アルまど様「干渉できない特殊な宇宙が増えてたので見てみたら自分が犯されてた」 (夜月工房)
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円環の理は今日も平和です

※本作は二次創作であり、記載のない設定による辻褄合わせが行われているため、登場人物は全員18歳以上です。タブンネ


 作中の誰にも呼ばれないし多分自覚もないアルティメットまどかという正式名称を持つ通称アルまど様は、ありとあらゆる世界においてソウジェムが濁りきる最期を迎えた魔法少女を魔女になってしまう前に円環の理へと導くことで救済する法則を全宇宙にもたらした神様です。

 働き者のアルまど様は日夜たくさんの宇宙でソウルジェムの濁りきった魔法少女を救っています。

 ただし、ソウルジェムが砕けた系の最期を迎えた魔法少女には手が出せません。

 世知辛いことですが、壊れた魂の修復や時間への干渉といった手段による復元は、宇宙にかける負担が大きすぎて実行できないのです。マギレコのワルプルギス戦で起きた奇跡を想って頂ければご理解いただけると思われます。

 仮にできたとしたら、それはもはや宇宙の法則を超越した上位存在(もうチートや、チーターやろそんなん!)ということになります。

 

 さて、そのマギレコです。

 

 ある時、アルまど様は自らが干渉できない宇宙が存在することに気付きます。

 アルまど様は困ってしまいました。これではその宇宙の魔法少女たちを救済することができません。自分の存在意義が揺らぎかねない事態にアルまど様はちょっぴり慌てて、それ以上に救われない魔法少女たちを思って心を痛めました。

 一度その存在を知ってしまえば放っておくことなどできません。アルまど様は自分が干渉できないその原因を探っていき、とある一人の魔法少女が基点となって宇宙の歴史が変わっているのだと突き止めることに成功しました。

 その宇宙の歴史を眺め続けたアルまど様は、最終的にその宇宙の魔法少女たちが掴み取った未来の果てに新たな円環の理が生まれたのを見届けました。

 途中で思わず魔法少女たちを応援するために無理矢理な干渉をして、その宇宙を消滅させそうになるお茶目も起こしましたが、結果的に無事だったので良しとします。正直、その時の応援がなければ魔法少女たちの勝利が怪しかったのも確かでした。

 

 と、そこでアルまど様は思い出しました。これはお隣さんに引っ越してきた新しい円環の理こと∞いろはちゃんが持って来てくれた引っ越し祝い、通称マギア・レコードだったのです。どうやらここまで見届けたことで記憶の封印が解除されたようです。決して物忘れが激しくなったとか、そんなものでは、決して、ありません。こっそり魔法少女で収まる範囲の分身を送り込むという召喚に応じる神霊みたいな真似をしていたことを覚えていない振りをしたことが裏目に出ていますが、別に誰からも追及されないので問題ありません。

 

 謎が解決してすっきりしたアルまど様は日常業務に戻ろうと宇宙の観測を始めます。

 

 いつものようにソウルジェムが濁りきる魔法少女を見付けては円環の理に導いていくのを繰り返していると、再び干渉できない宇宙を見付けました。

 

 一度経験がある以上、慌てることはありません。まずはこの宇宙の自分がどうなっているのかを確認しようと大型のモニターに投影して……停止しました。衝撃の余り、叫ぶことすら忘れています。

 少し経つと停止は解けたのですが、心中穏やかなはずはありません。

 取り乱してじっとしていることができず、さりとて目的も定まっていないので、あわあわと意味のない動きを繰り返しています。

 ですが、このような反応も無理がありませんでした。だって、大型のモニターにでかでかと映っていたのは、懐かしき一般魔法少女時代の衣装に身を包んだ自分(鹿目まどか)の姿。別の宇宙では当たり前に見かけるとか言ってはいけません。今の自分からすると遠い過去でもあるのです。円環の理の仕様上、未来でもあるのですが。

 

 そんな一般魔法少女姿の自分(まどか)が何をしているかといえば

 

 

 

       ○

       

    し  ッ

    て

 ま  お  ク

 ど  り

 か  ま  ス

    し

    た

   

 

 

 亀のように丸まっている自分が、後ろから腰を掴まれ、相手の腰を打ちつけられていました。動きに合わせてどこか猫のような声をあげています。

 

 アルまど様は処女です。なにせ具体的な年齢を出すのは控えますが花も恥じらう中学二年生を境に男旱を通り越した環境に身を置いているのです。男性経験などあろうはずがありません。

 性知識は保健体育で学んだ浅く狭い学術的な部分がほとんどです。

 友達ともそういった話題で盛り上がった経験はありません。

 雑誌などで目にしたときでも気恥ずかしさから基本的に飛ばしていました。一人でこっそり読み耽ったことがないとは言いません。

 自慰に関しても、興味はあったけど怖くて試したことがないタイプの処女です。

 親友のさやかちゃんに胸を揉まれたりしたことはあっても、ただのボディランゲージで、お風呂で体を洗うようなものです。性的な意識はなく、快楽とも無縁なものでした。

 どこかの時空でほむらちゃんから色々(裂けちゃう)されたのかもしれませんが、まったく記憶にございません。

 

 そんな自分(まどか)が、色々すっ飛ばして大人エレベーター(エスイーエックス)しています。

 

 果たして自分(まどか)はそんな淫らな少女だったのでしょうか。

 否定から入るべくアルまど様はかつての自分(鹿目まどか)をじっくり観賞します。

 神様としての不屈の精神でこれは別人、自分に良く似た別人、と念じながらガン見します。

 本人は気がついていませんでしたが、手が胸に伸びていました。この瞬間、アルまど様は性に目覚めたのでしょう。

 

 まず体位。亀のように丸まって踞る自分(まどか)を逃げないように押さえているように見えます。

 もしやこれは無理矢理な行為で、自分(まどか)は苦しんでいるのでは……あぁ、枕にした腕で目は隠れていますが、露出している口元は弧を描いています。どう見ても笑顔です。

 涎も垂れてだらしなくはしたない様子はアニマルカフェでもふもふに包まれているそれに良く似ています。幸せ全開ですね。

 

 しかしこの程度ではアルまど様は諦めません。レディースコミックに載っていたコラムで取り扱われていた薬物を使用されているのかもしれません。

 ホラ、画面の向こうで自分(まどか)もダメとか言ってます。これは体を無理に気持ち良くされても心は嘆き苦しみひび割れそうになって……う~ん、まさかの辞めちゃヤダ。体を起こして振り向きながら行為の延長をおねだりする様は飼い主が撫でるのを止めてしまった時のわんこのごとくです。

 

 アルまど様は屈しそうな心をなんとか奮い立たせて観賞を続けます。まだです、まだ負けていません。

 あーっと、ここで我慢できず自分から動き始めました。積極的。キスもですね。何なら口を開けて舌を突き出しながら顔を近づけました。相手の男の子も優しく抱き締めて受け入れております。わーお濃厚。水音がめっちゃsexuality。しかも合間合間でめっちゃ好き好き言ってますね。これはポイントが高い。ですがそこはかとなく親鳥と給餌される雛のような微笑ましさを感じさせる、実に不思議な光景です。

 

 良く見たらソウルジェムには一点の曇りもありません。見たことないくらいピッカピカのペッカペカです。

 本来ならこの現象を不思議に思うべきアルまど様でしたが、余裕を失っているためできませんでした。

 なぜなら、自分(まどか)の浮かべているうっとりとしながらもどこか安心しきったした表情は確実に自分(アルまど)の知らないものだったのです。この時点でアルまど様の心の中は羨ましいという気持ちが大半を占めていました。

 アルまど様は神になった時点で割り切りはしていますが、いわゆる白馬の王子様というものへの憧れそのものが完全になくなったわけではありません。

 素敵な男性に愛されたい気持ちがあることは、未だに女の子の姿を保っていることからわかります。周囲もなんとなく察していることでしょう。

 わたしの、最高の友達――その存在を忘れたことはありません。ですがそれは友達なのです。性知識に疎いアルまど様は、もちろん○フレなどという概念をお持ちではございませぬ。

 

 と、ここで駄目押しとばかりに一言、赤ちゃん欲しいが入りました。これはもうあきまへん。流石にアルまど様は認めざるを得ませんでした。この宇宙の自分(まどか)は見知らぬ男の子とよろしくやっているのだと。

 

 繋がったまま体の向きを変えて、両者は動き始めます。

 体の揺れに合わせて漏れる甘い声は同性……自分自身(アルまど)であってもおかしな気分にさせられてしまう魔性を備えていました。ここで男の子ではなく自分(女の子)の声に注意が向く辺り何か深い事情を感じさせます。

 そのまま二人は互いに互いを気遣いながらも高め合い、同時に最後の瞬間を迎えました。

 アルまど様は途中から夢中になる余り体を動かすことも忘れてしまっていたのですが、画面の中の自分(まどか)に釣られるように興奮が高まっていき、最後の瞬間に合わせて頭の中が真っ白になったような不思議な感覚を体験しました。

 本人(本神?)に自覚はまだありませんが、初イキのオカズが自分になるとは流石のアルまど様も見抜けませんでした。見抜きはしたわけですが。

 

 行為が一段落した二人はそのまま優しい笑顔で見つめ合った後で軽くキスを交わし、感想戦に移っています。

 この頃にはアルまど様も落ち着きを取り戻しつつあり、自分の失態を認識してしまいました。

 半端な落ち着きが悪かったのでしょう。アルまど様はなんということしてしまったのかという自責や、自分の身体と服、床等の惨状に対する感情から、つい叫んでしまったのです。

 すぐに自分の口を押さえますが、叫んだ声が戻って来るものでもありません。

 ほどなくして、叫んでしまった自分を心配して親友を始めとする円環の理に招いた魔法少女たちが駆けつけてくれました。

 その直前、アルまど様は慌ててモニターを消そうとして、しかし運命の悪戯か、自分から垂れた分泌液に足を滑らせてすっ転び、あられもない姿を晒してしまいました。もちろん、モニターには変化なしです。

 まぁ、二人とも服は着たままだったしピロートークを続けているなら映っているのは上半身だけ……そんな淡い希望は容易く打ち破られました。

 

 まさかの二回戦突入済でした。

 

 男の子は一度達したら大人しくなるって授業で習ったのは嘘だったのかな。

 そんな現実逃避にも似た疑問を浮かべながら、アルまど様は指を絡める形で両手を繋ぎ、馬乗りになって腰を振っている自分(鹿目まどか)の痴態を見られてしまうのでした。黄色い歓声が上がっているような気もしますし、お赤飯という単語が聞こえた気もします。

 一応、結合部分はスカートで隠れていたからセーフ……なんてわけには、当然いきませんでしたとさ。

 

 

 

 その後、気を遣ったのかもしれないけど大笑いしてからかってきた親友のさやかちゃんに対して、アルまど様は仕返しとばかりにこの宇宙でのさやかちゃんに姿を映してみました。

 

 自分(まどか)膝枕されて頭を撫でられ(あやされ)ながら、自分(まどか)と致していた男の子を受け入れていました。

 

 これにはさやかちゃんも思わず疑問の叫び。アルまど様は苦笑いです。

 向こうのさやかちゃんは、向こうの自分(まどか)と同じように魔法少女の姿で致していました。

 ですが、アルまど様と違って向こうのさやかちゃんはこちらのさやかちゃんと同じ姿なので、見ている側としてはこちらのさやかちゃんが致しているようにも見えてしまうのです。

 その証拠に、百江なぎさちゃんが素知らぬ顔でさやかちゃんからちょっと距離を取りました。こちらのさやかちゃんは泣いていいと思います。

 

 こうなったらついでとばかりに、見滝原市の仲間たちの様子も確認してみました。

 ほむらちゃんは眼鏡をかけた三つ編みの姿で、自分(まどか)と抱き締め合い見つめ合った状況で男の子の好きにさせていました。

 マミさんは二人きりでしたが、若干光を失った瞳をして馬乗りになり搾り取っていました。

 杏子ちゃんは半分白目をむいた感じで吠えるような声をあげていたので一見すると無理矢理されているのかと思われましたが、終わってからは艶っぽい笑顔を浮かべ満足していたので、合意の上で行われていたようでした。

 

 さて、こうなるとアルまど様としてはお隣さんこと∞いろはちゃんの様子が気になります。

 本人の許可を取らずにゴメンねと謝りながら映してみると、しっかり魔法少女の肌色面積は少ないのに艶やかなエロはちゃん姿で、やはり自分(まどか)たちの相手と同じ男の子からあんあん愛らしい声で鳴かされています。なんなら妹さんや妹さんのご友人が同席していました。アルまど様としてもびっくりするシチュエーションです。

 今までは自分たちがまさかこんな行為に……との驚きにとらわれていたので気付きませんでしたが、知人のあられもない姿にも見慣れてきたアルまど様は、ここで男の子が自分達よりも年下っぽいことに気付きます。

 中学二年生を相手になんてけしからん(このロ○コンどもめ)と考えていたら実態は全くの逆で小学生を誘惑していた(たまにはショ○もいいよね)という可能性が緊急浮上です。

 こいつぁ一大事とアルまど様はその宇宙に関しての情報を段ボールに詰め着払いで∞いろはちゃん縮めてイろはちゃんへと送ります。なんかマギレコ時空の究極まどか先輩化して来たように思わなくもないです。

 

 そんな届いたレコードを見たイろはちゃんはというと

 

「な、なんじゃこりゃあー!?」

 

 思わず心身ともにマギレコ時空のいろはちゃん化して叫んでいました。

 

 イろはちゃんはすぐさまアルまど様に連絡を取りました。方法は次元を越えた糸電話二刀流です。ハイテクなんだかローテクなんだかわかりゃしません。

 そうして情報を擦り合わせた結果、この宇宙はアルティメットまどか、∞いろはの両名が干渉できないことから、第三の円環の理が存在する宇宙だと結論付けられました。

 第一候補というか容疑者は当然のごとく魔法少女を毒牙に掛けて回る(逆だったかもしれねェ…)男の子です。究極、無限ときて、次は何になるのでしょうか。二人だけでなく、二人の円環の理に招かれた魔法少女たちもまた興味津々です。もちろん性的な意味でも。

 

 この新しい宇宙は、イろはちゃん宇宙と同じように、他の宇宙では魔法少女にならなかったはずの少女が魔法少女になっていることが確認できました。神浜市を覆う結界も同じく存在しています。結界の外には見た目だけは白い悪徳営業(インキュベーター)の姿も。

 更に、結界が成立する前の時点で魔女になるはずの魔法少女が生き延びていたり、ソウルジェムが砕けて亡くなる運命の魔法少女が存命のまま過ごしていたりもしました。

 ただし、それは数年前までが限界です。それ以前の魔法少女は変わらず終わりを迎えていました。やはり鍵は例の男の子のようです。

 多分その関係なのですが、神浜市と見滝原市、またその周辺で活動している魔法少女は、ほとんどが例の男の子と行為に及んだ経験を持ち、その半分以上は関係を継続していました。

 そんな風紀の乱れを知った円環の理にいる魔法少女たちは阿鼻叫喚。

 特に第三の宇宙で存命が確認されている魔法少女たちは崩れ落ちていましたが、その中の何割かは男を知らないまま人生を終えた自分と比較して負けた気分になったからだったそうな。

 

 では、この新しい宇宙の歴史は果たしてどのように紡がれていくのでしょうか。次回からはそこに焦点を当てていきたいと思います。





 違うんです。どっかのスパロボ二次でユーゼスが、あいつが突然あんな……予測不可能回避不可能な発言かますから!
 でも悪いのはそこからなんの罪もないアルティメットさんを登場させてあんな夢に出演させた私ですからね。えぇ、その辺は反省も後悔もしています。だが制御不能だ。

 三人目の戴く冠はE。氏名の片側は久遠。


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アルまど様とイろはちゃんとで新宇宙を眺めるだけのお話

同じまたは似ている設定の夢は見るけど、時系列が飛び飛びで時空犯罪とか人理焼却とかのお仕事なさってますかって感じの混沌とした状況ばっかりで整頓できない罠。
ほぼ毎回マギレコ開始後の時系列で妙に木属性のと魔法少女ばっかり相手にしてるんだけど、今回ようやく原作前確定の内容が当たりました。文字数あるから分割してます。

本作のコンセプトは、性に目覚めたアルまど様がレコードを見終わるまで我慢できるのか、我慢できずにどうにかして乗り込みファックス(性的な意味で襲撃)するのかの、チキンレースです。

よって、男の子は竿役でありオリキャラではありますが、百合の間に挟まる不届き者なので主人公の座は与えられません。主人公は性に目覚め性欲を持て余す(格ゲーの隠しキャラみたいな)アルまど様です。
イろはちゃんは主にストッパー兼アルまど様が使い物にならなくなっているときの実況・解説役。ちょくちょく流れ弾を受けたり、徐々に男の子もありかもと思想が揺らぎそうになったりします。なお、現在は部屋のベランダで羽化している最中のセミを見つけたので眺めているくらいの心境です。


 さて、前回はアルティメットまどかと∞いろはとが新しい円環の理(が発生したと推測される、干渉できない宇宙)を発見、観測の継続を決定するに至るまでのお話をしました。

 

 今回は二人が干渉できない新しい宇宙について、第三の円環の理を作り上げると思われる男の子に焦点を当てていきましょう。

 何が悲しくて百合の間に挟まる男なんぞを追わなければならないのか。そんな情報など必要ないので宇宙ごと葬ってしまうのが正解ではないのか。そんな念がどこからか続々と届いて来るのを感じますが、うちのアルまど様が性に目覚めてしまい、見る記録の全てで魔法少女を満足させていた男の子という異性に興味津々なのでしゃーねぇーのです。うちの神浜には究極まどか先輩の方しかいませんが。

 

 とはいえ、まずは原因の究明です。調査を始めるにあたり、アルまど様は自分が主導で行うことを主張しました。これは、イろはちゃん宇宙の観測(マギア・レコード)という実績があったからです。決して円環の理になって引っ越してきた男の子を相手に慌てることなく接する心構え(目覚めたての性欲をぶつける準備)をしているからではありません。多分、きっと、だったらいいなぁ。

 これに対するイろはちゃんも、アルまど様の干渉できない自分の宇宙(マギレコ)との違いを調査するだけで手一杯になりそうなのでお願いしますと申し訳なさそうに言いました。決して、そう決して、知人友人が乱れる様を観賞したい(デバガメマインド)からではありません。おそらく、あるいは、そうであってほしい。

 

 男の子を容疑者にしたのは、アルまど様が知り合いを調べたら軒並みお相手つかまつ(全員竿姉妹にな)っていたからです。

 しかし、魔法少女の救済以外には影響を与えない、円環の理による干渉を弾く原因は、救われる対象である魔法少女にあると考えるのが自然です。

 もしも男の子に原因を見つけられなかったら、二人は数多の魔法少女に焦点を当てて差異を見つける作業をする必要があるのです。

 その場合、未だに人間性を失っていない二人は知り合いを調べるとどうしても詳細まで追ってしまいます。これは何人たりとも逃れられぬ深い業(掃除を中断して本を読んでしまう現象)なのです。

 そう、アルまど様はかつての自分(まどマギ)の知り合いと呼べる……絆を結んだ魔法少女は4人。対するイろはちゃん(マギレコ)極大特異点(ソシャゲ)故か交流の深さはともかく百人超え。この圧倒的な差は、そのまま時間的な損失の大きさにつながるのです。

 

 幸い、男の子は他の宇宙にも存在は確認されておりされました。

 ですが、イろはちゃん宇宙(マギレコ)を含めても男の子はアルまど様が最初に観測したかつての自分(鹿目まどか)濃密な時間(ハッスルタイム)を過ごしていた年齢よりも若い頃に、同じ流れで亡くなっていたのです。

 ちなみに、そこに至るまでの過程で最初に映った例の二人(まどかと男の子)が中学二年生と小学六年生であったことや、一線を越えたのがその二年前であったこと、越えないながらもそういう関係になったのは更に一年前であったこと、そしてその全てが自分(まどか)から誘うまたは襲う形だったことが判明しており、アルまど様は社会的な死を迎えかけていました。

 中学三年生(環いろは)だったイろはちゃんも同じく社会的な死を迎えそうになっていました。こちらは深い関係に至ったのは最初に映ったまどかちゃんから見て約一年前で、必要性を感じた男の子側からの、目的としては性欲と別の部分に関係する提案に乗った結果でした。この過程で男の子が円環の理に関係しそうな能力を持っていることも判明しましたが、年齢差(まどかより年上な自分)というか男の子の年齢(妹の一つ上)というか付き合いの長さ深さ(ほぼ初対面での濃厚接触)が重くのしかかってきます。この年齢における一歳は非常に大きいのです。はたして七海やちよや梓みふゆ(ギリ未成年組)はどうやって気持ちに折り合いを付けたのでしょうか。関係自体はバッチリ持っているし継続中(まるで◯◯交際みたい)だったのですが。

 

 環いろは(いっぱんじん)は小石を蹴っただけでバタフライエフェクトが起きて魔法少女どころか新しい円環の理(タイプ:アルティメット)になるような激動の半生を送ることになったのですから、男の子もきっとどこかの小さな差異で運命が大きく変わったのでしょう。

 

 どうにかダメージから回復したアルまど様とイろはちゃんは、改めて調査を行うことにしました。個別に調べるとそれぞれがダメージを受けて倒れた時点で調査が止まってしまうため、今度は二人協力プレイ(止まるんじゃねぇぞ)。男の子が亡くなる時期から、時間を遡っていく形で比較して違いを見極めようとしました。

 調査は割と直ぐに終わりました。どうやら男の子の転機はわずか6歳の時。亡くなる予定の半年ほど前に、無感情手段選ばない系ド腐れ営業(インキュベーター)の存在に気づくかどうかが分かれ目でした。

 思った以上に大きなイベントだったため、これには二人とも驚きが隠せませんでした。イろはちゃんは、小石を蹴っただけの私っていったい……と落ち込んでもいましたが。実に因果なことですね。

 魔法少女もののマスコット(キュゥべえ)は魔法少女の素質がなければ見えません。声も届きません。恐らくは、触れることも。

 魔法少女の素質とはその人物が持つ因果の大きさであり、感情ないとか嘘やろ系外来種(キュゥべえ)の目的から感情の起伏が激しく振れ幅も大きい思春期の少女がメインターゲット層になっています。

 その意味では、本来なら死んでしまう運命を変えて生き延びているこの宇宙の男の子が持っている因果は小さなものではなさそうです。

 ですが、このとき男の子ははっきりとした不明なユニット(キュゥべえ)の姿を見ていたわけではなく、陽炎のような空間の揺らぎを不審に思って確かめたようでした。声もひどいノイズのようにしか感じていないらしく、内容は理解できないようでした。

 そんな男の子ですが、小学校に入学する前日に家族揃って魔女の結界に取り込まれてしまいます。

 何事もなければそのまま魔女の被害に遭い帰らぬ人となるのですが、干渉できない宇宙では営業の嗅覚がやベー奴(キュゥべえ)の関心を引いていたためか、魔法少女の介入が起きて命を繋ぐのです……男の子だけは。

 そう、あのマッチポンプ上等営業耳毛(キュゥべえ)は魔法少女を通訳にし、男の子にご両親の蘇生をちらつかせながら契約を持ちかけたのです。このままでは魔法少女ならぬ魔法男の娘が誕生してしまうかもしれません。男の子に異性を感じながらも、年下ということで(たくや)を重ねて思い出していたアルまど様は、干渉できない宇宙そのものへスタンピングをかまそうとする暴挙に出ましたが、すぐにイろはちゃんの手(鈍器:クロスボウ)によって鎮圧されました。倒れたアルまど様によって赤い液体で綺麗に書かれた五・七・五のダイイングメッセージ(ごめんつい カッとなったの インガオホー)が哀愁を漂わせます。どこかで誰かが究極まどか先輩のドッペルってまさか……とか思ったとか思わなかったとか。

 

 結界の外に出ることができた男の子は、しかし自分を助けてくれた魔法少女(おねえさん)の言葉を聞いても落ち込んだままで、どっかで聞いた台詞(わけがわからないよ)を返します。続けて「大切な人を想うからこそ、息子は大丈夫なのだと、自分に囚われていないのだと安心させるために、その死を悼みながらも乗り越えなくてはならない」と誘惑をはねのけました。そんな男の子の精神はどう見ても6歳児のものではありません。人間讃歌とか謳いそうな勢いです。ドドドドドドとか効果音ないですよね?

 言われた魔法少女は取り乱し激昂します。男の子の言葉は、目の前で事故に遭い自分の手の中で冷たくなっていった『猫を生き返らせて欲しい(いつかのまどかが願った)』という自分の願いを否定しているように聞こえたのです。

 その魔法少女の思いの丈をぶつけられた男の子は、年上相手にひるまないばかりか憐れみの目を向けて、淡々と、ただ生き返らせるだけじゃなくいつまでも健康に長生きできたり、トラックに跳ねられても死なない頑丈さを与えたりはしなかったのか、と問い(とがめ)ました。

 魔法少女は生き返ったことで再び死を迎える猫を君はかわいそうだとは思わないのか、という男の子の追撃に心を乱され、泣き叫びながら去っていきました。円環の理としては魔女にならないか心配になり、遺憾の意を表明しました。当然、届きません。

 男の子の対応に持ち上げて落とすお仕事(キュゥべえ)は逸材であり、言葉さえ通じるならいい関係を築けそうだと発言していました。直後、男の子にうるさいと踏み潰(謎の音を出す透明な何かとして処理)されていましたが。

 感情を無視した効率主義的な問いかけに、アルまど様は確かにどこぞの営業マン(インキュベーター)を思い出し、なんでこんな男の子とあんなこと(メイクラブ)しているんだろう、と首を傾げました。年齢を重ねて出逢いに恵まれて成長していくのだろうとこの時は結論付けましたが。

 この時、流れ弾を受けた妹の病気が治るように願ったの少女(いろはちゃんえいえんのじゅうはっさい)は口元から血を流し青ざめながら安らかな笑みを浮かべて撃沈されていたので反応が返ってくることはありませんでした。なお、復活までの間中ずっと自動浄化システムがぎゅいんぎゅいん回るのを眺めることになったアルまど様は、アルカイックなスマイルを浮かべておいででした。

 

 さて、男の子の転機はわかりました。が、不完全ながらキュウべえを認識できる点に関する疑問は解決できていません。今度はここから改めて男の子の歩みを見届ける必要があるのです。そう、自分や知人が登場して致す様を凝視する時間(いわゆる一つのシーン観賞)の幕開けでした。

 と、その前に、両親を失った男の子が魔法使いへの資格を失う機会(つまりはそういうこと)の前段階を纏めておきましょう。

 

 男の子の名前は円樹(えんじゅ)久遠(くおん)

 氏名どちらにも使える言葉の縛りは受け手の寛容さに依存するので難しい問題だと愚考する次第。円、樹木という長く生きる命の象徴、そして遠い未来または過去。もはや呪いレベルで狙いました。樹が寿や呪だった案もあったそうです。それぞれ祝いの言葉または長い命、のろいでありまじない。なんとなくでも意味が繋がる日本語サイコー。そんな電波を受信しました、ピピピ。

 そんな彼の家族構成は両親と久遠のみ。俗に言う核家族(離婚したら核分裂)というやつですね。実家は父親の出身地でもある神浜市の大東区。父親は不動産店を経営していました。母親は専業主婦ですが同人活動をして収入があったようです。久遠本人は年齢に比べ大人びているし賢いですが、神童のような扱いはされない範疇の子供だったようです。ただし、実力を意図的に隠している節が見られます。いずれにせよ、順風満帆の人生を送っていました。

 父親が鹿目詢子(まどかママ)と、母親が鹿目知久(まどかパパ)とそれぞれ友人。家族ぐるみの付き合いがありました。因果がモコモコ膨らみます。両親を失った後は一時的に鹿目家に引き取られ一緒に暮らしています。未来を見据えて養子縁組はしなかったみたいです。

 母親は旧姓が柊で、イろはちゃんに関係のある柊ねむとは四代くらい前から別れた遠縁です。その関係で、久遠はねむちゃん相手にお見舞いをした経験があり、同室の里見灯花と環いろは、見舞い時間が重なった環いろはとも面識を持っています。この時点では互いに関係の続かないモブくらいの認識ではあったようですが、やはり因果がぐ~るぐるです。

 鹿目家に引き取られていた際は、なんとまどかちゃんからお姉ちゃん風を吹かされていました。風速は少なくとも追い風参考記録になるくらいはあったようです。

 まどかちゃんが小学五年生の時、パパさんが体調不良でダウンした日に久遠と二人きりで入浴する機会がありました。

 この頃のまどかちゃんは、ママさんの妊娠が発覚したのと、理科で性教育を学んだのとで、生殖というものに強い興味を持っていました。もちろん、二次成長期も始まっていたのでしょう。

 そんなまどかちゃんの近くには年の近い男の子。そう、まどかちゃんは久遠を相手に疑問点の確認をしようとしたのです。

 結果的に、まどかちゃんはなんか目覚め(色を知り)ました。以後も疑問の解消を理由に関係を継続し、弟が誕生したのをきっかけにして、なぜか一線も越えます。多分、新しい家族である(たくや)に久遠を取られたくない心理からだと推測されます。なお、双方ゴムは持っていませんでした。まどかちゃんは親の寝所を漁ったけど見つからなかったそうです。いや数減ってたら気づかれるでしょ。

 

 こんなところか。

 

 キリがいいので、今回はここまで。次回は続きから……両親を失った男の子こと久遠が鹿目家に引き取られるところからになると思われます。はたしてアルまど様は別世界の自分を見て冷静でいられるのでしょうか。期待が高まります。



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アルまど様がダメそうなのでイろはちゃんが調査を頑張る話~復活のアルティメット~

分けた後半です。相変わらずネタバレあり。


 さて、改めて別世界の自分(鹿目まどか)が相当ひどいことになっている事実を前にしたアルまど様は石化してしまいましたが、イろはちゃんは構わず調査を続けます。

 

 まどかちゃんは久遠が引き取られてきた段階、つまり魔法少女になる前から久遠にべったりでした。

 これは弟がまだ生まれていなかったところにやって来た年下の男の子という存在がまどかちゃんにとって大きな価値を持っていたのが最初の理由です。知らない仲ではなかったので、毎日お泊まり会ができて嬉しい感じですね。

 ですが、両親を失った久遠は元気がありません。まどかちゃんはそんな久遠を見ていると自分まで悲しくて苦しい気持ちになってしまいます。

 それでも自分(まどかお姉ちゃん)がいてくれるから、と笑顔を見せてくれるようになってくれました。

 その上で、弱音を漏らしたり甘えてくれたりするようになったばかりか、やり取りの中で晒したまどかちゃん側のコンプレックスをそれでいいんじゃないかな、と肯定してくれたりもしました。

 そのような出来事が積み重なっていき、まどかちゃんは自分を必要としてくれる家族以外の存在(これ以上ないくらいの運命の相手)に出逢えたと認識して依存と執着を発言(ヤンデレ化)したのでした。

 一方で、落ち込んで無気力気味な久遠の様子はまどかちゃんの庇護欲をかき立てて、年上のお姉さん魂に火を着けました。

 着替えやお風呂も積極的に手伝いましたし、少し恥ずかしかったけど両親がしてくれるような元気を補充するための行為(ハグやほっぺ、おでこへのキス)も進んで行いました。その甲斐あって立ち直り心を開いてくれたのですから、可愛くて仕方ないというのは無理もないでしょう。

 そうした自分の上げた成果を後から出てきた他人に奪われるなんてのは、嫌に決まっています。

 この気持ちはちょっぴり暴走して、久遠を繋ぎ止めるための花嫁修行へとまどかちゃんを駆り立てたのでした。その結果が()レでしたが、実は女傑系母親(鹿目詢子女史)の教えそのままです。曰く、避妊はしろよと伝えたが教えを守れとは言わなかったし避妊具は渡さなかった。女傑(アマゾネス)だから仕方ない。

 

 さて、そんな蜜月を迎えた二人ですが、実は最初のお風呂でのできごとを機に久遠が一念発起。こっそり両親が信頼していた弁護士の先生に資産運用をお願いして地味に増えた分を使って数カ月後にはまさかの起業。色々な申請であったり、雇用であったり、問題の解決に一年前から準備していたのです。

 雇用は父の友人を頼ったのですが、父がそれなりに破天荒だったせいで唐突な無茶振りを懐かしいだとかあいつを思い出すだとか言って協力を快諾、人を紹介してもらえました。縁とは大切なものですね。

 それに伴い、久遠自身は父個人が所有していたことから相続した神浜市の中央区にあるマンションに住み込むようになります。

 まどかちゃんの執着が強まりましたが、女傑の説得(母は強し)と久遠からの週末は帰ってくるという言葉になんとか聞き入れることができていました。

 代わりに、週末はそういう妖怪かなにかのように久遠にくっついて離れようとしませんし、剥がされもしません。母の(拳骨)が相手でも耐えきってみせます。

 

 が、この辺りからこの久遠、自重を止めました。まずマンションが敷地丸ごと異界化しました。何を言っているのかわからないかもしれませんが、言葉の通りです。どうやって、とかは後々明らかになります。メイビー。死に設定の可能性も高いので忘れて大丈夫だと思います。夢ですから。

 これにより関係者以外から認識されなくなり、関係者であってもその異常に違和感を持たなくなりました。セキュリティの向上のためだけに行われたそうです。馬鹿です。

 さて、起業した企業(くそうまギャグ)はネットを通して電子書籍や音楽といったデジタルコンテンツを取り扱う業務を始めました。異界化のせいで企業に関する情報すら強力に隠蔽されたため安全に在宅ワークができ、社員に大層喜ばれたそうです。

 ツテを頼り柊ねむの作品を(無料視聴できる形で)取り扱った事により知名度が上がり、物理的な現物しか流通していなかった母の同人誌や音楽作品を取り扱ったことでも上向きました。また、少年社長ということで炎上気味ではありましたが更に知名度アップ。黒字経営の幸先いいスタートを切っていました。

 

 このとき、ねむちゃんに直接依頼しようとお見舞いに向かったことでいろはちゃんとの初接触が起きました。とはいっても、その時はまだ魔法少女ではなかったので一言二言交わしただけに過ぎませんでしたし、再び会うまで日が空きます。なんなら再会時は普通に忘れてました。とはいえ入院女児三人衆って別室なんですよね。でも知り合った。因果が……因果が……。

 そうしてねむちゃんの協力を得ることができた久遠ですが、打ち合わせや納品等はネットを通じて会社の大人とやり取りしてもらっていました。

 代わりにお見舞いの頻度が増え、ねむちゃんとその友達二人の三人娘とも自然と仲良くなっていきました。秘訣は勿論おせっせ……ではなく、リクエストに応じた見舞品(餌付け)でした。

 この時点での経験人数はまどかちゃん一人だけだったのに、二年語には一気に増えて数十人。どうしてこうなった。

 というかみんなの体は大丈夫なのでしょうか。イろはちゃんが軽く確認した限りでは一度や二度で済ませておらず、最後までチ◯コたっぷり(その点◯◯ポってすげぇよな)だったのです。

 あと、致す際はどんなシチュエーションでも必ず変身しており、最後まで脱がせてませんでした。これにはイろはちゃんも性癖なのかな、と微笑ましい気持ちになっていました。変身を解除すれば汚れとかは気にならないし、次回に持ち越しもされませんからね。傷が治るように体もリセットされます。

 

 話が逸れました。

 

 ある日、久遠はかつて父が経営していた不動産屋に向かいます。

 名目は社会見学で、実際に近い将来グループを起こし、新事業として不動産を扱う会社を立ち上げる予定を立てていたのです。

 そうして社員に同行して歩くようになり、市内で疎まれているが故に土地代の安い大東区一帯の買い取りと開発計画を考えていました。

 

 そして、ついに久遠は魔法少女と遭遇し、体験人数を増やすことになるのです。

 

 ところで、年齢を考えればぶっ飛んだ内容ではありますが、魔法少女と縁遠い生活をしていた久遠の軌跡を辿るのは根気がいる作業でした。

 この頃にはアルまど様も復活し、イろはちゃんは気晴らしを兼ねてカップラーメンをすすっていました。

 そして、久遠がいよいよ道を踏み外すというか道を爆破する時が訪れます。それを見たイろはちゃんは、思い切りラーメンを吹き出してむせてしまいました。アルまど様は思わず体を乗り出して……特にテーブル等はなかったので単純に前屈みになって注目していました。

 

 その日、久遠は大東区にある団地の屋上で風に当たっていました。突風にさらわれてしまった地図を追って来たのですが、全力で階段を昇るのはそれなりに疲れたため休憩していたのです。

 その時、久遠の近くに何かがやって来ます。屋上にある唯一の出入口ではなく、別の建物から跳んできたそれは、驚くことに少女でした。しかも二人。更にはコスプレのようなファンタジーな格好をしています。ここでイろはちゃんがラーメンを吹き出しました。鼻から麺が出る事態は回避した模様。

 しかし、恐らく久遠には心当たりがあったのでしょう。そう、両親を失った日に助けてくれたが打算っぽいから正論(八つ当たり)でぶん殴ったモブ魔法少女(名もなきお姉さん)です。

 とはいえ、久遠はそれ以上の事情を把握できなかったようで、話し掛けたりせずに二人を見守ります。

 二人は自分たちの世界を作り上げ何やら深刻なやり取りを続けていましたが、片方の少女が黒い靄に包まれます。ソウルジェムが濁りきり、魔女が孵る瞬間でした。

 新たに誕生した魔女は、鏡の魔女。イろはちゃんたち(マギレコ勢)にとっては因縁の、思い出深い魔女です。コピーだけじゃなく平行世界から魔女を呼んだせいで管理世界が増えたの忘れんし許さんぞとばかりにイろはちゃんがキリッとした表情になっていますが、アルまど様にほっぺに付いたナルトを取ってもらっていたので威厳も何もあったものではありません。

 相方――更紗帆奈が事態を把握して壊れた笑みを浮かべた、まさにその時です。

 

 久遠が背後から鏡の魔女をぶち抜きました。

 

「「「は?」」」

 

 画面の手前と向こうとで綺麗に声が揃いました。

 魔女が魔法少女以外の存在に傷つけられるのは極めて稀です。どこぞの重火器(ホマンドー)で実証はされているも同然ですが。もちろん、生まれたては柔らかい(ソフトシェルクラブ)なんて話も聞きません。

 しかも、久遠は鏡の魔女だったもの(グリーフシード)を手にしており、それを口元に寄せると……なんということでしょう。

 

 グリーフシードが弾けてソウルジェムになりました。

 

「「「は?」」」

 

 またもや声が揃いました。まるで囃子のようです。

 ですが無理もないでしょう。魔法少女が魔女になることはあっても、その逆はありません。

 だからこそ、最終ループ鹿目まどか(かつてのアルまど様)因果を逆転させる宇宙を再誕させることを(全ての魔女を生まれる前に消し去りたいと)願ったのです。

 衝撃のあまりアルまど様が足下から徐々に光の粒子に還る(JRPGの大ボスが撃破される)演出で消えかける中、画面の向こうではグリーフシードからソウルジェムに戻ったことで瀬奈みことが人の姿を取り戻していました。

 理解できない過程は投げ捨てて、帆奈ちゃんはみことちゃんに駆け寄ります。体格の勝る相手をお姫様抱っこしていた久遠は地味に辛そうでした。

 久遠からみことちゃんの身柄を奪い、そっと地面に寝かせながら帆奈ちゃんは呼び掛けています。意識のない人の体を揺するのはおよし。脳卒中だったら大変ぞ。

 と、ここで久遠はまたしても予想できない行動に移りました。

 

 帆奈ちゃんに近寄り、首元にあるソウルジェムに口づけしたのです。

 

 その瞬間、帆奈ちゃんから甲高い悲鳴が上がります。どことなく艶やかな声でしたが、それを証明するように背を沿ってビクビクと震えています。驚きに目を開き、涙を浮かべながら、大きく口を開けて舌を突き出している様子は実にえっちぃです。

 唐突なお色気要素に思わず消滅の演出を止めて画面に迫るアルまど様。イろはちゃんもまた帆奈ちゃんの変化には注目せざるを得ませんでした。

 

 久遠の口づけを受けたソウルジェムが浄化されているのを確認したのですから。

 

 帆奈ちゃんのソウルジェムは、みことちゃんの魔女化という現実を叩き付けられたにより、凄まじい勢いで濁っている最中でした。

 たった一人の仲間が魔女になってしまったことだけでなく、魔法少女が魔女になる事実から自分の未来に対しても絶望するダブルパンチです。苦悩を分かち合う仲間を失い孤独な身となった帆奈ちゃんが釣られて魔女化(それはそれで尊い百合)しなかったのは、思考停止や現実逃避をして心を守ろうとしていたからなのかもしれません。

 

 さて、どんな原理かは不明ですが、どうやら帆奈ちゃんは今までに経験したことのない激しい絶頂を迎えてしまったらしく、瞳を収縮させながら体を小刻みに震わせています。二人の関係(あれ)健全な百合(ガンダム)だ。イろはちゃん()がそう判断した。

 と、情欲を掻き立てる様子から変化がない帆奈ちゃんの側では、奇跡の復活を遂げたみことちゃんが意識を取り戻しました。

 ぼんやりと辺りを見回して、目の焦点が合って最初に目にしたのは、驚愕に染まる表情を浮かべ断続的に短い音を漏らしながら体を痙攣させて座り込んでいる帆奈ちゃん(心の友)の姿でした。

 思わず駆け寄ろうとしたみことちゃんでしたが、上手く体が動かせなかったらしく、足をもつれさせて体勢を崩してしまいました。その先にはピクピク帆奈ちゃん。

 

 おわかりいただけただろうか……?

 

 ではもう一度ご覧いただこう。

 体勢を崩したみことちゃんは未だ心ここにあらずといった帆奈ちゃんを意図せず押し倒してしまいました。

 足をもつれさせるくらいですから、手を上手く突くこともできません。

 体を支えることができずに潰れてしまうのですから、驚きから悲鳴をあげてしまうのも仕方のないことです。

 ここで思い出してほしいのですが、帆奈ちゃんは口を開けて舌を突き出していました。そこに悲鳴を上げたことで口を開いたみことちゃんが帆奈ちゃんを押し倒す形になり、覆い被さりました。

 これ以上は語る必要もありませんね。皆さんが想像する通りの結果が出ております(ズキュウウウンとかエンダアアアアとか)

 何なら帆奈ちゃんがこうなった原因が原因なので、割と規制の緩かった……文学作品の表現として既得権益団体が日和って改訂を放置した昔の小説を読んでいたので知識を有していた帆奈ちゃんは、温かく柔らかい滑りあるものが触れた舌を無意識に動かしてしまいました。川原に捨てられていたエロ本から知識を得ていたみことちゃんも空気を読んで応えちゃったもんだからさあ大変(いいぞもっとやれ)

 画面の前にいる神様連中は文字通り繰り広げられている濃厚接触(ちゅっちゅ)に居たたまれない気持ちでいっぱいです。嘘です。アルまど様はガン見しています。よだれが垂れてすらいます。イろはちゃんはとっさに手で目を覆いましたが、指の隙間から覗く感じです(いろはちゃんったらエロはちゃん)

 それでは現場の久遠はというと……これは携帯電話の動画撮影機能を使っていますね。録画しています。よもや今晩まどか以外の女のお世話になる気か貴様。

 

 ねっちょりすること約十分。舌が疲れたのか自身の口内に戻した二人は、そのまま顔も離して起き上がります。

 流石に意識ははっきりしており、体の動きも問題ないようでした。

 一度は外した視線を再度合わせて、照れくさそうだけど嬉しそうにはにかむ様子には、同志百合好きの男共も拍手で歓迎していることでしょう。

 

 そんな二人を気にした風もなく、久遠はSFで見るような空間投影ディスプレイをいじっていました。何それ。

 

 落ち着いた二人の魔法少女は、改めて事態の把握をするために情報交換をしました。

 今度ばかりは久遠が放置されることもありません。一連の流れ――特に最後の絡みを見られたばつの悪さから、魔法少女二人の態度が少々刺々しくなっていたのはご愛嬌というやつなのでしょう。二人が互いしか信じられない状態に陥っていたことを考えれば、むしろ対応は柔らかくなっていたのかもしれませんが。

 一応のお礼と、互いの自己紹介。魔法少女の説明や、久遠の異常な能力および目的の確認といったやり取りを経て、何か二人の魔法少女は久遠の所持するマンションに住むことになりました。

 どうやら久遠としては、神浜市に根強く根付いた東西問題が商売の邪魔だと判断しているようです。

 民意を変えるには、通常ならば多大なコストを投入しなければなりません。ですが、そんな悩みを一気に解決してくれそうな人材が二人も現れたのです。久遠としてはスカウトしない理由がありませんでした。

 そう、久遠が考え付いたのは暗示かけまくろうぜという(誰の良心も痛めることのない)いい作戦でした。

 おまけに、魔法少女二人の家庭環境は見るも無惨。お互いへの愛が一歩進んだこともあり、未練もなくなっていました。神浜の闇が垣間見える話ですね。

 魔法少女側としても、ソウルジェムの濁りに関して副作用はある(エロ脳になる)けど無限に使えるグリーフシードとも言うべき存在を側におけるので、win-winの(ビジネスライクな)関係が築かれたことになります。

 

 さて、魔法少女とのやり取りによってアルまど様とイろはちゃんは久遠の能力についての情報を得ることができました。

 魔女を倒せたのは、久遠が魂に干渉できる能力を持っているから。何故そんな能力を持っているのかは不明のままです。久遠から見て魔女の体は全身が魂の一部(漏れ出た絶望)であり、干渉して中和することで無抵抗となった体を掘り進め、核となる魂の大元(グリーフシード)を掘り当てることができたんだそうです。

 グリーフシードをソウルジェムに戻したのは、グリーフシードが許容量限界まで絶望が詰まって一部が溢れている魂と見なせるため、魂に干渉する能力を使って絶望要素を口で吸い取って中身を綺麗にしてから元の魂になるよう整えたのが真相。ただし、絶望に染まりきった魔女が異常なのであり、絶望しきっていないのであれば魂が希望に満ちていなくてもソウルジェムに戻るように改造したんだとか。調整屋さんの上位互換なんでしょうか。イろはちゃんはそういえば自分の見た最中のみたまさんは瞳に光がなか(レイ○目だ)ったような、と思い返し胸がきゅっとしました。何回戦もすれば意識は朦朧とするものだということには、未だ綺麗な体のイろはちゃんにはわかりませんでした。逆に耳年増なういちゃんと小さいキュゥべぇは理解していたのですが、イろはちゃんの考えていることが伝わっていたので特に反応はありませんでした。なお、両名ともガン見勢です。

 ソウルジェムの穢れについても、グリーフシードをソウルジェムに戻す工程の一部でしかないようでした。ただ、この部分の補足説明として、魂は非常に敏感なものだという話が出ました。体でいうなら神経の集中した場所や粘膜部分なので、性感帯として機能してしまう、とも。そりゃそんな部分を不意打ちで吸(地味に優しく扱)われたらビクンビクンしちゃいますね。つまり、その、えっと……魔法少女はですね、やはり淫QBであった獣(インキュベーター)によって性感帯を剥き出しに(クリ○ックス化)された女の子たちということになります、はい。

 

 綺麗な花が人間で例えると股間丸出しで頭を地面にめり込ませて倒立(いぬがみけ)している状態と気づいてしまったときのような衝撃をイろはちゃんは受け、アルまど様は自分たちの行動が下半身丸出しな少女の膀胱が限界な瞬間に現れてオムツを履かせているようなものだと認識し泣き崩れ落ちました(こんなのってないよ)




魔法少女って二進も三進も行かない状況下で蜘蛛の糸されるパターンはまだしも、基本的に短絡的な願いで契約しちゃうアレな所あるよね。
あの敏腕営業なら因果の都合で簡単な願いしか叶えられそうにないのを考慮した上でその程度の軽い願いしかしてこないだろうなって見抜いて契約を持ち掛けてるんだろうけど。
描写されても誰得でしかないから海イベントとか以外ではナンパシーンないんだろうけど、割と絡まれるの多そう。魔法少女って秘密があるから普通の男女交際は無理だろうけど。とはいえ性欲まで皆無ってことはないだろうし、クソレズシティになるのも仕方ないんだろうなって。戦国の衆道みたいな。そこに死にたくないからって大義名分を掲げて相手の合意を得た上で致せる異性、しかもショタがドーンですよ。結界成立前の、魔法少女の真実(笑)を知った後で。淫獣との契約と構造自体は変わってないんだよなぁ……


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アルまど様だけじゃなくイろはちゃんまで性欲を持て余し始め新宇宙に興味津々な話

投降済の話を見返したら誤字に気付いた時の、あの感覚。きっとアレがタマヒュンなんですね。瀬奈みこと、瀬奈みこと、瀬奈みことでございます。どうも宜しくお願い致します。決して瀬名ではございません。伏してお詫びさせて頂きます。瀬奈みこと、瀬奈みことを何卒、宜しくお願い致します。どうか皆様の清き一票を(ry


 前回は……そう、尊い百合の花が咲いたのでしたね。今回はその二人が、こう、椿の花が落ちるような、ごにょごにょ。

 

 それぞれの自宅から最低限の荷物を持ち出した後、久遠に案内されるがまま後をついて(カルガモって)きた帆奈ちゃんとみことちゃん。二人は到着した中央区にある、オフィスビルに囲まれた高層マンションを見上げて呆然としていました。

 

 今の二人は制服姿です。そのせいで、道中、大東学院の制服を着たみことちゃんを見た人からは厳しい目を向けられたり心無い陰口を聞かされたりしました。

 水名女学院の制服を着た帆奈ちゃんもまた、水名に通ってるのに東の奴とつるむなんて……という偏見に満ちた言葉(余計なお世話)が投げられました。みんなまとめて脳内の殺す奴リストに載せたようです。

 

 久遠は現在の自宅でもある管理人部屋から鍵を持って来て、二人にそれぞれ同じ形状の鍵を二本ずつ渡しました。

 個室が与えられるとは思って居なかった二人は呆然としたままです。自分たちより小さな男の子がマンションの管理人室に出入り出来ている時点で住む世界が違うと本気で思っているらしい二人でありました。

 久遠は気にした風もなく部屋の説明をしながらそれぞれの……と言っても隣り合った部屋へと案内します。

 内装は一緒でしたが、ベッドやカーテンといった家具が、いかにも高価そうなものが備え付けられており、庶民な二人は逆に落ち着きません。

 久遠は軽くその内慣れると言っていましたが、二人は揃って無理を連呼しながら首と手を横に振って否定しました。観察している二柱の神(アルまど様とイろはちゃん)もまた、魔法少女の言葉に力強く、それでいて激しく、更には速く、首を縦に振っていました。元は一般人ですからね。

 あ、壁を壊して直通できるようにするか久遠が聞いてますね。バカなんでしょうか。二人は全力で首を横に振っています。このままだと勢いが付きすぎて首が捻り切れ、竹トンボのごとく空へ飛んでいってしまうかも知れません。飛頭蛮かな?

 

 既に夕飯と呼ぶにはやや遅い時間帯でしたが、久遠は二人を奢るからと食事に誘っていました。きっとお酒を飲ませるんだね! 酔わせてどうするつもりなのかな? きゃー! と一人盛り上がるアルまど様(残念な女神)を放置して、イろはちゃんは久遠の目的を考えます。無難なのは更なる情報交換や、親睦を深めるといったものでしょうか。こんなとき、自分達が神様のようなものになっても全知全能とはいかず、中学生相当の小娘でしかないことに悔しさを感じてしまいます。どの道この宇宙に無理な干渉はできないので、推察できたからといって何かが変わるというものでもないのですが。

 帆奈ちゃんは色んなことがあって疲れているから早く寝たい、と遠回しに断ろうとしましたが、久遠はそのまま眠ったら悪夢を見るのではないか、と指摘しました。

 魔法少女二人はその言葉を聞いて、恐怖からぶるりと体を震わせました。二人は賢いので、眠ったらそのまま悪夢を見てソウルジェムが濁っていき気付かない内に魔女化していた、なんて最悪の事態もよぎります。

 久遠はそんな二人に、美味しい物を食べて、お風呂に入って、少しでも気を紛らわしておいた方がいいと言いました。二人は一応の納得をしましたが、最悪の可能性に気づかされてしまったので食事や入浴を楽しめるかは微妙なラインでした。彼は人の心が分からないのでは、とイろはちゃんは思いましたが、可能性を伝えることで逆に不安を煽ってしまう可能性に思い至れというのは小学生に対する要求として適正なのか、自分の過去を振り返ってから、無理無理と首を横に振りました。起業してる小学生が普通かどうかはさておき。

 食事に連れて行かれたのは、まさかの飲み屋でした。アルまど様のテンションが動物園の猿みたいなことになっているのを横目に、イろはちゃんは三人の動向を見守ります。

 まぁ、なんというか、一言にまとめると、労いとお祝いでした。月並みな内容ではありますが、今までの苦労にも意味はあったと慰め、これからは新しい人生を送るのだから今日を二つ目の誕生日にしよう、と気取った台詞で二人をじんわりさせています。いい台詞だ。感動的だ……だが無意味だ。いえ、二人はしっかり涙ぐんでいました。目の縁に溜まった涙を指で拭う動作ってどうしてこんなにセクシーなんでしょうね。イろはちゃんまで微妙にムラムラしてきました。アルまど様はさっきからふんすふんすと鼻息荒く、しかし一言も漏らさずモニターに釘付けなのでそっとしておきましょう。地味に帆奈ちゃんの計画が先取りされていますが、気付けるのは帆奈ちゃん本人だけです。今は感極まって気づいていないようですが。

 

 食事を終えると、今度こそ解散です。今日は疲れているので早く休みたいと話す帆奈ちゃんに、色々あったもんねと同意するみことちゃん。どうやら疲れからぐっすり眠ってしまうだろうとの予想により、個別に休むことにしたようです。色々ありすぎて眠れない経験を持たない若者には予想も難しいのでしょう。もし悪夢を見て飛び起きたときに一人だと恐怖もひとしおなのですが……久遠は渋りましたが、強制はしませんでした。お風呂は部屋に備え付けられたものとは別に大浴場があることを教えていましたが、二人からすると一緒に入れるメリットことよりも、見知らぬ人が入ってくるデメリットの方が勝ったようです。

 

 さて、お風呂の時間(サービスシーン)はカットして、二人はそれぞれの部屋でふかふかな高級ベッドに埋もれます。あっと、みことちゃんは即落ちしましたね。どうやら人生初、そして未知の感覚と普段とのギャップが大きくて脳がついていけなかったようです。この分だと悪夢に飛び起きても慣れない感覚から現実逃避するためにすぐ気絶するのではないでしょうか。なんなら明日の朝も……?

 対する帆奈ちゃんですが、目を閉じてはいますが……なんかベッドの上でもぞもぞしていますね。これはまさか……イろはちゃんは視線をモニターから隣のアルまど様に移しました。プラトーンのポーズを決めていました。あれは戦場で散った兵士の最期であってガッツポーズじゃないんだぞ。

 アルまど様の反応をから分かるように、どうやら帆奈ちゃんはがっつり性的な(自分を慰める)行為に及んでいるようです。あ、ちょうど終わったみたいですね。呼吸は荒く、頬は赤みを帯び、上気していることが読み取れます。ですがどこか自嘲するような表情を浮かべ、掛け布団の中に潜ってしまいました……が、少ししたら起き上がって、夜風に当たろうとでも思ったのか、部屋を出ました。向かう先は……おやおや、管理人室ですね。アルまど様の呼気がふんすふんすからこぉぉぉぉという武術家か何かのようになっています。ついでに目から光が出ていました。眼光ってこういう意味だったでしょうか。イろはちゃんは少しだけ悩み、すぐに捨て置きました。きっと光子力でも漏れているのでしょう。マジンガー判定されたらZERO(クソコテ)様が来ちゃうのでほどほどにしてほしいとイろはちゃんは切実に願います。

 そんなことより帆奈ちゃんです。夜更けに一人で異性を訪ねるとなれば、アルまど様の期待もわかってしまうというものです。

 そんな帆奈ちゃんですが、用件を尋ねられると改めてお礼を言っておこうと思ったとのこと。根は真面目と称される帆奈ちゃんらしい気遣いです。その後で言葉だけじゃなく何か別の形で返せないか聞きていますが、久遠は暗示の魔法を使わせること十分だと返します。アルまど様がすっかりノスタル爺と化(抱けっ! 抱けーっ!)していますが、それは抱かないフラグなので、イろはちゃんはそっとアルまど様の後頭部を狙い静かにさせます(クロスボウで殴打)

 どうやら望む答えを得られなかった帆奈ちゃんは、自分がもう相方(瀬奈)以外の人間を信じられず、今回も暗示の協力を終えたら用済みと切り捨てられるのではないかという疑い、恐怖を捨てられないと胸の内を語ります。だから肉体関係を持ってしがらみを作り捨てられないように……と続いたのには流石のイろはちゃんも届かないと知りながらも画面の向こうからツッコミを入れざるを得ません。アルまど様は感じ入ったように深く頷いていますが、性に目覚めたばかりなのに拗らせ済な処女はみんなこんな感じなのでしょうか。イろはちゃんにはまだわかりません。

 

 思い切り一狩りいこうぜ(Let’s fuck)と誘われた久遠ですが、即座にy/nで答えることはせず、帆奈ちゃんの本音に切り込みました。すなわち、ソウルジェムから穢れを吸い取ったこと(一部界隈でいうところのジェム姦)により知ってしまった感覚から、本来(男女)の行為ではどれほどの感覚を得られるのか気になったのではないか、ということです。帆奈ちゃんは顔を真っ赤にして口をパクパクさせていましたが、開き直って認めました。言わなくてもいいような本音をポンポンと吐き出して、肩で息をしている内に冷静になってきたらしく、そのまま出て行こうとします。が、捕まりました。振り向かされて、抱き締められて、頭を撫でられながら優しい言葉を掛けられて、後は手を引かれるがままに戦場(ベッド)へと……。

 

 時間を忘れるくらい集中していた二柱は実況解説する余裕がなかったわけですが、いつの間にかたんこぶが三段重ねになっているアルまど様がホクホクとえびす顔を浮かべ、イろはちゃんは凄いものを見てしまったとばかりに腰が引けていますので、内容はお察し下さい(自分の目で確かめよう)

 

 イろはちゃんの感想ですが、帆奈ちゃんは借りてきた猫のように大人しく、それでいて敏感で、途中からは子猫のように甘えん坊でした。最後の方は色々な感情がない交ぜになって自分で何を言っているのかわかっていない様子でしたが、誰かに受け入れてほしい、愛してほしい、離さないでほしいといった内容を駄々甘くした感じのおねだり大放出。その際に相方(瀬奈)と三人で、となる辺りが愛らしさ重点な。

 また、今まで見てきた行為が全て魔法少女に変身した後の姿であった理由もわかって大満足です。理屈は納得出来ませんでしたが。

 アルまど様は一度ぶるりと体を震わせると、一言てぇてぇ……と呟いたきり名伯楽のような鋭い目付きで情事を見届けていました。或いは別世界の自分(まどかちゃん)について思いを馳せているのかも知れません。女性にも賢者モードがあることを、イろはちゃんはまだ知りませんでした。

 

 仲を深める狙いを達成した安堵や、そこに至るまでの工程による疲労から、帆奈ちゃんは眠りに就きました。その表情は穏やかで、晴れやかでもありました。これには円環の理もニッコリ。

 ですが、一つだけ問題点がありました。帆奈ちゃんは部屋を出ようとしているところを引き留められました。そう

 

 扉が開いたままあんな事やこんな事になって(休憩挟みつつ三時間も致して)いたのです。

 

 そして管理人室のレイアウトは扉を開けるとベッドが見えるという風通しの良さを誇ります……恐らくは皆さんも想像ができたことでしょう。

 

 開いた扉の隙間からみことちゃんが覗いて(オカズにして)いました。

 

 何の因果か、夢見が悪く目を覚ましてしまったみことちゃんは、クッションの感覚が気にならないほど孤独感を解消したくなり、帆奈ちゃんの部屋を夜風に訪ねたのでした。が、帆奈ちゃんの部屋は鍵が掛かっておらず、中にも姿が見えません。

 マンションに来たばかりの帆奈ちゃんには知り合いらしい知り合いは居ません。自分のところに来ていないのなら、あとは久遠だけです。真面目な帆奈ちゃんのことですから、きっと改めてお礼を言いに行っているのでしょう。そう考えたみことちゃんは相乗りして、ついでにココアでも淹れてもらおうと考えながら管理人室に向かい……思考を停止させました(宇宙猫になりました)

 みことちゃんの瞳に映るのは、飼い主にじゃれつく子猫の様(あーん)な帆奈ちゃん。

 それはもうイチャイチャラブラブしており、自分の入り込む余地が無いのではと恐怖に駆られるには充分でした。

 寝汗とは別の理由で体が冷えていくのを感じて、震えが止まらなくなります。体から力が抜けて座り込み、心まで立ち上がれなくなりそうになった、まさにその時でした。

 帆奈ちゃんは自分(瀬奈)も一緒にと言ってくれたのです。

 冷えた体とは裏腹に、心が温まるのを感じました。いえ、体も熱くなっていくのを感じました。瀬奈みこと、性の目覚めに御座候。

 そこからはもう隙間から見える光景と漏れる声とを肴に宴の時間です。乱入したい気持ちを抑えて慣れない(じい)に励み、ビギナーズラック(はじめてなのにすごくいい)を経験したのでした。このとき、みことちゃんの中では自分の大好きな帆奈ちゃんが認める相手(久遠)も好きになるというチョロ具合を発揮しており、まさしく一粒(1シーン)二度おいしい(二人のオカズ)状態となっていたようです。一応は瀬奈みことという魔法少女の協力を得た経験を持つイろはちゃんは、知己が乱れる様very good(最近ようやく性癖を自覚してきた)と思いました。

 

 ところで、世の中には『深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』という言葉があります。二人の行為を燃料にして自家発電(ワイルドボルト)に励んでいたみことちゃんもまた、相手(竿役)から様子を見られていました。ちなみに、帆奈ちゃんは余裕が無かったので気づいていませんでした。もし気づいていたら、恥ずかしがる帆奈ちゃんと、開き直ってお誘いを掛ける(3Pしようぜ!)帆奈ちゃんのイベントスチルが回収されたことでしょう。竿役のDEXに振る量を減らすか、途中で焦らしタイムを設けることで、帆奈ちゃんが察知する可能性を上げられます。

 

 みことちゃんは状態異常(絶頂の余韻)でぼんやりしているところを、久遠にあっさり捕獲、回収されてしまいました。途中で抵抗しようとしたのですが、ただでさえ腰が抜けてしまっていたので下半身に力が入らず、弱々しく動いた拍子にお姫様抱っこしている手が胸の先端を擦るという敏感ボディへの不意打ちにより軽く達して上半身からも力が抜けてしまったので、されるがまま戦場跡(ベッド)に連行されたのでした。脱力した人間は意外と重いという話は聞きますが、家庭環境のせいでみことちゃんは軽かったとだけ言っておきます。年齢差から来る体格差で若干辛そうでしたが、これから(ご褒美)の時間を考えれば必要経費でしょう。

 

 さて、予期せぬ連続狩猟(ハッスルタイム)となりましたが、竿役の名に恥じぬ絶倫振りにみことちゃんも沈みました。彼女はひたすら恥ずかしがりながらもお姉さん振ろうとしたのですが、眠っている帆奈の安らかな寝顔を見せられてあっという間に自爆して(一人で盛り上がって)しまい、そのまま高い場所へ上ったまま下りられなくなった子猫といった有り様でした。なるほど、瀬奈&帆奈の二人はにゃんにゃんコンビだったのですね。アルまど様が尊死しているのを横目に、イろはちゃんは自分も帆奈ちゃんたちの様子を眺めるみことちゃんのような状態になっていることを認めなければなりませんでした。今日は一旦鑑賞を止めるべきだと思い、アルまど様に切り出そうとしたそのタイミングです。

 

 帆奈ちゃんが目を覚ましました。

 みことちゃんは激しい戦闘(完全敗北)により意識がはっきりしていなかったので反応が薄く、寝起きの帆奈ちゃんはまだ寝ぼけていたので退行しているかのようにとても素直な好意を示しました。お互いに魔法少女の姿であり服を着ていたことも影響しているのでしょう。帆奈ちゃんはみことちゃんの名前を呼びながら抱きついてマウストゥマウス(ちゅっちゅっ)を繰り返し、みことちゃんも名前を呼び抱き締め返しながら背中を擦っています。可愛いですね。

 

 そんな二人を微笑ましく眺めると、後は若い二人に任せて百合の間に挟まる男(許されざる存在)はクールに去るぜとお風呂に向かおうとした久遠でしたが、背を向けた途端に二人のお姉さんから捕獲されてしまいました。

 一人では勝てなくても、二人でならきっと……そんな王道的展開にアルまど様はもちろん、イろはちゃんも中止を撤回するほどに期待を高めます。たまにはちゃんとショタに主導権を取られないオネショタも見たかったのです。百合の間に挟まる男なんかいらんと言っていたあの頃の二人はもういません(最初からいない)

 

 王道の展開を迎えたラストバトルは終始魔王(マーラ様)の優勢でしたが、最後の最後で手札誘発(乳首なめ)により相手モンスター(tntn)破壊されない効果(食い縛り)を無効化して撃破に成功し、女神も総立ち(勃ち)スタンディングオ(マスター)ベーション。うわさによると男性の乳首って性感帯になるくらいしか役割がない状態で残ってるんだそうですね。ネズミのオスは消えるのに、ってこないだこの宇宙の灯花ちゃんが久遠相手にメスガキムーブをして院長先生(パパさん)に叱られていました。

 迸る熱の全てを体の一部で受け止め続けた帆奈ちゃんがすっかりにゃんにゃにゃんになってしまいましたが、みことちゃんが最後まで立っていたので問題ありません。微妙に乗り遅れた感を覚えてさびしくなったのはみことちゃんだけの秘密です。とりあえずぐったりしている二人とお揃いになるべく自分に暗示を掛けて達しておいたのは、本人と二柱、そしてお月様だけが知っています。

 

 ちなみにこの直後お風呂でリベンジされました(起きないから、奇跡って言うんですよ)

 

 



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アルまど様とイろはちゃんが順調に駄目な方向へ進んでいる話

 一夜明け、連戦(にゃんにゃん)の疲れも何のその、元気に小学校へ向かう久遠。一方で相対した魔法少女二人は互いに身を寄せ合い安らかな寝息を立てています。さっきまでこの間に挟まっていた男がいるなんて信じられないくらいにぴったり寄り添っています。アルまど様が尊死しています。

 普通であれば男は搾りに搾られゲッソリグッタリしていて、女はツヤツヤして元気に一日を始めるものですが、どうにも久遠は魔法少女のソウルジェムから穢れを吸い取ってエネルギーに変換できるようなのです。どこぞの殺してもまた湧くアレ(キュゥべえ)や、近い将来に神浜市を覆う自動浄化システムを思わせる機能ですが……細かい話はその内にされるでしょう。

 あ、魔法少女二人の母校へは体調不良による欠席の連絡をしてあるのでアフターフォローもバッチリです。

 

 魔法少女二人が目を覚ましたのはお昼近くで、学校をサボってしまった事や昨夜の感想についてお喋りしています……二人とも、笑顔でした。ベッドの上でお互いの体温を感じながら睦み合う少女の様子に女神二柱(デバガメーズ)は尊さを噛み締めておりました。人の生死という運命までが変わっているので宇宙として少し心配な部分もありますが、割とよくあるといえばよくある事態ですし、これも救済の一つの形なのではないかと概ね好評です……きっかけというか方法は少しアレ(フフフ……セッ)ですが。

 

 その後、自分たちの部屋に帰らず管理人室で過ごした二人は、学校から帰って来た久遠と三人で今後について軽く話し合いをしました。

 まずは転校するかどうか。東への偏見から来る敵意、特に大義名分を振りかざす正義バカの嫌がらせを避けながらの登下校は負担の高いものです。みことちゃんはぶっちゃけ学校に友達も思い入れもないので心機一転するのも選択肢に入ります。

 籍はともかく、住所の手続きもしなくてはなりません。

 実の家族に対しては、現状をありのまま認めるよう暗示の魔法をかけておけば問題ないでしょう。役所の手続きに使う書類へのサインも楽々です。凄いぞ暗示の魔法。

 その中で、みことちゃんは久遠に暗示の魔法を使おうか悩んだことを告白していました。帆奈ちゃんも実は私もと乗っかります。

 久遠は至って平静で、繋がった相手を見捨てる事はないから信じて安心してほしいと声を掛け、同時に個人の日記や会社の日誌があるので暗示を掛けられても内容次第では疑問を持ち解ける可能性が高いことも告げました。

 魔法の扱いに慣れるためなら協力する旨も伝えられて、二人は勝てないなぁと笑い合いました。それはそれとして、ちょっぴり腹が立ったのでその日の夜は暗示の魔法で久遠に『自分は控え目で大人しい性格であり、初めてこういう事(大人の遊び)をする』と思い込ませた上で戦いに臨みました。途中までは魔法少女の優勢だったのですが、すっかり久遠に合わせた最適な形になってしまっている二人の体はとある瞬間(超エキサイティング)を迎えた際にあっさり陥落してしまい、久遠も知らないはずのものを知っている違和感から暗示を破り復活したのでした。王道ながらも珍しいシチュエーションに、女神は良いものを見させてもらったと感激していましたとさ。用意したティッシュで何を拭いたのかは知りませんが。

 

 そんなちょっと未来の話はさておき、次の話題はずばり付近で活動する魔法少女への挨拶回りです。

 通常、魔法少女は魔女を狩ってグリーフシードを手に入れる必要があります。

 そのため魔法少女の多くは縄張りを意識しており、新しい魔法少女の存在を歓迎するとは限りません。狩猟民族の悲しい実態がここにありました。農耕や牧畜は魔女の栽培、飼育に相当するので、一般人の被害的に考えてもなられては困りますが。

 瀬奈&帆奈はグリーフシード(意味深)である久遠の存在から、魔女狩りを行うのはストレス発散や人助け、自衛といった理由になり、戦利品(グリーフシード)は不要になります。なので、引っ越しの挨拶としてお蕎麦のごとく一個や二個は出会った魔法少女に配る方向で話がまとまりました。

 久遠に渡してソウルジェムへ戻す戦力増加案も出たのですが、当の久遠から地盤固めを優先するべきと助言されたので後回しになった結果です。小学生ですが企業人でもある久遠の言葉は、魔法少女要素を除けば只の小娘でしかない二人の参考になったようです。アルまど様もそういうものかー、と感心していました。

 イろはちゃんは組織の代表をして紛争じみた事をしていたので気持ちは良くわかります。理由があったとはいえ、身内が付近の魔女を呼び寄せてしまったことで各地の満足に遠出できない子供でしかない魔法少女たちがグリーフシード不足という飢饉に見舞われ、共食いしなければ生きていけないヒャッハーな世界を作り上げる原因になってしまいましたからね。これだから理系はと言われるのです。

 でも魔法少女って素質(因果)はともかくとして、能力的には基本的に思慮不足で配慮や行動力に欠けた(キュゥべえにカモられる程度の)子が多いから、人間社会の中で見ると割とヒエラルキーの下に位置しやすいんですよね。他人のために願いを使う子ですら、許可を得ずに勝手な願いを押し付けているだけでもあるのです。サプライズプレゼントにしても規模と頭がおかしいねんお前ら。その究極形がアルまど様な現実からは全力で目を背けましょう。魔女になっても大切な人を逃がすために暴れた元呉キリカや、自分からグリーフシードを差し出した元浅海サキなんかもおるんやぞ。救済とか慈悲とか言って世界滅ぼす魔女もおるらしいがな!

 

 閑話休題。それから数日、話し合いで決めたあれこれを済ませつつ夜は集まって楽しい時間(にゃんにゃんパラダイス)を過ごしていましたが、週末がやって来ました。

 

 そう、久遠の帰省(お泊まり)です。

 

 唐突に告げられたお預けに二人――特にドはまりしている帆奈ちゃんが拗ねましたが、謝罪の言葉とハグであっさり懐柔されました。チョロ。みことちゃんが平日の夜について約束を取り付けるのも忘れません。してなくても勝手に集まって宣戦布告もなしに開戦していた事実からは目を逸らします。これには女神も苦笑い。

 

 念のために確保してあった外れの(使い魔から成長した)グリーフシードを渡して、久遠は出発しました。

 女神二柱としては、恐らく二人で慰め合うであろう魔法少女組に後ろ髪を引かれる思いでしたが、振り切って久遠に焦点を当てます。あくまでこれは調査なので。

 

 

 

 やって来ました見滝原。そして鹿目家。とはいえ、久遠は何の気負いもなく帰宅の挨拶と共に玄関を開けるのでした……が。

 我らがお姉ちゃん(ヤンデレ)によるアンブッシュだ! 背後から急襲してきたまどかちゃんは見事なワザマエを披露し抱っこちゃんまどかへと進化しました。

 正々堂々手段を選ばず真っ向から不意討って来たまどかちゃんの成長に女神たちも大満足。既にアルまど様からは同姓同名の他人扱いです。

 ギャグ時空とはいえモニターの描写範囲外から謎のポーズを取ったままスライド移動して来てからの画面暗転、後ヤドラン的進化。正直、反応に困ります。

 このまどかちゃんが魔法少女になったら、舞台装置の魔女が車をスクラップにするミニゲーム扱いになってしまう予感がして悪寒が止まりません。ほむらちゃんや織子様の行く末にも暗雲が立ち込めていると言っていいでしょう。

 おっと、そんな感慨に耽っていたらまどかちゃんから知らない牝の臭いがする発言です。これはヤンデレ(ぢから)が高い。

 まどかちゃんは久遠相手に一歩も引かない実力(夜の)を持っていますから、()なる戦士へ覚醒済なのでしょう。先の身体能力もそういうことなのでしょうか。アルまど様にはわかりません。イろはちゃんはとっくの昔に理解を放棄しています。学生の身で寿(おめでた)の可能性を受け入れて夜戦に臨む猛者やぞこいつ。

 

 お姉ちゃん(ハイパーヤンデレ)に迫られる久遠ですが、対応は慣れたもの。人助けをしたから匂いが移ったんだねと返しながら、いつまでも玄関の扉を上げたままではいけないのでただいまの言葉と共にお家の中へ入ります。

 まどかパパからのお帰りなさいを受けながら洗面所に向かい手を洗い、抱っこちゃんまどかの手を片方ずつ丁寧に洗います。石鹸を使って他人の手を洗うのはどことなく淫靡な香りがしますね。洗われているまどかちゃんもどことなく体をくねらせモジモジしています。アルまど様の目は誤魔化せません、こいつ(わたし)発情してやがるぜ!

 で、まどかちゃんのお部屋に移るとベッドに座るよう促され、着席と同時にまどかちゃんが! 捕まえて! まどかちゃんが! 画面端(???)ィ! 押し倒してぇ! まだ迫るぅ! まどかちゃんが……近付いて! まどかちゃんが決めたぁぁぁ(ズキュウウウン)!!

 そしてそのままお姉ちゃんの命令(ファイト一発)に応えた(を終えた)両名は改めて話し合いに移ります。駆けつけ一杯的な割にいつまでも褪せないその色(性的な意味の)は抜群の安定度。女神としても内容はわかりきっているのについつい夢中になってしまう魅力が詰まっているのです。

 とはいえ、魔法少女のことは非現実的なのでそのまま伝えるわけにはいきません。特定年齢の少女だけがかかる特別な病気と、その数少ない治療方法という説明で、久遠はまどかちゃんに自分(まどか)以外の少女と接触する必要があることを伝えました。

 こうなると、心優しいまどかちゃんとしては私以外(ほか)の牝なんて見捨てて私だけを見てよとは言えません。そんなひどいことを言ってしまえば久遠に嫌われてしまうかもしれませんし、何より自分を許せなくなってしまいます。

 本音は本音で伝えつつ、それでも久遠の意思を尊重することを告げたまどかちゃん。その目に光る涙の輝きは尊いものでございました。

 だからそのまま慰めックスに突入したのも仕方ないことなのです、多分。女神二柱はホクホク顔だったので、それはもう甘々な雰囲気だったのでしょう。

 だからって午前中に帰宅してからお昼ご飯をスルーして夕飯前までずっとお部屋で運動会な(とても激しい)のはどうかと思います。お昼も気合を入れて料理の腕を振るっていたパパさんが若干しょんぼりしていましたよ。

 なお、当然のように声が駄々漏れていたので、夕飯時にご両親からもうちょっと声量を抑える努力はしてね、と言われてしまいました。まどかちゃんは恥じることなく応、と力強い返事をして、ママの(拳骨)を注いで貰っていました。闘魂の間違いじゃないかな。

 そしてその夜、女神二柱は見てしまいます。義姉弟だけでなく、ひそかに当てられていたご両親もまた熱い夜(ママによる補食)を過ごしているのを……。

 大人って、凄い。

 二柱は声を揃えて言いました。この宇宙ではまどかちゃんの弟が一人じゃない可能性も出てきましたね。

 

 それからしばらくは穏やかな日々が続きました。

 可能性を確かめたい獣(キュゥべえ)からの度重なる刺客(魔女や魔法少女)を適度にいなしつつ、瀬奈&帆奈も環境に慣れてきたので落ち着いた軽めになった夜戦をこなし、会社の様子を伺い指示を出す平日。

 週末のまどかちゃんは今まで以上にべったり(自分の匂いで上書きしようと)で、下手をすると神浜市の中学を受験してマンションに引っ越して来かねませんでしたが、家族会議により会えない時間が育む愛もあると説得できたので、安定の見滝原中学校ルートです。

 恐らくまだ眼鏡(本体)掛けている(捨てていない)であろう暁美ほむら女史も安心したことでしょう……代わりに魔法少女になって全てを理解したまどかちゃんから親切で久遠を紹介(脳を破壊)される確率がぐっと高まった気もしますが。

 一人暮らしで孤独感を抱えたマミさん(アヴェンタドール)なんて即落ちしそうな気もしますし、正確には見滝原の魔法少女ではありませんが杏子ちゃんも確保されそうな気配があります。ゆまちゃんを抱えていたら尚更です。手法の問題で避けるかも知れませんが、暖かい食事にふかふかのベッドという誘惑に耐えるのは非常に難しいと思われます。

 さやかちゃんは一途な想いから拒否するでしょうが、場合によっては人魚の魔女(久遠の餌)からの強制回帰と昏睡プレイ(レイ○)が待っていることでしょう。

 同中(オ○ニー中毒)である呉キリカ、そこから経由して美国織莉子や風見野組も巻き込まれることでしょう。芋づる式というやつです。女の子に芋だなんてひどいわ!

 

 アルまど様はそんな彼女らの未来を憂い、せめて強く生きろと念を送ったのでありました。既に未来を確認していたので避けられない運命(皆仲良く竿姉妹)なのは内緒です。

 隣から向けられるイろはちゃんの視線がチクチク刺さりますが、知らんぷりでした。カウンターでまどかちゃん(知り合い)仲良し(ハッスル)タイムの度に息が荒くな(高ま)ってブルリと体を震わ()していることに気付いているぞと言わないだけ有情なのでした。

 女神様は今日もとっても仲良しです……最近、すぐ近くに性癖を満たしていて性欲解消を手伝ってくれそうな女神がいるんだよね~と互いに身を思ってはいるけど声には出さない日々が続いているのは内緒です。が、秒読みな気もします。

 果たしてアルまど様とイろはちゃんはどのような関係を迎えるのでしょうか。期待が高まり今後も目が離せません。いるのなら急ぐんだ悪魔ほむらちゃん、間に合わなくなっても知らんぞーっ! でもこれだとマギレ()の悪魔ほむらちゃんが来ちゃいそうですね。

 

 こうして久遠が次にイベントを起こすまで、月単位の時間が流れます。イベント名を付けるなら、そう、魔法少女拾った(原作がまた壊れた)



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アルまど様とイろはちゃんが大人しく観賞を続ける話

 ある日、久遠は仕事の息抜きにコンビニまで買い物に行きました。そしてその帰り、マンションの敷地内で倒れている珍妙な……お洒落な格好のお姉さんを発見しました。観察してみると、右肩に十字架のようなシンボルのソウルジェムを発見。魔法少女ですね。

 ですが何故こんな……というのは失礼ですが、行き倒れるにしても不自然な場所で倒れているのでしょう。

 と、ここでイろはちゃんが気付きました。というか、思い出しました。このマンション、地味に久遠が異界化して身内以外への認識阻害効果があるのです。

 恐らくは建物の屋根や屋上を伝って移動していたところ、何もないと認識していた場所に見えないマンションの壁があり激突したのでしょう。透明な窓ガラスに気が付かずぶつかる雀の様なものです。それでいいのか魔法少女。

 

 久遠は倒れている魔法少女のソウルジェムに穢れがあることを確認したので、早速吸引(ちゅーちゅー)を開始。少女は余りの刺激にあられもない声を発しながら体を痙攣させつつお目覚めです。

 目覚めた(性的な意味ではない)魔法少女は目力に定評がありそうな顔立ちをしていました。更には無口かつ口下手な様子で、一見するととても不機嫌そうで怖い感じです。

 ですが久遠は気にせず話を聞いています。不動産屋の父親は性質の悪い地上げ屋とバチバチにやり合っていた武闘派な側面もあり、神浜市の裏家業な方々とも顔見知り程度には付き合いがありました。

 将来有望な久遠も父に連れられて市内全域の夏祭りなんかを通して顔繋ぎはしていましたので、強面な相手にも慣れているのです。

 アウトローはマイノリティーだからこそ面子に拘りますが身内を大事にする性質も強く、分別の育っていない子供には判定が甘くなって優しかったりするんですよね。

 幼かった久遠も綿飴を作る機械を使わせてもらい、はしゃいでいたのを女神たちは知っています。巨大な棒つき○んこ(ソフトクリーム)の形を再現して、とてもドクタースランプでした。

 

 魔法少女の名前は雪野かなえ。確認したところ、別の宇宙では魔女との戦いでソウルジェムが破壊され亡くなる運命にありました。

 イろはちゃんとしては三日月荘の先輩であり、やちよさんに希望を託していった一人です。思うところがあるのは否定できません。

 

 そんなかなえちゃんですが、久遠はどう見ても魔法少女ではない一般人の子供ですから、魔法少女の事情は伏せて説明をしています。

 道を歩いていたら目眩がして、最寄りの建物に助けを求めようとしたが間に合わなかった、と。そして時計を確認すると簡潔な感謝と謝罪、後日改めてお礼に来るとの言葉を告げて去って行きました。

 てっきりこのまま介抱のため多少強引に部屋へ連れ込み助けてくれたお礼(なし崩しにベッドイン)をするとばかり思っていたアルまど様は肩透かしを食らってしまいノスタル爺化しています。予告詐欺だと宇宙の意思も呆然自失の勢いなはずです。

 見送った久遠は認識阻害効果を強化して無意識にその場を避ける内容を足して、バードストライクの再発防止に努めました。

 

 また別の日ですが、久遠が小学校の同級生達と交流を深めるために参京区の駄菓子屋に来ていると、年上のお姉さんがやって来ました。

 将来ネオ・マギウスに所属する飾利潤です。ポロリと謎の光でお馴染みの飾利潤です。自他共に認める駄菓子ジャンキーの、あの飾利潤です。三度名前を出しましたが特に深い意味はありません。ホントだよ? メガミウソツカナイ。

 他の小学生が大御所の来訪にはしゃぐ中、初対面の久遠はベンチに座って酢イカをしゃぶしゃぶしながらぼんやりとその光景を見ていました。

 ガキ大将気質の潤さんは目ざとく新入りに気づき、取り巻きと化したちびっ子たちを掻き分けながら久遠の前に立つと名乗りを上げました。

 目付きの悪さを活かした悪役……むしろ三下のチンピラっぽい雰囲気での紹介を受けた久遠は、串を噛みながら引いて刺さっていた酢イカを食べ切ると、お控えなすってぇから始まる任侠ムーブで名乗りを上げるのでした。

 潤さんは軽く引きましたが、すぐに気を取り直して快活に笑い飛ばしながら受け入れました。周囲からは感心の溜め息と新たに交わされた杯を祝う声で歓迎されています。あした屋の店主もニコニコと見守っていました。

 おっと、ここで久遠が気付いた模様。お洒落な眼鏡ですね、との褒め言葉。潤さんは一瞬だけ真顔になって目を細め、すぐにニッカリ笑ってさっぱりした礼を口にしました。

 

 その後、場が解散されるより先に、久遠は家の手伝いを理由にして、あした屋を後にしました。

 実情はもちろん……スーパーマーケットのタイムセールです。今日は卵とお惣菜バイキングが安い。さらっとやちよさんとの遭遇フラグを立てていく久遠に、イろはちゃんは恐ろしい子……と戦慄するのを止められません。

 そしてのほほんと寄り道せずに帰宅する久遠を、背後から潤さんがこっそり尾行します。

 これはオネショタの気配とアルまど様が期待を高めていますが、イろはちゃんは普通に怪しんで探ってるだけなのではと首を傾げました。

 久遠はマンションまで到着しましたが、潤さんの姿はありませんでした……あぁ、どうやらこれはセコムというかポリスメン(帆奈ちゃんとみことちゃん)によるちょっと署までご同行願います(お話聞かせてくれるかな)が発動していた様です。これには潤さんも困惑。残念ながらショタを追跡するお姉さん、アウトです。

 どうやら久遠の発言が原因らしいとわかり、潤さんの疑惑(ストーカー)は解けました。同時に帆奈ちゃんの子供は何にでも興味を示すという発言により、久遠と魔法少女との関係については有耶無耶にできたようです。

 

 まぁ、その後すぐに戦場(タイムセール)へ向かった久遠が魔女の結界に捕らわれて、魔女の反応を察知した三人が向かい、セールに間に合わなくなると困る久遠によって魔女が撃破される(グリーフシードを引っこ抜かれる)現場に遭遇してしまったので努力が水の泡になったわけですが。

 

 グリーフシードを『当たり』だと告げて帆奈ちゃんに放り投げると、他の全てを後回しにしてスーパーマーケットに走る久遠。

 グリーフシードをキャッチしてしまい込むと頭を掻きむしり叫び始めた帆奈ちゃん。それを苦笑しながらみことちゃんが宥めます。

 帆奈ちゃんが落ち着いてからも呆然としたままの潤さんは、顔を合わせて頷き合った二人によってマンションの管理人室まで任意同行(お持ち帰り)させられてしまいました。

 

 買い物を済ませて帰って来た久遠は、帆奈ちゃんによって正座で説教されていました。みことちゃんに背後から肩を押さえられているので、久遠は逃げることができません。粛々とかつて自分が二人に語った情報漏洩の危険性について言い聞かされるばかりです。

 ですが久遠は仕方がなかったと反論します。それほどまでに、10個入りパックのたまご88円は魅力的過ぎた、とも。説教の時間が延びました。みことちゃんの手が握りこぶしとなって久遠のこめかみを押さえつけながらグリグリしてきます。

 数十分後、放置されたままポロポロ漏れてくる色々とやべー情報(久遠の能力)を聞かされてしまい非常に居心地の悪い気分を味わい続けていた潤さんは、説教の終わりを感じ取って、いい加減帰りたい旨を打ち明けました。

 当然、そうは問屋が卸しません(魔法少女からは逃げられない)。そんなこと言ってソウルジェムが濁ってるじゃないか、と帆奈ちゃん。あらあらいけないわ浄化しなきゃ、とみことちゃん。ひえっ、と恐怖に震える潤さん。久遠は説教を受けてけだるげな表情で、見る者に妙な色気を感じさせたのでした。

 そう、二人はわざと色々聞かせた上でそれを理由に言うことを聞かせる(弱みを握り内側に引き込む)つもり満々だったのです。この神浜市で単独行動する無用心な魔法少女が悪いのです。察したアルまど様は三度目の正直とばかりに正座待機。イろはちゃんもティッシュを用意しました。

 

 そして潤さんは大人の階段をのぼらされました(ジェム姦からのにゃんにゃんコース)

 わざわざ暗示の魔法でドレスコード(致す際は変身後の姿)夜会のマナー(初めてでも気持ち良い)まで信じ込ませた上での犯行です。写真も動画も撮られてしまい、もう潤さんは逆らえないでしょう。

 ちなみに、行為の途中で解けるかと思われていましたが、どうにも駄菓子好きからレトロ趣味を経由して男女の交わりを原始的な遊びと解釈したらしく、実にノリノリで、暗示は最後の最後(子作りと認識する瞬間)まで効いたままでした。その後は一発したら何発も関係ないかの精神だった様で受け入れました。

 その様子に思わず漏らしたピンクは淫乱というみことちゃんの台詞が、モニター前の女神をダブルノックアウト(言葉責めによる最後の一押し)しました。仲良く同時に達した女神はとろけるような笑顔だったそうです。

 用意したティッシュは涙と涎を拭くのに使われました。上は大火事(あたまがフットー)下は大洪水(希望の名を持つ川)なので床(?)はティッシュじゃ足りません。タオルや雑巾が必要です。

 

 一方的に秘密を明かされたり弱みを握られてしまったりした潤さんでしたが、義理人情溢れる姉御肌な性格のおかげかあっさりと協力を承諾。ただし親が転勤族なので市外に引っ越す可能性がある事を伝えました。

 

 これには宛てが外れた気持ちになった二人でしたが、釣った魚には餌をやるのを忘れないタイプの久遠は定期的に外れのグリーフシードを提供するので引っ越しの度に連絡をくれるように言いました。

 ここで言う当たり外れは、魔法少女の成れの果てなのか、成長した使い魔なのか、という意味です。ついでで魔法少女の真実(魔女はどうやって生まれるのか)を教えられた潤さんはソウルジェムを濁らせましたが、即座に穢れを吸い出(やる気スイッチオン)されてファイト一発(慰めと激励ックス)に持ち込まれたため無事……無事でした(断言)。

 そういえば、久遠は軽度の副作用(その気にさせる効果)有りでソウルジェムから穢れを吸い取る事ができますが、実はその後のステータス異常を回復する行為(火照った体を燃やし尽ックス)には別の理由もあります。

 

 ソウルジェムの強化です。

 

 ソウルジェムの、強化です。

 

 ソウルジェムの、強化、なんです。

 

 頑丈になって砕けにくくなります。濁る速度も抑えられます。魔力や身体能力だって上がります。

 調整屋が息をしていない気もしますが、必要経費(精神的な純潔)がお高いと言えばお高いので必要な存在には違いないと思われます。

 現状最高回数(誘ったり襲ったりした)を誇る帆奈ちゃんおよび次点のみことちゃん、二人のソウルジェムは既に地球上のあらゆる物質よりも固く(形を変えず)硬く(衝撃に強く)堅い(安定した)、夢のような特性を持っています。隕石が直撃しようが王水のプールに沈もうが雷に打たれようが全く問題ありません。肉体が無事とは言いませんが。

 なぜこんなことになるかですが、ここで保健体育の授業を思い出して下さい。

 健常な人間の男性が起こす一度の射精に関して、わずか数mlの精液に含まれる精子の数は実に億単位です。

 つまり一億人以上の命がそこに詰まっているわけです。卵子を欠いていると考えて半分に(いや、その理屈はおかしい)しても四捨五入すれば億単位です(どうしてこうなった)。一人一人が平凡な人間だったとしても、億単位の人が集まって一つの目的のために動いたらどれほどの事ができるでしょうか。なお本来の目的はマラソンの模様。

 そんな可能性を丸ごと生け贄に捧げた儀式と見なしてソウルジェムを強化しています。できるわけが……と言われても、できているのでどうにもなりません。すればするほど色を覚えて……ヒッヒッヒッ、というわけです。

 久遠の謎は深まりますが、難しいことは後々に――お約束通りなら取り返しの付かない段階の一歩手前くらいで明かされるでしょう。既に手遅れな(ドはまりしている)気もしますが。

 

 話し合いは続き、マンションに住めば転校せずに済むとの提案に揺らぐも、潤さんは最近知り合った引きこもり少女(三輪みつね)のためにも親の転勤について行く決心を告げます。

 潤さんのタフな精神は瀬奈&帆奈(陰キャ同盟)には眩しかったですが、転勤族かつ駄菓子中毒者(ジャンキー)という事情から同世代の友人はいなかったと告げる潤さんの言葉に二人も友情(百合)かと納得をしました。

 他の心残りはあした屋とそこに集まる子供たちだと言う潤さんに、久遠は買収を視野に入れました。察した帆奈ちゃんの無言ハリセンツッコミが光ります。首を傾げる潤さんは、久遠の身分(少年社長)を聞かされて大層驚きました。

 説明を受けた潤さんは、みつねちゃんの引きこもりが加速しそうな事業に思うところはありましたが、これが成功しているのなら類似の形態で産業が発展していく未来が見えるので諦めたようです。

 むしろみつねちゃんの就職先が見つかったのでは、と前向きな姉御(潤さん)です。魔法少女ではないみつねちゃんへの会社の紹介について許可をもらいましたが、魔法少女になる未来に近づくような遠ざかるような微妙なラインです。話は変わりますが潤さんって巡査と響きが似てますよね(同調圧力)。

 

 こうして話は進み、潤さんには引っ越し先で条件に合う魔法少女(三人未満、孤立気味、戦闘が弱い)を見つけたら紹介してくれるようにお願いする事になりました。

 その地方から魔女=グリーフシードの生まれる数が減ってしまいますが、需要も減るので釣り合いは取れるはず……魔女の存在が人口の調整に一役買っている可能性からは全力で目を背けます。

 潤さんの帰り際、これからもよろしくという挨拶に顔を赤くしていたのは、同世代かつ魔法少女の仲間が出来た喜びによるものでしょう。決して穢れの除去(一瞬だけど超凄いやつ)とかその後の鎮魂の儀式(長く続く凄いやつ)とかに対するものではないはずです。

 しかし、潤さんは引っ越しした後の処理はどうするつもりなのでしょう。一度知ってしまったばかりに満たされないからと色々試す内に変な性癖を開拓しないことを祈るばかりです。

 そんなフラグをアルまど様が立ててしまったので、すぐさまイろはちゃんが折りにかかりましたが、ものすごく柔軟性に富んだフラグの棒だったので、そういう玩具で遊んでいるように見えました。アルまど様はごくりと唾を飲み、イろはちゃんは上り棒ちゃうわとツッコミを入れました。もうすっかり染まっていることにイろはちゃんは気付いていない模様。

 

 

 

 そして数日後、久遠は道端でギターを抱えた少女の入っている段ボールを見付けました。少女は服装こそ学校の制服姿でしたが、先日会ったかなえちゃんに間違いありませんでした。段ボールには拾ってくださいと書かれていましたので、久遠は気合と根性で持ち上げて持って帰りました。

 当たり前のように管理人室にいた帆奈ちゃんからは元の場所に戻して来なさいとすげなく扱われ、みことちゃんからは命を預かる責任の重さを説かれました。

 久遠はお小遣いの増減をちらつかせて二人を沈黙させ、かなえちゃんの養育権を獲得したのでありました。ただの誘拐であり、れっきとした犯罪行為に該当しますので、現実では決して真似しないで下さいね。

 この一連の流れの間、かなえちゃんは終始無言でした。それでいいのか魔法少女。



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アルまど様とイろはちゃんがチャンネル争いをする話

 現金の力によりかなえちゃんの養育権を獲得したものの、主題である捨て段ボールの処遇を巡る議論が残っていました。

 とはいえ、そう思っているのは久遠だけなので、魔法少女二人は茶番に乗ってあげて熱意に負ける形で段ボールを飼うことを認めてあげました。

 勝利をもぎ取りガッツポーズを決める久遠を無視して二人が二倍になったお小遣いで何をするか話し合いを始めたのを見計らい、久遠は改めてかなえちゃんの事情を尋ねました。

 その時まで無言を貫いていたかなえちゃんですが、久遠の質問に対してぽつぽつと語り出します。

 端的に纏めると、家出でした。ロックな事をしてみたくなったかなえちゃんの我が儘で思春期の勢いに任せた喧嘩からの家出コースを体験してみるはずが、何故か犬猫が捨てられるシーンを再現されたそうです。

 イろはちゃんがちょっとだけかなえちゃんにスポットを当てて時間を遡って見ると、実行犯のやちよさんが良い人に拾われるのよと道端で段ボールにインしたかなえちゃんへと声を掛けて去って行く様を見せられました。

 もちろん、演技は大根です。台詞は棒読みに近い淡々と。振り返ったり走り出したりもしません。表情は終始真顔のままでした。

 悠々と歩き去っていくやちよさんの姿に、イろはちゃんは嘆きました。そしてみふゆさんはどこで何をしてるのでしょうかね。あとおばあさんはご存命でしょうか。

 

 語り終えたかなえちゃんは疲れたように深い溜め息を吐きました。恐らく思い出してダメージを受けているのでしょう。

 ですが、久遠の前で濁ったソウルジェムを見せるのは迂闊としかいえません。今だってホラ、外道の如き早さで餌に目掛けて一直線(そんな餌でおれさまが釣られクマー)とばかりにソウルジェムに凸し(食いつき)ました。

 かなえちゃんは一瞬だけ可愛らしい悲鳴を上げましたが、即座に歯を食い縛ってその後は耐えました。食いしばりは神スキル。

 とはいえ、ご存知のように体力を1だけ残して耐えるのが一般的な食いしばり効果です。久遠の攻撃(ちゅーちゅー)が持続効果を持つ以上、かなえちゃんの目の前が真っ白になったのは避けられない運命でした。

 余韻に浸り夢心地なかなえちゃんは、流れるように小旅行の計画を立てていたはずの魔法少女二人から休ませる必要があるとベッドに運ばれ、二人掛かりで暗示の魔法によるロックな体験(某種施設的休憩)だと説得され、必要なことを必要な分だけ(あとは全部お任せコース)されたのでした。

 途中までは必至に耐えて普段の無口なキャラを貫いていたかなえちゃんでしたが、自分の気持ちを素直に表現するのがロックなのではとの説得(詭弁)を境にとても豊かな(淫らな)表現で感情を伝える(おねだりする)ようになっていました。アルまど様もイろはちゃんも直球で具体的な要求の言い方はとても勉強になりました。ポエット!

 

 ある意味で原点回帰ともいえるロックな体験をしたかなえちゃんは、疲れから寝入ってしまいました。

 ソウルジェムが強化されようと、肉体的にも精神的にも負担が大きいので休息を欲する訳ですね。人間でいるための本能的な防衛反応なのかもしれませんが。

 そしてお風呂で体を洗われてからシーツ等を替えた清潔なベッドに運ばれゆっくりと休むことになったのでした。

 

 次の日……になるまで待たずに、ショートスリーパーかなえちゃんは約三時間で目を覚ましました。これには一同びっくり。しかしながら、疲れは完全に抜けたわけではないようで、だるそうにしています。

 疲れているなら好都合とばかりに帆奈ちゃん主導で説明が始まりました。久遠の目的は東西の軋轢――言ってしまえば重ねてきた歴史を、神浜市を破壊するものです。協力者は随時募集中ただし先走る馬鹿は不要。

 魔法少女の縄張り問題(なぎたんに追われた件)で痛い目を見たかなえちゃんとしても他人事ではありません。

 どうしても解決したいというほどではなかったので引け目に思ったようですが、帆奈ちゃんは対立を煽りたい人間の味方さえしなければ問題ないと気楽な様子でした。

 実際問題、明確な反対派以外であれば暗示の魔法を使うまでもなく、反対派だって幾つか前提となる条件を工夫すれば暗示の魔法で解決できます。そしてその条件は久遠の立ち上げた会社と稼いだ資金で達成できるものなのです。

 

 話し合いを終えて、マンション組はかなえちゃんの行動予定を尋ねました。

 魔法少女二人はすっかり当てられたのでハンデ戦(2on1)に持ち込むつもりでしたが、かなえちゃんに帰る場所の当てがないから管理人室放置(延長戦を優先)安定なので、その場合は大人しく二人どちらかの部屋に移り二人だけの即興劇(百合はいいものだ)となる予定です。親友である二人は以心伝心でした。念話? はて、なんのことやら。

 かなえちゃんの回答は、カラオケで一晩を明かすつもりとのことでした。次の瞬間にはアへ顔ダブルピースしていましたが。恐ろしく速い暗示の魔法。女神でなきゃ見逃してるね。

 と、いうわけで一夜の甘い(気持ち良い)夢……のような体験にご招待されたかなえちゃんと案内スタッフの久遠を置いて魔法少女二人はクールに去りました。

 状況的に久遠の秘密が明かされることにはならないと思われるため、女神二柱は残された二人と去った二人、どちらを眺めるかチャンネル争いを始めました。

 男に興味津々なアルまど様、直接の知り合いが性癖なイろはちゃん。熾烈な争いの果てに、多少の時間は無視して両方見れば良いという折衷案で決着です。争いがなければもっと早く済んだはずなのに。いつだって争いは空しいものです。

 

 次の日の朝、なんだかんだでソウルジェムの強化以外にも回せるとかで体力の回復に使ったらしく、元気いっぱいな目覚めを迎えたかなえちゃんは、シャワーを浴びてからそのまま学校へと向かいました。白いハンカチを振って見送ると、久遠や帆奈ちゃんとみことちゃんもそれぞれの学校に行きました。

 

 

 

 話は変わりますが、ナレ死なる概念があるのならばナレ姦だってあるのでしょう。有名どころはこのあと滅茶苦茶……です。

 本編(マギレコ)開始二年前の現在、神浜市は魔法少女の間でも東西対立の真っ最中です。マギウスも結成されていないので魔女は佃煮にできそうなほど多くはいませんし、サバンナのごとく厳しい野生の掟が敷かれていると言っても過言ではないでしょう。

 久遠のマンションがある中央区は中立地帯でもあり、当初からの縄張りは保証されていました。

 そこに東から引っ越して来た二人の魔法少女、当然、何も起きないはずはなく……と言いたいところですが、日夜特訓している(ベッドやお風呂で)帆奈ちゃんとみことちゃんの強さは圧倒的なので結界突入から解決までの時間は短く、他の魔法少女が後から来る機会はほとんどありません。

 更には久遠の存在(自前の洗浄機)があるのでグリーフシードを情報料やショバ代として融通するため、一目置かれる存在として頭角を表していました。尾行しても撒かれる(マンションの認識阻害)ので一時は縄張りを侵害して来た東の魔法少女という認識をされていましたが、朝の登校時間で見かけるのでその線は消えました。

 

 まぁ、そんな目立ち方をすると当然のように悪い虫(モブ魔法少女)も寄って来るわけで。

 変な勘違い(モブ魔法少女)の類いは片っ端から暗示の魔法を掛けては久遠送り(ワカラセ)した上で解放しました。

 他の偶然遭遇した魔法少女(モブのみなさん)暗示、行為、暗示、放流(夢のような一時を提供される世界へご案内)しておきました。魔法少女のみなさん――中でも、魔法少女ではなく一人の少女としてプライベートで来たのに遭遇した魔女と戦っていたら乱入されて戦利品扱い(お持ち帰り)された、別地区に縄張りを持つ面々は泣いていいと思います。女神調べでは大半がマギレコ開始時には死亡または魔女化している魔法少女でしたが。

 地味に現時点でも魔法少女歴三年目なベテラン都ひなの(みゃーこ先輩)被害に遭った(頂かれた)模様。イベントの詳細も語られずナレ姦で済まされた先輩(ネームド)も泣いていいと思います。

 ただ、どうやら萌え袖と白衣が久遠の性癖に刺さったようです。本人のコンプレックスである幼児体型(高校一年生)まどかちゃん(小学六年生)を思い出させたのか、普段とは熱の入り方が違ったとアルまど様(自称プロ)は語りました。イろはちゃんは扱いの変わらない唯一人の年長者(合法ロリ)にほっこりです。

 なお、面倒見のいい性格なので仲間に誘いたくはありましたが、面倒見のいい性格だからこそ面倒に巻き込んできそうだと判断され仲間には誘わなかったみたいです。

 

 ほとんどの魔法少女(竿姉妹)は暗示の魔法で一部の流れ(マッサージ)を普通の会話に差し替えられ、好意的だからこそ巻き込みたくない相手として認識させられました。

 ですが原因不明の好調に首を傾げる魔法少女も少なくはなかったようで、特にタイミングの問題で魔法少女が同席していなかった(暗示なしで記憶バッチリな)ひなのちゃんは原因の予想がついていました。とはいえ、流石に方法が方法(おいデュエルしろよ)なので確認を取ることはできなかったみたいです。

 乙女心の都合で聞くに聞けず悶える様子は女神二柱をもってしてごっつぁんですと言ってしまうほど愛くるしかったそうな。

 

 こうしてマンション組(総勢二名)は東西だけでなく中立地帯の魔法少女に対しても中立のスタイル(武力による独立)を保つことになります……まぁ、起きるはずのない事件(呼び水となりて綻び)でめっちゃ目立つ未来が確定していますけど。

 

 

 

 ある日、管理人室に置かれた家具の所有率が三割を突破した私物化(上書き)の女王、帆奈ちゃんが人をダメにするクッションに沈みながらふと思い出したように言いました。

 内容としては久遠に出逢ったよりも以前、大東団地の屋上で共闘した魔法少女(和泉十七夜)がいた、というものです。どうやらかなえちゃん情報の東で出会って襲って来た魔法少女(鬼ごっこの鬼)の外見的特徴と合致するそうでした。同時に、堅苦しい喋り方で面倒そうな性格ではありましたが共闘できる人だったので、性格が変わったように感じたようです。そして、それは魔法少女の真実を知ったからではないかとも思ったようです。

 同じクッションに沈むみことちゃんも屋上で出会った魔法少女のことは覚えていたらしく、強くて面倒見も良さそうだったと付け足しました。

 ここで話が終わりそうな流れでしたが、最後に帆奈ちゃんが暗示の魔法を使って和泉十七夜(面倒そうな女)から自分たちの記憶(瀬奈&帆奈の存在)を消したことを付け足しました。みことちゃんから驚きと非難の声が上がりましたが、かなえちゃんの被害を例に挙げて自己弁護を成功させていました。そうした理由(透明になる計画)は口にしませんでした。

 

 話を聞いた久遠は考えます。神浜市内では一括りにされますが、東の内部は社会的なはみ出し者にあるまじき纏まりのない無軌道状態です。

 そんな中でお節介を焼ける(共闘を実行できる)人材は貴重であり、上手くやれば親世代への反発を合わせて利用して若者世代による独立勢力の立ち上げも夢ではありません。何なら会社も電子の世界だけでなく現実世界にも進出する必要があるので、新事業に合わせてアルバイト(若い女の子)を数十名単位で確保したい久遠です。

 魔法少女の真実を知ったことが原因であれば、仲間(竿姉妹)に引き込めば元の性格に戻る可能性は十分あります。

 とりあえず、久遠はその軍人みたいな白服の魔法少女とやらの人となりを確認してみようと思いました。

 

 

 

 そんなわけでやって来ました大東団地の屋上(事件多発スポット)

 久遠としては一人で来るつもりだったのですが、身体能力で勝る魔法少女二名(暗示魔法の前科持ち)を撒くことはできませんでした。それ以前に目的地バレしている点からは目を背けます。

 なお、先客(魔女)がいたのでサクッとグリーフシードになって貰うべくマンション組一同揃ってお宅(結界)にお邪魔しました。が、帆奈ちゃんが魔法少女を誘き寄せるのに使ったらどうかと提案したので採用、そそくさと撤退しました。すると

 

 目の前で人が屋上から飛び降りました。

 

 これには三者共に絶句します。今までで一番やっべー瞬間の到来でした。

 現実逃避気味に責任の所在や今後の活動方針について三者が円陣を組んで話し合っている内に、なんか別の少女が願いを叶えて(生き返らせて)魔法少女になっていました。俗に言う団地組の始まりですね。

 別の宇宙(マギレコ)とは時期がずれている気もしますが、女神はもはやそんな細かいことを気にしません。何しろ本来(別宇宙)犯人(更紗帆奈)画面の向こう(こちらの宇宙)無事な相棒(瀬奈みこと)と仲良く元気にやっています。暗躍がないことでタイミングがずれて早まる可能性は(ZERO)ではないのです。この理論で行くと散花愁章(帆奈ちゃんの暗躍)に関係する孤児院(つつじの家)指定暴力団常盤組(チームななか)構成員の契約に至る事件もタイミングがズレたり起こらなかったりしそうです。飛蝗は理性も知性もキレッキレな者(みことちゃんを喪った帆奈ちゃん)暗示(指揮)があって初めてネコソギにしておくでしょうし。

 そんな考察は後回しにして、女神は新たな生け贄(やられ役)の到来かと揃って正座待機します。無口キャラが連続し(ダブっ)ても、二柱の心には文句など一つも浮かびませんでした。ただ、イろはちゃんの呼吸がカラテを回復しそうなものに変わっていたので、珍しくアルまど様が止める側になりました。決まり手はフレームアウトする長い髪によるチョークスリーパーです。

 

 さて、話し合いを終えた三者は作戦のために一時撤退した風を装うために結界へ突入し魔女を倒しましたが、魔法少女(桑水せいか)with契約成立ホクホク営業(キュゥべえ)が現れてしまいました。

 野生の宇宙生物(キュゥべえ)は久遠周りの調査をしていましたし、その周りにいる魔法少女(契約済の)二人についても当然調べていました。異常と呼べるほどの不自然な戦闘力についても知っています。

 そんなストーカー(キュゥべえ)から魔女を倒さずに結界から出て来た不自然さを教えられたであろう熱血系少女(せいかちゃん)は、幼なじみの救助が間に合ったかもしれないのに、と静かに怒りを燃やします。

 そんな一触即発の空気の中、久遠は新人魔法少女(せいかちゃん)にしっかり契約の内容を確認したのかと問い掛け同行者(しなかった)二名に精神ダメージを与えつつ、そのまま流れるように魔法少女の真実(ネタバレ)を叩きつけました。同行者二名(瀬奈&帆奈)はドン引きです。

 信じら(たく)ない契約済少女(せいかちゃん)は恐る恐る契約相手(キュゥべえ)に確認しましたが、そこは利便性に欠けた骨董品(キュゥべえ)です。安定の聞かれなかったからさ(まさにキュゥべえ)という回答。

 せいかちゃんは自分の未来(私は魔女の危機です)に絶望しつつも願いは叶った(幼なじみは蘇生された)ことから、心の中を一番多く占めるものは諦観を伴う受容となっていました。そして次点の混乱から久遠たちに向けていた怒りの矛先を説明義務違反(キュゥべえ)に向けました。

 愛らしい悲鳴と共に専用業者待ちの生ゴミ(キュゥべえだったもの)へと変貌を遂げた元キュゥべえに、そういう(壊れた)機械のように何度も鞭を振り下ろし続けるせいかちゃん。その姿に、先輩魔法(悪い笑顔の)少女が動きました。

 軽快なトーク(暗示の魔法)魔法少女の真実(逃れられない運命)を知った魔法少女(お仲間)限定と前置きした上で、キュゥべえすら知らないグリーフシード以外の延命法(抜け道)の存在をほのめかし、神浜市の破壊(東西問題の解決)への協力を仰ぎました。打算なき善意などないのです。

 せいかちゃんは垂らされた蜘蛛(釣り竿)の糸に縋り(食いつき)ました。既にソウルジェムは契約して十数分しか経過していないとは思えないほど濁っています。

 帆奈ちゃんの合図(ゴーサイン)を受けた名犬久遠号は熊やらライオンやらと戦ったらしい勇敢な犬(サモエド)のように笑顔で飛び掛かりました。女神から歓声が上がったかどうかは、もはや言うまでもないでしょう。

 後は若い男女に任せてとばかりに去って行った帆奈ちゃんとみことちゃんの二人は、屋上の出入り口となる扉を閉めると、どこからともなく取り出した紙コップを扉に付けて耳を澄ませました。

 目ざといアルまど様は二人がその場を去ろうとした時点でこの後の展開を予想し、イろはちゃんに別チャンネルの予約を頼みました。が、イろはちゃんはむしろ先に見慣れた方(魔法少女二人の側)から見る方が良いのではないかと提案します。好物を最初に食べる派と最後まで取っておく派、両者は譲れない思いを胸にリモコンの奪い合いを始めました。空しい争い(時間の無駄)再びです。

 

 フルオープンな団地の屋上(扉の向こう)から聞こえてくる密やかなせいで一層艶めかしい声を己の力と(オカズに)してそれぞれ励む二人でしたが、周囲の警戒は怠りませんでした。

 開始から(おっ始めて)約一時間。とっくに賢者モードだった帆奈ちゃんとみことちゃんの魔力探知にいつか会った魔法少女(和泉十七夜)の魔力が引っ掛かりました。二人は念のため服装を整え直してから扉を開けて屋上におどり出ます。

 久遠とせいかちゃんはすっかり打ち解けた(関係が決まった)ようで、レジャーシートに置かれた座布団に座ってのんびりお茶していました。どっから出したのかは不明です。それと、終わってたなら呼びに来いよと思った帆奈ちゃんは悪くないと思います。

 色々とツッコミを入れたいのを堪える帆奈ちゃんの代わりにみことちゃんの警告が響く中、お前がアレの言っていた小僧か、と威厳たっぷりな声と共に彼女は現れました。白い軍服姿で、片目はガラスの代わりにソウルジェムがはまったモノクルをしています。手に握った短い乗馬鞭で空いた方の手をぺしぺししていますが、その様子が妙に似合っています。

 

 目的の魔法少女(パッと見は悪役)でした。



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アルまど様とイろはちゃんが何かする話

 何やら剣呑な空気を発しながら乗馬鞭をペシペシしている白軍服の魔法少女(和泉十七夜)の登場に、せいかちゃんの表情が強ばります。

 これは上がり症とお悩みが同時に来ていますね。さっきまでの(致していた)自分の姿を見られていた可能性にも気づいて混乱もしているようでした。

 パッと見はものすごく不機嫌そうですが、本人は軽くパニックになっているだけです。割と損をしがちな癖だと思われます。だがそこがいい。

 

 対して、十七夜さんの言う小僧(久遠)はというと、魔法少女(十七夜さん)の姿を見て厳しそうで教官っぽいとの感想を抱きました。

 続いてバイトのリーダー役を任せた場合をシミュレーションしていました。フルメタルなジャケットのワンシーンが再現されました。もちろん軍曹役です。モブ魔法少女が怒鳴られながらも大きな声で返事をしていました。

 並行して給料の概算も出しましたが、管理を任せる以上は手当てを乗せる必要がありますので、時給は2000円近い額になりました。正社員の条件で単純計算しますと月額32万円、役員からキレられてもおかしくない額です。役職なしとはいえ学部卒の正社員で25万いってませんからね。

 ですが、基本的に癖の強い魔法少女たちを管理して貰う上に、各々の魔法を最大活用する予定を考えたら、一般人の社員を上に置くわけにもいきません。苦学生応援制度みたいな感じで社会貢献をアッピルしてイメージアップさせる方向で役員を無理矢理納得させようと久遠は考えました。

 

 と、ここで十七夜さんが咳込んで膝を突きました。馬鹿な、時給2000円だと……と恐れおののいています。

 そう、彼女の固有魔法は読心。そして時期的にまだメイド(なぎたん)として覚醒しておらず、スーパーの惣菜コーナーなどを掛け持ちするバイト戦士の十七夜さんに金銭の話は特効でした。バイトというかパートナー社員でも時給は高くて1000円前後ですから、業務内容にもよりますが、魅力的すぎました。

 

 唐突に調子を崩した十七夜さんの姿に、帆奈ちゃんとみことちゃんが疑問を漏らしました。

 久遠が心を読まれたみたいだと推測を返すと、帆奈ちゃんは他人を信じられなかった当時の自分が暗示の魔法を掛けたことは正しかったと確信しました。同時に、本心から神浜市の前向きな破壊に協力するつもりの今なら別に大丈夫だとも思いました。

 みことちゃんは強くて格好よくて魔法もすごい十七夜さんに劣等感を刺激されながらも、素直な称賛する気持ちも抱きました。

 せいかちゃんは新人なので、状況が把握できていません。混乱からは立ち直りましたが、今度はお腹が空いてきたので帰りたい気持ちでいっぱいです。

 女神二柱はやるのかやらないのか微妙な流れだったので、ちょっとやらしい雰囲気にしたくて仕方ありません。下手に干渉して世界を壊してしまうわけにもいかず、悶々とするはめになってしまいました。ダメだこの女神ども、早くなんとかしないと。

 

 久遠は心を読まれる前提で、バイトの勧誘から会社……というかお金の力を利用した神浜市の改革に関する計画について、決意した当時を振り返っていたので魔法少女関連を省いてですが、思ったままを声に出して説明しました。

 十七夜さんは魔法を使い続けていたので、久遠の言葉が本心からのものだと理解できてしまいます。実現する可能性については微妙に検討できるラインを越えているので半信半疑でしたが。

 説明が終わり、そのまま協力を呼び掛けられた十七夜さんは、立ち上がりながら考える時間が欲しいと保留しました。

 久遠は了承して、十七夜さんに連絡先を渡すと屋上から去り……そうでしたが、帆奈ちゃんから引き留められて魔法少女の真実を知ったかの確認をするよう言われました。

 すっかり忘れていた久遠は気まずそうに十七夜さんへ質問の許可を求めました。が、心の中で魔法少女の真実について思い浮かべていたので、読み取ってしまった十七夜さんは力が抜けてその場に片膝を突いてしまいました。

 久遠の思い浮かべた場面がみことちゃんの魔女化からの復帰と、帆奈ちゃんのソウルジェム浄化(副作用で絶頂する姿)だったため、当時を振り返る久遠の感想を読み取ってしまった十七夜さんは顔を赤くしながら何かを言おうとするものの、混乱して言葉が纏まらず口をぱくぱくさせるという、普段のクールな様子からかけ離れた態度になってしまいます。そう、十七夜さんは魔女化の運命なら魔法少女に自ら望んでなったので代償として受け止めることができたのですが、他の(性的な)部分が衝撃的過ぎたのです。

 この時点で、二人の名前や断片的な外見等の情報を知った事により、十七夜さんはかつてこの屋上で出会った記憶を思い出したので、暗示の魔法が効果を失いました。つまり、十七夜さん視点では唐突な本人登場です。その後の(百合百合しい)シーンについても妙に細部まで詳しく振り返っていた心も読み取ってしまったため、短い悲鳴を上げてしまいました。完全なキャラ崩壊です。

 目が合った帆奈ちゃんは魔法が解けたのだと把握し、みことちゃんは分かっていないので首を傾げて帆奈ちゃんに問いかけてました。

 女神二柱は女の子としての属性を強めて行為に持ち込む前準備なのだなと理解して腕捲りをします。どっちも長袖ではなく裾の広い半袖とロンググローブなので滑稽さが目立ちます。こちらも手遅れなくらいのキャラ崩壊どすえ。

 

 十七夜さんが大変なことになっていますが、久遠はマイペースにソウルジェムの浄化と魔女化しても戻す手段があることを改めて口に出して、ついでにソウルジェムの強化も方法があることを伝えました。読心発動中の十七夜さんはその手段(少女卒業)のシーンまで読んでしまったので片膝立ちから割座にシフト、若干腿を擦り合わせてもじもじしてしまいます。

 気にした風もなくメリットデメリットのプレゼンテーションを終え、続いてお試し体験するか尋ねる久遠でしたが、十七夜さんは断りました。その様子は気まずいというか、どこか後ろ髪を引かれる思いが見受けられました。

 十七夜さんは断る理由として、年下相手にそういった経験をしてしまうと実弟をそういった目で見てしまい襲ってしまいそうだからという、性欲に対する自制心を心配するものでした。

 なんでも十七夜さん、今まで性欲をもて余したことはなく、自慰の経験もないそうです。女子の相談事で男子をオナニー覚えたての猿みたいに盛って云々と言っていたのを覚えていたため、女性らしくない性格を自覚する十七夜さんは自分が性欲を自覚したら男子の様に制御が甘い危険物になる可能性を懸念したのです。ピュアっピュアでした。

 説得しようにも、暗示の魔法は警戒されていると思われるので使えません。こんなとき頼りになるのが純粋かつ天然(みことちゃん)です。十七夜さんの性格は性別とは無関係な優しさや格好良さで、体つきや仕草はちゃんと女性らしいことを伝えました。

 言われた十七夜さんも勢いに圧されたのか納得し(丸め込まれ)ました。試してみないことには分からないと自分を納得させています。どことなく期待しているように見えたのは気のせいではないのでしょう。

 

 しかし、無情にもここでタイムアップ。十七夜さんのバイトの時間が迫っていたのです。一気に現実に引き戻された十七夜さんは謝りながら都合の良い日に神浜市の是正計画やバイトについて話を聞きたいと言い残して去っていきました。

 これには女神も大荒れ、どこからともなく召喚された馬券のような紙片が辺りを舞います。座布団だって宙を舞ってます。まどか先輩声で物を投げないように注意喚起をするアナウンスが流れましたが、現象は一向に収まる気配を見せません。円環の理は今日も平和です。

 

 久遠としては会えるかどうか賭けだったので、顔繋ぎが出来た時点で目的の半分は達成できたといっても差し支えありません。連絡先の交換も出来たので十分な成果でした。

 なので、巻き込まれて拘束されたせいかちゃんを労って、ついでにバイトの募集要項を渡してその日は帰宅する流れとなりました。

 が、ここで帆奈ちゃんから魔女との戦いを経験しておいた方が良いと提案が。これにはみことちゃんも同意をしました。

 固有魔法は魔法少女になる対価として叶えた願いや、心の底にある本当の願いが反映されると言われています。それを把握しないと、魔力で作った武器を使って戦うしかなくなってしまいます。プライバシーに関わるので詮索はできませんが。

 武器についても魔法少女のイメージに左右されるため、個性が出ます。せいかちゃんの場合は……鞭、ですね。微妙に扱いが難しい。これは訓練が必要だと思いが一つになりました。今ならゲッターだって合体できそうです。

 と、いうわけで帆奈ちゃんが先ほど確保した外れのグリーフシードを久遠に渡して、久遠が普段しているソウルジェムから穢れを吸い取る逆の動き――つまり穢れを吹き込んで、一気に魔女を孵化させました。これには女神も吹き出さずにはいられません。

 今まで時間を遡って別チャンネルを観ることはあっても、久遠に関して見逃している過去はありません。つまり帆奈ちゃんが久遠の見せた能力から推測して、出来るのだろうと振ったら出来そうなので応じた形です。純粋な学力や頭の回転については平凡なアルまど様とイろはちゃんでは思い付きませんでした。見滝原中学校の数学……いえ、何でもありません。あれは恐らくきっとほむら女史のループによる因果の影響だと信じたいところです。

 

 さて、孵化した魔女の結界に捕らわれたマンション組とせいかちゃん。早速わらわらと集まってきた使い魔を相手にせいかちゃんの鞭がどこまで通じるか試してみます。予め魔女には魔法少女が変じたものと使い魔が成長したものがあることをせいかちゃんに教えてありますので、後者であった今回の魔女(元使い魔)に対して躊躇いはありません。

 そして空気を切り裂く独特の音を立てながら鞭が飛び……久遠の顔面を強かに打ち据えました。これは痛い。身構えていなかったので死神がこんにちは(来ちゃった)したようです。ついでに帆奈ちゃんの腹筋にも大ダメージ。

 気を取り直して再挑戦。今度は久遠の脛にクリーンヒット。久遠は転げ回って悶えます。これには使い魔も困惑しているらしく、一行を取り囲んだまま動きません。初回は心配していたみことちゃんも今回は笑いを漏らしてしまいました。

 三度目の正直か、二度あることは三度あるか、運命の再々挑戦。使い魔が一撃で消し飛びました。無事攻撃命中です。せいかちゃん自身もコツを掴めたらしく自信ありげな様子でした。お約束ですが、四度目は久遠の足の小指の先に音速超えの威力を思い知らせる事に成功しました。靴の上からとはいえ、ダメージは計り知れません。油断大敵!

 

 その後、何だかんだで鞭の扱いを物にしたせいかちゃんは、先輩方の手を借りずに魔女を倒しました。固有魔法は判明しなかったので、課題が残る結果と言えるでしょう。戦闘評価があるなら参考元は想像にお任せしますがCランクです。

 今回は経緯が経緯(不正な処理)だったからか、グリーフシードを落とさなかったため、濁ったソウルジェムの浄化は久遠(犠牲)お世話になりました(犠牲になったのだ)。もちろん副作用(ムラムラ)の発散もセットです。女神の機嫌は辛うじて持ち直したと言えるでしょう。

 

 

 

 週末がやって来たので、久遠は鹿目家に帰省してまどかちゃん(見滝原一の性豪)精神安定用ルーチン(ベッドの上の戦争)に従事していましたが、世間話(ピロートーク)でまどかちゃんから驚きの内容を知らされました。

 なんとまどかちゃん、地球史上最多契約数記録保持者(キュゥべえ)から勧誘されていたのです。現時点ではまだほむループ(因果稼ぎ周回)が足りませんので熱心な営業(キュゥべえ)からそこまで注目されているわけではありません。ですが、久遠(謎の存在)に近い存在として認識はされているため、間接的な要因としては十分機能すると考えられます。営業手腕が光りますね。

 久遠が関係する内容に関してはバフが掛かる(人間の限界を超越する)まどかちゃんは、人語を喋る不審な獣(キュゥべえ)第一声(僕と契約以下略)を受けて、久遠から説明されていた特別な病気の正体に勘付きました。

 故に、手段選ばない系営業(キュゥべえ)の言った願いについて考えたまどかちゃんは、即座かつ無意識に『全ての魔法少女(特別な病気)を生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔法少女(間女候補)を、この手で』という願いを浮かべました。

 どこかで聞いた気もしますが、アルまど様は口笛を吹くのに忙しくて答えられません。イろはちゃんは元ネタ(まどマギ)を把握していないので発想のスケールが違うや、と感心していました。

 魔女(発症者)どころか魔法少女(保菌者)から根絶やしにする姿勢はまさに覇王。自らの手で屠ることにより見逃しがないことの確信を得ようとする慎重さも高ポイントです。

 ですが、ここでまどかちゃんは気付いてしまいます。久遠や自分の祖先に魔法少女がいて、契約後に出産している可能性があることを。

 この願いの結果、タイムパラドックス的な(なんかこう上手くいった)感じで久遠が消えて(正史に戻って)しまうなんてまどかちゃんには耐えられません。アカシックレコード的なものが書き換わっても執念(ヤンデレ力)で覚えている可能性がある以上、迂闊な真似は出来ませんでした。

 むしろ今後の人生に関係する重要な事なので、一人で決めず久遠(伴侶)に確認と相談をするべきだという考えもあったため、その場は考える時間が欲しいと保留を宣言してまどかちゃんは撤退しました。悪質地上げ屋系営業(キュゥべえ)その気になったら呼んでね(とりま事件に巻き込むわ)と言って去りました。

 

 そして今に至ります。話を聞いた久遠は、十中八九まどかちゃんの家族が魔女に狙われると考えました。恐らくまどかちゃんの契約は時間の問題(不可避な未来)でしょう。

 実のところ、久遠はまどかちゃんが魔法少女になること自体には反対するつもりはありません。かつて家族を失い失意の底に沈んでいた自分を救ってくれたのはお姉(まどか)ちゃんです。もしまどかちゃんが魔法少女になっても、今度は助ける側になればいいと考えていました。

 幸か不幸か、久遠には魂に干渉する能力があります。魔法少女になることで魂を物質化(低次元に落と)されても、久遠にとっては干渉しやすくなるだけです。高次元のままでは触れられないので傷付くことも少ないですが、手軽に強化もできません。それだったら、むしろ魔法少女になってもらいガンガン強化して脅威が脅威ではなくなる(もう何も恐くない)と思えるまで仕上げた方がよっぽど安心できるというものです。

 現在は人間なまどかちゃん、実は久遠とのアレコレ(裸のお突き愛)により相当な貯金(ポイント)があります。魔法少女の場合はソウルジェム(必要ポイント少)の強化に回せばそのまま身体能力も上がってお得なのですが、人間が相手だとその辺が少々敷居が高いので、保留し続けた結果です。一応、まどかちゃんの話を聞いたので、契約した場合はポイントを使って自動強化されるように仕込んでおきました。例えるならガチャで引いたら最初から完凸してカンストした状態で排出されて来るようなものです。因果とは別の領域なので性獣戦隊因果マン(キュゥべえ)は気付く事が出来ないようです。

 

 と、いうわけでまどかちゃんには家族が危険にさらされる可能性と、契約しても助かるわけではなくそのままぶっつけ本番で魔女と戦闘しなければならなそうなことを伝え、願い事はまどかちゃんだけの権利なのでじっくり考えることをオススメしておきました。

 まどかちゃんは突き放されたと思ったのか、少しだけ悲しそうな顔をしながら頷きました。察した久遠はそっと抱き締めて人は悩んで成長するものだと諭し、優しいまどかちゃんは他人の意見を優先してしまうとの指摘も追加しました。まどかちゃんは指摘を否定できなかったので、久遠を黙らせつつ憂さを晴らすべく実力行使(押し倒)しました。

 

 そのまま日を跨ぐまで戦闘が継続(ギシアン)したため、怒れるママから部屋に凸され説教されました。悲しみに暮れるパパの用意していたご飯は、ラップを被って冷たくなっていました。



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アルまど様とイろはちゃんが変わらず元気な話

 団地から帰った夜、久遠がバイトの募集要項を考えていると、十七夜さんが落ち着いて話をできそうな日を連絡(メッセージ)してきました。

 久遠一行は話し合いの末、なる早がいいだろうと一番近い日付を指名しました。

 その際、十七夜さんの固有魔法である読心により秘密が暴かれる可能性を考慮した三人は、暴露大会を決行することに。

 辛い過去や醜い本音、恥ずかしい趣味、性癖など、話題は多岐に渡ってまさに大盤振る舞いです。内容が内容なので、互いに多少なりとも傷付き、怒り、涙し、笑い合いました。

 そうして秘密を共有した三人は今まで以上に相手を知ることができ、いっそう仲を深めたのです。

 大会の締めが本音トークで主に自己嫌悪から濁ってしまったソウルジェムの浄化、からのお祭り騒ぎ(フィーバータイム)だったのは言うまでもないでしょう。早速みんなで暴露した性癖を刺し合い、過去最高に盛り上がっていました。

 普段ならテンション上がりっぱなしなアルまど様ですが、一般的とは言えないプレイの数々に、特殊性癖! そういうのもあるのか、と感心してじっくり鑑賞しており、生唾を飲む音が響いているように感じるほどいつもの騒がしさが鳴りを潜めていました。

 イろはちゃんは幾つかの性癖に共感があったらしく、真剣な表情で呼吸を荒くしながらの鑑賞でした。気付くと女神はティッシュに伸ばした手と手が触れ、そのまま握っていたので、禁断の関係に一歩進んだようにも見えます。

 

 そして迎えた十七夜さんへの説明会。わざわざ買い揃えたビジネススーツに服装を統一して挑んだマンション組の姿に、本音が伝わったのでしょう、十七夜さんも思わず姿勢を正しました。ちなみに、どう贔屓目に見てもスーツに着られていて微笑ましい感じです。三人ともまだ学生なので無理もありません。

 今回のバイトに関する説明ですが、簡単に言うとVRを用いた配信を行う新事業の立ち上げに伴うスタッフの募集でした。十七夜さんにお願いしようと考えているのはスケジュール管理や細かな連絡の統括です。魔法少女の取りまとめをしてもらうわけですね。

 現時点では来年の夏を目処に本格始動となるので、働き始めるのもすぐというわけではありません。

 内容的に就業時間が不規則というか時間外労働になる部分が多く、参加人数が増えるほどに管理する人数も増えて負担も増えていくため、時給ではなく出来高制にするかは採用側としても悩みどころでした。

 相談の結果、労働時間や時給の条件は久遠側の提案が通ったのでそのまま決定しました。

 十七夜さんの反応はまずまず、といったところです。魔法少女にも東西の確執があるため、上手くできるかやや心配な様子。

 そんな十七夜さんに、横から帆奈ちゃんとみことちゃんから共通の話題(魔法少女や竿姉妹)で打ち解けられるはずだと助言がありました。

 この二人もTRPGに参加して魔法少女になりたての頃に苦労した話や慣れてからも悩んだ話をする側になるので、十七夜さんの世話になる形です。

 ほとんど話がまとまったこのタイミングでジェム姦被害者の会(竿姉妹)の話題が出て、十七夜さんの表情が変わりました。非常に珍しい……おそらく別の宇宙(マギレコ)では見せたことのない、取り繕った笑顔を浮かべようとして失敗した様な感じです。口元がふにゃふにゃで顔が赤くなっていました。

 アルまど様がどこからともなくサングラスを取り出してかけると、簡潔に一言……続けて、と先を促しそうな雰囲気を出していました。そう、この宇宙を観測してから急速に鍛えられたラブコメならぬエロコメに対する嗅覚が今後の展開(シーンの始まり)についてキャッチしたのです。イろはちゃんの分も取り出して差し出しましたが、受けとるだけ受け取ってそっとアイテムボックスのスキル的なサムシングにしまいました。分類はだいじなものです。

 そんな茶番を女神がしている内に、あれよあれよと話が進んでいました。変身中に致しても変身を解除したときの身体は清いままだとか、ちょっぴり刺激の強いマッサージみたいなものだとか、十七夜さんの心配事を二人の魔法少女が解していきます。サイズ的に初めてでも安心とか地味に攻撃(殺傷)力の高い発言も飛び出していますが。

 そして気付けば十七夜さんは説明会場だった大東区の喫茶店から、中央区のマンション(アジト)、その管理室(事件現場)に連行されていました。ちょっとした暗示の魔法の応用で、道中すれ違う人々からの陰口や中傷はシャットアウト済。おかげで、空気を悪くすることはありませんでした。

 最初は体に触れられることから慣れていこうと、変身はしないまま普通のマッサージから始まりました。さすがに学院の制服のままではいけないので、久遠の性癖でもあるぶかぶかなサイズの(ジャージ)に着替えてもらいます。これはレアスチルですね。

 地味にまどかちゃん(契約してない)相手ですら着エロだったせいでコスプレ性癖とチラリズムとに目覚めつつあるイろはちゃんの鼻息が荒くなってきました。アルまど様はとっくに手遅れ(開眼済)です。

 用意された折り畳み式のマッサージベッドに乗ってうつ伏せになり、普通のマッサージを受ける十七夜さん。バイト戦士の身体は割と疲労が蓄積していたらしく、凝りを指摘された十七夜さんは少し恥ずかしそうです。たまに漏れる声がセクシーで女神たちの期待が高まっていました。

 背中側が終わったので、仰向けになってもらうのですが、そこで十七夜さんの視界に映ったのは変身済で悪い笑顔(帆奈ちゃん)申し訳なさそうな笑顔(みことちゃん)を浮かべる二人の魔法少女。十七夜さんは敵地に乗り込んでおきながら変身(警戒)していなかった自分の失敗を悟りましたが、時既に遅し。バッチリ暗示の魔法を受けてしまいました。

 内容的には相手の指示に疑問を持ちにくく、少しだけ身体が敏感になり、性的な物事への心理的なハードルを低くしました。いずれも効果は弱く、十七夜さんにそういった(異性との接触)経験がなかったので、知らなかったけど実は……くらいで納得してしまう範囲です。

 そんな暗示の後ですが、マッサージ自体は真面目に行いました。暗示のせいで身体が敏感になった十七夜さんは、マッサージが終わる頃には準備が整(とろとろにな)ってしまいましたが。

 後は調理するだけとなった十七夜さんはいよいよ行為(お試し)に移り、指示に従って変身しました。可愛い服装ではないからこういう場面には合わないと、コンプレックスのように語る十七夜さんの姿が見られるのはここ(この宇宙)だけでしょう。イろはちゃんは興奮の余り飲んでいたコーラのカップを握りつぶしてしまいました。

 もちろん、久遠はそんなことは(医療行為認識なので)気にしません。ただ、めっちゃスカート(女の子)やんとツッコミを入れられ、後で突っ込まれもしました。特に効果のある暗示は掛けていませんでしたが、痛みはほとんどなかったそうです。お腹の下辺り(赤ちゃんの部屋)を撫でられ続けて自分が女の子だ(ママになる)と認識させられたのが大きかったようです。

 基本的にノーマルなプレイだったのですが、普段とのギャップは破壊力が高かったらしく、凄かったと同席者(瀬奈&帆奈)もこぼすほどでした。モニター前のイろはちゃんに至ってはわが生涯に一片の悔いなしとばかりに立ち上がり右手を天に向かって突き上げていました。

 

 しばらく時間が経って落ち着いた十七夜さんでしたが、思っていた以上だったと感想を言ってから、知り合いの魔法少女を紹介したいと話を切り出しました。

 魔法少女の名前は八雲みたま。何でも戦う能力を持たないそうで、自力では魔女の使い魔すら倒せずグリーフシードの確保が事実上できないため、久遠を頼りたいとのことでした。久遠としては問題ないため、首を縦に振ります。

 事情(マギレコ)を知っているイろはちゃんはラスボス(みこと)元凶疑惑(みたま)の邂逅に嫌な予感を隠せません。しかもこの時点では調整を教わっていないため、真に無力な状態です。そして何よりも、果たして(みかげ)と同年代な久遠(異性)そういう(アバンチュールな)関係を持って精神的な意味で無事に済むのでしょうか。近い将来、姉妹の仲がどうなるのか今からワクワク(心配)が止まりません。

 

 

 

 そんなイろはちゃんに心配されたみたまさんとの出会いでしたが、みたまさんが無気力状態なので反応は薄く、話そのものは比較的スムーズに進みました。

 ですが、魂に一家言ある久遠によるソウルジェムの調査と聞き取りから、契約時の願いに応じていると思われる魂の歪みが確認されたことを聞くと、みたまさんは感情(呪詛)を爆発させました。

 その際にポロっと漏れたみたまさんの読んだ破かれたノートのページに関する話でみことちゃん(書いた人)のソウルジェムが濁り、突然の事態に言葉を止めてその理由を聞いてしまったみたまさん(願った人)のソウルジェムが濁り、おかげで久遠はあっちでジェム姦(ちゅーちゅー)こっちでジェム姦(ちゅーちゅー)と大忙し。その活躍ぶりは獅子奮迅と呼ぶに値するものだったと言えるでしょう。とっさのことで手加減しなかったため対象(被害者)二名がアヘ顔ダブルピースを晒していますが、それぞれの相方(パートナー)が面倒を見ているので問題ありません。

 しかもちょうどいいと言った久遠により、そのまま流れでみたまさんが大人になり(少女を卒業し)ました。医療行為扱いの久遠に配慮(情緒)躊躇い(へったくれ)もありません。途中で正気に戻ったみたまさんが混乱と恐怖からソウルジェムを濁らせましたが、当然即浄化されて行為の助けにされました。これには女神も合掌したそうな。

 治療(行為)が終わって、最終的に自分から求めていた(完璧に墜ちた)みたまさんは元気が出たらしく、年上のお姉さんぶって(手遅れだけど)久遠を叱りました。

 一人っ子の久遠は満更でもない様子だったので、帆奈ちゃんとみことちゃんは心のメモにしっかりと優しいお姉さんによる常時女性上位オネショタの概念を書き込みました。今夜の晩御飯が決定した瞬間です。ちなみにみことちゃんは絶賛ムラムラ継続中です。

 

 改めて一息ついた後、無気力状態から復活したみたまさんから十七夜さんとの出会いや関係について聞かれたので答えていく内に、バイト――新事業の話になっていきました。

 実際の配信内容についてですが、主な内容としては魔法少女を参考に(流用)した現代ファンタジーのTRPGを作ったので、それに関するプレイ実況やリプレイ動画を用いた解説、情報発信等のネットラジオを考えています。ついでに参加してもらう魔法少女(被害者たち)の趣味や特技を活かしたコンテンツにも派生させていく予定だとか。

 この事業、採算は考えておらず、狙いは魔法少女のネットワーク構築です。暗に示す程度ではありますが、神浜市の現状をネガキャンして転覆への流れを作る目的もあります。

 その内容にみたまさんは自分の願いが影響を与えたのではと疑心暗鬼に囚われましたが、久遠の両親を失った日からずっとという言葉で疑念を霧散させました。

 配信ではキャラのなりきりをしている設定で素の魔法少女生を語って貰い、視聴者の中にいる魔法少女にメッセージを送って炙り出します。

 また、基本的に魔法少女の真実は当の魔法少女の間ですら広まっていません。なので、TRPGを通して暴露します。

 

 と、ここで初めて魔法少女の真実を知ったみたまさんがソウルジェムを濁らせたので安定の治療(吸出し)。そして最近覚えたと副作用を魂への干渉で打ち消しました。

 これには魔法少女各位も女神もガタッとなら(ご褒美が減るのかと心配せ)ざるを得ませんでした。が、みたまさんの様子がおかしいことに十七夜さんが気付き、久遠(犯人)に問い掛けました。

 返って来た答えは、強い尿意のようなものに変換されたというものでした。実際に出るようになるわけではないため、トイレに行っても解決されず、妙な焦りが収まらない感じになるそうです。満場一致で禁止されました。

 

 みたまさんがなったように、そのままでは視聴者の中から魔女が生まれるかも知れませんので、魔女になっても戻る可能性という希望を撒いておくのも忘れてはなりません。内容的には聖地巡礼の名目で神浜市まで来いという、遠くに住む魔法少女にすれば無茶振りでしかない希望な訳ですが。このせいで各地から魔女が神浜市に集まる流れが出来るとは、女神の目でも見抜けませんでした。

 そして最重要項目なので、白毛赤目の小動物(キュゥべえ)はTRPGでもインキュベーター(キュゥべえ)の名称そのままで出します。契約の手口を詳しく解説、メリットとデメリット、願いと固有魔法の関係等、判明している情報を垂れ流して新たな契約(犠牲)者の予防を促す予定です。

 そのため、TRPG内ではモブやネームドのNPC魔法少女にはバシバシ死んだり魔女になったりして、現実の厳しさを伝える教材になってもらうつもりだそうです。

 実際問題、みたまさんを除いた三名の魔法少女はある日を境に姿を見なくなった魔法少女を知っているため、警告は必要だろうと声を揃えました。同時に、言葉だけでは止まらないだろうという意見も揃いましたが。

 配信内容の説明が終わり、質問者であったみたまさんは知りたいことが知れて満足そうでした。ついでに神浜市の現状に対するヘイトは並々ならぬものを抱えているため、配信に参加したいと立候補、即採用の内示を受けました。

 これで協力者は四名……と言いたい所ですが、実はこのマンション、久遠が当たりのグリーフシードから戻したモブ魔法少女(戸籍がっがが)が住んでいます。中にはかなり昔に生きていたり、遠くの出身であったりする少女たちもいて、魔女の時の記憶がぼんやりとあるため精神的に重症な子が多く、引きこもり状態です。

 魔法少女の悲劇を知る者として、新しい犠牲者(契約者)を出したくない気持ちは強く、同時にみんな自分と同じ(魔女)になればいいんだという気持ちもある難しい子たちですが、幸か不幸かマンション組には心を開きつつあるので(股は開いたがなガハハ)近く協力が得られることでしょう。久遠の予想では年明けの夏頃でしょうか。

 

 と、いうわけで現状は四名ですが、久遠(事業主)がGMを担当し十七夜さん(管理職)をプレイヤーにすれば卓を囲めるため、新事業の宣伝はしても良さそうです。

 そんな話をして、その日は解散となりました。夜は我慢の限界に達していたみことちゃんが大ハッスル(ルパンダイブ)したそうですが、真相は定かではありません。

 なお、みたまさんと連絡先の交換を忘れていたことに気付くのは次の日の朝のことで、みたまさんは就寝前に気付きひそかに泣いたそうです。埋め合わせで搾られた際は女神の応援が届いたのか、終始優勢を保ったのはここだけの話です。



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アルまど様がイろはちゃんに軽く引いた話

 時は流れ、あっという間に来年度を迎えていました。

 途中でまどかちゃん(特別な存在)の誕生日を祝ったり、ハロウィンでトリトリ(学校行事に参加)したり、冬休みが始まって宝崎市まで潤さんを訪ねたり、クリスマスにホーリー帆奈とホーリーみことが降臨して引きこもりモブ魔法少女のみなさんも巻き込んでマンションを混沌とさせたり、会社の忘年会や仕事納めをしたり、年末年始を鹿目家で迎えたり、バレンタインに久遠が配った手作りチョコの出来映えで少女たちを撃沈したり、ホワイトデーに三倍どころじゃない成金返礼をして叱られたり……それぞれ一話二話使えそうなイベントがあったのですが、あいにくと面子が同じなので飛ばします。

 当然、女神たちは何がフラグになるか分からないのでしっかり追いかけてじっくり鑑賞しました。魂に干渉する能力を持ち、着エロ(性癖)こだわりを持つ(とても正直な)久遠が、季節イベント(バージョン違い)を逃すはずありませんでしたので。

 その期待を裏切らず、予想通りコスチューム(特別な衣装での)プレイ(思い出作り)(意味深)は素晴らしかった、と振り返って思い出し笑いならぬ思い出し発情を始めてしまうアルまど様でありました。

 イろはちゃんは原作(マギレコ)キャラの契約ラッシュが始まる年になったのでワクワクしながら力を溜めている状態です。とはいえ、毎回劇的な出逢いをするはずもなく、既知の魔法少女に紹介されたり魔女の結界で鉢合わせたりしてそのまま流れで……となる場合も多く、その場合はナレ姦で済まされるのですが。

 

 

 突然ですが、久遠は亡き父の立ち上げた不動産会社を継いだ二代目社長さんから気をかけてもらっており、たまに会食して近況報告をし合う仲です。

 今回、新年度を迎えた久遠は進級祝いでもある会食で、最近になって悪質な地上げ屋が活発に動いていることを伝えられました。中央区にマンションを持つ久遠にも気を付けるようにということですね。

 これを聞いた久遠は、逆にチャンスだと思いました。

 久遠は悪人に人権はない(ドラまたリスペクト)と本気で信じており、好きにしてもよいと考える過激派です。そんな危険人物が魔法少女という非現実的な力を持ち物理的にも一般人では太刀打ち出来ないつよつよな戦力にツテを持っています……そう、久遠は地上げ屋の乗っ取りを画策するのでした。

 

 

 

 早速、帰宅した久遠は帆奈ちゃんとみことちゃんに地上げ屋を乗っ取ろうぜと話を持ちかけました。が、反応はイマイチです。

 どうやら二人としては余りに突然であったため事態が把握できていない感じで、ついでにどう乗っ取るのか、何より乗っ取る意味が分かっていないようでした。

 というわけでまずは任務の説明です。地上げ屋の下っ端を捕まえて暗示の魔法をかけます。トップの居場所を聞き出して暗示の魔法をかけます。恐らくは繋がっている反社会的勢力にも暗示の魔法をかけます。以上です。

 反社会的勢力は、他の土地に根を張る同業からの侵略に対する防波堤でもあるため、迂闊に潰すことはできません。暴力と権謀術数の世界に生きるからこそ堅気の人や義理人情を重く考える者も少なくないため、特に土地に愛着を持っているタイプは残しておいた方が得だったりするわけです。

 とはいえ面子商売なので地上げ屋に手を引かせるよう説得するのは難しく、要求を呑ませ(悪人にくれてや)るだけの見返り(綺麗なお金)用意できる(ドブに捨てる)ほど久遠の(忍耐)が足りているわけではありません。なので暗示の魔法で好き(きれい)()る必要があるんですね。

 

 なんてことを話した翌日から、久遠は情報を集め始めました。これでも不動産業者の跡継ぎ候補として鍛えられた(五歳まで)身、立地の良い場所の特定は容易い事(ほぼ直感)です。

 

 そしてやって来ました神浜市は参京区、孤児院『つつじの家』です。別の宇宙(マギレコ)では神浜市が大きな被害を受けたワルプルギスの夜vsイブvs魔法少女の怪獣大決戦を経ても無傷で過ごした神浜市最強の建築物として有名ですね。

 事業家としての顔も持つ久遠は予約していた時間にみことちゃん(暗示の魔法家元)を伴い来訪しました。

 帆奈ちゃんは孤児院生活の経験があるため、横の繋がりで顔を覚えられている可能性(万が一)を考えてリスク回避を兼ねた周囲の見張りと堅気に見えない相手の尋問をお願いしています。

 久遠たちを迎え相手にしたのは副院長。つつじの家を売るつもり満々な裏切り者ですね。

 しかし、国主導の政策で孤児を別々の新規施設に飛ばして教育してみるテスト……正直な感想を言えば、孤児が溢れていた過去に散々試されていたと考えられますが今はデータが残らない程度の価値しか見出だされなかった手法です。どこをどう切り取っても結果を出せず大赤字の大失敗(ISTD)案件です。賢者は歴史に学ぶそうですよ。

 まぁそんな国家規模の計画とは関係ないし知りもしない久遠は自分の目的を切り出します。

 年齢にそぐわない成功を収めたので、両親を失った身の上として他人事ではないから、慈善事業に還元したい……という建前で資金またはカタログ品の寄付に関する申し込みですね。

 こうして金をちらつかせたら悪人は奪えないかと調べるでしょうし、大人がそばにいない小学生なんておいしい環境がわかれば危機感の足りない無知な子供と侮って手を出して来るでしょう。後は食いつくのを待って釣り上げるだけ、簡単なお仕事です。

 と、思っていたら微妙に困った顔の副院長。何しろ、本人的にはもうすぐ畳まれる施設です。このまま説明もなしに寄付を受け取るだけ受け取ってすぐに施設を閉鎖したとなれば、寄付金を持ち逃げしたと週刊紙にすっぱ抜かれることでしょう。

 更には名刺と自己紹介から、相手はインターネット産業で実績を持っているとわかっています。SNS経由で注目を集めたり、万が一にも計画に辿り着かれたりしたら、身代わりの捨て駒にされる可能性が濃厚です。よって、下手に説明をして断ることも難しい提案でした。

 国がバックについているなら寄付金の大半を貢いで国に圧力をかけさせるかと陰謀を巡らせましたが、副院長が迷っている内に久遠は院長先生とも相談してください(お前ごときじゃ話にならない)と言い残して帰りました。院長先生はこの時点だと体調を崩した段階であり、存命だったんですね。神ならぬ身では気付きませんが。

 

 副院長との会話を終えてつつじの家を後にした久遠とみことちゃんを、帆奈ちゃんが迎えました。その傍らにはぐったりとして動かないスーツ姿の男性。どうやら獲物が網にかかったようですね。

 というか、返事を待たずに席を立った理由がこれです。念話で帆奈ちゃんからみことちゃんへ連絡がいき、計画がポロリしたからなのでした。下っ端の地上げ屋かと思ったら神浜市の役人だった。な、何を言っているか以下略。

 そしてつつじの家が本来の目的である地上げ屋とは無関係だと判明したので、久遠はちょっぴり恥ずかしく思いながら帰途についたのでした。

 それはそれとして政治家の弱みを握れそうなので、神浜市転覆のために証拠を集める決意を固めたそうです。

 

 数日後、返事もないし証拠隠滅に動いたのかと心配になり、つつじの家を襲撃しようかと考えていた久遠が、新聞のお悔やみ欄に院長先生の名前を見付けてお茶を吹き出す悲しい事件が起きました。

 

 その日の夜は予定がなかったので、早速魔法少女二人と一緒にスニーキングミッションのお時間です。マンションにかけてあるのと同じ認識阻害で楽々進行で……つつじの家の庭で新しい魔法少女が三人生まれる瞬間に立ち会ってしまいました。とりあえずの精神で遭遇率の高いアレ(キュゥべえ)に対して不意打ち(アンブッシュ)を加えしめやかに爆発四散させたマンション組は悪くないと思います。

 

 相手目線では唐突な不法侵入からの契約の対価とはいえ願いを叶えてくれた存在を殺害という言い訳無用な不審者が出現したわけで、当然といえば当然ながら誕生したばかりのつつじシスターズ(名前はまだない)と一悶着ありました。が、先輩魔法少女による説明と質疑応答を経て武力衝突には至りませんでした。負のご都合主義による突然のあち死が発生することもありません。

 しかし、一足も二足も早い(フライング)魔法少女の真実(お前が魔女になるんだよ)はショックが大きかったらしく、戦闘もなしにソウルジェムが濁ってしまいます。そして反射的に浄化活動(ちゅーちゅー)してしまう一連の流れ(ご都合主義)は起きました。

 

 まず最初に、よくわからないけどなんとなく怖い話をしているな、と不安になったあやめちゃん(末妹)犠牲になりました(あやめーーーーっ!)。年長者二名は自分たちの暗い未来と大切な存在を巻き込んでしまった絶望よりも、そんな大事なことを伝えなかった質問には真摯に答えた営業(キュゥべえ)に騙されたと受け取って抱いた怒りが勝っていましたので、濁るタイミングが挟まらなかった様子。

 色気のないうひゃあという悲鳴を上げて飛び上がった時に浮かべていたのは驚愕の表情でしたが、着地に失敗して放心したまま座り込む彼女の瞳の中には間違いなく悦びが混じっていました。

 これは経験も知識も自覚さえも持たないまま性の目覚めを迎えたらしいと、女神たちは即座に見抜きました(しょうがないにゃあ)。女神的には高ポイントだったようです。

 

 次に、溺愛する妹分に危害を加えられたと瞬間沸騰(ブチギレ)したこのはさん(長女)魔法少女の先輩方(瀬奈&帆奈)から押さえられている内に、ほぼ綺麗なままのソウルジェムをきれいきれい(ペロペロ)され撃沈。

 そんな反応をしてしまった(気持ちよかった)自分が信じられなかったらしく、受けた精神的な衝撃(ショック)で今度はしっかりソウルジェムが濁ってしまったため、追撃が決まりました。おかげで女神たちが外人4コマみたいなテンションになっています。そして許容値(ライン)を越えて上がり(絶頂)を迎えたこのはさんは意識を飛ばしてしまいました。

 

 残された葉月ちゃんは冷静ではいられませんでしたが、どうにか質問によって今起きた現象の説明を受けることに成功しました。そして頭を抱えました。

 ただでさえ、一足飛びに経験(絶頂)から入ってしまったあやめちゃんに知識(ABC)を教えなければならない苦労が予想されてめげそうなのです。

 そこに体を差し出す(今以上の行為)となれば、どう取り繕えばいいのか葉月ちゃんには検討もつきません。

 貞操観念を確立させなければ快楽堕ち(ドはまり)してビッチ街道まっしぐらな可能性もありますので、逃げるわけにもいきません。潔癖症(処女厨)っぽいこのはさんの説得もすごく疲れそうです。

 いっそ自分も堕ちてしまえば楽になるのかと気分は沈み(フラグが立って)、気付けば襲撃を許して(ジェム姦されて)しまいました。何となく自分だけ仲間外れになるのも嫌だったのか、葉月ちゃんはどこかスッキリした笑顔で親指を立てながら前のめりに崩れ落ちたのでした。

 こういうのもたまにはいいですねと珍しくはしゃいでいるイろはちゃんを、アルまど様が温かい目で見守っておりました。

 

 さて、意識を失った三姉妹(オルフェンズ)を放置しておくわけにもいきませんので、マンション組は背負ったりお米様抱っこしたりでお待ち帰りすることにしました。グッバイつつじの家!

 初めてが外かーと不満そうに漏らしながらも期待が隠せず、正座待機していたのにお預けを食らってしまったイろはちゃんが、もっと熱くなれよとエールを送っていますが、届きはしません。

 すっかり染まったイろはちゃん(年上の後輩)アルまど様(年下の先輩)は軽く引いた態度で眺めていました。なお、普段の自分がそんな感じだとは夢にも思っていないご様子。

 

 マンションに無事到着した久遠一行でしたが、三姉妹は未だに意識を取り戻さないのでベッドにひとまとめにしておきました。そして話し合いのお時間です。

 つつじの家での会話で判明した契約の対価(ねがいごと)によりつつじの家が存続する(不正が明るみになる)ので、弱みを握れそうな関係者は首が据え変わり効果が無くなるだろうと久遠は大きく肩を落としていました。予想される新任たちの人間性にも期待できないと嘆きます。小学生の姿か? これが…。

 それを帆奈ちゃんが元々予定にないイベントだったから損はしていないと正論で励まし、みことちゃんが新しい協力者を得られそうだしと希望的観測で慰めます。

 このとき、二人はわざわざ変身して近付きながら言葉をかけていました。ご褒美を要求するんですねわかりますと女神たちは即座に体勢を整えました。いいものは、何回見ても、いいものだ。詠み人不明(アルまど)

 そしてお約束ですが、こっそり意識を取り戻して様子を伺っていた葉月ちゃんが近くで繰り広げられる打ち上げ(お楽しみ)に当てられてその気になり、あやめちゃんは興味津々で演技にボロを出しながら鑑賞、このはさんはカルチャーショック(複数相手に勝つ姿)受け()て気絶しました。

 一通り済ませて満足した帆奈ちゃんがベッド(二次会場)に誘導し、みことちゃんが悩みます。そこに久遠がもう起きてるでしょとかまをかけ、あやめちゃん(素直アホの子)が引っかかりました。それを咎める形で葉月ちゃんも復帰。

 改めて医療行為(お注射)の効能について説明をしましたが、あやめちゃんは無駄に強さへの自信に満ち溢れていたので拒否しました。葉月さんは悩み中。説明の途中で復活し聞いていたこのはさんは自分が犠牲になればあやめちゃんは綺麗なままでいられると覚悟を決めていました。

 と、ここでみことちゃんから三姉妹の話し合いタイムも必要ではと提案が出たので、マンション組は一時的に席を外(浴室でキャッキャウフフ)しました。エコーのかかった艶っぽい声は破壊力が高過ぎて葉月ちゃんは割と限界が近くなっていましたが、知らないふりをしてあげるのが大人というものでしょう。つまり、あやめちゃん(お子ちゃま)が指摘して姉二人(お年頃)の間にいたたまれない空気が流れたわけです。

 

 サッパリホカホカな風呂上がり組に対して、孤児院を出た三姉妹は出した結論を告げました。

 このはさんはあやめちゃんの貞操を守るのと本当に行為の効果があるのかの確認という自己犠牲精神から、葉月ちゃんは二人を守る力を欲した上で行為そのものへの興味から、それぞれ施術(行為)を希望しました。あやめちゃんは興味があるけど止められてしまい、仲間外れにされたのもあってご機嫌ナナメ。とりあえずデカゴンボールの単行本を与えておきました。

 

 やることは決まったものの、順番争いが勃発しました。片や効果の確認のため、片や我慢の限界により、自分が先にと譲りません。

 決めてなかったんかいと呟く帆奈ちゃんの呆れ顔、我々の業界ではご褒美です(プライスレス)。そしてこれは長引きそうだと判断した帆奈ちゃんの、暗示の魔法が火を吹きました(ファインプレー)

 結局、二人同時に卒業式を迎えました(おとなになるってかなしいことなの)。暗示で素直になるように強制されてしまい、嫌だ、いけない、と思いながらも気持ちいい、もっと欲しい、と止められなくなって普段とは全く異なる姿を晒した二人。声質も珍しかったのでつい漫画から視線を移してしまったあやめちゃんの目が丸くなっていました。

 止められなかったら自分もあんな風になっていたのかと、二人に感謝しながら安堵のため息を吐いたのですが、その二人に誘われたものだからさあ変態(大変)

 元々の興味と、目の前の反面教師との間で葛藤しましたが、素直にさせられているこのはさんの本心からの言葉(激重感情の暴露)が決め手でした。

 気合を入れて変身してから何故か脱いで(数少ない知識から)すっぽんぽんな状態でベッドにダイブしたあやめちゃんは勇者でした。久遠の指示で脱いだ服を着せられて納得いかない顔をしていましたが。

 暗示なしのあやめちゃんは子供っぽくも初々しいしっかりした反応を見せていました。久遠も精神的に年下な印象が強すぎるあやめちゃんには思わず紳士度(品格)が高まり、つい実践形式の性教育(開発)になっていたのはご愛敬。じっくり丁寧に仕上げられ(出来上がっ)ていく中、部屋に響くオホ声に、モニター前の女神たちもほっこりしていましたとさ。

 

 施術が終わって、三姉妹の上二人は暗示にかかった最中の自分を振り返って悶え転がりました。末っ子だけはどこか嬉しそうにしており、悶える姉二人に抱き着いて尊い光景を作り上げています。

 落ち着きを取り戻したところで今後についての話をしたのですが、長女が貯金を株で増やす計画をしたので、久遠が社長の顔になり自社への投資話を持ちかけました。ついでに口頭ですが近く募集予定のバイトについても説明。今ならマンション最大一人一部屋もちろん相部屋相談可に住み込みで家賃インフラ全部無料。即決でした。

 憐れみや邪な心を見せないビジネスライクな態度がこのはさんの気を楽にしたようです。小学生社長とかいう非常識には呆気に取れればしていましたが。なんなら魔法少女の願いで若返ったんじゃないかと疑惑を向けられたくらいです。

 そういった可能性を模索できる(ただし魔法少女の真実はスルー)このはさんの高い能力に、マンション組の期待は高まりました。施術中の本音トーク(暴露話)により束縛系ヤンデレ(ナカーマ)な傾向と人見知りのコミュ障(オマエモナー)であることが判明しているので、距離の取り方もバッチリです。

 こうして、魔女狩りのために神浜市を去るはずだった三名が市内に残留することになりました。久遠が強化した(手を出した)魔法少女の数がトップな中央区は、戦力的に見ても全国有数、もはや魔境じみています。東は古巣でもあるため協力者がチラホラいて、じわじわ久遠(無限グリーフシード)の噂も広がっています。西は西で柊ねむちゃん(数少ない血縁)の見舞いで度々訪れており、道中で石・即・吸(摘まみ食い)してしまうパブロフの久遠が犠牲者を積み上げています。かなえちゃんは口も義理も堅いので話題の広まりはなかったようです。が、そこに信が置けるのだと久遠は評価をしているので問題なしでした。

 

 あ、つつじの家ですが、聞き出した願い事だけでは施設として残ってもクリーンな運営が確約されているわけではないので、後日ちゃんと経営母体(社会福祉法人)の調査をしました。さすがに法人の乗っ取りをするには時間も(資金)が足りませんので、予定通りに寄付だけです。

 それにより、つつじの家から感謝状を貰いましたし、同じ学校に通う孤児院出身者からも感謝されて交流が始まり仲良くなりました。地味にモブ魔法少女が紛れていたので、施設内では浮いていたらしい三姉妹の許可を得てから捕獲して仲間に引きずり込みました。女神調べでは養子として引き取られて行った先の義兄からひどい目にあわ(無理矢理致)されて絶望し魔女化する運命だそうです。ここではどうなることやら。

 

 

 

 ある朝、久遠と帆奈ちゃんは真っ青な顔色のみことちゃんから怖い夢を見たと告げられました。

 内容としては、魔女化する直前の何もかもが憎悪の対象になる心境を更に酷くした状態で、たくさんの魔法少女の悲劇を延々と見せられるというもの。

 ソウルジェムの強化が著しい現在のみことちゃんでさえ結構な穢れが溜まっていますので、常人レベルの精神には相当な負担がかかっているでしょう。

 考察や今後の対応といった詳細を詰める前に、まずは浄化を急ぐのでした。



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アルまど様とイろはちゃんが手に汁握る話

 みことちゃんが悪夢を見た日、神浜市の魔法少女界隈ではちょっとした事件が起きていました。

 東西共に、縄張りを侵犯して来たと自称する魔法少女から襲撃されるというものです。

 それだけでも十分に問題ですが、更に問題なのは場所が中立地帯である中央区であったこと。

 現場が中央区の魔法少女が縄張りにしていた場所なのかは不明――連日確認しなければわからないことですし、確認のために連日中央区へ侵入するのもほめられたことではありません――ですが、その時は近くに魔法少女の気配がなかったので魔女を野放しにする(チャンスを逃す)わけにもいかず狩ろうと試みたそうです。

 どうにもここ最近の神浜市は魔女不足らしく、東西それぞれの縄張りだけではグリーフシードの供給が心許ないのだとか。そこで、大きな後ろだてを持たない中央区が標的にされているようなのです。

 まぁ、中央区はランダムエンカウントする(乱入して来るとんでもない)久遠による浄化と強化が起きるため魔法少女たちはグリーフシードを求める必要性があまりなく、縄張り意識も薄くなっているのでちょうどいいのですが。

 もちろん強化済(被害者)の魔法少女は穢れもたまりにくく、ちょっとやそっとじゃ魔女化したり死亡したりも起きません……魔女不足の原因が一部判明しましたね。魔法少女の真実(魔女ちゃんはどこからくるの)を知らない当事者たちには辿り着けないものですが。

 そう、魔法少女の真実も暴露されているため、魔女に対する憐れみ(逆だったかもしれねェ…)から手を下しにくいと感じる子も少なくないのが中央区の現状だったりします。

 中央区から生まれる魔女の数は極端に少なく、区外から迷い込んで来たと考えれば、ある意味では東西からの介入は持ち込んだ面倒の責任を取っているだけと見ることもできるのです。

 まぁ、そんな事情は久遠被害者の会(実際に設立された)でもなければわからないですし、被害に遭った(汚されちゃった)魔法少女は事が事(年下に完全敗北)なので言いふらしたりもしませんし、あくまで東西の魔法少女が中央区の縄張りを侵害している問題となっています。

 そんな中央区での争いですが、幸いにも死者は出なかったようです。が、縄張りは荒らされていますし、怪我を負った魔法少女は存在します。界隈では元々の確執もあって東西共に緊張が高まり一触即発の状態です。

 中央区が表向き私たち被害を受けた弱者なんですぅーみたいな態度をしつつ、内心ではあいつらまだグリーフシード集めてる(男を知らない処女な)んだぜと遥か高みから見下ろしているとは思いもしないでしょう。

 

 と、いうわけで中央区は大魔法少女時代が始まって荒くれ共のはびこる世紀末的な感じにギスってるようです。偶然見かけた魔女の結界に居たので襲撃し(じゃれつい)ておいた都ひなの(被害担当)先輩がげんなり(ぐったり)しながら教えてくれました。女神たちは今日もご馳走さまでしたと両手を合わせて拝みます。

 大変ですねと同情する久遠の慰めを受けて感情が高ぶったのか、暴走しないように(久遠バレが怖いので)中央区の魔法少女を押さえなければならないのが面倒過ぎるとキレ始めたので、後で結果を教えてくれるようにお願いしてその場を去るのでした。

 

 ちなみに、みことちゃんの悪夢は連日続いていました。睡眠中は意識がないので暗示の魔法も効果を発揮せず、変わらずに悪夢を見てしまうということで、割とお手上げな状態です。

 夢の内容は相変わらず魔法少女は不幸な存在だと言いたそうな場面の連続ですが、最近になってそんな場面が幾つも映るモニターが並ぶ空間で自分の姿をした相手から延々と説得のような叱責のようなものをされるようにもなったそうで、みことちゃんは自分が心の奥底ではこんなにも呪いを振り撒こうとしているのかと怯えました。

 が、大抵は朝御飯を食べると機嫌が復活します。美味しいは正義。ここのみことちゃんは一日三食、朝からしっかり、もやし以外も食べられるのです。

 朝の準備に項目(浄化)が追加されたので、時間が掛かるようにはなりましたが、些細な問題でしょう。これには夢の中のみことちゃんもご立腹(予想外)

 

 

 

 後日、みやこ先輩から事態の経過を聞きました。東西共に割と喧嘩腰で、まとめ役も勢力の手綱を握れていない話を聞いて、久遠は規模の大きくなった組織のデメリットに(事業展開を中止または遅延するべきかと)改めて恐怖するのでした。なお、一部では事件の起きた時間帯にちゃんとしたアリバイがある魔法少女がチラホラ確認されたため、幻覚(梓みふゆ)変身(水波レナ)といった固有魔法の魔法少女(自作自演)が疑われており、西側劣勢なのだそう。

 念のため西の魔法少女(かなえちゃん)に連絡を取ったら、大丈夫と自信たっぷりな一言を返されました。理由がやちよだから、なので信頼の厚さに久遠は感心しました。ですが、かなえちゃんのソウルジェムの強化具合はそこそこ止まり(三国志でいうと何進)なので、近い内に襲撃(董卓並に)しようと久遠は心に決めたのでした。

 

 そんなある日、見つけた魔女の結界に飛び込んだ久遠は既知のモブ魔法少女と出会いました。が、言動はおかしいし強さも久遠の襲撃(大人の階段)生き延びた(昇らされた)とは思えない程に弱かったので噂の偽物と断定、即浄化(腰砕けに)しました。

 すると、なんということでしょう。匠の技で相手の姿が消えてしまいました。負け惜しみの捨て台詞を残していった様はまさに三下のやられ役でした。

 これは面妖(面倒)なとすぐさま撤退して身内の魔法少女にSNSで連絡。これがきっかけで、互いに面識を持ちキャラを把握する事により本物偽物の判断を付けられると判明しました。東西が歩み寄る建て前が生まれたというわけです。

 もしもこのときに久遠がコピーされていたら鏡の魔女の結界はエロトラップダンジョンへと変貌を遂げるところだったのでは、と女神たちは話をしていましたが、下手をすると触れたら即魔女化するデストラップの溢れる地獄になっていた可能性に気づいてしまい、恐怖に体を震わせるのでした。

 

 しかし、その間も新たな事件は次々と起こり、東西の緊張は更に高まっていました。そんな中でも中央区の魔法少女は基本的にお手付きな(強さがヤバい)ので余裕があり、他区の魔法少女に襲われても上手にやられた振りをしたり逃げたり逃げた先で不意討ちして返り討ちにしたりと余裕を持って過ごしていましたが。

 そんなこんなで情報が集まり、魔女による仕業だと判断した有志による討伐作戦が実施される運びとなりました。みかづき荘と十七夜さんですね。

 

 この頃になると、みことちゃんの悪夢も内容が進んでおり、夢の中で話しかけてくるみことちゃんが別世界の数奇な運命を辿った自分であると判明していました。

 そしてその日、夢の中(別世界)のみことちゃんが自分の思い通りにならないこの世界のみことちゃんに対して抱く負の感情(しっとの心は父心)のまま、力尽くで取り込もうと魔女化して襲いかかりました。

 が、マンション組(みことちゃん)ハイパーつよつよ(ステータスがバグった)魔法少女なので、成れの果て(鏡の魔女)を問題なくボコボコにしてしまいました。始まる前から第二部(マギレコ)完です。

 そして魔法少女姿に戻った自分が驚き戸惑いつつも嘆く中、みことちゃんは別世界の自分が歩んだ道程を聞かされて自分が幸運に恵まれた(特異点が存在した)ことを噛み締めながら、別世界の自分をそっと抱き締めて、耳たぶをはむはむぺろぺろしました。

 可愛らしい悲鳴が上がり、混乱しながらの質問が飛びましたが、みことちゃんは止まりません。別世界の自分が知らない扉を開いてあげる(幸せのお裾分けをする)べく、しっかり機能するけど未発掘だった性感帯を次々と刺激していきます。

 そっち(スケベ)方面の耐性を持たないせいで別世界のみことちゃんはなすがまま。すっかり蕩かされてしまいました。感情(気持ちいい)が溢れたのも一度や二度ではありません。本当(男女)ならもっとすごいんだけど、と名残惜しそうなみことちゃんでしたが、別世界のみことちゃんは既に限界を突破してとっくの昔に意識はお空の上です(気を失っています)

 そんな姿を見ながら、聞こえていないのを承知の上で、みことちゃんは奇跡も、魔法も、あるんだよと希望の言葉(エール)を送りました。

 自分を相手にするという珍しいシチュエーションを堪能できたと両手を合わせて感謝の気持ちを捧げる女神二柱の横で、ひっそり参戦していた元ネタ(さやかちゃん)が照れていました。

 唯一の差は(乱数)だったという、ある意味で残酷過ぎる事実は別世界のみことちゃんに対するトドメになったのか、別世界のみことちゃんはそのあられもない姿を薄れさせ、やがて消えていきました。この日を境に、みことちゃんが同じ内容の悪夢を見ることはなくなります。

 そして翌朝、朝の挨拶を交わす際に涙を流していると指摘されたみことちゃんは、夢の内容を語り、お礼の言葉と共に笑顔を浮かべるのでした。めでたしめでたし……嬉し泣きと笑顔のコンボにムラっと来た帆奈ちゃんがみことちゃんを押し倒したり、悪夢と戦闘の影響を久遠に浄化されたりしていますが、綺麗に終わりたいので見なかったことにします。

 

 みことちゃんが夢の中で鏡の魔女を(チェスト)した日は、チームみかづき荘with助っ人の討ち入り決行日でもありました。今までの証言と状況証拠から、事件は中央区の結界内で起きていたことが判明しており、今回の討ち入りで実際に結界内部の偽物を確認できたことから襲撃事件の黒幕だろうと判明したのでした。

 ですが、この時点で既に第二部後半(ラスボス)に近い強さを持つ鏡の魔女が展開する結界は、進行するにも一苦労。そのため、仕方なく撤退をして情報を広めることになったそうです。中央区の権利についても改めて協定が結ばれ、事件は……少なくとも魔法少女の襲撃と中央区への侵害に関しては一応の解決を見たのです。

 

 事件が一段落してしばし、みことちゃんが悪夢の中で討伐したにも関わらず未だに中央区に鏡の魔女の結界があることを不思議に思ったマンション組は突撃をかましました。すると、驚くべきことに魔女は全力で逃げ出してしまいました。おかげでマンション組は侵入地点に取り残されてしまい、一同ポカンとしてしまいました。

 みことちゃんにプロファイリングをお願いしたところ、自分の夢に出てきた鏡の魔女とはまた別の個体である可能性が出てきました。鏡の魔女が複数の別世界から手を伸ばしてきている……その事態の深刻さに気付けるイろはちゃんは某叫びの様な表情をしていましたが、アルまど様はむしろ片っ端から久遠に魔法少女まで戻されて瀬奈みことが増えていく事態を予測していました。

 

 逃げるものは追いたくなるのが野生の掟。というわけでマンション組は鏡の魔女を追い回しました。

 途中、結界内の風景から鏡に関係していそうなことを帆奈ちゃんが推測し、本人(?)から話を聞いたことのあるみことちゃんが肯定したので、試しに手鏡(女子の嗜み)を取り出したところ、結界は逃げずに引き寄せられてきました。チョロい。

 ここで釣り上げて(再突入して)も良かったのですが、どうせならと久遠はマンションまで結界を誘導することを提案しました。途中の道……というか街中の窓は鏡面に近い性質を持ちますので難しいのではないかと懸念されましたが、なんとなしにみことちゃんが武器である鏡を見せたところ、普通の鏡と比べてもハッキリわかる程度に食い付きが違いましたので、実行可能だと判断されました。

 そうして最終的にマンションの敷地まで誘導し、認識阻害を丹念にかけて人が寄り付かなく――同時に鏡の魔女が移動できる場所を認識できないように――したことで、マンション組を除けば誰にも知られることなく襲撃事件は真の意味で終結したのです。

 とはいえ、そんなことを知るよしもない魔法少女(おぼこ)たちは鏡の魔女の結界から抜け出してきた魔法少女のコピーを警戒することとなり、すっかり疑心暗鬼に駆られていました。おかげで神浜市ではギスギスが続いています。平和なのは中央区等(経験者たち)くらいであり、東西の魔法少女たちは確執を取り除く事が出来ませんでした。

 一応、東西それぞれで集団内の結び付きを強めつつ、東西の代表(やちみふ&なぎたん)調停役(苦労人みゃーこ)とで集まって状況報告や意見交換等をする流れが決まってはいました。

 そして初回の定例会でひなの先輩(ストレスマッハ)がうっかり久遠の情報を漏らし、十七夜さんが社長のことかと反応し、七海やちよさん(18)(またしても何も知らない)が何の事かと問い詰めました。

 東西の仲を改善したいのに隠し事をするのは外聞が悪く、しかし個人情報であり内容は劇物なため、せめて本人に確認を取って許可を得てからの紹介をすることとなりました。

 

 ちなみに、ここ(会場)は中央区の一般的な喫茶店です。そう、タイミング良くマンション組がエントリーして来ました。つつじ姉妹(暫定名)も一緒に来店しましたが、座席数の都合で別テーブルにつきました。そして何故かななか組(指定暴力団)まで一緒でした。こちらも自分たちだけで席にまとまりました。更には団地組まで一緒でした。

 魔法少女密度が高過ぎる空間が形成されたことに、定例会組は何事かと軽く引いています。

 地味に悪質な地上げ屋の話から広がって一足早い散花愁章の互換イベントが駆け足で同時進行していたのは、女神たちでも予想外なのでした。

 帆奈ちゃんの暗躍がなくても飛蝗は原作を沿う様に動き(魔法御少女の契約に一役買い)、何人かはその過程で毒牙にかかり(大人になり)、仲間も芋づる式に連鎖し(致され)ました。おかげで店内の戦力比を取ると大ベテラン(やちみふ)が一番弱いという有り様です。

 昏倒事件も結界の外に抜け出せる(洒落にならないヤバイ)特殊なコピー魔法少女が起こしていました。きっと別世界のみことちゃんが張り切ったのでしょうね。鏡の魔女は手下の行う魔法少女のコピーには反対の立場を取っていたはずなのですが、この辺も別世界独自の要因があったのでしょう。

 というか、マンション組は気付いていませんが、いつの間にか原作(マギレコ)と同じ洋館に鏡の魔女の結界が存在していました。イろはちゃんがFXで有り金全部溶かした人の(ぬとねの区別がつかなそうな)顔をしています。アルまど様もこれには苦笑せざるを得ません。何しろ、この世界から各種原作世界に飛べる道が確保されたに等しいのですから。アルまど様は新しい円環の理が生まれるための土台が着々と整備されている気配を感じ取っていました。そう、邂逅の(処女を捨てる)時は近い――!

 

 なお、久遠は間接的に地上げ屋を牛耳るついでに政治家の弱味を握ることが出来てホクホクですが、逆に地上げ屋を狙っていたら魔女の話に繋がってしまったのをどうしてこうなったと内心で首を傾げていました。パズルゲームの連鎖(あるいはピタゴラ○イッチ)みたいに芸術的な流れだったのは確かです。

 

 この時点では魔法少女側と面識を持っていなかったひなの先輩(一般通過被害者)はまた女を引っかけてると嘆息し、十七夜さん(計画協力者)が一緒のテーブルに着いた二人は付き合いの長い間柄らしいと一部否定しました。やちみふ(蚊帳の外)は久遠の姿を見て小学生社長(一般的な評価)だと気付きました。魔法少女との関係についてはよくわかりませんでしたが。

 そして定例会組に気付いた久遠でしたが、声をかけず会釈をするに留まり、自分たちの用事(注文)を済ませていました。バケツプリンとか聞こえましたが気のせいでしょう。某コーヒー店みたいなもはや呪文みたいな名前も聞こえましたが気のせいでしょう。昇天ペガサスMAX盛りパフェとかいうギリギリセウトな名前は聞こえません、聞こえませんったら!

 

 で、運ばれて来た品物(パフェのようなもの)に店員以外の目は釘付けです。そしてそんな視線を意に介さず久遠はもっきゅもっきゅとスプーンを動かし続けます。対抗してあやめちゃんが廃刊定年サンデーとかいうセウトな品物を追加発注しましたね。かこちゃんは一人だけラーメンを頼んでいます(喫茶店どこいった)。団地組ではみとちゃんが流れに身を任せ羽目を外そうとしましたが、他二人から止められていました。

 そんな濃い集団に当てられてみふゆさんが追従するべきかとメニューを開きましたが、予想していたやちよさんに閉じられました。英断です。

 そして何事もなく各々の注文を完食して、集団は去っていきました。ちなみに週末は欠かさず鹿目家へ帰省するため、本日は平日(全員制服姿)です。定例会組は自分達の目標(東西を気にしない)が叶っている集団を目にして何とも言えない空気になっていたのでした。

 

 と、いうわけで某日、ひなの先輩に呼び出されノコノコ出向いた所を捕獲(にゃーん)された久遠は何故かカラオケの一室に連行されて西の代表(やちみふ)へ紹介されました。挨拶もそこそこに、始まるのはいつもの説明(プレゼン)です。

 かなえちゃん(ジェム破壊)メルちゃん(魔女化)が存命な現在、やちみふは魔法少女の真実を知りません。故に受けた精神ダメージはそれなりのものになりました。一応、口頭説明であることから目を背ける(信じたくないが通じる)余地があったので原作(実例)よりはマシです。

 こうなったら後はお決まり(ジェム吸いから最後まで)のパターンです。イろはちゃんは寝取られ性癖が目覚めかけているのか普段以上に大興奮。

 

 しかしここでまさかの事態。浄化活動(ジェム姦)はそのまま執行されましたが、その後(行為)に関しては身持ちの堅さを発揮して断りました。これには女神たちもブーイングよりも先に拒否って出来たんだという驚きが出ます。

 変身して致して解除すると元通りという説明を聞いても首を縦には振りません。経験者(ひなの先輩)の声を聞いても同様です。しっかり貞操観念が根付いている辺りは流石の年齢(精神)だと言うべきなのでしょう。口に出したら全身から槍を生やした輪投げの的にされるのでお口チャック必須です。

 そうして西の二人はソウルジェムの浄化を体験したので目的は果たしたと言い、帰っていきました。床に染みが点々と続いているのは見なかったことにしてあげるのが優しさというやつなのでしょう。女神たちは既に別視点(やちみふ)を期待して正座待機です。

 

 そして予想通り、その日の二人はとても熱い夜を過ごしました。

 帰ってからは自室にこもり一人で何とかしようと努力したものの収まらず、そうこう(致)している内にやちよさんの部屋にみふゆさんが相談するために訪れます。

 聞かされた魔法少女の真実を受け止めきれず弱音を吐いて泣き崩れるみふゆさんを、姉さん女房な性格のやちよさんが慰めの言葉をかけようと抱き締めたら、互いの火照ったままの体がそれはもう大げさに反応してしまいました。

 片やモデル、片やアリナ・グレイが絶賛するパーフェクトボディの持ち主、同性から見ても魅力的な二者の体は思考をそちら側へそらしていき、自然とそういう流れに繋がったのでした。或いは、魔法少女の真実から一時的に目を背けたかったのかもしれません。

 そんな思惑とは関係なくイろはちゃん(デバガメ)は熱狂していたのでした。アルまど様は真剣な目で噛み締めるように鑑賞し、こういうの(たまには百合)もいいねと何度目になるかわからない感想を抱いておりました。

 

 紹介も無事に済んだと解散の流れになりはしたのですが、久遠は西の代表二人の連絡先を聞き損ねたと凹み、カラオケの時間も余っていたので、ひなの先輩に慰めて(たっぷり相手して)もらいました。

 今回は代表二人の相手をして終わるだろうと期待していなかった先輩は、普段とは違った(落ち込んだ生意気な後輩を慰める)シチュエーションということもあってとても母性的(高バブみ)でした。アルまど様的にはこちらもかなりの高得点(ポイント)でしたとさ。



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アルまど様とイろはちゃんが新境地に達しそうになってる話

 東西の溝が深まり……というよりは表面化しながらも、それぞれのトップは歩み寄る姿勢を見せ始めた昨今、久遠とは無関係な部分でも魔法少女の物語が進んでいました。

 

 というか、久遠は夏を目安にしている新事業の準備が最終段階になっていて魔法少女に絡んでいる余裕がなくなっていました。

 最初はヴァーチャル空間に受肉した魔法少女たちの囲む卓であったはずが、いつの間にか(年末の忘年会で)どんどん話が大きくなって(酔っ払い共の勢いに押されて)しまい、気付けばメタバースの領域にカチコミを掛ける事になっていたのです。約半年でそれを可能とする社員の技術と熱意に社長(久遠)はドン引きでした。

 魔法少女の活動を参考にしたTRPGも何故か某カードバトルのソリッドなビジョン顔負けなVRなんだかARなんだかハッキリしろと言いたくなるような演出が付け加えられ、ランダムイベント(マルチバッドエンド)シナリオ生成機能が搭載されたGM用のAI(救いは無いんボール)が組まれ、気付けばVRMOARPGに変質(メガシンカ)していました。

 当然ながら筐体(ハードウェア)の時点で新規開発。開発費は当初の予算を大幅に超えていましたが、これまた久遠の知らん内(忘年会の二次会以降)色んな場所(付近の席に居た皆様)から融資がされていました。酒の席でのノリを大真面目に引きずって融資をしてくれる様子は久遠であっても東西の壁とはいったい・・・うごごご・・・となりましたが、仕方のないことだと思います。

 こうして完成したQ(キュゥべえ)B(バスターズ)は一狩りしたり神に挑んだりするゲームのお仲間かつ最先端として大々的に世に出され、魔法少女たちは公式チャンネルで配信するバイト一同な感じに収まったのでした。早い話、当初の目論見(閉じたコミュニティの構築)は失敗です。メディアミックスも展開して売上は順調だったことだけが唯一の救いでした。

 

 ついでに、作中では魔法少女という単語は使っていませんが、魔法少女の真実(人類の敵は元人類だった件)を間接的にバラ撒くことはできました。よくある話(ありがちな設定)なので宇宙の意思とやらもスルーしている様子。

 余波を受けて、どこぞの聞かれたら答えちゃう営業担当(キュゥべえ)が契約を持ち掛けても、魔女の正体は魔法少女なのか、ジェムが穢れきったらどうなるのか、といった質問を受けるようになってしまい、ペースを落とす結果になりました。これには円環の理もニッコリ。

 しかしながら、これ(新規契約数減少)により、魔女狩りのペースも落ちて既存の魔女が力を蓄えやすい環境となり、地域の魔法少女が壊滅する地域なども出始めました。

 そうなると一般人の犠牲も大きくなりますが、事故や事件の形を取る場合が多いため話題にならず、宇宙の意思もあって社会的な問題に発展することもほとんどありませんでした。

 ただ、魔法少女の間では徐々に危機感が煽られている(キュゥべえの仕業だ!)みたいです。現代日本から排除される日は近いのかもしれませんね。その前に魔法少女がいなくなるかもしれませんが(ただし久遠の活動圏内を除く)

 

 別の宇宙(マギレコ)とは微妙に前後する契約時期や、出会いの順番などにより、少しずつ歯車がズレているところもありますが、おおよそ同じ流れではあります。

 八雲みたまがリヴィア・メディロスに師事して技術を身に付けた事から神浜市に根付いた調整屋として活動を始めたり、鏡屋敷の管理を任されたりは変わりませんでした。

 エミリーのお悩み相談所は発足し悩める少女を導きましたし、矢宵かのこはきのこでした。梨花れんやまさここは尊みが爆発していたので素で女神を尊死させていましたし、他のペアやコンビも次々と出会い絆を深めていました。

 そんな中でも“不運(ハードラック)”と“(ダンス)”っちまう魔法少女は決してゼロにはなりません。

 史乃沙優希(さゆさゆ)はローカルアイドルであったが故にコラボ企画で久遠に出会ってしまいましたし、千秋理子(看板娘)は脱走した飼い犬(マメジ)を捕獲したのが切っ掛けで交流を持ってしまいました。そしてどちらもほぼ単独で活動していたため、念入りに強化()されてしまいました。

 どちらも純心だったので素敵なお嫁さんになれなくな(よごされちゃ)ったと傷つきましたが、棚上げした(おまいうな)久遠により初恋が叶う率は低いこと(エレクトラ・コンプレックス)中高生での交際(やることをやった)相手でもゴールインする率は低いことなどを伝えられて励まされたので、一足早く大人になっただけだと何とか持ち直しました。でもそこでさらっとご両親に聞いてみることを推奨した久遠は人でなしだと、女神たちは確信しました。

 

 

 

 そうして時は流れ、秋になり、冬を過ぎて、また春がやって来ました。原作開始(まどマギやマギレコ)まで秒読みです。

 神浜市は多少の魔女不足という問題を抱えてはいましたが、魔法少女同士の繋がりが出来ていくに従って久遠に紹介(ドナドナ)される者が増えていったので、比較的平和でした。

 さすがに母数が増えて来ると、身持ちの堅い魔法少女や尊みが過ぎて手を出せない百合(カップル)が増えて来たので、久遠は浄化や強化について代わりの方法を探していました。

 別にそこまでする必要はないのでは、と帆奈ちゃんやみことちゃんは言うのですが、神浜市全域をカバーするくらいの手段は欲しいのが本音です。

 そんなわけで、一日に割ける時間は極わずかではありますが、グリーフシードから穢れを直吸いして新品同様にリサイクルしたり、逆に穢れを吹き込んで孵化させたり、実験の毎日です。ちなみに主な被害者(被検体)は立ち耳の魔女。

 現状ですと、弱いけどグリーフシードを残す率の高いボーナス魔女の作成方法が固まって来ました。

 これをグリーフシードのまま全国の魔法少女に発送してやれば、その内に孵化した弱い魔女を相手に戦闘経験(成功体験)を積みつつ新鮮なグリーフシードを得られる仕組みです。もっとも、放置したら普通に犠牲者を出しながら強くなっていくので注意は必要ですが……立ち耳の魔女と元になった魔法少女は泣いていいと思います。なお、未だに当たりのグリーフシードは見つかっていない模様。

 

 

 

 ある日、久遠は里見メディカルセンターにねむちゃんトリオ(久遠視点での呼び名)を見舞いに行ったのですが、普段三人が集まっているういちゃんの病室にねむちゃんの姿はありませんでした。

 居場所を尋ねると自分の病室にいると返されたので、お土産を二人に置いてねむちゃんの病室へと向かいました。その際、二人の友人から意味深な台詞をかけられたのですが、朴念仁でもある久遠には三分の一も伝わらない(こうかはいまひとつの)ようでした。

 そして改めてねむちゃんの病室を訪ねると、そこにはいつになく真面目な様子のねむちゃん。普段とは違うどこか逼迫した様子に首を傾げながらも話をしていると、ねむちゃんからお願いがあると申し出がありました。なんと飛び出して来たのは抱いて欲しいというお願いでした。これには女神たちも口に含んでいた飲み物を吹き出してしまいました。久遠は病人相手に体力使う行為はあかんやろ、と若干ズレた考えをしていましたが、久遠なので仕方ないね。

 なんでもねむちゃん、そして灯花ちゃんの年齢間違ってそうな方向性の違う天才コンビは、その賢さ故に自分たちの死期をなんとなく感じ取ってしまったようなのです。そしてねむちゃんはエゴを全開にして終活を始めようと考え、処女のまま死ねるか(後先考えなくてよくね)という結論に至ったようです。

 ちょうど自分達とは更に方向性が違うものの年齢不相応に高水準な能力を持ち、ねむちゃんとしては少なからず想いを寄せる異性(久遠)がいたため、色事(未知の探求)に走ったというわけですね。思考回路的には常人である女神たちにはよくわかりません。イろはちゃんと一体になっているういちゃんに紐づくウワサ(別宇宙)のねむちゃんは納得していました(とてもよくわかるよ、むふっ)

 久遠としては、そんな乙女の願い(据え膳)叶え(食わ)ずにはいられません。灰色の脳細胞を活性化させて導き出した結論は、とりあえず生中(一発)。そう、物質化してない魂に手を加えられないなら身体に手を加えればいいじゃないというシンプルな(頭の悪い)結論です。

 

 と、いうわけでジェム姦(いつもの)を封じられながらも磨き続けて来た技術を用いて、相手(ねむちゃん)の体力と相談しつつ、じっくりねっとり準備を進めます。当然のごとく、体を冷やすのは良くないという建前(性癖)から病衣は脱がさずに(性癖は譲らない)

 入院生活が長く看護師さんの噂話やネット経由の情報ですっかり耳年増(ムッツリスケベ)なねむちゃんでしたが、体が成熟し(できあがっ)ていたわけではなかったため、反応は控え目でした。が、少なからず想っている相手との行為であり、病院というシチュエーションはねむちゃんとしても中々にクるものがあったらしく、気持ち的にはどんどん高まっていき、体も釣られるように開花していきました。イろはちゃんのテンションが既に危険域をイったりキたりしていますが、アルまど様は動じません。

 もちろんねむちゃんの欲望(異性の身体への興味)を満たすことも忘れません。ご立派様と呼ぶには少々威容さに欠ける初めてでも安心サイズな久遠の久遠と挨拶を交わし、一時の触れ合いに興じたのでした。

 おっとここでまさかの暴発。普段からドーピング(副作用や暗示)に頼ってばっかりだからこうなるんだと身内びいきもあってドヤ顔なイろはちゃんでしたが、アルまど様はわざとであると見抜きました。その証拠に、ねむちゃんは驚きつつもその感触やにおいを確認し、味も見ておこうと好奇心を満たしています。イろはちゃん(かませ役)はなん・・・だと・・・と驚愕を浮かべながら崩れ落ちたのでした。

 で、まぁ準備も整ったということでそのまま本番に挑み、イろはちゃんが痛みに耐えてよく頑張った、感動した! と感想を漏らす内容を経て、()閉じ(破れ)たのでした。ちなみに体力との兼ね合いとか考えていたはずですが、間隔を短めに五ラウンドほど格闘していました。看護師さんの巡回を考えなければそのまま朝日を拝んでいた可能性もあるくらいには相性が良かった様子。アルまど様は、まどかちゃん(生身で相手する者)の関係もあってでしょうか、やれんじゃねぇか(ジェム姦なしでも)……と無駄に後方師匠面しています。

 その後は魔法少女と違って実際に汚れてしまった身体を綺麗にし、病衣やシーツを取り換える一幕を挟んでから更に一息ついて、ねむちゃんはまず思い出をありがとうとお礼を言い、大丈夫だとは思うけどと前置きしてから自分の死後は引きずられることのないようにして欲しい、と満足そうな様子でした。

 思い残すことはあんまりない的な言葉も口にしていますが、この時点で病気は治っていたりします。久遠は未来を知っているわけではないため、契約時に別口の強化がされるような仕込みはしていません。

 なお、本人が余り気にしないタイプなので気づいていませんが、お肌もつやっつやです。看護師さんが見回りに来たら三度見くらいはすると思われます。下手をしたら化粧品についての情報提供すら求められかねません。あっさり心当たり(やったこと)を話してしまいそうなのがねむちゃん(天才キャラ)の怖いところですが、まぁ大丈夫でしょう(慢心)。

 

 

 

 原作(マギレコ)開始目前とは言いましたが、一足早く原作(まどマギ)が開始していました。

 そう、引いては寄せる波の如く勧誘を繰り返す営業(キュゥべえ)を受け流し続けた覇王(まどかちゃん)でしたが、中学校生活にも慣れて自由時間を抽出(心に余裕が)できるようになった頃に暁美ほむら(めがほむ)の来襲があり、巴マミ(マミさん)からも勧誘を受けて揺らいでいたところに、トドメとなるできごと(イベント)が起きてしまったのです。

 具体的に言うと、腐れマッチポンプ(キュゥべえ)の誘導により、まどかちゃんの家族が魔女の口づけを受けていたのです。助けを呼ぶ時間もなかったため、まどかちゃんはやむなく契約を完了させて(魔法少女となって)窮地を切り抜けました。その際に叶えたのは、今までずっと考え抜いてこれだと決めていたとびっきりの願い事でした。特に後で効果を発揮するイベントとか考えてないので明かさない理由もないのですが、とりあえずその内容は内緒です。ただ、内容を知った久遠が悟ったような笑顔でまどかちゃんの頭を撫でたことは伝えておきます。

 さて、魔法少女としての初陣を飾ったまどかちゃんですが、当然のごとく魔女は瞬殺です。その際、久遠の仕掛けによってそこまでの因果ではなかったはずなのにありえない強さを発揮したまどかちゃんを見た感情を理解できない悲しき獣(キュゥべえ)は予測不可能回避不可能な現象に遭遇したせいで処理能力が限界を迎え、精神に異常をきた(恐怖を覚え平伏)しました。

 集合精神(ハイヴマインド)であり感情を持たないのがインキュベーターであるため、感情(精神疾患)(発症し)てしまったその個体はリンクを切られてしまいました。得てしまった感情も影響して途方に暮れ(初めてを経験し)ている姿は肩ポンを受けた窓際族のごとし。

 慈悲深さに定評のあるまどかちゃんはその切り捨てられた個体を引き取って面倒を見る(ペットとしてこっそり飼う)決意をしたのでした。なおネーミングセンス。

 

 で、週末になって久遠に話を伝えたところ、よく頑張ったねと称賛および慰撫を受けたまどかちゃんは有頂天(ウェヒヒヒ)。もっとご褒美を、とキュゥべえがいるのに襲いかかったのでした。感情を得たばかりのキュゥべえは未知の感覚(わけがわからないよ)から観察に徹しました。空気の読める淫獣です。これには女神たちも見込みがあるではないかと感心しました。

 なお、魔法少女になったからには今後は是非とも着エロを……と主張した久遠ではありましたが、弱者に権利など存在しませんでした(まどかには勝てなかったよ…)

 

 ちなみに、週末は久遠と熱い時間を過ごす予定が詰まっていると聞かせてあるのでほむら女史()の脳は破壊済です。二年近く惚気を聞かされ続けてきたさやかちゃんは慣れた手つきで胃薬を取り出して飲み始め、マミさんはあらあらうふふと穏やかに笑っていました。

 マミさんの笑顔の裏にどこか羨ましそうな空気を感じ取ったまどかちゃんは、しっかりと心の中に書き止めて、マミさんを生贄に捧げるのかマミさんに生贄を捧げるのかはわかりませんが、とにかく準備を始めていたのはここだけの話です。ここのマミさんは3話でもうなにもこわくない(処女じゃないから怖くないもん)となるわけですね。女神たちの期待も青天井です。なんなら同話に出るお菓子の魔女も女の子扱いされる可能性が微レ存なのではと考えているアルまど様でありました。ホラ、チーズってなんか、ね?

 

 そんなわけで、次回はいろはちゃんがえろはちゃんになることでしょう。イろはちゃんは果たして正気を保てるのか、何となく最近慣れてきたのか地味に性欲よりも愛玩の気持ちが強くなっている気がして困惑気味なアルまど様は自分の問題とどう向かい合うのか、それはまだ誰も知らない――。



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アルまど様とイろはちゃんが泣いたり笑ったりする話

 開幕早々ではありますが、モニターにはM字開脚泣き笑いレイ○目ダブルピースの主人公(環いろは)が映っています。

 イろはちゃん(性癖トガリネズミ)は別世界の自分があられもない姿を晒すまでの過程を眺めている内にそれはもう何度となく満足感を得たので、すっかり賢者モードに突入して悟りを拓いたかのようなアルカイックスマイルを浮かべています。アルまど様はそんな様子を見て忍び笑いをしていました。

 どうしてこうなったのか。それは久遠がいつも(ねむちゃん)のお見舞いを済ませた帰り道で見付けた魔女の結界にホイホイ釣られて侵入したところ、内部で肌色面積は小さいのに露出は多い衣装のいろはちゃんを発見したからでした。

 そう、いつの間にかいろはちゃんは契約を済ませて(魔法少女になって)いたのです。

 しかしながら、経験が浅く戦闘能力が高いとは言えない新人魔法少女(いろはちゃん)は大苦戦。そこに一般人(知人)迷い込んで(ノコノコやって)来たのですから、いろはちゃんは入院中の妹を危険に晒したくない気持ちを抑えながらも撤退を決めました……が、動揺した隙を突かれて絶体絶命のピンチに陥ってしまいます。その時の拘束された姿が妙に艶かしかったため、女神たちが無駄にテンションを上げていたのはここだけの話。

 ですが、魔法少女(分かりやすい脅威)に優位を取れた魔女は久遠(初見殺し)から意識を外してしまったせいで、あっさりとグリーフシードにされてしまいました。合掌。

 で、苦戦したいろはちゃんのソウルジェムは当然ながらかなり濁っており、事情説明だとかをすっ飛ばして即浄化(バキューム)。いろはちゃんはすっかり腰砕けになってしまい、意識も飛ばしてしまいました。気になったアルまど様が時間を遡って確認したら、どうやら性の目覚めは迎えていたものの、そういった行為(未知)への恐怖があったことと妹と同室であったことから機会に恵まれず、今回が初めてのようです。

 そして、これ幸いとばかりにそのまま強化(プルスウルトラ)されてしまったのです。憐れ環いろは中学三年生、変身解除で無かったことになるとは言え、初体験は青姦かつ睡眠姦(お外で眠っている内に)でありました。

 長丁場になった(何度も致した)ので途中で意識を取り戻し、現状を把握して負の感情が湧き上がり(ソウルジェムが濁り)ましたが、すぐさま浄化(快楽の上乗せ)を施されてしまいます。ついでに医療行為の一種だと説得(詭弁を弄)されたので流されやすさに定評のあるいろはちゃんは心身を委ね、最後の方は目にハートマークを浮かべるようになってしまいましたとさ。イろはちゃんは悟りを拓く前に一度ガッツポーズを決めたまま気絶していましたが、初回の自分がされている動画を送り付けられて驚いていた頃の彼女はもうどこにもいないのだと、アルまど様は少しだけ寂しく思っ(めっちゃニヤニヤしてい)たのでした。

 

 事が済み、落ち着いてから改めて説明を受けたいろはちゃんでしたが、魔法少女の真実はやはり精神的に辛かったらしくジェム(強化済)がほんのり濁りました。

 いろはちゃんの叶えた願い(契約の対価)はこの宇宙でも(うい)の病気を治すことだったそうで、自分がいなくなった場合に身代わりとなったのではないかと気に病む可能性を心配したそうです。

 そんな優しい世界を守るべく、久遠は手伝いを申し出るのですが、内容が内容(強化祭り)なのでいろはちゃんは受けるべきか悩んでいる様子。

 しかしその理由が妹の友達(ねむちゃん)気持ち(懸想)を知っていたからだったので、プレゼン(説得材料)の中にあった利用者の声にねむちゃん(目線処理済)の意見があったのを見てハードルが下がるどころか吹き飛んで行きました。

 そしてそこに改めて治療行為であるとの認識を前面に押し出され、利用の停止はいつでも受け付けていると説明されたことで、ついに了承したのでした。早速ソウルジェム(やる気スイッチ)浄化()されたのは言うまでもありませんね。

 真の一般人魂を持ついろはちゃんでは、割と規格外な逸般人魂を持つ久遠のプレゼン力の前に屈してしまうのは自然な流れだったと言えます。なんなら女神たちでも普通に納得してしまっていました。ツッコミ役のいない恐怖がそこにはあったのです。

 

 そんないろはちゃんの心配先でもあった年下トリオですが、無事に初体験を済ませた(一歩先に進んだ)ねむちゃんの話を聞いたういちゃんは大人への羨望を抱き、灯花ちゃんは対抗心を燃やしました。

 そして例のごとく灯花ちゃんとねむちゃんとの間で言い合いになり、どっちが大人の女性かと張り合うことになって、何故かよりすごい(エロい)ことをした方が勝ちという話になっていました。ういちゃんは審判(立会人)です。

 そんなわけでお見舞いにやって来た久遠は捕獲され、既にねむちゃんは先攻で出番を終えた扱いなので灯花ちゃんの相手をさせられることになりました。死期がどうとかいう話はどこにいったのかといいたくなるほど活動的(アクティブ)です。

 実際問題、ねむちゃん(久遠のお節介)ういちゃん(いろはちゃんの願い)とは健康体なので、残された灯花ちゃんも今回のことで健康体に――とか女神たちが予想していたのですが、灯花ちゃんの選択はおしりでする(アナライズ)でした。天才は何とかと紙一重というやつなのでしょうか。笑顔の溢れる職場となった円環の理で、イろはちゃん側に紐付くウワサの灯花ちゃんは必死に否定(言い訳)していますが、誰も聞いていません。きっとしばらくは二人で手と手を重ねて差し出しながら滅びの言葉(アヌ○)とか叫ぶのが流行するんですよ。

 

 久遠の強化等に用いる儀式はあくまでも妊娠に結び付けた行為で精子を生まれ育った命と見なし生け贄に捧げるものなので、性欲発散のための倒錯的な行為(消化器官内への注入)では条件を満たしてしません。

 というか、久遠は特殊な医療行為として認識しているからこそ何人も(魔法少女を)相手にしているのであって、恋愛や性欲の絡む行為としてはよほど特殊な事情(死ぬ前にせめて一度)を除きまどかちゃん(尻に敷かれ済)以外は考えていません。ねむちゃんもそこは了承済で、想いを諦めはしないが肉体関係を口実に責任を取れと迫るような無粋はしないと宣言しています。

 帆奈ちゃん辺りは割と遊びの延長っぽい軽い感じで積極的なのですが、今までの経験からどれだけ頑張っても台無しにされるのではないかという不安を抱えていることを告白していますので、精神安定に必要な行為(一種のアニマルセラピー)として久遠も受け入れています。

 おかげで現在の帆奈ちゃんは出る作品を間違えてるレベルの強さ(スペック)に達しているので神浜市中央区に存在するとあるマンションの防衛力は南光太郎に守られる四国並なのですが、まぁ余談です。

 

 そんなわけでこんこんと正論主体のお説教をされたキッズたち(三連星)。ですが灯花ちゃんは理系特化であり、道徳や倫理は後回しな傾向にある上に、自尊心の塊なので間違いを認めない頑固な面があります。ゆえに、逆上して駄々をこねこねし始めました。

 このままでは人が集まって来てしまい、痴漢冤罪の親戚みたいな流れで悪者にされると推測した久遠は、ごね得と思われるのも癪なので、いくつかの条件を満たしたならアホな真似に付き合うことを約束しました。

 と、いうわけで軽く保健体育の授業をした上で洗浄だとか潤滑剤や避妊具(性病予防)の用意だとかストレッチ的な前準備だとかを済ませていざ実践……となったのですが、灯花ちゃんは前準備の段階で開発されきってしまいました。

 その後もにゃあにゃあという鳴き声を上げながら撫でたり抱き締めたり要求して甘える様は完全に子猫で、審判(ういちゃん)対戦者(ねむちゃん)も見聞きしていて恥ずかしい思いをしましたが、目が離せなかったようです。灯花ちゃんは灯花ちゃんで見られながら(露出)という性癖に目覚めた模様。女神一同はスタンディングオベーションでしたが、ウワサの灯花ちゃんだけは顔を手で覆い横(誰もお前を愛さないポーズ)になってしました。

 灯花ちゃんが意識を飛ばしたので行為は終わり(TKOが下され)ましたが、肝心の灯花ちゃんvsねむちゃんに対する審判の判定は、ねむちゃん側を見ていないので決められないというものでした。これには女神たちも不完全燃焼感を隠せません。

 ですが、そこは抜け目のないねむちゃん(ムッツリスケベ)です。隠し撮りしていた動画を審判(親友)に提出しました。

 そして倍速したりシークバーを動かして飛ばしたりしながら観賞を済ませたういちゃんは、美味しそうにしゃぶっていたからという理由でねむちゃんに勝利判定を下しました。ういちゃんの観賞中に意識を取り戻して途中から自分も観賞に参加した灯花ちゃんもその結果に異を唱えることはなく、しかしそもそもこんな勝負に意味はないので負けても悔しくないと開き直っていました。そんなんだからおガキ様とか呼ばれるんやぞ、と女神たちは心の中で思ったのですが、顔に出ていたので復帰したウワサの灯花ちゃんは早々に不貞腐れてしまいました。

 

 そんなちょっぴり仲が深まる一幕があってから少しだけ時は流れ、ねむちゃんズのお見舞いにやって来た久遠でしたが、受付の看護師さんから退院済だと知らされました。特に連絡を受けていなかったので首を傾げながらの帰り道、とりあえず退院を祝うメッセージをねむちゃんに送ろうとしたのですが、登録から外れていました。

 自分から外した覚えはありませんし、他人に端末を操作もさせていません。誤操作の可能性を考えて確認したところ、灯花ちゃんも外れていました。となると相手方から去っていったことになります。心当たりはありませんが、何かしら思う所があって退院を機に縁切りされたのだろうと受け取って悲しみを覚えた久遠ではありましたが、生きていればいつかまた会うこともあるだろうと冷静を通り越して薄情な気の取り直し方をして神浜市の転覆計画を詰めながらポイント10倍デーなスーパーに臨むのでした。

 なお、この日までの間でデジタルコンテンツを取り扱っている事業に対してねむちゃんから作品の手直しをしたいので一度非公開にすることから一度契約を打ち切りたい旨の連絡があり、久遠も了承していたため、完全に繋がりが断たれています。実家の住所や電話番号は会社の取り扱う個人情報として取得したものでもあるため下手に利用できず、そもそもねむちゃんの家族とは不仲なので実家に伺うこともできませんでした。

 

 女神調べでは原作(マギレコ)の流れがほぼそのまま起きていました。処女かどうかなんてのはさすがに関係ありません。久遠の知らぬ間(ある日の夜中)にねむちゃんたちが今回は完全に救い主な営業(キュゥべえ)と契約して魔法少女になり、ういちゃんが魔女化しかけて、アリナ・グレイの介入によりギリギリセウトな事態の収束をしました。

 その結果、ういちゃんの記録や記憶が世界から失われて、穴埋めをするように入り込んだ悪意で他の二名(灯ねむ)が暴走して、アリナを含めた三名を創始者とする秘密結社(マギウス)が結成したのです。

 最近になってゲームのせいで契約件数が伸びないと嘆いていたところに追い打ちで神浜市内で活動出来なくなった罪に塗れた営業(キュゥべえ)は泣いてもいいと思います。もっとも、感情がないので泣きも嘆きもしませんでしたが。

 ここで、ねむちゃんは能力的に対等と見ている久遠にバレて邪魔される可能性を考え、連絡手段を放棄することを決めました。灯花ちゃんも口では否定しますが内心では年齢不相応な能力の高さを認めていたので、二つ返事で同意します。そうして、久遠との連絡手段が潰えたわけです。

 入院組は久遠の能力(魂への干渉)なんて知るわけがなく、久遠は入院組(我々は賢いので)が魔法少女になっているなんて夢にも思っていません。互いに相手が魔法少女とは無関係な一般人だと思っていたことから起きた悲しいすれ違いだったのです。アリナは院内ですれ違うことすらなかったみたいです。

 

 仮に久遠が現場に居合わせていたら、ういちゃんのソウルジェムを浄化し続けて盛大に何も始まらない物語になっていたかもしれません。でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ、イろは。だから、この話はここでお終いなんだ。そんな感じにアルまど様が慰めていますが、なまじ不安要素(特異点)である久遠がいるせいで話が変な方向にこじれる気がしてしようのないイろはちゃんでした。

 なにせ、いろはちゃんは強化済(苦戦知らず)ですし、みかづき荘のメンバーは隠しキャラ枠(かなえ&メル)が生存しているのです。かなえちゃんはもちろん、安名メルも十七夜さん経由で久遠により洗礼(強化)済。一方でやちよさんとみふゆさんは素の強さで、十咎ももこと由比鶴乃は久遠と未遭遇なのでこちらも素の強さではありました……が、どうやっても過剰戦力です。マギウスの策略で神浜市に魔女が集まり、また育っても、力強く生き抜くでしょう。

 

 さて、マギウスは魔法少女の救済を掲げて協力者(手駒)を募ったのですが、思った以上に集まりませんでした。

 そう、久遠の存在を知って受け入れた面々は既に魔女になる確率もジェムが破壊される確率も極端に低くなっており、別にこのままでも問題ないと思っているのです。

 魔女が増えた感はありますが、強くなった感は分からないくらい簡単に狩れていますし、グリーフシードも他の魔法少女に融通する用で確保しておくくらい。余った分は久遠に渡せばそのまま弱い魔女が孵るグリーフシード(非常食)にしてくれますので、多い日も安心(バッチこい)というやつです。

 そんな中でも白羽根黒羽根になった魔法少女はいますし、先んじてみふゆさんが原作(マギレコ)通りに力不足を感じ、魔法少女の真実とも折り合いを付けられないまま心身ともに不安定な毎日を過ごしていたところ、ついに魔女化を迎え……たと思ったらドッペルが出て、そこに都合よく現れた灯花ちゃんに誘われるがままマギウスの翼に加入していました。

 これにより、やちよさん一行からするとみふゆさんは行方知れずになってしまいました。が、離脱者がいないのでやちよさんが自棄になることもなく、チームは解散しませんでした。一時的にぎくしゃくした感じにはなりましたが、本来なら脱落(ドロップアウト)していた二者が良い感じに支えて立ち直らせたシーンは女神たちも涙なしには見られなかったようです。

 

 そして何も知らない久遠は呑気に市長を脅し(自分の計画を進め)ていたのでした。



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アルまど様とイろはちゃんが原作を気にしたい話

 里見メディカルセンターに用事が無くなった影響で活動範囲から西側(新西区や水名区)が外れ原作(マギレコ)の序盤イベントと致命的にすれ違い続ける久遠はさておき、帆奈ちゃんたちゲーム配信勢の下には神浜市における魔女の増加と市外における魔女の減少とが情報として(コメントで)寄せられていました。

 この配信、ロールプレイのフレーバーという体でゲーム中の正式名ではなく俗称として使われている魔法少女と魔女について設定や妄想に見せかけたリアル情報を垂れ流しているため、視聴者に魔法少女が紛れ込んでいるのです。

 配信で取り扱うネットゲーム(キュゥべえバスターズ)はVRという敷居の高さがあるのでプレイヤーの魔法少女率こそ低いですが、配信やアーカイブにコメントを残していく魔法少女はそれなりに増えており、各地の状況について情報網が出来上がりつつあります。

 

 ついでに謎の夢やら幻影やらで神浜市に来れば魔法少女は救われると告げられるオカルトじみた現象であったり、神浜市内で活動する怪しい黒ローブ集団の目撃例であったり、どうにもおかしな流れが生まれていると見ざるを得ない情報も上がってきます。

 さすがにこれは放置できないと考えた配信面子は配信中に調査を宣言(ロールプレイとして)しました。範囲は神浜市内にとどまりますが。

 そして寄せられた情報から導かれる各地のグリーフシード不足とその先にある魔女化や共食い、原因と思われる神浜市への復讐という一連の予測されるに流れについて帆奈ちゃんとみことちゃんから報告を上げられた久遠は、視聴者プレゼントとして綺麗な細工の置物(グリーフシード)の配布を決定しました。

 これにより、魔法少女の口コミで視聴者が増えてランキングに乗り、一般人の視聴者も増えて投げ銭も増えたのでいい感じに黒字化したのだとか。

 

 この辺りになるとマギウスの翼にも動画の存在が広まって、羽根のまとめ役をしているみふゆさん経由でマギウスのお三方の耳にも入りました。

 早速動画を視聴した三人(マギウス)でしたが、開幕のプレゼント企画で山盛りになったグリーフシードが映った瞬間に揃ってお茶を吹き出しました。しかも社長の好意でそれを配ることが決まったと言っているのを聞いて更にせき込みました。弱い魔女しか孵らない特別製(非常食)という説明には最早言葉も出ません。

 久遠は公私の混同を避ける意味で見舞いの際は実際に取引のあるねむちゃん相手でさえ仕事関係の話題を出さなかったため、ねむちゃんと灯花ちゃんは社長が久遠だとは気付きませんでしたが、興味は持ったのでネットでパパっと調べることにしました。

 そしてホームページの取締役挨拶を開いてめっちゃ知ってる顔と名前が出てきたので二名同時に頭を抱え(撃沈し)ました。

 しかも配信されている動画の内容はゲームをプレイしながらの雑談ですが、ゲームも雑談も随所に固有名詞を変えた魔法少女あるあるをぶち込まれていたり、ストレートな地元ディスり(危険を理由にした来訪自粛の呼び掛け)に余念がなかったりして、的確にマギウスの妨害をしています。

 堪え性のなさに定評のある灯花ちゃんが発狂するのを横目に、ねむちゃんは久遠の評価を上方修正しながら微妙に興奮しつつ動画のシリーズをモチーフにしたウワサを具現化しようと考え始め、アリナは動画内で交わされているマジカルきりんの議論に対して同意や反論を書き込んでいました。マギウスは今日も平和です(背景のイブから目を背けつつ)

 

 

 

 魔女の減少は神浜市以外の場所――つまりは見滝原市でも起きていますので、魔法少女になったまどかちゃんは久遠に相談を持ちかけていました。具体的には魔法少女仲間の強化依頼(やってみせろよ)です。

 まどかちゃんのためなら一肌も二肌も脱ぐことをためらわない久遠でしたが、さすがに施術後の人間関係に影響が出ないか心配ではあるので、即答はできませんでした。普段の自分(つつじとか団地とか)を省みろという女神たちの声は残念ながら届きません。

 ですが驚くべきことに本人たちの意思は確認済らしく、久遠の返事次第ではすぐに集まれるとの回答が返ってきました。どうやって説得したのかは気になりましたが、言及するのは女々しかろうと思った久遠はならば是非もなしと立ち上がりました(うぇいかっぷざひーろー)

 こうして、言い回しを気にしなかったばっかりに久遠は一対一の連戦ではなく多対一の同時戦闘を強いられることになりました。が、現場(マミさんの部屋)に集まって自己紹介をしたタイミングで魔女の気配に気がついたため、ゾロゾロ結界内に赴いてお菓子の魔女(当たり)を巻き込んでずっこんばっこん大騒ぎ(仲間が増えるよ!)になりました。円環の理にいる百江なぎさが出番を取られたと嘆いたかどうかは、女神たちしかご存知ありません。

 

 また、相談時には神浜市誘致キャンペーン(非公認観光大使による)の件も伝えられましたが、久遠は不思議だねと感想をこぼすにとどまりました。暗示の魔法が通る程度の耐性なので、ういちゃん関連の記憶も失っているようです。

 この各地で起きている魔女の減少に関して有識者であるまどかちゃんに屈したキュゥべえ(メンタルブレイクした個体)略してめんたいこ(命名:まどか)の見解は、魔女は理性が欠けて好き勝手に動くので興味を引く何かを用意すれば誘導できるだろうというものでした。

 そしてその目的を考えるに、魔女を一ヶ所に集めて連戦させることで精神的に追い詰めて魔女化しやすい環境を作りつつ、魔女がいなくなった土地で魔法少女同士の争いを激化させて精神的に不安定な環境を作り出し魔女化を促進させるという、両面作戦なのではないかとのことでした。

 犯人候補は当然宇宙の片隅でエントロピーを叫ぶ獣(キュゥべえ)です。リンクを切られるタイミングがもう少し遅ければ真犯人に近づけたのでしょうが、たらればでしかありませんでした。

 

 このめんたいこ、初対面時に久遠からは一般営業職員(キュゥべえ)だと認識されていたので排除されかけましたが、まどかちゃんの取り成しがあったため許されました。

 しかしそうなると、姿も言葉も分からないのは不便だと考えるのが常道です。久遠は方法を考えた末に、某作品の摂食交配を模す(自分の始末を自分でつける)という考えへと辿り着きました。

 どこかのアンケートでは自己(事後)処理の手段としてそういう回答(自己回帰)も一定数いましたし、そうでなくとも男女の行為で順番によってはそうなる(口に入る)こともあります。などと覚悟(自分への言い訳)を完了させたのですが、まどかちゃんからストップがかかりました。その瞳からは、ハイライトが消えていて……。

 これは必要なことであり決して無駄撃ちではないと弁明するシーンはめんたいこ(精神疾患者)から修羅場だと称される程に緊迫していたのは内緒です。女神たちも唐突なサスペンス及び直後の濡れ場にはワクワクドキドキを隠せませんでした。

 何とか無事に(尊い犠牲を払って)自己改造を済ませた久遠は、特異個体(めんたいこ)を視覚と聴覚とで認識することができるようになりました。

 そして毒を食らわば皿まで(もう何も恐くない)と、感情に目覚めた(魂のエネルギーを得た)めんたいこの強化にまで走ったのです。説得は済んでいるので、今回はまどかちゃんも止めません。その悲壮な決意(けだものフレンズ)を感じ取った女神たちは、自然と敬礼の形を取っていました。

 生殖行為で快楽を得る生物は人間や一部の限られた哺乳類だけだという研究結果があるそうですが、果たしてめんたいこは慣れない(気持ちいい)感情に振り回されていました。というか、感情を精神疾患扱いしているインキュベーターですが、会話で驚いたり称賛したりしているので十分に感情的なんですよね。それは交渉(目的)円滑化(容易く)するための擬態だと言われればそれまでではあるのですが。

 そんなこんなで性別も不確かなめんたいこは名前の最後がこで終わるからというなんとも言いがたい理由で名実ともに肉体を改造(雌に固定)されました。小さなキュゥべえ(ういちゃんソウル)の例や、子宮のメタファーとされる説があるので、仕方ないね。

 

 

 

 見滝原市でそんな一大スペクタクルが繰り広げられた次の週、前の週の時点でたまにはまどかちゃんが訪ねるのもありなのでは、ということでやって来ました神浜市。引率者マミさんと愉快な仲間たち総勢五名によるカチコミです。

 人数が増えているのは行方不明扱いだったので戸籍が残っていた元お菓子の魔女(なぎさちゃん)が含まれているから……ではなく、電車の中でばったり遭遇してそのまま合流した生まれも育ちも風見野市かつてはマミさんとちょっとだけいい感じだったけれども不幸な出来事から喧嘩別れしてしまい時々情報交換するくらいの仲に落ち着いたという経歴を持つ魔法少女、佐倉杏子が追加されたからです。

 彼女の縄張りである風見野市も魔女不足のあおりを受けていたため、他の地域もそうなのか確認するべく見滝原市に赴いたのですが、その際にマミさんから神浜市の話を聞かされたので早速やって来たのでした。

 本来ならば単独行動を好む杏子ちゃんではありましたが、慣れない土地であるところに案内人(地獄への)がつくという話や、マミさんの実力が気配一つ取っても目に見えて高くなって気持ちにも余裕が見えていたので秘密を探りたい狙いなどがあったため、団体行動(潜入調査)を良しとしたのです。

 なお、案内人(久遠)がパッと見は一般人な上に言い訳不可能なくらい少年だったので、杏子ちゃんがマミさん一行に常識を説くという根っこにある人の良さを隠せない一幕があり、ほっこりした見滝原組はツンデレ少女(杏子ちゃん)受け入れています(ウェルカム)

 

 久遠が身柄を引き取ったなぎさちゃん(元お菓子の魔女)が寝坊しているので、まずは中央区のマンションに向かうべく電車を乗り継いだ一同。ですが、途中で魔女の気配を感じ取ったため、ダイナミック途中下車を敢行しました。久遠はまどかちゃんに抱っこ(お姫様)されての下車となりました。

 お邪魔した結界内ですが、複数の魔女が争っている不可思議な場面に遭遇したため、魔法少女たちはそれぞれ担当を決めると変身して立ち向かいました。強化を受けた見滝原組はあっさり風味でしたが、杏子ちゃんは未強化な上にくじ運が良いのか悪いのか比較的強めの魔女と当たったので少々苦戦しました。

 そんなことになったら当然ソウルジェムに穢れが溜まりますので、浄化の売り込みが始まります。半信半疑な杏子ちゃんを見滝原勢(被害者友の会)が揃って宥めすかし、そしてお試しコース(一回だけなら)を了承した杏子ちゃんは最後までノンストップでした(知らない世界を旅しました)。ちなみに、オホ声派でした。

 フレイム属性の魔法少女は鳴き方が特徴的だと女神たちの間では専らの噂です。知らぬ間に犠牲となっていた胡桃まなかもメスガキムーブからの即堕ちでオホっていましたので間違いないのでしょう。当時の現場には双葉さなもいたのですが、透明だったので気付かれ(襲われ)ませんでした。

 腰を抜かした杏子ちゃんを休ませるためにも中央区のマンションに向かった一同ですが、実は強化の途中で到着が遅かったからと迎えに来たマンション組が合流していました。今の今まで実際に出会う機会のなかったまどかちゃん(正妻)帆奈ちゃん(飼い主)との間で一悶着ある(サスペンス)かという女神たちの期待とは裏腹に、視線を合わせた二者は無言でがっちりと握手して魂で理解し(わかり)合っていました。多くは語らない様子にプロ同士のオタクを見た、と後にさやかちゃんは語ったそうな。

 そして道中で世間(シモの)話から身の上話(不幸自慢)になり、杏子ちゃんが住所不定無職だと発覚したため、マンションの一室を貸すことになりました。普段は寄り付かなくてもいいので、お帰りを言ってもらえる場所があることを覚えていて欲しい……というハートフルお節介にそっぽ向く杏子ちゃんでしたが、周りの目は温かかったのでした。なお、後日連れ子(千歳ゆま)を抱えて本格的に住み着く模様。

 こうして江田島平八相当の戦力を何人も抱えている中央区は追加でまた一人、戦力も性格の癖も強い魔法少女を迎えたのでした。

 一応の顔役であるみやこ先輩の胃が心配になりますが、強化済な上に不定期(ランダムエンカウント)強化(襲撃)されるので一向に調子を崩す気配はありません。ちょっとだけ心配になって未来を覗いたイろはちゃんが思わず表情を崩してうわぁ……と絶句したので、きっと色々(エロエロ)とお()しな状況になったんじゃないでしょうか。未来はきっと変えられるので頑張って欲しいと願い空を見上げるイろはちゃんの無駄にシリアスな横顔を見ながらのお別れです。それでは、次週をお楽しみ下さい。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。



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アルまど様とイろはちゃんが見届けられなくなった話

 気にしなくなった部分なのですっかり忘れていたのですが、本作はたまたま見た夢の内容を寝ぼけながら古い型のスマホでポチポチ文字にしたのが始まりだったこともあって短編小説です。

 なのに気付けば前回で14話……今回で15話です。これはいけません。とある人外も10巻以上続くコミックスは惰性と言っていますし、このままだと惰性で原作をなぞりそうなので面白みに欠けます。よって、ここらで一つ打ち切ろうかと思いました。

 

 と、いうわけで何の前触れもなく宇宙の意思が重い腰を上げました。

 

 どんな感じにしようかと宇宙の意思が該当する宇宙を観測していたら、ちょうど普段通りに過ごしていた久遠が魔法少女相手に100人斬りを達成した瞬間をとらえたので、記念と称して願いを叶える事にしました。

 魔法少女の契約とは異なりデメリットはない単純な降って湧いたような幸運ですが、久遠は非現実的過ぎて信じてくれません。行為の最中に突然時間が停止して意識だけで会話している状態なのは、果たして関係があったのでしょうか。今となっては知るよしもありません。

 その後も粘り強く交渉し、最終的には願いを叶えない事には首を切られてしまうと泣き落としまで試したところ、その間に用意した契約書を差し出してこれにサインするのなら要求に応えるのもやぶさかではないと言ってきました。

 これに宇宙の意思は飛び付きました。内容をよく読まないまましっかりと署名したのです。もう嫌な予感しかしませんが、署名を確認した久遠の告げた願い事を聞き届けた宇宙の意思は一瞬起きたほんの小さなエラー(ノイズ)を無視して願いを叶えました。

 それと同時に、女神たちの干渉できない新しい宇宙を映していたモニターはプッツリと信号が途絶えて真っ暗になってしまいました。

 女神たちは第三の円環の理が生まれるものだとばかり思っていたのですが、残念ながら違ったようです。

 アルまど様はせっかくの竿役が手の届かない場所に行ってしまったのでしょんぼりしてしまいました。イろはちゃんはそんなアルまど様に慰めの言葉をかけます。それを受けたアルまど様はなんかこう失恋したところへ優しい声をかけてなびかせる系の効果が働いて、一時的な気の迷いと言えばいいのでしょうか、イろはちゃんに狙いをシフトしました。イろはちゃんはイろはちゃんで自分でするより他人にしてもらう方が気持ちいいという魔法少女たちの声が正しいのか気になって仕方がなかったので、つい出来心で受け入れてしまいました。

 そうして二人は幸せなキスをして終了。それがこのお話の終着点になったのです。

 

ノーマルエンド:女の子は女の子同士で恋愛すべきだと思うの

 

 

 

 

 

 久遠の願いは「じゃあ君の好きにしなよ」でした。

 

 宇宙の意思は久遠の願い通りに自分の目的を果たす(好きにする)事を決めて、久遠の影響でエントロピーの回収効率がすこぶる悪くなって今後も赤字経営が続いていく予定の対象宇宙を数ある平行世界から切り離したのです。

 

 こうして切り離された宇宙は、外部の干渉を受けない完全に独立したものになりました。これから先は誰にもわからない未知の歴史が紡がれていくのでしょう。

 ただ、宇宙の意思の管轄外に存在する、魔法少女やインキュベーターが存在しない宇宙もまた無数に存在していることは、みんな知っています。

 そしてそこの寿命は人間の基準で考えれば遥か未来。その頃には地球も寿命を迎えていますし、人類はその更に前の段階で生きていけなくなって滅びていることでしょう。

 あるいは人類やそれ以外の存在がそれを解決するのかもしれませんが、どの道この切り離された宇宙を追うことは切り離した宇宙の意思にすらできません。

 

 まぁ、契約書に明記された『願いを叶えた場合に叶えた側はその持っている能力、資産、権限の全てを願った側へ移譲する』という一文のせいで実質的に久遠が宇宙の意思に成り代わった事実はこの際なので無視しましょう。

 何もできなくなった宇宙の意思がどうなったのか、数ある平行宇宙は今後どうなるのか、そんなことは棄てられた(独立した)宇宙に住む久遠には関係ありませんし、そもそも意識していません。できることを自覚する日が来るのかさえ不明です。

 あくまでも現時点の目標は神浜市の破壊と再生に過ぎず、何より久遠は未だに小学生なのです。

 

おしまい



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アルまど様の霊圧が……消えた……?

 前回――記念すべき第十話を五話も過ぎて逆にキリ自体は良くなった第十五話にて、アルまど様の物語は観測していた干渉できない宇宙が宇宙意思によって()行宇宙からパージされたので干渉どころか観測さえ不可能になってしまうという打ち切りエンドの煽りを受け最寄りの女神に走る結果(ノーマルエンド)となりました。

 ですが、物語なんてものは切り取られた歴史の一部分でしかありません。歴史そのものはその後も続いていくものなのです。そう、マジンガーZからグレートマジンガーだったりガンダムからZガンダムだったりみたいに。

 まぁ、円環の理って時間の流れが歪んでそうですし、女神なら切り離されて漂流している宇宙であっても、こう、周波数チャンネル的なサムシングを探し出すんじゃないでしょうか。知らんけど。

 ところで、平行宇宙だとどうにも平らなので起伏(分岐)を許さない感があるというか、平行の数学的な定義がハッスルして正史だとか分岐した歴史だとか気取った事を言っていられなくなるというか。なので、今後は並行宇宙の表記で進めようと思います。平行宇宙の表記は無限大いろはちゃんの勝利台詞とかなのでネタ扱いでしょうし。いやまぁ一部だけがループしている単一の歴史だったり円環の理だったりについて図式化して平行を考えるのも素敵ではあるのですが(能力的に無理っす)

 

 さてさて、ここで視点をパージされた宇宙からのものに変えてみましょう。

 するとあら不思議、まるでS級クランだとかパーティーだとかから戦力不足を理由に追放される冒険者のようではありませんか。部下のミスで経営が悪化しているので部下諸共に責任を取れと解雇された方が近いだなんて言ってはなりません。

 そうなると話は簡単です。この物語はアルまど様が制欲を持て余してどこでどう暴走するかのトトカルチョから一転して、オリ主であるパージされた宇宙……君? ちゃん? ここは普遍的かつ無難な敬称である『さん』を使うことにしましょうか。そのパージされたUR(ウルトラレア)な宇宙さん、略して……そう、パウチュウさんの成り上がりものへとシフトするのです。URな、の部分いらなくないですかこれ。

 白っぽい毛を持ち二足直立するアシカ顔のネズミっぽいキメラティックなモンスターが浮かびましたが気のせいでしょう。今一つ面白味に欠ける見た目だったのでチュウ部分を進化系にしてみましたが、同じ系統だったので思わずチベスナ顔をしたのは内緒です。

 こほん。そんなわけで、ここからは原作なんてそっちのけでパウチュウさんによる並行宇宙へのざまぁに向けたご都合展開ラッシュの始まりに違いありません。見とけよ見とけよ~。

 

 

 

 なんてことを言っても、パージされた宇宙には意思なんて(残って)ないです。

 少なくとも契約書に署名したおかげで力も資産も久遠に譲り渡してしまった後なので、あるかどうかも分からない指をくわえて眺めるくらいしかできません。そう考えたら既にざまぁ完了してますねこれ。何なら愉悦の域にまで届いてます。

 実のところ、パージされてない数多の並行宇宙も宇宙の意思の資産扱いで現在は久遠の所有物になっているのですが、本人に自覚が全くないので一切管理されていないという地味に全宇宙のピンチだったりします。一応ですが、所詮は数ある多元宇宙(作品)の一つに含まれている並行宇宙(二次創作)の出来事に過ぎないので影響はとことん軽微なことは補足しておくべきでしょう。逆に言えばここからバッドエンドに突き進んでも大丈夫ってことです。次の瞬間には黒歴史を葬るべくアルまど様が次元を越えて襲撃して来て、ページは赤黒い液体で汚れており続きが読めない……なんてことも可能性としてないわけではないのです。ふふ、震えて来ました。先週の記憶が飛んでいるのは果たして無関係なのでせうか。縦書きとかで助けを求める練習でもしておいた方がいいのかと思う今日この頃なのです。

 そんな宇宙のピンチに実質的に配下な獣(キュゥべえ)が気づいて知らせようとしたのですが、久遠の在住している神浜市には浄化システムが機能しているためマギウス(アリナ)の展開している皮膜を越えて市内に入り込んだ個体は軒並み機能を停止してしまって不可能でした。幸い、週末に鹿目家へ訪問することは知られているので見滝原市に赴いたところをスナイプするという方法があります。

 しかしながら、そもそも素質無しには不可視非可聴な存在(キュゥべえ)と久遠の相性は壊滅的なまでに悪いため、望みは薄いという罠。下手を打て(賽の目が振るわなけれ)ば、一気に本体まで消滅の危機まで起こり得るのです。

 久遠からの認識については唯一の例外(めんたいこ)がいますが、色々あって(リンク切断とかで)やさぐれてしまい交渉が難しいでは済まない状況。世界の悪意が見えるような現実の厳しさが光ります。

 かといって、やらなければ最悪は魔法少女の存在発覚からの迫害、魔女狩りならぬ魔法少女狩りへと発展して数を減らしていき、やがては資源の枯渇による宇宙が緩やかに寿命を迎える未来なので、成し遂げない訳にはいかないのですが。

 

 

 

 そんな話はさておき、パウチュウさん(パージされた宇宙)の地球に存在している日本某所というか神浜市では、電波少女のウワサを調べるべく主人公(いろはちゃん)一行がついに中央区までやって来ました。

 ここまでの流れはいろはちゃんがパワフルなことと、見滝原勢が介入していないこと以外は結局のところ原作沿い(ウワサスレイヤーズ)です。マミさんは優雅にケーキと紅茶を嗜んでますし、杏子ちゃんはゲーセンに常駐しています。まどかちゃんとフレンズ(ほむら&さやか)だって、マミさんが行方不明になっていないので慌てて捜索したりもしていません。その影響(ホミさん不在)でマギウスの翼が原作(マギレコ)と比べると地味に人材不足な面はありますが、元より市外の面子も多いので深刻さはないようです。

 ミザリーウォーターの(ハードラックとダンスっちまう)ウワサ? 奴さん(ミザリーリュトン)なら強化済(魔改造)いろはちゃんに単発でツモら(真正面から撃ち抜か)れたよ。

 実を言うとこれ、表示は0%ですがこのお話では小数点以下を切り捨てているため実際は小数点以下の確率で……というねむちゃんの職人魂が仇となった結果です。元を正せば父親から言い伝えられたエルムドアッー!(みんなのトラウマ)を嬉々として語って聞かせた久遠が原因なのですが。マギウスは泣いていいと思います。

 というか、そろそろ怒りを通り越してボロボロ涙をこぼしながら弱音を吐く灯花ちゃんの姿が見られるのではないでしょうか。

 ねむちゃんは自分たちが失敗しても間接的な妨害要因である久遠への屈折した好意を更に拗らせながら自分の見る目が正しいと確信を深めて興奮するようになっているので、その、手遅れです。ある意味、無敵ですね。

 アリナはアリナでいつの間にかマンション組と魔女の飼育に関して意見を交換し合う仲になっており、育てた魔女同士を戦わせて成果を確認したりもしています。これに関しては趣味の範疇(プライベート)なので他の二人には伝えていない模様。

 

 魔法少女界隈では世紀末(ポストアポカリプス)もかくやな治安と噂の中央区では、黒ローブの魔法少女に賞金が掛けられ狩りの対象となっています。マギウスの翼を抜きに素で黒ローブな魔法少女たちはいい迷惑かもしれませんが、中央区で顔を知られていない黒ローブの魔法少女が活動している場面を発見される時点で問題なので問題ありません。

 パッと思いつく例であろう黒江ちゃんは、久遠が潤さんを訪ねた(宝崎市遠征の)際に魔女の結界の手前で尻込みしているところを見つかってしまい、結界に連行されるわ魔女と戦わされるわ助けられるわ浄化と強化をされるわで酷い目に遭っています。自己肯定感は低いままなのでマギウスの翼に加入している可能性があるのですが、強化済みなせいでどれだけ落ち込んでもソウルジェムがそこまで濁らない彼女がいじめの対象にならないことを祈るばかりです。

 さて、ウワサは割と自由度の高い存在であるため、創造主(ねむちゃん)がそのように決めたのならそのように生まれますし、そのようにあり続けます。なので魔境(中央区)にもあっさり侵入というか、そこで生まれることができています。

 ですが、ウワサを守るために派遣されるマギウスの翼(羽根の皆さん)世紀末(ヒャッハー)中央区(久遠)モブ魔法少女(犠牲者たち)によって追い回され、捕獲され、捧げら(換金され)れてしまうのでそのままでは活動できません。

 なんなら宇宙の意思が仕事(でき)ないパウチュウさんでの出来事なので、魔法少女の存在に都合よく働くフィルターがかかりません。黒ローブの怪しい人物なんて、久遠の根回し(暗躍)が巡り巡って綺麗になった警察に職務質問されてしまいます。

 マギウスの翼が補導されたのは一度や二度ではありませんし、身元を押さえられている魔法少女がたくさん現れました。

 その際、身元保証人として呼ばれた大人の毒親率が高く、まともな警察官から教育委員会や児童相談所に連絡がいきました。そこをマスメディア(久遠が買収済)にスッパ抜かれて市内に広まり、警察としても見回り強化や家庭訪問の実施を発表しました。機を見るに敏な政治家(久遠の操り人形)はスローガンに家庭環境の改善に関する内容を盛り込んだりもしたので、自然と同調圧力が働き大人達の振る舞いが多少はマシになったのだとか。

 現在の神浜市は寿命の先延ばしに真摯な営業(キュゥべえ)が活動していないため、因果が深まる要因の一つと推測される家庭環境や人間関係に問題を抱えている魔法少女候補の契約(超法的措置)ができません。

 そのため、タイミング悪く自殺してしまったり精神崩壊を起こして廃人化したりする少女が現れる可能性は非常に高く、そこに環境の変化が起きてストレスが軽減されたことは助けになったとかならなかったとか。

 

 話を戻しましょう。

 中央区のウワサを守るように言い付けられたマギウスの翼(搾取される労働者)は、ローブを脱いで不審者感を拭い去れば良いと思い付きました。

 が、中央区はオフィス街。制服姿の少女が徘徊するのは中々に悪目立ちします。今回の思いつきを実行した面々も見ない顔の集団ということで地元の魔法少女(FOE)から尋問(インタビュー)を受ける羽目になり、何とか電波塔の観光に来たと誤魔化してその場をしのぐことに成功しました。

 しかし幸運はそう続くものではありません。電波塔付近までやって来たらそこには顔写真(雑誌の切り抜き)で注意喚起されている七海やちよ(二十歳目前魔法少女)率いる団体様御一行の姿がありました。下手に近付くのは不味いと考えながらも、地元の魔法少女から尾行されている可能性を捨てきれないマギウスの翼は板挟みになってしましいます。そうこうしている内にストレス(内圧)が高まってソウルジェムがみるみる濁っていき……ついにはドッペルが暴発してしまいました。悲しいね。

 これにはそこそこ近くにいたチームみかづき荘の面々もびっくり。すぐさま制御を失い暴れるドッペルを抑えるために変身して向かいました。

 羽根たちの予想通りに尾行していた地元の魔法少女はみやこ先輩(ボス)に連絡した後、事態を静観していました。あ、この子自身は名前を隠してるとかじゃなくて、単なる有能モブ魔法少女(優れた忍は名を残さぬ)です。

 

 周囲の建物への被害もなく、事態は無事に鎮圧されました。とはいえ、チームみかづき荘からは黒羽根ちゃんの暴走(ドッペル暴発)が魔法少女同士の争いに見えた様子。つまりはお説教のお時間です。

 やちよさん(みんなのオカン)から中央区は中立地帯であると厳重注意された上で解放……の前に、電波少女のウワサについて何か知らないか確認されてしまいました。

 いっぱいいっぱいな黒羽根一同は挙動不審になりながら一切知らないと否定しましたが、オカン(やっちー)の目は欺けそうにありません。ジト目で黒羽根たちを見つめます(我々の業界ではご褒美です)

 と、そこへ待ったが掛かりました。マギウスの翼謹製の白ローブ(言い逃れできない証拠品)を纏ったぴーひょろ姉妹(顔割れしてる人物)の登場です。これにはやちよさんもやっぱり(予想通り)。黒羽根の皆さんは思わずドッペルをおかわりしてしまいそうでしたが、上司への無体はまずいと必死に耐えていました。

 そんなわけでウワサが本物(マギウス関係)であることを確信されてしまうという大失態(墓穴)披露し(掘っ)天音ェ…(ポンコツ)姉妹。“汚名挽回(恥の上塗り)”とばかりにマギウスの翼とは無関係を装っていた魔法少女たちを巻き込んで戦闘を挑みました。既に疲労困憊なのに上司の尻拭いをさせられる黒羽根のみなさんが死亡フラグ(カッコいい台詞)を乱()しているのは実に涙を誘う(ワインが進む)光景です。

 結果は健闘むなしく(初手全体マギアで)敗北してしまい(ワンパンされ)ましたが、時間稼ぎが間に合い(午後五時を過ぎて)帰宅民がチラホラ現れ始めたので、人目を気にするみかづき荘メンバーを振り切って逃げることに成功しました。

 まぁ、逃げた先では苦笑を浮かべて頬に手を当てるみことちゃんと笑顔で両手を広げた帆奈ちゃんとによる手厚い歓迎(暗示の魔法)が待っていたわけですが。

 

 その後、帆奈ちゃん主導の尋問が行われました。催眠状態になったマギウスの翼から色々な情報を引き出すことに成功したのでホクホクです。

 特筆するべきなのはやはりドッペルではありますが、どう考えても副作用がありそうなので使用は控えるべきだと賢い帆奈ちゃんと魔女化の経験を持つみことちゃんとは考えました。そもそも自分達のソウルジェムが濁り切る場面を想像できないことからは全力で目を背けたのは言うまでもありません。

 次点でマギウスの翼という集団の上位にマギウスと呼ばれる三名がいること。その名前を聞いて、聞き覚えのあった帆奈ちゃんは久遠を突撃させたい(実に愉快犯的な)衝動に駆られましたが、みことちゃん(良心回路)に先回りされてしまったので思いとどまりました。

 必要な情報を抜き取ったと認識した二名は、最後にちょっとした地雷(暗示)埋め(かけ)ました。そして、捕縛している面々の分布がバラバラだったので、東西それぞれの代表者へ送り付けて貸しにすることで中央区がイニチアシブを取れるようにと、みやこ先輩(苦労人)に押し付けて帰りました。

 なお、帰ってからメッセージアプリを起動した帆奈ちゃんは、魔女(Poke)モンリーグ運営委員会という名称のグループに亀甲縛りされた目に光のない少女集団の画像と、黒羽根一同から引き出した双子の失態に関するメッセージとを投稿したのでした。

 それを見たアリナは少し前の失態を思い出してもんどりうった後でニアミスして(自分もこうなって)いた事実(可能性)に寒気を覚えつつ、画像を保存してからメッセージごとみふゆさんに転送したそうです。もちろんキッズには黙ってました。

 

 原作(マギレコ)とは違って魔女をイブの餌にするだけではなく、マンション組と戦わせる方向にも開眼していたアリナは、結界を複数展開できるようにして魔女も複数育成するようになっていました。直接の面会はなかったため、久遠による強化はありません。自力で新境地に到達する才能と努力を見せる彼女の()キャラ感はマシマシです。

 で、ウワサの結界内にいた魔女は先日の対戦で負けたので二軍落ち予定であり、反省させる意味で配置していました。といっても、アリナは魔女を操作したり意思疎通ができたりするわけではないため、効果は見込めません。ぶっちゃけノリです。

 そんなわけで思い入れもそこそこだったので、その魔女がフェリシアちゃんに倒されてしまった後の二度目のドッペル呼び出し(ヴァァァアアアッッッ!!)はキャンセルされました。

 一応、魔女とアリナの名誉のために言っておくと、育成の腕が原作(マギレコ)より上がっているので魔女の強さも上がっており、フェリシアちゃんが冷静さを失いながらも魔女に対する恐怖を覚えるほどに追い詰めました。結果としてはそれが原因で(恐怖でソウルジェムが濁りきり)ドッペルを召喚されてしまい逆転負けしたのですが。

 芸術に対するスタンスとして、作品を無理解無関係な有象無象に破壊される怒りは当然のように大きかったのですが、その前の出来事で気持ちが冷めていたので上手く気分が乗りませんでした。

 何があったかと言いますと、ウワサの結界内に入り込んで来たいろはちゃんたちにドッペルを呼び出したものの、常にクライマックスな主人公(いろはちゃん)にあっさり耐えられてしまったので闇マリク並に狼狽えてしまっていたのです。

 なお、軽くパニックになって退き際を見誤ったヨネ、とは冷静になった彼女がマギウスのお茶会でこぼした台詞。これを聞いたねむちゃんと灯花ちゃんの環いろは像はむっちゃマッチョになったのだとか。

 

 今回マギウスの翼はペアで動いていた帆奈ちゃんとみことちゃんに捕獲されたにも関わらず久遠の被害(引き抜き工作)に遭わなかったわけですが、ここには魔法少女の政治(勢力)問題以外にも理由がありました。

 ウワサを巡る騒動で中央区がちょっぴり荒れていた頃、久遠はマンションの管理人室でソウルジェムを持たない魔法少女(?)たちの話を聞いていたのです。

 

 彼女たちは、自らを時空管理局と名乗りました。



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アルまど様どこ……ここ……?

 その面々が現れたのは実に唐突でした。

 もう少し踏み込んで言うと、ある日の夕方、中央区にあるマンションの敷地に何かが墜落してきたのが始まりです。当然、そんなことになれば地響きが起きてご近所の皆さんが集まって来てしまいます……認識阻害がかかっていなければ。

 そう、幸か不幸か、現場は久遠の在住しているマンションだったのです。おかげで近所に住む皆さんが謎の衝突音と揺れに恐怖と不安とを抱くことになったのはご愛敬。後日テレビの怪奇現象を特集した番組で取り上げられられたりもしますが、当然のように謎は謎のまま終わりました。

 

 久遠はタイムセール及び割引されたお総菜を狙うべく旅立つところだったのですが、何しろ方向が分かってしまうほどの近い場所に何かが落ちたような音を耳にしてしまったので、管理人として安否確認をしないわけにはいきません。

 と、いうわけで向かった先は家庭菜園。魔女化して放浪の果てに神浜市でハントされマンション在住となったモブ魔法少女(引きこもり組)の皆さんが社会復帰するための第一歩として土いじりさせる目的で作られたここは、実際にはまだ肥料を混ぜて休ませている予定地でしかありません。

 そして、素人なりに整備して精々が雑草扱いでスベリヒユくらいしか生えていないはずのそこには……人間の下半身が生えていました。その様子はまさにイッヌニンジャ・クランが得意としたドトン・ジツの一種、ヨキ・ジツ。これを見た非ニンジャ(モータル)は魂に刻み込まれたニンジャへの畏怖を思い出しNRSを発症するに違いありません。

 そんな存在しない架空の設定(ナレーション)を流して現実逃避を試みた久遠でしたが、ふとこのまま放置していたら呼吸できずに死ぬのではと思い至ったので再起動を果たしました。落下の衝撃で死んでいる可能性を微塵も考えない辺り、久遠も魔法少女の存在に脳を破壊されてしまったのでしょう。

 あまりにも非現実的すぎたため一周回って冷静さの化身となった久遠が畑に生えた脚へと近寄って確認したところ、靴のサイズから埋まっている相手は自分よりも幼いと判断しました。デザイン的に女の子っぽかったので、スカートの丈が長く捲れていないことがせめてもの(尊厳的な意味で)救いでしょうか。

 とはいえさすがに身長差がそこまで大きいとは思えなかったことから引っこ抜くのは無理そうだと判断し、引きこもり組の症状というか現代への適応が比較的マシ(軽度)な面子を呼び出そうとしていたら、空から追加(おかわり)が降って来ました。

 見た目はやはり久遠よりも身長の低い推定下級生。奇抜な服装であり、高所からダイレクトに地面へ降りて来たことから考えても魔法少女と見て良さそうです。魂の在り方(ソウルジェム)違う(作られていない)ので弱点を克服させた新型なのかと久遠は警戒し、相手も微妙に喧嘩腰です。

 一触即発の空気が流れ緊張感が高まりましたが、どこからともなく申し訳なさそうに英語で助けを求める電子音声が流れたことにより霧散しました。

 我に返ると共に焦り始めた金髪ツインテ不法侵入少女に対して久遠が口頭で休戦協定を提案し、少女が合意したため、協力して畑に生えたお仲間さんの救出(収穫)をしたのでした。おめめぐるぐるで完全に気を失い脱力していたためか、地味に重かった(羽根のように軽かった)との述懐が日記に残されています。

 

 そうして救出さ(引っこ抜か)れた少女は当然土塗れなわけで、久遠は迷いながらも管理人室のお風呂に放り投げました。喧嘩腰だった少女も当たり前の様にお風呂へ向かってしまったため、話を聞こうとしていた久遠は肩透かしを食らった気分です。不審者二人をほぼ野放しというのは作戦を練る余裕を与えることにもなり普通に危険なのですが、流石の久遠もお風呂へ突撃したり張り付いて聞き耳を立てたりする無謀さは持ち合わせていませんでした。

 さてどうしたものかと考えていたら、先程助けを求めて来た電子音声が響きました。発()元は少女と同じく畑に突き刺さっていた、間違った使い方に定評のある槍のような物体だったものです。

 グレート廃人レイジングハートと名乗ったそれは、インテリジェントデバイスと呼ばれる装置だそうで、待機状態な現在は首飾りの姿を取っていました。しかしながら詳しい話はマスターが戻って来てからと焦らされてしまいます。

 そうして生まれた隙間時間でお茶の準備をしつつ宿題を済ませ会社からのメールを確認していると、少女二人がお風呂から上がってきました。()んなこともあろうか(だよバカやろう)と久遠側で用意してあった浴衣スタイルでの登場です。

 インテリジェントデバイスがキャラ崩壊を起こ(誉め殺し)していましたが、元のキャラを知らない久遠は気になりませんでした。

 

 

 

 と、いうわけで前回ラストに追い付きました。マギレコ(公式)でクロスオーバーした作品なら原作の範疇に含めていいのでは、なんて思いが脳裏を過った気がしなくもないのですが、世界観の地続きでない作品には違いないので必須タグを忘れずに登録しておきましょう(114514敗)。なんならせっかくなのでコラボ先をDetonationじゃなくA'sの少し後位に変更して、幽霊ホテル(フェントホープ)にSLBをぶちかまして貰いたい衝動に駆られています。

 必須タグで言えば、主人公はアルまど様と言い張ってオリ主を回避していたのも今となっては怪しく、めんたいこの件で性転換も満たしたようなもの(?)なので、そちらもチェックせねばなりますまい。しました。

 

 閑話休題。

 

 始まった自己紹介で、収穫物の名前は高町なのは、喧嘩腰の名前はフェイト・T・ハラオウンだと判明しました。なのは……とらハ……久遠……うっ、頭が。

 続いて事情聴取のお時間。まずは久遠側から不法侵入の経緯について尋ねたところ、二人の所属する組織である時空管理局がいつの間にか増えていた未知の世界を発見したことから、他世界の存在を認識し次元移動が可能な世界という管理するべき次元世界への該当条件を満たしていると見なされため、調査および交渉のために派遣されてきたと答えました。

 唐突なSF要素に久遠の顔が宇宙猫になってしまいましたが、二人の説明は続きます。事前に観測した世界が地球や太陽系を持つなのはちゃんの世界と酷似していることや、しかし故郷である海鳴市がなかったり逆に神浜市があったりするためパラレルワールドだと推測されること。更には魔女や魔法少女、次元世界で普及している魔法とは異なる体系の魔法の存在が確認されたものの、世間一般には秘匿されている事実から、管理外世界に属する可能性が出て来たことなどなど。

 そう、原作(マギレコ)ではどこにだって行ける(にも居場所がない)系魔法少女である保澄雫のコピーが空間結合(やらか)したためにやって来た時空管理局の面々は、この宇宙だとパウチュウさんが管理範囲内に漂着したことで派遣されてきたのです。どこにパージしてくれとんねんファッキン宇宙の意思。

 

 フィクションで慣れ親しんだ内容が多分に含まれるので理解はできますが、何故そんなスケールの大きな事態になっているのかさっぱりなため宇宙猫を継続している久遠。

 それを見て、空振りを予感しながらも話を続ける二人が神浜市にやって来た理由を計測不能な謎の力(魔力)の密度がやべー場所だからと告げた瞬間、久遠の表情が宇宙猫からFXで有り金を全部溶かす人の顔に変わりました。

 顔芸人と化(観念)した久遠から巷でウワサの黒ローブ集団(マギウスの翼)について情報を得た二人は、手がかりになりそうな情報を掴んだと喜んでいました。が、魔法少女の知人友人を持つ久遠としては宇宙規模の移動などという大事を魔法少女の願い(が束になった)程度で起こせるとは思えず、考え込んでいました。円環の理を作り上げた魔法少女や、本来(マギレコ)来訪理由(コピー保澄雫)を知らないからこそ首を傾げられた久遠は、ある意味で幸福だったのかも知れません。

 そうして宇宙の漂着などという壮大なお話が起きた原因を考え続けた結果、百人斬り達成記念とか言って時間を停止したような状況を作り出して願いを叶えてやるとか言ってきた自称宇宙の意思とやらが関係(やらか)している気がしてなりませんでした。そうなると久遠が原因の一端を担っているわけです。話し半分で好きにしろと返したことでパージされたので実際に直接の原因だとは思ってもいない久遠でありました。

 

 悩み抜いた挙げ句、久遠は推測を語りませんでした。いや、よそう、俺の勝手な予測でみんなを混乱させたくない。というやつです。責任逃れのため? まさかそんな、濡れ衣です。

 代わりと言ってはなんですが、時空管理局にはノンケだってかまわず契約しちまう獣(キュゥべえ)の脅威を知らせておくべきだと考えました。なのはちゃんの地球との違いを教え合う中で出て来たリリカルな事件の話から、時空管理局とやらが魔法少女をロストギア認定して封印だの管理だのをさせろとか言い出しそうな雰囲気を感じ取ったので口だけは達者な元凶(キュゥべえ)を差し出して丸め込んで貰おうとしたわけでは決してありません。

 他の理由として、連中(キュゥべえ)が果たしてどこからやって来ているのかは不明ですが、神浜市の外では今も元気に猛威を振るっているに違いない連中が、もしも次元宇宙とやらを認識して旅立っ(拡散し)てしまえば……そこら中で魔法少女が生まれ、魔女になってしまうことでしょう。むしろ目の前の嘱託らしい少女達も因果が深そうなので、格好の獲物なのではないかと心配にもなってはいるのですが。特になのはちゃんは、どこか自己肯定感が下限突破しているというか、まどかちゃん味(自己犠牲に飢えた気配)を感じます。二人を会わせたら何も起きてないのに延々と謝罪合戦をしそうな気がしてなりません。使命感からまどかちゃんにメッセージを送った久遠を責めることは出来ないでしょう。

 

 そうこうしている内に、なのフェイの二人側に通信が届きました。何でも拠点となる船が待機しているそうで、そこにいる上司と話が繋がっているようです。

 現地協力者(第一村人)に相当する久遠とも話がしたいということだったので久遠が許可したところ、空中にモニターが投影されました。

 近未来な感じにワクワクした少年(久遠)でしたが、映し出された若いけど大人な女性……の背後、外国人の勘違いした日本を思わせる混沌系和風とでも呼べそうな背景を見て瞳のハイライトを消しました。

 幸いにも、上司である巡行艦アースラの艦長リンディ・ハラウオンは会話の通じる理知的な人物でした。が、よく考えなくても時空管理局とやらは管理外宇宙の小学生(高町さんちのなのはちゃん)を戦力として採用している団体です。その点ではある意味マギウスの翼と同レベル……むしろリンカーコアなる器官(魔法が使える素質)を備えていただけの前途有望な若者を言葉巧みに操り労働させるばかりか、実質的に将来進む道(就職先の選択肢)を掌握している点ではそれ以下(キュゥべえの同類)です。同じ人間であり感情を理解できるにもかかわらず、という点を踏まえればまさかの選んだのはお前だよ系営業(キュゥべえ)以下になってしまいました。

 そんな認知バイアスのせいか、彼女との交渉では言葉の節々に老獪さというかそれとない誘導を感じました。とはいえ、常識の違いによる価値観の細かな相違はあるにせよ、所詮は人間の枠を超えない範囲であり理解の及ぶ範疇。久遠を子供と侮ったのか甘い部分が多々見受けられたので、容赦なく責めさせて貰いました。

 途中から涙目になっていたリンディさんを見て息子のクロノ・ハラオウンが出張って来るアクシデントがあったものの、越権行為の無礼と咎めて譲歩を引き出す(足を引っ張らせる)結果にしかなりませんでした。

 と、いうわけで調査については可能な範囲で協力することになり、報酬として久遠個人に対する技術や道具の提供を取り付けました。交渉としては完全勝利に近い内容です。何しろ久遠は政治家や商売人ばかりか堅気じゃない連中(暴力はいいぞな方々)までも相手に切った張ったの世界を渡り歩いている小学生なので、管理局の闇とは無縁なハラオウン親子は相手が悪かったとしか言えません。

 ついでに、あちらからは調査員が後から追加で派遣されてくることを告げられましたが、またも小学生だったので、リンディさんは大変恐縮していました。

 

 なお、通信終わりからさほど時間を置かず(なのフェイ在宅中に)帰って来た帆奈ちゃんから、勝手な協力の許諾についてめっちゃ叱られました。その際に極められていた卍固めは身長差を問題とせず完璧な仕上がりだったと、後日みことちゃんの撮影した動画を見たせいかちゃんがお墨付きを出していました。

 ちなみに、なのはちゃんとフェイトちゃんはそれを見て大人(ハレンチ)な行為だと勘違いしていました。性癖が上級者ということです。まぁ、キスだだとか添い寝だとかで妊娠すると信じていそうなキッズには、お肌とお肌の触れ合いは刺激が強かったということで一つ。とりあえず、こうしてリリなの組も少しずつ性癖を破壊されていくのでした。

 お仕置き(じゃれ合い)が終わると、今度は帆奈ちゃんたちが持ち帰ったドッペルやマギウスの情報が共有されました。流れで開示された魔法少女の真実に異世界民(なのフェイ)がドン引きしていましたが、魔女化しない代わりにドッペルが呼び出されることにもドン引きしていました。メンズスプラッシュビーム(限界まで我慢して放出する)と考えたら途端にアダルティな現象に早変わりしてしまうので仕方ありません……性教育前の小学生二人は考えが及ばなかったようなのでセーフです。なおマギウスの三分の二(早熟で知識豊富な)

 そしてシマ荒らし(マギウスの翼)黒幕(トップ)がまさかの知り合いオンリー(親戚、天敵、趣味仲間)という事実に、あの久遠が撃沈しました。その後、どうにか復帰した久遠は身内の責任を取るためひそかに改心さ(泣か)せる決意を固めたのです。そうなるとマギウスの翼に次元移動の責任を押し付けるのは悪手。つまりスケープゴート(キュゥべえ)に全てを押し付けることが確定したと言ってもいいでしょう。宇宙の意思から譲渡されたあれこれのおかげで上位者としての権限を持ち、宇宙規模の環境保護団体(インキュベーター)を使った尻尾切りが本当に出来てしまうことを、この時の久遠は知りませんでした。

 

 所変わって見滝原市。久遠から送られてきた似た雰囲気がする(正妻の座が危うい)というメッセージに、現行魔法少女最強ランキングin Japan(実質全国)帆奈ちゃん(初代女王)を抑えて堂々の第一位に躍り出た期待のニューフェイス、鹿目まどか二代目女王が立ち上がりました。向かう先は、もちろん震源地(神浜市)

 

 ――次週、特に何も起こらない。



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アルまど様はかぷかぷ笑ったよ

 時空管理局への協力を決めた翌日、週末になったので久遠は早速たくさん残機のある端末(キュゥべえ)責任の押し付け先(スケープゴート)にするべく、なのはちゃんとフェイトちゃんを連れて神浜市外(見滝原市)へと向かいました。

 

 そして到着した駅の建物を出ると、待ち構えていた見滝原の魔法少女達(ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット)に迎えられました。中央区のマンションに移り住んでいる杏子ちゃんまで駆り出されてしっかり五人で戦隊を組んでいます。

 そして元ネタと違い中央にはマミさんではなく、腕を組んで仁王立ち(デンドンデンドン)しているまどかちゃん。威風堂々とした態度に魔法少女改め嘱託魔導師の二名はすっかり気圧されていました。普通に考えて中学生に睨まれたら小学生は怯えますよ、そりゃ。

 ちなみに真実はまどかちゃんの頭上に乗っているめんたいこ(元キュゥべえ)の存在と、その取っている姿勢(\太陽万歳/)とに警戒しているだけでした。ガチャ回す石(ジュエルシード)デビチル(闇の書)のような鉄火場を潜って来たのは伊達ではないのです。というか見えちゃうんですね、ふーん。

 

 で、宇宙規模のSDGsに熱心な意識高い系(キュゥべえ)の集合精神から切り捨てられためんたいこ(感情持ち個体)ではありますが、それ以前のデータは各端末の記憶媒体に個別に保管されているため、普段から知恵袋として大活躍しています。

 そのため、久遠は時空管理局の観測した宇宙の漂着に対する見解と共に、次元世界の存在に関する記録の有無と、新規情報であった場合に知った後どう動くのかの行動予測とを知りたくて頼ることにしたのです。久遠は一般キュゥべえが見えないままですし。

 

 とはいえ、順番を間違えてはなりません。まずは絶対上位者(まどかちゃん)に挨拶を済ませるのが礼節というやつです。

 弟としての甘えを前面に押し出しながらも第二次性徴期(スケベが大好き)を迎えた男性らしさをそっと匂わす感じのハグを受けたまどかちゃんは、キリッとした表情を崩し(即座にウェヒり)ました。周囲(下々)の視線など気にしない王者の風格……と呼ぶには少々威厳が霧散してしまっています。おぉ、(まどか)よ、尻を揉むのは止めて差し上げろ。

 

 何はともあれ、機嫌が回復したまどかちゃんに見滝原フレンズも安堵のため息(ニッコリ)

 そうして調査のための話し合いへと移ることにしましたが、内容的(キュゥべえの価値観)魔導師サイド(汚れていない下っ端)が叫ぶ可能性を考慮して、場所は雑音で溢れ返る広めの個室(カラオケボックス)になりました。万が一にもハーレム扱いされないようにと、久遠はユニセックスな服装(ぶかぶかパーカーとスウェットパンツ)でコーディネート済。普段の(爛れた)生活から考えて男性ホルモンがドバドバなはずなのに、紛れ込めてしまう小学六年生がこちらになります。

 

 肝心の調査ですが、まず漂着した宇宙に関しては並行宇宙から切り離されて投棄されたのではないかとのことでした。

 その実行犯についても、宇宙の意思と呼ばれる存在であることまでは分かりました。ですが、それがどういった存在なのか――その正体に関しては、知っていたはずなのに全く思い出せなくなっていたため不明でした。おそらく感情が生まれて混乱している僅かな隙に集合精神(キュゥべえ)から漏洩防止のために消去されたのでしょう。

 宇宙の意思を上位に置く生命体(キュゥべえ)の認識している宇宙は、基本的に(正史)となる宇宙を持ち、そこから枝葉のように可能性(別の宇宙)が広がっているツリー構造だとされているようです。そして基準から外れ過ぎると枯れ葉のように散る宿命(さだめ)を持たされているのだとか。

 ただし、感情を持たない悲しき使い走り(キュゥべえ)正史の存在(そういった話)を知らされてはいますが、肝心の内容に関しては未接触(ノータッチ)どころか接触禁止(アンタッチャブル)

 そして時空管理局の提唱する次元世界に関しては認知(任地)の外側なため、仮に知ってしまった場合、宇宙の寿命延ばし隊(キュゥべえ)であれば間違いなく魔法少女システムを引っ提げて各世界へと進出していくだろうとめんたいこ(独立個体)は語りました。

 これには時空管理局に協力している二人も顔色を悪くします。魔法少女になることは、願いを叶える代わりに以後ずっと命ある限り魔女と戦い続ける宿命を背負うことだと知らされていました。しかも願いが思った風に叶えられなかったり、取り返しのつかない事態を起こしたり、長続きしなかったり、悲劇(コンナハズデハー)も起きている様子。更には魔法少女の真実(人間やめますか)。どこかジュエルシードに似ていると当事者二人(なのフェイ)は思いました。

 なお、次元世界とはおそらく規格が違うので無駄足になる可能性も高く、その場合はここ(パウチュウさん)以外には無害な存在となるだろうとの話が続いたので胸を撫で下ろしていました(つるん、ぺたん、すとーん)。それを可能性がある時点で警戒が必要だとレイハさんに注意されていたのが印象的です。

 ちなみに、科学技術は人類より進んでる獣(キュゥべえ)的にはインテリジェントデバイスに対する興味は薄く、技術的に作れるけど感情エネルギーの回収に使えないので不要という認識だそうです。本人の前で不要とか言っちゃう感情に目覚めたはずの個体(めんたいこ)は危うく赤色でトッピングされる(からしめんたいこに進化する)ところでしたが、すぐさま一方的に使われるだけではない道具との関係性(相棒枠)について浪漫を熱く語ったので無事にその場を切り抜けました。

 以上の話の中で、無感情だったせいで好奇心も持たず命令遵守していた過去を悔いるめんたいこの姿は、感情の生まれるきっかけとなり育んだ世界である人間に近いものでした。擬人化したわけではありません。ケモナー原理主義過激派への配慮により、めんたいこはモキュ(小さいキュゥべえ)似に改造されてはいますが、ちゃんと魔法少女もののマスコット姿(キュゥべえ)です。白ワンピースを着た白髪赤目のツインテ美少女ケモ耳尻尾付きなんて居なかったんや。

 

 めんたいこが言うには、宇宙の意思に切り離されたこの宇宙(パウチュウさん)は管理者不在な状態であり、脱皮したてのカニもびっくりなよわよわディフェンスで、サポートの終了した古いOS並にガバガバなはずだとのこと。おそらくは不自然なまでに魔法少女の存在が広まっていない不思議を実現していた意識誘導の類も消えているので、地球上の世界各国が大混乱する可能性が伝えられました。

 実のところ、この宇宙が切り離される前段階で意識誘導業務は最後まで延命し続ける獣(キュゥべえ)に引き継がれています。この辺りは宇宙の意思が擁護不可能な無能ではなかった証明なのでしょう。たった一度、契約書を読まなかったばっかりに(負のご都合主義によって)痛い目に遭ってしまいましたが。

 そのため、キュゥべえが活動している地域ではほぼ問題なく日常が続いていました……そう、ここでキュゥべえ絶対停止宣言都市(マギウスの仕業だ!)が響いて来るのです。

 神浜市という例外が存在しており、魔法少女がキュゥべえを狩るゲーム(キュゥべえバスターズ)の配信であれやこれやと暴露しまくりなので、いつ魔法少女や魔法少女生産&精算機(キュゥべえ)が世間に認知されて大々的に利用される事態になっても――管理世界に認定される可能性が高まっても――おかしくない状況なのです。しかもこの場では全国的に意識誘導が働いていない事になっているため大混乱。なお湯国市(起爆済)時女一族(集落公認)

 

 とりあえず、容疑者である宇宙の意思は時空管理局の縄張りである次元世界とは本来無関係であり、今後も意図的に干渉して来る事はないことと、今回(漂着)の件は偶発的かつ再現不可能な事態であることとが有識者(めんたいこ)から語られたので、次元移動に関する情報だけでも十分なものが得られました。魔導師二人は一歩前進だと喜びます。しかも、後の詳しい話(魔法少女の隠蔽)野生の現職営業(キュゥべえ)に聞いて貰うしかないと次のヒントまで得られました。まるでお使いクエストです。

 

 久遠は把握した現状を帆奈ちゃんに伝えるためにメッセージを送ると、ドリンクバーに向かいました。当然の様にまどかちゃんも一緒で、まどかちゃんがいる以上はほむらちゃんも一緒です。

 そしてドリンクバーのフローズンドリンク容器内にゲーセンの景品に紛れた事もある獣(キュゥべえ)が入っているのを発見、魔法少女二人(まどほむ)が詳細を確認して教えてくれました。地球外生命体が相手だから通訳を挟むのはむしろ当然です(開き直り)。

 ここでようやく体を張りすぎて凍える獣(キュゥべえ)から、この宇宙が並行宇宙から切り捨てられたことと、宇宙の意思のアレコレを受け取った久遠が実質神のような位置にいる事実とを知らされました。

 これを聞いたまどかちゃんは久遠が遠い所に行ってしまったようなさびしさを覚え、ならば自分から動いて近づけば良いのだと更なる鍛練を己に課すことを決めたのでした……女神化フラグでしょうか。まどかちゃんの覚悟を敏感に感じ取ったほむらちゃんも置いて行かれないよう後を追う決意を固めたのです……悪魔化フラグでしょうか。

 さて、どうやら久遠には遠く離れて認識も出来ない並行宇宙とやらの管理業務を引き継いだ責任がある様です。契約書に久遠側は受け取るか自分で決められるという文言を載せなかったが故の強制パワーアップ。策士策に溺れる(あっぷあっぷ)とは正にこのこと。実に迂闊でした。

 それなのに実質部下のような営業(キュゥべえ)の姿は見えませんし、声もノイズのままです。久遠の魂に変質が見られないせいなのでしょう。

 能力の使い方が分からないので関係者(キュゥべえ)に尋ねましたが、現実は非情でした(私にもわからん)。逆に言えば、使えないので諦めろと説得する材料になります。が、無感情に定評のある営業(キュゥべえ)素質の高い(因果モリモリ)少女に願わせれば解決だと事も無げに打開策(無理難題)を出して来ます。

 まどかちゃんが冷静さを失わずに止めていなければ、相手の反応を学習しない営業(キュゥべえ)はプッツンして眼鏡を握り潰した(私が天に立つ)ほむらちゃんに銃殺されていたことでしょう。まどかちゃんもまどかちゃんで冷静にキレているため地雷探索機能を持たない営業(キュゥべえ)は物理的な圧を持った殺気に押し潰されて動けません。ここだけジャンルや絵柄が違って見えるので、久遠は思わず何度か目を擦りました。幻覚でした。

 これはあかんと久遠が引き継いでいたらしい能力に関して自分の中に検索をかけてみたところ、思い切り引っかかっ(ヒットし)てしまいました。というか検索自体が無意識な能力の使用でした。しかもリストアップされた項目を認識した瞬間に能力の使い方を理解してしまったというか、次元を飛び越える移動が出来そうな感じです。それもイメージ出来る範囲を丸ごと。パウチュウさんを元の並行宇宙に復帰させることさえ可能だと確信できました。

 この能力を認識した久遠は途轍もない万能感に酔いしれました。今ならまどかちゃん(ベッド上の戦争)にも遅れは取りませ……取りま……取りまぁす!

 なんということでしょう。チート能力を得て最初に考えたのがエロです。魔法少女相手の治療ではない、一人の女の子を相手にする愛情を確かめ合うためのコミュニケーションを主体としつつも積極的に既成事実を狙っていく行為(おせっせ)です。しかも想像の上ですら結局は勝てませんでした。こうしてまどかちゃんの無敗記録は守られたのです。

 真面目な話、久遠だけ(個人単位)とはいっても、次元間移動を出来ると知られてしまえば、久遠が利用されて次元移動が行われて平和が乱される危険性から、時空管理局は何としてでも管理下に置こうとするでしょう。要は非常に面倒なことになります。

 さすがにそれは遠慮したいので(俺は面倒が嫌いなんだ)、事実を伝えずに済ませたい久遠は好感度0な自称部下(キュゥべえ)に一芝居打たせて魔導師二名には速やかな帰還をしていただくのが良いと考えました。控え目に言ってクズです。宇宙の意思から成分を受け継いでしまったのでしょうか。まぁ単に管理(自治厨)とか正義(自己中)とか軽々しく()称する連中とは絶対にソリが合わないと確信しているだけなのですが。

 

 久遠は空気を変えるために魔法少女二人にセクハラを働いて(耳に息を吹きかけて)正気に戻し、瀕死の獣(キュゥべえ)には数年単位で習熟するから我慢するようにと告げました。前向きな回答が得られて()()()()()()()()()で語る神経逆撫流免許皆伝(キュゥべえ)が三人から死なない程度にボコられたのはここだけの話です。

 ついでに、フローズンドリンク(飲みたかったやつ)の衛生状態を悪化させた罰としてこの個体をなのはちゃんに引き渡し、時空管理局(多分リンディさん)の相手をさせることにしました。

 おそらく価値観の違う獣(キュゥべえ)は無自覚に時空管理局(管理されるべき家畜)へ喧嘩を売ります。それにより平和を乱すと危険視される可能性は低くないでしょう。

 次元世界なんて大風呂敷を広げるなら、漂着してきた一つの宇宙でしかないパウチュウさんのスキャンなんて朝飯前でしょうから、本拠地……おそらくそこにある生産工場を破壊してもらえれば完璧なのではないでしょうか。

 地球に危険が及ぶ可能性はありますが、宇宙の寿命を延ばすための感情エネルギーを生産、回収する牧場でしかない惑星を消滅させたところで副業収入で暮らせる畜産家(キュゥべえ)の増産と拡散は止まりません。そんな無意味な行為を、小学生の手も借りているギリギリな組織に行う余裕が果たしてあるでしょうか。なくても普通にやりそうなのが困ります。

 

 そんなこんなで確保した瀕死の獣(キュゥべえ)を差し出したところ、なのはちゃんは微妙そうな表情を浮かべながらもNext Nanoha's HINT(次の手掛かり)を受け取りました。

 

 どうやら通信ではなくアースラに持ち帰って直接話をするらしく、カラオケボックスを後にした嘱託魔導師二人はお礼を述べて空へと旅立ちました。

 あっちの魔法少女は飛べるんだ、と感心しながら見送った見滝原の魔法少女たちは、そのまま流れで鹿目家(二次会)に向かいます。そしてそこではソウルジェムの浄化とか強化とか色々あったわけですが、魔女の気配もなく平和な午後を過ごしました。自分以外の少女が久遠の力になることを願うかも知れないという可能性を人心勘定出来ない営業(キュゥべえ)から気付かされて、まどかちゃんが普段以上にハッスルしたのは全力で見なかったことにしましょう。何が危険日だ好機日(チャンスデー)だろうがオラァ!

 

 そして次の日……爛れた午前を過ごしてから帰宅した久遠。マンション組に報告して、神浜市の破壊計画への影響や社畜精神溢れる獣(キュゥべえ)の扱い――命令の上書きか可能かどうかの確認についての話し合いをしました。

 久遠の考えた白だぬき(キュゥべえ)撲滅プランは帆奈ちゃんに疑問視されました。その理由として、魔導師の力量を知らないという前書きがつくものの、小動物サイズ(キュゥべえ)の持つエネルギーは恐らく小さく分布は広いであろうことから、反応を捉えるのが難しいであろうこと。特別な理由がないのなら時空管理局に探させるよりも自称嘘を吐かない獣(キュゥべえ)に直接聞き出した座標なり目印なりを時空管理局に流した方が遥かに早いことなどが上げられました。久遠は恥ずか死を迎えました。

 そして業務は引き継ぎ済らしい魔法少女関連の認識阻害や意識誘導などによる隠蔽効果についても、キュゥべえがいなくて神浜市内が危ないなら宇宙の意思とやらから引き継いだ能力を使って久遠が隠蔽すればいいと当たり前な意見を出されました。

 面倒だという久遠の反論は、犠牲者候補(魔法少女)によって封殺されました。まさかの泣き落とし(ふいうち)です。タイプ相性(エスパー、ゴースト)で4倍弱点……と言いたいところですが、久遠はタイプの組み合わせだけでなくタイプ相性が倍化するという特性まで狂った厨ポケなので4×4=16倍弱点です。駄目じゃん。

 チョロチョロのチョロだった、と帆奈ちゃんは後に語り、みことちゃんがそういうことは言っちゃだめだよ本当のことだけど、とトドメをさしました。演技だとバラして愉悦した日の夜に反撃を受けた事はすっかり忘れての回想でありましたとさ。

 

 そうして迎えた月曜日。学校から帰って来た久遠がタイムセールへ向かおうと準備していたら、大きな音と衝撃と(つい最近に聞いたやつ)が伝わって来ました。

 天丼はギャグの基本だと学んでいた久遠に死角はありません。余裕を持って堂々と畑に向かい、予想通りに地面から生えた生足(二本の細い大根)を発見しました。問題は、今回のお野菜はスカート丈が短かったせいでパンモロしていたことです。

 これは助けてからも気まずいと悩んでいると、空から聞いた声がかかりました。そう、なのはちゃん(とフェイトちゃん)です。パンツの前ですぐに助けず考え込む久遠の姿は、傍目には(控え目に言って)変態でした。

 少し頭冷やそうか(メイ・オー)。それが、久遠の意識を失った最()の記憶でした。



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アルまど様はみんなの心の中に

 頭を冷やして頂いた(冥王の攻撃を受けた)久遠は、改めて余計な一言に定評のある獣(キュゥべえ)と時空管理局との対話内容について報告を受けました。久遠の気絶中になのはちゃんたちが手ずから畑から収穫(救出)して、気絶している久遠のドロップ品である(ポケットに入っていた)鍵を使って管理人室に侵入し、お風呂場で洗った時空管理局の八神はやてちゃんを交えた初の会合です。

 なのはちゃんの程度を間違えたお仕置き(少し頭冷やそうか)については、なのはちゃんがフェイトちゃんから前回はパンツを覗き込んだりしていなかったという久遠へのフォローだったはずの台詞で、自分の魅力が足りなかったから覗かれなかったのだと受け取り乙女の誇り(プライド)を著しく傷つけられて起こした、不幸な事件であったことが実行犯の一味(レイハさん)から判明しました。

 繊細なハートを理由にされては久遠も何も言えず、許容するしかできません。対抗して自分からパンツを見せつけようと錯乱するなのはちゃんの醜態なんて知りませんし、それをネタにしたはやてちゃんが自己(セックス)アピールを始めて場に混沌をもたらそうと画策したり、まどかちゃんからラブコメの波動を感じたが過ちを犯さないようにとメッセージが届いて冷や汗をかいたりしたのは内緒です。

 ついでに補足しますと、前回のなのはちゃんと今回のはやてちゃんが畑に生えた(墜落した)理由は、マンションに掛けられている認識阻害によるものでした。イメージ的には階段の終わりに気付かずまだ続いていると思って踏み外す失敗(ポカ)を強めた感じ。フェイトちゃんが無事だったのは、インテリジェントデバイスのバルディッシュが珍しく進言してきたのをしっかり受け取って慎重に進んだおかげでした。

 

 肝心の会話内容ですが、結論から述べますと、この漂着した宇宙(パウチュウさん)は管理外世界であると認定されました。

 神浜市で魔法少女が認知されるとしても、その規模は次元世界や宇宙といったものに比べて小さく、しかも少女達が大人になる過程で力を失っていくため協力者とするのも難しいと判断されたためです。とはいえ、将来的な可能性を見出だしたので管理はしないが監視はするのだそうですが。

 上層部では期間限定(使い捨て)嘱託(戦力)として起用する考えも出ましたが、ここぞとばかりに売り出す営業(キュゥべえ)が列挙してきた例から年齢的にも性格的にも治安維持活動には向いていない者が多過ぎると断念したのはここだけの話です。時空管理局の職員に契約させる案も出ましたが、条件が厳し(因果が足りな)くて無理でした。

 

 そんなわけで、思った以上に何も起こらないままに話が済んでしまいました。

 ですが、そうなるとわざわざ人数を増やして知らせに来る理由が不明です。まさか時空管理局には上半身を畑に埋めるコンテストでもあるのでしょうか。そうなると今回新たに合流したはやてちゃんは同じチームだったりチャンピオンだったりするのかもしれません。

 興味本位から疑問をぶつけたところ、返って来たのは強烈な否定(ツッコミ)であり、観光しに来た(意外な答え)でした。

 なんとこちらの地球は、なのはちゃん達の地球に比べて時代が進んでいるらしいのです。扱い的には並行世界なので科学技術の進歩にやや違いが見られますが、その分だけ珍しかったり機能が高かったりする品物が多いので参考にしたいのだとか。特に甘味や料理への探求心が非常に高く、女子力を感じさせました。

 地味に魔法少女達の固有魔法をはやてちゃんの持つ夜天の書に記録出来ないかの調査も含まれていたのですが、さすがに話題には出ませんでした。

 

 早速マンションを出発し、案内した先は洋食店ウォールナッツ。どうせなら魔法少女(宇宙固有種)の知り合いを増やして貰おうとの計らいから、まずは王道を攻めた形です。

 料理の鉄人(まなかちゃん)一押しのオムライスは満足頂けた様で、また別の女を連れているとジト目(ご褒美)をもらった久遠が異世界の住民であると説明したところ、商売敵にならないからといくつかの提供メニューについてレシピを教えてくれました。受け取ったはやてちゃんも自分の覚えているレシピを教えており、ばっちり交流できたようです。その中で今後も遊びに来る(久遠の知らない)話も出ましたが、久遠としてはまた畑が荒らされる可能性に震えるばかりです。

 

 と、ここで久遠は思いました。別に案内する必要はないのでは、と。

 別世界から観光に来た旅行者とはいえ、仲の良さげな女の子が三人で過ごす折角の機会です。一度や二度会っただけの、しかも異性が付き添っては気を遣ってしまうのではないでしょうか。それこそ少女でも女三人寄れば、というやつです。主要なお店や観光用のパンフレットを渡しておけば勝手に楽しい時間を過ごすと思われます。

 そうと決まれば適当な用事を理由に後は若い者に任せて……とか思ってたのですが、それより早く弾む会話の中から荷物持ちという重要な役割を任命されてしまいました。必要とされてしまえば身を粉にしたくなる奉仕的な性質を持つ久遠はあっさり手の平を返して一日付き添う覚悟を決めたのでした。

 

 洋食店(ウォールナッツ)を堪能したリリなの組がお店を出て、次に向かうのは総合デパートです。どうやら料理の話題がホットなので調理器具や家電が気になるご様子。

 ですが、その道中で一行は黒ローブの集団に囲まれました。言わずもがなやられ役(マギウスの翼)です。最近とうとう学校でも不審者集団として注意を呼び掛けられている彼女たちの目的は久遠だそうで、身柄を確保してくるようにマギウスの翼全体へ指示が出ているのだとか。普段は中央区(無法地帯)にいるせいで手出しができず機をうかがっていたと叫ぶ彼女たちは、どこか煤けていました。

 面倒が嫌いな久遠ではありますが、この場合の面倒はどちらかと言えば時空管理局の面々に実力行使させてしまうと罰則がありそうな点です。今後も遊びに来るような話でしたし、それを禁止されそうな事態になるのは避けたいところ。

 しばし考えた後、心配するリリカルな面子に用事が出来たのでここでお別れすることを提案しましたが、案内役兼荷物持ちがいなくなるのは困ると引き止められました。対して黒ローブは邪魔をするのかと喧嘩腰で、一触即発な空気に包まれます。

 一度は唐突なモテ期に内心テンションを上げた久遠でしたが、主にマギウス(縁切り組)のせいでマギウスの翼に対する心象が底辺にあるため次善策の時間稼ぎを試しました。

 控えよ下郎、社長ぞ。我社長ぞ、ん? 予約の一つも取らないとか礼儀をご存知ない? 友達と遊ぶにしても相手の予定くらい確認しますよね? もしや……友達がいらっしゃらない? むしろそんなんだから友達が離れていったんじゃないかなぁ……等々。

 崩れ落ち涙する黒羽根たち。久遠の完全勝利です。ドッペルが出る危険もあるので良い子は絶対に真似しないで下さい。なのはちゃんたちは久遠にも、マギウスの翼(黒ローブ集団の実物)にもドン引きしています。

 このまま放置すると補導されたショックでドッペルを召喚しかねないので、アフターフォローとしてグリーフシード(対戦用強個体)を一人一個ずつ進呈し、アリナ宛にも六個ほど渡すよう頼みました。また、自分から連絡先を消して音信不通になった馬鹿二人には自分の足で向かって来いと伝えるようにも。更にはそれらを明記した書類(複写領収書)を作成して、先頭で乙っている黒羽根に渡しておきました。何故かはやてちゃんが小切手を取り出した久遠を見て震えていたのが印象的です。

 

 そんな一幕も、終わってしまえば笑い話に過ぎません。今は辿り着いたデパートの売り場ではしゃぐ三名をご覧下さい。尊いですね。無駄に思えるほど機能が充実している炊飯器や電子レンジに大興奮です。小学生の姿か? これが……。

 久遠(現地民)はといえば、頻繁に買い換える物ではないので割と目新しい製品が増えていて楽しめていました。ついでに会話の中で自炊もすることを漏らした結果、今後の予定が食材の買い込みと料理になったのはご愛敬。その帰り道、荷物持ち(年上男子)本領(意地)発揮し(見せ)ました。

 

 そんなこんなでちょっと早めの夕食を済ませ、食後のティータイム。ここまで来ると久遠もすっかり魔導師組と打ち解けたので、普段どうやって過ごしているかなどの会話に混ざっています。全員が小学生で収入を持っているという一種異様な空間でしたが、気にする者はいません。

 そんな中、魔導師組が軒並み今回の出張任務を受ける前に慣れないデスクワークで忙殺されていたことが判明し、親切心から久遠が肩凝りの有無を確かめたら……三人とも該当しているという世知辛い結果が出てしまいました。

 これには合法的に乙女の柔肌に触れようという下心を疑って久遠をからかっていたはやてちゃんも顔を覆って恥ずかしがっていました。どうやら肩凝りは高齢者の症状だと思っているようです。年齢の話は女性にとって禁句……それは小学生であっても変わりません。

 久遠としては肩凝りの原因からすれば小学生だろうと起きるときは起きると考えているので気にしません。が、一般人の認識としては年齢が代表的な理由なのだろうと察したため、嘆き悲しむ三名に対してせめて他の知り合いにバレないよう凝りを解すマッサージを教えようかと提案しました。

 実践形式になるので最低一人は犠牲者が必要になると補足したら、当然というかはやてちゃんがエロマッサージかと茶化してきて、それに反応を返す前になのはちゃんが立候補しました。そしてフェイトちゃんがなのはちゃんにさせるくらいなら自分がと身代わりを申し出て、流れに乗ったはやてちゃんがそれなら自分が……と手を上げた瞬間全員からどうぞどうぞと譲られました。

 こうしてはやてちゃんは自分で自分の言うエロマッサージの被験者になってしまったのでした。過酷なデスクワークによる凝りは椅子に座っているお尻にも及びますので、まぁエロと言えばエロなのでしょう。久遠に下心がなくても受ける側がそう感じてしまえばそれが真実(セクハラ)になるので。それに、普通のマッサージでも気持ち良さを勘違いしてそのように反応(生理現象を起こ)してしまうことは珍しくありません。なお、施術時の服装は用意されていたビキニタイプの水着でした。

 

 そんなわけでマッサージの施術がされたわけですが、気付けばはやてちゃんが大変なことになってしまいました。とても見せてはいけない体液塗れな笑顔を浮かべています。

 当然、なのはちゃんとフェイトちゃんがガン見している状況です。内容自体は本当にセーフだったのですが、はやてちゃんの反応は余りにも性的でした。二人は見学するだけでなく、久遠に手を取って動きや力加減を教えてもらいもしたのですが、そのときも被験者(はやてちゃん)の反応は見聞きしている側までいけない気分にさせられるものでした。

 施術が終了してぐったりびっしょりな姿になってしまったはやてちゃんはお風呂に入れる必要があったのですが、介助が必要な感じだったので、久遠は残る二人にお願いしました。

 ですがここで待ったがかかりました。発言したのはフェイトちゃん。言い分としては、お風呂介助からのマッサージを経て再度お風呂という流れは非効率的だとのこと。

 ごもっともな意見ではありますが、久遠の考えは汗が引いて体を冷やすことで体調を崩す可能性を心配したものだったので一長一短。ついでに言うと、みんな同じような結果になったら介助する人がいなくなって危険が危ない(世間体の問題が)という心配もありました。

 しかしフェイトちゃんは引きませんでした。まだ恥ずかしがるような年齢ではないと堂々たる態度です。全力で首を横に振るなのはちゃんの姿は目に映らないご様子。むしろ忘れない内にマッサージの復習をしたいのでなのはちゃんに試したい、はやてちゃんの介助を頼むとまで言い放ちました。強い。

 はやてちゃんの意識は遠くに旅立たれているので、返事は期待できません。現状は異なる意見に一票ずつ、つまり結果はなのはちゃんに委ねられました。が、押しの強さはフェイトちゃんが勝っていたため、流されて補習を選択します。マッサージの時点で相当な痴態を晒しているので全裸は誤差だとの考えがあったことや、こっち(なのは)のパンツは見なかったのにそっち(はやて)のパンツは見たんでしょという嫉妬もあったことは、マッサージされるはやてちゃんの声と表情とによって性に目覚めてしまったなのはちゃん自身は気づいていませんでした。

 さて、なのはちゃんにレイジングハートが、フェイトちゃんにバルディッシュがいるように、はやてちゃんも魔導師としての武装(デバイス)を持っています。

 それが夜天の魔導書であり、リインフォースⅡです。後者は人格型ユニゾンデバイスと呼ばれ、独立して活動できる優れもの。()長は30cm程で、空を飛んでいることから妖精然とした存在ですが、生活様式は人間と違いありません。はやてちゃんとの関係は時々立場が逆転する仲良し姉妹といった感じ。

 そんなリインちゃんですが、はやてちゃんの危機に対してはまさかのスルー。むしろ久遠に対して押せ押せとばかりに発破をかけています。ちっちゃくたって女の子、恋愛話(コイバナ)は大好きなのでしょう。

 

 さぁ、そんなわけで意識は戻ってきたものの未だ体に力が入らないはやてちゃんをお風呂場に運び込んだ久遠は、遠慮なくその体を洗っていきます。とはいえシャワーを当てて汗を流すだけなのですが。少し前にも綺麗に洗われてましたねこの子。

 ですがリインちゃんからダメ出しが飛びました。具体的な場所は伏せますが、マッサージの影響が一番目に見える形で起きていた部位をキッチリ洗うようにとの要請でした。妖精だけに……いえ、何でも。

 乙女(絶対絶命)のピンチですが、なぜかはやてちゃんは拒否しませんでした。浴室の外から聞こえてくる色っぽい声が関係しているかは不明ですが、その瞳にはむしろ期待の色(ハートマーク)が浮かんでいます。

 ついには、えーでもーと躊躇する久遠に業を煮やしてその手を取り自ら指定された部位へと導きました。そこまで動けるなら自分で洗えよと思った久遠は悪くないと思います。が、乞われたならば応えるのが久遠のスタンス。ここから先はR指定な時間が流れ、普段は洗いにくい所までしっかり綺麗にしました。なんなら自分では届かない部分のマッサージ第二部が開演していました。

 全てが終わって浴室からお姫様抱っこで運ばれて来た際には、はやてちゃんもリインちゃんも表情はつやつやのてかてかでした。気付けばリインちゃんまで参戦していたのは果たして予定通りだったのでしょうか。サイズ変更ができることに興味津々な久遠でしたが、元のサイズでも全く問題なかった事実を付け加えておきます。なお、ソウルジェムを持たない初対面(体験)の相手ということで凝った(イイ)部分を探して適切な対応(刺激)をするのは久遠としても中々の集中力を必要としたため、ややお疲れの様子。

 

 ですがここで知ったことかと言わんばかりにフェイトちゃんから全年齢対称のマッサージについて注文(オーダー)が入りました。なのはちゃんの入浴介助と同時進行なのでどうしたものかと悩む久遠でしたが、はやてちゃんがマッサージを買って出てくれました。両手をワキワキさせる動きは熟練の技を感じさせたため、久遠は提案を受け入れてマッサージをはやてちゃんにお願いすることにします。

 そうしてふにゃふにゃに蕩けていたなのはちゃんを浴室へ運び、シャワーで汗を流していったのですが、ここでも思考回路に異常が起きて大胆になっていたなのはちゃんから特定部位の丹念な洗浄についてお願いがありました。

 なのはちゃんが言うには、下着同然な姿で肌を触れて良いのは家族や恋人だけ→家族ではないから恋人→恋人はそういう事をするもの。という論法が成立する……なんてことをフェイトちゃんから刷り込まれていたのでした。

 久遠は今後なのはちゃんが騙されるとまではいかなくても都合良く使われる未来が見えてしまい心配する気持ちが間欠泉の如く溢れていました。よって強化のお時間です。出会ってからの時間は短くとも、自己犠牲精神が豊富で無理(まだだ)ができてしまいそうな辺りにまどかちゃんを感じてしまうなのはちゃんへの好感度はアゲアゲです。せめて周囲が納得せざるを得ない連続活動時間を誇る体になってもらおうと画策したのは仕方ないことなのです。

 あるいは、こうした行為を受け入れるのも、なのはちゃんの自己犠牲精神が発揮された結果だったのかもしれません。性的な目で見られなかったと拗ねたりパンツを見せつけようとしていたことはこの際なので忘れておきましょう。ですが、この入室時に比べて10倍くらい蕩けた表情(えがお)を見るにご満足頂けた様子なので、久遠はやり遂げた感に満たされていました。使用前→使用後でガンダムからνガンダムくらいスペックを向上させられたので無理もありません。今のなのはちゃんなら、小惑星を石ころ一つ扱いしてくれることでしょう。聖王のゆりかご逃げて。

 

 で、一段落したけどもう一声(ワンモアセッ)と思っていたらフェイトちゃんが浴室へやって来ました。乱入してくるとは、とんでもない奴だ。

 そしてフェイトちゃんはなのはちゃんの様子を確認すると小さくガッツポーズを取り、自分にも同じ行為をするように言ってきました。

 なんでも、今回の一件は同じ相手と致すことで間接的に繋がる満足感を得るためにフェイトちゃんが一計を案じた結果なのだとか。正直、頭の心配をしたくなりますが、似たような面子(マンション組や見滝原組)を知っているため久遠は否定できませんでした。

 ダメ押しに旅の恥は掻き捨てだと予め認識を共有してしたと言われて納得してしまう辺り、久遠も頭のネジは外れていました。

 ただ、攻められて前後不覚になっているところでいくつか質問したことで、フェイトちゃんの内心では自らを省みないなのはちゃんを繋ぎ止める精神的な鎖が欲しかっただとか、母親やそれに少しでも近い境遇になればお母さん(プレシア)の気持ちがほんの少しでも理解できる様になるのではないかだとか、割と複雑な心の働きがあったのが分かりました。はやてちゃんは特に誘導していないため素で淫乱だそうです。かわいそ。

 こうして次元を越えて観光にやって来た3+1名の魔導師は少女から女になり、ついでに身体能力や運動神経、リンカーコアの質まで上がった状態で帰っていきました。次元犯罪者の皆様におかれましては今後のご活躍を期待しております。

 魔法少女とも友誼を結んだので今後も遊びに来ることが確定しており、その度に強さが更新されていくのも確定しています……じ、次元犯罪者の皆さんにおかれましては来世で(こんご)のご活躍を期待しております、切に。



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アルまど様リターンズ……ではないけれども

 ちょっとした事故で元の並行宇宙から切り捨てられ、次元宇宙(リリなの世界)の仲間入りをしてしまい、しかしながら無事に管理外世界の座を勝ち取ったパウチュウさん。

 同時にそれは次元犯罪者の暗躍を見逃す危険性を孕んでいるのですが、なんと魔法少女を増やしては堕としたい獣(キュゥべえ)が警備の役割を担っていました……牧場に不法侵入してきた者を追い払うという至極当然な行為なので、意外でも何でもありませんね。

 

 そんなわけで大きくは変わらない日々を過ごしていますが、久遠は最近になって知った宇宙の意思から譲渡された能力(チート)について検証していました。

 魂に関する適性以外は一般人の領域にしかない久遠には扱いの難しいものだとわかりましたが、諦める理由にはならないと寝ても覚めても思考し試行する毎日。

 

 そんな熱意が奇跡を起こ(やらか)しました。

 

 ある朝、久遠が目覚めると、目の前でまどかちゃんと良く似た神々しい少女が神秘的な雰囲気を台無しにするレベルの興奮した様子で見下ろしていました。

 そう、アルまど様です(ドキュメンタリー番組のナレーション風)。

 厳密には元の並行宇宙で叛逆の物語(裂けちゃう)が起きた拍子に零れた一欠片が、寝落ちした久遠の暴発させた能力で何かこう上手い具合に召喚された感じです。某型が地球の衛星な感じの運命における神霊が従者になったのが一番近くて通じる説明でしょうか。

 残念なことに、寝起きの久遠は頭が働かず何が起きたのか予想も上手くできません。が、面影はあっても知らない女の子が息を荒げ頬を上気させながら四つん這いの格好で覆い被さっている事態は割とアウトなのではないでしょうか。

 変に刺激してはならないと慎重に、けれども第一印象は大事なので大胆に。覚悟を決めた久遠は、おはようございますと無難な挨拶から始めたのでした。少女がまどかちゃんに似ているのは見た目だけではなく、纏っている肉食獣(覇王)の気配もであったことが決め手です。ヘタレとか言ってはなりません。

 

 さて、挨拶をきっかけに少女は我に返ったらしく、慌てて体を起こすと挨拶を返しました。そのまま弁明を始めようとする気配があったのですが、頭を下げた視線の先にちっちゃくたって一人前な朝の生理現象(エレクチオン)を発見してしまい、驚き慌てながら飛び退いてベッドから落ちました。まるでコントのようです。

 余りにもスムーズな流れで視界から消えた少女に困惑する久遠でしたが、同時に怪我はないか心配になり確認の言葉をかけます。不審者への対応にしてはゆるゆるですが、寝起きなのとまどかちゃんに似た相手なのが警戒心を鎮めていたのでした。

 言い忘れましたが、普段は管理人室に入り浸りな帆奈ちゃんとみことちゃんは、仕事(ネトゲ)稼ぎ時(キャンペーン)を理由に自室で泊まり込み合宿していたため不在です。これが遊ぶための言い訳ではなく配信用動画の撮影というガチの業務なのですから、何と言えばいいのやら。なお、夜更かししても魔法少女(回復魔法)特性(応用)でお肌に問題は起きません。

 

 そんな(とんだ)ファーストコンタクトではありましたが、今日は平日です。つまり学校があるため朝の準備をしなければならず、少女に構っていられません。

 軽い情報交換の結果、少女が別世界の鹿目まどかであると確認できたので、久遠は割と辛い人生を歩んでいる通称アルまどちゃん(アナザールートまどか)鹿目知久氏(まどかパパ)直伝の料理を振る舞いました。泣かれました。そら(二度と食べられないと思っていた味に再会できたら)、そう(涙も溢れる)よ。

 しかし直伝ではありますが本物には及ばない料理でこれだけの水遁(はんのう)です。久遠は鹿目家へ連れて行った方が良いのか悩みました。

 あの家の人間ならばアルまどちゃんを見ても変に取り乱したりせずに、まどかちゃんには違いないとしっかり受け入れてくれるに違いありません。最近になって空気を勢い良く蹴ることで一瞬だけ足場を発生させ空中散歩できるようになったまどかちゃんのご家族ですから、多少の不思議は呑み込んでしまう圧倒的な懐の広さが確約されています。

 とりあえず組織を束ねる立場でもある久遠は報連相が大事だとアルまどちゃんの写真を撮らせてもらい、まどかちゃんへとメッセージを送りました。

 

 アルまどちゃんのことは心配ですし、どう足掻いても原因が自分にあることを察している久遠としては学校を休んで世話をしたかったのですが、気丈にもアルまどちゃんから学校にはちゃんと通うべきだと切り出してきました。触りだけですが生い立ちを聞いているので言葉の重みが違います……重みという言葉を浮かべた瞬間に反応があったので久遠は戦慄を隠せませんでした。

 ならばせめてもの暇潰しにと久遠はPCを立ち上げ、自社製作のネットゲーム(キュゥべえバスターズ)を起動しました。VRゲーム初体験なアルまどちゃんが感動の声を上げた直後に始まったオープニングムービーとタイトル画面(巨大キュゥべえと立ち向かう魔法少女たち)を見てなぁにこれぇと言ってしまったのは聞かなかったことにするのが一番でしょう。

 

 とりあえずお昼ご飯はマンションの一部を開放し症状が軽くなった引きこもりーズ(魔女から戻った少女たち)のリハビリ場所となっている社員食堂にデリバリーを頼んでおき、久遠は登校しました。

 ですが、気になるのは誤魔化せません。学校でも珍しい失敗(ポカ)を連続してしまいました。そのおかげで結ばれた縁もあったので、痛し痒しな一日だったと言えるでしょう。

 

 学校を終え帰宅した久遠が見たもの、それは真剣な表情でキーボードとマウスを操りネトゲの攻略wikiを見詰めながらブツブツ独り言を呟いておるアルまどちゃんの姿でした。とりあえず元気そうなので安堵した久遠の取った選択肢はもたろん『そっとしておこう』です。新たな戦場(タイムセール)が待っているのだ。

 

 で、戦利品を両手に買い物から帰って来た久遠は、帆奈ちゃんに(アルまどちゃんについて)詰め寄られました。アルまどちゃんに(鏡の魔女の結界について)も詰め寄られました。みことちゃんも詰め寄ってきましたが場の空気に流されただけに感じたので頭を撫でて退散させました。

 

 そうして説明タイムです。夕食の席を兼任して鍋を囲んでいるのでシリアスさんは空気を読んでクールに去っていきました。悪いな、この鍋四人用なんだ。

 とりあえず無駄だと知りつつもアルまどちゃん召喚に関して予想を交えながら無罪を主張しましたが、裁判官(帆奈ちゃん)有罪判決(ギルティ)を言い渡しました。残当。

 また、鏡の魔女の結界が敷地内に堂々とあることに関して事実上の無力化をされていると説明しましたが、円環の理(アルまどちゃん)としては救済欲が止まらないご様子。別世界の本人(みことちゃん)から和解までの経緯(フォローの言葉)を聞かされたことで、混乱しつつもどうにか納得し(受け止め)たようでした。

 

 その後は和気あいあいとした雑談タイムになりました。途中で鍋の締めを雑炊にするかラーメンにするかで戦争が起きる一幕もありましたが、最終的にうどんになりました。

 そしてアルまどちゃんの今後ですが、久遠が能力を制御できていない以上は元の並行宇宙に帰すこともできそうになく、そもそも叛逆の物語が起きたのでアルまどちゃんの帰る場所がどうなっているのか不明な感じです。ワルプルギスの廻天に期待しましょう。

 よって、しばらくはパウチュウさんで過ごしてもらうしかありません。住む場所はマンションの一室を提供しましたが、なんとなく管理人室に入り浸りな未来が見えています。

 アルまどちゃんとしては元の宇宙で起きた事件は気になりますが、魔法少女の範疇に収まるまで弱体化している現状では打つ手が見つかりません。強いて言うならのぞき見していた強化を試すくらいだと自分から切り出してきましたが。口では最後の手段的な感じで乗り気ではない風ですが、言いながらチラチラこちらの様子をうかがったり頻りに指を組み替えたり期待を隠せていませんでした。 初対面からしてアレな感じ(野獣の眼光)だったので、久遠は察してしまいました。そんな久遠の表情から帆奈ちゃんとみことちゃんも察しました。

 そうして察したお姉さん二名はお仕事があるからと自室へと戻って行きました。せめて暗示の魔法を、という久遠の呟きを背後に受けながら。

 ちなみに、鏡の魔女の結界を通じて宇宙を繋ぐ案も出ましたが、アルまどちゃんの居場所は魔女の存在しない……むしろできなくなった宇宙であるため、ほぼ不可能だと却下されました。

 

 ついでに、久遠の推測である睡眠中に(寝惚けて)チート能力が暴発した(行使された)現象に関して、再び起きる可能性があることから誰かに押し付ける方向で話がまとまりました。

 本命はアルまどちゃん。使いこなせたら自力で帰還できると思われますし、今回の事故(叛逆の物語)と似た事態が起きないよう再発防止策としても使えるはずです。

 対抗馬はめんたいこ。感情に目覚めてはいますが感性は人間と少しずれたというか擦れたものを持っており、淡々とした大人の対応が期待できます。人外由来の知識や処理能力的に習熟も早いと思われます。

 大穴でまどかちゃん。永遠に閉じた二人だけの世界とか作りそうなので心配の種が尽きないのですが、基本的に自己犠牲精神と責任感は健在なので決して投げ出すことはしないでしょう。裏を返せばアルまどちゃんを見ても分かるように、多少やりすぎる可能性も高いのですが。どうせ無理をするなら耐えられる(壊れない)ように強くする理論を適用する形です。

 とはいえ、他所の宇宙はともかくパウチュウさんのまどかちゃんはしっかりと他の人に頼ることのできる()さを持っているので、下手な力を与えない方が良いと考えられました。

 

 と、一通り考えてはみたのですが、押し付けるにもある程度は使いこなせなければならず現状では取らぬ狸の皮算用でしかありません。語感だけならとある魔術(科学)禁書目録(超電磁砲)みたいですよね。

 そんなわけで久遠の特訓はしばらく続くのでした。

 そしてその日の夜はとってもバーニングだったのです。ほぼソウルジェムなのに(存在)の格が違って干渉が難しく苦労した、とは久遠の談。レア度が高いので覚醒素材が重い現象の互換なのでしょう。

 強化効率も渋いため回数をこなす必要がありそうですが、久遠の体は未だに一つしかないので期間も長く見る必要がありました。

 なお、予めまどかちゃんという同じ体を持つ相手や、先日の魔導師(リリなの)組で応用できる経験を積んでいたので、行為(バトル)そのものは全く問題ありませんでした。

 他には、干渉の難易度が高いおかげでチートの扱いがちょっぴり上手くなったのは嬉しい誤算だったと言えるでしょう。

 アルまどちゃんはアルまどちゃんで見るのとヤるのとでは勝手が違って苦労した模様。別の意味で裂けちゃうと叫んだりもしましたが、次の日になっても元気ハツラツです。本懐(しょじょ)遂げ(捨て)たのですから気分もウキウキです。なお本体。

 

 

 

 後日、まどかちゃんから許可を得ていたのでアルまどちゃんを鹿目家へ連れて行きました。

 おおよそ久遠の予想通りに受け入れられてあったけぇ空気が流れていましたが、アルまどちゃんはまどかちゃんの実力が現状の(弱体化した)アルまどちゃんを余裕で超えていたことを知って相当に驚く一幕もありました。

 その時点では久遠が行う魔法少女の強化について知識も経験も持っていたので、アルまどちゃんはそこへ辿り着くまでの道程(時期や回数)想像(計算)して色んな意味で負けたと思ったそうな。

 鹿目家の皆さんはアルまどちゃんを引き取る選択肢を提示してきましたが、久遠としては自分に原因があるため責任を取るつもりでした。

 とはいえ、一番大事なのはやはり本()の意思。

 そんなわけで確認をしたところ、アルまどちゃんは久遠の世話になる方を選びました。自分の知る鹿目家と比較してしまうのが嫌だという健気な理由を口にしていましたが、詢子(ママ)さんから目的(スケベ)を指摘されて物凄い目を泳がせていたのがとても印象的です。まどかちゃんの目が()かったのは見なかったことにしましょう。週末の予定がまるまるまどかちゃんのご機嫌取りで埋まった瞬間だったことを付け加えておきます。でも今回はのめり込み過ぎずにご飯はアルまどちゃん含めた家族みんなで揃って食べました。その際アルまどちゃんの涙腺が崩壊していたのは言うまでもないでしょう。

 

 そうして戻って来た日常。地味に神浜市の魔法少女界隈ではチームみかづき荘が快進撃を続けていました。記憶ミュージアム(第六章)やキレーションランド《第七章》が終わり、魔法少女の真実やワルプルギスの夜についての情報がマギウスからもたらされ、それが十七夜さん経由で久遠にも伝わります。

 自慢気に語った魔法少女の真実(今更過ぎる話)で空気が白けた時の灯花ちゃん(おガキ様)の様子は実に見物だったと語った十七夜さんは清々しさに満ちていました。

 さて、そんな情報を得てしまった確信犯的愉快犯(マンション組)が取る行動はどのようなものになるでしょうか。もちろん配信です。

 ついでに本物(災害)が来てしまっては用意していた『被災してボロボロになったゲーム内のタウンを復興させるイベント』が不謹慎扱いされることが予測され中止せざるを得なくなってしまうため、スタッフには死んでもらい(改変して開始を前倒しし)ました。

 万感の恨みを込めて復興素材を落とすエネミーの特徴をマギウスに寄せてもらったのは内緒です。まぁ、汎用モブ(キュゥべえ)に帽子を被せて配色と属性を合わせただけなので大した手間で()()ありません。ありがとうスタッフ、フォーエバースタッフ。許さんぞマギウスという自称一般人スタッフの血を吐くような台詞は聞かなかったことにするぞスタッフ。

 なんだかんだで灯花ちゃんのスペックは高いのでクラッキングしても返り討ちにされそうであり、本来なら仕事があるだろうとそれとなく諦める方向に誘導するべきですが、チートで因果律を操作する練習に使った方が愉しそうだと久遠が判断してしまったので仕方ありません。灯花ちゃん(メスガキ)の絶望泣き顔からしか摂取できない栄養素が世の中にはあるのです。

 もはやデスマーチなのかデスマッチなのか分からなくなりそうな表情で働く皆さんには、お詫びとして以前から陳情の上(やりた)がっていた開発二部(メタネタ)を許可したので、辞表を叩き付けられる事態は回避できました。が、こんなこともあろうかと用意していたらしく復興イベントより先にこっそり実装しやがったので、趣味人しかいない現場の恐ろしさを味わいました。

 ちなみに、早速配信で帆奈ちゃんたちが先行プレイした結果、MUGENの論外トーナメントに迷い込んだカンフーマンの気持ちを味わえたと大()評でした。そしてその動画のコメント欄は中央区の日常であるという内容で溢れていたのです……。



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アルまどちゃんが呆れる話

 神浜市にワルプルギスの夜がやって来る!

 

 そんなサーカスのお知らせみたいなノリで告知されたネトゲのイベント(協力レイド)は、全国の魔法少女たち(妖怪アイテム置いてけ)の尽力により笑えるくらい早く目標討伐数を達成され、しかしながら現在でもドロップを求める多数の魔法少女(プレイヤー)たちの手で狩り尽くされる毎日です。

 選択できる最高難易度の戦場は現行のエンドコンテンツ以上とまで言われているのですが、魔の中央区と恐れられるトッププレイヤーたちにとっては楽しい遊び場に過ぎません。TA(タイムアタック)や縛りプレイの動画もアップロードされていますが、基本的にプレイヤースキルに依存するゲームなため真似は難しく、故に上位陣は敬意を集めていました。

 

 そしてそんな中で綺羅星の如く現れたのが……そう、アルまどちゃんです(ドキュメンタリー番組のナレーション風再び)。

 アルまどちゃんは補導されないように、またまどかちゃんと間違われないように、外出を自粛していたので時間を持て余し気味。その結果、人生初のVRゲームにどっぷり嵌まっていました。

 『キュゥべえバスターズ』はハクスラ要素が存在するため、直ドロップする装備や素材のエンチャント厳選沼に呑まれる者は少なくありません。ですが、アルまどちゃんは運がバグっているのか最適な組み合わせがポロポロ入手できてしまいました。

 そして元よりタイプ:アルティメットと化していたアルまどちゃんはそれなりでは到底済まない高い身体能力の持ち主なため、操作の感覚をつかみ慣れてしまえばプレイヤースキルも超一流。強い人が強い装備を使うわけですから、強くないはずがありませんでした。ランキング上位にがっつり食い込み、意図せずその存在をアピールすることとなっていたのです。

 まぁ、対人戦はプレイヤーの性格の悪さが重要なので、純粋無垢に近い性格のアルまどちゃんは勝率が低いのですが。性格が悪くなったら究極まどか先輩になりそうで心配されています。

 そんなわけで上位プレイヤー入りしたアルまどちゃんですが、まぁ配信に引っ張り出されました。

 この頃には久遠も神浜市内における魔法少女関連のアレコレに対する認識阻害を発動させていましたので、別世界の女神だったことなども当たり前に設定の形で暴露することに。どこかで未来予知の固有魔法を持つ魔法少女が奇声に近い悲鳴を上げている気がしますが気のせいでしょう。

 本()も暴露歓迎な雰囲気に流されてしまい、ついうっかり自分の半生や魔法少女だった頃の自分が魔女化した場合の話を切り出したりもしました。どこかで政治家の娘が泡を吹いて気を失ったかもしれませんが、確認が取れない以上は仮定の話でしかありません。

 そんな緩い解放感溢れる空気に呆れつつも、アルまどちゃんは神浜市での暮らしに馴染んでいくのでした。

 

 余談ではありますが、美国織莉子は既にまどかちゃん襲撃を決行しました。が、残像が見えるほどの速度で避けられた挙げ句に真上からほぼ垂直に()ってきたチョップを脳天に受けるという、禊みたいなカウンターで返り討ちに遭っています。

 そのまま捕縛され尋問を受けた際に理由(予知)を告げたところ、自信に満ち溢れた自分は魔女化しないという言葉を返され、後日その理由として紹介された久遠により呉キリカと共に実践(強化)されてしまいました。

 その結果、なんか自分の弱さと向き合ったりいい感じに和解したりしてver.Final(最強形態)になっていましたが、酷いレベルでバランスの取れ(崩れ)ているこの世界では些細なことです。だって強化回数が違いすぎるんですもん。

 

 話は変わりますが、マギウスの計画により神浜市へワルプルギスの夜と呼ばれる魔女が呼び込まれていることは確実なようです。なんならメッセージでアリサに確認を取ったらイブとやらの餌にする予定だとバッチリ返信がありました。

 ワルプルギスの夜は魔法少女の間でまことしやかにささやかれるうわさで語られる存在(魔女)であり、魔法少女界隈と無関係な世間では巨大積乱雲(スーパーセル)の引き起こす大規模自然災害として扱われるそうです。

 そんなものがやって来たら、当然ですが神浜市は壊滅的な被害を受けるでしょう。上手くやれば神浜市の体制破壊に使えそうではありますが、どう考えても資材がもったいない上に貧すれば鈍するの言葉通り色々と失った者が馬鹿を起こして調子に乗るだけです。

 なので久遠は「市外でやれ(人の心ないんか)」と返信したのですが、返ってきたメッセージは「いーーーやっ!(灯花ちゃんの真似)」でした。

 こうして地雷(メスガキ)踏まれ(思い出させ)たので、久遠はマギウス殲滅に向けて動くことを決意したのです。今までに縁を紡いだ魔法少女たちにも連絡を取り、情報収集(本拠地)済ませ(見つけ)たら殴り込み(カチコミ)する気満々です。

 徘徊型のウワサであるホテルフェントホープですが、活動場所が限定されているというハンデがある以上は人海戦術に敵う可能性は低いでしょう。本来なら魔法少女に対する防壁にもなるエンブリオ・イブの穢れも久遠にとっては美味しいご飯に過ぎません。むしろ全部吸われるしイブ自体もしっかりソウルジェムに戻されて計画が潰れ(ポシャ)るに10ペリカ。

 

 奇しくも神浜市全域でマギウスの翼(黒ローブ集団)が凶暴化して暴れていました。まるで理性を失った獣のようになった黒羽根たちですが、本能が警告するのか中央区は避けていたようです。実際には受信ペンダントのウワサとやらによる洗脳されていたのが後に判明したのですが、そういった指令(魔境に立ち入るな)があったのかは定かではありません。

 原作(マギレコ)におけるサブキャラな魔法少女の中には久遠の手が及ばない(被害を逃れた)子もたくさんいるため、それなりに怪我人が出ていました。そんな子たちを助けながら調整屋への避難誘導をして回る善意の魔法少女たちを眺めつつ、帆奈ちゃんとみことちゃんをお供に久遠はまっすぐ北養区のとある()へ歩みを進めます。

 

 久遠はイブについて先ほどのメッセージで初めて存在を知りましたが、世にも珍しい半魔女とも言うべき状態であると聞かされ、他の魔女を餌にするという部分に興味津々です。なので魔女モンバトル用に育てた魔女を餌にあげたら計画が早まるのでは、と提案してホテルの大まかな位置を聞き出したのでした。

 このとき、実は席を外していたアリナの携帯端末を操作していたのが灯花ちゃん(自分本意の極み)だったことが、マギウスにとって運の尽きだったのかもしれません。後の尋問(インタビュー)戦犯(おガキ様)は、ウワサや魔女の早期発見と撃破により不足している感情エネルギーを久遠の所持する魔女から補充しようと思ったと答えたとか何とか。

 

 なお、アリナ本人であれば久遠の申し出をキッパリと断っていたことでしょう。互いの育てた魔女を戦わせる遊びに興じる同好の志であることから、アリナは久遠――正確にはマンション組全員(帆奈ちゃんとみことちゃん)――が割とイイ性格(嫌がること)してい(進んです)ると知っています。容赦のなさに関しても同様に。

 また、アリナは出来の悪い後輩(フールガール)に付き合わされて『キュゥべえバスターズ』の配信を視聴(チェック)していたので、帆奈ちゃんとみことちゃんの固有(暗示の)魔法が危険だと知っていますし、VRゲームを通してではありますが戦闘技術もアリナに芸術(アート)を感じさせるほど洗練されたものだと知っています。

 良いところは音速の壁(空中)設定されてい(足場にな)ること、悪いところは音速の壁(脚や鼓膜)設定されてい(壊れそうにな)ること。そんなコメントが共通の認識として普及するような人外魔境と化しているゲーム内の対人コンテンツでトップ層……というか勝利数や撃破数のランキングで頂点に君臨する腕前は、そのまま現実でも通用することでしょう。中央区(魔境)在住という時点で疑う方が難しい補強のされ具合なのは、黒羽根たちの持ち帰っ(よくでき)動画(CG)からマギウスおよびマギウスの翼の内に知れ渡っています。

 現実と向き合え(受け止め)なかった者もいましたが、その中の二人がマギウス(灯花&ねむ)だったことは組織とした痛恨の極みだったと言わざるを得ません。自分の目的(救済)第一でリソースをほぼ全振りしていた弊害ではあったようですが、それが判明するのは全てが終わった後なのでした。

 

 

 

 そんなわけでやって来ました、北養区の森です。ぶっちゃけ三人で探すには広いので、ウワサを探し出すのは手間な気がして仕方在りません。

 古くから森といえば焼かれるのが定番ではありますが、現在市内各地で同時多発の絶賛暴動中な学生テロ組織(マギウスの翼)が相手とはいえ、環境破壊(気持ち良いZOY)をするのは気が進みません。樹木が育つにはそれなりに長い年月が必要なのです。戦後の焼け野原と化した日本で奨励された過去を持つ早い旨い安い三拍子を揃えたあの杉ですら植林から伐採までに35年――人間が子供から大人になり子供を設け育てているだけの時間を必要としているのです。

 

 さてどうしたものかと頭を悩ませながらも森林浴を楽しむマンション組でしたが、そんな三人の視界にあるものが映りました。

 黒江です。フルネームに関しては頑なに口を割らない鋼の魂を持つ魔法少女、黒江です。

 久遠が潤さんを訪ねる度に襲われていた(宝崎市在住の魔法少女である)彼女が北養区の森(こんなところ)に居るのは、恐らくマギウスの翼に参加しているのでしょう。

 強さ的にはその辺の魔女や調整済魔法少女などを相手にしても脅かされる様なことはありませんが、周囲に正体を隠しながらの、不定期に発生する魔女との戦いでリズムを崩される生活は強いストレスを発生させるのに十分です。

 早い話、疲れてしまったのでしょう。たった一人で木陰に体育座りしながら俯いて塞ぎ込む姿からは哀愁や悲哀が漂っていました。

 まぁそんな事情を察しつつも手がかりを逃すほどマンション組は甘くありません。なんなら久遠しか面識を持っていないので、捕虜の扱い? 条約? 知らんな(とに拷)のノリです。そうしてジェム・即・吸の信念に従った久遠により強制的に顔を上げることとなった黒江ちゃんは穢れも情報も吸い出されてしまいましたとさ。どっとおはらい。

 

 情報をまとめますと、上手く行かない焦りや怒りからマギウスが自分たちに従わない魔法少女の抹殺を宣言し、マギウスの翼を洗脳してぶつける計画を実行しているのだとか。目標に対して最低限のエネルギーは足りているという負け惜しみ感の半端ない情報も得られましたが、その理由がまさかアリナの趣味(魔女モンバトル)のおかげだとは久遠(元凶その2)も気づきませんでした。

 黒江は強化済だったので洗脳が効かず、かといって命令通りに魔法少女を殺す踏ん切りもつかず、ついでに役立たずは処刑だと放たれたマギウスのドッペルでも大したダメージを受けず、最終的には追放宣言を出されてしまったそうです。

 そうしてホテルフェントホープを追い出された黒江ちゃんは、山を下り裾の森まで離れた後でこれからどうすればいいのかと途方に暮れていたところを、久遠に見つかっ(襲われ)たわけです。

 ドッペルカスダメのくだりでマンション組の腹筋が崩壊し、それに対する反応――即ち呆れ気味なねむちゃん、興味深そうなアリナ、そしてキレ散らかす灯花ちゃんという完璧なオチに久遠はすっかりご満悦。黒江ちゃんに絶賛の嵐を浴びせました。それにより黒江ちゃんは自尊心というか自己肯定感を補強させ、立ち上がらせる一助になったのでした。

 しかし、強さを認められた上で命令に従わないので追放……真っ当な理由ではありますが、その場で復讐されたら返り討ちにできないマギウスは何を考えていたのでしょう。黒江ちゃんの性格的にやり返すなど考えもしないでしょうが……凡人(久遠)には天才(マギウス)のやることは理解できませんでした。

 多分今頃震えてるんじゃないかと思った久遠は、拭っても溢れてくる涙とちょっぴりぎこちない笑顔を浮かべていたのでダブルピースをさせた黒江ちゃんと肩を組んでいる写真を撮り、アリナ宛に新しく殴り込みに行く仲間が増えました。と、メッセージを送付しておきました。

 

 

 

 さて、その頃のマギウスですが、北養区の山中にて本拠地を隠すのに使われていた万年桜のウワサを環いろはに暴かれたことで一波乱を起こしていました。灯花ちゃんのキレ芸が炸裂する中、強化済ないろはちゃんは余裕を持った立ち回りをしながら話を聞いてもらおうと試みていました。お供の二葉さなは透明になって声が届く範囲に隠れて見守る賢いムーブをキメていました。

 直前にも黒江に勝てず涙ながらに追放したばかりの灯花ちゃんはいろはちゃんにも軽くあしらわれている現状にメンタルがボロボロです。ねむちゃんは最終的にワルプルギスの夜が到着するまで耐えればいいと冷静に考えて引き際を見極めようと頑張っています。が、戦力差がひどくて中々にタイミングを見出だせませんでした。

 二人は善戦しましたが、攻め疲れてダウンしてしまいました。諦め気味にいろはちゃんの話を聞きましたが、環ういを起点とする記憶が根元から断たれている二人には妄想でしかありませんでしたし、そんな妄想で自分たちの願いを邪魔されることに怒りを隠せません。閃きによる小さなキュゥべえ(モキュ)の接触も効果はなく、事態は膠着。そこに憤怒の表情を浮かべたアリナが乱入してきて……同じマギウスの二人(主に灯花ちゃん)に携帯端末を突きつけながら怒濤の勢いで文句を吐き始めました。

 内容的には勝手に他人の携帯端末を操作した上に久遠(地獄)を呼び寄せるという失態への叱責で、これにはいろはちゃんも呆気に取られてしまい、声を挟む隙が見当たりませんでした。

 そしてそのまま流れで二人はアリナに引き摺られながら退場していきました。いろはちゃんが我に返った時には既に誰もおらず、逃がしてしまった格好です。ゴーイングマイウェイなアリナの性格が他のマギウスを救ったのです。

 とはいえ、原作(マギレコ)のようにいろはちゃんを囚え閉じ込めたわけではありませんし、妨害用の魔女を置いて行ったりもしていません。関係者が命を脅かされる事態にならなかったため万年桜のウワサが姿を現すこともなく、いろはちゃんは本拠地に続く道を確保した上でみんなの到着を待つことにしたのでした。

 

 

 

 仲間の魔法少女を待ついろはちゃんでしたが、マギウスが籠城戦のために呼び戻した黒羽根たちが集まって来てしまいました。幸いにも命令された内容がホテルフェントホープの守りであったためか、いろはちゃんはスルーされましたが。

 そんな黒羽根たちの行列に混じって黒江ちゃんを仲間に引き入れた久遠たちも本拠地へと向かっていましたが、人の流れをぼんやり眺めながら仲間の到着を待ついろはちゃんは気づきませんでした。出会ったら即ソウルジェムの浄化が起きていたので、シリアス継続のための仕方ない犠牲だったに違いありません。欠片も存在しないシリアスをどう守るのかについては未来の人々が下す判断に任せましょう。

 

 

 

 さて、マギウスの翼が暴れ回っている頃の神浜市では、調整屋に集められた魔法少女たちが情報を共有していました。そこでは覚悟を決めた八雲みたまが魔法少女の真実を暴露しましたが、久遠や配信の影響で魔法少女の真実を既に知っている者がほとんどだったので、それほど衝撃的なイベントとはなりませんでした。

 何も知らなかった(s)ドア様《/s》《阿見莉愛》の芸術的な反応(リアクション)にこそ集まっていた魔法少女たちが驚いたのは、悲しい事件だったと言わざるを得ませんでした。この一件以来、リアクションのリアと覚え方が広まったのは内緒です。が、名前を間違われる回数が減ることもありません。

 しかしこの定番ネタを繰り返す度にツッコミのキレが増していき、テレビ番組のプロデューサーの目に止まったことからバラエティー番組のオファーがかかり、お茶の間を沸かす未来はそう遠くないのでした。

 ヘリポートの決戦も十七夜さん無双でピンチに陥ることもありませんでしたし、マミさんは見滝原市の魔法少女仲間とブイブイ言わせてました。

 代わりに神浜聖女のウワサを着込んでいたのは白羽根。ボスが弱体化していましたので、そこまで熱い盛り上がりは見せないまま決着を迎えました。唯一フラワースピーカーのウワサは原作通りの強さがぶつかり合ったので白熱していましたが。

 

 

 

 そんな感じに原作(マギレコ)における第八章に相当する物語は終わりを迎えたのです……暴れマギウスの翼が退いて静けさを取り戻した神浜市ではありましたが、不気味な暗雲が物理的に立ち込めていました。



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アルまどちゃんがアルティメットな話

 引き続きワルプルギスの夜が来るせいで何かとダバダバしている神浜市。

 避難指示が出て学校の体育館や公民館のような建物に人々が集まる中で、久遠の所有するマンションは認識阻害の他にも保護機能が働いているため安全安心な快適空間を提供しています。大雨や強風、飛ばされてくる物に対しては一定の効果に抑える働きでしかないので、ワルプルギスの夜による被害がどこまで影響を与えるかは微妙なところではあるのですが。

 サーバーが中央区の社内ビルにあるため、VRゲームはネットワーク障害の可能性があるので緊急メンテ扱いにしますと予防線を張っていました。故に、本日のアルまどちゃんは管理人室で読書に勤しんでいました……が、円環の理としての能力こそ激落ちしたものの誇りを失ったわけではないアルまどちゃんです。風が騒がしい(泣いている)理由についてワルプルギスの夜――舞台装置の魔女が原因だと見抜いてしまえば救済欲求の高まりを抑えられそうにありません。自然と行ってしまうシャドーボクシングが何よりの証拠です。パウチュウさんとこのまどかちゃんから影響受けてませんか?

 アルまど様はこの宇宙に干渉できないことに気づくと、宇宙の意思により並列宇宙から切り離されて廃棄されるまでの間ずっと、原因として最有力候補であった久遠を中心にして眺めてきました。なので、今までの実績(やらかし)から考えて、今回もそう(やらかす)だろうなとは思っています。しかしながら、似た宇宙(マギレコ)ではアルまど様によるレコードが歪まないギリギリのラインを攻めた干渉が大きな助けになった事実を忘れてはいませんでした。

 弱体化した今の自分だからこそできる助力がある――そんな風に考えたアルまどちゃんは、出陣の決意を固めたのです。そして今、魔法少女に収まる強さ(プレイアブルキャラ並)アルティメットまどか(アルまどちゃん)が嵐の神浜市へと繰り出したのです……地味に飛行できるアルまどちゃんではありましたが、土地勘のなさに行く手を阻まれたのはちょっとした伝説になることでしょう。実際にはワルプルギスの夜とは別の――エンブリオ・イブや久遠の放った育成済魔女たちの――気配が大きかったので勘違いしてしまったのではありますが。

 

 さて、アルまどちゃんの出陣から少しだけ時計の針を戻しましょう。

 

 ホテルフェントホープに堂々と乗り込むために万年桜のウワサ内部で仲間を待ついろはちゃんでしたが、やって来たのはマンション組(やべー奴ら)でした。面識があるのは久遠だけでしたので、会話も久遠メインです。

 結果として、マギウスに喧嘩を売りに行くマンション組とは目的が近いものの、親しい仲とは言えない面々では連携に不安があるため、合流することなく先行する形でマンション組は進みました。

 つまり原作(マギレコ)ではチームみかづき荘を苦戦させ、覚悟を決めマギウスの下から離反したみふゆさんのソウルジェムがひび割れる程の負担と引き換えに勝利をもぎ取った女王グマのウワサとの戦いには不参加な可能性が高いのです。詳しい情報を持っているのはマギウスやアルまどちゃんといった限られた者だけなため、誰にも心労を与えることがなかったのは幸いでした。

 ちなみに、久遠はウワサに遭遇したことがありません。遭遇した魔法少女からはソウルジェムを落とさない魔女のようなものだと聞かされており、ソウルジェムを落とさない以上は魂を持たない――つまり久遠の天敵だと認識しています。もっとも、ウワサはねむちゃんの()を削って生み出されているのでバリバリに干渉できてしまいますし、今の久遠は宇宙の意思由来なチート能力も持っているので全くの無力というわけでは(使いこなせるとは言ってい)ないのですが。

 

 そうしていろはちゃんの佇む万年桜の結界から空間の揺らぎを探し当て(黒江に案内させ)たマンション組はマギウスの本拠地へと乗り込んだわけですが、目の前に広がるのはどこかシックでアンティーク感のある――それでいて豪華な――大型ホテルでした。これには各々驚きや感心の溜息が漏れます。

 一人(久遠)は維持が大変そうだなとか、部屋(窓の)数が多過ぎて窓税を多く納めて位を貰った成金貴族の館みたいだなとか、中々に失礼なことを考えたりしていたのは内緒です。

 特に隠れたりもせず堂々と進むマンション組は目立つため、当然の様にマギウスの翼(新鮮な情報源)から発見されました。が、少なくない数の羽根たちが配信を見た経験を持つため、迎撃に集まっても腰が引けています。何なら強◯魔扱い(残当な評価)久遠(ショタ)にこそ恐怖を覚えている可能性もありましたが。

 まぁ、そんな覚悟の定まっていない面々ではいくら集まろうと止めることはできません。あっという間に蹴散らされ、ついでに無力化の手段としてソウルジェムを回収されてしまいました。まさに鬼畜外道の所業です。

 後から来るであろう主人公御一行(いろはちゃんたち)が綺麗な死体の山にビビる確率はそれなりに高いことに思い至った黒江ちゃんはアドバイスをしましたが、それを受けたマンション組はとてもいい(悪い)笑顔を浮かべて隠しカメラを仕掛けるだけでした。

 黒江ちゃんは助言したことだけでなく合流したことまでさかのぼって後悔しましたが、後になって悔いるからこその後悔、いつだって先んじて悔いることはできないのです。何なら魔法少女(特にマギウスの翼)は契約そのものを後悔している者が大半ですので。

 

 そんな嬉しくないサプライズ(多数の死体)を残してホテルにお邪魔したマンション組でしたが、挨拶はインパクトが大事という帆奈ちゃんの意見がきっかけとなり軽い話し合い。そしてエントランスに鎮座するクマの表情が気に入らないという理由(大義名分)を見出だしたので、一斉にマギア(得意技)を放ちました。久遠はお休みでしたが、代わりにお願い(脅迫)された黒江ちゃんが参加しています。哀れにも、ちょっと特別な兵隊グマのウワサは正体(役割)(果た)すことなく消されてしまいました。

 挨拶(憂さ)キメ(晴らし)て満足したマンション組でしたが、ここで嬉しい誤算。なんとクマのいた場所の奥には()()()()な隠し通路――そして地下に続く下り階段が見つかったではありませんか。普段の行いが良いボディ(からだ)とはしゃぐマンション組を見て、黒江ちゃんだけはチベスナ顔だったのが印象的でした。

 

 

 

 一通り上がったテンションが落ち着いてきたので地下に降りていったマンション組ですが、その頃ホテルの外では合流を果たしたいろはちゃんたちが万年桜のウワサの結界からホテルにやって来たところでした。

 一般市民の多い魔法少女たちはホテルの威容に萎縮気味で、数が増えた分だけ統制も緩く収まるまでしばしの時間を必要としました。

 ですが、敵の懐に入り込んでおきながらそんな隙を晒すのは言うまでもなく致命的です。ねむちゃんがウワサの内容を変更したことでホテルの扉が完全に閉じて、侵入が不可能となってしまいました。

 先触れ(マンション組)と比較して良心的(まとも)な魔法少女の集団であったこともあり、ホテルを破壊して侵入する意見が出ても尻込みしている中、すっと前に歩み出た魔法少女がいました。現行最強(まどかちゃん)です。

 周囲がいぶかしみながら見守る中、まどかちゃんは迷いませんでした。腰を落として構え、腰の辺りにバレーやバスケットのボールを掴むような形で手を揃えます。フェリシアちゃんを筆頭に何人かの魔法少女がデカゴンボールの代表的な技を期待しましたが、残念ながら拳を極めし者の方なので応えることはできません。

 そうして手と手の間に莫大な魔力が集まり、臨海寸前になったそれを気迫のこもった短い掛け声と共に押し出しました。

 放たれた強烈な光と巻き起こされた風とに、強化済の魔法少女たちすらも含んだ皆が目を塞いで顔を腕で隠しました。未強化の何人かは堪えきれずに数メートルは吹き飛ぶほどでしたが、余波でそれです。では、本命を受けたホテルがどうなったかと言いますと……まぁ、綺麗に円形にくり貫かれたといいますか、正面から見て地平線の彼方……あるいは結界の端までが更地になっていました。どうやら本編(球体)ではなくMARVEL VS仕様(ごん太ビームの方)だったようです。

 余りの光景に一同絶句しましたが、我に返ったやちよさんが巻き込まれた魔法少女がいたら確実に死んでいると注意しました。逆上されたら命はないにも関わらず年長者としての責任を果たしたその勇気ある振る舞い、チームみかづき荘に114514点。寮杯は君たちの物だ。

 まどかちゃんは目を伏せて首を横に振りながら魔力とは別の気配を探って誰もいないのを確認した上だと答えました。が、固有魔法の可能性を告げられると途端に視線を泳がせ始め、視線でマミさんに助けを求めました。

 助けを求めました求められたマミさんは笑顔で頷くと、やちよさんを安心させる材料を挙げていきます。特にまどかちゃんが固有魔法で透明になった二葉さなの位置を見破った経験があることを述べると、やちよさんは封印していた信じがたい事実を思い出させられて頭痛と目眩を覚えながらも納得しました。その上でせめて行動前に一言欲しいと要望を忘れない辺り、年季の差(ベテラン)を感じます。

 なお、マギウスがワルプルギスの夜を神浜市に呼び込んだ事実を知って離反を決意したみふゆさんは久遠の存在によるバタフライエフェクトで原作(マギレコ)に比べて本音を秘める強かさを備え(腹黒くなっ)ています。そのため羽根たちのまとめ役を全うすると面従腹誹の構えを取っており、ソウルジェムを取り上げられて隔離されたりはしていません。そして久遠の撃退を命じられたので笛姉妹を引き連れてエントランスに隠れて様子見をしていたせいで、マンション組によるあの一幕(ダイナミックお邪魔します)の一部始終を見てしまいました。戦意を喪失するには、十分過ぎました。

 掲げる白旗にハンカチとショーツのどちらを使うか悩んでいたら先に進んでいなくなったため、マギウスの野望もここまでだと察してホテルを脱出したのは慧眼だったと言わざるを得ません。

 

 さて、こうしてホテルを脱出したみふゆさんと天音()姉妹は、みかづき荘の関係者で形成されている皆様の前に立ち塞がり、即座に降伏宣言をしました。おかげで少し後の見慣れない魔法少女(まどかちゃん)が見せた一撃(波動◯)に巻き込まれずに済んだのですから、運が味方しているとしか思えません。実は占いジャンキー(安名メル)による掟破り(タロット占い)が影響していたのは最後までバレませんでした。

 まどかちゃんによりホテルはホ◯ルと化していますが、現在地はウワサの結界内です。そしてこのウワサはホテルの存在そのもの。それを成り立たせる法則を破る――つまりホテルを大きく傷付けることは、ウワサの本体を出現させることとなります。

 つまり、ホテルが両端をそれぞれ三割ずつ残して中心部が消滅している現状、女王グマ(ボス)のウワサが姿を現さないはずがなかったのでした。

 ですが、女王グマのウワサを見たまどかちゃんはボーナスステージ(どこかで見た車)を前にしたがごとく、兵隊グマの成る樹とでもいうべき威容を誇るウワサの解体を始めてしまいました。これには一同揃ってドン引きです。

 対するウワサはというと、果実のごとく実っている兵隊グマがまとめてノックアウト(対空技の餌食に)されてしまい、供給が追いつかないため、ほとんど何もできません。幹に備え付けられた窓の向こうに見える内部ではクマの影が右往左往しており、明かりが点滅しています。コミカルな演出ではありますが、どこか憐れみを誘う光景でした。

 

 こうして見せ場らしい見せ場もなくホテルフェントホープを擁する女王グマのウワサは討伐され、波動◯の影響を逃れた地下でドンパチしていた面々も現実の神浜市は北養区の山……の麓に広がる森へ投げ出されたのです。

 ワルプルギスの夜が目前に迫っているため、神浜市は大雨と強風とに晒さ(襲わ)れていました。遠くから市内放送でしょうか、避難を呼び掛けているのが聞こえてきます。

 しかしながら、その場にいる魔法少女たちは禍々しい気配を感じ取り、そちらに意識も視線も釘付けでした。そこには、鎖で拘束されているどこか蚕に似た魔女らしき姿。

 一部の魔法少女にしか知られていない、マギウスが救済の要としている半魔女であるエンブリオ・イブが巨大な姿を現した瞬間でした。

 

 その足元というかでアヘ顔ダブルピースをキメる灯花ちゃんと、腰を突き上げてうつ伏せになったまま痙攣しているねむちゃんとがいることに、当事者以外の誰も気づいていなかったことは、不幸中の幸いだったのかもしれません。その周りで複数の魔女が同士討ちする大迫力のバトルを繰り広げているのも今は露見していませんし、アリナとマンション組が互いの手持ちを応援している姿も目撃されずに済んでいます。

 そのいずれもが、灯花ちゃんとねむちゃんを目的にしている主人公(いろはちゃん)が居場所を察して向かってくるまでの短い間に過ぎないのですが。こんなひどいシチュで万年桜が咲いちゃうってマジ?

 

 

 

 一方その頃、調整屋に集まっていた魔法少女たちは勇気を振り絞って自分たちの居場所を守ろうと立ち上がり、苦労人(ひなのパイセン)の指揮下でワルプルギスの夜に立ち向かうべく各区に別れて使い魔を排除していました。そこにはローブを脱いだ、マギウスの翼に所属していた魔法少女たちの姿も見られます。

 ワルプルギスの夜だけでなくイブの使い魔も神浜市全域で動いており、戦いは激しさを増しています。そんな全ての場所が激戦区な状況ではありますが、中央区の魔法少女たちは世紀末なテンションで戦いというよりも狩りと表現される内容を繰り広げていました。余りの温度差にグッピーの命が心配されますが、神浜市の受ける被害の方がよっぽど心配なので気にされることはないでしょう。

 こっそりアルまどちゃんも合流……というか道に迷いながら各地を転々として使い魔を退治していたらいつの間にか仲間判定されていました。一部の魔法少女からはまどかちゃんの姉みたいな認識をされていましたが、否定も肯定もせずに曖昧な笑みを浮かべてやり過ごしていたそうな。

 なお、一部の配信視聴勢からは正体を見破られておりゲーム内で会おう的な友情を深めていたりするのでアルまどちゃんは誰も死なせないと奮起したのでした。

 気合を入れて撃った矢が使い魔を貫通しても勢いを落とさず未だ市街地に到達していないワルプルギスの夜を直撃してしまい、危うく引っくり返(正位置に戻)りそうになったという世界の危機があったのですが、誰にも知られることはありませんでした。

 嘘です。使い魔の動きが乱れたので何人かは本体に何か起きたのではと推測し、アルまどちゃんは可能性(やらかし)に思い至って冷や汗を流していました。雨が降っていなかったらその場にいた魔法少女たちから他の魔法少女たちにまで連鎖的にバレていたかもしれません。

 アルまどちゃんは自分の失態(ミス)がバレなかったことをワルプルギスの夜に感謝するという、よく分からない状況を経験して軽く混乱しながら、それでも上手に手加減して矢を放つのでした。一本の矢が物理法則を無視した軌道を描いて何体もの使い魔を葬っていたのは、決して八つ当たりなどではありません。

 信じられないものを見たような顔で魔法少女たちがアルまどちゃんに視線を向けていましたが、疑われているような気分になったアルまどちゃんは真剣な表情を浮かべて(取り繕って)使い魔を撃ち抜き続けるのでした。



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アルまどちゃんがまどかちゃんに会った話

 時系列的にはまどかちゃんがホテルフェントホープを残響ではなく残骸に変える少し前。

 普段使いすることを考えてホテル内部の構造を単純(シンプル)にしていたのが仇となり、憂さ晴らしでピンポイントに障害(兵隊グマ)を排除した久遠一行はそのまま隠し通路を通って地下へと進んで来ました。

 それを知りながらも、ういちゃんを失って自尊心が肥大化し慢心に磨きのかかった灯花ちゃんとねむちゃんはのんびりマギウスでお茶会を開いていました。二人は久遠の能力を知りませんし、配信も捏造だと信じて疑っていないため、仮に辿り着かれてもイブの穢れが蔓延する地下聖堂では満足に動けなくなり容易く捕縛できると考えていたのです。

 アリナはアリナで久遠を説得する材料を有しているため落ち着いたものでした。

 

 環いろはという、話題にする本人以外は誰も知らない――それも灯火とねむの親友だという――妹の存在を口にする魔法少女の存在を知ったことで、アリナはイブが環ういだった半魔女である可能性に辿り着いていました。これも変わり者の後輩(フールガール)から押し付けられたマジカルきりんにはまったおかげで他にも色んな漫画を読むようになった成果です。

 それが事実かどうかはさておき、環いろはの前でイブこそが環ういだと告げた上でイブを解放した場合どうなるでしょうか。妹を気遣う姉は攻撃できず、妹を守るためなら一緒にここまで来た仲間へ武器を向ける可能性すらあります。一方で妹は意識の有無に関係なく魔女の本能に抗えず姉とその仲間を蹂躙することでしょう。想像するだけで楽しさ満点、ワクワクが止まりません。

 魔法少女の真実が配信で暴露されている現状、柔軟な思考ができる魔法少女はソウルジェムが本体であり肉体は活動するための媒体でしかないと割り切った考え方を――少なくとも変身して魔女と戦う際には――しています。なので死亡率は真実を知らない場合に比べて低くなっており、魔法少女が本格的にピンチを迎えるまでなら因縁を優先させて久遠自身は見学に回る公算が高いとアリナは考えていました。

 

 そうしてやって来たマンション組でしたが、まぁ当然のようにイブの穢れが蔓延する環境でも動きに影響はありません。時間稼ぎを兼ねた会話をしていたのに全く問題なさそうな面々に灯花ちゃんが怒りをぶつけていますが、久遠はそんな灯花ちゃんな無言で近付いていき……

 

 アームロックを極めました。

 

 これには思わず灯花ちゃんもキャラを投げ捨てて「があああ」と悲鳴を上げ、見かねたねむちゃんが「それ以上いけない」と止めました。が、久遠の怒りは二人から一方的な縁切りをされたことが根幹にありますので、同罪なねむちゃんもそのまま流れるようにアームロック(天丼)()められたのです。灯花ちゃん同様キャラを崩壊させて叫ぶねむちゃんでしたが、今度は止める人間がいませんでした。アリナはマギレポ化し(キョキョキョと笑っ)ていたのは触れない方が良さげです。

 

 ねむちゃんが痛みに耐えかねて失神する頃には、場の空気はぐっだぐだでした。ですがここになって一人残ったマギウスであるアリナはマイペースなので気にせず口を開き、環いろはの話とイブの正体を絡めた話を久遠たちに聞かせます。

 アリナは傷つけ合い和解できないまま終わると予想しているようでしたが、久遠は人の心が見せる可能性の光を信じているので和解する方向で話が終わると予想しました。対立する意見。ならば実際に確かめてみようとなるのは必然でしました。

 

 しかしそうなると到着まで暇です。と、いうわけで魔女を戦い合わせる遊びに興じることになったのですが、ここで帆奈ちゃんから自分の育てた魔女を戦わせたいと自薦がありました。

 帆奈ちゃんとみことちゃんもそれぞれ暗示の魔法で人を襲わず指示を受け付ける魔女を所持しており、アリナの育てている魔女と戦わせたのも一度や二度ではありません。単純な強さであれば周囲に配慮して(面倒なので)魔女を狩る頻度が少ない帆奈ちゃんたちの魔女よりもアリナの魔女の方が強いのですが、代わりに人間の知恵を最大限活用できる強みにより勝利をつかみ取ってきました。戦績としてはちょうど勝率が五分五分なので、帆奈ちゃんとしては一歩先を行きたい狙いがあるようです。

 

 そんなわけで見学に回った久遠は自分の中の打ち倒したマギウス二名を安全な場所に運んだのですが、ついでに何故かねむちゃんの魂がめちゃくちゃ磨り減っているので善意から補給しておくことにしました。

 ねむちゃんとは既に――それも変身前の姿で――致した仲ですので、ためらいは一切ありません。強いて言うなら、他の人が致す場面を見たことのない黒江ちゃんや綺麗な体のままなアリナには刺激が強そうなので、繋がっている場所が見えないように姿勢(体位)や動きを配慮するくらいでしょうか。

 こうしてねむちゃんは本人の知らぬ間に寿命問題が解決したのでした。意識を取り戻したら体の調子が嘘のように良くて逆にワンチャン死後の世界だと勘違いするかもしれません。

 しかしそれでも帆奈ちゃんとアリナの対戦は終わらなかったため、独りぼっちは寂しいもんな……と灯花ちゃんにも手を出しておきました。意識を失っている間に大事なものも失っているとは本人も思ってもみなかったことでしょう。

 こちらは魂が削れはしていなかったものの別物に変異しかけている感があったので調整しておきました。目が覚めたら綺麗なガキ大将ならぬ綺麗なおガキ様になっていると推測されます。

 なんて思っていたら一回戦の終わりで気を失った状態から気をやった状態に移り意識を取り戻しました。自分の状況を把握して泣き叫びますが、間髪入れず二回戦目に突入したので段々と叫び声の質が変わってしまいます。

 その後もチラリズムの欠片も見られない鉄壁のガードを発揮されながらにゃんにゃん鳴かされた結果、すっかりしおらしく笑顔の似合う女の子になりました。意識は念願の宇宙旅行に出てしまって反応は薄くなっていますが一時的とはいえ性格が改善したので問題ありません。

 

 このときでも帆奈ちゃんたちの(魔女モン)バトルは続いていましたが、宴もたけなわ(クライマックス)でした。マギウスの処置も済んだので久遠も応援に回ると、このタイミングで女王グマのウワサが倒されたらしく地下聖堂にいた面々はイブも含めて嵐の森に投げ出されました。

 突然の事態にそれぞれが気を取られる中、その隙を突いた帆奈ちゃんの指示が飛びました。そうして帆奈ちゃんの魔女がアリナの魔女へ致命傷と呼んでもいいダメージを負わせ、盤面は一気に傾いたのです。これにはアリナも相手を称えずにはいられませんでした。アリナは結果が見えたと降参(サレンダー)を宣言し、傷ついた魔女は結界を経由してイブの餌にしてしまいます。

 中々にエグいイブの貴重な食事シーンを見学した一同が次の相手をどうするか選別を始めたところで、いろはちゃんたちが到着しました。そのタイミングでいろはちゃんが持っている枝が桜らしき花を咲かせたことで、いろはちゃんは万年桜のウワサ(ういを含む四人)条件を満たし(この場に揃っ)たのだと気づきました。

 が、それの意味を知るマギウス二名は幸福な魔法少女(ヘブン)状態なので無反応。そしてそんな二人の様子に気付いたいろはちゃんは何が起きたか即座に察知したので久遠(容疑者)を見て、私がやりました(自白を供述する)のプラカードを掲げつつサムズアップ(自慢気な反応)を返してきた犯人にどう反応すればいいのか迷っていました。周囲では幸福な魔女の使い魔がテンション高く何事かを告げていますが、残念ながら耳をすり抜けています。小さいキュゥべえもテンションを上げていますが、それにも反応を返せていません。

 

 そこへアリナが目的であるイブ=うい説を高らかに告げました。同じ結論に達していたのでいろはちゃんは驚きこそしませんでしたが、だからこそアリナの予想通りにイブと戦うことに躊躇してしまいます。狙い通りだと笑みを深めるアリナでしたが、このときアリナも予想していなかった事態が起きたのです。

 実はこのとき、いろはちゃんと一緒に小さいキュゥべえがやって来たことでイブは首ったけになっていました。いろはちゃんへ執着を見せたのだと判断したアリナは、イブの好きにさせる事を選びました。魂を失い自壊しそうな体を包み込み保護していた、アリナの固有魔法を応用した被膜はそのままに、拘束を解きます。

 指向性はあるものの余波で大きな被害を出しながら暴れるイブ。近づきたいけれども傷つけたくもないいろはちゃんたち。隠れて見守りながらもぶっちゃけ焦れったい久遠たち。そんな久遠の様子に気付いてイブを放置する理由であろうアリナとの仲を警戒して『お話』の機会を伺うまどかちゃん。一見するとイブの暴走が目立っていますが、実際の場は混沌としていました。

 

 そこに表れたのがアルまどちゃんでした。これには久遠もびっくり。というか、せっかく隠れていたのにあっさり探し当てられて真っ直ぐに向かって来たので微妙に困りものでした。やはりこやつも鹿目まどかか。

 そんなアルまどちゃんを見て最大級の危機感を抱いたのは、言うまでもなく……まどかちゃんです。

 自分と同じ顔。だけど自分とは違う自信と余裕を感じさせる表情。スタイルでも少し向こうの方が女性らしい気がします。まどかちゃんは久遠が見た目で判断するような人間ではないと確信していますが、方向性の似ている女性的魅力が上の相手というのは否応なしに警戒せずにはいられませんでした。

 

 一方のアルまどちゃんは久遠に魔女の救済を訴えましたが、姉妹の因縁を見届けるまでは動けないという久遠の意見に少しばかりの同情を覚えてつつ新しい希望の形を見出だしたので見に回ることに。

 そうしてできた隙間時間を使い、アルまどちゃん(別世界の鹿目まどか)この世界の自分(まどかちゃん)と言葉を交わし始めました。自然と冷たい態度を取ってしまうまどかちゃんに内心で首を捻りながらも、そんな態度は自己嫌悪に繋がると知っているアルまどちゃんは、努めて自然な声色で初めましての挨拶から入るのでした。そして会話の中で時系列的な意味では年上ですが、経験的な意味では一歩先を行かれた後発であるため尊敬していることを打ち明けたらあっさり和解しました。恋心の有無――久遠の関係しない部分は同一人物なので互いに頼れる仲間の認識です。なんならまどかちゃんは先輩として指導を買って出ていました。それで(独占しなくて)いいのかと問われれば、今更(見滝原組)だと返って来るでしょう。

 

 さて、イブとの戦闘も佳境に入り、動きを止めたところに小さいキュゥべえをシュート! した結果、イブのコアに閉じ込められていた環ういの肉体が解放され、実は小さいキュゥべえに仕舞われていたういちゃんの魂も戻って復活を遂げました。

 それにより世界から消えていた環ういの記憶や記録が舞い戻り、地味に復帰していた灯花ちゃんとねむちゃんも白旗を上げたというか寝返りました。

 そしてマギウスのよしみでアリナを説得したのですが、返事はだが断る(いーーーーやっ)でした。

 地味にマジカルきりんをきっかけとして触れていた色々な漫画・アニメ等の影響により好みの幅が広がっていたアリナは、久遠との賭けに負けたことも気にならないくらい、環姉妹の起こした奇跡にテンションが限界突破してきました。同時に、創作家としての血がここはラスボスを姉妹の協力技で倒す流れが必要だと騒ぎ立てるので自分が役目を引き受けるしかないと名乗り出た形です。

 なんなら待ちわびていたワルプルギスの夜がすぐそこに来ていることを考えて、大業を受けたら改心ムーブと捨て台詞を吐きながらワルプルギスの夜へ特攻かますプランまで立てました。そういうところだぞ

 

 そんなわけで出番を失った久遠はマンション組を引き連れてまどかちゃん率いる見滝原組と一緒にいたアルまどちゃんとに合流して対ワルプルギスの夜(二次会)に向けた打ち合わせをしました。

 別の宇宙(マギレコ)で起きた流れを知るアルまどちゃんの情報から、元◯玉の偉大さを思い知る面々でしたが、こちらでは期待できない女神の祝福(バフ)の代わりをどうするかという話になりました。すぐに日頃から久遠の強化を受け続けてきた面々がいるので上位陣の戦力的にはむしろ勝っているとアルまどちゃんに太鼓判を押されたので、各自でできることを精一杯やる方向で話がまとまったのですが。

 

 ここに来て、久遠はメッセージアプリを通じて強化済(お手つき)の魔法少女たちに連絡を入れました。内容的には久遠が知る範囲の固有魔法を用いた戦術案と、参加の是非。

 既に使い魔と戦っていた面々や、避難組から次々に参加の返答が届きます。絆の力と呼ぶには少々下世話な繋がりではありますが、久遠は人間関係のありがたみを噛み締めていました。

 

 なお、当のワルプルギスの夜は強化済モブ魔法少女の固有魔法でイザナミだ(精神世界でループを強要)されていることが分かって前提が破綻、難易度が爆下がりしたのはご愛嬌。

 後は使い魔を掻い潜るだけと言っても差し支えない状況です。アルまどちゃんが久遠の補助を受けながら救済するもよし、上手くいった例(マギレコ)を踏襲するもよしです。

 ワルプルギスの夜は一人の魔法少女が魔女となり他の魔女を糧にし続けた成れの果てという説がありましたので、久遠が端から削り取ってグリーフシードを浄化することでも決着はつけられます。が、基本的に魔女化していた頃の記憶はそのまま残るので絶望ループから抜け出すまでにどれだけの時間が長い必要か分かりません。

 中央区のマンションにはご同輩(元魔女)がたくさん在住してはいますが、抱えるものの規模が違うために多少の強化では睡眠中の夢でさえあっさり魔女化しそうな気配がビンビンです。対策なしに浄化しても完全に要介護ヒロインが爆誕してしまうため、簡単にはいきません。

 

 なんてことを言ってる間も荒れた天気が続き避難指示が出て経済活動が止まっている神浜市の状況に悪影響が出ていますので、とりまサクッとのノリで久遠により浄化されたのは、魔法少女史に残る何とも言えない結末だったと言えるでしょう。イブ? やっこさん強化いろはちゃんの元気玉クロスボウただし矢は小さいキュゥべえで希望の未来へレディ・ゴー!!(ストラーダ・フトゥーロ)されたよ。すっかり満足してキモチなんて残さずに自動浄化システムとなって見守る構え……なんじゃないかな。

 

 戦い終わった神浜市。自然と集まった魔法少女たちの元に、見知らぬ魔法少女らしき人物をお姫様抱っこして歩いてくる久遠の姿がありました。運んでいるのは恐らくワルプルギスの夜と呼ばれ語り継がれた舞台装置の魔女だった魔法少女なのでしょう。その正体は……!

 

ここで終わると虚無った感が出る気がするので一度切りますね。



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