CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE (wataru012)
しおりを挟む

タウンカップ編~少女との出会い
ガンプラバトルへのFIRST STEP


20XX年…人類の宇宙への旅立ちの起点となる静止軌道ステーションと

地球とステーションを繋ぐ軌道エレベーターが完成してから1年。

 

とはいえ安全性を初めとする様々な議論が続いている事もあってか

使用用途は限られており、市井の人々の大半は生活に大きな変化が

起こる事もなく変わらぬ日常が続いているという状態であった。

 

そんな年の3月。

 

東京都の23区を離れた所にある1つの街、

彩渡市の中心街である駅前通りからは離れた場所にある

1件のゲームセンター…イラトゲームコーナー。

 

そこに、初来店となる2人の女性が入店した。

 

「えーと…お、ありましたありました」

 

「あれがガンプラバトルシミュレーターですか…

 こうして実物を見ると、結構大きいですね」

 

ガンプラバトルシミュレーターの筐体を目にして、

その大きさに驚きの声を上げる2人。

そんな2人に、1体の人型ロボットが近付き声をかける。

 

「初めてのお客様ですね、ご来店ありがとうございます」

 

「こ、こちらこそ…比奈さん、これってロボットですよね?」

 

「あー、『ワークボット』っていう作業用の人型ロボットっスね。

 ここ最近大量生産の技術が確立して価格がお手頃になった事で

 中小企業や自営業にも広まりつつあるとニュースで言ってましたが、

 こんな所でお目にかかれるとは正直予想外だったっス」

 

「少し昔にはロボットによる接客を売りにしていたお店があったと

 聞いた事がありますが、これからは当たり前になっていくのでしょうか」

 

このゲームセンターの店員であるワークボット「インフォ」の

姿を見て2人がそれぞれ驚きや関心の声を上げていると、

店の奥から1人の老婆が2人とインフォに近付き声をかける。

 

「見ない顔だねぇ…ま、ウチに金を落としてくれるなら誰でも構わないけどね」

 

2人を品定めするような目つきで見回した後にこう言うと、

老婆は再び店の奥に引っ込む。そんな様子に2人は少しの間

呆気に取られていたが、気を取り直すように小柄な女性がインフォに尋ねる。

 

「あのお婆さん、もしかしてここの店長さんでしょうか?」

 

「はい、この店の店長であり私のマスターでもある『イラト』という方です」

 

「なるほど、店名は直球に店長の名前から名付けられたんスね」

 

「そういう事になります」

 

「質問への回答と説明、ありがとうございます。

 …そろそろガンプラバトルシミュレーターに移動しましょうか」

 

「そうっスね、泰葉ちゃん」

 

「ガンプラバトルシミュレーターのプレイですね…

 只今全ブース空いておりネットワークの問題も発生しておりません」

 

「重ね重ねありがとうございます」

 

「ども、どうやらタイミング良かったようでスね」

 

インフォの質問への丁寧な返答に感謝の言葉を返しつつ、

ガンプラバトルシミュレーターへの移動をしようとする

2人に現在の状況を伝えるインフォ。重ね重ねの丁寧な対応に

再度感謝の言葉を返しながら2人は1つのポッドへと進んで行った。

 

~~~~~

 

「えーと、まずは…」

 

「とりあえずレバーに付いてるボタンをどれか押すっスよ、泰葉ちゃん」

 

「あれ、比奈さん?」

 

「公式ホームページで説明されてましたが、本当に外からプレイヤーに

 話しかけたりプレイ中の画面を見る事も出来るとは驚きっスな…」

 

ポッド内に入り、どうやってプレイを開始するかを思い出してる時に

不意に比奈の声が聞こえた事に軽く驚く泰葉に返答する形で

比奈は外部からの会話や観戦が可能な事に驚嘆の声を上げる。

 

「驚かせちゃいましたけど、ゲームプレイが始まれば会話を切ったり

 画面を見せないようにも出来るので…少しだけ我慢して欲しいっス」

 

「いえいえ、私も一緒にホームページは見ましたがこの機能の事はすっかり

 忘れてましたし…プレイ出来るようになるまで、ナビをお願い出来ますか?」

 

「了解っス」

 

その後、比奈の助言を受けながらプレイヤーデータ登録に始まり

ガンプラ登録とEXアクション・オプション武装の設定を済ませ…

泰葉はいよいよ、最初のミッションに出撃しようとしていた。

 

「外部との音声会話と画面公開はONのままで良いんスか、泰葉ちゃん?」

 

「はい、そちらに私のプレイを見てもらってアドバイスして頂ければと」

 

「いえいえ、アタシもこのゲームに関しては泰葉ちゃんと同レベルの

 ズブの素人なので…まずは泰葉ちゃんの思うままにプレイして下さいっス」

 

「ありがとうございます、それでは…」

 

筐体外の比奈と軽く会話を交わした泰葉は、ミッションへの出撃を選択する。

そうすると目の前の画面に自分が組み上げた「初めてのガンプラ」である

ガンダムエクシアがカタパルトに移動し、発進しようとする姿が映し出され…

 

「岡崎泰葉、ガンダムエクシア…行きます!」

 

泰葉のその言葉に合わせるように発進したエクシアと共に、

1人のアイドルがガンプラバトルの大海原へ飛び込んで行った。




比奈:え~と…この形式で本当に良いんスか、プロデューサー?

作者(以下P):ああ、俺がやりたいからそっちは気にしなくて良いぞ

比奈:この形式、昔のSS書きのトラウマを刺激しそうなんスけど…

P:設定説明等もここで行う以上、説明文を書くとダラダラ長くなりがちで
 テンションが下がる身にはこの形が良いと思ったもんでな…

比奈:…了解っス、それでは始めましょうか

P:ああ、では改めて…この度は「CINDERELLA BRE@KER~BUILD THE FUTURE」を
 お読み頂きましてありがとうございます、作者のwataru012と申します

比奈:本編のメインキャストの1人兼、あとがき担当の荒木比奈っス
   あらすじページにも書きましたが、この後書きパートでは
   メタ発言も遠慮なく行うのでそこはご承知おきを…

P:こちらの担当である「岡崎泰葉」が参戦する「Stage for Cinderella」の
 Cブロック開始日に合わせる形で投稿した第1話、いかがでしたでしょうか?
 こうして形にして不特定多数に見られるように投稿するのはほぼ初めてな身で、
 色々至らぬ個所は沢山あると思われますが楽しんで頂ければ幸いです

比奈:新しい総選挙の泰葉ちゃん参加ブロック開始のタイミングで
   公開するというのはわかりまスが…何故にまたこの作品
  (「ガンダムブレイカー3」)とクロスオーバーさせたんスか?

P:率直に言うと、ニコニコ動画に投稿された同じ作品の組み合わせの
 架空戦記動画(ジオスミンP作「CINDERELLA of Gund@m breakerS 」)を
 見て…その影響で中古のVITA本体とソフトを買って、泰葉イメージの
 機体を組んで遊びながら自己流の物語を思い浮かべてたのが理由だな

比奈:あー、アタシを含めた第6回総選挙TOP50入賞勢の
   新規ボイス実装メンバー(肇・比奈・柚・巴・裕美)が
   主役のあの動画っスね…とはいえ実際にゲームをプレイして
   機体を組んだと言うのなら、同じように動画にするという
   選択肢もありだと思いまスが…なぜSSという形を選んだんスか?

P:ゲーム内のムービーだと自機以外のNPC機が固定されたり、
 自機に関してもシールドの位置や大きさの調整を無視されたり
 格闘攻撃のモーションがこちらのイメージと噛み合わない
 表現になる事が多々あってな…そういう点でSSという形式の方が
 描写の自由度が高くてその辺りの融通が利くと思ったもんでな

比奈:あー、なるほど…ところで話は変わりまスが、
   泰葉ちゃんの最初のガンプラをエクシアにした理由は?

P:物語上の理由についてはこれからの話で書いていくが…
  メタ的な理由は、「ガンダムブレイカーバトローグ」に出て来た
「ダブルオーコマンドクアンタ」からの逆算というのが大きな理由だな…
 もちろんそれだけじゃなく、元々エクシアは候補の1つに入ってたけど
 なかなか「これだ」と決められなかった所にコマンドクアンタが
 出て来たのが決め手になったっていうのが詳細な理由になるな

比奈:…そうなると、もしかしたらバトローグの時期の話も…?

P:ああ、大分時間はかかってしまうし色々と設定変更は行うが
 DLCシナリオ編後にバトローグ編も書くつもりではいる

比奈:おおー…しかしそうなると、大長編と言える規模の
   話数になる事が確定という事になるんじゃ…

P:そういう事になるな…SfCのCブロック開催に合わせた
 泰葉の支援作品という形で出しはしたが、Cブロックの
 投票期間では到底終えられない事は自覚してる…
 それでも時間がかかっても完結はさせたいと思ってるから、
 読んでくれた方には長い時間をしまう事になるでしょうが
 気長に付き合って頂ければ幸いです…それでは、第2話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

月面に降り立つ能天使

「あれは…地球? となると、ここは月でしょうか…」

 

発進したエクシアが降り立った場所の背景に見える

青い星をその目にした泰葉が今の居場所を推測していると、

前方から多数のガンダムとジムがビームを撃ちながら

エクシアに近付きその後方からガンタンクの砲撃が飛んでくる。

 

「わ、わわっ!?」

 

「泰葉ちゃーん、普段見ない風景に見とれる気持ちは

 わかるっスがもうゲームは始まってるっスよー」

 

エクシアに向けて放たれた射撃や砲撃を目にして驚き

慌ててレバーを動かしブーストを吹かして移動を行い

回避を試みる泰葉に、比奈が声をかける。

 

「そ、そうですね…では、改めて」

 

ブーストで一気に移動して安全を確保した所で、改めて攻撃に移る泰葉。

右腕の「GNソード」のライフルモードでビームを撃ちながら間合いを詰め、

敵機に接近したところでソードモードの連続斬りを叩き込んで敵機を撃破する。

それの繰り返しで何機かの敵機を順調に破壊していたが…

 

ドゴォン!

 

「うわっ!?」

 

遠距離から放たれたガンタンクの砲撃を被弾し動きが止まった所に、

寄って来るガンダムとジムの集中攻撃で耐久力を大きく削られるも…

とっさにEXアクション「ピアシングスラッシュ」を前進して来たガンタンクを

標的に発動し突進する事で敵機の集団を抜け出してガンタンクを両断した後、

周囲のガンダムとジムも撃破し「リペアキット」で耐久値を回復し危機を脱する。

 

「砲撃を受けると動きが止まるのは辛いですね…」

 

「ここはガンタンクを優先して倒していった方が良いかもっスね」

 

「なるほど…」

 

その後は比奈からのアドバイス通りにガンタンクを優先して落とす事で

砲撃による足止めと被ダメージを最小限に留め、次フィールドへと進む。

 

~~~~~

 

「…ん? 何か見慣れねぇ奴が居るな…」

 

「初めて訪れたお客様達ですね」

 

「だったら俺に挨拶の一つもしてもらわねぇとなぁ…?」

 

泰葉達がプレイしている最中に来店した、金髪のリーゼントヘアという

ヤンキー物の漫画で見るような古典的なツッパリ風の外見の男性客が

泰葉の入ったポッド近くの比奈の後姿を見て零した声に

インフォが反応して返答する。その言葉を聞いた男性客は、

獲物を見つけた獣のような眼差しで再び比奈の姿を一瞥すると

泰葉が入ってるポッドからは離れた位置のポッドに歩を進めていった。

 

~~~~~

 

「ここの敵機はザクⅡ・シャア専用ザクⅡ・ドムの取り合わせっスか…

 ザクⅡ2種の射撃武器はマシンガンとなると、ここはドムが

 最優先ターゲットっスね…おそらくはドムのバズーカも

 ガンダンクの砲撃同様に当たると足止めされると思われるので」

 

「わかりました、やってみます…あれ、何か

 子供と店主が揉めてる声が聞こえますね」

 

「…こっちに聞こえて来た部分からして、クレーンゲームが

 メチャクチャな高難易度に設定されてるみたいっスねぇ…」

 

「こちらにも聞こえて来ましたが、クレーンゲームで

 人間の限界云々を語られても…としか言えませんね」

 

フィールドが切り替わった事で敵機も変更され、

その種類を確認して撃破の優先順位を決めている所に

聞こえて来た店主と客である子供の言い争いの内容に

泰葉と比奈は呆れ気味の感想を零す。しかしながら

泰葉も操作に慣れて来たのか、そんな無関係な話を

しながらも回避やシールドによる防御を駆使して

エクシアのダメージを最小限に留めながら

次々と敵機を撃破しさらに先のフィールドへと進む。

 

~~~~~

 

(まだぎこちなさはあるけど、初心者とは思えないレベルの

 立ち回りだなぁ…これはもう誘うしかないよね)

 

(あれ、あっちのポッドにも誰か入ってる…?

 うわっ、あいつかぁ…十中八九あの人狙いだろうなぁ)

 

店主と子供がクレーンゲームの難易度で揉める少し前に

新たに入店した女性客が、センターターミナル備え付けのモニターで

ライブ中継されていた泰葉のプレイを見て感心していたが…

泰葉が入ってるものとは別のポッドにもプレイヤーが入ってる事を確認し、

そのプレイヤーネームを見た瞬間渋い顔を見せるとその直後に

泰葉の入っているポッドに視線を移して心配そうな眼差しで見ていた。

 

~~~~~

 

「緑色の機体は前のフィールドにも出ていた『ザクⅡ』ですが、

 青色の機体と灰色の脚のない機体は初見ですね」

 

「灰色で脚がなく浮かんで移動してる機体は『ジオング』って言って、

 指からビームを発射するのに加えて手を切り離して飛ばして

 色んな方向からビームを撃って来たり口からビームを発射する事もある

 なかなか回避が難しいやつっスね…青色の機体は『ヅダ』って言って、

 今回持ってる射撃武器の『対艦ライフル』はガンタンクの砲撃や

 ドムのバズーカのような喰らうと足止めされるやつっス」

 

「そうなると…『ヅダ』→『ジオング』→『ザクⅡ』と

 いった感じの撃破優先度という事になりますか」

 

「そんな感じになりまスかね」

 

3つ目となるステージで新たに登場した機体の特徴を比奈から教えられ、

泰葉は前進や後退・左右へのステップ・上昇と下降を織り交ぜた動きで

ザクのマシンガンによる弾幕やジオングのオールレンジ攻撃、

それに加えてヅダの『対艦ライフル』による狙撃を最小限の

被弾に留めつつ攻撃を加え次々と撃破していく。そして…

 

「…これでっ!」

 

「お見事泰葉ちゃん、これでステージクリアっス…えっ!?」

 

最後の敵機を撃破し、比奈が感嘆の声と同時に

ステージクリアを確信した声を上げた矢先に…

 

"ENEMY PLAYER APPROACHING"

 

画面中央に赤色の文字でこう表示された直後に、

右手に片刃の大振りな実体剣を持った…虎を思わせる

金地に黒の縞模様とミリタリーグリーンと黒の3色の機体色の

見慣れぬモビルスーツが泰葉の視線の先に降り立っていた。




P:まずは第2話をお読み頂き、ありがとうございます

比奈:今回は最初のステージのボス登場まで…って所っスね

P:だな、動画だと一気にステージクリアまで進めてもボリュームは
 それなりレベルだが…文章だと道中の様子も描写してくと
 結構な文章量になるからここで一旦区切ったって訳だ

比奈:なるほど…ところで舞台設定関係で1つ質問を、
   この作品の時代は西暦何年辺りを想定してまスか?

P:それについては多少ややこしいのと没案に関しても
 話したい事があるので少し長くなるが…
 「シンデレラガールズ」側の想定時期は、モバゲー側の
 「アイドルプロデュース the 11th Anniversary」終了後かつ
 デレステ側の「オールスターカウントダウン2022」終了後で、
 「あの世界のガンダムシリーズ展開」の想定時期は
 ガンブレ3発売時期の2016年3月上旬という事にしている

比奈:ガンブレ3内の実装ガンプラの関係でしょうが、
   7年近くの差が開いてまスね…

P:初期構想としては「蒸機公演後の2019年3月スタート」や
「ガンブレ3発売日から約2週間後にちょうど泰葉が参加してたイベント
(第6回チーム対抗TBS)が終わったからそこからスタート」というのが
 あったんだが…想定していた時期の間にこの作品の出演アイドルが
 何らかの形でイベントに参加してて、ガンブレ3のストーリー内イベントと
 バッティングしてしまうのが気になったから思い切って「シンデレラガールズ」の
 時間軸は連載開始のタイミングから未来の話にしてみようという事になったんだ

比奈:確かにイベントのメインでなくとも、ツアー・ロワ・ドリフェスの
   ライバルユニットやぷちコレのライバルという形で出演する事がありましたからね…

P:その為に時間が経って後から読み返すと、「シンデレラガールズ」側の
 各種イベントと作中描写時期がバッティングする事になるかもしれませんが
 その点についてはご容赦願います…それでは、第3話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

虎断つ七剣

「お前、この辺じゃ見ないヤツだな!」

 

「は、はい…」

 

突然の出来事に戸惑っている身に、気持ちを落ち着ける間もなく

眼前の機体のパイロットと思しき人物からのボイスチャットが

耳に飛び込んできた事で気圧され気味に返事をする泰葉。

 

「俺はタイガーってんだ…この辺でガンプラやるならよ、

 まず俺に挨拶してもらわねーとなぁ!」

 

「え、ええと…よろしくお願いします…?」

 

冷静に考えれば理不尽な因縁に過ぎないタイガーの発言だが、

未知の舞台で立て続けに襲い掛かる予想外の出来事の前に

一種のパニック状態の泰葉は戸惑い気味に挨拶を返していた。

 

「や、泰葉ちゃん素直過ぎっスよ…」

 

「ゴメン、ちょっとマイク貸して!

 あー…あいつの言う事聞く必要ないよ?」

 

その様子を見てた全員にとって予想外の行動だった為か、

要求を出したタイガー自身も驚きからか機体の動きが止まり…

ポッド外で観戦していた比奈は崩れ落ち気味に

床に膝をつきながら言葉を零す中で、タイガーの後に来店し

泰葉のプレイを観戦していた女性客が泰葉の入っている

ポッドに近付きマイク越しに泰葉に声をかける。

 

「そ、そうなんですか?」

 

「聞こえてるみたいだね…いきなりゴメンね?

 今乱入してきたのは、この辺で初心者狩りしてる

 タチ悪いヤツなの…でもそんなに強くないから、落ち着いて?」

 

「お前! 外から邪魔すんなよ!」

 

「いい加減、初心者カモるのやめなよ…私が相手になるよ?」

 

「俺ぁ女には手を出さねぇ! 俺より強い女にはな!」

 

「ヘタレだなぁ…」

 

「…同意っス、とはいえ経験者相手じゃ

 初心者にはキツい戦いになるのは

 間違いないので…ここは逃げるという

 選択もありっスよ、泰葉ちゃん」

 

タイガーの言葉に女性客共々呆れながら、比奈は

泰葉に戦うか逃げるかどちらを選ぶかの確認を取る。

だが、タイガーと女性客の会話の間に落ち着きを取り戻した

泰葉はタイガー機を見据えながら決意を込めた言葉を返す。

 

「…いえ、このまま戦います」

 

「あぁ!? 戦るってのかてめぇ!?」

 

「これからガンプラバトルを続けていく上で、

 私より相手が経験豊富な事が大半を占めるのは

 明らかです…ならば、今からそれを経験しておきます!」

 

「…だったら遠慮なくズタボロにしてやるぞコラぁ!」

 

泰葉の決意の言葉で火が付いたのか、タイガーも

恫喝気味な返答をしながら腕の「110mm機関砲」で

弾幕を貼りつつエクシアに向けて前進していく。

 

しかし泰葉はステップでそれを避けながら、

腰後ろの「GNビームダガー」をタイガー機目掛けて投擲する。

 

「うおっ!? やべぇ、動けねぇ!」

 

「このまま一気に…『トランザム』発動します!」

 

「GNビームダガー」が突き刺さり、スタンした事に焦るタイガー。

その様子を見て一気に畳みかける為、泰葉は移動や攻撃などの

各種行動速度が上昇するEXアクション「トランザム」を使用し

残像が生まれるレベルの高速移動でタイガー機に接近すると

右腕の「GNソード」の連続斬りから肩の「GNビームサーベル」二振りによる

連撃に繋いだ後に腰左右の「GNロングブレイド/GNショートブレイド」に

持ち替えて再び連撃を叩き込み…斬り抜けた後にEXアクションの

「ピアシングスラッシュ」で反対側から突進しての斬撃で浮いた所に

エクシアもブーストを吹かせて上昇しての「GNソード」による連続斬りから

ショルダータックルに繋げ、そして地面への叩き付け後に追い打ちとばかりに

EXアクション「ミラージュショット」による照射ビームをダウン状態の

タイガー機に浴びせる。その後も立ち上がるまで「GNソード」の

ライフルモードによる射撃を浴びせ、タイガー機の立ち上がる様子を見て

再び格闘攻撃を叩き込もうと「GNソード」を振るった所に…

 

「なめんなよっ!」

 

「うわっ!?」

 

タイガーが自機が完全に立ち上がるとほぼ同時にEXアクション

「ホイールストライク」を発動し、「グランドスラム」を両手でガッシリと

握りしめながら回転上昇する動作に巻き込まれエクシアも高々と打ち上げられ…

頂点に達した所で落下しながらの連続大車輪斬りをその身に受けながら

地面に叩き付けられると衝撃の影響かエクシアの左腕が外れて吹き飛ばされる。

 

「左腕が…!」

 

「腕1本じゃ済まさねぇぞ、コラぁっ!」

 

左腕が外れ、仰向けに倒れているエクシア目掛けて

EXアクション「デッドエンドバスター」を発動し

「グランドスラム」を大きく振りかぶるタイガー機。

だが泰葉は左手が吹き飛んだ方向にレバーを入れながらの

受け身動作で素早く立ち上がる事で振り下ろされた

「グランドスラム」の一撃を避けながら左腕を再接続し、

「GNソード」のライフルモードでビームを撃ちながら

ブーストを吹かしてタイガー機へ接近する。

 

「もらい…」

 

「させるかぁっ!」

 

だが、泰葉が「GNソード」で斬りかかろうとした瞬間に

タイガーの発動したEXアクション「トルネードアックス」で

タイガー機の周囲に発生した斬撃波を受けエクシアは吹き飛ばされる。

 

「きゃあっ!」

 

「喰らえぇっ!」

 

吹き飛んだエクシア目掛けてタイガーは胸部備え付けの

「メガ粒子砲」から照射ビームを放ち、一気に耐久力を削り取る。

だがその様子を見て、比奈は怪訝な反応を見せた。

 

「今まで使ってたEXアクションは2つとも大剣用の

 やつだったのに、今度は斧用のやつを使って来た…?」

 

「あー…実はEXアクションって、一定回数使い込むと

 武器の種類を問わず使えるようになるんだよね…

 その『一定回数』が結構な数になるけど」

 

「そうなんスか? となると少なくともあの技を自由に使えるように

 斧武器を使い込む程度にはやり込んでるって事っスか…」

 

比奈の疑問に女性客が使える理由を説明してる間に、

「メガ粒子砲」をゲージ切れまで撃ち切った事で

拘束状態からダウン状態となったエクシアへタイガー機が

再び腕部の「110mm機関砲」で弾幕を貼りながら接近していく。

しかし泰葉は慌てずにレバーを横方向に入れながら

受け身動作を取る事で弾幕から逃れつつ立ち上がりながら

「リペアキット」を使って大きく削られた耐久値を回復させる。

 

「いくら回復しようが何度でもぶった斬ってやんぞオラぁっ!」

 

立ち上がり回復したエクシアに向き直り「110mm機関砲」による

弾幕を継続しながら接近を試みるタイガー。だがタイガー機がエクシアに

向き直るとほぼ同時に泰葉はEXアクション「ピアシングスラッシュ」を発動し

「110mm機関砲」の弾幕をすり抜けながらタイガー機に急速接近して

斬り付けた後に真上に浮かせる。そこからブーストを吹かして上昇し

浮いたタイガー機に「GNソード」の連続斬りを叩き込んでいるその最中…

 

バキィンッ!

 

「うお、やべぇ!」

 

先程エクシアが地面に叩き付けられ、左腕が外れた時と

同様の音が響くとタイガー機の下半身が腰から外れ地面に向けて

落下していく。そのまま「GNソード」の空中連続斬りを

出し切ってエクシアが着地しタイガー機の上半身が落下すると、

泰葉側の画面に「脚部パーツが外れた敵機を一撃で撃破する」

攻撃である「グラウンドブレイク」の表示が出る。

 

「これで…トドメです!」

 

泰葉が画面の指示に従って入力すると、エクシアは仰向けに転がっている

タイガー機の上半身部へ踏み出して右腕の「GNソード」を展開しその刀身を

タイガー機上半身の胴体部に突き立て外れた脚部もろとも爆散させる。

 

「ちっきしょー!」

 

悔しさを滲ませるタイガーの叫び声と同時に、

泰葉のポッドの画面中央に青色の文字で

「MISSION COMPLETE」の文字が表示される。

 

「ふぅ、何とか勝てましたか…予想外の出来事に

 驚きはしましたが、素直に嬉しいですね」

 

緊張から解放された事で大きく息を吐きながら、

アクシデントへの驚きと勝利への喜びを口にする泰葉。

 

…アイドル・岡崎泰葉のガンプラバトルデビューは、

アクシデントに見舞われながらもそれを乗り越えて

勝利を掴むという最高の結果に終わった。




比奈:あのー…タイガー君、ゲーム本編より強くなってません?
   オプション武装やEXアクション3種は確かにゲーム中でも使われてましたけど、
   トルネードアックスの吹き飛ばしからメガ粒子砲照射に繋げるコンボとか
   射撃でのダウン追い打ちはCPUはほとんど使った記憶がないんスが…

P:まぁそう言いたくなる気持ちはわかるが、動画サイトであれに類似した
「サイクロンアックスで吹き飛ばし→照射ビームで追撃」コンボを
 見た記憶があってつい使いたくなっちゃったもんでな

比奈:書きたかったものを書けて満足したというのなら
   それはそれで良しとして…今回はこれまで書かれた
   1話と2話に比べて文章量が明確に多くなりましたね

P:登場人物が増えてセリフが増したってのもあるし、
 バトルシーンの描写に文章を割いたからな…
 それもあって1面だけで4話も使う事になるという
 こちらとしても予想外な事態になってる

比奈:創作ではいくら緻密に計画を立てたとしても、
   実際に取り掛かると予定通りに行かないという事は
  「割とよくある」ぐらいの感覚で生じまスからね…

P:書きたい場面は沢山あるから、これからも1ステージに対して
 予想以上に話数を割くという事は生じるだろうな…
 それでも1話のあとがきで言ったように、どれだけ時間がかかっても
 最後まで書き上げるという決意は変わってないので
 読者の方々には手間をかけさせますがお付き合い頂ければと思います


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

諦めからのサプライズ

「お疲れ様っス、泰葉ちゃん! 初プレイの身で

 格上相手の対人戦に勝っちゃうなんて、

 もう凄いとしか言葉が出ないっス!」

 

「いやー、まさにその通り! CPU相手の時から

 初心者とは思えない立ち回りで凄いなって思ってたけど

 まさかあいつに勝っちゃうなんて驚きだよ!」

 

泰葉が初めてのガンプラバトルを無事に勝利で終えて、

ポッドから外に出ると比奈と女性客から笑顔で

興奮気味に称賛の言葉を一気に浴びせられる。

 

「くっそぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

そんな様子の泰葉達から離れたポッドから出て来たタイガーは、

盛り上がる泰葉達の様子を一瞥すると悔しさを隠す気のない

絶叫を大声で叫びながら逃げるように全速力で退店していった。

 

「情けないなぁ…ま、これに懲りて初心者狩りから

 足を洗ってくれれば良いんだけどね」

 

「同意っス」

 

「私はゲームセンターでこういった人相手の

 対戦ゲームをプレイしたのは始めてですが…

 そんなに忌み嫌われる行動だったんですか、比奈さん?」

 

「そっスねぇ…こっぴどく負かされた初心者が

 心折れて早々にゲームをやらなくなっちゃったり、

 そういうプレイヤーが横行してる話が広まって

 ゲーム自体を新しく始める人が減っちゃうと

 プレイヤーが増えなくなってそのゲームの

 寿命が短くなっちゃいまスから」

 

「そうそう…って、え? 今、ヒナさんって…?」

 

泰葉からの質問に比奈が返答し、女性客がそれに

相槌を打っていると…先程までタイガーの乱入に

慌ててた事や観戦に集中してた事、泰葉が勝った事への

喜びなどで上下していた感情が落ち着きを取り戻した事で

泰葉の口から出た名前に引っかかりを感じた為に改めて

比奈の顔を見る。その直後、女性客の顔が比奈の顔を

真っ直ぐに見る姿勢のまま驚きの表情となり固まっていた。

 

「…あのー、もしもーし?」

 

「…はっ! あ、あのー…ええと、そちら…もしかして、

 346プロのアイドルの『荒木比奈』さん…?」

 

「はい、その通りっス」

 

「えええーーーっ!?」

 

比奈からの声掛けで硬直状態から脱した女性客は、

恐る恐るといった様子で比奈に質問を投げかける。

そして比奈の返答で自分の予測が当たった事を知った

女性客は先程のタイガーにも負けない大声を上げていた。

 

「何だい、うるさいねぇ…」

 

「だ、だってイラト婆ちゃんこの人アイドルなんだよ!?」

 

「こんなダッサい服装のボサボサ頭に野暮ったい眼鏡を

 かけてる奴がアイドルだって? 信じられないねぇ…」

 

「まぁ…この姿でアイドルだと言われても信じられないという

 お婆さんの気持ちはわからなくもないですが、

 比奈さんは紛れもなく私と同じ事務所のアイドルですよ」

 

「ふぅん…ま、あんたはキチンと金を落としてくれたし

 その言葉を信じさせてもらうよ」

 

女性客の大声に迷惑そうな様子で3人の元に寄って来た店主が、

女性客の驚きを隠せない言葉を聞くも比奈の見た目から

怪訝な反応を示す。それに対して泰葉がフォローすると、

実際にガンプラバトルシミュレーターのプレイの為に

泰葉が金を払った事もあってかすんなりと信じてくれると

再び店の奥に引っ込んで行った。

 

「…泰葉ちゃんって言ったっけ、あなたもアイドルだったんだ…」

 

「はい…失礼ですがこちらからも1つ尋ねさせてもらいますね」

 

「は、はいっ!」

 

「『彩渡商店街』へ行きたいんですが、ここからどう行けば良いでしょうか?」

 

「…へ?」

 

店主が引っ込んだ所で、直前までの会話の中で泰葉も

アイドルだとわかり驚きの反応を見せる女性客。

そんな女性客に泰葉がこれからの目的地への道を尋ねると、

呆気に取られたかのような顔で間の抜けたような声を返していた。

 

「あれ、もしかしてこの辺りの人じゃなかったっスか?」

 

「あーいえ、そういう訳じゃなくて…私の家、その商店街の店の1つでして」

 

『ええっ!?』

 

比奈が尋ねる相手を間違えたかと思って声をかけると、

女性客が目的地に住んでいる事が判明し2人揃って驚きの声を上げる。

 

「名乗るのが遅れてしまったけど、こちらからも…

 私は『五月野美沙(さつきの・みさ)』、彩渡商店街の

『五月野模型店』の看板娘…といった所です、よろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします…あまり畏まらなくて良いですよ?」

 

「そうそう、こちらがアイドルだとしてもガンプラバトルに関しちゃ

 そちらの方が先達なのでそれで相殺という事で…気楽な話し方でOKっスよ」

 

「…そうですか? それじゃあ…改めてよろしくお願いしますね、比奈さんに泰葉ちゃん」

 

「それじゃあこちらも改めて…商店街への案内よろしくお願いします、ミサさん」

 

「はいっ!」

 

2人がアイドルだという事がわかり、表情や口調が硬くなった

ミサに対して畏まる必要はないとリラックスするように返す泰葉と比奈。

その言葉に甘えて表情も口調も再び柔らかくなったミサに泰葉が

商店街への道案内を頼むと、ミサは笑顔で元気に返事をした。

 

~~~~~

 

「そう言えば、ミサさんが来店した理由は何だったんですか?」

 

「…そういや、一切ゲームのプレイはしてなかったっスね」

 

「あー…タイムズユニバースって企業、知ってる?」

 

「名前は聞いた事ありますね…確か、アメリカの企業でしたっけ」

 

「小売業から宇宙開発まで幅広い分野を手掛けてるともアタシは聞いてるっス」

 

「そうそう、実はそこの経営する百貨店が商店街の近くに出店しちゃってね…」

 

「…客を奪われてしまった、という事っスか」

 

「そうなんだよねぇ…だからって黙って潰される訳には行かないと思って、

 うちが模型店だったから商店街の名前を背負ったガンプラバトルチームを

 結成して勝ち進んで有名になる事で客足を取り戻そうって思い立ってさ」

 

「凄い負けん気と行動力の持ち主なんですね、ミサさん…」

 

「ありがと、泰葉ちゃん…でも活動資金を大量に準備できるって訳じゃないし、

 チームメンバーもなかなか集まらなくて…少し前には1人だけながら

 メンバーも居たけど、環境が不満だって言って抜けちゃったもんで

 再度メンバーをスカウトする為にあのゲーセンに毎日通い詰めてたんだ」

 

「負けん気と行動力に加えて折れない心まで持ち合わせてるとは…

 これは素直に尊敬に値するっスよ、ミサちゃん」

 

「ま、大袈裟な言い方かもしれないけど故郷が消滅するか否かの

 瀬戸際と言ってもいい状態だから簡単には諦められなくてね…

 それで今日泰葉ちゃんの戦いぶりを見てタイガーに勝った事で

『これだ!』って感じてスカウトしようって思ってたんだけど…

 さすがにアイドル相手じゃ、無理がある話だよね」

 

3人で商店街へ向かう道すがら、泰葉の質問をきっかけに

ミサの来店理由と抱える危機…そしてそれを乗り越える為の

行動についての話題にまで広がり、それらの理由から

泰葉がミサの目的にうってつけである事を話すが

泰葉がアイドルである為にミサの目論見は

実現不可能だろうと察し落ち込み気味に言葉を零す。

 

「…いえ、もしかしたらもしかするかもしれませんよ?」

 

「…え? あ、着いたよ2人とも」

 

そんな様子のミサに、泰葉が微笑みながら返答する。

その返答にミサは疑問を浮かべるが…それと同時に目的地である

「彩渡商店街」の文字が書かれたアーチがそびえ立つ

アーケードの入り口に到着した事で、会話は一旦打ち切られる。

 

「うーん…ミサちゃんには申し訳ないけど、見事なシャッター通り状態っスね…」

 

「奥の方に見える黒い建物が、話に出てたタイムズユニバースの百貨店でしょうか」

 

「そうなんだよね…それにしても、何でまたうちの店に?

 こういう事を言うのも何だけど、ガンプラを買うなら

 23区内に模型店だけじゃなく家電量販店とか中古プラモの

 取扱店は沢山あるし…それこそガンダムベースだってあるでしょ?」

 

「いえ、ミサさんには申し訳ありませんが…今回は買い物が

 目的ではなく、ミサさんのお店を待ち合わせ場所に指定されまして」

 

「…へ? まぁ、3月とは言ってもまだ肌寒いし…待ってる間、店の中に入っててよ」

 

泰葉と比奈の商店街の様子をその目で見ての率直な感想に対し、

ミサは返答と同時に2人がここに来た事に対する疑問をぶつける。

それに対する泰葉の返答にミサは予想外といった感じの反応を返すが、

外の寒さを感じ取った事で2人を凍えさせまいと店へと招き入れた。

 

~~~~~

 

「ただいまー」

 

「帰って来たみたいですね」

 

「ああ、それじゃちょっと失礼して…

 お帰りミサ、それとそちらは…」

 

「初めまして、岡崎泰葉と申します」

 

「ども初めまして、荒木比奈と申す者っス」

 

「ああ、君達が…こちらこそ初めまして、

 ミサの父の『五月野雄一(さつきの・ゆういち)』と言います」

 

「ユウイチさんと言いますか、どうぞよろしくっス」

 

「よろしくお願いします…プロデューサー、どうやらつい先程まで

 今回の件についての話し合いをされてたみたいですね」

 

「ああ…それはそうと、初めてのガンプラバトルはどうだった?」

 

店内に入りミサが店の奥の人影に声をかけると、

2人のうち1人のメガネをかけたエプロン姿の男性…

ミサの父親がやって来て泰葉と比奈の自己紹介への

返答として自らも自己紹介を行う。それに続く形で

奥に居た2人目のスーツ姿の男性も泰葉達の元へ

やって来て泰葉にガンプラバトルの感想を尋ねる。

 

「予想外のアクシデントもありましたが、

 十二分に楽しめましたよプロデューサー」

 

「そうそう、最初のステージをクリアかと思った所に

 初心者狩りに乱入されてどうなるかと思いましたが…

 ある程度殴られはしたものの見事に返り討ちにしてたっスよ」

 

「おお、そりゃまた凄いもんだな…昨日初めてガンプラを

 完成させて最初のプレイで対人相手に勝利するとは」

 

「昨日初めて完成させたって、つい最近始めたとかじゃなくて

 本当に今日が初めてのプレイだったんだ…だとしても、

 何でまた急に始めたわけ? プロデューサーが知ってると

 なると、やっぱりただの遊びじゃなくて仕事関係で?」

 

スーツ姿の男性…泰葉のプロデューサーの問いかけへの

泰葉と比奈の返答を聞き、泰葉が本当に今日が初プレイと

聞いて驚くと共に始めた理由を泰葉に尋ねるミサ。

 

「そうですね…プロデューサー、確認しますが

 ミサさんと共にガンプラバトルの大会に出て

 勝ち進む事でこの商店街の名前を広める事が

 今回の仕事の内容…という事で合ってますか?」

 

「ああ、その通りだ」

 

「…という事なので、よろしくお願いしますねミサさん」

 

「え…えええーーーっ!!!」

 

ミサからの質問を受けた泰葉がプロデューサーに

仕事の内容の確認をし、それを聞いてミサに向き直し

笑顔で今回共に歩んでいく事への挨拶をすると

ミサは驚きの表情で店外に漏れる程の絶叫をしていた。




比奈:ひとまず今回で、ようやくアニメやマンガで
   いう所の第1話が終わったって感じっスね…

P:ああ…本当にここまで分割する事になるとは思ってなかったよ

比奈:さて、今回はミサちゃんとユウイチさんの
   フルネームが出て来ましたが…読みは
   バトローグで明かされたものが使われましたが
   漢字表記はプロデューサーが考えたものっスか?

P:ああ、こちらで適当に…と言ってもオーソドックスな
 名前と受け止められるような字を当てておいた。
 ちょうどいい機会なのでここで話しておくと、
 この作品でのガンブレ3キャラの名前に関しては
 一部を除き「作中で明かされている部分」+
 「担当声優さんの名字or名前」という組み合わせに
 しており漢字表記に関しては「作中で明かされてる部分」は
 こちら独自の設定、担当声優さんから取っている部分は
 公表されている表記に従うといった形でフルネームを
 設定するが、呼ばれ方はゲームのものを使うという形になる

比奈:なるほど…

P:話のついでという形になるが、これから先使われるかが
 不明瞭なのでここでこの作品におけるタイガーと
 イラト婆さんのフルネーム設定を明かしておく…
 タイガーは「布施川虎彦(ふせがわ・とらひこ)」、
 イラト婆さんは「衣良渡れい子(いらと・れいこ)」だ

比奈:ふむふむ…タイガー君は名字を声優さん(布施川一寛さん)から
   拝借して、名前は「虎」の字が入る人名…イラト婆さんは
   名前を声優さん(鈴木れい子さん)から拝借したという形っスね

P:ああ、ここから先は大体の面々がゲーム内のイベントシーンに
 当たる場面で名乗る形になるからその時を楽しみにという事で…
 今回も読んで頂きありがとうございました、それでは第5話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過去の縁が結ぶ今

「ど、どうしてまた346プロなんて超が付くほどの

 大手芸能事務所が協力してくれる事になったの!?」

 

泰葉がミサと共にガンプラバトル大会で勝ち進む事で

商店街の宣伝を行うと聞いて驚いたミサは、

興奮冷めやらぬまま率直な疑問を叫ぶ。

 

「…ミサ、それについてはこれから説明するよ」

 

「父さん…?」

 

そんなミサを落ち着かせるように頭に手を乗せながら、

ユウイチが今回協力してもらえるようになった経緯を

プロデューサーに視線を移しながら話し始める。

 

「…2週間ほど前に、泰葉ちゃんのプロデューサーである

 彼がうちの店に立ち寄ったのが始まりだった」

 

「そうなったのもまさに偶然の産物ってやつで、

 休みの日に少し遠出して買い物しようと電車に乗ったら

 疲れが溜まってたのか居眠りしてしまって…

 気付いたらここ、彩渡駅まで乗り過ごしてしまったけど

 学生時代を思い出して懐かしく感じたから降りてみたんだ」

 

「プロデューサーはこの辺りの出身なんですか?」

 

「生まれた所はここからもう少し離れた所だけど、

 高校の最寄り駅がここで学校帰りに商店街で

 買い食いしたりこのお店でプラモを買ったりしてたんだ」

 

「だいたい10年ほど前だから、ミサが小学校に

 入学したばかりの頃の話だな…あの時は商店街も

 沢山の店があったしうちの店も子供から大人まで

 結構なお客さんが来てたから覚えてないのも無理はないけど」

 

「そうだったんですか…」

 

プロデューサーとユウイチの昔語りに、泰葉と比奈は聞き入り

ミサは目の前の男性がかつての常連客と聞いて驚きの声を上げる。

 

「言っちゃ悪いがシャッター通りになった今の商店街を見て

 寂しくなったけど…このお店が昔と変わらず残ってるのを見て

 嬉しくなって入店したらユウイチさんが店番をしてたので

 懐かしさから感極まって自分の事を話したら、向こうも

 思い出してくれてしばし思い出話しに花が咲いたんだ」

 

「僕の方こそ驚いたよ…あの時の一学生が、まさか大手の

 芸能プロダクションに入社してたなんて…だけどそれを聞いて、

 ミサの願いを叶えてやれるかもしれないと思って彼に打診したんだ」

 

「つまり、父さんから泰葉ちゃんのプロデューサーに

 私のガンプラバトルチームメンバー集めの話が伝わって…」

 

「そこから事務所に話が届いて、今回の仕事に繋がったんですね」

 

「そういう事だ…と言っても、自分1人で決められる訳じゃないから

 その時はユウイチさんからの打診を受け取って、事務所に持ち帰って

 検討するという返事をしておいた…そうして事務所の上層部に

 話を持って行こうとしたタイミングで、上層部の方から

『アイドルのガンプラバトル参戦』を考えてるという話が届いたんだ」

 

「まさに渡りに船のタイミングだったんスね…それにしても、

 何故上層部がガンプラバトルに取り組もうとしてたんでしょうか?」

 

プロデューサーとユウイチの話を聞いて、泰葉がガンプラバトルを始め

ミサのチームに参戦する事になった経緯を理解する2人。

その中で比奈は、上層部がアイドルのガンプラバトル参戦を

進めようとした理由についてプロデューサーに尋ねる。

 

「これまでは各国内の大会と、国籍を問わず参加可能な

 ワールドツアーの2本柱で行われていた公式大会に

 稼働が始まった静止軌道ステーションのPRと安全性の確認を

 兼ねた世界大会が追加される事が公表されて…外国人のアイドルも

 多数所属してるうちのプロダクションとしてはより世界に事務所と

 アイドル達の名を売るチャンスと受け取った事に加えて、

 他事務所も似た考えからアイドルを参戦させようという動きが

 広まっていたからこの流れに乗り遅れないようにという目論見で…だな」

 

「静止軌道ステーションでの世界大会…今はまだ皮算用ですが、

 もし出場出来たとなればそのインパクト故に事務所や

 アイドルのみならず商店街の名も世界中に広まる事になりますね」

 

「おお~…」

 

世界大会の話を聞き、仮に出場出来た場合の宣伝効果を想像する

泰葉の言葉にミサは目を輝かせながら驚きの声を上げる。

 

「その世界大会に辿り着くまで、国内でどれだけの

 大会に出場して勝ち進む必要があるんスか?」

 

「まずは地区予選に当たるタウンカップ、次いで地区代表を決める

 リージョンカップ…そしてこれまでは日本最強を決める大会で、

 今年からは日本代表を決める大会となったジャパンカップの3つだな」

 

「大会の数は3つ…とはいえ、1回のバトルだけで決まるようなものでは

 ないでしょうしトータルのバトル回数は結構なものになるのでしょうね」

 

「そういう事になるな…さて」

 

比奈や泰葉からの質問にプロデューサーが答えると、

改めてミサに向き直り真剣な表情で話し始める。

 

「…ミサさん、余りにも唐突な話だし泰葉はあくまで素人だ。

 初プレイで対人相手に勝ったとはいえ、どれだけの実力かは

 未知数としか言えないし早々に敗北してしまう可能性も

 十分あり得る。もし不満なら事務所に掛け合って…」

 

「それについては問題ありません! 私が今日この目で見て

 泰葉ちゃんにはガンプラファイターの才能があると確信しましたから!

 ガンプラ作りやバトルに関してはこちらでキチンと教えますので

 是非とも泰葉ちゃんと共に戦わせて下さい!」

 

泰葉があくまで素人である事を改めて説明し、もしミサ側が希望するので

あればアイドルの変更も視野に入れるという事をプロデューサーは伝えるが

当のミサはタイガー戦での泰葉の戦いぶりで才能を確信し誘いたかったが

無理であろうと諦めていた人物と共に戦えるならばとプロデューサーに頭を下げる。

 

「…それじゃ、契約成立という事で良いかな?」

 

「はいっ!」

 

「改めまして、これからよろしくお願いしますねミサさん」

 

「よろしくっス、ミサちゃん」

 

「こちらこそ、2人とも!」

 

「それじゃあ今日はこの辺りで…1週間後に契約書類を作成して

 こちらに持って来て正式に契約するから、その時に

 ミサさんは泰葉に手ほどきを頼めるかな?」

 

「了解です! それじゃあまたね、泰葉ちゃんに比奈さん!」

 

「はい、今日はありがとうございましたミサさん」

 

「ホントどうもでした、ミサちゃん」

 

そんなミサの様子を見て、プロデューサーもそれに応えるように

返事をする。その後泰葉と比奈も改めてミサと挨拶を交わした後に

3人は1週間後の来訪を約束して五月野模型店を後にしていった。

 

~~~~~

 

「戻りました」

 

「お疲れ様です、只今戻りました」

 

「ただいまっス」

 

「あら、お帰りなさい3人とも~」

 

「あれ、茄子さん?」

 

事務所に戻り、3人がプロデューサーのデスクに向かうと

プロダクションの所属アイドルの1人であり…泰葉とも

隠し芸の仕事で共演した事のある「鷹富士茄子」が

3人の元にやって来て真っ先に泰葉が反応を返す。

 

「何か伝言とかっスか?」

 

「そこまでお堅いものじゃなくて…泰葉ちゃん、

 これから事務所としても大きな挑戦と言える

 お仕事に取り掛かるとほたるちゃんから聞いたから

 そのお仕事が上手く行くようにという私からの

 お祈り代わりにこれを渡そうかなと思って~」

 

続けての比奈の言葉に返事をしながら、茄子は右手を

前に差し出しその手の平にあるものを見せる。

 

「お守り…ですか?」

 

「はい、商売繁盛のご利益で有名な神社のものですよ~」

 

「茄子さんから手渡されるお守りってだけでも

 効果抜群に思える上に、『商売繁盛』となれば

 商店街の宣伝も含まれる今回のお仕事に対して

 特攻レベルの効果持ちに思えてきまスねぇ…」

 

「わざわざありがとうございます」

 

「いえいえ、それじゃあ~」

 

泰葉がお守りを受け取りお礼の言葉を返すと、

茄子は笑顔で手を振りながらその場から離れて行く。

そして姿が見えなくなった所を見計らって

プロデューサーが泰葉に声をかける。

 

「…さて、泰葉」

 

「何でしょうか?」

 

「今回のガンプラバトルの仕事についてだが…

 これは仕事に直接関わりのない俺個人からの

 お願いという形になるが、泰葉が使うガンプラを

『どういう風に組み上げるか』は自分で決めてもらいたいんだ」

 

「どういう風に組み上げるか、ですか…」

 

「ああ、泰葉がガンダムに関する知識が皆無に等しいとは聞いてるし

 それを補完する為に比奈に『プロジェクトメンバー』として

 参加してもらったのも事実だ。それ故に組み上げたいガンプラの

 方針が決まったとしても、それに適した機体がわからなくて比奈に

 尋ねる事は否定しないし必要な事だとこちらも思ってる。…だけど、

『選んだ機体のどのパーツを使い、どのように組み上げるか』という

 自分のガンプラを決定する最後の選択は泰葉自身のものであって欲しい。

 …それは、泰葉が今までのアイドル活動で見出したものに通じるだろうから」

 

「…そうですね、わかりました。時間はかかると思いますが

 私なりの『自分だけのガンプラ』を必ず作り上げてみせます」

 

「アタシも全部のガンダム知識があるという訳ではないっスが、

 出来うる最大の範囲でサポートさせてもらうっスよ」

 

プロデューサーの「お願い」を聞いた泰葉は、思案しながらも

最後には決意を込めた表情と口調でそれに応える返事をしていた。




P:まずは隔日投稿の予定だったものがこちらの体調不良で
 執筆が滞りそれを破る形になった事をお詫びします

比奈:それについては当事者でない身がどうこう言うものでは
   ないので置いておきまして…今回はプロデューサーの過去と
   ユウイチさんとの接点について出して来たっスね

P:ま、一商店街と大手芸能事務所の間に接点を持たせるとしたら
 こうした個人間の関係からの方が自然だろうなと思ってな

比奈:確かに、事務所と商店街に直接関わりがあるとなると
   それこそ事務所のすぐ近くぐらいの距離の近さがないと
   無理があるでしょうし…それを採用しちゃうと、商店街が
   シャッター通り化してる事に無理が生じると思われまスし。
   …それにしても「茄子さんから渡されたお守り」とは、
   また何とも分かり易いフラグを立てましたなぁ…

P:茄子さんもある種の「便利屋」的側面があるから出したというのは
 否定しないけど、これ以上の説得力を持ったものというのも
 ないというのもまた事実だからなぁ…読者の方々も「ご利益」の
 目星は付いてるだろうけど、一応はこれからの物語を
 お待ち下さいという事で…それでは、次の話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

泰葉のガンプラトライアル

泰葉の初めてのガンプラバトルシミュレーターでの

プレイ、そしてミサとの出会いの後に346プロ主導の

『ガンプラバトルプロジェクト』の一環としての

彩渡商店街チームへの協力が決まって1週間。

 

「失礼します」

 

「お邪魔します」

 

「ども、お久しぶりでス」

 

「いらっしゃい! この日が来るのを楽しみにしてたよ~」

 

泰葉とプロデューサー、そして比奈の3人が

五月野模型店に挨拶をしながら入店すると

3人の来訪を文字通り心待ちにしていたミサが

笑顔で明るい声を上げて歓迎の声を上げる。

 

「それじゃ、俺はユウイチさんと今回の契約についての

 話をして来るから…用事がある時は呼んでくれ」

 

「わかりました、プロデューサー」

 

泰葉の返事を確認すると、プロデューサーは

店の奥へと歩を進めユウイチと向き合って座り

カバンから書類を取り出して話を始める。

それとほぼ同時に泰葉と比奈とミサの3人は

有料制作スペースとして用意されている

机の近くに集まって話を始めていた。

 

「で、今日は何をするつもりなの泰葉ちゃん?」

 

「ええとですね、この1週間の間に比奈さんに相談しつつ

 私だけのガンプラを組み上げる為のベースになる

 ガンプラを選ぶ事が出来たので…まずはその選んだ

 ガンプラの使い心地の確認をしてみたいです」

 

「なるほどー…それじゃあまずはゲーセンへ、だね」

 

「すんませんプロデューサー、そういう理由なので

 早速っスが例のゲーセンまで行って来るっス」

 

「わかった、戻って来る時に俺に一報入れてくれ」

 

「それじゃあ、行って来ます」

 

「いってきまーす!」

 

「遅くならないようになー」

 

~~~~~

 

ここもまた1週間ぶりの来店となる、イラトゲームコーナー。

3人が入店すると、それを確認したインフォが寄って来る。

 

「ミサさんと泰葉さんと比奈さん、本日のご来店ありがとうございます」

 

「こちらこそ毎度のお迎えありがとね、インフォちゃん」

 

「ミサさんだけでなく私達2人の事も覚えてたんですか?」

 

「前回の来店時にミサさんに自己紹介をされていた為、

 お2人の外見データと個人名の紐付けが可能でしたので」

 

「なるほど~…」

 

インフォがミサのみならず泰葉と比奈の2人も認識して挨拶をした事に

驚きを見せる泰葉に、それが出来た理由を説明するインフォ。

そのインフォの説明を受けて、比奈は感心の声を上げていた。

 

「本日もガンプラバトルシミュレーターのプレイで

 よろしいでしょうか? 現在全ブース空いており

 ネットワークの異常も発生していません」

 

「毎度ありがとうねー」

 

「では早速参りまスか」

 

「そうですね」

 

インフォからの言葉に返事をしつつ、

3人はガンプラバトルシミュレーターに向かって行った。

 

~~~~~

 

「えーと、『トライアルデータ』…これですね」

 

「そうっスそうっス」

 

泰葉が選んだガンプラの使い心地の確認に使おうとしたのは、

シミュレーターに内蔵されていた「パーツ強化や組み換えは

不可能だがガンプラなしでも使える機体データ」だった。

 

「まずはクシャトリヤかー、手持ちのメイン射撃武器はないけど

 オプションで射撃武器が豊富にあるそれらを駆使して

 後方からの支援射撃をお願いね? 私が前に出ていくから」

 

「わかりました…あれ?」

 

「どうしたの?」

 

「『格闘武器が未登録の為以下から選んで下さい』

 というメッセージと選択肢が出て来たんですが…」

 

泰葉の言葉通り、泰葉側のポッドのモニターには

泰葉が言ってた内容のメッセージと共に

「格闘用MSハンド」「拳法用MSハンド」

「格闘用MSクロー」「装備なし」の

合計4つの選択肢が現れていた。

 

「あー、作品によっては拳で殴ったり爪で斬り付けたりする系統の

 攻撃を得意とする機体も存在するので格闘武器が未登録でも

 素手用の3種類の攻撃方法が選べるようになってるみたいっスね」

 

「なるほど…とはいえオプション武装に

『ビーム・サーベル』としても使える射撃武器がありますし、

 クシャトリヤって拳で殴るような攻撃を原作でしたんですか?」

 

「うーん、修理中に格納庫内で暴れた機体相手に殴った

 場面はあったけど…その時は大分派手に壊れてたし、

 今の見た目の時にはそういった描写はなかったはずだよ」

 

「そうですか、それでは今回はオプションの

『ビーム・サーベル』で接近戦に対応してみますね」

 

比奈からの言葉を聞いた上で今から使う機体が

原作でそれらに類する攻撃を行ったかを尋ね、

それに対するミサからの返答を聞いた上で

オプション武装として備え付けられている格闘武器で

接近戦に対応すると決めて「装備なし」を選択する。

その後オプションやEXアクションの設定を行い

泰葉はミサに準備が出来た事を告げる。

 

「準備出来ました、ミサさん」

 

「それじゃあ行くよ泰葉ちゃん…

 サツキノ・ミサ、アザレアいっきまーす!」

 

「わかりました、よろしくお願いします…

 岡崎泰葉、クシャトリヤ行きます!」

 

2人の掛け声と共に、淡いピンクと白をベースに

胸部や差し色の赤とパイプ部の青がアクセントの

ガンダムタイプ顔のミキシングガンプラと

全体的に大柄な中で特に両肩のバインダーの

大きさが目を引く薄緑のガンプラが

カタパルトから勢いよく発進していった。

 

~~~~~

 

「まずはこの『ファンネル』というオプションから…わっ!

 肩の内側から沢山飛び出してロックしてる敵機に飛んで…

 斜め上から断続的にビームを飛ばして攻撃してますね」

 

「『ファンネル』の攻撃中に、他のオプション武装や

 メインの射撃武器や格闘武器での攻撃…

 あと、EXアクションも同時に使う事が出来るよ」

 

「なるほど、それじゃあこの『胸部メガ粒子砲』を…あれ?

 まだこのオプションは使ってないのにゲージが減ってる…?」

 

「あー、クシャトリヤのそのオプションは対ビーム射撃用バリアも

 兼ねてるので敵機からのビーム射撃が被弾した事に反応して

 自動発動した事でゲージが減少してるみたいっスね」

 

「そういう仕組みでしたか…」

 

フィールドに飛び出した泰葉は、まずはオプション武装の

「ファンネル」を選択し起動を行う。それと同時に

大量に出て来た小型の自律兵器に驚きながらも

自動でロックオンした敵機を攻撃している様子に感心し、

ミサからの言葉を受けて別のオプションで追撃を試みる。

その際に未使用のはずでありながらゲージが減少していた事に

怪訝な反応を示すも、比奈からの説明で納得した様子の返答をしていた。

 

~~~~~

 

「あれ、画面が止まって…?」

 

ミサとの連携で調子良く敵機を撃破していく最中、

突如画面が止まると同時に現れた新しい敵機に

ズームするようにカメラが動いていく。

 

「リーダー機が出て来たね」

 

「リーダー機?」

 

「偶に出て来る通常のCPU機より強い敵機だよ、

 パラメーターが上がってるのに加えて…

 耐久力ゲージの下に黄色いゲージがあるでしょ?

 あれは『チャンスゲージ』って言って、あれを0にしないと

 脚部パーツを外しても泰葉ちゃんがタイガーにトドメをさした時に

 使った『グラウンドブレイク』で撃破出来ないようになってるんだ」

 

「なるほど…」

 

泰葉にとって初の経験となるシステムについて、

即座にミサが解説し泰葉が理解した所で

すかさず2人で敵機の殲滅に移る。

 

「これであと1機…きゃあっ!?」

 

順調にリーダー機を残り1機まで減らした所で、

クシャトリヤの近くに居た最後のリーダー機から

発せられた赤いオーラに押される形で

吹き飛ばされた事に驚きの声を上げる泰葉。

 

「これもリーダー機が持つ特殊能力の『狂化』だね、

 リーダー機が残り1機になると今みたいに

 オーラを放って近くにいるプレイヤー機を

 吹き飛ばすと同時に耐久力とかの回復と

 ステータスの強化が行われるんだ」

 

「最後まで油断は禁物、という事ですね…」

 

受け身を取って体勢を立て直す間に説明を聞き、

立て直しが済むと同時に2機の連携で残りのリーダー機を撃破した。

 

~~~~~

 

「これでステージクリアですね…まだ試したいガンプラが

 あるので引き続きお願いしますね、ミサさん」

 

「もちろん!」

 

ステージをクリアして一息付いた所に

ガンプラを変えての再チャレンジを打診する泰葉。

その言葉にミサは二つ返事でOKを返していた。

 

「次はヴァーチェっスか」

 

「クシャトリヤと合わせるとなると、見た目的には

 脚の太さがちょうどいいバランスって感じになるかな?」

 

「確かに腕が大きいですし、脚が細過ぎると

 バランスが悪く見えますからね…」

 

泰葉が次に選んだガンプラを見て、ミサが外見面から

クシャトリヤとの組み合わせが良好に思えるといった

意味合いの言葉を発すると泰葉もそれに同意する。

 

~~~~~

 

「このバリアは手動でONにする必要がある代わりに

 実弾の射撃攻撃も防いでくれるんですね」

 

「そうっスねー、CPU機体ならステージごとに

 一定のパターンがありまスが対人相手だと

 どんな機体が来るかわかりませんし…

 そういう意味で万能バリアというのは心強いっスね」

 

ヴァーチェのパックパックに備え付けられたオプション

「GNフィールド」を使用してクシャトリヤ備え付けの

「Iフィールド」とは違った使い心地について話す泰葉に

比奈は「何が来るかわからない」対人相手での

万能バリアの安心感についての言葉を返す。

 

「それはそうと、『照射型のビームバズーカは

 パーツを外しやすい』という話は聞いた事あるけど

 実際に見ると確かに結構な頻度でパーツが外れてるね…」

 

「機体データ強化の為のパーツデータを集めたい

 私達にとっては、うってつけの武器と言えますね」

 

それに続く形でミサから発せられた、ヴァーチェの射撃武器

「GNバズーカ」の照射攻撃を受けた敵機からパーツが外れる音が

頻繁に発せられる様子への驚きに対し泰葉は機体強化の為の

パーツデータを沢山手に入れられる武器である事に喜びの言葉を返す。

 

~~~~~

 

「同じ『ウイングガンダム』でも見た目がかなり違いますね…

 射撃武器も見た目でだけでなくカテゴリーが異なってますが、

 EXアクション以外にどういった違いがあるんでしょうか?」

 

その後TV版の「ウイングガンダム」を試した後に

EW版の「ウイングガンダム」を試してみた泰葉は、

同名でありながら形状が大きく異なり武器カテゴリーも

別物である「バスターライフル」の違いについて尋ねる。

 

「今使ってるEW版の『バスターライフル』のカテゴリーの

『ロングライフル』は、『シューティングモード』の時の

 威力が大きく跳ね上がるって特性を持ってるんだ。

 まずは通常モードで照射してみて撃破するまでの大体の

 時間を確認してからシューティングモードで同じように

 照射して撃破までにかかる時間と比較してみて?」

 

「シューティングモードですか…バズーカのEXアクションの時に

 試しましたがロック出来ないのと視点が変わる事で当てづらいんですよね」

 

「私が前に出て敵機を引き付けて、あえて棒立ちして

 回復しながら耐えるからその間に撃ってみてよ」

 

「わざわざすみません」

 

ミサからの説明を聞いた泰葉は「威力が跳ね上がる」射撃モードの

やりにくさを実感している為に難色を示すも、ミサがそれを

試しやすくする為に囮になる事を宣言するとその行動に対して

感謝の意を込めながら謝罪の言葉を返し、最初に基準として

通常モードでの照射を行い撃破までのおおよその時間を確認する。

続いて宣言通りミサのアザレアが前に出て敵機を引き付け、

攻撃を受けている間に泰葉はシューティングモードに切り替えて

先程撃破した敵機と同タイプのものに何とか狙いを定めて

「バスターライフル」を照射モードで発射する。そうすると

まさにあっという間という言葉が当てはまるかのような

通常モードでの照射を下回る短時間で敵機が撃墜されていった。

 

「た、確かに短時間で敵機を撃破出来てますね…

 加えてEXアクションの1つが高確率でパーツを外す効果付きですから

 使いこなせばパーツデータ集めも敵機の短時間撃破も両立出来ますね」

 

「とはいえ初心者には扱いにくいってのもまた事実っスよね…

『パーツを外す』という点で見ても通常射撃の照射モードで

 賄えるビームバズーカや、パーツが外れた敵機に当てると

 高確率でさらにパーツを外せる強攻撃持ちのダブルサーベルと

 EXアクションに依存しない手段持ちの武器がありまスし」

 

「ま、確かにねー…その辺りは気に入った武器を

 使いこなせるようにするか使いやすいと思った武器を

 選ぶかは人次第だし、そこは泰葉ちゃんが納得出来る選択をって所だね」

 

シューティングモード時のロングライフルの威力の跳ね上がりに

驚きつつ、EXアクションにパーツを外しやすいものがある点でも

ロングライフルの「強さ」を感じ取る泰葉。しかしながら

これまでに使った武器の通常攻撃の中にパーツ外しに向いたものが

ある事とロングライフルの真価を発揮するシューティングモードの

難易度の高さから感じ取った「扱いにくさ」を比奈は零していた。

その上でミサは「どうするかを最後に決めるのは泰葉自身」である事を告げる。

 

~~~~~

 

「ありがとうございます、これで試したいものは一通り試せました」

 

「それなら良かったよ、それじゃあ最後にドロップした

 パーツデータと強化アイテムデータを確認して…えっ?」

 

「どうしたんスか、ミサちゃん?」

 

泰葉が一通り試したいガンプラを試せた事に対して

ミサに感謝の言葉を告げると、ミサは返事をしながら

今回のプレイで手に入れたパーツデータならびに

強化アイテムデータを確認すると驚きの声を上げる。

その様子を見て比奈がミサに声をかけると…

 

「…レアリティ高いパーツってだけじゃなく、有用だけど

 手に入りにくいアビリティ付きのものや同じように

 なかなかドロップしない強化アイテムデータが沢山手に入ってる…

 それに、『派生合成』を使って2つのパーツデータを合成して

 別のパーツデータに変化させると有用な固有アビリティ持ちの

 ものになる組み合わせも確保出来てるし…これだけあれば、

 泰葉ちゃんが作り上げたガンプラを一気に実戦レベルの

 アビリティ持ちにまで強化するのも夢じゃないよ!」

 

「そ、そんなに良いパーツが手に入ったんですか…」

 

「恐るべし、茄子さんのお守りパワー…」

 

入手しにくいパーツや強化アイテム、それに加えて

有用なアビリティ持ちパーツデータに変化させられる

パーツデータの組み合わせを手にした事を興奮気味に

語るミサを見て、泰葉と比奈は1週間前に茄子から

手渡されたお守りの効果に圧倒されるのみであった。




(2023/02/09更新)
比奈:この後書き含めてガッツリ加筆修正したっスね…

P:前々から考えてたから何とかなるだろうというのは
 今更ながら甘い考えだったと痛感してるよ…
 間に合わせたいという気持ちだけで書き殴って
 色々と書き足りない部分が生じてしまったし、
 それに加えて旧版の流れを継いで書いていた7話の
 予定原稿が読み返してみるとただのゲームシステムの
 説明状態だったのに加え本筋からズレてると思ったもんでな…
 とりあえず本来の7話から8話までで書く予定だった
「泰葉が試したいガンプラ」について一通り詰め込んで
 改めて書く7話で最初の「泰葉だけのガンプラ」を
 形にするという方向に変更したんだ

比奈:なるほど…さて、今回からその泰葉ちゃんの
   自機作成に向けての最初の一歩という事で
   泰葉ちゃんが使いたいガンプラのデータを使った
  「試乗」といった感じみたいっスが…
   この話に出た「トライアルデータ」ってオリ設定っスね?

P:ああ、元々は「ガンプラを買う前に使い心地を知りたい」
 というファイター向けのモードといった風にイメージしてる。
 もう少し詳しく言うと…

 ・パーツLvはMAXだがレアリティは初期のコモン
 ・アビリティは各パーツ固有のもののみ
 ・アセンブルはフルセット固定
 ・武器や盾が複数ある場合プレイヤーが選択可能
 ・EXアクションを使っても制限解放の為の
  使用回数にはカウントされない

 こんな感じに設定してたりする

比奈:本編に直接関わらない所もしっかり考えてるんスねぇ…

P:とは言っても割とアドリブで決めてる所が多いからな…
 矛盾が起こらないようには気を付けていきます、
 色々と予定からズレまくりで読者の皆様には
 ご迷惑をかけ通しですが読み続けて頂ければ幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

「私のガンプラ」完成の時

「ただいまー」

 

「ただいま戻りました」

 

「ただいまっス」

 

「3人ともおかえり、それで早速だけど…

 泰葉が自分のガンプラに使うキットは、何になったんだ?」

 

「ええとですね…」

 

泰葉達3人がイラトゲームコーナーから五月野模型店に

帰って来た所をプロデューサーが出迎えると同時に、

泰葉に「自分のガンプラ」を組み上げる為のベースとなる

キットが何になったのかを尋ねる。その声に応え、

泰葉は売り場から4つのキットを選んでレジに運んでいく。

 

「エクシアにヴァーチェ、TV版のウイングに…クシャトリヤか。

 どういう風にミキシングするか次第だが、おそらくは

 初っ端からインパクトの大きい代物になりそうだな」

 

「どう組み立てるかの構想もまとめてますよ、こんな風に」

 

泰葉が選んだ4つのキットを見て感想を漏らしたプロデューサーに、

泰葉はスマホを差し出して4つのキットを組み合わせ機体カラーも

一部を各パーツのものから変更したまさに「自分だけのガンプラ」を

シミュレートした「アセンブルシミュレーター」の画面を見せていた。

 

「クシャトリヤの上半身にヴァーチェの下半身の組み合わせか…

 大柄な上半身に釣り合う説得力に溢れた良いチョイスだな、

 頭がエクシアなのはやはり最初に組み上げたガンプラだから

 愛着が生まれて選んだって所か…ウイングからはバックパックを

 選んだのか、ブースト移動の時にさり気なく主張する感じだな」

 

「もう1つのウイングガンダムやヴァーチェのバックパックですと、

 シミュレーター上でクシャトリヤの肩のバインダーを貫通してしまう

 見た目になって見栄えが悪く感じてしまうのと…エクシアのGNドライブは

 収まりが良いんですがウイングガンダムの外装パーツを使わないと

 いうのも不公平に感じたもので、このチョイスにしてみました」

 

「なるほど、そして武装はヴァーチェのGNバズーカに

 エクシアのGNブレイド2種と…盾はウイングのやつか、

 これはクシャトリヤパーツのオプションと合わせて

 遠距離砲撃型の武装構成と言える取り合わせになったな」

 

「ま、クシャトリヤにヴァーチェという砲撃型と言える

 機体2種が入ったミキシングっスからねー」

 

シミュレーターの画面に現れたミキシング案を見ての

プロデューサーの感想とそれに対する泰葉や比奈の

返答が交わされる中で、ミサが割って入る形で声を上げる。

 

「泰葉ちゃんのイメージする機体カラーだと、結構なパーツを

 塗装する必要があるね…泰葉ちゃんが塗りたい色の塗料や、

 塗装以外でパーツの見た目をより良くする為の作業に使う

 工具や道具各種は私が持ってるし良かったら…」

 

「…いえ、ミサさんのお気遣いは有難いですし是非とも

 それらの作業について教えてもらいたいですが…

 私もプラモデルとは異なりますが工作系の趣味を

 持つ身として自分が作る物に必要な道具類は

 きちんと自分用に揃えておきたい性分なので…

 プロデューサー、確認しますがガンプラそのもの以外の

 道具類も必要なものであれば経費で購入出来ますか?」

 

「…そうだな、こちらで確認して本当に必要だと言えるものに

 限定されるが工具や塗料等の道具類も経費で買う事は出来る」

 

「そうですか、ありがとうございます…ではミサさん、

 私の考える機体カラーを再現する塗料やその他に

 塗装等で必要な道具類を教えてもらえますか?」

 

「オッケー、まず塗料はこの色のスプレーがあるから

 それで、次に塗装の下地用のサーフェイサーに

 スミ入れ用のマーカーと消しペン…塗料系はこの辺りで、

 次は合わせ目消し用の瞬間接着剤と紙やすり各種に

 デザインナイフ…あ、泰葉ちゃんピンセット持ってる?」

 

「ピンセットはありますね」

 

「なら持って来てくれるかな? シールを貼る時に

 あるとないとじゃ段違いだから」

 

「わかりました」

 

「となると、これで必要な分は揃ったね」

 

「それじゃあ買わせてもらうよ、それと領収書もお願い」

 

「ありがとうございまーす♪」

 

ミサから塗料や工具等の貸し出しを提案されるが、

ドールハウス作りというプラモとは別種ながら

工作系の趣味を持つ者として「自分が作る物に

使う道具は自分用に用意したい」という気持ちが

生じた事でPに確認を取った上で塗料や工具類も

経費で購入する事となり…ミサと共に泰葉が作りたい

ガンプラの為に必要な塗料や工具類を売り場から

レジへ運び、ガンプラとまとめて支払う事となった。

 

「よし、ガンプラや塗料・工具は買えたし早速だけど

 泰葉達は組み立てを初めてくれるか? 俺はこれから

 タウンカップのエントリーと大会運営への挨拶・相談に

 行って来る、比奈は作業の様子を撮影しててくれ」

 

「SNSに宣伝動画として上げるんスか?」

 

「ああ、そういう事だ…それじゃあ、よろしく頼む」

 

ガンプラ及び塗料等の道具類の代金を支払い領収書を

受け取った後に、Pは比奈に鞄から取り出したデジカメを

手渡すと足早に五月野模型店の外に出て行った。

 

「じゃ、早速作り始めようか」

 

「はい、よろしくお願いしますミサさん」

 

「その前にカメラに向かって一言お願いっス」

 

Pが出て行った直後に、早速ガンプラ作成に取り掛かろうとする

泰葉とミサをデジカメ越しに見ながらカメラに向けての挨拶を

2人に要請する比奈。こうして泰葉の「2度目のガンプラ作り」にして

初めてとなる「自分だけのガンプラ」作りは幕を開けた。

 

~~~~~

 

「サフ吹き付けは完了したね、それじゃ乾燥させようか」

 

「え…これって、食器乾燥機じゃないですか」

 

「いやー、実際問題塗装したプラモの塗料を

 手早く乾燥させるのに食器乾燥機は最適なんだよね」

 

 

 

「塗装したいパーツと同じ色のランナーに直接塗りたい色を

 スプレーしたのと、サフを吹いた上からスプレーしたのを

 見比べると大きな違いが生じるのはわかったでしょ?」

 

「黒いパーツに直接塗料を吹き付けてもイメージ通りの

 色にならないのは予想出来ましたが…淡い緑色のパーツでも

 塗料の色そのものには決してならないんですね」

 

「泰葉ちゃんが塗りたい色が淡い色寄りってのもあるけど、

 下地の色って馬鹿に出来ない影響があるんだよねー…

 だからこそ最初にサフでパーツを白や灰色に染めた後に

 塗りたい色に取り掛かる事が欠かせないんだよね」

 

 

 

「塗装していないパーツでも、凹んでる所を黒いペンで

 なぞるだけで立体感を強く感じる見た目になるんですね」

 

「そうそう、塗装をしない『素組み』でもスミ入れをするだけで

 見た目のメリハリが増すからお手軽に完成度を上げられるんだよ」

 

 

 

「泰葉ちゃんが最初に組み立てた『素組み』のエクシアの頭と

 見比べると、合わせ目を消した事でどれだけ違うかわかるでしょ?」

 

「そうですね、今回の頭はまるで最初から1つのパーツのような

 見た目で…一手間加えるだけでこんなに違って来るんですね」

 

塗装やスミ入れ、合わせ目消しといったパーツ1つ1つの

クオリティアップやイメージを具現化する為のテクニックを

ミサに教えてもらいながら着実に「自分のガンプラ」を

具現化する為の作業を泰葉は積み重ねていく。そして…

 

~~~~~

 

「これで…完成ですね」

 

「おお~…現物を目にするとシミュレーターで

 見た時とは比べ物にならない迫力でスな」

 

「シミュレーターだとさらに縮小されてるからねぇ…」

 

「初心者故の荒さは所々見受けられるけど、

 それでも手伝いありながら作り始めて2週間程で

 ここまでのクオリティは素直に凄いよ」

 

「…ひとまずはお疲れ様、そして完成おめでとう泰葉」

 

塗装や合わせ目消し等のクオリティアップの作業を施した

各種パーツを組み上げて1つの機体として完成させた、

泰葉にとって初めての「自分だけのガンプラ」を見た4人は

率直な感想や泰葉へのねぎらいの言葉を口にしていた。

 

「ありがとうございます、とはいえタウンカップまで

 あと2週間程でしたよね? そうなると今すぐにシミュレーターに

 このガンプラを登録してこの前に獲得したパーツデータを

 合成してアビリティを付与させないといけませんね」

 

「泰葉ちゃん泰葉ちゃん、ちょっと前のめりになってるっスよ」

 

「あ…すみません、完成させた事で精神が昂ってしまってて」

 

プロデューサーからのねぎらいの言葉に感謝を返しつつも、

これからやらねばならない事を捲し立てる勢いで発言する泰葉。

それを比奈が指摘すると、泰葉は詫びながら後退し

気持ちを落ち着ける為に深呼吸を大きく1回行う。

 

「ま、気持ちはわかるから謝る事はないさ。

 …ついでになっちゃうが、機体の名前は決まってるのか?」

 

「はい、『ガンダムメイクプレゴレス』…『進歩する』という

 意味合いの言い回しと『自我』を意味する『エゴ』を

 混ぜ合わせた造語で、『他者からの命令のままに動いてた身から

 自らの欲求や意思も主張していくという心の進歩』という

 アイドルになる前となった後の私の心の変化を込めた

 機体名にしてみました。選んだガンプラもパイロットが

 おおむねそういった方向の変化を遂げたと言えるもので…

 そういうものを選べたのも比奈さんのおかげです」

 

「いやいや、お役に立てたならアタシも嬉しいっスよ」

 

プロデューサーがそんな泰葉に言葉を返しながら

機体名を尋ねると、泰葉は機体名のみならず

それに込められた意味やベースキットのチョイス理由にも

同様の意味が込められている事を話しつつ

比奈に対して助力してくれた事への感謝を告げる。

 

「先程も言いましたがこれからまたあのゲームセンターに

 行きます、今回はプロデューサーも来てもらえますか?

 私のガンプラの戦う様子を見てもらいたいので…」

 

「ああ、喜んで同行させてもらうよ」

 

「…という事でユウイチさん、またあのゲーセンに行って来るっス」

 

「ああ行ってらっしゃい、夕飯までには帰って来るように頼むよ」

 

「わかってるって、それじゃ行って来まーす」

 

ミサのその言葉を合図に、泰葉達4人は五月野模型店を

飛び出しイラトゲームコーナーへ向かって行った。

 

~~~~~

 

その後、泰葉が完成したガンプラの写真と共に

彩渡商店街チームの一員としてタウンカップ彩渡大会への

出場報告をSNSの346プロ公式アカウントから投稿すると

すぐさまアイドルファンやガンプラファイター達の間で

話題となり拡散され…多くの人に知られる事となった。

それはもちろん、同じくタウンカップ彩渡大会に

出場する他チーム所属のファイターにも…。

 

「…は!? あの貧乏商店街チームに346プロダクションなんて

 超大手芸能プロダクションとのコネがあったってのか!?

 投稿アカがプロダクション公式のものだからマジなんだろうが…

 そんなコネがあるんなら何故俺が居た時に言わなかったんだよクソが!

 …まぁ、チームメンバーのアイドルは特にゲームが得意って訳じゃ

 ないようだからあまり警戒する必要もなさそうだな…ガンプラの出来は

 ミサに手伝ってもらったのを差っ引いても初心者とは思えない代物だが、

 どんなに良いガンプラでもファイターがズブの素人じゃ所詮は

 宝の持ち腐れだって事をその身を持って思い知るんだな…アイドルさんよ」




比奈:今回で一気に泰葉ちゃんの最初の相棒となる
   ガンプラの完成まで持って行ったっスねぇ…

P:ああ、あまり長々と引っ張る訳にも行かないと思ってな…
 このまま今回完成したガンプラの簡単な説明に移らせてもらう


【挿絵表示】


機体名:
ガンダムメイクプレゴレス

アセンブル:
頭~ガンダムエクシア
胴~クシャトリヤ
腕~クシャトリヤ
脚~ガンダムヴァーチェ
バックパック~ウイングガンダム
格闘武器~GNロングブレイド/GNショートブレイド
射撃武器~GNバズーカ(ヴァーチェ)
盾~シールド(ウイング)

EXアクション:
アーマーリペア/マルチブラスト/スプレッドシェル/クアッドスライサー

比奈:初っ端からなかなかのデカブツかつ、オプション武装も
   豊富な砲撃機って感じの仕上がりっスな…

P:作中で泰葉に言わせたような機体チョイスの結果、
 こんな感じの砲撃機になったって事になるな…
 EXアクションはやり始めて間もないという事で
 回復とバズーカ&ダブルサーベルの初期EXだ、
 補足としてミサのアザレアのこの作品における
 想定EXアクション設定も出しておく

アザレア想定EXアクション:
フィールドリペア/スラッシュペネトレイト/
フリージングバレット/バレットオービット

比奈:回復と装備してるメイン武器のサーベルとマシンガンの
   上位EXアクションの取り合わせっスね…オプション武装の
   少なさをこっちで補ってるってところでしょうか?

P:どちらかと言うと「プレイ歴が長い分、上位EXアクションの
 解放まで進んでる」というイメージでのチョイスって所だな

比奈:なるほど…

P:さて、次回からタウンカップ開始という事でいよいよ
 本格的な物語の始まりになりますがこれからは
 リアル都合や他にやりたい事の為に更新ペースを
 基本週1回に落とします、これまでの間に何度も
 更新予告を破ってしまった上にこの体たらくで
 読者には申し訳ありませんがSfC予選Cも終わったので
 無理なく続ける為にこのペースにしました…
 待たせてしまいますが次も楽しみにして頂ければと思います


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タウンカップ予選・快進撃

「間もなくタウンカップ予選開始時間となります、

 受付を済ませていないチームは開始時間までに

 必ず済ませるようにして下さい」

 

彩渡商店街やイラトゲームコーナーからは離れた場所にある

「彩渡体育館」の中にガンプラバトルシミュレーターが設置され、

入口に立てかけられた手書きの看板に「ガンプラバトルタウンカップ

彩渡大会会場」の文字がハロのイラストと共に描かれている。

 

普段はスポーツ関係のサークルに使われている体育館は、

この日ばかりはガンプラバトルの為の会場となっていた。

 

「いよいよこの日が来たね…去年は予選落ちで

 終わっちゃったけど、今年こそは!」

 

「そうですね、やるからには勝ちを狙いに行きましょう」

 

そんな会場を目にして気合を入れたミサの言葉に、

泰葉は落ち着きながらも勝ちを目指しに行く

強い意志を込めた言葉を返していた。

 

「…それにしてもギャラリーの人達も選手の人達も、

 泰葉ちゃんの姿を見た時に幾度となくどよめきが

 起こってたっスね…事務所の公式アカウントで

 告知したにも関わらず『マジだったのかよ』とか

『一足早いエイプリルフールだと思ってた』みたいに

 信じてなかった人も結構見受けられましたし」

 

「まぁ、ゲームに関しちゃもっと適役と言えるアイドルも

 何人か所属しているウチの事務所で言っちゃ悪いけど

 ゲームに対して素人というイメージを持たれ易い

 アイドルをある種の事務所代表として出すという事が

 信じられないっていうファンも少なくないからな…

 加えて東京都内とはいえ23区外の街の予選大会に

 わざわざ足を延ばすなんて事も重なってるからな」

 

「大会運営の人達には説明したと聞きましたが、

 観客の人達がSNS等で拡散して大量の観客が押し寄せ

 大会に支障が出る可能性は否定出来ませんね…

 その点の備えはしてありますか、プロデューサー?」

 

「そこは心配無用だ、大会運営だけじゃなく

 警備・マスコミ関係にも話は通してあるし

 大会運営にも頼み込んで多数の観客を見込んだ

 広い観戦スペースを確保してもらってる」

 

比奈が泰葉の参戦に対して驚きの反応を見せたり

事務所公式アカウントでの事前告知にも関わらず

泰葉の参戦を信じていなかった層について話すと、

プロデューサーはそういった事態になった理由を

推測し比奈に話す。それが終わったのを見計らって

泰葉が情報拡散からの観客大量来訪による大会への

支障を危惧した発言を行うが、プロデューサーは

それを見込んだ備えも十分にしていると返事をする。

 

そんな話をしていた泰葉達の前に…

 

「うわ、サブカル分野に長けてるアイドルの

 代表とも言える荒木比奈まで参加してるってのかよ!?」

 

茶髪に紫のシャツとネックレスという風貌の、

ミサや泰葉と近い年齢と推測される男性が現れ

比奈の姿を確認すると驚きの声を上げていた。

 

「ありゃカマセ君、ここに居るって事はチーム見つかったの?」

 

「ああ、お前ん所とは月とスッポンレベルのバトルシステムに

 対する環境を持ち合わせたプロを目指す俺に相応しいチームがな…

 ってそれよりもだ! どうしてお前ん所の貧乏商店街風情が

 346プロなんて超が複数付くレベルの大手芸能プロダクションと

 手を結べたんだよ! そんなコネがあるってんならどうして

 俺が居る時に言わなかったんだよ、ええっ!?」

 

その男性に対し、ミサは顔なじみのような反応を示した所

所属チームに対する自慢をしたかと思いきやそこから

怒り気味の表情でミサに詰め寄りながら彩渡商店街が

346プロと手を組んだ事に対して問い詰め始めた。

 

「…君がミサさんが話していた元彩渡商店街チームメンバーかい?

 今の商店街チームの状況が信じられないというのは理解出来るけど、

 まずは落ち着いてくれないか? それじゃあミサさんも返事しづらいだろう」

 

「あ、スンマセン…余りの事態に驚きやら怒りやらが溢れちまって」

 

そんな2人の間に割って入って詰め寄って来た男性から

ミサを軽く遠ざけつつ、丁寧な口調で落ち着くように諭す

プロデューサーの前に男性も怒りを鎮めて詫びる。

 

「俺は鎌瀬謙吾(かませ・けんご)って言います、

 そっちが聞いてる通り以前は商店街チームに入ってました」

 

「さっきも話した去年参加した時のメンバーなんだけど、

 予選落ちしちゃった事とチーム環境への不満から

 爆発しちゃってそのまま抜けちゃったんだ」

 

「オイその言い方はないだろ!?」

 

男性の自己紹介に合わせる形でミサが

彼の商店街チーム所属時の話をすると、

怒り気味の声と表情ではあるが詰め寄りながら

問い詰めてた時よりは抑え目だった事もあり

漫才のツッコミのような返答になっていた。

 

「新入り、今セッティング中なのに何油売ってんだ」

 

「ああ悪ぃカドマツさん、前のチームがとんでもない所と

 手を組んだって聞いたもんで挨拶がてら様子見に行ってたんだ」

 

「…挨拶とは思えない怒鳴り声が聞こえたんだがな」

 

「いやぁ、本気で組んだ所がとんでもなかったもんで…」

 

「まぁいい、挨拶が済んだならとっとと戻りな」

 

「へーい」

 

そんな様子の一同の後ろから白衣と無精髭が目立つ男性が

カマセに声を掛けると二言三言言葉を交わしてカマセは立ち去っていく。

それを確認すると、カドマツと呼ばれたその男性は泰葉達に話しかけて来た。

 

「悪いな、ウチのチームメンバーが絡んでたようで」

 

「いえ、大事にはなりませんでしたしお気になさらずで」

 

「失礼ですけど、どちらのチームのスタッフさんですか?」

 

カドマツの謝罪に対してプロデューサーが返答した所に、

ミサがカドマツに所属チームについて尋ねる。

 

「ああ、俺は杉田角松(すぎた・かどまつ)…

 ハイムロボティクスチームのエンジニアをしている」

 

「は、ハイムロボティクス!? カマセ君、凄い所入ったんだ…」

 

「ああ…ウチの会社チームのファイター募集に応募してきた

 だけじゃなく一応アポは取った上で会社まで足を運んで

 ガンプラバトルチームと話をしたいなんて言い出したもんだから、

 一応顔を出した上で丁重に引き下がらせようと思ってやって来たら

 俺達の姿を見た瞬間即座に土下座して是非ともチームに

 入れてくれって頼み込んでな…チームスタッフの1人が

 その姿にガッツを感じたとかで加入させちまったんだ」

 

カドマツの自己紹介で告げられたチーム名を聞いて驚くミサに、

続けてうんざりしたような表情でカマセがチームに加入した経緯を

愚痴り気味に一気に吐き出す勢いで泰葉達に話していく。

 

「何と言いますか、お疲れ様としか言えませんね…」

 

「まぁチームに入った後は真面目にミーティングや練習に

 参加してたし、アセンブルシステムへの手の入れ具合に

 感動したりで一部のスタッフからは好かれてたようだし

 俺もまぁ最初こそ度肝を抜かれたがしっかりとした姿勢で

 取り組んでくれたから悪い奴ではないと思ってるがな」

 

「プロを目指すという大口に見合った努力はしていた、と」

 

「だな…と、長話し過ぎちまったか…あいつにああ言っといて

 俺がこのザマじゃ格好付かねぇし、ここらで失礼するよ」

 

カドマツの愚痴に泰葉が恐縮気味に言葉を返すと、

それに応える形でチーム加入後のカマセの取り組む姿勢に

ついて話しそれを聞いた比奈が感心の声を上げる。

そこで話の区切りが良いと判断したカドマツは

泰葉達から離れ自チームの集合場所に戻って行った。

 

「ミサさん、ハイムロボティクスって強いチームなんですか?」

 

「うん、この彩渡市で知らない人はいないって程の

 ロボット製造会社で…去年のタウンカップの優勝チームなんだ」

 

「となると、やはり強敵って事になるっスね…」

 

「ええ…ですがだからと言って諦めるつもりはありません、

 全力でぶつかって良い結果を勝ち取りましょう…ミサさん」

 

「もっちろん!」

 

泰葉からハイムロボティクスチームの強さを尋ねられ、

企業の有名さと合わせてその強さを話すミサ。

それを聞いて比奈共々相手の強さを痛感するが、

泰葉は諦めるつもりはないという決意を口にし

ミサもそれに応えるように言葉を返していた。

 

~~~~~

 

「フィールドには降り立ちましたが…ミサさん、今回の大会は

 どういうルールで決勝進出チームを決めるんですか?」

 

「まずは複数のミッションを連続でクリアしていって、

 制限時間内に稼げたエースポイントの合計値の

 上位2チームが決勝に進出するってルールだね…

 仮に途中で失敗しても制限時間内なら何度でも

 再チャレンジ出来るからその点は心配無用だよ、

 加えて道中で他の参加チームとエンカウントした時に

 相手チームの機体を落とせばボーナスポイントが入るからね」

 

「なるほど、基本的には現れた敵機を片っ端から倒していって

 相手チームとエンカウントした時にはさらに頑張って倒せと…」

 

「ルール自体はシンプルなんですね、それじゃあ

 早速現れた敵機を落として行きましょうか」

 

「了解!」

 

フィールドに降り立った所で、泰葉がミサにタウンカップの

ルールを尋ねミサがそれに対して返答していく様子を聞きながら、

比奈が率直な感想を述べる。泰葉もほぼ同様の感想を言いながら

現れて来たCPU機に視線を向けてミサ共々即座に攻撃に入り

泰葉にとって初となる公式大会が始まりを告げた。

 

~~~~~

 

「あのデカブツ…アイドルがメンバーに加入したって

 SNSで話題になってた商店街チームで間違いないな」

 

「そりゃあ丁度いい、話題になってる奴らが相手の上に

 メンバーの片方はせいぜい2週間程度しか練習を積めなかった

 付け焼刃野郎だ…一捻りに叩き潰して話題を掻っ攫ってやろうぜ」

 

「完璧に舐められてるね…」

 

「弱いと思われているならこちらにとって

 好都合とも言えます、返り討ちにしましょう」

 

「TV版ウイングとシャイニングをベースに

 手足を交換してて…シャイニング頭の方は

 背中がソードストライクのものになってまスね、

 あとそれぞれの手足に何か見慣れないパーツが見えまスが…」

 

「シャイニングガンタム頭の機体が前進して来ましたね」

 

「ウイング頭の方は前に出ずに『バスターライフル』を

 撃って来るし、まずは前に出た機体から相手しようか」

 

「わかりましたミサさん、こちらの攻撃を集中させて

 手早く撃破し数的優位を取りに行きましょう」

 

最初のステージをCPU機を次々に倒しながら進んだ先に

現れた敵チームのこちら側を舐め切った発言を

受け流しつつ、比奈が相手チーム機を一目見た印象を

マイク越しにポッド内の2人に伝えるとほぼ同時に

相手チームの1機が前進して来たのを見て迎撃態勢に移る

泰葉とミサ。そこから前進して来た機体を迎撃していく最中…

 

「喰らいな! 『シャイニングフィンガー』!!」

 

「…っ!」

 

「なっ!? 避けやがっただと…!?」

 

TV版ウイング改修機がEXアクション「シャイニングフィンガー」を

泰葉機目掛けて発動するが、泰葉は的確なステップで回避を決める。

 

「初心者だからパッと見でパーツの変化に気付かなくて

 喰らってくれると思ってたんだろうけど…甘いよっ!」

 

その様子を横目で確認したミサはターゲットをTV版ウイング改修機に

切り替え、シャイニング改修機もカメラに入るように調整し

EXアクション「フリージングバレット」で2機を巻き込む弾幕を浴びせる。

 

「動かねぇ!」

 

「くそっ、スタンかよ!」

 

「…ここは先にウイング頭から潰そう、泰葉ちゃん!」

 

「了解しました!」

 

EXアクションを被弾した事で相手チームが両機とも

スタン状態になったのを確認すると、泰葉とミサの2人は

強烈な一撃を持つTV版ウイング改修機に標的を切り替える。

そして泰葉が「GNバズーカ」による照射ビームで

TV版ウイング改修機を拘束している所にミサがEXアクション

「スラッシュペネトレイト」で敵機に接近し取り付いてからの

「ビーム・サーベル」の連続斬りに繋げて一気に撃破に持ち込む。

 

「やりゃあがったな!」

 

「狂化を発動した…!?」

 

「でも有利な状況は作ったから、このまま押し切るよ泰葉ちゃん!」

 

「は、はい!」

 

TV版ウイング改修機を撃破し爆散した所でシャイニング改修機が

狂化を発動した事に驚きを見せる泰葉だったが、ミサの言葉に

気を取り直して火力を集中する事で無事撃破し最初のステージを突破する。

 

~~~~~

 

「アイドル入り商店街チームか…ここで当たったって事は

 少なくとも1チームは倒した事になる、油断せずに行くぞ」

 

「ああ、あのアイドル側のクシャトリヤ改修機の火力は

 間違いなく高い…まずはそっちに攻撃を集中させよう」

 

「腕をガンタンクのやつにした砲撃特化型ガンキャノンに、

 素の78っぽいけど色んな連邦系をミキシングしたガンダム…

 今度もガンキャノンの方の太腿側面に見慣れないパーツが見えるっスね」

 

「…ガンダム改修機は『ガンダム・ハンマー』を格闘武器にしてるね、

 あれは武器カテゴリー上『鞭』扱いだからリーチが長く範囲も広めで

 攻撃速度も並以上のものを持ってるから巻き込まれないようにね」

 

「わかりました…こちらは安全に砲撃出来るように、

 まずはガンキャノン狙いで行きます」

 

「オッケー、じゃあガンダムは私が抑えておくよ!」

 

2度目のエンカウントとなる相手チームは、こちら側も

1チームは倒した事を察し油断のない様子で攻めに移る。

対する泰葉達は各個分散でミサが前衛担当を抑え込み、

泰葉が後方火力担当機を狙う形で迎撃に移った。

 

「もらったっ!」

 

「うっ!? …とっ!」

 

「くそっ、本命を避けられちまったか!」

 

「今度はこちらからです…『ファンネル』!」

 

泰葉と対峙する形となったガンキャノン改修機が、

腕の「4連装ポップ・ミサイルランチャー」から

ミサイルを発射し時間差で胴の「240mmキャノン砲」と

脚部に増設された「ミサイルポッド」からの射撃を行う。

最初に放たれたポップ・ミサイルは避け切れず数発被弾するも、

続けて飛んで来た砲弾とミサイルは何とか回避し

返す刀とばかりに「ファンネル」を展開する。

 

「わわっ! 数が多くて避け切れねぇっ…!」

 

「このまま押し切ります…『胸部メガ粒子砲』、発射!」

 

「やべ…うああっ!」

 

「ファンネル」の回避に手こずるガンキャノン改修機を見て、

泰葉はそこから胴体オプション武装の「胸部メガ粒子砲」の照射に繋げる。

 

「くそっ、やらせ…」

 

「こっちこそそっちの思うようにはさせないよっ!」

 

その様子を見て何とか泰葉機に向かおうとするガンダム改修機を

ミサが抑え込み、ガンキャノン改修機はそのまま泰葉機の

「ファンネル」と「胸部メガ粒子砲」の同時攻撃の前に沈んでいく。

 

「くっそぉ…!」

 

「最後まで足掻いてやらぁっ!」

 

「うわっ!」

 

「大丈夫ですか、ミサさん!?」

 

それと同時にガンダム改修機が狂化を発動した事で

吹き飛ばされたミサに対し心配の声をかける泰葉。

 

「だいじょぶ、問題ないよ…このまま私が抑え続けるから

 泰葉ちゃんは火力全開で奴を撃ち続けて!」

 

「わかりました!」

 

泰葉の心配の声に元気良く返事をしながら

再びガンダム改修機に向けて自機を前進させるミサ。

それを見た泰葉はガンダム改修機の居る場所の

地面に置く形で「GNバズーカ」からビーム弾を発射して

爆発を起こして動きを封じ、ミサが再び敵機に取り付いたのを

確認すると照射モードに切り替えて大ダメージを与え

そのままガンダム改修機を撃破し次のフィールドに進む。

 

~~~~~

 

「女性ファイターが増える事は歓迎するけど…」

 

「戦う以上は容赦しないよっ!」

 

「女性ファイターも増えて来てるとはいえ、

 こんな所でエンカするとは正直驚きだよ…」

 

「機体は…見た目はほぼ同じですが片方だけ

 背中に大きな箱を背負ってますね」

 

「ジムコマベースに連邦系をミキシングした

 オリジナルジムっスか…片方が背負ってる

 デカブツは陸ガンのコンテナっスね、

 おそらくアレには何らかの武器が

 収納されてる可能性が大っス」

 

「そうなるとコンテナ持ちを優先して倒しに

 行った方が良いという事になりますか…」

 

「了解、こっちもコンテナ機を狙ってくよ!」

 

基地内を進んでの3回目のエンカウントとなるチームは

奇しくもこちらと同様の女性ファイター2名からなる

タッグチームであり、ミサがそれに驚く一方で

泰葉と比奈は機体を観察しつつ片方のバックパックから

手数の多さを推測し泰葉とミサの両者ともまずは

コンテナ持ち機を狙いに行くという事に決め動き出した。

 

「わわわっ、狙われてるー!?」

 

「やっぱ大荷物背負ってるから警戒されるね…

 でも、それならこっちも食らい付けばっ!」

 

「うわっ、こっち狙って来たっ!?」

 

ミサがコンテナ持ち機に取り付き、「ビーム・サーベル」での

連続斬りを仕掛けているとフリー状態のもう1機がカウンターと

ばかりにミサに取り付いて連続斬りを叩き込む。その影響で

怯んだミサの様子を見てコンテナ持ち機も反撃を試みるが…

 

(両機ともミサさんに接近戦を挑んでいて、近い距離に居る…ならっ!)

 

その様子を見た泰葉はEXアクション「スプレッドシェル」を

3機が固まっている所に放ち、着弾したそれが爆発すると

相手チームの2機はその炎に引っ張られていく。

 

「今です、敵機が固まってる所に叩き込んで

 まとめてダメージを与えて行きましょう!」

 

「わかったよ泰葉ちゃん、それじゃあこれで…!」

 

その様子を見た泰葉からの言葉にミサが答えると

泰葉は続けてEXアクション「マルチブラスト」を、

ミサはバックパックのオプション武装「ジャイアント・バズ」を

爆炎に引っ張られて固まっている2機目掛けて叩き込み

砲弾の直撃と爆炎によるダメージを2機に同時に

与え続ける事で期せずして2機同時撃破に成功する。

 

「ど、同時にやられた…!?」

 

「そんなぁー!」

 

「おおー、上手い事決まったねぇ…」

 

「出来過ぎな気もしますが、素直に嬉しいですね」

 

「…だね、じゃあ次行こうか」

 

同時撃破という結末に信じられない様子の混じった

悔しさを吐く相手チームを前に…成し遂げた自分達も

信じ難い結末に驚きを見せるミサへ、最良の結果を

出せた事への素直な喜びを泰葉は言葉にして伝えると

ミサも素直な喜びを見せて次のフィールドへ移動する。

 

~~~~~

 

「げげっ、よりによってあのアイドル入りチームかよ…

 明らかにこっちが火力負けしてんなぁ、こりゃ」

 

「最初っから諦めんな! 何とか2機同時に食らい付いて

 畳み掛けてあのデカブツから落としに行くぞ!」

 

「砂漠用カラーザクと…もう片方もザクベースっスけど

 脚がミサイルポッド付きで頭がジムでバックパックが

 マインレイヤーのやつという、鹵獲機体や損傷機体の

 使えるパーツで応急処置した残党感強いやつっスねぇ…」

 

「物語を織り込んだ改造ですか…拘りを感じますね」

 

「強さを求めるだけじゃなく、こういった拘りを持った

 改造が出来るのもガンプラの懐の広さなんだよねー…

 とはいえ戦う以上は一切の容赦なしに行くけどね」

 

砂漠ステージを進んでエンカウントした4つ目のチームは、

ステージにマッチングした塗装のザクと同様にザクベースながら

「使えるパーツによる応急処置を施された」イメージでの

ミキシング改造機という取り合わせとなりそれらに込められた

物語を感じ取った泰葉は好意的な反応を見せる。

 

「2機がかりで何とか泰葉ちゃんを落として火力差を

 ひっくり返そうと考えてるようだけど…そうはさせないよっ!」

 

相手チームが2機とも泰葉の方に向かうのを確認したミサは、

そうはさせまいとEXアクション「フリージングバレット」を

2機を巻き込むように発射しダメージと共にスタンさせ足止めを行う。

 

「ジム頭の方は『ザク・バズーカ』に『チェーン・マイン』という、

 高火力の射撃武器に広範囲の格闘武器の攻撃的な取り合わせっスね」

 

「よっし、まずはジム頭から落とすよ泰葉ちゃん!」

 

「了解です!」

 

相手チームの動きを見た比奈が武装を確認し、

それを伝えられた2人は火力が高い機体から落とそうと

攻撃を集中させ…そのまま一気に落としていく。

残り1機が狂化を発動するも、武装がメイン2種だけという

泰葉達と比べて圧倒的と言える火力不足の状況故に

それを活かし切れずに落とされる結果となった。

 

「今回はかなりアッサリと勝てちゃったね…」

 

「最初にミサさんのEXアクションで相手を両方とも

 足止め出来たのが大きかったですね、ありがとうございます」

 

「いえいえー、それじゃあ次行こうか」

 

余りにもアッサリと勝てた事に拍子抜けな気持ちの

言葉を吐くミサに、泰葉がミサの的確なEXアクションへの

感謝を告げると嬉しさを感じさせる表情を見せて

次のフィールドへと進んで行った。

 

~~~~~

 

「ここまで来たって事は、機体性能もあるだろうけど

 実力もそれ相応にあるって事になるか…」

 

「だな、俺達の腕も機体の火力も出し惜しみなしで

 全力で挑まなきゃいけねぇな…行くぞ!」

 

「ケンプファーコンビかぁ…背中の獲物が変わってるけど

 火力はオリジナルとほぼ同等と見ていいね」

 

「白い方は背中にビームキャノン2門と手持ちがバズーカ、

 黒い方は背中にガトリング2門と手持ちがマシンガンっスね」

 

「…ビーム射撃ならこちらのバリアである程度凌げますし、

 ここは実弾射撃武器で固めた黒い方を先に倒しますか?」

 

「よし、それで行こう!」

 

砂漠ステージが続く中でエンカウントした5つ目のチームは、

同一機体をベースに背中と手持ちの武装に加え塗装で

それぞれの特色を出したガンプラであり…それぞれの武装を

確認した所でバリアで防げない実弾射撃武器で固めた方を

優先して集中攻撃を行い数的有利を得る戦法を泰葉達は選ぶ。

 

「うおおっ!?」

 

「くそっ、やらせるか!」

 

「おっと、ビームなら…」

 

「こちらが盾になります、ミサさん!」

 

黒いガトリング装備のケンプファーが集中攻撃を受けている所に、

白いケンプファーが攻撃を止めようと背中のビームキャノンを発射する。

だがミサがそれに反応すると同時に泰葉が機体を前進させ、

クシャトリヤの腕部及び胴体部備え付けの「Iフィールド」で

ビームを弾き飛ばしノーダメージに抑えながら2機がかりでの

黒いケンプファーへの攻撃を継続し撃破に持ち込む。

そのまま狂化を発動した白いケンプファーに対しても、

2人が左右に分散する事で片方の安全を確保しながらの

攻撃を繰り返しそのまま押し切って勝利を収めた。

 

~~~~~

 

「最後の最後で天敵レベルの相手とエンカするなんて、

 ツイてないにも程があるよなぁ…」

 

「愚痴っても仕方ねぇ、バリアだって無限じゃないから

 ひたすら撃ちまくって消耗させるなり取り付いて

 斬りまくるなりして何とかして行こうぜ」

 

「派手な塗装のMk-Ⅱっスね…しかしながらどちらも

 肩に『シールドビット』や『ミサイルポッド』といった

 武装パーツだけ付いてるのが気になるっスね」

 

「確かに、ここまででもああいった風に武装だけが

 追加されている機体がちょくちょく見受けられましたが…」

 

「あー…それに関してはバトルが終わった後で

 説明するから、今はバトルに集中しよう?」

 

「…そうですね、わかりました」

 

引き続きの砂漠ステージを進んだ先でエンカウントした

6つ目のチームは、独特の塗装を施したガンダムMk-Ⅱ2機の

取り合わせでありながら両機とも肩に本来のMk-Ⅱには

付いていない武装パーツが増設されている事が明確に分かり…

これまでのバトルでも見受けられた「武装パーツのみの増設」に

対する疑問を泰葉と比奈は改めて口に出していたが、

それに対してミサは気乗りがしないと感じられる口調で

返答した後にバトルへの集中を促す言葉を続ける。

それを聞いた泰葉は素直に従って目の前の相手に集中し、

まずは「ミサイルポッド」装備機を落とした後に

「シールドビット」装備機を泰葉が盾役を引き受けて

相手のビーム中心の射撃攻撃を「Iフィールド」によって

ほぼノーダメージで受け切りミサとの連携で押し切って勝利を収めた。

 

~~~~~

 

「タイムアップですか、さてスコアは…」

 

「おお! まさかの1位突破とは驚きだよ!」

 

「2位はハイムロボティクスチームのようっスね、

 やはり前年度優勝チームの力は伊達じゃない…と」

 

「一先ずはお疲れ様、決勝が始まるまでの短い間だけど

 2人ともしっかりと休んで決勝に備えておこうか」

 

「わかりました、一先ずは休憩スペースに行きましょうか」

 

タイムアップとなり、ポッドから出た泰葉とミサを含めた

彩渡商店街チームの4人はスコアの確認に移る。

その結果はミサが驚く程のハイスコアでの1位通過という

燦然たるものであると同時に、同じく決勝進出となり

戦う相手となる2位チームがハイムロボティクスチームで

ある事も同時に知る事となり比奈が感心の言葉を口にしていた。




P:どうも、週1投稿になりながらも今回も予定期間
 ギリギリになってしまいましたがタウンカップ編の
 前編となる予選風景の話の投稿が出来ました

比奈:今回は相手ガンプラに関しても結構描写してまスねぇ…

P:まぁ最初の大会だからって事で出来る限りやってみたが、
 文字数の膨れ上がりっぷりが半端なかったな…それに加えて
 後半のチームに関しては多少尻切れトンボ気味になってしまったし

比奈:それに加えて、カマセ君関係でもゲーム本編から
   かなり話を盛ってたっスからね…

P:まぁ実際にゲーム内でも「プロファイターを目指してる」と
 公言してたし、これくらい真剣に取り組んでても
 おかしくないかなと思ったもんでな

比奈:真剣が過ぎてる所もあるっスけどね…

P:そこは二次創作という事で流してもらえればという事で…
 次回はタウンカップ決勝という大きな山場になりますので
 時間はかかるかもしれませんが気合を入れて執筆しますので


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タウンカップ決勝・覚醒の時

「初めての決勝進出の上に、2位と大きな差を付けての

 1位通過…泰葉ちゃんのおかげだよ、本当にありがとう!」

 

タウンカップ彩渡大会の予選を終え、圧倒的と言える

スコアを稼いで予選を無事突破出来た事に対して

ミサは喜びを爆発させて泰葉に礼を述べる。

 

「喜んでもらえたなら良かったです、ですがまだ

 決勝が残っていますしまずはそれに全力で挑んで

 勝った時に備えて喜びは取っておきましょう…ミサさん」

 

「…だね、素直に嬉しくて舞い上がっちゃったけど

 まだ終わってないもんね…泰葉ちゃんの予選での

 頑張りを無駄にしない為にも私も頑張るから!」

 

そんなミサに泰葉は笑顔で言葉を返しつつ、これから始まる

決勝戦に向けて気を引き締めるように諭す言葉を続け

ミサもその言葉に応えて決勝に向けて気合を入れ直す。

 

「…本当に決勝まで勝ち進んじまうとはな」

 

そんな泰葉達の前に再びカマセが現れ、彩渡商店街チームが

勝ち上がった事が信じられないといった風な言葉を放つ。

 

「とは言っても、予選ダイジェストで断片的に見た部分だけでも…

 泰葉さんつったか、アンタにはガチでガンプラファイターの

 才能があるって感じられる立ち回りだったよ。攻撃面だけを見ても

 メイン武装やEXアクションの火力や性能を理解して的確な攻撃を

 繰り返してたし、時にはミサを庇う立ち回りを躊躇いなく行える

 決断力も兼ね備えている…紛れもなく強いファイターだよ、アンタは」

 

しかしそこから泰葉に視線を向けて続けられた言葉は、

泰葉の才能が紛れもない本物であると重々理解し

それに対する率直な驚きと称賛が込められたものであった。

 

「へへーん、どうよ?」

 

快進撃への喜びが残っているからか、

ミサはカマセに得意気な表情で声をかける。

 

「ああ…可哀想だなって思うよ」

 

「何? 自分で自分を可哀想って言っちゃう訳?」

 

「ちげーよ、バカ」

 

「なっ!?」

 

そんなミサに憐れむような表情でカマセは言葉を返し、

その言葉に思わず調子に乗った返事をするミサ。

だがカマセは表情でも言葉でもミサを馬鹿にする

態度を示し、それに驚くミサに構わず言葉を続ける。

 

「天才と言っても大袈裟じゃないバトルの才能を持ち、

 346プロなんて桁外れの後ろ盾も備えているんだから

 わざわざ他のチームに入るなんて真似をしなくても

 プロダクションでチームを作って金も注ぎ込んで

 エンジニアを雇ってアセンブルシステムを強化すりゃあ

 世界一とまでは行かなくてもジャパンカップで優勝して

 日本代表になるくらいの事なら成し遂げられそうだってのに…

 エンジニアも雇えねぇノーマルのアセンブルシステムしか

 使えねぇ貧乏チームなんかに義理立てしたばっかりに、

 こんな貴重な『金の卵』が無残に潰されるんだからな…

 本当に残念で仕方なくて可哀想としか言えねぇよ、泰葉さん」

 

泰葉の才能や事務所という「後ろ盾」を評価するような

言い方をしながらも、彩渡商店街チームをこき下ろし

馬鹿にするような言葉と泰葉を哀れむ言葉をカマセは

泰葉を憐憫の眼差しで見ながら一気に吐き出す。

 

「何ですってぇっ!? いくら金が豊富で技術力が高いチームに

 入ったからって、それにあぐらをかいて相手を舐め切った

 態度を取るような魂が腐ったような奴なんかに…!」

 

「ミサさん、気持ちはわかりますがここは…」

 

そんなカマセの態度に苛立ちを禁じ得なかった泰葉だったが、

その直後に強い口調でカマセに食って掛かるミサの姿を見て

それを止めに入った事で結果的に泰葉の苛立ちは一旦静まる事となる。

 

「…だったら見せてやるよ、そんな精神論じゃ

 どうにもならない金と技術の力ってやつをよ」

 

そんな様子を目にしてもカマセは一切焦りを見せず、

余裕綽々の顔で自信満々にこう泰葉達に言い放つ。

 

「新入り、また絡んでんのか? いい加減にしとけよ」

 

「ああ、カドマツさん…悪ぃがこいつらの強さは本物だ、

 ここは確実に勝つ為に『アレ』を使わせてくれ」

 

そんな様子を見たのかカドマツが再び泰葉達の元に現れ、

カマセを窘める。だがそんなカドマツにお構いなしと

言わんばかりの態度でカマセは「何か」の使用許可を求めた。

 

「嫌だ」

 

「拒否かよ! しかも即答で!!」

 

それに対し一瞬の躊躇いもなくカドマツが拒否した事に、

思わずカマセは全力でツッコミを返す。

 

「ああいうもんを使って力づくで捻じ伏せるような

 戦い方ってのは俺は好きじゃないし、それを

 実行しようとしてるお前は商店街の嬢ちゃんの

 言葉通り『魂が腐ってる』と言われても仕方ねぇぞ?

 それにタウンカップであんなもん投入したら、

 勝ったとしても大人げないだの何だの言われて

 お前もチームも会社も叩かれかねんわ…」

 

「んなもんにビビってどうすんだよ! 勝ちさえすりゃあ

 汚名返上のチャンスなんざいくらでもあるだろうが!

 とにかく! 使わせてくれねぇってんなら棄権してやるからな!

 そうなったら『アレ』を使った時なんざ比べ物にならない

 レベルのバッシングを受ける事になるくらいわかるだろ!?」

 

「あー、もう…わかったよ、仕方ねぇ…それじゃあ

 急いでセッティングしなきゃなんねぇから戻るぞ」

 

「へへっ、ありがとさん…いいか手前ら! 金と技術が齎す

 圧倒的な力ってやつを見せてやるから覚悟しとけよ!」

 

カマセの提案に乗り気じゃない理由やその提案を用いた際の

リスクを話していくカドマツだったが、「勝てば官軍」と

言わんばかりの考えを吐き出しながら最後には恐喝紛いと

言われかねない手法を用いてでも自分が使いたい「何か」を

意地でも使用させようとするカマセの前に根負けする形で

うんざりとした表情で提案に対する許可を出す。

それに対してカマセはカドマツに礼を述べつつ、

泰葉達を指差しながらカドマツが来る直前のセリフの

ほぼ繰り返しとなる言葉を吐き捨てその場から離れて行った。

 

「…何と言いますか、あのカドマツさんって人には

 ご愁傷さまという言葉が自然と出て来ちゃいまスね…」

 

「彼が切り捨てたチームが新しく入ったチームよりも

 主に資金面で大きく上回る立場になったと思ってるようだし、

 それが許せなくてとにかく叩き潰したいって気持ちなのかな」

 

「なるほど…ところでミサさん、先程の彼の発言の中に

『ノーマルのアセンブルシステム』というものがありましたが、

 それは一体どういう意味でしょうか? もしかしたら…

 予選で戦った相手チームの『武装パーツだけ増設』や

『狂化発動』といった事にも関係しているのでしょうか?」

 

嵐のようにやって来て去って行ったカマセを見て、

比奈は自分の中に生じたカドマツに対する同情心を吐き出す。

それに応える形でプロデューサーはカマセの中に生じたと

思われる彩渡商店街チームへの敵愾心の理由の推測を話し、

泰葉はそれに相槌を打った後にカマセの言葉の中に予選バトル中に

生じた疑問への繋がりを感じ取りミサに対して質問を投げかけた。

 

「…うん」

 

その泰葉の問い掛けに、弱々しい声で返事をするミサ。

そしてそこからミサは泰葉達の疑問に対して答え始める。

 

「『アセンブルシステム』っていうのは、シミュレーターの

 ガンプラの読み込みとアビリティの付与・強化に関する

 部分なんだけど…それに対して、改造で機能を追加出来るんだ」

 

「改造による機能追加…もしかしてそれが、泰葉ちゃんも言った

『武装パーツだけの増設』や『有人チームの狂化発動』に

 繋がってるという事っスか、ミサちゃん?」

 

「うん、『武装パーツ単体での増設』に関してはオプション武装を

 増設する武装系パーツだけじゃなくて『太陽炉』とかの

 特定EXアクションを使用可能にするやつや…機体パラメータの

 強化効果が含まれた純粋な装飾用パーツに内部構造の強化と

 いったものが『ビルダーズパーツ』というデジタルデータとして

 登録されているんだけど、全く改造していないノーマル状態の

 アセンブルシステムじゃそれらを使う事は出来ないんだ」

 

「なるほど…それを用いて武装を増設していたんですね」

 

「『有人チームでの狂化発動』に関しては、ノーマルのシステムでも

 一定のプレイ回数で解禁されるんだけど…それも改造を用いる事で

 すぐに使用可能になるんだ。狂化を使えるように設定すると

 リペアキットや回復系EXアクション、リブートが使えなくなる代わりに

 ノーマルのデフォルト状態から一定のパラメータ上昇がされるから

 ビルダーズパーツや狂化等で攻撃力を上げられたり…最初に狂化について

 説明した時に言いそびれたけど、一部機体のパーツにはオプション武装や

 EXアクションに加えて『必殺技』クラスの威力を持つ大技や武装である

『バーストアクション』というのがあって狂化状態になるとそれらが

 使えるようになるから攻撃面の増強と相性が良くて…最近のチームで、

 エンジニアを確保出来る規模の所じゃそういった回復を切り捨てた

 攻撃偏重の『狂化使用可能』モードが好んで使われているんだ」

 

「『やられる前にやれ』というか、『ラス1機からの逆転』という

 華々しい勝利を演出可能という事がそれが好まれる理由っスかね…」

 

「だろうな、ロマン的な意味でも勝ちに行くという意味でも

 高い攻撃力で大技を使えるその組み合わせが好まれるのはわかるよ」

 

ミサからのアセンブルシステムに関する説明を聞き、

泰葉は予選時に対峙した相手チームが行っていた

「武装パーツだけの増設」と「有人チームでの狂化発動」が

出来た理由について納得し…比奈とプロデューサーは

「攻撃偏重なシステム設定」が好まれる理由を推測する。

そんな3人に対し、さらにミサが言葉を続ける。

 

「改造次第では、同時出撃可能数の減少と引き換えに

 モビルアーマーのような大型機体を出撃させる事も

 可能になるんだ。だけどそういった大規模の機能追加を

 実行しようとすると、腕前の優れたエンジニアや

 機能追加の為の設備…それにそれらを確保する為の資金が

 どうしても必要で、自前でそれらを確保出来たり

 外部からそれらの購入や雇用の為の資金を持っていたり

 そのレベルの資金を出してくれるスポンサーが付いた

 チームでないとそこまでの機能追加は難しいんだ」

 

「…ハイムロボティクスは、おそらく自前での

 エンジニア及び設備確保が出来る事でそういった

 アセンブルシステムの改造が出来るからこそ、

 タウンカップで優勝出来る力を持っているという事ですね」

 

ミサから言われたさらなるアセンブルシステムの改造によって

使用可能になる機能とその解放に必要なものを聞いて、

泰葉はハイムロボティクスの強さの理由を察する。

 

「うん…ごめんね泰葉ちゃん、こんな不利な条件で

 戦わなきゃならない事を強いる結果になっちゃって」

 

「気にしないで下さいミサさん、私もそちらが

 心に抱いてるであろう考えに近しいと思ってますから」

 

「…え?」

 

「金銭面や環境面…そういった所が優れてるが故の

 利点というものは決して否定しませんが、

 それにあぐらをかくような真似をしていれば

 劣っていると思っていた相手に足を掬われると

 いう事も十分に起こりうるとも私は考えてます」

 

結果論ではあるが不利な状況での戦いを強いる事に

なってしまった事へのミサへの詫びに対して、

泰葉はミサへの激励を返答代わりに返す。

 

「それに、そういった金銭面や環境面での不利も承知の上で

 この仕事を受けたんですよね…プロデューサー?」

 

「ああ、アドバンテージは取られるとしても『絶対に勝てない』

 とまで行く訳ではないし…泰葉の機体のように、アセンブル次第で

 ビルダーズパーツなしでもオプション武装を大量に備え付ける事も

 可能だからな…エンジニア関係についてはこちらとしても

 何とかしようと模索はしてるが、なかなか活路が見い出せなくてね…

 それに関してはむしろこちらが謝罪しなきゃいけないくらいだよ」

 

そこから続けてプロデューサーに視線を向けながら話す泰葉に、

泰葉への信頼を込めた返答とエンジニア関連での助力が

出来ていない事に対するミサへの詫びを口にするプロデューサー。

 

「…そういう事っス、ミサちゃん。だから出来ない事を嘆くよりも

 今出来る最善を尽くしてみんなで立ち向かって行きましょう」

 

「…うん!」

 

そこからさらに続いた比奈の励ましの言葉を聞いて、

ミサも沈んでいた自分の心に再び灯が点くのを感じ取り

決意を込めた顔を上げながら力強く返事を返す。

 

「間もなく決勝戦を開始します、予選通過チームは準備を完了させて下さい」

 

「それじゃあ行こうか、泰葉ちゃん!」

 

「はい、全力でぶつかって行きましょう!」

 

その直後に会場に響いたアナウンスを聞いて、

泰葉もミサも気合のこもった声を上げながら

体育館内のポッドに向けて歩を進めて行った。

 

~~~~~

 

「敵機が見当たらない…という事は、最初からチーム同士で?」

 

「そうだね… ! 来たよ、泰葉ちゃん!」

 

相手に先んじる形でフィールドに降り立った彩渡商店街チーム。

そこにCPU機が湧かない様子を見て、最初からチーム同士の

ぶつかり合いを予測する泰葉にミサが返事をすると同時に

敵チーム来襲の警告がモニターに示される。

 

そうして現れた機体は、ストライクフリーダムの頭部・

ユニコーンガンダムの胴体・ガンダムMk-Ⅱの腕部・

ストライクガンダムの脚部・ダブルオーライザーの

バックパックという組み合わせとなっており…

武器は右手にダブルオーライザーの「GNソードⅢ」、

左手にストライクガンダムの「57mm高エネルギービームライフル」という

取り合わせの…ミサの「アザレア」どころか、それよりも大柄である

泰葉の「ガンダムメイクプレゴレス」すら上回る巨大な代物であった。

 

「どうだ! この圧倒的なガンプラは!」

 

「PG機体って…タウンカップでそんなの出すチームなんて聞いた事ないよ!」

 

「PGというと…1/60サイズの『パーフェクトグレード』って事っスか!?」

 

「私やミサさんのHG(ハイグレード)が1/144ですから…倍以上の大きさ!?」

 

「ああは言ったが、そっちのチームは泰葉さんの腕前だけじゃなく

 2人のコンビネーションも抜群だからな…同じ条件じゃ負けると思ったのと、

 それだけの才能や連携があろうが所詮貧乏チームじゃ勝てないっていう

 現実をお前らの心に刻み付ける為にこいつを出させてもらったぜ!」

 

カマセの得意げな言葉に対し、泰葉もミサも比奈も率直な驚きが口から洩れる。

それに気をよくしたのか、泰葉とミサの息の合い方を賞賛しつつも

決勝前に言った「金と技術」の力を誇示するような発言を行うカマセ。

 

「でももう覚悟は決めてるよ、私が前に出るから

 泰葉ちゃんは後ろから射撃で援護お願い!」

 

「わかりました…ミサさん、気を付けて!」

 

「来るなら来やがれ、貧乏チーム風情が!」

 

驚きこそしたものの覚悟を決めた2人は怯む事なく、

果敢に前進して食らい付こうとするミサと

それを支援する為に「ファンネル」を展開する泰葉に対し

「圧倒的な力」を持つカマセは2人を挑発するような言葉を吐く。

 

「せい、やっ、たぁっ!」

 

「そんな針にも劣る攻撃なんて効かねぇんだよ、オラァッ!」

 

「うわっ!」

 

カマセ機に取り付き「ビーム・サーベル」での連続斬りを叩き込むミサ。

だがカマセはそれを受けてのダメージを気にも留めず、

右手に持つ巨大な「GNソードⅢ」を振るって吹き飛ばす。

 

「どうしたぁ!? こんな豆鉄砲なんざ無意味も同然…うおっ!?」

 

「これだけの巨体なら、シューティングモードでも十分当てられます!」

 

「ファンネル」は飛ばしたがそこからの攻撃が続かない事から、

泰葉に対しても挑発的な言葉を放とうとしたその瞬間…

「GNバズーカ」から放たれた照射ビームがカマセ機に着弾し、

シューティングモードで発射した事も相まって

カマセの予想を上回る大ダメージを与えていく。

 

「舐めたマネしやがってぇっ!」

 

「きゃあっ!?」

 

「まだまだぁっ!」

 

「うっ…!」

 

予想外のダメージを受けた事で激昂したカマセは、

標的を泰葉に切り替え右手に持った「GNソードⅢ」を

切っ先を地面に向けて突き出した姿勢から高速突進を行い

吹き飛ばす。泰葉が受け身を取るのが遅れたのを

カマセは見逃さず、吹き飛んだ方向に向けて再度高速突進を行い

追い打ちを叩き込む。2回の突進を受けて大ダメージを負った泰葉が

回復してる間に、カマセはミサに標的を変えて「GNソードⅢ」を振るう。

 

「確かに一撃は重いけど…振りは大きいから、回避は難しくないよっ!」

 

だがミサも黙ってやられはせず、大振りな攻撃を避けながら

EXアクション「フリージングバレット」による弾幕をカマセ機に浴びせる。

 

「そんな豆鉄砲なんざいくら当てても痛くねぇって言ってんだろうが!」

 

「それなら、この砲撃はどうですか!?」

 

「なっ…ぐおっ! てんめぇ…!」

 

「だったらこっちも、大砲を叩き込ませてもらうよ!」

 

「くそっ、生意気な…!」

 

弾幕を意に介さずミサを追うカマセ機の背中に、

泰葉がEXアクション「マルチブラスト」を叩き込む。

それに反応して泰葉の方に振り返った所を見計らって、

今度はミサがバックパックの「ジャイアント・バズ」を放つ。

そこから挟み撃ちによる連携で着実にカマセ機の耐久力を削り、

ゲージの約半分までダメージを与えた所で…

 

「舐めんなよてめえら、こっからが本番だ!」

 

「狂化!? PG機だと耐久値残り半分で発動するんスか!?」

 

カマセ機が自機周囲に赤いオーラを放つのを目にした比奈は、

予想していなかった狂化発動に対して驚きの声を上げる。

 

「まさか発動するなんて…」

 

「でも半分まで削ったなら…!」

 

泰葉達も驚くが、耐久力を半分まで削った事もあり怯む事なく

間合いをとりながらの射撃で着実にダメージを与えていく。

その最中、カマセ機が右腕を高々と掲げると巨大なビーム刃が

「GNソードⅢ」から溢れだすように形成されていき…

 

「!! 不味いっス! 2人とも敵機から横方向に離れて…!」

 

「まとめてブッ潰れろぉぉぉっ!!」

 

比奈の警告を遮るようにカマセの絶叫が響くと同時に、

そのビーム刃…ダブルオーライザーのバックパック備え付けの

バーストアクション「ライザーソード」がフィールドを

粉々に破壊せんと言わんばかりの勢いで叩き付けられる。

 

「うわっ…!」

 

「ミサさん!」

 

ビーム刃が振り下ろされるのを見て回避を試みた泰葉達では

あったが、位置関係や攻撃範囲の関係でミサが直撃こそ

避けたものの完全には回避出来ず大部分のパーツが

吹き飛ばされるレベルの大ダメージを負う事となる。

 

「このっ…!」

 

バラバラに吹き飛ばされた様子を見て、追い打ちをかける為に

ミサを標的に定め移動するカマセに対し、泰葉は「GNバズーカ」も

胸部と腕部バインダーの「メガ粒子砲」もリチャージ中だったが「ファンネル」を

展開し胸部の「マシンキャノン」も同時に放ち標的を自分に向けさせる。

その合間にパーツ再接続と回復を果たし体勢を立て直したミサも

「ザク・マシンガン」を連射しながらEXアクション「バレットオービット」を

発動しミサに背を向けたカマセ機に対して弾幕を浴びせ反撃を試みる。

 

~~~~~

 

(畜生、あの一撃を喰らってなお悪足掻きするってのかよ!?)

 

「ライザーソード」を叩き込んで泰葉達に大ダメージを

与えながらも、怯んだり諦めたりせずに自分が操るPG機に

立ち向かい続ける2人の姿にカマセは苛立ちを隠せなかった。

 

それだけではない。

彩渡商店街チームと346プロが手を結んだ事。

カドマツが素直にPG機を使わせてくれなかった事。

今抵抗してる2機の攻撃手段が、一撃の威力は

決して高くない連射系の武器を中心としていた事。

 

(どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって…!)

 

それらの苛立ちの積み重ねの結果、ついにカマセの怒りは爆発する。

 

「エンジニアも雇えねぇ貧乏チーム風情が、

 いつまでも悪足掻きしてんじゃねぇぇぇっ!!」

 

その怒声と共に先程の「ライザーソード」の如く

フィールドを叩き割らん勢いで「GNソードⅢ」を

泰葉達目掛けて飛びかかりながら振り下ろし叩き付ける。

 

「オラァッ!」

 

「うわっ!?」

 

左右に飛ぶ形でその一撃を回避した2人だったが、

続けての薙ぎ払い攻撃を僅かに高く飛び過ぎたミサが

持ち手部分に殴られる形で喰らい吹き飛ばされる。

 

「ミサ! まずはてめぇからだ!!」

 

「くっ…!」

 

「ミサさんっ!!」

 

そうして倒れ込んだ所に追い打ちとばかりに

左腕を振りかぶり殴り掛からんとするカマセ機を見て、

泰葉は自分のガンプラを盾にしようとブーストを

最大に吹かして高速で割って入ろうと試みる。

 

ガキィン!!

 

そして、ミサ側のモニターが迫り来るカマセ機の

左拳で覆われ真っ黒になり激しい金属の衝突音が響き…

 

「…え?」

 

カマセ機の一撃を受けたとばかり思っていたミサだったが、

低耐久力やパーツアウトの警告音も鳴り響かず撃墜を示す表示も

見受けられず…そんな様子に唖然としていたミサの視線の先の

モニターには、泰葉が自分のガンプラの右肩の閉じた状態の

腕部バインダーを盾としてカマセ機の左拳を受け止め

踏み止まっている様子が映し出されていた。

 

「何だと!?」

 

「こんな所で…」

 

「邪魔しやがって…だったらお望み通りに

 2人仲良く殴り潰してやらぁっ!!」

 

PG機のハイパワーな一撃を受け止められた事に

驚愕した後に、割って入られた事にさらに苛立ちを

募らせたカマセは再び左腕を振りかぶって

2機とも叩き潰さんと拳を振るう。

 

「終わるつもりは、ありませんっ!!」

 

だがその振るわれた拳が届く直前に、泰葉のガンプラから

心からの叫びに応えるかの如く狂化時を上回る大規模な

赤色のオーラが発散され振るわれたカマセ機の左腕を押し戻す。

 

「馬鹿な!? PGのパワーを弾き返しやがっただと!?」

 

「な、何!? 一体何が起こったの、泰葉ちゃん!?」

 

「私にもわかりません…ですが、まだ試合が

 続いてると言うのなら…行きましょう!」

 

「う、うん!」

 

驚きの声を上げるカマセとミサ、そしてそれに続いて

ミサは泰葉に一体何が起こったのかを尋ねる。

泰葉はそれについて答える事は出来なかったが、

試合が中断されず続いているのならば戦うのみだと

決意して立ち上がったミサと共に攻撃を再開する。

 

(『トランザム』…いや、色の系統は同じ赤系でも

 今起こっているのはそれより暖色寄りだから

 多分別物でしょうし…そもそも、『トランザム』を

 使えるようになるパーツは泰葉ちゃんのガンプラには

 使われてないはず…だったら一体何なんスか!?)

 

「ありえねぇ…こんなのありえねぇ!

 手前らアセンブルシステムに細工しやがったな!?」

 

「知らないよ! そもそも私にそんな知識ないし

 悔しいけどあんたが言ってた通りうちのチームに

 エンジニアなんて雇えてないんだから!」

 

「クソッタレがぁっ!!」

 

比奈は泰葉のガンプラの機体色が赤味を帯びているのを見て

EXアクションの「トランザム」を連想するが、同じ赤系ながら

それとは色合いが異なる事や「トランザム」が使えるようになる

パーツが泰葉のガンプラには使われてない事を

思い出し、自分の予測の範疇を超えている事を悟る。

カマセは信じられない事態の発生によって

勝利のチャンスを邪魔された事で怒り心頭となり

声を荒げて泰葉達が不正をしたと言わんばかりに叫ぶ。

 

(攻撃のダメージが上がっている…でもそれだけじゃない、

 射撃武器やオプション武装…EXアクションのリチャージに

 かかる時間も、目に見えて短縮されている!)

 

「くたばりやがれイカサマ野郎がぁっ!!」

 

「そのつもりは、ありません!」

 

その間に泰葉は自分の機体の攻撃によって与えるダメージと、

各種攻撃手段のリチャージ速度が上昇している事を実感する。

そんな泰葉にカマセは声を荒げて再び右腕の「GNソードⅢ」の

切っ先を地面に向けた姿勢を取って高速突進を行うが、

それを迎撃せんと泰葉が放ったEXアクション「マルチブラスト」を

全弾被弾し鈍い金属音を響かせながら膝を付いて止まってしまう。

 

「ぐぁっ! ちくしょう、動けよ!」

 

「ミサさん、今です!」

 

「オッケー!」

 

機体が動かなくなった事に慌てて声を上げるカマセを後目に、

泰葉とミサはカマセ機に接近して格闘攻撃を連続で叩き込む。

そして一定のダメージを受けると、再び鈍い金属音が響き

カマセ機の右腕がパーツアウトを起こし消滅していった。

 

「PG機のパーツアウトって、再接続出来ないんだ…」

 

「攻撃に右手を使っていましたから、これで攻撃は止みますかね?」

 

外れた右腕が消滅したのを見て驚きの声を上げるミサに、

泰葉はカマセ機の攻撃モーションで使われていたのが右腕だった事から

この右腕の消滅で攻撃不能になるのではと推測する。

 

「ちっくしょお…ん?」

 

その予測通りメインの攻撃手段を封じられてしまった事に

悔しさを滲ませるカマセだったが、モニターに先程放った

「ライザーソード」とは異なるバーストアクションが

表示されているのを見てそれを発動させる。

そうするとカマセ機は真っ直ぐ真上に上昇していき…

 

「…! 不味いっス、今すぐ敵機から間合いを取って!」

 

「あれか…わかったよ、比奈さん!」

 

「は、はいっ!」

 

そのカマセ機の動きから「ある行動」を予測した比奈が

慌てて泰葉とミサに警告を送り、それに従って2人は後退する。

そしてカマセ機が縮めていた手足を広げるような姿になると

周囲にエネルギーを放つ「トランザムバースト」を発動する。

だが比奈の警告のおかげでそれの攻撃範囲から逃れられた

泰葉達は無防備となったカマセ機目掛けて「GNバズーカ」の

照射モードとEXアクション「フリージングバレット」を叩き込む。

それらが被弾するとカマセ機は再び激しい金属音を立てながら

地面に落下し先程と同じく膝を着いた体勢で動けなくなっていた。

 

「またかよぉっ!」

 

「ん? これは…」

 

カマセの叫びを聞いて再び攻撃に移ろうとした

泰葉の目に、モニターに表示された泰葉にとっては

見慣れないものである"BURST ACTION"の文字が写る。

それを見た泰葉は自分のガンプラをカマセ機へと接近させ

画面の指示に従って操作を行う…すると、両手でガッシリと

握りしめるように炎が連なった鞭のようなものが形成され

それを右から左に、続けて返すように左から右に薙ぎ払うと

最後は大上段から脳天に振り下ろす形で叩き付けられ

それがトドメとなってカマセ機は仰向けに倒れ込んで爆散する。

 

「こんなの…こんなの、嘘だぁぁぁっ!!」

 

「か、勝った…の?」

 

「倒しはしたみたい、ですね…」

 

カマセの絶叫が響く中、ミサと泰葉は無我夢中で

戦っていた状態から解き放たれた事で

今まで自分達に起こっていた事が信じられないと

いった様子で言葉を交わしていた。




比奈:ついに来ましたか、この時が…

P:ああ、今回は本当に気合入れて書いたから
 本編の文字数が初の5桁行く結果になった

比奈:前回に引き続きカマセ君関係で色々と
   セリフを中心に盛りまくってたのもあるかと…
   それにこの描写、ゲーム本編よりも悪辣になってません?

P:まぁそう言われても仕方ないという自覚はあるが、
 筆が乗りまくってしまったもんでな…次の話でも
 原作以上にゴネまくってしまう予定だが、
 考えなしにやっている訳じゃないし後の話で
 フォローは入れるからそれで勘弁してもらえれば…

比奈:それに、今回ビルダーズパーツについても触れましたが
   この作品では「デジタルデータ」扱いなんスね

P:ああ、宙に浮かせるような設置とか重ねた上で微妙にずらしたり
 完全に埋め込むような配置というのは実際のパーツで行うには
 無理があると思ってその点の自由が効く「デジタルデータ」扱いに
 してみたんだ…今回も予定ギリギリになってしまいましたが
 何とか書きたいと思ったものを書けた事でこの後の執筆を頑張れる
 パワーを補充出来ました…次回もまた、よろしくお願いします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

祝勝会とエンジニア

タウンカップ彩渡大会の決勝戦を終え、戦いそのものが

激しかった事に加えて状況を呑み込めない事態が

発生した事も重なってか疲れを感じされる様子で

ゆっくりとポッドから出て来た泰葉とミサ。そんな2人に

プロデューサーと比奈が駆け寄ってから少しすると…

 

「…審議が終了しました、只今のタウンカップ彩渡大会

 決勝戦の勝者は…彩渡商店街チームとなります」

 

「え…本当に? 本当に勝っちゃったの!?」

 

「認められたみたい、ですね…」

 

商店街チームの勝利を告げるアナウンスが行われ、

観客や予選落ちチーム等からどよめきが起こり

ミサと泰葉が安堵と驚きの混じった発言をしていると

1人の男性が大きな足音を立てながら駆け寄って行く。

 

「てんめぇぇぇぇぇっ!!」

 

それは正に怒り剥き出しの叫び声を上げながら

殴り掛からんばかりの勢いで突っ込んでくるカマセであり、

とっさに泰葉達を守ろうとプロデューサーが最前列に出る。

 

「くそっ! 離せ! 離しやがれぇぇぇぇぇっ!!」

 

「いい加減にしろ! 上塗りどころじゃ済まない恥を晒す気か!!」

 

「インチキされたってのにそんな悠長な事言ってんじゃねぇ!!」

 

「馬鹿野郎! あれはインチキでも何でもない正規の仕様だ!!」

 

「はぁ!? どういう事だよ!!」

 

「それを今から説明してやるから、とりあえず落ち着け!!」

 

だがカマセが商店街チームの面々と接触する前に

カドマツを始めとしたハイムロボティクスチームの

スタッフが飛び出してカマセを押さえ込み、

強い口調で説き伏せ他スタッフにカマセを確保させた上で

カドマツは離れ2チームの間に立って説明を始める。

 

「…そっちのアイドルの嬢ちゃんが、うちの新入りが吹っ飛ばした

 商店街の嬢ちゃんのガンプラに殴り掛かろうとして割って入った後に

 再度2機まとめてぶん殴ろうとした所で発生したPG機体の攻撃をも

 押し返すオーラを発生させた現象…ありゃあ『覚醒』って奴だ」

 

「『覚醒』…ですか?」

 

「ああ、効果としては狂化の上位版…というか、狂化の方が

『劣化版覚醒』といった立ち位置で攻撃力の上昇と射撃武器や

 オプションとシールド内蔵の射撃やバリア系の武装に

 EXアクションのリチャージ速度短縮に加え…

 バーストアクションが使用可能になるという効果だ。

 耐久力とかの回復効果がなかったり制限時間があったり

 バーストアクションを1回使ったら覚醒状態が終わっちまうと

 いう点は狂化に劣ると言えるが、ノーマルのアセンブルシステムでも

 使えて回復手段と併用出来る点は優れていると言えるな」

 

「…そうだとしたら、どうして使う人がいないんですか?」

 

「発動条件が解明されてないからだよ、まさしく文字通り

『覚醒』したから使える…としか言えないのが現状でな」

 

カドマツから泰葉に起こった現象の説明がされ、

それを聞いて使用者が見受けられない事への疑問を

ミサがぶつけると「覚醒」の使用可能条件が

現状では解明されていないという説明を返される。

 

「…結局あいつらが勝てたのは運が良かったに過ぎねぇって事じゃねぇか!」

 

「その通りだ、だが『運も実力の内』なんて言葉があるように

 勝負事には大なり小なり運が絡んで来る事は避けられねぇもんだ。

 お前がうちのチームに入った事だって、ある意味幸運と言える

 出来事だったぞ? あんな直談判しても基本追っ払われるだけだからな」

 

「ぐぐぐ…」

 

「それに、今お前はタウンカップでPG使った上に負けたっていう事で

 相当な恥かいてる状態だ…それでギャーギャー喚いても

 恥の上塗りにしかならねぇぞ? ここは大人しく負けを認めとけ」

 

「…ふざけんじゃねぇぇぇっ!!」

 

「覚醒」に関する説明を行ってもなおゴネるカマセに対し、

カドマツは勝負事と「運」が切り離せない事をカマセが

チーム加入の為に取った行動を引き合いに出して話し

これ以上恥をかかないようにとカマセを説き伏せようとするが…

「努力を理不尽に踏み躙られた」と感じているカマセを

納得させるには至らず取り押さえていたチームスタッフを

両腕を大きく動かして振り解きながら再び怒声を吐いた。

 

「ここまで来るのに努力に努力に努力を積み重ね続けて…

 やっと夢に向かう為の道が見えたっていうのに、

 それを付け焼刃程度の努力しかしてねぇ奴らの

 幸運なんかで理不尽に閉ざされて納得出来る訳ねぇだろが!

 こんなクソチームなんざこっちから辞めてやらぁ!!」

 

悔しさをこれでもかと滲ませる声から何度目かわからない

怒声に変わって罵声を吐き散らしながら、カマセは

自分のガンプラを回収しながら駆け足で会場から出て行く。

 

「俺はこんな所で終わるような奴じゃないんだぁぁぁぁぁ!!!」

 

最後に、これ以上ない悔しさに溢れた叫びを残しながら。

 

「全く…ここで潔く負けを認めりゃ多少なりとも

 恥を打ち消して次に繋げる事だって出来たってのに、

 よりによってとんでもないレベルで後を濁すっていう

 最悪の選択をしちまうかな…見込みはあったのによ」

 

「『自分が努力した』事を何度もアピールしていましたし、

『努力』した事は紛れもない事実なのでしょうが

 それ故に傲慢になってしまったのではないかと

 思われますね…そういう人を、見た事があるもので」

 

そんなカマセの様子を呆れ気味に見ながら言葉を零す

カドマツに、泰葉は自分の経験からカマセが陥ってしまった

心理状態を推測し返事代わりにカドマツに話す。

 

「なるほどな…と、こんな事になっちまったが

 遅ればせながら優勝おめでとうと言っとくよ」

 

「ありがとうございます、そちらも突発的な状況で

 あっただろうにも関わらずPGを使えるように

 準備出来てた事は凄いなと感じましたよ」

 

「本当に突発的だったから、PGの性能を完全に

 引き出せはしなかったがな…これからの大会じゃ、

 出て来た時は間違いなく今回以上のパワーを

 発揮するだろうしMAとぶつかる可能性だってあるから

 今回なんざ比べ物にならない手強い相手になるぞ」

 

「ああそうだ、優勝したって事は次の大会が…!」

 

泰葉の言葉に返す形で彩渡商店街チームの優勝への

賞賛の言葉を口にするカドマツに、ミサは突発的な状況で

ありながらPG機体を出せたハイムロボティクスチームの

アセンブルシステムとエンジニアへの称賛を返す。

それに対してカドマツがあくまで性能を完全には

引き出せなかった事を話しこの先のリージョンカップ等の

上位大会でフルスペックのPG機体やMAとのエンカウントの

可能性を話すと、改めてミサはタウンカップ優勝という

結果を実感し喜びに溢れた表情になっていた。

 

「そうなるね、とはいえひとまずは今日の優勝の喜びを

 噛み締めながら戦いの疲れを癒してもらえればと思うよ…

 商店街の小料理屋さんに連絡して祝勝会の準備をして

 もらってるから、ひとまず3人でそこに向かってくれ」

 

「了解!」

 

「あれ、プロデューサーは一緒に行かないんスか?」

 

喜ぶミサにプロデューサーが労いの言葉をかけ、

祝勝会の会場となる小料理屋へ移動させようとした所に

比奈が泰葉達3人で行かせようとしている事への疑問を返す。

 

「ああ、1つ済ませなきゃいけない用事があるから…

 後で合流するから先に行っててくれ」

 

「わかりました、それじゃあまた後で」

 

「よし行くよ、泰葉ちゃんに比奈さん!」

 

それに対するプロデューサーの返答に泰葉が言葉を返すと、

ミサは意気揚々と2人を先導して商店街の方に進んで行く。

それを追いかけて泰葉と比奈も会場から離れて行った所で、

プロデューサーはカドマツに向き合って声をかける。

 

「カドマツさんと言いましたか、1つ相談したい事がありまして…」

 

「丁度良かった、俺もそっちに1つ頼みたい事があってな」

 

~~~~~

 

「それじゃあ、彩渡商店街ガンプラチームの

 タウンカップ彩渡大会優勝を祝って…」

 

『乾杯!!』

 

彩渡商店街の一角にある、小料理屋「みやこ」。

この店は商店街の営業店舗が僅か3店舗となった今でも

連日大勢の客がやって来る繁盛店だったが、この日は

貸し切り状態となっており店内に居るのは6人だけという

普段の営業時を大きく下回る人数だったが…上がった声に

込められた喜びは普段の来客にも負けないものを感じさせた。

 

「泰葉ちゃん達に改めて紹介しとくね、商店街で今んとこ

 ウチの店以外で営業している肉屋の主人のマチオおじさんこと

 金光真智男(かねみつ・まちお)と、この小料理屋の女将さんの

 ミヤコさんこと椎名宮子(しいな・みやこ)の2人だよ」

 

「よろしくな、アイドルの嬢ちゃん達!」

 

「これからよろしくね、2人とも」

 

「ども、ご丁寧にありがとうございまス」

 

「こちらこそこれからよろしくお願いします、

 今日はわざわざお店を臨時休業させてまで

 私達の祝勝会を開いて下さって恐縮です」

 

ミサから五月野模型店以外で現在彩渡商店街にて

営業を行っている2店の主の紹介をされ、

それに続いての2人からの挨拶に泰葉と比奈も返事をし

泰葉はそれに加えてミヤコに対して店を休みにして

自分達の祝勝会を開いてくれた事に感謝の意を告げる。

 

「心配しなくていいわよ、1日休んだくらいで傾く店じゃないから」

 

「今商店街で営業している店の中で、唯一繁盛してるからね」

 

「そうそう、ウチの肉屋もミヤコの店に商品を卸せてるおかげで

 潰れずに残ってるってもんさ…ホント、有難いったらないぜ!」

 

「今はそういう状態だけど、私達が勝ち上がって商店街の

 名前を日本全国…いや、世界中に広めれば昔のような

 繁盛した状態に戻せるだろうから頑張ろうね泰葉ちゃん!」

 

「はい、仕事として受けた以上は全力で取り組んで行きますし

 ミサさんを始めとした皆さんの好意に応える為にも

 勝ち進めるだけ勝ち進んで行きますね」

 

それに対するミヤコの返答から始まる大人たちの会話からは

彩渡商店街の窮状がにじみ出ていたが…だからこそそれを

脱する為にこれからの大会を勝ち進んで行こうという

ミサの決意に、泰葉も決意を込めた言葉を返す。

 

「遅くなったけど、盛り上がってるみたいだね」

 

「あ、プロデューサー…あれ? その人は…」

 

「部外者で申し訳ないが、邪魔させてもらうよ」

 

「ミヤコさん、突然で申し訳ないけど

 席を1つ追加してくれないかな?」

 

「いいわよ、気にしないで」

 

話が盛り上がっている所に、遅れて来たプロデューサーが

店に入る姿を見て泰葉が声をかけると…その後ろに居た

少し前までタウンカップの会場で何度も話した相手である

カドマツが同行していた事に軽い驚きの反応を見せる。

その為に席を追加して欲しい旨をプロデューサーがミヤコに告げると

彼女は嫌な顔一つせず座布団にコップ、箸や取り皿を用意し

そうして準備された席にカドマツが着席しプロデューサーも

事前に用意されていた席に腰を下ろすと話を始める。

 

「まず結論から話すけど、カドマツさんに彩渡商店街チームの

 エンジニアとして参加してもらう事になった」

 

「そういうこった、突然の事で驚いてるだろうが

 世話になるんで改めてよろしくと言っておくよ」

 

「いや、そっちの会社のチームはどうするの?」

 

「今日の大会で負けちまったし、ファイターが抜けちまったから

 今シーズンはこれ以上活動出来なくなっちまったもんでな…」

 

「あー…なるほど」

 

「タウンカップの会場でプロデューサーが言ってた

『済ませなきゃならない用事』って、これだったんスか?」

 

「ああ、とは言っても話した所カドマツさんの方から

 チーム参加を申し出る予定だったって事みたいだけどね」

 

カドマツのエンジニアとしての商店街チーム参加の話を聞き、

ミサがハイムロボティクスチームの活動について質問すると

今日のタウンカップでの敗北に加えカマセの離脱もあって

今シーズンのチームとしての活動が不可能になった事を話す。

それを聞いて比奈はタウンカップ終了後にプロデューサーが

残った理由がこの為である事を確認すると、肯定の返事と共に

カドマツ自身も商店街チームへの参加を希望していた旨を話す。

 

「とはいえウチのチームにはエンジニアへの報酬を払える

 余裕はないし…さすがに無償という訳にも行かないだろう?」

 

「その辺りの心配は無用ですよユウイチさん、カドマツさんへの

 契約料や報酬と言った点は346プロで負担しますので…

 カドマツさんというかハイムロボティクスからこちらのチームに

 やってもらいたい事があるという話で、それらとの兼ね合いで

 支払う金額は相場より大分安めに抑えられましたから」

 

「ハイムロボティクスからウチのチームにやってもらいたい事?」

 

「端的に言うと新商品の試作品のテストだな、現物を見せるのは

 後日になるがガンプラバトルにとっての助けにもなるやつだ」

 

「ガンプラバトルの助けになる、か…今んとこどんな物か

 全く想像が付かないけどそれだったら歓迎かな?

 …それにしても、色々事情とか要望があるとは言っても

 何でまたウチのチームに協力しようと思ったんですか?」

 

「そいつは…」

 

「?」

 

それを聞いてユウイチが資金面の心配を口にすると、

その不安を打ち消すようにプロデューサーがそれらに関する

様々な説明を行って商店街が負担する必要がない事を話す。

その中で出て来たハイムロボティクスからの要望について

ミサが尋ね、それに対するカドマツの返答を聞いた上で

さらなる質問としてチーム参加の詳細な理由を尋ねる。

するとカドマツは視線を泰葉の方に移しながら…

 

「アイドルの嬢ちゃん…泰葉って言ってたか、あんたが『覚醒』を

 発動させたってのが大きな理由だな。存在するとは言われてても

 実際に起こった場面が長年確認されず半ば都市伝説状態だった事柄が

 目の前で発生したから、貴重なデータ収集のチャンスだと思ってな」

 

「なるほど…」

 

「いやー、本当に泰葉ちゃん様様だよ」

 

「ふふっ、お役に立てたのなら光栄です」

 

泰葉が「覚醒」を使えるようになった事でカドマツが協力を

決意した事を話すと、改めてミサは泰葉に感謝を示し

それに対して泰葉は笑顔と言葉で応えた。

 

~~~~~

 

(…さて、せっかくでスし今日のタウンカップ彩渡大会に関する

 話題がどれくらい発言されたのか検索してみまスかね)

 

(おおー…やっぱり「都市伝説」なんて言われるレベルの事態が

 発生した事もあってか驚いた人たちが話題にして拡散されて

 沢山の人が知る事になったようっスね、さすがに一地方大会で

 起こった事だからか他の地域の人達から「信じられない」という

 反応もちらほらありまスが概ね驚きと称賛といったとこっスね)

 

(…とはいえ現状は少数派ながら、商店街チームや346プロへに対して

「不正」だの「運営買収」と言ったネガティブな言いがかりも

 見受けられまスね…この辺りの層に対する注意喚起を、

 明日プロデューサーに話しておく必要があるっスね)

 

祝勝会が終わって帰宅した比奈が、今日のタウンカップ彩渡大会が

SNS等のネット上でどのように話題となり広まっているかを確認する。

その結果「驚き」と「賞賛」がそれに触れた内容の発言の

大部分を占めている事を確認すると同時に、少数ではあるものの

泰葉や事務所・チームや商店街に対する妬みや言いがかり等の

「負の感情」が込められた発言が目に付いた事で将来的に

アイドル個人・事務所・商店街に被害が生じる可能性を危惧し

プロデューサーに相談する事を決めて比奈はブラウザを閉じた。

 

~~~~~

 

「おはようございまス」

 

「お、比奈も来たか…これで全員だな」

 

「おはようございます、比奈さん」

 

「…あれ、何か人数が増えてないっスか?」

 

一夜明けて比奈が事務所に顔を出すと、

泰葉とプロデューサーに加えて2人のアイドルが

一緒にいる光景を見てプロデューサーに疑問を投げかける。

 

「ああ、エンジニアを雇えたという事で後学の為に

 アセンブルシステムについて学んでもらう

『エンジニアサポートスタッフ』といった立場で

 泉と晶葉の2人もチームに参加する事になったんだ」

 

「大会が始まる前に打診はされてたんだけど、

 初めて触れるものだったから独学で1から

 学ぶとなると余りに時間がかかる為に

 申し訳ないと思いながらも断ったけど…

 知識と技術がある人が参加して教えてもらえるって

 聞いたから、それならって事で参加する事にしたんだ」

 

「私も泉程ではないが自立稼働するロボの作成の為に

 プログラミングに関する学習はしているからな、

 全力で学びながら取り組むからよろしく頼むぞ!」

 

新たにチームスタッフ入りした、プログラミングを

趣味とする「大石泉」とロボット制作を趣味とする

「池袋晶葉」の2人が参加するまでの経緯等を話す。

 

「これは頼りになる面子っスね、よろしくっス」

 

「晶葉ちゃんも泉さんも、よろしくお願いしますね」

 

「こちらこそ、1から学習しながらって形になるけど

 泰葉さん達を支えて行くからよろしくお願いします」

 

「今回は裏方だが…どんな立場であろうとこの天才の

 頭脳と技術は出し惜しみせんから期待しておけ、ワハハ!」

 

こうしてアイドル同士で挨拶を交わし終えた所で、

比奈がプロデューサーに昨日感じた事を話し始める。

 

「…プロデューサーは昨日の大会に関するエゴサってしました?」

 

「ああ、それに関しては商店街の人達やカドマツさんにも

 話しておきたいと思ったから向こうで本格的な話をしよう」

 

「…何かあったんですか?」

 

「ああ、まだ大した事にはなってないが…将来を見据えて

 早めに対策しなきゃならない事が出て来たって話だ。

 さっき言ったようにチームに関わる人達全員に

 話しておきたいから詳しい事については後で話すよ」

 

「わかりました」

 

「ありがとう…それじゃあ商店街に行こうか」

 

比奈からの言葉に、プロデューサーも危惧を感じている事を

匂わせながらチームに関わる人々全員に話したいという考えから

「それ」についての話を後に回す事を告げる。それを聞いて

尋ねて来た泰葉にも同様の旨の発言を返し、新しく2人の

アイドルを加えた「346プロガンプラバトルプロジェクト」の

メンバー達は彩渡商店街に向けて移動を始めていた。




P:さて、今回の第10話で第1章となった「タウンカップ編」の
 最終話となりましたがいかがでしたでしょうか…次からは
 リージョンカップに向けての準備や出会いにアイドル達を
 添えて書いて行きますのでご期待頂ければ幸いです

比奈:キリの良い話数で区切りが付きましたが…前話から
   引き続いて原作以上に荒れまくってたカマセ君に加え、
   後半ではこれからの受難を匂わせる描写も出て来ましたね…

P:…まぁ、個人的にどうしても「『リア充』『勝ち組』と
 外野から思われがちなアイドルという立場」に加えて
「知識も技術も乏しく『にわか』呼ばわりされがちな初心者」
 といった要素を持ち合わせた人物が希少な事態を起こして
 漫画みたいな逆転勝ちをしたら…驚きや称賛だけじゃなく
 どうしても「妬み」や「逆恨み」も生じると思ってな。
 とはいえそれを乗り越える事も物語には組み込むから
 その点については容赦して欲しいと言っておきます、
 短いですが次から始まる第2章もよろしくお願いします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リージョンカップ編~新たな仲間と戦いと
システムアップグレード


「いらっしゃい…って、あれ? 人数増えてる?」

 

五月野模型店にやって来た泰葉達を出迎えた

ミサだったが、事務所の比奈の時と同じく

アイドル達の人数が増えている事に驚きを見せる。

 

「ああ、エンジニアが入る事になったから

 アセンブルシステムについて学習しながら

 サポートをしていくメンバーを2人追加したんだ」

 

「貴方がミサさんですね、話は聞いてます…

 大石泉と言います、よろしくお願いします」

 

「私は池袋晶葉だ、泰葉達が大変世話になったと

 聞いている…私達もこれから世話になる、よろしく頼むぞ」

 

「なるほど…こちらこそよろしくね、泉ちゃんに晶葉ちゃん!」

 

「随分賑やかだと思ったら、全員集合してたみたいだな」

 

それに対してプロデューサーが説明を行い、

続く形で2人がミサに挨拶を行う。それに対する

ミサの返事にタイミングを合わせたように、

カドマツも店に入りその場の全員に声をかけた。

 

「カドマツさん、改めましてこれからよろしくお願いします」

 

「おう、こっちこそ改めてよろしくな」

 

「貴方がカドマツさんですか、今日からそちらのサポートを

 行いながらアセンブルシステムについて学習させて頂く

 大石泉と言います…これからお世話になります」

 

「私も同様に学習しつつサポートを行う池袋晶葉という者だ…

 普段は趣味でロボ作りをしているが、その技術をここで

 活かせるように最大限努力するのでよろしく頼む」

 

「ああ、よろしくな…しかし、そっちのメガネ掛けてて

 背が低い方の…晶葉って言ったか、俺の顔見知りに髪型以外

 そっくりな上にロボ作りが趣味というのには驚いたよ…

 とはいえ、ある意味好都合とも言えるかもな」

 

「ん? どういう事だ?」

 

「それについてはまた後日話すよ」

 

「…さて、挨拶も終わった所で…カドマツさん」

 

カドマツの姿を確認した泰葉が挨拶をし、返事をしたのに続いて

泉と晶葉も挨拶を行う。それを聞いたカドマツは返答の後に

晶葉を興味深い様子で見ながら話し、一区切りついた事を

確認するとプロデューサーは真剣な表情に変わりカドマツに声をかける。

 

「何だい、改まって?」

 

「昨日のタウンカップ彩渡大会に関して、帰宅後にいわゆるエゴサを

 してみた所…大部分が驚愕しながらも比較的好意寄りな反応でしたが、

 極僅かながら泰葉が『覚醒』を発動させた事を不正呼ばわりする等の

 妬みや僻みの感情が込められた発言も見受けられました。

 今は泰葉個人やうちのプロダクションが主な標的といった所ですが…

 もしかしたら、妬みやそれから派生した逆恨みによって商店街や

 そちらの会社等も標的にされる可能性も考えられますので念の為に

 そちらも今のうちから対策を考えた方が良いかもしれません」

 

その声に反応してカドマツがプロデューサーに顔を向けたのを見て、

プロデューサーは業務の一環として行った昨日のタウンカップ彩渡大会を

話題にしたSNS上の発言を調べる「エゴサ」の結果、現状は極僅かながら

泰葉やプロダクションへの悪感情も込められた発言も存在していた事を話す。

その上で、将来的にその悪感情の矛先が彩渡商店街やハイムロボティクスにも

向けられる可能性を危惧し矛先が向く前に対策の考慮をカドマツに提案する。

 

「なるほどな…ま、ウチの会社は今んとこは新入りのやらかしで

 苦情が殺到とまでは行かないがそこそこの量来てて対応に追われてる

 状態だが…そっちの危険性についても上の方に話しておくわ」

 

「ありがとうございます」

 

「…こういう遊びでも、何かしら目立った人に対して

『出る杭を叩く』事をする人というのは居るものなんですね」

 

プロデューサーの危惧に対して、カドマツはカマセの事で

ハイムロボティクスにそれなりの数の苦情が来ている事を

話しながらその危惧に対しての上層部への報告を行うと返す。

それに続く形で、泰葉がこのような娯楽の世界でも

自身の長年の芸能活動でも見受けられた「目立つ人物を

潰そうとする行為」がある事に対し渋い表情で零していた。

 

「ガンダムシリーズが結構な歴史を重ねてる為か、昔からのファンの中に

 新規のファンや作品を疎んじたり軽んじたりする層が少なくないのと…

 こういったオタク色が強い趣味に、アイドルという端から見たら

『勝ち組』や『リア充』と見られがちな肩書を持つ人物が入る事を

 好ましく思わない層というのがどうしても一定数存在するという事が

 重なったのに加え…ガンプラ作りもシミュレータープレイも始めて

 間もない初心者の身で『覚醒』という都市伝説とまで呼ばれるような

 希少な事象を発現させた事が、妬まれる原因になったと思われるっス」

 

「でも、『覚醒』が使えるようになる前の予選でも無傷とまでは

 行かなかったけど的確な動きと攻撃だったし…このまま勝ち進んで

 泰葉ちゃんの実力を見せつけ続ければ黙らせられるんじゃないかな?」

 

「そうだったらいいんスが…単純に上手なだけでも妬まれるには

 十分な理由になりまスし、簡単には行かないと思われるっスね…」

 

「…ですが、仕事として引き受けた以上は出せる力も使える物も

 惜しまず使って突き進んで行くだけです…支えてくれる人が

 沢山居ますから、何を言われても歩みを止めるつもりはありません」

 

「そう言ってもらえると、こちらとしても心強いし嬉しいよ…

 とはいえ言われっ放しのままにする気はないし、将来的な

 商店街への攻撃の可能性への対策も兼ねたアイデアを

 こちらでも考えているから泰葉達やミサさんは外野からの

 雑音に気を取られる事なく突き進んで行って欲しい」

 

「もちろんです…が、ありがとうございますプロデューサー」

 

「私からも、こうして商店街の事まで気にかけてくれて

 本当に感謝です! ありがとうございます!」

 

泰葉の言葉に対して比奈が、そういった他者を潰すような行為が

生まれる理由を「ガンダムシリーズの歴史の長さ故に生じる

新規ファンや作品を疎んじたり軽んじたりする古参ファン」や

「恵まれていると思われがちな人物への妬み」を中心に

推測したものを話す。それに対して「実力を見せつける」事で

黙らせられないかと返すミサに、高い実力そのものが他者から

妬みを買う理由になりうる事から簡単には行かないという

考えを話すが…そうだとしても仕事として引き受けた以上は

プロとしてやり遂げるという決意と共に、多くの人の支えが

あるからこそ誰に何を言われても辞める気はないと泰葉は答える。

それを聞いたプロデューサーは嬉しそうな表情で泰葉のその姿勢を

賞賛した上で、自分が抱いた危惧への対応策も考えている事を

皆に話した上で…泰葉達やミサに対し激励の言葉を告げる。

それへの2人の返答が終わった所を見計らって、カドマツが口を開く。

 

「…さて、そろそろこの商店街チームの

 エンジニアとしての初仕事をやらせてもらうよ」

 

「ええ、よろしくお願いしますカドマツさん」

 

「まかせときな、さて…」

 

プロデューサーと泰葉達の会話に区切りが付いた所で、

カドマツがプロデューサーに声をかけプロデューサーからの

返事を確認すると泰葉とミサに視線を移しながら話し始める。

 

「2人が持っているガンプラバトルシミュレーターの

 プレイヤーデータ保存用ICカードを出してもらえるか?」

 

「わかりました」

 

「了解!」

 

2人はカドマツからの言葉に答えながらICカードを取り出して

差し出し、それを受け取ったカドマツはカバンの中から

ノートPCにマウスやカードリーダー等を取り出して

制作ブースのテーブルの上に置き…ノートPCに周辺機器を

接続して起動しデスクトップ上のとあるソフトを立ち上げると

カドマツ以外の面々には初見となる画面が開かれた。

 

「…これが、アセンブルシステムのカスタマイズに

 使われるソフトウェアなんですか?」

 

「ああ、つっても全く知識がない身で見ても何がなんだか

 わからんだろうし…ひとまずは作業に集中させてくれ、

 時間はそれほどかからないし設定と説明が終わったら

 改めて2人に基礎から教えて行くからな」

 

「わかった、よろしく頼むぞ」

 

その様子に泉と晶葉は興味津々といった様子で

PCの画面を覗き込みながら疑問をぶつけてみたが、

カドマツの言葉通り何もわからない状態の2人は

要求に応じてカドマツとPCから遠ざかる。

それから数十分後、カードリーダーから泰葉とミサの

ICカードを取り出し手に持って泰葉達に向き直すと

得意気な様子の混じった笑顔で話し始めた。

 

「ほれ、設定完了したぞ」

 

「早っ!?」

 

予測を上回る早さで設定を終えた事に、

率直な驚きを口から出すミサ。その反応を

皮切りとして、カドマツからの説明が始まった。

 

「ま、システムの基礎部分は変にいじって

 せっかくの『覚醒』が使えなくならないように

 ノーマルのままだからな…追加した機能は、

 ビルダーズパーツを使用可能にした事と

 EX・バーストアクションの制限解除…

 それに武器への属性付与解禁とそれに付随して

 属性付き武器をドロップするようにしたってとこだ」

 

「ビルダーズパーツについては、タウンカップの時に

 ミサさんから簡単ではありますが説明を聞いてたので

 わかりますが…『EX・バーストアクションの制限解除』と

『武器への属性付与』というのはどういう事でしょうか?」

 

「ああ、そいつについてもこれから説明するよ」

 

カドマツからの説明を聞いて、自分にとって

初めて聞く事柄に対しての疑問を返す泰葉。

それへの返事という形でカドマツは説明を続ける。

 

「基本的にEXアクションやバーストアクションは、

 武器のカテゴリー別のものとパーツ固有のものが

 大半を占めてて…一切手を加えてないノーマルの

 アセンブルシステムでも、一定回数使用すれば

 どの武器やパーツでも使えるようになるんだが…

 その手間をすっ飛ばして全部のEXアクションと

 バーストアクションを、どの武器やパーツを

 選んでいても使えるようにしたって事だ」

 

「おぉ~、確かにEXアクションだけでも全種類を覚えて

 制限解除状態にするとなるととんでもなく手間がかかるからね…

 私だってメインで使ってるマシンガンとサーベルと回復系以外の

 EXアクションはろくに制限解除どころか上位解放も出来てないし」

 

カドマツからの説明を受けて、ノーマルでも出来る事とは言え

凄まじく時間も手間もかかる行為をすっ飛ばせる事を知り

驚きの声を上げながら感心した様子でミサは言葉を発していた。

 

「但し1つ注意がある、パーツ固有のEXアクションや

 バーストアクションを指定された以外のパーツの時に

 設定して使用するとモーションや見た目が変化する事がある。

 特に『ハイ・メガ・キャノン』や『サテライトキャノン』とかの

 ビームを発射するタイプのやつだとほとんどが元のモーションに

 関わらず腹からビームが照射されるモーションに統一されるのと…

『スーパードラグーン』をストライクフリーダム以外の

 バックパックを装備してる時に設定して使用すると、

 ドラグーンの代わりに小さな光球状のビットが出るって事は

 覚えといてくれ。特にビーム照射系の汎用モーションは

 胴体に発射口とかがなくてもそれに固定されるから、

 見た目との整合性を取りたい場合は気を付けた方がいいぞ」

 

「ふむ…ビームを照射するモーションだと、サザビーとかの

 胴体にビーム射撃武器を内蔵してるやつなら自然な見た目に

 なりそうでスし…スパドラの汎用モーションはヴェイガン系の

 ビットっぽい見た目になるから、それをイメージして組んだ

 カスタマイズガンプラだとピッタリの組み合わせに出来るっスね」

 

「そうそう、そんな風にパーツのチョイスやビルダーズパーツの

 追加で見た目の違和感を和らげるも良し…開き直って見た目を

 ガン無視して使いたいと思ったアクションを設定するも良し、だ」

 

続いてカドマツから話される「パーツ固有のアクションを

指定以外のパーツを使った機体で使用した際に生じる

モーションの変化」についての説明を聞き終えると、

比奈が汎用モーションへの変化時にも違和感を感じさせない

見た目に出来るパーツ選択やアセンブル案を口にする。

 

「さて、次は『武器への属性付与』についてだな」

 

そこから続ける形で、カドマツは2つ目の

追加機能についての説明を始めた。

 

「『シャイニングフィンガー』等のモビルファイター系の機体の

 腕部パーツ備え付けのフィンガー系EXアクションを喰らった時に

 機体が燃えている見た目になったり、レッドフレームの

 腕のオプション武装『光雷球』を喰らった時に漏電したような

 見た目になる事があるが…ああいう現象を、射撃武器や格闘武器の

 通常攻撃で発生させられるようにした上で武器の攻撃力を

 上げる効果を持たせるのを『属性付与』と呼ぶんだ」

 

「なるほどー、フィンガー系EXアクションを喰らった後に

 追加ダメージを受けるのもそれが関係してるの?」

 

「ああ、属性によって追加効果も異なるからそれも説明しとくぞ」

 

カドマツの説明からミサが特定のEXアクションを

受けた時に発生する現象との関わりを予測すると、

それに答える形でカドマツはさらに説明を続ける。

 

「まずは追加効果がない代わりに攻撃力の最大上昇値が一番高い

『ボーナス』、次に機体を燃焼させて大きな継続ダメージを与える

『プロミネンス』、漏電したような見た目になって継続ダメージに加え

 のけぞり状態とパーツ外れが起こりやすくなる『パルス』、

 毒々しい見た目になって継続ダメージに加えてシールドへの

 ダメージが増加する『ディソルブ』、凍り付いたような見た目になり

 継続ダメージはないが一定時間行動不能になる『プライクニル』の5つだ」

 

「色々な効果があるんですね…」

 

「オプションやEXアクションにはなかった

 追加効果付きの属性もあるんだ」

 

「ああ、だが機体の強化度合いが上がるにつれてこういった

 追加効果が発生しづらくなるという事もあってEXアクションや

 オプション武装単発じゃ追加効果が発生しない事もあるが…

 事前に同属性の通常攻撃を何度か当てた上でEXアクションや

 オプション武装に繋げれば、強化された敵機相手にも

 追加効果を発生させる事が出来るという点でプロミネンスや

 パルス属性を付与する事にも別の有用性が生まれるんだ」

 

「なるほど、オプションやEXアクションの効果をフルに

 発揮させる為に武器の属性も揃えるというのもアリかー」

 

「個人的には、将来的に新しいガンプラを作る事に備えて

 まだまだパーツデータを集めたいと思ってますし…

 そういう意味ではパルス属性を付与したいと思いますね」

 

「それで、すでに持ってる武器への属性付与ってどうやるんスか?」

 

カドマツからの各属性の効果についての説明を受け、

感心した様子の泰葉の発言に続きミサがオプション武装や

EXアクションでは確認出来なかった属性の登場に

驚きの混じった感想を口にする。それに続く形でカドマツが

「機体強化度合いの上昇に伴う追加効果発生率のダウン」についてと、

それを補うための属性武器での攻撃から属性付きのオプションや

EXアクションに繋げるという連携を考慮した武器への属性付与について話す。

それを聞いて泰葉とミサがどの属性を付与するかを話す中、

比奈が「属性付与の方法」についてカドマツに尋ねた。

 

「ああ、アセンブル画面で武器を選んで強化メニューを

 開いた所に『属性付与』の項目が追加されてるから

 そこで行う事になるな…強化方法には『必要GPは少ないが

 付与される属性はランダム』というのと『必要GPが多いが

 属性を指定して付与できる』の2種類がある。また、既に

 属性が付与された武器で行った場合にはランダムのやつだと

 元々付与されている以外の4種類からランダムに選ばれ

 属性指定のやつだと属性を変更するのと属性はそのままに

 属性値が上昇するという2パターンが選べる。後はパーツ合成時に

 同じ属性のものを合成するとパーツLvアップやアビリティ付与に

 属性値の上昇と言った効果が加わるといった所だな」

 

比奈からの質問に答えると、カドマツは改めて

泰葉達に視線を向け言葉を続ける。

 

「…ひとまずこれでアセンブルシステムに追加した設定の

 説明は以上だ、早速だがゲーセンに行ってそこのシミュレーターで

 試してみてもらえるか? ビルダーズパーツやバーストアクション、

 それにまだ使った事のないEXアクションの使い心地を試すと共に

 泰葉の嬢ちゃんは問題なく『覚醒』出来るかのチェックもしてくれ」

 

「わかりました」

 

「それじゃ早速ゲーセンへ、だね」

 

「晶葉ちゃんと泉ちゃんはこれからカドマツさんに

 アセンブルシステムについて教えてもらうでしょうし…

 アタシは今回も2人の付き添いで行って来るっス」

 

「ああわかった、今回も帰って来る時に俺に一報入れてくれ」

 

カドマツからの説明終了とテスト要求を受け、

泰葉と比奈とミサのおなじみとなった3人は

五月野模型店からイラトゲームコーナーへ向かって行った。




P:さて、第2章「リージョンカップ編」の始まりとなった
 今回の話ですが…個人的な執筆の影響を受けた動画の
 展開をなぞる形になってしまいましたが、多少なりとも
 この作品ならではの独自色を加える努力はしてみました

比奈:その「独自色」がどうにもネガティブ寄りなものに
   なってしまってまスが…乗り越える事を前提にしてると
   言われてましたし、それを信じて待つのみっスね

P:まぁ、そこに関しては今は「信じて待ってくれ」としか
 言えないからな…ただの一般人であっても「覚醒」出来る事で
 妬まれるという描写が公式で描かれた以上、アイドルという
 立場が加われば早いうちから妬みが表に出て来ても
 おかしくないとつい思ってしまったものでな

比奈:…ま、それについてはこの辺りで切り上げまして…
   武器への属性付与を早々に解禁したのに加えて、
   属性の付与方法と属性値の強化方法をゲーム内の
  「専用アイテムの使用」とは大きく変更して来たっスね

P:運が絡む仕様なのは元々のやつから据え置きだが、
 原作仕様だとアイテムドロップ運に左右される為に
 狙った属性がなかなか来ない可能性があったから
 GPを多く消費する代わりに挑戦しやすくする形にしてみた

比奈:なるほど、ところでこの流れだと次の話はビルダーズパーツを
   機体に増設してのプレイという内容になるという事っスか?

P:そうなるな、とはいえ個人的に初期アザレアへの増設が
 ゲーム中だと脚部へのミサイルポッドに留まってて
 物足りないと感じたのでこちら独自のビルパ増設を
 行おうと考えてる…この作品での立ち位置も考慮した上でな

比奈:おおー、それはちょいと楽しみっスね

P:そう言ってくれるのは嬉しいが、読者が気に入るかは
 全くの未知数だからな…それでももし期待してくれる方が
 居るならば幸いです、それでは次の話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガンプラバトルの「心・技・体」

・2023/10/27~
後書き部分の機体スクリーンショットの更新
ならびに後書き本文冒頭部をそれについての説明に変更


イラトゲームコーナーに到着した泰葉・比奈・ミサの3人は

来店の挨拶をして来たインフォに返事をするとと真っ直ぐに

ガンプラバトルシミュレーターに向かい泰葉とミサがポッドに入る。

そうしてプレイを開始しガンプラのカスタマイズ画面を開くと、

泰葉達には初見となる五月野模型店にてカドマツから

説明された追加機能に関する項目が目に飛び込んで来た。

 

「おおー…こうして実際に見てみると、武装パーツも装飾パーツも

 凄い沢山の種類が用意されてるんだねぇ…まさに圧巻だよ」

 

「そうですね、事前に調べてはいましたが…やはり実際に

 この目で見ると凄さというものをひしひしと感じますね」

 

「確かにこれだけの量のパーツが自由に使えるように

 なるっていうのは恐ろしいと言えるレベルっスねぇ、

『自分だけの』ガンプラ感がさらにマシマシになるのと

 攻撃手段を増やせるという両方の意味で」

 

その中からビルダーズパーツの項目を開き、どれだけの種類が

あるかを実際にその目で見た事で感じた驚きを3人は口にする。

 

「それじゃあビルダーズパーツのセットにオプション武装と

 EXアクションの設定を始めようか、終わったら一言お願いね?

 ミッションに出撃する前に確認しておきたいから」

 

「わかりました、楽しみにしていますね」

 

ミサの言葉を合図に、2人はそれぞれ自分のICカードに登録済みの

ガンプラデータへのビルダーズパーツのセットとオプション武装・

EXアクションに泰葉はバーストアクションの設定を開始する。

それからしばらく経った頃…

 

「よし、出来ました」

 

「泰葉ちゃんも? ちょうど私もセットが終わったから

 このままお互いのガンプラの確認に移ろうか」

 

「わかりました」

 

ほぼ同時にビルダーズパーツとオプション武装・EXアクションに

泰葉のバーストアクションの設定が済んだ事を確認すると、

2人はパイロットスーツ姿のアバターを「VRハンガー」に移動させ

お互いのガンプラを足元から見上げる形で確認を始めた。

 

「泰葉ちゃんは胴体の空きスペースに『メガ粒子砲』を

 設置して、脚側面のGNフィールド発生装置の下に

『丸形バーニア』を左右2つづつくっつけたんだね」

 

「見た目は極端な変化はしてないけれど、

 追加パーツがしっかりとアピールしてまスな」

 

「はい、元々オプション武装が豊富だったので

 追加した武装パーツは1種類だけですが…

 実は同じ場所に3つの『メガ粒子砲』を重ねて

 配置したんです、ちょうどこれが複数セットしても

 1つのオプション扱いで一斉に発射するタイプの為

 火力を大きく上乗せ出来るのと…『丸形バーニア』は

『GNフィールド』がない為に脚側面のパーツがただの飾りに

 なってしまってるので、他の機体に見受けられた脚側面の

 スラスターにする為にバーニアパーツを追加してみました」

 

「なるほどー、武装はパーツの収まりの良さもさることながら

 実用性も高いチョイスだし装飾の方は他の機体を参考に

 飾り状態になったパーツに別の役割を持たせたんだね」

 

「他の機体を参考にして既存のパーツに

 別の役割を持たせるというアイデア、良いっスよ」

 

「そうですね、それはそうとミサさんの方は全身に

 武装パーツを沢山追加した形にしたみたいですね」

 

ミサが泰葉機「ガンダムメイクプレゴレス」に増設された

ビルダーズパーツを確認しながら述べた感想に

泰葉が返答をすると、そこから続けてミサ機「アザレア」の

多数のビルダーズパーツが追加された姿を見た感想を述べる。

 

「だねー、元々のオプション武装が『リペアキット』を入れても

 4つだけだったから思いっきり武装を増設してみたんだ」

 

「結構『盛った』形ではありまスが、見苦しくなく

 きれいに収まった感のある見た目になりましたねー」

 

「両肩に『シールドビット』と脚側面に『ファンネルラック』、

 後は胴体の窪み部分に『メガ粒子砲』を埋め込んでますが…

 私のガンプラのような、一斉射撃を狙ったのでしょうか?」

 

「それも出来るけど…どっちかと言うと泰葉ちゃんのガンプラが

 砲撃型の構成になってる事で私が前衛を受け持つ形になるから、

 接近戦の時に格闘武器以外に同時攻撃を行える武装を増設して

 手早く敵機を落とせるようにする為ってのが主な目的だね…

 EXアクションもそれを考慮したチョイスにしてるから。

 泰葉ちゃんが言ったような一斉射撃は、PG機やMAとかの

 大型機相手用のサブ戦法って位置付けで胴体に埋め込んだ

『メガ粒子砲』はその戦法の為でもあると同時に単体の射撃でも

 照射によって通常サイズの敵機を拘束する為でもあるね…

 あとは胴体内部に埋め込んでて外からは見えないけど

『GNフィールド発生装置』を2つ装備して防御面も強化してるよ」

 

「なるほど、ありがとうございます…でも確か『GNフィールド発生装置』は

 複数装備時に別々のオプション武装扱いになるタイプですし、機体パーツに

 元々あったオプション武装と『リペアキット』を入れると9つになりますが…

 何の代わりに『GNフィールド』2つ目をセットしたんですか?」

 

「ああ、EWシェンロン胴の『自爆』を外してその代わりに入れた形だね…

『即死回避』アビリティを付与出来たから実用可能になったけど、

 壁役も兼ねる身で瀕死になるリスクがある武装はまずいかなーと思ってね…

 その分バリアを複数セットする事で打たれ強さを増してみたんだ」

 

「バリアは格闘攻撃は防げませんが、距離を詰めるまでの間や

 格闘攻撃中の他敵機からの射撃攻撃を防ぐだけでも

 生存能力は段違いに上昇しまスからねー」

 

ミサが自機に大量に増設した武装の目的を説明し、

増設したパーツと機体パーツのオプション武装の合計が

最大値を超えている事に対する泰葉の疑問に使用しなかった

機体パーツ備え付けのオプション武装を外した理由も添えて説明する。

 

「じゃ、確認も終わったしミッションに出撃しようか」

 

「そうですね…ああ比奈さん、1つだけ確認したい事があるので

 バトル中の私のガンプラをしっかりと観察してもらえますか?」

 

「構いませんけど、何をっスか?」

 

「バーストアクションに『フルバースト』を設定したんですが、

 説明に『ビームを発射できるライフル/ダブルライフル/

 ロングライフルも同時に発射する』と書かれてまして…

 ビームバズーカが本当に同時に発射されないのかを見てもらいたいんです、

 そうであるのなら武器周りを多少変更しようと思うので」

 

「なるほどー、確かに主観視点じゃちょっとばかし

 確認しづらいっスからね…了解っス」

 

「ありがとうございます、それじゃあ改めて出撃しましょうか」

 

互いのガンプラの確認を終え、ミッションへの出撃に移ろうとした所で

比奈に対し泰葉が自分の操縦視点では確認が難しい事となる

「バーストアクション時のメイン射撃武器の使用状態」の

確認を頼み込む。それを快く受諾した比奈への返答に続く形で

泰葉側からの改めてミッションへの出撃を促す言葉を受けて

2人はミッション選択からの出撃準備を行った。

 

「それじゃあ、ビルダーズパーツとかの使い心地の確認も兼ねて…

 サツキノ・ミサ、アザレア・エクステンドいっきまーす!」

 

「では私も…岡崎泰葉、ガンダムメイクプレゴレス/EX

(スラッシュエクステンド)行きます!」

 

~~~~~

 

「よし、まずはビルダーズパーツを併用した時の殲滅力を

 確認したいからそれぞれ別の敵機を狙って行こうか」

 

「わかりました…ミサさん、ご武運を」

 

「泰葉ちゃんもね!」

 

2機が雪原フィールドに降り立ち…ミサの発言を受けて

それぞれ別々の敵機をロックオンして泰葉は腕部備え付けの

「ファンネル」を、ミサはビルダーズパーツの「シールドビット」と

「ファンネル」を展開して各自ロックした敵機に攻撃を開始する。

そうして数機のCPU機を撃破した所で、ミサが口を開いた。

 

「いやー、やっぱり手数が増えるってのは大きいねぇ…

 通常CPU機相手だけど今までとは殲滅ペースが大違いだもん。

 …実際に使ってみると、エンジニアとかの環境に拘る

 ファイターが出て来るのもわかっちゃうなぁ…」

 

「そうですね、武装追加だけでなく装飾も追加出来る事で

 より自分の中のイメージに近付けられるというのは

 大きいですし…でも、環境が強化された事に喜ぶばかりでなく

 技術を磨く事やそれを始めとする向上心を持ち続ける事も

 忘れないようにして下さいね。今回のビルダーズパーツの

 使用解禁という事態は言わば『心・技・体』の『体』の

 部分が大幅に強化されたと言えますが、それにかまけて

『心』と『技』の部分を鍛える事をおろそかにしては

 せっかく強化された『体』を活かせなくなりますから」

 

「機体の機能強化を『心・技・体』の『体』に

 当てはめるとは、なかなか上手いチョイスっスね」

 

「もっちろん! せっかく泰葉ちゃんがこの先の大会への

 道を切り開いて環境面の強化を引き入れてくれたから、

 それを無駄にしない為にも腕も心も磨き続けてくよ!」

 

ビルダーズパーツによる追加オプション武装を交えての攻撃で

殲滅力が目に見えて上がっている事をひしひしと感じ取り、

その強さに「環境面に拘るファイター」の気持ちを理解して

しみじみと言葉を零すミサ。それに対して泰葉も賛同する言葉を

返しながらも、環境にあぐらをかかずファイター自身の技術面と

精神面の鍛錬も決しておろそかにすべきではないと話すとミサも改めて

泰葉に感謝を告げながら技術と精神面を磨く事も忘れないと宣言する。

 

「…と、リーダー機が出現しましたね」

 

「よっし! ちょうどこっちのEXアクションも発動可能になったし

 2人で協力して1機づつリーダーを落としていこう、泰葉ちゃん!」

 

2人の会話が終わった所でリーダー機が現れたのを泰葉が口にすると、

ミサが返事をすると同時に一気にEXアクションを発動し

大型の球状自動攻撃兵器3つと小型の球状自動攻撃兵器8つが

うっすらと白く輝いた「アザレア・エクステンド」の周囲に展開され…

小型の球状自動攻撃兵器はロックオンしていたリーダー機目掛けて

飛んで取り囲んだ後に断続的に射撃を開始し、大型の球状自動攻撃兵器3つは

ガンプラの移動に追随しながら各個それぞれ周囲の敵機の中から

ランダムに選ばれた機体を標的に定め連射による射撃攻撃を開始した。

 

「『バレットフォース』に『バレットオービット』、

 それに加えて『スーパードラグーン』とは…見事なまでに

 射撃系の自動攻撃EXアクションで固めてまスな」

 

「なるほど…『シールドビット』や『ファンネル』と同様に

 自動で射撃をしてくれるタイプのEXアクションで統一したんですね。

 では私も、EXアクション全開で支援射撃をして行きます!」

 

自動攻撃系のEXアクションで固めていたミサに対し、

比奈は驚いたような反応を示し泰葉は感心した反応を示すと

それに続く形でまずはEXアクションの「スペクトラルショット」を

発動し3連装で放たれる照射ビームをリーダー機に浴びせる。

そこから次のEXアクションの「スラッシュレイヴ」に繋げて

合計8発の斬撃波を飛ばし、泰葉やミサが展開した各種の

射撃型自動攻撃兵器による絶え間ない射撃も合わさった事で

標的にしていたリーダー機は撃墜されていった。

 

「残り1機が狂化を発動しましたね」

 

「うん、でもこっちの自動攻撃系オプションや

 EXアクションの残りゲージも僅かだし…ここは私も

『メガ粒子砲』の照射でリーダー機を拘束するから

 泰葉ちゃんも合わせて攻撃してくれる?」

 

「わかりました」

 

2機のリーダー機の片方を撃破した事で狂化を発動した

残りのリーダー機を見て、発動している射撃型自動攻撃系の

オプションやEXアクションがあと少しでゲージ切れになる事を

確認したミサはビルダーズパーツの「メガ粒子砲」の照射を

リーダー機に浴びせて足止めを行う。泰葉はそれを確認すると

3つ目の攻撃系EXアクションを発動して胸部からビームを照射し、

そこからミサ同様にビルダーズパーツの「メガ粒子砲」の

照射へと繋げる。先に発射したミサがゲージ切れで照射が

終わった所に泰葉の連携で最後のリーダー機の拘束状態が

続いているのを確認すると、バックパックの「ジャイアント・バズ」に

切り替えて砲撃を叩き込み残りのリーダー機も無事に撃破した。

 

「よーし、無事にリーダー機を撃破出来たね…

 それにしても泰葉ちゃん、さっき使ったEXアクションは

 汎用モーションの見た目だったけど何を選んだのかな?」

 

「『トリプルメガソニック砲』ですね、出撃前にも言いましたが

 胴体に増設した『メガ粒子砲』は3つを重ねて配置してるので

 ちょうど良いかなと思いまして…私個人としては、メインや

 オプションの各種武装にマッチするようなEXアクションや

 バーストアクションの選択をしたいと考えているので」

 

「なるほどー、それが泰葉ちゃんの拘りかぁ」

 

リーダー機を撃破後、泰葉が最後に放ったEXアクションが

胴体からのビーム照射の汎用モーションだったのを見て

ミサはどのEXアクションを選んだのかを泰葉に尋ねる。

その問いに対して泰葉は選択したEXアクションに加えて

それを選択した理由を述べると、その答えからミサが

感じ取った泰葉の拘りに対して感心しながら納得していた。

 

~~~~~

 

そこから雪原ステージを進み、3つ目のエリアの敵機を

全滅させるとガンプラの箱が落下してくる演出の後に

その箱に描かれていた機体…今回はリック・ディアスが

このステージの最後のボスとして出現した。

 

「箱のドロップ演出からの登場だから、今回はあれがボスかぁ…」

 

「なるほど、それではここまで取っておいた『覚醒』を

 発動させて手早く勝負を決めてしまいましょうか」

 

「だね、行こうか!」

 

その様子を見た泰葉達が言葉を交わすと、泰葉は宣言通りに

「覚醒」を発動させミサはリチャージが完了したオプションと

EXアクションの射撃型自動攻撃兵器を一気に起動させ2機登場した

リック・ディアスを始めとした敵機の群れに向けて攻撃を開始した。

 

「よし、1機撃破! ラス1機狂化発動確認!」

 

「確認しました、こちらの覚醒残り時間もあと僅かなので

 最後のリーダー機目掛けて『フルバースト』を放ちます…

 比奈さん、出撃前に言いました確認お願いしますね」

 

「了解っス」

 

「オッケー! 泰葉ちゃん、行っちゃって!」

 

2人の集中攻撃でリック・ディアスを1機撃破し、

残り1機が狂化を発動したのを確認すると泰葉はそれに

照準を定めた後にバーストアクションの発動コマンドを入力し…

それと同時に胴体内蔵のものと腕部バインダー内蔵のものと

胸部にビルダーズパーツで増設した3種の「メガ粒子砲」と

両手首部分に備え付けられた「ビーム・ガン」…

最後に展開中の「ファンネル」の一斉射撃による

光の奔流が最後のリック・ディアスに向けて放たれ、

ミサからの攻撃も同時に加えられた結果押し切って

撃破する事に成功しステージクリアとなった。

 

「うーん、やっぱりビームバズーカは『フルバースト』の

 一斉射撃に合わせて発射はされない模様っスね」

 

「そうですか…そうなるとやはりメインの射撃武器を

 変更する必要がありますね、ちょうどこのガンプラの

 ベースキットの未使用パーツにビームライフルがありましたし」

 

「あー、あったねぇ」

 

ステージクリア後、その様子を観察した比奈から

泰葉機の射撃武器である「GNバズーカ」が一斉射撃に

使われなかった事を伝えると泰葉はこのガンプラを組み上げた際の

未使用パーツから「フルバースト」に対応している射撃武器が

あった事を思い出しそれへの変更を行う事を2人に話した。

 

~~~~~

 

「ただいまー」

 

「戻りました」

 

「ただいまっス」

 

「おうお帰り、新しいアセンブルシステムの

 使い勝手はどうだった? 『覚醒』は問題なく出来たか?」

 

イラトゲームコーナーから五月野模型店へと

戻って来た3人に、カドマツが食い気味に質問を投げかける。

 

「文句なしだよ、あそこまで沢山のパーツが使えたのと

 EXアクションが全部使えるようになったおかげで

 攻撃面も防御面も大幅に増強出来たから」

 

「『覚醒』や『バーストアクション』に関しても

 問題なく使えました、ありがとうございます」

 

「そうかそうか、これなら予定通り次の機会には

『試作品』を持って来てテストしてもらえるな」

 

「おお、さっき話してた『あいつ』が早速来るのか!」

 

「話してた様子が自信満々って感じだったし、

 どれだけのものなのか楽しみにしていますね」

 

それに対してミサと泰葉が満足気な返答を行うと、

カドマツは嬉しさを顔に出して祝勝会の時に

話題に出した「試作品」のテストに移行出来る事を

呟くと晶葉と泉が少々興奮気味に声をかける。

 

「ああ、そういう事だ…2人には話しといて悪いが、

 3日後にこっちに持って来るまでそいつについては

 内緒にしてもらえるか? 正直な所前情報なしで

 見てもらった時の反応を見たいもんでな」

 

「焦らすなぁ…」

 

「でも、そうしたい程に自信がある物という事ですね」

 

悪戯を企んでいる子供のような表情で、

先んじて「試作品」に対する話をした泉と晶葉に

自分が実際に持って来る時までそれについては

内緒にして欲しいと頼むカドマツ。それに対して

ミサは若干苛立った様子で率直な感想を零すが、

泰葉はカドマツがそういう事をしたいと思う程に

作品として自信があるものだと推測しカドマツに問う。

 

「ああ、そういうこった…それじゃあ俺は今日はここらで

 失礼するよ、さっきも言ったがまた3日後にな」

 

そう返事しながら持ってきたノートパソコン等を片付け、

カドマツが五月野模型店から退店したのを確認すると

泰葉達も3日後の来訪をミサ達と約束し事務所へと戻って行った。




(2023/10/27更新)
P:どうも、本編内容の変更はありませんが
 機体名に添えられたスクショの背景や画角が
 他のものとバラバラになっていたので改めてそれらを
 他のスクショと統一したものに変更しました

比奈:そういう所に拘る性格なんスね

P:という訳で、今回強化された2機をスクショを添えて紹介します

ガンダムメイクプレゴレス/EX(Ver.1)

【挿絵表示】


アザレア・エクステンド

【挿絵表示】


比奈:アザレアの方はゲーム版の最初のカスタムより
   派手な見た目になりましたねぇ…特に両肩が

P:ビルパ配置やEX・バーストアクション設定に関しては
 本編中で述べてるので省略するが…近々両機の一部武装や
 EXアクションを変更するのでその時にまた紹介しておく

比奈:この感じだと、アザレアの強化はこのSS独自の
   ものにしていくって感じになりまスかね?

P:そうなるな、だけど本編中はこの後の「パワード」や
 「フルフォース」の要素も取り入れる形にして
 DLC編では完全な独自のアザレアを作っていくつもりだ

比奈:上手い事このSS独自の魅力になれば良いっスね

P:そうだな…さて、次回はあの「新チームメンバー」の
 初お目見えになりますので楽しみにして頂ければ幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鋼のチームメイト

カドマツによる彩渡商店街チームのアセンブルシステムの

カスタマイズが行われ、テストプレイによって追加機能及び

「覚醒」に関して問題なく機能する事が確認されて3日後。

 

泰葉達はカドマツから伝えられた報酬の一部の代わりとして

テスターを引き受ける事となった「新製品の試作品」について

ミサ共々説明を受ける為に五月野模型店へとやって来た。

 

「みんな、いらっしゃい!」

 

「今日もお邪魔しますね、ミサさん」

 

「カドマツさんはまだみたいっスね」

 

「持って来る物の大きさがそれなりにあると聞いたし、

 梱包とかで時間がかかってるんじゃないかと思うよ」

 

「それなりに大きいもので、泉ちゃんや晶葉ちゃんが

 興味津々な反応となると…やっぱりロボット系のものかな?」

 

「まぁ、それは実際に見た時のお楽しみというやつだ」

 

「…ちょうど来たみたいだね」

 

泰葉がミサと挨拶を交わし、カドマツの姿がまだ見えない事を

比奈が口にすると泉がまだ来ていない理由を推測し返答する。

それに続く形でミサが投げかけた疑問を晶葉がはぐらかす形で

返事をした所にちょうどいいタイミングで現れたカドマツの姿を

確認したユウイチがその場にいる全員に声をかけた。

 

「おっと、待たせちまったか?」

 

「いえ、私達もついさっき来たばかりです」

 

「なら良かった、早速で悪いがまずはこいつを

 テーブルに置く手伝いをしてもらえないか?」

 

左手に持つPCや周辺機器の入ったバッグに加え、

右手に大きなアタッシュケースを持ったカドマツが

泰葉と挨拶を交わすとアタッシュケースに視線を向けながら

手を貸して欲しいと話し、それを聞いてプロデューサーと

ユウイチがカドマツと共に持ち上げてテーブルの上に置き

そこから続いて開く。そこに入っていたものは…

 

「うわー、これって騎士ガンダムじゃない」

 

「確かデフォルメされたMSやパイロット等の

 人物をモデルに、ファンタジーRPG風の世界観で

 作り上げられた作品の主役でしたっけ」

 

「そうっスそうっス、この騎士ガンダムを皮切りに

 いろんなRPGのジョブやモンスターとMSやパイロット等の

 人物達を掛け合わせたキャラクターが沢山作られて

 それと共に数多くの物語を生み出して来たんスよ」

 

通常のモビルスーツより等身を縮め、西洋の騎士の鎧を

イメージした外装に包まれたガンダム顔のロボットであり…

その姿を見たミサが驚きの声を上げ泰葉がそれを見て

元となった作品について話すと比奈が返事をしていた。

 

「ハイム社がテストして欲しいって事は、ただの大きな

 騎士ガンダムのレプリカって訳じゃないんだよね?」

 

「ああ、ウチの会社で新しく開発している『トイボット』の

 試作1号機だ。こいつのテストに協力してくれ」

 

「テストって、具体的にどうすれば…あ、これ取説?」

 

それを見たミサがカドマツに何なのかを尋ね、

カドマツからの返答を聞いたミサが一緒に入っていた

冊子を目にするとそのまま取り出して読み始める。

 

「こいつは『子供の遊び相手』を目的として開発されたもので、

 その『遊び』の一環としてガンプラバトルも出来るようになってる。

 という事で、こいつをチームメンバーの一員に加えてもらって一緒に

 ガンプラバトルをしてもらう事で稼働データを収集するのが目的だ」

 

「アイドルのみならずロボットがチームメンバー入りするとは、

 過疎商店街のチームとは思えない豪華さとも言えまスねぇ…」

 

「そうだねぇ…と、これがメインスイッチだね」

 

カドマツからの説明を聞いて、比奈が彩渡商店街チームの

メンバー構成が前代未聞のものとなっていく事に驚き

ミサはそれに相槌を打ちながら説明書に書かれている

メインスイッチをONにして『トイボット』を起動させる。

 

「オイ、勝手に起動させんな!」

 

カドマツからの抗議も意に介さず、起動したそれの

目に光が宿り上体を起こしながら立ち上がって

椅子を経由して地面に降り立った様子を見て

ミサは満足気な表情で言葉を続ける。

 

「おー…無事に降りられたかぁ、よろしくねロボ太」

 

「安直な名前付けんなっての!」

 

「えー、いいじゃん分かり易くて…でしょ、ロボ太?」

 

ミサの安直と言えるネーミングにカドマツが抗議を続けるが、

ミサも否定への不満を零しつつロボ太に同意を求める。

そのミサの発言に対して、ロボ太はミサに顔を向けた後に

肯定の意の表現か首を縦に振るが一切発言はされなかった。

 

「あれ、返事はしないんですね」

 

「ああ、こいつは言葉の理解は出来るが

 発声装置は付けられてないんだ」

 

「何でそんな不便な設定にしたの?」

 

「人と接するロボットの開発というのはデリケートなもんでな、

 特にこいつは子供の相手を想定して開発されているから

 悪影響を及ぼさない為に機能設定を慎重に行う必要があるんだ」

 

「へ~、ロボットを作るのにも色々考える事があるんだねぇ」

 

「そういうこった、んじゃ早速だがこいつを連れて

 ゲーセンに行って一緒にガンプラバトルシミュレーターを

 プレイしてくれ…こいつ用のガンプラも用意してるから」

 

ロボ太がミサに声を掛けられた事に対しての反応は示したが

返答が発せられない事への疑問を泰葉が口にすると、

カドマツがそうなった理由も添えてロボ太に発声装置が

付けられていない事を説明する。それを聞いたミサの感想に

返事をすると、早速のテストとしての2人と1機による

ガンプラバトルシミュレーターのプレイをロボ太用に

用意したガンプラを取り出しながら泰葉達に頼み込んだ。

 

「あれ、こっちも騎士ガンダム? シミュレーターって

 確かBB戦士とかのSDキットは未対応のはずだけど…」

 

「確かにそうなんだが、ガンプラバトルの運営が実装に向けて

『SD用機体データ』を募集してたからそれに乗っかる形で

 騎士ガンダムの試作データを作成して運営に送って確認の後に

 シミュレーターに実装してもらった事への報酬として

 こいつのガンプラバトル公式大会参加資格をもらったって事だ。

 あくまで『試作』段階だから現状他のファイターは使えないし、

 他キットとのミキシングやビルダーズパーツの使用は出来ないがな」

 

「そういう理由もあったんですか…」

 

「私達の知らない所でも色々やってるんだねぇ」

 

カドマツが取り出したロボ太用のガンプラに対する

ミサの疑問をきっかけとして、カドマツからロボ太の

公式大会参加資格獲得の為に行われた行為についての

説明がなされると泰葉とミサは感心した様子で返事をした。

 

「そういうこった、んじゃ頼むぞ」

 

「わかりました、でもその前に1つだけ

 済ませたい事があるのでその後で良いですか?」

 

「そいつの内容が何なのかにもよるな…

 とりあえず何をしたいのか話してくれ」

 

2人の言葉に返す形で取り出した騎士ガンダムの

ガンプラをテーブルに置きながら改めて頼むカドマツに、

泰葉は了承の意志を示しながらもそれを行う前に

済ませておきたい事があると返す。

 

「先日のシミュレータープレイ時に私が試した

 バーストアクション時の動きを確認して、

 私の機体の武装回りを変更しようと考えてて…

 1つだけ塗装したいパーツがあるので、その為の

 サーフェイサー吹き付けを済ませておきたいんです」

 

「何のパーツを塗装したいの?」

 

「えーと…これですね」

 

泰葉の発言に対してカドマツが内容確認の為に

詳細を尋ね、それについての説明を行うと

ミサが横から入る形でその「塗装したいパーツ」を

尋ねる。それを聞いた泰葉はカバンからガンプラの

箱を取り出し、中に入っているランナーの1つを取りだした。

 

「エクシアの盾の表部分のパーツかぁ、

 それならサフ吹き付けてからゲーセン行けば

 1プレイでもそこそこ時間はかかるし往復の分も

 考えれば帰って来て報告したら乾いてるだろうね」

 

「わかった、んじゃ手早く済ませて来てくれよ」

 

「了解!」

 

「今日は私達も泰葉さん達について行って良いですか?」

 

「ああ、そっちの2人は特に待ち遠しかっただろうし…

 試作品とはいえ自信はあるものだ、存分に見物してくれ」

 

「なら、お言葉に甘えさせて頂こうか」

 

泰葉が取り出したパーツを確認すると、

パーツ自体の大きさはそこまで大きくなく

形状も複雑ではなかった事もあり

カドマツの許可を得て2人は塗装ブースに移動する。

その間に泉と晶葉がロボ太の観察の為に

泰葉達と共にイラトゲームコーナーに向かいたいと

カドマツに要求すると、自信満々の表情で許可が返って来た。

 

~~~~~

 

「本日のご来店ありがとうございます、ミサさんに泰葉さんに比奈さん…

 と、初めてのご来店となるお客様が3名ほど居るようですね」

 

サフ吹き付けが終わり、アイドル達とミサとロボ太の大所帯と

言える人数でイラトゲームコーナーへと向かい…いつものように

インフォがミサと泰葉と比奈に来店の挨拶をした後に、

インフォにとって初対面となる泉と晶葉とロボ太を確認して声をかける。

 

「これがワークボットかぁ…初めて見たけどさっきの挨拶からして

 1度来たお客さんの事をきちんと覚えて挨拶してくれるんだね」

 

「私のロボ作りにも活かせるものがないかと情報収集はしていたが、

 こうして実際に稼働しているものをこの目で見られるとはな」

 

泉と晶葉にとっても初対面となるインフォの姿を見て、

興味津々といった反応を示す。そして2人の発言が

一区切り付いた所を見計らって、インフォが話しかける。

 

「差支えなければ、お2人の名前を教えて頂けませんか?」

 

「ん、ええと…私は大石泉って言います」

 

「私は池袋晶葉だ」

 

「泉さんと晶葉さん…ですね、登録完了しました」

 

インフォからの発言が予期せぬものだったからか、

一瞬戸惑いながらも泉は自己紹介を行い晶葉もそれに続く。

それを聞いてインフォが2人の名前と外見データを紐付けた後に、

ロボ太がインフォの前に出て見つめ合う形となる。

 

「…なるほど、ロボ太さんと言うのですね。登録完了しました」

 

「あれ、まだ誰も話してないのに何で名前がわかったの?」

 

その状態から数秒後、インフォがロボ太の名前を言いながら

外見データとの紐付けが出来た事を報告すると、この場に居る

誰もまだインフォにロボ太の名前を言ってないにも関わらず

名前がわかった事に対してミサは率直な疑問を口にした。

 

「ご本人から名前がデータで送信されましたので」

 

「なるほど、形や目的は違えど無線通信機能の規格が

 同じだった為に機体間での無線データ送受信が出来たという事か」

 

それに対するインフォの回答を聞いて、晶葉が

納得した様子で感想を述べる。そんなやり取りを経て、

一同はガンプラバトルシミュレーターへと進んで行った。

 

~~~~~

 

2人と1機がポッドに入り、各自ガンプラをセットして

出撃に移行し…そうして騎士ガンダムも含めた3機が

フィールドに降り立つと、ミサが声をかける。

 

「よーし、それじゃあ行こうか」

 

「はい、ミサさん」

 

「うむ、心得た」

 

それに対して泰葉の返答の後に聞きなれぬ声が響き、

ポッド外で見物していた比奈達も含め一同は驚きで固まる。

 

「え…あれ?」

 

「い、今の…何?」

 

「どうした皆、私は『心得た』と返事しただけだが」

 

困惑した反応を示す泰葉とミサの発言後、

再び同じ声が響き…発言者を示す顔表示部には

騎士ガンダムの顔、すなわちロボ太の顔が表示されていた。

 

『しゃ…喋ったぁっ!?』

 

「うむ、ヒアリング用のボイスデータを解析し

 それを利用してスピーカーから発声している」

 

「いやだって、カドマツさんは喋れないって言ってたっスよね!?」

 

一同の驚きの声の後に、それを意に介さない様子で

ロボ太は自分の喋り方について説明を行う。

それに対し比奈は出発前にカドマツから受けた

説明の内容を半ばツッコミの形で返事代わりに発言する。

 

「その発言については間違いではない、私のボディには

 発声装置が備え付けられていない為会話不可能なのは事実だ…

 だが、ガンプラバトルシミュレーターにはスピーカーが

 備え付けられている為それを利用させてもらった。

 ガンプラバトルというものはコミュニケーションが

 不可欠だと確認している、その為に即興かつ簡易的で

 状況も限定されるが会話機能を実装してみたのだ」

 

「は、はぁ…」

 

「何と言いますか…凄いとしか言葉が出ませんね」

 

それに対するロボ太の返答としての会話機能の

取得方法についての説明を聞かされるが、

泰葉とミサは圧倒された様子で返事をするのがやっとだった。

 

「ではミサ、そして主殿…いざ参ろう」

 

「え? 『主殿』って…もしかして私ですか?」

 

「うむ」

 

「ちょっとぉ! 何で私が呼び捨てで泰葉ちゃんは敬称なのさ!」

 

「カドマツがこのように呼称を登録しているので、それに従っただけだが」

 

「カドマツぅぅぅっ!!」

 

「と、とりあえずミサさん…敵機が現れたので

 ウサ晴らしがてら撃破していって下さい」

 

「もー…わかったよ」

 

2人の返事に対し、ロボ太が2人を促すように声をかけるが

泰葉に対する呼称が予想外だった事で確認の為尋ねる。

その直後にミサが自分と泰葉の呼称の差異に対して

抗議の声を上げるが、ロボ太が淡々と理由を告げると

不満を爆発させたような叫びを上げる。そんなミサを

何とかなだめようと泰葉が現れた敵機の撃破を頼み込むと、

ミサは愚痴りながらもそれに従って攻撃を始めた。

 

「使用条件が限定されてるとはいえ、即興でデータ解析から

 システムを使っての会話機能を実装するなんて…」

 

「こいつに搭載されているAI、凄まじい代物だな…」

 

「知識のある2人にそう言わせるとは、

 本当にとんでもない代物なんスね…」

 

そんな泰葉達の様子をポッド外から見ていた比奈・泉・晶葉の

3人だったが、ロボ太が行った事に対して泉と晶葉が驚嘆の声を

上げている様子を見てAIに関する知識が乏しい比奈も

その行為が凄まじい事であると認識させられていた。

 

~~~~~

 

そこから泰葉達は順調に現れ続ける敵機を片っ端から

撃破し続けて行き…ステージボスの登場演出である

箱落下の後に、鎧武者を思わせる風貌の機体が2機現れる。

 

「今回のボスは武者頑駄無かぁ、ある意味ピッタリな相手だね」

 

「これも確かSDが初出のはずでしたが、通常等身のサイズもあったんですね」

 

「あー、正確にはそのSD版を元にとあるガンダムゲーム用に作られた

 通常等身バージョンがガンプラ化されたって経緯でスね」

 

「なるほど、私の身体モデルと類似した経緯で誕生したものを

 元にしたガンプラという事か…相手にとって不足はない、行くぞ!」

 

現れたボス機体に対するミサと泰葉の反応や、泰葉の発言への

比奈の返答を聞いたロボ太が果敢に武者頑駄無に突撃していく。

それをサポートしようと泰葉が「ファンネル」を展開し、

ミサも「ファンネル」と「シールドビット」の展開に加えて

「バレットフォース」「バレットオービット」「スーパードラグーン」の

射撃系自動攻撃EXアクション3種を発動しロボ太が突進していった武者頑駄無に

標的を定め援護射撃を行い…オールレンジ攻撃各種を始めとした

2人の射撃攻撃の被弾でよろめいている所に取り付き連続斬りや

落雷に斬撃波飛ばしといった各種攻撃を叩き込んで行き、

そこに泰葉とミサの射撃が加わってあっという間に撃破される。

 

「うおっ!」

 

「私が代わりに抑えに行くよ、ロボ太!」

 

「すまん、頼むぞミサ!」

 

その直後に狂化を発動したもう1機の武者頑駄無によって

ロボ太が吹き飛ばされると、ミサがすかさずブーストを吹かして

接近し取り付いて前衛を受け持つ。泰葉はそのまま砲撃を中心とした

支援射撃を継続し、立ち上がって体勢を立て直したロボ太が再び

取り付いてミサと共に格闘攻撃を叩き込みで2機目も無事撃破した。

 

「よーし、ロボ太いい働きしてくれて感謝だよ」

 

「そうですね、機体サイズ差に怯む事なく果敢に向かって

 前衛を受け持ってくれたおかげで私とミサさんが支援射撃を

 中心に立ち回れてそれぞれの火力を最大限に発揮出来ました」

 

「だねー、私が前衛で考えてたけどこうなるとロボ太と泰葉ちゃんの

 中間の立ち位置で中距離射撃を中心にした立ち回りにするのが良いかも」

 

「私が役に立ったと言うのならば、こちらとしても

 喜ばしい事だ…こちらこそ主殿とミサに感謝する」

 

「それじゃ戻りましょうか、カドマツさんへの

 良い土産話になりそうな報告も出来まスし」

 

「そうだな」

 

「稼働開始して間もないAIであそこまでの事を

 実行出来るなんて…本当に凄い代物だよ」

 

ステージクリア後、泰葉とミサがそれぞれロボ太の立ち回りを

賞賛するとロボ太も2人に向けて感謝の言葉を返す。

それを聞きながら、ポッド外で観戦していた比奈・泉・晶葉の

3人も驚きながらも上機嫌な様子でそれぞれ感想を零していた。

 

~~~~~

 

「シミュレーター内蔵のヒアリング用データの解析から、

 スピーカーを使っての発言を行うとはなぁ」

 

戻って来た泰葉達からの報告を聞いたカドマツは、

予想外の事態が発生したと言わんばかりの

驚きを見せながら返事をしていた。

 

「その反応からすると、今回起こった事態は

 カドマツさんにとっても予想外だったんですか?」

 

「ああ、こっちの予想の範疇を軽々と超えてたよ…

『さすが俺』なんて自画自賛したくなる程の

 とんでもないレベルの偉業と言える、な」

 

泉の言葉にカドマツがそう返すと、

一転して真剣な表情となって言葉を続ける。

 

「…だが正直この機能は危険だ、作り上げた

 こいつには悪いが使用停止させざるを得ないか」

 

「何でよ!? ロボ太がせっかく作ったってのに!」

 

「今のその反応が理由だよ」

 

「へ?」

 

ロボ太が自ら作り上げたシミュレーターのシステムを

用いた発言機能を使用させないようにするという

カドマツの判断に対してミサが抗議の声を上げると、

その反応に納得したような表情でカドマツは返事をする。

 

「人と接するロボットの開発はデリケートだって言ったろ?

 その理由の1つとしてロボットに対して強く感情移入を

 されるってのは問題があるんだよ…意地の悪い言い方だが、

 こいつが車に跳ね飛ばされそうになった時に持ち主が

 庇って代わりに…なんてなったら本末転倒だからな」

 

「あー…」

 

「人の助力となるロボットのせいで、肝心の人が

 損害を被る結果になる訳にはいかない…という事か」

 

そこから続くカドマツの説明を聞いて、ミサは得心がいったと

いう顔となり晶葉はその結論に達した理由を予測する。

 

「理屈としては理解出来るけど、感情面では

 どうしても納得できない…というのが本音ですね」

 

「そうですね…それに、ガンプラバトルではどうしても

 会話によるコミュニケーションが欠かせないものだと

 短い経験の間でも実感してますし…意思疎通が出来なければ

『彼』の力を発揮出来ないどころか、最悪の場合チームにとっての

 足手まといになり兼ねないと思います…どうにかなりませんか?」

 

そこから続く泉と泰葉の言葉は、カドマツの考えに対して

「理解は出来るが納得は出来ない」という正直な気持ちに加え

主目的のガンプラバトルにおいて「意思疎通が出来ない事」で

ロボ太が足枷になり兼ねない事を危惧するものとなった。

 

「んー…まぁ確かに、ガンプラバトルでメンバー間の意思疎通が

 どれだけ大事かっていうのは俺も実感してるからなぁ」

 

「頼むよぉ、カドマツぅ!」

 

泉と泰葉の言葉を聞いて思案するカドマツに、

ミサが縋るような声で頼み込む。そんな最中…

 

「…あれ? カドマツさん、パソコンが…」

 

「どうした?」

 

比奈がカドマツが持ち込んだノートパソコンに、

一切誰も手を触れていないにも関わらず

テキストエディタ用のソフトウェアが起動したのを

目にして漏れた言葉にカドマツが反応して視線を移す。

それにつられる形でその場にいる全員がパソコンに

視線を向けると、起動したテキストエディタ上に

自動で文章が打ち込まれていた。それを目にすると、

カドマツはロボ太に視線を移して問いかける。

 

「…これ、お前が入力したのか?」

 

カドマツの問いへの肯定の意思表示として、

ロボ太は首を縦に振る。それを見たカドマツは、

声を若干震わせながら言葉を口にしていた。

 

「お前って奴ぁ…!」

 

ロボ太がカドマツのノートパソコンを利用して

出力した文章、それは自分が即興で生成した

ガンプラバトルシミュレーター限定の会話機能が

泰葉やミサ達に危険を及ぼす可能性があるのならば

削除しても一向に構わないという意思表示だった。

 

「バッカヤロォ、こんな事言われて消せるわけねぇだろぉ!」

 

カドマツはそう叫ぶと、凄まじい勢いでノートパソコンの

シャットダウンから片づけを行いそのままの勢いで

全速力で五月野模型店を飛び出して行った。

 

「上の方に頼み込んで何とかこの機能の実装許可を貰って来る!」

 

飛び出す間際に、大声でそう叫びながら。

 

「ああ言っといて、カドマツが一番ロボ太に

 過剰なまでに感情移入してるんじゃない…」

 

「まぁ自分が手掛けたロボだからな、

 ある意味自分の子供のような存在だから

 ああまで感情移入する気持ちは理解出来るぞ」

 

そんなカドマツの様子に呆れ気味の口調で

ミサが感想を零すと、晶葉が趣味と仕事という

違いこそあれどロボット制作者という共通項から

ロボ太への感情移入に対する理解を示す。

 

「何にせよ即座に機能削除なんていう事態にならなくて

 良かったよ、せっかくのAIの優秀さを示す事柄って

 だけじゃなくてガンプラバトルでも有用なんだし」

 

「そうですね、カドマツさんには余計な負担を

 掛ける事になってしまいましたが…」

 

「ま、これはカドマツさん自らが苦労する事も

 承知の上で自発的に背負ったものなので…

 良い結果になってくれればいいっスねぇ」

 

そこから続く形で、泉と泰葉がロボ太の

シミュレーター限定会話機能が即座に削除を

されずに済んだ事に対して安堵の言葉を吐き…

比奈は良い結果となる事を願うような言葉を続けた。

 

「…と、そう言えば出掛ける前にサフ吹いてたパーツが

 あったね。多分乾いてるとは思うけど一応確認して

 乾いてたならそのまま塗装しちゃおうか」

 

「そうですね、お願いします」

 

ロボ太に関する話題が落ち着いた所で、ミサは

出掛ける前に泰葉が塗装したいパーツの下地に

サーフェイサーを吹いてた事を思い出して

泰葉に声を掛けながら共に確認に移る。

ミサの目論見通りサーフェイサーが乾いてたのを

確認後、そのままスプレー塗料を吹き付けて

乾燥工程に移った所でその日は解散となった。

 

…その翌日、ミサ経由で泰葉達にカドマツの

ハイム社上層部との話し合いの結果ロボ太が

生成したシミュレーター限定会話機能の

実装が正式に許可されたという報告が届き…

それを見たアイドル達も共に喜ぶ結果となった。




比奈:いよいよガンブレ3における重大なキーキャラクターと
   言っても過言ではない存在、ロボ太くんの登場っスね

P:だな、正直な話DLC最終シナリオを初見でクリアした後に
 あのエンディングを見た時の感想はどうだったかは気になるな

比奈:そのロボ太くん関係の反応も、アイドルだけでも4人に
   増えた事で量が増したり…意味合いこそほぼ同様ながら
   文章表現を独自の物に変えて行ったりした影響か、
   今話も結構なボリュームになりましたねぇ…

P:とはいえロボ太関係に尺を大きく割いた為にバトル関連とかは
 少々おなざりになってしまったけどな…その分、次話からの
 リージョンカップ編で取り戻す勢いで書きたいと思ってる。
 小規模ながら泰葉機の改修とEXアクションの変更、それに
 「アザレア・エクステンド」のEXアクション構成の小変更も
 含めて次の話で書くので待って頂ければと思います


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リージョンカップ予選・黒壁を撃て/PG再び

カドマツのメカニックとしての彩渡商店街チームへの加入と

3人目のチームメンバーとしてのトイボット試作品「ロボ太」の

加入から約1か月後…泰葉達は、リージョンカップ関東第2大会の

会場となる神奈川県横浜市の某所に立っていた。

 

『リージョンカップ開催会場の皆さん、聞こえてますかー?

 私は今シーズンの大会MC担当の『ハル』と言いまーす!

 全国20か所の会場に同時中継でご挨拶しています!

 タウンカップから始まったガンプラバトルは、今日の

 リージョンカップを経てジャパンカップへ…そして、

 今シーズンからはさらに世界大会へと続いて行きます!

 参加チームの皆さん、是非とも頑張って下さいね!』

 

「うーん…あのMCさんの声、何処かで聞いたような…」

 

「泰葉もか? 実は私も聞き覚えがあるような声だと感じたぞ」

 

「え、もしかして以前に仕事で一緒になった事があったとか?」

 

「いや、ガンプラバトル関係の仕事は今回が初めてだし

 それとは違うと思うけど…確かに聞いた事あるような声だなぁ」

 

「…ああ、これちひろさんの声に似てるんスね」

 

「言われてみれば、完全一致ではないけれど発音のトーンや

 声色は確かにちひろさんのものに近いと言えますね」

 

「ちひろさんって、誰?」

 

「ああ、ウチの事務所のアイドル部門のアシスタントの1人で

 俺のサポートをしてもらってるんだ」

 

「プロデューサーだけでなく、私達アイドルにとっても

『頼れるお姉さん』といった感じの人なんですよ」

 

「へー…アイドルのみんなはステージ慣れしてるからか、

 リラックス出来てるね…私なんて会場着いてから緊張して来たよ」

 

「そんなに緊張する程か? 全国20か所で一斉開催されてる

 大会のうちの1会場に過ぎないってのに」

 

「私にとっては初めての経験だし、実質常に背水の陣状態なの!」

 

「あー、まぁ来年には商店街が消えてもおかしくないし負けられないってか」

 

「あの、そうならないようにする為に皆で頑張ってる訳なので…」

 

「おっと悪ぃ、協力者の立場で言う言葉じゃなかったな」

 

「…お前、本当に来てたんだな」

 

会場到着後間もなくオーロラビジョンから聞こえて来た

MCの声に対する聞き覚えをきっかけに会話に花を咲かせた

泰葉達の様子を見て、ミサは自分に生じている緊張を吐露する。

その後のカドマツとのやり取りのなか、悪意こそないが

彩渡商店街を貶めかねない発言に泰葉が釘を刺すとカドマツは

素直に謝罪し…その直後、初耳となる女性の声が聞こえて来た。

 

「やっぱお前も来てたか…一応会社のHPと

 SNSの公式アカウントに説明文は公開してたろ?」

 

「確かにそいつは読んだけどな、それにしても何でまた

 自分の会社を負かしたチームに合流なんてしてんだよ」

 

「ウチの会社のチームのファイターが抜けちまったから、

 今シーズンは活動不可状態になっちまったもんでな…

 それに貴重なデータの収集と新商品の試作品のテスターに

 なってもらった事への礼も兼ねてってのが理由だな」

 

「この子誰?」

 

「もしかして、カドマツさんの娘さんでしょうか?」

 

「生憎俺は独身だ」

 

カドマツがその小柄の女性と二言三言会話を交わしている様子を見て、

ミサと泰葉が女性の正体についてカドマツに尋ねる。

 

「…パッと見髪型以外は晶葉ちゃんそっくりっスけど、

 もしかして泉ちゃんと晶葉ちゃんが合流した時に言ってた…?」

 

「ああ、こいつは望月佳奈(もちづき・かな)って言う

 佐成メカニクス所属のエンジニアだ」

 

「佐成メカニクスって、ハイム社のライバル企業だって

 言われてるよね…こんな小さな子が?」

 

「こんなナリだが、歳は俺とタメだ」

 

「…って事は30過ぎ!? 嘘ぉっ!?」

 

「歳の事は言うなっての!」

 

「…何というか、『見た目が当てにならない』事って

 私達が思ってる以上にあるんだなぁ…」

 

「全くだ」

 

そんな中、比奈がプロジェクトチームに泉と晶葉が加入して

顔合わせした時の事を思い出しカドマツに尋ねる。

そうしてカドマツから明かされた女性の正体にミサが

驚きの反応を示し、それに合わせてさらに明かされた事実に

ミサはさらなる驚きを表しモチヅキは抗議の声を上げる。

そんな様子を前に、泉と晶葉は率直な感想を零していた。

 

「ところでカドマツ、このロボット…

 こいつが前から話してたやつの試作品か?」

 

「ああ、その通りだ」

 

「おおー、こいつがか…ちょっとバラして良いか?」

 

「良いわけねぇだろ!」

 

「ハハハ、冗談だ冗談」

 

「全く…こいつはチーム第3のファイターでもあるんだよ」

 

「ガンプラバトルも出来るってのか、とんでもないな…」

 

そこからモチヅキがロボ太に視線を向けた後にカドマツに尋ね、

そこからまるで漫才のようなテンポの良い会話を続け

最終的にはロボ太の性能に対する素直な驚きを口にする。

 

「ま、カドマツ以外の面々には悪いが当たった時には

 容赦なく行かせてもらうからな…予選でコケるなよ!」

 

「お前こそそこら辺ウロついてコケるなよ」

 

「子供じゃねーっつの!」

 

『只今からリージョンカップ予選を開始します、

 準備が出来たチームから出撃して下さい!』

 

「よーし…それじゃ行こうか、泰葉ちゃんにロボ太!」

 

「はい、行きましょう!」

 

その後にある種の宣戦布告とも取れる言葉を吐くと、

カドマツの返事にツッコミながらその場から離れて行った。

その直後にMCから発せられた予選開始の合図を聞いて、

ミサは泰葉とロボ太に声をかけそれに対する泰葉の返事を合図代わりに

全員でポッドが設置されている建物へと移動していった。

 

~~~~~

 

「バトルルールに『モノリスデモリッション』と

 示されてましたが、どういうルールでしょうか…?」

 

「あー、まずは普段通り目に付いた敵機を片っ端から

 倒してってくれ…状況が変化したら説明するから」

 

「わかりました」

 

「了解!」

 

「心得た!」

 

バトルフィールドに降り立った泰葉が、初めて聞く

バトルルールに対する率直な疑問をカドマツに投げかけるが

カドマツからは普段通りの敵機殲滅を返される。

その言葉通りにCPU機を撃破し続けていると、

突如フィールドの片隅に大きな黒い物体が現れた。

 

「!? 急にフィールドに黒い石碑っぽいのが

 現れましたが…もしかして、あれがモノリスっスか!?」

 

「ああ、その通りだ」

 

「でも、パッと見バリアっぽいのが覆ってるね」

 

「何にせよ私は近寄らなければ話にならんな」

 

比奈が現れた物体に驚きながらもその正体を予測し

カドマツに質問すると、それが正解だとカドマツは返す。

フィールド上の3人はそれがバリアのようなもので

覆われているのを確認するが、接近しなければ攻撃が

ほぼ不可能なロボ太は真っ先にモノリスへと進んで行く。すると…

 

「リーダー機出現だと!?」

 

「現れたリーダー機を倒せば、バリアが解除されるという事ですか?」

 

「そういうこった」

 

「よーし、それじゃサクサク倒して行っちゃおう!」

 

「承知した!」

 

リーダー機の登場にロボ太は驚くが、泰葉はそれを見て

モノリスのバリア解除と関わりがあると予測しカドマツに

確認を兼ねた質問を投げかける。それへの返答を聞いて

ミサとロボ太もリーダー機への攻撃を開始すると、

泰葉とミサの強化も相まって手早く全機を落とし

そのままの勢いでモノリスもあっさりと破壊した。

 

「モノリス自体の耐久力は、そこまで高くはないようですね」

 

「私も泰葉ちゃんもしっかり機体や武器を強化してるし、

『ファンネル』とかを展開してるのもあるかもしれないね」

 

「うむ、主殿もミサも手数や威力といった攻撃面では

 私を遥かに上回っているからな…2人とも、感謝する」

 

~~~~~

 

「またモノリスが出て来ましたね」

 

「よーし、それじゃまずは近付いて…うわっ!?」

 

「引き込まれた…だけではない、閉じ込められたぞ!」

 

「あー、モノリス接近時の敵機湧きパターンは2つあるんだ。

 さっきのようにリーダー機が出て来るやつと、今回のように

 モノリスの近くに引っ張られてCPU機を全機撃破するまで

 閉じ込められるやつがな。今回の場合は出て来るCPU機は

 通常機のみだから、倒すのにはそれほど苦労しないはずだぞ」

 

「なるほど…そんじゃ、手早く倒しちゃいますか!」

 

「ええ、行きましょう!」

 

「いざ参らん!」

 

雪原フィールドを進み、再び現れたモノリスを目にして

接近する3人。だがある程度モノリスに近付くと急激に

引き込まれるようにモノリスの傍に移動させられた後に

モノリスを中心としたドーム状の脱出出来ないバリアが形成される。

それを見たカドマツがモノリス登場後の敵機湧きパターンについて話すと、

返事をしながら手早く敵機を全機撃破して脱出しモノリスも破壊していった。

 

~~~~~

 

「このステージはモノリスが出て来ませんね」

 

「ああ、ここは『バトルロイヤル』ルールに設定されてるようだ」

 

「そうなるとシンプルに敵機を片っ端から落として稼ぐ事になるね」

 

「なるほど、心得た」

 

雪原から夜の砂漠にフィールドが切り替わり、

泰葉がモノリスが出て来ない事への疑問を零すと

晶葉がフィールドに設定されているバトルルールを確認して

泰葉達に伝える。そこから間もなくして…

 

「…他チームとのエンカウントを確認!」

 

「来ましたね…!」

 

「かかって来るならば、迎え撃つのみ!」

 

「もっちろん!」

 

他チームとのエンカウント反応を確認した泉が

3人に伝えると、戦闘に向けて気合を入れ直す。

 

「『百式フルバーニアン』といった取り合わせの機体と、

 背中に片方はバズーカ2丁…もう片方はビームキャノン2門といった

 高火力砲を積んだジムⅢ頭機2種の取り合わせっスね」

 

「そうなるとジムⅢ頭機から先に落とした方が良さそうですね」

 

「だね、それじゃ行こうか!」

 

「承知した!」

 

そうして現れた相手チームのガンプラを比奈が確認の後に

パーツ構成から戦闘スタイルを予測し、それを聞いた泰葉は

チーム戦の定番となりつつある「高火力機優先撃破」の方針を立て

ミサとロボ太もその方針に賛同しチーム戦が始まった。

 

「身体の大きさでは負けるが、斬り合いなら負けん!」

 

「ロボ太ナイス! 私も抑えに行くから泰葉ちゃんは

 覚醒切れる前にバーストアクション叩き込んじゃって!」

 

「わかりました!」

 

一機集中攻撃とその最中にゲージが貯まった泰葉が「覚醒」を

発動して火力を上げる事で確実に頭数を減らし、最後に残った

百式改修機とロボ太が切り結んでいるのを確認すると

ミサも前進して食らい付く。その様子を見て、泰葉は改めて

百式改修機に照準を定めバーストアクションを発動する。

 

「…行きます! 全ビーム火器、一斉発射!」

 

「何度となく見たものだが、やはり凄まじい輝きだな」

 

「だねー、見てて爽快だし」

 

バーストアクション「フルバースト」の発動による

胴体及び腕部バインダー内蔵分とビルダーズパーツで

胸部に増設した「メガ粒子砲」と腕部の「ビーム・ガン」、

展開された「ファンネル」に加えてタウンカップ時の機体から

変更したメイン射撃武器の「バスターライフル」の

一斉射撃を目の当たりにしたロボ太が感嘆の声を上げ、

続けてミサが嬉しそうに言うと光に呑まれた

百式改修機はそのまま撃墜される結果となった。

 

~~~~~

 

「次フィールド入口が近いから、そろそろまた他チームとの

 エンカウントが来そうだな…と思ったら本当に来たぞ!」

 

「了解! 迎撃するよ!」

 

「無論だ、ミサ!」

 

「はい、行きましょう!」

 

砂漠フィールドが続く中、フィールドの切り替わり地点が

近付いた事で晶葉が他チームとの接触を予測した直後に

実際に接触反応が確認され驚きの声が上がるが…

泰葉達はそれを聞いて即座に迎撃態勢に移る。

 

「…エクシアとキュリオスは手足を入れ替えて、エクシア頭の方は

 メイン格闘武器とバックパックにそれぞれソードストライクの

『シュベルトゲベール』を装備した近接型で…キュリオス頭は

 両肩に『シールドビット』とバックパックにランチャーストライクの

『アグニ』を備えた砲撃型、ジンクスⅢ改修機は両肩に

 ジャスティス系やデスティニーの『ビームブーメラン』と

 背中にパワードジムカーディガンの『大型ガトリング』が

 備えられた近~中距離メインの構成といった感じっスね」

 

「よし、それじゃあまずはキュリオス改修機から落とそうか!」

 

「わかりました!」

 

「心得た!」

 

現れた相手チームの機体構成を、大まかな戦闘傾向の予測と共に

話す比奈の声を聞いた3人はミサの発言を皮切りに攻撃に移る。

 

「まずはこれで足止めさせてもらうよ!」

 

ミサがそう言いながら相手チーム3機を巻き込む形で

EXアクション「フリージングバレット」を発動して

弾幕を浴びせ、ダメージと同時に相手をスタンさせる。

 

「ありがとうございますミサさん、このまま予定通りに

 キュリオス改修機に集中攻撃を仕掛けましょう!」

 

「了解した、主殿!」

 

そこから泰葉の「ファンネル」と照射ビームやEXアクションとの同時射撃に

ミサの「ファンネル」「シールドビット」「バレットオービット」

「スーパードラグーン」一斉稼働によるオールレンジ攻撃を交えた弾幕、

それらで足が止まった標的にロボ太が取り付いての格闘攻撃で

畳みかけてキュリオス改修機を落とし、そのままの勢いで

エクシア改修機も射撃の足止めと格闘の連携で落とす。

 

「負けるかぁーっ!」

 

「狂化は発動しましたけど、残したのは一撃の重さでは

 他2機に一歩譲るやつなので十分押し切れると思うっス」

 

「だね、でも最後まで油断はせずに行くよ!」

 

「無論だ!」

 

「ええ!」

 

残ったジンクスⅢ改修機が狂化を発動したが、

ミサとロボ太の攻撃によって相手の動きを封じてから

泰葉がバーストアクションを叩き込むといった

確立されたコンビネーションの前に沈んで行った。

 

~~~~~

 

「ステージが狭いし、ここが最終エリアかな?」

 

「確かに、短い経験でもそういった傾向は感じましたし」

 

「…来るぞ!」

 

「待て、この反応は…気を付けろ、デカいのが来る!」

 

泰葉とミサの会話の直後に表示された他チームエンカウント警告を見ての

ロボ太の反応に合わせて、カドマツがシミュレーターと接続している

ノートPCの画面を見ると通常のチームエンカウント時とは

異なる反応を確認し泰葉達に警告を伝える。

 

その直後に現れた相手チーム機は…ストライクガンダムの頭・

ユニコーンガンダムの胴・ストライクフリーダムの腕・

Zガンダムの脚・エールストライクのバックパックという構成で

武器は右手にZガンダムの「ビーム・ライフル」の格闘武器モードである

「ロング・ビーム・サーベル」を、左手にウイングガンダムプロトゼロの

「ツインバスターライフル」を持ったPG機であった。

 

「うおお、予選からPG機とエンカウントとはやっぱタウンカップとは違うね」

 

「格闘武器が長物ですし、攻撃範囲が広そうですね」

 

「なんという大きさだ…だが、怯んではいられん!」

 

タウンカップ決勝以来のPG機のエンカウントに、

多少ながら驚くミサと冷静に武装を観察する泰葉…

そして初対面となったロボ太がその大きさに圧倒されるも、

臆せず突進していくのを合図代わりにバトルが開始された。

 

「サーベルを自機を1回転させて振るったり、飛び上がって叩き付けたり…

 突進攻撃も袈裟斬りのモーションと、同じPG機でも全くの別物ですね」

 

「新入りの機体とは格闘武器のカテゴリーが違ってるのもあるだろうな」

 

「だね、今回のはたしか大剣扱いだったはずだよ」

 

「何にせよ、大振りではあるが攻撃範囲や当たり判定が広い…

 高く飛ぶ事が出来ない身の私には避け辛いな」

 

相手PG機の格闘攻撃モーションを見て、タウンカップ決勝戦での

カマセ機との違いを口に出す泰葉にカドマツとミサがその理由を

簡単に説明する。それに続く形でロボ太がSD機体の動きにかかる

制限とそれ故のPG機からの格闘攻撃の避けにくさを零すと、

相手PG機は連結状態だった「ツインバスターライフル」を

2丁に分離し持たせた状態の両腕を水平に広げる姿勢になっていた。

 

「ライフルを分割して両手に…不味いっス!」

 

「させるかぁーっ!」

 

「はぁっ!」

 

「上手く弱点に当ててダウンさせられれば…!」

 

その動きからPG機の次の行動を察して発された、

比奈の焦りの声を聞いて3人は何とか相手の攻撃を

止めようと弾幕や斬撃波、照射ビームを一斉に

PG機へ当てていく。それが上手く行ったのか、

両手にライプルを持たせ水平に上げた姿勢を取って

その場で回転しようとしたPG機が鈍い金属音を

響かせるとその場に膝を着いて動かなくなる。

 

「やった、止められた!」

 

「一気に畳みかけるぞ!」

 

「はい!」

 

そうして足を止めたPG機に3人一斉に攻撃を仕掛け、

一定のダメージを与えた所で再び鈍い金属音が

響くとともにPG機の左腕が外れて消失する。

 

「今回は左腕かー、そうなると攻撃はまだ続きそうだね」

 

「とはいえ大きな損害を与えたのも事実、再度積み重ねと行こう」

 

「そうですね」

 

その様子を見て再び攻撃に移る3人、そうしてダメージを

積み重ねその最中にゲージが貯まった泰葉が「覚醒」を発動し

火力を増強しての攻撃を継続している最中PG機が右腕のみながら

再度先程と同様のポーズを取り…それを止めようと継続して攻撃を

浴びせると再び鈍い金属音と共に膝を着いたダウン姿勢となる。

 

「よし、相手の耐久力もこちらの覚醒残り時間もあと僅か…

 バーストアクションでトドメを指します!」

 

「オッケー! こっちも残弾ありったけの援護射撃行くよ!」

 

「こちらも多少なりとも援護を行う、行ってくれ主殿!」

 

泰葉の言葉を聞き、ミサとロボ太もそれぞれ射撃と格闘で

PG機に攻撃を仕掛ける。その直後に放たれたバーストアクション

「フルバースト」による一斉射撃も加わった事で、ついにPG機は倒れ込んだ。

 

~~~~~

 

「お疲れ様でした」

 

「やはり大会となると普段のプレイとは違ってくるな、

 ああまで大きなガンプラと戦うとは驚かされたぞ」

 

「晶葉ちゃんや泉ちゃんにとっては対PG戦は初見だしねー」

 

「ロボ太くんにとっても初経験でしたが、通常サイズの機体相手を

 遥かに上回るスケール差にも関わらず怯まなかったのは尊敬するっス」

 

「そう言ってもらえると開発者として俺も鼻が高いよ…

 と、上手い事予選通過ノルマ達成出来たみたいだぞ」

 

「本当!? やったね!」

 

ポッドから出て来た泰葉達に泉がねぎらいの言葉をかけたのに

続く形で、晶葉が初見となったPG機相手の戦いを見ての

率直な感想を述べミサがそれに返事をする。その後に比奈が

PG相手でも怯む事無く果敢に戦ったロボ太に尊敬の念を示すと、

ちょうど戻って来たカドマツが喜びの言葉と共に予選突破を報告した。

 

「おー、お前らも予選突破したのか! カドマツみたいな奴が

 エンジニアでも勝ち抜けるとは、相当な腕前って事だな!」

 

「早めにスコアを稼げたおかげで時間に余裕が出来た、

 今のうちに飯済ませてゆっくり休んどけ」

 

「無視すんじゃねーよぉ!」

 

「あ…」

 

「あのーすいません、この辺で小さい女の子を

 見てないっすか? ずっと探してるんすが…」

 

そんな泰葉達の元にモチヅキが寄って来て声をかけるも、

カドマツが無視した形で泰葉達に言葉を続けた為に

抗議の声を上げる。それに気付いた泰葉が返事をしようと

した所に、黒髪短髪でミリタリーグリーンのTシャツという

出で立ちの女性が割って入る形で声をかけてきた。

 

「もしかして迷子ですか? こちらも探すのを手伝いますので

 その子の服装とか年齢を教えてもらえませんか?」

 

「白衣姿でメガネをかけた30過ぎなんすけど」

 

「…あっ」

 

その女性の言葉に泉が反応し、尋ね人の特徴を訪ねて

返ってきた言葉を聞いた比奈が事態を察し答えようとするが…

 

「受付に頼んで迷子の呼び出しアナウンスしてもらったらどうだ?」

 

「あー、それが確実っすね。そんじゃ…」

 

「やめろぉ!」

 

割って入る形でカドマツが提案を出し女性がその提案に

乗ろうとした所で、慌てた様子のモチヅキが声を上げる。

 

「あ、ここだったんすかモチヅキ姐さん? ずっと探してましたよ」

 

「ずっと目の前に居たっての!」

 

「ここもそこそこ人が居るもんですから、視界に入らなかったんすよ…」

 

「モチヅキさんの顔見知りという事は、もしかして…?」

 

その声で尋ね人が居た事をようやく知った女性とモチヅキの

会話を聞き、女性の正体を予測した泰葉がモチヅキに声をかける。

 

「ああ、おそらくそっちの予想通りこいつはウチの会社の

 ガンプラバトルチームのファイターの1人だ。

 …せっかくだ、決勝で戦うかもしれんし挨拶しとけ」

 

「え? あー…小清水宇留地(こしみず・うるち)っす、どうも」

 

「お前一応社会人だろ! もーちょいキチンと挨拶しろよ!」

 

「まぁまぁ…」

 

モチヅキとウルチの会話を聞いて泰葉がなだめようとするのを

意に介さず、モチヅキはカドマツに視線を向けて言葉を続ける。

 

「今回こそいつもバカにされてた鬱憤を晴らしてやるからな!

 決勝に出られなかったりウチに負けた時には土下座してもらうぞ!」

 

「面白ぇ、そんじゃこっちが勝つかそっちが決勝に

 出られなかった時にはどうするつもりだ?」

 

「う…その時は今までそっちがバカにした分の恨みを帳消しにしてやる!」

 

「そいつはいらん、大会の終わりまでにこっちで

 考えとくからそれを実行してもらうってので良いか?」

 

「良いだろう! 決勝を楽しみにしてるぞ!」

 

そこまで言って満足した様子でモチヅキが去った後に、

ウルチがカドマツに向けて一言を零す。

 

「モチヅキ姐さんって、仕事に関する腕と知識は文句なし

 なんすけど…子供っぽいというか、アホな所があるっすよね」

 

「だよなぁ」

 

「あはは…」

 

2人の容赦のないモチヅキ評の前に、泰葉達は苦笑いしか出来なかった。




P:どうも、今回久々に予定日過ぎになってしまって申し訳ありません

比奈:GWは客商売にとっちゃ大忙しなのはこちらも理解してまスし、
   とりあえず上げれただけ良しとしましょうか

P:すまんな…

比奈:さて、まずは予告通り泰葉ちゃんとミサちゃんの機体の
   アセンブルとEXアクションの小変更に関する話からっスね

P:ああ、まずは泰葉機の改修部分とEXアクションからだ

ガンダムメイクプレゴレス/EX(Ver.2)


【挿絵表示】


・初期型からのパーツ変更点
射撃武器~GNバズーカ(ヴァーチェ)→バスターライフル(TV版)
格闘武器~GNロングブレイド/GNショートブレイド→
     GNビームサーベル(エクシア)
盾~シールド(ウイング)→GNシールド(エクシア)

・EXアクション設定
フィールドリペア/ブレイカーシュート/
スラッシュレイヴ/トリプルメガソニック砲

比奈:前に話してた「フルバースト」対応の射撃武器に
   持ち替えたのを中心にした武装部分の変更という訳っスね

P:ああ、その上で「武器やオプションに合った見た目のEX」で
 パーツ外し効果のあるロングライフルEXを採用したってとこだ…
 続いてミサ機「アザレア・エクステンド」のEX設定に移るぞ

・「アザレア・エクステンド」想定EXアクション
フィールドリペア/バレットオービット/
フリージングバレット/スーパードラグーン

比奈:「射撃型自動攻撃系EX」のうち初期EXアクションの
   「バレットフォース」を全体攻撃型のマシンガンEXアクションに
   変更したんスね…やっぱり全体攻撃手段が欠けてるからっスか?

P:だな、それに加えてロボ太の加入でミサがこれまで受け持っていた
 前衛の役割を半分ロボ太に移してこれも以前に作中で話したが
 ロボ太と泰葉の中間の立ち位置での射撃を中心に状況に応じて
 前衛にも行くといったイメージで考えてるのもあって…だな

比奈:機体関係はこの辺りで…今回のステージはゲーム中のチャプター2から
   2つ採用して1つにまとめた形のようでスが…相手チームの
   ガンプラのアセンブルに関する描写、PG機登場ステージの
   機体だけになってるのには何か理由があるんスか?

P:それなんだが…ガンブレ3の相手チーム機の構成って、難易度と
 ステージ設定によって機体数が増減するのとビルダーズパーツや塗装とかで
 使用されたパーツの判別が難しいってのもあってな…個人調べだが
 難易度を問わずチーム構成が固定されてると推測される
「PG機登場ステージ」「コアアサルトルールステージ」が動画などで
 じっくりと見られて確認もし易い為に、相手チーム機の描写に関しては
 基本的にそれらのステージの時に細かく描写していく事にしたんだ

比奈:なるほど…あと最後に1つ、今回描かれたリージョンカップの
   会場を横浜に設定したのにはどんな理由からっスか?

P:今回書かれたがリージョンカップの開催場所が全国20か所と
 いう設定でな、そうなると各地方でだいたい2会場になると踏んで
 関東地方で東京以外に適した場所となると…というのと、
 現実世界でちょうど今「動く等身大ガンダム」が置かれてる
 場所だっていうのもあってこの作品では横浜に設定したんだ。
 あと、作中で書かれるかは未定だが第1会場はガンダムベースの設定だ

比奈:そういう事っスか

P:…さて、こちらはGW終了後にその補完といった形で休みが
 多く入ったので次回は遅刻なしに上げようと思います…
 こんな体たらくですが待って頂けると幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リージョンカップ準決勝・守るべきもの、砕くべきもの/ミスターガンプラ

「今回は『コアアサルト』…またもや初耳なルールですが、

 今度はそれらしいものがステージにあるおかげで

 どのようなルールかは推測できますね」

 

「だねー」

 

リージョンカップも準決勝に進み、またもや泰葉達にとって

初めてとなるルール「コアアサルト」での戦いとなったが

フィールドに配置されている巨大な球状の物体の存在によって

ルールが推測出来た為過度に緊張せず落ち着いていた。

 

「『DEFEND TARGET』とありますが、この球状の物体を

 破壊されないようにするのが目的という事でしょうか?」

 

「まぁそうなんだが、基本的には相手チーム機への

 攻撃に専念してれば問題はない。但し、他のルールよりも

 誰か1人で良いから生き残り続ける事が重要になって来るがな」

 

「それはどういう…」

 

「話の途中で済まないが、相手チームが来たようだ」

 

「だね、こっちでも確認出来てる」

 

「ま、やりながらになるが話してくから何とか聞いてくれ」

 

モニター上部に表示されたゲージに添えられた一文を見て、

そこからこのルールで必要な行動を予測しカドマツに尋ねる泰葉。

それへの返答にさらに言葉を続けようとした所で、モニターに

表示された相手チーム襲来のサインを確認したロボ太が声を上げる。

泉からもそれを確認した旨が告げられ、それに続く形で

カドマツが発言するとほぼ同時に相手チームの機体が現れた。

 

「黒い三連星専用ザクやドムのカラーリングのゲルググ改修機…

『黒い三連星専用ゲルググ』というテーマで揃えたようっスね」

 

「オーソドックスなゲルググタイプだけじゃなくてバックパックが

 キャノン仕様で格闘武器が『ヒート・サーベル』のやつと、Ez-8の

 パラシュートを背負った『大型ヒート・ホーク』持ちといった感じに

 それぞれの特色が出てるね…あと腕がゲルググJだったり、

 脚に『ミサイルポッド』や『シュツルムファウスト』を

 増設してたりとか細かい所までしっかり手が入れられてるね」

 

「詳しい所まではわかりませんが、強い拘りが込められたものだと

 いう事は理解出来ました…とはいえ、勝負である以上容赦はしません」

 

「うむ、迎え撃つぞ!」

 

現れた相手チームの機体を観察しての比奈の感想に続き、

ミサがパーツを詳しく確認しての各機の特色を述べる。

それを聞いた泰葉は詳細までは理解出来ずとも込められた

拘りは感じ取ったが戦う以上は手を抜かないと発言すると

ロボ太もそれに応えるように迎撃態勢を取った。

そうして始まったバトルでは、相手チームはコアへの攻撃を

メインにしつつ取り付かれた時には迎撃するというスタイルで

戦っており…ダメージ量は低いもののコア耐久力は削られていった。

 

「少しづつながらコアゲージが削られてますが…本当に良いんでしょうか」

 

「ああ、チーム全機の耐久力が0になってバリアが解除されない限りは

 コアが攻撃されても受けるダメージは微々たるもんだ…しっかりと

 攻撃力が強化された機体ならコアゲージが0になるより相手の機体が

 先に落ちるだろうから、気にせず相手を攻撃し続けてくれ」

 

「わかりました、ですがメイン射撃武器もオプションもリチャージ中なので…

 ここは1度、設置されている砲台を使ってみようかと思います」

 

コアゲージが削られている事がどうしても気になってしまい

カドマツに尋ねる泰葉だが、カドマツから返されたコアアサルトの

仕様の説明を聞いて相手チームへの攻撃を継続する。しかしながら

メイン・オプション共に射撃武器がリチャージ中となっていた泰葉は

フィールドに設置されている「スキウレ」を試してみようと近付き乗り込む。

 

「ロックは出来ませんし一方的に殴られていますが…そこっ!」

 

乗り込んではみたもののロックオンが出来ず、相手チームが

好機とばかりに寄って来てメッタ撃ちにされるも

何とか寄って来た相手チームの1機に照射ビームを浴びせる。

その威力自体は高く狙った機体の耐久力を大きく削り

パーツアウトも誘発したものの射撃後のリロード中に

さらに攻撃された事で「スキウレ」が破壊される結果となった。

 

「威力はありますが使いにくいですね…とはいえこの間に射撃武器や

 オプションのリチャージは済みました、攻撃を再開しましょう」

 

そう零しながら泰葉は「ファンネル」を再度展開してからの

射撃攻撃やEXアクションとの同時攻撃を仕掛け、ミサやロボ太とも

息を合わせて攻撃を続けた結果無事に相手チームを撃破する。

 

「よし、次はフィールドを移動してこっちが攻撃側になる…

 相手を全機落とした上でコアを攻撃してくれ」

 

「わかりました」

 

「了解!」

 

「心得た!」

 

~~~~~

 

フィールドが切り替わり、コアを背にした先程の状態とは真逆となる

コアと向き合う形で現れる泰葉達。それから少し遅れて、相手チームも

フィールドに降り立ち彩渡商店街チームが攻撃側の第2ラウンドが開始された。

 

「まずは相手チームを全機落とす…ですね?」

 

「ああ、その後にコアを攻撃してくれ」

 

「よーし、行くよ2人とも!」

 

「うむ、いざ参る!」

 

泰葉が確認の意味を込めてカドマツに尋ねると、

カドマツのその質問への肯定の意の返事に続いて

ミサとロボ太の気合に満ちた声が響き…それを合図代わりに

攻撃が開始される。そこからチームの定番戦術となった

「高火力機最優先撃破」に従いキャノンバックパック機を

最初に、続けてベーシックなゲルググと続けて落とし

最後に残ったパラシュートパック装備機が狂化を発動するも

頭数に加えて攻撃の手数も圧倒的と言える差を持った

泰葉達の集中攻撃の前にあえなく沈み、コアのバリアが解除される。

 

「なるほど、こうしてバリアが解除されるんですね」

 

「そういうこった」

 

その様子を観察した泉の感想にカドマツが返事をする傍らで、

泰葉達は無防備となったコア目掛けて一斉に攻撃を仕掛ける。

 

「確かにコア耐久力の減る速度が段違いですね」

 

「手数の多さと威力の高さもあるからねー」

 

「土台部分への格闘攻撃でもダメージが入っているのは

 高く飛べず遠距離攻撃に乏しい私にとって有難いな」

 

コア耐久力の減少速度の著しさや土台部分への攻撃でも

ダメージが入る事等を話しながら攻撃を続けていると、

残り耐久力が半分となった所でバリアが再び展開される。

 

「ありゃ、1度全滅させれば終わりじゃないの?」

 

「ああ、基本的にはコアへの一定ダメージ毎にバリアの再展開から

 防衛側チームの復帰が挟まれる。このルールによる復帰は

 狂化使用可能に設定してるアセンブルシステムでも行われるぞ」

 

「なるほど、そういう事なら再度落としに行かねばな」

 

「そうですね…あれ?」

 

バリア再展開を見てのミサの発言に対し、カドマツがルールの

さらなる説明を行うとそれを聞いたロボ太と泰葉は復帰した

相手チームに目線を向ける…だがその視線の先に見えた

相手チームの機体数は「4機」と、明らかに増えていた。

 

「ちょ!? 相手チーム増えてないっスか!?」

 

「え、どういうこと!? 何が起こってるの?」

 

「あー落ち着け、あれもコアアサルトルールの時に

 防衛側が全機落とされた後の復帰時に設定されてる増援だ。

 防衛側から1機が選ばれて、CPUがその選ばれた機体の

 コピーデータを使って防衛側に加わるんだよ」

 

「…ああ、確かに4機目は肩に『06』のマーキングをした

 パラシュートを背負った機体そっくりそのままだな」

 

突如相手チーム機が増えた事に比奈は驚愕し、

ミサも慌てた様子で声を上げる。カドマツは

そんな2人を落ち着かせるように声をかけると、

その「増援」が現れた理由と機体選出や操作方法に

ついて説明し…画面を観察していた晶葉が、

「4機目」の正体を確認し泰葉達に伝える。

 

「他のルールじゃそんなの聞いた事ないけど…」

 

「ま、一方的に蹂躙されるんじゃ実際にやられる側も

 運営もたまったもんじゃないと思って投入されたんだろうな」

 

「だが、通常CPU機と同等の強さと言うのであれば

 経験を積んだ我々の敵ではない…迎え撃つぞ!」

 

「だね!」

 

「はい!」

 

カドマツからの説明を聞いた上でさらに疑問を投げかけた

ミサに対し、自分が考えた予測を回答として告げる。

そこから続く形でロボ太が通常敵機の操作を行っている

CPUが制御しているのならば怖い相手ではないと判断し

迎撃の意気込みを口にし、泰葉達もそれに応えて

迎撃態勢に移る。その言葉通りCPU機が1機増えた程度では

泰葉達の勢いは止まらず、ゲージが貯まっていた事で「覚醒」も

惜しまず投じた結果危なげなくCPU増援もろとも相手チームを

再度全機撃破し再びバリアが解除されたコアに攻撃していく。

 

「まだ覚醒が続いていますし、せっかくなのでコア目掛けて

 バーストアクションを撃ち込んでみますね」

 

「オッケー、一気にコア破壊と言っちゃおうか!」

 

「主殿、頼んだぞ!」

 

「覚醒」の残り時間を余裕を持って残した状態で相手チームを

全機撃破した事もあり、泰葉はコア目掛けて「フルバースト」を

発動させ一気にコア耐久力を大きく削り取る。それに加えての

ミサとロボ太の攻撃の積み重ねもあってコアは完全に破壊され、

彩渡商店街チームは決勝進出を決める結果となった。

 

~~~~~

 

『本日、全国20会場で同時開催中のリージョンカップですが…

 横浜の関東第2大会を除く全大会で優勝チームが決まりました!

 優勝チームの皆さんおめでとうございます! 惜しくも敗れた

 チームの皆さんは来年の雪辱を目指して頑張りましょう!

 …さて、予定より早いペースで進行した為に各地の会場の

 利用時間がまだ余っているという状況。それに、参加チームの

 皆さんや観客の皆さんもこの後の予定にはまだ時間があって

 どうしようかと困っている方も多いと思われます! そこで、

 突発的ではありますがこれから行われる関東第2大会の決勝戦の

 様子を他大会会場全てにライブ中継する事になりました!』

 

「うおお、私達の決勝での戦いが全国に流されるとは…」

 

「確かに予想外ですが、どれだけの人に見られたとしても

 私達のやる事は変わりません…普段通りに行きましょう」

 

「…だね、緊張しないと言ったら嘘になるけど…それ以上に

 勝ちたいって思ってるから、全力でぶつかってくよ!」

 

泰葉達の準決勝終了後、オーロラビジョンに写るMCから告げられる

これから行われる決勝戦が全国のリージョンカップ会場に

ライブ中継されるという予想外の事態にミサは思わず動揺するも

泰葉が声をかけてくれた事で自分の中に生じている緊張以上の

「勝ちたい」気持ちを再認識し…それを現実とする為に気合を入れ直す。

 

『関東第2大会決勝戦ライブ中継は、私による実況に加えて

『世界初のプロガンプラファイター』ミスターガンプラによる

 解説が行われます! それではミスター、よろしくお願いします!』

 

『ハッハッハ! よろしくぅ!』

 

それから続くMCの発言後、そこで紹介された解説役である…

アフロヘアーにサングラス、赤いアロハシャツといった

インパクトの強い外見の男性が笑い声と共に現れた。

 

「おおー! ミスターガンプラまで来るとはこれは嬉しいサプライズだよ!

 …あー、そりゃあロボ太は知らないよねぇ」

 

その男性の登場に、先程までの緊張から一転して

テンション高く喜びの込められた驚きの声を上げるミサ。

そんな様子のミサを見て首をかしげるような動きを見せた

ロボ太に対し、ミサは仕方ないといった様子で言葉を返す。

 

「あー…すみません、私も初めて知った身でして…」

 

「ガンプラバトルに関する情報を仕入れてく過程で、

 名前だけは何度か目にしてはいたっスけど…」

 

「私や泉は泰葉達よりもさらにガンプラバトルに

 関わるのが遅かったからな…すまんが、全く知らん」

 

「私も皆に同じく…ですね」

 

「あー…そうだ、泰葉ちゃん達はガンプラバトルを知って

 まだ長くてもせいぜい2か月ぐらいだったもんね…

 そりゃあ知らないのも無理はないよね」

 

ミサの言葉に反応する形で、泰葉達もミスターの事を

ほとんど知らないと言うと…ミサは泰葉達がガンプラバトルを

始めてまだあまり時間が経ってない事を再認識して発言する。

 

「MCさんの紹介通り、世界初のプロのガンプラファイターだった人なんだ。

 世界各国の大会に参加してその全部で優勝しちゃうレベルの腕前で、

 8年前に現役を引退して今は解説やイベントの司会をやってるんだよ」

 

「ほほぅ、eスポーツの日本人プロプレイヤーの先駆者的な感じっスかね」

 

「そんな所だね、eスポーツという言葉自体はその前からあったけど

 ミスターの強さとガンダムのネームバリューが重なった事で

 実質的な先駆者と言っても過言じゃない立場になったって感じだね」

 

それを受けて、ミサがMCの紹介に付け加える形でミスターがどのような

人物かを語ると比奈がガンプラバトルに類似している部分のある

別の事柄に例えての認識を口にし…ミサも概ね同意していた。

 

『ミスター、今シーズンのリージョンカップを

 ご覧になってどんな印象を受けましたか?』

 

『そうだねぇ…どのファイターのガンプラも素晴らしくて、

 機体性能は私の現役時代とは比べ物にならない高さだ。けど…』

 

『けど?』

 

『ファイター達そのものは、大きくは変わってはいない印象だね』

 

『ガンプラの機体性能は大きく上がったが、ファイター自身の

 腕前はそれほど上がっていない…という事でしょうか?』

 

『ん、ああいや…ファイター達は良い意味で昔と変わらずに

 ガンプラバトルを楽しんでいるな、と言いたかったのだよ』

 

『なるほど、時代は進んでもガンプラバトルを楽しむ気持ちに

 変わりはない…と言いたかったのですね!』

 

『うむ、素晴らしいコメント感謝するよ…今度食事でもどうかな?』

 

『それでは、間もなく行われる関東第2大会決勝戦を皆さんお楽しみに!』

 

「………」

 

「泰葉ちゃん、どうしたの?」

 

「あ、いえ…大した事ではありませんので」

 

「ミスターさんの最後の言葉が若干セクハラとも

 受け取れる事が不快だった、ってとこっスかね?」

 

「…まぁ、そんな所です」

 

オーロラビジョンを眺めていた泰葉が困ったような

表情で思案している様子を見て、ミサが声を掛ける。

その言葉に対して若干取り繕うような返答を行うと

比奈が推測した理由を聞かされ、それに同意するような

返答こそしたものの実際には別の理由も混じっていた。

 

(最後の一言が若干セクハラ気味と感じたのは事実ですが、

 それ以上にあの発言には余りにも取って付けた感がありましたし…

 その前の「ガンプラの進化とファイターの変化」の話題の時の

 発言でも反感を買いかねない言い方をしてたのが気になりますね)

 

「おう、そろそろ決勝始まるぞ」

 

ミスターの発言を聞いて生じた疑問について泰葉が思案していると、

カドマツがチーム全員に決勝戦が間もなく始まる事を告げる。

 

「あ…はい、ありがとうございます」

 

「…相手チームは、やっぱりあそこかカドマツさん?」

 

「ああ、あいつはエンジニアとしてもビルダーとしても

 腕は確かだからあのチームは相当な強さを持ち合わせてる。

 …とはいえ、出して来るガンプラの傾向が読み易いのが救いだな」

 

「そうなんですか…」

 

「それじゃあ、どんなガンプラが出て来るか分かるの?」

 

「ああ、断言は出来ないがおそらくは…」

 

カドマツの言葉に泰葉が返事をした後に、

晶葉が相手チームについて尋ねる。それを受けて

カドマツはその「相手チーム」の強さと同時に

こちら側の付け入る隙となりうる箇所について話し

泰葉とミサの反応に対して自分の予測を返す。

 

「…それが現実のものになれば、私とミサさんの

 機体にとっては相性の良い相手とも言えますね」

 

「そうなったらロボ太にはちょっと辛い相手になるけど…

 その分私達が頑張って勝ってみせようね、泰葉ちゃん」

 

「はい、もちろんです」

 

『間もなくリージョンカップ関東第2大会決勝戦を開始します、

 決勝進出チームのファイターはポッドに入り準備を行って下さい』

 

「いよいよっスね…」

 

「言われずともそのつもりだろうが、皆頑張ってくれ」

 

「私達も全力でサポートしますから」

 

「ありがとうございます…では、行きましょう」

 

「うん!」

 

カドマツの予測を聞いて、それが実際に起こったならば

泰葉とミサの機体にとっては相性が良い形となる事を

互いに話すと同時にロボ太にとって辛い相手になる事も

認識し…その分自分達が頑張る事で勝とうと2人は決意する。

その直後に決勝開始寸前にアナウンスが会場に響き、

比奈・晶葉・泉からの言葉を背に泰葉達はポッドに入っていった。




P:さて、15話無事投稿出来ましたが前回の予告とは裏腹に
 今回も会話シーンの比重が大きくなってしまった事をお詫びします

比奈:まぁ、今回はガンブレ3側の新しいネームドキャラが出て来た事で
   アタシ達アイドル勢のその人に対するリアクションも書いた為に
   どうしても比率が高くなっちゃうってのはわかりまスので…
   それはそうとミスターさんに対する不快感というより疑問を
   泰葉ちゃんに抱かせたのはどういう考えからっスかね?

P:ミサからミスターの経歴について簡単ながら聞いた事で、
 司会・解説担当に変わってからの年数がそれなりにあると
 推測した上で泰葉自身の芸歴の長さ故にそれなりの年数を
 重ねた可能性が高いにも関わらずトークに拙い部分が
 あった事が引っかかるんじゃないかなーと思ったものでな

比奈:なるほど…さて次回はリージョンカップ決勝、今度こそ
   バトルに関する描写に対して期待しても良いっスかね?

P:どこまで応えられるかは断言出来ないが…相手耐久力を0にした後の
 ムービーシーンを元に自分なりに「盛った」場面を書きたいと
 思ってるので、それを中心にボリュームを出したいと思ってる…
 最後になりますが、次話も楽しみに待って頂ければ幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リージョンカップ決勝・雪山のモビルアーマー

「今回も私達が先んじる形になりましたね」

 

「だねー、とはいえCPU機が湧かない以上

 相手チームもすぐに来るだろうけどね」

 

「…どうやら、その通りのようだ」

 

「相手チームのログインを確認…え!?

 何これ、初めて見る反応なんだけど…!」

 

「ちょっと見せてくれ…こいつぁ、予想の範疇では

 あるが嬢ちゃん達には初めての相手になる代物か…

 気を付けろ、これまで以上のデカブツが来るぞ!」

 

「え、どういうこと!?」

 

「相手チームのログインを確認…これは!?」

 

「何という代物だ…!」

 

リージョンカップ関東第2大会決勝戦。

その舞台となる雪原に先んじて降り立った泰葉達が

ミサ達と会話をしている間に相手チームもログインし、

泉が相手チームの構成を確認しようとした所

初見となる反応が現れた事に困惑の声を上げ…

それを聞いたカドマツが確認すると、自分の予測の

範囲内ではあるが泰葉達にとっては初めて対峙する

相手となるものであると判断しとっさに警告する。

ミサがそれに驚きの反応を示すとほぼ同時に、

相手チームの機体が姿を現し…それを目の当たりにした

泰葉とロボ太は驚きの声を上げながらそれを見据える。

 

「アプサラスⅡとは、これまたフィールドに

 ピッタリな代物を出して来たっスねぇ…」

 

「通常MSでもMGを積極的に使ったり背が高くなるようにミキシングしたり、

 PGを出す事も他チームより多かったが…ついにMAまで来たか」

 

現れた相手チーム機を見て比奈とカドマツが感想を口にした直後、

相手チームのエンジニアであるモチヅキとアプサラスⅡを操る

ファイターであるウルチの会話が泰葉達の耳にも届く。

 

「負けんじゃねーぞ、ウルチ!」

 

「姐さんの作る機体の出来は信じてますから、

 あたしの腕も信じて下さいっすよ」

 

「これがモビルアーマー…PGとはまた違った迫力ですね」

 

「とはいえカドマツの予想が当たった事で、私や泰葉ちゃんの

 機体にとっては相手しやすいのが幸いだね…その分ロボ太には

 辛い相手だけど、上手い事攻撃を掻い潜ってもらえるかな?」

 

「承知した!」

 

3人の会話が終わったのを合図代わりにアプサラスⅡからの

攻撃も始まり、戦いの火ぶたが切って落とされる事となる。

 

『さぁ、いよいよ始まりましたリージョンカップ関東第2大会決勝戦!

 アイドルとロボットがチームメンバーという事で注目される

 彩渡商店街チームと対峙する事となった佐成メカニクスチーム、

 何とモビルアーマーを投入して来ました! 機体の大きさのみならず

 火力面でも圧倒的と言える相手を前に、彩渡商店街チームは

 どのように対抗していくのでしょうか!? ミスター、解説をお願いします!』

 

『了解! モビルアーマーは高めの耐久力に加えて高い威力の攻撃手段を

 多数持てる事が多いが、その代わりに回避面に難がある事もまた多い…

 通常機体で対抗する際は機動力を活かすのが定石と言えるね!』

 

『なるほど!』

 

MCとミスターがそう会話を交わした直後に、アプサラスⅡの腹部から

通常機体のEXアクションどころかバーストアクションさえも

上回る太さのビームが照射される。泰葉達は無事に回避したが、

その様子を見た比奈・晶葉・泉は驚きの声を上げていた。

 

「実際に目にすると迫力が段違いっスねぇ…」

 

「一目で喰らったらタダじゃ済まないとわかってしまうな…」

 

「バリアがあったとしても良くて気休め、最悪無意味な可能性があるね…」

 

その驚きの声を見計らったかのように、モチヅキからの自信満々な声が響く。

 

「どうだカドマツ! ウチの機体の凄さは!」

 

「相変わらずだなぁ…デカけりゃ良いとは限らないってのによ」

 

「デカいからこそ一撃必殺級の威力の武器を沢山詰めるんだぞ!」

 

「『当たらなければどうという事はない』ってガンダム作中でも言われてんだぞ?」

 

「だからこそどれか1つが1発当たれば致命傷になる武器で固めてるんだよ!」

 

「だったら全部避け切りゃ良いだけの事だ!」

 

「見てるだけの身で偉そうに言うなっての!」

 

「すんません姐さん、ちょっと静かにして欲しいっす」

 

「…とはいえ、カドマツさんの言う通りに全ての攻撃を

 回避するつもりで行かないと厳しいのは事実ですね」

 

「だ、だね」

 

カドマツとモチヅキの言い合いにミサとウルチが

ツッコミを入れるが、泰葉はそれを聞きながらも

カドマツの発言を現実にする勢いで行動する必要が

あると感じ取りミサもその発言に同意を示す。

 

~~~~~

 

「攻撃手段は照射だけじゃないっすよ!」

 

「これは威力こそ標準レベルだが、着弾までの時間の短さと

 広範囲への拡散が合わさって回避が難しいな…」

 

「ですが、高威力の攻撃の回避がそこまで難しくないのが

 幸いですね…この威力ならこまめな回復で補えますから」

 

「だったら、こいつはどうっすか!?」

 

アプサラスⅡが移動しながら放たれる拡散ビームの

回避の難しさを零すロボ太に、威力が他の攻撃よりは低い事で

回復を欠かさなければ対応は難しくないと泰葉が返した直後に

ウルチの言葉と共に腹部から照射しながらその場で回転するという

泰葉達の度肝を抜くような予想外の攻撃を繰り出して来た。

 

「わわっ!?」

 

「ミサさんはブーストを吹かして上昇を! ロボ太さんは

 地上を全力で走って何とかビームを掻い潜って下さい!」

 

「う、うん!」

 

「承知した!」

 

回転照射ビームに驚くミサを見て、とっさに泰葉は2人に

指示を出す。それを聞いたロボ太は地上を全速力で走り

姿勢を僅かでも低くする事で照射ビームをギリギリで避け、

泰葉とミサは上昇してアプサラスⅡの上を取った後に

泰葉がオプションの「メガ粒子砲」を照射する事で

高度を維持し回避と攻撃を同時に行う。

 

「なるほど、それじゃあ私も!」

 

それを見たミサも泰葉と同様にビルダーズパーツで

胸部に増設した「メガ粒子砲」の照射を行い、

2機同時照射でダメージが蓄積した影響か回転と

照射が終わるとほぼ同時にアプサラスⅡは動きを止める。

 

「喰らい過ぎた…!?」

 

「今だ! 一気に仕掛けるぞ!」

 

「オッケー!」

 

「了解です!」

 

動きが止まった事へのウルチの驚きの声を聞き、

その様子を見たロボ太の言葉を合図代わりに泰葉達は

一斉にアプサラスⅡに取り付き格闘攻撃を叩き込む。

しばらくして再び動き出したのを見て3人は間合いを取るが…

 

「射撃しか出来ないと思ったら大間違いっすよ!」

 

「なっ…!」

 

ウルチの声と同時に上昇したアプサラスⅡが回転しながら

泰葉のガンプラを標的に定め追尾しながら突進していく様子を

目の当たりにした泰葉は驚きながらもその追跡を振り切ろうと

ブーストを最大に吹かしながら後退や横への移動を試みる。

 

「主殿っ!」

 

「こんのぉ…!」

 

それを見たミサとロボ太が泰葉のガンプラ目掛けて回転しながら

突進するアプサラスⅡに攻撃を繰り出すが、それらの命中も厭わず

一目散に泰葉を追いかけ続ける。しかしながら機体性能の強化もあって

ギリギリながら自分のガンプラとの衝突前にアプサラスⅡが

動きを止めた様子を見て安堵の気持ちが込められた息を吐き出す。

 

「ふぅ…」

 

「まだまだ!」

 

ウルチが再び声を上げると同時にアプサラスⅡは

再度上昇し、地表に向けてメガ粒子砲を

照射しながら機体をグルグルと回転させていく。

 

「それならもっぺん飛びながら照射で…!」

 

「待て! 飛んでの回避は危険だ、真下に潜り込め!」

 

「ええっ!? う、うわっ!」

 

序盤に行われた回転しながらの照射の時のように

こちらも飛んで上を取っての照射を試みようとするミサに、

晶葉がとっさに警告を出す。それを聞いた直後に照射ビームが

少しづつ上昇していくのを目の当たりにし、驚きの声を上げながら

何とかギリギリで回避して着地しアプサラスⅡの真下に潜り込む。

 

「死角に潜り込めましたね…今のうちに!」

 

「オッケー!」

 

「承知した!」

 

「そう来たなら、こいつで!」

 

泰葉の言葉と共に3人がありったけの攻撃をアプサラスⅡに叩き込む。

それを見たウルチは照射と回転が終わった直後に新たな行動に移る。

 

「機体下部が赤く発光しながら展開…?」

 

「嫌な予感がするっス、全機散開を!」

 

アプサラスⅡの様子の変化を見て疑問の声を上げる泉に続き、

それを見て悪い予感を感じ取りとっさに声を上げる比奈。

その声を聞いて3人がアプサラスⅡの真下から離れると、

その直後に先程まで3人が居た場所目掛けて落下攻撃がされていた。

 

「あっぶなー…」

 

「警告がなければ我々全員潰されていたな」

 

「比奈さん、ありがとうございます」

 

「いえいえ、役に立てたなら幸いっス」

 

「やるっすね…」

 

安堵の言葉と比奈への礼に続き、ウルチも感心した声を

上げながらアプサラスⅡを再び上昇させる。

 

(真下に潜り込んだ時の攻撃でちょうどゲージが貯まりましたし、

 向こうの残り耐久力も後僅か…ここで決めに行きます!)

 

その直後、ゲージが貯まった泰葉が勝負所と見て「覚醒」を発動させる。

 

『あれは…まさか!』

 

『ミスター? どうかしましたか?』

 

その様子を見たミスターが驚きの声を上げ、

MCからの言葉も耳に届いてない様子で画面に釘付けになる。

 

「何すか、あれは!?」

 

「まさか…噂で言われていた『覚醒』って奴か!?

 真偽はともかく放っておくのは明らかにマズい、

 奴に火力を集中させて一気に落とせ!」

 

「言われなくてもっ!」

 

同時にモチヅキとウルチもその様子を目の当たりにし、

驚きながらも真っ先に泰葉を落とそうと判断し

上空から泰葉目掛けてメガ粒子砲の照射を行う。

 

「はあああぁっ…!」

 

だが、泰葉はそのメガ粒子砲を見事に回避しながら

地面を蹴って飛び上がり一気にアプサラスⅡに肉薄すると

両手に持った「GNビームサーベル」で打ち上げるように

斬り付けた後にその勢いのまま上昇を続ける。

 

「くっ…!」

 

そうしてアプサラスⅡの上を取った所で

バーストアクションの「フルバースト」を発動させ

「メガ粒子砲」「ファンネル」「ビーム・ガン」

「バスターライフル」の一斉射撃を叩き込む。

 

「ううっ、ダメージが…!」

 

そのダメージに耐えきれなかったか、アプサラスⅡは

徐々に地面へと落下して行き…「フルバースト」を終えた

泰葉は両手に再び「GNビームサーベル」を持ち

落下していくアプサラスⅡを追って降下していく。

 

『間違いない…やはり、あの機体の輝きは…!』

 

ミスターが驚嘆の言葉を口にし終えた直後、

地面に落下したアプサラスⅡのコクピット部付近に

泰葉は2本の「GNビームサーベル」を突き立て…

 

「ごめん、姐さん…負けちまったっす」

 

ウルチのその言葉とほぼ同時にアプサラスⅡの各部から

光が漏れ出し、それを見た泰葉が自分のガンプラを

飛び退かせた直後に大爆発を起こし消滅した。

 

『き、決まったぁーっ! リージョンカップ最後の戦いとなった

 関東第2大会を制したのは、彩渡商店街チームになりましたっ!』

 

「やったぁー! ありがとう、泰葉ちゃんっ!」

 

「主殿、実に見事な止めであった!」

 

「ありがとうございます、ですが私だけの手柄ではありません…

 皆さんの助力あってこそのこの結果です、こちらこそ感謝します」

 

派手な結末にMCも興奮した様子で彩渡商店街チームの

勝利を告げると、嬉しさを爆発させた様子のミサと

落ち着きながらも称賛の声を上げるロボ太の言葉に対し

泰葉は皆への感謝の言葉を返す。こうして、彩渡商店街チームは

さらに先の戦い…ジャパンカップへの切符を手にしたのであった。




比奈:今回は何とか予告通りにバトル全振りで書けたっスね

P:ああ…自分でも書きたい描写が出来たのとゲーム中での
 アプサラスⅡの攻撃手段をほぼ全て書けたので満足してる

比奈:トドメシーンがゲームでのムービーの「アプサラスⅡ落下→
   覚醒発動→アプサラスⅡに接近後上昇から降下してコクピットに
   突き刺し」から「アプサラスⅡ攻撃→ブーストで回避しつつ接近からの
   上昇斬り付け→フルバースト発動→アプサラスⅡダメージ蓄積で落下→
   それを追って急降下の後にコクピット部に突き刺し」…とは、
   確かに素材を元に盛って派手にした形になりましたね

P:バーストアクションが射撃系だったからこそあの構図にしたんだ、
 仮に格闘系バーストアクションだったら「上昇切り上げの後に体当たり→
 落下による土煙が晴れるとコクピット部に格闘武器が突き立てられる」
 といった構図になってただろうなと思ってる

比奈:なるほど…でもそうなるとバーストアクションの動きに一定の
   速度がないと不自然になりそうっスね、「月光蝶」とかだと
   ゆっくりとした動きになっちゃいまスから

P:だな…さて、今回でリージョンカップの大会そのものは終わりましたが
「リージョンカップ編」の最終話は次回に移します…試合終了後の
 ゲーム内で描かれた各所の動きに加えてこの作品独自の描写も
 追加しますので、バトルはありませんがボリュームは大きくなる予定です…
 楽しみに待って頂ければ幸いです、それでは次の話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

回り始める運命の歯車

「ちっくしょー! よりによってカドマツの居る

 チーム相手に負けるなんてー!」

 

「いやー…とんでもない強さだったっす。

 最後に見せた『覚醒』とやらがなかったとしても

 普通にこっちがやられるレベルの腕前でしたよ」

 

「ありがとうございます、ですがそちらのMAも

 打たれ強さや数多くの重い一撃に加えて

 こちらの意表を突く攻撃に驚かされっぱなしでした」

 

「いやあっさりし過ぎだろ!? 負けて悔しくねーのかよ!」

 

「そりゃあ悔しいっすけど、喚いたからって結果は変わりませんし…」

 

リージョンカップ関東第2大会の決勝戦が終わり、

ポッドから出た泰葉達と再び顔を合わせると…

モチヅキは悔しさを隠す気のない叫び声を上げ、

ウルチは素直に泰葉達彩渡商店街チームの強さを認め

泰葉は返答代わりにアプラサスⅡへの驚きを口にする。

そのウルチの態度に思わずモチヅキがツッコミを入れるが、

ウルチは困った様子でモチヅキに言葉を返していた。

 

「さーて、約束は守ってもらうぞ?」

 

「く…仕方ない、煮るなり焼くなり好きにしろってんだ!」

 

「んなこたしねーよ、ちょうどウチの会社で1つ

 デカい事を始めようとしてるからそいつの手伝いを

 してもらうって事でどうだ? 報酬もキチンと出す」

 

「むぅ…一体何をしようって言うんだ?」

 

そんな最中にカドマツがやって来てモチヅキに声をかけ、

決勝開始前の約束としてハイム社でこれから行われる事への

協力を提案する。それに対しモチヅキが質問をしようとした

タイミングで、プロデューサーもその場にやって来た。

 

「みんなおめでとう、そしてお疲れ様。今日もミヤコさんが

 祝勝会を開いてくれるからまずは商店街に戻ろうか」

 

「おっと、ちょうど良かった。飛び入りになっちまうが

 そいつに2名追加してくれるように交渉してもらえるか?」

 

「構いませんが…誰が一緒に来るんですか?」

 

「そいつは…」

 

プロデューサーの言葉にカドマツが渡りに船とばかりに

参加人数の追加について尋ねるように声をかける。

それを聞いてのプロデューサーの疑問の声に対し、

カドマツは視線をモチヅキ達に移しながら返事をする。

 

「…オイ、まさかお前らの祝勝会に参加しろってのか?」

 

「強制する気はねえ、だがこれから大掛かりな事を

 手伝ってもらうんだから英気を養う為に気が済むまで

 飲み食いしてもらおうって考えてるんだがどうだ?」

 

「あ、タダだってんなら参加させて欲しいっす」

 

「待て待て待て待て!」

 

向けられた視線に怪訝な反応を示すモチヅキに対し、

カドマツはこれから協力してもらう大仕事への

英気を養う為と説明する。それを聞いてあっさりと

参加を表明するウルチにモチヅキが全力でツッコむが…

 

「んじゃ1名追加決まりだな、お前はどうするんだ?」

 

「ぐぐぐ…し、仕方ない! 参加してやるから有難く思え!」

 

「何でまたそんなに偉そうなんだよ…そういう訳だから、

 悪いが2名追加してくれないかって連絡しといてくれ」

 

「わかりました、少し待ってて下さい」

 

このようなやりとりを経て、プロデューサーが

ミヤコに連絡したところあっさりと許可を取れた為

泰葉達7人にモチヅキとウルチを加えた9人は

そのまま彩渡商店街へと戻って行った。

 

~~~~~

 

泰葉達が関東第2大会の会場から離れた頃。

ジャパンカップ会場ともなる東海第1大会の会場であった

静岡県某所の控室の1つに、何処かに電話をしている人影があった。

 

「もしもし…私です、ミスターガンプラです。

 実は、ジャパンカップの事で1つ相談が…」

 

~~~~~

 

「それじゃ、彩渡商店街チームのリージョンカップ優勝を祝って…」

 

『乾杯!』

 

「…いや、勢いで参加しちまったけどやっぱおかしいだろ!」

 

小料理屋「みやこ」に泰葉達10人に加えてモチヅキとウルチを含めた

12人の乾杯の声が響いた直後に、モチヅキが渾身のツッコミを叫ぶ。

 

「まぁまぁ姐さん、せっかくのタダ飯タダ酒なんすから

 文句を言うより気が済むまで飲み食いしまくりましょうよ」

 

「…そうだな、この店の食材も酒も食い尽くし飲み尽くすつもりで

 行くから覚悟しとけよ! …ってこれジュースじゃねぇか!」

 

「悪いけど、さすがに未成年に飲酒させる訳にはいかないよ」

 

「あー、話してなかったけどこいつこんなナリだが俺とタメなんだわ」

 

それを宥める形のウルチの言葉を受け、気を取り直して

全力で飲み食いしようとまずはコップを手に取り飲み干すと

中身がジュースだった事で再び叫ぶモチヅキ。それに対する

ユウイチの言葉を受けて、カドマツはモチヅキの年齢について

まだ話していなかった商店街大人勢に対して説明を行う。

 

「何ですって!?」

 

そのカドマツからの説明を受け、ミヤコが猛烈な勢いで食い付くと

一瞬とも思えるような早さでモチヅキの隣に移動していく。

 

「え、えーと…」

 

「モチヅキちゃんって言ったわよね、その若さを保つ秘訣を教えて!」

 

「いや特に何もしてねーよ! むしろこっちとしちゃ若く見られるより

 年相応の見られ方ってのをされたいんだよ! 今はとにかく酒を注いでくれ!」

 

「あはは…」

 

そこからのミヤコとモチヅキの会話に対し、

泰葉は苦笑いをするしか出来なかった。

 

「それにしても、あっという間に2大会を突破したっスね」

 

「だねー、ここまで順調に行くなんて本当泰葉ちゃんには感謝だよ」

 

「商店街の売り上げも目に見えて増えていて、

 こちらとしても本当に感謝あるのみだよ」

 

「本当ありがとうな、嬢ちゃん達!」

 

「ありがとうございます、どこまで行けるかはわかりませんが

 出せる限りの力を尽くして行きますので改めてよろしくお願いします」

 

そんな流れを変えるかのように比奈が改めて

凄まじい勢いで勝ち進んだ事を振り返ると、

それを皮切りにミサ達から感謝の言葉や

目に見える成果の表れが立て続けに告げられ

泰葉の顔にも笑顔が戻り改めての決意を返す。

 

「気合入ってんなぁ…そんじゃあ俺も嬢ちゃん達に

 負けないように気合入れて『アレ』を完成させないとな」

 

「カドマツさん、また何か新しいものを作っているのか?」

 

「ああ、とは言ってもロボ太程大掛かりなものじゃないが

 そいつもまたこれからのガンプラバトルに役立つものだ」

 

「私達に手伝える事があるならばいつでも言って下さいね」

 

「ありがとな」

 

そんな様子を見てカドマツも現在進行形で作成している「何か」の

完成に向けて気合を入れ直し、晶葉や泉からの言葉にも礼を返す。

 

その日の小料理屋「みやこ」には、夜遅くまで歓声が上がっていた。

 

~~~~~

 

リージョンカップの祝勝会から数日後。

その日はプロデューサーが以前に話していた

「ガンプラバトルプロジェクト」と相互関係になる

ある企画について上層部に提出し許可が取れれば

実行準備に写ると聞かされ、泰葉達4人は事務所に

集結していた。そうしてプロデューサーが戻って来て…

 

「あ、お疲れ様ですプロデューサー」

 

「前に言ってた企画を上に出したとは

 聞いてまスが、通ったんスか?」

 

「ああ、これから他の課や関係各所と連絡を取って

 企画の実行に向けて進んで行く事になる」

 

「こちらが現在進行形で行っている事柄とも

 密接な関係になるからな…成功して欲しいものだ」

 

「危惧している事の規模が少しだけど大きくなって来てるし、

 速やかに準備を済ませて開催に漕ぎ着けたい所だね」

 

「そう言えば具体的な内容についてはまだ聞かされては

 いませんでしたが、何をするんでしょうか?」

 

一通りの会話の後に泰葉から投げかけられた言葉を機に、

プロデューサーは以前から計画してた企画について話し始める。

 

「ユウイチさんと相談して、彩渡商店街内の空き店舗を

 1件貸してもらってそこをうちの事務所のアイドル達の

 グッズショップに使わせてもらう事にしたんだ」

 

「おおー、そりゃまた凄い事っスな…」

 

「ですが、以前話を聞いた時には『将来的に起こりうる

 商店街への攻撃の可能性を考慮したもの』と言ってましたが…

 グッズショップとそれがどう繋がるんでしょうか?」

 

話を聞いた比奈は率直な驚きを口にしたが、泰葉は

以前に聞いた話との繋がりが見えなかった為に疑問を呈する。

 

「そのグッズショップに不定期でアイドルにも

 来てもらおうと考えていて、その為に普段のライブや

 イベント等でお世話になっている警備会社に警備と

 行列整備に加えて商店街のパトロールも頼もうと考えてる。

 …祝勝会でも言われてたように商店街の売り上げが大きく

 回復してる事もあって、今までは散発的なものに留まっていた

 SNSを中心としたネット上での泰葉達や事務所への妬みや僻みや

 言いがかりといった発言の数が大きく増しているのに加えて…

 彩渡商店街も巻き込んで非難するような『怪文書』も出て来てるからな」

 

「怪文書…ですか?」

 

「そうっスね、『タイムズユニバース百貨店彩渡駅前店に

 勤めている母子家庭のパートタイマー』からの不安の声と

 いうものがSNSに投稿されて結構な規模で拡散されてるっス」

 

それに対してプロデューサーは企画内容の説明と共に

それに必要な外部協力者と彼らにしてもらおうと考えている事を

危惧していた商店街への非難に繋がる事態と共に泰葉に話し、

比奈が補足する形で「危惧していた事態」について説明する。

 

「…内容としては『タイムズユニバースの福利厚生制度のおかげで

 母子家庭の身でも安心して働けているが、昨今の彩渡商店街と

 346プロによる宣伝活動のせいで店の売り上げが低下しており

 私を含むパートタイマーの一部の間で解雇されたらどうしようという

 不安の声が出て来ている』という内容で、そこから事務所や

 商店街に対しての批判的な発言に繋がっている…といった流れですね」

 

「とは言っても、その発言が投稿されたアカウントがいわゆる

『捨てアカ』っぽいというのもあって全体的には半信半疑といった

 反応ではあるんスが…泰葉ちゃんを妬んだり逆恨みしている層にとっては

 格好のバッシング正当化の大義名分として持ち上げられて発言の拡散や

 発言を引用して泰葉ちゃんや事務所、そして彩渡商店街が極悪非道と

 言わんばかりの勢いで罵倒する発言が投稿されてるってのが現状っスね」

 

続けて泉から該当の書き込みの具体的な内容が説明されると、

比奈がそれを引き継ぐ形で全体的なその書き込みへの反応と

泰葉達を快く思っていない層がその書き込みを受けて

現状どのような行動をしているかについて話す。

 

「…その書き込みが本当か嘘か、についてはわかってないんですか?」

 

「そうだな…現状では本当とも嘘とも断言出来ない状況って所だ」

 

「私の判断でマキノさんにこの事を話して事実か否か調べて欲しいって

 打診はしたけど…さすがに一朝一夕にはいかないみたい」

 

予想以上に深刻な内容に不安になりながらも該当の発言の真偽について

泰葉はプロデューサーに尋ねる。しかしながら現状では真偽の判断が

出来ていないという返答に続き、泉が参加しているユニットの1つの

メンバーであり誕生日が近しい事や趣味の傾向が類似している事で

親しい仲のアイドルの1人である諜報活動が趣味の「八神マキノ」に

該当の発言の真偽確認を打診はしたがまだ確認が取れていない事を話す。

 

「…そういう事もあって、商店街への攻撃が現実味を帯びて来た為に

 この企画を通して欲しいって半ば嘆願気味に話した為か

 何とかGOサインをもらえたって事だ。これから早急な実行に向けて

 ユウイチさんに相談しに商店街に向かうから、泰葉達も次の

 ジャパンカップに向けてミサさんと相談して欲しい。

 …泰葉の予想以上の事態になってて不安に思ってるだろうけど、

 前にも約束したように泰葉達やミサさんに危害が加わらないように

 こちらで出来る最大限の事はしていくから…どうか安心して欲しい」

 

「…分かりました。お願いしますね、プロデューサー」

 

泉の発言に続く形で、プロデューサーがこれから企画についての

相談の為に五月野模型店に向かう事とその間に泰葉達とミサとで

ジャパンカップに向けての相談をして欲しい事を話すと…

思わぬ事態の深刻さに不安を感じている泰葉を落ち着かせる為に

以前に約束した「泰葉達やミサには一切危害が加えられないように

最大限の努力をする」事を続けて話し、その言葉を受けて泰葉は

プロデューサーの優しさに対して笑顔と共に礼を述べた。

 

~~~~~

 

場所は変わって、アメリカのとある都市に建っている

高層ビル…タイムズユニバースグループ本社ビル。

そこのCEOルームで、19歳の若き1人の青年…

タイムズユニバースCEO「ウィリアム・タイムズ」が

目の前のPCの画面に映し出されているレポートに目を通し、

その傍らに立つ黒髪長髪にクラシカルメイドスタイルの服装という

風貌の女性が頃合いを見計らって彼に声を掛けていく。

 

「…以上が日本国内のタイムズユニバース百貨店各店舗の利益データです」

 

「なるほど…程度の差こそあれほぼ全店舗で前年度を超える利益を

 出しているようだけど、1店舗だけ極端に伸び幅が低い店舗があるね」

 

「東京都彩渡市の『彩渡駅前店』ですね」

 

「あそこか…開店前に確認したあの辺りの競合は古ぼけた駅前商店街だけだったし、

 今までに他の同業他社が同市に出店したという話も聞いていないが…」

 

「彩渡駅前店の責任者の話では、その商店街の広告戦略が

 著しい効果を上げて来ており現在営業している店舗と重複する

 玩具や食料品といった部門の売り上げが低下した事で

 利益上昇率に大きなブレーキがかかってしまったとの事です」

 

「その『広告戦略』についての具体的な説明はあったのかい?」

 

「はい、商店街の模型店と346プロダクションが手を結んで

 ガンプラバトルチームを結成し…破竹の勢いで勝ち進んで

 先日開催されましたリージョンカップの関東第2大会でも

 勝利し、その際に決勝戦が全国にライブ中継されそこで商店街の

 名前が出た事が知名度と売り上げの上昇に繋がったかと」

 

「346プロダクション…日本国内のみならず全世界で見ても

 上位レベルの規模である事に加えて我が社にも引けを取らないレベルで

 世界的にその名が広く知られている櫻井グループや西園寺グループの

 社長令嬢までもがアイドルとして所属している芸能事務所じゃないか、

 どういった経緯であの商店街と手を結ぶことになったんだ?」

 

「プロダクション社員の1人が商店街の模型店店主と面識があったとの事です」

 

「なるほど…しかし、ガンプラバトルか…」

 

百貨店の利益データの閲覧から彩渡駅前店だけが

極端に上昇幅が低いのを見て零した疑問をきっかけに、

泰葉達の事を初めて知った彼は「ガンプラバトル」という

単語に反応して複雑な表情をしながら思案し…

数秒後、意を決したように言葉を続ける。

 

「ドロシー、今シーズンのジャパンカップの開催地は何処か分かるかな?」

 

「静岡県ですね」

 

「静岡か…確かそこにはうちの系列のホテルがあったな、済まないが

 そのホテルへの連絡と日本行きの航空チケットの用意を頼む」

 

「申し訳ありませんウィル坊ちゃま、つい先ほど本日の

 業務時間は終了しましたので明日以降改めてお願いします」

 

「…準備にかかった時間に応じて時間外手当を含めて給与に上乗せしておく」

 

「わかりました、それでは準備に…取り掛かる前に、もう1つだけ

 先程の事態にも関する重大な事態が発生している事をお伝えします」

 

「重大な事態?」

 

傍らのクラシカルメイド姿の女性「ドロシー」に日本行きの準備を

頼んだ所に帰って来た屁理屈的な返答に呆れた表情を見せながらも、

ウィルは慣れた調子で追加報酬を提示する事で実行に移させる。

その直後のドロシーからの「重大な事態」という発言を受け、

ウィルは再び真剣な表情となりドロシーに説明を促す。

 

「はい、先程話しました駅前商店街の広告戦略の影響で彩渡駅前店の

 売り上げが伸び悩んでいる事態を受けてそこに勤める母子家庭の

 パートタイマーを自称するSNSのアカウントで解雇の可能性に対する

 不安を吐露する内容の発言が投稿されているとの事です」

 

「…速やかにその発言に対する事実確認を行うように連絡を頼む。

 確認した結果その発言が事実であれば彩渡駅前店のパートタイマー全員に

 売上低下が直ちに解雇に繋がる事はないという説明を行うように、

 仮に虚偽であるならば顧問弁護士に該当の発言を投稿した

 アカウントに対する開示請求をしてくれるように頼んでくれ」

 

「わかりました、あともう1つ…今度は別件ですが、

 スリーエス社の買収の経過報告が来ましたのでお伝えします」

 

「そうか、頼む」

 

「間もなく全株式の67%の取得が完了するという事です、

 しかしながら買収したとしても利益にはなりませんが…」

 

「スリーエスに関しては、利益というよりも社内で公然と行われている

 犯罪行為の阻止と不本意ながら加担させられている社員をウチの会社で

 雇う事でネットワークのセキュリティを強化する事が目的だから構わないさ」

 

「…わかりました、そういう事にしておきましょう」

 

「…他に報告はあるのかい?」

 

「いえ、それではこれからホテルへの連絡と

 航空チケットの準備に向かいます」

 

「頼むよ」

 

泰葉達も知る事となったSNSの投稿や、別件となる

とある会社の買収に関する報告を済ませると

ドロシーはCEOルームから退出して行き…

一人残される形となったウィルは、先程の

「ガンプラバトル」という単語を聞いた時のような

複雑な表情を見せながらぽつりと呟いた。

 

「…こんな形で再び向き合う事になるとはね」

 

…泰葉達の知らない所で、運命の歯車はゆっくりと

回り始める。そしてそれに泰葉達も関わる事になるとは、

この時は当事者を含めた誰にも知る由がなかった。




比奈:今回はインターミッションって感じっスが、
   独自設定に加えゲーム場面も結構な改変がされてまスね

P:ああ、前々から言ってた「このSS独自の追加路線」についての
 より具体的な表現をしたのに加えて今回初お目見えとなった
 ウィルとドロシーの2人の会話にもその要素を取り込んでみた

比奈:それを抜きにしてもその2人も会話場面に大きく手を
   加えてましたが、どういう考えでやったんスか?

P:主にあの場面に当たるシーンの終盤のウィルの発言が
 個人的に取って付けた感があって気になったので、
 それの回避とこの先の物語への足掛かりを追加したって所だな

比奈:なるほど…

P:さて、次回から「ジャパンカップ編」に移りますが
 次回も今回のようなバトルのない会話劇になります。
 その分独自描写も織り込んで行きますので、
 楽しみにして頂ければ幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ジャパンカップ編~2つの事件と交差する運命
2人の男の決意とケジメ


・2023/10/27~
ミサ機のアセンブル変更ならびにそれに伴う
本編・後書きの加筆修正及び挿絵の変更


プロデューサーからの彩渡商店街への

346プロアイドルグッズショップの開店が

正式決定した事の報告と、それと同時に行われた

泰葉が考えたジャパンカップに向けての新しい

ガンプラ作成についてのミサへの相談から数日後。

 

「いらっしゃい…ありゃ、今日は泰葉ちゃん達だけ?」

 

「お邪魔します、プロデューサーも一緒に来たんですが

 グッズショップの開店準備作業の様子を見に行ったので

 私達でガンプラ作成をしておいてくれと言われまして」

 

「なるほどー、私も父さんから話は聞いたけどこれまた

 予想外の事態で驚いたよ…だけど商店街の売り上げが

 回復してるし絶好のタイミングなのかもしれないね」

 

五月野模型店に泰葉達がやって来た事でミサが出迎えると

プロデューサーが居ない事への反応に対し泰葉が理由を説明し、

それに続く形でミサがグッズショップ開店の話を聞いての

率直な驚きと商店街のさらなる盛り上がりへの期待を口にする。

 

「それはそうと、開店を急いだ理由として聞いていた

『怪文書』の問題が長引かなかったのは幸いだったな…

 まさかタイムズユニバース社自らが真偽確認に動いて

 デマだという事を証明した上に『怪文書』投稿者を訴えるという

 事態になったのは正直な所こちらの予想外だったが」

 

「確かにねぇ…その『怪文書』の内容に関してはむしろ

 タイムズユニバース側が同情されるようなものだったし、

 いっその事それに乗っかるって手もあったはずなのに」

 

「目先の儲けの為に致命的な炎上リスクを抱えるよりかは

 売り上げ面では不利になるとしてもそれを回避するという

 選択をした事というのは、ある意味企業の安定性を

 表しているんだろうね…1つの店舗の売り上げが

 振るわなくても他の店舗や業種でカバー出来るって意味で」

 

そこから晶葉がグッズショップの早期開店を目指す

きっかけとなった「怪文書」に関する展開について話し、

ミサが返事として「自社の売り上げ面で不利になるかもしれない

行動を取った事」に対する疑問を口にすると…それを受けて

泉がタイムズユニバース側の行動の理由の推測を述べる。

 

「なるほど…」

 

「ま、どんな形であれ私達が余計な心配をせずに済むなら

 それに越した事はないけどね…そろそろガンプラ作成に移ろう?

 塗装したパーツも乾いてるし、後は組み立てとシール貼りだしさ」

 

「そうですね」

 

その泉の発言に対して比奈が相槌を打つと、続く形でミサが

余計な心配をせずに済んだ事への率直な安堵を口にする。

そこから話題を切り替える形で、前回の来店時の相談から始まった

2人のジャパンカップ用のガンプラ作成の仕上げを行おうと

泰葉に持ち掛け…泰葉もそれに賛同し、制作ブースに向かって行った。

 

~~~~~

 

「…よし、完成っと!」

 

「お疲れ様でした、ミサさん」

 

「泰葉ちゃんもね…と、やっぱり今までのと比べると

 ガラリとイメージが変わったって言葉が真っ先に出て来るね…」

 

「射撃武装が盛り沢山で大柄のシルエットだった機体から、

 スッキリした見栄えの機体に様変わりしたっスからねぇ」

 

「攻撃手段も射撃偏重気味だったものから射撃と格闘をバランス良く

 取り合わせた構成になったというのもあるだろうな」

 

「ミサさんの機体やそれぞれのEXアクション選択と合わせて見ると、

 これまでそれぞれが受け持っていた役割を交代したとも言えますね」

 

「だねー、泰葉ちゃんは複数敵機への同時攻撃や格闘攻撃が主体って

 言える構成で…私の方は対単機重視の砲撃型と言える構成だしね」

 

「確かにそうっスね、とはいえEXアクションの1つに

 近距離戦用の『2連ビーム・ライフル斬り上げ』を

 選んだのはどういった理由なんスか?」

 

「今回使った『パーフェクトガンダム』の右腕に

『ダブル・ビームガン』ってオプション武装があって、

 そこからビーム刃を展開するって言うなら自然な見た目に

 なるかなと思ったのと出の早さと判定の強さから

 近寄られた時のとっさの迎撃に最適かなって」

 

「なるほど…それはそうと、まさかロボ太くん自らが

 ガンプラ作成に取り掛かるとはビックリっスね…」

 

泰葉とミサがジャパンカップ用のガンプラを完成させ、

一同がそれらを見ながら思い思いの感想を述べていき…

それに続いて、2人と共に制作ブースで行われていた

ロボ太自らの手によるガンプラ作成の様子を

観察しての率直な驚きを感想として口に出す。

 

「うむ、素人目でも手先の動きから感じられる器用さや

 組み立てられたガンプラの出来の良さは凄いと感じるぞ」

 

「カドマツさんから新しいSD機体データが完成したって

 連絡があった時に、ガンプラの方も作っておくって

 発言に対して『自分が使うガンプラは自分自身の手で

 組み上げたい』と主張したのにも驚かされたけど…

 ここまで器用に組み立てる姿にさらに驚かされたよ」

 

「だねー、ホントただのロボットとは思えないよ」

 

そんな比奈の発言に呼応する形で発せられた、

晶葉と泉による驚きにミサも同意の言葉を返す。

そのタイミングを見計らったかのように、

五月野模型店に新たな来客が訪れる。

 

~~~~~

 

「いらっしゃい…おや?」

 

「ありゃ、タイガーじゃない…どうしたの?」

 

「どうしたもこうしたも、客として来たんだがな…

 あんたも来てたのか、ちょうど良かったよ」

 

その来客へのユウイチの挨拶に合わせる形で、

ミサ達も視線を向けると…その先に居たのは

タイガーであり、ミサの一言への返事の後に

泰葉の方に視線を向けて言葉を続ける。

 

「あんた、まさか泰葉ちゃんにお礼参りを

 しようってんじゃないでしょうね」

 

「んなこたしねーよ、ちょいとばかし話をしたいなって

 思ってたんでな…と、その前に買い物させてもらうわ」

 

タイガーがミサからの怪訝な反応に返事をすると、

商品棚から3つのガンプラの箱を持ち出し

そのままレジに持って行って会計を済ませ、

改めて泰葉達の元に向かって行った。

 

「バルバトスにガフランにサーペント…統一感がないけど

 もしかして新しい機体を組む為にってとこ?」

 

「ああ、あの日にボコられた事で久方ぶりに

『強くなりてぇ』って気持ちになったもんでな…

 本気で強くなるために初心者狩りから足を洗って

 ガッツリバトルしてたんだが、ボロボロに

 負かされ続けてガッツリ負け越しちまったもんで

 何かしら流れを変える為のきっかけを作りたくてな」

 

「そりゃああんたの今までの勝ち数の殆どが

 初心者相手に不正に稼いだも同然の代物だからねぇ…」

 

タイガーが勝ったガンプラの箱を確認してのミサの

率直な感想に返事をしつつ、泰葉に視線を向けながら

あの日泰葉に負けた後からの自身の行動とその結果…

そして現状打破の為のきっかけとしての新機体の作成について

一気にタイガーが吐き出した所に、ミサが手厳しい一言を放つ。

 

「悔しいがそう言われても否定出来ねぇからなぁ…

 そんでも負ける事を怖がってた以前よりは、負けたとしても

 悔しさだけじゃなく『勝つ為にどうするか』を考える事で

 ある種の充実感ってのも感じてるんだよな」

 

「…何にせよ、私がきっかけでそちらが良い方向に

 進んで行ったのだとしたらこちらとしても嬉しいですね」

 

ミサからの一言に渋い顔をしながら返事をするも、

その後は「敗北から何かを掴もうとする」方向への

心境の変化を話すタイガーに対し、泰葉は自身が

関わった事がタイガーにとっても良いきっかけに

なった事に対して笑顔を見せながら言葉を返す。

 

「あんたにそう感じてもらえたってんなら、

 俺としても悪い気はしねぇよ…と、さすがにちょいと

 長居し過ぎただろうしここらで帰らせてもらうわ」

 

「そっか…んじゃ改めて毎度ありー、これからも

 真っ当な方向でガンプラバトルを頑張りなよ?」

 

「おう、そっちこと言われなくてもそのつもりだろうが…

 ジャパンカップでも見事な勝ちっぷりを見せてくれよ?」

 

「ありがとうございます、そちらの期待にも応えられるように

 私達全員全力を尽くして行きますので見守ってもらえれば幸いです」

 

「タイガー君も満足行く機体を作れて勝てるように祈ってるっスよー」

 

タイガーは泰葉からの返答に上機嫌な様子で言葉を返すと、

長居していた事を察して退店していく。その様子を見て

ミサ・泰葉・比奈の3人が思い思いに声を掛け、

タイガーも返事代わりの激励を返していた。

 

「…泰葉ちゃんのジャパンカップ用の新作ガンプラに、

 最初に戦ったタイガーの機体の一部パーツを使ったという

 タイミングでタイガーがうちの店にやって来るとはね」

 

「確かにそうですね…上手い事『虎』にちなんだ機体のパーツを

 探そうとして、ちょうど『虎』が入った異名を持つパイロットは

 居ましたが搭乗機体が悉く未実装で…困っていたところに

 不意に閃いて使ったら見た目の面でもオプション武装による

 手数の増加の面でも非常に良い形でまとまりましたからね」

 

タイガーの退店後、ミサと泰葉は泰葉の新しいガンプラの

構成パーツの一部にタイガー機のものを使ったタイミングで

タイガー本人がやって来るという偶然への驚きを口にする。

 

「…おや、いらっしゃい」

 

その直後に再びユウイチが来客を確認した事に反応して、

泰葉達の視線も再び五月野模型店の入口へと向けられる。

 

「………すまねぇっ!!」

 

その視線の先に居たのはカマセであり、

強張り気味な表情や姿勢から緊張がありありと

伝わってくるような様子で立ちすくんでいたが…

意を決したように姿勢を正したかと思うと

そのまま倒れるのではと錯覚するほどの勢いで

頭を下げながら大きな声で謝罪を口にした。

 

「え!? ちょ、ちょっとどういうこと!?」

 

「と、とりあえずもう少し奥に入ってもらえますか?」

 

その場に居る誰もが予想していなかったであろう

カマセの行動に、ミサは困惑気味な反応を示していたが

泰葉はとっさの判断でカマセを制作ブースの近くまで招く。

その誘いに乗る形で泰葉達の元へと向かったカマセは、

改めて先程の行動を取った理由について話し始めた。

 

~~~~~

 

「…リージョンカップの後に配信されていた、

 関東第2大会決勝戦を俺も見たんだ」

 

「あー、確か生中継されたはリージョンカップの

 各会場だけだったけど運営が後日に動画サイトの

 公式アカウントにアーカイブを投稿したんだっけ」

 

「そいつに加えて、あのタウンカップ彩渡大会の後から

 ネット上で『覚醒』に関する色んな情報も出て来てな…

 真偽不明な怪しい情報も多数出る中で、運営から過去の

 シミュレーターのバージョンの時のデータから推測された

 情報が公開されて…確かそれだと、『覚醒』が解放されても

 それを使う為にはEXアクションのようにゲージを貯めて

 手動で発動させる必要があるって話だったんだが…

 そっちが使ってるやつも同じ使い方なのか教えてくれねぇか?」

 

「そうですね、そちらが今言った内容で間違いないです」

 

「そっか…んで、そのゲージを貯める手段もEXアクション同様に

『敵ガンプラに攻撃を当てる』『敵ガンプラを撃破する』

『自分のガンプラがダメージを受ける』って話だったんだが、

 それについても同じような内容って事で合ってるか?」

 

「はい」

 

「…って事は、普通のステージだとCPU機を蹴散らしてゲージを貯めて

『覚醒』を発動する…って流れになるよな? だけどあのリージョンカップの

 決勝戦の時は、相手チームのモビルアーマーだけでCPU機は全く出なかった…

 そうなると『覚醒』の為のゲージ貯めの手段は『攻撃を当てる』か

『攻撃を喰らう』の2つだけになる為にゲージが貯まるには時間がかかる事に

 なるよな? …実際、あの戦いで『覚醒』が発動したのは相手チームの

 モビルアーマーの残り耐久力が後僅かになった所でだったし」

 

「そうですね…正直な話、あの残り耐久力であれば『覚醒』を

 使わなくても倒せていた可能性は高かったと思われますが…

 確実に倒す為に念の為に使った、といった所ですね」

 

「それだよ」

 

「え?」

 

カマセがリージョンカップ後に配信された、泰葉達が戦った

関東第2大会決勝戦を見た事とタウンカップ彩渡大会後に

ネット上に多数の「覚醒」に関する情報が流れていた事に

ついて話し…そこから仕入れた情報を元に、泰葉に「覚醒」に

関する各種条件についての質問を投げかける。その後に

リージョンカップ関東第2大会決勝戦での泰葉の「覚醒」の

タイミングについて話し、泰葉がそうなった理由を話すと

カマセは得心が行ったと言わんばかりに言葉を返す。

 

「チームメンバーが増えてたりビルダーズパーツが使えるように

 なったって事を差っ引いても、『覚醒』なしの素の状態での

 攻撃で相手を瀕死まで追い込んだ…って事は、タウンカップで

 俺のPG機をあそこまで追い込んだ事も俺としちゃ悔しいが

 まぐれでも何でもない泰葉さんとミサの実力って事になる。

 …あの時は悔しさであそこまで暴言を吐き散らかしちまったけど、

 あの勝利は紛れもない2人の実力で勝ち取ったものだって

 あのリージョンカップの戦いぶりを見て実感したんだ。

 …繰り返しになっちまうが、あの時は本当にすまなかった」

 

リージョンカップ決勝戦での戦いぶりを見て、タウンカップの時の

泰葉達の勝利も決して運だけのものではなく紛れもない2人の実力に

よるものだという事を受け入れたカマセは改めて詫びの言葉を述べる。

 

「あー、私達は別に気にしてないけど…それでも実力を

 認めてくれたのはありがたいしこうしてわざわざ

 謝罪の為に足を運んでくれた事には感謝するよ」

 

「私も同じ気持ちです、わざわざありがとうございます」

 

「そっか…んじゃ、来た時のアレでちょいとばかし

 迷惑かけちまったのと結構長居しちまったから

 詫び代わりにいくつか買い物させてもらうわ」

 

そのカマセの言葉に泰葉もミサも礼を述べ、

それを聞いたカマセは詫びがてらにガンプラを

4箱商品棚から取り出してレジに向かい購入する。

 

「デュエルにストフリにユニコーンにダブルオーのセブンソード…

 あのPG機と似通った構成になりそうな取り合わせじゃない」

 

「いいだろ、俺の好みなんだからよ」

 

「まあ、そうだけどねー」

 

カマセが購入したガンプラを見てのミサのツッコミに、

ある意味の開き直り的な返答をするカマセ。

そしてミサのさらなる返答を合図代わりに退店していく。

 

「んじゃ、邪魔したな…ジャパンカップでも

 そっちが後悔しないような戦いをしてくれよ?」

 

「言われなくてもっ!」

 

「はい、無理にとは言いませんが見守って頂ければ」

 

カマセからの激励に泰葉とミサが返事をした後に、

カマセと入れ替わる形でカドマツがやって来る。

 

「おう、お疲れさん」

 

「あ、いらっしゃいカドマツ」

 

「そちらこそお疲れ様です、カドマツさん」

 

「ありがとな、ロボ太のガンプラ作成はどんな調子だ?」

 

「ちょうど終わったとこっス、それにしても

 ロボ太くんの器用さは凄まじい代物っスね」

 

「どれどれ…おお、こいつぁ確かに凄いもんだ」

 

泰葉やミサと挨拶を交わした後にロボ太の

ガンプラ作成について尋ねると、比奈が

ロボ太の器用さへの感嘆を述べながら完成を伝える。

その言葉を聞いてカドマツが覗き込むと、素組みながらも

丁寧に組み立てられたそのガンプラに称賛の声を上げた。

 

「…プロデューサーももう少ししたらこっちに来るみたい」

 

「そっか、そんじゃ合流したらロボ太の新しいSD機体の

 テストバトルに全員であのゲーセンに行くぞ」

 

「了解!」

 

「わかりました」

 

ちょうどそのタイミングで泉のスマホに

プロデューサーからのメッセージが届き、

それを聞いたカドマツはプロデューサーの

合流後にチームメンバー全員で

イラトゲームコーナーに向かう事を告げた。




(2023/10/27加筆修正)
比奈:今回はインターミッションとして、タイガー君と
   カマセ君のその後について軽く触れましたか

P:ああ、タウンカップ編の時にカマセに関しては
 後でフォローを入れると書いたがここでそうさせてもらった

比奈:確かにそういう形になりましたね、あと2人が買ってたガンプラは
   DLCシナリオ第1弾をやった人なら分かる取り合わせっスね…
   あと前話で話題に出た「怪文書」、結構あっさりと解決させましたね

P:まぁあれはあくまで最初のきっかけだから、
 元々そんなに長引かせるつもりはなかったのでな

比奈:なるほど…と、泰葉ちゃんとミサちゃんの
   ジャパンカップ用のガンプラもここで顔見せしましたね

P:ああ、それについてもここで簡単に説明しておく…まずは泰葉機から

ガンダムティガーストライク


【挿絵表示】


アセンブル:
頭~ガンダムエクシア
胴~サザビー
腕~ガンダムヘビーアームズ
脚~ストライクガンダム
バックパック~ガンダムエクシア
格闘武器~グランドスラム
射撃武器~ビームガトリング
盾~対ビームシールド(ストライク)

ビルダーズパーツ:
メガ粒子砲×1(胴体部メガ粒子砲発射口と重ねて設置し色も統一)
GNフィールド発生装置×1(バックパックのGNドライブと重ねて設置)
腕部グレネードランチャー×1(左腕肘下裏側に設置)
角型センサー(2つセット)×1(胴体肩部近くに設置)
新型MSジョイント×1
内部フレーム補強×1
新型ポリキャップ(脚)×1

EXアクション:
フィールドリペア
スラッシュペネトレイト
メガソニック砲
フリージングバレット

バーストアクション:
ライザーソード

P:テーマとしては、エクシアベースはそのままにサーカスアイプロからの
 連想でまずはヘビーアームズを採用して…その時の「トラストテイマー」の
 特訓前イラストが虎と一緒に写ってた事から最初のタイガー機から
 サザビー胴とグランドスラム、作中で言ってた『虎』が入った異名を持つ
 パイロットと戦った機体という事でストライクを採用して…
 機体カラーは「トラストテイマー」の特訓後衣装のイメージにしてみた。
 …続けて、ミサ機の説明に移る

アザレア・ヘヴィガンナー


【挿絵表示】


アセンブル:
頭~アカツキ
胴~ヤクト・ドーガ(クェス・エア専用機)
腕~パーフェクトガンダム
脚~ローゼン・ズール
バックパック~ガンダムヴァーチェ
格闘武器~ビーム・サーベル
射撃武器~GNバズーカ(ヴァーチェ)
盾~シールド(ヤクト・ドーガ(クェス・エア専用機))

ビルダーズパーツ:
マイクロミサイルランチャー×1(バックパック)
ミサイルポッド×4(脚側面左右それぞれに2個づつ重ねて設置)
ファンネルポッド×1(腰後ろに設置)

EXアクション:
フィールドリペア
スペクトラルショット
2連ビーム・ライフル斬り上げ
フォートレスフォアブラスター

P:こっちはデフォルトのチャプター3でのミサ機「アザレア パワード」を
 ベースに、ムービーで目立つバックパック辺りのシルエットはそのままに
 ビルダーズパーツやEXアクションでより砲撃機に寄せたものにしてみた。
「フォートレスフォアブラスター」は背中の「GNキャノン」と
 射撃武器の「GNバズーカ」、そしてシールド内蔵武装の
「4連装メガ粒子砲」の一斉発射で再現するというイメージで採用した

比奈:本編でも触れましたが、見事にリージョンカップまでの
   機体と立ち位置が逆転した形になりましたね…それはそうと、
   次の話はロボ太くんがメインを張るあのステージっスかね

P:そうだな、だけど難易度別の3ステージを一緒にする為
 ボリュームは結構なものになる予定だ…次の投稿予定日が
 泰葉の誕生日でもあるし、次話はギリギリではなく
 余裕を持って投稿出来るようにするつもりだ…
 それでは、7/16にまた


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

対決、SD軍団

「どうもこんにちは、カドマツさん…それと、泰葉達も

 無事ガンプラを完成させたようだね…お疲れ様」

 

「おう、そっちこそお疲れさん」

 

「グッズショップの開店準備の様子はどうでしたか?」

 

プロデューサーが五月野模型店にやって来て

泰葉達に挨拶をすると、カドマツからの挨拶返しの後に

泰葉がグッズショップの開店準備について尋ねる。

 

「概ね好調、といった所だな…このまま順調に行けば

 ジャパンカップが開催される辺りには開店出来る見込みだ」

 

「おお、そりゃまた上手い具合にタイミングが重なりそうだな」

 

「それが実現出来たら、相乗効果で高い売り上げを叩き出すかもっスね」

 

「まぁ、今はまだ皮算用でしかないけどな」

 

それへの返答としての状況報告と開店時期の見込みを話すと、

晶葉と比奈が開店タイミングによる相乗効果への期待を口にする。

 

「…ま、その相乗効果ってやつをより確実かつ大きなものにする為にも

 早速嬢ちゃん達とロボ太の新しいガンプラの慣らし運転に行くとするか」

 

「そうですね…それじゃあ、せっかくですしプロデューサーも一緒に

 来てもらえませんか? 私の新しいガンプラを見てもらいたいですし」

 

「わかった、一緒に行かせてもらうよ」

 

「ありがとうございます」

 

そこからタイミングを見計らうように発せられたカドマツの言葉を受け、

泰葉はプロデューサーに新しく作ったガンプラの初陣を見て欲しいと告げ…

プロデューサーはその言葉に二つ返事で了承する。

 

「カドマツさんも一緒に行くんですか?」

 

「ああ、新しく作ったSD機体データに異常がないか確認の必要があるからな」

 

「なるほどね~、そんじゃ行こうか」

 

その傍らで机に置かれていたカドマツのカバンを

改めて持ち上げた姿を見て、泉が尋ねる。

それへの返答を聞いたミサが得心がいった表情で

言葉を発すると、それを合図としてアイドル達4人と

ミサとロボ太にカドマツとプロデューサーの合計8人は

五月野模型店からイラトゲームコーナーへと向かって行った。

 

~~~~~

 

「…おし、シミュレーターとの接続と設定は無事完了出来たな」

 

カドマツが持ってきたノートパソコンを、大会の時のように

シミュレーターに接続した後に各種操作等を行い…

それらが落ち着いた所で画面を確認すると安堵した様子で言葉を吐く。

 

「新機体を試すって話にしちゃ、大げさな事になってない?

 普通に3人でステージに出撃するんじゃダメなの?」

 

「他にも確認したい事があるもんでな…」

 

「わざわざシミュレーターを貸し切りにしてくれるように

 店主との交渉を頼んだのもそれが理由か、カドマツさん?」

 

「だな」

 

「…交渉の様子はこちらにも聞こえてきましたが、

 大分ゴネられた上に料金も吹っ掛け気味だったっスね…」

 

「実際このゲーセンで1番の売り上げを叩き出してるのが

 ガンプラバトルシミュレーターだって聞いた事あるし、

 それを貸し切らせて欲しいってのはイラト婆ちゃんにとって

 金儲けの機会の損失だって思ってるからだろうね…」

 

「何にせよお疲れ様でした、プロデューサー」

 

「ああ…ありがとう、泰葉」

 

その様子を見てのミサの疑問をきっかけとして、

カドマツからの大掛かりの準備の理由に続き

晶葉と比奈がシミュレーター貸し切りの為の

交渉について話し…それが一筋縄では行かなかった理由を

ミサが推測して口に出すと、その交渉で疲れた様子の

プロデューサーに対し泰葉がねぎらいの言葉をかける。

 

「ま、これからテストを始めるから出撃してくれ」

 

「わかりました」

 

「了解!」

 

会話が一区切りついた所で、カドマツが泰葉達に

テストの開始を告げる。泰葉とミサがそれに返事をすると、

ロボ太と共にそれぞれポッドに入ってゲームをスタートさせ

ガンプラをセットし登録してステージへの出撃に移行する。

 

「岡崎泰葉、ガンダムティガーストライク…行きます!」

 

「サツキノ・ミサ、アザレア・ヘヴィガンナー行っきまーす!」

 

「ロボ太、フルアーマー騎士ガンダム出る!」

 

「…さぁ行け、勇者達よ!」

 

「いや、誰がよ」

 

泰葉達3人の出撃時の口上に続けてカドマツが口にした言葉に

ミサがツッコミながらも、3人は新たな機体でステージへと飛び出した。

 

~~~~~

 

「うわー、こりゃ普段のプレイじゃ見ないステージだけど…

 もしかしてこれもテストの一環って事なの、カドマツ?」

 

「ん、まぁそういうこった」

 

「CPU機の姿が見えませんが…」

 

「泰葉さん、どうやら通常ステージのCPUボス機体の

 登場に近い感触ですぐに出て来るみたいです」

 

「承知した…油断するなよ戦士ガンキャノン、僧侶ガンタンク」

 

「何かロボ太までカドマツみたいなノリになってんだけど…」

 

「…来ました!」

 

3機がステージに降り立つと、ミサが普段のプレイでは見ない

ステージの様子に驚き…泰葉がCPU機が現れない事に疑問を示すと

泉がノートパソコンの画面を見て近い出撃パターンを告げる。

それを受けてのロボ太からの言葉に、ミサが多少呆れながら

ツッコミ気味の言葉を零すと…その直後に敵機が現れる。

 

「武者頑駄無にコマンドガンダム、武者號斗丸…相手もSDっスか!?」

 

「いやこんなの予想外過ぎるっての!」

 

「確かにその通りですが…やるしかありません!」

 

「うむ!」

 

そうして現れた敵機3機を目の当たりにして、比奈がその面々に

驚きの声を上げるとミサも同様に驚きを率直に吐き出す。

そんな中で泰葉は予想外の相手であった事には同意した上で

向かって来るならば戦うのみと決意を口にしロボ太も賛同する。

 

「…とりあえずどれを先に落とす?」

 

「見た限り緑色の…コマンドガンダムでしたか、

 それが射撃武装に身を固めていて火力が高そうなので

 まずはそれから撃破して行きましょうか」

 

「オッケー!」

 

「承知した!」

 

泰葉の発言に対して3機のうちまずどれを撃破するかを

ミサが尋ねると、普段の戦いの要領で「高火力機最優先撃破」の

戦法を取ろうと考えた泰葉は外見から高い火力を持ち合わせていると

推測されるコマンドガンダムを最初のターゲットに定めミサとロボ太も

それに賛同しコマンドガンダムに照準を定め集中攻撃を開始する。

 

「接近戦だとナイフか素手での格闘攻撃が中心になるようですね、

 射撃攻撃だと弾幕の厚さもあって結構な威力ですから

 それと比べるとダメージが抑え目で戦いやすいですね」

 

そうして泰葉機がコマンドガンダムに取り付いて格闘攻撃を仕掛けると、

射撃戦と比べて明確に火力が落ちている事に安堵の言葉を吐く。

 

だが、その時泰葉機の後方から円盤状の炎が飛んで来て

それが泰葉機に命中すると格闘攻撃の手が止まり移動も出来なくなる。

 

「!? な、何が起こったんですか!?」

 

「武者頑駄無が飛び上がって…ああっ!?」

 

突然自機が動かなくなった事に泰葉が驚きの声を上げると、

ミサがそれに続く形で刀を両手で持った武者頑駄無が

飛び上がった様子を目の当たりにした事に驚き…

その武者頑駄無の刀が泰葉機目掛けて叩き付けられると、

ダメージと共に衝撃で右腕のパーツが外れ吹き飛ばされる。

 

「重い一撃を持っていたのは奴だったか…!」

 

「よし、それじゃあ標的を切り替えるよ!」

 

「すみません、判断を誤りました…」

 

「気にしなくていいよ、初見の相手じゃわからないのも仕方ないし」

 

「うむ、それにダメージを負ってもまだ戦えるのならば問題ない」

 

「…ありがとうございます」

 

武者頑駄無の一撃を見て最優先ターゲットを切り替えるミサとロボ太に、

泰葉は自分の判断ミスへの詫びを口にする。それに対してミサもロボ太も

泰葉に気にしないようにと声をかけるとそんな2人に感謝を返す。

そうして右腕を再接続した泰葉も再び武者頑駄無に接近し、3人で攻撃をしていく。

 

「先程の一撃は薙刀を構えた姿勢から繰り出された、

 動きを見て側面に回り込めば回避出来ると思われる」

 

「わかりました」

 

ロボ太から武者頑駄無が先程繰り出した一撃の

準備モーションについて伝えられ、それを参考に

相手の動きを見て的確に回避した上で集中攻撃を

浴びせる事で武者頑駄無の撃破を成し遂げる。

 

「よし、まず1つ!」

 

「次は…やはりコマンドガンダムでしょうか?」

 

「だねー、武者號斗丸は突進攻撃の当たり判定の広さや

 火の鳥の追尾性能の高さがあるけど基本的に格闘攻撃だけだし

 射撃も出来るコマンドガンダムの方が厄介と言えるからね」

 

「なるほど、承知した!」

 

武者頑駄無の撃破から次の標的をどちらにするか泰葉がミサに尋ねると、

武者號斗丸が攻撃の命中率こそ高いものの基本的に格闘攻撃のみ故

射撃も可能なコマンドガンダムを優先する事を提案しロボ太も賛同する。

そうして最初に立ち回ったように泰葉とロボ太が一気に取り付いて

格闘戦に持ち込む事で相手も格闘攻撃主体にさせ、そこにミサ機の

射撃武装各種を叩き込む事で一気に沈め…最後に残った武者號斗丸が

狂化を発動したものの、間合いを取っての射撃戦を軸として立ち回り

相手の動きをしっかりと見て的確に攻撃を回避し撃破を成し遂げた。

 

「ふー…驚かされたし相応の強さもあったけどなんとか倒せたね」

 

「おっと、こいつらだけで終わりとは言ってねぇぞ?」

 

「え?」

 

「…新しい敵部隊を確認したぞ!」

 

武者頑駄無達3機のSDを倒した事でミサが安堵の声を上げると、

カドマツがまだ終わりではない事を告げる。そうして晶葉が

新しい敵の登場を確認すると、先程とは違うSD3機が現れた。

 

「今度は二代目頑駄無大将軍に闇将軍、それに魔竜剣士ゼロガンダムっスか」

 

「射撃型と思われる機体が2機ありますが…見た限りですが格闘武器が

 備えられていない闇将軍をまずは攻撃してみましょうか」

 

「わかったよ!」

 

「心得た!」

 

第2陣として現れたSD機体3機を見て比奈がそれぞれの名前を口にすると、

泰葉が外見から格闘攻撃の威力が乏しいと判断した闇将軍を標的に定め

再び泰葉とロボ太が取り付いて格闘攻撃を繰り出すと共にミサが砲撃で

援護する…という布陣で着実に闇将軍の耐久力を削っていく。

 

「よーし、順調順調…うわっ!?」

 

闇将軍の耐久力が着実に減っている状況にミサが余裕の声を上げていると、

死角から照射ビームを放たれ…オプション武装の「GNフィールド」が

ゲージ切れの為に展開していなかった為にまともに喰らってしまい、

被弾によって「GNキャノン」による照射攻撃も止められてしまう。

 

「ミサさん!?」

 

「今止めに行く…うおっ!?」

 

ミサの攻撃が止まった事で後ろを振り向いた泰葉とロボ太が、

照射ビームの発射元を二代目頑駄無大将軍と確認すると

攻撃を止める為にターゲットを切り替え移動を試みる。

だがその瞬間、泰葉とロボ太の後方からSD軍団第2陣の

最後の1機である魔龍剣士ゼロガンダムが稲妻を纏って

高速で突進し…ロボ太が巻き込まれ泰葉と引き離されてしまう。

 

「ロボ太さんまで…!」

 

あっという間に3機が分断された事に焦りの声を上げる泰葉。

その為に足が止まっている事を見逃さないかのように、

闇将軍から弾速の遅い重力弾が放たれ滞空したそれに引っ張られる。

 

「わわっ!?」

 

だが完全に捕まる前にブーストを全開に吹かして前方に移動する事で

何とか振り切る事に成功し、何とか再合流を果たすとEXアクション

「フィールドリペア」で回復した上でSD機体3機を視界に捉えられる

立ち位置を取る為に移動して仕切り直す為に改めて言葉を交わす。

 

「頭数減らしの為とはいえ、視野が狭まってしまっていたか」

 

「ですね…私がスタン付与も可能な全体攻撃EXアクションを

 持っていますので、それで足止めした上で1機に攻撃を集中し

 その上で他2機の動きにも目を配って不意の被弾を避けましょう」

 

「わかった、それじゃあ改めて行きますか!」

 

ミサの返事を皮切りに、まずは泰葉がEXアクション「フリージングバレット」を

放って3機にダメージを与えると同時にスタンさせ…そこから続けてまずはロボ太が

「炎の剣」を振るって扇状に5発の火炎弾を放ち、さらにミサがEXアクション

「フォートレスフォアブラスター」を使用して4連照射ビームを放ちながら

機体を反時計回りに旋回させビームで薙ぎ払うように3機にダメージを与える。

その後は重力弾による拘束が厄介と判断し最初に標的にしていた闇将軍に

改めて集中攻撃を叩き込んで撃破し、続いては残った2機のうち射撃攻撃を持つ

二代目頑駄無大将軍を標的に定めて落とし…最後に残った魔龍剣士ゼロガンダムも

間合いを取っての射撃戦を主軸としつつ高速突進攻撃は的確に回避し、

最初こそ苦戦したものの最後には危なげなく勝利を収める結果となった。

 

「はー…予想以上にキツかったけど何とかなったかぁ」

 

「おし、良い調子で進んでるな…もう一丁行くぞ」

 

「またー!?」

 

ミサが第2陣の無事撃破に安堵の言葉を漏らした直後に、

カドマツから第3陣の登場を告げられ不満の籠った叫びを吐く。

その直後に、また新たなSD機体3機がフィールドに降り立った。

 

「今度は武者飛駆鳥と騎士ユニコーンに、龍鳳ストライク劉備の

 取り合わせっスか…今回は比較的新しめのやつも出ましたね」

 

「ま、せっかくだから古いやつだけじゃなく新しめなのも入れようと思ってな」

 

第3陣の面々を見ての比奈の感想に、カドマツが返事をする。

そんな最中、泰葉達は最初に狙う機体をどれにするか考えていた。

 

「あの金色の鎧を纏った武者…名前や外見からして、おそらく

 V2アサルトバスターがベースと思われますが合ってますか?」

 

「うん、合ってるよ…泰葉ちゃんも大分ガンダム知識を身に着けたねぇ」

 

「そうなると火力に加えて機動力も高いと推測されます、

 翻弄される前に真っ先に落としてしまいましょう」

 

「オッケー!」

 

「承知した!」

 

3機のうちの金色の鎧に身を包んだ武者を見て、名前と合わせて

モデルとなったモビルスーツを泰葉が推測するとミサがその推測が

当たっている事を泰葉のガンダム知識の習得ぶりへの賞賛を添えて告げる。

それを聞いた泰葉はモデル機体から火力と機動力の高さを推測し、

最初の標的とする事を告げミサとロボ太も賛同し追従する。

第2陣の時の苦戦から学習し相手3機を視界に収められる立ち位置を

保ち他2機も巻き込んでスタンさせながら武者飛駆鳥に攻撃を集中させるが、

スタンが解けた一瞬を見計らったかのように龍鳳ストライク劉備が仕掛けて来た。

 

「うおっ!? う…動けんっ!」

 

「うわっ、私も!?」

 

「すみません、私もです…!」

 

龍鳳ストライク劉備がこれまで放っていた照射ビームとは異なる

黄色の照射ビームがほぼ一直線に並んだ状態となった泰葉達の機体を

3機まとめて撃ち抜き、それによってスタンさせられた泰葉達は

続けての突進からの一閃で3機まとめて斬り付けられ…

斬り付けられた後も僅かながらスタン状態のままだった所に

武者飛駆鳥の抜刀から放たれた高速の円盤状の炎をミサが、

騎士ユニコーンが剣を真上に掲げた後に泰葉達の上空から

降り注ぐ雷の刃の雨を泰葉とロボ太がまともに喰らう事となった。

 

「ううん…また危険な相手を見誤ってしまいました」

 

「いやぁ、さっきも言ったけど初見の相手の行動を完璧に予測するなんて

 まず無理な話だし泰葉ちゃんに非はないよ…気にしないで?」

 

「うむ、手痛いダメージは負ったがこうして生き残れたならば

 失敗を糧により良い戦い方が出来るというものだ」

 

「…本当にありがとうございます、2人とも」

 

第1陣の時のように危険な相手を見誤ってしまい、

全員が手痛いダメージを負ってしまった事で

少々落ち込み気味に言葉を吐く泰葉。

そんな泰葉にミサは気に病まないように、

ロボ太は失敗を糧にするようにと言葉を返し

泰葉はそんな2人に再び感謝の言葉を返す。

 

その後3人は標的を龍鳳ストライク劉備に定め、

一斉に攻撃を仕掛けるが…一筋縄では行かなかった。

 

「ぐ…凍り付いただと!?」

 

「あの剣、ブライクニル属性付きってこと!?」

 

「連続で斬られなければ問題ないですが、警戒は必要ですね」

 

ロボ太が龍鳳ストライク劉備の連続斬りを受けた事で

凍り付いてしまった事に驚くロボ太とミサ。

それを見て泰葉は適度に警戒しつつも攻められる時には

果敢に攻めて行き、何とか龍鳳ストライク劉備を撃破する。

続いて初見で警戒した機動力の面はそれほどではなかったものの

照射ビーム射撃と弾速及び追尾性能に優れた円盤状の炎を始めとする

遠距離攻撃手段に長けた武者飛駆鳥を倒し、最後に残った

騎士ユニコーンは射撃攻撃こそ1つだけながら射程が長く

範囲攻撃である事を鑑みてあえて接近戦を挑む事で複数敵機への

攻撃手段を封じるという策を取り、安定した立ち回りで倒す事が出来た。

 

「はあぁ~、もう本当に疲れたよぁ」

 

予想だにしなかったSD機体合計9機との戦いが終わった事で、

溜め息と共にありありと疲れを感じさせる言葉を吐くミサ。

 

「む、階段の頂上に出口が開いた模様だ」

 

「え? そうなるとまだ続きのマップがあるという事ですか?」

 

「ちょっとぉ! いつまで戦わせるつもりなの!?」

 

そこに階段の頂上に開かれた次のマップへの入り口を

ロボ太が発見し、泰葉が続きのマップがある事を

カドマツに尋ねるとほぼ同時にあまりの連戦ぶりに

怒りの混じった声色で抗議の声を上げるミサ。

 

「まぁまぁ、次のマップが今回のボスだからもうひと踏ん張り頼むわ」

 

「全くもー…」

 

「仕方ありません、今は終わらせるために進みましょう」

 

それに対して次のマップで終わる事をカドマツが伝えると、

ミサは不満を隠す気のない表情と声で一言愚痴を零し

泰葉はそんなミサに声を掛けながら階段を上って行った。




比奈:何とか泰葉ちゃんの誕生日に間に合ったっスね

P:いやぁ、本当は前話の後書きで言ってたようにもっと余裕を持って
 投稿したかったんだが…また急に仕事が忙しくなっちまってな

比奈:ま、それでも何とか予定には間に合わせたと前向きに受け止めましょう

P:…だな

比奈:そんでもって内容についてっスが…いきなり該当ステージの
   クリア後の解禁SD機体の1つを先んじて出すとは

P:ゲーム中の該当ステージ開始前デモで、作中でも書かれてたように
 ロボ太が騎士ガンダムを組み立てる場面があったんだが…
 ここまでの大会用で使われていた騎士ガンダムはこの作品でも
 そう書いたんだが事前にカドマツ達ハイムロボティクスが
 用意してたんだろうと思っててな…その状態で改めて
 同じキットを作るよりはこっちの方が自然に思えてああしたんだ

比奈:ふむふむ…そしてバトルシーン、予告通りに「HARDCOREまで」
   「EXTREAM」「NEWTYPE」の3パターンのSDチーム3組全てとの
   連戦として書かれましたか…結構SD側も頑張ってましたね

P:これも作中でも書いたが、初見の相手という事で脅威となる機体を
 見誤るだろうと思ってEX技をまともに喰らってしまうという
 描写を入れたいなと閃いたからな…おかげでこちらも疲れたが

比奈:お疲れ様っス…

P:さて、次話はこのステージのボス戦になります。
 上手い事会話とバトルのバランスを取って読み応えのある
 話にするよう努力しますのでお待ち頂ければ…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

勇者と魔王と2機の機兵

泰葉達がSDガンダム計9機と戦った場所から

奥に続いている階段を上った先に開かれた扉に入ると、

城の玉座と思しき所に移動し…そこに居た2本の角を頭から生やし

ローブを纏ったような外見の三種の神器に身を包んだ騎士ガンダムを

ゆうに上回る大きさであり泰葉とミサが操るガンプラよりも大柄な

「それ」が振り向くと、額や口元に目といった部分はガンダムを思わせる

風貌でありながら威圧感を感じさせる目付きで泰葉達を見ながら声を上げる。

 

「何だお前は?」

 

表情同様に威圧感を感じさせる声による「それ」の発言に対し、

ロボ太は怯む事なく「フルアーマー騎士ガンダム」を

「それ」に向けて一歩踏み出させながら返答する。

 

「私の名はガンダム!」

 

「ガンダム?」

 

「そうだ、貴様と同じ名前…

 私は自分の名前以外何も知らない、

 何故貴様と同じ名前なのかも知らぬ…

 しかし、貴様のやっている事は許せん!」

 

「いや、何でまた昔のSDアニメの再現してんの?」

 

「そうなんですか?」

 

「SD関係の情報を調べた時に存在してた事は確認しましたが…

 アレって30年程昔の作品っスよね、ミサちゃん見た事あるんスか?」

 

「あー、一応10年くらい前にアニメ化されたほぼ全作品を収録した

 DVDボックスが発売されててね…父さん達の学生時代はSDシリーズが

 ガンダムを牽引してた時代だった事もあって買ってたから見た事あるんだよね」

 

「…となるとカドマツさんもユウイチさん達と年齢が近いと

 聞いていたから、おそらくほぼ同世代という事になるか…」

 

ロボ太と「それ」の会話を聞いていたミサがツッコんだのをきっかけに、

泰葉や比奈や晶葉が質問をしたり過去の発言から思案をしていると…

 

「小賢しい! ザコは引っ込んでいろ!」

 

「うわぁっ!」

 

「それ」が左手に持つ先端にドクロを飾り付けた杖から

球状の電撃が放たれ、ミサの「アザレア・ヘヴィガンナー」に

直撃し大きく吹き飛ばされ背後の壁に激突し尻餅を付く形で落下する。

 

「僧侶ガンタンク!」

 

「だから違うっての!」

 

「貴様は勇者の名を汚すもの…消えてなくなれ!」

 

それを見てのロボ太の発言へのミサのツッコミの直後に

ロボ太が「それ」に対して啖呵を切ったのを合図代わりに、

泰葉達3人と「それ」との戦いが始まった。

 

~~~~~

 

「強い者が弱い者を滅ぼす、それが当たり前の世界だ!

 勇者も魔王も変わりあるものか! 『伝説の勇者』が

 ガンダムならば、それは闇の力でこの世を支配する私の事だ!」

 

「そんな事があるものか! 正義の力で

 皆を幸せにするのが、『真の勇者』だ!」

 

「いや、再現に気合入れ過ぎでしょ…」

 

「耐久力ゲージの上に書かれている『サタンガンダム』と

 いうのが、今回の標的の名前でしょうか?」

 

「そうっスそうっス、いわゆるRPGゲームにおける

『ラスボス魔王』の立ち位置のキャラっスね」

 

「攻撃手段は、落雷や拡散して地を這う稲妻といったところですね」

 

「拡散して地を這う稲妻はそれほど威力が高くなく

 比較的避けやすいので何とかなりますが、着弾位置を

 指定してから放たれる落雷の威力が高いですね…

『GNフィールド』を展開していても結構ゲージを削られますし」

 

「バリアに頼り過ぎずしっかりと回避していく事が大事になるな」

 

「…泰葉ちゃん達、順応性高過ぎない?」

 

戦闘開始直後のサタンガンダムとロボ太のやり取りに

再びミサがツッコミを入れると、それに続く形で

泰葉達は標的の名称や攻撃手段の確認の後に

対応策を考慮するという普段のガンプラバトルと

変わりないやり取りを行っており…そんな様子に

感心したような呆れたような声をミサは漏らしていた。

 

「芸能界…特にアイドル世界って、アドリブでの

 対応力が求められる場面が結構多いもので…

 私は苦手な身だったけど、アイドルになって

 色々活動する事で身に着けたって所ですね」

 

「そうっスね、それにこれはゲームなんでスし

 一々ツッコむより楽しんだ方がお得っスよミサちゃん」

 

「…だね、それじゃあ魔王に異世界の機兵の力を見せちゃいますか!」

 

それに対しての泰葉の返答と比奈からの「楽しんだ者勝ち」といった

言葉を受け…ミサもある意味腹を括ってサタンガンダムへの攻撃を

本格的に開始し、3人の連携で着実に耐久力を削っていく。

 

~~~~~

 

「…よし、動きが止まったぞ!」

 

そんな最中に、ダメージの蓄積の影響か立ちくらみのような動きを見せて

足が止まったサタンガンダムにロボ太の発言を合図に3機が一斉に取り付き

格闘武器による連撃を叩き込んでさらに大きく耐久力を削っていく。

しばらくして再び動き出したサタンガンダムが身をかがめるような

姿勢になると、周囲に漆黒のオーラが凝縮していくように集まり

それに引っ張られて行くのを泰葉達は感じ取っていた。

 

「機体が吸い寄せられる…!?」

 

「ぬぬっ…!」

 

「ちょ、ちょっとこれマズくない!?」

 

「そうっスね…ブースト思いっきり吹かせて

 何とか振り切って下さいっス!」

 

泰葉達の焦りの言葉に続く形で告げられた比奈からの言葉を聞いて、

ロボ太は背を向けて全力で走り泰葉とミサはそれぞれブースト全開で

後退する事で何とか吸引を振り切り…それから間もなくサタンガンダムの

周囲に先程凝縮されていたオーラが発散される形で放出されていた。

 

「あれに巻き込まれていたら只では済まなかったろうな…」

 

「とは言えダメージを負う事なく行動パターンを知れたのは

 良かったです、あの動きを見たら全力で間合いを取りましょう」

 

「だね」

 

吸引攻撃を無事回避出来た事に3人とも安堵の声を吐きつつ、

その攻撃も警戒した立ち回りを泰葉が提案していく。

そこからも堅実さと大胆さを兼ね備えた立ち回りをしつつ

攻撃を積み重ねる事でサタンガンダムの残り耐久力が後僅かとなり…

 

「よし、一気に決めちゃうよ!」

 

「うむ!」

 

「わかりました!」

 

ミサの言葉とそれに対する2人の返事を合図代わりに

ミサがEXアクション「フォートレスフォアブラスター」を、

ロボ太は光の矢をサタンガンダムに向けて放ち…

泰葉はEXアクション「スラッシュペネトレイト」を発動し、

ミサの一斉砲撃の光の中から現れる形でサタンガンダムを切り裂く。

 

「ウオオオオオオオオ!!」

 

「悪よ、滅びろ!」

 

サタンガンダムの耐久力を0にした事で響く断末魔と

それを見たロボ太の言葉を背に受ける形で、トドメを差した泰葉は

普段はブースト等でキャンセルする斬撃後の決めポーズも

最後まで出し切るという倒したからこその余裕を見せていた。

 

「やりました…!」

 

「いや、悪いけどこれで終わるとは思えないよ…」

 

「え!? そういえば、倒したはずなのに爆発して消滅していませんね…」

 

喜びの声を上げる泰葉に、ミサは自らの知識から

まだ終わっていない可能性を告げると泰葉は驚きながらも

普段の敵機撃破時とは異なる状況である事を確認する。

 

「フッフッフッ…ハッハッハッハッハ…」

 

前のめりに倒れ込んだサタンガンダムから笑い声が響くと、

吸引攻撃の時のような漆黒のオーラに包まれながら立ち上がり…

そのオーラが弾けるように散ると、頭部と身体のローブ状の部分が

展開して姿を大きく変貌させ…耐久力ゲージがフルになると同時に

名前の部分が「サタンガンダム」から「ブラックドラゴン」に変わっていた。

 

「ハーッハッハッハッハッ!! 愚か者!!」

 

「変形…いや、変身した!?」

 

「やっぱり来たかぁ…!」

 

「くそっ…生きていたのならば、また戦うだけだ!!」

 

ブラックドラゴンの高笑いと泰葉の驚きの声、

ミサの予感が当たった事への反応とロボ太の決意の言葉を

皮切りにブラックドラゴンとの第2ラウンドが開始される。

 

~~~~~

 

「攻撃手段はサタンガンダムの時と変わらんか…む?」

 

「右手から追尾性能の高い電撃弾を放ってますね」

 

「しかも下がりながらの引き撃ちスタイルっスか…」

 

「確かに避けにくいですが、射撃戦なら私とミサさんは

 むしろ歓迎と言えますのでチャンスでもありますね」

 

「だねー、その代わりロボ太にはちょっとキツめだけど」

 

「心配はない、こちらも飛び道具は備えているからな」

 

ブラックドラゴンに変身してからの攻撃パターンを観察し、

サタンガンダムの時と同じと思った瞬間に初見となる攻撃を

放った所を見ての晶葉・泉・比奈の発言を聞いた泰葉は

むしろ射撃戦であればこちら側が有利になると判断し…

ミサの照射ビームやミサイルとファンネルの同時攻撃と

ロボ太の光の矢による射撃に加えてガトリングとミサイルと

グレネードの弾幕や胸部からの照射ビームによる射撃を

ブラックドラゴンに叩き込んでダメージを積み重ねていく。

そうした最中、ついに泰葉の覚醒ゲージが満タンとなり…

 

「覚醒を使います! 一気に決めましょう!!」

 

「了解!」

 

「承知した!」

 

泰葉の宣言に対してのミサとロボ太の返事を合図に、

泰葉は「覚醒」を発動させる。そこから泰葉とミサが

オプションの射撃武器やEXアクションを放てるだけ放ち、

ロボ太は光の矢による射撃と炎の剣を振るっての

火炎弾発射でブラックドラゴンに総攻撃を仕掛ける。

そうしてミサがメイン射撃武器「GNバズーカ」と

ほとんどのオプションとEXアクションの射撃攻撃を

使い切り、唯一ゲージを残しているオプション武装の

「ダブル・ビームガン」での射撃をしながらブーストを吹かして

ブラックドラゴンへと向かって行きロボ太も追従する。

そこから2人がブラックドラゴンに取り付くと…

 

「せい、やぁっ!」

 

ミサがEXアクション「2連ビーム・ライフル斬り上げ」を

発動して袈裟斬りによる振り下ろしと斬り上げの2連撃を叩き込み、

 

「はぁっ!」

 

ロボ太がブラックドラゴンに取り付いた状態で

炎の剣を振るい斬撃と火炎弾5発を同時に命中させ…

 

「これで…終わらせます!」

 

2人から少し離れた位置の泰葉が、バーストアクション「ライザーソード」を

発動させて大上段に構えた「グランドスラム」から形成された桁外れの長さと

大きさのビーム刃を振り下ろしブラックドラゴンを真っ二つにせんと叩き付ける。

 

「これで勝ったと…思うなよぉぉぉ!!」

 

3種の斬撃(+α)をその身に受け、耐久力ゲージが0になったブラックドラゴンは

ふらついた直後に爆発したかのような激しい光に包まれ…その光の中に

ブラックドラゴンの影が見えると崩れながら光と共に消滅していった。

 

「ようやく、ですね…」

 

「いやホント…」

 

「さぁ、帰還するぞ!」

 

ブラックドラゴンの消滅後、ついに表示された”MISSION COMPLETE”の

文字を見て泰葉とミサは疲労と安堵を感じさせる言葉を吐き…

ロボ太は2人とは対照的に生き生きとした声を発していた。

 

~~~~~

 

「ちょっとカドマツ! 新しいガンプラ1機の稼働テストに

 対してバトルのボリュームが過剰過ぎだっての!」

 

「誰も新しく使えるようになったロボ太用の

 SD機体が1つだけとは言ってねぇぞ?」

 

「へ?」

 

シミュレーターのポッドから出て来たミサが全力で

カドマツに食って掛かる勢いでバトル回数にツッコむと、

カドマツは前にも見せた悪戯を企んでいる感と

得意気さの混じった表情を見せながら言葉を返す。

 

「今回ロボ太が使った『フルアーマー騎士ガンダム』に加えて、

 最初に戦った『武者頑駄無』『コマンドガンダム』『武者號斗丸』

『二代目頑駄無大将軍』『闇将軍』『魔竜剣士ゼロガンダム』

『武者飛駆鳥』『騎士ユニコーンガンダム』『龍鳳ストライク劉備』の

 合計10機のSD機体が新しく使えるようになったって事だ」

 

「な、なんつーボリュームっスか…」

 

カドマツからサタンガンダムの前に戦ったSD機体9機も

ロボ太用に使用可能になったと告げられ、比奈は思わずたじろぐ。

 

「『サタンガンダム』と『ブラックドラゴン』は使えないのか?」

 

「ああ、悪いがそいつはボス用に作ったからな」

 

「沢山の機体が使えるようになったのは良いんですが…

 大会だとさすがに持て余しませんか?」

 

「あー、実はルール上は1戦ごとに使用ガンプラを変更する事が

 認められてるんだわ。泉と晶葉の嬢ちゃんが加わる前の話だが、

 タウンカップで新入りが『予選は通常サイズ→決勝でPG』って

 やってただろ? そいつが許されたのもこのルールの為って訳だ」

 

「なるほど…」

 

「戦う相手からしたら、常に初見殺しをされうるって事かぁ…」

 

「残念ながら新しく作られたSD機体データの動きや攻撃は、

 公平性を期す為にって理由でガンプラバトルシミュレーターの

 公式HPやSNS・動画サイトの公式アカウントで動画が

 公開されてるから完全な初見殺しとは行かないだろうな」

 

「そっかぁ…ま、それでも動画で見るのと実際に戦うのじゃ

 感覚の違いは生じるだろうし有利は取れるだろうね」

 

そこから続いて晶葉から質問がされ、それに答えると次は泉が抱く危惧と

それに関するルールの説明を聞いて泰葉が過去の事態から納得し…

こちらだけが使える新規機体が一気に増えた事で「初見殺し」の可能性を

考えるミサの言葉に対してカドマツから運営による公平性維持の為の

SD機体データ公開についての話を返事代わりにミサに話した。

 

「…悪ぃが今日はここらで帰らせてもらうわ、

 今回のステージ作りで徹夜しちまって眠いんでな」

 

「あそこまで再現する為に徹夜したっての!?」

 

「カドマツさん、私も人の事は言えませんが

 あまり無茶はしないで欲しいっス…」

 

話に一区切りが付いた所で、カドマツが眠そうな顔になって

今回のステージ作成の為に徹夜した事を告げるとミサは驚愕し…

比奈は理解を示しながらも無理しないようにとカドマツに告げた。

 




P:ううむ、仕事の忙しさもあるが以前から興味があった
 とある無料ゲームにハマってしまってまたギリギリになってしまった…

比奈:…まぁ何とか予定日のうちに投稿は出来てまスから

P:…すまんな

比奈:と、それはさておき…色々とセリフを追加したり変更したりしつつも
   ゲーム本編の流れを再現しつつサタンガンダム&ブラックドラゴンの
   攻撃を一通り描写出来たのでPとしては満足っスかね?

P:だな…それとサタンガンダムへのトドメ時に「スラッシュペネトレイト」の
 決めポーズをあえてキャンセルしなかったとかブラックドラゴンへのトドメの
 3人それぞれの斬撃を叩き込むシーンも書きたかったので満足してる

比奈:それなら良かったっス…と、次の話はある意味ガンブレ3を代表すると
   言っても過言じゃない「あの叫び」が炸裂する事件っスね…

P:ああ…この「ジャパンカップ編」のサブタイトルに書かれている
「2つの事件」の1つ目になるな…その辺りも含めて上手い事
 書けるかどうかは不明瞭ですが最大限努力しますので
 楽しみにしてもらえれば幸いです…それでは、次の話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ウィルス駆除バトル

「お邪魔します、ミサさん」

 

「いらっしゃい、泰葉ちゃん達! …ってちょっとカドマツ、

 泰葉ちゃん達が来たってのに無視してんじゃないっての!」

 

多くのSD機体とのバトルという形でロボ太用の新機体データの

テストを行った数日後、泰葉達一同の元にロボ太によって

先日の新機体データの元となったSDキットの制作が

全て完了したという報告を受けて五月野模型店を訪れた所…

先に来ていたカドマツが泰葉達の来訪にも気付かない様子で

タブレットの画面を食い入るように見ていた事に対して

ミサが全力の大声でカドマツを怒鳴りつけていた。

 

「…ああ、悪ぃ悪ぃ。ちょいとばかしこっちにも影響が出そうな

 世界規模のトラブルが発生してるってニュースがあったもんでな」

 

ミサの怒鳴り声に反応する形で泰葉達の方を向いて返事をした後に、

カドマツが先程まで食い入るように見ていたものについて説明する。

 

「世界規模のトラブルかつ、こちらにも影響がありそうなもの…ですか?」

 

「ああ、俺が説明するより見た方が早いだろうからとりあえず見てくれ」

 

カドマツの説明を聞いての泰葉の疑問に対し、カドマツは先程まで

見ていたニュースサイトが表示されているタブレットの画面を泰葉達に見せる。

…そこに書かれていたニュースは、世界規模で感染が拡大している

新型のコンピュータウィルスについてのもので…その記事によると、

特にワークボット等の自立型ロボットに対して強く効果が表れるという

説明がされており…それを見た泰葉達は、1体のロボットを思い浮かべていた。

 

「ワークボットみたいなロボットに致命的な影響を与えるって…

 これ、インフォちゃんが感染したらとんでもない事になるって事?」

 

「記事の内容からするに、おそらくその通りになるだろうな」

 

「でしたら早い所確認した方が良いですね…もしあのゲームセンターが

 営業出来なくなったらミサさんに負担を強いる事になってしまいますし」

 

「そうっスねぇ…彩渡市内というか駅や商店街から徒歩で行ける

 現実的な範囲内での唯一と言っていいシミュレーター設置店舗っスから」

 

「そうなると俺にとっても不便になっちまうな…全く、はた迷惑なこった」

 

「まぁ、まだインフォが感染していると決まった訳ではないが…

 早急に状況確認すべき事柄なのは間違いないな」

 

「そうだね、今はチームメンバーとスタッフが全員集結している

 格好の状況だし…早速だけど行こうか、プロデューサー」

 

「そうだな、来て早々だけど向かうとするか」

 

問題のウィルスがインフォに感染していた場合の最悪の事態を

思い浮かべた一同の中で、泉がチームメンバーとスタッフの全員が

集合しているという格好の事態を鑑みて今すぐにイラトゲームコーナーに

全員で向かう事をプロデューサーに提案する。その提案に対して

プロデューサーも賛同し、泰葉達とミサ・カドマツ・ロボ太を含めた

一同は早々に五月野模型店からイラトゲームコーナーに向かって行った。

 

~~~~~

 

そうして一同がイラトゲームコーナーの近くまでやって来たその時…

 

ガシャァン!

 

「いい加減にしないかい! …うぉっ!?」

 

派手な破壊音の後にイラトの怒鳴り声が響き、

その直後に危険回避を思わせるイラトの声が響くと

店の入り口から逃げるようにその姿を現していた。

 

「どうしたのイラト婆ちゃん!?」

 

「このタイミングであんたらが来てくれるなんて

 まさに地獄に仏だよ…とにかくこっちに来な!」

 

「え!? うわわわわっ!」

 

そんな様子を見てミサが真っ先に駆け寄って声を掛けると、

イラトは渡りに船といった反応の直後にミサの手を掴んで

引っ張り込むように店内へと再び戻って行った。

 

「…私達も行きましょう!」

 

眼前で起こった事態に一瞬呆気に取られていた一同だったが、

泰葉がすぐに気を取り直してミサとイラトを追って

店内に向かったのを皮切りに他の面々も一斉に店内へと入っていく。

そうしてイラトゲームコーナーの店内に入った一同が見た物は…

 

「うわ、何これ!? 店内の筐体や自販機にベンチやポスターや

 ポップが壊されてるだけじゃなくて壁に大穴開けられてるよ!」

 

「ガンプラバトルシミュレーターだけは無事みたいですが…」

 

「あの赤色の目、どう見ても暴走してるっスね…」

 

「一足遅かった、という事か…」

 

「何をするにしてもまずは止めなきゃだけど、

 真正面から接近するのは危険だろうしどうすれば…」

 

「曲がりなりにも相手はロボットだからなぁ…

 やろうと思えば人間を上回る力も出せるだろうし」

 

派手に破壊された店内と明らかに危険な様子のインフォを見て

ミサや泰葉達が思い思いの感想を口にしている中、

カドマツはイラトに質問を投げ掛ける。

 

「婆さん、いつからこんな事態になったんだ?」

 

「ついさっきからだよ! 店を開いていつも通りに

 掃除をさせてたら急に暴れだしてさ…」

 

カドマツの質問に怒りや焦りがにじみ出るような

口調と声で捲し立てるように返答するイラトを横目に、

ミサはインフォの正面に立って声を掛ける。

 

「一体どうしたってのインフォちゃん!?」

 

「うるさいペチャパイ」

 

「何ぃっ!?」

 

「アップルパイにはアップルが入ってますが

 ペチャパイには何が入ってるんですか?」

 

「何も入ってねーんだよぉぉぉぉぉっ!!」

 

「ちょ、ちょっとミサちゃんっ!?」

 

ミサからの言葉に対し余りにも的確かつ一切の容赦無しに

ミサのコンプレックスを刺激する発言を返すインフォの前に、

ミサが涙声気味の叫びを上げながらインフォに突撃しようと

しているのを見た一同は慌ててミサを押さえ込みに向かう。

 

「やめろミサ! 今のインフォに真正面から

 突っ込むのは自殺行為としか言えんぞ!」

 

「はーなーせー! インフォちゃんを壊して私も死ぬぅぅぅっ!!」

 

「落ち着け! ペチャパイ如きで命を粗末にするな!」

 

「いやカドマツさん追い打ちかけてどうするんスか!?」

 

「馬鹿な事言わないで下さいっ!!」

 

「…ご、ごめん…」

 

カドマツとプロデューサーの男性陣2人を中心とした

一同に抑え込まれてもなお暴れながら喚いているミサだったが、

ミサの真正面に移動し向き合った泰葉からの怒声を浴びせられた事で

暴れるのを止めた後に申し訳なさそうな声で詫びを入れる。

 

「ありがとな、泰葉の嬢ちゃん…さて、ようやっと

 インフォの復旧作業に移れるが…婆さん、

 インフォのバックアップデータは取ってあるか?」

 

「んな面倒な事してねぇよ」

 

「おいおい…そんじゃフォーマットせざるを得ねぇぞ」

 

「え、そうなったらインフォちゃん今までの事全部忘れちゃうんじゃ…」

 

「そいつぁ勘弁だよ! また1から仕事覚えさせろってのかい!」

 

「ま、開発者の立場としても出来る限り初期化は避けたいからな…

 別に考えてた手段がある、そいつを試してみる事にするよ」

 

ミサが落ち着いた事に安堵したカドマツが

インフォの復旧作業に取り掛かる為にイラトに

バックアップデータの保管について尋ねると、

あっさりと行っていないと返された事で

困った表情で初期化せざるを得ないと告げる。

それを聞いたミサとイラトは拒絶反応を見せるが、

その反応も予想の範疇と言わんばかりに

バックアップデータ使用やフォーマットとは

異なる形のウィルス駆除手段を試すと話した。

 

~~~~~

 

「よし、インフォの主電源を落とす事に成功した…

 囮役を引き受けさせちまってすまねぇな」

 

「気にしないで下さい…それで、これからどうするんですか?」

 

「ウィルス駆除の為の下準備だ、ちょっと待っててくれ」

 

泰葉達やプロデューサーがインフォの正面に立って

声を掛ける事で注意を惹いている所にカドマツがインフォの

死角から近寄って背後を取り主電源を落とすという作戦が

上手く決まり、休止状態のインフォを抱えたカドマツが

泰葉達に礼を述べるとそのままインフォをシミュレーターの

近くまで引っ張って行った後にカドマツのカバンから

普段使っているノートPCを始めとした色々な部品を取り出し

インフォやシミュレーターに接続をしていく。そして…

 

「…おし、接続完了だ」

 

「インフォちゃんの後頭部のコネクタとシミュレーターを

 接続させたみたいっスが…一体何をするんスか?」

 

「ひとまず泰葉の嬢ちゃん達ファイター勢は

 シミュレーターに入って普段のプレイと同じように

 ガンプラのセットと出撃準備をしてくれ、

 詳しい説明はおいおいしていくから」

 

「状況が状況ですし、ただ遊ぶだけじゃない…って事ですよね?」

 

「ああ」

 

「まぁそれはわかるけど…一体何をしようっての?」

 

「さっきも行ったが詳しい説明はおいおいしていく、

 今はとにかくシミュレーターに入って準備をしてくれ」

 

「仕方ないなぁ…わかったよ」

 

ケーブルを通してインフォとシミュレーターが接続されると、

カドマツは泰葉達3人にシミュレーターに入るように促す。

それを聞いてミサが一体何をするのかを尋ねるが、

カドマツから追い立てられるようにシミュレーターに

入るように促され不満げな表情を見せながらもそれに従った。

 

~~~~~

 

カドマツに促される形でシミュレーターに入った3人が

いつものようにガンプラをセットし出撃に移行すると、

普段の出撃時のようなカタパルトからの発進シーンが表示されず

直接フィールドに…しかも普段のプレイでは見ない雰囲気の

薄暗い空間にランダムに刻まれたラインに紫の光が走る黒いキューブで

形成された凸凹な床面と所々にそびえ立つ柱だけが見受けられる

異様な雰囲気を醸し出すフィールドへと降り立っていた。

 

「これまた初めて見るフィールドですね…」

 

「前のSDテストの時みたいに今回もカドマツが作ったの?」

 

「生憎そうじゃない、今接続してるインフォの搭載メモリを

 シミュレーターが解析して自動で生成されたものだ。

 …薄暗くて毒々しい雰囲気なのはウィルス感染の影響だな」

 

フィールドを眺めての率直な感想を口にする泰葉に続き、

ミサが以前のSD機体テスト時のようにカドマツが作ったのかを

尋ねると返答代わりにフィールド生成の仕組みを説明される。

 

「何か黒いホコリみたいなのが浮かんでるけど…」

 

「そいつが問題のウィルスだ、今から退治出来るようにするからな」

 

そんな最中にミサが眼前に浮かんでいる物体について触れると、

カドマツがそう発言してインフォと共にシミュレーターに

接続しているノートPCを操作し…浮かんでいた黒い物体が

泰葉達の機体の前に移動すると、機体カラーが黒一色で

クリアパーツ部が赤色のガフランへと変化した。

 

「ウィルスがガンプラに変わった!?」

 

「ああ、ウィルスをガンプラ化させるように手を加えたのと同時に

 そっちの攻撃にワクチンプログラムを付与しておいた」

 

「…つまり、普段のシミュレーターでのバトルと同じ要領で

 ガンプラ化したウィルスを全て撃破しろという事ですか?」

 

「ああその通りだ、何処かのフィールドにウィルスの

 増殖元となるコアプログラムが存在するはずだから

 そいつを完全に破壊するのが最終目的になるな」

 

「わかりました」

 

「インフォ殿救出の為に頑張ろう!」

 

「もっちろん!」

 

ウィルスのガンプラ化に驚くミサに対し、カドマツは

返事代わりにウィルスの駆除方法を3人に伝える。

泰葉達がそれに対して返事をすると、勢いよく飛び出し

ガンプラ化ウィルスへの攻撃を開始した。

 

「まさかシミュレーターをウィルス駆除に使うとは…

 正直全く予想出来ませんでしたよ、カドマツさん」

 

「それに関しては私達も同意見だね…」

 

「全くだ」

 

「ロボ太のAIに仮想シミュレーターデータをインストールして、

 シミュレーターが使えない状況でも自分が操作するSDガンダムの

 操縦のイメトレが出来るようにするための取っ掛かりとして

 ワークボットのAIとシミュレーターとの接続が出来ないか

 研究してたもんでな…こんな形で使うとは予想してなかったが」

 

その様子を見て「ガンプラバトルシミュレーターを用いた

ウィルス駆除」という予想だにしなかった事態への率直な感想を

プロデューサーが口にすると、泉と晶葉も同意を示す。

それを聞いたカドマツは、ロボ太のイメトレ技術の確立の為の

研究の成果が予想外な形で使われる事への率直な感想を返していた。

 

~~~~~

 

「ウィルスが変化した機体はガフランにジンクス、

 マスターにヴァサーゴにプロヴィデンスかぁ…

 量産機とワンオフのガンダムタイプという違いはあれど、

 基本的に主役機と対決した機体で統一されてるね」

 

「『敵』である事を明確に表す為のカドマツの一工夫だろうな」

 

「なるほどねー…うわっ!?」

 

ウィルスが変化した機体の顔ぶれから、変化パターンが

1つのテーマでまとめられている事に気付くミサ。

それを聞いたロボ太がそうなった理由を推測したものを

話し、ミサがそれに返事をした直後に悲鳴が響いた。

 

「どうしました!?」

 

「ごめん、マスターのオプション攻撃喰らってスタンさせられ…

 ああっ、もう1機のマスターがこっちに突っ込んで来るっ!?」

 

ミサ機「アザレア・ヘヴィガンナー」が複数現れたマスターガンダムの

1機が使用したオプション兵器「十二王方牌大車併」を喰らってしまい

スタンした所に、もう1機のマスターガンダムが呼応する形でEXアクション

「ダークネスフィンガー」を発動させ突撃し…右手で掴んで持ち上げ、

爆発によって吹き飛ばされ頭部パーツが外れるレベルのダメージを受ける。

 

「ミサさん!」

 

「主殿、ミサのフォローはこちらで引き受ける!

 そちらは寄って来ている敵機の殲滅を頼む!」

 

「わ、わかりました…!」

 

そんな様子を見た泰葉が慌ててフォローに入ろうとした所で、

大量に接近して来る敵機を確認したロボ太がミサのフォローに

向かう事を告げながら泰葉に敵機の殲滅を要請する。

それを聞いた泰葉は再び敵機の群れに向き直り、EXアクション

「フリージングバレット」による弾幕を浴びせてスタンさせた後に

腕部オプション兵器の「マイクロミサイル」を放って何とか殲滅する。

 

「ありがと、助かったよ2人とも…」

 

「ミサさんも無事立て直せたようですね」

 

「うむ、では再度進軍と行こうか」

 

「うん!」

 

その後、自機頭部パーツの再接続と耐久力回復を済ませた

ミサが2人に礼を告げ…泰葉とロボ太の返答に対し

返事をしたのを合図代わりに3人は再び前進していった。

 

~~~~~

 

「床に直接設置されてたり柱の高い所にあったり…

 自動砲台も結構な数が配置されてるねぇ」

 

「ありゃあおそらくインフォに元々インストールされていた

 セキュリティソフトが元になってるな、ウィルスが掌握した事で

 逆にこっちをウィルスと判断させられて攻撃してるってとこか…

 仕方ない、後で改めてセキュリティソフトをインストールするから

 こっちの被害を抑える為に敵機もろとも破壊してくれ」

 

「承知した!」

 

「わかりました」

 

フィールドを進む中で目に付いた各所に設置されている

自動砲台についてミサが話すと、カドマツがそれの

元となったものに対する推察を返事代わりに口にした後に

後の処置についても話した上で3人に破壊するように告げる。

それに返答し、敵機攻撃に巻き込む形で砲台も破壊していく最中…

 

「何度も派手に爆発させちゃってるけど、インフォちゃんは大丈夫なの?」

 

「攻撃やら爆発のエフェクトはあくまでシミュレーター上の表現だ、

 実際にインフォのAI上で発生してる訳じゃないから心配は無用だ」

 

「だったらいいんだけど…」

 

攻撃の命中や敵機撃破時に起こる爆発を見て、

ミサはインフォのAIへの直接のダメージを

心配する言葉を吐く。それに対してカドマツが

あくまでシミュレーターにおける表現であり

実際に発生してはいないと説明を返してしばし経つと…

 

「…この先のフィールドにこれまでとは比べ物にならないレベルの

 ウィルスの反応が確認された、もしやこれがコアプログラムか?」

 

「…だな、ここまでの規模の反応だし間違いない」

 

「次のフィールドに繋がる場所は…見つかりました、

 ちょうど泰葉さんたちが今戦ってる場所の近くなので

 おそらくそこの敵機を全て倒せば開くはずです」

 

「オッケー! そんじゃ一気に倒してくよ!」

 

「うむ、承知した!」

 

「はい!」

 

晶葉が高レベルのウィルス反応を確認してカドマツに尋ねた所、

晶葉の予想通りウィルスコアでほぼ間違いないと返事が来る。

それと並行する形で次フィールドへの移動地点を探していた泉が

泰葉達が交戦している地点の近くにある事を告げると、3人は

返事と共に一気に敵機を殲滅し…次のフィールドへと続く道が開く。

 

「道が開きました! 行きましょう!」

 

「よーし、行っくぞー!」

 

「インフォ殿、待っていてくれ!」

 

~~~~~

 

3人が勢いに乗って飛び込んだフィールドには、

公式大会の「コアアサルト」ルールの時のような

大型の球状コアユニットが中央に鎮座し…

周囲から大量のガンプラ化ウィルスが

現れたと同時に泰葉達に襲い掛かって来た。

 

「よし、ウィルスのコアプログラムを確認した!」

 

「いやそれよりも敵機の湧きが半端ないんだけど!?」

 

「こんな感じの速度で自己増殖をしているんだ、

 だからこそ元を絶たない限り止められないって訳だ」

 

「こやつがインフォ殿を…許せん! 跡形もなく粉砕してくれる!」

 

「とは言いましても、肝心のコア部分がバリアで

 覆われていますし…どうすれば解除出来るんでしょうか?」

 

「待って…リーダー機の登場時と同種の反応を確認」

 

その大量の敵機の湧きに驚くミサに対して、カドマツは

ウィルスの自己増殖について簡単に話すとそれに続く形で

ロボ太がウィルスに対する怒りを露わにする。

しかしながらコアにバリアが展開されているのを見た泰葉が

どうやって解除するのかを思案していると…泉がノートPCの

画面に表示された反応を見て、泰葉達に報告する。

その直後、リーダー機3機と多数の通常CPU機という形で

多数のガンプラが再び湧いたのを見たカドマツが口を開く。

 

「今出たリーダー機がウィルスコアのバリアの制御を

 担当する部分のウィルスのプログラムだ、そいつを

 全機倒せばバリアが解除されて直接コアを叩けるぞ」

 

「わかりました…では、ここで!」

 

カドマツからの説明を受けた泰葉が、ここが使い所と

判断して「覚醒」を発動させたのに呼応する形で

ミサとロボ太も現れたリーダー機に攻撃を仕掛けていく。

 

「まずはこれで…!」

 

泰葉機「ガンダムティガーストライク」が先陣を切って

EXアクション「フリージングバレット」を発動して

敵機全体に大量の弾幕を浴びせてスタンさせてから

腕部オプション武装の1つ「マイクロミサイル」への

連携でリーダー機を含む大量の敵機にダメージを与え…

 

「よっし、私も続くよ!」

 

ミサ機「アザレア・ヘヴィガンナー」がEXアクション

「フォートレスフォアブラスター」を発動させ

スタンした敵機にビームを薙ぎ払うように浴びせる。

 

「まとめて焼き尽くす!」

 

さらにロボ太が操る「フルアーマー騎士ガンダム」が

「炎の剣」を振るって扇状の火炎弾を放って複数敵機に

ダメージを与えた後に、各自それぞれ追い打ちとばかりに

リーダー機に取り付いて近接攻撃を叩き込み殲滅する。

 

「バリアの消滅を確認! そのまま一気に畳み掛けろ!」

 

リーダー機全機撃破によるバリアと残存敵機の消滅を

確認した晶葉からの言葉に合わせる形で、3人は標的を

コアに変更してありったけの攻撃を叩き込み…

最後に泰葉がバーストアクション「ライザーソード」を

発動させ形成されたビーム刃でコアを真っ二つに断ち斬った。

 

「やったー!」

 

「こっちでもウィルスの完全除去を確認した、これからインフォの

 再起動に移行するからシミュレーターから出てこっちに来てくれ」

 

「わかりました、カドマツさん達もお疲れ様です」

 

「後はまかせたぞ、カドマツ」

 

~~~~~

 

「…再起動シーケンスを開始、各部デバイスチェック…異常なし。

 AIチェック…異常なし。システムオールグリーンを確認、再起動します」

 

シミュレーターとの接続が解除され、再起動処置を行われたインフォが

再起動前の各部の点検のアナウンスを経て再起動に移行する。

そうして立ち上がって泰葉達の方に振り向いたインフォの姿は、

ミサや泰葉が普段から見ている状態に戻っていた。

 

「よし、こっちでも異常がない事が確認出来た。

 このままセキュリティソフトの再インストールもしておくぞ」

 

「了解しました、それではセキュリティソフトの再インストールは

 バックグラウンドで実行の上通常運用で稼働します」

 

「…インフォちゃん、私達のことわかる?」

 

「はい、皆さんにはご迷惑とお手数をおかけしました」

 

「良かった~…あ、インフォちゃんが謝る必要はないよ」

 

「そうですね、私達がやりたいからやった事ですし」

 

カドマツによる確認でも異常がない事を確認し、

先程までのウィルス駆除バトルの中で止むを得ず

ウィルス諸共消去したセキュリティソフトの

再インストールに移行する。そんな様子を見て

ミサが恐る恐る問いかけると…インフォから

泰葉達に謝罪と同時に感謝の言葉が返って来て、

無事に記憶を残したままウィルスを駆除出来た事を

改めて確認し泰葉達から安堵の声が漏れる。

 

「全く、酷い有様だよ!」

 

「申し訳ありません、マスター…ここまでの事態を

 招いてしまった以上、廃棄処分…でしょうか」

 

「あの、イラトさん…」

 

「馬鹿言ってんじゃないよ! そんな口を利く暇があるならとっとと片付けな!」

 

「…ありがとうございます、マスター」

 

「…良い形に収まったみたいだね」

 

「ああ…それはそうとカドマツさん、

 インフォについて1つ尋ねたい事があるんだが…」

 

「ま、2人にはわかっちまうだろうな…」

 

そんな雰囲気などどこ吹く風とばかりに店内を派手に破壊された事への

愚痴を大声で叫ぶイラトの姿と不安げな様子で声を掛ける

インフォの姿を見て泰葉がイラトに一言言おうとした所で発せられた

口調や声色こそ怒り気味ながらインフォへの気遣いが

込められたイラトの発言を聞いて、安堵の声を上げる泉。

そして晶葉はそれに対する返答から続ける形で、

カドマツにインフォに対しての疑問を投げ掛ける。

それを聞いたカドマツは「予想通り」といった感じの

表情を見せ言葉を発した後に、本格的な説明に移る。

 

「おそらく2人が察してる通り、インフォのスペックは

 一般的なワークボットのものを遥かに上回る代物になっている」

 

「やっぱり…どうしてこういう事になったんですか?」

 

「あの婆さん、発注の時にゲーセン店員どころか

 一般的なワークボットの想定作業量に必要な分を

 遥かに上回るレベルのメチャクチャなハイスペックを

 要求して来てな…その無茶振りが俺も含めた技術者連中を

 刺激しちまって、その結果桁外れのスペックを持つ

 ワークボットとして誕生しちまったのがインフォって訳だ」

 

「イラトさんの無茶振りを具現化してしまう

 カドマツさん達ハイム社の技術者の方々の知識と技術、

 本当凄まじいとしか言葉が出ないっスねぇ…」

 

カドマツからのインフォについての説明が行われ、

比奈からしみじみとした反応が返って来たその時…

 

「あんた達もくっちゃべってる暇と元気があるなら手伝いな!

 これからもシミュレーターを使わせて欲しいってんならね!」

 

イラトからの半ば脅迫混じりの大声の要求が聞こえた事で、

アイドル達とミサは多少困り気味の表情で少しの間

顔を見合わせた後にイラトの方へと向いて返事を返す。

 

「そう言われちゃったら手伝わざるを得ないよ…」

 

「まぁ、普段お世話になっているのも事実ですから」

 

「とは言え大分派手に壊れてますし、アイドル達だけでは

 手に余りますので…何人か応援を呼ばせてもらいますね」

 

「そりゃあ有難いねぇ、タダで人手が増やせるなんて」

 

「おいおい婆さん、チームとの直接的な関係がない面々まで

 タダ働きさせようってのか? そいつぁさすがに強欲が過ぎるぞ」

 

「仕方ないねぇ…今日の分のガンプラバトルシミュレーターの

 貸し切りプレイ代と相殺って事にしておいてやるよ」

 

「何がなんでも金を出したくないという執念を感じるっスねぇ…」

 

困り気味の表情で愚痴りながらも手を貸そうとするミサと、

オンラインプレイによる練習の場を提供してもらっている事への

感謝の証として泰葉も手を貸そうと一緒に歩を進めようとしたその時…

プロデューサーがスマホを取り出しイラトに向けて復旧作業の為の

応援を呼ぶことを告げる。それを聞いたイラトが無償で作業人員が

増えると喜びを見せ、それに対するカドマツのツッコミにも

一方的な理屈を返す様に比奈はただただ圧倒されていた。

 

「応援って…すぐにここに来られる人の当てがあるの?」

 

「ああ、商店街のグッズショップ開店作業に取り掛かってる

 人達に何人かこっちに来てくれるよう頼み込んでみる」

 

泉からの疑問に対し、プロデューサーが応援として呼ぼうとしている

人物に対する説明を行ったうえでスマホで商店街のグッズショップの

開店準備作業担当班に電話を掛けて相談を始める。そうして合流した

人員も含めて復旧作業に勤しんだ事で、イラトゲームコーナーは

破壊の傷跡こそ残るが営業可能な状態までの復旧を成し遂げた。

 




P:まずは主に仕事の影響で本来の予定投稿日から
 2週間遅れてしまった事をお詫びします、
 加えてこれからの仕事の忙しさがどれくらいになるか
 不明瞭な為にこれからの投稿ペースも「最低月1回投稿、
 時間が取れれば複数回投稿の可能性もあり」という形に
 したいと思います…読んでくれている方には申し訳ありませんが

比奈:まぁ何とか投稿出来た事を前向きに捉えましょうか…
   そして今回は色んな意味で有名過ぎるあのステージっスね、
   カドマツさんが最初から同行してたりシミュレーターを用いた
   ウィルス駆除に関する理由付けで独自色が出てまスね

P:ミサとアイドル達だけで暴走インフォを無力化するってのは
 難しいだろうって思ったもんでな…最初から男性陣を複数人
 連れて行こうと思ってカドマツが最初から同行するようにした、
 あとシミュレーターの転用に関しても何かしらの理由付けが
 あった方が良いかなと思って自分なりに考えてみたってとこだ

比奈:なるほど…さて、次話からはいよいよジャパンカップの
   本戦開始という事になりまスか

P:そうなるな、そこでも色々と独自に手を加えたいと思ってるので
 もし良ければ期待していただければと思っています


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ジャパンカップ予選・予想だにせぬ予告/新たな出会い

SDガンダム機体データの稼働確認を兼ねた連戦や

ウィルス感染したインフォの除去の為のバトルが

行われてから数週間後の7月に入ったある日の事。

 

泰葉達彩渡商店街チームの一同は、宿泊していた

静岡市内のホテルからマイクロバスに乗り込んで

ジャパンカップの会場へと移動していた。

 

「いやぁ、リージョンカップの時に横浜まで送ってくれた

 実績があるとはいえまさか静岡までもバスと運転手の

 確保と送迎をしてくれるとは驚いたと同時に有難いわ」

 

「気にしないで下さいカドマツさん、東京からだと

 結構な距離になりますし人数の多さだけじゃなく

 大型の精密機器も運ぶという事態ですから」

 

「なるほどね~、でもそれを抜きにしても有難いよホント。

 前日に静岡に入れたおかげで気持ちに余裕が出来たし、

 ちょっとした長旅と言える距離を移動したけどその間も

 泰葉ちゃんたちと話せて退屈とは無縁でいられたし…」

 

「ミサさん、リラックス出来てるようで良かったです」

 

「ありがと泰葉ちゃん、普段だと話す機会がどうしても

 ガンプラ組み立て中やシミュレータープレイ後になるから

 自分達のガンプラやプレイ関係の話題になっちゃうけど

 今回は泰葉ちゃん達のアイドルとしての活動とか

 プロダクションに関しての話も聞けて良かったよ…

 それにしても、泰葉ちゃんの活躍の影響で他のアイドルの

 間でもガンプラとガンプラバトルに興味を持つ人が

 出て来てるなんてねぇ…ホント聞いた時は驚いたよ」

 

車内でカドマツが346プロ自らバスと運転手を手配して

静岡までミサと自分を運んでくれた事に率直な驚きを述べると、

プロデューサーから距離や人数に加え運ぶ荷物の関係から

この手段が一番最適であると返事が返って来る。

それに続く形でミサがプロデューサーに礼を告げると、泰葉も

ミサがリラックスしている様子を見て安堵の言葉を口にし…

それに対するミサの返答の中で、泰葉の活躍の影響で

346プロの一部アイドルの中にガンプラ及びガンプラバトルへの

興味を抱く者が現れた事への率直な驚きを口にしていた。

 

「しかしロボ太くん、後部座席の窓ガラスに顔を押し付ける程の

 勢いでかぶり付いてまスねぇ…後ろの車両のドライバーと

 目線が合っちゃって驚かれなきゃいいんスが」

 

「リージョンカップの時の横浜への移動の時も外の景色に

 夢中になってたが、今回はその時以上のものを感じるな」

 

「今までは関東圏内の移動に留まってたのが、今回は一気に

 東海地方への大移動になったっていうのもあるのかな」

 

そんな泰葉達の隣で、比奈・晶葉・泉の3人は車窓からの景色に

夢中になっている様子のロボ太を見て心配や心境の推測といった

それぞれが思った事を口にしていく。そんな最中…

 

「突然で悪いが、ちょっとこいつを見てくれ」

 

カドマツが泰葉達に声をかけると同時に、とあるニュースサイトが

画面に表示されている自分のタブレットを泰葉達に手渡した。

 

「えーと、なになに…『セーフティセキュリティソフトウェア社

 元社長バイラス容疑者による不正プログラム作成に対し、

 先日同社を買収したタイムズユニバース社のCEOである

 ウィリアム・タイムズ氏による告発がなされた』?」

 

「不正プログラム…もしかして、先日の…?」

 

「記事の内容からするに、おそらく泰葉の予想通りだと思うな」

 

「『ワークボット等の自立稼働ロボットの制御AIを標的としたもの』と

 思いっきり記事に書かれてまスからねぇ…しかしまた、そういった

 ウィルス対策のソフトウェアを作ってる会社自らが行うとは…

 ま、その報いとばかりに買収された後に潰されちゃったようっスけどね」

 

「一般的には社名を構成してる3単語の頭文字から『スリーエス社』と

 呼ばれてるこの会社、ここ数年で8年前から続いていた低迷状態からの

 急激な回復に留まらず低迷前より高い業績を上げた事で

 注目されてたんだが…こんな理由があったとはな」

 

「ウィルス対策のソフトを作ってる会社が自らウィルスを作って

 バラ撒いて、そのウィルスに効果的なセキュリティソフトを売って

 儲けてたって事? ここまで分かり易い自作自演もそうそうないんじゃ…」

 

「ま、都市伝説的なノリで言われてた事ではあるんだが…

 まさか本当に実行しちまう奴が居たとはな、呆れたもんだよ」

 

「全くだ、趣味に過ぎん身の私からしても技術者失格としか言えんな」

 

「私個人としては、それを実行するに至った動機が気になる所だね…

 どんな動機であったとしても行った事が許されない事に変わりはないけど」

 

一同が手渡されたタブレットの画面に表示されているニュース記事の

内容を確認すると、それぞれが思い思いに感じた事を口にしていく。

そんな様子の最中、泰葉はカドマツに視線を向けながら一言問いかけた。

 

「…私達このニュースを見せたのは、タイムズユニバースが

 関係しているから…という事でしょうか、カドマツさん」

 

「だな」

 

「なるほどねぇ…しかしまた、何でわざわざ買収した後に

 悪事を暴露して潰すなんて回りくどい事をしたんだろ?」

 

「そう言われれば確かに…悪事の暴露が目的なら

 わざわざ買収しなくても出来そうに思えまスし」

 

「生憎そこまではわからんな」

 

「…と、そろそろ会場が見えて来たみたいだ」

 

泰葉の一言をきっかけに、カドマツ・ミサ・比奈が

言葉を交わしている最中…プロデューサーが

前方に見えて来た建物を視認した所で一同に声を掛ける。

 

「おおー、あれがジャパンカップの会場かぁ」

 

「だな、公式HPやSNSアカで公開されてた写真で見た建物だし」

 

「あそこで日本代表を決める戦いが行われるんですね…」

 

その会場となる建物を目にして、泰葉とミサとカドマツが

思い思いの感想を口にする。そしてそのまま泰葉達が乗っている

マイクロバスは吸い込まれるようにその建物に向けて走っていった。

 

~~~~~

 

「皆さん、こんにちは! まずはジャパンカップの出場、

 おめでとうございます! タウンカップとリージョンカップを

 勝ち抜いてここに辿り着いた皆さんは、誰もが日本一の栄冠を

 勝ち取るに相応しい実力の持ち主と言えます! 今日この場所で

 行われるバトルには、全国のガンプラバトルファンからの

 機体の眼差しが注がれる事間違いなしでしょう! 私も一人の

 ファンとして、皆さんのバトルを楽しみにしています!

 …それではここで、皆さんお馴染みミスターガンプラから

 激励の一言をお送りします! それではミスター、どうぞ!」

 

ジャパンカップの開会式が始まり、まずMCハルによる

多弁でありながら立て板に水の如き勢いで紡がれる

挨拶の締めにミスターへのバトンパスが行われる。

 

「只今紹介に預かりました、ミスターガンプラです。

 えー、本日このような素晴らしい日に皆さんと共に

 居られる事に対して心から感謝しています…」

 

~~~~~

 

(…ミスターって話し始めると止まらない人なのかな?)

 

(…そうだとしても、こういった場での挨拶が初めてという

 訳でもないでしょうし…緊張してしまってるんでしょうか?)

 

(…それでも、何人かが日射病か貧血辺りで立てなくなって

 スタッフさんが運んでる事態ってのはマズくないっスかね…)

 

おそらくはこの場に居る参加者たちの予想を遥かに上回る勢いで

長々と続くミスターの話に対し、ミサと泰葉と比奈が小声で

それぞれが抱いている予測や危惧を言い合っていたその時…

 

「ミスター、時間が押してますのでそろそろ…」

 

「む、そうか…では最後に激励の言葉を」

 

MCハルからの一言で話を打ち切ったミスターが、

一言発言し咳払いをした後にリージョンカップの時のような

ハイテンションな口調と表情に切り替えて言葉を続ける。

 

「君達、ガンプラは好きか! ガンプラバトルに勝ちたいか!!

 これから始まる戦いに君達がより奮い立つように、

 私から1つプレゼントを用意しよう! それは…

 大会終了後のエキシビジョンマッチで、これから行われる

 ジャパンカップで優勝したチームと私がバトルするというものだ!

 現役引退から8年ぶりのバトルに、私の胸は高鳴っている!

 これからの戦いを勝ち抜いた最強のチャレンジャーを、私は待っているぞ!」

 

これまでの冗長とも言えるような会話ペースが嘘のような

猛烈な勢いで捲し立てられる発言と共に、この場に居る誰もが

予想しなかったであろう事態に会場のテンションが一気に盛り上がる。

 

だが、そんな中で泰葉はただ一人リージョンカップの時から

ミスターに対し抱いていた疑問がさらに膨れ上がっているのを感じていた。

 

(…あの時は「若干セクハラ気味かつ取って付けたような発言」が

 気になってましたが、今の様子を見ると「発言」単体というより

 あの「ハイテンションさ」そのものが「取って付けた」ように

 感じてしまいますね…もしかしたら、先程までのように

 話を区切る事が苦手で会話が上手とは言い難いというのが

 あの人の「素」で…8年前の現役引退や今のような司会・解説への

 移行もあの人にとって本意ではなかった、のでしょうか?)

 

~~~~~

 

ジャパンカップの開会式が行われていたのと同時刻、

静岡県内の某所に建っているタイムズユニバースグループが

経営しているホテルの最上階のスイートルームの一室。

 

その部屋に居たウィルは、テーブルの上に立てている

タブレットの画面に映っているジャパンカップ開会式の

LIVE中継を怒り混じりとも取れる複雑な表情で視聴していた。

 

「ウィル坊ちゃま、何を観ているのですか?」

 

「…ああ、ジャパンカップのLIVE中継をね。

 今日開催されるという話だし、あの商店街と

 346プロの合同チームを見ておきたいと思ってね」

 

「なるほど…若干怒りが混じってるとも取れるような

 表情で見ていたのは何か理由があるのでしょうか?」

 

「…そんな風に見えたかい? 僕にそのつもりは一切ないし

 済まないがそっちの勘違いとしか言えないな…」

 

「…わかりました、そういう事にしておきましょう」

 

そこにやって来たドロシーが、持って来た紅茶を

テーブルに置きながらウィルに対して二言ほど

疑問を投げ掛ける。それに対してウィルは

最初の疑問こそ明確に答えたが2つ目の疑問に

対しては若干言葉を濁しての返答に留まる。

だがドロシーは言葉を濁した理由を察しつつも

それに対して追及はせずにそのまま遠ざかる。

 

そうしてドロシーが去っていくと、ウィルは再び

タブレットの画面に視線を移す。…ドロシーに声を

掛けられる前のような、若干の怒りを感じさせるような

複雑な表情で…画面の中のミスターを見据える形で。

 

(チャンプ…)

 

~~~~~

 

「結構なステージをクリアして、他チームも何回か

 倒してる…良い感じでポイント稼げてるってとこかな?」

 

「ああ、他チームと比べて若干ながらリードしてると

 いった感じだ…とはいえ大きな差とは言い難いから

 まだまだ油断は禁物といった状況だがな」

 

「わかりました、最後まで気を抜かずに行きましょう」

 

「うむ…正直な所、他チームの気迫も高いようだしな」

 

「やっぱり優勝チームがミスターと戦えるって事に

 なったってのが大きな理由かな?」

 

「そりゃあ過去の事とは言え伝説級の強さを持っていた

 ファイターと戦えるってのはテンション上がるっスからねぇ…」

 

そんな外野の心境は露知らず、泰葉達は予選ラウンドを

他チームも含め着実に撃破を積み重ねながらステージを

進んで行き…ポイント状況の確認や開会式で突発的に告げられた

「優勝チームVSミスター」について話していく。その最中…

 

「…話の途中ですけど、また他チームとエンカウントしたみたいです」

 

「承知した…行くぞミサ、主殿!」

 

「オッケー!」

 

「わかりました!」

 

他チームとのエンカウントを確認した泉からの

報告を受けてロボ太が2人に声を掛けると、

泰葉とミサもそれに応えて3人で同じ方向を向く。

…その直後、相手となるチームがフィールドに降り立った。

 

「3機ともキュベレイベースで…胴体がジンクス系というとこは

 共通してまスが、背中の武装や格闘武器で各機の特色を

 出してると…ファンネルと合わせられると厄介っスね」

 

「なるほど…どれから攻撃しましょうか?」

 

「シナンジュの『ビーム・アックス』を持った、

 背中に『大型ビームランチャー』を2門装備したのが

 あの3機の中じゃ一番火力ありそうだからそれからかな?

 その次に『ビームシザーズ』持ちの『大型ビームキャノン』と

 脚部に『ファンネルポッド』を装備した機体で…

 最後に『ヒートショーテル』持ちって流れが良さそうだね」

 

「わかりました、それで行きましょう」

 

「うむ!」

 

相手チーム機を見ての比奈の感想を受けて、泰葉はミサに

撃破順を尋ねるとミサはそれぞれの武装を見た上で

彩渡商店街チームの定番となった「高火力機優先撃破」の

戦術に合わせた敵機撃破順を2人に告げる。それに対して

泰葉とロボ太が賛同したのを合図に、バトルが始まった。

 

「まずは標的を集中させた上で、全体攻撃が可能な武装と

 EXアクションでまとめて削っておきましょうか…そこっ!」

 

3機が標的を1機に集中させた上で、泰葉が相手チームの

3機をカメラに収められるように動いてCPU機撃破で貯めた

ゲージを使ってEXアクション「フリージングバレット」を

浴びせて3機ともスタンさせ続けて追い打ちとばかりに

「マイクロミサイル」を発射し3機まとめてダメージを与える。

そうしてスタンした敵機にまずはミサとロボ太が仕掛け、

泰葉も合流して一気に叩く事で最初の標的であった

「ビーム・アックス」持ち機を撃破しそのまま続けて

「ビームシザーズ」持ち機も撃破する。そうして最後に残った

「ヒートショーテル」持ち機が狂化を発動するも、頭数の

有利さに加え格闘寄りの相手機に対しロボ太が押さえ込みながら

泰葉とミサが射撃攻撃を浴びせる事で危なげなく勝利した。

 

~~~~~

 

続けての砂漠ステージも、CPU機をある程度撃破した所で

他チームとのエンカウントが発生した所で

今度はカドマツが相手チームの機体を見た感想を述べる。

 

「細かく手を入れたGP01フルバーニアンに、片方は両肩に

『ミサイルポッド』を…もう片方はバックパックに

『6連ミサイルポッド』と『180mmキャノン』を増設した

 火力支援型のジムタイプ2機か、教科書通りの布陣ってとこだな」

 

「となるとジムタイプ2機を優先して落とすという

 方針で行くのが良いですかね?」

 

「そんな感じだねー、どっちかと言うと『180㎜キャノン』を

 増設した方が撃破優先度が高いって所だね」

 

「承知した、行くぞ!」

 

「はい! …ちょうどゲージも貯まりましたし、

 まずはここで1回『覚醒』しておきます!」

 

カドマツの感想を聞いて撃破順を決め、いざ攻撃開始と

いった所でゲージが貯まっていた泰葉が「覚醒」を発動させる。

その効果もあってか最初に狙った「6連ミサイルポッド」と

「180㎜キャノン」を増設したジムタイプはあっという間に撃破され、

次の標的となった「ミサイルポッド」を両肩に増設したジムタイプも

物凄い勢いで耐久力を削られて行き…「覚醒」の残り時間が

後僅かになった所で、トドメにバーストアクションを叩き込まれる。

 

「さすがに3機全機撃破までは持ちませんでしたか…

 なら、絶好の状況である今ここで叩き込みます!」

 

「グランドスラム」による連続斬りから右腕部のオプション武装

「アーミーナイフ」での連撃に繋げ、打ち上げ斬りが入った所で

泰葉はバーストアクションの「ライザーソード」を発動させる。

そうして形成されたビーム刃は打ち上がった相手機を捕える様に

突き刺さり、そのまま地面に叩き付けられる形で撃破される。

最後に残ったフルバーニアン改修機が狂化を発動させるも、

先程のキュベレイ軍団と似通いながらも役割が異なる光景…

泰葉機が格闘で食らい付いて足止めした相手機に対し、

ミサとロボ太による射撃攻撃が叩き込まれ落とされる結果となった。

 

~~~~~

 

そこから続いて、宇宙空間に漂う円形フィールドに移動して

引き続きCPU機を撃破し続け…しばらく経つと、またもや

他チームとのエンカウント警告が表示される。

だが、それを確認したエンジニア勢はこれまでにないレベルの

大規模反応が示された事に対する困惑が浮かんでいた。

 

「反応パターンからしてPGみたいだけど、それにしては

 データ量が大きいみたいだし…どういう事なの?」

 

「んー…こりゃ、ある意味嬢ちゃん達にはまたもや

 初めて目にする光景になりそうだな」

 

「それってどういう…」

 

「…どうやら、お目見えのようだ」

 

初見となるレベルの規模の反応に困惑する泉の言葉を受け、

カドマツがノートPCの画面を見ると状況を察したかのような

感想を述べる。それに対してミサが何か言おうとしたその時、

相手チームのログインを確認したロボ太が泰葉達に声を掛ける。

 

そうして泰葉達の前に現れたものは…機体カラーを

トリコロールから片方は黄色、もう片方は紫をベースと

した塗装に変えたPGサイズのエールストライク2機であった。

 

「PGが2機ぃ!?」

 

「驚くのも無理はないが、一応ルール上で許された

 スケール別の最大機体数だからな…とはいえ、

 ここまでやるには結構な規模のアセンブルシステムの

 カスタマイズとそれを実行出来るエンジニアが必要だが…

 さすがにジャパンカップとなるとそれが出来るチームが

 出て来るのもある意味当然と言えるって事か」

 

「確かに厳しい相手ではありますが、ここまで来た以上

 怯んではいられません…一点集中で確実に1機づつ

 落として行きましょう、ミサさんにロボ太さん」

 

「うむ!」

 

「…だね、余りの迫力に驚いちゃったけど…

 何が相手でも全力でぶつかるのみ、だね!」

 

その光景を目にしたミサが驚きの声を上げ、

カドマツは相手チームのアセンブルシステムの環境や

エンジニアについて感心の意を込めながら話す。

続いて泰葉が目の前の相手を見て厳しい状況である事は

自覚しながらも、負けるつもりはないとばかりに

集中攻撃で確実に1機づつ落とそうと2人に声を掛ける。

それを聞いてのロボ太の力強い返事に続く形で、

ミサも気を取り直して気合を入れる為の言葉を返事代わりとし

それを合図代わりにPGエールストライク2機との戦いが始まった。

 

~~~~~

 

「大振りだったりモーションが大きいおかげで

 避けやすくはあるけど…やっぱり1発でも当たると

 無視できないレベルの大ダメージを喰らうね」

 

「経験を積み重ねて来たとは言え、油断は禁物ですね」

 

相手のPGエールストライクから放たれる各種攻撃…

接近しての斬撃や「57mm高エネルギービームライフル」から

こちらの機体にに向けての照射ビーム、「ビームサーベル」の切っ先を

地面に向けた姿勢からの3連続高速突進や4連続の高速突進からの

袈裟斬りといったPG機ならではの攻撃を数回喰らいながらも回復し

大部分は回避し続ける中で、2人は改めてPG機の一撃の重さを実感する。

 

「とはいえ着実にダメージは与えられている、

 楽観視は出来んがこのまま押し切って…む!?」

 

そんな2人の会話を聞きながらも、確実にダメージを

与えている事で押し切れそうだとロボ太が話そうと

した所に、集中攻撃を仕掛けていた方のPG機が

狂化を発動したのを見て驚きの声を発する。

 

「狂化発動か…これまで以上に油断せず警戒しながらも

 耐久力の少なさを付いて一気呵成に攻め落とせ!」

 

「オッケー、晶葉ちゃん!」

 

「わかりました!」

 

その様子を見た晶葉が泰葉達に一言告げると、

泰葉とミサが了解の意を返し半分近くまで

耐久力を削った狂化発動機への攻撃を継続する。

そんな最中、標的にされていた側はこれまでに

見せていない動きを取って泰葉達を驚愕させる。

 

「飛び上がって…高速で離脱しての地上への照射!?」

 

「だったら潜り込めば…って、また離脱された!?」

 

「ならば私が…くっ、またもや離脱されたか!」

 

上昇から高速で泰葉達の居る場所から離脱し、

間合いを取っての地上への照射と言う動きに驚愕する泰葉。

それを見てミサが照射されたビームを掻い潜る形で

標的に向けて移動を試みるとまたもや高速で離脱され

驚きの声を上げるミサ。そこから続けてロボ太がミサ同様に

標的の足元に潜り込もうとした所で3度目の高速離脱からの

照射攻撃を行った後に標的のPG機は地面へと着陸した。

 

「空中に居る間に攻撃するよりも、地上に降りた瞬間を

 狙っての集中攻撃の方が良さそうですね」

 

「だね、一気に離脱されちゃうと追い付けないし」

 

「心得た!」

 

空中高速移動からの照射攻撃への対処案を話す泰葉に対し、

ミサとロボ太が賛同の声を返す。そこからは着実な回避と

パターンを見切っての集中攻撃で最初に狙った方を撃破し

残った1機もゲージが貯まったのを確認した泰葉が「覚醒」を

発動した事もあって押し切る事に成功し無事勝利を収めた。

 

~~~~~

 

「お疲れ様」

 

「まずは予選突破おめでとう、と言っておこうか」

 

PGエールストライク2機との戦いを終えてポッドから

出て来た泰葉達にプロデューサーがねぎらいの言葉をかけ、

そこから続いて晶葉が予選突破の必要スコアを

無事に獲得できた事への称賛の言葉を述べる。

 

「ありがと、まずは1つ目のハードルを越えたってとこだね」

 

それに対してミサが返答したところに、

何処からかやって来たミサや泰葉と同じぐらいの

年齢と推測される制服姿の男性が声を掛けて来た。

 

「お、いたいた…あんた達が彩渡商店街チームかい?」

 

「え? は、はいそうですけど…」

 

「ちょっと、いきなり失礼よツキミ!」

 

「良いだろ、同じファイター仲間なんだし

 ここまで来ると貴重な歳の近い相手なんだから」

 

突然に声を掛けられてミサが戸惑い気味な反応をしていると、

声を掛けて来た男子生徒とほぼ同じ制服の女子生徒が駆け寄って

男子生徒を咎めるも…それを意に介さず男子生徒の方は

年齢の近いファイターと出会えた率直な喜びを口にする。

 

「全くもう…あ、私達は沖縄宇宙飛行士訓練学校…通称『OATS』の

 ガンプラ部のファイターで私が大西美空(おおにし・みそら)、

 そしてこっちが石川付見(いしかわ・つきみ)って言うの。

 自己紹介が遅くなっちゃったけど、よろしくね」

 

「OATSか…あそこからは宇宙開発だけじゃなく様々な技術系の

 企業への就職率が高い事で技術屋界隈でも名が知れたとこだ、

 並の企業チームよりもエンジニアの技術やアセンブルシステムへの

 手の入れ具合のレベルが高いと言われてるから強敵と言える部類だな」

 

「へぇ~、それにしても何でウチのチームの事知ってるの?」

 

そんな様子に呆れた反応を見せた後に、女子生徒は男子生徒共々

自己紹介を行い…それを聞いたカドマツが2人が在籍している

学校に対しての技術屋界隈及びガンブラバトル界隈における

評判を口にし、それを聞いたミサが感心した反応の後に

彼らが彩渡商店街チームを知っている理由について尋ねる。

 

「リージョンカップの時にやってたそっちが参加していた

 関東第2会場の決勝戦のLIVE中継、俺達も見てたからな」

 

「あー、そうだったねぇ」

 

「それに加えてリージョンカップが終わった後から

 そっちのチームに関する発言がSNSを中心とした

 ネット上で頻繁に見かけたってのもあるね」

 

「なるほど」

 

「で…そっちの小柄な方が現役アイドルでもあり

 都市伝説レベルの希少なスキル『覚醒』を使える

 凄まじい勢いでガンプラバトル界のスターダムに

 のし上がった新人ファイター『岡崎泰葉』さんで、

 こっちの騎士ガンダム型のロボットが今大会唯一の

 SDガンダム使いのロボットファイター…といった

 強烈なインパクトに加えて3人とも高い実力も

 兼ね備えてると来りゃ、もうカッコイイとしか言えねぇよ」

 

「…あの中継見てからもうずっとこんな感じなんだよ」

 

「あはは…」

 

それへの返答として2人が彩渡商店街チームを知ったきっかけを話すと、

そこからツキミは泰葉とロボ太をそれぞれ見ながらベタ誉めと

言わんばかりの発言を捲し立て…その様子を横で見ているミソラが

呆れた様子で一言零したのに対して泰葉は困ったように笑うしか出来なかった。

 

「ま、私としても年齢の近い子と知り合えたのは嬉しいよ。

 ここまで来ると大半が企業チームか趣味であっても

 大人中心で時間やお金を掛けられるとこになっちゃうし」

 

「だな」

 

『間もなく本戦を開始します! 予選突破チームは

 速やかに準備を完了させて下さーい!』

 

「おっと、そろそろ時間か…それじゃーな、

 フィールドでぶつかった時は全力で行かせてもらうぜ!」

 

「もっちろん! そっちも健闘を祈ってるよー!」

 

打って変わってミサがツキミと同じく同年代のファイターと

知り合えた事への喜びを口にすると、その直後にスピーカーから

MCハルによる本戦開始予告が告げられたのを聞いたツキミ達は

泰葉達に挨拶をして自分のチームの元へと戻って行き…

ミサも負けじと大きな声で激励を込めた返事をしていた。

 




比奈:まずは誕生日おめでとうございまス、プロデューサー

P:ああ、ありがとうな比奈…それはそうと今回もギリギリに
 なってしまって楽しみにしてくれる方には心配させて申し訳ない

比奈:ま、一応約束は果たせましたし…気を取り直して
   話の中身についてっスけど、泰葉ちゃんが抱いてた
   ミスターさんへの疑問が膨れ上がったりとか
   ウィル君関係の描写もゲームとは大きく変えて来たっスね?

P:ああ、ウィルに関しては初登場時の描写を弄ったのと
 だいたい同じ理由で「あの場面を見て不自然と感じた」から
 こちらで考えてるストーリーと合わせて描写を変更したんだ。
 …それも含めて心理描写がメインになった事で、バトル関係が
 また若干おなざりになってしまったのは申し訳ないけど…
 さて、今回から始まるジャパンカップ以降はこちらとしても
 書きたい描写が沢山あるのでペースを上げられるだけ
 上げたいと考えてます。どこまで行けるかはわかりませんが、
 気長に待って頂ければ…それでは、次話でまた


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ジャパンカップベスト16~セミファイナル・ファイナルラウンドへの道/運命の瞬間へと進み行く針

「ベスト16はコアアサルト3連戦で、勝ち続ければ

 攻撃側のまま次チームと戦い負けた時は守備側になって

 次チームと再戦するというルールのようだ…敗北時の

 エースポイントペナルティが大きいから、何とか勝ち続けてくれ」

 

「了解!」

 

「わかりました」

 

「承知した…来たぞ!」

 

晶葉が今試合のルールを告げ、それに対して

泰葉達が返答するとほぼ同時に相手チームの

ログインを察知したロボ太が声を上げる。

 

「相手はジェガン小隊…塗装が寒冷地仕様イメージなのが

 これまたフィールドにマッチしてまスね」

 

「素ジェガンに近い機体は肩に『ミサイルポッド』を、

 腕をZのものにしてる機体は同じく肩に『シールドピット』を…

 ジムⅢ腕の機体は両足に『ミサイルポッド』を増設してるな」

 

「となると、まずはジムⅢ腕機が最初のターゲットでしょうか?」

 

「そうそう、それで行くよ!」

 

「うむ…では、先陣を切らせてもらう!」

 

相手チームの機体を見た比奈がベース機体の統一感と

塗装とフィールドのマッチングぶりに感嘆の声を上げ、

カドマツはパーツ構成や使用ビルダーズパーツについて

泰葉達に伝える。それを聞いた泰葉達はチーム定番の戦術の

「高火力機優先撃破」に従ってジムⅢ腕機目掛けてロボ太が

突撃していくのに合わせて泰葉とミサは射撃攻撃で援護する。

 

「うおおっ!?」

 

「ロボ太さん! …させませんっ!」

 

「こっちも、おおりゃぁーっ!」

 

ジムⅢ腕機に突撃していったロボ太がミサイルで迎撃され

足が止まった所に集中攻撃を狙って来た相手チームを見て、

泰葉の「マイクロミサイル」とミサの「マイクロミサイルランチャー」で

まとめて迎撃を行い…それによって怯んだ相手に、再びロボ太が突進し

取り付いて格闘攻撃を繰り出し泰葉達も全体攻撃可能な武器を撃ち切ると

ロボ太と共にジムⅢ腕機を集中攻撃して落とす。その後は「シールドビット」付き

Z腕機を落とし、狂化を発動した「ミサイルポッド」増設機も落として

コアのバリアを解除し3人の集中攻撃で難なくコアの破壊を成し遂げた。

 

~~~~~

 

ジェガン小隊チームを倒して次のコアに向かった泰葉達の前に、

次の対戦チームが現れる。その相手チームも奇しくも直前に戦った

チームとほぼ同様に、同一ベース機のバリエーションで構成されていた。

 

「両肩に『シールドビット』を増設したエールストライクに、

 バックパック左側に同じく『シールドビット』を1基増設した

 ソードストライク…この2機はまだ大人しめっスが、3機目の

 ランチャーストライク改修機が目に見えて火力マシマシっスね…」

 

「バックパック右側に『大型ビームランチャー』、それに加えて

 両肩と両足側面に『ミサイルポッド』合計4基増設か…

 こりゃあいくら最優先で落とそうと思っても真正面から

 突っ込んで行くってのは無謀と言わざるを得ないな」

 

「だねぇ…私と泰葉ちゃんは射撃で対応出来るから良いけど、

 ロボ太も射撃を駆使するなり上手い事回り込むなりして

 あの火力をまともに喰らわないよう立ち回ってもらえるかな?」

 

「承知した、行くぞ!」

 

「はい!」

 

ストライク3種のカスタム機で構成された相手チームを見た

比奈とカドマツが、ランチャーストライクの改修機に増設された

武装の多さに驚きの声と泰葉達への警告を零す。それを受けたミサが

ロボ太に立ち回り方を伝えつついつものように火力の高い機体である

そのランチャーストライク改修機を標的に定め攻撃を開始した。

 

「まずはこいつでまとめて…!」

 

「こちらも仕掛けます!」

 

まずは泰葉の「マイクロミサイル」とミサの「マイクロミサイルランチャー」による

全体攻撃を浴びせる事で相手のストライク3機の行動を封じ、その隙にロボ太が

標的としていたランチャーストライク改修機に取り付いて格闘攻撃を浴びせる。

そのロボ太を引き剥がさんとエールストライク改修機&ソードストライク改修機が

それぞれ増設した「シールドビット」を展開しロボ太をロックオンして攻撃を

仕掛けようとするも、ミサの「フォートレスフォアブラスター」や泰葉の

「フリージングバレット」で3機まとめてダメージを与えると同時にスタンさせ

その間に3機でランチャーストライク改修機に集中攻撃を浴びせ撃破に成功する。

その後はソードストライク改修機を射撃中心の立ち回りで相手の持ち味を

出させる前に撃破し、狂化を発動したエールストライク改修機に対しては

泰葉とロボ太の格闘攻撃に加えてミサによる砲撃支援という布陣で

危なげなく倒し、そのままコアも集中攻撃で一気に破壊した。

 

~~~~~

 

ベスト16決定戦3戦目となるコアの前に降り立った泰葉達の前に、

今度はどちらも刀型の格闘武器を手にした2機のガンプラが降り立った。

 

「相手チームの人数が減った…?」

 

「それでここまで勝ち進んでいるのならば、

 よっぽどの腕前か強運かのどちらかか…

 どっちにせよ、油断は禁物だな」

 

「だね」

 

「ちょっとバックパックがすっきりした感じの真武者頑駄無と、

 スサノオベースながら腕の肩の部分に『角』と脚側面に『トライブレード』を

 増設したジンクスⅢのやつとバックパックがV2のやつになってる機体か」

 

「GN粒子にミノフスキードライブ…実際のモビルスーツで

 採用されたならとんでもない速度を叩き出しそうな組み合わせっスね」

 

ここまで3機チームを相手にしていた状況から2機に減った事に

疑問の声を上げる泉に続き、晶葉が警戒の言葉を泰葉達に伝える。

それに対するミサの返事の後、カドマツが相手の機体構成を観察し

泰葉達に伝えたのに続き比奈はその2体のうちのスサノオ改修機の

バックパックを見てベース機体の動力源と採用された推進装置の

組み合わせから現実のものとなった場合の速度を想像した言葉を吐く。

 

「…おっと!」

 

「やっぱり、速いですね…」

 

「何とか足を止めたいものだ」

 

そんな最中、そのスサノオ改修機が繰り出したEXアクション

「光の翼」を何とか回避した泰葉達がその機体の速さに

感嘆の声を上げつつ動きを止めたいとロボ太が続ける。

 

「なら…ちょうどゲージが貯まりましたし、これで!」

 

そのロボ太の言葉への返答をしつつ、泰葉が返す刀とばかりに

EXアクション「フリージングバレット」を相手チーム機を2機とも

巻き込むように放ち…ダメージと共にスタン状態にさせる。

 

「よっし! 足が止まった今のうちにスサノオの方に

 集中攻撃を仕掛けて一気に落とすよ!」

 

「心得た!」

 

その様子を見てミサがスサノオ改修機目掛けて射撃を行い、

ロボ太が駆け足で取り付いて格闘攻撃を仕掛ける。

その後泰葉もサザビー胴備え付けのオプション武装

「拡散メガ粒子砲」の照射を始めとした援護射撃を行った事で

スサノオ改修機は撃破され…狂化を発動した真武者頑駄無改修機も

泰葉達の連携の前に落とされ、コアのバリアが解除される。

そのまま剥き出しのコアに集中攻撃を叩き込む泰葉達だったが、

コアゲージ残量が半分となった所でバリアが再展開される。

 

「今回は1回じゃ終わらない、かぁ…」

 

「相手チームの再出撃を確認…む? リージョンカップの時の

 CPUコピー機と思しき2機目の真武者頑駄無だけでなく、

 ピンク色のカラーリングの新しい機体まで出て来たぞ?」

 

「あー、ピンク色のレッドフレーム改にデスティニー腕のやつは

 相手チームの3人目のメンバーだな。戦力温存を目論んでたが

 倒された事でCPUコピー機含めて頭数の有利を取りに来たってとこか」

 

「何にせよ戦力が増えたのは事実…最後まで油断せずに行きましょう」

 

「わかりました」

 

ミサのボヤきの返答代わりに相手チームの再出撃を告げる

晶葉であったが、CPUコピー機とは異なる増援の登場に

困惑を見せる。それに対してカドマツが相手チームの

目論見の予測を返し、泉は油断禁物と泰葉達に告げる。

その後はCPUコピー機をあっさりと倒し、戦力差を

五分に持ち込んだが相手も負けじと抵抗を試みる。

 

「うわっ!? やっぱ速いっ…!」

 

「ミサさん!?」

 

「くっ、すまんがこちらは取り付かれてすぐには

 駆けつけられん…もう少しだけ頑張ってくれ、ミサ!」

 

スサノオ改修機の「光の翼」をまともに喰らい吹き飛ばされ

ダウンするミサ。泰葉もロボ太も救援に駆けつけたかったが

それぞれ真武者頑駄無改修機とレッドフレーム改改修機に

取り付かれた事で駆けつけられず詫びを告げるロボ太。

そうしてミサをダウンさせたスサノオ改修機が泰葉達の方に

向かい取り付くと、入れ替わりでレッドフレーム改改修機が

ミサに向けて移動する。そしてミサ機が立ち上がったその直後…

 

「へ!? お、起き上がりにパルマ重ねるのはキツいってばぁ!」

 

「いかん!」

 

「これで…強引に押し通ります!」

 

レッドフレーム改改修機がミサ機の立ち上がりに重ねる形で

腕部オプション武装「パルマフィオキーナ」を使用し、

シールドガードが出来ないその武装の特性も相まって

直撃を受け掴まれたまま壁面まで運ばれ叩き付けられる。

それを見たロボ太が焦りの声を上げる中、泰葉はゲージが貯まった

EXアクション「スラッシュペネトレイト」をレッドフレーム改改修機を

標的として発動する事で取り付かれていた敵機を斬り飛ばしつつ

ミサの方に向けて高速で移動し…そのままレッドフレーム改改修機を

格闘攻撃で吹き飛ばした後に回復EXアクション「フィールドリペア」で

3機全ての耐久力を回復させて体勢を立て直す事に成功する。

 

「ありがと泰葉ちゃん、助かったよ」

 

「いえいえ…体勢も立て直してゲージも貯まりましたし、

 ここから一気に勝負を決めに行きます!」

 

ミサからの礼に泰葉が返事をすると、そこから「覚醒」の発動に

繋げて一気呵成に攻撃を仕掛け…ミサとロボ太の援護もあって

あっという間に相手チーム3機を撃破し再度コアバリア解除に持ち込む。

そのままコアへの集中攻撃に繋げ、締めは一種の定番ともなりつつある

バーストアクション「ライザーソード」によるコア両断でベスト16進出を決めた。

 

~~~~~

 

「今度はバトルロイヤルルールですね、

 シンプルですがここまで来た以上

 対峙するであろう相手チームもそれ相応な

 強さでしょうし油断せずに行きましょう」

 

「もっちろん!」

 

「はい!」

 

「うむ!」

 

ベスト8決定戦のルールを確認した泉が、

油断する事のないように泰葉達に告げると

3人とも了承の意を示し…砂漠フィールドを

次から次へと現れるCPU機を蹴散らしながら進む。

そうして次フィールドへのゲートに近付くと、

警告表示に続いて敵機のログインが行われる。

 

「今回は砂漠戦イメージのジェスタ改修機小隊か…

 偶然か意図的か、フィールドに合った塗装を施された

 機体で構成されたチームともよく当たる印象だな」

 

「布陣としてはプレーン寄りの機体に、レドーム付きの

 索敵担当機…最後にバックパックに『6連ミサイルポッド』と

『180mmキャノン』を増設した砲撃機といった構成っスね」

 

「優先標的は砲撃機、という事ですね?」

 

「うん、いつものように高火力機から…だね」

 

「承知した、行くぞ!」

 

相手チーム機のカラーリングがまたもやフィールドと

マッチしたものになっているのを見ての感想を述べる

カドマツに続き、比奈がそれらの武装の取り合わせを

確認して3機それぞれの役割を泰葉達に伝える。

それを聞いた泰葉達は、普段通りの「高火力機優先撃破」の

戦術に従って射撃系ビルダーズパーツ2種を増設した

砲撃担当機を集中砲火で落とし…残り2機は攻撃手段が

ほぼ手持ちのメイン武装だけという事もあって

3機それぞれの得意距離での戦いに徹して危なげなく勝利した。

 

~~~~~

 

その先も続く砂漠ステージを泰葉達は進み続け、

次なるフィールドゲード近くで再び相手チームとエンカウントする。

 

「今回は3機ともシナンジュベースっスが…機体のあちこちに

『角』による装飾がなされてたり、バックパックがヴァサーゴに

 エピオンにデスサイズヘルと禍々しさを感じさせる翼付きという所から

『悪魔』イメージのビジュアル重視のカスタマイズみたいっスね」

 

「見た目重視のカスタマイズながらここまで勝ち上がって来たという事は、

 実力はこちらの予想を遥かに上回る可能性が高いと思われる…油断すんなよ?」

 

今回の相手チームもベスト16以降の試合で泰葉達が多く目にした

「同一機体ベース機チーム」であったが、今回はバックパックや

各部の装飾が1つのテーマで統一されているビジュアル重視の

カスタマイズであると比奈が泰葉達に伝える。それに続く形で

カドマツが「ビジュアル重視でありながらここまで勝ち上がった事」から

相手チームの実力の高さを予想しそれに対して泰葉達に警告を送る。

 

「なるほどねぇ…」

 

「とはいえ3機とも火力差はほとんどないようですし…

 どの機体から落としましょうか、ミサさん?」

 

「うーん、強いて言えばエピオン背のやつからかなぁ…

 両肩に増設してる『ビームブーメラン』にエピオン脚の

『ビームソード』とこの中じゃ一番手数が多いようだし」

 

「承知した」

 

その警告に対し頷くミサに、泰葉は3機の火力差の少なさ故に

どれから狙うべきか迷い尋ねる。それを聞いたミサは

パッと身ながら一番攻撃の手数が多いであろうエピオン背の

機体を最初の標的に定め…ロボ太もそれに対し了承の意を返す。

そこからは相手の武装構成がどれも近接重視であった事から、

泰葉とミサの豊富な射撃武装を中心とした攻撃で相手を近寄らせずに

ダメージを与え続け…ほぼ一方的と言える形で勝利した。

 

~~~~~

 

「このフィールド、狭いね…となると、

 もしかしたらPG相手って事なのかな?」

 

悪魔イメージシナンジュ小隊チームを蹴散らした

泰葉達が進んだフィールドが狭いものであった事で、

これまでの経験からミサはここで戦う相手チーム機が

PGである可能性を危惧する言葉を吐く。

 

「相手チームのログイン反応を確認…

 どうやら、ミサさんの予想通りみたいです」

 

「ネモ風カラーのMk-ⅡにZのライフルと

 78の盾か、今回の相手はシンプルな構成だな」

 

その発言のほぼ直後に相手チームのログイン反応を

確認した泉が、データ量等からミサの予測通りで

ある事を告げ…PG機1機が泰葉達の前に降り立つ。

そのPG機の構成やカラーリングに対するカドマツの

感想を合図代わりに、戦いが始まった。

 

「…はっ!」

 

「ロボ太ナイス回避! PG相手にも大分慣れて来た感あるね」

 

「私達のように高く飛べないという枷がありながらも、

 あそこまで見事に回避を決めるのは凄いですね」

 

「そのロボ太の頑張りに報いる為にも、飛べる私達は

 空から弾幕を浴びせて行きましょうか!」

 

「はい!」

 

PG機特有の高速突進格闘攻撃を、地上でのステップで

見事に回避するロボ太を空中から見下ろす形で見た

ミサと泰葉はロボ太に対する称賛を口にし…

そのまま空中からミサの「マイクロミサイルランチャー」と

泰葉の「マイクロミサイル」と「ビームガトリング」に加えて

EXアクション「フリージングバレット」による弾幕をPG機に叩き込む。

それらの攻撃がちょうどPG機のウィークポイントに着弾し続けた事で

鈍い金属音と共に膝を着いてうずくまった姿勢で動きを止めた所に

3機が一斉に取り付いて格闘攻撃を叩き込み…再度響く鈍い金属音と共に

PG機の右腕がパーツアウトを起こし消滅する。それによって攻撃手段の

大部分を喪失したPG機だが、それでも残された左腕で掴んでの投げ飛ばしや

頭部の「バルカン・ポッド」からの射撃で抵抗を試みる。だが、決定的な

ダメージを与えられる攻撃手段の喪失を補うには到底力不足であり…

泰葉達の各種射撃攻撃の前にあっさり倒される結果となった。

 

~~~~~

 

「セミファイナルは相手チームとのタイマンでのコアアサルトだ、

 まずはこっちが防衛側で戦いそこで相手チームを全滅させれば

 攻守を交代しての2回戦になる…攻撃側の時に相手チームのコアを

 破壊した方が勝者となるから、まずは全力で防衛してくれ」

 

「わかりました」

 

「…相手チームのログインを確認!」

 

カドマツからバトルルールが説明され、それに対して泰葉が

返事をして間もなく泉から相手チームのログインが報告される。

 

「ジャスティス頭にフリーダム背、アカツキ腕に『ビームキャノン』が

 増設されたブリッツ脚の構成に『アロンダイト』持ちの淡いピンク色の機体と

 ブリッツベースで背中がランチャーストライクに脚がレジェンドで

 背中にさらに『大型ビームランチャー』とブリッツ右腕の『トリケロス』部分に

『アッザムリーダー』が増設された黄色い砲撃機…最後の1機はエメラルドグリーンの

 IWSP装備型ストライクの小改修機に『グランドスラム』を持たせたやつか、

『SEED系機体ミキシング』というテーマで統一されたチームってとこだな」

 

「聞こえて来た声からしてファイターが全員女性っぽかったし、

 納得行く感じのテーマっスが…『ミラージュコロイド』搭載砲撃機って、

 SEED原作で出たら凶悪極まりない取り合わせっスよねぇ…」

 

「地味にブリッツ本体も『トリケロス』に2種の射撃武器が仕込まれてるし、

 武装次第じゃステルス射撃機って方面でも十分イケただろうしなぁ…

 ま、シミュレーターじゃ『ミラージュコロイド』を始めとしたステルス系の

 EXアクションの効果は若干の射撃誘導精度の低下程度でロックオン自体は

 可能というほとんどフレーバー状態だが純粋な火力の高さは要警戒だな」

 

相手チームの機体構成を確認するカドマツの言葉を受けて、

比奈がその内1機の「ブリッツ砲撃仕様改修機」を見て

ベース機固有の特殊機能と高火力射撃武器で固めた構成という

取り合わせから感じた「凶悪さ」に対して一言零す。

カドマツがそれに対して同意をしながら、シミュレーターにおける

「ミラージュコロイド」等のステルス効果を発揮するEXアクションの

仕様を話しつつそれを抜きにしても持ち合わせた高火力への警戒も口にする。

 

「よっし、何とかブリッツは落とせたね!」

 

「とはいえ足止めに加えて高火力砲を中心とした射撃を

 何発も撃たれて危うくはあったがな…」

 

「何にせよ落とせたのならば良かったです、

 次は…フリーダム背のジャスティス狙いでしょうか?」

 

「だね、残り2機もそれなりの威力を持った射撃持ちだけど

 どちらかと言うとフリーダム背の方が火力高いからね」

 

その間に2人が話題に上げていたブリッツ改修機を、泰葉達は

「アッザムリーダー」や「グレイブニール」による足止めや

高火力砲2種と「トリケロス」からのビームや「ランサーダート」といった

各種射撃攻撃を掻い潜って何とか撃破に成功する。その後は

泰葉の言葉通りにジャスティス頭のミキシング機体に対して

集中攻撃を仕掛けて落とし狂化を発動したIWSP装備ストライクも

3人の連携の前に沈んだ事で泰葉達はコア防衛を成し遂げた。

 

~~~~~

 

「よし、今度は攻撃側だね!」

 

「撃破優先順位は先程と同じで良いですか?」

 

「うん、攻めるにせよ守るにせよ高火力機が

 一番厄介な相手である事に変わりはないからね」

 

「心得た!」

 

攻守を入れ替えての第2戦、相手チームの撃破順を再確認する

泰葉の言葉にミサが返事をしロボ太が了承の意を示した直後に

守備側となった相手チームが泰葉達の標的であるコアの前に降り立つ。

それに対して泰葉とミサがミサイルの雨を降らせてまとめてダメージを

与えていくも、相手もただではやられまいとブリッツ改修機の「アグニ」や

「大型ビームランチャー」からの砲撃や右腕の「トリケロス」から放たれる

ビームや「ランサーダート」に加えて「グレイブニール」や増設された

「アッザムリーダー」による足止め狙いの攻撃…さらにはジャスティス頭の

ミキシング機体の「バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」や「ビームキャノン」、

IWSP装備機からの「115ミリレールガン」等の射撃が絶え間なく放たれていた。

 

「…これでどうだっ!」

 

そんな敵味方の各種射撃が飛び交う中、ロボ太が手傷を追いながらも

何とかブリッツ改修機の撃破を成し遂げ…それによって泰葉達が流れを

引き寄せたと言わんばかりに勢いに乗って他2機も撃破しコアへの攻撃に移る。

 

「よし、順調順調…え!? バリア再展開早くない!?」

 

「おおむね3分の1辺りで再展開となると…あと2回は

 相手チームの全機撃墜が必要といったところか」

 

「…相手チームの再出撃を確認、CPU増援はないみたいです」

 

「わかりました、再度相手チームを狙いましょう」

 

「承知した!」

 

ミサがバリアの再展開速度の早さに驚きの声を上げると、

再展開時のコア残耐久値から必要と推測される相手チームの

撃破回数をカドマツが口にし…泉が相手チームの再出撃及び

機体数について報告する。それを聞いた泰葉が相手チームの

再度の撃破を2人に伝えるとロボ太から返事が返り

それを合図代わりに2度目のチーム同士の戦いに移行した。

そこでも相手の各種射撃を掻い潜って全機撃破を成し遂げ、

再度コアへの攻撃に移行するとほぼ晶葉が予測した通りの

コア残耐久力に至った時点で再度バリアの再展開が成される。

 

「相手チームの再出撃を確認…CPUコピー機増援も確認出来た!

 コピー対象は…ブリッツ改修機! CPUとはいえあの火力は

 放置する訳にはいかん、コピー元共々優先して落とせ!」

 

「うわぁ…よりによって一番厄介な機体がコピーされるとは」

 

「気持ちはわかるが嘆いても居られん…上手い事ほぼ同時の

 タイミングで落とせるようにまとめて削ってもらえんか?」

 

「わかりました、それにちょうどゲージも貯まりましたし…

 これが相手の最後の出撃ならば、ここで『切り札』を切ります!」

 

2度目の再出撃となった相手チームの布陣を確認した晶葉が、

CPU増援の登場とその増援のコピー対象を見て警告を告げる。

それを聞いたミサがコピー対象のチョイスに愚痴を零すと、

ロボ太がそれに理解を示しながらも戦わねばならないと告げ…

コピー機とそれのコピー元をほぼ同時に落とせるように

攻撃してもらえるように伝えると、泰葉は了承の返事と共に

ゲージが貯まっていた「覚醒」を発動させ勝負に出る。

そこから泰葉の「フリージングバレット」からの「マイクロミサイル」と

それに便乗する形でミサが「フォートレスフォアブラスター」発動から

続けての「マイクロミサイルランチャー」からのミサイルの雨で

相手チームとCPU増援に対しまとめてダメージを与えていく。

そこから泰葉が「スラッシュペネトレイト」をブリッツ改修機を

標的として発動し、隣り合う形でスタンしていたブリッツ改修機と

それをコピーしたCPU増援に対してまとめてダメージを与えていく。

その後は大剣の攻撃範囲の広さや左腕に増設した「腕部グレネードランチャー」を

放って直撃のみならず爆風に巻き込む形でそれら2機をまとめて削っていき、

ミサとロボ太も集中してそれら2機に攻撃を加え…「覚醒」の残時間が

僅かとなった所で再度スタンさせたそれら2機がほぼ直線で並ぶ位置に移動し、

そこでバーストアクション「ライザーソード」を発動して2機まとめての

撃破に成功する。その後はそこに至るまでの全体攻撃に巻き込んでいた事もあって

残り2機はそれほど苦労せずに撃破し、そのままコアの破壊も成し遂げるに至った。

 

~~~~~

 

「ジャパンカップもセミファイナルラウンドまで終了し、

 今日この日の為に全国から選ばれたチームも

 4チームを残すのみとなりました! これから始まる

 ファイナルラウンドで勝ち残ったチームこそが、

 日本最強にして世界に挑むチームとなるのです!」

 

ファイナルラウンドを前にしてのMCハルの言葉を、

チーム控室のモニター越しに聞いたカドマツが

それに対する返事代わりに感慨深げに口を開く。

 

「本当に、ここまで来れるなんてなぁ…」

 

「そうですね、こちらとしてもまさかここまで

 来れるとはという驚きと同時に嬉しさを感じてますよ」

 

カドマツの感慨深げな言葉に対し、プロデューサーも

返事代わりに自身が抱いている率直な驚きと喜びを口にする。

 

「私だって正直信じられないよ…けど、ここで優勝すれば

 商店街の名前が日本だけじゃなく世界中にまで広まって

 きっと昔のような賑やかさを取り戻せる…これも全部

 泰葉ちゃん達のおかげだよ、本当にありがとう!」

 

「どういたしまして…でも、そもそもミサさんが商店街チームを

 作ろうと行動したからこそここまでの結果に繋がったんですよ?」

 

「その通りっス、ミサちゃんが諦めなかったからこそ

 プロデューサーの偶然からウチの事務所や泰葉ちゃん…

 そしてアタシ達にバトンが繋がってここまで来れたんスよ」

 

「確かに泰葉にはガンプラバトルの才能があったのかもしれん、

 だがその才能を実らせたのも…私と泉や、カドマツとロボ太との

 縁を結べたのも…ミサ、全てはお前のおかげなんだ」

 

「そうですよ、ミサさん…だから、私達の方こそミサさんに

 お礼を言わせて下さい…本当に、ありがとうございます」

 

「アイドルに先に言わせる形になっちゃったけど、事務所としても

 ミサさんに感謝してるのは紛れもない事実だよ…ありがとう、ミサさん」

 

プロデューサーの言葉に続く形となったミサの喜びを爆発させた

言葉に対し、泰葉達は「ミサが諦めなかったからこそ今の結果がある」と

それぞれに言葉にした上でそれに続けてミサへの感謝の言葉を述べる。

 

「うちの会社にしても嬢ちゃんには感謝してるよ、何せ我が社の

 新製品の試作機がジャパンカップのファイナリストチームの

 一員という良い意味で予想外の収穫を得ちまったんだからな」

 

「みんな、ありがとう…! そこまで言ってくれたみんなの為にも、

 ファイナルラウンドもエキシビジョンも勝ちたいから…

 あと一踏ん張り、みんなの力を貸して!」

 

「もちろんです、ミサさん! それに、ここで終わりじゃありません! この先の

 世界大会でも勝ち進む為に…こちらこそ、ミサさんの力を貸して下さい!」

 

「…そうだね、ここで終わりって訳じゃないもんね…あまりの嬉しさで

 つい忘れちゃってたけど、もちろん世界大会でも勝ちたいから

『あと一踏ん張り』だけじゃなくてこれからも力を貸してくれるかな?」

 

「もちろんっスよ、ミサちゃん」

 

「心配はいらん、世界にこの天才の頭脳を見せつけてやろう!」

 

「まだまだ発展途上の身だけど、出来る最大限のサポートはしますから」

 

「仕事としての責任は果たすし、それを抜きにした

 個人的な感情としても行ける所まで行きたいからね」

 

「…ま、まずは目の前の日本一を勝ち取ってミスターとの

 バトルにも勝って…商店街に戻って、世界に向けての

 英気を養う為にもまたあの小料理屋で盛り上がろうじゃねぇか」

 

「だね…よし、それじゃあ行こうか!」

 

「はい!」

 

アイドル達の言葉に続いての、カドマツのロボ太の活躍の喜びを聞いて

感極まったミサが「日本一を勝ち取る為に力を貸して欲しい」と口にする。

それを聞いた泰葉は了承の意を返しながらも、この先の世界大会も見据えての

言葉を続け…ミサもそれを受け、世界大会でも力を貸して欲しいを皆に告げる。

それに対する比奈達やプロデューサーにカドマツの言葉を背に受けながら、

泰葉達3人はそれぞれの愛機を手にシミュレーターへと向かって行った。

 

~~~~~

 

時間は少し遡り、場所は変わって…

ウィルが宿泊している静岡県内某所の

タイムズユニバースグループ経営のホテル。

 

ジャパンカップファイナルラウンド進出チームが

決定した所で、ウィルはドロシーに一言告げる。

 

「ドロシー、出国前に言っていたホテルの近くの

 我が社のグループ企業が経営するアミューズメントパークに

 向かうから車を出してくれるように頼んでくれ。

 …それに、連れて来た元スリーエス社員にも

 間もなく出発すると一言連絡を頼む」

 

「…本当にやると言うのですか、ウィル坊ちゃま?

 まだ彼女達が優勝すると決まってはいませんのに…」

 

「やる事がやる事だけに事前の準備に時間もかかるだろうし、

 そもそも誰が優勝する結果だろうとやるつもりで考えてたからね…

 エキシビジョンに間に合わせる為にも、すまないが今すぐ頼む」

 

「…わかりました」

 

ウィルの発言に疑問を示すドロシーだったが、

それに対してキッパリと返事をされた事で

それ以上の発言を呑み込むように了承の意を返す。

 

…運命の瞬間は、刻一刻と近付いて行く…




比奈:今回は久々にガッツリとバトル描写に力が入った
   内容となったっスねぇ…ボリュームのムラは否めませんが

P:ちょうど難易度を問わず相手チームの布陣がほぼ決まってる
 ステージが続いたもんでね…予想だにせぬ増援が現れた
 ベスト16の3回戦と目に見えて高火力な機体が現れた
 ベスト16の2回戦にセミファイナルの3戦は動画で機体を
 観察した事で色々アイデアが浮かんだから長文になったんだ

比奈:そしてウィル君周りの描写も、エキシビジョンマッチ後の
  「あの事件」に対する説得力の増強として入れて来ましたか…
   ここで「元スリーエス社員」を出したのは、このSSでの
   ウィル君初登場時の描写を踏まえての事っスかね?

P:だな、「あの事件」は一種のクラッキングと言える事態だったし
 その「クラッキングが出来そうな人材」として適役かなと
 思ったからスリーエス社買収関係の描写をああいう風にしたんだ

比奈:…「あの事件」関係の描写が行われるのはまだちょっと
   先の話っスが、どういう風に補完されるか楽しみにしてまス

P:ありがとな…とはいえまずは次回のファイナルラウンドの
 話を楽しみにして欲しいと言っておく、どこまで独自色を
 出せるかは自信はありませんが出せる力は注ぎ込みますので


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ジャパンカップファイナル・それぞれの望む未来/交差間近の3つの運命

「…それでは、行きましょうか」

 

「うん!」

 

「承知した!」

 

プロデューサーやカドマツ、そして比奈ら

他アイドル達の激励を受けて3人がポッドに入り…

それぞれがガンプラのセットを終えたタイミングでの

泰葉の言葉にミサとロボ太の返答が返って来る。

 

「では…岡崎泰葉、ガンダムティガーストライク…行きます!」

 

「オッケー、それじゃ私も…サツキノ・ミサ、

 アザレア・ヘヴィガンナー行っきまーす!」

 

「私も続こう…ロボ太、フルアーマー騎士ガンダム出る!」

 

それへの返答代わりの泰葉の出撃宣言に続いて、

ミサとロボ太も同様の発言を行い3機がカタパルトから

月面フィールドへと飛び出して行った。

 

~~~~~

 

『さぁ、ついに始まりましたジャパンカップ・ファイナルラウンド!

 このラウンドはセミファイナルで勝利した4チームが同時に出撃し

 道中で他チームと鉢合わせた時にはそのままバトルをして頂き…

 その結果、最後に勝ち残ったチームが日本チャンピオンとなり

 世界大会への出場権を得る事になります! それを目指して戦うのは

『株式会社トヨサキモーターズガンプラバトルチーム』・

『沖縄宇宙飛行士訓練学校ガンプラバトル部』・

『鹿児島ロケット株式会社ガンプラバトルチーム』・

 そして『彩渡商店街ガンプラバトルチーム』の4チームとなります!』

 

「…どうやら、ツキミ君とミソラちゃんのチームも決勝まで上がったみたいだね」

 

「そうですね…とはいえ向こうも言ってましたが手加減なしで行きましょう」

 

「もっちろん!」

 

「心得た!」

 

「ミサちゃん達には関係ない話になっちゃいまスが、まさか事務所の

 他のアイドルと縁深い企業のチームも決勝に出るとは驚きっス」

 

「そうなの?」

 

「ああ、確か最初に名前が挙がってた『トヨサキモーターズ』の

 CMを始めとした各種宣伝を結構な頻度で美世が受けていたな」

 

「…こうして傍に居る立場だとつい忘れちまいがちだが、

 そんな大手企業から何度もオファーが来ちまうレベルの

 とんでもない規模の芸能事務所と一緒に仕事してるっていう

 凄まじい状況だと今の話を聞いて改めて感じちまうな…」

 

泰葉達がフィールドに飛び出したとほぼ同時に聞こえて来た

MCハルによるファイナルラウンド進出チーム紹介を聞いて、

ツキミとミソラが所属するチームの決勝進出を口にするミサに

泰葉はぶつかった時には全力で戦おうと返しミサとロボ太も同意する。

そこから続いて比奈が同じく決勝に上がった企業チームについて触れ、

晶葉がジャンルは違えど「機械いじり」という共通項で親しいアイドルの1人

「原田美世」とその企業との関わりについて引き継ぐ形で話す。

それを聞いたカドマツは、改めて自分が今現在手を貸している相手が

とてつもない規模である事を認識ししみじみとした様子で一言零す。

 

「だねぇ…ま、でもそのおかげもあってここまで来れたんだし

 私としては感謝あるのみだよ…その助力を無駄にしない為にも、

 皆で一丸となって全力でぶつかって絶対に優勝するよ!」

 

「はい!」

 

「無論だ!」

 

「CPU機も湧き始めて来たっスね…メンツは『ジョニー・ライデン』カラーの

『ゲルググキャノン』と『ギラ・ドーガ』に、『クシャトリヤ』っスか」

 

「自分で使った事もある身としては、やはり『クシャトリヤ』の手数の多さが

 一番厄介だと思いますね…『Iフィールド』も備えている為、ビーム系の

 射撃武器がメインのミサさんでは若干分が悪い相手とも言えますし」

 

「そうなんだよね…悪いけどここは私は他2機を引き受けるから

 泰葉ちゃんとロボ太で『クシャトリヤ』を相手してくれない?」

 

「わかりました」

 

「承知した!」

 

カドマツの発言を受けてミサもしみじみとした口調で一言零した後に、

改めて泰葉達への感謝の意と共に優勝を目指す言葉を続け…

それに対し泰葉とロボ太が返事をした所でCPU機が湧き始める。

それを確認した比奈が湧いて来たガンプラの種類を告げると、

泰葉がかつて自分の機体に使った事のあるものがあった事で

そのガンプラの「強さ」と「厄介さ」を口にする。その言葉を聞いて

名前が挙がったガンプラと自分の機体との相性の悪さを感じ取ったミサは

他2機の相手を引き受ける代わりに名前が挙がったガンプラの相手を

泰葉とロボ太に頼み込み、それに了承の返事が響くと同時に3人は

手分けしてCPU機を片っ端から撃墜し…その勢いのまま基地内部に移動する。

 

~~~~~

 

「CPU機のメンツ、『クシャトリヤ』が『ローゼン・ズール』に

 変わった以外は月面フィールドと変化なしのようっスね」

 

「そっかー、そっちもそっちで盾に『Iフィールド』があるから

 引き続きになっちゃうけど泰葉ちゃんとロボ太で相手してもらえるかな?」

 

「任せて下さい」

 

「心得た!」

 

月面から基地内部へとフィールドを移動し、現れたCPU機を確認しての

比奈の言葉を受けてミサはCPU機撃破の役割分担を泰葉達に頼み込む。

それに対する了承の返事と同時にそれぞれの標的に向かい攻撃を開始し、

次々と撃破しながら基地内部を奥へ奥へと進んで行く。その最中…

 

「…相手チームログイン反応! データ容量からするにPG2機と思われます!」

 

泉からの報告の直後に、報告通りのPGサイズの紺色メインと黄土色メインの

カラーリングの「レッドフレーム改」2機がが泰葉達の前に降り立つ。

 

「おおっと! ここで彩渡商店街チームとトヨサキモーターズチームがエンカウント!」

 

「PG2機を繰り出せるという事は、エンジニアの腕前が高いという事か…」

 

「だな、ジャンルは違えど大手企業故にエンジニアやアセンブルシステムに

 対して注ぎ込める金額には並の企業とは比べ物にならないだろうしな」

 

MCハルからのアナウンスの後に、PG2機登場という点から相手チームの

エンジニアの技術の高さについての晶葉の感想にカドマツが返事を行う。

 

「346プロとの連合チームか…世話になっているが勝負は勝負、

 優勝の為に全力で叩き潰させてもらう! 無論そちらも言われずとも

 そのつもりだろうが手加減も忖度も一切いらん、全力で叩き潰しに来い!」

 

「わざわざ丁寧に、感謝します…では、その言葉に甘えさせてもらいます!」

 

「ここに来るまで企業チームを何度も倒してるんだから、

 今更会社の規模で怯むような事なんてないよ!」

 

「その通り! 我らも優勝の為に全力で押し通らせてもらう!」

 

そこから続く形でのトヨサキモーターズチームのファイターからの

決意表明の言葉に対し、泰葉達も一切の手加減なしに行く事を

返答として口にしたのを合図代わりにバトルが開始された。

 

~~~~~

 

「はああああっ!」

 

「ぐっ…いかん、捕まったか!」

 

「ロボ太さん!」

 

「こんのぉーっ!」

 

PG「レッドフレーム改」の1機が「フルアーマー騎士ガンダム」に接近し

両手に持った「ガーベラストレート」と「タイガーピアス」を

激しく振るっての連続斬撃を放ち…初撃を避け損ねたロボ太が連続で斬られる。

それを止めようと泰葉とミサがそれぞれミサイルを放つが、着弾し

ダメージこそ与えられたものの攻撃の手は止まらず全段を喰らう事となり

ロボ太は自機に大ダメージを受けて吹き飛ばされる結果となった。

 

「チームメンバーを救おうとするのは間違ってはいないが…

 それにばかり囚われるのは良くないな!」

 

「取り付かれた!?」

 

「まずっ、早く離脱し…うわっ!?」

 

その最中に泰葉達のミサイルを受けながらも移動して来たもう1機が

上昇しながらの二刀による回転上昇斬りを行い、泰葉とミサのガンプラを

巻き込みながら天井ギリギリまで上昇し…そこから回転して落下しながら

引き続き斬撃を叩き込みつつそのまま2機を地面に叩き付ける。

 

「2人とも無事か!」

 

「な、何とか…回復ありがと、泰葉ちゃん」

 

「正面からの格闘攻撃は危険ですね…射撃で攻めるか

 格闘の場合は側面や背後からの攻撃に徹しましょう」

 

「うむ、これまでのPG戦とは異なりフィールドに障害物が

 存在する為か高速突進系の攻撃は使われないと思われる…

 間合いを取るか死角から攻めればダメージは抑えられるだろう」

 

ロボ太からの心配の声を受け、立ち上がって泰葉が回復EXアクション

「フィールドリペア」で回復した直後にミサが返事をすると

続けて泰葉は相手の攻撃方法から適切と思われる攻撃方法を提案し…

フィールドの状況から相手PG機の攻撃手段も限られると推測した

晶葉が泰葉のその提案に賛同の意を込めた言葉を続ける。

そこから泰葉達はその提案通りに射撃戦を中心としつつ

格闘攻撃時は相手PG機側面や背後からを意識して攻撃していくが…

 

「背中を取れば安全だと思ったら大間違いだ!」

 

「何を…うわっ!?」

 

「泰葉ちゃんっ!」

 

「主殿!」

 

「だ、大丈夫です…!」

 

相手PG機の片割れの背後から「グランドスラム」による格闘攻撃を

叩き込んでいた泰葉が、敵機がバックパックの「タクティカルアームズ」を

「ソードモード」に変形させて自機周囲を薙ぎ払うように振るう攻撃に

巻き込まれ…ダメージと共に吹き飛ばされ、その様子を目の当たりにした

ミサとロボ太から心配の声が上がるが泰葉は回復しながら気丈な声で返事をする。

 

「ここまで格闘戦に長けているとは…今更ながらやっぱり

 ジャパンカップに出場するだけの実力なんスねぇ」

 

「ロボ太にはキツいけど、ダウンを取れるまで射撃戦に

 徹した方が良いね…背中を取っても安心出来ないって言うんじゃ」

 

「そうですね…」

 

比奈が相手チームの強さを改めて痛感する言葉を口にした後に、

泉は泰葉達に射撃戦を主軸とした立ち回りを提案し

泰葉達も同意を示して障害物を駆使して相手PG機との

間合いを取りながらの射撃戦で少しづつ削っていく。

 

「うおっ!?」

 

それが功を奏したか、相手PG機の片方が鈍い金属音と共に

膝を着いたダウン状態となる。それを好機と見た泰葉達は

一斉に取り付いて格闘攻撃を叩き込んでダメージを蓄積させ

再度響いた鈍い金属音と共に右腕をパーツアウトさせる。

 

「やった!」

 

「これで攻撃が止んでくれれば良いですが…」

 

「甘いぞ!」

 

「何っ!?」

 

右腕をパーツアウトさせた事に喜びの声を上げるミサと、

それによって格闘攻撃が収まる事を期待する泰葉の声を

掻き消すように右腕を失った相手PG機が再度回転上昇斬りからの

回転落下斬りを発動させそれを目にしたロボ太が驚きの声を上げる。

 

「腕が外れた状態でなお格闘攻撃を繰り出せるだと!?」

 

「ありゃあ格闘武器が二刀流だから片腕が外れても

 残った腕に武器が残ってるからそれで攻撃出来るって訳だ、

 さすがに背中の『タクティカルアームズ』は使えんだろうがな」

 

「そういうメリットがあるんですか…」

 

その様子を見た晶葉の驚きの声に対し、カドマツが

片腕が外れながらも格闘攻撃が出来る理由を説明すると

泉は自分達が使わない故に知らなかったPGならではの

メリットに対しての感想を口にしていた。

 

「…周囲を薙ぎ払われる事がなくなっただけでも

 楽になったのは間違いない、私が取り付いて

 格闘攻撃を仕掛けるから主殿とミサは支援射撃を頼む」

 

「わかりました」

 

「了解! でも無理は禁物だよ」

 

「心得た!」

 

そのカドマツの言葉を聞いて格闘攻撃を仕掛けやすくなったと

判断したロボ太が片腕が外れた方に取り付くと宣言し泰葉達に

支援射撃を求めると、泰葉達は同意の返事と同時に無理はしないようにと

ロボ太に告げる。そこから再び障害物を駆使して相手PG機2機を

引き離すように立ち回りつつ集中攻撃を仕掛け、狂化発動も乗り越え

PG機1機の撃破に成功する。残った1機の耐久力はまだ多く残っていたが、

1機となった事で安全を確保しやすくなりダメージを抑えて撃破し勝利した。

 

「ちっくしょぉぉぉぉお!!」

 

「彩渡商店街チーム、トヨサキモーターズチームを

 機体スケール差をものともせず華麗に撃破しました!」

 

「やったね!」

 

「はい、でもまだ1つ目のハードルを越えただけ…

 もう1つのハードルを越えて優勝を勝ち取る為にも

 気を引き締め直して次の戦いに備えましょう」

 

「…残り2チームの決着も付いたようだ」

 

「ホント? どっちが勝ち残ったの…うわっ!?」

 

「どうやら即座に決戦用のフィールドに移動させられるみたいだな」

 

トヨサキモーターズチームのファイターの断末魔の如き

悔しさを滲ませる叫び声が響く中、MCハルによる

彩渡商店街チーム決勝進出のアナウンスがなされる。

それを聞いて喜びの声を上げるミサに、泰葉は同意しつつも

まだ戦いが終わっていない事と同時に気を引き締めるように返す。

その直後に晶葉から残り2チームの試合の決着が付いた事が告げられ、

ミサが勝ち残ったチームを確認しようと声をかけると同時に

フィールド移動が行われた事に驚いた声を出していた。

 

~~~~~

 

「まさか相手が母校のチームになるとはね!」

 

泰葉達とトヨサキモーターズとのバトルが行われていたのと

ほぼ同じタイミングで、残り2チームのうち1つの「鹿児島ロケット」の

チームのファイターである新垣禄戸(しんがき・ろくと)は

対戦相手となるチームが自分の出身校「沖縄宇宙飛行士訓練学校」の

ガンプラバトル部である事に驚きながらも2体1という数的不利を

感じさせない立ち回りで互角の戦いを繰り広げていた。

 

「悪いですけど…!」

 

「勝たせてもらいますよ、先輩!」

 

ミソラの砲撃を避けたロクト機目掛けて、

砲撃の影から飛び出す形で飛び上がるツキミ。

 

「意気込みはいいが、こっちにも意地があるからね!」

 

「うわっ!」

 

だがロクトはそれに動じる事無くツキミ機を迎撃し吹き飛ばす。

 

「…とはいえ、向こうでぶつかってるチームのどちらが

 勝ち残ったにせよ1人で勝てるような相手じゃないか…

 後輩達、ここは1つ取り引きをしないか?」

 

「取り引き?」

 

「どういう事ですか?」

 

その直後、自分達とは別の2チームのどちらが勝ち残ったにせよ

自分だけで勝つ事は難しいと悟ったロクトは攻撃の手を止め

2人に声をかける。それに対して疑問を抱きながらも返事をした

ツキミとミソラに対して、ロクトは言葉を続ける。

 

「この戦い、どちらが勝ったにせよ向こうでぶつかってる

 2チームのどちらを相手にするにせよ分が悪いだろう。だから…」

 

~~~~~

 

「今回も先んじて入れたようですね」

 

「だね、残ったチームはどっちなのかな?」

 

「相手チームのログイン反応を確認…え!?

 通常サイズ機だけど、3機編成ってどういう事!?」

 

「泉ちゃん、それってどういう…」

 

相手チームに先んじる形でフィールドに入った泰葉達。

そこで改めてミサが残ったチームについて尋ねると同時に

相手チームのログイン反応を確認した泉がその機数に対し

驚きの声を上げ、ミサが聞き返そうとすると同時に

相手チームの機体「3機」が泰葉達の前に降り立った。

 

「ツキミ君のガンプラとミソラちゃんのガンプラと…もう1機の

『スターゲイザー』頭で『トールギスⅢ』のバックパックに

『シールド・ブースター』2つを増設した方は見た事ないやつっスよ!?」

 

「ベスト16決定戦の時のような予備メンバーか!?」

 

「いや、ありゃあ…『鹿児島ロケット』のファイター、ロクトのやつだな」

 

「という事は、向こうは共同戦線を張ったという事かカドマツ!?」

 

「どうやらそうみてぇだな」

 

「ええーっ!?」

 

事前に目にしていたツキミとミソラのガンプラとは異なる

見慣れないガンプラに、ベスト16決定戦の時のような

予備メンバーを思い浮かべた比奈と晶葉だったが…

カドマツの口から出た言葉はその予想を上回るもので、

それを聞いたロボ太とミサは驚きの声を上げていた。

 

「これが勝つ為の最善の戦略と判断したからね、悪く思わないでくれ」

 

「文句を言う気はありませんが…どうしてまた?」

 

「泰葉ちゃんゴメン…勝ちたいのは私達も同じだし、

 それに就職のうってつけのチャンスだから…!」

 

「就職ってどういうこと!?」

 

「学校を卒業したとしても宇宙開発関係の企業に

 就職出来る奴は極僅か…だけどここで勝てば、

 鹿児島ロケットにコネが出来るからな!」

 

「切実と言うか、現実的と言うか…だね」

 

そこから続けてのロクトの言葉をきっかけとした

やりとりを聞いた泉が、呆れたようでありながら

同時にツキミ達に理解を示すような感想を口にする。

 

「…そちらにも譲れない理由があるのはわかります、

 ですがそれはこちらも同じ…全力で行きます!」

 

「そういう事! 未来が掛かってるのは私達もだからね!」

 

その上で泰葉達もツキミ達に理解を示した上で、

勝ちは譲れないと全力で行く事を告げる言葉を合図に

ジャパンカップにおける最後の戦いが始まった。

 

~~~~~

 

「まずはこれで足を止めて…!」

 

開始と同時に泰葉がEXアクション「フリージングバレット」を

放ち3機を巻き込んでダメージを与えると共に全機をスタンさせる。

 

「私とロボ太さんでミソラさんに集中攻撃を仕掛けます、

 ミサさんはツキミさんとロクトさんの足止めを!」

 

「オッケー!」

 

「頼むぞ、ミサ!」

 

そこから泰葉とロボ太はミソラのガンプラに向けて全力で移動し、

取り付くと同時に格闘武器による連撃を叩き込んで一気にダメージを与える。

 

「しまった、2機に取り付かれたんじゃ迎撃も…!」

 

「ミソラっ!」

 

「今行く!」

 

「そうはさせないよっ!」

 

その様子を見てミソラの救援に向かおうとするツキミとロクトを、

ミサがEXアクション「フォートレスフォアブラスター」に

巻き込んで当てて足を止める。その間に泰葉とロボ太による

格闘攻撃の連撃の前にあえなくミソラのガンプラは撃破された。

 

「ごめん…!」

 

「くっそぉ…!」

 

「ツキミ…悔しいのは分かるが、こういう時こそ落ち着け」

 

悔しさをにじませるツキミを落ち着かせようと声をかけるロクト。

だが、落ち着く間もなく泰葉達は標的を変えて攻撃を継続した。

 

「次はそちらですよ、ツキミさん!」

 

「うおっ!?」

 

ブーストで移動しつつ、間合いに入った所を見計らって

EXアクション「スラッシュペネトレイト」を発動し

ツキミのガンプラを斬り付け吹き飛ばす。それを追いかけての

泰葉の連撃とミサの援護射撃、そしてロボ太によるロクトの

足止めによってツキミのガンプラもあっという間に撃破された。

 

「後輩2人を巻き込んだ以上、ここは意地を見せないとな!」

 

「ならば、こちらも意地を見せるだけです!」

 

そうして残されたロクトのガンプラが狂化を発動したのに合わせて、

泰葉も「覚醒」を発動させる。2機の条件こそほぼ同じではあるが、

頭数では泰葉達が有利を取っていた事もありロクトは粘りを見せたものの

全ての攻撃を避け切る事は出来ず着実に耐久力を削られて行き…

最後は泰葉のバーストアクション「ライザーソード」にて

真っ二つに断ち斬られる結果となった。

 

「あーあ…後輩2人を巻き込んだ上でここまで容赦なくやられるとはね」

 

「…ふう」

 

軽い調子でありながらも後輩を引き込みながら勝てなかった悔しさを

吐き出したロクトの言葉に続く形で、泰葉が安堵の息を漏らす。

 

「や…やったぁーっ!!」

 

「うむ! 成し遂げたぞ!!」

 

「よっしゃあーっ!!」

 

「ほ、ホントに優勝しちゃったんスね…!」

 

「よくやったぞ! 泰葉! ミサ! ロボ太!」

 

「おめでとうございます、本当に…!」

 

「…泰葉、やっぱり君は本当に凄いよ」

 

それを見たミサとロボ太が喜びを爆発させ、

カドマツやプロデューサーや比奈達も

同様の思いが込められた叫びを発する。

 

「今シーズンのジャパンカップ優勝者、そして世界大会の

 日本代表チームは彩渡商店街チームに決定しました!

 30分の休憩後、エキシビジョンマッチとして優勝チームの

 彩渡商店街チームとミスターガンプラによるバトルを行います!」

 

観客席も同様の歓声が響く中、MCハルからの

エキシビジョンマッチ開催予告が告げられた。

 

~~~~~

 

「待ちかねていたよ…この時を」

 

彩渡商店街チームの優勝を控室で確認したミスターが、

普段の解説やMCの時とは真逆とも言える静かなトーンで

ありながらも「自分が待ち望んでいたものが来た」

事に対する喜びがにじみ出る声で一言発した後に

傍らに置いてあるケースを持って立ち上がる。

 

~~~~~

 

「…ウィル坊ちゃま、ジャパンカップ会場の試合用の

 シミュレーターとの接続準備が完了したと報告がありました」

 

「そうか…こちらの指示があるまで接続は待ってくれと伝えておいてくれ」

 

それとほぼ同タイミングで同じように泰葉達の優勝を目にした

ウィルに対してドロシーから準備完了の報告を受け、

それへの返事をした後に再び先程までジャパンカップの

決勝戦の生配信を流していたタブレットに視線を戻す。

 

…運命の歯車がかみ合うその時まで、あと僅か…




P:今回は筆が乗ったと言うか、書きたい事が次々と出て来た事で
 予告から遅れてしまったな…待っていた方には申し訳ありません

比奈:トヨサキモーターズ戦の所に気合が入ってたみたいっスね…
   その影響もあって若干尻切れトンボ感は否めませんが

P:だなぁ…こういったムラを無くしたいとは思うし
 そもそも安定して予告日を守れるように投稿しないとな

比奈:ま、そこは深く追求するとアタシもダメージを負うので
   このくらいにして…次はいよいよエキシビジョンっスか

P:ま、そうなるが…どれくらいの割合になるかは何とも言えないが、
 自分なりの「捻り」はここでも入れるつもりなので
 ご期待頂ければ…と言っておく。それでは、また次話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エキシビジョンマッチ・これからも共に歩む決意/運命の交差する瞬間

ジャパンカップのファイナルラウンド決着から30分後。

泰葉達は優勝に伴って行われるミスターガンプラとの

エキシビジョンマッチの為の準備に取り掛かっていた。

 

「いよいよミスターとのバトルかぁ…どんなガンプラで来るんだろ?」

 

「この30分の間に調べてはみたけれど…現役時代の使用ガンプラは

『リック・ディアス』をベースにして頭部や腕部にビルダーズパーツの

 追加どころじゃ済まないレベルの大規模な改造が行われたものみたい」

 

「昔のシミュレーターはパテやプラ版等で形状変更を施したり

 1から作り上げたパーツも対応してたって話を聞いた事がある、

 今だとビルダーズパーツが使えるようになった代わりに

 そういったパーツは使えなくなったって話だから

 そのミスターの現役時代の愛機は使えないだろうな」

 

「そうなると、実質的に事前予想は不可能という事になるか…」

 

「その通りですが、実際のところガンプラバトルにおける

 対人戦では相手の使用ガンプラを事前に知る事はほぼ不可能だと

 これまでの経験で身に染みていますし…そういう意味では

 普段のバトルと変わらないと言えます、気負わずに行きましょう」

 

「まぁ、確かにその通りだね…それにミスターと戦えるなんて事も

 私1人じゃ決して現実にならなかっただろうし、ここはありがたく

 その幸運に素直に乗っかって全力で行っちゃおうか!」

 

ミサの一言に対し、まずは泉が検索で確認した情報を告げ

それに続く形でカドマツが過去のシミュレーターで使用出来た

「スクラッチビルド」パーツについての話と現在のバージョンでは

使用不能である事を話す。それらを聞いて晶葉は使用ガンプラの

予測が不可能である事を零すが、泰葉はその事について「普段通り」と

感想を述べ…その泰葉の緊張と無縁の様子を見たミサも心強さを

感じて安心したのか、ミスターと戦える事への素直な喜びを口にする。

そうして泰葉達はガンプラを手にポッドに進み、入って行き…

 

「岡崎泰葉、ガンダムティガーストライク…行きます!」

 

「サツキノ・ミサ、アザレア・ヘヴィガンナーいっきまーす!」

 

「ロボ太、フルアーマー騎士ガンダム出る!」

 

普段通りの口上と共に、3機のガンプラがフィールドに飛び出して行った。

 

~~~~~

 

「今回も私達が先んじたねぇ」

 

「とはいえ相手は1人ですし、すぐに入って来るでしょうね」

 

「…うむ、早速お目見えのようだ」

 

ほぼ円状の形で岩山に囲まれた砂漠フィールドに

降り立った3人がそう言葉を交わした直後に、対戦相手となる

ミスターのガンプラのログイン反応が確認される。

 

「…来たみたいだな」

 

「はい…えーと、ケンプファーの頭にシナンジュの胴と武者頑駄無の腕に

 脚はヴァサーゴの…フロントスカートにスリットが見られないから

 チェストブレイクの方っスね、そんで背中がスターゲイザーのやつで

 格闘武器に『ガーベラストレート』、ビルダーズパーツは両肩の張りだした

 装甲の側面に『GNフィールド』を左右それぞれに1個づつと

 両膝に『ビームブーメラン』が見受けられまスね」

 

「射撃武器や盾はわかりますか?」

 

「すんません、そこまではちょっと…」

 

「いや、最初のパッと見でそこまで確認出来ただけでも

 有難いから気にしないで…私は『GNフィールド』を

 使い切らせる為にありったけの射撃武器を叩き込むから

 泰葉ちゃんとロボ太は間合いを詰めて格闘攻撃で

 ミスターのガンプラを攻撃してもらえないかな?」

 

「わかりました」

 

「承知した!」

 

ミスター機が現れた事へのプロデューサーの一言に

続く形で使用パーツを確認した比奈が泰葉達に報告すると、

それを聞いたミサは役割分担を泰葉とロボ太に頼み込み、

それへの返事を受けてミサは「ファンネル」の展開から

射撃攻撃を開始し泰葉とロボ太は前進して間合いを詰めて行く。

 

「さぁ、いよいよ始まりましたジャパンカップ優勝チーム

『彩渡商店街チーム』とミスターガンプラのエキシビジョンマッチ!

 8年間の沈黙を破り、再びバトルの舞台に経ったミスターは

 果たしてどんな戦いぶりを見せるのか!? 彩渡商店街チームの強さは

 かつての王者に通用するのか!? この勝負、一瞬たりとも見逃せません!」

 

「…私は今日この時が来る事を信じ、楽しみにしていた!

 こうしてキミとガンプラバトルが出来る事を!」

 

「そうですか…ですが、私だけしか見ていないのであれば

 それは誤りだと言わせてもらいます! ミサさんもロボ太さんも

 ここまで辿り着くに相応しい実力の持ち主です、私だけに

 注目して2人を無視していると足を掬われますよ!」

 

泰葉達の行動開始を合図代わりに、MCハルによるまさに

「立て板に水」という表現がしっくり来るような

凄まじい勢いの発言から続く形で泰葉のポッドへ

ミスターガンプラから泰葉と戦える事を楽しみにしていたという

通信が入る。それを聞いた泰葉は返事としてミサとロボ太も

十分な実力を備えており無視するのは危険だと返事を返す。

 

~~~~~

 

「もう少しで格闘攻撃の届く間合いに入りますね」

 

「うむ、『GNフィールド』は未だ展開されているが

 我々の格闘攻撃で足止めすればさらなる射撃の嵐を

 その身に受け続け使い切る事になるだろう…行くぞ!」

 

「…ふんっ!」

 

「なっ…うわっ!」

 

「ぬおっ!?」

 

泰葉とロボ太のそれぞれのガンプラがあと少しでミスターの

ガンプラに取り付ける位置まで迫り、格闘攻撃を繰り出そうとした

その瞬間にミスターは泰葉達のその行動を読んでいたかの如く、

2機の初太刀に合わせる形で大きく前進しすれ違いざまに

鞘から抜刀しての居合い切りをカウンターで叩き込んで

泰葉とロボ太のガンプラを打ち上げ…そのまま飛び上がって

「ガーベラストレート」による追撃に続けて行く。

 

「泰葉ちゃん! ロボ太! こんのぉーっ!!」

 

「たぁっ!」

 

「え…うわっ!」

 

「ミサ!」

 

「ロボ太さん、ミサさんが心配なのはわかりますが

 高く飛び上がって急降下した事で硬直している

 チャンスを逃す訳には行きません…今のうちに!」

 

「う、うむ!」

 

「向かって来るか…ならば!」

 

その様子を目の当たりにしたミサが、割って入らんと

射撃を中断し「ビーム・サーベル」を手に取って

一気にミスター機に迫る。だがその様子を見たミスターは

泰葉とロボ太への攻撃を中断し標的をミサに切り替えると

EXアクション「ライトニングスラスト」を発動して

高々と飛び上がり…そのままミサのガンプラの真上から強襲し

地面に叩き付けバウンドさせる。そうして地上に着地した

ミスターのガンプラ目掛けて体勢を立て直した泰葉とロボ太の

ガンプラが迫ると、2人の方に向き直したミスターは2つ目の

EXアクション「ミリオンスパイク」を発動しその決して広いとは

言い難い攻撃範囲に2機を巻き込んで高速連続突きを叩き込む。

 

「きゃあっ!?」

 

「ぬおおっ!」

 

「固まってたとはいえ、あのEXアクションで

 複数敵機を巻き込むなんて信じられねぇ…!」

 

「ブランクありとはいえ、やはりかつての王者の

 実力は伊達じゃないって事っスか…」

 

「ミリオンスパイク」に巻き込まれた泰葉とロボ太の

悲鳴に続く形でカドマツがミスターのEXアクションの

当て方に驚愕の声を上げ、比奈はミスターの腕前を

目の当たりにしての驚愕の声を上げる。

 

「やっぱ単純に突っ込むだけじゃダメかぁ…

 ここは大きく広がってタイミングを合わせた上で

 別々の方向から格闘攻撃を仕掛けようか、私は射撃を

 再開するから泰葉ちゃんも射撃しながら側面に回り込んで

 ロボ太は泰葉ちゃんの反対側に回り込んでもらえるかな?」

 

「わかりました」

 

「承知した!」

 

ミサがミスターの的確な迎撃の様子を確認した事で、

状況打開の為に「散開からの一斉突撃」を提案する。

それに対する泰葉とロボ太の返答を聞いたミサは

間合いを取っての射撃攻撃を再開し、そこに泰葉も便乗する形で

両肩の「マイクロミサイル」や左腕に増設したビルダーズパーツの

「腕部グレネードランチャー」を発射しそれらを全弾撃ち切った後に

「ビームガトリング」を連射しながらミスターのガンプラの側面に

回り込むように移動する。その泰葉の移動に合わせる形で

ロボ太も泰葉とは反対側のミスターのガンプラの側面に回り込み…

 

「よし、行くよ!」

 

「はい!」

 

「うむ!」

 

「なるほど、そう来たか…だがっ!」

 

3機が上手い事散開出来た事を確認したミサの合図と共に

泰葉達は3方向からタイミングを合わせてミスターのガンプラ目掛けて

格闘攻撃を仕掛ける為に移動を開始する。だがミスターはそれを

目の当たりにしても慌てる事なく泰葉達が格闘攻撃を繰り出すのに

合わせて迎撃の為に3つ目のEXアクションを発動させる。

 

「ふんっ!」

 

「うわっ!?」

 

「せいっ!」

 

「ぬおっ!?」

 

「やっ!」

 

「うっ…!」

 

「はっ! たっ! はぁっ! ぬおおおっ!!」

 

ミスターが発動した3つ目のEXアクション「ストライクストリーム」による

左右に大きくステップしての連続斬りで泰葉達のガンプラ3機を

1つにまとめるようにステップ範囲の中心部近くに吹き飛ばし、

固まった所でミスターのガンプラも飛び上がって3機まとめて上空に

打ち上げてから頂点からの落下大車輪斬りで3機とも地面に叩き付ける。

 

~~~~~

 

「な、何という強さだ…!」

 

「射撃攻撃が見当たらない分、ここまで格闘を極めてるなんて…」

 

「始まる前に話した現役時代の使用機体はバリバリの射撃型だってのに、

 格闘オンリーでもここまで戦えるって本当凄まじいとしか言えねぇな…

 3人共、格闘攻撃という相手の土俵に上がって戦うってのは

 やっぱ厳しいから『GNフィールド』を2つ共使い切るまで

 射撃を浴びせて使い切った所に照射ビームとかを浴びせて

 相手を拘束するって方針で行くのが良いと思うぞ」

 

「わかりました、その方針で行ってみます」

 

「う、うん」

 

「うむ…」

 

泰葉達の攻め方に対し的確に迎撃を決めるミスターを見て、

晶葉と泉が驚嘆の声を上げる。そしてカドマツはミスターの

使用ガンプラが現役時代のものとは真逆のコンセプトで

あるにも関わらず的確な戦い方を行う姿への驚きに続けて

泰葉達に射撃戦を中心とした立ち回りを提案する。

それを受けて泰葉達は攻め方を射撃戦中心に切り替え

ガトリングの弾幕やミサイルとグレネードによる爆撃、

ビーム弾及び照射ビームによる砲撃やEXアクションによる

射撃の積み重ねによりミスター機が肩部装甲に増設した

2つの「GNフィールド」も容量切れとなり…

 

ドカァン!

 

「ぬおっ!?」

 

「はあっ!」

 

ザンッ!

 

「ぐっ…!」

 

そのタイミングで放たれたミサ機の「GNバズーカ」からの

ビーム弾の着弾によってミスター機がのけぞった所に、

ビーム弾によって姿を隠す形となった泰葉機からの

「グランドスラム」による一閃を胴体に受けた事で

ミスター機はついに膝を付く姿勢でしゃがみ込み動きを止める。

 

「あーっと! ミスターの機体が膝を付いたぁっ!!」

 

「この胸に生じる気持ち、高鳴っていく鼓動…

 キミの力が思い出させてくれる、やはり私は

 ガンプラファイターなのだという事を!!」

 

その様子を見てのMCハルの実況に続く形で、

ミスターが自分の中に生じた気持ちを吐き出す。

そして、その直後に立ち上がったミスター機は

狂化と似て非なる赤いオーラを発散し纏った姿となり…

 

「嘘!? この反応、泰葉さんのと同じ…!」

 

「まさか、ミスターも『覚醒』が使えたというのか!?」

 

「…正確に言えば、泰葉の嬢ちゃんの強さをその身で実感して

 心が昂った事で使えるようになった…ってとこだろうな」

 

その時のミスター機から収集されたデータを見て、

ミスターが「覚醒」を発動した事を確認し驚愕する

泉と晶葉。そしてそれに続く形でカドマツがミスターが

「覚醒」を発動させた理由を推察する言葉を口にする。

 

~~~~~

 

「あの光…まさか!?」

 

「間違いない! あれは主殿のものと同じ『覚醒』だ!」

 

「そんな…!?」

 

そんなエンジニア組と同様に、フィールドで戦う

泰葉達もミスターの「覚醒」発動に驚愕の声を上げる。

 

「キミもファイターなら、わかるだろう!

 自分と同じ力を持つ者とぶつかったのならば、

 どちらがより強いかを確かめずにはいられないという

 この気持ちが! さぁ、キミも『覚醒』を使いたまえ!

 互いの全力をぶつけ合う、最高のバトルをしよう!!」

 

そして「覚醒」を発動させたミスターは今まで以上に

縦横無尽にフィールドを駆け巡り、攻撃を繰り出していき

それをギリギリながら回避し続ける泰葉に声をかける。

 

「…わかりました、ならば…お見せしましょう!」

 

そのミスターの言葉に応える形で、泰葉も「覚醒」を

発動させる。それを見たミスターは満足そうな表情を浮かべ…

 

「行くぞ!」

 

「させません!」

 

一言発すると共に「ガーベラストレート」を構えて

泰葉達目掛けて突進し、泰葉もそれを迎撃せんと

「グランドスラム」を構えてミスターのガンプラ目掛けて

突進する。そして2機の間合いが詰まり、それぞれの

得物による鍔迫り合いが行われ…お互いに「覚醒」を

発動している状態である事の影響からか、2機から再び

「覚醒」発動時のように周囲に向けてオーラが発散され…

 

「うわっ!」

 

そのオーラを身に受け押されながらも踏み止まっていた

ミサとロボ太だったが、ついに耐えきれずにミサのガンプラ

「アザレア・ヘヴィガンナー」が後方に吹き飛ばされる。

 

「ミサ、大丈夫か!」

 

「う、うん…それより私達も加勢しなきゃ!」

 

「…いや、私達は手を出さない方が良いだろう」

 

「何でさ!」

 

「私達が手出ししたところで、ミスター殿には見切られて

 避けられ主殿の気を散らすだけにしかならん…」

 

「そんな…」

 

「…我々はまだまだ、井の中の蛙に過ぎなかったのだな…」

 

ロボ太が「フルアーマー騎士ガンダム」を吹き飛ばされた

ミサのガンプラに向けて走らせて声をかけ、それに返事をしながら

立ち上がり攻撃に移ろうとしたミサをロボ太が止める。

そこからロボ太が発した言葉は、泰葉やミスターと

自分やミサの間にある実力差を痛感してのものだった…。

 

「何言ってんだロボ太! ファイナルラウンドが始まる前に泰葉の嬢ちゃんが

 言ってたろ! お前達がいなきゃ、ここまで来れなかったってよ!」

 

「主殿のその言葉は紛れもない本心なのであろう、だが現実に

 ミスター殿に対して決定打を入れられたのも今こうして

『覚醒』を発動させた状態に食い付けるのも主殿だけだ…

 こうして黙っている事が、今の私とミサが出来る最善手なのだ」

 

「………」

 

「ロボ太くん…」

 

「ミサさん…」

 

「…こうして諦めさせてしまう程の実力、という事か…」

 

「そうだな…」

 

そのロボ太の言葉に対して、カドマツがファイナルラウンド開始前の

泰葉の言葉を引き合いに出して反論するが…身を持って実力差を

痛感してしまったロボ太を動かす事は出来ず、ミサも同じように

思っているのか反論どころか一言も言葉を発する事は出来ず…

それを見た比奈・泉・晶葉・プロデューサーも、そう思わせてしまう程の

ミスターの実力の前に一言程度しか言葉を発する事が出来なかった。

 

~~~~~

 

「ミサさん!? ロボ太さん!?」

 

「よそ見をしている暇などないぞ!」

 

「くっ…!」

 

その間、泰葉は視界の片隅に移った吹き飛ばされた後に

動かないミサとロボ太を捉えて心配になり声をかける。

だが、そうして意識を逸らした瞬間を見逃さずに

ミスターは攻撃を仕掛けそれの迎撃に強制的に意識を移させる。

 

「私が見込んだ通り、キミは素晴らしくそして凄まじい強さを持った

 希有なファイターだ! ここに至るまでの間で桁外れの速度で成長し続け…

 そして今、この瞬間も止まる事無くさらに強く成長し続けている!

 …そしてそれは、キミとチームメイトの間にある決定的な差でもある!

 それを自覚した時、キミ達は今まで通りの気持ちでは居られないだろう…

 だが、それでも! 私はキミ達がこれからも共に行けるように願っている!!」

 

そこから続ける形で、ミスターは泰葉の強さや成長速度への賞賛を述べ…

それによって生じる泰葉とミサやロボ太との「格差」についても

触れた上で、それを乗り越えて共に歩めるようにという願いを口にする。

 

「…ありがとうございます」

 

そのミスターの言葉に対し、泰葉は一言礼を返すと

そこからミスターにも負けない勢いで言葉を続けて行く。

 

「確かに私とミサさん・ロボ太さんの間には力の差があるのでしょう…

 ですが、この私の力はミサさんのおかげで得られたものです!

 だからこそ私は、周りから何と言われようとも何度でも言い続けます…

『ミサさんが居なければ、決してここまで辿り着けなかった』と!

 それに…力の差があるという事は、その差を詰める為に強くなれる余地が

 あるとも言えます…だから私は信じています! ミサさんもロボ太さんも、

 今よりもっと強くなれると! だから私は何度でも言い続けます!

『これからも、私と一緒に戦って欲しい』と! それが、心からの願いだから…!」

 

「泰葉ちゃん…!」

 

「主殿…!」

 

泰葉のこれでもかと言わんばかりにミサ達への感謝の気持ちを

込めて紡がれた言葉に、ミサもロボ太も沈んでいた心に

再び火が点いたような感覚になると共に短い一言ながらも

泰葉への感謝の気持ちが込められた言葉が口から出る。

そしてその間に泰葉がミスターのガンプラに取り付くと凄まじい勢いで

メインとオプションを交えた格闘攻撃による連撃を叩き込んで

ミスターのガンプラを空中に浮かせ、空中でも連撃を続けた後に

落下大車輪斬りでミスターのガンプラを地面に叩き付ける。

その直後にバーストアクション「ライザーソード」を発動し、

巨大なビーム刃でミスターのガンプラを叩き付けた地面から掬い上げる形で

大上段の構えで持ち上げた後に再び地面に勢いよく叩き付ける。

その結果、格闘連撃で耐久力とチャンスゲージを削られていた事もあってか

ミスターのガンプラは全パーツをバラバラに解体させられた上で撃破された。

 

「…キミの勝ちだ!」

 

「き、きき…決まったぁーっ!! ジャパンカップエキシビジョンマッチ

『彩渡商店街チームVSミスターガンプラ』は、彩渡商店街チームの勝利となりましたっ!!」

 

泰葉の言葉、そしてトドメの一撃を受けてのミスターの言葉を

合図代わりにMCハルが興奮を隠し切れない結果報告の直後に

このバトルを観戦していた観客や参加者達による驚きの声や歓声が

ジャパンカップの会場内に響き渡っていた。

 

~~~~~

 

…それとほぼ同タイミングの、タイムズユニバースグループが

経営している静岡県内某所のアミューズメントパーク。

 

エキシビジョンマッチの決着を確認したウィルが、

ガンプラバトルシミュレーター外のドロシーに声をかける。

 

「…ジャパンカップ会場のシミュレーターとの

 接続を開始してくれるように頼んでくれ」

 

「承知致しました、ウィル坊ちゃま」

 

ドロシーの返事を聞き、ウィルは持ち込んだ

アタッシュケースを開いてその中から

ガンプラを取り出しセットする。

 

「接続が完了したとの事です」

 

「わかった」

 

ドロシーの声に返事をしながら、

起動したシミュレーターの画面と向き合って

ガンプラの状態を確認し出撃を行う。

 

…そして、運命の交差の瞬間が訪れる…




P:まずは自分や家族の体調不良があった事で
 最初の投稿予定日から10日以上遅れた事をお詫びします、
 そして年明け以降…特に2月が仕事が忙しくなる事が
 ほぼ確定と言える状況でもある為、次話からの投稿は
 遅くとも「毎月末日」には投稿する…という形にします。
 何度も頻度を下げてしまって申し訳ありません

比奈:ま、何とか年内投稿は出来ましたから良しとして
   おきましょうか…話の内容に移りまスが、今回は
   原作をベースにしつつも色々と「盛った」形になりましたな

P:ああ、該当ステージの動画を見た上でミスターの使う
 EXアクションを元に各シーンを書いたんだが…
「ミリオンスパイク」で複数機巻き込みのシーン、
 ここでは泰葉とロボ太の2機だったけど見てた動画じゃ
 ミサも含めた3機まとめて連続突きを叩き込んでたんだよなぁ

比奈:作中のセリフにもありましたが、それって相当狭い範囲に
   固まってたからこその事態なんでしょうね…話は変わりまスが、
   ミスターさんやロボ太くんを中心にセリフも盛ってたり
   細かく表現を変えたりとかなり手を加えてまスねぇ…

P:それぞれが抱いてたであろう感情をより多く込めようとして
 ああなったって感じだな…さて、「ジャパンカップ編」も
 残りわずかとなりました。来年3月には新章に入る予定です。

比奈:となると、残り2話という事っスか…次の話はこのステージの
   クリア後ムービーからでしょうけど、その後の会話シーンを
   分割する形で2話を書くという形になるんスかね?

P:だな…次話はミスター関係のパートで区切りを付けて、
 残りシーンを次々話に…という形にする予定だ。
 もちろんゲーム内のセリフ以外にも色々と「盛る」事で
 ボリュームも兼ね備えて行こうと思ってる。
 …何かと不安定な作品ではありますが、楽しんでいる方が
 居れば幸いです。それでは、また来年の次話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

乱入者とミスターの悔恨

「…ありがとう、本当に素晴らしいバトルだったよ…

 年甲斐もなくはしゃいでしまうぐらいに」

 

「そこまで喜んでもらえたなら、幸いです」

 

エキシビジョンマッチが終わり、泰葉とミスターが

互いのガンプラを向き合わせて感謝の言葉と

それへの返答をしていた次の瞬間…

 

「…はしゃぎ過ぎだよ」

 

「なっ…ぐわっ!」

 

「うわっ!?」

 

ミスターのガンプラの背後から突然に現れた

「アストレイゴールドフレーム」の頭部に

「アストレイブルーフレームセカンドリバイ」の腕部、

そして「ガンダムサンドロック」の胴体と脚部に

「バンシィ・ノルン」のバックパックという構成で

白と金を中心に胴体とバックパックは黒という塗装の

ガンプラが、その一言と共に「ガーベラストレート」を振るい

ミスターのガンプラを吹き飛ばし…それにぶつかられる形で

泰葉のガンプラ「ガンダムティガーストライク」も吹き飛ばされる。

 

「何だありゃ!?」

 

「この会場以外のシミュレーターからのクラッキングの形で

 接続されているみたいです、カドマツさん!」

 

「何処からの接続かわかるか、泉!?」

 

「駄目…複数のプロキシサーバーを経由してるから、

 大本のIPアドレスを確認するには相応の時間がなきゃ…!」

 

「チィッ…今度は何だ!?」

 

その様子を目の当たりにしたエンジニア組は、乱入者へのカドマツの

驚きの言葉への返答代わりに泉がクラッキングが行われている事を話し

それを聞いた晶葉が接続元について尋ねるが…泉からは乱入者側が

接続元の判明に時間がかかるよう細工が施されていると返され、

それを聞いた晶葉が舌打ちをした直後に警告音が鳴り響く。

 

~~~~~

 

「な、何!?」

 

「何者だ!」

 

「悪いけど、君達に用がない以上名乗る義理はない。

 …用があるのは、チャンプだけだからね」

 

ミサの驚きの声とロボ太の警戒心からの言葉を

気に留めず、乱入者は立ち上がったミスターの

ガンプラに向けて歩を進め…近寄ると一言声をかける。

 

「…今回も彼女達に花を持たせてあげたって事かい?」

 

「そ、そんな事は…!」

 

「前科があるんだ、違うとは言わせないよ」

 

乱入者の一言に焦り気味の口調で否定しようとする

ミスターであったが、乱入者は有無を言わさぬ様子の

声色と口調でミスターの発言を封じ込める。

 

「ちょっと、何勝手な事言ってんの!?」

 

「これは僕とチャンプの問題だ、済まないが君達は

 黙ってログアウトして大人しく引き下がってくれ」

 

乱入者とミスターのやり取りを聞いて、ミサが

黙っていられず会話に割り込もうとするも

乱入者はそれを食い止めるように言葉を返し

ミサ達に半ば命令気味にログアウトするように言う。

 

「何様のつもりですか…」

 

そしてその乱入者の発言をきっかけに、

ここまで黙って状況の観察に徹していた泰葉が

普段とは明らかに異なる怒りの籠った声で

乱入者に向けて話し始めた。

 

「舞台の演者どころか観客ですらない身で土足で舞台に

 上がり込んでぶち壊すのみならずケチを付け、

 その上元々の演者を追い出すような身勝手な事を

 言われて…黙って従うと思ってるんですかっ!!」

 

そこから一気呵成と言わんばかりの勢いで

心に生じた怒り任せに怒声を吐き捨てると、

泰葉はそのまま「グランドスラム」を上段に

振りかぶった姿勢で自分のガンプラを

乱入者のガンプラ目掛けて全速力で突進させる。

 

「舞台を汚された怒り、か…その気持ちは

 理解出来る。だが、怒り任せの突撃など…」

 

その様子を見た乱入者は、泰葉の抱いた怒りに対して

理解を示すような言葉を発した後に自分のガンプラを

突進して来る泰葉のガンプラに向き合わせると

それを迎撃せんと踏み出すと同時にブーストを吹かせる。

 

~~~~~

 

(ガンプラの動きが鈍い…!?)

 

乱入者目掛けて自分のガンプラを突撃させた直後、

機体各部の動きやブースト速度が普段より鈍っているのを

泰葉が感じ取った直後に晶葉から焦った声で通信が入る。

 

「泰葉! 奴の乱入の影響かこっちのシミュレーターの

 アセンブルシステムがエラーを起こしてパーツのLvと

 アビリティが初期化されてしまっている! このまま

 真っ向から突っ込んで行くのは無謀極まりないぞ!」

 

その発言を聞いて泰葉は自分のガンプラの動きが鈍った

理由を理解するが、それでも前進を止める事はなかった。

 

(この状況で相手を撃破するのは無理だとしても、一発でも

 攻撃を当ててダウンさせられれば撤退させられるかもしれない…

 啖呵を切って踏み出した以上、最早そうするしかありません!)

 

そう腹をくくって乱入者のガンプラとの間合いを詰めて行く最中…

乱入者側のガンプラが急激に速度を上げたのか泰葉のモニターから姿を消す。

 

「消えた…!?」

 

その光景に、半ば勘で上段に構えた「グランドスラム」を

袈裟斬りの軌跡で振り下ろし…「ガーベラストレート」を

横一文字に振り抜いた乱入者のガンプラとすれ違った状態で

互いに固まったかのように動きを止める。そこから乱入者が

「ガーベラストレート」を鞘に納め始めて行き…

 

「…止まっているも同然、だよ」

 

「うっ…!」

 

完全に鞘に納められると同時に発せられた乱入者の一言の直後、

泰葉のガンプラの前面に斬撃の軌跡が描かれ…その直後に

泰葉の入っているポッドが激しく振動し唸り声が聞こえた直後、

泰葉のガンプラは右膝を付くとそのまま地面に倒れ込んだ。

 

「…なっ!?」

 

「主殿っ!!」

 

「泰葉ちゃんっ! こんのぉぉぉぉっ!!」

 

その直後の乱入者の驚きの声に続く形で、

ミサとロボ太は泰葉に声をかけ…それと同時に、

ミサは怒りを剥き出しにして乱入者のガンプラ目掛けて

自分のガンプラの右腕を伸ばす姿勢で突撃していく。

 

「…くっ!」

 

「わわっ!?」

 

だが、「アザレア・ヘヴィガンナー」の右腕が

乱入者のガンプラに届く直前で硬直が解け…

伸ばした右手を掴まれそのまま背負い投げをされ、

あおむけになって背中から地面に叩き付けられていた。

 

「…惜しかったね」

 

「主殿のみならずミサまで…許せん!」

 

その様子を見たロボ太が怒りに満ちた言葉と共に

「フルアーマー騎士ガンダム」を乱入者のガンプラに

向き合わせた後に全速力で突撃させるが…

 

「…失礼するよ」

 

「…ととっ!」

 

乱入者がその一言と共にログアウトを行い、

全力でぶつかっていくつもりだったロボ太は

勢い余って躓き盛大に土煙を上げる結果となった。

 

「み、皆さん…大丈夫ですか?」

 

「うむ、私の方は大した問題ではない」

 

「私もそんなにダメージはなかったけど…

 一体何でまたこんな事になったわけ?」

 

「済まない…こうなったのは私のせいだ」

 

「それはどういう…」

 

乱入者のログアウト後、泰葉が皆に声をかけ…

ミサの疑問に対しミスターが申し訳なさを込めた声で

自分が原因だという発言に対し泰葉が詳しい事情を

尋ねようとするが…その言葉を最後まで言い切る前に

ミスターはログアウトしていた。

 

「…一先ず泰葉達もログアウトをしてくれ、

 その後全員でミスターさんの楽屋に行って

 挨拶の後に改めて尋ねてみる事にしよう」

 

「わかりました」

 

その後のプロデューサーの言葉を聞いて泰葉達もログアウトし、

ステージ上ではあちこちでどよめきが起こっている状況を

MCハルが強引にジャパンカップの閉会宣言を行う事で

半ば無理やりに観客の退場へと誘導していた。

 

~~~~~

 

「お疲れ様でした、ウィル坊ちゃま」

 

「ああ…ん?」

 

シミュレーターから出て来たタイミングで掛けられた

ドロシーの言葉に返答するウィルに、ジャパンカップ会場の

シミュレーターへのクラッキング作業を実行した

元スリーエス社員が駆け寄ってUSBメモリを差し出し

内部に保存されているレポートに目を通すように言う。

 

「わかった、ホテルへの帰り道すがら確認させてもらうよ」

 

それを受け取ったウィルはそう返答すると、ドロシーらを

引き連れる形で車に戻り…そうしてホテルへと

帰還する車内で、ウィルは先程手渡されたUSBメモリを

ノートPCに接続し保存されていたレポートに目を通していた。

 

(…バトル終了直後というイレギュラーなタイミングで

 イレギュラーな手段による接続を行った影響で、

 向こう側のシミュレーターのアセンブルシステムが

 エラーを起こしスキャンと登録を行ったガンプラの

 各パーツのLvとアビリティが初期化されていた…)

 

(これに加えて今日の大会での多数のバトルによる疲労、

 そして僕の乱入に激昂した事で冷静さを欠いていた状態…

 さらには『覚醒』を使い切ってしまったという状況で

 ありながら、彼女の突進を見切って回避し一閃を叩き込んだ

 僕のガンプラにかすり傷ながら一太刀を浴びせていた)

 

(ここまでの悪条件が重なってなお、そういう事が出来る程の

 腕前と言うのならば…向こうのガンプラや心身のコンディションが

 万全であったなら、もしくは『覚醒』が続いていたなら…

 十中八九、僕の方が返り討ちにされていただろう)

 

(…それに、あの商店街のお嬢さん…ミサと言ったか、

 彼女を切り伏せた直後に僕のガンプラを押し倒そうと

 突進して来たが…かすり傷ながらダメージを受けた驚きで

 固まっていたとはいえ、あと少し僕の反応が遅れていたか

 向こうのガンプラや心身のコンディションが万全であったなら…

 僕のガンプラは押し倒され地面を舐める事になっていただろう)

 

(…3機目のSDガンダムとは接触する前に離脱してしまったから

 詳細はわからないが、彼女達2人だけでもあのチームの

 強さは紛れもなく高いレベルだと断言出来る)

 

(だとすれば…ああは言ったが、もしチャンプが本当に

 彼女達に対して手加減していたのであればもっと一方的な

 試合になっていただろう。わかってはいたが、やっぱり…)

 

「…着きましたよ、ウィル坊ちゃま」

 

「ん…ああ。すまないが部屋に戻ったら

 頼みたい事がある、聞いてもらえるか?」

 

「内容次第ではありますが…聞くだけは聞きましょう」

 

レポートを見ながらあれこれと思案していたウィルに、

ドロシーがホテルに戻った事を告げる。それを聞いたウィルは

返事の後に頼み事がある事を話し、ドロシーの返事を合図代わりに

車から降りホテルに入り…運転手や同行した元スリーエス社員が

途中階で降りていき、残った2人は最上階のスイートルームへと戻って行った。

 

「それで、頼み事とは何でしょうか」

 

「ガンプラバトル公式大会の運営とのアポイントを取って来て欲しい。

 それに加えて、うちの会社の企業口座と僕個人の口座からいつでも

 まとまった金額を出金出来るように準備もしてもらいたい」

 

「現在は出張状態でありますが、これ以上の業務に取り掛かるとなると

 業務規定時間をオーバーしてしまいます。それらの頼み事を

 実行してもらいたいと言うのでしたら時間外手当を…」

 

「わかっている、時間外労働の割増分は給与に上乗せしておくし

 君が出発前に要求していた日本観光についても時間が許す限り

 君の希望を叶えるように最大限善処する。…だから、頼む」

 

ドロシーからの質問に対してウィルが「頼み事」について話すと、

ドロシーは以前のように屁理屈気味な理由付けから追加報酬を頼むが

ウィルは食い気味に追加報酬を含めた希望を最大限叶えると

約束した上で深々と頭を下げてドロシーに頼み込む。

 

「…そこまでの追加報酬を約束して頂いた上に、

 こうも頭を深々と下げられるのでしたら仕方ありません…

 全力で早急に取り掛からせて頂きます」

 

余りにもあっさりと追加報酬について約束してもらった上に、

これまでに見た事がないレベルで深々と頭を下げるウィルの姿に

ドロシーもある種の覚悟を決めてウィルの「頼み事」を

叶える為にスイートルームから足早に外に出て行く。

そうして1人になったウィルはソファに座り込み…

 

(こうしてまたガンプラバトルに関わる事になっただけでなく、

 ここまで心が燃え上がる事になるとは…全く予想出来なかったよ。

 付け焼刃になるのは否めないが…出来る限りの事はさせてもらうよ)

 

自分でも信じられない程に心が燃え上がっているのを認めた上で、

泰葉達と真っ向からぶつかり合った時に勝利を掴み取る為に

今の自分に出来る全力でガンプラバトルに取り組む決意を固めていた。

 

~~~~~

 

それから数時間後、彩渡商店街の小料理屋「みやこ」。

 

「…もう8年も前の事になる」

 

ミサと泰葉達にユウイチら商店街店主達のいつもの10人と

泰葉達が「乱入者に関する詳細を知りたい」と頼み込んで

招き寄せたミスターガンプラと彼のマネージャーを加えた

12人がテーブルを囲んで座る中、ミスターはイベントで

着用しているアフロヘアーのカツラとサングラスを外した

素顔を晒した姿でポツリポツリと話し始めた。

 

「当時、私は多くのスポンサーを抱えるファイターとして

 世界各国の大会に参加し…その全てで優勝するという、

 まさにファイターとして脂が乗っていた時期だった」

 

「ちょうどその頃から、今でも続いている『ミスターガンプラ』という

 呼ばれ方もされ始め…そんな折、私はアメリカで開催された大会に参加し

 そこでウィルという1人の少年ファイターと出会った。彼は私のファンだと言い、

 決勝まで勝ち進んで私に挑戦してみせると宣言し…その宣言に対して

 私は『力を尽くした素晴らしいバトルをしよう』と返したが、

 正直な話…当時の私は彼が決勝まで勝ち進むとは思っていなかった」

 

「だが彼はその言葉を現実のものとし、決勝戦は私と彼のバトルとなった。

 そんな彼とのバトルは、私にとって忘れかけていた感覚である

『互角の実力を持った相手との戦いによる高揚感』を思い出させてくれた。

 最早年齢差など忘れ、新たに『ライバル』と呼べるファイターが現れた事を

 心から喜び…バトルの中で互いの力をさらに高め合い、成長し続ける感覚を

 味わい…そんな時間もあっという間に過ぎ去っていき、私は彼に敗れた」

 

「敗れた事への悔しさもあったが、それ以上に私の心は素晴らしいバトルが

 出来た事への満足感で満たされ…晴れやかな気持ちで、彼の勝利と…

 私の心を奮い立たせる、強いファイターとの出会いを祝福した」

 

8年前に起こった、ミスターにとって忘れられない「最高のバトル」に

至るまでの流れとそのバトルについて…そして決着後に抱いた

満足感について語るミスターの表情と声は抑え目ながらもその時の

喜びがどれほどのものか感じさせる明るいものになっていた。

 

「…しかし、スポンサーは『私の敗北』を許してはくれなかった」

 

…だが、その直後の言葉は再び沈んだ調子に戻っていた。

 

「大会の翌日、とあるニュースサイトに掲載されていた昨日の大会に関する

 記事の1つに『努力を積み重ねて決勝の舞台に上がった11歳の少年に花を持たせ、

 彼の抱いていた夢を叶える為にミスターガンプラは勝利を譲った』という事が

 書かれていた…スポンサーが私の商品価値の下落を嫌い、そういう風に書くように

 マスコミ各社に圧力をかけたのか…私は彼に対し手加減をしたという事にされていた」

 

「それを見て、私は急いで彼の元に向かった。だが…その時の詳しい事は覚えておらず、

 気付いた時には私は宿泊していたホテルの前で彼に渡された優勝トロフィー…

 あちこちが破損し折れ曲がってしまっていたそれを手にして立ち尽くしていた」

 

「…そのトロフィーを目の当たりにした時、ある意味私の心も折れてしまった。

 もう永遠に、2度とあのようなバトルは出来ないと悟ってしまい…

 ただの金稼ぎの手段でしかなくなってしまったバトルに価値を見出せなくなり、

 私はファイターである事をやめた。…だが、それでもガンプラからも

 ガンプラバトルからも離れる気にはなれず…せめて少しでもファイターを増やす事で

 ガンプラバトルが末永く続くようにと願って司会・解説として関わり続けようと決めた」

 

「多くの人々の耳目を集める為に…そして、あの悲しみを忘れたいという気持ちの為に

 私は必死に道化に徹した。それによって少しでも多くの人がファイターとなる事で、

 あの時の私のような高揚感を抱くバトルが生まれるように…同時に、外野によって

 バトルに対し水を差される事のないようにという願いを込めながら」

 

「…リージョンカップ関東第2大会での君達の戦いを見て、現役時代の気持ちが蘇り…

 戦いたい気持ちを抑え切れず、職権乱用と言われても仕方ない手段を用いてしまった。

 それによって君達の優勝にケチが付いてしまうのみならず、彼にもああいう

 非合法的な手段を使わせてしまうという最悪の結果になってしまった…」

 

「…ミスターさん、頭を上げて下さい」

 

「そうだよ、私達だって曲がりなりにもファイターなんだから

 強い相手と戦いたいって言うミスターの気持ちは理解出来るし…

 そのウィルって子も傷付いたってのはわかるけど、だからといって

 ああいう手段を使った事が正当化されるなんて思えないし

 それに対してミスターが罪の意識を感じる必要なんてないよ」

 

外野の都合で捻じ曲げられてしまった真実と、それによってかけがえのない物を

失ってしまった悲しみ…そうして目標を失いファイターから身を引いてもなお、

ガンプラもガンプラバトルも切り捨てられず末永く続いて欲しいという願いから

自身に向いているとは言い難い道化となってでも関わり続けようとした決意。

そんな中で見る事となった泰葉達彩渡商店街チームの戦いぶりによって生じた

心の昂りを抑え切れずに立場を乱用する形で泰葉達との戦いに漕ぎ着けた事と

それによる結果を後悔するミスターの言葉に対し、泰葉とミサはミスターの

その感情に理解を示す言葉を返し…タイミングを見計らうようにユウイチが尋ねる。

 

「…ミスター、どうしてまたその子は今になって突然現れたんだろう?」

 

「私がバトルをしている事が許せなかった…そういう事でしょう」

 

「もちろんそれも理由だろうけれど、それだけじゃないように思うな」

 

「ですが、他に思い当たる理由は…」

 

「…ま、ずーっと腹ん中に溜め込んでたもんを吐き出したってんなら

 それで空いた分思いっきり飲み食いして嫌な事は忘れようぜ」

 

「そうですよ、冷める前に食べちゃって下さいね」

 

沈んだ調子でユウイチからの言葉に返答するミスターに対し、

マチオとミヤコが飲み食いに誘導して気持ちを晴らさせようと声をかける。

 

「…そうだよ、あんな事になっちゃったとはいえ私達が優勝して

 日本代表になった事に変わりはないんだから…ここからでも盛り上がってこうよ」

 

それに続けてミサが少しでもこの場を盛り上げようとするが、

全くの無意味とは行かずとも今までの祝勝会のように

盛り上がるには至らず…料理が尽きた所で解散と相成った。

 

~~~~~

 

「…泰葉、やっぱりショックだったかい?」

 

ミサ達やミスターと別れた後、ミスターから話された過去を

聞いてから浮かない顔で今一つ盛り上がれてなかった

泰葉の姿を傍で見ていたプロデューサーが心配の声をかける。

 

「…はい、ですが私としては乱入された事よりも

 ミスターさんの過去のお話の方が辛かったですね…

 好きな事を生業として、高い実力も備えていて…

 それ故に得られなくなってしまっていたものを

 得られた事を嬉しく思っていたのに、金銭が絡む故の

 しがらみで事実を捻じ曲げられ…ミスターさんも、

 彼が語ったウィル君も心に傷を負ってしまうという…

 芸能界以外でも、こういう事が起こっていた事に」

 

「泰葉ちゃん…」

 

「…忘れかけていた古傷をまた抉られた、といったとこか」

 

それに対する返事として、泰葉がミスターの過去話を

聞いての率直な感想を一気に口にすると比奈からの

心配そうな声色での一言に続いて晶葉が泰葉の経歴から

予測した「落ち込んでいる理由」を口にする。

 

「…プロデューサー、念の為確認しますが世界大会にも

 ミサさん達と一緒に出場するんですよね?」

 

「ああ、ああいう事態にはなったがジャパンカップで

 優勝した事そのものは変わりないからね。それに…

 泰葉としても、あの光景がガンプラバトルでの

 最後の記憶になるというのは望んでないだろう?

 言い方は悪いが、向こうから汚名返上の機会を

 プレゼントされていると言えるこの状況を

 有難く使わせてもらって華々しく活躍する事で

 今日のあの光景を上書きしようじゃないか」

 

「そうっスね、世界大会で『魅せる』勝ち方をすれば

 観戦する人の数もジャパンカップを大きく上回るでしょうし

 それに比例してSNSとかのネット上の拡散速度も高まるでしょうから

 今日のあの光景をあっさり掻き消せる可能性は高いと思われるっスよ」

 

「ならば明日から世界大会に向けての鍛錬あるのみだな、

 もちろん私もより適切なサポートが出来るように

 泉ともどもシステムについてより深く学んでいくぞ」

 

「そうだね…とは言え、世界大会の前にもそれこそ日本を含めた

 世界各国で開催される『ワールドツアー』があるし…

 大会の感覚を忘れない為にそっちにも参加するって事になるの?」

 

「だな…今の所は日本で開催される『ジャパンツアー』への参加を

 考えてはいるがちょうどその時期に事務所でも過去に行われた

『LIVEツアー』ゆかりの地をメインとなったアイドル達が旅するという

 企画が立てられているし、それに同行する形で海外のツアーに

 参加するという形になるかもしれない。…泰葉達がすっかり

 ガンプラバトル関係専任状態になっているから、ファンの一部で

『久々にアイドルとしての姿を見たい』という声が上がってるのもあってね」

 

「そうですか…それならば、私もいつまでも引きずっている訳には行きませんね」

 

「そうなるね、だけど無理は禁物だ…辛くなったら何時でも言ってくれ」

 

「プロデューサーだけじゃなく、みんなで泰葉ちゃんを支えまスから」

 

「うむ、時に愚痴を吐き出す事も心身の健康には必要だからな」

 

「私達とミサさん達みんなで、この躓きを乗り越えて行きましょう」

 

「…ありがとうございます」

 

晶葉の言葉に続ける形で吐き出された泰葉の確認の言葉をきっかけに、

改めての世界大会出場とそれを利用しての汚名返上のチャンス…

そしてある意味世界大会の前哨戦と言える『ワールドツアー』への

参加とそれと同タイミングで予定している事務所の企画についての

話を聞き、泰葉は改めて気合を入れ直す。その姿を見たプロデューサーは

心強さを感じながらも無理はしないようにと声をかけ、その言葉から

続く形で比奈も晶葉も泉も泰葉を支える事を改めて宣言する。

そんな皆の言葉に、泰葉は笑顔を見せて皆に感謝の言葉を返す。

 

…だが、この「敗北」が泰葉達どころかアイドル業界や彩渡商店街…

そして泰葉達がこれまでガンプラバトルを通して関わった者達も巻き込む

とてつもない規模の嵐の呼び水になるとは、誰も知る由がなかった。




比奈:今章のサブタイトルが完全に回収される時が来ましたね…
   前々から細かく手を入れてるウィル君関係の描写ですが、
   ここは小馬鹿にしてる感を抜いて彼なりの真剣さを入れていると
   いった感じでスな…その分ある意味原作より悪辣になったとも
   言えなくもない描写が混じっちゃった感じもするっスが

P:まぁ、そこは若干頭に血が上ってた辺りに補完してもらえればと…

比奈:後はガンブレキャラ側のセリフをニュアンスを保った上での
   言い回しの変化と、ムービー故にガンプラの性能を問わず
   強制的に敗北してしまうメタ描写を補完する表現に…
   あと、最後に不穏さを感じさせる一文が出て来たっスね

P:…どんな形であれ、ここまで無敗を保って来た泰葉が明確に
 「敗北」した場面だからな…色々な意味で嵐を呼ぶのは確実だろうし、
 次回からはタグに「アンチ・ヘイト」が必要な描写が具体的に
 なり始めるという風に考えてはいる。とはいえ、ただ叩かれるだけで
 済ませる気はないのでそこは信じて欲しいとしか言えないけど
 上手くカタルシスへと繋げていく最大限の努力はしていく

比奈:そこはPのお手並み拝見と言わせてもらいまスかね

P:ありがとう…さて、次回が「ジャパンカップ編」の最終話と
 なりますが今回に負けない勢いで独自設定を織り込む予定なので
 楽しみにして頂ければ幸いです…それでは、また来月末に


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

突き付けられた挑戦状

優勝を果たし世界大会への切符を得たと同時に

泰葉達当人を含めた誰もが予想出来なかった

衝撃的な結末となったジャパンカップから数日後。

 

ミサから世界大会の招待状が届いたという報告を

受け取った泰葉達「ガンプラバトルプロジェクト」の

メンバーとプロデューサーは五月野模型店を訪れていた。

 

「よっ」

 

「ああ、こんにちはカドマツさん…こうして

 訪れるタイミングが重なるのは珍しいですね」

 

「だな、まぁミサの嬢ちゃんを待たせるのも何だし

 まずはとっとと店の中に入っちまおうか」

 

「そうですね、お邪魔しますミサさん」

 

「いらっしゃい! …って聞こえてたけど確かに

 こうして同じタイミングで来るなんて珍しいね」

 

泰葉達が五月野模型店に辿り着いたタイミングで

カドマツも来ていた事に軽く驚きながらも挨拶を交わし

店内に入るとミサも真っ先に同様の感想を口にする。

 

「そうだね…と、まずは世界大会の招待状を見せてもらえるかな?」

 

「はい!」

 

プロデューサーがミサのその言葉に返事をし、

その流れで招待状を見せて欲しいと伝えると

元気よく返事をして駆け足で自分の部屋に向かい

あっという間の勢いで封筒を手にして戻って来た。

 

「どれどれ…なるほど、準決勝までは静止軌道ステーションへの

 カーゴ乗り場が設置されてるメガフロートでバトルが行われて

 決勝に進出した2チームが静止軌道ステーションに移動して

 そこに用意されたシミュレーターを使ってバトルするって事か」

 

「最初から最後までステーションで、って訳じゃないんスね」

 

「まぁまだ安全性の完全な確認が済んでないってのに加えて

 シミュレーターの大きさや重さがそれなりにあるから

 あまり沢山の数を運べなくてこうなったって所だろうな」

 

「なるほどね」

 

その招待状を目にしたカドマツ・比奈・晶葉・泉が

内容確認や浮かんだ疑問とそうなった予測を口にする中、

プロデューサーは再びミサと向き合い真剣な表情で確認を取る。

 

「答えは予想出来てるけど、念の為の確認で…

 ミサさんは世界大会に出場する、という事で良いかな?」

 

「もっちろん! ジャパンカップがああいう終わり方に

 なっちゃったからこそ世界大会であの光景を

 忘れさせるくらいの活躍をしたいって思ってますから!」

 

「…ありがとうございます、ミサさん」

 

「…それは良かった」

 

プロデューサーからの確認の質問に対し、

力強い声で世界大会への参加を宣言する

ミサの姿に泰葉が感謝の言葉を返した直後…

この場に集まった誰のものでもない声が聞こえて来る。

それを聞いて泰葉達が声のした方向に振り向くと…

泰葉やミサと年齢が近いと思われる金髪碧瞳の青年と

黒髪ロングヘアのクラシカルメイドスタイルの女性が

五月野模型店に入店し泰葉達と向き合う形で立っていた。

 

「あ…すみません、お客さんでしたか?」

 

「すまないが、客という訳じゃない。

 …率直に言うと君達の『商売敵』だね」

 

「商売敵…?」

 

その青年らを来客と受け取ったミサが詫びを口にすると、

青年はミサの予想を否定する返答を行いその返答に

ミサが困惑している横でカドマツは青年に視線を向け…

 

「…タイムズユニバースCEOの『ウィリアム・タイムズ』か」

 

「ええっ!?」

 

「ご名答…ああ、名前が呼ぶのに長いというなら

『ウィル』と呼んでもらって構わないよ」

 

続けて口にされた青年の名前を聞いたミサが驚きの声を

上げる傍らで、青年はカドマツに対し言葉を返す。

そんな中泰葉は、青年に視線を向けながら思案をしていた。

 

(その愛称にこの声…もしかして)

 

泰葉からの視線を感じ取ったウィルが、

真剣な表情となって泰葉と向き合い…

少しの沈黙の後、意を決して発言する。

 

「…おそらく君の予想している通り、

 ジャパンカップのエキシビジョンの時に

 クラッキングの形で乱入したのはこの僕だ。

 …遅くなってしまったが、あの時は済まなかった」

 

泰葉達にとって予想外の事態と言える、

余りにもあっさりとあの時の乱入者だと

白状した事に加え深々と頭を下げるその姿に

どう反応すれば良いのか迷っている間に…

ウィルは再び頭を上げて言葉を続ける。

 

「もちろんこれで許してもらおうなんて

 虫のいい事は思っていない、この謝罪は

 僕自身の気持ちの整理の為のもので…

 そこから続く形で、君達に挑戦したい」

 

「挑戦…ですか?」

 

警戒心は持ち続けながらも、まずは話を聞こうと

ウィルの言葉に対して返答する泰葉。

その様子に、ウィルは安堵した様子で言葉を続けた。

 

「あの時に君が振るった一撃を僕は完全に見切って

 回避したつもりだったが、君のガンプラが倒れた後に

 モニターを確認したらかすり傷レベルではあったが

 ダメージを受けていた。それに驚いて固まってしまって…」

 

そこまで言うと、ウィルは泰葉を真っ直ぐに

見据えていた視線をミサに移して言葉を続ける。

 

「君が僕のガンプラを押し倒そうと背後から

 突撃して来たが、あと少しでも僕が気付くのが

 遅れたかそっちのコンディションが万全だったなら…

 君の目論見通り、地面に押し倒されてたろう」

 

「…その言い方からすると、そっちの乱入の影響で

 こちらのアセンブルシステムがエラーを起こして

 いた事はそっちも把握していたという事なのか?」

 

「ああ…とは言っても、僕の方はログアウト後に

 クラッキング実行者からの報告で知った形だけどね」

 

ミサへの発言を聞いて、泰葉達のアセンブルシステムの

乱入によって発生したエラーを把握していたかをウィルに

尋ねる晶葉。それへの返答から、ウィルはさらに言葉を続ける。

 

「…アセンブルシステムのエラーを始めとした

 各種の悪条件が重なった上でなお、かすり傷ながら

 攻撃を当てられたり出来る君達の腕前を目の当たりにして

『万全の状態の、全力の君達と戦いたい』という気持ちが

 芽生えてね…僕も世界大会に出場する事にしたんだ」

 

「世界大会って…タイムズユニバースは本社だけじゃなくて

 各国の支社のどれにもガンプラバトルチームはないはずでしょ!?」

 

「それはその通りだが、うちの企業の宇宙開発事業部門が

 静止軌道ステーションと宇宙エレベーターへの出資をしていてね…

 そこを利用する形で、世界大会の出場権を確保させてもらった。

 …不正と言われれば全くもってその通りだし、それに対して

 言い訳は一切しない。だが、そうまでしてでも戦いたいと

 思わせる強さだと感じたのに加え…君達の宣伝活動によって

 うちの百貨店の売り上げに影響が出ている事もあって、

 君達をこれ以上放置する訳にも行かなくなったものでね」

 

ウィルからの予想外の言葉に、ミサが驚きの声と共に

反論を口にするもウィルはそれを現実のものにする為の

手立てとその手立てを使おうと決意した理由を返す。

 

「世界大会で、僕が君達のチームとの直接対決で勝利するか

 君達が途中敗北して僕より下の結果に終わった時には

 この商店街の土地全てを買い上げさせてもらう。

 逆に君達のチームが僕との直接対決で勝利するか僕が途中で

 敗北し君達より下の結果に終わったならば、うちの百貨店の

 彩渡駅前店とこの商店街が共存共栄出来るように対等な条件で

 業務提携を結ばせてもらう…という条件で戦ってもらえるかな?」

 

「そ、そんな一方的な…!」

 

「無論首を縦に振れと強制するつもりはない、但し断ると

 言うのならばこの商店街の土地全てを即金で買い上げる為の

 現金は準備してあるから実行に移させてもらうけどね…

 とはいえ土地代だけ渡して追い払うというつもりはない、

 引っ越し先の土地や住居や引っ越しにかかる費用…それに、

 必要であれば商売の為の店舗も個人店舗かうちの企業のいずれかの

 小売グループのテナントのどちらか希望の形で用意はするし土地代も

 相場からいくらか上乗せした額を渡せるだけの現金は準備している」

 

「…本気でこの商店街の土地を手に入れたい、という事なんですね」

 

「ああ、格好の立地故に相場の倍近くの金額を投じたとしても数年あれば

 金額の回収は見込めるからね…さて、この挑戦…受けてもらえるかな?」

 

理由の説明から続けて、ウィルは泰葉達に「挑戦」の条件を告げ

ミサからの反論に対し返事代わりに断った場合の行動の予告を告げる。

その内容に、泰葉はウィルの「本気」を感じての一言を零し…

ウィルはその一言に反応すると泰葉を真正面から見据え返答を促す。

 

「…返答の前に、こちらからも一言良いですか?」

 

「ああ、一言と言わず好きなだけ言ってくれ」

 

「そちらが言われた条件ですが、そちらの勝利の時と比較して

 私達の勝利の時の報酬が若干具体性に欠けていると感じます。

 より具体的にこちらにとって得となる条件を追加してもらえますか?」

 

「ちょ、ちょっと泰葉ちゃん!?」

 

「なるほど…言われてみれば、確かに君の言う通り具体性に欠けてたか。

 …よし、それじゃあ追加条件として『君達が直接対決で勝利するか

 僕より高い順位となった場合、商店街の土地買い上げの為に用意した

 現金全額を商店街への寄付と言う形で渡す』というのはどうかな?

 無論その金の返済要求や使い道に対する説明要求等は一切行わない」

 

それに対して泰葉もウィルを見据えながら、出された条件の中で

具体性に欠けている部分を突く形でさらなる報酬を要求し…

その発言にミサは焦りを見せるも、ウィルは泰葉の言葉に対し

素直に自分の発言の不備を認めた上で追加の報酬を提示する。

 

「…どう、ですか?」

 

「…この挑戦は泰葉ちゃんに対して突き付けられたのものだ、

 だから受けるかどうかは泰葉ちゃんの判断に任せる」

 

「…わかりました、では…その挑戦、受けて立ちます」

 

「…ありがとう、感謝するよ」

 

ウィルからの追加報酬に関する発言を受けて、

泰葉はユウイチに視線を向けこれまでの発言に対しての

反応を促す。その泰葉の一言を受けてユウイチは

「挑戦を突き付けられたのは泰葉なので判断を委ねる」と

返答し、泰葉は挑戦を受ける事をウィルに告げる。

それを聞いたウィルが安堵した表情で礼を述べると…

 

「ウィル坊ちゃまの我儘へのお付き合い、誠に感謝致します。

 正直な所ここまで漕ぎ付けるのにそれ相応の出費を強いられた上

 大分強引な手段も用いたもので…それらが無駄にならず安堵しています」

 

「ドロシー…」

 

「さて、用事は済みましたしここからは私の希望を叶えてもらいますよ」

 

ウィルの隣でここまで口を挟まずにじっとしていたドロシーが、

ここまで漕ぎ付ける為の手立てに対する愚痴を零すと共に

ウィルに対する若干の皮肉混じりの泰葉達への感謝の言葉を告げる。

それに対しウィルは困った顔で抗議の意を込めてドロシーの名を呼ぶが、

ドロシーはそれを意に介さずウィルの手を取って五月野模型店からの

退店を促しつつ自分の希望を叶えるようにと返答代わりに発言する。

 

「わかったわかった…と、慌ただしくなって申し訳ないが

 今日はここで失礼するよ。次は静止軌道ステーションで会おう」

 

ウィルはそんなドロシーの行動に苦笑いをしつつも、最後に泰葉達と

向き合うように顔を向け慌ただしく去っていく事を詫びつつ退店していった。

 

~~~~~

 

「…ま、商店街の宣伝の仕事を受けてる身で

 ノーと言ったら商店街が消滅すると言われりゃ

 首を縦に振らざるを得ない…か」

 

「そうですね…事を大きくしてしまって申し訳ないです」

 

「いやいや、そもそも向こうから吹っ掛けて来たんだし

 泰葉ちゃんが罪悪感を持つ必要なんてないよ」

 

「ありがとうございます、ミサさん」

 

ウィル達が五月野模型店から退店した後に

カドマツの口からついて出た一言を聞いて、

泰葉が事態を大きくしてしまった事への

詫びを口にする。それを聞いたミサは

泰葉が罪悪感を抱く必要はないと返し…

泰葉はその言葉に対して感謝を告げる。

 

「予想外の事態が起こったとは言え、世界大会で

 1つでも上の結果を目指す事には変わりない。

 当初の予定通り、ワールドツアーに参加して

 世界大会までの1か月の間腕を磨く事にしよう」

 

「よーし、それじゃあ泰葉ちゃんとロボ太と一緒に…」

 

「あー、すまんがロボ太は世界大会までバトルは出来ないんだわ」

 

「ええっ!?」

 

そこから続く形でプロデューサーが、予定外の事態に

なった事への率直な驚きと共にそれでも当初の予定通りに

「ワールドツアー」に参加すると告げ…それを聞いた

ミサはそこでも3人で頑張ろうと気合を入れるが、

割って入ったカドマツがそれが不可能である事を告げる。

 

「結構な期間連続で稼働し続けてたからな、

 世界大会でトラブって動かなくなるなんて

 事態にならない為のオーバーホールと

 必要に応じての内部パーツの交換…それに加えて

 世界大会用の新ガンプラも作ってもらうもんでな」

 

「なるほどねぇ…そうなるとタウンカップ以来の

 泰葉ちゃんとのタッグチームになるって訳かぁ」

 

「…ああ、ミサさんには申し訳ないけど『予定通り』と

 さっき話したけどがワールドツアーへの参加に関しては

 当初予定してた形から変更される事になった」

 

「どういう事ですか?」

 

ミサの驚きへの返答としてカドマツがそうなった理由を告げると、

ミサは納得した様子で久々の2人でのバトルになる事を口にする。

だが、それに割って入る形でプロデューサーは「行動方針は当初の

予定通りではあるがその内容が変更になった事」をミサに告げた。

 

「…あのエキシビジョンでの乱入事件がきっかけとなって、

 今まで何とか小規模に押さえ込めていた彩渡商店街チーム…

 と言うよりは主に泰葉に対しての不満が爆発してしまって、

 SNSを中心にネット上で罵詈雑言が沢山目に付くように

 なってしまったのに加えて…ハイム社や佐成メカニクス、

 トヨサキモーターズにOATSや鹿児島ロケットを始めとした

 これまで戦って来たチームやそれらのチームの所属および

 スポンサー企業にも罵声が浴びせられてるし…うちの事務所にも

 連日『世界大会への出場を辞退しろ』という内容の電話が

 ひっきりなしにかかって来るという事態になってしまってる」

 

「…そういった批判者の層も、今まではガンプラバトル界隈や

 泰葉ちゃんやアタシに晶葉ちゃんと泉ちゃんのファンやアンチ…

 それらとは無関係ながら『炎上案件に飛び付いてさらに燃やす層』や

『誰かを叩きたくて仕方ない層』といった所に留まってたんスが…

 今はそれに加えてリージョンカップまでの時点で敗北した他事務所が

 結成したガンプラバトルチームへの参加アイドルのファンや、

 宇宙開発に対して否定的な層まで広がってしまってる状態っス」

 

「愉快犯的な層以外は、それぞれの層中では少数派止まりの

 人数ではあるんだけど…層の幅が広がった影響で、割合としては

 低くても実数としては無視できない人数に膨れ上がってて…

 諫めようとしたり注意したりした相手に対して逆上して

 その人物の過去発言を掘り返して炎上させたりという事もあって、

 炎上規模がとてつもないレベルにまで拡大してしまってるんです」

 

「そ、そんな大事になってたなんて…」

 

「…こういう状況で当初の予定通りにチームメンバー全員で

『ジャパンツアー』に参加した場合、アンチ勢の集結が比較的

 容易である為に集団心理やイベントの非日常感による高揚感が

 共鳴を起こした結果最悪の事態の可能性を否定し切れないという

 事務所の上層部の危惧もあって…泰葉とミサさん、それぞれに

 別の国で開催される海外ツアーに参加してもらう形になった」

 

そこからプロデューサーのみならず、比奈と泉も加わって

エキシビジョンマッチでのウィルの乱入事件をきっかけに

爆発してしまった泰葉や彩渡商店街チームへの不満に対する

状況を説明され…それを聞いたミサはただただ驚くしかなかった。

その上でプロデューサーは、この状況での日本でのイベント参加を

リスキーと見て海外イベントへの参加に方針を変更した事を告げた。

 

「そうなると、それぞれどの国のツアーに参加する事になったんですか?」

 

「まずミサさんは比奈と泉、それに晶葉と共にアメリカツアーに…

 泰葉はアジアツアーに参加してもらう事になる。泰葉には話したが

 かつて行われた海外ツアー公演イベントや舞台公演イベントの

 開催地を旅するという事務所の企画に同行する形でな」

 

「二手に分かれるって事になると、エンジニアはどうするんですか?」

 

「ミサさん達アメリカツアー組は晶葉と泉の2人に担当して

 もらう事になる。ここまでの学習や経験で2人がかりなら

 システム調整は出来るレベルの知識と技術は身に付いたからな」

 

「となると…泰葉ちゃんの方はどうなるの? カドマツがロボ太に

 取り掛かるとなると…ハイム社の誰かがピンチヒッターで?」

 

「ああ、そいつに関しちゃ俺のツテで引っ張って来る。

 腕は確かな奴を選ぶから心配はいらないぞ」

 

「ありがとうございます…そう言えば、私の方の同行者は

 プロデューサー以外は誰になるんでしょうか?」

 

「有香に亜季、それに清良さんといつきさんだな。

 こっちは過去に香港で開催された公演ツアーの面々による

 トークショーもセットで、泰葉は有香といつきさんとの

 共演経験からのゲストという形で参加する事になる」

 

「なるほど…」

 

それを聞いた泰葉からの質問をきっかけに、泰葉とミサそれぞれの

参加イベントについてや同行者についての説明がなされ…

 

「…よし、これからの方針が決まったって言うんなら

 早速ツアーに向けてのガンプラを考えなくっちゃね!」

 

「そうですね、私はどう組み上げるか決まってますので

 ベースキットを購入してまずは塗装に取り掛かりますね」

 

「…とんでもない事態になったにも関わらずというか、

 むしろそんな事態になったからか…気合入ってんなぁ」

 

「エキシビジョンの時のミスターからの言葉で

 2人ともやる気が増したから、って所かな?」

 

「…何にせよ、こういう事態になっても心折れずにいられる

 皆の心の強さには感心すると同時に感謝あるのみですよ」

 

それらを聞いたミサは改めて気合を入れ直して

ツアーに向けてのガンプラアイデアの思案に…

泰葉はまとまったアイデアの具現化の為に

必要なガンプラと塗料を購入し、それらを手に

制作ブースに移動して作業に取り掛かり始める。

そんな様子を見たカドマツとユウイチ、そして

プロデューサーは2人の「強さ」への感嘆と共に

感謝の意を口にしながら2人を見守っていた。

 

「…泰葉ちゃん」

 

「何ですか、ミサさん?」

 

泰葉が新たなる自分用のガンプラの為のベースキットや

塗料を購入し、説明書を見ながら塗装の為にパーツを

切り出している泰葉にタイミングを見計らって声をかける。

 

「エキシビジョンの時のミスターからの言葉に対しての

 泰葉ちゃんの返答、正直あの時ロボ太ともども

 泰葉ちゃんとミスターとの力の差を見せ付けられて

 凹んでいた私達にとって…本当に有難かったんだ。

 …だからこそ、泰葉ちゃんの期待に応えられるような

 存在になりたいって思ってるし今回のこの事態を

 絶好のチャンスにする為に最大限努力してみせるからね!」

 

「はい、待っていますね」

 

そこからエキシビジョンマッチの時の泰葉の言葉に対しての

感謝の意を告げると、そこから続く形で泰葉のその想いに

答えられるようにこの機会を最大限に活かす事を誓う。

それを聞いた泰葉は、ミサを期待の眼差しで見据えながら

その努力が実る事を信じて笑顔で「待っている」と返した。




比奈:いやぁ…まさか、だったっスね…

P:全くもって、そうだな…こちらも正直
 絶望視してた「ナンバリング新作」が来るとは。
 無論こちらも買うつもりだ、「3」から追加された
 ガンプラも使ってアイドル用ガンプラを作りたいからな

比奈:余りにも気が早いっスが…「4」と「シンデレラガールズ」の
   クロスオーバーSSを執筆する予定はありまスか?

P:現状は「4」のストーリー次第といった所だな…
 「NEW」の時のように一つの場所だけで完結してしまうような
 物語だと、アイドルを混ぜ込むのが難しいからな…
 ストーリーの良し悪しと言うより、構造的な意味でな

比奈:なるほど…

P:仮に執筆するとしたら、この話を完結させてからになるし
 この話とはパラレルワールド的な扱いで絡ませはしない。
 そしておそらく主役アイドルも泰葉以外になると思う

比奈:ま、「原作」すらまだ市場に出ていない状況での
   皮算用はここまでにして…今回は、元ネタシーンから
   色々な意味でガッツリ別物レベルに変更してるっスねぇ。
   ウィル君は前回から引き続いて小馬鹿にしたり見下してる感を
   抜いて真剣さを代わりに入れつつ、この時点でミサちゃんも
   泰葉ちゃんには劣るものの一定の実力はあると見ていて…
   勝負の条件に大きく具体性を織り込んでまスし。そして
   ウィル君達の退店後はほぼオリ設定に変更してまスねぇ

P:ウィルに関しては前回触れたので省略するけど、
 ミサに関しては高校生の身で単身でアメリカに
 行くという点が色々な意味で無理があると感じたのと
 エキシビジョンの時の泰葉の言葉に応えた上で
 決意するって描写を入れたいと思ったもんでな

比奈:なるほど、話は変わりまスが前回の後書きで
   触れられていた泰葉ちゃんや彩渡商店街への
   バッシング関係の描写は抑え目な感じだったっスね

P:アイデア時点ではもっと事が大きくなってたんだが、
 余りに事を大きくし過ぎると色々な面でコントロールが
 難しいと思ってな…その為に予定より抑える事にしたんだ。
 …さて、来月からはアジアツアー編を開始します。
 これからの各章の話数はこれまでより少なくなりますが、
 内容は薄まらないように最大限努力しますので
 見守って頂ければ幸いです…それでは、また次話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。