The Survival of The Fittest. (いろいろしてる人)
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プロローグ

しばらく前の原作ですよね。

はい。

うろ覚えです。




違ってたら……ごめんね?


そこは大きなショッピングモールだった。

休日にはイベントだってやっているし、そうでない時だって人がたくさん各々のしたい事をしているような、そんな都市の中の一部だった。

 

「……静かに。」

 

小声で囁く。

自分よりも小さなその娘は物分かりが随分と良いようで、しっかりと頷いて見せた。

 

足音。三つだ。階下は地獄。上の方が、存在しなければ良いであろうバケモノ達の割合は少ない。当然の判断と言えるだろう。

 

「……もう大丈夫ですよ。」

 

足音が去っていく。その娘は当てていた両手を取り払った。少し悲しそうな表情だった。

 

「ついて行きますか?」

 

聞くだけ聞いてみた。

 

「……や。」

 

否定の意思はしっかりしているようで、その娘は僕の服の裾を掴んでいた。

しかし。

 

「行ってらっしゃい。」

 

「え……?」

 

人の心は幼子には必要だ。冷酷さは、ここでお役御免になる訳で。

 

「僕としては負担は増やしたくない。それに、貴方はまだ小さいんですから。少しはまともな人に触れてください。」

 

にっこりと笑って、手放した。

 

「……。」

 

呆然としている。まだ受け入れられないようだった。

 

「さ、今じゃないと間に合いませんよ。」

 

背中をそっと押して、下の階へ飛び降りた。

 

「っ……え、えーっ……!」

 

上の階から覗く顔に、親指を立てた。どうせなら、派手に荒らしてやろう。

 

「走って?」

 

満杯のバックパックの横に付けてあった防犯ブザーを、二階の端に投げ飛ばした。

走っていく少女が見えた。知っている顔だが、知らないと思うことにした。

情は持つべきでない。こうなった世界で生き残るには、適応しなければならないのだから。

 

迫ってくるゾンビの群れに、僕は飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ははっ。」

 

暇な毎日を過ごしていた。

暇つぶしが無い訳ではなかった。適当に開いた料理教室まがいの講座も楽しかったし、コンビニのアルバイトだって色々あるにはあった。大学生活も、そう悪くなかったと思う。

 

しかし、今となって見れば。『ああ、このまま日常を過ごして、いつかそうなるんだろうな』と、ぼんやりとした未来を想起しながら過ごしていた日常なんてものは、面影すらなくなって。

 

「生きてる。ははっ。」

 

壊滅した街に、今や独り。身勝手に捨てて、一人。

これは、そう、Apocalypse。滅亡したこの世界に、僕は生きている。

 

「あぁ……ははっ。」

 

想起するのは過去。今となっては、浸るだけ。

感傷。感情。純情はもう穢れてしまって、裏切りと死が隣り合わせ。

自嘲の笑みに涙はなくて、乾いた空気が漏れるだけ

虚しく悲しい。たったひとつ残っていた残瀝すらも、手放したばかり。

 

「生きなきゃなぁ……。」

 

民家の屋根の上で、夜空に浮かぶ月を見上げながら呟いた。

 

 

 

これは、日常を辿る旅。

僕の想起の物語。



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