の武器式神は変化スキル取って女性体になるのだろうか?」

「そんなの自分達を大事にしてくれている旦那が人間の嫁増やして熱烈に愛し合っている所を見たら、私達式神だってもっと愛されたいと思うのが普通だろ?」

「普通なのか…普通なのかなぁ?」

 

 アーニャとアナスタシア相手に派手にやらかした翌日、遠距離対策として使ってた武器式神の【災厄兵器パンドラ*3】がまたしても本霊通信で【人間変化】貰って夜這いしてきました、因みに人間態の見た目はシンフォギアの【雪音クリス】です。

 

 …まぁ、確かに俺は巨乳派だけども、よくそんなピッタリなキャラに成れるな…え? 俺のMAGを変化先の為に参照したら、自然と巨乳キャラがピックアップされただけ? エロの神として進歩しているからだろうと?

 

 …最近ユエやメリュみたいな通常時ツルペタなメンツも身長は兎も角胸は豊満になって来てるし、一晩寝ただけでアーニャの肉体が元ネタのよりも豊満になってるから、正直否定出来ない話だな…。

 

 しかし、碌に鍛えてもいないエロ能力ばかり成長していくのを見てると、俺本来の霊的資質がそっち方面なのかと疑ってしまうな。

 

「そんなの普通に決まってるよねぇ?」

「うん、当然の事」

「当然なのか…」

 

 因みに今現在自宅の居間に居るのは俺と変化式神の三人*4であり、ユエはディーアと一緒に充電式MAGバッテリー*5を装備して連合本部の修行用異界へレベル上げ、人間の嫁達は新しく入って来た二人にここら辺の事を色々と説明している最中なんだとか。

 

 …まぁ、その話の大半は女性になったアーニャに対して、女性としての心構えを教えるっていうお題目をした猫可愛がりだろうけどな…。

 

 最近【楔】による土地の安定作業で感知技能が強化されたのか、自宅内程度だったら普通に事細かな詳細が分かる様になってしまったんだよなぁ…五人してくんずほぐれずにゃんにゃんしてるのが丸分かりになってしまって辛い…。

 

 さて、現実逃避もここら辺にしておいて、目の前の問題について解決する事にしようか。

 

「で、今回本霊通信をした結果、本霊である【弓矢神】が地上に行きたいのに、俺が天橋立まで楔で結界に入れちまってるから怨嗟の影響で阻まれてしまい、来ようにも来れなくなっている為、今後余計な口出しはしないから何とか天橋立を使える様にしてくれないか…と」

「そうそう、せめて天橋立とそこから外に出れる道だけでもあれば有難い、って言ってたな」

「ん、丹後半島はハジメの怨嗟が既に染み込んでて、半端な強さのアクマはマトモに行動出来ないから残当」

 

 話を聞くに、何やらクリスが本霊通信を試みた時に貰えるスキルについての交渉の際、弓矢神からクリスが言ったような条件を出してきたのだとか。

 

「なんで本来ジャイアニズム全開な神々なのにこんな下手に出てるんだい?」

「それだけど、如何も詳しく聞いてみたら『神々の間で丹後半島支部の支部長の黒札は、日本人なのに日本神を嫌っているという噂が公然の秘密として流れているから、下手に機嫌損ねて完全に交流絶たれて他の神々にハブられたくない』って言ってたぞ」

「…まぁ、流石に何度もあったICBMの迎撃レイド戦で必要最低限の塩対応しかしてなかったら、俺が日本神嫌いだって普通に察するわな…」

 

 実際今でも祭神に捨てられた当時の事を思い出して遠い目している元氏子達が居るからな、多分彼等が立ち直るか件の捨てた日本神達が頭下げに来るかしないと、俺はアイツら許せる気がしないんだわ。

 

「まぁ、これからの本格的な終末対策を考えるなら、ある程度楽に行き来出来る様にしておく必要があるか…分かった、それじゃあ地元の霊能組織に頼んで天橋立近くの土地を確保してもらうから、そこに簡易支部とアクマ専用の行き先が限定されたターミナルを建てて、駅代わりにでもしておくか」

「うん分かった、それじゃあ弓矢神にその事伝えておくよ」

 

 そう言って目を閉じて集中しだすクリスを見て、ふと気になった事を聞いてみる事にした。

 

「そういえば、なんで弓矢神は地上に来たがってたんだ?」

「うん? そういえば理由聞いてなかったな…あ〜うん、どうやら件のメシア教による粛正で、弓矢神の氏子が根切りされたんだと…場所も山奥で一族だけしか居なかったから惨殺現場はそのままだろうし、せめて亡骸だけでも弔ってやりたいんだと」

 

 本当にあの手羽先共は碌な事しねぇな…。

 

「てかそれならもう既に封印されてた異界は解放されているだろうし、そっから出て直接弔えば良いのでは?」

「なんか氏子が根切りにされた影響で元々低かった霊格が余りにも低下し過ぎて、マトモに外で活動出来る程のレベルも無いから異界の外に出ても外を徘徊しているアクマにやられかねないてさ、それで一度地獄湯に向かって借金して外での活動用式神体と護衛をレンタルして、氏子達の亡骸を弔ってやるんだと」

「…いやもう、なんだかなぁオイ…」

 

 なんでこの世界良心的な神々ばかり弱い立場になってるんだよ…人が良いから他の業突く張りにリソース取られてるから? ご尤もだよコンチクショウ。

 

 急遽本日の予定を変更、話を聞くに弓矢神の氏子が居た土地にはそこまで強いアクマは居ない様だったので、俺から離れられない二人の戦闘訓練も兼ねてちょっとした遠征に。

 

 無秩序に沸いていた雑魚を蹴散らし、近くの異界から出られずにいた弓矢神に簡易式神体(一旦木綿型)を与えて連れ出し、白骨となっていた氏子達の亡骸を先祖代々伝わっていたという墓に納めてやった。

 

 俺に対して何度も感謝を述べた弓矢神は、最後の氏子だった彼等の墓を見守っていくと言って残るとの事だったが、此処まで謙虚な神格も珍しいので丹後半島支部に分霊を招致する事に。

 

 なんか他の神格が煩くなりそうではあるが、そんな事知ったこっちゃないので無視する事にして、支部所属の霊能組織に弓矢神の分霊を招致した事を通告。

 

 人間やりたい様にやるのが一番楽な生き方なのである、うむ。

*1
尚、他の開発部は当然自分の顧客等を優先した上で自分に回された仕事をこなす為、他の開発部から回された依頼等ほぼ手をつけられる事は無い模様

*2
オリスキル、伴侶の居る場所が大まかに分かる。近くに伴侶が居る時全ステータス5アップ、近くに居ない時全ステータス5ダウン

*3
DMC4のアレ

*4
前から居た二人は暇していただけ

*5
レッグポーチとかミリタリー系の見た目をしたMAGバッテリーであり、ある程度主人と離れても探索でそれなりの時間行動可能に出来る程度には補充可能




 本格的に地元に引き篭もる羽目になったブーストニキ、尚人間嫁達は旦那と触れ合う時間が増えて喜んでいる模様。

 そしてまたしても増えた武器式神嫁、実はゲートオブバビロンごっこの際に使っている銃器がコレだったので、実質ゲートオブバビロンごっこは出来なくなりました(笑)

 弓矢神に関してはイチイバルが狩猟神ウルが使う弓が元という事だったので、適当に『弓矢の神様』で調べたらなんか出て来た方だったので適当に採用したのが経緯だったり(クッソ不敬)

 なんか神話が全然無さ過ぎたので取り敢えずメガテン世界では弱小神という扱いにして、一応戦神でもあるらしいので防衛隊に就いてもらう事に…ブーストニキがスカウトしたという事で無条件に様に慕われ、結果自分より遥かに格上の氏子が最盛期よりもわらわらと増えて滅茶苦茶困惑した模様。

 尚、そんな弓矢神を見てサクナヒメはとてもとても深く頷いた模様。

 あ、後活動報告に質問コーナー置いてあるので、何か気になる方はコメントの程よろしくお願い致します(クッソ遅れた報告)…作者お気に入りにしてなきゃ活動報告とか見ないもんね。


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第五十九話 日本神との交渉

 どうもご無沙汰しております。

 読者の皆様、最近の酷暑の中お元気でしょうか? 自分は余りの暑さにしょっちゅう体調崩してバッテバテでした…どうなっとるんやこの暑さは…しかも例年通りなら八月の頭が最も暑くなるらしいし…死ねる。

 そんな訳でグッダグダになりながらも書いていたので、今回の話はもしかしたら後で修正が入るかもしれません…正直途中何書いていたのか覚えてないけど、これ以上投稿期間空けるのもアレなので投稿する事に致しました。

 それではまたしても長い事間を空けてしまい申し訳ありませんでした。


 ピンポーン♪

 

「うん? …アクマの反応であれど各種センサー異常無し、それに加えて分かっている事だけど敵意も無し…一体誰だ?」

「たのもう、ここはガイア連合丹後半島支部支部長、南雲殿の家に相違ないか?」

「…【霊鳥 ヤタガラス】? なんで?」

 

 もうそろそろ二人の状態が安定しそうなタイミングで、何故か我が家に微妙にやつれている様な雰囲気を纏ったヤタガラス(東方projectの『霊烏路空(鴉verのリボン無し)』の式神体)がやって来た。

 

 しかもご丁寧な事に『東京ばなな*1』を筆頭にお土産幾つかと(現地民基準で)貴重な霊的資材がゴロゴロと…なんかもう面倒そうな雰囲気がしてきたぞ?

 

 取り敢えず玄関先で話すのもアレなので客間へと通す事にしたのだが、一応挨拶しに来た父さんに対してなんか気になる事でもあったのか首を傾げるヤタガラス…なんかあったのか?

 

「父さんに何かあったのか?」

「…いえ、ただ南雲殿の御父上の面影を何処かで見た事がある様な気がしただけですよ」

「他人の空似ってヤツか?」

「えぇ、正直誰に似ていたのかは思い出せませぬが、何かしら知っている様な雰囲気を感じ取っただけでしよう」

「そうか…」

 

 交渉役で相手の事を覚えておくのも大事な筈のヤタガラスがうろ覚えって事は、歴代【ヤタガラス】の末端幹部とかに父さんに似た様な奴が居たんだろうか?

 

「…まぁ良いか、面倒は嫌いだから直球でいかせてもらうが、神の使いであるヤタガラスが来たって事は、神々との何かしらの取り継ぎか?」

「左様、先日南雲殿が弓矢神を受け入れたとの話題が現在日本神の間で広まっており、これを機に天照大神が其方との友好関係を築く好機に出来ぬかと考えた所存にて、こうして訪問させてもらった次第である」

「まぁ今現在の丹後半島は俺が認めたアクマか、一部の霊的に繋がってる相手じゃなけりゃあ、マトモに夢枕に立つ事も出来なくなってるみたいだからなぁ…」

 

 実際、このまま行けばいつか正式に神へと昇華してしまうし、昇華した際に確実に対メシアン・対アクマ性能に振り切った荒御魂の側面出来てしまうだろうと、ショタオジから太鼓判押されてるレベルだしな。

 

「然り…正直南雲殿の影響で自らの氏子相手に語りかける事も出来ず、直接会う事や自らの氏子相手に語りかける事も出来ないと泣きついて来る神々が多くてな…」

 

 ちょい待て、ちょっと聞き捨てならん話が聞こえたぞ!?

 

「いや、ウチに身を寄せて来た霊能組織の連中は、全員祀ってた祭神に捨てられたっていう奴等ばかりなんだが!?」

「安心されよ、素奴等が口出しした次の瞬間には周りにやらかした事指摘したので、吊し上げにされたからな」

「…よし、ちゃんと自浄作用が働いているなら別に良いか」

 

 これで他の日本神に赦されてたら、ただでさえ全体的に低かった日本神への心証株式がストップ安だったな、上場廃止の危機が去ったってヤツだ。

 

「…何やら凄まじく綱渡りだった様な気がしてきました」

「アンタみたいな勘の良い相手は嫌いじゃないぞ?」

 

 なんとなく日本神全体が危機に瀕していた事を察したのか、全身の羽毛を逆立ててモフモフになっていたヤタガラスに対し、アルカイックスマイルを浮かべて誤魔化しつつ現在弓矢神の一件で進行している案件を説明していく。

 

「…そんな訳で天橋立を利用した降臨と、その後に日本各地へと渡る為の駅代わりに出来るターミナルの設置計画を現在進行している為、完成した際は事前に各地に建てる事になるアクマ専用ターミナルを管理している黒札や、霊能組織へと連絡を入れる事でスムーズな地上への現界を可能にしている事を『アンタが交渉の結果俺が折れた事で勝ち取った体』で伝えてくれると助かる」

「南雲殿が受け入れて建設する事にしたとすれば、日本神達からの印象も良くなるというものであろうに…流石にまだ南雲殿は我等を赦す事は出来ぬか…」

「サクナヒメや弓矢神みたいな善良であったり義の存在がある事は分かっているんだがな…如何しても先に来るのは俺の主観が入った日本神達の不義理だから、そんな奴等が調子に乗って面と向かってふざけた事言い出したら、キレない自信が全然無いんでな…」

 

 なまじ今代のキョウジさんや根願寺との親交があるから、俺にとってあの人達の献身を蹴った日本神達は、今でもかなり忌々しい存在なのである。

 

 …正直こんな事を思っている時点で全くもって日本神達の事を言えた義理じゃないんだけどな、本当にもう自己嫌悪待った無しだ。

 

「承知した、ならば南雲殿の提案通りに報告するとしよう」

「まぁ、当然だが嘘が通じないヤツとか、アマテラスみたいな上司とか相手にはバラしても大丈夫だぞ? 正直今回の事で調子に乗らせたくないし」

 

 今回の事でもしも元氏子だったウチの支部員にロクデモナイちょっかい掛ける様なら、遠慮無く『滅っ!!』するつもりである。

 

「…うむ、分かった」(南雲殿は以前同じ黒札であっても支部の一員に理由の無い暴力を働こうとした際には、死なない程度に容赦無く叩きのめして丹後半島支部から出禁にしたという有名な話があるからな…報告には一緒に『南雲殿は完全に赦した訳ではないであろう為、調子には乗らない様に』と注意を促しておくか…)

 

 なんかヤタガラスが遠い目している?*2 様な気がするけど、特に問題は無さそうかねぇ?

 

 その後も幾つかやり取りを交わし、アクマ専用ターミナルの設置希望場所*3をヤタガラスが分かっている範囲で聞いていき、後程他の日本神陣営にとって必要な場所や、個神的に設置したい場所の要望を取って更に範囲を拡げるつもりとの事。

 

 …しかし陣営にとって必要な場所については、陣営から費用を出すらしいから特に問題は無いのだが、個神的に設置するつもりの場所については多くはならないだろうとの事…ターミナルってそこそこなお値段するもんな。

 

「大体今回の話はこんなもんかね?」

「そうですな、それでは早速これらの案件を持ち帰り、話を進めてきますぞ」

「あぁ、そういや忘れる所だったな…ヤタガラスはウチの支部に分霊置いていかないかと訊かれたらどうする?」

 

 話し合いの終わりに軽くそう聞いてみると、何やらヤタガラスから滅茶苦茶驚かれた…表情が判りづらい鴉形態だけど、流石にポカンと嘴開けながら、俗に言う『シェーッ!?』のポーズとられれば分からん方がおかしいレベルである。

 

「よ、良いのか?」

「ただでさえ冷たい目で見られるだろうに、根願寺の要請に応えて顔出しだけでもしたアンタをキョウジさん達は申し訳なさそうに感謝してたしな、今でもそのMAGが送られて来てるのは分からんだろう?」

 

 というか元【ヤタガラス】に所属していた支部員の中には、ヤタガラスへの感謝の正拳突きみたいな事やってる人も居るからな…因みにその内の一人はキョウジさんである。

 

「ていうかなんで驚いていたんだ?」

「いや…てっきり南雲殿は我等日本神を根本的に嫌っているものだと思っていたのでな…てっきり我も嫌われている側だと思っていたのだが…」

「そもそも俺が嫌ってたらこの地に侵入すら出来なくなるらしいんだが?」

 

 なんかもう俺の怨念吸い取り過ぎて、無許可で侵入してこようとするアクマには『領域』の効果で大量の呪詛によるエゲツないデバフが入り、それでも侵入しようとすれば強制的にレベルダウンによるスライム化とか引き起こすらしいんだが?

 

 序でにそれでも突っ込んでこようとするヤツには、結界の迎撃機能が働いて消し飛ばされる模様…礼儀知らずにはお似合いの末路だな。

 

「む? 要請を出して受け入れられれば入る事も可能と聞いていたので、三日前には申請していたのだが…確かに何も返信が来ずにおかしいとは思っていたが、問題無く入れた為一応受け入れられたと思っていたのでここまで来たのだが…」

「…ちょっとしたゴタゴタがあってそれらの対応をディーアに任せていたけれど、そういや最近ユエに連れられて強制レベリングさせられて死にかけてたもんな…そりゃ連絡入れれない訳だわ…」

「…我、もしやかなり危険な事をしていたのでは…?」

「善因善果だっただけだから安心して良いぞ…」

「うむ…」

 

 取り敢えずユエには手加減忘れた罰として、後でちょっとお仕置きしておくか…。

*1
実は黒札の一人がこの世界でも流行らせようとして作ったは良いが、担当者が名称を間違えて訂正した結果これで製品登録されてしまった上に人気も出てしまって今更後に引けなくなってしまったというアレな品

*2
鴉の目とか正直分からんので雰囲気頼りである

*3
各地のガイア連合支部に地獄湯なんかのアクマも利用する施設や、大社等のアクマとの関わりが深い組織がある場所




 因みにこの後ヤタガラスは分霊を渡してくれ、根願寺から流れ着いた支部員は歓喜に咽び泣いたのだとか…。


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第六十話 あるホビー部員との終末後に向けたやり取り

 本日三十路に突入したので初投稿です。


「もしもし、サイカネキ? 学園についての構想、進捗どんな感じだ?」

『…進捗ダメです』

 

 電話先は山梨第一支部のホビー部に所属しているサイカネキである。

 

 以前からホビー部に協力しており、主に売り出す商品の量産を担っていたのだが、件のアメリカ渡航から暫くした後に、ホビー部による主催で行われたTCG大会後、唐突にサイカネキが『終末来たらエンタメ終わりかねんから、今の内にリアルデュエルアカデミア作って人材確保しようよ!!』と言い出し、最終的には富豪俺たちまで巻き込んで話が決まったのである。

 

 

 

 …尚、当の大会では式神技術などを駆使して造られた、ガチモンのオカルトアイテムである【伝説のカード】である『ラーの翼神竜』*1が優勝賞品として贈与される事となっていた。

 

 因みに『ラーの翼神竜』を筆頭にした伝説のカード作製にあたり、それなりの量のフォルマが必要だったので、また新しく幾つかエジプトからの避難民達への融通をする代わりに、当の本柱から引き出す取引を成立させました。*2

 

 そんなとんでも賞品や上位入賞者への賞金であるガイアポイントを狙った俗に言う『闇のデュエリスト』を筆頭に『メシアンデュエリスト』や『元フリーのサマナーで現ガイア連合スポンサードサマナー』の様なカオス過ぎる面々が大量に押し掛けた模様…。

 

 俺自身は身内というか引き取っているエジプトからの難民達の間に、ホビー部から貰った試作ホビーの試遊会を開いていたのでそこら辺の話は聞いていたので、それとなく注意を促しながら協力していたのだが、何時もの黒札特有のガバい危機感と、俺が常日頃からそっちの方面で警戒しまくってるからいつもの事と流されてしまい、当日になってドン引きする羽目に…ホントあの時は言わんこっちゃないという感想以外無かったな。

 

 尚、優勝したのは一般参加者で非覚醒者というマジで唯の少年だった模様。

 

 …あの暫定コナミくん似の少年、あんなオカルトが飛び交ってる状況の中実力と運だけで切り抜けるとか、マジでヤバい生粋のデュエリストだったんだな…。

 

 …そういやあのコナミくん(仮)が賞品受け取った後、賞品を強奪しようとして来た不粋な輩共をひっそりと【異界墜とし】で排除していた際*3に、サイカネキがコナミくんの護衛に回っていたけれど…まさかねぇ?

 

 

 

 …で、そんなドタバタハプニングみたいな大会の後、サイカネキはデュエルアカデミアの設営を、以前にポシャった教育機関計画の再構成する事で実行しようとしていたのだが、過去にポシャったのはそれなりの理由がある訳であり、主導しているサイカネキはそこら辺で苦戦している様だった。

 

「大体何が問題なのかは分かるけど、取り敢えず言ってみろよ」

『土地についてはブーストニキが丹後半島支部の横に用意してくれたし、校舎についてもブーストニキや他の建設系の黒札が建ててくれる事になったから問題解決出来たけど、兎にも角にも教師の絶対数が足りてなさ過ぎる…【先生ニキ】や【ドクターニキ】なんか以外にマトモに教師をやってくれそうな黒札が少な過ぎる!!』

「寧ろやってくれる面子の方が異質ですらあるんだよなぁ…」

 

 そう、基本的に身勝手な奴等ばかりであるのが黒札であり、面倒な裏方を好んでやってくれる物好き等なんて、寧ろ奇異の目で見られるレベルの希少価値であり、更にその中から赤の他人であり絶対教えるのに苦労する事が見えている子供の相手をしようとする教師になりたがる奴なんて、それこそロリコンやショタコン疑惑の眼差し待った無しなのである。

 

 その結果、前回の計画段階では教師をやりたがる黒札がゼロとなり、折角ガイア連合が主導で学校作っても、現場に口出し出来ないのなら意味無いじゃん!? となって立ち消えたのが以前の教育機関計画なのである。

 

 そしてそれについては今現在も同じく、連合が目立ってきた事で新たな黒札である転生者が増えてもあまり解決していない問題となっている。

 

 因みに例として出された【先生ニキ】と【ドクターニキ】についてだが、前者は【ブルーアーカイブ】の【便利屋68業務日誌】に登場する先生ソックリな見た目をした『天使部所属』の前世教師な現高校生であり、後者は【アークナイツ】のドクターコスという実質不審者スタイルを自宅以外で常時キメている教員資格保有者である。

 

 …うん、両方アレな部分が厳つくてヤバいとしか言いようがないけれど、そこさえ目を瞑れば大分マトモな人格者だったりするのである。

 

 ドクターニキはただ単に教員資格を獲得した年に、就職先を探していたらガイア連合について知る事となり加入したは良いのだが、以前異界攻略時にセーフティゾーンで襲撃に遭い重症を負った事で、常在戦場の覚悟を決めて常時霊装を着込んでいるのである、因みに専用式神は遠近両刀型のアーミヤを筆頭にアークナイツのオペレーター達を模したキャラ達である。

 

 ドクターニキ自身も基本的には司令塔としてバフをばら撒いての支援を得意とするのだが、ピンチの時は指示を出す裏側で力を練り上げ、一撃の威力を極めてぶちかますという浪漫砲みたいなスタイルだったりする。

 

 先生ニキに関しては『マトモな性格の天使を強化していって三馬鹿の格を乗っ取れば、実質的に過激派を潰せるんじゃないか?*4』とかいう大分トチ狂った方法でメシア教過激派を潰そうとしている、控えめ言って頭のおかしい奴なのだが、これ何がヤバいかって先生ニキ本人はこの方法なら争う必要が減って大分楽になるだろうと、マジで信じ込んでいる所であろう…正直穏健派ともやり取りしている事も含め、個人的に先生ニキって大分理解の外側に居るから苦手なんだよな…。

 

 …因みにこのやり方で現状の半終末状態に併せて大分劣化されているとはいえ、ガブリエルを従えれる程の練度を持っている修羅勢の一人だったりするのだが…先生ニキもドクターニキと同じ司令塔タイプのバッファーだったよな? 人の事言えた義理じゃないけれど、そのステ振りでなんで一人でも平然とアクマの群れを相手出来るんだ?

 

 尚、専用式神はアロナであり、使役しているアクマ達は何故かブルアカのキャラみたいになっていくという、ブルアカの再現でもしようとしているのかと言いたくなる様なよく分からん異能持ちでもあったりする…。

 

『こうなれば仕方ありません…教師陣に関しては現地民の登用も許容するのでブーストニキ、土地用意してくれた序でに学園の理事長してくれませんか!?』

「お前こんな子供の教育に最悪の影響しか与えないだろう奴をトップに据えようとするとか正気か?」

 

 お前俺が何で言われてるか知ってる? 黒札だけじゃなくて一部俺の素顔知ってる奴からも『歩く健全インモラル』やら『服着たオカズ』とか意味不明な渾名で呼ばれてるんだぞ!?

 

『現地民過激派のブーストニキなら学園のトップ張っていたって、別に誰も文句言わないでしょうからピッタリじゃないですか!! 序でに問題発生しても自分の采配で好きに対応出来るんですよ?』

「それを言うなら言い出しっぺであるサイカネキがやるべきだろうが、面倒だからって俺に投げんなや!?」

『それにいずれブーストニキは子供作るつもりなんでしょうし、それなら今の内に子供の相手の仕方とか慣れておいた方が絶対良いですよ!!』

「コイツ遠回しに自分が末代宣言してやがる!?」

 

 惚れた腫れたの結果で学園作ろうとしてたんじゃないのか!? え? 私はショタを愛でたいだけだし、彼もまだ子供だからそこら辺の話はまだまだ先の事だ? いやそんなもんあっという間だし、そこはちゃんと責任持ってヤルとこまで辿り着けよ!?

*1
古代神官文字ではなく誰でも使える様に日本語記載バージョンではあり、モンスターと合体をはじめとした危険性を取り除いてはあるが、効果はほぼ原作再現(ライフの残量1は利点があっても処理の面倒臭さが…ね?)された普通にブッ壊れカード

*2
因みに墓守達を切り捨てたオシリスやオベリスクといった連中からは、デビオクへの参入権と引き換えにかなり搾り取ってやった模様

*3
尚会場の設営はデザイン方面の指示を除き全部俺が担当していたので、指定の場所へ周囲にバレない様細かい発動範囲設定もお手のものである

*4
まとめサイト『終末後、とある辺境にてー』参照




 この後結局他の黒札が受けてくれそうにないと懇願された為、名義貸しとして名前だけの理事長をする羽目になった模様。

 尚、ブーストニキが理事長を務める学園が出来る事は即座に世界中の神話勢力に知られる事となり、学園が完成した暁には氏子を通わせてみるか…といった勢力がかなり出て来た模様。

 結果、初年度から倍率がヤバい事になり教員大幅増員する羽目になったり、各地の大ターミナルを利用したリモート授業の方法を急遽採用する等、大分トンデモない対応を迫られる羽目になったとか…。

 そういえば関係ない&今更な話だけど、本編でやたらと漢気溢れるジャックフロストのカルロを連れてるアメリカ在住サマナーって、なんで罰受ける羽目になったんでしたっけ? 誰か知っている方居られますか?


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第六十一話 学園設立に向けて

 前回に引き続いて学園関係のお話、まだ建ってないのにこのスピードは拙いので、次回辺りには開校されてるんじゃないですかね?


「書類が…書類仕事が終わらねぇ…」

「口動かす暇があったら書類捌いて、どうぞ」

 

 結局、あの後無理矢理押し付けられたデュエルアカデミアにして霊能学校の理事長という役職の影響で、様々な場所に出す必要がある書類と並行して、世界各国の霊能組織から送られてくる入学希望者の精査を、時間の流れ弄った電脳異界で分身を用いて『実質一人で』熟していくという、ショタオジみたいな真似しながら対応していく。

 

「折角各地の霊能組織が集まっているんだからって、霊能科まで立ち上げたのは失敗だったか…?」

「いや、でも今後の事考えるなら霊能の基礎を学んでおいた方が、自分の長所を理解して活かしやすくなるから、教えておいて損は無いだろ」

「何回同じ結論言えば済むんだよ、とっとと片付けるぞ」

「「お〜う…」」

 

 因みに上述の内容を見れば分かる通り、デュエルアカデミアが霊能学校の面も帯びているのは、流石に必要である事は分かってはいるがエンタメの為だけに学校建てるのは勿体無かったので、霊能関係の基礎を教える場所としても成り立っているからだ。

 

 与えられた理事長権限をフル活用し、一般向けに幾つも種類を用意してある普通科とエンタメ科を隠れ蓑に、平均的な霊能関係の知識も施して全体的な終末に備える様にもしているのである。

 

 と言っても流石に普通科やエンタメ科よりも増やす訳にはいかないので、各学年に普通科が三つ、エンタメ科が十、霊能科がカモフラとして他の科を同時に学びつつも五つといった感じで受け入れる予定である。

 

「しかしそれにしても、霊能学校を作ると決めた時は霊能科は一クラスのつもりだったのに、なんでこんなに増えたのやら…?」

「なんか最初は日本国内だけの予定だったのが、何時の間にか世界各地から入学希望者の届出が殺到してたよな」

「多分日本が比較的安全だから、疎開序でに鍛えさせようって考えなんじゃないのか?」

「つまり何時ものメシア教案件かよ…」

「おのれメシアン…おのれ四文字…」

 

 今日もメシアンに対する怨嗟は絶好調である。

 

「って、いかんいかん…これから学園に引き入れる学生候補にはメシア教の生徒も居るのに、このままだったら引き篭もり待った無しだぞ」

「別にメシアンなんてある意味元から社会不適合者なんだから、幾らダメになっても良い様に思うけどな…」

「それでも染まり切ってる大人は兎も角、まだ純粋だろう子供に対しては態度を改めるべきか…?」

「悩ましいなぁ…結局どれだけ染まっているか次第だろうから、そこら辺は何とも言えない気がする」

 

 尚、聖域の判定に引っ掛かる基準は、当人が『自分はメシア教教徒である』という自負があるか無いかなので、当人次第の信仰が問われる実質踏み絵みたいなモノというね、尚現在派遣されたメシアンの信仰率は100%な模様…。

 

 

 

 因みにメシア教以外の一神教に関しては良くも悪くも無関心なので、実は宗派鞍替えしても前の宗派に未練がある者へは聖域による判定がスルーされ、それに気が付いたメシア教が微妙に面倒な元別宗派の信者を丹後半島支部に派遣し、元から矢鱈と外国人が多くなっていた丹後半島が、メシア教という意味でも混沌とし出すのはまた後の話。

 

 その為、丹後半島支部に於いては生け贄等の過激だったり危険な教義及び、他宗教への詐欺だったり無理な勧誘等の悪い面は基本禁止されており、日本人的な良いとこ取り&お祭り化が常態化されている為、とてもフレンドリーな支部となっております。

 

 …まぁ言い方変えれば、丹後半島支部は傷の舐め合いで強固な絆が築き上げられているという、言葉にするとなんとも微妙な支部となっております(白目)

 

 …まぁ、大元となった【組合】がアクマ被害者の会だからね、仕方ないね。

 

 

 

「取り敢えず子供のメシアン生徒に関しては、もう恨むとか恨まない以前に考えない様にしようそうしよう」

「臭い物には蓋をしろ、か…まぁそうするしかないわな」

「てか学園だけ聖域化させなければ良いんじゃあないか?」

「寧ろ学園なんていう感情の坩堝こそ聖域化させてなきゃヤバい事になりかねんだろうが」

「学校の七不思議発生待った無しだな…」

 

 今更だがこの分身による会話なのだが、外部からの連絡待ちの分身以外作業優先でマトモに考えておらず、話したい事だけ話すという脳死状態であり、その為普段なら言わない様な発言が出て来たりするのである。

 

「先んじて友好的な七不思議アクマ迎え入れて、悪性七不思議が発生するのを封じるのとかどうよ?」

「あぁ、それ結構良い案かも? 七不思議といえば『トイレの花子さん』に『夜中に動く二宮金次郎像』『誰も居ない音楽室でベートーヴェンがピアノを弾く』『理科準備室で人体模型や標本・剥製達がパーリィナイ』に…他何があったっけ?」

「確か『四時四十四分に覗くとあの世に連れて行かれる大鏡』に『三階までしかないのにある異世界に続く四階への階段』と…ありゃ? 後他に知ってるヤツが『不自然に弾み誘うボール』とか『テケテケ』とかなんだけど、これ以外も全部旧校舎がある事が前提なんだが…?」

「そういや前提が元墓場とかいうヤツもあったなぁ…学校作る場所支部の隣で墓場なんて微塵も無いから、欠片たりとも発生する余地無いけれど」

 

 因みに帰り道に発生するタイプについては、学校と併設される形の全寮制予定である為、最初から除外されるものとする。

 

「そもそも『知ってはいけない八つ目』もどうすんだよ?」

「…七つ目は発生するのに任せてヤバそうだったら対処して、八つ目は…マジでどうしよう?」

「『常に姿を隠して見つからない理事長』とかにしておくか?(笑)」

「俺自身が八つ目とか何じゃそりゃwww」

「ファwww死んだら神様に成りかねないからって先に七不思議になるのかよwww」

「脳死会話が極まってやがる…」

 

 ※全員素面です。

 

「はい、気分転換出来たから作業再開するぞ〜」

『う〜っす』

「うわぁ、急に素に戻るなよ…」

 

 因みに現在時刻は午後六時であり、消耗しても問題無い分身であることを活かして、朝の七時から電脳異界でぶっ通しでやっている為、幾ら超人とはいえもう分身達の精神的に限界が来ているだけである(それでも終わらない書類ェ…)

 

 そんなこんなで作業効率を戻す為に一度分身を消し、情報をアップデートした上で再度分身を展開し、本日分の作業内容に間違いが無いか一通り見直し、特に問題が無かった為、各部署へとそれぞれの資料(当然山みたいな量)を紙とデータの二つにして送信(というか転送)する。

 

 すると少しして返ってくるサイカネキからの電話。

 

『ちょっとブーストニキ!! なんかいきなり凄い量の書類とデータが送られてきたんですけど!?』

「おう、今日仕上げた入学希望者分の書類だ、一応情報共有の術式は掛けてあるから、現物とデータの二つどちらかでも良いから目を通して、確認とサインの方をしておいてくれ」

『いやいや、普通こんな量一日で出来る訳無いでしょう!? どんなズルやったんですか!?』

「分身と時間流弄った電脳異界使用した、ショタオジ式業務処理術」

 

 別名、狂気の沙汰。

 

『あっ…その…お疲れ様です…』

「因みに仕上げた書類はそれだけじゃあないからな? その量の書類が他の部署分あって、なんとかこれからの時間の猶予作る為に、ここまでヤバい量の書類熟してるんだぞ? だから頼むから今度からは前もって書類片付けてくれよな?」

『いやでも、この量は流石に無理があるんじゃあ…』

 

 送られてきた量に及び腰となっているサイカネキ、俺の事煽っているのかな? (^ω^#)ピキピキ*1

 

「よく見ろ、目を通す分は多いがやる事は殆どサインだけだ、ちゃんと目は通しておいて欲しいが、最悪目を通さずサインだけでも書いといてくれ」

『えっ? …あ、本当だ…これ見る分に対して書く量滅茶苦茶少ないや』

「だから最悪サイン漏れさえ無ければ良いから後は頼んだ、俺はもう疲れたから寝る」

『えっ、ちょっとまだ聞きたい事g』ブツン

「…疲れた、寝る」

 

 尚、これのせいで丸一日爆睡する事になり、改めて毎日こんな事やってるショタオジは凄かったんだなぁ…と思いました(小並感)

*1
一気に情報処理した為、微妙に分身の状態に引き摺られています




 因みに方々に回された書類は基本的にサインすれば良いだけの物なのですが、当然山となっているので各部署共に数日掛けて処理する事になり、やっぱりブーストニキってヤベーわとなった模様。

 そういえば時間流弄った電脳異界の作成についてですが、術式に関してはショタオジから教えてもらったものなので、ショタオジのヤツに比べたら当然とは言え若干劣っております、ショタオジのが百倍ならブーストニキのは十倍とかそんなレベルの差ですね。


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第六十二話 丹後半島支部の人気コンテンツ

 予告通り開校まですっ飛ばしました…けど、なんか全然学園関係ない話になっちゃいましたわ…なんかいつもの事だけど如何してこうなった?(汗)


「いや〜、無事に開校出来て良かったですねぇ…【ガイア学園】」

「名前がアレ過ぎていた廃校するかヒヤヒヤするけどな…」

 

 現在、エンタメ&霊能関係の学園が無事に開校出来た事を祝い、ジュネスの宴会用スペース*1にて、関係者である黒札達*2で集まっての慰労会を開いており、既に出来上がっている黒札もそこそこ居たりする。

 

「シカーシ、入校生の約三割が外国人というのは、思った以上にインパクトがある光景デーシタ…」

「というか誰ですかガチャに学園の入学権突っ込んだヤツ…何のガチャかは知りませんが、そのガチャだけ判明した時の底に着くスピード尋常じゃなかったらしいですよ…」

「それは確か上層部の連中じゃったな…開発部が悪ふざけで作ったベビー用品系の霊装ガチャなんていう誰得な代物じゃったのだが…何やら矢鱈と人気が出て、再録希望が集まっておったからドン引きされてたのぉ…」

 

 ペガサスニキの入学式での光景を皮切りに、サイカネキが運営の悪ふざけとしか思えないガチャの事をボヤくと、ワイリーニキがそれについての裏話を語り出す。

 

「あぁ、あのウチの支部で矢鱈と人気出てたあのガチャか…今世界各地の霊能界隈じゃちょっとしたベビーブームが起きてるからなぁ、そりゃあ安上がりなマッカで質の良いベビー用品、しかも全部なんらかの特殊効果付きとあったら、そりゃ元から殺到するのは分かってたろうに…」

 

 しかも俺の作った妊娠術式が結構広まっているからな…今となっちゃベビー用品は各地で大人気だよ。

 

「世界各地でベビーブームってマジですかブーストニキ!? このメシア教過激派が暴れ回っている中で!?」

「寧ろクソ手羽先共が暴れ回っているから、だな…アポカリプス系エロ漫画なんかで時折見るが、人間命の危機が迫れば子孫残そうと盛っちまうもんなんだよ」

 

 結果子種が霊的に強化される事があるから、敢えて試練を課して命の危機を煽った直後に、褒美として目合(まぐわ)らせるなんて話も避難してきた神格から聞いた事があるしな。

 

「なんか生々しい話を聞いてしまった…」

「とはいえ日本でもそれをやらせる訳にはいかんから、そんな事するくらいならって事で【筋肉番付】紹介してやったわ」

 

 ウチの支部員だけでなく、時折訪れる鍛錬大好き系連合員も御用達な鍛錬用異界【筋肉番付】*3で、高難易度の肉体負荷を掛けて疲労させてやる事にし、それでもって健全な方向で追い込みを掛ける事に…でもなんかあの番組試練大好き系のアクマにも人気なんだよなぁ…。

 

「おぉ、新しいチャレンジャーですか、あの番組人気高いからラッキーですね」

「日頃からの鍛錬を積み重ねてきた人達が、己の力だけで困難に立ち向かう姿は熱くなるものがあるからな」

 

 ドクターニキがしみじみとした風に話しているが、正直アレの視聴者層はそれだけでない連中も居るのがなぁ…。

 

「レベルによるステータスにかまけて鍛錬怠ってる人が、チャレンジ失敗して愕然としている姿が見たいという、なんとも倒錯している視聴者層も居るって言うのがアレですけどね…」

「そういった連中に限って意気揚々とスタートラインに立つもんじゃから、その分あっさり失敗している姿がウケるらしいのぉ…」

「なんとも醜い話しデース…」

 

 マジでこれ、序でに言えば参加料は必要とはいえ無事にクリアした場合はそこまでではない賞金と、ある程度選べるがトレーニングにしか使えない賞品と微妙な代物なんだけどな。

 

 いやでも最近、参加するにあたって不正防止用の状態リセット*4と、万全の状態じゃなかったなんて言い訳をさせない為にキチンと体調を整えさせたり、参加賞として各種栄養補助剤に【満腹】状態になるプロテイン十日分が出されるので、なんかそれ目当てに参加申し込みしてくる海外勢が結構居るんだよな…。

 

 …いやまぁ、実際海外支援含めて運営やってるのは否定しないぞ? それでもほぼ個人経営なせい*5でやり繰り厳しいのに、大人気過ぎて抽選倍率が大分グロい事になってるんだよな…。

 

「正直その手の悪趣味なヤツはきりたんネキや甘粕ニキ*6辺りに集中するかと思ったら普通にコッチ見に来てるし、そのせいで掲示板が他二つに参加者回せって煩いったらありゃしない…」

 

 他にももっと応募来てるんだから色々増やせとか無茶を言うなし、クソ雑編集であっても参加者と費用が現状トントンだから、これ以上の参加は収支が釣り合わんのじゃ。

 

「いやそりゃあなぁ…」

「普通ハイリスクハイリターンな二人の番組に参加する位なら、ローリスクミドルリターンで確実にプラスになるブーストニキの番組に応募集中して、二人の番組には応募しなくなるよね…」

「まぁ、その結果二人の番組に応募するのは特大の命知らずか切羽詰まって後が無い人達ばかりになって、とても盛り上がっている訳ですけどね」

「…そういや前に二人から謎の感謝メールが来てたけど、もしかしてそれが理由だったのか?」

 

 根本的にあの二人とは意見が合わないから、いきなりあのメールが来てマジで何やらかしてこようとするのか疑ってたから、特に何も無く『選別ありがとう(意訳)』っていう内容だけで、思わず宇宙猫になったからな。

 

「というか…単純にブーストニキの番組はアナライズからの分析結果で、参加者が全力を出せば挑戦者の攻略出来るギリギリを狙った『難易度調整』で何時も見応えある内容になっている上、例え失敗しても視聴者の投票次第では再戦出来る『敗者復活戦』みたいな盛り上がる要素もあるから、普通に応募が殺到するのも無理無いんじゃないかなぁ…?」

「しかも『難易度調整』は本人の意思で参加料を更に払う事で、報酬上乗せで更にキツくして、それを乗り越えようと極限まで振り絞る『高難易度』まである訳だし、盛り上がらない訳がないよね」

「…それ元々体・力・速の【ハイブースタ】スキルを狙う為の難易度だったのに、何時の間にか『三倍報酬+積み立て式の追加報酬が出る高難易度がある』なんて噂が立ってたせいで、急遽でっち上げた難易度だったんだけどなぁ…」

『え゛?』

 

 因みに通常の難易度でも体・力・速の【ブースタ】習得が狙える…というか寧ろあの電脳異界の当初の目的はそっちの方で、繰り返してプラス値稼いでいる時にヘラクレニキが興味持ってきたから体験させている内に、他の丹後半島支部所属の黒札が俺も俺もと来て、そんな黒札が飽きて去っていく時にはもう支部全体の一般霊能力者に拡まってたから、急遽番組の体を成して整備費用を徴収する事になったんだよな…。

 

 その為この【筋肉番付】は地味に人気があるコンテンツでありながら、極々限られた人数しか採用する事が出来ないのである…他の黒札に任せたら、一瞬で消える集金コンテンツにされかねないからな…。

 

「ブーストニキ、一つ良いですか?」

「うん? なんだ?」

「今日はもう休め」<ドルミナー

「な、なにをするだー!?」

 

 まだ今日午前中なのにぐぅ…。

*1
関係者以外立ち入り禁止としてある屋上の一角に設置してある、因みに屋上は普段駐車場や緊急時のドクターヘリの発着場として解放されている

*2
主に富豪系とホビー部、後学園に子供入学させた黒札

*3
参加者合意にする事で一時的にレベル無しの愚者状態にして挑む元鍛錬用電脳異界、武術マニアや筋トレマニアの鍛錬成果を調べる為に作ってあり、内部に用意されている様々な施設でのチャレンジ風景は、見直しや撮影・放送の為に記録と持ち出し可能だったせいで、今は番組として放送されている

*4
呪いやバットステータス諸々の低下要素も序でに解除

*5
そうでもないと人件費の問題で格安参加料や高性能プロテインなんて出来んのよ

*6
まとめサイト『えぇ!デスゲーム運営をする悪趣味黒札概念だって!?』及び『光()の運営黒札』に主に出てくる悪趣味だったり過激だったりする番組制作者達であり、甘粕ニキに至っては過激過ぎて山梨支部を追放されている




 そんな訳で丹後半島支部でひっそりと人気な筋肉番付のお話でした。

 最初はSASUKEにしようかと思ったけれど、そっちだと下手したら【英傑 サルトビサスケ】が訳分からん脳筋に成りかねないと考えて此方にした模様。

 因みに【ブースタ】系スキルの取得条件に関しては当然ながらオリ設定ですね、限界超えれば上限を超えられる=通常よりもブーストされる、という関係となってます。

 尚、魔と運のブースタも獲得しようとしたら何をすれば良いか? 風雲た◯し城となります(尚、全体的に取得確率は下がる模様)


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第六十三話 ショタオジからの要請

 ティアキンたのちぃ!! やってたら二週間経ってたってマ?

 そんな感じで書いていたけど、もうそろそろネタが無い(というか思い浮かばなかった)ので、次回から終末直前編へと移行しようと思います。

 そんな訳で今回は導入編、ショタオジからの要請ですね。


 あの後、支部や学園の運営を自身のレベリングと並列しながら、蟲姫ネキから「推しの先生がこちらの事警戒していて東京から避難させられないんだけど、どうしよ!?」みたいな泣き言に対して「同じ編集社の旅行好き社員辺りに、連合が裏で手を出して開拓やってるリゾート地への旅行券を、雑誌の応募が当たった体で終末直前辺りを期限に送り付ければ良いんじゃね?」と雑に返したりしていると、何故かショタオジから招集令が…。

 

「で、何かあったのか? いやまぁ、時期を考えるなら何言われるかは大体分かるけど…」

「この手の話ではいつも通り察しが良くて助かるよ。そろそろ本格的に終末に移行しないといけなくなったっていうのが上層部の意見でね、それに合わせてそろそろペルソナ案件の片を付けないと不味いかなってね」

「dsyn〜…」

 

 詳しい事までは理解出来てないが、どうやらペルソナ案件を放置したまま終末に突入すると、物理法則の崩壊に伴いペルソナ関係の問題が一気に増加してしまうらしく、本格的な終末になる前に如何にかしようとの事。

 

 実際無気力症とか筆頭にその他のペルソナ関係で発生する問題、ウチの丹後半島支部じゃあ対応出来るペルソナ使いが少なくて、問題が起きても対処出来ない可能性が高いんだよな…。

 

 …いや、一応現地民優遇気味なウチの支部の関係上、ペルソナ使いはそこそこの人数はいる上、幾ら現地民でも才能上限が高めなペルソナ使いな為、戦力としては贔屓目ありならそこそこなモノとなっているのだが…。

 

 うん、ペルソナ使いのメンバー…見た目が大体『ダンガンロンパシリーズ』のそっくりさん(しかも犯人サイドが大半)なんだ…つまる所追い詰められた時に何しでかすか分からんのが怖い…。

 

「ウチのペルソナ使いがなるべく出動される事態にならん様に、ちゃんと対処しておかねぇとなぁ…」

「君のところは性格もペルソナも爆弾みたいな子ばかり揃ってるからねぇ…」

 

 一応やる夫さんの所に研修行かせて大丈夫だという認定はしてもらえたが、それでも太鼓判とまでは行かなかったという、ある種の劇物認定が下されているので、本当に必要とされないでいて欲しいものである…。

 

 呂布のペルソナなんて可愛いモノで、松永弾正とかモルガンのペルソナ使いとか、ペルソナが宿してる本人の唯の一側面でしかないと分かっていても、ヤバいっていう評価しか出せねぇぞ…。

 

「それで話を戻すけど、ブーストニキにやって貰いたいのは主に拠点の強化だね」

「まぁ、未だに魅了系統以外の戦闘能力が式神頼りで、地力のブーストしかされてない脳筋だからそうするしかないわな…自分で言ってて泣けてくるぜ…」

 

 山梨の地獄巡り筆頭に色々な鍛錬方法考えて試しているけれど、未だに前に使えていたジオすらマトモな威力にならないとか信じられるか?

 

 何より酷いのが【軍勢変生】獲得にあたって同時期に下がってた諸々の能力が、今となっては殆ど戻って来ているのにも関わらず、戦闘関係のスキルに関してはご覧の有り様なのである。

 

「もうこれ戦闘系スキルの霊的リソースが全部エロに吸い取られたって事でFAなのかねぇ…?」

「そこまで復調してるのに現状がこれなら、既にどうしようもないレベルで手遅れだね」

「そっかー…」

 

 ショタオジからのお墨付きって事は、もう完全にそっち方面の才能は消えたって事であり、寧ろ吹っ切る良い機会だと考える事にしよう…。

 

「悪りぃ、やっぱ辛えわ…」

「言えたじゃないか…」

 

 努力の結果基礎の強化もやってたし、不本意だったとは言えエロ方面も鍛えていたから【魅了ガードキル】なんかを筆頭に、ある程度色んな相手とも魅了とアイテム大量消費で対処出来る様になったとはいえ、どっからどう見ても完全にイロモノ扱い待った無しである…ネタに走ってないとマジでやってらんないわ。

 

「取り敢えずこの哀しみを異界の拡充に充てようと思うんだが、実際問題どれだけやれば良いんだ? てか俺以外には誰か建設役は居たりするのか?」

「大元の土台については既にこっちで作ってあるから、ブーストニキには追加で作る施設の建設と各アイテムの補充、それと片手間で良いから装備のメンテナンスなんかの裏方がメインだね」

 

 ショタオジから言われた内容は全部拠点で出来る事、って事は…。

 

「…つまり前線には出るなと?」

「というかあいもかわらずやる夫さんが前線に出たがるだろうから、一緒に後方支援に徹していて欲しいっていうのもあるかな?」

「あ〜…うん、理解した」

 

 前に装備プレゼントした後も、やる夫さんったら前に出てタンクやろうとしたらしいからなぁ…同じあっちは幹部で俺は支部長程度だけど、寧ろそんな奴が後方支援に徹していた方が説得力も増すもんな。

 

「後追加作業が基本なのは、占術で調べてみたらなんか土壇場のクソ忙しいタイミングで、ブーストニキに矢鱈と大きな凶兆の兆しが出てたからだね」

「めっちゃ心配になるような事言ってくるじゃん」

 

 えぇ…ショタオジの占術で凶兆とか、運命力そこまでな俺からしたらほぼ確定事項の厄災じゃん…。

 

「つまり運命力が微妙な俺がその凶兆の結果を受けても、直ぐにリカバリー出来るようする為、他の黒札の仲間達が居る場所に俺を置いておこうってのが本音か?」

「だって君の支部周り趣味全開な山梨支部の周りに比べて、学校建設に伴って生活必需品の一大生産地帯になってるのに、支部の実態がブーストニキに頼りっぱなしで、もう君が居ないと稼働率ガタ落ちするレベルなんだよ? そりゃあ支援するでしょ」

「い、一応各工場終末が来ても一般人だけで回せる準備は出来てるし…」

 

 ただ俺が補助してないと、製造する時に全自動で動かそうと思ったらどっかで詰まって大惨事に成りかねないだけだから…一応ちゃんとチェック入れるようにしておけば問題無く動かせるから。

 

「というかなんだい君の支部周り、この半終末に落ちた世界で魔蟲の一匹も存在していないとか、ちょっと潔癖過ぎやしないかい?」

「いや、そこら辺は俺の性分だからどうしようもないというか…一応そこまでやってるせいで、未だにアクマが善性というか仲間の奴でさえも、サマナーからの供給無しだと、長時間マトモに出て来れないっていう問題があるんだからさ…」

 

 ハトホルやバステトなんかはこんな状況になったから、遂に俺と本契約する事になってしまったし、他の丹後半島支部の管轄に居る日本神や外様神は基本的に自身のテリトリーに引き篭もり、各テリトリーに設置されている簡易ターミナルを使ってお出掛けしている現状である。

 

 因みに野良のアクマは最早異界や、それに準ずる場所にしか生息出来ないレベルで追いやられており、最近では増えた支部員のレベリングすら困難になっている程だったりする。

 

 あまりにも修練用の異界が足りてない為、この頃は傭兵派遣と銘打って他所の支部へと異界巡りしている支部員も居る位だしなぁ…戦力を蓄えて来たのは良かったけれど、それの維持にここまで手こずる事になるとは…兵站とは難しいな…。

 

「こう考えるとやり過ぎなんじゃないかと思えてくるが、ここまでやった事で漸くウチの支部周りではアクマの被害が激減したんだもんなぁ…何というか痛し痒しだ」

「その分霊装なんかは君自身のペルソナを用いるか、専用の工房異界の中じゃないとマトモに作れなくなってる辺り、本当にやらかす内容が極端というか何というか…」

 

 うるせぇ、やれる事やっていったらこうなっちまっただけだわい。

 

 はぁ…流石に時間無いし、そこら辺の事は終末超えたら考えるか…。




 何気に上手く行っていない丹後半島支部のペルソナ使い事情…そもそも誰が覚醒するか全く分からん状態ですからね。

 …一応原作のネタバレ防止の為、詳しいキャラは伏せておくけど、でもあのメンツばかりっていうのは流石にヤバい…。

 そしてショタオジからの要請は製造班という名のやる夫さん抑え係…あの人なんですぐ飛び出していってしまうん?


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第六十四話 ペルソナ使い黒札達との合流

 主にやる夫さん抑止回といった所ですかね、ブーストニキは嫌われ役が得意なのです(自虐)

 まぁ、言ってもゆるゆるな職場環境なので、言い方も大分ゆるゆるですけどね?

 …それにしても、なんだかんだで終わりが近づいてきたなぁ…。


 ショタオジの要請を受けてから拠点に赴くまでの一日…その間に丹後半島支部で俺に凶兆が出ていて、それに対処する為ガイア連合の臨時拠点に引き篭もりになる事を通達したり、それに伴って俺抜きでもちゃんと組織を回せるかの試験を行う事にしたり、色々と手を回す事になった。

 

 そして今顔合わせという事でペルソナ使い達の前線基地へと赴いた訳なんだが…。

 

「はい、という訳でこれから兵站担当をしてもらう事になったブーストニキだよ〜」

「ハムネキが言った通り、主に裏方をする事になっているから、装備のメンテナンスが必要になったら俺の所に持って来てもらいたい。

 後、新しい装備やアイテムの開発、施設の提案なんかも受け付けてはいるが、そっちに関しては資材とある程度マッカが必要になるから、ちゃんと懐と相談して依頼して来てくれ。

 …黒札の連中は既に知ってると思うが、俺は現金での受付は一切してないからな? ちゃんと頼む時は最低限必要量マッカを用意しておけよ?」

 

 おう、特に俺と特段関わり持ってなかった黒札ペルソナ使い連中、俺がそこら辺妥協しないの理解してるだろうな?

 

 心の繋がりが力となるペルソナ使いである為、基本ダメ人間ばかりな黒札にしてはマシな奴は多いのだが、それでも黒札であるが故ダメな奴もある程度居り、そういった連中に牽制としてメンチビームを照射していく。

 

「ひえっ、こっち見た…」

「許し亭許して…」

「シリーズ揃えるのは対策練る為だから必要経費だよ必要経費…」

 

 碌でなし黒札に混じるハム子ネキェ…。

 

「特にハム子ネキのは最前線組の最高火力組なんだから、俺がヤバいと判断しない限り絶対値切ったりしないからな?」

「ノゾミガタタレター⁉︎」

「いつもの事とはいえやれやれだな…」

 

 相応に稼げるんだから、リソースはちゃんと必要な分だけ割り振れバカチンが。

 

 顔見せの為に同席している承太郎ニキが呆れてんぞ。

 

「さて、それでやる夫さんに一つ聞きたい事があるだが、少しばかり良いかね?」

「うん? やる夫の答えられる範囲で良いのなら何でも聞いてくれて良いお」

「うん? 今何でもって?」

「余計な茶々を入れようとすんなハム子ネキ」

 

 やる夫さんの言葉に反応したハム子ネキがボケに走るが、承太郎ニキによって即座にしばかれて鎮圧される。

 

 …少し離れた位置に居るショタオジの式神(霊夢)が、全く笑ってない笑顔でプレッシャー放ってるのが怖いなぁ…。

 

「ハム子ネキのバカなネタは横に置いといて、やる夫さんが心象世界に迷い込んでくる人達を保護してくれる様頼んでくれたって資料で見たんだけど、本当かい?」

「アッ…」

「ひえっ、ブーストニキがアルカイックスマイルで優しげな話し方してる…」

「鳥肌が立ってきやがったぜ…」

 

 おう、失礼過ぎるぞそこの二人。

 

「俺としてはやる夫さんの提案は非常に有難い内容なんだぜ? 他の黒札達は基本的に一を犠牲に百救えればそれで良いってスタンスだし、俺自身も出来る事なら救っていくけど、最優先は嫁達だから決断迫られたら見捨てる事になるだろうしな」

「あの現地民過激派なブーストニキが取捨選択してる!?」

 

 いや、普通に俺だって身内がピンチならそっち優先するぞ? 余裕があってこそ周りにリソース割けるだけなんだし。

 

「でだ…そんな提案をしてくれたやる夫さんがさ…何故か助けた人達放っておいて、前線に繰り出してるって報告を見たんですよ」

「そ、それについては黒札達での持ち回りにする事になった筈なのですが「それここに居る黒札ペルソナ使い達の性格考えて決めたのか?」…」

「ヒュ、ヒューピヒュー…」メソラシー

「………」

 

 思わず真顔になって突っ込む俺と、そんな指摘を受けて思わず何も言えなくなってしまうやる夫さん…ハム子ネキは下手な口笛吹いてるし、承太郎ニキは帽子深く被り直して我関せずの姿勢である。

 

 やる夫さんが言う通り、保護した現地民達は黒札達による持ち回りで対応していたのだが、その殆どはやる夫さんの作ったカリキュラムがあっても上手くいかないし、一部の黒札に至ってはそのカリキュラムさえもよく読まずに対応している程なのである。

 

 例を挙げるならばハム子ネキは『取り敢えずやってみよう』の精神でバトルさせてみるし、承太郎ニキは寡黙なせいで心配して同行してきた承太郎ニキの仲間が代わりに説明している程である…これは酷い。

 

「やる夫さん、人には向き不向きがあるのは貴方も良く分かってると思うけど、側から見たらやる夫は戦闘よりも、ああいう初心者達への指導を始めとした裏方やってる方が滅茶苦茶効率的なんだよ」

「そ、そうなのかお!?」

「おう、それは勿論やる夫さんが前線に出て色々な経験を積んだから教えられるんだろうけど、それよりもやる夫さんが兵站整えてくれた方が、基本戦闘ばっかの前線に出る面々としては助かってるんだよ」

 

 俺の説明に深く頷くやる夫さん含めたペルソナ使い黒札達。

 

「それじゃあ更にやる夫が戦闘に出て経験積めば、皆んなの支援が捗るって事だおね!?」

「待てや!!」

 

 ど う し て そ う な っ た !?

 

 やる夫さんがトンデモ発言したせいで、ノリが良かったり悪ふざけするタイプの黒札が全員ド◯フみたいにすっ転んだぞ。

 

「? やる夫が戦闘で経験積んだから支援が捗るんだお? ならもっと積めばもっと効率良くなるお!!」

 

 う〜ん、この天然白饅頭めが…。

 

「限度ってものがあるでしょうが…未経験者にいきなり絶技見せた所で『はえ〜、すっごい』ってなって終わるだけなんだから、今以上にやる夫さんが戦闘経験重ねても、初心者達に必要なのは戦闘や探索のいろはなんだから、そんな応用レベルの技術まで必要じゃあないんだよ」

「あれ? でもやる夫さんこの前ミタマ強化してたのに、現地民で別に強化されてないやらない夫君に手合わせでストレート負けしてたから戦闘技術足りてないんじゃって話になってなかったっけ?」

「それは話がややこしくなるだけだから、ハム子ネキは黙ってろ…」

「カハッ…!?」orz

 

 やる夫さんェ…。

 

「…兎に角、現状敵が強過ぎてやる前にやられてしまう様なやる夫さんを前線に出すのは申し訳ないが許可出来ないから、救助者達のケアや新人達への指導を担当して貰いたい」

「うぅ…分かったお…」

「因みにさっきはちょいと高圧的な言い方になったが、こっち来る前に見た資料ってショタオジから渡されたモノでな、序でにやる夫さんの現状も教えてくれて、さっきのお願いを伝えておいてくれって言われたんだよ」

 

 俺のショタオジからという説明にビックリする一同、まぁ基本放任主義なショタオジがお願い形式とはいえ他人の行動縛るのって珍しいもんな。

 

 と思ってたら何やらやる夫さん以外お互いに目配せして確認を取ったりしており、微妙に様子が違う…俺なんか勘違いでもしてたのか?

 

「ねぇねぇブーストニキ、ちょっと質問良いかな?」

「お、おう…なんか反応が思ってたよりも違って俺もちと困惑してるんだが…?」

「なんでショタオジは自分の式神とか私達にやる夫さんを止める様言わなかったの?」

「いや、自分の分身である式神はやる夫さんに駄々甘だから、何度か被害が出ないと動かないだろうし、例え動いても拘束力が低いから不安っていうのと、黒札達に関しては…お前ら寧ろ今迄やる夫さんに迷惑掛けまくってたのに、そんな立場で静止させれるのか?」

 

 説明してやるとなるほどなーと言わんばかりに頷く黒札達&いつの間にかやる夫さんの隣に居た式神霊夢。

 

 …もしかしてさっき困惑してたの今の理由に思い当たらなかったからか!?

 

「まぁ、そんな訳で黒札に強く出れるし、例え自分が人に言える様な立場じゃなくても止めに入れるから、黒札連中が問題起こしそうだったらしっかり止める様にと、その時一緒に居た霊視ニキが言ってたな」

「もしかしてブーストニキ…兵站だけじゃなくて、お目付役も兼ねてるのか?」

「…皆の良心に期待しているぞ?」

 

 承太郎ニキの質問に微笑みながら答えると、何人かの黒札が顔を引き攣らせて目を逸らした…つまりお前らがやらかし要因って事ですね、理解した。




 次回はまとめサイトにあった『ペルソナ組in東京大破壊現在』の回になりそうですね、ない夫君がツッコミ入れてたあのシーンの裏側的な感じです。

 そういやブーストニキとのコミュについてですが、ブーストニキに対する他者とのコミュの恩恵は『ありません』…実は『軍勢変生』スキル作製に当たって一番リソースを削られたのはペルソナ能力だったという事実。

 因みにいつも通りコミュの恩恵は相手側にはある模様…具体的にはアイテムの効果が上がっていったり、追加効果が発動する様になったり、道具の扱いが上手くなって仕込んでおいたアイテムを、特定のタイミングで素早く使用したり出来るようになります。

 …所で関係無いけれど、今回の話でやる夫さんのボケにツッコミ入れた時の「待てや」の台詞を書いた時、脳裏に過ったのは『ペニーワイスがオススメするシリーズ』でした<ハァイ、ジョージ


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第六十五話 電脳拠点の発展その1

 なんか気が付いたら一月経ってるぅ!?(驚愕)

 仕事で新しい事やらされたり、地域の行事が始まって練習に駆り出されてたらいつの間にやらこんなに時間が経っていた…なんかもうポルナレフ構文な気分ですわ。


 そんな訳でアイテムショップという名前のアイテム加工所を立ち上げ、有栖ネキに宣伝してもらう所からスタートして暫くして。

 

「アイテムショップ名乗ってるのに実態は加工所っていう時点でアレなのに、場所の絵面がATMが数台だけ置いてある無人の銀行にしか見えないの、マジで詐欺臭い見た目だな…」

「まぁ、ブーストニキさんのペルソナの権能がこの程度の見た目で事足りますからね、絵面がこうなるのも致し方無しかと」

 

 ショップの機能としては先に述べた通り、持ち込んだアイテムを俺のDEMを利用して行う加工、当たり前だが『販売数に限りのある』アイテムの販売、戦闘等で得た素材の買い取り、利用者個人の貢献度によって拡張される倉庫等がある。

 

 尚、このATM擬きの裏側が俺のメイン職場であり、利用者が持ち込んだ資材を専用の電脳異界に保管&引き出ししたり、常備しておく必要がある回復アイテム等を製作する作業場にもなっている。

 

「それにしても…まさか余りにも現実味が無いからって、ゲーム世界に転生したって錯覚する現地民が出たのは驚いたな」

「まぁ、所詮今迄何も知らずにお気楽な日々を過ごして来た人達ですから、ああいったロクデモナイ事をしでかす輩も想定すべきでしたね」

 

 尚、上記のアイテム販売の箇所に『販売数に限りのある』と強調して書いてあるのは、偶々やる夫さん以外の黒札から説明受けていなかった不良みたいな見た目の現地民ちゃんーー見た目が艦これの天龍似ーーが静かに錯乱してた結果、ふらっと立ち寄った既に売り切れ状態のアイテムショップで『なんでショップなのに売り切れ起きてんだよ!? 物売るってレベルじゃねーぞ!!』といきなりキレ散らかすという事件が起きたからである。

 

 どうやら件の天龍嬢は取り込まれてから救出されるまでが非常に短かったらしく、何も状況を理解してなかった所にやる夫さん以外の黒札ペルソナ使いーーそれもよりにもよって色々大雑把なハム子ネキからーーのクッソ適当な説明だけてされて解放された事で完全に現実味が消えてしまい『自分はゲームの世界に転生したのだ』と錯覚してしまったのだとか。

 

 その結果が先述した騒動であり、一見とてもゲームチックなアイテムショップのコンソールを殴ったり蹴ったりしており、ショップに詰めてた俺が鎮圧する羽目になったのだった。

 

「幸いパトラストーン使えば正気に戻ったし、正気に戻ってからはやる夫さんの説明受ければちゃんと謝罪しに来てくれる辺り、礼儀はちゃんとしている子だったな」

「まぁ、流石に謝りに来て初手土下座するとは思いませんでしたけどね」

「それだけ真面目ちゃんだったって事だろ…いや、俺も普通に驚いたがな?」

 

 件の天龍嬢が後日やる夫さんのカウセリングを受けた後、俺の所にやって来たのだが、対面、即、土下座といった感じで謝ってきたのである。

 

 …正直こんなガンダムのコスプレしてる様なふざけた相手に対して、あそこ迄真摯に謝れるのは寧ろ才能なんじゃないのだろうか?

 

 因みに有栖ネキが知ってる理由は丁度その場に居合わせてたからであり、天龍嬢からは積み重ねていた素材の箱で死角になっていた場所に座っていたので、いきなり土下座しだした天龍嬢の音を人が倒れたのだと勘違いして、慌てて顔を覗かせてみると、とても見事なDO☆GE☆ZAが視界に映ってフリーズしたのである。

 

「彼方も一通り謝った後に顔を上げれば私がいた事に驚いていましたけどね…今思い返すと結構良いリアクションしてましたね、彼女」

「俺だけしか居ないと思って少しでも恥をかかないチャンスだと思ってただろうあの子からすれば、大分やらかした方だと思うけどな…」

 

 めっちゃ顔真っ赤にしてわなわなしたと思ったら、脱兎の如く逃げ帰っちゃうんだもんな…なんかこっちの方が申し訳なくなるレベルだったわ。

 

「兎に角、今後こういったバカみたいな出来事が起きない様に、早目に施設の充実させていかないとダメだな…先ずはレクリエーションルームでジムとか作るんだっけ?」

「そうですね、設備さえ用意すれば完成ではあるんでそちらからお願いしますね」

(でもただ単に運動するだけの場所とかやらない人も居るだろうしなぁ…後に追加するゲーセンに導入予定の音楽シュミレーション筐体を専用の防音部屋作って入れておくか)

 

 一部の陽キャには人気が出た様です。

 

 

 〜それから数日〜

 

 

 作業してたら承太郎ニキが来た。

 

「敵がポコジャカ認知異界作り出してきてクソウゼーんだが、ブーストニキの方でどうにかならねぇか?」

「あ〜…じゃあ作り出された異界を片っ端から削り取って、要望にあった初心者用ダンジョンのリソースとしてブチ込める様に、ロゴスリアクト改造しておくか」

 

 まぁこれ使ったら中のオタカラ毎リソースに変換してしまうから、そこら辺は一長一短なんだけどな。

 

「ほう、攻略が捗りそうだな」

「でも異界削り取ってるから中から足場無くなったシャドウが出て来るし、下手に削り過ぎたらそれだけ出てくる数増えて対処面倒になるってのは留意しといてくれよ?」

「ふむ、相手がどんなギミック使ってくるかが焦点になりそうだな」

 

 フィールド依存系か個体で完結しているかの確認は大事だな…毒沼に居るだけで回復するボスを思い出すぜ。

 

 

 〜更に数日後〜

 

 

 今日も元気に異界シュレッダー*1をぶん回している初心者達を見ていたハム子ネキが、タルタロスからの帰還序でに溜まったリソースの配達を請け負いながら、俺の所に愚痴りに来た。

 

「やぁやぁブーストニキ、タルタロス用の異界シュレッダーはあるっかい?」

「さっきもう壊しただろ…」

「にょろ〜ん…いや、そもそも私タルタロス用の異界シュレッダー貰ってないよ?」

「うっせぇ、こちとらちゅるやさんのネタなんか『さっきもう食べたでしょ』位しか覚えてないのに、その程度の知識を元に*2あんまり無いユーモアセンスでキレの良い突っ込みなんて出来るかよ」

 

 うん? なんか妙な電波受信した気が…疲れてんのかね?

 

「てか前にも説明したけれど、ポッと出の雑魚異界なら兎も角、タルタロスを筆頭に大ボス共の根城である異界は強度が半端じゃないから、異界シュレッダー使っても時間が掛かり過ぎるって言っただろ? …もしや聞き流しやがったな?」

「ギクゥ⁉︎ そ、そそそんな事ないでしょブーストニキさん!! ちゃんと回収速度がそこまで早くない事とかボスシャドウや被害者を巻き込まない様セーフティを作り上げたとか言ってたの覚えてますから!!」

 

 態とらしい反応をしながらもキチンと説明した内容を

 

「成る程確かに聞いてはいたらしいな…じゃあその説明から二日後に掲示板に追加した『少しでもシュレッダーを使った異界は内部の霊脈が変化し、折角の攻略度もゼロに戻る可能性が高い為、大型異界用の異界シュレッダーは制作しません』って文面も知っていて欲しかったなぁ…」

「えっ!? そんな通知されてたの!?」

「ハム子ネキちゃんと説明書読まないタイプかよ…」

 

 そんなんじゃ修羅勢やってけないぜ? …まぁ、メガテンシリーズ知るのを後回しにして面倒事起こした俺が言えた義理じゃないけどさ。

 

「兎に角そんな訳でタルタロス攻略は独力で頑張ってくれ、一応アイギスの強化以外にも支援ドローン筆頭や援助はしてるんだし、ハム子ネキの依頼してきた追加戦力も着々と組み上がってきてるんだから、今回はそれの進捗具合の閲覧で勘弁してくれ」

「え、そういうって事は結構進んでる感じなので!? 見たい見たい!!」

「はいはい、そっちの転移門から見に行けるから、じっくり見てくれば良いさ」

「ヒャッホーゥ!! ハム子行っきまーす!!」

 

 朗報を聞いて元気に門へと飛び込むハム子ネキ…因みに製作に関するお代は、ハム子ネキがタルタロスから回収してくる素材をリソース変換した四割を費やして造る契約を結んでいる為、常時金欠のハム子ネキでも問題無いのである。

*1
改造版ロゴスリアクトの通称、尚見た目はルイージマンションのオバキューブである

*2
作者の




 因みに途中出て来た天龍ちゃんは特にこれから何かある訳でもありません、ただ単に作者が『トラブルに巻き込まれればテンパりそうで、悪い事したらヒッソリと謝りに来そうなキャラ』で思い付いたのが天龍だっただけの話です(笑)

 それにしても、結構色々なオリジナルアイテムや設定久々に出せて楽しかったですわ。


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第六十六話 電脳拠点の発展その2

 地域行事終わったら一週間も掛からず更新出来て草、やっぱり人付き合いは時間掛かっちゃうんだなぁ…(しみじみ)


 電脳拠点を拡張してもらい自然公園を作ってみたのだが、自然な風の再現や水の循環が面倒くさい…思い切って世界が魔界堕ちする前に記念に、と思い取っておいた日本の環境サンプルを流用してみたのだが、あっさりと各バリエーションの自然公園が完成したのを見るに、やっぱりモデルがあるのと無いのとでは製作難易度が天地レベルで開いてるな。

 

 因みにお遊びとして誰も人が居ない京都の街並みや東京のビル街も再現してみたのだが、一部サバゲーマニア達の遊び場になっている模様…今回の騒動が無事解決したら、正式に事業にしてみるのも良いかもしれんな。

 

「で、なんでラブホがある筈の場所がただの旅館になっているのかって?」

「そうそう、折角やる夫さん連れ込んでしっぽりぬっぽりする予定だったのに、普通に落ち着いた旅館になってて、もっと時間稼げる筈だった他のメンバーと一緒にゆっくりするだけになっちゃったじゃない」

 

 堂々とヤる予定がなんだのと恥ずかしげもなく述べていくショタオジの式神(霊夢ver)だが、此奴には羞恥心とかそういった類の感情は備わってないのだろうか?

 

 …いやまぁ(使わないだろうけど)房中術も極めてるだろうショタオジの式神なんだから、此方のシモい話であっても高校生男子のバカ話程度の感覚なんだろうなぁ…。

 

「アホな事言ってんじゃねぇぞエロ巫女が…因みに三人が合流出来た理由は、アンタらが街の視察に行ってすぐ『日課のレベリング終えたらやる夫さんが居なくなってた』ってあの三人に聞かれたから、俺が場所教えただけなんだが」

「ブーストニキのせいだったのかよチクショウ…」

 

 そりゃこの電脳異界で人探そうと思うなら、基本何処に居るか分かってて管理権持ってる奴の所に聞きに来るでしょうよ…。

 

 ってかマトモに定位置に居る上で声掛け易い管理人が俺だけってのは問題なのでは? お陰で最近カスタマーサービスみたいな事もする羽目になってるんだけど?

 

「ってか俺だって嫁達とイチャコラしたいのに我慢してるんだから、そっちも無事に終末迎えるまで抑えといてくれよ…無事に終末迎えるとかなんだこのパワーワード…?」

 

 尚、俺の嫁達は念を押して丹後半島支部で待っていてもらう事にしており、支部のサブ統括機関と動力炉を兼ねているスパコンに繋げてある俺の分身(自我分離した上で停止させてある)の守護を頼んでいる。

 

 …本体である俺が居るこの電脳異界と外とでは時間の流れが違い過ぎて、下手に外の分身と同期しようものなら此方の時間流に異常が出かねないし、そもそも俺自身時間流の違いに対応出来ないから、嫁達に会いに行く事が出来ないんだよなぁ…。

 

 普通に休日取って休めば良いだろうって? それこそ時間流の違いで外に一日居るだけでもこっちを何日も空ける事になる上に、こっちで頑張る人達放って俺だけが呑気に遊んでられるかって話なんだわ。

 

「ヤる事ヤる位別に良いじゃないの…大体原作のペルソナシリーズでも、恋人にまで仲が発展したコミュ相手とかこれ絶対ヤってるでしょ? って展開お出しして来てるんだから、エロはコミュに於いても重要なポイントなのよ!!」

「うわぁ…そう言われると確かにそこら辺の施設が必要に思えてくる不思議…いや、でもPSP版のペルソナ3だと女主人公ルートで順平コミュ築いても恋仲にはならないし、普通に友情コミュでも良いんじゃないのか? ってか下手に恋人作ったらコミュの幅狭くならないか?」

 

 清い仲ってのも中々に良いんじゃないのか?

 

「寧ろエロ関係が得意なブーストニキは、異性とのコミュ発展させていって男女の友情だけを極めるのって難しいと思わないの? 最近現地人の天龍と後から来た龍田に迫られてるらしいじゃないの?」

「…チクショウ、それ言われたら何も言い返せねぇ…」

 

 何処をどう間違えたんだろうなぁ…なんか俺の現地人との女性関係、ちょっとばかり仲良くなったら即そっち側に偏っていくんだが…?

 

 俺自身エロ系のスキルや最近では権能まで生えて来たから、低レベルの相手とヤる事ヤっても汚ねぇ花火にはならないが、もうちょっとこう…何というか健全なというか友情的な仲を築きたいというか…何故かそういう仲になる前にエロが挟まるんだよなぁ…。

 

「どうして男女の友情って成立しないのかねぇ…?」

「そもそも友情以前にブーストニキの性質が権能生えてくるレベルでそっち側に傾倒している上、現地人相手だとレベル差酷過ぎるのにフレンドリーに接してくるとか、どう考えても相手の脳破壊しに行ってる様なもんよ?」

「ちくせう…」

 

 ちゃんと製造系の権能も生えてきてはいるものの、どうしても黒札達からの認識によるブーストが強過ぎて、そっち系の権能ばっかり充実していくんだよなぁ…。

 

 いや、依頼されてそれにちゃんと応えてる俺の自業自得な部分がある事は分かってるんだけどさ? 理不尽な事言わずにちゃんと支払いやってる相手の依頼を断るのは、制作側として間違ってるだろう?

 

 正直、漫画とか創作物でちょくちょく見かける頑固者の鍛治師って、個人的には鍛治師よりもアーティスト名乗った方が良いんじゃないかと思うんだよね? 働け(キングハサン並感)

 

「色々権能とか封印*1しているのにレベル差酷過ぎて惚れられるとか、そこそこ買い物やら相談に来る女性客の対応し辛過ぎるんだが!?」

「ブーストニキのコミュボーナスめっちゃ優秀な上、やる夫とブーストニキ以外の他黒札ペルソナ使いは攻略に集中してて、正直レアキャラ扱いだもんねぇ…」

 

 因みに俺自身に他者とのコミュボーナスは発生しないが、相手側には発生しているらしく、今の所『アイテムの効果アップ』や『アイテムに追加効果発生』に『攻撃後アイテム使用可能』といったアイテム系の効果と、これらの装備版のコミュボーナスが発生するのだとか…控えめに言って壊れ性能では?

 

 …尚、俺側にボーナスが発生しないのは、例によって【軍勢変生】のデメリットであり、スキル発現後にペルソナ能力が覚醒した為このデメリットがデフォルト状態となっており、俺側に改善される希望は無い…諸行無常なり。

 

「それで、結局ラブホ建てるの? それとも建てないの? 最近難民も増えてるから交流会をしようって話になってるけども、そうなれば絶対そういう関係になる人達出てくるわよ? 辺な所で盛られてギクシャクした空気作るのはブーストニキだって望んじゃないでしょ?」

「だぁちくしょう、話を逸らせなかったか…分かったよ、ある程度ガス抜き出来る様にラブホとかヤリ部屋作っとくよ…エロMAGの処理面倒なんだけどなぁ…気分転換に田んぼでも作ろうかなぁ…」

 

 田んぼの世話して日々を過ごしたい…。

 

「電脳異界じゃあヒノエ米位しかマトモに米作り出来ないのなんだかなぁ…」

「あら、ブーストニキって米作りしてるのね」

「大体の組合員が仕事の合間に田んぼやってたからな、実際俺だってブナ林異界攻略の休息に田んぼ仕事やってたし、出来た米は組合員の親戚曰く『都会の米買う位なら、こっち来て融通してもらう方が良い位美味い』って言われる位の米は作れてたんだぜ?」

 

 まぁ、その米もヒノエ米の登場で追いやられてるんですけどね…概念が効き難い俺としては普通に今までの米も同じ位美味いから、俺用に未だ作ってるんだけどな、コシ◯カリ…。

 

「良い品種だってのは分かってるんだけど、苦労が少なくて詰まらないし…品種改良ならぬ品種改変でもしてみるか…?」

「何が起こるか分かったもんじゃないんだから、やるなら完全に分けてやってよね?」

「ういうい了解〜…さてやるかぁ…」

 

 尚、電脳異界で俺が付きっきりで作り上げた結果諸に俺の影響を受け、媚薬や精力強化等といったエロ効果が付与された米が出来上がった模様…味は甘めで悪くなかったのが更にタチが悪いというね…。

 

 …いっそ更にふざけて酒造りにでも回してみるか…いや、下手したら酒蔵が乱◯会場になりかねんからアウトだな…。

*1
ガンダムコスプレ装備のきのう




 ロボとか色々なネタに変装までしているのに現地人女性とまともな交友関係築けなくなってきているブーストニキ、尚ペルソナ使い女性陣からすればクッソ有能なコミュボーナスなのでめっちゃコミュしたい模様…。

 尚、レベル差が問題の根本にある為、ハム子ネキみたいな修羅勢は別に問題無いし、ブーストニキ自身黒札は前世が様々だから今世でどんなスタンス取ってるかを判断基準にしている為、相手側からしても性格さえ合えば話易くはある模様。

 …尚そんな黒札の中に於けるハム子ネキとのコミュランクは、ハム子ネキが現地人は友人以外軽視してるタイプなので、そこそこ長い付き合いがあるにも関わらずそこまで高くない模様…大体3〜4程度しかないし、なんならハム子ネキの式神であるアイギスの方が、ブーストニキが式神メンテナンスなんかでちょくちょく関わる為7〜8位あるという現実。


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第六十七話 邪魔なヤツらをブチ抜く為に

 ボスアクマ達が悪足掻きをし出すタイミング、ただでさえ嫁達に逢えなくなっているブーストニキの堪忍袋が限界近くなってる模様…。

 そろそろ本格的に終わりが見えてきた感じかな?


 なんかボス共が其々の領域で進行妨害系の遅延戦術を取り始めたらしく、一時的に攻略出来なくなり暇を持て余して店に(どう見ても俺目当てで)やってくる女性現地人が増えてきた。

 

 どうやら外でニャルダンジョンを攻略しているカヲルさんを呼び、妨害をゴリ押しでどうにかする迄進めなくなっているレベルの妨害をされているらしいのだとか。

 

 …ムカつく。

 

「と、いう訳で流石に引きこもり過ぎでストレス溜まってるのに、更に何も出来なくなるという遅延戦術を取ってきたクソアクマ共に対して、目にもの見せてやろうと思います」

「…えっと、それで準備したのがこのロボなのかお?」

 

 作戦の概要を知らせる為に主要メンバーであり、敵の妨害のせいで暇してる黒札連中(+αで霊夢式神)を俺の倉庫へ集めて説明を始めるのだが、全員この倉庫内で一番目立つ機体へと興味が向いており、やる夫さんが代表して質問してきた。

 

 そりゃまあ『全高120メートル』もあれば目立つわな。

 

「いや、コイツはハム子ネキに『タルタロスをぶち抜いて(物理)でも無理矢理攻略出来る機体』をコンセプトに造ってる『ダイターン3』だな。タルタロスの元凶が元ネタ的に推定ニュクス*1だから、ダイターン3の必殺技である『サンアタック』を日輪の力に見立てて『夜明け』を齎せば、ニュクスに大ダメージが入るんじゃないかって算段で造ってて、現状ガワが完成してて後は内面詰め込む段階だな」

「私が作製依頼しました(AA略)」

 

 後いざとなったらタルタロス諸共ニュクスに蹴り喰らわせて、タルタロスをへし折ってやろうかとも思ってる(脳筋)

 

「…出来るのか?」

「そもそもタルタロスに窓があって外に出れる事は分かってるからな、最悪攻略間に合わなかったらダイファイターで一気に屋上まで直接乗り込んで時間稼ぎをしていく算段だ」

 

 多分それやったら『拠点(タルタロス)が攻略されなかった』って事でニュクスが強化されてしまうんだろうけど、足掻かないよりかはマシかなと。

 

 因みに搭乗予定者はハム子ネキじゃなくアイギスな模様…ハム子ネキだと当然の様にぶっ壊しかねないから乗せられないのよ…。

 

「で、話は戻すが敵の遅延戦術に対する特殊装備として作ってみたのが『コレ』なんだが、暇してる皆にはちょいとこれの使用感を調べてみて欲しい」

 

 そう言いながら作業台に置いてあった、今回の話の肝である装備をみんなの前に取り出した。

 

「何この鋭角の頂点にドリルが付いてる真っ赤な二等辺三角形?」

「このドリル部分…なんか見た事あるようなデザインしてやがるな…」

「ドリルの反対側の底面には二つ穴が空いてるみたいですね?」

 

 出された装備を見て各々が感想を言い合っており、興味津々で中々好感触な模様。

 

「見ての通りコイツは先端のドリルで目の前の障害をブチ抜く代物なんだが、実際に使ってみせた方が早いだろうからちょいと離れていてくれよ」

 

 そう言って五メートル程皆から離れ、底面側にある穴二つに其々腕を突っ込み、中の操縦桿を握り装備を励起状態へと移行させる。

 

「おぉっ!? 底面側が使用者の扱い易い様に二つに分かれて展開したね」

「うん? なんでドリルを目の前の目標である岩に向けず、頭上に向けているのでしょうか?」

「…まさかあれはそういうドリルなのか!?」

「うん? 承太郎ニキはアレが何か分かったのかお?」

 

 おう、元ネタと違って『生身でやるから』こんな形状になっちまったが、やっぱり浪漫を作り上げるのは良いもんだよな。

 

「よっしゃ行くぜぇ…螺旋槍展開及び旋回始動!!」

 

 俺の言葉に装備が反応し、先端のドリル部分が『俺一人すっぽりと隠れる程』の大きさまで巨大化し、旋回部分が猛烈な勢いで回転を始める。

 

 巨大化によるバランスの変化に耐える為に上に向けていた腕を前へと構え、ドリルの基底部分に倒したX字に配置されているジェット噴射口火を蒸す。

 

「さぁ、盛大にブチ抜くぜぇ…通天砕・螺旋槍ォッ!!」

 

 言葉と同時にジェットを解放し、10メートル先に置いてある固定目標の大岩へと自分の身体毎すっ飛んでいく。

 

「ふぁっ!? 『グレンラガン』の『ギガドリルブレイク*2』じゃん!?」

「いや、武装名や技名からして『装甲悪鬼村正』の『政宗*3』がモチーフだな」

「一瞬で置いてあった大岩に人が余裕で通れそうな穴が空いちゃったお…」

 

 驚いている皆の感想が気持ち良い…あれ?

 

 未だ大雑把な種族の枠組みでは人間の筈なのに、意識してないのに他者の感情からMAGゲット出来る様になって来てるのって、存在が神格に近付いているって事なんじゃ…今は考えるのは止そう。

 

「という訳でこんな感じの使用法だな、ドリルにはガネーシャ神と交渉して『障害を取り除く』概念を付与してもらってあるから、奴等が設置した妨害にも有効な筈だ」

「おぉ…これなら持ち運びの問題さえどうにか出来るのなら、カヲルさんの手を煩わせずに済みそうだね!!」

「でも現状だと穴開けただけなら元に戻されるかもしれないから、一応カヲルさんにはちゃんと処分してもらう為に来てもらうつもりではあるわよ?」

「結局カヲルさんに負担掛けてて草」

 

 事実は時として人を傷つけるんだぞ…っ!!(目逸らし)

 

「それにしても随分と早く製作しましたね…ここまで手が込んだ代物だったら、設計や素材の剪定なんかで大分時間を割く必要があるんじゃないでしょうか?」

「有栖ネキ、それは違う…違うんだよ」

「なんかブーストニキが一気に煤けてしまった…」

 

 そう、こんな手の込んだ装備をパッと出そうとしても出せる筈がないのは誰が見ても分かる事、そんな事をしようものなら『こんな事もあろうかと!!』というお決まりのネタを決める為、マッドなんかが事前に準備しておく必要がある訳だ。

 

「じゃあ何でこんな都合良く、こんな装備が準備出来たんだ?」

「超火力の決戦兵器欲しさに造ってみたけど、いざ実戦で使おうと試してみたら『デカ過ぎて視界不良からの命中率が死んでる』『騒音もデカ過ぎて他の敵を呼び寄せかねない』『一撃の為の消費が重いから余裕が無くなる』『そもそもブチかますまで&ブチかました後の隙がデカ過ぎて外れたら死』ってな感じで、根本的に俺の戦闘スタンスと噛み合ってない事が判明して倉庫の肥やしになってたんだよ…」

『うわぁ…』

 

 尚このドリル、武器として使う場合『タルカジャ最大まで付与+貫通付与』に、当たった相手に『デカジャ+耐性無効で最大までラクンダ(永続)』がされた上で放たれる『一度当たれば最後まで当たるのが確定している閂投げ』みたいな事になる上、その戦闘中相手は『回復不可の解除不能デバフ』が掛けられるという、結構ヤバい結果が齎されると予測されている。

 

 …まぁ、それに加えて『攻撃可能になる迄三ターン自分にラクンダ&挑発状態&相手が動かないか超大型アクマ以外だと自分に最大迄スクンダ』みたいな、クソ程使えないデバフが掛かるんですけどね…。

 

 そんな訳で全く使えず、かといって勿体なさ過ぎて捨てる事も出来ずに埃を被っていたのがコレなのである…。

 

「いやでもこれ、ブーストニキお得意のロボ作製に活用すれば良かったんじゃないの?」

「そっちは既にアーゼウスを使ってあったから、個人で携行出来る最大火力が欲しかったんだよ…効率化させる為に武器式神で造ろうかとも思ったけれど、もうこれ以上連れてても負担になりかねんから諦めた」

「ブーストニキは武器式神造ったら全員お嫁さんになっちゃうもんね」

「事実だけども人の傷口抉るのやめーや…まぁ、アーゼウスの方は先の迎撃戦でゼウスに譲渡したから、新しくグレンラガン造ったけどな」

 

 全高五メートル程だから必要資材も少なくて簡単(当社比)に造れたわ。

 

「ほう…今度見せてもらっても構わないか?」

「承太郎ニキ実はグレンラガンが好きだったり?」

「まぁ全話リアルタイムで観てはいたな」

 

 ちょっと意外な気もするけれど、まぁあの作品は浪漫だから惹かれるのも分かるわ。

 

「じゃあ試験室に置いておくから、後で遊んでおきなよ」

「すまんな」

「まだ俺自身も忙しくてロクに使えてなかったから、出来れば意見なんかもくれれば助かる」

 

 尚、この後滅茶苦茶チームジョジョのメンバーが遊び倒した結果、無事承太郎ニキのお眼鏡に叶ってお買い上げされてしまった模様…あれぇ?

*1
死の女悪魔で夜の女神、ペルソナ3のラスボス

*2
右腕に巨大なドリルを造り出して突っ込む豪快な技

*3
悪役にしか思えない程口が悪いが『己の正義』を貫こうとしている正義馬鹿、後特殊技が揃いも揃ってR-18Gな痛くてグロいモノばかり




 因みにこの後、障害除去ドリルは其々使い回し、目的通り各異界の攻略に大変貢献出来たけど、代わりに数名ドリルの浪漫に取り憑かれた模様。

 実は自分の機体を未だに持つ事が出来ないでいる男、ブーストニキ…アルトアイゼンやらゼンガーなんかも造ったりしてたけれど、毎回話を聞き付けたそれぞれの機体のファン黒札にお買い上げされている模様…。


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第六十八話 因果成立

 前話から今回の話の間にまとめサイトにて霊視ニキが公式に生還してた事が決まって喜んでいる作者ですが、今話に於いても丁度良い話だった為ちょっと引用させてもらいます。

 恨みを燃やし続けるには燃料がいるとの事ですが、嫁達が居るのに今現在も過激派メシアンに対して恨みを燃やしてるブーストニキ、その恨みの源泉が何かというと『毎朝母親の遺影に向かって手を合わせている父親の背中を見ているから』です。

 因みに母親の葬式が済んでから父親は毎朝欠かさず拝んでいますし、ブーストニキも毎朝それを見ています、そしてその度に恨みに燃料が投下されている訳なんですね、めっちゃ重いですこの家族。


「…なんだ?」

 

 電脳拠点の深夜、最近各大型異界のアクマ達の見苦しい妨害によるストレスで尖っていた神経に、過去最大級の苛立ちが走り目が醒める。

 

「この感覚…聖書関連? にしては悪意は無さそうだが…あぁチクショウ駄目だ…苛立ちでマトモに思考が回らねぇ…」

 

 普段から上がる事はありはしても下がること無いメシア教に対するヘイトの影響で、メシア教関連の上位存在が現れただけで暴力的な思考に染まる脳内、普段ならば嫁達の存在が近くに居る為抑えられるソレが、自分一人しかいないという状況にアッサリと箍が外れる。*1

 

 その結果ブーストニキの住居兼アイテムショップの周りは、権能の影響が漏れ出る様な形で物騒な変質をしていき、意味も無いのにまるで要塞の様に変化していった。

 

「何処だ? 何処に居やがる…?」

 

 幸いブーストニキの電脳拠点での普段住まい兼アイテムショップは、他の滞在者達の住まいからはある程度離されているのだが、それによって周りにバレないのをいい事に、ブーストニキは怨敵が何処に現れたのか気配を探り出す。

 

 尚、この電脳拠点のメイン管理者である式神霊夢には普通に筒抜けである為、後程シバかれる事は確定している模様…。

 

「…夢の中かッ!? 『睡眠の秘石』!!」

 

 敵が何処に居るのか直感で察し、即座にアイテムを使い無理矢理眠りに着くブーストニキ…判断が早いし行動も早いが、普通こんな事したって意味が無い事を当の本人さえ反射で行っている始末…。

 

 しかし反射で行なっているという事は、身体が勝手に動く身体反射でもない限り、何かしら有効な手がある事を経験から悟っているという事でもあり、これに該当するブーストニキの行動結果はある種当然なものと言えた。

 

「死ねよや◼️◼️◼️◼️ッ!!」

「ぁあっぶないっ!! どちら様ァッ!?」

「ちぃっ、外したっ!!」

 

 丁度某四文字の一化身である分霊の鳩が、粗方やる夫さんに説明し終わったタイミングで登場したブーストニキは、間髪入れずに鉈を創り出して胸糞悪い気配の元へと振り下ろす。

 

 幸い幾ら弱い分霊といえども強大な存在である鳩は、本当のギリギリ(羽の先っちょが切れる程度)で回避する事に成功し、取り敢えずいきなりスプラッタになる事だけは回避出来た。

 

「ファッ!? ペルソナ背負ったブーストニキがいきなり出てきたお!?」

「うわぉ、彼自分のペルソナ出しながら寝る事で他人の夢に潜り込んだってのかい?」

「そんな対デスサーティーンでの花京院みたいな真似出来る訳が「あ? やる夫さんの夢の中だったか? 花京院作戦成功だな」…あったおね…」

 

 ※こんな事言ってるけど嘘です、反射で動いた結果です。

 

 しかしここでブーストニキ気付く、ここで暴れたらいとも簡単にやる夫さんがペルソナ系の被害を受けるのでは? と…。

 

 やる夫さんはとっても耐性が貧弱であり、それはやる夫さんの内面世界である夢の中も同じと考えて良し、その為此処で武器振るって下手に地面にぶつけるような事をすれば、一緒でやる夫さんは大ダメージを受けかねないのである。

 

「おのれ…貧弱だけども俺達連合にとっての重要人物であるやる夫さんを盾にするとは小癪なヤツめ…」

「ねぇ、なんでサラッとヤッルの事ディスったの?」

「でもやる夫さんミタマ強化して来たのに、この前強化受けてないない夫君からの張り手一発で沈んでたんでしょ? …少なくとも彼よりもレベルが遥かに上で、突出している『運』以外の全ステータスが黒札の平均ど真ん中、って調べが出てる俺の一撃が下手にそこらの床に直撃したら…やる夫さん耐えられる?」

 

 尚、運命力的なものはペルソナが変貌するレベルの変化が起きた影響で一般黒札レベルに落ちており、最終的なレベルは俺の平均的な黒札よりも旺盛な戦闘意欲の影響の結果、梃入れがなければマジで黒札の平均より上程度に収まるのではないのかと予測されてる模様。

 

 これ以上強くなりたいのであれば、後は戦術や戦闘スタイルを練り上げる事で何処まで高みに登れるかだが、この個人的に微妙な情報の結果、終末後に一波乱起きる事になるのは別の話。

 

「…く、食いしばりスキルでなら一回位は…」

「アレが俺程度の一撃で仕留められる程度の雑魚だったら、この世界に一神教なんて蔓延ってないんすわ…」

「序でに言ったら僕は基本戦闘力が無い方だけど、この分霊で出来る攻撃なんて遠距離に飛ばす魔法ばかりだから、この子に上手く掻き消されない限りどう足掻いてもやる夫くんの夢の世界にダメージが行っちゃう事になっちゃうよねぇ〜」

 

 序でに言えば俺の戦闘スタイルなのだが、ステータスが運以外突出した点が無い都合上、トドメを刺す時や初手で倒せる相手じゃ無い場合、様々なタイミングで攻性アイテムを使用し、連続して攻め立てる事で相手を崩して更に攻め立てる様にしている為、食いしばりとかの耐久スキル持ちと滅法相性が良かったりするので…うん。

 

「やっぱり俺が此処で暴れたらやる夫さんに深刻な被害が出かねんか…千載一遇のチャンスだというのに、なんとも口惜しい事だ…」

「ねぇ、この子なんでこんなに父さんの事憎んでるの?」

「あ〜…メシア教の過激派がブーストニキの地元で迂闊に霊装起動させちゃったせいで大型の異界が出来てしまい、その異界から溢れたアクマにお母さんを殺されちゃったのが切っ掛けらしいです」

「それ僕あんまり関係無くない?」

「テメェが組織ちゃんと管理出来てたら問題無かったんだよクソボケがぁっ!!」連続斬り(周辺被害出ない様手加減あり)

「ウッヒャァッ!!?!」ライドウ式前転回避

 

 クソがッ!! 鳩のくせしてライドウ式前転回避で物理透過して避けやがる!!

 

「いや待って待って、少なくとも僕はここ数十年殆ど人間界や天使達に干渉してないんだけど!?」

「あ゛?」

「え?」

 

 こいつ今なんつった?

 

 一旦手を止めてクソの話を要約すれば、人間が自立出来たから次は天使達にも自立を促そうと一部の大天使に声掛けした以外の干渉を辞めた結果、何故か天使達が大暴走し始めて現状に至ったのだとか…。

 

「…つまりは結局の所テメェがちゃんと見守っておいて、手羽先共が暴走しそうな時に止めに入ってば良かっただけの話じゃねぇかぁっ!!」振りかぶり

「二度ある事は三度あるぅ!!」回避モーション

「いいや三度目の正直だァッ!!」新スキル習得:燕返し*2

「あっ…」critical‼︎×3

 

 鳩の姿をした高位分霊に真向斬りが頭部、左一文字斬りが頸を、逆袈裟斬りが胴体の三箇所に直撃する、三方向から同時に斬られた高位分霊は腐っても高位分霊だからなのか、三つの斬撃により分割される事無く弾き出される様に真っ直ぐ吹き飛ばされていく。

 

「ッシャオラァ!! どんなもんじゃい!!」

「ちょぉ!? マジで叩き込んじゃったお!?」

「ちょっとお父さん大丈夫!?」

「あ、当たらないと思って油断してた…クッソ痛い…」

 

 情け無い声をしながらもフラフラ起き上がる鳩、やはりというかなんというかその矮躯とも言える身体には別段切り傷がある訳でも無く、恐らく話し方からして『箪笥の角に小指をぶつけた』程度の感覚なのだろう…うん、それだけでも結構ザマァで良いな。

 

「でもまぁ、今回については流石にこれ以上やる夫くんの邪魔するのはやめてよね?」

「うん? やる夫さんの邪魔ってどういう事だ?」

「君にも関係ある事だから言っておくけど、終末直前のゴタゴタしているタイミングでペルソナ問題の元凶達が乗り込んでくるから、それに備えてある程度やる夫くんにはペルソナに目覚めておいてもらおうと思ってね」

 

 …軽く話してるけどかなり大事なのでは? ショタオジでも予見出来てない事をサラッと知ってる前提で話してる辺り、やっぱクソッタレであっても四文字って事なのかよ…。

 

「………つまり此処に居たら完全にやる夫さんの邪魔にしかならないって事かよ…」

「だって君その調子だと僕が何か言う度にキレ散らかしかねないでしょ?」

「それはそう、全面的にそう…くそぅ…諦めるしかないのかよ…やる夫さん、夢から醒めたら取り敢えず霊夢に診てもらうように手配はしておくからな? 下手に『ナニカサレタヨウダ』ってなってたら溜まったもんじゃないからな」

「あ、うん…分かったお」

 

 そうと決まれば嫌なヤツと一緒になんか居たくない為、即座にパトラストーンを使って眠りから目覚める事にして、やる夫さんの夢の中から離脱するのだった。

 

 

 

 ──ブーストニキの自室にて──

 

「…夢から戻って来た、か…夢の内容はちゃんと覚えているな…うん? 誰か来たか?」

 

 ベッドで目を覚ましたブーストニキは、自身がやる夫さんの夢の中で何をやっていたのかを反復していると、自室に誰かが転移してくる気配を感じていた

 

 ──最も、この電脳異界に於いて個人のプライベートに転移なんて事が出来るのは、緊急時を除いて管理権限を持っている者しか不可能な為、誰が来たのかなんて分かり切っているのだが。

 

「ブーストニキ…ちょ〜っと説明してもらいたいんだけど良いかしら〜?」

「…な、なんで霊夢はそんなにブチ切れて…あ゛!?」

 

 ブーストニキ、此処でようやくアイテムショップ兼自宅を魔改造した事を把握する…南無。

 

 

 

 ──ブーストニキが立ち去った後のやる夫の夢にて──

 

「ふぅ、別段そこまで大きなダメージは無かったけど、彼には後で採算を取らせてもらおうかな」

「うん? 何か言いましたか?」

「なんでもないよー」

(なんか父さんロクデモナイ事考えてそうだなぁ…)

*1
溜まってる…ってやつなのかなって?…ソダネー(目逸らし)

*2
敵一体に回避率無視で高クリティカルの斬撃属性中ダメージ三回攻撃




 因みに現在ブーストニキのレベルは55そこら…こんなんで戦闘が得意でない高位分霊+油断していたとはいえよく鳩(恐らく70とか80そこら)に一撃(実際は三発)当てる事が出来たな…(自分で書いてて言うかそれ?)

 因みに鳩の方もやる夫さんに悪印象持たれない様、ブーストニキに反撃する気は一切無かったのも無事だった要因ですね…やる夫さんに悪印象持たれる=ショタオジにも悪印象倍ドンなので、今後のやろうとしている事に支障が出兼ねませんでしたからね…それはそれとして不穏な最後。


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第六十九話 スパロボかな?

 大体約一ヶ月…何故か次回に繋げる部分に納得がいかずに書いては消してを繰り返し、結果掛かった時間です…ちょっと肝心な所だから納得行くところまで直していたら、ここまで遅れてしまって申し訳ないです。


 小癪な事に矢張り神は神という事だったのだろう…アイツの予言通り終末直前のドサクサに紛れて、各ボスアクマ共が電脳拠点へと乗り込んで来やがった。

 

 それに対する我等ガイア連合黒札組なのだが…文字通りかなりカオスな事になっていた。

 

「とりゃあ!! 今だよアイギス!!」

『了解、サンレーザー…撃ちます!!』

『ぐあぁっ!? おのれ忌まわしき陽光めぇっ!!』

 

 ニュクス(精々20メートルも無い)相手に、ハム子ネキのサポートを受けながらアイギス乗り込むダイターン3(全高80メートル)が上からボコしにかかり…。

 

『オオオォォォッ!! 喰らえっ!! ギガドリルゥ…ブレイクゥゥゥッ!!』

『ぬおぉっ!? 我が武器を悉く破壊するとは、小兵の癖に小癪なぁっ!?』

 

 ヤルダバオト(全高100メートル以上ありそう)が承太郎ニキの搭乗しているグレンラガン(全高5メートル)の攻撃を防ごうとして、防ぐ為に使った武器が障害を排除するドリルによって粉々に砕かれ、そのままの勢いで身体を削られていく。

 

 なんかもうやり合う相手の大きさが逆なんじゃないかとも思える様な光景なせいで、最早スパロボのワンシーン状態である。

 

「な、何故…如何してこうなった…!?」

「そりゃまぁ仕掛けてくるなら備えの一つや二つ用意しておくのは当然の事じゃねぇか?」

「その結果奇襲したのに先手取られてボコされるとか、端的に言ってクソゲーなのでは?」

 

 そして俺とやる夫さんの前には最初の不意打ちで若干ボロボロになったアメノサギリがドン引きしていた。

 

 因みに最初は三体共纏めて奇襲しようとしてきていたのだが、事前に来ると分かっていれば領地の支配権は此方にあるので、其々の相手に分散するのは楽勝である。

 

「…で、一時的に手を組んだだけの呉越同舟な同僚共があんなザマだけど、あんたの方はどうするよ?」

「なんかもう其々大事な戦いの筈なのに、凄くイキイキとした声が聞こえて来るお…」

「因みにカヲルさんの方には、カヲルさんの仲間達が乗るパチモンエヴァシリーズ軍団*1がヒャッハーしながらちょび髭の軍勢ボコしてるらしいぜ?」

 

 尚元ネタと違って全部機械で出来ている為チクタクマン*2が怖そうなモノだが、そこら辺は俺の分身バッテリーを組み込んで対応してあるので、問題無くニャル軍団をボコしているとの事。

 

 …因みにカヲルさんだけは仕留め損なうのも嫌なので、エヴァに乗らず白兵戦をしているとの事、仲間の安全の為だけにトンデモない支出をポンっと払った上で、自身はそれで出来た超兵器による大暴れの中を平然と対応してるのはヤベーわ。

 

「ぐ、ぐぬぬぬぬ…何故、何故この様な事に…何故我等が乗り込む事がバレていた…?」

「何処ぞの鳩が良かれと思ってとか言って口出ししてきてたからな…それでまぁ、来るの分かってたら備えるよな」

「それにしたってこの状況は酷いお…」

 

 因みに現在やる夫さんと俺が対峙してるアメノサギリは、俺がエヴァシリーズ造った壊れテンションの造っておいたスパロボZシリーズに出て来る、スフィア搭載機達(尚、実際にスフィアは載ってないのでそれっぽい大火力技が使えるだけのハリボテである*3)に囲まれて絶賛身動きが取れなくなっている状態だ。

 

 最初の不意打ちなんて各々が準必殺技ブッパするもんだから、視覚も聴覚もやばくなりそうなレベルの大騒ぎだったからな。

 

「貴様ら寄って集ってたった少数相手を分散させた上、其々にバフガン積みの待ち伏せ配備なんかして恥ずかしくはないのか!?」

「リアルのドサクサに紛れてコッソリと奇襲なんてしようとしてた卑怯者共が囀ってんじゃねぇぞオラッ!!」

 

 奇襲してくるのが分かってたのなら罠の準備はしておくものなのに、それに文句を言ってくるアメノサギリの目を目掛けて【ヴィルダーク・次元将形態】のドロップキックを炸裂させた。

 

 …流石に『太極・滅*4』ではないぞ?

 

「イイッ↑タイ↓メガァァァ↑!?」

「うわぁ…文句言ったら速攻で正論伴ったカウンターが決まってめぐみんみたいになってるお…」

 

 滅茶苦茶痛がってる様なアメノサギリだが、矢張りと言うかなんと言うか流石の大ボス、ダメージは大きい様だがまだ生きている。

 

「やっぱりデカブツの相手は殴り甲斐があって爽快だなぁ…」

「もう一層の事殺せぇっ!?」

「いや騒動の元凶の一体でもあるんだし、殺しても良いならとっくの昔に殺してるに決まってるだろ」

「へ?」

「まぁ、やっる達は足止め頼まれてここに来てるだけだからおね」

 

 因みに俺が初手でブチかまし、それでも反撃してくる様ならやる夫さんの弁舌で時間を稼ぐ、というのが当初の作戦だったりするのだが、普通に【チューンアップ】を使用してあるロボ軍団の火力を前に、アメノサギリは何も出来ないままボコされたのだった。

 

 因みに【チューンアップ】の効果は分散してしまう上に即座に割り振りとか出来ず、その為強化してあるのは主人公機の四機だけだったりするので、先程ヴィルダークがブチかましたドロップキックは手加減加えた小パン程度の威力しかなかったりする。

 

「と、いう訳である程度御膳立てしといたんで、説得したいのならお好きにどうぞ」

「うむ、さてアメノサギリよ、何故我が命を拒んだ?」

「げえっ、アマ公!? じゃなくてアマテラス様!? なんでこんな所に!?」

 

 取り敢えずアメノサギリを満身創痍にして、事前に声掛けして待機してもらっておいたアマテラスに変わる事に。

 

 別に最初からアマテラスに任せても良かったんだが、今迄のペルソナ関連問題の一翼を担っていた奴だったからね、ある程度ストレス発散したかったんだ。

 

「そりゃおめー、同盟相手のガイア連合から『お宅の大和神の一員が無辜の民を害してるんだけど、何しでかしてんの?』とか聞いてきたから、お前がこれ以上馬鹿な事するのを止める為にやってきたんだよ」

「い、いやこれはあくまで対メシア教のMAG集めでして、いずれはこの大和の復活の為と言いますか…そう! それに自分は恐怖の権能が強いから、効率面を考えるとこの手段が最適だったというか…」

「おめーそのせいで肝心の同盟相手から見放されたら、一気に終末後の勢力が厳しくなるのが分かってんのかおぉん?」

 

 こちらを置いて激しい追求をしだすアマテラスとそんなアマテラスにタジタジなアメノサギリ、最初から悪いのはどちらなのか分かりきっている為、苦し紛れに出てくる言い訳も全くの無意味である。

 

「完全にやーさんみたいな責め方してて草、自業自得だからって言えばそれまでなんだけどな」

「まぁ、今迄いくら招集掛けていてものらりくらりと無視し続けてたみたいだから、堪忍袋の限界が来ていたみたいおね」

「さて、それじゃあそろそろ話がつきそうだし、こっちに関しては一段落ね」

「そんな簡単に終わるとは思えないが…あ゛ぁ?」

 

 アマテラス連れて来てもらってた霊夢が此方に合流してきたが、俺らっていう因果収束体がこれだけいる状況で展開がクライマックスだと、絶対になにか問題が発生するだろうからと警戒は怠らない様にしていたら、何故か有り得ない気配が漂ってきた。

 

「イザナミ様…いや、イザナミ。貴女は今冥府に居り、地上に興味は無「母さん…?」い筈…うん?」

『………は?』

*1
大きさがコードギアスのナイトメアフレーム程度にサイズダウンしてある為、ある程度格闘による狙いが正確になっている

*2
ニャルの一側面、機械を支配下に置ける能力持ち

*3
ついでに言えば原作で出て来てない機体は無いし、ジェミニアも無いし上改修されてる機体は全部改修済みである

*4
ヴィルダークの代名詞、格闘コンボを叩き込んだ後にトドメのドロップキックを繰り出す技、滅茶苦茶印象に残る




【速報】ブーストニキ、イザナミ神の事を母と呼ぶ【厄ネタ】

 取り敢えず『この世界線の事』っていう理由でスルーオナシャス、詳細は次回を待て!!

 因みにこんな波乱待った無しの現場の裏では元気に壊獣大決戦が続けられております(笑)


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第七十話 アクマ交渉?

 ボチボチ本作書き始めてから一年が経過しようとしている現在…前回の更新から風邪引いたり背骨痛めたりなんか踏んだり蹴ったりな事になってましたが、無事年内に完結出来るのかなぁ…と考え始めた作者です。

 一応構想としてはあと一〜二話で完結予定なんですけどね? 会社の方が年末だから忙しくなるし、どうなる事やらって感じでもあるんですよね…(汗)


 思わず口から漏れた言葉にその場の空気が凍てついたのだが、既に口から出てしまった言葉を戻す事なんか出来ないし、例え出来たとしても既に言われたイザナミ神の方が先に動いてしまったのでどうしようも無かった、覆水盆に返らずである。

 

『おい待てそこの貴様、貴様今何と言った?』

「あぁ…申し訳ありません、二十年以上昔に亡くなった母ととても似通った気配を感じ、思わず口から漏れ出てしまったのです…」

「うっわブーストニキが畏まって話すせいで鳥肌たっちゃったんだけど…」

「しっ!! そういう事は例え思ったとしても口に出しちゃ駄目なんだお!!」

 

 オイコラこそこそ話してても内容聞こえてんぞそこの傍観者×2!?

 

 仕方ないだろうが、こちとら死別する前は仲良かった親にそっくりな雰囲気持った相手なのに、そんな存在からめっちゃ睨まれてるんだぞ!? そんな事になったら恐縮してしまうのも仕方ないだろ!?

 

「二十年程前だと…?」

「失礼は承知でお尋ねしますが、何か心当たりはありませんでしょうか? こう…何と言えば良いのか、他人の空似とは思えない程感じるものがありまして…」

 

 ぶっちゃけなんかもう懐かし過ぎて、現在進行形で微妙に涙腺が緩んでる気がするレベルである…寧ろちょっとでも良いから泣いてメンタルリセットでもしておきたい位だ。

 

 そんな涙腺が緩みかけている俺の様子に気勢を挫かれたのか、先程まで肌を刺す様なプレッシャーを纏わせていたイザナミ神は呆れたといった感じの雰囲気となり、記憶を探る様に指を額に当てながら考え始めた。

 

「確かに二十年程前、忌まわしいメシアン共によって封印される寸前、彼奴らに捕捉されぬ程度に弱体化させた分霊を、敢えて一般の出の転生体として人間界へと送り出してはいたが…お主の様な子を成しておったとはな…」

「っ…!!」

「珍しくブーストニキが感動に打ち震えてる…本人とは違うといっても、やっぱり親っていうのは大事だおねぇ…」

「う〜ん…式神の私にはちょっと分かり辛いわね…」

 

 だから小声で話してても距離が近いんだから聞こえてるんだぞ、分かってるのかそこの二人ィッ!?

 

 さっきから空気読んで黙ってるアマテラスとアメノサギリみたいにしておいてくれよ!!

 

 …いやアメノサギリは空気読んで黙ってるのかと思ったけど、よくよく見てみればあれイザナミ神に拘束喰らって強制的に黙らされてるだけだし、アマテラスに関してはなんか難しい顔してどっかに念話かなんかしてる感じなのか?

 

「とはいえ…だ。我こそは冥界の女王、最古の夫婦神故に自覚無き唯の転生体が産んだ子を我が子として認めるわけにはいかぬ」

「そう…ですか…いえ、それも当然でしょう「いえ、少しお待ち下さいイザナミよ、たった今興味深い話が入りましたので、少しばかりお聞き入れ下さい」…んえ?」

 

 さっきまでどっかに連絡入れてたアマテラスが、急に会話にインターセプトしてきたぞ? ってか興味深い話ってなんだ?

 

「ほう、話してみるが良い」

「ええ、貴女の転生体が子を成した相手についてなのですが、以前各組織との連絡係を勤めているヤタガラスが南雲殿の家に出向いた際、その顔を見てその時は思い出せなかったのですが、妙な既視感を覚えたと言っていたのです」

「あぁ、そういえばあの天橋立解放した時*1の交渉する前に、父さんと顔合わせしていたな」

 

 あの時は首捻って考えてたけれど、話の流れからするとちゃんと思い出す事が出来たみたいだな。

 

「えぇ、各組織に顔出しする都合上あの者はそれ相応に記憶力も高く、それ故に当時思い出せなかった事が引っ掛かっているのだと報告の際にぼやいていたのですが、今のイザナミ神と南雲殿との会話を聞き、ふとその時の話を思い出した事で尋ねてみれば見事に思い出し、確認を取った結果当たっていたのです」

「…もしや、いやまさかそんな筈…」

「多分イザナミ神のお察しの通りかと…かの者、南雲殿のお父上は我等大和神が封印される前にイザナギ神が苦し紛れに作り出した転生体だったのです」

「ウッソだろオイ…それじゃあなにか? イザナギ神は魂レベルでイザナミ神が好みとかそんな感じなのか?」

 

 ウチも父さんから告白して付き合い出したんだって聞いた事はあるけれど…そういや神話でも最初にイザナギ神の方からイザナミ神に対して告白してましたね…結果未熟児が出来た事で告白やり直してたけど。

 

 …あれ? そうなると本来なら俺って未熟児として生まれる可能性がかなり高かった筈だよな? …神秘の力が衰えた結果だと考えておこうか、うん…。

 

「てかそうだとしたらなんでヤタガラスはその事直ぐに思い出せなかったのよ?」

「イザナギ神は普段外に出る時は仮面を付けてますからなぁ…」*2

「あぁ…確かにそれなら分からないかもだけど…何でそんな顔隠す様な事してるんだお?」

 

 やる夫さんが首を傾げているけれど、イザナギ神にソックリだと判断される父さんの事を知っている俺からすれば、理由については簡単に予測が出来た。

 

「…あのお方は国産みの神である自分の素顔に威厳が無いと気にして、常日頃から仮面を付けていましたからね、素顔を知っているのはそれこそ親しい仲や偶然見れた者だけでしょう」

「顔が父さんとソックリだというのなら、常にアルカイックスマイル浮かべてる様に見える筈ですからね…武力だけでなく威圧的な威厳が必要であっただろう過去を考えると、確実に舐められる顔でしょうからね」

 

 因みに顔が優しげであると戦闘力が低いのかといえばそうでもなく、何気に父さんはスキル的な面で見れば*3組合の中でも俺に次ぐ程だったりする。

 

 …これ今迄は俺という転生者を子供に持つから、逆説的に親である父さんも高い素質を持っていた*4からだと思っていたのだが、もしかしたら父さんがイザナギの低位とはいえ転生者だったからだったのかも知らないな?

 

 何気に電撃属性得意だったし、レベル上げまくれば何かしらの特徴出たりしたのだろうか? …寧ろ原作みたいにほぼ初期だけで何も無かったりする感じかとも一瞬思ったが、だとしても結構色々な技を覚えたような気が…転生体だからか?

 

「し、しかし我に会わせたいと考えているのだとしても我とて冥府神、そちらにも相応の格が必要と心得よ」

「むぅ、そうなれば少なくとも70…いや、80程の格がなければ駄目なのでしょうな…」

「ぐぬぅ…流石にそれはキツいものがあるなぁ…確か父さんのレベルって今の所52とかそこら辺だった筈だし…」

 

 流石に経験値ブースト入っていても、50レベルら辺から中々厳しいものがあるんだよなぁ…。

 

「ちょっと待って、ブーストニキのお父さんレベル高過ぎない!?」

「情報収集がメインになってるとはいえまだまだ前線に出る様にしているし、しばらく前に鍛錬用異界が半終末化の影響なのか、星霊神社の修羅勢御用達の異界並みに拡張されてしまったから、レベ上げには困らなくなっちまったんだよなぁ…」

 

 因みに主な利用者は丹後半島支部に所属している黒札や高レベル組合員であり、ヘラクレニキや元ブナ林組合員を筆頭とした半修羅勢とでもいうべきメンバーである。

 

 因みに星霊神社のとは違いロゴスリアクトの影響下にある為、上限は低いが出現するアクマは固定化されており、対策し易い代わりに本場の修羅勢からすれば物足りないのだとか…息抜きとかエンジョイ修羅勢とかには丁度いいらしいから、ちょくちょくあまり見ない顔ぶれが来たりするようになったんだよな。

 

「……………行く」

『はい?』

「直ぐに逢いに行くから案内するのだ!!」

「えぇ…いやそうは言われても流石にレベル差20以内にした方が良いのでは?」

「その程度ならばまだ操作可能範囲だから行くぞ!!」*5

「ウッソでしょそこまでやるのかお!?」

「我だってイチャイチャしたい!! もう長年策巡らせるの疲れた!!」

 

 うぅ〜ん切実…いやまぁ、これで来てくれるのなら父さんの対応次第では穏便に済む訳だし、普通に考えてあり…なので…。

 

「…ごふっ?」

『………は?』

 

 なん…だ? 吐血? 身体が…軋む…様な痛みが…。

 

「ちょっ!? なんかブーストニキの全身にヒビが入ってるお!?」

「ちょっと何よこれ!? 何らかのフィードバックが起きてるっていうの!?」

 

 あ、駄目だこれ…俺、死ん…。

*1
『第五十九話 日本神との交渉』より

*2
見た目はペルソナのイザナギの『アレ』という事にしてあります

*3
レベルに関しては軍勢変生で碌に分からない事になっちゃうからね、仕方ないね

*4
『おまけスレ 十六話 小ネタ 後編』参照? 一応転生者である智ニキの父親はSR判定だったので、どうにも血が近ければ高い霊的資質になり易いっぽい?

*5
レベル??>70へダウン




????「え? あれこれもしかして…やっちゃった?」

 某アイツのやらかしによってブーストニキ、折角穏便に話が纏まると思ったらタイミングで『突然の死!!』因みにタイミングとしてはショタオジがICBMどうにかする為の切り札切った所ですね。

 尚、今回の話の最中、アメノサギリが縛られてた理由は念話中にいらん事言ったからであり、その結果途中から存在そのものが忘れ去られ、縛られたままとなってました(笑)


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第七十一話 白い光の中で

 一昨日仕事納めで昨日中に書き上げる予定だったのに、大掃除してたら一日が終わっていた…皆も掃除は小まめにしようね?(遠い目)


「……なんだここ? いつもの死んだ時に来る三途の川じゃない?」

 

 白い、何も無い空間で俺は一人、気がついた時には突っ立っていた。

 

「イザナミ神との交渉中、いきなり全身にヒビが入って身体が軋み出したんだよな…多分感覚的に『自爆』した時に近いものがあったから、あの後バラバラに爆ぜながら死んだ感じか? でもなんで…?」

 

 死に方についてはちょくちょく山梨の修練用ダンジョンで魂取られたりしない様、予めセットしておいた特殊な『自爆』をしているからなんとなくでも分かるのだが、今回そんな事するつもりなど欠片たりとも無かったのに、いきなり爆ぜたのである…マジで意味不明だ。

 

 てか死んでも三途の川が目の前に無い光景が凄く違和感あるな…俺の場合何故か日本である筈の三途の川にカロンが居たり、そんなカロン相手に自動復活するまでの短い間近況報告という名の暇つぶししてたから、そんないつもの光景が無いというのは何とも居心地が悪いものである…。

 

「てかアレが本来の『自爆』みたいな爆ぜ方なんだとしたら…ちと拙い事になってないか…?」

「そうだねぇ…確かに今の状況はちょ〜っとヤバいかもしれないね」

「………」

「おおっと危ない危ない…君ほんっとうに血の気が多いねぇ…」

「ちっ…やっぱりリーチが皆無だと当たらねぇか…」

 

 独り言を呟きながら考えている俺の後ろから、聞く人の神経を逆撫でするかの様なふざけた声に、思わず後ろを振り返りつつも無言の腹(?)パンを喰らわせようとするのだが、武器アリでもギリギリだった俺のリーチでは忌々しい◾️◾️◾️◾️に一撃を浴びせる事は出来ず、それにより悔しがる俺を見て余裕の笑みを見せる◾️◾️◾️◾️。

 

 ショタオジと似た様な雰囲気の笑い方なのに、どうしてコイツのソレは腹が立つ方に振り切れているのだろうか?

 

 …ってかコイツ鳩の姿してのに、なんで俺はちゃんと『笑っている』のだと分かるんだろうか? 普通鳩の表情なんて分からないんだが?

 

「で、お前が出て来たって事は、今回の俺の死因は直接ではなくてもかなりの割合でお前が原因を占めているって理解で良いのか?」

「その通りなんだけど、中々に理解が早いね」

「幾ら嫌っているんだとしても、それだけで敵対している相手の事を見縊って良い理由になんぞならんからな、敵を知るのは己を知る事よりも大事なのは兵法では基礎も基礎だろ」

 

 何せこの世界は敵の事をちゃんと知っておかないと、普通にアッサリ死ぬどころかもっと悲惨な目に逢いかねないメガテン世界なのである、そこら辺の事は山梨に居た時みっちりと教え込まれたさ。*1

 

 …それと正直これについては余り言いたくは無いのだが、何と言うか似てるんだよな…ショタオジと◾️◾️◾️◾️の雰囲気というか超越者の気配みたいな感じのソレが…多分言ったらショタオジ不機嫌になるか精神的に大ダメージ受けかねないから絶対に言わないけれど。

 

「で、結局何をやらかして俺は死ぬ事になったんだ?」

「それじゃあ前提の話になるんだけど、君が死んでた時、外がどうなっていたかを知ってるかい?」

「外がどうなっていたか?

 そんなの終末関係のアレコレで大騒ぎになってたんじゃないのか?

 ってか、あの大アクマ連中が終末のゴタゴタに乗っかって乗り込んでくるから備えろって言ってたのはなんだかんだで全能神なお前なんだから、忌々しくともちゃんと備えてた俺等がそこら辺分かってない訳無いだろうが」

 

 本当に忌々しいが真面目にカテゴリで言えば全能神なので、そこら辺の能力は疑うべきじゃないんだよなぁ…この平和主義者()を偽装している唯の育児放棄屑野郎が。

 

「うん、ちゃんと時間軸は分かっているようだね。

 それで外の現状なんだけど、君達の言っている過激派の子達が『神霊 エンシェントデイ』君を載せたICBM(いつもの)を東京に打ち込んでてね、これ以上半終末を引き延しにしても反動で更に酷い終末が訪れると判断した神主君が、そのタイミングで細工を施し敢えて地球の地脈にブチ込む事で、世界を緩やかに魔界に軟着陸させた訳だね」

「ちょっとショタオジ無茶し過ぎじゃない?」

 

 絶対これ鳩が端折った部分でヤバい方法使って対処したでしょ、大丈夫? 人の心配してる場合じゃないんだろうけど、普通に死ねる様な手段使ったんじゃない?

 

 復活して連合員の皆とバカやって楽しむ余生過ごす為のプラン組み立ててあるの?

 

「うん、普通に死んじゃうレベルの事やった上、大アクマによって魂を魔界に囚われちゃってるね」

「オイィィィッ!? 何やってんだショタオジィッ!?」

「まぁ、ソレについてはこれからぼくが戻れる様手助けしに行くから、君は別に気にしておかなくても良いし、君は君自身の心配をするべきじゃないかな?」

 

 ショタオジがとんでもない自己犠牲をかましていた事を知って思わず絶叫してしまったが、そんな俺に対して顔色(?)一つ変えずに話を戻す鳩。

 

 …既に超越者ってのはそんなもんだという事は分かりきっているのだが、敢えて言わせてもらいたい…人の心とか無いんか?*2

 

 取り敢えず色々思うところはあれど、そんなすぐどうにかなる話でも無いので、言われた通り自分の事について考える事にする。

 

「いつもの死んだ時なら三途の川に辿り着いている筈なのに、今回に限ってはこの薄寒さすら感じる白い空間に来てしまった。

 そして今回の死因は不明だが、死に方については以前不用意に使ってしまった『通常の自爆』に酷似している。

 …もしかして俺完全に死に掛けてるのか?」

 

 実は俺の使う『自爆』は本来のモノとは異なるものへと改造しており、簡単に説明するならば『デスルーラ』とでも言うべきモノであり、戦闘中に普通ならば逃げられない相手であっても、己に蓄積されたMAGと肉体を犠牲にする事によって盛大な目眩しを行い、事前に登録しておいた場所へ生還する形となっているのだが、本来の『自爆』は全く違うモノである。*3

 

 本来の『自爆』は己の何もかもを犠牲にして放つモノであり、ちゃんとした蘇生の準備しておかないとマジでそのまま本当の意味での死を迎える事になりかねないのである。

 

「序でに言えば魂が崩壊するレベルのダメージが原因だね」

「序でにで流して良い話じゃないっ!?」

 

 ホンマにコイツはホンマッ!!?!(錯乱)

 

「いやぁ…やる夫くんに干渉して来た時君が出張って面倒起こしてくれたから、その罰としてICBMの影響をターミナルのネットワークに受けてもらって、その修復に東奔西走する事でチャラにしようと思ったんだけどねぇ…」

「うん? 確かに俺が大体管理しているターミナルネットワークが破損したら復旧にはドタバタする事になるだろうけど、流石に死に掛けるまでにはならない筈だろ?」

「そうなんだけど、どうやら元々地脈に接続するタイプだったのが災いしたみたいでね、元々ICBMの影響が地脈だったのも災いしてダメージが各ターミナルに隔離保存されている領域まで及んでしまい『君がターミナルに厳重に保存してたデータ諸共』消し飛んじゃったんだよね」

「……………は?」

 

 ちょっとまって?

 

「あの? そのデータってもしや?」

「うん、君が半終末前から厳重に取ってた日本各地のデータだね、ほぼ自分一人分の血肉まで使って強固にプロテクトしてたからこそ、そのデータが今回の件で吹き飛ばされ、感応効果によって保護していた君の魂が大きく傷付いたというのが事の真相だね」

「お、俺の終末後に建ててた予定が…」

 

 来るであろう終末後の多忙に息抜きする為に、電脳異界のベースとして大事に保存しておいた過去の残照…。

 

「まぁ、君の終末後に考えてた娯楽なんかはどうでも良いんだけど、仮にもぼくが原因で黒札ヤっちゃってたなんていうのはよろしくないからね、今回だけは特別に魂の崩壊を元に戻してあげようじゃないか」

「お前この状況元を辿れば全部お前の怠慢が原因だっての分かって喋ってる? なに? その鳩の姿になってたら思考レベルまで鳥と同じにでもなるのか?」

 

 身勝手な鳩の言葉に恐らく青筋立てまくりながら、例え届かなくともぶん殴ってやろうとした瞬間身体が光に包まれながら浮かび上がった。

 

「まぁ、なっちゃったものはなっちゃったんだから深く考えてもしょうがないさ。

 それにお詫びと言っては何だけど、君の歪んだ霊質をある程度元通りにして上げるから、それで終末後の環境も乗り越えられる様になるだろうさ」

「ちょっと待て!? お前さっき歪んだ霊質って言ったがそれ『軍勢変生』の事だろうが!? もうそれ元通りにされる方が困るんだぞふざけんな!!?!」

「もう仕方ないなぁ…それじゃあ大特価サービスでぼくからの【加護】も与えようじゃないか」

「詫びみたいに言いながら粗大ゴミ投げつけてんじゃねぇ!! あっクソ、意識が遠のいていきやがる…」

 

 そこそこ経験した事のある復活の兆しに意識を遠のかせながらも、恨み辛みを重ねようとした時、鳩からトンデモない言葉が掛けられ、思わず意識に空白が出来てしまった。

 

「あ、そうそう…近々君達の言う穏健派と神主君との間に子供が出来る予定だから、幼少期の受け入れよろしくね〜」

「………は?」

 

 

 ─────

 

 ───

 

 ─

 

 ───

 

 ─────

 

 

 

 夜も更けた山梨支部の病室にて、弾け飛んだ肉片を集めて形だけ何とか戻したブーストニキが横にされていたベッドから、鳩によって復活を果たしたブーストニキが上体を起こした。

 

 死に掛けていた状態から既に三日経過していたのに、復活したばかりとは思えない程自然と動けているというのは、あの鳩も腐っても四文字の一側面だからという事なのだろう。

 

 …但し当の本人は側からの最後の言葉で宇宙ネコ状態な訳なのだが…。

 

「………は?」

*1
但し舐められたら終わりなヤクザ的な立場でもあるので、必要ならば蛮勇を振るう事も辞さない模様

*2
そもそも人の心があったら普通未熟な天使達をネグレクトとかやってない

*3
因みに一応死んではいるので魂はあの世に引かれ、結果として三途の川に毎回顔を出す事になっているのである




 そんな訳でブーストニキたった一話で復活で御座います。

 …まぁ、色々ロクデモナイおまけを喰らった形ではありますが…(汗)

※尚、鳩からの【加護】についてはまとめサイトに新しく増えた『天使と鳩の言い分』参照だったり…。

 遠目に見たら鳩の得にしかなってない? そりゃ鳩だって神と呼ばれててもアクマと大差無いんだから、面倒なヤツの弱体化狙えるんだったら遠慮なくやるよね? って話ですな…。


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最終話 スキルツリーがバグった【俺ら】の現地事情

 はい、そんな訳で最終話で御座います。

 なんだかんだ色々作品書いてきたけど、ぐだぐたやりながらも書き切ったのはこれが初めてですなぁ…漸く一端の物書き名乗れる気がしますわ…。

 …え? 書き方下手くそだし他のヤツ書き切ってから始めろや? ご尤もです申し訳ない。

 そんな訳で一応の最終話、お楽しみいただければ幸いです。


 鳩による最早自作自演としか言えない復活を遂げた後、丹後半島支部に非常電源用に置いておいた独立分身式神を起点に山梨支部とのターミナル回路を復旧させつつ、分身に嫁や支部員への説明を任せながら本体の俺は鳩による修正の影響で起きた変化の検査と、押し付けられた【加護】の引っ剥がし方についての模索を行う事にした。

 

「スキル方面はどんな感じだった、フェイスレスニキ?」

「ブーストニキが言ってた通り【軍勢変生】はかなり規模が縮小された【コーチング】*1へと変化してしまっているね」

「ぐうぅ…デメリットが無いのは有難いが、それ以上に単体仕様になっているのが痛過ぎるぞクソッタレ」

 

 これはなんとかして対象を増やせる様にしないと、将来的に他の組織のトップ層だけしか強化出来なくなってしまう…一頭政治は先鋭化し易いから将来的にはお先真っ暗になりそうで不安なんだがなぁ…。

 

 多分分身なんかを駆使すればどうにか出来るかもだし、マルチタスクの訓練量増やして使役出来る分身の数増やすか…。

 

 ってか無造作にばら撒けなくなったから、COMPで流してた『ブーストタイム』が強制終了させられたじゃん!? マジで何やってくれてるんだよクソ鳩ォ!?

 

 …いや、そちらについても大事な事だが、今はそれよりも優先する事があるな…。

 

「…で、ある意味これが一番重要なんだが…例の【加護】についてはどんな感じだ?」

「あ〜…どうしようもなく無理だねこりゃ、魂の修繕に【加護】が繋ぎとして使われてる上に、もう既に魂と【加護】が癒着してるから、多分ショタオジレベルじゃないとどうしようもないレベルだよ」

「ヴェアアアァ…マジかよぉ…」

 

 黒札の中ではかなり魂関係に強い筈のフェイスレスニキから、結論として『自分ではどうしようもない』と言い渡された俺は、意気消沈するまま隣の机にだらける様に伏せると、そんな俺の様子を見てフェイスレスニキは意外なものを見たとでも言いたそうな顔をする。

 

「あん? どうかしたのか?」

「いや何、今迄のブーストニキなら憎っくきメシア教の元凶とも言える四文字からのやらかしに、凭れ掛かってる机を叩き割る位には怒り狂うと思ってたから、そんな風に丸くなってるのが意外でね」

「……………ってない

「うん?」

 

 フェイスレスニキの疑問に対して返事をしたつもりだったのだが、つい声が小さくなってしまった。

 

「丸くなんかなってないぞ…」

「でも今までだったらブチ切れやってなかった?」

「どうにも【加護】とやらによってメシアンに対する怒りを抱いたとしても、冷や水浴びせられるかの様に一気に抑制されてな…。

 正直言って強制的に感情をフラットに戻されるの滅茶苦茶気持ち悪いから、一層の事なるべく無関心でいるようにしているだけなんだわ…」

「…それヤバくない?」

 

 俺からの答えに顔を引き攣らせて冷や汗を流すフェイスレスニキ。

 

「多分鳩のヤツ、俺がこのままブチ切れた状態で丹後半島支部に戻っても、俺が確実に穏健派に対して冷え切った対応を取るだろうから、ショタオジを連れ戻すまでの時間で頭を冷やさせるつもりなんだろうさ」

「…何というか人死にはしてないけれども、流石はメシアンのトップといった感じだねぇ…」

「いやいや、人死にだったら実質俺が死んでただろう?」

「おお、確かに言われてみればそうだったたね、これは失敬!!」

『HAHAHAHAHA!! …はぁ』

 

 俺のブラックジョークに二人して笑うが、どうしようもない現実からの現実逃避による空元気であり、はっきり言って今ここの空間を第三者が見たらドン引き必須だろうな。

 

「取り敢えず、なっちまったもんはしょうがないし、これからクソ程忙しくなる事が確定しちまってるから、丹後半島支部に戻って終末による各設備の被害状況と復旧作業頑張ってくる…」

「やれやれ、相変わらずブーストニキは私達と同じ黒札だとは思えない程勤勉だねぇ…本当に死んでしまう直前だったんだし、今日一日位ゆっくり休んでいっても良いんじゃないかい?」

 

 取り敢えず復旧作業には然程問題無いと判断して帰ろうとする俺に対し、フェイスレスニキは怪我から立ち上がったばかりなのだから、ゆっくり休んでいけば良いじゃないかとサボロー*2みたいな事を言ってきた。

 

「…確かに何時もよりダメージがデカかったからなのか、身体中に倦怠感は残ってるし、丹後半島支部にはヘラクレニキ筆頭に戦える黒札や、カリおっさんニキやモニカネキ*3みたいな俺には全く分からん政治についても、どうにか出来る様な黒札にも常駐してもらっている」

「だったらここでしっかり休んでる方が良くない?」

「そんな軽いノリで後回しにしてた結果、俺はガキの頃に母さんを喪う羽目になったんだよ」

 

 幾らブナ林異界から出てくる数が多いからといっても、出てくる奴等なんて精々がレベル1のスライムやそれにも満たないナニカしかいないのだ、非覚醒者にとっては脅威であろうとも、当時覚醒したばかりの俺でも休み無く殺し回る事が出来る程度の雑魚ばかりなのである。

 

 しかも当時の俺が軽い修行で済まさずちゃんと鍛えてさえいれば、恐らくブナ林異界に即座に乗り込んでレベリングを兼ねた異界の抑制も出来た筈なので、あの日の惨劇は俺にとっては完全に俺自身の怠慢でしかないのである。

 

「…そうか、そりゃあ悪い事聞いちゃってたねぇ…本当に済まない」

「別にフェイスレスニキが悪意を持って言ってきた訳じゃないのは分かってるし、俺もそうだけど誰だって過去の後悔なんて話したくないだろ?

 だから教えられてなかったから知らなかっただけであって、フェイスレスニキは欠片たりとも悪くなんかないさ」

「そうかい、ありがとうね」

 

 自分の失言を赦した俺に対して礼を言ってくるフェイスレスニキ。

 

 この人は態と胡散臭い雰囲気を醸し出していたりはするが、その根っこの部分は普通に善良な人であり、そんな人にこうやって後ろめたさを感じさせてしまうのは個人的にもむず痒いものがある。

 

「それに今まで俺は電脳異界で時間流が加速された拠点にいた訳だからな、現地民の嫁達を護る為とはいえ長期間も離れ離れだったんだぜ?

 直ぐに逢いに行きたいと思うのは至極当然の事だろう?」

「…ふっ、はっはははっ!!

 そういえば君は中々有名なハーレム持ちの愛妻家だったね、確かにそれなら直ぐ帰ろうとするのも納得だ。

 分かった、事務方に対しては私が報告しておくから、君は直ぐに帰って奥方達を安心させてきなさい」

 

 俺の戯けてる様で大分大きな割合を占めるぶっちゃけ話対してフェイスレスニキは愉快そうに笑うと、俺に対して早く帰る様促しながら今回の診察結果を書く作業に移った、どうやら話はこれでおわりらしい。

 

「悪いな…感謝するよフェイスレスニキ。

 一通り支部周りが落ち着いたら今度は休暇にでも来てくれればもてなしてもらうよ」

「それはそれは…楽しみにさせてもらおうか」

 

 立ち上がりながら別れを告げれば、向こうも診察書に向かいながらも手を振って答えてくれた。

 

 そのまま深夜の病棟廊下を、何処からか聞こえる無事に終末を迎えた事に対する慰労会によるどんちゃん騒ぎをBGMに、真っ直ぐに最も近くに設置してあるターミナルへと向かって行く。

 

 ターミナルに向かい慣れた手つきで操作を行い行き先を決め、誰にも見送られる事も無いまま光に包まれ静かに消える。

 

 次に目を開ければ最早懐かしくも感じる我が家と、先に分身によって帰還する旨を伝えられていた愛しい人達、部屋に繋がる廊下からは此方で暮らしている黒札達の姿も見える。

 

「おう、なんか滅茶苦茶心配掛けてたみたいで済まなかったな…ただいまだ」

*1
発動中味方単体に『擬似覚醒』『レベル上限限定解放』『ローグロウ』を付与する

*2
見た目は黒一色に『サボロー』とだけ書かれた人型であり、何かと口実をつけてこちらをサボらせようとし、作者にとって言う事が一々泣きたくなる位の懐古を感じさせる最高の悪友

*3
まとめサイト『魔都東京と政治家さんの現状』より、モニカネキについては一瞬出て来ただけなので恐らくそうという程度




 と、いう訳で…これにて拙作『スキルツリーがバグった【俺ら】の現地事情』完結で御座います、一年間と数時間オーバー付き合って頂き誠にありがとう御座いました(深々)

 …それにしても最終話がヒロインでもある嫁達と一緒ではなく、殆ど医者との会話で終わった作品とかこれ位なんじゃねぇの? 何やってんだコイツ?(呆れ)

 取り敢えずブーストニキはなんとか終末を迎えて家族の元へと帰還する事に成功し、これからは富国強兵というかもっと地元を豊かにする為頑張っていく事でしょう…日本神とか鳩からの【加護】なんかに関する問題もありますからね…。

 そこら辺に関してはまた後日談という事で投稿するつもりではありますので、宜しければゆっくりお待ちして下さい。

 それでは…本当にこれまで付き合って頂き、誠にありがとう御座いました。


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キャラシート なぐも はじめ

 そんな訳で後日談入る前にお茶濁しとしてまだ他所様で使い易そう(?)なブーストニキとなります。

 本編との大きな違いは『両親が生存している為、出来た心の余裕から連合への加入が初期からとなった』という点ですね、ほぼ最古参で各部門に都合の良いアシスタント役(但し万能過ぎて若干影が薄い)みたいな事になってます。


「本名」

・南雲 一(なぐも はじめ)

 

「ハンドル名」

・ブーストニキ

・(最初の呼び方ブレていた時のパターンで)アシストニキ、バイトニキ、エンジョイ修羅ニキ、スキルコレクターニキ、丹後半島支部長

 

「性別」

・前世/今世 男/男

 

「仕事」

・(午前)要請があれば各生産場でのアシスタント

・(午後)試作品等を持ち寄って修羅勢の仲間入り

・(休日)地元の安全確認を兼ねた保全作業や各地の現地妻との交流

 

「成長タイプ」

・万能型(全ステータス平均値)

 

「戦闘タイプ」

・オールラウンダー(取り敢えず一通りなんでもやってみるタイプ)

・アイテムユーザー(王の財宝みたいに虚空から射出可能)

・ペルソナ使い(審判 D・E・M)

 

「口調」

・基本誰が相手でもお気楽な感じだが、尊敬出来る相手には畏っている

 

「終末対策」

・地元の地脈及び結界の強化と改善(本編よりは海方面は多少範囲縮小された)

 

「趣味」

・レベリング、技術習得、種類を問わない製造

・様々な武器や装備にアイテムを作り出し、尚且つそれらの性能を確かめる事

 

 

 

【経歴】

 

 異世界転生して日乗の裏に非日常があり、それと同時にアクマの危険性も知る事となり、これはもう強くなるしかないのでは? アクマに日和ってるやつヤツいる? いねぇよなぁ!!? といった感じに覚悟決めちゃった結果、製造するわ異界で間引くわ最初期から連合に加入するわやりたい放題やってしまっている。*1

 

 連合に加わった経緯は単純に自分一人だけでは限界が見えてきた為、何かしら手はないかとネットを漁っていた結果『偶然』最初期の雑談スレを引き当てた経緯があり、今作と違いオフ会には最初からは参加出来なかったものの途中参加といった形で加入した古参勢となる。

 

 製造が得意とはいっても本編みたいな概念系ではなく、基礎ステータスが高く伸び代もある様な質実剛健な物を作り上げるのが得意なのだが、フロム作品に出てくる様な回転鋸やら光波飛ばせる大剣なんかも喜んで造るHENTAI技術者。

 

 色々な技術に手を出しており、霊薬製作から始まり、造形、降霊、製鉄etcetc…各作業場で必要とされる様な技術に関しては、特化している者には劣るが一通りの技能を修得し、その上最も得意としている事が『日常品や消耗品といった製造難易度の低い物を大量に生産する事』である為、自分の好きなモノを造りつつも修羅場になっている場所へのサポートに呼び出される事もしばしば…。*2

 

 嫁に関しては『自分の見た目があるキャラにそっくりだからって、嫁をその作品のヒロインキャラにするのは、なんか原作キャラで縛ってるみたいでアレじゃね?』という事で、前世で初めて宝具MAXにするまで課金しまくった思い出のある『沖田総司オルタ(ハイライト有り)』にしている。

 

 こんな変化がある為、この世界線には式神のユエが居ない、ユエェ…。

 

 …尚、後にデモニカ技術が出てきた際は『俺と嫁とで超融合!!』とかほざいて『式神デモニカ』に改造するというマッドな事をやらかして周りをドン引きさせた(尚当人達は「これって夫婦の一心同体に於ける新境地なのでは?」と楽しんでいる)

 

 本編で絡んだ五車の里に関しては、アサギが実質作業の邪魔しようとしていた為スケベ部顧問として『オシオキ』してたらいつの間にか乗っ取ってしまい、スケベ部とのズブズブな関係から大体来る者拒まずなウェルカム精神となっている為、周りからは『五車の里に居る女は基本ブーストニキの現地妻だと思え』と言われる始末。*3

 

 本編でほぼ全員嫁にしていた親方様は、ブーストニキの爛れまくった性活を見て、思わず助かったと冷や汗を流している程、人様に迷惑は掛けないが爛れた性活を送っている。*4

 

 因みに自分の見た目に因縁のあるキャラには首を傾げる自制心はあっても、関係無いキャラには平然と手を出すこのクズではあるが…実は地元に戻ると大江山の名家()に所属している【白崎香織】からの猛アタックを受けており、なんか因果みたいなのに操られている様な気がしてモヤっている模様…。*5

 

 地元の終末対策に関しては本編と同じく【楔】を開発しており、隙を見つけては地元の周りに打ち込んでいきGPの安定を図ってはいるが、【楔】を打ち込むのは地元以外には地元のすぐ近くで一応何かと両親を気に掛けてくれている大江山周りと、海側海水浴場として余裕を持って楽しめる程度の範囲に抑えて敷設してある…

 

 一応ガイア学園に関しても大量に居る現地妻の事を考えて支援はしているが、流石に理事長とかやってられないので他に任せた。

 

 現地民に対しては本編よりかは少しドライというか、本編での【軍勢変生】程現地民相手に出来る事が無い為、気に入った奴に(黒札基準で)ちょっとした支援を贈る程度の、他の黒札とあまり変わらない支援を贈る位で収めている。

 

 一応現地民組織である組合に所属していた故、黒札と現地民との感覚の違いは理解しており、渡す時に説明や説得なんかはしっかりと行っている(結果時折惚れられる)

 

 同じく丹後半島支部長となってはいるものの、重要な問題が発生しかねない人事(人、アクマ問わず)や他黒札関係の交渉以外は殆ど部下に運営を任せており、自身は管理している土地に問題が発生しないか目を光らせる事にしており、結果として黒札の管理する土地であるにも関わらず、プラチナカード持ちがかなり多いという、ちょっと異質な土地となっている。

 

 端的に言えば本編最終話でブーストニキが言っていた『覚醒してから即座に本気で取り組んだ南雲一』の世界線であり、言い換えれば『一番強いが一番酷い成長している』ルート。

 

 

 

【連合加入時ステータス】

 

 人間 レベル18(半終末時38、終末突入時83)

 耐性 電撃耐性 破魔耐性 

 弱点 地変弱点 呪殺弱点 (非装備時)

 

※連合加入時のスキルに関しては『ナグモハジメ』のものからカジャ系が単体のものばかりとなり、それプラスして状態異常系と【蛇の交わり】や製造系を抜いた程度の違い位であり、それらに関しても連合加入後の修行で直ぐに修得した。

 

 以降は基本連合で確認されたスキルは一通り修得出来ないかどうか試していき、その結果固有スキルを除けばあまり効果は高くなくとも修得したと言える程度には様々なスキルを修得している。

 

 

 

【戦闘スタイル】

 

 基本的にどんな役割も熟せる戦場支配型のオールラウンダーであり、特に組合の時からも周りとの才能の違いから単独行動も多かった為、ガス欠した際の危険性を身をもって知っていて継戦能力の重要性も理解している為、そこら辺の生存能力に関しては桁違いに高くなっている。

 

 他のルートととの大きな違いは死んでもどうにかなるとは分かっていても、命を捨てる様な自爆特攻をする気は無い為、双方共にグッダグダになる消耗戦も上等な所であり、戦場に細工仕掛けたり*6相手の戦闘力を削ぐ事に重点を置いたり*7するなどクソみたいな搦手で相手の戦力と神経をガリガリ削っていくやり方。

 

 因みに他修羅勢からは『アイツとの組手は一度位はやっておけ、人の悪意を体現した様なクソみたいな搦手ばかりだが、その分良い予習相手になる』との事…尚、一度相手した後はレベル差が酷くなければ揃いも揃って『もう二度とアイツとの組手はやりたくねぇ…』と言われるレベル。

*1
因みに覚悟決めた段階でエジソンに目覚め、星霊神社に着いた段階でDEMへと進化した

*2
尚、主に呼ばれる場所は万年人手不足な式神のコア製作所な模様…。

*3
結果、この事を知った両親からは爛れ過ぎではないかと苦言され、平身低頭して謝りました

*4
因みに当の親方様はその経営手腕を見込まれて、本編よりも大分伸び伸びと経営者をエンジョイしている

*5
というか大江山を管理している名家達が『ありふれ』のクラスメイトを彷彿させる面々ばかりなので、拒絶まではしないが地味に苦手意識がある

*6
相手の踏み出す所に地雷召喚及び改造アクエスストーンぶち込んで泥沼化させたり

*7
腕や足折っても即治療されるから武器を破壊したり、それが不可能でもその場で鈍に変換したりなど




 色々出来るし強いし気軽に手伝ってくれたりするけど、本編と違って支部長してないし性格も(修羅勢基準で)そこまで苛烈じゃ無いからあまり目立たない感じのヤツ…但し一部からはやってる事が多過ぎる変態という判定を受けています。

 こっちでは【軍勢変生】はありませんが【コーチング】はある為、極々稀に覚醒補助とかもやってる感じですね…まぁ、殆ど修行僧の所に寄らないからやる機会も少ないし、施してもらった奴にはクレクレ厨みたいな奴等が面倒だから黙ってる様契約交わしてますけれど。

 因みに、この世界線だと式神のユエは居ませんが、代わりに吸血鬼としてのユエが発生していたりします…おぉ、因果因果。


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後日談 丹後半島支部復興開始

 漸く上げれた後日談その一、新年明けて早々に高熱出してヤバかったのに、周囲の病院や診療所が軒並みお休み中で、取り敢えず市販の物使って地獄の様な耐久レースしてる気分でした…マジでツイてない。


「分かっちゃいた事だが…仕事が全く減らないなぁ…」

「まぁ、丹後半島支部を管理してるのはブーストニキだからな、しかも効率が良いからってワンマンでやってたら、それこそ減る筈の仕事も減る事等無かろうよ」

「一応各製造所なんかはそれぞれの企業に任せているらしいが、それでも背負い込み過ぎじゃないか?」

「支部員に任せ様にも魔界堕ちのせいで何もかも壊滅的だから、一度俺が整えておいた方が良さそうって事でしてるんだよ…流石にある程度のラインまで復旧したら民間業者に投げるわ」

 

 丹後半島支部の支部長室で、大量に展開されている空中投影スクリーン(DEMによる分析データ)を前にボヤく俺に対し、休日だか其々の都合で家から離れたがっていた為此方に来ていたヘラクレニキと百万ニキがツッコミを入れて来た。

 

 丹後半島支部に帰還して暫くの後、終末突入の影響で支部周辺に問題がないかを念入りにチェックしてから、支部長としての事務仕事の傍ら只管ズタボロになっている各ターミナル同士の連絡網を修復していき、更にその片手間に支部内に建設してある機器の調整を続け、そんな雑務を終えて少しだけ出来る時間にプライベートな事を進める毎日。

 

 終末に突入した事による一番分かり易くて大きな変化といえば、地上が魔界に堕ちた事で土地が広がったり、平然とアクマが地上を闊歩する事になった事なのだろうが、物理的に発生した前者は兎も角、地上のMAGが重要となる後者に関しては丹後半島支部ではそこまで問題になっていなかったりする。

 

「それにしても、本当に『楔』の効果は絶大だな…ブーストニキが土地の管理を出来る『守護者』タイプでもあるからなんだろうが、下手な大型シェルターより安全なのは素晴らしいな」

「敢えて丹後半島支部領域内のMAG状況を半終末頃まで抑える事で、アクマ発生を抑制するだけじゃなく終末未対応の機械も使用可能にする…よくこんな事が出来たな?」

「まぁ、そこら辺は支部員の皆が『楔』の補強をしっかりしてくれたからだな。

 てか元々俺は『製造』関係の才能持ちで『守護者』としての特性は後付けだぞ?

 土地管理の才能は連合で学んだ程度しかないから、素のスペックでやろうものなら組合とその周り…ギリギリで丹後一帯護れるかどうかってところじゃないか? それも全力出して穴有り前提だけど」

 

 理由は話している通り、以前俺が過激派の手羽先共から隠れながら支部の管理している各地の地脈に埋め込んで俺の能力の補助をさせている『楔』であり、これによって終末により大幅な変動とそれによる大災害が随分と抑えられ、発生した問題も土地の拡大によるインフラの寸断程度*1で済んだのである。

 

 これに対して俺が復活して帰還する迄は事前に終末対策として、備蓄していた物資を配給しつつ復興作業をしていたのだが、別段これといって特殊な素材を使っている訳でもなかったので、これらインフラについては俺の方で即座に復旧させる事で解決した。

 

 寧ろ気を付けなければならないのは、今回の事で埋め込む場所一つにつき五つ埋め込んでいた『楔』が離れ離れになってしまった為、内側だけならば兎も角、外側の『楔』に安全面という意味で不安が出て来た事であり、至急新たな『楔』の製造と支部員の殆どを動員した埋め込み作業を行う羽目になってしまい、いきなり手痛い出費をする事になってしまった。

 

 一応終末前にも予備としてそこそこの本数を備蓄していたのだが、中途半端に費用が嵩む為各所に付き一本ずつしか用意出来ていなかったのが痛かったな…。

 

「てかなによりも面倒なのはターミナル関係なんだよなぁ…」

「クレクレ厨共をリストから弾いてもまだ大量に対処しないといけないのがあるんだったか?」

「それに下手に対処が早かったせいで、かなりの数の腐った連中がマトモな所に擬態し始めたのが手痛いな…あれでは他の真面目な場所を唆して腐らせかねんぞ」

「俺もそれが面倒だから、そもそもの原因であるターミナルのアップデートを図ってるんだが…中々上手くいかんなぁ…」

 

 各地のターミナルをそれぞれ再接続する事に関しては、各地の大型以上のターミナルはそもそもの通信能力が高い為即座に再接続する事が出来たし、通信範囲にある小型ターミナルも其々の周波数を近くの大型ターミナルに合わせる事で何とか再接続する事が出来た。

 

 問題なのはこの大型ターミナルの通信範囲外にある、各地のシェルター等で使われている小型のターミナルである。

 

 これらに関しては各シェルターの受け持ちをしている黒札が、どうにかして近くの小型ターミナルまで専用のケーブルを伸ばして繋ぐか、中間地点に電波の中継をする為の塔を建築するか、将又終末に入って更に高騰した大型ターミナルを購入するかしなければならない*2のである。

 

 難易度で言えばケーブルが一番時間も掛からず力さえあれば簡単に出来、中継塔は場所さえ良ければ先にある程度作る時間を確保すれば可能、大型ターミナルに関しては…正直納品すら何時になるか分からんレベルで連合が忙しい為現実的じゃない、って所だな。

 

 一応小型とはいえターミナルなので、内臓されている結界発生装置さえ無事ならある程度は時間に余裕が出来る為、前者二つの方法を試す事も出来るだろう…まぁ、普通に考えてアクマに邪魔されるだろうが…。

 

 ケーブルなんて分かり易い弱点は即座にぶった斬られるのは言わずもがな、中継塔だって四六時中守衛を置いておかなければアッサリ倒されかねないのである。

 

 そしてそんな徒労になってまで責められる位なら投げ出してしまうのが一般的な黒札であり、俺もそこら辺は分かっているので、なんとか大型ターミナルをアップデート出来ないか対処中。

 

 一応任意の方向へ電波を強化する事が出来るモジュールを作れはしたが、複数設置は出来ない上に指向性を作るだけの物なので、正直言って焼け石に水なんだよなぁ…(遠い目)

 

 さて、そろそろ目を背けるのも止めるとするか…。

 

「…でだ、お前らの嫁から『旦那様が何処に居るのか知らないか?』っていう旨の連絡が来てるんだが、ボチボチ帰宅しようっていう気はないのか?」

『ギクゥ!?』

「お前ら…はぁ…」

 

 指摘された事に対して即座に目──どころか顔毎逸らす野郎二人に思わず特大のため息が出てしまう。

 

 そう、この転生してからでさえも既にいい歳している野郎共二人、休日だというのに家に居たら嫁や女に迫られるからと言い、俺の執務室に転がり込んでいるのである!!

 

「いやまぁ、なんだかんだ延ばしてはいるものの向き合おうとしている百万ニキは良いよ、全員囲ってしまえと思わなくもないが、一途に行くかハーレムとして全員娶るかは個人の考えなんだし、そこに部外者である俺が口挟むのは筋違いだからな」

「ゆ、許された…」

 

 恋愛に対するスタンスは人其々だから、俺からは別段両者が納得している限り何も言わん…逆に言えば人様が何言おうと俺と嫁達は現状に納得してるんだから、誰が何言おうと気にはせんがな。

 

「でもヘラクレニキはどうなんだよ? 一度受け入れたんだから今更尻込みするのは男としてダメだろう?」

「いや、流石にあの体型に子供産ませるのは色々と不味くはないか!?」

「なら『変化』スキル入れて大人形態増やせば良いだろ」

「ぐ、ぐうの音も出ない…」

 

 終末迎えて嫁式神と子供作れる様になって*3いざ家族計画!! っていきたいのに、俺がやらなきゃならない事が山積みになってて仕事漬けなせいで、強制的に後回しにせざるを得ない俺を煽ってるのか?

 

「てかせめて俺の執務室を溜まり場にするのは辞めろや!? 気が散るんだよ!!」

「それに関しては万が一に備えた護衛も兼ねて居るのだから許して欲しい」

「終末突入直後で物資が色々払底している今、日用物資の一大生産拠点である丹後半島支部の支部長であるブーストニキに倒れられたら困るから、お目付け役決めて付けとこうって黒札内の掲示板で決まったから、今後はこんな感じで支部員黒札が誰かしらついてるからよろしくな」

「んんんんんっ…なんとも言えない気遣いをありがとうとは言っておこう!!」

 

 何時もながらなんか締まらねぇなぁ!?

*1
断じて『程度』で収めて良いレベルではない

*2
因みに特大ターミナルは小型ターミナルとは規格が違い過ぎる為、大型ターミナルとしか通信出来なかったりする

*3
プライベートな時間でいの一番に完成させた




 復興開始(側は殆ど復興完了済み)という詐欺の様な展開、こうしたかったから『楔』作り出してたと言っても過言じゃないっすね。

 ついでに言えば『楔』を集中的に設置してあるお陰で、簡易的とはいえ五重結界なんていうクソ硬い護りで外部からの侵入をブロック!! 『住民にとっては』これ以上ない安心を齎すでしょう。

 …それ以外の結界の外に来てる奴らはどうしてるのかって? それについては次回以降をお楽しみにですね。


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後日談その2 一段落した支部の黒札達

 前回の更新から一月以上が経過…職場で新しい仕事やる事になって毎回怒られまくり、気力がガタ落ちしておりました…。

 それにしても三十路となれば体の衰えをヒシヒシ感じますねぇ…三日に一回のペースでやってるだけなのに、筋肉痛やら腰の骨が軋む様な痛みがどんどん蓄積されてるような印象がありますわ…。

 常日頃から何かしらやって鍛えておくのが大事だと良く分かりますね(普段動かないヤツ)


1:先生

 新しくスレ立てしておくね。

 所でブーストニキがいつの間にか国土おじさんみたいな事やり始めたんですけど!?

 

2:名無しの転生者

 立て乙。

 国土おじさんって…何でそんな真似する羽目になったんだよ?

 確か今日は終末突入して復活した大江山異界をどうにかしてくるとか、顔顰めながら言ってなかったか?

 

3:名無しの転生者

 乙。

 てか国土おじさんってなんぞ?

 ここをキャンプ地とする!!

 …的なミームか?

 

4:先生

 近い様でちょっと違うかね?

 『アークナイツ』っていうタワーディフェンス型のソシャゲに出てたボス枠の一体で、体力が減る毎にターゲットとなるユニットを中心にデバフを受けるフィールド『国土』を展開してくる強敵だね。

 

5:名無しの転生者

 確か当時のゲット出来るキャラだと攻略が結構難しくて、一部からは『持ち物検査』呼ばわりされる程の難易度があったんだっけ?

 

6:先生

 そうそう、結構な人が他の人が上げた攻略動画を参考にしてクリアしたんじゃないかなぁ?*1

 

7:名無しの転生者

 てかアークナイツの話題が出たのに、モロ見た目からして主人公の『ドクター』なドクターニキが何の反応もないな?

 てっきり何かしらの反応してくると思ってたんだが。

 

8:先生

 あ〜…うん、ドクターニキは今日ボクと一緒にブーストニキ係だったからね…。

 

9:名無しの転生者

 oh…。

 

10:名無しの転生者

 トラウマ刺激されたショックで書き込めなくなったか…。

 

11:名無しの転生者

 つまり大江山に復活した酒呑童子の異界を『国土』しながら乗っ取っていくブーストニキを見て、ドクターニキがここにレスする余裕が無いレベルの精神ダメージを受けた、って事か…。

 

12:先生

 そういう事、前は修羅勢に依頼して神話再現してもらう事でふざけたレベルをしてた酒呑童子を筆頭にした鬼達を倒してたけど、その分滅茶苦茶依頼料踏んだくられたのが堪えたみたいでね。

 相手が自分に有利な土地に居るから強いんであって、それならその土地奪って自分有利な土地にすれば弱体化狙えるんじゃないかって事で、異界内の霊脈に対して『楔』を打ち込んでるんだよね…。

 

13:名無しの転生者

 そしてそれによってどんどん異界を切り取っていき、アクマ達の勢力圏を奪っていくのか…鬼かな? いや鬼は相手か…。

 

14:名無しの転生者

 そんでもってブーストニキは自分の領域で全能力増加の絶好調な上、相手は領域取られてただでさえ弱体化してるのに、更にブーストニキの領域となってるから裸一貫のステゴロ強制される*2というね…いやエグいわ。

 

15:名無しの転生者

 鈍でも武器無ければ戦えないってヤツはこの時点で詰むんだよな…。

 そもそもその鈍で攻撃当てようとしても武器が当たる直前に止まってしまうし、それなのにブーストニキは常に完全に整備されてる武具が欠片も破損しないからって気にせずぶん回してくるというね。

 お陰で丹後半島支部の自ら戦闘する系の黒札、全員何かしらの徒手空拳技能持ちとかいうある種異様な事になってるもんな。

 

16:名無しの転生者

 そもそも武器型式神でもない限り、俺達って自分自身に掛けられたデバフは防いだり解除出来るけど、武器や装備に対して仕掛けてくるヤツはしてくるヤツが少な過ぎて、初見だと普通になす術無いんだよなぁ…。

 そんでもって丹後半島支部で対人戦の腕磨くとなると、必然的に上位陣でありやり過ぎた時に修練場の修繕もしてくれるブーストニキに頼る事になるから、大体一度は皆叱られてトラウマになるというね…。

 

17:名無しの転生者

 あの人遂に分身の弱点克服して分身使った戦闘が可能になったから、ある程度忙しさが落ち着いたら何時でも気軽に模擬戦挑める様になっちゃったからね…。

 地方支部が拠点でそこのトップな上、ショタオジ程万能って訳でもないから分身の用途が少なくて、出しておける分身に余裕があるとはいえ、その余裕が出来たら常に鍛錬に注ぎ込むとか軽く言ってヤバいんよ。

 

18:名無しの転生者

 その精力(心身の活動力の意味)は嫁さん達に使ってもろて…。

 いや模擬戦後に反省会とかしっかりしてくれるし、滅多に居ないタイプの相手で良い経験になるから感謝はしてるんだけどね?

 

19:名無しの転生者

 なんかそれに関しては嫁さん達の其々の都合*3が上手く噛み合わないせいで、嫁さん同士で遠慮しあった結果、逆にブーストニキが暇してるらしいよ?

 確か今回の大江山に再出現した酒呑童子に対する処理も、本来だったらブーストニキが出るまでもない相手だったけど、ブーストニキ自身が珍しく暇してたから行く事になったみたいだし。

 

20:ブースト

 ボ ス ケ テ

 

21:名無しの転生者

 …なんかそんな話してたらご本人登場したけれど、また愉快な事になっちゃってる感じかこれ?

 

22:名無しの転生者

 まぁ、ふざけた救援要請してる時点でまだ余裕があるのは確かだろうな…。

 で、何があったんです? 確か今は先生ニキとドクターニキと一緒になって大江山異界の攻略に出向いてたんじゃなかったんですか?

 

23:ドクター

 あ〜…確かにそうなんだが、大江山ってほら…ブーストニキの天敵とも言える『あの娘』が居る訳だろ?

 どうにも彼女がブーストニキの現状聞いて、なんだかんだで友達なブーストニキのユエちゃんとユキカゼちゃんを煽りつつも嗾けたらしくてね…今はブーストニキが自室で嫁さん達相手に籠城してるよ。

 因みに大江山異界に関しては、もう完全にブーストニキが異界乗っ取った上に酒呑童子を仲魔にしてから異界の管理人に添える事で解決したよ。

 

24:名無しの転生者

 お、ドクターニキが精神ダメから復帰出来たのか…何サラッと酒呑童子仲魔にしてるんです?

 で、『あの娘』っていえば…あぁ、ブーストニキの外見元が出て来る作品のヒロインの一人か…。*4

 何の因果なのかこの世界でもブーストニキに惚れて、ユエをライバル認定してた筈なのに何時の間にか親交深めてたとか、マジでそういう運命みたいなの連想するよな。

 

25:ドクター

 その結果『少なくともユエが先に子供出来なきゃ、私がハジメさんのお嫁さんになるのなんて駄目だよ!!』とか言って我慢してたのが、当のブーストニキから「そのユエが忙し過ぎて暇が無いから子作りも無理」と聞いてユエちゃん嗾けに走ったというね…。

 

26:名無しの転生者

 なんかサラッと結婚さえ出来れば子供は直ぐ出来るみたいな宣言を、めっちゃ自信満々にしてて怖いんだが?

 

27:ブースト

 アイツそんな事言ってたのかよ…道理でユエがアレーティア状態でユキカゼと一緒に迫ってくる訳だよ…ヤベッ、部屋の扉が限界近いか?

 

28:名無しの転生者

 ブーストニキの居る部屋の扉が壊れそうとか、もしかして屋内でスキル使っていらっしゃる?

 

29:名無しの転生者

 存在するだけで建物強化されるブーストニキの家だからこそ出来る凶行じゃん。

 てか一瞬アレーティアってなんぞ? って思ったが、そういえばユエは呪詛対策に本名隠しやってたんだっけ?

 

30:名無しの転生者

 別にショタオジがコア作った専用式神だからそんな事する必要無いのに、無駄に心配性拗らせて付けたんだったっけ?

 

31:名無しの転生者

 で、そんな大事にしている嫁に逆レされかけている…と。

 なんで従順度高く設定してないんですか?

 

32:ブースト

 俺には人形を愛でる趣味は無かったってだけの話だな、正直連合入った頃は精神的に『理想の嫁』とか贅沢言ってる余裕が無かったんだよ。

 あ〜…ご丁寧に転移封じされてるし、ブレイカー落として固定してあるから電脳異界にも逃げられん…実家を異界墜しなんかやれないし詰んだ\(^o^)/

 

33:名無しの転生者

 転移封じとか中々ガチでいらっしゃる…てかそれつまり転移封じ持ってる外交役のグレイディーアも乗り気って事じゃん。

 あの子迄認可済みとか大分不利なのでは?

 

34:名無しの転生者

 でもショタオジ程じゃないけれど、そろそろブーストニキにも世継ぎ作ってもらわないと、丹後半島支部の後継とかどうするんだよ?

 

35:名無しの転生者

 それに関してはもうブーストニキが永世守護神する気しかないから、子供達の将来は自由なのが決まってるぞ。

 

36:ヘラクレス

 …おいお前ら、ブーストニキの惨状を他人事みたいに話しているが、もしも今ブーストニキに子供が出来たらどうなるか分かってるのか?

 俺らが代役する事になるんだぞ?

 

37:名無しの転生者

 あ

 

38:名無しの転生者

 あ

 

39:名無しの転生者

 …え、嘘マジで?

 

40:名無しの転生者

 嘘も何も当然の話なんだよなぁ…別に丹後半島支部から離れる訳じゃないからある程度の安全性は確保されてるんだけど、結界への意識は薄まるだろうから外から入ってこようとするアクマは増えるだろうし、機械に対する意識もブレるからセミオートで管理する事になるからな。

 まぁ、そこら辺戦闘特化な俺は警戒と侵入者への対応だけで済むから楽だな。

 

41:ヘラクレス

 俺もマトモに出来る事なんて戦闘しかないし、そもそも今日は異界に潜って資材集めが当番だから関係無いな。

 

42:名無しの転生者

 【悲報】管理部所属俺氏、無事各工場稼働状況監視役確定【過労死間近か】

 

43:名無しの転生者

 いや、読み辛いわ!?

 

44:名無しの転生者

 確かブーストニキの自室って窓あった筈だし、そっから逃げるのとか出来ないのか!?

 

45:ブースト

 無理、そもそも今終末入った事で雨漏りとかしてないか地下室点検してる所だったから、逃げ場なんか何処にも無い。

 

46:名無しの転生者

 駄目みたいですね(諦め)

 

47:ブースト

 あっ、遂に扉ブチ破られた…うぅむ、完全にヤル気満々ですなぁ…。

 それじゃあ、皆マニュアル通りに頼んだz

 

48:名無しの転生者

 喰われたな(確信)

 

49:名無しの転生者

 まぁ、早目に訓練の成果を試せる様になったんだと考えとこうや…。

 

50:名無しの転生者

 そうだな…それじゃ、イクゾー(白目)

 

*1
自分は見なければ出来なかった側でしたね…by作者

*2
ブーストニキとの戦闘に於いては権能として自身の武具やアイテムを強化したり、逆に相手のアイテムを機能不全や暴発させたり、武装解除や果ては『呪いの装備』染みた物へ変えることも出来るので、実質素の技量とスキルや権能だけでやり合わざるを得ない為

*3
式神組は主に戦闘面を担当しており、人間組は其々対人交渉や組織の統率をしている

*4
『ありふれた職業で世界最強』に出て来る『白崎香織』の事、この世界だと大江山異界を管理していた名家()の傍流でほぼ一般家庭生まれで『鬼女ダーキニー』のペルソナ使いだったりする。因みに年齢だけはズレており、現在現役女子高校生である。




 尚、掲示板では色々面倒そうに話していますが、全体的に見れば稼働率は80%程度となっているので、他所に比べたらクッソ楽な仕事ばかりだったり…。

 まぁ、その分いざという時の為に備えて異界篭るなり装備整えるなりして、実力高めたり蓄え用意しておけよ? って事ですね。


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