死神みたいな提督さん (古明地響)
しおりを挟む

始まりは突然かもしれない

はい、性懲りもなく新しい物語を書き始めたどうも古明地響です。
この小説を読んで下さってありがとごさいます!



?「今日から俺がこの鎮守府の提督や!よろしゅうな!」

艦娘達は困惑する。

何故かって?

この目の前にいる男は一週間前、この鎮守府の提督と憲兵隊達を皆殺しにした男だからだ。

 

 


 

 

一週間前

 

 

?「フフ~ン~、いい旅夢気分~。」

この呑気な男の名前は『旅野紅(たびのくれない)

自由奔放に風の赴くままに旅をする男だ。

今日も今日とて大鎌を背負い海の上を歩いている。

そう、海の上をだ。

紅「およよ?ありゃ、、、。」

そんな男は海の上で動く人影を見つけた。

紅「へぇー、あれが艦娘(かんむす)かー。始めて見た。」

このご時世、深海棲艦(しんかいせいかん)が現れてからと言うもの空路と海路は麻痺しそのため物流も寸断された。

そんな中、深海棲艦から人類を守る存在。

と、しか紅は知らない。

紅「、、、ボロボロだけで、あれがデフォ?そんなわけ、、、へぇ、、、そんなことしちゃうんだ~。」

紅は水面を強く蹴る。

 

・・・・・

 

?「っ!奴ら追って来やがった!」

眼帯をしたボロボロの艦娘が黒い怪物のような深海棲艦を睨む。

?「お前らは逃げろ!ここは俺が引き受ける!」

他の艦娘達は不安そうだ。そして、涙を浮かべている。

?「ハハ、泣くんじゃねぇ。お前らは逃げて生き延びろよ。」

震える足で水面を蹴り、まともに動かない腕に刀を持ち気合いで振るう。

そんな彼女には無慈悲な砲弾の雨が襲い掛かる。

?(俺もここまでだな、、、。)

艦娘は諦め目をつむる。

?「諦めるのはまだ早いんじゃなぃ~。」

気の抜けた男の声が聞こえた。

?「『雪洞(せつどう)』!」

艦娘に降り注ぐ筈だった砲弾の雨は雪の壁に阻まれる。

?「おやおや、こんなに美しくそして勇気ある女性がこんなにボロボロになってるなんて、、、世の中どうかしてるよ。」

?「あんた誰だ?人間じゃないな、、、。」

?「俺?俺は旅野紅、、、。ただの旅人でしに、、、。んん、人間さ。人間だから三大欲求も7つの大罪も十戒もある、、、、。でも、女の子痛め付けるのはポリシーにもプライドにも誓いにも反する。まぁ、相手が知能もない人形の怪物なら女性でも殺せるけど。あれは無さそうだ。」

雪の壁には消え、再び狙われる。

?「逃げろ!」

紅「逃げる!この俺が?ボロボロ女の子を置いて?NoCOOL!!俺のポリシーに反するねぇ!!」

降り注ぐ砲弾、それを目にしても紅の闘志は消えることない。

紅「まぁまぁ、こんなにもゴミをポイ捨てしちゃってぇ~。いけないねぇ~。『金剛屑(ダイヤモンド・ダスト)』!」

大鎌を振るう紅。その大鎌からキラキラと輝く物質が飛び散る。

光が物質に反射しさらに輝きを増す、まるでダイヤモンドのように。

紅「あ、そうそう。それ綺麗だからって触れると、、、。爆発するから

ドーーーーン!!!

何も知らない深海棲艦達は海の藻屑となってしまったのであった。

紅「よし!終わり!で、大丈夫か?」

?「え、あ、あぁ。」

紅「それにしても傷だらけだな、、、そうだ!」

紅は何かを思い付いたようだが、それと同時に辺りは霧に包まれるのであった、、、。

 

 


 

 

?「で、ここはどこなんだよ!!いい加減話してくれよ!!」

?「落ち着いて、傷が開くわよ。紅、貴方はちゃんと説明してあげて。」

紅「はいはい、分かったよ『サリー』。まずは君の名を聞かせてくれ。」

?「、、、俺の名は『天龍(てんりゅう)』。軽巡洋艦天龍型の一番艦だ。」

サリー「艦娘、、、。紅から聞いてるわ。人類を守る素敵な子達でしょ?あ、自己紹介が遅れたわね。私は『サリー・スミッソン』、ここの森の看護師であり殺人鬼(キラー)よ。」

天龍「殺人鬼!?」

紅「サリー、それじゃ驚かせちまうだろ。安心しろ天龍。ここは安全だしサリーも殺人鬼だけど訳もなく殺しやしねぇ。ここは『(きり)(もり)』。生存者(サバイバー)殺人鬼(キラー)儀式(サバト)を行う異空間。で、ここはそんな殺伐とした異空間の憩いの場の一つ。『サリーの看護屋(かんごしつ)』だ。」

天龍「へ、へぇー、、、。そうなのか、、、じゃなくて!!俺は鎮守府へ戻らなきゃいけないんだ!じゃなきゃ、、、。」

紅「、、、。サリー。」

サリー「?何かしら?」

紅<今行われてる儀式、今日の儀式を全部取り止めにしてきてくれ。ここの奴らにも協力してほしい。>

サリー<分かったわ。彼女のボロボロの姿を見て黙ってなんていられませんから!看護師として!元人間として!>

サリーは部屋を出ていく。

紅「なぁ、天龍、、、。なんで俺はお前を助けたと思う?」

天龍「、、、どうせ俺の体目的だろ?そうじゃなきゃ「え、いきなり正解、、、。」合ってるのかよ!やっぱり人間は「まぁ、話を聞け。」はぁ?」

紅「確かに俺はお前の、いや、艦娘の体目的だ。他にも明らかに子供って子達もいただろ?犯してぇーと思ったよ。正直な話今すぐお前をひん剥いて犯してぇよ。でもな、それじゃダメだ。ヤルならお互い気持ちよくなりゃなきゃな。そもそも!俺はレイプとか輸姦とかそう言うのは大嫌いなんでな!下心が見え見えだけど俺はお互いが幸せだと思えなきゃ行為に及ばねぇ。『人間共みたいなクソザコのゴミ』とは俺は訳が違うんでな!」

天龍は開いた口が閉じないようだ。そして、天龍は気がつく。

紅の下半身が一部誇張されているのだ。

天龍「お前、正直過ぎないか?」

紅「正直に言うことは悪いことじゃない。嘘ついて後悔するより何千倍もいいからな!」

天龍「はぁー、、、。」

天龍は大きくため息をついたのであった。

紅「ところでさ、天龍、、、。鎮守府の場所、教えてくれないか?」

 

 


 

 

?「で?儀式中止の要請の理由はそれか?サリー。」

サリー「そうよ。あんなボロボロになってまで戦わせてる。しかも、女の子をよ!なんで女の子が戦わなきゃいけないのよ。」

?「サリーの気持ちはよく分かる。だが、俺や『エヴァン』、その他の生存者(サバイバー)殺人鬼(キラー)の総意だとしてもこの主催者が首を縦に振らないとどうしようもないぞ。」

エヴァン「そうだな。『ジェイク』の言う通りだ。確かに俺も今の人間がやってることには憤りを感じる。どうすんだ?『エンティティー』。」

三人の視線の先には蜘蛛の足のような変なのが。

エンティティー「うーん、、、。実際のところこの儀式って気が向いたら出来るからねぇー。それにみんなも外がどうなってるか、見た方がいいかも知れない。なんせ、この僕が失望する程には終わってるよ。人間は。」

サリー「そう、、、。なら、やることは一つね。」

ジェイク「早速みんなに話してくる。」

エヴァン「全員がまともに動くと思えねぇが話すだけ話すとするか。」

エンティティー「じゃあ、準備をしなきゃねぇー。」

 

 


 

 

紅「ふーん、あれが鎮守府か、、、。臭ぇ、臭すぎる!そして不潔すぎんだろが!」

紅は鎮守府の様子を見て激怒していた。

紅「人間は、、、殺さねぇとなぁ!!」

ビィー!!ビィー!!

紅はいつの間にか鎮守府に侵入していた。

そんなのはよくやること、問題はここから。

警報が鳴り響き憲兵達が集まってくる。

そして、何かを言ってるようだが紅には聞こえない。

紅「何を言ってるかわかんねぇよ。死ね、、、。『氷点花畑(ひょうてんかはた)』、、、。」

紅の足元から氷が広がり氷の花が咲く。それはまるで花畑の様だ。

様子を見ていた憲兵は氷が足元に来るまで危険性に気がつかなかった。

そう、足が凍り始め、花まで咲き始めた。

ここで慌てて後の祭り。

もう動けない。死ぬしかない。むせび泣き助けを求める許しを乞う。

そんな助けを求める哀れな子羊に氷の悪魔笑いながら言い放つ。

紅「じゃあ、艦娘が許しを求め、泣きながら体を差し出したとき、、、。お前はどうした?」

憲兵の表情には絶望しか残らない。

紅はゆっくりと残りの憲兵達の元へゆっくりと歩みを進める。

それを見て逃げ出す者もいれば抵抗する者もいる。

紅「その銃弾うぜぇよ。『天幕の衣(オーロラベール)』。」

何故か銃弾は空中で凍り付き使い物にならない。

紅が向かうは執務室のみ。

その間も氷は侵食する。

おっと?ようやく艦娘のお出ましのようだ。

?「と、止まれ!」

声が振るえている。腕も振るえている。そんな状態で砲が撃てるわけがない。

スルーする。もちろん艦娘の足元にも氷は張るが効果はない。

だけど憲兵には効果があるようだ。

道中何度も艦娘に邪魔される。皆、傷だらけである。

中には四肢の一部が欠損している者、片眼を失った者、風穴が空いている者もいる。

紅「、、、簡単には死なせねぇ、、、。」

執務室に辿り着いた紅は扉を蹴破る。

そこには行為の最中の提督と目に光がなく素っ裸にされた銀髪の艦娘の姿。

提督「貴様!何者だ!」

紅「てめぇに名乗る名は生憎持ち合わせてねぇんだねぁ!!」

大鎌で提督を斬り付ける。

提督「ギャァァァァ!!き、貴様!儂を誰だと思っている!!」

紅「、、、うるさい。そんなてめぇは簡単に死なせねぇ。『寄生虫(きせいちゅう)大紅蓮(だいぐれん)』。」

提督「な、何を?ぐっ!あ、ァァァアアアア!!」

いきなり苦しみだした提督。

提督「寒い、イダィ!!だじゅげでぇ!がはっ!」

助けを求めながら血を吐く。

紅「わりぃが無理な相談だ。だが、プレゼント。『神経毒(しんけいどく)凍結遅延(とうけつちえん)』。ここでお前は死ぬ。だけど、お前の感覚ではゆっくりゆっくりと感じる。そう、全てがな。」

そう言って既に物言わない提督を蹴りあげる。

紅「さてと、もう大丈夫だから安心し、、、え?」

紅は全裸にさせられていた艦娘を抱く。だけど、既に息を引き取っていた。

紅「え、、、嘘だよな?、、、。いや、まだ助かる!この感じまだ近くにいる。うん、そこだな!」

紅は何を掴むと艦娘に押し付ける。

紅「、、、うん。脈は戻ったな。えーと、、、。どうしよ。この子をこのままってのはよくないよな、、、。」

サリー「あら?終わったの?」

紅「サリー!ちょっとこの子の身を包めるもの持ってないか!」

サリー「そう思って持ってきたわよ。」

サリーは艦娘に毛布を掛けるであった。

 

 


 

 

紅を見て逃げていた憲兵達は更なる絶望を知る。

?「逃げんじゃねぇ!!糞共がぁ!!」

憲兵「ヒィィぃぃ!!助けてくれぇ!!」

たった一人の男が憲兵達を一網打尽にしていた。

ジェイク「、、、質問だ。俺達が来る必要は無かったと思う奴は手を上げろ。」

生存者(サバイバー)14人、殺人鬼(キラー)21人が手を上げていた。

エヴァン「なんだか、、、これからあいつの見る目が変わったぜ。何せ人外組まで怯えてるじゃねぇか。」




登場人物紹介

名前 旅野紅(たびのくれない)

能力 冷たいと連想される力を使う程度の能力

詳細 旅人で大鎌を持った謎の人物であり下心丸出しの屑である。


名前 天龍(てんりゅう)

詳細 天龍型の一番艦。囮になっていた所を紅に救われた。


名前 サリー・スミッソン

詳細 ボロボロの白衣を着て顔全体を白い布で覆い隠した女性。何故か浮いている。


名前 エヴァン・マクミラン

詳細 ボロボロのインナーにオーバーオールという粗末な衣類を身に纏った筋骨隆々の大男。顔には笑みを浮かべるように口を大きく開いた不気味な白いマスクを付けており、また体の各所に金具のようなものが突き刺さっていたりと、非常に禍々しい出で立ちをしている。のだが、かなり面倒見が良かったり備品の修理なんかをよくやっている。殺人鬼(キラー)達のリーダー。


名前 ジェイク・パーク

詳細 ボサボサの黒髪に力強い目元が特徴の野性味溢れる男性。物事を冷静に判断し時には大胆な行動をとることも。生存者(サバイバー)達のリーダー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

怒る死神

早くも第二話~ってところでさて、、、何話からくらーい設定入れようか迷うのです~


紅「、、、。」

?「あの、、、飲み過ぎでは?」

紅「今日ぐらい飲ませてくれぇ~。」

天龍「いつもああなのか?」

サリー「うーん、、、。あんな感じになるのは稀ねー。」

?「旅野さんは強いストレスを感じるとあのように浴びるようにお酒を飲むようになってしまうんです。」

天龍「強いストレス?」

サリー「そうね。今回は人類への失望ってところかしらね?」

?「、、、『ババ』!照り焼きチキン10人前くれ!」

ババ「えぇ!!『ディビット』!わ、分かったー!」

サリー「あら?ディビットがケーキ以外を食べるなんて初めて見たわ。」

?「ディビットさんもかなり怒ってましたから。」

トントン

サリー「あら?『ドゥルーアニー』どうしたの?」

カキカキ

ドゥルーアニー『ディビット・地下牢・見て・激怒』

サリー「地下牢って貴方と『デモゴルゴン』が見つけたところね。」

天龍「地下牢?そんなのがあったのかよ!」

サリー「えぇ。酷い有り様だったそうよ。」

カキカキ

ドゥルーアニー『艦娘・みんな・死んだ目・してた・四肢・全部・無い子・いた・死体・あった・目・見開いて・苦しそう・天国・行ってほしい』

天龍「そうか、、、まだ生きてる奴もいるんだな。なら早く救助に!」

サリー「全員救出したは死んでた子は紅が蘇らせて。」

天龍「蘇らせた?」

サリー「その事はおいおい彼から聞けばいいわ。それよりもまずやることは紅が元に戻るのを待つことよ。」

紅「さーてーとー、、、。行くか、、、。」

サリー「どこに行くのかしら?」

紅「え?どこに行くかって?大本営さ。」

 

 


 

 

紅「ヒャャヒャヒャヒャヒャ!!話のわかんねぇ人間共はぶっ殺さねぇとなぁ!!!」

大本営のど真ん中に現れた紅は職員達を次々と殺していた。

紅「元帥とか言う奴は何処だ?出てきやがれやぁ!!『吹雪狼(ゲシュテーバー・ヴォルフ)』!!」

大鎌を振るうと氷で出来た狼の群れが職員達を襲う。

紅「足りねぇか?まだ足りねぇのかよ!元帥って野郎を引き摺りだすのにはよぉ!『大結界(だいけっかい)銀世界(ぎんせかい)』!」

大本営に猛吹雪が到来する。

施設の中にいようが全ては銀世界に包まれる。

紅「早く出てこいやぁ!じゃなきゃ、俺はここを凍り付かせるだけだ!」

今はまだ7月。

なのに大本営だけは冬の雪山よりも吹雪いている。

紅「ちっ、これだけやっても出てこねぇか。保身に走ったな、ゴミが。」

次第に雪は収まっていく。

そして、紅はいなくなった。

 

 


 

 

紅「俺、決めたわ。提督になる。」

エヴァン「は?マジで言ってんのか?」

紅「本気と書いてマジだ。」

サリー「貴方ならそう言うと思ってたわよ。私達も全力でサポートするわ!ね?エンティティー。」

エンティティー「yes!!I am!!(こ、怖いよぉー!)」

天龍「でも、大本営行っても元帥の野郎は出てこなかったんだろ?どうやってなるんだ?」

紅「え?無許可だけど?」

天龍「はぁ、、、分かった。俺も行くから。」

サリー「あら?あっさりと引くのね。」

天龍「どうせ止めても聞かねぇからな。行くんならちゃっちゃと行くぞ!」

 

 


 

 

紅「思ってたよりひでぇな。」

天龍「あぁ、ひでぇだろ?」

二人がいるのは鎮守府の前、そこからでも分かるボロボロな施設。

紅「一回壊して建築しかねぇよなぁー、、、。建築となると、、、。はぁー、、、めんどくせぇが頭下げるしかねぇよなぁー。」

建物に入ってすぐに鼻を塞ぎたくなる血と男の匂い。

紅「、、、天龍。動ける奴で動けねぇ奴を外に運んでくれ。」

天龍「え?あぁ、分かった。」

紅は外に出る。

真夏の炎天下、普通に暑い。

広場にブルーシートを広げ運動会などでよく見るテントを建てていく。

それだけでは暑さは凌げない。

ならばどうするか。答えは簡単。

紅「『雪野原(ゆきのはら)凛向日葵(りんひまわり)』。」

地面が雪景色に包まれ氷の向日葵が咲き誇る。

天龍「おーい、まず一人運んできたぞ!で、この人が今の鎮守府を仕切ってる『長門(ながと)』さんだ。」

天龍と一緒に銀髪の艦娘を運んできた黒髪の美しい女性。

長門「私が長門だ。貴殿が天龍と救ってくれたようだな。その事に関しては礼を言う。だが、貴殿が提督になることは反対だ!」

紅「反対で結構!でも、今やることはそれじゃないでしょ?それは一番君が分かってるはずだ。」

長門「、、、。『鹿島(かしま)』をどこに置けばいい?」

紅「このブルーシートの上ならどこでも。」

長門「そうか、、、。」

長門と天龍はそっとブルーシートの上に鹿島を置く。

そして、無言で戻っていく。

紅「、、、。さてさてさーて!まずはこの子の治療を、、、。でも、艦娘の治療方法なんて知らねぇんだよなぁー。でも、やれることはやらなきゃな。」

鹿島の服を脱がす。

常に下心があるような人間だが、今回はそうではない。

紅「打撲痕が多いな。まずは『治療氷(ちりょうひょう)』。」

打撲痕がある箇所が凍り付く。

凍傷になりそうに見えるが違う。この氷は治療用、治療に適した温度で氷を張っている。

切り傷には消毒と絆創膏。骨折しているであろう箇所にも氷を張り包帯を巻く。

長門「次の者を連れてきたぞって!貴様!鹿島に何を!」

紅「早とちりして騒ぐな。治療するのに衣服が邪魔だったんで脱がした。全員の治療を終わらせた後で医者を呼んでくるからそれまでの簡易治療だ。」

長門「そ、そうか。」

その後次々と運ばれてくる艦娘を治療していく。

中には抵抗する艦娘もいたが、、、

紅「落ち着いてくれ!」

何とか治療を終わらせた。

紅「お、終わったぁ~。さて、次は、、、。天龍、すまないがここを空ける。」

天龍「あぁ、分かった。」

紅は施設の影へ向かう。

紅「ふぅー、さてと、、、『地獄門(じごくもん)』。」

開かれた禍々しい門を紅は潜る。

 


 

 

紅「久しぶりだな。ここも。」

紅は門を潜り素早く禍々しい場所突っ切り巨大な川を猛スピードで渡る。

その時に見知った顔が舟の上で寝ていたのは気にしない。

そして、今いる場所は竹林である。

その竹林を奥地へ向けて迷うことなく歩いている。

目的地は竹林の奥地にある大きな屋敷。

屋敷を取り囲む塀を飛び越え気配を消して目的の場所へ向かう。

そこは屋敷の一室。そっとそっと襖を開けると。

一人の女性が書類を整理していた。

?「どうして『幻想郷(げんそうきょう)』へ戻ってきたのかしら?」

紅「あんたの力を借りたいから戻ってきた。こんな俺の頼みなんて聞きたいと思わねぇと思うが、、、。聞くだけ聞いてくれ。」

?「聞く必要は無いわ。だいたいの話は『(ゆかり)』に聞いたから。今は準備中なのよ。」

紅「そ、そうなのか。すまない、突然押し掛けて。」

?「いいのよ。貴方に頼られるのは嫌じゃないから。」

紅「そ、そうか!じゃあ、俺、まだ行くところあるから!」

そう言って紅は猛スピードで次の場所へ向かう。

 

 


 

 

紅「すいません!!俺に力を貸してください!!『勇義(ゆうぎ)』の姉御!!」

勇義「ちょっと待て待て待て!!お前、どうやって帰ってきたんだよ!!そもそも、お前の方が強いのに頭下げるなんて。しかも土下座!」

紅「土下座してでも力を借りたいからですよ!あ、勇義の姉御だけね。他の鬼達が来るのはちと不味いから。」

勇義「そ、そうか。で、お前さん何してるんだい?元々は地獄の冷酷王とか凍土の死神とか言われて怒りで大異変起こして追放されてからさ。」

紅「ずっと旅をしてたけど、提督になることにしてさ。無許可で。」

勇義「な、なるほど。無許可かー。お前さんらしいな。」

紅「そ、てことで次行くところ行くからじゃあ!」

紅は次のところへ向かった。

 

 


 

 

紅「さてと、いるのかねー。」

?「あら?ずいぶんとお早い到着ね。紅。」

紅「手回ししてたってことは俺のことを監視でもしてたのか?『八雲紫(やくもゆかり)』。」

紫「そりゃ、監視もするわよ。貴方は一度幻想郷を崩壊させかけたのですもの。でも、貴方の奥底にあるものはいつまで経っても変わることありませんわね。」

紅「、、、そうかもな。で、あんたも手伝ってくれるのか?」

紫「もちろん喜んで手伝わせて貰うわ。だって貴方は優しい『』だから。」

 

 


 

 

紅は鎮守府へと戻ってきていた。

艦娘の子達はパンを一人ずつ与えているので空腹には今のところならないだろう。

紅「はぁー、月はあんなに綺麗なのに、、、。なんで人類はあんなにも汚いのだろうか。」

天龍「こんなところで何をしてるんだ?」

紅「天龍か。いや、月が見たくてさ。」

天龍「月?そんなもんどこでも見れんだろ?」

紅「確かにどこでも見れる。でも、月は見る所で違う輝き方、感じ方がある。ここから見る月は寂しくて、悲しくて、吸い込まれそうになる程に美しく輝いている。」

月を悲しげに見上げる死神。

絵になりそうな一コマ、ビジョン。

天龍(なんでだ?なんで、こんなにも、、、美しく感じるんだ?)

そんな紅を見て天龍は美しく感じていた。

紅「ちょっと散歩しよっか。天龍。」

天龍「、、、。あぁ、いいぜ。」

紅と天龍は二人で浜辺を歩く。

満天の星空に夜道を照らす月、ゆっくりと吹く潮風、穏やかな波。

ゆったりとした時間。

この今、この瞬間だけ切り取れば平和なのだろう。

紅「人間はなんで生きてるんだろうな。なんで深海棲艦は人類に牙を向けるのか。なんで艦娘は傷付くのか。謎でしかない。傷付くのなら人間でいいのにな。」

天龍「人間が全員お前みたいに強いわけねぇだろ。そもそも、いねぇよ。」

紅「そうだよね。普通は。でも、俺は知ってるんだ。人間の底力を。何もしないからその底力も使えなくなっちまった。第二次世界大戦時の闘志はどうしたのか聞きたいぐらいだよ。」

天龍「そんなの俺達にもわかんねぇさ。」

二人はしばらく夜の浜辺を歩くのであった。




名前 ババ・ソーヤー

詳細 チェーンソーを振り回す殺人鬼(キラー)。霧の森にて唯一の食事処を経営している。


名前 ドゥルーアニー

詳細 ロッカーとロッカーを移動できる負の感情から産まれた異形の怪物。他の人外組と共に言葉や一般常識の勉強をしている。


名前 ディビット・キング

詳細 筋肉隆々の正義感の強い生存者(サバイバー)。今回の一件でかなりのストレスを感じている。


名前 星熊勇義(ほしぐまゆうぎ)

能力 怪力乱神を持つ程度の能力

詳細 地底に住まう鬼。紅とは旧知の仲である。


名前 八雲紫(やくもゆかり)

能力 境界を操る程度の能力

詳細 幻想郷の管理者であり紅を幻想郷から追放した張本人。でも、紅のことは大事な友人の一人と考えている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

洗い流そう

ORT、、、無理、、、あんなの勝てない、、、。


お前には何も救えない。

 

やめろ

 

◼️◼️のことも救えなかったお前になんて無理な話。

 

やめてくれ

 

どうせまた、、、。

 

紅「やめろぉ!!」

朝、夢から醒めた紅。

その体は汗で濡れている。

紅「はぁ、はぁ、、、夢、、、?か、、、。」

天龍「お?起きてたか?」

紅「今起きたところだ。」

天龍「しっかし、驚いたぜ。広場のど真ん中で寝始めるんだからよ。」

紅「旅先でまともなところで寝たこと無かったからな~。で、飯、足りなかったか?」

天龍「いや、みんなあれで今のところは満足してるさ。」

紅「あ、あれで満足、、、だと、、、?」

天龍「今のところはだ。そうそう、あの人何者だ?勝てる気がしなかったぞ。」

紅「ん?あー、あの人もう来てたのか。で、なんか言ってた?」

天龍「診察は終わったから後は様子見だとさ。だけど、なんか骨折とかは直ぐ治ったけどどうなってんだ?」

紅「ん?マジか?薬で骨折まで治せるようになったのかよ、、、流石だな~。、、。なぁ、天龍。」

天龍「ん?なんだ?」

紅「服ってそれだけなのか?」

天龍「あぁ、これだけだ。それが?」

紅「、、、マジかよ。てことは風呂どころかシャワーも浴びたことねぇのか!なら、体を洗ったこともないと、、、。飯は今はパンで凌げてるなら風呂、いや、服も必要だな、、、。うーん、、、。服か、、、。やべぇ、服に関しては宛がねぇぞ。風呂は作れるけど時間がかかる、、、。シャワーだけならいけるが、、、。」

天龍「何をぶつぶつ言ってんだ?」

紅「、、、よし!決めた!」

天龍「え?突然なんだよ、、、。」

紅「『氷像(ひょうぞう)大雪室(おおかまくら)』。」

大きな氷と雪で出来たかまくらが現れる。

紅「天龍、長門を呼んできてくれないか?」

 

 


 

 

天龍「連れて来たぞ~。って、いねぇし!」

紅「あ、二人とも~。こっちこっち~。」

紅の声はかまくらの横から聞こえてきていた。

長門「なんだこれは?」

そこにはカーテンがかけられた何か。

紅「まずは、長門、、、。脱げ。」

天龍「、、、。働きすぎて頭がイカれたか?」

紅「天龍、俺はまともだ。今からやることは俺の下心丸出しのように見えて下心だけじゃないことだ。あ、ついでに天龍も脱いどいて。」

長門「頭が痛くなってきたぞ。」

紅「まぁまぁ、話は最後まで聞いてくれ。まずやることは服の洗濯だ。複数服があれば良かったんだけど生憎俺には衣服に関する宛が無くてな。だから、まずは洗濯。で、夏場だから直ぐに乾くからその間に体を洗うんだよ。本来なら一人でやってもらわないといけないことだけど、天龍から風呂も入ったことがなければシャワーも浴びたことないと聞いてな。なら、洗い方を知らないと思ったのよ。どう?これで納得した?」

長門「確かに貴様の言うことは的を得ていて反論するところが無いが、、、。私と天龍は良くても他の皆が、、、。」

紅「フフフ、、、。そこは、、、。何とかするさ。てか、まともに動けるのが二人しかいないのがヤバいんだよな~。早急にアレの量産をしないと、、、。」

長門「アレ?」

紅「いや、こっちの話だ。さて、、、。早速始めるから、二人とも脱いで。」

 

 


 

 

 

結局二人とも素っ裸になっていた。

流石に洗濯中はタオルケットで体を包んでいる。

紅「うわぁ、、、汚れが滅茶苦茶出るな~。こりゃ、洗濯しがいがあるわ~。」

もちろんこの場に洗濯機などはない。

だから、手洗いで二人分の衣服を洗っている。

紅「二人ともさ~。なんで下着無いの~。」

長門「それは、着ける必要が無かったからな。」

紅「、、、。嘘ー、こりゃ、買い物リストに下着も追加だな。」

汚れを落として簡易的に作った物干し竿に衣服を吊るしていく。

紅「さてと、、、。どっちから洗おうか、、、。」

天龍「なら、俺から頼めないか?」

紅「ふぁ?」

天龍はタオルケットを脱ぐ捨てた。

紅「ちょちょちょ!!ストォープ!!」

天龍「なんだよ。洗うなら早くしろよ。」

紅「天龍!あ、いや、これは長門にも言えることだけどさぁ。君達は女の子なんだ!だから、少しは恥じらいと言うものだなぁ!」

二人ともキョトンとしている。

紅「、、、こりゃ、話しになんねぇわ。分かった。洗うぞ。」

カーテンを開きそこに紅と天龍が入る。

中は広めに作られているようだ。

中には氷で出来た棚にボディーソープ、シャンプー、リンス、洗顔用の石鹸と体を洗う用のタオル。座るためのバスチェアがある。

外からカーテンを開けて入ってきたがよく見れば逆側はかまくら内へと繋がっている。

床は地面ではなくブルーシートが敷いてある。

天龍「あれ?洗い流す水がなくないか?」

肝心のシャワーがない。

紅「流石に用意出来なかったんでな。そこで俺の能力を使う。『癒しの雨雲(ハイルング・レーゲンヴォルケ)』。」

2人の真上に雨雲が出来る。

紅「これがシャワー代わりだ。冷たいのは許してくれよ。さて、始めるぞ。」

 

~~~~~~~~

 

暫くして天龍を洗い終わる。

紅「はい、次長門~。」

長門「わ、わかった。その、、、大丈夫か?」

紅「問題ないぞー、、、。いや、あるかも、、、。」

紅は鼻から血をたらたらと流していた。

長門「平気ではなかったのか?」

紅「平気と言うより慣れだ。ちなみにこれは洗ってるときにくすぐったくなった天龍に肘打ちされただけだ。気にするな。」

長門「そ、そうか。では、頼むぞ。」

 

~~~~~~~~

 

そこから長門を洗い終わり、所属している艦娘を一人ずつ洗っていく。

途中、罵倒され拒絶されたりもしたが何とかあと二人になった。

だが、問題はここから。

紅「よし、次は、、、。えーと、君は?」

?「『(かすみ)』よ。」

その子は目を合わせない。

その表情からは憎悪の念が見える。

彼女の体はボロボロ。

両腕は切断され右足もない。

左足には複数の弾痕がありまともに機能しない。

目も左目が欠損している。

紅「、、、。まずは、服を洗っていくからな。」

紅は霞の服を脱がす。

抵抗は無いが憎悪を向けられる。

洗濯している間、こちらを見ているが紅が霞の方を見ると目を逸らす。

紅(あの感じ、、、。ふむ、、、。人間そのものに対する憎悪。でも、俺に対してその憎悪はない。俺を恨むのはお門違いだと頭では分かってんだろうな。でも、恨んじまう。そんな自分が嫌ってところだろうな。)

紅は考察しながら洗濯をする。

暫くして洗濯物を干し終えた紅。

霞を洗うために霞を抱き上げシャワールーム(仮)に向かう。

そこにあったのは普通の椅子。

残ったのは霞と鹿島。霞はまだいいが、鹿島は自力で座ることも出来ないため背もたれのある普通の椅子が必要なのだ。

紅は霞を洗い始める。

紅「なぁ、霞ちゃんよ~。そんな睨んでちゃせっかくの可愛い顔が台無しだよぉ~。女の子なんだからさ笑顔笑顔!」

霞「、、、こんな姿の兵器を女の子?貴方、感性が死んでるんじゃない?」

紅「ん?女の子に女の子って言って何か違うのかい?」

霞「なんでそんなに優しいのよ、、、。」

紅「優しいか、、、違うね。俺もそこらのゴミと一部同じさ。俺だって君達を犯したい。それ程君達は魅力的なのさ。でも、お互いが良くなければ意味がない。ヤリてぇー、てのは男の持つ一番の大きな欲望さ。俺は欲望の赴くままに生きる。そう決めた。もう二度と後悔しないためにな。」

霞「後悔?貴方が?」

紅「誰にだって後悔の一つ二つある。それがどんなに強かろうとな。俺の後悔は他だ一つ。『言の葉に対して動けなくなった事』だ。何故あの時俺は動けなくなったのか。後から理由が湧き出ちまう。そのせいで、、、俺が臆病で心を理解していなかったせいで、、、あの子が『無限の地獄』に落ちちまったのさ。」

霞「え?」

紅「これは天龍にも長門にも話していない10年前の話だ。」

 

 


 

 

?「判決、、、。貴女は紅蓮地獄懲役六千年の刑に処す!」

偉そうに判決を下すのは俺の義理の母親であり善き姉である『四季映姫(しきえいき)・ヤマザナドゥ』。

ヤマザナドゥとは役職名らしい。そう、閻魔。

その横に使えるは俺の義理の父親代わりであり悪しき姉。『死神総隊長(しにがみそうたいちょう)小野塚小町(おのづかこまち)

ここは地獄、、、。俺は地獄育ちの人間であり紅蓮地獄の看守。

紅蓮の冷酷王・四季紅(しきくれない)』。

今の旅野はただの偽名。

そして、今裁かれたのは艦娘、、、。『駆逐艦・雪風(ゆきかぜ)』。彼女の罪は殺人。それも『陽炎(かげろう)型17人の殺害』、そう自身の姉妹の殺害。

それと、『憲兵及び提督を含む総勢50人の殺害』。

大したものだとその当時の俺は思ったのよ。なんせ、その小さな体で総数67人を殺してるんだからな。

そこから監獄となる紅蓮地獄へと連行する。

先頭は映姫姉さんと小町姉さん。

雪風、俺。俺の後ろには地獄の獄卒達。

何も起こらないはずだった、、、。

無限地獄(むげんじごく)の前を通るまでは』、、。

本来は通らないでいい筈の道だが、運悪くこの日は紅蓮地獄までの一番の道が塞がっていた。そのための遠回り。それが悪かった。

雪風は突然走り出した。

誰も驚いて反応出来ない。いち早く我に返ったのは俺だった。

追いかける。だが、追い付けない。なぜ?分からなかった。

まるで『運が全て雪風を味方しているようだった』。

雪風は無限地獄の淵へ辿り着く。

紅「待て!!そこ落ちれば二度と輪廻に戻ることねぇぞ!!」

辿り着き立ち止まる雪風。これなら止められる!そう思ったさ、、、。

雪風「それでいいんです。」

紅「え?」

俺の足は止まってしまった。

雪風「雪風は輪廻から外れないといけないのです。命令に従いみんなを一人ずつ残忍に殺し、罪悪感に押し潰されて人間様を殺し回った。そんな大罪人なんて輪廻から外れないと、、、。」

紅「やめろぉぉぉぉ!!!」

雪風「誰も雪風を助けることは出来ないのです。」

雪風は暗い暗い、、、無限地獄の底へ姿を消してしまった。

紅「俺は、、、なんで動けなかった?なんで?、、、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!!!!!!

小町「紅!雪風は!?」

俺の慟哭が響く中、次に到達したのは小町姉さんだった。

いつもはだらしないのにどうしてこんなときはこんなにカッコいいのだろうか、、、。

紅「、、、。アハ♪何もかも殺す。この世の一切合切、特に人間は全て殺してやる!!どけ、小町。てめぇがいりゃ殺しにいけねぇだろうがよぉ!!

小町「、、、行かせられねぇ~。それが例え最愛の弟だとしても!!」

紅「なら殺す!『死の氷河期(タナトス・クライオジェニアン)』!!

地獄は凍り付き機能を停止する。

幻想の地が滅亡の危機に、、、いや、全世界が破滅、滅亡の危機に瀕した大異変。

その名も『氷河異変(ひょうがいへん)』。

俺はこの異変を起こしたして討伐・拘束された。

映姫「では、判決言い渡します。」

俺への罰を言い渡す日だ。ここにいる者皆、悲しい目をしていた。

一番悲しそうなのは映姫姉さんだった。

映姫「被告人!四季紅を!追放の刑に処す!

その声は震えていた。

俺は獄卒達に連れていかれる。

獄卒達の目には涙を浮かべている。

映姫「最後に一つ。閻魔としてではなく、、、母として姉として貴方に、、、。どこにいても私達は家族ですよ。」

その言葉に俺は涙を泣かした。

そうか、、、。これが心か、、、。

心を得て俺は幻想郷と言う楽園から追放された。

さて、生きよう。せっかく心があるのだから!自由に!欲望の赴くままに!

 

 


 

 

紅「これが俺の生きざまさ。どう?愚かでしょ?俺は。」

紅は霞を見る。

その表情から読み取れる感情は悲しみだった。

霞「どこがそこら辺のクズと同じなのよ、、、。貴方は、、、貴方は、、、貴方はクズじゃない!同じじゃないの!」

怒りと悲しいの入り交じった表情は紅の予想していなかったものである。

なんで、こんな俺にその怒りを、悲しいを向ける?

紅には分からない。

紅「、、、。せっかくの可愛い顔が台無しだよぉ~。女の子なんだからさ笑顔笑顔!」

霞「笑えるわけないでしょ!!このクズが!!」

紅「うん、俺はクズだよ。だってさ、、、。」

霞の耳元で囁く。

紅「君のことを滅茶苦茶に犯したい。犯して犯して犯しまくって快楽の海に沈めたい。そう思うほどにね。」

霞「それは本心じゃないでしょ?だって声が震えてるもの。」

紅「、、、そうだね。でも、犯したいの事実。違うのはそこに愛があるかだね。お互いを愛してなきゃね。あと、俺はクズだから多重にやるよ。なんせクズだからね!」

霞は分かっている。

彼はクズであろうと。

なら、言ってやろう。

霞「ふふふ、クズね。」

クズ、、、。そうだ。彼はクズだ。クズはクズでも星屑だけどね。

 

 


 

 

紫「ちょくちょく様子は見ていたけど、、、。まさか、ここまで腐ってるとは思っても見なかったわ。」

紫が訪れていたのは日本海軍大本営の資料室。

ここに来るまでに警視庁と国会の資料室の資料は読み漁り、重要そうな物は抜き取っていた。

紫「艦娘を建造し、半分は兵器としての運用。もう半分は風俗に売る。しかも、政府官僚や警察上層部御用達の風俗店とはねー、、、。ここも調べる必要がありそうだけど、、、。問題は店舗数と場所ね。ここにはその部分が書いてない。地道に調べるほか無さそうね、、、。!?これは、、、!」

紫は見つけてしまった、、、。禁断(パンドラ)の箱の一部を、、、。

 

研究ファイルその◼️◼️

実験体(モルモット)の成長は順調、このまま行けば後10年で完璧なものになるであろう。

 

研究ファイルその◼️◼️

・ちくしょう!!なんだあのゴミ共は!作ってやった恩は無いのか!糞が!深海棲艦が現れてもうかなり経つ、後五年は必要だと言うのに、、、。仕方ない、、、。削除(デリート)だな。

 

研究ファイルその◼️◼️

・逃げ出した?糞が!ゴミ共全員か!おのれおのれおのれ!!これも全て深海棲艦がいや、艦娘が悪いのだ!あの役立たず共が劣勢のままいるからこの私の研究に催促が来たのだ!そのせいで集中が乱れたからだ!いや、待てよ、、、一番の原因はアイツだ!20年前、実験体(モルモット)第一号として他の実験体(モルモット)とは違う数値を叩き出した最高傑作を持ち去ったあの腐れ外道を許すわけにはいかない!だが、奴に対して何も出来ないな。せめて地獄で呪ってやるさ。

 

紫「ざっと計算してこの研究が始まり何かを奪われたのは27年前、、、。そう言えば紅も今年で27歳よね、、、。まさか、、、ね?」

少しの疑念が産まれたが長居は無用。

ファイルを奪い姿を消したのであった。




名前 (かすみ)

詳細 最早満身創痍な体になっている駆逐艦の艦娘。気の強い性格である。


名前 雪風(ゆきかぜ)

詳細 大量殺人を犯したい罪により地獄行きとなった。自ら無限地獄に飛び込み輪廻に戻ることは、、、、。


名前 四季映姫(しきえいき)・ヤマザナドゥ

能力 白黒はっきりつける程度の能力

詳細 人間である紅を母として善き姉として育てた閻魔様。説教が長い。


名前 小野塚小町(おのづかこまち)

能力 距離を操る程度の能力

詳細 昔から怠け者であったが、昔は地獄の死神の頂点に立つ総隊長。今は死者を地獄に送る三途の川の船頭になっている。人間である紅を父親代わりとして悪き姉として育てた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本質と本性と、、、

次回から際どかったりグロ表現が増えるかも?


今夜も月を見上げる。

霞を洗い終わった後に鹿島も洗った。

だが、終わりではない。

今日洗えたのは意識のある艦娘のみである。

鹿島もあの状態ではあるが意識はあるのだ。

意識の無い艦娘達、地下牢に閉じ込められていた子達だ。

紅「今夜の月は、、、。少し赤いな。こんな夜には、何か起きそうだよな!!」

紅はその場を避ける。

?「あれれ?バレちゃってた?」

紅「バレバレだ。ずっと殺意を隠しきれてなかったぞ。『川内(せんだい)』。」

まるで忍者のような艦娘、川内。

彼女の手には鉈が握られていた。

紅「鉈で斬りつけてくるのは予想外だったな。」

川内「ん?これ?武器なんてどうでもいいの。お前を殺せればね。」

攻撃を開始する川内。

それを全て躱す紅。

そんな中で紅は違和感を覚えた。

紅(、、、。この子、、、戦闘経験がないのか?)

そう、それは攻撃が全て素人のようだから。

紅「君は一度も前線に出たこと無いんだね。」

川内「、、、。なんで分かるのさ。」

紅「俺には分かるんだよ。本当に戦を経験した奴の戦い方ってのを。でも、君には全て当てはまらないし尚且つ迷いがあるよな?」

川内「、、、。はぁー、なんかしらけた。」

川内はその場に鉈を捨てて臨床寮へ戻ろうとするが、一度立ち止まる。

紅「そう言えば、あんたってなんだか、、、。『(ひびき)ちゃん』に似てるね。」

紅「は?」

 

 


 

 

紅が艦娘達を洗っていた同時刻

ここは山奥のコテージ。

そこに一人の青年、五人の少女がいた。

?「その情報は確かなのか?『カリブ』。」

カリブ「うん、大本営は大慌てみたい。」

?「はっ!いい様じゃねぇか!俺達を傀儡としてこき使おうってしてた連中だろ?この期に乗り込んでやろうぜ!」

?「うふふ、待ちなさいな。『アトラ』。ここは大本営が大慌てする程の人物に会ってみたいと思わない?」

?「『パシ』はその人物が目当てでしょ?特にイチモツ。」

パシ「流石!『メキ』ちゃんは分かってるわねぇ~!ねぇ!興味あるでしょ!」

?「はぁー、パシは欲に走るな。」

パシ「えー、だってー私、『色欲(ラスト)』だもーん、仕方ないもーん。『メディテ』はいつも固いじゃーん。」

メディテ「無視するか、、、で、どうするんだ?『イド』。」

イド「、、、。みんなはさぁ、一人足りないの気付いてた?」

メキ「足りないって、、、。確かに、、、。私達は兵器として産まれ(造られ)、七つの海の名を与えられ、七つの罪の称号を与えられた。六人なのに七つのものを使うのは不自然。」

アトラ「それがどういう、、、まさか、騒動の発端は俺達のもう一人の兄妹なのか?」

イド「まだ断定は出来ていないけど、、、もしそうだとしたら名は『アーク』、称号は『強欲(グリード)』。記録によれば男らしい。」

メキ「で?どうすんの?直接会いに行くの?6人で?」

イド「いや、まずは僕一人でいく。もし、そこら辺のゴミと同じなら容赦なく、、、焼き付くす。」

 

 


 

 

紅「はぁ、、、。寝付けねぇ。」

紅は寝れずにいた。川内の残した言葉を考えれば考えるほどに、、、。

紅「響って確か、、、。天龍と初めて会ったとき天龍が逃がした一人だな。確かに髪色も瞳の色も同じだ。だが、どうして?偶然なのか?それとも、、、。」

ザッ,ザッ,

誰かの足音が聞こえる。

天龍でも長門でも川内でもない。

ましてや、この足音は艦娘ではない。

紅「何者だ。」

?「そう警戒しないでほしい。僕には敵意なんて無いよ。」

そこに現れたのは一人の青年。

歳は紅と同じぐらいだろうか。

紅「人間?いや、違う、、、。」

?「うん、確かに僕は、、、。いや、僕らは人間じゃない。貴方だって気付いているのでしょ?兄さん。」

紅「、、、俺には、、、弟なんぞいねぇ!」

紅は大鎌を構える。

?「いるんですよ、ここに。」

紅「、、、。全て吐いてもらうぞ!」

?「えぇ、ですが、、、。まずはお手並み拝見といきましょうか。」

お互い殺る気のようだ。

紅「場所を変えるぞ。」

?「えぇ、ここでは艦娘の子達に被害が及びますからね。」

二人は場を変える。

その様子を物陰から見ている影があった。

長門「川内の言う通りだったな。しかし、よく気付いたな。侵入者がいると。」

川内「そんなの勘だよ!勘!でも、驚いたよねぇー。あの人に弟がいたなんて。」

天龍「でも、紅は知らなそうだったな。だけど、一番気になるのはなんで響と似てるかだな。色々ありすぎてそこについて何も言わなかった。お前はどう感じるんだ?響。」

響「、、、。今は、、、何も、、、言えないかな、、、。」

 

 


 

 

夜の海、2人の男性が殺し合いをしていた。

紅「『氷輪華(ひょうりんか)』!!」

大鎌を振るう者。

?「炎々華(えんえんか)!!」

刀を振るう者。

両者が操る氷と炎が激しくぶつかり合う。

透明感があり透き通った白髪の蒼眼で冷たいと連想されるものを扱う男。

対するは紺色の髪に薄紫色の瞳で熱いと連想されるものを扱う男。

互いが相反する力のぶつかり合い。

?「なかなかやりますね、、、。兄さんは何のために戦うのです?」

紅「、、、。俺は俺のために戦ってるだけさ。俺はどうしようもないクズなんでな。欲望を満たすためなら人間を殺すし、艦娘を犯す。最低最悪なクズだよ。俺は。」

?「確かにそこだけを聞くと最底辺です。ですが、それが本心なのですか?違うでしょ?少し見ただけで分かりますよ。」

紅「、、、。いや、これが本心で本性だ。お前が思うほど俺はいい奴じゃねぇ。欲望の赴くままに生きる。そう決めたんだよ。二度と後悔しねぇようになぁ!!」

?「、、、。後悔、、、。ですか、、、。」

刀を納める。

紅「なんだ?もう終わりか?」

?「えぇ、兄さんの人となりが少し分かったと思います。」

紅「そうか、、、。で、お前は何者なんだ?」

?「僕の名はイド。与えられた称号は『憤怒(ラース)』。僕らは七つの海の名をつけられ勝手に七つの大罪の称号を与えられた艦娘と人間のハイブリッド個体なんですよ。」

紅「艦娘と人間だと!?じゃあ、俺も、、、。待てよ、七つの海、七つの大罪ってことは七人いるってのか?」

イド「えぇ、僕らは七兄妹。同じ日に産まれた同じクズを父親に持つものですよ。そんな中で兄さんは僕らより2時間早く、僕は妹達より30分ほど早く産まれたそうです。」

紅「なるほど、、、。妹もいるのか、、、。」

イド「妹は五人いますからね。」

紅「ツッコミは放棄するぞ。」

イド「みんないい子だよ、、、一人を除いてはね。」

紅「おいこら目を逸らすなよ。」

イド「まぁ、その話はおいおいね。僕から一つお願いがあるんだ。」

紅「なんだ?」

イド「名前が欲しいんです。僕が名乗っているイドとはコードネームのようなもの。そんなんじゃない普通の名前、、、。それが欲しい。」

紅「名前ねぇー、、、。なら、頼んでみるか。」

イド「頼む?」

紅「この俺の名前。旅野は偽名だ。俺の本名は四季紅。俺を拾って家族として育ててくれた姉さんから頂いた名前だ。お前が俺の弟なら、お前もいや、お前達も四季家の家族だよ。」

イド「家族、、、。ありがとうございます!兄さん!」

 

 


 

 

イドは帰っていった。

これで寝れると思っているとまた足音が聞こえる。

だが、不自然で不規則な足音。

紅「誰だ?」

紅は大鎌を構える。

気が付けばそこは霧の中。

紅「どうなってやがる。あれ?」

いつの間にか大鎌が消えている。

 

?「お前には何も救えない。」

?「君には何も救えない。」

?「お前は命を切り取る者。」

?「君は悲しみを背負う者。」

?「お前は幸せになどなってはいけない。」

?「君は周りを幸せにするんだ。」

?「だから、無様に苦しみながら生きていろ。」

?「だから、欲望のままに気高く生きなさい。」

 

 


 

 

紅「ん?夢?だったのか?」

目を覚ますとそこは鎮守府の広場。

昨日と同じ寝床だ。

だが、違うことがある。

紅「あれ?柔らかい?」

そう、後頭部に柔らかい感触がある。

響「お目覚めかい?」

紅「なぜ膝枕なんてしてんだ?」

響「うなされてたから。すごく苦しそうだったんだよ。そんなにも辛い悪夢でも見たのかい?」

紅「悪夢のような、、、悪夢じゃないような夢を見たな。あと、膝枕ありがと。」

紅は立ち上がり少しストレッチをした後に何処かへ向かう。

響「どこに行くんだい?」

紅「、、、君が来れないところさ。『地獄門(じごくもん)』!!」

その場に地獄門を設置し地獄へ向かうのであった。

その光景を見て響は目を見開いて驚いていた。

 

 


 

 

紅「『氷点百華(ひょうてんひゃっか)』!」

無数の氷の花を出現させて地獄の鬼、獄卒達を蹴散らし向かうは『是非曲直庁(ぜひきょくちょう)』。

罪人が裁かれる場である。

今も罪人が裁かれている。

入り口の獄卒も蹴散らし中に入ると裁かれていたのはあの提督である。

提督「俺は悪くない!!突然殺されたんだ!!」

聞くに堪えない言い訳。反吐が出る。

提督「これも全てあの艦娘(鉄屑)が悪いんだ!裁くならあいつらを!!」

紅「へぇー、、、艦娘が悪いんだぁ~。」

提督「ヒィッ!き、貴様はぁぁぁ!!こんなところまで追ってきおって!いや、ここにいると言うことは貴様も死んだな!軍にでも捕まったか?アハハそりゃ傑作だ!」

大笑いする提督(生ゴミ)に紅の怒りは頂点に、、、。

紅「言いてぇことはそんだけか?」

映姫「まさか!紅!やめなさい!」

紅「映姫姉さん、、、いや、母さん、、、。そりゃ無理な相談だ。こいつは罪を認めねぇしここを、、、俺の実家を笑ったんだ。それに、艦娘が悪いだ?悪いのはてめぇなんだよ!生ゴミがよぉぉ!」

周りが凍り付く。それもすごい速さで。

紅「『大紅蓮(だいぐれん)獄寒懺悔原(ごっかんざんげばら)』!!」

皆我先に逃げる。

提督も逃げようとするが逃げられない。

提督「嫌だぁ!二度も殺されたくない!!」

紅「懺悔しろ、、、。今この場で。貴様の行った悪行の数々をなぁ!一つ残らずよぉ!!」

提督「知るかぁ!!俺は何も悪いことしておらんわぁ!ふざけたことを抜かすな!このゴミが!!」

紅「、、、。そうか、、、そぉうぅかぁ!!」

さらに温度が下がりさらに凍り付く。

紅「てめぇはもう、輪廻に戻れねぇよ。ここで俺が終わらせる。」

大鎌を構える紅。

紅「『神撃(しんげき)氷風一閃(ひょうふういっせん)』!」

振るい、一陣の風が吹く。

提督「へぇ?」

拍子抜け。神撃と言うレベル。派手な技だと思われていた。

それは違う。

紅「最後に一つ、、、。その感覚があるまま粉々に砕ける。神域の一撃はそれほど残酷だ。」

紅は提督を軽く蹴る。

すると、簡単には粉々に崩れ落ちる。

だんだんと氷は消えていく。

映姫「紅、、、。」

紅「映姫姉さん、、、。実はお願いがあって戻ってきたんだ。」

映姫「そう、、、。でも、その前に言うことがあるんじゃないでしょうか?」

紅「ん?、、、あっ!ただいま!」

映姫「違います!!勝手に罪人を裁いてしかも輪廻から外したことに対して言うことがあるでしょ!」

紅「うーん、、、ない!」

映姫「、、、はぁー、、、。で、お願いとは?」

紅「それが、、、実は俺に弟一人と妹が五人いたみたいなんだ。」

映姫「え?」

紅「それでそいつらも家族に入れてくれないか?それと、名前を与えてやってくれないか?」

映姫「、、、。物凄く頭がいたくなってきたわ、、、。」

 

 


 

 

映姫「話は分かりました。」 

紅「流石映姫姉さん!姉さんなら分かってくれるって思ってたよ!」

映姫「名前は会ってからどう名付けようかは考えておきます。それよりも、、、。紅。あの日の事を覚えてますか?」

紅「そりゃ、忘れる分けねぇだろ。」

映姫「無限地獄に堕ちた雪風が姿を消しました。」

紅「はぁ!?無限地獄からいなくなった!?そんな馬鹿な!一体どうやって、、、。」

映姫「輪廻から外れた雪風を無理矢理無、限地獄から引っ張り出し輪廻の輪にもう一度はめ込み地獄の外へ出した人物がいます。その者も雪風と共に逃亡し行方不明に、、、。」

紅「誰だよそれ、、、。そんな芸当が出きる奴は、、、。」

映姫「貴方の後釜として紅蓮地獄を管理していた者であり。貴方の唯一の部下。覚えているでしょ?」

紅「なるほど、アイツか、、、。『海原怨呪(うなばらえんじゅ)』。俺が紅蓮地獄を管理してた頃は死神見習いだったな。俺を捕まえそこまで出世してるとは思わなかったな、、、。」

 

~~~~~

 

10年前

 

怨呪「紅さん!もう止めてください!貴方は無闇に人を殺める様な人じゃないはずです!」

紅「うるせぇ!俺は人間を滅ぼす!悪辣な人類など滅んで何が悪い!!

怨呪「、、、。これが最後の警告です。もうじき博麗(はくれい)巫女(みこ)がやって来る。そうなれば貴方は殺されるでしょ。ならば!せめて僕の手で貴方を止めるだけです!!」

紅「いいだろぉ!来いよぉ!怨呪ぅ!!『神雪(しんせつ)終焉(しゅうえん)()げし大吹雪(おおふぶき)!!」

狂い吹雪、、、。温度も下がる下がる。視界も悪ければだんだんと意識が無くなっていく。

怨呪「、、、。『神海(しんかい)(おお)いなる大航海(だいこうかい)』!!」

今度は当たり一面が水没する。

怨呪「貴方が吹雪せるならば僕は!それすらも飲み込む大津波を起こすだけだぁ!」

紅「殺れよぉ!さぁ!楽しい楽しい儀式(サバト)の時間だ!新入り(ルーキー)!!

津波と吹雪がお互い飲み込みあう。

大自然と大自然のぶつかり合い。

互いの刃を何度も打ち合う。だが、そのうち怨呪の姿がなくなる。

紅「チッ!何処に行った!怨呪!!まさか、、、。津波に飲まれた?まさか、自分の技に飲まれた?そんな馬鹿な、、、。怨呪!!

紅が怨呪の名を呼ぶが反応がない。

怨呪「そうですよね、、、。どんなに怒り狂おうと貴方の本質は変わらない。卑怯、卑劣、なんだって言ってください。そうでもしなきゃ、貴方を止められない僕を責めてください。、、、。『怨刃(えんじん)深海(しんかい)より()ずる(やいば)』。」

 

~~~~~

 

紅「アイツがか、、、。」

響「帰ってくるなり考え事かい?」

紅「ん?あぁ、そんなところだ。さてと!今日は、、、何しよ?」




名前 川内(せんだい)

詳細 川内型の一番艦。戦闘経験は0であるが人間への恨みは強い。周囲の音や気配に敏感。


名前 (ひびき)

詳細 暁型の二番艦。髪色や瞳の色が紅と全く同じであり関係性は捜査中。紅の事は気にかけてるようだ。


名前 海原怨呪(うなばらおんじゅ)

能力 海と連想される力を扱う程度の能力

詳細 10年前は紅の唯一の部下であった死神見習いだったが、暴走した紅を捕まえた事により紅蓮地獄の管理を任されていたのだが現在、無限地獄から雪風を解放し行方不明に。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真実は残酷である

他の作品も書かなければ、、、まぁ、暫くはいっか!


アメリカ ネブラスカ州 リンカーン

 

ザァー

住人「よし、バッチリ撮れてるな。リンカーンはもうダメだ。この配信が誰かの目に止まってくれることを信じて現状を伝える。リンカーン、いや、ネブラスカは『寄生虫』と『ゾンビ』によって滅茶苦茶になっちまった。俺ももうじき寄生虫に寄生されるかウイルスに感染してゾンビになるかの二択だ!その前に、奴らの事を広めなければならない!奴らはお互い協力しあっている。だが、活動を停止しているものは容赦なく食らっている。それに奴らは次第に進化している!さらに寄生虫は無機物にも寄生し怪物にな、」

ザァー

 

 


 

 

霧の森

 

エヴァン「で、この映像の事を聞きてえんだが、、、。何か言うことはねぇか?『ウェスカー』?」

ウェスカー「知らない!私は何も知らないぞ!」

サリー「正直に話してちょうだい。今なら半殺しで許してあげるから。」

ウェスカー「だから知らないと言っているだろ!『レオン』!『クリス』!助けてくれ!」

レオン「どうせ『プラーガ』だろ?お前じゃないのか?」

クリス「『ウロボロスウイルス』の次はなんだ?それとも過去のウイルスを使ったか?」

ウェスカー「クソ!『メネシス』!」

カキカキ

メネシス『諦めろ。悪事はいつかバレる。』

ウェスカー「お前もそっち側か!ちょ、ちょっと待て!『ピラミッドヘッド』!何をする気だ!」

ピラミッドヘッド『汝へふさわしき裁きを。』

ウェスカー「やめろぉぉぉ!!」

デモゴルゴン『ぶっ殺せ!ぶっ殺せ!』

ドゥルーアニー『ウイルス・及び・寄生虫・悪用・ダメ・絶対』

ウェスカー「、、、!そうだ!エンティティー!エンティティーは!」

エンティティー「南無南無。」

ウェスカー「あ、もうダメだ、、、。」

?「ちょっと待ってください!!」

デモゴルゴン『なんだよー、『(りん)』の姉御ー。これからが面白いところだったのにー。』

?『だからそれを待て。率直に言うとウェスカーは関係無い。』

ウェスカー「『貞子(さだこ)』、、、!や、やっと救われる。」

凛「理由としては勝手にこの森から出ることは出来ないからですよ!」

 

・・・

 

クリス「言われてみたらそうだったな。」

エヴァン「やべぇ、そこんところ忘れてたぜ。」

エンティティー「そうだった、管理者なのに忘れてた。」

レオン「管理者がそれでいいのか?」

 

 


 

 

紅は鎮守府の執務室にいた。

紅「さーてと、、、。やりますかー。」

紅がやることその1。

書類整理である。

ボロボロの鎮守府を解体し建て直すにあたり必要な書類などを集めておかないといけないためだ。

天龍「しかし、数が多いな。こんなにあると思わなかったぜ。」

響「確かにあのゴミが書類を見ると思わなかったよ。」

川内「そうだよねー。まぁ、ほとんどが艦娘の売買に関する書類だけど。」

?「で、なんで『(あかつき)』も手伝わされてるわけなのよ!」

響「人手が欲しかったからね。長門さんが来ちゃうと誰がみんなの身の安全を保証するのさ。」

暁「そ、それもそうだけど、、、。」

紅「まぁ、暁ちゃんが言いてぇことは眼球抉り取られるぐらいにゃ分かるぜ。なんで俺みたいなゴミの手伝いをしなきゃいけないかだるぉ?」

暁「、、、。そこまでは、、、。」

紅「隠さなくていい。俺には本心でぶつかってくれ。」

暁「、、、。」

川内「、、、。ん?何これ?」

川内が見つけたのは物凄く綺麗な書類。

天龍「なんだか、これだけ大事にされてたみてぇだな。で、内容が、、、。なんだこりゃぁ!!」

紅「大声なんて出してどうしたんだ天龍?」

天龍「これ見ろよ!これ!」

そう言われて見た書類にはこう書かれていた。

 

     第二次艦隷建造計画(だいにじかんれいけんぞうけいかく)

 

響「なんだこれ、、、艦娘の奴隷とかいて艦隷だって?ふざけてる。」

 

『これは初代艦隷建造計画(しょだいかんれいけんぞうけいかく)が7体全て脱走と言う結末を迎えたため改良を重ね新たに艦隷を建造する計画である。初代艦隷建造計画(しょだいかんれいけんぞうけいかく)は今から16年前に行われた。だが、一週間も経たぬ内に1体が脱走。残り6体も去年脱走した。誠に遺憾である。そして、我々は同じ轍を踏むことはないよう改良を重ね10年で実践投入でき尚且つ我々の兵器であると言う開発を行った。』

 

暁「ひどい、、、。」

天龍「とんでもねぇ計画だなこりゃ、、、ん?この計画、、、。今から11年前だな、、、。あれ?紅、お前の年齢は?」

紅「、、、27だな、、、。確かに丁度初代の計画が行われた年だ、、、。でもさ!俺がこの計画に関わってる分けないだろ?」

川内「そうとも言いきれないんじゃない?」

紅「え?」

 

『建造方法は艦娘と優秀な兵士との交配であり、優秀な兵士であるほどより多く交配させる。その間に産まれる、いや、建造されると言うべきだな。二人の間に建造された艦隷は艦娘の特徴を色濃く受け継ぐ。だが、艦種と言う概念は無くなり皆優秀であり使い捨てがきく兵器である。そして、その中でも特殊な力を持つモノを艦異隷(かんいれい)と言う。尚、艦隷を建造した艦娘は即廃棄処分とする。』

 

紅「、、、。なぁ、天龍、、、。艦娘てさぁー、同じ艦娘が同じ容姿で他の鎮守府に居たりするのか?」

天龍「あぁ、他の鎮守府にも俺はいる。川内も長門も響も、、、。」

紅「艦娘の特徴を色濃く受け継ぐ、、、。これて髪色とか目の色とかもだよな、、、。」

川内「そう、、、だね、、、。」

紅「で、廃棄処分って何?聞いたことないけど、、、。」

響「、、、。恐らく、死刑とかと何ら変わりないさ。」

紅「、、、アハハ、、、そっかー、、、。ちょっと潮風に当たってくる。」

そう言って執務室を出ていく紅。

 

 


 

 

紅「はぁー、辛れぇわ。」

紅は鎮守府の防波堤の上で寝っ転がっていた。

長門「こんなところで何をしてるんだ?」

紅「なんだ?長門か、、、。お前、他のみんなの様子を見てるんじゃなかったのか?俺みたいなゴミクズ野郎にあの子らが襲われても俺は責任取れねぇぞ。」

長門「確かにそうなるかも知れない。だが、お前はそうさせる気はないだろ?そういう人間だと私は思うぞ。」

紅「人間、、、人間ねぇー、、、。俺は人間じゃない、、、。人間であると信じ続けて生きてきたが、、、。人間じゃねぇし、産まれた経緯も最悪だし、、、。それに、俺の母親が誰か分かっちまった。生きてくのが辛れぇよ。」

長門「大体の話は天龍から聞いた。その、、、。辛いな。」

紅「無理に励まさなくていいさ。俺が立ち直ればいい話、、、いい話なんだが、、、。簡単には出来ねぇんだよなぁーこれが。」

長門「そう、、、だな、、、。」

紅「、、、。アイツもそうか、、、。アイツも、アイツらも辛いよなー、、、。人間ってさ、、、なんなんだろうな。」

長門「それは、、、。分からないな。」

?「なら、教えてあげますよ。人間とは欲にまみれた獣。欲まみれの姿を見せたくないから仮面を被り彩る。それが人間ですよ。」

長門「何者だ!」

そこにいたのはイドだった。

紅「イドか夜中ぶりだな。で、どうした?」

イド「実はうちの問題児が暴走してまして、帰るに帰れなくなり戻ってきたしたいです。兄さん。」

紅「そ、そっかー、、、。イド、お前は自分がどういう存在か知ってたか?」

イド「、、、。えぇ、艦娘と人間のハイブリッド、、、と言うのは聞こえのいい言い回し本当は艦娘と人間の交配し建造された戦うことしか生きていけない奴隷。その名も艦隷。ひどい話ですよね。」

紅「あぁ、ひでぇ、、、。ひどいしか言えねぇな、、、。な?お前もそう思うだろ?『妖夢(ようむ)』!!」

紅は咄嗟に長門を守るように氷を張る。

すると、氷の壁は斬られる。

妖夢「流石、紅さん。その強さは健在のようですね。」

紅「なんでお前が?」

妖夢「紫様が『なんだか紅がまた闇堕ちしそうだからストレス発散に付き合ってあげて~』とのことでしたので。」

紅「へ、へぇ~それでー、、、。何人いるんだこんにゃろぉ!!」

全方に氷のつぶてを放つ紅。

?「うおっ!あぶな!」

?「バレてましたか。」

?「だから言ってましたよね!紅さんには奇襲が聞かないって!」

?「アハハ!そりゃ、そうだよね~。なんたってあたいの弟だからね~。」

紅「五人か、、、。イド!俺のストレス発散にお前も手伝ってくれねぇか?もちろん、俺と共闘ってことで。」

イド「えぇ!もちろんですとも!」

妖夢「少し不味いかもですね。『小町(こまち)さん』!指示を!」

小町「了解!あたいと『(もみじ)』は紅を相手する!妖夢、『咲夜(さくや)』、『鈴仙(れいせん)』はあっちの剣士を!じゃ、散らばるよ!」

紅「イド!俺は沖の方で相手する!あの三人は揃いも揃って厄介な能力持ちだ。見極めろよ。」

イド「えぇ、油断するつもりはありませんが、、、。十分警戒します!」

全員の姿が見えなくなり残された長門は、、、。

長門「、、、。はぁー、、、。」

ため息を一つ。

 

 


 

 

イド「燃え上がれ!『領域(りょういき)獄炎郷(ごかえんきょう)』!」

海は燃え上がりイドのフィールドが完成する。

鈴仙「あちち!何よこれ!」

咲夜「これが彼の能力?『妹紅(もこう)』のような事をするのね。」

妖夢「お二人共!油断しないように!」

イド「兄さんのストレス発散に付き合うって言ったけど、、、僕もストレス発散させてもらうよ。『神炎(しんえん)炎襲無謀劇(えんしゅうむぼうげき)』。」

燃え上がるイドの体。それはイドの体を鎮まるまで焼く諸刃の奥義。

それはまるで幾千の砲撃の雨を浴び沈んだあの駆逐艦のように、、、。

イド「母さんの残した忘れ形見、、、。その形を保ち残すことは出来なかったでも、ここにある、、、。護国の刀に斬れぬものは、、、無い!」

 

 


 

 

紅「ここらでいっか、、、。」

小町「そうだね~適度に離れてるからね~。」

紅「、、、。椛、、、お前は俺を恨んでるだろ?俺はお前の両親を殺した。お前の目の前で。殺したいだろ?残酷に、惨く、苦しむようにさぁ。殺るなら殺れ。ただし、俺もやることがあるから抵抗するぞ。」

椛「、、、。確かに紅さんは私の両親をあの日私の目の前で殺した。最初は恨んでた。でも、恨むだけじゃ前を向いて歩けない。なぜ、貴方のような方が大異変など起こしたのか。何を聞いて何を見てしまったのか。それを聞いて恨むことは出来ない。でも、けじめは着けます。貴方を倒します(支えます)。」

紅「へぇ、、、面白いな、、、。『神雪(しんせつ)吹雪(ふぶき)氷海(ひょうかい)不死鳥(フェエーニクス)』。」

晴天から一変吹雪荒れる海。

そして、より一層白くまるで亡霊のように見えなくなる紅。

小町「椛ちゃん、気を付けな。紅はスペルカードを知らない。あの子が知るのは本当の殺し合いだけ。だからやるなら、、、。殺す気でいきなよ。」

椛「えぇ、小町さん。もとよりそのつもりですよ。」

 

 


 

 

紅達がストレス発散と称して暴れている頃。

 

中佐1「元帥殿!あの怪物を野放しにすると言うのですか!」

中佐2「ここはいっそのこと艦娘共を投入し奪還するか?」

大将「元帥!ご決断を!」

元帥「、、、分かった。奴を提督と認め様子見をしようではないか。うまく行けば良い手駒になるかもしれぬ。」

大将「し、しかし!か、かしこまりました。」

元帥「まずは一度会おう。そうだな、、、。こちらに来てもらおうか、、、。」




名前 アルバート・ウェスカー

詳細 バイオウイルスを使い世界を我が手にしようとした悪人。どこかでバイオハザードが起きればウェスカーのせいにすればいい。
またアンブレラか!


名前 クリス・レッドフィールド

詳細 バイオハザードを専門に活動するエージェント。とある事件の最中霧の森へと誘われてしまった。ゴリラである。


名前 レオン・S(スコット)・ケネディ

詳細 バイオハザードを専門に活動するエージェント。元は警察官であり着任初日にバイオハザード、その為警察官として業務日数1日未満?


名前 メネシス

詳細 バイオウイルスによって造り出された生物兵器。命令を出せば従い行動するのだが、霧の森ではそんなものは無い!自然発生するゾンビを従えて部隊を作るほどなのだが流石にアホ管理者のエンティティーが止めに入った。


名前 ピラミッドヘッド

詳細 大鉈を持った巨漢の人間でなければ怪物でもない処刑人。
こう見えて常識人なのだがどこか抜けている。


名前 デモゴルゴン

詳細 異世界から迷い出た怪物。凶暴で肉食だったが、サリーや凛などに恐れ大人しくなった。


名前 山村貞子(やまむらさだこ)

詳細 元人間の怨霊。話すことが出来なくなったので筆談。テレビからテレビへワープすることが出来る。


名前 山岡凛(やまおかりん)

詳細 元人間の亡霊。文武両道であり優しい子。だが、稀に一族の血が騒ぐことがある。


名前 (あかつき)

詳細 暁型の一番艦。れでぃ(笑)。前任の提督や憲兵隊のせいもあり男性にかなり警戒するようになっている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

変わらない自分

やべぇ、、、前書きに書くことがねぇー、、、。


イド「『炎羅炎冥(えんらえんめい)』!」

炎が生きているかのように揺らめき荒ぶり三人に襲い掛かる。

咲夜「周りが燃えてて動きにくいのに追いかけてくる炎なんて質が悪いわね。」

鈴仙「そんなことばかり言ってたら焼かれちゃうわよ!」

イド「はぁー、、、。『冥天炎天下(めいてんえんてんか)』」

妖夢「今度は、、、日差しと高温ですか、、、。着々と体力が奪われますね。どこか、陰湿。貴方のような方には合わない戦法だと思いますが?」

イド「そうだね。確かに合わないよ。でもね、時にはいたぶってストレスを解消するのも乙じゃないかな?」

鈴仙「うわぁー、Sじゃないですかー。まるで咲夜さんですね。」

咲夜「フフフ、今日の夕飯は兎鍋かしらねー。」

妖夢「はぁー、二人とあれ、止めないとヤバそうですけど、、、。」

イド「いやー、そうやって軽口言い合えるなんて羨ましい限りだよ。ちょっと『憤怒(ラース)』のくせして妬いちゃうじゃないか、、、。『炎帝百火龍炎(えんていひゃっかりゅうえん)』。」

龍を型どりし生ける炎。生ける炎の龍が三人を襲うが難なく躱す。

咲夜「さて、専門家から見てどうなの?彼。」

鈴仙「そうね。まず、戦いに慣れてない。多少戦闘経験はあるみたいだけど、、、恐らく今では自分の力を上回る敵に会ったことがないとかじゃないかしら?居たとしても紅ぐらいとか。」

妖夢「戦闘経験は無い。でもそれは弱い=にならない。彼は鍛えて得た強さ。故にそれで止まってしまっている。過去の私を見てるようで懐かしささえ覚えますね。恐らく彼は私達に勝てないと悟っている。だから、諸刃の剣なんでしょうね。」

イド「考察タイムは終わりかな?なら、最後の一撃、、、振るわせてもらうよ!『艦隊剣技(かんたいけんぎ)()(つい)(あかつき)』!!」

大炎上する刃。振り下ろされる刃。放たれる灼熱の斬撃。

鈴仙「大きい!!って!咲夜さん!能力使って逃げた!」

妖夢「、、、。妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなど、あんまり無い!」

イド「なら斬って、、、え?」

灼熱の斬撃は簡単に妖夢の剣技により打ち消されていた。

全ての炎は燃え尽き、イドが纏っていた炎も燃え尽きる。

イド(嗚呼、もう限界、、、僕の灯火が消えちゃった、、、。悔しいな~はじめて負けたから。最初から負けることが分かってたから。母さん、これが井の中の蛙って言うんだね。僕は、僕達はまだ世界を知らないから。)

 

 


 

 

誰もいない吹雪く海。だが、刃と刃がぶつかり合う音のみが聞こえる。

その姿は速すぎて常人では見ることが出来ない。

紅「『金剛屑(ダイヤモンドダスト)』!!」

椛「その技は厄介ですね。『山窩(さんか)・エクスペリーズカナン』!!」

紅狙いの弾幕。だが、狙いは予想がついている。

小町「そりゃ!」

紅「それだけか?それぐらい予想できてたぜ?『氷像(ひょうぞう)死の狼(デスウルフ)』。小町姉さんの相手はコイツだ!」

氷で出来た大きな狼が小町へ狙いを定める。

小町「へぇー。面白そうだねぇ~。なら、椛!紅のことは頼んだよ!」

小町は二人の邪魔にならないように離れる。

紅「、、、。お前と殺りあうな、、、。コイツじゃフェアじゃねぇな。」

紅は海の一部を凍らせてそこに大鎌を突き刺す。

紅「『氷像(ひょうぞう)氷獄剣(ひょうごくけん)』。これでいい、、、。俺が鎌以外使えないと思われなくないんでな。必死に、本気で!行かせてもらう!」

椛「、、、ふぅー、、、。」

 

 


 

 

10年前 妖怪の山

 

椛「父さん?母さん?、、、どうして、、、どうしてなんですか!!紅さん!!なぜ、、、。」

紅「なぜ殺したか?だって?人間を守ろうとしたから。それだけ。殺してぇよなぁ!恨むよなぁ!俺がお前の両親を!幸せの一時を!一瞬にして奪ったんだからよぉ!

椛「うっ、、、うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

刀を振り上げ紅に斬りかかる椛。

紅「氷罠(アイストラップ)氷包(こおりつつ)。』

椛は簡単に捕まってしまった。

椛「殺せよ!父さんも母さんも殺したなら私も!!」

紅「、、、。お前は人間のために俺の討伐に出撃したのか?違うな。お前は今の平穏を保つためだろ?なら、俺がお前を殺すことはない。お前は人間(ゴミ)を守るより()のために戦った。『にとり』か?それとも『はたて』か?それとも、、、『(あや)』か?まぁ、今の俺にとってはどうでもいい話だがな。お前は俺のようになるなよ。お前は守りたい者を守れればそれで御の字だろ?

 

 


 

 

椛「、、、。あの時、貴方は言いましたよね。『守りたい者を守れれば御の字だ』と、、、。なら、貴方のその言葉通りにここで貴方を倒し貴方を守ります。弱い私が強い貴方を守るなんて笑える話かもしれませんが、、、。はっ!!」

氷の刃と刃がぶつかり合い拮抗する。

紅「その程度か?椛!!」

椛「貴方こそ、手を抜いてるのでは?」

紅「ほざけ!『氷像(ひょうぞう)氷棘雨(ひょうきょくう)』!」

降りしきる氷で出来た棘の雨。

これで椛は動けまいと思い込んだ紅。それが勝敗を決めた。

椛「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

盾で雨を防ぎ紅目掛け一直線に突っ込む。

紅「なんだ?諦めたか?『氷像(ひょうぞう)』「そんなわけないでしょうが!!」なに!」

先程まで雨を防いでいた盾を紅目掛け投げる。

そうなると雨を防ぐ物は失くなり、氷で出来た棘の雨が椛に突き刺さる。

だが、そんなものはお構い無しだ。

投げられた盾、我が身を捨ててまでの策略。

呆気に取られた紅は動くことが出来なくなった。

これは紅の弱点。『予測出来ていたものの中で一番最悪なことが起きること』。それが旅野(四季)と言う人間(艦隷)の最大の弱点。

紅「、、、ふっ、俺はなにも変われねぇのかもな。」

 

旅野紅VS犬走椛(いぬばしりもみじ) 勝者・犬走椛(いぬばしりもみじ)

 


 

 

長門「で?気は済んだか?」

紅「あぁ、気は済んだ。だから、ほどいてくれねぇ?」

紅は縄で拘束されていた。

長門「少しは反省してもらわないとな。」

小町「まさか育ての親のような存在をガチで殺そうとするとは思わなかったね~。あれ、紅蓮地獄で罪人をいたぶって無茶苦茶してた奴じゃん!勝てるわけない!」

紅「えー、閻魔直属の死神総隊長だったじゃん。あれぐらい余裕で殺れてたじゃん。」

小町「なんのことかなー、あたいはしがない船頭ですけどね~。」

紅「手を抜いてる感じだったけど~?」

小町「さー?どうでしょーうねー?」

紅「で、とっとと本題に入れよ。妖夢が言ってたのは建前だろ?」

小町「、、、。紅は映姫様から彼のこと聞いただろ?」

紅「怨呪のことか?」

小町「そう。海原怨呪、、、奴の妖力がバミューダ海域辺りで観測されたそうだよ。そこに何かあるのか、、、知ってるかい?」

紅「バミューダ、、、ん?バミューダ!!?そ、それはまずいかも、、、。」

長門「よし、知ってることがあるなら吐け。」

川内「そうだよーゲロっちまえば楽になるよー。」

紅「あはーあははー、、、。」

 

 


 

 

9年前 バミューダ海域

 

紅「、、、。てめぇがこの海域の魔物って奴か?ふっ、ただの悪霊がかなりの広範囲を領域にしてるもんだな、、、。さて、ぶっ殺してやるよ!」

霧に包まれたバミューダ海域。紅の目の前には悪霊。

紅はこの悪霊がバミューダ海域で起きる失踪事件の犯人だと思っていた。

だが、少しの違和感。その違和感がいけなかった。

紅「歯ごたえがねぇ、、、。コイツじゃねぇな、、、。なら、何者だ?バミューダを領域にしてる奴は、、、。まぁ、いっか、、、。俺には関係ねぇ。バミューダを抜けるだけ。それに専念しよう。」

紅は数時間掛けて魔の海域を抜け出した。

とんでもない問題を残して、、、。

 

 


 

 

紅「いやー、それが関係していないとー言いきれねぇー。」

イド「何やってるんですか兄さん。」

紅「だってよぉー、あの時の俺は結構グレてたからよぉー。」

長門「言い訳は無用だ!」

紅は長門によって海老反りにされた。

紅「いだだだだだ!!し、死ぬぅぅぅ!!ガクッ」

暫くして紅は気絶してしまっていた。

 

 


 

 

紅「知らない天井だ。」

次に紅が目を覚ましたのは月明かりが射し込む暗い部屋。

ベッドの上に寝かされているようで天井は白い。

この鎮守府にはこんな部屋はなかった筈だ。

イド「ようやく気がつきましたか。兄さん。」

紅「イドか、、、。ここは?」

イド「鎮守府ですよ。兄さんが暴れた。」

紅「は?こんな部屋なかった筈だ、、、まさか、俺が寝てる間に、、、。はぁー、そっか。」

イド「あと、大本営からの書類です。なんでも大本営へ来いとのことです。」

紅「ふーん、何々?」

 

襲撃者殿

 

名を知らぬ故に襲撃者と書くことを許していただきたい。

この通知は貴殿を提督としてその鎮守府へ着任を許可する書類である。

着任において一度顔合わせをしたい。

なので、明日大本営へと来ていただきたい。

その際、付添人を五名程連れていただきたい。

艦娘以外でも問題ないとする。

 

大本営元帥工藤幸俊(くどうゆきとし)より

 

紅「、、、。なるほど、、、。イド、今何時だ?」

イド「えーと、夜の8時ですね。」

紅「、、、。執務室へ行くぞ。あ、そうだ。」

 

 


 

 

執務室

 

紅「て、事だ。ここにいるメンバーが明日、大本営へ向かうメンバーとする。」

映姫「では、なんで私も?」

咲夜「そうです。明日のメンバーには幻想郷から私なのでは?」

紅「あぁ、母さんを呼んだのは別件だ。イドに、、、俺の弟に名を与えてくれ。」

映姫「彼にですか、、、。」

映姫はイドを見る。

イドは畏まって固まってしまっている。

映姫「そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ。『(そう)』。」

イド「は、はい。え?蒼?」

映姫「えぇ、貴方は今日から私達の家族。妹達とも早く会いたいですがまずは貴方からです。貴方は『四季蒼(しきそう)』。(あか)と対をなす(あお)。だから、(そう)。」

蒼「はい!閻魔様!いえ!母さん!」

映姫「ふふ、良い子ですね。」

紅「名が蒼に決まったことでメンバーを改めて見ていくぞ。」

 

提督・旅野紅(たびのくれない) 

艦娘・天龍(てんりゅう)

幻想郷・十六夜咲夜(いざよいさくや) 

生存者(サバイバー)・ ウィリアム・オーバーベック

殺人鬼(キラー)・ 山岡 崋山(やまおかかざん)

艦隷・四季蒼(しきそう) 

 

紅「このメンバーで行くぞ。」

天龍「かなり偏ってねぇか!?中途半端一人、怖くないの二人、ガチで怖いの二人ってよぉ!」

紅「誰が怖いんだ?」

天龍「そこの武者と老兵。」

紅「だそうだよ。華山さん、ビル(じい)。」

華山「うぬぬ、否定できん。戦乱の世を生きた故に厳つくなっているのはしょうがないと認めるしかあるまい。」

ビル「そうですな。儂も幾つもの戦場を駆けた者。厳つくなっても仕方あるまい。」

紅「だそうだ。能力を見りゃ咲夜と蒼の方が怖いんだけどなー。」

天龍「えー、、、。」

 

 


 

 

翌日

 

幸俊「さて、襲撃者、、、どのようにしてここへやって来るのやら、、、。」

憲兵「げ、元帥殿!!奴が現れました!」

幸俊「何!?どこにだ!!」

憲兵「そ、それが、、、大本営中庭に突然現れました!!」

 

 


 

 

紅「さすが、紫さんの能力。移動に便利だなこりゃ。」

紅達は早速憲兵に囲まれていた。

紅「ビル爺。コイツらをどう見る?」

ビル「、、、。」

紅「ビル爺?」

ビル「、、、。すまんな。いやー、儂も年老いたのぉー、、、。オモチャをぶら下げたただの案山子に囲まれるとはのぉー、、、。」

華山「全くである。これが兵士だと?ここまで質が落ちれば勝てる戦も勝てぬな。」

咲夜「流石、経験者と言うところでしょうか?」

紅「だな、、、。ふぅ、、、。おい、案山子共。さっさと元帥のところに案内しろ。じゃなきゃ、、、。」

天龍は艤装を展開。

華山は刀を抜く。

ビルは拳銃を構える。

咲夜はナイフを手に取る。

蒼は炎を纏う。

紅「ここで大暴れするぞ?無能共。」

 

 


 

 

怨呪「さて、仲間は揃ったかな?」

?「不安要素がまだ多いです。もう少し集めましょう。」

怨呪「そうだね。『バミューダの悪霊(あくりょう)』、『北海(ほっかい)怪物(かいぶつ)』、『彼岸(ひがん)(ひめ)』、『ニューギニアの(もり)守護神(しゅごしん)』、、、。彼ら彼女らは協力してくれる。だが、『鉄屑海域(アイアン・ボトム・サウンド)大悪霊(だいあくりょう)』、『英国(イギリス)巡礼者(じゅんれいしゃ)』、『(うつく)しき不死(ふし)(あま)』からの返事はない。彼ら彼女らも協力してくれるのなら万全、、、いや、それだも不安。やるならもっともっと時間が必要なだよ。何事とも適当にすると足元を掬われるからね。」




名前 魂魄妖夢(こんぱくようむ)

能力 剣術を扱う程度の能力

詳細 半人半霊の庭師であり剣士。怖いものにめっぽう弱いがそれが斬り倒せるものなら容赦なく切り捨てる。


名前 十六夜咲夜(いざよいさくや)

能力 時を操る程度の能力

詳細 紅魔館(こうまかん)と言う屋敷に遣えるメイド長。ナイフ投げが得意であり今日も今日とて居眠り門番にナイフをブッ刺すのです。


名前 鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバ

能力 狂気を操る程度の能力

詳細 月の都からの脱走兵。元はかなり優秀な狙撃手であり今では薬売り。今日も怪しいお薬の実験台にされているとか。


名前 犬走椛(いぬばしりもみじ)

能力 千里先まで見通す程度の能力

詳細 両親を目の前で紅によって殺された白狼天狗(はくろうてんぐ)。紅ことは恨んでおらず側で支えて助けたいと思っている。


名前 ウィリアム・オーバーベック

詳細 戦地で仲間を逃がし死んだと思ったら霧の森に連れてこられた老兵。兵としての経歴は長く現在の日本海軍の兵を『ただの案山子』と評している。


名前 山岡華山(やまおかかざん)

詳細 凛の祖先にあたる一騎当千の武者。その風格から恐れられているが優しい人。だが、一度戦場に出れば豹変する。


名前 四季蒼(しきそう)

能力 暑いと連想する力を扱う程度の能力

詳細 紅の腹違いの弟。七つの大罪『憤怒(ラース)』の称号を与えられインド洋の名を与えられた艦隷。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

無期限の罰

あー、やっと書けたのです!
いやー、期間空いちゃったな~ま、いっか!(許されねぇぞこりゃ)


大本営元帥執務室

 

幸俊「ようこそいらっしゃいました。私が元帥、工藤幸俊です。」

紅「これはご丁寧に。俺は旅野紅。大本営を襲撃した張本人だ。そして、艦隷だ。」

幸俊「艦隷!?まさか、あの時の、、、。」

紅「27年前、行方不明になった艦隷、、、。それが俺だ。艦隷は軍の中でも最高機密だろ?まぁ、元帥なら知っているか。そして、また艦隷を作ってる。しかも、その成長スピード、成長の停止は早く戦場に出すため、、、ふざけてるしか言えないな。」

幸俊「ま、待ってくれ!まただと?私は艦隷の建造及び研究は許可していない!」

紅「じゃあ、なんで鎮守府内で第二次艦隷建造計画とか言う書類が出てくるんだ?」

幸俊「な、なんだと、、、。私の目を掻い潜って研究は進んでいたと言うのか、、、。」

紅「その様子じゃガチで知らなかったようだな。あんた、、、。あんたは艦娘をどう思ってんだ?大本営に艦娘の姿はなかった。あんたは艦娘がどういうものなのか本当に知っているのか?」

幸俊「、、、正直、知ったふりをしているとしか言えない。私は艦娘のことを理解していない。実のところ恥ずかしい話、軍に入ってからずっと見てきた艦娘達は目に光はなく、忠実に命令を聞く機械のようにしか見えていなかった。あの事件が起きるまでは、、、。」

紅「駆逐艦雪風による大虐殺だな。」

幸俊「知っているか、、、。私はその時大将でな。その事件をきっかけに艦娘にも心があるのでは?と考えるようになった、、、。だが、それも後の祭り、、、。引き返し、艦娘と手を取り合う世界には出来ないと悟った。絶望とはこのようなことなのだと初めて知った。この前の襲撃の際は私はここにはいなかった。一人でひっそりと作った艦娘の慰霊碑に花を添えに行ってたのでな。」

紅「そうなのか、、、。すまねぇな。まさか、まともな人間もいると思っていなかった。」

幸俊「まともか、、、。私はまともではない。臆病者だ、、、。無理だと引き返してしまった。私はここに座るべき出来ではない。だが、他の者を置けばさらに酷いことになるやもしれん。ならば、これ以上悪化させんようにするには私が座るしかなかった。」

紅「そうか、、、。なら、これから先はあんただけが背負う訳じゃねぇ。気楽に行けば良い。」

幸俊「そうだな、、、そうさせたもらう。、、、さて、提督として着任してもらうんだ。その話をしよう。」

 

 


 

 

紅「今日から俺がこの鎮守府の提督や!よろしゅうな!」

艦娘達は困惑する。

紅達は話を終えて鎮守府に帰ってきていた。

蒼は妹達を連れてくるのに一度離れ、小町達は幻想郷へ華山とビルは霧の森に戻っている。

今は新しく出来た鎮守府の食堂に集まれる艦娘のみを集めている。

紅「質問がある子は挙手してな~。おっ!じゃあ、長門!」

長門「艦隊運営はどうするつもりだ?今の状態ではまともに、、、。」

紅「あー、それは大丈夫。基本、出撃はさせねぇし。訓練も暫くは無しだ。まぁ、自主的にやるには何も言わねぇけどよ。」

長門「そ、そうか。」

川内「あっ、そうそう。『夜伽(よとぎ)』はどうするの~?」

川内が爆弾発言をした。

紅「川内~?な、何を君は言って、る、るのかなぁ?」

川内「だってさぁ~、前のゴミクズの時は誰かしら毎日してたから普通じゃないの?あっ、そっか!男って性欲の塊みたいだから一日中?」

食堂はざわつく。

紅の発言次第では暴動が起きても不思議ではない。

川内はニヤニヤとしている。

紅「、、、。ふむ、確かに男ってのは性欲の塊みたいなもんだ。俺だって例外じゃねぇ、、、。だが、合意の上じゃなきゃ俺はしねぇ。川内よ、俺の失言狙ったか?」

川内「あらー?バレてた?」

紅「何となくな、、、。他に質問は?、、、特に無さそうだな。後回しになってしまってすまないがドックを準備してある。全員一気に入れる広さだ。傷を癒してきな。」

艦娘の中には傷を癒せると聞いただけで涙を流す者もいる。

艦娘達はドックへ向かうのだが、、、。

天龍と長門は残っている。

紅「どうした?お前ら行かないのか?」

天龍「俺も長門さんもそんなに傷は負ってねぇからな。まぁ、俺らが残ったのはあの『変な扉』の事だ。」

紅「『変な扉』?なんだそりゃ?」

長門「鎮守府の各地に設置されている扉だ。明らかに場違いな所や、部屋と部屋の間などにも設置されている。食堂にも何種類かあるぞ。」

確かにある。

禍々しい木製の扉

目が痛くなる程の真っ赤な扉

落ち着いた和風のような木製の扉

白い洋風の扉

他にも色々ある。

それが鎮守府中にあるのだ。

紅「、、、あー、、、。そう言うことか~。」

長門「何か分かったのか?」

紅「あぁ。一番分かりやすいのはあの禍々し扉だな。」

天龍「あれか?」

紅「天龍、あれは霧の森に繋がってる。」

天龍「え?霧の森?てことは、サリーとかが来るってことか?」

紅「そゆこと、、、で、他の扉は小町姉さんとかが来るな。」

天龍「へ、へぇー、、、。」

紅「あ、あとあの紅い扉にはあまり近づくなよ。誘われても俺が助けにいけるかわかんねぇからな。」

長門「ん?どういう事だ?」

咲夜「あら?『妹様(いもうとさま)』の事を気にされているのですか?」

天龍「うおっ!びっくりした!」

突然現れたメイド、十六夜咲夜。

紅「、、、。あの子は俺には救えない。」

咲夜「、、、。まだあの時の事を引きずられているのですか?」

紅「当たり前だ、、、。救えない、、、。それだけ告げて去ったことは悪かったな。」

咲夜「そうですわね。ですが、『嬢様(じょうさま)』は貴方の事を許すと思いますよ。」

紅「何を根拠に?」

咲夜「見れば分かりますよ。」

微笑む咲夜に少し疑問が残る。

だが、やることが多い紅は構ってる暇はない。

新しく作られたキッチン。

何もかも新しい。

咲夜「手伝いますね。」

紅「サンキュー、咲夜。一週間、、、。パンと水だけだった、、、。その前はそもそもなんも食えてねぇって聞いた。今日からまた始まるんだよ。この鎮守府は、、、。なら、腕によりをかけなきゃな。」

 

 


 

 

 

?「ぽいぽいぽ~い~。」

男「や、やめてぐれぇ、、、し、死にだぐねぇ!!」

?「うーん、、、それは無理な相談っぽい!じゃ、死ねよ。役立たず。」

バンッ!!

ここは繁華街の裏路地。

殺された男は大本営所属の職員。

殺された理由は使えないから。

それだけ。

ザザッ,,,

?『『ビースト』、お前、、、。また殺したのか?』

ビースト「殺したっぽいよー!だって、どうせ処分するなら殺すぐらいいいでしょ?」

?『はぁー、、、。まぁ、いい。戻ってこい。『ジェネレーション』全員収集だ。』

ビースト「ぽいー?もしかして、あの大本営を襲撃した『フェイリァ』のことっぽい?」

?『そうだ。まぁ、俺達もそのうち『フェイリァ』に分類、いや、既に分類されているかもしれんな。国公認の何でも屋。その正体は『艦隷(かんれい)』ときたもんだ。実験施設をぶっ潰して逃げ出し軍に敵意を出す最悪の10人。もし、まだ『艦隷(かんれい)』を作ろうとしてるなら正真正銘のアホだな。二回もこうやって逃げられてるのによ。』

ビースト「むー、ビースト、難しい話は分かんないっぽい!もっと簡素にするっぽい!『ゼロ』!」

ゼロ『簡素しても分かってないくせに、、、まぁ、いいや。難しい話はこっちでやっとくからゆっくり帰ってこい。』

ザザッ,,,

通信が切れる。

ビースト「ふんふん~ぽいぽいぽーい!」

童顔の青年は鼻歌混じりに路地裏を出る。

その目は血のように真っ赤だった。

 

 


 

 

風が舞う、幻想の端。

ポツンとある神社には今日は巫女が一人。

ザッ,,,ザッ,,,

邪魔な落ち葉を一ヶ所に集めている。

?「おーい!『霊夢(れいむ)』!!」

そこに来客、箒に乗った白黒の魔法使い『霧雨魔理沙(きりさめまりさ)』。

よくある日常の一コマ。

魔理沙「おい!霊夢!聞いたかよ!」

霊夢「何よ魔理沙。」

魔理沙「あの紅が提督になったってよ!」

ザッ,,,

箒を掃く手が止まる。

霊夢「あいつが?」

魔理沙「だそうだぜ?」

霊夢「、、、あいつがね、、、。提督って艦娘を指揮する司令官でしょ?あいつに出来るのかしら?」

魔理沙「そうだよなー。私らが知ってる紅は異変前と異変中の姿しか知らないからな。」

霊夢「、、、あれから10年、、、。どう変わったのでしょうね。」

 

・・・

 

紅「泣くなよ、ただの擦り傷だろ?」

魔理沙「だっで!痛いもん!」

霊夢「そうよ!それぐらいで泣くなんて、魔理沙はまだまだ子供ねー。」

紅「俺からした二人ともまだまだ子供だ。」

 

・・・

 

紅「アハ、アハハハハハハハハ!人間は殺す、殺してやるよぉぉぉぉ!!人間は悪だ!アヒャヒャヒャヒャ!!

 

・・・

 

霊夢「、、、まぁ、異変前のような冷たい奴でしょ?どうせ。」

魔理沙「そうだよなー。それが一番安定してるけどな。」

霊夢「すごく性格が変化してたら怖いわ。」

魔理沙「おや?博麗の巫女ともあろう方が怖いなんてな!アハハ!」

霊夢「私にも怖いものぐらいあるわ。さて、それはそうと、、、。死にたいのかしら?」

魔理沙「じょ、冗談なのぜ!あ、あぁ、あぁぁぁぁ!!」

悲痛な叫びが木霊する。

今日も幻想郷は平和であった、、、。

 

 


 

 

紅「妖夢、晩酌頼めるか?」

妖夢「みょん!!?わ、私がですか!?」

咲夜「あら?私じゃないの?」

紅「咲夜でも良かったけど、ほったらかしにしてたらうるせぇだろ?」

妖夢「いやいやいや!それを言うなら私も!」

紅「『幽々子(ゆゆこ)』なら1日ぐらい飯抜きでもいいだろ。」

妖夢「えー。まぁ、いいですけど。」

二人は提督の自室へと向かう。

 

 


 

 

川内「いやー、気持ち良かったね~。」

響「まさか、ドックとお風呂が一緒になってるなんて思わなかったよ。」

ここは脱衣場。

川内と響は設置されている無料の自販機からコーヒー牛乳を購入し飲んでいた。

川内「にしても、福利厚生良すぎない?このコーヒー牛乳無料でお風呂は好きな時間で入り放題、さらには仕事しなくてもお小遣いが貰えるときた!」

響「そうだね。変なところを除けば最高の楽園だよ。変なところを除けばね、、、。」

二人の視線は不自然な赤いロッカー。

不自然すぎる。

響「なんで脱衣場に、、、。しかもこれ、用具入れとかの多きさだよ。あ、用具入れか、、、。」

川内「そ、そうだよねー。もしかすると紅が覗きをするためとか!?」

響「可能性は無くはないね。ん?」

二人がそんな会話をしている時だった。

ガタガタ…

ロッカーが揺れ始める。

ガタガタガタガタ!!!

だんだん激しさを増していく。

それを見て震える二人。

バンッ!!

大きな音を当ててロッカーが開き中から異形の怪物が現れる。

二人「ひっ、、、ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

叫び声は脱衣場に響き渡る。

だが、誰も来ない。

そう、この鎮守府、、、全部屋防音なのだ。

出てきたのは負の感情から産まれた異形ドゥルーアニー

ドゥルーアニー(、、、?、、、!)

ドゥルーアニーは何か気が付き体内からホワイトボードとペンを取り出す。

カキカキ

ドゥルーアニー『驚かせて・ごめんなさい・天龍さん・か・紅さん・いる?』

ホワイトボードの文字を見て少しは警戒を解く二人。

川内「えーと、、、提督か天龍さんを探してるの?と言うよりも、どうやってロッカーから、、、。」

ドゥルーアニー『それは・私の・能力・ロッカーから・ロッカーへ・ワープ・できます。』

響「うーん、それってロッカーがないとワープ出来ないんだね。限定的だけど鎮守府内なら結構便利かも。」

ドゥルーアニー『そう言って・もらえると・嬉しい・限り・です。』

川内「へぇー、提督も天龍さんも食堂にいるはずだよ!」

ドゥルーアニー「なるほど・情報・ありがとう・ございます。」

ドゥルーアニーはまたロッカーへと入る。

川内「、、、これからあんなのも鎮守府にいるんだ、、、。胃が持たないよ、アハハ、、、。」

 

 


 

 

提督自室

 

紅「今宵の月はいい月だ。」

妖夢「そうですねー。」

紅は妖夢にお酒を注いでもらう。

紅「はぁ、、、。これからやることが多いんだよなー、、、。」

妖夢「でも、地獄での仕事よりはマシなんじゃ?」

紅「俺が書類整理とか出来るとでも?」

妖夢「え?出来ないんですか?」

紅「出来るわけねぇじゃ!!地獄でやってたのは紅蓮地獄の管理だし報告も映姫姉さんの家が俺の家でもあったからそこで報告すればいいしだから書類仕事なんかしたことない!ゆえに!書類整理とか出来ねぇのさ!!」

妖夢「えー、それ威張れることじゃありませんよ。まぁ、私も書類仕事は苦手ですが。」

紅「だろ?艦娘の子達に手伝ってもらうのもあれだし、、、誰か書類仕事得意な子ね、、、。」

紅は悩む。

書類仕事が苦手いや、したことがない紅。

だからこそ、サポートしてくれる子がほしい。

元帥に聞いたところ書類仕事をサポートをしてくる専属の艦娘が各鎮守府一人いるのだが、この鎮守府の子は既に沈んでいた。

あの糞野郎め、、、。

あとは、『秘書艦(ひしょかん)』と呼ばれる役職。

艦娘から一人専属の艦娘とは別に選ばれ提督のサポートをしてくる艦娘。

秘書艦は鎮守府によって様々、日によって違うところのあれば一人の艦娘固定のところもある。

どうすべきか、、、。

コンコン

考えているとドアがノックされる。

紅「ん?開いてるから入っていいぞー。」

霞「そう、じゃ失礼するわ。」

来たのは霞だ。

入渠して四肢が元に戻っていた。

霞「貴方と二人っきりで話したい事があるのだけどいいかしら?」

紅「ん?いいぞ。すまない、妖夢。」

妖夢「いいんですよ。どうせ、今日はもう飲む気ないんでしょ?」

紅「よくわかったな。」

妖夢「貴方の特徴は把握してますから。盃に注がれた酒を見つめだしたらその日はもう飲まない。そうでしょ?」

紅「あぁ、正解だ。」

妖夢「じゃ、部屋で寝ますんで何時です?」

紅「そうだなー、、、朝は6時でいいよ。」

妖夢「了解です。では、、、。」

妖夢が部屋を出て霞と二人っきりになる。

紅「怪我、治ったんだな。どうしたんだ?こんな時間に。」

霞「お陰さまでね。こんな時間って言ってもまだフタマルサンゼロよ。」

紅「?あー、20時半ってことね。」

霞「そっか、この言い方慣れてないのね。それは、どうでもいいから本題に入るわよ。」

紅「、、、。体を売るとか言うなよ?」

霞「ちょっ!!いきなり何言うのよ!!」

紅「自分の体を売るから他のみんなに手を出すなって言い出すのかと思ってな。」

霞「そんなこと言わないわよ!でも、貴方にならこの体、捧げてもいいわ。」

紅「へ?」

紅は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。

霞「まぁ、出来ないと思うけどね。って、いつまでも固まってるのよ!このクズ!!」

紅「はっ!!か、霞さんや、冗談でも男の前でそんなことい、言っちゃダメだぞぉぉ、ほ、本気にし、ししししゃうだるぉ?」

霞「え?結構本気だったのだけど?」

紅「え?えぇぇぇぇ!!だって、俺らで、でででで出会ってまだいいいいい一週かかかか間程どどどどどししししか、、、。」

霞「、、、はぁー、それが本当のあんたなのね。少し安心したわ。」

紅「へ?」

霞「いえ、なんでもないわ。あ、話っていうのは執務の事よ。」

紅「うーん?もしかしてさっきの話聞いてた?」

霞「それもあるけど、、、。貴方、執務する気ないでしょ?」

紅「、、、まぁ、そうだな。元帥からも執務はしなくていいから艦娘のケアを優先しろって言われてっからな~。」

霞「あらそうなの?なら、執務をしなくてもいいのね。」

紅「そうだけどさぁー、、、。しないと申し訳ねぇんだよ。元帥はあんなにいい人なのに襲撃したの。別に気にすることはないって言ってたけどさぁー、、、。」

霞「そういうことね。なら、尚更私達のケアを優先した方がいいんじゃない?」

紅「へ?」

霞「だって、元帥がそれを優先しろって言ったのなら優先してあげるのが筋でしょ?」

紅「、、、。それもそうだったな、、、。はぁー、俺はとことんバカだな。」

紅はそう言い月を見ながら盃に注がれた酒を飲む。

紅「、、、怖いのか?」

霞「い、いきなり何よ!」

紅「『朝潮型(あさしおがた)』、、、。霞以外、死んでいたか未だに意識不明かだ。それに部屋は艦種別型別に分かれてる。部屋に一人でいるのが怖くなったんだろ?」

霞「、、、えぇ、そうよ。悪いかしら?」

紅「いや、悪くねぇよ。俺も一人は怖い。常に誰かいなきゃ今の俺は壊れるかもな。」

霞「え?旅をしてたのなら常に一人だったんじゃ。」

紅「だからこそだ。だからこそ、一人になるのは嫌だ。誰かがいる暖かみを再確認できただけでこうだ。案外俺はクソメンタルだったようだ。」

霞「、、、はぁー、でもそれでいいかもしれないわよ。」

いきなり霞が抱きついてくる。

紅「かかかかか霞さんや!!そ、そそそそそそんななななこととととととされれれれますととと!!」

いきなりの事でかなりテンパる紅。

紅の一部の主張が激しいのは無視である。

霞「貴方は優しすぎるのよ。元々どんな性格なのかは知らない。聞いた話しか知らない。でも、今の貴方は優しい一人の『』よ。だから、その優しいで私達を『導いて(救って)』よ。『提督(旅野紅)』」。

紅「、、、あぁ、、、俺が『導いて(救って)』やるよ。この鎮守府、いや、この国、いや違う世界中の艦娘を、、、それが俺が出来る贖罪だ。絶対に。」

紅(そうだ、これが無期限に俺に課せられた罰だ。かといって元よりやるつもりの事だ。逃げるかよ。見てろよ!世界よ!)

紅は月に誓う。

それがあまりにも無謀であり夢物語だとしても。




名前 工藤幸俊(くどうゆきとし)

詳細 海軍元帥でありこの世界で珍しい艦娘を兵器ではなく一人の女性として見る人。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暁型四姉妹

ま、また間が開いてしまった、、、まっ、いっか!!
ネタがねぇ!浮かばなかったよ!許して!


提督自室

 

紅「うーん、、、。朝か、、、。」

あの後すぐに寝た紅。その横にはスースーと寝息を立てる霞。

時刻はまだ5時である。

紅は霞を起こさぬように着替え部屋を出る。

向かうの食堂。

朝食を作りにいくのだ。

だが、先客がいたようだ。

妖夢「おはようございます。」

凛「おはようございます!紅さん!」

そこにいたのは妖夢と凛だ。

紅「なんだ、二人とも起きてたのか。もしかして、二人も朝食を作りに?」

凛「はい!艦娘の皆さんに今日も一日元気でいてもらうためです!」

紅「そっかー、、、なら、みんなが起きてくる前にやっちゃうか!」

三人は朝食を作る。

 

 


 

 

響「うっ、、、朝か、、、。」

窓から射し込む日差しで目を覚ます響。

隣には気持ち良さそうに眠る暁。

反対側にも同じように気持ち良さそうに眠る『(いかずち)』と『(いなずま)』。

当たり前のような日常。

それが一週間前までなかった。

地獄のような日々。

毎日誰かが命を落とす。

そんなところに現れた一人の、、、。変態?いや、それは失礼か、、、。そうだね、怪物?死神?それとも、、、人?

どれもしっくり来ない。

当然か、あんなものを見てしまったら、、、知ってしまったら、、、。

だが、彼が居たからこそ今がある。

少し振り返ろう。

私達『暁型四姉妹(あかつきがたよんしまい)』の一週間の出来事を、、、。

 

 


 

 

?「貴女達4人で最後ね。」

響「あぁ、私達はみんなに比べてマシだったからね。」

鈴仙「師匠、、、なんでこんなに小さい子達が戦わないといけないのでしょうか?」

ぽろっと、そんなことをこぼす。

響「私達は艦娘、、、深海棲艦と戦うことが役割だからさ。」

鈴仙「、、、。あんなに傷つくまで、、、。なぜ、、、『逃げたい』って思わないですか?」

響「思わない、思えなかった、、、。やってしまえばどれだけの死者が出るか、、、。」

鈴仙「そんな、、、そんな守ウグッ」

響の治療をしている女性が鈴仙の口を塞ぐ。

?「『優曇華(うどんげ)』、それ以上はダメよ。」

鈴仙「え?」

?「この先を言えばこの子達の事も貴女の事も全否定してしまうわ。貴女が言いたいことは痛い程分かる。でも、言ってはダメ。」

鈴仙「、、、すみません、、、。今の私には何も出来そうにないです、、、。」

鈴仙はその場を離れる。

?「優曇華、、、。あ、ごめんなさいね。続けるわ。」

治療を続ける女性。

響「、、、彼女は?」

?「優曇華の事?あの子は貴女達に近いのよ。軍人って意味でね。でも、あの子は戦場から逃げ出したの。隊長と言う立場がありながら、、、。最強の狙撃手と謳われながらも、、、。自分達じゃ敵わない。こんな相手をしなければならないのなら逃げなければ死ぬ。だから逃げた、、、。誰も追ってこれないところまで、、、。最強と謳われたあの子はただの臆病だったのよ。」

響「逃げたって、、、彼女には家族はいなかったのかい?」

?「いなかったわ。だから逃げれたのかもしれないわね。貴女達と違って人質がないのだからね。」

彼女の慈愛にも哀れみに見て取れるその瞳。

サリー「『八意(やごころ)先生』、こっちは終わったわよ。」

?「あら、サリー。ありがとうね。」

サリー「これくらいどおってことないわ。元看護師ですもの。」

?「全く、治療だと言うのに怯えおって。」

?「まぁまぁ、『カーター先生』。その顔じゃみんな怖がってしまいますから。」

カーター「『クローデット』!!それは言わないでくれ!地味に傷つくのだぞ!」

?「あら?そっちも終わったの?」

カーター「あぁ、全く。私の専門分野は精神病だと言うのに、、、。」

クローデット「で、でも!専門外でも治療出来てるじゃないですか!やっぱりカーター先生は天才ですよ!」

サリー「クローデット、それ以上言うと調子に乗るから止めなさいね。」

包帯で顔隠し浮遊している看護師。

凄くおっかなくこの世のものとは思えない顔の医者。

黒人?の学生かな?

そして、私を治療していた女医。

私の治療をしながら今後の方針を話していた。

カーター「で、この医療チームのリーダーである貴女に問うぞ。『八意永琳(やごころえいりん)』よ。正直、艦娘が戦う現状をどう思う?今この場に艦娘である小娘がいるからと濁すでないぞ。これは医療チームの士気にも関する。」

永琳「、、、。オブラートに包んでお笑いかしらね。感情を爆発させていいのなら、、、『ゴミみたいな実験体(モルモット)達を今すぐに殺したいわ』、、、。あっ、これ私が言ったら医者失格ね。」

一瞬覗かせたその殺意。

響は冷や汗をかいていた。

感じたことのない程の殺意。

この人はこの殺意を隠したまま私の治療をしていたのか!と驚愕していた。

だが、その殺意はすぐに消えた。

殺意のONOFFはそう簡単ではない。

響はその時点でこの女医『八意永琳(やごころえいりん)』がただの医者ではない事を感じ取る。

カーター「ふむ、、、であるのなら、我々も誠心誠意尽くそうではないか。もし、ここの前任のような人間が来たのであれば実験体(モルモット)として扱ってよいな?」

永琳「いいんじゃないからね?」

永琳はクスクスと笑うのであった、、、。

 

 


 

 

紅と蒼がストレス発散をしていたときの事、、、。

暁「はぁー、、、。」

暁はため息をつきながら鎮守府を見て回っていた。

かと言っても施設内は急遽取り壊され建築中だ。

しかもあり得ない速度で進行しているので安全面が心配である。

することもなくただ見て回るだけ。

ふと、そんな暁に声をかけるものがいた。

?「あら?貴女面白い『運命』をしてるのね。」

びっくりして振り返る。

そこにいたのは暁と同じか少し高いぐらいの背丈で深紅のドレスを纏い日傘を差した少女。

?「貴女の運命、もっと見せて。」

いつの間にか目の前にいた少女は暁の顔を覗きこむ。

それも、唇と唇が触れそうになるほどに。

?「フフフ、本当に面白い運命ね。貴女。」

少女は上機嫌。

暁は意味が分からず不機嫌。

暁「貴女!何者よ!!」

?「あら?自己紹介がまだだったわね。私は『レミリア・スカーレット』。吸血鬼(きゅうけつき)よ。」

暁「きゅっ、吸血鬼!!!」

暁は怖くなりその場にへ垂れ込む。

レミリア「あら?怖がらせてしまったかしら?」

手を差し伸べるレミリア。

震えながらだが、その手を取る暁。

暁「あ、ああぁ、ありがとう、、、。」

まだ怖がる暁。

それを見てクスクスと笑うレミリア。

レミリア「あ、そうだわ。まだ貴女のお名前を聞いていなかったわ。」

暁「わ、私は暁型一番艦の暁よ!」

レミリア「、、、。そう、貴女が艦娘なのね、、、。確かに力はある、、、でも、産まれてまもない一年も経ってたいじゃなかしら?なのにそんな子を?戦地へ?フフフ、、、。人間はどこまでも愚かで成長するわね。逆方面に。

レミリアは何か呟いていたが暁には聞こえなかった。

レミリア「貴女の運命は素敵なものよ。でも、一歩間違えれば簡単には壊れる程に脆いわ。」

それだけを言い残し去ろうとするレミリア。

暁「ちょ、ちょっと待ちなさい!!って、あれ?」

暁が振り返るとその姿はなかった。

レミリア「暁型一番艦暁、、、。貴女は健気で勇気ある子だと思うわ。でも、貴女も誰も気がついてない。あの紅でさえ気がついてない。貴女の中にある狂気。それを生かすも殺すも運命しだいね。」

 

 


 

 

紅が気を失い眠っている頃

鎮守府中庭

暁型三番艦の雷は中庭に咲く花を見ていた。

雷「、、、。綺麗、、、ね、、、。」

そう呟く雷。

人間に失望し本来ある母性のような優しさを失ってしまった雷。

その瞳は濁りに濁りまるで死んだ魚のような目だ。

?「あかん、あかんなぁ~。美少女がそんな死んだ目してちゃ。」

雷は殺意を持って振り向く。

そこには白衣を着た男性。

短髪の髪は雷と同じ茶髪。

そして、その瞳も同じ薄茶色。

雷「何者?ここは軍関係者以外立入禁止よ。」

?「御丁寧に。そこのとにゃ重々承知やさかい堪忍な。」

立入禁止だと分かりながらいるその人物に少し恐怖する。

だが、、、。

?「消えろ。」

その男の背後から一人の殺人鬼(キラー)が現れる。

?「大丈夫か?」

雷「貴女は何者?」

?「私は『アドリアナ・イマイ』、殺人鬼だ。今この鎮守府の警備を任されている。」

殺人鬼が警備をしていることに困惑する雷。だが、すぐ現実に戻る。

?「危ないやっちゃなぁー。もうちょっとで首がおさらばやったやないか。」

確実に見た。あの男の首が落ちるところを。

なのになぜ!?

アドリアナ「貴様、、、。何かしらの能力があるようだな。私は確実に貴様の首を落とした。」

?「ん?あー、確かに首落ちたなぁー。でもな、実態が無いもんは斬れんやろ?

男の体が不安定になる。

それは電子のようである。

?「俺の能力は『電気に体を作り替える程度の能力』や。ただの刃物で俺は斬れねぇぜ。」

アドリアナ「、、、。目的を言え、、、。貴様から敵意を感じない。ただ単に興味本位だけで侵入したと見受けられる。」

?「目的ねぇー、、、確かに興味本位だ。俺はこう見えて海洋学者でな。この辺りの海洋調査に来たわけ。まぁ、用は終わって帰るところやったんけどなぁ、、、。そこの嬢ちゃん。そこの嬢ちゃんどろーんとした気配感じ取ってな。気になってもうたんや。」

雷「私の?」

?「そうや、、、。で、俺から、、、。一見はただの不審者な俺から言わせてもらうわ、、、。『何を迷っとんねん?』」

雷「え?」

?「暁型駆逐艦三番艦の雷ちゅうたら人懐っこくて献身的で笑顔絶えん駆逐艦って聞いたで俺は、、、せやけで今の嬢ちゃんはなんや?まるで死人やな。目が死んどる。思考も死んどる。感情も死んどる。生きとるっちゅう温度が感じられん。生きとんのやったら、、、。笑え、泣け、誰かを頼れ。そして、頼られろ。俺は今の嬢ちゃんの姿は見とうなかったわ。」

男は二人に背を向ける。

?「そや、最後に、、、俺の名は『雷門慈頼(らいもんじたより)』。俺より『年上』の学生共に教鞭垂れて海洋の事を調べる学者であり教授や。覚えとき。いつか最悪かも知れん形で再開するさかいな。ほなさいなら。」

頼はその姿を電気に変えて姿を消すのであった、、、。

アドリアナ「今のは後で報告しておくか。しかし、能力者が外の世界にもいるとは思わなかったな。さて、あんなのが現れた以上一人は危険だ。食堂か部屋に戻ろう。ん?どうした?」

雷は先程まで頼がいたところを見ながら硬直していた。

雷「嘘、、、よね、、、そんな、、、そんな、、、。」

アドリアナ(、、、そうか、聞いたのか。この反応そうなると先程の奴はやはり、、、。)

 


 

一時間程前 暁型駆逐艦の部屋

 

電「そんなのあまりにも酷すぎるのです!」

艦隷の存在、その建造方法を暁と響から聞いた雷と電は怒っていた。

雷「人間は落ちるところまで落ちたものね。私達が守る必要ある?」

響「無いね。」

雷「艦娘と人間を交配させて新たな艦娘のような存在、、、。艦隷を造る。そして、その艦隷は母親の特徴、特に髪色や瞳の色を受け継ぐと、、、あれ?そうなるとあの人が艦隷だとしてその母親って!」

響「別個体の私だろうね。だからこそだろう、ほっておけないって思ってしまうのは、、、。」

暁「それだけじゃないわ。紅を兄と呼んでたあの人、、、。あの人も艦隷よ。そして、母親は別個体の私だと思うの。」

電「た、確かに髪色と目の色は同じだったのです。」

雷「なんだか雷と電をベースにした艦隷もいそうね。」

響「確実にいるだろうね。恐らくだけど、ベースとなった艦娘と艦隷は引かれ会うのかと知れない。それが別個体だったとしても。」

 


 

一時間前の会話が鮮明に頭に浮かぶ。

雷(そうか、、、今のが別の私の、、、いえ、私の、、、。)

胸をチクッと刺す痛み、、、。

それがなんなのか今の雷にはまだ分からない。

 

 


 

 

紅が大本営に行っている頃

 

電「なのです、、、。」

電は埠頭で倒れる露出度高めの服装の女性を発見していた。

?「ううっ、こんなところで発作が、うっ、」

電「な!なのですうぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

都合により、一部分をお見せすることは出来ません。

 

?「あ、ありがとうございます、、、。うっ、」

電「まだ、ダメなのですか!早くお医者さんに見てもらった方が、、、。」

?「ありがとうございます。それならもう見てもらいまして。八意先生曰く「初めて治せない病気に直面したと」悩まれておりました。」

電「なのですか、、、。」

電と話す女性。

優しそうであり高貴そうな彼女は顔半分が爛れている。

顔半分ではない、よく見れば身体中至るところ爛れている。

?「あ、これですか?これも病気の一部ですよ。八意先生も何とか解決方法を見つけてみるとは言ってくださってましたが、望み薄なのです。」

電「可哀想なのです、、、。」

?「可哀想、、、。ですか、、、。私はこう見えてこの病を半ば受け入れているのですよ。これは私の罪。誰一人救えず殺人鬼(キラー)となった私の罪。私はですね、昔々、、、。多くの人を救うために一人で色々と背負っていましてね。結局は何も出来ず仕舞い。」

電「救いたいですか、、、。」

?「えぇ。電さんはすごいですよね。敵であろうと救いたい。史実では本当に敵兵をも救っている。私には到底出来ませんし思うことも出来ないでしょう。だから、胸を張って生きていいのです。少しぐらい重荷を下ろしてもいいんです。電さんが下ろした重荷は誰かが背負ってくれます。特に紅さんならね。あの人も一人で色々と背負ってしまいます。いっそのこと全て紅さんに預けるのも手ですよ。ただ、預けたら終わりではありません。一緒に預け重荷を少しずつ二人で、、、いや、鎮守府のみんなで減らして行く。それが一番いいかもしれませんね。」

電「重荷を一緒に、、、。なんだか、まだ色々と不安ですど電はみんなで幸せに暮らすために重荷を少しずつみんなで減らして行きたいのです!」

?「うん!その意気です!その意気があれば必ず、うっ、」

電「またなのですぅぅぅぅ!!」

 

都合により、一部分をお見せすることは出来ません。

 

永琳「ふぅ、、、。」

電「あ、あの人は大丈夫なのですか?」

永琳「『アディリス』なら、強烈な吐き気止めを飲ませたからある程度はマシになったわ。その代わり安静にしてもらってるわ。」 

電「そう、、、なのですか、、、。」

 


 

デモゴルゴン『アディリスの姉御大丈夫ですかい?』

ドゥルーアニー『アディリス・姉さん・早く・良くなって。』

アディリス「ありがとうございます。、、、。お二人に少し頼みごとをしてもよろしいでしょうか?」

デモゴルゴン『おうとも!!どんなお願いでもこの俺がこなしてやりますよ!』

ドゥルーアニー『頑張る。』

アディリス「ふふふ、お二人ともお優しいですね。、、、。ここの艦娘の子達がもし、我が身だけ、、、一人だけ犠牲になればとか考えた時、正してあげてください。『一人が犠牲になったところで何も変わらず悲しみが増えるだけ』と、それならば、『みんなで重荷を背負って少しずつ減らして行こう』と、、、。私が言っては説得力がありませんもの、、、。」

デモゴルゴン『そ、そんなことはありませんぜ!姉御は色んな人間を救おうと必死に。』

ポンッ,

ドゥルーアニーがデモゴルゴンの肩に手を置く。

ドゥルーアニー『アディリス・姉さん・背負い・込む・みんなで・分担・みんなで・あの子達・を・幸せに・しよう。』

アディリス「ふふふ、お願いしますね。」

 

 


 

 

紅がやって来て今日まで、暁型の4人は人知れず成長していた。

それは身体的な強さではない。

心、、、。そう、精神的に強くなったのだ。

ほんの些細な差ではあるが成長は成長なのである。

そうとは知らぬままその日を過ごす4人であるのだった。




名前 (いかずち)

詳細 暁型三番艦。本来の性格とは違い人を信頼せず嫌い敵意を見せる。だけど、ごく稀に本来の献身的な性格がひょっこりと出てくる事もある。


名前 (いなずま)

詳細 暁型四番艦。ドジっ子で「なのです」が口癖。敵でも助けたいと言う彼女は天使のようであるが、ごく稀に辛辣な事を言ったりする。


名前 八意永琳(やごころえいりん)

能力 あらゆる薬を作る程度の能力

詳細 幻想郷の迷い竹林の奥深くにある診療所『永遠亭(えいえんてい)』の医者兼科学者。鈴仙の師匠であり不老不死の蓬莱人。


名前 ハーマン・カーター

詳細 産まれつき天才の心理学者。残忍な人体実験を繰り返し行っていた。天才故に自身の専門分野である心理学以外の医療に携わる知識を持っている。


名前 クローデット・モレル

詳細 カナダ出身の黒人の大学生。有名大学に奨学金付きかつ飛び級で入学した天才。医療に関しても知識があり植物科学者なのに医者に間違えられることもある。


名前 レミリア・スカーレット

能力 運命を操る程度の能力

詳細 幻想郷にある紅い館『紅魔館(こうまかん)』の主である吸血鬼。身内や親しい者の前ではカリスマブレイクをする。稀に人前でやることも、、、。


名前 アドリアナ・イマイ

詳細 日本人とブラジル人のハーフの殺人鬼。自作のドローンで鎮守府内を警備。侵入者がいれば即座に殺害する。


名前 アディリス

詳細 高貴で美しい司祭の殺人鬼。病気の影響で身体中が火傷の痕のように爛れ、不定期に来る吐き気で吐いたり倒れることもある。


名前 雷門慈頼(らいもんじたより)

能力 電気に体を作り替える程度の能力

詳細 関西弁の海洋学者及び大学教授。分かりやすい講義で人気であるのだが、理事長からの嫌がらせや自身が責任者となっているサークルの生徒のやらかしに頭を抱えている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

悪夢が目覚める狂想曲

うん、急展開過ぎるねこれは、、、
(おい作者もっとしっかり構成考えろよバカ!)


頼「地球で一番深い場所であるマリアナ海溝チャレンジャー海淵の水深は10,920m。最早人類が到達することは不可能な場所や。せやから俺みたいな海洋学者は今ある情報、知識でしかマリアナ海溝は語れん。まぁ、遠い未来、マリアナ海溝ですら踏破してまう潜水艦が出来てもおかしくあらへんなぁ。そこんところは技術者の仕事や。さて、ここまでで質問あるか?」

学生達を前に教鞭を執るのは海洋学者及び大学教授の雷門慈頼。

学生「教授!深海棲艦は海洋の生物なのでしょうか?」

一人の学生が質問をする。

頼「ふむ、ええ質問やな。世間で騒がれる深海棲艦。それに興味を持つ学者は学問問わず多い。俺はそんなに興味あらへんけどな。せやけど、考察は出来る。俺は奴らを生物とカウントせん。あれは怨霊の類いや。第二次世界大戦で海に散った英雄達と海と言う生命の母の怒りが混じり産まれた怨霊。これが俺の結論や。」

学生「では、深海棲艦に唯一対抗出来る艦娘とは何なのでしょうか?」

頼はその質問は予想外とのような表情を浮かべる。

頼「せやな、、、。艦娘は深海棲艦の逆や。俺の考えはこうや。最初に産まれたのは深海棲艦。そこで人類を滅ぼそうとするのが今の深海棲艦と人類を守りたいと強く願った深海棲艦から反転したのが艦娘。だから、どっちも霊や。肉体のある幽霊。深海棲艦は生の感情がオーバーフローした時艦娘に反転する。逆もしかりや。せやけど、『反転する』、これはそう簡単な話やない。オーバーフローしても反転しん場合もあるやろな。」

キーンコーンカーンコーンー

頼「おっ、これで講義は終わりや。」

学生達は席を立ち講義室から出ていく。

頼も講義室から出ていき自身の研究室へ向かう。

 

秘封倶楽部(ひふうくらぶ)

 

そう書かれた名札。

その下には別の名札が。

 

京都大学海洋研究室(きょうとだいがくかいようけんきゅうしつ)

 

頼が扉を開ける。

そこは大きな水槽や大量の海洋や魚類に関する本がぎっしりな棚がある。

かなり大きな部屋だ。

なのに、学生は4人ほどしかいない。

講義は人気なのだが、ここには学生はほとんど入らない。

何故か、それは『秘封倶楽部(ひふうくらぶ)』が原因なのである。

大量の棚に混じって海洋とは関係ないオカルト系の本が乱雑に置かれた棚がある。

ソファーで眠る学生、その棚を整理する学生。

この二人、、、秘封倶楽部(ひふうくらぶ)がここに学生がやって来ない理由の一つ。

ソファーで寝ているのが『宇佐見蓮子(うさみれんこ)』。

棚を整理しているのがみんなから愛称の『メリー』と呼ばれる『マエリベリー・ハーン』。

秘封倶楽部(ひふうくらぶ)を紹介したのだ。

京都大学海洋研究室(きょうとだいがくかいようけんきゅうしつ)の面々も紹介しよう。

水槽の魚に餌を与えているのが女子留学生の『メリッサ・A(アヴァロ)・ペンドラゴン』。

留学の理由は日本に興味があるかららしいが、本当にそうなのか分からない。それだけの理由で留学出来るものなのか?このご時世。

机に突っ伏して眠る赤ぶちメガネの男子学生が『睦伊井月斗(むついいげっと)』。

それを掃除しながら叱る同じ赤ぶちメガネの女子学生が『睦伊井望(むついいのぞみ)』。

双子の学生で正反対。

だらしなくやる気のない月斗としっかり者でやる気もりもりの望。

見てて少し羨ましい。

そんな三人眺めながら最新の海洋に関する雑誌を読む女子学生が『伊無矢深美(いむやふかみ)』。

泳ぐことが得意で高校では水泳で全国1位にもなったのにもかかわらず推薦を蹴り、水泳をやめてこの研究室へやって来た。マジでなんで?

まぁ、理由は分かる。

ここまでで分かるだろう。月斗、望、深美は頼と同じ艦隷である。

頼もそうだが、彼ら彼女らは政府も誰も知らない、いつ造られた(産まれた)のか不明な艦隷。

それを拾って来ているのがこの大学の理事長だ。

今も頼の室長を席に座り、助手に紅茶を入れてもらいながらもう一人の助手と話している女性。

彼女が理事長でありこの研究室に学生があまりやって来ないもう一つの理由。

京都大学理事長『岡崎夢美(おかざきゆめみ)』。

頼が最も頼りにする人間であり最も恐れる人間。

夢美「おや、今日の講義は終わりかい?」

頼「終わりや終わり。はぁー、教授っちゅうのも楽やないなー。いつも言っとるけど。」

夢美「そうでもしないと君はまた元通りになるけど、それでもいいのかい?」

頼「はぁー、脅しが上手いでございますねー。」

頼は置いてあったパイプ椅子に座る。

?「あー!私のパイプ椅子を!!この野郎!」

怒っているのは夢美の助手の1人『北白河(きたしらかわ)ちゆり』だ。

頼「別にええやろ。椅子の一つくらい。俺の本来の席はあのくそ苺に取られてるわけやし。」

夢美「おっと?今のは聞き捨てならないなー?誰がくそ苺だって?」

頼「御託はええから早よ本題に入れ。くそ苺。」

夢美「私、泣いていいかなー?まぁ、本題に入るわね。まずはこれを見てちょうだい。」

見せられたのは二枚の写真。

頼「、、、。おいおい、俺は海洋学者だ。オカルトには疎いぞ。」

巨大な骸骨』、『夜空を駆ける人影

夢美「それとこれもね。」

頼「だからよぉ、たく、、、。」

それは何かの資料のようだ。

頼「これをどうしろと?」

夢美「『勧誘してきて』。こちらの陣営に。」

頼「どういうこっちゃ?内容次第じゃ、、、。」

夢美「ふふふ、私が人間ごときの味方をすると思う?」

頼「あんた、、、本当に岡崎理事長か?いや、本物の理事長か。それなりの理由があるんやろうな?」

夢美「あんなに必死に頼まれたからね。やるだけの価値はある。世界をひっくり返し更に艦娘、深海棲艦、そして、、、。貴方達艦隷の地位向上。それが目的よ。その為に、、、。インドアメリカロシアオーストラリア、日本の横須賀(よこすか)(くれ)舞鶴(まいづる)佐世保(させぼ)を襲撃する。その為の人員が必要なのよ。」

頼「、、、うちの4人に秘封倶楽部も巻き込むのかよ。それに、、、。あんたの裏に誰がいる。」

夢美「、、、。彼は、、、。彼はただ、証明したいのよ。いかに人間が無力なのか、、、。どれ程深海棲艦が恐ろしいのか、、、。そして、艦娘の力を、、、。艦隷を産み出した愚かな人類への試練なのよこれは。ただ、準備にかなりの時間がかかる。早くても2年後の作戦実行よ。」

頼「なるほどねー、、、。わかった。信じてやるよ。岡崎理事長。」

夢美「ふふふ、頼もしいわね。頼。」

 

 


 

 

紅「問題は山積みだ。だが、俺はまず解決したいことがある。」

蒼「なんですか?兄さん。」

紅「未だに何も言わない動かない鹿島。どうやって元に戻すか。」

紫「手っ取り早のは私の能力で弄ることだけど?」

紅「それじゃ意味がねぇ。」

鹿島の今の状態は植物状態だ。

ただ、眠っているのかも分からない。

目を閉じず開いたまま。物言わぬ人形のよう。

紫「あの様子じゃ夢も見てないでしょうね。」

紅「あぁ、夢を見ているなら『ドレミー』の能力で入れたかもしんねぇが、、、。ひとまず解決策が出るまでこの件は保留だな。献身的に介護するしかねぇか。」

エヴァン「じゃ、建築関係いくか。資材はあるが何を建てるかだ。食堂にドック、宿舎は出来た。工廠もだ。他に何がいる。」

ジェイク「建築もそうだが、警備も考えないといけないな。この前の侵入者の件もある。」

紅「索敵が得意な殺人鬼(キラー)の包囲網を突破してやがるからな。」

エヴァン「だが、索敵が得意=警備が得意ってことにはなんねぇ。蒼、お前の妹に索敵と警備が得意な奴はいねぇのかよ?」

蒼「残念ながら、、、拷問なら得意な子がいますね。」

紅「拷問は間に合ってるんだよなぁー、、、。」

問題は山積み。

一つ一つ解決しようにも解決するのに時間がかかる。

紫「侵入者が入れば分かるトラップはどう?」

ジェイク「ふむ、、、。今のところは『リサ』の呪印(おまじない)、エヴァンのトラップ、『フレディ』のドリームスネアなど色々あるが、こちらの者がかかる可能性大だ。」

エヴァン「そこがネックだよな。見えなきゃダメだがそれだとこっちの誰かが引っ掛かる。」

問題は何一つ解決しないのであった、、、。

 

 


 

 

医務室

 

永琳「うーん、、、。植物状態とはまた違う症状、、、。一体何が彼女を阻害するのか、、、。」

医務室のベッドには鹿島が寝かされている。

無数に伸びる管に人工呼吸機。

閉じない瞳。

不気味でしかない。

永琳「心拍数は一定、健康状態は良好。なのに意識だけが戻らない。そして、頑なに閉じることがない目ね。普通なら瞼を少し動かせば閉じさせることが出来る筈なのに、、、。」

永琳はカルテを置き一度医務室を出る。

 

ピキッ…ピキピキッゴキッ…

 

アハ♪人間は、、、始末しちゃいましょ♪

 

 

 


 

 

ピーピーピー!!

けたたましくあるブザー。

永琳はタブレットを取り出す。

その画面に写し出されているのは

 

心肺停止

 

急いで医務室へ戻る永琳。

そこで永琳が見たものは誰もいない医務室。

ベッドにいたはずの鹿島は居らず、管も全て引き抜かれていた。

嫌な予感がした瞬間、永琳の体はバラバラに弾けた。

 

 


 

 

ドーーン!!

 

大きな爆発音が鎮守府に響き渡る。

鈴仙「師匠!鹿島さん!無事ですか!?」

爆発音がした医務室へ真っ先にやって来たのは鈴仙だ。

鈴仙だったのだ、、、。

鈴仙「えっ、、、。」

体がバラバラに弾け飛びぐちゃぐちゃな永琳と右腕が肥大し大きな鉤爪が付き、意思があるのであろううねうね動きこちらを威嚇する口がある尾。

そう、鹿島だ。鹿島がこちらを向く。

その額には大きな二本角、肌は真っ白になりその瞳は片目は血のように赤く、もう片方は蒼い炎がギラギラと揺れていた。

鹿島?「アハ♪来た来た♪肉、人間!殺すべき人間がぁ!アハハ♪アハハハハハ!!

その姿は深海棲艦であった、、、。

 

 


 

 

?「、、、。また1人、、、。艦娘が堕ちたのぉ。」

怨呪「またですか、、、。悲しいものですね、、、。」

何処かの島の浜辺で6人でお茶会を開いている。

?「ふーん、、、。まぁ、どうでもいいですけどね。」

?「またなのね、、、嗚呼、悲しいわねー。」

?「艦娘が深海棲艦へと堕ちるのは人間のせいだ。やはり、人間は根絶やしだな。」

?「ふむ、、、。面白い。」

?「ん?貴様が興味を持つとはな。明日はやりでも降るか?して、何を見た?」

?「、、、。言うなれば奇跡かしらね。二つの未来。死ぬか元に戻るか。だが、九割がた死ぬの未来が見えたわ。」

怨呪「へぇー、それは面白そうだね。なら、賭けない?その子が死ぬか元に戻るかを。」

?「なら、死ぬに一票。」

?「ワシも死ぬに一票じゃな。」

?「私も悲しいですが死ぬに一票。」

?「私も死ぬに一票だ。深海棲艦から元に戻るなんぞ低確率だ。」

?「二つの未来を見た結論、可能性が高い死に一票です。」

怨呪「ふーん、、、。」

怨呪はティーカップに入っていた紅茶を飲み干しティーカップを置く。

怨呪「なら、僕は元に戻るに一票を入れよう。」

五人が驚いて怨呪を見る。

怨呪「1割、、、。たった1割可能性があるなら、僕は可能性に賭ける。僕はいつだって確率の低い方に賭けるさ。」

?「なら、何を賭けるんです?」

怨呪「そうだね、、、。この腕、これを賭けよ。僕はこれを賭ける。僕が勝てばみんなから一つずつ何かもらおうかな。」

微笑む怨呪。

その微笑みは勝ちを確信しているようであった。




名前 宇佐見蓮子(うさみれんこ)

能力 星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力

詳細 京都大学の学生であり秘封倶楽部(ひふうくらぶ)を作ってオカルトに関する研究をしている、、、のは建前で自由に活動している。


名前 マエリベリー・ハーン

能力 結界の境目が見える程度の能力

詳細 みんなからは『メリー』の愛称で呼ばれている。京都大学の学生であり秘封倶楽部(ひふうくらぶ)を作ってオカルトに関する研究をしている、、、のは建前で自由に活動している。海洋研究室の一部乗っ取りは彼女の案である。


名前 メリッサ・A(アヴァロ)・ペンドラゴン

能力 聖剣を生み出し扱う程度の能力

詳細 イギリスからの留学生。海洋研究についてはあまり興味はなかったが蓮子に連れてこられたため秘封倶楽部(ひふうくらぶ)
京都大学海洋研究室(きょうとだいがくかいようけんきゅうしつ)の掛け持ちである。


名前 睦伊井月斗(むついいげっと)

詳細 海洋研究室の生徒であり艦隷。いつ産まれたのか不明。スポーツ万能なのだがだらけきった性格のせいで動かない。望とは双子。


名前 睦伊井望(むついいのぞみ)

能力 一手先を読む程度の能力

詳細 海洋研究室の生徒であり艦隷。いつ産まれたのか不明。将棋やチェスなどが得意。真面目でしっかり者。月斗とは双子。


名前 岡崎夢美(おかざきゆめみ)

詳細 18歳で大学教授になった天才。今は京都大学理事長となっている。裏でなにやら暗躍してる?


名前 北白河(きたしらかわ)ちゆり《/b》

詳細 夢美の助手。怒らせてるとパイプ椅子で殴ってくる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

兎、猛りし幻想曲

祝!艦これ十周年!!って遅すぎよねぇー(笑)


グチャッ!!

鈴仙の体を貫く鉤爪。

鈴仙「カハッ!か、鹿島、、、さん、、、。」

鹿島?「アハ♪スゴイスゴーイ!まだ生きてる!面白いオモチャ!

子供のようにはしゃぐ深海棲艦のような鹿島。

カーンカーン

そんな鹿島の背後から鐘の音が聞こえ人影が現れる。

?「喧嘩ハ、良クナイヨ。」

その人影はそう言って手に持っていた鎌のような鍬のような鈍器で鹿島を殴る。

だが、、、。

キーン

鹿島は金属の様に固かった。

鹿島?「アハ♪新しいオモチャだぁ!!

左手で振り払う。それだけでその人影は壁を貫通して吹き飛ぶ。

デイビット「放しやがれぇぇ!!」

駆けつけたデイビットのタックルに鹿島は耐えきれずよろける。

鹿島?「痛いな~。また新しいオモチャ?

クリス「レオン!『クレア』!『ジル』!『レベッカ』!準備はいいか!」

クレア「えぇ!出来てるわ!」

ジル「全く助けたい相手に銃口を向けるなんてね。」

レベッカ「いつものようだけど、、、。今回は違うか、、、。」

レオン「あぁ、泣けるぜ。」

ドーーーーン!!!

窓側の壁が破壊される。

ネメシス『大人しくしろ!完全に包囲されている!!』

ゾンビA「そうだそうだ!

ゾンビB「はーなーせー!」

ゾンビC「HA☆NA☆SE☆!!」

ウェスカー「まさか、深海棲艦になるとはな。だが、不自然だな。そう思うだろ?『エイダ』。」

エイダ「えぇそうね。一週間もの間何もなかったのは不自然すぎるわね。」

ドーン!!

今度は天井が破壊される!!

?「鈴仙を!」

?「放せえ!」

?「くそがぁぁぁ!!」

杵を持った少女、燃える少女、ただ単に力ずくに殴りかかる少女。

三人の力で鹿島の右腕は破壊される。

鹿島?「あああ、、、ああああああああああああああああああ!!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!オモチャのくせに!!オモチャくせにぃぃぃぃ!!!

物凄くいたがっている鹿島。

だが、右腕は既に再生していた。

霞「ど、どうなってるのよ!これ!」

電「色々とぐちゃぐちゃなのですぅ!!」

廊下の先から霞と電の声がした。

鹿島?「、、、アハ♥️」

鹿島は声のした方を向く。

さらに、左腕には艤装が展開されている。

ウェスカー「まずい!!その砲を撃たせるなぁ!!」

クリス「言われなくとも!」

クリス達が一斉に発砲。

ゾンビ達も捨て身で特攻していく。

だが、鹿島の感心は向かない。

鹿島?「お歌(悲鳴)を聞かせてよ。ねぇ!!!

ドーーーーン!!!

ドーーーーン!!!

ドーーーーン!!!

ドーーーーン!!!

何発も砲撃する鹿島。

壁の先は見るも無惨。瓦礫に変わっていた。

鈴仙「霞ちゃん!!電ちゃん!!ガハッ!」

?「鈴仙は大人しくしてて!!」

?「てめぇ、、、いい加減にしろやぁ!!」

白髪の少女の燃える蹴りが炸裂する。

だが、鋼鉄ように固い鹿島には効かない。

エイダ「ウェスカー!これを!」

クレア「お兄ちゃん!」

レベッカ「レオン!」

ウェスカー「ちっ!これは使いたくないが仕方ない!!」

クリス「さすがにこれなら!」

レオン「これでダメならどうしろって言うんだよ!」

ジル「みんな!避難して!!」

ジルの合図で各員逃げる。

ウェスカー、クリス、レオンが持つのはロケットランチャー。

3発のロケットランチャーが発射される。

ドーーーーン!!!

ドーーーーン!!!

ドーーーーン!!!

3発のロケットランチャーが爆発するのだ。

近くにいた三人にも被害がでる。

 

ウェスカー・クリス・レオン 戦闘不能(リタイア)

 

ゾンビA「殺ったか!」

ネメシス『バカ!お前!!それは!!』

バカなゾンビの発言により三人の決死のロケットランチャーが無駄になる。

そう、意味がなくなった。まぁ、どちらにしろ結果は変わらずだった。

鹿島?「アハ♪アハハハハハ!!花火?花火だよねぇぇ!!キレイじゃなかったけど!もっともっと見せてよぉ!!

ネメシス『あれの何処が花火だ!?それにしても遅い!紅は何をして、、、。』

ネメシスは見てしまった。

霞「起きなさいよ!このクズ!!起きなさいってば!!」

電「起きてくださいなのです!!なんで、電なんかを、、、。」

泣く霞と電。

倒れ血を流し意識を失っている紅と蒼。

ネメシス「、、、。S.T.A.R.S.!!

レベッカ「え?ネメシス?なんで叫んで、、、。もしかして、、、。試作品だけど!受け取って!!」

レベッカが投げたのは小型の機械。

霧の森では話すことが出来ない殺人鬼(キラー)が数人いる。

その殺人鬼(キラー)達のために筆談以外に意志疎通が出来る機械。

身体の何処かに着けておくだけで普通に話すようになる機械だ。

ネメシスはそれを受け取り取り付ける。

ネメシス「、、、。ゾンビ共!お前達は怪我人を運べ!!八意先生もだ!!あの人はぐちゃぐちゃになっても再生出来る!!持ってけ!!残りの奴らも逃げろ!!ここはこの俺だけで食い止める!!」

デイビット「ネメシス、、、。お前だけ残せるか!!俺も残る!お前らは逃げろ!!」

ジル「二人だけじゃ、、、。わかったわ、、、。みんな!逃げるわよ!!」

エイダ「残念だけど、、、それしかないわね。」

?「クソが、、、。」

みんな逃げて残るは鹿島、ネメシス、デイビット。

ネメシス「お前にも逃げてほしかった。」

デイビット「お前が見せた男気、、、。そんなの見せられて逃げるなんてこと出来るか。そもそも、逃げる気は元からなかった。鹿島を助ける。その為の時間稼ぎだ。俺達が出来るのは!」

ネメシス「ならば行くぞ。たった二人の最前線だ。」

鹿島?「アハ♪どうやって遊ぼうかな?アハハハハハハハ!!」

鹿島の姿は更に恐ろしくなっていた。 

背中から生えている新たな二本の長い大きな腕。

更に肥大化した右腕と角。

恐ろしい口のある尾は九本に増え砲まで付いている。

鹿島?「アハ♪壊す、、、。コワスコワスコワスコワスコワスコワスコワス!!、、、。コワレロヨ、ヒューマン!!」

 

 


 

 

1ヶ月程前

鎮守府応接間

 

前任「ほう、これが、、、。」

?「えぇ、これが私が開発した薬でございます。効果は服用した者をまるで人形の様にしてしまいます!勿論、人形は動きませんので動かす時はご自身で。そして、服用した者は動けず意識はあるのに何も出来ない!声を発するどころか表情を変えることすら出来ない!最後には薬を服用せずとも動かぬ人形になりますよ。」

前任「ん?それは死んだと言うのか?」

?「いえいえ、死んでしまえば冷たくて抱けたもんじゃないでしょ?ちゃんと生きておりますので。そうして貴方が望んでいた自慰道具の完成ですよ。」

前任「ふふふ、いい仕事をするな!たまには一人でしたくなるものだ!よし!では、代金を。」

?「いえいえ、初回は頂きません。2ヶ月後にまたお伺い致しますのでその時に感想と共に頂ければ。」

白衣を着た男は応接間を出て自身が乗ってきた車に乗り込む。

?「ふふふ、、、。1ヶ月後が楽しみだ。あのクズがどの艦娘に服用させるか楽しみだ。」

ふと、車の外に目をやる。

その気にいた艦娘に少し驚く。

だが、すぐに冷静へと戻る。

?「、、、。願わくは、、、。『駆逐艦 電』だけは絶対にないように祈ろう。」

そう言い車を走らせる。

 

 


 

 

食堂

 

最早ここも安全ではないのだが、全員を集めるならここだ。

天龍「紅!嘘だろ?しかも蒼まだ、、、。」

紫「私も行くべきだったわね。」

ジェイク「貴女には動けない者の避難を手助けする役割があった。そのお陰で全員の避難が完了したんだ。そう自分を攻めるもんじゃない。」

エヴァン「けどなぁ、どうする?あの二人がやられたら次はここだ。食堂までの道はゾンビ達や大量のトラップで埋め尽くしている。それ全て破壊して来るってならお手上げだぞ。」

天龍「ど、どうにかならねぇのかよ!」

紫「そうね、、、。」

ジェイク「止める方法はある。」

天龍「ほんとか!?」

ジェイク「ただし、それは鹿島を殺してもよいと言う条件付きだ。」

天龍「それはダメだ!」

エヴァン「だから、方法がねぇ。お手上げだ。」

ジェイク「今の鹿島は鹿島ではない。区別するために名付けておこう。」

エヴァン「それ必要か?」

三陣営のトップと天龍の会話。

食堂の端の方では電と霞が暗い顔をしていた。

電「電達がいなければ、、、お二人は、、、。」

霞「そうね、、、。」

カーター「お前達二人の責任ではない!責任を負うのは我々医療班だ!こうなるまで異常に気が付かんかったからな。」

クローデット「そうよ!そんなに落ち込まないで!蒼さんはどうかは分からないけど紅さんならすぐ目を覚ましますよ!」

電と霞を励ますカーターとクローデット。

そんなやり取りを見ながら考え事をする者が一人。

サリー「どうしたの?『タルボット』。考え事?」

タルボット「そうだ。良すぎるタイミングに誰も気が付かなかった点、、、。おかしいと思わないか?」

サリー「そうね。精神の病、単なる病気だとして私、鈴仙、クローデットが見抜けなかったのはまだいいわ。カーター、タルボット、永琳が見抜けなかったのが異常よ。」

タルボット「そこで、私は考えた。『深海棲艦化させる薬』の存在。あったとしてのその効能。もしくは別の用途の薬を改良し副作用で深海棲艦化するようにしたか。どちらにせよ科学、医学、薬剤学に精通していなければ無理な話だ。」

サリーとタルボットがそんな会話をしている。

鎮守府にいた幻想郷の住人、霧の森の住人は艦娘達を落ち着かせるのに必死だ。

ドーーーーン!!!

安寧の崩壊。

悪魔の足音。

狂気の笑み。

破壊の快楽。

名付けよう。

奴の名は

鹿島?「アハハ♪イッパイイッパイ!イタ!イタ!!イタァァ!!!

深海狂鬼(しんかいきょうき)

 

 


 

 

ここは何処かの教会

一人祈りを捧げる者がいた。

?「おや、貴方がここに来るのは珍しい。そして、祈りを捧げるなど主でも予想外のことでしょう。」

この教会のシスターだろうか、祈りを捧げる者を茶化す。

?「別に俺も祈りってもいいだろうが。混ざり者が。」

?「混ざり者ですか、、、。それはお互い様でしょう。」

?「あ?てめぇと一緒にすんな。『クローン』が。」

?「おや、ちょっと頭に来ますよ。『忌み子』。」

白衣を着た男性とシスター。

お互い手には拳銃と槍。

?「こちとりゃ、真面目に祈りを捧げたっつうのに邪魔するシスターが何処にいるんだ?あ?」

?「ここにおりますよ。」

?「ブッ殺す!!!

?「殺れるものなら殺ってみな。ですよ!」

?(はぁ、あれから一週間、、、。どの艦娘が発症してるか分からない。発症していなくても発症した艦娘に殺されるかもしれない。そんな中でも生き抜いて。俺の母さん。)

 

 


 

 

深海狂鬼「アハハ!コロス!!

長門「させん!!」

侵入してきた鹿島もとい深海狂鬼。

それを食い止めようとする長門。

天龍「離れやがれ!!」

天龍も剣を振るう。

響「姉さん!行くよ!!」

暁「ええ!分かってるわ!!」

暁と響も主砲を構える。

そして、

ドーン!ドーン!

砲撃する二人。

だが、無意味。

深海狂鬼「アハハ♪遊ンデクレルノカナァ??カナァ!?

紫「みんな!この中へ急いで!貴女達も!!」

紫がみんなをスキマへ誘導する。

天龍「ちっ!仕方ねぇ!!」

長門「すまん、鹿島、、、。逃げるぞ!」

暁「鹿島さん、、、絶対に助けに戻るから!!」

響「くっ、あれ?鈴仙さんは?先に運ばれたのかな?」

響が鈴仙がいないことに気が付くが先に避難したと思い込んだ。

残ったのは艦娘以外のメンバーである。

ジル「ここが正念場って奴?」

エヴァン「最早は俺らは無謀な特攻隊ってか?」

?「喧嘩ダメ。ダケド、助ケナイト。」

ビル「『フィリップ』よ。無理するなよ。」

華山「そうだぞ。お前は戦闘には向いてないからな。慣れている我らに任せても良い。」

凛「そうですよ!こう言うのは私達の役目です!」

華山「出来ればお前にも戦ってほしくないのだが、、、仕方ないか。」

ジェイク「はぁ、こうなってしまっては霧の森で儀式(サバト)をしている方が断然マシだな。」

サリー「えぇ、そうね。」

ババ「チェーンソーの調子はいいけど、、、。あれ、切れると思う?」

クローデット「うーん、、、。無理じゃないですかね?私は隠密してこのクロスボウで。」

カーター「よくそんなもの用意できたな。まぁ、良い。やるとするか。」

深海狂鬼「ワーイ!オモチャガイッパイ!イッパイ!ドレカラアソ、グッ!

みんなが取り囲んだ深海狂鬼だったが突然吹き飛んだ。

鈴仙「アガッ,グガッ,

カーター「鈴仙!?どういう事だ!!?」

タルボット「まさか!鈴仙!あれを使ったのか!?」

ジェイク「あれとは?」

サリー「生存者(サバイバー)の使う止血剤にタルボットの薬品や永琳の薬やらを詰め込んだ狂走薬よ。ただ、使えば理性は無くなるは狂暴になるはだから使用は禁止のはず。」

深海狂鬼「イタイナァァァァ!!!オモチャノ分際デェェェェェ!!

鈴仙「ギリリッ、、、アァァァァァァァァァァァァァ!!!

ものすごい雄叫びと共に深海狂鬼へ飛び掛かる鈴仙。

蹴り、蹴り、殴り、蹴り、締め、投げ、蹴り、蹴り、、、。

全て急所を的確に狙い妥協はない。

怪物怪物の狂気染みてた殴り合い。

それはあまりにも似合わない殺し合い。

鈴仙「ゾッヂウ、、、。チセコレ、、、イクリモニイ、、、。

鈴仙が何を言っているのか分からない。

だが、その狂気に染まり狂った紅い瞳はずっと深海狂鬼を見ていた。




名前 クレア・レッドフィールド

詳細 クリス・レッドフィールドの妹。兄みたく脳筋ではないがそれなりに死線を潜っている。

名前 ジル・バレンタイン

詳細 クリスと同じ部隊出身の女性。ウェスカーに操られていた過去もある。

名前 レベッカ・チェンバース

詳細 クリスと同じ部隊出身の女性。現在は一線を退きバイオウイルスの研究やクリス達の支援をしている。

名前 エイダ・ウォン

詳細 バイオハザードの裏で暗躍する女性スパイ。何処に所属し誰の指示に従っているのかは不明である。

名前 タルボット・グライムズ

詳細 ドロドロに爛れた顔に顎を失い開きっぱなしの口の男性。腰が内側に曲がっているのに凄く速く走る。優しい科学者である。

名前 フィリップ・オジョモ

詳細 片言で少し幼い男性。鐘を鳴らすと消えたり姿を現したりする。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。