機動戦士ガンダムこれくしょん X (星龜少将)
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人工MS娘


 

突如、外宇宙から飛来した謎の存在【黒色機動群(こくしょくきどうぐん)】の侵略により、人類は中米から南米以外全ての土地を失った。

 

残された人類は黒色機動群への対抗策として【連合地球軍】を結成。

 

黒色機動群への有効的な反撃が可能な特殊部隊―機動戦士ガンダムシリーズに登場するモビルスーツの魂をその身に宿した少女【モビルスーツ娘 (MS娘)】を主力とした【M.G.F.(モビルスーツガールズフォース)】が結成された。

 

そして、連合地球軍と黒色機動群との戦争が始まって…

 

すでに100年が経っていた…。

 

 

だが、その100年の間に…

 

南アジアにある

エスタルド人民共和国

ガスタール民主共和国

ノーザンベル連合王国

の3国は

黒色機動群から技術提供を受け、独自のMS娘【人工MS娘】を誕生させ、連合地球軍に反旗を翻したのである―。

 

 

ところが

ノーザンベルは、早々に連合地球軍に降伏…。

 

エスタルドとガスタールは、以前から対立状態にあったため、ガスタールも連合地球軍に降伏し…

 

ガスタールとノーザンベルは、エスタルドに宣戦布告

したのである…。

 

 

午前10時―。

 

曇天の下…

 

西部戦線に向かう、人工MS娘10人を乗せたトラックと、

人工MS娘の装甲服と、かつての黒色機動群の機動兵器であったZK級を積んだ、4台のトラックが走っていた…。

 

 

前線司令部に到着すると、人工MS娘達は、指揮所に着任の申告に行く。

 

指揮所といっても、簡易な通信機器を備えた掘っ立て小屋だ。

 

10人もの人間が入れるだけの広さは無いため、隊長のみが指揮所に入った。

 

まもなく、隊長と一緒に、司令官が出てきた。

 

司令官は、中佐の階級章をつけた、身長は170センチほどの、40代半ばと思われる男性だった。

 

「よく来た。

お前達がいないと、戦いにならんからな。

全員、異状が無ければ、すぐに、ここから西に20キロ先にある前線に移動しろ。」

とだけ言って、司令官は指揮所に戻った。

 

その言動は、あきらかに、人工MS娘達のことを、たんなる戦争の道具としか見ていないものだった。

 

「全員、聞いてのとおりだ。

全員、異状が無ければ、すぐにトラックに乗れ。」

と隊長に言われたので、人工MS娘達は再び、トラックに乗る。

 

そして、トラックの隊列は、西に向かって走り出した…。

 

 

走ること15分―。

 

トラックの隊列は、前線に到着した。

 

指揮所に着任の申告に向かう。

 

前線の指揮所も、やはり、簡易な通信機器を備えた掘っ立て小屋だった。

 

隊長が指揮所に入って、着任の申告をすると、隊長と一緒に、この前線の指揮官が出てきた。

 

大尉の階級章をつけた、身長は170センチほどの、30代前半と思われる男性だった。

 

「よく来てくれた。

歓迎する。」

と、敬礼する指揮官。

 

前線司令部の司令官とは、まったく異なる対応だった。

 

最前線で戦う者と、後方から命令するだけの者との違いだろう。

 

「軍曹!!」

と、指揮官は、指揮所の中にいる軍曹を呼んだ。

 

「ハッ!!」

と出てきた軍曹は、身長が160センチほどの、指揮官よりかは若いと思われる、黒人の男性だった。

 

「彼女達を兵舎に案内しろ。」

と指揮官から命じられた軍曹は

 

「ハッ!!」

と敬礼すると、人工MS娘達の方を向き

 

「これより、お前達を兵舎に案内する。

来い!!」

と言って、右方向に歩き出したので、人工MS娘達は、軍曹についていく―。

 

 

案内されたのは、女性兵士用の兵舎だが、兵舎とは名ばかりの、掘っ立て小屋だった。

 

「空き部屋ばかりだから、好きな所使っていいよ。」

と、兵舎の管理をしているのであろう、おそらく30代前半と思われる女性兵士から説明を受ける。

 

人工MS娘達は、2人づつ、兵舎に入っていった―。

 

 

兵舎の中は、ワンルームマンションの部屋に相当するほどの広さしかない。

 

2人でギリギリ…

 

3人だと、窮屈な小屋だった。

 

「ようやく実戦だね、シィ。」

と、シィに声をかけるディ。

 

「嬉しいの?」

と訊くシィ。

 

「嬉しいね☆

だいたい、アチキはガスタール人が嫌いなんだ☆

ガスタール人を好き放題殺せるから、アチキはMS娘になったんだ☆」

と言うディ。

 

それを聞いて、顔を曇らせるシィ。

 

「私は…

戦争を終わらせるためかな…。」

と言うシィに

 

「モノは言いようだね☆

よ〜するに、シィもガスタール人を殺したいんぢゃないか☆」

と言うディ。

 

「別に、そういうわけじゃ…。」

と言うシィに

 

「戦争を終わらせるんだったら、敵の兵士を殺さなきゃなんない☆

本当はシィだって、ガスタール人を殺したいんでしょ☆」

と言うディ。

 

「違う…。」

と、つぶやくシィ。

 

それっきり、2人の会話は途切れてしまった…。

 

「じゃ、アチキは寝るわ☆

おやすみな〜☆」

と、ディはベッドに横たわると、ほんの数分で眠りについた…。

 

シィも、ベッドに横たわると…

 

ほんの数分で眠りに落ちた…。

 

 

シィ*1

 

【挿絵表示】

 

ディ*2

 

【挿絵表示】

 

は、エスタルドの北部出身の少女だ。

 

ある日、学校からの帰りに…

 

2人はエスタルド軍の兵士に拉致された。

 

そのまま、人工MS娘を生み出す施設に送られ…

 

人工MS娘にされた…。

 

 

人工MS娘…。

 

それは

黒色機動群からもたらされた人体改造技術を利用し、モビルスーツの魂を宿していない人間の少女を、人工的にMS娘にした

ものである。

 

 

人工MS娘にされた2人の少女は、自分の名前を奪われ

シィ(C)

ディ(D)

という名前をあたえられた。

 

ほんの数週間の訓練ののち…

 

シィとディは、他の7人の人工MS娘とともに、ここ西部戦線に送られたのだ…。

 

 

翌日―。

 

雨が降る午前8時22分―。

 

敵襲を報せるサイレンが鳴り響いた―!!

 

朝食を食べていたシィとディだったが、食事をやめて、兵舎を出る。

 

降りしきる雨の中、指揮所前に集合する。

 

指揮所前には、一般兵の部隊も集結していた。

 

「ただいま、ガスタール軍の機甲師団および人工MS娘の部隊が侵攻中である!!

総員、ただちに戦闘配置につけ!!」

と指揮官に命じられ、各部隊は配置につく。

 

人工MS娘達は、装甲服を積んだトラックに向かう。

 

 

ここで、ちょっとした…

 

いや…

 

ちょっとどころじゃない問題がおきた…。

 

 

人工MS娘達は、周囲を見回す。

 

「男…いないよね…?」

 

「うん…いない…。」

周囲に男性がいないことを確認していた

 

というのも

モビルスーツの魂を宿していない人工MS娘は、装甲服とのシンクロ率を上げるため、装甲服を装着する際は全裸にならなければならない

のだ。

 

これは、通常のMS娘には無い欠点だ。

 

 

装甲服を装着するため、全裸になる人工MS娘達。

 

人工MS娘が装着する装甲服は【機動新世紀ガンダムX】に登場するモビルスーツ【パイロン】だ。

 

全身が曲面装甲なので、実弾兵器に対する避弾経始にすぐれている…

…という触れ込みだが、実際には、避弾経始など、ほとんど気休め程度である。

 

また、装甲服の性能も、人工MS娘の能力も、通常のMS娘よりも劣っている。

 

しかし、ガスタール軍の主力も人工MS娘であり、装着している装甲服もパイロンなので、通常のMS娘ほど脅威ではない。

 

ただし、ガスタールは連合地球軍に下っているため、連合地球軍の武器を使用しているかもしれないし、なにより、M.G.F.が援軍に来ているかもしれない。

 

装甲服を装着しおえた人工MS娘達は、続いてZK級を起動させる。

 

およそ100年前の旧式兵器であり、現在では、黒色機動群でも使用されていない。

 

黒色機動群は、旧式兵器であるZK級をエスタルド、ガスタール、ノーザンベルに供給することで、実質、廃棄処分しているのだ。

 

この部隊には、2機配備されているのだが…

 

1番機は起動したが、2番機が動かない。

 

「動きそうにないか!?」

と訊く隊長に

 

「まったく動きません!!」

と答える隊員。

 

「やむをえん!!

2番機は捨てる!!

出撃だ!!」

という隊長の号令一下、人工MS娘隊は出撃した―。

 

 

雨は、ますます激しくなってきて、雷まで鳴り始めた。

 

そんな豪雨の中、10人の人工MS娘と1機のZK級が進撃していた。

 

雨が装甲服内に流れ込み、体が濡れて、冷えてくる。

 

(うぅっ…!!)

と、顔をしかめるシィ。

 

体が冷えて、腹が痛くなってきたのだ。

 

(い…痛い…

出るぅ…!!)

と、激しい便意に、シィは必死に耐えた。

 

しかし…

 

『い…いやぁぁぁ…!!』

 

『も…もうダメ!!

ガマンできないぃ!!』

 

という悲鳴が、通信機から響いた。

 

どうやら、シィと同じように、体が冷えて腹痛をおこした人工MS娘が排便してしまったのだ。

 

(わ…私も…!!)

と、シィは声を出さないように耐えながら…

 

装甲服内に、排泄音を響かせた…。

 

(お…おぇ…。)

と、激しい異臭に、えづくシィ…。

 

すると…

 

前方で、爆発がおきた。

 

敵の砲撃だ。

 

『散開しろ!!』

と、隊長からの通信が入った。

 

人工MS娘隊は2人づつ、5つの隊に分かれる。

 

しかし…

 

『ギヤアアア…ッ!!』

と、通信機から、砲撃の犠牲になったのだろう、誰かの悲鳴が響いた。

 

『こちらエフ!!

イーがやられました!!』

『かまうな!!』

という、エフと隊長のやりとりが聞こえる。

 

(イー?

どんな娘だったっけ?)

と考えるシィ。

 

シィは、イーとは、あまり話をしたことがなかったから、どんな娘だったのか、わからなかった。

 

(まぁ、いいや…。

もう、会うことはないんだから…。)

と、忘れることにした。

 

まもなく、レーダーが敵の反応を捉えた。

 

レーダーが捉えた情報は、直接、脳に伝えられる。

 

『来たぞ、シィ!!

ガスタール人どもだ!!』

と、ディからの通信が入る。

 

(来た…!!)

と、腹をくくるシィ。

 

不思議と、排泄物の異臭も、腹の痛みも感じなくなった。

 

『アチキが仕掛ける!!

援護を頼む!!』

 

「わかった!!」

と、シィは停止して、持ってきた重機関銃を地面に据える。

 

そして、腹ばいになって、重機関銃をかまえる。

 

(!!)

 

ロックオンカーソルが、ガスタール軍のパイロン…

 

人工MS娘を捉えた。

 

重機関銃の引き金を引くシィ。

 

重機関銃は、大きな発射音を響かせ、弾丸を発射する。

 

弾丸を発射するたびに、激しい反動がシィの左肩に伝わる。

 

重機関銃から飛び出した弾丸は…

 

ガスタール軍のパイロンの左肩に命中し…

 

左腕がちぎれ飛び、血が飛び散った。

 

さらに、頭に命中し…

 

頭が砕け散った。

 

血を飛び散らせて頭が砕け散る光景は、さながら、花火を思わせるものがあった。

 

そして、胸に当たり…

 

装甲服のジェネレーターを直撃したのか、パイロンは爆発した…。

 

『やるじゃねぇか、シィ!!』

と、ディからの通信が入った。

 

だが、シィは答えることなく、重機関銃を持って、すぐさまディを追いかける。

 

そして、再び、重機関銃を地面に据えて、撃つ…。

 

 

戦闘開始から、どれくらいの時間が経ったのか…?

 

いつの間にか、雨はあがっており、陽は西に傾き始めていた…。

 

 

『エイ隊長は戦死した。

生きている者はアイのところに来い。』

というアイからの通信が入った。

 

『行こうぜ、シィ!!』

と、ディからの通信が入った。

 

 

戦いは終わった―。

 

ガスタール軍は撤退した。

 

勝ったのだ。

 

しかし…

 

隊長のエイをはじめ…

 

ビィ

 

イー

 

エフ

 

エイチ

 

ジェイ

 

が死んだ…。

 

ZK級も破壊された。

 

生き残ったのは

 

シィ

 

ディ

 

ジィ

 

アイ

 

の4人だけだった…。

 

 

「私達…

勝ったの…?」

と、頭部装甲(ヘルメット)をはずして、ディに訊くシィ。

 

「当たり前ぢゃん☆」

と、頭部装甲(ヘルメット)をはずすディ。

 

そして

「ガスタール人を4人殺したぜ☆」

と、笑顔を見せるディ。

 

「シィだって、ガスタール人を4人殺したぢゃないか☆」

とディに言われたシィは

 

「そうだね。」

と微笑んだ。

 

 

そう…

 

勝ったのだ…。

 

 

ふと、東の空を見上げれば…

 

綺麗な虹がかかっていた…。

 

*1
イラスト:黒瀬夜明 リベイク

*2
イラスト:黒瀬夜明 リベイク



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シン・クロサキ兵団


 

ガスタール軍の大本営の会議室では、ガスタール軍の将校と、連合地球軍の作戦本部の将校が会談していた。

 

「我が軍の武器を使用しているにも関わらず、いまだにエスタルドを陥落させられないとは、どういうわけかな?」

と、高圧的に訊く、連合地球軍の将校。

 

「もうしわけございません。

ノーザンベルが不甲斐無いのと、エスタルドの抵抗が思いのほかしつこくて…。」

と、苦しい言い訳をするガスタール軍の将校。

 

「不甲斐無いのは、お前達も同じだろうッ!!」

と怒鳴る連合地球軍の将校。

 

「も…もうしわけございません!!」

と、平謝りするガスタール軍の将校。

 

「あ…あの…

もうしあげにくいのですが…。」

と、もう一人のガスタール軍の将校が尋ねる。

 

「何かね?」

と訊く連合地球軍の将校。

 

「あの…

できれば…

【M.G.F.】の派遣を…。」

と、おどおどして言うガスタール軍の将校に

 

ふざけるなッ!!

と怒鳴る連合地球軍の将校。

 

「まぁ、まぁ…。

そう言わないでください。」

と、同席している女性・シャギア

 

【挿絵表示】

 

が、連合地球軍の将校をなだめる。

 

「【M.G.F.】の派遣…

よいではないですか☆」

と言うシャギア。

 

「バカを言うな!!

こんな戦場に、【M.G.F.(お前達)】の出る幕は無い!!」

と言う連合地球軍の将校。

 

「いえ。

こういう戦場だからこそ【M.G.F.(私達)】が出るべきなのです☆」

と進言するシャギア。

 

「しかしな…。」

と渋る連合地球軍の将校に

 

一週間で、エスタルドを落としてご覧に入れますよ☆」

と微笑むシャギア。

 

「お…お力添え、ありがとうございます!!」

と、頭を下げるガスタール軍の将校。

 

「では、早速、準備にかかります☆」

と、連合地球軍の将校に敬礼するシャギア。

 

「我が軍からも、部隊を派遣します!!」

と、ガスタール軍の将校が進言するが

 

「結構です。

私と妹で十分です☆

と、ガスタール軍の将校の進言を断るシャギア。

 

「えっ?

お2人だけで…ですか?」

と驚くガスタール軍の将校に

 

「ご安心を☆

私の愛馬は凶暴ですから☆」

と、シャギアは言った―。

 

 

会議室を出たシャギアは、妹のオルヴァ

 

【挿絵表示】

 

念話(テレパシー)

を送る―。

 

〈出撃だ、オルヴァ。》

 

《待っていたわ、姉さん☆〉

 

〈準備をしておけ。》

 

《まかせて☆〉

 

 

シャギアは、M.G.F.の移動基地【ハルフェース6】のブリッジに上がってきた。

 

そして、司令官室に入る。

 

M.G.F.の司令官は、M.G.F.の創設者にして、初代司令官だった

シン・クロサキ

の名を引き継いでいる。

 

現在のM.G.F.の司令官は

第22代シン・クロサキ

 

連合地球軍少佐で、肥満体の男だ。

 

しかも

あろうことか、勤務中だというのに、ゲームをして遊んでいる…。

 

「シン司令。」

と、シャギアが声をかけるが

 

「うっせぇな★

今、いいところなんだよ★」

と、シャギアを無視するシン。

 

それでも、シャギアはかまわず口を開く。

 

「作戦本部より、私とオルヴァに出撃命令が下りました。」

 

「知ってるよ★

今、さっき、その命令が来たよ★」

と言って、シャギアの方を向くシン。

 

「何が出撃命令が下りました…だ★

どうせ、あらかた

お前から話を無茶振りして、無理矢理、作戦本部に命令を出させた

んだろう★」

と言うシン。

 

それを聞いて、苦笑するシャギア。

 

この、第22代シン…

勤務中にゲームをするなど、非常識極まりないことをする割には、なかなか鋭い男であった。

 

「いいさ★

作戦本部から、命令が出てんだ★」

と言って、再びゲームを始めたシンに

 

「ありがとうございます。」

と、敬礼するシャギア。

 

「すみません。

もう一つ、聞いていただきたいことが…。」

と言うシャギア。

 

「何だよ!?」

と、ゲーム画面を見ながら言うシン。

 

「ライフ、ドゥエト、ミルラ、バウアーに

自由行動の許可をいただきたい

のですが…?」

 

「自由行動だぁ…?」

と、ゲーム画面から目を離さないシンだったが

 

(…★)

 

(…。)

 

「テメェ…

頭の切れる(ヤツ)だな…ッ★

と、シャギアの方を向くシン。

 

「お褒めにあずかり、恐悦至極☆」

とお辞儀するシャギア。

 

 

正式に出撃命令を命じられ、なおかつ

部下達の自由行動の許可も得た

シャギアは、居住区に向かう。

 

 

シャギアの部下達は、娯楽室にいた。

 

「作戦本部からの命令を伝える。

私とオルヴァは、エスタルド攻略を命じられた。」

と言うシャギア。

 

「あん?

隊長と妹だけなの…?」

と言うライフ。

 

【挿絵表示】

 

「私達はお留守番?」

と言うドゥエト。

 

【挿絵表示】

 

「つまらないね…。」

と言うミルラ。

 

【挿絵表示】

 

「またしても、死の恐怖はあたえられないのか…。」

と嘆くバウアー。

 

【挿絵表示】

 

「そう不貞腐れるな☆

シン司令から、お前達には

自由行動

の許可をもらった☆」

と言うシャギア。

 

「自由行動…?」

と、顔をしかめるライフ。

 

「自由行動って…

何をしてもいいんですか?」

と訊くドゥエトに

 

「そうだ☆」

と答えるシャギア。

 

「なるほどな…☆

自由行動か…☆」

と、歓喜に顔を歪ませるミルラ。

 

「なら…

死の恐怖をあたえてもらおう☆」

と喜ぶバウアー。

 

「ということだ☆

各自、自由に楽しんできてくれ☆」

「「了解☆」」

と、シャギア達は出撃準備室(ガレージ)へと向かった―。

 

 

出撃準備室(ガレージ)に来たシャギア達は装甲服装着室(アッセンブルルーム)に入る。

 

 

ところで、じつはシャギア達も

人工MS娘

である。

 

そもそも、モビルスーツの魂を宿した少女など、そうそういるものではない。

 

そのため、軍の主戦力は人工MS娘となっていた。

 

 

エスタルドの人工MS娘と、連合地球軍の人工MS娘の違いは

連合地球軍の人工MS娘は、黒色機動群の技術が使われていない

点である。

 

そもそも、MS娘についてのノウハウが豊富な連合地球軍では、人工的にMS娘を誕生させる研究がなされていた。

 

100年近い研究の末、ついに、通常のMS娘に匹敵するほどの能力を持った人工MS娘を誕生させることができるようになったのだ―。

 

 

装甲服装着室(アッセンブルルーム)に入ったシャギア達は、装甲服を装着させるためのアンダースーツに着替える。

 

このアンダースーツは、被弾時の衝撃をやわらげる効果もある。

 

ここが、装甲服とのシンクロ率を上げるために、全裸にならなければならないエスタルドの人工MS娘との大きな違いだ―。

 

 

「行くぞ!!

シン・クロサキ兵団、出撃だ!!

と、装甲服を装着した

シャギア

オルヴァ

ライフ

ドゥエト

ミルラ

バウアー

が、発進デッキに出てくる。

 

 

【シン・クロサキ兵団】―。

 

M.G.F.の創設者にして、初代司令官だった

シン・クロサキ

の名を冠するこの部隊は、M.G.F.のエリート部隊だ―。

 

 

「シャギア!!

ガンダムヴァサーゴ、出るぞ!!」

 

「オルヴァ!!

ガンダムアシュタロン、出る!!」

 

「ライフ!!

コルレル、行くぞ!!」

 

「ドゥエト…

ブリトヴァ、発進します…。」

 

「ミルラ!!

ガブル、発進!!」

 

「バウアー!!

ラスヴェート、出ます!!」

と、発進デッキから出撃する、【シン・クロサキ兵団】の人工MS娘達―。

 

 

【ハルフェース6】の指令室(ブリッジ)では、オペレーターがシンに、【シン・クロサキ兵団】全員が出撃したことを告げていた。

 

「あの…

作戦本部からの命令では、シャギアとオルヴァの2人だけのはずですが…?」

と訊くオペレーターに

 

「あぁ、そうだよ★」

と答えるシン。

 

「しかし…

全員、出撃してますよ…?」

と訊くオペレーターに

 

「あとの4人には

自由行動の許可を出した

んだよ★」

と言うシン。

 

「よろしいのですか?

作戦本部から、何か言われるのでは…?」

と訊くオペレーターに

 

「よろしいんだよ★

こっちは命令通り、シャギアとオルヴァに出撃命令を出したんだ★

あとの4人は、勝手にやってるだけで、オレの知ったこっちゃねぇんだよ★」

と、シンは言い放った…。

 

 

エスタルド軍の西部戦線基地―。

 

 

先日のガスタール軍との戦闘後…

 

人工MS娘(パイロン)が12人…

 

ZK級が5機…

 

もちろん、戦車や大砲なども補充されて、先日の戦闘前よりも戦力は増強されていた。

 

そこに、さらに人工MS娘(パイロン)が10人…

 

そして、ZK級と同じく、100年前の黒色機動群の兵器であったGM級が5機が到着した。

 

「スゲェな、シィ☆

これだけの戦力があったら、ガスタール人を殺しまくれるぞ☆」

と喜ぶディ。

 

「うん…そうだね…。」

と、相づちをうつシィ―。

 

 

その頃、前線指揮所では…

 

「大尉!!

レーダーに反応!!」

と、レーダーを見ていた軍曹が、指揮官(大尉)に報せる。

 

「敵か!?」

 

「はい!!

数は6…って…

この識別信号は…!!」

と、驚く軍曹。

 

「どうした?」

と訊く指揮官(大尉)

 

「敵は連合地球軍のM.G.F.…

【シン・クロサキ兵団】です!!

と叫ぶ軍曹。

 

な…何だとぉッ!?

と絶叫する指揮官(大尉)―。

 

 

敵襲を報せるサイレンが鳴り響いた。

 

「来たぞ☆

ガスタール人どもだ☆」

と喜ぶディ。

 

しかし、スピーカーからは

『総員に告ぐ!!

ただいま、【シン・クロサキ兵団】が接近中である!!

総員、直ちに配置につけ!!』

と、指揮官(大尉)の絶叫のような命令が流れた。

 

途端に、基地内は騒然となった。

 

「マ…マジかよ…!?」

と、さすがのディも、相手が【シン・クロサキ兵団】だと聞いて、顔を引きつらせた。

 

人工MS娘(パイロン)隊、集合!!」

と、新たに着任した人工MS娘(パイロン)隊の隊長が、装甲服を積んだトラックの駐車場に隊員を招集する。

 

「総員、出撃準備!!」

と、隊長の号令一下、装甲服を装着するため、服を脱ぎ、全裸になる人工MS娘達。

 

全員、装甲服を着終わると、隊長を先頭に、パイロン隊は出撃していった―。

 

 

荒野を進む、26人の人工MS娘(パイロン)達。

 

彼女達の後方には、起動に成功した3機のZK級と4機のGM級がついてきている。

 

 

やがて…

 

レーダーが、接近してくる【シン・クロサキ兵団】の機影を捉えた。

 

空に3機…

 

地上からも3機…。

 

(来た…!!)

と、緊張するシィ。

 

(何だろう…

体が震えてる…?)

と、自分の体が震えてることに気づくシィ。

 

(バランサーな調子が悪いのかな…?)

などと考えていたが…

 

その体の震えは…

 

恐怖

によるものだということに…

 

シィは気づいていなかった…。

 



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追い詰められた2人


 

鬱蒼(うっそう)とした森の中の道を歩く、2人の人工MS娘(パイロン)

 

シィとディ―。

 

 

『おい…

大丈夫か…?』

と、ディからの通信に

 

「うん…。」

と答えるシィ。

 

『このまま、北に行けば…

家に帰れる…。』

 

「うん…。」

と、シィとディは、北に向かって歩く…。

 

スラスターの推進剤はすでに無く…

 

ただ、重いだけの装甲服を着たまま…

 

シィとディは、故郷の村がある、北に向かって歩いた…。

 

装甲服を脱げば楽になれるが、脱ぐと全裸になってしまう…。

 

途中、どこかの街か村で、服を強奪しようかと思ったが…

 

幸か不幸か、2人にその度胸は無かった。

 

だから、装甲服姿のまま、北に向かって歩き続けた…。

 

 

3日前―。

 

西部戦線―。

 

 

空を飛ぶ

ガンダ([シャギア])ムヴァサーゴ

ガンダ([オルヴァ])ムアシュタロン

ラスヴ([バウアー])ェート

 

「来たか…☆」

と、地上を見下ろすガンダ([シャギア])ムヴァサーゴ。

 

地上には

26人の人工MS娘(パイロン)

3機のZK級

4機のGM級

が、土煙をあげて向かって来ていた。

 

「行くぞ、オルヴァ!!」

 

『了解、姉さん☆』

と、降下していくガンダ([シャギア])ムヴァサーゴとガンダ([オルヴァ])ムアシュタロン。

 

ラスヴ([バウアー])ェートは、GM級に向かっていった―。

 

 

26人の人工MS娘(パイロン)は、降下してくるガンダ([シャギア])ムヴァサーゴとガンダ([オルヴァ])ムアシュタロンに向けてマシンガンを乱射するが、ガンダ([シャギア])ムヴァサーゴとガンダ([オルヴァ])ムアシュタロンには、まったく通じなかった。

 

地上に降り立ったガンダ([シャギア])ムヴァサーゴに、2人のパイロンがマシンガンを乱射するが、当たっても火花が散るだけで、ガンダ([シャギア])ムヴァサーゴは傷一つつかない。

 

「お出迎え、ご苦労☆」

と、ガンダ([シャギア])ムヴァサーゴは両腕を伸ばし、手首のストライククローで2人のパイロンの頭を斬り落とした―。

 

 

地上に降り立ったガンダ([オルヴァ])ムアシュタロンも、バックパックに装備されているアトミックシザースで、2人のパイロンの頭を握り潰した―。

 

 

地上を進んできた

コルレ([ライフ])

ブリト([ドゥエト])ヴァ

ガブル([ミルラ])

 

コルレ([ライフ])ルは、1人のパイロンに襲いかかる。

 

パイロンが乱射するマシンガンをかわしながら、コルレ([ライフ])ルは素速い動きで一気にパイロンの眼前に迫り―

 

「せいッ☆」

と、右手に持つビームナイフで、パイロンの両腕を斬り落とした。

 

いぎゃあああ…っ!!

と、人工MS娘(パイロン)の悲鳴を聞いたライフは、恍惚とした表情になる。

 

いい悲鳴(こえ)

もっと…もっと聞かせてェ♡」

と、今度はパイロンの両足を斬り落とした。

 

両手両足を斬り落とされた人工MS娘(パイロン)の悲鳴が響き渡る…。

 

ホント、いい悲鳴(こえ)

でも…

聞きあきたわ…!!

と、ビームナイフをパイロンの胸に突き刺した―。

 

 

ブリト([ドゥエト])ヴァも、正面にいる2人のパイロンが乱射するマシンガンの被弾もものともせず…

 

右腕から射出したモノフィラメントワイヤーカッターで、2人のパイロンを斬り刻んだ。

 

モノフィラメントワイヤーカッターで斬り刻まれた2人のパイロンが、真っ赤な血をまき散らしてバラバラになった光景をみたドゥエトは

 

まっかっか…まっかっか…♡」

と狂喜した―。

 

 

ガブル([ミルラ])は、3機のZK級に挑んでいく。

 

全高が2メートル半もあるミルラの装甲服だが、ZK級は4メートルの巨躯をほこる。

 

そのZK級が持つマシンガンの口径は、25ミリにも達する。

 

ガブル([ミルラ])は、3機のZK級のマシンガンの集中射撃をうけるが…

 

命中しても火花が散るだけで、ガブル([ミルラ])はまったく無傷…。

 

逆に、ガブル([ミルラ])は右手のナックルガードを展開すると、正面にいるZK級の右足を殴った。

 

ガブル([ミルラ])に右足を殴られたZK級の右足はへし折れ、ZK級は崩れ落ちた。

 

崩れ落ちたZK級の頭を、左手で殴るガブル([ミルラ])

 

ガブル([ミルラ])に頭を殴られたZK級の頭はちぎれ飛んだ。

 

その要領で、ガブル([ミルラ])は、残る2体のZK級の足を殴ってへし折り、頭を殴り飛ばした―。

 

 

ラスヴ([バウアー])ェートは、上空から4体のGM級を攻撃する。

 

黒色機動群の兵器であるGM級もZK級同様100年前の旧式兵器で、現在では黒色機動群で使われておらず、人類に供給することで廃棄処分していっている。

 

そのGM級の武器は、右手に持つビームスプレーガンで、エスタルド軍で唯一、ビーム兵器を所持している機動兵器だ。

 

さすがのラスヴェートも、ビーム兵器にはかなわない。

 

だが、ラスヴェートの高い機動性は、その弱点を補ってあまりある。

 

「どうした…

私に死の恐怖をあたえてみよ…ッ!!

ラスヴ([バウアー])ェートは叫びながら、4体のGM級が地上から乱射するビームスプレーガンを素速い動きで回避する。

 

そして、右手に持つビームライフルで、GM級を破壊する。

 

「私に死の恐怖をあたえられないのなら…

お前達が死ねッ!!

ラスヴ([バウアー])ェートは、残り3体のGM級も手速く破壊していった―。

 

 

ほんの40分ほどで…

 

26人の人工MS娘(パイロン)は全滅した…。

 

シャギアのもとに集結する、シン・クロサキ兵団のメンバー達。

 

『まだ、生命反応がいくつかあるみたいだけど?』

と言うオルヴァに

 

「放っておけ。

どうせ助からん。」

と言うシャギア。

 

「このまま、西部戦線の基地も落とす!!

来い☆」

と、シャギア達【シン・クロサキ兵団】はエスタルド軍の西部戦線基地に向かっていった―。

 

 

『助かったな…。』

と、ディからの通信に

 

「うん…。」

と答えるシィ。

 

シィとディは、【シン・クロサキ兵団】の圧倒的な強さを目の当たりにし

死んだふり

をして、やり過ごしたのだ。

 

立ち上がる、シィとディ…。

 

『ひでぇ…。』

 

「うん…。」

 

そこには…

 

見るも無惨な姿と化した、24人の人工MS娘(仲間達)の死体が転がっていた…。

 

「う…うぅ…。」

と、膝をつき、泣き崩れるシィ。

 

『ちくしょう…!!

シン・クロサキ兵団…!!

人殺しのクソッタレどもが…ッ!!』

という、ディの叫びが通信機から聞こえてきた。

 

『なぁ…シィ…

家に帰らないか?』

という、ディからの通信が入った。

 

「家に…?」

と、泣きやむシィ。

 

「あぁ。」

と、頭部装甲(ヘルメット)をはずすディ。

 

シィも頭部装甲(ヘルメット)をはずす。

 

「脱走罪にならないかな?」

と言うシィに

 

「きっと、アチキらは死んだことになってるはずだ。」

と言うディ。

 

「家に帰るって…

ここからだと、とても遠いよ?」

と言うシィ。

 

「まあな。

けどよ…

帰る場所があるんだから…。」

と、ディは歩き始めた。

 

シィも、ディについて行く―。

 

 

戦場から早く離脱するため、スラスターを噴かした。

 

それで、推進剤を使い切ってしまった。

 

あとは、エスタルド北部の故郷まで、徒歩で移動する…。

 

 

そして…

 

3日が過ぎた…。

 

 

3日の間に…

 

情勢は一変した。

 

西部戦線の壊滅により、ガスタール軍が進撃。

 

さらに東部戦線も、連合地球軍の支援を受けたノーザンベル軍が突破。

 

連合地球軍、ガスタール、ノーザンベルの三軍は、一気にエスタルドの首都エルデンに進行…。

 

本日午前零時、エスタルドは降伏した…。

 

 

これらの情報は、装甲服の通信機によって知ることができた。

 

戦争は終わったのだ。

 

「やったな☆

これでもう、アチキらは平和に暮らせる☆」

と、笑うディ。

 

「うん!!」

と、シィも喜ぶ。

 

「さぁ、もうひと踏ん張りだ☆」

と、シィとディは、故郷に向かって歩き始めた―。

 

 

途中、廃工場を見つけた。

 

「何だ、ここ?」

「何かの工場みたいだね…。」

と、ディを先頭に正門を通る。

 

ディが建屋の扉を蹴破り、建屋内に入る。

 

建屋内には、機械類は何も無かった。

 

閉鎖されてから、相当月日が経っているようだ。

 

「ここだったら、安心して脱げるな。」

と、装甲服を脱ぐディ。

 

たしかに、こんな場所に人が来るとは思えない。

 

シィも装甲服を脱いだ。

 

全裸のディが、残っているロッカーを開けていく。

 

「何してるの?」

と訊くシィ。

 

「服探してんだよ。

作業服の1つや2つ、あるんじゃねぇかと思ってな…。」

と言うディ。

 

たしかに、いつまでも装甲服を着ているわけにもいかない。

 

シィも、作業服を探すことにした。

 

2人が入った建屋には無かったので、隣の建屋に移動する。

 

全裸の少女2人が、着る服を探して廃工場をうろつくという、なんともシュールな光景だった…。

 

 

建屋の中で作業服を探していたディが外を見ると…

 

「M.G.F.だ…!!」

と叫んだ。

 

そのまま隠れるシィとディ…。

 

 

パトロール中のM.G.F.のドートレス・フライヤー2名が、廃工場を発見した。

 

そして、建屋の中で、シィとディが脱ぎ捨てた、パイロンの装甲服を発見した。

 

「こちら、P-01。

ポイントK-357にて、遺棄されたエスタルド軍の人工MS娘の装甲服を発見。

回収します。」

 

2人のドートレス・フライヤーは、シィとディが脱ぎ捨てた装甲服を持って、再び空に飛びたった―。

 

 

「やべぇ…。」

「ど…どうしよう…。」

と、顔面蒼白になるディとシィ。

 

最初に入った建屋に行ってみたが、装甲服は全て持ち去られていた。

 

シィとディは、文字通り、丸裸だ…。

 

もはや、こんな姿では、外を歩くこともできない。

 

M.G.F.の捜索隊が来るのも、時間の問題だろう。

 

「ど…どうしよう…。」

と、怯えるシィ。

 

「ちくしょう!!

捕まってたまるか…!!」

と、再び、隣の建屋に走るディ。

 

「ど…どうするの!?」

と、シィはディに訊くが、ディは何も答えなかった。

 

ディも、もはや、どうすればいいのか、わかっていなかった…。

 

ただ、捕まりたくない…

 

そんな思いだけで、無意味で無駄な抵抗を試みているだけだった…。

 

(ちくしょう…ちくしょう…!!)

 

隣の建屋に入り、建屋内を見回す。

 

建屋の奥に、扉があった。

 

そこに向かって走るディとシィ。

 

扉にたどり着き、ディがドアノブを回して引くと…

 

「開いたぞ…☆」

 

扉を開けて、部屋の中に入ると―

 

何だ…これ…!?

 

 

部屋の中には…

 

思いがけない物

があったのだ…。

 



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熾天使の目覚め


 

M.G.F.の輸送機【ハルフェース6】に運ばれた、廃工場でシィとディが脱ぎ捨てたパイロンの装甲服は、解析班によって調査された。

 

その結果、ボイスレコーダーに残された会話の記録から、シィとディがエスタルド北部にある村に向かっていたことがわかった―。

 

 

【ハルフェース6】の指令室では、シャギアがシンに謝罪していた。

 

「もうしわけございません。

戦場において、敵の生体反応を確認しておきながら見逃した、私の失態です。」

 

「あぁ、そうだな…★

()ぇ…

時折、そういうポカ(失敗)やらかすよな?」

と言い放つシン。

 

「それにしても、その廃工場に装甲服が脱ぎ捨てられていた…つ〜ことは、その装甲服の持ち主は、今は全裸(マッパ)ってわけだ☆」

と、薄ら笑いを浮かべるシン。

 

「まともな女なら、外を出歩くことはないでしょう☆」

と言うシャギア。

 

「つきましては、その廃工場の捜索を、私にやらせてください。」

と、シャギアは願い出たが

 

「ダメだ★」

と、却下するシン。

 

「なぜです?」

と訊くシャギアに

 

「そんなチンケな任務で、お()ぇの失態の帳消しになるか★」

と言うシン。

 

そして、シンは内線でサナ

 

【挿絵表示】

 

を呼び出す。

 

『お呼びでしょうか、司令?』

 

「おぅよ★

()ぇは1個小隊を率いて、ポイントK-357に向かえ。」

と、サナに命じるシン。

 

『偵察隊がパイロンの装甲服を発見した廃工場ですね?』

と訊くサナに

 

「そうだ★

パイロンの装甲服の持ち主は全裸(マッパ)だから、外に出歩いたりしてないはずだ★」

と言うシン。

 

『拘束すればいいのですか?』

と訊くサナに

 

「オレは、ガキの全裸(マッパ)に興味無ぇよ★

つ〜かよ…

エスタルド軍の人工MS娘部隊は全滅

してるんだよ…★」

と言うシン。

 

それを聞いたサナは

『了解☆』

と、通信を切り、ほくそ笑む…。

 

 

「ということだ★

コイツは、ちょっとした、お()ぇへの懲罰だ★」

と、シャギアに言うシン。

 

「寛大な処置に感謝いたします。」

と、敬礼するシャギア。

 

 

指令室を出たシャギアは、事の顛末を、オルヴァに念話(テレパシー)で伝える。

 

《どうだったの、姉さん?〉

 

〈謹慎だ★》

 

《そうなんだ…。〉

 

〈すまんな。

お前の忠告を無視した罰だ。》

 

《違うわ。

確実に敵を殺しきれなかった、私達全員の責任よ。〉

 

〈フッ…☆

ありがとう、オルヴァ…☆》

 

 

一方、シンからシィとディが隠れている廃工場の捜索を命じられたサナは、意気揚々と出撃準備を進めていた。

 

ドートレスコマンドの装甲服を装着し、背中にフライヤーユニットを装備する。

 

サナに同行する4人の隊員は、ドートレスの装甲服を装着し、背中にフライヤーユニットを装備する。

 

「これより、ポイントK-357に逃げ込んだ、エスタルド軍の人工MS娘部隊の残党を掃討する!!」

と、隊員達に命じるサナ。

 

そして、発進デッキから出撃するのだった―。

 

 

シィとディが、廃工場内で見つけた物…。

 

それは―!?

 

 

「これ…

ガンダムタイプの装甲服

だよな…?」

と言うディ。

 

「うん…。

でも…

見たことのないタイプだね?」

と言うシィ。

 

 

シィとディが見つけた、ガンダムタイプの装甲服…

 

それは、白と水色とエメラルドグリーンで塗り分けられた…

 

ウイングガンダムゼロ (EW) に似た装甲服だった…。

 

 

「使えるのか?」

と訊くディに

 

「わからない…。」

と答えるシィ。

 

「とりあえず、着てみる?」

と言うシィ。

 

「いや…着るって言ったって…

ガンダムタイプは、マジのMS娘じゃないとダメだろ?」

と言うディ。

 

「でも、もうすぐ、M.G.F.が来るんでしょ?

だったら、こんな格好で捕まりたくないな…。」

と言うシィ。

 

「たしかにな…★」

と、同意するディ。

 

「…って、ちょっと待て★

お前がそれ着たら、アチキはどうなる!?」

と、シィにツッコむディ。

 

ここには、装甲服が一着しかない…。

 

つまり、シィがこのガンダムタイプの装甲服を着てしまうと、結局、ディは全裸のままである…。

 

しかし、ディの思いなど気にもとめず、シィはガンダムタイプの装甲服を装着した。

 

すると…

 

胸部中央にあるランプが光りだした。

 

「ディ…

これ…

動く…!!

と、ガンダムタイプの装甲服が起動したことに驚くシィ。

 

マヂか…!?

と、ディも驚く。

 

「この装甲服の情報が…

頭の中に流れてくる…!!」

と言うシィ。

 

「ど…どんな装甲服なんだ?」

と訊くディ。

 

「連合地球軍…

量産試作型装甲服…

ウイングガンダムセラフィム…?」

と言うシィ。

 

ウイングガンダムセラフィム…!?

それが、その装甲服の名前なのか!?」

と訊くディに

 

「うん…。

そうみたい…。」

と答えるシィ。

 

「つ〜か、今さっき

連合地球軍の装甲服

って言ったよな?」

と訊くディに

 

「うん…。

そうみたい…。」

と答えるシィ。

 

「つまり、M.G.F.の物ってことだろ?

マズいんじゃねぇのか…?」

と言うディ。

 

「そ…そうだよね…。」

と言うシィ。

 

その時―!!

 

来た…!!

と、ウイングガンダムセラフィムのレーダーが、ここに接近してくる機影を捉えた。

 

M.G.F.(ヤツら)か…!?」

と訊くディに、うなずくシィ。

 

「私…

戦う…!!

と、戦う決意をするシィ。

 

「あぁ…!!

行け、シィ…!!

M.G.F.(ヤツら)に、エスタルドの民の誇りを見せてやれ!!」

とシィを激励するディ。

 

「うん…!!」

と、シィは建屋から出る―。

 

 

外に出たウイ([シィ])ングガンダムセラフィムは、空を見上げる。

 

彼方に、5つの小さな黒点が見える。

 

来るのは、M.G.F.のドートレス・フライヤー5名。

 

ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムは、少し腰を落とし―

 

「シィ!!

ウイングガンダムセラフィム!!

行きます!!」

 

―と叫んで、背中の翼を広げて、空に飛び上がった―!!

 

 

廃工場に向かって飛ぶ、サナ率いるドートレス・フライヤー隊。

 

まもなく、サナのドートレスコマンド・フライヤーのレーダーが、前方から飛んでくる機影を捉えた。

 

「何だ?

ウイングガンダムセラフィム…?

識別コードは味方機だが…?」

と、困惑するサナ。

 

だが…

 

ウイングガンダムセラフィムが撃ってきた!!

 

ウイングガンダムセラフィムの攻撃は、左端を飛んでいたドート([メリー])レス・フライヤーを直撃。

 

ドート([メリー])レス・フライヤーの上半身が消滅し、下半身が落ちていく…。

 

メリィィィ…ッ!!

と叫ぶサナ。

 

そして

総員、IFF(味方識別装置)を解除しろッ!!

あれは敵だッ!!

と叫ぶ。

 

識別コードが味方機だったため、IFF(味方識別装置)も味方と判定したので、サナ達はウイングガンダムセラフィムを攻撃することができなかったのだ。

 

サナ達は、マシンガンを乱射しながら、ウイングガンダムセラフィムに立ち向かう―。

 

 

空に飛び上がったウイ([シィ])ングガンダムセラフィムだったが、IFF(味方識別装置)がドートレス・フライヤーを味方と判定していたため、攻撃することができなかった。

 

シィは、すぐにIFF(味方識別装置)を解除すると、右手に持つバスターライフルの照準を右端のドート([メリー])レス・フライヤーに合わせた。

 

そこっ!!

と、バスターライフルを撃つシィ。

 

バスターライフルの銃口から放たれた黄色いビーム弾が、ドート([メリー])レス・フライヤーを直撃。

 

ドート([メリー])レス・フライヤーの上半身が消滅し、下半身が落ちていった。

 

(!!)

 

残った4人のドートレス・フライヤーが、マシンガンを乱射しながら迫ってくる。

 

「なんの!!」

と、バスターライフルを撃つシィ。

 

ドートレス・フライヤーは、左手に持つシールドで防ごうとしたが…

 

バスターライフルの威力を防ぐことはできなかった。

 

バスターライフルの銃口から放たれた黄色いビーム弾が、ドートレス・フライヤーのシールドを直撃。

 

シールドを破壊するどころか、ドートレス・フライヤーの左腕そのものが消し飛んだ。

 

左腕を失ったドートレス・フライヤーは、血をまき散らしながら落ちていった…。

 

(えいっ!!)

と、バスターライフルを撃つシィ。

 

バスターライフルの銃口から放たれた黄色いビーム弾が、ドートレス・フライヤーの腹部を直撃。

 

胸から下が消し飛び、残った上半身も爆発四散した。

 

(やあっ!!)

と、バスターライフルを撃つシィ。

 

バスターライフルの銃口から放たれた黄色いビーム弾が、ドートレス・フライヤーを両足を直撃。

 

両足が消し飛んだドートレス・フライヤーは、血を飛び散らせて落ちていった…。

 

 

(な…何だ…?

何なんだ、アイツは…!?

と、部下が次々と殺されていくのを見たサナは、恐怖のあまり、逃走をはかった。

 

しかし…

 

後方からの、高熱源体接近を報せる警報を聞き、振り返ると…

 

「う…

わあああああ…ッ!!

 

バスターライフルの銃口から放たれた黄色いビーム弾が、逃げるドー([サナ])トレスコマンド・フライヤーの上半身を直撃。

 

上半身が消し飛んだドー([サナ])トレスコマンド・フライヤーの下半身が落ちていった…。

 

 

「シィ〜☆」

と、廃工場に戻ってきたウイ([シィ])ングガンダムセラフィムを迎えるディ。

 

「やったよ、ディ…

…って、ディ…

その姿は?」

と、ディに訊くシィ。

 

「ヘッヘェ☆

ロッカーの中から、作業服を見つけたんだ☆」

と自慢するディ。

 

サイズが合っていないのでブカブカだが、全裸よりかは、はるかにマシだ。

 

「で、これからどうする?」

と訊くシィ。

 

「決まってるじゃん☆

アチキをかかえて空飛んで、家に帰ろうぜ☆」

と言うディ。

 

徒歩だと途方もない時間がかかるが、空を飛べは、あっという間にだろう。

 

 

「じゃ、しっかりつかまっててよ。」

と、ディをかかえるウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

「そういうシィも、アチキを落とすなよ★」

と、ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムにしっかりとつかまるディ。

 

ディをしっかりとかかえ、ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムは故郷に向かって、空に飛び立った―。

 



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帰ってきた故郷


 

ハルフェース6に、左腕を失ったドートレス・フライヤーが帰ってきた。

 

しかし、帰還した直後に、装着者は出血多量で死亡した…。

 

 

ハルフェース6のブリッジでは、死亡したM.G.F.隊員のドートレス・フライヤーの戦闘記録(コンバットレポート)の解析が行われた。

 

「何かわかったか?」

と、オペレーターに訊くシン。

 

「はい。

こちらをご覧ください。」

と、オペレーターはモニターに、ある映像を映す。

 

それは、シィのウイングガンダムセラフィムによって、サナ隊が全滅させられる映像だった。

 

「おいおい…

ありゃ、ウイングガンダムセラフィムじゃねぇか★」

と、映像を観たシンがつぶやく。

 

「何ですか?

その…

ウイングガンダムセラフィムって…?」

と訊くオペレーターに

 

「今から半世紀くらい前なんだがな…

MS娘じゃない一般兵士でも使える装甲服

を開発しようとしたことがあってよ…。

ま、失敗したんだけどな★」

と言うシン。

 

「その装甲服が、なぜ、エスタルドに?」

と訊くオペレーターに

 

「さあな★

それよりも、問題なのは、ウイングガンダムセラフィムを使っているのは誰なのかってこった★

お前、誰だと思う?」

と、ほくそ笑みながら言うシン。

 

「わかりません…。」

と答えたオペレーターの頭を

 

「エスタルドの脱走兵に決まってっだろ★」

と、軽く叩くシン。

 

そして、シンは艦長席に戻ると、内線でドゥエトを呼び出した。

 

《お呼びですか?〉

と訊いてくるドゥエトに

 

「お前、1個小隊率いて、ポイントL567に向かえ。」 と命じるシン。

 

《場所を確認しましたが…

ここは集落ですが?〉

と訊いてくるドゥエトに

 

「そうだ。

そこに、エスタルド軍の脱走兵が逃げこんだ。

そいつをしょっぴいてこい。」

と言うシン。

 

まっかっかに(斬り刻んだり)しちゃだめですか?〉

と訊いてくるドゥエトに

 

「そうだな…☆

モノフィラメントワイヤーカッターが突然誤作動する

…なんて事故が起きたら、仕方ねぇなぁ…☆」

と笑うシン。

 

《わかった☆

1個小隊率いて、ポイントL567に向かいます☆〉

と、ドゥエトは嬉しそうに言って、内線を切った―。

 

 

「まったく…★

どうしようもねぇガキだな…★」

と、悪態をつくシン。

 

「よろしいのですか?」

と訊いてくるオペレーターに

 

「よろしいんだよ☆

モノフィラメントワイヤーカッターが突然誤作動した

んだからな☆」

と、シンは笑った…。

 

 

「まっかっか☆

まっかっか☆」

と薄ら笑いを浮かべながら、ドゥエトは出撃準備を進めていた。

 

ブリトヴァの装甲服を装着し、サブフライトシステム・ベースジャバーに乗る。

 

サナに同行する4人の隊員は、ドートレスの装甲服を装着し、背中にフライヤーユニットを装備する。

 

「これより、ポイントL567に逃げ込んだ、エスタルド軍の脱走兵の逮捕に向かいます!!」

と、隊員達に命じるドゥエト。

 

そして、ブリトヴ([ドゥエト])ァが乗っているベースジャバーが発進デッキのカタパルトに設置される。

 

《進路、クリア!!

ブリトヴァ、発進どうぞ!!〉

と、オペレーターからの通信が入る。

 

「了解!!

システム、オールグリーン!!

ドゥエト!!

ブリトヴァ、出ます!!」

と申告した後―

 

ブリトヴ([ドゥエト])ァが乗るベースジャバーが、発進デッキのカタパルトから射出された。

 

その後、15秒間隔で、4人のドートレス・フライヤーが発進した。

 

そして、ブリトヴ([ドゥエト])ァが乗っているベースジャバーを先頭に、ポイントL567(シィとディの故郷の村)に向かうのだった―。

 

 

ディを抱えて空を飛ぶウイ([シィ])ングガンダムセラフィムの眼下に、故郷の村が見えてきた。

 

「シィ、着いたぞ☆」

「うん☆」

と喜ぶディとシィ。

 

数ヶ月前、エスタルド軍に拉致され、人工MS娘に改造された際、記憶もいくつか改竄されたが、故郷の村のことは、記憶から消えていなかった。

 

「パパ…

ママ…!!」

ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムは、はやる気持ちを抑えきれず、村の中心地に向かって降下していった。

 

「コラッ!!

シィッ!!

スピード出し過ぎだぁッ!!」

と、ディが頭にかぶっていた作業帽が舞い上がった…。

 

 

村の中心地にある市場―。

 

 

「あぁん?」

と、八百屋の親父がふと、空を見上げると…

 

黒い影が降下してくるのが見えた。

 

「な…何だ、ありゃ!?」

 

その影は、鳥よりも大きいが、飛行機ほど大きくない…。

 

やがて…

 

黒い影が地上に降り立った…。

 

地上に降り立ったのは、ディを抱えたウイ([シィ])ングガンダムセラフィムだった。

 

 

だが…

 

ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムの姿を見た、八百屋の親父が

「モ…

MS娘だぁぁぁ…ッ!!

と叫ぶや

「M.G.F.だぁーっ!!」

 

「逃げろぉーっ!!」

 

「助けてくれぇーっ!!」

と、市場にいた者達は一斉に逃げ出した。

 

「ま…待ってください!!

私はM.G.F.じゃありません!!」

と、頭部装甲(ヘルメット)をはずすウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

「えっ?

お前さん…

もしかして…

クレアちゃん

か…?」

と言う、シィの顔を見た、腰を抜かしている八百屋の親父。

 

「えっ?

クレア?

それが、私の名前なんですか?」

と訊くシィ。

 

エスタルド軍に拉致され、人工MS娘の改造時に記憶を改竄された際、自身の本名の記憶が消されているのだ。

 

だから、シィは自分の本名を知らないのだ。

 

「何言ってんだい?

自分の名前を忘れちまったのかい?

あんた、ロイドさん家の娘のクレアちゃんじゃないか。

そして、一緒にいるのは、友達の

ディアナちゃん

じゃないか。」

と言う八百屋の親父。

 

「ディアナ?

それが、アチキの名前なのか…?」

と首を傾げるディ。

 

ディも、自分の本名の記憶を消されているのだ。

 

「何でぇ…?

どうやら、ワケありみたいだな…。

とりあえず、一緒に村長さんのところに行こう。

そこで、落ち着いて話そう。」

と言って立ち上がる八百屋の親父。

 

そして、八百屋の親父と一緒に、シィとディは村長の家へと向かった―。

 

 

八百屋の親父と一緒に村長の家に来たシィとディ。

 

その後、村長がシィとディの両親を呼んだ―。

 

 

「クレア!!」

「クレア!!」

「パパ!!

ママ!!」

と、数ヶ月ぶりに再会する、シィとシィの両親。

 

「ディアナ!!」

「ディアナ!!」

「パパ!!

ママ!!」

と、ディも数ヶ月ぶりに両親と再会した。

 

そして、村長をまじえて、シィとディは、これまでの経緯を知る限り話した。

 

「なんということじゃ…!!

このような、まだ年端もいかぬ乙女に、そんなことを…!!」

と、エスタルド軍の行いに憤る村長。

 

「しかし、幸い…と言っていいのか…

クレアの話だと、軍のMS娘は全滅しているようなので、クレアもディアナちゃんも死んだことになっていると思います。

軍から追及されることも無いでしょう。」

と言うのは、シィの父親のロイド。

 

「オレは、軍のやったことは許せんが…

かと言って、真実を晒すと、それはそれで厄介だ…。

ディアナを無茶苦茶にされて泣き寝入りするみたいだが…

触らぬ神に祟りなしだな…。」

と言うのは、ディの父親のゲオルグ。

 

「思うところはあるかもしれんが…

しかし、世の中、見て見ぬ振りをした方が良い場合もある。

とにかく、ロイドとゲオルグの娘が無事に帰ってきたんだ。

それでよかろう。」

と村長が言うと、ロイドもゲオルグも頷いた。

 

シィの母親は素直に受け入れたが、ディの母親は納得がいかず、不満げな顔をしていたが、当然であろう。

 

 

その時だった。

 

村人の1人が、村長の家に駆け込んで来た。

 

「そ…村長さんッ!!

た…大変ですッ!!」

と叫ぶ村人。

 

「何じゃ、騒々しい!!」

と顔をしかめる村長。

 

「れ…

連合地球軍が来た

んです…!!」

と、息を切らせて言う村人。

 

「何じゃと…!?」

と、絶句する村長―。

 

 

村長が村の中心地にある市場に行くと…

 

そこには

ブリトヴ([ドゥエト])

4人のドートレス・フライヤー

がいた。

 

「私が、この村の村長です。

何のご用ですかな?」

と訊く村長に

 

「ここに逃げ込んだ、エスタルド軍の脱走兵の逮捕に来ました。」

と言うブリトヴ([ドゥエト])ァ―。

 



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まっかっか…


 

(脱走兵じゃと!?

クレアとディアナのことか…。

しかし、何故じゃ?

何故、連合地球軍がクレアとディアナを追う?)

と、考えを逡巡させる村長。

 

とりあえず…

 

「そのような者は、ここには来ておりません。

来ていたら、連絡していますよ。」

と、その場を取り繕うとする村長。

 

ところが…

 

「連絡なんて無理だよ。

だって、その脱走兵は

さっき、ここに来たばかり

のはずだから。」

ブリトヴ([ドゥエト])ァに言われ、絶句する村長。

 

「な…何かの間違いでしょう…。

本当に、そのような者は来ておりません。」

と村長は言うが

 

「ふざけないで…!!」

と、右手に持つマシンガンの銃口を村長に向けるブリトヴ([ドゥエト])ァ。

 

まわりにいる4人のドートレス・フライヤーも、村長にマシンガンの銃口を向ける。

 

「私達が何も知らずに、ここに来たとでも思っているの?

調べはついているの。

シィとディを引き渡しなさい。」

と言うブリトヴ([ドゥエト])ァ。

 

「なぜ、その娘達を―

はっ!!

と、村長はシィとディの名を聞き、思わず口を滑らせてしまった…。

 

うそつき…っ★

と、右手からモノフィラメントワイヤーカッターを射出するブリトヴ([ドゥエト])ァ。

 

ギャァァァッ!!

と、モノフィラメントワイヤーカッターでバラバラにされてしまう村長…。

 

村長が殺害されたのを見た、ことの成り行きを見守っていた村人達は、一斉に逃げ出した。

 

バラバラにされた村長の血しぶきが飛び散るのを見たドゥエトは

 

あは…っ☆

あははっ☆

まっかっか☆

まっかっか☆

と笑いながら、逃げ惑う村人達をモノフィラメントワイヤーカッターで惨殺していく。

 

ドートレス・フライヤー達も、マシンガンを乱射して、村人達を射殺していく。

 

村の中心地は、地獄絵図と化した…。

 

 

「おい…

銃声だぞ…!?」

と、外から聞こえてくる銃声に驚くゲオルグ。

 

「クレア達は、ここにいろ。

行こう、ゲオルグ。」

と、ゲオルグと一緒に、外の様子を見に行こうとするロイド。

 

「パパ!!

行っちゃダメ!!」

と、ロイドを呼び止めるシィ。

 

「心配するな☆

様子を見てくるだけだ☆」

とシィに笑顔を見せて、ロイドとゲオルグは外に出ていった…。

 

 

だが…

 

2人が戻ってくることはなかった…。

 

かわりに…

 

村長の家のドアを蹴破って入ってきたのは…

 

2人のドートレス・フライヤーだった…。

 

2人は問答無用でマシンガンを乱射した。

 

ママーッ!!

 

蜂の巣にされてしまう、シィの母親…。

 

ママーッ!!

 

ディの母親も蜂の巣にされ…

 

さらに、村長の家族も蜂の巣にされてしまった…。

 

幸か不幸か…

 

シィとディは撃たれることはなかった…。

 

 

2人のドートレス・フライヤーが出ていったあとの村長の家の中は、地獄絵図だった…。

 

「ママ…

ママ…!!」

と、シィは泣きながら、母の体を揺するが…

 

シィは母は動ことも…

 

声を発することもなかった…。

 

 

許せない…っ!!

と、2階に上がるシィ。

 

階段を上がって、右にある部屋に入る。

 

そこで服を脱ぎ、全裸になるシィ。

 

ついてきたディが、部屋の中でシィが服を脱いでいるのを見て

「やるのか…!?」

と言った。

 

しかし、シィは答えることなく…

 

ウイングガンダムセラフィムの装甲服を着た。

 

「行ってくる…!!」

と言うウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

「行け、シィッ!!

パパとママの仇をとってくれッ!!

アイツらを生かして帰すなッ!!」

と言うディ。

 

ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムは、部屋の窓ガラスを突き破り、外に飛び出した―。

 

 

ブリトヴァのレーダーが、空を飛ぶウイングガンダムセラフィムを捉えた。

 

「やっぱり、ここにいたんだ…!!」

と、両肩からミサイルを発射するブリトヴ([ドゥエト])ァ。

 

ドートレス・フライヤー達も、マシンガンを乱射する。

 

飛んできたミサイルを回避、またはマシンキャノンで破壊していくウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

(くっ!!)

 

ドートレス・フライヤーが乱射するマシンガンの弾が数発ほど当たったが、とくにダメージは無い。

 

(まずは…!!)

と、ドートレス・フライヤーにバスターライフルの照準を合わせ…

 

「いけっ!!」

と、バスターライフルを撃つウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

バスターライフルから放たれた大出力ビームは、ドートレス・フライヤーの胸部中央に当たった。

 

バスターライフルから放たれた大出力ビームは、ドートレス・フライヤーの胸部装甲を簡単に突き破り、その衝撃で、ドートレス・フライヤーの首と両腕がちぎれ飛んだ。

 

それを見た左隣にいたドートレス・フライヤーが、恐怖にかられ、逃げ出した。

 

逃げたドートレス・フライヤーに向け、バスターライフルを撃つウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

バスターライフルから放たれた大出力ビームは、逃亡するドートレス・フライヤーの後頭部に命中。

 

ドートレス・フライヤーの頭が消し飛んだ。

 

今度は、右方向からマシンガンを撃ってくるドートレス・フライヤーに向けて、ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムはバスターライフルを撃った。

 

バスターライフルから放たれた大出力ビームは、ドートレス・フライヤーの右足の大腿部に当たった。

 

ドートレス・フライヤーは、右足がちぎれ飛んだだけでなく、下半身そのものがちぎれ飛んだ。

 

残ったドートレス・フライヤーが右手にビームサーベルを持って斬りかかってきたが、ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムはマシンキャノンで迎撃する。

 

被弾して、たじろいだドートレス・フライヤーに、バスターライフルを撃つウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

バスターライフルから放たれた大出力ビームが、ドートレス・フライヤーの腹部に当たり、胸から下がなくなった。

 

 

(・・・・・・!?)

 

4人のドートレス・フライヤーが、あっという間に全滅させられたのを見たドゥエトは、ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムの強さに戦慄した…。

 

恐怖で失禁すらしていた。

 

しかし…

 

「あはは…☆

まっかっかにしてあげるゥッ☆

と、歓喜と恐怖が入り混じった笑顔で、ブリトヴ([ドゥエト])ァはモノフィラメントワイヤーカッターを射出した―。

 

 

えっ…!?

 

それは、一瞬の出来事だった―。

 

何かが、左手に当たったような感触がした…

 

次の瞬間―!!

 

 

あああああ…っ!!

 

 

シィの絶叫とともに…

 

シィの左腕の肘から先がちぎれ飛んだ…。

 

 

地上に落ちるウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

まっかっか☆

まっかっか☆

と狂喜しながら、モノフィラメントワイヤーカッターを射出するブリトヴ([ドゥエト])ァ。

 

(ごめん…ディ…。

パパとママの仇をとれなくて…。)

と、死を覚悟するシィ…。

 

 

倒れて動けないウイ([シィ])ングガンダムセラフィムに迫るモノフィラメントワイヤーカッター…。

 

 

だが!!

 

 

倒れて動けないウイ([シィ])ングガンダムセラフィムの前に、何者かが降り立った―!!

 

そして、左手でモノフィラメントワイヤーカッターの先端をつかんだ!!

 

「ムダだよ、ドゥエト☆

見切っているよ、こんなの☆

と言う、倒れて動けないウイ([シィ])ングガンダムの前に降り立った人物。

 

声の感じから、どうやら女性…

 

それも、少女の声だった。

 

「あ…あなたは…?」

と、左腕を斬り落とされた激痛に耐えながら、目の前にいる人物に訊くシィ。

 

私の名はラン☆

ガンダムエックスのMS娘だよ☆

 



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アミットフォース(前)


 

「えいっ☆」

と、右手に持つ大型ビームソードで、モノフィラメントワイヤーカッターのワイヤーを斬るガン([ラン])ダムエックス。

 

「これでもう、その武器は使えないね☆」

と、ガン([ラン])ダムエックスは大型ビームソードをしまうと、今度はシールドバスターライフルを右手に持ち、ブリトヴ([ドゥエト])ァを撃つ。

 

ブリトヴ([ドゥエト])ァは後退しながらガン([ラン])ダムエックスからの攻撃を回避しつつ、左手に持つマシンガンで反撃する。

 

その時!!

 

ブリトヴ([ドゥエト])ァの周囲に爆炎があがった。

 

「きゃあああ…!!」

と、爆風にあおられて、転倒するブリトヴ([ドゥエト])ァ―。

 

 

《ロア☆〉

と、仲間の名を呼ぶラン。

 

「お待たせぇ〜☆」

と言うのは

ガンダムレオパルドのMS娘のロア

 

ブリトヴ([ドゥエト])ァの周囲にあがった爆炎は、ガン([ロア])ダムレオパルドが放ったミサイルによるものだった。

 

「今日のお客様は

肩デカワイヤー娘(ブリトヴァ)のドゥエトちゃん

だぁ〜☆」

と、左腕のインナーアームガトリングを撃つガン([ロア])ダムレオパルド。

 

ブリトヴ([ドゥエト])ァは、ジグザグに後退しながら、両肩からマイクロミサイルを放つ。

 

しかし…

 

効きませんよぉ〜☆

と、ガン([ロア])ダムレオパルドにブリトヴ([ドゥエト])ァが撃ったマイクロミサイルが命中するも、ガン([ロア])ダムレオパルドは、まったくの無傷―!!

 

「ミサイルっていうのは、こ〜ゆ〜のをいうんですよぉ〜☆」

と、両膝からホーネットミサイルを放つガン([ロア])ダムレオパルド。

 

ガン([ロア])ダムレオパルドの両膝から発射されたホーネットミサイルは、ブリトヴ([ドゥエト])ァの右肩と左の脇腹に命中した。

 

被弾の衝撃で吹き飛ぶブリトヴ([ドゥエト])ァ…。

 

 

「す…すげぇ…☆」

とディは、ガン([ラン])ダムエックスとガン([ロア])ダムレオパルドがブリトヴ([ドゥエト])ァを追い詰めているのを見て、驚嘆していた。

 

(それよりも…!!)

と、ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムのもとに駆け寄るディ。

 

「おいッ!!

シィッ!!

しっかりし…

うっ…。」

と、左腕を失い、苦痛に顔を歪めているウイ([シィ])ングガンダムセラフィムを見て、思わずえづいてしまうディ…。

 

そんなディのそばに、空から何者かが降り立った。

 

「だ…誰だ、お前…!?」

と、警戒するディ。

 

「心配するなよ★

味方だよ★

私は

ガンダムエアマスターのMS娘のスー

って(もん)だ★」

と名乗るガン([スー])ダムエアマスター。

 

「つ〜かよ…

この娘、早く手当しねぇとヤベェな★」

と、ウイ([シィ])ングガンダムセラフィムを抱きかかえるガン([スー])ダムエアマスター。

 

「お…おい!!

シィをどうするつもりだ!?」

と訊くディ。

 

「私達の母艦に連れて行って、治療する★」

と言うガン([スー])ダムエアマスター。

 

「えっ!?

母艦…?」

と首を傾げるディ。

 

「お前も来い★」

をわぁッ!?

とディも抱きかかえて、ガン([スー])ダムエアマスターは空に飛び上がった―。

 

 

《件のMS娘は回収した★

お前らも、適当なところで切り上げて撤収しろ★〉

と、ガン([スー])ダムエアマスターからの通信が入った。

 

「どうする、ロア?」

と訊くガン([ラン])ダムエックス。

 

《ここまできたら、肩デカワイヤー娘(ブリトヴァ)の首は取りたいねぇ☆〉

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

「ブリトヴァの首を取るから、もうちょっと待っててね☆」

と、ガン([スー])ダムエアマスターに報せるガン([ラン])ダムエックス。

 

「じゃ、ロア☆

ブリトヴァの首を取るぞ☆」

と言うガン([ラン])ダムエックス。

 

《了解…

…って、ちょっと待って…

何か来る…!!

と叫ぶガン([ロア])ダムレオパルド。

 

次の瞬間―

 

ガン([ラン])ダムエックスとガン([ロア])ダムレオパルドの周囲に爆炎があがった…!!

 

(空からの攻撃…!?)

と、空を見上げるガン([ラン])ダムエックス。

 

!!

 

上空には

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴ

ガンダム([オルヴァ])アシュタロン

がいた―!!

 

 

アミットフォースか…。」

と、ガン([ラン])ダムエックスとガン([ロア])ダムレオパルドを見下ろすガンダム([シャギア])ヴァサーゴ。

 

「オルヴァはドゥエトを回収して撤収しろ!!」

と、ガンダム([オルヴァ])アシュタロンに指示するガンダム([シャギア])ヴァサーゴ。

 

《了解。〉

と、降下していくガンダム([オルヴァ])アシュタロン。

 

〈シャギアッ!!》

と叫ぶガン([ラン])ダムエックス。

 

「よくも、ドゥエトをかわいがってくれたな…!!

礼の1つや2つ、させてもらおうか…ッ!!」

と、両手のクロービーム砲を撃つガンダム([シャギア])ヴァサーゴ―。

 

 

「シャギアの相手は私がするッ!!

ロアはオルヴァをッ!!」

と、ガンダム([シャギア])ヴァサーゴからの攻撃を回避しながら、ガン([ロア])ダムレオパルドに指示を出すガン([ラン])ダムエックス。

 

《まかされた!!〉

と、ガンダム([オルヴァ])アシュタロンに立ち向かっていくガン([ロア])ダムレオパルド。

 

「よし…!!

いくぞ、シャギアッ!!」

と、右手に大型ビームソードを持って、空に飛び上がるガン([ラン])ダムエックス。

 

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴも右手にビームサーベルを持ち、右腕を伸ばす。

 

(!!)

 

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴの斬撃をビームサーベルで受け止めるガン([ラン])ダムエックス。

 

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴの斬撃を受け止めるため、一時的に空中で静止したガン([ラン])ダムエックスの隙を狙って、ガンダム([シャギア])ヴァサーゴは左腕を伸ばし、クロービーム砲を撃つ。

 

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴからの攻撃を回避するため、後退するガン([ラン])ダムエックス。

 

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴは、スラスターを噴かして、後退したガン([ラン])ダムエックスを追う―。

 

 

モビルアーマー形態に変形したガンダム([オルヴァ])アシュタロンは、シザースビーム砲とノーズビーム砲でガン([ロア])ダムレオパルドを撃つ。

 

うわぁっ!!

と周囲にあがる爆炎にたじろぐガン([ロア])ダムレオパルド。

 

その隙に、ブリトヴ([ドゥエト])ァはガンダム([オルヴァ])アシュタロンに載る。

 

「ドゥエトを回収したよ、姉さん☆」

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴに報せるガンダム([オルヴァ])アシュタロン―。

 

 

「よくやった、オルヴァ☆」

と、オルヴァを褒めるシャギア。

 

「では、さらばだ、アミットフォース!!」

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴの胴体が上下に伸びて、メガソニック砲の発射態勢に入る。

 

メガソニック砲の砲口にエネルギーが集束されていき…

 

拡散モードでメガソニックを発射した―!!

 

 

うわぁぁぁ…ッ!!

 

ほとばしるビームの乱流に、防御姿勢をとるガン([ラン])ダムエックス。

 

「あっ…!?

しまった…!!」

 

姿勢を正すと、もう、そこにはガンダム([シャギア])ヴァサーゴの姿は無かった…。

 

《すまない、ラン…。

逃げられてしまった…。〉

と、ロアからの通信が入った。

 

「くっそぉ〜★

せっかく、あそこまで追い詰めたのに…ッ★」

と、悔しがるラン…。

 

(それにしても…。)

と、地上を見下ろすラン。

 

そこには…

 

正視に堪えない、凄惨な光景が広がっていた…。

 



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アミットフォース(後)


 

(?)

 

シィが目を覚ますと…

 

(ここ…

どこ…?)

 

視界に飛び込んできたのは、見たことのない、白い天井…。

 

そこでシィは、今、自分はどこかの施設のベッドに寝かされているのだと感じた。

 

「先生!!

気がついたよ!!」

という、女性…というよりかは、少女の声が聞こえた。

 

しかも、その声に聞き覚えがある…。

 

 

先生…

 

おそらく、教師ではなく、医者の方だろう。

 

つまり、今、自分は病院のベッドに寝かされているのだと、シィは実感した。

 

 

まもなく、ベッドの左側に先生が来た。

 

「気がついたかい?」

と訊いてくる先生。

 

眼鏡をかけた、背の高い、おそらく30代後半くらいの歳の男性だった。

 

「ここは、どこですか?」

と訊くシィ。

 

「ここは

フリーデンの医務室

だよ。

あぁ、フリーデンというのは

アミットフォースの母艦

だよ。」

と言う先生。

 

(フリーデン?

アミットフォース?)

 

何のことなのか、さっぱりわからない…。

 

シィは起き上がろうとしたが…

 

どういうわけか、体に力が入らない…。

 

「起きるのは、まだ無理だ。

まだ麻酔が効いているはずだからな。」

と言う先生。

 

(麻酔…?)

 

つまり、手術されたということか?

 

しかし、何の手術だろう?

 

手術を受けるほど、体に異常は無いはずだが…?

 

(あっ…!!

そうだ…

左腕…!!)

と、ブリトヴ([ドゥエト])ァのモノフィラメントワイヤーカッターで左腕を斬り落とされたことを思い出すシィ。

 

「先生…!!

私の左腕は…!?」

と訊くシィ。

 

「接合手術は成功したよ。

ただ、完治するまでは、まだ時間がかかる。」

と言う先生。

 

(接合…?

斬り落とされた左腕が、くっついたっていうの…!?)

と、驚くシィ。

 

「明日、我々のことについて

アミールさん

から説明がある。」

と言う先生。

 

「アミールさん…?」

と訊くシィに

 

「我々

アミットフォースの司令官

だ。」

と答える先生。

 

その

アミットフォース

というのが何なのか知りたかったが…

 

それについて、明日、説明されるというのなら、明日まで待とう…。

 

何より、眠い…。

 

先生は、麻酔が効いていると言っていた。

 

眠いのは、そのせいだろう。

 

なら…

 

明日まで、眠らせてもらおう…。

 

 

翌日―。

 

シィとディは、赤いパーカーを着た少女に案内されて、フリーデンの艦長室に来た。

 

室内には、案内してきた少女を含め、5人…いや、4人の少女がいた。

 

1人は、どう見ても成人女性で、執務席に座る少女の右隣に立っている。

 

 

正面の執務席に座っていた少女が立ち上がり

「アミットフォースの母艦フリーデンにようこそ。

私がフリーデンの艦長にして、アミットフォースの司令官の

アミール・オルフェーヴ

 

【挿絵表示】

 

です。」

と名乗った。

 

そして、シィとディの前まで歩いてきた。

 

(この少女(ひと)が、昨日、先生が言っていたアミールさん…?)

と、アミールを見るシィ。

 

ディと同じくらいの身長の、小柄な少女だ。

 

しかし、少女とはいえ、フリーデンの艦長にしてアミットフォースの司令官というだけあって、威厳を感じさせる雰囲気をまとっていた。

 

「左腕の具合はどう?」

と、シィに訊くアミール。

 

「まだ完治していませんが、痛みはありません。」

と答えるシィ。

 

そして、アミールと握手する。

 

ディとも握手をしたあと、再び、執務席に戻るアミール。

 

「紹介するわ。

私の秘書の

レイナ

よ。」

と、右隣に立っている成人女性を紹介するアミール。

 

「アミール様の秘書を務めさせていただいています

レイナ

 

【挿絵表示】

 

という者です。

以後、お見知り置きを。」

と礼をするレイナ。

 

「そして、そこにいるのが」

と、部屋の左側に並び立つ3人の少女を紹介するアミール。

 

「私

ガンダムエックスのMS娘のラン☆

 

【挿絵表示】

 

よろしくね☆」

と名乗るラン。

 

シィとディを連れて来た、赤いパーカーを着た少女だ。

 

ガンダムエアマスターのMS娘のスー

 

【挿絵表示】

 

だ★」

と、ぶっきらぼうに名乗るスー。

 

ガンダムレオパルドのMS娘のロア

 

【挿絵表示】

 

だよぉ〜☆

よろしくぅ〜☆」

と名乗るロア。

 

「エスタルド軍MS部隊所属、パイロンのシィです。」

と名乗るシィ。

 

「エスタルド軍MS部隊所属、パイロンのディだ。」

と名乗るディ。

 

「資料では、貴女達の名前は

クレア

ディアナ

となっているのだけど?」

と訊くアミール。

 

「おそらく、そうなのでしょうけど…。」

と言うシィ。

 

「どういうことかしら?」

とアミールが訊いてきたので、シィはエスタルド軍の人工MS娘について、自分が知る限りのことを話した。

 

「なるほど…。

貴女達は、その名前が気に入っているということね。」

と言うアミール。

 

せっかく、親からあたえられた名前だが、どうにも、しっくりこない…。

 

シィ()ディ()という無機質的な名前の方が、妙に愛着があった。

 

「わかったわ。

貴女達のことは、シィとディと呼ぶことにするわ。」

と言うアミール。

 

「あの…

アミールさん達は…?」

と訊くシィ。

 

アミットフォース

の事を知りたいのね。」

とアミールに言われ、頷くシィ。

 

「貴女達

アミット・オルフェーヴ

という人物の名前をご存知かしら?」

とアミールに訊かれたが、知らないので、シィとディは首を横に振った。

 

アミット・オルフェーヴ*1

 

【挿絵表示】

 

私の曽祖父にして、百数十年前の連合地球軍の将校

だった人物よ。」

と言うアミール。

 

アミールの話は続く。

 

「百数十年前…

黒色機動群の勢力圏も残り僅かとなったある日、アミットはM.G.F. の創設者であるシン・クロサキから、衝撃的なことを言われたの。

それは

連合地球軍がM.G.F. を吸収し、全世界防衛機構軍として権力を握る

という話だったわ。

そうなった時のために、シンはアミットに

腐敗した連合地球軍を止めるためのカウンターウェポンが必要になる

と訴えたの。

そのカウンターウェポンこそが、私達

アミットフォース

なの。」

 

(・・・・・・。)

 

アミールの話を聞いて、絶句するシィとディ。

 

「本来、M.G.F. は人類を黒色機動群から守り、地球を取り戻すための組織だったのに、今では人間に対し、その力を振るっているわ。

アミットは、間違った方向へ進んだ連合地球軍を止めるために、アミットフォースを結成したの。

その際、シンから

熾天使

有罪の死神

危険な銃腕

砂漠の獅子

天駆ける龍

が、アミットフォースの力になると話したの。」

と言うアミール。

 

「何ですか?

その…

天使とか、死神とかって?」

と訊くシィ。

 

アミットフォースのためにシンが開発した装甲服

のことよ。

表向きは

一般兵士でも使える装甲服の開発

という名目で開発されたのだけど

計画は失敗に終わったと偽り、完成した装甲服を世界各地に隠した

のよ。」

と言うアミール。

 

熾天使(セラフィム)…!?

 

「じゃ…

ウイングガンダムセラフィムは…!?」

と訊くシィに

 

「そうよ。

ウイングガンダムセラフィムは、シンがアミットフォースのために開発した装甲服の1つ

なのよ!!」

と言うアミール。

 

「それだけではなく、シンは

本物のMS娘を見つける方法もアミットに教えていた

の。

そうやって見つけたのが、そこにいるラン達よ。

ラン達は、人工MS娘じゃない。

モビルスーツの魂を宿した

本物のMS娘

なのよ…!!」

とアミールに言われ、ラン達を見るシィとディ。

 

「なんだよ…

話が全然違うじゃねぇか…ッ!!

シン・クロサキって野郎は、黒色機動群を撃退した後、M.G.F. を率いて世界征服した極悪人じゃねぇのかよッ!?」

と叫ぶディ。

 

「それは、連合地球軍によって捏造された話…。

アミットとシン・クロサキは、本当に人類と地球を守るために戦った英雄よ。

しかし、今の連合地球軍は、アミットとシンの理想を踏み躙った悪なのよ…!!」

と言い放つアミール。

 

シン・クロサキは、黒色機動群を撃退した後、M.G.F. を率いて世界征服した極悪人だと聞かされていたシィとディにとって、アミールが語る真実は衝撃的な話だった…。

 

*1
イラスト:黒瀬夜明 リベイク



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新たなる戦い


 

「どうする、シィ、ディ。

私達と一緒に来る?

それとも…?」

と訊くアミール。

 

「どうする…と訊かれても…。」

と、ディと顔を見合わせるシィ。

 

「アチキは、アンタらについて行くよッ!!

パパとママの仇をとりたいんだッ!!」

と叫ぶディ。

 

そう…

 

シィとディの両親は、M.G.F. に殺されたのだ。

 

それだけでも、シィとディがアミットフォースに加入し、M.G.F. と戦う理由になる。

 

とくに、シィにとっては、左腕を治してくれた恩もある。

 

もはや、帰る場所も無いシィとディには、アミットフォースに加入する以外の選択肢は無かった…。

 

こうして、シィとディは、アミットフォースの一員となったのだ―。

 

 

ガンダム([シャギア])ヴァサーゴ、ガンダム([オルヴァ])アシュタロンとともに、ハルフェース6に帰艦してきたブリトヴ([ドゥエト])ァ。

 

装甲服を脱いだドゥエトは、シンに報告するため、ブリッジに上がる―。

 

 

「部下を皆殺しにされただけでなく、脱走兵がアミットフォースに合流しただとぉッ!?」

と、ドゥエトの報告を聞いたシンが激怒する。

 

「ご…ごめんなさ」

謝って済む問題じゃねぇんだよッ!!

と、ドゥエトを蹴飛ばすシン。

 

「もうしわけございません。

私も、アミットフォースのMS娘を撃墜するべきでした。」

と謝罪するシャギア。

 

当たり前だッ!!

この役立たずどもがァッ!!

と、シャギアを蹴飛ばすシン。

 

だいたい、テメェに出撃命令出した覚えはねぇぞッ!!

勝手に出撃しやがってッ!!

と、倒れているシャギアを蹴るシン。

 

オルヴァは、シャギアとドゥエトが蹴飛ばされているのを見て、薄ら笑いを浮かべていた。

 

「おいッ!!」

と、倒れているシャギアの胸ぐらをつかむシン。

 

フラッシュシステムは起動したのか?

と訊くシン。

 

「それは…。」

と、顔を背けるシャギア。

 

役立たずがァッ!!

と、シャギアを殴るシン。

 

「おめぇらよぉ…

装甲服着て好き勝手暴れてくれるのは結構だがよ…

けどよ

おめぇらの本来の目的はよぉ、フラッシュシステムを起動させること

なんだよ。

つまりよぉ、おめぇらはな

フラッシュシステムを動かすための電池であって、モルモット

なんだよ。

でもよぉ…

フラッシュシステムを動かせないんじゃ、お前ら、いらない

わけよ。

そこんとこ、わかってんのか?」

と言い放つシン。

 

「はい…。」

と、力無く答えるシャギアに

 

「わかってたらよ…

自分の役目を果たせ(フラッシュシステムを動かせ)

よ。」

と言うと、艦長席に座るシン。

 

「ハルフェース6、発進だッ!!」

と命じるシン。

 

「アミットフォースを追うのですか?」

と訊くシャギアに

 

「だったら、よかったんだけどよ…

上層部(うえ)から、ニューヤークに帰還せよって命令が来たんだよ★」

と言うシン。

 

「では、アミットフォースの追討は?」

と訊くシャギアに

 

「M.G.F. の一般部隊が当たるそうだ。」

と言うシン。

 

「それでは、シン・クロサキ兵団の名折れでしょう。

そこで

私とオルヴァをシン・クロサキ兵団の分遣隊として、アミットフォース追討部隊に派遣する

というのは、どうでしょうか?」

と進言するシャギア。

 

「テメェ…

ヘンなところで頭が切れる

な…★」

と、顔をしかめるシン。

 

「とはいえ、勝手なことはできねぇ。

上層部(うえ)に訊いてみる。

おい、本部との回線を開け!!」

とオペレーターに指示するシン。

 

まもなく、モニターに、M.G.F. 本部の高官の顔が映し出される。

 

《どうした、シン?〉

と訊いてくる高官。

 

シンは、シャギアの進言を高官に伝えた。

 

しかし…

 

《その必要は無い。

アミットフォース追討部隊には

シン・クロサキ兵団に加入予定の新人が加わる

お前達は余計なことをせず、ニューヤークに帰還せよ!!〉

と高官は言って、通信を切った。

 

オレの部隊(シン・クロサキ兵団)の新入り?

何者だぁ?)

と、顔をしかめるシン。

 

「新人って…

どういうことなのでしょうか?」

と訊くドゥエト。

 

「つまりだ。

お前らが、いつまでたってもフラッシュシステムを起動させられないからクビ

ってこったろうよ★」

と言い放つシン。

 

そして、艦内放送で

「シン・クロサキ兵団司令官のシンだ。

これより我々は、ニューヤークに帰還する。

総員、発進準備に取り掛かれ!!」

と、ハルフェース6の発進準備を命じた。

 

20分後―。

 

ハルフェース6は、ニューヤークに向かって飛び立った―。

 

 

アミットフォースの母艦フリーデンの艦橋では、レイナがシン・クロサキ兵団の母艦ハルフェース6が離陸したことを、アミールに報告していた。

 

「ハルフェース6が?

なぜ?」

と訊くアミール。

 

「理由はわかりませんが、おそらく、エスタルドの降伏により、ここに駐留する理由がなくなったためかと…。」

と言うレイナだったが

 

「しかし、私達アミットフォースがいるのに、なぜ、ニューヤークに戻るのですか?」

と、アミールは訊き返す。

 

「たしかに…。

言われてみれば、そうですね…。」

と驚くレイナ。

 

(私達を無視する理由…

それは何…?)

と、アミールは考える。

 

「あと、私達自身はどうしますか?

エスタルドに駐留しているM.G.F. と交戦しますか?」

と訊くレイナ。

 

「そうね。

ガスタールとノーザンベルからの援軍が到達するまで、ちょっかいは出すべきね。

そして、頃合いを見計らって撤収よ。」

と言うアミール。

 

「了解しました!!

ラン達に出撃命令を出します!!」

と、レイナはアミールに敬礼した―。

 

 

レイナは内線で、ラン、スー、ロアに出撃命令を下す。

 

「出撃?

シャギア達が、また来たの!?」

と、自室で半裸姿でいたランが訊き返す。

 

《いいえ。

エスタルドに駐留しているM.G.F. に攻撃を仕掛けてください。〉

と言うレイナ。

 

「そっか☆

それで、シャギア達をおびき出すんだな☆」

とランが言うが

 

《いえ。

シン・クロサキ兵団は撤退しました。〉

と言うレイナ。

 

「えっ?

シャギア達、いないの?」

と訊くランに

 

《はい。

鬼の居ぬ間に何とやらです。

おもいっきり暴れてきてください☆〉

と言うレイナ。

 

「まかされたぁ☆」

と、敬礼するラン。

 

内線を切ると…

 

「ラン…。

また、戦いに行くの?」

と訊く、ヘッドにいる半裸姿の少女。

 

「うん☆」

とランは答え、部屋の電気をつける。

 

明るくなったことで、ヘッドにいる半裸姿の少女は、シーツで躰を隠す。

 

ランは、赤いパーカーを着て、黒いホットパンツを履くと

「じゃ、行ってくる、ティファ☆」

と、ヘッドにいる少女―ティファにキスをしてから、部屋から出ていった―。

 

 

フリーデンの医務室では―。

 

「何、出撃?

本艦も?」

と、医務官のテクスが、内線で話をしていた。

 

「何かな?」

と言うシィ。

 

「なんか、出撃がどうとか言っていたぜ?」

と言う、シィの見舞いに来たディ。

 

テクスが、シィとディの所に来た。

 

「これから、ラン達が出撃するそうなんだが…

本艦も支援砲撃するために進撃するそうだ。

ここには怪我人がいるから支援砲撃はやめてほしいと、レイナに言ったんだがな…。」

と言うテクス。

 

医務室にシィがいるので、支援砲撃の中止をレイナに進言したが、却下されたようだ。

 

「アチキも行く!!」

と言い出すディ。

 

「君に使える装甲服があればな。」

と言うテクス。

 

「あのガンダムがあるじゃないかッ!!

アチキはこれでも、エスタルド軍のMS娘なんだッ!!」

と叫ぶディ。

 

「あれは今、調査中で使えない。」

と言うテクス。

 

「そんな…!?

頼むよ、先生ッ!!

アチキも行かせてくれッ!!

パパとママの仇をとりたいんだッ!!」

と、テクスにつかみかかるディ。

 

「落ち着きたまえ!!

そんなこと、私に言われても困る!!」

と、ディを引き離すテクス。

 

「まったく…

しょうがない娘だな…!!」

と怒りながらも、テクスはレイナに内線をつなぐ。

 

「いいのか?」

と、テクスがレイナに訊き返しているのが聞こえた。

 

内線を切り、ディに向かって

「使える装甲服があるようだ。

1人でも戦力が欲しいようだ。」

と言うテクス。

 

「よっしゃぁーッ☆」

と喜ぶディ。

 

「行ってくるぜ、シィ☆

シィのパパとママの仇もとってきてやるぜ☆」

とディは、喜び勇んで医務室から出ていった―。

 



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月下の出撃


 

空に上弦の半月が輝いている午後8時―。

 

 

ラン達が更衣室で、装甲服の下に着るアンダースーツに着替えていたら、ディが入ってきた。

 

「おっ☆

助っ人参上☆」

と言うラン。

 

「お…おぅ…★」

と答えるディ。

 

「…で、ここで何をするんだ?」

と訊くディ。

 

「ここで、装甲服の下に着るアンダースーツに着替えるの。」

と教えるロア。

 

「ほれ★」

と、ディにアンダースーツを投げ渡すスー。

 

「へぇ…。

こんな物着るんだ…。」

と、服を脱ぎ始めるディ。

 

「こんな物って…★

エスタルドじゃ、アンダースーツ無いのか?」

と、スーは冗談のつもりで訊いたのだが

 

「あぁ。

装甲服とのシンクロ率を高めるため、全裸にならなきゃならなかったからな★」

と言うディ。

 

「マヂか…★」

と、ドン引きするスー。

 

ディがアンダースーツに着替え終わると

「じゃ、行くよ☆」

と、ランを先頭に、更衣室を出て、発進デッキに向かう―。

 

 

発進デッキにて

ランはガンダムエックス

スーはガンダムエアマスター

ロアはガンダムレオパルド

の装甲服を纏う。

 

「アチキは?」

と訊いてくるディに、チーフメカニックのセイビが

 

「嬢ちゃんのは、これだよ。」

と、緑色の装甲服をディに渡す。

 

「何だ、これ?」

と訊いてくるディに

 

「ジェニスの装甲服だ。」

と言うセイビ。

 

「へぇ…★」

と、ジェニスの装甲服を眺めるディ。

 

緑色の曲面装甲が、なんとなく、ガスタール軍のパイロンを思わせるため、不服な顔をするディ。

 

(まぁ、いっか…★)

と、渋々、ジェニスの装甲服を着るディ。

 

 

装甲服を着終わると、いよいよ出撃だ。

 

発進デッキのハッチが開く。

 

「行くぞッ☆」

ガン([ラン])ダムエックスを先頭に

ガン([スー])ダムエアマスター

ガン([ロア])ダムレオパルド

ジェ([ディ])ニス

が、フリーデンの後ろから発進する。

 

目指すはM.G.F. エスタルド駐留部隊の基地―。

 

 

進撃するガン([ラン])ダムエックス達の後方を、アミットフォースの母艦フリーデンが追走する。

 

「これより、本艦はラン達の支援砲撃を展開する!!

主砲、発射用意!!」

と、艦橋で指示を出すアミール。

 

フリーデンは停止し、主砲の発射態勢に入る―。

 

 

アミットフォースの母艦フリーデンは

全長 88メートル

全高 32メートル

全幅 52メートル

重量 4260トン

の、陸上戦艦と呼ばれる巨大なホバークラフトである。

 

しかし、フリーデンの艦種は陸上戦艦ではなく、陸上輸送艦である。

 

双胴式の艦体で、左舷側は居住区、右舷側は貨物デッキとなっているが、その貨物デッキを、MS娘の発進デッキに改造している。

 

戦闘艦ではないため、武装は左舷側に装備されている、自衛用の3インチ連装砲塔が1基あるのみである。

 

こんな武装で、ガン([ラン])ダムエックス達の支援砲撃をするというのだから、無謀もいいところである。

 

はっきりいって、仮にも戦闘部隊であるアミットフォースの母艦には不向きな艦である…。

 

 

「主砲、発射準備完了!!」

と、報告するオペレーター。

 

「撃て!!」

とアミールの号令一下、フリーデンの主砲が火を吹いた。

 

主砲といっても、口径が3インチ(76ミリ)では、虚仮威しにしかならない…。

 

放たれた砲弾は、M.G.F. 基地内に小さな爆炎をあげた。

 

しかし、基地内を混乱させるには、十分な威力であった―。

 

 

M.G.F. エスタルド駐留部隊の基地内で、突如起きた爆発に、基地内の隊員達はパニックにおちいっていた。

 

「何事だっ!?」

と叫ぶのは、MS娘部隊の隊長のアム。

 

【挿絵表示】

 

「わかりませんが、おそらくは、何者かによる砲撃と思われます!!」

と答える、ドートレスの装甲服を着た隊員。

 

(我々に攻撃を仕掛けてくる者とは…

何者だ?)

と考えるアム。

 

「隊長…

どうしましょう…?」

と訊いてくる隊員。

 

そこに、別のドートレスが

「敵襲です!!

アミットフォースです!!」

と報告に来た。

 

「わかった!!

私も出る!!

お前達は、すぐに迎撃にあたれ!!」

と、2人のドートレスに下令するアム。

 

「「了解!!」」

と、アミットフォースの迎撃に向かう2人のドートレス。

 

アムは、アッセンブルルームへと向かう―。

 

 

アッセンブルルームに来たアムは、自身の専用の装甲服

ガンダムデリンジャーアームズ

を装着する。

 

このガンダムデリンジャーアームズの装甲服…

 

聞けば数十年前、初代シン・クロサキ主導のもと、MS娘ではない、一般兵士でも使える装甲服として開発された物らしい。

 

しかし、装甲服の開発は失敗したようで、完成した装甲服は行方不明となった。

 

ところが数年前、北米のとある廃工場にて、行方不明になっていたガンダムデリンジャーアームズの装甲服が発見されたのである。

 

回収された装甲服は修繕された後、アムの専用装甲服として、アムの手に渡ったのである…。

 

 

ガンダムデリンジャーアームズの装甲服を装着したアムは

「これより、当基地に侵入してきたアミットフォースを迎撃する!!」

と下令し、4人のドートレスを連れて、出撃した―。

 

 

基地に攻め込んだガン([ラン])ダムエックス達は、ドートレス達と銃撃戦を展開していた。

 

「そこぉっ!!」

と、シールドバスターライフルを撃つガン([ラン])ダムエックス。

 

シールドバスターライフルから放たれたライムグリーンのビームが、ドートレスの胸を撃ち抜いた―。

 

 

「オラオラァッ!!」

ガン([スー])ダムエアマスターが空を飛びながら、両手に持つバスターライフルを乱射する。

 

ドートレス達がマシンガンで、上空にいるガン([スー])ダムエアマスターを撃つが、まったく当たらない。

 

逆にガン([スー])ダムエアマスターの攻撃により、1人、また1人と、ドートレスが撃ち倒されていく―。

 

 

3人のドートレスが、ガン([ロア])ダムレオパルドにマシンガンを撃つが、ガン([ロア])ダムレオパルドは無傷…。

 

「お返しぃ〜☆」

と、ガン([ロア])ダムレオパルドは左腕のインナーアームガトリングで、3人のドートレスを撃ち倒した―。

 

 

ジェ([ディ])ニスが

赤い装甲服を着たMS娘

にマシンガンを撃つが、命中しているのに、火花が散るばかりで、効いている様子はない。

 

逆に、相手が右手に持つダブルガトリングガンによる反撃を、ジェ([ディ])ニスは慌ててコンテナの陰に隠れる。

 

そこに、ガン([スー])ダムエアマスターが来た。

 

《何やってんだ、ディ!!〉

と、ガン([スー])ダムエアマスターからの通信が入る。

 

「うっせぇッ★

赤いヤツが強いんだよッ!!」

と言うジェ([ディ])ニス。

 

《おめぇが弱いんだよ★

見てろよッ!!〉

と、コンテナの陰から飛び出すガン([スー])ダムエアマスター。

 

そして、両手に持つバスターライフルを乱射する。

 

この攻撃で、赤い装甲服を着たMS娘に随伴していた4人のドートレスのうち、2人を撃ち倒したが…

 

赤い装甲服を着たMS娘が右手に持つダブルガトリングガンと、胸から発射するガトリングガンによる反撃をうけ、慌ててコンテナの陰に隠れるガン([スー])ダムエアマスター。

 

「どうだ?

シャレになんねぇヤツだろ?」

と言うジェ([ディ])ニスに向かって

 

《はぁっ!?

おめぇ、ナニ言ってんだッ!?

あんなヤツ、たいしたことねぇぢゃねぇかッ★〉

と、強がるガン([スー])ダムエアマスター。

 

「逃げてるくせに、よくそんなこと言えるな★」

と、あきれるジェ([ディ])ニス。

 

《あぁ!?

ねぼけてんのかッ★

誰が逃げてんだよッ★

退避している

んだよッ★〉

と言い張るガン([スー])ダムエアマスター…。

 

ジェ([ディ])ニスとガン([スー])ダムエアマスターが、不毛な言い合いをしていると、赤い装甲服を着たMS娘と2人のドートレスが撃ってきた。

 

「「ひぇぇぇぇぇ…ッ★」」

と、逃げ出すジェ([ディ])ニスとガン([スー])ダムエアマスター…。

 

 

逃げるジェ([ディ])ニスとガン([スー])ダムエアマスターを追う赤い装甲服を着たMS娘と2人のドートレス。

 

そこに…

 

ガン([ラン])ダムエックスが現れた―!!

 

ガン([ラン])ダムエックスは赤い装甲服を着たMS娘にシールドバスターライフルを撃つが、赤い装甲服を着たMS娘は回避する。

 

だが、随伴していたドートレスに当たってしまった。

 

「この距離でかわすなんて、只者じゃないね…★」

と言うガン([ラン])ダムエックス。

 

「お前も、いい腕をしている。」

と、ガン([ラン])ダムエックスを称える、赤い装甲服を着たMS娘。

 

「ありがと☆

一応、名前教えてくれる?」

と訊いてきたガン([ラン])ダムエックスに

 

「私の名はアム!!

ガンダムデリンジャーアームズのアム

だ!!」

と、赤い装甲服を着たMS娘…アムは名乗った―。

 



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フリーデンの危機


 

フリーデンのブリッジでは―。

 

 

「アミール司令。

ランからの通信です。」

と言うオペレーター。

 

「繋いで。」

と指示するアミール。

 

すると、モニターにランの顔が映し出された。

 

「どうしたの?」

と訊くアミール。

 

《なんかさ…

赤くて、メチャクチャ強いヤツがいるんだけど★

名前は…

えっと…

ガンダムデリバリー…?〉

と言うガン([ラン])ダムエックス。

 

《デリンジャーアームズ★〉

と、横から言うロア。

 

「何ですって…!?」

と、デリンジャーアームズの名を聞いて、驚くアミール。

 

「ガンダムデリンジャーアームズ…

シン・クロサキが私達のために遺した、5つの力の1つですね…。」

と言うレイナ。

 

「それがなぜ、M.G.F. に?」

と訊いてくるアミールに

 

「残念ですが、M.G.F. が私達よりも先に見つけてしまったのでしょう。」

と言うレイナ。

 

 

百数十年前…

 

M.G.F. の創設者であるシン・クロサキは、腐敗した連合地球軍を止めるためのカウンターウェポンとして、表向きは一般兵士でも使える装甲服の開発として

熾天使

有罪の死神

危険な銃腕

砂漠の獅子

天駆ける龍

という、5つの装甲服を完成させた。

 

そして、来る日に備えて、完成した装甲服を世界各地に隠したのだが…

 

 

「どうやら、世界各地に隠したことが、かえって裏目に出てしまったようですね…。」

と言うレイナ。

 

「…で、いかがなさいますか?

破壊しますか?」

と訊くレイナ。

 

「あれは、シン・クロサキが私達のために遺した物よ!!」

とアミールはレイナに言うと

 

「あれは、シン・クロサキが私達のために遺した物よ!!

装着者を捕縛しなさい!!」

と、ガン([ラン])ダムエックス達に命令するアミール。

 

《捕まえろってこと!?

どうやって!?〉

と訊いてくるガン([ラン])ダムエックスに

 

それくらい自分達で考えて、努力しなさい!!

と、無責任なことを言って、アミールは通信を切った…。

 

「無茶すぎませんか?」

と、アミールを諌めるレイナ。

 

「そんなこと、わかっているわよ!!

でも、ガンダムデリンジャーアームズを喪うわけにもいかないでしょ!!」

と開き直るアミールに、苦笑するレイナ。

 

その時

「アミール司令!!」

と、オペレーターが声をかけてきた。

 

「どうしたの?」

とアミールが訊くと

 

「上空から、何かが降下してきます!!」

と言うオペレーター。

 

「ガスタールか、ノーザンベルからの援軍でしょうか?」

と言うレイナ。

 

「識別コードは?」

と訊くアミールに

 

「識別コードは…

黒色機動群

です…ッ!!」

と叫ぶオペレーター。

 

「何ですって!?」

と驚くアミール。

 

「映像確認!!」

と、モニターに表示するオペレーター。

 

モニターを見れば

黒色機動群の大気圏突入カプセル

が3機、降下してきていた。

 

「どこに向かっているの!?」

と訊くアミールに

 

「コース算出…

これは…

あと3分後に、本艦の西30キロ地点

に落着します!!」

と叫ぶオペレーター。

 

「カプセル1機につき、4体の機動兵器…合計12機…。

そんなのに襲われたら、本艦はひとたまりもありません。」

と、異様に冷静な声で言うレイナ。

 

「わかっているわよ、そんなこと!!

本艦の防衛のために、誰かを呼び戻しましょう!!」

と言うアミール。

 

「なら

サテライトキャノンを持つラン

が適任ですね。」

と言うレイナ。

 

それを聞いたアミールは

「ラン、聞こえる?」

と、ガン([ラン])ダムエックスに通信を入れる。

 

《今度は何?〉

と訊いてくるガン([ラン])ダムエックスに

 

「本艦が黒色機動群の襲撃を受ける可能性が高いわ!!

ランは本艦の護衛に当たって!!」

と言うアミール。

 

 

前線では…。

 

 

「大変だ…!!

ティファを助けに行かなくちゃ!!」

と慌てるガン([ラン])ダムエックス。

 

「つか、このタイミングで黒色機動群かよ…★」

と、ため息をつくガン([スー])ダムエアマスター。

 

《ランとスーは、フリーデンに戻って。〉

と、ガン([ロア])ダムレオパルドからの通信が入った。

 

「いいの?」

と訊いてくるガン([ラン])ダムエックスに

 

《愛するティファが、どうなってもいいの?〉

と言うロア。

 

「それもあるけど…

ロアは大丈夫なの?」

と言うガン([ラン])ダムエックス。

 

人工MS娘(まがいもの)に負けるほど、私もヤキが回っていないわ★

それに、ディもいるしね★〉

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

「なら、まかせたよ!!」

と、空に飛び上がり、フリーデンに向かうガン([ラン])ダムエックス。

 

 

《死ぬなよ…!!〉

と言って、ガン([ラン])ダムエックスの後を追って、空に飛び立つガン([スー])ダムエアマスター。

 

 

「さて…

残された私達は、あの、コワいおねぇさん(ガンダムデリンジャーアームズ)の相手をするよ…★」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

《おぅッ★〉

と応えるジェ([ディ])ニス。

 

「でも、ディは雑魚の相手を頼むよ。」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

《何でだ?〉

と訊いてくるジェ([ディ])ニスに

 

「ジェニスのマシンガンが効くとは思えないからね。」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

ディも、そんな気がした。

 

《なら、アチキは女同士の戦いに手出ししてくる不粋なヤツらをブッ殺してくるわ★〉

「気をつけてね★」

《お互いにな★〉

とグータッチして…

 

ジェ([ディ])ニスは周囲のドートレスに…

 

ガン([ロア])ダムレオパルドはガン([アム])ダムデリンジャーアームズに立ち向かっていった―。

 

 

空を飛んで、フリーデンに向かうガン([ラン])ダムエックスとガン([スー])ダムエアマスター―。

 

「あ…あれは…!?」

ガン([ラン])ダムエックスが上空を見上げれば、黒色機動群の大気圏突入カプセルが火の玉となって落下してきていた。

 

破壊したいが、カプセルの外装は非常に硬く、ビームライフル程度の火力では破壊できないのだ…。

 

やがて、カプセルは西の方に落下していった。

 

《たぶん、地面に落ちたな…。

ランはフリーデンに向かえ!!

私が時間を稼ぐ!!〉》

と言うガン([スー])ダムエアマスター。

 

「頼んだ!!」

と、ガン([ラン])ダムエックスはフリーデンに向かい、ガン([スー])ダムエアマスターはカプセルが落着した西に向かう―。

 

 

ガン([スー])ダムエアマスターが、カプセルの落着地点に到着すると…

 

「あ…あれは…!?」

と、カプセルから出てきた黒色機動群の機動兵器を見て驚く。

 

「何だ、アイツ…?

見たことないぞ…!?」

と、ガン([スー])ダムエアマスターは、カプセルから出てきた黒色機動群の機動兵器の映像をフリーデンに送信した―。

 

 

フリーデンのブリッジでは―

 

「スーから、敵機の映像が届きました。」

と、オペレーターがモニターに映像を映す。

 

「あ…あれは…!?」

と映像を見たアミールが驚く。

 

「どうやら、新型機のようですね。」

と言うレイナ。

 

黒色機動群の大気圏突入カプセルから出てきた機動兵器は、これまで確認されていないタイプだった―。

 



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サテライトキャノン


 

フリーデンの医務室では―

 

 

「先生…

何かあったのですか?」

と、テクスが内線で話しているのを見たシィが訊く。

 

「大変なことになった。

本艦の近くに、黒色機動群が降下したらしい。

今、ランとスーが対処に当たっている。」

と言うテクス。

 

「そうですか…。

なら、安心ですね。」

と答えるシィ。

 

「ところが、そういうわけにもいかんようだ。

今回、降下してきたのは、いつものような廃棄処分ではなく、新型機らしい。」

と言うテクス。

 

「えっ、新型?」

と驚くシィ。

 

「これまで、黒色機動群は廃棄処分として、古い機動兵器を降下させてきていた。

それらは旧式兵器ゆえに、連合地球軍によって簡単に撃破されてきたが…

しかし、今回、降下してきたのは新型機ということは、これまでの廃棄処分で、戦闘データを取り続けていたんだ。

もしかしたら、黒色機動群の反攻が始まるのかもしれん。」

と言うテクス。

 

「なら、私も出撃します!!

ランさんやスーさんのお手伝いをしてきます!!」

とシィが言うが

 

「ダメだ!!」

と、シィを止めるテクス。

 

「行かせてください!!

左手だって、とっくに治っています!!」

と言うシィに

 

「そうはいかん!!

それ以前に、君が着る装甲服は無い!!」

と言うテクス。

 

「どういうことですか?」

と訊くシィに

 

「君が着ていた装甲服だが、現在、修繕中だ。

どこで見つけたのかは知らんが、動いているだけでも奇跡だったんだよ。」

と言うテクス。

 

「心配しなくてもいい。

ランという、一番頼りになるヤツが戻ってきたんだ。」

と、シィをベッドに寝かせるテクス―。

 

 

黒色機動群の新型機と交戦しているガン([スー])ダムエアマスターだったが…

 

 

「オラオラァッ!!」

と両手に持つバスターライフルを撃つガン([スー])ダムエアマスター。

 

ところが…

 

何…ッ!?

 

ガン([スー])ダムエアマスターの攻撃は、全て弾かれてしまったのだ…!!

 

「ち…ちくしょう…ッ!!」

と、ガン([スー])ダムエアマスターはバスターライフルを乱射するが、黒色機動群の新型機には、まったく通用しない…。

 

「なら、頭だッ!!」

と、黒色機動群の新型機の頭部を狙うガン([スー])ダムエアマスター。

 

黒色機動群の機動兵器は、頭部もしくは腹部を破壊しなければ撃破できない。

 

しかし…

 

何でだよ…ッ!?

 

ガン([スー])ダムエアマスターの攻撃は、まったく効かなかった…。

 

 

《コイツら、ヤバすぎるッ!!

私の攻撃が、全然効かないッ!!〉

とフリーデンのブリッジに、ガン([スー])ダムエアマスターからの通信が入る。

 

「どういうこと…!?」

と訝しむアミール。

 

「どうやら、そうとうな強化が施されているみたいです。」

と、やけに冷静な声で言うレイナ。

 

そんなレイナに、アミールは感心とも呆れともとれる顔をする…。

 

 

とにかく、この、レイナという女性は、危機的な状況にあっても慌てたり、うろたえたり、取り乱したりすることがない。

 

年長者(おとな)の余裕というものだろうか?

 

 

「セイビさん。

レイナです。

マイクロウェーブ照射装置

の稼働状況はどうですか?」

と、セイビに訊くレイナ。

 

《いつでも使えるが

照射時間までは保証できねぇ

なぁ…。〉

と答えるセイビ。

 

「かまいません。

サテライトキャノンを撃てるだけのエネルギーがあるのなら、今すぐ起動してください。

スーさんがピンチなんです。」

と言うレイナ。

 

《わかった!!〉

と答えるセイビ。

 

「ラン、聞こえて?

今からマイクロウェーブを照射するわ!!」

と言うアミール。

 

《待ってましたぁ☆〉

と喜ぶガン([ラン])ダムエックス―。

 

 

フリーデンの上空に到着するガン([ラン])ダムエックス。

 

「サテライトシステム、起動!!」

とランが叫ぶと、背中にL字型に折り畳まれているリフレクターがX字型に展開され、機体の右に移動する。

 

そして、リフレクターの中央に装備されているキャノン砲が前方に展開される。

 

一方、フリーデンの右舷前方に、大きなパラボラアンテナのような物がせり出してきた。

 

その、パラボラアンテナの中央から、緑色のガイドレーザーが発射された。

 

フリーデンから発射されたガイドレーザーが、ガン([ラン])ダムエックスの胸部中央にある、緑色のガイドレーザー受信機に当たる。

 

そして―

 

フリーデンのパラボラアンテナから、マイクロウェーブが照射された―!!

 

照射されたマイクロウェーブを、ガンダムエックスの背中のリフレクターが受信し、サテライトエネルギーに変換していく…

 

…が…

 

マイクロウェーブの照射時間は、わずか4秒だった…。

 

ゑ…?

と、蓄積されたサテライトエネルギーの量を確認するラン。

 

(ゑ…

通常出力で9発分…?)

 

敵は12体

いるのだが…。

 

(仕方がない…

一部は、ビームソードにまわそう…。)

と、エネルギーの配分を変えるラン。

 

その結果…

 

(通常出力で8発分…

仕方ないな…★

それよりも、早くしないとスーが…!!)

と、ガン([ラン])ダムエックスはガン([スー])ダムエアマスターの救援に向かった―。

 

 

黒色機動群の新型機からの攻撃を回避し続けるガン([スー])ダムエアマスター。

 

「何モタモタしてんだッ!!

ランッ!!

早く来いッ!!」

と叫ぶスー。

 

すると…

 

上空から、青白い光弾が飛んできて…

 

黒色機動群の新型機の胸を撃ち抜いた―!!

 

爆発する、胸を撃ち抜かれた黒色機動群の新型機。

 

《お待たせぇ〜☆〉

と言ってくるガン([ラン])ダムエックスに

 

「遅いんだよッ!!」

と怒鳴るガン([スー])ダムエアマスター。

 

《これでも、全速力で来たんだよッ☆〉

と、サテライトキャノンを撃つガン([ラン])ダムエックス。

 

サテライトキャノンから放たれた青白い光弾が、黒色機動群の新型機の頭部を粉砕した。

 

(なんてこった…。

あれくらいの威力がないと、アイツらを倒せないのかよ…。)

と嘆くスー。

 

その時

《スー、戻ってこい!!〉

と、セイビからの通信が入った。

 

「オッサン?

何でだよ?」

と訊くスー。

 

《サテライトキャノンのエネルギーが少なすぎて、敵を全て倒すのはムリじゃ!!

それと、お前さんの銃が効いておらんと聞いてな。

ウイングガンダムセラフィムのバスターライフル

なら、あやつらを倒せるじゃろう。〉

と言うセイビ。

 

「マジか!?

わかったッ☆

ラン!!

ここはまかせるぞッ☆」

と、フリーデンに戻るガン([スー])ダムエアマスター。

 

 

「3つ目ッ☆」

と、サテライトキャノンを撃つガン([ラン])ダムエックス。

 

だが…

 

サテライトキャノンから放たれた青白い光弾は、黒色機動群の新型機の右足に当たってしまった。

 

「やべッ★

はずした…★」

と、もう一度、サテライトキャノンを撃つガン([ラン])ダムエックス。

 

今度は確実に、右足を失った黒色機動群の新型機の胴体に当たった。

 

1発ムダにしてしまったため、倒せる敵は、あと4体…。

 

もちろん、はずさないことが絶対条件だ…。

 

「この…ッ★」

と、サテライトキャノンを撃つガン([ラン])ダムエックス。

 

ところが…

 

ゑゑゑ…ッ!?

 

今度は、かわされてしまった…。

 

えぇ〜いッ★

こうなったら、全部撃てッ★

と、残りの3発を撃つガン([ラン])ダムエックス。

 

1発は、黒色機動群の新型機の左腕に当たり…

 

1発は、黒色機動群の新型機の胴体に当たり…

 

1発は大ハズレ…。

 

残り3発撃って、倒せたのは1体だけだった…。

 

サテライトキャノンを8発撃って、倒せたのは4体だった…。

 

 

サテライトキャノンを戻し、リフレクターも畳まれた。

 

そして、大型ビームソードを抜くガン([ラン])ダムエックス。

 

通常はライムグリーンのビーム刀身だが、サテライトエネルギーを使用しているため、青白いビーム刀身となっている。

 

てぇーいッ!!

と、ガン([ラン])ダムエックスは黒色機動群の新型機に斬りかかっていった―。

 



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決着の時(前)


 

フリーデンの発進デッキに戻ってきたガン([スー])ダムエアマスター―。

 

 

「オッサンッ!!

急いでくれッ!!

ランが1人で戦っているんだッ!!」

と叫ぶガン([スー])ダムエアマスター。

 

「ほれ。

それを持って行け★」

と、台車の上に載っているウイングガンダムセラフィムのバスターライフルを指差すセイビ。

 

「おぉ…☆」

と、ウイングガンダムセラフィムのバスターライフルを持つガン([スー])ダムエアマスター。

 

その大きさは、ガン([スー])ダムエアマスターの身長に匹敵するほどの長さがあった。

 

「それなら、黒色機動群の新型機をも倒せるじゃろう。

ほら、急がんと!!

ランが危ないんじゃろう!?」

と言うセイビ。

 

「おぅよ☆

んじゃ、行ってくらぁ☆」

と、再び発進するガン([スー])ダムエアマスター―。

 

 

やあッ!!

と、大型ビームソードで黒色機動群の新型機の右足を斬り裂くガン([ラン])ダムエックス。

 

右足を失い、上手い具合に仰向けに倒れた黒色機動群の新型機の腹部に、大型ビームソードを突き刺すガン([ラン])ダムエックス。

 

ガン([ラン])ダムエックスが離れると、腹部を刺された黒色機動群の新型機は爆発した。

 

次の機体に斬りかかろうとしたが…

 

うわぁッ!!

離せぇッ!!

 

捕らえられてしまった。

 

ガン([ラン])ダムエックスを捕えた機体と、もう1機が残り、あとの5機はフリーデンに向かっていった。

 

やめろぉッ!!

そっちに行くなぁッ!!

ティファァァァッ!!

と叫ぶガン([ラン])ダムエックスに、黒色機動群の新型機が、モノアイから放つ青い光線をガン([ラン])ダムエックスに当てた。

 

うわぁッ!?

何をするんだッ!?

 

しかし、青い光線を浴びても、痛みも無ければ、熱さも無かった。

 

そして、光線を放った機体が、降下カプセルの方に向かっていった。

 

一方…

 

ガン([ラン])ダムエックスを捕らえている機体は…

 

モノアイを赤く輝かせ…

 

ガン([ラン])ダムエックスを捕らえている腕に力を入れていく…!!

 

ぅがあぁあぁ…ッ!?

と、悲鳴をあげるガン([ラン])ダムエックス…。

 

だが!!

 

左の方から飛んできた黄色い大出力ビームが、黒色機動群の新型機の頭を撃ち抜いた―!!

 

 

フリーデンのブリッジでは―

 

 

「黒色機動群の新型機が、こちらに向かってきます!!」

と叫ぶオペレーター。

 

モニターを見れば、黒色機動群の新型機5機が接近してくる映像が映されている。

 

「主砲発射用意!!」

と叫ぶアミール。

 

「無理です。

本艦の主砲は通じません。」

と、このような状況でも、冷静に言うレイナ。

 

「何もしないよりかはマシでしょ!?」

と怒鳴るアミールに

 

「本艦の主砲よりも、もっと頼りになる者がいます。」

と微笑むレイナ。

 

(あっ…!?)

とアミールがモニターを見れば…

 

ウイングガンダムセラフィムのバスターライフルを持ったガン([スー])ダムエアマスターの姿が映されていた―。

 

 

ウイングガンダムセラフィムのバスターライフルを持って空を飛ぶガン([スー])ダムエアマスター。

 

レーダーが、前方から迫りくる黒色機動群の新型機を捉えた。

 

「こっから先は通行止めだッ!!」

と、ウイングガンダムセラフィムのバスターライフルを撃つガン([スー])ダムエアマスター。

 

ウイングガンダムセラフィムのバスターライフルから放たれた黄色い大出力ビームは、見事、先頭を進む黒色機動群の新型機の腹部を撃ち抜いた―!!

 

爆発する、黒色機動群の新型機。

 

やったァァァッ!!

とガッツポーズをするガン([スー])ダムエアマスター。

 

ガン([スー])ダムエアマスターに向けて、ビームライフルを乱射する、黒色機動群の新型機。

 

あたるかよッ☆

と、黒色機動群の新型機からの攻撃を回避するガン([スー])ダムエアマスター。

 

そして―

 

ぉらァッ!!

と、バスターライフルを撃つガン([スー])ダムエアマスター。

 

バスターライフルから放たれた黄色い大出力ビームが、黒色機動群の新型機の左足に命中した。

 

左足を失い、転倒する黒色機動群の新型機。

 

倒れた機体にかまわず、バスターライフルを撃つガン([スー])ダムエアマスター。

 

今度は頭に命中した。

 

頭を撃たれた黒色機動群の新型機は爆発した。

 

残った2機が、ビームライフルを乱射する。

 

「ヘタな鉄砲は、数撃っても当たらねぇんだよッ☆」

と、黒色機動群の新型機からの攻撃を回避しながら、バスターライフルを撃つガン([スー])ダムエアマスター。

 

今度は腹部に命中し、爆散させた。

 

もう1機も、頭部に命中し、爆散させた。

 

そして、ガン([ラン])ダムエックスの援護に向かう途中で、左足を失って倒れている黒色機動群の新型機の腹部にバスターライフルを撃って、とどめをさした―。

 

 

ガン([ラン])ダムエックスの援護に向かう途中で、モニターを見ると…

 

(やべェッ!!)

 

なんと、ガン([ラン])ダムエックスが黒色機動群の新型機に捕らえられていた―!!

 

その手を離しやがれッ!!

と、バスターライフルを撃つ。

 

バスターライフルから放たれた黄色い大出力ビームが、黒色機動群の新型機の頭部に向かって伸びていく。

 

そして…

 

バスターライフルから放たれた黄色い大出力ビームは、ガン([ラン])ダムエックスを捕らえている黒色機動群の新型機の頭部に命中した―!!

 

 

《ありがとう、スー☆

助かったよ☆〉

と、スーに礼を述べるラン。

 

「コイツは『貸し』だぜ★」

と、笑うスー。

 

《それよりも、逃げたヤツを追いかけよう!!〉

と言うラン。

 

「何ッ!?

追うぞッ!!」

と、逃げた黒色機動群の新型機を追うガン([スー])ダムエアマスターとガン([ラン])ダムエックス。

 

しかし…

 

「「あっ!!」」

と、空を見上げるガン([スー])ダムエアマスターとガン([ラン])ダムエックス。

 

黒色機動群の大気圏突入カプセルが発進したのだ。

 

《あれって、飛べるの?〉

と訊いてくるランに

 

「みたいだな…。」

と答えるスー。

 

宇宙に向かって上昇していくカプセルを、ガン([スー])ダムエアマスターとガン([ラン])ダムエックスはただ、見送ることしかできなかった…。

 

 

ガン([ロア])ダムレオパルドとガン([アム])ダムデリンジャーアームズの戦いも、決着の時が来た―。

 

 

ガンダムレオパルドも、ガンダムデリンジャーアームズも、銃砲撃戦タイプの装甲服だ。

 

おたがいに、激しい銃撃戦を展開し、弾切れになるまでミサイルを撃ちあった。

 

しかし、おたがいに防御力が高いため、勝敗に結びつくような決定打が出なかった。

 

「強いね、アム…★」

と、正面にいるガン([アム])ダムデリンジャーアームズに通信を入れるガン([ロア])ダムレオパルド。

 

〈貴女もね、ロア。》

と答えるガン([アム])ダムデリンジャーアームズ。

 

「じつはね…

私達のボスから、アムを生け捕りにしろと言われててね…。」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

〈何、それ?》

と、鼻で笑うガン([アム])ダムデリンジャーアームズ。

 

「アムの装甲服が欲しいんだって…★

最悪…

アムを殺すことになっても、装甲服は無傷で手に入れろってこと★」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

「私の身ぐるみを剥ごうと…?

やれるものなら、やってみなさい!!」

と、右手に持つダブルガトリングガンを撃つガン([アム])ダムデリンジャーアームズ。

 

しかし…

 

すぐに発射音と、撃った時の反動が消えた。

 

(弾切れ…!?)

と驚くガン([アム])ダムデリンジャーアームズ。

 

(!?)

 

正面を見れば、ガン([ロア])ダムレオパルドが左腕のインナーアームガトリングを向けていた―。

 



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決着の時(後)


 

しかし、どういうわけか、撃ってこない…。

 

「どうした!?

なぜ撃たない!?」

と叫ぶガン([アム])ダムデリンジャーアームズに

 

「撃ちたいけど…

弾切れついでにエネルギー切れ…。」

ガン([ロア])ダムレオパルドは言って、左腕のインナーアームガトリングをバックパックに収容する。

 

「そう…

それは残念ね!!

ガン([アム])ダムデリンジャーアームズは腰のフロントアーマーからマイクロミサイルを発射した―!!

 

マイクロミサイルの直撃により、爆炎につつまれるガン([ロア])ダムレオパルド…。

 

「切り札というのは、最後まで取っておくもの」

と言ったところで

 

うっ!?

と、腹部に激痛を感じるガン([アム])ダムデリンジャーアームズ。

 

(何だ…?)

と、腹部を見てみたら…

 

!!

 

腹部にビームナイフが刺さっていたのだ―!!

 

こ…これは…!?

と、爆煙につつまれているガン([ロア])ダムレオパルドを見るガン([アム])ダムデリンジャーアームズ。

 

「アムの言う通り…

切り札は最後まで取っておくもの

だよ…。」

と、爆煙が晴れると、そこには無傷のガン([ロア])ダムレオパルドがいた。

 

「アムがミサイルを撃った時…

私は

ビームナイフを投げた

のよ…。」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

そして、仰向けに倒れるガン([アム])ダムデリンジャーアームズ…。

 

倒れたガン([アム])ダムデリンジャーアームズに歩み寄るガン([ロア])ダムレオパルド。

 

「やっぱり…

人工MS娘(まがいもの)じゃ、本物のMS娘には勝てないか…。」

と言うガン([アム])ダムデリンジャーアームズに

 

「そんなことはないよ。

人造サファイアって知ってる?」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

「何の話?」

と訊くガン([アム])ダムデリンジャーアームズに

 

人造サファイアって、専門家でも本物と見分けがつかない*1

んだって…。」

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

ロアは、MS娘と人工MS娘の能力差を、サファイアと人造サファイアにたとえたようだ。

 

「悪いけど…

私…

サファイア…

あんまり好きじゃない…。」

と言い残して、ガン([アム])ダムデリンジャーアームズは息絶えた…。

 

ガン([ロア])ダムレオパルドは、ガン([アム])ダムデリンジャーアームズの腹部に刺さったビームナイフを抜くと、彼女の遺体を担いだ。

 

「ディ、撤退だ!!」

ジェ([ディ])ニスに通信を入れ、ガン([ロア])ダムレオパルドは撤退した…。

 

 

ガン([ラン])ダムエックス

ガン([スー])ダムエアマスター

ガン([ロア])ダムレオパルド

ジェ([ディ])ニス

がフリーデンに帰艦した―。

 

 

ブリッジでは

「東部および西部より、多数の機影を確認!!」

と、オペレーターが叫んだ。

 

「おそらく、ガス(西部)タールとノー(東部)ザンベルからの援軍ですね。」

と、相変わらず冷静な声で言うレイナ。

 

「撤退する!!

ジャミングジェネレーター起動!!」

と命じるアミール。

 

一種のステルス機能であるジャミングジェネレーターを起動させ、フリーデンは夜の闇の中、北に向かって走っていった―。

 

 

翌朝―

 

撤退に成功したフリーデンは、とある荒野に停泊していた―。

 

 

朝日が照りつける中…

 

ガンダムデリンジャーアームズの人工MS娘であったアムの葬儀が行われた…。

 

テクスが祈りの口上を述べる中…

 

アムは丁重に埋葬された…。

 

 

アムの葬儀が終わると、アミールとレイナがアッセンブルルームに来た。

 

「これが、シン・クロサキが私達のために遺した

ウイングガンダムセラフィム

ガンダムデリンジャーアームズ…。」

と、修繕されたウイングガンダムセラフィムとガンダムデリンジャーアームズの装甲服を、感慨深げに見るアミール。

 

「あぁ。

ガンダムデリンジャーアームズの方は、連合地球軍の方で修繕されていたが、ウイングガンダムセラフィムの修繕は楽じゃなかったぞ。

何せ、動いているのが不思議な状態だったからな。」

と言うセイビ。

 

「シィとディには、ウイングガンダムセラフィムを見つけてくれたことに感謝するわ。

じつはね、私達がエスタルドに来たのは、M.G.F. を攻撃するのもあったけど、本来の目的は、ウイングガンダムセラフィムを探しにきたのよ。」

と言うアミール。

 

シィもエスタルド軍の状況や、シン・クロサキ兵団との戦闘、ウイングガンダムセラフィムを手に入れるまでの経緯とを話した。

 

「じつを言うとね…

私達も人材不足で…

とくにMS娘が足りないわ。

そこで、シィとディには、ウイングガンダムセラフィムとガンダムデリンジャーアームズの装着者になってほしいの。」

と言うアミール。

 

連合地球軍と戦う理由があるシィとディに、断る理由は無かった―。

 

 

艦長室に戻ったアミールは、レイナと今後について話し合う。

 

その中で…

 

「昨夜の戦闘中に、ランは黒色機動群の謎の光線を浴びせられたようです。」

と報告するレイナ。

 

「それによる、ランの異常は?」

と訊くアミールに

 

「テクス先生によると、ランの身体に今のところ、異常は見られないそうです。

しかし、気になるのは、ランに光線を浴びせた黒色機動群の、その後の行動です。

ランに光線を浴びせた黒色機動群の機体は、その後、降下カプセルに乗って、宇宙に戻っていったようです。

このような行動は、これまで確認されていない事例です。」

と言うレイナ。

 

「それは…

ランに何をしたの…?」

と訊くアミールに

 

「私の憶測にすぎませんが…

おそらく、ランの何らかのデータを採取したのかと…。」

と答えるレイナ。

 

「それは…

ランのデータが必要だったってこと?」

と訊くアミールに

 

「ランのデータが必要だったのか…

あるいは、偶然選ばれたのか…

私にも、皆目見当がつきません。」

と答えるレイナ。

 

「これからは、連合地球軍だけでなく、黒色機動群にも気をつけないといけないわね…。」

と、アミールはつぶやいた…。

 

 

アメリカ・ニューヤークにある連合地球軍総司令部では―。

 

 

「第13特別機甲師団は、アミットフォース討伐の任務に当たれ。」

と、連合地球軍の高官が、M.G.F. 第13特別機甲師団の師団長のブレックス少将に下令していた。

 

第13特別機甲師団は、陸上戦艦9隻からなる、M.G.F. でもシン・クロサキ兵団に匹敵するほどの精強部隊として知られている。

 

「了解。

我々、第13特別機甲師団はアミットフォース討伐の任務に当たります。」

と復唱し、敬礼するブレックス―。

 

 

第13特別機甲師団の旗艦テンザン級陸上戦艦アイリッシュに戻ってきたブレックスは、ブリッジへとあがる。

 

ブリッジには、MS娘部隊の隊長のジーナ大尉

 

【挿絵表示】

 

がいた。

 

「ご苦労様です、司令。」

と敬礼するジーナ。

 

「うむ。

その娘達は?」

と、司令官席に座ったブレックスが、ジーナの後ろにいる3人の少女に気付く。

 

「彼女達は作戦本部より、今回の作戦に同行させるように言われています。」

と言うジーナ。

 

「ボクは

ガンダムデスサイズギルティのキララ*2

 

【挿絵表示】

 

と、ブレックスに敬礼するキララ。

 

「オレは

ガンダムサンドレオンのトゥ*3

 

【挿絵表示】

 

だッ☆

よろしくなッ☆」

と、ブレックスに敬礼するトゥ。

 

「ワタシは

ティエンロンガンダムのノゥ*4

 

【挿絵表示】

 

といいます。」

と、ブレックスに敬礼するノゥ。

 

「この3人はシン・クロサキ兵団の候補生なのですが、実戦経験が足りないので、本作戦に同行させよと、作戦本部からの通達です。」

と言うジーナ。

 

「その件については、大尉に任せる。」

と言うブレックス。

 

「了解!!」

と敬礼するジーナ。

 

そして、ブレックスは艦内放送を始める。

 

「私は、第13特別機甲師団師団長のブレックスである。

当師団は、これより、アミットフォース討伐の任務に当たる。

総員、出撃準備にかかれ!!」

 

そして30分後―。

 

「全隊、出撃準備完了!!」

というオペレーターの報告を聞いたブレックスは

 

第13特別機甲師団、出撃!!

と叫んだ。

 

旗艦アイリッシュを先頭に

 

テンザン級陸上戦艦

ラーディッシュ

 

ピレネー級陸上戦艦

オマハ

ローリー

コンコード

トレントン

 

そして、補給艦として3隻のロッキー級陸上戦艦

 

で構成された第13特別機甲師団は出撃していった―。

 

*1
人造サファイアは、本物のサファイアよりも、ほんのわずかに輝きが鈍い。しかし、その差を見極めるのは、極めて困難。

*2
イラスト:黒瀬夜明 リベイク

*3
イラスト:黒瀬夜明 リベイク

*4
イラスト:黒瀬夜明 リベイク



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登場人物の紹介(エスタルド・黒色機動群)


 

エスタルド人民共和国(じんみんきょうわこく)

本作の舞台で、シィやディが住んでいた、南アジアにある国。

 

ガスタール民主共和国、ノーザンベル連合王国と同盟を結び、黒色機動群からの技術提供で人工MS娘を誕生させ、連合地球軍に対し反乱を起こす。

 

しかし、ノーザンベルは早々に連合地球軍に降伏。

 

ガスタールも、エスタルドとは対立関係にあったため、連合地球軍の傘下に入り、ノーザンベルとともにエスタルドに宣戦布告した。

 

ガスタール、ノーザンベル、連合地球軍の3軍に攻撃されたエスタルドは、最終的に連合地球軍に降伏する。

 

 

【エスタルド軍の兵士】

 

シィ(イラスト:黒瀬夜明 リベイク)

 

【挿絵表示】

 

エスタルド軍の人工MS娘で、本作の主人公。

 

エスタルド北部に住んでいたが、学校からの下校中に、ディとともにエスタルド軍に拉致され、人工MS娘に改造されてしまった。

 

その際『シィ』という名前をあたえられた*1

 

人工MS娘の改造手術時に若干の記憶操作が行われ、本名についての記憶が消されている。

 

普段はおとなしいが、戦闘時は果敢に戦う。

 

エスタルド軍の人工MS娘部隊では、前線の援護を担当しており、重機関銃を用いた援護射撃を行う。

 

そのせいか、射撃の腕が高い。

 

 

ディ(イラスト:黒瀬夜明 リベイク)

 

【挿絵表示】

 

エスタルド軍の人工MS娘で、シィの親友。

 

一人称はアチキ。

 

エスタルド北部に住んでいたが、学校からの下校中に、シィとともにエスタルド軍に拉致され、人工MS娘に改造されてしまった。

 

その際『ディ』という名前をあたえられた*2

 

人工MS娘の改造手術時に若干の記憶操作が行われ、本名についての記憶が消されている。

 

ガスタール人を差別しており、ガスタール人を容赦なく殺せるとの理由で、人工MS娘にされたことを喜んでいる。

 

エスタルド軍の人工MS娘部隊では、積極的に前に出て戦うが、接近戦が得意というわけではない。

 

 

エイ

シィとディが配属された人工MS娘部隊の隊長。

 

西部戦線にて、ガスタール軍との戦闘で戦死する。

 

 

イー

シィとディが配属された人工MS娘部隊の隊員。

 

西部戦線にて、ガスタール軍の砲撃の直撃をうけ、一番最初に戦死する。

 

なお、ガスタール軍との戦闘で、他に

ビィ

エフ

エイチ

ジェイ

が戦死している。

 

 

ジィ

アイ

西部戦線にて、ガスタール軍との戦闘で生き残った人工MS娘。

 

しかし、その後の【シン・クロサキ兵団】との戦闘で戦死する。

 

 

中佐(ちゅうさ)

エスタルド軍の西部戦線基地の司令官。

 

人工MS娘達を、戦いの道具としか思っていない。

 

 

大尉(たいい)

エスタルド軍の西部戦線基地の指揮官。

 

人工MS娘達に対し、親身に接する。

 

 

軍曹(ぐんそう)

大尉の副官を務める黒人兵。

 

なお、中佐、大尉、軍曹とも、のちの【シン・クロサキ兵団】との戦闘で戦死したと思われる。

 

 

【エスタルド軍の兵器】

 

人工MS娘(じんこうモビルスーツむすめ)

MS娘とは本来、黒色機動群に有効的に対抗できる力を持った、機動戦士ガンダムシリーズに登場するモビルスーツ (MS) の魂をその身に宿した少女達のことである。

 

彼女達は、それぞれの身に宿ったモビルスーツの魂が映し出した装甲服を装着して戦う。

 

しかし、100年後の現在では、そのような少女達はほとんどいない。

 

そこで、普通の少女に身体改造を施し、装甲服を装着することのできるようにしたのが、人工MS娘である。

 

エスタルド、ガスタール、ノーザンベルの3国は、黒色機動群からの技術提供を受けて、人工MS娘を誕生させた。

 

しかし、その能力は、連合地球軍の人工MS娘よりも劣っている。

 

 

装甲服

本来は、MS娘の身に宿ったモビルスーツの魂が映し出した物だったが、現在では、人工MS娘の戦闘用強化服である。

 

 

パイロン

 

【ステータス】

 

射撃(40)格闘(35)

 

装甲(30)機動性(35)

 

索敵性能(25)

 

武装スロット

 

〇マシンガン(ディ機)重機関銃(シィ機)

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

 

性能向上パーツスロット

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

エスタルド、ガスタール、ノーザンベルの3国で使われている、人工MS娘用装甲服。

 

装甲服を装着する際は、シンクロ率を高めるため、装着者は全裸にならなければならない。

 

全身が曲面装甲なので、実弾の避弾経始にすぐれるが、実際は気休め程度。

 

ビーム兵器の使用ができず、また、性能自体も、連合地球軍の主力であるドートレスに劣る。

 

しかも、雨が流れ込んでくるほど、気密性も劣悪。

 

エスタルド軍仕様は紺色

ガスタール軍仕様はカーキ色

ノーザンベル軍仕様は緑色

で塗られている。

 

また、頭部装甲の形状が、エスタルド軍仕様とガスタール軍仕様とで異なる。

 

ノーザンベル軍仕様の頭部装甲は、ガスタール軍仕様と同型。

 

 

【武装】

 

マシンガン

射撃+20

実弾射撃兵器

 

パイロンの主兵装だが、その威力は、連合地球軍の主力のドートレスにようやく通用する程度で、シン・クロサキ兵団のカスタム機には、まったく通用しない。

 

重機関銃

射撃+30

実弾射撃兵器。

 

前線部隊の援護用火器。

 

全長1.5メートルという巨大な機関銃で、地面に据えて撃つ。

 

作中ではシィが使用。

 

胸部機関砲

射撃+10

実弾射撃兵器

 

胸部装甲に2門装備されている小口径機銃。

 

おもに牽制に使用される。

 

 

ZK級(ゼットケーきゅう)

黒色機動群からエスタルド軍に供給されている、全高4メートルほどの機動兵器だが、現在では黒色機動群でも使われていない旧式兵器で、人類に供給するかたちで、事実上の廃棄処分が行われている。

 

実際、エスタルド軍に供給された機体は、稼働しない機体も多かった。

 

武器は、ドラムマガジンを備えたマシンガンと、左腰に装備された大斧。

 

 

GM級(ジーエムきゅう)

黒色機動群からエスタルド軍に供給されている、全高4メートルほどの機動兵器だが、現在では黒色機動群でも使われていない旧式兵器で、人類に供給するかたちで、事実上の廃棄処分が行われている。

 

実際、エスタルド軍に供給された機体は、ZK級ほどではなかったが、稼働しない機体も多かった。

 

全身が平面的で、丸い頭部には凸の形をした緑色のゴーグルが輝いている。

 

武器はビームスプレーガンとビームサーベルで、左腕には、十字の紋様が入った大盾を持つ。

 

エスタルド軍で唯一、ビーム兵器を装備した兵器だった。

 

 

ガスタール民主共和国(みんしゅきょうわこく)

エスタルド、ノーザンベルと同盟を結び、連合地球軍に反旗を翻した、エスタルドの西側にある国。

 

しかし、もともと、エスタルドとは対立関係にあり、ノーザンベルが連合地球軍に降伏すると、ガスタールも降伏。

 

ノーザンベルと同盟を結び、エスタルドに宣戦布告する。

 

 

ノーザンベル連合王国(れんごうおうこく)

エスタルド、ガスタールと同盟を結び、連合地球軍に反旗を翻した、エスタルドの東側にある国。

 

しかし、早々に連合地球軍に降伏。

 

同じく、連合地球軍に降伏したガスタールと同盟を結び、エスタルドに宣戦布告する。

 

 

黒色機動群(こくしょくきどうぐん)

100年前、突如、外宇宙から地球へ向けて侵略を始めた謎の生命体群。

 

しかし、100年後の現在は、連合地球軍に撃退されて月に撤退しており、かつての主力兵器であった量産型黒色機動群を人類に供給することで、間接的に連合地球軍と交戦している。

 

 

新型機動兵器

アミットフォースが連合地球軍のエスタルド駐留部隊と交戦している時に、アミットフォースの母艦フリーデンの近くに降下してきた、全高4メートルほどの黒色機動群の新型機動兵器。

 

全身が無骨な曲面装甲に覆われ、頭部の緑色の四角いモノアイに、三角形状の巨大な肩アーマーが特徴。

 

 

*1
アルファベットの『C』に由来する。

*2
アルファベットの『D』に由来する。



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登場人物の紹介(アミットフォース)


 

アミットフォース

連合地球軍に抵抗する私設武装組織。

 

100年前、黒色機動群を撃退した連合地球軍が人類に敵対することを危惧したM.G.F. の創設者のシン・クロサキが、協力者であった連合地球軍の士官のアミット・オルフェーヴに設立を依頼した。

 

部隊名のアミットとは、創設者であるアミット・オルフェーヴに由来する。

 

この時代としては珍しく、本物のMS娘を3人も擁している。

 

しかし、組織としては、さほど大きくなく、連合地球軍に対向しているといっても、実際の戦果は小さく、ゲリラ戦を展開するのが関の山といったところである。

 

 

アミール・オルフェーヴ

 

【挿絵表示】

 

アミットフォースの司令官にして、オルフェーヴ家現当主である、17歳の少女。

 

アミットフォースの創設者であるアミットのひ孫。

 

自身も人工MS娘であり、赤いセプテムの装甲服を装着し戦場に立つが、自身の立場上、実際に出撃することはほとんど無い。

 

 

レイナ

 

【挿絵表示】

 

アミールの秘書を務める、見た目は若々しいが30代半ばの女性。

 

どんな危機的状況においても冷静さを失わない。

 

若いアミールの精神的支え。

 

 

テクス

フリーデンの軍医。

 

身長180センチはあろう、メガネをかけた30代の男性。

 

切断されたシィの左腕を接合するなど、天才的な治療技術の持ち主。

 

 

セイビ

フリーデンの技師長。

 

MS娘の装甲服のメンテナンスを担当している初老の男性。

 

 

ティファ

 

【挿絵表示】

 

レズビアン少女で、ランの彼女。

 

 

【フリーデンのMS娘】

 

シィ(イラスト:黒瀬夜明 リベイク)

 

【挿絵表示】

 

エスタルド軍の人工MS娘で、本作の主人公。

 

エスタルド北部に住んでいたが、学校からの下校中に、ディとともにエスタルド軍に拉致され、人工MS娘に改造され、『シィ』という名前をあたえられた。*1

 

本名はクレアだが、人工MS娘の改造手術時に若干の記憶操作が行われ、本名についての記憶が消されている。

 

M.G.F. 、ガスタール軍、ノーザンベル軍の侵攻でエスタルドが壊滅後、脱走兵としてM.G.F. に追われるが、その際、逃げこんだ廃工場にてウイングガンダムセラフィムの装甲服を発見し、M.G.F. を撃退する。

 

その後、追跡してきたシン・クロサキ兵団のドゥエトによって両親を殺され、故郷の村をも失う。

 

その際の戦闘で、左腕を斬り落とされるという悲劇に見舞われる。

 

アミットフォースに救出されたあとは、ウイングガンダムセラフィムの (人工) MS娘として、アミットフォースの一員になる。

 

 

ディ(イラスト:黒瀬夜明 リベイク)

 

【挿絵表示】

 

エスタルド軍の人工MS娘で、シィの親友。

 

一人称はアチキ。

 

エスタルド北部に住んでいたが、学校からの下校中に、シィとともにエスタルド軍に拉致され、人工MS娘に改造され、『ディ』という名前をあたえられた*2

 

本名はディアナだがに人工MS娘の改造手術時に若干の記憶操作が行われ、本名についての記憶が消されている。

 

シィと同じような経緯でアミットフォースに加入。

 

M.G.F. のエスタルド駐留部隊襲撃作戦では、ジェニスの装甲服を装着し、作戦に参加した。

 

 

ラン

 

【挿絵表示】

 

ガンダムエックスのMS娘。

 

赤いパーカーがトレードマーク。

 

レズビアンの少女で、ティファの彼女。

 

 

スー

 

【挿絵表示】

 

ガンダムエアマスターのMS娘。

 

やや口が悪い。

 

 

ロア

 

【挿絵表示】

 

ガンダムレオパルドのMS娘。

 

少々、皮肉屋。

 

 

【装甲服】

 

本来は、MS娘の身に宿ったモビルスーツの魂が映し出した物だったが、現在では人工MS娘の戦闘用強化服である。

 

ガンダムエックス

 

【ステータス】

 

射撃(70)格闘(70)

 

装甲(70)機動性(70)

 

索敵(35)

 

【武装スロット】

 

〇シールドバスターライフル

 

〇サテライトキャノン

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇サテライトシステム

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

ランが装着する装甲服。

 

サテライトキャノンという、超強力な武器を装備している。

 

また、飛行能力を有している。

 

 

【武装】

 

シールドバスターライフル

射撃+28 防御+21

(サテライトエネルギー使用時は+42)

ビーム射撃武器

 

射撃武器だが、シールドとしても使用可能。

 

発射されるビームの色はライムグリーンだが、サテライトエネルギー使用時は青白くなる。

 

非使用時はバックパックに装備されている。

 

ビームサーベル

格闘+28

(サテライトエネルギー使用時は+42)

ビーム格闘武器

 

バックパックに装備されているサテライトキャノンの砲尾に装着されている。

 

ビーム刃の色はライムグリーンだが、サテライトエネルギー使用時は青白いビーム刃が発振される。

 

ブレストバルカン砲

射撃+14

実弾射撃武器

 

腹部に4門装着されている。

 

主に牽制に使用されるが、装備位置の都合上、正面にしか撃てない。

 

サテライトキャノン

射撃+測定不能?

ビーム射撃武器

 

バックパックに装備されている、青白い光弾を放つ超強力なビーム砲。

 

並の防御装備では防御するのは不可能。

 

発射時は、背中に装備されている、L字型に折り畳まれているリフレクターをX字状に展開し、リフレクター中央にある砲身を前方に向ける。

 

そして、フリーデンから照射されるマイクロウェーブをリフレクターで受信。

 

受信したマイクロウェーブをサテライトエネルギーに変換して発射する。

 

絶大な威力をほこる反面、発射までの手間がかかるため、実際には使用できる局面が限られる。

 

また、発射プロセスの都合上、付近にフリーデンがいなければ使用できない。

 

なお、サテライトエネルギーはサテライトキャノンの発射だけでなく、シールドバスターライフルや大型ビームソードのエネルギーに転用することもできる。

 

フラッシュシステム

装甲服に内蔵されているブラックボックス。

 

装甲服の性能を上げたりする物ではないようだが…?

 

 

ガンダムエアマスター

 

【ステータス】

 

射撃(77)格闘(0)

 

装甲(56)機動性(77)

 

索敵(63)

 

【武装スロット】

 

〇バスターライフル

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

スーが装着する装甲服。

 

アミットフォースの装甲服で唯一、飛行形態に変形することができる。

 

機動性が高い反面、装甲が薄いため、防御力が低い。

 

また、接近戦用の武器は無い。

 

 

【武装】

 

バスターライフル

射撃+14

ビーム射撃武器

 

両手に持って使用する武器。

 

非使用時は、腰のサイドアーマーに装着されている。

 

名称こそバスターライフルだが、威力は通常のビームライフルよりも低い。

 

発射されるビームの色は黄色。

 

飛行形態時は、両腕に装備される。

 

ヘッドバルカン

射撃+7

実弾射撃武器

 

頭部に2門装備されている機銃。

 

主に牽制やミサイルの迎撃に使われる。

 

ノーズバルカン

射撃+7

実弾射撃武器

 

飛行時に使用される実弾機銃。

 

ノーズコーンに2門装備されている。

 

固定機銃であるため、正面にしか撃てない。

 

射角に難はあるものの、モビルスーツ形態時でも使用は可能。

 

フラッシュシステム

装甲服に内蔵されているブラックボックス。

 

作動していないらしいが…?

 

 

ガンダムレオパルド

 

【ステータス】

 

射撃(84)格闘(28)

 

装甲(84)機動性(56)

 

索敵(84)

 

【武装スロット】

 

〇ビームナイフ

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

ロアが装着する装甲服。

 

機動性は低いが、厚い装甲による高い防御力をほこる。

 

また、射撃戦に特化しているため、索敵能力が高い。

 

 

【武装】

 

インナーアームガトリング

射撃+42

ビーム射撃武器

 

本機の主力火器で、左腕全体と合体する大型ビームガトリング砲。

 

砲身ユニットは、バックパック左側のアームで懸架されており、使用時に左腕をほぼ丸ごと格納し装着する。

 

運用形態上、上下に多少射角を変更できるものの、基本的に正面にしか撃てない。

 

ヘッドバルカン

射撃+7

実弾射撃武器

 

頭部両側に内蔵された実弾機銃。

 

基本的に、ヘッドキャノンと併用される。

 

ヘッドキャノン

射撃+7

実弾射撃武器

 

頭部両側に内蔵された、ヘッドバルカンより大口径の実弾機銃。

 

基本的に、ヘッドバルカンと併用される。

 

ブレストガトリング

射撃+28

実弾射撃武器

 

胸部装甲内部に内蔵されている2基の実弾ガトリング砲。

 

使用時は、ハッチを跳ね上げて発砲する。

 

銃身が短いため、遠距離における命中精度に難がある。

 

グレネードランチャー

射撃+14

実弾射撃武器

 

右腕に装備された実弾兵器。

 

大口径砲2門と小口径砲4門の計6門の砲口からなる。

 

ショルダーミサイル

射撃+21

実弾射撃武器

 

右肩アーマーそのものが多連装ミサイルポッドになっており、ポッド内部に8基、前部装甲カバー裏に3基の計11基の中型誘導ミサイルが内蔵されている。

 

ホーネットミサイル

射撃+35

実弾射撃武器

 

両脛アーマーに内蔵されている大型ミサイル。

 

赤外線追尾式であるため、レーダーの使えない場所でも自動追尾が可能。

 

なお、1発しか装填されていない。

 

ビームナイフ

格闘+21

ビーム格闘武器

 

右足の側面にマウントされている接近戦用の武器。

 

ビーム刃の色はピンク。

 

刀身が短いため、手に持って使うよりも、投げつける方が多い。

 

フラッシュシステム

装甲服に内蔵されているブラックボックス。

 

作動していないらしいが…?

 

 

ウイングガンダムセラフィム

 

【ステータス】

 

射撃(72)格闘(54)

 

装甲(54)機動性能(72)

 

索敵性能(42)

 

【武装スロット】

 

〇バスターライフル

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇ゼロシステムVer2.5

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

逃亡中のシィとディが、エスタルドの北部にあった廃工場で発見した装甲服。

 

かつて、M.G.F. の創設者であるシン・クロサキが『一般兵士でも使える装甲服』という名目で開発したが、失敗したため、廃棄処分されたと思われていた。

 

じつは、本来の開発目的は、将来、連合地球軍が人類の敵対組織になった時のカウンターウェポンであり、来るべき日に備えて秘匿されていた。

 

保存状態が悪く、修繕したセイビいわく「動いたことが奇跡」。

 

修繕後、シィ専用の装甲服となる。

 

 

【武装】

 

バスターライフル

射撃+48

ビーム射撃武器

 

全長1.5メートルもある、長大な大出力ビーム兵器。

 

発射されるビームの色は黄色。

 

絶大な威力をほこり、黒色機動群の機動兵器すらも、一撃で破壊する。

 

ビームサーベル

格闘+24

ビーム格闘武器

 

背中のウイングのアームに収納されている、接近戦用の武器。

 

ビーム刃の色はピンク。

 

マシンキャノン

射撃+12

実弾射撃武器

 

肩口に内蔵されている実弾3連ガトリングガン。

 

ゼロシステム Ver2.5

装甲服に内蔵されているブラックボックス。

 

作動していないらしいが…?

 

 

ガンダムデリンジャーアームズ

 

【ステータス】

 

射撃(78)格闘(0)

 

装甲(72)機動性(48)

 

索敵性能(72)

 

【武装スロット】

 

〇ダブルガトリングガン

 

〇マイクロミサイルランチャー

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

連合地球軍のエスタルド駐留部隊のMS娘部隊の隊長のアムが使用していたが、アミットフォースに奪取された。

 

じつは、ウイングガンダムセラフィム同様、M.G.F. の創設者であるシン・クロサキが、連合地球軍が人類の敵対組織になった時のカウンターウェポンとして開発した物であり、来るべき日に備えて秘匿されていたが、先に連合地球軍に発見されてしまっていた。

 

 

【武装】

 

ダブルガトリングガン

射撃+36

実弾射撃武器

 

2連装式のガトリングガン。

 

胸部ガトリング砲

射撃+30

実弾射撃武器

 

胸部に2門内蔵されているガトリング砲。

 

マイクロミサイル

射撃+12

実弾射撃武器

 

両肩アーマーや腰のフロントアーマーに内蔵されている小型ミサイル。

 

マイクロミサイルランチャー

射撃+12

実弾射撃武器

 

両足側面に装備されている、マイクロミサイルのランチャー。

 

ミサイルそのものは、肩アーマーや腰アーマーに内蔵されている物と同じ。

 

 

ジェニス

 

【ステータス】

 

射撃(45)格闘(40)

 

装甲(40)機動性(50)

 

索敵性能(25)

 

【武装スロット】

 

〇100ミリマシンガン

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

ディが使用した、アミットフォースの主力装甲服。

 

曲面装甲を主体とした、緑色の装甲服。

 

 

【武装】

 

マシンガン

射撃+20

実弾射撃武器

 

やや大型の実弾マシンガン。

 

銃身下部に、ビームサーベルが装着されている。

 

ビームサーベル

格闘+20

ビーム格闘武器

 

100ミリマシンガンの銃身下部に装着されており、基本的に銃剣として使われるが、銃からはずして、手に持つことも可能。

 

ショルダーバルカン

射撃+5

実弾射撃武器

 

両肩口に装備されている実弾機銃。

 

マシンキャノン

射撃+10

実弾射撃武器

 

胴体両脇に装備されている実弾機銃。

 

 

フリーデン

アミットフォースの母艦。

 

全長 88メートル

全高 32メートル

全幅 52メートル

重量 4260トン

 

元は連合地球軍の陸上戦艦と呼ばれる巨大なホバークラフトである。

 

しかし、フリーデンの艦種は陸上戦艦ではなく、陸上輸送艦である。

 

双胴式の艦体で、左舷側は居住区、右舷側は貨物デッキとなっているが、その貨物デッキを、MS娘の発進デッキに改造している。

 

戦闘艦ではないため、武装は左舷側に装備されている、自衛用の3インチ連装砲塔が1基あるのみである。

 

 

【武装】

 

3インチ連装砲

艦体左舷側に装備されている、自衛用の実弾砲。

 

マイクロウェーブ照射装置

艦体右舷に搭載されている、ガンダムエックスのサテライトキャノンを使用する時に使用する、マイクロウェーブを照射する機械。

 

使用時は、艦体右舷上方に照射用のパラボラアンテナを出す。

 

信頼性が非常に低く、マイクロウェーブの照射時間が極めて短い。

 

*1
アルファベットの『C』に由来する。

*2
アルファベットの『D』に由来する。



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登場人物の紹介(連合地球軍)


 

連合地球軍(れんごうちきゅうぐん)

黒色機動群の襲来によって組織された地球規模の軍事組織。

 

かつては、M.G.F.の支援が主な目的だったが、地球から黒色機動群を撃退後は、M.G.F.を傘下におさめ、地球上の反乱分子の制圧が主な活動内容となっている。

 

 

MS娘(モビルスーツむすめ)

黒色機動群に有効的に対抗できる力を持った、機動戦士ガンダムシリーズに登場するモビルスーツ (MS) の魂をその身に宿した少女達の総称。

黒色機動群との戦闘や、被災地での支援を行う際には、それぞれの身に宿ったMSの魂が映し出した装甲服を装着する。

 

しかし、100年後の現在は、MSの魂を宿した少女はほとんどおらず、普通の少女に身体改造を施した『人工MS娘(じんこうモビルスーツむすめ)』が主流となっている。

 

 

人工MS娘(じんこうモビルスーツむすめ)

装甲服を装着できるよう、身体改造を施した少女。

 

連合地球軍の人工MS娘は、エスタルドの人工MS娘と異なり、黒色機動群の技術を用いていない。

 

その能力は、通常のMS娘に匹敵するほどである。

 

 

モビルスーツガールズフォース(M.G.F.)

通称:M.G.F

100年前、黒色機動群の圧倒的な戦力を前にシン・クロサキによって結成された、MS娘による特殊部隊。

 

しかし、黒色機動群が撃退された100年後の現在では、その力を連合地球軍に対する反乱分子 (=人間) に向けられている。

100年後の世界では、MS娘がほとんど存在しないため、構成人員は人工MS娘となっている。

 

かつては、隊員達は私服行動が認められていたが、現在では水色の制服を着用している。

 

司令官は、M.G.F.の創設者にして初代司令官であったシン・クロサキの名を引き継いでおり、現在の司令官は、第22代シン・クロサキがつとめている。

 

 

【M.G.F.の隊員】

 

シン・クロサキ兵団(へいだん)

M.G.F.の創設者にして初代司令官であった、シン・クロサキの名を冠する、M.G.F.のエリート部隊。

 

一般のM.G.F.隊員とは、同じデザインの黒い制服を着用する。

 

反乱分子の粛清は、基本的に彼女達の役目である。

 

かつて、地球の平和のために尽力した男の名は、100年後の現在では、人類にとって恐怖の対象となっている。

 

 

シャギア

 

【挿絵表示】

 

連合地球軍の人工MS娘で、【シン・クロサキ兵団】の隊長。

 

妹のオルヴァと念話(テレパシー)で会話ができるという、特異な能力を持つ。

 

装着する装甲服はガンダムヴァサーゴ。

 

 

オルヴァ

 

【挿絵表示】

 

連合地球軍の人工MS娘で、【シン・クロサキ兵団】の副隊長格の隊員。

 

姉のシャギアと念話(テレパシー)で会話ができるという、特異な能力を持つ。

 

装着する装甲服はガンダムアシュタロン。

 

 

ライフ

 

【挿絵表示】

 

連合地球軍の人工MS娘で、【シン・クロサキ兵団】の隊員。

 

戦場にて、敵兵の断末魔の悲鳴を聞くのが楽しみという異常者。

 

装着する装甲服はコルレル。

 

 

ミルラ

 

【挿絵表示】

 

連合地球軍の人工MS娘で、【シン・クロサキ兵団】の隊員。

 

他の隊員とは異なり、戦闘時は寡黙になる。

 

装着する装甲服はガブル。

 

 

ドゥエト

 

【挿絵表示】

 

連合地球軍の人工MS娘で、【シン・クロサキ兵団】の隊員。

 

おとなしそうな外見とは裏腹に、戦場で敵兵を斬り刻んでは、飛び散る血を見て「まっかっか まっかっか」と狂喜する。

 

装着する装甲服はブリトヴァ。

 

 

バウアー

 

【挿絵表示】

 

連合地球軍の人工MS娘で、【シン・クロサキ兵団】の隊員。

 

戦闘時に『死の恐怖』を求める。

 

装着する装甲服はラスヴェート。

 

 

第22代シン・クロサキ

連合地球軍のM.G.F.および【シン・クロサキ兵団】の司令官。

 

連合地球軍の少佐で、肥満体の男。

 

勤務中なのにゲームをして遊ぶなど、職務に不熱心な面はあるが、実際には有能な軍人で、ぶっきらぼうながらも部下想いな人物。

 

 

サナ

 

【挿絵表示】

 

連合地球軍の人工MS娘で、M.G.F.の隊員。

 

4人の部下を率いて、シィとディの殺害に向かうが、ウイングガンダムセラフィムを起動させたシィによって部隊は全滅し、自身も戦死する。

 

装着する装甲服はドートレス・コマンド。

 

 

装甲服

本来は、MS娘の身に宿ったモビルスーツの魂が映し出した物だったが、現在では、人工MS娘の戦闘用強化服である。

 

エスタルド軍と異なり、装着者が全裸になる必要はなく、衝撃緩衝用のアンダースーツを着用する。

 

ガンダムヴァサーゴ

 

【ステータス】

 

射撃性能(56)格闘性能(84)

 

対実弾防御(105)対ビーム防御(7)

 

機動性能(63)索敵性能(49)

 

【武装スロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

連合地球軍のM.G.F.の特殊部隊【シン・クロサキ兵団】の隊長シャギアが装着する装甲服。

 

両腕が伸びたり体が伸びるという、謎の機能を有している。

 

防御力も高く、パイロンのマシンガンでは傷一つつかない。

 

 

【武装】

 

ストライククロー(格闘性能+35)

物理格闘武器。

両腕に装備されている、特殊金属でできた黄金の爪。

そのままでも使用可能だが、両腕を伸ばすことで、攻撃範囲を大幅に拡げることができる。

 

ビームサーベル(格闘性能+28)

ビーム格闘武器。

腰のリアアーマーに収納されている、接近戦用の武器。

発振されるビーム刃の色はライムグリーン。

威力は平均的だが、ストライククローと併用することで、数値以上の攻撃力を発揮する。

 

クロービーム砲(射撃性能+14)

ビーム射撃武器。

ストライククローに併設されている、小口径ビーム砲。

これもストライククローと併用することで、一種のオールレンジ攻撃が行える。

 

メガソニック(射撃性能+140)

ビーム射撃武器。

腹部に内蔵されている超強力なビーム砲。

並の防御装備では防御するのは不可能。

発射時は、腹部が上下に伸びるという、異形の姿となる。

さらに、発射時の反動を抑えるため、ストライククローを地面に突き刺して、体を固定する必要がある。

 

頭部バルカン砲(射撃性能+7)

実弾射撃武器。

頭部に2門装備されている、唯一の実弾射撃武器。

 

 

フラッシュシステム

【シン・クロサキ兵団】所属の装甲服に内蔵されている、謎の装置。

 

装甲服の性能を上げたりする物ではないようだが…?

 

 

ガンダムアシュタロン

 

【ステータス】

 

射撃性能(56)格闘性能(84)

 

対実弾防御(105)対ビーム防御(7)

 

機動性能(63)索敵性能(49)

 

【武装スロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

連合地球軍のM.G.F.の特殊部隊【シン・クロサキ兵団】の隊員のオルヴァが装着する装甲服。

 

モビルアーマー形態に変形することができる、【シン・クロサキ兵団】唯一の装甲服。

 

 

【武装】

 

アトミックシザース(格闘性能+42)

物理格闘武器。

バックパックに内蔵されている、ハサミ状のクローアーム。

特殊金属でできたハサミ状のクローは凄まじい握力をほこり、あらゆる物を握り潰す。

モビルアーマー形態でも使用可能。

 

シザースビーム砲(射撃性能+21)

ビーム射撃武器。

アトミックシザースに内蔵されている、小口径ビーム砲。

アトミックシザースでは届かない距離の敵を攻撃するのに使われるが、威力は並のビームライフルと同等。

 

ビームサーベル(格闘性能+21)

ビーム格闘武器。

腰のリアアーマーに収納されている、接近戦用の武器。

発振されるビーム刃の色はライムグリーン。

接近戦では無敵のアトミックシザースがあるため、本武器は基本的に予備兵装。

 

マシンキャノン(射撃性能+14)

実弾射撃武器。

両肩口に装備されている大口径実弾機銃。

頭部のバルカン砲も併用すれば、敵を撃破することもできる。

 

頭部バルカン砲(射撃性能+7)

実弾射撃武器。

頭部に2門装備されている実弾射撃武器。

 

ノーズバルカン(射撃性能+14)

実弾射撃武器。

モビルアーマー時に使用される実弾機銃。

ノーズコーンに4門装備されている。

モビルスーツ形態時には使用されない。

 

 

コルレル

 

【ステータス】

 

射撃性能(0)格闘性能(90)

 

対実弾防御(6)対ビーム防御(0)

 

機動性能(90)索敵性能(66)

 

【武装スロット】

 

〇ビームナイフ

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

連合地球軍のM.G.F.の特殊部隊【シン・クロサキ兵団】の隊員ライフが装着する装甲服。

 

防御力が極限まで削られているが、かわりに凄まじい機動性をほこる。

 

素速い動きで、敵をビームナイフで斬り裂く。

 

 

【武装】

 

ビームナイフ(格闘性能+30)

ビーム格闘武器。

コルレル唯一の武器。

 

 

ガブル

 

【ステータス】

 

射撃性能(0)格闘性能(120)

 

対実弾防御(120)対ビーム防御(∞)

 

機動性能(6)索敵性能(42)

 

【武装スロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

連合地球軍のM.G.F.の特殊部隊【シン・クロサキ兵団】の隊員ミルラが装着する装甲服。

 

コルレルとは真逆の、機動性を犠牲にして、かわりに防御力を極限まで上げている。

 

全高が2メートル半もある、巨大な装甲服。

 

 

【武装】

 

パンチ(格闘性能+120)

物理格闘武器。

両手首のナックルガードを展開して、敵を殴る。

その威力は、黒色機動群のZK級の足をへし折り、頭をちぎり飛ばすほど。

 

フィールドジェネレーター(ビーム防御性能+∞)

ビーム防御装備。

両肩に装備されている対ビーム防御装備で、ビーム兵器に対し絶対的な防御力をほこる。

 

 

ブリトヴァ

 

【ステータス】

 

射撃性能(30)格闘性能(90)

 

対実弾防御(72)対ビーム防御(0)

 

機動性能(66)索敵性能(42)

 

【武装スロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

連合地球軍のM.G.F.の特殊部隊【シン・クロサキ兵団】の隊員ドゥエトが装着する装甲服。

 

ガブルほどではないが、防御力に特化した装甲服。

 

それでいて、機動性も高い。

 

マイクロミサイルを内蔵した、巨大な肩部装甲が特徴。

 

 

【武装】

 

モノフィラメントワイヤーカッター(格闘性能+96)

物理格闘武器。

右手に内蔵されている、ワイヤー状のカッター。

凄まじい切断力をほこるが、先端の推進ロケットを破壊されると使用不能になるという弱点がある。

 

マイクロミサイルランチャー(射撃性能+18)

実弾射撃武器。

肩部装甲に内蔵されている小型ミサイル。

威力は低く、もっぱら牽制に使用される。

 

 

ラスヴェート

 

【ステータス】

 

射撃性能(60)格闘性能(54)

 

対実弾防御(20)対ビーム防御(0)

 

機動性能(84)索敵性能(66)

 

【武装スロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フラッシュシステム(詳細不明)

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

連合地球軍のM.G.F.の特殊部隊【シン・クロサキ兵団】の隊員バウアーが装着する装甲服。

 

コルレルほどではないが、機動性を強化している。

 

【シン・クロサキ兵団】の中でも、シンプルな装甲服。

 

 

【武装】

 

ビームライフル(射撃性能+30)

ビーム射撃武器。

とくにこれといった特徴の無い、平均的な性能のビームライフル。

 

ビームサーベル(格闘性能+30)

ビーム格闘武器。

こちらも、とくにこれといった特徴の無い、平均的な性能のビームサーベル。

 

 

ドートレス

 

【ステータス】

 

射撃性能(45)格闘性能(40)

 

対実弾防御(5)対ビーム防御(0)

 

機動性能(50)索敵性能(25)

 

【武装スロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フライヤーユニット

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

連合地球軍のM.G.F.の主力装甲服。

 

頭部装甲の3つのカメラアイが特徴。

 

長年、M.G.F.の主力だったが、旧式化してきたため、次世代機であるバリエントやドートレス・ネオに更新されつつある。

 

 

【武装】

 

マシンガン(射撃性能+20)

実弾射撃武器。

とくにこれといった特徴の無い、平均的な性能の実弾マシンガン。

 

ビームサーベル(格闘性能+20)

ビーム格闘武器。

こちらも、とくにこれといった特徴の無い、平均的な性能のビームサーベル。

 

フライヤーユニット(機動性能+25)

バックパックに装備される、飛行用ユニット。

空を飛べるようになるだけでなく、機動性も向上する。

 

 

ドートレス・コマンド

 

【ステータス】

 

射撃性能(45)格闘性能(40)

 

対実弾防御(5)対ビーム防御(0)

 

機動性能(50)索敵性能(30)

 

【武装スロット】

 

〇装備無し

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

【性能向上パーツスロット】

 

〇フライヤーユニット

 

〇装備無し

 

〇装備不可

 

〇装備不可

 

連合地球軍のM.G.F.の主力装甲服の指揮官用。

 

頭部装甲の頭頂部が通信機能強化のため、縦に長く伸びている。

 

それ以外は、通常のドートレスと性能は同じ。

 

 

【武装】

 

マシンガン(射撃性能+20)

 

ビームサーベル(格闘性能+20)

 

フライヤーユニット(機動性能+25)

 

 

ハルフェース(シックス)

M.G.F.の移動基地兼巨大輸送機。

 

全長55メートル

全幅80メートル

全高15メートル

の威容をほこる。

 

かつてのM.G.F.の移動基地兼巨大輸送機であったハルフェースの名を引き継いでおり、現在のは6代目。

 

エイのような形をした巨大輸送機であり、機体上部には全通式の発着デッキがある。

 



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西へ


 

アミットフォースの母艦フリーデンは、スリランカの南方沖200キロのインド洋を西に進んでいた。

 

目的地はパキスタン―。

 

じつは、パキスタンに行くことに、アミールとレイナの

対立があったのだ…。

 

 

2日前…。

 

フリーデンの艦橋で

「本艦は、これより、パキスタンに向かいます!!」

と下令するアミール。

 

「何故ですか?

パキスタンには、オルフェーヴ家の協力者はいないはずですが?」

と訊くレイナ。

 

「いないから作るのよ。」

と言うアミール。

 

「お言葉ですが…

パキスタンには、オルフェーヴ家の協力者に相応しい者がいるとは思えないのですが…?」

と、眉をひそめるレイナ。

 

「そんな贅沢は言っていられないわ。

古来より、パキスタンには多数の武装勢力がいるわ。

その中でも最大勢力である

ネオタリバン

と接触するわ。」

というアミールも発言を聞いたレイナは

 

「バカなことをおっしゃらないでください!!

お嬢様は、あの者達が何者なのか、わかっていらっしゃるのですか!?」

と、声を荒げた。

 

「言ったでしょ。

贅沢なんて、言っていられないのよ!!

相手が何者であろうと、私達の利益になりうるのなら、利用させてもらうわ!!」

と言うアミールに

 

「私は同意しかねます!!」

と、レイナは反対したが

 

「もとより、貴女の意見は聞いていないわ!!

これは、決定事項なのよ!!」

と、アミールは全く意に介さなかった。

 

「わかりました。」

と、レイナは艦橋から出ていった…。

 

 

「お嬢様…

よろしいのですか…?」

と訊くオペレーターに

 

「いいのよ。

むしろ、いない方が、静かでいいわ。」

と言うアミール。

 

そして

「これより、我々はネオタリバンと接触するため、パキスタンに向かいます!!」

と下令した―。

 

こうして、フリーデンはパキスタンを目指し、インド洋を西に進んでいるのである…。

 

 

その頃、北太平洋上では、第13特別機甲師団艦隊が、ミッドウェー島基地を目指して航行していた―。

 

 

旗艦アイリッシュの艦橋で

「司令。

偵察衛星より、映像が送られてきました。」

と、ブレックスに報告するオペレーター。

 

「出してくれ。」

とブレックスに言われ、オペレーターはスクリーンパネルに、偵察衛星が送信してきた映像を映す。

 

そこに映し出されたのは、インド洋を西に進むフリーデンだった。

 

「あれが、アミットフォースの母艦のフリーデンですか?」

と言う、アイリッシュの艦長のヘンケン中佐。

 

「そうだ。

かつて、我軍で使用していたアルプス級陸上戦艦を改造した物だ。」

と、ヘンケンに教えるブレックス。

 

「どこに向かっているのでしょうか?」

と言うヘンケン。

 

「現在地は、スリランカの南方沖200キロです。」

と言うオペレーター。

 

「そこでは、まだ、どこに向かうのか、判断できんな。」

と言うブレックス。

 

「考えられるのは、アミットフォースの協力者がいるであろうインドの西側か中東でしょうね。」

と言うジーナ。

 

「いくらなんでも、ここからインド洋までは距離がありすぎます。

ミッドウェー基地まで、まだ2日はかかります。

ここは、インド駐留軍に出撃を要請した方がよろしいのでは?」

と、ブレックスに進言するヘンケン。

 

「大尉は、どう思う?」

と、ジーナに振るブレックス。

 

「私もヘンケン艦長に同意します。

インド駐留軍に手柄を取られるのはシャクではありますが…。」

と言うジーナ。

 

「わかった。」

と答えたブレックスは

 

「インド駐留軍に、フリーデン攻撃の出撃を要請してくれ。」

と、オペレーターに指示した―。

 

 

午後3時―。

 

インド洋スリランカ南方沖―。

 

 

フリーデンのレーダーが、接近してくる多数の機影を捉えた。

 

「北から接近してくる機影多数!!

おそらく、連合地球軍のインド駐留軍と思われます!!」

と報告するオペレーター。

 

「見つかったか…!!

迎撃する!!

MS娘達を出撃させなさい!!」

と叫ぶアミール―。

 

 

「総員、第一種戦闘配備!!

MS娘は、ただちに出撃せよ!!」

と、響きわたるサイレンの音とともに、艦内アナウンスが流れる。

 

シィ達は更衣室に駆け込み、アンダースーツに着替える。

 

「海の上での戦いだから、ロアとディはお留守番だね☆」

と言うランに

 

「そのかわり、海に落ちても、助けに行かないからね★」

と、笑顔で言うロア。

 

「アチキは、シィが海に落ちたら、助けに行くぞ!!」

と言うディに

 

「それは嬉しいけど…

ディ、泳げないじゃない…。」

と、困り顔をするシィ。

 

「ほら!!

ムダ話ばかりしてないで…

行くぞ…ッ!!」

とスーに言われ、着替え終わったシィ達はアッセンブルルームに向かった―。

 

 

アッセンブルルームで、ガンダムエックスの装甲服を装着するラン。

 

「マイクロウェーブ照射装置の具合が良くないんだ★

だから

D装備

でいくぞ!!」

と言うセイビ。

 

「よろしくぅ☆」

と言うラン。

 

ガンダムエックスの装甲服を装着したランの背中に、X字型に装備されたビームサーベルとプロペラントタンクを備えたバックパックが装着され…

右手には2連装ビームマシンガン

左手には展開式シールド【ディバイダー】

を持った

ガンダムエックス・ディバイダー

で出撃するラン―。

 

 

フリーデンの後部ハッチが開き、空に飛び上がる

ウイ([シィ])ングガンダムセラフィム

ガン([ラン])ダムエックス・ディバイダー

ガン([スー])ダムエアマスター

 

空を飛べない

ガン([ディ])ダムデリンジャーアームズ

ガン([ロア])ダムレオパルド

は、フリーデンの右舷デッキに立つ―。

 

 

上昇していく

ウイ([シィ])ングガンダムセラフィム

ガン([ラン])ダムエックス・ディバイダー

ガン([スー])ダムエアマスター

に、敵の情報が伝わる。

 

《敵はドートレス・フライヤーと戦闘用ドローン(ガディール)、合わせて100数機!!〉

という報告を聞いて

 

問題無いよぉ〜っ☆

と、はるか前方に見える連合地球軍の編隊に向けて、左手に持つディバイダーを横にかまえる。

 

すると、シールドが左右に割れて、中から13連装ビーム砲【ハーモニカ砲】が出てきた。

 

いっけぇ〜っ☆

と、ハーモニカ砲を撃つガン([ラン])ダムエックス・ディバイダー。

 

ハーモニカ砲から放たれた13本のピンク色のビームが、はるか前方に見える連合地球軍の編隊に向かっていく。

 

まもなく、はるか前方に、多数の爆炎が見えた。

 

そして、連合地球軍の編隊が散開し始めた。

 

いくよ…っ!!

と、ガン([ラン])ダムエックス・ディバイダーを先頭に、連合地球軍の編隊に向かっていくガン([スー])ダムエアマスターとウイ([シィ])ングガンダムセラフィム―。

 

 

「そこぉっ!!」

と、右手に持つ2連装ビームマシンガンを撃つガン([ラン])ダムエックス・ディバイダー。

 

ドートレス・フライヤー2人とガディール1が撃墜された―。

 

 

「えぇいっ!!」

と、バスターライフルを撃つウイ([シィ])ングガンダムセラフィム。

 

バスターライフルから放たれた大出力ビームにより、ドートレス・フライヤー数人とガディール数機が撃墜された―。

 

 

「オラオラァッ!!」

と、両手に持つバスターライフルを連射するガン([スー])ダムエアマスター。

 

ガン([スー])ダムエアマスターのバスターライフルの連射により蜂の巣にされたドートレス・フライヤーが爆散する―。

 

 

ビームサーベルを振りかざしたドートレス・フライヤーが、ガン([ラン])ダムエックス・ディバイダーに迫ってきた。

 

ガン([ラン])ダムエックス・ディバイダーは、右手に持つ2連装ビームマシンガンを腰の後ろにマウントすると、右手でバックパックの大型ビームソードを抜く。

 

発振されたライムグリーンのビーム刃で、ドートレス・フライヤーの胴体を斬り裂いた―!!

 

ガン([ラン])ダムエックス・ディバイダーの大型ビームソードで斬られたドートレス・フライヤーは、真っ赤な血を噴きながら落ちていき…

 

爆散した…。

 



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ミッドウェー島基地


 

ウイ([シィ])ングガンダムセラフィム

ガン([ラン])ダムエックス・ディバイダー

ガン([スー])ダムエアマスター

が上空で戦っている時…

 

空を飛べない

ガン([ディ])ダムデリンジャーアームズ

ガン([ロア])ダムレオパルド

は、フリーデンの右舷デッキで連合地球軍を迎撃していた。

 

「こんちくしょうぉッ!!」

と、ミサイルやガトリングガンを乱射するガン([ディ])ダムデリンジャーアームズ。

 

ドートレス・フライヤーがガトリングガンの弾幕を回避するも、ミサイルは回避できず、脇腹に直撃をくらい、真っ赤な血を噴きながら海に落ちていった。

 

3機のガディールが、ビームライフルを撃ちながら降下してくる。

 

「ぬおぉーッ!!」

とガトリングガンを乱射するガン([ディ])ダムデリンジャーアームズだったが、なかなか当たらない…。

 

「うおぉーッ!?」

 

ついに、ガディールに撃たれてしまうガン([ディ])ダムデリンジャーアームズ…。

 

しかし、強固な装甲のおかげで、被弾しても、ディが傷を負うことはなかった。

 

そして…

 

とうとう、2人のドートレス・フライヤーが、デッキに降り立たってしまった。

 

しかし、瞬く間に、2人のドートレス・フライヤーはガン([ロア])ダムレオパルドのインナーアームガトリングで蜂の巣にされた。

 

蜂の巣にされた2人のドートレス・フライヤーは、真っ赤な血を噴きながら倒れたあと、爆散した。

 

「すまねぇ…。」

と謝るガン([ディ])ダムデリンジャーアームズ。

 

《謝るヒマがあるなら、戦ってくれない?

今は戦闘中だよ★〉

と言うガン([ロア])ダムレオパルド。

 

「そうだな…☆」

と、ガン([ディ])ダムデリンジャーアームズは襲いくるドートレス・フライヤーやガディールを狙って、ガトリングガンを撃ち続けた―。

 

 

やがて、連合地球軍インド駐留軍は撤退し始めた。

 

30分ほどの戦闘で、出撃したドートレス・フライヤーの約3分の1およびガディールも約3分の1を失ったのだ…。

 

 

シィ達も帰艦してきた。

 

連合地球軍の大部隊との戦闘だったが、大きな被害も無く、シィ、ラン、スーの3人は、無事に帰艦できた。

 

艦橋では

「本艦の被害は?」

と訊くアミールに

 

「被弾箇所はありますが、いずれも損傷軽微で、海上航行に支障はありません。」

と答えるオペレーター。

 

「あの…

このまま、隠れる場所も無い海上を進むのは危険かと…。」

と進言するオペレーター。

 

「だからといって、地上からパキスタンには行けないでしょ。

ジャミングジェネレーターを上手く使って、アラビア海を北上するのよ!!」

と言うアミール。

 

ジャミングジェネレーターは便利だが、2時間以上使用できないという欠点がある。

 

なにより、オペレーターの指摘通り、隠れる場所の無い海上を、偵察衛星に見つからずに移動するなど不可能だ。

 

それでも…

 

フリーデンはパキスタン目指して、インド洋を進んでいった…。

 

 

午後4時―。

 

北太平洋上―。

 

ミッドウェー島基地を目指して航行している第13特別機甲師団艦隊の旗艦アイリッシュの艦橋では、連合地球軍インド駐留軍がフリーデンの攻撃に失敗したという情報が入ってきた。

 

「たった1隻の陸上戦艦相手に、インド駐留軍が壊滅しただと…!?」

と、驚くヘンケン。

 

「お言葉ですが艦長…。

アミットフォースには、私達のような人工MS娘ではなく

本物のMS娘

がいるのです。」

と言うジーナ。

 

「あの、シン・クロサキ兵団ですら、歯が立たない相手なのだ。」

と言うブレックス。

 

「だったら…

我々は、一体、何のために出撃しているのだ?」

と顔をしかめるヘンケン。

 

「たしかに、私は人工MS娘です。

それでも、MS娘としての誇りは持っているつもりです。

首は取れなくても、腕1本は取るつもりです。」

と言うジーナ。

 

「頼もしいぞ、大尉!!」

と、ジーナを称えるブレックス。

 

そして

「聞いてのとおりだ、艦長。

私も、たとえ、アミットフォースに敗れようとも、あやつらの母艦を破壊するくらいの気概はあるぞ!!」

と、ブレックスはヘンケンを叱咤する。

 

「もうしわけございませんでした、司令!!」

と、ブレックスに敬礼するヘンケン―。

 

 

2日後―。

 

第13特別機甲師団艦隊は、ミッドウェー島基地に到着した―。

 

 

旗艦アイリッシュの艦橋では…

 

「それでは、ジーナ大尉。

君はMS娘1個中隊を率いて、アウドムラV世でインドに向かってくれ。」

と、ブレックスがジーナに下令していた。

 

「了解しました!!」

と、ブレックスに敬礼するジーナ。

 

そして、ジーナはブリーフィングルームに向かった―。

 

 

ジーナがブリーフィングルームに入ると、出撃する中隊のMS娘達がそろっていた。

 

入ってきたジーナに敬礼するMS娘達。

 

「これより、我々、先遣隊は、アウドムラV世に移乗し、インドに向かいます。」

と言うジーナ。

 

「インド駐留軍が、アミットフォースに敗れたと聞きましたが?」

と言うポリィ。

 

【挿絵表示】

 

「その通りよ。

今回の相手は、一筋縄ではいかないわ。

みんなも、全滅覚悟で、今回の任務にあたってちょうだい。」

と言うジーナに

 

心配すんなよ、サングラス☆

と言うトゥ。

 

「さすがは、シン・クロサキ兵団の候補生…。

たいした自信ね。」

と、トゥの方を見るジーナ。

 

「謝ろうよ、トゥ…。」

と、トゥをなだめるキララ。

 

「ジーナ大尉!!

無礼な発言をお許しください!!」

と謝罪するノゥ。

 

しかし、トゥは

「いいかッ!?

よく聞け、サングラスッ!!

オレ達はな、マニュアル通りの訓練なんて、やっちゃいねぇんだよッ!!

だから、誰も死にゃしねぇよッ!!

大船に乗った気でいろよッ☆」

と豪語した。

 

それを聞いたジーナは

その過信は自分の足をすくうわよ?

と、サングラスをはずして、微笑んだ。

 

「へぇ〜☆

カワイイ顔してんぢゃん☆」

と、ジーナを褒めるトゥ。

 

あらためて言われるまでもないわね。」

と、サングラスをかけるジーナ。

 

それを聞いたトゥは

過信してんのは、オマエの方だろ★

と、心の中でツッコんだ…。

 

「それでは、これより、アウドムラV世に移乗する!!」

とジーナを先頭に、ブリーフィングルームから出ていくMS娘達―。

 

 

アウドムラV世の離陸準備が終わったのは、午後7時前だった。

 

陽はまだ沈みきっておらず、西の空をオレンジ色に染めていた。

 

そんな時だった。

 

突如、敵襲を報せるサイレンが鳴り響いた―。

 

 

アウドムラV世の艦橋では

「何事だ!?」

と、機長がオペレーターに訊いていた。

 

「司令部より通達!!

上空から降下してくる機影を多数確認したとのことです!!」

と叫ぶオペレーター。

 

「何だと?

何者だ!?」

と叫ぶ機長。

 

現在、連合地球軍が戦っている相手は、アミットフォースの他は…

 

黒色機動群か…!?

と叫ぶ機長。

 

「データ照会…

黒色機動群の降下ポッドです!!」

と叫ぶオペレーター―。

 

 

『総員、第一種戦闘配置!!』

という艦内アナウンスを聞いたジーナは、艦橋に問い合わせる。

 

「どうしたんですか?」

と訊くロヴェール。

 

【挿絵表示】

 

「黒色機動群の襲撃よ!!」

と言うジーナ。

 

「こんな時に!?」

と驚くポリィ。

 

「我々も出撃する!!」

と言うジーナに

 

「「了解!!」」

と答えるポリィとロヴェール。

 

待っていたぜぇッ☆

と喜ぶトゥ。

 

頼りにしているわよ。」

と、更衣室に向かうジーナ達。

 

「行くぜッ!!

キララ、ノゥッ☆」

 

「うん…!!」

 

「しょうがないわね…★」

と、トゥを先頭に、キララとノゥも更衣室に向かった―。

 

 

アウドムラV世の出撃デッキに

ガンダムサンドレオン

の装甲服を装着したトゥ

 

ガンダムデスサイズギルティ

の装甲服を装着したキララ

 

ティエンロンガンダム

の装甲服を装着したノゥ

 

が現れた。

 

そして―

 

トゥッ!!

ガンダムサンドレオンッ!!

いくぜぇッ!!

 

「キララ…

ガンダムデスサイズギルティ…

行ってきます…!!」

 

「ノゥ。

ティエンロンガンダム、出ます!!」

 

ガン([トゥ])ダムサンドレオン

ガンダ([キララ])ムデスサイズギルティ

ティ([ノゥ])エンロンガンダム

が、夜の闇の中に出撃していった―。

 

 

一方、ジーナ、ポリィ、ロヴェールの3人は

新型装甲服・バリエント

を装着していた。

 

ジーナの装甲服は、赤と明灰白色のツートンカラーで

ポリィとロヴェールの装甲服は、黒とダークグレーのツートンカラーだった。

 

「ジーナ。

バリエント、出る!!」

 

「ポリィ!!

バリエント、出ます!!」

 

「ロヴェール!!

バリエント、発進します!!」

 

と、ジーナ、ポリィ、ロヴェールは出撃していった―。

 



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ミッドウェー島基地2


 

降下してくる黒色機動群の降下ポッドは、全部で15機。

 

1機につき人型巨大兵が4機搭載されている。

 

降下ポッドの外装は非常に強固で、MS娘のビームライフル程度では破壊するのは不可能だ―。

 

 

降下ポッドは、ミッドウェー島の南側の海岸付近に降下した。

 

ところが、その内の4機が海に落ちてしまった。

 

理由は不明だが、黒色機動群の人型巨大兵は、海水に浸かると機能が停止してしまう

のだ。

 

これにより、月から地球に送り込まれた60機の人型巨大兵の内、16機が戦うことなく失われた…。

 

それでも、残る44機が、降下ポッドから出てきた。

 

たちまち、連合地球軍部隊の砲火にさらされる、黒色機動群の人型巨大兵。

 

しかし、通常の火砲では、黒色機動群の人型巨大兵に傷をつけることすらできない。

 

黒色機動群の人型巨大兵は、右手に持つダブルガトリングガンを発砲し、沿岸部の砲台や、迎撃に来た戦車を破壊していく。

 

ミッドウェー島南部の沿岸部は、たちまち、破壊された連合地球軍の兵器の炎で照らされた…。

 

そこに…

 

ぉうらあぁッ!!

と、ガン([トゥ])ダムサンドレオンが、右手首に装備されているハイゴールドショーテルで、黒色機動群の人型巨大兵の首を斬り落とした。

 

首を斬り落とされた黒色機動群の人型巨大兵は両膝をつき、うつ伏せに倒れて爆発した。

 

続いて…

 

「一撃で死ねば、痛くないよね…?」

と、ガンダ([キララ])ムデスサイズギルティがビームシザースで、黒色機動群の人型巨大兵の腹部を斬り裂いた。

 

そして…

 

「ハッ!!」

と、ティ([ノゥ])エンロンガンダムが両腕のドラゴンハングを伸ばし、2機の黒色機動群の人型巨大兵の腹部を刺し貫いた。

 

 

上空からジーナ達も攻撃するが…

 

何だと…!?

 

黒色機動群の人型巨大兵に、バリエ([ジーナ])ントのビームライフルが、全く効かないのだ…!!

 

《大尉…

これは…!?〉

と、ポリィからの通信が入る。

 

新型装甲服バリエントのビームライフルが効かないのだから、隊員達のドートレスのマシンガンも、もちろん通じない。

 

逆に、黒色機動群の人型巨大兵のダブルガトリングガンによって、ドートレス達が次々と撃ち殺されていく…。

 

《サングラスは引っ込んでろッ!!〉

と、トゥからの通信が入る。

 

「あなたねぇ!!

上官に向かって、なんて口の聞き方をしているの!!」

と、トゥの態度に激怒するロヴェール。

 

「いや…

トゥの言う通りだ…。

どうやら、私達は何の役にも立たないみたいだ…。」

と、ロヴェールをなだめるジーナ。

 

「黒色機動群の相手はトゥ達にまかせて、私達は後退する!!

トゥ、キララ、ノゥ、頼むぞ!!」

と、後退するジーナ達…。

 

 

「サングラスのお墨付きももらえたぜッ☆

いくぜ、キララ、ノゥ!!

コイツら全員、ブッ殺すぞッ☆」

と、右腕のハイゴールドショーテルで黒色機動群の人型巨大兵の首を刎ねるガン([トゥ])ダムサンドレオン。

 

「うん…。」

と、ビームシザースで黒色機動群の人型巨大兵の腹部を切り裂くガンダ([キララ])ムデスサイズギルティ。

 

「だから、ジーナ大尉のことをサングラスって呼ぶの、やめなさい!!」

と、右腕のドラゴンハングを伸ばして黒色機動群の人型巨大兵の頭部を破壊するティ([ノゥ])エンロンガンダム―。

 

 

30分にわたる戦闘で、44機いた黒色機動群の人型巨大兵は、トゥ、キララ、ノゥの3人によって全機撃破された―。

 

 

予想外の黒色機動群の襲撃により、第13特別機甲師団の派遣部隊が大損害を被ったため、出撃できなくなってしまった…。

 

幸いというべきか、戦場はミッドウェー島南部の沿岸部だったので、内陸部にある基地の施設や設備には、ほとんど被害が無かった。

 

そして…

 

海没した黒色機動群の降下ポッドを回収し、人型巨大兵を鹵獲して、意外な事が判明した。

 

今回、ミッドウェー島基地を襲撃してきた人型巨大兵だが

全身が無骨な曲面装甲に覆われ

紡錘形の頭部に四角いモノアイ

三角形状の巨大な肩アーマー

という、これまで確認されていない、新型機だったのだ。

 

しかも、連合地球軍の新型装甲服であるバリエントのビームライフルが通じないという、驚異的な装甲強度をほこっている…。

 

 

「冗談じゃありませんよ!!

ただでさえ、アミットフォースよりも戦力が劣っているのに、黒色機動群の新型機すら破壊できないんじゃ、アミットフォースと戦う以前の話ですよ!!」

と叫ぶヘンケン。

 

「その通りだ。

一気に60機も送り込んできたということは、すでに生産ラインが稼働しているということだ。

この事を一刻も早く、ニューヤークの総司令部に伝えるべきだ。」

と、ヘンケンに同意するブレックス。

 

「では、アミットフォースの追撃は?」

と訊くジーナに

 

「延期せざるをえんだろう。

ヘンケン艦長の言う通り、黒色機動群にすら勝てない我々が、なぜアミットフォースに勝てるのだ?

残念ではあるが、我々の任務はここまでだ。」

と言うブレックス。

 

 

第13特別機甲師団は、ニューヤークの連合地球軍総司令部に作戦中止を進言した。

 

ところが…

 

 

「作戦を続行せよ…ですって!?」

と、驚くヘンケン。

 

「うむ…。

総司令部の方から

増援

を送るので、増援部隊と合流し、作戦を続行しろ…とのことだ…。」

と言うブレックス。

 

「増援?

どこの部隊ですか?」

と訊くヘンケンに

 

「【炎の時計部隊

だよ…。

早ければ、明日の昼過ぎには、ここに到着する予定だ。」

と言うブレックス。

 

「【炎の時計部隊】…。

シン・クロサキ兵団なみに、厄介な連中ですね…。」

と、ため息をつくジーナ。

 

「しかし…

一応、頼りになる連中ではある…。」

と言うブレックス。

 

そして

「我々、第13特別機甲師団は、明日、到着予定である【炎の時計部隊】と合流し、アミットフォース追撃の任務を続行する!!」

と下令した。

 

「「了解!!」」

と敬礼する、ヘンケンとジーナ―。

 

 

一方、フリーデンは―。

 

 

パキスタンに向かっていたフリーデンは、その後、連合地球軍インド駐留軍の散発的な襲撃にあいながらも、インド西部のアラビア海を北上し…

 

ついに、パキスタンに到着した―。

 

 

フリーデンの艦橋では…

 

「お嬢様。」

と、パキスタンに向かっている間、全く姿を見せなかったレイナが艦橋に来た。

 

「何の用かしら?」

と訊くアミールに

 

「ネオタリバンとの交渉…

私に任せていただけませんか?

と言うレイナ。

 

「なんですって!?」

と驚くアミール。

 

「ど…

どういう風の吹き回し?

あんなにも反対していたのに…?」

と訊くアミールに

 

「もちろん、今でも反対です。

しかし、ここまで来てしまった以上、もう引き返せませんので…。」

と言うレイナ。

 

「しかし、ネオタリバンとの交渉は、オルフェーヴ家の当主である私が行きます!!」

と言うアミールに

 

「ダメです。

ネオタリバンの本拠地に、お嬢様が行かれるのは危険です。

そして、お嬢様のような若い方では、まともな交渉などできないでしょう。」

と言うレイナ。

 

ネオタリバンの本拠地に行くのが危険なのは覚悟の上だが、交渉の相手がつとまらない…というのは、我慢ならなかった。

 

「人を見かけで判断するような者など、説き伏せてみせるわ!!」

と意気込みアミールに

 

「しかし、人は見かけで判断します。

ネオタリバンとの交渉は、私にお任せください。

必ずや、お嬢様のご期待に応えてみせます。」

と言うレイナ。

 

「何なの…?

よほど、自信があるみたいね…。

わかったわ…。

レイナにまかせるわ…。」

と言うアミール。

 

「はい…☆」

と微笑むレイナ―。

 

 

こうして、レイナは護衛役のランとともに、反対していたネオタリバンとの交渉に赴くのだった―。

 



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