記憶を失った少女が、ホロライブに関わって変わる話 (ほがみ(Hogami)⛩)
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記録:零

――この世界は残酷だ

 

そう気づいたのはいつの話だったか

 

学生のころは社会人になったら薔薇色で、楽しい社会人になっている、そうなるとそう思っていた。この会社が良くて自分で選んだ。ものすごく興味を惹かれたのに、入ってみたら全然違った

その世界はまさに地獄。休みという休みはなく、昼ごはんはいつもバランス栄養食。残業は当たり前であり、帰ろうとすれば、重しのように仕事が振られ、もう何日も家には帰っていない

 

(家には何があったっけ…冷蔵庫…もうだめだな)

 

この会社のネットワークを担当する私は朧気になりながら目の前のパソコンにプログラムを打ち込む

ともに入社した同期はもう居ない。残った者は辞めることもできずに今に至る

社内ネットワークは駄目になってはいけない。だが担当する私は一人のみ。休みがないのはそのせいであった

 

(ちょっと…仮眠を………)

「あ――だ――うぶ――…」

 

遠ざかっていく意識に反して誰かが声をかけてくる

たかが仮眠、何を話すことがあるか。思うことはいくらでも出てくる。しかしそれを言葉にすることは叶わない

 

――その日、夢を見た

私にとっては久々な夢であった

 

今とは違う環境…つまりは会社に努めていて、みんなが楽しそうに仕事をしている。まるでそこが憧れの舞台であるかのように……わからない事があれば誰にでも人に聞き、それを優しく教えている先輩社員と思われる人

今勤めている会社みたいに猛スピードで生きてて、人を助けることなんかする暇もなかった

自分が思い描いていた理想の会社―こんな会社で働けたらな―

あわよくばこの夢が覚めないで居てほしい。あの会社にはもう戻りたくないのだ

 

その期待とは裏腹に、意識は徐々に現実へと向かって行く

嫌だ。ずっとここに居たい。あんなところにはもう戻りたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…ん…?」

 

目が覚めると、暖かなぬくもりに包まれていた

どこかの部屋のようだが、ここはどこだと考える前に明らかに自分ではない声が、その部屋に響き渡る

 

「あ、起きましたか?どこか不調なところないですか?」

 

その声の主は優しそうな目で私に話しかけてくる

髪の色はピンクで毛先にかけて白いグラデーションがかかっている。部屋の中だというのにスーツのようなものを着ていて、どこか緊張する。それは以前の環境がそうしているのか、またはこの人にそういう力があるのか…

とにかく、体を起こしてその人の問いに答えた

 

「大丈夫…です。あの…ここは?」

「ここは”私達”の基地。我らHoloxが集まる場所ですよ。それで…あんなにフラフラになるまで何してたんですか?呼気からしてお酒は飲んでなかったみたいですけど…」

 

心配そうな目で居てくる女性。しかしその言動と、私の記憶は食い違っていた

―フラフラしていた?たしか私は仮眠を取ろうとしていただけ…知らぬ間に外に出てしまったのか、もしくは夢遊病か。どちらにしろ彼女に助けられたのは確かな事実であった

 

答えなかった私を心配したのか、彼女は「言いたくないことでしたか?」とまたもや優しく声をかけてくれて、涙がこぼれそうになる。いや、こぼれたのだ。落ちた雫は私の拳に落ち、その表面を濡らす

 

「な、なんで泣いてるの?!ごめんなさい!気に病むようなこと言っちゃったかしら?!」

「いえ…ただそんなに優しくされたのはいつぶりかと思いまして…」

「―あ~ルイ姉泣かせちゃった~」

 

可愛らしい声を出したのは、ひょっこり扉の隙間から顔を出している銀髪の少女であった

その声に反応したピンクの彼女は、「こらっ!私が悪いみたいに言うんじゃない!」とその少女を叱責。「えー事実じゃんー」と怒られたことを気にしてなさそうな少女は、こちらによってきて可愛らしく挨拶をした

 

沙花叉「どうもー!秘密結社ホロックスの掃除屋でインターン!シャチの沙花叉クロヱでーす!よろしくねー!」

「あ、どうも…」

ルイ「ちょっと沙花叉、困惑してるじゃん…あ、自己紹介してなかったですね。秘密結社ホロックスの女幹部、鷹嶺ルイと申します」

 

礼儀正しいルイに比べ、ヘラヘラとしている沙花叉

私もそれを返そうと思って、自分の名前を教えようとするも…なぜか自分の名前が思い出せない。それどころか、起きるよりも前の話が全然思い出すことができない。大まかなことであったら思い出せる。ルイの証言と照らし合わせることができる程度だが、それよりも昔――どこで働いていたとか、どんな人生だったとかそういうのがすべてないのだ

 

「私は――私…私って…だれ?」

沙花叉「大丈夫…?」

 

沙花叉の優しいような声にまたもや涙腺が弱まる

その様子を見たルイは、いろいろと考察する。どのような環境で育ってきて、どのような生活を送ってきたか。そしてとても弱い涙腺に、記憶を失っている状況。外傷がないことから外部的な記憶障害ではない

 

―となると、内心的…つまりは過度なストレスということだろうか

 

さらに顔色から察するに…睡眠不足、肉体的疲労、精神的疲労…こんなところだろうか

 

ルイ(どんなにブラックな環境で過ごしてきたんだろ…この子…ワンチャン私よりひどいぞ…)

 

このまま放っておけないと思ったルイは今日だけは―いや、この子の心と体が一つになるまで、この基地に居させてあげようと思ったのだった

 

 

――これは、そんな彼女()と――ホロライブの皆さんとの物語




初めの話は台本形式風(?)ですが、次からはちゃんとします
最後まで見てくださった方、ありがとうございます!私自身、いろんな小説とか、作品作ってるので、投稿頻度は疎らですが、よろしくお願いします!


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記録:秘密結社とは…?

沙花叉によしよしされて数分間、とても幸せな感情をその少女は感じていた。今まで感じることはなかったと記憶している感情。また涙が出そうになるがそれをぐっと押さえるかのような暖かさ…

ようやく開放された少女は、今度はルイに声をかけられた

 

ルイ「心が安らぐまでこの場所にいていいですよ。さすがにこの状態で放っておくのは、私の気が許さないし」

「でも…」

ルイ「総帥も許してくださるだろうし、気にしないでくださいね!みんないい人達だから!」

「―ありがとうございます…」

 

笑顔で話しかけてくれるルイに、またよしよししそうになる沙花叉

次第に話題は少女の名前をどうしようかという話になった。沙花叉は「えーちゃんでいいんじゃない?」と言ったが、ホロライブにはすでにえーちゃんという人物がいる。それ故紛らわしい名前は避けたいとのことであった

 

だが、少女が名前を思い出せない以上、どのように呼べば良いかわからない。なにか参考になるものでもあれば良いのだが…

 

ルイ「うーん。私達みたいに個性的な感じじゃないから難しいね…」

沙花叉「なにか特徴とかあれば良いんだけど…」

ルイ「眠ってたからすりーぷりん!」

沙花叉「いやそれは無理があるだろ。」

ルイ「ね”むり”だけに無理ってね☆」

 

ルイの言葉と共に冬場のような冷たい雰囲気が部屋中に立ち込める

これほど冷たい雰囲気にできるのはもはや才能であろう。鷹嶺ルイという女性に天が授けた生まれながら(かどうかは不明だが)のスキルだろう

 

それから数十分間、様々な名前が考案されたがどれもいい名前は思い浮かばず、名前が記された紙のみが山のように積み上がっていく

二人だけではいい名前が浮かばず、少女がそれで良いと言っても、二人が拒否するので、少女は困惑する

名前を出してずっと行った後、ついに沙花叉がダウンした

 

沙花叉「もうだめー!思いつかないー!」

ルイ「こよりとかいろはが居てくれたら良いんだけど…生憎お買い物行ってるし…ラプはこの時間は寝てるし…」

 

ルイのこえが終わると部屋の外から二人ほど元気な声が聞こえた

その声に二人はおかえりーと声を返すと、その声の方が沙花叉と同じように扉からひょっこり顔を出した

ルイよりも明るいピンクの髪の上に犬のような耳を付けた少女と、金髪の元気そうな少女がベッドにいる少女を見て、キラキラした目で駆け寄ってきたところ、ピンクの子はルイに止められ、金髪の子は誰にも止められず、少女に駆け寄った

 

「起きたのでござるね!無事だったでござるか?」

「は、はい…あの…なんであの人は止められてるんですか?」

 

少女は止められてるピンクの少女を指さしてそういった

ピンクの少女は、泣きそうになりながら、「美少女ぉ〜!!!!」と行ってルイの制止を突破しようとしている。その姿は…何というか動物のようで可愛らしくもある

 

金髪の子の回答は「あれは君に危険が及ばないように配慮しているでござる」と一言

その危険とは、どのようなものであるか少女には想像しようなかった。あの子が暴力振るうようには見えないし、危険そうには見えない

 

「こよがなにしたってんだぁーーーー!!!!」

 

ピンクの子は泣きながら叫んだ

それに対してルイは、「なにもしてないけど、なにかしそうだから予防策!あの子に危険が及ぶわけにはいけないから!」と。少女は何が危険なのかわかったような気がする。美少女と叫びながら近寄ってきて制止されている…なんか危なそうだと

その瞬間…

 

「―お前らうるさァァァァい!!!!!!!」

 

また別の少女が扉を勢いよく開けて怒号を飛ばしたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…吾輩が寝ているのにうるさくするな!」

四人「「すみませんでした…」」

 

沙花叉よりも小柄な角の生えた少女に四人はしゅんとする

あのルイでさえ、その少女の言葉を反省しているということは、ルイよりも上の立場なのだろうかと少女は思う

 

「特にこより!」

こより「はい…」

 

先程騒いでいたピンクの子が”こより”という名前に反応し、しゅんと頭の耳を垂らす

そこから、角の生えた少女にガミガミと説教させられ、さらにしゅんとなった。先程はよく観察できなかったが、こよりという子には尻尾が生えており、いつかもふもふしたいなと少女は思う

 

角の生えた少女の怒りは収まり、話題は少女の話に変わった

 

「で?この子はなに?」

ルイ「私が。外でフラフラになっていたので、私が介護しました。話を聞くと記憶を失っており…何らかの過度なストレスかと思われます」

「過度なストレス…か」

ルイ「はい。ついては――」

「大変だったなぁぁぁぁ…お前ぇぇ…」

 

角の生えた少女は泣きながら少女を抱きしめた

小さな体だというのになぜか包容感があり、とても安心できる感覚であった

それをみた四人はなぜ泣いているのかわからない状態になり、ルイは先程言おうとした言葉を続けて話す。「この子をここで保護しないか」と。すると、少女の体に抱きついたまま顔をルイの方に向けて「うん…うん!この子はここで保護しよう…!」と

 

「吾輩、人の不幸には涙もろいんだ。何があったかはわからないが、きっと苦しいことがあったに違いない!よって!この子を我が秘密結社、Holoxに入団させる!」

四人「おーーーーーー!」

 

角の生えた少女の声に賛同するように四人は声を出した

そして何かに気がついたように角の生えた少女は少女から少し離れてこほんと一呼吸置いた

 

ラプラス「自己紹介がまだだったな!吾輩のお名前はラプラス・ダークネス!我が秘密結社Holoxの総帥を統べる者だ!そして…!…………おい、幹部!」

ルイ「私と沙花叉もう自己紹介したから、次こよりから」

 

こよりと呼ばれた子は驚いたような感じを出しつつ自己紹介をした

 

こより「え!それじゃ…Holoxの頭脳!博衣こより!さっきは取り乱してごめんー!次!」

いろは「どうもでござるー!Holoxの用心棒!風真いろはでござるー!」

「……忍者?」

いろは「忍者じゃないでござる!侍でござる!!!」

 

いろははほっぺをぷくっと膨らませてプンプンと怒る

その様子から見て、どうやら言われ続けているようだ。だがその容姿…和服のような服装にその背に携える刀とその口調を見れば忍者ではないかという憶測が出るのは予想がつく

だが、いろははその呼ばれはあまり好きでは無いようだ

少女はごめんと謝ると、いろははわかってくれればいいでござるよ。と優しい声で言った

 

ラプラス「ところで…君の名前…どうしようか」

こより「記憶失っててわからないんじゃ――こよの出番!」

 

そう言ってこよりは懐から試験管に入った謎の薬液をかざした

その液体は少しとろっとしており、色はこよりの髪の色のようにピンク。見るからに危険そうな色であり、喜んで飲むことはしたくないように感じる

 

沙花叉「ちょっ…それ、なに…?」

こより「この前作成した記憶を取り戻す薬!もし記憶喪失になったときのために作ってたんですよ!」

ルイ「変なもの入ってないだろうね?」

こより「大丈夫ですよ!この色は私に合わせただけなので。甘い味に”なっている”と思います!」

 

明らかに信憑性のないことを口にするこより。それを危ないからと言う理由で取り上げようとするルイ。二人はごちゃごちゃして、やがてこよりの手からその薬が飛んでいった

ぽーんと投げ出される薬を唖然とした顔でみるラプラスといろはと沙花叉。あー!と焦る顔でそれを取ろうと手を伸ばすこよりに、薬をつかもうと手をのばすルイだったが、その手はスカっ…と空を切り、やがてその薬は少女の頭にかかった

 

「きゃっ…」

ラプラス「大丈夫か?!」

 

ラプラスは少女を心配し、色々指示したり、手配したりする

そのなかで、少女は思い出したことがある

 

(…秘密結社って…なんだっけ)




ラプ様はおらおら系に見えてすっごく可愛いと私は思います
沙花叉だけ名字なのは、沙花叉はクロヱよりも沙花叉のほうがなぜかイメージが強いからです





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記録:記憶の在り方

こよりの「記憶を取り戻す薬」をかけられた少女の名は、未だに決まっていない

記憶を少し取り戻したことにより、なにか思い出すかと思ったが、やはり秘密結社ってこんなんだっけ?という感情とも言える記憶のみ

それ以外の記憶は、未だに薄れたままだった

まぁそれ以外に色々なことを少女は五人の口から聞けたためよかった。例えば、Holoxはホロライブというカバー株式会社がプロジェクトしているものに所属していることや、配信活動していることなど…

 

ルイ「とりあえずマネちゃんに連絡して、事務所に話通してもらおう。この状況をどうにできるかもしれないし」

こより「それと、ちょこ先生に診察してもらいましょう!私達だけではわからないこともありますし!」

ラプラス「名案だな!早速行動開始っ!」

 

ラプラスの声と共にみんな行動を開始する

ルイは自分のマネージャーに連絡し、こよりはちょこ先生という人物に連絡を取る。一方寝起きでお腹が空いたというラプラスにいろははお得意だというクッキーを作り始めた

バタバタとするHoloxの基地にウキウキと出来上がるクッキーを待つラプラスと、少女と話をする沙花叉。少女はその感覚をなんだか懐かしく思った

 

―少し時間がたち、色々と行動開始した結果が返ってきた

ルイのマネージャーが事務所に話をしたところ、記憶が戻るまで保護していてほしいとのことであった。無理にでも戻してしまえば、ストレスが溜まっていた場所に無理に所属させられる可能性もあり、かえって危険になる可能性があるからという結果であった

 

そしてもう一つの結果は…

 

「お邪魔するわよ〜」

 

Holox基地の玄関の方から色気のある大人な女性の声が聞こえた

それを迎えに行くこより。少し時間が経って、こよりが連れてきたのは金髪のラプラスのように角が生えていて、背中に黒い翼が生えているすこしえちちな女性であった

その女性の隣にはすこし大きな帽子を被った、元気そうで運動しそうな少女が立っていた

 

沙花叉「スバル先輩も一緒なんですか」

「なんだよ、スバルがいちゃだめなの?」

沙花叉「いやいやそういうことじゃないですよ!ただびっくりしただけです」

「そういうことね」

 

スバルと呼ばれた女性はほっとしたような顔を魅せ、沙花叉と会話する

一方の金髪の女性は少女によってきて自己紹介を始めた

 

ちょこ「私は癒月ちょこ。みんなの友達で、保険医を努めているわ。まぁ先生ってところね。よろしくね」

「はい…よろしくお願いします」

ちょこ「礼儀正しくてかわいいわね♡それじゃあなたの状態を診察するわよ。いくつか質問するから、思ったこと正直に言ってほしいわ」

 

ちょこ先生は少女に対していくつかの質問を始めた。少女の住所はどのなのか。質問されたときに最初にすることはなにか。どんな職についているのか。今一番欲しいものはなにか―など

少女はその問いに詰まることもあったが、答えることが出来た

その結果をまとめ、ちょこ先生は結論をまとめる

 

―おそらくは「解離性健忘症」であると。そしてその原因は記憶を失う前に働いていた場所が原因であるとちょこ先生はそういった

 

ちょこ「記憶を取り戻すのはちょっときついものがあるわね。なんたってその記憶自体がストレスになってる可能性もあるから…」

ルイ「そうですよね…向き合う準備が出来てないと、厳しいですよね」

ちょこ「名前も忘れているってなると…どう呼べば良いのかしら…」

ルイ「私達が名前考えましたけど、いい名前が出ませんでした」

 

ルイとちょこ先生は少女について話を始める

その間、少女はスバルと会話をした

 

スバル「あたしは大空スバル。これからよろしく」

「よろしくお願い…します」

スバル「そんなにかしこまらなくていいよ。友達感覚でいいからさ。スバルも似たような状況に陥ったことあるから少しは共感できる」

「スバルさんは…」

 

少女がそう言うと、スバルは「スバルでいいよ」と優しく声をかけた

 

「…スバルは…その…どんなことがあったの?」

スバル「スバルはさ――家が燃えたんだ」

「家が…」

スバル「そう。今まで過ごしてきた家が燃えて、なにもない状態になっちゃったんだ。今の君といっしょだな。まぁスバルは記憶は失ってないけどさ」

 

悲しそうに言うスバルに少女はすこしどもる

―スバルは私と同じような状態があったんだ…でもどうしてこんなに元気になれるんだろう…少女は口には出さないが心でそう思う。どのように思ったらスバルのように過去の話として振り切れるのか。ちょこ先生も言っていた通り、過去の記憶自体がストレスになっているのなら、今のスバルのように元気になれるのだろうかと

だがその答えは、少女が声を出さなくてもスバルが答えてくれた

 

スバル「でもさ、そんな過去がありながら今こうやって元気にやっているのは、ホロライブっていうものがあったからなんだろうな」

「それは…どうして?」

スバル「家が燃えて何もなくなったときにさ、ホロライブのオーディションがあったんだ。ここなら私も頑張れるかもしれないって。結果、スバルはホロに所属できて、優しいみんなに囲まれて元気にやってる。

だからさ、"今までの物がなくなった"からって"これからの未来がなくなる"とは限らない。"なくなったのなら自分で作り直せばいい"。そう考えたほうが、気が楽になると思わない?」

 

スバルの天真爛漫のその笑顔は少女の目に輝かしく写る

名前通りの大空のような心は、少女の心を夏の草原のように明るく照らし、記憶を無くしたという感情を薄らげてくれた。

私は私でいい。昔の私は昔の私。これからの未来は私が作る

 

「スバル、ありがとう。おかげで気が楽になった」

スバル「役に立てたのならよかった!さ、いろはのクッキーできたみたいだ。一緒に行こう!」

 

差し出したスバルの手を少女は優しく握る

その手のぬくもりは夏の大空にも負けぬ素晴らしい暖かさであった




ちょこ先生と誰か二期生出したいなって思ったんですけど、百鬼は人見知り…あくあも人見知り…シオンは人見知りじゃないけど…少女ちゃんと仲良くできそうかっていわれたらわかんない…そしてスバルが選ばれました


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記録:名前

評価ありがとうございます( ˶'ᵕ'˶ )
励みになります!


いろはのクッキーは格別に美味しい

それは料理が上手いと評判のちょこ先生でも思うことであった。スバルも以前、Uberござるなるものと出くわし、いろはのクッキーを貰ったのだが、自宅ではないのに何故か出来たてのような温かさがあり、とても美味しかったそうだ

 

ラプラス「やっぱり侍が作ったクッキーは格別だな!」

ちょこ「砂糖の配分も甘すぎずのところで丁度いいわね」

いろは「まだあるので、沢山食べて欲しいでござる〜!」

 

にこやかな笑顔で嬉しがるいろはのその表情を見たちょこ先生は、ズキューンと胸を撃ち抜かれた。なんて可愛い子なのだろう。できるのならば自宅に連れて帰りたいくらいに

少女はクッキーをサクッと口に頬張りながら考えた。自分の名前はなんだろうと

スバルに教えてもらった通り、過去の自分が名乗っていた名前がなくなっても、これから作っていけば良い。そのはじめに名前を決めようと思ったのだ

口に頬張っていたクッキーをごくんと飲み込み、少女は口を開いた

 

「あ…あの…」

いろは「どうしたでござるか?」

「私の名前…どうしようかなって…私が決めるのも良いんですが、記憶が無いですし…できれば皆さんに決めてもらいたいと…」

 

少女がそのように言うと、みんなの顔がパァっと明るくなった

スバルが助言したからか、ちょっと積極的になった少女をみんなは嬉しく思ったようだ

それからのことは、いろはのクッキーを食べながら少女の名前の案を出し合い、どれが良いかを話し合った

 

ラプラス「やっぱりHoloxの新規メンバーであるからには!吾輩の名前をつけなければならないなっ!名前は――アン・ダークネスでどうだ!」

沙花叉「いやいやいや、センスないなぁ〜この子に似合う名前は華で決まりっしょ!」

ルイ「またまたさかまた〜今日は暖かな日だから鷹嶺ポカでどう?」

ちょこ「暖かいからポカ?」

ルイ「ぽかぽかだけにポカ―ってね☆」

 

…なぜだろうか。今日は暖かい日のはずなのにとても寒く感じる

それは少女だけでなく他の人も感じていることであった。ルイはコホンと咳払いをした後、改めて「ぽかぽかだけにポカってね」と繰り返そうとしたのだが、ぽかぽかだけ―の直後にスバルがツッコミを入れた

 

ルイ「コホン。冗談はよして…暖かいから桜とか良さそう」

いろは「今日が暖かな日なのであれば、比奈(ひな)でどうでござるか?」

こより「私は比奈に一票!!!」

 

こよりは自分で考えた名前があったが、いろはが考えたの名前のほうが良いため元気に投票したそうだ

 

ちょこ「確かに可愛らしい名前ね。私なら……結衣(ゆい)とかどう?」

スバル「めっちゃいい名前じゃん!やばいスバルの考えた名前霞んじゃうわ」

「どんな名前でも大丈夫。スバルはもう私に良いものをくれたから」

 

少女がそう言うと、スバルは顔を赤らめながら「やめろよお前ぇ…!」と少女に一言

そんな可愛い反応に、ちょこはスバルのことをからかうような発言をし、更にいい名前を言ってくれるんだろうなーというプレッシャーをかける。スバルはプレッシャーかけるなよとちょこ先生に一言物申す(?)

みんなが静かになった時、スバルは自分で考えた名前を発表した

 

スバル「スバルが考えた名前は―――(すず)。紗っていう漢字には、絹って言う意味あって、誰かを優しく包み込んでほしいって願いも込めた」

 

スバルの発表にみんなはポカンとする

悪い意味ではなく、素晴らしいという意味でのポカンであった。スバルがここまで考えて名前をつけようとしてるとは思わなかったから。みんなはこんな名前がいいな―とかそんな感じだったのに対し、スバルはしっかりと名付けをしている

―同じような境遇であったから放っておけないのだろうか。今日のスバルはいつものアヒr…ではなく、スバルとは違うような感じすらある

 

スバル「な、なんだよ…みんな黙っちゃって…」

ラプラス「いや…すごくいいなって思いました」

ちょこ「そう―私達なんかよりすっといいじゃん。ちゃんと理由もついてて…」

沙花叉「スバル先輩が一番いいっすよ。ちゃんとかわいい名前だし、意味もちゃんとある。少なくとも沙花叉よりはいいっすよ」

 

ラプラスを初めとしてみんながスバルの名前を褒め始める

褒められることが恥ずかしくなったスバルは、赤くなりつつも少女に意見を聞いた。お前はそれでもいいのかと。みんなに決めてもらいたいのはわかるが、それでいいのかと

 

少女は答えた。それ"が"いいと

いい名前は今までに沢山あったが、ここまでみんながこれいい!となったのは、今までに無いことであり、少女もその名前が気に入った

 

ちょこ「では!ここに少女ちゃんの名前を、紗ちゃんと命名することが決まりました〜!」

紗「皆さん…ありがとうございます。この大事な名前を無くさないようにーそしてスバル母さんの名前を汚さないように頑張ります」

スバル「ほんとにスバルのでいい…ちょとまて、スバル母さん?!」

 

驚くスバルに少女はきちんと答える

これからの事を教えてくれて、名前もつけてくれた。もうお母さんみたいな存在だからスバル母さんだと

するとスバルは「か、母さんはやめてくれない…?せめて姉ちゃんとか…」と言うと、少女はにこやかな笑顔でこういった

 

紗「よろしくお願いします。スバル姉さん♪」

 

これを機に少女…もとい紗はスバルを尊敬し、スバルも実の妹のように振る舞うのであった

 

紗の今の考え

ラプラス = 大事な友達であり総帥

鷹嶺ルイ = 自分を助けてくれた面白い人

沙花叉クロヱ = かわいい友達

博衣こより = なんか…すごく不思議な人

風真いろは = クッキーが美味しくて可愛らしい

癒月ちょこ = えちちな先生

大空スバル = 自分に勇気を与えてくれて、名前も与えてくれた姉さん




すごくスバルがよいしょされてますが、私的にこのメンバーでなんやかんやでいちばん頼れるのはスバルだと思うんですよね


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記録:肩書き

―これは紗に名前が与えられて数日後の話である。その頃の紗はもう緊張というのはなくなり、Holoxの仮入団のような感じでその場にいた…

 

ラプラス「全員ちゅーもーく!」

 

秘密結社Holoxの基地のロビーでラプラスは全員を集めて集会を始めた。丁寧にホワイトボードまで完備されており、そこには消し残しであろう「全世界ポテチ計画!」という可愛らしい字がうっすらと残っている

そのホワイトボードの前にはテーブルがあり、対面的にソファーが置かれている。テーブルにはいろはとルイが作った料理がそれぞれ置いてあり、ほかほかと暖かな湯気をたてている

 

ラプラスは台に乗りながら小さな手を掲げ、宣言を始めた

 

ラプラス「これより紗の正式な入団式を開催する!我がHoloxに入団したからには……」

ルイ「あんなに張り切ってるラプ、久しぶりにみたよ」

紗「そうなんですか?」

 

目を瞑って誇り高いように話すラプラスの近くでルイは紗に話しかける

―最近、ラプラスは配信で少し心に来ることがあり、しょんぼりしていたのだとか。でも紗と会ってからどこか吹っ切れたかのように変わって今あんなふうに演説している

その演説も聞いている人は少ないようだが…

 

ルイ「…だからね、ラプに何かあったら紗が助けてほしい」

紗「それは組織としての命令ですか?」

ルイ「ううん。私個人から紗に依頼。紗は私が見たところ結構他人のこと見てるし、メンタルケアとか得意そうだから――本当に得意かどうかはわからないけど」

 

ポリポリと口元をかき、難しい表情を見せるルイは、ラプラスが演説してる中で、言葉を続けた

 

ルイ「…あの子はいっつも吾輩吾輩言ってるけど、結構繊細な子なんだよ。でも総帥であるからは胸を張らなくちゃ行けない…」

紗「なんやかんやで楽しそうですけど…そんな苦悩を持ってるんですね」

ルイ「ラプもああ見えてお子様だからね。人前ではいいように魅せたいんだよ」

ラプラス「おい幹部!ちゃんと話聞いてるのか?!」

 

ラプラスの問いに対して、ルイははいはいと適当に流す。総帥の扱いそれでいいのかと思う紗であったが、今日ここまで来て、そのような扱いであったから良いかと半ば諦めるような考えに達した

そしてラプラスは「今日ここに!紗の正式な入団を決定する!」と言った瞬間、4人はわーいドンドンパフパフ…と聞こえるかのような歓声をあげて、紗の入団を祝福する

 

ラプラス「じゃあ、紗から一言言ってもらおうかな」

紗「え?えっと……」

 

紗は立って言葉を探す

 

紗「えぇと…皆さん、改めまして紗です。もうほぼ入団していたような感じでしたが、これからもよろしくお願いします」

 

紗が丁寧にお辞儀すると、またドンドンパフパフと聞こえるかのように賑やかになる

 

次第に話はシフトしていき、紗の肩書きをどうするかという話になった

肩書きとはつまり職であり、ラプラスであれは総帥。沙花叉であれば掃除屋とその人を表すかのような職となる

だが紗にはルイのような幹部にはなれないし、いろはのように用心棒になれる実力もない

 

ラプラス「しっかしどうしようかな…紗、得意なことは?」

紗「得意なこと……あんまり思いつかないですね」

こより「紗ちゃん可愛いからHoloxのモデルとか―」

ルイ「それも悪くないけど、私的にはHoloxの付き人とかいいんじゃない?他人のことよく見てるし、結構世話焼きだからあってるじゃない?」

紗「世話するのは嫌いじゃないけど…」

ラプラス「なら!決まりだな!改めてよろしくな、Holoxの付き人、紗!」

 

紗は恥ずかしくなりながらもラプラスに差し出された手を握る

そして付き人ってどんな仕事するのかと聞くと、基本的には基地の掃除とか世話全般のことだという

そこで紗はひとつ思いつく。このまま過ごしていては付き人としては不十分だと

 

紗「ルイ姉、いろはちゃん」

2人「「何(でござるか)?」」

紗「私に…料理を教えてください!」

 

2人の顔がパァっと明るくなり、にこやかにいいよ〜!と返事をする。

付き人として料理を覚えなくては、万が一お腹空いたと言われた時に対応できない可能性がある。主にラプラスだか…

『吾輩、オムライス食べたい』とかいきなり言い出すかもしれない。その時に作れなくては…と紗は心配しているわけだ

 

実際そんなことはない…とは言いきれない。紗が初めてラプラスに会った時も、『吾輩、小腹が空いた。侍、なにか作ってくれ』と言っていたし、案外有り得ることなのだ

 

ラプラス「紗、今失礼なことを考えてなかったか?」

紗「い、いえ?ラプ総帥は偉大な人だなぁ〜って思っただけです」

ラプラス「そうかそうか( *´꒳`* )」

 

満足と言わんばかりの笑顔で微笑むラプラスに紗は和む

ルイの言った通り、子供なのかもしれないと思い始めてきている

その瞬間、ルイといろはがキッチンの方から紗を呼ぶ。どうやら料理の準備ができたみたいだ

 

ラプラス「紗!できた料理は吾輩にくれ!」

紗「うまくできたらあげますね」

 

ラプラスに紗はニコッと笑顔を返し、キッチンへと向かう

―その後、紗が作った料理を食べて涙を流したのは、言うまでもないだろう…



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記録:データ【少女の姿】

ネタバレ注意!随時更新です
この話は、20話近く後で出したため、過去の話の中の紗との姿に語弊が生じるかもしれませんが、こちらが正しいです。


情報

 

名前:紗

 

年齢:=*@_|^0^\|^-^|@:

 

身長:155cm

 

誕生日:1月25日(名前が付けられた日)

 

紹介文

 

―ある日、少女は秘密結社に拾われた

名前も、記憶も、全てを失った少女は一人の女性に名を貰う。その日から少女の物語は始まった

否、拾われるその前から彼女の物語は始まっていたのだろう

 

「なくなったのなら自分で作り直せばいい」その言葉は全てを失った少女の心に永遠に刻まれる言葉となる

その言葉があったからこそ少女は成長することができ、いろんな人にかかわることができたのだろう

 

 

〇〇一覧/〇〇集

 

好きなもの/得意なもの

料理。掃除。誰かの手伝い。ルイ(いろは)が作ってくれた料理。ゲーム。オムライス。

 

苦手なもの

おグロすぎるもの。3Dのホラゲー。辛すぎるもの。苦すぎるもの

 

 

特徴

 

艶のある綺麗な黒髪が特徴。長さは腰に届かないくらいで、前髪はいろはが近い。目は黒で日本人に近い顔つき。

家事や仕事をする時は長い髪をポニーテールにして動きやすくしている

服装はスーツ(発見当時)。最近はルイが昔着ていた服をお下がりとして貰っている。ちなみに胸はD

 

 

 

 

 

 

 

ここからネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

ホロメンとの関わり

 

0期生

 

直接的な関わりは少ないが、大切な友達

これからもっと関わっていきたいと思っている

 

そら:とても優しいお姉さん。全てを肯定してくれそう

ロボ子:優しいお姉さんであり、一緒にゲームとかしたいと思っている

AZKi:友達でありお姉さん。AZKiの歌声が素晴らしいらしく、気になっている

すいせい:クールでかっこいい女の人だという印象だったが、一緒に食事に行くときにものすごく考えている人なんだとわかった

みこち:事務所を楽しそうに案内してくれた。とっても面白い子

 

1期生

 

個性が強い人達だけど、とっても面白い友達!

 

アキロゼ:ちょこ先生みたいにすこしエッチな人。とても優しそう

はあと:(関わりなし)

メル:天才でとっても可愛い!夢で見た彼女は…?

まつり:不思議で可愛い子。元気の化身のような太陽みたいな人

フブキ:言葉使いが丁寧!尻尾もふもふしたい

 

2期生

 

Holoxの次に関わりが深い人が多い2期生。特にスバルには尊敬の念を持っているほどに関わりが深い

 

あくあ:小動物みたい。もっといろんな話をしてみたい

あやめ:天然でとっても可愛い友達。ホロメンの中で唯一初めて自分から友達になりたいなと思った

シオン:ラプラス以上に子供っぽい。ツンデレみたいなところがあるけど、悪い人じゃないのは分かる

スバル:名付け親であり、尊敬する人。失言は多いが、紗にとって前向きな言葉を多くかけてくれた

ちょこ:ちょっとえちちなセンセイ…だけど、優しい。

 

ゲーマーズ

 

穏やかな人が多いな〜と言った感情を抱いている

 

おかゆ:えっちな人と同時に面白い人だと思っている

ころね:訛りが特徴的で、とても可愛い。でも怒らせたら怖そう…

ミオ:多分お母さん。優しくしてくれそう

 

3期生

 

個性的な方々!

 

マリン:おもしろおねぇさん。話してて飽きない

ぺこら:本当のうさぎみたいな人。話したいけど、いつも知らないうちに帰ってしまっている

 

4期生

 

性格と肩書が反対なのではないかと思う友達

 

トワ:ツンデレ系悪魔。本音はものすごく優しくてかわいい

ルーナ:ぽわぽわしてるお姫様。かわいい

 

5期生

 

話していて気が楽な自由気ままな友達

 

ラミィ:とても絡みやすい人。一緒にご飯とか食べたいなと思っている

ぼたん:様々な面から見て面白い人。麺屋ぼたんを利用したいと思っているが、話しかける勇気が出ない

ポルカ:面白いリアクションをしてくれる人。たまにヘラっている時があるから、大丈夫かなと心配している

ねね:ものすごく子供みたいな女の子。近くにいるだけで元気が貰えそう

 

Holox

自分を助けてくれた大切な仲間であり家族。受けた恩は全部返さなきゃと思ってるが、彼女たちからしたらこれ以上の恩を受けるのは、少し申し訳なく感じている

 

ルイ:頼れるお母さん的な存在。ルイがいなかったら料理や掃除、そして心のケアなどが出来なかった

ラプラス:自分をここに置いてくれたとても信頼している総帥。実を言うとただのお子様なのではないかと疑っている

沙花叉:冗談を言い合えるような友達。いきなり抱きついて匂いを嗅いでくるのは勘弁して欲しい

いろは:剣の師匠であり、料理(お菓子)の師匠。おっちょこちょいな所はあるが、一生懸命なのでヨシっ( ᐛ )و

こより:博学才穎で可愛い友達。隙があればぐへへなことをしてくるのでは無いかと少し警戒している(というのは冗談)

 

myth

 

カリオペ:迷子だったのを保護(?)したが、とても優しい人だと思う。いつかカリオペとして会話したい

 

 

Council+hope(Promise)

 

クロニー:クールそうに見えてかなりの面白お姉さん。クロニーといると母性がくすぐられる

べー:気を許せる友達。小さくてとても可愛い。そうきゅーと。最近英語の先生になってくれていてとても感謝!

 

Advent、ID

 

スタッフ

 

仕事の先輩。とっても話しやすく、頼りになる

 

Aちゃん:真面目そうでいつもスマホで予定を確認している(▭-▭)✨だが!ときには休んで欲しい

のどか:関わりはないものの、Aちゃんからは話を聞いている。バイトの時間とちょうど合わない時に出社しているので、毎度挨拶しそびれていて、早く会いたい

井筒さん:ポル伝のスタッフ。あったことは今はないけど、いつか会ってみたい

 

その他

 

しぐれうい:スバルのお母さんだから、紗のお母さんでもある。可愛い洋服をくれた可愛らしい人。あとでなにかお返しがしたいと考えている

戌亥とこ:和風喫茶店静穏庵(せいおんあん)にて出会ったつよつよケルベロス!料理がとってもうまくて、話しやすい人だ

 

 

 



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記録:初めての仕事

評価ありがとうございます!
エネルギーになります!


紗「よいしょ…よいしょ…」

 

少女こと紗は一生懸命その体を使って大きな段ボールをとある部屋の中から出したり…入れたり…出したり…している。これが彼女にとって初めての仕事だ

Holoxに入団したということで、紗はHoloxの付き人という肩書を手に入れ、今こうやって汚部y――こほん、きたn…こほん。散らかっている部屋を掃除しているというわけだ

―それにしてもこの部屋はきたn…散らかっている。ゴミの山をかき分ければ、そこには飲みかけのペットボトルや、食べかけ(賞味期限切れ)のお菓子などたくさん出てくる。この部屋は某掃除屋でインターンの部屋だが、掃除屋なのにこんなに汚くていいのかと

 

しまった。汚いと言ってしまった

その瞬間―――

 

沙花叉「汚くなぁぁぁぁぁい!!!!!」

 

この部屋をここまで汚くした張本人が怒号を上げて部屋に入ってきた

叫ぶと共に崩れるゴミの山。その様に本人も反省したのか「やっぱりちょっと汚いかも」と呟く

 

紗「ちょっとどころじゃないです。結構汚n…散らかってます。どうして掃除しなかったんですか」

沙花叉「だってだって…掃除しようと思ったらお酒が出てきて…熟成ものだと思って飲んだら日が過ぎてた」

紗「汚部屋から出てきたお酒とかヤバイもんに決まってるでしょうよ!今後は定期的に掃除してください!」

沙花叉「はぅ…」

 

沙花叉は少ししょんぼりしながら部屋を後にする。大事な仕事があるのだとか

紗はふぅと頑張るためのため息をついてよしっと気合を入れて掃除を再開する。かなり大変な仕事であるが、苦ではない。むしろ汚いのが消えていって楽しいと感じるくらいだ

何故なら稀に沙花叉の本当の趣味の物があったりするからだ。具体的に言うと、ホロライブ所属の先輩のグッズや好きなアニメの本。人の趣味を模索するのは気が引けるが…

そう思ってゴミの山をかき分けて分別しつつ段ボールに入れていると…新聞紙にくるまれた気になるものが埋まっていた

 

かき分けてその新聞紙を解放すると、それは赤い"ナニカ"がこびりついたナイフであった

紗は高鳴る心臓を押さえつける――これはなにか。もしかしたらこれは血ではないか。これを見ているのを沙花叉に知られたら…どうなってしまうか

 

ドクンドクンと煩いほどに鳴り響く心臓を止めたのは沙花叉の声であった

―今聞きたくなかった声。いつもなら笑顔で振り向けるのに、この時は振り向くことができない

 

沙花叉「ちぇ…あのチビ総帥、自分も掃除できないくせに「手伝わせてんじゃねぇ」ってよく言うわ――あれ?紗ちゃんなにしてるの?」

紗「さ、沙花叉さん…」

 

ぽぇ?という顔で紗の背に近づく沙花叉。それと来てほしくない紗

これはなにかと聞くべきか、聞かずに隠すべきか――紗の心はその選択肢で支配される。それ以外何も考えられなくなる。だが考えている間に沙花叉は近づいてくる

 

恐怖。あのぽぇ?という顔ですら怖さを感じる。そして――沙花叉は紗の方に手を置いた

 

沙花叉「紗ちゃん?どうかし…」

紗「あ――」

 

―終わった。私の新たな人生はここで終了したのだ

紗は覚悟する。沙花叉は紗の手にあるナイフを直視した。その瞬間、沙花叉は叫びをあげた

 

沙花叉「あぁぁぁぁ!!!!!!なんでここにあるのぉぉぉ?!?!」

 

叫んだ沙花叉は紗からナイフを取り上げ、近くにあった新聞紙で再び包んだ

獲物を狩るシャチのように荒い息遣いをしながら沙花叉はナイフが包まれた新聞紙を見ている

 

紗「さ…沙花叉…さん?」

沙花叉「ふぅふぅ――まさかここにあるとは思ってもなかった…まさか"トマト殺害事件"のナイフがここいあるなんて…」

紗「と、トマト殺害事件…?」

 

恐怖しながら紗は質問をした

すると、沙花叉はいつもと変わらない笑顔でそのナイフについて説明を始めた

―あのナイフは沙花叉の天敵、トマトを殺害したナイフであり、もう廃棄したものだと思っていた代物らしい。つまりは紗の早とちりである。秘密結社だから殺害もする仕事もあると思った紗の憶測が飛び交った結果であった

なんだ恐怖して損した―と一息紗はつく

 

沙花叉「怖がらせてごめんね~♪今度はちゃんと廃棄してくるから~!」

 

そういって部屋を出ていく沙花叉

紗は少し休憩してから部屋の掃除を開始しようと休憩を始めたのだった

 

 

 

 

 

一方の沙花叉は紗から見えない場所に行き、新聞紙を解放する

 

沙花叉「………見られちゃった」

 

一言呟く沙花叉の目には少しばかりの哀愁が漂う

これで彼女からも恐怖の対象とみられてしまっただろうか。咄嗟についたトマト殺害事件という嘘。彼女に怪しまれてないだろうか。そんな思いを募らせながら沙花叉はナイフを見た

そしてナイフに映った少女の顔は大粒の雫を溜めて、今にも零れそうになっていた

 

沙花叉(いやだよ…紗ちゃんともっと仲良くしたいよ…嫌われたくないよ…)

 

赤く染まったナイフに大粒の涙が落ち、そしてナイフから落ちる雫は静かに床を赤く染める

ー今まで"自分の本当の姿"を知られたくないから元気に魅せて過ごしてきたのに、それが一瞬にして壊れそうになる。大丈夫、落ち着こうと自分を抑える

いつも通り過ごせば大丈夫。きっと彼女は自分をわかってくれる。でもわたしは恐怖の対象、だけど本当は…

 

紗「沙花叉さん」

沙花叉「ほぇ…?」

 

紗の声が聞こえた沙花叉は涙目のまま、紗の方へ顔を向ける

一瞬目と目が合い、二人は見つめ合う。一瞬であったはずなのに沙花叉には三十秒ほどの長い時間に感じた。先ほどのことがあるからか、何処か緊張している感じすらある。もし嫌いと言われたらどうしよう…もう会わないでと言われたらどうしようかと考えていた時、先に声を出したのは、紗であった

 

紗「ごめんなさい…」

沙花叉「え…?なに…?」

紗「沙花叉さんがそこまでトマトが嫌いだなんて知りませんでした…私があのナイフを見つけなければ…」

沙花叉「ぷっ………」

 

沙花叉は予想しなかった紗のセリフに失笑してしまった

この子はそういう子であったことを思い出す。誰かを恐れることはなく、ひたすらに頑張るこの子を前にした沙花叉は、自分が考えたことなど些細なことあったのだと考えることができた

 

紗「な、なんで笑ったの?!」

沙花叉「いやぁ~別に~♪」

 

紗は訳も分からないまま沙花叉に手を引かれてその場を後にする

これからもこの子と一緒に、秘密結社Holoxのメンバーとして、私の――沙花叉クロヱの物語を紡ごう




ちょいとシリアスっぽくなりましたが、沙花叉には"そういう"過去があってもいいんじゃないかって思った妄想ですのでお気になさらず(?)


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記録:研究のお手伝い

夜中、こよりの実験室は明かりが灯っていた

そこから聞こえるのはゲームのピコピコした音とカランと置かれる小さな空き瓶の音。そしてこよりの実験室の扉には、こより実験中と書かれた木の札が下げられていた

―こよりが配信しているのかと思いきや、パソコンの前にいたのはこよりではなく、紗であった

 

紗「……難しい」

 

ゲームの画面を見ながらつぶやく紗。これは実験中でありつつも、紗は楽しみながらやっているようだ

コンコンと優しく扉がノックされ、入ってくるのは料理を持ったのは、この実験を企てたこよりであった。持っているものは、オムライス。そのオムライスには「実験に付き合ってくれてありがとう♡」の文字があり、彼女なりの感謝の方法がうかがえる

 

こより「調子は大丈夫?」

紗「不調ではないですよ。それで…何時間経ちました?」

 

紗がそう言うと、こよりは胸ポケットに入っている時計で時間を確認し、紗が薬を飲んでからどれほどの時間がたったかを計算した

 

こより「約6時間ってところかな。ちゃんと休憩はした?」

紗「しなくてもいいくらい元気ですよ…この薬どうなっているんですか…」

こより「ほうほう…それなら実験は成功かな!もうゲーム終わっても大丈夫だよ」

 

薬のことには一切触れず、実験の終了を告げるこよりに紗は若干困惑するも、このステージをクリアしたら終わろうと思い、それをこよりに告げると、こよりも一緒にやってくれることになり、ふたりでそのゲームを楽しみ始めた

―それから約1時間後…ゲームは無事に終了することができた

 

こより「紗ちゃん結構才能あるんじゃない?」

紗「えへへ…ありがとうございます。それで――どうしてこの実験をしたかったんですか?」

こより「…言わなきゃだめ?」

紗「ダメです。私が気になって夜しか眠れなくなっちゃいます」

こより「それ結構健康じゃん!まぁ、実験に付き合ってくれたし特別に教えちゃう!実はね―――」

 

こよりはここに至るまでの経験を話し始めた

配信内で、こよりの視聴者…つまりは助手くんが言い始めたことが始まりであった

 

―『こよちゃんって……なんであんなに長時間配信できるの?』―

 

こよりもそれは不思議であった。体感1時間ほどであるのに、実際は6時間経っていたりとか、知らぬ間に時間が経っていることは多々あることであった

こよりとしてはリスナーを飽きさせたくない。だから長時間配信しているというのもあるのだが、それにしても長時間配信できるのは不思議だった

 

こより『先輩方もこよの配信時間不思議だって言ってるし…そうだ!こよの感覚を知ってくれればその疑問もなくなるんじゃ―!?』

 

そこからこよりの研究は始まった

試作品の開発から研究。そして失敗点を見つけ更に研究――そうやって数日経ち、完成品ができたものの試してくれる人はおらず、こよりの感覚を体感するためなのにこより自身が薬を投与しても意味がない

誰かいないかと思っていたところ、Holoxの付き人が現れ、彼女に試してもらおうと思ったことから始まる

 

危険性はないことはわかっているし、付き人としての勤めを果たしてもらおう!とのことだった

 

紗「こよりさんの感覚は――」

こより「こよ」

紗「…こよちゃん」

こより「(♡ >ω< ♡)」

 

紗にこよちゃんと呼ばれたこよりは満足そうな表情を浮かべ、尻尾をフリフリする

コヨーテの本能か、嬉しいことがあると尾は上がり、フリフリとリズムよく振れるのだ

 

紗「ねぇこよちゃん」

こより「なに紗ちゃん♡」

紗「どうしてこよちゃんは研究するの?」

 

その質問にこよりは硬直した

―どうしてこよりは研究をするか。そんなこと考えたこともなかった。Holoxがあるから?一体いつから研究を研究し始めた?悩むこよりはとことん悩み始める

紗は悪いようなこと言ってしまったかと不安になる。沙花叉のときもそうだったが、なんでも自分に非があると考え込んでしまう傾向があるようで、そこが紗のいいところだが、悪いところでもある

 

こよりは考えに考え、答えを見つけ出した

 

こより「…興味があるから」

紗「興…味?」

こより「そう。この世界って謎だらけでしょ?こよはそれを全部解き明かしたい――のかな?」

紗「なんで疑問形式なんです?」

こより「実際、こよもよくわかってないんだ。Holoxに入る前から研究はしてたし、今更どうしてと言われても…習慣になっちゃってるし、わからないよ」

 

研究者として普通であるかと思ったが、本人もわからない事情になっているとは紗も想像しなかった

逆に言えば、研究することを特別とは思っておらず、むしろ普通であると思っている

 

こより「こよにとって研究はご飯と同じ。無くてはならないものだから」

 

そう言ってこよりは近くにあったお菓子をパクっと一口で頬張る

それほど普通であり、重要なものでもある。普通の人間でそこまで達せる人などいるのだろうか。彼女はコヨーテであるからそこまで達することができるのだろうか

紗は少し羨ましく思う。記憶がない今は、こよりのような普通でありながら大事なものは無い。記憶があったときはあったのだろうか。あるとすれば、それは何だったのだろうか

 

紗「いいですね。私も…こよちゃんみたいな普通でありながら大切なもの―手に入りますかね?」

こより「きっと手に入るよ。こよだって、何気ない日常生活が大切なものだしね」

 

こよりの言葉はものすごく紗の心に刺さる

―当たり前こそが大切なもの。今、こうやって記録されていく記憶を紗は大事にしようと胸に秘めた




こよりのキャラが分からなくなる…頭ピンクにしつつも頼れるような口調にするのは難しいなぁ…

良ければ感想とか聞かせてもらえれば、私が喜びの舞を踊ります!(誰得?)


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記録:PONな侍

いろは「ふっ…ふっ…」

 

Holox内のいろはの部屋(道場)でいろははお供のぽこべぇがポンポンっ!っと出した丸太に一振り…二振りと丁寧に刀を当てて鍛錬をしている。紗はその様子を側で見ており、自分もいろはのように用心棒とはなれなくとも、みんなを護れるぐらいになりたいと思っているが、それほど力もないため、無理ではないかと思っている節がある

―だが、そんな紗にもいろはは「大丈夫でござるよ!かざまも最初からできたわけじゃないでござるし、きっと紗もできるでござる!」と紗に自身を持ってほしいと言った

 

これはまさにいろはが紗に技を伝授しているところであった

 

いろは「ふぅ――どうだったでござるか?」

紗「すごくかっこよかったです!―が…私にできるでしょうか…」

いろは「できるでござるよ。自信を持つでござる!まずは、素振りとかやってみるでござるよ」

紗「はい!」

 

紗は近くにあった木刀を手に、えいえいと素振りを始める

その姿はかなり様になっているのだが、如何せん筋力や体力がなく、すぐに疲れてしまう。鍛錬など一回もしたことが無いため、当たり前といえば当たり前なのだが…

 

紗「ふぅふぅ…」

いろは「お疲れ様でござる。結構様になっていたでござるよ」

紗「あ、ありがとうございます…」

いろは(初心者とは思えないきれいな素振りだったでござるな…記憶を失う前に経験したのでござるか…?)

 

疲れて座った紗のことを、いろはは色々と考える。初心者にしては出来すぎているし、刃筋もきれい。記憶が無くとも体が覚えているということだろうかと。これならばすこし鍛えれば、かなりの腕になりそうだ――と、考えているときに、紗はいろはに声をかけた

 

紗「師匠――」

いろは「―――!!!」

 

紗が放った言葉は、いろはの心に刺さる

―師匠―そう呼ばれたのは、いろはにとって初めての経験であり、自分も師匠になるときが来たのかと嬉しくなった

そう言えば可愛い弟子のために、炊飯器で作るケーキを作っていたことをいろはは思い出す。鍛錬の時間で出来上がる時間は過ぎ、今頃はうまい具合に出来上がっているときだろうとさらにウキウキな気分になった

 

いろは「紗ちゃん、かざま、ケーキ作ってたのでござる!少し取りに行ってくるでござるね!」

紗「了解ですー」

いろは「ふんふん〜♪ケーキ、ケーキ♪かざまは師匠―…」

 

ご機嫌で道場を出ていくいろはを紗は目で追う

あんなに可愛らしい子が、重たい刀を振り回してるんだもんな―と紗は少しながら思う。ぽこべぇは紗のもとに来て、もふっと側に座った

ぽこべぇはとても可愛らしい姿をしていて、愛着がある。衝動的にもふもふしたくなる感情があるが、そこはぐっとこらえて、頭をナデナデするところで止める

―ぽこべぇの毛並みはとてもふわふわでありつつもすべすべで、この世のものとは思えない極上の毛並みであると紗は実感した

 

にこっと緩んだ顔を見せたぽこべぇは、つんつんと紗の袖を突き、道場に指で文字を書き始めた

 

紗「えっと…?”いろはを…師匠とよんでくれて…ありがとう”?」

ぽこべぇ「―――」コクリ

紗「”いろはは…師匠に…憧れてた。ずっと…教えられる側だったから…これからも…師匠と呼んでほしい”?もちろん!いろはさんは、わたしの師匠ですよ!」

ぽこべぇ「――♪」コクリ

 

伝わって嬉しいぽこべぇは紗に、もふっと抱きつく

ふわふわしている毛並みが心地よく、紗はぽこべぇを膝の上に置き、またもや毛並みを満喫する。その瞬間…

 

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

いろはの悲劇的な悲鳴が道場内に響き渡った

 

紗は案内してくれるぽこべぇに急いでついていくと、そこには料理場で絶望的な顔をしてペタンと座るいろはの姿があった。紗が声をかけるよりも早くぽこべぇがいろはに駆け寄り、いろはを慰めると、いろははぽこべぇに抱きついて涙を流し始めてしまう

―すこし経っていろはが落ち着くと、いろはは紗にごめんと謝った

 

いろは「炊飯器で…ケーキ作れるっていうからやったでござるが…炊飯器のコンセント抜けていたでござる…ごめんでござる…」

紗「―大丈夫ですよ。今から作りましょう!できるまで、また鍛錬しましょう?私まだ動けますよ、師匠」

いろは「うぅ…ごめんでござる…」

 

しょぼんとするいろはに紗は手を差し伸べる

差し出された手をいろはは優しく握る。この優しい子が弟子だなんてかざまも幸せ者だなと思ったいろはは、少し元気になり、ちゃんとコンセントが入っていて、ちゃんとタイマーがセットできたことを確認してから道場に向かった

 

――数十分経って、再び料理場へ戻ると、ちょうど炊飯器が出来上がっていて、ほかほかな美味しそうなケーキが皿の上にボンと置かれた

いろはは紗用とぽこべぇ用に取り分けて、フォークを使ってパクリと食べる。その瞬間、いろははとろけるような表情を見せた

 

いろは「美味しいでござる…♪」

紗「甘くて口の中でとろけるみたいですね〜( *´꒳`* )」

いろは「かざまがしっかりしていれば、もっと早くに食べられたのでござるが…」

紗「成り行きはどうであれ、結果として師匠の美味しい手料理を食べられた私は幸せものですね」

 

えへっと微笑む紗の表情にいろははまたもや胸を撃ち抜かれた時、いろははその笑顔から得た物があった

―PONないろはでも誰かを幸せにすることができる。配信ではいつも「助かっている」という声を多く聞くが、こうやって実際に体験すると、配信とは違ったものを感じるし、その感情が直に伝わってきてこちらも嬉しく感じる

ほかほかと暖かな湯気を立てるケーキを挟んでいろはは紗にこういった

 

いろは「紗ちゃん!かざま、師匠として一生懸命紗ちゃんを助けるでござる!」




途中からいろはがわからなくなってしまった
あ、そう言えばHolocure更新来てましたね!一期生と二期生が登場してまして、ガチャのところに次アップデートの0.6のシルエットあったんですが、おそらく…IDでしょう!


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記録:わがままなそうすい?

Holoxの基地には美味しそうないい匂いが漂っている。いつもその香りが漂ってくるのは、朝食、昼食、夕飯のときだ

しかし今日は、その3つどれにも当てはまらない時にその香りが漂っていた

 

「紗〜おなかすいたよぉ〜」

 

リビングのソファーにて極めて薄着でくつろぐのは、このHoloxの総帥であるラプラス・ダークネスであった

なぜ薄着なのかというと、とある運動系のゲームをしており、その配信終わりで暑くなってしまったために脱いだからだ。ラプラスはルイの言う通り子供っぽい薄着であり、声に出して感想を言えば怒られそうな感じもあるくらいだ

まぁそれは置いておいて、ラプラスが話しかけているのは、Holoxの付き人、紗であった

紗は料理場にたち、お腹が空いたというラプラスのために、ルイやいろはから教えてもらった料理を作っているのだ

 

紗「待ってください、急がずとも料理はちゃんと出てきますよ」

ラプラス「だってぇ〜お腹すいたんだもんー!」

紗「もう少しでできるので、待っていてください!」

 

そう言って紗は最後の仕上げに入る

熱したフライパンに溶いた卵を入れてかき混ぜ、まだ半熟のうちに火から離し、フライパンの奥の方に向かって卵を包む。いい感じに形が整ったら奥からも包み込み、クルンと裏返しにしてつなぎ目を少し火を入れる

皿によそったチキンライスの上にその卵をそっと乗せて包丁で切り込みを入れて左右に開く

開かれた卵にケチャップをかけ、きれいに飾り付けをした

―そう。紗が作っていたのはラプラスが好きだと聞いていたオムライスであった

 

紗は小声で「よしっ」と言ってラプラスにできたオムライスを運んで行くと、ラプラスはぱぁっと顔が明るくなり、「うぉー!うまそーーー!!」と一言言って、いただきます!と元気にオムライスを口に運んだ

 

ラプラス「ん〜〜〜!!!めっっっっ…ちゃふわふわ!!!やっぱ紗は料理が上手いなぁ!」

紗「ありがとうございます。ゆっくり味わって食べてくださいね?」

ラプラス「ん〜わかった〜」

 

わかってないような返事を返したラプラスは、子供のような食べ方でパクパクと口に運ぶ。だが、よく観察してみると、子供のように口に運んでいるだけで、全然机にこぼして居ないし、口に付いている事もない

そういう面は大人なのかなと紗は少し思う。体や口調は子供だが―

 

ラプラス「ん?今吾輩に失礼なこと考えなかったか?」

紗「いえいえ。食べ方、可愛いなと思っただけです」

ラプラス「そうかそう…っておい!吾輩を子供扱いするなって!」

 

口をぷく―っと膨らませたラプラスは子供のように怒る。そんなところも可愛い一つなのだが…彼女はそれが嫌のようだ

 

紗「子供扱いではなく、女の子としてですよ。女の子として可愛いなと思ったんです」

ラプラス「て、照れるような事言うんじゃねぇよ(///ω///)」

 

照れつつも食べたオムライスを紗に「ごちそうさま」と一言。満足したようで、そのまま自室へと戻っていってしまった。食べ終わった皿を紗は片付け、次に各部屋の掃除を始める

本日、Holox基地にはラプラスと紗以外居ないため、結構自由に掃除ができる。広いところは、こよりが開発した”るんるんばっば”が徹底的に掃除するが、細かいところは掃除ができない。そのため、紗が細かいところを掃除し、綺麗にしているのだ

 

紗「今日は師匠の部屋を掃除しよう!」

 

そう決めた紗は準備を初めていろはの部屋に向かった

基本的にHoloxのメンバーの部屋はあまり汚くない。いろはもその部類に入っているが、当たり前だが細かいところが汚くなっていたりするため、定期的に掃除しなくてはならない

―逆に沙花叉やラプラスの部屋は放って置くと、そのうち山のようになってしまう。だが今日は二人の部屋を掃除しない。沙花叉の部屋はつい最近掃除したばかりだし、ラプラスはいま自室にいるから掃除できない

 

紗「よし…頑張ろう!」

 

 

 

 

 

 

紗が掃除を初めて数時間、紗は少し異変を感じた

それはラプラスは自室から出てこないことだ。お菓子を取りに行くとか、飲み物を取りに行くとか、いつもであればあるはずなのだが、今日は静かすぎる。今日はもう配信活動はないと言っていたし、なにかあったのではないだろうかと心配になった紗は、ラプラスの部屋を覗く

するとそこには、体調悪そうに机に伏せるラプラスの姿があった

 

紗「ラプ!!」

 

急いでラプラスに近づいて体調を確認する。顔は紅潮し、息遣いが少し荒い

額に手を当てると、明らかに紗よりも体温が高く、正常な状態ではないことがわかる

紗はラプラスをベッドに運び、ラプラスを安静にさせる。それからラプラスの携帯を借りて、唯一番号を知っているルイに電話をかける

ルイは「マネージャーには私から連絡する!私達もできるだけ早く帰るから、それまで看病頼んだ!」との事。苦しそうに息をするラプラスの額に紗は冷えたタオルを置いたり、近くに水を持ってきたりと看病をする

 

ラプラス「ん…吾輩…」

紗「ラプちゃん、具合は大丈夫?」

 

重たい目を開けたラプラスに紗は声をかける。依然顔は赤いし、体温も下がっていない

だが紗の看病の甲斐あってか、話せる程度まで回復した。まだつらそうではあるが、最初よりはましになっている

 

ラプラス「紗…吾輩、無理しちゃったのかな」

 

いつもとは違った口調に紗若干困惑する

吾輩口調から一気に女の子らしく移り変わり、口調を気にするほどの余裕はないと思える

紗はラプラスの口から発せられる言葉の一つひとつを聞きこぼさずに耳に入れるためラプラスに近づく

 

ラプラス「吾輩さ……お前は総帥なんかやめちまえみたいなこと言われてさ、もう疲れちゃったのかな」

紗「―――」

 

紗はラプラスの表情にルイの言葉を思い出した

 

――「結構繊細な子なんだよ」――

 

今ならその言葉が実感できる

それはまるで糸のように細く、ガラスのように脆い。しかし、そのまわりを総帥という誇りで囲って大事には至っていない。だが今、その誇りにヒビが入り、こんなにも苦しんでいる

ならば紗にすることは一つだけ、そのひび割れた部分を直してあげる事。

 

紗「元気だしてラプちゃん。誰がなんと言おうと、私達の総帥はラプちゃんしか居ないんだから。もし私が総帥になったら――すぐにおかしくなっちゃうもん。総帥っていう肩書きはラプちゃんにしかできないことだよ」

ラプラス「うぅっ…紗ぅ…」

 

子供のように泣き崩れるラプラスを紗は優しく抱きしめる

 

ラプラス「お前が…吾輩の――Holoxの付き人でよかったよぉ…!!!!」

 

普段言わないその言葉が、ラプラスの口から溢れ出たのであった




すいちゃんのファンアート書いてたら見なくてもかけるようになってきた
この調子で他のホロメンもかけたらいいなー


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記録:ルイと行動(ホロライブ事務所)

今日のHoloxの秘密基地はなんだか忙しいような雰囲気がある

ドタバタとはしていないが、空気が忙しいと言っているかのようにその空間を表す

ルイは紗に似合うような服を選んだり、帽子を被らせたりと、紗をコーディネートすることでいっぱいになっている

 

ルイ「これも似合うかな…」

紗「ル、ルイねぇ…忙しいよ」

 

なにかに気づいたかのようにハッとするルイは、紗に謝る

―そう、忙しい理由は2人にあった

 

本日、この基地には誰もいなくなる

だが紗1人にしておくのもどうなのかという話になったため、ルイと一緒に行動しようということであった

本日のルイの行動は、初めにホロライブ事務所へ行ってその事務所内にあるスタジオにてとある収録を

その後、事務所を出てルイの自宅にてホロライブのEnglishの子と交流するのだとか

その最初の準備として紗はルイから着るものを借りて、身なりを整えているところであった

 

ルイ曰く、女の子だし、いつも同じ服よりはオシャレとかした方がいいとの事。それにいい気分転換にもなるかもしれない

 

ルイ「帽子かぶった?鍵閉めた?」

紗「はいはいーバッチリです」

 

ギュッと深く帽子を頭に被り、鍵が閉まっていることを確認して紗はルイの方へと歩み始める。記憶を失ってから初めての外は暖かな空気と空でかなり心地が良い。春日和と言うのがふさわしいと言える心地良さだ

いつもと違うルイもそれを感じているようで、すごくいいねーと紗に呟きながら目的地へと向かう

 

周りに気をつけながら進むルイ。一応有名人ではあるため、軽度の変装はしているが、本当に気をつけなければならない

アイドルとはそういうものなのだ(って雑誌に書いてあったことを紗は思い出した)

 

しばらく道をすすむとビル街が出てきて、そのビル街の内、ひとつのビルの前で立ち止まった

 

ルイ「ここが私たちが所属する会社だよ」

紗「すごい…ですね…」

 

紗はその風貌に若干の恐怖を覚えつつルイの声に反応した

なぜ恐怖を得ているのかは、彼女も分からない。だが、心理的に拒否するのだ

 

ルイ「もしかして怖い?」

紗「はい…なんだか恐怖を感じます…」

ルイ「もしかしたら記憶を失う前にこんな感じの職場だったのかもしれないね…無理はしなくていいんだよ?」

紗「いえ…いけます。ここで逃げちゃったら何も変われない…そう思うんです」

 

紗は決意を固めルイに言葉を返す

それの決意は、記憶を失う前の彼女に紗が対抗する瞬間であった

ルイはその言葉を受け入れ、2人ともビル内部に入ってゆく。事前にルイはマネージャーに紗が今日、共に行動する旨の話をしていたため、ゲスト用証明証を入手し、事務所に行くことが出来た

 

事務所に入るやいなや、メガネをかけてリボンでうしろ髪をまとめた女性が紗に話しかけてきた

 

「あ。もしかしてあなたはルイさんが言っていた紗さんですか?」

紗「そ…そうです」

Aちゃん「やっぱりそうでしたか!私は友人A、気軽にAちゃんと呼んでください」

紗「Aちゃん―さん?」

 

紗のつぶやきにAちゃんは「Aちゃんでいいですよ」と一言。悪い人ではないようだと紗は思う

話を聞けば、ルイのマネージャーがルイ経由で紗の話を話していたのだとか。すべてというわけではなく、ルイが感じた紗の雰囲気や人のことをよく見ていることなど、好評的な話になっているようだ

―その話に嘘はなく、また誇張も一切入ってない。少し話をしたAちゃんは、聞いていた話通りの可愛らしい子だなと、本人が望めばホロメンにもなれそうだなとちょっと思った

 

Aちゃん「まぁ話はここまでにしておいて…ルイさん、スタジオの準備はできてますので、準備ができたら行きましょう」

ルイ「わかりました。ちょこ先輩とあやめ先輩はもういらっしゃいますかね?」

Aちゃん「あやめさんはもう来てますが、ちょこ先生は…まだ来てないみたいですね。ちょこ先生のマネちゃんに確認してみます」

 

ルイは了解したとの意思を表し、紗も一緒に楽屋に行って良いかとAちゃんに聞く。回答はYES。理由としては、Holoxだけでなく、他のホロメンにも触れ合ってほしいからだという。そのほうが心のリラックスにもなると予想され、いろいろと良いと思われるから…とのこと

 

紗「ありがとうございます…Aちゃん」

Aちゃん「うん。記憶がなくて大変かもしれないけど、私たちはいつでも協力するからね」

紗「はい――本当にありがとうございます」

 

Aちゃんにお礼を言ってから先をゆくルイについていく

その姿を後ろから見続けていたAちゃんは彼女について思う

―どのくらい厳しい環境に居たのかはわからない。だけど、新しい環境は以前のようにはさせない。否、ならないだろう。ホロライブはきつくはあろうとも楽しい場所だ

 

「Aちゃんさん―――」

Aちゃん「のどかさん。どうかしましたか?」

 

Aちゃんはホロライブ新人スタッフの春先のどかは、先輩であるAちゃんに声をかける

 

のどか「さっき噂の子…来てましたか?」

Aちゃん「来てましたけど、もう行っちゃいましたよ」

のどか「えっ?!私もお話したかったんですが…」

 

ちょっと残念そうにつぶやくのどかにAちゃんはすこしふふっと笑いつつも、またすぐに会えるだろうと先輩として威厳のあるような回答をした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タレント控え室

 

ホロライブ事務所の一角にはスタジオも入っている。本日、スタジオにて収録がある。そのスタジオで収録するタレントたちの控え室に、一人の少女がポリポリと煎餅をちいさな口で食べていた

―ちょこ先生とルイちゃんこないなーと思う彼女はぼーっと空を見つめていた

 

「まだかなー」ポリっ…

 

少女の声と共に煎餅を食べる音が響く

ここで待ち続けて早5年。嘘。そんなにはたっていない。だが、待ってる時間は多いと思っている

時間オーバーしているのでは無い。ただ彼女が早く来すぎてしまっただけの事。あいにく暇を潰せるお菓子があるため、待つのは苦ではなかった

 

「そういえば今日、ルイちゃんが"子供"連れてくるって言ってたなー!どんな子か楽しみ―!」

 

彼女はそう言って置いてあるペットボトルのお茶を1口飲む

その時、控え室の扉がガチャリと開き、ルイと紗が一緒に部屋に入ってきた

彼女はルイと挨拶を交わしてから、そのそばにいる紗に目を向けた

 

「…ルイちゃんの子供って結構おっきいんだね」

ルイ「…子供?」

 

不思議そうに首をかしげるルイに彼女は再び問う。「え?その子はルイちゃんのお子さんなんでしょ?」と

するとルイは違う違うとその質問に意義を唱える。紗はルイの子供ではなく、Holoxで保護している子であることを明かす

――というより、ルイははっきりと言っていたはずだった。前日に明日はHoloxで保護している子が一緒に行くかもしれないと言ったはず。しかしなぜかそれを彼女はルイの子供と勘違いしている

 

ルイ「…あやめ先輩、この子はHoloxで保護している子って言ったはずですが――」

あやめ「あれっ?!そうだっけ?!ごめん余。余、勘違いしてた」

 

あやめと呼ばれた少女は、えへへと頭をかく

 

ルイ「改めまして…紗、こちらは私の先輩の百鬼あやめ先輩です」

あやめ「はじめまして。余は百鬼あやめ。よろしくな」

紗「はい。よろしくお願いします…」

 

紗はペコリと頭を下げる。あやめは少し緊張したのが解けるように下を向いてしまった

あやめは沙花叉のように初対面の人にガツガツ行けるほどのコミュ力が乏しい――というよりは、人見知りであるため、今紗にどんな言葉をかければいいのかわからなくなっている

対する紗も、あやめと似ており、身知らずの他人と盛り上がることは少し難しく感じている。時間をかければ、普通に話ができるようになるのだが…

 

――この子と仲良くしたいな―――

 

二人は口には出さないが、同じ事を思う

この人と仲良くしたい―だが、仲良くなるための話の材料がない――

 

ルイ「それじゃ、私は一旦着替えてきますね」

 

そのままルイは控え室を出ていってしまった

―取り残された二人は、なんとも言えない雰囲気が漂う

 

二人((なにか…話す内容を―――))




ということで、二人が話す内容をアンケートで決議します!
多かった順にやってきます



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記録:幕間【急げ!ちょこ先生!】

あやめと紗のアンケートを後から追加したため、まだ投票できていない方も多いと思いますので、直接ストーリーには関係しない幕間(ホロぐら)みたいなものを書きました
次の話で、アンケートを反映させますので、投票よろしくお願いします。他にも2人に話して欲しい話題などがあれば感想でお願いします


暖かな温もりの中、1人の女性の耳には耳障りな音が鳴り響く

 

「ん………」

 

ぼやけた視界で彼女―癒月ちょこはスマホを探す。枕元に置いてあるスマホを手に取ったちょこは、すぐさま目覚ましを消し、その次にTwtterを開いて自分が起きたとの報告の呟きをする

 

癒月ちょこ@ホロライブ✓⃝

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛

 

これが癒月ちょこの日常

次にすることは朝食を食べる…今日は比較的ゆっくりとできる日であるため、気張る必要は無い。ベッドからでて1度背伸びをする

―今日は何を食べようか。簡単なものでもいいかと様々な考えを巡らせながらキッチンに立つ。考えが決まったところで冷蔵庫からそれを作るための材料を取り出して、料理の準備を開始する

 

ちょこ「ふふん♪ふんふんふーふふふふ〜ん♪」

 

鼻歌を歌いながらご機嫌に料理を始めるちょこは、自分の携帯から流れる着信音に気が付いていなかった

その着信が、かなり重要な話であったのに

 

ちょこ「よし。いただきます」

 

パクパクと作った料理を口に運ぶ

寝起きで若干頭が働かないが、ご飯を食べるとそれが一気に活性化されてスッキリとした気分になる

―食べ終わったちょこはスマホを確認し、そこに自分のマネージャーからの通知がかなりの量溜まっていることにやっと気がついた。「もしかして私…」と思ったちょこはすぐさまマネージャーに連絡を取る

繋がるや否やすぐにちょこはすみませんと謝る

 

ちょこ「すみません!」

マネ「ちょこさん!今日公式番組の収録ですよ!もう時間なっちゃいます!」

ちょこ「え…?番組収録は明日――」

 

電話を片耳にカレンダーを確認する

カレンダーにはご立派に今日の日付に大きな丸が何重にも書かれており、しかも公式番組収録!!!!と大きく書き付け足してある。自分が忘れないようにわざと誇張して書いてあったのに気づかなかったのだ

それを見たちょこは青ざめる。もう時間がない。いつものガチぃ?なんて言ってる暇などない。ちょこはまるで驚かされたアヒルのように動きを早め、事務所まで急ぐ

 

ちょこ「急げ…ええと…ちゃんと帽子被って…衣装もって…鍵閉めて…!」

 

焦る――なにか忘れている事があるかもしれないが、今は一刻を争う

公式番組収録に遅れてしまったら、その後全ての事柄が遅れてしまう可能性がある。それは一緒に収録するルイやあやめもそうだが、それ以外のホロメンにも影響が出かねない。それだけは忌避したい

そう思いつつ、ちょこはタクシーを捕まえて急いで事務所の住所を伝えた

 

「お嬢さん、お急ぎかい?」

ちょこ「はい―!急いで行かないと―!」

「なら任せな。このししろタクシーはお急ぎの人には優しいんでね。お嬢さん、しっかりと捕まってなよ!」

 

長く白い髪を持つ運転手は巧妙なドライビングテクニックで急発進し、スルリスルリと車の間を縫うように走る

どこかで見たような運転手のその姿にちょこはある人を思い出す。もしかしたら思い、運転手に「あなたはもしかして――獅白b――」と質問するも、運転手は「お客さん、私達は個人情報を大事にするんでね。そこは教えられないよ」とはぐらかされてしまう

―すると突然隣に、海賊のコスプレをした女性が三輪車をこいで追いついてきた

 

「久々だなボタンレーシング!だが、このマリンバイクに勝てるかな!」

ちょこ「マリン様だよね?!なにしてるのよ?!」

「マリン?知らない名前だね。それよりもお嬢さん、このマシンよりも早いマリンバイクに乗ってかない?☆」

ちょこ「でもそれって三輪sy――」

「だから何だってんですか(怒)!?誰だって?最初は?三輪車から始まるでしょうがぁぁぁ!!!!!」

 

予想外の怒りにちょこは少し困惑する

―この人はマリンであってマリンじゃない。あくまでマリンバイクに乗ってる人というていで話を進めよう

しばらくして、突然タクシーの窓が誰かに叩かれる。それも運転席ではなく、ちょこが乗っている真横のドアだ

ちょこは気になり、窓を開けると、そこに居たのはダンボールで作られた子供が遊ぶような電車があり、そのダンボールを掴みながら走る、星街すいせいの姿があった

 

ちょこ「す、すいちゃん?!」

「はぁーいそこのちょこ先生、勝手にちょこ先生を取られてご機嫌ななめなすいせい列車に乗ってかない?✩.*˚」

ちょこ「ちょこが悪いの?!」

「うーん…悪い✩」

 

罪を擦り付けられた(?)ちょこは若干の恐怖を覚え、すいせい列車に乗るのは少し遠慮した

すると、後ろの方からちょこの名前を呼ぶ声が聞こえる。振り返ってみると、真っ黒な人がバイクに乗ってちょこのことを追いかけて来ている

 

ちょこ「あなたは誰…?!」

「余だよー!ちょこ先生!助けに来たぞー!」

 

真っ黒な人の正体は、なんといつぞやのホロぐらで見た日焼けで焦げたあやめであった

なぜ服まで焦げるのかは、彼女しか知らない。というよりなんだか色々とおかしいような気がするとちょこは感じる…

獅白ぼたんに似た運転手に、宝鐘マリンのような謎のマリンバイク。すいせい列車と名乗る星街すいせい。そして真っ黒な百鬼あやめ…

もしかしたらこれはホロぐらなのではないかと思ってしまう

 

「ほう…最速が集まっているのか。ならば私も参戦するッ!」

「「お前は――!!」」

 

4人は突如聞こえた声に一斉に反応する。そして一点を見つめ先には、ビルの上に立つ白い影…

 

「―サイソクノフブキング!!」

「いかにも!とうっ!」

 

サイソクノフブキングと呼ばれた白い影はビルから身軽に飛び降り、空中でサーフボードのようなものに飛び移り、空中を飛びながらみんなの傍に寄ってくる

サーフボードに立つその姿は、紛れもない白上フブキであり、更にちょこは困惑する。これは夢なのか現実なのか―果てはホロぐらなのか

事実は分からないが、その5人で勝手に話が進んでゆく

 

「サイソクを決めるにはいち早く、ホロライブマウンテンの頂上にたどり着くこと!受けるかい?」

 

サイソクノフブキングの声に反応して、みんなそれぞれの意見をバラバラに言う。だが、一貫して揃った意見なのは、全てその挑戦に前向きということ

 

「ならば!次の歩道橋をすぎたらスタート!行くぞ…!」

ちょこ「ちょっ待って!ガチィ?!ちょこ乗ってるんですけど!待っていやァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

今までとは洒落にならないほどのスピードを出してスピードを争いあう。ちょこを乗せた車たち(?)は地平線の彼方へと消えていってしまった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょこ「…はっ?!」

 

目覚めたちょこは今自分がどこにいるのかを確認する

ここは自室であり、ちょこはベッドの中にいる。つまりは今までのは全て夢であった

安心したちょこは、Twtterを開き自分が起きたことをみんなに知らせる呟きをする。次に朝食を作り、今日の予定を確認する

 

ちょこ「今日は……あ!!!」

 

カレンダーに書かれた予定にちょこは驚愕する

そう。今日は公式番組収録日であり、若干今からでは遅れてしまう可能性がある。気づいた直後にマネージャーからの電話が来て、ちょこは焦って準備をする

 

ちょこ「えっと…バック持って…帽子被って…衣装持って…鍵閉めて―!」

 

急ぐちょこはタクシーを捕まえて、事務所の住所を伝える

すると運転手は…

 

「お嬢さん、お急ぎかい?」




私的にししろタクシーに乗ってみたい…!


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記録:人見知りな2人

アンケートありがとうございました!
仲良くなる紗とあやめの話を見ていただければ幸いです!



ホロライブ事務所にある一室の控え室。本日、その控え室には何とも言えない空気が漂っていた

そこにいるのはホロライブ二期生の百鬼あやめとHoloxの付き人の紗、二人のみ。二人は話しかけたいが、話す話題も思いつかないし、話す勇気が出ない。そのため、なんとも言えないような雰囲気になっているのだ

 

あやめ「…な、なぁ紗ちゃん」

 

勇気を出したあやめは必死に考えついたことを紗に伝える

 

あやめ「紗ちゃんはなんでHoloxにいるんだ?」

紗「えっと…記憶を失って…」

あやめ「そ、それはすまんかった…」

 

聞いてはいけないようなことを聞いたと思ったあやめは謝る

それと同時に失敗したなとも思う。「そうか、それは大変だったな」と励ますような言葉を選べばよかった。好感度が下がってしまうのではないかとあやめは心配するが、紗の方はそんな事は考えておらず、どうにかして話題を探すのに精一杯であった

―ふと、あやめが座る机の上に食べかけのお菓子や食べ終わったお菓子のからなどが散乱していることに紗は気づき、あやめはお菓子が好きなのかと思った紗はそれを聞く

 

紗「あやめ…さん」

あやめ「な、なんだ?」

紗「お菓子何が好きですか?」

 

突然すぎたのかあやめは少しポカンとする。紗は突然過ぎたかと少し胸がドキドキする。これぞ縄文ドキドキ――あれ?ルイの影響を受けてしまったのかなと紗は思った。突然ギャグを言うようになってしまうのは少し…

あやめはポカンとした顔から少しニコッと変わり、紗の質問に答えた

 

あやめ「余は結構お菓子好きだぞ!今日もお菓子に助けられたしな!」

紗「そうですか…どんなお菓子が好きなんですか?」

あやめ「和菓子も好きだけど、洋菓子も好きだな。ドーナッツとか、煎餅も好きだぞ!」

紗「ドーナッツ…!つい最近、ドーナッツを作る練習してるんです!今度良ければ味見とか…お願いできますか…?」

あやめ「え?!良いのか?!」

 

キラキラとした目で紗のことを見るあやめを、紗はとても可愛らしい方だなと心から思う。というよりはなんだか小さな子どものようで、ラプラスにもすこし似ていると感じる

―紗はあやめの問いに「当然ですよ。もっと仲良くなりたいので」と答えると。あやめは「やった〜♪やった〜♪」と上機嫌になった

二人の好感度は少し上がった

 

次はどんな話をしよう…

 

あやめ「紗ちゃん、ルイちゃんって普段どんな感じ?」

紗「ルイねぇは普段しっかり者ですが、たまにおっちょこちょいですよ?この前は砂糖買ってきたって言ってたのに手に持ってるものは小麦粉だったし…メガネどこか行ったと言っていたのに胸ポケットに入ってたりとか…」

あやめ「あははっwwwwやっぱルイちゃんはホントのオフでもそんな感じなんだ〜」

 

にこやかに笑うあやめ。かなり打ち解けてきたのではないかと二人は思う

だが、まだ気軽に話せるまで少し時間がかかりそうだ

 

次の話は…

 

紗「あやめさんは―」

あやめ「あやめちゃんでいいぞ!」

紗「あやめちゃんは好きな料理とかってあります?」

 

紗は得意な料理関係の事を話題に出した

基本的に紗はなんでも作れる。ルイといろはの教え有っての賜物だが、最近は進んで料理を作っている。ラプラスの突然な要望に答えるようになるためには、何でも作れるようにならなくてはならいと紗は思っている

するとあやめは少し考えてから答えた

 

あやめ「ハンバーグとかオムライスが好きだな〜」

紗「ホロの人ってオムライス好き多くないですか?ラプラスも好きだし―」

あやめ「そうなんだよねー」

紗「オムライスもハンバーグも作れますよ?私」

 

その言葉を聞いたあやめはまた目をキラキラさせて、「食べたい☆」と子供のようにせがんでくる

なんか本当に子供のような感じが…しなくもない

「今度作りますので、Holoxの基地に来てください」と紗がいうと、いくいく!と元気よく答えた

 

あやめ「やばいな。紗ちゃんと話をしていると、どんどんすごいところがわかってくるな!余のお家に来てくれないか?!」

紗「えへへ…ありがとうございます。でもまだ私はHoloxの付き人ですし…まだHoloxの皆さんに感謝を返しきれてないですから、またの機会に…」

 

そうかとつぶやくあやめはやってもらっているばかりではいけないと思ったのか、今度は紗が知りたいことを教えてあげると言われた紗は少し悩む

―何を聞こうか。どんな話が聞きたいのかと。そう考えていくうちに、自分はまだ知らない事ばかりであるということに気が付き、せっかくならばホロライブのことを聞こうと思った

 

紗「ホロライブのことを教えてくれませんか?」

あやめ「わかった!うーんとね…余もわかんないことあるけど、できるだけ頑張る余!」

 

そう言ってあやめはホロライブのことを話し始めた

さすがルイの先輩という事もあって、ルイの知らない事情もかなり詳しいところまで教えてくれた

ホロライブにはYAGOOという人物がいることや、海外で活躍するホロライブENやホロライブID。そしてホロライブには○期生というのが存在するという話を聞くことができた

 

紗「あやめちゃんは何期生なんですか?」

あやめ「余は二期生!他にもシオンちゃんやあくあちゃん、ちょこ先生やスバルもいるんだぞ!」

紗「スバル姉さんもあやめちゃんと同じ…」

あやめ「スバルとあったことがあるのか?」

 

不思議そうに聞くあやめに紗は自分の名前の秘密を教える

そしてその名前が決まった時の話もすると、あやめはへぇースバルが。と口に出して驚いていた

 

あやめ「確かにスバルは頼りになるな!二期生の中で一番しっかりしてるって言っても過言じゃ無いし、企画の進行とか司会やってくれるんだよね」

紗「スバル姉さんやっぱりすごい―!」

あやめ「うんうん」

 

共感する二人は仲睦まじい雰囲気を作り上げ、最初の気まずい空間など虚空の彼方へと消え去ってしまった

話は盛り上がり、次に話題に上がったのは六期生―つまりHoloxのことであった

その内容は他愛のないものもあれば、コラボとかしたいなどの配信関係の話もあった

 

あやめ「風真ちゃんと今度、真剣勝負したいなー」

紗「剣の鍛錬ですか?師匠も喜ぶと思いますよ!」

 

その言葉にあやめはまたキラキラと目を輝かせる

 

あやめ「ほんと?!―そう言えば風真ちゃんのこと師匠って呼ぶんだね」

紗「そうですね〜私に剣のことを教えてくれているので、師匠は師匠です」

あやめ「つまり紗ちゃんとも戦うことができるってことか!よし、そうとなったら余が実践練習するぞ!」

 

がちゃりと扉が開く

そこには衣装に着替えたルイとちょこが立っており、部屋の雰囲気をみた二人は、子供を見るお母さんのような感情になる。「どうなっているかと不安だったけど、仲良さそうでよかった」そのようにルイは語っていた

しかし紗とあやめは話に夢中で二人が入ってきたことに気づかない

―この調子で他のホロメンとも交流することができれば、心身的なストレスは軽減でき、今よりも楽しく生活することができるだろう

 

ちょこ「紗ちゃん、かなり回復してきているわね」

ルイ「そうですね。でも記憶はまだ回復していないみたいですよ」

ちょこ「ストレスを感じさせないように、私たちも気をつけて生活しないと――」

ルイ「そこまで深く考えなくてもいいと思いますよ?」

 

ちょこの話を遮ってルイは話を始める

 

ルイ「自然の―ありのままの自分で接してあげたほうが、彼女にとっていい影響を与えると思います。あやめ先輩みたいに」

ちょこ「――そうね。それが一番いいわね」

 

二人の声は優しくその空間に伝わる

―人見知りで緊張が伝わっていた二人がこんなにも打ち解けあった今日を、その場にいるものは忘れることは無いだろう



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記録:エリートの会社見学案内!だにぇ!

ルイ「――それじゃ、収録に行ってくるから待っててね」

あやめ「後でいっぱいお話しような〜!!」

紗「はい!頑張ってくださいね!」

 

番組の収録に行ってしまった三人の背を紗は寂しく思う

これから何をしようか。ルイが帰ってくるまですることはない。Holoxの基地であれば、掃除や洗濯物を片付けたり、ラプラスにご飯を作ったりと、することはたくさんあるのだが、今はホロライブ事務所だ

なにか書くものとかあれば良いのだが…

―と悩む紗がいる部屋に、一人の女性が入ってきた

 

「にゃっはろー…ってあれ?もしかしてみこ、部屋間違えちゃった?」

 

ポリポリと頭を掻くピンクの髪の女性は、部屋を見渡した時に紗に気づき、誰だろうと不思議に思って近寄ってくる

紗からしたらいきなり入ってきて近寄ってくる謎の人物。少し恐怖に思いつつその女性の様子をうかがった

 

「きみ…もしかして―新人スタッフさん?」

紗「いや…私は――」

みこ「多分そうだよにぇ?!私はさくらみこ!ホロライブ0期生のエリートだにぇ!」

紗「ど、どうも…じゃなくて私はスタッフじゃ―」

 

みこと名乗る人物は、紗に近づき手を取った

 

みこ「多分まだ事務所の事全然知らないよね?みこが案内してあげるよ!」

紗「えっ―ちょっと―!」

みこ「まかせなっ!このエリートみこにかかれば、猿でも理解できる!」

 

そう言ってみこは紗の手を取って部屋を出る

その行動に紗は若干困惑し、新人スタッフだと勘違いしているであろうことを弁明する。しかし、みこはそのことを聞いておらず、ずんずんと先に進んでいく

紗はその行動を嫌とは思わなかった。逆に少し楽しくなり、この際に事務所のことをもっと知ろうと頑張ることにした

 

やがてみこは部屋の前で立ち止まり、その部屋の説明を始める

 

みこ「ここは動画編集者さんたちが頑張るところ!みんなみこみたいにエリートなんだにぇ」

紗「みこさんも動画を編集したりするんですか?」

みこ「みこは――どっちかっていったら”される”側かな?でもホロライブの宣伝とか、様々なことをしてくれるんだよ。さて、つぎにいくよー!にゃっはろ〜♪にゃっはろ〜♪」

 

ご機嫌に進むみこに紗は大人しくついていく

このごきげんな感じを邪魔するのもいけないと思い、みこが歌う歌を鼻歌ながらに繰り返す

 

次に止まったのは事務所の中の事務所みたいな場所であった

 

紗「ここは何をする場所ですか?」

みこ「ここはにぇ…なんて言ったらいいのかな…ドラマを撮る場所だね」

紗「ドラマ…?」

 

ドラマ…?とつぶやく紗にみこは説明をする

ホロライブには毎週日曜日の午後に配信しているホロぐらというドラマのようなものがあり、ホロライブタレントの日常のような物語を作って配信しているのだそうだ

その撮影スタジオとなる場所がこの部屋であり、爆発したり、宇宙に飛ばされたり、怪奇現象が起こったりするのだそう…

 

紗「―えっ?爆発するんですか?」

みこ「そうだね。爆発するにぇ」

紗「宇宙に飛ばされる?」

みこ「火星人と仲良くなったホロメンもいるにぇ」

紗「怪奇現象が起こる…?」

みこ「2002のメガネは怖かったにぇ〜」

 

わけが解らなくなる紗にみこは「そういうもんだ」と声をかける。そして「ホロぐらは――誰も見たことのない未来だ―」と名言のような迷言を残して一緒にその部屋をあとにした

次に向かうのは収録スタジオ。現段階でルイたちが収録しているところだった。収録スタジオに他にも、歌唱収録スタジオ、料理用スタジオ、クイズなどのバラエティー番組を収録するためのスタジオなどがある

説明している時、みこが来たのは歌唱収録スタジオだった

 

みこ「にゃっはろー!」

「ようみこち」

 

歌唱収録スタジオにいたのは、青い髪ですこしかっこいい女性であった

青い髪の女性はみこと同じように不思議そうな目で紗のことを見る

 

「この子…だれ?」

みこ「紹介するにぇ!こちら新人スタッフの――」

「新人スタッフの?」

みこ「スタッフの―…名前聞いてなかったにぇ」

 

おい!と青い髪の女性はみこにツッコミを入れる

紗は簡易的に自己紹介すると、青い髪の女性はすぐに分かった。「この子は新人スタッフではない」と。新人スタッフなのであれば、Aちゃんも話をするだろうし、のどかも話をするから

―大方、みこに巻き込まれたHoloxの関係者だろうと

 

すいせい「私は星街すいせい。”大変だろうけど”、頑張って」

紗「はい。ありがとうございます」

みこ「じゃあ次いくよ〜じゃあねすいちゃん!」

すいせい「またな〜みこち」

 

すいせいは二人の行く先を見届ける

―紗と名乗った少女はみこに連れて行かれていて大変そうだが、その表情にはなんだか楽しそうな感情も含まれており、みこに本当のことを伝えようと思ったが…とすいせいは一人ながら思う

Holoxにあんなに可愛い子がいるとは予想外であったし、今度機会があれば――もっと話をしたいなとふっと笑い、すいせいは自分の収録に戻った

 

 

 

みこ「次はこの部屋!」

 

案内された部屋は社長室と書かれており、なんだか少し圧迫感のある扉であった

だが、その扉に吊り下げられている札を見ると、そこに書かれていたのは「YAGOOは今いないよ!」と少し可愛らしいような字で書かれていた

 

みこ「あれ?YAGOOいねぇじゃん!」

紗「やごーってもしかして…!社長さんですか?!」

みこ「そうだよ。」

 

みこは何故か誇らしげに胸を張って答える

その様はまるで自らが社長であるかのようであった

 

みこ「YAGOOはホロのTOP!そしてすごい人でもあるんだ〜!でも今日いないのか…残念」

紗「あの…やごーさんって本名なんですか?それとも愛称?」

 

不思議そうに聞く紗にみこは優しく説明する

YAGOOの本名は谷郷(たにごう)であり、それを読み間違えたスバルがやごーと呼びはじめたのがきっかけだということ。本人はそれが嫌ではなく(推定)親しみやすくて良い(憶測)との事

―それを聞いた紗は、スバル姉さんって凄すぎない?と思った

 

みこ「YAGOOいないんなら別のところに行くか―」

「あれ?みこさん、紗さんを連れて何をしていらっしゃるんですか?」

 

突然話しかけてきたのは、紗があやめと話す前にルイと一緒に会ったAちゃんであった

 

みこ「Aちゃん、この子のこと知ってるの?まっそれはそうだよね。新人スタッフさんだも―」

Aちゃん「え?何を言ってるんですか?紗さんは新人スタッフではありませんよ?」

 

Aちゃんの話を聞いたみこは硬直する。そしてAちゃんの言葉、新人スタッフではないという言葉がみこの脳内を駆け巡る

紗が新人スタッフではない。ならなぜみこは自信満々に事務所のことを案内したのか?もしかしたらみこはまずいことをしてしまったのかもしれない!

そう思うみこにAちゃんは紗のことについて説明する

 

Aちゃん「紗さんはHoloxで生活している方ですよ?今日はルイさんの収録に一緒についてきてもらってます」

みこ「す、紗ちゃん?それってほんとなの?」

紗「ホントも何も最初に言いましたよ!私はスタッフじゃないって!」

 

それを聞いたみこは目を丸くする

 

みこ「まじか…テンション上がりすぎててみこ、聞いてなかったかも。ごめん…」

紗「大丈夫ですよ私も楽しかったですし、それも―案内が上手だったからですね」

みこ「―――…」

 

紗はみこに向かってニコッと微笑む

その笑顔にみこは目を奪われ、少し胸がキュッとなる。それはまるで、後輩から心から感謝された時と非常に似ている。普段みこは先輩として頑張っているが、態度か分からないがリスナーやホロメンから舐められることも多々ある

だからこそ心からの感謝はとても胸に来るのだ。しかも本人たちも普段からみこに感謝はしているのだろうが、言葉には出さない。故に言葉でちゃんと感謝されるのは、すごくうるうるする

 

紗はそのままAちゃんに連れられその場を後にした

残されたみこは、紗に言われた言葉を胸の中で復唱する。「案内が上手」その言葉だけでみこは今日を生きることが出来るかもしれない。だが…

と、そんな考えているみこの方を先程まで歌唱スタジオにいた星街すいせいからポンポンっと叩かれる

 

みこ「うわぁぁぁぁ!!!」

すいせい「なんだよwwそんなにびっくりすることしてないじゃん」

みこ「だって急に肩叩くんだもん!」

すいせい「じゃあゆっくり叩いた方がよかった?みーこーちー…!」

 

すいせいはわざとゆっくりみこの名前を呼ぶ

みこはふざけんなよおめぇと仲良さげに話し合う

 

すいせい「それで?なんでぼーっとしてたんだよ」

みこ「あの子…」

すいせい「あの子って…さっきまでいた子のこと?」

 

みこはうんと頷き、ぼーっとしていたわけを話す

ー簡単に話すと、相手の同意なしに勝手に会社を見て回って、本当は嫌だったんじゃないかということだった

最後はお世辞で、実際は嫌だったのではないか?そんなことを考えるみこをすいせいは一刀両断した

 

すいせい「そんなに考え込まなくても良くない?楽しかったって言ってるし」

みこ「でもでも…」

すいせい「それにさ、さっき私のところに来たけど、無理している様子はなかった。逆に楽しそうだっよ」

 

すいせいはそう言ってみこの方をむく

そしてみこの顎に触れて安心しなよと一言言うと、みこはトゥンクと胸がなるのを感じた

―すいちゃんとはビジネスパートナー。そういう感情を持ってはいけない。だがこの気持ちはなんだ

 

みこ「すいちゃん…みこ―」

すいせい「ごめんなさい」

みこ「なんで?!?!」

 

すいせいの口から淡々と発された言葉にみこは衝撃を受ける

いや、もともとすいせいはひとつの結末にしようとしていたのかもしれない。だが、それでいい。星街すいせいとさくらみこの関係は今のままがベストだ

小さいと言われようと、赤ちゃんと言われようとそれは変わらない

 

すいせい「話は戻って…私の言ったことは事実だよ。じゃなきゃ、あんな真剣な目で回りみないもん」

みこ「そっか…そうだよね!ありがとすいちゃん!お礼におにぎりあげたいんだけど、2つあるんだよね。じゃんけんで勝ったらこっちあげる」

すいせい「いや、選ばせてくれないんかい!すいちゃんね、じゃんけんすると爆発するんだ」

 

そんな他愛のない(?)話をしながら2人は部屋へと戻っていく

エリートの会社見学案内はここまで〜ここまで〜




最後の方はもうMicometなんですが


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記録:ルイのお家で初めてのこと

お久しぶりです。休みに入っちゃうと創作意欲がゲーム欲に負けちゃうね☆
マジですみません…まだ休みは続くんですが、頑張って執筆していきたい…!


収録が終わり再び控室に戻ってきたルイは、身支度を整えて紗と共に事務所をあとにする

紗はすこし心残りのような悲しい感情があるが、次に行く目的地に期待を馳せて進んでいく

 

途中、近くにあったスーパーに立ち寄り、さまざまな具材を買い物かごの中に入れていく

詳しく説明すると、エビやホタテなどの海鮮物もあれば、キノコやナスなどの野菜類(厳密にはキノコは野菜ではないらしい)も入っている。一貫性がないその食材たちをみて、紗は何を作る気なのかと不思議に思う

 

紗「ねぇルイねぇ、何を作ろうとしてるの?それともストック用?」

ルイ「それもあるけど、今日これからのオフコラボの食材。色々作りたいものとかあるしね〜」

 

そう言ってルイは次々に食材を買い物カゴに入れてゆく

天ぷら粉や蕎麦…お好み焼きの粉やたこ焼き粉と様々なものも追加でどんどんカゴが埋まっていく

―本当にルイは何を作ろうとしているのだろうか。紗は気になって気になって仕方がないが、それをルイ本人に聞くのはなにか負けたような感じがして聞きづらい

 

とにかく、様々なものを作るのだということだけを頭に入れて紗はスーパーを出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いて、ルイの自宅についた

 

ルイ「さっ、上がって」

 

買い物袋を携えながら、ルイは紗に向かって声をかける

ルイの部屋はかなりキレイに掃除されており、Holoxのルイの部屋とほぼ変わりはなかったが、強いて言うなら女の子らしいといった点だろう

部屋の香りも森林のような心地の良い香りになっており、生活臭(?)というものは一切なく、この場にいて不快感は一切ない

 

例えるならHoloxの部屋は仕事用であり、この自宅は完全に私生活だと言える

 

紗「ルイねぇの部屋、結構可愛いね」

ルイ「そ、そんなこと無いでしょ?普通だよ」

紗「いやいや可愛いよ。少なくとも沙花叉よりはね」

 

沙花叉の部屋はものすごい……女の子といって良いのかというほど散らかっている

スボラで面倒くさがりなのか彼女の性格的にそうなってしまうのかわからないが、掃除屋の称号を(仮)をつけて変更したほうが良さそうなほどまである

それに比べれば――というか比べるベクトルが違うから比べるのは失礼か

 

すこし照れたルイは茶化しながら買ってきたものを冷蔵庫に入れていく

その途端、ルイの家のインターホンが鳴り響いた

 

ルイ「もう来たのかな?出てくるから待っててね」

 

そう言ってその場からルイは離れ、紗はルイの後を継ぐかのように冷蔵庫に買ってきたものを入れる

冷蔵庫の中も部屋同様に綺麗に整頓されており、どこに何が入っているか、どのようにしまえばいいかなど簡単にわかるようになっている。紗はそれに従って買ったものを入れていく

―その作業を始めて数分後。ルイを含む複数人の楽しそうな声が紗のもとに近づいてくる

扉の先に見えルイの姿。しかしその姿の後ろに、ルイよりも高い身長のシルエットが見える。紗から見たらルイも相当高い身長ではあるが、それ以上の高身長はちょこ先生しかみたことがない。故に若干怖さもある

 

紗(仲良くできるかな…)

 

あやめやみこと関わったことによって、以前よりも知らない人と関わることに対する恐怖は薄れてきたが、仲良くできる自信がない。ましてや海外の子となれば、言葉は通じない可能性もあるし、話題が合うかどうかもわからない

―扉が開き、ルイとともにその姿が露わになる。ルイよりも身長が高い女性は、整った顔立ちで蒼めの長い髪が左右にゆらゆらと揺れる。それと同時に彼女のたわわなものも揺れる。それをみた紗は――

 

Is this Luis' child?(この子がルイの子供?)

 

彼女は英語でルイに話しかける。もちろん、紗にはその内容がよくわからない。しかし、その仕草、表情から紗のことが気になるという感情が見て取れる

するとその背後からひょっこっと、赤い髪にところどころ白や黒の髪の毛が混じった小さな少女が顔を出した

よく見ればその少女には、こよりともぽこべぇとも違う可愛らしい耳が生えており、その耳に挟まれる真ん中に可愛らしいネズミのような動物がつぶらなひとみで、こちらを見ていた

その小さな子は、身長の高い女性に英語で話しかける

 

Kronii, (クロニー、)aren't you going to(今日は日本語で) try your best in Japanese today?(頑張るんじゃないの?)

Oh! That was it!(あ!そうだった!) Hmm.(えっと)..』

 

 

身長の高い女性はどぎまぎしたような表情を見せながら言葉を発した

 

クロニー「私は…えっと…オーロ・クロニー…です。えっと…日本語は…なれないけど、よろしくね」

ハコス「ボクはハコス・ベールズです!べーって呼んでください!紗ちゃんのことはルイからいろいろ聞いてます。えっと、ボクは日本語も喋れるので、仲良くなりたいです!」

 

クロニーとハコスは紗に挨拶をする。そして紗もまた2人に挨拶をする。英語は分からないが、仲良くしたいという気持ちがあれば言葉の壁など軽々と超えて行けるはず

クロニーの身長は、紗が見上げなければいけないほどで、ハコスの身長は紗よりも小さかった

 

ルイ「…あ!あれ買ってこようと思ってたの忘れてた!」

 

ルイは突然何かを思い出し、外へ出る準備を始める

3人はついて行こうかと提案するも、すぐ近くだから待っててと3人をこの場に留めた

―ルイが再び買い物に行って、静まるこの部屋。何せ初対面だし、話題も何を言えばいいか分からない。話したいのに

と、そんなことを考えているとき、クロニーが紗に話題を振った

 

クロニー「紗…」

紗「な…なんですか?」

クロニー「えっと…好きな食べ物は…なに?」

 

クロニーは高鳴る鼓動を抑えながら言葉を発する

海外の人は陽気な人だろうと勘違いされやすいが、実際のところ日本と同じような感じらしい。陽気な人は陽気だし、陰気な人は陰気だそうだ

べーを陽と仮定するならば、クロニーは陰の部類なのかもしれない

紗はクロニーに聞かれた質問に答える。「パッと思いつくのはオムライス」だと

 

クロニー「オムライス!いいね!」

紗「クロニーさんは何が好きですか?」

クロニー「私はいろんな食べ物が好きだけど…えっと、たこ焼きとか…寿司とか…私のおばあちゃんの作ってくれる日本の食べ物が好き」

紗「おばあちゃんは料理得意なんですか?」

 

クロニーは自分のおばあちゃんのことを話す。紗の話し方なのか、クロニーはかなり話しやすいと感じている。紗の相手に対する表情や質問のライン、そのほとんどが素晴らしい物であった

あまり触れたくないような内容には触れず、極めて快適な空間になっている

紗はそれを意識している訳ではないが、自然とそのラインを見極めて会話をしている

 

紗「べーさんはどんな食べ物が好きなんですか?」

ベー「ボクも日本の物好きだけど、特に好きなのはコンビニの焼き鳥(鳥皮)ですね。あれがお酒とよく合う……――そういえば紗ってお酒飲めるんですか?」

紗「お酒…ですか?」

 

紗はよく考える

記憶を失う前は飲んでいたのか、飲んだことはあるのか、そもそも飲めるのかという疑問。年齢もいまだ定かではないし、耐性があるかどうかもわからない。だけど興味がないわけではない

この間、月を見ながらワインを飲んでいたルイを見て少しいいなと思っていたことがある。それはルイに対する憧れなのかもしれないが…

―そのような話をべーに伝える。するてべーは「飲めるようになったら一緒に飲みましょう!」と目を輝かせて言うのであった…

 

 

 

その後、三人たちが話は、ルイが帰ってくるまで仲睦まじく話し合ったとさ




ENは好きですが、JPとの呼び方ってあんまりわかってないんですよね。そこちげぇよてめぇってところがあれば教えていただけると幸いです!


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記録:いつもとは違う初めてのお仕事

ルイ「紗〜」

 

ルイはこれから始まるクロニーとべーとのオフコラボ準備中に紗の名を呼ぶ。紗は料理をする具材が必要なのかと思い具材を抱えてルイの元へ行くも、その要件は違った

 

―配信に出てみないか?

 

ルイの要件はこれであった

紗にはアシスタントとして、今日だけのアシスタントタレント(?)というていで出てみないかという話。それはルイ単独の判断ではなく、マネージャー、はたまたAちゃん等の事務所からの許可を得ての事であった

 

紗の心は揺れる

私なんかが出ていいのか。迷惑かけないかと

せっかくのオフコラボというのに、紗という存在が視聴者からしたら邪魔なのではないかという不安

それと同時に出てみたいという好奇心

 

ベー「迷ったら出た方がいいよ!やらないで後悔するよりやった方が得じゃん?」

クロニー「紗が…出来ないことがあっても…私達がなんとかする。だから…一緒に出てくれる?」

 

ニコッと笑うべーと優しく微笑むクロニーに背中を押され、紗は決断する

 

紗「わかりました…私…頑張ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイ「えー待ったかね〜!鷹嶺ルイと申しますー!そして!」

クロニー「クロにちわ〜。オーロ・クロニーです。今日は日本語で…頑張ります。よろしくね」

べー「どもー!ハコス・ベールズと申します!」

ルイ「今日はお二人とオフコラボ〜!」

 

配信の準備は紗の見事な手際により、配信時間に余裕が持てるほどの時間で終了した。そして今、その配信が始まっている

紗の胸はドキドキしながらその鼓動を抑えようと必死になる。もうすぐ自分が挨拶する番だ…失敗しないようにしないと…と考えれば考えるほど手が震える

 

ルイ(大丈夫、いつもの紗で話せばいいんだよ)

 

小声で優しく震える手に暖かな手を添えたルイは紗を向いて微笑む

その表情はまるで母親かと見間違うほどに母性に溢れ、紗の胸の鼓動は静かに収まって行った

ーありがとうという気持ちを込めて頷きで返事をすると、ルイは視聴者に向けて言葉を並べ始めた

 

ルイ「早速コラボ内容を始める前に!皆様にご紹介したい方がいます」

 

コメント

:お?誰だ?

:ヤマダか?

:いや、ラプラスは今ヴァロの配信してるぞ!

:そうか…なら尚更誰だ?

 

滝のように流れていくコメントは誰かと人探しするように会話を進めていく。ルイはその反応を楽しむような目で見守り、そして口を開く

 

ルイ「では自己紹介どうぞ!」

紗「えっと…どうも…紗と申します…今日はアシスタントとして召喚されました…よろしくお願いしみゃ…す」

 

噛んでしまい顔が赤くなる紗

ー失敗した。やっぱりまだダメだったんだと思った紗にべーはニコニコ顔でコメントを見ろと指を指す

またドキドキしながらコメントを見た紗はそのコメントに驚いた

 

コメント

:えっ可愛いんですが何事

:初めての清楚やん()

:おい、自称清楚担当が泣くぞ()

:実質、ホロライブ7期生…ってコトォ?!

:噛んでしまったところもポイント高いですな

宝鐘マリン:ぜひ、船長のお家でアシスタントを…!

 

どこを見ても紗を褒める言葉。噛んで失敗したと思っていたのに、それすらもありがとうとの言葉が連なっており、紗は不思議な気持ちになる

そしてそれと同時に、これがホロライブで配信をする人たちの力の源なのだと心から感じた

 

ルイ「ほら、大丈夫だったでしょ?失敗しても、みんな認めてくれるからさ」

紗「なんだか自分に自信が持てた気がします!」

ルイ「うんうん。その感じで頑張れ!それじゃ!コラボの方始めましょうか!」

 

ルイの声でオフコラボが開始される

今回、ルイがやりたいことは、料理を教えること。せっかくのオフコラボなのだからオフでしかできないことをやりたいと思ったことと、クロニーが天ぷらが好きだということや日本食を作りたいということから料理に発展した

―料理は順調に進み、紗もアシスタントとして頑張った。べーはその様子を見守りながらコメントを読み上げたり、料理の様子を実況したりする

 

ベー「えっと、クロニー」

クロニー「What?」

ベー「やけどには気を付けてね。あー…Be careful of burns」

 

ベーは心配そうな目でクロニーに話しかける

そう、今クロニーの目の前には深い鍋の中で熱々に熱された油がクロニーが落とす具材を今か今かと待ち構えているのだ

…実をいうとクロニーはなんでもできそうに見えて、料理ができないのだ!紗も話しているときは、なんでも出来そうなクールなお姉さんだなと思っていたが、いざ料理を始めようと包丁を手にし、様々な具材を目の前で偶然動いた時、「Wait, wait, wait(まってまってまって)! What are you doing(どうするの)?! What do we do(なにしたらいいの)?!」とパニックになっているのをみて、紗の心のなかでクロニーに対するなにかが外れた

そのクロニーが油を使うとなると…心配するのもわからなくない

 

クロニー「大丈夫…!」

 

そう言ってクロニーはおたまに盛った天ぷらのタネを油の上に持ってくる

油は依然、マグマのようにクロニーを見る。入れれば即爆発。クロニーは固唾をのんで挑む

そっと…そっと…油との距離を近づけ…ゆっくり…ゆっくり――とその時、つるっとおたまの上のタネが油の中に落ちた

―その瞬間、ブワッっと中の油が一斉に騒ぎ出す。その様をみたクロニーも騒ぎ出す

 

クロニー「what's happened!what's happened!oh:.[lp@kl@fjihfpa…」

ルイ「大丈夫?!クロニーちゃん!」

クロニー「I'm sorry...」

 

クロニーは一旦離れてルイとその場を交代する。油に引火はなどはなく、幸いクロニーに怪我はないように見えるが、驚いた衝撃か手を押さえてそこに立っていた

それにいち早く気づいた紗は、クロニーに駆け寄って大丈夫?と声をかける。すると、「驚いて少し熱くなったかもしれない。でも大丈夫」と言った途端、紗はすぐにクロニーの手を引いて水道で手を冷やす

 

クロニー「あ…紗?」

紗「クロニーさんの綺麗な手に傷ついたら大変ですよ?自分が大丈夫って思っても実は…なんてこともあるんですから!」

 

そのように紗が言うとクロニーはありがとうと言って頬を赤らめる

その様子を見ていたべーはニヤニヤと笑いを堪え、視聴者は次々にコメントを打つ

 

コメント

:お母さんやん()

:もしかして紗さん…ルイねぇの実のママンなのでは?!

:ここに新たな属性が現れたな

:赤ちゃん。お姉さん。お母さん⇽New

角巻わため:ういママならぬ…すずママ…!すずびーむ!

 

てぇてぇなぁと微笑むリスナーもいれば、謎の言動を表すリスナーもいる。だが、誰しもがその2人の姿を見て思ったことは一致しているだろう。クロニーはやっぱりどこか抜けているお姉さんで、紗は理想とするお母さんのようだということ

それは普段の配信では絶対に得られることのない特別な…




クロニーは料理ができないようです
ちなみにべーは料理ができるとか料理中にテーブルを破壊したとかなんとか…?


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記録:月夜の一話

ハプニングもあったが、無事に(?)オフコラボが終了し、四人はオフコラボ後の晩酌会の準備としてまた料理を作ったり、そのための準備を始めている

クロニーが作った天ぷらをはじめエビの天ぷら、そしてそれに合うようなお酒の準備などいろいろと忙しいような雰囲気が漂っている

 

ルイ「お酒買ってくるけど、ハコスちゃんとクロニーちゃんは何がほしいですか?」

べー「ボクはえっと、ビールでお願いします」

クロニー「私は…えー…Baeと同じビールをお願いします」

 

ルイの問いかけに即答するべーと少し悩んでから回答するクロニー。話を聞けばべーはビールをよく嗜み、味的にものどごし的にも極めて好きなのだという。一方のクロニーは、ビール及びお酒は飲まない訳では無いが、酔っ払うとあらゆるものを破壊する破壊神になってしまうとか…?だけど、せっかくオフなのだからできるだけセーブして色んな話をできたらいいなと思っている節もあるみたいだ

 

ルイは一応メモして出かけていく

その間3人は料理を作ったり、少しばかりの水周りの掃除などを行った

すぐにルイは戻ってきて、2人ビールの他にお茶とルイ自身が飲むお酒が入った袋を冷蔵庫の中に冷やしておく

ちらりと紗が袋の中のお茶を見ると、心が通じあっているかのように紗が好きな銘柄のものであった

 

準備が終わり、席に着く4人の目の前にはたくさんの料理と飲み物が並んでいる

 

ルイ「えー皆さん、今日はお疲れ様でした〜!紗も初めて配信に出て大変だったと思いますが、いい経験になったと思います。それじゃ―乾杯〜!」

 

ルイの声を共に金属のきれいな音とガラスが鳴る音が部屋中に響き渡ると、楽しい晩酌会は今始まったのだと改めて実感できる

べーはゴクリとビールを飲み込み、幸せそうな顔を浮かべて満足そうな声を漏らす。今回飲んだものはいつも飲んでいるものとは違うが、これもまた良いよいものであると思えたそうだ

紗はクロニーが作った天ぷらをパクっと一口かぶりつくと、サクッとした食感から溢れ出す素材の味。そして下味時につけられた塩加減がとてもマッチしていて、食べていて飽きないものだった

 

紗「クロニーさんが作った天ぷら、美味しいです!」

クロニー「Oh…よかった!紗が作ったエビの天ぷらも…とってもおいしいー!」

紗「初めて作ったんですが、お口に合って良かったです!」

 

ラプラスから天ぷらが食べたい―なんて言われることはなかった。それ故作るきっかけが無かったのだ

作り方は一応のため学んだ。その成果が今回果たされたのだった

―やっぱり料理を作って美味しいと言ってくれる人がいるのは幸せだ。紗は料理を食べながらつくづくそう思う。個人差はあろうけど、もし、一人で生活していて頑張って作ったのに美味しいって言ってくれる人がいなかったら、少し悲しいんじゃないかと紗はHolox及びホロライブに関わることができて本当に良かったと感嘆した

 

ルイ「そう言えば、Aちゃんから紗に連絡来てたよ」

紗「Aちゃんから…どんな内容でした?」

ルイ「”本日の配信、お疲れ様でした。初めてとは思えないとても素晴らしいアシスタントでした。紗さんが良ければですが、今後の配信にて裏方出演という形で出演してみませんか?”…とのことだそうで――紗、どうする?」

 

突然のことに紗は驚く

やりたいー!という気持ちはあるものの、配信では認められたとはいえ突然現れてずっと居続けるのもどうかとは思う

だから紗はこのように回答した。「気まぐれで登場するという形でお願い出来ますか?」と。ルイはそのようにAちゃんに報告し、紗に「すぐには回答は返ってこないだろうけど、おそらくOK出ると思うよ」と言った

 

べー「もしかしたらボクたちの配信でもお世話になるかもしれない」

クロニー「可能性はないとは…いえない。もし…出来るなら、紗と一緒にゲームとかしたい…!」

 

紗はクロニーの案に賛同する。紗自身もクロニーと仲良くしたいし、べーとも仲良くしたい。ゲームは苦手ではないことが(こよりの実験によって)最近わかったということもある

でもそれだとHoloxの付き人としての勤めを果たせないかも?そこはラプラスと要相談しなければならないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗「ん……」

 

眠たい目を擦って紗は体を起こす

どうやら晩酌会中に寝てしまったみたいで、辺りには何故か服を脱いで横たわるクロニーとそれに相反するように綺麗に横たわるルイの姿が

…と1人かけていることに気づいた紗は、その1人を探す。彼女であれば、すぐに寝そうな感じはあったが紗の記憶にあるかぎり起きていたように感じる

 

どこか行ってしまったのかと思い、近くを探すと、彼女はベランダ付近に座り込み、差し込んだ月の明かりに照らされている姿があった

 

べー「起きたの?」

紗「ちょっとね…べーさんは?」

べー「ボクは…えっと…暗いところが苦手で…パって目が冷めたら暗かったしちょっと怖かったから月明かりをあびてたんだ」

 

べーは再び月を見る

その姿は少し哀愁が漂うようにも見えるが、なにかを思い出しているかのようにも見える

紗はそんなべーが心配になり、べーの側に座る。べーからは若干お酒の匂いもするが、べーの表情に夢中になるとその匂いも気にならなくなる

 

べー「…紗は暗いところは平気?」

紗「平気…とまでは行かないですけど苦手。なにか怖いものが来る感じがするし」

べー「そっか――ボクもその感覚わかるよ。急な脅かしとかあるかもだし」

 

そう言ってべーはグラスに入った水を少し口に含む

そしてしばらくした後、べーは言葉を連ねた

それはまるでひとつの物語のようで、彼女の過去の―思い出の話であった

 

べー「ボクがまだみんなと知り合う前…議会の議長を任される前の話なんだけど、ボクは良いとはいえない環境で過ごしてたんだ。

仕事で何度も失敗して、その度にボクに何も出来ないって落ち込んで塞ぎ込んで……こんな世界なんか壊れちゃえ―なんて思ったりしてさ。でも結局は何も出来なくて…今日みたいな月の夜だった」

紗「………」

べー「でもその月は塞ぎ込んでるボクの事でさえ照らしてくれて、そこでなにか思いついたんだ。ボクにもなにか出来るかもしれないって」

 

悲しそうな顔をするべー。それを紗は慰めようと顔を再び見ると、もうその悲しそうな顔は一切なく、いつものべーに戻っていた

 

べー「そこからネットで色々調べていくうちに、ホロライブと出逢って、先輩達を知った。元気をもらった。そして思ったんだ。ボクもこんなことをしてみたい、どんな風にしたら先輩たちみたいに人に元気を分けれるのかってね。そうして、みんなに会えたし、紗にも会えた」

紗「…べーちゃんも大変だったんだね」

べー「うん。暗闇が苦手なのもその時のことがあるから。ごめん、こんなこと語っちゃって。つい思い出しちゃった、さて、ボクはもう寝ようかな」

 

べーはそのようなことを言ってその場を離れようとする

しかし紗はこのままでいいのかと少し自分に言い聞かせる、べーを悲しい思い出を思い出したままで寝させていいのかと。どうにかして安心して眠らせるのがいいのではないかと

―勇気を振り絞り、紗はべーに声をかける

 

紗「べーちゃん。もし良かったらだけど…一緒に寝よ?」

べー「紗…」

 

両手を広げる紗のもとにべーは近寄りギュッと抱きしめる形になる

べーの身長は紗よりも小さいため、紗の胸元にちょうどべーの頭が来るような感じになりなる

 

べー(紗…温かい…あの頃にはなかった…混沌(カオス)に染まらなくてよかった…幸せ)

 

そう思ったべーは抱きしめる力をさらに強めると、2人はごろんと床に寝そべって、今日という日を終えた

 




※べーちゃんの話は必ずしもホントとは限りません。この世界線のべーちゃんが体験した話ですので、私たちが見ているべーちゃんの記憶とは違うものがあると思われます。それもまた混沌です(?)


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記録:朝

今回で紗とルイの話は終わりです
以外にも長くなってしまいましたが、いろんなホロメンと交流することができたので、よしッ!


微かに聞こえる子鳥のさえずり

暖かな光がルイの部屋の窓から入り込み、朝が来たことを伝える

ルイは若干二日酔いになりながら、体をゆっくりと起こすと、なんだか普段の香りとは違う優しい香りが空間に広がっていることを感じた

 

ルイ「なんの匂いだろ…」

 

辺りを見回してその匂いの招待を探る

ルイの近くにはクロニーが寝ていて、少し離れた窓際にべーが紗が来ていた上着を毛布代わりにして幸せそうな顔で寝ている

…と、その紗はどこに行ったのかとルイは考える。この優しい匂いと紗がいないことは、因果の関係で繋がっているのではないか。それが真実であれば、優しい匂いを作り出しているのは紗ということになる―と考えていると、キッチンの方で少し騒がしいような音がしていることに気づく

 

ルイ(どうしてさっきまで気づかなかったんだ…?)

 

酒で頭が回ってないのか、少しふらつく足でおぼろげにキッチンの方まで歩いていく。歩けば歩くほど歪みそうな視界をどうにか正常に保ちつつキッチンを覗くと、そこに立っていたのは、部屋にいなかった紗であった

紗はいつもルイが使っているエプロンを着用し、火にかけられた鍋の目の前に立ち、何やら作っているようで、匂いの源もその鍋からのようだ

 

紗「あ!ルイねぇ起きたの?お水いる?」

ルイ「あぁ、ありがとう…」

 

紗に蛇口を捻ってコップに入れた水をルイに手渡す

そして色々使ってしまったと謝りを入れるが、それよりもルイは気になることがあった

 

ルイ「それ…何作ってるの?」

紗「お味噌汁。酔いには効くって話だし、朝っぽいでしょ?あとは焼き魚と白米。もうすぐ出来上がるから、ルイねぇはべーちゃん達を起こしてくれるとありがたい」

ルイ「わ、わかった」

 

そう言ってクロニー達が寝る部屋に戻る…まえについでに顔を洗っておくルイ

―紗があそこまで家庭的な子だとは知らなかった。いろはとルイが真剣に料理を教えた賜物なのか、それとも記憶を失う前の…

ともかく、クロニーたちを起こすことに専念する

 

ルイ「クロニー!Goodmorning!」

クロニー「………」

べー「うぅ〜ん―!」

 

クロニーを起こしたつもりが先にべーが起きた

いつもは元気いっぱいなべーでも、さすがに朝早くはきついようだ

 

ルイ「ハコスちゃん、Goodmorning」

べー「おはようございます…ルイ…」

ルイ「まだ眠いかな?」

べー「そこそこ…」

 

かくっと落ちそうになる頭を必死に振りほどいて睡魔を飛ばす

そして自分にかけられていた紗の衣服を見てニコリと微笑む。夜になにかあったようだが、ルイは深くまで聞かない。聞かれたくないこともあるだろうし、二人の秘密は二人だけのものにしなければならない

べーは衣服をたたみ、クロニーの方へと歩いていく。そして、クロニーの上に跨がり…

 

べー「Hey!!kronii!!!Goodmorning!!!!」

クロニー「umm(うぅ)It's kind of heavy(なんだか重たい)...」

 

クロニーの上ではしゃぐべーに違和感を感じたクロニーは目を覚ます。このように素直(?)に起きることは珍しく、ホロENのイナ情報だと、クロニーの上で枕のタワーを作って崩壊したときでさえあまり反応を―というより無反応であったという。癇癪を起こさないだけマシではある

そうこうしているうちに紗がこっちに来て、朝「ごはんできたけど顔とか洗う?」とお母さんのように聞くと、べーは眠そうなクロニーを引っ張りながら洗面台まで連れていく

すれ違いになるように、紗は朝食を机に運んでいく

 

そしてふたりが戻ってきて席に着くと、四人は合わせて朝食を食べ始めた

ルイの腕までは至らない紗の手料理。だが、その手料理には彼女なりの優しさが入っており、3人の酒が回っていた体を芯から浄化してくれるようだ

 

べー「あぁ…美味しいぃ…」

クロニー「私のおばあちゃんの味と似てる…優しい」

 

二人は普段自炊をしないわけではないが、こうやって人から料理を作ってもらうことはそうそう無い。だからこそこうやって人に作ってもらったご飯が恋しいのだ。お店も人が作っているだろうとも言えるが、共に知っている人が作ってくれるご飯はまた別であり、特別なものと言えよう

その感覚はHoloxのルイであっても感じる感覚。やっぱり人から作ってもらうご飯はいいなと言葉には出さないが、そう思っている

 

 

 

 

 

 

 

朝食が済んだ後、しばらく休憩してから二人は荷物を持って玄関に行く

そして「楽しかった。またお邪魔したい」等の挨拶を笑顔で交わして二人はルイの自宅から離れた

ルイは紗の方を見ると少し寂しそうな顔をしていることに気づき、紗に話かける

 

ルイ「寂しい?」

紗「少し…もっと話したかったなって」

ルイ「この宇宙からいなくなるわけでもないし、また会えるよ」

 

ポンッと紗の肩に手を乗せるルイ

昨日今日でたくさんの人と交流した紗は以前よりも確かに成長している。今後もたくさんの人と交流させるのが彼女のためにもなるし、彼女の心のケアもできるかもしれない

 

 

――「Aちゃん:わかりました!今後ともよろしくお願いしますね。紗さん」



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記録:幕間【今日だからできること】

フブキ「おはようございまーす」

 

ガチャリと事務所の扉が開き、ホロ一期生の白上フブキが元気に入出してくる

いつもと変わらない。そう…いつも通りの事務所が広がっていると思っていた…

―がしかし、目の前に広がっているのは蜘蛛の巣が張り、赤い液体がまき散らされていて荒れ果てている事務所の姿であった

 

フブキ「なんじゃこりゃ…」

 

その様はまさに混沌(カオス)

昼間であるのになぜか窓の外は真っ暗で、若干よくない空気が漂っている

フブキは慣れないその雰囲気に、かの幽霊調査のゲームを思い出す。近くにあった懐中電灯をとり、電気のスイッチを探してパチッと押すも反応がない

―これはブレーカーを探さなければならないか?とゲームのことを思い出しつつ、ブレーカーを探しに歩みを始めると…

 

「ばぁっ!!!」

フブキ「ギャァァァ!!!!」

 

突如聞こえたその声にフブキは可愛らしい叫び声とともに腰を抜かして驚く

さすがにホラーゲームが得意なフブキでもこのようにリアルで攻撃されては悲鳴を上げないわけにはいかない。悲鳴とともにバッと懐中電灯をその声が聞こえた方に向けると、そこにいたのは赤いナニカが付いた金髪のロリ巨乳の女の子であった

 

「あははw!ごめんねフブキちゃん!」

フブキ「ほんとに…怖いよ…はあとちゃん…」

 

はあとは手を差し伸べてフブキが立ち上がるのを手伝う

なぜ事務所がこんなことになっているのか、そして電気はつかないのかとはあとに聞くと、はあとは話を始めた

―はあとが来たときはこんなふうになっておらず、何気なく「なんかホラー的展開にならないかなー」と思ったところ突然このようになったそうだ

 

フブキ「じゃあ思ったことがこの部屋に反映されるってこと?」

はあと「恐らくそうね」

フブキ「じゃあ…"いつもの事務所に―――"」

「――"カブトムシがいっぱい"!!!」

 

フブキの声はいきなり飛び出してきた謎の声にかき消され、その声通りの世界となってしまった

先ほどとはうって変わって、いつもの事務所の雰囲気に様々なカブトムシが縦横無尽に飛び交う嫌な人には嫌な世界になってしまった

一方、声の主はその世界は憧れの世界になったと子供の様にはしゃいでいる

 

「あー!あれはコーカサスオオカブト!あっちにはニジイロクワガタもー!!!」

 

きらきらと目を輝かせるのはホロライブ五期生、ねぽらぼのね担当兼オレンジ担当の桃鈴ねね

彼女はどこから取り出したのかわからないが、大きな虫取り網を持ってカブトムシの大群に突撃していく。その姿はまるで夏休みで山に来ている小学生男児のよう

はあとはカブトムシは苦手ではない。タランチュラだろうがサソリだろうが食べていたし

―これは誰か入ってきたときにまずいことになると思ったフブキはまた事務所をいつもの事務所にしようと戻す努力をするも…

 

「…、ガチでさ、一回”FPSの世界”に行ってみたいんだよね。どう思うラミちゃん」

「どうって…ラミィはししろんと一緒にいられれば満足だよ?」

 

――ポンッ

また事務所は変化した

今度は荒廃した戦場。壁は崩れ落ち、中に入っている鉄骨がその身を見せているほど激しい戦いが行われていると思われる世界

その世界になった瞬間に、ねねは「あぁ…ねねのカブトムシ…」とチリのように消えていく虫網とともに白くなった

事務所がすごいことになっていることに気づいたこの世界を作った本人、獅白ぼたんは笑い雪花ラミィは唖然とする

 

ぼたん「あれ、なんか事務所すごいことになってるんだけどw」

ラミィ「ししろんが望んでたFPSの世界になったんじゃ…ない?」

ぼたん「まじかwそれじゃ…」

 

ぼたんの足元が秘密基地によくあるような感じでスライドして開き、そこから買い物カートが出てきた

それにぼたんはひょいッとカートに乗り込み、ねねを確保して「ラミちゃん、乗っていくかい?」とかっこよく決める

ラミィは嬉しいような顔になったもの束の間、ラミィが乗った(乗せられた)のはカートの中…ではなく、運転席となるカートの持つところであった

 

ラミィ「ってラミィが運転するんかい!」

ぼたん「行くぜラミちゃん!守ってあげるから安心しな!」

ラミィ「ししろん守られててもラミィは丸裸なんだが?!?!」

 

そう言って壊れている壁の方に走り去っていくししらみ

フブキは謎に思ってはあとの方を向くと、はあともはあとでその両手にチェンソーを持ってすこし楽しそうにしている…

 

はあと「フブキちゃん、ちょっと頼むね!」

フブキ「ちょ…!はあとちゃん?!」

はあと「敵はどこからしらぁぁぁぁぁ?!?!」

 

そういいながら駆け出して行ったはあとを止めることはかなわず、フブキは一人取り残される

これからどうしようか。また事務所を戻そうか…だが、外に行った人はどうなるのだろうか…そんな葛藤ともいえる問題がフブキの頭を駆ける

―そう考えていると、また新たなる人が現れ、その現れた人が自らの願いを口に出した旅に変わっていく…

 

この事務所はどうなってしまったのか

そして外に出た者はどうなってしまったのか

 

フブキ「なにも考えない方がいいのかな…?」

「フブキ、どうかしたの?」

 

そう言って近づいてくるのはホロゲーマーズの大神ミオだった

その仕草や声質からはどこか母性の様なものが感じられる。本当にフブキのことを心配しているのだろうとその声からわかる。反対にそれほどフブキは悩んでいることを周りがわかるくらいいつもとは違う雰囲気ということ

 

フブキ「ミオ…実はさ」

 

フブキは自分の身にあったことをミオに伝える

するとミオは親身になって話を聞いてくれる

 

 

ミオ「うんうん。大変なことがあったんだねぇ。なら、"今日この事務所で起こったことが、嘘だったらなー"」

 

 

ミオの声で事務所が変化した

そしてその変化は、今日最後の変化であった

今までの変化の中で外に出て行ってしまったホロメンはどさっと床に落ち、すやすやと寝息を立てて戻ってきた

フブキはミオに最大の感謝をしながらミオに抱きつく

 

フブキ「ミオありがとぉぉぉ!どうなることかと思ってたよぉぉぉ…」

ミオ「あはは。フブキが元気になってよかったよ。でもこれが続くのは"今日"だけだからね」

フブキ「え…?」

 

突然のミオの告白にフブキは驚きを隠せない

―これが続くのは今日だけ?それはミオの願いが続くのは今日だけということだろうか?

でももしミオのじゃなかったとしたら…

 

フブキ「な、なんで…?」

ミオ「だってほら、今日はエイプリルフールじゃん?明日になったら―――」

 

―エイプリルフールじゃん…エイプリルフールじゃん…ミオの言葉がトンネルの中で響くようにフブキの頭の中で響く。今日が終わったらどうなる?また朝みたいなことが起こる?

ぐるぐるぐるぐると螺旋階段のように回り続け、やがてフブキはきゅうーとショートして倒れてしまった

倒れる前にミオはすぐに抱きかかえ、ソファーに寝かせてミオもそばに座る

そして額を優しくなでて、一言呟く

 

ミオ「フブキ、起きたらもう大丈夫だからね。ゆっくり休んでね」

 




勢いとノリで書いたエイプリルフールのホロぐら風ストーリーです
フブキでさえ困ってしまうこの事務所…自分の願いが具現されるこの事務所で…あなたは何を願いますか?


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記録:財政難なんです

とある日のHolox基地…

―そこではとある問題が発生していた

これからの活動に影響が出かねない重大な問題が。その問題とは…

 

ラプラス「…お金がない」

 

そう、お金がないのだ

Holoxには収入はあるものの微々たるもの。しかもその収入は生活費でほとんど消費されてしまう

例えるなら穴の空いたバケツに本の少しだけ開いた蛇口の水を貯めるようなものだ

 

かざま「これからはナスのみの生活になるでござるね…」

沙花叉「いや、もやしじゃないのかよ」

紗「今はもうナスを買う余裕すらもない…」

 

…というのは冗談だが、それに限りなく近い値までは来ているだろう

せめてもっと収入が増えることをすれば…

一回家計簿を見直したほうが良いなと思い、ルイは自前のPCを取り出して家計簿ソフトを起動させる。そこには、収入から支出まですべてがデータとして残っている

それをグラフ化し、今までの推移を見ていくと…グラフが下に向かって行っていることがはっきりと分かった

そして不必要な支出をピックアップする

 

ラプラス「幹部どうだ?」

ルイ「うん。まずはラプの"余分な"食費を削らなきゃね。ラプだけで全体の20%あるよ」

ラプラス「うっ…吾輩は今育ちざk――」

ルイ「いくら育ち盛りでも食べすぎるのは良くないよ。力士にでもなるつもりなの?」

 

ラプラスは反論する間もなく撃沈する

次にルイが説教したのは、それを笑った沙花叉だった

 

ルイ「笑ってるけどクロヱも人のこと言えないぞ。"Holox"のお金でシオン先輩のグッズ買ってるの知ってるんだからね。ラプラスの次に多いんだから自覚しな」

沙花叉「ぽぇ…でも――!」

ルイ「シオン先輩が可愛いのはわかるけど、これからは自費で買え。なんでHoloxの資金で個人的な趣味の費用にしてんのよ。Holoxじゃなかったら裁判案件だよ?」

 

ルイの説教はまだ続く

次は実験材料を買いすぎたこよりに。その次は丸太(居合用)を買っていたいろはに

一通り説教を終えたルイはこれからのことについて話を始める。お金を節約するのはもちろんのこと、お金がないからどうしなければならないかを会議する

 

紗「…私がバイトします」

 

そう呟いた紗にラプラスは少し驚く

そしてそれは紗がすることじゃないと一言。元はと言えば、紗に過剰にご飯を作ってもらってたラプラスのせいでもあるし、さらに紗に仕事を押し付ける訳にも行かない

―ならばどうするか。それは難しいようで簡単な答えであった

 

紗「ならみんなでバイトしましょ!その収入の何割かはHoloxに入れて、元の水準まで戻しましょう!」

いろは「よし、頑張るでござるよ〜!」

こより「名付けて"Holoxの大バイト祭"!開始〜!」

 

こよりの掛け声と共にみんなこれからやり始めるバイトを探す

いつもはあんなにだらけているラプラスも。1週間お風呂に入っていない沙花叉も一生懸命に本やパソコンを眺める姿は、ルイにとっても新鮮であった

 

ルイ「そういや紗には特別なバイトのお話があるんだけど、興味ある?」

紗「特別なバイト…海から迫ってくるシャケを倒して金色のイクラを…」

ルイ「そりゃ特別だけども、インクでシャケと戦うやつじゃない。えっとこれなんだけど―」

 

ルイは紗にスマホの画面を見せて、例の特別なバイトの内容を見る

…若干難しそうではあるが、それなりにやりがいはある仕事だと見込み、紗は喜んで引き受けることに決定した

 

 

 

それから数日。話はトントンと進んでいき、みんなは無事にバイトに合格した

ラプラスは心配ではあるがフェス等の案内役及び並びの裏方サポートのバイト

ルイは元々やっていたバイトを続けて行い、こよりは高校生向けの科学、物理、理科分野の塾講師に

いろはは近くにあるカフェの店員を。そして沙花叉はカラオケ店の店員のバイトを見つけたのだった

 

 

 

 

そして紗は…自分のバイト場に1人で向かっていた

 

紗「ふぅ…緊張するなぁ…」

 

1度来たことがある場所とはいえ1人で来ると緊張する

いつだって初めてのことは緊張する。だけどその一歩を踏み込むことで見えてくる世界がある。紗は今その境目に立っている状況なのだ

―ゆっくり深呼吸して入り口に入った。紗を待っていたのは、ホロライブスタッフのAちゃんであった

 

Aちゃん「おはようございます紗さん」

紗「おはようございます。Aちゃん」

 

紗が緊張しているのが伝わったAちゃんは気を楽にしてと緊張しなくてもよいよと優しく声をかけるが、緊張するものは仕方がない。とにかく慣れるしかない

Aちゃんにつられるまま紗は事務所の中に入っていき、事務所の皆さんに挨拶を交わした後、Aちゃんから今日から始める特別なバイトについて説明を聞く

 

Aちゃん「まず最初にやってほしいのは、タレントの時間管理をやってもらいます」

紗「時間管理…ですか?」

Aちゃん「そう。あ、でも時間管理って言ってもそこまで難しいものじゃなくて、各タレントの来月の収録とか空白の時間をグラフ化する程度だから――そういえば、PCは使える?」

紗「簡単な操作程度ですけど…」

 

この間、ルイの手伝いとして少し教えてもらった経験があるとAちゃんに伝えると「ルイさんの指導があったんならまぁ大丈夫かな」と一言つぶやき、一台のパソコンと共にその場を紗に一時任せる

少し時間が経ってからAちゃんは再び戻ってきて、各ホロメンの収録時間が書いてある資料をドサッと置いて頼むね〜と言ってその場を後にした

―紗は一呼吸置いてパチッっと自分の頬を叩いて「よしっ!やるぞ!」と意気込んだのだった

 




配信者がバイトして大丈夫なの?と思うかもしれませんが、こよりの特別な薬によってラプラスは角がなくなって、こよりの耳は髪に擬態するようになったのでOKです(?)
声に関しては…まぁ気にしないでください。ホロリスはみんなちゃんとしてるので、「似てるけど違う人だ」と逆に「似てる声が近くで聞けて幸せだ」と知らない人から見たら気持ち悪いと思われるような感じになっています
皆さんは…前者ですよね?


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記録:優しい先輩たち

チク…タク…チク…タク―と時計は一定のリズムを刻んで紗の仕事を応援する

進捗状況は悪くは無い。逆を言えばよくもないということだけれども…

今確認しているのは、ホロ0期生のロボ子さんという方と、AZKiという方の資料だ。二人はなかなかに忙しい日程が続いており、ロボ子さんはFPSゲーム系の収録があり、AZKiは歌唱収録が続いている

資料によると二人とも得意分野の収録であるようだが…

 

紗「…大丈夫なんでしょうか…」

「バイトおつかれさま〜〜」

 

そう言って入室してくるのは、ピンク色のパーカーを身に纏っていて、袖から出るのは、バイクの手袋みたいな手が出ている女性。そして下半身はかなりメカメカしい人であった

その人は中身は不明だが、片手にコンビニ袋を携えており、ドサっと置くと緊張していた袋の緊張が解かれて中身が露呈する。中身は疲れに効くドリンクやお菓子などであった

 

紗「あ、ありがとうございます」

「頑張ってるって聞いてねぇ〜買ってきたんだ〜あ、これボクの資料じゃん!」

 

そう言って紗の方の近くで顔を出して楽しそうにその資料を見る

―その様子からこの人はこの資料に書かれているロボ子さんなんだと思った。資料を見ながら可愛らしい鼻歌を歌う彼女の様子はとてもかわいらしい

 

ロボ子「へぇーこの時間に収録あるんだ。えっ…結構ハードじゃない?」

紗「そのようなんですよ…大丈夫ですかね?ロボ子…さん?」

ロボ子「大丈夫…あそっか、自己紹介がまだだったねー。ボクは高性能ロボットのロボ子だよーよろしくね紗ちゃん」

紗「よろしくおねがいします。あの…いつもこんなハードスケジュールなんですか?」

 

紗がそのように聞くと、ロボ子はううんと首を振る

普段はこんなに忙しくないのだが、この間のFESのおかげか、特番や案件などが舞い込んでくるように依頼されるらしい。おそらく忙しいのはこの期間だけ。この山場を過ぎれば少しは落ち着く

そう言いながらロボ子は紗の隣に腰を降ろし、楽しそうにまた資料を見る

―忙しいのになぜそんなに楽しそうなのかと紗が聞くと、ロボ子は微笑みながら答える

 

ロボ子「案件ってことは初めてのゲームができるってことだし、ボクが楽しんだゲームをみんなにも楽しんでもらいたいしね〜♪」

 

忙しくてもその状況を楽しみ、なおかつみんなのことを考えるロボ子

それは簡単にできることではないことを紗は知っている。辛いこと、忙しいことを純粋に楽しむことは常人では難しい。でも彼女はロボットであるから…とも考えられるが、彼女は限りなく人間に近いロボットだ。というかもう人間だろう

 

紗「すごいポジティブですね!」

ロボ子「照れるちゃうなぁ〜///ほ、ほらこのお菓子たべな〜」

紗「優しいんですね。いただきます」

ロボ子「そ、そんなに褒めたってなにも出ないぞ〜///」

 

紗はロボ子が買ってきたお菓子を小袋から取り出し、ポイッと口に放り込む

その中身はチョコレートで甘すぎず、苦すぎずないが、それでも高級感があるようなチョコレートであった

 

紗「このチョコ…高いやつじゃないんですか?」

ロボ子「うふふ〜どうだろうね〜高くても君にならかける価値があると思うんだ」

 

そう言ってロボ子はお菓子を食べる

ロボ子が食べたその表情はどこか照れくさい感情を隠しているような雰囲気を出していた

―すこしお話とロボ子からのお手伝いを終えた後、ロボ子は頑張ってーと言って部屋を後にした

その後の部屋は少しさみしいように感じるが、ロボ子の残してくれたお菓子と飲み物を糧に紗は作業を頑張る

「ロボ子さんすごいいい人だったな」とチョコレートを口に頬張りながら考える

 

 

 

 

 

ガチャリとまたもや部屋の扉が開き、今度はロボ子とは違う別人がその部屋を訪れた

髪は少し赤みかかった黒髪で、インナーがピンクで染まっていた。白色を基調をしたアーティスト感のあるお姉さんのようであった

その女性に紗は気づくと、女性はにこやかに近寄ってくる

 

「君がバイトの子?」

紗「そうですが―」

AZKi「やっぱり!私はAZKiっていいます!突然だけど、お昼ごはんって大丈夫ですか?」

紗「お昼ごはん…ですか?」

 

そう言われて紗は時計を確認する

気付けばもう12の数を超えていて、十分なお昼時であると言える時間帯であった

紗はお昼は早めに事務所近くのコンビニや飲食店で済まそうと思っていたのだが、今の時間で行くと混み合って午後の時間に間に合わないだろう

それを察したのか、AZKiは懐(?)から2つの弁当箱を取り出し、紗へ渡す

 

紗「これは…?」

AZKi「おべんと!良ければ一緒に食べませんか?私、頑張って作ってきたんです」

紗「AZKiさんが作ってくれたんですか――いただきます」

 

そう言って紗はお弁当の蓋を開く

そこから顔を出したのは、可愛らしくレイアウトされた料理たちで、タコさんウィンナーもあれば、花のようにも見えるハム。そして生まれたばかりで頭の上に卵の殻が乗っかっているように見えるゆで卵がちょこんとこちらを見ていた

 

紗「とっても可愛いです!食べるのがもったいないくらいに!」

AZKi「ありがとう!頑張って作った甲斐あった!」

紗「それじゃあ勿体ないけど…いただきます!」

 

パクッと一口

その瞬間、紗の目の前がガラリと変わるような感覚があった

気づけば目の前は学校などの教室で、みんなお昼ご飯を食べている時。ふと机を見ると、そこに弁当はなく、ただおにぎりがひとつ置かれている状況にあった

そこへやってきたのは、心配そうに弁当を持ってくる制服姿のAZKi。そして机の目の前に座り、弁当を分けてくれる

学校生活でなければ味わえないその感覚が、AZKiが作ってくれた弁当から感じられた

 

AZKi「どうかな?」

紗「すごく…暖かいです…」

AZKi「よかった!午後も一緒に頑張りましょう!」

 

まるでお母さんのようなAZKiのその笑顔は、天使とも言える

2人は他愛のない話を交わしながらお昼を共にする。二人とも料理が得意なこと、音楽が好きなことを聞き、紗は実はあまり歌に自信がないことを告げると、「今度一緒にカラオケいきましょ!」とホロライブの歌姫に特別レクチャーしてもらえることになった

 

紗「―でもいいんですか?AZKiさん忙しいんじゃ…」

AZKi「大丈夫!紗ちゃんも私の大切な後輩だから!」

紗「AZKiさん―!」

 

―天使。その言葉に尽きる

AZKiと紗の中は、お互いあだ名でラフな感じで話し合えるまで深まった。AZKiは紗のことを「すずっち」と呼び、紗はAZKiのことを「あずきち」と

そして今日昼ごはんを貰った代わりに今度紗の手料理を振舞う約束を交わすとAZKiは嬉しい表情をして「その日を待ってるね!」と口にして仕事へと戻っていった

 

紗「あずきちのおかげで頑張れそう!よしっ残りも片づけちゃおう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aちゃん「お疲れ様です。紗さん」

紗「あ、Aちゃん。お疲れ様です!」

 

ノックして部屋に入ってきたAちゃんに紗は挨拶をする

なんだか朝よりも元気ですねと言われた紗は今日の出来事を簡単に説明すると、Aちゃんは「優しくていい先輩たちでしょ?」という。彼女達のような存在が後輩に受け継がれていって今のホロライブがあるのだろう。言い換えればホロライブという存在がここまで大きくなったのは彼女たちの努力とそれを絶やさなかった後輩タレントたちの努力あっての功績と言える

 

Aちゃん「あ、そうそう。忘れるところだった」

 

Aちゃんはそう言ってズボンのポケットからオレンジ色のスマホを取り出した

そのスマホには、紫色の尻尾のようなシールが背面に貼られていて、誰かの物であるようだ

 

紗「それは?」

Aちゃん「紗さんのスマホです」

紗「えっ?私の…?いいんですか?」

Aちゃん「はい。元々卒業生のスマホだったんですが、その方が卒業したときに次の人に渡してくれと言われてたんですよ」

 

紗はそう言われて行け取らないわけにはいかなかった

欲しいなって思っていたこともあるが、今さっき感じた継承という名の絆。それを受け取らないわけにはいかないだろう

 

紗「ありがとうございますAちゃん。伝えられるなら卒業生の方にもありがとうって伝えたいですね」

 

そう言って紗はスマホを受け取り、ぎゅっとそのスマホを握った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次の世代はわたしを超えていくはず。なら卒業生のわたしがすべきことはただ一つ。若い芽が成長できるように、わたしは精一杯残してやろう(命を張ろう)って思うんですよ』

 

彼女が最後にAちゃんに自らのスマホと残していった最後の言葉

それは確かに次の世代へと繋がり、今も若い芽が育とうとしている

―『Aちゃん:…確かにあなたの言った通り繋がりましたよ。当人からありがとうとのことです』

それを聞いて彼女は安堵する

自分も憧れの桐生(存在)に近づけたのかなとふっとスマホを見て笑う。やっぱり人とのつながりは切れないものだなと感心して再び歩みを始める

 

「それじゃ、張り切っていきますかぁ!」

 




今回はロボ子さんとAZKiちゃんの登場でした!
ロボ子さんのイメージはかなりできてるんですが、AZKiちゃんが少しわからない…清楚!な子って難しいな


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記録:掃除屋は自分の掃除が苦手

Holox事務所

 

沙花叉「うーん…」

 

事務所のソファーにて薄着で髪が濡れた沙花叉は唸り声を上げた

背もたれには汚れた上着がかけられており、よく見れば少し汚れている。ドロのような土汚れがついていたりや少し水で濡れていたりする

幸い、滴る程ではない。

 

紗「こよちゃんに手伝ってもらいた……?」

 

そこにやってきたこよりと紗が沙花叉に気づく

そして何をやっているのかと話を聞くと、沙花叉は丁寧に答える

 

沙花叉「事務所から帰ってくるときにトラックに水かけられてさ。ビショビショになっちゃったんだよね。服は洗濯すればいいけど、お風呂入るのめんどくさくて今に至るって感じ」

こより「めんどくさいって…きったないよお風呂入りな」

紗「風邪引くよ?」

 

辛辣な言葉をかけるこよりと心配する声をかけるも沙花叉はえぇ〜と面倒くさがって素直に入ろうとしない。だってーとかえぇーとかそんな言葉を並べて一向にお風呂に入ろうとしない

「濡れているんならタオルで十分」だと沙花叉は言うも、風邪を引く可能性はないわけではない。おそらく冷え切っているその体を放置することは体に悪い

だからお風呂に入って体を温めてあげなければならないと言っているのに「大丈夫だって」と言って聞かない沙花叉に紗はシビレを切らして言い放った

 

紗「じゃあ一緒に入りましょ?私が髪とか洗うよ」

沙花叉「―紗が…一緒に入ってくれるの…?」

 

沙花叉は今までとはうって変わって違う声色で紗に話しかける

それはまるで子供が母親に聞くような言い方であった

 

紗「うん」

沙花叉「ほんとに?」

紗「ホントだって」

沙花叉「じゃあ入る」

 

そう言って沙花叉はむくりと体を起こし、タオルや下着類を持って紗の近くに移動する

今にもお風呂入ろうっ!と言っているかのようなその瞳は普段の彼女からは感じることのできないもので、少し新鮮味があると紗は思った

すぐに紗もお風呂に入る準備をすると、こよりも一緒になってお風呂に入る準備をする。紗が一緒に入るのと聞くと大きくうなずくこより。配信前にひと風呂入りたいとのことであった

 

 

 

濡れた衣服を洗濯機に入れ、三人はお風呂に入る

Holox事務所付属のお風呂は広いわけではないが、三人入って苦になるほど狭くはない

シャワーは2つあって、一つに沙花叉と紗。もう一つにこよりが座った

そしていざ。紗がシャワーで沙花叉の髪を洗おうとした時。こよりは紗の体をジロジロと眺める

 

紗「な、なに?」

こより「いや〜いい眺めだなって思って♡」

 

こよりが見ているのは、白くすらっとした紗の体。その白くすらっとした体に、いつも服で隠れていて見えなかったたわわが実っている。紗の体を見たのは初めてで、しかも着痩せするタイプのためいつもとは違った紗にこよりはすこし頭ピンクになる

 

紗「は、恥ずかしいよ///」

沙花叉「え?!沙花叉も見たい!」

紗「ま、まずは髪を洗ってから!///」

 

ちぇーという沙花叉の髪に一度温かいシャワーをかける。シャンプーをかける前にシャワーで汚れを落としてから次にシャンプーに移行。手のひらに出したシャンプーを泡立ててから髪にわしゃわしゃと洗い始める

―その時の沙花叉の表情は幸せそうであり、若干鼻歌も聞こえる

 

紗「気持ちいい?」

沙花叉「うん♪昔を思い出すな〜♪」

紗「昔?」

 

沙花叉は思い出すように話を始める

―沙花叉にも紗と同じように師匠と呼んでいた人がいた。その人は実の家族ではないが、実の家族のように親しく接してくれた人であった。今みたいにその師匠が髪を洗ってくれていたという

そのように沙花叉がいうと、こよりは初耳であると答える

 

沙花叉「今まで言う機会ないし、誰も聞いてこなかったからね」

こより「ほぇーまだまだ知らないことあるんだねぇ」

紗「沙花叉、流すよ」

沙花叉「はーい♪」

 

沙花叉の目に入らないように紗は沙花叉の髪の上についた泡を流す

泡が流されて汚れが落ちた後の沙花叉の髪はサラサラになった

 

沙花叉「〜♪」

こより「気持ちよさそ〜!こよにもやってほしいな〜!」

紗「良いよ」

 

紗はこよりの方へ行って沙花叉と同じ用にこよりの髪を洗う。沙花叉とは違ってケモミミがついているため、その耳を洗う度にこよりの体がビクッと震える。話を聞くと少しくすぐったいのだという

こよりの髪は腰まで届くほど長く、洗っていて楽しくなってくる

アワアワになったこよりの髪を洗い流し、サラサラのヘアーになったこよりはウキウキ気分のまま配信があるためお風呂から出ていった

沙花叉は体を洗った後に浴槽に入り、紗は自分の髪や体を洗い始める

 

沙花叉「ほうほうこれは確かに…」

紗「――?」

 

紗の体をジロジロと見ている沙花叉に紗は髪を洗っているため気づかない

―そのあと、二人は一緒に浴槽に入って体を温めていると、紗は気になることを沙花叉に問いかけた

どうして最初はお風呂にあまり入りたがらなかったのかと聞くと、沙花叉は空を見上げながら口を開く

 

沙花叉「紗は幽霊…とか…信じる?」

紗「幽霊?」

沙花叉「そう」

紗「うーん…信じないわけじゃないけど、いないとも思わないかなって」

 

そう言うと沙花叉は小さな声で「そうなんだ…」とつぶやき、その後に言葉を連ねた

 

沙花叉「実は昔ね…幼い頃に実家のお風呂でシャボン玉で遊んでたんだけど、そのときに私以外の”誰か”が写ってて…そんな経験が多かったからお風呂が苦手になったの」

 

そう行って沙花叉はブクブクと湯船に息を吐いて泡を弾けさせる

そんな経験があれば誰だってお風呂が嫌いになるだろうと紗は思う。紗はそういった経験はないと思うが、もしあったとしたら沙花叉と同じようにお風呂に入ることに躊躇するようになるだろう

―そのようなことを考えていると、沙花叉は紗に抱きついてきて笑顔でこのように言い放った

 

沙花叉「でも今は紗がいるからだいじょーぶ!幽霊なんて怖くないもんね〜!」

 

パチャパチャと水が弾き合い、紗と沙花叉の肌を伝ってまた再び水へと戻る

こんなに仲慎ましい空間を邪魔する幽霊などはいない。いや、居てはならない。もし居たとしたらPON巫女かケモミミの彼女たちにお祓いしてもらおう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こより「こんこよ〜!ねぇねぇ助手くん!聞いてほしい事あるんだけどさ!」

 

配信内が始まった途端にこよりは視聴者である助手くんたちに自慢げに話を始めと、助手くんたちもみんな何だ何だと騒ぎ立てて早く話してくれと言わんばかりのコメントが流れる

そしてこよりは嬉しそうに話を始めた

 

こより「この間ルイルイのコラボ配信のときに助っ人ちゃん来たじゃん?」

コメント『:来たね』

こより「その助っ人ちゃんとさ〜いっしょにお風呂入ってしかも髪も洗ってもらったんだよ〜!」

 

その言葉にコメントは烈火のごとく速く流れる

やっぱりママだったか。で、裸は見たのか。などすこしライン超えのコメントもあったが、こよりは丁寧に(?)説明する

―だがそれを言う前に、助手くんたちに一つ注意喚起を促す。”無駄な詮索はしないこと”例えば、紗という助っ人は何者なのかやこよりとどういった関係なのかということを詮索しないという注意喚起をした後、こよりは話を始めた

 

こより「―それは―雪原に咲くスノードロップのようだったよ…」

 

 




沙花叉がお風呂嫌いな理由ってこの話で出た感じらしいですよ。いやまじで怖いよね
あ、そういえばネタが足りてないので感想などでこんな話どう?というネタがあれば教えていただけるとありがたいです!できる限り取り入れますので!


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記録:みんながロリになっちゃった!

紗「うーん――んっ!」

 

心地の良い日差しを受け、紗はベッドから目を覚ます

今日はいい日になりそうだとベッドから降り、私服に着替えて朝食を作る準備を始めようと自室のドアを開けたら…

 

「紗おね〜ちゃん!おはようでござる!」

 

そう言い放って紗の腰に抱きついてくるのは、いろはのような顔つきをした小さな子であった

どういうことかと困惑していると次に来たのはルイのようなロリっ子。その子もいろは(仮)と同じように紗おね〜ちゃんと行って紗に抱きついてくる

 

紗「えぇ?えぇぇ???」

「紗ちゃん!おはよー!」

紗「あ!こよちゃ…ん?」

 

聞こえた声は確かにこよりの声であったはずだ

なのに目の前にいるのはまたもやロリ化したこよりのような子供。髪はストレートになっており、いつも結んでいるところが解かれている

再び紗はこよりなのかと問うと、こより(子供)は元気に自分は正真正銘こより本人であると手を挙げる

 

紗「どうしてみんな子供に…?」

こより「それを語るには昨日の夜まで遡る必要が…」

 

そう言ってこよりは事の経緯を話し始めた

 

 

 

 

昨日の夜の話

 

こよりは実験室に籠もって、とある実験をやっていた

その実験は数多のホロメンと視聴者を喜ばせるものだ。それはホロメンの夢であり、視聴者(一定数)の希望を実現させることのできる夢のようなアイテムなのだ!

 

こより「ふっふっふ…これをフブキ先輩に渡せば…ふっふっふ…」

ルイ「こよーちょっとこっちきてー」

こより「はーい!今行くねー――わわっ!!!!」

 

ルイに呼ばれたこよりは勢い余って実験物を落としかけてしまい、急いで取ろうと手を伸ばす。しかし一向に手に収まる気配はなく、逆に手のひらで踊るかのようにポンポンと弾みながら扉の方へ向く

その時ちょうどのタイミングでルイが扉を開き、ピョーンとロビーの方へ実験物が飛んでいってしまい、聞き心地の悪い嫌な音がそのロビーに響き渡る

 

こよりは顔を青ざめる。せっかく成功した実験物が今、水の泡となり無惨にも空へ消えてしまったのだ

しかもあの実験物は要密封であり、一定時間空気に触れてしまうと気化してその成分が空気中に分散してしまう。それを吸ってしまった人はそれから数時間後には…

 

こよりが我に返って処理を始めようとしたときにはすでに時遅し

すでに実験物は気化し、空気中にその成分が撒き散らされてしまっていたそこに居た紗を除くHoloxメンバーは全員その気化したものを吸引してしまったため、朝に目が覚めたらこよりたちのようにロリ化していたということだ

 

こより「まぁこよの不手際です…」

紗「それは…まぁ…というかなんでこよちゃんはみんなと違って子供っぽくないの?」

 

確かにこよりは他のメンバーに比べて知性があるように見える

ルイやいろはは未だに紗の腰に抱きついているというのに

 

こより「多分…こよはいろんな薬飲んでるから知らぬ間に抗体が出来てたのかも」

 

そのようにこよりが言ったすぐにいろはは顔を見上げて可愛らしく言葉を放った

つぶらな瞳で可愛らしいその様は大人のいろはにはない特別な魅力があり、なでなでしたくなるほどである

 

いろは「紗おね〜ちゃん、お腹すいたでござる…」

紗「すこし待っててね。今作るから!」

いろは「わかったでござる!待ってる!」

 

そう言っていろははちょこっといつも座る椅子に一生懸命になって座る

紗はそのままキッチンへと向かい、素早く丁寧に料理を作る準備をしている最中、ルイはじっと紗のことを見上げてなにか訴えようとしてくる。どうしたのかと紗が聞くと、ルイはなにか手伝えることはない?と意気込んで聞いてきた

紗は少し考えたあと、ラプラスと沙花叉を起こしに行ってほしいと頼むとわかった!と言って走り去って行ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食後

紗はAちゃんに今この状況を報告した

するとAちゃんは「こよりさん、時間経過で効果は切れるんですね?」とこよりに問う。こよりはそのはずだというと、Aちゃんは「ならば視聴者の方々には私から説明しますので、効果が切れるまで保護していてください」

との指示を受けた

 

紗「けどさ…」

沙花叉「いろはちゃんそれさかまたの〜〜!!!!」

いろは「かざまがさいしょににつかってたでござる〜〜!!!」

こより「ラプちゃんかわいいねぇ♡もっとこっちにおいで〜?」

ラプラス「怖いから私、いやだ」

 

みんな自由気まま

知性を持ったこよりでさえその状況を楽しんでいる。唯一いつもとあまり変わらないのは、ルイだけであった

まぁそのルイもいつもとは違うのだが…

とにかく、この状況を紗一人だけで対処するのは骨が折れそうだ

 

紗「こよちゃんは体が小さくなっただけなんだから頑張って対応してよ…」

こより「こよはこの状況を楽しむっていう大事な役割がある!でも反省はしてるよ?」

紗「なら体を戻す薬を出して!」

こより「子供の成長を邪魔するのは野暮ってもんだぜ〜?紗ちゃん」

 

こよりは子供とは思えないおじさん風な声で紗に問いかける

つまりは薬など作っていないということだ。聞いた話だが、この薬はもともと先輩に渡す用であり、時間経過で効果切れるんなら別に特効薬なんかいらなくね?という考えのもと進んでいった話なんだとか

誰か助っ人を呼ぼうと思い、今度は知り合いに連絡することにした

 

紗(すみません…どなたかお暇な人いらっしゃいませんか…?)

 

メールを送るや否や数人からすぐに返答が返ってきた

『:今すぐ行くよ〜!』

との言葉が2、3件連なって着信がくる。まだかな〜とラプラスたちの相手をしながら待っていると、HoloX基地のインターホンが鳴り響き、紗は出迎える

そこに居たのはつい最近会ったロボ子さんとAZKiとちょこ先生だった

 

紗「来てくれてありがとうございます」

ロボ子「困ったときはお互い様だよ〜」

AZki「一人で子供の相手するのは大変だろうからね!」

 

ちょこは紗に挨拶した後、小さくなったルイに向かって愛らしいと見るような目線を送った

それはまるで目の中にハートが浮かんでおり、行き過ぎた愛情があるようにも見えてくる

 

ちょこ「ああ〜ルイ様♡こんなに可愛らしく小さくなってしまって♡」

ルイ「おねぇさんはいいひと?」

ちょこ「ええ♡私はいい人よ♡だからこっちにおいで♡」

 

大きく手を広げたちょこ先生にロリっ子ルイは近づいていく。そしてちょこの大きなたわわに吸い込まれていってちょこにギュッと抱きしめられた

そして、胸の中に収められたルイのことをちょこは一生懸命ナデナデする。「あぁかわいい…」など幸福の声をもらしている

 

沙花叉「いろはちゃ〜〜〜ん!!!!」

いろは「かざまのぉぉぉ!!!!」

 

おもちゃの取り合いをする二人に向かってAZKiは仲裁するかのように二人に話しかける

 

AZKi「そのおもちゃ二人で一緒に使ってみたらどうかな?」

沙花叉「いっしょに…?」

いろは「つかう…」

 

AZKiのその言葉に二人は大人しくなり、ごめんとふたりとも謝り始める

取り合いはなくなり、二人は仲良くおもちゃで遊び始めた

 

AZKi「うんうん。謝れてふたりとも偉いよ」

 

そう言って二人の頭を撫でるAZKi

一方、ロボ子はロリっ子こよりはロボ子と薬のことについて話をする。どのような成分なのか、効果時間はどのくらいか、そしてその目的はなんのためなのかという話し合う

そのすべてをロボ子さんの脳内データベースに保存し、これまでの情報からその効果時間を調べる

高性能だからそんなことは簡単にできるのさ

 

ラプラス「おい紗」

紗「何?どうしたの」

 

突然話しかけてきたラプラスは紗にジュースが飲みたいと所望する

紗はコップに”麦茶”を入れてこれはジュースだと言い張ってみた。すると、ラプラスはこれはジュースじゃないと一言言い放つ

 

ラプラス「私をバカにするな」

紗「今はこれしかなくてごめんね」

ラプラス「む…ならこれでいい」

 

大人しく麦茶を飲むラプラス

その瞬間…

 

ロボ子「計算出来たけど――もう効果切れるね」

 

ぽんっという音と共にロリ化していたみんなの体から白い煙が舞う

そしてその煙が晴れると…ぽかんとした顔でみんなは元の体に戻っていた

いろはと沙花叉は何をしていたのかわからないと言わんばかりに顔を見合わせ、ラプラスは手に持った麦茶のコップを奇妙に眺める

こよりは自分の体の感覚を確かめるように指をグーパー動かす

そしてルイは…

 

ルイ「あれ…私…」

ちょこ「あ、あ…お、おはよう!鷹嶺ルイ!」

 

あたふたするちょこ

ルイはわけもわからないままちょこに抱きついている状況に更に困惑するが、ちょこの肌から伝わる人肌の暖かさや鼓動が、ルイの肌に伝わってだんだんと落ち着く感覚になってきた

―そして知らぬ間にちょこの腰に手を回し、今度はルイは抱きしめる

 

ちょこ「た、鷹嶺ルイ?」

ルイ「うん…うぬ…」

ちょこ「ね、寝てるの?」

 

寝ていると思ったちょこはルイの頭をぽんぽんと優しく撫でる

そのようなルイの姿とちょこの姿を見たことがなかった紗はすこし新鮮な気持ちになった

しかし、二人も思っていなかったが彼女――寝ていると思われているルイは内心焦る

 

ルイ(やばい…寝ているフリ設定したけど起きるの恥ずかしっ…///でもちょこ先生の鼓動と体温…温かいな…)

 




ラプラスが「私」なのはミスではなく設定です
私の勝手な思いですが、子供の頃は私だったけど色々あって「吾輩」になってたら面白いなと思っているだけです
いつかHoloxの過去編とか作ってみたいな


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記録:お久しぶりですね。大空さん

お久しぶりです(*^^*)
先日、お気に入りが120を突破し、UAももうすぐ20,000に届きそうです!皆様ありがとうございます!(´▽`)
今回の話も楽しんで頂けたら幸いです!


ホロライブ事務所にある一室…

 

紗「……」

「……」

 

今この空間は静寂が制覇していた

話そうにも話せない。だが見知らぬ人というわけではなく、見知った人であるが、緊張と話す内容がなく、ずっと固まっている状況。

―困った後に、言葉を出したのは紗の方であった

 

紗「ひ、久しぶりですね、スバル姉さん」

スバル「そ、そうだな」

 

スバルは喉の奥から声を振り絞る

普段はもっと会話を弾ませることができるスバルだが、何故かやけに緊張している。わけもわからないが、何故か緊張しているのだ

 

スバル「さ、最近の調子はどう?」

紗「お陰様で…スバル姉さんはどうです?」

スバル「スバルも何事もなく生活してるよ」

紗「それは良かったです…」

 

声は部屋を飛び合い、空へと消える――どうしよう。話が続かない

二人は静かに話題はないかと考える。すると、部屋の扉が開いて元気な声が聞こえてきた

声の主は何気なく発したが、二人にとって女神のような存在だと思える

 

「こんちゃ〜…あれ?スバル、紗ちゃんに怒ってる?」

スバル「あやめ!!ちょっと助けてくれ!」

 

声の主ことあやめは入ってくるや否やスバルから助けを請われて困惑する

何があったのか説明してくれ余というとスバルは説明を始めた

まず紗はバイトで事務所に来ていて、一通り終わったから休憩していたところスバルがやってきて、せっかくだからなにか話そうと今に至るという話らしい

だがいざ話そうとすると、何を話せばよいかわからなくなったという

 

あやめ「まぁその気持ちはわかるぞ。余だって久しぶりにあくあちゃんと話したけど、会話続かんかったもん」

スバル「そういや地獄の雰囲気になってたな」

あやめ「うん。だから二人の気持ちはわからんくはない。だから――これをあげるぞ!」

 

そういって懐から出したのは、ドーナツが数多く入った箱であった

このドーナツはどうしたのかあやめに聞くと、道にでっかいドーナツが落ちていていろいろあってまつりと一緒に分け合った結果らしい

 

あやめ「とにかく、おいしいものを食べれば元気になるだろ!」

スバル「みちに落ちてたもん食べるか!!」

あやめ「え…スバルは食べないのか…?」

紗「これおいひいよ」もぐもぐ

 

紗はあやめから渡されたドーナツをもぐもぐと口の中でじっくりと味わう

道に落ちていたと言われたが、その味は他のドーナツと何ら変わらないとても美味しい味がする。モノによっていちごのチョコレートがついていたり、砂糖がまぶしてあったり…とかなり種類が豊富だ

スバルは紗が食べているのをみて心が揺れる

―食べても大丈夫なのだろうか。手に取ったドーナツを見てゴクリと喉が鳴る

 

紗「おいしいよ?」

スバル(もうどうにでもなれ―――!!!)

 

思い切った感情で一口

その瞬間、スバルの目が星が輝いた

今まで食べたことのないようなドーナツの甘み。とろけるように消えていくドーナツの食感がスバルの舌の上でダンスを踊っているかのようにスバルを虜にする

 

あやめ「うまいだろ!」

スバル「うめぇ…なんだこれ…」

あやめ「これを食べながら話に花を咲かせよう!」

 

それから楽しい話し合い(女子会)は始まった

さっきまで何を話そうか悩んでいたスバルたちもドーナツの力なのかわからないが、とても会話が弾む

 

紗「そういえば最近、私連絡用のスマホ頂いたんですよ!」

スバル「そうなの?」

紗「よかったらお友達になってくれませ――」

あやめ「――いいぞ!」

 

そう言ってあやめは自分のスマホを取り出し、手早く自分のスマホに紗の連絡先を入れる

スバルも続いてスマホ取り出して連絡先を繋げた

紗のスマホには多くはないが、いろんなホロメンの連絡先が入っている。それは雑談したり、なにか約束を交わしたりするものだ

―最新の連絡は…ラプラスから来た「コール」という文面。この数少ない文面の中に炭酸飲料のコールを買ってきてくれという意味かもしくはコールがなくなったという意味が込められている。

 

紗「二人ともっとお話出来ますね!」

あやめ「うむ!余も紗ちゃんともっとお話したいぞ!」

スバル「なんか困ったことあれば、なんでもスバルに連絡してくれ。大丈夫、ホロスタッフののどかちゃんもスバルに相談しに来てっからさ!」

 

そうやってスバルはムキッと腕を上げた

紗も日々感じている。彼女はかなり頼りがいがある。まぁ失言も多いが…それ以上に頼れるときがある。それは配信ではあまりなく、視聴者はあまり実感がないだろう。だが、実際スバルに相談しにくる人は多いのだとか

 

あやめ「あ、余もう少しで時間だ」

スバル「収録いくの?」

 

スバルの問にあやめは大きくうなずき、またねーと言って部屋を去った

残った二人はまたもや少し沈黙する。だが、最初ほどの沈黙はない。あやめが来てくれたおかげでかなり緊張もほぐれ、話しやすい雰囲気になっていた

 

スバル「紗をさ、今度スバルのかあちゃんに紹介したいんだよね」

紗「スバル姉さんのお母さんですか?」

スバル「そうそう。本当のかあちゃんじゃないけど、スバルの服とか衣装をつくってくれるんだ〜紗って結構同じ服来てるでしょ?だからかあちゃんに頼んで服くれないかなってね」

 

そう言ってスバルは目を輝かせる

紗はスバルの母さんに迷惑がかかるのではないかとスバルに言ったが、「大丈夫!大丈夫!かあちゃん、ちっちゃい子が好きだからさ!」とにこやかに話す

そしてスバルは会える日とか決まったら連絡するねとスマホを軽く振って紗に見せつけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中が良さそうな二人を影から見守る謎の影が…

 

「ほほう…彼女がスバルを慕ってる私の”娘”と言っていい子かぁ〜…結構素材はいいねぇ…服を着せたらどんなに化けるかな〜?」




ういママはちっちゃい子が好きって言ってなかった気がします
スバルが勝手にそう言ってると考えてもらえれば!

ちなみに同時進行で○○の過去編を創作中です。出来上がったらタイミングを見て投稿しますので暫しお待ちを〜


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記録:総帥は見返したい

「紗〜コール〜」「紗〜お腹すいた〜」

「紗〜」「紗〜」

いつものHolox基地はこんなふうに紗の名前が飛び交っている。そのほとんどはHoloxの総帥、ラプラス・ダークネスなんとかかんとかディア…の声である

―しかし最近はと言うと…

 

紗「ラプ総帥、バイトに行ってくるので大人しく待っててくださいね?」

ラプラス「りょーかい」

紗「お腹がすいたら冷蔵庫にある焼きそばを温めて食べてくださいね」

ラプラス「あいー」

紗「あ、でも中にあるプリンは食べないでくださいね?」

ラプラス「わかってるわ!早くバイトいけ!」

 

そう。子供扱いされているのだ

最近妙に子供のように扱われているとラプラスは感じている。成長したとも言い変えることができるが、ラプラスとしては少し遺憾

 

―吾輩はこんなに可憐で大人のれでいーなのに

 

それは紗に限ったことでは無いと、今考えて思う

沙花叉もいろはも幹部であるルイでさえラプラスは赤ちゃんだと思い込んでるに違いない…

 

ラプラス「それでは総帥の威厳が…」

 

どうするか

総帥としての威厳を取り戻すにはどのようなことをすれば良いのか

机に座って考えることにする

 

ラプラス「まず、吾輩はちゃんと総帥としての役割を果たしているかだな…」

 

総帥としての役割

それは人によって価値観によってかわるだろうが、少なくともラプラスは部下を引っ張るものと考えている。その役割をちゃんと果たせているのだろうか…

―答えは是。果たせているとラプラスは思っている。この間、メンタルがやられてダウンした時、紗に「私達の総帥はラプちゃんしかいない」と励まされた。そのことからラプラスは総帥としての役割を全うしているといえるだろう

 

ラプラス「ならどうすっかなあ〜吾輩の威厳を取り戻すには―」

 

思考しても何も出てこない

それどころかどんどんおなかがすいていく。おなかがすいた時のために紗が冷蔵庫に入れておいたと言っていた。その言葉を思い出したラプラスは冷蔵庫を開ける

そこにあったのは焼きそばだけではなかった。ついでに手紙も添えられていて、丁寧に総帥宛てと書かれている

 

ラプラス「えっとなになに…」

紗『ラプ総帥へ。この手紙を読んでいるということは、もうお腹が空いたということではないでしょうか?食いしん坊ですね』

ラプラス「なっ…?!」

 

こいつ馬鹿にしやがったとラプラスは少し頭にくる

だが事実であるためなにも言い返すことができない。まだまだ手紙の内容は続いているようで、続きをラプラスは読む

 

紗『馬鹿にしたな?と思ってますか?馬鹿にはしてませんよ。むしろ私が作ったご飯を美味しそうに食べてくれるってことが嬉しいんです。ばっくばっくばく~んってね』

ラプラス「それは沙花叉だろ」

紗「ナイスツッコミです◝(⑅•ᴗ•⑅)◜」

 

おかしい。何故か手紙のはずなのに会話ができている

 

紗『とまぁ、それは置いておいて、手紙初めて書いたんですけど、オオカミにおわれながら書いたんですよ。そしたら…oh!紙がねぇ!』

ラプラス「…全然面白くないぞ」

紗『笑ってくれないの悲しい( ⋅ ̯⋅ )…』

 

ここまで読んでラプラスは思った―これ執筆者紗じゃないだろ。と

こんな寒いダジャレやボケを彼女は突っ込むような人では無いはずだ。そしてこんな先を読むようなことも彼女は出来なかったように思える

 

紗『焼きそば食べて、配信とか頑張ってください。私もバイト頑張ってきます!(`・ω・´)ゝ

追記:最後の1文以外ルイねぇ作でした〜!どうでした?楽しめました?楽しめたかどうか手紙じゃわからないそんなあなたには、銅メダルを贈呈します!どうだけにね!』

ラプラス「……なんだこれ」

 

なんか終始馬鹿にされた気がする

本当に総帥としての威厳はあるのだろうか。そう思いつつラプラスは焼きそばを取り出し、温めてから口に運ぶ

…その瞬間。彼女の頭に一閃が走り!いいアイディアが思いついた!

 

―料理で見返してやろう。食いしん坊だと馬鹿にされたからにはそれを否定しなければならない。アイツらが帰ってくる前までにたくさんの料理を作って温かい料理で歓迎しよう

そう決意したラプラスは、もう以前のラプラスとは違う。何を作るか考え、どの時間帯に作れば暖かいまま提供出来るかを考える

 

ラプラス「でも料理に自信ないな〜あ、そうだいろは巻き込もう」

 

ということで、ラプラスはいろはの部屋に「たのもー!!!!」と突撃すると、いろはが投げたと思われるクナイのようなものがにこやかなラプラスの顔のそばを通り去り、さっと軽く髪が切れる

運良くその後ろには誰もおらず、投擲物は壁に刺さるだけだった

 

いろは「!ごめんなさいでござる!!!大丈夫だったでござるか?!」

ラプラス「お、おう…」

 

心配そうに駆け寄ってくるいろはにラプラスは自分の身が安全であったことを、冷静に、平然とした態度で説明する

―正直死んだと思った。とラプラスは口に出さずに呟く。如何に総帥であってしてもビビる時はビビるのだ

 

いろは「…それで…拙者の部屋に来たのには何があるのでござるな?」

ラプラス「あ、そうそう。吾輩、紗を見返そうと思ってるから力貸してくれ」

いろは「???―話が跳躍しすぎているでござる…そこに至る経緯とどんな力が借りたいのか教えろでござる」

ラプラス「そうだな。詳しく説明すると…」

 

ラプラスはいろはに事情を説明した

 

いろは「なるほど…つまり舐められていると感じているから料理で見返したいってことでござるな?」

ラプラス「そ!だから頼むよ〜!」

いろは「わかったでござる!紗ちゃんたちが帰ってくるまでに作り上げるでござるよ!」

 

そう言ったいろはは腕を捲ってやる気になる

ラプラスもいろはに手伝ってもらえるなら簡単に終わるだろう。そう思ったラプラスはいろはの手ほどきを受けながら料理を頑張る

途中、ハプニングもありつつ無事に紗が帰ってくるよりも前に作ることができた

―と同時に紗はルイとともに帰ってきた。だからラプラスはエプロンを付けたまま、笑顔で玄関まで迎えに行き、こう言ってやったのだ

 

ラプラス「おう!帰ってきたか!あったかいごはんできてるぞ!」




書いてるうちにキャラが不明になった…でもこんなラプラスもいいよね!


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記録:ぬくぬくにゃんことふりふりわんこ

今日はポカポカな気温。こんな日はうたた寝したくなるような日差しが太陽から降り注いでくる

ホロ事務所の窓辺の観葉植物も気持ちよさそうに太陽の光を浴び、その近くにはゆらゆらと太陽の光を浴びてぬくぬくしている猫の尻尾が――

その猫の名は”猫又おかゆ”。極めて自由に生きる猫である

 

「紗ちゃん〜♪」

紗「気持ちいいですか?」

 

一方、紗の膝元で心地よさそうに頭を撫でられてシッポをフリフリするのは、おかゆと同期の"戌神ころね"だ

2人とは面識があるものの、このように直接対話することのなかった紗は接し方を考えながら接する

ころねは紗の話は前から聞いていたが、会ってみるとなんだかものすごく撫でてほしいような感情になり、今に至る。なぜ撫でてほしい感情になったのかは不明だが、紗の撫で方はとても心地が良い

撫でられれば撫でられるほど尻尾が嬉しそうに左右に揺れ、顔も嬉しそうな表情になる

 

おかゆ「ころさん気持ちよさそうだね〜」

ころね「うんうん♪気持ちいいよ〜なんかね、こぉねが撫でてほしいところを撫でてくれるんだよ!しかも優しい!普段からなにかやってるの?」

紗「普段ですか…特にはやってないんですが、強いて言うなら…こよちゃんのブラッシングを手伝ってますね」

 

こよりの髪は長い

それはみんなから見てもわかることだろう。

それ故、毛先や首元などは自分でブラッシングするのは辛い。だから紗はこよりのブラッシングを手伝っている

…それと同時にこよりは紗に撫でてもらうという、極秘ミッションがあるのだが…

 

ころね「なーほーね〜こよちゃんの髪をとかしたりしてるから、扱いわかるのかぁ〜」

紗「ころねさんの髪もとかしますか?」

ころね「いいの?!これから収録あるんだよね〜紗ちゃんに整えてもらえるこぉねは幸せ者だなぁ」

 

そう言って椅子に座り直したころねの背に回り、紗は櫛を取り出して丁寧に痛くないように髪やしっぽの毛並みを整える

ころねも整えない訳では無いが、自宅から事務所に来るまでに強風で髪が乱れたり、タクシーで座ることによりしっぽが乱れたりと、大変なのだ

 

ころね「助かったでなー!おかけで髪がサラサラになったよぉ!」

おかゆ「きれいになったね〜ころさん」

 

ころねは可愛らしく「うんっ!」と頷き、気分上々のまま収録に向かったのであった

続いて紗の膝に頭を預け、「撫でて〜」と優しい声で紗に話しかける。言われるがまま紗はおかゆの頭をそっと撫でると、おかゆは猫のような声を上げて満足そうな顔をする

気持ちが良くて眠くなるが、紗を見上げて少し眠気が飛ぶ

 

おかゆ「―紗ちゃんさ〜」

紗「はい、なんですか?」

 

おかゆの問いかけに紗は反応する

依然おかゆは眠たそうな目をしながら尻尾をゆらゆらと揺らしている

 

おかゆ「結構おっぱいおっきいよね〜」

紗「なっ!い、いきなりなんですか///」

 

のどかなその声から発せられる突然の発言

確かに紗の胸は小さくはない。かといって大きいというわけでもない。ならばなぜ彼女が紗の胸に注目しているのだろうか。特に面白いことはないのに

極めて自由に生きる彼女にそんなことを聞くのは野暮だろう。なぜならば自由に生きているから。理由などない

 

おかゆ「パって見たときに思ったんだよねぇ~あ!あの子おっぱいおっきい!ってボクの尻尾センサーが反応してたんだよ〜」

紗「どんなセンサーなんですか!!」

おかゆ「名付けてぺぇせんさー!」

 

細い目ながら自信満々に答えるその様は、まるで本物の猫を見ているようであった

―そんなことを考えながら頭を撫でていると、紗の手がおかゆの耳に当たってしまう。その瞬間、おかゆは色っぽい声色で身を縮めたのであった

紗は痛かったのかと聞くと、おかゆは…

 

おかゆ「紗ちゃん、ボクにこんな声を出させて…"えっち”だね」

紗「え、えっち?!」

おかゆ「あははっ!冗談だよ〜でも――とっても気持ちよかったよ?」

 

そう言われ、なんだか恥ずかしいような感情になった紗は顔を紅潮させる

そんな紗を見ておかゆはニヤニヤと、(かわいい反応するなぁ〜)と口には出さないで紗のことを見つめた

―翻弄された仕返しと思って、紗は再びおかゆのけも耳を触り始める

 

おかゆ「ひゃん♡ちょっと、また触るのは―ひゃっ」

紗「おかゆさんの耳ふさふさで気持ちいいですね」

おかゆ「ちょ―紗ちゃ―!やめっ」

 

やめてと言われたが、紗はやめない。これは翻弄された仕返しなのだから

だが次第になんだかやめたくない気持ちになってきた。―このままおかゆの耳をいじり続けたい。そんな行動が紗の頭を支配する

おかゆの恥ずかしそうな声が紗の耳に届き、次に紗がおかゆの顔を見た時にその支配は解けた

 

おかゆ「ま…まだやるの…?」

 

すこし涙ぐみながら紗のことを見上げるおかゆには流石に理性が回復してきて、紗は手を止めて、今度はいじるではなく頭を撫でることをする

おかゆは始めはビクッと体が震えたが、次第に慣れてきて、安心したような表情になる

 

紗「すみませんおかゆさん。少しいじめたくなっちゃって」

おかゆ「もう…びっくりしたよ〜紗ちゃんSっ気あるんだね…」

紗「はは…でもおかゆさんの耳って可愛らしいですよね。私にはないものですし」

 

その瞬間、Aちゃんが紗のことを訪ねてきて、紗はおかゆと別れた

Aちゃんに紗がおかゆの頭を撫でていたことは見られたが、おかゆがあまりにもいい顔だったからこのことは秘密にしておこうと

―耳を触られ続けて少しドキドキしているおかゆ。何せあんなに触られたのは、あの時以来だから

 

「…おがゆ」

 

物陰からおかゆの名前を呟く声が部屋に響く

今度は違うドキドキにおかゆの心臓は高鳴り、その物陰を注目する。そこに立っていたのたは、暗い顔で赤く目を光らせたころねの姿であった

 

おかゆ「こ、ころさん…?」

ころね「紗ちゃんとイチャイチャ」

おかゆ「こ、ころさんもイチャイチャしてたじゃん!」

ころね「………」

 

ころねは無言で歩み寄ってくる

逃げようと思ったおかゆだが、耳を触られ続けたこともあり、上手く動けない。そうこうしているうちに、ころねはおかゆの目の前に来ていた

―圧倒的な圧。負け押されそうなほどにその迫力はすごい

そしてころねがおかゆに手を伸ばす…

 

おかゆ(も、もうダメだぁ〜!)

 

○られると思ったおかゆは意を決して目を瞑るが…

―ぽすっ。目を瞑ったおかゆの体には、軽い衝撃と触られている感触しかない。恐る恐る目を開けると、そこに居たのはおかゆの胸に顔を埋めるころねの姿があった

 

ころね「…紗ちゃんとイチャイチャするのも悪くないけど、こぉねはおかゆとイチャイチャしたい」

おかゆ「………」

ころね「時間あるし…ね?」

 

そう言って可愛らしく見てくるころねに、おかゆは敗北した

 

おかゆ「しかたないなぁころさんは〜」




おかゆはMだって本人も肯定してた気がするので、紗にはSっ気を出してもらいました
ころさんは…マジで怒らせたら怖い…


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沙花叉の記憶:出逢い

これは沙花叉の記憶。とても長い長い記憶のはじまりの記憶


―過去なんて思い出したくない。そう考えるのは何回目になるだろうか

 

部屋の中央で沙花叉は赤く塗られたナイフを持って考える

これがあるから考えるのに。このナイフそのものが過去なのに―けじめを付けて捨てることは出来ない

誰かに見られることも危険だ。勘違いされると面倒なことになる。だけど、捨てる決意は出来ない

―なぜならこれは…彼女の最後の形見だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前

 

「やだぁぁぁ!!!!!!」

「行くのよ。この経験は必ずあなたのためになるから」

 

必死に何かを拒否する銀髪の少女をなだめる彼女の親と見られる女性は、半ば強制的に飛行機へ搭乗させ、少女を遠い地へ送り出す

少女は墜落するのではないかという不安と、死ぬのかもしれないという恐怖が襲う。できるなら死ぬ前に家にあるゲームをクリアさせてからにしてくれと心のなかで叫んでも届くことはない

 

 

 

 

――数時間経って、無事飛行機は目的地へと到着した

近代化が進んだ街の雰囲気、工場の高い煙突から出る灰色の煙。目に映るものはどれも新鮮で、今まで過ごしてきて見たことのないものだった

今までに感じてきた不安など吹き飛ぶように好奇心が、少女の心を支配する

 

「――もっと探索したい…!!!」

 

だが好奇心は抑えなければならない

その前に行かなければならない場所がある

見送ってもらった母の知人の家だ。母からもらった住所の書かれた紙を頼りにその知人に会いに行く

――どんな人なんだろうか。期待で胸が膨らむ

 

しかし、実際についたのは想像とは違う場所であった

少し薄くらいような路地の横。表通りから離れた裏通りと言っても過言ではない荒れている場所

扉は木で出来ているが、華やかとは言えず、少し汚れが目立つくらいだ

本当にここで合っているのだろうか。期待は一瞬にして不安に変わる

意を決して扉を開こうとしたその時――ガチャリと扉が音を立てて開いた

 

「…Hmm?() Who the hell are you?(あんた誰だ?)

 

扉の向こうに現れたのは乱れた金髪で背が高い女性であった

服もよれていて、キレイとは言い難い状態。首にかけられた赤いネックレスが揺れ、気だるそうな雰囲気を醸し出す女性は頭を掻いてふぅとため息を出す

 

A lost child(迷子の子か)... this is no place for a child to wander off(ここは子供が迷い込んでいい場所じゃねぇよ).

Come on,get out of here(さっ早く帰りな).」

「あ、あの…」

what is it(なんだ)?What do you…want(なんか用…か)?」

 

女性が言い終わると同時になにかに気づいたかのように少女を見つめる

そして興味深そうに少女を見つめてぶつぶつとつぶやき始めた

 

Beautiful silver hair(綺麗な銀髪)... red eyes that look as if(獲物をくらう) they are preying on their prey(のような赤い目)...

You don't think you're(まさかお前は)...Is that his kid(あいつの子供か)?」

「え…?え…?」

 

困惑する少女に女性はにこやかな笑顔で流暢な日本語を発した

 

「すまないな。お前はサカマタの子か?」

沙花叉「は、はい。私は沙花叉クロヱ…です」

オリビア「やっぱりそうだったか!私の名はオリビア・ローレンスだ」

沙花叉「よろしくお願いします…えっと…ローレンスさん?」

 

沙花叉がそのように言うと、オリビアは微笑んで「そっちは姓だ。オリビアと呼んでくれればいいさ」と。とにかく玄関先で話しているのもなんだからということで、沙花叉はオリビアの家へと入っていった

―オリビアの部屋は、裏通りの雰囲気とは真反対で、とても綺麗。精巧に作られたと思われる家具や机。暖炉ですら華やかな明かりで部屋を温めている

 

沙花叉「すごい…」

オリビア「気に入ったか?お前の住んでいたところとは違うだろう?」

沙花叉「こんなに綺麗なら玄関も直したらいいのに」

 

沙花叉がそのように言うと、オリビアは何か事情があるように笑う。だがそれからその話が続くことはなく、話題は次へとシフトしていった

沙花叉はオリビアに誘われるがまま机に座り、入れてくれたミルクで一服する

そのままいろんな話をしていくうちに、オリビアと沙花叉の母との関係性が見えてきた

 

オリビア「まぁつまりはだな。お前の母とは仕事仲間であり旧友関係にあるわけだ」

沙花叉「オリビアさんとお母さんが…どんな仕事してるんですか?」

オリビア「…知りたいか?」

 

オリビアの少し恐怖を煽るようなその言い方に沙花叉は若干恐怖するも、興味が勝ち、恐る恐る仕事を聞く

 

オリビア「はぁ…本当にあいつの子供なのか…?」

沙花叉「???」

オリビア「まぁいい。私たちの仕事は――簡単に言えば探偵だな」

沙花叉「探偵―!」

オリビア「簡単に言えばってことを忘れるなよ。私はエージェントで、お前の母は司令部さ」

 

そう言ってオリビアは飲み物を飲む

その表情はどこか寂しそうで、過去を思い出しているようであった

―さて…とオリビアは話をまた変えて会話を続ける。今度はなぜ沙花叉の母がオリビアに実の娘を送り出したのか。そういう話になった

 

オリビア「あいつはなんか言ってたか?」

沙花叉「いや…?この経験はあなたのためになる…とかなんとかしか聞いてないです」

オリビア「あいつらしいな。だが恐らくは…そうだな…しばらく異郷の地に送り込んで鍛えてこいってことか?」

 

そう言ってオリビアはまた頭を搔く。子供の相手をするのは苦手なんだと

だが任された(不本意)からにはその任務を全うするまで。それが彼女の本意であった。それを知ってか沙花叉の母は彼女に依頼したのだろう

―さて。これからどうしようか。沙花叉クロヱという少女をどのようにして鍛えるか…

 

沙花叉「あ、あの…」

オリビア「なんだ?」

沙花叉「探偵の仕事って…!」

 

綺麗な目を輝かせる沙花叉

しかしそれは教えることが出来ない、子供に悲しい現実を背負わせないための自分にかせた契約だから

だが話の途中に運悪く、部屋中に携帯の着信音が鳴り響いた。オリビアは腰を探って携帯を手に取って耳に当てる

―どうやら仕事が入ってしまったようだ。めんどくさそうな表情をしながら、電話を切る

 

オリビア「すまない、仕事が入ってしまった。仕事が終わるまでお前の世話をすることはできないが…」

沙花叉「大丈夫です…頑張ってください」

オリビア「ふっ…悪いな」

 

そう言ってオリビアは仕事に出かける

オリビアの仕事は探偵なんて生易しいものではない。依頼主からの依頼を受けて、目標を排除する掃除屋(エージェント)だ。今回の仕事も簡単に終わるだろう

―路地の裏でオリビアは簡単に着替える。黒くボロボロのコートを身に着け、黒い羽があしらわれた仮面を顔につけて目標に近づく

 

O「…Sorry about that(悪いな。仕事なんだ).」

 

背後から標的の口を塞いで自慢のナイフで喉元を切る

そしてその後、腹部を切り裂いて内蔵を取り出す。その内臓を袋に入れた後は颯爽と現場を離れる

これが彼女の掃除の仕方だ。隠密に素早く目標を暗殺し、依頼主からの報酬金を受け取る。取った内蔵は自分が属する組織へと提供するのだ

時には標的の愛人となって様々な情報を得た後殺害したり、自警団になりすまして殺害することも多々ある。だがそれも全て依頼主からの報酬のためだ

 

仕事が思ったよりも早く終わったオリビアはコートや仮面を片付けた後、家に戻ることにした。だが、あの家はいつも殺風景だ。特に面白いことはない

今日もそう思って扉を開けると―

 

沙花叉「おかえりなさい!」

オリビア「…そうだった。今日からこいつがいるんだった…」

 

唖然としたのもつかの間。沙花叉がいた事をオリビアは思い出す

しかし更に驚いたのは、ロビーについてからだった。机の上には多く作られた暖かな料理たち。どれも幼い沙花叉が作ったとは思えないほどキレイで食欲を唆るもの

 

オリビア「これは…お前が作ったのか―?」

沙花叉「そうです、あ!勝手に食材使ってしまってごめんなさい…」

オリビア「いや、それは良いんだが…よく出来ているな」

沙花叉「えへへ…お母さんからよく教わりましたから」

 

―そういえばあいつも私に料理を作ってくれていたんだったか―と懐かしい気持ちになったオリビアは、料理を一口食べる。すると昔日の思い出が瞬時に頭をよぎる

瞳に溜まった雫がオリビアの頬を一筋の線を描いて机へと吸い込まれた

 

沙花叉「あれぇ?!お口に合わなかったですか?!」

オリビア「いや…そうじゃないんだ…ただな…懐かしくなってしまってな」

 

―掃除屋が泣くなどありえない。人の殺生がかかっている仕事なのに感情を出しては生きていけないから

だがオリビアが感じたこの味はかつて沙花叉の母が作ってくれた味と非常に似ている。それ故、無意識に涙が出てしまったのだろう。ここ最近の食事は良いものとは言えないものばかりだった

毎日この食事が食べられればいいな―そう思ったオリビアはすこし交渉を考える

 

オリビア「仕事も終わったからお前の世話ができる。私がお前に教えるのは、ここらへんの言語と人との付き合い方、そしていつかのための体術だ。その代わりに今日みたいな料理を作ってくれ」

沙花叉「私にできるかな…」

オリビア「大丈夫さ、なにせお前はサカマタなんだからな」

 

その言動の意味は沙花叉にはわからなかったが、今日から長く厳しい訓練が始まった

だがオリビアの教え方は格別でわかりやすく、悪いところといいところ、そしてアドバイスも的確なものだった

たまにオリビアは何を言っているのかわからないときもあるが…とにかくいい先生なのは間違いじゃない




沙花叉の過去編書いてみよーって思ったら予想外に長くなってしまったので三部構成にします
この回は沙花叉の師匠となる人との出会いです

本編で触れてませんが、オリビアさんは沙花叉のおかげでぼさぼさだった神が綺麗な金髪になったそうですよ?
まぁ沙花叉は掃除ができないので、オリビアが定期的に片づけてますが…


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沙花叉の記憶:クロヱ・ザ・リッパー

これは沙花叉の記憶。とてもとても長い記憶の一番狂った部分


―それから数年経ったある日

その頃にはもうすでにすっかり街の雰囲気に馴染んだ沙花叉は、今日のご飯は何にしようかと買い出しに来ていた

だがそんな中起こった悲劇―オリビアが倒れたのだ

報を聞いた沙花叉は急いで医療所へと駆けつけ、オリビアへ会いに行った

 

沙花叉「オリビアッ!」

 

意気よい良く扉を開けた沙花叉は名を叫ぶ。するとナースの人が、オリビアさんの親族であるかと聞いてくるため、沙花叉は親族だと答えた。ナースはそのまま沙花叉を連れてオリビアが寝ているベッドまで連れて行ってくれた

そこにいたのは、やせ細ったオリビアの姿であった

 

沙花叉「オリビア…!」

オリビア「うるさいぞ…全く…誰に似たんだか―ごほっ」

 

咳き込むオリビア。その姿はまるで消えかける火のようで、か細かった

 

沙花叉「水をのんで…」

オリビア「ごほっ―悪いな。本当に…」

沙花叉「なに言ってるの!きっと大丈夫だから!」

 

だが、オリビアは首を縦には振らなかった

―自分のことは一番自分がわかっている。そう言っているかのようであった

 

オリビア「まさか私が―ごほっ…あいつから毒食らうとはな」

沙花叉「え…毒?」

オリビア「そうだ。―この体はもう潰える。それまでにお前に教えなければな」

 

オリビアは自分の太ももから一本のナイフを出す。それは普段オリビアが使っている自慢のナイフで、微かに赤く染まっていた

そのナイフを沙花叉に差し出し、持っていけと指示する

 

オリビア「私のナイフさ…もうこの体では振るうことも叶わないだろう。なら、お前に託すしかない」

沙花叉「そういえばオリビアの仕事って――」

オリビア「掃除屋――まぁ綺麗な方じゃないんだがな。それと…これもお前に返すか」

 

そう言ってオリビアは首にかけていたネックレスを分解すると中から一本の鍵が出てきた

その鍵に彫刻されているのは、シャチを正面からみたようなマーク。沙花叉はそのマークを知っている。オリビアの家の1角にそのマークがあしらわれ、鍵がかかった扉があったのを思いだす

―もともとその鍵は、オリビアと共に過ごしていた時に沙花叉の母が使っていた部屋なのだという。だからこれを返すということらしい

 

沙花叉「あの部屋になにがあるの?」

オリビア「知らん。私には理解が出来ないものだったとだけ言おう。だが、お前なら分かるはずだ――ごほっごほっ」

沙花叉「オリビア!」

 

激しく咳き込むオリビア。その姿はもう弱々しく、今にも灯った明かりが消えそうになっていた

苦しみながらオリビアは力を振り絞って声を出した

 

―オリビアは…沙花叉に最後の授業を――

 

オリビア「…私がいなくなって苦しくなったら、私の家から少し行ったところの霧の10番通りの20ー3にいけ。お前を助けてくれる人がかならずいるはずだ」

沙花叉「オリビア…」

 

弱々しくなっていくオリビアの手を必死に握る

―もし神がいるのであれば今助けてくれ。そう頼んでも返答はない。だが、オリビアは弱くなっていく

泣きそうになる沙花叉はオリビアの手を握りながら助けてくれと願う

そんな時、オリビアはもう片方の手で沙花叉の頭を撫でた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。オリビアは息を引き取った

 

 

 

 

 

沙花叉は彼女を失ったことを嘆き、オリビアの家で悲しんだ

そして沙花叉はオリビアが装備していたコートや仮面をつけて立ち上がる。オリビアを毒殺した犯人に復讐するために

―敵を見つけるために一日…二日…と彷徨い続け、ようやく情報がつかめた

 

どうやらオリビアに毒を盛ったのは"不夜のレギオン"と呼ばれる組織らしい。よく毒殺で標的を殺害しているらしく、この間も一件事件が起こったばかり。被害者の状態からみてもオリビアの状態とよく似ていたため、どうやら同じものを持っているのだと確信を得ることができた

そして…

 

「いやっ…やめて!」

「お前も可哀想だよなぁ~俺達"不夜のレギオン"の実験台にされt――」

 

裏路地にて襲われそうになっている女性の傍に謎の液体が入った注射器を女性に打ち込もうとする男性たちを見つけた沙花叉は、彼らの発言を聞いて衝動的にその注射器に向かって投擲武器を投げた

―パリンと割れた注射器。それを見て唖然とする男たちに沙花叉は奇襲を仕掛ける。今ここにいる敵の総数は2人。片付けるのは簡単

まず一人の何も持っていない男を一撃で失神させ、次に注射器を持っていた男と対峙する。ここで焦って戦いに向かってはならない。なぜなら武器は一つと限らないから

 

その予想は外れておらず、男は腰から注射器を取り出した

動作を見た沙花叉はすかさず駆け寄り、足で注射器を持った手を振り払うと、男は掴みかかって来る

―そんなに鈍い攻撃など当たるわけない。うまく攻撃を交わした沙花叉はうまく後ろに回り込み、腰からオリビアのナイフを取り出して男の首元に当てる

 

「なっ――女ぁ…うめぇじゃねぇか…」

沙花叉「…不夜のレギオンについて教えて。さもないと――」

 

首元に向けたナイフはギラリと光る

 

「な…なんにもしらねぇなぁ…」

沙花叉「本当に?」

 

ナイフが少し肉を断つ。首元に赤い筋が伝わり、熱い熱を帯びる

―恐怖。男が感じるのは沙花叉に対する恐怖のみ。今の沙花叉はまるで獲物を狩る捕食者。逃げられるなんて到底思えない程に恐怖がある

 

「ぐっ…悪かった!俺たちはなんにもしらねぇんだ!」

沙花叉「なんで?君たちは自分のことを不夜のレギオンって名乗ってたよね?」

「名乗ったが…本当に知らないんだ!俺たちはただ…薬を打ち込めって言われただけで――」

沙花叉「誰に?」

「本物の不夜のレギオンさ―!アイツら、裏路地で人雇ってんd―――」

 

必要な情報が集まったと思われる沙花叉は男を気絶させる

静かになった裏路地。怯える女性に沙花叉は「早く逃げたほうがいいっすよ」とだけ言い残してその場所を後にした

そして手に入れた情報を手掛かりに裏路地で怪しい人を探す。するとすぐに何かの取引をしている怪しい人物を発見、その人を影から尾行する。初めての尾行だが、オリビアからレクチャーされているため、かなり上手い。オリビアの教え方というのもあるだろうが、沙花叉自身の力もあるだろう

 

―そしてその人物は廃工場へと足を進めていった。その廃工場には警備がたくさんついている。外の窓から見ると、中では数多い研究員のような人物が何か怪しげな薬を作っている状態が見える。目を凝らして壁を見ると、そこには"不夜のレギオンに幸あれ"と赤い液体で描かれていた

 

沙花叉(…ここが――奴らの…)

 

意を決してこっそりと潜入し、沙花叉によく似ている研究員を襲って身ぐるみを剥いだ。そしてその研究員の服やメガネ。身に着けているものを沙花叉が貰い、組織の一員として潜入する

 

沙花叉「ねぇ、急ぎでボスに会いに行きたいんだけど、どこにいるかしってる?」

「あぁボスならいつもの部屋にいるさ」

沙花叉「いつもの部屋…?」

「なんだ忘れたのか?ほら、この先行って……のところにあるぞ」

沙花叉「ありがとう」

 

丁寧に教えてくれた研究員(おバカ)のおかげでボスの居場所が分かった

―潜入時にこっそり話を聞いていてよかったと思う。衝動的にツッコんだらこんなことできなかっただろう

 

なぜ沙花叉が怪しまれないのか――それは簡単な話である

沢山の研究員や警備が居て一人一人の名前や顔など覚えられるはずがないから

 

ボスの部屋と思われる場所に来た沙花叉はノックして適当な要件を繕って中に入る口実を作る。それが運よくことを運び、中に入ることができた

ボスと思われる人物は、中年くらいのおじさんで、いかにも胡散臭かった

 

沙花叉「この間毒を投与したこの女性覚えてますか?」

「あぁ、覚えているとも。それがどうかしたかね?」

 

―よかった。本当にあっていた。この人たちがオリビアを殺したのだ

確証がとれた沙花叉は、笑いがこみあげてくる。こんなに簡単に犯人にたどり着くことができるなんて

 

「君、どうしたのかね。早く出ていきたまえ。私も忙しいのでね」

沙花叉「へえ…忙しいんだぁ…」

 

ボスが後ろを向いた瞬間、沙花叉は服を脱いでオリビアとまったく同じ姿になると、素早く背後につき、ナイフを首に当てる

 

「な、なんのつもりだ!」

沙花叉「人殺してなんにも復讐が来ないとでも思ったの?不夜のレギオンって名前誰かにあげた方がいいんじゃない?」

「貴様何をやっているかわかっているのか?!私は不夜の王だz」

沙花叉「はいはいそうですか。でもね、殺す前に一つ教えてあげる。王ってその国では一番偉いかもしれないけど、世界から見たら一人の人間に過ぎないんだよ」

 

その瞬間。たけましいほどの警報が響き渡り、大勢の足音が今沙花叉たちの居る部屋へと集まってくる

―勢いよく開かれる扉、そして拳銃や自動小銃等の武装をした警備員が沙花叉に銃口を向けた

 

「大人しくボスを解放しろ」

 

その中の誰かが叫んだ

だが、沙花叉は解放しようとは考えない。逆に二人の空間を破壊されたと感じて嫌悪感が高まる

―仕方ない事と思ったのか、だれかが銃を発砲する。飛んだ弾は沙花叉の傍を通り抜け、背後にあるガラスに命中し、見事に割れた

 

沙花叉「撃ってくるってことは……敵でいいんだよね?」

「ひっ…」

 

沙花叉の獲物を狩るその目に警備員は怯える

しかし警備員も手馴れであるため、容赦なく沙花叉を打ち殺そうとするも、するりするりと銃弾を縫うように避け、1人。2人と敵を倒していく

―自分の大切なものを奪ったんだ。そのくらいしなければ割に合わない

光が消え、血のように赤く染った沙花叉クロヱの瞳には、もう憎しみしか残っていない。

敵は全て掃除する。それがオリビアの後を継ごうとする掃除屋の決意であった

 

沙花叉「あはは…アハハハハハハハハハハ!!!」

 

コートが赤く染まる。仮面が汚れる

その姿はもう掃除ではなく、殺戮そのものであった

――切り裂きジャック…という名は聞いたことがあるだろうか。昔の英国で起こった連続殺人事件の犯人とされている人物のことだ。別名、ジャック・ザ・リッパー。今の彼女はまさにそのジャック・ザ・リッパーのようだった

 

沙花叉「ふん…警備ったって大したことないね」

「き、貴様何者だ!」

 

警備員が全員やられて恐怖に落ちるレギオンのボス

そんなボスに向かって沙花叉は丁寧に答える

 

 

沙花叉「何者って言われてもね〜復讐に来た掃除屋ってところかな?」

「掃除屋だと…?」

沙花叉「遺言はそれだけ?じゃあ――」

 

沙花叉は憎しみを一心にナイフを振りかざしてボスの命を穿つ準備をする

―こいつのせいでオリビアは居なくなった。こいつは排除すべき敵だ

 

沙花叉「―――死んで?」



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沙花叉の記憶:記憶の中で生きる者

これは沙花叉の記憶。長い記憶の中で最も心を動かされた記憶


―こいつは殺すべき相手。なぜなら自分の大切な人を奪ったから。その苦痛を――同じ痛みを味わわせないと沙花叉の気が済まない。殺す…殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

 

沙花叉「あぁぁぁ!!!!!」

 

勢いよくナイフをボスの胸郭部へと振りかざす。

だがそのナイフがボスの胸郭部に届くことはなく、その手が誰かに止められた

柔らかな光が沙花叉の耳元で声を形成する。そして沙花叉に優しい声で語りかける

 

 

―思い出して。力はどのように振るうのかを

 

 

沙花叉「力は…護りたいもののために使う…」

 

 

―そうだ。護りたいもののために使うんだ。復讐のために使うんじゃない

 

 

沙花叉「でも――」

 

 

―復讐しないと落ち着かないか?だがもういいんじゃないか?

 

 

光の声が囁くと同時に沙花叉の血のように赤く染まった目に光が灯る

そして荒んだ心が浄化されていくと同時に、その光の声が誰だかわかってきた。それは沙花叉が復讐してあげると誓ったもうここにはいない彼女の声であった

それに気づいた時、光は沙花叉の手から放し、すっと沙花叉の横を通って沙花叉よりも前にでる

―次第に涙があふれる。これは奇跡なのだろうかと。目の前に出てきた光は人の形を作っており、沙花叉は目を見開く

 

 

―ふっ…泣くなよクロヱ。お前には笑っていてもらわなきゃ私が困るんだが―

 

 

沙花叉「―オリ…ビア…!」

 

 

―もうじき私の仲間が来る。この組織を潰しにな。お前はよくやったよ。なにも情報がない状態から一人で組織を壊滅寸前まで追い込めるなんてな。さすが、あいつの子だな

 

 

オリビアは徐々に空気中に霧散していく

もう先が長くないことをまた知った沙花叉は必死にその光を掴もうとする

しかしその様を見たオリビアは突き放すような言い方をした

 

 

―クロヱ、前を向け。私はもう過去の存在になったんだ。これからはお前が紡いでいく物語さ

 

 

沙花叉「っ……」

 

 

 

―お前が私の唯一の家族で良かったよ。それとあいつにもよろしく伝えておいてくれ。先に行くってな

 

 

にこやかに笑ったオリビアの笑顔が空気中に消える

沙花叉は悲しい気持ちはあるが、オリビアに言われたことを思い出し、1呼吸置く。そして宙に消えて逝く光に向かって誓った

 

「これからは私が紡いでいくよ。自分自身の物語を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青く晴れ渡る高台で、銀髪の少女は一人花束を持って立ち尽くす

目の前には世話になった人の立派な墓が海を見渡すように建っている

 

沙花叉「遅くなっちゃったけど…」

 

そういって沙花叉は墓に献花する

 

あの後、オリビアが言ったようにオリビアの仲間と思われる人々が不夜のレギオンを完全に解体し、事はこれで終了と思われたが、一般人が一人で組織壊滅寸前まで追い込んだ沙花叉のことを危険人物と見たオリビアの組織上層部が沙花叉の始末を企んだ。

だが、沙花叉はオリビアから学んだ体術や人の欺き方でどうにか逃げていた

 

しかしそんな逃亡生活にも転機が訪れる。

それはあのシャチのようなマークがあしらわれた鍵だった

オリビア宅にある同じマークの扉を開ける―そこにあったのは、シャチのような黒と白い模様、そして赤いチェック柄が目を引く服とシャチの顔のような仮面があった

そしてその傍には手紙があり、沙花叉が見たところ母親から沙花叉に対する手紙だった。驚いたことにそこに書かれていた内容は、つい最近起こったことばかりで、オリビアの死から今追われている状況まですべて書かれていたのだ

 

―頭が良いと昔から思っていたが、ここまでくると怖いレベルだ。沙花叉は自分の母に恐怖の念を抱いた

だがその話以外にも、これからのアドバイスとしてそこにある服と仮面をつけてオリビアに教わった住所に行けば助かるとも書かれている

乗りかかった船だと半ば諦めた沙花叉はそのアドバイスに従う。すると、なんということだ。沙花叉を助けてくれる人がそこにはいたではないか

沙花叉はその人たちについていき、難を逃れたということだ

 

沙花叉「そういえばこんなことあったよ――」

 

墓に眠る主人に向けてしゃがんで話す沙花叉

あのあとの沢山の冒険。秘密結社のインターンとして入ったこと。そしてこれからの話を報告として話しかける。心なしか目の前に本人がいてうんうんと頷いて聞いてくれているように感じる

―いつもと変わらないあの笑顔で―

 

「おーい!新人~!」

 

沙花叉の名を呼ぶ声が聞こえた

もう行かなければならない時間のようだ。沙花叉は立って最後の挨拶をする。だがそれは、またねなんて簡単な言葉じゃない。ましてやありがとうという感謝も悲しくなるだろう

だから沙花叉はこのように言った

 

 

沙花叉「―行ってきます」

 

優し気な表情で微笑んで墓に背を向けて歩んでいく沙花叉

墓の主には確かにその声は聞こえていたようだ

 

 

『あぁ。行ってくると良い。私はいつまでもお前のことを見守っているぞ』




これにて沙花叉の過去編はまずは終了となります
【記録:初めての仕事】にて血塗られた?ナイフを紗が発見した際に、沙花叉が恐れていたことは、一個前の記憶の時のような沙花叉(?)の理性を失った姿を知られること

まぁ、もうあの時のように理性が外れることはないでしょう…ね


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記録:【幕間】夏を滑る者

Ohisa!(イオフィ風)
お久しぶりですね!私自身、色々立て込んでおりまして、なかなか執筆する時間がありませんでした。そんな中に書いたホロぐら風物語なので色々おかしいところがあると思いますがご了承ください。っていうかおかしいところがあるのがホロぐらですし、鱒寿司



…暑い。今年はやけに暑い

そう思っているのは我々人間だけではないようだ

ホロライブ事務所にいる雪の一族の令嬢も、ポンコツ鬼っ子でさえ暑くてダウンしている状態。誰かがこの熱を消してくれないと溶けてしまうかもしれない

 

まつり「あつい~まだ五月だよ?暑すぎでしょ…」

ロボ子「ボクの記録にもない気候だねぇ…オーバーヒートしそうだよ…」

 

夏の代名詞(?)と言われる夏色まつりでさえこのようにダウンしかけている。事務所のエアコン?いやー最近電気代が高くてねぇ―節約してるのさ!

まつりが食べるアイスがポロリと地面に落ちる。アイスが早く溶けるくらい今の気温は暑い

どうにかして解決しないとライブ等に影響が出そうだと考えたロボ子は高性能を活かして様々事象を考えた

―そしてたどり着いた結果は…

 

ロボ子「暑いからダジャレでも言って涼しもうか〜」

まつり「…それ、寒いダジャレってことですよね?!それならラミィちゃんの雪の魔法で涼しくしてよ!」

ラミィ「暑すぎてすぐ溶けちゃいますよ…」

 

その時。誰かが言った

 

「"ころねは寝る(ころ)ね!"」

 

その瞬間、少しだけ部屋の温度が下がる――という話よりも、誰がその寒いダジャレを言ったのかが気になって仕方ないようだ

 

ロボ子「誰が言ったんだろうねぇ〜」

まつり「ロボ子さんですか?」

ロボ子「ボクはもっと高度なダジャレで攻めるよ」

「………www」

 

笑いがこらえるような声が微かだが部屋に響く。それは、現在会話をしているロボ子とまつりの声ではなくて、他の誰かのようだった

まつりが誰だろうと周辺を見ると、ソファーの上にお腹を抱えてクスクスと笑っている鬼の子がいた

 

まつり「もしかして―さっきのダジャレあやめちゃん?」

あやめ「余だぞ!さっきの面白くなかったかw?!”ころねがねるころね”ってwww」

「ふっ…まだまだですねあやめ先輩!」

 

あやめの発言に対して雪の令嬢こと雪花ラミィは椅子から立ち上がりピッとあやめを指を指す

それをみたロボ子はラミィに対して問を投げかける。「ラミィちゃんはもっとすごいのか」と

するとラミィは「ラミィの本気見せちゃいますよ!」と自信満々に大きな胸を張り、大きく息を吸って言葉を発した

 

ラミィ「"まつり先輩がさんま釣りに出かける!"」

 

その瞬間、部屋には笑いは起きなかった

だがしかし笑いは起きなかったものの、部屋に響くのは関心の音。ラミィを称賛する声が響くのだ

 

ラミィ「ちょ、一番困る反応やめてもやっていいですか?!」

ロボ子「すごく上手いとボクは思うよ〜」

まつり「よしっ!まつり、今からさんま釣りに行ってくるね!!!」

ラミィ「え?!待ってください!まつり先輩―…行っちゃった」

 

どこからか釣り竿を持ってきたまつりはキラキラ目のまま飛び出していってしまった

だが、未だ事務所は熱で燃えている。ロボ子も暑すぎてオーバーヒート寸前だ。頑張ってラミィもロボ子に冷たい風を送っているが、それでもまだ厳しい状態

 

みんなが暑いーとグダグダしているうちに、事務所に誰か入ってくと、その人は入ってくるや否や暑すぎないかと行った後、胸元を少し開いて服で空気の流れを作る

そんな誰かにあやめは元気に話しかけた

 

あやめ「余!スバル今日も暑いなぁ〜!」

スバル「おはよ、ほんとに暑いな」

ロボ子「あわわわわわわ」

 

スバルが挨拶すると同時にロボ子はエラー音とも言いかえられるような言葉を発し始めた

 

スバル「ロボ子先輩?!どうしたんですか?!」

ラミィ「暑すぎてオーバーヒートしちゃったんですよ!ラミィも頑張って冷やしていたんですが―」

あやめ「おうスバル!こんな時はこの間やったあれをやると下がるだろう!」

スバル「あ、あれって…?!」

 

そう。"あれ"とは寒いダジャレを言うことだ

この間(といってももう二年くらい前の事だが)、5月病で怠けているのあなたのために、あやめが喝を入れるという話の時。あやめがロボ子さんを少し弄って、ダジャレを言うまで止まらないオーバーヒート状態を導入したのだ!

その時解決したのはスバルが放った一言――

 

スバル「い〜や〜だよ!スバルまた恥ずかしい思いしなきゃならないじゃん!」

あやめ「だがスバル、これを収めるにはそれしかないぞ!」

スバル「うぅ…”塩にしおっかな!”」

 

スバルの渾身のダジャレが炸裂する。その途端、ロボ子は寒いと一言言ってロボ子のオーバーヒートは停止した

しかし依然部屋は暑い。これは異常なのではと思ったラミィがテレビの電源を入れると、陽気な音楽とともに、見たことのあるようなテレビキャスターがそこにあった

 

「こんにちは〜テレビおるかの時間になりました!今日も暑いですね〜。なんと30℃を超えたところがあるらしいですよ!いやー昨日から続いてる異常気象のせいですね」

ラミィ「うへぇ…異常気象ですって。30℃超えたらしいですよ…」

「おはよー今日も暑いねぇ〜」

 

そう言って入ってくるのは、ハーフエルフの不知火フレアだった

フレアが入ってくると、スバルは軽めの挨拶を交わして、この暑さは異常気象だと説明する。今知ったばっかだけどね

 

フレア「異常気象かぁ〜どうしようもないなぁ。どうしようかな〜”どうしょうマリン”」

 

その瞬間、部屋の温度は氷点下まで下がる。ただ一人を除いてだが

その冷気が地球にも伝わったのか、異常気象はフレアが放った極寒ダジャレによって解決してしまった。それを受けて地球は寒冷化に入り、長い長いホロ寒冷期に突入したであった―――

 

――これがホロ寒冷化の真相である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まつり「さんま釣りにでかけたけど…マジ寒いんだけど…あのギャグ寒かったのかなぁ」

 

さんま一匹の成果もなく、まつりは悲しい気持ちで足元に(なぜか)あったパイナップルを見つめてこう呟いた

 

まつり「パイナップル…”南国で何個食う”?」

 

……余計寒くなった気がしたのは我々だけではないだろう



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記録:まんまるなお菓子

Holox基地にて

 

紗「♪〜♪〜」

 

いろはが歌っていた歌をごきげんに鼻歌で奏でながらキッチンに立つ

今日はこのHolox基地に珍しく客人が来る。客人が来ることはない話ではないが、基本的にはない。ホロライブ事務所ではあるまいし、用事がないのに来る必要もないからまぁ妥当ではある

―そんな基地に今日は客人が来るのだ。少しウキウキしながら準備をしている紗は、その客人が来るのを楽しみにしながら待っている

 

紗「そういえばあやめちゃんって…ここ(基地)分かるのかな?」

 

電話では「余が行く世〜」って言っていたが、基地の位置が分かるかどうかわからない。なにせ一回も来たことがない(紗調べ)から、確証もないし、もしかしたら今頃…

 

あやめ『どこーーー?!!!あれぇーーー?!』

 

などと露頭に迷っている可能性すらありえる

大丈夫かなと紗が心配して連絡しようとした時、ガチャリと扉が開く。そしてそこから現れたのは元気に挨拶するあやめが飛び出してきた!

 

紗「あやめちゃん、ようこそ〜!」

あやめ「おー!余が来たよ〜!」

紗「大丈夫だった?迷わなかった?」

 

紗がそういうとあやめはムッと顔を膨らまし、「余が迷うと思うのか!」と可愛らしく怒ると、そんなあやめの後ろからちょっと呆れ気味のスバルが出てきて苦言を呈する

―迷っていたからスバルが保護してやったとのこと。スバルは近くに用があり、偶然迷っていたあやめを見つけて送り届けたというのが事の顛末だ

 

紗「やっぱり迷ってたか…ごめんなさい。ちゃんと教えればよかったね…」

あやめ「いやいや!もし教えてもらってても多分聞いとらん状態になるから結果オーライだ!」

スバル「オーライじゃないが?!スバル来なかったらあやめどうしてたんだよ!」

 

その時はどうにかするとあやめが一言

本当にどうにかできるのだろうか。ものすごく不安ではあるが、その目は自信満々だった

―と、スバルがキッチンの方から届くとてつもなくいい匂いに気づき、鼻でクンクンと匂いをかぐ

 

スバル「なにめっちゃいい匂いするんだけど!」

あやめ「ふっふっふ――気づいてしまったかスバル!今日、ここでドーナツパーティーが開かれるんだぞ!」

スバル「な―なんだってーーー」

 

ものすごくわざとらしいスバルの発言に、紗は少し微笑む

 

紗「スバル姉さんも食べていきます?」

スバル「うぅ…食べたいけど、もう少ししたらすばちょこるなたんでオフコラボあるんだよなぁ…」

あやめ「まだ時間はあるだろ?ちょっとだけでも食べて行こうよ」

 

ちらっとスマホで時間を確認すると、スバルはこくりと頷いてすこし食べていく旨を伝えた

紗は二人を奥に通し、ソファーに座っていて待っていてくれと一度キッチンに戻る。そして、材料の入ったボウルを適切な手順を踏んでかき混ぜ、それを一つ一つ形を作って、海のように波々に注がれた油の中に入れる

―入れられたドーナツはいい音を立てて油の中で色づく。いいきつね色になったら油から引き上げ、適切に油を切る

 

紗「次は〜♪デコレーションしよう〜♪」

 

予め溶かしておいたチョコたちにドーナツの半分を付けたり、いちごのフレーバーをかけたりして彩りをつけた

―見た目よし!味もたくさん練習したから大丈夫!そんな気持ちを持って皿に綺麗に盛り付けたドーナツたちをあやめたちが待つソファーに運んでいく…前に、少し気になる事が…

 

紗「そういやみこさんたち遅いな…迷ってなければいいんだけど」

 

そう。実は呼んでいるのはあやめだけでは無い

配信や仕事の都合が合った人もお呼びしているのだ!残念ながら都合が合わなかった方もいる。その方には丁寧にラッピングして事務所経由で送って貰う話になっているのだ

ーそれは置いておいて。心配は遅れている人達の事だ

ある人は、少し遅れていくと連絡あったものの、連絡が少ないと少し心配になる

 

紗「大丈夫かな…」

 

心配している紗の元に朗報が鳴る。もう少しで着くようだ

安心した紗は2人の元に戻る

 

紗「おまちどうさま!」

あやめ「ここまでいい匂いが届いていたぞ!」

スバル「すげぇ…めっちゃ綺麗じゃん…」

 

二人は皿から一つ手にとって口に運ぶ

その瞬間、チョコレートでコーティングされたドーナツの風味がブワッと口いっぱいに広がり、その次にチョコレートの甘みがそのドーナツの風味をうまく包み込む

―こんなドーナツ食べたことない。かのミス・ドーナッツをも凌駕するかのような美味しさ

 

…とその感動に入れてほしいというかのように玄関のチャイムが鳴り響く

紗は二人に待っていてと言い残し、一人玄関に向かう

 

紗「はーい」

 

元気に出迎えると、そこに立っていたのはAZKiと星街、そしてみこだった

 

AZKi「やっほー来たよー!」

紗「どうぞどうぞ!上がってくださいな!」

みこ「お邪魔しまーす」

 

紗は元気に出迎え、二人をスバルたちが居る部屋に通す。出会った3人はスバル達に簡単な挨拶を交わし、着席した

 

あやめ「遅かったな!余たち先に食べちゃったぞ。もしかして迷ってたのか?」

みこ「Σ( ˙w˙ ;)ギクッ」

 

みこはわかりやすい反応であやめの質問に回答する

だが、どの答えもなんだか取ってつけたような感じの理由でホントの理由ではなさそうだった

すると、突然星街がみこの肩に軽く手を乗せ、「みこち、嘘は良くない」と一言言って事の経緯を説明し始めた

 

 

〜回想〜〜〜

 

 

すいせい「私Holoxの事務所知らないんだけど」

みこ「このエリートみこに任せな!」

すいせい「心配だなぁ」

 

ホロライブ事務所から歩みを始めるMicometことさくらみこと星街すいせい

エリート(自称)の道案内を受けて二人は順調に進んでいる…と思いきや、もうすでに迷い始めている。右に行ったり…左に行ったり…途中でチャラい変な人に話しかけられたが、星街の威嚇(?)で事なきを得た

―だが状況は変わらない。ここはどこなのだろうか

 

すいせい「みこち迷ったね」

みこ「…迷ってない」

すいせい「じゃあここどこ?」

みこ「…迷った」

 

しょんぼりしたように白状したみこは申し訳無さそうに下を向く

星街は仕方ないなとつぶやき、スマホを手にして一度今の場所を確認する。…よくわからない場所だった。「はぁ」と一言つぶやく星街。これからどうしようか

―と、悩んでいるとそこに現れたのは女神とも言えそうなAZKiだった

 

AZKi「あれ?みこちにすいちゃん、ここで何してるの?」

みこ「あ”あ”あ”あ”〜あ”ずち”ゃん”〜〜〜!!!!!」

 

涙を流し、抱きつくみこにすこし困惑するAZKi。だが、すぐにその意味がわかったようで、慰めに入った

なぜここにAZKiが居るのかというと、収録から直でHolox基地に向かうときだったらしい。運はみこ達に味方したようだ

AZKiは任せて!と言ってスマホで地図を開くと、よしっと一言。

 

AZKi「紗ちゃんのお家までゼロゲッサー♪」

 

〜〜〜

というのが事の経緯らしい。慢心はイケナイね慢心は

そして目の前にあるドーナツを目にして目を輝かせた。まるでそのドーナツが宝石であるかのように

除菌シートで3人は手を洗い、ドーナツを手にする

 

ーパクっと1口。その瞬間、3人は蕩けるような顔を見せた

 

みこ「うめぇ〜」

AZKi「お店に負けない味がするぅ…」

紗「喜んでもらえてよかった!まだまだ作るから、待ってて!」

AZKi「あ!紗ちゃん!」

 

再びキッチンに行こうとする紗を呼び止め、AZKiは紗に駆け寄った

そしてこのドーナツの作り方を教えてほしいというと、紗は快く引き受ける。そして、たくさんのドーナツが出来上がり、その場にいる人達の家族や事務所に届けることにしたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボ子「このドーナツなに〜?」

 

Aちゃん「あ、それ紗さんからの差し入れです。たくさん作ったので皆さんで食べてくださいとのことでした」

 

ロボ子「そーなの?じゃあいただきまーす……いい香りするねぇ〜」

 

Aちゃん「そらも食べなーまだ温かいうちに食べたほうがいいよ」

 

「はーい――もぐもぐ…ん!おいひいね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバル「ここに来る前にHoloxのところ寄ったんだけど、そこでドーナツもらってさ〜結構な数あるわけ」

 

ちょこ「みんなで食べようってことね」

 

スバル「そ。作りすぎたからみんなで食べて―ってもらってきた」

 

「え?!これ手作りなのら?!」

 

スバル「うん。スバルも実際に見たから間違いないよ」

 

「めっちゃいい匂いするのら…」

 

ちょこ「できたてほやほやみたいだから早速頂こうかしら」

 

「ん!!!めっちゃ美味しいのらぁぁぁぁぁ!!!ほら、ぼたんちゃんも食べよ?」

 

「あ、ルーナ先輩ありがとうございます。頂きます――ん?!これふぉんとにてじゅくり?!めっちゃいい味するわ!」

 

 

 

 

 

 

 

紗+AZKi作のドーナツたちは非常に大好評で即完売してしまいましたとさ



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記録:ただ、眺めていたいだけ

カチカチと丁寧にパソコンに来月の予定を打ち込む紗。ふぅ…と一息ついて机の上にあるお茶を少し口に入れる

そしてまたパソコンとにらめっこを始める。これがいつも…なのだが、今日は少し違っていた

 

「………」

紗「…あの?」

「しっ…まつりは今国家機密に相当する任務を遂行してるから」

紗「そうは言っても…机から私を見ているだけじゃないですか!」

 

今日は違うその原因。それはその主犯格(?)夏色まつりが紗のことをじっと見つめていることだ

集中出来ない訳では無いが、たまにチラチラと視界に入る。しかも興味深々な顔つきで

 

まつり「可愛い子をただ見ていたいだけ!(◦`꒳´◦)ᵎᵎ」

 

むんっとまつりは頬を膨らます

その顔の可愛さと言ったら計り知れないものがそこにはあった

―ただ見ていたいだけ。その言葉で胸撃たれたまつりすは何人いるだろう。彼女にはその魅力がある。何せ清楚担当だから

 

まつり「で…なんでメルメルもいるの?」

 

隣を見て不思議な顔をするまつり

なぜならその隣には魔界のBANパイアこと夜空メルがこれまたかわいい顔で紗の事を見つめていた

―つぶらなひとみ。そしてピョコっと揺れるアホ毛がチャームポイントとなっている

 

メル「うーん…なんで?」

まつり「いやまつりに聞いてもわからないよ!」

 

さらにうーんと考えるメル。そしてピコーンとひらめきが見えるかのような仕草をした

 

メル「流行りに乗っかった!」

まつり「流行り?」

紗「え、流行ってるんですか?」

メル「―え?そうじゃないの?」

 

三人の頭に”?”が浮かび上がる

メルはまつりの机から覗く行動が流行っているのだと思っており、まつりは何が流行っているのかわかっていない。つまりみんな考えているものが違うということだ

―さすが天才(メル)。流行りを自分で作り出してしまう

 

メル「まつりちゃんの机から覗く行動が流行っているんだと思ったんだけど…」

まつり「流行ってないよ!」

メル「え〜?でもルーナちゃんもあくあちゃんもやってたよ?」

まつり「流行ってる!?」

 

流行ってるようでした

 

メル「話変わるけど、この間紗ちゃんが作ってくれたドーナツ美味しかったよ!」

紗「お口に合いました?」

メル「うん!いちごのいい味がドーナツにあってたよ!これ、お礼なんだけど…」

 

そう言ってメルは足元から紙袋を取り出して紗に手渡す

紗はお礼なんかいいよと一時は断るが、メルはお礼を返したくなるほど美味しかったからもらってくれと。紗はメルのその可愛らしい笑顔に負け、大人しく受け取る

…とそのやり取りを見ていたまつりは、メルはお礼を渡しているのに自分は渡さなくていいのかと。そして一つ渡せるものを思い出す

 

紗「…まつりさん?」

まつり「ちょっとまってて!まつりもお礼のもの持ってくるから!!」

 

そう言って駆け出していくまつり。待っての声も届かかずに先へ先へ進んで行ってしまった

―その行動は元気いっぱいで他の人に元気を分け与える事のできる

 

メル「行っちゃったね」

紗「元気いっぱいですね」

メル「うん。まつりちゃんと居ると元気がもらえるんだよね〜」

紗「まつりさんとは長いんですか?」

 

紗がそう聞くと、メルは静かに頷く

もう五年近く一緒に仕事しているとのこと。昔はもっと………だったようだが、今はちゃんと清楚として頑張っている。まぁ清楚…というよりは元気いっぱいの子供みたいな感じがするが

 

メル「紗ちゃん、まつりちゃんと話して緊張感感じなかったでしょ?」

紗「言われてみれば確かに…」

 

紗は初めての人と会話するときは、あまりグイグイ来ないでほしいなと思うタイプである

いきなり友達感覚で来られると若干困惑してしまい、どうしたらいいか分からなくなってしまう可能性がある。人見知りのあやめみたいな感じに

でもまつりに対してはあまりその感情を抱かなかった。逆に話しやすいという感情すらある

 

メル「そこもまつりちゃんのすごいところでね。結構誰とでも仲良くなれる体質…って言ったらいいのかなぁ?まぁまつりちゃんはメルと違って可愛いからね」

紗「メルさんも可愛いですよ」

 

突然の褒められにメルは照れる

 

紗「皆さんから話を聞くと天然って良く聞きますが、実際にあってみるとちゃんと人のこと見ているし、笑顔も素敵です」

メル「は、恥ずかしいよ///」

「―――ただい…」

 

メルが照れたその瞬間に扉は勢いよく開き、何やら袋を持ってきたまつりが立っていた

しかしまつりは2人のその仲睦まじい様子を見て、少し目のハイライトが薄くなる

 

まつり「あ…お取り込み中だった?ごめん、すぐに出てくから…」

メル「ちょ、ちょっとまって!」

まつり「なかよく話してたのに邪魔してごめん…」

紗「私たちはまつりさんの話をしていたんですよ。まつりさんはすっごく話しやすいし、かわいいって話をしてたんですよ」

 

するとまつりは少しずづ顔を赤らめてえへへぇ///と声を漏らす

徐々にまつりの目のハイライトが戻ってきて、いつものまつり―よりなんか積極的な感じがする。「照れるなぁ///」とモジモジしながら手に持った袋を紗に手渡した

袋の中には容器に何かが入っているものだった

 

まつり「な、中身はこの間、撮影のときに取れたさんまを煮付けにしたやつ!味は保証できないけど…Holoxみんなで食べて!」

紗「ありがとうございます。みんなでいただきますね」

 

きれいな笑顔で答える紗にまつりは少し胸を打たれる。こんなに可愛い子がこの世にいて良いのかと

紗に対するまつりの好感度が上がった今日なのでした―――




この世界のまつりちゃんは清楚担当を遂行しています―――多分。


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記録:お手伝いします!

お久しぶりです
私、例のコロちゃんにかかっちまいまして、全然筆が進まない日々だったんですけれども、なんとか頑張って書き終えました!
それを理由にする訳じゃないんですが、誤字とかおかしいところあると思いますがご了承ください。
後書きにてご報告という名の告知があります


Aちゃん「今日は少し手伝ってほしいことがあるんですよ」

 

朝、Aちゃんは紗に対してそのような旨の話をする。いつもはタレントの時間を可視化する仕事をしていたが、紗のおかげでかなり進んだ

いつもおなじ作業じゃ精神擦り減るし、仕事も余裕あるから今日は別のことをさせたいという

 

紗「具体的に何を手伝えばいいんですかね?」

Aちゃん「えっとですね、もうすぐホロライブサマーが始まるので、各タレントからの要望を聞いてほしいんですよ」

 

―ホロライブサマー

それは一年に一度、夏に行われるバカンスのようなホロライブの一大イベントの名である!それが今年もやってきた!今年はENやIDのタレントたちも参加し、より賑やかな夏になるだろう!

 

紗にはその夏を作るための下準備などをしてほしいということだそうだ

快く引き受ける紗だが、少し不安もある。まだ話したことのない人とも話さなければならないから。最近は少し緩和されたものの、紗は人見知り傾向があり、他人とすぐに仲良くなりにくい

 

Aちゃん「もし不安なら、五期生の雪花ラミィさんから伺うことをおすすめしますよ。今なら別室にいますし、一緒についていきますよ」

紗「あ、ありがとうございます…」

 

そうしてラミィが居る部屋の前まで紗はAちゃんと一緒に歩く。まだ胸はドキドキと高鳴る鼓動を抑えきれない。どんな人なんだろうか。どのように振る舞えば失礼ではないか。そのような考えが紗の高鳴る鼓動に合わせて体を駆け巡る

それを感づいたのか、Aちゃんは「ラミィさんは気さくな人だから安心していいよ」と紗の背中を押してくれる

―よし―と決意を決めた紗は、扉を軽くノックし、ギュッとドアノブを握って部屋に入る

 

紗「し、失礼します!」

 

その部屋にいたのは水色の長い髪で、ふわふわしている白い毛の様なものを裾や襟につけたコートを羽織って居る女性だった。その部屋にはその人以外に、灰色の長い髪の黒を基調としたコートを身に着けている女性も近くに座っていた

 

紗「あ、あの!はじめまして!私、紗と言います。お、お二人にホロライブサマーでやりたいことなどをお聞きしたいと思いまして―!」

ラミィ「―噂の少女は君だったんだ〜!」

 

水色髪の女性ことラミィは嬉しい様な声を上げて紗に自己紹介をする

噂とは?と少し困惑気味になっている紗が、そのことを問う前に、灰色髪の女性がその噂についてラミィに問い始めた

 

ラミィ「ししろん知らないの?この間お裾分けされたドーナツ食べた?」

「あぁ食べたよ。めっちゃ美味しかったやつ」

ラミィ「この子こそがそのドーナツの制作者!それと最近のわかりやすい日程表とか作ってくれてるんだよ!」

紗「ほ、褒められると恥ずかしいです…///」

 

なるほどと受け取った灰色の女性(獅白ぼたん)は、紗に向かって自己紹介をする。そしてこの間のドーナツについて美味しかったよと一言。Aちゃんはその会話を外から聞いて「やはりラミィさんにまかせて正解だった」とラミィに感心する

―ラミィはかなり話しやすい。ボケても全部ツッコんでくれるし、人をまとめるのも上手い。そのため彼女に人がよっていくのだろう

 

ぼたん「話戻すけど、ホロサマでやりたいことだっけ?」

紗「はい。Aちゃんから聞いてる話では、過激なことじゃなきゃ大丈夫だそうです」

ぼたん「うーん…じゃあ私は、『出張編!麺屋ぼたん』とかやってみたいかな。」

 

―【麺屋ぼたん】

それは稀に訪れる移動式のラーメン屋であり、店主・獅白ぼたんによる独創的なラーメンは人々を虜にしてしまう

あるときは、アイスが乗ってたり、またあるときは花火が入っていたりと、かなり独創的なラーメンが提供される麺屋だ

そのラーメン屋の出張版をホロサマでやりたいらしい

 

ラミィ「さすがししろん、暑いときには熱いラーメンを食べるのが最高!」

ぼたん「冗〜↑談じゃないよ〜…熱いときには冷たいもんだよお前〜」

ラミィ「それは二郎ラーメンのネタ!!」バシッ!

 

ラミィは漫才の如く鋭いツッコミを放つ

 

ぼたん「鋭いツッコミありがとうねラミちゃん。実際やりたいことは、ラーメンじゃなくて中華麺。というか冷やし中華なんだけど」

ラミィ「冷やし中華にいつもの麺屋ぼたんを足す感じ?」

ぼたん「そそ!ENIDの子達にも出来れば作りたいなって思ったからさ」

 

紗は一言逃さずメモ帳に書き記す

麺屋ぼたんの季節限定冷やし中華はどのような華になるのだろうか。べーの場合はチーズがたくさん乗っているのかと紗は考えるが、それはお楽しみに取っておこう

 

紗「ではラミィさんは何かありますか?」

ラミィ「ラミィはね〜かき氷食べたい!」

紗「かき氷…っと…?。それだけ…ですか?」

ラミィ「な、なに?もっと言った方が良かった?!ごめんね!」

 

予想より短かったと言うだけだったのだが、必死に考えるラミィの姿を見た紗はそんなことを言える状況ではなかった

 

ラミィ「う〜ん…」

紗「な、なければ別に大丈夫ですよ?」

ラミィ「いや待って!いま思いつきそうだから―――!」

 

ピコンっとラミィの頭の上にあかりが灯る

そしてキラキラした目で紗に話しかけるのであった

 

ラミィ「ラミィね!泳ぎたいの!」

紗「泳ぎ…たい?」

ラミィ「そう!真夏のビーチで日頃の疲れを海に洗い流して、そしてその後ビーチで作った焼きそばを食べながらビール飲むのがもう最高!」

紗「は、はぁ…」

 

ラミィにはものすごい夢があるんだなぁと若干引き気味の紗はその詳細をくまなくメモ帳に書き残す

キラキラした目で空を見つめるラミィは、お酒の話をしたせいかお酒が飲みたくなったらしく、懐から一升瓶を取り出して呑もうとすると、ぼたんはスっとラミィから一升瓶を取り上げ、ラミィが手の届かないところにその一升瓶を格納した

 

ラミィ「ねぇ〜!ししろん!ラミィのお酒ぇ〜!」

ぼたん「もうすぐ収録始まるでしょ。のんでるんじゃありません。あ、そうだ。紗ちゃん」

紗「はい?」

ぼたん「他のメンバーにも私聞いとくからさ、アドレス交換しない?」

 

紗はいいんですか!と嬉しくなりながらスマホを取り出してぼたんと連絡先を交換する。それを見たラミィもすぐさまスマホを取り出して紗と連絡先を交換する

 

ぼたん「それじゃ、連絡ついたら報告するから」

紗「ありがとうございます!」

ラミィ「いやいや!ドーナツとか日程表とかほんと助かってる!ありがとうね〜!」

紗「はい!どういたしまして」

 

ものすごく話しやすい人達だったな。また今度ドーナツの差し入れを持っていこうと思った紗なのであった




ご報告〜〜
この物語のサブストーリーのような物語を作ってみました!
題名は【鷹嶺の記録】
あらすじ…というのはないんですが、簡単に言うならばHoloxができるまでからこの物語のルイねぇの日記です
あちらの方は日記形式なので、苦手な方は苦手かと思われますが、見ていただけると嬉しいです!
(д・)コソッ…伏線あるかもよ…?‪


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記録:暑いので、水に溶けましょう(前半)

最近暑いですねぇ…おや?暑いのは私たちだけじゃないみたいですよ?


…暑い。今年の夏はとても暑い

去年はこんなに暑かっただろうかと疑うほどに今年は地球が本気を出している

 

ラプラス「あちぃ…」

 

Holoxの基地のソファーにて伸びているのは、Holoxの総帥。別名お子様。お子様にはさすがにこの暑さには耐えられないかぁ

―何かを察したようにキラリと睨みつけるラプラス。…コホン。エアコンはどうしたのかと言うと、ラプラスがメントースコールにて意図せずに破壊。修理に来てもらうにも少し時間がかかるそうだ

 

ルイ「自分のせいなんだから我慢して」

ラプラス「だってだって!メントースをコールに入れるとめっちゃ美味しいってあいつら(視聴者)が言ってたんだもん!」

 

言い訳を手足をばたつかせながら話すその様は、本当に子供のよう

しかし困ったものだ。エアコンが使えないとなると、もしかしたら配信にも影響するかもしれないから

現在、この場にいるのはルイとラプラス、そしてこよりだ。そのほかのメンバーは諸用で今この部屋にはいない

 

ルイ「はぁ。とにかく、暑いのは数日続くから、対処法考えないと」

こより「凍ったペットボトルを扇風機の前に置くと、冷気が部屋を循環して冷える!」

ラプラス「さすがずのー!よしっ!実践だ!」

 

こよりの思いつきは良いものであった…がしかし、冷気を発する代わりに、みんなが扇風機の前にくっつく状態を生み出してしまった

 

紗「ただいまー」

 

暑いと伸びているラプラスの元に、コンビニがえりの紗といろはという救世主が現れた

2人は手に白いビニール袋をぶら下げ、その中からはとても冷たい冷気が部屋を涼しくしようと言わんばかりに盛れ出している

 

いろは「あっちいので支給品でござる!」

ラプラス「うひょー!サンキュー二人とも!」

 

嬉しそうにアイスをぺろぺろするラプラス

しかしアイスを食べようとも一向に涼しくはならない。そしてアイスは暑さに耐えられず、地面に虚しく落ちる

この暑さをどうしようか。卵でも放置して置いたらゆで卵ができそうだ※卵の高温多湿放置は危険です

 

いろは「いや〜あっちぃでござるなぁ…」

こより「こんな時は水浴びでもしたいけど…」

ルイ「お風呂で水浴びしても暑い部屋がお出迎えだからね…」

「そんなお困りな貴女達に!」

 

どこからともなく聞こえた声の主は、突如扉を破りその姿を見せた

ものすごく臨場感のあるポーズをとり、突き出した手には数枚のチケットのようなものがひらりひらりと空気を煽る

 

紗「あ、貴女は―!」

「ふっ…」

 

そしてここぞとばかりにキメ顔を決める

―これで女の子が落ちること間違いなしっ!

 

紗「2日お風呂に入っていない"くさかまた"さん?!」

沙花叉「おいっ!正確には1日と18時間50分くらい!てか臭いって言うな!」

 

キレッキレのツッコミをかますクサカm…沙花叉。少し頬を膨らませながら少しばかりキレる

 

ルイ「…沙花叉の臭い事情は置いといて…それ何?」

沙花叉「これ?これね〜Aちゃんから貰ったんだ〜!ホロサマランドって場所のプールのチケット!なんか街角でよくやってる福引のガラガラで当てたんだって。ちょうど6枚あるし、バカンス程度に行ってみたら?ってことでね〜」

ラプラス「プール!行こう♪行こう♪幹部♪今から行こう♪」

 

ルイは沙花叉からそのチケットを受け取ってよく観察観察してみると、真ん中に付箋が挟まれており、そこにはAちゃんのきれいな字で

「出来れば紗さんの水着姿を激写してくださると助かります!ルイさん!」と書かれていた

指名なのかと少し困惑しつつも、ルイは無くさないようにポケットにしまっておく

 

ルイ「せっかくだし行こうか!」

みんな「「わーい!!!!」」

ルイ「それじゃ、準備して20分後に出発!」

みんな「「お――!」」

 

各自水着の準備をはじめる…がしかし、ここで一つ問題が発生する

―紗の水着がない。まぁ、海とかに行く機会なんてないと思ってたから準備していなかった。仕方ないことではある。だが、更なる問題として、Holoxのメンバーのサイズと紗の胸のサイズが合わないのだ

紗の大きさは、いろはよりも大きいが沙花叉ほど大きくない。つまり、いろはの水着を着ればキツく、沙花叉の水着は水着として機能できない

 

ルイ「どうしようか…」

紗「さ、最悪プールサイドで涼をとt…」

こより「だめ!紗ちゃんも一緒に泳ぐの!」

沙「そうは言っても…」

 

その時、Holox基地にお届け物が届く

ルイが玄関まで行ってそのお届け物を受け取って戻ってくると、宛名は紗となっており差出人は「ホロライブ事務所」となっている

何だろうと不思議に思った紗はさっそく開けてみると、中には一枚の手紙とその下に綺麗に折りたたまれた水着が入っていた

 

沙花叉「え~!めっちゃ可愛いぃ!!!!」

ラプラス「いいなぁ~吾輩も欲しい!」

紗「えっとなになに?…『紗さんへ。最近暑い日が続いていますが大丈夫でしょうか?このような暑い日には水に飛びこみたい気持ちになりますよね?さて、あなたは先日から私たちの活動のお手伝いをしてくれていましたね?そのおかげでタレントさんたちは効率よく動けています。私たちはとても感謝しており、その感謝を讃えてあなたに水着を送ることにしました!大事に来てくださいね?PS:ルイさん、写真楽しみにしてます』…だそうです」

ルイ(こりゃAちゃんからだな…)

 

そんなこともありながら紗の水着問題は解決し、6人はホロサマランドへと足を進めたのであった

(後半へ続く)




ちなみに紗はDです。だいたいあずきちと同じくらいですが、着やせするタイプなので、脱いでみなければわからない
アメとかべーちゃんとかムメイみたいな感じです。

そういや紗のビジュアルって書きましたっけ?
白い肌でこよりより少し大きいくらいの身長で胸はDで、髪は長めの黒髪で…って言いましたっけ?
後でビジュアルだけの話書きますかぁ(会長風)!

あ、またまたさかたまの世間話なんですが、あたらしいENの子来ましたね!
「しおりん」と「ビジュー」ちゃんと「ネリッサ」さんと「フワモコ」ちゃん!
私はネリッサさん推しです。フワモコちゃんも可愛いねぇ…


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記録:暑いので、水に溶けましょう(後編)

あちぇ。


―夏だ!水着だ!プールだぁぁぁぁぁぁぁ!

…がモットーのホロサマランド。そこは地方でも大きな方の大型プールで、流れるプールや波の出るプールなどがあり、屋内だけではなく、屋外もある子供から大人まで楽しめるような施設となっている

 

ラプラス「…着いたなっ!ホロサマランド!」

 

身の丈に合わないような大きな麦わら帽子とサングラスを身につけ、浮き輪を腰につけたラプラスは期待で胸が張り裂けそうになっている

目の前には暖かい太陽に照らされながら楽しそうにはしゃぐ子供たちや、黒っぽい上着と帽子をかぶった赤い髪のないすばでーな女の人がいたりと様々だ

 

ラプラス「よし…では吾輩がいっちばーn…」

ルイ「ラ〜プ〜?(圧)」

 

怖いほど微笑ましいほどの顔でルイに見られるラプラスは、少し恐縮する。ルイが言いたいことは、準備運動もしないうちにプールに入るべからずということ。ラプラスの性格をよくわかっていらっしゃる

ラプラスは言い訳をして早くプールに飛び込もうとするも、全て反論されて、大人しく準備運動を始める

 

準備運動を始めるラプラスの隣に遅れてやってきたいろは。その顔はとても自信に満ち溢れていて、心から楽しむぞと言った感情がみえる

スムーズに準備運動を済ませるその様は、普段から運動をしているのが変わりそうなほど

 

沙花叉「久しぶりにこの水着着たけど、着れてよかったぁ~!」

こより「うわぁ~結構おっき~い!!」

 

更衣室から出てきてはしゃぐおおきいお二人

しかし紗の姿が未だ見当たらない。まだ更衣室にいるのだろうか…ルイがラプラスと共に出てくる前はどうだったか覚えていない。ラプラスの暴走を止めないといけないから、注目する暇がなかったせいか

ちょっと心配に思ったルイは2人に紗が大丈夫かを聞く。すると、二人はちょっと待ってみな?とすこし含みのある言い方をした

 

そして次の瞬間――更衣室から一人の美女が歩いてきた

すらっとした体に綺麗な黒髪ポニー。白い玉のような透き通った肌を隠す白のフリルが付いた水着が、似合っていて可愛らしい

 

紗「お、お待たせ…」

 

少し照れながら挨拶をするその姿にルイは思わず心を奪われる

首元にかけたスマホを起動させ、すぐにその姿をカメラに収める…写真で見ると、さらに映りがいい(プールによっては撮影機器の持ち込み不可な場所があります。ホロサマランドは、オーケーです)

 

やばいくらい可愛いなと思いつつ、みんなで準備運動を始める、十分体がほぐれてきたところで、フリータイムに突入した!!!

 

ラプラス「いやっふぉ〜〜〜!!!めっちゃ冷てぇぇぇぇぇ!!!」

いろは「これこそ夏でござるなぁ〜!」

 

浮き輪をつけて足をばたつかせるラプラスに、ぽこべぇを浮き輪代わりにして水を泳いでいるいろは。そしてその後ろをついていくかのように

とっても気持ちよさそうで、実に楽しそうである

ルイはそんな姿を写真に収めるべくカメラをみんなに向ける。沙花叉とこよりは泳ぐのを楽しみながらもないすばでーな女性の人をみてぐへへするという、ちょっと…な感じだ

 

―やっぱり夏は海に限るなぁ。まぁプールだけど

1度紗は水から上がり、少し休憩する

そして今までのことを振り返り、この人達に保護されて本当に良かったなと実感する。記憶を失い、自分が誰かも分からない状況で、もしかしたら危ない人だったかもしれないのに、優しく接してくれた彼女たちには頭が上がらない

 

紗「…もっとお礼をしなくちゃ…」

 

その時。誰かが紗の肩を叩いた

振り向くとそこにはベージュ色の髪で、可愛らしいお耳と尻尾がある女の子であった

よくみればその子は少し泣きそうで、紗は優しく声をかける

 

紗「どうかしたの?」

「お姉ちゃんとはぐれちゃって…」

紗「そう…なら、私一緒に探してあげるよ!」

「お姉ちゃん…いいの?」

 

そうつぶやく女の子に、紗は快く頷く

勝手にいなくなってしまっても行けないため、紗は少しぐへへへな顔をしたこよりに声をかけ、少し離れる旨を伝えた

少女共に遠ざかっていく紗を見ているこより。今度はぐへへへな目ではなく、母親のようなにこやかな顔で微笑んでいた

 

「紗ちゃん、成長してる〜♪」

 

 

 

 

 

 

紗「それじゃ…最後にお姉ちゃんを見たのはどこかな?」

「えっと、えっと…流れるプールのばしょ!」

紗「よし!そこにいってみよう!」

 

小さな子の手を握り、目的の場所まで歩いていく

その最中、少女が不安にならないように話をふる

 

紗「今日は家族で来たの?」

「うんっ!きょうはあついからみんなで行こうって!」

紗「そっか!今日は暑いもんね〜!」

 

紗は少女の話に優しく答えを返すと、流れるプールにたどり着いたため、2人は一生懸命に少女の家族を探す

しかし、人が多く見つけづらい…そこで紗は考えた。どうにかして見つけやすい方法を考えないとと

辺りを見渡し、なにかないかを探る。目に映ったのは監視員の高いベンチだ

 

紗(あんなふうに高ければ…!)

紗「ねぇ、高いところは好き?」

「嫌いじゃないよ?」

紗「なら良かった!私の肩にのって!」

 

紗はしゃがんで少女が乗りやすいように体勢を整える。少女は言われた通りに紗の肩へ乗る

しっかり掴まっててねと一言かけた紗がムクっと立ち上がり、少女は紗の身長と自分の身長分の大きさで辺りを見渡せることが出来た

 

「いた!お姉ちゃんいた!」

紗「いた?!良かった!どっちの方向かな?」

「えっとね〜こっち!」

 

少女は紗の上で指を指して、紗に方向を教える

人混みをかき分けて進んでいくと、先に見えたのは少女によく似た女の子とその付き添いと思われるすごく綺麗な大人の女性がいた

 

「フワワ〜〜!」

「モコちゃん〜〜!」

 

肩に乗っていた少女は、姉に会えたのが嬉しいようで、すぐに肩から降りて、駆け寄る

付き添いの女性は、紗によってきて友達を見つけてくれてありがとうとお礼を言った

その後、バイバイと手を振った女の子に手を振り返した紗は、微笑ましい気持ちになる。会えてよかったねと

 

すると、後ろからパシャリと写真を撮る音が聞こえた

 

ルイ「しっかりと見てたよ。偉いね。紗」

紗「ありがとうルイねぇ」

ルイ「ん?私なにかしたっけ?」

紗「見ず知らずの私を助けて、ここまで保護してくれて」

 

そういうとルイは少し顔をハッとい顔になり、次の瞬間に

 

ルイ「え?何どっかいっちゃうの?w嫌だよ〜〜〜w」

 

と笑いながら冗談を交わした

紗はそのまま、今度は沙花叉達と泳ぎに行き、ルイは取り残された。だけど、改めてあんなことを言われるなんて思ってなかった

 

ルイ「…成長してるんだね。紗」

 

だが、それと同時に調べなきゃならないこともある

 

 

 

 

 

 

彼女の身元についてだ

ー記憶喪失として保護したからには、過去の彼女もいるわけで、探している人もいるはず

なのに、大空警察で調べてもひとつも捜索願いなどは出ていない

彼女の身元が分かるのは、当日彼女が着ていた服。まぁスーツではあったものの、よく分からないマークのバッチが付いていた

 

ルイ(太陽に重なる六角形のマーク…調べても何も出てこないし…ただのアクセサリーには思えない…)

 

彼女には記憶を取り戻してもらいたい反面、少し寂しい気持ちもある

記憶を取り戻すということは、Holoxでの保護が終わるということ

それを彼女たちが素直に受け取れるかだ

 

ルイ「まぁ。まだ時間はあるはず。今は紗と一緒に"涼"しもう!」

 

ーー今のは狙って言ったんじゃないよ?ハッハー↑




最後は真面目にしてみました

あ、そういえばまたまたサカマタ、新しい小説を始めちゃったんですよ

【彼女はホロのとても可愛い子】って言うんですけど、これはこの物語とは直結もかすりもしません。ただの1話区切りの恋愛話です
興味があれば見ていただけると助かります(?)
今までの執筆方法ではなく、少し変えてみてるんですよ

では。来る時にそn


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記録:作ってみせろよホロライブ!(前編)

Ohisa!
夏は終わりそうなのにまだ暑いですねぇ…そういや、ししろんたちに聞いていたホロサマのやりたいことは、もう次期遅れになりそうなので、裏方作業的な感じの話ということでお願いします


ある日。紗はホロライブ事務所に呼び出された

とある企画に参加してほしいとのことで、その企画の詳細はわからないが、急を要するものではないみたいだ

 

紗「なんの企画なんだろう…」

 

そうおもいつつ、紗は事務所の扉を開けた

 

紗「おはようございま―――」

「あ!紗ちゃんおはよ〜!!!!」

紗「ちょ――うわぁっ!」

 

扉を開けた瞬間、元気なちょこに紗は抱きしめられ、ちょこのたわわに紗は埋もれる

ジタバタせずに、ちょこを抱きしめ返した紗は、ちょこのたたわから顔をだして、ちょこのことを見上げて見る

その姿のなんとかわいいことか。ちょこは紗の頭をナデナデし始めて、ぽわぽわする

 

紗「ちょ、ちょこ先生…なんかハイテンションじゃないですか?」

ちょこ「そうね!だって今日は紗ちゃんと一緒に収録できるんだもの!」

紗「????????」

 

わけもわからない紗をちょこは撫で続ける

 

「ちょこ先生、一旦離してあげて?」

ちょこ「はーい」

紗「ふう…あの、ありがとうございます!」

 

名前も知らない女性は、紗に大丈夫だった?と気にかけてくれる様子を見せる

ものすごく天使の様な人で、紗は心の距離が縮まった

 

そら「私はときのそら!よろしくね。紗ちゃん」

紗「はい!よろしくお願いします!」

 

その様に挨拶を交わすと、次の瞬間紗は後ろからちょこに抱きつかれた

正確にいうと抱きつかれたというよりは、後ろから手を回されている状況だが、さっきほど苦しくはない

そらは一瞬心配そうな顔をしたが、紗が苦しんでいないことがわかると、じゃあまた後でねと言って去ってしまった

―また後?確かに事務所にいるのなら出会うこともあるだろうが、頻繁に会う訳では無い

 

ちょこ「あれ?紗ちゃん企画のこと聞いてなかったの?」

紗「はい…企画に参加してほしいとの連絡を受けて来ただけなので…」

ちょこ「じゃあちょこが説明してあげる!」

 

そう言ってちょこは説明を始めた

 

ちょこ「まず今日の収録は、結構数多いライバーが来てて、みんなでお料理するの」

紗「お料理ですか?」

ちょこ「そう。つまりは誰が一番料理が上手なのかっていう企画ってわけ!ちょこは審査委員として呼ばれたんだけど…まぁそれはいいとして、紗ちゃんにはその料理のお手本を作るお仕事ってわけ!」

 

それを聞いた紗は少し不安に思う

自分にその役が務まるのだろうか。料理は得意だが、みんなに振る舞うほどの実力なのか

だが、その不安を感じ取ったちょこは、後ろから紗の頭をナデナデする

―大丈夫よ。紗ちゃんはみんなに自作のクッキーを上げたでしょ?みんな美味しいって行ってたから大丈夫ーとちょこは紗を慰める様に話す

 

ちょこ「とりあえず、みんなに挨拶に行こ?」

 

そう言ってちょこは紗を抱きしめるのをやめて、今度は手を繋いで事務所の中を進む

そして一室の控え室の前に止まると、ちょこは紗に一言言った

 

ちょこ「初めて出会う人もいると思うけど、心配しないで。みんな優しいし、面白い人達だから!」

紗「緊張します…!」

ちょこ「そう?でもすぐに慣れると思うわよ♡」

 

ちょこが扉を開ける。中は楽しそうな声でいっぱいだった

中には見た事のある人もいれば、本当に初見の人もいる

…と、その中にいたスバルが、紗に気づき声を上げると、部屋のみんなが紗に注目を浴びせた

 

紗「えっと…その…今日、皆さんと一緒に収録します!紗と申します!」

 

そう言ってお辞儀をすると、部屋のみんなは駆け寄ってきて紗に興味津々のように前のめりになったり、目を輝かせたりして紗とコミュニケーションを取ろうとしている

 

「え〜噂に聞いてたけどかわいい〜♪((o(。・ω・。)o))」

「うっ!マリンよりもピチピチの美少女…かわいいっ!」

 

そんな感じでみんな紗に興味津々でいろんな声が飛び交う

だが、そらの一言でみんな紗から行ったんはなれる。そして、一期生から順に自己紹介をすることになった

最初は背が高く、長い金髪の女性が挨拶をする

 

アキロゼ「私はアキ・ローゼンタール。気軽にアキロゼってよんでね」

紗「よろしくおねがいします。アキロゼさん!」

「じゃあ次は私ね!」

 

元気に自己紹介の準備(?)をするのは、黒いゴスロリ服の金髪の少女だった

失礼だが、どこか狂気を感じる…危ない感じがする少女は、元気に言い放った

 

はあちゃま「私ははあちゃま!得意なことはお料理よ!」

紗「料理が得意なんですか!どんな料理を作るんですか?」

 

その言葉を発した瞬間、他のみんなの顔が暗くなる

なんだか触れては行けない闇に触れてしまったような…そんなことを紗が考えていると、はあちゃまは不気味に笑い出した。まるでその回答を待っていたかのように

 

はあちゃま「ふふふ…あはははっ!はあちゃまが作るのははあちゃま特製♡(自主規制)カレーよ!」

紗「え……」

 

思わず絶句する。まさか(自主規制)を使う料理など考えたこともなかったから

しかしはあちゃまは自信満々に、今度食べさせて上げる♡とキラキラした目で見てくるもんだから、どうしたらいいかわからなくなる。答える方が一番いいのだろうが、(自主規制)を食べさせられると思うと…

と困っていると、白い髪のおっきな耳を持っている女の子が話題を切り替えてくれて、(自主規制)を食べさせられる危機は去った

 

フブキ「じ、じゃあ私の自己紹介を…私は白上フブキ!ケモミミなオタク狐です!」

 

すごく面倒見が良さそうな人だと紗は感じる

さっきも話題を切ってくれたし、声に「私が引っ張っていきますよ!」みたいな声が乗っかっている気がする

フブキさんはオタクとは言っていたものの、ものすごく会話がしやすく、話をいい方向へと持って言ってくれる

 

フブキ「じゃあ私の話はここまでで、次はマリンちゃん」

「はーい!」

 

続いて自己紹介するのは、赤い船長のような格好をした女性であった

その女性は決めポーズをして自己紹介を始める。その姿はどこか…古いような…現代の雰囲気とはまた違った雰囲気を醸し出している

 

マリン「ホロライブ三期生☆宝鐘海賊団のピチピチ船長、宝鐘マリンですぅ♡」

「…………」

 

なんだろう。部屋の空気が変わった気がした

そんな空気が漂っていると、マリンは慌てた様子もなく、もう一度言い直そうとポーズを決め直す。だが、それはスバルによって止められた

止められたマリンは、スバルに対してなんで止めるんだなどの文句(?)を言うが、スバルの見解は「紗が唖然としてるだろ」とのこと

 

マリン「やっぱ新人ちゃんにはイメージ持たせて置きたいかなって思ってさ。どうだった?マリンの自己紹介は」

紗「あの…すごく…個性的でいいと思いました?」

フブキ「紗ちゃんいいんだよ…必死のフォローしなくても。マリンちゃんは”こういう”女なんだ…」

マリン「フブちゃん?!こういう女ってどういうこと?!」

スバル「あはははっwwww」

 

部屋が笑いで満ちる

やっぱりホロライブは面白い人がたくさんいて、未熟な自分を受け入れてくれる。

ここはいい場所だなと紗は心から思った

 

(中編へ続く)




中編は遅くならないうちに投稿します

ちなみにまだホロメンは出演します。ここらへんで交流を広げようかなと思いまして…
話を進めようかと思ったんですが、それより先に交流を広げることにしました。


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記録:作ってみせろよホロライブ!(中編)

Aちゃん「皆さん、一度こちらに来てもらえますか?」

 

微笑ましい空気が漂う楽屋にAちゃんはにこやかにとある部屋に行くために引導を渡す

その場にいた人たちは素直にAちゃんについて行った。事務所が新しくなったこともあり、広く、キレイになっている廊下を進む

とある部屋の前まで来た時、Aちゃんは驚かないでくださいね?と一言言った後、扉を開く

 

その部屋にあったのは、とても大きく近代的な機械であった

メタリックでゲートの様になっている機械が白く輝くその様は、まるで宇宙人の産物であるかのようだった

 

フブキ「Aちゃん…これは?」

Aちゃん「名付けて!バーチャル量子転移疑似仮想空間αーωー!」

 

長い名前を噛まずに華麗に、自信満々に言い放つAちゃんにみんなは、すこしぽかんとする

さすが公式番組のMCを務めているだけある

 

紗「それで…これは?」

Aちゃん「あ、肝心な説明を忘れてましたね。これは…えー…名前なんだっけ」

マリン「さっきスラスラ言ってたのに?!」

Aちゃん「まぁ長いので、V空間とでも呼びましょうか。この機械はですね―――」

 

Aちゃんの話が長かったので、簡単に説明すると

この機械は、すごい最先端技術を使って擬似的に自分の体を仮想空間に転移させ、あたかもそこがリアルかの様に体験できる装置だそうだ

今回の企画はこの機械を用いてやるそうだ

すでにスタッフなどでメンテナンスは完了しており、準備は万全で、先に数人のタレントが中に入っており、あとはここにいるタレントのみとなっている

 

はあちゃま「じゃあはあちゃまがいっちばーん!!!!!」

 

そう言ってはあちゃまは機械の真ん中に飛び込んでいくと、はあちゃまは光の粒子となって消えてしまった

どこに言ったのかと思っていると、はあちゃまは機械のそばにある大きなディスプレイに現れた。そして「わぁ〜!すごいわ!!!」と歓喜の声が聞こえてきた

それに続いてみんな入っていき、最後は紗のみとなった

 

紗「Aちゃん、少し聞いてもいいですか?」

Aちゃん「ん?なにか問題ありましたかね?」

紗「問題とまでは行かないんですけれど、この中でやるのはわかったんですが…企画内に私の体が写っても大丈夫なんですか?まだ一応正社員ではないですし…」

 

そう言うとAちゃんは大丈夫だと笑って答える

 

Aちゃん「収録時は紗さんの体は視聴者からは見えませんので大丈夫ですよ」

紗「なるほど…わかりました!頑張ります!」

 

そう言って紗は機械に入っていく

バーチャル空間に入ると、微炭酸のお風呂のような気持ちよさが全身を包む。そして眼の前に見えるのは、某猫型ロボットのタイムマシンの空間のような電気空間が広がっており、一番おくに太陽のような明かりが灯っている

ー不思議な空間だなと思っていると、その明かりが大きくなり、次の瞬間には、学校の調理室のような空間が広がっており、みんなその場にいた

 

ルイ「お〜きたね!紗〜こっちにきて?」

紗「は〜い」

 

紗はルイに呼ばれて駆け寄ると、そこには先に来ていたと思われるタレントの姿があった

紫色の髪で可愛らしい黒い帽子を被っている女の女と、髪がピンクでお姫様みたいな女の子がそこにいた

紗が挨拶をしようとすると、先に紫色の子が挨拶をした

 

トワ「はじめまして〜常闇トワです!スバルちゃんから聞いてたけど、めっちゃかわいいね!スバルちゃんにはもったいない―」

スバル「―おいトワどういうことだ」

トワ「だってスバルちゃんの―――」

「はいはい喧嘩しないの」

 

二人の喧嘩(?)を仲裁したのは、髪が黒く、大きな耳と尻尾がある女性だった

ものすごく母性が溢れていて、一瞬母なのかと錯覚するほど。その女性は、二人を仲裁した後、次の人に挨拶を委ねた

 

ルーナ「えっとね。ルーナはね、姫森ルーナなのら〜紗ちゃんよろしくなのら〜」

紗「よろしくおねがいします。ポワーン(꒪ˊ꒳ˋ꒪)ꕤ*.゚」

 

ルーナのぽわぽわした感じに紗は和む

本当のお姫様のようなそのオーラがルーナの周りを包んでいる。なんだか見ているだけでも癒やされそうだなと思う

 

ルーナ「トワはね〜あんなこと言ってるけど、実は照れ隠しなのら〜だから紗ちゃんは心配しなくていいのらよ?」

紗「へぇ〜そうなんですか?」

トワ「はぁ?!ルーナお前なに言ってるん?!照れ隠しなんかじゃないしっ!」

紗(ツンデレなんだなぁ)

 

とにかくトワは悪い人ではないことがわかった

そして次に自己紹介してくれたのは、先程トワとスバルの口喧嘩を仲裁した女性だった。にこやかな笑顔を見せて挨拶を交わす

 

ミオ「うちの名前は大神ミオ。よろしくね。紗ちゃん」

紗「よろしくおねがいします。ミオさん」

ミオ「うんうん。礼儀正しくてかわいいねぇ」

 

―やはりミオさんは母なのかもしれない

そんなことを考えていると、今度はマリンが紗の名を呼ぶ。紗が近くに行くと、マリンの前にもじもじしている水色の髪のうさみみ少女と、マリンの後ろに隠れるピンク髪の少女がいた

先に水色の髪の子がもじもじしながら挨拶をしてくれた

 

ぺこら「あの…兎田ぺこらです…よろしくお願いします…」

紗「ぺこらさん。よろしくおねがいします」

 

二人が挨拶をかわすと、マリンは後ろの子に対して「ほら挨拶しろぉ!」と気合を入れる

するとピンクの子はもじもじしながら出てきて、あっ…あ…と声を漏らしながら挨拶をしてくれた

 

あくあ「あの………湊あくあ……です……

紗「よろしくお願いしますね。あくあさん」

 

その瞬間、あくあは吹き飛ぶような仕草をみせ、トワの方へと行ってしまった

それをみたマリンは笑いながらあくあのことを紗に話す。あの子は人見知りなところがあるけど、いいこなんだと

…一方あくあはというと、トワにドキドキする胸の内を話す

 

あくあ「トワちゃん…」

トワ「どしたのあくたん」

あくあ「あてぃしには無理だよ…あんなキラキラしてる子に話しかけられないよ…気になるからもっと話したいけど…」

 

そんなことを言うあくあに対してトワは「大丈夫だ」と慰める。

 

トワ「一気に距離感を詰めるんじゃなくて、徐々に距離感を詰めるのはあくたんの得意分野っしょ?」

あくあ「そうだよね…あてぃし頑張る!」

 

ぐっと拳を握ったあくあ。裏であくあ色パレットが流れていてもおかしくない様子だ

すると、その現場にAちゃんも到着し、企画の説明を詳しく説明し始めた

 

―簡単に説明すると、二つのチームに分かれて料理対決をします。

出されたお題の品をレシピを見ないで、頭の中にある想像だけで作ってみろ!という感じだ。簡単だろう?

 

ところで肝心のチーム分けはというと…

 

Aチーム:フブキ。トワ。ぺこら。あくあ

Bチーム:マリン。ルーナ。スバル。はあと

審査員 :ちょこ アキロゼ そら ミオ ルイ

 

という感じになっていて、対戦も同じ感じになっている

 

Aちゃん「それじゃ、皆さん準備はいいですか?収録スタートしますよ!」

 

 

Aちゃんの合図で収録はスタートしたのだった




この先の料理編欲しいですかね?

現段階では、簡潔にまとめてお疲れ様でしたの後編にしようかなとも思っていまして…

アンケートを実施しまして、賛成多数であれば途中追加で執筆しますが…どうです?


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記録:作って見せろよホロライブ!(すこだワ編)

お久しぶりです
前回、アンケート取った結果料理編を見たい方が多いようでしたので、一通り作成したんですが、やっぱり今回の(下にある)アンケートなどでどんな料理を作るかをやったほうが、みなさんも参加できる感じがするので、ここまで長くなってしまった結果です…

おまたせしまして申しわけありません…



Aちゃん「料理!あなたは作れるか?!作ってみせろよホロライブ〜〜!!!」

「「わーーーーー!!!」」

Aちゃん「こんにちは、今回MCを務めます友人Aです。今回はですね、数多いホロメンに来て頂きました!それでは挨拶来て頂きましょう!」

 

そのようにAちゃんが言うと、そらから順に自己紹介をしていく

料理が苦手だとか得意とまでは行かないだとか色んな情報が飛び合う中を、Aちゃんは簡潔にまとめ、得意とは行かない人が多いようだと 

 

Aちゃん「なるほど皆さん料理は得意では無い、ということでよろしいですね?」

「「うん、得意じゃない(のら〜)」」

Aちゃん「甘いッ!!!」

 

Aちゃんの大声にみんな驚く

 

Aちゃん「甘すぎますよ皆さん!ショートケーキにはちみつかけたくらい甘いです!」

そら「ちょっとそれは分からない…かな…?」

Aちゃん「ま、まぁ、それは置いておいて…皆さん無人島に流されたらどうするんですか!はいっ!あくあさん!」

あくあ「えっ?あてぃし?!えっと…えっと…」

 

あくあは必死に考える。あくあなりの理由を。そして自分が納得できるような回答を

 

あくあ「狩猟して、肉を焼いて…食べます Ψ( 'ω'* )」

トワ「モンハンじゃねぇか!」

Aちゃん「あははwそうなんですよ!料理ができない人はただ焼くだけ!それじゃ腹は満たされないんです!なので!今回用意した企画はこちら!」

 

そういうと空中にデーンと文字が出てくる

そこに書かれているのは【レシピは不要っ!名前から料理を考えて作れ!】と

一件無人島と関連性がないように見えるが、名前から想像することでまた新たな道が開ける可能性がある。あと、想像するだけでも日々の飽きから解放出来るとの見方もあるらしい

 

Aちゃん「皆さんにはですね、ふたつのチームに分かれてもらって、1人づつ出題された料理を作ってもらいます。あちらを見ていただけると分かるのですが、たくさんの食材があります」

マリン「ありますねぇ。ザクロとかりんごとか」

Aちゃん「その中からこれだっ!って思う食材を探して、調理してください!最終的に料理上手いホロメンの審査員がたべて判断します。食べられる食材だけがあるので、安心してくださいね」

はあちゃま「タランチュラはないのかしら?」

 

はあちゃまがそう呟くと、すかさずアキロゼはツッコミをいれ、ルイは私たちが食べるんだぞ!と一声かける

そのあと、Aちゃんが細かく企画の説明をする。

料理は、フランス料理や日本料理などがあるが、今回は特定の地域の料理ではなく、そのときその時のくじ引きでどんな料理か決まる

コース料理は、四品出されるハーフコース料理で、順番は、前菜・スープ・メイン(肉)・デザートとなっている

 

Aちゃん「それでは早速やっていきましょう!最初の方席についてください」

フブキ・マリン「はーい」

 

最初の二人は、キッチンの前に立つ

すると、ふたりの前にすべてに?が書かれたルーレットのようなものが出現し、くるくると回り始める。それは次第にスピードを落としていき、赤い色の「?」に止まった

その?が光ったと思ったら、そこには【アジの南蛮漬け】と書かれていた

 

フブキ「あ~まあまあ食べたことはありますからね?記憶にはあるから…」

マリン「あの~あれね、"酸っぱい"やつ」

Aちゃん「さぁ二人は作り上げることができるのでしょうか!クッキング~~スタート!!!」

 

その合図で二人は材料を探しに行く。それと同時に紗にはレシピが表示され、紗はテキパキと料理を作っていく

 

マリン「まぁアジってついてるからアジは使うとして…南蛮漬けってどんなの入ってたっけ?」

 

困るマリンに対してフブキは順調なようだ

2人とも料理はできないわけでは無いため、見ていて不安感はないが、出来上がりに若干の不安感はあると、審査員たちは思っている

両チームの控えも心配しながらみる 

 

トワ「フブキ先輩の料理ってどうなんだろ」

ぺこら「テストでクッキング(公式)のときはレシピがあれば作れるって言ってたけど…」

 

スバル「マ俺不や」

ルーナ「スバちゃん流行りを取り入れてるのら」

はあちゃま「大丈夫じゃないかしら?だって美味しそうよ?」

 

心配になるチームの目の先で頑張って料理する2人

トントントン…ジュージューと料理特有のいい音がキッチンに響き渡る

 

クッキング中のふたりが完成したようで、白い皿の上に自作のサバの南蛮漬けが乗っかっている

フブキの方は完成に近い感じだが、マリンの方はどこか足りない感じがする

でもまだきれいな方で、自信を持って食べられるといえるかんじだった

 

審査員が二人の料理を食べる

そして誰しもがいうのが、マリンの料理はなにか足りない気がする

 

ルイ「美味しいんですよ。美味しんですけど……」

アキロゼ「なんか足りないよね?」

ミオ「う〜ん…船長、タレにお砂糖入れた?」

 

マリンはお砂糖入れるのか?という反応をする。結果は、フブキに票が入る結果となった

そのあと、紗が作ったお手本をみんなで食べる。するとマリンとフブキの足りないところがわかるようだった

 

続いてはトワルーナの番だ

さて…次の料理は――――




次の料理は―――


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記録:作って見せろよホロライブ!(トワルーナ編)

すいちゃんの新曲めっちゃ特徴的で歌うの楽しい


前回はすこだワの二人が作ったサバの南蛮漬け。勝敗の結果はフブキに票が渡ってしまったが、次の挑戦は――ホロライブ四期生対決!天使のような悪魔【常闇トワ】とぽわぽわ系お姫様【姫森ルーナ】の挑戦だ!

 

Aちゃん「さて、お二人は料理などはされるんですか?」

トワ「トワはたまーにするけど、簡単な料理しか作ったことないな〜」

ルーナ「ルーナは料理はするのらよ?レシピなしでって言われるとわかんないけど」

 

ふたりとも料理は苦手ではないようだ

先程と同様にルーレットが出現してくるくると回る。じょじょに目標に近づいてきて…一つの的に止まった

その的が光り輝き、記されたのは中華料理の【酸辣湯】だった

 

トワ「酸辣湯かぁ…」

Aちゃん「ちなみにトワさんは酸辣湯は食べたことは―」

トワ「ある。あるけど…何年か前の話なんだよなぁ…」

あくあ「トワちゃん、あてぃしちょっと不安かも」

 

トワは「突っ込みたいけど、トワも不安なんだよ」と心の内をあかす。まぁなんとかなるだろうの精神で頑張るようだ

 

Aちゃん「ちなみに、今回の酸辣湯は本番ものではなくて、日本風でお願いします」

トワ「何に日本風って?!やばい困惑してきたんだけど!」

 

頭がぐるぐるになるトワとぽわぽわしているルーナ。

二人はキッチンへと向かうと、開始の合図で料理の時間が始まった

 

トワ「まず、日本風は置いておいて…酸辣湯ってどんなやっけ?辛かった記憶が―」

ルーナ「さんらーたんは酸っぱくて辛い感じがするのらね。たしかちょこてんてーは辛いもの苦手だったから辛さ抑えめにしよ〜♪」

 

二人は料理を順調に進める。たまに首を傾げながらもその手は止まることなく進んでいく

控えのみんなは、二人の作る料理が美味しそうだな〜とか思っている。心配は少ない感じだ

 

スバル「この間ルーナの料理食べたんだけどさ。結構美味しいんだよ」

はあちゃま「お姫様で料理出来るなんてすごいわね」

 

フブキ「トワ様の料理辛くて美味しそう(о'¬'о)ジュルリ」

ぺこら「フブキ先輩は辛いの好きだからもう好物かもしれないけど…審査員のみんなはだいじょぶかなぁ…」

 

二人の料理が完成!二人の出来栄えは!?

―トワの料理は見ているだけでも汗が出そうなほど辛そうな赤色なのに対し、ルーナの料理は卵の量が多いのか少し白が目立つ

料理はいい感じに振り分けられて審査員の元へと運ばれていき、審査員は両チームの料理を食べる

 

そら「いただきまーす。……うんうん!どっちもいいバランスって感じがする!トワちゃんの料理は下に残る感じの辛さに対して、ルーナちゃんのはすぅーっと喉を通っていく感じ!」

ちょこ「んなたんの酸辣湯は辛味が少なくてちょこは好き」

るーな「ちょこてんてー、ダジャレ言ったのら?」

ちょこ「ルーナたん?!」

スバル「アハハハっwwwおいルーナそれ言った方が罪だからなw?」

 

意図しないダジャレは危険である

 

ミオ「うんうん…ん?!?!」

 

トワの酸辣湯を食べた途端にミオは苦しそうな声を上げ、虚ろな目をしてああぁぁぁと悶え始めた

ミオシャ?!とスバルは立ち上がって心配する。よく見ればミオの皿には、一本の唐辛子があった

それを見たトワは罪悪感を感じた顔をして、ミオに謝る

 

トワ「ミオ先輩ごめんなさい!辛味つけの唐辛子は全部取り除いたはずだったのに!」

ミオ「あぁぁぁ…空にかなたちゃんが見えるぅ……」

スバル「みおしゃぁぁぁぁ!!!!戻ってこぉぉぉぉぉぃ!!!!!」

 

紗は急いで牛乳をミオに飲ませる

するとミオはだんだん顔色が良くなっていき、辛味は無事に引いたようだ

 

ミオ「かなたんがゴリラに―――はっ!?危なかった…」

トワ「ミオ先輩ごめんなさい…」

ミオ「大丈夫!”本場”の酸辣湯は多分このくらい辛いと思うし(?)」

トワ(”本場”ってことは…トワのやつ日本風じゃない?!)

 

まぁ軽い(?)放送事故もあったものの、試食は終了した

どちらの料理も美味しかったが、勝敗はルーナに挙げられた

トワは疑問に思う。日本風の酸辣湯ってどんなものなのかと。だがその答えはすぐに分かることになった

 

Aちゃん「それじゃみなさん、お手本の日本風酸辣湯を食べて見てください」

 

紗が作った酸辣湯がみんなの前に差し出される

その色はトワの料理とルーナの料理をあわせて二で割ったきれいな赤色だった

卵のいい味ときのこの風味。それにアクセントとなる胡椒の刺激とラー油の辛味がベストマッチしていて、とても食べやすい

 

Aちゃん「お手本の料理人から『辛味が苦手な方もいるみたいなので、すこし辛味を抑えてみました』とのことですが、どうですか?」

ちょこ「いや、もう最高ですよ♡毎日料理作って欲しいくらい美味しい!」

ルーナ「あールーナのやつは辛さが少なかったのらね〜。これ美味しい〜」

紗(美味しいって言ってくれるとやっぱり嬉しいな)

 

トワは紗の料理を口に入れた瞬間、ブワッと素材の美味しさや香りが鼻を突き抜けていくことを感じた

そしてどのようにすればこんなすごい料理を作れるのか。トワもこんなふうに作れるのかと、紗に興味を持ち、収録終わりに彼女に聞いてみようと決意した

 

さて次はぺこらとスバルの番だ――




みおしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!


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記録:作ってみせろよホロライブ!(ぺこスバ)

誤字報告あざます!


前回はトワとルーナの酸辣湯の戦いは見事ルーナに勝敗があげられたが、次はぺこらとスバルの戦いだ!

このふたりは、料理出来なくはないが果たしてどちらが勝つのだろうか!

 

ぺこら「頼む!簡単なの来てくれ…!」

スバル「まぁ、難しいの来てもなんとかなるっしょ!∧( 'Θ' )∧」

 

なんだか対称的な2人だが、大丈夫だろうか

そして運命の料理名が発表されるードキドキと高鳴る胸を抑えながら、2人は発表を待つ

 

デデン!と大袈裟な演出で記された料理は、【鶏肉のコンフィ】なるものだった

 

スバル「コンフィ…?」

ぺこら「鶏肉って、スバル先輩共食いになりません?」

スバル「ならねぇよ!っていうかスバルはアヒルじゃねぇえからぁ!!」

 

スバルの強烈なツッコミが炸裂し、どっと笑いが起こる

ある時スバルの囁き声がアヒルの声に聞こえると言い放ったスバ友のおかげで、スバルはなぜか公式からもアヒルのマークを渡され、今ではすっかりホロ鳥の一員になっている

…ほんとは人間だったのにね

 

Aちゃん「お二方、コンフィってどんな料理だと思いますか?」

ぺこら「え、多分蒸しスバル先輩的な?」

スバル「いや、どういう状態?」

トワ「ダンス終わりのスバルちゃん、毎回頭から湯気出てて、ゆでダコならぬゆでスバルだぁ!って―」

スバル「―やめろやめろ!!!誰だって運動後は暑くなるだろ!なんで公式番組でそんなことバラされるんや!」

 

ス虐が終わることは無い

ともかく、2人はキッチンへと行き、料理の準備を始める

ちなみにコンフィとは肉を低温調理して保存性を高める調理方法の事で、ふっくらとしたお肉が味わえるのだ。ワインなどにとても合うため、パーティーなどで出すのも良いだろう(多分)

 

Aちゃん「お二方準備は整いましたか?それでは…クッキング〜スタート!!!」

 

Aちゃんの掛け声に合わせて2人は動く

ぺこらは、まずは鶏肉をいい感じに捌き、下味などをつけて1度考える。どのように調理するべきかと

名前的にヨーロッパの方の料理みたいだから、赤ワインなどで煮たり蒸したりするのだろうか…

―とにかくやってみるしかない。ぺこらはフライパンに赤ワインと水・塩、そしてなんか香り良さそうなハーブも入れ、蓋をして蒸し焼きにすることにした

 

それをみたフブキはすこし関心の音を上げる

 

フブキ「ほー!」

マリン「フブキ先輩どうかしました?」

フブキ「いやね、私はあまり料理詳しいわけじゃないけど、ぺこらちゃんの料理の仕方上手いな―って思ってさ。赤ワインで煮るのもそうだし、ハーブ入れて香り付けしてるのもなんか手慣れてるな―って思って」

 

実際はわからないが、見ているだけで普段料理するのだろうという雰囲気が伝わってくる

一方のスバルはというと、鶏肉をどのように調理するかを悩んでいた

―そもそもコンフィとはどのような料理なのかだろうか、それから考えることにする

 

コンフィ。おそらくはヨーロッパの方のオシャレ目なお店で出てくるような料理だ

となるとオリーブオイルでいい感じに焼いてから、なんかおしゃれなソースが上からとろーっと掛けられているイメージが頭に浮かんだ

 

スバル「よしっ!やってみるか!」

 

動き出したスバルは止まらない

鶏肉の下処理をして、味が染み込むようにフォークで鶏肉を刺す。

にんにくを薄くカットし、カリカリになるまで熱したフライパンでオリーブオイルで炒めたあと、一度にんにくを取り出し、薄くきった人参ときのこを一緒に先程のフライパンに入れて香りをつける

全て一度取り出したフライパンに鶏肉をINして、高温で一気に中まで火を通す。その時にぺこらのように、なんかいい香りがするハーブも一緒に入れて香りをつける

 

スバル「前にちょこ先が作ってくれた料理でこんなことしてた気がするな〜」

ちょこ「スバルお前…ちょこ嬉しくて泣いちy―!」

スバル「―でも何作ってくれたんだっけ」

ちょこ「え―?」

 

その合間にぺこらの鶏肉が出来上がったようだ

しかしぺこらはすこし不満そうだ

 

ぺこら「う〜ん…このままでもいいんだけど…ぺこーら的には…」

 

取り出して何もなくなったフライパンを見るぺこら

そして「うん」と頷き、汚れたフライパンをキレイにして、そこにオリーブオイルを敷いて再び鶏肉を中に入れた

ぺこらがしようとしているのは、蒸し焼きの鶏肉はふわっとしているが、そこのパリッとした食感を与えること

そのためには、短い時間で高い温度で焼く必要がある。しかし焼きすぎるとふっくらとした食感も失われる――難しいことだが、ぺこらにはできるのだろうか―――

 

 

 

二人の料理が完成し、審査員の前に差し出される

目の前の料理の完成度はとても高い。フランス料理店で出てきても違和感ないような見た目だ

Aちゃんが「ちなみに皆さんはコンフィはご存知ですか?」と審査員のみんなに聞いても、首を横に振るだけだった

 

Aちゃん「お二方のを食べていただいた上で、お手本との比較で点数をつけてくださいね」

そら「はーい。それじゃ、いただきます!」

 

合わせた手を解き、2人の料理を口に運ぶ

スバルの料理は、ハーブのいい香りと噛むたびに鶏肉のいい味が溢れてくるいい意味でスバルのような料理だ

キャラも声もすごいスバルだが、ス虐が関わることによってさらにスバルのいい味が伝わってくるような。

付け合せの人参やきのこ、そしてにんにくも鶏肉にいい影響を与えていて、評価は高いが、少し油っぽいのが玉に瑕というやつだった

 

ぺこらの料理は、パリッとした鶏肉の皮が始めると、中にはふっくらとした柔らかい鶏肉が待っていた。例えるのならばぺこらの性格みたいな料理。最初はちょっとキツめなツッコミの人なのかと思いきや、いざ話してみると可愛らしい女の子みたいな(?)

 

アキロゼ「どっちの料理もすごく美味しくて、優劣つけれない!」

ミオ「ホントにね〜」

ルイ「コンフィを知らないから今の段階では優劣をつけれないんですけど、どちらの料理も美味しくてまた食べたいなって感じですね」

 

審査員のみんなが食べ終わった時。紗が作ったコンフィが出され、お手本をみんなで食べる。その鶏肉はふっくらとした柔らかい肉で、鶏肉本来の美味しさが凝縮されているものだった

――コンフィは作るまでにかなりの時間がかかるものだが、収録の時間上短縮バージョンで提供しているも、その美味しさは変わらない

 

食べ終わった審査員のみんなは結果を発表する

今回、コンフィ度がもっとも高かったのは―――ぺこらのコンフィだった

もちろんスバルのコンフィも悪くはないのだが、料理方法の違いなどが敗因のようだった

 

さて…次は皆さんお待ちかねの【あくあVSはぁちゃま】のデザート戦いだ―――




スバルのコンフィって書くと、なんだかスバルが……やめとこ
あ、ちなみに次の料理は決定してます。皆さん投票ありがとうございました!


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記録:作ってみせろよホロライブ!(あくちゃま)

長くてすみません。次の回で終わりにしますから…
そしてはあちゃま復活おめでとう!!!!!!!!!!!!!


スバルとぺこらの戦いはぺこらに勝敗が行ったが、

次は、あくあとはあちゃまの勝負…ふたりとも料理が得意ではないから、どのような料理がくるのか、若干心配である

 

Aちゃん「さぁ白熱した戦いももう一試合で終了となります!最後の得点は一億点!!!!」

マリン「バカ数字すぎる」

Aちゃん「というのは嘘で、一点なんですけれども…最後に挑戦するお二人は、料理は得意ではないんですよね?」

 

Aちゃんがそういうと、二人はうなずく

 

Aちゃん「あの、食べられないものが出てしまっても困るので、一応救済処置として、ヒントを要求できる権利を与えますので…」

あくあ「ヒントください・ࡇ・」

フブキ「あくたん?!?!?!」 

 

突然のヒント要求に困惑するも、そのすぐに二人が料理するものの名前が出た。

その名は…【クレームブリュレ】というデザート料理だった

焼きプリンと例えると本場の人に怒られるかもしれないが、見た目は似ているデザートだ。カップに入ったカスタードの表面にバーナーなどで焦がしたカラメルの層が乗っかっている

デザート好きなら知っているかもしれませんが、あまり耳にしないデザートに彼女たちはどのように立ち向かうのか!!!

 

Aちゃん「ちなみにお二方はクレームブリュレは食べたことは――」

あくあ「ないです。っていうかクレームってなんだよアンチか?(# ゚Д゚)」

トワ「あくたんどこでキレとんねん」

はあちゃま「クレームってもしかしてクリームのことかしら?なんだか甘そうな感じがするわ」

スバル(もしかしてはあちゃま行ける…?!単語からその英語を読み取っていいところまで行けるのでは?!)

 

二人は考えながらキッチンの方へと向かう

クレームブリュレとは何なのか。どのようにして作るのかと試行錯誤を繰り返す

 

Aちゃん「お二方、位置につきましたか?それでは……クッキング~~スタート!!!」

 

先に動いたのははあちゃまだった

英語の得意なはあちゃまは、クレームをクリームと考え、デザートだからスイーツなどが乗っているパフェのようなものではないかと想像した

まずは器を用意し、底にパリパリな………ポテトチップスを敷いた

 

スバル「はあちゃま?!?!なんでポテチ?!?!」

はあちゃま「甘いクリームにいいアクセントになるわね!」

スバル「ならねぇよ!!!」

 

そのポテトチップスの上にはうまく切ったスポンジケーキを敷き、その上に生クリームと細かく切ったスイーツを入れて再びクリームで閉じる。そしてチョコの層の上にクッキーの層を作ってその上にキレイなホイップを書いた

なかなかに美味しそうではある。だがその後―――

――ホイップの上にチョコでできた大きなクモがトッピングされた

 

スバル「おいはあちゃま?!?!?!」

マリン「いや〜普段通りで逆に安心するわ〜」

ルーナ「逆にすごいのら…チョコであんなに高解像度のクモを作れるなんて…」

はあちゃま「これで完成ね!!!」

 

一方のあくあの方は、戸惑っていた

今わかっていることは、作るものが洋風なデザートという情報のみ。プリンのようなものなのか、それともゼリーのようなものなのか…

作る前にとりあえずヒントを聞いておこう。できるだけ勝利に近づけるように!

 

あくあ「あの…ヒントお願いします」

Aちゃん「あくあさんからのヒントを受け付けました!第一のヒントは―――卵を使用します!このヒントで頑張ってクレームブリュレを作ってくださいね!それでは―」

 

そう言い残してAちゃんは消えた

ヒントを聞いたあくあは、卵を使ったデザートを考える。プリンにケーキ類は卵が使用されている。はず

作り方はわからないけど、使われているのは知ってる。コンビニで売ってるケーキにも使われていた記憶がある

それを踏まえた上でクレームブリュレという料理を目をつぶって考えてみる

――カップに入っているカスタードプリンのようなイメージが頭に浮かんできた

 

あくあ「あてぃし…作り方わかんないけど…やってみよう!!!」

 

グッっと拳を握りしめ、頑張るぞ!という決意を固めて料理に取り掛かる

まずはボウルに卵を入れてかき混ぜ、そこに甘くなるように砂糖と牛乳を入れてまた混ぜる。それをカップに入れて人まず落ち着く

 

トワ「あくたんすげぇな」

フブキ「ね。料理できないって言ってたけど、今のところ順調だし、おかしいところなんにもないね」

ぺこら「もしかして、あくあ先輩料理できるんじゃねぇぺこですか?」

 

褒める控えの声は聞こえないあくあは、このシュガーミルクINタマゴ(仮)をどのように調理するかを考える

タマゴを生で出すのは危険だけど、カスタードプリンとして出すには、すこし固まってないと行けない。でもカチカチではだめ。オーブントースターで適切な温度と焼き時間が必要になるとかならんとか

わかんないけど…とりあえず100度で10分やってみる

……

………

…………チンッ

 

出来上がったようであくあは一旦取り出して様子を見る

プルプル…よりもまだとろとろ。大きな変化はないみたいだ

じゃあ次は200度で30分やってみようと大胆な挑戦をした

 

待っている間、ものすごく暇になる。今やっていることは正しいことなのだろうか。いつもみたいに失敗したらどうしよう

そんな感情があくあの心の中を駆け巡る

でも控えのみんなの方を見ると、みんなニコニコした顔で応援してくれている――声は聞こえないけれども

 

あくあ「あてぃし…それだけで頑張れる!」

 

よしッと気合を入れたあくあ。…あれなんだか変なニオイがする

何かが焦げるような………まさかと思ったあくあはオーブントースターに恐る恐る近づくと、その中には真っ黒になってしまったあくあの料理だった…

急いであくあは取り出し、一度様子を見る

 

あくあ「どうしよ…今から作り直すのは無理だし…あぁぁぁぁぁ( 6 @ 9)」

 

応急措置として炭になりかけている表面を取り除く

その下にはカチカチになったプリンの表面があった…これで出すしかないのだろうか…

 

 

あたふたしているうちに最終制限時間が近づき、あくあは終わりを迎えた

そして審査員の前に出される2人のクレームブリュレ。はあちゃまのクレームブリュレはかなり独創的。クレーム(クリーム)の上にブリュレという名前の蜘蛛が住んでるらしい(?)

一方のあくあのクレームブリュレは…表面が真っ黒になってしまっている

 

ルイ「では、初めにはあちゃまの方をいただきますね。すごい解像度のクモだな…」

 

ルイはそう言ってスプーンでカップに溢れたクリームを掬って口に運ぶ。うん。美味しい

自ら持ってきた食材では無いからか、比較的美味しくできている。まだ甘さが足りないとか細かい部分はあるものの、かなりデザートとしての完成度はたk―ザグッ

 

ちょこ「…ザグッ?」

 

下の方まで到達したちょこは違和感を覚える

デザートからは鳴りえないその音…ちょこがスプーンで拾い上げ、よく見てみればそれは、例のポテチだった

 

ちょこ「はあちゃま様…?なんでポテチが…?」

はあちゃま「甘いクリームのアクセントになるかなって思って入れてみたわ!」

ちょこ「アクセントにって…( ˘꒳˘ )スンスン…これ、コンソメ味じゃん」

アキロゼ「アクセントのクセがすごい…!」

 

(あんまり評判は良くないようだ)

続いて次はあくあの作った料理だ

あの悲劇からできるだけ処理はしたのだが、焦げはどうすることもできなかった。これで出すしか方法がなかった

ものすごく見た目が悪い。真っ黒に染まってしまった…

あくあはすこし下の方を向きながらみんなの反応をこっそりと待つ

 

「ん!?」

 

誰かの声が聞こえる

―焦げたのがだめだったのか、それとも―――

 

「これ美味しいね!」

あくあ「…え?」

 

あくあは思わす顔を上げる。そこには自分の作った真っ黒ブリュレを美味しそうに頬張るそらの姿があった

そらのその目はお世辞なんてものではなく、曇りのないキレイな目であることから、あくあは本当に美味しいのだろうかとすこし複雑な気持ちになる

そして次々に審査員の口に運ばれるそれは、みんな好評の音を上げていた

 

あくあ「う、うそ…あてぃしのミス料理が――」

ミオ「美味しいよあくたん。ちょっと焦げ目がすごいけど、中はカスタードケーキみたいな感じ」

そら「あくあちゃん、この焦げをできるだけ取ったでしょ?そのおかげで苦味がかなり少なく感じるし!」

あくあ「え、あ…えへへ…えへへ(///ω///)テレテレ♪」

 

あくあは素直に褒められたことに照れを感じ、もじもじと恥ずかしがる

結果、今回の勝負はあくあに票が行き、結果はAチームのフブキ・トワ・ぺこら・あくあの勝利となった!

 




あくたんは料理できないけど、できないなりに頑張るいい人だと思うんですよ。
でも最後にドジしちゃうみたいな…健気な女の子って感じ


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記録:収録おつかれさまだよ!

…番組収録が終わったあとのこと…

 

Aちゃん「では皆さん!収録お疲れ様でしたー!」

「「「おつかれさまでした~!!」」」

 

囲まれた机の上にはみんなが作った料理と紗が作った料理がたくさん並んで、温かい煙を出していた

番組収録打ち上げのような感じでちょっとした宴を開催しようと提案したそらが、立ち上がってみんなに開会(?)の宣言をする

 

そら「えー本当にお疲れさま!忙しくて帰っちゃった人もいるけど、楽しみましょう!」

 

わーー!!!!!

みんなの談笑の声が響き渡る

そしてみんなが作った料理を各自で取って好きなように食べはじめた

紗もフブキの作ったアジの南蛮漬けをもぐもぐといただきながらみんなを見守る

すると大きな尻尾をフリフリと揺らしながら、トワの酸辣湯を持って近づくフブキの姿があった

 

フブキ「紗ちゃん、楽しんでますか?」

紗「はい!楽しんでますよ」

フブキ「それは良かったです〜。それにしても紗ちゃん料理、すっごく上手ですね〜!ほっぺが落ちそうなくらいに!」

紗「ありがとうございます。フブキさんの料理も美味しいですよ」

 

紗がそう言うとフブキはいやいや!と謙遜して手を振る

 

フブキ「紗ちゃんは好きなゲームとかありますか?」

紗「ゲームですか…うーん…私、あんまりゲームをしたことがなくて…」

フブキ「ほほぅ…( ≖ᴗ≖)ニヤッ」

 

フブキはニヤッと何かを企む顔になり、連絡先を交換しようというので、快く引き受けた

その後、フブキは紗に対してだれか話してみたい人とかいるのかと聞くが、紗はフブキさんと話してるだけで楽しいですと答える。するとフブキは「なんていい子なんや…うっう(泣)」と目を押さえて泣いた

その後、フブキはミオに呼ばれて一度席を外す。すると、次は紗が作った酸辣湯を持ったトワが紗に話しかけてきた

 

トワ「紗ちゃん、トワに料理教えてください!!!!(._.)」

 

いきなり頭を下げられた紗は少し困惑した。その様をみたスバルは、「トワが…頭下げてる?!?!?!」と思って紗の方に寄ってきた

 

紗「そ、それはどうして…?」

トワ「トワも紗ちゃんみたいに料理がうまくなりたい!そして…スバルちゃんに食わせてやりたい!」

スバル「おいトワ…スバル被害者なん?」

トワ「被害者って言い方酷くない?!トワはスバルちゃんに美味しい料理をたべさせたくて―――」

スバル「―本音は?」

 

怪しそうに疑って聞くスバルの問いに対してトワは、あざとい笑顔でこのように答えた

 

トワ「失敗作は食べてもらおうと思って✨」

スバル「おいスバル実験台やん!紗どうする?嫌なら断ってもいいんだよ?」

紗「いえ…受けさせていただきます!」

 

誰かの師匠、先生になることは今までなかったし、これを期に先生力が高まれば良いと思う紗

その言葉を受けたトワは舞い上がり、やたぁぁぁぁ!!!!!とジャンプする。その様を見ているスバルと紗は少し話をする

 

スバル「紗、本当に大丈夫?トワは結構言葉きつくなるときあるけど…」

紗「大丈夫。トワさんの本気度は伝わってきたし、なにより根はいい人だと思うから」

スバル「そっか――トワはいいやつだよ。優しくて何言っても拾ってくれる。だらけるところもあるけど、それは信頼の証―――」

トワ「ね〜!二人で何はなしてんの〜????」

 

トワは少し遠くから叫ぶような感じで聞いてきたから、スバルは「なんでもねぇよ!」と返答し、紗に向けてニコッと笑顔を見せた

その様を見ていたトワは、「なんか秘密の話してたやろ!!!!」と迫ってくるもその表情はとても笑顔で、秘密の話よりもこの会話を楽しんでいるのがわかる

 

アキロゼ「紗ちゃ〜ん♡」

紗「どうし――うわっ!あ、アキロゼさん?!どうしたんですかいきなり抱きついてk―――」

アキロゼ「美味しい料理ありがと〜♡」

紗「ど、どういt――お酒くさっ!!?」

 

どうやらアキロゼは少しばかり麦ジュースを飲んで酔っているようだ

座っている状態から抱きつかれて頭をスリスリされるも、嫌な感じはしない。包容力と言うやつなのだろうか

 

アキロゼ「紗ちゃん、アキロゼの家に来ない?♡私なら全部してあげるよ♡」

紗「気持ちはありがたいのですが…まだHoloxに返すものが残っているので―」

アキロゼ「そっかぁ〜残念だなぁ〜」

 

一度アキロゼは紗を開放してすこししゃがみ込み、紗に目線を合わせて頭をナデナデされる

「いつでも来ていいからね〜」と優しい笑顔で微笑む

 

―ホロライブは温かいなぁ。みんなで作った料理を談笑しながら食べる

そして親睦度が上がっていく。本当にこの場所で良かったと心から感じた宴だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバル「んで、調査結果はどう?」

 

電話を耳に当てたスバルは電話先の相手に問いかける

 

「未だ確信的な手がかりは見つかってないっスね。あのマークに似たものは見つけたっすけど、調べると別のものなんスよね」

 

実はスバルは電話先の相手にとある依頼をしている

そのはじめとして、ルイからもらった謎の紋章の解析を進めてもらっている

 

スバル「進捗はほぼ0か…となると…表の存在では無い…?」

「かもしれないっスね。その紗って子が記憶を失ってる以上、進展は難しいかもしれないっス」

 

スバルはうーんと喉を鳴らす

大空警察として真相を暴きたいが、進展がない以上どうしようもない

 

「とにかく、桐生組(うち)でも必死で探すんで、なんかあったら連絡しますよスバル先輩」

スバル「ありがとね会長」

「全然大丈夫っスよ!後輩のことを護るのも私の仕事ですから!!」

 

電話先の相手は高らかに話す

それを聞いたスバルは安心して電話を切った

―彼女がどこから来たのか、そして本当は誰なのか。記憶がない以上、第三者が調べるしかない

 

スバル「でも…紗はそれを望んでいるのかな…」

 

見上げた空は暗く、曇天が嫌なほどに空に続いている

知りたいが知りたくない。知ってしまったら彼女はどうなってしまうのだろうか

―いや…まだそう決まったとは限らない。まだ猶予はあるはずだ

 

 

まだ―――彼女と話し足りないから




長い番組回が終了しました
これからはまだ関係の薄いメンバーとのコラボと同時にメインストーリーを進めていきたいと思います


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いろはの記憶:新天地!でござる!

これは風真いろはの記憶…長い記憶の始まりの記憶…


x月x日

 

今日、拙者こと風真は鍛錬を開始する

初めて拙者の故郷を出ての鍛錬だ。この世界にはまだ知らぬ事が多くあるだろう。だが心配はいらない。共に旅をするぽこべぇがいるから

―食べるものに困ったため、木になっている赤い木の実を食べた。多少ピリピリとした感覚があるが大丈夫でござろう

 

x月x日

 

今日はとても大きなクマに出会った

かなり危機的な状況であったが、鍛錬の成果か撃破することに成功したでござる。今日はお肉パーティーでござるよぽこべぇ

―しかし夜になってから急に腹部が痛む。恐らく昨日の木の実のせいだろう。ぽこべぇが看病してくれるおかげで少し楽ではある

明日には治ってて欲しいでござるが…

 

x月x日

 

朝になって無事、腹部の痛みは引き、今日も歩みを止めなくても良さそうなくらい無事だ

だが少し大事を取って少し休んでから先に進むことにした

―半刻くらいすると、故郷とよく似た山里に着いた。今日はここで寝泊まりしよう

昨日撃破したクマの毛皮と肉を山里の者に売ろうとすると、そのクマは最近里に被害を合わせていた獣だったらしい。里の長からお礼とお金を貰い、少し気分がよかったでござる♪

 

x月x日

 

あの里を後にしてしばらく歩く

やっとの事で街に繋がると思われる道に出た。幸先が良いでござる。道なりに歩いていると、商人の馬車と遭遇。ぽけべぇのことを気になるかのように見てくるでござる…でも街まで行くと言うから、クマの手と交換条件に乗せてもらうことになった

―しかしその途中、盗賊に襲われかけたが、風真はすぐに刀を抜き、商人を護った

商人はありがたいと礼を並べ、街に着いたら様々な礼をすると約束してくれた

 

x月x日

 

無事街に着いて商人と別れた。お礼は揃ったらしてくれるそうだ

街の雰囲気はかなりいい。風真の故郷は田舎であるが、ここは発展している都会だ。

とにかく風真は生活を繋ぐために職を見つけることにする。しばらく街を歩いていると、宿屋の娘に止められた。話を聞くと宿屋付属の食事所で働かないかとの事。好条件であったため、風真はここで働くことにした

 

 

 

 

 

 

 

風真「…っと、今日はこの辺にしておくでござるかな」

 

風真は本に添えた万年筆を優しくしまう。鍛錬を始めた時からつけている日記はいつかのためにと思って始めたものだ

ベットの上でぽこべぇはすやすやと眠る。風間もぽこべぇを抱くようにして今日を終える。明日からは宿屋で働くこととなる

頑張らなくては――

 

 

 

 

次の日

 

風真「いらっしゃいませでござる〜!」

 

宿屋付属のお食事処で初めての給仕係の仕事

風真が仕事している間、ぽこべぇは部屋で風真の衣服などを洗濯したり、部屋の掃除をしたり頑張る。

風真の元気なその声で、宿屋に泊まっている旅人や食事に来る人の心を安らげてくれる。風真は鍛錬をしているから、かなり体力があり、何往復してもあまり疲れを感じていない。それどころか普段使わない筋肉の鍛錬になってちょうど良さを感じている

 

風真「生姜焼き定食とからあげ定食でござるね?少々お待ちを!」

 

客からの注文を受けて厨房に伝え、出来上がった料理を目的の机へと運ぶ。嫌いでは無い仕事だ

たまに変なお客もいるけど…まぁその時は厨房のおばs…お姉さんが怖い顔で注意してくれるから助かっている

長らく働いてようやく昼になった

 

風真「休憩入るでござる〜」

「あ、風真ちゃん!賄いそっちにあるから!」

風真「ほんとうですか?!ありがとうでござる!」

 

休憩室にはできたてホヤホヤの美味しそうな料理があり、風真を待ち構えていた

服などを整えてから風真は口に運ぶ―――美味…それ以外の言葉が見つからないくらい美味しい

これなら午後からも頑張れそうだ

 

 

午後

 

少しばかり問題が起きた

店内で身勝手な行為をする客が発生したのだ

 

「お客様困りm――きゃッ!」

「なんだぁ?俺は客だぞ?!金を出す立場なんだぞ?!」

 

注意する女性店員を突き飛ばし、客は金を払っている立場なのだから何してもいいという謎理論を展開し、身勝手の行動を取っている大柄の男

 

―このような輩はどこにでもいるのだなと風真は落胆し、ゆっくり歩きながら注意しようと近づいていくと…男はいきなり拳を振り上げ、今にも殴りそうな体勢になった

風真はさすがにまずいと思ったため、急いで駆け寄る

 

「拳で分からせるしかn …?」

風真「その辺にするでござる」

 

風真に止められた拳は1ミリも動かず、男は訳が分からなくなる

このような細い腕の女に止められるほど鍛えてないわけじゃない。むしろこのくらいなら飛ばせるくらいなのに

 

男は手を振りほどき、風真と向かい合って対峙する

「なめるんじゃないぞ…!」と男は風真に向かって声を上げた。そして次の瞬間、風真に向かって拳を振った

 

風真「ふっ!それっ!」

 

放たれた拳を見事にいなし、それだけでなく逆に男を投げ飛ばし、男は店の壁に激突した

体を押さえる男は、覚えてろと一言言い放ち、その店を後にした

 

風真「まったく…面倒でござるな!」

 

風真は突き飛ばされて床に座っている女性店員に手を差し伸べ、大丈夫かと安否をとる。よく見ればその女性店員は風真と同じくらいの歳みたいだ。そんな子が大柄の男に突き飛ばされた恐怖というのは想像するに耐えない

 

「すみません…大丈夫です…」

風真「怖かったでござるな…?でももう大丈夫!なんたって風真がいるから!」

 

すると店内は沸き立つ

嬢ちゃんよくやるな!スッキリしたぜ風真の嬢ちゃん!などあの男に迷惑していた客は多いようだ

…あのような迷惑客―いや、人に迷惑をかける客はもはや客では無い。ただの迷惑人はどこでも現れる

 

でも今回は風真のおかげで助かった。それは変えることのできない事実だ

 

 

 

 

 

 

風真「っと…今日はここまでにするでござるか。ぽこべぇ、こっちに来るでござる」

 

そっとペンを置き、日記を閉じた風真は髪を解いて布団に入る

その胸元にはぽこべぇが暖を取るようにくっついてきて、なんとも愛らしい

 

風真「明日はいい日になるといいでござるな〜ぽこべぇ…」




街って言ってもそこまで栄えてないでござるよ?
アスファルトとかコンクリとかなくて、道は土でならされてる感じでござる
店はとても賑やかで、いるだけでも楽しくなれそうな感じでござる!


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いろはの記憶:休日!でござる!

これは風真いろはの記憶…長い記憶の中の嬉しい断片…


風真がここで働き初めて数日がたった

あの一件以来、あの迷惑人は一切顔も出していない

それか店のためになるし、あの子の心の安心にもなるだろう

そうそう。あの少女についてだが…

 

「風真ちゃん!早く!」

風真「ちょっと待つでござる〜!」

 

あの一件があって、二人の仲は急接近したようだ。歳も近い2人だから、意気投合できたのだろう

そして今は、休みの日に一緒に街を回ろうと現在進行形で歩いているところだ

ちなみに少女はただの店員ではなく、あの宿屋の娘だそうだ

 

朝早いが、既に行列ができている駄菓子屋に2人仲良く並ぶ

どうやらここの団子がとても美味しいらしい

待ち時間はとても長い。それまで2人でお話して待っていよう

 

 

―長い時間を制し、2人は無事に団子を手にすることができた!

その団子は、白い珠に粉雪が舞っているかのような美しいもの。パクっと一口風真は口に運んでじっくりと味わう

 

風真「いただきます!………ん!とても美味しいでござる〜!」

 

砂糖の甘みと中身の甘酸っぱい果物の酸味がとても良く合う。これなら人気になる理由がわかる

道端で二人仲良く食べる二人。するとそこに1人の男が話しかけてきた

人相の良さそうな男…よく見れば以前、風真が道端で助けたあの商人だった

 

風真「お久しぶりでござるな!商人殿」

「お久しぶりですね。風真さん」

風真「今日はどうして尋ねてきたでござるか?」

「以前のお礼がまだでしたので、その礼をと思いまして…お時間ありますか?」

 

風真はちらりと少女を見る

今日はこの子と街をぶらぶらする約束だったのに、破ってしまうのではないかと心配するも、少女はガチガチに震えて商人に一礼し、そして「お、お会いできて光栄です!」と大きな声で挨拶したのだ

 

話をよく聞くと、商人はこの街を仕切る長的な役割を担っており、なかなか会えないとても偉い立場の人のようだ

少女が風真にどういう経緯で知り合ったのかを聞くから、風真は人助けしただけだと答える

 

「立ち話もなんですし、私の屋敷に来ませんか?もちろん、貴女も連れて」

風真「えっと…」チラッ

 

少女は強く頷きまくる

 

風真「…では、おじゃまするでござる!」

「よかった。近くに馬車を手配してますので、そこまで」

 

商人に連れられて2人は馬車まで歩く

立派な馬に繋がれた質素な馬車。これは商人が自分は決してえらい立場では無いということを示している、いわば決意表明のようなものだ

そして馬車に揺られること数分…ようやく商人の屋敷に着いた

屋敷と言っても仕事場と兼任してる屋敷のため、出入りする人は偉い立場の人か、もしくは治安部隊の人のみ

 

商人に連れられて屋敷に入る

するとずらりと並んだ人の道が既に出来ており、みんな尊敬の目をしていた。それから見てわかるのが、商人は人々から信頼されており、誠実な人であること

長い廊下の先にあったのが、商人の部屋であった

 

「準備は整っております」

 

ピンク色の髪のメイドが部屋の扉の側に立って商人にそのように言うと、商人はありがとうと一言言って部屋に入った。そのあとでピンク髪の少女は興味を持つような目でジッと風真のことを見つめる

 

(可愛い女の子だな〜♡)

風真「?」

「あ、すみません」

 

 

 

 

「遠慮なく座ってくれ。今お茶を入れるから」

風真「ありがとうでござる」

 

商人は綺麗に整頓された棚から高級そうな茶葉とティーボトル、そして2人分のカップを取り出してテキパキとお茶をいれた

差し出される綺麗な緑色のお茶――それだけで分かる。これは良質なものだと

 

「こんなものしかなくてすまないね」

風真「いえいえ!こんな良質なお茶を…」

「こんなお茶では命に替えられないさ」

 

風真は少し恥ずかしくなってお茶を飲む

するとお茶の苦味と渋味。それは暖かく、風真の体を温めた

―しばらく沈黙が続き、商人が「さて…」と話を始める

 

「本題に入りますが風真さん、命を助けてくれたあなたに私は礼がしたいと私は思っています。私達で色々と考えたものの、命に変えられるようなものが思いつかなくてですね。そこで貴女にお聞きしたい。何がほしい?」

風真「風真がほしいもの…」

 

今ぱっとは出てこない

なにがほしいのか、望みは何かと言われても、簡単には浮かんでこないものだ

またチラッと少女のことを見る。ガチガチに固まって動かない。緊張しているのが目で見えるように

―お世話になったひとに恩返しがしたいなぁ…

そう思った時、一つの名案が風真の頭に浮かんだ

 

風真「えっと…それじゃあ…風真が働いている宿屋に品質の良いものを仕入れてくださるか?」

「風真ちゃん?!」

「ほう…それはまたどうして?」

 

驚く少女をとなりに風真は訳を説明する

お世話になった人々に感謝をしたい。そしてまた旅を始めるときに、良い想いで去りたいから

そのようなことを言うと、商人はフッと軽く鼻で笑った

 

「自己ではなく、他人のために―――貴女のような考えの人は嫌いじゃない。その願い承った」

 

風真は嬉しくなり少女の手を掴む

その少女を見ていると、頼まなければならないことがもう一つあることを思い出した

 

風真「その…ワガママになるかもでござるが…もう一つ願いを聞いてくださるか?」

「ワガママなんてとんでもない。なんでも言ってくれ」

風真「実は―――」

 

以前の事を商人に話す

すると商人はそんなことが…と言葉を口に漏らした

 

「…了解した。その周辺の警備を強化しましょう」

風真「ありがとうでござる!!!!」

 

風真は深々と一礼をするとコンコンと扉が叩かれ、少し焦った様子でしっかりとした服装の男性が落ち着いた口調で話し始めた

簡単にまとめると、近くの森で巨大なイノシシと見られる痕跡が発見され、被害者も多数報告されているとのことだ

この街の長としてその危険を無視することはできない。なにか対抗策を見つけなければ――と悩む商人に、風真は声を上げた

 

風真「可能なら風真が退治してくるでござるが―?」

「いえいえ!そんなお手を煩わせるわけには…」

風真「大丈夫でござる!風真、山生まれ山育ちでござるからな!」

 

自信満々に言い放つ風真に商人は折れ、風真に獣の退治を依頼することになった

商人は地図を取り出し、風真に情報を話す。周りの地形やイノシシの特徴など、重要なものを忘れないように頭に叩き込む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風真「せっかくの休日で一緒に街を回る約束だったのにごめんでござる…」

 

商人の屋敷を出て風真は少女に謝る

すると少女はめったに会えない人に会えただけでなく、お茶もごちそうになったし、店にも手を貸してくれる契約を結んでくれたからもう夢のようだと話す

 

風真「そうでござるか!でも風真はまだ街の事を完全に知れたわけではないから…今度の休日は一緒に回ろうでござる!」

 

少女はうんと元気に頷き、先に宿の方に戻っていった

風真はその足で森の方まで歩いていき、ひと目の付かないところで一度息を吐く

 

風真「もう出てきていいでござるよ」

 

もふっという白い煙を出して風真の頭に現れたぽこべぇ

街中ではぽこべぇにびっくりしてしまう人に配慮するため、風真の髪留めに隠れてもらってる

まっそんなことはどうでもいい。今は巨大イノシシをどうするかの問題だ

とにかく近くを歩いて痕跡がないか調べよう。どこが住処で、通り道なのかを

 

 

―調べた結果、案外すぐに見つかった

大きな足跡と抜け毛、そして糞。イノシシは縄張りというものを持たないが、お気に入りの場所はいくつかあり、その場所を転々として生活している

この糞や足跡はまだ新しい。戻ってくる可能性は少なくないだろう

 

風真「よし、ぽこべぇ!目標が帰ってくる前に作戦を考えるでござるよ!」

ぽこべぇ「―――」コクリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…随分と待っちまったなぁ…」

 

 

「だが復讐するにはいいじかんだ……」

 

 

「待ってろよ…あの小娘ぇぇ…」

 

暗い路地裏。大男は静かにその手に火を灯した



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いろはの記憶:大きな角の…

これは風真いろはの記憶…長い記憶の中で一番記憶に残っている部分……


風真「ここをこうして……」

 

必死に地面と向き合い、イノシシを倒すための罠を設置する

作戦が成功するにはこの罠がとても重要になってくるから、慎重に設置しないといけない

 

風真「よし…こんなもんかな!ぽこべぇ!」

ぽこべぇ「??」

風真「風真はイノシシを見つけてくるから、作戦忘れずに!」

 

木の上に登ったぽこべぇは了解(`・ω・´)ゞビシッ!!っと敬礼をした

風真はイノシシが通ったと思われる獣道を進んでイノシシを探しに出かける。多い茂った草木はとても大きく風真の進みを邪魔しようと企んでいるように生い茂る

獣道はその先に続いているのに、風真は屈まなければ進めないような狭いところもある

 

風真「…結構遠くに来たでござるな――っと…これは…」

 

目と鼻の先の木の陰に、やけに荒れている場所が少し見える。もしかしたらそこにいるのかも知れないと思った風真は息を潜め、背中に携えた刀を抜きゆっくりと近づく

しん…と静まり返った森の中。ただ心地のよい風の音と森の囁きが当たりに響き渡る。ドキドキと高鳴る風真の胸と額から流れる冷たい汗―――次第に視界はその荒れている場所を捉えていった

――もしいたらどうしようか。もう後の祭りではあるが考えてしまう

 

しかしそこにいたのは、イノシシなんかではなく、大きな角を持った長い銀髪の少女がすやすやと寝ていた

 

「――ん……?」

 

目を覚ます少女。そして目と目が合う二人

…沈黙が数秒続いたあと…状況を理解した少女が大声を上げて叫んだ

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!!?????食べないでくださいお願いしますぅぅぅ!!!!!」

風真「食べないでござる!!!!!!」

「『食べてやる』?!?!あぁぁもうだめだぁ!!!!か、幹部ごめんんんん!!!吾輩はここまでだぁぁぁ…!!!!」

風真「一旦落ち着くでござるっ!!」ポコッ

 

風真は手刀で少女の頭を叩くと、少女は頭を押さえて縮こまった

 

風真「落ち着いたでござるか?」

「うぅ…取り乱してすまん。あのでっかいイノシシだと思って―――」

風真「かざまはそんなにでっかくないでござるが…そのイノシシはどこへ行ったでござるか?」

「たしかあっちだけど…なんで?」

 

風真は少女に色々と事情を説明する

 

「つまり…あいつがお前の狩猟モンスターってことか…」

風真「よくわからないけど多分そうでござるな」

「なるほど――じゃ、吾輩はお前のオトモになってや―」

 

話の最中だが、風真は嫌な気配を感じる…いろいろと喋る少女の他に、なにか別の音が混じっているような…

そう思ったときにはもう遅く、楽しそうに話を続ける少女の後ろに、鼻息を荒くした大きなイノシシが迫ってきていた

 

「―そこで吾輩が場所をサポートして!お前をイノシシのとこまで――」

風真「その必要はなさそうでござる…」

「―えっ?!なんで!」

風真「後ろを見てみればわかるでござる」

 

少女は不思議そうな顔をしながらも後ろを振り向くと、目と鼻の先に鼻息を荒くしたイノシシがゆっくりと迫ってきていた

驚いた少女はものすごい速さで風真の背中に隠れ、ガタガタと震えて様子を伺っている

 

風真「こんな形で合うなんて…想定外のことでござるな…」

『フガッッッ!!!!!』

風真「!!!急いで走るでござる!!!」

 

突進してきそうな動作を見せたイノシシに、風真は一瞬で危険を察知して少女に逃げるように促す

風真も一対一で戦えるとは思っていないため、少女と一緒に逃げる選択を取った

 

風真「はぁ…はぁ…こっちでござるよぉ〜!!!!!!」

 

森の中を駆け抜ける風真。その後ろには2メートルを優に超えるほどの大きなイノシシが、鼻息を荒くして風真と少女の背を一心不乱に追いかけてくる

風真が逃げ続けてかれこれ数十分ほど立っただろうか。追いつかれそうになるも右に、左に避けてなんとかこの均衡を保っている

でも…

 

風真「罠の場所どこだっけぇぇぇぇぇぇ!!!!!?????」

 

…方向音痴が発動してしまったか

わかりやすいようにということで赤い札(ここに罠があるよ!)を立てておいたのに。よく考えてみれば、その近くにいなければその目印は見えないからほぼ意味がない

 

「おい忍者!!!どうすんだこの状況!!」

風真「忍者じゃないでござる!風真は侍でござる!」

ラプラス「風真っていうのかお前。吾輩のお名前はラプラス・ディア……」

風真「自己紹介してる場合じゃないでござるよラプ殿!!」

 

そんな話をしながらも二人は一生懸命逃げまくる。だが、運悪くぬかるんでる地面にラプラスは転倒してしまった

派手にころんだラプラスに駆け寄る風真

 

ラプラス「ウッ…吾輩を置いて先にいけ―」

風真「んなこと言うんじゃないでござる!強引に連れて行くでござるよ!!」

 

ヒョイッと風真は肩にラプラスを担ぐ

その時、どこからか風真に光が照らされた。その光をよく観察すると、光は木々をすり抜けて風真に届いているようだ。その先をよーく見つめて見ると、罠の印である赤い札が見えた

 

よしっと思った風真は、その光に向かって走り出す

一人を肩に乗せながらイノシシから逃げる風真…そのフィジカルの強さは計り知れない

もうすぐ罠の場所にたどり着く――と思った時、ラプラスは「吾輩を上に投げろ!」と風真にいうから、風真は上にラプラスを投げる

するとラプラスは体が軽いのか、ものすごく高く上に飛んでいってしまう

 

ラプラス「――投げろって行ったけど、投げすぎだぁぁぁぁぁ!!!!!!」

風真「ごめんでござるぅぅぅぅ!!!」

 

そう言いながら走って罠を飛び越える風真。そしてイノシシが罠を踏み込むと…その巨大な体が地面に沈み、あっという間に見えなくなってしまう。それと同時に風真は木のうえにいるぽこべぇに合図を送ると、ぽこべぇはひらひらと緑色の葉っぱを飛ばすと、それらはポンッっと白い煙を出して槍に早変わりしてイノシシを突き刺した

―風真はやったかと思ったが、突然罠の穴からイノシシが勢いよく飛び出してくる

 

風真「わっ―――!!!」

『フゴォォォォォ!!!!!』

 

ザスッ…ザスッ…っと勢いをつけて突進しようとするイノシシ

風真はグッっと持った刀を強く握る。正面から斬ることができるのだろうか…自分の刀が折れてしまわないだろうか。―二人が向き合って何秒か経つ。次第に音は静かになり、風が切る音だけが聞こえるようになった

さっきよりも高く鳴り響く鼓動がうるさく鳴り響く。その時、イノシシが勢いよく飛びかかってきた

深呼吸して…風真は動きを予測する

 

風真「ここでござるッ!!!!」

 

一直線に動いてくるイノシシをスレスレに避け、イノシシの勢いを利用して刀をイノシシの側面に立てる

斬った際に出てくる血が風真の上半身を赤く染めた

 

これで終わったか―そう思ったのも束の間だった。振り返ってみれば、イノシシは倒れておらず、逆に興奮したようにそこに立っていた

どうやら思っていた以上に、イノシシの毛皮や肉が硬く、致命傷とまでは行かなかったみたいだ

これはまずいと思った風真――しかし、長く走った影響と、皮膚を斬る際にかなりの力を使ったため、ものすごく体力を消耗しており、二度目は耐えられそうにない

そう思った時、空に投げ飛ばされたラプラスがイノシシめがけて落下してきた

 

ラプラス「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!くらえ!吾輩のスタンドッ!!!!無駄ァァァァァ!!!!」

 

隕石の如くぶつかったイノシシはその衝撃に耐えられず、体勢を崩してその場に倒れる

一方のラプラスはイノシシにぶつかった衝撃でばいーんと弾かれ、何度かバウンドして風真の近くに着地した

―いててと頭を押さえるラプラス。どうやら地面とバウンドした時に頭を打ったようだ

風真が心配すると、ラプラスは決め顔で「これくらい…どうってことないさ✧」と言い放った

 

ラプラス「まぁそれは置いといて…これ結構マズイよな」

風真「そうでござるね…」

ラプラス「一旦引くか?」

風真「むりでござる。この先は街のみんなに危険が迫るでござるよ」

『フゴォォォォォォォ!!!!!』

二人「「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

近づいてくるイノシシに怯えて目を瞑る。その時甲高い銃声が鳴り響き、ドズンと鈍い音が森に鳴り響く

恐る恐る目を開けると、そこに立っていたのは長い猟銃を持ったピンク色の髪の女性だった

 

「あ、総帥!!!やっと見つけた!!!」

ラプラス「か、幹部ぅぅぅぅ!!!!(泣)」

 

泣きついて女性に抱きつくラプラス。女性はよしよしとラプラスを慰めながら風真にお礼を言う

―迷子の総帥を見つけてくれてありがとう。君が守ってくれたおかげでラプラスが助かったと。それを聞いた風真は嬉しくなり、もじもじする。やっぱり人助けはいいものだと

 

しかしそんな感情も束の間に、街の方から鐘のような音が聞こえる

初めて聞いたその鐘の音――なんだか不気味な感じがする

 

「ん…これは…火の粉?」

風真(火の粉…なんだかマズイ気がする!)

 

風真はぽこべぇを地面から頭に乗せ、ラプラスたちに一度街の方に行くと告げ、踵を返して街の方に向かう

どうか…どうか最悪の結果にはなっていませんように―――




こういう戦闘系の文章を書くセンスがなくて試行錯誤しながら書きました
戦闘系の文才のセンスってどこに売ってますか?博士に作ってもらえますかね…?


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いろはの記憶:風真の色は

これは風真いろはの記憶…長い記憶の色がついた記憶…


風真「はぁ…はぁ…」

 

森を抜けて急いで街へ向かう。いつもならこの辺りは賑わっているはずだが…今日はなんだか人の通りが少ない――というより無いに等しい

 

―カンカンという鐘の音が頭に響く

ものすごく嫌な音。そして心が心底不安定になるような音だ

頭を押さえながら風真は急いで走っていくと火の粉はだんだんと増えていき、やがてその火元が見えるようになった

 

風真「な―――」

 

そこにあったのは、自分の家とも言えるようになっていた宿屋だった

今必死に商人が率いるメイドや執事が水を持ってきて消火活動をしているが、炎は衰えることなく繁栄の道を辿っている

すこし離れたところには、例のピンク髪のメイドに看病されている宿屋の従業員たちがいた。その人達はみんな少なからず火傷を負っており、苦しそうな人が多い。だが誰か少ないような……

 

――少女がいない

風真が森に行く前に先に宿屋に戻っていると言っていた少女がどこにも見つからないのだ

風真は宿屋のオーナーに駆け寄って無事を問う。オーナーは意識朦朧としながらも、燃え盛る宿屋を指さした

もしかしたら少女はあの中に―――

 

風真「……任せるでござる。必ず助けるでござるよ」

 

立ち上がって風真は宿の方を向く

その瞬間ピンクのメイドは風真の事を引き留めようとするが、風真は笑顔で答えた。そして近くにあった水が入ったバケツを頭から被って燃えないようにし、そして燃え盛る火の中に飛び込んだ

 

―熱い。まるで炎天下の太陽に飛び込んだかのように辺りが燃えている。裾を口に当ててなるべく煙を吸わないようにながら少女を探す。宿屋の二階はもう階段が完全に燃えていて行くことができない。もし二階にいるのであれば、どうにかして登らなければならない

 

風真「どこに……」

 

すると開けた場所に杖のようなものを刺して座っている影を見つけた

そこはかつてお食事処だった場所。生憎そこは燃えにくい床素材で作られてあるのと天井までが広いため、地面はあまり燃えていないみたいだった

風真は勢いをつけてその場所へ飛び込む

 

「お、やっときたなぁ…」

 

その声には多少聞き覚えがあった

いや、もう聞きたくないと思っていた声でもある

丁度この場所で、少女に暴行を加えようとしていた男―――

男は振り返りながら立ち上がる。よく見ればその男の足元には、暴行をされたのか傷ついて倒れる少女がいた

 

風真「ッ―――」

 

心の奥から怒りが込み上げてくるのを感じる

滅多に怒りを表すことはないのだが、今だけは怒りを表せる

 

「来るのがおせぇからコイツくたばっちまったじゃねぇかよ」

 

そう言って少女を親指で指す

この燃え盛る火の海で堂々とする様…そしてこの発言からみてこの男がすべてやったことだろう

この男を斬る――そう考えている時、男はこう言い放った

 

「でもお前が俺に手を出さなかったらこうはならなかったんだよ」

風真「…なに?」

「あの日俺はお前から投げ飛ばされた日の屈辱は忘れられねぇ…それと同時にここ()に炎が灯った。熱い炎がなぁ!」

 

男は胸を叩き、風真に向かって熱弁する

 

「灯った炎はいつか俺を焼き尽くし!そしてお前に復讐するッ!それが――今だったってだけの話だ」

風真「なにを適当な話を言っているでござるか。お前のやっていることは極悪非道なことでござる!」

「まだわかんねぇのか?侍の嬢ちゃんよぉ…お前が”はじめからいなきゃこんなことにはなってねぇんだよ”。ここが燃えたもの、コイツがくたばったのも全部お前から始まってんだ」

 

その言葉に風真はドキッとする

もし自分がこの場所に来なかったら―こうはなっていなかったのだろうか。宿屋は今まで同じように建っていたのだろうか。少女は難なく生きていたのだろうか…

 

「意味の分からない正義を振り回して俺を悪と見做しここから追放した。なら、俺だって俺の正義がある。お前らを悪と見做して仕返しする権利があるはずだろ!こういうのを…あーなんていったっけ?目には目を歯には歯をだっけ?昔の人は考えるよなぁまったく尊敬しちまうぜ!」

風真「だとしても…」

「あ―?なんかいったか?」

風真「だとしても他の人を傷つけていい理由にはならないっ!わたしにやられたのならわたしにやるべきだ!!」

 

意気揚々に反論するも、男は一切聞かず高らかと笑い始めた

 

「あははははッ!!!そりゃ面白い考えだ。―だがな、俺はお前だけから制裁を受けたわわけじゃない。店の中で俺に嫌な目を向けてたやつ、文句を言ってきたやつ。そして俺が去ったあとに沸き立った奴らも同罪だ。それが俺の正義なんだからな」

風真「…許すことはできない…」

「許す?ハハッ!許すも何もないだろ?だってお前はもう俺の復讐の舞台に上がってんだから!」

 

その時、宿屋の壁がドサッと崩れ、ここから逃げれるような道はなくなってしまった

どうやらこの男はこの機会を待っていたようだ

舞台に上がれば最後。途中で降りることはできない。それが終わるまで演じ続けなければ、物語は完成しない

男は刺していた杖を地面から抜き、刀を構えるようにその杖を構えた

 

「さぁ始めようぜ!俺たちの最期の復讐劇をな!」

風真「…望むところでござるッ!」

 

刀を抜き、風真は一歩踏み込んで相手の懐に入る

しかし相手は手慣れているのか、その攻撃をいともたやすくいなし、カウンターする形で攻撃を仕掛けてきた

―ガキンッと鳴り響く鉄の音。杖は木製のようにも見えるが、どうやら鉄かそれ以上のモノのようだ

 

風真「…手慣れているでござるな。その様…侍でござるか?」

「よくわかったじゃねぇか。目の付け所はいいが、そんな余裕あるのか?」

 

横からくる一振りを体を反らして避け、そのままバク転に繋げて一度距離を取る

相手は人を殺したことのある手慣れ――一方の風真は武術として身につけた一般人…まともに殺りあえばどちらが勝つかなど一目瞭然だろう。油断=死とも言い換えることもできる

 

ぶつかり合う鉄の音。力は依然均衡で進んでいない感じがする

 

「はっ!やるじゃねぇか…だがな、ここで負けるわけには行かねぇんだよッ!」

風真「うっ――!」

 

勢いを殺せず、風真は転倒する。その時、運悪く手の力が抜けてしまい、刀が遠くに飛んでいってしまった

それをみた男は嘲笑し、一度武器を地面につける

 

「おいおい、笑わせないでくれよ。俺たちの舞台はまだ終わらねぇよな?」

 

そう言ってゆっくりと近づいてくる男

風真は急いで刀を取ろうにも、立って移動すると攻撃されてしまうため、後退りしかできない

そうこうしているうちに、背に炎がくっついてしまう距離になってしまった

 

「はぁ…こんな復讐劇になるとはな。残念だ」

風真「ッ―――」

 

もうだめだと思ったその時、天井から何者かが落ちてきて風真の目の前に立った

それを避けるために男は距離を取ると、落ちてきた人たちに向かって何者かと問いかけた

―長い銀髪に大きな角…そして黒っぽいコートのような服を纏ったその人物は――

 

「我ら、エデンの星を統べる者!」

風真「ラプ殿…!」

ラプラス「助けに来たぞさむらい!吾輩達が来たからにはもう安心だ!」

 

そう言って笑顔で風真を見るラプラス。小さな少女ながらも頼もしい笑顔であった

 

「吾輩”達”だって?どう見ても一人しかいないようにしかみえないが――――」

 

―ドズンッ。男の肩にいきなり衝撃が訪れる

何がおこったのかと困惑する男は肩を確認すると、そこからは赤い鮮血が流れていた

ピピッっとラプラスの耳元に装着されたインカムに連絡が入る

『実行完了、次なる命令は?』

その言葉にラプラスは適切に指示を出す

 

ラプラス「よし…はかせッ!」

「はいよぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

天井の空いた穴からあのピンク髪のメイドが飛び出してきた

 

「くらえ!雨雲の薬!!!!」ポイッ

 

地面に謎の薬が入った瓶が投げられる。すると、たちまち空に雲が出来上がって次第に雨が降ってきた

その雨は炎の勢いを格段に減らして行って、今までの勢いはなくなる

ラプラスは風真に対して、今だ!と合図を送る。風真は一気に刀まで走って武器を取り、男の間合いに入り、刀を構えた

 

風真「終わりでござる」

「ふっ…喜劇とはならんかったか―――」

 

風真は一振りに一心を込めた

男は力なくして倒れ、そのまま動かなくなった

 

 

 

 

 

 

 

 

風真「…………」

 

完全に鎮火した建物の中で、風真は天井に空いた穴から注がれる雨に打たれながら空を見上げぼーっとする。これが正しいことなのだろうか

ラプラスが近くに行って無事を問うと、風真はラプラスにひとつ訊ねた

 

風真「もし…風真がここに来なければこんなことには…ならなかったのでござるかな…?」

ラプラス「……」

 

沈黙が続く

ここにはラプラスと風真以外誰もいない

はかせと呼ばれたピンク髪のメイドが怪我をした少女と男を外に運んだため、今この場には冷たい雨に打たれる2人しか残っていない

 

風真「風真が正義感であの人を止めなかったら…今日が仕事だったら―――」

ラプラス「”もしもの世界”は考えれば考えるだけ辛くなる。今は生還した自分のことを褒めろ」

風真「でもっ!少女やここの従業員たちは…!」

 

泣き顔でラプラスの方を向いて話す風真。その気持ちはラプラスもわからなく無い。自分のせいでこうなってしまった。もし自分がいなかったら無事だったのかもしれないと

だが風真が思ってるほど彼らは重症では無い。うちの博士はすごいんだぞと、ラプラスは風真に話す

 

ラプラス「…だからさむらい。気に病むんじゃない」

風真「わからないのでござる…風真が信じる正義が正しいのかどうかが…」

ラプラス「正義…ねぇ…」

 

近くに椅子をみつけ、それに深く腰掛けて座るラプラス

そして一息ついてラプラスはこう続けた

 

ラプラス「…正義ってのは数多の色があってな。それはまるで十人十色みたいなもんだ。人を守る正義、楽しく生きる正義、自分の研究をとことん突き詰める正義と沢山ある。どれが正しいかなんてものはない。当然、正義の衝突が起こらないわけない――でも。他人に迷惑をかける正義なんてものは――正義じゃない」

風真「迷惑をかける…」

ラプラス「吾輩が思うに――安心しろさむらい。誰かのために動けるお前の正義は…――正しい正義だ」

 

その言葉に風真は涙が溢れ、膝から崩れて目を押さえた。まるで灰色の空が晴れ、美しい虹がかかったかのような――そんな感情に染まる

ラプラスは近くに立ち上がって風真の近くに行き、その頭をぽんぽんと撫でてやった

 

ラプラス「…サムr―いや、風真。お前名前は?」

風真「姓は風真でござる…名は色々あって言えないでござるが…」

ラプラス「そっか――なら風真、お前に名乗る名を与えてやる」

 

一呼吸置いてラプラスは風真に名乗るための名前を言葉にした

もう二度と自分の正義の色を失わないように――風真のその名前は――

 

ラプラス「――”いろは”。今日からお前は”風真いろは”と名乗れ」

風真「いろは…いい名前でござるな―!」

ラプラス「そうだろ?吾輩のねーみんぐせんすはピカイチなんだからな。さっ、外にでよう。みんなが待ってるぞ」

 

そう行って外に出ていくラプラスに風真いろははついていく

自分の正義は正しかった。あの時、男を斬り殺すことができなかったが、それで良かったのだ

イノシシとの戦いと男との戦いでガタが来ていた自分の愛刀が、風真の熱く燃えていた心の黒い部分を斬ってくれた。その結果刃が潰れた刀となり、斬るというより、叩くという攻撃に変わったのだ

 

それを教えてくれたラプラスには感謝しかないと、小さな背中を見ながら思った風真いろはだった

 




あの…これ最後のいろはの名前を得るところは、わたしのオリジナルではないんです
血で汚れハイライトがなくなった風真が振り向いていて、ラプラスが「お前の名前はいろはだ」と言っていた漫画をTwitterで見かけた記憶はあるのですが、探しても見つけられなくて…でもとても良い漫画だったので、勝手ながら引用させていただきました

どなたか件の漫画をご存知の方は感想にて教えていただけると嬉しいです


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いろはの記憶:旅立ちでござる

これは風真いろはの記憶…旅が再開する大切な記憶…


「風真さーん!こっちだよ!」

風真「は〜い!」

 

青い快晴の元、風真はピカピカの木材を骨組みだけの建物に向かって運ぶ

そこは以前風真が働いていた宿屋があった場所だが、先日の事件でほとんどが燃えてしまったため、今リニューアルして新築で作り始めようとしている

以前から人気があったからか寄付金や職人が多く集まり、計画はかなり早く進みそうだ

 

トントンといいリズムで打たれる釘を叩く音。進捗状況はおおよそ40%と行ったところか

職人は多いが、時間で交代するため効率はあまり落ちることはない。それどころか自分の思い出の場所を早く作り直そうと効率が上がっているようにも感じる

 

―みんなこの場所で様々な思い出を作ったんだなと風真はしみじみ思う

 

風真「よいっしょっと…」

「風真ちゃん、お疲れ様!」

風真「あ!元気だったでござるか!」

 

お茶を持ってやってきた少女に風真は笑顔で答える

療養のためにしばらく休んでいた。あの時もっと早くに行ければよかったと風真は後悔しているも、少女はわたしのために火事の中に飛び込んで助けてくれただけでも嬉しいという心の音を話す

 

「今日…だよね…」

風真「そうでござるな…」

 

二人は悲しい顔をする。その理由は、風真は今日でここを去ってしまう。風真と同じく旅をしているラプラス達の用心棒として一緒に旅をすることに決めたから。ラプラスに貰った名の礼を返すまでは、用心棒を続けようと思っている

すると少女は寂しくなるなぁ…と声を漏らした。風真も寂しい。少ない期間だったが、この街で過ごした時間はとてつもない思い出として心に残っている

そういえば、まだ約束が残っていたような…

 

風真「あっ!」

「どうしたの?」

風真「一緒に街を回る約束をしたでござるよな!いまから回ろうでござる!」

 

そう言うと少女の顔がぱぁっと明るくなり、可愛らしい笑顔でうんと答え、風真の手を掴んで一緒に立ち上がった

担当者にすこし抜ける旨を話したそのままで、一緒に走って街を観光し始めることにした

―以前と変わらぬ街並み。

一緒に並んだ駄菓子屋も行き交う馬車も、いつもの光景へと変わってきている

 

風真「ここのお菓子もおいしかったでござるな~」

「そうだね~」

風真「また一緒に食べるでござるよ~」

 

またこのお団子屋に並んで一緒に団子を食べたいが、今はそのような時間はない

今度はにぎやかな商店街にきた

そこでは野菜や肉、その他諸々もたくさん売っており、にぎやかなのも頷ける

そんな中二人は足を止める。二人の目の前には、アクセサリーなどを売っている雑貨屋がたくさんの品を揃えて客を呼び込んでいる

すこしここに寄って行こう

 

「これ可愛いね〜」

風真「そうでござるな〜!」

 

微笑ましい二人に店員も思わずにこやかな顔になる

少女は様々なものを興味そうにみて、何を買おうかと悩んでいる

風真は星の形があしらわれたネックレスや、動物の形のブレスレットなど様々ある中で、少女が興味ありそうにずっと眺めていたタヌキのネックレスを少女に内緒でこっそりと買った。あとでプレゼントしよう

 

 

雑貨店を出ると少しお腹が空いた。次はご飯を食べられるところに行こう

すこし歩くと、今度は軽食を扱っているお店の前で、肉まんがほかほかといい匂いを立てて行く人に、空腹を与える。二人は顔を合わせてふふっっと可愛らしく笑う

肉まんを手に取って近くのベンチで一緒に頬張る。あたたかい生地に包まれたしょっぱい具が口の中でダンスを始めるように踊り始める――みたなことを風真が言うと、少女に笑われた

 

風真「旅の途中で、またこの街に来れれば良いでござるな~~」

「帰ってこられるように約束しよ!」

風真「約束でござるか?」

 

首を傾げて聞く風真に少女は笑顔で答える

 

「うんっ!帰ってこれるためにね!」

風真「それはいいでござるな!それじゃあ―――」

 

 

「「もう一度、あのお菓子を一緒に食べる!!!」」

 

 

息があった二人はまた笑顔で笑い合った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕刻

街の外に繋がる門の前には、たくさんの人だかりができており、風真はラプラス達と共にお世話になった人たちに別れを告げている

ラプラスに幹部と呼ばれた女性と博士と呼ばれたピンク髪の子は商人と色々話していた

 

幹部「うちのこよりを雇って頂き、本当にありがとうございました」

「こちらこそ助かりましたよ。こよりさんの処理スキルもそうですが、鷹嶺さんの事務処理及び金銭の処理のスキルは本当にすごい…おかげでギルドの悪点が判明しましたよ」

 

一方のラプラスは少しの時間だが世話になった子供たちと別れの挨拶を交わしている

 

ラプラス「お前たちとのあそび楽しかったぞ」

「俺達も楽しかったぜ山田!」

ラプラス「山田じゃねぇっての!ったくこればっかりは最後まで治んなかったな!」

 

Yes my darkが聞き取れなかった子供は、やーまーだーに聞こえたらしく、それ以来ラプラスは山田いじりをされている…が、満更でも無さそうだ

風真は少女や宿屋の店員と会話する

 

風真「短い間でござるが、世話になったでござる!最後に宿屋の完成を見れなかったのが残念でござるが…」

「帰ってきた時の楽しみってことにしておきな!私たちもあんたの帰りをいつまでも待ってるさ!」

 

男っぽい宿屋の女将が風真に向けて言葉を放つ

その傍では、すこし涙ぐんでいる少女がいた。どうやら風真との別れが悲しいようだ

それもそうだろう。せっかく仲良くなった人が、あっという間にどこかに行ってしまうのだから

風真は少女に近づいてぎゅっと抱きしめる

 

風真「大丈夫でござるよ。風真はきっと帰ってくるでござる」

「でも…でも…寂しいよ…」

風真「―なら…これを風真だと思ってほしいでござる」

 

そういって風真は昼に買ったタヌキのネックレスを少女の首にかける

それをみた少女は、はっとした顔をして泣きながら風真のことを抱きしめた。ありがとう―大切にするよと。そんなこと言われたら風真も泣きそうになるが、ぐっとこらえる。涙の別れはなによりも悲しいから

 

―そろそろ旅立ちの時が近づいてきた

ラプラスに呼ばれる風真は、最後に少女を一生懸命抱きしめて別れの言葉を言う

そして背を向けてラプラスの方へと向かうと、その後ろから少女が大きな声で叫んだ

 

「いろはちゃん!また…また来てね!!!絶対だよ!!」

 

いろはは嬉しくなって笑顔で少女に答えた

 

風真「絶対帰ってくるでござる!ここはもう風真の故郷みたいな場所でござるからな!!!」

 

そういって小さくなっていくいろはに、少女は貰ったネックレスを握りながら旅の安泰を願った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラプラス「なぁ~幹部(ルイ)、次はどこにいく~?」

 

ルイ「うーん。日本に長くいたからちょっと遠出してみる?英語なら私喋れるし。こよはなにか意見ある?」

 

こより「海外行くなら、ヨーロッパの方行きたいな~…なんて」

 

ルイ「あ、それいいかも!ちょうど私の知人もいるし、困ることはないと思うよ」

 

ラプラス「よしっ!じゃ、決まり!次の目的は海外進出だ!――ん?緊張してるのか?安心しろ!お前は吾輩たちを守っていればいい。それと……楽しめよ!さむらい!」

 

いろは「――わかったでござる!風真、一生懸命頑張るでござる!」




これにていろはの記憶は終了となります。長い間ありがとうございました!
最後の方に伏線的なもの書いたり?してますが、いったん終了となります。


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記録:大空の母

今回はちょっと珍しい人との話なので、多めです


ガタンゴトンと鳴る電車と無数の車が行き交う都会

紗は1人とあるマンションの前で立ち尽くしていた

 

紗「ここで…いいのかな…?」

 

本当にここであっているのか心配になる紗

なぜここにいるのかは昨日まで遡ることとなる…

 

 

 

 

 

昨日

 

紗はいつもと変わらずHoloxの基地を掃除をしていた

周年で使ったラプラスの変身道具とか、沙花叉のグッズであるアイマスクとか…その他諸々がそこら辺に散らかっているため、今日は念入りにしなければならない

 

紗「この変身道具気に入ってる―ってラプちゃん言ってたけど、机の上に放置するのはどうかねぇ…」

 

まぁ、そこら辺に放置されてないだけまだマシなのかもしれない

彼女なりの道具を大切にするものなのだろう

沙花叉のアイマスクについては、なぜここにあるのかよく分からない

 

よしっ―と覚悟を決めて掃除し始めようとした時。玄関のチャイムが鳴った

紗は宅急便でも来たのかと想いながら玄関へ向かうと、そこにいたのは私服姿で紙袋をもったスバルの姿だった

 

スバル「紗おはよー」

紗「おはよースバル姉さん。今日はどんな用事で?」

スバル「この間利用したUBER GOZARUの容器をもってきたんだ」

 

そう言ってスバルは紙袋を差し出す

中身は殻になった保存容器と、お礼の品と見られるお菓子が入っていた

するとスバルは足元をみた。その視線の先にあったのは1足の靴。それは紗のものであり、それが表している事柄は―今この家には、紗一人しかいないということ

 

スバル「もしかして誰もいない系?」

紗「うん。みんな収録に行っちゃった」

スバル「で、紗は一人掃除を任されたって訳か」

紗「なんでわk……あ――」

 

紗は体に纏った服装を確認する。頭に被った三角巾に掃除用のエプロン、そして後ろには少し散らかった部屋が見える。これは誰がなんと言おうと掃除しますよって言ってるみたいなものだ

スバルは少し空を見上げて考える。そして紗に向かって手伝うよと言った。二人でやれば早く終わるからということで、二人は一緒に掃除をはじめた

 

――まぁ二人だったからか、掃除はものすごく早く終了した

紗の手際の良さに惹かれたのか、スバルは紗に掃除は得意なのかと聞くと、そこそこ得意であると答えた紗はスバルに手を握ってキラキラした目で見つめられた

 

スバル「今度の休日、スバルの家に来て掃除してくれない?!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで今ここにいるわけだ

スマホには、スバルの住所と写真が写っている。間違いなく目の前の建物であるが、初めての場所はすこし不安が集う。そう思いつつスバルに到着したとの報を知らせると、今から迎えに行くと返信が来た

 

少し外で待っていると、手を挙げて紗に挨拶をする上下ジャージ姿のスバルが現れた

 

スバル「よっ!」

紗「スバル姉さん」

スバル「来てくれてありがとね、中まで案内するわ」

 

そういって先を行くスバルの背を紗は追い、スバルの部屋に入った

玄関から見た中の景色は少し散らかっている程度で、沙花叉やラプラスほど散らかっているようには見えない。だがとある部屋に入ると一変――数多いダンボールの高い壁が現れたのだった

配信者として色々なものを注文して使うため、このようにダンボールが溜まってしまうのは仕方ないこと。でも忙しくて掃除する暇もなかったそうだ

 

スバル「この山のように積み重なったダンボールを消したいんだよね」

紗「なるほど…このダンボールってあとで使う予定は?」

スバル「うーん…でっかいダンボールなら使うかもだけど、ちっこいのは使わないからバンバン片付けてもろて」

紗「了解です。それじゃ、始めましょうか!スバル姉さんは、ダンボールを私にパスしてください。そしたら私がいい感じに潰してまとめますから」

 

スバルは二つ返事で早速作業に取り掛かった

 

 

……作業開始して数時間が経った時、ようやくダンボールの壁が崩壊して、奥の真なる壁が見えてきた

ここまでいろんなことがあった。もういらないと思っていたダンボールの中から、Pモンのぬいぐるみが出てきたり、好きな作品のフィギュア(未開封)が出てきたりと色々スバル的にも良い収穫になったのではないだろうか

 

―するとピンポーンとインターホンがなる音がした。スバルは一度掃除から離れて玄関へと向かった

玄関からはスバルの楽しそうな声と同時に、お淑やかな女性の声が聞こえてくる。そしてスバルは帰ってきたのだが…なんだか足音が多い気が…

 

スバル「紗、ちょっとこっちに来てもらえる〜?」

紗「はい?なんですか?」

 

紗はスバルの声がした方に行くと、そこにいたのはスバルとスバルより小さめの可愛らしい女性がいた

その女性は金髪で赤い帽子を被っており、白いボンボンで髪を束ねている。服装は制服のような格好――学生なのだろうか

スバルはその女性のことを話し始めた

 

スバル「紹介するね紗。こちら、イラストレーターでスバルのかあちゃんのしぐれういです」

うい「はじめまして紗ちゃん、しぐれういです。紗ちゃんのことはスバルから色々聞いてて、会いたかったです!」

紗「スバル姉さんのお母さん―!いつもスバル姉さんにお世話になってます」

スバル「あの…紗、一応補足しておくけど…」

 

スバルはしぐれういについて補足する

簡潔にまとめると、ういはスバルの実母ではなく、配信衣装やアクセサリーなどの洋服を考えたりするコーディネーター的な立場の人。配信者にとって服装などはその人のアイデンティティである(個人的な考え)であるから、ママと呼ぶ人が多いのだとか

本当は色々準備してから合わせたかったらしい。今日来ることは想定になかった――のではなく、スバルがただ単に忘れていただけである

 

うい「スバルすぐに忘れるからなぁ」

スバル「ガチで記憶から消えてたわ。良かった今日紗と掃除してて」

うい「ホントだよ。せっかく外出用の洋服もってきたのに」

紗「外出用…?」

 

少しわからなそうに聞いた紗にういは説明した

 

うい「スバルって…ほら、こんなんでしょ?」(σゝ∀・)σ

スバル「かあちゃん?!こんなんってなに!?常時ジャージはかの有名なスティーブン・ジョブもやってたんだよ!」

うい「でもねぇ…あ、そうだ!」

 

ういは何かを思いついたように顔を見上げる

そして足元にあった紙袋から、灰色のニットのカーディガンと首元に明るい青のリボンが付いた白い服。それに黒と灰色のチェック柄のロングスカートと暗めの色のベレー帽みたいな帽子を取り出した

―それを取り出してニヤニヤと紗の事を見つめるうい。もしかして…

 

紗「わ、私に着てほしいってことですか…?」

うい「よくわかったね!これ、スバル用のやつだけど、紗ちゃんはスバルと同じくらいの身長だし、可愛いし、似合うのではないかなって!」

スバル「かあちゃんに紗の話したら、いろんな服を着てほしいってさ。紗、着てやってくんないかな?」

 

そう言われると断るに断れない――断る気など元々ないのだが

紗は快く引き受け、服をもって空いている一室で着替えた。シュババババッ――!と着替えて、ゆっくり二人の元へと照れながら歩いていくと、二人は感嘆の声を上げた

その声すら紗は恥ずかしく感じる。このような場面はあまり経験がないから

 

うい「やっぱり似合うねぇ」

スバル「ホントよく似合う―――ってよく見ればこの柄…」

 

スバルは何かを思い出したのか、一度自室へと戻り、そして服を1セットもってきてそこに広げた

そしたらなんと、紗の着ている服とスバルのもっている服の柄や構成が一致したのだ!

これはどういうことなのかとスバルはういに聞くと…

 

うい「配信用の私服、もう一枚あったほうがいいかなって」

スバル「ホント?…なーんか隠してないかあちゃん」

うい「か、隠してないよー(´ヘ`;)」

 

怪しそうにジッと見続けるスバルに折れたのか、ういは本当の事を話し始めた

本当はこの服はスバル経由で紗にプレゼントするものだったのだが、本人がいるとは思ってもおらず、プレゼント計画通りに行かなくなってしまったから、いっそスバルに体で紗に着てもらって、サイズ感を確認してから新しいのをあげようというプレゼント計画に変更したとのこと

 

なんで素直に紗にあげるものといえなかったのかというと、初対面なのにこれあげるというのは気持ち悪いかなと思ったからだそう

 

スバル「なるほどね〜紗へのプレゼントだったのか」

紗「私のために―嬉しいですういさん!」

うい「いえいえ゛(σω`o)テレッ」

 

照れたういにスバルはかあちゃん照れてる〜と照れるういをいじりはじめた。紗はその光景をみて考える。

スバルの母がういなら、スバルを慕って姉と言うなら、紗はういの娘になるのだろうか

そして服装はその人のアイデンティティであり、服をプレゼントしてくれた人はママと呼ばれる

もし良いのであれば、しぐれういを母と呼びたいと

 

紗「――ういさん!」

うい「ん?どうしたんですか?」

紗「ういさんが良ければ、その…お母さんって呼んでもいいですか…?」

うい「―!!!」

 

ういは「いいよぉ〜」と嬉しそうな声を上げながら紗を撫でる。続いて紗もういに対してお母さんと言って抱きつく

おーよしよしと完全にお母さんムーブに入ったうい。スバルがママ〜と言いながら紗みたいに抱きつこうとすると、「スバル、強く生きろ」とういは言い放った

 

スバル「ねぇスバルも娘ムーブしたいよぉ”ぉ”ぉ”!!!!」

 

スバルの悲痛な110dB波の叫び声がスバルの部屋に響き渡った




スバルの私服とういママの私服ってペアルックらしいので、紗もペアルックにしてみました
ファッションセンスない私なので、よくわからない配色なので、良さげな配色があれば、教えてくれると嬉しいです


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記録:WAZZUP!!!!!!

ピンポーンと鳴らされるチャイムに呼ばれて玄関まで赴く紗は、そこで配達員からダンボールを受け取る。大きさは訳20cmの正方形。重さは紙のようにとても軽く、中に何が入っているのか見当もつかない

リビングに戻った紗はじっくりとそのダンボールを観察する

 

紗「宛名は…私宛て?差出人は―――…【Mr.Chaos】?」

 

とりあえず自分宛だとわかった紗はとりあえず開けてみる

ダンボールの中に敷き詰められた緩衝材をかき分けていくと、真ん中に指輪入れのような箱が出てきた

それ以外に中身がないとわかった紗は、ダンボールを片づけてその箱を開ける

 

パカッとあけると、中には小さなサイコロが一つ。丁寧に置かれているだけだった

 

紗「サイコロ…―のしたに何かある…?」

 

サイコロを持ち上げた時、その下に折りたたまれた紙があることに気づき、その紙を広げる。紙には、可愛らしい字で『Play Dice!(サイを振れ)』と書かれていた

気になった紗は、一度サイコロを投げてみる

―コロコロ…と投げられたサイコロは、減速することなくコロコロと角で回り続け、だんだんと大きくなっていき、やがて人間くらいの大きさになった時。そのサイコロは箱のように開いて、中から……

 

「WAZZUP!!!!!!紗ちゃぁぁぁん!!!!!」

 

嬉しそうな顔をして紗に飛び込んでくるべーの姿があった

紗は驚きながらもべーを受け止め、ぎゅっと抱きしめる。どうして、どうやってここに来たのかを聞く前に、べーはにやにやと笑顔を作って紗に驚いた?と興味津々聞いてきた

 

紗「驚いたよ!?」

ベー「yeeeees!!Surprise is a success(サプライズは成功だ)!!!」

 

嬉しそうに飛び跳ねるべーに紗はどうやってここに来たのかを問う

すると、べーはサイコロを指さしてまたにこやかに笑いながら話す

 

べー「ボクはパフォマーだからね!このくらい余裕だよ!今日紗ちゃんは休日だって話聞いて、一緒に遊びたいなって思って来ちゃった☆」

 

誰がそんな情報を流したのかはわからないが、本当に今日は仕事もなく休みだ。基地のこともやろうかと思ったものの、この間たくさん掃除したからガッツリ掃除しなくていい

暇を持て余すかと思っていたときにべーが来てくれたため、良かったと言えるだろう

―さて何をして遊ぶか…そういえば最近ロビーにみんなでやる用の据え置きゲーム機が設置されたはず

ちょっと起動してやってみよう

 

べー「これは?」

紗「最近みんなで遊ぶ用のゲーム機設置したんだけど…」

 

スイッチを入れるとゲーム機が音を立てて起動する

すると誰かが某天堂のレースゲームを遊びっばなしだったようで、メニュー画面で音楽がなり続けている

それを見て少しウキウキしているべーを見た紗は、べーに一緒に遊ぶかと聞くと、小動物みたいにキラキラした目で「いいの!?」と可愛らしく言った

 

べー「このゲーム好きなんだよね〜」

紗「そうなの?じゃあ私初めてやるから教えてくれない?」

べー「OK!Let's Go!!!!」

 

2人は仲良くソファーに座り、ゲームをプレイし始める

 

べー「あの〜紗ちゃん。先に謝っておく」

紗「なに?」

べー「ゲーム中熱くなって口悪くなったらごめん」

紗「全然大丈夫だよ!普段からゲームしてるラプラスの罵詈雑言を聞いて慣れてるから!」

べー「なるほどね…じゃやっていこうか!」

 

べーは紗に丁寧にゲームのやり方を教えると、べーの教え方が上手いのか紗はメキメキ成長して行った

 

べー「Whats(はぁ?!) I didn't get it right!(今の当たってないよぉ!!)

 

べーは後方から来る投擲武器を自身の投擲武器で相殺しようとしたのに当たってしまい英語で叫ぶ

でも逆に相手に投擲武器を当てると、はっはー!と可愛らしく喜ぶ姿が愛くるしいと紗は思い微笑む

 

べー「 What are you smiling at!(なに笑ってんだ!)Take this(これでもくらえっ!)!」

紗「わぁ〜!!あはは‍www」

 

微笑ましい少女たちの笑い声が部屋中に響き渡る

途中ルイがその様子を影で見守っており、夢中になっている2人に機会を見計らってお茶とお菓子を差し入れてくれた。なんて優しいのだろうか

 

楽しいゲームも終わり、お昼になって2人ともお腹が空き始めてきた頃。2人はこの際だから一緒に料理しようと意気投合してキッチンへと立つ

 

べー「切ったよ紗ちゃん」

紗「了解、じゃあここに入れてもらえると!」

べー「OK(*-∀-)ゞ」

 

二人で作ったチャーハンはいい香りを漂わせ、二人の口に運ばれる

ベーが口に頬張ってとてもいい笑顔でもぐもぐと口を動かしているのを紗はまた微笑ましく思う。このように美味しそうに食べてくれる人がいると、作る側としてモチベーションが上がる

 

べー「So delicious!(めっちゃ美味しい!)

紗「べーちゃんが切ってくれたカニカマも食べやすい大きさで美味しいよ」

 

二人は食べ終わったあと、一緒に洗い物をする。べーが洗剤をつけて洗う係。紗がその洗剤のついた食器などを洗い落として拭き取る

その後ちょっと二人でソファーでゴロゴロしている時、紗はベーの英語のつぶやきを聞いて、べーに紗はお願いをした

―英語を教えてほしいと

 

紗「もっとENの人たちと楽しく交流してみたいから…だめかな?」

べー「OK!だけど…ボクなんかが教えられるかなぁ…」

紗「ゲームの教え方も上手でわかりやすかったし、きっと大丈夫だよ!」

 

紗の言葉に嬉しくなったのか、べーは照れるような素振りを見せる

そしてベーと紗は連絡先を交換し、毎日時間がある日に英語を教えてくれるようになった

珍しく暇だった日が、楽しく色づいた日々になった今日であった




もうちょっとべーちゃんとのてぇてぇを増やし隊

あ、今じゃないんですけどこの物語の未来が分裂(ifみたいな感じ)するんですが、この物語に続けてに書いていったらよいか、また新しく小説を作ったほうがいいか悩んでます
どちらがいいかアンケート取りますので、よかったら投票お願いします




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記録:幕間【サンタさんだ!!!!!!】

クリスマスなんて1人で済ます―ハッハー↑


12月24日

明日は待ちに待ったクリスマス!ホロメンのみんなは元気にサンタさんを待っているのかな?

事務所を除いてみよう!!!!

 

「――その飾り付けそっちね!」

「は〜い!」

 

みんな明日のクリスマスに備えて飾りつけをしているみたい

部屋の壁に緑色のパーティーモールを飾り付けて、そこに鈴やら靴下やらクリスマス仕様にキレイに飾り付けていた

パーティーはこうでなくては。楽しい雰囲気はまずは飾りつけから始まる

飾り付け担当は、サーカス座長のポルカとなんかキレイに飾り付けできそうなアキロゼが。そしてクリスマスパーティーの料理はちょことルイが担当している

 

楽しみにしているちっこいホロメンは数多い。その子達を喜ばせるには、子どもたちが喜ぶ事をしなければならない

それがサンタとしての使命。ホロライブサンタはみんなに楽しんでもらいたいのだ

 

ミオ「フブキ、順調?」

フブキ「ふぉっふぉっふぉ!順調じゃよ!」

 

白いひげをつけたフブキはサンタクロースみたいな声でミオに返答をする

―これぞフブキンクロース

すると事務所の扉がバッ!と開き、緑色の大きなもみの木がユサユサと揺れながら入室してきた

 

ころね「おらよ〜〜モミの木だでな!!!ポルカちゃんこれでいい?」

ポルカ「うわぁ〜ありがとうございますころね先輩!」

ころね「いいんだよ〜こぉねは後輩のためならなんだってやるでな!」

 

料理班も一段落付き、みんなでツリーに飾り付けを始める

なんかよくわからない箱をつけて、キラキラのたまをつけて…最後にてっぺんに一番星を飾る!

完璧なツリーが完成した!!!

あとは明日になるのを待つだけだ!!

 

 

 

 

 

―――翌日

 

「メリークリスマス!!!!!!」

 

元気な声を上げてちっちゃいホロメン達が事務所に入ってくる

彼女たちにとってクリスマスというイベントは楽しみで溢れているのだろう

フブキは白い大きな袋をもったサンタクロースのような格好になってプレゼントを配布する

 

フブキ「子どもたちよ。君たちの望みはわかっておるぞ〜」

「「わーい!」」

フブキ「あくたんにはこれを授けよう」

 

袋から取り出されるのは"NEKO"のぬいぐるみ。そのぬいぐるみをあくあは嬉しそうに抱きしめる

そしてフブキはあくあに、「普段からお世話になってる船長に感謝をいうんじゃぞ」と一言添えて次の人に渡すプレゼントを袋の中から探す

 

フブキ「ルーナ姫に渡すプレゼントは…これじゃぞ!」

ルーナ「わ~!かわいいタコのぬいぐるみなのら~!!!」

フブキ「スバルに感謝をするのじゃよ!」

 

るんるん気分になりながらぬいぐるみを抱っこするルーナを目で見送り、次の人に渡すプレゼントを袋から取り出す

 

フブキ「ビジューにはこれをプレゼント!」

ビジュー「ありがとうございましゅ!」

 

ビジューにはゲームミュージックのサウンドトラックが手渡される

そして、お世話になているネリッサにいつもありがとうってお礼を言うんだよと優しく諭す

もう次の人が来ているようだ

 

グラ「what is my present?(私のプレゼントは?)

フブキ「グラにはこれをあげよう」

 

するとグラの小さな手に置かれたのは大きなハンバーガー、フィッシュバーガーだった。好物らしい(ハンバーガーが)。そのハンバーガーを嬉しそうに尻尾をフリフリしながら食べる様はなんと愛くるしいことか

さて次の人は…

 

シオン「シオンのプレゼントはPモンがいいな~」

フブキ「そういうと思ってほれ、これをプレゼントするぞ」

 

フブキは袋から緑と黒いボールを取り出して開けると、そこにいたのはシオンにそっくりなゴーストタイプのPモンだった

気に入ったシオンは嬉しそうにPモンを抱きしめ、話したり楽しそうにしていた

 

ラプラス「吾輩のプレゼントは♪((‹( 'ω' )›))♪」

フブキ「ラプラス君にはこれをあげよう」

 

袋から取り出されたのは常闇トワのもちどるだった

目をハートにして嬉しそうにはしゃぐラプラスは、トワ様ぁ♡と愉悦に浸る

そしてみんながフブキサンタに感謝を伝えたその時ーー窓の外からトナカイの鈴の音が聞こえてきた!

 

ラプラス「うぉ〜!本物のさんただぁぁぁぁ〜ー!!」

 

鈴の音は近づいて来て、そのシルエットが見える

4匹のトナカイに引かれて空を飛ぶソリ。その上にはサンタと思われる謎の人影が。よく見ればそのトナカイは段々と事務所に近づいてきておりやがて…―パリンと急旋回したトナカイに振り回されたサンタが事務所の窓を破って入ってきたのだ!

その姿はどこかで見たことあるツインテールで…

 

「ふぉふぉふぉ…感謝の声が聞こえたねぇ」

ポルカ「お、お前は!!!」

「そうじゃ私こそが―」

アキロゼ「トワちゃん何やってるの?」

 

アキロゼの声にサンタ(トワ?)は反発する

 

「私はトワではないっ!私の名は、サンタ・サンタだ!」

ちょこ「いや…サンタって言うより…」

 

真っ黒の服に赤目な袋…サンタより悪魔と言った方が正しそうだ

だが子供たちはそんなこと考えずに、サンタさーんと喜んで近づいていく

サンタもそれに応えて袋からプレゼントをだし始める

 

サンタ「君にはこれだ。ポテェート!!!!」

あくあ「あ…あ、あてぃしの嫌いなポテト…?」

サンタ「ルーナ君はこれ!タランチュラ〜」

ルーナ「んなぁぁぁぁ(_ - -)_ バタッ」

サンタ「ビジューにはツルハシをさずけよう」

ビジュー「( ˙꒳˙ )oh......」

サンタ「そしてグラにはこの、素晴らしく美しいホットサンド!」

グラ「( · ᯅ · )(なんとも言えない顔)」

サンタ「シオンには特別上等な納豆を」

シオン「ね"ぇぇぇぇぇぇぇぇ」

サンタ「ラプラスはこれね」

ラプラス「うぇっ…チョコミントのアイス…」

 

どれも当人が嫌いなもの、苦手なものばかりであった

サンタなのにどうしてそのようなプレゼントを…やはり悪魔なのではとちょこは内心ツッコミながらも見守る

すると、プレゼントをもらった子達はみんな「サンタさんは、私に頑張って欲しいんだ!」と言って、その苦手なものを克服しようと食べ始めたり、見つめ始めたりした

 

サンタ「ふぉふぉふぉ!克服するのんだぞ〜ではな〜」

 

割れた窓からビューンと空を飛んで消えていくサンタに、子供たちはありがとう…サンタさんとお礼をする

 

「「ありがと〜サンタさーん!!!」」

ちょこ「いや悪魔(サタン)だろ!」




また皆さんにアンケートとることになるんですけど、この物語の名称を変更したいと思います。なんか、ブラック社畜感が1話ぐらいしかないので、『記憶を失った少女が〜』に変更したいのですがどうですかね?


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記録:あの…あてぃし…

ホロライブ事務所。紗は変わらずスケジュール管理の仕事をしていた

机の上には、作業用のパソコンとレジ袋に包まれた差し入れ。

カタカタと文字を打つ紗は、なんだか奇妙な視線を感じたため辺りを見渡す。幽霊の可能性もあるかと少し奇妙に思いながら、観察していると、扉から少し顔を出してこちらを覗いている謎の影が…

 

ーなんだろうと思い、じーっと見つめるとその影はヒュっと物陰に隠れてしまい、特定は出来なかった

その扉は外(事務所)に続いている訳ではなく、物置みたいな場所に続いている。誰かいるのなら確かめなければと思った紗は、歩いてその扉に手をかける

すると…

 

「…がんば……あてぃし……」ブツブツ…

 

謎の声が扉の奥から聞こえる

紗はいきなり開けるのは失礼かと思ったため、人がいるかと聞くも、返答は無い。開けますよと言っても返答は返ってこなかったため、いいんですね?と言って⊂(`・ω・´)⊃バッと開けた

するとそこには、ダンボールに囲まれて怯えた子犬のようになってしゃがんでいる湊あくあの姿があった

 

あくあ「あ」

紗「あくあさんだったんですね。こんなところで何やってるんですか?」

あくあ「………隠れてた」

 

小さくつぶやくあくあに手を差し伸べて、立ち上がってもらう。小さな手を紗の手に乗せたあくあは、少し挙動不審になりながらも立ち上がって紗の近くに立つ

 

紗「隠れてた…って…」

あくあ「気にしないで……あの…お仕事邪魔しちゃって…ごめんなさい」

 

いきなり頭を下げて謝ってくるあくあに紗は顔を上げてと言う

 

紗「別に邪魔じゃないですよ!80%は完成してるので、そろそろ休憩しなきゃなと思ってたところだったので…」

あくあ「でも…お仕事中断させちゃった…」

 

頑なに謝ろうとするあくあに紗はとある考えが思いついた

 

紗「あくあさん、今お時間ありますか?」

あくあ「まぁ…ある」

紗「ならここで少し休憩していきませんか?Aちゃんから差し入れで美味しいお菓子と午前のお茶を貰ったんですよ。とよかったらどうです?」

 

紗がそのように聞くと、あくあは少し下を向いて黙る

紗と仲良くしたいけど、どのように接すれば良いか分からない。もし嫌われたらどうしようかとぐるぐる頭の中でもえひとりのあくあが走り回ってショート寸前だ

―でも、紗と仲良くしたい。頑張れあてぃし!

 

あくあ「…うん」

紗「よかった!それじゃ私はコップ持ってくるので、あくあさんは座っててください」

 

そう言って紗は一時退出し、残されたのはあくあのみとなった

いつもは断ってしまうあくあだが、よく勇気を出して誘いに乗った。それが嬉しくなったのかすぐさまスマホを取り出して、トワに連絡する

―あてぃしやったよ!紗ちゃんとお茶する約束したよ!と教えてあげる

トワ『やるじゃんあくたん!この調子で仲良くなっていけばいいね('u')b』と返ってきた

 

あくあ「ほんとトワちゃんって優しい…」

紗「あくあさん?」

あくあ「ひゃっ―!」

 

いきなり話しかけられたあくあはびっくりしてスマホが宙に浮く。それを取るために何度か手の上でバウンドさせて最後に両手でキャッチした

紗はあくあがなぜ座っていないのかと思って話し掛けたらしい

ここまでびっくりするとは思ってなかった

 

紗「あくあさん、食べましょ?」

あくあ「うん」

 

対面に座った2人は、袋の中から午前のお茶と美味しいお菓子ことチーズのおかきを取り出した。チーズのおかきを取り出した瞬間、あくあの目がまん丸になり、釘付けになったようにぼーっとし始めた

 

紗「あくあさんこのお菓子好きなんですか?」

あくあ「え?う、うん。好き」

紗「あくあさんの好きなお菓子で休憩できて良かったですね!」

あくあ「うん…嬉しい…」

 

下を向くあくあだが、その顔は少し嬉しそうだ

完全に心が打ち解けるまでもう少しかかりそうかな?

紗は午前のお茶を丁寧にコップに注いであくあに渡す。するとあくあはありがとうと小さな声で言って、お菓子をひとつ手に取った

 

あくあ「…頂きます――ん〜〜ん?」

紗「( *´꒳`* )」

あくあ「…な、なに…見てるの?…恥ずかしいよ///」

紗「いや幸せそうな顔だなと思いましてね」

 

そう言われたあくあは照れて口元を手で隠し、目があさっての方向を向く。美味しそうに食べていたあの顔を見るに本当に好きなのだろう

紗もひとつパクッと口に入れると、チーズの塩味とおかきの醤油風味がとてもマッチしており、とても美味しいものだった

 

紗「あくあさん!美味しいですね!」

あくあ「そう…だね!」

 

緊張がほぐれてきたのか、あくあは自分から話題を振ることを決心した

 

あくあ「紗ちゃんは…どんな料理が好き?」

紗「パッと思いつくのはオムライスですね」

あくあ「オムライス!あてぃしもオムライス好きだよ!」

 

前のめりになって目を輝かせるあくあ。どうやら心を許してくれたようだ。紗はさらに話題を広げ、あくあとの好感を深めようとする

 

紗「あくあさん、私最近オムライスを作るようになりまして…良ければオムライス好きなあくあさんに評論して頂きたいな―なんて…」

あくあ「いいよいいよ!あてぃしでいいなら全然!あてぃしも紗ちゃんのご飯美味しいって聞いてて食べて見たいって思ってたし!」

紗「それじゃ決まりですね!連絡取りたいので連絡先を…」

あくあ「わかった。えーっと…」

 

あくあはなれない手つきでスマホをいじり、紗と連絡先を交換した

その時、マネージャーから来て欲しいとの連絡があくあのスマホに通知される。名残惜しいが、紗と離れなければならない

 

あくあ「マネちゃんから連絡…」

紗「急ぎの用事ですかね?」

あくあ「そうみたい」

紗「付き合ってくれてありがとうございますあくあさん!楽しかったです」

 

紗がそういうとあくあは少し照れたように、「私も楽しかった」と一言言って、ちいさな声とちいさな手を振って別れの挨拶をした

―あてぃし頑張ったよ!初めてこんなに話せた。今日の経験をあくあは忘れることはないだろう




あくたんは応援したくなる


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記録:白狐と悲鳴

アンケートありがとうございました!
名称変更が決定しまして、ブラックの社畜から記憶を失った少女へと変更いたしました!
変更したことによって物語が大きく変わることは特にないので、今後ともよろしくお願いします


本日…紗は目の前に置かれたPCのディスプレイをみて虚ろな目を浮かべている

畳に障子と、和風な雰囲気の部屋で紗は床に座ってディスプレイとにらめっこ。その隣にはにこやかな顔推した白上フブキが配信の準備を始めていた

 

紗「ほ、ほんとにやるんですかぁ…?」

フブキ「ダイジョブダイジョブ!このゲームそこまで怖くないですし!」

紗「怖くないって…思いっきりホラゲーって書いてあるのですが…」

フブキ「それは多分ほら吹いてるんだよ!怖くないよ〜」

 

そう。わかる通り紗はフブキに勧められてホラゲーをすることになってしまっている。初めてのホラゲーの様子をフブキは撮りたいということであった。かの大空スバルも配信中に、フブキからホラゲーを渡され、「スバルちゃん?これやって」とホロライブの洗礼(?)を受けている

紗もその時が来てしまったのだろう

 

そしてフブキの準備が終わり、配信が開始された

 

フブキ「みなさーんこんこんきーつね!声は届いていますでしょうか〜?」

 

コメント:

:入ってない

:音声が未配達です

:こんこんきーつね!

 

フブキ「あれ?うそ、入ってな…いや入っとるやんけ!すこん部騙したな〜!」

 

コメント:

:ごめん

:多分タイムラグ

 

すこん部とフブキとの茶番はさておき、フブキは本題へと入る

 

フブキ「本日はですね。新企画!いきなりホラゲーやらせてみた!の第一弾として、沙花叉クロヱを呼びたかったんですが、体調不良のため変わりの助っ人ゲストが来ております!さ、お名前の方を~」

紗「え~どうも!クロヱの代わりに召喚されました、助っ人ゲストこと紗と申します!よろしくお願いします!」

フブキ「いえーい!紗ちゃんはね、あのーホロライブのスタッフ的な方でして、この間の料理公式番組の手本料理を作ってくれてたり、色々してくれるんですよ」

 

コメント:

:ルイねぇのENオフコラボの時にも出演してた方か

:めっちゃあの料理美味しそうだった!

:あの清楚の子の悲鳴が聞けるのか

 

コメント欄は、紗のことを認知してくれている人もいれば初見の人もいる。しかし比較的認知してくれている人が多いようで…

フブキがそのことをすこん部に言及すると、こよりが言ってたよとか、ルイねぇが話したりしてたと答えた

 

フブキ「ちなみに紗ちゃんはホラゲー…というかホラーは得意?」

紗「実を言うとそこまで得意ではないんですよね…」

フブキ「ほー楽しみだなぁ」

 

そう言ってフブキは配信画面をいじり、見やすい配置にする

フブキの立ち絵の隣にいるのは紗の代替。某フリーイラストの女性スタッフの姿を利用している…某フェネックの伝説に侵されている者は、某新人スタッフにしか見えないとおもうがそれは置いておこう

 

フブキ「さて今日やるホラゲーはですね、有名な企業さんが作った最新作【strange forest】という3Dゲームでございます!どのようなゲームかと言いますと…」

 

簡単に言えば様々なミッションをこなして、徘徊するクリーチャーが住まう閉ざされた夜の森から逃げ出せば勝ちというシンプルなものだ

ミッションが進めば進むほど徘徊者は早く狂暴になるため、逃げたり隠れたりして死なないようにいかなければならない

まぁそこまで難しくなないゲームではあるが…

 

―まぁとにかくやっていこう

 

フブキ「私は見守りに徹するのでね。紗ちゃん頑張ってください」

紗「はい…」

 

タイトル画面から進み、最初のチュートリアルの映像が流れる

ミッションは簡単なパズル系のものから、特定のタイミングで押すリズム系のものまである。リズム系のい物は、ミスした場合ブザー音が鳴り、徘徊者が近寄ってきてしまうという仕様だった

紗はその説明を聞いてるだけでも恐怖を感じている。そして…

 

ドンッ!!!!!

 

紗「ひゃぁぁッ!!!!!」

 

突然の物音に紗は珍しく悲鳴を上げた

その声を聴いたフブキやすこん部は可愛い反応するなぁ~とほんわかな気持ちになる

 

紗「ふ、フブキさ~ん…」

フブキ「お~よしよしw始まってないのに怖いねぇ」

 

コメント:

:母属性+清楚+ビビりとかすごい良い

:ここでこのくらいだと、本編でどうなっちゃうんだろ

 

紗の悲鳴に沸き立つコメント

ゲームは続いていき、やがて本編へとつながっていった。うす暗い森の中。手荷物は心もとないランタンのみ。そしてクリアしなければならないミッションは5つ…このフィールドの各地に点在しており、毎回プレイするたびに変わる

 

フブキ「あ紗ちゃん、あそこになんかいない?」

紗「誰かいますぅ…」

フブキ「ちょっと近づいてみよっか」

紗「ほんとに言ってるんですか?!だってあれ…見た感じ生きていらっしゃる人じゃないですy―――わぁぁぁ来たぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

追いかけてくる徘徊者から走って逃げる紗を応援するフブキ

逃げた先にちょうどよく隠れられる場所があったため、逃げ込むようにそこに隠れる

すこし泣きそうな声になりながら、フブキに助けを求める紗の姿はよく彼女の姿を見るルイであっても、珍しい姿であった

 

コメント:

:茶葉

:リアクションのいいスタッフさんだこと

 

フブキ「もう大丈夫だよwところで…これなんて読むかわかる?」

 

フブキは目の前にある英語を指さして紗にその単語を読ませる

そこに書いてあったのは【HIDE】。意味は隠れるという意味。なぜそれを読ませるのかというと、とあるホロメンが、その単語をヒデと呼んだことから始まっている

 

紗「ふぇ…?ハイ…ドでいいんですよね?」

フブキ「おー!よかった。いや~とあるホロメンがそれをヒデって読んでて、それからみんなに試してるんですよ」

紗「な、なるほど…」

 

紗はプレイを再開し、ビビりながらも着々とミッションをクリアしていった

全てのミッションが終わった時、エンディングに通じる出口が解放され、紗は急いで出口に向かう。その後ろには、もう逃がさないとばかりに走ってくる徘徊者が

 

紗「はやくっ!早く!!!!」

「ニガサナァァァァァイ!!!」

 

もう捕まる!!!という距離感で、紗は出口へと到達した

そしてエンディングが始まり、紗は安堵の表情を浮かべる。これで終わった。怖いことはもう終わりなのだと自分にいい聞かせてたのももう終わりだ

 

フブキ「クリアおめでとう!」

紗「怖かったぁ…」

フブキ「いやー新鮮な叫び声本当にありがとうございました。次回も――」

紗「もう懲り懲りでs――」

ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”

紗「キャアアァァァァァァァ」バタッ…

 

エンディングの最後に現れた徘徊者ドアップの脅かし要素に紗は気絶してしまう

その後のことだが、ちゃんと配信は終了し、母属性+清楚+ビビりの紗の隠れファンがまた増えたのであった

 

 

 

「おい、フブキどうすんだよこれ」



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記録:黒狐と笑顔

あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!
今年最初の投稿は、前回の続きとなっております!


紗「う…ん…?」

「―お、やっとお目覚めか?」

 

仰向けに寝た紗はゆっくりと目を開けると、そこに映ったのは知らない人。知っているのに知らない人

フブキにとても似ているが、色が全く違う。彼女は白に対して今目の前の人は、黒と赤。フブキの親戚なのだろうかと勘ぐってしまうが…

 

?「フブキの奴ならいねぇよ。お前の看病するために色々買い物に出てるからな」

紗「あの…貴女は…?」

黒上「俺か?俺は黒上フブキ。あいつの友人だ」

 

目つきが鋭い黒上と名乗るフブキは、少し口角を上げて微笑む

 

黒上「起きれるか?出来れば早く起きて欲しいんだが」

紗「それはどうして――あ」

 

紗は今の状況を考えた

床より少し浮いたところにある頭。見下ろされる様に覗き込む黒上……そう、紗は今黒上フブキに膝枕してもらっている状況なのだ

申し訳なく思った紗は、すぐにスっと移動する、黒上は「お前が起きるまでに、足が痺れなくて良かった」と一言呟く

 

黒上「そういえばお前、なんで気絶してたか覚えてるか?」

紗「えっと………」

黒上「…覚えてないんだな」

 

紗がか細い声ではいと答えると、黒上はまぁそうだろうなと言う

 

黒上「お前、あいつとホラゲーやってたんだよ。それでエンディングの最後の脅かしで気絶した――まぁ仕方ない。人には得意・苦手分野があるからな」

紗「そう…ですよね…すみません」

黒上「謝んなよ。悪いのは度量を量り切れなかったフブキが悪い。お前も1被害者なんだから」

 

そういう黒上は立ち上がって、お茶を持ってくると一言言い残し、その部屋を後にした

1人になった紗は黒上のことを考える。口は少し厳しいが、その裏には優しさがあるように感じる。ツンデレ…とはまた違うが、紗には新鮮な性格だった

 

黒上「待たせたな」

紗「いえ、ありがとうございます。…美味しいです」

黒上「それは良かった」

 

ピクピクと立派な黒い耳を動かしながら、黒上は座った紗のことをじっと見つめる

何か気になることでもあるのだろうか…

 

紗「…な、なんでしょうか?」

黒上「お前、フブキのことどう思ってる?」

紗「フブキさん…ですか?」

黒上「そうだ。今日の出来事を踏まえて教えてくれ。率直な意見でいい。あいつはまだ帰ってきてないしな」

 

突然そんなことを聞かれても、どう答えればいいのか分からない

率直な意見と言われても、本音を言うべきか、少し美化して言うべきか…紗は数秒悩みながら言葉を紡いだ

 

紗「―フブキさんは…いいひとです」

黒上「ほう?その理由は?」

紗「こんなつまんない私に、一緒にゲームをしよう!って誘ってくれたんです。料理を作った時も美味しいって言ってくれるし―」

黒上「今日あんなことがあったのに?」

紗「あんなことがあっても、私はフブキさんの笑顔が見れたので満足ですよ」

 

その言葉は美化もなんにもされていない、紗の心の奥からの言葉であった

その言葉に満足したのか、黒上はそうかと一言言って、「そうらしいぞ!」と扉の"向こう"にいる彼女に向かって声を上げる

すると扉がゆっくりと開き、そこには買い物が終わったフブキが、今にも泣きそうになりながら立っていた

 

紗「ふ、フブキさん?!」

フブキ「紗…」

紗「どうしたんでs――うわっ!」

 

泣き顔のフブキは突如紗に抱きつき、そのまま後ろに倒れてしまった

フブキはホラゲーで気絶させてしまったことに後悔しており、合わせる顔がなかった。もしかしたら嫌われてしまったのかもしれないと思っていた時に、紗の本音を聞けたから、こうなってしまったらしい

 

黒上「お前が倒れたあとのフブキの慌てようったら面白かったぜ!どうしよ!あわわあわわってn―」

フブキ「クロちゃん」

黒上「……」

 

フブキの一言で黒上は黙ってしまった

そしてフブキは紗に対して謝る

 

フブキ「…紗ちゃん…ごめんなさい」

紗「謝らないでください。フブキさんはなんも悪くないですよ。ほら、顔上げて笑ってください」

フブキ「でも、白上のせいで紗ちゃんが気絶して…」

紗「フブキさんのせいじゃありません。それに…私も楽しかったですし」

 

紗がそう言うとフブキは、ふぇ?という声と共に顔をあげる

紗の目に映ったフブキの顔は、まるで幼児が悪いことを反省するかのような顔であった

 

フブキ「楽しかった…?」

紗「はい。あのようなゲームは初めてでしたし、なによりフブキさんの笑い声に助けられました」

フブキ「ふふっ…なにそれw」

紗「本当ですよ?フブキさんの笑い声と笑顔は心の支えになったんですから!」

 

紗のその言葉にフブキはなんだか笑えてくる

嫌われてしまったかもなどという野暮な思考で固まっていた自分がバカバカしく思えて、次第に笑顔になってしまう

 

紗「なので…悲しい顔はやめてくださいね?」

フブキ「わかったよ。白上は紗ちゃんの心の支えになるようにこれからも頑張ります!」

紗「そうそう。それの笑顔です」

黒上(なーんか置いてけぼりになってるが…まぁフブキの珍しい顔見れたからいいか)

 

黒上はすっと部屋から退出し、紗とフブキの2人だけの空間になる

すると、部屋にお腹がなる音が響き渡った

その音の主は紗で、長時間プレイしていたことも相まってお腹がすいてしまったみたいだ

 

フブキ「白上特製の美味しいご飯ご馳走しますよ!」

紗「フブキさんが作ってくれるんですか?楽しみです!」

フブキ「ふんふ〜ん♪この白上にまかせんしゃい!あ、苦手なものとかある?アレルギーとか………」

 

2人はそのまま部屋を出て、一緒に食卓へと向かう

 

その後の話はーーまた別の話。




黒ちゃんはあんたのためにじゃない系のツンデレと認識してます。口は厳しいけど、その片鱗に優しさが垣間見えるというか…


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記録:トワの永遠なる料理練習

ちょっとした新しい取り組みがあるので、ちょっと長めです
この物語で、みなさんが笑顔になっていただけたら嬉しいです


数日前、紗とトワの約束を覚えているだろうか

そう。トワが紗に料理を教えて欲しいという約束だ

本日はそんな2人が仲良く料理する話…

 

 

 

 

 

トワ「ぬわぁぁぁぁぁぁ…」

 

部屋に響くトワの鳴き声(?)

その部屋はお世辞にも綺麗といえる状態ではなく、私服やカバンなどが無造作に散らかっている

 

トワ「もぉ〜!あと数分で紗ちゃん来るってのにぃ〜!」

 

綺麗さを数値で表せば20もないこの部屋を、数分で100まで引き上げなければならない。猫の手も借りたいものだとトワは思っていると、扉からチラッとトワの愛猫、虎太郎くんが可愛らしい顔を見せて覗き込んできた

まるで、手を貸してやろうかというような表情だ

 

トワ「こたーちがでっかくなっておかゆ先輩みたいになってくれたら嬉しいけど…ごめん!今は遊べない!」

虎太郎「にゃあ〜〜ん(頑張れ〜!)

トワ「応援ありがとね。よし、終わらせてやらぁぁぁぁ!!!」

 

虎太郎の応援を受けたトワは、いっそう力が増して素早い動きで片付けを再開する

ゴミはこっちに…書類はここに…ダンボールはデカイのは保存用に…と頭を使いながら掃除すること5分。ついにその時はやってきた

 

ー突然鳴り響くインターホン。紗が来てしまった?

綺麗度は60は行ったものの依然として荒れている。こんな荒れているところを見られたくない!

でも、インターホンを無視する訳には行かず、トワは玄関に向かって扉を開けた

するとそこに居たのは…

 

「ちわ〜っす」

 

いつも通りジャージ姿の大空スバルだった

 

トワ「なんだスバルちゃんか…」

スバル「なんだってなんだよ」

トワ「いや、紗ちゃんと料理する約束しててさ。それまでに部屋を綺麗にしたかったんよ。ほら、トワって身なり整えてるし、だらしないところ見せたないな〜って――」

スバル「その気持ちはわからなく無いけど……ん」

 

スバルは親指で自分の背後を指さす

トワは気になってよく見ると、そこにはスバルの背で見えなかったが、あくあと少し気まずそうな顔をする紗の姿があった

空いた口が閉じないトワ。すると紗がそのフォローをした

 

紗「ま、まぁギャップがあって私は好きですよ?」

トワ「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙紗ちゃんに知られたぁぁぁぁ!!!!紗ちゃんの前では"カッコよくて可愛い"先輩を演じようと思ってたのにぃぃ!!!」

 

手を頬に当て悶々とするトワを見てふふっと笑うあくあと紗にニヤニヤとするスバル。そんなスバルにトワは「何笑ってんだよ!!」とスバルに言葉で噛み付く(甘噛みで?)

トワはなぜかいるあくあに対して、その理由を問うと、あくあはトワハウスに来る途中でエンカウントし、トワの家で料理するから一緒に来ないかと誘われたから来たそうだ。

まぁ立ち話もなんだから、とりあえずトワの家に入ることにした。室内に入った瞬間に、トワの愛猫がにゃあーんとお出迎えしてくれて、紗の事を興味深く見つめる

 

トワ「虎太郎、挨拶しな〜」

虎太郎「にゃー!!」

紗「お邪魔しますね。虎太郎くん」

 

しゃがんだ紗は虎太郎の頭を優しく撫でようとすると、虎太郎は自ら紗の手に寄ってきて頭をスリスリしてきた

どうやら紗を自分のテリトリーに入れてくれることを許してくれるみたいだ

スリスリしてくれるお返しに紗は虎太郎の頭を優しく撫でると、嬉しそうな顔をして素直に紗の手を許す

 

トワ「人懐っこいこたーちだけど、ここまで心許すのははじめてかも」

紗「そうなんですか?よっ…っと…可愛いですね〜」

虎太郎「にゃ〜〜ん」(=^・^=)

 

紗の腕の中でビヨーンと気持ち良さそうに伸びる虎太郎は、リラックスするかのように紗の腕に落ち着く

このままだと紗は料理ができないが―――このように気持ちよさそうにリラックスされては起こすのも可愛そうだということで、少しの間そのままにしてあげた

その間、トワは料理するための環境を構築し、キッチンを使用可能に組み上げていった

――椅子に座ってぼーっとするスバルは、なにか思いついたようにトワに提案する

 

スバル「トワさ〜これ完全に趣味的な感じでやるの?」

トワ「そうだけど?」

スバル「スペースでもやらね?」

 

―スペース。それは某Twitterで使用されるリアルタイム配信のことで、動画はないが、音声だけで楽しむ配信のことだ。たまーにホロメンも使ったりするが、あまり使用されることはない

なぜならYOUTUBEを主に見る人には、やっていることすらわからないから。だからホロメンはスペースで配信をすることは少ない。やるとしてもお風呂スペースとか、ケツドラム検定(?)というようなやつしかしない

 

あくあ「あまりトワちゃんスペースやらないからやってみてもいいんじゃない?」

スバル「そうだよ!トワの料理会なんでめったにやらないんだからさ!」

 

二人に念を押されるトワはすこし悩む

もともとはスペースやらないつもりだったが、やってみるのも面白そう…でも…と決断できぬままに紗の事をチラッと見ると、紗はにこやかな笑顔で「やってみるのもいいんじゃないですかね?」と一言言った

トワはその言葉に押されて、決断した

 

トワ「よし…やるかぁ!」

 

料理の準備も万端!さぁスペースを始めよう!

君たちもスペースを聞いているように想像してみよう!

 

―――――――

 

トワ「こんやっぴ〜〜〜!!!!トワ様で〜す!」

 

みんな「いぇーーーーい!」

 

スバル「今日は何をするんですかぁ!?」

 

トワ「今日は、この間の公式番組で料理に感銘を受けたので、料理をしたいと思います!それで今日来てくれた人たち!自己紹介お願いします。じゃ〜あくたんから!」

 

あくあ「はい。帰宅途中突然スバルに誘拐されました、ホロライブ2期生の湊あくあです」

 

スバル「待て、スバル、誘拐したわけじゃないが」

 

あくあ「ほぼ誘拐みたいなもんだよ!」

 

トワ「じゃ、スバルちゃんは大空警察に捕まってもろて(?)」

 

スバル「なんでだよ!一人二役しなきゃいけないの?!」

 

トワ「そんなことより自己紹介!」

 

スバル「そんなことより…?まぁいいか。え〜あじまう!あじまう!今日はトワの実験台にされます。ホロライブ二期生大空スバぁぁぁぁう!そしてそして〜!」

 

紗「トワさんの料理の師匠、紗と申します!今日はトワさんが満足できるまで料理を教えます」

 

トワ「この四人でやっていこうと思いま〜〜〜〜す!!!!!」

 

スバル「ちなみに料理するのは紗とトワだけなんで、スバルたちは食事係ね。できるまで世間話でもしてるわ」

 

あくあ「『何作るんですか』だってトワちゃん」

 

トワ「師匠!何作るんですか!?」

 

紗「今日はですね、ホロメン大好きオムライスを作っていきます!」

 

みんな「いぇーーーい!!!」

 

トワ「あくたんオムライス好きだよね?」

 

あくあ「あてぃし大好きだよ!」

 

紗「この間あくあさんにオムライス作ってあげるって約束しましたよね」

 

スバル「え?!いつしたの?秘密の密会?」

 

あくあ「つい先日初めて一緒に喋って、お茶して…そのときに約束した」

 

トワ「あぁ〜あのメッセージってそういう…」

 

スバル「あくあが知らないうちに陽キャになってる?!お前…さてはあくあじゃないな?!」

 

あくあ「なんでだよ!あてぃしはあてぃしだよ」

 

トワ「紗ちゃ〜ん、これ切っちゃっていい?」

 

紗「大丈夫ですよ。どんどん切っちゃってください」

 

トワ「オッケー」トントントン

 

紗「トワさんは包丁捌きは上手なので、焼き方とかに注力しますね」

 

トワ「サンキュ〜」

 

スバル「『紗ちゃんって何者ねんや?』だそうですけど紗、君は何者?」

 

紗「ええぇ?何者って言われても…ホロライブの関係者としか言えませんよ?誰かのマネージャーって訳でもないですし」

 

あくあ「Aちゃんみたいなガチのスタッフってわけでもないんだよね?」

 

紗「そうですね。困ったことがあれば派遣される助っ人みたいな感じで考えてもらえば助かります」

 

スバル「でもね〜料理とか家事全般できて、尚且つJPホロメン全員のスケジュールを詳しくカレンダー化作業できるのは、もう助っ人ってレベルじゃないよ?」

 

トワ「そのうちスバルちゃんを越すようなスタッフになるね。きっと」

 

スバル「グッ…地味に否定できない!」

 

トワ「紗ちゃん、紗ちゃん」

 

紗「はいはいなんですか?」

 

トワ「あれ教えて欲しい!よく見る卵がふっくらとなる方法!」

 

紗「あーそれはですね、卵を入れた後、固まらないように素早くかき混ぜるといいんですよ。その後は端をちょんちょんって剥がして、箸と手首を使ってクルンっと半分ヒックリ返してあげると、半熟部分が中に入り込んで、切った時に綺麗にふわーってかかるようになるんです」

 

トワ「なるほどね!卵を入れた後に素早く!OK…」

 

スバル「さぁトワ選手、溶いた卵をナイアガラかのようにフライパンに流し入れて行きます!」

 

トワ「素早く素早く…シュバシュバシュバ」

 

スバル「馬鹿にしてんのか?!」

 

トワ「バカにはしてないよ?それより待って…端を剥がしてから…クルンっ!…あれ、クルン?!―――ああああああ!!!!」

 

スバル「スクランブルエッグみたいになっとるやん」

 

紗「まぁふわとろタマゴは難しいので、最初はこんなもんだと思いますよ?ホントの料理人は、布巾とかで練習するんだとか?」

 

トワ「うぅぅぅ…はい、スバルこれあげる」

 

スバル「え、チキンライスはないの?これじゃスクランブルエッg――」

 

トワ「スバルちゃんが言ったんだよ?スクランブルエッグみたいだって。だからトワはスバルちゃんが食べたいのかなーって思って提供したのにな〜」

 

スバル「ん、けっこうふわとろで美味しいわ。うまくひっくり返ってたらめっちゃ美味いオムライスになったよ多分」

 

トワ「紗ちゃ〜ん。詳しく教えてぇ〜」

 

紗「それじゃ、見ててくださいね?このように入れて…固まらないうちに混ぜるんです。フライパンを大きく揺らしながら……」

 

あくあ「こう見ると紗ちゃんって、すごいお母さんみたいだね」

 

スバル「みおしゃはスバルより大きいからママっぽいけど、紗はスバルと身長変わらないはずなのに、すっごくお母さんみたいなんだよね」

 

あくあ「トワちゃんは甘え上手な娘って感じ」

 

トワ「よッ!!!」

 

あくスバ「おぉぉぉぉ!!!!」

 

トワ「みてみて紗ちゃん見てみて!めっちゃキレイじゃない?!」

 

紗「本当ですね!さ、飾り付けて切ってみてください!」

 

トワ「ゆっくり――よし!さぁ、キレイに割れろぉ!」

 

みんな「すげぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

あくあ「キレイな♡が書かれてる」

 

トワ「わぁぁ恥ずかしい!早く食べて!!」

 

あくスバ「いただきまーす!」

 

スバル「スゲェぇぇぇ!!!ふわとろだぁ!!!」

 

あくあ「トワちゃんこれ商品化しよ!!常闇家のオムライスで」

 

スバル「いいねぇ。ケチャップでビビを書いてね!売れるよこれ!スバルがトワのマネちゃんに直談判するからさ!」

 

トワ「いやいや!売れないって!」

 

紗「トワさんも料理番組作ってみたらどうですかね?」

 

スバル「リッチショコラみたいに、トコヤミクッキングとしてね」

 

トワ「伸びるかな?」

 

あくあ「需要あるよ!ほら、投稿したオムライス写真に『トワ様の料理番組とかほしい!』って書かれてるもん」

 

トワ「いや〜これも紗師匠のおかげですよぉ〜ありがとうございますほんとに」

 

紗「また料理したいってなったらいつでも呼んでくださいね?」




皆さんに情景描写を想像させる系の文章はどうでしたか?
私としてはあまり好きではないのですが、珍しい感じだなと思って今回やってみました


そして皆様にアンケートさせてください
この物語にホロ以外のVの人も登場させてもいいですか?深く関わるわけではなく、すこし登場するみたいな感じと考えているのですが…たくさんアンケートしてすみません…


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記録:迷子のグリムリーパー

「Humm………」

 

公園のベンチで黒い帽子を被って悩み声を上げるのは、グリムリーパーの第一弟子【森カリオペ】

なんでこんな悩み声を上げているのかと言うと…

 

カリオペ(I never thought I'd get lost(まさか迷うなんて)...)

 

すこし気晴らしに散歩しようと外にでた結果、見事迷子になってしまったのである

財布・スマホ共に自宅にあり、帰る手段が無い。あるのは少しばかりの小銭(セント)。これではタクシーに乗ることも、公衆電話で事務所に電話をかけることもかなわない

困ったカリオペはたどり着いたベンチに座ってどうすればいいか考える

 

カリオペ(Would you like to ask someone for directions?(誰かに道を訪ねてみるか?)

no! It would be bad if they found out it was Calliope(いや!もし私だってバレたらマズイ!)But I have to go home somehow.(でも、どうにかして帰らなくちゃ…)

 

カリオペはキレイでかっこいい特徴的な声だ。歌声とは違うものの、分かる人には一瞬でわかるだろう

バレてしまったら…

 

『おい!あそこにカリオペがいるぞ!』ドドド!

『握手してくださぁぁぁいぃ!!!!』ドドド!!

『そっちに逃げたぞ!』ドドド!!!

『Nooooooooo!!!』

 

熱狂的なファンたちに追いかけられて捕まる想像をしたカリオペ

近隣住民の迷惑になるし、なにより事務所にも迷惑がかかる。それだけは避けなかればならない。なにか口止め料を…と思っても、手元の小銭では何も買えない。ましてや海外のお金だ。使えないのは明らかだろう

――うわぁと頭を抱えるカリオペ。まさに今崖っぷち。どうにかして崖から落ちないようにしなければならないのに

 

すると突然、頭を抱えるカリオペに誰かが声をかけてきた

心配してか、もしくは輩か。その正体を確かめるために、カリオペは顔を上げた

そこにいたのは、輩でもなんでも無い可愛らしい女の子だった

白っぽい可愛らしい洋服を着用しており、日本人らしいツヤツヤしたキレイな黒髪がカリオペの目を引く

 

「あの…大丈夫ですか?」

カリオペ「Huh()?」

「随分困っている様子だったので…なにかあったんですか?」

 

女の子は心配そうにカリオペに聞いてくるが、カリオペは少し警戒する。もしかしたら自分を知ってる可能性があることと、悪意を隠して近づいてきている可能性。どちらも0とは言えないが、100とも言えない。警戒しつつ話をしてみることにした

 

カリオペ「実は…道に迷っちゃいまして。スマホも財布もないし困っちゃってたんですよ」

「そうなんですか?!それは大変ですね…どこに行きたいんですか?」

カリオペ「ん?」

「行きたい場所ですよ。私が連れていきますよ」

 

そういわれたカリオペは考える。これは罠なのではないかと――油断させておいてとっ捕まえるのかもしれない!と考えていると女の子は自らの名を名乗った

 

紗「私、紗って言います」

カリオペ「え?あ、私は……私はキャリーです」

紗「キャリーさん!可愛らしい名前ですね!」

カリオペ(I feel sorry for this girl..(この子には申し訳ないけど) use a false name(名前を偽らせてもらおう))

 

この人がもし自分のファンだったらと考えると…仕方ないことになるが、こうするしか無い

 

紗「それで…キャリーさんはどこにいきたいんですか?」

カリオペ「えっとね…◯◯の〇〇に行ければ道はわかるから――」

紗「〇〇の〇〇っていうと……ホロライブ事務所?」

カリオペ「?!」

 

突如紗の口からホロライブの名前が出てきたカリオペは驚いて目を丸くする

熱狂的なファンかそれとも社員の一人か。ホロライブに属してはいるものの、社員すべてを知っているわけではない。「私もそこに属しているんだよ」と答えてしまったら最後―――熱狂的なファンの場合、なんかよくわからないが、大変なことになりそうだ

ここはすこしはぐらかそう

 

カリオペ「ま、まぁそんなところ」

紗「へ〜それじゃあ私の先輩ですね!私も一応関係者ですし。それじゃ行きましょうか、えっとここからだと――」

 

そう言って歩みを始める紗についていくカリオペ。身長差はかなりあるが、その背中は実に頼もしいものだった

片手にスマホで地図を広げながら歩いていく紗。この間オフのAZKiとゼロゲッサーで遊んでいたときの経験が功をなしたのか、今自分は何処にいてどの向きに歩いているのかなど手を取るようにわかる。AZKiの教えからがうまいのもあるのだろうが、紗の飲み込みスピードも計り知れないものがあるのかも知れない

 

紗「キャリーさんは事務所でどんな仕事してるんですか?」

カリオペ「WHAT?ん〜……ミュージックに関することかな。レコーディング(歌う方)とかそういう系の仕事」

紗「レコーディング(機材調整の方)ですか?すごいですね!私はそっちの方には疎いので、尊敬します」

カリオペ「そう?慣れれば(歌うのは)簡単ですよ」

紗「私でもできますかね?」

 

そういう紗にカリオペは「no problem!(問題ない!)」と一言返した

カリオペから見た紗の印象は、とても優しい子で自分を騙してやろう!なんて魂胆は全く見えない。死神の力を使って魂の色を見たとしても、ものすごく透き通っている。まるで氷のようだ

こんないい子に嘘をついている自分が恥ずかしく感じる

 

カリオペ「その…紗ちゃん?」

紗「はい?なんでしょうか」

カリオペ「どうして私に親切にしてくれるの?」

 

そう聞かれた紗はうーんと唸り声を上げながら答える

 

紗「困っている人がいたらほっとけないじゃないですか。困っている人をそのままにして行っても後味が悪いですし、できることならどっちもいい気持ちで終わりたい――その考えはおかしいですかね?」

カリオペ「…いや、全くおかしくないよ」

紗「肯定してくれてありがとうございます」

カリオペ「でも、もし私がが悪い人だったら?嘘をついていたら?」

紗「――キャリーさんは悪い人じゃないので大丈夫ですよ」

 

カリオペの言葉は紗の言葉によって止められる

どうしてそこまで確証をもって言えるのだろうか。不思議に思うカリオペに紗は答えた

それは些細なこと。でもカリオペ自信は気づけない彼女の魅力だった

 

紗「だってキャリーさんの顔は、何処か申し訳ないような顔してますから」

カリオペ「…え?」

紗「悪い人はそんな顔しないですし、もし自分が悪い人だったらなんて話は絶対にしませんよ?」

カリオペ「……あははwそれもそうだねw」

 

愉快な顔を浮かべるカリオペは『この子を守ろう』と決意した

同じホロライブの関係者であるのならばなおさら守らなくてはならない。あのような綺麗な心では、いつか悪意のある人に利用される可能性があるから、私は彼女の魂を守ろう――他の死神になんか取らせない

 

そんな話をしているうちに、ホロライブの事務所までたどり着いた

 

紗「着きましたよ」

カリオペ「―ありがとうね」

紗「いえいえ!困ったときはお互い様ですよ!それでは、私はこれで」

カリオペ「あぁ。本当にありがとう」

 

そのまま事務所の中に入っていく紗を見送るカリオペ

今日の出来事をだれかに話したい。そう思いながら帰路を辿っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aちゃん「あれ紗さん、どうしてカリオペさんと一緒にいたんですか?」

紗「道に迷っちゃったらしいんですけど―――カリオペさん?」

 

Aちゃんは紗の彼女の事を説明する

彼女はホロライブENに属するMori calliopeであるというと、紗は「そうだったんですか?!」と素直に驚く。そして、カリオペから聞いた職業の事をAちゃんに話すと、Aちゃんはすれ違いなのに話が噛み合っていることに気づいて、笑う

 

Aちゃん「あ〜面白いw――そういえば…いろはさんは?」

紗「あ」

 

―ピロンッと紗のスマホに通知が来る。そこに書かれていた文章は…

『師匠:紗ちゃん助けてぇぇぇぇぇここどこだかわかんないよぉぉぉ!!!(画像添付)』

 

紗「い、今すぐ探してきます!」

Aちゃん「はーい気をつけていってらっしゃ~い!」

 

来たばっかりなのに、駆け出していく紗を見送る

迷子になったいろはを探しに出かけたのに、何故かカリオペと帰ってきた。そして今また駆け出していく

本当に彼女は面白い子だ。料理もできるし事務的な作業も完璧に近い

ただの助っ人においておくには惜しい―ファンの人気も公式非公式キャラなのにそれなりに高い

 

Aちゃん「そろそろ紗さんには上の段階に上がってもらおうかな?」

 

でもまだ彼女が何者なのかもわかっていない

そんな状況で上の段階に上がってしまえば……良くないことも起きるかも知れない

 

Aちゃん「まだその時ではないかも知れません…でもいつかは私達と一緒に働いてもらいますよ?」

 

そう言い残してAちゃんはオフィスへと向かったのであった




今の現代でスマホとお金が無い状態で迷子は絶望ですね


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記録:星の歌姫とイヌイトコ

ほら、挨拶してやんな!

イヌイトコ


「♪〜♪〜」

 

力強く綺麗な歌声が、ここ事務所の中の収録スペースに鳴り響く

只今、星街すいせいが今度投稿される歌の収録を行っている。紗はレコーディング室の外で、その様子を楽しそうにみながら星街のことを待つ

 

「―はーいOKでーす」

星街「ありがとうございました〜」

 

レコーディングが終了して、外に出てくる星街は、ふぅ〜っと一息椅子に座ってつく

紗はお疲れ様ですと、バックから水を取り出して星街に渡すと、ありがとうとお礼を言って星街はその水を口に含む

 

紗「レコーディングはこれで終了ですか?」

星街「そ、この後はもうフリーだよ」

紗「予約に間に合いそうですね」

星街「そうだね。それじゃ、すいちゃんに付いてきて!」

 

星街は紗の手を取って収録スタジオを共に後にする

事務所の外に出るとタクシーが待っており、星街はこっちだよと手を差し伸べてくれる。紗はその手に手を乗せ、星街と一緒にタクシーへと乗る

 

星街「ここまでお願いします」

「はいよ。ししろタクシー、安全運転でいくよ〜」

 

そう言ってタクシーは走り出していく

目的地に着くまで数十分。この時間を大切にしよう

 

紗「星街さん、歌上手ですよね」

星街「ありがとう。昔から歌うのは好きだし、そう言って貰えるのはありがたいよ」

紗「なにかコツとかあるんですか?」

星街「コツ…か…」

 

少し上を向いて考える星街

コツというのは考えたことがなかった。自分が歌いたいように歌っているため、人にコツを教えるというのは難しい

でも伝えられることはある

 

星街「コツは特に無いけど、『自分の想いは、歪むことなく歌でちゃんと伝えたい』って思って歌ってる」

紗「自分の想いを歌で伝えたい…」

星街「そ。元々私は個人からホロに入ったこともあって、伝えられることは多分他のみんなよりあると思う。私にしか伝えられないこと―星街すいせいにしかできないことは、歌で気持ちを伝えることだなって思ってるんだ」

 

星街は鼻を擦ってなんだか恥ずかしいねと一言言う。そんな星街に紗は立派ですと心から関心する声を漏らした

実際、SNSでも『すいちゃんの歌声に惹かれてホロ見始めました』『星街すいせいのGHOSTに心救われたわ』と彼女の歌声は人を動かしているのがわかる。それほど彼女の歌声に籠もっている力はとてつもないものなのだ

―彼女はもうスターの原石ではない。磨かれた一等星のように光り輝いている

その考えが読まれたのか、星街は紗のことを見て一言った

 

星街「すいちゃんは永遠にスターの原石だけどね」

紗「――読心術ですか…?」

星街「いや?すいちゃんは原石なんかじゃないって顔してたからさ。私はまだ一等星のように誰しもが見える存在じゃない。どちらかと言ったら私は、誰もいない街に降り注ぐ彗星。見える人には輝いて見えるけど、見えない人には存在すら気付けない―」

紗「――なら、わたし達が頑張って星街さんの存在をアピールしなければですね!」

 

手をぐっと胸の前で握る紗を、星街はすこしびっくりした顔で見る

まさかそのような回答が返ってくるとは思っていなかった。「星街さんは頑張ってますよ!」とか「すいちゃん、おめぇ気づいてないかもだけど、めっちゃ輝いてんで」とか言われると思ってたのに、この子はサポートしてくれる側になってくれる言葉をかけてくれた

新人ちゃんなのにすごい頼りがいがあると星街は、紗の頭に手を伸ばして優しく撫でる

 

紗「????」

星街「…ありがと」

紗「どういたしまして?」

「お客さん、いい話の途中スマンがつきましたぜ」

 

そんな話しているうちに、目的についたみたいだ

代金を払って二人はししろタクシーから降りる。ここは都心からすこし離れた場所にあるのどかな都会。本当の目的地に行くには、ここから少し歩かなければならない

 

すこし歩いて見えてきたのは、観葉植物で飾られた和風な喫茶店。名前は『静穏庵(せいおんあん)

寂れている喫茶店のように見えるが…

 

星街「お邪魔しまーす」

「お、時間ピッタリやね」

 

二人が中に入ると、店員と思わしき和服を来た女性が出迎えてくれた

茶色い髪に可愛らしいケモミミ。メイド服のような和服に赤と黄色のオッドアイ

 

「まー好きな場所に座って。お水もってくるわ」

星街「ありがとね〜じゃ、紗ここに座ろっか」

 

星街に連れられて四人がけのテーブルに席を取った

店内は誰一人おらず、すこし人気が無いように感じるが、雰囲気はとても好きだ。木の柱にあった暖かい照明に、静かめな音楽が店内に響く。街中にある騒がしめなカフェとは違った雰囲気

そんな事を思っていると、先程の店員の女性がお水をもってきてくれた

 

紗「ありがとうございます」

「閉店まで飲んでもらってもかまわへんよ!なんたって今日は貸し切りやもん」

 

そう言って胸を張る店員の女性を星街は紗に紹介し始める

 

星街「紗ちゃん、紹介するね。こちらこの店の店員【戌亥とこ】ちゃんです!」

戌亥「おおきに〜私はつよつよケルベロスの戌亥とこ!すいちゃんからめっちゃいい子って聞いとるんやけどホントやね〜」

紗「どうも――」

戌亥「メニュー決まったら声かけてな〜私は作業してるから」

 

そう言って戌亥は裏の方へと移動していく

なかなか気さくな人だったなと思う紗は、机の側にあるメニューを手に取った。そこには可愛らしいポップで作られた美味しそうなデザートからオムライスなどのメインディッシュまでの様々な料理名が写真とともに載っている

―さてどれを食べよう

 

星街「どれ食べるか決まった?」

紗「…はい」

星街「それじゃ、とこちゃん呼ぼっか――『戌亥どこ〜!?』」

戌亥「戌亥ココッ!!!!」

 

シュバッっと戌亥はメモ帳を持って現れた!

ものすごく決まった顔をしながらご注文は?と聞いてくる

 

星街「私はいつもので」

戌亥「はいよ〜紗ちゃんはどうする?」

紗「私は―私はこのオムライスで」

戌亥「はーい。料理には多少時間がかかるんで、まっとってな〜」

 

戌亥は急いでキッチンへと向かっていく

もしかして…今日、彼女一人だけなのだろうか…

そう思って星街に紗は聞いてみる

 

紗「星街さん…戌亥さん、もしかして…」

星街「多分今日一人だね。でも安心して、とこちゃんの料理はおいしいから」

 

いや、料理の腕を疑っている訳ではなくて…とは言う気にならなかった。なぜなら星街はすごく楽しそうな顔をしながら自分の頼んだ料理を待っているから

少し待っていると、戌亥は両手に大きなおぼんをバランスを取りながら料理を持ってきた

 

戌亥「おまたせしました〜こちら唐揚げとオレンジジュースになります。そしてこちらがオムライスです」

星街「美味しそ〜✨」

戌亥「すいちゃん用にしょっぱめにしてあるんで」

星街「うお〜ありがと〜レモンも添えてあるし、完璧!」

二人「いただきます!」

 

紗の目の前に置かれたオムライスは暖かい湯気を放っており。美味しそうな匂いが漂ってくる

自分が作るオムライスではないオムライス――しかも店で食べるというのは初めてのこと。紗は楽しみな気持ちを胸にスプーンでオムライスをすくって口に入れ込むと…ブワっといい味が紗の鼻を突き抜けた

 

―卵に閉じ込められたチキンライスのトマトと鶏肉の深い味わい。そして卵のふわとろ感がその風味を優しく包みこんでいる。紗はその深みを知らなかった

初めて出会うこの味の深み…なにか特別ななにかがあるのだろうかと、気になった紗は作った本人である戌亥に話を聞こうと顔を上げると、戌亥は嬉しそうな顔をしていた

 

紗「戌亥さん?」

戌亥「―ん?なんや?」

紗「どうして嬉しそうな顔を…?」

戌亥「それは―あれやね〜すいちゃん」

星街「うん。あれだよね〜」

 

二人はそう言って紗をにこやかに見つめる。紗は少しわからなかったが、どうやら顔に美味しいと書かれているみたいだ

 

戌亥「こんなに美味しそうに食べてくれる子はなかなかおらんよね〜」

星街「見ててこっちも幸せになるね」

紗「は、はずかしいです///そ、それよりも戌亥さん!このオムライス、チキンライスに深い味わいがあるんですけど、なにか工夫があるんですか?!」

戌亥「あー多分それはウスターソースや」

 

戌亥はひと工夫について説明する

ケチャップにウスターソースを混ぜてからチキンライスを炒めることによって、味がぐっと引き締まって深みが出るそうだ。その工夫は聞いたとこがないと紗は言うと、戌亥はすこし小声で「当店(うち)の自慢の味なんですよ」と耳打ちするかのように教えてくれた

 

紗「教えちゃって大丈夫なんですか…?」

戌亥「大丈夫!客も少ないし、そこまで機密情報やあらへんからな」

紗「真似して作っても?」

戌亥「全然ええよ!もしかして作って見るん?」

紗「はい!こんなに美味しいオムライスははじめてなので、私も作ってみようかと想いまして!」

 

二人は仲良く会話を弾ませていく

星街は紗を連れてきて正解だったなと関心して楽しみながら唐揚げを食べる。料理が美味しい戌亥と関わりがあれば、次第に紗の料理がうまくなっていく。紗の料理がうまくなるとどうなるか。幸せが増えるだろう

これは緻密(?)に練られた計画だったのだ!

 

紗「星街さんも試食のときに来てくださいね?」

星街「あ、うん行く」

 

…知らぬ間に約束が契約されてしまったみたいだ




今回始めてホロ外からにじさんじの戌亥とこさんが出演しました〜
こちらの世界線の彼女は、寂れた喫茶店で働く給仕のメイドさんです。
星街とは例のゲームフェスで出会って、それ以来喫茶店の常連さんになってます

タグににじさんじを追加したほうがいいですかね?


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記憶:夜空の先へ

彼女は止まっても私たちホロリスは止まれない
でも、共に楽しんだ日々が色褪せることは無い
未来は不透明でも、過去は透明だから




暗い事務所に光るパソコンのディスプレイ

ここに1人、紗は珍しく残業をしていた

最近、お助けスタッフばっかりやっていたから、カレンダーの進捗が少し滞っている。仕事に支障が出るほどでは無いが、でも遅れているのは確か

 

紗「よし…ここまで進めよう…」

 

真剣にパソコンと向き合い、着々とカレンダーを完成させていく

紗自身のボーダーラインが存在しており、そこに到達するまでもう少しとなった

 

―やっとのことでカレンダーが完成!ふぅ…と一息つく紗に、何者かが「お疲れ様」と声をかけてきた

誰かと思った紗は後ろを振り向くと、月明かり差し込むそこに立っていたのは手を後ろで組んだ夜空メルだった

 

紗「メルさん?どうしたんですかこんな夜に」

メル「ちょっと紗ちゃんの様子を見に来たんだよ。今日は遅くまでやってるんだね」

紗「えぇ…すこし進捗状況が遅れているので、取り返そうかと。それもたった今終わったばかりなんですが」

メル「じゃあさ!メルと一緒に休憩会しよ!」

 

そう言ってメルは後ろの手にあったと思われる白い袋を嬉しそうに胸元に上げた

そこに入っていたのは、美味しそうな焼き菓子と暖かいお茶。一息つくには丁度いいもの。紗はその誘いに乗ることにする

 

夜中友人と2人で対面してお菓子を食べる…今までにない経験だが、これもまた一興。メルが持ってきてくれたお菓子はこれまでに食べたことの無いようなとろける味わいで、ほっぺが落ちそうだ

 

メル「おいしい〜」

 

それはメルも同じようで、幸せそうな顔を浮かべもぐもぐと焼き菓子を頬張る姿はまるでリスのよう。見ているこちらも幸せになる

―凝視しているのがバレたのか、メルは紗に向かって「メルの顔になにか…ついてる?」と首を傾げた

なにも付いていない…と答えようと思ったのだが、よく見れば頬っぺたにクリームと思わしきものが付着していた

 

紗「メルさん、ちょっと動かないでくださいね?」

メル「な、なに?―ん…」

 

紗はメルの頬っぺたに付いていたクリームを丁寧にティッシュで拭き取り、メルにそのことを話す

するとメルは、恥ずかしい(/ω\*)といって顔を赤くしてしまった

 

メル「お、お菓子も食べたし、今度は一緒に遊ばない?」

紗「遊びですか?何して遊びます?」

メル「ふふー実はメル、ゲーム持ってきてるんだ!このゲームで遊ぼ!」

紗「ゲームですか?負けませんよ?」

 

メル持参のゲーム機をテレビにセットし、愉快なBGMが部屋に響き渡る。このゲームは2人で協力して目的の場所まで行くというゲームだ

よーし負けないぞ〜!と張り切るメルは、目をキラキラさせながらテレビを見つめる

 

メル「よし!紗ちゃん、パース!」

紗「はい!持っていきますね〜」

 

メルが持っていたアイテムを、紗はキャッチして運んでいく。そうすると先に進むための道が解放され、次のステージへと行けるのだ

のんびり愉快なこのゲーム。息抜きには丁度いいだろう

 

メル「む、この敵強いな」

紗「任せてください!ほいっ!」

 

今度は敵も出てきた

器用にアイテムを使って2人はまた先へと進む

 

メル「ここで〜これっ!」

紗「ナイスです!」

 

『gameClear!!!!!』

という大きな表示と共に鳴らされるファンファーレ。2人は無事にゲームをクリアすることができたのだ

―やったーー!!!と介抱しあう2人。事務所には誰もいないから心置きなくできる

 

紗「楽しかったですね!」

メル「そうだね〜!紗ちゃんと初めてゲームやれてメル嬉しいよ!」

紗「私もです!その…メルさん、お願いがあるんですが…」

メル「何?メルにできることなら何でもするよ!」

 

そういうのメルに紗は初めて会った時からの願いを言った

メルのほっぺをぷにぷにしたいと。するとメルは「いいよ!メルのほっぺは減らないからね!」といって紗の近くに寄ってきた

紗は失礼してメルのほっぺをぷにぷにする…

―とても柔らかい。予想はしていたが、予想以上に柔らかく指が吸い込まれていくかのようだ!

 

紗「_(´˘`_)」

メル「しょんなにしゃわりたかったの?」

紗「はい!メルさんのほっぺがとても気になってまして!いやー想像以上です!」

メル「それは良かったよ!」

 

紗は1度手を離す

するとメルはしみじみと紗に話かけ始めた

 

メル「メルね、ホロに入ってほんとに良かったと思う。みんな面白いし、優しくて温かい。メルを認めてくれる人もたくさんいてこんな人たちなかなか居ないよ」

紗「そうですね」

メル「だからね…紗ちゃんにはもっと色んな人と関わって欲しいな。そしてホロをもっともーっと!好きになって欲しい!メルからの願いなんだけど、紗ちゃん。受けてくれる?」

紗「…そんなの決まってるじゃないですか。私もまだ知らない方々とも仲良くしたいって思ってますよ」

 

そういうとメルは静かな声で「良かった」と呟いた

そして立ち上がって窓際まで歩く。紗はどうしたのかと思い、一緒に立ってメルを追いかける

 

メル「ありがとうね紗ちゃん。ありがとうかぷ民のみんな。ありがとうホロライブのみんな」

 

振り返った彼女は寂しそうな顔をしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗………紗さ……紗さん!」

紗「ん…」

 

眠い目を擦って紗は体をあげる

どうやら残業している中で寝てしまっていたようだ

起こしてくれたのはえーちゃんで、珍しく残業している紗を見つけて声をかけてくれたらしい

 

紗「ありがとうございます…Aちゃん」

Aちゃん「いいって!こんな寒いとこで寝て風邪引かれても困りますし、何より残業なのでね!同じ民として支え合わないと行けないですから!」

紗「同じ民って‪w‪‪w残業しないのが1番ですけどね〜」

Aちゃん「そうだね〜。あ、もう終わったの?」

紗「はい、これから帰ろうk―」

 

仲良く会話する2人

夜空には1匹のコウモリが白く光り輝く月に向かって羽ばたいていた




この物語には、ホロ以外のVは基本的には出演しません。卒業生は出る可能性はありますが、卒業生でない方は基本的に出演しない事になっております
かぷ民の皆様、私の勝手な規則で申し訳ありません

最後に、長い間私たちホロリスに笑顔をくれた彼女に感謝の意を表します。今まで本当にありがとうございました。貴女の進む道に数多の幸せがあることを、心から願っています。


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記録:紗の伝説?!?!?!

昨日(水曜日)に「やべっ!ポル伝見逃したッ!」って急いでポルカのチャンネル見たら、配信やってて、なんか違和感あるなって思ったんですよ
そして動画を確認したら前回のポル伝が”6日前”だったんですよね…

ポルカの伝説毎週木曜19:00から!!!!!


とある日のこと…紗は事務所を歩いている時に、Aちゃんから話しかけられた

―ちょうどいいところに!!!と駆け寄ってくるAちゃんに理由もわからないまま話をされる

 

Aちゃん「紗さん!ちょっとお願いしたいんですけど大丈夫ですか?!」

紗「お、落ち着いてください…」

Aちゃん「えっとえっとですね!尾丸ポルカさんの冠番組である【ポルカの伝説】のMCである新人(三年目)スタッフの井筒さんがいろんな事情で現在不在なんですよ!!!!しかも、もうすぐ収録が始まりそうで、MCが不在なんです!私が抜擢されたんですけど、その…内容があれなので…紗さん!たのめませんか!?」

 

ペコリと頭を下げるAちゃんに紗は断れるはずもなく、引き受けることにした

本当にすみませんと謝るAちゃんからその番組の台本を渡される。底に書いてあったのは…【ポルカの伝説!!君たちのブラックな話聞かせてくれ!】だった

―あぁーなるほどね。と紗はAちゃんが逃げたくなる気持ちがわかった

 

Aちゃん「本当にすみません…」

紗「大丈夫ですよ!誰にだって苦手なことはありますから!それじゃ私は行ってきますね!」

 

そう行って私は収録場所に行く。ドキドキする気持ちはあるが、それよりも興味心が強い

撮影場所は、ポルカの伝説特設スタジオで、サーカス団の舞台のような場所だった

中には金髪のサーカス団の座長【尾丸ポルカ】とほか数人のスタッフ達。紗は丁寧にみんなに挨拶をしていく

 

紗「あの、ポルカさん。今日はよろしくお願いします!」

ポルカ「ん〜?あ〜!今日井筒さんの代わりのMCの人?よろしく〜なんて呼んだらいいですかね」

紗「紗って呼んでください」

 

するとポルカはすこし考えてからあ〜!と思い出すかのようにうなづき始めた

理由を聞くと、同期の雪花ラミィや獅白ぼたんが噂していたらしい。可愛らしい新人スタッフが入ってきたぞ!とのとこで…ポルカ自身も一度会ってみたいと思っていた

このような形で会うことになるとは予想していなかったポルカは、すこしウキウキな気分になる

 

ポルカ「いや〜会いたかった!めっちゃ可愛いッ!」

紗「いやいや私よりもポルカさんのほうが可愛いですよ」

ポルカ「かぁ〜ッ!謙虚さも兼ね備えているのかッ!ポルカファンクラブ立ち上げようかな」

 

一人で盛り上がっているポルカに、構成作家さんがそろそろ始めますよと言うとみんな準備に入った

紗も台本を見て自分が言う所を覚える

今回の話は、座員のみんなから(それ以外からも)ブラックな話を集め、それを紹介してくといった話だ

それでは伝説を始めていこう

 

 

 

 

椅子に座ったポルカはカタカタとパソコンを打つような仕草をして、こまめに上にかけられていると思われる時計をチラチラと見てこう言い放つ

 

ポルカ「はぁ…もう終電過ぎてるよなぁ…」カタカタ

紗「あ、お疲れ様です」

ポルカ「お疲れs…??」

 

ポルカは奇妙な顔でこちらを凝視し、そして紗に問いかけた「…どちら様?」と。視聴者からしたら井筒さんではない何者かが突然現れた状態になって困惑させないためだ

私は丁寧に自分の事を名乗った。本日井筒さんの代わりにMCをさせていただくスタッフの紗だと

 

ポルカ「あ、最近ホロで話題のスタッフちゃん!」

紗「話題になってるんですか?」

ポルカ「そう!度々あのー大変そうな配信に助っ人で現れては消えていくと言われている幻(?)の料理もできて優しい、仕事も早いって言われてるあのスタッフって言われてるんだよ?!」

紗「キャラが濃すぎませんか?!まぁ今回も井筒さんがいらっしゃらないから助っ人で来たんですけども―」

ポルカ「これもう伝説だよ。ポルカの伝説ならぬ紗の伝説になっちまうよ」

 

そう言うと構成作家さんが遠くで高らかに笑う

改めて自分はどんな人なのかと思うと、結構キャラが濃い。ポルカが言ったことはほぼすべて事実だし、自分自身助っ人でもいいかなとか思ってるところもあるがそれは置いておき

 

紗「ポルカさん、突然なんですがブラックな仕事って経験ありますか?」

ポルカ「んーポルカはカラオケ屋さんのバイトしたときも普通だったし、座長業も苦しくはないからブラックな仕事~?無いかも」

紗「そうですか。とはいえ私も経験はないんですが、今回の企画!【第一回ブラックな話を集めてみようの会】〜」

ポルカ「いえ〜い!いえーい?」

 

ポルカに今回の企画を説明する

Twitterにてみんなのブラックだった話をあつめ、それをかいつまんで読み上げていくという会だ。これまでもこんな感じの企画はたくさんやってきたが、いつも面白いような話が出てくる

 

紗「それじゃあ早速行きましょうか!」

ポルカ「はいお願いしまーす!」

紗「最初は…こちら!『仕事してたら―――気がついたら朝だったんだよね…』」

ポルカ「怖ぁぁぁぁい!!!」

 

この投稿はおそらく残業のものなのだろうが…残業と言っていないのにそれを感じさせるこの文は…とてもブラックを感じる

 

ポルカ「最後の…が怖いよ!だって好きな仕事だったら笑い話にできそうだけど、この感じからしてさ…」

紗「ポルカさんはこういう経験あります?」

ポルカ「ポルカはね、仕事で―ってのはないけど、眠れなーい眠れなーいってスマホを眺めて夜を越したことはあるよ。紗ちゃんはそういうのある?」

紗「私は…覚えている限りないですね」

 

そういうとポルカは目を見開いてすげぇ…と声を漏らす

その表情はこころからそう思っていると思わせる表情だ

 

ポルカ「皆さん、これでホロライブはホワイトだってことが判明したわけだ」

紗「でもAちゃんは……」

ポルカ「あ、そうだ。彼女は残業してるで有名なんだったwww」

 

『ポルカの伝説ッ!!!!』

 

一旦場面切り替えが入り、次の話題へと移る

 

紗「続いて…『気づいたら空のエナドリが山になっていた』」

ポルカ「あ〜〜」

 

これは先程の投稿と似ているが、若干違う。これは眠気をエナドリで吹き飛ばそうとしている人の投稿だ

エナドリの大量摂取は体に毒だから気をつけるように!

…特にAちゃん

 

ポルカ「これはあるあるだ」

紗「ポルカさんもあります?」

ポルカ「ん〜エナドリは無いけど、ゴミとかはたまに…w」

紗「まぁホロメンは忙しいですからね〜よかったら掃除しますよ」

 

ポルカはいいの?!と大きな耳を立てて言う。…が次には「いやいや!」と自分の言葉を取り消しした

その理由は、忙しいスタッフに私情を挟むわけには行かないからとのこと

別にいいのだが…

 

紗「それはともかく、エナドリの過剰摂取は危険なので気をつけてくださいね」

ポルカ「気をつけてね〜!」

紗「さて続いて…『冬のボーナスに腐ったみかんが渡された』」

ポルカ「…ん?…ん?」

 

ジト目でよくわからない顔をするポルカ。なんか何処かで聞いたことがあるようなエピソードだと思う

 

ポルカ「あれ…wこのエピソードって…w」

紗「ホロライブ三期生の宝鐘マリンさんからのお便りです」

ポルカ「そうだよね!?なんか聞いたことのある話だなって思ったよ!でも冬のボーナスが腐ったみかんは…ボーナスじゃないもんね」

紗「いろんな意味でブラックですねこれ。それに似た話がもう一個あるんですけど―『給料が5円チョコなのは勘弁してほしいでgzr』」

ポルカ「これは…いろはやな」

 

そうこれは風真いろはのお便り

巷ではHoloxの用心棒費が5円チョコであると言われている。実際はそういうわけではない―――とも言い切れないものの、流石に5円チョコではない

 

紗「でも5円チョコの実際の値段って5円じゃないらしいですよ?」

ポルカ「え?!そうなの?!」

紗「はい。確か5円チョコの大体の値段は300円ぐらいだそうです」

ポルカ「じゃあそれ5円チョコじゃないじゃん。300円チョコや――いや今議論したいのはそこじゃなくて、給料が物なのはどうかって話じゃない?」

 

構成作家がまた高らかに笑って次の場面に移る

いまので最後の話だった。さぁ次は締めくくりのシーンだ

 

紗「さていかがでしたか?」

ポルカ「世の中の人は大変なんだな〜って思ったよ。ポルカ本当に配信者で良かったなって思う。ブラックな企業に努めてたってホロメンも多いけど、ポルカが勤めたら多分………うん」

構成作家「わはははwwwwww」

紗「いや〜ホロライブがブラックじゃなくてよかったですね!」

ポルカ「いや〜ホントだよ〜YAGOOに感謝しなきゃ。紗ちゃんもありがとうね、忙しい中来てくれてさ」

 

その様に言うポルカに大丈夫だと言った

ホロライブはホワイトだからね!

 




UAが50,000に到達しました!皆様ありがとうございます!
50,000人記念としてなにか作り上げたいと想います!どんな物語がいいかアンケートします!皆さん気軽にポチッとしてくださいな!


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記録:天真爛漫な女の子

ポル伝の収録が終わったあとの話…ポルカの楽屋で、ポルカから話し相手になって欲しいと頼まれた紗は仕事をしつつポルカの話し相手になっている

他愛のない世間話。ポルカの配信枠でもたまにある雑凸待ちみたいな雰囲気だ

 

ポルカ「ポルカさ〜最近マイクラしてるんだけどさ〜紗ちゃんやったことある?」

紗「私は覚えている限りないですね」

ポルカ「一回やってみてほしい!楽しいから!なんならポルカが一緒にやったげるからさ」

 

身を乗り出してそう言われると紗も引けない

でも最近ゲームをやっていない。忙しいというのもあるが、同じゲームしかしていなかったことが大きな原因かも知れない。この際、新しいゲームもやってみよう

 

紗「マイクラ…やってみますね?」

ポルカ「マジ?!やった〜〜!!」

 

舞い上がるポルカ。それをみて紗も若干楽しい感情が生まれる

こんなにリアクションのいい人はあまり見ない。見ているだけでもこっちも楽しくなってくる。これがポルカのファン、座員の感情なのだろうか

―そういえばポルカは不知火建設なるものに属しているときくが…

 

紗「ポルカさんって、不知火建設なるものに属しているんですか?」

ポルカ「そうだよ〜今度紹介したいんだけどさ――」

「―こんねね〜〜〜〜!!!!!」

 

そう言って楽屋に突撃してくるのは、元気な声の金髪少女【桃鈴ねね】であった

ポルカは突撃してきたねねに対して挨拶を交わした

 

ポルカ「お、ねねじゃん。どしたの?」

ねね「ここに美少女がいるって聞いて突撃してきた!美少女は―――お!発見!」

 

目を輝かせてウキウキな気持ちで近づいてくるねねに紗は若干戸惑う

挨拶をしてくれるのだろうかと思って紗は立ち上がって挨拶する準備をすると、ねねは紗の手を握って、元気に自己紹介をしてくれた

 

ねね「はじめまして!ねねは桃鈴ねね!よろしくねね〜!」

紗「よ、よろしくお願いします…私はスタッフの紗と申します」

ねね「よろしくね〜!」

 

元気に挨拶をしたねねは、じっと紗の胸を見つめ、少しうずうずと肩を震わせる。どうかしたのかと思った紗はじっとねねの事を見つめると、ねねは両手の人差し指を立て、それが紗に向くように調整する

よく考えればその行先は…

 

ねね「ぴーっぴーっぴーっ…」

紗「な、なんですか?ねねさん、そんな笑顔で――」

ねね「ぴーっp―――」

ポルカ「は〜いねねさん、それ以上はだめですよ〜」

 

そう言ってポルカは、もう少しで紗に触れそうなねねを後ろから羽交い締めにした。あぅーという声を漏らすねねは残念そうな顔でポルカのことを見る

―もう少しでエデンに到達出来たのに。とよく分からんことを言っているが…ポルカは、「初対面でそれはまずい」と注意する

 

ねね「ごめんね〜紗ちゃんの魅力に惹かれちゃった♡」

紗「それは構いませんが…何をなさろうとしてたんですか…?」

ねね「それはねー紗ちゃんのTKBを…」

 

それを聞いた紗はバッと胸を隠す

もしかしたらこの人は…失礼かもしれないが…変態なのかもしれない…と心の中で思う紗。その様子をみてポルカは紗に少し説明をする

ねねはどんな人でどんな性格なのか。同期であるポルカならわかるだろう

 

ポルカ「紗ちゃん、ねねちは男子小学生なんだよ。黙ってりゃすごく可愛いんだけどさぁ…」

ねね「なんだよぉ!喋ってても可愛いだろ?!天真爛漫で邪気なその様だろ!!」

ポルカ「それはそうなんだけど――いい意味で男子小学生というか…」

ねね「それは否定しないわ」

 

とにかく悪い人ではなさそうなのはわかった

紗はポルカに一度ねねを離してほしいと願い、ねねは自由の身になる。するとねねは紗に解放してくれた感謝をし、バックから白いお菓子を取り出して紗に手渡そうとする

それは白いタブレットのお菓子で、6つが包装されて1枚の板になっているお菓子だった

 

ねね「お礼にこのヨーグレットあげる!めっちゃおいしいから食べてほしい!」

紗「それじゃ頂きます――」

 

パキッと包装紙から押し出して一つ口に頬張る。口の中で溶け始めたタブレットは、甘いヨーグルトの風味が鼻を吹き抜ける。紗はこのお菓子に釘付けとなった

あまりこのようなお菓子を食べてこなかったからか、このお菓子は特別な美味しさがする…作業中に食べるのが一番良さそうだ

 

紗「これ美味しいですね✨」

ねね「でしょ〜!ねねこれ大好きなんだ〜!」

ポルカ(紗ちゃんリスみたいだなー)

 

ぽわぽわした空気をポルカは堪能する。ホロにはてぇてぇ成分が蔓延しているが、それぞれ違ったてぇてぇ成分が含まれており、人によって効果は違う(?)

例えば、カリオペとキアラのタカモリは、キアラの一方的な愛に見えるが、カリオペは満更でもない表情を浮かべる。クールなツンデレなるものが、てぇてぇによって生み出されるのだ

 

だが、彼女…紗のてぇてぇ成分は不規則であるとポルカは色んな人から話を聞いて考察した

トワすずの場合は、紗は先生のような頼もしさを放つが、フブすずの場合になると、助けを求める幼女になる。ホラーだったのもあるかもしれないが‍…

 

まぁそれは置いていて、今の2人はどのような関係性に見えるかと言うと…やっぱり紗がお母さんのような立ち位置で、ねねは色んなとこを話したい子供見たいだ

 

ねね「ねねは〜ピーマンが嫌い!紗ちゃんは食べられる?」

紗「私は大丈夫ですけど、ピーマン苦いですからね〜」

ねね「じゃあ今度お弁当にピーマン入ってたら紗ちゃんにあげる!」

ポルカ「まじで小学生じゃん…w」

紗「ねねさん知ってますか?ピーマンは茹でると苦みが少なくなるそうですよ?」

 

そう言われたねねは初耳という顔をする

調べた話なのだが、ピーマンが苦いのは細胞壁内にある「ピラジン」なる成分が原因だそうで、細胞壁を壊さないように切ったり茹でたりすることで苦みが抑えられるらしい!ピーマンの苦みが苦手な人は是非やってみよう!

 

ねね「ねね苦くないピーマン食べたこと無いなー」

紗「今度ねねさんに作って持ってきましょうか?」

ポルカ「ねねいいなぁ〜紗ちゃんの手料理美味しいって噂なんだよ」

 

ポルカにそう言われたねねはすこし興味が湧いてきた

―苦くないピーマンとはどれほどのものなのか試してやろうじゃないか。正面から戦ってやる!と努力家のねねが心に現れ、ピーマンに戦う意欲が芽生えた

ねねは元気な声で、「お願いします!」と紗にお願いをして、ピーマンと戦う決意をした

 

ポルカ(あの野菜嫌いなねねが戦う意欲を見せてる?!これは驚天動地な話!ししろとラミィに話そ〜)

 

これも紗がもつ母属性のてぇてぇがおよぼした効果なのだろうか

そんなことを思ったポルカなのだった




いっぱい次に繋がる約束を作るっていうね。忘れなきゃいいんだけど


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記録:お誕生日おめでとう

記憶を失った少女がホロライブに関わって変わる話(ホロかわ(仮))を投稿して1周年が経ちました!見てくださる皆様のおかげでここまで頑張れたと思います。
これからもどうぞよろしくお願い致します


紗「ん…ん―――」

 

ムクリと体を起こす紗

本日は1月25日。だからといって特別なことがあるわけではないが…

―みんなのために料理を作ろう。そう思って紗は立ち上がる。顔を洗ってキッチンへ向かおうとすると、なんだかいい匂いが漂っている。ルイねぇが早く起きて作っているのかな?と思った紗は顔を洗う前にキッチンへと顔を出すと、そこに立っていたのはルイだけではなかった

珍しくラプラスも小さな踏み台に乗ってルイの隣で料理をしていたのだ

 

紗「おはよ〜」

ラプラス「お?!お、おはよう!!紗、今日はいい天気だなぁ〜」

 

なぜか焦っているラプラスに紗は気になって入ろうとすると、ラプラスは必死になって止めてきた。なにかおかしい…そう思ったが、今日の食事は私が作るから、その手伝いをしてるよとルイから教えられると、なんだか納得出来る気がして、先に顔を洗ってこようと洗面所へと向かった

 

ルイ「あぶなかったね」

ラプラス「まじ焦ったぁ…幹部ナイスプレーd(˙꒳˙* )」

 

 

 

 

事務所

 

カタカタと鳴り響くキーボードの音。今日もみんなのスケジュールをカレンダーに落とし込む作業だ

ほぼ正社員見たいな立場にもなっているが、紗は所詮はアルバイト。お手伝いさんでしかない。でもこの仕事にやりがいを持っているし、飽きるということは無い

 

まつり「紗〜ちゃん♪」

紗「わっ…まつりさん?どうしたんですかいきなり抱きついて…」

 

突如、もう帰る予定と思われるまつりから背中に抱きつかれた紗は少し困惑の声をあげる

椅子に座ったまま抱きつかれると、首元に手が交差し、片方の耳に直接声が聞こえる感じになってしまう

 

まつり「なんか欲しいものとかある?」

紗「欲しいもの…うーん…」

まつり「なんでもいいよ?別荘とかはさすがに無理だけど…」

 

なんでもいいと言われると言いづらい

そもそも紗は物欲は少ない方だし、欲しいものと言われてもピンとはこないのだ

少し考えて、考え抜いた結果…

 

紗「まつりさんと同じリボンがほしい…です」

まつり「―――ッ!!!」

 

紗のその言葉に感極まったまつりは涙を流しながら紗の頬ずりして「いいよぉ〜…まつりのリボンあげるよぉ〜」とする。そんな事をされた紗はまた困惑しながらも、まつりの頭をナデナデした

だがまつりは今日はリボン持ってきていないみたい。「また会う時に渡すよ…(涙)」と言って今日は帰ってしまった

 

まつり(いい子や…紗ちゃんいい子すぎる―)

 

その入れ替わりになるなるように今度はロボ子さんがと扉から入ってきた

 

ロボ子「紗ちゃん〜おはよ元気〜?」

紗「ロボ子さん!おはようございます。今日は早いんですね」

ロボ子「今日は"特別な日"だからね〜早く起きちゃった」

紗「特別な日?なにかイベントでもあるんですか?」

 

ロボ子の言った"特別な日"が気になった紗はロボ子に聞いてみるも、「あはは…色々ね…」とはぐらかされてしまった。なにか彼女なりの理由があるのだろう。これ以上の深堀りはしないでおくと、ロボ子は話題を逸らすように別のことを聞いてきた

 

ロボ子「それよりもさ〜なんかしたいこととかない?」

紗「したいことですか?」

 

なんだかみんなから同じような事が聞かれるが…紗は考える。いや考える間もなく頭に浮かんできたことがあった

―ロボ子さんと一緒にゲームがしたい

紗がそういうと、ロボ子は嬉しそうな顔をして手をぐっと胸の前で握り嬉しそうな声をあげた

そんな表情されるとこっちまで嬉しくなってくる

 

ロボ子「いいよ〜一緒にゲームしよ!言っておくけど、ボクは強いよ?」

紗「私もロボ虐をできるように頑張りますよ?」

ロボ子「いうねぇ〜その心意気嫌いじゃないよ!それじゃ、仕事終わったら一緒にやろ〜ね〜」

 

嬉しそうに帰るロボ子に元気を貰った紗は頑張って仕事を終わらせようと努力できる気がした

 

ロボ子「危な〜PONやらかすところだったわwwまたルイに怒られちゃうねw…」

 

 

 

 

 

 

お昼

 

紗は持ってきた弁当を広げ、午後に備えて食べようとする

…みこと星街も一緒に

紗の弁当はルイの手作り弁当で、ものすごく丁寧にキレイに詰まっている。一方二人の弁当はよく似ているコンビニの弁当。時間がなくてふたりともコンビニで買ったもので済ますみたいだが…同じコンビニで買ったのか気になる

 

みこ「うぉーー!!紗ちゃんの弁当めっちゃうまそー!」

紗「食べますか?」

みこ「いいの?!それじゃ――頂きます!」

 

目をキラキラさせたみこは紗の弁当にたくさんある唐揚げを一つ食べる

すると目をまんまるにしてうめぇぇぇぇ!!!!!と叫んだ

 

みこ「これめっちゃうまいぞ!すいちゃんも食べてみ!」

星街「紗、いただくね?―――ん!!!うまぁ…」

紗「ルイねぇにも伝えていきますね?」

星街「お礼にこのポテトサラダあげるね」

 

星街が紗の弁当に自分の弁当のポテトサラダを移そうとすると、みこが「おめぇ野菜嫌いすぎだろ!」と叱責(?)

二人の弁当がなぜ似ているのか気になった紗は二人に聞いてみる

―同じ弁当なのは、なにか理由があるのかと

すると二人は今気づいたかのように、「うわっ!ほんとだ!」と驚いた声を上げた

 

みこ「真似すんなよおめぇ!」

星街「いやいや、今日先に来たのは私だもん!」

みこ「これじゃビジネス壊れちまうよ!すいちゃんどうすんねん!」

星街「スタッフが買ってきてくれたことにしよう!」

みこ「すいちゃん名案じゃん!」

 

…仲が悪いのか良いのか…よくわからない二人だった

話題はなぜか紗の好きな料理の話に変わり、二人は興味津々に聞いてきた

紗は好きなものと言われてぱっと頭に浮ぶのは【オムライス】だった

 

星街「この間一緒にとこちゃんの所で食べたときもオムライスだったよね。なんか理由あるの?」

紗「初めて一人で作った料理がオムライスなんですよ。食べるのも作るもの大好きです」

みこ「すげ――ってすいちゃん紗ちゃんと一緒にご飯行ったの?!」

星街「行ったよ」

みこ「いいなぁぁぁぁぁ!!!みこも紗ちゃんとご飯食べたい!」

 

今度一緒に御飯に行きましょ?というと子供のように喜ぶみこ

なんだか子供と会話しているような気持ちになるなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗「よしッ!仕事終わり!――お疲れ様でした!」

Aちゃん「おつかれさま〜"気をつけて”ね〜」

 

仕事が終わって家に帰る途中、紗の携帯が鳴る。取り出して画面を見ると、通信先はルイであった

紗は通話ボタンをおして携帯を耳に当てると、携帯からみんなの賑やかな声と共にルイの声が聞こえてきた

 

ルイ『あ、紗?ちょっとお願いがあるんだけど…大丈夫?』

紗「大丈夫ですよ?」

ルイ『良かった。事務所近くのスーパーでさ、いちご買ってきてほしいんだよ。お代は後で渡すから!お願いね!』

紗「あちょっ…切れちゃった」

 

なんで騒がしいのか聞きたかったのだが…まぁルイから頼まれたものを終わらせて帰ろう

そう思い近くのスーパーでいちごを購入し、再び帰路に戻る

突然いちごが食べたくなったのかも知れないと思い、お礼も兼ねて少しお高めのいちごを買った。ルイからのお代は断ろう

そう思って家の扉を開けると…何故か真っ暗だった

不思議に思った紗はただいまーと声を出しても返ってくるのは自分の声のみ―――

――ドンッ!といきなり開けた扉が勢いよく閉まる。紗はだんだん怖くなってきた

 

紗「ヒッ…なになに…?」

「ようこそ」

紗「キャっ―!!」

 

廊下の奥からいつもの服装ではない白い服装をしたフブキが無表情で近づいてきた

何を考えているのかわからない顔…ものすごく恐怖を感じる…

 

フブキ「ここは集いの地…貴女は招待されたのです」

紗「は、はい…?」

フブキ「さぁ…こちらへ…」

 

手を差し出してくれたフブキに手を重ねて暗い廊下を歩いていく

その手はなぜか冷たく、紗の恐怖心は広がるばかりだった

ロビーに繋がる扉の前で一度立ち止まり、フブキは紗に問いかける。「今日なにかおかしなことはなかったかい?」と

―おかしなことが無かったわけではない。今日みんなやけにソワソワしていたし、ロボ子に至っては特別な日とも言っていた。彼女だけの個人的な理由かも知れないが…

 

フブキ「では扉を開けたまえ…そこに真実はある」

紗「ふぇ…?」

 

開かれる扉。そして目に明かりが差し込んできた。眩しいと思って目を細めていると…

―ポンッ!っと何かが弾ける音が紗の近くで鳴った。そして…

 

「「誕生日おめでと〜〜〜!!!!!」」

 

数多い仲間の声が部屋に木霊したのだ

ひらひらと宙を舞う紙吹雪。紗の頭にかかる赤い紙テープは紗の困惑した顔をよく囃している

綺麗な装飾に誕生日おめでとうと大きく書かれたカードが天井や壁を華やかに彩る

―誕生日?誰の?と困惑する紗にルイはこういった

 

ルイ「今日は紗がスバル先輩に名前をつけてもらってから一年だよ。だから誕生日!」

紗「あ、そういう――」

ラプラス「紗来てくれ!吾輩頑張って作ったんだ!」

 

そう言ってラプラスはテーブルを指さしてにこやかに笑う

そこにはハンバーグとオムライス。ありとあらゆる料理が所狭しと並んでいた。わぁ〜と思ってこれはラプラスが作ったのかと聞くと、「吾輩だけじゃないぞ!」と手を広げると、みこと星街がバァーーンという効果音が合うような恰好をする

 

みこ「みこたちがオムライスを作りました~」

 

―昼に何が好きかと聞いてくれたのはこういう理由からだったのか

紗は椅子に座って料理を食べる。みんなが作った料理はとてもおいしく、心が温まる物だった

紗がものすごくおいしいと口に出すとみんな笑顔で喜ぶ。そしてみんなで会食が始まった。

「それあてぃしが作ったやつ!」「それはちょこが作ったのよ」と騒がしく会話する。どうやらいろんな人がこの料理に手をかけているようだ

 

みんなが満腹になりすこし休憩している時、こよりが進行を始めた

 

こより「ではみなさーん!ここでプレゼント会を始めたいと思います!」

「「いえーーい!!」」

 

盛り上がったみんなは自分が持ってきたバッグからプレゼントを取り出して紗に手渡す

 

まつり「まずはまつりからこれ!」

紗「これ――まつりさんとおなじリボンじゃないですか!」

まつり「そう!欲しいって言ってくれたから!」

紗「ありがとうございます!では早速…――どうですか?」

 

まつりの初期衣装のリボンを紗はポニーテールの髪留めとして後ろで結ぶ

その姿は普段とはまた違う雰囲気をみせる。まつりや他のホロメンはドキッとする。仕事中や家事をしている時はいつも髪を結んでいるものの、ただの黒い髪留めで結んでいるだけ

それがちょっとだけおしゃれ目になるだけで、印象がぱっと明るくなる

 

まつり「かわいい…」

紗「ありがとうございます♪」

ロボ子「ボクからはこれをあげる~」

 

そういうロボ子の手にあったのは、ロボ子っぽい色のゲームコントローラーだった

話を聞くと、それはロボ子愛用のコントローラーらしく、感度や反応速度も高くてかなり使い心地のいいものだそうだ

 

紗「そんないいものを私に―」

ロボ子「あとでいっぱいゲームしようね」

紗「はい!」

そら「次は私!――紗ちゃん、ちょっと目を瞑ってくれる?」

紗「はい?――」

 

そういって紗は目を瞑ると、そらは紗の目の前まで寄って紗の首に何かをかける

目を開けてと言われた紗のは首にかかっているものを手に乗せてみた。それは銀色のペンダントで、エンドパーツのアクセサリーは青い石がホロライブのマークのような形になっている

これはと思った紗にそらは説明を始めた

 

そら「私たちホロメンとスタッフからの贈り物!真ん中の石はターコイズ。『災いから身を護り、行動する勇気を与える』っていう意味があるの」

紗「みなさん…ありがとうございます!」

 

紗がぎゅっとペンダントを握ると、ルイがまだおわりじゃないよ!と言って大きなケーキを目の前に出した

綺麗でおしゃれな飾りつけに、紗が先ほど買ってきたイチゴも飾られていて、とてもおいしそうだ

そのケーキを見ていると、なんだか胸が温かくなってくる。こんなにいろんな人に支えられていることが実感できたし、今日は最高な日になった




誰かに内緒で準備するって楽しいですよね


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記録:開店!ホロ食堂!

UA50,000記念の作品です


毎朝紗が立つキッチンから、ジュージューと料理のいい音が響き渡る

朝起きるみんなが食べるための朝ごはんと自分や、日中仕事に行く人にお弁当を作ったりしているのだ

今日、日中活動するのは紗1人だが…何故か弁当が2つ並んでいた

 

紗「よし!見栄えもバッチリ!」

 

綺麗に弁当を包み、カバンへとしまう

そして朝食を起きてきたいろはやラプラスと食べてからホロの事務所へと出勤した

 

 

 

――昼

ようやくなった昼。紗はふたつの弁当のうちひとつを持ってとある人の机へと向かう

その人は真剣そうな顔でパソコンとにらめっこしていた

 

紗「…Aちゃん、今お時間ありますか…?」

Aちゃん「ん?あぁ紗さん。どうかしましたか?」

 

話しかけられたAちゃんは1度手を止めて紗の方を向く

その表情には若干疲れが見えるような…気もしなくない。まぁEXPOも近づいているし、忙しくなっているのはたしかだろうけども…ちゃんと食べているのだろうか…?

 

紗「あの…お昼の時間になったのですが…」

Aちゃん「おや、もうそんな時間…」

紗「Aちゃん、お弁当作ってきたので良かったら一緒に食べませんか!?」

 

そう誘うとAちゃんは少し固まった。聞こえてなかったのかな?

もう一度復唱しようとすると、「いや聞こえてますよ」と突っ込まれたが、Aちゃんは弁当を作ってきてくれたことはもちろん、一緒に食べましょと誘われたことに驚いたみたいだ

―でも仕事が…とAちゃんがパソコンをチラ見すると、紗は「ちゃんと食べて休む事も大切ですよ!」と前のめりになって言うと、さすがのAちゃんも折れたみたいだ

 

Aちゃん「分かりました、ではあそこのデスクで一緒に食べましょうか」

 

そう言って2人はデスクに座り弁当を広げた

Aちゃんからしたら人から作ってもらった弁当を食べるのは、いつぶりだろうか。そう思い蓋を開ける

中から現れたのは綺麗な卵焼きやソーセージ。葉野菜のサラダなどヘルシーな見た目が綺麗に光っていた

Aちゃんはいただきますと手を合わせて紗の作ったご飯を口に運ぶ

 

Aちゃん「!!」

紗「ど、どうですか?」

Aちゃん「うまぁ…人のご飯の味だぁ…(;-;)」

 

感極まって泣いてしまったAちゃん。話を聞けば最近はコンビニの弁当やらカップ麺やら簡単に食べられる食事を取っていたらしい

 

Aちゃん「こんなに美味しいんなら毎日食べた…―――」

紗「…どうかしましたか?」

 

急に動きが止まったAちゃんに紗は話しかけると、Aちゃんは箸を置いてこういった―「社員食堂やらない?」

突然言われたその言葉に紗は驚くも、Aちゃんの目は本気だ。冗談で言っている人の目には見えない

―簡単にAちゃんの提案をまとめると、紗のご飯が美味しい→毎日食べたい→昼食→社員食堂となったみたい

 

紗「悪くは無いですけど…さすがに毎日は…」

Aちゃん「わかった!毎週水曜日のみの限定販売にしましょ?!そうすれば、1週間の真ん中で美味しいものが食べられるし、1週間に1回だからウキウキしながら昼食を待つことも可能!(?)」

 

意気揚々と提案するAちゃんは、見ているだけでも熱量が伝わってくる。美味しいといいながら食べ終わったAちゃんは、ご馳走様と手を合わせた

 

Aちゃん「それで、紗さんどうします?」

紗「うーん……水曜日だけと言うのであれば…」

Aちゃん「やった!では私は企画書を作成してきます!」

 

そうしてAちゃんはウキウキな気分でデスクへと向かっていった

 

―その後の事だが、Aちゃんが提案した社員食堂はとんとん拍子で進んでいき、ついに社員食堂が完成した!

毎日コンビニ弁当や、カップラーメンの人にとってうれしい施設になったようだ

料金は社員であれば無料。システムは食べたい料理をメニューから選んで番号札を呼ばれるまで待つという仕組み

 

「生姜焼き定食一つ」

紗「はーい!番号札をもってお好きな席でお待ちください!」

 

注文された料理を素早く料理して番号を呼ぶ

メニューは和洋中とかなり幅広い。初日だからか社員食堂はものすごく繫栄しており、慌ただしい雰囲気が出ている。だが紗は自前のマルチタスク処理と料理の腕前で着々と作って呼んでを繰り返せる

これもルイの効率的な仕事の進め方だ

と料理しながらの紗に誰かが話しかけてきた

 

「賑わってるね~」

紗「あ、ルイねぇ!」

ルイ「やっほ~!」

 

そういってルイはカウンターに肘をついて手を振る

なにか手伝おうか?と首を傾けて聞いてくる。紗は撮影とかあるんじゃないの?と聞くと、ルイは今日はあと帰るだけだから大丈夫!と言ってくれたので、ルイには受付を頼むことにした

 

紗「ルイねぇ、これ10番の生姜焼き」

ルイ「はいよ~番号札10番でお待ちのお客様ー!」

 

ルイの通った声が食堂に響き渡る

すると、あくあと一緒に銀髪の少女がにこにこした顔でルイと会話していた。料理が一通り終わった後、紗はルイに呼ばれてカウンターの方に向かう

 

ルイ「紹介するね、こちら紫咲シオン先輩です」

シオン「よろしく~紗ちゃん」

紗「よろしくお願いします。せっかくですし、なにか食べていきませんか?」

シオン「んーじゃオムライスたのもっかな~」

 

にやにやしながら言うシオンにあくあは「紗ちゃんのオムライスめっちゃうまいから!」と自信満々な顔で説明していた。それに対するシオンはシオンは味にはうるさいよ?と一言、番号札を持って楽しそうに席へ座った

紗はラプラスにも負けないお子様みたいだなと思いつつ、いつも通りオムライスを作る

出来上がりに近づいてきたとき、ルイが助言してきた「オムライスにあくしお♡って書いてあげてw」と言われたため、紗はオムライスにあくしお♡と描き、それを二人の座る席まで持っていった

 

紗「お待たせしました~」

シオン「あ、ありが…と…?」

 

書かれた文字にシオンは目を丸くし、それを見た後にオムライスを見たあくあも思考が停止した

そして不思議そうな顔でどうしてこれを書いたのかと問われる。紗はルイねぇがこれを書いてあげてって言われたと言うと、シオンは「ねぇぇぇぇ!!!」と声を漏らした

 

そしてシオンがオムライスを食べると、小さな声で「美味しい…」と呟き、紗がわざと味はどう?と聞くとシオンは胸を張りながら

 

シオン「ま、いいんじゃないですか?」

 

と言いつつも美味しいという目をしながらオムライスをがっつくのだった




アンケートには料理屋と書きましたが、店舗を持つのはハードルが高いと思いましたので、社員食堂にしてみました


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ラプラスの記憶:記憶の果て

これはラプラスの残ってる記憶。世界を掌握する少女の物語


……ただ暗闇の中を漂っているだけだった

記憶にあるのはそれだけ。過去の記憶や力は腕についた枷によってロックされている

私は何者なのであろうか。私は何処から来たのか。その全てが思い出せず不安だ

 

―でも、いつかは分かるだろう。私が生きてきた意味が――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラプラス「ん……―――」

 

ラプラスは腰まで濡れる波の感覚で目を覚ました

ここはどこなのだろうか――水で濡れた体を起こしてあたりを見る

群青の海、聳え立つ大きなヤシの木。カンカン照りの太陽と白い砂浜―――どうやら南方の島に漂着したみたいだ

―なぜここにたどり着いたのだろうか…ここに来るまでの記憶がない

 

ラプラス「私の名前は―ラプラス・ディア・ダークネス…よし、言える」

 

自分の名前や大抵のことは言うことはできた

でも大事なことが思い出せない。何者で出生は何処なのか。どのような経緯でここにたどり着いたのかなど…

―今ある知識だけで考えた結果、単なる一時的な記憶喪失だろう。とにかく今は、現状把握と明日を生きるための努力をしなければならない

 

ラプラスは体や顔に付いた砂を払い除け、濡れた服を近くの木にかけておく。この島(仮)を探索するために、濡れた服を着続けるわけには行かないから

 

ラプラス「よしッ!探索開始ッ!」

 

木の棒片手に悠々と島を探索する

落ち葉に大きな朽ちた気。そして白骨化したなにかの亡骸と、ここで生態系が完成されているのが分かる。でも肝心の生きている生物が見当たらない

ふと上を見上げると、美味しそうな果物が木に実っていた

気になるラプラスはその木の実をどうやって入手しようかと思考を巡らせる。

石を投げて落とすか、それとも棒を伸ばして落とすか

そこでラプラスはひとつの案を思いついた

 

ラプラス「某森みたいに揺らせばいいんじゃね?!」

 

そう思ったラプラスは行動が早い。勢いをつけて木に飛び蹴りをしたのだ

ガサガサと騒がしく揺れる樹木。その揺れで果物が地面に落ちてきた!

果物を手にしてやったー!と喜んでいるラプラス。そこに怪しき影が…

 

ラプラス「♪〜♪〜…ん?なんかブンブン言ってないか?」

 

嫌なほど鳴り響くなにかの羽音。ラプラスが振り返ってみるとこそにいたのはかなり巨大な蜂の姿であった

そしてその下には巣と思われし残骸が…

 

ラプラス「ここここ、、こんにちは!今日はいい天気ですね( ˊᵕˋ ;)」

 

必死になって蜂を諭すが、自分の巣を壊されて怒った蜂は羽根をさらに羽ばたかせ、ラプラスを威嚇する

―このままではやばい!ラプラスは身の危険を感じ、蜂に背を向けて来た道を一気に走り駆けた

「壊す気はなかった」「私が治すからさ!」と蜂に問いかけても、蜂はその鋭い針をチラつかせて追いかけてくる

 

ラプラス「んも〜!執拗いやつは嫌われr――ってうわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

後ろを向きながら歩いていたせいで目の前にあった穴に気づかずに踏み外して落っこちてしまう

ゴロゴロと斜面を転げ落ちていき、やがて水たまりにボチャンと落下した。いてててと腰をさすって立ち上がる

そこは苔むした石とツタ等で構成された場所であった

うっすらと壁が光っており、なんだか幻想的な場所だ

 

ラプラス「なんかすげぇ気になるなここ…」

 

大きさは子供が遊べるくらい広い円形で、奥の方に盛り上がっている部分が見える。その場所だけに天井から光が差しており、特別な場所のようにもみえる

ラプラスはその光っている丘に行ってみると、そこには古びた立て札と真っ白い大きなキノコがあるだけだった

 

ラプラス「『嘗て人は獣と共に住んでいた。だが人は獣を食とし、獣を迫害した。獣と和解せよ』…なんだこれ」

 

訳が分からない立て札

まぁ、とりあえずキノコを採取して拠点(仮)に帰ることにした

 

 

 

ラプラス「はぁ…はぁ…キツかった…」

 

険しい山道をかき分け自分の服がかかっている海岸にたどりつく

そして火起こしをして暖を取り、先程採ってきたキノコを木の枝に差して日で炙る

休もう。大きな葉っぱを地面に敷いて横になる。綺麗な星空の下海風が心地よく肌に触れる

 

いつまでこの島にいることになるのだろうか。明日を生き延びるにはまだしなくてはならないことが沢山ある

食料問題や屋根のある家。そしてこの島を出る方法など…

 

ラプラス「お、キノコいい色じゃん」

 

白いキノコに綺麗な焼き目が付いていて、とても美味しそうだ

パクっ。ラプラスは1口頬張る

……美味しくはない。まぁただの調味料のない味付けないキノコだし、種類すら分からないのだから、それもそうかわ

と、ラプラスはいいことを思いついた!

 

ラプラス「海水に漬けてもう1回焼いたら塩味になるんじゃね?!私天才じゃん!」

 

るんるん気分でキノコを海水につけ、もう1回焼き直す

滴る旨みと海水の雫。こんがりと焼けたキノコは先程とは違い、美味しそうな匂いがムンムンと出ている

気になる好奇心を抑えながらまた1口食べるラプラス。その瞬間、目を真ん丸に輝かせた

 

ラプラス「うめぇぇぇぇぇぇ!!!!ガチ天才だわ。無人島料理人になれるくらいに」

 

満腹になったラプラスはゴロンと横になり、明日のことも考えられずにすやすやと寝息をたてて寝てしまった

 

「…吾輩の島に誰かがいる…?!」



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ラプラスの記憶:人の話を聞け!

これはラプラスの記憶。これからの運命を共にする烏との出会い


「おい!起きろ!おい!」

ラプラス「ん……?」

 

たけましいアラームを止めようとラプラスは上に手を伸ばし、アラームと思わしき物を押す

するとアラーム(?)は「いてぇ!やめろ!」と喋ったのだ。鳴り止まないアラームに痺れを切らしたラプラスはムクリと起き上がり、眠い目を擦ってアラームを見た

 

「やっと起きやがったな!?」

ラプラス「うるさいアラームだな…こんなの買ったっけ…?」

「寝ぼけてるのか?!吾輩はアラームじゃない!!それとここはお前の部屋じゃないぞ!」

 

そう言われてラプラスはそういえば無人島に流れ着いたことを思い出す。そして目の前にいるアラームだと思っていたものは…緑色の目の黒いカラスであった

よく見るカラスとは全く違う姿のカラス…ラプラスは奇妙に思って名前を聞く

 

ラプラス「…君…だれ…?」

「吾輩はこの島を支配している――」

ラプラス「―焚火…完全に鎮火しちゃってるな…」

「話をきけぇぇぇッ!」

 

わーわー喚くカラスの脇にラプラスは焚火の後姿を見る。少しの炭と真っ白な灰。今夜は火を起こすのに少し苦労しそうだ

…でなんの話だっけ?

 

「吾輩はこの島を支配してるんだ!吾輩の島に勝手に―」

ラプラス「あ、すみません。気づいたらここに流れ着いてて…」

「え、そうなの?それは大変だったな…」

 

ラプラスはいきなり同情してくるカラスに少し驚く。いまさっきまで吾輩の島がどうたらこうたら言っていたのにどうして同情するのかと聞けば、カラスは開拓しようと侵略してきた余所者かと思っていたから追い出そうとしていた。不可抗力で流れ着いたのなら話は別だと

 

「…吾輩がおまえが帰れるまで傍にいてやろう」

ラプラス「え!?いいの?!」

「おう!吾輩、こう見えても――」

ラプラス「ありがとうカラス!!!!」

「カラスじゃねぇよ!ってか話聞けよ!」

 

このカラス…よく喋るなぁ…ツッコミも鋭いし。というより…このカラス…なぜ日本語を話せるんだ?よく考えたらおかしなこと

普通に接していたからラプラスは気づかなかったが、カラスが日本語を喋るのはおかしい。インコではあるまいし

もしかしたらイカにちょっかい出して真っ黒になってしまったインコの可能性……はないな

 

ラプラス「…ねぇ、なんで言葉が話せるの?」

カラス「あ?吾輩は言葉なんか話してねぇよ。お前が分かるようになっただけじゃないか?」

ラプラス「私が分かるようになった…?」

 

昨日まで分からなかったのに突如として覚醒した能力

これは異世界転生並に驚きの展開だ!でもどうして突然…思考を巡らせるラプラスは、ひとつの結果にたどり着いた

―昨日食べたあのキノコが生えていた場所にあった立て札。そこには「獣と和解せよ」みたいなことが書かれていた。もしかしたらその影響もあるのかもしれない

 

と、考えるラプラスの耳にあの嫌な羽音が聞こえてきた

体を島の中心の方、つまり森と対面すると、そこから昨日のデカバチが木々の合間を縫って現れた

蜂は空中で止まりこちらを睨むようにしてホバリングする

カラスはラプラスの目の前に、パタパタと小さな羽を震わせて蜂の目の前にたった

 

蜂「どけ孤高の王!!そいつは私の家を荒らした!断じて許されることでは無い!」

カラス「落ち着k―」

蜂「否!落ち着けぬ!私の特別に気に入っていた家が壊された恨みは落ち着いてどうかなるものではない!」

 

蜂が土煙が立ち上るほど羽をはためかせる。その感情が目でもわかるようだ

ラプラスは煙たい土煙に逆らって蜂の前に立った。そして蜂に向かって頭を下げた

 

ラプラス「貴方が気に入っていた家を壊しちゃってごめん…お詫びといえばいいかわかんないけど…貴方の家、私に作らせてくれませんか?」

蜂「…人の子――いや、お前は人では…」

ラプラス「?」

蜂「よかろう、貴様の気持ちをくんでやる。私の家を作ることを許可しよう。ただし――逃げたりした場合…わかっておるよな?」

 

そういって蜂は尻の針をぎらつかせる。あれを食らったら最後………だろう

蜂はラプラスに背を向け、山の方へと帰っていった

ごくりと唾を飲み込んだラプラスにカラスは近寄って思いを語る

―あの蜂を納得させるとは…ヤツの心が広かったのか、それともラプラスの思いの強さが伝わったのか…

どちらにせよ自分の話を一切聞いてくれなかったなと少し悲しく思うところもある

 

ラプラス「そういえばカラスさ」

カラス「だから吾輩は―まぁいいや、なに?」

ラプラス「あの蜂から孤高の王って呼ばれてたけど、なんか意味あるの?」

カラス「……気にすんな」

 

カラスはそう言ってどこかへと行ってしまう

言いたくない理由でもあるのだろう。そう思うことにして、ラプラスはどうやって蜂の巣を作るかを検討することした

 

 

そして数日…数ヶ月…必死になって蜂が納得する家を作ることに時間を費やした。

あいにく時間はたくさんあるから、沢山考えることが出来るし、やり直しも可能だ

そういや最近カラス見てないが――まぁいろいろあるのかな

 

今まで何回作り直したか覚えてないが…

 

蜂「ふむ…これならば私が住むのには苦労しないな」

ラプラス「!―やっ……たぁぁぁぁ!!!!!」

 

ついに作った家が蜂から認められた。借り(?)を返すことに成功したのだ

ちなみにラプラスが作った家は、元々の蜂の巣のようなものではなく、地面を掘って蜂の巣状のハニカム構造にして作ったもの。その土に木を混じらせて元々の蜂の巣みたいな雰囲気にしてある

これぞ匠の――…

 

蜂は地面へと座り、ラプラスに腰の綿の中から容器に入ったはちみつを手渡してくれた

 

ラプラス「これは?」

蜂「私から贈る少しばかりの礼だ。よくぞ完成させたな」

 

この時、ラプラスは改めてこの蜂のことを知った

最初は怒らせてしまったが、かなり人情がある。昔の口下手な大工の棟梁みたいな感じ

少し苦手な意識があったけど…今は違う。いい人(蜂?)なんだなと改めて思う

 

そして蜂はそれだけでなく、少し着いてこいと言って巣を後にし、砂浜へと向かっていった。ラプラスも何かあるのかと思いながらそこへ行くと、真っ白な砂浜にあったのは大きな丸い船

まるで一寸法師かと言わんばかりのその大きな船は、ラプラスが蜂の巣を作っている時に、作り上げたものだという

 

蜂「いずれこの島から出ていくのであろう?ならばこの船を使うといい。私の超最新的で最高な防水性のこの船はいかなる嵐でも大丈夫だと思っている」

ラプラス「…私のために?」

蜂「そうだ。お前には世話になったからな」

ラプラス「――本当にありがとう!!!!」

 

そういってラプラスは蜂に抱きついた

ふさふさな蜂の毛がラプラスを包み込み、暖かな布団に包まれている感覚がして眠りそうになった

礼を言うべきは私なのに―そう思う蜂は優しくラプラスを抱きしめた

 

 

―夜

簡易的に作った家の中、ラプラスは横になって眠りを待つ

今日はいい日だったな。そんな感情を持ちながら今日の出来事を思い出す

そんな時、最近見えなかったカラスがバサバサと翼の音を羽ばたかせて家の前に降り立った

 

ラプラス「お、カラス。久しぶり」

カラス「…そうだな」

ラプラス「寂しかったんだよ?」

 

カラスはラプラスに背を向ける。まるでラプラスから離れたいと言わんばかり

そしてカラスは、夜の寂しい空に向かって口を開き始めた

 

カラス「お前、いつかはこの島を出るよな?」

ラプラス「今すぐってわけじゃないけどね」

 

そっか。と一言寂しそうに言う

 

カラス「その時が吾輩との最後だな」

ラプラス「最後…?」

カラス「吾輩は孤高の存在だ。それに対してお前は社交的でみんなに好かれる。反対の存在なんだよ」

 

孤高の存在――いがみ合いがあったわけでもないのにその言葉。そして突き放そうとするその様は、まるでなにかにとり憑かれているみたいに

でもよく考えれば、蜂と関わってばかりでカラスと関わる機会は少なかった。もしかしたら嫉妬しているのかもと思ったが…それを口に出すのは違うと思い口に止めておく

 

ラプラス「だからって…お別れなんかじゃないよ」

カラス「…いやここで別れておいた方が――」

ラプラス「"帰れるまで傍にいる"――最初に会った時に言ってくれたこと忘れてないよ」

カラス「………」

 

カラスはその言葉を聞いて静かになってしまった

帰れるまで傍にいるって言われたこと。私は忘れてない

それに…―――

 

ラプラス「カラスは群れてこそだしね」

カラス「カラスじゃねぇよ!!!」

 

そうそう。この反応こそカラスだ

これからもこいつと仲良くやっていこう




沢山の誤字報告ありがとうございます!そしてすみません…
今更ですが、今年は新しい取り組みと今までやってこなかったことに挑戦しようと思ってまして、X(Twitter)にてこの小説に使うかもしれない絵とか、この小説や外伝作品の【鷹嶺の記録】の投稿告知などを行うアカウントを開設しました
そっちの方で感想や子のキャラ出してほしい!などの意見も受け付けますので、今後ともよろしくお願いします

ほがみ✍ @ Hogami_pic

まだひよっこのこのアカウントでやっていますので良ければフォロー願いします


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ラプラスの記憶:流れ着いた先

み、みなさん…お久しぶりですね…
私のこと覚えていらっしゃるでしょうか…?
最新更新が約一カ月前なので、記憶から抹消されているかも

改めまして、ほがみと申します
pixivやホロプラスでホロのイラストの投稿や四コマ漫画を描いていたら、いつのまにかEXPOが開催されていて、全然小説を更新できなかったことを反省しております




どんぶらこどんぶらこと海の波によって縦に横に揺られて流されるラプラスとカラス

先日意気揚々とあの島から旅立ったのだが―――

 

 

 

 

 

―――先日

 

蜂「気を付けていくんだぞ」

ラプラス「見送りと食料(はちみつ)ありがとうね」

 

蜂からもらった船に積まれたはちみつを指さして礼を言う。船だけでなく、自らの食料であるはちみつもプレゼントしてくれた蜂には頭が上がらない

蜂はカラスをみて少し微笑んだ

 

蜂「孤高の王にまさか友人ができるとはな」

カラス「失礼だな。吾輩にも友人はいる」

ラプラス「それじゃ、私たちは行くよ」

蜂「あぁ。行ってらっしゃい。無事を祈ってるよ」

 

そう言って私たちは船を出して大海原へ船を出した

数多の生物と会うため、そして―自分(ラプラス)を知るために―

船のオールを駆使して大海原を着々と進んでいく。すでに今まで住んでいた島は見えなくなり、すこし哀愁の念が心にある。でもこれからは先を見て行かなきゃ

 

一旦漕ぐのはやめて、食糧調達に専念しようと思い、出発前に船に積んでおいた釣り竿で魚を釣る

思いのほかたくさん釣れた!カラスがその魚を簡単に捌いて干物にしようと干し始めた

 

 

まぁそんな日々が続いて一週間が経った頃…最悪の事態が起こった

真っ黒な雲に冷たい風。遠くからは獣の泣き声かのような雷轟が聞こえてくる。まずいかなーと思ったのも束の間。波は行く手を阻もうとするほど高く荒れ狂いはじめ、スコールかのように突如冷たい雨が降り始めた

この船には屋根などない。だから必死で漕いでどこかに避難しなくてはならないが…

 

ラプラス「島なんてないし!!!!ヤバイぞ!!!カラス、私の服の中に――うわッ!!!」

 

2人は荒波に飲まれ、姿が消えてしまった

波に揉みくちゃにもまれ、上も下もわからなくなると、やがて二人は気を失ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ちょっと大丈夫?」

ラプラス「―う…」

 

女性の声でラプラスは目を覚ます

久しぶりに見た晴天の太陽――最後の記憶は、荒波にさらわれたような記憶がある。つまりは、また何処かに流れ着いたのだろう

そしてこの女性に心配そうに見ている女性に助けられたのだろうと察する

 

ラプラス「あのありがとうございます」

「本当に大丈夫?ぷかぷかと海を漂ってたけど…」

 

スーツを着た女性は、よく見ればかなりの美形。ピンクっぽい髪は先端にかけて白くグラデーションされている

でも…なんでこの人はこんな海辺にいるのだろうか。しかもその場に合わない砂辺にスーツ…なにか悩みでもあるのかと思ったラプラスは、自己紹介と共に少し聞いてみることにする

 

ラプラス「私はラプラスです。訳あって漂流しちゃったんですけど、貴女はどうしてそんな格好でここに?」

 

すると女性は少し曇った笑顔でラプラスに顔を向けた

それはどこか聞かれたくないような悩みがあると言わんばかりの顔だったのが気がかりだが…

 

「私も訳あってここに。というより…これからどうするの?漂流したのなら行く当てないでしょ?」

ラプラス「最悪の場合野宿するんで、多分大丈夫―――」

「―良ければだけど、君の居場所が定まるまで私の家に来ない?」

 

ラプラスは女性からかけられたその言葉に少し不信感を感じる。もしかしたら、なにか企んでいるのでは?と頭の中でいくつか案が出てきたが、女性のその表情はなんだか疲れているように見え、その表情からはどうも何かを企んでいるようには見えなかった

もっとよく観察してみると、目元には隈があり髪も少し乱れているような…

 

ラプラス「…本当にいいんですか?」

「もちろん」

ラプラス「誘拐とかじゃない?」

「誘拐じゃない」

ラプラス「―お願いします」

 

そういうと女性はにこっと笑ってラプラスの頭を優しく撫でた。そして小さいラプラスの手を引き、自宅へと案内してくれた。その様子は、傍から見たらまるで親子のようだ

服が濡れているため、女性が付近の服屋で服を買ってきて、着替えた後歩きながら女性といろいろ話した

 

―名前は鷹嶺ルイ。近くの都市にある会社に勤めているらしく、自宅(アパート)もその近くだそう

部屋の前に立った時、ルイは何を思い出したかのように「あ」と声を出した

 

ルイ「言うの忘れてたんだけど私の家に鳥がいるんだけど…」

ラプラス「大丈夫!私も鳥の友達いるから」

 

そういって抱きかかえているカラスを見つめる。未だカラスは起き上がらない。心拍からして生きてはいるようだが…心配だ

ルイは我が子を見るような表情で微笑んだ。そのあと、ルイはガチャりと鍵を開けてラプラスを自宅へと招いてくれた。ルイの自宅はごみ一つないほどきれいで、ラプラスは驚く

玄関だけでもこの綺麗さ。余計な飾り気のないその装飾は言葉を失いそうになる。他の部屋はもっときれいなのかもしれない

 

ラプラス「すごく綺麗ですね」

ルイ「ありがと。お洋服洗濯するから先に部屋で待ってて」

ラプラス「はーい」

 

そういわれてラプラスは奥の扉を開ける

するとそこはベッドと小さな机、そして鳥が3匹止まっている止まり木が置いてあった

 

「…ルイの友人か?」

 

真ん中のフクロウみたいな鳥がラプラスに話しかけてきた

その隣の小さな白い鳥は不思議そうに首を傾げる。とても可愛い

 

ラプラス「友人というかなんというか…」

「ワシの声が聞こえとるのか?」

ラプラス「うん――あ、そっか。普通の人は聞こえないのか」

がんも「…普通のー…面白いな。儂はがんも。あやつールイの世話役だ。お前の名はなんという?」

ラプラス「私はラプラス。今抱いてるのはカラスって名前」

カラス「…吾輩はそんな名前じゃないぞ」

 

むくりと体を起こしたカラスはがんも達に挨拶をし、自分たちがどうして彼女に救われたのかを丁寧に説明を始めた

 




つくねとつみれって話せたっけ?でも仕草だけでもかわいいからいいか


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ラプラスの記憶:急襲

がんも「…なるほどかなり苦労してきたのだな」

 

カラスからラプラスの出来事を聞いた後そのようにつぶやいた

 

ラプラス「貴方はどうしてルイさんといるの?捕まえられた――ってわけじゃなさそうだけど」

がんも「昔からの知り合い――ってところだな。あやつがまだ小さく実家にいた時から面倒を見ていた。儂にとってあやつは孫みたいなものだ」

 

ふんっっとなぜか胸を張るがんもだったが、その表情にはすこし曇りが見える

それはつい先ほど見たルイの曇った笑顔とよく似ている――子は親に似るというのはそういうことか

ラプラスは、ルイには聞けなかった質問をがんもに聞いてみようと思う

――なんだか悩み事がありそうだけど、どうかしたのか?と

 

がんも「…気のせいなのかもしれぬが…最近ルイの元気がなくてな。心配なんだ」

ラプラス「たしかに元気なかったかも」

がんも「初対面の君にいうべきではないのかもしれぬが、あの子の悩みを解決して貰いたい。そして困っていたらルイを助けてやってほしい」

ラプラス「…任せて。ルイさんから助けてもらったんだもん。その恩を返さなきゃ」

 

そんな話をしていると、洗濯が終わったルイが秘密の話してるの〜?と部屋に入ってきた

がんもはラプラスにルイの方に合図するかのようにグイッグイッと嘴を動かす。どうやら仕掛けてみろ…ということか

 

ラプラス「あの、ルイさん」

ルイ「ん?なに?」

ラプラス「困ってることあったらなんでも言ってください。ルイさんに助けられたので、恩返しがしたいと思ってて…」

ルイ「……」

 

そういうとルイは微笑みながらラプラスの頭を撫でた

 

ラプラス「?????」

ルイ「ありがとう。困ってることか〜うーん…人が増えてご飯も多くなることかな?ラプラス、手伝ってくれる?」

ラプラス「うん!」

 

料理は苦手なラプラスだが…ルイに迷惑かけないように必死に自分にできることを頑張った

 

 

 

ルイ「おはよ……」

ラプラス「おはよ!」

 

ルイの家に住むようになって何カ月か経った。…ココ最近のルイの表情はどこか浮かばないように見える

ここは!私ラプラスが元気づけなくては!

 

ラプラス「いつも!お疲れ様!お弁当つくったんだ!」

ルイ「え?ほんとに?」

ラプラス「うん!これ」

 

そう言って差し出されるのは、おにぎりと思わしきものと弁当箱が包まれた弁当だった

身内以外からの初めての弁当。しかもずっと恩返しがしたいと言っていたラプラスからのプレゼント。ものすごく嬉しくなって心が明るくなったように見える

 

ルイ「―ありがとうラプ。さ、一緒にご飯食べよっか!」

 

ルイはこの健気な子に迷惑をかける訳にはいかないと思い、その時とある決断をした。今後の生活に関わるほど重大な決断を――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイが仕事に向かって数時間が経った

家は以前静かだが、ルイが買ってくれた漫画や連絡用のスマホで暇をつぶしていた

横になりながら動画を見潰すラプラス

 

ラプラス「あははwこれ面白いなぁw」

 

そんな時、いきなりスマホが鳴り響き、ラプラスは驚いてスマホが宙に舞ってしまう

トントントンと何度か弾かれるスマホは、やがてラプラスの手に収まり、その音の正体が分かる。それはルイからの電話だった

彼女が日中に電話をかけてくることは珍しい。なにか忘れたことでもあったのだろうか…

 

ラプラス「はいはい〜こちらラプラスでござ…」

ルイ「ラプ!今すぐそこから逃げてっ!」

ラプラス「え?なんで?」

ルイ「説明してる暇はないの!早くーーんもぉ!しつこいっ!」

 

突如切られる電話。ルイの声の後ろからは、何やら銃声のような音も聞こえたが………

ーーピンポーン。と次は部屋の呼び鈴が鳴った

宅配便かなと思ったラプラスは、重い腰を上げて玄関へ向かおうとすると、がんもがいきなり叫んだ

 

がんも「行ってはならんッ!!」

ラプラス「へ?」

 

がんもの方を振り返った途端、ドアが猛ましい音を立てて爆発した

何が起こったのか理解出来ないラプラスに、目の前にいる何者かの力に息を飲むがんも。

そして煙の中から考えられないような大きさの大男が現れた

黒いコートを着て、紳士の方な帽子をかぶっている血の気のない男は、ドアフレームを掴むと、メキメキと音を立てていとも容易く広げた

 

ラプラス「た、たたた…タイ〇ントだぁぁぁぁ?!?!」

大男「………」

 

首を慣らすかのように首を曲げて歩いてくる大男…ラプラスは這うように部屋の奥に行き、どうにかして逃げることを考える

がんもは自分の羽を武器にするようにその大男に飛ばして攻撃したが、一向に効いてる様には見えない

怒りの矛先をがんもに向けた大男は、その拳をがんも目掛けて振るうと、ひょいっと避けたがんもには当たらず、そのまま壁に激突し、ボロボロと壊れてしまった

 

がんも「ここは逃げるぞ!」

ラプラス「あ、足がすくんで…」

大男「……」

ラプラス「いや…来ないでっ!」

 

目の前に立つ大男がラプラスに向かって拳を振る

もう当たってしまう!と思ったその時、ラプラスはその拳が当たる前に宙に浮き、攻撃を回避した

何故宙に浮いたのか分からなかったが、背中に違和感があると思い、横目で見ると、カラスがラプラスの体を浮かしていたのだった

 

ラプラス「カラス…」

カラス「さっさと…歩けッ!」

 

カラスに放り投げられて建物の外に出た

ごろごろ転がり服が汚れた。振り返って部屋の方を見ると、先ほどの大男がこちらを見て佇んでいた

それに恐怖したラプラスは、今度こそ腰を上げて一直線に走り去った




新生活が始まりましたね。私も社会人になったので、小説投稿の頻度が落ちるかもしれませんということを報告させていただきます

それに伴って(?)、みなさんからの質問などを匿名で書けるマシュマロを開設いたしました!回答は、私のXアカウント@Hogami_picにて回答します
この物語に関することでもいいですし、聞きたいこと何でもいいですよ

みなさん、今度ともほがみをよろしくお願いします
マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/4jge70rl7hd9dbt?t=pp7UUy&utm_medium=url_text&utm_source=promotion


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