性技の指揮官:ORE NIKKEがえちえちで困る (もみにい)
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1章 原作 CHAPTER00〜04
01



に、にけの小説が5件しかない……だと。
これは増やさねば!!


 ……つ……ない……!

 

 し……ん!

 

 A、……D……!

 

 ショック!

 

 

「!!」

 

 ……い、息が……っっ。

 

「指揮官!大丈夫ですか?……私の声が聞こえますか?聞こえるなら笑ってみてください!」

 

 わ……笑う?

 

「……ふう……所属先を言ってみて下さい!」

 

 何とか、笑うことが出来たのだろう……眼前の美女は汗を流しながら俺の様子を伺った。

 

 ……?

 

 所属先?……陸上自衛隊?

 

 ……??

 

 中央政府ニケ管理部?

 

 な、何だ……おかしな記憶が……俺は……陸上自衛隊に入ったはず……前期教育を終える直前、配属先が決まる時期だったはずだ……配属先が中央政府ニケ管理部?……なのか?

 

「ち、中央政府……ニケ管理部」

 

「横になったまま、手を頭の上まであげてください!」

 

 取り敢えず、言われた通りに手を上げておく。

 眼前の美女は、ほっと息を撫でおろし、大きな胸に手を当てていた。

 

 …………。

 

 ち、乳がでけぇ……どうして乳袋があるのでしょうか?

 

「―――できますか?」

 

 ん?……何を?……やべぇ、全然聞いてなかった。そのお楽しみお乳で楽しむことはできます!とでも言えば良いか?

 

「……指揮官!?」

 

「――!?」

 

 俺の反応が無いことに焦りを覚えたのか、美女が俺の顔に手を添えてくる。美女の汗が流れ落ち、俺の顔に滴り落ちたところで、何とか言葉を返した。

 

「で、出来る」

 

「ラジャー!今から交戦を開始します。絶対に頭を上げないでください」

 

 銃火器を片手に真剣な表情で前を見据える美女に尋ねる。

 

「あ、あんたは……ッ!?」

 

 美女は一度踵を返し……座り込んだ俺の頬に手を差し伸べ、顔が近づいた。

 

「私はマリアン、ニケ……いいえ、指揮官だけのニケです」

 

 あと、ほんの数センチで唇が接触するほど近づいた顔には、慈愛の籠もった微笑みが浮かんでいた。

 

「……マリアン、は……大丈夫、な……のか?」

 

「心配なさらないで下さい……私があなたをお守りします。何があっても」

 

 絶世の美女に慈愛の籠もった視線を向けられ動揺を隠せない中、マリアンと名乗ったニケは銃火器を片手に戦闘に突入した。

 

 ニケ?

 

 ……ニケってなんだ?

 

 てか、今更気づいたが……めっちゃ勃起してる。

 

 気づかれたよなー。

 ……絶対気づいてるよなー。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 戦闘終了後、足に傷を追ったマリアンに自衛隊仕込の止血法を使い包帯を巻いた。必要ないと言い張るマリアンを制し治療するのは、骨が折れたとだけ言っておく。

 

 てか、マリアンさん……力強過ぎない?比喩抜きで折れるかと思ったわ!

 

 その際、マリアンが故障だかどうだか言っていたが、何のことだ?……どうにも思考が安定しない、俺が俺ではない……みたいな?

 

「私が支えますね」

 

 ふにゅん。

 

 思考に没頭していたため、ふらふらと歩きながら、生返事ばかり返していた俺の腕が抱きしめられる。

 

 ふにゅふにゅ。

 

「辛かったらいつでも言ってくださいね」

 

 慈母のように微笑みながら、そんな事を言われるが……てめぇのせいでむらむらがヤバいんだよ!!……とは流石に言えない。

 

 そもそも、俺のせいで怪我している女にそんな事言えるはずも無かった。

 

「わ、わかりました」

 

「ふふ、どうして敬語なんですか?」

 

 ニコニコと微笑みながら、何が面白いのか俺の顔をずっと覗き込んでいたマリアンの表情が引き締まる。前方から感じる妙な気配と眼前に冷めた視線を向けるマリアンの姿が、状況開始を物語っていた。

 

「前方にラプチャー発見。迂回は不可能と思われます」

 

 すぐに終わらせます。と言い残し、マリアンが駆けていく。情けなくも……俺は言われた通り姿勢を低くして、その姿を見つめることしか……出来なかった。

 

 ラプチャー。

 人類の天敵。

 どこか、虫や動物を思わせるフォルムをした機械生命体?

 

 俺は……。

 俺の身に何が起こったんだ?

 知らないはずの知識がある。

 

 ラプチャー、ニケ……アーク……。

 

 しっかし、えっろいケツしてんな。

 ぷるんぷるんじゃねぇか。

 

 ……少し、調子が戻ってきた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 状況を整理しよう。

 

 マリアンがラプチャーの群れを蹴散らした後、ラピとアニスと名乗った二人のニケと合流した。

 

 ドスケベ衣装の癖に真面目ちゃんなラピ。

 屈むと豊満な尻が丸見えになるのは何なんだ……試されているのか?

 

 薄ピンク色の乳輪が常に見えている、捻くれ構ってちゃんのアニス。

 こっちはこっちで身体付きがえげつない……胸部装甲は化物級だ……やはり、試されているのか?

 

 そんな破廉恥娘達と合流し……正直、勃起を抑えるのに苦労した。

 できるだけ二人を見ないようにマリアンを見ていたが、そのマリアンも正統派ドえろ娘である。

 何のための乳袋なんだ……絶対に試されている予感がする。

 

 前門のマリアン、後門のラピ、アニス……ここはコスプレ風俗ですか?

 正直、むらむらが止まらない。これは現在進行系である。

 

 三人とも羞恥心を何処かに捨ててきたのか……酷く無防備に歩く為、チラチラ目に入る肌色や黒色が俺を惑わせる。

 

 ……いかん、思考が逸れた。話を戻そう。

 

 合流した二人から情報を貰った。

 そこで、指揮官が一人死亡したこと。

 俺がこの分隊の指揮官になったことが判明した。

 

 分隊の作戦を伝えられ、通信が切断されたニケ1分隊の捜索中ということが分かったが、座標を知っているのは死亡した指揮官のみという……絶望的な状況に置かれた。

 

 しかし、その状況はマリアンが座標を知っているとの発言で解決した。

 

 その後、マリアンのボディーチェックというスケベ展開があったが、アニスに遮られ肢体を拝むことは出来なかった。

 俺が、ニケを女性として見ていると誤解があり、アニスに遮られてしまったのだ。

 

 ……。

 

 アニス……誤解では無いんだな、これがッ!

 

 しかし、スケベ展開はあった。

 ……その時のことを少し思い出し、つい甘勃起しそうになる。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ラピ、アニスとの合流後、マリアンが体調の異変を感じた。

 敏感に反応したラピがメンテナンスを手伝うため、上着を脱ぐように促す。

 

 正直、どのようなメンテナンスが行われるのかワクワクしていた。それなのに……それなのに!

 

「指揮官様はこっち向いてて」

 

 アニスに後ろを向くよう指示されたが、意地でも視線を逸らさない。

 

「いや、俺は指揮官だ。きっちりと俺の目で見ておくべきだ!」

 

「何その力説……随分と余裕ね、このスケベ指揮官様!」

 

 何時までも目を逸らさない俺に痺れを切らしたアニスに引っ張られ……連れて行かれる。

 

「……おい、待てッ!」

 

 ちょ、待てよッ!スケベって言う方がスケベだぁろうがっ!!

 

「だ、駄目ですよ!指揮官!」

 

「……じっとしてて」

 

 後ろでは恥ずかしがるマリアンとため息を付きながら、作業に取り掛かろうとするラピ……い、いかん!始まってしまう!!

 

「アニス、これは作戦に関わることだ」

 

「はぁ?作戦?そんなわけ無いじゃない。指揮官様にニケの何が分かるって言うの?」

 

 座り込んだ俺を、前屈みになり覗き込むアニスが大袈裟にリアクションを取ったため、でか乳がぶるんっっと弾み……薄ピンク色の面積が増えた。……ッツ!……それを鋭い目つきでじっと見据えながら、至極真面目な態度で伝える。

 

「俺にニケの事は分からない……でもな……マリアンの事は分かりたいんだッ!」

 

「……し、指揮官っ」

 

「……黙ってて」

 

 マリアンには俺の純粋な思いが伝わったようだ。

 

 ラピェ。

 

「……ふ〜ん、それにしても……ちょっと暑いよね……指揮官様?」

 

 しかし、眼前のアニスは何を思ったのか、意地の悪い顔をして胸元の紐を引っ張りパタパタと仰ぐ。そんな細い紐で風なんて来るはずが無いが、ぷるぷる震える姿に目を奪われる。

 

 くっそ、えろいんだが。

 

「……そんな紐で仰げるわけねぇだろうが……誘ってんのかっ」

 

 本音が漏れた。

 

「……何か言った?指揮官様?」

 

 幸い、アニスの耳には届いていなかった。

 

「い、いや……た、確かに、少し暑いな」

 

 紐が上下する度に、隠された薄ピンクの面積が広がり……少し濃いピンクまでもがチラチラと見え隠れする。

 

「ぶふっ……でしょう!指揮官様も少し休憩したほうがいいでしょ、私も休憩しよっと……んしょ」

 

 ぷるんっ!ぶるんっ!どたっぷん!!ぷるぷる!

 

「ほら、地面よりこっちに座ったら?指揮官様」

 

 岩に腰掛けたアニスが自身の横を叩きながら促す。決して、ぷるぷる震える装甲に負けたわけでは無いが……素直に従うことにしよう。

 

「……そうしよう」

 

 座ってもなお、衰えないパタパタの脅威に……俺は、抗えなかった。そして、今夜のおかずはアニスにしようと心の中で呟いた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 紆余曲折ありシフティーという管制員(全身が見えなかったがあれもドチャシコすけべ娘で間違いない)のサポートを受け、マリアンの案内により座標に到着。

 

 道中はマリアンが無双しており、ラピとアニスが不思議がり……何故かマリアンまでもが不思議がっていた。

 

 そして……。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ……俺は、アークに……帰ってきた。……マリアンを、地上に残して。

 

「指揮官……大丈夫ですか?」

 

「ああ……問題ない」

 

 ラピにはそう返したが……問題ない、はずが無い。俺はマリアンを……。

 

 脳裏に浮かび上がる光景が、嘘でも冗談でも無いことを俺に示した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 マリアンに連れられた座標は……ラプチャーの餌場だった。勘違いしないように言っておくが、決してマリアンが裏切ったとか、そういう話ではない。

 

 マリアンは……ラプチャーに侵食を受けていた

 

「ここです、ここです、ここです、ここです、ここです」

 

 瞳が紅く輝き……同じ言葉を繰り返すマリアンが……。

 

『こここここでででででですすすすすす』

 

 どこからともなく現れた触手につかまり、姿を消した。

 

 

 そこからは怒涛の展開だった。逃げる事を前提に行動しようとするアニスをラピが止め、俺に選択を委ねた。

 

 助けるか……逃げるか。

 

「マリアンを助ける。力を貸してくれ」

 

「ラジャー」

 

 俺の言葉に力強い返事を返したラピにアニスが詰め寄る。

 

「正気なの?死んじゃうよ!」

 

「アニス。やってみよう。やってみたいの」

 

「……見つけた?」

 

「まだ分からない」

 

 二人の会話の意味は分からないが……半ば諦めたようにアニスも覚悟を決めた。

 

「いいよ、じゃあやってみよう」

 

 俺は覚悟を決めた二人を信じ、指示を出した。

 

「目標はあの触手野郎だ。俺の事は気にするな。全力で……()れ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 正直、戦闘に関しては必死過ぎて余り覚えていない。

 

 触手を生やした敵の親玉を倒し、マリアンを取り戻した……と思っていた。

 

「ここ……です……こ……こ……」

 

「手遅れね。侵食が脳にまで転移してる」

 

 告げられたのは……どうしようもないという現実。

 

 唖然とする俺に対し、シフティーは軍法によりニケの処分は指揮官が行わなければならない……と告げた。

 

 ラピから拳銃を手渡されるも脚は動かず。

 

「私が……やろうか?」

 

 アニスが俺の肩に手をかけ、小さく呟いた。

 

「ダメよ。ニケがニケを処分することはできないもの」

 

 ……違う。そうじゃ……無い。

 

 例え、それが出来たとしても……これは俺がやらなければならない事だ。

 

 手を重ね。肩にかけられた手を外す。

 

 マリアンに向かい、歩を進める……一歩一歩が、果てしなく遠く感じた。

 

 ……何が処理だ!馬鹿言ってんじゃねぇぞッ!

 

「指揮官。ぐずぐずしている暇はありません。このまま放置すれば、イレギュラーになる可能性が高くなります」

 

 何時までも銃を構えない俺に痺れを切らし、ラピが淡々と呟いた。

 

 マリアンに対し、銃口を向けようにも、鉛の様に腕は動かず……必死に上げられた銃口は、直ぐに下がっていった。

 

「指揮官!」

 

 下げられていく銃を……マリアンが優しく掴み取り……。

 

「し、き……かんっ……こ……こ……で、す」

 

 自身の眉間に誘導した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 脳裏に浮かび上がった光景が……これ以上は思い出すなと言うように……途切れる。

 

 止まった脚を動かし、前に歩を進める。半歩後ろを歩いていたラピとアニスが、俺の側に移動した。

 

「指揮官、マリアンは強いニケです。私よりも強いニケです……気休めにしかなりませんが……必ず迎えに行きましょう」

 

「ラピ……」

 

 作戦途上で合流した礼儀正しいニケ。綺麗な茶髪を靡かせ、マリアンに対し敬礼する姿は脳裏に焼き付いた。

 

「そうだよ指揮官様……気の利いたことは言えないけど。きっと大丈夫だよ」

 

 少し伏し目がちになりながら、アニスも励ましてくれる。

 

「アニス……」

 

 ラピと共に合流したニケ。真面目なラピと対象的に軽口を叩く彼女は、精神的な支えとなってくれていた。

 

「マリアン……」

 

 俺を助けてくれた、初めての仲間であり……ラプチャーの侵食に倒れた彼女は……。

 

 短い時間だったが、俺を側で支えてくれた姿は……もう此処には無かった。

 

「ありがとう、ラピ、アニス……そうだな。必ず……取り戻す!」

 

 きっと可能性は限りなく低い……零といっても過言ではない。そんなことはラピもアニスもわかっている。誰よりも……理解しているはずだ。そんな二人にこれ以上暗い顔をさせる訳にはいかない。

 

 俺は前に進む。いつか必ず、マリアンを……。

 

「なんか、指揮官様から邪気を感じる」

 

「……そうね」

 

 そして、必ず……あのお楽しみお乳を揉みしだく!!

 

 決意を固める俺に対し、アニスは乳輪丸見えな胸元を隠し、ラピはスカートのなり損ないのような破廉恥衣装の布切れで、できる限りお尻を隠した。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 結局俺は、マリアンを撃つことなど……出来なかった。

 

 健気にも銃を掴み、眉間まで誘導してくれたにも関わらず……俺には……出来なかった。

 

 マリアンに重ねられた指が、引金を押す瞬間……銃口を逸した。

 

 ラピ、アニス、シフティーを説得……否、有無を言わさず命令を下し、廃墟の一室……そこにあったベットにマリアンを……。

 

 いつか、必ず迎えに行くと書いた置き手紙と、出来得る限りの……気休めにもならない治療を施して。



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02


えろへの最高の前菜はストーリーでは無いのかと思います。
可愛いおんにゃの子達とのストーリーあってより、えろが引き立つ……。

しっかし、えろが遠い……辛い……熱が冷める前に多少強引にでもえっちまで持っていきたい今日この頃です。

作者がNIKKEをインストした決め手はアニスでした。
アニスうざ可愛い……


 鏡を見た際に、俺が俺では無いことが分かった。いや、正確には俺だったのだが、どういうわけか顔の歪みは治り、綺麗な左右対称……上半身の古傷もなくなっていた。

 

 念のため携帯端末……面倒だからスマホでいいか。

 スマホで写真を撮り確認したが、やはりそこそこのイケメンがいた。

 

 人間は左右対称なら大概は美しいと聞いたことがあるが……確かにその通りだと実感した。

 

 そして大事なことが一つ。

 

 でかいッ!

 

 我が主砲ッ!!

 

 圧倒的戦闘力ッ!!

 

 まだ、臨戦態勢は試していないが……期待に打ち震えた。

 

 まぁ……綺麗な可愛らしい色だったけど。

 

 ど……どどど……童貞ちゃうわ!

 

 

 さて、現実逃避をやめて現状を確認しようか。

 

 アーク。

 人類最後の希望。

 

 簡単に言えば地下コロニー。

 小難しい事は知らん。

 

 そんなアークに、俺は帰って来た。

 

 オーケー、ここまではいい。

 作戦を成功?……させ、何故か副司令官というナイスミドルなお偉いさんと面談。

 

 ありゃ〜強いぜ。

 立ち振舞に隙がねぇ。

 しかも、イケオジ。

 あいつは敵だ。 

 

 ごめん、嘘。長いものには巻かれるタイプなんだよな俺って。

 ずっと「は!」しか言わなかった。

 

 副司令との面談後、すぐに戦闘力テスト。

 イングリッドという美女……年齢については知ってはいけないし、聞いては駄目な気がした。

 良い年してセックスアピール満載の軍服に身を包んだ……とか考えてたら視線がヤバかった。多分、何人かヤッてる。色んな意味でヤッてる。

 タクティカルって口癖はどうかと思うっすよ。

 

 因みに戦闘力テストはボロボロだったとだけ言っておく。

 

 初めてなんだから仕方ないだろぉ!

 なんだよ指揮って、こちとら将棋でさえルールすら曖昧なんだ!黙って殴らせろやッ!

 

 そんなこんなでやっっっと休めると思ったんだよ。

 

 俺にだって考えたいことが山程ある、主に主砲の破壊力とか?持続力とか?回復力とか?

 

 ……。

 

 下の事ばっかじゃねぇか……死にかけた影響かなー?

 何か思考がソッチ方面に……まぁあんなえちえち娘達が近くに居るんじゃ仕方ないよな。うん、仕方ない。

 

 それがよー、また副司令に呼ばれたと思ったらさー。

 てか、一回で言えよな。

 小出しにするのは、えろい事だけで十分だろ。

 

 

 

 はい?

 

 発電所の調査?

 

 えっ……地上??

 

 えぇっ?俺、帰って来たばっかっすよ??

 

 しかもめっちゃ良い女が……はぁ……傷心中ですよー??

 

 くっそブラックじゃん!ヤダーーッ!!

 

 ちょっと厳しいっすねぇって答えたら変な目で見られた……。

 

 せめて2日位休みをくれッ。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 俺はアーク……安住の地に帰って来たんだよな?

 

「こんなに広くて、空がパチパチしないなんて。こんなの本当に初めて見ました」

 

「……で……遭……」

 

 俺は……無力だ。

 

 自らスパイだと言い出したエリシオン社のニケであるネオンが仲間になり、あれよあれよと地上に飛ばされ、今現在へと至っている。

 エリシオン社はタクティカルさんがCEOらしい。あの人……なんでネオンを?……ああ見えて馬鹿なのか?

 

 メンバーはラピ、アニス、ネオンに管制員のシフティー。

 ふざけんじゃねぇぞ、クソ副司令と男ひでりのタクティカル野郎がァア!!

 今頃二人でイチャコラしてんじゃねぇだろうなッ!

 

「指揮官?……指揮官、聞いていましたか?」

 

 ラピに促され、どうにか諸々の怒りを抑え込む。

 

「……すまん、考え事をしていた」

 

「……指揮官様ぁ?しっかりしてよね、唯でさえ、ス・パ・イ・がいるんだからね〜」

 

「スパイ?誰のことですか?」

 

「あんたの事よ!」

 

「私?……スパイ!そうでした!私はスパイでした!」

 

 ネオン……ぼんこつ。

 

「はぁ……シフティー……説明を」

 

『はい、急いで移動して欲しいので簡潔に説明しますね―――』

 

 呆れているラピの後ろでアニスと自称スパイであるネオン……自称スパイって新しいを通り越して逆に古そうだ。

 

 そんな二人が漫才を繰り広げる中、シフティーの愛らしい声に癒されながら移動を始める……ASMRが人気になる理由が少しだけ理解った。

 

 つまり、簡潔に言ってグダグダだよ!

 ラピの呆れ顔可愛い……。

 

『分かりましたか?指揮官』

 

「分かった。ありがとな、シフティー」

 

 シフティーの説明は簡潔で分かりやすかった。耳障りの良い柔らかな声も合わさり、荒んだ心に心地良い。

 一家に一台、お喋りシフティー!……これは!?売れるな。

 

 纏める必要の無いくらい纏まった説明をシフティーがしてくれた。

 

 作戦の最終目標は発電所にある制御室の調査。

 発電所までは無人浮上式鉄道?の線路に沿って移動する必要があるが、高圧電流が流れている。これはラプチャーの外部移動を防ぐために意図的に流したものであり、線路の電流を外部より遮断するため、目下の目標は制御センターに向かうことになった。

 

「あ」

 

「!!ラピ!」

 

「指揮官!私の後ろへ!シフティー!バックアップを!」

 

 ネオンが漏らした『あ』に対し瞬時に緊張が走り、アニスとラピが臨戦態勢を取る。普通に優秀だなーこの二人。

 

 俺?付近に気配は感じないから大丈夫だろ。

 

 ラプチャーの気配は大体覚えた。何か独特な気配をしてるから数とかは誤魔化されるが、比較的気配自体は分かりやすい。

 

「……私、何か失礼なことでも言いましたか?」

 

 きょとんとするネオンに、アニスが半眼で呟く。

 

「……ラプチャーが出たんじゃ?」

 

「違います」

 

 自身満々に言い切るネオンに対し、アニスは呆れを通り越し、隠すこともしなかった。

 

「……ねぇ、ネオン。地上に出たニケには暗黙のルールがあるの」

 

 えっちな格好を義務付けられる……とかだろ?いつまで乳輪チラチラ見せてんだよッ!

 可愛い捻くれちゃんの癖して、男の視線には無頓着、歩くドすけべ提供娘……エロゲじゃねぇんだぞッ!

 

「『あ』単独では使用禁止よ。分かった?」

 

「あ、そうですね。これは大丈夫ですよね?」

 

 ネオンェェ……。

 

 にこにこする姿は可愛らしくもあるが、いかんせん……ぽんこつである。ずっとパンツ丸出し……やはり俺は、試されているのか?

 

「それは大丈夫」

 

「……それで、何があったの」

 

 ラピの疑問に対しネオンは待っていましたとばかりに食い気味で反応する。

 

「私、いいこと思いついたんです。線路に流れる高圧電流が問題なら……」

 

 言葉を区切り、キリッとしたキメ顔のネオン。

 メガネが真っ白になり瞳が見えなくなるのは、きっとニケとしての演出……なのだろう。なんて無駄な機能だ……きっとまだパンツ丸出しなんだろうな。

 

「ゴムの長靴を履けばいいのでは?」

 

 誰か……大至急ゴムゴムの実を持ってきてくれ。

 

 皆に沈黙が走るなか、一番に口を開いたのは、アニスだった。

 

「……悪くないな」

 

 貴様もカァッ!!乳揉みしだくぞォッ!!

 

『悪いですよ!こんな高圧電流が流れる場所は、人間が近づくだけで!……はあ。とにかく、ダメです!』

 

 シフティーちゃん、マジ天使。

 アニス……貴様には後でお仕置きだ。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 制御センターに到着後、俺のスマホに素敵機能が備わっていることを知った。その際、アニスが士官学校を卒業したことを嘘ではないかと疑ってきたため、お仕置きを追加することを決意。

 

 スマホ搭載の素敵ケーブルを繋げ、シフティーが高圧電流を遮断し、道が出来た。

 

 尚、ネオンがまだ長靴がー……とかほざいていたが、殺しに来てるのか?……流石に雑すぎんだろ……一応自称スパイだが……我慢我慢。

 この分はアニスのお仕置きに追加することを決意。

 

 

『発電所の位置を確保!進入可能です!』

 

 問題なく線路を通過し、発電所への進入経路が確認出来た……ラプチャーがうようよいるがな。

 

「50機以上のラプチャーがいるところに入ることを、『進入』と呼べるならそうね」

 

 アニスの言う通りだ。

 シフティー……まさか君も……なのか?天使ではなかったのかな?

 

「普通は自殺行為って言うのよ、それ」

 

 尚も続くアニスの正論に、俺も便乗する。

 

「アニスの言う通りだ。俺は自殺するつもりは無いぞ……シフティー、調査不可能……では駄目なのか?」

 

 そんな問いにシフティーが伏し目がちになる。心なしか声にも元気が無くなった。

 

『……はい、あの発電所には大きな意味があります。あの規模ならアーク内のすべての施設を2ヶ月は稼働させられますから』

 

「つまり、この作戦の重要度は非常に高いと言えます」

 

 シフティーの言葉に対し、ラピが補足事項を追加する。

 

 うん、やっぱ真面目ちゃんだなーラピは。

 

「3人に任せるくらい、すご〜く重要な作戦だってことね」

 

 アニスの言葉は嫌味に溢れていた……やっぱこの娘すっげぇ人間味溢れてんなー。

 

 ニケは所謂アンドロイド。

 脳以外は、えちえち機械ボディー。

 

 うん。

 嫌いじゃない。

 むしろ大好きだ。

 

「アニス」

 

「何?」

 

「作戦拒否?」

 

「それは……違うけど」

 

「では、そんな無意味な説明はしないほうがいい」

 

「……わぷっ……な、何よ!指揮官様!」

 

 何となく、正論を吐きまくるラピにアニスが噛み付く気配を感じたので、取り敢えず頭を撫でておく。

 義妹に頭を撫でるのなんてセックスと一緒ですぅ!!とか言われた事あったような……うん、どうでもいい!

 

「俺を心配してくれてるんだろ?損な役回りさせてごめんな……それとありがとな」

 

 一瞬だけ目を見開いたアニスは、きっと色々な感情と戦ったのだろう。

 

 今までの発言、危険は嫌だと言いながらも、熱を感じさせない悲観した口ぶり。

 何でこんな良い子が……はぁ……過去は変えられない。この娘の未来が少しでも良くなりますように。

 

 撫でり、撫でり。

 

「……そんなんじゃ……無いし……私は、自分が……もうっ!」

 

 ほうほう……。

 ほうほうほう。

 此奴、赤くなりおった。

 可愛い!ヨシッ!!

 

「どうやって進入しましょうか?」

 

 それを考えるのが俺の仕事だろ?

 なあ、ネオン君や。

 

「発電所を掌握しているラプチャーを全滅させ侵入すればいい」

 

 ラピぇ。真面目過ぎて損するぞ。

 

「ああ、なるほど。行きましょう。私の火力をお見せする時が来ましたね」

 

「それって、選択肢じゃないわよね」

 

「まぁ、待て、取り敢えず調査を続けよう」

 

「指揮官様!?……そう……ああ、分かったわ。行けば良いんでしょう、行けば」

 

 俺の言葉はどうやらアニスの琴線に触れたらしい。

 

 二人の意見に賛同し、このまま突進すると思ってしまったのだろうか?

 

「じゃあ皆、装填を確認してから突進しましょ。3人だからすぐ死んで終わっちゃうからね」 

 

 撫でる腕を振り払ったアニスは、武装の確認を始めた。

 

「アニ……指揮官」

 

 自暴自棄になったアニスを止めるため、ラピが口を開くが手で制す。

 何でこの娘らは零か百しかないんだ……ニケの扱い……か。

 

「何よ指揮官様。弾除けくらいはするから……後ろに隠れてて、脳だけはちゃんと回収してね。それくらいはできるよね、指揮官様?死地へ追いやるよりは全然簡単よね」

 

「俺はさ、正直発電所なんてどうでも良い」

 

 ここらで意志の統一を図りたい。

 なんだかんだ慌ただしく動いて、まともに話も出来ていない。

 

「っ……なら、どうして!」

 

「聞け!!」

 

 突然の大声にアニスはビクッと体を震わし、俺を見上げた。

 

 正直冷や汗ものです。ラプチャー来ないよな……フーッ気配的に問題なし!

 

「俺は今日死にかけた、死にかけたけどな……そんな俺を救ったのはお前らだ……お前らは恩人だ。そんなお前らを何よりも大切に思うよ。俺は」

 

「……あっ」

 

「指揮官っ」

 

 紛れも無い本心。ほんの少しだが伝わったよな?……それでも盲目的に信じるなんて、できないよなー。

 

「それは、私もですか?」

 

 空気読めよぅ、ネオンぇ。

 

「お前らと一緒に発電所を調査。可能なら奪還する。誰一人欠けることなく全員でだ……当然、ネオンもだ」

 

「やった!」

 

 雰囲気が幾分か柔らかくなった。

 これを狙ってやってるならネオンは凄い奴だ……絶対に無いと言い切れるが。

 

「あーあー……やっと休めると思ったのになぁ、美少女と仲良くなって、ウハウハだと思ったのになー」

 

「び……美少女!?」

 

「ニケだろうがなんだろうが……俺に取っては美少女だ!アニスもラピもシフティーも……ネオンも?」

 

「なんで私だけ疑問形なんですかー」

 

 残念系火力美少女……残念だよなぁ。本当に。

 

「……それがよォ、蓋を開ければ死にかけて……直ぐ別任務だと?ふざけんじゃねぇぞ。クソ副司令に妖怪タクティカル……ムカつくなぁ」

 

「よっ!?……し、指揮官、それ以上は軍法に……」

 

「……シフティー、オフレコで頼む」

 

『ふふっ……はい、指揮官』

 

 九死に一生を得る、俺!……やっぱシフティーちゃんは天使だね。

 

「アニス!」

 

「は、はい!」

 

「だらだらしたいか!」

 

「へっ……っし、したい!」

 

 やはり、こいつは俺と同類。シンパシーを感じたのは俺だけでは無かったのだろう……眩しいぜ。先程までとは打って変わって瞳がキラキラと輝いてやがる。

 

「ラピ!」

 

「はい」

 

「……適度に休ませて貰ってもいいですか?」

 

「……はい。指揮官の体調管理は私達ニケにとって大切な事です」

 

 薄く微笑む真面目ちゃん。初めて見た笑顔かもしれな……凄く可愛い。

 

「……今はそれでいい」

 

「ネオン!」

 

「はい!……わくわく」

 

「スパイやめろ」

 

「はい!……うん?私だけ何か違うような?」

 

 だって、残念火力おばけってこと位しか知らない。

 

「シフティー!」

 

「はい、指揮官」

 

「アークで会おう」

 

「ふふっ……お待ちしております。指揮官」

 

 生シフティーを拝まねば!あわよくばお近づきになりたい!

 

「全員で生き残って、休暇を貰う……作戦はスネイク。潜入だ……ダンボールを用意しろ」

 

「「「「へ?」」」」

 

 ごめん、間違えた……言ってみたかっただけ。



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03





 シフティーが確認した所、発電所内部に繋がる排水路から潜入できることが分かった。シフティーちゃん有能!さすが天使!

 

「ここ?」

 

「塞がってますけど?」

 

「建物の一部が倒壊し、入口を塞いでしまったようです!う〜ん……ちょっと待ってください!他のルートを探してみます!」

 

「突き進めばいいんじゃない?指揮官様!なんかすっごく調子が良いの!こんな瓦礫ぐらい、ぱぱっと退けられそう!」

 

「でも、瓦礫が多すぎます」

 

 突き進むと言うアニスに対し、ネオンは残念そうに頭を垂れる……何を言っているんだコイツは?

 

「ネオン、お前の火力は何のためにある?」

 

「!!」

 

「えっ……大丈夫かな?爆音すると思うけど」

 

「周辺でラプチャーの反応はありません!安全です!」

 

 シフティーによるフォローが入り、ラピが行動を開始する。

 

「では、始めます」

 

「ちょっと待ってください」

 

 銃火器を構えようとしたラピを制すは、火力の申し子。

 

「??」

 

 不思議な顔をするラピを見据えたネオンの眼鏡が煌めいた。

 

「ここは私に任せてもらえませんか?」

 

 そうだ。お前はそれで良い。

 

 そう……それが良い。

 

「ネオン……あとは任せた」

 

「はい、師匠!」

 

 分かりあった二人に、これ以上の言葉は要らない。

 

「え〜マジ」

 

「ほら、ラピ、アニス……休憩だぞー、休むぞー」

 

「なるほど……ラッキー」

 

「……はぁ」

 

 さて、お手並み拝見。てか、どうなってんだあのポーチは……スカートに引っ付いてんのか?

 

 パンツを丸出しにしたままのネオンが、精神を統一した。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「がれきの消滅を確認!排水路への進入が可能です!」

 

「……ふぅ」

 

「お疲れさん」

 

 労いの言葉に対し、額から流れた汗を拭い、やりきったネオンは振り返り頬を上気させる。ちょっとえっちぃな。

 

「私、分かったんです。相手が何であれ、火力があれば解決できないことはないって!答えは火力!火力が全てです!」

 

 俺はフッとニヒルに笑いかけ、意味もなく遠くを見る。更にキラキラと瞳を輝かせたネオンが満面の笑みを溢した。

 

「本当にありがとうございます……少し迷いがあったんですが、背中を押してもらった感じです」

 

「気にするな」

 

「火力の道を進むものとして、極意と向き合えた気がします」

 

 そんな道があったのか……。

 

「そんな道あったのね」

 

 言っちゃったよ。

 

「師匠!これからは、師匠と呼ばせてください!改めてよろしくおねがいします!師匠!」

 

「ふっ……頼んだ」

 

「はい!師匠!」

 

「……勝手に呼び方を変えるな」

 

 ラピが俺にしか聞こえない程度にボソッと呟いた。なんだかんだ、上手く回っているようだ。

 ラピも呆れつつ、心なしか雰囲気が丸くなった気がする。張り詰めた弓みたいな感じだったからな〜この娘。

 

 

 排水路は狭く……そして、臭かった。

 

 全員が四つん這いで進む。眼前でぷりぷり揺れるアニスのお尻にできる限り顔を近づけ、匂いを誤魔化す。甘ったるい匂いで肉棒がギンギンに熱り立ってしまった。

 

「……へっ?」

 

「どうしたのシフティー?」

 

「……へっ!?……い、いえ、な、何でもありません!」

 

 挙動不審なシフティーとは……珍しい。

 

「あの、一言言わせてもらってもいいでしょうか」

 

 先頭であるラピの後ろ、ネオンが神妙に切り出す。

 

「何?」

 

「吐きそうです」

 

「……嗅覚センサーをオフにすることを勧める」

 

 何だそれ……羨ましい。

 

「それを切ってしまうと何というか、人間からあまりにも遠ざかるみたいでちょっと」

 

 流石ネオン。サスネオ。

 

「はは、変なこと言うね」

 

「心だけは乙女ですから」

 

「私は乙女を諦めるわ」

 

 な……なんだと!

 

「切っちゃおっ……えっ?、んひゃっ!」

 

 巫山戯るなぁ!死なば諸共とはこの事だぁ!

 

「何?」

 

「し、指揮官様!」

 

「ずるいぞアニス。俺たちは一蓮托生じゃ無かったのか?……フゥー」

 

「そ、そそ、それとこれとは関係ないでしょ!……んひぃっ、や……やめっ」

 

「なんですかアニス?トイレですか?我慢して下さい」

 

「し、指揮官様が〜……んんっ」

 

「し、指揮官……な、何をされているのですか?」

 

 おっと、ラピちゃん……もしかして、むっつりかい?

 

「俺は何もしていないぞ、アニスには指一本触れていない」

 

「そ……そうですか」

 

 明らかな動揺。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

「んっ……息っ!息を吹きかけてるのぉ!やめて指揮官様ぁ!」

 

「鼻呼吸は辛くてな、どうしてもこうなる……我慢してくれ、俺にも嗅覚センサーがあればなー」

 

 おおん?嗅覚センサーを切るんだろ?俺たちの友情はその程度だったんだろ?なんだぁ、ここが良いのかぁ?

 

「んぅっ……ごめん、ごめんってばぁ!オフにしないからぁ……やめてぇ」

 

「……ごくっ」

 

 アニスの声に当てられてか、誰かが息を飲む音が……微かに聞こえた。

 

 

 それからしばらく進むも、道中ではアニスがブツブツと文句を言い続ける。

 

「もう……指揮官様のばかぁ」

 

 ばかぁ、か……クククッ、可愛い奴めッ!!

 

「……指揮官、大丈夫ですか?」

 

 ラピが提示報告のように安否を確認する。ここに入ってから三度目。だいぶ進んだはずだが。

 

「臭いな……」

 

「ひ、人のお尻の後ろで、そんなこと言わないでよね!」

 

「いや、アニスには助けられている。良い匂いがするからな」

 

「ひゃ……や、やめてよね!」

 

「止まれ」

 

「きゃあ!」

 

 ラピの言葉通り、ネオンが止まったのだろう。動きを止めたアニスの尻タブに顔が包まれた……甘ったるい匂いに包まれて気分が一気に楽になったが、一部が熱を持ち始めるからやめて欲しい。

 

「ちょ、ちょっと!し、指揮官様!?お尻……お尻に顔が当たってるっ!!」

 

「不可抗力だ。すまない」

 

 不可抗力ついでに鼻先でぐりっと押し込んでおく。

 

「ひぁん、やめ……喋らないでぇ!」

 

「不可抗力だ。すまない!」

 

 不可抗力だ。仕方ない。

 

「んはぁっ……ふっふっ……ラピ!な、なんで急に止まったりするのよ!」

 

「……」

 

「ラピ!!」

 

「……えっ、ぁ……光よ。内部に付いたみたいね」

 

「な、なら早く!外に出ましょうよ!……んあっ!」

 

 不可抗力だ。本当にすまない。

 

「いかが致しますか、指揮官」

 

 ラピ……君は……君という奴は……ナイスアシストォ!!

 

「外に出よう」

 

「あひっ……だぁ、だからぁ!喋らないでぇってばぁ!!」

 

 ふぅ……堪能した……いやいや、間違えた。

 

 不可抗力だ。仕方ない。

 

 これこそ火力の極意。

 ラッキースケベとは自分から飛び込むものだと極意を得たり。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 発電所内部をシフティーの誘導に従って進む。

 

「当然のように内部も掌握してるわね。こんな地下までどうやって来たんだろ」

 

 要所要所でラプチャーが発見される。その姿はまるで人間が機械を操作するように、迷いなく移動しては装置を器用に触っているように見えた。

 

「ところで、あのラプチャーたち、何をやっているのでしょうか」

 

 ネオンの疑問も最もだろう。彼らは確実に何か目的があって行動しているようにしか見えない。

 

「機械の周りに集まってるね」

 

「……発電所を操作してるみたいだな」

 

「ええ?し……んむぅ指揮官様、ラプチャーが人間の文明を利用するわけ……」

 

 アニスがようやく俺の存在を許したようだ。

 

 完全に無視されていたからな……。殴られなかっただけマシだと思う。ニケの膂力で殴られたら……流石の俺でも衝撃を殺すのに苦労する。多分、本気でやられたら死ぬ……かなぁ、流石に。

 

「……アニス、よく見て。操作してる」

 

「……本当に?」

 

 ラピが指差すラプチャーは数体で大きなモニターをコントロールしているようだった。

 モニターには、おそらく発電所内部の地図。大きな円の内部に矢印が付いたマークが出現……嫌な予感がする。

 

「戻るぞ」

 

 即座に告げる。これ以上は必要ない。奪還は不可能。調査も十分だ。

 

 俺の言葉に反応したラピが敬礼する。

 

「ラジャー。シフティー、退却ルートを確っ……」

 

 風を切る音にしては、異質だった。

 

 弾丸が発射されるような轟音はなく、異様なまでに静かに……しかし一瞬の内にラピの頭部が……落下した。

 

 世界が急速に色を失う。色の消えかかった世界で落ち行くラピと目が合い。

 

 全身の血が沸騰する。

 

 筋肉を総動員させ爆発的に加速。落ち行く頭部を抱きとめ、その勢いのままスライディング……遮蔽物に身を隠した。

 

「ラピ……必ず助けるッ!!」

 

 光が消えゆく瞳に告げる。

 

 これは誓いだ。

 

 誰のためでもなく、俺の魂に誓う。

 

 必ず助ける!!

 

「ラ、ラピ!」

 

「ふ、ふざけるなぁー!!」

 

 敬礼したままの身体が倒れ崩れるまでの間に、各自の第一行動は終了した。

 

「ハッハッハッ……ンッ」

 

 全身から滝のように汗が吹き出る。この身体では本来出せないであろう力の行使。強引に力を発揮した反動は確かに俺の身体を蝕んでいた。

 

「チッ」

 

 失敗した……今の身体で出力を出し過ぎた。右足の筋肉が、恐らく断裂している。

 

 クソッ……思考も纏まらない。落ち着けッ、とにかく……落ち着け。

 

 動ける。

 何も問題ない。

 

 心臓の高鳴りを沈めるため、息を止める。

 

「……フッフッ……フッ……ッ被害は!!」

 

 鼓動は未だ安定しない。しかし、頭は冷静になった。

 

「大丈夫!指揮官様!!」

 

「モーマンタイです!師匠!」

 

 考えろ!考えろ!!何が……何が必要だッ。

 

「指揮官様!!大丈夫!頭が無事ならラピはまだ死んで無い!絶対に離さないで!お願い指揮官様!!」

 

 ……アニス。

 

 ああ、まだ……ラピは死んでいない。

 

 ニケは、脳が無事なら体は替えがきく。だが、知識として知っているのと、同じニケであるアニスから直接言葉にして聞くのとでは、情報の重みが違う。

 

 アニス……ありがとう。

 

 想像より遥かに重いラピの頭部。

 

 焦点の合わない瞳が俺を見ている気がした……出来る限り優しく瞼を落とし、ラピを抱きしめる。

 

 もう、大丈夫だ。俺に出来ることをやれ。

 

 俺なら出来るッ。

 

 必ず全員で生きて帰るッ!!

 

「な、何、この振動?」

 

 再度決意を固めた俺を嘲笑うかのように、地面が振動する。一際大きく不気味な気配が高速で迷いなく近づいてくる。

 

「タイラント級を感知!識別信号!グレイブディガーで確定!」

 

 ああ、モニターのマーキングは……お前かッ。

 

「あの土を掘るやつね……!ここで戦うのは自殺行為だよ指揮官様!ラピもいないのに!」

 

 グレイブディガーがどんなヤツか知らねぇし、タイラント級がどの程度ヤバいのかも知らねぇが、とにかくやべぇヤツが……来るッ。

 

「シフティー!退却ルートッ!!」

 

「はい、当該位置の鉱車はまだ稼働します!線路に沿って外部へ出ることが可能です!」

 

「よし!行くよ、指揮官様!ネオン!」

 

「はい!」

 

 

 さぁ、命がけの鬼ごっこだ。

 

 必ず……必ず助けるぞ……ラピ!!

 

 

 



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04

 一日に二回も死にかけるのは、呪われてるんじゃないんですかね?

 美少女達……ニケの正体は天使か悪魔で、ここは天国または地獄ですー!ドッキリでした〜!ってされても信じる自信が俺にはある。

 

「聞いているのか?」

 

「は!何も聞いておりませんでした!」

 

 辛くもグレイブディガーとかいう鋏虫かムカデみたいなモチーフのバケモンから逃げ出して、命からがら大事な情報を持ち帰った俺を待っていたのは、副司令官閣下の有り難いお話だった。

 

 現実逃避もしたくなる……死ねばいいのに。

 

「君は追放処分とする」

 

「は!」

 

 追放か……。

 俺が追放ということは……。

 

「君に下した命令は発電所の調査だった、発電所を壊せとは命令していない」

 

「は!意見具申宜しいでしょうか!!」

 

 副司令官閣下が腕時計を確認する。

 

「何かね」

 

「は!お言葉ながら副司令官閣下!命令通り調査は完遂!調査完遂後の襲撃に際し、即時撤退!発電所の破壊はラプチャーの仕業であります!」

 

「……そんな言い分が通用するとでも?」

 

 言われるまでもない。

 通用しない事くらい分かってる。

 

「は!我々……否、交戦に際しニケによる破壊は皆無。よって此度の責任は全て、指揮官である己にあると具申いたします!」

 

 流れ弾ぐらい当たってるだろうが、知ったことじゃねぇ。

 こんなモン言ったもん勝ちだ。

 

「交戦の影響で発電所内部が連鎖爆発を起こして大破。保管されていた資材と施設が粉々になったが……全てラプチャーによるものだと?」

 

「は!我が分隊のニケは閣下がご存知の通り大変優秀です。たった3人で重要施設の調査を任される程に……全ての責任は欲をかいた己にあります!」

 

「随分と口が回るものだ……2ヶ月だ。2ヶ月分もアークを食べさせられる資源を……君とニケ達が吹き飛ばしたのだ」

 

 そうだな。

 少し、面倒だ。

 

「は!誠に遺憾であります!!」

 

 副司令閣下が半歩後退り半身へと移行。

 懐に手を入れる。

 

「……殺気が漏れている。君はッ……猫を被っていたな」

 

 この距離なら……初動での優位は俺にある。

 

「は!僭越ながら閣下……俺には覚悟があります……それを加味してお答え頂きたい」

 

 左足に力を溜めこむ。

 勝負は一瞬。

 

「……何だ?」

 

「ニケへの処分を教えて頂きたい」

 

 空気が張り詰める。

 右手の動きに全神経を集中。

 

「……ふっ、ない。処分は君の追放のみだ……それと、右足を痛めているな?あまり無理はしないことだ」

 

 様になる笑みを溢した副司令はそう言って緊張を解いた。

 ……ふ〜……やっぱ色々とバレてんなー。

 

「は!有り難く存じます!」

 

 副司令……アンダーソン閣下は内ポケットに入れていた手を取り出し、ハンカチで汗を拭った。

 

 正直意外だった。

 

 状況次第ではマリアンを連れて逃げ出し……巡礼者?ピルグリム?を探す予定だったが……必要なさそうだ。

 試されていた……それだけだ。

 

 

 要するに閣下の言い分はこうだと解釈する。

 

 発電所は残念だったが、君達はよくやった。

 此方の期待に答えた褒美として休暇をやろう。

 しかし、少々目立ち過ぎた為、処分という肩書でな。

 

 流石は世界の上層部。 

 とんだ、食わせ者だ。

 

 そこから先は予定調和のような物だった。

 護衛として三人を連れて行っていいとは……嬉しい誤算だ。

 

 

 

 結果的に、お咎めなしで前哨基地への追放処分。

 

 前哨基地とはアークの最前線。

 基地とは名ばかりの不毛の地……らしいが、何とかなるだろう。

 

 一つだけ残念なお知らせがあった。

 中央政府から直ぐに出発する必要があり、我が天使……シフティーちゃんには、今しばらく会えそうにも無い。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 ラピは修理が終わり次第合流とのことで、先にアニスとネオンを連れ前哨基地に到着した。

 前哨基地の状況にアニスが文句を言い、ネオンが発砲するという世紀末のようなことがあったが、まずは宿所へ移動する。

 

 シャワーも出ないとか……終わってんな。

 

 指揮官室は大丈夫だよな?

 せめて一箇所は出ないとまずいだろ。

 

 それに俺、人間だぞ?

 臭くなるぞ……指揮官様臭いから嗅覚センサー切るね!とか言われたら……軽く死ねる。

 

 

 宿所での生活を男女混合で行う……訳もなく、二人からの質問を捌いている内に、何故か指揮官室に二人を案内することになった。

 元々明日には案内するつもりだったが前倒しになっただけ……できれば早く帰ってほしい。

 自家発電を……処理をさせてくれぇ!

 

 

 

 円柱型の自動ドアを通り、指揮官室へ入った二人は絶句する。

 いや〜、俺も驚いた。

 大出世だ!

 俺の城だー!

 一日に何回も死にかける程度には頑張ってよかったぜ〜!!

 

「……不公平よね」

 

 ギギギッと錆びついたロボットのように首だけ此方を向くのをやめろアニス。

 普通に怖い。

 

「なんでこんなに広いの?……えええ、ソファーもめっちゃ楽そう!というか、ソファーがある!?」

 

 興奮した子供のようにソファーにダイブするアニス。

 ホコリが舞い悲惨なことになるかと思ったが……誰かが丁寧に管理していたのだろう、ふかふかのソファーにアニスが沈みお尻が強調される。

 

 ぷりんぷりんなお尻……ご馳走様です!

 

 いかん、思考が支配される。

 俺の素質も相まって、この身体は性欲が異常なまでに高い。

 

「……確認したいことがあります」

 

 宿所でシャワーを確認し、気落ちしていたネオンがズカズカと歩いていく。

 その言葉を聞き、ガバッぷるんっっと音を鳴らしながら、アニスも続く。

 

「シャワーじゃなくて滝だわ、滝!!」

 

「……師匠」

 

 ビクッ!

 

 アニスの声がシャワールームに反響する中、いつの間にか隣に帰って来ていたネオンの……光りをなくした眼鏡が俺を見据えジリジリと近づいてくる。

 ネオンの圧に押され、追い詰められた俺の背中に壁が触れた。

 

「……私は、師匠に失望しました」

 

「はぁ?……おいおい、勘弁してくれよ」

 

 片手で顔を覆う反対の腕に感じた柔らかな感触に視線を向けると……上目遣いで見上げる可愛らしい瞳と視線が交錯する。

 

「指揮官様だから当然と言えば当然だけど……いいこと思いついた!」

 

 むにゅん。ぷりゅんぷりゅん。

 アニスの甘える。

 

 俺の攻撃力が二段階下がった。

 攻撃力(下)が二段階上がり、尚も上昇を続け、右足が治った気がした。

 

「指揮官様、私達と宿所を交換する!ってのはどうかしら?」

 

 むにゅんむにゅん。

 むらむらッ!

 

「考えてみてよ。多数が損をするよりは、1人が損をした方が合理的だわ」

 

 むにょんむにょん。

 ふにふに。

 

 ――――フゥ。

 

「そう思わない?ね?指揮官様?」

 

 可愛らしく、こてんっと首を傾げ、乳肉を擦りつけてくる。

 正直むらむらがやばすぎて、もう俺……プッツンしてんだ。

 

 最高にハイってヤツだぜぇ!

 

「いや、そうは思わない」

 

「!?へ?……あっ、あれ?」

 

 アニスの腕を掴み反転。

 壁に押し付け、ゆっくりと顔を近づける。

 

「え!?……ええぇ!?……だ、だめっ……んっ」

 

 ゆっくりと近づく顔に勘違いしたアニスは駄目と言いながらも大した抵抗もせず、なすがままに両の瞳をぎゅっと結ぶ。

 俺はそんな顔を素通りし、紅葉した耳の側で語りかけた。

 

「あんまり我儘言うなよ……何なら俺と此処に住むか?」

 

「……んっ……へっ?……っっ!?」

 

 耳にかかる息に生唾を飲み込んだアニスは、すぐに開放された両手に唖然とし、顔を真っ赤にしたまま、ぽふっとしゃがみ込み沈黙した。

 

「おおー、流石、師匠です!」

 

 目を輝かせるネオンの発言を最後に、沈黙が場を支配する。

 

 随分とカオスな空間を作ってしまったようで悪いが、来客のようだ。

 先程まで隠れていた気配が入ってきたのを感じ、振り返る。

 

 そこには。

 

 何一つ変わらぬドスケベ衣装に身を包んだ少女が俺を見ていた。

 

「優しすぎるのも問題ですよ。指揮官」

 

 落ち着いた声がかかる。

 

「えっ……っっ……ぁ、ぁぁの……」

 

 止まらなかった。

 止める気も無かったが、腕の中で縮こまる華奢な女の子をきつく抱きしめる。

 

 こういう時、ニケってのは便利なもんだ。

 俺が力を込めて抱きしめても、痛がらない。

 

 良かった。

 本当に……良かった。

 

「し、しし、指揮官っ?」

 

「嫌か?」

 

「い、いぇ……」

 

「なら少し黙ってろ」

 

「……っ……はい、指揮官」

 

 腕の中。

 確かな温もりと柔らかな肢体。

 あの場に残した遺恨はあれど……今たしかに腕の中に温もりがある。

 

「おかえり、ラピ」

 

「んっ、はい……ただいま帰りました。指揮官」

 

「おおー、なんとも……大人ですね〜」

 

 ラピが帰ってきた。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 復活したアニスは、ラピの臭いという一言で急いでシャワー室に飛び込んでいった。

 ネオンも仲良く飛び込んでいった。

 

 阿鼻叫喚で騒ぐ二人を尻目にラピと外へでる。

 心なし、頬が赤く染まっているように見える。

 

「指揮官」

 

「なんだ」

 

 ぽーっと見詰めてくるラピに首を傾げた所、慌てたように佇まいを直し始める。

 

「……はっ……あ、荒れ果てたところですね。これからが心配です」

 

 そう切り出したラピは、俺に背を向け軽く空を見上げる。

 

「……こんな機会だから……申し上げます」

 

 たっぷりと時間をおき、視線を地面へずらしたラピが告げる。

 

「私達、ニケは……人間では……ありません」

 

 人間ではないと告げるラピの後姿は、酷く悲しく見えた。

 

「人類の敵であるラプチャーと戦うため、強大な力と不滅の命を持つ兵器……兵器に過ぎません。大破したニケが平然と再び現れるのはよくあることです。ですから……ですからそんな深刻な顔しないでください」

 

 俺……そんな顔してたか?

 確かにラピを見たときは色々な感情が混ざり合って、どんな顔していたか分からない。

 

 でも、今は?

 今は……えっろいケツしてんなー、的な顔してるはずだが?

 

「指揮官……指揮官には私た……私が何に見えますか?」

 

「羞恥心を投げ捨てたドスケベ衣装の女の子」

 

「私を人間と……えっ?」

 

「えっ?」

 

 真面目な質問だったから本音で答えたら、急に振り返ったラピと二人で首を傾げる。

 てか流石は真面目ちゃん。俺の答えを先回りして予想してたろ……多分。

 予想で図れる俺じゃねぇよ。

 

「羞恥心を投げ捨てた……どすけべな女に見える」

 

「ど!?……こ、これは……」

 

 それにさ、こんな死が隣人みたいな世界だろ。

 正直にさ、好きに生きようって……決めた。

 

 俺は、全力で……えろく生きるッ!!

 

「大体さー、お前さん」

 

「ぇ……は、はい!」

 

 ラピの前にしゃがみ込み、ちょうどいい視線の高さに調整する。

 これから、とんでもないセクハラをされるとは思ってもいないのか、それとも言葉の処理が終わっていないのか、頬を染め普段より一割増しに気の抜けた顔をしている。

 

「これ、何よ?」

 

「は……えっ?」

 

 ふんどしの前掛けぐらいしか無いスカートと呼ぶには心許ない布切れを……ペロッっと捲る。

 

 おおー、食い込んどる、食い込んどるッ!!

 絶景ッ!絶景かなッ!!

 素晴らしいッ!!

 

「??……――――っっ!?」

 

 フリーズから回帰し、抑えようとするラピの腕を掴み立ち上がる。自ずと布は捲れ上がり丸見えだ。

 俺でさえ見切れないであろう速度で動いた腕を掴むと、一切の抵抗なく力が抜けた。

 

 合意と取って宜しいか?

 宜しい!ならば……

 

「こんなえっちな格好して、恥ずかしくないの?」

 

 蹂躙だ。

 

「――――っっぅ……は、恥ずかしくなんてありません。ニケのボディーはどこまでも……機械っ……です」

 

「そっかー、じゃあ、こんな事しても大丈夫だよな」

 

 布切れから手を離し、クールな外見に見合った程よい大きさの果実へと手を走らせる。

 

「!!……あっ……ふぁ……はっ、はっ……し、指揮官っ」

 

 柔っけぇ。

 もにゅもにゅで、ぷるぷるじゃないですかー。

 ニケにブラは必要ありませんってか。

 

 軍服の生地が厚い点は頂けないが……これはこれで良いものです。

 

「ほら、手ぇ貸せ」

 

 抑えていた手を離し、お手のように掌を見せる。

 こういう真面目ちゃんは自らの意志でやらせないと、駄目だと思うんですよねー。

 

「……んんっ……んっ……ぇて……手ですっ……か?」

 

 俺の意図が伝わっているのかは知らないが、おずおずとラピは右手を差し出し……掌を重ねた。

 

「手袋は……いらないなー」

 

「……手、手袋っ……ぉっ……はっ、外しますっ、んっ」

 

 再度手を重ね、小さく白い指に指を這わす。

 

「小さくて、可愛いもんだ」

 

「……んぅぅ……はんっ……はふっ……はふっ♥」

 

 可愛い。

 そんな一言で、甘く蕩けるなんて……ちょっとちょろ過ぎないか?

 

「ほら、こんなになってんだ。ラピに興奮してこんななったんだ。誰が責任取るんだよ?」

 

 ちょろさ具合に少し心配になるが、責めは緩めない。

 ラピの小さく、白魚のような手を、俺の下腹部に押し当てる。

 

「\\\\\\っ、はっ、っふ――――ぅぅ……ぉっ♥」

 

 ぐりゅっと乳首付近を押し込むと、体はビクンッと震え、唇から蜜がたらっと溢れた。

 瞳は蕩け、涙を溜めこみ、半開きになった口が大変宜しい。

 

 無意識だろう……恐る恐る、さわさわと肉棒の形をなぞるように指が這う。

 

「はんっ、んひっ……んんっぅ……めぇ♥」

 

 正直刺激なんて無いが、目の前の真面目一辺倒なラピがこんな姿を見せている事に、興奮が抑えられなかった。

 

 もうこのまま何処かに連れ込んで、最後までやってしまおうと決意した瞬間……

 

「指揮官様〜〜!ラピ〜、もういいよ〜!」

 

「!!?……はっ、はっ……ふ、ふっ……っふぅ」

 

 無粋なアニスの声に導かれ、咄嗟にラピは手を引っ込め、息を荒げ、少しばかりの理性を取り戻した瞳で、恨めしそうに俺を見上げる。

 

「少し、じっとしてろ……」

 

「……えっ…まっ……だめっ……んんっ♥ ……っはぅ♥」

 

 最後に真っ赤な唇から溢れた蜜を舐め取る。

 

 そして残ったのは、先刻まで凛々しく己を律し、ニケとは何かを語ろうとしたラピではなく……。

 

 ただ1人の……むっつりスケベな愛らしい少女だった。

 

「ごちそうさん……今行く!」

 

「あっ……ふぇ……!?」

 

 腕を掴み中に入る。

 

 こんな蕩けた顔でどうするのやら……。

 そんな目論見を他所に、俺が腕を離すとダッシュでソファーに逃げ込んだ。

 

 ちっと離すのが早かった……いや、離さないほうが良かったか。

 

「指揮官様ぁ、せめてソファーは頂戴よ……ぉぉおお!?何事!?……ラピ!?何で落とすのよ、酷い!!……ってラピ!?……な、何?蹴らないでよ!って力つよっ!!」

 

 さて、愛らしいリーダーも帰って来た。

 

 

 

 ……あとは、俺の首が飛ばないことを祈るのみだな。

 

 

 

 少し冷静になったが……やっべっぞ。

 てか、普通にセクハラだが……大丈夫……だよな?

 

 理性がプッツンしてました。許して!って言っても……無理だよなぁ。

 

 ……もしや、詰んだ……か?

 

 

 



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05 ☆ ラピ


誤字脱字のご報告助かります。
ありがとうございます。



 セクハラから数時間、俺の首は恐らく大丈夫なようだ。

 山積みになっている書類に目を通していると、ジトっとした視線を感じた。

 見上げると、背中を向けたラピの髪がゆらゆら揺れていた。

 

 そんな事が何度も有り……取り敢えず大丈夫なのではと判断。

 

 ……後で謝ります。

 

 

 

 何故かスラスラ書ける報告書を一区切り。スマホで自身の情報を確認する。

 士官学校を卒業した指揮官は、顔写真こそ付いて無いが、プロフィールが公表される。

 誰でも見られる訳では無いみたいだが、身長体重から在学中の成績も、全て。

 プライバシーなんて無かった。

 

 てか、何で血液型は空欄なんですかねー?

 軍人なんだろ?そこは大事だろ?

 

 プロフィールには様々な事が書いてあるが、どうにも記憶が安定しない。

 【前俺】の記憶は思い出せる範囲で全て思い出せるが……【現俺】の記憶が……余りにも少ない……記憶喪失レベルでほぼ無い。

 記憶が無いにも関わらず、何故か知識は残っている。

 そんな都合の良い記憶喪失とか有るのか?

 

 うん。

 よく分からん。

 

「んんーーー……っハッ……はぁー」

 

 背もたれに身体を預け、伸びをする。

 騙し騙し身体を使ってきたが、多少ガタが来ている。

 

 【前俺】の身体能力に今の身体が付いて来れていない。

 由々しき事態だ。

 早急に擦り合わせる必要がある。

 

 幸い……不思議なことに怪我の治りは早いようだ。

 右足が……違和感程度まで既に治っている。

 

 …………なんかの実験体だったとか言わないよな……俺?

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 ラピと二人……俺の初動は決まっていた。

 

「すいませんでしたッッ!!」

 

 全力で頭を下げる。

 いま俺は人生で一番綺麗な礼をしていると断言できる!

 

「し、指揮官!あ、頭を上げてください。困ります」

 

「すいませんでした!!!」

 

 瞬時に直立不動に戻り、再度、礼!!

 なんという身体能力の無駄遣い。

 

 これで誠意が伝わったら嬉しい。

 

「はぁ……分かりました。許します。許しますから、頭を上げてください」

 

「マジで、ラッキー」

 

 瞬時にだらける俺に対し、ラピが半眼で見てくる。

 大分、人間らしくなった気がする。

 

「……指揮官」

 

「あー、嘘嘘、ちゃんと反省してます!」

 

「……はぁ、別に…………」

 

 いやではな……?

 

 ほう。

 ほうほう。

 

「ん?なんて?言ってみ?」

 

 ニヤニヤ。

 

「何でもありません!……それより、本気ですか?ニケと組手がしたいなんて、指揮官に自殺願望が有るとは思いませんが、余りにも」

 

 おっと、少し真面目にしよう。

 

 

 身体をなじませる目的のもと、二人に組手を願い出た。

 ラピは命令ならとボソッと返事を返し、アニスは手加減が苦手なためパスとのこと。

 

 本命のむちむちにパスされたのは少し残念だったが、その分真面目に出来るからヨシッ!としよう。

 

 俺の生死に関わることだ。

 

 ラピと二人で解体跡地のような更地で向き合う。

 柔らかい砂地……思い切り投げられても、恐らく致命傷程度で済むだろう。

 

「……無謀かと」

 

「ああ、ダイジョブ、ダイジョブ……手加減してくれるんだろ?」

 

「はい、では軽く……いきます」

 

 軽くねー。

 まぁ揉んでやるよ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 少し俺の情報を整理しよう。

 

 ミオスタチン関連筋肥大。

 

 面倒な説明は省くが、常人よりも筋肉の密度が数倍〜数十倍高くなる病気。

 

 これに該当し常人より筋密度が高かったのが俺だった。

 これを知ったのは二十歳を過ぎてからだったんだがな。

 

 持ち前の身体能力を活かして地下の更に地下で喧嘩をしていたんだが、そこで知り合った医者と仲良くなった。

 医者は良いやつだった。血や精子を提供するかわりに金くれたし。

 

 まー色々あって銃で撃たれたんだけど……。

 いやー、痛かったね。最初は痛いより熱いだったけど。

 ……そんな話はどうでもいいか。

 

 そんなこんなで、普通の幸せってやつが欲しくなり陸上自衛隊に入隊。

 教養とか無かったからな。

 教育は人生で一番と言っていい程楽しかった。

 同期にもかかわらず兄貴アニキと慕ってくれる仲間がいるって……何か……凄く良かった。

 基本教練とかとてもタメになった。俺が紛失させた小銃の部品を見つけてくれた皆。ありがとな。

 

 

 そんな【前俺】の身長は大体185cm程度。

 今と殆変わらない。

 それに比べて【現俺】は非常に体重が落ちている。

 プロフィールに記載された体重は81kg。

 

 余りにも、軽い……。

 でも、これは仕方無い。

 前と同じ感覚で全力で動すと筋肉が断裂するが、その反面違う能力が色々と向上していると思う。

 これは、日々検討しなければならない。

 

 ただ目下の目的は、しっかり身体をなじませる必要がある。

 戦場で自身の能力を掌握しきれなければ、この先……死ぬ可能性が非常に高いから。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 軽くと宣言した通り、緩慢な速度で馬鹿正直に攻勢を仕掛けてきたラピを軽くいなす。

 地面に背中を付け、俺にマウントを取られたラピのぽけっとした顔が可愛い。

 

「ラピちゃん、俺のこと舐めすぎ……」

 

 覆いかぶさり、顔の横に手を付いて、顔を近づける。

 

「――――っ、すみませっ……」

 

 驚愕に瞳を開く端正で美しい顔。

   

「これは、お仕置きですね」

 

 にっこりと微笑みかけ、身体を落とす。

 

「えっ……なにを――っぁ」

 

 首筋に唇を落とし、ぢゅっと吸い付く。

 

「っひゃん……駄目っ」

 

 柔らかな肌に吸い付き、ぽんっと軽い音を立てながら顔を離す。

 よしよし、しっかりと赤くなっている。

 

「……ん……っぅ……」

 

 マーキングした印をさわさわと撫でると、ぴくぴくとラピが悶える。

 

 『私が何に見えますか』ねー。

 

 ホント人間と変わらねぇ。

 こんな世界じゃなければ、悪い大人に騙されて夜の街に落とされるのは確定だろう。

 俺が悪い大人なんですがね。

 

 

 ラピの上から身体をどかせ、再度向かい合う。

 ついでにペナルティーと称して小さな上着を奪っておく。

 

「し、指揮官。これ以上、その、こういう行為はお控えください」

 

 崩れるポーカーフェイス。

 

「理由は?」

 

 ニヤける俺。

 

「……ゆ、許される事ではないからです」

 

 許されない……ねー。

 嫌ではなく……許されない、ねぇ。

 

「ふーん、嫌じゃ無いんだな」

 

 楽しくなってきたー!

 

 これだ!

 これだよこれッ!

 こんな風にイチャイチャしたかったッ!!

 

「!?違っ」

 

「違うのか?」

 

「…………」

 

 かぁっと頬が朱に染まり、視線が彷徨う。

 

「よし、次いこうか、付き合ってくれるだろ?」

 

「……先程と同じとは、思わないでください」

 

 

 

 真面目に出来ると言ったが……嘘でした。

 蹴りは駄目だろ……おい。

 

 ラピが蹴りを放つ度、視線が誘導され反応に遅延が生じる。

 

 鋭い蹴りにも関わらず、太もものお肉がぷるぷると震える。

 上段蹴りの度に食い込む黒のハイレグ……やばッ、鼻血出そう。

 

 

 二度目の組手は足技主体のラピを目で楽しみ、ネクタイを奪い取った。

 三度目は、ヒットアンドアウェイで素早く動き回られ、速度に少し翻弄されたが勝ち取り、胸元のボタンを外した。

 

 谷間が露出したスケベ衣装に身を包む姿は最高だった。

 

 そして、四度目。

 身体が馴染む。

 三度目より更に速度が上がるが、ついていける。

 

「指揮官っ、失礼です、が、本当に人間です、か!」

 

「本当に失礼だな!それッ!ぅお……っと……この辺りが限、界……だなッ!」

 

 繰り出される拳を完全に逸らせなくなってきた。

 

「今で、どれくらい、だ?」

 

 後方へ飛び避けるも、瞬時に距離を詰められ、空中で片腕と襟首を掴まれる。

 足を絡められ抵抗を止めた俺は、地面から数十cmのところで止まった。

 

 いい感じに谷間が覗けて、素晴らしい。

 

「出力32%。アスリートでも簡単に骨が砕けます。決して人間に向けて良い出力ではありません」

 

 30%でこれか。

 やはり、人間ではラプチャーとの戦闘は不可能だ。

 回避に専念しても、絶対に避けきれない。

 

 更に相手はビームやら銃弾、爆弾やらを使用してくる……対策しなければ。

 

「ぼちぼちだな、かぁー自信無くすぜ……ありがとな」

 

 優しく地面に降ろされた俺を跨いだ体制になったラピは、羽毛のように軽い。

 胸板に両手を付け、俺を地面に抑えこむが、軽い力しか入っていなかった。

 

「いえ、素晴らしい身体能力です。予測を遥かに超えていました」

 

 さっさと退けば良いものを、俺を見下ろすラピは上から退かず、隙だらけ。

 ……どう考えても誘ってるだろ。

 

「ぁ……っ」

 

 身体を反転させ上下を反転させる。

 

 目を見開くラピに思わず吹き出しそうになる。

 軽すぎだろ、抵抗どころか自分から倒れ込んできただろお前。

 

「油断大敵ってやつだな?まだ、まいったとは言ってねぇぞ?」

 

「……ええ、私の負けです。指揮官」

 

 ごくっとラピの喉が隆起した。

 

「お仕置き、だな」

 

「はい、指揮官っ」

 

 首筋には赤い斑点が数個。

 最初に付けた印は既に薄くなっていた。

 

 谷間に顔を埋め深呼吸する。

 少し汗を掻いているようだが、甘い香りが鼻孔に纏わりつく。

 

「……んっ」

 

 谷間の溝に舌を這わし、汗を舐め取る。

 全くの無味。

 少し残念だった。

 

「っふー、っふー」

 

 必死に息を殺そうとするのが、可愛らしい。

 ボタンを一つ更に外し、膨らみに数度吸い付くと、ラピはぶるりと身体を震わせた。

 

「――っは♥ はっはっ、ひっ……」

 

 尻肉を揉み込むと、ラピは啼いた。

 

「っふー、ふぅんっ……っあぁん♥」

 

 そろりと、ハイレグの内側に指を入れようとして……指を止める。

 ロマンもかけらも無い……流石に、ここまでだ。 

 ギンギンに熱り立っているが、我慢しよう。

 

 最後に鎖骨へキスマークを付け、顔をあげる。

 

「んっはっはっ、はぁはぁはぁ♥」

 

 蕩けたラピが熱い吐息を吐き出しながら、焦点の合わない瞳を俺に向けていた。

 

「……はぁはぁ……し、指揮官っ」

 

 抱き起こし、頭を撫でる。

 

「ちと、やり過ぎた、すまん」

 

「っふー♥ ふーっ……謝るなら、最初からやらないで……ください」

 

 仕方ない。

 お前がえろいのが悪い。

 これは、仕方の無いことだ。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 激動の一日が終わりに近づく。

 

 やっと、やっと発散できる。

 子供は寝る時間だ。

 

 なのに……なんでてめぇらは誰も宿所に帰ろうとしねぇんだよ!!

 

 オナニー出来ねぇーだろうがッ!!

 

「ラピッ!」

 

「っ……はい、指揮官」

 

「今日は疲れただろ?休んで……休んで下さい!お願いします!」

 

「指揮官様が頭をさげた!?」

 

「指揮官、頭を上げてください。困ります」

 

「そうか、すまん。なら、もう帰って良いんだぞ?」

 

「帰る?」

 

「えっ?」

 

「指揮官様が言ったんじゃない、ここに住めば良いって」

 

 ソファーに仰向けで寝転んでいたアニスはくるりと回転し、うつ伏せで足をぱたぱたさせ……にやにやと笑いかけてくる。

 うつ伏せになったことにより、圧に負けたどすけべ乳肉がむにゅむにゅと形を変えた。

 

 もうやだー……まじでリミット、限界だってッ!!

 

「でも……ラピが反対せずに、むしろ名案だ!みたいな顔するとは思わなかったけどね〜」

 

「……その方が、いつでも指揮官を守ることが出来るから」

 

「ふ〜ん、ふ〜〜ん……そっかー、ネオンも泊まれば良かったのに、スパイをやめるって言ってくる!って大丈夫なの?指揮官様」

 

「ああ、イングリッドには閣下経由で伝えて貰うように頼んでおいた。大丈夫なはずだ」

 

「ふ〜〜ん、指揮官様って……実は凄い人だったりする?」

 

「いや、全然。皆のおかげだろ?てか、戦闘とか俺は何もしてな―――?」

 

 一瞬で俺の眼前に現れたラピに驚き言葉に詰まる。

 

「そんな事ありません!……ん、こほん……そんな事ありません、指揮官がいてくれたから……何?アニス」

 

 そんなラピの側にそろそろと近づいたアニスが、にやにやと意地の悪い笑みを作る。

 

「ん〜ん〜、いてくれたからぁ〜?それでそれで!」

 

 遂にラピすらもからかい出したか……この二人は上下関係が多少なりともあるように見えたんだが。

 

「はぁ……アニス、うざい」

 

「うざ!?ラピ、うざいってなによ!いっつも済まし顔のラピがいつの間にかデレデレなんだから!気になるじゃん!」

 

「っ……デレデレしてない」

 

 髪を弄りながら視線を落とすラピがいじらしく可愛らしい。

 

「デレデレよ!」

 

「デレて無い」

 

「デレてる!」

 

「……アニスこそ、そわそわしてる、指揮官を目で追ってる」

 

「!?は、はあぁっ!!だ、誰が目で追ってるって言いがかりはよしてよね!!」

 

「むきになってる。何時もなら笑って流す」

 

「!!?……た、たまたまそういう気分だっただけ、そういうのあるでしょ!ね、指揮官様!」

 

「あ?……俺も気分屋だからな、そういう事も有るかもなー」

 

「ほら!ほらほらほらぁ!!ラピ!聞いた!指揮官様が、他ならぬ指揮官様がこう言ってるの!気分よ!き・ぶ・ん!」

 

 ネオンが居なくて良かったのかもしれない。

 女三人寄れば姦しいとはよく出来た言葉だ。

 二人でも十分やかましいが。

 

 ……うるさいのはアニスだけか。

 

 ぽよぽよ跳ね回る胸部装甲が……

 ちらちら見える柔らかい事を確認した尻たぶが……俺の理性をガリガリ削っていることに気づいてくれ。

 

「……別にどうでもいい。指揮官」

 

 じゃれつくアニスをあしらったラピが、再度近づいてくる。

 

「あん?」

 

「指揮官のお邪魔になるようなら宿所に向かいます。もちろんアニスも連れて」

 

「はぁ!?」

 

 ぽよよん。

 がーっ、もう無理ぃ……。

 

「黙って」

 

 言葉を区切ったラピと机を挟み向かい合う。

 

「ここにいてはお邪魔でしょうか……指揮官」

 

 なんつー顔だよ。

 いつものポーカーフェイスはどうしたの?

 捨てられそうな子犬みたいな顔しやがって。

 

「お前らが邪魔な訳ねーだろ。好きなだけ居れば良い……便所行ってくる」

 

「では、護衛としてご同行します」

 

「いらね……分かったよ……」

 

 なんかラピがヤバい。

 ヤバいオーラ纏ってる。

 少しだけ肝が冷えた。

 

「はい、指揮官」

 

「む、むむむぅぅ……怪しい……」

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 指揮官室から外に出て直ぐ、仮設トイレの内装は誰かが整備していたのか、綺麗なものだった。

 ニケがアイドルのように排泄を行わないため、使用するのが人間に限るトイレは、かなりの快適空間を演出していた。

 

 大きな窓が、スイッチにより開閉、窓に流れるように暖かな空気が流れる。

 多目的トイレを少し狭くした程度の広さは、少し広すぎる気もするが……

 

「って、何で入ってくんだ!外!外で待つのッ!ステイ!!分かったら返事」

 

「はい、指揮官。その命令には従えません」

 

「何でだよ!」

 

「指揮官の奇行を分析した結果……その……お、お辛い……のでは……ないでしょぅか」

 

 どんどん尻すぼみに声が小さくなり、頬が真っ赤に染まり……視線が彷徨う。

 もじもじ、可愛いかよ。

 

「……まぁ辛いな、だから自分でどうにか……ん?……どういうことだ?」

 

「あ、あの……その……っふぅ……ふーっ♥」

 

 吐息が色気に溢れ過ぎて、頭が沸騰する。

 唯でさえ、溜まり過ぎてやべぇのに、理性が残っている内に……どうにか。

 

 流石にここで抱くのは……だって童貞だぜ?

 ロマンの欠片もないトイレって……それに指揮官、下手糞ですね。大きいだけで痛いだけです……とか言われたらEDになりかねん。

 

「ラピ」

 

「っふー♥ はい」

 

「手でしてくれないか?」

 

「……はい……それが最適と、思われますっ」

 

 嬉しそうにしてさー。尻尾があったらブンブン振ってるだろこれ。

 

 さて、ラピはどう見ても処女……きっとニケになる前も……

 これで経験豊富ってんなら……女は怖いということだ。

 

 そんな処女臭満載の少女に、いきなりちんこブルンッ、ほれッ!……はヤバい気がする。

 

「後ろから前に手を回せるか?」

 

「はい……だ、抱きしめる……ようになりますが……宜しい、でしょう、か」

 

 尻すぼみになっていく声にラピが緊張しまくっていることが良く分かる。

 

「いいか、ラピ」

 

 やばい……めっちゃドキドキする。

 な、何とか余裕を見せねば……。 

 

「はい、指揮官」

 

「いきなり俺のを見て手でするのは、刺激が強過ぎる気がするんだ」

 

「……ごくっ……確かに、そんな気がします。指揮官」

 

 息を呑む音が直ぐ側で聞こえ、声に粘り気が混じる。

 

「そ、そうだろ、だからまず、手で感じろ。目を瞑って、手で感じるんだ」

 

「……手でっ……んっ♥ 指揮官の背中、何故か安心します」

 

 俺の背中にぴとっと掌を当て、体を預けてくる僅かな重みと柔らかな膨らみ。

 ビキビキと血液が流れ込む。

 やっと出番かッ!早くしろッ!と言わんばかりに、怒張が張り詰める。

 

「……指揮官……ん……お待たせしました」

 

 ラピの腕が腹筋に回され、そろり、そろりとゆっくりと下へ降りていく。

 

「ベルト、外せるか?」

 

「やってみたい……です」

 

「あまり時間は無いぞ?アニスが心配するかもしれない」

 

「確かにそうです……我慢します。指揮官、お願いします」

 

 ヤバい……可愛すぎる。

 もう声だけで、しゅんとなってるのが理解る。

 

「ああ……次にな」

 

「!!……っ♥ は、はい、次、つぎです」

 

 ラピが脱がせられるようにベルトとチャックを下ろす。

 ズボンが重力に負けずり落ちる。

 シャワーを浴びたにもかかわらず、むわっっと濃厚な精の匂いが広がった。

 

「はっ……んんっ♥ すぅーっ、っふー♥ すんすんっ……ふっふっ……ふっー♥」

 

 鼻息は荒く。

 吐息は粘りを強め、甘く漂う。

 

 しかし、真面目ちゃんなラピは、匂いを堪能しながら、手でパンツを下ろそうとして、戸惑っているようだった。

 

「し、しき、かんぅ♥ ひっかかり、ひっかかってます……凄く力強いですっ」

 

 媚びるような声ではなく、確実に媚びている声。

 こんなの処女が出していい声ではない。

 

 この雌は本当に、高ぶらせてくれる。

 

「いい、大丈夫だ。力を入れてゆっくり降ろせ」

 

「んっ……はい♥ おろします」

 

 フルボッキした肉棒が下を向かされていき、少しの痛みを感じたが……。

 ぶりんっと弾けた。

 

 ベチンッッ!!

 

「ふぅふぅふぅ♥ すぅぅう♥ んはぁっっ♥ ふーふーっ♥」

 

 やっと。遂に。

 俺の肉棒が臨戦態勢で……は?。

 

 ……。

 …………。

 

 雁えぐッ!!

 

 まぁ、何だ……マジカルチンポってこんなチンポのこと言うんだろうなーって俺は思った。

 

 逆に冷静になれた。

 

「うぉ!?」

 

「指揮官♥ 指揮官♥ 凄い、大きい♥ ここは、雁……これが、亀頭……凄い♥ 亀ってこんなに段差が……こ、これが、童貞線?……指揮官……童貞♥ 嬉しいっ♥ 私が初めてっ♥」

 

 指が凄いスピードで這い回る。

 摩擦させずにぺとぺとと、付けて離れてを繰り返される。

 痛みはないが……これは、これで……悪くない!

 

 しかし、ラピ……やはりむっつりか……。

 

「お、おいラピ……童貞線って何だ?」

 

「指揮官、指揮官♥ へっ……こ、これです。初めて、せ、性行為すると切れると……知識にあります」

 

 裏筋の繋がりをさわさわと撫でられる。

 ビクッっと肉棒が跳ねる。

 

 は?

 切れる?

 切れる訳ねぇだろ!

 怖ぇよ!

 

 よし、落ち着け俺、下手なことを言わずに冷静にだ。

 

「ラ、ラピ」

 

「はい、指揮官」

 

「まず、俺は童貞だ」

 

「はい、嬉しいです。指揮官♥」

 

「だがな……童貞線ってのは……デマだ」

 

「……はい、指揮官……私が間違っているのでしょうか」

 

「誰にでも間違いはある」

 

「はい♥」

 

「これは切れないが、俺は童貞だ……わかってくれたか?」

 

「……はい、私には真偽の判定は出来ませんが、指揮官を信じます。それに、いつかわかること……」

 

 …………。

 

「そ、そうだな」

 

「指揮官♥ 既に席を外してから、7分21秒経過しています。名残惜しくはありますが……宜しいでしょうか?」

 

「ああ、痛かったら言うから……頼む」

 

「持てる力を全て注いで、全力で挑みます!」

 

 ラピは肉棒から手を離し、一度手を引っ込めた。

 

「えんかうんたー♥」

 

 肉棒に再度迷いなく這わされた手は、ねっとりとした液に濡れており、快楽を待ちわびた肉棒への刺激に腰が震える。

 全体に粘液をまぶし、滑りをよくしたラピの指が……。

 

 掻き消えた。

 

「……!!?あがっ……ぐぅぅウウ゛ッッ!!!」

 

 脳髄を焼き尽くす快楽。

 

 掠れる視界。

 奥歯を噛み砕かんばかりに食いしばり強引に持ち直す。

 腰が引けるも、背後のラピはびくともしない。

 

 首には血管が太く浮き上がり、全身の筋肉がはち切れんばかりに膨張する。

 

 ヤバぃ!!

 ……目で追えない速度で蠢く手に、痛みにも似た快楽が爆発する。

 

「グォッ!!……グ、ガハッ!!……ギッ、ギギッッ!!」

 

「指揮官♥ 気持ちいいですか?ビクビクって、凄い♥ 凄いです♥ 指揮官っ♥」

 

「あっ♥ ビクビク凄い♥ 早いっ♥ 射精してください♥ 指揮官♥ ……あっ♥ ここが好きみたい♥」

 

 もはや、息も絶え絶えになりながら、射精感が猛烈に込み上がる。

 

「あっ♥ あっ♥ 指揮官♥ 素敵♥ あっ、あっ♥ 射てるぅ♥ っふっふ♥ 駄目、射たらゆっくり♥ 優しく♥」

 

 噴水のように吐き出される精子が壁を汚す。

 視界にはチカチカと星が飛び、意識を保つ事で精一杯だった。

 

「ドクドク凄い♥ 好き♥ 指揮官好き♥ はぁはぁ♥ はぁっ♥ ……指揮官♥ こんなに震えて……はぁ♥」

 

 人生で一番の射精を終え、薄れ行く意識、それでも気を失っていないのは、男としてのプライドが崖っぷちギリギリで繋ぎ止めていたからに他ならなかった。

 

「……はッ……はッはッはっ…んぐッ!」

 

 根本から絞るように最後の一滴までしっかりと搾られる。

 

「射精までのお時間41秒♥ 現在8分02秒……少しゆっくりできます」

 

 ラピが何か言っているが、考える余裕は無かった。

 

「ああっ……凄い♥ 一杯♥ んっ……ちゅっ♥ はぁっ♥ ……んちゅ♥ れるっ♥ ……ちゅぷちゅぷ♥ ……んんぅっ♥ ……んっ♥ ……っふぁー♥」

 

 チカチカする視界に、手についた精を甘露のように舐めしゃぶるラピの姿は……幻覚なのかも知れない。

 

「8分29秒、もう少し……いえ、また……つぎがあります。指揮官、お疲れ様でした♥」

 

「ぁ……ぁぁ」

 

 意地で意識だけを保ち、ラピに連れられるまま、指揮官室に戻った俺は、ベットに倒れ……赤子のように頭を撫でられていた。 

 俺は、とんでもないことをしでかし、解き放ってしまったのかも知れない……が、これ以上の思考は出来ず、意識は深い眠りに落ちた。

 

「おやすみなさい。指揮官」

 

 

 





やっっっと少しえろに到着!

最初は見切り発車で書き始めた小説ですが、ニケの設定を見直し、ストーリーを見直したりしていると、新しい発見が色々とありました。

なるべく設定は変えたくないのですが、本来の設定と違う部分も多々あると思います……えっちなら、それでいいよね。

本番はいつになることやら……


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06


ごめーん!
えろは次だ……今回は説明回になるのかな?
つ、疲れた。
気軽にえろがしたい気持ちもあるけど……けど我慢ッ!!


 密度の濃い一日だったせいか、泥のように眠った俺の目覚めは、二度寝もしたくならない程に快適だった。

 

 心なし身体も軽くなった気がする。

 

 身体を起こすと元気に朝立ちしている息子の存在を感じ、少し安心する。

 ちんこがあった……無くなったかと思った……良かった。

 

 冗談抜きで本当に良かった。

 あの技は……封印しなければ駄目だ……色々と駄目になる。

 

 威厳とか……

 プライドとか……

 尊厳とか……

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 寝室からロビーに出たが、誰もいない。

 少し寂しいが……宿所に帰ったのだろう。

 

 シャワー室に入り、鏡にうつる自分を見る。

 一面の壁が鏡になっており、全身を確認できた。

 

 ……改めて、良い身体だ。バランス良く盛り上がった筋肉。

 特化している訳ではなく、関節の稼働を阻害しないよう計算されたようなバランス。

 

 シャワーを浴びながら可動域を確認。

 歪みの無い身体。

 人間としてあり得ない程の、左右対称の筋肉。

 

 古傷の無い綺麗な身体。

 昨日の戦場で負った細かな傷も、既に目立たない程度に治っていた。

 

「フー、大分馴染んだか……」

 

 やはり、純粋な人間では無いのかも知れないが……正直どうでもいい。

 ……ちんこでかいし。

 

「髪、うざいな」

 

 本当に軍人なのか疑いたくなる長さの髪が、目にかかる。

 散髪しなければ。

 

 シャワーを止め、タオルで身体を拭く。

 

 正直だらだらしたいが、先立つ物が無ければ何も出来ないため、今日も仕事をする事に決めた。

 金を貰いに行く必要がある。

 預金残高が10万クレジットしか無かった……珈琲と煙草は今日中に調達する必要がある。

 

 本日の予定は、資金の調達と当面の物資調達に決めた。

 一度目の作戦は成功しているため、ある程度は資金が貰えるだろう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 シャワーを浴び終わった後、冷蔵庫を確認したが数十本の炭酸水とパーフェクトバーしか入っていなかった。

 一本満足!……とはいかない為、バーを五本と炭酸水を取り出し、ソファーに身体を沈める。

 

 テレビの電源を入れ、パーフェクトバーを手で弄ぶ。

 これさえ食べれば必要な栄養素が全て摂取出来るらしい。

 パーフェクトとは良く言ったものだ。

 

 ニュースを見ながら炭酸水を飲む。

 適当にチャンネルを変えていると、指揮官についての番組がやっていた。

 何の気無しに、ぼーっと眺め、情報収集。

 

 指揮官はアークの英雄。

 人類最後の希望。

 勝利の女神であるニケを使役し、ラプチャーから人類を救おう。

 年中無休で指揮官募集中。

 

 勝利の女神……かー。

 随分えろえろな女神もいたもんだと笑っていると、声がかかった。

 

「あ〜!!指揮官様、その炭酸水、私の!」

 

「あ?……そうなのか……なんか、すまんな」

 

 飲んでいた炭酸水をアニスが指さす。

 ……今度から名前を書かせよう。

 

「……素直に謝らないでよ、怒れなくなるじゃん」

 

「ただいま戻りました、指揮官」

 

 銃火器を置いていたラピがいつものポーカーフェイスで呟く。

 本日も異常なく、ドスケベ衣装であります!

 

 …………。

 

 昨日の事など忘れましたと言わんばかりの無表情で、事務的な感情の籠もっていないラピの声に、少しばかり心が痛んだ。

 

「あ……ああ、おかえり」

 

「防衛ラインにラプチャーが出現。指揮官不在にて私の判断のもと出撃。状況終了いたしました」

 

「ほとんどラピが倒したけどね〜」

 

 敬礼し報告するラピと正反対に、アニスはジト目で見てくる。

 

「……お疲れさん。怪我、ないか?」

 

「ボディーチェックオールグリーン、異常ありません。いつでも出撃可能です」

 

「異常ありませ〜ん」

 

「なら、良かった。アニス、飲みかけで悪いが、要るか?」

 

 アニスのジト目に耐え切れず、炭酸水を差し出しながら聞いてみる。

 あの量の炭酸水を常備している点と、態々自分の物だと指摘する点から、並々ならない思いがある可能性を考慮。

 

 少し沈黙したアニスは、俺と炭酸水に数度視線を向け、首を傾げた。

 

「……いいの?」

 

「勝手に飲んで悪かったな」

 

「指揮官、基本的にニケの物は指揮官の物でもあります。気にする必要は無いかと」

 

 凄いジャイアニズムだ。

 

「!?……男に二言は無いでしょ、指揮官様!」

 

 ラピの言葉に炭酸水を奪われると思ったのか、俺の手から炭酸水が素早く無くなる。

 

「アニス」

 

「あー、いいよラピ」

 

「ですが、規律が乱れます」

 

 昨日、乱れたお前が言うのか。

 

「いいよそんな規律は。此処にいる間は、お前達の物はお前達の物ってことで、よろしく」

 

「おっ、指揮官様、良いこと言うね〜!」

 

「しかし……」

 

「じゃあ命令な」

 

 尚も食い下がろうとしたラピに命令を使う。

 

「……わかりました」

 

「了〜解〜!」

 

 渋々了承したラピを尻目に、にやにやしながらソファーに座ったアニスは、炭酸水をちびちびと飲んでいた。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 ラピに案内を頼み、中央政府事務所までの道のりを歩いていく。

 

 二人に作戦報告証書を提出することを伝えると、ラピが確認したいと申し出てきた。

 資金を得る為に必要な書類であり、死活問題なため確認を任せた。

 

 ラピに淡々と駄目出しされるという不手際があり、修正を頼んだ。事務処理能力が非常に高く、俺の何倍もの速度で完成した書類に目を通して、何とも言えない気持ちになった。

 

 書類の作成速度もそうだが、書かれている内容が……酷い捏造だった。

 同じ名前の別の指揮官が存在するのかと、目を疑うレベルで俺の活躍ばかりが書かれており、こうやって事実が歪んでいくんだと実感した。

 

 証書の俺は敵の行動を予測し、的確に指示を飛ばし、事前準備も怠らない凄い奴だった。

 実際はAIオートの戦闘命令に、時々勘と気配察知で避ける指示をして、出来る限り気配を消し遮蔽物に隠れていただけに過ぎない。

 ラピの言い分として、こう書かないと受理されない可能性が高いとか……。

 何ともむず痒くなるが、資金を得るためには背に腹は変えられない。

 

 そんなこんなで、凄い俺が書かれた証書を手に入れ、ラピと二人で外出していた。

 

 

 中央政府事務所と大きく書かれた看板が見えた。

 道中、余り話は弾まなかった。

 

「この先に中央政府事務所があります」

 

「案内ありがとな」

 

「では、目立たない場所でお待ちしております」

 

「一緒に入ればいいだろう?」

 

 綺麗な敬礼で俺を見送ろうとするラピに疑問を投げかける。

 

「ニケは特別な場合を除き、中央政府事務所への出入りが禁止されています」

 

「は?……なんで?」

 

「指揮官のよろしくない姿をみてしまう確率が、高いためです」

 

 視線を落とし、悲しげに呟かれた言葉の意味は、中央政府事務所に入れば直ぐに分かった。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

「明日は、我が身……だな」

 

 作業を終え、中央政府事務所から出る。

 ……指揮官というものは、使い捨ての消耗品であるということが良く分かった。

 

「指揮官、何も問題なかったですか?」

 

「ああ、給料はしっかり手に入れたよ。案内してくれてありがとな」

 

「いえ、指揮官を補佐するのは、当たり前の事です」

 

 とんでもない額が振り込まれた。

 

 ラピが追加作成してくれた発電所調査の作戦が……なんと成功扱いとなっていた。

 作成していない事に気づいたラピが超速で作成してくれた。

 とても頭が下がる思いです。

 

 マジで、ラピのおかげだ。本当に助かった。

 指揮官の給料低すぎんだろ、初陣だけの給料しか入らなかったら、明日にでも作戦を遂行する必要があった程だ。

 

「それでも、マジでありがとな。発電所調査の証書。本当に助かった」

 

 残高を見てニヤけが止まらない。

 0が大量……こんなにあれば、当分は働かなくてもいいだろう。

 

「……それなら、良かったです」

 

 言動では距離を起きたがるが、俺の半歩後ろを歩くラピとの距離感は、最初に比べ少しずつ近くなっている。

 嫌われた訳では無い……と思う。

 

 

 食料品や日用品、大切な嗜好品を購入する前に……浮いたお金で祝の品を購入することにした。

 必要ないおばけを説得し、ロイヤルロードと呼ばれる高級商店街に向かう道中、相槌と当たり障りの無いことしか話さなかったラピが話しかけてきた。

 

「中央政府事務所は、如何でしたか?」

 

 横に並んだ顔をチラッと伺うも、ポーカーフェイスを貫いている。表情から質問の意図を読み取ることは出来なかった。

 

「理想と現実を見せられた気分……だな」

 

「そうです。指揮官もよくご存知の通り、世間一般的に指揮官はエリート、英雄である……と知られていますが、現実は全く違います。わずか1年にも満たない教育期間で作戦に投入され、事故が絶えません」

「そして、一番最悪なことが、指揮官は作戦に失敗すると給与を受け取れません。つまり、傭兵と何ら変わりのない人生と言えます」

 

 まぁ、人類を救うエリートかと思いきや、現実は命を賭けた傭兵業。

 酷い詐欺だな。

 

「指揮官候補生は士官学校での教育を通し、自分がエリートであると考えます。誤解を恐れずに言えば、洗脳に近いかも知れません。指揮官たちは皆、自信にあふれ、自分こそが真の英雄であると信じてやみません」

「そして、命を懸けた結果として、僅かばかりのはした金が給与として支給されます。ここで現実を見せつけられ」

「失敗時には、罪のない職員に大声を張り上げている自分という、余りにも過酷な現実を……再度見せられます」

 

 確かに中央政府事務所の雰囲気は最悪だった。

 

 ニケに責任があると主張する者。

 セキュリティに連行される者。

 職員を恫喝している者。

 

 朝に見たテレビの輝かしい宣伝とは違い、理想と現実を見た。

 

「こうした現実と輝かしい理想の乖離に耐え切れず、自決する指揮官も少なくありません」

 

 空気が更に重たく感じる。

 想像以上の重たい話。

 無言の俺に対し、ラピは淡々と続ける。

 

「しかしアーク内で、この事実を知る者はごく少数です。アークは指揮官たちを英雄として祭り上げていますから」

「それに、どれだけ優れた指揮をしても、直接戦闘するのはニケです。作戦の成功率はニケに大きく依存します」

 

 俺は仲間に恵まれた。

 それだけは、間違いようも無い事実だった。

 

「作戦失敗時、大破したニケが何事も無かったかのように無傷で帰ってきます。指揮官に得るものはありません」

「長くなりましたが、話は以上です……それでも、これを聞いても、このまま向かいますか?」

 

 祝の品など必要ないと……そう言いたいのだろう。

 

「行くに決まってんだろ」

 

「……そうですか、では、行きましょう。指揮官」

 

 

 

 祝の品はちょっとだけ格好つけた。

 アニスへの贈り物は、ラピに好みを教えて貰った。

 ネオンへの贈り物は、見当も付かないからフィーリングで購入。

 ラピは安い物なら何でも良い。値が張るものの場合は換金できるものが好ましいとか言いだすから、俺が勝手に選んだ。

 

 遅めの昼食を取るためシャレたレストランに入った際、従業員とひと悶着あり、食事中にラピがニケとアークに付いて語りだす。

 

 

 体内にコアが有ること。

 本来は食事も睡眠も、とる必要が無いこと。

 人間と乖離的な行動を取り続けていると、ふとした瞬間、自分が人間で無いことが一瞬のうちに強烈に認識され、認知的不協和を引き起こし、メンタルブレイクし思考転換が発生する。

 思考転換についてはラピも詳しくは知らず、思考転換が起こったニケは人格が切り替わり、イレギュラーと呼ばれ射殺される。

 思考転換に至るまでには個人差があり、ラピの場合、食事なら数日に一度で精神が保たれるそうだ。 

 

 そして、ニケフォービア。

 

 ニケに対する差別思想を持つ人間の俗称。

 ニケ=兵器。の構図を基本とした思想。

 ニケに人権は必要ない。

 兵器は兵器らしくしろとデモを起こす過激派も存在する。

 

 知らない事が多すぎることを実感する。

 何の気無しにニケはえちえちで可愛いどすけべ娘としか思っていなかったが、認識が変わった。

 この世界でニケが幸せに生きるのは、難しい事が分かった。

 

 色々と言いたいことは有るが、ここまで崩壊しかけた世界だとは思ってもいなかった。

 総人口が1000万人とか……まじか。

 

 

 一旦ラピの話を区切り、便所を済ませる。

 鏡に写った俺は、いつも通りの俺であり、認識は変わったが……考えを変える気など更々無い。

 

 席に戻った俺に、ラピは続きを話し始める。

 

「指揮官は、私を人間のように見ていませんでしたか?」

 

 その言い回しは、今は違うと言われる事を予見していることが、伏し目がちな悲しみの籠もった瞳から察する事が出来た。

 

「そうだな」

 

「それは非常に危険な思想です。中央政府では反政府主義者と捉えられます。ニケフォービアからすればテロリストと変わりありません。指揮官の命に関わります」

 

「そっか」

 

「……指揮官、ご自愛ください。指揮官は生存率3割の初任務。更に重要な作戦で生き残った極めて貴重なお方です。今後更に飛躍し、人類に多大な貢献をもたらす可能性が高いものと思われます」

 

「……持ち上げ過ぎだろ」

 

「いえ、ブラックスミスとの戦闘シミュレーションにおける指揮官の生存率は20%を切っていました」

 

 ブラックスミス。

 マリアンを取り戻す為戦った……大型のラプチャー。

 

「……皆のおかげだな」

 

「そして、グレイブディガーからの逃走成功率は……僅か10%にも満たなかった事を、知っていますか?」

 

「アニスのおかげかな……あいつラピの為に頑張ってたからな」

 

「確かに、アニスの能力が向上していた事は認めますが、それを加味しての数値です」

 

「そうか……」

 

「今後、軍の上層部との繋がりが出来るはずです。指揮官の思想が露見すれば、待ち受けるのは……破滅かと」

 

「……要は、俺を心配してくれてるんだろ?」

 

 思わず、笑みが溢れる。

 こんなの笑わずに要られない。

 

「っ……はい、指揮官」

 

「今日ずっと……事務的に話してたのは、自分を押し殺していたのか?」

 

「そんなことは……あるかも知れません」

 

 ラピに嫌われてなかった。

 それだけで十分だ。

 

「俺は自分の目で見たものを信じる。誰になんと言われようと、流されることは無い」

 

「それが、破滅に繋がるとしても……ですか」

 

「俺は馬鹿だから……破滅するなら、その時はその時だ。笑って終わってやるよ」

 

 そう告げて、笑いかける。

 小難しい事ばかり言われてもな。

 俺は自覚有る、馬鹿だから。

 

 ラピは瞳を閉じ、逡巡したのち、ゆっくりと瞼を開き、真っ直ぐに俺を見つめた。

 

「――――指揮官、私はオーバーフローを起こし、深刻なエラーが発生していました」

 

「あ?……大丈夫か?病院行くか?」

 

「……リペアセンターではボディの異常しか直せません」

 

「……なるほど」

 

 心の問題ということか。

 絶対昨日のヤツやん。 

 

「私は真実をお伝えしました。それでも、指揮官の考えは変わりませんでした。情報を整理する時間が欲しいです。そして……少し時間を作ってくれませんか」

 

「……分かった」

 

「ありがとうございます。指揮官」

 

 レストランを出て、用事を済ませた後、前哨基地へのエレベーターに乗り込む。

 ラピの手袋に包まれた手をとり、優しく握る。

 驚いたラピを無視して握り続けていると、おずおずと握り返してくれた。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 指揮官室がある建物はコマンドセンターと呼ばれており、前哨基地の中心に位置する。

 指揮官室のほか、寝室と面談室が存在し、余っている部屋が大量にあり、作りかけの部屋が存在していることから、建設を中途半端に放置されている事が分かる。

 

 手はコマンドセンターに入る直前まで、繋がれたままだった。 

 

「指揮官様〜、数日分って言って無かったっけ?こんなに買ってきてどうしたの?」

 

「アニスは良く食うって、ラピが言ってたぞ」

 

 それが、むちむちボディの秘訣だな。

 

「……ラピ!? 誰が大食いなのよ!」

 

「事実」

 

「ラピだって、食べる量すごいじゃない!」

 

「私の場合……3日に1回」

 

 アニスに肩を掴まれ、揺すられるラピ。

 仲が良くて微笑ましい。

 

「喧嘩すんなー、アニス、お前の好きな炭酸水も大量に有るぞ」

 

 大量の炭酸水が入った袋をアニスに手渡す。

 朝に勝手に飲んだ分をちゃんと返す。

 

 こういう一見小さな事が、不信に繋がりかねない。

 

「ふ〜ん、それで、何が目的なの?指揮官様」

 

 手渡された袋を見て、アニスが怪訝な顔をした。

 

「目的?……目的と言うよりは、朝のお返し……だな」

 

「朝のって……そんなの……」

 

「今日は仕事も無いから、だらだらしてていいぞ、良い上官だろ?」

 

「……ね、ねぇ、指揮官様……私は本当に何もしなくていいの?だらだらしてていいの?」

 

 どこか腑に落ちないのだろう、驚きを隠せないと言わんばかりのアニス

 

「ん?……急ぎの仕事は無いから特にすること無いぞ、何なら寝てもいいぞ」

 

 急ぎではない仕事は大量に有るが、非戦闘員の俺がするべきだろう。

 

 返事を返しながら、大量に購入した食材を冷蔵庫に入れる。

 明日の朝はまともな飯が食えそうで安心した。

 卵や野菜、ソーセージ、など簡単に食べられる物を買ってきた。これ全部、原材料パーフェクトらしい……凄い話だ。

 

 念願の珈琲と煙草も手に入れ。

 コーヒーメーカーも手に入れた。

 明日になるか明後日になるか分からないが……最高の休日の満喫する!

 

「……ラピ、『あれ』ちゃんとやったの?」

 

「やった」

 

「それで、変わらずこの調子なの?」

 

「うん」

 

「……あ〜もう……もう!……ちょっと出てくる!」

 

「いってらっしゃい」

 

 缶コーヒー片手に、煙草を吸っていたら、アニスが肩を怒らせながら出ていった。

 

「アニスのヤツ、何か怒ってた?」

 

「指揮官が気にする必要ありません。それより……少しお時間宜しいでしょうか」

 

 情報の整理はどうやら終わったようだ。

 

 

 

 ラピを寝室に連れ込み……なんか、悪いことしてるみたいに聞こえるな。

 まぁ、最悪……昨日みたいに快楽で落とそうと思ってるから間違ってはいないが。

 

 扉の鍵を締め、ラピと向き合う。

 鍵が閉まった音がやけに大きく聞こえ、ラピがピクッと反応する。

 相変わらず表情は無表情を貫いているが、指先が少しだけ震えていた。

 

「指揮官には私が何に見えますか」

 

 また、ドスケベと言いそうになり、自重する。

 いつもの淡々とした調子ではなく、声が震えていたから。

 

「俺にとってはお前は、可愛い女の子だよ」

 

 赤く染まっていく頬。

 

「ぅ……し、指揮官にとって私は、どのような存在でしょうか」

 

 一歩一歩、距離を詰めるも、それに合わせ後ずさるラピ。 

 

「仲間だな」

 

「仲間……で、す……か」

 

 ラピの背中が壁に当たり、距離が縮まっていく。

 

「大切な存在でもある。俺の大切な人だ」

 

 ラピの頭に手を乗せ、笑いかける。

 身を震わせたラピは逡巡し、ぶつかるように俺の懐に飛び込んで来た。

 

「ぅ……ぅぅ、指揮官、エラーが、エラーが……消えませんっ」

 

 胸に顔を埋めるラピを抱きしめる。

 

「……やっ……もう……やめてくだっ――!?」

 

 顔を上げて涙を零したラピの唇を奪う。

 

「―――〜〜〜っっぅ!!?」

 

 じっくりとラピの唇を堪能し、腕の中から解放した。

 ぽーっとしていたラピは、ゆっくりと自身の唇に触れ、俯いた。

 

「ラピ命令だ……嫌なら、突き飛ばせ」

 

 ニケは指揮官の命令に絶対服従。

 

 絶対服従なら……こういう使い方が最適だろ。

 

 顎に手を添え、顔を近づける。

 ラピの瞼が落ち、唇が重なる。

 

「―――〜〜〜っぁ♥ んんぅ……んっ……はっ……はふっ♥」

 

 涙はもう、流れていなかった。

 

「ずっと俺の側にいろ、ラピ」

 

 紅顔し、頬に添えられた俺の手にラピは両手を重ねた。

 

「……はいっ……はい、指揮官っ――っ?……ふぁ♥ ……んっ……手、温かい♥」

 

 頬の体温を手に擦り付けるラピの顔は、ポーカーフェイスでも何でも無く、唯の少女にしか見えなかった。

 

 

 



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07 ★ ラピ

なんとか休み終わりに間にあったかな
しっかりと推敲出来ていないため、読みにくかったらごめん!!


 スマホを起動しメッセンジャー『blabla』を使用。

 俺の部隊カウンターズのグループを使用し、アニスとネオンにメッセージを送る。

 

 メッセンジャー『blabla』はLI●Eみたいな物であり……今はどうでもいい。

 副司令閣下の名前があった気がするが……そんな事もどうでもいい。

 

 素早くアニスとネオンにメッセージを送る。

 

『今日の業務は終わり。各自好きに過ごすように』

 

『了解〜〜!』

 

『了解です』

『不肖ネオン、明後日には戻れると思います!!』

 

『何も問題なかったの?』

 

『はい、何もありません!』

 

『本当に何も?』

 

『本当に何も!!』

 

『なら、早く帰ってきなさいよ!』

 

『ふふ』

『ふふふ!』

 

『なに、不気味ね』

 

『こっちにはシャワーがあるんです!!』

 

『シャワー!!?』

 

『師匠にお手間をかけずに済みます!!』

 

『ずるい!!』

 

 矢継ぎ早に流れるメッセージに軽く目を通し、ラピに返事を促す。

 頬を染め、こくんと頷く姿に満足。

 

『あれ?ラピは?……ラピ〜〜!お〜〜いラピ〜〜』

 

『sきにやすんでる』

 

『ラピが誤字なんて珍しいね!』

 

『怪しい』

 

『確かに、あやしい〜!』

 

『先に休んでる』

『あやしくない』

 

『そういうことだからおやすみ』

 

『おやすみなさい、しきかん』

 

『おやすみなさい、師匠!』

 

『えっもう寝るの?指揮官様?』

『しーきーかーんーさーまー!』

『しーー』

『きーー』

『もう、寝ちゃった?』

『おやすみ〜〜』

 

 アニスの呟きに……返事を返すことなくスマホをベッドの側に投げ捨てる。

 ベッドにちょこんと座ったラピも……端末をしまった。

 

 空気が変わる。

 ラピの側に座ると、おずおずと此方を見てきた。

 

「し、指揮官……あの、その……緊張、します」

 

 もじもじ可愛い。

 

「俺もだ」

 

 距離を詰め、肌が触れ合う近さに近づく。

 

「!?っ……ち、近いですっ」

 

「これからもっと近くなるぞ?」

 

 両手を絡みとり、掌同士を重ね合わせる。

 指を絡め、ベッドにラピを押し倒した。

 

「―――っぅ♥ ……あっ♥」

 

 帽子が脱げ髪が広がり、言いようのない色気が醸し出される。

 

「くくっ、俺の好きにして良いのか?」

 

 ゆっくりと顔を近づけていく。

 

「ぅぅ……し、指揮官、待って……その」

 

 指をもぞもぞと動かしながら、視線を彷徨わせるラピの熱い吐息を浴びる。

 

「ま、待ってください、指揮官!」

 

 今更逃げ出すとは思わないが、視線を彷徨わせていたラピは、『んっ♥』っと決意したように視線を交わらせた。

 

「ふぅ、ふーっ♥ ……その、指揮官にお仕置き♥ して頂き……ショート寸前の頭で必死に考えました」

「結果。指揮官を……その、異性として好ましく……側に居たいと思っている、ようです……いえ、思っています」

「……許して頂けますか?指揮官」

 

 伝わったと思ったが、まだ本気が伝わっていないらしい。

 

「さっきも言ったけどな、許すもなにも……俺の側にいろ、命令だ……ラピ」

 

 手の繋がりを離し頬を撫でる。

 

「あっ♥ ……んぅ♥ ……嬉しい、嬉しい♥ ……指揮官、これが幸せ」

 

 感じ入ったラピの唇にキスを落とした。

 

「……んんっ!!?……っはぁ♥ ……はむっ♥ ちゅ♥ ちゅぷ♥」

 

 ラピは自由になった手を俺の首に回し。

 

「……んっ……ちゅ、ちゅ♥ ……ちゅぱっ♥ ……はふぅ♥」

 

 何度も唇に吸い付いてきた。

 

「これ、キスっ♥ ……凄く幸せです」

 

「気に入ったか?」

 

「はい、ずっとしていたい♥」

 

「俺もだ」

 

 半開きの唇から舌を差し込み、腔内に侵入する。

 舌べらをあわせ、ゆっくりと絡ませる。

 

「あっ♥ んちゅ♥ ―――っ!? ―――〜〜〜んんん♥……っぁ……れぇっ♥」

 

 理解が早く、どうすれば気持ちいいのか教えてやると、縋るように舌を絡ませ答えてくる。

 

「れりゅ♥ ―――〜〜〜っぅぅ♥ れぇぇ〜〜♥ ―――〜〜〜っふ♥ ……ぇりゅ……ちぅ……はっふっ、はふぅ♥」

 

 追い縋る舌が離れ、顔が離れる。

 銀の橋がプツッと途切れた時には、瞳の蕩けた完全に食べ頃のラピが出来上がり、内ももを擦り合わせていた。

 

「ふーっ♥ ふーっ♥ しきかんぅ♥ あつぃ、身体があつぃです♥」

 

 凄まじくえっちな蕩けっぷりに、肉棒がはち切れんばかりに張り詰める。

 

「最後まで……するからなッ」

 

「っふー♥ はいっ♥」

 

 ネクタイを外し首筋に吸い付きながら考える。

 

 ドスケベ衣装のままするのもいいが、ラピの恥ずかしがる姿が見たい。

 真面目ちゃんが自分から蕩ける姿が見たいッ!!

 

 ……名案が閃いた。

 

「っぅあ♥ し、しきっ♥ かんぅ♥ ……っふー♥」

 

 ラピ自身の手で服を脱がさせることに決めた。

 

「……ふぅ、ふぅ……指揮官?」

 

 手を引っ張り、ベッドに腰掛けた俺は、腕により掛かり不安な目を向けるラピに告げる。

 

「脱げ」

 

「……っっ♥ ……は、はい……み、見てください♥」

 

 すっと立ち上がったラピが、手早く衣服を脱いでいく。

 

「それは、脱がなくていい」

 

 薄い生地のどすけべストッキングは履かせたまま……次を促す。

 

「っぅ♥ ……はい♥」

 

 胸元からボタンを外しはじめ……下に向かう度……ラピの動きが緩慢になる。

 ああ、素晴らしい。

 

「……ふっ、ふっ……はっ♥」

 

 恥じらいながらボタンを外していく手が……止まった。

 

「……視線っあつぃ♥ ……指揮官っ♥」

 

 真っ白の谷間を、隠れた頂点を見透かすように視姦する。

 ギラギラした視線をずらす度、熱い吐息が耳を打つ。

 

「み……てるぅ……ふー、ふー♥ ……あぅ♥」

 

 上半身の肉付きに対し、豊満な下半身が素晴らしい。

 ジッと見るだけだ。

 俺からアクションは起こしてはいけない。

 

「し、指揮官♥ 後ろ……後ろを向いても、いいっ……ですか」

 

 時間をかけてボタンを全て外し終わり、胸の頂きが隠れる程度に開いた所で、また手が止まった。

 

 えっろ。

 

「……好きにしろ」

 

 焦らしやがってッ!

 

「ありがとう、ございますっ」

 

 シャツを脱ぎ、背中が露見する。

 遮るもののなくなった横乳がぷるんと震えたのが背後から見えた。

 

「……はっはっ、はぅ♥」

 

 胸に感じた視線を遮ろうとしたのか、ラピは自身の身体を抱きしめる。

 

「―――っぅぅ……ぅぅぅ♥」

 

 残すは黒の超ハイレグぱんつのみ。

 細い腰紐がゆっくりと焦らすように下がっていき。

 

「―――っぅ♥ ……――ぅぅ♥」

 

 俺の視線から逃げ、ラピは身体を抱きしめ、ベッドに倒れ込んだ。

 うつ伏せで顔を隠し、モゾモゾとお尻が上がっていく。

 でか尻が強調され、ぷるぷると震えた。

 

 あ゛あ゛ッ。

 

「はっはっ♥」

 

 足を開き、俺に見せつけるように守りが下がり、大事な所が見える直前……。

 また、手が止まる。

 

 あ゛〜〜〜、くっそ、くっそッ。

 早くしろや!

 ムラムラがヤベぇんだよッ!!

 

「ぅぅ――むりぃ……むりですっ、し、しきかんっ ぬがせてっ♥」

 

 ブチッと理性が途切れた俺は、デカ尻を鷲掴み……。

 

「あひっ♥ つよっ♥ ―――っぅぅ♥」 

 

 一息に最後の砦を乱暴に摺りおろす。

 真っ赤に充血したぷっくりと盛り上がった土手肉が……ひくっひくっと誘い……蜜でべっとりと濡れていた。

 

「うぉ、すげッ!」

 

 くっそ甘ったるい匂いが、湯気のように立ち昇り鼻孔を抜ける。

 

「!?……ぅぅ♥ ……ゃぁ♥」

 

 フーフー……ッ少し冷静になった。

 

 がくがくと震えるデカ尻と、肉付きの大変よろしい太腿が、ぷるぷると震え俺を誘う。

 

 掴んだ手から何とか力を抜き……じっくりと鑑賞する。

 

「……ぅ、っ……ゃ♥」 

 

 視線から逃げるよう震えるが、誘ってるようにしか見えない。

 

「……えろすぎ」

 

 あー限界っすわ。

 

「っぅ!!!♥ ……っし、しぃ……きかんっ♥」

 

 ガクガクと震える尻を両手で掴む。

 張りのある柔肌が指を押し返し、形を保とうと反発してくるがそれを許さず、食い込む程に強く揉み込む。

 

「……んくぅ……っは♥ ……指揮官っ……ぁん♥ つぅぅ♥」

 

 柔けぇ……ニケを作ったヤツ、絶対変態だろ。

 こんな、身体で戦闘とかあり得ない。

 夜戦特化にも程がある。

 

「……はぅ♥ ……指揮官ぅ♥ ……もっと、もっと触れて、触ってくださぃ♥」

 

 あ〜〜、くっそむらむらする。

 声やばッ、可愛すぎだろッ。

 

「――!!……ふっふっ、っふー♥」

 

 静かな空間にベルトの金属音が鳴り響き、ラピが身体をビクつかせた。

 

「はっ、はっはっ♥ ふーっ♥」

 

 ベルトを外し、ズボンを脱ぎ捨てる。

 我慢できず下着も投げ捨て、ラピに覆いかぶさった。

 

「!?ひゃっ♥ ……んぅぅ、はうっ♥ ……あつっ♥ ……指揮官っ、指揮官っ……熱いのが♥」

 

 腹筋にぷにゅんっと尻肉が吸い付き、肉棒の先端がラピの下腹部にベチンッと押し付けられた。

 逃げるように腰を浮かそうとしたラピを上から押し付けると、太腿が空間を無くし肉棒を包み込む。

 

「っぅん……おっきぃ♥ こんなの、はいりません♥ はいりません、指揮官っ♥」

 

 太腿をもぞもぞと擦り合わせるように動かすラピの言葉は、挿れて挿れてと懇願しているようにしか聞こえない。

 

 落ち着け……落ち着けッ。

 

「……ああ、挿れない」

 

「えっ……な、なんでっ……ぁん♥」

 

 耳をあま噛みすると、すりすりの速度があがった。

 むにゅんむにゅぅと肉棒に柔肉を纏わりつけられ、ビクッと肉棒が跳ねる。

 

「フー……ラピから言ってくれないとなー、どこに、何が欲しいのか?童貞だから分からねぇんだ」

 

「そ、そんっ……そんなっ♥」

 

 あーくっそ、可愛い。イジメたくなる。

 誘い受けってこういう事、言うのか?

 虐めてオーラ出すぎだろッ!!

 

「――さぃ♥」

 

「聞こえねぇ」

 

「指揮官のくださいっ!♥」

 

「全然駄目……もう、終わりにするか?」

 

「!?ゃ……ぃやですっ!……ひっ♥ 動いちゃ♥ ……っぁ♥ ……だめっ♥」

 

 細い腰を掴み、太腿肉を雁で掻き分ける。

 ぷりゅんぷりゅんっ、ぷりぷりっと肉が震え、肉棒から先走りが垂れる。

 

 こっちも我慢の限界だよッ!

 早くしろッ!!

 

「ほら、欲しいんだろッ?」

 

 ぷっくりと膨れ上がった膣肉に、先走りでべとべとになった亀頭を押し当てる。

 

「っっぅぅ♥ ……っはぁ♥ ……指揮官のっ……おちんぽっ♥」

 

 イライラッ!

 

「ラ、ラピの……お、おっ♥」

 

 ビキッビキッ!!

 

「ぉ……ま、……こっ―――んあっ♥」

 

 ぐぷッ!

 

 ……興奮しすぎて、亀頭が半分ほど呑み込まれてしまった。

 このまま突き挿れたい衝動を……必死で押し殺す。

 

「っっうう♥ ぉぉ♥ ……くぅぅ♥」

 

 ラピの腹部に回した手から、ひくひくと下腹部の痙攣が伝わる。

 

 えっろッ。

 明らかにちんぽを欲しがってひくついていた。

 こんなの絶対に気持ちいい。

 

「んぉ♥ …っふー♥ っふーー♥」

 

 肉棒に血液が流れ、バキバキッと更に膨れる。

 

 早く挿れたいッ!

 ガツガツ腰を振りたいッ!!

 

「ぉ、ぉぉ♥ ……おちんぽくださいっ!ラピのおまんこにおちんぽぉっ!!―――っぅん♥ ―――〜〜〜♥!!!」

 

 ―――ッッッ!!、ッやっばッ!

 吸い付き過ぎだろッ、くっそ貪欲なまんこしてやがるッ!

 

「―――んぉっ♥ ――っ――っっ――ぉほっ♥」

 

 半分少し突き挿れた所で、奥にぶつかる。

 貫かれた衝撃に海老反りになったラピは、ベッドのシーツをぎゅっと握り込み、顔が跳ね上がった。

 

「んぁぁああ♥♥ っぅ!!?―――〜〜っっ♥ ……ふひっ♥」

 

 優しくしようと思っていたが止まらず……力で押し込む。

 強引に奥を押し込まれ、根本までぐっぷりと肉棒を飲み込んだラピは、ぺたんっと倒れ込み、握り込んだ両手を弛緩させ、ぴくっぴくっと痙攣する。

 

 

「っふ♥ っふ♥ ―――っあ!!♥ んぎぃ♥ あぎぃ♥ ―――」

 

 理性が途切れた。

 止まらなかった。

 

「キッツ!!……あーくっっそ、我慢できるかッ!!」

 

 細腰をガッシリと掴み、猿のように何度も腰を叩きつける。

 

「ぉほ♥ くぉぉ♥ んぎぃ♥ ぁぎゅぃぃ♥」

 

 肉棒を膣肉で扱き、奥を突き上げる。

 雁で膣肉をかき回し、纏わりつく肉を乱暴に剥がし、快楽を貪る。

 

「―――っぉほっ♥ ぉぉ、ひぉ♥ ぅ゛……ぅ゛―――ぅぅ゛♥」

 

 壊れたように喘ぐラピの声が、どんどん小さくなる。

 

「……んぉ♥ ……っっ……っぉ……ぁひ♥」

 

「……くそッ、もう出るッ……くそがッ―――ッこのまま、中に出すぞッ!」

 

 ニケは妊娠するのか……。

 中に射精して大丈夫なのか……。

 

 そんな事考えている余裕は無かった。

 何なら、腟内で射精し孕ませたいという欲望が強かった。

 

「……ぉぉ♥ ぉひっ♥ ……は♥ ……はいっ!♥」

 

「クソッ出るッ!!」

 

 一際強く、腰を叩きつける。

 根本まで膣肉に包まれた肉棒から精が溢れ、奥に注ぎ込まれた。

 

「―――っう♥ …………ぁぁああぁぁぁぁああっ♥」

 

 ラピは背筋を仰け反らせ、大きく啼き、ぺたんっとベッドに沈み、ぴくぴくと震えた。

 びちゃびちゃと吐き出される欲望。

 腰が抜けそうな快楽に震え、大量に精を吐き出し続ける。

 

「ッハ!……ぐぉ、めっちゃ出るッ!!」

 

 ビュブブブブッ!!と擬音が聞こえるほどの吐精に……足が震える。

 

「アァッ、くっそ出るッ……あ〜〜小便みたいに出るわー」

 

「ぁぁ♥ ―――〜〜〜っぁぁ♥ ……ぁ゛、ぁぁ゛♥」

 

 陰嚢が震え、ドクッドクッと大量の精子が吐き出される。

 頭が徐々にクリアになり……ビクッっと肉棒が震える度、びくっ……びくっ……と痙攣するラピが愛おしい。

 

「ぁ、ぁ……ぉぉ♥ ぉほっぅぅ♥」

 

 長い射精が収まり……奥まで押し込み、最後の一滴まで吐き出す。

 

「はー……フゥ……ラピ?……大丈夫か?」

 

 繋がったままラピの身体に倒れ込む。

 汗に濡れたラピの髪を払うと、蕩けた顔で焦点の会わない瞳が露になった。

 

「……ふっふっ♥ ……し、しきか……んっ♥」

 

「ああ……動ける、か?」

 

「っふー♥ ……む……む、りっ……ですっ♥」

 

 髪を撫で上げ、頬に手を添える。

 

「……ぁ、しきか、ん……すきぃ♥ ――っっ!!っあぁぁ♥」

 

 あっ……悪い。

 可愛いこと言い出したラピに、思わず腰を押し込んでしまった。

 不可抗力、不可抗力。

 

「あっと、すまん……あー、痛みとか無いよな?」

 

「っふー♥ っふー♥ ふぅふぅ♥ き、気持ち良すぎて、エラーがっ……しきかんぅぅぁあんっ♥」

 

 おー駄目だなー……無理だろ、これ。

 気持ちいいなら遠慮しなくていいだろ。

 

「だめっ♥ だめっ♥ ……ばかになりゅぅ♥」

 

 まだ息子はガチガチに屹立し元気いっぱい。

 

「ラピ諦めろ……お前が悪い」

 

「ぁぁん♥ だめぇ♥ ゃ♥ んひぃぃ♥ ……ぁぁああっ♥」

 

 甘い鳴き声が寝室に響き渡った。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 我慢できず抜かずの三回戦を終えた俺は、ラピを腕に抱き、後ろから抱きしめピロートークを楽しんでいた。

 

 ……もう可愛かったよ。

 

 喋ることすら出来なかったラピも、二回目三回目と回数を重ねる度に順応し、可愛い声でひんひん啼いてくれた。

 正常位で胸を虐めながら突いてやると『……あひっ♥ しきっ♥ っあぁ♥ もぅ……だめぇ♥』と言った具合に乱れ、耳元で可愛いと囁くと、面白いくらいにひんひん啼いていた。

 

 髪を梳く度、もぞもぞと動くラピが非常に愛らしい。

 俺の腕でがっちりと掴まれている為動けないでいるが、後ろから見える頬は綺麗な朱色に染まっていた。

 

「指揮官は鬼畜です♥ 最低です……嘘です……でも鬼畜です」

 

「悪かったって」

 

 俺だって最初はこんな猿みたいにやる予定ではなかったが、理性がな……仕方ないだろ。

 これでも我慢したほうだ。

 

「悪くはありません。指揮官は悪くありません……でも鬼畜です」

 

 ……はい可愛い。

 

「で?どうだった?」

 

「……ぇ、えらーが♥ ……エラーが更に深刻になりました。もう抗えません……鬼畜です」

 

「そうやって誤魔化すのは、狡くないか?」

 

 真面目で素直な癖に、そうやって誤魔化すのは駄目だろ。

 なのでお仕置きです。

 

「ぁん……も、揉まないでっ♥ くださいっ♥」

 

「いや、こんなおっぱい……揉むだろ」

 

 十分過ぎる程の巨乳。

 薄赤色の綺麗な乳首はツンと尖り上を向いており、重力に負けず張りが凄い。

 その癖ふわふわでぷにっぷにである。

 

「し、知りま……せんっ♥」

 

「どれが一番気持ち良かった?ん?言ってみ?」

 

 かぁ〜〜っと赤くなる頬を楽しみ、揶揄うように呟く。

 どうしても虐めたくなる。

 

「……し、知りませんっ♥ んんっ♥」

 

「あー、そうなん……残念だなー、次はラピが好きなようにしてやろうと思ったのになー」

 

「っっ!!……ぅ……んっ♥ ……ぅぅ」

 

「言えよ、ラピ」

 

「っは♥ ……ぅしろ」

 

「あ?」

 

「後ろから……強引に……強く……何度も……されるのがっ……好きっ、ですっ……はんっ♥」

 

 ちゃんと言えたご褒美に、乳首をこりこりと扱く。

 

「あっ、ひっ、んんぅ♥ ちくびぃ♥ 気持ちぃぃ♥」

 

 びくっびくんっと感じ入るラピの痴態に陰茎が、出番か!?と反応した。

 

「まだ、満足してねーんだよ、もう一回いいよな?」

 

「あっ♥ かたぃ……ばかっ♥ 指揮官は馬鹿です♥ ……幾らでもお付き合いします。指揮官♥」

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 夜も深まり、イチャイチャと二人でシャワーを浴び、汗を流した。

 その場で一発ヤッてしまったが……仕方がない。

 

 危ないことするなと怒られてしまい、仲直りしようと伝え、指揮官室から出ていこうとするラピを寝室に引きずり込んだ。

 

 

 

 密着していない肌が無いほど隙間なく対面座位で繋がると、ラピは唇から甘蜜を垂らし、ふにゃふにゃとふやける。

 

「しきかんぅ、しきかんぅぅ♥ これっ、これもすきぃ♥ 深いぃ、ふかいのぉ♥」

 

 腟肉はうねうねと収縮を繰り返し、子宮がちゅっちゅっと吸い付き、先走りをごきゅごきゅっと飲み込む。

 一度覚えてから、ラピまんは更に貪欲になり、膣全体でおしゃぶりされているような動きで絞ろうとしてくる。ぢゅるぢゅると膣襞が舐めしゃぶり、全身で必死に媚びて射精を懇願してくる。

 

「は〜〜ホンッッと可愛いな、お前」

 

 ケツに力を入れ、込み上げる欲を押し留める。

 髪を撫でると、目尻が更に蕩け、透明な雫がツーと流れ落ちた。

 

「ぁぁあああっっ♥ っ〜〜〜ぅん、くぅぅっ……し、しきかんっ♥ うごいてぇ♥ ……んんっ、ぅごいてほひぃれす♥」

 

「……駄目だなー、一発だすまで……このままお預けだなー……動いて欲しかったら、頑張って射精させろ」

 

 肉棒を震わせ、奥を刺激する。

 ラピは全身からぶわっと汗を掻き、必死で柔らかな身体を擦り付け始めた。

 

「ひゃい♥ ぁふっ、っふー、ふーっ♥ ……あんっ、ひぅ、んんっっ♥」

 

 乳首同士が触れ合い、甘い快楽を発生させるも、ラピの方が明らかに被害は甚大。

 

「ほら、頑張れラピ。頑張ったらラピが好きなのしてやるぞ」

 

 寝バックでお尻を掴まれガン突きされるのがお気に入り。

 獣のように喘ぐ姿を思い出し、肉棒がビキッと膨れる。

 

「ぁふ♥ ぉっきくぅ♥ ……しきかんぅ♥ ちゅぅ♥ ちゅぅしたぃです♥ ぇぇぉ……ぅぅ……とおぃぃ……んぷっ♥」

 

 真っ赤な舌をちろちろと伸ばしてくる姿をもう少し眺めたかったが、可愛すぎて思わず吸い付いてしまう。

 

「はむっ、ちゅぱ♥ れろっ……んちゅ、ぇぉ♥ ……れりゅ♥ ―――っ!!♥ んんんぅぅぅ♥」

 

 舌の交わりに同調するように、膣肉の蠢きが激しくなる。

 身体の内と外を舐め回され我慢できず、熱い欲が噴出する。

 

 ぴったりと隙間なく引っ付いていたラピの身体がびくびくと痙攣し、ぷるんたぷんっと乳肉が震えた。

 

「―――〜〜〜!!♥ ちゅばぁ……っぅ♥ ぃくっ、いくいく……いくぅぅうん♥」

 

 びちゃびちゃと吐き出される精を子宮にじゅるじゅると吸われ続ける。

 一滴も零さないよう貪欲に、子宮が鈴口にぴっとりと隙間なく覆いかぶさる。

 

「ゥグッ……すっげぇ吸われるッ。えっろい身体しやがってッ。えろ過ぎんだろッ」

 

「―――っ――――っっ♥ ――――はぅ♥ ぃ……しゅきぃ♥」

 

 デカ尻に食い込ませていた手を離し、膨らみを鷲掴む。

 背筋を逸し余韻に浸っていた身体が、こりこりと乳首を可愛がられびくんっと弾んだ。

 

「あつぃぃ♥ ……あんっ、あっ♥ ぃくっ♥ しきかん、いきますぅぅ♥ らぴっ、ぃきましゅっ♥」

 

 幸せそうに、身体をびくつかせ、ラピは何度も絶頂を深める。

 多分ずっとイキっぱなしになってるんだろう。 

 

「―――〜〜〜はっ♥ ……ぁん♥」

 

 腕の中でぴくぴくと痙攣し、深く長い絶頂を味わうラピの半開きの唇に吸い付き、とどめを刺した。

 

「ふぁ♥ っふー♥ っぅ―――♥♥」

 

 こてんっと力なく倒れ込んできたラピが一気に重さを増し、肉棒が奥を突き破らん限り食い込む。体重を支える余裕すら無くなったみたいだ。

 ニケの体重は百キロを軽く超える。

 下敷きになる前に身体をずらし、ラピを仰向けにした。

 

「―――っ―――っ―――っ……」

 

 最後に、最奥を捏ね回し全て注ぎ込む。

 

「ッッ!かぁ〜〜、最高ッ!」

 

 ずりゅっっと肉棒を抜き取ると、ラピの愛液でテラテラと光輝く息子は、未だに臨戦態勢で鎮座していた。

 雌穴を好き放題耕し、俺専用に改悪したにも関わらず、心の奥でむらむらと炎が燃え続けている。

 

「………すぅ……すぅ……」

 

 気絶し可愛らしく寝息を立てるラピには悪いが、本当に申し訳ないが、満足するまで付き合って貰おう。

 

 ぽっかりと開いた股の中心。

 ぴっちりと閉じた無毛の盛りまんをこじ開ける。

 

「……んっ♥……すぅ……すぅ」

 

 亀頭を肉に沈めると、意識が無いのは関係ないと言わんばかりに吸い付いてくる。

 

 申し訳ない。

 非常に申し訳ないが……我慢できるはずも無かった。

 

「……ふっ♥ ……っ♥ ……ぅ♥ ……っふ♥」

 

 ラピの柔腰を掴み、腰を振り続ける。

 その後、3回目の射精後に、ラピは目を覚ました。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

「だっ……だしすぎっ♥……です、し、しき、かん……ぉ、お身体は……平、気……ですか」

 

「おう、めっちゃ元気だ!」

 

「ふふっ良か……った。セ、センサー……を、切り……ます……っふー♥ ……指揮官♥ ……もう、だし過ぎです」

 

 汗に濡れたラピがベッドに座り、目配せする。

 俺はラピの膝を枕にして寝転がった。 

 

「あーーッ、ヤッたヤッたッ!」

 

「指揮官、気持ちよかったです♥」

 

 ぽっこりと膨れた下腹を撫で擦りながら、ラピが慈愛の籠もった笑みを溢す。

 下から見上げるえっちな光景に、勃起ちんこがピクッと反応する。

 

「そ、その……もう……駄目です♥ これ以上は……その、そう、明日に響きます」

 

 目敏く反応したラピがそう言うが、もっとしたいと目が言っている。

 

「明日、休むから……もっとする」

 

「――〜〜っぅう♥ し、指揮官っ♥ ……だ、駄目!駄目です!……我慢してください……私も、我慢……します」

 

 あと一歩で落とせる。

 多分、押したら駄目だと言いつつ拒否されない確信があるが、今日の所は終わりにしてやろうッ!

 

「ラピもやりたいんだ」

 

 にやにや。

 

「……ぅ……ぅぅ」

 

 かわいい。

 凄くかわいい。

 

「ぅぅ……もう、指揮官」

 

「ん?」

 

「指揮官……もう、兵器は嫌です。兵器は……冷たいから」

 

「今のラピを見て兵器だと思う奴は多分いないぞ」

 

 誰よりも人間してる。

 

 蕩けた瞳のラピが笑顔で告げる。

 

「はい♥ だから指揮官、私を指揮官の、玩具♥ にしてください♥」

 

 ……はい?

 

 

 



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08

 熱々の餅が手に纏わりついた時の絶望は異常。
 お気をつけください。

 ご指摘ありがとうございます。
 修正したつもりが同じのを投稿してました(笑)

 センチのリターへの呼び方を修正しました。
 師匠ではなく先輩のようです!!


 餅?

 腹の上に餅が乗ってる。

 ぐッ……てか重ッ!

 しかも、こんなふわふわでぷよぷよしている餅は、絶対に熱いはずだが……何故か熱くない。

 柔らかい、柔らかいが……重い……重い……重ッいッッ!!

 

「……ハッ!?……夢?……」

 

 夢、か……柔らかな物体に潰される恐ろしい夢を見た気がする。

 起き上がろうと身体を起こそうにも……何かが……乗ってる?

 

「……んぅぅぇ、しきかんしゃまぁ〜」

 

「グぇッ……重ッ!?」

 

 ……アニスだった。

 柔らかい物の正体はアニスのたわわだった。

 凄ぇ……もう少しこのままでも……

 

「グッ……ェッ!!」

 

 もう少しと思った天罰なのか?

 寝返りのようにモゾモゾとよじ登ろうとしてきたアニスは……重い。

 いや、女の子に重いとか。

 

「ッァ……くそッ重いわッ!!殺す気かッ!!」

 

 全身の筋肉を総動員させ、跳ね上げ……跳ね上がらなかったアニスを何とか寝技の応用で下敷きにする。

 ラピでもギリギリなのに、重いわッ!!

 これかッこのぷにぷにが悪いのかッ!!

 

 ガシッっと鷲掴みにしたぷよぷよ、ぽよぼよが……ぴとっと吸い付くように張り付き深く沈む。

 

 むにゅんむにゅん。

 ぷにゅんぷにゅん。

 

「……ぁぅん……」

 

 ッッッ!!……性欲ヲ……持て余すッ!!

 

「……ッ……フーッ」

 

 視線を上げる。

 まだ目覚めていないアニスの口からは涎が垂れ、下を見ると、たわわが……

 たわわわわがががが……フーーッ。

 

 はは、恥ずかしいんですが、その……

 バッキバキ……でして。

 

「んぅぅ…………?」

 

 ヤバィ!!

 咄嗟に両手の誘惑を振り払い被さるようにアニスに密着する。

 一瞬の早業。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね……。

 

 あ゛あ゛ーーッッ、たわわわッッ、大胸筋がピクピク震えるーーッ!!

 

「んんぅ……ん?」

 

 目をぱちぱちと瞬かせたアニスがきょとん……。

 

「……お、おはよう」

 

 まずい……非常にまずい。

 

「し、指揮官様?……ぁれ?」

 

 今の体制は非ッッ常にマズイッ!!

 どう見てもアニスを組み敷いて、今から美味しく頂くようにしか見えない。

 なまじ間違っていないことが更に悪い!!

 

「……ア、アニス……」

 

「――――っぅぅ……はふぅ♥ ……ち、ちかぃよ、指揮官しゃま……むぅ」

 

 はぁープッツンしました。

 もう知りません。

 

「……じっとしてろよアニス」

 

「ふぇ……ぁぅ♥」

 

 な、何だこの可愛い生物はッ!!!

 ニケの心臓の原理は知らないが……アニスの鼓動がバクバクと高鳴り始めたのを肌で感じる。

 

 唇から溢れた蜜を掬い……ぺろっと舐め取る。

 

「……ぁ……っぅ……ゃぁ♥」

 

 瞳がうるうると輝き……薄めの唇も、ぷるんっと潤って見えた。

 思わず吸い付きたくなるような……そんな魅惑的な魔力が今のアニスには宿っている。

 

 ハァー、俺の理性つっかえねー。

 このまま、美味しく……頂こうと思います。はい。

 頂きます。

 

 ……!?

 

「……あてっ……えっ、な、何っ?」

 

 はぁーー、危ねぇ。

 直前でラピの悲しげな顔が脳裏に浮かび、誤魔化すようにアニスの髪をクシャクシャとかき混ぜ、身体を退ける。

 理性ごめんな、お前は頑張ってたよ!

 

「お前さんが俺を組み敷いて寝てたんだよ。流石に苦しくてな……」

 

「……んっ……あっ……ああっ!そ、そう!指揮官様のモーニングコールに来たんだった!」

 

 アニスを見ないよう……役に立たない理性を働かせる。

 

「自分が寝てたら駄目だろ……」

 

 ガッシリとこの手で鷲掴んだ……たっぷりの柔らかな膨らみは、布に遮られていなかった。

 

 ……そうだ、許可を取ろう。

 許可を取れば全面的に合意だ。

 

「うっ……ごめんなさい」

 

「そっち向いていいか?」

 

「え?……何でそんな事聞くの?変なっ……ぅぇ?……だ、駄目ぇ!!こっち見ちゃ駄目ぇ!!」

 

 チッ。

 おしい。

 

「あいあい……わーったよ」

 

「……な……なんで……ずり落ちてんのよ?」

 

 聞こえてますよー。

 俺を興奮させるだけですよー。

 

「……何か言ったか?」

 

 やっぱ生乳ですかァ……。

 

「な、何でも無い!!」

 

「……そっかー、何でもないかー」

 

「そ、それより指揮官様!起きてよね!ラピに私が文句言われるんだから!」

 

「寝てたのはアニスだろ?」

 

「だからよ!」

 

「……おう、ちょっと待ってくれ……直ぐ行く」

 

「直ぐって?」

 

「……直ぐだよ」

 

 勘のいいガキは嫌いだよ。

 

「私が出ていったら、寝直す気でしょう!」

 

 使えねー勘を働かしてんじゃねぇぞッ!!

 誰がこの状態で眠れんだよッ!

 

 ア゛ァ゛!!

 

「アニス」

 

 身体を起こし、布団をかき集めてちんこを隠し、アニスに向き合う。

 いつもの服ではなく、黄色のノースリーブワンピースを着て、ちょこんと座ったアニスは凄くえっち可愛い。

 

 ア゛ーーイライラするー。

 何ですか?危機感とかありますーーッ?

 

「な〜に、指揮官様?」

 

 アババッ可愛イーーッ!!

 てか、素材!服の素材!!

 なんで、そんなぴっちり張り付いてんだ!

 風俗嬢でもそんなの着ねぇぞ!!ちんこに悪いと思わねぇのか!!

 

「ア゛ーーッ、ぜ、絶対に行くから、少しだけ待ってくれ……できれば部屋の外で」

 

 俺のこの真剣な眼差しが伝わったのか、ニッコリと微笑みを返してくれた。

 

「やだ」

 

 神は死んだ。

 

「どうしてもって言うなら、持っていくから、指揮官様一丁ってね!」

 

 フルボッキのなッ!!

 クソぅ……どうする……どうするッ!

 

「……そうだッ!」

 

「えっ、今度はなに?」

 

「聞いてくれ。俺はな……」

 

「指揮官様は?」

 

「寝るときは」

 

「眠るときは?」

 

「全裸なんだ!!」

 

「全裸なんだ〜……ふ〜〜ん、そっか、そうなんだ」

 

「だから、俺の裸なんか見たくないだろ?俺も見られるのは恥ずかしい」

 

「そっかそっか〜、恥ずかしいんだ〜……じゃあ、見てから行こっと!」

 

 悪魔も死んだ。

 咄嗟に布団を握り込み、守りを固める。

 

「ぐへへ、その布団が最終防衛ライン!」

 

 こうなったら全て捌いてやるよ!!

 俺には覚悟があるッ!!

 

「ぐへへって、女の子がしていい笑い方じゃねぇだろッ!」

 

「っぅ、も、問答無用!貰ったっ!!?……んぎゅ!?」

 

 俺に飛びかかろうとしたアニスが、残像を残し視界から消えた。

 

「アニス、私は、何をお願いした」

 

「いったーい!!なにっ……っ!……ぅ……ラピっ……」

 

「私は、何を、お願いしたの……アニス?」

 

「ひっ!!ご……」

 

「ご?」

 

「ごめんなさいぃぃいい!!」

 

 脱兎のごとくピューっと逃げ去ったアニスを追いかけることはせず、ラピは呆然とする俺にゆっくりと近づくとベッドに腰掛けた。

 

 あー、アニスは黄色が好きなんですね。

 あーー、その、ラピさん、近いですね。

 非っ常に近いです。

 

「指揮官、昨日はお見苦しい所をお見せしました」

 

 昨晩の情景を思い出し、陰茎がビキッと熱を持つ。

 

「……あー、めっちゃ可愛いかった」

 

「……はぅ♥ ……あ、朝からは駄目っ♥ アニスもいます……絶対駄目です♥」

 

 そう言って、目を瞑り唇を突き出してくるラピ。

 言っている事とやっていることが……全然一致していない。 

 

「んっ……ちゅっ♥ ……はぁ♥」

 

 寝起きはあんまりキスしたくないが、ラピはご満悦なようだ。

 

「ちゅ♥ ……だ、駄目ですよ指揮官♥ 公私の区別はしっかりと……朝食の準備が出来てます。ご支度を、指揮官♥」

 

 頬に唇を落とし、身体を離したラピがそう言って静静と歩いていく。

 

 どの口が言うんだよ……。

 

「ちょっっと待てい」

 

 声をかけるとラピは立ち止まり、唇に手を当て半身で振り返る。

 

「今夜、寝室に来い」

 

「はい♥ 指揮官♥」

 

 満面の笑みのラピは滅茶苦茶可愛かった。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 大事な物を忘れていた。

 コーヒーメーカーを買ったまでは良かったが、肝心のコップが無かった。

 調べなかった俺も悪いが、まさか指揮官室にある食器類がほぼ全滅しているとは思ってもみなかった。

 

 ラピが作ってくれた朝食を食べている際に判明した新事実。

 一気に気が滅入ったが、飯は美味かった。

 なんか、愛情が凄かった……。

 

 命の危険を感じまくったとは思えないほど充実してんなー。

 

 

 

 食器が欲しい旨伝えると工房を紹介された。

 案内も頼んだが、ラプチャー出現の危険性があるため、二人は俺の外出中防衛ラインに向かうとのこと。

 アニスは渋っていたが、ラピに首根っこを掴まれ連行された。

 てっきり付いてくると思っていたが、何でも確認したいことが有るらしい。

 

「……っと、ここか?」

 

 前哨基地の離れにある工房に到着する。

 前哨基地はコマンドセンターを中心に結構な広さなのだが、更地が多い。

 ほぼ更地と言っても過言ではない。

 

 そんな基地に鎮座する意外と立派な建物。

 楕円形の建物の中心から空に向かって排煙筒みたいなものが伸びている。

 その、凄く大きいです……そして、ピストン運動しています。

 

 動きが激しくなり、ピストンが停止した瞬間、真っ白な蒸気が大量に吐き出された。

 なんか……卑猥に見えるな。

 俺が汚れてるのか?

 

 取り敢えず、デザイナーの方とは話をする必要がある。

 何で先端が膨らんでるんですかねー。

 

「ウチに何かようっすか?」

 

「ん?」

 

 中から出てきたのは、鼻に絆創膏を貼り付けた美女。

 窮屈そうに締め付けられた乳肉が……きゅっとしまった腰回りが……。

 

 なーんで、えっちな娘しかいないんですかね。

 

「……おお!もしかして、新しい指揮官の親方っすか!!」

 

「……ああ、よろしく」

 

「よろしくっす!」

 

 優しく笑う元気系美女が眩しい。

 汚れた俺は、今にも浄化してしまいそうだ。

 

「それで、親方はウチに何のようっすか?」

 

「あっと、君は工房の人だよな?」

 

「申し遅れたっす!センチっす!マイティーツールズのセンチっていうっす!」

 

 マイティツールズ……建設支援部隊。

 戦闘を専門にしていない、珍しい部隊。

 

 お目当ての部隊だ。

 確かリターってニケに会いに行けって言われたんだが、この娘もマイティツールズって言うことはやはりニケ。

 

 ニケはえっち。

 もはや決定事項だな。

 

「リターに会いに来たんだが、入っていいか?」

 

「先輩っすか?先輩なら納品に行ったっす!帰ってくるのは、遅くなるっすよ」

 

「まじか……はぁ、無駄足だったか」

 

「先輩に何のようっすか?」

 

「ああ、急ぎじゃないからまた来るよ」

 

「私で出来るならやるっすよ!」

 

 気落ちした俺に近づいてきたこの娘、センチも確か部隊員だったな。

 工房内に案内され、あれやこれやと説明を終える頃には仲良くなり、センチが俺の手を握りキラキラと瞳を輝かせる。

 

 なーんでニケって瞳をキラキラさせるんですか?

 仕様ですか?

 なんか、いいっすね。

 

「それなら、私が作るっす!」

 

「えっ?マジで?」

 

「マジっす!楽勝っす!!マイティーツールズは全知全能の道具っす!」

 

「おお!凄ぇ!なんか格好いいな!!」

 

 決め台詞感がスゴイ!

 決め台詞に合わせて動く頭に付けた機械もカッコ良い!

 

「本当っすか!嬉しいっす!任せるっす!!」

 

「よっしゃ、ありがとな!!」

 

「でも一つだけ問題があるっす」

 

「……問題?」

 

「問題っす!私は先輩の許可がないと依頼を受けられないっす!でも親方の為に受けたいっす!」

 

 ええ娘や。

 ホンマにええ娘や。

 

「いいかセンチ!俺は指揮官だ!!」

 

「そうっす!」

 

「俺とリター、いや、先輩!……俺と先輩、どっちの命令が絶対だ!!」

 

「!!……お、親方っす!!」

 

「何かあったら全ての責任は俺が取る!!」

 

「ありがとうっす!!親方!!」

 

「俺が許可する、センチ!やれッ!!!」

 

「!!!はいっす!!期待に答えるっす!!任せるっすよ親方!!」

 

 ひしっと抱きしめあい、友情を確認する。

 少し、油臭くはあるが、センチからは良い匂いがした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 センチが工房に籠もり、たったの30分。

 汗を掻いたセンチが、要望の物を見せてくれた。

 

「うお!!凄ぇな!センチ、お前凄ぇな!!」

 

 指揮官室に備える日用品全般。

 何から何まで……なんで用途不明の壺とかあるんすか?

 まぁセンチが可愛いからヨシッ!!

 

「喜んで貰えたっすか!」

 

「ああ!!めっちゃ凄ぇ!要望通り……ん?……要望通りだ!ありがとな!!」

 

 特に俺専用に作ってくれた透き通るようなコップは、実に素晴らしい。

 俺が褒める度に照れくさそうに頬を染めるセンチをべた褒めにした。

 

 結局、何が素晴らしいのかまったく分からないが素晴らしい事だけは分かる!

 美女の笑顔に理屈は必要ない!

 

 フー……。

 テンションがおかしくなっているだけだった。

 

「お、親方、そんなに褒められたら……照れるっす」

 

「いや〜、それにしても―――」

 

「も、もう褒めるの禁止っす!」

 

「そうか、まだまだ褒め足りないんだが、センチがそう言うなら……それで、全部で幾らだ?」

 

「お金っすか?親方からお金なんて貰えないっす!」

 

「いや、こんな職人技を見せて貰ったんだ。払わない方が失礼だ」

 

「も、貰えないっす!」

 

「いや、払う!嫌だと言っても払う!」

 

「か、勘弁して欲しいっす、バレたら余計お師匠に怒られるっす」

 

「……そっか……ならセンチ困ったことがあったら何でも言ってくれ、俺に出来ることなら何でもするから!」

 

「何でも……っすか?」

 

「何でもだ!」

 

「わ、わかったっす!考えておくっす!!」

 

「おう、じゃあ帰るわ、ありがとな!」

 

「さよならっす、親方!また来てくださいっす!」

 

 ほくほく顔で手に持てるだけの荷物を持つ。

 いつまでも手を振るセンチに片手をあげ、帰路についた。

 持てなかった物は、後日センチが持ってきてくれるそうだ。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 予定が早く終わったため、俺は近くの公園で休憩し煙草を吸っていた。

 どこでも喫煙可能なのは、何とも素晴らしいことだ。

 喫煙者には生き辛い世の中だったからなー。

 

 近くを飛んでいた蝶々を掴み取る。

 傷つけないように優しく掴んだが、どうも感触がおかしい。

 蝶々をよく見ると……機械だった。

 

「おじさん、それ食べるの?」

 

「食べねーよ……それで、お前さんは?」

 

 この娘もニケなんだろう。

 アニスよりデカいロケットランチャーをおろした少女が、上目遣いでニヤニヤと俺を見ていた。

 

 身長に見合わない豊満な胸と身体つき……これが噂のメスガキなのか?

 

「あたし?あたしベロータ♥ よろしくねおじさん♥」

 

「俺は―――むぐっ?」

 

 ……口の中にフォークを突っ込まれる。

 完全に不意を突かれたッ……戦場なら死んでる。

 冷や汗が背中を流れる前に……肉の味がして安心した。

 

 びびった。

 メスガキとか思いながら死ぬとか、末代までの恥だろ。

 

「美味しい?おじさん♥」

 

「……美味かったけどな、行き成り物騒な事するなや!」

 

「きゃん♥怒った〜、おじさんが怒った〜、怖〜い♥」

 

 ……。

 いや、俺は怒ってないよ。

 ガキのすることだ、いちいち怒る事じゃない。

 おじさんと言われてショックも受けてない。

 

「あたし知ってるよ〜、おじさんのこと♥」

 

「あ?」

 

「ラピを〜」

 

 ラピを?

 ……ラピがどうかしたのか?

 ニヤニヤと顔を見てくるベロータに嫌な予感がする。

 

 俺がラピに……。

 ラ、ラピ!?

 昨夜の事が脳裏に浮かぶ、冷や汗がツーっと背中を流れる。

 

「……助けたすっごい指揮官だって!」

 

 セ、セーフ!!

 

「だから気になるな〜♥ おじさんのこと♥ い〜っぱい教えてほしいな〜♥」

 

 なーんか、いちいち話し方がえろいんだが……やはりメスガキか?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 時間にして十分程度ベロータと話をしていたが、パーソナルスペース近すぎるッ!

 ベンチだぞ!もっと離れろや!身体に対してドでかい乳がぷにぷに当たってんだよ!!

 

 

 ベロータはどこからともなく取り出したフォークに刺さった肉を、一口で頬張った。

 

「あたし、食べるの、だ〜〜い好き♥」

 

 はい?……今、どこから出したん?

 ……谷間?谷間に手を突っ込んだ?谷間付近で手が……消えた?

 

 何でそんな所から……もしかして自分のお肉ですか?それ。

 

「んん?おじさんも欲しいの?」

 

「いや、どこから出したんだよ」

 

「へへ、すごいでしょ……ひみつ♥」

 

 ベロータの手がブレて一瞬の内にフォーク刺さった肉が現れる。

 お、俺が目で追えない……だと。

 

 ……こいつ、かなりデキる!

 ニケだから、当たり前か。

 

「ほら♥ おじさん、あ〜〜ん♥」

 

「ああ、サンキュ……って、おい」

 

 唇に押し付けられた肉を食べようとしたら、さっと手を引かれた。

 

「あ〜〜ん♥」

 

「ンぐッ……おいッ」

 

 唇に擦り付けられる肉のせいでベタベタする。

 大丈夫。怒っていない。怒ってないが……。

 

「ぱくっ……もぐもぐっ……う〜〜ん♥ 美味し〜い♥ おじさんの味がする♥」

 

 ……オーケー、落ち着こう。

 クールだ。クールになれ。

 

「……きゃん♥ ……んう?……なんで撫でるの?……おじさん?」

 

「何となくだ」

 

「なんとなく……そっか〜〜」

 

 黙って撫でられるベロータとの間に穏やかな空気が流れるが、残念……時間切れである。

 このメスガキへのお仕置きは、またの機会に持ち越しとなるが、仕方ない。

 

 帰る旨を伝えようと、撫でるのをやめ伸びをする。

 

「あっ……ねぇねぇ!おじさん暇?暇なら爆竹で遊ばない?すっごく綺麗なの見せてあげるから!!ねっ!!」

 

 早口で提案するべロータには悪いが……。

 

「あー、すまん、もう帰る時間なんだ」

 

「えっ……え〜〜!!」

 

「また今度な、ベロータ」

 

「また……絶対っ!絶対だよ、おじさん!!」

 

「おう、じゃあな」

 

 ぶんぶん手を振るベロータに見送られ、足取りを早める。

 

『ふ〜〜ん……おじさんっ♥ ……楽しくなりそう♥ ミカにも教えてあげよ〜っと』

 

 ベロータの呟きは風の音でかき消され、俺には聞こえなかった。

 

 

 




ストーリーの箸休めに、えろのみでくず主人公のマッサージレイプ物を書いてしまった。
これに投稿するか、別で投稿するか迷ってます。

アンケートの取り方調べてヤッてみます。
もしよかったらご意見ください。

着想は認知的不和の説明を書いていた際に……あれ、これって、認知的不和を無くす名目でマッサージレイプすれば良くねってなったんっすよ。
やはりニケは業が深い……。


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09 ☆ シュエン

ま、まさかのシュエン。
予定が狂った。


 指揮官室に帰った俺を出迎えたのは、ぷんぷんと怒りに打ち震えるネオンだった。

 明日帰って来るというのは嘘であり、サプライズ帰還して俺達を驚かせる予定だったらしい。

 

 いつも通り、ぷりっぷりな尻を丸出しにしながら怒られてもなー。

 

 その後すぐにラピとアニスが帰って来たが、今度はラピが新しいボディの報告をする為、エリシオン社へ出かけて行った。

 だらだらとした空気の中、ふとアニスの感触を思い出しハミ乳輪を視界の端で凝視していると声がかかった。

 

「おい」

 

「ん?」

 

 ……誰?このちみっこいの。

 

 気配が小さすぎたのと、極度の集中で全然気づかなかった。

 

「おい、お前」

 

 前髪に紫のメッシュを入れた少女が、傲岸不遜に俺を指さす。

 

「……俺か?」

 

 かーッどうしてニケはこんなエッチな格好しかしないのか、甚だ理解に苦しむ。やはりニケの開発者とは話をしなければ……いいぞッもっとやれ!

 

「お客が来たらキビキビ動いて。私がそんなに暇な人間に見える?」

 

 はいはい、可愛い可愛い……って人間?

 超絶ミニスカートの腹出しちっぱいロリとか……人類には早すぎないか?

 

「わーったよ、珈琲でも飲むか?嬢ちゃん」

 

 真面目な顔をして立ち上がる俺に対し、少女は嫌そうに顔を歪める。

 

「何?……お前、私のこと知らないの?」

 

「……あ?知ってるわけ無いだろ」

 

「はあ、最近の士官学校はダメね。基本的な常識も教えないんだから。おい。そこの白い鉄くず」

 

 あ?鉄くず?

 

「へ?私ですか?」

 

「そう、お前。こいつに私が誰か教えてやって」

 

「このお方はニケ制作を担う三大企業のひとつ。ミシリス・インダストリーのCEOを務めるシュエン様です」

 

 はいはい、CEOね。鉄くず呼びは止め……は?マジで!?

 

「ちゃんと聞いた?じゃあ、どうすべきか分かるわよね?」

 

 こんなガキがCEOな訳が無い。ネオンのサプライズが終わっていなかった可能性が浮上。ここまで手が込んでいたとは、何か申し訳ない。

 

「砂糖は何個入れるんだ?嬢ちゃん」

 

「…………全然理解できてないじゃない。ユニ!」

 

「うん」

 

 扉から入って来たのは、ユニと呼ばれた少女。

 ピンク髪の、コレまた良い太ももをしている貧乳少女。あー罪深い。まじ罪深いよこれは!

 

「跪かせて」

 

「うんっ」

 

 ユニの手が輝き……足から力が抜けた。

 

 !!!??。

 

 で……電撃?ピンク髪は淫乱とか、考えたからですか?まぁ幼少期から電気を浴びせられる訓練とかしてないから……気合でどうにか踏ん張るッ!!

 

 少しばかり……おいたが過ぎるんじゃねぇか?

 

「な!?ユニ、抑えなさい!」

 

「指揮官様!」

 

「何をするんですか!」

 

 アニスとネオンが駆け出そうとしたが、手で制する。ミシリスのCEOというのは本当みたいだ……なら、ニケが余り迂闊なことをすべきでは無い。

 

「じっとしてね〜」

 

 力が抜けた身体を引きずるように倒される。腰にユニが座り起き上がれなくなった俺を見下し、シュエンはニヤニヤとゆっくりと足を上げていく。あー……随分過激なの履いてるんですね。

 

「身の程知らずのお調子者は、こうやって、たまに踏んづけてあげないと」

 

 頭を踏まれるが、首の筋肉を総動員し微動だにせず……見据える。決して、どすけべな領域を見逃すまいと頑張っている訳では無い!

 

「おい。これから私と話す時はこのポーズをとるのよ。そして二度と嬢ちゃんなどと言わないこと。分かったわね」

 

「もうちょっと足あげ……違う、足をどけろよ嬢ちゃん」

 

 あっぶね。

 

「……中々反抗的じゃないの」

 

 ぞくぞくと震えるように自身を抱きしめたシュエンは、俺の頭から足を下ろし、大きく振りかぶった。

 

「おい」

 

 顔を蹴られ、反射的に衝撃を流す。あーもう紐じゃないっすか。

 

「……私の」

 

 はい、二発目。

 うっす!大分透けてますよ、お嬢さん!

 

「言葉を!」

 

 三発目ー!

 ……その、言い辛いんですが、色々と丸見えです。

 

「無視するわけ!?」

 

 四発目ーー!

 うわぁ、食い込みえっぐッ!楽しくなってきたー!!

 

「言ってみなさいよ!!」

 

 ガチャッっと音が響き視線を向ける。アニスとネオンがシュエンに対し銃口を向けていた……俺がこんな馬鹿な事を考えているとは、夢にも思っていない表情の二人。

 

 罪悪感で胸が痛くなる。

 

「はは、面白い!」

 

 ……う、撃たないよな?威嚇だけだろ?

 だってお前らの武器って……ショットガンに……ロケットランチャーじゃねぇか!!どちらにせよ俺諸共挽肉になるか吹き飛ぶぞッ!

 

「足の方が早いか、銃弾の方が早いか、試してみる?」

 

 やめてアニス!!俺も死ぬって!!

 

「ミハラ」

 

「はぁい」

 

 シュエンに呼ばれ扉から入って来たのは……なんかもう、すっごい格好した黒髪美人。こんなの見たら語彙力無くなるって……はぁー嬢ちゃんはSM大好きなんすね。そういえば、ユニもムチ持ってたっけ?ミシリスってそういう会社っすかーやだー。

 

「感覚交換、完了です〜」

 

 ミハラと呼ばれた黒髪美人の身体から青色の波長が放たれる。そして、シュエンが人の悪い笑みを浮かべ、胸元から拳銃を取り出し……ミハラへ銃口を向けた。

 

 ああッ!?……こいつマジで撃つ気じゃねぇかッ!!

 

「やめ――ッ」

 

 止めようと動き出すもユニに押さえられ……一切の躊躇無く発砲音がなった。

 

「な、何これ……!い、痛い……!」

 

「うっ……!」

 

 撃たれたはずのミハラは平気な顔をしており、何故かアニスとネオンが膝をつく。

 

「素敵でしょ?ミハラとお前たちの感覚を交換したの、こうすると痛覚センサーが自動でオンになるのよ」

 

「だから……」

 

 再度銃口が火を吹く。トリガーハッピーのように、何度も引き金を引くシュエンにブチギレた。

 

 足を絡め取り、ユニを地面に転がす。

 

「う……うああ……!」

 

 アニスが悲鳴をあげ蹲り。

 

「いったい……何を……!」

 

 ネオンが痛みに顔を歪ませる。

 

「こうっっ……!?」

 

 銃を掴み、腕を持ち上げる。

 

「オイッ……俺の仲間に何してンダ?ア゛ァ゛!!」

 

「ひっ!!」

 

「なぁ嬢ちゃん、俺を蹴るの別に良い」

 

「ひっ……ミハっっ!?」

 

「俺が喋ってんだよ、聞けや!」

 

「ひぃ……ぁ……は……き、気でも狂ったの!わ、私を誰だと思ってるの!」

 

 流石はCEO。ガキでもちゃんと持ち直しやがった。

 

「どうでもいいんだよ、そんな事」

 

「ど、どうでも……いい……ですって」

 

「ああ、俺には関係ねぇ……俺についての事は許してやる。だから……アイツらに謝れ」

 

「……あ、謝れ?な、なんで私があんな鉄くずに!」

 

「謝らないのか?」

 

「……絶対に謝らない!!」

 

 目に涙を溜めぷるぷると震えるシュエンに毒気が抜かれる。萎えた。虐めてるみたいで、いい気分じゃない。

 

「……はぁ、わーったよ。もういい、帰れ」

 

 掴んでいた腕を下ろし奪い取った銃を投げ捨て、アニスとネオンの安否を確認する。

 

「二人共大丈夫か?」

 

「……うん。もう痛くないよ」

 

「大丈夫です。師匠」

 

「なんか、すまんかった。ガキのした事だと思って許してやってくれ」

 

「な、なんで指揮官様が謝るのよ!」

 

 俺も少しは悪いと思うからな。短気過ぎるとは思うが。

 

「嬢ちゃんにも立場があるからなー。かわりに俺が謝る。ごめんな二人共」

 

 子供の身でCEOになってるんだ。俺なんかには察っせない理由の一つや二つあるんだろう。

 

「ころ……す……殺す!!」

 

 願わくば、本当に悪人で無いことを……祈るのみだ。

 

「貸せ!」

 

「シュエン、あんまりやりすぎると良くないわよ」

 

「黙れ!!鉄くず!早く!!」

 

 俺に向け両手で銃を構えるシュエンに対し、ゆっくりと立ち上がり、両手をあげる。

 

「……はぁ……なぁ、悪いこと言わん……止めとけ。それを撃ったら……おいたじゃ済まなくなる」

 

「だ、黙れ……来るな」

 

 両手を広げ、ゆっくりと近づく。

 

 殺す気で銃を撃つのは、恐らく初めてだろう。腕が震えている。あんな状態で撃っても、反動で玉は遥か上空。跳弾の危険は有るが、アイツらなら避けられるだろう。

 

 イージーゲーム過ぎて、申し訳なくなる。

 

「ひっ……く、来るな!」

 

 対銃戦のセオリーは決して射線に入らないこと。人間である以上、銃弾を避けるなんて不可能。避けるのが無理なら、撃った時には避けている状態を作ればいい。

 

 相手が人間なら、コツさえ掴めば意外と出来る。素人にはまず殺されない。逆手にとってくるやべぇ奴もいるが、そんなのに狙われるなら、ソイツが悪い。

 

「く、くるな……くるなっ!!……来るなぁぁああ!!」

 

 シュエンの指が引き金を引く瞬間、身体を低く倒し即座に距離を詰める。発砲音が鳴り響き、銃を握った俺とシュエンの視線が交わった。

 

「……えっ……なに……これ?」

 

「えぇぇえっ!指揮官様凄っ!!ねぇネオン、私の指揮官様凄すぎっ!!」

 

「師匠、そんな高みに……まだまだ精進が必要ですね!」

 

 なーんかズレてんだよなぁ。チームワークとか大丈夫か?

 

「はぁー、撃ったな」

 

「……だ、だから!だからどうした!!」

 

 反省の余地無し。

 

「ミハラって言ったか?」

 

「な〜に?」

 

「ちょっと借りてくぞ」

 

「許可も拒否も出来ないわ」

 

 喚く口を抑え、二人に近づかないよう言いつけた俺は、シュエンを面談室に連れ込んだ。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「さーてと、ガキがやり過ぎたんだ。お仕置きされても仕方ないよな?」

 

「ぉ、ぉお、お前え、こ、こんな事してどうなっても、し、知らないわよ!」

 

「あ?嬢ちゃんは何されると思ってんだ?」

 

「な、ナニって……!!?」

 

「あん?……ナニされると思ったんだな」

 

 ませガキだなー。

 

「!!?……アンタっ!絶対っ、絶対許さないから!!や、ヤるならヤりなさいよ。この変態が!絶対に殺してやる!!」

 

 腕の中で喚くシュエンを転がしケツを膝上で固定。ガキの仕置きなんて大体が決まってる。

 

 ケツ叩きだろッ!!

 しかも俺みたいな小市民にやられるんだ。めちゃくちゃに屈辱だろう?

 

「こ、ころっ――――」

 

 無駄な覚悟を決めた尻を――――

 

 バチンッ!!

 

 打つ!!

 

「―――〜〜〜!!ぃっったぁ!」

 

 打つべしッ!!

 

「!!っっぅぅ〜〜〜っ」

 

 ペチン!

 

「……ぐぅっ、な、何するのよ!!」

 

 まだまだ反抗的ですね。

 

 ベチンッ!

 

「!?っっうう!……ぉ、ぉ前えぇ!」

 

 べチッッ!

 

「ぎっ!ぐ……ぅっっぅぅ」

 

 バチンッ!!

 

「―――っっぅぅ!……くっ……っふ」

 

 まだまだ!!

 

「くぅぅ……」

「ぃやっ……ふぐぅっ」

「……ゃ……んでっっぅぅ」

「っふぐぅ……ぁぅ……ぅぅ、ぅぅぅ」

「―――〜〜〜っ、っっぅっふっ、っぅぅうぅぅうんんっっ!」

 

 十を超える頃には暴れるのを止め、二十を超える頃には大人しくなった。全身から汗を吹き出し、しっとりと濡れた柔尻を撫でてやる。真っ赤に色づいており、流石に痛そうだ。

 

「――〜〜っぅ……っぁん……んっ……ふっふっ」

 

 熱が籠もっていい感じに腫れぼったくなった柔尻が……撫でる度にぴくぴくと震える。胸は無いに等しいが、ケツは中々……身体つきにしては、凄く良いケツしてるな。 

 

「……反省したかー」

 

 処女雪のように白い太ももから汗が流れ落ち、しっとりと手に吸い付く赤くふっくらとした柔尻。さわり心地が非常に良く、いつまでも撫でていたくなる。

 

「……っふ……ぅぁ……っふーっふー」

 

 流石に体力的にもきつそうだ。

 

「……オラッ、ラストッ、一番強くイクぞッ!」

 

 ぴくんぴくんと震える尻を絶妙な力加減で叩く。

 

 バチンッッ!!

 

「!!!っぅぅぅううん――――」

 

 今日一で良い音。

 

 ぴくんっぴくんっと痙攣する尻を、労いの気持ちを込めて撫でる。

 

「ぅぅうううっ!ぁ……ぁぁ……ぁぁぅ……」

 

 綺麗に真っ赤に染まった尻タブは身体つきに対してぷりんっと脂がのり、紫のティーバックが尻タブに挟み込まれ、妙に色気があった。

 

「ふぅ〜〜、コレに懲りたらあんま悪さすんじゃねぇぞ」

 

 終わりを告げ、真っ赤になった尻を撫で続ける。あーあー、赤くなっちゃってよー。

 

「……っぅぅ―――〜〜〜んぅぅ」

 

「……おいおい、どうした……」

 

「っふ……っふ……さ、さわっっうぅんっ……はっはっ、んぁ」

 

 ああ?……おいおい?

 

 親指を尻タブに差し込み、ぐにゅっと揉み込む。

 

「んぁ、っっ―――〜〜〜くぅっ……ぁひぃ♥」

 

 ……おいおい、尻叩きで感じてんのか?

 

「はぁぁ、ぃひっ……っふ、ひぅん」

 

 マジか……ぐっしょり湿ってる。ドSかと思ったら……くっそドMじゃねぇかッ!

 

「……はひっはひっ……ぉ、ぉまぇっ!っぁあああ♥はぁぁん♥」

 

 うっわ、どろっどろじゃないですか……ああ、そうですか。

 

 

 




アンケートのご回答ありがとうございます。
近日中には別の小説として投稿できると思います。


次回はガッツリえろの予定。


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10 ★ シュエン

「ぁ……ぁふっ……ぁん♥」

 

 たっぷりと汗に濡れた柔肌がぴくぴくと震え、肉付きの良い桃尻が快楽に蠢く。肉棒がむくむくと起き上がり、ズボン越しに腹部……ぷにぷにな剥き出しのお腹を押し上げた。

 

「ぉ……ぉま……っ、んぁあ♥」

 

 湿りを帯びた布の中心を強めに押し込む。

 

「っう……んひっ♥」

 

 それだけで淫靡な声をあげ、シュエンは震えた。

 

「んぅ……ゃめろっ――っぅう……ゃあっ♥」

 

 粘っこい汁でじっとりと湿り透けてぷくっと浮かんだ突起を……カリカリと指で弾く。

 

「んっ……っふ、っふ……ふぐっ♥」

 

 カリカリ、とんとん!

 

「……っぁあ♥ ……ゃあ……ぃゃあ」

 

 コリコリ、ぐにぐにゅ!

 

「ぁぁんっ♥ ……だっ……めぇっ♥」

 

 ぴくっぴくっと真っ赤な桃尻が震える間隔を狭めていき、終わりが近い事を悟った。

 

「反省してるみたいだから――――」

 

 ぷっくりと膨れた快楽の芽を、すりすりと指の腹で優しく可愛がる。

 

「……ぁめっ……っくぅぅっぅ♥ ……ゃ、めっ……ろぉ!」

 

「ご褒美やらないとな」

 

 真っ赤に染まった尻を撫で、芽をこりっ……コりゅぐにゅっと刺激する。

 

「んぁ、ぃらない!……ゃぁ、ゃだっ!ゃだっ―――らめっ♥」

 

 小さな突起を可愛がると、イチモツからお腹のうねりが伝わる。腕がガクガクと崩れ落ち、シュエンは力なく倒れ込んだ。

 

「―――〜〜〜っっんぁ♥……っふぁ、ぅ、そっ……ぃくっ……んくぅぅうう♥」

 

 ビクッビクンッと快楽を貪る幼い肢体が大きく震える。

 

「―――〜〜〜っはっ♥ っふぁ♥ ふかっ♥ っめぇ……ぃぃぃっっっぅううう♥」

 

 うねうね、ひくんひくん、と腹部が脈動する。刺激は無いが俺も気持ちがいい。

 

「おーおー、派手にイッてんな」

 

「―――っふ……ぅぅぐぅぅ♥」

 

「ご褒美だからなー」

 

 うっすい布の隙間から指を差し込む。どろどろに指を汚されながらも迷いなく進み、目的のブツに軽く爪をたてた。

 

「っふぐっ♥ っふぐぅぅうう♥」

 

 身体に見合わぬ大きさ。

 

「っふぐぁ♥ っふ、ぁぁあぅ♥」

 

 一人遊びが好きなんだな。

 

「ふぁぁ♥ ぁ、ぁぁぅ……くぅぅうう♥」

 

 ほーれトントン。

 

「っふぁ♥ ぁん♥ ぁぁん♥ ……ぃ――っ、くっ……ぅん♥」

 

 おーおー、気持ちよさそうに震えて。

 

「よしよし、偉いぞ」

 

 顔を隠すように口を抑え、ぷるぷると甘い絶頂に震えるシュエンの尻を撫で最後の守りを取り払う。

 

「……えっろッ」

 

 ぴっちりと閉じた縦筋の土手肉がぷっくりと膨らみ、粘っこい液で布と繋がり……糸が伸び千切れる。産毛のような柔らかな毛を撫で、割れ目に沿ってスライドさせていく。

 

「っふっふ……ぁふぁふ……んんっ……んぅ♥」

 

 はぁー……声えっろ。

 

「っふっふっふー……ぁふ、っふぁ♥」

 

 入り口に指を這わすと、幼肉がちゅぷちゅぷと指に吸い付いた。

 

「っふー、っふぅぅ……ぉ♥ ……ぉ、ま……えぇ」

 

 まだまだ、元気そうで安心し……違った。残念だ。非常に残念だ。まだ、反省してないのか?あー、ざんねんだなー。

 

「満足するまでイかせてやるからな……嬢ちゃん」

 

「ぉ゛ぉほっ♥ ……ひんっ……はえ?……お、お前っ!」

 

 ちぅちぅ吸い付く腔に指を沈めていく。

 

「は?……!!?―――〜〜〜んぁ……ゃ、ゃめろ!」

 

 幼く硬さの残る肉の吸い付きは申し分ないが、指一本でギッチギチだ。

 

「はぁー、反省の色が見えないなー」

 

「んぎっ……ぁあ、お、お前!!ゆ、ゆびっ……ふとっ♥ ……ぁひっ♥」

 

 壁を押し込み、もっと反省を促す。

 

「ぅ、ぅぅ、ぅごかすなぁ……っふ、ぅぅ……」

 

「ふとぃ♥ ……ふとっ♥ む、りっ……ぃひん♥」

 

 ぴくんっと跳ねたシュエンに思わずにっこり。

 

「あっ、めぇ♥ あっふ♥ おっきぃ♥ ……ゃぁあ♥」

 

「ゃめっ……ひっ、んぎぃぃ♥ ――――っぅう♥ はふっ♥」

 

「ぃ……も……ぃぃ♥ ……しゅごっ♥ あはぁ♥ ふとっ、しゅごぃぃいい♥」

 

「おっと、少しは素直になってきたか」

 

「ぃあっ♥ んあぁ♥ ぁひっ♥ ぁひん♥」

 

 肉壁を揉みほぐし、吸い付く襞を剥がしていく。

 

「ゃあっ♥ んくっ、んきゅぅぅう♥ ……ひっ、はふっはふっ♥」

「ぃくっ♥ イクぅぅうう♥ っめ♥ イグぅぅううう♥」

 

 シュエンの喘ぎ声と粘着質な水音だけが部屋に響いていた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 絶頂する度に可愛くなっていくシュエンに歯止めが効かなくなり、何度も絶頂を貪った幼肉は、ほっかほかに仕上がっている。

 

 指に付着した愛液を舐め取り、肉芽を優しく撫でる。

 

「っふ、っふ……ゃぁ……もっ……イキたくぅぅん、ないっ、ぉおひっ♥」

 

「反省したか?」

 

「ったぁ、したぁ♥ ……まっ、ゆびっ……はやぃぃ、ぃひぃ♥」

 

 ……チッ。

 

 もっと頑張れよ!お前の輝きは何処にいったんだッ!!

 

「よーし、反省してるみたいだから―――」

 

「やっっぁ♥ もうゃぁ、ぁっっぅ♥」

 

 食いちぎるように指を拒む幼肉を掻き分け、少しザラついた膨らみに触れる。

 

「最後に一番気持ち良くしてやるからなー」

 

 此処が良いんだろ?

 

「っぅん……やっ、やっ……ぃやぁ♥」

 

 火照り過ぎて腫れぼったくなった膨らみ……Gスポットを擦り、徐々に力を強めていく。

 

「ぁふ、ゃぁ、もう、ゃ……らめっ♥」

 

 うねうねと纏わりつき指を受け入れた幼肉に満足し、ぐにっぐにっと押しつぶす。

 

「ぉぉ♥ っぅ、でりゅ……ぉ……し……っこぉぅ♥ ……れりゅぅ♥」

 

「あ?」

 

 お、しっ……こ??

 

「……うぉッ!!?ヤベッ!!クソガッ―――!!」

 

 動揺して力が入ってしまった。ぐりゅっと弱点を押し込まれたシュエンは、ビクんッと跳ね……俺は全力で行動した。

 

「!!っっぅ―――〜〜〜ぁああ♥ ……れるっ♥ ……ぃきゅぅ♥ ぃんんっぅぅうう♥」

 

「―――ッ――――ングッ」

 

「はっふっ♥ はっふぁ♥ ……んひっ♥ ……ふぁぁぁ♥」

 

 心底気持ち良さそうに余韻に浸るシュエンに対し、俺の気分は悪かった。

 

「はぁぁ♥ ふぅぅ、んっ♥ ……はふぅ、はふぅぅ♥」

 

 幸い嫌な苦味は少なく……何なら甘みが強かったが……後味と気分は微妙だ。

 

「っふぅぅ……んっ♥ ……んぅ、ひゃぁあ!」

 

 シュエンを持ち上げ仰向けに体制を変え、ガバッっと脚を広げる。

 

「……小便漏らすとか……お仕置き追加だな」

 

 にっこりと笑いかける俺に対し、髪を頬に張り付け快楽の余韻でボケっとした顔がサーっと青褪めた。

 

「なっ、ななな!なにしてっ!?……ぁひぃん♥ な、ななぁ、ぁんっ♥」

 

 ベッタリと粘液を纏った幼肉に吸い付くと、脚で顔を挟まれ髪を握られた。

 

「ジュるッ……うるせーな、黙って喘いでろ」

 

 一舐めする度に髪を掴む手から力が抜ける。

 

「ふっ♥ ふざけっ、くひっ……ゃんっ♥ ……ゃあ♥」

 

 ベロッっと舐めあげ、肉豆に吸い付く。

 

「ぁっ♥ やだっ♥ なめっ……るなぁぁあ♥」

 

 零れる愛液をすすり、舌をぐにぐに捩じ込む。

 

「ぁふ……くふっ……ぅぅくっ」

 

 やはり狭い。

 

「ふぁ♥ ……こ、れっ……っ……ゅごぃ♥」

 

 甘い蜜がとぷとぷ溢れ、後味の悪さを消していく。

 

「ふぐぅ♥ ……ぃぃ、しゅ♥ ごっ♥」

「はひっ♥ ―――〜〜〜ぃくっ♥ いくぅ♥」

「ゃ……ぃっれるっ♥ ぃっれるのぉぉ♥ ……ぉぉ゛お゛♥」

 

 挟まれていた脚は何時の間にか力なく広がり、顔をあげると汁でぐじゃぐじゃになったシュエンが、ぴくぴく痙攣していた。

 

「……夢中になるとこだった、あっぶねー」

 

 力なく広げられた脚の……ぽっかりと開いた幼肉から、とぷっと白濁した本気の蜜が零れる。

 

「……ひっ♥ ひふっ♥ ……ぁひっ……ぁひ♥」

 

 ひくひく、ぱくっぱくっと開閉する幼い肉は、充血して朱に染まっていた。

 

「えっろ……ん?……おい……嬢ちゃん?」

 

「はひっ♥ ……はひっ……ぁひっ♥」

 

 やり過ぎた……かな。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 理性を取り戻したシュエンは一度髪をぐしゃぐしゃと掻き回し、頬を赤く染めて脚を開いた。

 

「なめろ」

 

 取り敢えず、言う事に従い柔肉を舐めしゃぶる。正直、幾らでも舐められる。

 

「はぁ♥ そこぉ、そこ良い、もっと舐めろ♥」

 

 時間をかけて解しまくって気づいたんだが……流石に入らない。俺のがデカすぎるのもあるが……これは無理だ。……残念。

 

「はぁん、休むなぁ♥ んぁ♥」

 

 へいへい。

 

「天才の私をなめられる……んぁ♥……っなんて、凄く光栄でしょ」

 

 へいへい。

 

「ぁん♥ すごぃ♥ ……ぁ♥ ぁん♥ ぃくっ♥ ……なに、してん、の」

 

 シュエンがイク直前に動きを止める。

 

「この私が、舐めさせてやってるの!早くっ♥ なめろぉ♥」

 

 へいへい。

 

「んぁ♥ ぐにゅってぇ♥ ぃい……ほ、ほんと……ぃぃ♥ ……はぁ♥ ……殺す、つもりだった……けど……飼って、あげるぅんっ♥」

 

 偉そうなメスガキに逆戻り。お前さー、それは駄目だろ。

 

「ぁひ♥ その、ままぁ♥ ィッても続けろぉ♥ ぉつ♥ ぉぉ、ぃくぅ♥」

 

 ぴたっ。

 

「っふっふ♥ ……ふぅぅ、っ、な、なにが♥ 目的っ……ふぁ♥」

 

 流石にイカせないようにしているのを理解したシュエンの肉芽に、息を吹きかけ立ち上がる。

 

「狡い……よなー」

 

「ず、ずるい……っぅ、お、お前の粗末なちんこなんて、どうでもいいの」

 

「へぇー、粗末なちんこねー」

 

「くそっ調子にのりやがって……くそっ……い、いいわ、手でしてあげる。早く出せ変態」

 

 手でねー。

 

「どうせ粗チンでしょ。さっさとし……!??へっ♥」

 

 ブルンッ!ビタンッッ!!

 

「は、は♥ ……はぇ」

 

 自慢のイチモツをシュエンの眼前にそびえ立たせ、顔に近づける。

 

「粗チンなんだろ?」

 

 血管がバキバキに浮き上がった熱り立つ剛直に目が釘付けになったシュエンは、ソファーからズルッと滑り落ち、ぺたんっと地面にへたり込んだ。

 

「はっ……っふ……ぁ♥」

 

 垂れ下がった腕を掴み肉棒へ誘導する。

 

「手でするんだろ?」

 

 恐る恐る指を絡めたシュエンだったが、肉棒が躍動し手が離れ、腕を垂れ下げた。

 

「はぇっ……ひっ……ぅ、うそっ♥ ……ば、ばけもっ!!?」

 

 へたり込むシュエンの鼻先に剛直を押し付け、グリグリとカウパーを擦り付ける。

 

「ばっ、臭っ♥ ゃ、やめっ♥ ……ゃだ♥ におぃ……だめっ♥」

 

「早くしろよッ」

 

 ウダウダと言い始めたシュエンの頬を極太のちんぽで叩く。

 

「ま、まっ……お願いっ……まっ!!?……っっぅ♥」

 

 ちんぽに叩かれ呆けたシュエンは、信じられないように頬を触った。

 

「早くやれって言ってんだろ、やれ」

 

「まっ……!?はぶっ!!」

 

 叩く。

 

「あぶっ!?」

「ゃめ」

「ゃぁ♥」

「ぁっぷ♥」

「ぃひゃん♥」

 

 瞳に涙を浮かべるシュエンを見下し、ゾクゾクする。本当に虐めたくなるメスガキだ。尊大な態度とのギャップがちんぽに悪い。快楽に身を任せ、頬をペチペチとちんぽで叩く。

 

「ほら、早くしろ」

 

 頬を叩かれ過ぎて馬鹿になったのか、脚に抱きつきちろちろと舌を這わし始めた。

 

「ぁ……っ……れ……れろっ……れろれろっ」

 

「全然だめだ」

 

「れろっ……ぁ、ぁっ……」

 

 シュエンを振りほどき、ソファーに座り込む……数分前とは真逆の状況。

 

「ぁ……めっ……だめっ……絶対っ♥ ……だめぇ♥」

 

 熱に浮かされたように幼い肢体を抱きしめ近づいたシュエンは、肉棒に唇を近づけ。

 

「!?……ちゅれ……れりゅ♥ ……れぉれぉ♥」

 

 亀頭に吸い付き、カウパーを吸い、ぺろぺろと舐め始める。

 

「っろれろ……ぺろぺりゅ♥ ……ぢゅるっ♥」

 

「……ふぅ、悪くない」

 

「んちゅ、れりゅれりゅぉ♥ んりゅ、れりぉ♥」

 

 声に身体を震わせ、口淫が激しくなる。

 

「れりゅ♥ れろれろぉ♥ ぢゅぢゅぅう♥」

 

 肉棒の震えを感じ取り、気持ちのいい場所を物凄い速さで学習している。

 

「ちりゅ、ちりゅれ♥ ぁむっれりゅ♥」

 

 天才だとか言ってたのは、本当だったようだ。

 

「どうせ全部は入らないだろ、亀頭だけ舐めろ」

 

「はむぅ、ぢゅずぢゅれりゅ♥」

 

「飲み込みが早いな」

 

「ぢゅれりゅ♥ぢゅれりゅ♥ れりゅれりゅ♥」

 

「尻叩かれて、気持ち良かったか?」

 

「!?……ぢゅず♥ ぢゅずずぅ♥」

 

 ぴくんっと肩を震えさせたシュエンは、返答のかわりに鈴口に舌をねじ込み強く吸い付いた。

 

「また叩いて欲しいなら、射精させて全部飲めよ」

 

「ぢゅりゅ♥ ぢゅずぅ、ぢゅっぽっ♥ っふ♥ ふぅー♥」

「ぢゅれりゅ……れりゅれりゅ♥ ちろちろっ♥」

「ぢゅりゅ♥ !!――〜〜んぅ!、ぢゅずりゅ♥ れりゅれりゅ♥」

 

 亀頭を這い回る舌が早く出せと言っているように、纏わりつく。雁首を執拗に弾き、鈴口を舌先でほじり、頬に擦り付け……足りない刺激を歯を当てて誤魔化している。

 

「じゅずりゅ♥ れぉれりゅ♥ は、早く♥ だせっ♥ ぢゅれりゅ♥」

 

「フー、出すからな、飲めよ」

 

「れじゅ♥れりゅ、れりゅろ♥ じゅずずぅぅ♥ !!!っぉぶっ」

 

 気持ち良く射精し、喉を汚されたシュエンが咽るのを必死で我慢し精を飲み込む。

 

「んぶっっ……んっ♥ んぐっ……こくっ♥ ……ごくっ♥」

 

 止まらない射精にひたすら喉を鳴らす。

 

「こくっ、ごくんっ♥ んぅ♥ ……こくこくっ♥」

 

「もうちょっとだぞ、頑張れ……っと、残りは飲まずに口に溜めろ」

 

「んぐっんぐっ♥ ……!?……んぅ、っふー♥ っふーっ♥ ふーっ♥」

 

 従順に喉が鳴り止み、最後の一滴をビュブッっと吐き出す。

 

「あーんってして見せろ」

 

「んんぅ♥ ……っあぁぁ♥」

 

「舌で掻き回して、しっかりと味わえ」

 

「ふっふっ♥ れぇ……んんぅ♥ ……れりゅ……れりゅれりゅ♥」

 

 めっちゃ良い。これヤバい。ハマりそう。

 

「れりゅ♥ っふっふ♥ れるれる♥ っふっふっふ♥」

 

「クチん中で掻き回せ」

 

「んんぅ♥ くちゅ♥ んんんっ♥ ……くちゅ、っふー♥」

 

「よーし、良い子だ。飲んで良いぞ」

 

「くちゅ♥ くちゅ♥ っふー♥ っふー♥ ……んぅぅ、んくっ♥ こくんっ♥」

 

「はふっ、はふっ♥ ……っふ、っふー♥ んんっ♥ ……ふーっ♥」

 

「美味しかったか?」

 

「っふー♥ ……し、ねっ」

 

 俺の精子を飲み干したシュエンは、蕩けた顔で心底嫌そうにそう呟くと、ふらついた身体をソファーに倒れ込ませ、すぅすぅと子供のように寝息をたて始めた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「……んっ♥ 寝てた、の……ぁ、あれ?……触るな!……誰よ、お前?」

 

 小さくなって眠る姿が非常に可愛らしかったため、膝に寝かし髪を撫でているとシュエンが目を覚ました。

 目を覚ました直後、撫でる手を払い除け、即座に距離を離された俺のショックは計り知れない。

 

「……は、早かったな」

 

「……な、何が、ラプッ……ぃたっ、んぁ♥」

 

 立ち上がろうと尻を動かしたシュエンは、顔を歪めお尻に触れる。

 

「……嬢ちゃん?」

 

 跡が残ったり、内出血等しないように絶妙な力加減をしたはずだが?

 

「は?じょう……ちゃん?……この私に向かって嬢ちゃ……!?……っっ……ぅ……っふ♥ ふーっ」

 

「どした?」

 

 怒りに顔を歪めたシュエンはいきなり静かになり、唇に手を当て深く息を吐く。俯いていて表情は見えなかったが、再び顔を上げた時には人を馬鹿にしたような表情に戻っていた。

 

「お前、私が誰か知ってるの?」

 

「ミシリスのCEOなんだろ」

 

「……そう。いいわ……なんでこんな所に居るのか覚えて無いけど……お前に話があるの」

「お前はこれからワードレスと地上へ上がって、ラプチャーを捕獲してくればいいの」

「分かった?2日あげるわ」

 

 

 はい?

 

 



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11

息抜き小説投稿しました。
もし良かったらそちらも読んで頂ければ幸いです。

ニケ専用マッサージ店へようこそ ってタイトルです。

上手く出来てるか不明ですがリンクです↓
https://syosetu.org/novel/306919/


 場所を変えて指揮官室の客間。

 シュエンと対面に座り、何故か……何故かユニが俺の膝に座らされた。

 

 絶対押さえつける目的ですよね。

 くっそ重い。膝の先に座るなッ!

 

「へへ、指揮官、抓ってもいい」

 

「いいわよ、やりなさい」

 

 ユニの腹に手を回して引き込み、何とか重りを緩和する。

 重さと抓られそうになる手を動かしユニと格闘する俺を他所に、淹れてやった珈琲にドバドバと砂糖を入れられ、げんなりと声をかける。

 

「嬢ちゃんよー。そんなに入れたら糖尿になるぞ」

 

「!!?……っっ、お前っ、馬鹿なの!」

 

 真っ赤に頬を染め大声で威嚇される。やっぱり覚えてる反応だろ……これ。

 ミスった……写真位撮っておくべきだった。

 

「どう見ても入れ過ぎだろ……それ」

 

 もはや、甘ったるい液と化した珈琲に黙祷を捧げる。

 ゴメンな、俺はお前を……救えなかった。

 

「この砂糖も原料はパーフェクト。馬鹿でも分かるように言ってあげる。味を変えても栄養には影響ないの、つまり好きな味だけ食べられる……最高だと思わない?」

 

「それでも、限度ってもんは有るだろ?」

 

「ないわ」

 

 珈琲を飲み干したシュエンから詳細を聞いた。

 

 

 依頼内容はラプチャーの捕獲。

 詳細はワードレス……ミハラとユニの二人に聞け。

 直ぐに出撃出来るよう話を通しておいたから、早く行け。

 

 内容なんて無かった……また叩かれたいのか?このメスガキは。

 

 膝の上で可愛らしく見上げてくるユニが重りとなり、動けないのを良いことに言いたい放題。

 言われるだけの事はしたかもなー。因みに絶賛抓られ中。

 

 ユニ……この子も良く分からん。ロリは食指が動かんのよ。可愛いとは思うが……。

 俺の手を抓り目を輝かせているのを見て、色々と触れたく無くなった。

 

 なにこの子……やっぱドSなの?……そうなると、腹の傷を撫で恍惚としていたミハラはドMかー。

 デコとボコがピッタリだな。今日も前哨基地は平和です。

 

「いい?三大企業のCEOは副司令官と同じ命令権を持っているの。電気椅子に座りたくなければ、私に従うのよ」

 

 思考を飛ばしていると、捲し立てるようにシュエンはそう吐き捨て、勢いよく立ち上がった。

 

「帰る」

 

「……見送りは」

 

「いらない!」

 

 俺の側で立ち止まり、視線を向ける。

 

「もし……」

 

「あ?」

 

「もし成功したら……色々と便宜を図ってやるわ、励みなさい」

 

 俺にだけ聞こえる位の小さな声でシュエンは呟き、歩き辛そうに帰っていった。

 

「へへ、指揮官、痛い♥」

 

 舌を出しながら見上げてくるユニが、蕩けるような瞳で徐々に力を込めていく。

 

「痛いから、もうやめろ」

 

 こんなロリの癖に、色気がやべぇ。

 

「へ、へへ、痛いの〜♥」

 

 ッグ!やっべ、千切れるッッ!

 

「へ、へへへ♥ ―――っっ!!?」

 

 千切れる程の力を入れてくるユニの顔面を掴み、垂れ下がった舌を吸い上げる。

 

「んんっ!? あっぷっ、ぁ……じゅれ、んんっ♥ ……な、なにこれぇ♥」

 

 ニケは快楽に弱い。検証対象は一人だが。どう転ぶ?

 

「ぁ……れるっ、んんっ♥ ……んれぇ♥」

 

 何とか、皮膚が千切れるのは回避出来たようだ。

 

「ぁ……ねぇ……ねぇ指揮官、もう一回、もういっかいしよっ♥」

 

「……そうだな、良い子に出来たらな」

 

「うん♥ ユニ良い子にする!」

 

 とろとろに蕩けた瞳で見上げてくるユニを撫でる。

 ……どうしてこうなった。

 

 

 

 シュエンが帰って程なく、ラピの帰隊を待ち出撃することが決まった。

 幸か不幸か、ラピは程なく帰ってくると返信があった。

 

 コマンドセンターの入り口により掛かり煙草を吸う。そんな俺にミハラが寄りかかるように近づき、耳元で囁かれる。

 

「随分気に入られたようね〜」

 

「ミハラって言ったか、どういう意味だ?」

 

「あのシュエンが珈琲を飲んで〜、あ〜んな無礼を許すなんて〜、いったい何をしたのか、気になるわ〜、それにユニも……ずいぶん手が早いのね♥」

 

 あ〜んな無礼……ね。ユニ……ね。

 ど、どどど、どれのことでしょうか……。

 

「……ガキの仕置きをしただけだ、ユニは……なんかすまん」

 

「ユニはいいの、もっと可愛がってあげて♥ でもシュエンにあ〜んな事して、いま生きてるのがふ・し・ぎ♥」

 

 しなだれかかってくるミハラの肢体が柔らかく擦り寄せられる。

 柔らかな肢体を堪能する俺の耳が……無機質な音を拾った。

 

「指揮官」

 

 初対面の時に見た……能面のような顔をしたラピが……いや、初対面より感情が無い。

 

「ラ……ラピ?」

 

「指揮官。何をされているのですか」

 

 は、早ッ!

 

「!!?い、いや……何も……ッ!?」

 

 間近から見上げられ、思わず目を逸しそうになる。

 怖ッ、そ、そんな目で見るな。

 

「何も?おかしいです。私には喜んでいるようにしか見えませんでしたが」

 

「そうなの〜指揮官♥」

 

 テメェッッ!!

 

「指揮官、説明を」

 

「うふふ、楽しみましょう、指揮官♥」

 

 クッソ面倒な事になった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「指揮官。地上に到着しました。シフティーと繋ぎます」

 

 ラピの言葉に反応した俺をミハラが遮る。

 

「ダメだと思うわよ。シュエンが通信網を全部遮断したから」

 

 は?

 

「この作戦。単なる作戦では無いわね」

 

 ラピが睨みつけるようにミハラを見据えるも、当のミハラは何処吹く風。

 ラピ、ダメだ。ドMには無効化される。その目はむしろ喜ばせるだけだ。

 

「ふふ、そうよ〜。これはいわば……ひ・み・つ・さ・く・せ・ん、なのよ」

 

「怪しいわ」

 

「特定のラプチャーを捕獲しろと言っていましたが、そんなこと、できるんですか?」

 

 怪しがるアニスとやはりどこか抜けているネオン。

 

「そのための分隊だもの。私とユニは……取り敢えず移動しましょう、ポイントまで案内するわ」

 

 警戒を深めるラピ達を尻目にミハラが歩き出す。

 

 

 あの後、俺の必死な説得と助力を得たことにより、ラピの機嫌は直った。

 アニスとネオンが大はしゃぎで何があったか伝えると、かなり心配してくれた。

 ちょっと罪悪感が……。

 

 その後、シュエンとの会話内容を伝え、依頼を受けた旨伝えると、仕方がないと微笑み、許してくれた。

 めっっちゃ天使。天使は二人いたんだ。 

 

 

 

 案内に従いしばらく歩いていると、別行動をしていたユニが声を上げ、はしゃぐようにミハラを連れて走り出す。

 

「ミハラ!あった!」

 

「そうね。よくやったわ、ユニ」

 

「へへ。ユニにご褒美くれるの?」

 

「それは後で。まだご褒美をあげるレベルじゃないわ」

 

「うん、分かった……指揮官も、まだダメ?」

 

「もうちょっと頑張ろうな」

 

「うん!」

 

 病んでる雰囲気を出さない時のユニは普通に可愛らしい。

 娘に欲しいくらいだ。

 

「指揮官。随分と仲良くなったんですな」

 

「ラピ……あー、なんか、懐かれた……んだ」

 

 頬を掻きながら、スマホを取り出しラピにメッセージを送る。

 俺としては公言していいんだが、時と場合を考えなければマジで死ぬ。

 死因が痴情の縺れとか笑えねぇ。地上だけにってか……まじで笑えねぇ。

 

「別に構いませんが……?分かりました指揮官。これ以上は何も言いません。早く終わらせましょう!」

 

「ラピ、何か元気ね」

 

「そうですね〜、新ボディを改造したとか!?」

 

 ネオンのお馬鹿に癒やされる日が来るとは……。

 

「痴話喧嘩は後にしなさいな、これを見て」

 

 緩んだ空気をミハラがぶった切り、地面の足跡を見据える。

 

「これは何?足跡?」

 

 アニスの疑問はもっともだった。

 ラプチャーと言えば四足歩行の平べったいのが一般的。大型になると色々なフォルムをしているようだが……これは。

 

「そうよ、ユニが見つけたの」

 

 どう見ても二足歩行。しゃがみ込み深さを調べる。体重はとんでもなく重いだろう。

 

「……今のこの時代に、足跡でラプチャーを追う?あなた、原始人なの?」

 

「トーカティブは信号が捕まんないんだ」

 

 トーカティブ……ユニが呟いたのは聞き慣れない言葉だった。

 

「トーカティブ?ラプチャーの名前ですか?」

 

 ネオンが吐露した疑問をミハラが掬い上げる。

 

「そう、コードネーム・トーカティブ」

「ラプチャーのどの規格にも当てはまらない、特殊な個体……私たちがここに来た目的よ」

 

 コードネーム・トーカティブ

 

 穏やかではない雰囲気とこの足跡。ここ数日で隣人となった死の気配を肌で感じ取る。

 

「その理由は?」

 

「それは分からないわ。数ヶ月前、それを捕まえろって命令されただけだから」

 

「特徴はある?交戦した経験は?」

 

 アニスの質問攻めに対し、ミハラは手をあげ首を振る。

 

「何も分からないわ。この目で見たこともないし」

 

「焼け石の山から針を探すのですね」

 

「それを言うなら干し草に水でしょ?」

 

「……2人とも違う」

 

 二人のボケに対し律儀に突っ込みを入れる呆れ顔のラピ。その顔を見て隣人が少し遠ざかった気がした。

 

「足跡だけはすごく変わってて、追跡に役立ちそうよ。でも今まで遭遇したことは一度もないの」

 

「指揮官。なぜ私たちが追跡に投入されたのでしょうか?」

 

 足跡を調べ続ける俺に心配そうなラピの声がかかる。

 

「……嬢ちゃんの気まぐれ……って訳じゃないだろうな」

 

「……あなたたち、使えそうだから」

 

 そんなラピの疑問に答えたのはミハラだった。

 

「指揮官が初めての作戦で死亡する確率、どれくらいだと思う?」

 

 ラピが言っていた……確か。

 

「……70%」

 

「2番目の作戦まで行えば、死亡率はさらに高まるわ」

 

 ……。

 

「なるほど、その奇跡の確率を攻略したのが、うちの指揮官様?」

「だから、シュエンだかシュークリームだかが、私たちをこき使うってこと?」

 

「正解」

 

「何人?……そうやって使い捨てになった指揮官が、今まで何人いた」

 

 微笑みを絶やさず笑みを浮かべるミハラに対し、ラピが無表情で吐き捨てる。

 

「正確には分からないけど、40人は超えるはずよ」

 

「……」

 

 40人。

 少なくともシュエンの我儘で、それだけの人が死んでいる。

 その事実にラピは、悲しげに瞳を伏せた。

 

 40人……正直、俺はそれに対し、どうとも思わない。例え、この作戦で死んでも恨んだりはしない。ヤッとけば良かったと後悔する位だ。

 シュエンはあんなメスガキだが、権力者だ。そこに至るまでに何があったかは知らないが、見た目通りの年齢なら親とか……色々と、何も無いってことは無いだろう。あーでも、それとコレは別だぞ。

 ちゃんとお仕置きはします。人を死地に送りやがってッ!

 

 見ず知らずの他人がどうなろうと知った事ではない俺だが、それでも、ラピの沈んだ顔を見て……少しばかり胸が傷んだ。

 

「すごいわね〜私もCEOになればよかったわ〜」

 

「私たちも会社をつくりましょうか」

 

「そうしようかしら」

 

 アニスェ……。

 ネオンェ……。

 俺がちょっとばかり良心と対話していたら……止めとけ、お前達二人の会社とか絶対にすぐ潰れる。

 

 




アンケートへのご回答ありがとうございました。


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12

「状況終了。指揮官、お怪我はありませんか」

 

「ああ、問題ない。それにしても……ラピ、凄いな」

 

「ラ〜ピィ〜、何でそんなに強くなってるのよ!このボディに秘密が!」

 

「火力が……火力で負けました……私の存在意義が」

 

 ラプチャーとの戦闘において、ラピは以前と比べ物にならない力を発揮した。25機いたラプチャーは、尽くがラピに瞬殺されたと言っても、過言では無かった。

 

「指揮官のおかげです」

 

 穏やかな笑みを浮かべるラピが呟く。俺のおかげと言われても、特にこれと言って……エロい事をした記憶しかない。

 

「俺……?」

 

「はい、指揮官のお力です」

 

「なに、どういうこと?」

 

「アニス、後で話すわ、今は……話せない」

 

 ミハラとユニに目配せし、ラピは言葉を切った。

 

「ふ〜ん、じゃあいいわよ。ラピが強くなってラッキ〜。楽できそう!」

 

「火力が……火力……かりょくぅぅ」

 

 火力しか語彙がなくなったネオンは不憫だが、こればかりはフォローのしようもない。

 

「ふふ、私たちにはないしょ……ってこと」

 

「その通りよ。何か問題でも」

 

「いいえ〜、何も問題ないわ」

 

 薄く笑みを貼り付けたミハラとは違い、俺の側でムチをしならせたユニが、瞳に影を落とし見上げてくる。

 

「指揮官……ユニに隠し事、するの?」

 

「……隠し事って言われてもな……知らねぇし」

 

「隠してない?」

 

 瞳のハイライトが完全に消え……恐怖が倍増する。

 

「隠してねーよ」

 

「うん、隠し事はダメ……」

 

 後でしっかりと教育しようと心に決めた。

 

 

 その後、数度のラピ無双を見物。俺の存在価値が更に無くなった事に若干ショックを受けたが……ミハラの案内に従い足跡を追跡。先頭でムチをしならせていたユニが振り返り、地面を指差した。

 

「んっ?ミハラ、これ見て」

 

「……足跡が消えたわ……ふ〜ん……じゃ、戻るわよ」

 

 はい、そうしましょう。さっさと帰りましょう。よーし、お仕事終わり!

 

「……拍子抜けね」

 

 ラピちゃんよー……いつからそんな戦闘狂みたいになったんだ?

 

「あ、ミハラ。あっちの壁!……壁を伝って移動したみたい」

 

 ユニが指差す廃ビルに地面と似た窪みが見て取れる。はー、お仕事続行ですね。

 

「……壁面を踏んで移動できるというの?ラプチャーが?」

 

「それできないわよね。ラプチャーは基本、四足歩行なのよ!」

 

 おふざけを辞め、周囲を注意深く観察する……廃ビルについた足跡は周囲が罅割れ、所々が崩れている。壁を足場にして……飛んだ、のか?……ラピとアニスの疑問もその通りだとは思うが、目で見たものを信用する他ない。

 

「相手が二足歩行の可能性もあるな……それに――」

 

 指を唇にかざし妖艶にウインクするミハラに続きを促す。

 

「ふふ、トーカティブは壁を伝って移動できる……それから、私たちの追跡に気づいてる」

 

 したり顔のミハラに対し俺は神妙に頷く。

 

「……知能があるということですか?」

 

 顎に手を当てたネオンが疑問を投げかけた。

 

「ふふ、それはありえないわ。ラプチャーは知能がないもの、追いつかれたら逃げる。そういうアルゴリズムみたいね」

 

 アルゴリズム。そういうモノか……可能性として頭の隅にでも置いておこう。

 

 

「ミハラ、ご褒美!ご褒美!」

 

 嬉しそうにミハラの膝に座り背中を預け、太腿を撫でているユニに緊張が溶ける。……はぁ、えっちな光景ですね。此処って本当に戦場ですか?

 

「まぁ、確かに。今回はご褒美をあげてもよさそうだわ」

 

「うん!」

 

「ご褒美をあげるわ。痛覚センサーをONにするわね」

 

 ユニがミハラの太ももを思いっきりつねった。

 

「うぅ……んっ♥」

 

「へへ♥ ……」

 

 指を噛み喘ぎを抑えるミハラに対し、ユニが容赦なく責めたてる。

 

「っう♥ ……んぁ」

 

「……何やってるの?」

 

「つねってますね?」

 

 いいとこなんだから、黙ってろ!

 

「ミハラ。すごく痛い?どう?」

 

「そ、そうねっ♥ ……すごくっ……!っ、痛いわぁ♥ ……んんっ♥」

 

 悶える黒髪美女と淫乱ピンクの濃厚接触に、下腹部が反応しそうになるが……悟られる訳にはいかない。

 

「ねぇ、ちょっと。私、混乱してるんだけど」

 

「師匠。これは何が起きてるのでしょうか?」

 

 ネオンェ……空気読めよ。楽しめよッ!!

 

「楽しんでるんだ。ネオンも大人になったら分かる」

 

「……よくご存知ですね。指揮官……そういう方面のこと」

 

 身をもって体験した癖に、そういう事言うんだ……俺を煽ってベッドで乱暴にさせようという思考が透けて見えそうですよ、ラピ君。

 

「えっ?そういう方面って何ですか?」

 

「……そ、それはっ……ぅ」

 

 はい、可愛い。

 頬を染めたラピに質問攻めを始めたネオン。恥ずかしがるラピか、絡みあう二人……どちらを見るべきか悩んだ結果、質よりも量を選んだ。

 

「ミハラぁ、もっと強くしていい?」

 

「ふ、ふふっ♥ ……いいえ、ご褒美はここまで。夢中になり過ぎちゃダメだから。分かってるわよね?」

 

 あ、もう終わりっすか。

 

「うん。ユニ、もっと頑張る。そうしたら、指揮官もご褒美、くれる?」

 

「指揮官様も!?」

 

「師匠もつねられたいんですか?」

 

「んな訳ねーだろ。ちゃんと言う事聞けよ、ユニ」

 

「うん!」

 

 流石にね、衆人環視でベロチューしたいとは思いません。やるならちゃんとした場所でしっかりと……って、違う!そうじゃない!!

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 壁面に残された足跡を頼りに荒廃した市街地を踏破するも、一向にトーカティブが現れる気配は無い。

 

「痕跡が途絶えたわ」

 

「この先はエブラ粒子の濃度が高い。危険性が高まるということよ」

 

 エブラ粒子……地上に存在する通信を遮断する物質。普段なら大天使シフティーが浄化シーケンスを発動し除去してくれていたが、この状況ではどうしようもない。シュエンにより通信が途絶しているから関係ないように思われるが、ラピが言っているようにエブラ粒子濃度と危険度は比例する。

 

「ふ〜ん〜どうしようかしら……指揮官、この辺で切り上げる?」

 

「そうし――ん?」

 

 帰還を決めた俺に対し、通信遮断されているはずのスマホが震える。blablaが起動し、何処から入手したのか知らないがシュエンのアイコンが存在していた。

 

 アイコンをタップすると簡易プロフィールが表示された。……

 

『私が歩み進めば道は出来る(。◡ 。)』

 

 ……一言コメントとかするんだ……顔文字とか使うんだな。ちょっと可愛いとか思っちまったよ。

 

『おい。』

『しね。』

『おい。』

『し。』

『やっとつながった。』

『追跡の方は?』

 

 ずっとスマホ片手に俺にメッセージを送っていたのかな?メスガキとか言ってごめんな。可愛いとこあるじゃねぇか。

 

           『もう帰る所だ』

『捕まえたの?』

           『いや、痕跡が無くなった』

           『今日は終わりだ』

『ww』

『勝手にどうぞ。』

『その前にこれだけは言わせて。』

『あの前哨基地の』

『お前の部屋から、』

『アークテロ計画書が見つかったよ。』

 

 ……は?

 

           『はあ?』

『それも。』

『すっごく詳しいのが。』

『進行ルートに始まり、』

『どこをどうやって爆破させるか、とか』

『お前の鉄くずたちの手書き文字で』

『細かく書いてあったわ』

『決算欄にはお前のサインがあったし。』

『幸いにも私以外の人の目には』

『触れてないようだから』

『追跡をちゃんとやってきたら』

『処分してあげる』

 

 ふざけんじゃねぇぞ、嵌められたのか?ハメるのは俺の仕事だろうがッ!!

 

           『帰ったらお仕置きな』

『ww』

『負け犬の遠吠えね』

『ほら、わんわんって』

『鳴いてみなさいよ』

           『絶対鳴かす』

『www』

『出来るものなら』

『やってみなさい』

『じゃあ、頑張ってねー』

『w』

 

 それ以上の返信は出来ず、握りしめたスマホからミシッと音が聞こえ、力を抜く……やっぱメスガキだわ。ちゃんと躾ねば。

 

「……追跡、続けるしかないんでしょう?」

 

 ミハラが最初から分かっていたようにそう呟く……遠隔で権力を持ちだされたら俺に勝ち目は無い。ムカつくが受けたのは俺だ。あーマジで許さねぇ。

 

「ああ、その通りだ」

 

「分かりました。行きましょう」

 

 先頭をラピ含むカウンターズへ変更し、追跡を再開した。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 暗くなるにつれ、神経を磨り減らし気配察知に集中する。日が落ちきり辺りが暗くなるが、夜空は嘘のように綺麗に光り輝き、街頭が無くとも戦闘はどうにかなりそうだ。

 

「今日はここで野営しましょう」

 

「野営か……このまま進むという選択は無しか?」

 

「はい。視野の確保も困難な上。指揮官は体力を回復する必要があります」

 

 極度の集中による疲労を見抜かれてるな、気配察知疲れるんだよ……だが、まだどうにかなる。それよりもメスガキへの怒りを早く発散しなくては。

 

「体力には問題な……?」

 

 ラピが手袋を外し掌を合わせ、指が一本一本艶めかしく絡め取られる。

 

「んっ……コンディション・イエローと判断します」

 

「な、なんかラピ……変わったね」

 

 アニスの反応から、指を絡める必要は無かったんじゃないか?と考えそうになるが、指の触れ合いに集中する。

 

「そう?……倒壊した建物内に入ります。さらに500メートルまでデコイを撒いておきます。4時間くらいは凌げるでしょう」

 

「うう〜ん、地上での野営は久しぶりね……で?いつまで握ってるの」

 

「……」

 

 しぶしぶといった様子で指が離れていく。

 

「わあ、私、野営は初めてです。とりあえず火を起こしましょうか?」

 

「……火はダメ」

 

「デコイは私たちが撒いてくるわ」

 

「いえ、私が行く。あなたたちはここで休んで」

 

「ミハラ。ユニ、疲れた」

 

「そう?じゃあ、お願いするわ」

 

 

 倒壊した建物に入り、壊れかけた椅子に腰掛ける。ラピの帰りを待ち、壁際の死角で煙草に火を付ける。アニスはベッドに座り込み、ユニはミハラの膝を枕にして眠りについた。

 

「ねえ、ミハラ」

 

 沈黙を嫌うようにアニスが口火を切る。

 

「何?」

 

「あなたたち、どういう関係なの?」

 

「ふふ、どうしてそんなこと聞くの?」

 

「ユニがあなたに、すごく頼ってるみたいだけど」

 

「頼る?ユニが?……ふふ、違うわ。お互い、仕方なく一緒にいるだけ。人と人との関係って、よく歯車に例えられるでしょ?……私とユニは、その歯車がすごく歪んでいるの。他の人とは付き合えないわ……その歪みのせいで」

 

 想定外の答えだったのか、アニスが黙り込むもミハラは構わず言葉を紡ぐ。

 

「でも、その歪んだ歯車が、ぴったりはまる場合もあるの。私とユニのようにね……歪んだ歯車だけど、お互いにぴったりはまる……ふふ、傍から見ると、結構醜い姿かもしれないわ」

 

「違います。きれいです」

 

「……ありがとう」

 

 ネオンの微笑みに呆気にとられ数瞬固まったミハラは……ありがとう。と呟き微笑んだ。微笑むミハラは純粋に綺麗だった。

 

「……歪んだ歯車ねぇ……」

 

「じゃあ、今度はあなたたちの番よ」

 

「うん?」

 

「あなたとラピ、ずいぶん長いこと一緒だったんでしょう?見れば分かるわ……ネオンは、新入りのようだし」

 

「はい、秘密ですけど、実は私、スパイだったんです。元スパイ!格好良くないですか?」

 

「へぇ、格好良いわね」

 

 嬉しげに笑うネオンとは対象的にアニスの表情に影が落ちる。

 

「私たちは……そう。問題児なの、うん。いや……不良品かな?……ごめん、もう寝てもいい?」

 

 一瞬。本当に僅かな時間だったが、アニスの笑顔は何処か痛々しかった。

 

「ふ〜ん〜卑怯ね」

 

「大目に見てよ」

 

「そうね。特別に許してあげるわ」

 

 

 話が終わり、ラピを出迎える旨伝える。護衛に付いてくると言ってくれたが断った。気配を感じたら直ぐに逃げると伝え一人で煙草をふかす。アニスへのフォローは後で考える事にした。

 

 想像以上に厄介な事に巻き込まれている可能性が高い。俺は俺でやるべき事があるのだが……トーカティブを捕獲しシュエンをお仕置きして、手伝って貰おう。最悪、調教してしまおう……と物騒なことを考えているとラピが戻って来た。

 

「よッ」

 

「指揮官。もしかしてお一人ですか?」

 

「ラピと二人になりたくてな」

 

「そんな……嬉しいですが、危険です」

 

 一人という状況に、険しくなりかけた表情が笑みで崩れる。

 

「どうして、デコイを撒きに行ったんだ?」

 

「私が……私が指揮官の事を一番大切に思っています。だから、綻びを作りたくありません」

 

「そうか……ありがとな」

 

 ラピの帽子を手に取り感謝を伝える。撫でる手が徐々に下がり頬に差し掛かった。

 

「んっ……し、指揮官っ」

 

「じっとしてろ」

 

 従順に瞳を閉じ唇を差し出すラピが……此処が戦場だということを少しの間でも忘れることが出来るよう、重ね合わせる。

 

「ぁ♥ ……んっ……んんっ……ちゅれ♥ ……んっ……ちゅ♥ ……ぁっ」

 

「どうする?今夜が来ちまったが……お前は、どうしたい?」

 

 頬を擦る手に身を捩るラピが、言葉をつまらせる。

 

「……し、指揮官っ……ぁ……だ、ダメです!こ、此処は地上です」

 

「だから?」

 

「で、ですから……帰って……から、可愛がって……くださぃ♥」

 

「ククッ、ほんと可愛いよな、お前」

 

「―――っぅ、指揮官の……ばか」

 

「じゃあ、戻って寝るか?」

 

「ぅぅ……そ、その……もう少しだけ……っ、そ、の……して、ほしぃ♥」

 

「分かったよ……お姫様」

 

 本当に、この世界はイカれてやがる。こんな可愛らしい子が銃火器を片手に戦場を駆け回る。

 

「お!?、っあ♥ ……ちゅれりゅ♥ ……んぁ♥ ……ちゅれ、れりゅ♥ ……」

 

「し、指揮官♥ お辛そう……て、手で」

 

「地上まで我慢するんだろ?」

 

「っっぅ――はぃ……んんっ……ちゅぷ♥ ……ちゅ、ちゅ……ちゅっぱ♥」

 

 結局、半刻もの間、唇が離れる事は無く、艶めいた水音を反響させ、ラピの腔内を舌での蹂躙が続いた。

 

 瞳を蕩けさせ腰砕けになったラピを連れ、ベッドに寝かせた後、直ぐに隣の埃っぽいベッドに横になる。視線を感じ辺りを見渡すも、皆の扇状的な格好が目に入り瞳を閉じた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 俺の目覚めは……重さから始まる決まりでもあるのだろうか?

 

「ううん……」

 

「あら……ユニ、起きて。指揮官が窒息死するかもしれないわ」

 

 ミハラの側で寝ていたはずのユニが、身体の上で寝ている。幸い、耐えられない重さではなく、どうにかしようと藻掻くが、ガッチリと身体をロックされ身動きが取れない。

 

「ううん……ユニ、もうちょっと寝る……指揮官、あったかくて硬くって、気持ちいい……」

 

 た、確かに元気だが……何処がとは言うなよ。

 

「……これどういう状況?」

 

「ユニが師匠をベッドの代わりに使っています」

 

「……起きなさい。出発する」

 

 昨日の蕩け眼が嘘なように理性的なラピが、ユニを剥がそうとしてくれる。

 

「……うぅん……イヤだ〜〜」

 

 抵抗して更に力を込めるユニに抱き締めッォ!ま、待て、力強ッ!!

 

「ベアハッグ!」

 

「すごい技ですね!」

 

 お、お前ら!!怒るぞッ!

 

「!!ッ、ユ!ユニ!……ご褒美、要らないのか?」

 

「えっ……いる!欲しい!」

 

 胸板に顔を擦りつけ俺を締め上げていたユニは、ご褒美に反応し顔を上げた。その一瞬で体制を変えユニを膝に乗せることで辛くも窮地を脱出する。

 

「なら、起きて行くぞ」

 

 膝上で見上げてくるユニの頭を撫でる。頬を撫でると年相応の子供みたいに笑みを零した……そういう所は凄くポイント高い、普通にめっちゃ可愛いな。

 

「んっ……うん!!」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 どんな世界でも朝日というものは眩しいんだなと現実逃避をしながらユニと手を繋ぎ歩く。まさか、手を繋いで戦場を歩く事になるとは思わなかったが、説得の結果……今は……これで満足してくれているようだ。

 

「へへ。指揮官、ユニ、もっと強く握ってもいい?」

 

「潰れない程度にな……」

 

 ――――ッテぇ……だが上手いな、傷めないギリギリを責めてくる。

 

「へへ、指揮官。あったかくて大好き」

 

「珍しいね。ニケが温度に執着するなんて」

 

「センサーが誤作動しているの?」

 

「そういうわけではないわ……感覚が麻痺しているから、でも、なぜか他人と接触した時だけ、感覚を感じるの。理由はわからないけど、それでいつも他の人と接触したくなるの」

 

「……」

 

 唐突なカミングアウトに思わず皆が黙り込む。

 

「でも、普通の人には引かれてしまうのに。ふふ、貴方たちの指揮官はちょっと変わってるわ」

 

「変ではない」

 

「そう、変な人とは違うわ」

 

「師匠はいい人ですから」

 

「……そう」

 

 お前ら、むず痒くなるから止めてくれ。

 握り締められた手を強く握り込むとユニの笑顔が輝く……俺に執着する理由……問題が山積みだな。

 

 

 ユニが満足し手を離して貰ってから早数刻。太陽が天頂に差し掛かった頃、一直線に続いた足跡の追跡が終わりを迎えた。

 

 廃ビルに囲まれた道の先は円形の更地となり……周囲を囲むよう山なりに土が盛り上がっている。何処かコロッセオを思わせる地形に……中心で消えた足跡。

 

「あそこまで続いているわね」

 

「……危険な地形よ」

 

 誰がどう見ても誘い込まれたとしか思えない地形に、冷や汗が背中に流れる。

 

「全隊止まれ。壁に背を付けるな、奇襲に備え、周囲のビルを警戒しろ」

 

 更地に入る道はここから見える限り一本道。中心地で突如無くなった痕跡。此処はもう腹の中という事だ。

 

「フォーメーションHO。指揮官は私の側に」

 

「任せて指揮官様!」

 

 不気味な程に静かな空間。円形に広がった更地にラプチャーが全く存在しない……ラプチャーがまさか、止め足……を使うだと?……明らかな知性の証明。それもこの地形……悪意が渦巻いて見えそうだ。

 

「此処までの足跡に大きな変化はあったか?」

 

「いえ、大した違いは見受けられませんでした。誤差の範囲内です」

 

 ……そして、頭も悪くない。何処で跳躍しても良いよう、常に体重を分散させたのか。

 

「クリア!指揮官様、目視出来る範囲にラプチャーはいないわ!」

 

 俺の気配察知にも反応は無い。考え過ぎなら、それでいいが。

 

「指揮官、罠だったの?」

 

「その可能性が高い……少し待て」

 

 撤退する選択肢は罠と判明した瞬間に消えた。俺なら逃げた先にもっと凶悪なのを仕掛ける。通って来た道は瓦礫に囲まれ遮蔽物が大量にあった。隠れる場所が多数ありラプチャーとは戦い安かったが……相手に知能がある以上、最適な奇襲場所へと変化する。……クソッ、俺は馬鹿かッ!相手に知能がある可能性は考慮していたが、見くびり過ぎた。

 

「このまま、進む。罠に飛び込む形となるが幸い見晴らしは良い、遮蔽物もある……先頭は俺とラピ。左翼にネオン、右翼へアニス。後方をミハラとユニに頼みたい」

 

「理由を聞いてもいいかしら?」

 

「簡潔に話す。ミハラの能力を当てにしている。ユニは――」

 

「指揮官!ユニにも能力あるの」

 

 何となくそんな気はしていたが、有り難い。

 

「ふふ、ユニは相手の特定の感覚を無効に出来るわ。例えば視覚とか」

 

「うん!バキューン!って撃って切れる!」

 

 ユニの指先にミハラと同様、青い光りが集まる。

 

「そうか、話してくれてありがとうな……頼りにしてるぞ」

 

「うん!」

 

「カウンターズ!質問はあるか?意見は無しだ……」

 

 三人が無言で頷き、各々の武器を構える。

 

「ミハラとユニを信じる。周囲を警戒しつつ……行くぞ」

 

 更地に脚を踏み入れた瞬間。全身が凍りつくような、痛烈な悪意が浴びせられた。

 

 

 

『ミツケタ』

 

 

 

「散れッッ!!!」

 

 声を張り上げた俺に……影が落ちる。振りかぶられた……拳!!明らかに俺のみを狙った強襲。世界が色を失い……時の流れが緩やかになる。

 

 いなす、無理。躱す、不可能。脚を犠牲に受け流す、可能。瞬時に脚を切り捨てる覚悟を決めた俺の身体を……想定の範囲外から衝撃が襲った。

 

「指揮官!!」

 

「!!ッッ、ラピッッ!!」

 

 衝撃を殺し空中で反転、地面へと着地する。俺を庇ったラピが宙を舞い、瓦礫へ吹き飛ぶ。

 

「このっ!!」

 

「火力!!」

 

 ショットガンが火を吹き、ロケットランチャーが直撃するも、ダメージを負った気配が無い。

 

『喚くな、自分の前にいるのはダレカ、思い出すンダ』

 

 俺だけを見据え言葉を紡ぐ人型を模したラプチャー……極端に発達した両腕が特徴的であり、二足歩行。コイツがトーカティブ……気配がデカすぎるのが見落とした原因かッ!!逡巡の間にミハラから青い光が放たれ、それと同時にミハラは自身の腹部を抉った。

 

『ガハッ……!』

 

「ユニ!」

 

「うん、切るね。バキューン!」

 

『目ガ……?視覚を遮断シタのカ!』

 

「こんなの簡単よ。さぁ、捕獲する時間よ」

 

 時間は稼げるはずだと、ラピの安否を確認するため脚を動かし……トーカティブの重く耳障りな声と、その意味に脚が止まる。

 

『感覚交換カ』

 

 鈍い音と共に、トーカティブが自身の腕を引きちぎった。

 

「……っ……!」

 

 乱暴に自身の体を引きちぎり、撒き散らす。

 

『フハハハハァ!!愉快ダナ!!自分ノ体を抉る楽しみヲ味ワえるとハ!!グハハッ!!』

 

「ミハラ!!切れ!!」

 

 蹲るミハラに声は届かず、身体を抱きしめ座り込む。

 

「うっ……!グゥッ……!」

 

『サァ、耐えてミロ!八つ裂きにサレル苦痛に!!ドコまで耐えラレルか見セテみろ!!人間モドキッ!!』

 

 許容範囲をはるかに超えた苦痛により、ミハラは地面に倒れ体をくねらせ、動きが止まった。

 

「ミ、ミハラ!こいつ!!―――っ!!」

 

 ミハラの形相に呆気に取られていたユニが武器を向け……振り回された尻尾に打ち付けられ、地面に沈む。

 

『視野ヲ遮断したナラ、まず立ってイル位置を変えるノガ基本ダ。よく覚えてオケ、人間モドキ』

 

 一瞬にしてワードレスを無力化したトーカティブの身体が……メキメキと音をたて、修復していく。

 

「じ、自己修復!?ラプチャーにそんな機能が……!」

 

『人間。共に行こう。大人しく付いてくるなら、危害は加えない』

 

 ……もはや、勝ち筋は途絶えた。頼みの綱であったワードレスは倒れ、最高戦力のラピは俺を庇い安否不明。

 

「……仲間に手を出さないと約束してくれるか?」

 

「指揮官様!!」

 

「師匠!!」

 

『イイだろう』

 

 最悪な状況。……しかし、幸いなことにトーカティブは、俺を所望している。最悪なのは全滅すること。それに、お前らが死ぬの……見たくねぇわ。

 

 アニスとネオンへ目配せし、笑いかける俺の眼前に……ラピが立ち塞がった。

 

「それは許さない」

 

『ン?モウ起きたノカ?人間モドキが?……ふはは、そうか……フェアリーテールモデル。レッドフード!か』

 

「……黙れ」

 

『フハハハ!!今日ハ本当に運がイイな!!』

 

「……指揮官。私が時間を稼ぎます。その間に脱出を!」

 

「ラピ、逃げろ」

 

 勝てない。そもそものスペックが違いすぎる。ラピでさえ逃げるので精一杯なことが……分かってるから、そんな事言うんだろ?……それにな……。

 

「指揮官っ!!聞けません!貴方をっ、貴方を失いたくないっ!!」

 

 

「惚れた女の前でくらい、格好付けさせろ……な」

 

 

 無表情で、むっつりスケベで、愛らしい……ラピ。そんな顔するな。そんな悲痛な顔も出来るんだな……と思わず笑みが溢れ、ラピの側を――

 

 

「ぇ……」

 

 

 ――通り抜けた。

 

 

『グハハッ見上ゲタモノだ!人間!!』

 

 トーカティブへ微笑みかけ、両手をゆっくりと上にあげる。視界の隅で尾が動くのが見える。

 

「さぁ、何処にでも連れ――」

 

 ゆるりと振るわれた尾に打ち据えられ、身体が宙を舞う。コレは通過儀礼。従順なのかを図るテスト……俺が避けられる速度で振るわれた悪意。

 

「!!ッッ……がはっ……ッう、お、いおい、乱暴に、するな、よ」

 

 ――――ッ、脚が……折れた……受け身を取るも、衝撃を殺しきれず呻いた俺の眼前に……再度、ラピが立ち塞がる。

 

 やめろ。

 

「アニス!!ネオン!!ごめん!命をかけてっ!!」

 

 やめろ!

 

「……くそっ」

 

「……はい」

 

 アニスとネオンも……ラピの隣を陣取り……背中で覚悟が伝わる。

 

 巫山戯るなッ!!

 

「カウンターズへ命ずる!ワードレスを連れ全力で逃げ――」

 

「っ!指揮官!!!」

 

 指揮官の命令は絶対服従……逃げろという命令を下す刹那、命令に逆らうようにラピが声を張り上げ――――

 

 

「素晴らしい」

 

 

 ――――白銀が舞い降りた。

 

 

 地面を揺らす振動と、鼓膜を破りかねない轟音が鳴り響き……トーカティブの体に……巨大な穴が開いた。

 

『グガッ!!』

 

「……対、艦……ライフル?」

 

「ここは任せろ」

 

 迷いを感じさせない強い声が雑音無く聞こえ……白銀が引き金を引き絞る。轟音が鳴る度、トーカティブの体が削れていく。

 

『クッッ……!巡礼者ァ……!!』

 

「失せろ、異端め」

 

『……修復機能ガ間に合わナイ……!クッ』

 

 白銀の力は圧倒的で、トーカティブはあっという間に逃亡した。

 

「お前たちは帰れ」

 

 声を掛ける間もなく、凛とした声が響き……周辺の砂が舞い、瞬きの間に――白銀は姿を消した。

 

「……何これ」

 

 取り敢えず……助かったんだよ、アニス。

 

「アニス!ネオン!ワードレスと指揮官を連れて安全地帯へ!急いで!!」

 

「え?ああ……!うん!分かった!」

 

「はい!」

 

 




難産でした。えろが……遠い!!

特殊個体トーカティブ撃破ァアア!!!


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13

原作改変+難産=ガチャ=爆死!!
つ、次はや〜〜っとえろに入れるぞーー!!(予定
あ、明日いけるのか??(震え

補足
原作改変しますが基本原作沿いに話は進む予定です。要所要所で強引になる可能性が非常に高いことをご了承下さい。強引なのはお仕置きだけでいいんだよッ!!


『コード解放。―――シーク―――ボディー。アク―――』

 

 白銀のニケが降り立つ刹那、ラピが呟いた言葉が……脳裏に反芻する。ほんの僅か、一瞬にも満たない僅かな変化を、見落とすことは無かった。丁寧に手入れされた髪が……一瞬だけ真紅に染まったように、見えた。

 

 辛くも窮地を乗りきった俺達は、廃墟の一室に身を隠すことに成功した。お通夜のような雰囲気に気が滅入りそうになる。

 

「おいおい、なんてツラしてんだ。生き残ったんだ、儲けもんだろ……なぁアニス?」

 

「!!?えっ……その……ご、ごめんなさい」

 

「はぁ、おいアニス。それ以上シケたツラしてたら、自慢の胸揉みしだくぞ」

 

「うん……」

 

 駄目だこりゃ。何に対してかは分からないが、相当ショックを受けている。ネオンも同様……ラピは真剣な眼差しで脚を引っ張り、骨の位置を調整している。ユニが一時的に痛覚を消してくれているのが本当に助かる。

 

 玉の汗を流し能力を行使するユニの頭を撫でるも、反応は薄い。能力を人間に使う場合、ほんの少ししか持たないとユニは言っていた。それを既に5分以上継続して使ってくれている。どうやら、人間に対しての使用は酷く精神を消耗するみたいだ。

 

「ユニ、ありがとう。お前も元気出せ」

 

「……うん、ごめん……なさい」

 

 白銀……巡礼者と呼ばれたニケ。恐らくピルグリムと呼ばれるニケに助けられた俺達は、廃ビルの一室で治療を行っていた。治療と言ってもニケを治せる訳もなく、ワードレスの二人は負傷したまま、実力の半分も出せないと報告を受けた。

 

「ユニ、私が代わるわ。少し休ん――」

 

「ううん、ユニ……頑張る」

 

 大量の汗を流しながら必死に能力を使い続けるユニはミハラの言葉を遮り首を横に振った。ユニも……分かっているのだろう。

 

「ミハラ、能力の使用を禁じる」

 

「!?なぜか、聞いてもいいかしら」

 

「お前さんがどういう状態か分かっているつもりだ……これ以上説明は必要か?」

 

 痛みだけで死ぬ可能性があった。現状ではミハラの精神が一番危険な状態。

 

「……戦力が下がるわ。今の私は半分の力も出せないの。死ぬ可能性が一番高いのは貴方なのよ、指揮官」

 

「知ってる。理解して言ってるんだ。どうしても使うなら……俺も無理して戦うぞ?いいのか?」

 

「……分かったわ。指揮官に従うわ」

 

 

 ミハラが引き下がり、ラプチャーの残骸から作られた簡易ギプスを右足に巻き付け治療が終わった。終わると同時に疲労で倒れ込んだユニを抱きとめ感謝を伝える。

 

「助かった。ありがとな、ユニ」

 

「ぅ……ん、ユ、ニ……がんば、った……」

 

 顔に張り付いた髪を払い、ユニの汗を拭う。

 

「ラピも、ありがとう」

 

「はい。応急処置は終わりました。しかし、あくまでも応急処置です。アークに戻って必ず治療を受けてください」

 

 珍しく汗を流すラピに触れると、優しく微笑んだラピは口に指をたてた。

 

「……大丈夫なのか?」

 

「一時的なものです。この程度なら直ぐに収まります」

 

 体温が高い……なまじ平時の体温を肌で知っている為、その異常性が理解できた。

 

「俺に嘘はつくなよ、本当に大丈夫なのか?」

 

「はい、貴方に嘘はつきません」

 

 俺に出来ることはラピを信じること、そして必ず皆が生きて帰られるよう状況判断すること。頭を切り替え身体の状態を確認する……右大腿骨骨幹部骨折。筋断裂のオマケ付きだが、幸い股関節へのダメージは無い。酷く痛むが簡易ギプスのお陰で歩行は出来る。穏やかな表情を浮かべるユニをミハラに託し、今後の方針を決める為、意見を求める。

 

「さて、一難去ってまた一難だが、これからどうする?意見が聞きたい」

 

 皆が沈黙する中、口火を切ったのはアニスだった。

 

「……引き返すには、もう遠すぎるから……」

 

「輸送機を要請することもできません。通信が遮断されていますから」

 

 珍しく真面目な意見を返すネオンに調子が狂いそうになる。こういう時は、火力馬鹿なままでいて欲しかった……。

 

「……それに、あの二人も深手を負ってるわ。6人中3人が負傷してるわけ」

 

 その言葉に棘は無かったが、アニスが告げた事実にワードレスの二人が視線を地面に落とす。

 

「……ごめんなさい」

 

「……ごめん」

 

「……私も、なんかごめん」

 

 二人の反応に、アニスも項垂れる。

 

「気にしないで。規格外の相手だった」

 

 確かにトーカティブはラピの言う通り規格外だった。指揮官として情けない限りだが、初撃が無くとも……勝ち目は無かった。

 

「……それで、どうする?危ないけど、のろしを上げたほうがいい?」

 

「いや。このまま前進した方がよさそう」

 

 アニスの提案に対しラピは窓際へ足を進め、追随したネオンが疑問を投げかける。

 

「……前進?」

 

「見て、近くに巨大な電波塔がある。そこでアークとの直通回線を使う」

 

「そこまで、どのくらいかかるかな」

 

「そうね、通常なら2時間くらいかかるけど」

 

「半日は覚悟しないと……その分、交戦回数も増えるわよ」

 

 アークとの直接回線……即ち助けを呼ぶ……ということか。

 

「指揮官、大丈夫ですか?」

 

 心配を顔に貼り付けたラピに答えるように立ち上がり準備に取り掛かる。

 

「問題ない、直ぐ出発しよう」

 

「ところで私たち、帰ったら大変なことになりそうね。指揮官様に怪我をさせたから、ただじゃ済まないわ」

 

「それは、後で考えよう」

 

 無い頭をフルに回転させ思考する。この件が公になれば確実に処分が下る。俺はたかが新米指揮官……前回はゴリ押しで処分を免れたが、アレは正式な作戦であり状況が違う。どうにかしなければ……。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 幸いな事に行軍ルート上のラプチャーは少なく、避けられる戦闘を避けて進み……予定より遥かに早く電波塔に到着した。道中アニスから『おんぶした方がいいわ』と魅惑的なお誘いがあったが、不意打ちに対応できないため敢え無く却下された。

 

「アークへ回線を繋ぎます」

 

 ラピに端末を渡し、作業を見守る。俺の生存確率が低下すると命令を拒んだラピだったが、拝み倒し渋々了承を得た。元々の計画は電波塔からアーク直通回線を使用。シフティーへ繋ぎ助力を要請するというもの……そこに俺が待ったを掛け、端末へ回線を繋げるよう計画がシフトした。回線を繋げられるかどうか心配だったが、ラピが優秀で助かった。

 

「指揮官。どうぞ……余り無茶を言わないでください」

 

「ああ、サンキュー……さて、吉と出るか、凶と出るか……」

 

 blablaを起動し、シュエンのアイコンをタップ。簡潔に綴られたメッセージが……正常に送られた。

 

 

                   『頼みがある』

『ん?』

『なんで?』

『通信できてるわね』

『は?待て、これ以上この回線を使うな』

 

 返信は早かった。2分も経たず返って来た。もしかしてCEOって暇なのか?

 

『(規制により取り消されたメッセージです)』

『(規制により取り消されたメッセージです)』

『(規制により取り消されたメッセージです)』

『あ』

『クソ。』

『これはつながるみたいね。』

『おい。』

『なにアーク直通回線なんか使ってんのよ』

                   『トーカティブに会った』

『あがtbp「あえったって?』

『会っただって?』

『ああ、もう面倒』

『ちょっと待ってろ』

 

 

 シュエンとの通信が途絶え、交渉の余地を確信した俺は、全員に別室での待機を命令し連絡を一人待つ。煙草に火を付け、半分ほどが灰になって消えた時、振動音が静寂に響いた。

 

 画面をタップするとノイズの酷いホログラムが空中に投写され、シュエンの顔が映し出される。は?映像通話じゃねぇか!

 

『くそっ、エニックにはバレる可能性は高いか……ここを改ざんして……ラプチャーの仕業に見せかければ、いや、あえてこのまま……』

 

「どうし――」

 

『待って!……そうね。問題無い。問題ないわ……お前、とりあえず端末を地面に置きなさい……それで、アークの直通回線なんて使って、私に大目玉でも食らわせたいの?』

 

 余裕綽々な表情に戻ったシュエンの慌てぶりに、仮説が確信へと変わる。ホログラムの顔と視線が交差し……出来る限り余裕な表情を見せる。

 

「この依頼は嬢ちゃんもヤバい橋を渡ってるんだな、安心したぜ」

 

 トーカティブ。言葉を話し知性を持つラプチャー。そんな規格外な存在の捕獲を……たかが新米指揮官に頼むなど、どう考えても可怪しい。裏があると思ったが……当たりで良かった。

 

『お前、少しは頭が回るのね。それが分かっていながらコレ?……唯の嫌がらせ、とは言わないわよね?』

 

「頼みがある」

 

『言ってみなさい。聞くだけ聞いてやるわ』

 

「腹芸は苦手なんだ。やると言ってくれ。アークに直接交渉する方が早いなら、そうするか?」

 

『……私を脅そうっていうの?』

 

「そんな事出来る訳無いだろ。あくまでお願いだ。嬢ちゃんなら……無茶でも何でも無い事だと思うぜ」

 

『そう……私の頼みも聞きなさい。交換条件よ』

 

「それでいこう。頼みは二つ。迅速に輸送機を送ってくれ」

 

 一瞬だけ俺の右足に視線が動く。ノイズの酷いホログラムだが見られた可能性が……いや、俺の怪我がバレた事を前提に考えろ。支給された端末が凄いのか、シュエンが凄いのかは知らないが、余計な機能を付けやがって。

 

『……いいわ。直ぐに送ってあげる』

 

「そうか、良かった。……次だ、今回の件でニケたちが一切の責任を負わないようにしてくれ」

 

『はあ?お前、怪我してるよね?そんな失態をしたのに、まだ鉄くずの肩を持ってるの?』

 

「頼む。嬢ちゃんなら出来るだろ」

 

 迷いなく頭を下げる。指揮官の命に対し、ニケの命は軽い。俺の怪我に対する皆の反応……小さな事で処分される可能性は十二分にあり得る。

 

『……いいわ。そもそもこの件でお咎めが入る可能性は低い……お前、本当にトーカティブに会ったのよね?』

 

「ああ、誓ってもいい」

 

『お前、そのこと誰にも言っちゃダメよ。言ったが最後、テロ計画書をばら撒くからね。鉄くずたちの口封じも忘れないように……絶対に言うな。分かった?』

 

「分かった」

 

『なら良いわ。もしエニックが動いてもどうにかしてあげる……エニックって知ってるわよね』

 

「知らん」

 

『はあ?本当に士官学校はどんな教育を……ああ、面倒くさい!……ちゃんと聞くのよ。エニックの判決はアークでは絶対。もし判決が出されたら、覆す事は三大企業のCEOでも多大な労力が伴うの、それをやってあげるって言ってるの、対価はそれだけ大きいのよ。私に借りを作るってこと……分かる?』

 

「それで、嬢ちゃんにならどうにか出来ると思っていいのか?」

 

『……ムカつく男ね。いいわ、やってあげる……そうね、座標を特定したわ。そこから北に進めば荒野が広がってる。そこで待ちなさいな』

 

「助かる。ありがとな」

 

『いいわよ。使える人材は嫌いじゃないの。帰ったら顔を出しなさい。この私にここまでさせたんだから、死なないでね〜』

 

 俺の利益とシュエンの利益はどうやら釣り合いが取れたらしい。見下し……馬鹿にするように笑い、機嫌良さげに手を振り消えていったホログラム。地面の端末を回収し新しい煙草に火を付け部屋を出る。よく考えなくてもアイツが始めた物語だろ?借りは可怪しくないか?……全力で踏み倒そう。

 

「どうにか、なりそうだな……後は生きるだけだ」

 

 

 素早く身支度を済ませ荒野に向かう道中、シュエンとの交渉成果を伝えるも、未だに何処か上の空で周囲を警戒するアニスに声をかける。

 

「アニス?聞いてるのか」

 

「えっ、う、うん!聞いてるわよ!」

 

「……なら良い。とにかく、トーカティブに関しては口外禁止。コレは命令な。誰に何を聞かれてもだ。責任は俺が受け持つ」

 

 返事をするカウンターズの後方、目的地に近づくにつれミハラとユニの表情が暗く曇っていく。

 

「逃してしまったわ、トーカティブ」

 

「うん。ユニ、どうすることもできなかった」

 

「ラプチャー捕獲分隊が、ラプチャーを逃してしまった……」

 

「ユニたち、廃棄……されるの?」

 

「ふふ、それはシュエンの考え次第だわ」

 

「ユニは廃棄されたくないよ。ミハラと離れたくない」

 

 走ってきたユニが服の裾を掴み俺を見上げる。

 

「……指揮官、ユニたちが廃棄されないように助けて!」

 

 言われるまでも無いことだが、安心できるようユニに向け小指を立てる。

 

「まかせろ。約束するか?」

 

「うん!」

 

 両手で握られ少しヒヤッとしたが、優しく握られ純粋な瞳を向けられた。そんなユニの頭に手を置いたミハラが、穏やかな顔で小さく呟いた。

 

「……そうね。信じてるわ」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 荒野と聞いていたが実際は緑が生い茂り、倒壊した建物の残骸から人類が地上からいなくなった年月を感じる。

 

「わあ。こんなに広々とした場所があったんですね!やっぱり地上はいいですね……ん?ラピ、アニス、遠くの方で砂嵐が発生していますね!砂漠でもないのに砂嵐が起こるんですね!やっぱり地上は不思議です!」

 

「……ラピ」

 

「ラプチャーだ」

 

「……はい?」

 

「数は恐らく……200機くらいか。フォーメーションFF。輸送機が来るまで、もう少しの辛抱よ」

 

「本当に、ツイてないね」

 

「私はですね。せっかく初めての地上へのお出かけなのに、何なんですかこれ。お二人はどう思われます?」

 

「まだ生きてるから、最悪じゃないでしょ」

 

「あ、そうですね」

 

「30秒後、交戦距離に入る。みんな、準備して」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「こっちはもう。死にそうよ!だってこいつら。キリがなっ!?ネオン!!」

 

 最後の戦闘が始まり全員が満身創痍の中、ラピを先頭にどうにか戦況を維持できていたが……遂にネオンが被弾。

 

「ネオン!クソがッ!!」

 

 左脚の筋肉を総動員し宙に浮いたネオンの上半身を掴み、地面に倒れ込む。

 

「し、しょ……に、げ……大丈夫です、から……」

 

 上半身だけになったネオンがにこりと微笑む。咄嗟に抱きしめ、声を張り上げる。

 

「ユニッ!5秒でいい!!」

 

「うん!」

 

 足の痛みが消え、体制を崩しながらも何とか遮蔽物に身を隠し、ネオンを地面に降ろす。

 

「し、しょ――」

 

「喋るな、もう喋るな!……輸送機はまだかッ!!」

 

「来た!!!」

 

 ラピの声に反応し遮蔽物から身を乗り出す。上空に輸送機の姿が見え……それと同時にラプチャーたちが一糸乱れず上空へ射線を変え動き始める。

 

「輸送機を守れッ!!」

 

「10時の方向!対空火器確認!火力集中!輸送機を守れ!」

 

 ラピの号令にあわせ全員が火力を集中させる。どうして、どうして俺は……ヤメロ、今は出来ることを考えろッ!!

 

「えい!邪魔が多すぎる!!」

 

「ユニ、届く?」

 

「うん、ミハラ!バキューン!」

 

 しかし、無慈悲にも小型を盾にするように隠れた数機に赤い光が収束し……。

 

「ちっ!」

 

 ラピが地面を蹴り飛び出そうとした瞬間、輸送機から―――

 

「……ま、まじかよ」

 

 

 ―――閃光が放たれた。

 

 

 100機以上残っていたラプチャーの集団が光に飲まれ炎へと変わっていく。一切を薙ぎ払った閃光が光の筋になり消え――

 

「ははは!ヒーロー参上!!」

 

 近未来的な銃火器を手にした金髪の少女が、轟音とともに地面に降り立った。

 

「もう、ラプラス、勝手なことしないでよ」

 

 そして、下半身が機械に覆われ……覆われてるのに、どうして谷間も腹も下腹部も丸出しなんですか?馬鹿なのか?……完璧なまでの痴女。オレンジに近い黄色の髪をした痴女が、ふわりと側に着地した。

 

「メティス……」

 

 ラピの呟きに反応したのは痴女だった。

 

「あれ、貴方って確か……アブソ――」

 

「マクスウェル!見ろ!私一人で十分じゃないか!」

 

「うるさ……ラプラス、撃ち漏らしを片付けてきて」

 

「任せろ!ヒーロー出撃!!……マ、マクスウェル!!足が動かない!?」

 

「もう、格好つけてあんな高いところから飛び降りるから……ほら、これでどう?」

 

「おお!動く!動くぞ!!ヒーロー出撃!!」

 

 ラプラスと呼ばれた金髪ツインテールの少女は砂煙をたてラプチャーに突撃していき、ニッコリと笑顔を貼り付けた痴女が俺の前で立ち止まった。

 

「あなたが指揮官ね。私達はメティス。あなたを助けに来たの。マクスウェルよ、宜しくね」

 

「ああ、宜しく頼む」

 

「ふ〜〜ん、あなたがシュエンのお気に入りか〜、それで、どうやって取り入ったの?」

 

「なによいきなり、失礼な奴」

 

 ニッコリと笑って毒を吐く痴女……もといマクスウェルにアニスが噛み付く。

 

「あ、そういうこと言っちゃうんだ。貴方たちを助けてあげたのに」

 

「助けてくれたのは、アッチの金髪……ラプラスって言ってたよな?」

 

「そうね。その通りだよ。あの子がメティスのリーダー。そして、私もメティスの一人。メティスがあなたを助けたの、お礼ぐらい聞きたいな」

 

「助かった。ありがとう」

 

「えっ?冗談だったのに本当に言っちゃうんだ。ふ〜ん、何だか面白くなりそう。じゃあ、そこで休んでて……アイツらを倒したら、全部終わりだから」

 

 マクスウェルはラプラスを追いかけ、凄まじい速度で蹴散らし……アレだけ居たラプチャーがたった数分で残滅された。

 

「終わったみたいだな……」

 

「はい、指揮官」

 

 正直助かったが、目のやり場に困る。どいつもコイツも性的な格好しているが、直接攻撃のレベルはマクスウェルが一番高かった。後ろ姿に関してはラピが一番やばいと思うが……やっと終わった。

 

「ししょー、私も、見たいです!」

 

 や、止めろネオン……上半身だけで這って来るな。正直怖い。

 

 




マ、マクスウェルの好感度をあげなければ!!(使命感

次のえろ回の相手当てられる人いるのかな?多分いない!!

誤字報告ありがとうございます!助かります!!


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14 ★ シュエン

 エレベーターを降り、アークに帰って来た事を実感する。カウンターズを連れ次の前哨基地に向かおうとした俺に声がかかる。

 

「あなたはこっち」

 

「あ?帰り……病院に行きたいんだが」

 

 帰りたいとか言ったら、このまま連れさられそうな雰囲気がしたため、何とか軌道修正を果たした。

 

「それなら、ミシリスには優秀な医療チームがいるから、好都合だよね」

 

 にっこりと笑ったマクスウェルに退路を潰され、ため息が漏れる。

 

「なら、私も付き添います。指揮官」

 

「あなた達はリペアセンターへ行ったら?別に取って食べたりしないから、その子も早く治してあげれば?」

 

 マクスウェルと正面から向き合ったラピの腕には、物言わぬネオンが眠っている。

 

「ラピ。気持ちだけ受け取っとくからよ、ネオンを治してやってくれ……それに、お前たちも病院に行って治して来い」

 

「指揮官。しかし、危険です」

 

「話をするだけだ……そうだろ?マクスウェル」

 

「シュエンが呼んでる理由までは知らないかな」

 

 苦笑いし頬を掻きながら、目が泳ぎまくるマクスウェルに頭が痛くなる。そんな俺を知ってか知らずか、寝ていたはずのラプラスが俺とマクスウェルの間に割って入る。

 

「ヒーロー復活!!バードボーイ!安心しろ!此処にはヒーローがいる!!」

 

 瞼を開けたまま寝るヒーローがな。会話の最中に行き成り寝息を立て始めたのには、正直びびった。

 

「あなたは黙ってて、ラプラス」

 

「ヴィランも居るぞ!!」

 

「あなたもうるさい、ドレイク」

 

「分かった。静かにする」

 

 輸送気内では沈黙していたドレイクと呼ばれた白髪のニケ。肌に張り付くようなハイレグボディースーツは、へその窪みまで見て取れる。切れ長な瞳は一見クールに見え、同性から人気がありそうだと思ったが……しょんぼりと肩を落とした姿に、妙な保護欲が沸き立った。

 

 律儀にツッコむマクスウェルはメティスでは気苦労が耐えないだろうなと内心同情しつつ、ラピとアニスに声を掛ける。

 

「じゃあ、そういう事だから、しっかり治して帰って来いよ」

 

「はい。指揮官」

 

「迎えに行くね、指揮官様」

 

「ああ、ありがとな」

 

 綺麗な敬礼をして踵を返したラピは歩を進め、何度も振り返り手を振るアニスに、手を振り返す。

 

「お前らも心配するな……」

 

「ユニ……シュエン嫌い」

 

「あらあら、ほらユニ。指揮官が困るわよ。私たちもボディの交換に行きましょう」

 

 軍服の裾を離さないユニをミハラが宥め、二人は手を繋いで足を進める。全員を見送り、隣に残ったマクスウェルが微笑み、小さく呟いた。

 

「うん。良いチームね」

 

「俺には勿体ねぇよ」

 

「ふ〜ん……守られるのは嫌だって顔だね」

 

「……このザマだ。せめて自分の身くらいはな」

 

 煙草に火をつけようとして、覗き込むように見上げてきた顔に動きを止めた。

 

 

「……ねえ指揮官。戦う力……欲しくない?」

 

 

 大きく開いたマクスウェルの瞳が、嫌に輝いて見えた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 交換条件として実験に付き合う約束をさせられたが、マクスウェルの提案に了承した俺は、ミシリス医療チームにより簡易的な治療を施され、掃除の行き届いた廊下を案内に従い歩いていた。

 

 シュエンの周りにはヤバいやつしか居ないのだろうか?ラピやアニスの格好も大概だと思っていたが。ミシリスは格が違った。

 

 リアンと名乗ったニケは軍服の上着を羽織り、下に……何で履いてないんだよッ!スボン履けよッ!こちとら2日も禁欲してんだぞッ!痛いしイラつくしで、散々だ。

 

「もっと速度を落としたほうが良いでしょうか?」

 

 胸のボタン一つで止められた上着は、下腹部が開けており、子宮の位置に付けられたリングから紐が伸び、布面積の少ないボンテージのような物を着ていることが、軍服の上からでも容易に想像出来る。

 

「いや……大丈夫。気にするな」

 

 チラチラと見える尻タブを、俺が気にするってんだよッ!何でだよ、意味わかんねぇ。殺しに来てんのか?ハニートラップか?

 

「社長の私室へ案内するよう申し付けられております。少々歩く事になりますよ」

 

「ああ、何とか――」

 

「どうせ私が合わせるのでどうでもいいですね。行きましょう」

 

 俺の言葉に被せたリアンは、速度を変えること無く歩を進める。

 

「……扱いが雑じゃねぇか?」

 

「残業ですから、機嫌も悪くなりますよ」

 

 

 シュエンの私室となっているミシリス最上階の廊下は意外にも殺風景だった。飾り物の一つも無く、機能美にしか興味がないような……そんな印象を感じた。

 

「ここです。」

 

 黒く染められた扉の前でリアンが立ち止まり、指をさす。何故かこの部屋だけドアノブがあり、手動式のようだ。リアンに顎で行けと示され、ドアノブに手を掛け引っ張るも開かず……扉を押した。

 

「あ?……ッ!!……グッ!」

 

 衝撃が背中を襲い、たたらを踏む。折れた足が痛み、振り返り……扉の隙間から冷たい視線を浴びせるリアンと目が合った。

 

「ご愁傷様……」

 

 不穏な言葉を残しリアンは扉を閉めた。……ガチャっと音がな、り……外から鍵を、閉めら、れたの……か?

 

「あ?……??……な、んだ……ァ……ッ……ヤベッ……ゥ」

 

 ……暗い部屋の中で……意識が遠のく……折れた脚の痛みも感じなくなり……完全に意識が落ちた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ふわふわと思考が安定せず、瞳を開けるも……脳震盪のように、視界が揺れ……俺を見下すシュエンが……三人いた。

 

「あら、起――の?――早いわね。やっぱりお前――――わね」

 

「み、三つ子だった……わけ、じゃ……ないよ、な」

 

 三人のシュエンが二人になり……徐々に輪郭がボヤけ……一つに重なるように消えていった。

 

「ふふ、頭が馬鹿になってるんじゃない?そうよね。そうだよね!こんなに早く目を覚ますとは思ってなかったけど……ちょうどいいわ」

 

「……ンガッ……な、に、しやが、る」

 

 余分な肉の無い真っ白な足で顔を踏まれる……甘い匂いに混じった饐えた匂い。怒りが湧き上がる。

 

「どう?一日しっかり働いた足は?良い匂いでしょ?舐めていいわよ」

 

 腕も、脚も……拘束されている。どうにか顔を背け抵抗するも、追随する足は指を口に捩じ込もうと……力が強くなっていく。

 

「ほら、一本一本丁寧に……しゃぶりなさいな。私に忠誠を誓うの……お前は私の犬にしてあげる」

 

「……ッグァ……フザ、ケ……!ッ……ングッ」

 

 口に入ってきた異物を咬もうにも、顎に力が入らない。抵抗は……結果的に甘噛となりシュエンを喜ばせただけだった。

 

「いい、いいわよ、お前!すっごくいいわ〜♥ ああ♥ すてきぃ♥ 下等な男に興味なんて無かったけど、お前は……すごくいいわ♥」

 

 頬を染め、唇をねっとりと舐め上げたシュエンへの怒りに我を忘れそうにナルが、力が……入らない。

 

「ほら、ちゃんと舐めなさい。隅々まで舐めないと終わらないわよ。あっ、そっか!舐めたいんだ!そうよ、そうよね〜♥ それじゃあ、ゆっくり味わってね♥」

 

 屈辱……クツジョク……俺ガ、こんな……ガキに……。

 

「ん〜〜♥ い〜気分。最高の気分だわ。全部舐めたらご褒美あげるわよ」

「あ〜ん♥ 最高ね〜。ねぇどんな気持ち!ねぇねぇ、いま、どんな気持ち!」

「話し合いだと思ってた?そうよね、ちゃんと躾たって思ってたんだよね!この私が許すわけ無いでしょ!」

 

 両足の指を一本残らず口に突っ込まれ、血管がブチギレそうだ。ぎゃあぎゃあ騒ぐメスガキが何か言っているが、思考が定まらず、怒りが思考を染め上げる。

 

「ングッ……糞がッ……ブッ!」

 

「あ?……何で吐くのよ。せっかくお前の為にシャワーも我慢してあげたのに」

 

「クソ喰らえ、ガキがッ」

 

「うふふ、まぁいいわ。こうじゃないと面白くないわよね。どこまで意地が張れるのか、見ものだわ〜」

 

「調子のんじゃねぇ―――ッ!」 

 

 顔に落とされた物をふるい落とし、睨みつけるが状況は改善しない。腹に座り込んだシュエンに顔を背けるも、小さな手で強引に顔を掴まれ、正面を向かされる。熱に浮かされたように頬を朱に染め、吐息には熱が籠もっていた。

 

「はぁ♥ ねぇ♥ いいこと、今からご褒美をあ・げ・る♥ ……口を開けなさい」

 

「誰が、あけるか」

 

「お前も馬鹿ね〜、そんなに抵抗されたら、蹴りたくなっちゃうじゃない♥ どうするの。あける?蹴られる?」

 

「蹴れば、良いじゃねぇか」

 

 深い溜め息を零したシュエンは、俺の腹を跨ぎ座り込み、顔が更に近づく。

 

「おい、あけろ。さっさとあけろ。それとも……お前の大事な大事な、お仲間たちが……どうなってもいいの?」

 

 ニヤニヤと悪い笑みを浮かべた顔を至近距離で見据え、嫌な予感が膨れ上がる……俺は選択肢を間違えた。あの程度で終わらせるべきでは無かった。

 

「ッ――どういう、つもりだ……」

 

「さぁね〜、どういう意味に聞こえた?」

 

「手を出すな……好きにしろ」

 

 そう告げ、口を大きく開く。ぶるりと震えたシュエンが、息を荒げ恍惚の表情で自身を抱きしめる。

 

「ああ♥ お前は良い子ね。ああ、もう最っ高!」

 

 冷めた視線を浴びせ続けるも、肢体をくねらせるシュエンには何の意味も持たなかった。

 

「はぁぁ♥ なによ、従順じゃない♥ さっさとすればいいのよ。……んっ♥ ……ちゃんと、全部飲むのよ♥ た〜くさん、飲ませてやるから」

 

 身体を擦り付け俺の身体をよじ登るシュエンに、嫌な予感が的中する。

 

「んっ♥ ほら、いくわよ。零したら許さないから」

 

 ちょろっ……ちろちろ……ジョバババババッッ!!

 

「ングッ、ンゴォッッ!!」

 

「んっ♥ ふぅ、ふぅぅ♥」

 

 腸が煮えくり返り、怒りが膨れ上がる。小さなスカートを握りしめ悦に浸るシュエンに、延々と生暖かい体液を流し込まれる。

 

「ふぅぅぅ♥ ふっ♥ んっ♥ ……はんっ♥」

 

 くそ、くそ、クソ、クソ……クソガキがァァアア!!

 

「ふぅ……嵌りそうだわ。気をつけなきゃ……あれ、あれあれ、溢れてるじゃない。零しちゃダメって言ったでしょう。お前が言ってたよね?言う事聞けない悪い子にはお仕置きだっ♥ ってね」

 

「……ンぐッ、く、そッ……むぐッ」

 

 完璧に覚えてんじゃねぇか。だった尚更、俺の手落ちじゃねぇかッ!

 

「ほら、舐めなさいな♥ 舐めて綺麗にするの。お前も好きでしょう?舐めるの♥ あ〜んやだ〜、これじゃご褒美になっちゃう……まだ、抵抗する?いい加減諦めれば?お前ではどうしようも無いの。お前に出来ること教えてあげようか?私を満足させて、死にもの狂いに働くの。私と、私のミシリスの為にね」

 

 仲間に手を出すという言葉は、恐らく嘘……しかし確信も無ければ可能性が零でも無い。

 

「あっ♥ いいわよ、綺麗にしなさい、あん♥ 上手っ♥ ふふっ、毎日飲ませて、舐めさせてあげる」

 

 ムカつく、ムカつくが、丁寧に舌で汚れを落としていく。

 

「まだ、まだダメよっ♥ やめちゃダメっ♥ あっ、あんっ♥ くるっ、くるぅ♥ ……あんっ、ぃくっ♥」

 

 ビクビクと身体を震わせ容赦なく顔に体重をかけ悦に浸る。押し付けられる幼肉を舌で掻き分け続け、どうにか窮地を切り抜けようと足掻く事しか出来ない。

 

「ぃくぅ♥ あっ、ゃっ……っひ♥ ゃ、やっ、やめろ!」

 

 ……チッ、このまま何度もイカせてやろうという魂胆を見抜かれ、逃げられた。

 

「はぁ、っふ♥ ……まだ抵抗するの?諦めたらいいじゃない、楽しみましょうよ。こんな美少女のおしっこを飲めて、舐められるの……お前以外、誰もこんな事出来ないのよ?」

 

 いや、諦めるのはまだ早い……理由は分からないが、まだチャンスは残っているようだ。

 

「今な、ら……」

 

「なに?」

 

「今なら、許してやる。拘束を、解けッ!」

 

 最後通告だ。小便を飲んだからかは知らないが身体に力が戻ってきた。今なら、少しの仕置きで許してやる。

 

「え?ええ?許す?許してやる?あはっ―――あははははっ♥ 本気、本気で言ってるの〜。この状況で?許す〜?お、お前、そんな面白い事も言えるのね〜。どうしよっかな〜。土下座して頼むなら考えてあげてもいいわよ♥」

 

「……もういい、どうなっても、知らないからな」

 

「きゃあ♥ 怖〜い。怖くて怖くて……もっとしたくなっちゃうの〜〜♥」

 

 全身に力が漲る。思考もクリアになり。俺を止めるものは最早……枷のみ。

 

「フッフッ……ンンッッ――――ッッ!!」

 

 頭上に固定された腕に全力を籠める。俺の抵抗に機嫌よく見ていたシュエンは更に笑みを深め、瞳をうっとりと潤ませた。

 

「あはっ♥ 本当にいいわお前……お前のことが好きになりそうよ」

 

「……ア?嘘ッ……ツくんじゃ、ねぇゾ」

 

 クソッ、ビクともしねぇッ!!

 

「嘘じゃないわよ、本当。ねぇ嬉しい?」

 

 やけに様になった蹴りが頬を打ち、苛立ちが増す。

 

「嬉しい……ぜ。本気ならなッ……ッ!!」

 

「本気よ〜、だから足は自由にしてあげるわ〜折れてるんだから無理しちゃダメよ〜♥」

 

 シュエンが指を鳴らし足の拘束が外れる。その余裕が命取りには……なりそうにない。

 

「ほら、媚びなさい。媚びて媚びて、気持ちが伝われば解放してあ・げ・る♥」

 

 ―――ッッ……壊れない。想像を絶する硬さ。恐らくニケ用に作られた拘束具。

 

「ふ……ざけんな」

 

「……あははっ♥ バレてるのね……詰まらないわ。無様に媚びる姿が見たかったのに……まぁ、いいわ。お前が自分から跪いて足を舐めるのが、楽しみね♥」

 

 まだ、諦めるつもりは無いッ!腕が折れても壊してヤル。

 

「スゥゥゥゥゥッッ!!!ン゛ン゛ン゛ッ!!!」

 

「あはははっ♥ ホントすごい身体♥ 解剖したくなるじゃない。そんなに血管を浮き立たせて頑張っても……む・り♥」

 

「グッガガガァァアア!!」

 

「あはっ♥ すごいすごい!!ほら、頑張れ♥ 頑張れ♥ ……お前なら出来るわよ♥ 頑張れ♥ がんばれ♥」

 

 クソッッ――メスガキがァァ……マジで、マジで許さネェ!!ブチ犯して俺専用にしてヤル!!

 

「グガガッ……ッ、フザケッッてんジャァア!!ネぇぇゾォォオオ!!」

 

「あははぁ♥ ほら、がんばれ、がんばれ♥ できるわ♥ がんばれ♥ が・ん・ば・れ♥」

 

 ビクともしなかった手首の枷が……突如メキッと不穏な音をたて……外れ……た。

 

「――――ッッ!!ハァハァ……フーー」

 

 肩を回し開放感に酔い痴れる。頑張ればどうにかなるもんだなァア?

 

「♥♥♥ っぅ♥ う、うそっ♥♥ 壊せるわけっ♥」

 

 足を引きずり、すとんっと地面に座り込んだシュエンに、ゆらりゆらりと近づく。

 

「まっ、まって♥ う、嘘っ、嘘よ……全部うそなの♥」

 

 一歩一歩を噛み締め、神に感謝した。

 

「ね、ねぇ♥ や、やめよ♥ あ、あやまるからぁ♥♥」

 

 遠かった。一歩一歩が重かった……ぷるぷると震える肢体。汗に濡れた足……俺を見つめる熱の籠もった視線。その全てが高ぶらせる。

 

「ひっ♥ ご、ごめ……ぁっ!?ぅぅ……」

 

 ちょうどいい場所に顔がある……カチャカチャとベルトを外し……。

 

「んぁ♥ ……ひっ♥」

 

 俺の苛つきを表すかのように、熱り勃った男根を解放する。

 

「ぁ……あぁ♥ ……ひっ、臭ぁっ♥」

 

 ツンとした異臭が充満し気分が悪くなる。2日に渡った戦場帰りだ。高ぶるのも仕方ないよなァア。

 

「覚悟は出来てるよなァア……クソ、イテぇ……あ〜ちんぽがイラつく。なぁ!!」

 

 ベチンッッ!と重たい音が鳴り、頬を肉棒で叩かれたシュエンが崩れ落ちるように倒れる。

 

「へぶっ♥♥」

 

「嬢ちゃんよー。俺も鬼じゃねぇ。助けて貰った恩もある……選べや、乱暴に嬲られるか、従順にぶち犯されるか……どっちでも良いゾ」

 

「はっ♥ はっ♥ はぁ♥ はぁ♥」

 

 肉棒で頬を叩かれ、うっとりと蕩けている表情は、飼い主に媚びる一匹のメス犬にしか見えない。

 

「おいおい、雌犬みてーになってんじゃねぇぞ、さっさと決めろ」

 

「はっ♥ はぁ♥ な、舐めれば、いい、の」

 

「嬢ちゃん、キスしたことあるか?」

 

「なっ♥♥ ……ないわ……よっ」

 

「じゃあキスしろ。お前のファーストキスはチンポだな」

 

「はっ♥♥ は、初めてなのよ!そんなっ―――はぶっ♥ うぶぁ♥ まっ♥ まっへ!、おねがい!顔は!顔は駄目っ♥」

 

 グダグダ抜かす悪い口は要らねぇなー。気づいてるか知らねぇけどよー。チンポで叩かれる度に嬉しそうな顔してんぞ。

 

「顔は……ねーー。何処ならイイんだ。言ってみろよ」

 

「ふっ、ふっ―――っふー♥」

 

 頬に手を当て座り込んだシュエンが荒い吐息を吐きながら俺を見上げる。

 

「なぁ、優しく言ってるウチに決めろや。お前が始めたんだろ?責任取れよ」

 

「ふぅぅ♥ ふぅぅ♥」

 

 瞳に涙を浮かべ、のろのろと立ち上がったシュエンは、赤ん坊より尚遅い足取りで歩を進める……吐息は熱く熱を帯び、顔はとろとろに蕩け、誰よりも雌なガキが出来上がっていた。

 

「これじゃあ、ご褒美になっちまうなー」

 

「っふー♥ ぅるさぃ♥ ……んっ♥ くっさぁ♥ !?っうう♥」

 

 足を震わせたどり着いたシュエンの鼻先に肉棒を押し付けると、がくがくと肢体が震え、ぺたんと腰が落ちた。蕩けた瞳でちんぽを見つめ……唇がゆっくりと近づいてくる。

 

「ふーっ♥ ふーっ♥ ……んっ……ちゅぅ♥」

 

 初めては肉棒に捧げられ、涙が頬を伝った。

 

 




やめて!そんな極悪な肉棒でガン突きされたら、繋がってるシュエンの精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでシュエン!
あんたが今ここで倒れたら、約束はどうなっちゃうの?
ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、指揮官に勝てるんだから!

次回『シュエン死す』デュエルスタンバイ!!



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15 ★ シュエン

お、遅くなったけど許して!!


 

 少女が座り込み、肉棒に唇を落とした。様々な感情が入り乱れ、内側から仄暗い衝動が湧き上がる。

 

「ちぅ♥ ちゅ、ちゅ♥」

 

 上目遣いで蕩けた瞳を向ける少女の痴態。圧倒的な征服感に全能感……下腹部に血液が流れ込み、肉棒の血管がボコッと膨れ上がる。

 

「……一発出しとくか」

 

「ちぅ、ちゅぅ♥ ……ぺちゅ、れろっ♥」

 

 小さく呟いた俺の声。そんな小さな声を拾い上げ敏感に反応したシュエンが、尖端に恐る恐る舌を這わせていく。

 

「んちゅ、れぇ、っひっ♥」

 

 ちろちろと鈴口を刺激する従順な雌の頭に手を置くと、悲鳴をあげ潤んだ瞳に怯えが浮かんだ。

 

「……んっ♥ はぷっ♥ れりゅ♥」

 

 指ざわりのいい髪を梳いてやれば震えは止まり、粘つく熱い舌による奉仕に熱が籠もり始める。

 

「良い子に出来るか?」

 

「んむっ、あむっ♥ れりゅれりゅ♥ んっぷぁ、ふぁい♥」

 

「じゃあ、優しく犯してヤルよ」

 

「れろれろっ♥ ぢゅりゅりゅ♥ こく、こくんっ……ぅぇ……ひっ♥ ……じゅずず、れりゅろ♥」

 

 ぶるりと身体を震わせ、懸命に舌を這わし、溜まった汚れが綺麗に掃除されていく。普段とのギャップと相まって、どうしようもなく虐めたくなってしまう。口が小さく、亀頭しか咥えられないのも亀頭攻めには最適だが……長く楽しむつもりは無かった。

 

「おら、手も使って扱け、何時までたってもイケねぇぞ」

 

「ふぁぃ♥ んっ、んくっ、れりゅ♥ じゅぱっ、れりゅ♥ ……ごくっ♥」

 

「どうだ、美味いか?」

 

 両手で幹を扱き上げ、雁首の溝に溜まった頑固な恥垢をこそぎ落としたシュエンは喉を隆起させ、とろりと顔を崩し熱い吐息を零す。

 

「っふー♥ んちゅ♥ ……れりゅ♥ んくっ……ぷぁ♥ お、おいしっ……っ……」

 

 流されるように蕩けていたシュエンが、はっとしたように瞳に理性を宿し、疼く身体を抱きしめ口汚く呟いた。

 

「臭くっ♥ って、不味くて、最悪よ」

 

 圧倒的なメスガキっぷりに、思わず笑みが溢れる。

 

「ククッ、そりゃあ良かった」

 

「くそ……最悪、さいあくっ♥ 臭いし不味いし、も、もう満足したでしょ」

 

「ア゛ァ゛」

 

「!?ひっ♥ ……う、うそっ、ご、ごめ……はぷぁ♥」

 

 露骨に態度を変え肉棒に唇を差し出すシュエンの頬をチンポが殴りつける。

 

「……ぁぁ♥ ご、ごめっ♥ ゆるしっ♥」

 

「クッ……ああ、悪い悪い。足が痛くて気がたってんだ」

 

 少し優しくしてやれば……つけあがる。本当にガキだが、心底楽しめそうだと悪い笑みが零れそうになり、手で顔を覆った。

 

「ぁ……そ、そう……そ、そうよね!い、痛いなら、お、終わりにしましょう」

 

 そんな戯言に耳を傾ける価値もなく、拘束されていたベッドに戻った事を肯定と捉えたのか、ほっと一息付いていた顔が途端に歪む。

 

「こっち来い」

 

「は?……終わりにしてあげるって……っひ!?……はぃ♥」

 

 睨みを効かせると直ぐに従順になり、小走りで近づいてきた。

 

「おせーよ」

 

「ぁっ♥ ゃ、ゃだっ♥♥」

 

 小さな腕を掴みベッドに引きずり込み、ガッチリと抱きすくめる。服の上から発育途上の膨らみを揉み込むと、震えの質が変わった。

 

「ぁひ♥ む、むねっ♥ ……めっ♥」

 

「じゃあ続きだ。そうだな……俺を射精させて全部飲んだら許してやるよ。前にも飲んだから楽勝だろ?」

 

「やっ♥ も、もむなぁ♥ ぁっ……ぃぃ♥」

 

「聞けよ……楽しむな」

 

「だ、誰がっ♥ っふー♥ ……ぃ、ぃいわよ……ぅあ♥」

 

 力の入っていない抵抗を続けていたシュエンの瞳に力が籠もる。発情したメスガキを逃がすほど、俺は優しくはないんだがな。

 

「あんっ♥ ……やってやるわ。無様に射精させてあげる」

 

「楽しみにしてるぜ」

 

 感情豊かにコロコロと変わる表情は肉棒を滾らせ、ベッドに寝転んだ俺の股に嫌そうな顔が近づき、熱い吐息がかかった。

 

「っふー♥ んっ……はぷっ、れりゅ、じゅずずっ、じゅりゅじゅりゅ♥」

 

 吹っ切れたのか、はたまた本当に助かると思っているのか知らないが、熱の籠もった腔内で激しく舐め啜られ、肉棒が跳ね上がる。

 

「んふぁ♥ ……れりゅろ♥ さ、さっさとだせっ♥ んちゅ、れりゅれりゅ♥」

 

 それに気を良くしたシュエンは亀頭を舐り、手で扱き、懸命にちんぽをしゃぶるが……残念ながら技術が足りていない。前回よりは格段に上達しているが、まだまだだ。

 

「気合が足りねーんじゃねぇのか?」

 

「くそっ、ぢゅずずっ♥ れじゅれじゅ♥ じゅっぷじゅっぱ♥」

 

「そんなんじゃ、何時までたってもイケねーぞ」

 

 幼気な少女にちんぽをしゃぶらせる構図はクルものがあるが、調子に乗りすぎたガキには躾が必要だ。三大企業のCEO?関係ねぇな。

 

「れじゅずずっ、れりゅれりゅ♥ くそっ、ちゅずずぅぅ♥」

「じゅるる、じゅっぱじゅっぱっ♥ ぢゅりゅれ♥ な、なんで……れりゅれりゅ♥」

「んっぷっ、んっぷぅ♥ ごほっ、げほっけほっ……ちゅりゅ、れりゅ♥」

 

 手を変え、頭を使い、どうにかイカせようと頑張り、喉奥まで入れ込み奉仕しても、一向に吐精の気配がしない事実にシュエンの顔が……蕩けていく。

 

「じゅりゅりゅりゅ♥ ぷぁっ、っふー、っふー♥ な、なんで?……なんで、でないのよぅ♥」

 

 舐めても扱いても、カウパーすら出ない肉棒に、シュエンは蕩けながら泣き事を呟き続けた。

 

「終わり……だな」

 

「ま、まって、頑張る♥ がんばるからっ、できる、できるからぁ♥」

 

「いーや、終わりだよ、時間の無駄だ。前は出してやったんだよ。意味分かるか?」

 

 身体を起こし、顔を上げたシュエンと視線が交わる。手を近づけるとぴくっと反応し、視線が指を追い、幼い肢体を抱きしめる。

 

「そ、そんな、の……うそ、よっ……まっ……ひゃぁぁん♥」

 

 腕を払い、慎ましい膨らみの頂上をくにくにと押し込むと、嬉し気な嬌声があがった。

 

「ちっちゃくて可愛いな、お前」

 

「ゃ、ゃめろぉ♥ ぁあん♥ だ、だめっ♥」

 

 服の隙間から親指を強引に差し入れ、小さくも柔らかな膨らみ撫でつつ、肉棒を握らせる。

 

「ほら、握れよ。どうなってる?」

 

「ゃあ♥ だっ……んんんっ♥ ふぁぁ♥」

 

 硬く凝った肉芽を親指でぐにっと押し込むと、甘い声で鳴き声をあげ、借りた猫のように大人しくなった。

 

「あひぁ♥ ぃぃ、ふぁ♥ んんっ……あ、あつくてっ♥ ふとくてぇ♥ あぅう♥ ……かたぁぃ♥ け、血管すごぃ♥ ぼこって、ぶにぶにしててっ♥ はぁはぁ……んっ♥」

 

 肉棒を握る指が血管をなぞり、乳首を虐められぴくぴくと幼い肢体を震わせる。ゆっくりと脚が開き、誘うようにくぱくぱと収縮する幼肉に、指を割り入れる。

 

「ぁああ♥ っぁあ♥ ふぅふぅ♥ あっ、ゆびぃ♥ っう、ふとっ♥」

 

 解れた割れ目は指を簡単に飲み込んだ。前回より格段に受け入れ態勢の整った幼肉は、容易く受け入れ柔肉が吸い付いてくる。

 

「あ?おいおい……ククッ、ちゃんと手を動かさねぇか、言わねぇと出来ねぇか?」

 

 格段に具合の良くなった幼肉に笑いが溢れる。どう考えても……ハハッ、期待に答えるようコリコリと可愛がり、膣の窄まりを感じ取り……動きを止める。

 

「ご、ごめっ♥ っひん♥ ゃ、いくぅ♥ ぃ、っっ……ふーっ♥ んぁ♥ はひっ、ぁあ♥ ぃぃ、ぃくっ……っ!?っぅ……ぃ、いかせてよ」

 

 うるうると見上げる瞳。朱に染まった頬。汗に濡れた肌……全てが嗜虐心を満たしていく。

 

「コレがどうなってるか、ちゃんと言えたらな」

 

「んぁ♥ ふぅふぅ♥ ……す、凄い……凄い男性器。何回か見たことあるけど……な、何倍も凄いわよ」

 

「伝わらねーなぁ」

 

「こ、これ以上どう言えって……っああぅ♥」

 

「ちゃんと言えよ――――ってな、天才なんだろ?俺を興奮させないと、終わらねぇぞ」

 

「んぁ♥ ――――なっ……し、しね、んんぁ♥ ふーっふーっ♥ んっ……お、おち、んぽ……ぉ、おちんぽすごい♥ おちんぽカッコいいわ♥ カリの溝も深くって、こ、こんなの……ごくっ……か、かてる、わけ……ないっ♥ ひっ……びくって、ま、まだ大きくなるのぉ♥」

 

 まだまだ教育の余地がありそうだが。

 

「初めてにしちゃ上出来か……やれば出来るじゃねぇか」

 

「あひゃ♥ つ、つよっ♥ つよぃ♥ っよぃってぇぇ♥ んぃぃ♥ あひっ、あひっ♥ ぃぐっ、いぐ、ぃっ、いっっぐぅぅううう♥」

 

 指を締め上げ、快楽によじる身体を押さえつけ、深く絶頂を刻みこむ。ピンと凝った乳首を何度も弾き、身体を震わせ感じ入るシュエンの口元に汚れた指を近づける。

 

「ちゃんと舐めとれよ。てめぇが出した汁だろが」

 

「ぁひ、ぁひ……はひっ……ぢゅずっ♥ じゅずずっ♥ ぇおぇお♥」

 

「は〜、なぁ最初の威勢は何処行ったよ、随分と可愛くなったじゃねぇか」

 

「はぷっ、はむはむ♥ んもっ、ぢゅりゅ♥」

 

「……よしよし、じゃあ跨がって自分で挿れろ」

 

「はむはっ……ちゅぱっ♥ ……い、いれろ?……こ、これを?」

 

「ああ、二度も言わすな……挿れろ」

 

「くち……おくちっ、おくちよね?」

 

「なぁ、あんまり待たせんな。乱暴にしたくなるだろ」

 

「っっぅ♥ ……わ、わかった、い、いれる……挿れるわよ」

 

 短いスカートを肉棒が押し上げ、シュエンは生唾を飲み込んだ。何処まで入るのか理解したのだろう。根本まで入るわけも無いが、強引にねじ込めば、臍よりも尚高く内蔵を押し上げられる事になる。

 

「さっさとしろ」

 

 催促の声に震えるシュエンが幼肉に肉棒を導く……尖端がぷにっと吸われ、くぱくぱと収縮を繰り返す膣口に、亀頭をしゃぶられる。

 

「んっ♥ あつっ♥ かたっっぃ♥ ……んっ、んんっ♥ ね、ねぇ……む、むりよ……ねぇ、まだむりっ♥ ま、また一杯お口でしてあげるし、が、頑張って、はいるようするから……ま、また今度にしましょう。ね、ね、いいよね♥」

 

 無理に貼り付けた笑顔を浮かべ、シュエンは俺の腹筋に手を付き、戯言を抜かし始めた。

 

「あ?駄目だろ」

 

 肉付きの良いお尻を掴みぐにっと亀頭を押し込む。

 

「んぎっ♥ ゃ、やめっ♥ ぐにぐにっ♥ しないでぇ♥ は、入らない!はいらないってばぁ♥ 無理なのっ、物理的に無理なのよっ♥」

 

「うっせー、めんどくせーな黙って挿れろや」

 

 押し戻す弾力を感じ、肉棒からぴゅっと先走りが零れた。

 

「ぎぃぃ♥ ひぐぅ♥ ひっひっ……ぃたっ、いたぃのぉ……あ、謝る。いっぱい謝るから、ま、毎日おちんぽ舐めるから……ゆ、ゆるしてっ♥」

 

「頑張れよ。出来るって、亀頭の半分は入ってるじゃねぇか」

 

「い、いまで精一杯……ふっふっ♥ さ、裂けるぅ♥ ぃひゃぃぃ……ぉ、お願いしまっっっ……ぉひっ♥」

 

「ウダウダうるせー。黙って挿れろって言ったよな?」

 

「むっりぃぃ♥ むりぃなのっ♥ ゃ、つよっ♥ ちからつよぃぃ♥ ぁひっ♥」

 

「もうちょっとで亀頭が入るじゃねぇか。おら、手伝ってやるよ」

 

「ぃたっ、いたぃのやめてっ♥ お願い!お願いよぉ♥ もうやだぁあ♥」

 

 嫌々言いながら、肉棒がめり込む度に熱い吐息が漏れ、顔は蕩け……何でそんな嬉しそうな顔で感じてんだよ。フザケンナ。

 

「あーもう、うぜぇ」

 

 背筋を使い腰を打ち上げる。ブチッと破れる感触を抜け、奥まで一気に貫き……行き止まりに突き刺さった。

 

「ぉひ゛ぅ―――っぉ、おっ♥ ……ぉ゛ぉ゛……ぉひゅ♥」

 

 ぶわっと汗を吹き出しぴくぴくと痙攣したシュエンの首が、かくん沈んだ。

 

「あ?気、失ったのか?マジかよ、使えねーな」

 

 ぎゅうぎゅうに締め付けてくる膣は気持ちいいが、半分しか入っていないのは戴けない。

 

「ぉ……ぉ……ひぅ♥」

 

 ケツをガッチリと掴み上下に揺すり、ゴリゴリと子宮を押し上げる。痙攣した膣肉がミチミチと締付け、思わず先走りが漏れる。

 

「ぉ♥ ……ぉぉ゛♥ ……ぉぎっ♥」

 

「多少劣るが、全然いいな」

 

 深く肉棒を咥える幼肉に裂けた気配もなく、少量の血が垂れ流れ肉棒に纏わりついている。

 

「ぉひっ♥ ……ぁぎっ♥ ……ぁ゛♥ あぁ゛♥」

 

 子宮を小突き奥に押し込むと健気に引っ込み、更にぐっぷりと飲み込む幼肉が肉棒をしゃぶりあげる。

 

「おい、そろそろ起きろ」

 

 バチンッ!と柔尻を叩く。

 

「ぉ゛ぉ゛ぉ゛♥♥……ぉっひ♥ ……ぃひっ♥ ……んぉぉ゛♥ な、なにっ!!?いたぁぁ♥ ひぐぅぅ♥」

 

 一際大きな呻きをあげ、意識を取り戻したシュエンは上体をガバっと起こし、それと同時に俺の腕が腰を掴んだ。

 

「丁度いいな、あー、出すぞッ」

 

 掴んだ腰を押し込み、突き入れられた衝撃に嬌声が零れ。

 

「ぅあ♥ ぃったぁぁ、えっ、うそ……だ、だめ!?」

 

 子宮を強引に殴り、腹部をぽこっと膨らませた姿に興奮し、膨れ上がった亀頭が子袋を抉じ開け……ビクッと大きく跳ねた。

 

「ゃ♥♥ ……ぉぎっ♥ ぃぎぃぃいい♥ ぁぶっ♥ ぉごっ !!?っ、―――ぁあ♥ ……ぁづぅぅ♥ ぁづぃ゛、あづいのぉ♥ ……れてるぅぅぅううう♥♥♥」

 

 溜まりに溜まった塊が吐き出される。尿道を伝う感覚に、黄ばんだ粘っこいのが出てるなと感じつつ、吸い付きの弱い子宮を小刻みに揺すり、強引に詰め込んでいく。

 

「あー気持ちいいぞ、めっちゃでるッ」

 

「ぁふっ、んんぅ♥ ゃ、ゃあ、ぃ、ぃくぅ♥ いぐっ♥ いくぅ♥ ぃく、いくっ♥ ぃ、いぎゅぅぅうう♥」

 

 ぺたりと倒れ込み、胸の上でびくびくと震えたシュエンは胸板に顔を押し付け、大量の精を小さな肢体に受け入れ、絶頂していた。

 

「いぎゅ♥ あちゅっっ♥ ぁ、ぁあ♥ あひぃ♥♥」

 

 肉棒が跳ねる度、肉付きの良い柔尻が跳ね上がるが、それすらも俺に押さえつけられ、精を受け入れた子宮に亀頭を深く食い込ませる。ドボドボと……小さな少女に精を流しむ快楽は、控えめに言っても最高だった。

 

「めっちゃ出るわー……2日も溜め込んだからな、ちゃんと全部受け取れッ」

 

 ケツに力を入れ、肉棒を跳ねさせる……最後の一滴まで、余すこと無く流し込む。

 

「――――〜〜〜〜っぁ♥、ぁぁ♥♥♥」

 

 一切硬さを失わない肉棒で奥をコツコツ揺すると、軍服にしがみついたシュエンがぶるぶると痙攣する。

 

「ぉ、ぉひゅ♥ ……ぉぉぅ♥」

 

 それに気を良くした俺は、そのまま尻を揺すり、幼肉で肉棒を扱き続ける。

 

「ぉひぅ♥ ……ぉひっ、ぉひぃ♥ ひぐぅ♥ んんんぅぅ♥」

 

 無理な抽送は行わず、耕すように小刻みに肉を掻き乱すと、鳴き声が甘く蕩け淫らに肢体をくねらせる。

 

「ひっ♥ ゃ、ゃらっ♥ ぃひん♥ まっへぇ♥ っぁ、ぅ、ひぃぃぃいい♥」

「ぃっへる♥ ぃっぇるはらぁ♥ ゃらぁぁ♥ ゃらっ、いっくぅぅ〜〜〜っぅう♥」

「―――〜〜〜ぅう♥♥ ぁああ♥ んぎっ、ぉ゛ぉほっ♥」

 

 味を占めた子宮が舐めるように吸い付き媚びてくるが、奥に奥に小突きまわし、幼肉の未成熟な味わいを貪り続けた。

 

「もう一発出してやるよッ!」

 

「ぉひっ♥ ぉ゛ぉ゛、ぅぅ゛う゛もっ……むぃ♥ !!?―――〜〜〜♥♥♥ ……っひ♥ ぁっぃぃいぃいい♥♥」

 

 結合部から逆流した精が溢れ下品な音を奏で、二度の射精を受け入れた肢体は汗に塗れ、ぐったりと崩れ落ちたシュエンは、力なく痙攣し続ける。

 

「んぁぁああ♥ ―――〜〜〜♥♥♥」

 

 射精の余韻に浸り、ぬくぬくほかほかの幼肉を堪能していると、ぴくぴく震えていたシュエンが、壊れたように笑い始めた。

 

「っふー♥ っふー♥ ―――はぁ♥ ……ぁはっ♥ あはっ♥ あははっ♥」

 

「ん?おいおい……大丈夫か?」

 

「あはははっ♥ ……んぁぁ♥ んひぃ♥ っふー♥ はふぅ……おっきっ♥」

 

 雁が食い込み膣壁を抉り、ぷるぷると震える脚に力を入れ、快楽に嬌声を上げ……何とか肉棒を抜き去り倒れこんだシュエンは、破瓜の後が残る汚れた肉棒を……迷いなく小さな口に含み、舐め始める。

 

「ぢゅりゅ♥ れりゅれりゅ♥ ……もっほらせっ♥ んじゅりゅ♥ じゅぱっ、ぢゅっぱ♥ ごくんっ……ぢゅりゅ♥ っふー♥ んくっ……くふっ、あはっ♥ あひっ♥ あひひっ♥ ひひひっ♥」

 

 肉棒の汚れを舐め取り、下腹をくにくにと押し込んだ少女は、ドボドボと零れ落ちる精を見て一頻り笑い……見せつけるように開脚し妖艶に微笑む。

 

「ひひっ♥ も、もうぃぃわ♥ ふふふっ♥ ねぇ……もっとしてぇ♥ もっと、もっとぉ♥ いかせてよぉ♥」

 

 開かれた幼く腫れぼったく赤らんだ幼肉がくぱっと開かれ、粘ついた精が……こぷっと零れ落ちた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 絶頂しすぎて可笑しくなった少女は、甘えるように何度も肉棒を貪り、舐め、啜り、腰を振り、その小さな肢体に精を受け続ける。ベッドに膝をつき、お尻を高く上げたシュエンの腕を掴み、丁度いい高さに調整された稚肉を掻き分け、腰を叩きつける。

 

「ぉ♥ ぉひっ♥ すごっ♥ しゅごっ♥ ぉちんぽしゅご♥ いくっ♥ ぃくぅぅぅうう♥」

 

「ああ?何回目だよ、怪我人に腰振らせて良いご身分だなゴラッ!」

 

「んぎっ♥ ―――〜〜〜〜♥♥♥ ……っっはぁ♥ か、かぞえてなぃいぃ♥ いっぱぃ♥ ぃっぱぃぃいいい♥」

 

「嬉しそうに吸い付きやがって。メスガキがッ!」

 

「ぉっひぃ♥ ぉっひぃのしゅきぃ♥ ちょうらぃ♥ せいひらひてぇ♥ もっと、もっとぉ♥ ぉひっ、ぉ゛ぉ゛お゛お゛♥」

 

「おら、出すぞッ、もっかいイケやッ!」

 

「ぉひっ、はひぃ♥ じゅっとぃってましゅぅぅうう♥ !!っっう♥ ぁちゅ♥ あちゅぃぃいい♥ ぃぐぅぅうう♥」

 

 肚は肉棒で殴られ続け、奥に引っ込んだ子宮は追い打ちを掛けられ、ぽっこりと膨らんだ下腹に精が追加されていく。容量などとっくにオーバーしている子宮にこれ以上精が入る訳もなく、ぶりゅぶりゅと下品な音をたてながら溢れた精子が零れ落ちた。

 

「―――〜〜〜♥♥♥ ふひっ♥」

 

「おい、勿体ねぇだろがッ!!」

 

「……ぁぎぃいいい♥ はっはっはっ♥」

 

「チッ、舐めて綺麗にしろ」

 

「っ……はぃぃ、ぢゅりゅ♥ れりゅれりゅ♥ んもっ、んじゅりゅ♥ じゅぱっ、ぢゅっぱ♥」

 

 従順な雌に落ちたシュエンは、肉棒を綺麗に舐め取り、綺麗になった亀頭を執拗に舐め回し、上目遣いで見上げてくる。傲岸不足なメスガキが媚びた破壊力は凄まじく。

 

「ぢゅりゅ♥ ちゅぷちゅぷ♥ れりゅれりゅ♥ はむっ♥ ……んれろっ♥ んちゅりゅ♥」

 

「まだ欲しいのか?」

 

「れりゅ……ちゅっぱっ♥ ふーっ♥ ふーっ♥ ……ま、まんぞくしたわ♥ も、もぅ、むりっ♥ ほんっと、ばかちんぽぉ♥ ちゅっぱ♥ れりゅ♥ ……だっこっ♥」

 

 可愛らしく両手を広げる姿に……完全に毒気が抜かれた。

 

「足折れてんだけどな」

 

「ほら、はやくぅ♥ はやくぅぅ♥ ……んっ♥」

 

 要望通りに抱き上げ、痛む足を引きずりシャワー室まで連れて行く。幼子のように何度も顔を擦りつけるのは良いが、出来れば精子が付いていない時にやって欲しい。

 

 甘えるシュエンの服を脱がし、真っ白な汚れを知らない肢体を晒され……肉棒に熱が籠もる。

 脱がした服から何かを取り出したシュエンは覚束ない足取りで俺に近づき液体の入った小さな容器を差し出した。

 

「おい、受け取りなさい」

 

「あ?……何だこれ?」

 

「痛み止めよ。ミシリス特性の即効性が強いやつ。信じ……あははっ、ばかね♥」

 

 シュエンが言い終わる前に、さっさと飲み、そっぽを向いたシュエンを尻目に、体液で汚れきった上着を脱ぎ捨てる。流石にこれ以上何かする可能性は低いだろう。

 

「もうしねぇだろ?」

 

「さ〜ね〜、どう、まだ痛い?」

 

 あ?そんな直ぐに効くわけ……。

 

「ん?ああ、痛みが殆無くなったな……ヤバい薬じゃねぇだろうな?」

 

「ミシリスの技術力はアークで一番よ。人体に害は無いし、依存症も無いわ」

 

 ゴテゴテしたハサミを手に俺の服を容易く切り裂くシュエンにミシリスの技術力の高さを身を持って味わう。痛み止めの質も良ければ、防弾防刃仕様の軍服が簡単に切れる鋏とか。

 

「すげーなミシリスって」

 

「んっ♥ そう、そうよ。ミシリスは凄いの。私が――――」

 

 小さな手に導かれ、シャワー室に入る直前に呟かれた小さな呟きは……水音にかき消され、耳に届くことは無かった。

 

 軽くシャワーを終え、水が止まった室内で、俺に背を預け凭れかかったシュエンが俺の手に触れる。

 

「ねえ、洗って。お前がこんなに汚したのよ……だめ?……」

 

 普段と違い弱々しい呟き……何を考えているのかは知らないが、仕方なく従った。

 

「……へいへい」

 

 水を弾く柔肌に手を伸ばし、掌に収まる小さな膨らみを撫でる。張りの有る柔らかな背中に肉棒が押し付けられるも、身動きしない幼い肢体に手を這わしていく。

 

「あっ♥ ゃあん♥ ……さ、触り方ぁ♥」

 

 頬を染め見上げられる顔に……スイッチが入りそうになったが、洗浄剤を手に取り柔肌に滑らせる。

 

「洗ってるんだろ、文句言うな」

 

「はっ♥ っふーぅ♥ ね、ねちっこい♥ ゆびっ♥ えっちぃ♥ んぁ♥」

 

 ぷにぷにとした下腹を揉み込み、肉付きの良い臀部を撫でる。

 

「あっ♥ 零れっ♥ あぁ♥ し、しつこぃ♥ ……ねちっこっ♥ ぃい♥」

 

 ツンと立ち上がった突起に触れぬよう注意し、指を割り入れ……粘つきこびりついた精を掻き出す。

 

「やわっこい身体してんな。抱き枕にしたいぐらいだ」

 

「あぁん♥ ま、またっ―――っ♥ ……あんっ♥ っふーぅ♥ 優しいのもいぃ♥」

 

 くちゅくちゅと掻き回し、吸い付く壁肉から汚れを落としていく。

 

「んんぅ♥ はふっ、あぁ♥ も、もう、だめっ、おわりぃ♥ ほ、ほしくぅ♥ ……っはふー、ほしくなっちゃぅ♥」

 

「我慢しろ、それとも、このまま入れておきたいのか?」

 

「っあん♥ そ、そこは……ぃぃからっ♥ ど、どうせ、もうっ……♥」

 

 は?どうせもう?い、いや……そんんんなわけ―――。

 

 俺の動きが止まり、シュエンが不満そうに見上げてくる。

 

「は?……」

 

 言葉に詰まり動きが固まる俺に対し、ジトッとした瞳を向けた唇には、ニヒルな笑みが張り付いていた。

 

「面白くないじゃない。狼狽えなさいよ。幼気な少女相手にあ〜んなにたっぷり種を付けたのよ♥ あんなにいっぱぃ♥ ねぇ、パパって呼ぶ?」

 

「……やっちまったしな。好きに呼べよ」

 

「あれ、何か違う……いっか。ねぇパパ♥ 名前で呼んでみて」

 

「あ?……シュエン」

 

 思い返してみると、確かに名前を呼んだことは無かった。

 

「あ……これ、やばぃ♥ ぃぃかも♥」

 

 小さくボソボソと呟いたシュエンが爆弾を落とす。

 

 「ねぇ、パパぁ♥ おちんぽっ♥ ほしいの♥ ……だめ?……ぁあん♥ おっき、んんんぅ♥ ……はふっ♥ しゅごっ、ああぁ♥ もっと、もっとして♥ ぱぱぁ、あんっ♥ おっきくぅぅう♥ ぱぱぁ♥ ぱぱぁ♥」

 

 そんな趣味は無かったはずなのに、甘ったるく甘える声と擦りつけられる幼い身体に溺れていった。

 

 これが父性か……。

 

 




バイパー……いいキャラしてやがる。
この子はマッサージ行きですね(迫真


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16

女王様に会う前にはアニスは指揮官ラブになってるんだよね。
エピソードも一日の出来事だったりと、初期好感度高すぎ!!
でも、えちえちで可愛いからヨシッ!!

これがメインヒロインの風格か……。


 新品の軍服はオーダーメイドのような着心地で……ロゴが入っていない簡易ギプスを付け直した俺は、応接室に案内された……完全に俺専用の軍服。これについては深く聞いてはいけない気がする。

 

「それ、最高級のよ、感謝して飲みなさいな」

 

 出された珈琲に口を付ける。リアンが『は?ピンピンしてる?』とか言ってが、やはり何人か殺られているのだろうか。目覚めた父性は儚く消えそうだ。

 

「……おっ、美味い」

 

「当然でしょ。もういいわ、今日は下がりなさい」

 

 尊大な態度で態々呼びつけ、給餌代わりにしたシュエンに対し、リアンは礼をして答える。

 

「はい……はぁ、やっとかよ」

 

「は?なんか言った?」

 

「え?私が何か言いましたか?……お疲れ様でした」

 

 本音が漏れ出たのか、それとも態とか……小さく文句を言ったリアンが席を外す。時間を確認すると、帰還してから既に3時間が経過していた。正直、ヤリ過ぎた……言い訳すら出来ない程、小さな身体に溺れた。

 

「ん?……嬢ちゃん?」

 

 珈琲を飲む俺を見る目が怪しい気がする。まさか、まだヤりたいとか言わないよな?

 

「ふぅ♥ ……わ、忘れなさい。私も忘れるから……お互いに、な、無かった事にするの」

 

 普段着なのか、ノースリーブ腹出しドえろスタイルのまま……気持ちぽっこりした下腹部が妙に艶めかしい。あそこにまだ大量の精が詰まり、卵に群がっている事を想像してしまい。息子がむくむくと自己主張を始める……クソ、背徳感がスパイス過ぎてヤバい。

 

「無かったことに……か」

 

「そうよ。文句ある?」

 

 瞳を閉じ深く息を吐いたシュエンが足を組み直し、じっとりと湿りを帯びた布が視界に映り込んだ。

 

「なぁ嬢ちゃん……あんだけヤッて、まだ溜まってんのか?」

 

 思わず本音が漏れ出た。てか、あれだけ喘いでたのに、元気だな……やはりメスガキか。

 

「!!?ぶふっっ」

 

 飲んでいたモノを吹きかけられ、無性に苛立ちが湧き上がる。なぜかシュエンに対し怒りの沸点が低い気が……メスガキだからか?

 

「げほっ、ぇほっ……ふぅふぅ、し、質問には答えないわ。……お互い全て忘れる。一から関係を築くの……私が忘れてあげるって言ってるの。壊れた玩具みたいに首を縦に振りなさい」

 

「まあ……良いけどよ。あんまり悪さすると、俺も黙ってねぇぞ」

 

 言外に躾けるぞと伝えると、頬を紅く染めニヤけそうになった表情を……どうにか取り繕ったようだ。

 

「っ♥ か、勝手にすればっ、出来るものなら、やってみなさいよ」

 

「お、おう……良いなら、そうしよう」

 

 思いがけない反応に、言葉が詰まる。やはり、ドM……真性のドSでもあり、超がつくドMでもある……難儀な性癖してんなコイツ。それとも一度で二度美味しいから、お得なのか?

 

「時間が無いから、手短に済ませるわよ」

 

「は?……嬢ちゃんのせいだろ」

 

 最早緊張感も何も無くなり……身体も重ねた相手に対し軽口を叩くも、射殺さんばかりに睨まれた。

 

「蒸し返すな!!くそ、お前の為にメティスを動かしたのよ!こんな時間に報告しろだなんて!」

 

「……そっちか、なんかすまん……ありがとう」

 

 面倒だと喚くシュエンに対し、ケジメとして深く頭を下げた。その件についてはシュエンのお陰で助かった。輸送機と共にメティスが居なかった場合を想像するとゾッとする。

 

「んっ♥ もうっ……いいわ。頭を上げなさい…………お前……私と手を組みなさい」

 

 頭をあげると、少し緊張した面持ちのシュエンが切り出した。色々と思う所は有る……鉄くず発言とか色々。思う所が有るには有るが、断ることなどあり得ない。

 

「いいぞ」

 

 ノータイムで返事を返した俺に対し、瞳を輝かせ、ぱぁっと笑顔になったシュエンが早口で捲し立てた。

 

「そ、っそう。そう!そうよね!迷いなんてないよね!!そうよね!そ、そうだ!!ミシリスの役員にして、特別な役職でも作ってあげようか?」

 

「それは遠慮する」

 

 そこまでされると、何かヒモになりそうで怖い、それに仲間にも申し訳ない。シュエンは知らないだろうが、俺は出来るだけ働きたくない人間ですよ?

 

「そう……」

 

 項垂れたシュエンは珈琲を口に運び一息付いた。たった数秒で切り替えたのか、俺を見つめる顔には、にやにやと意地の悪い笑みが張り付いている。

 

「ふふっ、断られたらショックでテロ計画書をバラ撒くとこだったわ」

 

 とんだリベンジポルノだ。笑えねぇ。

 

「それで、手を組むのはいいが、今回みたいに雑に扱われるのは御免だ」

 

「ふふっ、私って使える飼い犬には優しいの」

 

「あ?」

 

「んっ♥ ……ふぅ♥ ……くそっ、あーもう!!……それで、トーカティブを捕まえられるの」

 

 睨みを効かせるとドMが顔を出し……にやけ、苛立ち、コロコロと表情を変えたシュエンは、頭をぐじゃぐじゃに掻き回し、真剣な顔を作った。脇がえろいんだよな……脇が。

 

 俺も煩悩を追い払い、努めて真面目な表情を作る。トーカティブ……俺の因縁……あのメンヘラ具合だ。また狙って来る可能性は高い。何が共に行こうだ、オマエが美少女に生まれ変わってから来い。

 

「現状では不可能だな」

 

「メティスがいれば、どう?」

 

 メティス……瞬時に100数機ものラプチャーを破壊した閃光。電磁砲のようなビーム兵器は雑魚刈りにはいいが……アイツの自己修復能力とは相性が悪そうだ。耐久力に負ければ、足止めにしかならない。最悪ただの的にされる。

 

「まず、前提として捕獲が難しい。これは、メティスがいてもだ」

 

「……そう。ならお前がどうにかして」

 

「随分と投げやりだな」

 

「お前はトーカティブを捕まえる。私はそれを援助する。お互いの戦場は違うの。少しは自分で考えればぁ?」

 

 惚れ惚れする程のドヤ顔……いちいち苛立つのは仕様なのか?人を煽るのが上手すぎる。

 

「……言い分は正しい。提案だが、メティスとの共同で殺すことは可能だ。捕獲に拘らなければ……な」

 

 全火力を集中した短期決戦。修復能力がある以上長期戦はあり得ない。ついでに白銀のニケと会えれば最高だ。必ずあのメンヘラ野郎を殺す事が出来る。

 

「それはダメ」

 

 有無を言わせぬ迫力がシュエンにはあった。流石CEO……少し見直した。

 

「何故だ?」

 

「お前に言う必要は無いわ」

 

「協力関係を結んでいても……か?」

 

「そうよ。勘違いしないでね。お前ごときに命令することなんて簡単なの。面倒な関係なんて精算しようと思えば直ぐ出来るの。それをしないのは、その方がお前は使えるからよ……私はお前を評価してる。ミシリスCEOとして正当にね。立場が違うの、対等だなんて思わないことね」

 

 先程まで嬉しそうに喜んでいた少女と同じ人物とは到底思えない言い草も、立場と言われれば言い返す言葉が無い。

 

「トーカティブについて、嬢ちゃんは知っているのか?」

 

「お前も知っての通り、知能が有り、言語を使用するラプチャー。それだけよ……この意味がお前に分かる?」

 

 三大企業のCEOが存在を特定しているにも関わらず情報を得られない。副司令官と同等の権限を有するCEOが……。

 

「それは随分と……キナ臭いな」

 

「ふふっ……いいわ。やっぱりお前使えるわ。馬鹿じゃないって楽ね……気が変わった、教えてあげる……アーク内部に裏切り者がいる」

 

「だろうな……証拠は?」

 

「何も無い……何も無いのよ。無さすぎて、逆に不自然。燃えた結果があるのに、燃えカスも何も無い……私なら、適度に情報をばら撒くわ。フェイクも交えて……だからこれは、バレても良いと思ってるのよ。どうせ何も出来ないって嘲笑ってるの……舐めやがって」

 

 吐き捨て、重たい腰を上げたシュエンは上着を羽織り、手で俺を追いやるように二度振るった。

 

「そういう事だから、今日は帰りなさいな。鉄くずも待ってるんでしょ」

 

「……チッ、あんまりイラつかせるな」

 

「そう、どうでもいいわ」

 

「一個だけ聞いてもいいか?」

 

「言ってみなさいな」

 

 外していたイヤリングを付けながら、顔を上げたシュエンと視線が交わる。

 

「ワードレスは捕獲部隊って言ってたよな。今回の件で咎めはあるか?」

 

 ワードレスという単語が出た時には、既に答えを出していたのか、片手間に呟きながらシュエンは手荷物を纏めた。

 

「いいわよ〜。何もしないであげる……勘違いしないでね、今回は利が勝ったの、何でも聞いて貰えるなんて思わないことね」

 

 出された珈琲を全て飲み、立ち上がる。聞きたい事は聞けた。今後忙しくなる可能性は有るが、女の為なら文句はない。

 

「ありがとな嬢ちゃん……最後に朗報だ。トーカティブが俺を狙ってる。放っておいてもいずれ辿り着く。報告書でも送ってやるよ……あと、パンツは変えて行けよ」

 

「!?はあ?ふざけっ!……って、なにそれ!は、早く言いなさいよ!あっ、くそっ、時間が……絶対よ!絶対直ぐ送りなさい!!」

 

 振り返らずに手を上げ『早くしろよ、絶対!!』と怒鳴るシュエンを残し応接室を後にした。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 アークの技術力には感心する。大腿骨が折れているにも関わらず、歩行には大して支障が無い。ミシリス社から出て、懐から取り出した新品の煙草に火を点ける……もしかしてシュエンが全部用意していたのか?薄ら寒いものを背後の企業に感じるが、あの手のタイプが人に尽くす訳も無い。

 

「―――フーー、帰るか」

 

 きっと完璧主義なんだろうと無理やり納得し、一緒に入っていた洒落たジッポライターを見つめる。刻まれたミシリスのロゴがイヤに目についた。

 

「あっ……し、指揮官様!!」

 

「ん?アニス……何でここに居るんだ?」

 

 ぽよんぽよんと猛烈に弾む胸で判断した訳では無い。立ち上がった拍子に胸部装甲が跳ね回り、駆け寄ってきて更に揺れる。

 

「迎えに来たの。私が一番軽症だったから。ラピは検査が終わったら帰って来るらしいけど、ネオンは……」

 

 咥えた煙草が溢れ……地面に落下した。

 

「お、おい、嘘……だ―――」

 

 悲しげに瞳を伏せる姿に嫌な予感が脳裏をよぎり……にっこりと笑ったアニスと目があった。

 

「明日には帰ってくるって!騙された?……うわっ」

 

 ついチョップが出てしまった。誤魔化すように髪を撫でる方向へシフト。

 

「紛らわしい事すんな、煙草が勿体ねぇ」

 

「んっ、し、指揮官様?……ぅぅ……ぅ、恥ずかしいって!」

 

 俺の言葉は耳に届かず、恥ずかしがり頬を染めるアニスはくっそ可愛い。何で女の髪ってこんなに触れたくなるのだろうか?永遠の謎だな。

 

「悪かったな……いや本当にすまない。遅くなった、マジでごめんな」

 

 少し癖のあるふわっとした髪を梳き、ズレた帽子を元に戻す。どれくらいの時間待っていたのか分からないが、少なくとも一時間以上は待っていた可能性が高い。

 

「んぅ……んっ、いいよ。指揮官様が元気そうで安心した……そ、その、撫でたいなら……良いけど……此処じゃダメ!」

 

 にへへと笑うアニスに罪悪感がヤバい。女を待たして少女をコマしてましたとか……最低過ぎて笑える。

 

「本当にありがとな。帰るか……俺達の家に」

 

「そうね、帰ろ、指揮官様」 

 

 落ちた煙草を拾い、携帯灰皿に突っ込んだ俺は、新しい煙草に火を点け脚を進める。隣では笑顔のアニスが俺を見上げていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 暗くなった空を見上げ帰路につく。歩調をあわせてくれるアニスに感謝しつつ、ふと此処が地下に有ることを思い出した。

 

「……空か、地上のとは違う気がするな」

 

「それはそうよ。あれは全部ただの画面。指揮官様も知ってるよね?」

 

「……いや、初めて聞いた。あれが……映像なのか?」

 

 地上よりも、輝きの弱い星々は、全て動画であり唯の映像でしかない……知らなければ本物の空と言われても大差は無かった。

 

「嘘っ!?そんな事も知らないの?」

 

「知らないんだよな、これが……教えてくれよ」

 

「何でこんな事も知らないの?」

 

「何でだろうな?」

 

 コレばかりは本当に分からん。アークでの記憶と言えば、士官学校を卒業したという記憶とアーク出身だという記憶、最後に入院していた時期があるという記憶……記憶全てが唯の情報のようにしか思い出せない。一番謎なのは、もしかして俺自身か?

 

「……もう……ものすごく大きなディスプレイでアーク全体を覆っているの。そこに空を映し出してる。『エターナルスカイ』とかいう名前のはずよ」

 

 アニスの言葉に耳を傾ける事で、思考が迷宮に入る事を免れる。

 

「永遠の空……ねえ、大層な名前じゃねぇか」

 

「結構こだわっててね、昼夜も区別するし、雲や太陽、月の形も毎日変わるの。地上の環境をできるだけ再現したって」

 

「そりゃ凄ぇ……空以外のものを映すってのも、いいかもなー」

 

「それはね、前に一回だけあったんだ……いつだったかは覚えてないけど、三大企業がエターナルスカイに一分間の広告を出した時があったのよね。どうなったと思う?」

 

「企業が叩かれた。とかか?」

 

「それもあったけど……物凄い騒ぎになったの。子どもたちは、空だと思っていたのが、実は画面だったってことにショックを受けて、集団パニックに陥るし、大人たちは、ここが地下だった……って事を思い出して、鬱病患者が爆増したわ……」

 

 ああ、確かにな……その発想は無かった。なまじ本物の空を知っていて、地上へ出向いている事が思考を狭めていた。

 

「……随分と大事(おおごと)になったな」

 

「その年が、アーク内の死亡者数が最も多かった年だったの……とにかく、それ以降は何があっても、空は空として存在するの」

 

「へぇー、アニスは意外と物知りなんだな」

 

「こんなの常識よ……指揮官様って、もしかして……すんごいお坊ちゃん?」

 

「そう、見えるか?」

 

「全然!……指揮官様のこれまでの振る舞いとか見ると、お坊ちゃん……っていうにはアグレッシブ過ぎるかな、言葉遣いも悪いし……銃を奪った時とか映画みたいだったし……なんかチグハグよね……ねえ、指揮官様の事、教えてよ!」

 

「俺の事……か」

 

「うん、指揮官様の事、知りたいな……」

 

 にこにこと上機嫌なアニスに対し、何処まで話すべきかと考えた時、頬に冷たい雫が触れた。

 

「うわ、雨!?」

 

「地下なのに雨が振るんだな」

 

 ポツポツと振り始めた雨は瞬く間に勢いを増し、動かない俺の腕を掴んだアニスに引っ張られる。

 

「何してるの指揮官様!怪我に触るでしょ!ほら、転ばないでね。ゆっくりでいいよ」

 

 何だか、雨に濡れるのも久しぶりのように感じた。傘を持っての行動は禁じられていた為、雨に濡れる機会は多かったはずだが、遠い昔の記憶に思える。

 

「ほら、ぼーっとしない!なんでこんな時間に振るのよ!」

 

「……おお、サンキュー、肩借りるな」

 

「いいから早く〜、濡れる〜!」

 

 雨からの避難が完了した時には、髪から水が滴り落ちるほど雨に濡れていた。ぷるぷると頭を振るったアニスの動きにあわせ、雨に濡れ艶っぽくなった谷間と、はみ出た乳輪に視線が吸い寄せられる。

 

「もう、なんでこんな時間に雨なのよ!……ん?どうしたの指揮官様?」

 

 堪らなくクルものがあり、理性がゴリゴリ音をたてて削られていく。

 

「わっぷっ!?……えっ、どうしたの?」

 

 ウザい髪を掻き上げ水気と煩悩を飛ばし。脱いだ上着をアニスに被せた。デカ過ぎんだろッ!

 

「羽織っとけ」

 

 オイ!本当に羽織るだけの奴がいるか。ちゃんと前を閉めろ!意味ねぇだろが!

 

「優しいね指揮官様は、ニケが雨に当たっても関係ないのに……ホント優しい指揮官様」

 

 羽織った上着を握り、にへへと笑ったアニスをこれ以上見られず、誤魔化すように煙草に火を点け話題を振る。なんか、この娘……可愛すぎてヤバい。

 

「……俺のこと知りたいって言ってたよな」

 

「教えてくれるの?」

 

「俺には―――――があるんだ。―――――――と……アークでの記憶だ」

 

「えっ?ごめん、聞き取れなかった」

 

「あ?だから―――――だ」

 

「それ、何語?変な響きね」

 

 二つの記憶(―――――)という言葉が伝わらない?……どういう事だ。誰にも、それこそラピにも話していなかった。二つの記憶。同じ名前の存在……そ、そういえば……俺は名前を呼ばれた事……。

 

「アニス、俺の名前を言ってくれないか」

 

 急激に冷めた身体が震えそうになるのを抑え、アニスの言葉を待つ。

 

「えっ、指揮官様の名前?いきなりどうしたの」

 

「いいから早くッ」

 

「も、もう……顔近い……よ、■■■■だよね」

 

 な、何だ……それ?

 

 ノイズが掛かり、酷く気持ち悪い響きが耳に届いた。薄っすらと頬を染めたアニスが何を言っているのか……聞き取れない。理解……出来ない。た、確か、プロフィールには俺の名前が書いてたはず……。

 

 急いでスマホを確認するも、そこには黒く塗り潰された名前があった……俺の存在が消え……いや、違う。理由の無い確信がある……これは逆なんだ。

 

「顔色悪いよ指揮官様。脚痛い?」

 

 心配そうに俺を見上げるアニスを見て……悩みが消えた。消えないのなら、どうでも良い。こんなにも良い女がいるんだ。やり残した事もある。死ぬ可能性も高いが、悪くない。

 

「アニス……お願いがある。聞いてくれるか」

 

 精神と肉体【前俺】と【現俺】が完全に馴染んだ。馴染んだ結果、名前が消えたと考えるべきか、それとも名前が消えた結果、馴染んだと考えるべきか……名前を呼んで欲しい気持ちはあるが、こればかりは仕方ない。自分の名前を言われると気持ち悪過ぎるとか、笑える。

 

「い、いいけど……そ、その……えっ――」

 

「俺の名前は二度と呼ばないでくれ」

 

「――ちな……えっ……どういう意味?」

 

「俺は自分の名前が嫌いなんだ。アニスには今のまま呼んで欲しい。駄目か?」

 

「……い、いいけど、それって私だけ?」

 

「いや、全員に通達する。絶対に呼ばないでくれ。頼む」

 

「私のせい?……私が指揮官様の事を知りたがったから!」

 

 は?何でそうなる?名前を呼ぶなとか行き成り言い出したからか……余裕が無かった。俺の落ち度だな。

 

「違う、すまんな、俺が悪―――」

 

「じゃあどうして!いつか……いつか呼べたらいいなって思ってたのに……一人、で、馬鹿みたぃ」

 

 俺の言葉に被せ、アニスは悲痛な顔で捲し立て、地面に視線を落とした。

 

「アニ―――」

 

「いいよ、別に……二度と呼ばないから」

 

「アニスッ!」

 

「何よ!!」

 

「俺はお前の事が嫌いな訳じゃない。むしろ好きだ。でもな、これだけは譲れないんだ。分かってくれ」

 

「!?っ……ふえっ……す、すす、好き?指揮官様が私の事……」

 

「ああ、好きだ」

 

「そ、そそそ……そぅ……なんだ……」

 

 こんな所で言うつもりなんて無かったんだが……人生とはままならないものだな。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ラピには申し訳ないが、好きになったからには、手段を選ぶつもりは無い。最悪ベッドで躾けようとか考えていた。せっかく魅力的な女が近くにいるんだ。しかも、全員が男日照りでえろえろな身体をしている。手を出さない方が不思議なんだが?

 

 正直に生きると決め、名前まで失った。このクソみたいな世界を好きに生きると決めたのは何時だったか……。

 

 マリアンが手から零れ落ちた時は、後悔しか(・・)無かった。

 

 ラピを抱え死に抗い、辛くも逃げ切り、トーカティブに完敗したが、後悔()無かった。

 

「あ、あのね、指揮官様……も、もうすぐ雨……やむみたい」

 

 考え込んでいた俺の直ぐ側まで近づいたアニスが、空を指差し呟いた。

 

「帰ったらシャワー浴びないとな」

 

「!?そ、そそ、そう……だね……あのね……指揮官様、真面目な話していい?」

 

 緊張した面持ちで俺を見上げアニスが羽織った上着に顔を(うず)める。

 

「指揮官様は……どうして優しくしてくれたの?ニケだから?指揮官様を守ったから?それとも……ニケが可哀想だから?」

 

「あ?ニケだからとか関係あるのか?」

 

 えっちな美少女だから。とは流石に言える雰囲気ではない。

 

「有るよ。大有り!……ニケを守ろうとして指揮官様が死んでも、助けたニケは処分されるの。意味がないよ……全部」

 

「確かに、お前さんの言う通りだな」

 

「だから、あんなことは二度としないで、誰が死にかけても……見捨ててね」

 

 その笑顔に込められた意味が俺を苛つかせる。何がムカつくって、こんな笑顔にさせた俺に対して一番ムカついた。

 

 トーカティブとの戦闘はアニスに深い傷を付けてしまったらしい。

 

「……そうだな」

 

「……そう、だよ」

 

「俺の大事なもん以外は見捨てるさ、それがたとえ、アークでもな」

 

「えっ」

 

 視線を地面に落としたアニスが、その言葉に顔をあげる。きょとんとした顔には痛々しい笑顔はなく、その顔が笑顔に変わるよう……言葉を選ぶ。

 

「アニス……お前を見捨てるなんて俺には無理だ。もし俺が死んだり、どうしようも無くなったら逃げろ。それが無理なら」

 

「……無理なら」

 

「俺と一緒に死んでくれ」

 

「……ふふっ……それ、それって……プロポーズみたいだね、ふふっ、ふふふ♥」

 

 薄く笑ったアニスの笑顔は今まで見たどの笑顔より綺麗だった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 初々しくアニスの手が俺の手に触れようと何度も彷徨うなか、雨が止んだ。

 

「雨が止んだな……帰るか」

 

「……ぅん」

 

「……手でも繋ぐか?」

 

「えっ!?ち、違っ……で、でも、つな、ぐ」

 

「こ、これは、そう、あれよ、あれ!メディカルチェック!!指揮官様の体調を心配してるの!私って良いニケよね!」

 

「俺はアニスと手が繋げて嬉しいけどな」

 

「!!ぅ……ぅぅ…指揮官、さまっ……それ、はんそ……く」

 

 俺の手を握った小さな手は、時折ぎゅっと握ってきた。それに答え握り返すと、微笑が耳を擽る……大変に可愛らしい。

 

「脱線しちまったから言っとくけどよ……俺には記憶がない。記憶喪失みたいで大事な事と多少の知識以外、何も覚えてない」

 

「……記憶喪失、大丈夫なの?」

 

「問題ない。だからなアニス。俺の価値観はアークの人間とは異なるんだ。俺にとってお前は可愛い女だ。ニケだろうが何だろうが関係ねえ」

 

「だから……だから指揮官様は優しいの?」

 

「だからと言うより、お前に惹かれただけだ」

 

「んっ……もうっ」

 

「俺の気持ちは分かってくれたか、お嬢さん?」

 

「あ、そ、そうね……うん、分かった。指揮官様が私たちを……私を大切に思ってくれてるって、良く分かった」

 

「そりゃあ、良かった」

 

「ねえ、指揮官様、聞いてくれる」

 

 繋いだ手をぎゅっと握りしめたアニスが独白のように言葉を紡いでいく。

 

「……指揮官様。私はね……この世界に対して、感じるものもないし、どうやって生きていけばいいかも……分からない。生まれて来たから、ただ生きてるだけ……だからと言って、死にたいわけではないの、怖いから」

 

 そんな独白に対し、繋いだ手を優しく握る。

 

「いつの間にかニケになって、色々経験して心が強くなったと思ったけど、強くなったのは心だけで、生きる目的は見つからなかった……こんな状態で心だけどんどん強くなっていくから、新しい何かに出会うと、自分から壁を作っちゃう」

 

 握り返してくる手を更に強く握り締め……脚を進める。

 

「変わってないんだよね。ちっとも……指揮官様は、初めての経験をして、未知の世界に足を踏み入れても、すぐにどう行動するか心を決めて、動ける人だよ……私には出来ないこと……だからね……」

 

 熱の籠もった視線が、吸い寄せられるように交わる。

 

「ずっと、ついて行っても……いい?」

 

「決まってんだろ。俺の側にずっといてくれ」

 

「うん……ぅん……うん!そうやって直ぐ答えてくれるとこ……ニケを、大切にしてくれるとこ……私たちに『ありがとう』って言ってくれる所。権威を振りかざさないとこ……全部、ぜ〜んぶ!私が望む理想的な指揮官様の姿なの……ちょっとえっちだけど」

 

 にへっと笑ったアニスは揶揄うように呟き。

 

「これまで、そんな人間は一人もいなかった……もしかしたら私」

 

「とっくに指揮官様を……好きになっていたのかも」

 

 

 とびきりの笑顔で微笑んだ。

 

 

「アニスが、デレた」

 

「!!?で、デレてない!」

 

「デレただろ?」

 

「ぅぅ……デレたわよ!悪い!」

 

「あんま難しいこと考えんな。俺の側で、一緒にだらだらしようや」

 

「あははっ、それすっごく魅力的……あ〜あ、悪い指揮官様に捕まっちゃったな〜」

 

 にへへと笑うアニスと二人、手は……前哨基地に到着するまで離れる事は無かった。

 

 




メティス……瞬時に100数機ものラプラスを破壊した閃光。

は?ヤバい誤字を投稿前に見つけられて良かった。100機のヒーローとか……それを破壊する閃光とか……腹抱えて笑った。




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17 ☆ アニス

明日は多分更新できません!!寝ます!!


「指揮官様、本当にいいの?」

 

「ああ、邪魔なんだ。やってくれ」

 

「……勿体ないな〜、触り心地も良いのに……ん〜、勿体ないな〜……」

 

「おい、こら、いい加減切れ、揉むぞ?」

 

「うぇ!?……ど、何処を揉むって言うのよ!」

 

「そんなもん、自分が一番分かってんだろーが」

 

「……ぅ……ぅぅ♥ ……し、視線とか、分かるから!注意してよね指揮官様!」

 

 自分の何処を揉まれるのか、完全に理解している発言を聞き流し、俺の長い髪が少しだけ切り落とされた。

 

 前哨基地に帰還したが、ラピはまだ戻っていなかった。日付を跨ぐ事になりそうだから休んでくれと連絡があったが、ラピを出迎えないという選択肢は無かった。ラピが帰って来るまでの暇な時間を使い、自分で髪を切ろうとした所をアニスに反対され『それなら、私が切る!』と言い出したので任せた。……任せたんだがなー……。

 

「……頼むから早く切ってくれよな」

 

「……おっけー、まっかせて!」

 

 うんうん唸りながら、髪と格闘するアニスにため息が漏れる。少量しか落ちていない髪の毛が、散髪が長期に及ぶ事を物語っていた。あそこでドでかい乳に魅せられたのが間違いだった事を思い返し……深いため息が溢れた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「しゃわぁ〜しゃわぁ〜」

 

 シャワー室から出てきたアニスは、湿りを帯びた髪をタオルで拭き取りながら心底機嫌良さそうに歌っていた。

 

「あ〜〜気持ちよかった〜、ありがとね、指揮官様」

 

 上着を脱いでおり、ドスケベな服で前かがみになり見詰められ、火照った肌色と薄ピンク色の塊が自己主張を強める。

 

「……お、おう、ラピは遅くなるってよ」

 

「そっか〜、な、なら……二人っきりだね」

 

「そうだなー……」

 

 我慢は身体に悪い事が良く分かる。俺は試されているのだろうか……。

 

「な〜によ〜……う、嬉しくない?」

 

「アニスは嬉しいのか?」

 

 隣に座り、さり気なく距離を詰めてくる所とか、初々しく直ぐ頬を染める所とか……。

 

「質問に質問で返さないでよね……う、うれ、しぃよ♥」

 

 ……はい、可愛い。しかし、脚の折れた身体で手を出すのは躊躇われる。トーカティブ……殺したい。脚さえ折れていなければッ!

 

「俺も嬉しいに決まってんだろ」

 

「ぅ、むぅ♥ ……なんで余裕なのよー、ムカつくぅ!」

 

 やめろ……余り揺らすな。その攻撃は俺に効く。

 

「ラピが帰って来るまで暇だが、どうする?」

 

「ど、どうするって?」

 

「だから……アニスがやりたい事は無いのか?」

 

「んっ♥ ……こうやってのんびりしてたいな〜〜」

 

 こてんと俺の肩に頭を乗せ、艷やかな髪から甘い匂いが漂い、理性がゴリゴリ削られていく。

 

「フー……そうだなー……めっちゃ良い匂いする、じっとしてろ」

 

「んっ♥ ……指揮官様っ……か、嗅がないでっ♥ ……は、恥ずかしいよぅ♥」

 

 そう言いつつ、離れる事はなく、顔を両手で隠し、時折ちらちらと覗く瞳と目が合い、また隠れた。あざとい……流石アニス、あざと可愛い。

 

「も、もうっ♥ 禁止っ!撫でるのも嗅ぐのも禁止っ!!」

 

「なら、仕方ねぇな」

 

「えっ!?……し、しきかんさまっ……ま、まってっ、ちかっ、近いってっ!!」

 

「鋏。持ってないか?」

 

 からかい過ぎると俺の理性がブチギレそうな予感をひしひしと感じ、暇な時間は有効活用することにした。

 

「んっ♥ ……――――へ?」

 

「何だ?キスされるとでも思ったのか?」

 

「……ぐ、ぐぬぬっ!……指揮官様の、ばかぁ♥」

 

「ホント……可愛いよなお前。それで、鋏……持ってねぇか?」

 

 目を奪われた事を誤魔化すように頭を撫で、ふわふわなくせ毛を指で弄ぶ。

 

「わふっ♥ ……んっ♥ ……むかつく、むかつくぅぅ……持ってるけど!」

 

「貸してくれ」

 

「……何に使うの?」

 

「あ?ほれ、これ切るんだ」

 

 長く伸びた髪を一房掴み見せると驚いたアニスが立ち上がり、胸が……フーッ、クソッ、視覚情報が暴力的過ぎる。

 

「!?髪……髪切るの?指揮官様が、自分で?」

 

「……ああ、適当にな」

 

「ダメっ!……明日一緒に切りに行こ?」

 

「いや、足折れてるだろ、前哨基地に散髪屋は無いからなー、遠出は怠いし……いい加減うざいしな」

 

「散髪屋って、古臭い言い方……せめて美容院でしょ」

 

「どっちでもいいだろ、ほら、鋏……貸してくれ」

 

「ん〜……それなら、私が切る!」

 

「は?出来るのか?」

 

「このアニス様に任せなさい!」

 

「……じゃあ、頼むわ」

 

 ドヤ顔で胸を張り、そのドでかい胸をぷるんと震わせたアニスに魅せられ、なんかそれ……いいな。と安易に散髪を頼んだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 安請け合いした俺を脳内で殴り飛ばし、未だに唸り続けるアニスの鋏が一向に進まない状況に、ドッと疲れを感じた。結構な時間散髪したはずだが、地面に落ちた髪は、風が吹けば直ぐに綺麗になりそうだ。俺さ、上半身裸だよ?……寒くなってきたんだが。

 

「う〜ん、ここは残した方が……あんまり短くしても……切り過ぎたら長さを揃えないと……」

 

「アニス」

 

「ん?ちょっと待って、いま真剣なの……」

 

 このままでは永遠に終わる気配を感じず、思い切りが良くなるよう、魔法の言葉をアニスに掛ける。

 

「俺な、ラピにも手を出してるんだ」

 

 それに、この機会を逃せば、二人きりになるチャンスは少ない。気づかれた場合が最悪だ。せめて俺の口からはっきりと告げる必要があった。

 

「!?……そ、そっか」

 

 鋏が力強く閉じられる音がして、髪の束が地面に落ちる。け、結構バッサリいったな。頭が切れなくて良かった。

 

「……そ、そんな気は……してたんだ……ラピ……指揮官様と出会って変わったから……」

 

 振り返り、様々な感情の入り混じった瞳をジッと見つめる。

 

「ラピもアニスも好きなんだ、嫌か?」

 

「指揮官様……こっち見ないで……ちょっとだけ、整理させて……」

 

 黙って背中を向けた俺の背に手が触れる。少し冷たい小さな手は撫でるように移動し、時間をかけてゆっくりと……背後から抱きしめられた。

 

「……なんで、なんでよ……なん、で……好きって……言ったの」

 

「アニスが好きだから……だな」

 

「……ラピにも、手を出してる、のにっ」

 

 言葉には憂いが混じり、やりきれない感情が込められ、少しだけ……震えていた。

 

「そうだ」

 

「……ねえ、指揮官様……何で、私に言ったの……ラピもって」

 

「……アニスが好きだから。お前を泣かせるのは、これで最後にしたいからだ」

 

 アニスが泣いている事は、見なくても分かる。これが最後の涙になるよう、言葉に想いを乗せた。

 

「……そっか」

 

 耳元で呟かれ、アニスが離れる。柔らかな温もりが消え、振り返ると……大きく伸びをしたアニスが、吹っ切れた様に笑った。

 

「ん〜〜、終わり!この話はお終い!指揮官様がだらしないって分かったし、これでお終い!」

 

 痛む脚を無視して立ち上がり、頬を流れる雫を……唇で拭い取る。

 

「ぁ♥ ……んっ♥ ……もぅ♥ ……指揮官様って……ホントずるぃ♥ ……本当に記憶喪失なの?」

 

「好きな女に全力なだけだ……最低な自覚はある。言い訳もしない。俺はお前たちが好きなんだ」

 

「んっ……いいよ……ラピと一緒に指揮官様の女になってあげる。説得にも協力してあげる……でも……寂しくしたら浮気してやるから!」

 

「……愛想尽かされないように……しないとな」

 

「そうよ……そう……ねえ、もう一回……抱きしめさせて」

 

 要望通り背中を向けた俺の肩に頭を乗せ、細い腕で抱きしめてくるアニスの吐息が耳を擽った。

 

「ちゃんと構ってね」

 

「ああ」

 

「話してくれて嬉しかった」

 

「そうか、ごめんな」

 

「ぅん……ねぇ、好きって言って」

 

「好きだ」

 

「死なないでね」

 

「死ぬ時は一緒だろ」

 

「うん、ぅん……ずっと一緒にいてね」

 

「約束する」

 

「……好きだよ♥ 指揮官様」

 

「俺もだ」

 

「……知ってる♥」

 

 何度も何度も繰り返される言葉には気持ちが籠もっており、アニスが何を求めているのか、少しばかり分かった気がした。

 

「大好き♥ 指揮官様」

 

「俺も好きだよ、アニス」

 

「うん、知ってる♥ ……それでね……大好きな指揮官様に、許して欲しい事があるの」

 

「あ?」

 

「髪……切りすぎちゃった」

 

 後頭部を触り一部だけ極端に短くなった髪の感触を確かめる。

 

「あーー、これくらい短くしてくれていいぞ」

 

「まぁ、そうなるよね。でも勿体ないな〜……ねえ、指揮官様。髪の毛ちょっと貰っていい?」

 

「……食うのか?」

 

「食べないわよっ!!もう、分かって言ってるぅ……お守り……お守り作ろうと思って、ラピも、ネオンも……みんなで生きて帰って来られるように……みんなの髪を入れたお守り……神様なんて信じてないし、何もしてくれないけど……少しくらい頼っても、いいよね」

 

 顔は見えないが、きっとアニスは穏やかな顔をしているだろうなと……声を聞いて確信した。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 さっぱりした髪を洗い、ラフな格好に着替えた俺は、アニスに支えられソファーに身体を沈める。痛み止めが切れ、折れた脚に痛みが走る。異常な治癒力でも骨折が直ぐに治ったりはしないらしい……少し安心した。

 

「なんか指揮官様……ワイルドになったね」

 

 ベリーショートに切り揃えられた髪は綺麗に整っており、意外なことにアニスは散髪が上手かった。

 

「お前さんがしたんだろ」

 

「そうだけど……一気に肉食系になった感じ……髪って印象変わるのね」

 

「肉食系ねー、アニスこっち来い」

 

 股の間に出来た隙間を叩くと、隣に座っていたアニスは頬を赤らめ、ゆっくりと立ち上がる。

 

「う、うんっ♥」

 

 おずおずと近づいてきたアニスの手を引き、後ろから抱き竦める。

 

「うひゃっ……し、指揮官様っ……ちから、強いよぅ♥」

 

「痛くないよな?」

 

「んっ♥ 痛くないよ……で、でも!……こ、こんなことしても、許さないから……」

 

「何を許さないって」

 

「んんっ♥ ……ラピに手を出してるのに、私にも手を出したこと」

 

「まだアニスには手を出して無いだろ?」

 

「こ、こんなに抱き締めておいて、そういうこと言う!?……えっ?……ラピには……手を出し……!!?」

 

 愕然としたアニスの手を取り、箱を握らせる。初任務成功祝に買った品。手渡す機会が無く、すっかり渡しそびれていた。

 

「これ、渡すの遅くなったな」

 

「――――なにこれ?」

 

「お礼だ。俺を守ってくれてありがとう。これからも宜しくな」

 

「……開けていい?」

 

「別に良いけど、要らないとか言うなよ。結構探したんだぞ、それ」

 

「……!?こ、これ……んっ♥ ちかぃ♥ ……なんで、知ってるの?」

 

「ラピから聞いたんだ。アニスがそのブランドのネックレスを集めてるって」

 

「し、しきかん様っ、嬉しい。もっと好きになっちゃった♥」

 

「喜んでくれたなら良かった。ラピにも礼言っといてくれ」

 

 ネックレスを手に取り、様々な角度から眺めたアニスは、真剣な眼差しで隅々まで目を通す。

 

「う〜ん、今回のモデルも、とってもいい仕上がりね。どんどん腕があがっているわ……」

 

 そして、着けること無く、箱にしまった。

 

「着けてやろうか?」

 

「えっ……えっと、着けるのは苦手なんだよね。見て楽しむ物として買ってるの……でも……今回だけ……指揮官様、つけて♥」

 

 髪をあげ、そわそわしているアニスの(うなじ)に吸い寄せれそうになりつつ、ネックレスを着ける。普段隠れている項から色気が立ち昇り、我慢するのに苦労した。

 

「ど、どう、かな?」

 

 恥ずかしそうに視線を逸らすアニスが可愛い。正直ネックレスとかどうでもいいが、恥ずかしがるアニスを見るために購入するのは……有りだな。

 

「めっちゃ可愛い」

 

「も、もうっ♥ でも凄く嬉しい!」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 再び膝の間に戻ってきたアニスを愛でていると、ネックレスを見詰めていた瞳が俺の顔に向けられ、視線を落とし小さく呟いた。

 

「指揮官様。私たちどうなるのかな。また、アレと戦うの?」

 

 アレ……十中八九トーカティブのことだろう。

 

「そうなる可能性が高いな」

 

「嫌だよ。指揮官様。死にたく、無い。死にたく無くなっちゃた……」

 

「俺が死なせない」

 

「!?それはもっと嫌っ!!つぎ同じことしたら、引っ叩くから!……はぷっ」

 

 頭を撫で黙らせ……その言葉には返答出来ないことを誤魔化した。

 

「んっ♥ ……ねえ、指揮官様。みんなで逃げられないかな」

 

 頭を撫でる手をそっと降ろし、豊満過ぎる胸を持ち上げる。

 

「そんな事ばっか考えんな。俺は今、幸せなんだ」

 

「む、むね!?っ♥ むね、さわってるからぁ♥ だ、だから幸せなのっ!?」

 

「ああ、最高に幸せだ。ずっと触っていたい」

 

 吸い付くを通り越し、纏わりつく感触、どうやって形を保っているのか分からない程に柔らかく、溶けて無くなりそうなマシュマロおっぱい……これさえ揉ませておけば、争いなんて無くなるのでは?

 

「ぁ♥ だ、だめっ♥ ……さ、さわら……ないでっ♥」

 

「ラピとは何処までしたか……興味あるだろ?」

 

「ぁん♥ ……ず、ずるっ♥ ……ずるぃぃ♥」

 

「何処までしたんだろうなー、これよりは……大人な事だな」

 

 たぷん、たっぷん。たぷ、たぷ。

 

「んぁぁ♥ し、しきかんさまっの……えっち♥」

 

「お前誘ってんだろ……ラピが帰ってくるまでずっと揉んでやる」

 

「んっ♥ そ、そんな……事無いっ」

 

「ついでに言わせて貰うけどな、何でそんなデカ乳して、こんな格好してんだよ」

 

「!?こ、これ、は……社長がぁ……ぁぅ♥」

 

 社長……テトラのCEOに用事が出来た。返答次第では……。

 

「誘ってんだろ?」

 

「っ……ぁ♥ ……さ、誘ってなぃぃ♥」

 

「そうかー。ラピにも使ったんだが」

 

 撫でるように触っていた手を深く沈めていく、ぷるぷる震え形が変わり、目で見ても気持ちがいい。肉棒はとっくに熱り立っていたが、アニスがそれに気づいた様子は無かった。

 

「命令だアニス。嫌なら振りほどけ」

 

「ぁん♥ ぅぅぅ♥ は、反則っ!!それ……はんそくぅ♥」

 

「逃げて良いんだぞ?」

 

「ふぅー♥ ふぅー♥ し、指揮官様に怪我させちゃうから……に、逃げないのっ♥」

 

「命令だ。怪我させても良いぞ」

 

「むぅぅ♥ むぅ、むぅぅ♥ ずるぃぃ……むかつくぅぅ♥」

 

 何でこんなに可愛いのだろうか……普段憎まれ口を叩いているからか?人を良く誂ってくるからか?……正直な所、可愛さに関しては、アニスが群を抜いている。

 

「……アニスの本音を教えて欲しいんだ。どうして欲しい?」

 

「ゃ♥ ……ゃだぁ♥」

 

「命令したくないんだ。頼むよ」

 

「ぐぬぬ……ぅぐぐっ……んぁ♥ ……ぃぅ……言うからぁ♥」

 

「早く言わないと激しくするぞ」

 

「いぅぅ♥ ……や、さしくっ♥ 優しくしてぇ♥」

 

「……優しく?」

 

「は、はは、初めてなの!!……触られるのも、抱きしめられるのも!!頭ぐちゃぐちゃなのっ!!……ふーっふーっ、んっ♥ 指揮官様ぁ♥ ……優しく……優しく触って欲しいのっ♥ これでいい!!」

 

 あー、クソッ、何で折れてんだよッ!!……マジであのメンヘラ野郎……次会ったら殺すッ。

 

「ククッ……良く分かった」

 

「わ、悪い笑い声が聞こえたような……っふ♥」

 

「もっと優しくか?」

 

 揉みしだいていた指の力を抜き、支える様に持ち上げ、優しく揺する。重てー……こんなの付けて戦うとかハンデ背負いすぎだろ。

 

「ぅ、ぅぅん♥ こ、これくらいなら……気持ち、いいよ♥」

 

 力を入れず、手を添えて指を少しだけ沈め味わう。服が邪魔だが、楽しみは後にとっておくのも、悪くない。

 

「んっ♥ ……ふぅ♥ ……んぅ♥ ……胸って……こんなに気持ちいいのっ♥ ……ふぅ、ふぅ♥ ……し、指揮官様……こ、これっ♥ 楽しい?」

 

「楽しいし気持ちいいし、最高だな」

 

「そ、そぅ……なんだっ♥♥♥」

 

「し、指揮官様って、意地悪よねっ♥ こ、こうやって、ラピも私も泣かされるんだっ♥」

 

「あー、ラピは鳴かしたな」

 

「……なんか変だったような……っふぅ♥」

 

「あんまり生意気言ってると、我慢やめるぞ」

 

 顎を掴み唇を近づける。

 

「……えっ?……えぇ!!ち、ちかっ、ちっ―――!!……んんんっ♥ ……ふぁ♥」

 

 視線が交じり、観念したように瞳を閉じたアニスと唇が交わった。

 

「これで分かったか?」

 

 初々しく唇を指でなぞるアニスの髪を梳き、頬に差し伸べた手に小さな手が重なる。

 

「う、うん♥ ……す、ごく……伝わっ、たぁ♥」

 

「お前は誰のものだ?」

 

「わ、わたし、は……しきかんさま……の……もの、です♥」

 

 とろんと蕩けた瞳を向けるアニスのでか乳は、ラピが帰って来るまで延々と揉まれ続けた。

 

 



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18 ★ アニス

「はぁ♥ ……はぁ♥ ……ま、まだぁ♥ ……し、指揮官さまっ♥ むねっ……好きすぎぃ♥」

 

 たっぷりと実の詰まった乳肉がたゆたゆと震え、熱い吐息を零したアニスは、火照ったまま蕩けた瞳を劣情に染め上げていく。

 

 ……うん、めちゃくちゃえろい。

 

「こんなのぶら下げてアニスも大変だろ?」

 

 たっぷたぷと揺らせば、暴力的な程にぷるぷると震え、熱り立った肉棒が衣服を突き破らんばかりに膨らみ。もう喰っちまおうぜと天使が囁く。

 

「べ、べつにっ♥」

 

「しっかり揉みほぐしとかないとな」

 

 かれこれ三十分は揉み続けているが、一向に飽きる気配は無く、むしろ手が離れてくれない。

 

「はっ♥ ……ふっ、ふぅぅ♥ ……ぅぅ♥ 指揮官様のえっちぃ♥」

 

 食べて下さいと言わんばかりに呟かれた言葉は欲に塗れ、湿りを帯びて耳に届いた。……煽っている事に気がついていないのか……知っててヤッてんのか……。

 

「フーッッ……あんま、煽んな……」

 

「あぉってっ、なぃ♥ ……し、指揮官さまの手が……はふっ♥ ……ぇっちなのっ♥」

 

 血管がブチギレそうになり、我慢の限界をとっくに超えていた俺は、服の隙間に手を差し入れ――――

 

 

「指揮官。お楽しみの所申し訳ございません」

 

 

 耳元で囁かれた声に驚き……強く揉みしだいてしまった。

 

「!!!??ふぇ……ぁああんっ♥」

 

 甘く鳴いた大きな嬌声と共に身体が跳ね……どたっぷんっと拘束から解き放たれた大きな膨らみがまろび出る。中心に近いほど濃いピンク色に染まり、ぷっくりと膨れた乳輪は想像以上に大きく……クソえろいパフィーニップルだった。

 

「……くっそえろッ」

 

 ぷっくり膨れた中心には、有るはずの突起が無く……どうやら、性格とは反対で恥ずかしがり屋なようだ。 

 

「っっぅ♥ ……っひ♥ ……んんんぅぅう♥ ……はふ、っふ♥」

 

 吸い付いて離さない生肌の膨らみを、搾るように強く揉み込めば……両手で口を抑えたアニスは、身体をぷるぷる震わせた。小さな快楽が蓄積した所を生でガッツリ揉まれ、乳だけで軽イキしたようだ。

 

「指揮官。先に休んで下さいと言いましたが……これは、仕方ありませんね」

 

 呆れた様に呟かれた言葉の意味を理解する前に顔を掴まれ―――

 

「んちゅ♥ ……はむっ♥ ちゅぱっ♥ ちゅぱ……んっ♥」

 

 唇を啄まれ……柔らかな舌を這わし、唇を抉じ開けてくる。

 

「ふっ、ふっ♥ ……れゅ♥ ……ぇおぇお♥ ……れりゅ♥」

 

「んんんんぅぅ♥ ……し、しぃかんしゃまぁ♥ ……ちゅよ♥ っょぃい♥」

 

 ラピに咥内を舐られ、アニスのドえろい乳を揉みしだく……理想郷が此処にはあった。

 

「れぢゅゅゅ♥ ……っぷぁぁ♥ ……はぁぁ♥♥ ……ふーっ♥ ……ずるいっ♥」

 

「……ひっ♥ ひぐぅ♥ ……っっぅ、むっ……りっ♥ ぃくっ♥ ぃくぅぅうう♥」

 

 調子に乗った手が陥没した窄まりに入り込み、こりこりと刺激を続け……小刻みに震え続けていたアニスは、大きくビクビクと……快楽に打ち震える。

 

「ふーっ♥ 指揮官。ただいま帰りました」

 

 真っ赤な舌で唇をぺろっと舐めたラピが熱い息を零し、震えるアニスを見詰めた。

 

「……おかえり、ラピ……こんな状況で悪いが、身体は大丈夫か?」

 

「はい、問題ありません。心配して下さって……とても嬉しいですっ♥ ……指揮官こそ、脚は大丈夫でしょうか……」

 

「俺も問題ない。歩くことは出来る」

 

「私が支えます。何時でも……お側にいますので」

 

 えっちに育ち過ぎたでか乳を揉みしだかれ続けるアニスを放置して、普通の会話を続けるラピ―――

 

「っぁぁ♥ はぅ♥ ひぅ♥ ……ぃふっ、ぃふぅぅう♥」

 

 ―――深イキをキメ続け、唇から蜜を垂らすアニス。

 

 はっきりとカオスな状況は、逆に俺を冷静にさせた……させたが、言い訳も糞もない状況……どうしようもないだろ、これ。

 

「あー、そのな……これはなー――――」

 

 言葉を詰まらせる俺に対し、ラピは……嬉しそうに微笑んだ。

 

「いえ、大丈夫です指揮官。見て下さい……とても幸せそうです。こんなアニス初めて見ました」

 

「幸せ……そうかー?」

 

 俺には深イキし過ぎて、色々と可哀想な事になってるように見えるんだが。

 

「はい♥ あんなに胸で気持ち良くなれるなんて……羨ましい……指揮官。手が止まっています」

 

「ふぅぅふぅぅ♥……っん!?……ふぅぁ♥ ぅぅ♥ ……っぅう♥ ふぐぅう♥」

 

 困惑しつつ柔らかな膨らみから離れない手は、俺という人間の本質を表しているようだった。

 

「指揮官。悩む事なんてありません。指揮官は私を求めてくれた。私を一番に……求めてくれたんです。十分過ぎる幸せです♥」

 

 背後から抱きしめられ、甘い言葉と熱い吐息を浴びせられ……欲望が、俺を侵食していく。

 

「私は指揮官の玩具(おもちゃ)です♥ 今夜は我慢します♥ ですが、明日はずっと一緒にいて欲しいです……しきかんっ♥」

 

「あ、ああ……ラピが、それでいいなら」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 快楽の波から抜け出したアニスは腑に落ちない顔で俺の手から逃れ、素早く衣服を戻した。真っ赤に染まったほっぺたと、ぽってりと顔をだした乳頭が衣服を押し上げる。火照った顔のまま、髪を整えるアニスは……事後感満載で、実に素晴らしい光景だった。

 

 衣服を戻し一息付いた後、おずおずとラピに話しかけたアニスは、次第にヒートアップし、ラピに多量の疑問をぶつけた。その全てを笑顔と照れ顔で返したラピとは対象的に、アニスの表情は徐々に曇っていき―――

 

「ラピぃ……ラピっっ!!」

 

 ―――遂には……涙が零れ、ラピに抱きついた。

 

「アニス……」

 

「らぴぃぃ……ごめんっ、ごめんなさぃぃ。らぴに、らぴに、いやなこと、ぉ、おしつけたのぉぉ」

 

「気にしないで、アニス」

 

「ぅわぁぁっっ、ごめんね、ぅ、ぅえぇぇん――――」

 

 ラピに抱きついたアニスは、子供のように泣きじゃくり、何度も何度も、謝り続ける。

 

 嫌な事を押し付けたと、アニスは言った……随分昔の事のように感じるが、思い当たる節がある。

 

 

『……ラピ、『あれ』ちゃんとやったの?』

『やった』

『それで、変わらずこの調子なの?』

『うん』

 

 

 あの日のラピは確かに不自然な態度だった。あの時はまだ理解出来ていなかったが、今ならあの時のラピが、必死に感情を押し殺していたことが分かる。

 

「泣き止んでアニス……別に気にしてないから」

 

「ぐぅぅ……わたじがぎにずるのぉぉ!」

 

「それに……『あれ』のおかげで決心できたから……むしろ、ありがとう」

 

「……ぅぅぅ、ぅわぁぁん……ぅぅ、ぅぅぅ」

 

 余りにも泣き止まず、呆れ顔のラピにパスされた俺は、アニスを抱きしめ頭を撫で続けた。

 

「ぐすっ……ぅぅ……し、しきかんしゃまぁ」

 

 泣いて泣いてぐずぐずの顔になっても、アニスは可愛い。

 

「もう泣き止めよ……泣いてるアニスも可愛いけどな」

 

「ぅぅ……ぅぅぅ♥ ……ゃだぁ……ぐずっ」

 

 何でこんなに可愛いんだろうか?……誰か教えてくれ。

 

「……ぐすんっ……しきかんさまっ……ちゅぅ♥ ……ちゅぅしてぇ♥」

 

 それで泣き止むなら幾らでもしてやる。

 

「……あざとい」 

 

「う……ぅるさぃ……ラピばっかり……ずるぃよ」

 

 ラピの声に反応しキッと睨みつけたアニスは、直ぐに顔を逸し、ちらちらと上目遣いで求めてくる。既に涙は止まっていたが……頬に手を伸ばし、そっと唇を重ねる。

 

「……んっ……んちゅ♥ ……もぅ……っすき♥」

 

 とろんと蕩け、にへへと微笑み豊満な身体を擦り付けられ……盛り上がった下腹部に、熱の籠もったラピの視線をひしひしと感じる。

 

「指揮官。お辛そうです。寝室に行きましょう♥」

 

「指揮官様……脚……辛いの?」

 

 そっちじゃないんだよなーアニスさん。自分の身体がどれ程性的なのか、身体に教え込んだほうが良さそうだ。

 

「全て私がしますので、指揮官は寝ているだけで……いいですよ♥」

 

 くっそえろい発言に対し、期待で膨らんだ肉棒に大量の血液が流れ込む。ラピの視線を追ったアニスの顔が熱り立つ陰部に止まり、真っ赤に染まった。

 

「……あっ♥ ……ダメっっ!!……あーーっ!もう!!……好きっ!!指揮官様が大好きなのっ!!」

 

 ラピを押しのけ、守るように顔を胸に押し付けられ、小さな甘い声が耳を擽る。

 

「アニスも、指揮官様と……んと、その……っちっ、ぅぅ♥ ……えっちしたぃ♥」

 

 俺もヤリたいッ!

 

「アニス……出来るの?」

 

「……で、出来るわよ!」

 

「……確認する。指揮官も宜しいですか?」

 

 当たり前のように深く頷く俺を見て、ラピは微笑んだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 二人に支えられ寝室へ移動し、手厚い介護を受けた俺は……流れるように服を剥かれ、仰向けに寝転んだ。

 

「ラ……ラピっっ……な、なに、ぁれっ……お、おおっ……おぉきすぎなぃっ♥」

 

 隠すことなど一切せず、熱り立つ剛直を初々しい少女に見せつける……これは気持ちが良い。少し目覚めそうだ。

 

「大きくて♥ 逞しくて♥ すごく……気持ちいぃの♥」

 

「!!?ぅ、ぅえっ……ぁ、ぁれ……は、はぃるのっ!?」

 

 顔を手で覆い、指の隙間からガッツリ見るアニスは可愛らしいが……早くして欲しいんだが?

 

「アニス……知識位あるでしょ」

 

「ぁ、ぁるけどっ……あ、ぁんなの……むりっ」

 

「なら、そこで見てればいい。指揮官♥ おまたせしました♥」

 

「ラピ、早くしろ」

 

「はい♥ ……どうされたいですか?私は……ここと」

 

 うっとりと……(なま)めかしく這わされた指が唇に触れ……ねっとり舐めたラピは、身体のラインを強調するように、手を滑らせ。

 

「ここ♥ で、指揮官を感じたいです♥」

 

 ……下腹部を撫でた。

 

 えっろっ……よ、欲求不満かな?

 

「ま、まってっ!ラピ、お、お願い……わ、私がするっ」

 

「……そう……指揮官。残念ですが、明日♥ いっぱいしましょう」

 

 最初からそのつもりだったのだろう。ベッドに腰掛けたラピは、急かすようにアニスを見詰め、喉を隆起させたアニスがゆっくりと近づいてくる。

 

「明日……ぜ、ぜ〜んぶ、出してやるわよ!」

 

「無理よ」

 

「!?む、無理じゃないっ、し、指揮官様……そ、その……ぉ、ぉっぱぃで、して、あげる」

 

「……あてつけ?」

 

 いや、ラピも十二分に大きいからな……アニスが規格外過ぎるだけで。

 

「ふん!自分の武器を使って何が悪いのよっ、ほら……指揮官様っ♥ ……す、好きにして……ぃぃよ♥」

 

 ぷるぷると震えるアニスが、腕を後ろに組み胸を差し出す。ぷるんと震えるドスケベな乳袋に思わず手が伸びそうになり、推し止めた。

 

「アニス……俺は動かないから、オマエがヤれ」

 

 この状況は、多分一度しか味わえない……なら、楽しまないと損だろ。

 

「!?……ぅぅ……ぅん♥ ……がんばるっ」

 

 普段の無表情に戻ったラピがアニスの行動を学習するように見詰め続けるなか、顔を朱に染め恥じらいながら肉棒に手を近づける。

 

「ぅえ!?……ぅ、ぅごいたっ」

 

 直立不動で熱り立つ肉棒を跳ねさせると、たったそれだけで、手を引っ込めるアニスが可愛らしく、どうしよう無く虐めたくなる。

 

「早くしてくれってよ」

 

「う、うそっ♥ ……指揮官様が、して欲しいだけでしょ」

 

「分かってんじゃねーか。早くしてくれ、勃ち過ぎて痛くなってきた」

 

「えっ、ぇえ……痛いのっ!?は、早くしなくちゃ……ぅ、ぅぅ、お、女は度胸!!」

 

 勢いよく服を脱いだアニスの胸が暴れ、両手でぷっくりとした膨らみを隠したアニスは、みっちりと肉の詰まった隙間を肉棒に近づけ。

 

「……ふぅふぅ……ぁ♥……ぁつっ♥」

 

 亀頭が割れ目に触れ、しっとりと潤った肌を掻き分け。

 

「……んんっ♥ ……あつぅ♥」

 

 想像を凌駕するふわふわな塊に雁が呑み込まれ。

 

「ふぅ♥ ……硬ぃ♥ ……熱いっ♥」

 

 ぐにゅぐにゅと柔肉が吸い付き。血管が膨れ上がり。

 

「はっ……ふぅ、ふぅ♥ おっきっ♥」

 

 腰にたっぷんと落とされた深い谷間から、亀頭が飛び出した。

 

「……はふぅ♥ ……指揮官様の……ぉ、その、凄いねっ♥ ほ、ほらっ、はみ出ちゃった♥」

 

 赤らんだ顔で微笑むアニスに、興奮が抑えられない。

 

「フーッ……アニス。そのまま扱け」

 

「う、ぅん♥ 気持ち良くなってね♥ 指揮官様っ♥」

 

 柔らか過ぎる塊が上下に蠢き、何もかもが心地いい。腰にたっぷんたっぷんと押し付けられ心地よく。柔肉が持ち上がると雁がずりずりと肉をかき分け心地いい。

 

「んっしょ……ど、どうかな……き、気持ちいい?」

 

 優しく、じんわりと浸透する快楽。これはコレで良いものだ。

 

「最高だ」

 

 不安そうに見詰める瞳にそう答えると、はにかんだアニスの奉仕に熱が籠もる。ぷっくりと膨らんだ乳輪から、陥没した乳首が顔を覗かせ、俺の目を楽しませる。

 

「あっつぃ♥ びくびくって、気持ちいいんだ♥ も、もっと気持ち良くなってね、指揮官様♥」

 

 たっぷん、たっぷん……ずりゅずりゅと纏わりつく乳肉を味わい、先走りが漏れ音に粘りが混じる。

 

「んっ♥ ……こ、これっ……私も気持ち良いっ♥ ……硬ぁい♥」

 

 ただ挟んで上下に揺すっているだけだが……これはとても良いものだ。視界が気持ちいい。違った楽しみがそこには有った。

 

「しきかんさまぁ♥ ……気持ちいぃ?アニスのおっぱぃ♥ ……すき?」

 

「好きだ……大好きだ」

 

「ふふっ、にひひ♥ ……ぁ、びくってしたぁ♥」

 

「アニス……舐めろ」

 

「……ぅ、ぅん♥ ぜ、全部隠れてないもんね。さきっぽ……寂しいよね♥」

 

 ぺちょっと舌先が亀頭を舐り、直ぐに離れる。

 

「……んっ……にがぁ♥ ……ぇろ♥ ……れろれろ♥」

 

 熱い舌に舐られ、亀頭を這い回る軽い刺激と、ずりずりと擦られる優しい刺激に、射精感を高めていく。

 

「れろれろ♥ ……ぺろっ♥ 指揮官様っもっと感じてっ♥ いっぱぃ感じてっ♥」

 

「……アニス……出すぞ」

 

「……ぅん♥ だしてっ♥ ……いっぱいだしてっ♥」

 

 柔らかな乳肉の中に大量の精を吐き出す。視界が弾けるような快楽は無いが、精神的な気持ちよさは段違いだ。

 

「はぁ♥ んっ♥ あつぅ♥ すっごぃ出てる、どくどくって♥ ……指揮官様ぁ♥ 熱いぃ、すっごくあつぃよぉ♥ おっぱい熱ぅ♥」

 

 肉棒が跳ね、乳肉はぴくぴく震え優しく肉棒を締め付ける。力強く吐き出された精が谷間から湧き出し、深い谷間を汚していく。

 

「ふぅ、ふーっ♥ す、すごっ♥ すごぃ匂いっ♥ ……いっぱぃでたね♥」

 

 深い谷間に精液溜まりを作ったアニスは……濃い白濁を指で掴み、粘ついた汁を弄びながら嬉しげに微笑んだ。

 

「ねばねばっで、ちょっと臭いけど……っふー♥ ……すきっ♥」

 

 指でねちゃねちゃと弄び、精の匂いを嗅ぎ、吐息に熱が籠もる。

 

「いっぱい射精しましたね♥ 指揮官……この前より量は少ないですが」

 

「むっかー!そんな事ないよね指揮官様!アニスの……おっ……むぅ、おっぱい!良かったよねっ!!」

 

「凄ぇ気持ちよかった」

 

「ほらっ!!……んひゃあ!」

 

「じゅずずっ♥ んくっ、じゅるるっっ♥ ごくんっ……はぁ、美味しい」

 

「な、何してんよ!」

 

「え?だって勿体ない♥ アニスはじっとしてて……じゅず……」

 

「ゃ、やめてっ!ラピっっ!止めてぇぇ……ひっ……ど、どこ舐めっ、んぁ……ら、らぴっ……ぃやっ……んぁ♥」

 

 ガシッと胸を掴んだラピが谷間に顔を埋め、精を啜っていく。百合百合しい光景に胸が熱くなり、肉棒は一切硬さを失わず、啜られ、肌を舐められ、艶めいた嬌声を聞きながら、二人の痴態を眺め続ける。……えっろ。

 

「ひっ……ど、どこ舐めっ、んぁ……ら、らぴっ……ぃやっ……んぁ♥」

 

「指揮官。綺麗にします♥」

 

 粘ついた精が纏わりついた肉棒は、ねっとりとラピの咥内に沈み、えづくこと無く根本まで呑み込まれ……ぴかぴかに磨き上げられた。

 

「ぷあっ♥ こくんっ……っふー♥ 指揮官♥ 私は宿所に戻りますので、今日はアニスで一杯気持ちよくなって下さい」

 

「ふぅふぅ♥ ……ぃぃ、の?」

 

「うん、直ぐに上書きするから♥」

 

「ふ〜ん、余裕ね……指揮官様っ!ぜ〜んぶ出してあげるからっ!」

 

「けぷっ……で、では指揮官、おやすみなさい」

 

「おやすみ、ラピ」

 

 精を貪ったからか、可愛らしいゲップをしたラピは、恥ずかしそうに頬を染め、足早にこの場を去った。

 

「……な、なんか……負けた、気分よね」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 月明かりに照らされ、汗に濡れた肢体が光を浴び、色気が増していく。両手の指は常に絡み合い、艶めいた嬌声を零しながら、アニスは汗に濡れた肢体を揺らし、剛直にその身を捧げていた。

 

「あんっ♥ ……おっきぃ、おっきぃよぅ♥ ……これっ、だめっ♥ すきっ♥ 好きになっちゃぅ♥」

 

 じっくりと時間をかけて馴らした膣は肉棒を受け入れ。空気が触れないよう根本までぴったりと繋がり、うねりを強める。

 

「あぁぁ♥ しきかんさまぁ♥ びくってぇ♥ びくってしないでぇ♥ ま、また……ぃっちゃぅ♥」

 

 柔らかな子宮が吸い付いて離れず、執拗なまでに亀頭を舐め回し、吸い付きを増していく。

 

「あぁ♥ ぃくっ♥ いくぅぅうう♥ ……ふっ、ふぅぅ♥」

 

 ぷるぷると、どこもかしこも柔らかく揺れ……見ているだけで気持ち良い。

 

「な、何回もっ♥ ……ぃってっ、ごめんねっ♥ ふぅぅ♥ ふぅう♥」

 

「いいぞ、何回でもイケ」

 

「ぅ、ぅん……ぃっぱい、ぃくね♥ ……ぁぁ♥ ふぁぁ♥ しゅごっ♥」

 

 ゆさゆさと揺すられ、積み重ねられた快楽が徐々に込み上げ。

 

「にへへっ♥ んぁ♥ ……も、もぅ、もぅ♥ ……動いちゃだめっ♥」

 

 可愛らしい反応に思わず浮いた腰が子宮を押し上げ、より深く奥に押し込んだ。

 

「んっ♥ あぁ、幸せっ♥ こんなに気持ちいいんだね……指揮官様っ♥」

 

 自分で腰を振れないもどかしさは有るが、乱れるアニスは美しく……豊満過ぎてアンバランスな肢体は酷く扇状的だった。

 

「んんんんぅぁ♥ ……し、ぃかんしゃまぁ♥ ……ふかぁいぃ♥」

 

 深く子宮を抉られる快楽に甘く鳴き。

 

「ぁっ、ふぁぅ♥ ……ぅぅ♥ ……んんぅ♥」

 

 自身の気持ち良い所に肉棒を擦り付け。

 

「あぁ♥ ふぅぅ♥ んんっ♥ あふっ♥ んぁあ♥」

 

 繋いだ手は一切離れる気配が無く。

 

「あっ、あっ♥ ぉくすごっ♥ とんとんって♥ とんとん……好きぃ♥」

 

「アニス……」

 

「あぁ♥ はふぅ♥ んっ、んはぁ♥ おっきっ、あっ♥ ふくれっっ♥」

 

「……出すぞ」

 

「ぅああ♥ おっきっ、おっきくぅうぅう♥ !!?―――〜〜〜ぁちゅ♥♥ ……ぁちゅ、ひっ♥」

 

 限界まで我慢した射精は勢いを増し、アニスの大切な場所を汚していく。吐き出される精を強請るように膣肉が蠢き、吸い付きを増した子宮が収縮を繰り返す。

 

「はっはっ、ふぅぅ♥ ふぅぅう♥ ぃくぅぅ、いくぅぅううう♥」

 

 たぷんたぷんと大きな胸が弾み、吐精を受け絶頂したアニスがふわりと倒れ込み、胸板に顔を埋めた。

 

「はふぅ♥ はふぅ♥ ……お、重たくなぃ?」

 

「ああ、気持ちいい」

 

 偶になら、こんなゆったりとしたのも良いかも知れないと心底思う。自分で鳴かせられないのはストレスだが、意外と悪くない。

 

「にへへ、しきかんさまぁ♥ ちゅうしよ♥」

 

 何よりも……アニスが可愛すぎる。

 

「んちゅ♥ ……はむっ♥ ちゅぱっ♥ ちゅぱ……んっ♥ ふっ、はふっ♥ ちゅぅぅ♥ ……れゅ♥ ……ぇおぇお♥ ……れりゅ♥」

 

 拙くも愛情を伝えるように絡みつく舌が、アニスという女の情の深さを現していた。

 

「ちゅぱ♥ ちゅ、ちゅぅ♥ ……はふぅぅ♥ ……おなか熱いよぅ、指揮官様♥ ……にへへ、にひひ♥」

 

 唇が離れ、全身に重みを感じながら、可愛らしく笑い続けるアニスが胸板に顔を擦り付ける。

 

「ねぇ、指揮官様?私の事好き?」

 

「好きだな」

 

「えへへ♥ ラピは?」

 

「好きだなー」

 

「だよね〜、でもね……絶対に私の方が先に好きになったの!」

 

「あん?……そっか、ありがとな」

 

「うん!絶対っ私の方が先!!……指揮官様は……やっぱり、マリアン?」

 

 マリアン……忘れもしない恩人。いつか絶対にあの正統派美女を……あの時とは違う意味で泣かせてやる。

 

「そうだな」

 

「むぅぅっ♥ ……でも良いの、そんな指揮官様が好き、ここでマリアンじゃないって言ったら嫌いになっちゃうよ」

 

「……お前、本当に可愛いな。すっげぇよ、才能だぞ。それ」

 

「―――っっ!……すっごく嬉しい♥ ……私ね、この時間が好き……指揮官様とぴったりくっついてるの……すきっ♥」

 

「ああ、俺もだ」

 

 抱きしめ、身体を擦りつけられ、何度もキスを求められ、唇を話したアニスがぽつりぽつりと不安を吐露する。

 

「私ね……指揮官様がラピだけの指揮官様になるかもって……すっごく不安だった」

 

 謝りはしない。悪いとは思っていないから。そんな事考えるくらいなら、どうやって幸せにするかを考えた方が建設的だ。

 

「…………今回『あれ』を伝えるのがラピで良かったってホッとしたの。最低だよね……」

 

 直ぐに不安になる所も、少し情緒が不安定な所も、アニスらしい。

 

「……狡いよね……最低だよね……」

 

「アニスが最低なら、俺はもっと最低だろ」

 

「えっ?」

 

「だってそうだろ……アニスとも、ラピとも……もっとヤりたいって思ってるからな」

 

「……にへっ♥ ……えへへっ♥ ……指揮官様のばぁか♥」

 

「マジで可愛いなお前……面倒くさい所も、直ぐに不安になる所も、笑顔が可愛い所も……全部好きなんだよ」

 

「にへへ♥ 指揮官様……すき♥」

 

 笑ったまま俺の頬に手を差し伸べ、おでこ同士をぴたっと付けたアニスの瞳が憂いを帯びる。

 

「……私ね死にたく無いって気持ちだけで戦ってた。でも、指揮官様が死ぬ方が嫌。指揮官様が死んで、私が生き残るのが一番嫌。見捨ててもいいから……捨て駒にしてもいいから……最後は指揮官様の腕に抱かれて、死にたいな」

 

 思った以上に闇が深いのかも知れない。アニスが今までどれだけの闇を見てきたのか知らないが、瞳の憂いを消す為……腰を突き挿れた。

 

「んんぅ♥ ……ゃん♥ もぅぅ♥」

 

「何度も言わせるな、見捨てねーし、捨て駒にもしねえよ。黙って俺に抱かれろ」

 

「も、もうっ♥ 良いこと言ってたのにっ♥ あんっ♥ ……ぅん、これが一番♥ 一番好き♥」

 

「全部出させるんだろ?」

 

「うん♥ ……ぁんっ♥ ……で、でもね指揮官様♥ ラピのあの態度はなんなの……んっ♥ 『私が正妻です!私が一番指揮官様の事わかってます』みたいな顔しちゃってさ……むぅ、何かムカつくっ……私だって……胸だって私の方が……きゃん♥」

 

 腰を止めブツブツ言い出したデカメロンに手を這わし、腰を小さく揺すると、瞳がうっとりと蕩け始めた。

 

「んっ♥ ……あんっ♥ ふぅぅ♥ ……指揮官様のえっち♥」

 

「悪いな、俺はえっちなんだよ。アニスのこと食べ尽くすからな、覚悟しろよ?」

 

「……あっ♥ ……あひゃっ♥ うん、アニスを指揮官様で……染めて♥」

 

「俺専用にしてやるよ」

 

「んぁ♥ ぁあ♥ これすきっ♥ で、でもっ、こうすれば指揮官様がしてくれるっ♥ ……って、おぼえっちゃった♥」

 

 可愛らしく舌を出し、ぽってりと膨らんだ子宮を撫で擦るアニスが、にへへと笑みを零した。脚が治ったら徹底的に虐める事を誓い、揺れる乳肉を強く掴む。

 

「味占めやがって、あーくっそ可愛いな!脚が治ったら抱き潰してやるからなッ!」

 

「んひぁ♥……んんぅ♥ あんっ♥ もっと、もっとしてっ♥ アニスが指揮官様しか見えないように、いっぱぃ♥ してぇ♥」

 

 




アニスが可愛いと思ったそこの貴方!今直ぐNIKKEをインストール!!

ぎ、ぎりぎりセーフ!!


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19 ★ アニス ラピ

推敲中に寝ちゃったの……許して!


「―――っ♥ ―――ぅ♥ ―――ぁあ♥ あっぅ♥」

 

「!?―――ッ……ん?」

 

 陰茎から流れ出る感覚に焦って身体を起こすと……柔らかな膨らみに包まれた。

 

「ぃくっ♥ いくぃくぅ♥ いくぅううぅぅん♥」

 

 ドクドクと脈打つ肉棒から精が吐き出され続ける。根本まで余すこと無く包みこまれ、深みに嵌るこの感覚……考えるまでも無く、誰なのかは直ぐに分かった。

 

「ッ……アニス?」

 

「はっふぅ♥……ふーっ♥ ふーっ♥ ……ぁちゅ♥ ……ぁっ♥ しきかんしゃまぁ♥ ……んぁ♥ ……ぉはよぉ♥」

 

 優しく抱きしめられ胸に埋まった顔をあげると……完全に出来上がっていた。

 

「あ、ああ、おはよ―――」

 

「ふぅぅ♥ ふぅ……これっすきぃ♥」

 

 体重を預けられ、ベッドに倒れ込む。胸板でふにゅふにゅと形を変える膨らみに吐精の勢いが増す。

 

「ふぅぅ♥ ふぅぅ♥ ……んんぁっ♥ ……はふぅ♥ すっごくたっぷり♥」

 

 仮初めの日差しを浴び、汗がきらきらと輝くアニスは、酷く扇状的で。

 

「はふぅ♥ ……あっ、ごめんね指揮官様……重いよね」

 

 吸い付いた肌が離れ、たぷたぷと揺らしながら輝く笑顔を見せるも。

 

「んっ……そ、そんなに見ないでよぅ♥」

 

 俺のギラつく視線を浴び、頬を染め肢体を隠した。……可愛いは正義だと、心底理解したのはこの瞬間だと思う。

 

「……えろ過ぎだろ」

 

「!?ぁ……ぅぅ……こ、これは、その……あ、あのね……」

 

 染まった頬が更に紅くなったアニスに対し、俺は最後の一滴を吐き出した。

 

「んぁ♥ ……し、指揮官様が悪いのっ♥ あ、あんなにいっぱい、そ、その……してあげたのに、起きたら……ぉっきく、なってるからぁ♥」

 

「それは、仕方ない」

 

 むしろ、もっとやれ。

 

「そ、そうでしょ!……そ、その、私も……したかった、からっ♥」

 

 尻すぼみになる声が甘く脳に浸透し、アニスを引き寄せ腕に抱く。あざと過ぎる……めちゃくちゃに可愛い。今日は休みでいいや。

 

「んぁ♥ ……も、もぅ、朝からすっごくいっぱぃ♥ んんぅ♥ あっ♥ んんんぅぅ♥」

 

「まだヤるぞ、明るいとこで見たい」

 

 腕の中でぴくっと反応したアニスは、全身をぷるぷる震わせ小さく零した。

 

「……ぃぃ、よっ♥」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 巨根を飲み込み、俺の腹筋に手を付いたアニスは、ゆっくりと腰を上下に振り、たっぷりと肉付きの良い尻肉が肌に張り付き、ぱちゅぱちゅと音をたてる。どこもかしこも柔らかな身体は光を浴び、淫靡な肢体を強調していた。

 

「はぁっ……ひっ♥ ……こ、これぇ、昨日よりぃ、おっきぃのぉ♥」

 

 たぷんったぷんっと暴力的に揺れる膨らみが腕の間で暴れ、収まりきらないハミ出た肉が性感を刺激する。

 

「めっちゃえろい身体してるよな」

 

「あんっ♥ い、ぃわないでっ♥」

 

「褒めてんだよ」

 

「あっ♥ ふぐぅぅ♥ ……し、指揮官様だけっ、だよぅ♥ ……アニスのぇっちな身体♥ ああん♥ ……見ていいのっ♥」

 

 照れながらも、愛らしく伝えられ胸が熱くなる。

 

「脚が治ったら、ちゃんと抱くからなッ」

 

「ふっ、ふっ♥ ……ぅん♥」

 

 揺れる胸に手を伸ばし、ぷっくりと膨れた乳輪をぐにぐに揉み込み。

 

「ひぐっ♥ ……ゃぁ、むねっよわぃのぉ♥」

 

 陥没した窄まりに指を差し込み乳頭を撫で、可愛がる。

 

「ぁひっ♥ ……はひっ♥ じ、じっとっ……しててぇ♥」

 

 顔を覗かせた恥ずかしがり屋を優しく掴み出すと、膣肉が痙攣し、うねりと共に締め付けが増した。

 

「はっ、ぃひっ♥ 〜〜〜っぅぅ♥♥♥」

 

 目をぎゅっとつぶり感じ入ったアニスは、腰を落としたままぷるぷると快楽に震えるが、弄ぶ手は止まる筈もなく。 

 

「ほら、もっと腰振れ、出してやらねぇぞ?」

 

「―――ふぐぅ♥ ふぅっ♥ っむ、むりぃ♥ よ、よすぎてぇ♥」

 

「仕方ねぇなッッ!」

 

 完全に腰が止まったアニスを小刻みに突き上げ。

 

「あひっっ♥ ―――〜〜〜!!ぅあ♥」

 

「直ぐ、出してッ、ヤるからッ……イケッ!」

 

 ガクガクと震えながら、逃げようとするお尻に手を食い込ませ。

 

「ぁひぃ♥ っひ♥ ……ふかっ♥」

 

 雁で肉を抉り。

 

「ふかぃぃいいい♥ だめっ♥ らめぇ♥」

 

 子宮を抉じ開け。

 

「んんぅ♥ ゃぁ♥ ……アニスがするのぉ♥」

 

「ッ……出るからッ、動けッ!」

 

「っふ、っふぅ♥ ……ふぐっ♥ ……いくっ♥ ぃくぅ♥」

 

 ぺたんぺたんと肉の弾ける音が響き、腰の震えに身を任せた。

 

「いくぅ♥ ぃくっ♥ !!!ぁ♥ っぁ〜〜〜〜♥♥♥」

 

 射精にあわせイキ癖が付いたアニスは、唇から蜜を垂らし身体を震わせ続けた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ちゅ♥ ぷぁ♥ ……はふぅぅ♥」

 

 唇から垂れた蜜を舐め取り、長い舌同士の交わりが終わり、快楽の余韻が抜けきらない肢体を小刻みに震わせるアニスは、心底幸せそうに笑顔を見せる。

 

「……ぃっぱい、ぃっちゃった♥ ……ぃっぱいでたね♥」

 

 ぴんと立ち上がった乳首を晒し、えへへと笑い下腹を撫で擦る姿は、慈母の様に穏やかで。

 

「お腹いっぱぃ♥ ……ごちそうさまっ♥ 指揮官様っ♥」

 

 ぽっこりと膨れた下腹が、寝ている間にどれだけ絞り取られたのかを物語っていた。

 

「朝から何発絞ってんだよ」

 

「えへへ♥ えっと、ね……ん〜、3かぃ?」

 

 三回搾られても射精量が減るどころか、むしろ増えている様な気がするんだが。

 

「し、指揮官様が悪いのっ♥ あ、あんなにいっぱい、そ、その……してあげたのに、起きたら……ぉっきく、なってるからぁ♥」

 

「……生理現象は、どうしようもないだろ」

 

「大きくなって苦しそうだったからね……ぜ、全部ださなきゃって……ぃゃだった?」

 

「嫌なわけないだろ」

 

「んっ♥ ……えへへ♥ ……指揮官様好きっ♥」

 

「このまま、するか?」

 

「ぅん♥」

 

「駄目です。指揮官」

 

「んぇ?……あひゃ♥ ……も、もぅ」

 

 撓垂れかかろうとしたアニスの肩を掴み、引き剥がしたラピは窓を開けて換気を行う。心なしかドスケベ衣装の肌面積が増えている気が……。

 

「凄い匂いよ、アニス。シャワーを浴びてネオンと威力偵察に行って来て」

 

「えぇ〜〜、なんで〜……独り占めするつもり?」

 

 ベッドの隅にちょこんと座ったアニスが文句を言うが、何も入ってこない。日光を浴びてキラキラと光る肌がえろ過ぎる。

 

「自分の力を確かめた方がいいから」

 

「んん?……自分の、力?」

 

「そう。多分強くなってるはずよ」

 

「そ、そんな事無いと思うけど……うん、いいよラピ。指揮官様を頼んだわよ」

 

「まかせて」

 

「んんぅ……んっ、垂れちゃぅ♥ もう、指揮官様見すぎっ♥ ……シャワー借りるね〜!」

 

 シーツに包まり身体を隠したアニスはそのままズルズルと引きずり、部屋を出ていった。そうなれば必然的にラピと二人きり。

 

「おはようラピ、本当に身体は大丈夫な――ッ!?」

 

 アニスを見届けた瞬間に押し倒され、唇を奪われた。そんな強引な行動を取りつつも、折れた脚に負担が掛からない配慮は流石の一言。

 

「んふぅ♥ ちゅぱぁ♥ おはようございます。指揮官♥ ……問題ありません」

 

「そうか、良かった」

 

「良くはありません……私は指揮官を守れなかった」

 

「お前もか……守ってくれたさ、初撃で終わらなかったから、今があるんだろ」

 

「それでも!……二度と、あのような事しないで下さい……お願いです」

 

「もう、やらねぇよ。アニスにも言ったんだがな……もしどうしようもない状況になって、俺か、お前が死ぬとしたら……俺と一緒に死んでくれるか?」

 

 小さな嘘をついた。同じ状況なら、迷わず同じことをする自信がある。自己犠牲とかそんな綺麗なものではなく、自分の為にそうするだろう。

 

「はい。ですが、私が指揮官を死なせません……必ずお守ります」

 

 誤魔化すように帽子を取り、髪を撫でる。

 

「守られてばっかってのは……性に合わねぇんだけどな」

 

 甘く良い匂いのする長い髪を弄んでいると、手が重なった。

 

「髪……指揮官は聞かないんですね……」

 

「それは―――」

 

 脳裏を過るのは、真紅に染まったラピ。

 

『コード解放。―――シーク―――ボディー。アク―――』

 

 何を呟いたのか、完全には聞き取れなかったが、一瞬だけ真紅に染まった。

 

「―――女ってのは秘密が有るくらいの方が良い……俺はその方が好きなんだ」

 

 ラピならきっと自分から俺に話す。それをしないという意味を考え、強引に聞き出そうとは思えなかった。

 

「……はい」

 

「だからな、どうしても話したくなったら……話してくれよ」

 

「……はい♥ 指揮官」

 

 潤んだ瞳でそんなに見詰められると、ヤリたくなるんだが?

 

「するか?」

 

「いえ、お身体が治ってから……いっぱいして下さい♥」

 

 健気過ぎて、自分が恥ずか―――

 

「それに、多分我慢できず指揮官に痛い思いをさせる気がしますから、我慢します」

 

 ―――うん、そういえば、ドハマリしてたし、理性無くなるタイプだったな。

 

「……じゃあ俺もシャワー浴びないとな」

 

「いえ、私が綺麗にします……んむっ♥ ……ちゅぱっ♥ ちゅるぅ♥」

 

 精と愛液に汚れ半勃ちまで落ち着いた肉棒を熱い舌で清められ、即勃起した肉棒をしゃぶられ続け……結局一発出す事になった。

 

「っふー♥ っふー♥ 指揮官……前より大きいっ♥ ……早く良くなってっ……ら、乱暴にして……くださぃ♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 精根尽きかけた身体に大量の飯を詰め込んだ後、シュエンに対する報告書を作成していると……扉が悲鳴をあげた。

 

「師匠!!お話があります!」

 

 如何にも怒っていますと言わんばかりの形相で歩を進めるネオンに対し……慌てて椅子を引く。

 

「――んごぉ♥」

 

「な、何の話だ、ネオンッ!!」

 

 それ以上近づくなと意味を込めて上げた腕はガン無視され、机にドンッと手を付いたネオンが身を乗り出す。

 

「アニス!……と、ラピもです!!」

 

 ッッ!!?……心臓の高鳴りと共に肉棒が跳ね、それを合図に責めが激しくなった。

 

「―――ずっ♥ ―――りゅ♥ ―――ぢゅ♥」

 

 思わず視線を下げた俺は、ジッ見詰める瞳に♥を幻視し、止めるのを諦めた。

 

「ンンッ!……二人が、どうか、ッ、したか?」

 

 机の下で肉棒を咥えこんでいたラピは……喉奥を突かれた事で瞳を蕩けさせ、完全に熱に浮かされていた。こんな爛れた生活を送る事になるとは夢にも思わなかったが、異常な状況に血管はバキバキと膨らんだ。

 

「私が……私が火力で負けたんです!!……ラ、ラピはともかく……アニスにも!!」 

 

 血管の浮き具合に味を占めたのか、縦横無尽に這い回る舌が別の生き物のようにうねうねとうねりが強まる。

 

「フ、フーッ、そ、そうか……」

 

 は、早まったかも知れない……上手すぎるッ。ま、また負けるのかッ……あ、あんな屈辱は二度とゴメンだッ!

 

「師匠!!私は……悔しいです!」

 

 ほ、本当に申し訳ないが、何も頭に入ってこない。

 

「ラピは元エリートですから、目標に出来ますが……アニスは駄目です!!……ですから師匠……私は火力の修行に行ってきますっ!!」

 

 先走りが漏れ、つんつんと鈴口を舌の先端で刺激し始めた。もっと欲しいと、舌先が鈴口に入り込もうとしてくる。

 

「……師匠?……具合が悪いんですか?」

 

 声の近さに目を開けると、心配そうに見詰めるネオンの顔が直ぐ近くにあった。

 

「――りゅ♥ ――ろっ♥」

 

 この唇に重ね合わせたらどんな反応をするのだろうかと、溶けた頭で考えてしまい……肉棒に血液が更に流れ、嵩は膨れ上がり、血管がより一層張り詰め、ドクドクと脈打ち始める。

 

「だ、大丈夫だ」

 

「――ゅずず♥ ―――ぢゅ♥」

 

「……師匠?……何の音でしょうか?……水音?」

 

「……ッ、ミ、水漏れかもな」

 

「……み、水漏れっ!!」

 

 これ以上は不味い……ネオンが辺りを見渡した隙に、ハンドサインでラピに動きを止めるよう指示を出す。

 

「―――♥ ―――りゅれろ♥ ……っふー♥ っふー♥」

 

 一ミリも伝わらず。むしろ激しさを増し、喉奥まで咥え込まれた。

 

「水漏れ……シャワーが止まる!?師匠、シャワー借りてもいいですか!」

 

「ッす、好きに使えッ……」

 

 熱い鼻息が肌を擽り、ラピの高ぶりが伝わってくる。

 

「はい!火力道を極める為にも、先にシャワーを浴びて行ってきます!!」

 

「お、おう……頑張れッッ」

 

「はい!!流石師匠!あっ、連絡貰ったら帰りますのでご心配なく」

 

 射精まで近い事を悟られ、睾丸を揉まれ、吐精を催促され。

 

「わ、分かった……ッッグ」

 

「あ、言い忘れてました師匠。助けてくれてありがとうございました!」

 

 とびきりの笑顔を浮かべたネオンを尻目に、大量の精が吐き出された。

 

「ァ……アアッ、ネオンが無事で良かったッッ!」

 

「んくんくっ♥ ……じゅずずず、じゅる、れる、んぐっ、ぢゅるぅぅ♥ ……ごくっ、んぐっ……っふー♥ ふーっ♥ ……れりゅれりゅっ♥」

 

 睾丸を優しく刺激されながら、もっと欲しいと言わんばかりに啜られ続け、机に突っ伏すハメになった。

 

「ぷあっ♥ っふー♥ ……けぷっ♥ ……行きましたか?指揮官」

 

「ラピッ……」

 

 胸元を大きく緩めたラピは、指で剛直を弄びながら、上目遣いで見詰めてくる。

 

「指揮官、おちんぽが……凄くお元気です♥ もう一度出されますか♥」

 

 かぱぁと口を開きれろれろと赤い舌ベラを蠢かせ、湿り気を帯びた熱い息がねっとりと肉棒を包み込み。

 

「……ッグ!?」

 

 無言な俺を肯定と取ったラピは、分かっていますと言うように舌を這わし、熱い咥内に肉棒を沈めていく。

 

「はむっ♥ れじゅる♥ おひんぽ、おいひぃれす♥ おくちおまんこ♥ ……たっぷり、ご堪能下さい、指揮官♥」

 

 握りしめたペンがミシミシと音を立て始める。

 

「はぁむっ♥ ……ぢゅるぅう……ちゅっ、ちゅぅ……れぇ♥ ほいひぃれふ……ぉむ、じゅっぱ♥ じゅるるぅぅうう♥ ちゅぽ……指揮官♥ ……いっぱいお射精してください♥」

 

「たっだいま〜、指揮官様ぁ♥」

 

「!?――お、おかえり」

 

 ネオンが帰って来たという事は、アニスも帰ってくるのが道理だろう。ふわふわな髪を湿らせている事から先にシャワーを浴びて来たことが分かった。

 

「……あれ?疲れ気味……珈琲飲む?淹れてこようか」

 

「ッああ、頼んで、いいか」

 

「もっちろん、直ぐ淹れてくるね〜」

 

 鼻歌を歌いながら部屋を出ていくアニスを見送り、足元のラピに小声で話しかける。

 

「ラピ……流石に不味い」

 

「んぷはぁ♥……で、ですが指揮官♥ ……まだ、こんなにガチガチです♥」

 

 何でそんな機能を追加したのか知らないが、瞳の奥に♥がくっきりと浮かんでいて、クソえろい……脚さえ折れていなければ、直ぐに鳴かせてやるのにッ!

 

「……フーッ、アニスが不審がるぞ?」

 

「れりゅ♥ ちゅ、ちぅ♥ ……ですが……こんなに張り詰めて♥ ……苦しそう♥」

 

 テメェのせいだろうがッ!ねちっこぃフェラしやがってッ!

 

「な、なら……音出すなよ」

 

「ふぁい♥ ……れろれろ、ちゅ、ちゅ、ちゅぅぅう♥」

 

 アニスが帰ってくる僅かな時間では説得出来ず、状況は変わらなかった。

 

「はい、指揮官様。味わって飲んでね」

 

 淹れてくれた珈琲を飲む間も、音を立てずねっとりと、舌が這い回り続ける。

 

「ラピは何処行ったの?」

 

 組まれた腕に乗せられた胸がぷるぷると揺れ、視線が谷間に吸い込まれた。

 

「工房に行ってもらったんだ」

 

 速攻で終わらせて帰って来たがな。

 

「そっか、じゃあ……おっぱい、揉む?」

 

「!?……ブフッ」

 

 危ねぇ吹き出すとこだった。多少の被害で収まった机にでかパイをのしっと乗せ、にやにやしながら俺を見ていた。

 

「えへへっ♥ 冗〜談、でも……いいよ。指揮官様っ♥」

 

 何がいいんだ。ナニが……。

 

「報告書類終わらせるから……ゆっくりしとけ」

 

「うん、指揮官様を見てるね♥」

 

 くっそ可愛いかよ。

 

 

 結局、報告書は完成せず……肉棒がラピの咥内から出ることは無かった。

 

「こくこく♥……じゅずずず、じゅる、れる、んぐっ、ぢゅるぅぅ♥ ……ごくっ、んぐっ……っふー♥ ……れりゅれりゅっ♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 午後も過ぎ、側にぴったりと寄り添ったラピがぴくりと反応し、乱れた衣服を素早く整え後方に待機した。それと同時に扉が再度悲鳴をあげる。

 

 ……恨みでもあんのか?……ネオンといい、優しくしてやれよ。

 

「ちゃんと掃除して―――」

「指揮官。無断侵入者です。排除します」

 

 ラピの初動は早すぎた。シュエンを認識した瞬間、床が悲鳴をあげ、咄嗟に声を張り上げる。

 

「は?、!!待てッ!!」

 

 胴を刈り取らんばかりに振り上げられた脚が寸前で止まり……風圧でシュエンの髪が崩れる。

 

「……へっ?」

 

 一足で懐まで踏み込み、胴を抉る様に放たれたまま止まったラピは、衣服を整え無表情でシュエンを見下した。

 

 おいおい……あんな蹴り食らったら、死にかねんぞ?

 

 ぺたんとへたり込んだシュエンに対し、ゆっくりと定位置に戻ったラピが呟いた。

 

「アポイントは受けておりませんが、どうやらお知り合いのようです。申し訳ございません」

 

 全く心の籠もっていない冷えた口調で告げられ、へたり込んだシュエンはわなわなと震える。

 

「!?―――ぉ、ぉお、お前……ちゃんと教育しなさいよ!!」

 

「ああ、すまんな……ラピ、悪いが少し外してくれるか」

 

「……分かりました。待機いたします……ちっ」

 

 え?……今、舌打ちした?

 

 無表情なラピは底冷えするような視線をシュエンに浴びせ、形式だけの謝罪を再度投げつけ部屋を去っていった。

 

「―――あいつ……も――――ルートの……絶対態とだろ……くそっ……――くずの分際で!」

 

 座り込んだまま、小さくブツブツと零し震え続けるシュエンに近づく。

 

「おい、嬢ちゃん……ぶつぶつ言ってねぇで早く立てよ」

 

「!?っ……くそっ……こ……腰が、抜けたの」

 

「……まぁ、漏らしてないだけ凄いと思うぞ」

 

 凄まじく鋭い蹴りだった。ラピを怒らせないようにしよう。

 

「……だっこ」

 

 顔を逸し腕だけを俺に向けたシュエンが小さく呟く。

 

「……ハァー、ほら、掴まれ」

 

 真っ赤に染まった耳が情事を鮮明に思い出させた。

 

「んっ……ぁ―――」

 

 小さく呟かれた礼の言葉には反応せず、そのまま縋り付くシュエンを抱え、部屋を移す。あの時のソファーに座らせ、対面に腰を降ろすと、俺が要件を聞く前に、調子を取り戻したシュエンが口を開いた。

 

「で、報告は?」

 

 ……ラピの奉仕に夢中になって出来ていない……さて、どう誤魔化すべきか。

 

「作成中に思い返したんだが……資料として残さないほうが良いと思ってな、明日には出向く予定だったが……嬢ちゃんが来てくれて良かったよ」

 

「……確かに、そうかもね……今回は許してあげるけど、一言くらい連絡を寄越しなさいな」

 

 何とか乗りきり、ほっと胸を撫で下ろす。

 

「じゃあ、説明しなさい。トーカティブがお前を狙ってるっていう根拠」

 

「アイツは初撃の際『見つけた』と吐いた。その上で俺を狙った……殺さない程度に加減してな」

 

 行動不能にし、死なないラインを見極めた初撃。そのおかげでラピが無傷だったから結果的には良かったが……。

 

「『共に行こう』って言われたよ、従えば危害を加えないとも……根拠としては十分だろ」

 

 ミハラが言うには40人以上は死んでいる。相手がトーカティブかどうかは知らないが、数人は出会っていても不思議ではない。

 

 俺の言葉をしっかりと聞いたシュエンは瞳を閉じ深く考え込む。

 

「……そうね。少し弱いけど可能性は高いんじゃない。やっぱりお前には……何かありそうね」

 

「俺に?何もねぇよ」

 

「ねえ、お前……私の物になりなさい」

 

「あ?プロポーズか」

 

「……そうね、それでも良いかもね……絶対に裏切らない楔を打てるなら」

 

 軽口にも動揺せず、悠然と言い放ったシュエンには貫禄があり、ただのメスガキじゃない事を再認識させられる。

 

「俺は裏切らねぇよ……俺を裏切らない限りはな」

 

「そう、ならいいじゃない。私は裏切ったりしないわよ……それで、答えは?」

 

 貼り付けられた嫌らしい笑みが、切り捨てる気満々な事を物語っている。やはり、CEOをちんぽで堕とすのは難しいようだ。

 

「……俺の物になるなら、いいぞ」

 

 少し考え、怒り出す事を予見し提示した交換条件。

 

「くふ、くふふっ……あははっ、ば、馬鹿じゃないの、よくそんな事言えるわね」

 

 そんな言葉に笑いだしたシュエンは、腹を抱えて笑い、脚をぱたぱたさせ、けらけらと笑い転げる。

 

「……あ〜、お腹痛い……私がお前の物に、なるわけないでしょ」

 

 薄い布がチラつき、誘ってんのかと思ったが。そういう訳ではないらしい。

 

「なら、交渉決裂だな」

 

「そうね……短い関係だったわね」

 

 協力関係の終わりを仄めかす言葉の意味。それが主導権を握ろうとしている事くらい流石に分かるが、俺が断らない事も分かってんな、このガキ……乗ってやるよ。

 

「いや、支援はして欲しい、頼む」

 

「ふっ、ふふふふっ、良いわよ。ちゃ〜んと助けてあ・げ・る♥」

 

 調子に乗らせるのも悪くない。その後が楽しみになるだけだ。鳴かせてやるから、いい声で鳴いてくれよ?

 

「あんま無茶苦茶言わんでくれよ」

 

「当面はいいわ、怪我してなかったら頼みたいことがあったけど、療養しなさいな」

 

「そういう所は、まともなんだよなー」

 

「は?調子に乗るなよ」

 

 ……情緒不安定過ぎる。

 

「……それで、話は終わりか、ベッドが恋しいんだが?」

 

 立ち上がろうとする俺に対し、シュエンは悪どい笑みを浮かべ待ったをかけた。

 

「お前との協力関係にあたって、提案があるの……聞く?」

 

「ああ、聞くだけな」

 

「私との関係は誰かに言った?」

 

「いや、誰にも言ってねぇな」

 

「そう……なら、誰にも言っちゃ駄目よ。水面下の関係にするわ。表向きは対立してるように見せかけるの」

 

「なるほど。それで」

 

「誰でもいいから取り入りなさい。おすすめはイングリッドね」

 

 取り入る、か。暗に(しも)で出来るだろと言われてる気がするが……エリシオン社のCEOねー。確かにドスケベな可能性が高いが、そこまで惹かれねぇんだよな。

 

「機会があれば……だな」

 

「それなら安心ね。もうバレてるから。私がした事も、お前がアレと戦って生き残ったことも」

 

 は?

 

「情報を流したの。近い内に呼び出されるんじゃないかしら、その時にでも取り入れば?」

 

 嫌な予感がぷんぷんしやがる……そうか、そうかそうか!……そんなに躾けられたいんだな?

 

「ハァー……俺の平和が……!?お、おい、問題ないんだろうなッ?」

 

 バレてるって事は当然俺の怪我についても露見しているはずだ。流石にそこは許容出来ない。

 

「お前の大事な鉄くず共なら問題ないわよ。バレるのなんて時間の問題だったから先手は打ってあるし、この件で出張ってくる事は無いわ」

 

 何もかもお見通しってか……ちゃんと見極めてる所とか、たちが悪い。

 

「嬢ちゃん的には、イングリッドを探れってのか?」

 

「違うわね。保険と実益。それと趣味よ。アイツらは私が目障りだろうから、お前が上手くやれば懐に飛び込めるはず。懐に抱えたのが私の飼い犬とも知らずにね……くふっ、くふふっ……最っ高じゃない!」

 

 あー、そういうことね。やっぱ歪んでんな。

 

「うふふっ、あ〜楽しみっ、ホント、楽しみね〜」

 

 嗜虐に歪んだ悪どい笑みが嫌いになれないのは……俺の性癖だろうか。この際、飼い犬呼ばわりは許してやろう。

 

「保険……ねえ」

 

 要するに勝手に動くから危なくなったら助けろって事か。確かに今回の件が露見しているのなら、俺とシュエンに確執があると思うのが普通、今後もトーカティブに遭遇する可能性がある以上、アークも俺を放っておかない可能性が……高いだろうな。

 

「そ、保険。お前の仕事は私を助けること。重大よ」

 

「人間の枠組みなら、どうにかなる。指揮官という立場があれば、ニケにも勝ち目がある。ちゃんと助けてやるから、安心しとけ」

 

「そう、頼んだわ……ねぇ、お前、暇でしょ?」

 

 真面目な雰囲気が途端にガラリと変わりシュエンは立ち上がる。

 

「まぁ、そうだが」

 

 俺に向かい歩を進め、小さな手が柔らかな太腿を這い上がりスカートの中に伸ばされた。

 

「そうよね……なら、裏切らないよう―――」

 

 瞳が怪しく蕩け、ゆっくりと焦らすように下げられた布はじっとり湿り。

 

「―――たぁ〜〜っぷり、躾けてあげる♥」

 

 とろりと蜜が零れ落ちた。

 




アリーナのゾンビバグ……治った、のか?
特定の条件がありそうですね。


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20 ★ シュエン

投稿後に多少手直し工事しました。ごめんなさい!!


 下げられた布に粘度の高い蜜が零れ、シュエンは真っ赤な舌ベラで妖艶に唇を舐めた。

 

「ちゃんと見なさいな……凄くえっちだと思わない?」

 

 濡れそぼった恥部を隠す短なスカートが、ゆっくりと焦らしながら捲くられていき。

 

「ほら、見たいでしょ♥ 私のえっちな幼い割れ目……ふぅ♥」

 

 産毛のような陰毛が晒され……視線を浴び、また一滴……粘っこい蜜が垂れた。

 

「……わ、忘れるんじゃ、無かったのか?」

 

 余りにも淫靡な光景、甘ったるい濃厚な雌の匂いが渦巻き、咄嗟に出た言葉は半ば否定の言葉だった。

 

「忘れたわ……だから、忘れられなくしてあげるのよ……たっぷりね♥」

 

 唖然とする俺に対し、熱の籠もった視線を逸らさず、シュエンはじわりじわりと距離を詰めてくる。

 

「―――ッ」

 

 一歩踏み出す毎に、粘度の高い蜜がとろっと零れ、下げられた布を汚し、透き通るようにきめ細かな太腿に蜜が滴る。

 

「痛いんでしょ、動かなくていいわよ。この、未熟な身体♥ ……好きなんでしょ?」

 

 脳裏に幼い裸体が浮かび上がる。染み一つ無い処女雪のように白い肌も、掌より尚小さな膨らみも、掴み易い大きめな臀部も……そして、媚びるように見詰める瞳も、全てが俺を狂わせる。 

 

「こんな事しなくても、裏切らねぇよ」

 

 脳裏で甘く鳴いていた雌は、眼の前で邪魔な布を机に捨て、愉悦を瞳に浮かべ距離を詰めた。

 

「でも、こうすればもっと裏切らなくなるわ……どうなの好きなの?嫌いなの?」

 

 ソファーに乗り上げ、俺に跨ったシュエンは肩に手を置き、唇の距離を縮めていく。

 

「……好きだが」

 

「ふふっ♥ ……お前ってロリコンなの?」

 

 妖艶に笑い、冷たい手が頬を優しく撫でた。

 

「……ロリもイケるだけだ」

 

 どうやら、俺は責められる事に弱いらしい。完全に予想の範疇を超えた行動……まさかシュエンが自ら抱かれに来るとは、夢にも思わなかった。

 

「じゃあ、ロリコンにしてあげるわ……んっ♥ たっぷり躾けてあげる♥」

 

 自らの蜜を掬い取り、俺に魅せつけたシュエンは蜜を指で弄び……。

 

「ほら、見なさいよ♥ こんなに溢れて……舐めなさい♥」

 

「……断ッ――ッ」

 

 強引に唇を割り入った指が舌に塗り込まれ、甘酸っぱい蜜の味が広がった。

 

「ふん、生意気ね。抵抗なんてしてない癖に」

 

 極上のメスガキが自ら抱かれようとしているのに抵抗なんてするはずが無い。例えそれが、腑に落ちない形だとしても……正直に言うと、少し楽しくなってきた。このまま好きにさせるのはどうだろう……脚が治ってから、徹底的に躾けた方が絶対に気持ちいい。

 

「……そうだな。抵抗なんてしない。好きにしてみろ」

 

 嗜虐的な高ぶりは、ラピやアニス……特にアニスには向けられそうもない。このメスガキに対してだけは、何故こんなにも虐めたくなるのか……まるでミハラとユニのように、歯車が噛み合っているかのような不思議な感覚に陥る。

 

「……違うわね。お前が私に頼むのよ。気持ち良くしてくださいって。私を抱きたいって……お願いしなさいな♥」

 

「……ック……くそが、嬢ちゃんを……抱きたい」

 

「ふふふっ♥ ダメねぇ〜、全然ダメ……ちゃんと名前で呼びなさい♥」

 

 このガキッッ……調子に乗りやがってッ!

 

「フーッ……シュエン、抱かせてくれ」

 

 首筋の血管が膨れるほど力を込め、怒りによる震えを抑える。このまま組み敷くのは簡単だが、万全の状態で鳴かせた方が絶対にイイ。この屈辱は必ず倍にして返すと誓いをたて、望む言葉を投げかけると、シュエンの唇が愉悦に歪んだ。

 

「うふふっ♥ やれば出来るじゃない……触るな!」

 

 伸ばした手は叩かれ……素直に従った俺の手に満足気に微笑み。シュエンは俺の髪を撫で、顔を耳元に近づけた。

 

「ちゃんと出来たらご褒美をあげるわ♥」

 

「……分かった」

 

「ふふっ、良い子じゃない……じゃあ、窮屈そうな、これ……だしても良いわよ♥」

 

 脚で陰茎を踏まれ、ブチギレそうになりながらも、ベルトを外していく。素直に従う俺を見据え、シュエンの喉が隆起し、見詰める瞳の情欲が熱を増していく。

 

「……脱いだぞ」

 

「下着も脱ぎなさい」

 

 ちんぽビンタが好きなのかと邪推し、下着は残しておいたのだが……俺の誠意は伝わらなかったようだ。

 

「そうかい……ほら、これでいいか?」

 

 腰を浮かし、下着を脱ぎ去ると、濃厚な雄の匂いが辺りに充満し、腹筋を肉棒が叩いた。

 

「!?っ……くっさぁ♥ こんなに臭くて恥ずかしくないの?」

 

「恥ずかしくねぇよ」

 

「ほんとくさぃ♥ ……前より匂いがすごぃ♥ ……んっ♥」

 

「前より……何時の話だ?」

 

「!?うるさい!……調子に乗るなよっ!……ふーっ♥」

 

 失言を拾い上げると、敏感に反応するシュエンが、最早愛おしい。

 

「くそっ……お前なんか、これで十分でしょ?」

 

 ブーツを脱ぎ捨てたシュエンは、蒸れた素足で肉棒を踏み、にやにやと笑みを深める。

 

「……ッグ」

 

「あっれ〜、気持ちいいの?もしかして、踏まれて気持ち良くなってるの〜♥」

 

 小さな指で亀頭を掴まれ、かかとに体重が掛かっていく。

 

「無様ねぇ♥ ほら、抵抗してみなさいよっ♥ ほらほら、気持ちいいって言ってみなさいな」

 

「クソがッ」

 

 踵の体重が分散され、小さな指が亀頭を撫で回し、器用に雁を弾かれる。

 

「もっとして欲しいでしょ?……小さな脚で気持ち良くなってますって……言え♥」

 

「……ッ」

 

「言わないのぉ〜♥ そう、止めようかな〜、意外と難しいし疲れるのよね〜」

 

 やめると言いながら、責めは緩まず……紫色に塗られた爪が先走りで汚れていく。

 

「あ〜〜、もう疲れたわ〜、脚が疲れちゃった♥ お前の汚い汁で汚れたし、舐めて綺麗しなさいな」

 

 ソファーに座り込んだシュエンは、秘部を手で隠し俺の顔に脚を近づける。我慢に我慢を重ねたが……限界が近かった。

 

「あんま……調子に、乗るなよッ」

 

「あははっ♥ 乗るわよ、乗らないわけないじゃない!私みたいな子供に逆らえないんでしょ♥ 権力って凄いわよね〜♥」

 

 ……イカン、キれそうだ。

 

「フーッ……権力か……そうだな、その通りだ。舐めてもいいが、自分のは舐めたく無いなァ」

 

 冷静に冷静に……怒りを沈める。これでも妥協しないなら、もうブチギレよう。

 

「……いいわよ♥ ……指の一本一本丁寧に、ね♥」

 

 メスガキの方が上手(うわて)だったようだ……ブチギレる準備をしていたはずが、あっさりと提案が通り……自分の首を締めた結果に終わった。

 

「お前に暴れられたら、手に負えないのは分かってるの……見極めって大事よねぇ♥」

 

 アア、イラつく……苛つくが、自分から言った事だ……仕方ない。

 

「はい、指の隙間も、溝もちゃ〜んと舐めるのよ♥」

 

 差し出された脚を掴み、指を舐めていく。

 

「んっ♥ 丁寧によ♥ そう……ちゃんと一本一本っ♥ 丁寧に♥」

 

 指の溝に舌を這わし舐め進め。

 

「……ふぅ、やっぱりいいわぁ♥ お前舐めるの上手ね、指揮官なんて辞めれば?」

 

 非常に不本意な事を言われ、掴んだ手に力が籠もる。

 

「っ♥ ……ちょっと!強く握るな!……馬鹿力なんだから考えなさいよ!」

 

「悪かったな……まだ、するか?」

 

「もういいわ……この体勢も疲れたし……お前みたいなデカい男を足蹴に出来て最高よ♥ やっぱりこうでなくっちゃ♥」

 

 心底愉快そうに笑みを深めたシュエンは、伸ばした両足を肉棒に這わし、指でにゅこにゅこと扱き始めた。

 

「おい……いい加減にしろよッ」

 

「ご褒美じゃない、気持ちよさそうよ♥ ほら、反応したぁ♥」

 

 確かに、気持ちはいいが……それ以上に怒りが沸き立つ。

 

「髪切ったのね、似合ってるわよ♥ 格好良いわぁ、こんな少女に足蹴にされてるとは思えな〜ぃ♥」

 

 ……我慢する必要なんて有るノカッ?

 

「そんなに見詰めないで〜、濡れてきちゃうわ♥」

 

 もうブチ犯そうと決意する間際、陰茎から脚が離れ、小さくシュエンが呟いた。

 

「……ぁぁ♥ もぅ我慢できなぃっ♥」

 

 ギリギリの所で踏み留まれたのは、奇跡に近かった。後数秒続いていたら、怒りで我を忘れていた自信がある。

 

「おい、そこに寝ろ、絶対に触れるなよ。お前は馬鹿みたいに勃ててればいいから」

 

 荒い息を吐いたシュエンに命じられ、ソファーに横になった俺に跨ったシュエンは幼肉を割り開き、肉棒に雫を垂らした。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「ふん、馬鹿みたいに大きくして……んっ♥ ぉっき、!!?―――〜〜〜ぁ♥♥♥」

 

 爪が甘いのか、態となのか……俺に跨りぷっくりした割れ目に肉棒を宛てがったシュエンは、脚を滑らせ一息で呑み込んだ。

 

「〜〜〜〜っっぅぁ♥」

 

 偉そうな事をほざいていた唇がぱくぱくと開閉し、自身を支える事も出来ずに倒れ込んできたシュエンを受け止めるも……気が収まらない。

 

「ハァ?……即堕ちじゃねぇかッ!フザケンナッ!マジで巫山戯んなよッ!!」

 

 俺のわくわくを返して欲しい。ブチギレるのを我慢してまで期待した俺が……馬鹿みたいじゃねぇかッ。

 

「〜〜〜っぅぅ♥」

 

「……くそ雑魚じゃねぇか」

 

 ぷるぷると震えるシュエンを無視し、尻を掴み肉棒を扱いていく。触れるなという命令は既に意味を為さず。

 

「〜〜〜―――っひぐぅ♥ ひぐっ♥ ぁひん♥」

 

 少女一人の体重などたかが知れており、シュエンを使い肉棒を扱き上げるのは中々に気持ちが良い。

 

「あー、これはこれで良いな」

 

 アニス……いや、ニケの体重は流石に重過ぎて、快楽よりも疲労が勝ったが、これは良い。

 

「ふぐっ♥ んぐぅ♥ ……っひぐぅ♥」

 

 小さな膣が激しく痙攣し、強く締め付けてくる快感はシュエンでしか味わえない良さがある。

 

「ぉひっ♥ お、おちてっ……なぃわよっ!♥」

 

 額から汗を流したシュエンが顔をあげ抵抗を見せるが、俺の期待を裏切った罪は重い。

 

「言ったよな……裏切らない限り、裏切らねぇって」

 

「っひぃい♥ あひっ♥ っ、はひっ……んんんぁあ♥」

 

「ちょっとばかり期待したんだぜ、嬢ちゃんがどんな事してくんのかッ!」

 

 強く子宮を押し込むが、前回で慣れたのか痛みを感じている気配は無く、ぽってりと火照り柔らかくなった子宮の吸い付きが凄まじい。

 

「ぉ♥ ぉぉ゛……ゅごっ♥ しゅごっ♥」

 

「なんで裏切るんだよッ!」

 

 俺の心を表すように、肉棒は涙を流していた。

 

「ぉっ、ぉひっ♥ ぅ、ぅらぎっ……裏切ってなっ!……っぐぅ♥」

 

「いや、裏切りだと俺が判断した……勝手に喘いでろッ!」

 

「っひっ♥ そ、そんなっ♥ ……ぁひっ、んぎっっ♥」

 

 自分でも何でこんなに苛つくのか分からない……これが恋なのか?

 

「クッソえろいまんこしやがってッ、絶対孕ましてやるからなッ!」

 

 ―――いや、性欲だな。

 

「まっ♥ くひっ♥ ぁっ、ぁぶなぃっ♥ きょうっ……危ないのっ♥♥♥」

 

 は?……危ない……危ないのに生で咥え込んだのか?……じゃあ、このぽってり感は―――ッッ。

 

「ひっ♥ ふくれっ……おっきっ♥ ……ぁつっ♥ っだ、だめぇ♥」

 

 シュエンの言葉を脳で処理し、限界以上に膨れ上がった肉棒が子宮を抉じ開け、深く喰い込む。この雌を本気で孕ませようと血液が沸騰する。

 

「ぉ゛ぉ゛……ぅ♥」

 

 腰を掴み上体をあげ、ぽこっと膨らんだ腹部が……ぽってりとボテ腹になる様を妄想し。

 

「ぉ゛ぉぉ♥ ぉっひ♥ ……っふー、っふー♥」

 

 涙と涎でぐじゃぐじゃになった顔に手を近づけ。

 

「ふーっ♥ ふーっ♥ ……ぉ、ぉわり……もぅ……だめ♥」

 

「なぁ、何で危ないって分かってて、挿れたんだ?」

 

「ふーっ、ふぅぅ♥ す、寸止め……する予定……だったのよぅ♥」

 

 寸止めねー。出来もしないことを考えてたのか……。

 

「だ、だからっ♥ ……もぅ、終わりっ、さ、触ったでしょ!」

 

 触ったら終わりとシュエンは言っていたが、終われるはずもなく……顎をあげさせ。

 

「孕めよ、シュエン」

 

 唇を落とした。

 

「はっ♥―――〜〜〜!!?……んんんっっ♥ ぷあっ♥ ……お前っ!なにっ、んぷっ♥♥ んんぅ♥♥」

 

 触れるだけのキスはシュエンに押される事で一度途切れたが、逃さず再度奪い取り、肉棒がドクッと強く脈打った。

 

「―――ッ」

 

「ちゅぱ♥♥ !!!ぁ―――〜〜〜♥♥♥ ぁぁああ♥♥ ……っひ♥ ぁふ、あっ♥ ……ぁちゅ♥」

 

 こういうのを身体は正直というのだろうか。射精を受けぴくぴく震えながらも、離れようとする意志を感じず、小さな膣が一生懸命吸い付いてくる。

 

「んひっ♥ ゆ、ゆするなぁ♥ ……ぁ♥ だ、めっ、またっ♥ ぃく、いくっ♥ いっぅぅぅうう♥」

 

 密着した子宮を揺すると、簡単にシュエンは絶頂した。

 

「はっはっはっ……ぃぐぅ゛♥ ……ぁちゅ♥ ぃ゛ぐの゛♥ とまら、なぃぃ゛ぃ゛ぃ゛♥」

 

 容量を超えた精が下品な音をたて漏れても、吐精は終わらず。

 

「っ、っ、っぅ゛♥」

 

「孕んだか?」

 

「!?んぎっ♥♥♥」

 

 奥をコツコツと叩き受精を促し、唇を強引に奪う。

 

「んぁっ♥ ……ん、んんんっ♥ んんぅ♥ ちゅぱ♥ ……ちゅむ♥」

 

「舌出せ」

 

「はひっ♥ ぁんんぅ♥ ちゅる♥ ちゅぱちゅぱ、ぇぉ♥ れろっ、んれりゅ♥」

 

 おずおずと伸ばされた小さな舌を絡めとり、唾液を流し込まれ。

 

「んぷぁ、んっくっ♥ こくっ……んれぇ、ぢゅるっ♥ こくこくっ♥ あぁん♥」

 

 全身を弛緩させ、唾液を飲み、舌を蹂躙され……危険日に中出しされたシュエンは、抵抗を諦め甘く鳴いた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 一度中出しされてから、シュエンはどこまでも従順だった。自分で動けと命令すれば腰を振り。

 

「ぁ♥ あぁ♥ いぃ、すごぃぃ♥ ごりってぇ♥ きもちっ、いぃ♥」

 

「何が気持ちいいんだ?」

 

「あっ♥ んぁぁ♥ ……ちんぽっ♥ おちんぽぉ♥ んんぅう♥ ……きもちぃぃ♥」

 

「そんなに好きか?」

 

「んんぅ♥ すきぃ♥ しゅきなのぉ♥ このおちんぽっ、しゅきぃい♥」

 

 淫らな言葉を口に出し。

 

「口が寂しいんだが?」

 

「んっ……ちゅぱっ♥ れりゅ、ぇおぇお♥ ……ちゅぱっ、ちゅっぱぁ♥ ……んひっ♥」

 

 自ら唇を捧げた。

 

「んひぁ♥ そ、そっちはっ……ちがぅぅ♥」

 

 窄まりを指で撫でると、ぴくぴくと震え。

 

「あ?駄目なのか?」

 

「んんんっ♥ ……だ、だめっ♥ んぁ♥ ……じゃな、ぃ♥」

 

「挿れたりしねぇよ、ちゃんと使えるようにしないとな」

 

「んんぅ♥ な、なでるなぁ♥ ……それっ……ああん♥ ……ほんとっ♥ むりっ♥」

 

「綺麗にしてきたら舐めてやるよ」

 

「……んひっ♥ はひっはひっ♥ ……あはっ♥ んぎぃぃ♥」

 

「まぁ、今日は無理だな、時間も無い……最後に、して欲しい事言えよ。何でもしてやる」

 

 腰をガッツリと掴み、根本まで突き入れぽっこりと飛び出た腹部を撫でながら、囁きを落とす。 

 

「ふーっ、ふーっ♥ ふーーっ♥ ……な、なんでもっ、ぃぃのねっ♥」

 

「ああ、望む通りにヤッてやるよ」

 

 今までの傲岸不足な態度は鳴りを潜め……年相応に可愛らしく、唇を尖らせ、そっぽを向いたシュエンは小さく呟いた。

 

「だ、抱きしめてっ……強く抱きしめてっ……」

 

 耳を真っ赤に染め、首筋まで紅くなった姿に、そこまで恥ずかしいのかと疑問が浮かび上がるが、シュエンにとっては甘えるという行為は、心底恥ずかしく……そして、心の底では求めているのだと分かった気がした。

 

「……了解」

 

「ぁぁっ♥ ……んぃぃい♥……ぁっ、ぁ……これ、……だめっ♥」

 

 身体を起こし、包み込むように抱き締める。肉棒が奥を抉り大きく喘いだシュエンはびくびくと震え。

 

「ぁ♥ ―――〜〜〜ゃっ♥ ……ぃくっ♥ ぃっ、いくぅぅううう♥」

 

 うねりを強めた膣が強く吸い付きを増し、絶頂に震える肢体を強く抱き締め続けた。

 

「はっはっ、ゃ♥ 〜〜〜っとまっ……とまらっ〜〜〜ぅ♥ ……なぃぃ♥♥」

 

「いいから、イッとけ」

 

「―――〜〜〜ぅう♥ ゃぁ♥ ――っき♥ ……にぃ……なりゅぅ♥♥♥」

 

 そんなに時間は経っていないが……たった数分で何度も深イキしたシュエンはぐったりと力が抜けきり……とろとろに蕩けきっていた。

 

「……ぁ♥ ……ふっ……ふっ……えへっ♥」

 

「随分可愛くなったじゃねぇか」

 

「ひひっ♥ ……だ、だぇの、しぇぃよ♥」

 

「また抱き締めてやろうか?」

 

「んぅ♥ ……ぅ……ゃ、だ……めっ♥」

 

「なら、俺もイキたいんだが、動かしていいか?」

 

「ら、めっ♥ ……ぬ、ぬぃてっっ♥」

 

「は?」

 

 自分だけ何度もイッといてそれはねぇだろ?

 

「んひっ♥ ま、まってっっ♥ っふー、っふー♥ な、なめぅからぁ♥」

 

「あ?」

 

「ぜっ、ぜんぶぅ♥ ……のむぅ♥」

 

 舐めると言ったシュエンを信用し、肉棒を抜き去ると、幼肉から流れ落ちた精がドボッと降り注いだ。

 

「ふーっ♥ ふーっ、ふーっ♥ ば、ばかちんぽっ♥ だ、出し過ぎっ♥♥」

 

 減らず口を叩き始めた時には、また突っ込んでやろうかと思ったが、ぷるぷる震えながら下着を履いたシュエンは、ちゃんと約束を守り、零れた精を舐め取り始めた。

 

「れりゅ♥ ぢゅずっ、れろれろっ♥ んくっ、ぢゅずずっ♥ こくっこくん♥」

 

 零れた精を舐め取り、根本から汚れた肉棒を舐め進め、文句も言わずに丁寧に舐めしゃぶり。

 

「ぢゅっ、ぢゅぢゅっ♥ ……だ、だすときは、言いなさいよっ♥ っふー♥ はぷっ♥」

 

 這わされた舌は丁寧に雁の溝まで舐め回し、両手を使い幹を扱き上げ、ちゅうちゅう吸い付かれる。

 

「んぅぅ♥ んもっ♥ はむっ♥ れりゅれりゅ♥ んっぽんっぽ♥」

 

 高ぶっていた肉棒は丁寧な奉仕に性感を高め、びくびくと震えた。

 

「んっぷ、んっぷ♥ ぢゅずずぅ♥ れりゅ♥ ぇおぇお♥」

 

「出すぞ、手は扱き続けろ」

 

「んもっ、んもっ♥ んっんんぅぅ♥ ……んくっんくっ……んぶっ、ぢゅずずぅ♥ んっく、んっく♥」

 

 射精中も扱く事は止めず、根本から絞るように動く手の刺激が気持ち良い。

 

「偉いじゃねぇか、ちゃんと飲めてるぞ」

 

 喉の隆起を楽しみながら、気持ち良く射精する。髪を撫でると瞳をぎゅっと瞑り、肌の赤みが増し、ぷるぷると震える姿は非常に愛らしい。

 

「んじゅずずっ♥ ごくっごくんっ♥……ぢゅずずっ♥ ……んくんくっ♥ ……ふーーっ♥♥♥」

 

 裏筋の中央、精が脈打つのを感じたのか、指をスライドさせ中に残った精も絞り出される。鈴口に強く吸い付いた唇が離れ……頬を染めたシュエンは深く息を吐いた。

 

「ふーっ、ふーっ♥ れろっれろっ♥ ちゅぱっちゅぱ♥ こくん、っふー♥」

 

 熱に浮かされた様に、ぺろぺろと汚れを綺麗に舐め取り、お掃除すらも言われずに行えるようになったシュエンの成長に、思わず抱き締めてやりたくなったが、無限ループが始まりそうな予感に、敢え無く断念となった。

 

「気持ちよかった、ありがとな、シュエン」

 

 代わりに頭を撫でると、起き上がったシュエンが身体を弛緩させ、俺に倒れ込む。

 

「おい、大丈―――ッ」

 

 受け止めた俺に対し、顔が近づき……唇が重なり、舌が捩じ込まれる。

 

「ちゅぷ♥ ……んぢゅる♥ れりゅ♥ ちゅぱっ♥ ……ふーっ、自分のっ、味は、どう?」

 

「……クソ不味い」

 

 やり返さないと気がすまない所は、似たもの同士なのかも知れないが……自分の精の味は最悪だった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 直接飲まされた訳では無いが自身の味には耐えられず、煙草で誤魔化す俺に身体を預け……シュエンは膝に座っていた。折れた脚に座られそうになり一悶着あったが、事なきを得た。

 

「くそっ……なんでこうなるのよ……予定がっ……でもっ♥ ……くそっ♥」

 

 文句を言いながらも、言葉の端々から小さな愛情が感じ取れる……そんな気がする。多分……折れた脚に座ろうとした時の良い笑顔が、脳裏をチラつく……。

 

「ああっ、くそっ、くそぅ♥ んっ♥ ……おい、撫でるなぁ♥」

 

 愛らしいが、脚が治ったらちゃんと躾けるから覚悟しておけよ。という意味を込め頭を撫でる。

 

「ゃめっ……くそっ♥ ……もぅいいっ、好きにすればっ♥」

 

「ホント、素直じゃねぇよな」

 

「はあ?こんなに子宮(なか)にだしやがって……んぅ♥」

 

 ほんの少しぽってりとした下腹を撫で、悩ましい声が零れた……つい唇から煙草が落ち、慌てて手で受け止める。

 

「……アチッ」

 

「くふふっ♥ 好い気味ね♥ ……危ないのは本当よ、パパになるかもね♥」

 

「まぁ、そん時は腹括るわ」

 

「死ぬの?」

 

「何で死ぬんだよ」

 

「ミシリスのCEOよ私。それにルックスも最高。熱狂的なファンも沢山いるの。そんな私のスキャンダルなんて、世論に殺されるわよ……ねえパパぁ♥」

 

 確かに、尊大な態度も、ギャップを感じる小さな身体も……一部の層には熱烈な人気がありそうだ。

 

「上等だ。全部、蹴散らしてやるよ」

 

 少しだけ、きょとんとしたシュエンは、にやにやと笑みを深めていき、意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「……そ♥ 頑張ってね〜〜♥」

 




感想、評価、お気に入り登録、アンケートへのご協力、誤字報告等、非常に執筆意欲になっております。本当にありがとうございます。


まだ終わらないよ。お礼を言いたかっただけです。明日か明後日には、また更新するから宜しく〜。


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21 ★ ラピ

遅くなりました。すまぬ。
い、忙しかったんだよー!

新イベ……皆性的過ぎだろ!!


 帰り際まで俺を口汚く罵っていたシュエンは、ラピの冷たい視線を浴び、小さく悲鳴をあげ足早に帰った。

 

 ラピにとっての邪魔者は居なくなり、手渡された手書きの報告書に目を通す。

 能力の上昇について纏められた報告書は、簡潔で分かり易いが……内容が内容なだけに、(にわか)には信じられなかった。

 

「これ……マジか?」

 

「はい、条件はまだ曖昧ですが、効果は確実です」

 

 無表情に戻った真面目モードのラピが……確定と言い切った。

 

「マジかーー」

 

 報告書によると、俺にはニケの能力を上昇させる力があるらしい。条件については不確定要素が多く曖昧だが、分かっているのはラピとアニスの能力が大幅に上昇しているという事実。実際にラピに関しては俺の目で確認している為、説得力があった。

 

「指揮官……読み終わりしだい、破棄を推奨いたします」

 

「ん?……ああ、すまん…ちょっと待ってくれ、考えを纏めたい」

 

 ラピの仮説では、心の距離と能力上昇率が相関関係にある可能性が高い……更に、精子を取り込む事で一時的に大幅な上昇が見込めると……。

 

 手書きの報告書に破棄推奨……これは、かなり不味いんじゃないのか?

 

「……黙ってようと思うんだが、賛成か?」

 

「はい、賛成です。最良の場合を想定しても、指揮官が実験体にされます」

 

「……だよなー」

 

 ミハラやユニ……そしてラピもだが、特異な力を持った者がいる。そして俺も……その一人だと、しかもかなりの厄種だ。

 

 世間一般的に、ニケは兵器。もし無条件に俺の種で強化出来た場合……ヤバそうだ。なまじ俺が精力に溢れている所も、たちが悪い。一日中搾られ続けるだけの生活になりかねん……冗談抜きで本気でありそうなのが怖い。

 

「ですが、長く隠し通す事は難しいかと……露見すれば裏切りのレッテルを貼られます」

 

「……だなー」

 

 アークの目的。ニケの存在意義。……共に地上奪還であり、こんな情報を新米指揮官が隠し持っていたら……必ず露見する。黙っていて露見した場合は、更にヤバい方向に進むだろう。ラピの言う通り、裏切り者として処理される可能性は非常に高い。

 

「この件は、俺がどうにかする。ラピは気にするな」

 

 俺に備わっている能力は、この世界の根幹を覆す可能性がある。ニケの性能を無償で強化出来るのなら、三大企業は喉から手が出る程に、俺を欲しがるはずだ……しかし、警戒すべきは三大企業ではなく中央政府……露見する可能性が一番高い。特にオペレーターには勘付かれてはいけない。

 

「……はい、この件では、多少の助力しか出来ません」

 

「……ニケだからか?」

 

「そうです。ニケの脳はセキュリティーが脆弱です。小さな綻びから露見する可能性は高く、本来なら、私も記憶を消した方が良いのでしょうが……」

 

「それは許さん」

 

「指揮官なら、そう言うと思いました」

 

 そう言って、ラピは花が咲くような笑顔を見せた。

 

「―――ッ、条件を調べるのは、難しそうだな」

 

 ……見惚れた事を誤魔化すように呟き、思考を進める。

 

 条件……俺を好きでもない相手に、精子を飲ますわけにはいかない……シュエン?メスガキは別だ……ま、待てよ!?人間相手はどうなるんだ?……孕ませる気満々で注ぎ込んだが……。

 

「いえ、飲み物に混ぜてネオンに飲ませました」

 

 俺の疑問は、ラピの発言で全て吹き飛んだ。

 

「は?……嘘だろ?」

 

「火力が上がると伝えたら、喜々として飲みましたので」

 

 視線を逸し、しれっと告げられた言葉を理解するのには、時間を要した。……どんどん過激派みたいになってる気がする。真面目過ぎるのが、裏目に出たのか。

 

「指揮官の生死に関わる事です。必要な事でした。勝手な行動に対する罰は受けます」

 

 頭を抱えた俺に対し、ラピは淡々と告げる……違う、そういう問題じゃない……ネオンが不憫過ぎるだろ。

 

「……もう、するな」

 

「指揮官がそう仰るなら……」

 

「やっちまったもんは仕方ねぇ、結果はどうだったんだ」

 

「先程、火力に変化が無いと文句を言われましたので、恐らく効果が無い。または効果が極端に薄いと予測されます」

 

「確かに、ネオンが言うなら信憑性も高いか」

 

 口を開けば火力火力と言っている火力馬鹿なネオンが、見誤ったりはしないだろう。なら俺の能力は無条件ではない……鮮度の問題か、好感度の関係か、量の可能性もあるか……後は個人差、といった所か?

 

 ネオンの尊い犠牲には、必ず何かで報いてやろう。

 

「私からの!……報告は以上です。指揮官」

 

 や、やけに強調するな……。

 

「指揮官……私からの、報告は、以上です」

 

 な、何だいきなり……ぐいぐい詰めてくるんだが?

 

「お、おう……」

 

「……メディカルチェックです。お手を」

 

「い、至って健康だが?」

 

「お手を」

 

 戸惑いを隠せない俺に対し、笑みを浮かべたラピに指を絡め取られた。なんで……目が笑ってないんだ?

 

「ミシリスCEOと、随分と仲が宜しいんですね。指揮官」

 

 ……バレてる。

 

「……嬢ちゃんとは裏で協力することになった。詳しい事はアニスと一緒の時にでも話す」

 

「いえ、今……話して下さい」

 

 嘘は許さないとの感情がひしひし伝わり、掻い摘んでシュエンとの関係を話した。

 

 抱いたと伝えた辺りで、絡まった指が悲鳴をあげかけたが、握りつぶされる事は無く、ほっと息を吐く……よく考えなくても、結構な最低ムーブをしているが、どうせこれからも己を止められるはずもない為、都度説得することにしよう。

 

 主に下半身で語ることになるだろうが……。

 

「そう、ですか……ミシリスと協力関係を結んだと……悪くは無いですね。三大企業で一番力があるのはミシリスです。トップの問題に目を瞑れば……指揮官の生存率は大幅に上昇します」

 

「……怒ってたんじゃないのか?」

 

「嫉妬です。……怒ってはいません。むしろ、味方を増やす事には賛成です……指揮官の力は、今後必ず目を付けられます」

 

「そうだな、やることが多いなー」

 

 一応シュエンも味方に付けてるが能力を知られるのは不味いだろう。目下の問題であるトーカティブの件もある。そして、当初の目的であるマリアンの件も残っている。問題は山積みだな……。

 

「ヤルことですか……私は何時でも構いません。指揮官♥」

 

 ……にぎにぎすんな。

 

「そ、そうか……」

 

 地上に居る時はあんなに頼れるのに、どうしてこんなスケベになってしまったのか……全面的に俺が悪いな。

 

「……話を戻しますが、メティスはアーク内で一、二を争う程に優秀です。ワードレスも十分な戦力、表の味方を増やす必要はありますが、ミシリスとの関係は最適な選択でした」

 

「なら、良かった。俺なりに考えたが、馬鹿だからな、支えてくれてありがとう」

 

「……もっと頼ってください。私は指揮官だけの物です」

 

 好感度が振り切れ過ぎて怖くなるんだが……俺の精液に変な効果ないよな?

 

「ああ、頼りしてる」

 

「はい、指揮官」

 

 ラピと話し合った結果、アニスにはラピから伝えられる事になった。ラピ曰く『ニケが相手なら、アニスは何も言わないと思いますが……人間相手となると、予測がつきません』とのこと。あれだけ情の深い女だ……嫉妬深い事は知っているが、人間という部分が特にネックになるのだろう。

 

「忘れる所だったが、ラピには罰を与えないとな」

 

「は、はい……指揮官っ」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 火力道を極めに行ったネオンにメッセージを送り、不審に思われながらも謝り倒した俺は一人煙草をふかし、今後の自分について考えを纏めていた。

 

 元来、俺は戦う立場の人間だ。肉弾戦専門だったが、人間相手には負ける気がしない……今思えばこの考え自体が間違いだったのだろう。

 

 ニケと人間では戦闘力の溝が深すぎる……正直、生身の俺が武器を持って戦っても、仲間達(あいつら)の邪魔にしかならないだろう。守る対象が、弱い癖して銃器片手に動き回るとか、俺ならごめんだ。

 

 ラプチャーが蔓延るこの世界では、武力は何の役にも立たない。ここ数日でそれを実感し、それでも戦う力を求めるのは、唯のエゴだった。

 

 力を求めたのは、もう二度と失いたくなかったからであり、己が戦う事に執着することでは無かった。

 

 こんな能力が備わっている意味を理解し、執着を捨て去る事に決めた。

 

「指揮官、珈琲です……にゃん」

 

 めちゃ可愛い。

 

 受け取った珈琲を飲み、頬を染めたラピをにやにや眺める。……猫耳が無いのは片手落ちだったかー。

 

「……にゃぁ」

 

 恥ずかしがりながらも、ちらちらと流し目を送られ……むらついた。

 

「……ラピ、こっち来い」

 

「は、はい、指揮官……にゃぉ♥」

 

 軽やかな足取りで、側に寄り添ったラピは紅くなった頬を丸めた手で隠し、誘うように甘く鳴く。

 

 ……いいな、これ。

 

「し、指揮官……恥ずかしぃにゃん♥」

 

 いかん、沼に嵌りそうだ。癒やし効果がヤバいし、とにかくえろい。……絶対に猫耳と尻尾は用意しよう。

 

「ヤバい、めちゃくちゃ可愛い」

 

「\\\\\――っ♥ ……にゃぅ♥」

 

 今日一日、にゃんを語尾に付ける事がラピへの罰だった。正直、罰が浮かばなかった為、適当に言っただけだったが……これはヤバ過ぎる。

 

「にゃぅ♥ ……指揮官、そ、そろそろ、お休みになりますか?」

 

 誘われているようにしか、聞こえないだが?

 

「……語尾」

 

「―――ぅにゃんっ♥」

 

 ああ、これは駄目だ……絶対に誘ってる。

 

「……抱くぞ」

 

「だ、駄目ですっ、指揮官。怪我が治ってから―――んんっ♥」

 

「……無理にとは言わねぇけどよ、今抱きたいんだ、嫌か?」

 

「―――ぅ、ずるぃ♥ ……ぃ、ぃっかぃだけ、にゃん♥」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「っふーぅ♥ っふーぅ♥」

 

 期待に瞳が蕩けたラピが、俺の服を一枚一枚丁寧に脱がしていく。何時も黒い革手袋に守られた細指が肌に触れ、顔を見上げたラピは、そっと肌に手を這わせた。

 

「……下も、脱がしてくれるか?」

 

「っ、っっ♥ ふーっ♥ ……は、はい……にゃん♥」

 

 怪我をしたことにより満足に腰も触れず苛つくが、こうして甲斐甲斐しく脱がして貰うのは癖になりそうだ。

 

「!!♥♥ ……ああ、指揮官♥ た、逞しいですっ♥ ……にゃぅ♥」

 

 ラピの手が腰に掛かり……外気に晒される。視線が固定され、熱の籠もった吐息が浴びせられた。

 

「っふー♥ ん……ふーっ♥ ……ぁっ」

 

 真っ赤な舌が唇をなぞり、徐々に近づく顔を避け、ベッドに座り込む。

 

「し、指揮官……おくちでっ―――にゃぅぅ♥」

 

「ラピがえろく脱いでくれれば、もっと硬くなるぞ」

 

 言葉を被せ、誘われるように近づいて来たラピの手を取り、握らせる。

 

「ぁぅ♥ ……か、たぃ♥ ……ふぅ、ふーっ♥ み、見てくださぃ、にゃん♥」

 

 日に日に色気を増す身体が艶めかしく蠢き、無骨なベルトが外され……ドスケベな服に装備されていた拘束が全て外されると……ラピは自由になった裾を捲りあげ、黒いショーツを晒した。

 

「……ゴクッ」

 

 思わず生唾を飲み込むと、裾が垂れ落ち視線を遮られた。……抗議の視線を送る俺に対し、ラピは胸元に手をかけ、小さく呟いた。

 

「こ、こっちも見て下さい……にゃぅ♥」

 

 ……焦らすように深い谷間をじわじわと広げ、ぷるんっと飛び出だした果実はぷるぷると震える。

 

「えろい身体してんな」

 

 ギラついた視線を浴び、頬が赤みを増す。

 

「……んにゃ♥ ……あ、ありがとぅございますっ♥ にゃぅ♥」

 

 ツンと尖った胸の頂きと太腿を伝う雫が、ラピの欲求を如実に表していた。

 

「ラピも我慢してくれてたんだな」

 

「あ、当たり前、です。指揮官の怪我は、私の責任ですから……にゃん」

 

「これは俺の責任だ。本音が聞きてぇな」

 

 少しばかりの葛藤があり、下腹部を這った手がショーツを剥ぎ取り、ぽたぽたと蜜が零れた。

 

「……ぃ、ぃっぱぃ抱いてほしぃにゃん♥」

 

 情欲に濡れた瞳で俺を見つめ、真面目なラピは前回の実技で学習したのか、薄いタイツには手をかけず全てを脱ぎ去った。

 

「ほら、来い」

 

 手招きに従い近寄ってきたラピを捕獲し、どろどろに濡れた柔肉に指を割り入れる。

 

「指揮官っ……あぁ♥ ゆ、ゆびっ、は、はげしっ♥」

 

 纏わりつく肉が、ちゅうちゅうと吸い付き、激しく痙攣した。

 

「ぁ♥ ぃくっ♥ っぅぅ、――――〜〜〜〜♥♥♥」

 

「どんだけ我慢してたんだよ……吸い付きヤベッ」

 

「〜〜っ♥ ……ぁ、ぅぅ♥」

 

 少し掻き回しただけだが……ぽってりと熱を帯び、腫れぼったく充血した柔肉には酷だったようだ。

 

「……我慢し過ぎだろ」

 

 小さな呟きは、ビクビク痙攣するラピには聞こえていなかった。ここまで我慢させた俺も馬鹿だが……ラピの我慢強さにも困ったもんだな。

 

「んひっ♥ ……っふ、っふ♥」

 

「じっくりしてやるからな」

 

「っふー♥ ……は、はぃ♥ ……なぁぉ♥」

 

 手で顔を隠し、恥ずかしげに鳴いたラピを俺の身体に跨がらせ、ゆっくりと腰を落とさせる。

 

「あぁ♥ ふ、ふとぃぃ♥ かたぁぁ♥ ……ふぐぅぅ♥ っふー♥ ふっふっ♥ んんぅぅ♥ ひっ♥ ……んんんぅぅぅうう♥」

 

 柔肉を割り開き、ごりごりと削りながら、奥に到達するまでに柔らかな身体はぷるぷると震え……少なくとも二度はイッていた。

 

「ハァ〜、気持ちいい……このまま、動くなよ」

 

 腰がぴっとり密着し、ラピの下腹部がへこへこと艶めかしく蠢く。

 

「し、しきかんぅ♥ ふかっ、ふかすぎっぅ♥」

 

 動いていないのに……扱かれる。膣肉がうねうねと絞るように蠢き、深く突き上げられた子宮がぐぽっと飲み込み、先走りを啜っていた。

 

「……んぷっ♥ ―――んんぅぅ♥ ……ちゅぱっ♥ ちゅ、ちゅぅ、もっとぉ♥」

 

 身体を起こし、唇を重ね優しく抱き締める。

 

「しきふぁっ♥ ……んっ♥ んんぅ♥ ちゅぱ、ちゅぅう♥ ちゅ、ちゅ♥ ……ぉ……おくちでえっちしたぃ、にゃん♥」

 

 唇をぺろぺろと舐め、舌での交わりを懇願するラピは、決して強引に割り入れたりはしなかった。

 

「れろっ、ぺろぺろ♥ ……しきかんぅぅ♥」

 

 そんなラピが何処までも愛おしく。

 

「ラピ……好きだ。愛してる」

 

「へっ……んんぅぅ♥ はっぷ♥ んぷっ♥ れりゅ♥」

 

 漏れ出た本音に対し呆けたラピの唇を割り、濃厚に舌を交わらせる。

 

「んじゅずず♥ れろれろっ、れりゅれりゅ♥ ぷぁ♥ ……し、しきかっ、んぷっ♥ ……んんんぅ♥♥ れぉ、んぢゅ♥ ―――っんんんぅぅぅ♥ ……んふーっ♥ れぉ、んんふーっ♥ ……っぷぁぅ♥」

 

「……フーッ、迷惑かけるし、嫉妬もさせるけどよ、俺が最初に抱いたのはお前だ。ラピ、愛してる」

 

「ぁ……ひっ♥ ……ぃくっっ、ぃくぅぅううう♥♥♥ ――――〜〜〜〜ぁ、ぁぁあ♥♥♥」

 

 深く繋がったまま何度も深く絶頂を繰り返し、汗に揺れた肢体は蕩け、熱に浮かされたような甘い鳴き声だけが部屋に響いた。

 

「にゃぅぅ♥ ぁぅ♥ にゃぉ♥ ……すきっ♥ すきぃい♥」

 

 うわ言のように何度も、好きという音が弾け。

 

「すきっっ♥ んんぅ、―――〜〜〜ぷぁ♥♥♥ ちゅ♥ ちゅぱ、ちゅぱぁ♥ ……しゅきぃ……にゃぅ♥」

 

 瞳の奥にくっきりと♥が浮かび上がり、にゃんにゃん鳴き続けるラピに普段の面影はどこにも無い。動きを伴わないセックスは、どうやらお気に召したようで安心した。

 

「一回だけ、だったか……俺が出すまでが一回か?」

 

「にゃん、にゃぅ♥ ……そう、れすっ♥ ま、まだいっかいれすっ、ちゅ♥ ……しゅきぃ♥」

 

 そうは言ったものの……長くは持ちそうにない。既に我慢は限界に達しており、先走りはトプトプと溢れていた。

 

「奥が吸い付いてんぞ、分かるか?」

 

「にゃぅ♥ ……っ分かります。最初からぁ……ずっとですぅ♥」

 

「……ラピは欲しがりだな」

 

「ら……ラピはっ、んぅ♥ っ、欲しがりですっ♥ ……指揮官がっ♥ ……ほしぃにゃん♥」

 

 強く抱きついたラピに耳元で甘く囁かれ……限界に達し。

 

「ッ……デるぞッ……ッッ!」

 

「はむっ♥ ちゅぱっ、ちゅ、ちゅぅぅ♥ んぁっっ!!――――〜〜〜〜♥♥♥」

 

 欲しがりな子宮がぢゅぢゅぅと吸い付き、精を呑み込み続けた。

 

「〜〜〜っっ♥ ……ちゅぱ、ちゅ♥ っふー♥ ふーっ♥ ……ぁったかぃ、お腹……ぽかぽかします♥ ……にゃぅ♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「指揮官♥ おくちでしっ―――」

 

 顔をあげたラピを優しく抱き寄せ、滑らかな髪を指で梳く。

 

「んぅ♥ にゃ……にゃぅん♥」

 

 素直に撫でられるラピに胸板へ顔を擦り付けられながら、甘い鳴き声が耳を擽る。

 

「ずっとこうしてたいな」

 

「にぁぉ♥ ……んんっ♥ 私もです……ずっとこうして……指揮官の側が、私の居場所でした」

 

 不思議な言い回しをしたラピは、柔らかく微笑み身体を擦り寄せた。

 

「俺さ、戦おうとしてたんだ……俺の手でお前らと一緒に戦えると思ってたんだ」

 

「……指揮官」

 

「トーカティブに思い知らされた。唯の思い上がりだってな」

 

 上げられた顔を真っ直ぐに見つめ、頬を撫でる。

 

「そん――――」

 

 撫でた手を唇にずらし、言葉を遮った。

 

「俺は、守られる事に徹するよ。全力で守られる……だから、ラピ」

 

 手に、両の手が重なり。決意の籠もった力強い瞳が、俺を見つめる。

 

「俺を……守ってくれ」

 

「はい!……指揮官っ、必ずお守りします……約束です」

 

 もう二度とあんな事が無いように、もう二度とあんな顔をさせない為に……。ベッドの端に置かれた小さな箱を手に取る。

 

「これ、やるよ……一緒に買いに行った時、買ったんだが……何でも良いって言ってたよな?」

 

 渡された小さな箱を開ける手が……少しだけ震えているように見えた。

 

「っ……ゆ、指輪……」

 

 ……柄じゃない事は、するもんじゃねぇな……恥ずい。

 

「要らねぇなら、換金しても良いぞ」

 

 値が張るものは換金できる物が好ましい……だったか?

 

「あっ……要ります!……しません。換金なんて、絶対にしません!」

 

「悪い、言ってみただけだ……戦闘の邪魔にならないか?」

 

「な、なりません!邪魔になんて……絶対になりませんっ!!」

 

 手を取り……俺の右手を重ね合わせる。掌同士が交わり……細い指に手を這わす。

 

「此処に、嵌めてもいいか?」

 

「―――っぅ……は、はぃっ!」

 

 幸いサイズはピッタリだった。

 

 装飾も何も無い、シンプルなリングを嵌めた左手を眼前に掲げ……眺めていたラピの瞳から、大粒の雫が零れ落ち。

 

「――――あっ―――んっ、しきかっ……」

 

 そっと抱き寄せ……唇で雫を拭った。

 

「―――涙は止まったか?」

 

「指揮官……これは、嬉しい涙です♥ ……ですが、もう止まりました……にゃん♥」

 

 罰はまだ続いていたらしい……どこまでも真面目な所がラピらしく、笑みが溢れる。普段クールな娘の満面の笑みってやつは、どうしてこんなにも心を満たすのだろう。

 

「指揮官♥ ……んっ♥」

 

 差し出された唇に、そっと重ね合わせた……。

 

 

 

 そして翌朝、副司令官から……召集命令が(くだ)された。




ラピって打つと……タイプミスでラオウが出てきた草。
そして、予測変換でラオウがトップに躍り出て来た……全部直したよ!!

今後含め、何処かにラオウが出てきたら……ごめん。えっちシーンは特に気をつけます(笑


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2章 原作 CHAPTER04〜休暇〜0?
22


ストーリーが進みます。当分ガッツリえろは無い……かも!ごめんっ!!


 命令に従い召集に応じた俺に対し、アンダーソン副司令閣下は自然体のまま話を進めた。

 

「久しぶりだな。足を折った人を呼び出してすまない。今回は、大変な事件があったと聞いた」

 

「は!」

 

 大変な事件……か。どこまで知られているのか。眼の前のナイスミドルが味方とは限らないのが怖い所だ。

 

「こちらも、彼女には手を焼いていてね。今回の件に関して君への咎めは無い。むしろ良く生き残ったものだ」

 

「は!」

 

 首謀者も当然分かっていると……。俺への咎めという点は気になるが、下手に突っ込むと藪蛇になりそうだ。

 

「そう堅苦しくなる必要はない。楽にしたまえ」

 

 はあー……嫌な予感がする。こういう事を言われる時は……大体が悪い時なんだよな。

 

「ふむ……以前、君は私に訪ねた。マリアンの侵食について、何か知っているのかと」

 

 細められた瞳が鋭く俺を見据える……どうやら、ここからが本題なようだ。

 

「……教えて、頂けるのですか」

 

 ラピはマリアンの侵食を、アークから始まったものである可能性が高いと俺に言った……発電所奪還作戦後の会合時、去り際に俺は口を滑らせた……その時は笑って誤魔化されたが、どういう風の吹き回しだ。

 

「秘密厳守を約束するなら、私が知っていることを話してあげよう」

 

「……分かりました」

 

 約束はするが、約束を守るかどうかは俺が決める。

 

「……全く誠意を感じないが、約束は約束だ……話してあげよう。アーク内でニケに侵食させて地上へ上げ、作戦を邪魔するやつらがいる」

 

 俺の反応を見るように閣下は言葉を区切り、話を続けた。

 

「ふむ、これも正確な表現ではないな。個人なのか団体なのかも不明だから……とにかく、私たちは彼らがラプチャーと内通していると判断した」

 

 私たち……か。それが誰を指しているのか……いちいち含みを持たせるのは閣下の悪い癖な気がするが……それを俺に伝えた所で、閣下を白だとは断言出来ない。

 

「驚かないのだな」

 

「は、予想は出来ておりました」

 

「そうか……君が出会ったコードネーム・トーカティブ。思考し言語を駆使するラプチャーだ……ニケの脳にコードを埋め込んで、自由自在に意志を操作する、いわゆる侵食は人類には扱えない技術。ラプチャー固有の技術と見て間違いない。そんな固有の技術がアーク内でニケに埋め込まれ、地上へ送られる」

 

 閣下の目つきは話が進むにつれ鋭さを増していく。

 

「内通者がいるとしか考えられない」

 

「……閣下は検討がついているのでは?」

 

「いや、調査は進めているが依然として不明だ」

 

 カマをかけてみたが……閣下は反応を示さない。閣下がもし黒ならば俺にここまで話すメリットはあるのか?

 

「そして、そんなことは、普通の市民にできることではない。防護壁を操作できる権限、誰にも気づかれない単独回線が使えるほどの……アーク内でもしっかりした立場にある人物に違いない」

 

 閣下は自身がそこに含まれる事を分かっている。俺に多少なりとも疑われている事も……俺の主観としては、閣下は白だという前提で話を進めて良さそうだ

 

「私は彼ら、もしくは彼を捕まえたい。君も同じ気持ちだと信じている」

 

「当たり前だ」

 

 俺の吐いた言葉には力が籠もった。あの日のことを忘れた事など一度もない。借りは必ず倍にして返す。それが……どんな結果になろうと、変わらない俺の答えだ。

 

「内通者はトーカティブと繋がっているようだ。これは間違いない。だから君は、これからトーカティブの追跡に力を入れてくれ。そうすれば自然と真実に近づくだろう」

 

 ……話の終わりを感じ取り、少しばかり気が緩んだ俺の耳は閣下の小さな呟きを拾った。

 

「……ピルグリム……」

 

 ピルグリム……その言葉に僅かに反応した俺を閣下は見逃さなかった。

 

「……君はピルグリムを知っているのか?」

 

 誤魔化すことはできそうに無い。

 

「……トーカティブとの戦闘時、助けられました」

 

「やはりか……どのような姿をしていた?」

 

 脳裏には眼前に舞い降りた白銀の長い髪と無骨な……機械が剥き出しとなった右腕。うっすらとしか見えなかった素顔は、意志の強い大きな瞳が金色に輝き脳裏に焼き付いていた。

 

「白銀……白銀の―――」

 

 俺の答えに閣下は少し考え―――

 

「……そうか。では、直ぐに準備して地上の北部へ行ってくれ」

 

 俺を殺しにかかった。

 

「―――は?」

 

 おいおい……可怪しくないか……いい感じに仲間になる流れだったはずだ。何故いきなり俺を死地に追いやろうとする?

 

「君を助けたであろうピルグリムが北部に現れたらしい。彼女なら、トーカティブの行方が分かるかもしれない。会ってみるといい」

 

 そんな遠足感覚で言うんじゃねぇぞッ!やっぱ駄目だ。お前は黒だッ。

 

「か、閣下……お言葉ですが、この脚で地上へ迎えと?」

 

 この野郎最初からそのつもりだったな……だからカウンターズを全員連れての召集命令か……クソが。

 

「そこは心配ない。イングリッドが特別に用意した外骨格がある。それを使うといい」

 

 はいはい、俺の反論も予想済みですと……外骨格か、そこまでして俺に行かせたい理由が、ピルグリムとトーカティブ。

 

「……拒否権は?」

 

 ピルグリムなら良い。だがトーカティブに遭遇すれば……死闘は免れない。

 

「当然無い。その為の外骨格だ。彼女たちは神出鬼没、追跡もできない。この機会を逃す手は無いだろう」

 

 言いたいことは分かる……分かるが……いつか殴る。

 

「……分かりました」

 

「研究基地の座標をシフティー君に伝えておいた。取り敢えずそこに向かいなさい。着いたら、研究基地で何をすべきか、教えてくれるだろう」

 

 目が死んだ俺を残し……そう言い残した閣下は会議に向かった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 閣下からのありがたい招集命令が終わり、外骨格を付けた俺はカウンターズと合流すべくロビーへ向かう。正直、行きたくない。行きたくはないが、あのピルグリムに用が有ることは俺も同じ。退路も潰され、覚悟を決めた。

 

 外骨格を付けた事で歩行に支障は無く、左脚を駆使すれば咄嗟の回避も問題ない。すれ違う人達が一様に二度見してくるのは、俺が怒りを抑えているからだろうか?

 

「―――何か質問はあるか?」

 

 カウンターズに作戦を説明した所、真っ先にラピが反応した。

 

「今回はカウンターズの単独任務ですか……指揮官、私は反対です。せめて他の分隊との共同作戦であるべきです」

 

「そうよね。脚が治ってからじゃ駄目なの?」

 

 俺を案じてくれるのは素直に嬉しい。でもな……。

 

「拒否権は無いらしい」

 

 遠くを見詰める俺を見て、ネオンだけがきょとんとしていた。

 

「指揮官様……一緒に逃げる?」

 

 小さく呟かれた言葉に頷けば、冗談ではなく本気で俺と逃げてくれる気がする。

 

「……いや、……。こんな物まで貰ったんだ、前に進む……これが終わったら休暇でも貰おう」

 

 外骨格を叩き、任務に望む姿勢を見せるとアニスは拳を握り決意を固めた。

 

「指揮官様がそう言うなら……うん、守ってあげるねっ」

 

「行きましょう、師匠!そして、火力の真髄を学びましょう!」

 

 まぁ、ネオンはそうだろう。その感じが俺は嫌いではない。

 

「各自、装備品の点検を済ませた後、地上へ上がる。準備が終わり次第出発するから手短にな」

 

 話を区切り、一度解散しようとした俺に対し、アニスから声がかかった。

 

「ちょっと待って指揮官様……北部の研究基地に行くのよね?」

 

「そうだ……どうした?」

 

「う〜ん……私が知る限り、あそこは通行証がないと、入ることすらできないって」

 

 は?……あの野郎……どういうつもりだ。

 

「研究基地とはいえ、防護用の武器が充実しています」

 

「そうそう、ハチの巣になりかねないわけよ、指揮官様」

 

 二人の呟きが更に後ろ暗い考えを助長させる。やはり消しに来ているのか……。

 

「アンダーソン副司令官から、何か貰ったものはありませんか」

 

「何も……通行証か、貰ってくるか」

 

 ついでに一発殴り、真意を聞き出そうと踵を返した俺は通路に歩を進め……光りに目が眩んだ。

 

「No.その必要はNo.」

 

 眩しいんだよッ!クソがッ!!

 

「……何ですか?急にどこからか光が……」

 

「……ちょっと、このミラーボールのライトは、まさか!」

 

 眩んだ目が視力を取り戻し……巫山戯んな!な、なんだコイツ……化物か!?

 

「Yes!そのまさかDESU!アークのEntertainmentを担当するテトララインのC!E!O!」

 

 眩い光を背に、俺とさほど身長が変わらない大男が姿を見せ……肌に張り付いたボディースーツに身を包みポージングを決めていた。

 

「マスタングDESU!Everybody!SayEntertainment!」

 

 ……この世界には、変態しかいないのか?

 

「エンターーーーーーーテイメント!」

 

「うるせぇ!!」

 

「「……」」

 

「……うわ」

 

 おい、ネオン……感嘆するな。ベクトル違いの変態同士、シンパシーでも感じるのか?

 

「OhNo.アニス、拍手はどうしましたKa?」

 

 大男がくねくねと距離を詰める姿は、これ以上見ると目が腐りそうだ。

 

「……こんにちは、社長……久しぶり、ですね」

 

 テトララインのCEOって事は、アニスにドスケベ衣装を着させた変態だったはずだが……この変態が本物だとは思いもよらなかった。

 

「FaceがよさそうですNe」

 

「あ、はは……そうですか」

 

「じゃあ、そろそろReturn?」

 

「え……いいえ、まだちょっと」

 

「Oh……AllRight、アニス。私は待てますYo」

 

 アニスと変態の間に身体を差し込み、背に庇う。サングラスから覗いた目を見れば、この変態がアニスを大切に思っている事は分かった……だが、アニスを返すつもりなど更々無い。

 

「何時まで待っても、アニスを返すつもりは無い」

 

「指揮官様っ……」

 

「Oh……You.YouがCommanderですNe?」

 

「……そうだ」

 

「Hm……Goodな目!Northの研究基地へ行くんですNe?」

 

 胸元から一枚のカードを取り出した変態は、俺に差し出てきた。

 

「Meが通行許可証をあげまShow。But、このPassはちょっとSpecialなものDESU」

 

 ……正直触りたくない。あんなピチピチスーツを来たオッサンの隙間から出てきたカード……む、無理だ。

 

「あ……どこからか音楽が聞こえてきました」

 

 ネオン言う通り……コミカルな音が響き。

 

「よく見てくだSAI、Commander!一回しか見せませんkara!」

 

 マスタングは流れてきた音楽にあわせてダンスを踊った。

 

 割れた腹筋まで分かる張り付いたスーツ。鍛えられた強靭な肉体が無駄に躍動し、吐き気が増す。刈り上げられた髪はラインが入り、前髪だけが長く残り、ダンスに合わせてゆらゆらと揺れる。実に……実に不快な光景だ。髭面でサングラスをかけた変態が、両手を広げ止まった。

 

「ぅ……ぅっぷ」

 

 ……目が腐る。

 

「おおお!」

 

 ネオンが感嘆の声を上げ、俺の中でネオンの評価が少し下がる。

 

「しっかり見ましたKa?では、今度はこのPassを見てくだSAI」

 

 マスタングが持ったカードが光りを帯び、輝きを強める。

 

「今、Meがやった動作を遂行するとPassがActivation!MyCompany!テトララインのTechnologyが集約されたPassなのDESU!」

 

「Wow!Technology!!」

 

 ネオン……頼む、もう黙れ。

 

「……技術の無駄使いにも、ほどがあるわ」

 

 半眼で呟くアニスには全面的に同意する。

 

「さあ、受け取ってくだSAI。Commander。今のDance、望むならもう一度お見せしまShow」

 

「……いや、頼む、止めてくれ」

 

 吐き気を催す邪悪とはお前の事だ。

 

「Oh、これくらいのDanceは一発で覚えるのですNe。VeryGood!」

 

 違うッ!出来ることなら今直ぐ忘れたいが……忘れたくても忘れられそうに無い。夢に出てきそうだ。

 

「あの……社長」

 

「Yeah」

 

「ありがたいんですけど、なんで社長が急に……」

 

「GoodQuestion.Myアニス」

 

 あ?……Myアニス、だとッ。

 

「カウンターズ。Youたちは知らないかもしれませんGA。Youたちは今、アークでHotです。VeryHot.Entertaimentを率いる者として、未来のStarになるかもしれない人に、借りを作っておいたほうがいいからDESU」

 

「マスタングって言ったか、アニスは俺のだ。取り消せッ」

 

 そこだけは、譲れない。

 

「Oh!!CrossFireHurricane!!Good!!訂正しまーSU!アニス、良かったDESUNE!!」

 

 無駄に高い身体能力で回ったマスタングは、アニスに向き直り、微笑んだ。

 

「……あ、その……はぃ♥」

 

「では、Mission頑張りなSAI。エンターーーーーーーテイメント!」

 

 嵐のような時間が過ぎ去り……全員が疲れを感じる中、ネオンだけはニコニコと笑っていた。

 

「テトラの社長はすごく派手な方ですね!」

 

「……ぇへへっ♥」

 

「アニス……自重」

 

「!?えっ……も、もう、指揮官様ったら♥ ……はあ……目がチカチカする」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 地上に上がった瞬間……冷気が身を襲った。

 

「マジか……真っ白じゃねぇか」

 

 体質上寒さには強いと思っていたが……寒い。

 

『通信状態をチェックします!みなさん、聞こえますか?』

 

「俺は聞こえてるぞ」

 

『ありがとうございます指揮官!他のみなさんはどうですか?』

 

 久しぶりのシフティーの声に癒されながら、遊ぶ二人を見つめた。

 

「アニス〜!え〜いっ!」

 

「うあっ!こんなに大きいのは反則よ!」

 

 雪合戦に勤しむ二人は普段通りの薄着だった。羨ましい、俺も遊んでいいだろうか?

 

「指揮官。大丈夫ですか?」

 

「……寒いが、何とかな」

 

 事務的に心配してくるラピの手が数度握られる。

 

「……我慢出来なくなったら、言ってください」

 

 多分葛藤してるんだろう。任務中……特にオペレーターがいる場合、以前と同じ様に振る舞うよう二人には頼んだ。それを守り、表情に出さない所は流石だが……端々に愛情が滲み出ている。

 

「わかった」

 

 そんな不器用なラピと違い、アニスは自由を得た魚のように伸び伸びと行動している。こういう適応能力はアニスの方が高いらしい。

 

「ふん。分かってないようね。雪合戦で大事なのは、大きさじゃないのよ」

 

「生産力よ、生産力!早く作って早く投げるの。こう……やって!」

 

「きゃあ!」

 

「あははは!」

 

「おほほほ!」

 

「ら、ラピも、行って来て、良いぞ」

 

「いえ、私はあのような事はしません」

 

『……あの、雪合戦中にすみませんが、聞こえていますか?』

 

「聞こえてる」

 

『ありがとうございます!ラピだけでも答えてくれて本当に良かったです!北部はエブラ粒子の濃度が薄めです!ですので浄化シーケンスを作動させる必要はありません』

 

 どいうことは、比較的危険度も低いという事か……良かった。

 

『研究基地までの道は簡単です!特に障害物もありませんし、ルートもシンプルです!ただ、問題は雪と氷です!アークでは雪や氷の規模がどれくらいなのか、知る術がありません!ですので気をつけてください!特に氷には気をつけてください!』

 

「氷より、雪がやばそうだが?」

 

「指揮官。氷は私達を耐えられるか未知数ですのでご注意を、ニケは体重が重たいですから」

 

 ああ、そういうことか。

 

『指揮官!女の子にそんなこと言わせるなんて、最低です!』

 

「……すまんかった」

 

「歩いた方がよろしいですね。アニス。ネオン。いい加減、そろそろ出ぱっ……」

 

 ラピの丹精な顔に雪玉が直撃し言葉を遮る。一瞬だけ怒気が立ち昇った気がする。

 

「……」

 

「あれ?当たったぁ!」

 

 雪玉が飛んできた方向には、振りかぶったままのアニスが喜び。視界の端でラピが地面を掴んだ。

 

「わあ、アニスってもしかして野球選手出身とかですか?この距離から当てるなんて」

 

「「いえーい!」」

 

 ハイタッチを決める二人にはラピが見えていないようだ……これが報いか。

 

「私、才能あるかも?……へぶっ!」

 

「ぶふっ……何で私もですか〜!」

 

 豪速球を的確に命中させたラピは、佇まいを直し俺に向き直った。

 

「ラピ……鼻に雪が入ってる」

 

「///っ……ふんっ、出発しましょう、指揮官」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 北部はラプチャーというより自然との戦いだった……そして俺は自然には勝てない事を身を持って実感した。出発当初は晴れていた天候がいきなり悪くなり、吹雪で前も見えない。

 

『ラピ通信の感度が弱くなっています!何か変わったことはありますか?』

 

「突然吹雪が激しくなった。視野が悪すぎる」

 

『近くにバンカーがあるはずです!地図上では肉眼で確認できるはずですけど、見えますか?』

 

「……いや、見えない」

 

『では方向と距離をご案内します!北北西へ移動してください!』

 

「ラジャー」

 

 吹雪は強くなる一方で、景色が変わらず前に進んでいるのかも分からない。汗を掻かないよう注意し進んでいたのが裏目に出た。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 本格的に不味い……かなり、歩いたはずだが……ま、まだか?

 

「シ……フ、ティー……」

 

「……シフティー、聞こえる?……通信途絶を確認……指揮官。こうすれば少しは暖かくなりますか?」

 

 ラピの手が頬を優しく包み込む。

 

「……あったかい」

 

「うわぁ、ラピったら大胆ですね!」

 

「少しでも体温を上げないと、ネオンも手伝って」

 

「はい!」

 

「指揮官様、唇が真っ青じゃない!……これはいけないわ。ネオン」

 

 二人は示し合わせたように、ネオンに視線を送った。

 

「服を脱いで、指揮官様を抱きしめて」

 

「……はい?」

 

「体を密着させて、指揮官様の体温を上げるのよ!」

 

「ア、アニスがすればいいじゃないですか。私より色々な面で大きくて、面積も広いですし」

 

「……わ、私は……その、いいよ」

 

「どうしてですか?私は合理的な提案をしているだけです」

 

「だ、だってっ……恥ずかしぃ……し、止ま―――ぅ」

 

 アニスが何を言ったのか聞こえなかったが、頬は熱を持ち、随分と暖かそうだ。

 

「……私だって恥ずかしいんです!」

 

「イ、イヤならイヤって言ってよね!」

 

「私が師匠を嫌がるわけないじゃないですか!アニスこそ師匠が嫌いなんじゃないですか!?」

 

「な、何っ……!?私は指揮官様が大好きよ!!」

 

「……えっ……」

 

「あっ――///////ぅぅ」

 

「指揮官、速やかに移動しましょう。バンカーに着いてから暖まりましょう」

 

「……ぇ……ラピ、それはどういう意味ですか?」

 

「ネオンが指揮官を温めればいい。嫌いじゃないんでしょ」

 

「……ぇ、ぇぇええ!!??」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 そもそも……ここまで天候が急激に変化するなんて聞いてねぇ……マジで殺しに来てんじゃねぇだろうな。

 

「指揮官、バンカーを発見しました。もうすぐです。吹雪が収まるまで待ちましょう」 

 

「……そうしよう」

 

「ラピ、先にバンカー内部を確認してくるわ」

 

「ん?ラプチャーが入れそうな大きさではないと思いますけど」

 

「他の何かが、あるかもしれないから。指揮官様にそんなもの、見せられない……行ってくるから、少し待って……うん?」

 

 アニスは立ち止まり。

 

「前方にラプチャー発見!」

 

 告げられた言葉に、全員が警戒を深めた。

 

「……何!」

 

「くそ!吹雪のバカ!こんなに近づくまで気づかないなんて!」

 

 即座に武器を構えた三人は戦闘態勢に移行した。

 

「エンカウンター!」

 

 ラピの号令に従い三人がラプチャーに向かって駆け出し……小型のラプチャー数機は身体を寄せ白く発光し……大爆発を起こした。

 

「うそっ、えっ……爆発した?」

 

 轟音は収まらず、自然が猛威を振るう。

 

「雪崩っっ―――指揮官っ!!」

 

 駆け寄るラピの焦燥した顔を最後に……暗闇に包まれ―――意識を失った。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 白い……真っ白な部屋で……ボヤけた少女は口を開いた。

 

『あなたの名前は何?』

 

 俺の名前……――――。

 

『■■■■?あは、変な名前』

 

 変な……。

 

『あなたはどうしてここに来たの?』

 

 どう、して?

 

『うん?病気なんでしょ?当然でしょう、ここ病院だし』

 

 病、院?

 

『私も病気だよ。何だっけ……脳が何とかかんとかって、言ってたけど』

 

 何時まで経っても……少女はボヤけ、輪郭しか把握が出来ず。

 

『あぁ。自己紹介がまだだったね。私の名前は……』

 

 少女は虚空に消えていった……。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「女王様。こっちで、誰か寝てます」

 

 瞼が薄く開き……ピンク色が目に入る。何か、大切な夢を見ていた気がした……。

 

「……ん?」

 

「こんなところで寝ちゃいけませんよ〜、早く起きてくださ〜い」

 

 体を揺すられるも、起き上がれない……体温が下がりすぎた。銃を持った白い服を来た金髪の……女王様と呼ばれた女と視線が合い……瞼が落ちる。

 

「ふぅん……まだ生きているのね。すごいじゃない……アリス。早く運びましょう」

 

 確か……雪崩に巻き込まれ、どうにか這い上がろうとしたとこまでは覚えている……。

 

「はい、女王様!」

 

「そこを持ってくれる?私がこっちを持つから……あ、アリス。そんな荷物を持つような持ち方ではダメよ……そう、そこをそうやって持って」

 

 体を強引に持ち上げられ……意識が落ちていく。……どうやら、助かった……ようだ。

 

「待ちなさい、そこは触ってはダメ。そこは、かなり親しくなってからでないと、触れてはならないの」

 

「でも、女王様。ここを持った方が安定しますよ〜。硬くて握りやすいです!」

 

「硬っ……アリス!やめなさいっ」

 

「ええ〜〜、どうしてですか〜、女王様〜」

 

「やめなさい」

 

「硬くて握りやすいんですよ〜」




新イベ……良いですね。非常に好みです!(何処がとは言ってない
ココアもいいけど……ソーダに全力です!!

マスタングは書くのが面倒なんで、次があってもダイジェストっす。


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23

 包み込むような柔らかさを感じ……意識を取り戻した。冷えた身体を暖めるように抱きついていたのは、幼くも美しい可愛らしい少女だった。

 

「あっ、起きた!」

 

 花が咲くように笑った少女は、薄くピンクがかった銀髪を二つ結びにしており……ヘッドホンに付属した耳がぴくぴくと動いた。……この技術の無駄遣い感、またテトラなのか。

 

「もう、そんなところで寝ちゃダメですよ〜、風邪ひいちゃ大変ですから!」

 

 苦笑いに表情を変えた少女が、メッと言いながら額に指を当ててくる。どうやら目覚め早々に叱られているらしい。

 

「……ああ、すまん……ここは?」

 

 状況を整理しなければ、バンカーを発見し……雪崩に巻き込まれ―――思い出した。……この少女に助けられたのか。

 

「ここは、悪いハートの女王のせいで、凍りついてしまった世界です」

 

 身体を起こした少女はよく分からない事を呟き……ッ、ハァー、なんて格好してんだ。

 

「……あれっ、また硬くなった……不思議です!」

 

 またって何だ―――確かに少女の格好……薄いピンク色のボディースーツはぴっちりと身体に張り付き、色々とはっきりと見える……ボディーラインとか……動きにあわせて揺れる果実とか……熱を持った事は否定しない。

 

「おお〜〜、カチカチです!」

 

 ……何で、何で下乳の隙間にまでピッチリ吸い付いてんだ。最早、脳が理解を拒んでいる。……これは良いものだとしか思えない。

 

「……ッッお、おい、触るな」

 

「??どうしてですか?硬くて不思議です!もっと触ります!」

 

「やめっ、ッ!」

 

 ガッシリと握り込まれ、スリスリと擦る指が快楽を生む。

 

「不思議、不思議です!身体は冷たいのに熱を感じます!ドクドク聞こえます!!」

 

 なんで扱かれてんだよッ!しかも分かってねぇ!……確か二人居たはずッ、こんな所見られたら終わる!

 

「ッ……上から退いてくれないか?」

 

「ダメです。女王様から許可を貰ってません!」

 

 幼い顔立ちに似合わぬ、肉感的な肢体は非常に目の毒である。

 

「何で硬くなって大きくなるんですか〜!教えてください!」

 

「……不可抗力だ」

 

「ふかこうりょく?……人間さんは不思議ですね!」

 

「手貸してくれ……手袋外すぞ」

 

 扱く手を止める為、手首を掴み手袋を外していく。両手の指を絡ませ、ぎゅっと握り込むと少女は微笑みを零した。良かった。これでどうにか誘導できそうッッ。

 

「……ふわぁ♥ これ、何だか幸せです〜〜」

 

 馬乗りになった肢体が硬さを味わうようにスリスリと擦り寄せられ始めた。―――こ、これは予想していなかったッ。

 

「!?ッ――ど、どうすれば降りてくれるんだ?」

 

「女王様が許可をくれれば、おります!……んぅ、あ、あれっ、ぴりってしたぁ〜♥」

 

「……なぁ、もう一人は何処行ったんだ?」

 

「……んぅ……ぴりっ……ぴりっって、な、なんですか〜、これ〜」

 

 オナニーだよ。言えるわけねぇだろッ!。

 

「……はあ」

 

「んっ、溜息をはくと、幸せが逃げていきますよ〜」

 

 にこにこと無邪気に笑う少女の瞳が蕩けていき……なんとか降ろそうと悪戦苦闘していると、鋭く外を睨む金髪の女性が姿を見せた。

 

「アリス、準備しなさい」

 

「ふぇ……は、はは、はい!!女王様?」

 

 た、助かった。金髪の女性は此方を見ること無く、アリスと呼ばれた少女は跳ね退き、女性の元に走っていった。

 

「ん?……ここが見つかってしまったわ。早く移動しましょう」

 

「!!、はい!」

 

 立ち退いた少女の代わりに金髪の女性が近づいてくる。極寒の地に関わらず肌を露出した格好から恐らくニケだと分かった。この寒空で肌を露出するとか自殺行為でしか無い。

 

「あなた、名前と所属を言いなさい」

 

「――――、指揮官だ」

 

「聞こえないわ。何と言った?」

 

 そうか……切り口を変えるか。

 

「俺を知らないのか?結構有名らしいぞ」

 

「ふぅん、あなたが■■■■?」

 

「ッ――そうだ。あまり名前は呼ぶな。嫌いなんだ」

 

 何時も通りの―――酷い雑音だ。

 

「そう。では、あなたはこれから私のしもべよ」

 

「は?下僕……」

 

「一つ聞くわ。女王と指揮官、どちらが偉いと思う?」

 

 そういう趣味でもあるのか?少女にも女王様と呼ばせていたな。

 

「女王だな」

 

 だが、敢えて乗ろう。命を助けて貰った。……敵では無いと思いたい。出来れば仲間にもなって欲しい。

 

「よろしい。だからあなたは、女王である私のしもべになるの」

 

「わあー!女王様、おめでとうございます!」

 

「話がそれたわね。急ぐわよ……それと、アリスには礼を言うことね。しもべをずっと温めていたんだから」

 

「わくわく!」

 

「……アリス、助かった。ありがとう」

 

「わぁ!女王様!!お礼を言ってくれました!」

 

 笑顔が眩しい……煩悩を抱いた事が恥ずかしく……ならないな。そんな格好して身体を擦りつけてくる方が悪いだろ。

 

「……そう。良かったわねアリス―――変わった人ね」

 

 全身で喜びを表現するアリスは、見た目より随分と幼く見えた。

 

 俺を救ってくれた金髪の女性とアリス。まだ何も知らないが……女王様がはしゃぐアリスを見詰める瞳は、娘を見るかのように優しい目をしていた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 急場を凌いだ俺達は、戦闘を避け真っ白な雪の上を歩いていた。吹雪が収まり日差しが差し込んだ事により、幾分か寒さもマシになっていた。

 

 女王はルドミラと名乗った。話し方、佇まい……そして女王様発言から、貴意が高いニケなのか……あるいは唯の変態か。どちらにせよ俺を助けてくれた美女である事には代わり無く、下僕にされた事は腑に落ちないが、アリスとの会話を聞く限り、悪い奴では無いらしい。

 

「しもべ、聞きたいことが多いようね。いいわ、私が説明してあげましょう」

 

 俺の視線を感じ取ったルドミラは、ペースを緩め俺の隣に陣取った。

 

「私たちは『アンリミテッド』邪悪なハートの女王を倒すために旅をしている!」

 

「うん、分からん」

 

 決め顔でそう言い切ったルドミラは、俺の発言に目をぱちくりさせ、ちょこちょこと近寄ったアリスが話を補足した。

 

「元々ここは、緑豊かな世界だったんですけど、ハートの女王が吹雪を起こして……今は不幸な世界になってしまいました……だから私たちは、仲間を集めてるんです。ハートの女王を倒すため!幸せな世界を作るため!」

 

「うん、わからん」

 

 そういう設定でラプチャーと戦ってるのか?

 

「ところで、しもべは誰ですか?何でここまで来たんですか?」

 

「俺か?……研究―――?」

 

 ルドミラからの熱い視線と握られた手から、空気を読めと言われている気が……徐々に力も強くなっている。

 

「……ハートの女王を倒して、幸せな世界を作るために来たんだ」

 

「……ふっ」

 

 薄く笑ったルドミラに対し、アリスは瞳を輝かせ、全身で喜びを表現した。何がとは言わないが……揺れる揺れる。激しく揺れる。

 

「!!じょ、女王様!仲間です!仲間が現れました!」

 

 ……うん、普通に目のやり場に困る。えっちな身体してやがる。

 

「騒がないで、アリス……実はね、私がしもべをここへ呼んだのよ」

 

「女王様がですか?」

 

「ええ、そろそろハートの女王に奪われた私たちの家を取り戻す時が来たの」

 

「わあー!」

 

 無知であることが救いなのだろうか?視線には何も疑問に思わないらしい。

 

「しかし、しもべ。どうして一人で来たりしたの?」

 

「雪崩に巻き込まれたんだ、仲間がいる。俺を探してるはずだ」

 

「!!しもべには、仲間がもっといるんですか?」

 

 ええい!抱きつくな!!無邪気過ぎるだろッ!持て余すだろうがッ!!

 

「もちろん。一人だけ呼ぶわけないじゃない。ハートの女王は手強いもの」

 

「さすが女王様!……ひぅ」

 

 引っ付いてくるアリスを引き剥がし、何とか平穏を手に入れた。

 

「……おほんっ、それにしても雪崩なんて。面倒な事になったわね。しもべの仲間は同じ種族なの?もしそうなら、残念ながら諦めた方がいいわ」

 

「少し違うから大丈夫だろう」

 

「……ふぅん。なら、生きているわね。よし、アリス。これからしもべの仲間を探すわよ」

 

「ま、またっ、ぴりって……」

 

「アリス?」

 

「はっ、はい!女王様!」

 

「幸い吹雪はやんだようだし、探索はそう難しくないはず。動きましょう」

 

 移動の最中、周囲の警戒が必要ない状況の場合、必ずと言っていいほどアリスが抱きついてくる。ルドミラは少し呆れた顔で『懐かれたわね』と零し、『しもべしもべ』と連呼してくるアリスを可愛いと思いつつ、背筋が薄ら寒くなる。まぁ、アリスは体温が高いようで、暖かいし柔らかいから最高なんだが……。

 

「片足がおかしいですね?珍しいしもべです」

 

「……外骨格か……折れたの?」

 

 アリスの性格は凡そ理解した。何と言えば喜ぶのかも大体分かる。ルドミラもアリスに合わせて付き合っているようだ。ならば俺が取る行動は一つ。

 

「……これはな……伝説の武器だ」

 

「……まぁ」

 

 嬉しげな表情を見せたルドミラに、選択が間違っていないことを確信した。

 

「じょ、女王様!!私たち、ハートの女王に勝てそうです!で、伝説の武器を持っているしもべなんて!」

 

 伝説の武器を持っている下僕とかいう可怪しな存在を受け入れてくれて良かったよ。

 

「もちろんよ。私が普通のしもべを呼ぶわけないでしょう?」

 

 そして当然のように乗っかかるルドミラ。あんた本当にアリス大好きなんだな。本当に親子みたいだ。

 

「……ん〜っ、女王様、もしかして……しもべは、ウサギさんですか?」

 

「何故そう思うの?」

 

「なんとなくそんな感じがします。伝説の武器を持った人と、偶然出会うわけないですから」

 

「ふふ、しもべに聞いたら?」

 

 ウサギ?あんまり知らないんだが……?さん付けという事は重要ポジションのキャラか?

 

「……しもべ、あなたはもしかして、ウサギさんですか?」

 

 不安の入り混じる瞳で見つめられる。

 

「一緒にハートの女王を倒して、私を幸せな世界に連れて行ってくれる、ウサギさんですか?」

 

 幸せな世界……か。幼い少女の期待を裏切る事など俺には出来ない。

 

「そうだな」

 

 俺が始めた物語だ。最後まで責任を持つようにそう告げた。

 

「!!やっと会えましたね!私、ずっと待ってたんですよ!」

 

 飛び込んできたアリスを受け止め、支えきれず雪に身体を埋める事となった。

 

「!?おい、アリス」

 

 ユニと言いアリスと言い、どうして幼いニケはこうもパーソナルスペースが狭いのか……アリスの場合、身体が大人なのが辛い所だ。

 

「一緒に行きましょう!幸せな世界へ!」

 

 馬乗りにされ、顔が近づく。ルドミラは微笑ましい物を見るように俺達を見ていた。

 

「そうだな。一緒に行くか、幸せな世界に」

 

「はい!」

 

 ……まぁ、こんな笑顔が見れるなら、そう悪いことでも無い。

 

「やったわ。むこうにバンカーが見えるわね。しもべのために、少し休んで行きましょう。ほら、掴まって」

 

 差し伸べられた手を掴み、起き上がった俺は付着した雪を落とし……って痛ぇよ。雪を払ってくれるアリスの力が地味に強い。

 

「わあ、こんな所にも……休む?ウサギさん、何処か悪いんですか!?」

 

「しもべは異世界を旅してきたらか、かなり疲れが溜まっているの。だから休む必要があるのよ」

 

「ふへ〜……やっぱり、女王様は何でも知ってますね!」

 

「ふっふふ、当たり前じゃない。さあ、少しだけ移動しましょう。この先はロード級がよく現れるから、油断しないことね」

 

 ロード級って……乳繰り合ってる場合じゃねだろソレ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 幸いバンカーに入るまでに戦闘することは無かった。よく現れるとルドミラは言ったが、ラプチャーの気配すらしないのが、少しばかり気味が悪い。考え過ぎならば良いんだが、あの時の状況に少し似ている気がする。トーカティブ……近くにいるとか言わないよな。

 

「ふぅん、思ったより綺麗ね。このレベルなら休めそうだわ……アリス、私はしもべと大事な話があるの。少し席を外してくれる?」

 

「はい!ハートの女王の手下が来ないか、監視します!」

 

「……じゃあ、お願い」

 

 ルドミラの指示に従い、アリスは走って出ていった。

 

「アリス一人で危険じゃないのか?」

 

「いや、アリスは強い子よ。私が保証するわ。さあ、改めて紹介するわ」

 

 対面に腰掛けたルドミラは妖艶に脚を組み……こんな時でも目が奪われるのは疲れているのだろうか?……雪の様に純白だったとだけ言っておく。

 

「アンリミテッド分隊のルドミラよ。あの子はアリス。地上で迷子になったニケを救出して、無事にアークまで送る仕事をしているわ。道しるべのようなものね」

 

 煙草を見せ許可を促す。うなずいたルドミラに対し、火を点け紫煙を吐き出した。……迷子になったニケを救出か。それは随分と大変そうな仕事だ。

 

「『地上で道に迷ったら北部へ行け』って言葉、聞いたことがあるかしら?」

 

「……すまんが初耳だ」

 

「そう……それは、私たちアンリミテッドがいるから出来た言葉よ。まあ……人間を助けたのは初めてだけど」

 

「初めて人間を助けた感想はどうだ?」

 

「悪くないわね……とにかく、研究施設へ行きたいのよね」

 

「そうだな」

 

「目的が何か知らないけど、現在それは不可能よ。研究施設はラプチャーの手に落ちた。外部はもちろん、内部まで全てが……おかげで私たちは家を失い、放浪するザマよ」

 

 表情を曇らせたルドミラはそう告げ、儚く笑みを作った。

 

「家を……占領されたのか」

 

「いや、占領とはちょっと違うわ。言葉の通り、ラプチャーのものになってしまったの。研究施設とは違う『何か』になってしまったわ」

 

「……そうか、それでも行くがな。ルドミラも一緒に来てくれないか?」

 

 俺の提案は質問により返された。少しばかり鋭くなった瞳を添えて。

 

「なぜ行きたいの?危険に身を晒すだけだわ」

 

 生半可な理由では手伝ってはくれないだろう雰囲気を、ルドミラから感じる。瞳には強い意志が籠もっており、自殺に手を貸す気はないと言われている気がした……これは、腹を割って話す必要がありそうだ。

 

「……ピルグリムを探している……ピルグリムにトーカティブ、聞き覚えはあるか?」

 

 さて、どちらに食いつくか。

 

「……その単語。普通の指揮官が口にする単語かしら?」

 

「おあいにくだが、俺にとっては普通の単語だ」

 

「そう……巡礼者たちを探す理由は?」

 

 ピルグリムか……こうなるとトーカティブの情報はかなり厳重に秘匿されているって事か。

 

「……大切な仲間に関する真実を知るためだ」

 

 目を見開いたルドミラは、それを隠すように冷静な声色で訪ねてきた。

 

「……ニケなの?」

 

「そうだ。生きてほしい。死ぬことなんて許さん……俺には彼女を助ける責任がある。まぁ、責任なんて無くても関係ないが」

 

「あなたは……あなたはニケを仲間と呼ぶのね」

 

「そりゃそうだ。命を助けて貰ってんだ。人間なんかよりよっぽど良い奴だろ」

 

 人間なんて底を見れば探りあいの騙しあいだ。ニケの方が何百倍も人間らしい。……快楽に弱い所とか特にな。

 

「……明確な主従関係があるはずよ。ニケと指揮官には。……仲間という型を被せて、分隊をうまく運用するためなのかしら?それとも高い方に位置する者が施す、傲慢な寛容ってとこか」

 

 これは、綺麗事を言われて嫌われたか?それなら……仕方ないか。

 

「どうとでも、好きに取ればいい。俺にとって仲間は仲間だ。それ以上も以下もねぇ……一緒に来てくれって言葉は忘れてくれて良い、こっちでどうにかする」

 

 瞑目したルドミラは、少し考え小さく零した。

 

「……これはどうやら、本物を拾ってしまったようだわ」

 

「本物?」

 

「そうよ、本物……しもべは本物の馬鹿ね。でも、嫌いじゃない、協力するわ」

 

 瞳を開けたルドミラは、そう言いながら美しく微笑みを浮かべた。

 

「ピルグリムに関する資料は全て研究施設にあるわよ。貴方の仲間と合流した後に研究基地を奪還すれば、全て解決するわ」

 

「―――そいつはなんとも……御誂向(おあつらえむき)だな」

 

 その笑顔に少しばかり見惚れたのを感じ取ったのか、冗談交じりの笑顔が向けられた。

 

「ふふっ、そうね……ところで、あなたの仲間は強いかしら?」

 

「……俺なんか必要無いくらいには、最強だな」

 

「いい答えね……そしてもう一つ、アリスは……」

 

 言い辛そうに瞳を落とした姿に言葉を被せる。

 

「ハートの女王を一緒に倒す……仲間だ」

 

 アリス。今までの言動の数々から、少なからず抱えていることは分かった。直接本人が言わない限り、知るつもりは無い。

 

「……あっはは、もしこれが演技なら、しもべはすごい悪者ね」

 

 ……悪者だよ?あんな幼い子に対して、少しでも性的な目を向けてしまったんだ。誰がどう見ても悪者だろ。

 

「アリスよ!出発する!」

 

「はぁつ!はい?……わ、分かり、じゅる、分かりました!」

 

 涎を垂らしたアリスが扉から勢い良く入ってきた。誤魔化すように瞳を輝かせ笑顔を見せるアリスは、純粋に可愛らしい。

 

「……寝ていたのね」

 

 これぐらい緩くてもいいのかもな。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ウサギさん、ウサギさん!どうしてウサギさんはウサギさんなんですか?」

 

 時々、哲学的な質問が来るのはどうしてだ。俺にも分からんぞ、それは。

 

「アリスはどう思うんだ?」

 

「私、ですか〜?ウサギさんはウサギさんだからウサギさんです!」

 

「なら、そういう事だろ。アリスは天才だな」

 

「わあ〜!天才ですか!凄いです私!!ウサギさんはウサギさんだからウサギさんなんですね!」

 

 いつかウサギがゲシュタルト崩壊する気がする。

 

「女王様!あの上に、誰かいます!」

 

 ぴょんぴょんと俺の周りを跳ね回るアリスを見て、最早どちらがウサギか分からないな、などと思っていると、アリスが斜面を指差し大きな声をあげた。

 

「ふぅん。二人……ね。どう?しもべ。あなたの仲間で間違いない?」

 

 目を凝らすも、遠すぎてよく見えない。

 

「どお、見える」

 

 近づいてきたルドミラに耳元で囁かれ息がこそばゆい。何かバンカーを出てから妙に距離が近い。

 

「……いや、遠すぎてよく見えないな」

 

「……そう。分かったわ、もうすこし近づいてみましょう」

 

 周囲を警戒しつつ歩を進めると、徐々に豆粒が見え始め……空に銃を構えた姿が見えた。

 

「師匠ーー!!どこですかーー!!」

 

「指揮官様ぁーーー!!」

 

「聞こえたら返事してくださーーい!!」

 

「指揮官っ様ぁあーーーー!!」

 

 ……ネオンが空に向かって銃を乱射した。……俺は顔に手を当て少しばかり考え込む。ラプチャーが現れなかったのは、そう云う事なのか?

 

「師匠ーー!!私たちはここですー!!」

 

 ……さらに発砲音が木霊した。

 

「……どう?」

 

 呆れた様に笑うルドミラに言葉が詰まる。

 

「……すまん、俺の仲間だ」

 

「ふふっ、面白い人たちね」

 

「女王様!ハートの女王が手下を送りつけてきました!」

 

 だろうな……幸い、大きな個体は居ない。十二分に対処出来るだろう。

 

「でしょうね。あんなに騒いでいるのに、来ないほうがおかしいわ」

 

「なんか……すまんな」

 

「いいのよ。片付けるわよ、アリス」

 

「はい、女王様!」

 

 構えたアリスの狙撃銃から轟音が響き……一撃で数体のラプチャーが爆散した。……その構え方はちょっとお兄さん的にどうかと思うぞ?

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 どうやら俺の力はアリスに適応されたらしい。自分の力に戸惑っているアリスをルドミラがサポートし、付近のラプチャーを殲滅した頃、斜面から下ってきた二人が物凄い速さで近づいてくる。

 

「師匠!」

 

「指揮官様ぁぁ!!」

 

「うわぁ!私はてっきり師匠が冷凍人間になったかと……!?」

 

「―――ネ、アニッッ、ぐばぁっ!!」

 

 勢いそのままに飛び込んできたアニスを受け止められず。雪の上を二人で転がる。

 

「指揮官様ぁ!しきかんさまぁあ!!雪を!雪を全部掘って探してたのよっ!!」

 

 今日は、馬乗りにされることが多いな。雪に感謝することも多いような。

 

「―――ありがとな、アニスも無事で良かった」

 

「ううん、指揮官様こそ、本当に無事でよかったっ!」

 

「アニスは師匠が大好きですからね〜」

 

 揶揄うようなネオンの言葉にも反応せず、抱き締めてくるアニスを三人が眺めていた。

 

「……ラピは?」

 

「あ……ラピは」

 

 ネオンが小さく呟き、顔をあげたアニスが視線を逸した。

 

「……死んだの、ラピは。雪崩に巻き込まれてしまって……」

 

「指揮官。私は無事です」

 

「チェッ……きゃぅ!」

 

 瞳を伏せたアニスの顔にラピの声と共に雪玉がぶつかり、俺の上からアニスが消えた。め、めちゃくちゃ速く無かったか?

 

「縁起でもねぇ冗談は、あんま言うなよ」

 

「ぺっぺっ、ぅ……ごめん。でも一発は一発よ!」

 

 雪を払ったアニスは、しょんぼりしているように見せかけ、ラピに雪玉を投げつけた。

 

「あっ、避けたっ!!」

 

 迫る雪玉を首を傾げるだけで避けたラピは俺に手を差し伸べる。

 

「申し訳ありません。私がもっと早く来ていれば……」

 

「気にすんな、俺は生きてる。それに仲間も増えた。結果オーライだ」

 

 手を掴み立ち上がり、尚も暗い顔をしているラピを軽く抱き締め、背中を擦る。

 

「気にします……また、守れっ……んっ、守れませんでした」

 

「助けようとしてくれただろ、それだけで十分だ」

 

「指揮官……助かります」

 

「何かいい雰囲気です。どう思いますかアニス」

 

「うん、ずるいよね。私たちも必死に探してたのに!」

 

「アニスは飛び付いたじゃないですか!」

 

「……ネオンもすれば」

 

「!?そ、それは……恥ずかしいです」

 

 ラピと離れ、座り込んでにこにこと此方を見る二人と目が合った。

 

「うわあ〜、お熱いですね〜!」

 

「そうね。こんな愛の形もあるのね。知らなかったわ」

 

「でも、さすがは師匠です!雪崩に巻き込まれても生きてるなんて!やっぱり私、人間を見る目が……どちら様ですか?」

 

 離れたラピと対象的に近寄ってきたネオンが俺を労い……今更二人に気づいたネオンの眼鏡が曇る。

 

「アンリミテッドよ。あなたたちが下僕の仲間ね。挨拶は後にしましょう。とりあえず移動するわよ。誰かさんが大騒ぎしたおかげで、やつらが群がってくるでしょうから」

 

「まあ、誰ですか?こんな所で大騒ぎするなんて!」

 

「非常識な奴らね!」

 

「……そうね、誰だろう」

 

 三者三様、関係ないと言わんばかりの言葉に、ルドミラは吹き出した。

 

「あははっ。しもべ、あなたの仲間はすごく愉快なのね」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 吹雪が吹く気配もなく、仲間も増えた。順調に行軍を進めていると、先頭を歩いていたルドミラとラピが小休止を提案した。時間の浪費を考え情報の共有を歩きながら行っていたが、統制が必要になったのだろう。

 

「―――話は分かった?」

 

 ルドミラから聞いたであろう情報を告げたラピは、アニスとネオンに確認する。

 

「要は、研究基地を奪還するってことね?」

 

「また、潜入するのですか?」

 

「え……じゃぁ、今度は指揮官様が私の前に立ってね」

 

「俺の定位置はお前の後ろだ」

 

「ええぇっ……も、もぅ♥」

 

 次はどんな悪戯をしようか……少しばかり楽しみだ。

 

「残念ながら潜入は不可能よ。外部ルートは全部塞がっているもの」

 

 ルドミラの言葉に野望は儚く消え去る。カウンターズのリーダーであるラピが代表し、ルドミラと今後の擦り合わせを始め、手持ち無沙汰な俺はアリスとじゃれて遊んでいた……神に誓ってえろい事はしていない。

 

「ウサギさんは不思議ですね。なんだかぽかぽかします!」

 

「そっか、アリスの事が好きだからだろうな」

 

「わあ〜〜、嬉しいです!私もウサギさんが大好きになりました!」

 

 なんだか、幼気な少女を誑かしているようにしか見えないような。

 

「師匠はロリコンでしたね」

 

「違うわ、ロリもイケたのよ……思わぬ伏兵(ふくへい)ね」

 

 ……二人してそんな目で見るんじゃねぇよ。

 

「私ってロリ枠でしょうか?」

 

「……違うと思うわよ、ネタ枠じゃないかしら」

 

「!?アニスに言われたくありません!」

 

「はあ?なんでよ私がネタ枠なのよー!」

 

 なんて会話してんだ。丸聞こえなんだが。……いや、聞こえるように言ってるのか。

 

 それにしても緊張感が無い。真面目なのはラピとルドミラだけ……まぁ、俺が指揮官なんてやってんだ、こうなるわな。ありがとうラピ。何時も助かってる。てか、ラピが居なければ俺の部隊は潰れるような気がする。……愛想を尽かされないよう頑張らねば。

 

「内部にピルグリムに関する資料があるのは確かなのね?」

 

「それは保証できるわ」

 

「そう、なら出発しよう」

 

「あの〜、みなさんはウサギさんの仲間ですよね?」

 

 合流してから、俺を壁にし話しかけようとしなかったアリスがおずおずと切り出した。娘の成長に思わず目頭が熱くなる。

 

「……ウサギ?」

 

「は、はい!女王様のしもべで、私を幸せな世界へ連れて行ってくれるウサギさん」

 

「……いや、私たちは指揮官の部……そう、私たちはウサギさんの仲間よ」

 

 俺の視線を的確に読み取ってくれたようで安心した。ラピは出来る子だと信じていたぞ。

 

「わあー!じゃあ、みなさんも伝説の武器を持ってるんですか?」

 

 伝説の武器は多少の人見知りを凌駕するらしい。途端にきらきらと輝いたアリスに浄化されそうだ。

 

「持って……いるけど」

 

「どれ、どれ!?私にも見せてください!」

 

「「「……」」」

 

 お前がどうにかしろと六つの瞳が物語っている。どんどん俺の威厳が無くなっていく中、ルドミラだけはこの光景をニヤニヤと眺めていた。

 

「伝説の武器……か、この脚を最後に使ったのは何時だったかなー」

 

 さあ、読み取れ!お前たちなら出来るはずだ!!

 

「!この眼鏡は私の伝説の武器です。すべてを焼き尽くすビームが発射されます!」

 

 流石はネオン。こういうのを読み取る力はずば抜けているが……なんだ、ラプラスにでも憧れてんのか?

 

「うわぁー!」

 

 アリスにはストライクらしい。

 

「私の伝説の武器……は、この手袋よ。急所を七箇所押すと、相手は必ず倒れる」

 

 戸惑いつつも言い切ったアニス。いつから格闘家になったんだ。その豊満な身体で格闘家は……色々と捗るな。

 

「うわ、うわぁー!……そっちの仲間さんは?どんな伝説の武器を??」

 

 キラキラした瞳を向けるアリスに、手袋という選択肢を奪われたラピの瞳が揺れる。

 

「……私は……」

 

 俺が助け舟を出す前に、アニスがニヤニヤと笑みを浮かべた。

 

「ラピの伝説の武器は、強すぎるから封印しているの」

 

「はっ……!封印する必要があるほど強力なんですね!」

 

 純粋なアリスは、ニヤニヤと笑みを深めるアニスを疑いもしない。

 

「そうよ。胸の中に封印しているの」

 

 調子に乗り始めたアニスがラピの胸を指さした。

 

「そしてその封印は指揮……ウサギさんだけが解除できるの!」

 

「見せてください!ウサギさん!」

 

 ……こんな純粋な子の前で、胸を揉めと?

 

「ウサギさん、ラピの封印を。ボタンを押すとすぐに、封印が解除されるのよ」

 

 ボタンという単語に反応し、ラピは頬を染め抵抗を示した。

 

「んっ……今封印を解除しては、この一帯がめちゃくちゃになる。それだけ強力な伝説の武器よ」

 

「す、すんごく強い伝説の武器なんですね……!」

 

「……そう、だから本当に危険な時にしか使えない」

 

 少し残念なような……良かったような。アリスは納得したように笑みを深めた。

 

「分かりました!仲間のみなさんも、すごい方々でしたね!」

 

「ふふ……あはっ、あははははっ」

 

 ラピの反応を見たルドミラが、腹を抱えて笑っていた。




アリス……可愛いけど、持ってないんだよね。何時になったら来てくれるんだ?


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24

せ、精神的えろ……になるのかな〜?
誤字報告ありがとうございます!凄く助かります!!
いつか全部見直します。

……い、一話を改良したの報告するの忘れてました。すいません!
前の一話は読み辛過ぎた……。


 風に靡く髪を押さえ、ネオンが悠然と呟く。

 

「ああ……建物まで壊してしまうなんて」

 

 研究施設は要塞化しており、建物自体がラプチャーと化していた。ルドミラの提案により外部フレームのジョイントを破壊することに決めた俺達は、二手に分かれ左右のジョイントを破壊。動きが止まった所に、一斉掃射をコアにお見舞いし、誰一人欠ける事無く余裕を持って勝利することが出来た。

 

「私の火力はもう極限に達してしまったようです」

 

 事前に触れ合い、火力を大幅にあげたネオンは獅子奮迅の活躍を見せたが、一種の燃え尽き症候群に罹ってしまったようだ。尚、触れ合いと言っても恥ずかしがるネオンを抱き締めただけだ。微笑ましい目で見られて、俺も少し恥ずかしかった。

 

 ルドミラにはさり気なさを装い、頬に触れてみたりしたが……やはり効果はあった。好意を向けられている可能性は低い為……別の可能性が浮上した形となったが……。

 

「師匠。私はもう下山します。これ以上、目指す境地がありません」

 

「この子、なに言ってるの?」

 

 完全にやりきって、灰になろうとするネオンをアニスが半眼で突っ込んだ。

 

「じゃあ、次の目標はアークの防護壁だな」

 

 ラプチャーに破られた事のないアークの防護壁は鉄壁の守りを誇っている。ソレを壊せるようになれば、火力の極地と言っても過言では無い。

 

「!!さすが師匠です!更に高い目標をもう決めてくださるなんて!自信過剰でした!これからも、もっと頑張ります!」

 

 ネオンのテンションにあわせ曇ったり輝いたりする眼鏡……本当に伝説の武器だったりしないか?マジでビームが出ても驚かない自信がある。

 

「ああ、期待してる」

 

「はい!!皆を呼んできますね!!」

 

 大きな返事を返したネオンはパンツを丸出しにしながら走り去り、アニスは崩れた残骸を脚で突いて確認した。

 

「……また、動いたりしないよね、これ?」

 

「ア、アニスッ!」

 

「!?ひぇっ……えっ―――」

 

 びくっと反応したアニスが可愛らしく、笑っていると―――抱き締められ……腕に徐々に力が籠もっていく。

 

「しぃ〜きぃ〜官〜様ぁあ!」

 

 ―――ま、待ってッ……マ、ジッで折れッッ。ふ、ふざけんな!俺は勝つぞッ!!

 

「ちょっとくらい罰を、!?っあんっ♥ ……ちょ、んぅ♥ し、しきかっ……ひぁん♥ ……ぅぅぅ♥」

 

 感度の良いお肉を刺激され、腰が砕けたアニスから抜け出しほっと一息ついた。

 

「ネオンが居なくて良かったな」

 

「んんぅ、ょ、ょくにゃぃ♥」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 全員が合流し、火照った頬を冷ましているアニスに睨まれながら、俺は涼しい顔でルドミラに訪ねた。

 

「動いたりしないよな」

 

「多分……内部が無事かどうかが気になるけど……」

 

 警戒を緩めたルドミラが残骸に触れ……そう判断した。

 

「し、侵入してみるしか、無いんじゃないかしら?」

 

「……そ、そうね、少なくとも、記録だけは無事だといいんだけど」

 

 薄っすらと頬を染めたアニスの違和感に、ルドミラが目を見開いた気がした。……多分気の所為だ。

 

「女王様!もう私たちの家を取り戻したんですか?」

 

「そうよ、アリス。しもべとその仲間たちの力のおかげってところね……私が呼んだ、しもべとその仲間たちのおかげよ」

 

「わぁー!女王様、最高です!」

 

 ルドミラも可愛いとこがあるな。アリスに褒められて嬉しそうにしている所とか、褒めて欲しいのか知らないが誇張表現する所とか……。本人に言ったら殴られそうだから言わないが。

 

「指揮官。侵入の許可を」

 

 ラピの言う通りこの場に留まっても意味がない。さっさと進もう。

 

「ああ、行こう」

 

「ラジャー」

 

 研究基地に脚を踏み入れて直ぐ、ルドミラが腕を水平にあげ、俺達は脚を止めた。、隣のラピが俺の前に陣取り、機械音が響きだす。

 

「ん!?……これは、困ったわね」

 

 呟きに合わせ照明が点き、部屋を明るく照らす。重厚な扉の左右に小銃が展開され、此方に照準を合わせた。

 

「!?何が起きているの」

 

 俺を背に庇ったラピが銃器を構え、警戒を顕にする。

 

「大丈夫、撃っては来ないはず……セキュリティーが生きているわね。侵入できない」

 

「え〜?なんで?」

 

 撃ってこないと分かったアニスが警戒を解き、不満を顕にする。

 

「それは、分からないわ……カードキーがあれば侵入できるけど、脱出で忙しかったから、持ってこれなかったのよ」

 

「心配しないでください。こんな薄っぺらい扉なんて、私の火力で吹っ飛ばしてみせます」

 

 自信満々なネオンが歩を進め、火器を構えようとしてルドミラに止められた。

 

「やめましょう。厚さが四十センチ以上もある合金鉄板なのよ。個人火器で突破できるようなレベルじゃないわ」

 

「……なんと、極限に達したと思ってましたが、ただの自信過剰だったみたいです……」

 

 ピッチリスーツの大柄なオッサンという嫌な記憶が蘇るが……背に腹は変えられん。……ん?ピッチリスーツ……アリスのスーツもピッチリだ―――アイツの趣味かッッ!!やっぱりアイツは処理する必要がある……シュエンと協力すればどうにかなるか?

 

 ……い、今は忘れよう、帰ってからだ。

 

「―――カードキー……これで行けるか?」

 

 冷静さを取り戻した俺は、しまっておいたカードキーをルドミラに見せた。

 

「……ん?」

 

「え……でもそれ……」

 

 カードキーを見詰めるルドミラは徐々に笑みを深め、対象的にアニスは嫌がった。……アニス、そんなに期待するな、大丈夫―――道連れだ。

 

「指揮官様が……凄く良い笑顔してる。嫌な予感がするわ」

 

「『みんな』で躍るぞッ」

 

 しっかりと強調された『みんな』というセリフに、三人の表情が固まった。

 

「ラピ、アニス……私、変です」

 

「何が」

 

「何?」

 

「恥ずかしいです」

 

「それは……私も」

 

「……私も」

 

 ネオン。お前だけは、必ず道連れにすると決めていた。だってお前だけノリノリだっただろ?反省しても駄目だよ?。恥ずかしがる姿が可愛いから許されると思ったら大間違いだ。

 

「は、恥ずかしいですっ、アニス!ラピ!これすっごく恥ずかしいです!」

 

「し、指揮官様……そ、その私たちも踊らなきゃダメ……だよね〜」

 

「……羞恥心を捨てれば……そんなの、無理っ」

 

 恥ずかしがる三人を眺めながら、俺も身体を動かしていく。三者三様の良さがあり、自分が阿呆みたいな踊りを踊っている事実が無ければ、美味い酒でも飲めそうだ……これ女が躍る前提のダンスだろ。

 

「あ!!それは勝利の舞いですか?女神に捧げるという?……私もやリます!女王様も一緒にやりましょう!」

 

「……そ、そうね、そうしましょう」

 

 徐々にテンションは上がり、五人の美女に囲まれ躍る高揚感が俺を包み込む。

 

「アニス、キレが……キレが足りんぞッ!もっと自信を持てッ!身体を揺らせッ!!」

 

「えっ、ぃゃ……指揮官様っ、恥ずかしいって」

 

 たわわをもっと揺らさねぇかッ!お前のたわわは揺らすためにあるんだよッ!!

 

「ネオン……何を恥ずかしがってんだッ!俺だって恥ずかしいんだッ!踊りも火力だ!曝け出せッ!」

 

「お、踊りも火力!!……絶対嘘ですよぅ〜!」

 

 頬を染めながら、ひらひらと揺れる短いスカートから覗く布が素晴らしい!

 

「ラピッ!動きが小さいッ!!こうだッ!もっとこうダイナミックに動けッ!!」

 

「で、ですが指揮官っ、そんなに脚を上げると……」

 

 最近、羞恥心が芽生えて来たらしい。よく服の裾を握っている姿を目にする……最高に可愛い。

 

「やれッ!!」

 

「はぃ!」

 

 ふぅ―――非常に眼福である。

 

「ウサギさん!私は、私はどうですか〜!ちゃんとできてますか〜!」

 

「完璧だッ!みんなアリスを見習えッ!!」

 

 可愛いは正義だ。多少えちえちなのは見逃してやるッ!!

 

「わぁ〜い!女王様も見習ってくださいね〜!」

 

「わ、私にはこの踊りはちょっと、ほ、ほら……スカートだから」

 

「ルドミラァ!!もっと大胆にッ!恥ずかしくねぇ!ダンスだ!芸術だッ!俺だって脚折れてるんだよッ、頑張れよッ!!」

 

 タイトスカートを選んだのはお前だろ?ヤるって言ったんだッ!ちゃんとヤらねぇとなッ!!

 

 ……ああ、白が眩しいぜ。

 

「「「「はぁ……ふぅ、ふぅ……んっ」」」」

 

 へたり込む四人の側でアリスとハイタッチし、労いを込めてわしゃわしゃと髪を撫でる。

 

「凄い勝利の舞いでした!わぁ〜〜、もっと撫でてくださ〜い!」

 

 少しパッションが漏れてしまった。事後のように身体をくねらせ横たわる四人の色気に当てられそうだ。アリスもぴょんぴょんと跳ねるな……色々と跳ねるから止めて欲しい……少し冷静になったが―――こ、これがカードキーの力か……危ない所だった。呑み込まれないようにしなければ。

 

「す、すごい踊りだったわ……あなたたちも大変ね」

 

「ふぅぅ、普段は格好いいんだけど……ちょっとえっちなのよね」

 

「こ、これで火力が上がりましたか〜、恥ずかしくて死にそうです」

 

「……ふーっ♥ 悪くないかも」

 

「「ラピ!?」」

 

「ウサギさん!ウサギさん!どうでした!上手にできていましたか!?」

 

「ああ、アリスがナンバーワンだ!」

 

「うわぁ〜〜!女王様褒められました!私が一番だって褒められました〜!」

 

「よ、良かったわね……アリス」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 四人の火照りが冷めるまで休息し、冷静さを取り戻した俺達は、ルドミラの案内に従い研究基地を移動していた。内部にラプチャーがいる可能性も考慮し、時間をかけ目的地までの安全を確保していったが……結局ラプチャーが現れる事は無かった。

 

「幸い、こっちにはあまり手を出していないみたいね。あっちの端末を調査するといいわ。私が後ろで、資料の経路を教えてあげる」

 

「なんで?罠でも仕掛けてるの?」

 

 ルドミラの発言に対しアニスが疑問を吐露し、鋭い瞳が向けられた。

 

「どういう意味だ?」

 

「なんで自分でやらずに、私たちにやらせるかってことよ」

 

 怯むこと無く告げられた言葉に対し、剣呑な雰囲気は消え去り、ルドミラは手袋を外し俺達に向き直る。

 

「ああ、そういうことね。見せてあげるわ、その理由を」

 

 横にあった小さな端末をルドミラが触った瞬間……端末は黒い煙を上げて機能を停止した。……俺の端末を壊した犯人は見つかったようだ。

 

「……超能力?」

 

「まあ、こういうことよ。なぜか私が触る機械は全部故障してしまうの」

 

 再び手袋を嵌め直したルドミラを尻目に、アリスがぴょこぴょこと跳ねてアピールしていた。だから……跳ねるなッ、二人……三人の視線が痛い。

 

「だから家にある機械は全部、私がコントロールするんです!」

 

「な、なんで」

 

 アニスの疑問も最もだろう。極端に特化した能力……もしかしたらラプチャーにも通用し得る可能性がある。

 

「私にも分からないわ。まあ、どうやら私は、壊れているものしか触れないみたいなの」

 

 その言葉は誰に向けられた物なのか、たしかにニケも……機械だ。もしや、ルドミラは触れ合った事が無いのか?

 

「ルドミラ……手を貸せ」

 

「どうして?」

 

「良いから貸せ」

 

 腑に落ちない顔で差し出された手を取り……手袋を外す。しっかりと握り締め、指同士で体温を交じりあわせる。

 

「俺は壊れているか?これから壊れるか?……壊れねぇだろ。あんまり気にすんな。俺の端末を壊した事も気にしてねぇよ」

 

「……気にしてるじゃない。馬鹿なしもべね。いいわ、このままこっちに来なさい」

 

 手を絡めたまま、笑みを零したルドミラに連れられ、端末の前に座らされた。どうやら俺に端末を操作しろという事らしい。

 

「パスワードが、かかってんぞ」

 

「パスワードはWonderLand。大文字と小文字に気をつけて入力して頂戴」

 

 ワンダーランドね。アリス大好きかよ。

 

「さあ、次はあのフォルダよ」

 

 どれだよ。

 

「それから、そのファイルを開けて……」

 

 ……。

 

「違う、そのファイルじゃないわ。それはゲームよ。DigitalCopって知ってる?古いけど名作なの」

 

「ルドミラ……あのとかそのじゃ分からねぇよ。因みにそのゲームは知らねぇ」

 

「ふふっ……もう、仕方ないわね」

 

 柔らかな塊が押し付けられ、マウスを握る手をルドミラが包み込む。俺の手だけに触れるよう注意しながら動かされた手に、目的のファイルへ誘導された。

 

「これを開けて、パスワードは」

 

 密着し過ぎて話が入ってこないんだが……柔らかな膨らみと熱っぽい息遣い……花のような良い匂いもする。

 

「SuperUltraNikkeよ。ふぅー……聞いてる?」

 

「―――近いッ……当たってるんだが?」

 

「ふふっ、当ててるのよ。可愛いしもべね」

 

 なんで手球に取られてんだよ。クソッ、可愛いじゃねぇか。

 

「ラピ」

 

「何、アニス」

 

「殴っていいかな」

 

「……やめておこう」

 

 不穏な会話を耳に入れながら、パスワードを打ち込み画像ファイルを読み込んだ。

 

「その画像をスクリーンに出力させて……北部の全体地図よ。そして画面に表示されているのは巡礼者、つまりピルグリムを目撃したところ」

 

 椅子ごとスクリーンに身体を向け、引っ付いたルドミラも同じように移動する。

 

「目撃したことがあるの?」

 

 少しばかり不機嫌そうなラピがルドミラに訪ね。俺の耳を澄んだ声が擽った。

 

「遠くからね。実際会ったことはないわ。それから、今画面に表示されているのが、巡礼者が出没する時期よ」

 

「……パトロール」

 

「そう。巡礼者は北部で何かを捜しているみたい。一定した周期で動いているのよ。そしてちょうど、このポイントに現れる時期が近いわね。運が良ければ会えるわ。コードネームは『スノーホワイト』」

 

 スノーホワイト……白銀のニケ。雪の様に白い……白雪か。名は体を表すとは言うが、まんまか。

 

「それで、何時まで指揮官様に引っ付いてるつもり?」

 

「あら、嫉妬?しもべは嬉しそうよ」

 

 煽んな。面白がってるだけだろがッ。

 

「ルドミラ……離れてくれ」

 

「……あら、残念。振られちゃったわね」

 

「指揮官。休息を取ってから、すぐに出発しましょう」

 

「ならついて来い。ここは天井に穴が開いているから、休息には向いてないわね」

 

 ルドミラに連れられ、一室に案内された。普段は掃除が行き届いているであろう部屋は、戦闘の余波で散乱してはいたが埃は被っておらず、休息を取るのには十分だった。

 

「ルドミラはピルグリムを追跡しているように見えたが、どうしてだ?」

 

 あれだけの詳細な情報を入手するため、どれ程の年月を割いたのか……ルドミラが、いや、アンリミテッドが本来の任務に加え、そこまでする必要があるのか。

 

「ふぅん、それが気になるのね」

 

「無理にとは言わねぇが、教えてくれたら嬉しいな」

 

「……理由は二つよ。恥ずかしかったから。そして、やるべきことだと思ったから」

 

「チッ、曖昧な事言いやがって」

 

「ふふっ、詳しいことはしもべが私ともっと親しくなってから、教えてあげるわ」

 

「そうか、頑張らねぇとな」

 

「ふふ、そうね。頑張りなさい……アリス」

 

「はい、女王様!」

 

「しもべの隣にいてあげなさい」

 

「あ、温かくしてあげましょうか?」

 

「そう」

 

 アリスはぴょんぴょんと跳ねるように近づき、スペースを作るため詰めた俺に覆い被さってきた。

 

「アリス?……まぁ、いいわ、その方が暖かいでしょう」

 

「おい、アリス……ああ、もういいよ。そんな顔するな」

 

「えへへ〜、ウサギさん。重たくないですか?」

 

「ああ、問題ない。むしろアリスは軽いな」

 

 柔らかな肢体を満遍なく押し付けられ、多幸感に包まれる俺を余所に、指示を出したルドミラに対し、ラピが疑問を投げかけた。

 

「……発熱スーツ?」

 

「いや、冷却スーツなのよ。アリスの体温は異常に高くてね。あのスーツで体温を抑えているのよ。疲れすぎると眠れないから。そんな時は、アリスの体温がとても役に立つの」

 

「えへへ、ウサギさん。温かいですか?」

 

 覗き込まれる顔には優しい笑顔が浮かび……徐々に、瞼が重たくなっていく。二つの柔らかな膨らみに顔を埋められ、体温と鼓動が安らぎを生む……少女の体温はとても心地が良く。

 

「おやすみなさい。私が側にいます」

 

 耳元で囁かれた言葉は慈愛に溢れ、心地よい温もりに抗えず、全身が溶けるように重くなっていく。

 

「……おやすみ」

 

 ルドミラの言葉を最後に……意識が途切れた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 柔らかな感触が顔を包み込み、思わず手を伸ばし柔らかな膨らみに指が沈んだ。本能の赴くままに揉み込み、掌全体で膨らみを堪能する。

 

「……んぅ、んっ、ぁ♥ ……」

 

 何かに覆われているような手触り……感触は少し芯が残ったような、張りの有る柔らかさをしていた。

 

「……ぁぅ……んんっ、あはぁ♥」

 

 喘ぎ声が聞こえ、急速に意識が覚醒する。瞳を開け顔を上げると、アリスの顔が近くにあった。

 

「ア、アリス?」

 

「……んぅぅ、ウサギしゃん、しょ、しょんなに人参は食べれましぇんよぅ〜……むにゅむにゅ」

 

 人参……隠喩か?―――取り敢えず自身の身体を確認したが、下は履いている。上は……肌着は着ている―――良かった。セ、セーフッッ!手を出していないようで安心した。

 

「……それにしても、暖かい子だな。持って帰りたい」

 

「ダメよ。お触りは許したけれど……アリスはあげないわ」

 

 お触りという言葉に固まった俺は、首をずらし声がした方向を見詰める……月明かりが差し込む窓際に座ったルドミラが、静かに俺を見つめていた。

 

「ルドミラ……他の仲間はどうした?」

 

「ん?……警戒してるの?」

 

「いや、純粋な疑問だ。ネオンはともかくアニスや……特にラピが許す訳ないと思ってな」

 

「ふふっ、無理を言って許可を取り付けたのよ……しもべ、あなたには不思議な力が有るわね」

 

「!?」

 

 ラピやアニスが話すとは思えない……ルドミラの上昇率は些細な物だった。アリスの能力上昇を勘付かれたか!?

 

「ふふふっ、その反応。図星ね」

 

 ―――これは嵌められたのか。だが上機嫌なルドミラは敵には見えない……思いたくないという願望もあるが。

 

「女王様は、随分と人が悪いんだな」

 

「人……ね。あなたはニケを人と言うのね……どうして?自分よりも力のある物が怖くはないの?」

 

 ゆっくりと距離を詰めたルドミラは、ベッドに俺を押し倒し、視線が絡まった。

 

「それとも―――指揮官ゆえの傲慢?」

 

 長い髪が顔に触れ、こそばゆくも甘い香りに包まれる。

 

「怖い?……なんで怖がる必要がある……こんなに可愛いんだ。怖がる暇があるなら、この子が笑顔になれるよう尽力するさ」

 

 アリスの頬を撫で、身じろぎする様は小動物の様に愛らしい。

 

「確かに、アリスは可愛いわ。無知で無害……誰にだって優しくて素直な良い子……でも、アリスみたいなニケは少数よ」

 

「傲慢だと言ったな……その通り―――俺は傲慢だ」

 

 ルドミラの頬に手を当て、頬を撫でる。

 

「俺から見れば、お前も可愛い女だ」

 

「!?か、可愛い……私がっ?しもべの癖に生意気ね」

 

「ククッ、そうやって動揺するとこが、可愛いって言ってんだ。俺に抱きついた時、耳が赤かったぞ」

 

「!?―――っ、うそよ」

 

「嘘だよ」

 

 本当は耳なんて見えていない……間抜けは見つかったがな。

 

「……くっ」

 

 ベッドから降りたルドミラは窓を開け、火照った頬を冷ますように冷気を浴びた。身を突き刺すような冷気が入り込み、思わず声が漏れる。

 

「寒っ……」

 

「ああ、ごめんなさい。人間には寒かったわね」

 

 表情を曇らせ、窓を閉めようとするルドミラの隣に移動し手を止めた。

 

「いや、そのままでいい。煙草を吸いたい」

 

 懐から取り出した煙草を咥え、火を付ける直前―――ジッポが奪われた。

 

「そう……ほら、貸しなさい。付けてあげるわ」

 

 火が付いたジッポが近づけられ、俺も口に咥えた煙草を近づける。

 

「……フーーッ、まさか女王様がこんな事してくれるとはな……意外だったよ」

 

「勘違いしないことね。これはしもべに対する褒美よ。家を取り戻してくれたことのね」

 

「それなら、頑張ったかいがあったな」

 

 紫煙が舞い上がり、距離を詰めたルドミラが伺うように俺を見上げた。月明かりに照らされ、金色の髪がキラキラと輝きを帯び……まるで魅了されたように視線が吸い込まれた。

 

「ねえ、一本……頂戴」

 

「ん?……吸うのか」

 

「吸わないわ……初めてよ。しもべが美味しそうに吸うから、少し興味が出たの」

 

 懐から煙草を取り出し、ルドミラに手渡す。眺めていたルドミラに対し指で口に咥えるように指示を出し、火種を返すよう要求した。

 

「ほら、点けてやるから返せよ」

 

「……そこに、火種があるじゃない……それで―――それがいいわ」

 

 俺が咥えた煙草の火を指差し、大きな瞳がジッと見つめてくる。

 

「口に咥えろ。吸わねぇと火が点かねぇぞ」

 

 唇に煙草を咥えたルドミラの顔がゆっくりと近づき……ゆらゆらと煙草が揺れる。

 

「あっ、ちょ……ちょっと、ジッとしてなさいよ」

 

「わーったよ、お前が動くな」

 

 慣れない癖にシガーキスなんて要求するからだ。意外と難しいんだよ、これ。

 

「文句言うなよ」

 

 ルドミラの腰を抱き、見開かれた瞳をジッと見つめ、煙草は交わり―――火は溶けるように移り二人を繋げた。

 

「ぇ……ちょ……んっ……すぅっ!!?げほっ!!、ごほっ!―――げほっ、ぅえっ」

 

 盛大に(むせ)たルドミラが煙草を手に取り(うずくま)る。丸まった背中を撫でてやり、手から煙草を回収する。

 

「ククッハハッ………まぁ、そうなるよな」

 

「ぇほっ……不味っ……よ、良くこんな物を吸えるわね」

 

「慣れだな……慣れれば旨く感じるんだ。珈琲みたいなもんだ」

 

「―――ぜ、全然……違うっ」

 

 吸いきった煙草の火を消し、ルドミラが咥えていた煙草を咥える。

 

「それっ―――もういいわよ。二度と吸わないわ」

 

 目を拭い、立ち上がったルドミラは再度俺の隣に陣取り……月明かりが二人を照らしていた。

 

「それがいい。吸わないなら、吸わない方が良いに決まってるからな」

 

「ねえしもべ……言いたくないなら言わなくてもいいわ……どうして、どうして命を賭けるの」

 

「……命を賭ける、か」

 

 そんなのは決まっている……。

 

「あなたはまだ新兵だと聞いたわ。やってる事がちぐはぐよ。新兵にさせる任務ではないわ。しかもたったの一分隊……彼女達は確かに強いわ。でも所詮は三人……命を大切にしなさい」

 

「命を大切にする為に―――命を賭けるんだ。矛盾してると思うか?」

 

 吸い殻を懐にしまい込み、ルドミラに顔を向けた瞬間―――頬に手が当てられ唇が重なった。

 

「っ――――はぁ……煙草ってこんな味なのね……矛盾してるとは思わない。でもこうすれば、しもべにとっての『大切』が増えるんじゃない?」

 

 触れるだけのキスで、してやったという顔をされるのは―――少しばかり心外だがな。

 

「お前も意外と傲慢だよな……ちゃんと味わえよ」

 

「―――あっ……んんぅぅ」

 

 細い腰を引き寄せ、顎に手を当て唇を重ねる。固く閉ざされた唇を抉じ開け……舌を絡め取り、煙草の味が分かるよう唾液を流し込む。

 

「んぅ♥ ……んぁ……んんぅぅ♥ ちゅぅ、ぢゅ……こくんっ♥」

 

 大きな瞳を(しばた)かせたルドミラは……舌が絡まるに連れ、瞼が下がり―――やがて瞳が閉じた。

 

「んっ……はぁん♥ ……ちゅぅ、れろっ♥ ……んんっ、んくっ、こくっ♥ ……はぁ、はぁぁ♥ ……」

 

「煙草の味は、どうだった?」

 

「んぅ……ほ、本当に……馬鹿な男……ね……わ、悪くなかったわ」

 

「ククッ、女王様にそう言われたなら、煙草も満足だろうな」

 

 どうせ煙草の味なんて分かってる訳ねぇがな。

 

「……くっ、分かってる癖に……本当に生意気なしもべね」

 

「そうか?なら、もう一回しておくか」

 

「なっ―――っぅ♥ ……んっ……んんっ」

 

「ほら、お前から舌絡めろ。さっき教えてやっただろ?」

 

「―――くっ……ちゅ♥ ちゅぷっ、はぷっ……れりゅ、ぢゅるっ……れるっ♥」

 

 舌同士の交わりは長く続き……頬を染めたルドミラは肩により掛かり、体重を少しだけ預けてきた。その姿が美しくもあるが―――少しだけ儚く見えた。彼女が何を思ってこんな事をしたのかは分からない……分からないが、ルドミラという女が抱えている重りを少しでも軽く出来るなら、それだけで良かった。

 

「ねえ、しもべ……いや、何でも無いわ」

 

「……そうか」

 

「そうよ……それじゃあ、私も休むわ。くれぐれもアリスに手を出さないでよね……ラピとアニスみたいに」

 

「……な、何のことだ?」

 

「誤魔化そうとする所は減点ね。見れば分かるわよ。ニケになっても女を捨てたつもりは無いわ」

 

「俺からは手を出さないように気をつける……けどよ、ちゃんと性教育くらいしておけ」

 

「……アリスにだって分別はあるわ。興味だけで行動してると思ったら、痛い目を見るわよ」

 

「あ?どういうことだ」

 

「自分で考えなさい……明日は早いわよ、しもべ。……おやすみ♥」

 

「なんだってんだよ……ッゥ寒ッ、俺も寝るか」

 

 ベッドではアリスが親指を口に入れ、身を縮めて眠っていた。隣に寝転び毛布をかけ頭を撫でていると……手がさわさわと俺を捜すように身体を撫で、ふわりと抱きついて来た。

 

「んんぅ……むにゃぁ、うしゃぎさぁん、ここれすかぁ〜〜……んぅぅ」

 

「お姫様は随分と人懐っこいんだな、えっちな身体しやがって。悪い大人に食べられちまうぞ?」

 

 掌に余る程の胸を押し付けられ、にへにへと笑顔を浮かべるアリスがどんな夢を見ているのか……少なくとも、幸せな夢を見ている事だけは分かった。

 

「んにゅぅ……うしゃぎしゃぁん……らいしゅきでぅぅ……」

 

 小さな手を絡め……確かに人よりも体温が高い事を実感する。一度手を離しアリスを抱き枕にして再度指を絡めた。蕩けるような暖かさに身を委ねると……直ぐに眠気が襲ってきた。

 

「俺も、アリスが大好きだよ」

 

「ぅへへ……ぅしゃぎ、しゃぁん……」

 

 小さな寝言を聞きながら……深い眠りに誘われた。




ネオン「解せぬ」


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25

 手が顔に当たり、目が覚めた。

 

「……ありがとな」

 

 涎を垂らしながら眠っているアリスの口元を拭ってやり、身体を起こす。

 

 脚を組んで椅子に腰掛けたラピの瞼が開き、俺の視線を追い、恥ずかし気に脚を揃えた。

 

「っ……ぉ、お目覚めですか、指揮官……体調はどうですか」

 

「ん、良いな。脚も痛くない……本格的に治ってきたかもな」

 

「……無理をしてませんか?」

 

「俺がラピに嘘つく訳ないだろ……外骨格を使って歩いたのが、良かったのかもな」

 

「良かった……では、出発しましょう」

 

 佇まいを直したラピが立ち上がり、扉が慌ただしく開く。ぶるるんっと揺れた質量に思わず目を奪われた。

 

「ラピ、指揮官様は起きた〜?」

 

「……ししょー。おはようございますぅ」

 

 勢いよく部屋に入ってきたアニスの後ろには、目を擦り欠伸を噛み殺したネオンが眠たそうにしていた。

 

「ふみゅ……はれっ……うさぎ、さんっ?……ウサギさん……おはようございます!ウサギさん!!」

 

 目覚めたアリスが背中に張り付き……想像以上に騒々しい朝を向かえ、思わず笑みが溢れる。

 

「……ああ、起きたよ。おはよう、みんな……アリスもな、おはよう」

 

「はい!ウサギさん!」

 

 穏やかな朝の時間。こんなに平和で笑顔が飛び交う光景を見られただけで……それだけで、北部に来て良かったと思った。

 

「そういえば、アークとの通信はまだ繋がらないのか?」

 

 シフティーとの通信は終始途絶えている。ふとした疑問に対しラピは首を傾げる。

 

「繋がらないです。エブラ粒子の濃度も低いはずなのに、どうしてでしょうか」

 

 四人で首を傾げ……楽しそうにアリスも首を傾げていると、ティーカップを手に持ったルドミラが口を開いた。

 

「北部ではよくあることよ。未知の何かが通信を妨害しているんでしょうね……氷の下に怪物が眠っている。ありふれた話だと思わない?」

 

「はは、そうかも」

 

「くふふっ……あっ!女王様!」

 

 ルドミラの冗談を笑い飛ばしたアニスに釣られ笑っていたアリスが、思い出したように声をあげる。

 

「どうしたの?アリス」

 

 跳ねるように背中から飛び出したアリスが、焦ったようにルドミラに近づいた。

 

「眠り姫たちを確認しないと!」

 

「……後でやったらどうかしら?」

 

 静かに告げたルドミラに対し、アリスはツインテールを振り乱し詰め寄った。

 

「ダメです!長らく見てませんから!もしかしたら、目が覚めたかもしれませんよ!」

 

「……眠り姫たち?」

 

 アニスの疑問に対しルドミラは更に表情を曇らせ……口を噤んだ。

 

「女王様!早く〜!」

 

 手を引っ張るアリスに根負けしたように、ルドミラは一度瞑目し深く息を吐き出した。

 

「……そうね。行きましょう」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ルドミラに案内された部屋はパイプが張り巡らされ、部屋中に所狭しとカプセルが並んでいた。まるで……何かの実験施設のような雰囲気。ルドミラの表情が曇った原因はこれか。

 

「……ここは?」

 

 ラピが呟いた言葉に対し、ぴょんと跳ねたアリスは右手をあげ、満面の笑みを浮かべ話し始めた。

 

「私が紹介しますね!……この方は青い髪のお姫様!」

 

 アリスが指差したカプセルが振動し……纏っていた殻が開かれる。

 

「「「「!!」」」」

 

 皆が一様に驚愕し……その光景に息を呑む。

 

 カプセルの中には頭の上部がない人型……傷ついた……否、傷つき過ぎたニケがチューブに繋がれ……培養液に浮いていた。

 

「そして、この方は黄色い目のお姫様!」

 

 弾むようなアリスの声が響き……隣のカプセルが暴かれる……またしても、上半身だけが残っているニケが姿を見せ……当然のように、頭の上部は存在しなかった。

 

「ここにいる方はみんな、眠り姫です!私たちはこの方々を起こして、一緒に幸せな世界へ行くんです!そして一緒にお菓子も食べて、牛乳も飲んで……ふみゅ?」

 

 本気で言っている事は……分かった。アリスは本気で、この傷ついた眠り姫たちと幸せになろうと―――。

 

「……ウサギさん?どうして抱き締めるんですか?」

 

「―――アリスが、頑張ってるからだッ」

 

「わあ〜!なら、もっと頑張ります!もっとも〜〜っと頑張って、いっぱい抱き締めてもらいます!!」

 

「……アリスは十分頑張ってるだろ。怪我しない様にな。アリスが怪我すれば―――俺が、悲しい」

 

「んんぅ……ウサギさんが悲しいんですか?……むむっ、難しいですが、頑張ります!!」

 

 この少女はどこまでも純粋だ。本気で救い……その為なら、我が身を省みない。そんな危うさを感じた―――そんなアリスを、ただ抱き締める事しか出来なかった。

 

「……アリス」

 

「はい、女王様!」

 

「牛乳の話をしたら飲みたくなったわ。持ってきてくれる?」

 

「あっ!はい!女王様!」

 

 最後に頭を撫でると、にへにへと笑いながらアリスは走って行った。

 

「……地上で『救出』されたニケたちね」

 

 カプセルに手を当て、ラピが小さく呟いた。

 

「そう」

 

「皆死んでるけど。死体を集めてどうするつもり?」

 

 アニスから聞こえた死体という言葉が……耳に纏わりつく。

 

「まだ死んでいないわ」

 

「頭が空っぽでしょ!脳がないの!」

 

 アニスの言いたいことが分かるなどとは思わない……人間の俺が分かるなどと、薄っぺらい事は言えない……それでも、こんな現実はあまりにも惨すぎる。

 

「……ニケを救出すると、こうやって脳だけ消えたケースがほとんどなのよ。これが何を意味するか、分かる……ニケは脳が死んだら終わり。二度と復活できない。だから、奇跡を祈りながら、脳が戻るまで、安全なところに保管しておくのよ。誰かが見つけてくれることを……祈りながら」

 

 祈り……その言葉がルドミラの本質を表しているように思えた。過酷な任務を自ら背負いこみ……それでも彼女は『恥ずかしかった』と、そう言った。それが何を意味するのか、ほんの少しだけ近づけた気がする。

 

「私たちはそういう仕事をしている。彼女らが望んでいた奇跡を、現実にしてあげる仕事を……」

 

「脳を……見つけたことはあるの?」

 

 ラピの言葉にルドミラは微笑み。優しい言葉が紡がれる。

 

「ええ。数十人は助けたわ。もちろん、脳とボディが離れていた時間が長いから……シンクロが合わなかったり、精神崩壊や記憶喪失になったケースも多かったわ……でも」

 

 言葉を区切り……一言一言を噛み締めるようにルドミラは言葉を紡ぐ。

 

「結局、生き残ったわ……生き残ったのよっ―――それだけで……十分だわ」

 

 ―――祈りには、どこまでも深い女王の威厳と、確かな重みがあった。

 

「……大変ですね」

 

 瞳を閉じたネオンはそう呟き、眠り姫達に黙祷を捧げた。

 

「やりがいのある仕事だと思ってるわ……でも、あなたたちに、これを見せたくなかった。最悪のケースを目の前にすると、そんな未来を想像してしまううから……悪かったわ。余計なものを見せ―――」

 

「余計じゃねぇ!……余計じゃ、ねぇよ……凄いよ、お前たち。二人でこんな事……本当に尊敬する」

 

「そう……ありがとう。しもべ……」

 

 帽子を胸に当てたラピは、真っ直ぐにルドミラを見据えた。

 

「貴方たちに、敬意を表す」

 

「私も」

 

「私もです」

 

 アニスもネオンもラピに続き……ルドミラは薄く微笑んだ。

 

「ありがとう。でも、敬意はしばらくしまっておきなさい。最近は、迷子になったり救出を求めるニケがかなり減ったの」

 

「なぜ?」

 

「分からないのよ。でもここ数年で、その数が明らかに減った。アークへの生還率は変わらないのに。なぜかしら」

 

 ―――そう、かッ……それも全て、全てが繋がるのか……裏で笑っている奴がいると思うと反吐が出る。やることが……増えたな。

 

「女王様ー!女王様ー!……ぎゅ、牛乳が切れてしまいました!どうすればいいでしょうか?」

 

「……まあ、アリス。口もとについた牛乳は何?」

 

「……あっ!」

 

 綺麗に白い口ひげを生やした口もとを拭ってやり……感謝を伝えるように、もう一度アリスの頭を撫でた。

 

「ウサギさっ……えへへっ」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ピルグリムとの遭遇ポイントまで、二時間と掛からない場所まで来て、ルドミラは小高い丘から地平を眺め、俺達に切り出した。

 

「さあ、見送りはここまでよ。これからも頑張りなさい。私たちはここに残るから」

 

「……一緒に来てくれないのか?」

 

「そうしたいけれど……私たちはここまでよ。残念だけど仕方がないの」

 

「……そうか、仕方がないと言われたら、強引には言えねぇな……理由を聞いていいか女王様?」

 

「ふふふっ、しもべが板に付いてきたじゃない……そうね。私たちはあくまでも、道に迷った仲間を捜すのが仕事なのよ。しもべの任務は非常に興味深いけれど……まだ迷える誰かが、北部を訪れるかもしれないから」

 

 地平を眺めるルドミラの気高い心は、眩しいほどに美しかった。会った事のない他人の為に、ここまで真摯に向き合えるのが、ルドミラという女の本質なのだろう。

 

「そう、か……なら一度お別れだな」

 

「そうなるわね。家も取り戻したことだし、私たちの仕事をやらなければね。……眠り姫たちのお世話もあるし」

 

「思ったより真面目なのね」

 

 冗談を零したアニスにも揶揄うような気配は無く、声色は優しいものだった。

 

「やるべき事と、やりたい事の判別がつくだけ。アリス……しもべとその仲間たちは、さらに強い力を手に入れるために、しばらくここを離れるわ……大丈夫か?」

 

 屈んで視線を合わせたルドミラは、そうアリスに伝えた。

 

「はい!ここで待っています!……ウサギさん!」

 

 返答は満面の笑みで返され、ぴょんと飛び付いてきたアリスを、ぎゅっと抱き締める。

 

「絶対に帰って来て下さいね、ウサギさん!」

 

「必ずな……約束だ」

 

「はい!約束です!」

 

 アリスとの出会いは花が咲くような笑顔から始まり、太陽のような輝く笑顔で終わりを向かえた。……必ず帰ってくると、約束を残して。

 

 

 風に靡く髪を押さえながら、俺達を見るルドミラは微笑み。

 

「仕事が終わった時にでも、顔を出してくれたら嬉しいわ。任務がどうなったか、気になるから」

 

「ああ、必ず帰ってくる」

 

 ―――再開を約束した。

 

「では、行ってきなさい……しもべ」

 

 踵を返した俺を呼び止めるように声が届き、思わず足を止める……湿っぽいのは苦手なんだが。

 

「……念のために一つ、言っておくけれど」

 

「何だ?」

 

「新しい出会いとは、相反する世界が接触することと同じなの。違和感を感じることも、恐れを感じることもあるでしょう。その違和感に耐えられなくなっても、その恐れがいくら大きくなっても」

 

 言い聞かせる様に少しずつ、ルドミラは俺との距離を詰めていく。

 

「絶対に、相手の世界を壊してはダメよ。相手の世界を認め、その過程で自分の世界を一部、譲ることになったとしても、相手がずっと生きてきた……何よりも大切にしている世界を……絶対に壊さないように……」

 

 手袋を外した優しい手が、俺の頬を撫でる。

 

「私が言っている意味、分かるかしら?」

 

「ああ、分かった」

 

 俺の言葉に微笑みを零した顔が近づき―――。

 

「―――ふっ、いい子ね。武運を祈るわ」

 

 本当に狡い女王様だ。……また、死ねない理由が増えた。

 

「女王様ずるいですよ〜!ウサギさん次は私にもしてくださいね!行ってらっっしゃ〜〜い!!」

 

 大量の投げキスを降らすアリスに苦笑いしつつ、軽く手を振り……振り返らずに歩を進める。

 

 ……ここで振り返ると、甘えてしまいそうになる。

 

「師匠の唇が奪われました!!ラ、ラピ!、アニス!師匠の唇がっ!!」

 

「まあ、指揮官様もルドミラも大人だし……キスくらいするんじゃない……後で上書きするけど』

 

「ああいうシチュエーションも、良いものね……後で上書きしないと』

 

 二人が小さく呟いた言葉は、風に紛れ聞こえなかった。

 

「……し、師匠!二人が壊れましたっ!!」

 

 いや、ネオンの反応が正しいと思う……混乱するネオンを宥めるのには時間と労力を消費した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ルドミラ達と別れて二時間ほど歩き、先頭を歩いていたラピが足を止め振り返る。

 

「ポイントに到着しました」

 

「ここ、か……」

 

「はい、ルドミラの調査結果によると本日、ここで遭遇する確率が高いとのことです。潜伏をお勧め―――」

 

「みなさん。あそこを見て下さい」

 

 ラピが何かを見つけ言葉を止め、ネオンがそれを指し示す。指の指された先には、雪で覆われた平地があった。山を背に窪んだ地形となっており、そこには背を向けたまま座っている人影が見えた。

 

「……あいつよ。ピルグリム」

 

「そうみたいですね」

 

「運がいいのか、それとも……」

 

 ……罠か。

 

 アニスの呟きは途切れ、はっきりと口に出される事は無かったが、思っている事は同じようだ。

 

「少し……怖いな」

 

「そうだよね……呼んでみる?」

 

「いや、逃げられる可能性がある」

 

 ピルグリムが俺達に友好的とは限らない。態々一人で行動している事を考えると、逃げる可能性は十分あり得る。

 

「指揮官……胸騒ぎがします。あまりにも上手くいき過ぎていませんか」

 

 ラピの言う通り。俺も胸騒ぎが止まらない。特にこの地形―――嫌な記憶が蘇り、少しだけ脚が痛んだ。

 

「全員で行くのは避けよう。俺とラピで近づく。アニスは周囲の警戒を、ネオンはアニスの守りを優先し、何時でも対応出来るようにしてくれ」

 

「指揮官……それなら、私とアニスで向かいます」

 

「そうよ指揮官様。私とラピが最適でしょ」

 

「……そうなるとネオンが一人になる……遠距離に対応出来なくなるだろ。ラピはオールラウンドに対応出来る……これがベストだ。俺の身を案じてくれるのは嬉しいが、最優先は全員で生きて帰る事だ……何か意見はあるか?」

 

「……いえ、指揮官が仰る通りです」

 

「ラピ!……指揮官様が一番大切でしょ!指揮官様がっ……」

 

「アニス、私が守る……信じて」

 

「……俺は全員が大切なんだ……分かってくれ」

 

「……分かってるよ。そんなの!……分かってるけどっ……!」

 

 瞳を伏せたアニスは葛藤し……悩み、それでも顔をあげ俺を見つめた。

 

「ねえ、指揮官様……これからも絶対に死なないって約束して」

 

 憂いを帯びた瞳に対し、俺は笑って返事を返す。

 

「……ああ、お前を置いて死ぬわけ無いだろ」

 

 

 地形を滑り降り、ラピと二人で歩を進める。脚の調子は良い。寒さで麻痺している可能性もあるが、外骨格が無くても無理なく歩ける程度には、回復しているだろう。

 

 均等についている足跡を、警戒しながら進んでいく……幸いラプチャーの気配は無く、ピルグリムからも気配はしない……意図的に気配を消しているのか?こんな所で……。

 

「ラピ……此処までの足跡に疑問は無いか?」

 

「いえ、ありません」

 

「少しもか?」

 

「雪が振っている為、断言は出来ませんが……ニケが歩いた跡に間違いないかと」

 

 考え過ぎ、か……だが、此処まで気配を消せるのか?強すぎる気配に掻き乱される事は前回で学んだ……ピルグリムの気配がアイツよりも強かったと仮定すれば……辻褄は合うのか。

 

 周囲を警戒していたラピが途端に俺の手を掴み、強引に身体を引き寄せた。

 

「指揮官!!罠です!爆発物の反応があります!!」

 

「なっ――――ッッ、チッ!!?」

 

 ラピの叫びにあわせ爆発音が響き渡り―――地形の変動が始まった。

 

「くっ!雪崩が来ます!!指揮官!絶対に離しません!!」

 

 俺を抱えたラピが駆ける―――それでも……雪崩の方が早いッ。

 

「アニス!!ネオン!!命令だッ!!来るなッ!!自分の身を守れッ!!!」

 

「――ちっ、間に合わないっ!」

 

「何でっ!!指揮官様ぁぁああ!!」

 

「師匠ーーー!!」

 

 斜面を降った二人は止まり、声が届いた事に安堵し―――直ぐ側まで雪が迫る。

 

「止まれラピ―――頼んだ。信じてる」

 

「はい、おまかせください。指揮官!」

 

 ―――決意の籠もった声が耳に届き……視界が黒く染まる―――。

 

「指揮官!指揮官っ!!……くそっ……指揮――し――んっ―――」

 

 ……ラピの声が徐々に遠くなり、意識が暗転した。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 繋いでいたはずの手は―――離れていた。

 

「―――ィ――ッッ!!」

 

 ラ、ピ……声が―――聞こえる。

 

『―――――ハッ!!』

 

 耳障りな音が―――聞こ、える。

 

「……ッうご、ッく―――」

 

 大丈夫。身体は動く……冷えた身体だが……まだ動くッッ。

 

「―――何が……起きたッ」

 

 ―――あれは……ラピッ!!

 

 両腕による殴打を紙一重で躱し、至近距離で乱射したラピは、股を掻い潜ると同時にリロードを済ませ……尾による殴打をその身に受ける。

 

「ラ、ピッッ!」

 

 辛くも銃身を盾にし身を翻したラピは、懐に飛び込み顔面に銃を突きつけた。

 

「―――死ねっ」

 

 ―――その時……化物の両腕が紅い炎を纏った。明確な死の予感に冷えた体を震わせ、血を吐かんばかりに雄叫びをあげる。

 

「――ッ!?ラピッッ!!サがれッッッ!!」

 

「!!!」

 

 吠えた俺の言葉はラピに届き。即座に行動を中止し、後方へ高く飛び上がった。

 

「!?指揮官っ―――ッ!」

 

 空中のラピは振り向くこと無く敵を見据え―――俺は眼前の光景に固唾を飲んだ。

 

「……クソがッ」

 

 炎を纏った拳が地面に叩きつけられた瞬間……白煙を纏い姿が隠れた。円状に蒸発した雪が爆発的な蒸気を生み、瞬時に―――凍りついたのかッ。

 

「……ちっ!!」

 

 それを見て小さく舌打ちしたラピは、着地後即座に加速し、背に俺を庇う。

 

『ソウか……起きタカ、人間』

 

 凍りついた蒸気を纏い……両腕をだらりと下げた化物は、その身に光りを宿し……姿を見せた。

 

「トーカ、ティブッ」

 

 忘れもしないその姿……体長は四メートル弱。上半身のみ肥大した人型を模した化物は、光を放ち傷を癒やしていく。

 

「指揮官、このままではジリ貧です。指揮官だけでも逃げてくださいっ!!」

 

「お前はどうなる……俺が逃げれば―――」

 

 全身を発光させ、ラピが付けたであろう傷が……瞬く間に癒え、両肩にはランチャーを模した兵器が現れた。

 

「ラピは逃げられるのかッ!」

 

「……はいっ!!」

 

 ……それは―――嘘だろう。俺が逃げればラピは死ぬ。俺がいた所で出来ることなどたかが知れているが……相手がアイツなら―――アイツだからこそ、手はある。

 

「拳銃を貸せ……命令だ。二人でやるぞ。俺も戦う」

 

「し、指揮官っ、ダメです!渡せません!」

 

「命令だ。貸せ」

 

「嫌です!!」

 

 何故だ、命令が効かない。

 

「頼むラピ。お前を失いたくない。俺は必ず生きる。頼むッ」

 

「……分かり、ました」

 

 泣き出しそうな顔で渡された拳銃を受け取り、トーカティブを観察する。治癒中は動けなくなる……これは前回と同じ要素。

 

「それになラピ、策がない訳じゃねぇ――――」

 

 アイツが動けない間に、手早く伝える。アイツだからこそ……通用する可能性がある。

 

「それは賭け……です……ですが指揮官、愛しています!……絶対に死なないでください!!」

 

 初めてまともな指示を出したかも知れない……俺には指揮能力は無い。出来ることは己の身を守ること。仲間を信じること……そして。

 

 ―――アイツに一矢報いること、だな。

 

「指揮官。もし、その身に何かあれば、迷いなく『レッドフード』を使用します」

 

 レッドフード……トーカディブが言っていた通り、ラピにはその力があるのだろう―――その身を蝕むであろう、力が。

 

「そんな事させねぇ……アイツだから、出来るんだッ!」

 

 ……トーカティブの発光が収まり―――俺の世界から色が消えていく。

 

「……来ますっ!!」

 

『グハハッ、逃げればヨカッたモノを、第二ラウンドだ。レッドフードッッ!!』

 

「散れッ!!!」

 

「っっ、必ずお守りします!!」

 

 高く飛び上がったトーカティブに対し、俺とラピは左右に展開した。脚の痛みは……感じない。この際、脚が砕けても―――構わない。

 

『マズは貴様ダッ、レッドフードォオ!!』

 

 予想を裏切り、狙われたのはラピだった。

 

「―――っ!」

 

 ラピの頭上から振り落とされた巨大な拳の速度は、目で追う事が出来た―――後は身体が反応するかだ。

 

「――ッくたばれっ」

 

 弾けた雪が粉雪になり舞い散り……雪を隠れ蓑にしたラピは弾幕を張り、トーカティブの懐に飛び込んだ。

 

『……ヤハリか、性能がアガっている』

 

 超至近距離の特攻は、トーカティブが大きく距離を取った事により、不発に終わった。

 

「下だッッ!!」

 

 地面から飛び出した尾による打撃。巧妙にラピから見えない角度で繰り出された一撃。

 

「!?――ちっ」

 

 銃身を盾に防いだラピの身体が宙に舞う―――着地までの時間をッッ。

 

「余所見してんじゃねぇぞッ!!」

 

 即座に距離を詰めた俺は、顔面めがけ拳銃の弾を全て撃ち尽くす。

 

『―――グハッ』

 

 傷ひとつ付かない身体が大きく震え……距離をとった俺に対しての追撃は―――無かった。

 

 クソがッ……笑ってやがる。

 

『グハッ、グハハッ!グハハハッッ!!』

 

「……チッ、目玉はねぇのか……クソ野郎がッ」

 

『グフッ……ッ……人間、ソレは何のマネだ?』

 

 銃口から硝煙が立ち昇る拳銃を見せつけ、投げつける。乾いた音が響き、深く呼吸した俺を観察するトーカティブに向け、半身になり構える。

 

「さぁ、何の真似だろうな。聞きたかったらこっちに来たらどうだ?」

 

 背後から迫っているラピの存在を悟られぬよう、手招きし挑発する。

 

「ビビってんのか?来いよッ!!」

 

『フフッ……イイだろう』

 

「……行かせるかっ!!」

 

 俺に目標を定めたトーカティブは背後からの強襲に対し、傷を負いながらも止まらない。

 

『まだ、性能がアガるカッ!……やはり、人間。オマエか!』

 

「……何のことだ。言ってみろ」

 

『グッ!!……クハハ、そノ前に……もう片方モ折ってヤロウ!』

 

 高く飛べるという事は、それだけ跳躍力があるという事……驚異的な跳躍力を上ではなく、横に向ければどうなるか。

 

「ッ!!」

 

 一瞬で眼前に迫った拳に対し―――俺は冷静に―――笑みを零す。

 

 ―――かかったッッ。

 

「―――ッ!!」

 

 左脚に力を込める。―――やはりか!想像通りで助かったッ!!

 

 拳の側面を狙い、折れた右脚で蹴りを放った。

 

「グッ――――」

 

 交錯する瞬間―――放たれた右脚に全ての力を注ぎ込み―――ッッ。

 

「―――ガハッ!!」

 

 ―――反動で身体が吹き飛んだ。……ゆ、雪で、助かった。衝撃を殺しきれなかった……脚が万全なら―――強請るなッ。無いものは無い……まだ俺は、やれるッ。

 

『……貴様ッ!!何ヲしたッ!!』

 

 ……衝撃は凄まじいが、死ぬほどでは無い。生憎、渾身の蹴りで傷は付かないようだが……まぁいい。

 

「――ブッ!……いけるなァ」

 

 口内に溜まった血を吐き出し、駆け寄って来たラピの隣に立ち上がる。

 

「指揮官!お怪我は!!」

 

「……問題ない」

 

 拳にあわせ、力を受け流す―――俺がやったことはそれだけだ。

 

『……貴様ッッ!!』

 

 これはメンヘラ野郎が俺を殺さないよう―――縛りプレイをしているからこそ成り立つ裏技。

 

「来いよ。メンヘラ野郎ッ!!」

 

 せっかくだ、右脚はくれてやる。その代わり―――俺と踊れ。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 一撃躱す度に神経が磨り減り、精神が摩耗する。追撃を受ければ終わりだ。

 

 ラピが牽制する間に回復し、どうにか受け流し続けたが、既に限界は近い。

 

『―――モウいい、死ネ!』

 

 不穏な呟きを拾った瞬間―――風が頬を撫でた。

 

「―――しまッッ!!」

 

 どうでもよくなる事は、誰にでも起こりうる。コイツも例外では無かった。

 

「―――指揮官っっ!!――――!!!」

 

 ―――読み違えた。コイツは俺を必ず生かして捕まえようとしているものだと……思いこんでいた。

 

「ラピッッ!!――ぐァッ!」

 

 雪上を転がり、体勢を立て直す―――全てが勘違いだとッ。クソッ、疑った。俺を殺しに来たものと思ってしまった。

 

 ―――やられたッ。俺を殺しにかかったと思われた拳が……軌道を変えラピに吸い込まれた。

 

「―――ラピッ!!」

 

 ぐったりと体を雪に沈めたラピの頬を叩くも、起き上がる気配は無い。―――だが、生きている。……それだけで十分だ。

 

「……ッブ、やりやがったなッ!」

 

『レッドフードも所詮ソノ程度―――まだ、抵抗スルか?』

 

 悪意の籠もった笑みを浮かべたトーカティブは、緩慢な動作で拳を掲げてみせた。

 

「無駄にはしねぇよ。来いッッ」

 

 徹頭徹尾……コイツは俺の無力化に力を注いでいるように見せかけ―――最初からラピを狙ってやがったのか。タイミングを図り、虎視眈々と……クソがッ、どこかで俺が避け続ければ良いと、思ってしまった。

 

『人間とは、かくも愚カダ―――』

 

 コイツッッ!!ラピを狙ッッ―――

 

「―――ガハッッ!!」

 

 ラピの前に立ち塞がった俺は―――腹部を蹴り上げられ、宙に浮いた。人間に勝るとも劣らない『悪意』―――

 

「―――ク……ッソがッ……ガファ!!」

 

 巨大な拳に掴まれ、地面に叩きつけられる。

 

 ―――身体が軋み……呼吸が止まった。辛うじて受け身は取ったが……全身が、砕けそうだ。

 

『人間。貴様ガ優れてイルことは、分かっタ』

 

「―――ヵハッ……ゥグ……ッッブ―――ハァッ、そう……かよッ」

 

『種ヲ明かセバ単純ダ。レッドフードが貴様を支えてイタ。イナクナレば……このザマだ』

 

 ニヤニヤとクソみてぇに笑いやがってッ。だが、ラピは意識を失い……俺も既に満身創痍―――。何としても……時間を稼がなければッ。

 

『いくつか質問がある。人間……どうか誠実に答えてくれ』

 

 ……コイツは、俺との対話を望むのか―――ハハッ……なら、まだ勝機はある。

 

「――ゲホッ……ッブ、何でも答えてやるよ。好きな女のタイプか?」

 

『そんな物はどうでも良い、あまり無駄口を叩くな』

 

「へいへい、わーったよ」

 

 まだか……始めから予感がしていた。必ず助けがくると……そんな予感が―――。

 

『貴様と一緒に動く人間もどきの、性能が高くなったことはあるか』

 

「テメェも言ってたじゃねぇか。あるに決まってんだろ。ラピは強かっただろッ―――ガフ゛ァ゛!!」

 

 尾の一撃が身体に突き刺さる。幸いなのは斬撃では無く打撃……であることか。

 

『無駄口を叩くなと言っただろう。質問にだけ答えろ』

 

「―――オぃ、大事に扱えよ。人間様だぞッ」

 

 血を飲み込み……身体に力を込め続ける。咄嗟に動けなくなれば意味が無くなる。

 

『……次だ、貴様の出身はどこだ』

 

「あ?……出身―――どっちのだ?」

 

『貴様ッ!マだ言ウかッッ!』

 

「勘違いすんじゃねぇぞ、俺には出身が二つある……それに付いて聞いてるんじゃねぇのか?」

 

『黙れっ!貴様の出身はアークでは無いのか!!』

 

「ああ、そっちのことか。アークだ。間違いねぇよ」

 

 来たッ……微かに感じた……確かな確信。それと同時に気配が……はっきりとした気配を感じた。

 

『貴様ッッ!!』

 

「おいおい、無駄口叩いてねぇだろうが、また殴んのか!人間と変わらねぇなァ?」

 

 人間と変わらない……その言葉にトーカティブは振り上げた拳を降ろした。

 

『……最後、ノ、質問ダ―――幼いころ、病気になった、ことは……あるか?』

 

 怒りに震え言葉が途切れる所も、人間味に溢れている。煽り耐性低いな。この情報はもし次があるのなら活用させて貰おう……今回は既にチェックだ。

 

「あるんじゃねぇか。病院にいたと思う」

 

 ……もう少し。

 

『……ふはは、そうか……間違いないな。人間、貴様にはこれから私と共に来てもらう』

 

「そうか、それもいいかもな……なぁ一つ質問していいか」

 

『……大人しく着いてくるならば許してやろう』

 

「じゃあ二つな」

 

『一つだッ!!』

 

「チッ、うるせーな。じゃあ一つでいいわ。アークと内通しているな―――ダレだ?」

 

『それは二つにカウントさせて貰う……答えはアークと内通している。そこまでだ』

 

「随分と都合のいい解釈をしやがる……まぁいい」

 

 後ろに倒れ込み両腕を使い―――全力で後方に飛び上がり、中指を突き立てる。

 

「―――チェックメイトだ。死ね」

 

 その瞬間―――トーカティブの身体に大きな穴が開いた。

 

『―――!!!?ガァッ!!』

 

「会えて嬉しいよ。おしゃべりさん」

 

『巡礼者ァーー!!』

 

「今度は逃さない」

 

『ガハッ……!!』

 

 トーカティブが飛び上がり、ふわりと俺の側に着地した白銀と視線が交錯した。

 

「無事か?」

 

「助かった―――スノーホワイト」

 

 驚いたように瞳を見開いた白銀は薄く笑みを零し―――轟音が鳴り響きトーカティブの身体に穴が増えた。

 

「……久しぶりだな。その名前で呼ばれるのは……助けが必要か?」

 

「ああ。助けてくれ」

 

「よし、いいだろう。助けてやる。その代わり、今から見ることは全部忘れろ。私たちはまだ何も達成できていない。そのため、まだ世間に現れることはできない」

 

 黒いバイザーがスノーホワイトの顔を覆い、光り輝くトーカティブへ脚を進めた。

 

『忌々しい巡礼者ドモめ!過去ノ異物ガ!!』

 

「失せろ、異端。地上はお前たちに渡さない」

 

 

「エンカウンター」

 

 




戦闘シーン、分かり辛かったら……すんませんした!
初めて戦闘シーンを書いたのですが、難しいですね!


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26

間に合って……いや、間に合った!誤差だよ誤差!!
後で手直しするかも!!


「『セブンスドワーフ』―――レディ」

 

 悠然と呟かれた言葉と共にスノーホワイトは腰だめの機械に備え付けられたレバーを引いた。

 

 四の武装が宙に吐き出され、両の手で構えられた純白の対艦ライフルに纏わり付き―――姿を変えていく。

 

 構えられた純白が―――光を吸収するように輝き。

 

「『アクティブ』―――爆ぜろ」

 

 轟音が鳴り響き―――トーカティブの半身が吹き飛んだ。

 

『――――ッッッ!!!ヵ゛ァ゛……』

 

 圧倒的―――まさにその一言が相応しい、一撃だった。

 

「状況終了」

 

 純白に張り付いた武装が剥がれ落ち……腰に装着したシリンダーに格納される。……顔を覆ったバイザーは音をたて外れ―――意志の強い金色の瞳が輝き、ベビーフェイスが顕になった。

 

『……ク……ヵ……』

 

 ぼんやりと意識の戻ったラピに肩を貸した俺を一瞥し、牽制の言葉が投げかけられる。

 

「人間、下がれ……私はあいつに話がある」

 

「俺も―――待てッ」

 

 俺の返答など興味が無いかのように、少女はトーカティブに向かい歩みを進める。

 

「やっと捕まえた。貴様に聞きたいことが山ほどある」

 

『助け……て……』

 

「……命乞いか。哀れな異形の獣よ。いかなる理由でこの世に生まれ、それほどに悲しく鳴くのか」

 

『助け……て……くだ……さい』

 

「……醜いな」

 

「女……王……様……」

 

 脳裏に雑音と共に……声が―――聞こえた。それに従い、張り裂けんばかりに雄叫びをあげる。

 

「―――スノー!!飛べッッ!!」

 

「!!チッ―――」

 

 光線が降り注ぎ―――スノーホワイトが居た場所は、地面が深く抉れ紅く染まった。

 

「あら、避けられましたか―――どうして避けられたのか分かりませんが……いいでしょう」

 

 薄暗かった空に―――亀裂が走る。

 

 光なのか闇なのか―――区別がつかないものに包まれ舞い降りてきたのは―――

 

 ラプチャーを纏った―――何かだった。

 

 十メートルを超える巨大な鎧はその全てがラプチャーで構成されており……兜が開き―――中から銀髪の……ニケが姿を見せた。

 

「人間、助かった。礼を言う」

 

 俺の側に降り立ったスノーホワイトは、目を銀髪のニケに固定したまま呟いた。

 

「あれは―――なんだッ」

 

 ……全身に鳥肌が立つ―――トーカティブとは比べ物にならない程の純粋な『悪意』が肌を突き刺す。人類に向けられた……明確で残忍な―――紛れもなく純粋な悪意。

 

「……トーカティブ。可哀そうに。安心してください。私が助けてあげます……あなたですか?私の仲間を傷つけたのは」

 

 何故か―――輪郭が見えないほど離れているにも関わらず、まるで耳元で囁かれているように声が拡散し―――酷い違和感に襲われる。

 

「ヘレティック……クイーンの直属。異端……!人類を切り捨てた裏切り者!!ラプチャーを選んだニケッ―――!!」

 

 矢継早に捲し立てたスノーホワイトの右腕……機械仕掛けの手がレバーを握り締めたが―――シリンダーは煙を吐き続け反応しない。

 

「呼び方が多すぎますね。モダニアと呼んでくれませんか?」

 

「今日はついているな。クイーンにまた一歩近づけた!」

 

 レバーから手が離れ、アサルトライフルを構えたスノーホワイトはリロードを手早く済ませ、発砲した。

 

「トーカティブの事を考えると、あなたにはここで死んでもらいたいですが。大切な仲間の命のためにも、この辺で引き下がります……その顔。ちゃんと覚えておきますね」

 

「もう逃さない!」

 

 駆け出したスノーホワイトを……俺は見ている事しか出来なかった。

 

「あなたの相手は私ではありません」

 

 モダニアと名乗ったニケが纏っていた鎧が分離し―――巨大なラプチャーがスノーホワイトの前に立ち塞がる。

 

「お願いしますね。みなさん」

 

 踵を返したモダニアを合図に巨大なラプチャーが更に分離し―――三体に別れ、飛び退いたスノーホワイトの声が響いた。

 

「退けッ!!」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 意識を取り戻したラピが戦闘に加わり、三体のラプチャーは瞬く間に機能を停止した。俺は、戦闘に参加せず……ずっと考えていた。

 

 モダニアと名乗ったニケの一撃……それが放たれる直前に聞こえた雑音が混じった声。

 

 エコーがかかったように響き、耳に纏わりついたモダニアの声。

 

 俺は―――そのどちらにも、何かを感じた。

 

「くそ!逃したか!……人間!お前は帰れ!」

 

「……俺も、連れていけ!」

 

 ここで退けば、俺は―――大切な何かを失う……そんな予感がする。

 

「指揮官っ!」

 

 詰め寄るラピを腕で制し、そっと手を握った。

 

「一緒に来てくれ、ラピ」

 

 俺をジッと見詰める瞳から不安が消え……決意の炎が宿った。

 

「言っても無駄なようです……はい、どこまでも!」

 

「ちっ……!ペースはお前たちが合わせろ。勝手について来い!」

 

 スノーホワイトは走りだし……二人で後を追う。

 

「ラピ……ありがとう」

 

「―――いえっ……私はまた、守れなかった」

 

「守ってくれた……それに守るだけがラピの仕事じゃないだろう」

 

 優しく呟いた言葉は、しっかりとラピに届き、銃を握り締めた手に力が籠もるのを感じた。

 

「!!―――……はい、私の使命は指揮官の側にいることです!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 スノーホワイトを追い続ける。吹雪が吹き荒れ、必死で目を凝らし白を追随する……呆れたように振り返ったスノーホワイトは止まり、俺達に近寄った。

 

「おい、ニケ。人間を背負え」

 

「ラピだ……名前で呼べ」

 

「?……分かった。ラピ、人間を背負え……吹雪が酷くなる前に走り抜ける」

 

「奇襲に対応できなくなる……得策ではない」

 

「私がお前たちを守る。信じるか―――人間」

 

 答えなど決まっている。

 

「ラピ、背負ってくれ」

 

「はい、指揮官」

 

「……ちっ、少しくらい迷え、人間」

 

 宣言通り、道中のラプチャーは全てスノーホワイトが蹴散らした。全ての敵を一撃で始末し、ペースを維持したまま追跡は長く続いた。

 

 寒い……ラピの温もりに張り詰めた糸が切れ……身体が休息を欲している。

 

「よし、痕跡が続いている。しかし吹雪がこんな調子では、急がないと痕跡が全部消えてしまう」

 

 地面の痕跡を調べるスノーホワイトの言葉にも、反応する余裕が無い。

 

「……視界が悪い。ちゃんとついて来てるか?」

 

「問題ない」

 

 俺の代わりにラピが答え、薄れ行く意識が戻った。

 

「……そう多くの指揮官を見てきたわけではないが、こんなに無茶苦茶な奴は初めてだ」

 

「それは……否定できない」

 

 頭を振り、側に近づいたスノーホワイトに疑問を投げかけた。

 

「……トーカティブとは、どうやって出会ったんだ」

 

「最初はただ、クイーンに会うために、手当たり次第ラプチャーを見つけては破壊した―――」

 

 破壊したラプチャーは言語はおろか、内部データも普通だった……進展が無かったとスノーホワイトは吐き捨てた。そして、偶然出会ったと―――アークから大きな光の柱が上がった日に……アークの近くで喋るラプチャーに出会ったと告げた。

 

「アークから……だと」

 

「そうだ……突然、希望が見えた気がした。クイーンに関する情報を聞き出せると思ったからだ……しかし、奴は狡猾だった。あの手この手で逃げてしまう。そのおかげで、今まで一度もまともに話したことはない。今回こそはと思ったが、予想もしない奴が出てきやがった」

 

 ラプチャーの鎧を纏った―――銀髪のニケ。

 

「アレは何だ?」

 

「裏切り者だ―――敗北者でもある……奴らに関しては、あまり長くは話したくない。一つだけ確かなのは、あいつらは間違いなく人類の敵だ。そしてクイーンにたどり着く鍵でもある」

 

「―――ヘレティック」

 

 ラピが小さく呟いた言葉は耳に残り、それを聞いたスノーホワイトも、苦虫を噛み潰したように顔を歪ませた。

 

「―――ちっ、話が長くなってしまった。ペースを上げよう」

 

「最後に教えてくれ、クイーンとは何者だ?」

 

「ラプチャーの女王だ。それを倒せば、再び人間の時代が来るだろう……」

 

 そう言って俺達から離れたスノーホワイトはペースを上げ、聞こえぬように……小さく呟く。

 

「ラピ、俺の事はスノーホワイトに伝えるな……頼む」

 

「……はい、指揮官」

 

 徐々に冷たくなる身体は、背負っているラピが一番把握している。俺が無理を言って着いてきたんだ。足手纏いにはなりたくない。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 体が冷え……緊張が緩み、脚が酷く痛む。吹雪も勢いを増し、……このままでは、不味いかも知れない。

 

「良いペースだが吹雪が厄介だ……おい、大丈夫か?」

 

「大丈夫……だ。問、題ない」

 

 俺の手を握るラピの手に、力が籠もる。

 

「ラピ、こいつを連れて帰―――いや、今は帰りたくても帰れないか。……まだまだだな。一ミリも成長していない」

 

「気にする、な……勝手に付いていく」

 

「地上で長く過ごしてきたとはいえ、私はニケだ。人間を見捨てることはできない……丁度いい、ちょっと休もう」

 

「気にする、な……進むぞ」

 

「いや、休む。痕跡から見ても決戦は近い……私も整備が必要だ」

 

 崩れた瓦礫を指差し、脚を進め……ラピがその後を追った。

 

「指揮官。家があります。もう少しです」

 

「運が良いな、人間」

 

 瓦礫は……どうやら廃墟だった―――ようだ。

 

 廃墟の一室に侵入した直後、スノーホワイトは自分のマントを破り、俺に差し出した。

 

「被れ。発熱マントだ。人間にはちょっと熱いかもしれないが、今の状況なら、ちょうどいいだろう」

 

「……優しいんだな」

 

 手渡されたマントを被り、冷えた身体に血が巡るのを感じる。

 

「……それこそがここまで私がやってこれた原動力だからだ」

 

 遠くを見た瞳が金色に輝き、目を閉じたスノーホワイトは自身の整備を始めた。

 

 マントを脱ぎ……顕になった姿は―――華奢な少女にしか見えない。……腕も、脚も、傷だらけになり、それでもなお戦いに身を投じていることが、良く分かった。

 

「……よし。何とか動けるな」

 

 ラプチャーから回収した部品を分解し、自身の身体に装着したスノーホワイトは、身体の調子を確かめマントを羽織る。

 

「体が……ボロボロじゃねぇか」

 

「ちゃんとした整備を受けてないからな」

 

「いつから受けてないんだ」

 

「……覚えていない。第一次ラプチャー侵攻の時からだ。少なくとも数十年は経っているだろう」

 

「……数十年」

 

「これ以上は聞くな。もう話したくない……ところで、お前は何者だ?何故トーカティブに捕まっていた?」

 

「思い当たる節はあるが、正確には分からん」

 

 アイツが俺に寄越した情報は、裏切り者がいること、俺の能力、幼い頃に病気をしたかどうか、後はアーク出身なのか……これだけでは大雑把な仮説しか立てられない。

 

「何かあるみたいだな。まあ、あの虚勢からしてただ者ではないだろう……私も奴らのことは、よく知らない。一つ確かなことは、奴らはクイーンの直属であり、奴らの後を追いかければ、クイーンに会えるということだ」

 

 そう言って、黙り込んだスノーホワイトは武器の整備を始め、周囲の警戒にあたっていたラピが帰ってきた。

 

「指揮官、体力勝負になります。少しでも何か食べた方がいいかと」

 

 そう言われれば、確かに腹が減っている事を思い出し、意識すれば途端に腹が減った。

 

「そうだな……ラピも食うか?」

 

「!!?」

 

「いえ、私は大丈夫です。後で手を繋いでください。それが一番力になります」

 

「!!?」

 

 甲高い音が響き、二人で音がする方向を見ると、手から工具を落とした少女が口をぽかんと開けていた。

 

「……どうした?」

 

「いや―――何でも無い」

 

 チラチラと此方を伺う姿に思うところがあるが、大方ニケがどうこう言い出すのだろうと無視を決め込み、取り出した携行食の封を開けた。

 

「!!?っ」

 

「ん?」

 

 こっちか?……視線が完全に固定されている。左右に揺らすと綺麗に泳ぎ……口もとから涎が垂れた。

 

「食うか?」

 

「いいのか!!?」

 

 凄まじい速度で迫ってきたスノーホワイトに、視界の隅で思わず銃に手をかけたラピの姿が見えた。

 

「いいぞ、手持ちは数個しかないが……わーったよ。一個だけ俺が食う。後は全部やるよ」

 

 そんなに目で見られたら、誰だってそうするだろう。

 

「!!!ほ、本当……そ、それは悪いっ!」

 

 ……なに、この子……可愛い。

 

「やるよ。どちらと言うと水分が欲しいんだ。持ってないか?」

 

「あ、ある!!水がある!!」

 

「なら、交換しよう」

 

 視界の隅でそっとボトルを締まったラピは、薄く笑みを零した。

 

「な、何だと……賞味期限前の、食べ物だ……ぁ、甘ぃっ!!」

 

 甘ったるい羊羹に似た携行食に齧り付き、リスのように頬を膨らませて詰め込む少女を見詰める。幸せそうに頬を膨らませる姿は、見た目相応に幼く、緩んだ瞳が何とも可愛らしい。

 

「ゆっくり食えよ。誰も取らねぇからな」

 

「はぐっ……ふぐっ……ごくっ、んぐっ!!」

 

 トーカティブを一撃で戦闘不能に追い込んだ凛々しさは、どこに行ってしまったのか。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 武器の整備を申し出たラピに対し、食べ物の虜となったスノーホワイトは黙って頷いた。最後の一つをジッと見つめながら、凛々しく顔を引き締め……懐にしまい込んだ。

 

「す、すまん、助かった」

 

「口もとが汚れてるぞ……動くな」

 

「……ふぐっ……美味かった。ありがとう」

 

「俺こそ、ありがとな。……なあ、アークに戻ろうと思ったことはないのか?」

 

「……ない。私たちは何も達成できていない」

 

 金色に瞬いた瞳が伏せられる。……私たちとスノーホワイトは言った。他にも仲間がいるのか……。

 

「きっと……歓迎されるぞ」

 

「そんなことは望んでいない。慰めからの歓迎なんて、私たちには無意味だ……否定された気持ちになるだろう……私たちは失敗してもよかった。そんなに頑張る必要はなかったんだ……そういう気持ちになるだろう……そうはなりたくない。そして―――私たちはアークを知らない」

 

 吐き出される言葉を黙って聞き……最後の一言がどうしても分からなかった。

 

「アークを知らない……どういう意味だ?」

 

「言葉通りだ。私たちはアークを知らない。どんな世界なのか、どんな環境なのか―――全く知らないんだ。だから私たちはアークには行かない。行きたいかどうかすら分からない。私たちはただ、死んでしまった地上をさまよい、儚い希望を探し求める巡礼者に過ぎない」

 

 独白のように吐き出された言葉に、なんと返せばいいのか……。

 

「指揮官……吹雪が弱まりました。今のうちに進みましょう」

 

 思考を止め、ラピの言葉に促され全員が立ち上がった。

 

「そうだな、行くか」

 

「少しジッとしてください指揮官。唇が汚れています―――」

 

 ―――何で俺は、こんな状況で舌を絡め取られてんだ?

 

 確かに、決戦に向かうに当たり効果はあるのかも知れないが……そんな事を少しばかり考え、這い回る舌に意識を集中した。

 

「は?―――な、何をしてるんだお前らっ!!」

 

 何か、すまん。

 

「ぷぁ……指揮官にはニケを強化する力があるの、キスしてみれば分かる……きっと貴方にも効果があるわ」

 

 それは、スノーホワイトが俺に好意を抱いている可能性があると言っているのか?……あれは食欲だろう。

 

「なっ、巫山戯るなっ!は、早く行くぞっ!!」

 

 ほんのりと頬を染めたスノーホワイトを追いかけながらラピに尋ねる。

 

「なんで、キスしたんだ?」

 

「指揮官を守る仲間は多い方がいい。……それと、私がしたかったから、です」

 

 左手を触りながら、ラピはそう呟いた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 小高い崖の上から巨大な鎧が確認できた。吹雪も止み視界は良好。トーカティブは半身を失ったまま身じろぎせず、動く気配も無い。

 

「見つけた。ヘレティックとトーカティブだ。トーカティブを修復しているのだろうか。仲間思いな奴らだな」

 

 皮肉交じりに告げられた言葉に、身を引き締める。

 

「スノーホワイト、どう動く?」

 

「狙撃してから一気に畳みかける。ラピ、近づけるか?」

 

「……分かった。指揮官を頼む」

 

「任せろ。美味い飯の礼だ」

 

 ラピが大きく迂回し崖を下り……ポイントに到着した。手信号で合図を送るラピを見据え、スノーホワイトが対艦ライフルを構えようをした瞬間―――

 

「なぜ、分かってくれないんですか」

 

 ―――眼の前に巨大な鎧が立ち塞がった。

 

「!!いつの間にっ!」

 

「あなたを逃してあげたのは、私の慈悲だったのに。この世界を寂しく彷徨う、その悲しい限りの運命に送る、同情だったのに」

 

 憂いを帯びた声は全くと言っていいほど心に響かず……悪意に塗れていた。

 

「……黙れ」

 

 スノーホワイトが純白のライフルを構え、鎧の兜に狙いを定める。

 

「……あ、そういうことですね。あなたは、その悲しい運命に嫌気がさしたのですね。だから私を捜した。その運命を終わらせたくて」

 

「たわごとはよせ!裏切り者め!!」

 

「では、あなたのその運命。私が引き取りましょう」

 

 対艦ライフルが火を放ち、弾丸が射出された―――それは、モダニアに届くことなく爆破した。

 

「磁場……!?単身でこの密度は……!」

 

「単身でこの程度の武器とは……少し驚きました。でも、きちんとメンテナンスされてないようですね。かわいそうに」

 

 また声が、―――右翼が―――振るわれッ……。

 

「避けッ―――」

 

 右翼が振るわれスノーホワイトが吹き飛ぶ、間に合わなかったッ……瞬きの間に鎧が消え―――スノーホワイトの眼前に出現した。

 

「ラッ―――」

 

「ぐはっ……!」

 

 倒れ伏したスノーホワイトを左翼が掴み持ち上げる。俺の足元には手から零れた対艦ライフル―――ラピは、間に合わないッ。

 

「……痛覚センサーも故障したんですか。本当にかわいそう」

 

「あなたが人類のために献身した時間に敬意を表して、最大の苦痛と共に殺してあげます」

 

「……!!」

 

 このままスノーホワイトが嬲り殺しにされるのを見ている気は無いッ!

 

「……ふ。うふふふ。あはは、あははは……ああ、下品な笑い方でしたね。どうです、耐えられそうですか?」

 

「おい……!」

 

「はい、どうぞ」

 

「下が……かゆいな……!ちょっと……かいてくれるか?」

 

 馬鹿みたいに重いライフルを構え―――

 

「ふふ、もちろんです」

 

「がはっ……!」

 

 ―――引金を引いた。

 

「ガァ!!―――」

 

 轟音が鳴り響き、弾は発射されたが、鎧に命中することはなく―――空高く消え去った……反動を受けた身体が沈み、咄嗟に手を地面につく。一発でこのザマか。だが……。

 

「……?何をされているんですか?」

 

「悪あがきってやつだ……足掻いたかいは、あったなッ」

 

 スノーホワイトを掴んだまま俺に向き直った鎧は、宙をゆらゆらと泳ぎ……俺の側で止まった。

 

「ゴホ、ゴホッ!お、おい」

 

 咳込みながらもスノーホワイトにも見えたのだろう。

 

「はい、どうぞ」

 

「後ろ、気をつけろ」

 

「……はい?―――!!」

 

 爆撃が鎧に命中し、翼から抜け出したスノーホワイトは着地し―――崩れ落ち……片足で飛び、距離を取った。

 

「……何ですかこれは」

 

「指揮官!!」

 

「師匠!!」

 

「指揮官様っ!!」

 

 流石、俺の仲間だ。……信じていた。必ず来てくれるとッ!

 

「ラピ、ネオン!スノーホワイトを回収しろッ!!アニスは援護だッ!!」

 

「「「了解!」」」

 

 即座に散開したカウンターズは、一糸乱れぬ連携でスノーホワイトを回収し俺の側に集まった。宙で揺らめく鎧は行動すること無くそれを眺め―――淡い光りを纏った。

 

「仕方ありませんね。全員纏めて殺してあげます」

 

 鎧が空高く舞い上がり光を溜め込んだ。

 

 まただ―――また、声がッ。

 

「全員隠れろ!!光線が来るぞッ!!」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 光線による初撃をやり過ごし、即座に指示を出す。

 

「全員俺に従えッ、スノーホワイト!お前もだッ!」

 

「っ、ふざけるな人間!お前に何ができる!」

 

 声が―――聞こえるッ。

 

「……三秒後に両翼から爆撃が来るッ!アニス翼の上部!中央を狙え!二発で撃ち落とせッ!!」

 

「う、うん!指揮官様!!」

 

「―――撃てッ!!」

 

 両翼から飛び出した爆撃の数は片翼で三。アニスの爆撃が寸分違わず中央を撃ち抜き―――誘爆した。

 

「!!スノーホワイト!お願い、従って!指揮官様に従って!お願いっっ!!」

 

「……奇跡―――か。いいだろう人間。私を使ってみろ!」

 

「短期決戦だ、チャンスは一度きり」

 

 一撃で仕留めなければ、俺も皆も―――持たない。

 

「カウンターズ!回避のタイミングは俺が指示する!絶えず動き回って撹乱しろッ!必ず二秒で身を隠せる位置を維持しろ!」

 

「ラピ!牽制はお前だけだッ!コアを、中央を叩けッ!」

 

「了解!!」

 

「アニス!迎撃はお前にかかってる。大丈夫、お前なら出来るッ!!」

 

「っ、うん!!」

 

「ネオン!散弾は届かない。零れた小型はお前に任せる。小型の処理と中継を担え。責任重大だ。出来……やれッ!」

 

 出来るかと言おうとしたが、決意の籠もった瞳には―――無粋だった。

 

「任せて下さい!!師匠!!」

 

 酷く悲しい声が雑音と共に脳裏に響く。その声が次の行動を教えてくれる。

 

「俺の指示は聞き逃すなッ!必ず生きろッ!!」

 

 どこかで―――聞いたことが、ある―――俺は、この声を……知っている。

 

「十秒後に広範囲のレーザー兵器で薙ぎ払われる。各自速やかに身を隠せッ!!―――散れッ!!」

 

 同時に飛び出した三人は散開し遮蔽物に身を隠した。きっかり十秒後、モダニアの左腕が光を帯び―――輝剣が薙ぎ払われた。

 

「スノーホワイト。撃ち落とせるか?」

 

 安否の確認など行わない―――必ず生きている。

 

 確認など彼女たちへの侮辱であり、命を賭けて戦う少女達の信頼に泥を塗る行為でしか無い。

 

「……撃てる……と言いたいが。脚をやられた―――照準が定まらない」

 

「俺が支える―――撃て」

 

「!!?なっ本気っ―――な、なにをっ」

 

 機械仕掛けの腕を掴み、身体を支え走る。ここはもう危険だ。次の場所に移動する間も、指示を飛ばし続ける。

 

「アニス!同じ爆撃二秒後だ!時差コンマ五秒!右翼ッ!!」

 

「分かった!!」

 

「ネオン!北西の小型を蹴散らせッ!!」

 

「了解しました!!」

 

「ラピ四、六、九で銃撃が来るッ!!身を隠せッ!!」

 

「了解っ!!」

 

 絶えず送られる情報は脳を圧迫し、酷い頭痛が伴った。

 

「おい、人間!血がっ!!」

 

「うるせぇぞ。黙ってろッッ!!」

 

 だが分かる。この声が俺を助けてくれる。

 

 俺が傷つく事に涙を流しながら―――それでも声が途切れないのは、俺が生きる事を願っているからだ。

 

「ここで狙う……準備しろ」

 

 スノーホワイトを離し、服を掴まれ顔が近づいた。

 

「―――!!?おい、何を?」

 

「口吸いというのは―――存外、悪いものではないな」

 

 頬を染めた顔がバイザーに覆われ、見えなくなる。

 

「―――三十秒。お前に託す。私を守れ人間!」

 

「―――ハッ、任せろ姫様。傷一つ付けさせねぇよッ!!」

 

「なっ……チッ、やってみせろ、人間!!―――『セブンスドワーフ―――アクティブッ』―――なっ!?」

 

 スノーホワイトは地面に座り込み銃を構え―――機械仕掛けの手が、レバーを引き―――宙に七の武装が展開された。

 

「どういう―――!ははっ、不思議だな、人間」

 

 歪な音が鳴り響き、放出された七の兵器が意志を持ち……スノーホワイトの構える銃に纏わり付き―――姿を大きく変えていく。

 

「ネオンッ!!アニスをフォローしろッ!!小型二体ッ!!急げッ!!」

 

「はい!!」

 

「ラピッ!アニスッ!右翼を狙えッ!二人でぶち壊せッ!!」

 

「「了解!!」」

 

「ネオンッ!ラピとアニスを守れッ!!」

 

「了解!!」

 

 身の丈を超える巨大で無骨な銃は純白の輝きを放ち―――バイザーが開き、ニヒルな笑みを浮かべた少女が囁いた。

 

「……人間―――待たせたか?」

 

「待ってねぇ―――カッケーじゃねぇか」

 

「ふっ、ここまでの力を解放した事はない……反動は未知数―――」

 

 頭に手を置き、優しく撫でる……少女はそれ以上言葉を発さなかった。

 

「……俺の合図で撃て」

 

「死ぬな―――人間……聞きたいことが山ほどある」

 

「―――たりめぇだ」

 

 スノーホワイトの身体を抱き締め、巨大な岩盤を背に―――全てを終わらせる準備が整った。

 

「最後に―――ダメ押しだ」

 

「――――っ、なっ――」

 

「やはり、これは良いものだな……美味い」

 

 唇をぺろりと舐めた少女は、バイザーで顔を覆い敵を見据えた。

 

「―――スノー、終わったら話しをしよう」

 

「ああ、私もお前と話がしたい」

 

 抱き締める手に力を込め、彼女を支える―――照準をあわせた純白の輝きは光を収束し―――俺達を明るく照らした。

 

 

 

 闇に覆われたのなら―――晴らせば良い。

 

 

 

「全員伏せろッッ!!!―――撃て」

 

 

 収束した輝きが一点に集中し―――

 

 

 

「いくぞ『セブンスドワーフ―――フルアクティブ』―――貫け」

 

 

 

 ―――全てを終わらせる一撃が放たれた……。

 

 

 

 大気が震え―――宙に浮かんだ巨大な兵器は『半身』を穿たれ……地上に落下する……。

 

 バイザーが開き、信じられないと言わんばかりに目を見開いたスノーホワイトと目が合った。

 

 一撃が放たれる瞬間―――俺は照準をほんの少しだけ―――強引に外した。

 

「―――マリ……ア、ン……」

 

 脳裏に―――声が、響いた……一撃を放つ直前―――鮮明に聞こえた。

 

 

 

『ありがとう―――指揮官。ずっと、大好きです』

 

 

 

 ―――マリアンの声で……はっきりと聞こえた。

 

 




ソーダ……お高いおっぱいでした。


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27

 声が―――聞こえた。

 

 走馬灯のように蘇る―――鮮明な記憶。

 

『し、き……かんっ……こ……こ……で、す』

 

 身体が砕けても―――彼女は俺の為に、自身に銃口を向けた。

 

『私が支えますね』

 

 ふらつく俺を支え―――

 

『私が必ずお守りします』

 

 真っ先に敵に向かい駆け―――

 

『だって、指揮官もいるし……』

 

 恥ずかしがそうに頬を染め―――

 

『ふふ。指揮官はお優しいのですね』

 

 花よりも綺麗に微笑んだ彼女の声が―――

 

 

 

『ありがとう―――指揮官。ずっと、大好きです』

 

 

 

 ―――聞こえたんだ。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 スノーホワイトの一撃は中央のコアを穿ち、塵も残さず銀髪のニケを滅ぼすはずだった。

 

 全てを台無しにしたのは―――俺だ。

 

 鎧の残骸が轟音を立て地面と衝突し、少女は俺の胸倉を掴み―――怒りとも悲しみとも……呆れとも言えない、そんな泣き出しそうな顔をしていた。

 

「―――っ……おいっ人間ッ!―――くそっ」

 

 吐き捨てられた言葉と同時に掴まれた手から力が抜け―――俺は雪原に倒れた。

 

 ―――整理の付かない感情を押しのけ、必死で顔をあげる……。

 

「―――ッ、ま……ま、てッ……」

 

 弾を逸した事に後悔はない。だが、それでも……このままで良い筈が無いッ……。

 

 振り返る事などせず、スノーホワイトは脚を引きずりながら、前へ進む―――雪を握り締め、動かない身体を必死に動かし、這いずりながら俺も前へ進む。

 

「……待てッ、待ってくれッッ……頼むッ!スノー、俺を連れていけッッ!!」

 

 ―――痛みすら、感じない。既に限界を超えている。だが……俺が……俺がッ、行かなければッッ……。

 

「―――納得のいく説明を……してもらうからな、人間」

 

 体を掴む手は優しかった。気遣うように抱き起こされ、少女は肩を貸してくれた。

 

「あ、ああ……ありがとう、スノー」

 

「ちっ……毒されたか」

 

 ……満身創痍の身体に鞭打ち、一秒でも早く脚を前へ進める。そこに何があろうとも、俺は―――

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 発砲音が鳴り響く中心に―――彼女はいた。

 

 プロテクターで目元を覆っているが……俺には分かる。

 

「ラピっ!!指揮官様を連れて逃げてっ!!」

 

「それは、出来ないっ!!」

 

「私が殿を努めます!二人は師匠の元へ!!」

 

 銃を放つ三人は、ドーム状に磁場を展開した彼女に、何度も銃撃を繰り返していた。

 

「ラピっ!!早く行ってっ!!」

 

「―――っ、必ず戻る!!」

 

 踵を返したラピと視線が交錯し、ラピの手が……俺の手を掴んだ。

 

「っ、指揮官っ!!ここは危険です!!―――っ!?」

 

 手を振りほどき、ラピの肩を掴む。

 

「……お願いだ、少しだけ待ってくれッ」

 

「―――指揮官……分かりました」

 

 ラピが俺の隣に寄り添い、銃を構えた。

 

「ラピ!?指揮官様っ!!何しているの!!早く逃げて!!!」

 

「アニス……頼む、俺に時間をくれッ!」

 

「ば、馬鹿な事言わないでっ!!はやくっ―――」

 

「アニスと言ったか、私が守る。好きにさせてやれ」

 

 視線が交わり感謝を伝えると、スノーホワイトは顎をしゃくり、俯く彼女を見据えた。

 

「ピルグリムっ!!ふざ―――」

 

 顔を突き合わせ、震える声を絞り出す。

 

「頼むッッ」

 

「っ―――ぅん……」

 

 アニスはそれ以上何も言わず、俺の側に移動し武器を構え直した。

 

「師匠……良く分かりませんが、師匠に怪我はさせません!」

 

「―――ああ、助かる」

 

 皆に支えられ歩を進め―――彼女との距離が縮まり、声が……聞こえた。

 

「……おかしいですね。性能にしろ、何にしろ、どうみても私が優位なのに、何故こうなったのでしょう」

 

「指揮官様のおかげに決まってるでしょ」

 

「もしかして、自分を過大評価してたんじゃないですか?」

 

 煽るように二人が声をかけ、顔を上げた彼女の瞳を覆うバイザーに亀裂が走る。

 

「ん?……プロテクターが……」

 

「「!?」」

 

 彼女が触れた事により―――バイザーが崩れ落ち……顕になった相貌を見た二人の手が強く握り締められた。

 

「久しぶりだな、マリアン」

 

 投げかけた言葉に、彼女は反応を示さなかった。

 

「あら……やっぱりニヒリスターも一緒に来るべきだったでしょうか」

 

 彼女を見ると、脳裏に記憶が蘇る。

 

 

『心配なさらないでください。私があなたをお守りします。なにがあっても』

 

 ―――出会いは鮮烈だった。

 

『指揮官。ここにも包帯を巻いてください』

 

 ―――笑顔の彼女に包帯を巻き。

 

『ふふ、ありがとうございます。もう全然痛くありません』

 

 ―――たかが包帯に―――心からの笑顔を向けた彼女は。

 

『ここ……で……す』

 

 瞳が紅く光り―――

 

『指揮……か、ん……ほう、帯……う、れし……か……った、で、す』

 

 俺の握った銃を自らの額に誘導した彼女が、鮮明に脳裏に描かれ―――抑えつけた感情が爆発する。

 

 

「マリアンッッッ!!!」

 

 叫ぶ俺に、鮮血に染まった瞳が向けられる。

 

 出会った当初、瞳の奥に薄く宿っていた赤色が―――悪意を帯び瞳全体に広がっているように見えた。

 

「……私のことですか?悪いですが、人違いのようです。私はモダニア、クイーンに仕え……」

 

 言葉を止めた彼女の瞳が光を失い……小さく零れた。

 

「―――マリ、アン?」

 

「マリアン!!俺だッ!分からないのかッッ!!!」

 

「―――人間っ……くっ」

 

 俺を支えてくれた少女は、全てを悟ったように―――地面に視線を落とす。

 

「マリアン……不思議ですね。何だか、すごく懐かしい響きです」

 

 彼女の頭には、あの時の包帯が巻かれ……光りが戻った瞳がほんの少しだけ―――優しくなった気がした。

 

「マリアン!お前はマリアンだ!!俺の、俺だけのニケだろッ!!!」

 

「……だけの……ニケ……マリアン―――」

 

 小さく呟きながら瞳から再度光りが消え、確認するかのように何度も同じ言葉が繰り返され―――

 

「マリアン、マリアン……マリアン―――マリアンマリアンマリアンマリアンマリアンマリアン」

 

 地面が振動し、マリアンの体を黒いエネルギー波が包み込み―――俺は脚を踏み出した。

 

「マリアンッ!!」

 

「指揮官!!近づいてはダメです!!!」

 

「指揮官様っ!!絶対に近づいちゃダメ!!」

 

「師匠、我慢して下さい!!」

 

「―――離せッ!!!マリアンッッ!!!」

 

 左右から抑えられ、前には進めない。張り裂けんばかりに叫ぶ事しか、俺には出来なかった。

 

「シルバーガン……分隊の……マリアンと……申します―――よろしく……お願い……します」

 

「マリアンッ!!!戻って来いッッ!!!」

 

 ―――神よッ!!もし……もしいるのなら、俺への仕打ちは全て水に流してやるッ!!!マリアンをッ!!!助けろッッッ!!!

 

「指揮官様っ!!」

 

「指揮官!!」

 

「師匠!!」

 

 ―――頼むッ、離してくれッ、頼むッッ!!

 

 三人に引き摺られマリアンとの距離が離れていく。

 

「俺の元に帰って来いッッ!!マリアンッッ!!!」

 

「マリ、アン……くっ―――!あ……ああ、ああああ!!」

 

 悲鳴をあげたマリアンに少しでも近づくように、手を伸ばす。

 

「マリアンッ!!!」

 

「っっ、あぁああああ!!っ―――指揮……官?」

 

 真っ赤な瞳が―――優しく垂れさがり……瞳から大粒の雫を零したマリアンは―――俺を見つめ手を伸ばした。

 

「―――これが、奇跡か」

 

 純白の少女は瞳から雫を流し呟き。

 

「うそっ……」

 

 三人の力は抜け―――マリアンとの距離が縮まる。

 

「―――しきっ!!!」

 

 ……後少しで手が重なる瞬間―――マリアンは頭を抑え蹲り―――

 

「っ、ぃ!―――いゃああああ!!」 

 

 黒い稲妻が俺とマリアンを分断し―――辺り一帯が黒く染まった。

 

「―――マリアンッッ!!!」

 

 届く事を願った手は……虚しく宙を彷徨い―――風が吹き荒れ、身体が宙に浮く。

 

「クソッ!クソォォオッ!!!マリアンッッッ!!!」

 

 それでも、俺は蹲るマリアンに―――手を伸ばし続けた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 何故俺は、倒れている?―――体を跳ね上げ、手を伸ばし……純白の少女と目が合った。

 

「目が覚めたか、人間」

 

「―――クソッ!!!」

 

 届くはずだった。この手に掴む―――はずだったッッ。

 

「……気持ちが分かるとは言わない。だが、現実を見ろ」

 

 憤る俺に対し、少女は優しい声で呟き、ジッと俺を見つめ続けた。

 

「……みんなは、何処だ」

 

「全員が意識を失っている。私だけでは運ぶことが出来ない……助けたければ、手伝え」

 

「行くぞ」

 

 外に飛び出した俺の後ろで、スノーホワイトが地面に倒れた―――身体が……俺はこんな少女に気を使われていたのか……。

 

「―――ガッッ!!……ブッ」

 

 全力で殴り……折れた奥歯を吐き捨てる。

 

「おい……人間、何をしている?」

 

「ケジメだ。……すまん、スノーホワイト―――ありがとう」

 

 倒れた少女を抱き上げ、肩を貸し歩みを進める。

 

「……本当に、お前は不思議な人間だ」

 

 俺を見上げた少女は、小さな声で呟いた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 雪が強さを増す……急がなければ吹雪になる可能性が高い。体に痛みは感じない。折れていた脚も動く。まるでマリアンが俺を支えてくれているかのように、全身には力が満ち溢れていた。この感覚は―――昔の自分を思い出させた。

 

「あの後、どうなった?」

 

「ヘレティックが起こした爆発で全員が散り散りになった。私は右脚が大破して、まともに動けない」

 

 スノーホワイトの右脚は力なく垂れ下がっていた。脚を引きずりながら、俺だけでもあそこまで運んでくれたのか……。

 

「一番近くにいたはずのお前だけが……無傷だった」

 

 ―――マリアン……また、助けられたのか。

 

「……知り合いだったか」

 

「かけがえのない存在だ」

 

「……そう、か―――そうか……」

 

 スノーホワイトは目を見開き……噛み締めるように呟いた。……その後、ポイントに到着するまで、少女が言葉を発する事は無かった。

 

 

「ここだ―――軽く埋めておいた、掘れ」

 

 スノーホワイトは周囲を警戒し、雪に埋もれたネオンを引きずり出し、頬を叩く。

 

「ネオン!!おい、ネオン!……」

 

「―――何度も奇跡は起こらない、か……決めろ」

 

 意味深に呟いたスノーホワイトは……俺に選択を迫った。

 

「……何をだ」

 

「ここも安全ではない。見捨てて行くか……意識が戻るのを待つか―――決めろ」

 

 奇跡は何度も起こらないと少女は言った……まるでネオンの意識が戻らない事が分かっていたように聞こえた―――ふざけるなッ。

 

「俺が担ぐ、乗せろ」

 

 神なんていなかった。奇跡なんてクソくらえ。俺が俺自身の力で救ってやるッ。

 

「―――無理だ人間、それは―――」

 

「ゴタゴタうるせぇぞッ!!早く乗せろッッ!!!」

 

「……分かった。身を持って知れ、人間にニケは救えない」

 

 スノーホワイトが抱えたネオンが背中に乗せられる―――重い……二百キロを超える重み……これが、命の重み―――

 

「―――ッッガァァ!!」

 

 ―――だが、今の俺ならばッ!!力だけなら、誰にも負けねぇッッ!!

 

「無理だ、諦め―――お、おい!?」

 

「―――ッッ、……急ぐぞ」

 

 ネオンを担ぎ歩き出した俺を、銃を杖にした少女が追いかける。

 

「お前は本当に人間なのか?」

 

「……俺、が……人間だッ」

 

「!!っ―――そ、そうか……人間とは凄いな」

 

 それ以上喋る事無く歩みを進め、俺とスノーホワイトはバンカーにネオンを運び、次のポイントに向かった。

 

「大丈夫か?人間」

 

「も、んだいねぇ……行く、ぞッ」

 

「少し、休め」

 

「必要ねぇ!急ぐぞッ」

 

 渋る少女を連れ向かった次のポイントには、ラピが眠っていた。意識は戻らず、ラピを担ぎ一歩一歩を踏みしめる。

 

「強いな……人間」

 

「……そん……ねぇ」

 

「ああ、喋るな。喋ると体力を消耗する。独り言だと思って聞き流してくれ」

 

 俺の気を紛らわせるように、スノーホワイトは語った。自分が何故戦うのか……俺の疑問を見通し、先回りするように答えを紡ぎ……少女は『これ以上、誰かが死ぬ姿を見たくない』と紡ぎ……自嘲気味に笑った。

 

「この体も三割程度はラプチャーの部品だ。……この調子だと、怪物の相手をするための―――『怪物』になってしまう、かもな」

 

 その言葉は聴き逃がせない。

 

「違うッ―――お前はッ、怪物なんか、じゃ、ねぇッ!!」

 

「……喋るな人間。すまない、余計な事を言った」

 

「俺は……お前を、尊敬するッ……お前の心は、人間なんかよりよっぽど―――綺麗だッ!」

 

 目を見開き視線を逸した少女は……小さく呟いた。

 

「―――もぅ、喋るな」

 

 

 雪が徐々に強さを増し足取りが重くなる。何とかラピを担ぎ込み、アニスの元へ向かう……ここで倒れる事など、あり得ない。必ず助ける……必ずだ。

 

「指揮官……様?」

 

 雪に身を隠したアニスの声に緊張が解け……体の力が、抜けた。

 

「……意識があるのか、良かっ―――」

 

「ピルグリム!指揮官様を何で連れて来たのっ!!こんなっ!っぅ……死にかけじゃない!!」

 

 脚に力を注ぎ込み、立ち上がる……後少し……まだ倒れるわけにはいかないッ!

 

「―――アニス、俺の意志だ……歩けるか?」

 

「……指揮官様っ……あ、脚が動かないの……私の事は良いから、指揮官様を安全な場所に連れて行って!!」

 

 俺から目を逸しスノーホワイトに投げかけられた言葉で全て理解した。

 

「俺が担ぐ……乗れアニス」

 

「―――ダメっ!無理よ、指揮官様っ!」

 

「こいつは既に二人担いでいる。早く乗ってやれ、話している時間が勿体ない」

 

「!!?―――そ、そうだ、ピル……スノーホワイト、私を撃って!頭だけ、頭だけ持って行って。それなら軽いで―――」

 

「アニスッッ!!!黙って乗れッッ!!!」

 

 俺の怒声に体を震わせたアニスは、瞳から雫を零し顔を伏せた。

 

「心配するな……ちゃんと連れて帰る」

 

 どこかで死を予感していたのだろう……アニスの体は小さく震え続けていた。

 

「!!っ、ぅ……ぅぅ……ぅぇ、ご、ごめん、なさぃ」

 

 泣きながら俺に背負われたアニスは、何度も何度も……謝り続けた。

 

「アニ、ス……そんなに謝るな……俺は、笑ったお前が好きだ」

 

「ぐすっ……ぅぅ、ぅん、しきかんさまぁ」

 

「帰った、ら……一緒に、だらだら、しよう……な」

 

「ぅ……ぅん、ぅん!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 アニスを連れ……何とかバンカーに戻って来た。

 

 部屋に入った瞬間……脚が笑い、崩れ落ちるように倒れた俺はアニスに抱えられ……意識が遠のいていく。

 

「指揮官様っ!……しきかんさまぁあ」

 

 また、泣かせるのか俺は―――アニスの涙声が響く中、俺をジッ見下ろした少女は、懐から取り出した物を俺に渡し、視線を逸し呟いた。

 

「―――食え、次は……一緒に食べよう」

 

「……ははっ、次はもっと美味い飯……食わしてやるよ」

 

 身体に栄養を取り込み、意識を手繰り寄せる。……あれだけ楽しみに取っておいたのに、借りが出来たな。

 

 携行食を食べ終わり、アニスに抱き締められ意識が薄れていく―――鈍い鉄の音が響き、急速に意識を覚醒させた。

 

「―――ラプチャーだ。タイラント級っ、マザーホエール……最悪だ」

 

 小さく呟かれた最後の言葉は微かに聞こえた。あのスノーホワイトが最悪と言ったのか……タイラント級―――まだ、眠れないッ……一人では絶対に行かせない……もう二度と失わないと誓っただろがッ!!

 

「しきかん……さま、っ?」

 

「人間……手を離せ」

 

 武器を片手に外を伺ったスノーホワイトの肩を掴み、側に寄り掛かる……外を見ると遠くで巨大な鯨が空を泳いでいた。

 

「支えが……いる、だろッ」

 

 目を見開いた少女の瞳が、金色に瞬く。

 

「っ―――ダメだ」

 

「駄目じゃねぇ!」

 

「やめろっ!お前の体が持たない」

 

「だ、だめっ!指揮官様っ!!」

 

 必死に声をあげ縋り付いたアニスの髪を撫で、服を握った指を一本一本外し、立ち上がる。

 

「俺は死なない……約束、するッ」

 

 俺をジッ見上げた少女は、無言のまま俺の肩に手を回した。

 

「ゃだっ、ゃだよっ……指揮官さまぁ!」

 

 泣き崩れるアニスに振り返り、俺達は似た言葉を同時に呟いた。

 

「必ず生きて帰る……良い子にしてろ」

 

「必ず生きて帰す……信じろ」

 

 バンカーから飛び出した俺達は、岩に向かい歩みを進める。空の鯨はゆらゆらと揺らめき、こちらに気づいた様子は無かった。

 

「気づいていないのか?」

 

「みたいだな。だが……アレは熱源を感知する。必ず見つかるし、逃げる事などあり得ない―――先手を取って一撃で葬る」

 

「無茶すんじゃねぇぞ」

 

「するさ。私が見逃したラプチャーが、誰かを殺してしまうかもしれない」

 

 岩を背に銃が展開される。四の武装が展開され―――スノーホワイトは固唾を飲んだ。

 

「俺が嫌なんだ……少しは俺の言う事を聞け―――」

 

 俺に背を無け座った少女の顔を掴み唇を奪う。

 

「……んんっ!……んぅ!……んんんぅ!!―――ぉ、ぉい!」

 

「―――二回も奪ったんだ、後一回あるからな。生きろ、スノー」

 

 そう呟き、笑いかける。

 

「……ふんっ、確かにアレを仕留めるには、力が足りなかった所だ―――『セブンスドワーフ、フルアクティブ』」

 

 三の武装が展開され、名前通り七の武装を纏った銃は純白に輝いた。

 

「それもあるが、関係ねぇ。俺がしたかったんだ、甘かっただろ?」

 

「ふ、ふざけた事を言うな……おい、人間。お前の名を教えろ」

 

「……悪いが、俺には名前が無い」

 

「そんな事が―――あり得るのか?」

 

「いや、正確にはあるんだが、俺は自分の名前が言えない。それに聞こえない」

 

 荒唐無稽な話だ。信じてくれるはずもないが……黙りこんだ少女の手に、手を重ねた。

 

「……初めて話したんだ、信じてくれるか?」

 

「初めて……か―――信じる。なら、どう呼ばれたい?」

 

「お兄ちゃんとかか」

 

「却下だ」

 

「……お前が聞いたんじゃねぇか」

 

 光が収束を強め、鯨が旋回する。まっすぐに俺達に向かい進路を変えた鯨に銃口を定め、少女の顔を無骨なバイザーが覆い隠した。

 

「一度しか言わない……ぉ、お兄ちゃん、死ぬなよ」

 

「ククッ……外すなよ、スノー」

 

「っ、誰に言っているっ!―――貫けっ!!」

 

 ―――放たれた弾丸は寸分違わず鯨を穿ち……この世から存在を抹消し……雪が眼前に迫った。

 

「―――これほどとは―――!!?おいっ、大丈夫か!?」

 

「……な、何とかッ……生きてる、よ」

 

 倒れ伏した俺を抱き上げたスノーホワイトは、マントを広げ俺を包み込んだ。

 

「あったけえな―――」

 

「お前は……たかがニケに何故そうまでする」

 

「―――お前たちが、好き、だから……だ。人間より……人間らしい―――それに、美人だろ」

 

 笑いかけた俺に少女は少しだけ頬を染め、瞳を瞬かせた。

 

「っ―――そ、そぅか……」

 

「手……貸せ……違う右腕だ」

 

 機械仕掛けの手は、冷たく温もりを感じない。傷つき、整備もされておらず……それでも俺はこの無骨な手が―――

 

「―――固くて、冷たい―――」

 

「……っ」

 

「でも、お前が頑張ってる事が良く分かる……俺は好きだぜ、この手」

 

 この手が好きだ。

 

「!?っ―――そぅか……少し……救われた気がする」

 

「生きろスノー、必ず生きろ……死ぬことは俺が許さん」

 

「私たちは何も達成できていない……だが、一歩前に進めた……生き方を変えるつもりは無い……つもりは無いが、お前がそう言うのなら―――考えてみよう」

 

 今は……それでいい。だが、いつか……この純白の少女がこれ以上傷つかないよう、世界を救う必要がありそうだ。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 何とかバンカーまで戻ると、二人は意識を取り戻していた。俺を見て安心し……瞳を伏せた二人に声をかけ、全員の状況を確認した。アニスは骨盤が大破し立つことすらできず。ネオンは脊椎部分のスタビライザーが破損し移動不可能。スノーホワイトは先程の一撃で完全に右脚が使い物にならなくなった。

 

 そしてラピは、あばら骨が破損しコアに突き刺さっていると告げた。

 

「コア……正直に言え、大丈夫なのか」

 

「……動きたくても動けませんので……二日は持つでしょう」

 

「本当だな」

 

「二度と―――二度と指揮官に嘘は言いません」

 

「……そうか」

 

 二日……どれだけ早くアークに帰れたとしても、一日はかかると考えた方が良い。

 

「通信は出来るか」

 

「依然として断絶状態にあります。ここで救助を待つ以外の選択肢がありません……」

 

 そう、か……外は吹雪が更に強さを増している。視覚がほとんど役に立たない。それでも―――

 

「―――指揮官っ!」

 

「何だ?」

 

「指揮官様、立ち上がってどうするのっ!」

 

「煙草を吸うだけだ」

 

「嘘よっ!ネオン、ラピッ!指揮官様を止めてっ!!早くっ!!」

 

 ……なんで、分かんだ。

 

「……俺が助けを呼んでくる」

 

 這い寄るアニスにそう告げる―――顔を見ることは出来なかった。

 

「認めません。絶対に認めません!」

 

 無理をして立ち上がったラピを一瞥し脚を進める。

 

「許可は、求めていない」

 

「っ、指揮官!!」

 

 三人の声が背中に掛かる中、歩を進め。―――出口に純白の少女が立ち塞がった。

 

「―――退けッ」

 

 肩に手を掛け告げた言葉に対し、少女は金色の瞳を彷徨わせ、迷いを晴らすように言葉を零す。

 

「……私を信じてくれるか」

 

 肩に置かれた手に自らの手を重ねた少女が、何を迷っているのかは分からない。それでも俺は少女に対し誠実に答える必要性を感じた。

 

「最初は―――信じて無かった」

 

 余りにもタイミングが良すぎた……あれでは疑うなと言う方が無理だろう。

 

「―――っ」

 

「二回、命を助けられ―――お前を知ることが出来た」

 

「……」

 

「二度と―――もう二度と疑う事はない。俺は……スノー、お前を心の底から信じてる」

 

 掛けられた言葉に対しスノーホワイトは重ねた手を離し、前に歩を進めた俺の体を押し留めた。

 

「……スノー?」

 

「―――私が行こう」

 

 少女は右脚を指差し、そう呟いた。

 

「何言って……!?」

 

 少女が指を指した先には……外骨格―――

 

「その外骨格―――貸せ」

 

 まさか、そんな事が……もし、もし出来るのなら―――俺が外に行くよりも希望はある。

 

「分かった……皆、手を貸してくれ」

 

 取り外された外骨格はスノーホワイトに付け替える事が出来た。余りにも歪に付けられたサイズが違う脚を、少女は強引に動かした。

 

「よし……何とか、動くな」

 

 脚の調子を確かめ、武器を持ち、出口に歩を進めた少女は一度だけ振り返り、決意の籠もった瞳が俺を貫く。

 

「必ず助けに来る」

 

「死ぬなスノー、必ず生きろッ!」

 

「―――約束する!!」

 

 吹雪の中に純白が飛び込んだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 スノーホワイトが姿を消し、三時間が経った。代わる代わる三人に抱き締められ体を温めて貰ったが……もう―――駄目らしい。

 

「まずいわ、雪がバンカーの中まで入ってきてる」

 

「このままだとバンカーの中が雪で埋まってしまうかもしれません」

 

「来ないね……まあ、理解できないこともないかな―――あの子は人間に捨てられたニケだから」

 

「……師匠、大丈夫ですか?」

 

「大丈……夫……」

 

「……体温が……ラピ、アニス……このままだと……」

 

「出力をすべてボディ温度へ変換しよう」

 

 薄れ行く意識を必死で繋ぎ止め、ラピの言葉に抗う……そんなことすれば―――。

 

「ま、まて……やめ、ろッ」

 

「―――指揮官様、あったかい?」

 

 躊躇せず、アニスの身体が熱を発した。

 

「三人で温めるのは、ちょっと恥ずかしいですね」

 

 ネオンの体も同様に熱を持ち―――

 

「っ……指揮官、これで……しばらくは耐えられま……」

 

 ラピの体も熱を持った。ば、馬鹿野郎……俺が助かっても……お前ら、が―――

 

「指揮官?……指揮官!!」

 

「な、なに!指揮官様!?」

 

「体温が下がり過ぎです!」

 

 

 三人の美女に抱き締められ終わるのなら……それも良いかもしれない―――後悔は……後悔は―――マリ……アン。

 

 

「これはこれは、熱い光景だこと」

 

「きゃっ、恥ずかしいです」

 

 ……ルド、ミ、ラ……アリ、ス―――

 

「大変だっただろう。私たちが来たからにはもう大丈夫―――絶対に死なせないわ」

 

 遠くで純白の少女が踵を返すのが―――見えた。

 

 俺に背を向けたスノーホワイトに手を伸ばそうとして……意識が暗転した。

 




北部、完ッ!!
後がたりが終わったら、ようやくエロに入れるぞーーー!


つ、次がエロとは言ってないよ(震え


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28 ☆ アニス

 掴むはずだった手の中には、何もなく―――

 

 ただ、必死に追いかけ……声を張り上げる。

 

「――――ッッ!!!」

 

 張り上げたはずの声は……音とならず、彼女は暗闇に覆われていく。

 

「――――!!!!」

 

 闇に飲まれながら振り返った彼女は―――

 

 

 涙を零していた。

 

 

 純白の少女は、俺に背を向け―――彼女に銃を―――突きつけた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「……見たこと無い天井だ」

 

 白い天井に白いカーテン……日差しが差し込む暖かな部屋……ここは、病院なのか。

 

 身体は動く……全身の筋肉が痛むが―――それでも、生きている。

 

「ん?……煙草……アイツら、分かってんな」

 

 備え付けられた机には煙草と火種……それと灰皿が鎮座していた。怠い身体を動かし窓を開け―――暖かな風が室内に入り込み、アークに帰って来たことを俺は悟った。

 

「寒くないってのは、良いもんだ」

 

 ルドミラ、アリス、そして―――スノーホワイト。ちゃんと礼を言わないと……そんな事を考えながら煙草に火を付け、紫煙を吐き出した。

 

「あ゛あ゛〜、美味い」

 

 疲れた身体に染み渡り、思わず笑みが溢れる。窓から見える景色は……実に平和な物だ。走り回る子供、散歩する老人……そんな景色を眺めながら煙草を吸い終わり、部屋の扉が開く音が聞こえた。

 

「―――ぁ」

 

 灰皿に煙草を押し付け、振り返り―――

 

「……ぁ―――し、しきかんさまぁああ!!」

 

 手に持った荷物を落としたアニスが、勢いよく胸に飛び込んできた。

 

「アニ、ぐふッ!ッ―――危ねッ……」

 

 咄嗟に抱きとめ、衝撃で身体が滑る。叱ろうとした言葉は、涙を見て途中で止まった。

 

「……ありがとな。アニス、お前が無事で良かった」

 

「ぅ、ぅぅ……ぅんっ……よかっ、たぁ。目がさめてっ……しきかんさまぁ……よかったぁあ!」

 

 泣きじゃくるアニスを―――優しく撫で続けた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 俺が意識を失ってから、既に三日が経っているらしい。

 

 あの後、ルドミラが手配した輸送機に乗りアークに運ばれた俺は、そのまま病院に直送されたようだ―――三日……そう言われれば。

 

「腹が減ったなー」

 

 俺の言葉に、隙間なくぴったりと寄り添ったアニスは、にへへと笑い手荷物を漁り始めた。

 

「そう言うと思った。ほら、いっぱい買って来てるから……食べさせてあげるね♥」

 

 柔らかな体を擦り付けられ、可愛らしく俺を見上げてくる。クリーム色の髪はふわふわで触り心地が良く、撫でると嬉しそうに瞳を細めた。普段は少し冷めている瞳が幸せに溢れ―――めちゃくちゃ可愛いんだが。何だ、デレたアニスはやはり最強か……。

 

「……い、いや、自分で食―――」

 

「ダメ。私がするの……食べさせられるの、嫌なの?」

 

「……そんな事はねぇけどよ……持て余す」

 

 しゅんとした表情をされ、咄嗟に否定したが、俺の視線や雰囲気から悟られたらしい。途端に満面の笑みに代わり、薄く染まった頬が色気を醸し出す。

 

「―――♥♥♥ ……帰ったらいっぱいしてねっ♥ 私も指揮官様が……その、欲しぃの♥」

 

 耳元で甘く囁かれ、下半身が熱を持ち始める。心臓が高鳴り……体が熱く火照るのを感じた。

 

「ッ……なら、早く帰らないとな」

 

 ギラついた瞳を向けられたアニスはぴくんっと反応し、瞳を蕩けさせ触れるだけのキスで答えた。

 

「ぅん♥ ……はい、指揮官様♥ あ〜ん♥」

 

 ゼリーのようなものを匙で掬ったアニスは、たっぷりと実った果実を押し付けながら、俺の口に運んでくる。

 

「……甘ッ」

 

 口に含んだ食べ物は、凄く甘かった。

 

「ん?……ぁむっ、ん〜〜?そんなに甘くないよ」

 

「ちょっと貸してみろ……ん?本当だな、そんなに甘くない」

 

「もぅ、指揮官様ったら、ダメだってば……はぃ、あ〜ん♥」

 

 ―――甘い……凄まじく、甘い。これは……そう云う事か。

 

「アニスにも食べさせてやるよ。ほら、口開けろ」

 

「ぇ……♥ ぁ、ぁ〜ん♥ ―――んぅ、甘ぃ……すっごく甘ぁぃ♥」

 

 アニスが持ってきた食べ物は、全てが甘く感じられた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 手荷物にあった食料を全て平らげ、膝の間に座ったアニスを後ろから抱きしめる。

 

「アニスを見れば分かるけどよ、一応聞いとく、皆は無事か?」

 

「うん、無事だよ。ラピはコアの最終調整をしてるの。ネオンは付き添い。もうちょっとしたら来ると思う」

 

「そうか、良かった」

 

 ぎゅっと力を込めた腕に、そっと手が添えられた。

 

「んぅ♥ 私ね……指揮官様に謝らなくちゃいけないの……全然役に立たなかった」

 

「そんな事ねぇ」

 

「ううん、聞いて、ルドミラから聞いたの……スノーホワイト……あの子、何度も転んでたって、それでも、這いずってでも……前に進んだって……そんな子を疑ったの……」

 

 あの脚で、それでも前に進んで俺達を助けてくれた。あの純白の少女にもう一度会いたい。あってお礼を言って、たらふく飯を食べさせて……笑顔が見たい。

 

「……役に立たなかった癖に……あの子を疑ったの……」

 

 力を込めて抱き締め続けると、薄れ行く意識の中で聞いたアニスの言葉が蘇った。

 

『あの子は、人間に捨てられたニケだから』

 

 人間に捨てられた……か。なら、俺は捨てない。二度と手から離さない。

 

「アニス……確かに北部で生き残れたのは、スノーホワイトが居たからだ」

 

「……」

 

「でもなアニス―――お前は戦う為だけに、俺の側に居るのか?」

 

「それは!……それは、違ぅ……けどっ」

 

「俺はお前が好きだ。好きだから側に居て欲しい。今回は助けられた……なら次は助けてやろう」

 

「……できる……かな」

 

 涙を浮かべ俺を見上げたアニスに、俺は笑顔で答えた。

 

「出来る。俺が出来ると思ってんだ。それに、爆撃を撃ち落としたアニスは凄かったぞ」

 

 寸分違わず中央を撃ち抜き誘爆させた射撃。あれが無ければきっと生き残っていない。

 

「あ、あれはね!……何でだろ、狙うの苦手だけど……指揮官様の為って思ったら、凄く集中できたの……えへへ♥」

 

 マジで可愛い。

 

「それが、お前の力なんじゃないのか?俺の為に頑張ってるアニスが、役に立たない訳ねぇだろ」

 

「……そっか。指揮官様の為なら、私って何でも出来る気がする」

 

 涙を拭い笑顔を浮かべたアニスの頭を撫で、優しく抱き締めた。

 

「取り敢えず、今は抱き締めさせろ。柔らかくて最高だ」

 

「んぅ♥ も、もぅ指揮官様ったら♥ か、硬いの当たってるよぅ♥」

 

「……ホント可愛いよな、お前」

 

「ぅぅ♥ 指揮官様のえっちぃ♥」

 

「ハア?えっちって言う方がえっちだろが」

 

「ぅっ、そ、そうよっ、アニスはえっちなのっ♥」

 

 腕から抜け出したアニスは、俺に跨がり、正面から抱き付いた。背中に手を回し、俺も強く抱き締め返す。

 

「んぅぅ♥ はふぅ♥ ……指揮官様に抱き締められて……すっごく幸せっ♥」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 触れるだけのキスを何度も繰り返し、いちゃいちゃしていると、頬を染めたアニスの息が熱を帯び、とろんと瞳が妖しく蕩けた。

 

「……んぅ♥ はふぅ♥ ……ね、ねぇ、指揮官様ぁ♥ ちょっと、ちょっとだけ―――」

 

 蕩けた瞳のまま俺に身体を擦り付けたアニスが、耳元で甘く囁く。

 

「えっち♥ ―――しよっ♥」

 

 即座に頷こうとする頭を抑え、どうにか声を出した。

 

「―――さ、流石に不味い」

 

 大前提としてここは病院だ。それに、意識が戻った事を伝えるのが先だろ。

 

「……いまっ、すっごく、しきかんさまに抱かれたいっ♥ だめかなっ♥」

 

 甘ったるい声に耳を犯され、咄嗟に言葉を発した。

 

「だめ、じゃない」

 

 ……なんて意志の弱い男なんだろう。でも、そんな俺が嫌いじゃない。

 

「いっぱぃ気持ち良くなってね♥ 指揮官さまぁ♥」

 

 服の隙間から手を差し込んだアニスは、胸板をさわさわと撫で擦り、首筋に吸いついた。

 

「はぁ♥ もぅ、ホントすきっ♥ ……はむっ♥ ちゅぅう♥」

 

 胸板を撫でる手が突起を擦り、首筋をぺろぺろと舐められ、グツグツと欲望が煮えたぎる。このまま押し倒そうとして、カーテンが勢いよく開けられた。

 

「アニス、そこまでよ」

 

「「!!?」」

 

「指揮官もちゃんと断ってください!」

 

 無表情で口もとをぴくぴく引き攣らせたラピが佇んでいた。ラピの後ろでは、あわあわ言いながら頬を真っ赤に染めたネオンが、扉を勢いよく締めた。

 

「……ちぇっ、すっごく良いとこだったのに……指揮官さまぁ♥ 見られててもいぃよねっ♥」

 

「あ、あわわ……あ、アニスが……アニスが、えっちです!!」

 

「ネオン、声が大きい」

 

 そこなんですか?ラピさん。

 

「はわわわ、す、すみませっ……って私が悪いんですか!?」

 

「ネオンが悪いわ……んっ♥ 指揮官様ぁ♥ 舌ちょうらぃ♥ ちゅぷぅ♥」

 

 強引に唇に吸い付かれ、お望み通りに舌を差し出すと、二人に見せつけるように舌が絡め取られる。

 

「はむっ♥ れろっ♥ れりゅろ♥」

 

「……あわわわわ!し、舌がっ!?、うわぁ―――すごっ―――はわわっ、えっちです、ラピっ!すごくえっちです!」

 

「んちゅ♥ はぷっ、んれりゅ♥ ぢゅりゅりゅ♥」

 

「うん、殴る」

 

「え、ラピっ!?」

 

「れりゅろ……ちゅぱっ♥ ……しきかんさまぁ♥ びくびくしてるぅ♥ っ!!?―――ふぎゅっ!!」

 

「―――ラ、ラピ……そ、そこまでしなくても」

 

「指揮官、うるさいです」

 

 あ、はい。

 

「―――いったぁあ!ラピ!!何で殴るのよっ!!指揮官様も嬉しそうだったじゃない!!」

 

「うるさい……もう直ぐペッパーが来る……それでもする?」

 

 ペッパー……誰だ?

 

「そんなの!するに決まっ―――」

 

 ベッドに乗り出したアニスがラピに顔を近づけられ、ビクッと身体を震わせた。

 

「それでも、するの?」

 

「ぅ……ぅぅ……我慢、するぅ」

 

 平和な光景を見ながら煙草に火を付け、紫煙を吐き出す。……現実逃避している訳じゃないし、ラピが怖い訳でもない。

 

 た、確かに多少は恐怖というものを感じたが……煙草を吸い、全てを誤魔化す事に決めた。

 

「……煙草が羨ましい」

 

「「ラピ?」」

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 カウンターズの二人は少女の入室にあわせ、駄々を捏ねるアニスを引きずり前哨基地に帰って行った。

 

 ラピが言った通り、直ぐに元気な少女が現れた。タートルネックのノースリーブセーターの上に小さなジャケットを羽織り、首にヘッドホンをかけた少女はペッパーと名乗り、挨拶もそこそこに説教をかましてきた。

 

 煙草を咥えながら聞き流していると、身を乗り出したペッパーに咥えた煙草を奪われた。

 

「聞いてますか、指揮官!」

 

「……聞いてるよ」

 

 サイドテールに結われた髪はピンク色―――ピンクは淫乱だと聞いたことがある。……はぁ、セーターの裾が短いんだよな。

 

「もうこんな無茶したらダメですからね、メっです」

 

 子供を叱るように額に指を突きつけ、笑顔を向けられる。可愛い笑顔を見せたペッターの手に持った煙草が、不穏な動きを見せた。

 

「―――ああ、勿体ねぇ」

 

「ちゃんと聞かないから―――ぅん?……お客さんですかね?指揮官、でてもいいですか?」

 

 扉がノックされ、視線を向けたペッパーが伺ってくる。

 

「……頼む」

 

 灰皿に押し付けられた煙草はまだ半分程残っていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 来客はアンダーソン副司令だった。ペッパーは副司令の顔を見るなり、そそくさと逃げ去り、扉の隙間から『ごめんね』とジェスチャーで謝っていた。……別に俺が許可したから良いんだが、このナイスミドルに会いたくなかったのは事実だ。

 

「病院にまで押し掛けてすまないね」

 

「……閣下」

 

 結局の所、閣下が白なのか分からなくなった。トーカティブにヘレティック―――閣下が下した任務……手引きをしたのが閣下である可能性。限りなく白に近かったが、今は黒よりの灰色だ。

 

「作戦。ご苦労だった。随分厳しかったようだな……まあ、生きていて何よりだ」

 

「何度も死にかけましたが」

 

「ははっ、冗談が言えるのなら大丈夫だろう。折り入って話がある」

 

 俺の発言を冗談と聞き流す閣下に腹が立つ。お前のせいで死にかけたんだろうがッ……外骨格には助けて貰ったが……。

 

「……吸っても?」

 

 苛立ちを抑えるため、煙草に手を付ける。

 

「構わないさ、押しかけたのは私だ」

 

 断られる事が前提の行動は、意外にも許可された……どうやら、あまり悪い話ではないようだ、煙草に火を付け閣下にも一本差し出したが、断られた。

 

「中央政府から、指令が来てね」

 

 ……勘違いだった。嫌な予感しかしない。

 

「……どんな指令ですか」

 

「トーカティブと何度も遭遇しているのに、生き残っている指揮官は君が初めてだ。ピルグリム、およびヘレティックと接触し、彼らの交戦を直接目撃した指揮官も―――やはり、君が初めて」

 

 前置きが長――― 

 

「ヘレティックになった元部下のニケと遭遇したのも、初めてだ」

 

「ッ……」

 

 ―――何が……言いたいッ。

 

「これらの理由で、私を始めとする中央政府は、決定を下した」

 

 俺に―――手を下だせと?……そんな命令出してみろ―――俺がお前らヲ……。

 

「君と君が率いる分隊を特殊別働隊に任命する」

 

 不穏な気配を悟ったのか、閣下は一息でそう告げ、腕時計に一瞬だけ視線を落とした。

 

 特殊……別働隊?―――

 

「……要は犬に成れってことですか」

 

「逆だな……簡単に言うと、自分で判断し、動けるようになる。副司令官より下の者は、君に命令できない。また、副司令官以上が命令しても拒否できる。妥当な理由さえあればな」

 

 ま、まじか!?……破格過ぎる……妥当な理由など幾らでも捏造出来るだろう。これは実質政府に対して一切縛られない事を意味する―――それは、助かる。……助かるが、信じていいのか?

 

 俺の反応に薄く笑みを溢した閣下は、饒舌に話を進めた。

 

「適切な報告さえしてくれれば、誰も手を出せない、その名のごとく特殊な別働隊……情報の隠蔽も、その気になれば幾らでもできる。三大企業のCEOも、君を顎で使うことはできなくなる。これは私が直接提案した内容だ。参考にしたまえ」

 

 ああ、シュエンの事か……嫌われてんな。……まあ、それは仕方ない。嬢ちゃんにも悪い点は……沢山あるなー……うん、身から出た錆だ。

 

「……お礼を言ったほうがいいですか?」

 

「必要ない。その代わり、駐屯地は前哨基地のままだ。目覚ましい発展を見せてくれたおかげで、他に適任者がおらんのだ」

 

 他に適任者がいないと、閣下は呆れた顔で愚痴を溢した。

 

 ……め、目覚ましい発展?……た、確かに財産を注ぎ込みマイティツールズに依頼したが―――まだ、たった数日だぞ……嫌な予感しかしない。

 

「これから君は、前哨基地に駐屯し、地上の存在について自由に調査してくれ。アークへの移動も自由だから。思う存分動いてみるといい」

 

「は。畏まりました」

 

「さらに、君と君が率いる分隊には、一ヶ月間の休暇を与える。君もニケも損傷がひどい。この機会に整備するといい」

 

 は?―――休暇?そ、それも一ヶ月だと!?……一ヶ月もあればッ―――あ、アンタが神だったのか!?一気に閣下が白く見え始めた。

 

「解決したいことは山積みだろうが、とりあえず休息をとりたまえ。これは命令だよ」

 

「は。承りました!」

 

 目に見えてテンションの上がった俺を閣下は訝しみながらも、愚痴を溢した。

 

「……私は、君が中央政府の目に留まらないことを、願っていたのだ。彼らの欲は人を蝕むからな。だから前哨基地へ送って、彼らの目から逃れるつもりだったが……まさかこれほどの、目立つ実績を立てるとは……」

 

 閣下の瞳には憂いが籠もっていた。これが演技なら、俳優になったほうがいいだろう。

 

「仲間のお陰です」

 

「……そうか、すまないもう行かねば、会議があってね」

 

 腕時計を確認した閣下は、そう呟き足早に部屋から出て行った……ホント何時も会議してんな。会議室に住んだ方が良いんじゃないのか?

 

「特殊……別働隊、か」

 

 閣下が俺を前哨基地に送ったのは初日……その時には既に考えていたのだろう……何故だ?閣下は俺に付いて何か知っているのか。尽きぬ疑問はあれど……前に進み続ければ、いつか全てが分かる日が来る。

 

 その時、俺の隣に―――彼女の姿がある未来を思い描き、さっさと退院することを決めた。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 ペッパーに退院する旨を伝え、憤る少女を煙に巻きさっさと退院した……逃げたとも言う。遠くで薄目の爆乳先生が物凄いオーラを出していた気がするが……追ってこないという事は、気の所為だったのだろう。

 

 カウンターズに召集をかけ、俺は地上に向かった。皆……いや、ネオンは文句を言ったが、ラピとアニスに黙らされた。

 

 二人には何時も迷惑をかけるが……これだけは譲れない。

 

 脚を運んだ場所は―――始まりの地。

 

 殺風景な廃墟の一室。俺がマリアンを安置したその部屋は……もぬけの殻だった―――たが、手紙も無くなっている。マリアンが読んだのかは分からないが……それでも良かった。無くなっているという事実が、俺には希望に思えた。

 

「……帰るか」

 

「そうね」

 

「指揮官、必ず取り戻しましょう」

 

「さ、三人で雰囲気出さないでくださいよぉ!寂しいんですよぉお!!」

 

「ああ、悪かったネオン……ヘレティック、彼女の名前は―――」

 

 帰り道でネオンに話をした。マリアンについて……彼女の勇姿を―――彼女の意志を、俺は話した。……不思議と涙は流れなかった。

 

「ぅぐっ、ぐじゅ……そ、じょんなのっ……あんまりでじゅっ!」

 

 俺の代わりにネオンが泣いてくれたからだろうか……それもあると思うが、一番の理由は―――彼女が見せたあの顔が原因だろう。あの時、あの一瞬だけ―――彼女は確かにマリアンだった。

 

「ネオン、ありがとな。もう泣くな……」

 

「ぐぅ、ふっ……む、むりでじゅよぉ、じじょぉお!!」

 

「おわっ、鼻水垂れてんぞ、美人が台無しだろが」

 

 飛び付いて来たネオンを受け止め、懐から取り出したハンカチで涙を拭い、鼻水も拭った。ここまで本気で泣いてくれるのか……本当にネオンが仲間で良かった。

 

「ほら、鼻かめ、チーンしろ」

 

 子供をあやすように、らしくないことを言いながら、鼻水でねっとりと濡れたハンカチを……手荷物にしまった。流石に懐に入れる事は出来なかった。

 

「―――ぐずっ……師匠っ!私は決めました!!」

 

「あ?」

 

「私が火力で目を覚ましてやりますっ!!」

 

「「「ぶふっ」」」

 

「な、何で笑うんですか〜!!」

 

 やっぱり、ネオンはネオンであり、火力に魅了された火力馬鹿に変わりは無かったが……そんなネオンが俺は好きなんだなと確信した。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 夕陽に照らされながら、やっと前哨基地に帰って来た。随分久しぶりに思えるのは、変わり映えしたこの光景のせいだろうか……。

 

 うん、色々と言いたいことはあるが……マイティツールズ、アイツらがミシリスのニケである事を忘れていた。あのシュエンが作ったんだ……やっぱり、どっかのネジが飛んでいた。

 

「指揮官……私の責任です」

 

「いや、ラピは依頼を持って行っただけだろ。好きにしていいって書いたのは俺だ」

 

「それでも、私は止められる立場でした!罰を受けます!」

 

「別にいい。これは俺の責任だ……ちょっと考えないとな」

 

 建物が並んでやがる。たった数日でこれほどの建物を建てた事を褒めれば良いのか……考え無しに建てられた事を嘆けば良いのか。

 

「指揮官!罰を!罰を受けます!!」

 

 ん?……なんか息が荒くないか?

 

「え?ラピ、罰を受けたいの?」

 

「んっ、そんなこと無い」

 

 頬を染めて俯いたラピに……俺とアニスは瞳を輝かせ、ネオンがあわあわと慌て始めた。

 

「そっかそっか〜、アニスさんや、罰は何がいいかね〜」

 

「そうよね〜、指揮官様〜、欲しがりなラピに罰をあげないとね〜」

 

「……ほ、欲しいなんて言ってない」

 

 ヤバい、めちゃ可愛い。

 

「決まったな……」

 

「決まったね……」

 

 アニスとガッチリと握手し、アイコンタクトを交わす。ヤる事は決まった。後は身体を慣らすだけだ。

 

「うわあ、二人が悪い顔してます。……わ、私はシャワーを浴びたら宿所に帰りますね〜〜」

 

 これから起き得る事を想像したのか、ネオンは頬を染め、空気を読むようにそそくさと中に入って行った。

 

 うん、完全にバレてるな……まあ、分かるか……。




アンケート追加しました。
得票が多かったキャラのえろを一つ書こうかと思います。
(内定済みが何人かいるため休暇中の何時になるかは不明)

他のキャラが一番多かった場合は再アンケでもしますね。


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29 ★ ラピ アニス

 コマンドセンターに入り、珈琲を入れ一息付いた。素早くシャワーを浴びたネオンは髪を乾かすのもそこそこに、大声で捲し立てた。

 

「そ、それじゃあ、師匠!シャワーありがとうございます!ま、また明日っ?―――い。いえ!お、終わったら連絡くださーい!!」

 

 そわそわしながらチラチラこちらを伺うラピを尻目に、ネオンはピューッと風のように去って行く。……多分、身の危険を感じたんだろうなー。

 

「あ♥ ……しきかんっ♥ だ、だめっ……」

 

「何処に行こうってんだ。行かせねぇよ」

 

 シャワー室に逃げ込もうとしたラピの腰を抱き、強引に引き寄せる。

 

「ぁ♥ ……さ、先に、シャワーだけでも……」

 

 これから起きることを予見し、潤んだ瞳で見上げたラピは、俺の胸板を押し返そうと頑張っていた。

 

「んんぅ♥……はぅ♥ んぁ♥」

 

 力の籠もっていない手を無視し、胸を揉みしだく。……五月蝿い口は黙らせないとな。

 

「……これ以上我慢なんか出来るかッ」

 

 アニスに高められ、北部でも我慢の連続だった。何度も死にかけ生存本能が滾り、既に限界を超えイライラが収まらない。

 

「あぁ♥ そんなっ、あ、汗がっ♥ ―――ぁ♥」

 

「おい、アニス……お前もだ、来いッ」

 

 そろりそろりと自分だけシャワーを浴びようと脚を進めていたアニスは、ビクンと身体を跳ねさせ恥ずかしそうに笑った。

 

「ひゃ……にへへ♥ はぁい♥」

 

 美女二人を侍らせ、寝室に連れ込み―――軍服を脱ぎ捨てた。

 

「「んっ♥」」

 

 下着は張り裂けんばかりに張り詰めており……二人がごくりと息を飲んだのが分かった。

 

「ッ―――」

 

 側にすり寄ったアニスがさわさわと陰茎を撫で、媚びるように俺を見上げる。

 

「ふぅ♥ ……すっごく硬ぁい♥」

 

「フゥーッ、アニス……罰が終わってなかったよなァ」

 

「……えへへ♥ そうね〜、指揮官様ぁ♥」

 

 二人の視線が移り、囚われた獲物の身体がぴくっと跳ねた。

 

「……な、何をされるのですか……しきかっ……ぁ♥」

 

 ベッドにラピを押し倒し、長い髪が広がった。一房手に取り匂いを嗅ぎ……ニヤリと笑みを深めた俺は、ラピから離れ椅子に腰掛けた。

 

「行けアニス。キミに決めた」

 

「ラジャー。アニス行っきま〜す♥」

 

 飛びついたアニスは、ノリノリでラピの服に手を掛ける。

 

「あっ、アニス!?、だめっ……そんっ、あぁんっ」

 

「ダメよ、これは罰なの、指揮官様を楽しませなくちゃ♥」

 

 絡み合う二人を尻目に―――置いておいた珈琲を飲み、煙草に火を付ける。本当は酒でもあれば良かったんだが……それは別の機会の楽しみとして置いておこう。

 

「アニっ!?ぁひっ……ど、どこ触って!」

 

「どこって……ラピの―――えっちなと・こ・ろ♥」

 

 抵抗するラピをアニスが強引に剥き、肌色が面積を広げ―――素晴らしい光景が広がった。

 

「ラピって肌綺麗よね。きめ細かいって言うか……凄く丁寧に手入れされてる」

 

「そ、それは、指揮官の……ためにぃ」

 

「うわぁ……可愛い、ラピってこんなに可愛いんだ。知らなかったわ」

 

「んんぅ―――指揮官がっ、指揮官がいいです!」

 

 乳房を手で隠し、アニスを押しのけたラピの顔に手が絡みつく。

 

「そんな事言わないでよね。私だって指揮官様が良いけど、ほらぁ♥ 見てラピ……指揮官様ったら、あんなに興奮してる♥」

 

「―――はぅ♥」

 

 アニスに顔を抑えられ……ギラつく俺の視線を浴びたラピは、ぽーっと頬を染め……抵抗を止めた。

 

「ラピったら、素直ね……ほ〜ら〜、全部ぬぎぬぎしましょうね〜……えっ、これは脱がなくていいの?……指揮官様ってマニアックなのね」

 

 いかん、俺の性癖がバレ……まあ、いいか。下着を剥ぎ取り、覆い被さったアニスが自身の果実を晒し、ラピの顔に押し付ける。

 

「……んもっ……な、なにこれ、こ、こんなの……ズルい」

 

「んっ、ラピったら、こんなに濡らして……厭らしい♥」

 

 手が股座に這わされ、くちゅくちゅと水音が鳴り響き。

 

「んんっ、ぃやっ……アニスっ、そこはだめっ」

 

 調子に乗ったアニスが俺に見せつけるように、指を差し入れていく。―――えっろッ……鼻血出そう。

 

「うっわっ、熱々じゃない!ラピってむっつりスケベよね〜」

 

「……も、もぅ、むりっ、こ、こんなっ……ゃめてっ」

 

 そう言いながら、顔はとろとろなんだよなー。普段の無表情が嘘みたいに蕩けている。カァーッ、えっちだなァ。

 

「ラピって……本当に綺麗よね、まさに美って感じ」

 

 手マンを止めたアニスはラピに覆いかぶさり、瞳をジッ見つめ小さく呟いた。

 

「はぁ、ふー、アニス……やめてっ」

 

 顔を逸し頬を染めたラピはぎゅっと自身の身体を抱き締め……アニスが生唾を呑み込み……不穏な気配を察した俺は、一歩一歩ベッドに近づいた。

 

「っ〜〜〜、ラピって、ホント綺麗っ♥ ―――あぅ、ちぇっ♥」

 

 何処まで本気だったのか分からないが、唇を避けられたアニスは悪戯っぽく笑い、助けを求めるラピが涙目で甘く囁いた。

 

「ん―――し、しきかんっ♥ もぅ、もぅほしぃですぅ♥」

 

 可愛い……えろい……うん、我慢、無理。―――俺、抱く。

 

「―――ッ、ラ、ラピ、どうして欲しいか言ってみろ」

 

 ―――危ないッ、衝動的に抱き潰す所だった。これは罰だ……まだ、駄目だッッ。

 

「ぁ♥♥ ……し、しきかんっ♥ しきかんのぉ♥ おちんぽ、舐めたぃです♥」

 

「おちっ!?……ふ〜ん、舐めたことあるんだ。ラピは狡いよね。うん狡い」

 

 アニスの手が再度陰裂を刺激し、ラピは口を抑え必死の抵抗を見せる。

 

「っぃぃ、―――っ、ふぐっ……はぁ、はぁ……アニスっ、覚えてなさいよっ」

 

「こ、これは罰なのっ!凄んでもダメっ!ねっ!指揮官様!」

 

「そうだな。これに関してアニスに報復することは禁止する」

 

「だってさ、ラピ〜?」

 

「―――っぐ……はぁ、はぁ……そ、そんなっ」

 

「……舐めたいんだったか?」

 

「は、はぃ♥」

 

「なら―――俺が舐めてやるよ」

 

 アニスとアイコンタクトを交わし、脚を大きく開かされたラピの股座に顔を近づけた。

 

「―――ぇ?……そ、そんな事、だ、駄目です!指揮官っ、汚っ、まだ、シャワーもっ!?ぁ゛―――♥♥♥」

 

「良いな〜ラピ、愛されてるね〜♥」

 

 甘くねっとりと絡みつく蜜を強く啜り、舌を捩じ込む。

 

「―――ぉひっ♥ んひぃぃいい♥」

 

 肉豆を鼻で捏ね回し、尖らした舌先で挿入を繰り返すと―――

 

「はひっはひっ♥ ぃぐぅう゛う゛♥ ぃくいくいくぅぅうう♥」

 

 腰をビクつかせ、ラピは直ぐに潮を吹いた。

 

「……すっごく幸せそうっ♥ ……いいな〜♥」

 

「フゥーッ……後で満足するまで舐めてやる」

 

「―――っぅ♥ ぅ、ぅん♥」

 

「……はひっ♥ ぁひっ♥ ……っふー♥♥」

 

 一度盛大に快楽を叩き込み、ひくひくと開閉する肉の周りを、ねっとりと舐め回していく。

 

「っふぅぅ♥ っぅぅ♥ しきかんぅ♥ しきかんぅうう♥♥♥」

 

「―――幸せだよね〜ラピ」

 

 紅く充血した肉ビラを舐め啜り、肉芽を舌先で突き可愛がる。……小便はしないのに潮は吹くのか……不思議だ。不思議だが……素晴らしい。

 

「ゃあ♥ も、もぅ、じゅうぶっ、んぅ〜♥ ―――っ、ぁああ〜〜〜♥♥ ぁ、やぁっ♥ ぃくぅ♥ いぐぅ゛〜〜〜―――っっ、ひぅ゛♥ ひぅ゛♥ ひぅうう゛う゛♥♥♥」

 

「うっわぁ……あのラピが―――とろっとろだわ……♥」

 

 ―――ハッ……む、夢中になってた、が……最後にじっくりと堪能し、肉豆に歯を軽く立てた。

 

「ぅ゛ぅ゛うう゛♥ ん゛ぎぃ゛♥ ――――〜〜〜゛〜゛♥♥♥」

 

 苦味の無い透明な甘露を吹き出し、ラピは大きく身体を震わせビクビクと跳ねる。充血し深い朱に染まった肉がひくひくと痙攣し、白濁した蜜をこぷこぷ吐き出した。―――もう一度吸い付きたくなったが、流石にもうはち切れるッ。

 

 下着を脱ぎ捨て―――肉棒を取り出す。濃い匂いを撒き散らした肉棒は、血管がボコボコと浮き上が……な、なんか、エグくなってないか?

 

「すん♥ ……し、しきかんさまぁ♥ アニスにちょうらぃ♥ あむっ♥」

 

 誘われるように腰に抱きついたアニスが亀頭を口に含み、ぺろぺろと奉仕を始めた。

 

「んちゅ♥ ぁ、すごぃい♥ 濃ぃ、すっごぃ濃ぃい♥ あぁ、すきぃ♥ これしゅきぃ♥」

 

 アア―――射精()したい……射精()したいッ―――この女の咥内に射精したいッ。

 

「あぁむっ♥ れりゅ、んちゅ♥ ぁむぁむ♥ ちゅぱぁ♥ しきかんさまぁ♥ ほょうらぃ♥」

 

 組み敷いて……犯しつくそう。そう決意した俺の耳に小さな声が届いた。

 

「し、き……かんぅ♥ おちんぽぉ♥ ほ、ほしぃです♥」

 

 割り開かれたラピの欲しがりな魅肉が、ひくひくと俺を誘う。ゆらりと動きかけた俺の身体に抱きつき、アニスが一際大きな声をあげた。

 

「!?だ、だめっ、私が先っ!!」

 

「ふーっ♥ ふーっ♥ あ、アニスは抜け駆けした……譲れないっ」

 

 ―――争う二人に少しだけ冷静になれた。俺のちんこを取り合う美女二人……ヤバ過ぎんだろッ。

 

「ぅ、そ、そんなの関係ないっ!そ、その左手は何よ!そんなの狡いっ!」

 

「っ♥ ……ア、アニスだって貰ってるでしょ」

 

「ぅ、ぅぅ……指揮官様ぁ♥ アニスの方がいいよね♥ ほら、おっぱいも大きいよ♥」

 

「……っふー♥ 卑怯よ……指揮官♥ 大きさでは勝てませんが、気持ちでは負けません♥」

 

 腕をおっぱいに挟まれ、思考が揺れる。―――ぜ、贅沢な悩みだ……俺が決めねばッッ。

 

「―――じゃんけんで、決めよう」

 

 いや、無理だ……決められるはずが無い。それに、もうちょっとこの状況を楽しみたい!

 

「……勝ったほうが」

 

「―――先ね!」

 

 火花を散らす二人が拳を掲げ―――ぷるん、たっぷんと乳が揺れる。……こんなの持て余すに決まってんだろがッ。

 

「「じゃんけん―――」」

 

 一瞬―――刹那の間……ラピの髪が紅く染まった。そして手が出される瞬間、拳からにゅっと指が出るのを、俺は見逃さなかった。

 

「「ぽん!」」

 

「私の勝ちね」

 

「……ぅぅ、パーの馬鹿ぁぁ」

 

 は?こ、こんな事に……何してんだ!?

 

「……心配なさらないでください。ほんの一瞬だけです。声も聞こえてないので、影響はありません」

 

 そんなことに使うなと言いたかったが……嬉しそうに微笑んだラピの顔を見て、それ以上は言えなかった。

 

「ハア―――好きに抱いてやるよ」

 

 腰を抱き、微笑んだラピと視線を絡ませる。

 

「ぁ♥♥♥ ……指揮官の好きなように♥ ……抱いて♥」

 

 熱に浮かされたように、うっとりと頬に手を翳したラピは、熱い吐息を零した。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 正面から覆い被さり、肌を擦り合わせ腰を落としていく。肉棒が熱い肉に包まれ、身体の調子が良くなった気がした。

 

「んんぁあ♥ ふ、ふとっっ♥ おっき、おっきくなってるぅう♥」

 

 気持ち良い。貪欲に吸い付く肉を掻き分けるこの瞬間が、最高に気持ち良い。

 

「あぁああ♥ ふかぃい♥ しきかんっ、しきかんぅぅ♥ 好きっ♥ 大好きぃい♥♥♥」

 

 軽く唇を落とし、顔の横に手を付いた。理性の限界だ。一発出さなければ……じっくりとヤれそうに無い。

 

「し、きかんっ?―――!?ぁ゛♥ ……ひぐぅ♥」

 

 ラピの中は狭かった。以前より締め付けが増した膣は肉襞が絡みつき、生意気にも俺を搾り取ろうとしていた。

 

「生意気なまんこしやがってッ」

 

「ああぁ♥ んあぁあ♥ しきかっ♥ すきぃ♥ おっきぃ、すごぃのぉおお♥」

 

 仰向けで体をくねらせるラピはシーツを握り締め、快楽に顔を蕩けさせる。

 

「……ッ、締りヤベッ、めっちゃ吸い付いてんぞッ」

 

「すきぃ♥ すきなのぉ♥ しきかんっ♥ もっとぉぉお♥ あぁ♥」

 

「うわぁ、凄いね。ラピってこんな風に抱かれるんだ……」

 

 炭酸水を手に持ち、タオルを体に巻いたアニスはベットに腰掛け、ラピの様子をまじまじと眺める。

 

「っっぅ♥ み、みないでっ♥ ……指揮官っ、ひぐっ♥」

 

 顔を隠した手を掴み、蕩けた瞳を見つめながら奥を突き上げる。

 

「えぐぅ♥ でも……すごく気持ちよさそう……やっぱり、ずるいなぁラピは……」

 

 ゆるりとベッドに上がったアニスはタオルをはだけ、ラピの乳房を手で弄んだ。

 

「ふぁ♥ ア、アニっ、やめっ―――あひっ♥ し、指揮官っっ♥ ぃくっ いくぅう〜〜〜♥♥♥」

 

 ラピの弱い所を執拗に突き上げ、アニスに指示を出す。

 

「アニス、ラピを気持ち良くしてやれ」

 

「はぁぃ♥ 指揮官様ぁ♥ ……だってさ、ラピ」

 

「〜〜〜ひっ♥ ――――っあ♥♥♥ ……ひぐっ♥ ……そこっ、よわっ♥ ぃぅう♥ 指揮官っ♥ すきぃいいい〜〜〜♥♥♥」

 

「ダメだこりゃ、聞いてないわ……それもそうね。多分私も無理かなぁ♥」

 

 深イキを繰り返し、うねうねと締め付けた膣肉を抉り、子宮を抉じ開け。

 

「―――いぐっ♥ じゅっといっでるぅ♥ !!!ぁ゛♥ ―――」

 

 溜まりに溜まった精を……注ぎ込んだ。

 

「――――〜〜〜〜♥♥♥ ……ぁぅ♥ ……ぅぁ゛♥ ……ぃ、ぃっぱぃ♥♥♥」

 

 根本まで引き抜き、子宮を叩きつけ、最後の一滴がビュブッと吐き出された。

 

「あ゛ぁ゛〜〜〜〜♥♥♥ ……ぁ♥」

 

 腰を大きく逸したラピは、力なく弛緩し……ぴくぴくと震えていた。その顔は、幸せそうに緩み切っていた。

 

「……ひぅ♥ ……っふー♥ っふー♥」

 

 ずるりと抜け出した肉棒は愛液でテラテラと光り、その色を深めていく。ぴっちりと閉じられた卑肉は精を吐き出す事無く閉じられ、それに満足した俺は、もう一人の女に向き合った。

 

「フッー、アニス―――抱くぞッ」

 

 愛液で汚れたイチモツを見せ付けられ、アニスはごくりと喉を隆起させた。

 

「〜〜〜♥ ……ぅ、ぅん♥」 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 愛液を滴らせ、鈴口から黄ばんだ精を垂れ流す肉棒は、バキバキに張り詰めていた。それを見たアニスは瞳を蕩けさせ、ベッドに脚を進める。

 

「う、後ろから、乱暴に……してぇ♥」

 

 四つん這いになり、脚を広げたアニスに近づき、尻タブを割り開く。ひくんと震え、ぷっくりと膨れ上がった柔肉がぷるぷる震え……実に美味そうだ。

 

「ひゃぁああ♥ し、指揮官様っっ!な、舐めちゃだめぇ♥♥♥」

 

「ジュルッ……舐めてやるって言っただろ。舐めさせろッ」

 

「ゃあ♥ これっ、むり、むりぃい♥ 幸せしゅぎてっ、おかしくなりゅぅうう♥♥」

 

 ラピと比べアニスは少し塩っ気があるのか……甘いことに変わりはないが、何だか少し人間味が強く感じる。

 

「んひぅ♥ べ、べろがぁ♥ ……べろしゅごぃ♥ らめぇ、これらめぇえ♥♥」

 

 ラピも肉厚なまんこをしているが……アニスは別格だな。どこもかしこも肉が乗って、俺に抱かれる為に生まれてきたような身体をしてやがる。

 

「ぁ♥ ゃ♥ し、指揮官様っ、も、もぅいいよっ!もぅ十分ぅう♥」

 

 俺がこんな……ひくついた肉を見逃すとでも思ってんのか?

 

「ゃあ♥ ぃく、ぃっちゃぅう♥ ひっ!?っ、ぁ♥ ―――〜〜〜ぁ゛あ゛あ゛♥♥♥」

 

 ガクガクと脚を震わせ、お淑やかにぴゅっと潮を吹いたアニスは、ベッドに身体を埋め、ぴくんぴくんと尻肉を痙攣させた。

 

「……フゥー、良かったか?」

 

「〜〜〜♥♥ ……はふぅ♥ はふぅぅ♥♥ ……しゅ、しゅご、かっ……たぁ♥♥」

 

「そうか、そりゃ良かった。ならこっちでも楽しませてやるよ」

 

 痙攣する尻肉を割り開き、ドピンクの窄まりに息を吹きかける。

 

「―――っぁ♥ ひっ♥ しょ、しょこっ!? そこはだっ!?〜〜〜〜ぅ゛ぅ゛♥♥♥」

 

 ミッチリと詰まった尻肉に顔を埋め、尖らせた舌先を突き挿れる……もっと抵抗があるものと思っていたが、すんなりと受け入れられ……少し驚いた。

 

「〜〜〜ぅ゛♥ っひぃ♥ ぉ♥ ぉ゛お゛ぅ゛♥♥♥」

 

 もしかして……いや、そんな事ないだろう―――多分。

 

「―――〜〜〜♥♥♥ ぅ゛ぅ゛ぅ゛♥ ぉ゛ひぐぅ゛♥」

 

 窄まりから舌を引き抜き、指を割り入れる。抵抗少なく二本呑み込まれ……確信に変わった。

 

「アニス……お前、ケツ穴で遊んでたな」

 

「!!!ぉ゛っっひぃ♥ ……ひぃ♥ ひぃ♥ ……ちょ、ちょっと……だけっ♥」

 

「こっちの方が好きなのか?」

 

「ち、ちがっ……ちょっと、気になったの、ぁひゃ♥ ……ニ、ニケに、なんでお尻の穴があるのかっ、気になったのぉおお♥♥」

 

 ―――確かに……ニケに何故ケツ穴があるのだろう?

 

「ぉ゛ひぃぃい♥♥ はげひっ♥ はげひくぅぅううう♥♥」

 

 ―――ニケは排泄しない……俺が知る限りでは小も大もしない。

 

「ぉ゛ぉ゛ひりっ♥ ……ぉひりでっ♥ ―――ぃぐぅ゛ぅう゛う゛ぅぅ♥♥♥」

 

 なら、何のために、ニケにはケツ穴があるのか……。

 

「ぉ゛♥ ぉ゛ぉ゛♥ んぎゅ゛♥ ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ♥」

 

 ―――だが、挿れたら気持ちよさそうだ。……なら、いいか。

 

「ぅ゛ぅ゛♥ ぉ゛ぐぅ゛う゛ううう゛♥♥♥」

 

 思考に没頭し過ぎた―――ケツ穴を虐められ過ぎたアニスはびくびく跳ね、力なく身体を弛緩させ倒れ伏していた。……うん、俺が悪かった。正直、やり過ぎた。

 

「―――えっろッ」

 

 ぴくぴく震えるアニスの尻肉を掴み、柔肉に肉棒を突き挿れる。どろどろに濡れそぼった熱々の膣肉が優しく纏わりつき、肉棒でゴリゴリと抉っていく。

 

「ぉ゛♥ ……ひぐっ♥ おっひ♥ ごりゅってぇ、はいってぐるぅ゛ぅう゛う♥」

 

 ミッチリと呑み込まれ、最奥に到達したが……まだ、少し余ってんな。

 

「おっひっ♥ おっひぃのぉ゛お゛♥」

 

 柔らかな腰を掴み、強引に根本まで突き入れた。

 

「ぁ♥ ―――〜〜〜ぁあ゛♥♥ ちゅよっ♥ らめっっ、これだめぇえ♥ 〜〜〜〜っぁさまぁあ♥♥♥」

 

 肉を打つ小気味良い音が鳴り、子宮を押し上げ根本までぐっぷりと肉棒が包まれる。

 

「あぁ♥ んひぃ♥ しゅご、しゅごぃいい♥ ちゅよぃ♥ ちゅよぃのぉ♥」

 

「俺が出すまで止まらねぇからなッ覚悟しとけッッ!」

 

「ひゃぃぃ♥ しゅ、しゅきにひてぇ♥ しきかんしゃまのぉ、しゅきにしてぇ♥♥」

 

 力が抜け弛緩した身体に腰を叩きつけると、むっちりと実った尻肉が衝撃で波打ち、どこを突いても良い声でアニスは鳴いた。

 

「ぉ♥ ぉぉ♥ ぉ゛ひっ♥ ぁぁあ゛あ゛♥ ……しゅごっ♥ しゅきっ♥ しゅきぃいい♥♥」

 

 腰の振りは止めず左手で尻タブを掻き分け、窄まりに親指を捩じ挿れる。

 

「ぉ゛♥ ぉ゛ひりぃ♥ お゛ひりらめぇ♥ あ、あたまぁ、ぉ゛お゛ぅ゛♥……ばかになりゅぅ゛う゛♥♥」

 

 いつか、この穴も必ず試そう……絶対に気持ち良い……出来ればアニスから欲しがるように仕向けたい。

 

「ぁ゛ぁ゛♥ しゅきぃ♥ お゛ぉ……しゅきぃいい♥」

 

 膣を掻き回し、アニスの一番好きな場所を探していく。―――浅い所を雁で抉られるのも好きそうだ。

 

「ぅぅ゛♥ ぅぁああ゛♥」

 

 奥を捏ねくり回すのも、大好きなようだ。

 

「ぁ゛ひぃい♥ ぅ゛ぐぅぅ゛♥ ふかぃいい♥♥」

 

 まあ、一番好きなのは子宮をがん突きされることみたいだがなッ―――ッッ。

 

「ぁ゛♥ ぁ゛ぁ゛♥ ぁ―――〜〜〜〜♥♥♥ ……ひっ♥ ひっ♥ ……ぅ゛ぅ゛♥」

 

「だすぞ」

 

 ドボッ!!ドババッ!ドビュビュルッッッ!―――ビュブッ!ビュルッ!!

 

「ひっ゛♥ ぉ゛!!!〜〜〜〜〜♥♥♥ ぉひ♥ ぉ゛ぅ゛♥ ……ぁちゅ♥ お゛お゛ぃぃい♥ ちゅよぃぃいいい♥♥」

 

「ア゛ア゛〜、めっちゃ出るッ」

 

 ずるりと抜け落ちた肉棒は未だ硬さを失わず、たった数回の射精では物足りないと言わんばかりに天に向かいそびえ立っていた。

 

「ぁぁ♥ 指揮官♥ 綺麗にします♥」

 

 肉棒に舌を這わそうとしたラピを押し倒し、腰を掴み突き挿れる。

 

「んぃい♥ し、指揮官♥ ぁ゛あ゛……ま、満足いくまで、使ってくださぃい♥」

 

 一度火が付いた欲は留まることを知らず、ラピを貪り……アニスを貪り……何度も交互に貪り―――子宮がたぷたぷになるほど中に注ぎまくる。

 

「ぁぁ♥ 指揮官っ♥ しきかんんぅ♥ あつっ♥ ぁ゛―――〜〜〜♥♥♥」

 

「ぅああ♥ おっひ♥ ぉっひぃいい♥ ぁ、ふくれっ♥ ぅぅ゛〜〜〜〜♥♥♥」

 

 下腹部をぽこっと膨らませ、息も絶え絶えになった二人は脚を広げたまま―――白濁をこぷっと零した。

 

「―――はへっ♥ はひっ♥ はひっ♥ しき……かんぅ♥ すきぃ♥」

 

「〜〜〜ぅ゛♥ ひぅ゛ぅ゛♥ ぅ゛ぅ゛ぅ♥ ら、らぃしゅきっ♥ しきかんしゃまぁ♥」

 

 正直に言えば、ヤり足りない……全然足りない。二人の美女を食い飽きる事など無く、息子も元気一杯だ……まさか、ニケの体力を上回る精力とは、少しばかり呆れるな。

 

「フーッ―――少し……休憩するか」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 水分補給を済ませ、シャワーを三人で浴びる。三人で使用する事を想定されていない室内は狭く、少し動くだけで柔らかな肢体に身体が擦り付けられ、控え目に言っても最高だった。

 

「あん♥ ……し、指揮官、動かないでください♥ 綺麗にします♥」

 

「はぁ♥ すっごぃ身体……指揮官様ぁ♥ あっ♥ 零れちゃぅ♥」

 

 ラピが甲斐甲斐しく身体を擦り……ぺたぺたと触れたアニスが、熱の籠もった吐息を零した。

 

「あんま挑発すんな。ヤリたくなるだろ」

 

「ふぅぅ♥ かたぁぃ♥ カッチカチ、段差も凄くって……ごくっ♥」

 

 陰茎を洗う手が艶めかしく這い回り……そんなアニスに便乗するようにラピも身体を擦り付け始めた。

 

「っふー♥ 逞しぃ♥ はむっ、ちゅぱ♥ 男性も乳首は気持ち良いはずです♥ 指揮官♥ 気持ち良いですか、れりゅ♥」

 

 ア゛ア゛ッ゛―――どうなるかは分かってんだろうなッ!

 

 水を滴らせ、魅力が上がった二人の手を掴み、ラピの身体を強引に反転させ―――

 

「ぁ♥ 指揮官、こんなとこっ―――ぁ゛♥♥♥」

 

 壁に押し付け、一刺しで最奥を貫いた。

 

「しきかっ♥ ま、まってぇ♥ ふかぁ♥ ふかぃぃい♥ ひぐっ♥ ……ぉ゛ぐぅ゛♥ お゛く゛つ゛よぃぃいい゛♥」

 

「うっわぁ……腰振りえぐぅ♥」

 

「ぁあ゛あ゛〜〜〜♥♥ ぃぃぅ゛ぅ゛♥ いぐ、いぐぅ゛♥ い゛ぐぅ゛ぅぅう゛う゛ぅぅ゛♥♥♥」

 

 たっぷりと追加の精を吐き出し、脚を子鹿のように震わせ崩れ落ちたラピを尻目に―――

 

「指揮官様、身体は大丈―――へっ?」

 

 俺を心配そうに見上げたアニスの身体も反転させ、突き挿れた。

 

「……まっ!!?―――〜〜〜ぉ゛♥♥♥ ……ふぐぅ゛♥ ……ぅ゛ぅ゛♥ ……ち゛ゅ、ちゅよっ♥ ぱんぱんちゅよぃい゛〜〜〜♥ ふぐっ゛♥ ぉひっ゛♥ んぎぃぃ゛いい゛♥ あ゛ち゛ゅ♥ あちゅぅ゛ぅ゛うううぅ゛ぅ゛♥」

 

 ちょこんと座り込み、荒い息を吐きながら見上げる二人の瞳には別の意味が籠もっていた。ラピはもっとして欲しいと言わんばかりに欲しがりな瞳を向け、アニスは少し恨めしそうな瞳を俺に向けていた。

 

「っふーー♥ っふーー♥ ふーっ♥ んんぅ♥」

 

「ふぅぅ♥ ふぅぅぅ♥ ぅぅぅ♥ ……き、ちくぅぅ♥」

 

 あ?……むしろ一発ずつで終わらせてやったことを褒めて貰いたい。

 

「おら、二人で舐めて綺麗にしろ」

 

「っふー♥ はぃ、指揮官♥ れりゅろ♥」

 

「ふぁぃ♥ あむっ♥ ちゅぱ♥ ぢゅりゅ♥」

 

 跪きちゅぷちゅぷと音を出しながら舌を這わした二人のくちまんこを堪能し、追加で一発ずつ出したのは不可抗力だった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 適度な運動を終え、飯をたらふく食った俺の身体は順調に回復していた。右脚は既に完治していると言っても過言ではなく。全身の痛みも薄れ、身体中に力が湧き上がる。―――あの時感じた全能感は間違いでは無かった。俺の身体は戻っている。……筋密度が格段に上昇している。

 

「指揮官♥ た、食べてください♥」

 

「指揮官様ぁ♥ 美味しいよぉ♥」

 

 重なり合った二人が淫らに俺を誘う。ラピの上に乗ったアニスが猥肉同士を擦り付け、粘ついた蜜が混ざりあう。

 

「「ぁ♥」」

 

 重なり合った卑肉の隙間に肉棒を突き挿れ―――うぉ、こ、これは良いものだ。

 

「んぅぅ♥ これいぃ♥ こすれるぅ♥」

 

「あんっ♥ んっ、かたぃい♥ 指揮官♥ ……しきかぁん♥」

 

 夢中で腰を振り、上下の違いを味わう。アニスの身体は何処までも柔らかく。ラピの身体はしっかりとした筋肉の張りが気持ち良い。

 

「こ、これっ♥ せ、切ないけどっ♥ 優しくてっ、好きぃ♥」

 

「ぁ♥ っふー♥ し、しきかんぅ♥ さ、寂しいです♥」

 

 ラピがクニクニと迎え腰で種乞い懇願し―――俺は誘惑に負けた。

 

「っ―――〜〜〜♥♥♥ っふ、っふぅう♥」

 

「あぁ、ラピ!それはずるくない!指揮官様ぁ♥ アニスにっ!?ぁ―――〜〜〜♥♥♥」

 

 なんて贅沢な食べ比べだろうか。貪欲に吸い付き離さないと言わんばかりに締め付けるラピを味わい。

 

「指揮官♥ しきっぁ♥ ぉひっ♥」

 

 優しく纏わりつくように絡みつくアニスを味わう。

 

「ひぅ♥ ちゅごっ♥ ちゅごぃい♥」

 

 異なる刺激に射精感が直ぐに込み上げて来るが、男のプライドを総動員し込み上げる昂りを抑えつける。

 

「おっひっ♥ おっひぃい♥ しきかんぅう♥ いくぅ♥」

 

「ひぅうう♥ おくぅ゛う゛う゛♥♥♥ ぃぐぅ゛♥」

 

「おいおい、イキ過ぎだろが―――まあ、好きなだけイケ、俺が満足するまで終わらねぇ事には……変わりねぇからなッ!!」

 

 ビクビクと震える二人の膣を掻き回し、子宮を何度も小突き、最後に根本まで一気に突き込むと、二人は同時に絶頂を向かえた。

 

「「―――〜〜〜ぁ゛♥ ぃぐぅ゛ぅ゛ぅう゛う゛うう♥♥♥」」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「指揮官様ぁ♥ ちゅぅ♥ ちゅうしよぉ♥」

 

「んっ、んぅ♥ おっきぃ♥ また、いくぅ♥」

 

 仰向けに寝転び、舌をアニスに絡められながら、腰に跨ったラピを突き上げる。

 

「んんぅぅ♥ し、しきかんっ、じっとしててっ♥ う、動かないでぇ♥」

 

「んむっ♥ ちゅぱ♥ ちゅずず♥ れろれりゅ♥ はむっ♥ ……だらしないわよ、ラピ」

 

「―――そ、そんなことっ、あん♥ ひぅ♥ ぁ゛あ♥ ……ぃ、ぃくぅう♥」

 

「はむっ♥ 指揮官様ぁ♥ アニスで一杯気持ち良くなってね♥ ……ラピ〜交代よ」

 

「……ふーっ♥ ……んんぅぅ♥ っふー♥」

 

 一度イッたら交代というルールを儲けた二人は、どちらが俺の精を出させるかで競っていた。俺としては何もかもが気持ち良いから最高なんだが……騎乗位で絞り取った経験があるアニスの方が何倍も優位なんだよな……これ。

 

「はん♥ はふぅ♥ おっきぃ♥ んぅ♥ ずっとこうしてたぃ♥♥」

 

「しきかんっ♥ ちゅうします♥ 私も指揮官とちゅうしますぅ♥」

 

 この流れを作ったのはアニスであり、ラピがキスに夢中になっている間にアニスは大体三回はイッている。流石にラピが可哀そうな為、適度な頃合いで腰を突き挿れ、深イキさせていたが……策士だなー。

 

「ぁ♥ ……んくぅ♥ はふぅ♥ はふぅ♥ も、もうちょっとで、でそうねっ♥」

 

 ほら、またイッた。

 

「んちゅ♥ れりゅ♥ れぇおっ♥ じゅれりゅ♥ ちゅれりゅ♥」

 

 何処までも本気で真面目なラピは舌に夢中であり、その隙にアニスは何度も絶頂を隠し通す。二人には多少の上下関係があるものと思っていたが……もしかしてラピがアニスの尻に敷かれてるのか。

 

「ラピ……お前に出してやる。ちゃんとアニスを見とけ」

 

 小さな声で呟き、腰を大きく突き上げる。既に二度も精を奪われているラピは、その言葉に少し迷い、黙って舌を絡め直した。

 

「!?……♥♥、はむっ♥ ちゅる♥」

 

「はふぅ♥ びくってしたぁ♥ もぅでそうねっ♥ !?ぉ゛ぉ゛♥ し、しきかんしゃまぁ♥ ら、ゃぁ♥ んぐぅ゛うう゛♥♥」

 

「……アニス、交代」

 

「―――はふぅ♥ はふぅ♥ ……ぅぅ……す、直ぐに交代しないと……」

 

「んんぅ♥ ……ぁ゛♥ ぁ゛ぁ゛♥♥ !!!ぃ゛――――〜〜〜〜♥♥♥」

 

「ああーー!!し、指揮官様ぁぁ♥ アニスが欲しかったのにぃ!!」

 

「ちょっと、ずるし過ぎだ。少しは譲ってやれ」

 

「むぅぅ♥ むむぅ♥……じゃあ、私にも指輪、頂戴!!」

 

 ああ、それが原因か……まあ、あんなに見せ付けられたら、そうなるか。

 

「そうだな、一緒に買いに行くか」

 

「うん!♥♥♥」

 

「〜〜〜ぁふっ♥ ぁ♥ じゅるぃい♥」

 

 その後、テンションが爆上がりしたアニスに騎乗位で搾られ、お仕置きでバックからイカせまくり気絶させた。

 

 ラピと一時間に渡るスローセックスを堪能し、目を覚ましたアニスが嫉妬して更に一時間追加されと……結局、朝になるまで眠る事にはならなかった。




さ、三人は難しい!!

プリバティって人気あるんですね。確かにツンカワですが……。

ネオン「解せぬ」


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30 2.5章 一ヶ月の休暇 スノーホワイト

一ヶ月の休暇が始まるため、サブタイトルに主要なキャラ名を追加します。★が付いている場合えろありになります。


「―――んじゅりゅ♥ はむっ♥ ちゅれりゅ♥」

 

 ッッ―――ッ。

 

「!!んむぅぅ♥ ……んっく♥ んじゅりゅ、んくぅ♥ んっく、んっく♥ ごくっ、ぢゅりゅりゅ♥ ……こくん、はふぅ♥ ……ふぅーっ♥ ―――何でかな〜、美味しく無いはずなのに……指揮官様の凄く美味しく感じる♥」

 

 射精と同時に目覚めるのは男の夢なのかもしれないが……普通に驚く……慣れるまでに時間が―――おいおい、慣れるのはマズいだろ。

 

「……朝から何やってんだよ」

 

「にへへ♥ おはよう指揮官様♥」

 

 元気一杯の笑顔を浮かべたアニスにそれ以上無粋な事は言えず、挨拶を返すと、笑みが深まりふわりと抱きついてきた。

 

「―――って言っても、もうお昼だけどね……指揮官様♥ ちゅうしよっ♥ ちゅう〜♥」

 

 キス顔で待たれれば断るわけにはいかない。精の味を朝から感じたくは無いが……それとこれとは別だ。

 

「んんぅ!? じ、冗談っ―――!? んむっ♥ はむっ♥ ちゅりゅ♥ ―――ぅぅ♥♥ んんぅぅ♥」

 

「―――不味い」

 

 やはり、不味いものは不味い……生臭い。こんな物を飲んでくれていると思うと……少し申し訳なくなった。

 

「!!?……ぅぅ、キスは嬉しいけどぉ♥ ……それは嫌っ……」

 

 舌を絡めた後に不味いと言われれば良い気持ちはしないだろうが……俺には無理だ。

 

「なら、朝からはやめろ」

 

「ん〜〜♥ なら、次からはこっちに貰うね♥」

 

 下腹を撫で擦りそんな事を言われれば、熱り立つ肉棒が黙っている訳もなく―――

 

「アニス―――」

 

「ダ〜メっ♥ お客さん来てるから、服着てね♥」

 

 振られた俺を一人残し、アニスは部屋から出て行った。……客?……誰だ?……シュエンはあり得ないだろ……ユニか、ミハラか?

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 猛りを沈める為に一服した俺は、ラフな格好で寝室を後にする。騒々しい声が響き、思わず頬が緩んだ。

 

 ……思えば随分と戦闘続きだった気がする。何度死にかけたか分からない。何度助けられたかも、分からない。……この騒々しさが、心の凝りを楽にしてくれる気がして、部屋に向かい脚を進めた。

 

「ああ!!わ、私の!?」

 

「はぐっ、むぐっ、もぐもぐ、早いもの勝ちだ!んぐっ、おかわり!―――ん?起きたのか、人間」

 

 は?―――な、何で餌付けされてんだよスノー……。そしてラピ、笑顔でおかわりに対応するな。

 

 一家団欒と言わんばかりの光景に一瞬思考が止まった。頬袋に飯を詰め込むスノーホワイトは、口を動かしている間にも手が凄まじい速度で動き、料理をかき集めていた。

 

 引き攣る笑顔で挨拶を交わした俺は、食べる手が一向に止まらないスノーホワイトに声を掛ける。

 

「げ、元気そうで良かった」

 

「まてっ、食える時に食っておかねば!―――むぐっ、はぐっ!?んっ、んんんっ!?」

 

「……別に料理は逃げねぇよ」

 

 喉に詰まらせたスノーホワイトの背中を擦り、ラピから受け取った水を手渡す。

 

「んんっ!―――んくっ……ふぅ、敵が二人も居るんだ!……むぐむぐ、もぐもぐ……うまうま」

 

 幸せそうに頬袋に詰め込む姿は年相応の少女にしか見えず、身体にフィットした濃い灰色のドレス姿で飯を頬張る姿は……なんというかエロスよりも保護欲を唆られた。……可愛い。家で養いたい。

 

「まあ……平和で何よりだな」

 

「し、師匠―――き、きき、昨日は、お楽しみでしたねっ」

 

 ラピから珈琲を受け取り、隣に腰を降ろした俺に対し、頬を真っ赤に染めたネオンは小さな声で呟き、視線を逸した。……そんなに恥ずかしがるなら言うなよ……。

 

 挙動不審なネオンは放置する事に決め、にこにことスノーホワイトを見詰めるラピに声をかける。

 

「……ラピ、好きなだけ食わせてやってくれ」

 

「はい、そのつもりです。指揮官」

 

 笑顔で追加の料理を並べ、スノーホワイトの汚れた口もとをラピが拭う。その隣ではアニスが確保した肉を守り、視線を横に移すと、済まし顔のネオンが食事を諦め二人を眺めていた……なんだか家族みたいで……胸が熱くなった。

 

「あ、あんた、全部食い尽くすつもり!」

 

「人間が良いって言ったんだ!文句なら人間に言え!」

 

 ……フォークを使ってバトっていなければ、アニスが姉に見えたかもしれない。

 

「人間人間って、指揮官様に失礼でしょ!」

 

「ふんっ、私が人間と呼ぶのはアイツだけだ!」

 

「そ、それって特別なの?」

 

「貰ったッ!!!」

 

 北部では殺伐としていたはずのスノーホワイトには、最早可愛さだけしか残っていなかった。

 

「あ〜〜、私のハムがぁ……」

 

「ふんっ、油断する方が悪い、あむっ……んん〜〜、うまうま」

 

 アニスから奪った大きなハムに齧り付き、頬が更に緩んでいく。

 

「私……アイツ嫌い」

 

 争奪戦に敗北したアニスは食事を諦め、スノーホワイトをジト目で見据えた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ふぅぅ、食った食った……」

 

 俺が珈琲を飲み終わる前に、あれだけあった料理は全てスノーホワイトに食べ尽くされた。愉悦に顔を綻ばせ、腹を撫でたスノーと視線が交わった。

 

「人間、それは何だ?」

 

 視線は直ぐに下がり、俺が口を付けたコップに集中し……瞳が金色に瞬く。

 

「あ?……珈琲だよ」

 

「―――美味いのか!?」

 

「―――速ッ!?」

 

 一瞬で俺の横に移動したスノーは、金色の瞳を上目遣いでキラキラと輝かせた。

 

「……いや、多分苦いと思うぞ」

 

「……嘘だな、絶対に美味いとみた……頂戴、ぉ、ぉ兄ちゃん」

 

 ―――な?何が起きてんだッ……上手におねだり出来るとか聞いてねぇぞ。―――おい!こら、ラピ!何でグーサインしてんだッ!お前かッッ!!

 

「―――ほら、やるよ……砂糖入れた方が良いぞ」

 

「いらん……これが噂のコーヒーか……匂いは……美味そうだが、何故こんなにも黒い……だが、チョコは美味かった。―――!?」

 

 珈琲を見つめ、鼻をひく付かせたスノーホワイトは小さく呟き、意を決した様に珈琲を飲み、即座に俺に返却した。

 

「ぅ……に……にが―――」

 

「だから、言っただ―――ッ!?」

 

 服を強く引っ張られ、顔が近づき―――唇が重なる。長いまつげは真っ白で長く……金色の瞳が瞬き、吸い込まれるような錯覚に襲われる。

 

「んちゅ―――れろっ……人間、お前は甘いな」

 

 唇が離れる瞬間、小さな舌が唇を撫で……スノーホワイトの頬がうっすらと朱に染まった。

 

「お、お前……何してるのか、分かってんのか?」

 

「口吸いだろ……これは良い物だ。人間としかしないが、甘くて美味しい……それに、何かぽかぽかする―――何だラピ、抱き締めるな暑苦しい」

 

 可愛さにやられたラピがスノーホワイトを抱き締め……もうグダグダだった。

 

「……なんだか師匠の唇が安売りされてませんか?」

 

「ネオンもすれば〜、指揮官様なら優しく―――はないかなぁ〜♥」

 

 ボソリと呟いたネオンに対し、言葉を途切れさせたアニスは、遠い目でうっとりと頬を染める。

 

「―――な、なな、何をされるんですか!?わ、私はしませんよ!!」

 

 そんなアニスの態度にネオンが狼狽し……俺は考える事を止めた。

 

 ―――はぁ、ホント……平和だなー。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 砂糖を十個も入れ、最早珈琲とは言えない液体をちびちびと飲みながらスノーホワイトは語った。外骨格を返すためコマンドセンターに侵入し、俺が見つからず捜した結果ラピと遭遇……飯を食う事になったらしい。―――凄い端折られた気がするが……まあ、それはいい。

 

 ソファーには丁寧に磨かれた外骨格が置かれており、誠意も伝わる……だが、ラピにチョコレートをあ〜んして貰いながら語られたのでは、威厳も何も無いだろが。

 

「人間、身体は大丈夫か?」

 

「ああ、大丈夫だ……スノーはどうなんだ?」

 

「……お前はいつもそう言うな。私も大丈夫だ―――受け取れ」

 

 小さな手……体温を感じる左手で渡されたのは、銃弾だった。

 

「ん?……銃弾?」

 

「あむっ……しらべてみお……んっ……必ず役に立つだろう」

 

「ふーん、これが……なぁ、スノー」

 

「あ〜ん……はむっ、……()んだ?」

 

「……凛々しかったお前は何処に行ったんだ?」

 

 もう、何も残らない程にお子様だ。可愛い……可愛いが、あの凛々しい輝きは何処に捨ててきた?……可愛いよ、めちゃくちゃ可愛いけど、ギャップが酷いんだよ!

 

「人間知っているか?プライドは食えないんだ」

 

「そんなキメ顔で言うことかよ……」

 

「……だが、私にも信念はある……」

 

 余計な事を言うなとばかりにラピの視線を感じたが、自身を省みたスノーホワイトは頬を薄く染め、ラピの攻勢に抗った。……視線はバッチリと手に抱えられた袋に注がれているがな!

 

「なら、これは持って帰って食べればいいわ」

 

「なにっ!?ほ、本当か!……ほ、本当に貰って良いのか!?」

 

「いいの、また欲しくなったら何時でも来ればいい」

 

「―――ああ!じゅるっ……人間、それを調べてみろ。必ず役に立つ」

 

 あ、ああ、そこに戻るのか……。

 

「なあスノー、一緒に此処に住まないか?」

 

 俺をジッと見据えたスノーホワイトは今までの雰囲気から一変し、元の凛々しさを取り戻した。

 

「……人間……私がどれくらい長い間、地上にいるか知っているだろう―――お前たちと私では、住む世界が違う」

 

 瞳を閉じ、噛み締めるようにスノーホワイトは呟き―――俺はその言葉を噛み締めた……『住む世界』ルドミラが去り際に残した言葉が、脳裏に浮かんだ。

 

『絶対に、相手の世界を壊してはダメよ。相手の世界を認め、その過程で自分の世界を一部譲ることになったとして、相手がずっと生きてきた。何よりも大切にしている世界を―――絶対、壊さないように』

 

 何よりも大切にしている世界……か。今は―――今はまだ、共に歩むことしか出来ないのだろう。

 

「―――そうか……まあ、俺とスノーはもう仲間だろ。例え一緒にいなくても、心は一緒だ」

 

「……甘いな、だが……嫌いではない」

 

「だから、困ったら何時でも頼ってくれ。命を助けてくれた礼は倍にして返す」

 

「それは……命を助けて貰ったのは、私も一緒だ」

 

「俺は三回でスノーは一回だろ?俺の方が二回も多い……何でも頼ってくれよな」

 

 俺の言葉にスノーホワイトは瞳を閉じて逡巡し、立ち上がった。

 

「……分かった、その時になったら連絡する―――帰る」

 

「あ?急ぐのか……もっとゆっくりして行けよ」

 

 マントを着込み、視線を逸したスノーホワイトは小さく呟いた。

 

「……ここは居心地が良すぎる」

 

 ―――ここで引き止めるのは……野暮だな。

 

「……なら、また来いよ。次はお土産でも用意してやるよ」

 

「……それなら、あの時に食べた甘いのが良い」

 

「分かった。ちゃんと用意しておく」

 

 窓を開け、武器を背負ったスノーホワイトは最後に振り返り、俺を見つめる。

 

「人間……死ぬな」

 

 そう小さく言い残し、帰って行った……背後でラピが小さく舌打ちしたのは、聞こえなかった事にしておこう。

 

「料理の腕を……いえ、それよりも料理人を雇ったほうが……指揮官に……」

 

 ―――聞こえなかった事にした。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 休暇初日から書類仕事をしなければならない現状は、なかなかに指揮官がブラックである事を実感させてくれる。

 

 一段落ついた頃、アンダーソン副司令からメッセージが届き、作戦報告証書が受理されたことを知った。ラピを通じ閣下が提出してくれたらしいが……閣下をパシリに使うとか、ラピが有能過ぎてヤバい。

 

 預金残高が大変に潤った為、当初の計画を前倒しすることに決め、指揮官室にラピを呼んだ。

 

「指揮官。ご要件をお伺いします。その、えっちな事でも大丈夫です♥」

 

 肉食系に誘われる女はこういう気分なんだろうか……凄い勢いでヤりたいと顔に書いてある。

 

「……それは後でな。頼みがあるんだが、その前に……昨日の件を説明しろ、どうして使った?」

 

「後で……♥ はい、それは―――」

 

 ラピからの説明を受け……声が聞こえないとはそういう事かと、納得する。

 

 簡単に説明すると、ラピの中には人格が封印されており、ソイツの力を解放させるのがラピの切り札だった。……それが俺との性交により制御精度が格段に上昇。

 今後を見据え、試験的に試しているとの事だった……レッドフードが出てくるタイミングで中出しして欲しいと言われた時は正気か疑ったが―――よく考えたら効果は有るのかも知れない。

 

「取り敢えず、試験的な使用は許可するが、些細でも影響が出るようなら禁止だ」

 

「はい♥」

 

「それと、レッドフードに出すのも、やらないからな。俺はラピとしたいんだ……顔も知らない奴に興味は無い」

 

「―――は、はぃ!♥♥♥」

 

「じゃあ、その件は終わりで、俺の頼みだが―――」

 

 まずは、マイティツールズが建てた建物をどうにかするため、常駐又は週一でもいいから派遣できるよう依頼を出したいというもの―――これはラピがニケへの依頼をあげる手筈となり、取り敢えずの目処が立った。

 

 次に、世話になった人達への挨拶回りをしたかったのだが……これは意外な事に反対された―――俺の異常な回復力は既に露見していると思うが、それ以外の懸念がラピにはあるようだ。

 

 急ぐ要件では無いので挨拶回りは一旦保留にして……懐の銃弾と、今後の方針について意見を求めようとしたところ、アニスが嫌そうな顔をしながら部屋に入り……その手には一枚の紙が握られていた。

 

「指揮官様……こんなの初めて見たけど、一応正式な書類らしいから……」

 

 アニスから手渡された紙には、面談申請書と大きく書かれ……名前の欄には聞いたことのない名が書かれていた。

 

「面談……俺が?」

 

「そうです、指揮官。ニケのメンタルケアは指揮官の業務に含まれます。それに……悪くありません」

 

 名前を確認したラピが悪い笑みを零した気がするが……多分、気の所為だろう。

 

「ええ〜、確かに凄いけど……面倒よ。会話するのもしんどい」

 

 アニスが嫌そうに肩を落とし、顔見知りだと確信した。

 

「……どんな奴だ?」

 

「変な奴……かな」

 

 ……随分と抽象的だな。




次は新キャラです!順番を付けるなら二番目に好きなキャラですね。
ここまで長かった(遠い目


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31 ★ エクシア 上 三人称

サブタイにも書いていますが三人称になります。


 大柄な男の対面に座った少女は、半開きの瞳をきょろきょろ彷徨わせ、膝に付いた手をぷるぷる震わせる。面談申請書を提出してきた少女に対し男―――指揮官は努めて笑顔で話しかけた。

 

「取り敢えず、要件から聞こうと思うんだ……が?」

 

 震える少女の反応に言葉を詰まらせ、苦笑いを浮かべて頭を掻いた男は―――そこまで俺は怖いのか?と少しばかり傷ついた。

 

 少女の名はエクシア。

 

 コマンドセンターに颯爽と現れた少女は指揮官と視線があった瞬間、借りてきた猫のように沈黙した。ガチガチに緊張したエクシアは何時の間にかソファーに座っており、所々が跳ねた長い黒髪で男の視線から守るように顔を隠した。

 苦笑いを浮かべた男をチラ見したが直ぐに視線を逸らし、従来のコミュ障を遺憾無く発揮した彼女は、本来の目的も忘れぷるぷると震える事しか出来なかった。

 

(聞いてないんですけどー)

 

 映像で見るより何倍も威圧感を感じ、筋骨隆々な身体はフェロモンを撒き散らすように匂い立っている。

 エクシアが見た指揮官は、こんな見た目はしていなかったはずだ。もっとこう、髪が長くて爽やかなイケメンだったはず……それなのに、出てきたのはギラついた(やから)だった―――ミジンコ以下のコミュニケーション能力しか持たない少女では、どうしようもなかった。

 

「あー、何だ、そんなに緊張しなくて良いぞ」

 

 優しく言ったつもりが身体をビクつかせたエクシアの反応に、男はガリガリと頭を掻き、懐から煙草を取り出した。

 

「……吸っていいか?」

 

 壊れた玩具のように首を縦に振ったエクシアを見て、男はぷるぷると震え続ける少女から視線を外す。

 眼前の少女はゲームコントローラーが描かれたTシャツ一枚に申し訳程度の上着を羽織っており、オーバーサイズのシャツを着崩しているため、ぷりぷりな左腋が丸見えで……下半身に非常に悪い。更に常時ぷるぷると震えている為、確かな膨らみと肉付きの良い太腿もぷるぷると震えていた。

 

(なんでコイツはこんなえろい格好してんだ?アニスといい、アリスといい……テトラのCEOはやはり化物か?)

 

(あー、煙草……似合ってますねー、見た目が見た目ですからー、裏の人間にしか見えませんけどー)

 

 男が煩悩と戦っているとは露知らず、冷静さを取り戻したエクシアは男を観察した。

 傍目には挙動不審にきょろきょろしているようにしか見えないが、彼女は真剣だった。眼の前の男―――指揮官がどうして様変わりしたのかは分からない。分からないが、どうやら友好的な関係を望んでいる事は分かった。人は嫌いだが、自分のペースに合わせようとしてくれる人間など、周囲にいたことがない。

 この際、見た目には目を瞑ろうと結論づけた時、男と視線が交わり、勢いよく視線が地面に落ちた。

 

「――――!?」

 

 俯いたエクシアの真紅に染まった耳を見て、男はマジで分からんと頭を捻り、黙々と煙草を浪費する。

 

(何時まで黙ってればいいんだよ……これで三本目……埒が明かん……)

 

(……あー、もうやだー……帰りたーい……)

 

 三十分にも及んだ沈黙は、煙草を犠牲にした男が小さく声を掛けた事で、ようやく終わりを告げた。

 

「あー、なんだ……エクシアだったか?」

 

「―ぃ」

 

 蚊の鳴くような声だったが、確かに声が聞こえた。少女の僅かばかりの反応は大変喜ばしい一歩であり、ふっと笑みを浮かべた男は、アニスと用意した対エクシア用最終兵器の封印を解いた。

 

「ドラゴン・ファンタジーって知ってるか?」

 

「!?……ドラファン」

 

 ぴくりと反応した少女からはっきりと聞こえた声に、笑みを深めた男は勝利を確信する。

 

「最近始めたんだが……難しくてな、良かったら教えてくれないか?」

 

「お、ど、どこ……どこまでいった?リノが死んだとこ?」

 

「ネタバレじゃねぇか」

 

「あ。ご、ごめ―――」

 

 少しだけ、ほんの少しだけ交わるようになった視線が再度地面に沈みかけ、男は慌てて引き止める。

 

「あー、良い良い、気にすんな、怒ってねぇよ」

 

「ド、ドラファンの初心者さんは……久しぶり……で……ちょっと……こうふん……」

 

 途切れ途切れではあるものの、会話を始めたエクシアが手に持ったタブレット端末を操作すると、男の懐が振動した。

 

(あ?blabla?……眼の前にいるのにか?)

 

 取り出した携帯端末にはエクシアからのメッセージが送られており、疑問を感じながらも画面を指で弾いた。

 

『あのー』

『ドラファン楽しいですかー?』

 

「こっちで返事した方がいいのか?」

 

『口を動かすよりメールが楽』

『オフラインは苦手でーす』

『初心者さんは好きにしてくださーい』

 

「ああ、そういう事か。ドラファンについてだったよな。楽しいけどなー、意外と難しくて一人でする気にはならな―――」

 

 男が言い終わる前にエクシアの両手が凄まじい速度で動き、連投されるメッセージに顔を引き攣らせる。

 

『勿体ない!』

『ドラファン、古ゲだから』

『初心者さんいないのに!』

『養殖してあげるから!』

『3日でカンスト保証!』

 

「あ、ああ、それなら、頼んでいいのか?」

 

「任せなさーい」

 

 キラキラと瞳を輝かせ、むふーと吐息を吐いた少女に対し、男は内心で早まったかと愚痴を溢す。ゲームの話で水を得た魚のように息を吹き返したエクシアは、その後二時間に渡り指揮官のゲーム指導に尽力し―――最終的に瞳をキラキラと輝かせて帰って行った。

 

「……何だったんだ……」

 

 結局、何が目的で面談を希望したのか男には分からなかったが、こうやって絆を紡いでいくのも大切なのかも知れないと……無理やり自身を納得させたのが、初日の出来事であった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 エクシアとの面談翌日、朝早くから男の端末が振動する。

 嫌な予感を感じつつblablaを起動すると、案の定エクシアのアイコンが頂上に鎮座していた。

 

(アイコンだけ見ると知的なクール系に見えるんだけどな……)

 

 実際に会うと印象はガラリと変わった。人見知りで人付き合いが下手だが、好きな事になると人一倍喋り倒す。あんなにグイグイくる奴は久しぶりだったなと、男がエクシアを思い返していると、メッセージが連投された。

 

『初心者さん。』

『初心者さーん。初心者さーん。』

『次の面談はいつですかー』

               『いつがいいんだ?』

『できれば早い方がいいでーす』

『今日でもいいですかー』

 

 昨日面談したにも関わらず、再面談の申請に男は少し考える。……やはり、何か目的が有るのだろうと結論づけ、エクシアに返事を送った。

 

               『いいぞ』

『グッド』

『すぐいきまーす』

               『気をつけてな』

『はーい』

 

 取り敢えずゲームでも用意しておけば良いかと安直に考えた男が準備をしていると、最後の返信から十分も経たずエクシアは姿を見せた。

 

「やほー」

 

 片手を振った少女に対し、男は目頭を押さえた。まるで部屋着のようなシャツ一枚で現れたエクシアの姿に、妙な色気を感じてしまった。

 

(―――上着が、無くなってる……何でシャツ一枚なんだよ……下を履け、下を……)

 

「何してるんですかー?初心者さーん」

 

 抑揚の少ない平坦な声が側から聞こえ、煩悩を捨て去った男はエクシアに笑いかける。

 

「苦手意識はなくなったか?」

 

「あー、流石にバレますよねー」

 

「そりゃあな」 

 

「ですよねー」

 

 会話が出来る事に内心ほっした男を無視して長い髪を(いじく)ったエクシアは、ズカズカと脚を進めた。

 

「おいおい、どこ行くんだよ?」

 

「いいじゃないですかー、私と初心者さんの仲でしょー」

 

 追いかけて来る男から逃げる少女は、ぷりぷりなお尻が大きく揺れるのを構わず目的地に向かい脚を早める。

 

(えっろ……尻タブがチラチラ見えてるんだが……)

 

 エクシアの脚は迷いなく進み、寝室の扉が開けられた。

 

「おい、何で俺の部屋に入んだよ」

 

 寝室から香る濃厚な雄の匂いと―――僅かな性の匂いを嗅ぎ取った少女は男に動揺を悟られぬよう、予め用意していた台本通りに言葉を紡ぐ。

 

「……女を殴ってそうな見た目の初心者さんにー、お願いがありましてー」

 

(あ?……何か、凄いこと言われた気がするんだが……)

 

 震えそうになる身体を抑え、ベッドに腰掛けたエクシアは手早く端末を操作した。

 

『これを見てくださーい』

 

 男の元にエクシアからのメッセージが届いた。メッセージに付属して送られて来たのは―――動画ファイルのようだ。

 

「あ?……何の動ッッ―――」

 

 燻しがりながらも動画ファイルを開いた男は流れた映像に目を見開き―――戦場の空気を忘れかけていた少女にも分かる程の、濃密な怒気が吹き荒れる。

 

(!?、?……あ、あれー、こ、これは……バッドエンド?)

 

 端末を握り締めた男の手から機械の悲鳴が聞こえ、エクシアの手は素早く動いた。

 

『怖い顔しないでくださーい』

『がくぶる』

 

 送られたメッセージに目を通し、震える少女を見た男は怒気を沈め、少女はホッと胸を撫で下ろす。

 

(……せふ、せーふ!……危ないところでしたー……ハメ撮りは駄目でしたかねー)

 

 送り付けた動画はエクシアが丁寧に編集したラピとのハメ撮りであり、当初の予定ではここから完全に主導権を握る予定だったが……。

 

「―――何が目的だ」

 

 油断なく細められた鋭い瞳は少女の一挙一動に油断なく注がれ、怒りの籠もった声を聞けば少女の身体はびくっと震えた。

 

「な、何もしませんよー、そ、そそ、そんなに怒らないでくださーい」

 

「目的を言え……話はそれからだ」

 

 ここで返答を間違えれば二度とチャンスが訪れない事をエクシアは悟り―――主導権を握る事は諦めた。

 

「私をー……抱いて欲しいんでーす」

 

「―――ハア?」

 

 精一杯の媚を乗せたダブルピースでド直球に告げたエクシアの要望に、指揮官は完全に怒気を消し去り呆れた表情を見せる。

 

(ふっふっふー、流石私……勝ったー)

 

 そんな男の反応に計画の変更を決めた自身を褒めたエクシアは、これ幸いと畳み掛けた。

 

「ラピみたいにー、抱いてくださーい。これは脅しですよー」

 

「脅し……なのか?お前を抱いていいんだろ、脅しになんのかそれ?」

 

「あ……嬉しいこと言いますねー、流石初心者さん、ニケをコマすのがお上手ですねー」

 

 エクシアには男の言葉が『お前を抱けるとか最高だろ』と翻訳されて聞こえた。それは対人経験の少なさ故の曲解だったが、あながち間違いでは無い。自ら毒牙に掛かりに来た雌を―――それも容姿端麗で無気力系の美少女を美味しく頂ける機会なんて、男が逃すわけがない。

 

「本当に良いのか?」

 

「いいですよー。私で興奮しますかー?」

 

 チラチラと視線を感じていた裾を少しだけたくし上げると、熱い視線が浴びせられ、身体はじんわりと熱を帯びる。

 

「……正直、めちゃくちゃ興奮する」

 

「むふふ……それはー、良い誤算でしたねー」

 

 その言葉に内心踊りだしそうなほど喜びながら、薄っすらと頬を染めた少女の股座から、こぽりと濃厚な蜜が零れた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 日頃のストレスを大好きなゲームで解消していた少女は、たった一つの出会いで人生が変わった―――即ちエロゲとの出会いがエクシアを変えた。

 ニケの身体は快楽を幾らでも受け入れ、最高のオナニーライフを送っていたが、徐々に刺激が足りなくなり……オナニーに飽きてしまった。

 ゲーム三昧の日々に戻りかけた―――そんな時、前哨基地に新人指揮官が追放された事を知り、エクシアの脳裏に衝撃が走る。

 

 弱みを握って脅せば……ワンチャンあるのでは?

 

 思い立った瞬間にはドローンを飛ばしており、取れた映像を二十倍速で処理していると、いきなり濃厚な濡れ場を見せ付けられ脳がパニックを起こした。

 ニケとセックスしている筋骨隆々な男の姿に―――本物の快楽に喘ぐニケの姿に―――漏らしたように濡れた股座を無我夢中で慰めた少女は、一人遊びに日夜明け暮れた。

 ホクホク顔で動画を編集し、様々な角度からのオカズを量産することにより、順風満帆なオナニーライフを満喫したが……それにすら飽きてしまい、持ち前の頭脳をフルに活用するまでもなく考えついてしまった。

 

 あれ、これって……もしかして、弱みでは?

 

 ―――即行動した少女は、面談申請書と呼ばれる過去の遺物を用意し、ドキドキしながら送り付け―――指揮官が北部に向かったと知り、枕を濡らす事になった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 赤裸々に語られたエクシアの性事情に対し、男は呆れを含んだ溜息を付いた。

 坦々とした口調で悦に浸ったエクシアに対しても、少女の痴態を耳にして主張を強めた息子に対しても、少しばかり呆れた。

 

 男の隣に腰掛けた少女は、呆れを含んだ溜息にすら色気を感じてしまい、頬を薄っすらと赤く染め、もぞりと太腿を擦り合わせる。

 

「そういう訳でしてー、あのオナニーは最高でしたねー」

 

 ラピとのハメ撮りを思い出し唇を舐めたエクシアは、服の上からでも分かる程の暴力的な猛りをチラチラと見つめる。メッセンジャーを使わず赤裸々に語った効果はバッチリであり、太腿を擦り合わせた少女は生唾を飲み込み、我慢出来ずにベッドへ身を投げ出し―――うつ伏せで寝転んだ。

 

「それじゃーお願いしまーす。私は気持ち良いですしー、初心者さんも気持ち良いー。お互いに損はしませんよー」

 

「……後悔すんじゃねぇぞ」

 

 ベッドが軋み男が立ち上がった事が分かった。雄の匂いが染み付いたベッドに身を沈めたエクシアは、濃厚な匂いを堪能しつつゲームを起動する。

 

「後悔なんてしませんよー、私はゲームをしていますのでー、好きに使ってくださーい」

 

 無気力な抑揚の少ない少女の声に、服を脱ぎ捨てようとした男の手が止まった。

 

「あ?抱いて欲しいんじゃなかったのか?」

 

「あー……初心者さんはー、そういうの気にするタイプですかー?」

 

「ん?、そういうの……」

 

「ですからー、私はゲームをしながらオナニーできてー、初心者さんは私を使ってオナニーするんですよー。お互いにウィンウィンでーす。いえーい」

 

(……なるほどなァッ……要は、俺は唯の肉バイブってか)

 

 大好きなゲームを楽しみながら、最高のオナニーが出来るかも知れない期待にテンション爆上げとなったエクシアは、内心ドキドキで胸が一杯になっており、男が瞳に暗い光を宿した事にすら気づかない。

 

「……分かった。勝手に使うからな」

 

 男の声がワンオクターブ下がった事にも―――気づかなかった。

 

「おおー、物分りが凄くいいですねー。これは楽しみでーす」

 

(じゃあ、ちゃんとお望み通り―――躾けてヤらねぇとなァ)

 

「ほらほらー、美味しく食べていいですよー」

 

 不穏な空気を纏う男には目もくれず、画面に集中しているエクシアはふりふりと豊満な臀部を振り、シャツの裾が捲れあがる―――男の眼前に晒されたぷるぷる震えるお尻には、本来有るべきはずの守りが無かった。

 

「あ?、何でノーパンなんだ」

 

「ふっ―――昨日も履いてませんでしたよー」

 

 その言葉に肉棒はビキビキと怒り狂い、必ずこのメスガキを躾けると男が誓った事など知らず、エクシアは能天気に脚をパタパタ動かし、雌肉を震わせ挑発する。

 

「おーきなおちんちん、早く下さーい」

 

 目線は完全にゲームに固定され、脚が動く度に肉付きの良い臀部が揺れる。チラチラと見える雌肉は涎を垂らし男を誘っていた。

 

「おー、ガッツリ揉みますねー」

 

 誘われた大きな手が豊満な臀部を揉みしだき、強く指を沈めていく。

 

「そのまま実況してろ、好きにして良いんだろ?」

 

「はーい、お尻好きなんですかー?随分とご執心ですねー。そんなに私のお尻は良いんですかー」

 

「チッ、好きだよ……アンバランスな身体しやがって、運動不足そのものじゃねぇか……めちゃくちゃ柔らけぇ」

 

 ほっそりとした腕、控えめな胸と違い……尻の肉付きは非常に良い。一切の運動をしていない駄肉は硬さを失い、何処までも沈んでいくほどに、柔らかかった。

 

「そうですねー。運動とは無縁な生活を送らせていただいてまーす。初心者さんが興奮するならー、良かったでーす」

 

(さて、調子に乗ったメスを懲らしめるにはどうすればいいか―――俺は調子に乗らせてから折る方が……好きなんだよなー)

 

 服が脱ぎ捨てられた音を察知したエクシアは心を踊らせる。初めて嗅ぐ濃い男の匂いに股ぐらから蜜が零れるのを感じつつ、余裕を装いふりふりとお尻を振った。

 

「ほーらー、はーやーくー……んっ」

 

 力強く腰を掴まれ、夢にまで見た剛直が雌肉をゾリゾリとなぞり始める。

 太腿をきゅっと締めたエクシアは、脚を擦りあわせドクドクと脈打つ熱を肌で感じ取った。

 

「おっきくてー、あっついですねー……ぉっふ」

 

 ―――ちゅぷっと、雌肉に亀頭があてがわれ、エクシアの興奮は最高潮に達する。玩具では味わえない生の熱が―――ちゅぷちゅぷと膣口を広げていく感覚は堪らず、エクシアは懇願するように男を急かした。

 

「……初心者さーん、早くしてくださーい、焦らすなんて酷いですよー」

 

 自ら腰を浮かし、早く早くと強請る少女の腰を掴む手に力が籠もり―――亀頭がぐぶりと押し込まれる。

 

「ぉっ……すご……これはー……ぉほっ、ハマりそーです」

 

 段差のエゲツない雁首が捩じ込まれ、はしたない声をあげたエクシアは肉の喜びに歓喜した。亀頭でこれなら全部挿れられたらヤバい。このおちんちんは絶対に気持ち良いと……茹だった頭で確信した。

 

「おいおい、めちゃくちゃ熟れてんじゃねぇか、どんだけオナってんだよ」

 

「一日三回程度でーす。乙女の嗜みですよー」

 

 男からは見えない角度で薄っすらと頬を染めたエクシアは赤裸々に答え、男の劣情を刺激する。

 

(あ♥ びくってなりましたねー)

 

「……最後だ―――本当にいいんだな?」

 

 掴まれた腰の手はガッチリとホールドし逃がす気配を一切感じない。それでも律儀に確認してくる男に対し、きゅんと下腹部が甘く疼いた。

 

「はーい、お願いしまーっ、ぉ゛♥ ―――ぉお♥」

 

 雌肉を掻き分けた肉棒が強く子宮を穿ち、エクシアは濁った喘ぎを漏らしながら悟った。将来これを超えるおちんちんには出会えない。陰キャな自分が手に入れた最高級の肉バイブ……絶対にこれを手に入れようと―――まさか、子宮を穿った肉棒がまだ半分も余っているなどとは、夢にも思っていなかった。

 

「あ゛ー♥ ……これ最高です〜、定期的にお願いしまーす」

 

 上ずった視線が画面に再度固定され、ピコピコとゲームの操作を再開したエクシアに対し、男は笑いを堪えながら優しく声を掛ける。

 

「定期的にねぇ……まあ、ちゃんと楽しませてやるよ」

 

「はーい、じっくりお願いしまーす」

 

 一人遊びで熟れた肉は馬鹿みたいに吸いつき肉棒を締め付けてくるが、連日連夜爛れた生活を送っている男に取っては、可愛らしいものだった。子宮を優しく小突き、まだ半分しか入っていない事実をひた隠しにするように、ゆっくりと肉を抉っていく。

 

「ふおっ……ぉっふ♥ ……あ、あの……ちゃんと気持ち良いですか?」

 

「ああ、最高だ」

 

「……良かったー。激しくされないんでー、ちょっと心配しましたよー」

 

 もっと―――組み敷かれてゴリゴリと抉られるものだと思っていた。腰をガツガツ振られ、自分だけ楽しむような腰振りを期待していなかったかと言われれば嘘になるが、味わうように優しくゆっくりされるのも気持ちが良い。

 

(こ、これはこれで、おちんちんの形とかよく分かって……んぉ♥)

 

「激しくして欲しいのか?」

 

「ぃ、いえ……これはこれで……好きですねー♥」

 

 雌肉は貪欲に肉棒に絡みつき、エグい段差の雁に掻き分けられる度、エクシアの腰は浮きそうになる。

 

「……っお♥ ……ん……ぉ……っお♥」

 

 男の優しい腰使いに、うっかり恋に落ちそうになりながら、エクシアは快楽を貪った。

 

(あ゛ー、ずっとにゅこにゅこしてて欲しいー♥)

 

 悪い笑みを浮かべた男が、少女の弱い所をじっくりと探り始めた事も知らずに―――エクシアは与えられる快楽に身を震わせた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 十分。たった十分間肉棒で躾けられただけで……エクシアは顔を落とし、ゲーム機を握る手がぷるぷると震えていた。

 

(あっ……あれー?……ゃ、やばっ♥ これ、堕としにきてる?♥)

 

 少女は男の意図に気がついた。その事実を脳が理解した瞬間、身体が一気に熱く火照り、肉棒が一回り大きくなった気がした。

 

(―――ん?具合が変わったな……もうちょい虐めとくか)

 

 実際は肉棒の大きさは変わっておらず、堕とされている自分に興奮した少女が締め付けを増しただけに過ぎないが……エクシアはそれに気づく事無く、太さを増した肉棒に熱をあげる。

 

(ふぉ♥ ……太っ♥ ぜ、絶対に堕とす気じゃないですかー♥ ……そ、それなら勝負ですねー)

 

 指揮官が……それもイケメンが自身を欲している―――何度も夢に見た自分を理解してくれる彼に男を重ねながら、甘く蕩ける快楽に意識を集中する。

 

(ワ、ワイルドなイケメンは苦手でしたがー……食わず嫌いでしたねー♥)

 

 自身の気持ち良い所を執拗に責め続ける腰使いはまさに匠の一言。食わず嫌いを反省し、へこへこと腰を浮かせた少女に対し―――男は悪どい笑みを浮かべ、一際強く子宮を小突いた。

 

「ぉ゛♥」

 

(あっ―――いくっ、いくぅ゛♥)

 

 小刻みに何度も強く小突かれ、高められた性感が爆発―――

 

(―――はぇ?)

 

 ―――しない……絶頂まで後一突きという所で、子宮から離れた肉棒が優しく浅瀬を刺激し、少女の下腹部に重たい熱が溜まっていく。

 

「っふ♥ ……しょ、初心者さーん?―――ぉ゛♥ つぉ゛♥」

 

 堪らず声をかけたエクシアは、強く子宮を殴られ黙らされた。

 

(っお゛♥ つよっ♥ ……お、堕とす気満々の腰振り―――最高♥)

 

 どちゅっと子宮を殴られれば直ぐに昂るが、絶頂間際には寸止めされる。

 

「ぉお゛♥ ぃぅ゛♥ ぃぅ゛ぅ゛♥ ―――っふ」

 

 DVちんぽに殴られて震える子宮を撫でるように、くにくにと捏ねられ。

 

(ぁう゛♥ こ、これもっ……ゃっばぁ♥ いく、いくいくっ♥ ―――っぅ、くぅー、くぅ〜)

 

 またもや―――ピタリと動きを止めた肉棒に自ら子宮を押し付けるも、動きにあわせて逃げられる。

 

「お、怒りま―――ぉぶぅ゛♥」

 

 喋る事は許されず、何度も絶頂に高められるも―――

 

(ぉ゛……っば、いくっ♥ ……ま、また〜♥)

 

 ―――決してイクことは出来ない。

 

(あ゛ー、イキたい、イキたいー♥ イキたい〜♥)

 

 喋ろうとすると喘がされる。しかしこのままでは何時まで経ってもイケない。

 

「っお♥ っぅ゛♥ あ゛あ゛♥ っ、イキたい♥……イカせてー♥」

 

 喘ぎ声を聞かれる恥ずかしさを我慢し、少女は浅ましく懇願する。動きを止めた肉棒に対し、精一杯の媚を売った。

 

「ぉ♥ お願いです。一杯使っていいですからー♥ 一度イカせてくださーい♥」

 

 甘ったるく媚びた声はエクシアから発せられたとは思えず、媚び媚びの懇願に男は小さく呟いた。

 

「……まあ、いいか」

 

 少女が呟かれた言葉の意味を理解する前に、肉棒が深く子宮に食い込んだ。

 

「ぉ゛♥ ぉひ♥ ぉ゛―――♥ んん〜〜〜♥♥♥」

 

 リズミカルに強く子宮を叩かれたエクシアは、ベッドのシーツを噛み締め身体を痙攣させる。

 

「―――〜〜〜ぉ゛ひ♥♥♥ っお゛―――〜〜〜♥♥ ……ふひっ♥ ……こ、これ……しゅご♥」

 

 ビクンッ、ビクンッと跳ねる腰にあわせ優しく子宮を捏ねられ、甘い絶頂に蕩けていく。

 

「おーおー、気持ちよさそうに跳ねてんじゃねぇか」

 

 涎でべとべとになったシーツを避けるように顔を埋めたエクシアは、ぴくぴくと震えながら余韻に浸り、身体を弛緩させた。

 

「ふ、ふひっ♥ ……しゃいこーれしたー♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「……満足したか?」

 

「満足……ですかー……そうですねー、んっ♥ 最高に気持ちよかったですがー……あんな風になる程では無かったのが残念ですねー」

 

 ずるりと抜け出た肉棒にちゅぷちゅぷと膣口を刺激されながら、ゲームを手にしたエクシアは、画面から視線を逸らさず男の質問に答えた。

 

(ああー、敗北を知りたーい。また勝ってしまうんですねー、セックスすらエリートなんて、私ってヤバいですねー)

 

 一度深く絶頂したことにより溜まった熱が発散され、エクシアは調子に乗っていた。先程の性交で大体のポテンシャルは分かった。どれだけ激しくされようとも、堕とされない自信がエクシアにはあった。むしろ、ゆっくりと寸止め地獄を続けられるのがヤバかった。

 

「あんな風?」

 

(最大のチャンスを自ら捨てた初心者さんが可哀想なのでー、堕とすチャンスをあげましょー)

 

「―――気絶するほどではないですねー」

 

 子宮を深く抉られれば濁った喘ぎが漏れる程度には気持ち良い……しかし、映像に写ったラピ程では無い。もし自分が気絶するような事があれば一生を捧げてもいい等と考えていると、腰の手に力が籠もりお尻を高く上げさせられた。

 

「え、す、凄いですねー。私は軽い方ですけど百キロはありますよー」

 

「気絶するほど激しくして欲しいんだろ?寝転んだままじゃあ満足に腰が振れねぇだろが」

 

 少なくともこの時までは、絶頂懇願した少女を許してやろうと男は思っていた。あんなに可愛らしくお強請りされたんだ。多少の無礼は大目に見てやろうと、あの程度で根をあげる少女を本気で抱き潰したらヤバそうだと思い考えを改めた―――にも関わらず、こんな舐めた挑発をされたからには答えない訳にはいかない。

 

(まあ、ムカついただけなんだが)

 

「あ♥ これなんか良いですねー、今から犯されますって感じが凄いですねー」

 

 膝を立てお尻を高く上げたエクシアは、ゲームから視線を外す事無く肉棒を待ちわびた。お尻に食い込んだ手に期待が高まり、子宮からこぷりと蜜が零れ―――疑問が湧き出す。

 

(あれ……そう言えば射精してましたっけ?……子宮(なか)に出された気はしませんが……あれ?)

 

「そろそろ本気でヤってやるよ」

 

(へ?―――ほ、本気?)

 

 吸い付く雌肉に肉棒を宛てがった男は、熟れた雌肉を一息で掻き分け―――腰を叩きつけた。

 

「へ?―――!!?♥♥♥ ぉ゛ぎゅ゛♥」

 

 子宮が強烈に押し上げられ、エクシアの視界に星が散る。脳で処理しきれない快楽の渦は身体に熱として蓄積され、一瞬だけ思考が正常に戻った。

 

(―――♥♥!???……ほ、ほんき、って、なんでした、っけ?)

 

「まだ、全部入ってねぇなァ」

 

「ぉ、ぉ゛♥ ……ちょ、ちょっ、たいむー!」

 

「うっせー、知るか」

 

「ぉ゛♥ ―――っお、っおぉ゛♥ っぶ♥ ヤバっ♥ ぁ゛♥」

 

 ビクビクと痙攣する少女の子宮を殴りつけ、押し上げる。

 

「ぉ゛―――〜〜♥♥♥ ぉぉ゛っふ♥」

 

 余った肉棒を雌肉が全て呑み込むまで、男が腰振りを弱める事など無い。

 

「んぎゅ―――〜〜♥♥♥ ひふっ、ひふ♥」

 

 強すぎる快楽にエクシアの視界は黒く染まり、身体は制御できずびくびくと痙攣を繰り返す。

 

「ぉ゛♥ ぉ゛ぉ゛〜〜〜♥」

 

 真っ暗な世界でチカチカと星が飛び、意識が飛びかけたエクシアを呼び戻したのは、子宮を殴りつける―――強すぎる快楽だった。

 

「―――ぉ゛♥ ……ぉぎゅ゛♥」

 

 怒り狂った剛直に鬼のように殴られ続けたエクシアは、意識が飛びかける度に何度も呼び戻され、喘ぐだけの機械となった。一突きされる毎に、奥に奥に格納されていく子宮すら屈服の涙を流したが、それすらも男を喜ばせるスパイスに過ぎない。

 

「もうちょっとだぞ、頑張れよッ!」

 

 びくびくと痙攣を繰り返す少女の痴態は、見ているだけでも最高に気持ち良いが、きゅうきゅう締め付ける雌肉を躾けるのは、もっと気持ちが良い。

 

「ぉ゛ぎゅぅ゛♥♥ むぃ゛、むぃ゛ぃ゛♥♥」

 

 くぱくぱと蜜を吐き出す子宮は、肉棒に完全敗北した証として口を広げ、殴りつけてくる亀頭を受け入れ始める。ピストン運動にあわせ収縮を繰り返し、くぱぁと広がった子宮口は亀頭に媚び諂い、男は満足げに尻を叩いた。

 

「ぉ゛ひぃ゛♥ !!―――〜〜〜ぉ゛ぉ゛♥」

 

 バチンッ!と良い音が鳴り駄肉が震える。

 痛みと快楽が混ざり、びゅるびゅる潮を吹いたエクシアは、ぴくぴくと痙攣し全身を脱力させた。

 

「―――っお?なんだよ、やれば出来るじゃねぇか」

 

 駄肉を叩いた際、亀頭が奥深くに入り込み、根本までミッチリと埋まった肉棒に気を良くした男は、小刻みに腰を揺すり先走りを撒き散らす。柔らかく熟れた子宮はご馳走に咽び泣き、エクシアの事など考えず肉棒に縋りついた。

 

「お〜お〜、嬉しそうにうねってんな。そんなに気に入ったか?」

 

「ぉ゛♥ ぉひっ゛♥」

 

 舐めた真似をされた礼はしっかりと返す。余りにも極端な男の思考には一か百しか無い。徹底的に躾け確実に堕とす事を決めた男の寝室からは、濁った喘ぎ声が響き渡った。



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32 ★ エクシア 中 三人称

「ぉっふ♥ ひぅ♥ ひぅ゛ぅ゛〜〜♥」

 

(―――やっば♥ ……ま……た、とぶっっ♥ ―――♥)

 

 全身から汗を吹き出し、何度も意識を飛ばしては、子宮を叩きつけられる。乱暴に耕された雌肉は指揮官専用に成り下がり、エクシアの言うことなど聞きもしない。

 

「〜〜〜〜゛♥ 〜〜ぅ゛ぶっ♥ ―――っ゛ぎゅ゛ぅ゛ぅ゛♥」

 

 暴力的な快楽で躾けられた雌の本能は芽吹き、唯の雌に成り下がった少女は、嬌声をあげることしか出来なかった。

 

(―――ぁ、……しゅご〜♥♥♥)

 

 朦朧とする意識の中、きゅんきゅんと収縮する子宮は腫れぼったく膨れ上がり、熱を刻みつけられた身体がぐったりとへたり込む。

 

「ぃ゛ぎゅ゛ぅ〜〜〜♥♥♥ じゅ、っ゛……どぉ゛♥ ―――ぃ゛っでま゛じゅ゛ぅ〜〜♥♥」

 

 弛緩した肢体に指を食い込ませた男の筋肉が―――力強く膨れ上がった。

 

「あ?―――足りねーんだろッ」

 

 腰が強引に持ち上がり、お尻を浮かされる。少女の立てられた太腿が、ぷるぷると震えた。

 

「―――おらッ!イケッ」

 

(じぇったいやばっっ!!?―――ぉ゛♥ ……ぁ゛ひ♥ 、っ゛――――――♥♥♥)

 

 どちゅっと―――容赦なく剛直に抉られたエクシアは、口をぱくぱくさせびちゃびちゃと蜜を吹き出した。

 

「――――――♥♥♥ ……ぁ゛♥ 〜〜〜゛♥♥ ……ひぅ゛♥」

 

 瞳はぐるんと裏返り、玩具のようにびゅるびゅると恥ずかしいお汁を撒き散らす。

 

(―――ぁ゛ぁ゛♥ ……ひゃぃこー♥ ……ちゅよしゅぎ、れしゅー♥―――ぉ゛ぉ゛♥♥)

 

 チカチカと光り、真っ白に染まった世界が―――心地良い。正直ここまでとは思ってもいなかった……もう最高過ぎた。

 

「アア゛―――えろすぎんだろッッ」

 

 シーツに染み込んだ甘い蜜の香りが漂い、ビクビクと膨れあがった肉棒を抑え込む。貪欲な雌肉はご奉仕に夢中になり、エクシアが何度アクメを決めようが、容赦無く縋り付き子種の催促を強めた。

 

「……ぉ゛っほ♥ ……ぃぎゅ゛ぅ゛〜〜♥♥♥」

 

「ッ―――チッ、えろいまんこしやがってッ、よオッ!!」

 

 筋肉をガチガチに締め上げ、気を抜けば射精しそうになる肉棒を無理やり従わせた男は、ずりゅっと長い幹を引き抜き、深イキで締め付けを増した雌肉を、エグい段差でゴリゴリと虐める。

 

「―――♥ ふぐっ゛♥ ひぃ゛♥ ひぐぅ゛ぅ゛〜〜♥」

 

 悶える少女など関係ないと言わんばかりに、男はどちゅどちゅと力強く子宮を殴りつける。

 

「――――ぉ゛ぎゅ♥ ぉ゛ぉ゛―――〜〜〜゛♥♥♥ ――――〜〜〜〜゛♥♥♥」

 

 エクシアは、身体をびくびくと痙攣させ絶頂に咽び泣く。声にならない嬌声は甘く蕩けていた。

 

「ッッ―――クソッ……生意気だなッッ」

 

 強烈に締め付ける雌肉が我儘にも搾り取ろうと絡みつく。ぶくりと大きく膨らんだ肉棒で一際強く子宮を殴りつけ、グニグニと押し込み先走りを吐き出した男は―――込み上げる熱を必死に抑え込んだ。

 

「ぁ゛♥ ――――〜〜〜ぉ゛♥ ぁ゛あ゛〜〜♥」

 

 ちぅちぅ吸い付く子宮が、射精を催促してくるのも腹立たしい。生意気な少女には絶対に射精してやらんと、鋼の意志と筋肉の物理で―――貪欲なお強請りを辛うじて耐え切った。

 

「―――ッ……ッフゥーッッ」

 

(―――危ねぇ、くっそ名器なんだよなー)

 

 ずりゅっと抜き去られた剛直が腹筋を叩きつけ男に怒りを伝える。先走りと愛液でどろどろになった肉棒を一瞥した男は、ぽっかりと開いた雌穴がひくひくとひくつく姿を見て満足気に頷き、少女から離れた。

 

「……っ♥ ―――んんぅ♥ ―――はひー♥ はひゅー♥ ……」

 

 身体は燃えるように熱を持ち、震える身体は身じろぎするだけでも気持ち良い。完全に躾けられた身体に力を入れたエクシアは、ぽっかりと開いた雌穴をきゅっと閉じる―――張り付いた髪を掻き分け、両手で顔を覆ったエクシアは、白濁した本気汁がこぷこぷと垂れ落ちるのを感じ取り、にへーと笑みを浮かべた。

 

(―――ぁ゛あ゛〜〜♥ しゅっごー♥ ……おちんちん強強じゃないですかー♥ あ゛ー♥ ……お腹おっもー♥ ……欲しがりすぎて、ヤっバいですねー♥)

 

「―――ふひ♥ ふひひ♥ ―――んぅ♥ ふひ♥ ……さいこー♥」

 

 子宮がぽってり火照り下腹部が重たい。人生で一番の快楽を叩き込まれたにも関わらず、身体は貪欲に男の精を欲しがっている。エクシアのテンションも最高潮に達しており、先走りに凌辱された子宮が、痛みを感じる程に収縮を繰り返した。

 

(あ〜〜〜♥ さいっこー♥ ……子宮がきゅんきゅんするー♥ ……ん?……あれ?)

 

 ずっしりと重みを増した子宮に意識を向けたエクシアは―――ぽっかりと心に穴が空いたような寂しさを味わい……少しばかりの戸惑いを顔に浮かべた。

 

(……ぁ、あれー??……欲しがって、ますねー?……ぁれー?…………射精は?……あれー?)

 

 あれだけイカされたにも関わらず、射精された記憶が無い。途切れた記憶を手繰り寄せても、熱々の粘っこい体液が吐き出された記憶が無かった。

 

(―――ど、どど、どこで、間違えたんでしょーか…………や、やっぱり……気持ち良く無かったんでしょーか……わ、私よりえっちなニケが側にいますし……)

 

 射精して貰えない―――その事実に気づいたエクシアのテンションが空回り、ネガティブ思考が加速する。

 

(……そ、そうですよねー、期待したらダメですよねー……私なんて、胸もちっさいですしー―――ぅぅ―――ぅぅぅ、ゃだー、そんなのあんまりですよー)

 

「―――しょ……初心者さーん♥ んんぅ♥」

 

 ころんと仰向けに転がっただけで、火照りすぎた身体は快楽を生んだ。

 

「あ……あのー……あれ?」

 

 顔を髪で隠しながら、エクシアはきょろきょろと指揮官を捜した。仰向けのまま視界をくるくる回しても、指揮官の姿が見つからない。

 

「しょ、初心者さーん?―――初心者さーん!」

 

 震える身体をもぞもぞと起こし、ちょこんとベッドに座り込んだエクシアが部屋全体を見渡すも―――指揮官の姿は見当たらない。

 

「えっ……しょ、初心者さーん!!」

 

 ―――焦りと悲しみ、色々な感情が混ざり合い、エクシアが柄にもなく大きな声をあげた時―――扉が開かれ、指揮官が姿を見せた。

 

「―――あ?、ほら、飲んどけ……汗かき過ぎだぞ」

 

「ぁ♥」

 

 裸体を隠すこと無く扉から入って来た指揮官に目を奪われた少女は、投げられたボトルを慌てて受け取ろうとして、綺麗にスカった。

 

「―――ぇ、ぅえ!?へぶっ」

 

「ブフッ、綺麗に受け止めたなー」

 

 顔にぶつかったボトルを忌々しい目で見て、一言文句を言ってやろうと思ったが……。

 

(―――ぁぅ♥ ……こ、こんかいだけですからー、今回だけは許してあげます―――ぁぅぅ♥)

 

 近づいて来た裸の指揮官にトキメキ―――少女は顔を真赤に染めて俯いた。視界に入った枕を急いで抱き締め―――顔を(うず)める。

 

「お、おい……俺の枕―――まあ、良いけどよ、そんなに恥ずかしいなら、見んじゃねぇよ」

 

 美少女の汗なら別にいいかと、割と残念な思考をしていた男に対し、エクシアはエクシアで枕から香る男の匂いに、頭が蕩けそうになっていた。

 

(―――ぁ♥ ……良い♥ ―――これー欲し〜♥ ―――は!、あ、危ない、トラップじゃないですか!……そ、それにしても……凄い身体ですねー、ゲームより雄じゃないですかー♥ うわーえぐい形♥ あ、あれが―――♥)

 

 子宮がきゅぅぅと締り、身体の熱が倍増する―――こうなることが分かっていたから、少女は決して指揮官を見ないように努めていた。……努めていたが、一度視界の隅に入ってしまったら―――脳が指揮官の裸体を求めてしまう。

 

(―――あ、あれが……ずっぽり♥ えっぐいですねー♥ ―――あ、後で……じっくり観察しましょー♥)

 

 結局―――自身を止められず、エクシアはチラチラと指揮官に視線を送り続ける。

 

(あ?何だその反応……めちゃくちゃ可愛いじゃねぇかッ)

 

 もぞもぞと身体を小さくしながら、真っ赤に染まった顔を枕で隠し、上目遣いでチラチラと見てくるエクシアに、マグマのような熱と粘りを伴った欲望が湧き上がる。

 

(―――決めたッ……絶対に逃さねぇッ)

 

 湧き上がった熱に素直な男は、必ずエクシアを虜にする事を決意しボトルの水を呷った。その姿を見つめるエクシアは、喉が隆起する度に子宮がきゅんきゅんと欲しがり、男が水を呷る姿を見つめ、ぽーっと瞳を蕩けさせる。

 

(―――ぁぅ♥ ぁぅ……え゛♥ ―――やっばー♥♥♥)

 

 視覚情報が余りにも暴力的過ぎた。筋骨隆々な身体はまさに雄と言わんばかりの色気に溢れている。粘ついた蜜を滴らせ、ガチガチに張り詰めたまま鎮座している肉棒も―――彫刻のような美しい身体についた傷跡も―――全てが雄を象徴し……少女には堪らなかった。

 

(ぁ♥ ―――全身チートじゃないですかー♥ ……ぁ♥ やばいー♥ もうやばすぎですよー♥)

 

 熱に浮かされた少女の肢体は薄ピンク色に染まり、濃い白濁がボトリと垂れ落ちる。厭らしくお強請りを覚えた雌肉がくぱぁとひくつくのが、下腹部を押さえた少女にも理解出来た。

 

(あれが、さっきまでここに……んぉ゛っ♥ か、完全に教え込まれてるー♥……こ、これやばっ♥ くにくにっ♥ ―――ゃ゛ばっ゛♥)

 

 熱に耐え切れず下腹部を押さえた圧が、子宮に甘い疼きを生む―――堪らずくにくにと指を押し込んだ少女は、くらくらと熱に浮かされながら快楽を貪った。

 

「―――ぉ゛♥ ぉ゛お♥ ぁ゛♥ ……ぃぅ゛ぅ♥♥」

 

(あ?―――くっそえろッ……なんでオナってんだ―――)

 

「―――はふー♥ ぁ、しゅご♥ ……!!?お゛ぉ゛♥」

 

 指揮官とエクシアの視線はバッチリと交わり、ぷるぷると震えた少女は茹で(だこ)の様に顔を真っ赤に染め、枕にぽふっと顔を(うず)める。

 

(―――ぁ゛♥ ―――完全に……トリップしてた―――〜〜〜あ゛あ゛♥)

 

「あー、なんだ……えろかったし、可愛かったぞ」

 

(〜〜〜―――ふえ?)

 

「……ほ、……本当♥ ……ですか……」

 

「見れば分かるだろが」

 

 男は自身の剛直を指差し、頭を掻いた。先走りがどぷっと漏れ出た剛直を見せられたエクシアの瞳が甘く蕩けていく。

 

「―――ぁ♥ ……ん♥」

 

(あ♥ すっごー♥ おっきくてー♥ 雁高でー♥ えっぐいおちんちん♥ 最強の強強おちんちん♥)

 

「おい……エクシア」

 

「―――んぉ゛♥ な、なんれすかー♥」

 

 名前を呼ばれただけで―――全身が甘く痺れる。

 

(―――ぁ♥ か、軽くイクとこでした……クソゲー過ぎませんか?こんなのチートでしょー♥)

 

 制御が効かない身体は真っ赤に染まり、ぽかぽかと芯から熱が湧き上がり汗が吹き出す。熱を冷ますようにパタパタと手で仰ぎながら、エクシアは指揮官から視線を逸した。

 

「飲んだら、ヤるぞ、さっさと飲め」

 

「―――は、はーい♥」

 

 シーツに(くる)まり、こくこくと喉を鳴らしつつ少女の視線はチラチラと彷徨った。男の顔が動くと敏感に反応して視線を逸らすが、またチラチラ―――チラチラと視線を指揮官に送り続ける。

 

(な……なんで―――なんでこんなに、恥ずかしーのでしょーか?)

 

 見られるのが凄く恥ずかしい。ヤルぞと言われた時は喜々として返事を返せた。それなのに、冷たい水が身体の火照りを沈めたにも関わらず―――指揮官を見ると下腹部がじくじくと痛む。

 

(やっぱり、欲しがってるからでしょーか?―――お腹熱い♥ ……射精♥ ―――欲しー♥)

 

 髪で顔を隠しながら、エクシアはなけなしの勇気を振り絞り……声を掛けた。

 

「―――っ……ぁ、あのー……な、なんで―――なんで出さないんですかー?」

 

「ん?―――」

 

 真っ赤に顔を染めた少女がチラチラと視線を送って来ていた事は、男にも分かっていた。チラチラもぞもぞと小動物のように可愛いらしいので放置していたが―――まさか欲しがっていたとは、良い誤算だった。

 

「―――なんでって……そうだなァ」

 

 ニヤリと悪戯な笑みを浮かべた指揮官に、きゅぅぅと熱が増す。立ち上がった男はエクシアを押し倒し、顔を覆った髪を掻き分け―――耳元で囁いた。

 

「エクシアのお強請りが聞きたい」

 

「―――ぁ♥ ……ひぅ♥」

 

 冷ました熱よりも熱く―――身体が火照る。

 

「お強請り出来るか?」

 

 頬を撫でられ、彷徨う視線を絡め取られたエクシアは、反射的に頷き―――小さく呟く。

 

「ぁ♥ ……ひゃぃ♥」

 

 身体を隠していたシーツが剥ぎ取られ、汗に濡れたシャツが腹部まで捲れ上がる。咄嗟に隠そうとしたが―――浴びせられる視線に従い、手が止まる。

 

(な、なな―――はっずー♥ これ……めちゃはっずー♥)

 

 全身を赤く色づかせたエクシアはもぞもぞと動き、仰向けのまま膝を立て―――脚をM字に広げていく。

 

「何が欲しいんだ、言ってみろ」

 

「ひぅ♥ ―――」

 

 少女は顔を逸し、ひくついた雌肉を両手で広げ、腰をくいくいと動かし男を誘った。

 

「―――ぉ、ぉぉ……お、おまんこ♥ 欲しがってやばいんですー♥ 子宮に……ぁ、むりぃ……」

 

 迎え腰でくいくいとお強請りしたエクシアは、恥ずかしさの余り両手で顔を覆う。M字に広げられた脚がきゅっと閉まり、擦り合わされた太腿が男の劣情を刺激する。

 

(―――むりぃ〜♥ これ、むりー……はっずー♥)

 

(カァー、最高だッ。恥ずかしがる女は―――やっぱ最高だなッ!)

 

 エクシアに覆いかぶさった男は、少女の手を掴み隠された顔を強引に暴け出す。咄嗟に逸らされた顔に手を差し伸べ、頬を優しく撫で擦り、ゆっくりと顔を近づけていく。

 

(ぁ♥ ―――やっば〜♥ えぐい、これえぐいー♥)

 

 抵抗する気など起きず、されるがままの少女は、せめて潤んだ瞳だけでも逸らそうと、きょろきょろと視線を彷徨わせる。

 

「なんでって聞いたよな?」

 

「ぁ♥」

 

 唇が重なる距離まで近づかれ―――鋭い瞳に視線が絡め取られた。

 

「―――お前が欲しいからだよ」

 

「!!?―――んんぅぅ♥♥♥」

 

 殺し文句を囁かれ、強引に唇を啄まれる。夢のような光景に目を見開いたエクシアの子宮に、剛直が突き刺さる。

 

「―――♥♥ ぉ゛お゛ぁ゛あ゛♥♥♥ ―――!!?ん゛むぅ゛ぅ゛♥」

 

 身体が跳ねる程に背筋を逸し―――エクシアは薄れ行く意識の中、唇の感触を忘れないように脳に刻み込んだ。

 

「んぅ゛♥ ―――〜〜〜♥♥♥ ―――ぁへ♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

(―――ぁえ〜♥ ふわふわしてますねー♥)

 

 耳元で甘く名前を囁かれ、エクシアの意識が浮上する。優しく頭を撫でられると、良く分からない感情が心を満たして心地良い。

 

「―――んぉ゛♥」

 

 幸せに浸ったエクシアは、いきなり強く首筋に吸い付かれ、濁った嬌声を漏らした。

 

「ぉ゛♥―――ぉほっ゛♥」

 

「?―――エクシア」

 

 硬く大きな手が身体に振れる度、全身はぴくぴくと痙攣する。甘イキがずっと続き、喋るのも億劫であったが、指揮官に呼ばれて返事をしない選択肢など―――エクシアには無かった。

 

「♥ っ、は、はーぃ♥ なぁんれすかー♥」

 

 ―――自分でも驚く程に甘ったるい声が出た。

 

(ゃ、ゃばー♥ ど、どれだけ媚びてるんですかー、はっずー♥ これはっずー♥)

 

 恥ずかしさのあまり顔を隠そうとした手を掴まれ、端正な顔が―――男の唇が近づく。

 

(ぁ♥ ちゅーされる〜♥ ……好き♥ ……初ちゅーも最高のシチュでしたー♥)

 

「―――ぁ♥ ……ぁぅ♥ ―――ふひひ♥」

 

 ドキドキと早鐘を打つ胸にそっと手が添えられ、甘い痺れと確かな疼きが全身に浸透する。

 

「起きたか―――おい、こっち見ろ」

 

「はーい♥ ぁ♥―――っ♥」

 

 茹だった頭で従順に従ったエクシアは―――男の顔が更に近づき、ぎゅっと目を瞑った。

 

「目、開けろ―――」

 

 閉じた目を薄っすらと開き―――

 

「はっ―――んんんぅ♥♥♥」

 

 ―――そのまま唇を奪われる。

 

(―――ぁ♥♥♥ こ、これ……ダメなやつ〜〜♥)

 

 瞳をとろんと蕩けさせ、舌を優しく絡め取られたエクシアの視界がチカチカと弾ける。視線を逸らすのは許さないと男の瞳が語っており、目を逸らす気にはならなかった。

 

「んん〜〜〜♥ んんぅぅ♥ はっぷ……んぢゅる♥」

 

 こうなれば、男の首に手を回し夢中で吸い付く事しか出来ないし―――したくない。嵐のような快楽の次は、途轍もない多幸感に包まれエクシアは、無我夢中で唇に吸い付いた。

 

(あ〜〜♥ だめー♥ こわれるー♥ DV♥ DVですよー♥ こんなの教えたらだめれすよー♥♥♥)

 

 たっぷりと唾液を流し込まれ、こくこくと喉をならした少女は、身体を擦り付け媚を売る。硬い剛直を太腿で擦り、少しでも触れる面積を増やすように、全身で指揮官に甘えた。

 

「れりゅれゅ♥ ぁ、ぁえ?―――なんれぇ♥」

 

 絡みついた熱い舌が離れていくのを嫌がり、少女は舌ベラをれろれろと蠢かし男を求めた。そんな少女の長い髪を梳き、頬に手を添えた男が優しい声色で囁きを落とした。

 

「どうだ、好きか?」

 

「……ふへっ、好きれーす♥」

 

 ぽやぽやと幸せに浸りながら、素直な気持ちが淀むこと無く吐き出される。男の硬い身体を全身で味わいながら、エクシアは幸せに浸った。

 

「脱がすぞ」

 

「あん♥ ―――いいですけどー♥」

 

 シャツの裾を捲くりあげられ、少女の慎ましい下乳が露になる。指でさわさわと撫でられると、痺れるような快楽に身体が敏感に反応した。

 

「んぅ♥ ……がっかりしないでくださいねー」

 

「なんでガッカリするんだよ。お前は可愛いよ、エクシア」

 

(可愛い?―――私が??―――そんなのあり得ないんですけどー……本当に……本当、ですかー?)

 

「……ほ、本当にっ♥ ―――可愛い……ですか?」

 

「めちゃくちゃ可愛い」

 

「―――ぁ♥ ―――あぅー♥」

 

 髪を集める手が抑えられ、せっかく隠した髪も優しく払い除けられたエクシアは、潤んだ瞳を必死で隠そうと頑張った。

 

「そういうとこも、可愛いな」

 

「ぅ゛ぅ゛〜♥ ―――初心者さんが、玄人臭いー♥」

 

「あ?……うっせー、脱がしてやるからジッとしてろ」

 

「ぁ♥ ―――は、はーい♥」

 

 肌を滑るように手が這わされていく。その手付きは服を脱がそうとしているとは思えず、見えないように悪戯しているようにしか思えない。

 

「……っふ♥ っっふぅ♥ んぉぅ゛♥」

 

 硬くて太い指になぞられた柔肌はじんわりと熱を持ち。

 

「んぅ゛ぅ゛♥ あつ゛ー♥ ……ぁ♥ ―――あぢゅ♥」

 

 火照りきった身体を撫でられる度、熱に浮かされていく。

 

「んぉ゛♥ ぅ゛ーー゛♥ しょ、しょしっ―――はぅ/////♥」

 

 悪戯に撫で回し、優しく揉まれるも―――触れて欲しい所には指が来ない。思わず指揮官に対しお強請りをしようとしたエクシアは、ニヤリと悪戯な笑みを向けられた―――胸がきゅぅぅと締め付けられ、それ以上何も言えなくなった。

 

(―――はぅぅ♥ ……そ、その顔、反則♥ ……うわー、ホントやっばー♥ え?もう堕ちてる?……私ってチョロすぎないですかー♥)

 

「本当に筋肉ねぇな。めちゃくちゃ柔らけぇ……抱き枕にしたいくらいだ」

 

「ぁ゛♥」

 

(して欲しー♥ ―――え゛?いま私……何を考えましたかー?)

 

「おら、腕上げろ」

 

「ぁ♥ はーい♥ ……んっ♥」

 

 些細な疑問は男の言葉で吹き飛んだ。言われた通りに腕をあげた少女の肢体を隠す守りが―――汗に塗れたシャツが投げ捨てられる。重い水音がエクシアの耳に入り……汗の量を自覚させ―――乙女心に火が付いた。

 

(え゛……あ、汗っ……えっ、あ、汗臭くないですよね?……に、ニケに体臭は無いはずですけどー……最後にシャワー浴びたのって……あれ?何時でしたっけ?……)

 

 ぽかんとアホ面を晒したエクシアは、裸体をもぞもぞと揺らし妄想に耽った。くねくね、もぞもぞと誘われた男の瞳がギラついた。

 

(……生意気は健在ってか―――えろい身体で誘いやがってッ)

 

 ぷりぷりと揺れる掌サイズの膨らみも―――ほんの少し脂の乗った腹部も―――挑発的にぷるぷると揺らされれば、男が勘違いしても仕方が無い。

 

(しょ……初心者さんに、臭いとか言われたら……死ねますねー、つ、次からはしっかり綺麗にしてから来ま―――!!?)

 

 ぷりんと張りの有るちっぱいに吸い付かれ―――陥没乳首を啜られた少女は、途端に慌てふためいた。

 

「っ゛♥ だ、だめっ、や♥ ―――んぎゅ゛♥」

 

(ふへ♥ ……え゛っ……ぜ、絶対臭いー、だ……らめれすってー♥)

 

 敏感な恥ずかしがり屋を啜り上げられ、隠れた乳頭を乳輪ごと甘噛されたエクシアは、ぴゅるっと潮を吹き甘く絶頂する。

 

「―――♥♥ ゃ、ゃ゛めてくだっ♥ ―――ぉ゛ぎゅ゛♥」

 

「……黙ってろ、両方とも吸い出してやるからよ」

 

 色素の薄い、白に近い薄桜色の乳頭がひょっこりと顔を出し、ピンピンと指で弾いた男は、次の獲物に狙いを定める。

 

(ちっぱいで陥没とか……分かってんじゃねぇかッ!)

 

 普段は貞淑に隠れている乳頭を舌で穿り、卑猥に大きく尖り隠れられなくなった姿が堪らない。それを恥ずかしがる女の反応は最高だ。

 

「ぁ゛あ゛♥ や゛だぁ゛♥ 乳首でいぐぅ゛ぅ゛♥」

 

 指で乳首を押し込み強めに歯を立てる。陥没乳首とは思えない程に性感帯として開発されているのは、エクシアの一人遊びのお(かげ)だろうか―――心の中でエクシアに感謝した男は、夢中で舌を這わしていく。

 

(―――いやっ、やだーー、っぅ♥)

 

 コリコリと凝った乳頭を指で掴み捏ね回し、右乳首に吸い付き歯で挟み引っ張り出す。甘酸っぱく多少の苦味を感じるが、その雑味が癖になる。

 

「―――〜〜〜ぉ゛ぉ゛♥♥ ―――ぉひ♥」

 

 男の頭を抱き締め快楽に打ち震える少女は、回らない頭で必死に打開策を考えようとするが、一切弱まらない攻め手に思考が纏まる訳もない。

 

「ぉ゛♥ っひ♥ ぃ゛〜〜〜ぎぅ♥」

 

 薄桜色だった乳頭が充血し、綺麗な桜に色付くまで嬲られ続け―――

 

「―――ひぎゅ゛♥ ……ひぅ♥ ひぅー♥」

 

 息も絶え絶えにレイプ目で倒れた少女に覆いかぶさった大柄な男の姿は、傍から見れば事案にしか見えなかった。

 

「―――くっそ美味ぇ」

 

(ぅ……ぅめぇ?―――ぁ♥ しゅご♥)

 

 レイプ目の少女がだらだらと涎を垂らす肉棒に瞳を蕩けさせ―――事件性は無くなった。

 

「アア゛……くそムラついた、挿れるぞ」

 

「―――ふぇ♥ ぅえー♥」

 

 身体をひっくり返された少女は大きなお尻を持ち上げられ、腰を叩きつけられる。ごりゅッと子宮が抉じ開けられた衝撃に背筋を仰け反らせ、びくびく痙攣する。

 

「―――ぁ゛♥ ―――お゛!!♥ ぁ゛ぁあ゛♥ 〜〜〜〜ぉ゛ひ♥」

 

 背後から抱き締められ、ちっぱいを虐められながら、深く子宮を抉られたエクシアは、意識を朦朧とさせながら男を受け入れた。

 

「ひぐっ♥ ひぐぅ゛ぅ゛♥ ―――〜〜〜ぉ゛ぉ゛♥♥♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「―――〜〜〜ひぅぅ♥ 〜〜〜っぎゅぅぅ♥」

 

 うつ伏せに突伏し、へたり込んだエクシアの意識は、極度の疲労に甘く蕩けていた。玉になった汗が流れ、何度も絶頂を貪った身体は布団に沈み、意識が猛烈に微睡みに攫われていく。

 

(―――ぁ〜〜、ねむぅー♥ もぅ寝まーす♥ おやすみな―――っお゛♥)

 

「―――ぉ゛ぉ゛♥ んぎゅ゛ぅ゛うう゛♥」

 

「お前、寝ようとしただろ?―――射精()してやらねぇぞ」

 

(ぁ゛♥ ぁ゛あ゛♥ 手マン優しい〜〜♥ 凄っ、好きぃ♥ ゴツゴツしゅき〜〜♥)

 

「ぁ゛ひっ゛♥ やーれす♥ ……やれすー♥ らしてくださーい♥」

 

「なら、これ握っとけ、扱くなよ。俺が扱いたって判断したら、終わりな」

 

「ら、らじゃ〜♥ ぁふ♥ あっつ〜♥ ―――ぁ♥ すごー♥」

 

「ほら、こっち来い」

 

「え゛―――そ、それはー」

 

「来い」

 

「はーい♥」

 

 寝転んだ男の腕にすっぽりと抱き締められ、身体を小さくしたエクシアは、自身を包み込む全てに暖かさを感じた。濃い男の匂いも、手に握らされたドギツい剛直も、何もかもが心の隙間を埋めていく。

 

「可愛いな、お前……」

 

「そ―――んむぅ♥」

 

(あー♥ もー♥ ずるいですー、本当にチートですねー♥)

 

 優しいキスで甘やかされて、少女は何でも許してしまいそうだと思った。自分を見て、こんな自分を可愛いと褒めてくれて、こうして抱き締めてくれて、甘やかしてくれる。

 

(ぁ♥ ―――もー……いっかー♥ チョロくてもいいでーす♥)

 

 エクシアは―――完全に堕ちた。優しく抱かれた時から好きだったが、明確に自覚すれば頭の中は指揮官で一杯になり、咥内を優しく這う舌も、頭を撫でる大きな手も―――全てが愛おしい。

 

(初心者さんが好きでーす♥ 大好きでーす♥)

 

 正直に言葉にして伝える勇気は無いが、舌を絡めて伝える事なら出来そうだと、絡めた舌に自身の恋心を乗せ、深く繋がりを求める。

 

(ぁふぅ♥ 初心者さん……好き、好きですー♥ あげますー、私をあげますからー♥……欲しー♥ 精子欲しー♥)

 

 唇が離れれば、身体に這わされた手が柔肌を優しく撫で―――燃えるような熱に浮かされる。

 

(あふぃー♥ おちんちんあふいれすー♥ あー♥ もう♥ もう♥ 好きー♥ 初心者さんー♥ 初心者さ〜ん♥)

 

 上目遣いで見つめれば、言わなくても唇が重なった。

 

(初心者さ〜ん♥ 初心者さ〜ん♥ あ〜〜♥ 好きすぎてやばい〜♥♥)

 

 バキバキに熱り立つ肉棒を握らされてから三十分が経つ頃には、エクシアはとろんとろんに出来上がっていた。

 

(ぁ〜〜♥ 好き〜♥ すき〜♥ しゅき〜♥ ―――すきすきすき、すきれす〜〜♥)

 

 脳は甘く蕩け、好きという単語が脳内で反芻し埋め尽くされていく。もし、指揮官にゲームと俺のどちらかを選べと言われれば、迷わず指揮官を選ぶ程に、エクシアは堕ちきっていた。

 

「大分上手くなったな、偉いぞ」

 

「ふへっ♥ ふへへ♥ ……そ、そうですかー♥ よかったで〜す♥」

 

「なんか……もっと可愛くなったな」

 

「ふへ♥ ふへへへ♥ 可愛いですか〜♥」

 

「ああ、めっちゃ可愛い」

 

「ふへへ〜♥ ふへへへ〜〜♥」

 

 甘々に甘やかされ、一言一句に過剰反応してくれるイケメンに、恋愛経験など皆無なエクシアは蕩けるような笑みを浮かべ、髪で顔を隠した。

 

「隠すなよ、こんな可愛い顔してんじゃねぇか、なんで隠すんだ」

 

(ぁ♥ やっぱりー♥ これ好き〜♥ もう最高〜♥♥)

 

 髪を掻き分けられギラついた瞳が近づく。―――期待していた。こうすれば、そうしてくれると思っていた……想像を超えて唇というオマケまで近づいてくるのは、最高過ぎた。

 

「……ふへ♥ ……んちゅ♥ ちゅぷ♥」

 

 瞳を蕩けさせ唇を受け入れた少女は、もうこのまま全部奪って欲しいと本気で思うほどに夢中だった。

 

「んんぅ♥ ……ぁ……」

 

 唇が離れる事に寂しさを感じ、男の体温が肌から離れるのを心が嫌がり―――エクシアは勇気を振り絞る。

 

「ぁ、あのー、初心者さん……」

 

 もじもじと恋する乙女と化したエクシアに、肉バイブになれと言った面影など何処にもない。ただひたすらに恋する乙女の姿が、そこにはあった。

 

「ん?なんだ」

 

「そ、そのー、あのですねー……そのー……」

 

 言葉を詰まらせても、男は優しく髪を梳きながら笑顔を向けて待ってくれる。

 

(ぁぅー♥ ……やっばー、こんなの好きになるに決まってますよー、うわー、もー……えっぐいなー♥)

 

「あのですねー、も、もしですよー、ほ……ほんのちょっとでも私のこと、良いなーって思ってくれるなら……こ、こここ、恋人みたいに……してほしいなーって♥」

 

 最後の方は尻すぼみになり声になっていなかったが、男はエクシアの小さな言葉を正確に理解し、笑みを浮かべた。

 

「恋人みたいに……か、良いぞ」

 

 全身で喜びを噛み締め、ぷるぷると甘イキする身体で指揮官に抱きついたエクシアは、自ら唇に吸い付き、ぺろぺろ唇を舐める。

 

「〜〜〜♥ んちゅうぅ♥ ―――♥♥♥」

 

 積極的に舌を絡めてくる少女を抱き締め、男は見当違いに少しだけ悩んだ。

 

(もしかして惚れられてるのか?……マジか?―――ホストとかに嵌りそうだな)

 

 たっぷりと舌を絡め、送り込まれる唾液をこくこくと飲み干した少女は熱い息を吐き出し、潤んだ瞳を男に向ける。

 

「初心者さーん♥ 恋人えっちしてくださーい♥」

 

 まん肉を割り開き、迎え腰でへこへこと種乞いしたエクシアの卑猥な姿に、男の肉棒がビクンと跳ね上がった。

 

(アークにホストクラブが有るかは知らないが、この調子ならド嵌りしそうだ……ちゃんと躾けとくか)

 

「―――はぅ♥ んぉ゛♥」

 

 ちゅぷっと膣口に肉棒を宛てがわれ、男の大きな手が下腹部を捏ね回し、甘く重い痺れに身体をビクつかせる。

 

「―――は、早くほしいれすー♥ 射精してくださーい♥」

 

 期待に瞳を蕩けさせたエクシアの予想に反し肉棒が下に滑り、にゅぶりと肉を掻き分ける。

 

「え゛♥ !?そっちぃ゛ぃ゛―――ぁ゛♥ おぢりー♥ ぉ゛―――〜〜〜ぁあ゛♥ おっきっ゛♥ ぁ゛ぎゅ゛♥」

 

 ミッチリと縦に割れた窄まりを穿った肉棒は、奥深くまで突き刺さりエクシアを虐めた。

 

「……ッ゛……すげッ」

 

 締め付けとうねりが段違いに強く、ミチミチと肉棒が搾られる。

 

「ぉ゛ぢり〜♥ おぢりあぢゅぃ♥ ―――ぉ゛っ♥ ぉ゛っ゛♥」

 

 濁った喘ぎを漏らすエクシアが落ち着くのを待ち、男はエクシアの頭を撫で悪戯な笑みを見せる。

 

「俺を肉バイブにしようとした罰な。今日はこっちにしか出してやらねー」

 

(ぁ♥ ―――だめ♥ ……そういうとこ……大好き♥ あ゛〜……もーホント好き♥ 大好き♥ ―――もー、むり♥)

 

「―――初心者さん♥ 好き♥ ―――好きれすぅぅ♥」

 

(ぁ……ぁぁ―――言っちゃったー)

 

 エクシアの思考は止まる―――気持ちは隠すつもりだった。好きだと伝えても……指揮官を困らせるだけだと―――

 

(……困った顔なんて見たくなか―――)

 

 ―――思っていた。

 

「……そうか、ありがとな―――俺も好きだ」

 

 鋭い目が優しく見開き、少しだけ頬を赤く染めた男が―――照れたように笑った。

 

「ぇ♥ 〜〜〜♥♥♥」

 

 向けられた笑顔に少女の心で花が咲き誇る。

 

(―――♥♥♥ ぁ♥ ぁ゛〜〜……これだめだ〜♥ ばかになりゅー♥)

 

「初心者さん♥ 好き♥ 好きー♥」

 

「何度も言わすな―――俺もちゃんと好きだ」

 

「ぁ゛♥ ぉ゛ぉ゛〜〜〜♥ ……しょ、しょひんしゃ、しゃーん♥」

 

「あ?」

 

「しゅきぃ♥ しゅきれぅー♥」

 

 エクシアの人生は今この瞬間から光に溢れた。

 

(こ、この為にニケになったんですねー♥ 過去の私、ナイスー♥♥♥)

 

「―――俺もだよ、エクシア」

 

「だいしゅきれ〜す♥♥♥」




コラボが始まりましたねー!まさかのチェーンソーでびっくりでしたが……背中で魅せるならニーアかライザだと思うんですがねー。マキマさんもパワーも厚着すぎだろッ!!


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33 ★ エクシア 下 三人称

 寝転んだ指揮官の身体にぴとっと身を寄せた少女は、熱い粘液を吐き出されたお腹に手を置き、ゆっくりと撫で擦った。

 

「あふー♥ ……お腹熱いですよー♥」

 

 念願叶った強烈な精をその身に受け、自然と笑みが零れる。男の手が髪を梳き、とろとろに蕩けそうな程の幸せに包まれながら、エクシアはぶるりとその身を震わせた。

 

「へぅ♥」

 

「―――身体大丈夫か?」

 

「ぜ、全然オーケーですよー♥ むしろバッチこーい♥」

 

 頬を綻ばし、冗談交じりに呟いたエクシアは優しい瞳に絡め取られ、男の腕に顔を擦りつける。

 

(もー、なんでそんな目で見るんですかー♥ あーもー……オラオラ系イケメンに甘やかされるのって、さいこー♥♥♥)

 

「……俺も興奮して大分乱暴にしちまったからな。特にこことか」

 

 少女の身体に不釣り合いな桃尻を掴まれ、揉みしだかれる手の甘い痺れに酔い痴れた。

 

「あぅん♥ ……凄ーく♥ 気持ちよかったですよー♥ もっとしてもいいんですけどー♥」

 

 お腹の奥で疼く熱が熱さを増し、チラチラと下手な流し目を送ったエクシアは、ギラつく瞳に身体をぶるりと震わせた。

 

「あ?……ヤるに決まってんだろ、勝手に終わらすな」

 

「ん♥ ―――た、確かに御立派様がガッチガチですもんねー♥」

 

 身体を揺すると、たぷたぷになったお腹が鮮明に行為を思い出させる。あんなに吐き出したにも関わらず、ガチガチに熱り立つ肉棒をさわさわと撫でたエクシアは、熱に浮かされたように顔を近づけようとして―――肩を掴まれた。

 

「おいこら、バッチイだろが、やめろ」

 

「わ、私のお尻はバッチくないですよー!舐めるんですー♥ ぺろぺろしたいんですー♥」

 

 ぷりぷりと駄々を捏ねる少女は、手の中で跳ね上がった肉棒に笑みを深める。

 

「―――ぁ♥ 反応しましたねー♥」

 

「―――舐めたらキスしねーからな」

 

「そ、それは嫌です!仕方なく我慢しまーす♥ ―――えっと、じゃあー♥ ……挿れますかー?」

 

「いや、シャワー浴びたら、こっちに挿れてやる」

 

「んぉ゛♥」

 

 桃尻を弄んでいた手が股座に滑り込み、ちゅぷっと吸い付く雌肉に差し込まれる。ぐにぐにと関節を曲げた指が膣壁を押し込み、エクシアはぷるぷると快楽に悶えた。

 

「ほら、お強請りしろ。やらねーなら挿れてやらねぇぞ」

 

「ぉ゛♥ ゆびちゅよっ♥ ―――ぉひっ゛♥」

 

 覆いかぶさった男に身体を抑えつけられ、お腹側の膣肉をごりごりとお仕置きされた身体がビクンッと跳ね上がる。躾けられた雌肉が強く指を締め付け、男は薄く笑みを浮かべた。

 

「ん?……ギチギチに締め付けてんじゃねぇか―――欲しがりが」

 

(ああ♥ もう好きにしてー♥ 意地悪なとこ大好きー♥ きゅんきゅんするー♥)

 

 こりこりに充血した弱点を指で押し込まれ、へこへこと腰を浮かせたエクシアは(こび)(こび)の甘ったるい声で、男の精神を揺さぶりにかかった。

 

「ひぅ♥ ……わ、私の〜、とろとろおまんこー♥ 強強おちんちんで躾けてくださぁぁい♥」

 

「―――ッッ……お前、えろすぎんだろ」

 

 筋骨隆々な身体に押しつぶされそうになった身体がいきなり宙に浮き―――エクシアは咄嗟に逞しい身体にしがみつく。

 

「―――シャワー行くぞ」

 

 肩に回された手と、脚を抱える腕の感触……カッコいい横顔が直ぐ近くにある。お姫様抱っこで抱き上げられたエクシアは両手で顔を覆い、真っ赤に染まった。

 

「ひっ、ひぅぅ♥ お、おお、重たくない……ですか♥」

 

「あ?重いに決まってんだろ。頑張ってんだよ。言わせんな」

 

(―――ぁ♥ それ良いですねー、軽いって言われるより嬉しー♥ 重たいけど頑張ってるって……愛情やっばー♥)

 

 小さな事に愛を感じる。自分がここまで単純な思考回路をしていたのは驚きだが、幸せだからいいや思い、少女は男の首に手を回した。

 

「♥♥♥ ―――重いのにしてくれる方が嬉しいでーす♥」

 

「こんなんで喜ぶなら何時でもしてやるよ」

 

「もー♥ 初心者さーん♥ 好きー♥」

 

 後日、この時の事を自慢気に語ったエクシアのせいで、アニスを姫抱きすることになる事を指揮官はまだ知らない。エクシアのピー倍ある体重は、流石の指揮官でも苦労し、汗を吹き出しつつ笑顔で乗りきったその姿に、エクシアは陰から拍手を送った。

 

(おおー、凄ーい、流石ですねー♥ ―――こんどは駅弁して貰いましょー♥)

 

 持ち前の危機察知能力で、更なる試練が襲いかかる事を予見した指揮官は、その身を震わせた。

 

(嫌な予感がぷんぷんしやがる……やっべぇな、本格的に鍛えねぇと……ジム行ってもトレーニングにならねぇし―――どうすっかなー)

 

 ジムに脚を運んだ際の記憶を思い出し、更に頭を悩ます結果になった事は、言うまでもなかった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 シャワー室に連れ込まれた少女は、背中に強く押し付けられる肉棒の熱をじんわりと感じ取り、身体を這い回る大きな手に未熟な肢体をくねらせた。

 

(すっごいねっとり触ってきますねー♥ そんなに楽しい身体してませんけどー)

 

「ぉ゛♥ ざ、ざこ乳首ぃ〜♥ ―――ひぅ♥ ひぅぅ゛♥」

 

 こりゅっと乳首を捏ねられ、掌で味わうように撫で回される。ピンと尖った雑魚乳首から甘い痺れが広がり、唇から涎が零れた。

 

(ちくびっ♥ ちくびしゅごぃ〜♥ ―――いく♥ ちくびで、いきましゅぅ〜♥)

 

「ひぐっ゛♥ ぉ゛♥ ―――ん゛ぅ゛♥ 〜〜〜ひぅ、ひぅ♥ ……ふぅー♥ ふぅー♥ ……しょ、しょしんしゃさーん♥ さ、触り方ぁ〜♥ えっちですよ〜♥」

 

「そりゃそうだろ。えっちな身体してんだ。ちゃんと触らねぇと勿体ねぇだろが」

 

「あぅー♥ そ、そうやって何人のニケをコマしてきたんですかー♥ ―――あっ……」

 

(―――あぅあぅあぅあぅあぅ〜〜〜〜、な、何をトチ狂ってんですかー私は!どう考えても面倒くさい彼女面じゃないですかー!)

 

「ん?―――エクシアで三人目だな……不誠実で悪いな」

 

 口では悪いと言いつつ、男の謝罪には気持ちが籠もっていなかった。男には信念があり、それに準じた行動に伴った結果エクシアを手籠めにすることを決めた。そこに後悔など一切無いからだ。

 

(やっぱ気にするよな。気にならないようにしてやらないとな)

 

「い、いえいえー、ぜ、全然オーケーでーす!」

 

 そんな男の謝罪に対し、エクシアは想像よりも少なかった人数に少しほっとした。順番待ちは少なそうだなーとぼんやりした頭で考えていると、身体がくるりと反転させられ、指揮官の顔が近づいた。

 

「こんな事言うつもり無かったけどな―――」

 

「はえ?」

 

「他の女なんて気にならないようにしてやる、お前は俺の女だ」

 

「―――♥♥♥ ……ひゃい♥」

 

(あー♥ すっごくどうでも良くなったー♥ チート過ぎ、もうやばすぎー♥)

 

「困った事があれば俺に言え。全部どうにかしてやる」

 

(あぅ♥ ―――こ、困りましたー♥ 好き過ぎますー♥ ほ、本気で言ってるのが分かるから、余計にたちが悪いですよー♥)

 

「あ、あのー……す、好きになりすぎて困ってまーす♥」

 

 特大の惚気を決めたエクシアに対し、余りにも想定外な困り事を言われた男は薄く笑みを浮かべ、小さく呟いた。

 

「……それは―――困ったな」

 

「ふひひ♥ 本当に、困りましたねー♥」

 

 頭を悩ませた男の身体を指でいじいじと擦るエクシアは、普段から想像できないほど幸せそうに甘い雰囲気を醸し出す。イチャイチャぬるぬると身体を擦り付け、洗っているのか交尾しているのか分からないほどに絡み合い、小さなシャワー室は二人の愛の巣に変貌を遂げていた。

 

「……わ、私にして欲しいこととか無いですかー♥ 何でもしますよー♥」

 

「そうだな……じゃあ―――」

 

 薄く笑った指揮官は、エクシアの長い髪をゴムで纏め、耳元で囁いた。

 

「舐めてくれるか?」

 

「はぅ♥ ―――はーい♥」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 水音が狭い室内に反響する。ぴちゃぴちゃ、ちゅぱちゅぱ―――シャワーは既に止まっており、水が零れるような事はない。音の発生源は男の股座に顔を近づけた少女から聞こえた。荒い熱の籠もった息を吐き、伸ばされた舌ベラが、太い幹に這わされる。ツツーと舐め上げた少女は、雁の溝に尖った舌先を押し当て、汚れをこそぎ落とすように舌ベラを這わした。

 

「ふぅー♥ ふぅー♥ れるれる♥ ……ま、まだ咥えちゃ、らめれすかー♥」

 

「駄目だ。舐めるだけだ。咥えるな」

 

「ふぅぅーー♥」

 

(―――ひっどいですよー♥ あ゛あ゛ー、ちんちんしゃぶりたーい、くち一杯に頬張りたーい♥ おくち全体で味わいたいー♥♥)

 

 熱い鼻息が亀頭にかけられ、男は笑顔でエクシアの髪を撫でる。瞳を蕩けさせ、ぺろぺろと肉棒を舐めるエクシアは最高に可愛い。このまま何時間でも舐めさせていたかったが、撫でられてテンションをぶち上げたエクシアが顔全体で頬ずりしてきたため、敢え無く断念することになった。

 

「ぁうー♥ ちゅぱちゅぱしたいー♥ なめなめだけじゃ、やーだー♥ ほらー初心者さ〜ん♥ 熱々ですよ〜♥ ―――あふあふのー、おくちまんこれすよー♥」

 

 指で大きく口を開け舌ベラを蠢かしたエクシアは、浅ましくチン乞いに励んだ。男の持つ端末で鮮明に撮られながら、見せつけるように舌ベラをれろれろと蠢かす。自身が提案した事とはいえ、カメラを向けられてえっちな姿を撮られる事は、エクシアの肢体を熱く火照らせた。

 

(あー撮られてるー♥ 濃厚フェラシーン♥ 映像に残っちゃいますよ〜♥)

 

「まだ駄目だ。可愛くぺろぺろしろ」

 

「は、はいー♥ んちゅ♥ ぺろぺろ♥ れるれる、れりゅぇ♥ れろれろぉ♥」

 

 端末のカメラを構えながら、エクシアの拙い奉仕をうける男は意外と悪くない事に少しばかり驚いた。エクシアから動画を取って欲しいと提案された時は、男は少しばかり嫌な顔を浮かべた。目の前の女に集中したいタイプの男は、口八丁で強引に押し通され、結局はこうしてカメラを構えているが、映像と肉眼両方で楽しめる点と―――少女の痴態が保存されているという事実に、肉棒はギチギチと膨らみを増していた。

 

「んちゅぅう♥ はっぷ……ぅ〜♥ ん、はぁむっ♥ んれりゅりゅ♥ ……おくちおまんこに欲しいれすー♥ ちょうらーい♥ ちょうらーい♥ 初心者さ〜ん♥」

 

 幹を扱かれ、頬ずりする少女の潤んだ瞳が映像に残される。どこからどう見ても媚びっ媚びのご奉仕に、男の我慢は限界に近づいた。

 

「―――いいぞ、好きにし―――ッ」

 

「―――あむっ♥ んじゅずず〜♥ ぢゅぢゅぢゅぅ゛♥ ぢゅるぢゅる♥ んぐぅ、んごっ、〜〜〜ふーふー♥」

 

 一息で喉奥まで呑み込んだエクシアは、喉奥に入り込んだ肉棒を更に奥まで詰め込んだ。根本までぴっちりと包まれた肉棒は、喉が隆起する度に強く締め付けられ、瞳に涙を浮かべながらもエクシアは健気に舌ベラを蠢かし肉棒に快楽を注ぎ込む。

 

「お、おい……無理するな―――ッ」

 

 男の手が掴まれ、少女の頭に誘導される。うるうると潤んだ瞳をぎゅっと瞑り、少女はゆっくりと頭を前後に振り始めた。

 

「んごぉ♥ んぢゅず♥ んんぐっ、んんぅ゛♥ ―――じゅっぱ♥ ふーふー、す、好きに使ってくらはいー、乱暴にしてほしいれすー♥」

 

 媚びた声で甘く鳴いた少女は、頭に誘導した手に力が籠もるのを感じ取る。喉の奥に入ってくる肉棒をすんなりと受け入れた少女の、上目遣いで潤んだ瞳が指揮官をジッと見つめる。

 

「―――すまんが、ちょっと乱暴にするぞッ」

 

「んもっ♥ んんぅぅう゛♥♥♥ ―――〜〜〜♥ んぽっ、んごっ、ぉごっ、んぐっ……んんぅぅう゛♥」

 

 頭を掴まれじゅぽじゅぽと小さなおくちに肉棒を突き挿れられた少女の瞳は蕩けきり、乱暴におくちを使われたにも関わらず、雌肉からは濃い蜜がぽたぽたと垂れ落ちた。

 

(―――こ、これ♥ ……やばい〜♥ おくちで、おくちでいくっ♥ ―――ゃ、ゃっば〜♥ ……ぃく゛っ゛♥ いぐぅ゛ぅうう゛♥)

 

 ぷしゅぷしゅと嬉潮を吹きながら、喉奥を抉られた少女は、身体を何度もビクつかせる。

 

「ッッ……だすぞッ」

 

「―――〜〜〜♥♥♥」

 

 喉奥に深く入り込んだ肉棒が大きく震える。直接胃に向かって吐き出された熱い塊が、少女の身体に流れ込む。二度大きく跳ねた肉棒がズルリと抜き取られ、小さなおくちに溜めるように余った精を吐き出した。

 

「―――ふーっ♥ ふーっ♥ んじゅりゅ♥」

 

「ッ―――グッ……ッ」

 

「んぶっ♥ んくんく―――じゅずず、れりゅろ♥ ぢゅず、ぢゅっぱ♥」

 

 頬袋を膨らませるも、大量の精を吐き出す事無く少女の喉が隆起を繰り返す。喉が蠢く間も亀頭に強く吸い付き、鈴口を舌で穿り肉棒の吐精を手助けする。

 

「クッソ、貪欲過ぎんだろッ」

 

「んぅぅ♥ こくこく、れりゅれりゅ♥ ぢゅずずぅぅ♥ ―――!!っ゛♥ ―――〜〜〜ん゛ん゛♥♥♥ ……んっくんっく……ぢゅりゅ、こくこく♥ んあ〜〜♥」

 

 大半の精を飲み干したエクシアは、舌ベラをれろれろと蠢かし、おくち一杯に溜まった精液溜まりをカメラに見せ付け、甘く蕩けていた。

 

「……ま、まらこんらに……およいれまふれー♥」

 

 淫靡にねっとりと舌ベラを蠢かし、自身の身体に指をはわした少女は、くちゅくちゅと雌肉を掻き回した。

 

「ほっち……んっく、こくん♥ ―――しょしんしゃさ〜ん♥ こっち♥ こっちにも欲しいれすよ〜♥」

 

「―――ごくッ」

 

 余りにも淫らに男を誘う少女の姿に、肉棒の苛立ちは頂点に達した。両脇をガッシリと掴まれた少女は壁に押し付けられ、ギラついた瞳で射抜かれる。

 

「はっ♥ はっ♥ はやく〜♥」

 

「―――挿れるぞ」

 

「はっ♥ はぅぅ゛♥ ―――ぉぉ゛♥ しゅご♥ ……ぉ゛♥―――おっき♥ さっきよりお゛っきぃ゛〜〜゛♥」

 

 声にならない声を出し、エクシアは快楽に咽び泣いた。片足を抱えられ肉棒で突き上げられた身体が宙に浮いたような錯覚に襲われる。壁に押し付けられ力強い筋肉が身体に覆いかぶさり、肌の隙間を埋める。擦り合わされた肌からも、突き上げられる肉棒からも、快楽が湯水のように湧き上がった。

 

「―――〜〜〜♥♥♥ ぉ゛おぉ゛♥」

 

(こな)れた、マンコしやがってよォ!子宮まで熟れてんじゃねぇかッ!」

 

「んほぉお゛♥♥♥ っっっ゛―――〜〜〜♥」

 

「何回イッてんだッ。言ってみろッ!」

 

「ぉ゛ぎぃぃ゛♥ ―――〜〜〜♥♥♥」

 

「言えって言ってんだろがッ!無視すんじゃねぇぞッ!!」

 

「!!?ぁ゛―――〜〜〜♥♥♥ っひ……っ゛っ゛っどれしゅ♥♥」

 

「ああ?」

 

「ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉおおん゛っ♥♥♥」

 

「……ッ、締め付けヤベッ、えろい身体しやがってッ」

 

「ぉ゛っひ♥ ぉぉ゛♥ 〜〜〜ぃ゛ぃ゛♥」

 

 小さな身体を突き上げ、ずっしりとした重みが肉棒を深く食い込ませる。半ば意識が飛んでいる少女の両足を抱え、大きく突き上げた男は、壁に小さな身体を壁に押しつけ、何度も雌肉を耕した。

 

「―――おら、イケッッ」

 

「ぉ、ぉっふ♥ ……ひゃ♥ ……ひゃーぃ♥」

 

 吸い付く子宮を殴り付け、腰の振りを早める。

 

「んぉ♥ ぉ゛ぉ゛♥ !!―――〜〜〜ぉ゛♥ ……っぶ、っふ♥」

 

「イキ過ぎだろッ、何回イッてんだッ!」

 

「んぉっ♥ じゅ、じゅっと♥ じゅっと、れーしゅ♥」

 

「―――なら、もっかいイッとけッ!!」

 

「ぁ゛♥ ――――〜〜〜〜♥♥♥ ぁ゛あ゛あ゛♥♥♥」

 

「ッ……ッッ」

 

(クソッ……でるッッ)

 

 ずりゅりと震える肉棒を抜き取った男は、へたり込んだエクシアの顔に無言で近づけた。何も言われなくても、イキ過ぎてガクガクする身体で縋りつき、エクシアは亀頭をぐっぷりと咥え込んだ。おくちに入った瞬間に、びゅくびゅくと吐き出される大量の精を反射的に飲み込んでいく。

 

(―――ぁ♥ ……っくぅ♥ またいくぅ〜♥)

 

 生臭い匂い、濃い精の味に何度も甘い絶頂を決めながら、エクシアは吐き出される精を嚥下し続けた。

 

(……はあ〜♥ 美味しい〜♥ ……なんれれすかね〜、なんれこんなに、美味しいんでしょ〜か〜♥)

 

「んぢゅ♥ ……ごくんっ、はふぅー♥ ―――れりゅ♥ ちゅぱ♥」

 

 一度では飽き足らず、肉棒に舌を這わし吸い付くエクシアに対し、男は端末を拾い上げエクシアにカメラを向けた。

 

「ほら、エクシア、ピースしろ」

 

「ぉひっ♥ ……ぃ、ぃぇーぃ♥」

 

 乱暴にハメ潰された少女はザーメンと愛液で汚れた肉棒に舌を這わせ、カメラに向かってピースサインを送る。

 

「ぉっほっ♥ ―――に、におい、やっーばー♥」

 

「お前がやりたいって言ったたんだろ、ほら、自分で撮れよ」

 

「―――いえーい♥ ぉっふ♥ ……ぴーすぴーす♥」

 

 ちんぽ目隠しで写真を撮り、エクシアは軽く絶頂した。自分から言いだした事だが想像以上にクルものがあり、一種の破滅願望に似た性癖が膨れ上がり、沼に嵌る予感がした。

 

「むふーっ♥ ふひっ……むっふーっ♥」

 

(クッソ可愛いんだが……マジでハメ潰さないか心配になる―――二人より体力が低いからな、あんま無茶苦茶は出来ねぇけどよ―――ッ、えっろいなー)

 

 にへーと快楽に浸ったエクシアと、肉棒をギチギチに苛立たせた男の瞳が混じり合う。強烈な存在感を放つ男根はまだまだ元気一杯でむしろ回数を重ねる毎に張り詰めている気がした。

 

(チ、チートちんちん、すごっ♥ あ、やば……涎が―――)

 

「じゅる……ち、因みになんですけどー、初心者さんは何回出せるんですかー?」

 

 考えたことなかった。打ち止めになるまで搾られた覚えは無い。十発も注ぎ込めばラピもアニスも気絶してしまう。三人でヤッた時も二人が気絶して終わった。一体俺はどれだけ出せるんだろうか?と男が悩み始める前に、エクシアが得意げに爆弾を落とした。

 

「―――ち、因みにー、私は幾らでもオーケーでーす♥ 気絶してもおちんちんで起こしてくださーい、一日中ずっととかー、やってみたいでーす♥」

 

(……一日中、いや、ソレをすれば自分が止められなくなりそうだな……息子が強すぎるのも困ったもんだ。最近ようやく制御できてきたが、タガが外れかねん)

 

「ナマ言ってんじゃねぇぞ、一発でへとへとじゃねぇか」

 

「あぅ♥ そ、それは……そうですけどー、おちんちん辛そうですよー♥」

 

 乱暴に頭を撫で回されたエクシアは、男に寄り添い、しゅこしゅこと硬い肉棒に手を這わし、男の乳首を舐めしゃぶった。

 

「マジで止めと―――ッ」

 

「んちゅりゅ♥ れりゅれりゅ♥ おいしー♥」

 

「―――挿れるぞッ」

 

「ちゅっぱ♥ んぅぅ♥ とろとろおまんこにくださーい♥ な、中で射精しても、いいんですよー♥ ―――ぁ゛♥ っ゛、つよっ♥ こ、こしふりぃ゛い゛♥ はや゛ぃ゛〜〜゛♥♥♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

(はあ〜〜♥ ……やっぱり、こっちには射精してくれませんでしたねー)

 

 シャワー室でもしっかりと嵌め潰されたエクシアは、ぼんやりと蕩ける頭で、指揮官に連れられソファーに座り込んだ。ぽっかぽかに仕上がった子宮には先走りが纏わり付き、自分の身体とは思えない程の熱を放ち、甘い疼きが身体を蝕んでいた。

 

(……少しだけ残念です……ちょっとだけ期待しちゃいましたよー)

 

 ぶっくりと膨れ上がった肉棒を子宮にぴったりと押し付けられた時は凄く期待した。ビクビクと大きく震えた肉棒を思い出し、エクシアは下腹部を撫でる。結局は熱々の精液が射精される間際に抜き取られ、全身にぶっかけられたのだが、それはそれで大変に宜しかった。

 

(あ゛〜〜♥ でもぶっかけられるのも癖になりそうですね〜♥ あっつい子種でべとべとにされるのも最高でした〜♥ ……でも、子宮が疼くんですよー!!)

 

 情緒不安定に蕩けたり、いじいじしたり、髪を掻き回したりと忙しそうな姿を横目で見た指揮官は、手に持ったドライヤーの温度を確認しエクシアに声を掛けた。

 

「なにしてんだ、こっち来い」

 

「―――はーい♥」

 

 ドライヤー片手に手招きする指揮官を見れば、鬱々とした感情は消え去り、ぱたぱたと抱きつくように飛び込んだエクシアを受け止めた男は、少女の身体をひっくり返し股座に少女を座らせる。

 

「……落ち込んだり喜んだり、忙しそうだな」

 

「だ、誰のせいだと思ってるんですかー♥ 初心者さんが幼気な少女を揶揄うからー、こんなになるんですよー♥」

 

「―――揶揄ってねぇよ」

 

「え゛―――♥」

 

「お前はもう俺の女だろが」

 

「―――ひゃぃ♥」

 

 とんだスケコマシ野郎に綺麗に転がされた少女は男の胸板に背を預け、にへにへと笑みを綻ばせる。ぽかぽかに仕上がった首筋に手が這わされれば、ぴくりと敏感な身体が反応した。

 

「んぅー♥ えっちな手ですねー♥」

 

「あ?髪纏めてんだろが……自分でするか?」

 

「あー!……嘘です!嘘でーす!調子に乗りましたー!」

 

「わかったから、ジッとしてろ……動くな」

 

「―――ひゃぃ♥」

 

 男のシャツを身に着けた少女はニヤニヤと服の匂いを嗅ぎながら、髪を撫でる手の幸せに浸った。洗剤の匂いの奥にほんの僅かに香る男臭い指揮官の匂い、彼シャツは良い物だと脳が蕩けそうになる。

 

「ふひ♥ ふひひ♥」

 

 俯けば散々に虐められた二つのポッチが浮かび上がっており、ダボダボなシャツが擦れ甘い痺れを齎した。絶対に持って帰って寝間着にしようと心に決め、男の手付きに集中すれば、見た目に似合わぬ手際の良さと優しい手付きに―――頬は染まり思考もどんどん蕩けていく。

 

(ん〜〜♥ 優しい〜♥ 好き♥ 大好き〜♥ ……あ゛〜♥ ポイント高すぎー♥ とんだチート野郎でしたねー♥)

 

「綺麗な髪してるよな。めっちゃ良い匂いする」

 

「ぁぅ♥ ……あ、あんまり嗅がないでくださいよー♥」

 

「あ?なんでだよ」

 

「―――は、恥ずかしいんですー♥」

 

「なら、もっと嗅がないとなー」

 

(ぁ♥ もぅむり〜♥ 好きが溢れすぎて馬鹿になりそうですよー♥ ……なんでこんなにドキドキするんですかー♥)

 

 髪を乾かす手が触れる度に、身体の奥から湧き上がった熱がエクシアを侵食していく。全身が子宮の熱と同調したかのように、汗が滴る程熱を持った身体を抱き締め、もぞもぞと動き熱を逃そうと頑張った。

 

「くねくねすんな、えろいんだよ」

 

「む、無理ですよー♥ お腹あっついんですー、しょ、初心者さんが意地悪するからですよー♥」

 

「……へえー、そりゃ良かった。ずっと俺を意識しとけよ。ゲームに負けるとか、あり得ねぇからな」

 

「―――へぅ♥」

 

(あー、無理無理ー♥ えっちしたい♥ ずっと挿れてて欲しい〜♥ 寂しい、お腹寂しいんですよ〜♥)

 

 手際良く髪を乾かされれば、手持ち無沙汰になった男の手は少女の身体に這わされる。じくじくする子宮の熱に浮かされた少女は、男の手をやんわりと押さえ、立ち上がった。自身の身体を見せつけるようにシャツを捲りあげ、浅ましく懇願した。

 

「―――しょしんしゃさ〜ん♥ えっち♥ えっちしたいれすー♥ おまんこに〜♥ 射精して欲しいですよ〜♥」

 

 シャツの裾を口に噛み、瞳に♥を浮かばせたエクシアが蜜を垂れ流す。薄桜色に色づいた身体から色気が立ち昇り、ふーふーと吐き出される荒い息が、少女の興奮を表していた。男はエクシアの腕を掴み、ソファーに引きずり込むと耳元で囁いた。

 

「ッ……駄目だ」

 

「ぅぅ〜〜♥ ぅぅ〜〜、ど、どうしてもですかー?」

 

「どうしてもだ……可愛く言っても駄目だからな。罰は罰だ」

 

「♥ ぁぅ♥ そういうとこもー大好きですけどー♥ ……ふひっ♥ 初心者さんは鬼畜ですよー♥」

 

(こんなに火照った子宮に注いでくれないんですからー♥)

 

 お尻に当たる硬い感触が指揮官の興奮を表していた。駄目だと言われても、すりすりとお尻をさすり付けるお強請りは止められそうにない。

 

(あー、もー♥ 硬い〜♥ おっきくなってるのに〜♥ ずぼずぼして欲しいんですよ〜♥)

 

 もぞもぞと挑発する少女の腹部に手を回した男は、服の上からふにふにと下腹部を揉みほぐし、トンと強く指を押し付けた。

 

「ぉ♥ しょ、しょこぉ゛♥ ―――しきゅう゛ぅ゛♥♥♥」

 

 強く押し付けられた指がぐにぐにと奥を刺激し、エクシアは甘い絶頂に身を震わせ、何度も甘イキを繰り返す。

 

「帰ってからも、ちゃんと自分で虐めろよ」

 

 トントンと太い指で叩かれると、子宮がびくびくと痙攣し痛みを感じる程に収縮する。

 

「ぉ゛ぉ゛♥ ひぃ゛♥ ―――ぁい♥ はいぃ♥ ちゃんとしましゅー♥」

 

「よしよし、良い子だ。ちゃんと出来たら、次は―――満足するまでヤッてやる」

 

「ぁ゛ぁ゛♥♥♥」

 

 どちゅっと下腹部に深く指を押し込まれグニグニと揉み込まれる。肉棒に叩かれたと勘違いした子宮が疼き、頭が痺れる程の快楽に支配され涎を垂れ流した。

 

「―――あ゛ぉ゛お゛ぉ゛おおぉ゛♥♥♥」

 

 垂れ流しになった蜜を舐め取られ、唇を奪われれば、思考が真っ白になり、もうどうしようもなかった。

 

「〜〜〜〜ぁ゛あ゛♥ ―――んぅ゛ぅ゛♥ ん゛ん゛ぅ♥」

 

「ちゃんと疼かせとけ。嫌って言っても、注いでやるからな」

 

「―――ぉ゛♥ お゛お゛っ゛―――〜〜〜♥♥♥」

 

(ひぅ♥ しゅき♥ ―――♥♥♥ らいしゅき♥ ……しゅき〜〜♥)

 

「―――満足いくまでしてやるから……我慢しろ。出来るよな?」

 

「―――ぁ゛♥ ひゃ♥ ―――ひゃぃ〜♥ が、がま、んぅ゛ぅ゛♥ ……しましゅ〜〜♥」

 

「良い子だな、エクシア……好きだぞ」

 

「ひぅ♥ ひぅぅ♥ しゅき♥ らいしゅきれしゅ〜♥」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

(あ゛〜〜♥ 幸せですね〜♥ もうずっとこうしてたいでーす♥ 一緒に住みたーい♥)

 

 おはようからお休みまで、大好きなゲームと大好きな指揮官がいればどれだけ幸せだろうか。天井知らずに欲望が溢れるのは―――下腹部に蓄積した熱が原因だろう。

 

(あ゛〜〜、最高すぎますねー♥ イケメンに抱き締められて愛されて♥ ……私に向けられた好きが、ラピに向けられてる好きと違う事くらいは分かってますけど、それでも十分幸せですねー♥)

 

 まだ、出会ったばかり……ラピ含むカウンターズの面々には時間というアドバンテージがある。同じ好きを向けて貰えるとは思っていなかった。それは仕方の無いことで、時間が解決してくれる事は分かっている。それでも、燃え上がる乙女心は、もっと好きになって欲しいと叫んでいた。

 

(でも、もっと好きになって欲しいですよねー、どうすればいいでしょーかねー、私が力になるのは当たり前ですしー、戦闘は認めて貰えないからー、おちんちんにご奉仕するのは……私がしたいだけですねー♥ ……なら、私に何が出来るんでしょーか。こんな事で悩むのは初めてですねー、てきとーにやっても何でも出来ますしー、やっぱり参謀ポジですかねー♥)

 

 超がつくほどに優秀なエクシアは、今まで悩んだ事など殆無かった。人間関係について悩んだ事はあれど、仕事については、ましてや自分の能力についてなど悩んだ事は無い。頭脳労働は悩むまでもなく何でも出来た。

 

(後方から見守って、危ない時はちゃんと守ってー、帰って来た初心者さんに溺愛される♥♥♥ ……やばー、これ凄くいい考えですねー♥ 戦場で高ぶった初心者さんが私を―――)

 

「―――ごくり♥ ……ぐふふ♥ ぐふふふ♥ 良い、凄くいいですねー♥」

 

「あ?何がいいんだよ」

 

「!?―――凄くいいんですよー♥ 初心者さんと私ってー、ぴったりだと思いませんかー?」

 

「……ぴったり?」

 

「そうですよー、ぴったり♥ ですよー」

 

 指で卑猥な形を作ったエクシアは、ずぽずぽと挿入を繰り返す。にへにへと笑いながら卑猥な動作を繰り返すエクシアに、男の顔が呆れたように歪んだ。

 

「カウンターズには頭脳担当がいませんよねー、ラピが担当してるみたいですけどー、ラピも脳筋ですよねー」

 

「ん?……確かにな、ラピは戦闘がメインだからなー」

 

 ラピは冷静そうに見えるが、最終的に頼るものは全て力だ。面倒な場合は結構直ぐに武力を行為するイメージが指揮官にはあった。実際にラピは脳筋だから仕方ないが、指揮官の為に事務処理を担っている彼女は十二分に頑張っている。

 

「でしょー……だからー、私がサポートしてあげまーす♥ 初心者さんの為にー、アークで一番のハッカーが何でもしますよー♥」

 

「……それは有り難いけどな、何でもはするな」

 

「え―――ど、どうしてですか?」

 

「お前が危なくなる事はするな。本当に何でもしそうな怖さが有るんだよ、お前には……」

 

「―――た、確かに、何でもしちゃいそうですけどー、それが何で駄目なんですかー?」

 

「アークに裏切り者がいるからだ。お前に何かあったら―――俺がアークを潰すぞ」

 

「―――♥♥♥ ぁぅ♥ ……すき♥ だいすき♥ ……言う事聞きます。危ない事はしません。側に居たいです♥」

 

 うるうると瞳を潤ませ見上げたエクシアを男は強く抱き締めた。

 

「俺から頼む―――俺を助けてくれ、エクシア」

 

「―――はい♥ ずっと側にいますねー♥」

 

「当たり前だろ、ずっと側にいろ」

 

「―――あー、もー♥ すきーー♥♥♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「初心者さーん♥ 初心者さ〜ん♥ ふへへ♥ 初心者さ〜ん♥」

 

 男の胸に体重を預けたエクシアは、普段より一割増しに感情の籠もった声色で囁いた。

 

(くっそ可愛い。なまじ幼く見える分破壊力がヤバい)

 

「―――なんだよ」

 

「ふひひ♥ 呼んでみただけでーす♥♥♥」

 

「―――可愛い……」

 

「♥♥♥ ―――ふへへへ♥」

 

「マジで可愛すぎる……なあ、エクシア……前哨基地に来てくれないか?」

 

「行きます!直ぐ行きます!一緒に住みます♥ ず〜っとえっちしまーす♥」

 

「……そ、そんな即答していいのか?」

 

「良いんですよー、プロトコールのお仕事はどこでも出来ま―――」

 

 エクシアは固まった。自身の天才的な頭脳を使えば何処にいても関係ない。実際に半分以上の勤務は宿所で熟している。前哨基地―――最前線に出向く事を咎められたとしても、口八丁で言いくるめられる自信もある。しかし―――しかし……。

 

(あれ?―――ここって電波弱々……!!!??)

 

 電波だけはどうしようもない。端末を握ったエクシアは電波強度を調べ―――現実を目の当たりにした。指揮官の為に最高のパフォーマンスを発揮したとしても、電波の問題で普段よりも二割は落ちる……二割も落ちれば確実に許可されない―――非常な現実に瞳からは涙が零れた。

 

「!?お、おい、どうした!」

 

「ひぐっ、ひぐぅぅ―――ひぅぅう゛う゛」

 

 ガチ泣きするエクシアに対し、指揮官はどうしていいか分からず、取り敢えず唇を重ねた。

 

「―――ひぅん♥ んちゅ♥ ―――♥♥♥」

 

 直ぐに抱きついて唇に吸い付いてくるエクシアに少しほっとしながら、ぺろぺろと唇を舐める舌を絡め取る。ちゅぷちゅぷと水音が鳴り響き、唇が離れた頃には完全に泣き止んだエクシアは、瞳を蕩けさせていた。

 

「―――んんっ♥」

 

 流れ落ちた涙を拭い、目尻に溜まった涙は男の唇に吸い取られる。

 

「ぁ♥ ―――それ!それ好きです!♥ もっと泣きたくなりましたが……嬉しくて涙がでませんねー♥」

 

 さっきまでガチ泣きしていた少女が、直ぐに興奮する。感情の浮き沈みが激しい少女は、指揮官に抱きすくめられ悦に浸った。

 

「……はぅぅ♥ さいっこー♥」

 

「お気に召して良かったけどよ、なんで泣いたんだよ」

 

「そのー、私の仕事って知ってますかー?」

 

「天才ハッカーって聞いたな。情報収集の仕事だろ」

 

「そうですよー、私は天才ですからー、アークで一番のハッカーでーす♥ プロトコールの半分は私で担ってると言っても過言じゃありませーん」

 

「すっげーな―――ああ、そういう事か、確かに一番の天才様がこんな辺鄙な所に来れないよな」

 

「そこはどうにでもします!」

 

 常識的に当てはめた理由は食い気味で反論され男は多少驚いた。

 

「問題は……電波が悪いんですよー、どうにかなりませんか、初心者さーん!―――どうにかしてくれれば直ぐに来ます!毎日えっちし放題の私がずっと側にいますよー♥」

 

「電波……ん?そういえば、電波塔が建ってたな―――行ってみるか?」

 

「電波塔―――可能性はありますねー、初心者さんとの愛の巣を捜しに行きましょー♥」

 

 ダボダボなシャツ一枚で指揮官の側に寄り添ったエクシアは、突発的なデートに胸をときめかした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 シャツの上から羽織らされたダボダボな軍服の裾をくんくんと嗅ぎ、エクシアは指揮官を見上げた。

 

(はー……ほー……寝巻きには向いてないですけどー、これも欲しいですねー♥ ……はふぅー、これがデートですかー♥ ……こんな事をリア充はしているんですねー。一緒に居るだけで楽しいですしー、歩く速度をあわせてくれるのきゅんきゅんしますしー♥ こんな所見られたらやばいんですけどー、もうちょっと……もうちょっとだけいいですよねー♥)

 

 自身を客観視してみれば、誰がどう見ても恋しているようにしか見えない事が分かっているエクシアは、周囲を警戒しつつ指揮官の手を握り締めた。絡んだ手が心地良く、瞬く間にぽやぽやと頭はお花畑に包まれた。

 

「ほら、着いたぞ―――意外と近かったな、取り敢えず中に入るか」

 

 指揮官がカードキーを差し込むと電波塔の扉が開いた。電波塔と呼ばれているだけはあり、入って直ぐの部屋にはエレベーターの搭乗口しか無かった。エレベーターに乗り込み、イチャイチャといちゃついていれば、エレベーターは直ぐに最上階に到達した。大きな二枚扉を指揮官が開けると、広々とした空間が二人を出迎えた。

 

「意外と広いな」

 

「そうですねー、後は電波がちゃんとあれば文句なしですが……」

 

「すっげーな、なあエク―――」

 

 真剣な表情で端末を睨みつけるエクシアにそれ以上言葉を紡ぐ気にはならなかった。

 

(―――てか、そんな真剣な表情出来るのか……なんか、オーラが凄ぇ、これが天才ハッカーなのか?)

 

「お……おお―――おおおおお〜〜〜♥♥♥」

 

(!!!―――ふひひ♥ 勝った♥ 勝ち申したー♥ ここが愛の巣でーす♥ 私の新居でーす♥)

 

 真剣な表情が途端に蕩け、潤んだ瞳に見つめられた指揮官は小さく呟いた。

 

「―――行けそうなのか?」

 

「イケまーす♥ そ、それと―――イキたいんですけどー♥」

 

 軍服の前を開き、ぺろんとシャツの裾を持ち上げたエクシアの蜜が零れ落ち、ぽたぽたと床を汚していく。

 

「えろ娘が……」

 

「だ、だってー♥ ずっと一緒に居られるんですよー♥ そんなの興奮するに決まってるじゃないですか〜♥」

 

「帰ってから抱いてやる、我慢しろ」

 

「あぅ〜♥ いけずー♥」

 

「お前潮吹くだろがッ、誰が掃除するんだよ」

 

「……そ、それもそうですねー♥ それじゃー念の為にもう一度測っておきまーす」

 

 納得したエクシアのシャツが下げられ指揮官はホッと息を吐いた。再度端末とにらめっこを始めたエクシアから視線を外し、室内に歩を進める。室内は所々がガラス張りになっており、前哨基地全体が一瞥出来たが―――人や、ニケが歩いている姿は見えなかった。

 

(本当に、誰もいないんだな……如何に辺鄙な所か良く分かる。いつか活気づいたりするんだろうか?……まあ、こう見れば建物は増えてるからどうにかなるか……)

 

 余りにも人の気配が無い前哨基地。その現実を再認識した指揮官が頭を悩ませようとした所、のんびりとした口調で甘い声が掛かった。

 

「何してるんですかー初心者さーん。早くかえりましょー♥」

 

「ああ……そうだな」

 

「帰ったら、お祝いえっちしましょーね♥」

 

「ヒーヒー言わしてやるよ」

 

 髪をいじいじと触りながら、頬を染めたエクシアの言葉に苦笑した指揮官は、少女の手を掴みとり、部屋を後にした。

 

「ハァーイ♥ すっごく楽しみでーす♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 これは少し先のお話。

 

 

 情報収集の相談をするためエクシアを訪ね、プロトコールの職場に出向いた所、見事なプリケツが俺を誘っていた。

 

「あっ♥ ハァーイ……初心者さーん、いらっしゃーい♥」

 

 プロトコールの仕事は設備があればどこでも出来ると言い張ったエクシアは、今では週の半分以上を電波塔で過ごしているが、偶々タイミングが悪くこうして出向くことになった。偶に寝室に特攻を仕掛けてくるが、ラピとアニスに遮られ泣いている姿を何度か見かけた事があった。

 

「ぁ♥ あのー……っ、し、職場では、お尻を掴まないで下さーい♥」

 

「嫌なのか?」

 

「んぅ♥ い、嫌なわけないですけどー、一応お仕事中ですしー」

 

 そう言いながら、誘うようにチラチラと見てくるエクシアのダボ付いたシャツを捲り上げる。

 

「ぉっふ♥ い、いきなりっ♥ ら、乱暴ですねー♥」

 

 ぷりんと肉付きの言いお尻に無駄な布が無いことを確認する。ひくついた雌肉が淫らに蜜を零し、肉棒が苛ついた。

 

「ちゃんと履いてねーな、偉いぞエクシア」

 

「っひ♥ ふっ、ふひっ♥ しょ、初心者さんが命令したんですよー♥」

 

「お前のせいでムラついた。抱くぞ」

 

「ぉっひ♥ ふひひっ♥ はーい♥ ちょーと待って下さーい」

 

 コンソールを凄い速度で叩き始めたエクシアの胸に手を這わし、耳元で囁いた。

 

「あ?そのままケツだけ出せよ」

 

「お、お仕事……ちゅぅぅ゛う゛♥」

 

 胸を揉みしだかれ、腰が砕けたエクシアは椅子からずり落ち、震えながら立ち上がるとお尻を大きく突き出した。

 

「お、お仕事中のえっち♥ ―――やっばー♥」

 

「ちゃんと仕事しろよ、手が止まったら腰も止めるからな」

 

 ―――エクシアが素直な良い子で安心した俺は、肉棒を取り出し雌肉に宛てがった。

 

「が、がんばぁっ♥ ぉひ♥ がっんばりっっ、まーしゅ♥ ―――ぉひ♥ ぉひぃ゛♥」

 

 コンソールを叩く手をぷるぷると震わせ、次第にキーを叩く音は消えていく。垂れ下がった小さな手で必死に机を掴んだエクシアの鳴き声と、肉の弾ける音が静かな室内に木霊した。

 

「ぉっひ♥ ぉっひ♥ 〜〜〜〜♥♥♥ ぉ゛ぉ゛お゛♥」

 

 その光景をノベルに見られたとか見られて無かったとか……あの迷探偵にかかればどんな事件も真相は迷宮入りだろう。

 

「あ、あわわ、あわわわ……エクシア……気持ち、よさ……そう♥」




長すぎなんですよね。エクシアだけで三万文字超えとか……可愛いからいいか。

PS:やっっとニヒリスターを倒せましたーー!!
あと、アリスがやっっと来たーー!!ちゃっちゃと好感度を上げてくるぜ!!
……初期勢はあとミランダだけなんだけど、あのお腹にはいつ会えるんだろうか?(ピルは除く


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34『☆ ユニ』 シュガー マクスウェル

「ああっ!痛いじゃない!」

 

 朝早くからアニスの悲鳴が木霊した。毎日必ず起こしに来てくれるのは嬉しいんだが、日に日に起きるのが早くなっている気がする……今日なんて五時に起こされたんだが―――正直眠い……。

 

「……なんかあった―――か?」

 

 カウンターズの溜まり場になっている部屋に顔を出すと、太腿を押さえて蹲るアニスと、鞭を撓らせ興奮気味に舌を垂らしたユニの横顔が見え、思わず言葉が途切れた。

 

「へへ……痛いんだ……へへ」

 

「……ふぅぅ」

 

 ユニとアニスなら、アニスの方が数段強い。鞭を避ける事も可能なはずだが……もしかして、そっちの趣味に目覚めたのか?

 

「アニス、痛い?あ、痛いよね?そうだよね?」

 

「……痛くない」

 

「あれ?」

 

「ちっとも痛くないけど?くすぐったいだけだけど?」

 

 目に涙を溜めながら強がるアニスは可愛いが、真性のドSに対してそれは悪手だと思うんだよな。

 

「え、痛くないの?本当に?」

 

「うん、痛くない。ふぅ、痛くない」

 

「え……痛くなかったらダメなのに」

 

 ユニの小さな手がブレ……ピシィィィッ!!と甲高い音が鳴り響く―――うおッ、内腿は……痛そうだなー。

 

「うあぁぁっ!!」

 

「へへ。よ、よかった。痛がってくれて」

 

 頬を赤く染め舌を垂らしたユニの横顔を見て、俺はそっと部屋を後にしようとした。

 

「あ―――指揮官……へへ」

 

 しようとしたが……見つかってしまった。崩れ落ちたアニスを放置して、ユニが距離を詰めてくる―――アニスは、大丈夫そうだな。ユニの技術が高いのか、アニスの防御力が高いのかは知らないが、剥き出しの太腿はぷるぷる震え、いつも通りえろかった。

 

「ユニ、あんまりアニスに―――」

 

 体ごとぶつかって来たユニが―――ん?……な、なんか、めっちゃ押されてるんだが?……は?強ッ!?

 

「―――んで?」

 

 壁に押し込められ、両手を広げ抱きついたユニが俺を見上げてくる―――瞳が完全にキマっていた。

 

「なんで?なんで会いに来てくれなかったの?……ユニは、ユニはこんなに指揮官を思ってるのに―――お仕置き、お仕置きしなくちゃ……ダメな指揮官は、お仕置きしなくちゃいけないよね……ねえ―――指揮官はどう思う?」

 

 どんどんハイライトが消えていく瞳……ヤンデレに捕まったような、そんな気配がぷんぷんする。

 

「わ、悪かった。会いに行こうとは思ってたんだがな」

 

「……そんなの、どうとでも言えるよね」

 

「そうだな、会いに来てくれて嬉しい。ありがとなユニ」

 

「―――そ、そうなんだ……そうなんだ―――へへ、ユニが来て嬉しいんだ〜」

 

 壁に押し付けられた俺を尻目に、そろりそろりと足音を殺したアニスが俺に向かって合掌し……ぴゅーっと逃げ出した。

 

「な、なあユニ、取り敢えず、座らないか?」

 

「……いいよ、でも指揮官がユニの椅子ね」

 

「あ、ああ―――それでいい」

 

 ハイライトの消えたユニに対しYES以外の選択肢は無かった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「へへ……あったかぃ」

 

 膝の上に座りぴったりとコアラのように抱きついたユニが見上げてくるが……瞳のハイライトは消えたままだった。頭を撫でたりしたが、ハイライトの消えた瞳は変わらず、可愛いと怖いを内包した少女は……ちょっとえろい。幼い見た目に反して下半身は豊満で、ぷりぷりの太腿やお尻が触れ、嫌でも女を感じさせた。

 

「ユニ一人で来たのか?」

 

「うん。ミハラも連れてきたかったけど、シュエンがダメって……アイツ嫌い」

 

「あー、俺からも言ってみるわ。ユニもミハラと一緒がいいだろ?」

 

「それはそうだけど……指揮官と二人きりっていうのも―――いいなぁ♥」

 

「お、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか、可愛い奴め」

 

 髪をわしゃわしゃと撫でると、目に見えて表情が緩んでいくのが分かった。

 

「んっ―――うん、うん……凄くあったかい♥」

 

 瞳に光りが戻り、もじもじするユニが物凄く可愛いんだが、先程までの光景が忘れられない。俺は鞭で打たれる趣味はないから、どうにかそっち方面に進まないようにしなければ。

 

「そう言えばご褒美、あげてなかったよな」

 

「―――ご褒美?ユニ……役に立たなかったから、貰えない……」

 

「俺があげたいんだが、要らないか?」

 

「!?―――いる!ほ、本当に、ユニにご褒美くれるの?」

 

 こうやって喜ぶ姿は見た目相応に幼く見える、可愛い。嗜虐趣味がもう少し緩くなれば、皆から好かれると思うんだよなー。

 

「ああ、ユニは凄く頑張ってくれただろ。ご褒美をあげても足りない位だ」

 

「―――そ、そうなんだ!ユニ、ご褒美貰えるんだ!―――ならね、指揮官……ちゅー♥ ……したい」

 

 恍惚な表情を浮かべて、真っ赤な舌ベラを垂らしたユニが蕩けた瞳で見上げてくる。あー、若気の至りだ―――見た目幼女のユニに、ガッツリベロちゅーを決めた過去の俺を殴ってやりたい。

 

「あー、あれか……他のじゃ駄目か?」

 

「……ユニに、嘘……ついたの……」

 

 イカン、ハイライトが……。

 

「分かった。でもその前に一個聞いていいか?」

 

「……うん、いいよー」

 

「ユニは……感覚を感じ辛いんだよな」

 

「……うん、何も感じないの―――でも、指揮官はあったかい……」

 

「なら、俺がユニに触れてみてもいいか?」

 

 決してえろい意味ではない。ラピやアニス……エクシアなんかが聞けば誤解を招くが、幸い此処には俺とユニしか居なかった。

 

「指揮官が……?」

 

「ああ、俺はあったかいんだろ。なら訓練しよう、俺以外からも暖かさを感じられるようにな」

 

「……ユニは、ミハラと指揮官だけでいい……二人がいれば、それでいい」

 

 俯いたユニの言葉には重みがあった。過去に何かあったとしか思えないが……今度、ミハラにでも聞いてみよう。今はただ押すだけだ!

 

「―――俺は皆と仲良くしてるユニが見てみたいけどな。俺の為に頑張ってくれないか?」

 

「指揮官の……為?」

 

「ああ、俺の為にだ」

 

「……指揮官は優しいね。なんでユニに優しくしてくれるの?」

 

「なんでって……ユニが俺を助けてくれたから、ってのもあるな」

 

「ニケが指揮官を助けるのなんて当たり前だよ」

 

「俺はそれを当たり前とは思いたくないんだ。ユニはニケだから、俺を助けてくれたのか?」

 

「―――そ、それは……違うけど……」

 

「そうだろ、なら俺がユニを助けてもいいよな」

 

「??……指揮官が、ユニを助けてくれるの?」

 

「ああ、俺が助けてやる」

 

「……へへ♥ ……やっぱり、指揮官大好き、ユニを感じさせてね」

 

 そんな恍惚した顔をするな……決してえろい意味ではないぞ?

 

「―――ああ、感じさせてやる」

 

「うん♥ ……一杯触って、指揮官♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ピンク髪の幼女をあすなろ抱きにして肌に触れていく光景は、なかなかにヤバい光景な気がする。

 

「ユニは、叩くのが好きなのか?」

 

「ふぅ……んっ、ユニに取って、叩く事は会話なの」

 

「会話か……こうやって喋ったら駄目なのか?」

 

「んぅ♥ ……ダメじゃないけど……叩かないと分かんない。相手がユニに何をして欲しいのか……分かんない」

 

「じゃあ、俺がユニにして欲しいことを言うから。少しずつ想像していくんだ、次は俺が何をして欲しいかってな」

 

「ふぅ♥ 指揮官は、ユニに何をして欲しいの?」

 

「そうだな、今は俺の手に集中して欲しいな」

 

「へへ♥ うん、分かった」

 

 笑顔を浮かべる少女は年相応に可愛いが、手に持たれた鞭が物騒極まりない。そういう趣味の男から見ればユニは最高なんだろうな。

 

「……ふぅ……ふぅ……ふぅぅ♥」

 

 吐息にえろすを感じる。別にえろい事はしていない……ただ、肌を手で擦り、所々カリカリと刺激を与えているだけだ。

 

「―――ん♥ ふぅぅ」

 

 少女が出していい色気じゃねぇだろ。確かにミハラとSMプレイで楽しんでいたのは知っているが、それでも見た目は中くらいの学生か……こんな色気を教室で振りまいたら、ガキ共の性癖が歪むこと間違いないだろう。

 

「どうだ、手の感触は?」

 

「……んっ、うん……あったかい♥ 指揮官の手が触れたトコ……ぴりぴりする♥」

 

「ちょっとずつでいいから、ゆっくりな」

 

「―――うん♥」

 

 露出した肌に手を這わしていく、最初は手から始まり、頭を撫で、耳を触り……頬を擦る。

 

「ふぅ、ぽかぽかする……あったかぁい♥」

 

 俺の手にすりすりと頬を擦り付けるユニが小動物チックで可愛らしい。右手は掴まれてしまったので、左手で首筋を撫であげた。

 

「!?ひぅ♥ ……ぴりって……ぴりってしたぁ! へへへ♥」

 

 瞳をキラキラ輝かせ嬉しそうには笑ったユニに笑顔を返し、両手で首筋と顎にかけて擦っていく。

 

「んっ、んんぅ♥ ……あ、あつぃ♥ 身体、ぽかぽかして、あつぃよ指揮官♥」

 

 え、えろい……ほ、本当にこれで正解なのか?……幼気な少女に悪戯している気分なんだが……せ、性的に感じてる訳じゃないよな?

 

「ど、どんな感じだ?」

 

「ん、なんか……お腹がむずむずする、熱くてぇ♥ 指揮官にもっと触って欲しい♥」

 

 ……うん、分かった―――割り切ろう。俺にはコッチ方面の才能しか無いらしい。

 

「いい感じだな。次に進もう」

 

「ぁ、太腿♥ 気持ちいい、ぞわぞわって、鞭で叩いた時と似てる♥」

 

 むっちりすべすべの太腿に手を差し込み、足を開いた。膝付近から手を進め、ショートパンツの縁まで手を滑らす。何度か撫でる手を往復させ、すべすべもちもちの感触を楽しみ……ショートパンツの内側に手を差し込もうとして……はっとした。

 

 完全にスイッチが入っていた……さ、流石にヤる訳にはいかない。

 

「ぁ♥ ふぅふぅ♥ し、指揮官♥ どうしてやめちゃうの?ユニ……悪いことした?」

 

「……いや、ユニは何も悪くない……悪いのは、俺だ」

 

「へへ♥ 指揮官は悪くな―――あっ、指揮官が悪いから、ちゅー♥ してぇ」

 

 あざとい……そういうずる賢さもちゃんと持ち合わせているようだ。まあ、ニケだしな、見た目通りの年齢って訳では無いだろう。

 

「舌出せ」

 

 なんかどうでも良くなった。ユニが幸せそうだから、ヤッてしまっても良い気がする……せっかくだから、ちっさな胸も揉んでおこう。

 

「ん〜……んんぅ♥ はっぷっ、んぢゅりゅ♥ ―――〜〜〜ん゛ん゛♥」

 

 どれだけ小さくてもおっぱいはおっぱいだな。柔らかい。調子に乗って服のボタンを外し手を差し入れる。ツンと尖った乳首はこりこりに立ち上がり少女と言っても女であると思い知らされる。

 

「んぅぅ、んぅぅう゛♥ ―――〜〜〜ん゛ん゛ぅ゛ぅ゛♥♥♥」

 

 乳首をこね回すだけで簡単にイクんだな。感じにくいんじゃなかったのか?感度いいじゃねーか。

 

「はっむぅ、し、しきかっ―――んんぅ♥ ぢゅれりゅ♥」

 

 何勝手に唇を離してんだ。お前がやりたがったんだろが、俺が満足するまで逃さねぇよ。

 

「んぅぅう゛♥ ん゛♥ ん゛ん゛♥ ―――〜〜〜♥♥♥」

 

 ユニの唇を凌辱した。ツンと尖った色素の薄い乳首に舌を這わし、何度も快楽を刻みつけ、小さな身体がびくびくと跳ねるのを楽しみながら、ユニとの訓練は……長く続いた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 やっちまった。結局、少女の肉を貪り、小さな肉芽での快楽を刻みつけてしまった。上も下もたっぷりと可愛がり、3つの肉芽をこりこりに仕上げてしまった―――言い訳をさせて貰えるなら……ヤッてない!ヤッてないからな!!滅茶苦茶我慢したからなッ!!

 

「へへ♥ へへへ♥」

 

 ぽやぽやと夢見心地の少女が腕に抱きつき、身体をさすさすと擦り付けてくる。コマンドセンターの外までぴったりと寄り添ったユニが、何度も手を撫で、離れるのを嫌がるように名残惜しげに手を離した。

 

「ぁう……しきかんっ、またね〜♥ つぎはも〜とも〜〜っと、いっぱい、しようね♥」

 

「あ、ああ……またな」

 

「へへ♥ へへへ〜〜♥」

 

 ぼんやりと焦点がブレた瞳でうっとりと笑みを零したユニは、少しフラフラしながら帰っていった。ユニを見送りがてら外で煙草を吸っていると、重低音の排気音が凄いスピードで―――近づいて来てる?

 

「あ?……なんだ―――バイク?って、コッチ来てねーか!?―――ッオォ!?」

 

 危っねぇ!?暴走バイクじゃねぇか……。危うく轢かれる所だった。

 

「動くから危なくなったじゃない……ぎりぎりで止めて驚かそうと思ったのに」

 

 銀髪の女が無表情で呆れたように呟いた―――おまッ!?マジか!?フザケンなよッ!

 

「危ねぇことすんじゃねぇ!」

 

「あら、随分な言い草ね。動いたのはそっちでしょ」

 

「ア!?バイクが突っ込んで来たら避けるだろがッ!」

 

「……それもそうね。初めまして、シュガーよ。アイラブユー」

 

「ハァ?―――初対面だろ?」

 

 銀髪で赤目、パンク風なファッションをしている女はそう言って……投げキスを飛ばした。久しぶりに普通のファッションセンスをしているから、ほっとしたが……残念、頭がオカシかったようだ。

 

「恋に時間は関係ないの、まあ冗談だけど……ファ●クユー」

 

 ビシッと指を立てた女は、やはり何を考えているのか分からない表情で喧嘩を売ってきた。端正な顔立ちなのが……なんかムカつく。

 

「……それも、冗談か?」

 

「いいえ、本気よ」

 

「アア゛!?喧嘩売ってんのかッ!」

 

「―――いいツッコミ。ミルクみたい……貴方とは仲良くなれそう」

 

「俺が仲良くなれねぇんだよッ!」

 

「……え、どうして?」

 

「本気で言ってんのか!?」

 

 信じられないと言わんばかりに小さく呟かれた声、それでも表情が変わらないのは普段からこんな調子なのか、それとも頭がイかれてるのか……どっちにしろ、会話をするのが辛いタイプな気がする。

 

「冗談よ……パートナーとは仲良くしたいから、どうすれば仲良くしてくれる?」

 

 冗談ばっかじゃねぇか、初対面からハードル高すぎだろ……。

 

「仲良くしたいのか?」

 

「ええ、これは本気。第一印象から決めていました」

 

 クールな反面、必ず冗談を言わないといけない縛りでもあるのか?

 

「―――そうだな、じゃあバイクに乗せてくれよ。そのカッコいい奴にな」

 

 バイクは久しぶりに見た。しかもかなり馬力がありそうだ。これには胸が躍る。

 

「!?ブラックタイフーンに……乗りたいの?」

 

「ブラックタイフーンって言うのか……乗りたいな」

 

 ぷるぷる震えたシュガーは、ズンズンと距離を詰め、俺の手を両手で握った。表情の違いは分からないが、心なし嬉しそうな顔を浮かべている気がする。

 

「……私は今―――猛烈に感動してる……まさか、ブラックタイフーンの良さを分かってくれるなんて、パートナー!乗って!飛ばすわよ!!」

 

「お、おい!? 強ッ、引っ張んじゃねぇよ!?」

 

 強引に引っ張られ、有無を言わせぬ鋭い目つきで睨まれる。しぶしぶシュガーの後ろに跨り、肩に手をかけた―――乗せてくれより、運転させてくれの方が良かったかと、後悔したのは内緒だ。

 

「ほら!しっかり掴まってて、後これ……ちゃんとヘルメットするのよ」

 

「あ?お前の分はいいのか」

 

「私はいいの―――ニケだから」

 

 決め台詞のように呟かれた言葉と同時に、猛烈な重力が襲いかかる。

 

「―――うぉ!?ちょ、おいコラッ!!メットが吹き飛ぶトコだったろが!」

 

 吹き飛ばされそうになりながらヘルメットを付け、咄嗟にシュガーの身体にしがみついた。

 

「ぁん……パートナーって積極的なのね、ん……良いと思う」

 

「勘違いすんな、いきなり飛ばすからだろッ!」

 

 胸をガッツリ掴んでしまったのは、不可抗力だろッ!?

 

「ん、も、揉みながら言っても、説得力無いわ」

 

「揉んでねーよッ!ちょっと速度落とせ、掴み直す!手ぇ離したら飛ばされんだろーがッ!」

 

 最初からクライマックスレベルの速度が出てる。初速がヤバ過ぎる。手を離したら絶対に怪我するッ。

 

「……ブラックタイフーン!速度をあげるわよ!―――ブアアアーン!!」

 

 シュガーの胸をガッツリ掴んだまま―――俺は風になった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 つ、疲れた……。

 

「またね、パートナー。気持ちよかったわ……あと、ニケだからって女性の胸を無遠慮に揉むのは関心しないわ」

 

「―――揉み……オイィィ!?言い訳ぐらいさせろやッッ!!」

 

 せめて文句を言おうとしたが、シュガーは既に凄い速度で走り去っていた。手は幸せだったが、いかんせん速度が早すぎた。景色を楽しむ事など出来ず、カーブの度に車体が傾き、余計に胸を強く掴むことになったが―――絶対に俺は悪くない。

 

「―――クソッ、何だったんだよ……」

 

 シュガーと名乗ったパンクなニケは一体何者だったのか、前哨基地に来てくれるニケは、まだエクシアだけだったと思うが……どうなってんだ?

 

「てか、メット……借りとくか」

 

 ヘルメット片手にコマンドセンターに入ったところ、ソファーには身覚えのあるオレンジ色が座っていた。

 

「ん……おっかえり、随分と無用心じゃないかな、セキュリティとか大丈夫?」

 

 千客万来だな。ユニから始まりシュガー……次はマクスウェルか。比較的常識があると思っていたんだが、不法侵入する程度には、ミシリスに染まってやがる。

 

「マクスウェルが泥棒じゃないなら、大丈夫だな」

 

「なら、安心だね」

 

 悪びれもせずニカッと笑ったマクスウェルはソファーから立ち上がりニヤニヤと笑みを浮かべた。

 

「実験のお誘いに来たんだけど〜……手伝ってくれるよね」

 

「あー、約束したな……今からか?」

 

 そういえばそんな約束をした記憶がある。戦う力が欲しいか的な事を言われたな。

 

「もっちろん!あっ、聞いたんだけど、エリシオンの外骨格を使ったんだって?あれ、どうだった?あんまり良くなかったでしょ?」

 

「ん?いや……助かったぞ」

 

「ふうん〜そう?あんなポンコツでも我慢して使ってたぐらいなら、私が作ったら、超良いと感じるに違いないわ!」

 

 テンション高いな。私が作ったらって……戦うだけじゃなくて作る事も出来るのか……凄いな。

 

「何を作るんだよ」

 

「指揮官用の身体強化スーツ!今回は足だけでなく、全身が強化されるの!」

 

「スーツ……もしかして戦う力ってそれか?」

 

「そう!地上でもっと早く、安全に動けるようになるのよ。どう?いいでしょ!」

 

「それは、良いな!」

 

 キラキラと瞳を輝かせたマクスウェルを見て、今日は忙しくなりそうだと心の中で呟いた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 マクスウェルの研究施設まで連れられる途中、マクスウェルがミシリスの研究員であることを知った。表向きシュエンと対立している事はマクスウェルにも共有されており、大手を振っての支援は不可能なため、何故か地上に向かうことになった。

 

 ラピに連絡を入れたらマクスウェルに対して滅茶苦茶怒っていた。帰ったら根こそぎ搾り取られそうだ……因みにラピとの通話中に端末をマクスウェルに奪われた。適当なことを言ったマクスウェルに通話を切られ端末も奪われたままだから……マジで帰ってからが怖い。

 

「そんなに戦う力が欲しいの?」

 

 地上に向かうエレベーターに乗り込んだ俺に対し、マクスウェルからそんな言葉が掛けられた―――別にドンパチやりたい訳では無い。ニケと人間では戦闘力の溝が深すぎる……正直、生身の俺が武器を持って戦っても、仲間の邪魔にしかならないだろう。守る対象が銃器片手に動き回るとか、俺ならごめんだ。

 

「……せめて自分の身を守れる力が欲しい」

 

「ニケを盾にすればいいんじゃないかな?」

 

「盾にされて嬉しいか?」

 

 きょとんとしながら頬を掻いたマクスウェルは、少し間を置いて答えた。

 

「ん?私?……私は嬉しくないかな〜」

 

「そういう事だ」

 

 これ以上の質問は無くなり、考え込んだマクスウェルが言葉を発する前に、地上に到着した。

 

「……オッケー、指揮官の事、少し分かったよ」

 

「それは、良かったのか?……まあ、お手柔らかにな」

 

「うん、まっかせて……じゃあ、そこに有るの着てみて」

 

 ずっと気にはなっていた……マクスウェルが持ち込んだドでかい黒光りする人型の機械……まさかこれがスーツなのか?こんなゴテゴテした物を着込んで速度があがるのか?

 

「これを……着るのか?」

 

「いいから、早く〜、ちゃんと説明するって」

 

 メカメカしい見た目の機械をマクスウェルの指示に従い身に纏う―――くっそ暑いんだが……。

 

「ああ……この滑らかなメタルボディー。冷たい血が流れていそうなクールなグレーフェイス!!」

 

 機械を身に纏うと、マクスウェルの瞳に熱が籠もった。……どうやら機械フェチだったらしい。

 

「よーし、今からテストしにレッツゴー!!」

 

 お、おいマジか、引っ張るなッ!クソがッ、どいつもこいつも力が強いんだよッ!!

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 黒光りする機械は太陽の熱を吸収して地獄のような熱さを生み出していた。お誂え向きに砂漠に連れられ熱さが倍増した気がする。

 

「暑い」

 

「ごめん、まだ換気オプションがないから暑いでしょ。でも〜マジでカッコイイよ。これ普段着にしない?」

 

「しねーよ」

 

「え〜、残念……じゃあベビー、これちょっと持ってみてくれる?」

 

「あ?なんでベビーなんだ?」

 

「そのスーツを着ているでしょ?だから私のハンサムベビー。制作もろもろ全部、私!」

 

 フェチに走ったマクスウェルが何を言っているのか理解が出来ないが、この手の輩は確実に話が長い。極力無視する方向にシフトし、ベビー発言は受け流す事にした。

 

「どう?楽ちん?」

 

 手渡された黒い塊がどれだけ重量があるのか分からないが、持ってきたマクスウェルの足音で、少なくとも二百キロは超えている事は分かる。

 

「まあ、楽だな、片手でも問題ない」

 

「おお、良いね〜、これ着たまま、走れそう?」

 

「走れるが、うっとおしいな。余り早くは走れそうに無いぞ」

 

「よし、それでいいんだよ。どうせ、着用して走るのが目的じゃないからね」

 

「あ?走るのが目的じゃないだと」

 

 地上でもっと早く、安全に動けるようになるスーツじゃなかったのか?

 

「じゃあ、次は火力テスト、腰のボタンを押してみて」

 

 黒い塊が回収され、言われた通りボタンを押すと、腰の装備が開き、中から銃が出てきた。

 

「撃って、あの建物を狙おっか!」

 

 若干どころか、かなり不安は残るが、銃を構え、引き金を引く―――轟音が鳴り響き……強烈な反動で脚が後方に滑った。

 

「ッ、うるせ―――!?」

 

 マクスウェルの指差した古い建物が、ガラガラと崩れ落ちる。ま、マジか……凄ぇ。

 

「ふ〜ん〜よし!火力も音も完璧ぃ!」

 

 た、確かに火力は申し分ない……これが実用化されれば、俺もラプチャーと戦う事が出来るかも知れない……だが。

 

「音、デカすぎるだろ」

 

 この音のせいで的になる可能性が非常に高いのが懸念点だな。

 

「それがいいんでしょ!これくらいしないと、ラプチャーが集まらないからね」

 

「!?……どういう意味だ」

 

「さぁ、これでベビーの役割は終わりね。ベビーは後ろで見ていなさい!本当のテストはこれからなんだから!」

 

 本当のテスト……そう言ったマクスウェルは武器を構え、集まってくるラプチャーを蹴散らしていく。危なげなく一撃で一体以上のラプチャーを的確に処理する手腕は流石だが―――態々ラプチャーを集めた目的が分からない。

 

 ―――取り敢えず、ラピには黙っていてやろう、殴り合いの喧嘩じゃ済まない気がする。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 集まったラプチャーを全て薙ぎ払ったマクスウェルは、だらりと肩を落とし、とぼとぼ歩いて帰ってきた。

 

「うあぁ……しんどい。火力は悪くないけど……バッテリー量が……!!!10……10%!?これじゃ、帰り道に倒れちゃうよ。帰ったらエネルギーの効率から調整しなきゃいけないな」

 

 はあ?帰り道に倒れるって―――もしかして俺を殺そうとしてんのか?

 

「―――おい、俺を騙したのか?」

 

「ええ〜、騙したわけじゃないよ。ハンサムベビーも、間違いなく開発中なんだから」

 

「……どういう意味だ」

 

「……まあ〜、開発しなくても問題ないんだけどね」

 

 のらりくらりと、明後日の方向に向いたまま話しを進めるマクスウェルの正面に移動し、強い口調で告げた。

 

「本当の事を言え」

 

「ええ〜、知りたい〜?」

 

 ―――面倒くさい女みたいになって来た。うるうると瞳を潤ませる演出付きな所が、更に腹立たしい。

 

「うそうそっ、そんな目で見ないでよ。マイラブリーベビー♥ 私の武器だよ」

 

 自分の武器のテストって事か……地上に来たかったとか、そういう事か?

 

「……今でも十分強いと思うが」

 

「いや、ダ〜メ。これじゃ足んない。この程度じゃとても敵わない」

 

 何を仮想敵にしているのか分からないが、少なくとも俺を嵌めるために地上に連れてきた訳ではなさそうだ。自分の見る目をバカ正直に信じてはいないが、やっぱり悪い奴には見えないんだよな。

 

「そうか……戦って、武器も開発して、大変だな」

 

「そうなんだよ〜、ベビーだけだよそんな事言ってくれるの……ラプラスなんかこの前バッテリーを水洗いしたんだよ」

 

 ……ラプラス。ヒーローヒーローと言い続けていた天真爛漫な子供みたいなニケ……笑顔でバッテリーを洗う姿が容易に想像出来て、苦笑いが浮かんだ。

 

「……た、大変なんだな」

 

「そうだよ。だからベビーは私の研究手伝ってくれるよね?ベビーも知っての通り、地上へは必ず指揮官が同行しなきゃ行けないよね。私はここに来てテストをしたいんだ。だから、ベビーが私を連れて来て、ね?」

 

 真剣でもあり、少しの含みを持たせた笑顔を浮かべたマクスウェルを見て、小さく溜息を付いた。結局、俺はニケを……美女を疑う事が苦手みたいだ。

 

「まあ、今回は許してやる。あんま嘘つくなよ。疑いたくねぇ」

 

「ふ〜ん、ありがとう、ベビー」

 

 距離を詰めたマクスウェルの唇が、鋼のヘルメットにぴとっと触れた。

 

「うあっ、あっつっ!!唇火傷するところだった……ベビー、外側めちゃくちゃ熱いんだけど、ひょっとして、中もすごく暑くない?」

 

「どちゃくそに暑いわッ!」

 

「はは、分かったよ。これからは着せないから。倒れる前に早く帰ろ……あ、ちょっと待ってね、充電充電っと」

 

 俺の背中に何かを刺したマクスウェルの発言からして、予備バッテリーの役割もあったようだ……俺の反応を見るために試されたのか。全く……食えない奴だよ。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 指揮官を前哨基地まで送り届けたマクスウェルは、真っ暗な部屋でモニターを見詰めていた。

 

「基本数値の入力。完了。実験の途中で、実験対象の身体、ホルモン上の変化はないことを確認」

 

 小さく呟かれた言葉を最後に―――部屋から光が消えた。



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35 ☆ シュガー ☆ ミルク ☆ プリム

この三人はキャラが強すぎなんですよね。
あまり推敲が出来ていないので、後々修正するかも知れません。


 前哨基地に常駐部隊が派遣された。部隊名はカフェ・スウィーティー、前哨基地に出来たカフェを最速で占領し住み着いたらしい。昨日の今日でカフェ・スウィーティー前哨基地店として営業を始めたと、ラピから報告があった。

 

 因みにマクスウェルとラピの戦闘は行われなかった……行われなかったと言うよりも、エレベーター前で待っていたラピの剣幕に、爆速でマクスウェルが逃亡したため不成立である。きちんとラピには謝罪と褒美を与えた……凄く可愛かった。なんか日に日に可愛くなるんだよな?どうしてだ?

 

 話を戻すが……正直、施設が余っているので有効活用してくれるのは助かる。助かるが……舐められる訳にはいかない。今後正規ルートで前哨基地に来てくれる仲間に対し、示しがつかない―――そんな事を考えながらカフェに来たのがいけなかった……今思えば、最初からクライマックスだった気がする。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 という訳で、カフェ・スウィーティー前哨基地店に来てみたんだが……店内には大型のコーヒー自販機が有るだけだった。

 

「ん?……カフェ……なのか?」

 

「見て分かんねーのか?コーヒー自販機だ」

 

 奥からひょっこりと顔を出した少女に睨まれる。

 

「……カフェ……だよな?」

 

「カフェだ、つってんだろがッ!……ん?」

 

 眉間に皺を寄せた黒髪で目つきの鋭い少女が、肩を怒らして近づいてくる。カフェに入った瞬間のお出迎えにしては、随分と荒い歓迎だなと苦笑した。

 

「おい……もしかして、あんたが指揮官の兄貴か?」

 

「此処の指揮官は、俺しかいないな」

 

「やっぱか!……カーッ!デッケーッ!!良い身体してんじゃねーか!」

 

 バンバン身体を叩いてくる目つきの鋭いヤンキー入ってそうな少女。多分ニケなんだろうな。俺に怯んだ様子もない。それにしても、随分と普通の格好をしている……昨日のシュガーと言い―――やっぱりラピ達が特殊なんだろうか?

 

「なあ、なんで自販機なんだ?」

 

「ほほう、指揮官の兄貴って奴は、そんなことでガタガタ言う奴だったとはな……はっ!興ざめだぜ」

 

「い、いや、そういう訳ではないが―――」

 

「ああん!?メニューだって3種類もあるんだぞ。シュガーコーヒー、ミルクコーヒー、プリムコーヒーってな!」

 

 ガンを付けられて捲し立てられながら、考えてみた……いや、こんな大型自販機の癖して三種類って、す、少なくないか?……だ、駄目だ、話についていけない。

 

「……」

 

「喜んでちょうだい、パートナー。一番最初のお客様ってことで、特別にシュガーコーヒーを試飲させてあげる」

 

 昨日知り合った銀髪赤目のクール美女が、店内にも関わらずバイクに腰掛けていた―――うん、バイクにはツッコまないでおこう。

 

「さぁ、飲んでみて」

 

 自販機から取り出したシュガーコーヒーとやらが投げられ、危なげなく受け取った。

 

「ん?―――サンキュー……シュガー、お前此処の部隊だったのか」

 

「ほら、飲んでみて」

 

 ……人の話を聞かない所は、いつも通りみたいだな。

 

「あん?シュガー、抜け駆けか?兄貴と知り合いだなんて聞いてねーぞ」

 

「……胸を揉みしだかれる仲よ」

 

 ……は?こ、コイツッ!?

 

「あ?胸?……ばっ!?むねぇ!?……あ、兄貴……マジかッ!?」

 

「おい!誤解を招く言い方すんじゃねぇ!」

 

「え、あんなに激しく揉んだのに……遊びだったのね、シクシク」

 

「!!?オイッ、兄貴ッッ!表でろやッ!女を泣かせる悪漢だったとはなァ!拳で治療してやるぜッ!!」

 

「ミルク、ふぁい」

 

 いつの間にか側にいたダウナーな女が、気怠そうに片手を上げていた。

 

「ゴラァッ!!てめーも煽んなッ!!」

 

 長い灰色の髪を無造作に散らばらせ、頭部にはアイマスクが掛けられている……こ、コイツら……まともなのは格好だけかッ!?

 

「あんッ!?プリムも狙ってんのか?……許せねーッ、何で私を狙わねぇんだよッ!!鉄拳制裁ッッ!!」

 

「―――ッ、ッぶねッ……」

 

 ミルクと呼ばれた少女が拳を繰り出し、咄嗟に逸して防いだが……こ、コイツ!瞳がキラキラしてやがるッ!?

 

「!!?―――や、やるじゃねーか兄貴ッ!!は、早く外でやろうぜ!!」

 

 コイツぅ……喧嘩がしたいだけじゃねーかッ!!チクショーが!

 

「だあーッ!クソッ、あークソがッ面倒だ、やってやるよッ!!」

 

「へッ、そうこなきゃなッ!!行くぜ、兄貴ッ!!」

 

 シチュエーションが違えば良かった。初対面の少女が瞳をキラキラさせながら俺の手を掴み外に引っ張っていく……それが喧嘩目的じゃなければ、少しは嬉しかったよッ!!

 

「がんばえー……ぐう」

 

「私のために争う二人……これが修羅場……悪くないわ」

 

 おい、こらッ!!シュガー!テメーは後でキツイのお見舞いしてやるから覚えておけよッ!!

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 成り行きでミルクと喧嘩をすることになってしまったが、自分の力を確認するチャンスではあった。ラピとの模擬戦は複数回行っているが……どうしてもえろえろになってしまう。真面目にやっていてもラピが意図的に隙を作るため、どうしてもそっち方面に流れるし、俺も意図的に辱める方向に進んでしまう……いや、別にそれが嫌なわけじゃないんだ。模擬戦のラピは滅茶苦茶に可愛いし。組み敷いたラピに甘い声で誘われるのとか……控えめに言っても最高だ。

 

「兄貴!準備は良いか!?」

 

 おっと、思考が逸れていた。今は目の前の事に集中しよう。

 

「……来い」

 

 圧倒的強者というモノを少女に教え込むことにしよう。例えニケの膂力を持ってしても超えられない壁がある事を、少女に身を持って体験させてやろうという意志を込め―――自然体のまま呟いた。

 

「!!?……な、なんだ?隙がねぇ!?」

 

「来ないのか?」

 

「ッ!?ッ、るっせーッ!行くぞッ!!」

 

 真正面から急速に距離を詰めたミルクが放った拳を、やんわりと受け流す。勢いのまま身体を反転させ、肩から衝撃を拡散させる。発勁を面で受けた少女は、体重差があろうと簡単に宙を舞った。

 

「―――ッッ!!?……ぅあ?っと……ま、まじかッ!?」

 

 空中に投げ出された身体をくるりと回転させ着地したミルクに対し、指をクイッと曲げ挑発する。

 

「来い」

 

「―――!!!お、おお!!すっげー!!」

 

 瞳をキラキラさせながら、速度の上がった少女の拳を散らしていく。捌きながら、捌きながらってッ―――痛ぇんだよ!力強ぇんだよ!!なんで受け流してんのに、こんなに痛ぇんだよッッ!!

 

「足元な、もうちょっと視野を広く持て」

 

 重心が完全に拳に乗ったタイミングを見計らい、軸足を払った。このまま倒れるしか無かった少女の瞳はギラギラと光を帯び―――俺は追撃に備えた。

 

「ッ―――舐めんなッ!!」

 

 地面に付いた手が回転し、軸を瞬時にズラしたミルクの蹴りを両手でガードし、後方に飛ぶことで衝撃を殺す―――殺しても少し痺れるんだが?膂力ではやっぱり勝ち目が無い。

 

「―――ッ!ああ、今のは良かったな」

 

 瞳で語らなければ満点の奇襲だったが、それを言うのは少し野暮だろう。

 

「ほ、ホントか!!」

 

「あ、ああ」

 

 途端に瞳をキラキラさせ、眉間の皺も無くなった。嬉しそうにミルクがはにかみ……やっべ、ちょっと可愛いとか思っちまった。

 

「や、やっぱそうか、咄嗟に出たんだけどよ!なんかしっくり来たって言うか、めっちゃ気持ち良く蹴りが出せたぜ!!」

 

「そりゃ良かったな……で、まだやるか?」

 

「ふーふー」

 

 出来もしない指笛を鳴らそうと頑張っているシュガーを指差し、ミルクに問いかける。チラリとシュガーを一瞥したミルクは、自身が見世物になっている事実に頬を染め、小さく呟いた。

 

「ま、またしてくれるか?」

 

「何時でもは無理だけどな、暇な時なら良いぞ、コマンドセンターに来てくれ」

 

「な、なら明日は!!」

 

「……明日ぁ!?……まあ、いいか……昼前にでも来いよ、相手してやる、飯も食わせてやるよ」

 

「ま、マジかッ!!―――兄貴!私は兄貴に一生付いて行くぜッ!!」

 

 ―――こ、これは、飯に吊られたのか?

 

「ミルクが行くなら、当然私も行くわ」

 

「迎え……」

 

 プリムと呼ばれた女がだらんと俺により掛かりボソリと呟いたまま―――

 

「ぐう」

 

 ―――眠った。

 

「おい?何でコイツは俺に寄りかかって寝てるんだ……クッソ重いんだが」

 

「パートナーって凄いのね。プリムに潰されない人間なんて初めて見たわ」

 

「流石兄貴だなッ!!」

 

 おい、誰かこのカオスをどうにかしてくれッ!!

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 寝入ったプリムはミルクに抱えられて店内の地面に文字通り捨てられた。それでも眠っているんだから、流石というしか無いだろう。

 

「パートナー、早くシュガーコーヒーを飲んでみて」

 

「あ?……ああ、ありがとな」

 

 シュガーコーヒーを一口飲んでみる……うん、これは……珈琲として飲んだら駄目な奴だ。この甘さは珈琲への冒涜だろ……甘ったるい飲料として飲めば―――まあ、そこそこ美味いと思う。

 

「……まあ、美味いぞ」

 

「そう。よかった。人間が飲んでも死なないみたいね。ってことはニケが飲んでも問題ないわ」

 

「おいこらッ!―――マジで言ってんのかテメェ!?」

 

 人の身体で実験すんじゃねぇッ!!

 

「いい、売ろう」

 

 何時起きたんだテメェは!?アア゛ッ、シカトしてんじゃねぇぞプリムッッ!!クソが、揉みしだくぞッ!!

 

「おい!ほら見ろ、心配すんなって言っただろ?」

 

 ―――テメェもかミルクッッ!!明日は覚えておけよッ!!忘れねぇからなッ!!

 

「おい、テメェらッ、俺の話を聞けッ!」

 

「ん?」

 

「ぐう」

 

「あ?どうしたんだ、兄貴?」

 

 取り敢えず、またもや俺に体重を預けグースカ眠り始めたプリムのダルンダルンなシャツの隙間に―――手を突っ込んだ。

 

「―――?」

 

「「!!?」」

 

「おい、こら、人の体を枕にして、グースカ寝てんじゃねぇぞ」

 

「……ぅ、ぁ……手、強っ♥」

 

 どいつもコイツもノーブラでぷらぷらさせやがって、揉んで下さいって言ってるようなもんじゃねぇか、そんなに揉んで欲しいなら、存分に楽しませてやるよッ!!

 

「ぁ♥ ぁ♥ 駄目、そこ♥」

 

「そこじゃ分かんねぇんだよッ!何処がダメなんだ?アア゛、ここかッ!?」

 

 ぷっくりと膨れた乳輪を絞るように揉み込み、乳首をぎゅうっと摘む。

 

「―――しょこっ♥」

 

 こりこりと捏ねくり回し、強く摘み上げた。

 

「ひぅ♥」

 

 両手でたぷたぷと揺らし、ぷっくり乳輪をなぞるように手を這わす。

 

「プリム、俺を枕代わりにしたら、こんなもんじゃ済まさねぇからな、分かったら返事しろッ!」

 

「……ひ♥ ふぁい♥」

 

「よし、言い返事だッ!」

 

 絞るように揉み込むのが好きみたいだからな、ご褒美だ。

 

「ひぅ゛♥♥」

 

 身体から力が抜け、床にへたり込んだプリムは、そのままぴくぴくと身体を震わせ、ぐっすりと寝入ってしまった。満足そうな顔をしてるのがムカつくが―――次だッ!

 

「ミルクッ!!コッチ来いッ!」

 

「え、ええ!?わ、私は何もしてないだろッ!!」

 

「来いッ!!」

 

「は、はい!!」

 

「座れ」

 

 従順に椅子に座ったミルクの背後からガッシリと胸を揉みしだき、首筋に吸い付いた。

 

「ひぐっ、あ、ああ、兄貴ッ!?こ、これヤバいってぇ♥」

 

「ヤバいかどうかは俺が決めるんだ。お前が決める事じゃねぇ」

 

「ふぐぅ……ふぁい♥」

 

「ちゃんと喧嘩の相手はしてやるから俺で実験すんじゃねぇ、分かったか?」

 

「わ、分かったッ!!ぜ、絶対にしない!約束するッ!」

 

「お、意外と聞き分けが良いな……良い子だ、ご褒美やるよ」

 

 真っ赤に染まった耳に口を近づけ、軽く噛み付いた。両手でガッツリと張りのある胸を揉みしだきながら、息を吹きかける。

 

「んぉ゛♥ んぉぉ゛♥ や、んぅ゛ぅ゛♥」

 

 腰が砕けたミルクが身体を震わせのろのろと立ち上がり、プリムの上に倒れ込んだ。

 

「テメェが一番罪深いんだよ―――」

 

 こんな光景を見ても未だ無表情を貫いているシュガーは、頬が真っ赤に染まっていた。

 

「なぁ、分かってんのかシュガー?」

 

「―――パートナー、や、優しくしてね」

 

「ああ、優しくしてやるよ、ちゃんと優しくなぁ!」

 

 シャツを捲りあげ、そこそこの巨乳がまろびでる。二人の痴態を見て興奮したのか、ツンと上を向いた突起を強く掴んだ。

 

「んぐっ゛、そ、それ……強いっ。お、女の扱いが、なって無いわね、パートナー」

 

 ふーふー言いながら言っても、説得力が無いんだよなァ……そういうことなら、ちゃんと優しくしてやるよ。

 

「んふっ♥ っっふ♥ きゅ、急に優しいのっ……んんぅ♥ 痺れるっ」

 

 コリコリにしこり上げた乳首を手の平で捏ね回し、下乳に舌を這わす。

 

「っふ、っふー♥ な、舐めっ、あんっ♥ すごっ♥ ぱ、パートナー、もっと、もっとして♥」

 

 言われなくてもヤッてやるよ。だが、乳首は舐めてヤらねーけどな。

 

「はぁはぁ、っふ♥ ぁんぅ♥ もっと、凄い♥」

 

 抱き締められる腕に力が籠もり、胸に顔が押し付けられた―――!?コイツ、力加減が出来てねぇ!?やっべ、頭が潰れかねんッ!!

 

「ふぅふぅ―――ぁぁああ♥ ―――〜〜〜♥♥♥ な、なに……これぇ♥」

 

 咄嗟にズボンの隙間から手を突っ込み、自己主張の弱い突起を捏ねるように押し込んだ。力が抜けた腕から頭を抜き取り、シュガーのベルトを外し、ズボンのチャックを降ろす。

 

「なぁ、濡れすぎだろ……しゃーねー、もっかいイッとけ」

 

 分かってはいたが、黒いショーツは濡れて色が濃くなっており、ねっとりと蜜に濡れたショーツの隙間から指を差し入れて、肉を掻き分けた。

 

「あぁぅん♥ くぅぅ♥ それ、すごぃ♥ ―――っ♥ っう♥ ぁ……ま、またくるぅ♥」

 

「イクって言うんだよ、ちゃんとイクって言え」

 

「あん♥ ぁ♥ ぁ゛あ♥ ―――いくぅ♥ いくっ゛ぅ゛―――♥♥♥」

 

 ビクンと大きく跳ねたシュガーの肉から指を抜きとり、優しく突起を捏ねてやる。深い絶頂の後に優しい甘い痺れを伴う快楽が、最高に気持良いらしい……誰が言ってたとは、言わないがな。

 

「―――〜〜〜♥ はぁん♥ ふーっ、ふぅぅ♥ ぅぅんっ♥」

 

「おら、お前の汁だ、ちゃんと舐めて綺麗にしろ」

 

「んんぶっ、はふ、はふっ♥ んぢゅ、ちゅぱ、ちゅっぱ♥ れろっ♥」

 

「やれば出来んじゃねぇか。おい、シュガー、ちゃんと言う事聞けるか?」

 

 瞳を潤めこくこくと頷くシュガーに満足した俺は……途端に冷えた頭でこの惨劇をどうするか考えた。倒れ込んだ二人の視線をビシビシと感じる―――チラリと二人を見ると、ごくりと喉を隆起させたミルクと……さっきまでの眠そうな瞳を見開いて、食い入るように見詰めるプリムの姿があった。

 

「パートナー、もっと、もっとして♥」

 

 うん―――どうしてこうなったッッ!!?

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ニケは快楽に弱い。それは俺が発見した心理だろう。今まさにそれを実践してしまった俺は、この状況をどうすればいいか―――必死に考えていた。

 

「ねえ、パートナー、キスに興味は無い?私は凄く興味津津なの」

 

「枕……する……わくわく」

 

「兄貴……そ、その、良い子にするからよ……さ、さっきの、もっかいしてくれよぅ?」

 

 こ、此処はカフェだよな?違法風俗店じゃないよな?……ハア、現実逃避は止めよう。自分が撒いた種だ……どうにかしなければ。というよりコイツらを此処で放置すれば、コマンドセンターまで特攻をかけてくる予感がぷんぷんする。

 

「取り敢えずな、プリムは重い、シュガーは顔を近づけるな、ミルクは太腿を擦るな」

 

「「「!?」」」

 

 如何わしい店でも、こんなにベタベタ引っ付かねぇぞ。いや、分かってる。分かってるんだ。俺が怒りに身を任せた結果―――いや、途中からは楽しんだ結果か……その結果、このカオスが生まれた事は分かってる。別にコイツら可愛いし、抱くのは全然良いんだ。だが、コイツらが何の目的があって前哨基地に来たのかが分からん。抱いて欲しいから嘘を付く可能性もある。むしろシュガーは喜々として冗談ばかり言うだろう。

 

「お前らのリーダーは誰だ?」

 

「ん」

 

 二人の視線がプリムに向き、ダルそうに上げられた右手が俺の希望を消し飛ばした―――プリムかよ……詰んだ。

 

「……分かった、ちょっと待ってろ」

 

 どういう基準でリーダー選んだんだよ。一番喋らねぇじゃねぇか。情報が一番手に入らねぇ……。

 

「何処行くのパートナー、逃さないわよ」

 

「逃げねぇよ、俺が信じられねぇのか?」

 

「信じられないわ」

 

 それはそうだよな。俺も一緒の気持ちだから。気が合うじゃねぇか。

 

「分かった。此処で電話する。勝手に聞いてろ」

 

 電話を掛ける相手は決まっている。二人だ。まずはアニス―――出ない……アイツ寝てやがるな、だからアレほど朝早くから特攻してくるなって言ったんだ。また夜には涙ながらの謝罪えっちになるんだろうか?……まあ、いい……それなら、エクシア―――お前に託した。

 

『ハァーイ、初心者さんのー、愛の奴隷エクシアでーす♥』

 

 ―――ワンコールで出やがった……正直、凄く助かる。ありがとうエクシア……だがな、これスピーカーなんだよなー。

 

「「「!?」」」

 

「……エクシア、すまん、カフェ・スウィーティーって分かるか?」

 

『分っかりますよー、テトラ最強部隊、万屋の三人組ですねー、それよりー、お腹がヤバいくらい疼いてるんですけどー♥ 早くお腹一杯にして欲しいでーす♥』

 

「「「!?」」」

 

「す、すまんエクシア、その三人が通話を聞いてる―――その、マジですまん」

 

 通話越しに物が崩れ落ちる音が鳴り響いた。きっと顔を真っ赤に染めてあわあわ言ってるんだろうな。今度目一杯抱いてやるから許して欲しい。

 

「一日中抱いてやるから許してくれ」

 

『―――!!?ゆ、許しまーす!べ、別にいいですよー、ど、どうせ三人と顔を合わせることなんて……た、多分ありますよねー?』

 

「コイツら次第だろうな」

 

『で、ですよねー、ま、まぁ辱めだと思えばー、えっちのスパイスになりますかねー?』

 

「それは、エクシア次第だな」

 

『……わ、割り切りまーす、どうせ今後複数で抱かれる事もあるでしょーし♥ よ、予行練習だと思えば……うわ、はっずー♥』

 

 本当に悪かった。まさか、あんな甘々な声で電話に出るとは思わなかったんだ。

 

「コイツらにもエクシアと同じ目に合わせるから、許してくれ」

 

『……ま、まじですかー?も、もしもーし、三人共聞いてるんですよねー?』

 

「聞いてるわ」

 

「マジでエクシアじゃん、懐かしーな、おい!」

 

「ん」

 

『おー、一言だけ言っておきまーす、ご愁傷様でーす、はちゃめちゃに辛いので頑張って下さーい』

 

「「「!?」」」

 

 そ、そんなに辛いのか?……エクシアにはめっちゃ優しくしてやろう。

 

「待ってるからな、お前の好きな様にしてやる」

 

『おっ!らっきー♥ これは、胸が踊りますねー、じゃーご要件をお伺いしまーす』

 

「コイツらが前哨基地に常駐するらしいんだが、裏とか無いか?コイツら……ハニートラップじゃないとは思うが、何か裏がありそうなんだ。無理言って済まんが、大丈夫な範囲で知らべてくれないか?本当に悪い」

 

「パートナー、私達を疑ってるの?」

 

「兄貴……まあ、しゃーねーわな」

 

「ぐう」

 

 俺だって疑いたくねぇよ。でもな、誰が味方かも分からねぇんだ。例え信頼を損なっても仲間を危険に晒す訳にはいかない。俺に出来ることなんて、今の所それくらいだ。

 

「お前らは黙ってろ、嫌なら黙るな。俺は帰ってお前たちを元いた場所に帰すだけだ。大体お前らが正規ルートでちゃんと申請してくれば良かったんだろが……まあ、終わった事はもう良い……マジですまんなエクシア、かけ直そうか?」

 

『ん〜〜、オッケー、終わったー。それと初心者さんはー、謝り過ぎですよー、私はー謝られるより、好きだとかありがとう、とかの方がー、嬉しいでーす♥』

 

「ありがとなエクシア、大好きだ」

 

『ふひひ♥ サイコーですねー♥ 初心者さんがー大好きでーす♥』

 

「「!!!!!!」」

 

「ぐう」

 

 二人の圧が凄い……射殺さんばかりに端末を睨みつけるシュガーとミルクは……実はそんなに疑っていない。感情をむき出しにするタイプは、結構分かり易いからな。一番危険なのは、何を考えているのか分からないリーダーのプリムだ。こういう昼行灯タイプは実力を隠しているタイプが多い。マジで危ないからな?後ろから殺気も無く刺されるとか……あるから。

 

「聞かせてくれるか?」

 

『ハァーイ♥ 結果から言いますねー、何もありませーん。マスタングCEOの息が掛かってるとかー、他の思惑とかー、なーんにもありませんよー。多分、楽しそうだからとか、そういう理由とー、無料で新築の建物が手に入るって知って、即行動したんでしょーね。つまりーいつも通りのー、気まぐれですねー』

 

 ―――はあ……首を縦に振りまくる二人を見れば、それが嘘じゃないことは分かった。

 

「ありがとうエクシア、借りが出来たな。なんでも一個言う事聞いてやるから考えとけ」

 

『!!?ま、まじですかー♥ うっわー、さいこーじゃないですかー、三人ともごちそーさまでーす♥ じゃあ、初心者さんの声を聞いたら疼いてしかたないんでー♥ ちょっと失礼しますねー♥』

 

「ああ、ちゃんと映像は送れよ」

 

『♥♥♥ あったりまえじゃないですかー♥ 愛してまーす♥ ちゅ♥♥♥』

 

「「「!!!」」」

 

 おい、プリム、何時起きたんだ?―――まあ、いいか……良かった。俺は本当に助けられてるな。―――あ?今度はアニスから電話だ……タイミング良すぎだろ?

 

『し、指揮官様っ!!ごめ、ごめんね!寝てたの!許して♥』

 

 三人に黙っていろと唇に指を立て、悪い顔で頷いた三人に悪い顔で答えた。

 

「いいぞ、気にするな。アニスの声が聞きたかっただけだ」

 

『も、もぅ♥ 指揮官様ったら♥ そ、そんなに私に会いたいなら……今から、その……えっちする?』

 

 アニスの余りの甘々っぷりにガタッと椅子の音が鳴り響いた。

 

『ん?どうしたの指揮官様?アニスの身体思い出しちゃった♥ きゃ♥ も、もぅ♥ えっちなんだから♥』

 

 ガタガタッ!

 

 こ、これは、ちょっとやり過ぎかも知れない……。

 

「そ、そうだな。す、すまんちょっと用事が出来た。また顔を出す」

 

『うん♥ 待ってるね♥ 指揮官様♥ だーい好き♥♥♥』

 

 ガタガタガタガタッ!!

 

「お、お前らどうしたんだよ?」

 

「あ、あのアニスが……あんな猫撫声で大好きって……も、もしかして洗脳したの、パートナー?」

 

「あ、兄貴……あれはアニスじゃない……アニスの声真似したナニカだッ!!」

 

「ん、怖」

 

 な、何があったんだ……アニス?取り敢えず、メチャクチャ優しくしてやろう。マジですまん。悪ノリした。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 三人を抱くことが決定したその瞬間に、不穏な空気が場を支配した。

 

「当然だけど、私が最初よ」

 

「ほ〜お!お前、いい度胸してんじゃねぇか。兄貴と最初に打ち解けたのは、この私だろ〜?だから私が最初だ!当然ってことだ!」

 

「反対」

 

「今何つった!」

 

「私、リーダー、最初」

 

「「!!」」

 

「はっ、ガチモンがこんなとこにいやがったか。何もしねぇ癖にどこがリーダーだ!このぐうたらな怠け者野郎め!」

 

 取っ組み合いの喧嘩でも始まる雰囲気。額を突き合わせたミルクがプリムにガンを付けるが、当のプリムは何処吹く風だ。ブラックタイフーンに近づくシュガーからは、不穏な気配しかしない。

 

「仕方がない」

 

 ガチャっとブラックタイフーンから取り出した銃を構えたシュガーが……二人に銃口を向けた―――た、唯の威嚇だよな?

 

「何だ、一発かまそうってか?」

 

 ミルクまで銃を取り出し、構えた。

 

「ん」

 

 プリムも二人同様に銃を構えた―――こ、コイツらなら、マジでやりかねんッ!

 

「テメェら止めろッ!無かった事にするぞッ!!」

 

 一瞬で三人の手から銃が消えた―――は?いや、マジで見えなかった……コイツら、本気を出せばもしかして、最強なのでは?

 

「なら、どうするのパートナー?私は譲らないわよ。最初にして貰って、今後ずっとマウントを取る夢があるから」

 

 ち、ちっさい夢だな。

 

「私も譲る気はねぇぜ!最初ってのは価値があるもんだ!一番じゃねぇと気がすまねぇ!」

 

 一番か……障害は多そうだな。が、頑張ってくれ。俺は皆平等とか言わねぇから、明確に優先順位があるからな。まあ、俺の命よりはお前らの方が上に来るよ。その代わりお前らが俺を守ってくれよな。

 

「最初、私」

 

 うん、分からん……君が一番分からんよ。一番俺に興味無いだろ?どうせ、シュガーと似た理由だろ?

 

「てか、お前ら三人とも同時に抱くからな、確かに抱かれる順番はあるだろうが……そうだな、三番目を選んだら、好きな事を一個してやる。罰の内容は駄目だけどな」

 

「「「!?」」」

 

「パートナー、私が三番目でいいわ。その代わり、凄く優しくして欲しいの、好きって一杯言って欲しい」

 

「じゃあ、シュガーが三番目な」

 

「おま!ずりーぞッ!」

 

「ミルク、こういうのは早いもの勝ちだ。先に決断したやつが偉い。お前も喧嘩してるなら分かるだろ、同じくらいの強さなら、躊躇なく先に殴った方が勝つんだよ」

 

「そ、それは……チッ、な、なら兄貴!二番目は何か無いのか?」

 

「あ?二番目……」

 

 何で俺はえっちの順番で頭を悩ませてんだよ……どうなってんだアーク?

 

「そうだな……」

 

 いかん、何も思いつかん……三番目より緩和して一番目よりも特典が付く……そんな物あるのか?

 

「俺の写真でもいるか?」

 

「私が二番だッ!!あ、兄貴の写真って、い、一枚だけか?」

 

「あ?別に欲しいだけやるよ。新しく取るのは無しな」

 

「……は、裸のとか……ある?」

 

「あるぞ、俺が恥ずかしくなる奴がな」

 

 エクシアが調子に乗って撮りまくって、俺もテンションが可怪しくなった時のが……フルボッキでポージングを決めてるやつがな。自分では絶対に見たくないッ。

 

「……しゃあッッ!!」

 

「パ、パートナー……そ、それは狡いわ」

 

「……お前にも一枚だけやるよ」

 

「ん、私も」

 

「プリムは一番だから駄目だろ」

 

「……寝る」

 

 少しだけ悲しそうな顔をしたプリムが、俺により掛かりふて寝を始めた……。

 

「絶対言うなよ、一枚だけだからな」

 

 耳元で小さくつぶやくと、服の裾がぎゅっと握られた。

 

「ん」

 

 ……可愛いとか思ってしまった俺は、そこそこヤバいかも知れない。

 

「兄貴、それは狡いぞッ」

 

「分かったよ、お前とのツーショット一枚撮ってやる。これでいいか」

 

「……いい。それ凄くいいッ!!」

 

「ねぇ、パートナー」

 

「ガァーッ、永遠に終わらねーだろーがッ!これッ!!」

 

 結局シュガーはツーショットと好きな写真一枚で三番目。ミルクは写真撮り放題になり、プリムは一番で、秘密裏に俺が選んだ写真を一枚渡す事になった。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 後日、俺の恥ずかしいフルヌード写真集が前哨基地で秘密裏に売り払われ、ミルクを虐める事になったのは予定調和みたいなものだろう。大事な部分と顔にモザイク処理する位ならやるんじゃねぇよ。

 

「ごめッ♥ ごめんって♥ 兄貴っ♥ あんっ♥ 強ッ、奥すごッ♥ もっと、乱暴にッ♥」

 

「ああ!?何で、ご褒美みたいになってんだよッ!お前マジでフザケンナよッ!!ハメ潰してやるからなッ!!!」

 

「んぁぁあ♥ 奥虐められるのッ、すごぃい゛♥ ッッ、イクッッ♥ イグぅぅう゛う゛♥」

 

 ミルクにはお仕置きがお仕置きにならなかった。次からは、責め手を変えようと思う。




い、いつの間にか4Pフラグが立ってたんだ―――はあ?なんでこんなことになってるの?


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36 ★ プリム ★ ミルク ★ シュガー

自分で設置した罠にかかりに行った結果です。複数はやっぱり難しいって実感したよね!!


「ねぇ、パートナー……少し恥ずかしいんだけど」

 

「ん」

 

「ど、どどど、どうってこと、ねー……ぜ」

 

 三者三様の反応を魅せる三人は、一様に衣服を身に着けて居なかった。まあ、俺が命令したんだが、凄い光景だな。

 

「雑になって悪いが……三人だろ、時間が無いんだ。分かってくれ」

 

「時間が無い割には、眺める時間はあるのね」

 

 そんなのあるに決まってんだろがッ!!女体を眺めるのは目の保養だ!異論は認めんッ!……特に恥ずかしがる姿とか最高だ。頬を薄っすらと染めて局部を隠すシュガーも、滅茶苦茶に恥ずかしがって座り込むミルクも最高だ。プリム?立ったまま寝てるよ。この女に羞恥心を期待した俺が馬鹿だった。

 

 それにしても、滅茶苦茶に良い身体してるな。シュガーは引き締まった身体に、均等の取れた黄金比とも言えるバランスが美しい。ミルクは多少筋肉質な絞り方をしているが……それが良いッ!柔らかそうな膨らみと、目立たない程度に薄っすらと盛り上がった筋肉が最高だ。プリムは……うん、可愛いよ。可愛いしえろいけど……寝てるからなー。

 

「お前ら三人とも初めてなのか?」

 

「や、やりまくりよ」

 

「……兄貴だけ……だよぅ♥」

 

「ぐう」

 

 ふむ、シュガーはやりまくりっと。そんなきょろきょろ視線を彷徨わせながら言われてもなー。

 

「シュガー以外は勝手に触って良いぞ。まずは俺の身体に慣れろ。特にミルク……そんなに恥ずかしがってたら何も出来ねぇぞ。まあ、可愛いけどな」

 

「か、かわ……わ、私が可愛いわけ……ないだろぅ」

 

「めちゃ可愛い」

 

「はぅぅ♥」

 

 うん、めちゃ可愛い。

 

「―――は?なんで仲間外れにするのよ、パートナー」

 

「だってやりまくりなんだろ?態々触る必要ないだろ?」

 

「……滅茶苦茶処女よ!正真正銘の処女よ!」

 

「―――分かった!分かったから大声だすな……ハァ、シュガーはもうちょっと素直になれ、見栄を張るのもいいが……素のほうが俺は好きだ」

 

「ん、いい言葉ね……パートナー、しゅきぃ♥ ラブラブす―――」

 

 両手を広げて近づくシュガーを押し退けたのはプリムだった。眠っていたはずのプリムが勢いよく―――飛び込んできた。

 

「全部、一番」

 

「―――ッッ!?うぉォッ!!と、飛びつくんじゃねぇ!危ねぇだろがッ!」

 

「ごめ」

 

「―――殺す」

 

 すりすりと頭を擦り付けるプリムに対し、黒いオーラを発したシュガーは殺気を込めて小さく呟いた。

 

「おい!―――落ち着けッ!お、お前らッ!……いい加減にしろよッ!仲良く出来ねぇのかッ!!」

 

「無理」

 

「無理だわ」

 

「兄貴、それは無理なお願いだぜ」

 

 そういう所は息ピッタリじゃねぇかッ!!―――シュウシュウ言いながらオーラを沈めるシュガーを見て……呆れるような、微笑ましいような……憤りと共に、毒気も抜かれた。

 

「……ハァ、もういい、分かった。纏めて来い。好きにしろ」

 

 キランと瞳を輝かせた二人が飛びかかり、プリムの手が服を脱がしていった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 胸板にすりすりと顔を擦り付けるミルクは、雌の顔でふーふーと熱い吐息を吐き―――

 

「はぁ……あ、兄貴……すっげぇ身体してんなッ……ん、濡れる♥」

 

 股座に顔を埋めすんすんと匂いを嗅ぎ回るシュガーの吐息が肉棒を震わせる。

 

「んぅ♥ 匂い凄いわ……すんすん♥ んぅぅ♥ これ、堪らない♥」

 

「ん、美味♥」

 

 ぺろぺろと指先から舐めていたプリムの舌が首筋まで到達し、ちゅうっと吸い付いた―――好きにして良いと言った手前、反故にはしたくないが、ぷにぷにと、ふにょんふにょんと、ぷりんぷりんと三者三様の柔肌を擦りつけられ……興奮がヤバい。

 

「んひゃぁん♥」

 

「「!!?」」

 

 ミルクの柔尻に手を付けると、揉み込んでもいないのに大きな嬌声があがった。二人の目つきがヤバいが、とろんと蕩けたミルクと視線が交錯し、迷いなく唇を奪う。

 

「んぅぅ♥ くぅん♥ ……ふー、ふー♥ ……キスやばぁぁ♥ ―――ふぎゃッ!?」

 

「んちゅぅうう!!」

 

 シュガーよりも近場に居たプリムがミルクを押しのけ、唇に吸い付く。舌を入れるという発想は無いらしく、強く唇が吸われてい―――ん?……ンンッ!?す、吸いすぎッ!!!!

 

「ちゅぽんっ♥」

 

「―――ぶはッ、クッソッ……スッポンかテメ―――ふぐッ!?」

 

 文句を言う暇もなく、絡みついて来たシュガーにねっとりと唇を奪われる。赤い瞳にジッと見つめられ這い回る舌ベラに答えるよう―――仕方なく唇を開いた。

 

「ちぅ♥ ―――ん♥……んりゅ♥ !!?……ぢゅりゅ、ぢゅりゅりゅ♥ んれりゅ♥」

 

 瞳を大きく見開き、ぶるりと肢体を震わせたシュガーの腕に力が籠もり始める。少しだけ嫌な予感がしたが、痛みを感じる前には力が緩められた……小さな進歩だが……なんだか凄く、可愛く感じる。

 

「んりゅ♥ はっぷっ♥ れりゅろ♥ れろれろ♥ ―――んんぅ♥ 〜〜〜ふぅふぅ♥ ちゅりゅ♥ ……こ、こんな素敵な事がこの世にあったなんて、パートナー、好き♥」

 

「何時でもしてやるから……あんま冗談ばっか言うんじゃねぇぞ」

 

「ん……ぅん♥」

 

 優しく銀髪を撫で、ぽやぽやと浸ったシュガーを押しのけ、プリムが俺の顔をがっちりと掴む。

 

「ん!」

 

 有無を言わせない迫力を出しながら、唇を突き出すプリム。突き出すだけで自分から奪いに来ない―――期待した瞳が、して欲しいと言っていた。

 

「♥……んん♥ ……ん♥ んんん♥」

 

 プリムの唇を奪いつつ、思考を巡らせる―――少しずつ、三人の事が分かって来た。口数少ないプリムでも、何をして欲しいかを行動や視線といった小さな変化で示している。視界の隅ではミルクが己を慰め、恨めしそうに見ていた……手招きしてやると、直ぐに嬉しそうに近づいてくる。

 

「♥……あにっ、んぁ♥ 指ッ、強いってぇ♥ ぁあ、でもこれ凄いぃ♥」

 

 唇をプリムに奪われ、手をミルクに奪われると、やはりシュガーが嫉妬する。何気に一番素直で分かりやすいのは、シュガーなのかも知れない。表情は変わらないが、雰囲気がガラッと変わるのと……瞳が口以上に喋りかけてくる―――ミルクとは反対の手でシュガーを呼び、猫のようにすり寄って来たシュガーの頬を優しく撫でた。

 

「―――パートナー……な、何で分かったの?私が撫でて欲しいって」

 

 プリムの舌がねっとりと絡まっているため、言葉は話せない。代わりにぽんぽんと頭を撫で、ぽやぽやと浸っているシュガーの豊満な胸に手を付けた。

 

「ん♥ ……そう、そうなのね……もうパートナーと私は一心同体♥ 半身のようなものね」

 

 ……いや、そこまででは無い。ジェスチャーで違うことを示しても、自分に都合が悪い情報はどうやらシャットアウトされるらしい。

 

「あん♥ はふぅ♥ ……やっと、半身に会えたわ♥ おかえりパートナー」

 

 ―――思い込みが激しく、自分勝手で我儘だが、何故か憎めないのがシュガーという女なのだろう……これからも振り回されるんだろうなー。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 暴走したシュガーを正座させ、ミルクは興味津々といった様子で、寝そべったプリムの側で瞳を輝かせていた。二人共バスローブを羽織らせたが、正座したシュガーが、チラチラと肌蹴させ挑発してくるのが非常にムカつく。

 

「こ、ここ、これからパートナーが……プリムを抱くのね」

 

「あ、あああ、兄貴が……ニケを……ゆ、夢……みたいだ……シュガー、頬抓ってくれよ!!?―――ッッ、テ、テメェ、誰が殴れって言ったんだッ!喧嘩売ってんのか!このアマがッッ!!」

 

「抓るなんて面倒よ。殴った方が早いわ」

 

 バスローブをつかみ合い、ぷりんと柔肌が肌蹴る。少しも静かに出来ないのは、コイツらの特性か何かなのだろうか?

 

「……お前ら静かにしろ、騒ぐなら出ていくか?」

 

「「!?」」

 

 高速で首を横に振った二人が手を口に当てる―――残像が出来る程の速さ、このまま首だけ飛んでいきそうだ。

 

「黙って見てろ。プリム……抱くぞ」

 

 瞳を閉じて眠っていたように見えるプリムも声をかけると薄っすらと目を開け……ぷいっと顔を逸した。

 

「ん♥」

 

 眠たそうな瞳をこしこしと擦りながら、ぷるぷると震えるプリムが可愛らしい。

 

「眠いのか?」

 

「いつも……寝ても、して♥」

 

 これは、寝ても続けろって事か?―――俺に抱かれて寝れるのか、それは凄く知りたいな。

 

「分かった。全部俺がしてやる。楽にしてろ」

 

「ん♥ 好き♥」

 

 これは、俺が好きなのか、全部してくれるのが好きなのか分からないが……考えるのも面倒だ、これからは直感で感じよう。

 

「俺はまだ好きなのか分からねぇからな。好きにさせてみろ」

 

「もち」

 

 ぐっと親指を立てたプリムが……ちょっと可愛かった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ん゛♥ ん゛ん゛♥ ぉ゛♥ っ゛〜〜〜♥♥♥ んぉ゛♥ ぉ゛ひ゛、ぅ゛、ぅう゛♥」

 

「―――えぐい、ね、ねぇミルク……お、怖気づいてない?」

 

「……!!?お、怖気づいてねぇよッ!!ち、ちょっと―――ヤバそう、だけどッ……」

 

 プリムは順応が早かった。既に根本まで呑み込むようになった雌肉が、強く締め付けてくる。何処を突いてもイキまくり、全身が弱点のようで、何処を触っても良い反応を返してくれる。普段の無口加減が嘘のように濁った嬌声をあげるプリムの子宮を―――ぐちゅりと潰した。

 

「―――〜〜〜゛♥♥♥ ……っ゛♥ ……ぅ゛ぎ♥ ―――ぐう♥」

 

 大きく跳ねるプリムの身体を押しつぶし、強く抱き竦めると、ビクンビクンと跳ねた身体が動きを止め……プリムが眠った―――ま、マジで眠りやがった。

 

「……あぁん♥」

 

 眠ったプリムの子宮をくにっと捏ねると、甘い喘ぎが漏れ―――肉棒がビキッと膨らんだ。

 

「ふぐっ♥」

 

 嵩張った雁が肉に引っ掛かり、うねりを強めた膣肉が奥へ奥へと誘導する。ッッ!?―――このまま射精させられる訳にはいかないッ!腰に力を入れ……力を込めて肉棒を引き抜いた。

 

「ふごっ゛♥ ぉ゛ぉ゛ぅ゛〜〜〜〜♥♥♥ ひっ♥ ひっ♥ ……ぐう」

 

 蜜をたっぷりと吸った肉棒が抜き抜かれ、何度も跳ねたプリムがぴくぴくと痙攣し―――また眠った。くぽくぽとひく付く雌肉が、透明な涎を垂らす。くぱぁと開いた雌肉がひくんと収集し……白濁した蜜が零れた。

 

「じゃあ、次は……ミルクだな」

 

「ひ、ひゃい!!……ぉ、おぉ、お願いしやすッッ!!」

 

 ……誰がえっちする前に、そんな綺麗な礼をしろって言ったんだよ―――すこし呆れつつ、ミルクの側までを歩進める。正座したシュガーが近づく肉棒に対しごくりと喉を鳴らしたが……まだ、お預けなんだよなー。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ふにゃふにゃになったミルクは、ベッドに押し倒すまではすんなりと事が運んだ。覆いかぶさった瞬間にガチガチに固まり、縮こまったミルクの腕を掴むも、ビクともしない。本気で力を入れればどうにかなるかも知れないが、そんな事はしたくない―――仕方なくガチガチに丸くなったミルクの耳元で小さく囁いた。

 

「―――やめるか?」

 

「ッ!!?」

 

 ブンブンと横に振られる頭に手を置き、髪を優しく撫でる。そのまま耳元でもう一度囁くとミルクの身体からふっと力が抜けた。

 

「特別に好きな事してやるよ……内緒だぞ」

 

「―――ぁ♥ な、なら―――強引に、して……欲しい♥ ……/////♥」

 

「クハッ……ククッ、お前も、もの好きな女だな」

 

「/////♥」

 

「なら、四つん這いになって尻あげろ……乱暴にしてやるよ」

 

 顔を真赤に染めたミルクは、ぷるぷると震えながら四つん這いになった。直ぐに枕に顔を埋めて茹で蛸のように赤くなった顔を隠したが……それが逆にえろい。ぼたぼたと垂れ落ちる蜜が、ミルクの期待を表しており……一息で強く突き挿れた。

 

「―――ッ!!ん゛ん゛〜〜〜〜♥♥♥ んぉ゛―――〜〜〜♥♥♥」

 

 肉が馴染むのを待つ事などしない。強引にして欲しいと言われたからには……どこまでも求めてやろう。ビクビク、ぎゅうぎゅう締め付けてくる肉を乱暴に抉り、溜まった蜜を雁でこそぎ落とす。

 

「っお゛ッ♥ 〜〜〜〜ッヅ♥ ぅぅ゛、ぎっ゛〜〜〜〜ッ゛♥」

 

「ら、乱暴ねパートナー……プリムが寝るからよ……ストレスかしら?」

 

「ミルク……笑顔」

 

「そうね……さ、流石パートナーって言った所かしら……ミルクって……ああいうのが好きだったのね」

 

 ベッドの端から顔を出した二人は、涙を流すミルクの顔を見て……にやにやと笑みを浮かべた。

 

「―――違ッ!んぎゅッ♥ ッ〜〜〜♥ ……あ、兄貴ッ♥ まッ―――ッう゛♥ んぉ゛おお゛♥」

 

 突き挿れられた衝撃で上がった顔を隠そうとするミルクの腕を掴み引っ張り上げ、二人に見せつけるように腰を叩きつけると、カクンとミルクの顔が下がった。

 

「シュガー、ミルクの顔をあげてやれ」

 

「〜〜〜〜゛♥♥♥ ……あ、あ、にきぃ♥ ゃぁ゛♥」

 

「嫌よ嫌よも好きのうちってなッ!!どうしたシュガー?」

 

「え、ええ……分かったわ……」

 

 ミルクの顔を持ち上げたシュガーは熱い息を吐き出し……小さく言葉を零した。

 

「うわ―――も、もうお嫁に行けないわ♥」

 

「♥ 羨ま」

 

「―――あなたも、こんな顔だったわよ」

 

「……はずっ♥」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……ぅぅぅ゛♥ ……ぅ゛ぅ゛ぅ゛♥ ……兄貴のばかぁ♥ ……後で、ぼこすぅぅ♥」

 

「……あ?まだ足りねーか?」

 

 シーツで身体を包み、顔だけちょこんと出したミルクが恨めしそうに眉間に皺を寄せた。あれだけ身体に教え込んでやったのに足らないとは……メスガキの素質が有るのかも知れない。

 

「……ぼ、ぼこすぅぅ♥ ぜったいぼこすぅぅ♥」

 

 ―――どうやら、再教育が必要なようだ。シーツを剥ぎ取ろうと近寄った俺の手に、シュガーの手が絡みついた。

 

「次は私よ、パートナー……」

 

 無表情にも関わらず、多少の不安が伝わってくる。絡みついた手から、潤んだ瞳から……シュガーの不安が伝わった。

 

「そうだな。悪かった……ミルクはシャワーでも浴びてこい―――おい!シーツを持っていくなッ!」

 

「いつかぼこしてやるぅう♥」

 

 ズルズルとシーツを引きずったミルクが、部屋を出て行った。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 シュガーの望みはどろどろに愛して欲しいというものだ。愛しているかと言われると……愛してはいない。好きかと言われると……好きだろう。そわそわするシュガーを後ろから抱き締め、懇切丁寧にちゃんと説明したが……コイツ分かってんのか?

 

「……ふぅぅ、ふーっ♥ ……パートナーの身体、大きいわね♥ ……夢がまた叶ったわ」

 

「俺の話……聞いてたか?」

 

「もちろん、俺を振り向かせて見せろって事でしょう?」

 

 ……そう、取れない事も無いのか……女の思考は分からんな。

 

「いつも私の事しか考えられなくしてあげるから、末永く宜しくね♥」

 

「まあ、宜しく頼む」

 

「……ほら、キスして……ん♥ ―――ふーっ♥ ……パートナー、好き♥」

 

「雰囲気出してんじゃねぇよッ!シュガーッ!どうせ直ぐにヒンヒン言わされるって、分かってんだろーがッ!」

 

「ん……同意」

 

「ふっ、負けニケは黙ってなさい。パートナーは私に夢中よ。優しくねっとり愛してくれるの♥ ……ね♥ パートナー♥」

 

 そういう約束だからなー。

 

「クッソッ!……ずっり〜〜ッッ!」

 

「ん」

 

 憤る二人には悪いが約束は約束だ……だが一つだけ、勘違いしてんじゃねぇぞ。

 

「シュガー、お前が俺の事しか考えられなくなるんだ。勘違いするな」

 

「……ん♥ そ、そう……なのね。夢中にして、パートナー♥」

 

 ねっとりと優しく、丁寧に愛撫を進めていく。シュガーの口から零れる喘ぎを敏感に掬い上げ、柔肌に手を滑らしていく。

 

「はぅ♥ ……ぜ、全部気持ち良い♥ パートナーの手ぇ、すきぃ♥」

 

「全身性感帯かよ……随分と敏感なんだな」

 

「違ぅぅ♥ パートナー、パートナーだからぁ♥ い、淫乱じゃないわ♥」

 

「分かってるよ、そういう意味じゃねぇ、」

 

 とろとろに蕩けたシュガーは可愛い。無表情な癖に口角が持ち上がり、瞳も潤んで―――クール美女に弱いんだろうか?ラピも最初はクールだったし……。

 

「可愛いなシュガー、お前のそういう顔がもっと見たい」

 

「んんぅぅ♥ ぱーとなー♥ それ、すごくえっち♥」

 

「なんでだよ、可愛いお前が好きなんだ。もっと可愛いとこ見せろ」

 

「ふっ、ふっ……んんぅ♥ やだ、これ凄く良い♥ 嵌っちゃう……」

 

「俺しか見えないようにしてやるからな―――覚悟しろよ」

 

「〜〜〜♥ す、好きにして♥」

 

「ああ、好きだ。シュガー」

 

「〜〜〜〜〜っ♥」

 

 耳元で好きだと呟く度にシュガーの身体が震える。何だか誑かしている気分になるが……実際に誑かしてるのは俺か?……いや、考えるのは止めよう。今は、この可愛い女を蕩かすのが最優先だ。

 

「はふぅ♥ はふぅぅ♥ ……ぱーとなぁ〜♥ しゅきぃ♥」

 

「―――やっべーなアレッ……ごくッ―――私もして貰おッ」

 

「ん……いい♥」

 

 とろとろになったシュガーの雌肉をすりすりと指で擦る。珍しい事にシュガーには下の毛が生えており、手を擽る柔らかな感触が気持ち良い。ニケは無毛ばかりだと思っていたが、どうやら個人差だったようだ。

 

「んぁ♥ ああぁん♥ あふっ、あふぅうう♥」

 

「めちゃ濡れてるな。どうする?もっと指で可愛がってやろうか?」

 

「ふぁぁん♥ も、もぅ挿れてぇ♥」

 

「……ああ、優しく挿れるからな、集中しろよ」

 

「はぁん♥ は、はぃぃい♥」

 

 銀髪赤目の姿に……誰かを重ねている可能性があった―――だが、潤んだ瞳のシュガーに見つめられ、その可能性は完全に無くなった。心のどこかで小さなシコリがあったが……どう見てもシュガーはシュガーだ。他の誰でもないシュガーとしてしか、見えなくなった。

 

「熱ッ、クッソ熱くなってんじゃねぇかッ……火傷しちまうぞ」

 

 肉棒をくちゅりと宛てがうと、熱くうねる肉が纏わりついた。

 

「ふぅふぅ、ご、ごめっ―――っ♥」

 

「謝んじゃねぇよ。嬉しいんだ。それだけ俺とのこと、楽しみにしてくれたんだろ?ありがとな」

 

「〜〜〜♥ ふぅふぅふぅ、お、おねがい♥ パートナー……いっぱいにして♥」

 

「ッ―――ッッ、アッチッ」

 

 軽い抵抗と、膜を破る感触……優しくすると言ったが、腰が止まらなかった。子宮を強く押し上げた肉棒は八割ほど呑み込まれ、強く締め付けられた事で、我に返った。

 

「ふっ、ふぐぅう゛♥ ―――〜〜〜♥ ぅ゛〜〜〜゛♥ ……ふっ、ふぅふぅ♥」

 

「ッ……す、すまん、我慢できなかった」

 

「〜〜〜っっう♥ ……ふーぅ♥ い、良いの、パートナーの気持ち……受け取ったわ♥」

 

「……お前、可愛いな―――優しくしてやれなかったら、ごめんな……」

 

「ひゃっ♥ す、好きにしてぇ♥」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 ちゅうちゅうと吸い付く子宮を押し上げ、奥に奥にと肉棒を埋めていく。シュガーの身体を持ち上げ、強く抱き締めながら、根本まで肉棒を呑み込ませた。

 

「ぅ゛〜〜〜〜♥♥♥ ……ふ、ふかぃぃ♥ ……ぱ、ぱーとなぁぁ♥ ちゅうぅ♥」

 

 ……タ、タフだな。ビクビク震えて絶頂しても、直ぐに回復して唇を強請ってくる。激しくしていないというのも有るのかも知れないが……それでも食い入るように見ている二人よりはタフだなー。

 

「んれぇ♥ ちゅぷぁ♥ ……はふぅぅ♥ しゅきぃ、しゅきぃ♥」

 

 た、多少頭が馬鹿になるみたいだが。こんな所も可愛いと思ってしまう俺も、馬鹿なんだろう。

 

「俺も好きだぞ、シュガー」

 

「……しゅきぃ♥ んちゅう♥ ちゅぅ、ちゅぅ♥ ……ちぅぅ♥」

 

 イチャイチャし過ぎて、止めに入った二人に揉みくちゃにされるまで―――シュガーとのキスは長く続いた。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「テメェら、いい加減にしろやッ!!ケツ並べてコッチ向けろッッ!!」

 

 シュガーを押し退け、肉棒の取り合いを始めた三人のケツをシバキ、そう告げる―――瞬時に言葉に従った三人に思わず溜息が溢れたが、それにしても……これは……頭の悪い光景だった。

 

 三人がお尻を高く突き出し、一様に蜜を溢している。ぼたぼたと滴るほどに零れる蜜が甘ったるい匂いを発し、部屋全体が婬欲に塗れた。ケツを並べろと言ったのは俺だが……予想の斜め上を行くえろさ、こんな光景を誰かに見られたら、ニケを性の捌け口にしていると思われても仕方ない―――少しだけ自己嫌悪に浸りながらも、肉棒はギンギンにイキり勃ち、誰を食い散らかすか見定めていた。

 

「パートナー♥ 美味しいわよ♥」

 

「ん♥」

 

「あにきぃ♥ はやくぅ、くれよぅ♥」

 

 一人は論外だが、二人は強請り上手だった。論外だと思ったプリムも言葉では言わないが、一番ふりふりとお尻を振っている事に気づいた時には……肉棒を突き挿れていた。

 

「んぉ゛♥」

 

「嘘っ、プリムに……負けた!?」

 

「うっそだろ!あ、ありえねぇッ!狡したに決まってやがるッ!!」

 

「ぉ゛♥ ……っふ、勝ちぃ♥」

 

「うるせーぞ、文句言うなッ!」

 

「ひぐっ♥」

 

「ぁひん゛♥」

 

 丁度真ん中だったこともあり、両手で蜜壺をかき分け、ゴリゴリと指で抉る。仲良く腕をがくがくと震わせた三人がベッドに突っ伏し、部屋中に響き渡る嬌声に、頭がくらくらした。

 

「パ、パートナー……出す時は私に欲しいわ♥」

 

「ハァ!?ずりーぞッ!!わ、私に欲しい!!兄貴ぃ♥」

 

「……ああ……言い忘れてたけどな、出してやらねーから」

 

「「!!?」」

 

「んぅぅ♥」

 

「お前らが狡した罰だ。次からは狡するなよッ!!」

 

「んぉ゛ぅ゛♥♥♥」

 

「―――は!?い、意識が飛んでたわ!!」

 

「……だ、誰が……言い出したっけなァ!?」

 

「な、何?どうしたのよミルク?……なんで拳を握ってるの?」

 

「テメェのせいだろがッ!!ゴラァッ!!!」

 

 ああ、シュガーが言い出しっぺだったのか……ご愁傷様だな。

 

「んぉ゛♥ 〜〜〜〜♥♥♥ ぉ゛♥ ぉぅ゛ぅ゛♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「ねぇ、指揮官様……アイツら何してるの?」

 

 指揮官の端末を取り合い、にらめっこを続ける三人が喧嘩しながら、わちゃわちゃと身体を寄せ合っていた。全員が全員譲るという事をしないため、もみくちゃになりながら、あられのない姿を晒していく。特にだるんだるんの服を引っ張られたプリムが、片乳をむき出しにしたまま奪い合っているのが印象的だった。

 

「放っといてやれ、アイツらに取っては、大事なことらしい」

 

「そっか、ね〜、指揮官様ぁ♥ ……アニスとどっちが良かった?」

 

 三人がぴくっと反応し、同時に動きを止めた事が指揮官にも分かった。三人が聞いていようが関係ないと言わんばかりに、指揮官は堂々とアニスを抱き寄せる。

 

「お前に決まってんだろ、分かってて聞いてんだろが」

 

「「「!!!?」」」

 

「ぅん♥ 知ってる♥ ……テトラ最強の万屋部隊さーん、聞こえちゃったぁ♥ ごっめんねぇ、指揮官様は私が良いってさぁ♥ ……指揮官様もちゃんと言ってくれるのがいいのよねー♥」

 

「煽るな……喧嘩するなら全員抱かねーからな」

 

「「「「!?」」」」

 

「け、喧嘩なんかするわけないよ、ぅぅ、ごめんなさい指揮官様、ちょっと見栄を張りたかったの」

 

「ちゃんと反省出来るのがアニスの良いところだろ、分かればいい」

 

「うん♥ ねぇ指揮官様、アニスにも♥ ……して欲しいなぁ♥ ―――べぇーっ!」

 

「「「!!!」」」

 

 指揮官の見えない角度でしっかりと三人を威嚇するアニスは実に強かである。

 

「溜まってるからな、すぐへばんじゃねぇぞ」

 

「うん♥♥♥」

 

 指揮官に肩を抱かれながら、アニスが三人に勝ち誇った顔を見せた―――即座に三人の脳は、一つの結論に至った。曰く、あの問題児をどうにかしなければならない。

 

「ねぇ皆、提案があるの」

 

「奇遇だな。私もだッ!」

 

「ん」

 

 カフェ・スウィーティー。

 

 テトラ・ライン最強の万屋部隊。問題行動が多く纏まりが無いが、個人技がずば抜けており、単独ならば並ぶ者は少ない。その三人が纏まれば、エリシオンの最強であるアブソルート、ミシリスの最強であるメティスに劣る事など―――あるはずが無かった。

 

「お前らは敵だが、アイツがボスだッ!」

 

「そう、敵の敵は、味方だわ」

 

「ん」

 

 ガッチリとスクラムを組んだ三人の意思は完全に一致した。まさか、アニスの存在がテトラ最強部隊に纏まりを生むことになるとは、流石のマスタングですら予想していなかっただろう。当然、いちゃいちゃとらぶえっちに興じる指揮官とアニスも、三人が一致団結した事など、知りもしなかった。

 

「ふひ、ふひひひ、あひゃひゃひゃ……しょ、初心者さん、マジでチートすぎー♥ 初心者さん争奪ゲーム勃発……おもろー♥ ……まぁ、私の一人勝ちはー、決まってますけどね〜♥」

 

 エクシアがドローンでその様子を見ていた事も、誰も知らなかった。




不完全燃焼すまんかった!いつか予告無く加筆修正すると思います。停滞し過ぎたため、投稿!!次は原点回帰!明日には投稿出来るので宜しくお願いします!


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37 ★ ラピ 後半三人称

原点回帰としてラピです!場面転換が多いので分かりづらいかも……ごめん!!


 カフェ・スイーティーとの騒動があった翌日、何時までも休暇を取ろうとしないラピに強制的に休暇を取らせた。嫌がる女に強制するためには対価が必要なのは当然だろう。差し出したものは俺の一日。エレベーターから少し離れた街角で、私服に身を包んだ俺はラピを待っていた―――要はラピとの一日デートだ。

 

「お、お待たせしました……私服も格好いいですね、指揮官」

 

「―――あ、ああ……ラ、ラピ……だよな?」

 

 真っ白なワンピースの少女が走ってくるなーとか思っていたが……ま、まさかラピとは思ってもみなかった。俺の反応に視線を落としかけたラピの肩を強く掴んだ。

 

「滅茶苦茶可愛い!―――驚いた!何時もの格好で来ると思っていたから、凄ぇ嬉しい!!」

 

「―――ぁ……んぅ♥ そ、それなら……よかったぁ♥」

 

 少女の顔にひまわりのような笑顔が咲き誇る。な、何だこの可愛い生き物は……速攻でホテルに連れ込んで一日中可愛がりたい―――さっきからチラチラ見てくる野郎が鬱陶しい。ラピは俺のだ!誰にも渡すかッ!!

 

「お、俺の為か?」

 

「はい……その、オシャレとか分からなかったので……自分なりですが……」

 

 ああ、生きてて良かった。俺の女、可愛すぎ―――麦わら帽子を深く被り、顔を隠したラピをチラチラ見ていく野郎どもにガンを飛ばし、周囲に見せつけるように抱き締めた―――あ?何見てんだッ!?俺の女だって見て分かるだろがッ!さっさと散れッッ!!

 

「ラピ……顔上げろ」

 

「は―――ん♥ ……ふーっ♥ し、指揮官……は、恥ずかしい♥」

 

 唇を重ねると、途端に色気を帯びた頬が真っ赤に染まった―――い、いかん、連れ去る所だった。ホテルに速攻でチェックインする所だった。待て待て、慌てるな……ヤりたい盛りの学生じゃねぇんだ。冷静になれ……。

 

 はにかむラピを見れば、何時もは手袋で覆われている素肌に光る銀色の輝き……ラピがそっと右手で撫で、チラリと見てくる姿に途轍もない幸せが押し寄せる。飾り気の全くない純白のワンピース。丈は長く、下の守りは完璧だが、肩から胸元にかけての露出が俺をそわそわさせる。

 

「これ、羽織っとけ……あんま見せたくない」

 

 絶妙にカッコ悪い嫉妬を見せてしまうが……それでも駄目なものは駄目だ。普段の格好はニケという事が丸わかりで、道行く人間も視線を留めないが、今のラピは可憐な女の子だ。ジロジロ見られたら……ましてやナンパ野郎が近づこうものなら、ブチギレる自信がある。

 

「……指揮官?寒くはありませんよ……それに指揮官が寒くなりませんか?」

 

「ジロジロ見られてんだ……あんま嫉妬させんな」

 

「―――っ♥♥♥ ……はい、指揮官♥」

 

 羽織った上着はぎゅっと握られ、とろんと蕩けた瞳を向けられる……見苦しい俺の嫉妬も、ラピにとっては嬉しいことだった事が分かった。分かったが……滅茶苦茶恥ずかしいな、これッ!!

 

「取り敢えず、行くか」

 

「はい、指揮官♥」

 

 差し出した手は直ぐに絡め取られ、腕に抱きついたラピが微笑みを浮かべて見上げてくる。道行く野郎どもも、そんなラピを一瞥したら、直ぐに視線を逸し……何人かの女は深く溜息を付いた。ご年配の老夫婦が微笑ましそうに笑顔を浮かべて見てくるため、軽く頭を下げると、心底嬉しそうに会釈を返してくれた―――ここが地下だと忘れられるように、ラピがニケだと忘れられるように……大切な一日にしようと、幸せそうな老夫婦を見て決心した。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 決心したはずなのに……何でこうなってんだよッ!!

 

「んぁ♥ おっきぃ♥ ちゅよぃぃい♥」

 

 道行く人が遠目に見える路地裏で、壁にすがりつくラピを後ろから強く抉り肉棒を震わせた。朝から溜まっていた精が玉になり、ドボドボと吐き出される。

 

「―――〜〜〜♥♥♥ ぁん゛〜〜〜〜♥♥♥ ……っひぃ♥ っふー♥ っふー♥ ふっふっ、ふーっ♥」

 

 溶けそうになる理性に活を入れ、どうにか一発で終わらせたが、肉棒に舌を這わして物足りなそうに見上げられ、イライラでどうにかなりそうだった。

 

「んじゅりゅ♥ はっぷ♥ っふー♥ しきかぁん♥ ……ホテルぅ♥ ……ホテルに向かいませんかぁ♥」

 

「―――ッ、デ、デートじゃなかったのか?」

 

「っふー、っふー♥ ……デート♥ デートもしたいですぅ♥」

 

 我儘ラピちゃん……可愛すぎるッ。強く抱き締め髪を梳いていると。徐々に落ち着いたラピが、顔を両手で隠しボソボソと呟いた。

 

「お、お見苦しい所を♥ ……お見せしました……落ち着きました……」

 

「暴走してたもんな」

 

「い、言わないでぇ♥ ―――し、指揮官が悪いんですぅ♥ ……あ、あんな事、されたらぁ♥ ……ほ、欲しくて堪らなくなりますよぅ♥」

 

「それは悪かったが……お前も悪いからな?そんな可愛い格好で来るなら先に言っとけよ」

 

「ん♥ ……喜んで欲しかったんです♥ 喜んで……良かったぁ♥」

 

 二回戦に向け決意が高まりかけ……どうにかそれを押し殺した。路地裏でこれ以上盛る訳にもいかない。抱き締めたラピを解放し、手を絡める。微笑んだラピを連れ、やっとデートが始まった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 デートと言われても、何をすればいいのか……正直分からん。二人で食事をし、デザートとしてクレープを購入した俺たちは、食べ歩きながら宛もなく脚を進めていた。ふと、ラピからの視線が気になり、俺のクレープを差し出した。

 

「ん♥ ……はむっ……美味しい♥」

 

「なら、いるか?」

 

「そういう事ではありません……指揮官、分かってますよね♥」

 

 ジト目を向けられ笑みが浮かぶ。そうやって感情を顕にしてくれる事が、何よりも嬉しかった。

 

「そうだな。意地悪すると可愛いからな、お前」

 

「もぅ、ばかぁ♥ ……次は何処に行きますか?そ、そろそろホテルに♥ ……」

 

 直ぐにホテルに向かおうとする所は戴けない。誘惑に負けそうになる。

 

「デートはもう良いのか?こんな機会、中々取れないかも知れないだろ」

 

「それは……そうですが、視線が……鬱陶しいです」

 

「滅茶苦茶可愛い女にしか見えないからな。ジロジロ見られるのはうざいが……仕方ねぇ」

 

「違います!……指揮官も見られてます。だって……格好いいから♥」

 

 周囲を見渡してみると……確かにきょろきょろと視線を彷徨わせる女がいた。一人ではなく何人も……俺ってもしかしてモテるのか?―――そんな事はどうでもいいが、ラピの嫉妬とか……凄ぇ嬉しい。

 

「可愛いなーラピは……よし、ちょっと走るぞ!ロイヤルロードなら静かに過ごせるだろ!?」

 

「ぁ♥ ……そ、そうですね、指揮官♥」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 ロイヤルロード行きのバスに乗り、肩により掛かるラピの髪を撫でる。幸い乗客は少なくゆっくりとした時間が過ごせそうだ。

 

「指揮官♥ 好き♥」

 

 俺の右手に手が重ねられ、銀色の輝きが瞳に入った。重ねられた手を握り、ラピが発情しないよう保険をかけながら、甘く囁きを落とす。

 

「ホテルにはまだ行かないからな……当然、俺もラピが好きだ」

 

「ん♥ わ、分かってますぅ♥ ……で、でも指揮官……おくちで……如何ですか?」

 

 ホテルだけ警戒していたが、まさかの伏兵に思考が停止する。唇を妖艶に舐めあげ、あーんと大きく開けられたおくちの中で真っ赤な舌ベラが蠢いた。

 

「―――はあ?他に人も居るだろが―――ッ!?、クソッ、想像しちまった……」

 

 ラピの手が素早く動き、服の上から肉棒を撫でる。おくちの気持ちよさを思い出し……どうしようもない息子が硬く憤っていた。

 

「ん♥ おっきぃ♥ ……指揮官が言って下さい♥ おくちで、したい、ですか?」

 

 さわさわ、撫で撫で―――慈しみを込めたラピの指が肉棒を刺激し……一度出さないと収まらないほど熱り立った息子に、つい本音が漏れた。

 

「……し、したい」

 

「はい♥ ……お任せ下さい♥ ―――はぁ♥ 凄い匂い♥ ……匂いでバレる前に、はぁむっ♥」

 

 バスの中には乗客が八人……幸い大人たちは端末を弄っている。子供と老人は窓から景色を眺めており、バレた気配は無い……それでも、非日常過ぎて頭がオカシクなりそうだ。

 

「んちゅぱ♥ 遠慮せずに射精して下さい♥ んちゅ♥ 全部、零しませんので♥ ……あむっ♥ んぢゅりゅ♥」

 

 快楽と状況に昂りが酷い……小さな女の子と目があい……ジッーと見つめてくる。小さく手を振ると、満面の笑みでブンブン手を振ってくれるのは嬉しいが……激しい咥内の蠢きに晒され、全身に力が籠もり……肉棒が強く脈打った―――ごくごくと喉を鳴らすラピの身体が小さく震え、吐き出された精を全て飲み干していく。どうして俺は少女に見られながら射精してんだよ……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「こ、こんなの……似合いません……」

 

「そんな事ねぇ。それにバスでの仕返しだ」

 

「ぅぅ、指揮官が悪い笑顔してるぅ♥ ……」

 

「―――彼女さんですか?お綺麗ですね〜」

 

 ラピへの罰を含めショッピングモールで着せ替えしまくっていると店員から声が掛かった。ファンシーな服に身を包んだラピが恥ずかしそうに瞳を伏せるが、この店員を使わない手など無い。

 

「他に似合いそうな服とかありますか?」

 

「それなら!――――」

 

 早口で捲し立てた店員さんに連れられ、ラピを着せ替えしまくる。流行りの服から童貞を殺す服などを着せられ、真っ赤に俯くラピが実に可愛らしい。この店員は使えると思ったのも束の間……何故かメイド服、水着といった過激な方向にシフトしていき……下半身がグツグツと煮え滾った。そんなラピを見て頬を染める店員にもヤバそうな雰囲気を感じる。

 

「あ〜〜♥ やっぱり、美しい♥ ……あ、あの!これも着てくれませんか!」

 

「―――!?い、嫌です……し―――あ、あなたからも言って下さい!」

 

 ラピが手に持たされたのは、どう見てもえろを全面に押し出した唯の紐……もはや衣服とは思えない。

 

「……ああ、そろそろ次に向かうか……終わりにしよう」

 

「あ〜〜ん♥ 勿体な〜い♥ ……でも、尊い♥」

 

 身体をくねくねとくねらし、試着室のカーテンを閉めたラピを見詰める瞳に不穏な空気を感じたが……相手からは悪意を一切感じず、何も言えなかった……不甲斐ない俺を許してくれ、ラピ―――ここには連れてこないようにしようと心に刻んだ。

 

 ファッションショーも終わり、たった数分お手洗いで離れただけだったが、三人の男に絡まれているラピの姿を見て、一気に機嫌が悪くなる―――ロイヤルロードは治安が良いからと、油断した俺をぶん殴りたくなった。

 

「触ったら、許しませんので」

 

「ヒュー、お姉さん可愛いのにカッコっ―――!?ぁ、ぉ、ぉぉ、ぉにいさんの……お連れ様でしょうか?」

 

 貞淑に佇むラピの前に身を乗り出し、男達を見据える。そこのデカいの、おい目ぇ逸らすな、お前だよ……誰がナンパして良いって言ったんだ?アア゛!?

 

「俺の女に何してんだ……そこのデカいの、なんか言えッ」

 

 ブチギレても辛うじて機能した理性が……声の大きさを調整した。大声を出せばラピにも嫌な思いをさせるだろうと、歯止めがかかった事に感謝した。デート中に彼氏が大声で怒鳴る姿なんて、見苦しい……その代わり、殺気が籠もった重たい声が漏れた。

 

「―――ヒッ、め、滅茶苦茶可愛い、か、かか、彼女さんっす!!す、すす、すいませんしたァアア!!」

 

 一番最初にデカいのが逃げ出し、ブルブルと震える二人にも声を掛ける。

 

「チッ……分かればいいんだよ、ほら、さっさと散れッ」

 

「は、ははは、はいぃ!!ほ、本当にっ、すいませんした!!」

 

「すっせっっしたぁあ!!」

 

 蜘蛛の子を散らすように逃げ出した三人組を尻目に、気落ちした俺は小さく呟いた。

 

「ごめんな、俺が居ながら……」

 

 ラピを一人にするなら、もう少し場所を考えれば良かった。こんなショッピングモールでナンパされるとは思わなかったが……考えが甘かった。一旦ホテルにでも向かえば良かったんだ。

 

「大丈―――」

 

 俯くラピがトンと体ごと胸板にぶつかり、麦わら帽子が地面に落ちる。顔を上げたラピの瞳はうるうると潤み……頬を真っ赤に染めたラピが熱い吐息を吐き出した。

 

「っふー♥ し、しきかんっ♥ も、もぅダメです♥ ……抱いて下さい♥」

 

「―――ん?」

 

 何で発情してんだ?そりゃラピにかかればあんなナンパ野郎瞬殺だろうが、それでも不快な気持ちにはなったはずだ。

 

「ま、待て待て、どうしたんだ?」

 

「俺の女って、凄く嬉しかった♥ ……あんなにはっきり言われたら……我慢、出来ない♥」

 

 ……んん、取り敢えず、ナンパ野郎達にお礼でも言っておこう。ブチギレて殺気が漏れたと思うが……それはすまんかった。

 

「我慢は出来ないか……もうデートは……良いのか」

 

「が、我慢……む、無理です♥ ……そ、それに、デートよりも……指揮官と♥ 指揮官と交わりたい♥」

 

 ―――ああ、俺も無理だ。そんな事言われたら……もう、止まらない。

 

「ひゃん♥ ―――ぇ♥ し、指揮官♥ ぉ、重た―――」

 

 姫抱きでラピを持ち上げ、そのまま歩みを進めようとして、背後から声が掛かった。

 

「……お、お姉ちゃんの帽子……落としたよ」

 

 少し前から遠目で眺めていた少女が、ラピが落とした麦わら帽子を手に持ち、おずおずと差し出してきた。

 

「ああ、ありがとな嬢ちゃん……ラピ、麦わら帽子……持っていくか?」

 

「い、いりません♥ こ、このまま、このままがいいです♥」

 

「……嬢ちゃん、落とした帽子で悪いが、それ要るか?」

 

「……え、いいの?」

 

「ああ、帽子が欲しいなら、お姉ちゃんがあげるってよ」

 

「いいの!やったー!!お姉ちゃんすっごく綺麗だったから、欲しかったの!!」

 

「……お姉ちゃんは美人だからな。嬢ちゃんも将来美人さんになりそうだ、大切にしてくれると嬉しい」

 

「うん!お姉ちゃん!ばいばーい!!お幸せにー!!」

 

「すっごく綺麗だってさ……ラピ」

 

「もぅ……ばかぁ♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 道行く人々からの視線をものともせず歩を進めた指揮官は、真っ赤な顔のラピの囁きにより、渋々とホテル前でラピを下ろした。真っ赤に染まり俯くラピの手を掴んだ指揮官が歩を進めると、直ぐに指を絡めたラピも後を追う。

 

「ぁ、指揮官♥ ―――んっぅ♥ ちゅぅ♥ はぅ♥ ―――」

 

 手早くチェックインを済ませた二人は、最上階に借りた部屋に向かう間も唇を求めあった。甘く女を痺れさす唇に犯され、ラピの腰が砕ける。そんなラピの腰を抱き、部屋に入った瞬間には二人は抱き合い―――深く唇が重なった。

 

「―――んんぅ♥ はぷ、はむぅ♥ ちゅぅ♥ ちゅ、ちゅ、ちゅぱ♥ ちぅ、ちぅ♥ ちゅぅう♥」

 

 指揮官の首に手を回したラピは、瞳をぎゅっと閉じ、何度も何度も、甘いキスに酔いしれる。

 

(指揮官♥ 好き、好きです。愛してます♥ ずっと、ずっと一緒にいたい♥ ずっと指揮官のお側にいたいです♥)

 

 踵を浮かし少しでも近づこうとする健気さは指揮官にも伝わり、抱き締める腕に力が籠もる。とちらともなく舌が絡み合い、玄関に水音が反響した。

 

「んっ♥ ふーっ♥ ふーっ♥ んぢゅりゅ♥ ふーっ♥ れりゅ♥」

 

 ぴちゃぴちゃと艶めかしく、長時間に渡り唇を貪りあった二人の手は―――同時に動き始めた。男の手がラピの豊満な臀部を掴み、ラピの手が男のベルトを外していく。

 

「んぅぅ♥ ぷぁ♥ ……ふーっ♥ ふーっ♥」

 

「フーッ、フーッ」

 

 ラピは自身の雌を差し出し、男の荒い息が興奮を如実に示した。壁により掛かりお尻を高く上げ、自ら衣服を捲くりあげる。扉一枚隔てて従業員がいる可能性も考えず、浅ましくお尻を振り……男を誘う。

 

「―――もぅ、ください♥ しきかぁん♥」

 

 黒いレースがあしらわれたショーツを男の手がずり下げる。粘着く蜜が滴り、ひくひくと男を誘うラピに誘われるように、熱り立つ肉棒が外気に晒された。

 

「ッ―――フーッ、挿れるぞッ」

 

「ぁ♥ ―――〜〜〜♥♥♥ んぁあああ♥♥♥」

 

 ホテル中に響き渡る程の大きな嬌声をあげたラピの雌が強く穿たれ、男の巨大な陰茎が根本までぐっぷりと呑み込まれる。ビクンビクンと背筋を逸し跳ねるラピの腰を掴み、ぶるりと身を震わせた男が、肉棒をずるりと引き抜いた。

 

「っ、ひぅぅぅうう♥ ひうっ♥ ひぅぅぅう♥♥♥」

 

 発情期のメス猫でも出さないような甘ったるい鳴き声をあげたラピは、ガクガクと震える身体に必死に力を入れ続ける。例え自身が倒れても、指揮官は体勢を変え愛してくれる事は分かっていた。それでも、指揮官が少しでも気持ち良く射精出来るように、腰の振りやすい体勢を維持し続けるのは、ラピの献身でもあり……意地でもあった。

 

(凄っ♥ 凄いぃ♥ 凄くおっきぃ♥ い、何時もより興奮してる♥ 指揮官が興奮してくれてる♥ ―――嬉しい、もっと、もっと……私で興奮して♥ 指揮官♥♥♥)

 

「ッ……ラピッ……好きだッッ!!」

 

「ぉひっ♥ ひぅううう♥ しゅごっ……すごぃれすぅ♥ し、しき、かん……愛して、ます♥」

 

 ブチッっとナニカが千切れる音をがした。ラピには聞こえなかったが……男の中でナニカが千切れた。

 

「ひぐぅ♥ ぁあんっ♥ ぁ♥ ぁあ♥ あああっっ♥」

 

 理性の吹き飛んだ男が腰を叩きつける。ラピの豊満なお尻をクッションにし、ばちゅんばちゅんと強く何度も腰が叩き付けられる。叩きつけられる度に波打つ尻肉が、男が叩きつける腰の強さを物語っていた。

 

「―――〜〜〜♥♥♥ っぐぅ♥ ぅ゛ぐぅ♥♥♥ ―――〜〜〜♥♥♥」

 

 一突きされるだけで、ラピの脳にはオーバーフローするほどの快楽が与えられる。身体中に分散させた快楽が全身を震わせ、力が抜けていく。視界など定まるわけもなく、チカチカと星が飛びかい、必死に倒れないようにするだけで精一杯だった。

 

「ラピ、無理するな……デるぞッ!」

 

 優しく囁かれた言葉を止めに、全身から力が抜け崩れ落ちたラピを男が支える。持ち前の膂力を最大限に発揮し、百キロを軽く超えるラピの身体を支えた男の肉棒が、ビクンッと跳ね上がった。

 

「ぁ♥ ―――〜〜〜♥♥♥ 〜〜〜〜〜〜♥♥♥」

 

 声にならない嬌声をあげながら、子宮に注ぎ込まれる熱を感じ―――ラピは全身を弛緩させた。何も考えられず、ただ、与えられる熱を呑み干す事だけに身体が集中し……信じられない程の多幸感に包まれる。

 

「―――ッッ、ッ、めっちゃデるッ……フーッ、ラピッ……愛してる」

 

「〜〜〜ぁ゛♥ 〜〜〜〜ぅあ゛♥ ―――〜〜〜♥♥♥」

 

 多幸感には先があった。ラピの優秀な脳は指揮官が呟いた小さな言葉を正確に拾い上げ、正しくその意味をラピに伝えた。身体が燃える様に熱を持ち、まるでレッドフードを使った後のような、燃えるような熱に浮かされながらも……ラピは果てしなく幸せだった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ホテルには備え付けのバスルームがあった。実は指揮官がこのホテルを決めた決め手でもあり、久しぶりに風呂に入りたかったという単純な理由でもあったが、愛しの異性と入る風呂の誘惑に晒されたラピは、ぼんやりとした熱に浮かされていた。

 

「ふーっ♥ ふーっ♥ ふーっ♥ あ、あの……し、しきかん♥」

 

「ん?なんだーラピ……」

 

「そ、そのぅ♥ ……う、動きましょうか」

 

「ん〜〜、このままでいい……最高に気持ちいい」

 

「そ、そぅですか♥ わ、私も♥ ……凄く気持ちいいです♥」

 

 風呂の魔力に魅入られたラピが、今後何度もお強請りすることになり、コマンドセンターに大きな風呂が設置される事を二人は知らない。

 

(し、指揮官♥ 可愛い♥ 凄く可愛い♥ ……そんな顔、狡い♥ もっと好きになる♥ もぅ、頭が馬鹿になりそう♥ ……指揮官で頭が埋め尽くされる♥)

 

 ただただ、幸せそうな男を見て、ラピは幸せだった。

 

「あ〜〜、極楽だな〜」

 

「ひゃん♥ ―――ぁ♥ ぅうん♥」

 

 大きな手が豊満な胸を掬い上げ、たぷたぷと揺すった。それだけで、全身性感帯と化しているラピの身体は敏感に震え、子宮がきゅんきゅんと肉棒に吸い付く。

 

「フーッ、めっちゃ気持ちいい、うねってんな〜、気持ちいいか?ラピ」

 

「っふー♥ っふー♥ き、きもち、っふー♥ いいれす♥」

 

 痺れるような甘美な刺激は甘い毒となり全身に広がり、身動ぎするだけで軽く絶頂するほどに仕上がっている。ここで強く腰を振られたらと考えてしまったラピは……誘惑に抗えず、上手にお強請りを始めた。

 

「ふーっ♥ ―――しきかぁん♥ お、お腹が切なくてっ♥ ぱんぱんして欲しいれす♥ おまんこ、いっぱい突いて、お腹いっぱいにしてください♥」

 

「―――ッ」

 

 男の肉体が盛り上がり、筋肉が固く脈動するのを肌で感じ取ったラピは、男の動きにあわせて重い腰をあげた。にゅぶりと抜け出た肉棒に少しばかりの寂しさを感じつつ、湯船からあがった男のギラついた瞳に見据えられ、自ら女を晒していく。床に寝そべり股を開いたラピの身体に、男の巨体が覆いかぶさった。

 

「ひゃ♥ ひぐっ♥ ―――〜〜〜♥♥♥ ふっ♥ 〜〜〜♥♥ ……ぃふぅぅうう♥♥♥」

 

「えろいんだよ!えろ娘がッ!!一緒に風呂に入りたいんだよッ!一発出したらまた風呂に入るからなッ!!」

 

「―――〜〜〜♥♥♥ ……ひゃぃ♥ っふー♥ ひぅぅ♥ ひぅううううう♥♥♥」

 

 甘ったるく鳴く雌を、ずちゅずちゅと肉棒で躾ける。ラピと風呂に入りたい男と、ずっと抱かれていたいラピ……行き着く先は獣のような交尾になることなど、小さな学生でも分かる事だろう。

 

「しゅきぃ♥ しきかんしゅきぃ♥ ひぅ♥ ……ぉ♥ ぉ、おちんぽらいしゅきれしゅ♥」

 

「ちんぽは大好きで、俺は好きなのかよ!」

 

「ちがっ!―――ぁぅ♥ ……ひぅ♥ し、しきかんがしゅきぃい♥ っふー、っふー♥ ……らいしゅきぃ♥ しきかんのっ、あちゅいのほしいのぉ♥」

 

 意地の悪い笑顔を見せられ、ラピの女がきゅんきゅんと脈動する。ひくひくと下腹をひく付かせた媚っ媚の種乞いをされた男は、頭を殴られたような目眩に襲われた。

 

(―――可愛すぎるッ、日に日に可愛くなっていく……いつかラピの可愛さで死ぬんじゃないのか?……マジでありそうだから困る……)

 

「すき♥ すきです♥ 愛してます♥ しきかぁん♥ ぁ―――〜〜〜んぁああ♥♥♥」

 

 ひく付く腰を掴まれ、ずんと子宮を押し上げる力強い突き上げに、ラピはビクンッと大きく跳ねて、深い絶頂にその身を震わせた。

 

「くっそ可愛いんだよッ、ラピッ、ラピッ……ッッ」

 

「んぁ♥ ―――〜〜〜♥♥♥ っふ、っふ♥ んんぅ〜〜〜♥♥♥ !!ぁ♥ ―――〜〜〜♥♥♥ ……っふ、っふ……ふぐっ♥」

 

 吐き出される精は即座に吸収し己の力に変えていく。男の子種を一滴も無駄にはしたくない。子供の出来ない身体であることは自分が一番分かっている。子作りの為に溜まった精を無駄撃ちさせるのは、心が痛むが―――それでも、心の痛み以上の幸せが傷を直ぐに治してしまうことを、ラピは知っていた。

 

(―――あ、あつい♥ 指揮官の……お子種……赤ちゃん……欲しい♥ 指揮官との子供……でも、私はニケだから……でも、でも……いつか♥ いつか―――)

 

「―――あ、あか……ちゃん」

 

「―――ッ!?……」

 

 ラピから聞こえた小さな言葉は男を揺さぶった。ニケは妊娠しないと、本人から事務的に報告されていたからだ。男としても、子供を作るには時期が悪く……お互いに都合が良いものだと解釈していたが……ラピから漏れ出た言葉に……ラピの本心に心が締め付けられた。

 

「……子供、欲しいか?」

 

「……へ?……ん♥ こ、子供……ですか?」

 

 自身の口から言葉が漏れた事にラピは気づかない。あくまでも心で呟いた言葉であり、止められない思いが漏れ出た事など、理解出来るはずも無い。男から告げられた言葉を、何度も脳裏で反芻し……ラピは思いの丈を男に告げた。

 

「―――し、指揮官に、嘘を付きたくありません……ほ、欲しい……です、指揮官との子供が欲しい!貴方との子供が欲しいっ!!」

 

 一度決壊したら、止まらなかった。涙をぼろぼろと流しながら、ラピは泣きじゃくり、何度も子供が欲しいと男に告げた。身体を起こされ、強く抱き締められながら、ぼろぼろと止まらない涙を流し続けるラピに対し、男は強く言葉を告げた。

 

「産ませてやる。絶対にだ……どんな手を使っても、必ずラピに俺の子供を産んでもらう―――俺を信じてくれるか?」

 

 なんの根拠もない言葉はラピの心にすっと入り込み、広がった。出来る出来ないじゃない、やるんだという意志を強い言葉で告げた男は、ラピの零れ落ちる涙を唇で拭い取る。

 

「……し……信じ、ます♥ 指揮官を、旦那様を……信じます♥」

 

「ああ、任せろ。約束するか?」

 

 指を差し出した男に対し、ラピは笑顔で首を横に振った。

 

「いいえ、必要ありません。指揮官を愛していますから……約束なんて、いりません」

 

「―――ラピ」

 

「……ん♥ 指揮官、そんなに抱き締められたら……欲しくなります♥」

 

「ラピが満足するまで、ヤッてやるよ」

 

「そ、それなら……ずっと、ですね♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ロイヤルロードの高級ホテル最上階からの眺めは、悪くなかった。夜になっても所々で明かりがついているのは、平和の象徴でもあるのだろう。バスローブを羽織り、夜景を眺めていた指揮官の側にラピがそっと寄り添い、ぴとっと距離を詰める。備え付けの冷蔵庫から取り出したアルコールとグラスがラピの手に握られていた。

 

「指揮官、一緒に飲みませんか、ワインはお嫌いでしょうか」

 

「いや、嫌いじゃないが……ラピを抱くのに酔いたく無いんだよな」

 

「んんぅ♥ 〜〜〜、はぁ♥ 指揮官、これ以上好きになると、ずっと側を離れたくなくなります♥ ……一緒に飲んでくれませんか?」

 

「おおせのままに、お嬢様―――って、キザったらしいか」

 

「〜〜〜♥ ばかっ♥ ……指揮官……指揮官は酷い男ですね♥」

 

 まさかラピからそんな事を言われると思っても居なかった男は、渡されたグラスに酒を注ぐラピをジッと見つめた。男の視線を肌で感じ取り、じんわりと熱が身体に回り始めたラピは、自身のグラスに手早くワインを注ぎ、口を付けた。

 

「……俺を酷い男にしたのは誰だと思ってんだよ―――お前が欲しかった。お前の言葉が、どうしようもなく悲しく聞こえたんだ」

 

 それは、紛れもない本心。己を事を人間では無いと告げたラピの言葉が……男には許せない程、悲しく聞こえた。

 

「―――ふーっ♥ ふふっ……私も、酷い女でしたね♥」

 

「そうだな。ラピは酷い女だ。傷心した俺に、追い打ちをかけようとしたんだからな」

 

「そう……ですね。でも……でも、言って良かった♥ 指揮官と繋がる事が出来ましたから♥」

 

「俺も、言ってくれて良かったと思ってるよ。ラピが俺の女になるなんて、最高だろ?」

 

 ああ、私は……どうしようもなく指揮官が好きなのだと……この思いは、例え思考転換しようとも変わる事が無いのだと、ラピは確信した。男の微笑みを見るだけで、ドキドキ胸が高鳴り、きゅうと締め付けられる。平静を装えない程に揺さぶられる感情も……昔の自分なら、絶対に排除しようとした、この気持ちも―――全てが愛おしい。

 

「最高です♥ ……必ず、必ずお守りします。指揮官」

 

「なら、俺がラピを守る」

 

「―――?……指揮官が、私を?」

 

「何で分かんねぇかな……好きな女を守るなんて当たり前だろが、戦闘ではお荷物だろうけどよ、俺にも戦い方ってもんがあるんだよ」

 

 呆れたように笑った顔が……鋭く引き締まる。男の細められた鋭い視線がラピを犯し……火照った身体は直ぐに、発情していく。

 

「んんぅ♥ ……指揮官♥ 守って、守ってください♥ ……からだっ♥ ―――あついのっ♥」

 

 グラスを置いたラピの身体からローブが滑り落ち―――生まれたままの姿が晒される。むわッと香る雌の発情臭。美しく、透き通るような肌は、薄桜色に色づき妖艶に男を誘っていた。

 

「―――ッ……ハァ、えろい身体してるよな……何が欲しいんだ?言ってみろよ」

 

「っ♥ ……ぁ、っふー♥ っふー♥ ぉ……おちんぽ♥ しきかんのぉ♥ ……逞しいおちんぽで♥ ……きもちよく、して♥」

 

「―――ッッ……フーッ、随分とお強請りが上手くなったなッ……」

 

「ばかぁ♥ 指揮官が教えたんじゃないですかぁ♥」

 

 強くラピを抱き締めた男のバスローブにラピの手がかかり、ゆっくりとその身を包む衣を剥ぎ取った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 夜の静寂を切り裂くように、ラピの嬌声が響き渡る。大きな胸はガラスに押し付けられ、むにゅむにゅと形を変えていた。最上階と言えど、見られる危険はある―――だが、それが刺激となり、男の肉棒は硬く憤った。

 

「ふーっ♥ ふーっ♥ しきかぁん、みらっ―――見られちゃぅう♥」

 

「―――ククッ、見せてやれよ。ラピのえっちな姿をな」

 

「―――ぁああ♥ ゃ♥ ゃぁ♥ ……しきかんっ、しきかんだけがいいっ♥」

 

「ハッ……んな事言ってもよ、滅茶苦茶に締め付けてくるぞ?」

 

 子宮をどちゅっと押し上げられ、ラピの踵が浮き上がる。つま先立ちになりお尻を高くあげたラピの雌には、剛直が根本まで突き刺さっていた。力強い剛直に身体を押し上げられ、見られるかも知れない不安と、強烈な快楽……そして、指揮官が喜んでいる事、その全てがラピを乱れさせた。

 

「ん?―――なんか光ったか?」

 

「んんぅぅうう♥ ―――〜〜〜♥♥♥ ……はっ、はっ……っふー♥」

 

 急激にうねりを強めた肉に締め付けられ、肉棒がビクンッと跳ね上がる。跳ね上がった肉棒にじゅるじゅると縋り付く子宮に吸われ、溢れんばかりの熱が込み上げた。

 

「―――ッ、デるッ」

 

「!!!〜〜〜〜〜〜゛♥♥♥♥♥♥」

 

 水鉄砲のように強烈に子宮に叩きつけられる吐精を受けたラピは、ナメクジのようにねっとりとガラスから滑り落ちた。

 

「〜〜〜〜っ゛ぅ゛♥♥♥♥♥♥」

 

 腰を掴まれ支えられながら、指揮官の精を循環させる。

 

(ふーっ♥ ふーっ♥ ……勢い、凄い♥ ……た、多分一番凄いお射精♥ ……身体、熱い♥ ……お腹が燃えてる……でも、幸せ♥ ……指揮官♥)

 

 腰が抜けたラピを抱えた指揮官は、再度風呂に入り、いちゃいちゃと時を過ごした。二人で穏やかな時間を過ごし、仕事や立場……ニケという事も忘れて、笑顔が飛び交う。

 

 高級なベッドに寝かされたラピの身体に覆いかぶさった指揮官が、頬を撫で徐々に距離を縮めていく。

 

「指揮官♥ 存分に抱いてください、指揮官が満足するまで……いえ、満足しても、ずっと♥」

 

「加減は、出来そうにない……意識飛ばすなよ」

 

「はい、愛しています。指揮官♥ ―――ちゅぅ♥」

 

 二人の距離は零になり、夜遅く……朝早くまで、ラピの鳴き声が響き渡った。

 

 

 その後―――

 ロイヤルロードのホテルから出入り禁止がなされた初めての指揮官として……更に有名人になった。記者がホテルに訪ね出入り禁止の理由を訪ねるも、誰も一切口を割らない。出入り禁止の理由を知る者はごく少数に限られたが、その中に紫色を好む少女の姿があったとか無かったとか……いずれにせよ指揮官にとっては関係の無い事だった。

 

「出禁……だと!?―――変装して行くか?」




OPの白いワンピース少女はラピだと思うんだよなー(遠い目
最初はエニックがどう見てもスノーホワイトにしか見えなかった勢です。

アンケートは次の投稿時に締め切ります。沢山の投票ありがとうございました。圧倒的なプリバティ人気に脱帽です!


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38 ギルティ

 休暇中にも関わらず、閣下からの呼び出しがあった。何でも、更生館の教官として偶に顔を出して欲しいという事だ。拒否権も有り、引き受けない事も出来たが……更生に成功した場合カウンターズに臨時配属させると言われたら、俺に断る理由など無かった。

 

 護衛としてカウンターズがぞろぞろと付いてこようとしたが、話し合いの末お留守番してくれた。一部話し合いという名前の肉体言語で話し合った節もあるが……些細なことだろう。特にアニスの説得には苦労したとでも言っておこう。

 

 手早くシャワーを済ませた俺は、真っ赤な顔でブツブツ呟くネオンを引き連れエレベーターまで脚を運んだ。帰りの護衛は必要ない旨を伝え『は、はひ!!』と動揺するネオンに苦笑を漏らし、手渡された資料を取り出した。

 

 降下するエレベーターに身を揺すられながら更生対象に一通り目を通す、三人の更生対象は全てがミシリス製のニケであり……頭の片隅で紫色の少女がケラケラと厭らしい笑みを浮かべた。

 

「―――ハァ……まさか嬢ちゃんの厄ネタか?」

 

 シン・クエンシー・ギルティ……リアルカインドネス部隊と呼ばれる犯罪者で構成された部隊の三人―――この三人の中から一人を選べとアンダーソン副司令閣下は言っていた。

 

「俺の役にたつ……か」

 

 閣下の言葉を思い出しながら、手元の資料を読み込んでいく―――確かにどいつも曲者のようだ。シンは言葉での洗脳を得意とする知能犯。クエンシーは脱獄を得意としており、政治方面にも明るい等、未知数の怖さがある。ギルティは途轍もない怪力で、ニケ40人の身体をたった2週間で破壊したらしい。この中で一番安全なのは……恐らくはクエンシーだろうか。

 

「おっと、着いたか……さて、どうする……か」

 

 エレベーターから降り、量産型と呼ばれるニケに案内されると、一人の女が俺に向かって歩いてきた。マナと名乗ったその女は自身をミシリスの研究員と告げ、早速と言わんばかりに更生対象の選別を迫ってきた。彼女に対し俺が選んだニケは―――

 

「……」

 

「ギルティだよな?」

 

 ―――ギルティだった。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 安全第一で考えるならクエンシーを選ぶべきであったが、俺はギルティを選んだ。境遇に対して、他人事のように思えなかったという安直な理由。罪は罪であり、同情するつもりは無いが、本人を見てから判断したかった。ギルティがどんな思考をしているのか、後悔しているのか……力と向き合うつもりがあるのか。写真を見る限りでは、悪い女とは思えない―――決して、ドでかい乳に吊られた訳ではない……と思いたい。

 

 マナからは、10人もの教官がギルティに手を掴まれた事で骨折したと言われた。眉間に皺を寄せるマナの言葉を適当に聞き流していたら、『あんなに臆病で弱そうな子が、自分を害すると思っていなかったので、拘束バンドを外した』と被害にあった教官達は言っていたと大きな声で補足された―――めっちゃぴりぴりしてたなー、せい……いや、嬢ちゃんにちゃんと休ませてやれと言っておいてやろう。

 

「……ギルティだよな?」

 

 そんなマナから言われた要望は一つ、眼の前の女……ギルティの拘束バンドを絶対に外してはいけないという事だった。

 

「あ……えっと……ギルティで……あってるわ……」

 

 後ろ手に拘束された長髪爆乳美女は黒と緑が混じり合った長髪で顔を隠し、おどおどとした雰囲気を醸し出ていた。端正な顔立ちと伏し目がちな瞳がきょろきょろと彷徨い視線を合わせるのに苦労しそうだと内心で苦笑した……終始下を向いて視線を合わせようとしない感じは、エクシアに似通ったモノを感じる―――てか、囚人服のサイズ間違えてないか?ぴったりサイズ過ぎるだろ……。

 

「……誰?」

 

 視線を落とし少し低めの声で小さく呟かれた声を聞き、教官達が言っていたという言葉を思い出す―――たしかに臆病で弱そうに見えなくも無い。

 

「新しく担当になった教官だ。宜しくな」

 

「教官?……また来たのね……前回あんなことがあったから、もう誰も来ないかと思ってた……私、何も悪くないのにぃ……」

 

 悪くない……か、どうやら本気で言っているようだ。ニケ40人を破壊して、指揮官10人の腕を骨折させて……悪くないか。

 

「更生館に入れられたけど、面談も真面目にやったのに……ひどい……」

 

「ギルティは何も悪くないと思ってるのか?」

 

「そう、悪いのは、私をこんな風に作ったミシリスの研究員だもん……」

 

 やめろ……その攻撃は俺に効く……だもんとか言うな、ちょっと可愛いとか思っちまった。

 

「そうか……」

 

 ちらっと俺を見たギルティは、すぐに視線を逸し、ぶつぶつと呟いた。

 

「そうよぅ……私、普通に触っただけなのに……ちょっと、力が強いだけなのに……それだけなのにぃ……」

 

 小さく呟く言葉を聞き逃さないように集中し、独白のように続く言葉を脳裏で吟味する。

 

「悔しい……私はここにいるのに、研究員は?……どうしてここに入れられてないのぉ?……だって私、作られた通りに生きてきただけで……新しい教官も私が悪いと思う?……」

 

「……ああ」

 

 ―――子供なのだろうか?善悪の区別が付いていない……いや、違うな。自分が悪いと分かっているが、素直に認められない……自分だけが悪いわけじゃないと、責任は自分に無いと……そう思いたいのか?

 

「そう、なのね……そう、今回の教官も……私が悪いと思ってるのねぇ……じゃあ、一体何を話しに来たんだろう……」

 

「ギルティだけが悪いわけじゃないとは思ってるがな」

 

「……本当に……そう思う?」

 

「ああ」

 

 ゆっくりと顔を上げたギルティの暗い瞳と視線が交差したが、直ぐに視線は逸らされた。

 

「!!……違う、まだ……まだ味方じゃない……他の人だってみんな、最初はそう言ってた……」

 

 味方じゃない……最初は……か。人を信じる心は持っているようで―――安心した。凶悪犯罪者と聞いていたが、どうやら更生の余地は十分にありそうだ。

 

「じゃあ、えっと……私と何がしたい?」

 

「ギルティは何がしたいんだ?」

 

 質問に質問で返すのは嫌いだが、俺が色々と提案しても駄目な予感がする。ギルティはきっと信じたいと思っている。信じたいが信じられない……あの暗い瞳に込められた思いは、裏切られ続けた事による恐怖を宿している……そんな気がした。

 

「私?……今、私に何をしたいのかって聞いた気がしたけどぉ……空耳かしら……」

 

「空耳じゃねぇよ、ギルティが何をしたいか、俺に教えてくれるか」

 

「……本当に、私が何がしたいか、知りたい?……!!」

 

 ギルティと目が合うも、慌てたように視線は逸らされた。

 

「……」

 

「知りたい。教えてくれないか?」

 

 チラチラと俺を見てくるギルティの瞳に薄っすらと光が宿ったように見えたが、直ぐに消えてしまう。

 

「……まだよ……今日始めて会ったのに……まだ味方って思っちゃダメなのにぃ……」

 

 小さくブツブツと呟いたギルティは、大きく息を吐き―――天を見上げて一言、小さく呟いた。

 

「ただ……この息苦しい部屋から出たい……」

 

「……外に出たいのか?」

 

「違うぅ……そうじゃなくて……ここ、独房の、外に出たい……だって……ここは退屈だから……」

 

 ……退屈……それがどういう意味で告げられた言葉なのかは分からなかった。態々外に出たいかと聞いたのは、カマをかけた部分もある。外に出たいという言葉に食いつき、態度を改めるようなら警戒が必要だと考えていたが、どうやらそういう訳でもないようだ。

 

「ギルティは、ずっとここに居るのか?」

 

「……違うぅ、同じ部屋にいた子が、自分たちなら私の力を受け止められるって言うから―――」

 

 対面に腰を降ろした俺に対し、ギルティはゆっくりと詳細を話してくれた。力を受け止められると言った子の言葉に喜んだギルティは、本当に自身の力を受け止められるのか確認した。触ってもいいと言われたから、触っただけなのに……壊れちゃった。とギルティは小さく零した。

 

「久々に拘束バンド無しで生活出来てたから、すごく嬉しかったのに……悔しい……」

 

 新しい情報がどんどん出てくる。閣下の資料が如何に杜撰な物か分かるが、きっとあのナイスミドルは、自分の目で確かめた方が確実だろう―――とか言うんだろうな。

 

「力……か」

 

「そう……全部この力のせい……」

 

 全ての言葉に悪意が無いと仮定すれば、生来の怪力で自由を奪われた生活を余儀なくされたギルティが求めるものは、恐らく自由だろう。生まれつき与えられなかった物であり、与えられても直ぐに奪われた物でもある―――ここから出たいという要望が叶った時、次にギルティが何を求めるのか……そこで彼女の本質が見えそうだ。

 

「俺が教えてやる……力の制御の仕方をな」

 

「力の……制御?」

 

「ああ、俺も力が強くてな、昔は苦労したんだ。まずは力を抜く練習から始めよう」

 

「教官も?……で、できるわけ、ないわ……だって、最初からこんな風に作られたんだから……」

 

「俺も生まれつきだ。俺が出来たんだ、ギルティに出来ない訳が無い」

 

「……ううん、できない……人間とニケは違うぅ……生まれつきのものは変えられないわよぉ……今回の教官、変なことをさせようとしてる……」

 

 変な事とは失礼な……。

 

「この力は、自分でどうにかできるものじゃないのに……私のこと悪いと思ってないって言ってたくせに、嘘だったのね……嘘つきは嫌いなのにぃ……」

 

「嘘じゃねぇよ」

 

「また嘘……聞きたくない……これ以上話したくないのにぃ……また話しかけられたらどうしよう……」

 

 ぼんやりと天を仰いだギルティには、これ以上何を言っても聞こうとしないだろう……その姿に今日一日で信頼を勝ち取る事は不可能だろうと悟った。

 

「あー、分かった、今日は帰る。次から練習するからな」

 

「嘘……もう来ないくせに……あ〜あ……また誰も来なくなっちゃう……」

 

「絶対に来るからな、分かったな」

 

「また……嘘―――!!?」

 

 机に突っ伏し、ブツブツ呟くギルティの髪を撫で、振り返らずに独房の出口へ脚を進める。背後の気配からして、少しは動揺してくれたみたいだ。これで次は少しくらい話しやすくなるだろう。

 

「……嘘……」

 

 そこそこの広さがある独房から出ると、律儀にマナが待っていた。眉間に皺を寄せたマナと多少の言葉を交わし、ギルティとのファーストコンタクトは終了した。

 

 取り敢えず生粋の悪い奴ってわけでは無さそうだ。あれが演技ならどうせ俺には見抜けない。佇まいや雰囲気からいって肉弾戦に長けている訳でもなさそうだ。ここは一つ、馬鹿正直に全てを信じてみるとしよう。どうなるかは分からないが……まあ、死ぬことは無いだろう。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 初日から上手くいくとは思っていなかったが、全く聞く耳を持って貰えなかったのは新鮮でもあり、少しばかり傷ついた。今まで出会ってきたニケが友好的だったから、余計に気分が滅入った。

 

「チッ、らしくねぇな……」

 

 俺は弱くなったのだろう。温もりを知り、好意に晒され……悪意に晒されない時間が長く続き過ぎた。昔はもっと疑っていたものを疑いたくないと思ってしまう。ギルティに裏切られたくないと……思ってしまっている。

 

 風を浴びながら煙草に火を付けると、遠くから聞き覚えのある音が近づいてくる。咄嗟に身構えるも―――以前とは違い突っ込んでくる事は無かった。

 

「久しぶりね、パートナー」

 

 ブラックタイフーンから降りたシュガーが、自分の愛車を撫でながら流し目を送ってきた。

 

「……フーッ、久しぶりってほどじゃねぇだろ……突っ込んで来なくて良かったよ、成長したんだなシュガー」

 

 シュガーの成長に思わず目頭を抑える。駄目な子ほど可愛いというのは本当なのかも知れない。

 

「大袈裟ねパートナー、それに演技だって丸わかりだわ」

 

「あ、バレたか……」

 

「バレバレよ。パートナーが今どんなパンツを履いてるのかもバレてるわ」

 

「……は?……ノーパンなんだが」

 

 冗談に対する意趣返しのつもりだったんだが、目にも止まらぬ速度で急速に接近してきたシュガーに思わず煙草が落ちかけた。

 

「……ホント!?確認しなくちゃ!!」

 

「!?嘘だッ!履いてるよッ!!だぁッ、力強ぇんだよ!!ステイ!!」

 

「―――もう、冗談でも言って良い事と悪い事があるわよ」

 

「……ハァ、てめぇの行動がオカシイだけだろがッ!」

 

「パートナーのパートナーが寒がってるなら、温めないといけないじゃない!」

 

 ……無表情で淡々と言うんじゃねぇよ。

 

「……はあ、もう少し慎みってもんを持てよ」

 

「つつしみ?……何処かで売ってるかしら?」

 

「売ってねぇよ……」

 

 ぐだぐだとシュガーの相手をしている内に鬱々とした感情は何処かに消えていた。きっとシュガーに俺を励まそうとか、そんな気持ちは無いんだろうが、正直助かった。くしゃくしゃと髪を撫で、唇を尖らせたシュガーを無視してブラックタイフーンを労った。

 

「ん〜〜……」

 

「乗せてくれよ、スピードは出すなよ」

 

「こ、これが焦らしってやつなのね。そう云う所も好き♥」

 

「……お仕置き中だろうが、反省するまでは無しだ」

 

「毎日反省し過ぎて、シーツがびしょびしょなの!」

 

 枕を濡らせ!枕をッ!!

 

「ちゃんと丁寧に送ってくれたらご褒美や―――」

 

「何してるの!!早く乗ってパートナー!」

 

 即座にバイクに跨り轟音を鳴らし始める変わり身の速さには少しばかり呆れるが、これくらい分かりやすく可愛らしい所は好きだな。

 

「お前のそういう所、結構好きだな」

 

「!!そう!私もよパートナー!」

 

「安全運転な、前みたいに暴走するなよ」

 

「まかせて!ブラックタイフーン、後で暴れさせてあげるから、今は我慢よ!!」

 

 多分ブラックタイフーンは暴れたいなんて思ってないと思うが、シュガーがそう言うならそうなんだろう。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ん♥ ……はふぅ♥ ……煙草の味がするキスも乙なものね、苦いのは苦手だけど、大人の味って感じ♥」

 

「取り敢えず、二人には内緒にしろよ」

 

「当たり前よ。ニヤニヤしてマウントを取る事にするわ!」

 

 なんか直ぐにバレそうな気がするが、これ以上言っても仕方が無い。

 

「ハァ……ありがとな、ちゃんと良い子にしてろよ」

 

「……する、するから……もう一回♥」

 

 クシャクシャと髪を撫でもう一度唇を重ねると、シュガーは物足りなそうにしながらも素直に言う事を聞いて帰っていった。とんでもないスピードで爆音をたてる姿は既に見えなくなり思わず笑みが溢れた。

 

「なんだかんだ、助けて貰ってんだよな。やっぱ疑うのは性に合わねぇな、本気で信じるとするか……」

 

 上着を脱ぎながら私室に向かい歩いていると、部屋の中から気配を感じた―――意図的に押さえているのか知らないが妙に小さな気配、知っている気もするが……取り敢えず扉を確認しようとして手を止める。

 

「―――ひっ♥ ……ぃひっ♥」

 

 薄っすらと聞こえてくる笑い声。扉に近づき耳を澄ますと鮮明に笑い声が聞こえてきた。

 

「うへへ♥ ―――ふへへ♥ ―――ふひひひひ♥」

 

 あいつ……俺の部屋で何やってんだよ―――。

 

「ふひんっ♥」

 

「―――ッ……」

 

 部屋の中から一際大きな声が上がった。かなり呆れるが……そういう風に躾けたのは俺だったような―――責任の所存は忘れよう。そう決めて、気配を殺しながら扉を開けた。

 

「ぁ、はぁ……ふぅぅ♥ 初心者さぁん♥ ふぐぅぅ♥ ふぅぅ♥」

 

 ……えっろッ!―――うつ伏せでお尻を高く上げ、くちゅくちゅと弄るエクシアが俺の枕に顔を埋めていた。高く上げられたお尻がぴくんと震えて、とろとろと蜜が垂れ落ちる……ちゃんと上着を蜜の受け皿にしている所はえらいな。

 

「―――ふぅふぅ♥ ……に、匂いしゅごー♥ ここにしゅみたーい♥ んんぅ♥ ここにしゅむー♥」

 

 ……蜜がぽたぽたと垂れ、ぴくぴくと痴態を晒すエクシアの姿に肉棒がビキビキと勃ち上がる。

 

「ふぅぅ゛ぅ゛♥ ふぅぅぅ♥ きもちー♥ これぇしゃいこー♥」

 

 音を出さないように細心の注意を払う。気配を消し、ドクドクと脈打つ心臓の鼓動にも注意する。

 

「ふぅぅ♥ あぅ♥ いくっ♥ いくいくぅぅうぅう♥ いくぅううううぅんっ♥」

 

 ぷしゅっと吐き出された蜜がシーツに染みを作り、エクシアの両手が力なく垂れ下がる。ひくひくと誘う雌肉はとろとろに蕩け、ほかほかと湯気をたたせて俺を誘っていた。

 

「ぅぅ゛〜〜〜〜♥ ……ふぅぅ♥ はふぅぅ♥ んんぅ♥ に、匂い、しゅごー♥ さいこーのオカズ、れすー♥」

 

 甘ったるい雌の声と、弛緩してだらけきった雌肉……俺に見られているとも知らずに、一人で快楽を貪る姿は……クッソえろい。

 

「―――はぁ〜〜〜♥ ……ぉっ♥ ひぐぅ゛♥」

 

 エクシアの手が腹部をぐにっと押し込むと、ビクンと跳ね、濁った喘ぎが響いた。音を立てずズボンを脱ぎ去り……ガチガチに熱り勃った肉棒を取り出した。

 

「ぉぉ゛♥ っ゛〜〜〜〜ぉお゛♥ んぉぉ゛♥ ふぐぅ゛♥」

 

 腹部を押し込むのに夢中なエクシアが気づいた様子は無い。じわじわとエクシアとの距離を詰め―――ベッドがギシリと音を立てた。

 

「んぅぅ゛♥ !!っ―――〜〜〜♥♥♥ っ……ふぐぅぅ゛♥ ふぅ゛ぅ゛♥」

 

 とろとろに解れた雌肉がくぱくぱと収縮を早め、両手を腹部から離したエクシアは身体を弛緩させ、蜜をだらだらと垂れ流した。




遅くなってすんません!多分次も遅くなるけど、許してくだせー!!


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39 ★ エクシア 後半三人称

お久しぶりでございます(すまぬ

ヤバいくらい空いてしまったので、前回のあらすじ!!

ギルティと面談して疲れて帰ってきたら、エクシアが寝室でチョメってたよ!
お仕置きしないとダメだよね!!




 ギシリと、ベッドが沈んだ音に反応したエクシアの肢体がぴくりと震える。

 

 お仕置きとして、このままバレずに突っ込んでやろうと……そんな鬼畜な事を考えていたが、計画の変更を余儀なくされた。

 

「ぅひゃ!?」

 

 素早くエクシアに覆い被さり、体を反転させる。バサッと乱れて広がった長い髪を掻き分けると、発情しきった雌特有の甘ったるい匂いに包まれた。

 

「おい、俺の部屋に勝手に入って何してんだ」

 

「―――!?ぴっ……ひぅ♥ ……こ、声近ぁ♥ ……あ、あぅ♥ ……ご、ごめっ―――」

 

 あぅあぅと視線を彷徨わせ、呑気な事を言い出すエクシアにお仕置き欲が湧き上がったが、直ぐにぷるぷる震えて謝ろう頑張る姿に、毒気が抜けた……というよりも、エクシアが対人能力に難ありだったのを思い出した。

 

 体を重ねるまでは目も合わせようとしなかった。それがどんどんと調子に乗り、だして―――ん?……お仕置きしておいたほうが良いんじゃないのか?

 

「……アー、なんだ、謝らなくていい。来たけりゃ何時でも来ればいいんだ」

 

 出来得る限り優しく呟き、長い髪を梳くように撫でる。たったそれだけで、安心したように瞳の揺れが収まった。

 

 お仕置きするのは次に調子に乗った時にしよう。なんとなく、その方が良い気がした。

 

「ひぅ♥ ……ふへっ♥ ……んへへ♥」

 

 紅く色づいた頬を手で擦ると、小動物のようにスリスリ擦り付けてきた。

 

「それで、何してたんだ……不法侵入犯のエクシアさんはよー」

 

 擦り付けられる頬をぷにっとツマミ、むにむにと弄ぶ。

 

「んっ♥ ……ぃひゃ♥ ……ぁ、ぁぅう♥」

 

 身体から力が抜け、ふにゃふにゃになったエクシアの柔らかな尻タブをガッシリと掴み、割れ目に指を這わすと―――熱く粘り気の強い蜜が指に絡みついた。

 

「ぉ゛っ……っひ♥ っ、っお゛……♥ ふぎっ゛……♥」

 

「オイオイ、こんなにドロドロにしやがって―――ククッ……どんだけ期待してんだよ?」

 

 とろんとろんに解れた肉が強烈に吸い付き、ねとねとと纏わりつく。熱々に解れた肉の感触に、思わず口元が歪んだ。

 

「……ぅ゛ぅう゛♥ ……ふぅぅ、んひゃぃ♥」

 

「指なんかで感じてんじゃねぇよ……なぁ、ナニしてたんだ。」

 

「ゃっ♥ んひっ♥ ……っふっふ……んひぃっ♥」

 

 吸い付く肉をカリカリと刺激するだけで堪らない反応を見せる少女の痴態。耳たぶまで真っ赤に染まった姿に愉悦を感じ、どうしようもなく……虐めたくなる。

 

「あ?なんだァ……聞こえねぇよ」

 

「……もっ……もっろぉ〜♥」

 

「ハァ〜、俺はナニしてたのかって聞いてんだ。答えられねぇなら……おあ―――」

 

「ま!……待ちきれなくてぇ!!……ひ、ひとりでしてましたぁー♥」

 

「待ちきれなくて……ねぇ」

 

「はっ、はぅぅ♥ ……ち、おちんぽぉ……♥ おちんぽ欲しすぎてぇー♥ むりぃ!……我慢、むりぃ♥♥♥」

 

「確かに、えろい吸い付きしてんな」

 

「っ゛……ほぅ゛♥ ……ふぅぅ、ふぅぅん♥ ……っ、ぅ゛ぅ゛ぅぅ♥ ……初心者さぁ〜ん♥ ……しゅきぃ♥ ……欲しぃれしゅ♥ 挿れてぇ♥」

 

 甘ったるく媚びた声、少し引っ掻いただけでキツく締め付ける雌肉。

 

 正直、俺としても挿れたくて仕方がない。だが、お預け中にも関わらず俺の部屋でオナニーするのはどうかと思うが―――くっそ可愛いんだよな、こいつ。

 

 どうにか俺の欲望を満たしつつ、エクシアにお仕置きをしてやりたい。できれば最終的にはウィンウィンの状況を作りたい。そんな男のプライドと今後の関係を見据えた思考は斜め上で着地した。

 

「―――そうだな」

 

「へ?……ひぅ♥ ……へ?……なんですかっ!?」

 

 素早くネクタイを結び、エクシアの視界を奪い取る。お仕置きも兼ねて気持ち良くもなれる一石二鳥のウルトラC。

 

「ぅひゃぁあ……へっ、ひへ♥」

 

 ネクタイが解けない事を確認すると、そのままクルリとエクシアの身体を反転させた。

 

「ふ、ふひひ♥ ……た、食べられちゃいますぅ〜♥」

 

 幼い身体付きの癖して、汗に濡れた肢体は甘ったるい匂いを撒き散らして雄を誘ってくる。陥没していたはずの乳首も顔を覗かせて、調子に乗っていやがった。

 

 クッソ、ニヤニヤしやがって……マジでえろいんだが。

 

「……勝手に部屋に入りやがって。鍵はどうした鍵は?」

 

「ふへ……えへへ♥ 鍵なんてちょちょいですよー……でもー、ごめんなさ〜い♥」

 

 謝罪の言葉を口にしながら、エクシアはゆっくりと両足を抱え、自身の雌肉を見せつけてきた。むわりと香る発情臭を嗅がされ、ビキビキと肉棒が躍動する。

 

「おい、反省してんのかッ」

 

「し、してますよー♥ ……ぉ……ぉまんこ、さびしくってー♥ 子宮が疼いて疼いて〜……が、我慢……したんですけどー、むりでしたぁ♥」

 

 充血しぽってりと腫れぼったく膨らんだ雌肉が両手で広げられる。くぱくぱと収縮を繰り返し蜜をだらだらと零す雌肉を晒したエクシアの顔は、真っ赤に染まっていた。

 

「……ぉっふ、はっずー♥ ……しょ、初心者さ〜ん、な、何か言ってくださいよー♥ 恥ずかしいんですけどー」

 

 ハァ゛ー゛……くっそえろい。

 

「……しょ、初心者さ〜ん?―――ほ、ほ〜ら♥ た、食べ頃ですよー♥」

 

 正直、くっそえろいし、くっそ可愛い。このまま放置することによって媚び媚びのお強請りが何処まで続くのか―――非常に興味がある。正直興味は尽きないが、その前にエクシアの匂いがベッドから取れなくなりそうだ。

 

「ずぼずぼして〜♥ 気持ち良く射精するためにー、使ってくださーい♥」

 

 ああ、了解―――それなら、ちゃんと躾しないと……駄目だな。

 

「……でっ、でもー、ちゃーんと……愛して下さいねー♥♥♥」

 

「よく分かってんじゃねぇか」

 

「ふへ、ふへへ♥ ひぅっ!?―――もごっ!?」

 

 ひく付いた雌肉の蜜を掬い取り、エクシアの口に突き入れる。

 

「……んむっ、んちゅれっ……ちゅぱちゅぱ♥ ぢゅりゅ……♥」

 

「自分のまん汁の味はどうだ?」

 

「……んちゅ♥ ……はっ、ふぅぅ♥ ……え、えっちな……味でーす♥ ―――っぅ、はぅ♥ はふぅ♥ ひぅん♥ は、はやくぅ〜♥ 初心者さぁ〜ん♥ はやぁくぅぅ♥」

 

 とぷとぷと蜜を溢しまくりながら、腰をふりふりする姿は淫靡の一言。

 

「……ぁ♥ ひん♥」

 

 期待に胸を膨らませている所悪いが、まずはお仕置きからだ―――柔肉に触れていた肉棒を取り上げ、エクシアの雌肉に吸い付いた。

 

「ひっ♥ ―――ひゃぁぁ!?、ひっ♥ ひぅぅ♥ な、なめっ♥ ―――っ゛、ふぎゅぅ゛ぅう゛うう♥♥♥」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「―――っひ♥ ……ふひっ♥ ふひっ、ふひひ♥」

 

 舐め解す必要の無かった雌肉を虐めてやると、下腹部をへこへこさせながらふひふひとエクシアが笑い始めた。力なく広げられた四肢がビクつき、雌肉をひくつかせて笑う姿は……なんかえろかった。

 

「―――フーッ、美味かったぞ、エクシア」

 

 ぐにぐにッ、グニュッ!

 

「ぉ゛っひ゛っ゛♥♥♥」

 

「ッと、すまん」

 

「っ、っっ♥、っぶーっ♥ っぅふーっ♥」

 

 下腹部をつい指でぐにぐにと押し込んでしまった。ぴゅるっと潮を吹いたエクシアに対し謝罪するも返事は無い―――取り敢えず誠意を持って、もう一度イカせてやろう。

 

「っっ゛ぅ、ひお゛っ゛♥♥♥ ーーー〜〜〜ひっお゛♥♥♥ 〜〜〜〜゛♥♥♥」

「―――゛〜〜〜゛♥♥♥」

「っ゛♥♥♥ っ゛ぅう゛♥♥♥ ぎっ゛♥ ぎゅ゛ぅ゛〜〜〜〜♥♥♥」

 

 何度イカせても意識が落ちなくなっているエクシアの成長に思わず目頭が熱くなる。成長に対してはしっかりと褒美をやらないと示しがつかないだろう―――ちゃんととろとろになってもっと可愛く鳴いてくれよ、エクシア。

 

「……エクシア」

 

「っぉ!!……っひぅ゛♥」

 

 覆いかぶさり耳元で優しく名前を呟く。それだけでエクシアの身体がビクビクと大きく痙攣した。

 

「可愛いな、お前」

 

「ふ、ふひ―――っぉ゛♥」

 

「ちゃんと此処に出してやるからな、エクシア」

 

 すりすり、むにゅ……ぐにゅッ!

 

「っ、ぃひっ♥ ……お゛っぐぅ゛……♥♥♥」

 

 待ちきれなくなった子宮がドクドクと脈動している。ここに突っ込んだらどれだけ気持ちいいかは、考えなくても分かった。

 

「滅茶苦茶可愛いな、エクシア」

 

 トントンと子宮を付いてやると、エクシアの脚がビクビクと小刻みに震え蠢いた。どうやら感じすぎて力が入らないようだな―――ああ、最高に可愛らしい。

 

「っう゛〜〜♥ ぃ、ぃっ、ぐぅぅ゛ううう゛♥♥♥」

 

「好きだ、エクシア」

 

 愛らしく鳴き続けるエクシアの耳元で囁きを落とすと、小さな身体が大きく仰け反った。

 

「〜〜〜〜♥♥♥ っ゛、ぁ゛♥ ……ぁあ゛ん゛♥」

 

「偉いな、エクシア」

 

「ぉ゛〜〜〜〜♥ ぉ゛、ぉひょ♥」

 

 幼気な少女を誑かすつもりは無いが、完全にエクシアの中に俺を刻みつけてやろうと、何度も愛を囁いた。

 

「可愛いぞ、エクシア」

 

「ぉひっ♥ くひっ♥ ひっ♥」

 

「俺の可愛いエクシア」

 

 何度も何度もエクシアの耳元で囁き、とろとろに解れたエクシアを更に蕩けさせていく。

 

「エクシア、エクシア、エクシア……好きだ」

 

「ぉっひ♥ っっぅ゛♥ ―――〜〜〜♥♥♥ 〜〜〜〜♥♥♥ ……ひっ♥ ……ひひっ♥」

 

 あえて敏感な場所には触れず、強く抱き締めて耳を舐め、自分でも恥ずかしくなるような言葉を何度も囁くと、ビクビクと震えていたエクシアの身体から力が抜け落ち……また小さな笑い声しか聞こえなくなった。

 

「……ふ、ひっ♥ ……ふっ……ひひ♥ ……っひ♥」

 

「俺の為に準備してくれたんだろ。可愛いなエクシア、大好きだ」

 

「ひひっ♥ ……ぅぅ゛♥ ……ぅ、ひぅ゛ぅ゛♥♥♥」

 

「エクシアが好きだ。エクシア、エクシア」

 

「〜〜〜〜♥♥♥ っ、ふぐぅ゛ぅ゛♥」

 

「エクシ―――ん……やり過ぎたか?」

 

 口から涎を垂れ流し、ぴくぴくと悶え続けるアヘ顔の少女―――少しだけ迷ったが欲望には逆らえず、小さなを膨らみに吸い上げ両乳首を引っ張り出す。

 

「ふぉ゛♥♥♥ んぎぃ゛いいい゛♥♥♥」

 

「……フーッ、ヤッべ……完全にやり過ぎたか……まあ、可愛いからいいか」

 

 へこへこと腰を蠢かし、両乳首をピンと立てたエクシアの姿に満足感を感じながら、ほんの少しだけ反省した―――それにしても、本当に美味そうな女だ。虐めれば虐める程に輝く、ずっと近くにいたら溺れかねん。

 

「……ひぅ♥ ……ふへっ♥ ふひひっ♥」

 

「おい、エクシア……大丈夫か?」

 

「……ぁ♥ ……ら、らい……じょぶ……れすー♥ ……ちゅ、ちゅぅぅ♥」

 

「よしよし、良い子だな」

 

「んんん〜〜♥ ……んんぅ♥ ……ん♥ ……んぅぅ♥ ……んぁ、ふぁ♥ ……しょ、しんしゃ……さん♥ ……すき♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 視界が奪われた時、お仕置きされるんだとエクシアは悟った。そういう風に仕向けた意図もあったが、完全に想定外だったことは耳元で何度も囁かれた甘ったるい言葉の嵐だった。

 

 名前を呼ばれ続け、好きだと言われる度に自身が馬鹿になっていくような錯覚に襲われた。脳が蕩けてふにゃふにゃになり、身体の制御も出来ず快楽に震える姿を指揮官はどう思ったのだろうか。そんな些細なことを考えようとしても、身体に押し付けられる肉棒の熱を感じ取り、とろんと蕩けて無くなった。

 

「お待ちかね……って所か?」

 

「んきゅぅ♥」

 

 男らしくゴツゴツと骨ばった太い指。そんな指がぐにゅりと雌肉を掻き分ける。暴力的な快楽ではなく慈愛を感じ取れる優しい痺れに、エクシアの口から甘ったるい声が漏れる。

 

「んひっ♥ ……はっ、はやくぅぅ〜♥」

 

(すき♥ すきー♥ らいすきー♥ もぅ、いじわるぅぅ〜♥ はやくぅぅ〜♥ おちんぽぉはやくぅぅ♥)

 

 未だに視界を奪われたままのエクシアは指揮官の声を頼りに腕を彷徨わせる。

 

「―――ぁ♥ しゅき〜♥」

 

 大きな手でガッチリと恋人つなぎをして貰いご満悦なエクシアに普段のクールの面影など一切なく、肉棒を待ちわびる一匹の雌でしか無かった。

 

「……くっそ可愛いな」

 

 囁かれた言葉と同時に、熱々の肉棒がエクシアの雌肉にぐぢゅると頭を埋めた。

 

「―――んひっ♥ っ゛〜〜〜〜♥♥♥」

 

(―――き、きたぁ〜♥ きたきたきた〜♥ ……ぁ、いくぅ゛ぅう゛♥♥♥)

 

「吸い付き、やべッ」

 

 肉棒を宛てがわれただけで、ずくずくと痛みを感じるほどにぽってりと腫れぼったくなった子宮が堕ちていく。負け癖の付いた子宮が早くしてと少女の雌肉に命令を出し、無我夢中に絡みつく。

 

「ッ……くっそえろいまんこしやがってッ!」

 

「は、はっ、はっ……はやくぅぅ〜♥」

 

(は、はやくぅぅ♥ おくぅ、もっとおくぅぅ〜♥ どちゅってー、どちゅぅ〜♥)

 

 ずっと足りなくて待ち侘びた肉棒がゆっくりと肉を抉じ開けていく。

 

「っ、っお゛ぉ♥ ……ふぎゅ゛♥♥」

 

 与えられる快楽にエクシアは獣のような嬌声を漏らし、咽び鳴いた。雁が膣肉を掻き分ける快感に身体を痙攣させ、ぽってりと腫れぼったく膨らんだGスポットを抉られた肢体が独りでに跳ね上がる。

 

「ふぅ、ふっ、んぎゅ♥……ん゛ん゛、っ゛っ゛♥ ―――ん゛ん゛ぅ゛♥♥♥」

 

 思わず潮を拭きながらも与えられる快楽は貪欲に貪った。焦点の定まらない瞳でチカチカと星を量産し、貪られるままにエクシアは己の身体を指揮官に捧げていく。

 

「―――〜〜〜♥ んんん゛ぅ゛♥ ……んっ、んぢゅ♥ れ、りゅ♥ ……♥」

 

(―――しゅごぉ〜♥ ……!?きしゅぅ♥ ……ぁぁぅう♥ ―――やばいやばいやばい♥ ……もぅ……ダメれす〜♥)

 

 咥内を肉厚の舌で蹂躙され涎を流し込まれれば、喉は無意識に嚥下を繰り返す。膣肉は肉棒に掘り進んで貰う為にキツく締め付け、最奥に誘おうとちゅちゅう吸い付いた。

 

「んんぅ゛♥ んぢゅりゅ♥ ……はぅ、っう゛♥ んひっ♥」

 

(あ、浅いとこらめっ♥ 段差しゅごっ♥ ―――あっ、しゅごっ、ぜ、絶対にしゅごいのくる〜♥ 絶対やばいーっ♥ 完堕ちすりゅ〜♥)

 

 にゅこっにゅこっと仮首に抉られた雌肉の快楽に、エクシアの期待は最高潮に高まった。半分も入っていないにも関わらず、降りきった子宮が後少しで肉棒に吸い付く……後少し、ぐにゅっと押し込んで貰えば、それだけで子宮にたどり着く……それなのに―――

 

「ひっ、はっはっはっ……はぅん♥」

 

 奥にまだ届かない。それどころか、雁首に肉が引っ掻かれ浅ましく鳴くことになった。

 

「っお゛♥ ぉ゛、ぉぉ゛♥ ぉ゛っひぅ゛♥ ……ふっ、ふぐぅぅ♥ ふぐぅぅう♥」

 

 ずりゅっごりゅとカリの段差で抉られた身体がビクビクと跳ね上がる。

 

「ふぎっ♥ んぎゅぅう♥ ……はっ、はぅぅ♥ ……は、えぇ?……っお゛♥」

 

(―――え゛?……此処でお預けとか……鬼畜すぎませんかー♥)

 

「んぅ゛♥ ……んんぅ゛♥ ……やぁ〜♥ はやくぅぅ♥」

 

「滅茶苦茶欲しがってんじゃねぇか、焦らされるの好きなのか?」

 

(……ううぅ♥ 初心者さん分かってるぅぅ♥ ―――もぅ、ホント好き〜♥)

 

 子宮は我慢が効かないくらい欲しがっているが、意地悪されて胸はきゅんきゅんと高鳴った。二律背反の身体と心……早く満たして欲しい身体と、何時までも虐めて欲しい心の板挟みにエクシアはぐじゃぐじゃに蕩け始める。

 

「ぅぅぅ゛♥ 初心者さん、初心者さん♥ 初心者さぁん♥」

 

「ア?どうしたよ」

 

 早く、早く、あとちょっと、もうちょっと。ほんの少しが足りていない。

 

「ぅぅぅ゛……い、いじわるー♥ ……どちゅってぇ〜♥ 奥まで下さいよぉ〜♥」

 

 力の抜けた身体でくいくいと肉棒を奥に押し付けようとしても、動きに合わせてお預けされる。

 

「しょ、しんしゃさぁ〜ん♥ おくぅぅ♥ おくぅう〜♥」

 

 慎ましい乳房をぷるぷると震わせ、何処までも媚びてくるエクシアの姿は……指揮官の嗜虐心を再度刺激してしまった。

 

「―――あ?じっくり楽しませろ」

 

(……ヤッベッ……えっろッ、くっそえろ可愛い)

 

「ひゃぅ♥」

 

(ぁ♥ 死んだぁ♥ ……もぅ好きにしてくださいー♥ エクシアは初心者さんの物になりまーす♥)

 

 視界を奪われ指揮官がどんな表情を浮かべているのか見えなくても、エクシアには表情が透けて見えた。絶対に悪戯な笑みを浮かべていると思い浮かんだ表情に、身体も心もきゅんきゅん鳴き始めた。

 

「やぁらぁ〜♥ ……おくぅぅ♥ もっとおくまれくらさい〜♥ にゅこにゅこやらぁ〜♥」

 

「ん?此処とか、気持ち良くないか?」

 

「っひぁ♥ きもひいい♥ ひもひいいれす〜♥」

 

「そうだろッ、ちゃんと気持ちいいいよな!」

 

(あ゛あ゛あ゛〜♥♥♥ もー、もー〜、嬉しそう〜♥ あ〜、もう好きすぎて、やっば〜♥)

 

 雁が埋まる程度に掘り進め、ぬぷぬぷと浅瀬を抉られ続けるエクシアの疼きが増していく。なんとか吸い付こうと子宮は更に降りているが、もう一歩のところで肉棒は意地悪に引き返していく。

 

「ふぎっ♥ んぃい♥ ……ふぅ、ふぅぅ♥ い、いいれすぅ〜♥ ……れ、れもおくがぁ〜♥ ひきゅうちゅぶしてぇ〜♥」

 

 Gスポットをガリガリと抉られ甘イキが止まらない。それでもなけなしの力を振り絞り、なんとか快楽に抗いながら、エクシアは甘ったるくお強請りする事しか出来なかった。

 

「俺は十分気持ちいいぞ、気持ち良くないか?」

 

「ひぅ♥ ……やぁ、やぁですー、おくぅ♥ もっほおくぅう〜♥」

 

「ホント可愛いよな、お前は」

 

「ひぐぅ゛♥ ……ふ、ふぅぅ、お、おねがいれすぅぅ♥ はやくぅぅ♥ どちゅどちゅしてぇぇ♥♥♥」

 

 待ちに待った直前のお預けに子宮の熱は限界を超える。頭が可怪しくなりそうな快楽に翻弄され、それでも意地悪く笑みを浮かべているであろう指揮官に対し、浅ましく媚び続ける。

 

「……ッ」

 

 背筋をぞくぞくと快楽が走り、思わず暴力的に貪りそうになりながら、指揮官は奥歯を噛み締めた。ゆっくりと視界を遮ったネクタイを外し、エクシアの蕩けた瞳を見据え、笑みを浮かべて呟いた。

 

「―――もう一声」

 

「―――は、はひ♥ ……ふ、ふぐぅぅ♥ ……んひっ゛♥ ……エクシアのおまんこずぼずぼしてくらさいぃぃ♥ ばっきばきのおちんぽでダメおまんこ躾けて下さぃぃぃ♥♥♥」

 

「フーッ―――ちょっと乱暴になるからなッ!」

 

「ひゃい!はひ♥ 乱暴でいいれす♥ はやくぅぅ♥ はやっ!!!―――っぉ゛お゛!……♥♥♥」

 

 力が籠もった肉棒にゴリッと肉を掻き分けられエクシアの期待が頂点に達する。腰を力強く捕まれ、乱暴に子宮を殴られ、身体を限界まで逸し全身から汁を吹き出し快楽に悶えた。

 

「ひぐぅ゛ぅぅ゛う゛う゛う゛♥♥♥」

 

「―――ッハ……熱ッ」

 

 収まりのつかない肉棒の憤りに身を任せ、熱々に火傷しそうなほど滾った雌肉をゴリゴリと耕していく。降りきった子宮を定位置に力づくで戻し、ビクビクと力一杯痙攣する身体を抑え込む。

 

(くっそ、力強ぇ!……ハ、フザケンナよッ!!)

 

 ぎゅうぎゅうと抱きしめるエクシアに力の制御を期待する事は出来ない……たとえ運動不足で引き篭もりのような生活を送っていてもニケはニケ。人間よりも圧倒的に力は強い。

 

 筋肉が盛り上がり、力付くで抱きついて来るエクシアの腕を掴んだ指揮官は、少女を乱暴にベッドに押し付けた。力づくで何度も腰を叩きつけ、エクシアの意識を飛ばしては直ぐに肉棒で覚醒を促す。

 

「ぉひぅ゛♥♥♥ ……ぉ♥ ぉっほ♥ 〜〜〜〜♥♥♥ ……ぉ゛〜〜〜〜〜♥♥♥」

 

 キツく締め付けうねりを強める膣肉を強引に剥がし、強く吸い付く子宮をボコボコに殴りつける。殴られ過ぎてお馬鹿ちゃんになった子宮が雁を飲み込み、雁の溝まですっぽりと包み込む。

 

「ッ―――んだッ、これッッ!?」

 

「ひぎゅ゛♥♥♥ ……はっ……っひ、ひひっ♥」

 

「貪欲な身体しやがって、そんなに欲しかったのかッ!!」

 

「い、いひっ♥ ―――ほ、ほしかった、れすぅ゛ぅ゛♥♥♥ ……じゅっ、と、じゅっ、くひぃぃ♥ ……じゅっとぉ♥ ほしかったれすぅぅ♥♥♥」 

 

 ギチギチに締め付ける子宮口が雁でロックされ、引き剥がそうにも纏わり付いて離れない。快楽に身を任せて腰を振りまくった指揮官の限界も直ぐそこまで迫っていた。

 

「出るぞッ、ちゃんと味わえッ」

 

「ひ、ひぐっ♥ はっ、はっ♥ ―――っひ♥♥♥」

 

 浅く呼吸したエクシアの身体が固まり、指揮官を強く抱き締める。肉棒の大きな震えを感じ取り、待ち望んだ吐精をその身に受けたエクシアの頭はショート寸前な程に混乱した。

 

「ぃぎっ♥♥♥ ぉ゛、ぉ゛ぉっほ♥♥♥ 〜〜〜〜♥♥♥ ふぎっ、ふぎゅぅ♥♥♥」

 

 馬鹿になったエクシアに痛いほど抱き締められた指揮官は全身に力を注ぎ込む。筋肉が膨れ上がりゴツゴツとした身体に下敷きにされながら、エクシアは激しい射精にその身を震わせ続けた。

 

「ッ……グッ―――ガアッッ」

 

「ぉ゛っひ♥♥♥ ―――っあ゛♥ ぁ゛ひゅ♥♥♥ ……っひ♥ 〜〜〜〜♥♥♥」

 

「……ッ、フーッ……クッ、ははッ……良い顔してんじゃねぇか……」

 

「〜〜〜〜♥♥♥ …………ふ、ふひっ♥ ……ふひひっ♥♥♥」

 

「生意気なのも可愛いけどよ。マジで良い女だよ。お前は」

 

「ふ、ふぅぅ♥ ふぅぅぅ♥ ……じゅっと、一緒にいましゅ〜♥」

 

「ああ、ずっと一緒だ」

 

「―――ひぅ♥ ……あぅ♥ ……あっ♥ しゅごっ♥ いぐっ゛♥♥♥」

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 ぼっこりとお腹を膨らませたエクシアが肉棒に舌を這わせてくる。

 

 ……煙草くらい静かに吸わせて欲しいんだが……それに、こんな光景を見られたら少女を食い物にしているようにしか見えねぇだろがッ。

 

「んちゅ♥ れりゅろ……んんぅう♥ ……♥♥♥」

 

 シャワーを浴びてはえっちして、髪を乾かしてやって、えっちしてのループを繰り返し……散々に抱き潰したにも関わらずエクシアは艶々しており元気一杯だ……なんか、体力付いてねぇか?

 

「フゥー、もう良いぞ」

 

 煙草を灰皿に押し付け、頭を撫でる。このままでは永遠と身体を重ねることになりかねない。正直気持ちいいし勿体ない気もするが……腹が減った。

 

「ん〜〜♥ んじゅりゅ♥」

 

「……咥えながら嫌がんじゃねぇよ」

 

「ぢゅぢゅりゅ♥ ……気持ち良くありませんかー?」

 

「いや、滅茶苦茶気持ちいいけどよ」

 

「なら、良いじゃないですか〜♥ はむっ♥」

 

 なんでニケは舐めるのが好きなんだろう?……そんな美味い物じゃねぇだろう。俺としては気持ちいいから良いけどよ。

 

「……まあ、いいけどよー」

 

 窓から見える景色は既に薄暗くなっている。子宮が満足して肉棒を離してくれるまでに何度も吐精を続けたにも関わらず、俺のシャツをチラチラと捲り上げるエクシアの挑発行為に屈した肉棒が、足りないと言わんばかりにギチギチに熱り立っている。

 

「んれじゅりゅ♥ ぢゅぢゅ、ぢゅぅぅう♥ ……はふぅ♥ ……初心者さ〜ん、まだまだお元気ですねー♥」

 

 ピカピカに磨き上げられた肉棒がテカテカと光を反射し黒光りしている。まるで恋人のようにすりすりするエクシアに、一言くらい言いたくなっても無理はないだろう。

 

「頬ずりすんじゃねぇ」

 

「やですー♥ ―――あ、ああぁ♥」

 

 肉棒に頬ずりするエクシアから強引に奪い取り、徐ろに立ち上が……ろうとして、脚に縋り付くエクシアの形相に驚きを隠せなくなった。

 

「怖ぇよッ!縋り付くんじゃねぇ!」

 

「もぅ、初心者さんのいけずー♥ ……いじわるぅ〜♥」

 

「飯にするぞ、食うだろ?」

 

「へ?初心者さんの手作りですかー」

 

「そうだよ。お前に料理は期待してねぇ」

 

「……ふ、ふひひ♥ 手料理♥ ふひ、ふひひひ♥」

 

「一緒に作るか?」

 

「!?―――は、はい!作りまーす♥ 一緒とかいいですね〜♥」

 

「ああ、偶にはいいだろ」

 

「……あ、あのぉ、初心者さーん、髪を結んでくれませんか〜?」

 

「ん?」

 

「お、お料理の邪魔になりそうなんでー……だ、ダメ……ですかー?」

 

 この後滅茶苦茶髪を結んで―――滅茶苦茶えっちした。

 

「うおッ!?ツインテール可愛いな!」

 

「ひ、ひぅぅ♥ は、はじゅ〜♥ ……ひゃ♥ ぁ♥ ―――っお゛♥ ぉ、ぉお゛♥ し、しきゅう……ちゅぶれりゅぅう♥」




二つの小説を同時進行するのは不可能となりました!!申し訳ない。
設定など色々と見直します!休止!
気が向いて読んで下さった皆様!ありがとうございました!!(まだ終わりません


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