ハイスクールU✕D (ボルメテウスさん)
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運命の夜

ディメンションナイザーを見て、ネオバトルナイザーと連想させたのは、私だけではないと思いたい。
そして、ディメンションロード!を聞いて、ウルトラマンを召喚できると思ったのは私だけではないと思いたい。
そして、そのまま妄想が膨れて、使ってみたいと思ったのは、私だけではないと思いたい。
だから、私は書いてしまいました。
それもこれも、魅力的すぎるディメンションナイザーのせいだ!
という事で、こちらで募集を行っていますので、皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292936&uid=45956


その日は、短い人生の中で、最も不幸な日だと、今でも思う。

 

小学校からの帰り道。

 

それは突然、訪れた。

 

登下校からの帰り道、何気なく通った道。

 

普段ならば通らないような寄り道を。

 

それが何よりも不運な結果を招くとは、この時は思わなかった。

 

寄り道を通った時、僕に襲い掛かったのは、暗闇だった。

 

先程まで夕日で輝いていたはずの街は、一瞬で暗闇になった。

 

それだけでも恐怖だったが、それ以上の恐怖は突然だった。

 

「えっ」

 

上から聞こえる音。

 

獣を思わせるうなり声と共に、ゆっくりと見上げる。

 

そこにいたのは怪獣。

 

そうとしか言えない存在が、真っ直ぐと僕を見つめていた。

 

獲物のように見つめる瞳と口から垂れ流れる涎。

 

それは、僕を恐怖させるには十分過ぎた。

 

本能なのか、僕はすぐに走り出した。

 

その様子を見て、本来だったら、僕を簡単に殺す事ができたはずの怪獣。

 

だが、奴は、まるで玩具で遊ぶように、僕を襲う。

 

時折、わざと壁を壊して、瓦礫を僕を押し潰そうとする。

 

それらの攻撃は、僕の恐怖心を煽るには十分だった。

 

逃げ場がどこにもないのか。

 

そう思った時だった。

 

僕の胸元が青く光る。

 

それが何なのか分からない。

 

見ると、そこには青い機械があった。

 

手の平に治まる程度の、機械。

 

それが何なのか分からない。

 

そんな疑問と共に、カードが現れる。

 

そのカードはそのまま、機械の方へとスキャンされる。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンゼロ!』

 

そう、僕の手元にある機械から音が鳴り響くと共に、その巨人が現れた。

 

僕の命を奪おうとした悪魔を思わせる怪獣から守るように。

 

「……なに?あれ」

 

僕は呆然としながら目の前の光景を見つめていた。

 

あぁ、やっぱり僕は夢でも見ているのか。

 

だって、あり得なだろう。

 

あんな巨大なものが突然現れるなんて。

 

しかも、怪獣と戦ってるだなんて。

 

『ここは一体。

 

まさか、君が俺を』

 

そう、巨人も、未だに何が起きているのか分からず、困惑している。

 

その最中で、巨人は僕の方へと目を向ける。

 

『確かめるのは後か。

 

君は、隠れていろ』

 

「うっうん」

 

巨人は、すぐに僕を守るように立ちふさがると、同時に、怪獣が襲い掛かる。

 

肘の側面に形成された鋏状の爪は、真っ直ぐと巨人に襲い掛かる。

 

しかし、巨人はその攻撃を軽く受け流すと同時に、回し蹴りを放つ。それは見事に怪獣の首に命中した。

 

首筋には鋭い牙が存在していて、それを狙った攻撃だったのかもしれない。

 

だが、怪獣はそれを受けても平気な様子であり、むしろ怒り狂ったかのように暴れまわっていた。

 

どうやら、先程の攻撃では倒せなかったらしい。

 

そんな怪獣に対して、巨人はすぐに距離を取る。

 

そして、今度は拳によるラッシュを仕掛けていった。

 

まるで、ボクシングのような動きである。

 

それに、怪獣は苦しむ様子を見せるものの、やはり倒れる気配がない。

 

すると、巨人の肩に食らいつく。

 

『ガアァァ!』

 

巨人は、そのダメージを受けてか膝をつく。

 

それでも、怪獣は離そうとしない。そのまま食いちぎろうとしていた。

 

「あっ危ない!」

 

このままだと、巨人は怪獣に殺されてしまう。

 

その思いで、恐怖で支配されそうだった時だった。

 

『諦めるな!!』

 

巨人から、声が聞こえる。

 

同時に、巨人は、その怪獣に向かって、蹴り飛ばす。

 

『どんなに苦しいときでも決して忘れてはいけない、キラメク未来は 君の瞳の中にあるんだ!』

 

同時に巨人は、僕に言うように叫ぶ。

 

その言葉は、先程まで怪獣に向けていた恐怖はなくなっていた。

 

同時に、心の底から湧き上がるのは、勇気だった。

 

「あなたは」

 

『ウルトラマンゼロだ。

 

さぁ、反撃の時間だぜ!!』

 

その言葉と共にウルトラマンゼロは、再び真っ直ぐと怪獣に向かって行く。

 

怪獣は先程のように噛みつこうとするが、それを素早く避けて、腹パンをする。

 

しかし、それで怯まずに腕を振るう。

 

それを受け止めると、怪獣はそのまま投げ飛ばした。

 

地面に叩きつけられた怪獣だったが、すぐに起き上がって吠えた。

 

それに、ウルトラマンゼロは構えるが、怪獣は、その口から炎を溜めていた。

 

その炎は、真っ直ぐとウルトラマンゼロに向かって、放たれた。

 

だが、ウルトラマンゼロは頭部に触れると共に、2つの刃を出す。

 

その刃は、そのまま怪獣の放つ炎を斬り裂く。

 

それに怯んだ怪獣に対して、ウルトラマンゼロは、そのまま2つの刃を両手に持ち、真っ直ぐと怪獣に向かって、突っ込む。そして、すれ違い様に切り裂いて行った。

 

怪獣はその傷跡から火花を上げながら倒れる。

 

その光景を見ながら、僕は思った。

 

(これが……ヒーロー)

 

そう思うと同時に、怪獣は再び立ち上がる。

 

それに対してウルトラマンゼロも、もう一度構える。

 

すると、怪獣は、その背中から巨大な翼を生やす。

 

その姿は、まさに悪魔であった。

 

先程とは比べものにならない程の圧倒的な力を、怪獣から感じる。

 

だが、自然と恐怖はなかった。

 

その理由は、簡単だ。

 

「ゼロ!!」

 

僕には、ウルトラマンがいる。

 

『あぁ、決めるぜ!!』

 

ウルトラマンゼロは、同時にそのままL字に構える。

 

『ワイドゼロショット!』

 

そして放たれた光線が、怪獣に向かって、放たれる。

 

それに対して、怪獣もまた、その口から巨大な火炎が放たれる。

 

火炎と光線。

 

2つが激突する。

 

こちらまで襲い掛かってくる熱風。

 

それに対して、僕は手にあるディメンションナイザーを強く握り締める。

 

「『はあああぁぁぁぁ!!!』」

 

僕とウルトラマンゼロ。

 

2つの声が1つになるように。

 

ワイドゼロショットの光線は、より強くなりながら、怪獣の火炎を押し返す。

 

そして―――。

 

ドオォン!! と、爆発音が鳴り響いた。

 

その音と共に怪獣の姿も消えていく。

 

「終わった」

 

そう、僕は、へたりと力なく倒れる。

 

『よくやったな』

 

そう、ウルトラマンゼロが僕に話しかける。

 

「僕は、何もできなかったよ。

 

だって、ウルトラマンゼロが助けてくれなかったら」

 

『それは違うぜ。

 

そのディメンションナイザー。

 

それは、俺達ウルトラマンを呼び出すだけじゃない。

 

君の心に反応して、ウルトラマンを強くする力を持つ』

 

「ディメンションナイザー」

 

そう言われ、僕は手元にある物を見つめる。

 

「ねぇ、このディメンションナイザーって、何なの!」

 

『それは、俺にも分からない。

 

そもそも、俺自身も、それに関してはあまり知らない。

 

けど、どうやらこの世界には、本来ならば存在しないはずの怪獣がいる。

 

それに対抗する為にかもしれない』

 

そう、ウルトラマンゼロも、はっきりと答えられない様子だった。

 

「そうか」

 

『君が望むならば「うぅん」っ』

 

「もしも、これで誰かを助けられるんだったら、助けたい!

 

ウルトラマンゼロのように!

 

けど、僕1人じゃ、できない。

 

だから」

 

『あぁ、俺が。

 

俺達ウルトラマンが、勿論力を貸すぜ』

 

その言葉と共に、確かに始まった。

 

僕とウルトラマン。

 

そして、この世界での戦いが。




ディメンションナイザー
本来ならば未来に残されたウルトラの記憶を読み取る事が可能な機械。
だが、どういう訳か、今作の主人公の手元に現れたディメンションナイザーは、ウルトラディメンションカードをスキャンする事で、ウルトラマンを召喚する『ディメンションロード』を発動する事ができる。
召喚されたウルトラマンは少年の心に応える形で強くなり、少年の成長に合わせて、本来の力を発揮できるようになる。
また、その成長によっては、本来とは異なる未知なる姿になる事も可能となっている。
かつて、存在したネオバトルナイザーとどこか似ているが、その詳細は未だに不明。


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あれから10年後

ウルトラマンとの出会いから既に10年以上の歳月が経った。

 

怪獣や宇宙人。

 

彼らが、どのような目的で来るのか、まるで分からなかった。

 

奴らの存在自体は、世間で言う所の噂程度で囁かれているからだ。

 

その姿を見せる時、怪獣を含めた空間には、あまり多く人が存在しない。

 

いても、10人程度だ。

 

現れた際には、周りの空間が歪んでおり、それによって、周りからは認知されない。

 

その空間に入る事ができるのは、ディメンションナイザーしかなかった。

 

そして、高校生となった、その日も僕はディメンションナイザーに導かれて向かった。

 

「まったく、まだ、忙しい時にっ!」

 

僕はそう言いながら、ディメンションナイザーに導かれるがままに、空間の中へと入る。

 

空間の中には、既に怪獣が暴れていた。

 

その暴れている怪獣には、覚えがあった。

 

その怪獣の名はスフィアゴモラ。

 

スフィアに支配されている怪獣。

 

その証拠に、身体の各部にはスフィアが奇声されており、とても苦しんでいる様子だった。

 

「この時はっ」

 

同時に僕は、そのまま手にあるディメンションナイザーにウルトラディメンションカードをスキャンする。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンコスモス!』

 

 その音声と共に、僕のディメンションナイザーから現れたのは、月の優しき光のごとき、慈しみの青い巨人、ウルトラマンコスモスだった。

 

 コスモスはそのままふわりと地上に降り立つと同時に、目の前にいるスフィアゴモラに相対する。

 

 スフィアゴモラは苦しそうな雄叫びを漏らし、僕らの方へと向かってくる。

 

 僕はそんなスフィアゴモラに向かって、両手を広げて言った。

 

「来い!」

 

 すると、コスモスも僕の言葉に応えてくれたのか、こちらに向き直り、構えを取る。

 

 僕はその姿を見て確信した。この人は僕を助けに来てくれたんだと。

 

  僕はそのまま、コスモスに向かって叫ぶ。

 

「お願いします! 助けてください!!」

 

 それに対してコスモスは頷くと同時に、襲い掛かってくるスフィアゴモラ。

 

 その攻撃に対して、コスモスはまるで羽を思わせる動きで攻撃を受け流す。

 

 スフィアゴモラにダメージを与えないように受け流しているのだ。

 

 その動きはまさに華麗だった。

 

 コスモス特有の何だかヌルヌル動く個性的な動きでなかなかに回避能力も高い。

 

 それもあって、理性を失ったスフィアゴモラの攻撃はことごとく空を切るばかりであった。

 

 それは、コスモスがスフィアゴモラも傷つけない為に。

 

 それが効果が出たのか。

 

 スフィアゴモラは徐々に疲労していく。

 

 理性がない。

 

 体力の配分もできない。

 

 ただただ、本能のままに暴れているだけなのだ。

 

 そして、ついに体力の限界を迎えた時だった。

 

 コスモスは、その手に光を集める。

 

 ゆっくりと、右掌をゆっくりと前に突き出しながら放つ。

 

 フルムーンレクト。

 

 それは怪獣を倒す為の技ではない。あくまで怪獣の力を受け流すだけの技だ。

 

 だから、相手を傷つけることはない。

 

 しかし、この技には別の使い方がある。

 

 コスモスは、右手を前に突きだし、ゆっくりとした動作から一転し、一気に加速させていく。

 

 そして、その手を突き出した状態で…… コスモスの手のひらから光が放たれる。

 

 その光の先にいたのは、スフィアゴモラは苦しみはなかった。

 

 同時にゴモラを支配していたスフィアが離れる。

 

 スフィアは、そのままコスモスに襲い掛かろうとしたが、コスモスはそれをあっさりと撃退する。

 

 それによって、戦いは終わりを迎える。

 

「ありがとうございます。

 

 コスモスさん」

 

『気にしないで』

 

 その言葉と共にコスモスさんは、そのままカードとなって、ディメンションナイザーに戻っていく。

 

 それと同時だった。

 

 スフィアゴモラだったゴモラもまた、そのまま僕の手元にあるカードとなって来る。

 

「さて、とりあえず、明日の学校に備えないと」

 

そう言いながら、僕は、すぐにその場から離れた。

 

だが、この時、僕は知らなかった。

 

「なるほど、奴が、ディメンションナイザーに選ばれた少年という訳か」

 

僕を観察するように見ていた、楕円形の赤い彫刻が刻み込まれたディメンションナイザーに似た装置。

 

そして、それとは別のもう1人の女性だった。



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巫女

 その日、姫島朱乃はとある男子生徒を追っていた。

 

 数日前に起きたとある事件。

 

 それは、この10年で頻発に起きている謎の現象に関する事だった。

 

 彼女が所属している悪魔の勢力を始めとした、様々な勢力でも、その存在は確認されながらも、謎の多すぎる現象。

 

 突然現れた結界に閉じ込められ、そこに出現する巨大な生命体に襲われる事。

 

 それらの形は様々であり、生き物、人型、果てにはロボットなど。

 

 共通点はあまりにも少なかった。

 

 だが、あえて共通点があるとしたら、それは結界に閉じ込めた人々を襲っている事だった。

 

 その多くは、人々の命を簡単に刈り取る事ができる力を持ち、さらには偶然居合わせた上級悪魔でも、まるで歯が立たない存在であった。

 

 しかし、その現象に巻き込まれる事は多々あるが、実際に死亡した事例はこれまで1つもない。

 

 それは、その巨大な生命体と敵対しているだろう巨人達によってだ。

 

 巨人の特徴は様々であるが、共通して分かる点としては、身体の中央または頭の中央にランプがついている事。

 

 彼らの目的に関しても不明だが、そのほとんどが巨大な生命体から人々を守るように戦っている。

 

 だからこそ、これまで死亡者は奇跡的に0であった。

 

 そんな奇妙な事件に関して、先日、姫島は偶然に目撃した。

 

 謎の現象に巻き込まれ、対処しようとした時に見えた駒王学園の生徒。

 

 その生徒は、まるで巨人の事を信頼しているように見つめていた事を。

 

 疑問に思っている間にも、戦いは終わり、巨人は消えた。

 

 同時いに少年は、まるで、それが日常的だと言わんばかりに去った。

 

「これは、何か知っていますね」

 

 そう、確信めいた言葉と共に少年の事を探り始める。

 

 幸い、同じ駒王学園という事で、どのような人物なのかはすぐに知る事ができた。

 

 麻中裕太。

 

 駒王学園の2年生の男子生徒。

 

 影は非常に薄く、人見知りが激しい。

 

 ただ、積極的に人助けをする行動があるのか、クラスで嫌う生徒はあまりいない様子。

 

 ただし、友人というべき人物はいない様子。

 

 経歴に関してもどこにでもいる一般家庭であり、裏の世界とはまるで関係なかった。

 

 だからこそ、巨人とはどのような関係があるのか。

 

 姫島はそのまま調べる事にした。

 

 警戒心の為か、少し遠くから見つめる程度で、様子を見ていた。

 

 だからこそ、彼女自身も気づかなかった。

 

「ふむ、少し気に入らないねぇ」

 

「誰?」

 

 聞こえた声。

 

 振り向くと、そこには1人の人物がいた。

 

 春には珍しいフードが顔で覆っており、顔は見えない。

 

 しかし、明らかな態度でこちらを見ていた。

 

「なに、少し私の周りでうろちょろされていてね。

 

 邪魔だと思っただけだよ、悪魔君」

 

「あなたは一体」

 

「究極生命体に選ばれた巫女。

 

 とでも思ってくれ」

 

『モンスロード! バドリュード』

 

 その音が突然聞こえる。

 

 それに疑問を余所に、姫島はその変化に気づく。

 

 周りに人影はいなくなり、代わりに現れたのはロボットだった。

 

 巨大な一つ目のロボットは、真っ直ぐと姫島に目を向けていた。

 

「まさかっあなたが」

 

 そう、振り返った時には、既に、巫女と自称したその存在は姿を消していた。

 

 同時に、姫島はすぐに行動を移していた。

 

 バドリュードと呼ばれた存在は、その目を真っ直ぐと姫島に向かって、攻撃を行う。

 

 その一撃をまともに食らえば、死んでしまう。

 

 その直感を信じると共に、すぐに避ける。

 

 幸い、ロボットの動きは姫島でも簡単に避ける事ができた。

 

 すぐに反撃するように電撃をロボットに向けて放つ。

 

「まさかっ、ダメージがないなんてっ」

 

 今、放つ事ができる最強の一撃。

 

 それを放ったはずだが、バドリュードには傷1つついていない。

 

「本当に噂通りなんて」

 

 そう、言っている間にも、地面に向けて放たれたバドリュードの攻撃の余波に姫島は吹き飛ばされる。

 

「このままではっ」

 

 そう思った時だった。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンギンガ!』

 

 街中で響き渡る音と共にバドリュードは、その音の方に視線を向ける。

 

 そこに立っていたのは、1人の巨人だった。

 

 身体の様々な箇所にクリスタルが特徴的な巨人。

 

 その巨人の名はウルトラマンギンガ。

 

 それが、先程聞こえた音からも理解できた。

 

 ウルトラマンギンガが現れた事で、バドリュードは驚きながらもすぐにウルトラマンギンガに向けて、超音波光線を発射する。

 

 先程まで、街を破壊していたその光線は真っ直ぐとウルトラマンギンガに向かって、放たれ、攻撃は当たる。

 

 だが、多少火花が散った程度で、ウルトラマンギンガの身体には傷1つついていなかった。

 

 そんな事など気にせず、ウルトラマンギンガはそのまま真っ直ぐとバドリュードに向かって、走り出す。それに対して、バドリュードも動き出しお互いに拳をぶつけ合う。

 

 ぶつかり合った瞬間、辺りに大きな衝撃音が鳴り響く。

 

 しかし、バドリュードの攻撃は全く効かず、逆にウルトラマンギンガの攻撃は全て直撃しダメージを与えていく。

 

 それどころか、徐々にウルトラマンギンガの方が押し始めていた。

 

 そのまま、一方的に殴り続けていき遂にはバドリュードを吹き飛ばす。

 

 吹き飛ばされた後、バドリュードはすぐに光線を放とうとした。

 

 だが、次の瞬間、ウルトラマンギンガもまた動き出していた。

 

 その手を上に突き出す。

 

 それと同時だった。

 

 黄色に発光したそのクリスタルは、空へと放たれる。

 

 空に放たれた光は、ゆっくりと巨大な雷雲を造り出す。

 

 その雷雲は銀河に似た形へと変わる。

 

「なっ」

 

 その雷雲を見て、姫島は驚きを隠せなかった。

 

 離れているはずだが、その威力は、自分の最大の一撃よりも遙かに強い。

 

『ギンガサンダーボルト!』

 

 ウルトラマンギンガからの掛け声と同時に、稲妻が放たれる。

 

 そして、それは一直線にバドリュードの方へ向かっていく。

 

 慌てて回避しようとするも間に合わず、直撃してしまう。

 

 すると、バドリュードは爆発を起こし粉々になってしまう。

 

 一撃で、倒された。

 

 その事に姫島は、驚きを隠せなかった。

 

 そうして、呆けている間にも、ウルトラマンギンガは既に去っていた。

 

「結局、何が起きたのかしら」

 

 ここまでの間、1時間にも満たない。

 

「そう言えば、麻中君は、もういませんか」

 

 しかし、それまで起きた一連の出来事で、知り得た情報を報告する為にも主であるリアス・グレモリーの所へと向かう。



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始まりの夕日

新たに追加された項目と共に、募集を行っています。
興味がある方は、ぜひ
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 その日、兵藤一誠にとっては、最良の日になるはずだった。

 

 これまでの人生で彼女なしの人生だったはずだが、少し前に始めての彼女ができた。

 

 そして、初デート、夕暮れの公園で彼女と過ごす時だった。

 

「えっ?」

 

 そんな、呆けた声と共に疑問に思う。

 

「この世界、特有のシステム。

 

 これまで、何度も見てきたが、どうやらこれまでで、一番の代物を持っているらしい。

 

 その力、見せて貰おうか」

 

 どこからともなく聞こえた声。

 

 それと共に。

 

『モンスロード! ゲネガーグ!』

 

 聞こえた音声。

 

 それに疑問を他所に、地響きがした。

 

 一誠は、ゆっくりと見上げると、そこにいたのは、巨大な怪物だった。

 

 二足歩行の巨大な鮫のような怪物。

 

 その怪物が、一誠に向かって、叫んでいた。

 

「なっなんだよ、これっ! 

 

 逃げようっ」

 

 そう、彼女を連れて逃げようとした時だった。

 

 そこには、既に彼女の姿はなかった。

 

「えっ、どうなってっ、あれっ」

 

 それと共に、周りを見れば、まるで黄金の輝きのある空間が広がっていた。

 

 疑問を思いながら、戸惑っている間にも巨大な怪獣、ゲネガーグが一誠を食らわんばかりに迫る。

 

「っ!!」

 

 まさに、絶体絶命。

 

 そう思った時だった。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンメビウス!』

 

 その音声が鳴り響くと同時に、街の上空から現れた巨人は、街で暴れるゲネガーグに向けて、飛び蹴りを行う。

 

 飛び蹴りを受けたゲネガーグは吹き飛ばされながら、すぐに立ち上がる。

 

 そのゲネガーグの目の前に立っていたのは一人の巨人、ウルトラマンメビウスだった。

 

 ゲネガーグは、すぐにウルトラマンメビウスの存在に気付くと共に背中からジェット噴射を行い、メビウスに接近する。そしてそのまま巨大な口を開き、メビウスを攻撃する。

 

 しかしメビウスはその攻撃を軽々と避け、ゲネガーグの背後に回り込み、回し蹴りを放つ。

 

 メビウスの放った回し蹴りを受け、地面に倒れ込むゲネガーグ。

 

 ゲネガーグはすぐに起き上がり、メビウスに向かって走り出す。

 

 メビウスもそれに合わせるように走り出し、互いにぶつかり合う。

 

 その体格の大きさで、ゲネガーグの方が勝っており、そのままメビウスは吹き飛ばされる。

 

 だが、メビウスは後ろに吹き飛ばされながら、メビウスブレスに添えた右手を前に突き出して放つ光刃を放つ。

 

 放たれた光刃に一瞬、怯んでしまうゲネオーグ。

 

 だが、すぐに反撃へと移す。

 

 ゲネオーグの背中と側面の鰓状の穴から拡散光弾を撃つ。

 

 拡散された光の弾丸が襲い掛かる中、メビウスはすぐに両手を広げて形成する∞の形をしたバリアを展開し、街を守る。

 

 拡散光弾による被害は、メビウスが展開したバリアで多少は防がれた。

 

 それが仇となった。

 

 バリアを展開し、動けなくなったメビウスに向かって、ゲネオーグはジェット噴射で再び接近する。

 

 それに対して、メビウスは、身動きを取る事ができずに吹き飛ばされる。

 

 そのまま地面に叩きつけられると共に、メビウスの胸元にあるカラータイマーが赤く点滅し始める。

 

 それを見たゲネオーグは、口からは紫色の光を貯め始める。

 

 すぐに動こうとしたメビウスだったが、後ろに一誠がいる事に気づく。

 

 その場で動けば、メビウスは助かるかもしれない。

 

 だが、それは同時に、一誠が助からない。

 

 まさに絶体絶命な、その時だった。

 

『ディメンションロード! ガンフェニックス!』

 

 鳴り響く音と共に、メビウスは上空を見る。

 

 そこには、青い光の門を通り抜けるように現れたのは戦闘機。

 

 その形はまるで鳥を思わせる機体。

 

 その名はガンフェニックス、メビウスと共に、数多くの怪獣や宇宙人と戦った仲間だった。

 

 ガンフェニックスは、そのまま、破壊光線を放とうとしたゲネオーグに向けて、光線が放たれた。

 

 その光線によって、ゲネオーグは怯んでしまう。

 

 同時にメビウスとガンフェニックスの操縦席が一瞬、交差する。

 

 それと共に、メビウスは走り出す。

 

 その腕にあるメビウスブレスから開放したエネルギーを左腕に集中させる。

 

 同時に、メビウスの接近に気付いたゲネオーグは再び攻撃を仕掛けようと、背中のジェット噴射を行おうとした。

 

 だが、背後に回っていたガンフェニックスから放たれたビームが、ゲネオーグのジェット噴射を止めた。

 

 地面に叩きつけられたゲネオーグに向けて、メビウスは正拳突きのようにゼロ距離で叩きつける。

 

 叩きつけられた一撃を受けたゲネガーグは、爆発四散した。

 

「たっ助かったのか?」

 

 そう思っている間にも、空間が解放されていく。

 

 ほっと、息を吐く。

 

 同時に、見れば、そこにいたはずのウルトラマンメビウスも、ガンフェニックスもいなくなっていた。

 

「結局、あの巨人や戦闘機は一体」

 

「そうね、けど、良かったわ」

 

「もしかして」

 

 そう一誠が振り返った瞬間、その胸元は大きく開いていた。

 

 呆けている一誠の目の前には、彼の彼女のはずの夕麻が、その手で形成されている光の槍で貫かれている。

 

「本当に不幸ね。

 

 まさか、あの現象に巻き込まれるなんて。

 

 けど、結局はこうして、死ぬだけね」

 

 その言葉を最後に、一誠の、意識は徐々に無くなっていく。




「なるほどな、本当に面倒な事を」
そう、巫女の言葉を遮るように、現れたのは、一人の青年、麻中裕太だった。
「お前が、怪獣騒動を起こした張本人か」
その言葉と共に麻中裕太はそのまま蹴り上げる。
それに対して、巫女は軽やかな動きで、攻撃を受け流しながら、そのまま構える。
「まぁ、そうなるね。
こうして、直接会うのは、始めてかな。
ウルトラマンに選ばれた地球人さん」
「あんたは一体」
その言葉に対して、巫女は笑みを浮かべる。
「私はただの巫女。
あなたがウルトラマンに選ばれたように、私もまたアブソリューティアンに選ばれた存在ですから」
それと共に巫女は、その手に持ったディメンションナイザーと似た特徴を持つ黄金のディメンションナイザーを構えていた。
「それにしても、驚きだ。
ウルトラマン、さらにはウルトラマンに味方した存在をも召喚する事ができるとはね。
実に興味深い」
「そういうあんたの目的は一体なんだ」
「なに、それ程、難しくないさ。
この世界は、他のマルチバースに比べても面白い特徴がある。
その力を、取り込む為だよ」
その言葉と共に、巫女はその手に、鞭を構え、薙ぎ払う。
それに対して、麻中はその攻撃を受け流し、構える。
だが、既にそこには巫女の姿はなかった。
「この世界にしかない特徴?
一体、どういう事なんだ?」
そんな疑問を他所に、麻中は気づいていなかった。
その特徴が、まさに近くで行われている事に。


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シスターとの出会い

 彼女だと思われた人物に殺されてしまった兵藤。

 

 彼は、偶然持っていた悪魔の契約書によって、呼び出したリアス・グレモリーによって、悪魔へと転生する事で、なんとか生き残る事ができた。

 

 だが、彼が想像していたよりも大変な悪魔の生活に、少し困り果てていた朝の登校の時。

 

 彼は偶然にもシスターであるアーシア・アルジェントと出会ってしまう。

 

 どうやら、彼女は、教会へと向かう予定であるらしいが。

 

「でも、教会って、どこに」

 

「どうかした?」

 

 そう悩んでいた時に、後ろから声が聞こえる。

 

 思わず、驚いて、後ろを振り返ると。

 

「お前、確か麻中」

 

 それは、クラスメイトであり、あまり影が薄いお人好しで有名だった麻中だった。

 

「あぁ、いや、実は教会へ行く方法が分からないらしくって」

 

「……教会だったら、こっちだけど、着いてくる?」

 

「知っているのか?」

 

「道案内をしていたら、覚えた」

 

「あぁ」

 

 よく人助けをしている所を見かけている事もあって、一誠は納得する。

 

「そっちの君は」

 

「あっ、私、アーシア・アルジェントと申します!」

 

「んっ、外国人だったのか」

 

「はい、あっ」

 

 そうしていると、アーシアは何かに気づいた様子で、公園に向かう。

 

 そこには、丁度転んで怪我をして泣いている男の子がいた。

 

 すぐに駆け寄ると共にアーシアはそのまま手を翳すと、緑色の光が放たれる。

 

 すると、そのまま怪我は無くなった。

 

「もしかして、あれは」

 

 それに対して、一誠は思わず目を見開く。

 

 そこから考えると、裏の世界の関係者。

 

 察すると同時に、関係者ではない麻中の事が気になっていたが、特に驚いた様子はなかった。

 

 それに疑問に思っている間に、アーシアが戻ってくる。

 

「えっと、それでは、お願いできますか」

 

「あっあぁ」

 

 それに対して、動揺している一誠を余所に、3人は歩く。

 

 道中で、先程の出来事に関して、気になっていた一誠。

 

 自身の左腕に反応した力の持ち主であるアーシアとそれを見たのに特に気にした様子を見せない麻中。

 

「なぁ、さっきのは」

 

「んっ?」

 

 そんな疑問を思っている時だった。

 

 麻中が何か気になったように、周りを見る。

 

「どうしたんだ?」

 

「走れるか」

 

「どうしたんだよ、いきなり」

 

「良いから」

 

 それが何を意味をするのか、分からずに困惑を余所に

 

『モンスロード! バルタン星人!』

 

「っ!」

 

 聞こえた音。

 

 それは、一誠は聞き覚えがあり、周りを見る。

 

 だが、どこにも巨大な影はなかった。

 

 しかし、確かに聞いた音に対して、警戒している時だった。

 

「しゅっ」

 

 麻中が、蹴り上げた。

 

 その動作が何を意味するのか、困惑している間に、その蹴った存在の正体を知る。

 

 それは、まるでセミに似た顔を持ち、ザリガニを思わせる大きいハサミ状の手をしている。

 

「あいつはっ」

 

 先程の聞こえた音から考えても、おそらくはバルタン星人。

 

 そう察した一誠はすぐに構える。

 

「とにかく、走れ」

 

「けどっ」

 

「ここで全員で逃げても、多分、あいつは簡単に追ってくる」

 

 そんな言葉を余所に、バルタン星人は、その鋏を振り下ろす。

 

 だが、それに対して身体を軽く避け、麻中はそのまま正拳突きを放つ。

 

「お前、それは一体」

 

「通信教育で習った宇宙拳法」

 

「宇宙拳法って、なんだよ!」

 

 思わず突っ込みたくなるが、そんな一誠の言葉を余所にバルタン星人からの攻撃に対して、麻中は冷静に避けていた。

 

 明らかに人間である為、その身体能力は一誠よりも低いはずだが冷静に、攻撃を受け流していく。

 

「さっさと、行け!」

 

 普段では、決して出ない大声で言われて、一誠は悔しそうな思いと共に、アーシアを連れて逃げる。

 

「兵藤さん」

 

「分かっているっ、けど今はっ」

 

 逃げる事を先決。

 

 今の自分では何も役に立たない。

 

 そう悔しい思いと共に逃げる。

 

 そんな悔しい思いをしながら、一分は逃げただろうが。

 

 まるで、出口が見えない空間の中で、不安な思いがある。

 

「なんとか、助けを呼ばないと、麻中が」

 

 だが、そんな言葉と共に聞こえた音。

 

 不気味な声と共に、見れば、そこには、簡単に一誠達を踏み潰せる程の巨大になっているバルタン星人が迫っている。

 

「なっ」

 

 それを意味するのは、足止めをしていた麻中の身が危険だと言う事。

 

 しかし、そんな思いを余所に、バルタン星人は、その鋏を真っ直ぐと一誠に向けていた。絶体絶命。

 

 その時だった。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンダイナ!』

 

 その音声と共に、見上げた先。

 

 そこに立っていたのは、1人の巨人、ウルトラマンダイナが降り立った。

 

「この前とは違う巨人」

 

 そう、ウルトラマンダイナの姿を見ながら、呟いた一誠達を守るように、ウルトラマンダイナは目の前にいるバルタン星人と向き合う。

 

 バルタン星人は、その特徴的な鋏を、真っ直ぐとウルトラマンダイナに向けて開く。

 

 それと共に、開かれた鋏から白色破壊光線を真っ直ぐとウルトラマンダイナに向けて放つ。

 

 それを正面から受けてもなお、怯む事無く、逆にバルタン星人に掴みかかる。

 

 そのまま振り回し、投げ飛ばす。

 

 そして、地面に叩きつけられたバルタン星人に対して、今度は光弾を放った。

 

 だが、それは避けられる。

 

 バルタン星人はそのまま飛び上がり、上空へと逃げていく。

 

 それを追いかけるように、ウルトラマンダイナも空へと飛ぶ。

 

 しかし、その先には既にバルタン星人はいなかった。

 

「っ!」

 

 瞬時に周りを見渡すウルトラマンダイナ。

 

「後ろだっ!」

 

 そう、一誠の声が聞こえた瞬間、ウルトラマンダイナは後ろを振り返る。

 

 すると、そこには既に攻撃体勢に入っているバルタン星人がいた。

 

 そのまま鋏を開き、そこから破壊光線を放つ。

 

 それに対して、ウルトラマンダイナはなんとか空中で体勢を整えながら、空を飛ぶ。

 

 追撃するように、バルタン星人は口から白色破壊光線を放ち続ける。

 

 しかし、それを躱していく。

 

 だが、一誠は、目の前の出来事に驚く事になった。

 

「なっ」

 

 それは、バルタン星人が分身した。

 

 その数は3体。

 

 3体のバルタン星人は、一斉にウルトラマンダイナに向かって白色破壊光線を放っていく。

 

 その光景を見て、思わず一誠達は目を見開いた。

 

「あれじゃあ避けきれない……!」

 

 まさに絶体絶命の状況。

 

 そう思えた時だった。

 

 ウルトラマンダイナは、その両手をクロスさせる。

 

 それが何を意味するのか。

 

 すぐに分かった。

 

 なんと、ウルトラマンダイナの身体の色が変わった。

 

 それは赤と青の2色から、青一色の姿だった。

 

 それと同時に、ウルトラマンダイナに向けて放たれた光線を、全て受け止める。

 

 それだけではなかった。

 

 受け止めた光線を、ダイナの体色と同じ青い光に変えると共に、分身しているバルタン星人に向けて放ったのだ。

 

 青色の破壊光線を受けた分身のバルタン星人は吹き飛ばされる。

 

「なんて威力なんだ……」

 

 そんな一誠の言葉通り、バルタン星人は全てを吹き飛ばしていた。

 

 それと共に、戦いが終わった事を意味する。

 

「終わったのか」

 

 そう、安堵すると共に。

 

「そう言えば、麻中はっ」

 

「無事だった」

 

「きゃ!」

 

 そう、思っていた時。

 

 後ろから声をかけられ、思わず、その場で振り向く。

 

 そこには、多少ボロボロになっているが、無事な様子の麻中の姿だった。

 

「お前、無事だったのか」

 

「あぁ、ウルトラマンダイナが助けてくれたから」

 

「そっか、ウルトラマンダイナが」

 

 それと共に安堵しながら言う。

 

「とりあえず、教会まで案内するよ。

 

 その後は、学校に行かないと、遅刻する」

 

「いや、こんな時まで、あぁもぅ」

 

 そうマイペースな様子である麻中と共に一誠とアーシアはそのまま教会へと向かう。

 

 そうして、無事に送り届けた後、その出来事をすぐに部長であるリアス・グレモリーに報告する。

 

「なるほど、まさか2度も怪獣騒動に巻き込まれるなんてね」

 

「えぇ、けど、ウルトラマンダイナって言う巨人が助けてくれたおかげですよ」

 

 そう苦笑いをする一誠を余所に、リアスは、とある疑問をぶつける。

 

「イッセー、その時、麻中君は何か、驚いた様子とかなかったかしら」

 

「驚いた様子? 

 

 いや、特には」

 

 それまでの様子を見る限りでも、麻中は常に冷静な態度だった。

 

 しかし、リアスはそれこそが可笑しな点だと気づいていた。

 

「まずは、そのアーシアという子の力を見ても違和感を感じなかった事もそうだけど、そんな通信教育程度で、怪獣を相手に善戦するのも可笑しいわ」

 

「いや、まぁ」

 

 それは確かに可笑しな話だと分かる。

 

 しかし、それでも

 

「何よりも、アーシアという子。

 

 おそらくは海外から来て、日本語も話せていないと思うわ。

 

 なのに、なんで、麻中君は、普通に会話をしていたの。

 

 違和感なく」

 

「えっ、それは」

 

 その考えと共に、振り返れば、麻中には怪しい行動はあった。

 

 しかし、それが何を意味するのか

 

 未だに分からない事が多すぎた。



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偽物

 あれから、麻中の事について調べようとした動きがあった。

 

 しかし、それらは全て、無駄に終わっていた。

 

 それは、麻中が普段からどのような行動をしているのか、謎に包まれているからだ。

 

 ふらりと、人助け。

 

 ふらりと、どこかで食事。

 

 まるで気まぐれを人の形をしたように、その行動パターンを読む事はできなかった。

 

 そんな日常の中で、一誠がとある依頼で、家に訪れた。

 

 だが、そこには気味の悪い光景が広がっていた。

 

 その家の住人は、はぐれ悪魔祓いの一人であるフリードによって、殺されていた。

 

 そして、その場で、事情を知らないアーシアもまた巻き込まれていた。

 

 一誠は、フリードによって、殺される直前。

 

 だが、リアス達が現れた事によって、その形成は逆転しそうになった。

 

「マジですか、マジですか! 

 

 これは正直に言うとピンチですねぇ! 

 

 そんな時に、便利なのが、このアイテム!!」

 

 その言葉と共に、フリードが懐から取り出したのは、半透明の金色のアイテムだった。

 

「なんだっ、それは」

 

「親切な親切な巫女様からの贈物だよ。

 

 まぁ、一回しか使えないけど」

 

 その言葉と共に、フリードはそのままそのアイテムにカードを読み込ませる。

 

『モンスロード! デマーガ!』

 

 その音声が鳴り響くと共に、金色のアイテムは砕け散る。

 

 それに合わせるように、家を破壊するように現れた巨大な恐竜を思わせる怪獣。

 

「あれって、まさか、怪獣っ! 

 

 なんでっ」

 

「本当に、一体何なのかしらね、あれらは」

 

 そう言いながらも、リアスはそのまま睨みつける。

 

「いやぁ、凄いですねぇ! 

 

 強いですねぇ! 

 

 しかも、おまけも、分かっていますよねぇ!」

 

 同時にリアス達は後ろを見れば、先程まで転移で使っていた魔法陣が消えていた。

 

「どうやら、結界に閉じ込められようですわね」

 

「つまりは、あれをなんとかしないといけないようね」

 

「けどけど、勝てるかなぁ! 

 

 この大怪獣くぅ」

 

 そうフリードが言おうとした次の瞬間、怪獣はそのままフリードを尻尾で吹き飛ばしてしまう。

 

「ぎょえぇぇ!! 

 

 なんだ、こいつっ、全然言う事、聞かねぇ!!」

 

「なっ」

 

 所有者の言う事を聞かない。

 

 それは、つまり暴走状態を意味をしていた。

 

「どうすればっ」

 

 そう考えながらも、思考する。

 

「朱野、私達の攻撃は」

 

「おそらくは通じないでしょう。

 

 まず、身体の大きさが違いすぎます。

 

 例え、当たったとしても、それ程、ダメージは与えられないでしょう」

 

「えぇ」

 

 そう、言いながら、全員が物陰に隠れる。

 

 幸い、怪獣は、その巨体故にリアス達を見つける事が困難な様子だった。

 

 それでも、このままでは街が破壊されてしまう。

 

「どうすれば」

 

 そう、言っていた時だった。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンアグル!』

 

 夜の住宅街、その存在は現れた。

 

 青い光と共に現れたのは、青い巨人。

 

 その名は既に知られている。

 

「ウルトラマンアグル」

 

 その言葉と共に、夜の住宅街での戦いが始まろうとした。

 

 デマーガは、その口を大きく開くと共に、真っすぐとウルトラマンアグルに向かって炎を吐き出す。

 

 それに対して、ウルトラマンアグルは右手を前に出すと同時に叫ぶ。

 

『ガイア!!』

 

 叫び声と共に出現したのは巨大な光の盾だった。

 

 その盾によって、炎は全て防がれてしまう。

 

 そして、次の瞬間にはアグルは走り出していた。

 

「行くぞ!!」

 

 そう言うと同時にアグルは高く飛び上がる。

 

 それを見て、デマーガも反応して上を見上げる。

 

 だが、それよりも早く、アグルが右腕を振るう。

 

 それと共に現れたのは青く透き通る細い光の剣だった。

 

 光の剣は、そのまま迫りくるデマーガの炎を一閃。

 

 炎は真っ二つに切り裂かれ、そして、炎の勢いは無くなり、街への被害はほとんど出なかった。

 

 それと共に、ウルトラマンアグルはそのまま真っすぐとデマーガに向かって走り出す。

 

 それに対して、デマーガはさらに次々と炎を放っていく。

 

 だが、ウルトラマンアグルはその炎を街への被害を出さない為に避けながら接近していく。

 

「これなら……行けるな」

 

 そんな事を呟きながらも、アグルは冷静に動き続ける。

 

 デマーガの攻撃を避け続け、隙を見つけると同時に一気に攻め込むつもりだった。

 

 だが、その時だった。

 

 デマーガから放たれた炎の一部が街の方に飛んで行ってしまう。

 

 それに気づき、アグルはすぐにそちらへと走る。

 

 しかし、それでも間に合わない。

 

「っ!」

 

 アグルは、デマーガの炎を街から守る為に、その身を盾になる。それと同時にデマーガの炎が街を襲う。

 

 その炎が直撃した時、大きな爆発音が響いた。

 

 だが、煙が晴れるとそこには無傷の街の姿があった。

 

 いや、正確には無傷ではない。

 

 先ほどまで、人々が歩いていた道路には無数の穴が開いていたのだ。

 

 その穴の中心にいるのは、ウルトラマンアグルが、その身を盾に守ったおかげだ。

 

 だが、その姿も少しばかり変わってしまっていた。

 

 全身のカラータイマーの色は赤に変わり、点滅している。

 

 それだけでもかなり危険な状態だという事がわかるだろう。

 

 さらに言えば、デマーガの攻撃を完全に防ぐ事は出来なかったのか、体中から血を流していた。

 

 だが、それでもアグルはまだ諦めていなかった。

 

 再び、アグルセイバーを構える。

 

 デマーガは、アグルの行動を見てすぐに突進してくる。

 

 それを受け止める為、両手を広げて待ち構える。

 

 デマーガは、ウルトラマンアグルに向かって、再び炎を放った。

 

 だが、その炎を前に、ウルトラマンアグルは、両手を前に構える。

 

 すると、アグルの光が、まるで渦のように回り、一つの光球へと形成していく。

 

 同時に、ウルトラマンアグルに迫ってくる炎は、その回転に巻き込まれ、消えていく。

 

 それに驚きを隠せないデマーガの隙を、見逃さなかった。

 

 ウルトラマンアグルは、そのまま形成した光球を真っすぐと、デマーガに向けて放つ。

 

 放たれた光球、フォトンスクリューはデマーガに直撃する。

 

 それによって、デマーガは、その胴体に穴を開き、同時に爆発する。

 

「今よ」

 

 その言葉と共にデマーガの消滅と同時に、結界が破壊される。

 

 それはつまり、転移の魔法陣が使える事を意味をした。

 

「でもっアーシアがっ」

 

 そう、叫びながら一誠は手を伸ばす。

 

 だが、既に転移は行われた後だった。

 

 無力なまま、一誠はそのまま姿を消した。




「ふむ、やはり複製しても、本来の能力は発揮されないか。
過去のダミーダークスパークを元に作ってみたが、やはりあれのような精巧な偽物は作れないか。
だが、混乱させるには十分のようだね」
「あれが、怪獣をね。
けど、言う事を聞かないなんて、役立たずじゃないの」
「仕方ない。
あのフリードには怪獣使いの才能がない。
操るという手段がない以上、従うはずがないさ。
だからこそ」
「えぇ、私は、この力で絶対に成り上がって見せるわ」


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覚悟

一誠は、その光景を見て、後悔した。

 

先日の戦いで、目の前でアーシアが攫われてしまった。

 

自分を殺した相手である堕天使を前に、手も足も出せなかった。

 

殺された恐怖が、止めていた。

 

それによって、友達を、助ける事ができなかった。

 

「なんで、なんで、こんな時にっ」

 

そう、一誠は、思わず叫んでしまう。

 

それと共に、一誠の横に立っていたのは、麻中だった。

 

「お前っ、今まで、どこにっ」

 

「色々あった。

それよりも、俺に何の用なんだ」

 

「何もあるかよっ、お前が、ウルトラマンが、早く来てくれなかったから」

 

「来てくれなかったら、なんだ?

それよりも、ウルトラマンって、何の話だ」

 

そう言いながら、麻中は変わらない様子で、一誠に言う。

 

「お前が来るのが遅かったせいで、アーシアが攫われた。

お前が早く助けに来てくれなかったら」

 

「お前は、何もしなかったのか」

 

「っ」

 

その言葉に、一誠は、何も言えなかった。

 

いや

 

「俺なんかに何ができるんだっ」

 

そう、一誠は、手を強く握り絞める。

 

「さぁな。

けど、始めから他人頼りにしている奴には、誰も助けてくれないさ」

 

「っ」

 

その言葉と共に、一誠は目を見開く。

 

「まぁ、俺は結局、そのウルトラマンというのが、なんだか分からないけどな」

 

同時に麻中はそのまま去って行く。

 

なぜ、彼がここにいたのか、一誠は分からない。

 

それでも。

 

「あぁ、そうだよな。

俺の友達はっ俺が、助けないと!!」

 

その言葉と共に、その決意が動かした。

 

一誠は、それと共にアーシアを助ける為に動き出す。

 

やがて、一誠の動きは、アーシアを助ける為に動き出した。

 

それを、麻中は見つめていた。

 

「・・・俺も、人の事は言えないのにな」

 

そう、自虐にも似た声を言いながら、見つめる。

 

それに対して、応える声は、本来ならばなかった。

 

だが。

 

『それでも、君は誰かの為に戦う。

その心が、僕達を確かに呼んでいる』

 

そう、ディメンションナイザーから聞こえた声が、麻中は。

 

「だったら、俺は。

その期待に応えるように。

そして、せめてあいつが自分の意思で貫けるのを見届ける」

 

それと共に感じた違和感。

 

同時に見つめた先には、一誠達が、アーシアを助けようと、乗り込んだ教会からだった。

 

その違和感の正体はすぐに分かった。

 

それは、巨大な石を思わせる何かであり、その姿を見せた存在が、空間を歪ませる。

 

「ブルトン、厄介な奴が出てきた」

 

その周囲は、これまでの結界以上に、異質な空間へと変わっていた。

 

それは、まるで、その周囲にいる者達を惑わせる事に特化するように、歪んでおり、その場にいる全員が、困惑を隠せない様子だった。

 

「悪いが、覚悟を決めた兵藤達の邪魔はさせない」

 

『だったら、行こう、麻中君』

 

そう、麻中は頷きながら、その手にはディメンションナイザーを手に持っていた。

 

同時に、麻中の腰になるカードケースから、まるで意思を持つように現れたカードを、その手に持つ。

 

「未来を築く、希望の光!!ウルトラマン…トリガーッ!!!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマントリガー!』

 

その叫びに合わせるように、ディメンションナイザーから出てきたゲート。

 

そのゲートから飛び出てきたのは、ウルトラマントリガーは、そのまま現れると共に、目の前にいるブルトンへと目を向ける。

 

『悪いが、これ以上、お前の好きにはさせない!』

 

同時に、ウルトラマントリガーは真っ直ぐとブルトンへと接近する。

 

ブルトンは同時に、ウルトラマントリガーの存在に気づくと共にブルトンは体表の孔から四次元繊毛を出し、ウルトラマントリガーを無理矢理転移させる。

 

勢い良く、空を飛んでいた事もあってか、ウルトラマントリガーは、そのまま地面へと叩きつけられる。

 

『「ぐっ」』

 

ウルトラマントリガーが地面に叩きつけられると同時に、その同箇所を痛むように麻中の顔は歪む。

 

しかし、ウルトラマントリガーはすぐに反撃するように、その手には専用武器であるサークルアームズを手に、構える。

 

ブルトンは、さらに追撃するように、四次元繊毛を動かし、無数の光線をウルトラマントリガーに放っていく。

 

『麻中君!』

 

「あぁ!」

 

同時に麻中はディメンションナイザーに新たなカードをスキャンする。

 

『ディメンションロード!GUTSスパークレンス』

 

音声が鳴り響くと同時に、麻中の目の前には機械の銃が浮かび上がる。

 

それを手に取る。

 

それと共に麻中の手には、かつての戦いで仲間となったゴモラのカードがGUTSハイパーキーへと変わると共に、GUTSスパークレンスにセットする。

 

『BOOSTUP!ショックウェーブ!』

 

鳴り響く音声と共に、麻中は構える。

 

その狙いはブルトンの四次元繊毛。

 

それを察したブルトンは、麻中に向けて、攻撃を仕掛ける。

 

『させない!!』

 

同時にウルトラマントリガーは、その手にあるサークルアームスの刀身に光を纏わせると共に、襲い掛かる攻撃を切り払う。

 

そして、その四次元繊毛に向けて、真っ直ぐと銃口を合わせる。

 

それと共に、引き金を引く。

 

放たれた、超振動波は、ブルトンの四次元繊毛を破壊した。

 

それに、戸惑いを隠せないブルトンに対して、ウルトラマントリガーは、すぐに構える。

 

両腕を前に突き出し交差させてから大きく横に広げてエネルギーを溜める。

 

『「ゼペリオン光線!!」』

 

その際、光のラインが広がりながら、トリガーはL字に構えて放つ。

 

その一撃を食らい、ブルトンは消滅する。

 

「ふぅ、ありがとうございます!

ケンゴさん」

 

『また、助けが必要な時は、呼んでね』

 

その言葉と共に、ウルトラマントリガーはディメンションナイザーを通していなくなる。

 

「ふぅ、さて、今は」

 

そう言いながら、麻中は教会へと目を向けると。

 

「アーシアァ!!」

 

聞こえた絶叫。

 

それと共に見えたのは、裸鼠を思わせる怪獣、ノスフェルが現れた。

 

「本当に悪趣味だな」



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覚悟を決めて

一誠は教会で戦った。

 

麻中の言葉に感化された事もあった。

 

そして、何よりも、自分の友達であるアーシアを助ける為に戦った。

 

しかし、教会で辿り着いた瞬間には、あと僅かだった。

 

「ふふっ、あと少しで、この神器は、私の物になるわ」

 

「アーシアをっ離せっ!」

 

そう、一誠は、その身に宿る神器を、発動させ、向かって行く。

 

それに対して、堕天使レイナーレは、その手には黄金の召喚器があった。

 

「実験には丁度良いわ」

 

『モンスロード!ノスフェル!』

 

鳴り響く音声と共に一誠はすぐに警戒するように構える。

 

だが、次の瞬間、その場にいた全員が予想もしていない状況が起きた。

 

「えっ、何よこれっ」

 

そう、レイナーレが言っている間にも、召喚器から出てきた黄金のカードは、上に現れると共にレイナーレに降り注ぐ。

 

同時にその姿は徐々に変わっていく。

 

内側から書き換わるように、徐々に肉体が膨れ上がる。

 

「聞いていないわっ私はっ至高のっ」

 

その言葉を最後に、おそらく堕天使としてのレイナーレは完全に死んだ。

 

同時にレイナーレだった物は、そのまま膨れ上がり、まるで裸鼠を思わせる怪物ノスフェルへと変わる。

 

「なんだよっ、あれはっ!」

 

そう言っている間にも、ノスフェルの視線は周りを見渡す。

 

同時に、その舌先を真っ直ぐと伸びた。

 

「えっ、何できゃぁあ!!」「そっそんなっ!!」

 

そう疑問に思っている間にも、一誠以外に教会にいたはぐれ悪魔祓いや同族であったはずの堕天使を次々と喰らう。

 

ぐちゃりぐちゃりと気味の悪い音を響かせながら、その身体から出てきたのは、人間によく似た気味の悪い存在ビーストヒューマンだった。

 

「っ」

 

それは、とても人間ではない。

 

その恐怖に、一誠は身体が竦む。

 

しかし

 

「俺はっもぅ恐怖に屈しないと決めたんだ!!」

 

「その通りだね、一誠君」「・・・少しは見直しました」

 

その言葉と共に、一誠に襲い掛かろうとしたビーストヒューマンの攻撃を木場の魔剣が鉤爪を受け止め、小猫が吹き飛ばす。

 

「この状況。

さすがに放っておけないわね」

 

「部長!」

 

見ると、そこには一誠の主であるリアス・グレモリーだった。

 

「あそこにいる怪獣は、既に堕天使の勢力とは関係ない。

ならば、街を守る為に戦えるわ」

 

「はいっ」

 

その言葉と共に、一誠は真っ直ぐと走り出す。

 

見つめた先には、ノスフェルがまるで悪趣味に見せるように、アーシアを額に貼り付けにしている。

 

それは、まるでキリストの磔刑の十字架のように貼り付けられているアーシア。

 

そのアーシアを助ける為に、一誠は走り出す。

 

上を見上げる程に巨大なノスフェル。

 

そのノスフェルからアーシアを取り戻す為に真っ直ぐと走る。

 

人間の頃ならば、不可能だった。

 

だが、悪魔となった事で身体能力が上がった一誠。

 

そして、悪魔の駒の力によって、女王へと切り替えて、そのまま向かって行く。

 

ノスフェルは、すぐにビーストヒューマンが襲い掛かろうとする。

 

だが、それに対して、木場や小猫達が、邪魔をする。

 

それでも、真っ直ぐと、アーシアの元へと向かう。

 

ノスフェルは、それに対して、巨大な口を開き、一誠を喰らおうとした。

 

それに対して、一誠は想像する。

 

その手には彼が宿した神器、龍の手が現れる。

 

しかし、その形は、一誠の覚悟に応えるように変わる。

 

そして、その構えは、一誠にとっては初めて見たウルトラマン。

 

ウルトラマンメビウスが放った技を模倣するように構える。

 

「ふっとべぇ!!」

 

それと共に、龍の手、赤龍帝の籠手から鳴り響く音と共に、ノスフェルの口内は弾け飛ぶ。

 

同時に十字架に縛られたアーシアは、その衝撃から解放され、そのまま一誠が抱き上げる。

 

「アーシアっ」

 

僅かに息がある。

 

それは、彼女から神器を奪う為に、わざと生かしていただろう。

 

その事情を知らない一誠だが、安堵する。

 

しかし、その最中。

 

「イッセー!」

 

聞こえる声。

 

見ると、ノスフェルは瞬く間に再生、その鉤爪は、地面に落ちる一誠に向かって、振り下ろそうとした。

 

「こんな所でっ」

 

そう、考えた時だった。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンZ』

 

聞こえた音声と共に、その鉤爪は届かなかった。

 

突然現れた光の刃によって、それらは斬り刻まれ、同時に地面に落ちる一誠を受け止める手があった。

 

「あれは」

 

「ウルトラマン」

 

そこに現れたのは光の巨人だった。

 

胸には特徴的なZのマークが刻み込まれているカラータイマーがあり、鎧を身に纏っている。

 

その名もウルトラマンZ。

 

ウルトラマンZは、一誠達を受け止めると共に、地面へとそっと降ろす。

 

同時に、ノスフェルへと向けて、構える。

 

ノスフェルは、その事が気に食わないのか、すぐにその鉤爪で攻撃を仕掛けてくる。

 

それに対して、ウルトラマンZは、瞬時に蹴り上げる。

 

軽やかな動き。

 

同時に頭部のトサカの横にあるスラッガー状の部位から三日月状の光刃を飛ばす。

 

その光刃を連結させ、まるでヌンチャクのように操り、迫るノスフェルを斬り刻む。

 

まさに神業と言うべき動き。

 

しかし

 

「あの怪獣。

異常な再生能力を持っています」

 

そうしながら、迫るヒューマンビーストを対応しながら、姫島は呟く。

 

「えぇ、先程の一誠が吹き飛ばした頭部も既に再生されている。

厄介な敵なのは、間違いないわ」

 

「けど、どうやって」

 

そう考えていた時だった。

 

ウルトラマンZの身体に光が宿る。

 

それは先程までの青一色から一変、複雑な模様が多く刻まれた姿へと変わる。

 

「姿が変わった」

 

「あれって、確か」

 

一誠自身も、以前、見た事のある。

 

ウルトラマンダイナが色を変えた。

 

それと同じだと思った。

 

しかし、次の瞬間、驚くべき光景が広がった。

 

ウルトラマンZが指パッチンを行うと同時にウルトラマンZの身体から現れたのは、3人のウルトラマン。

 

その中には、一誠自身も目撃したダイナの姿もあった。

 

「えっ、どっどういう事なんだっ」

 

驚きを隠せない一誠を余所に次々と動いていく。

 

ウルトラマンティガは瞬時に、スカイタイプへと変身すると同時にその手から放った冷気で瞬く間にノスフェルを凍らせる。

 

凍らせ、身動きが取れなくなったノスフェルに対して、ダイナもまたミラクルタイプへとタイプチェンジすると共に、そのままノスフェルを宙へと浮かせる。

 

それによって、完全に身動きが取れなくなったノスフェルに対して、ウルトラマンZとウルトラマンガイアは同時に構える。

 

「ゼスティウム光線!」

 

ウルトラマンZがゼスティウム光線を、ウルトラマンガイアが放ったフォトンエッジによって、ノスフェルは、その細胞を残さず倒される。

 

「まさか、ここまでなんて」

 

そう、言っている間にも、ウルトラマンZの姿は徐々に消えていく。

 

「ありがとうな」

 

そう言いながら、ゆっくりと一誠は、疲れと共に気絶する。



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出会い

『この世界で、あいつらが狙うのは、結局何か調べてくれないか』

 

「えぇ、分かっています」

 

 そう、麻中は光の空間の中で、目の前にいるウルトラマンゼロと会話を行っていた。

 

『それにしても、まさか堕天使や悪魔。

 

 地球の神話に出てくる存在が、数多くいる世界だとは、思わなかった』

 

「俺も、長い間住んでいて、知らなかったです。

 

 けど、奴らの狙いは結局、分かりませんからね」

 

『あぁ、確かに数多く存在するが、他の世界にもいる。

 

 決して、珍しい存在ではない。

 

 問題は、それらの中で、奴らが狙っているのが何かだ』

 

「そこは、俺に任せて下さい」

 

『頼んだ』

 

 その会話を終えると共に、麻中はそのまま後ろにある扉から出て行く。

 

 それはディメンションナイザーを通じて、ゲートから再び外に出る。

 

 ディメンションナイザーは、様々な次元に繋がる事ができる万能アイテムである。

 

 その為、緊急避難先としてヒーローズゲートを通じて、別の空間への転移も可能となっている。

 

「それにしても、奴らが狙っているのは一体」

 

 そんな考えと共に、考察しながら、気配を感じる。

 

 それが一体何なのか、理解するよりも前に走り出す。

 

「本当、一体っどうなっているのっ」

 

 感じた気配。

 

 見つめた先には、駒王学園の制服を身に纏っていると思われる少女。

 

 黒髪の少女は、後ろから追っかけてくる存在に目を向けていた。

 

 そこにいたのは木々を遙かに超える巨大な恐竜。

 

 それらは、真っ直ぐとアカネに襲い掛かろうとしていた。

 

「なんでっこっちに戻ってきた途端にっ」

 

 その悲痛な声が、聞こえた。

 

 それに対して、麻中はすぐに動き出した。

 

 恐竜が、真っ直ぐと少女に襲い掛かろうとする寸前。

 

 麻中は、少女を抱き抱えるように、そのまま避ける。

 

「えっ、君っ、誰!」

 

「悪い! 

 

 けど、今、なんとかするから」

 

 その言葉と共に、腰にあるディメンションナイザーを取り出す。

 

「えっ、ネオバトルナイザー?」

 

 それは、一体何なのか、疑問に思いながらも、瞬時に麻中はカードをスキャンする。

 

「光の力、お借りします!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンオーブ!』

 

 その音声が鳴り響くと同時に、その姿が現れたのは、オーブだった。

 

 だが、その姿は普段のオーブと比べれば、全身が赤く染まっている。

 

「ふぅ」

 

 そのまま、オーブはその姿は弱体化している事もあってか、あまり力を発揮出来ていない。

 

 それでも、オーブは目の前に襲い掛かってくる恐竜達。

 

 対して、襲い掛かったオーブは襲い掛かった恐竜を次々に倒していく。

 

 地上から、飛び掛かってくる恐竜に対して、オーブは回し蹴りを放ち、上空へ吹き飛ばすと、そのまま、空中にいる状態で、両腕を広げると、そこから光の輪っかが出現して、それを掴んで投げ飛ばしていく。

 

 そして、地上へと着地すると、今度は頭突きで、相手を怯ませると、すかさず、両手を合わせる事で、エネルギー状の刃を生み出し、それを一気に振り下ろした。

 

 それにより、相手の身体を真っ二つにする。

 

 しかし、恐竜は未だに数は多かった。

 

 周りの木々に隠れながら、次々と現れる。

 

 暗闇の中から襲い掛かる恐竜に対して、オーブは構えを取ると、手を前に出す。

 

「ハァ!」

 

 その声と共に、腕を突き出し、光のエネルギー波を放つ。

 

 それはまるでレーザービームのように、地面や木を貫きながら進んでいき、恐竜達に直撃する。

 

 それによって、数体を巻き込み、爆発した。

 

 だが、未だに恐竜達は襲い掛かる。

 

 しかし、その狙いはオーブではなかった。

 

 オーブの近くにいる少女だった。

 

 それに対して、オーブは少女から守る為に赤色の光輪を恐竜達に放つ。

 

「ぐっ……」

 

 それによって、動きを止める。

 

 だが、それでもまだ、数が多かった。

 

「くそ……数が多すぎる」

 

 そう、麻中はそう言いながらも、オーブは諦めずに戦い続ける。

 

「っ! 

 

 ガイさん、俺達と一緒に、空を飛べますか!」

 

 その一言と共に、オーブは察したように頷くと共に、麻中と少女を乗せると共に、空えhと飛ぶ。

 

 それに会わせて、恐竜達は、すぐに追いかけてきた。

 

 森の中から、恐竜達が次々と現れる。

 

 それと共に、オーブと麻中と見つめ合い、頷くと同時に、オーブはそのまま宙へ投げる。

 

「えっきゃぁぁあ!!」

 

 その事に驚きを隠せず、悲鳴をあげる少女。

 

 同時に、オーブはそのまま腕を重ねる。

 

「オリジウム光線!」

 

 同時にオーブが放った光線は、真っ直ぐと恐竜達に向けて、放たれた。

 

 恐竜達は、その光線を浴びて、一瞬で全滅する。

 

 同時に、空へと投げ出された麻中達をすぐに救出すると共に、そのまま地上へと降り立つ。

 

「ありがとうございます、ガイさん!」

 

 その言葉と共に、オーブは頷くと共に、その姿が消えていく。

 

「なんとか、なったか。

 

 あっ」

 

 それと同時に、思わず目の前の少女に力を見せてしまった。

 

 その事に戸惑っていると。

 

「今の、ウルトラマンオーブだよね! 

 

 しかも、オリジン・ザ・ファースト! 

 

 どうして!」

 

「えっ、なんで、君が、それを?」

 

「えっと、それは私がまぁ、そういう特撮が好きで。

 

 特にウルトラマンや怪獣なんかが」

 

「ウルトラマンの事を知っているのか? 

 

 なんでだ」

 

「あぁ、やっぱり引くか。

 

 けど、現実でウルトラマンを出す君だって」

 

「いや、そもそも、ウルトラマンが特撮って、どういう事なんだ」

 

「……えぇ、まさか、こういうパターン」

 

 その言葉に目の前にいる少女は苦笑いをする。

 

「いや、確かに部屋に違和感はあった。

 

 けど、六花との約束を守りたいから、頑張って帰ってきたら、まさかの超時空の大決戦なの」

 

 そう、何やらぶつぶつと言っていく。

 

「あの、君の名前は?」

 

「あぁ、うん。

 

 そうだね、自己紹介をしておかないと」

 

 そう、少し落ち着いた様子で、彼女は麻中を見る。

 

「私は、新条アカネ」



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その過去は

恐竜からの襲撃から翌日。

 

同じ学校という事で、放課後に再び話す事にした。

 

そして、誰も来ないだろう公園で、話していた。

 

「えっ、タロウの息子にZの弟子!

しかも、これって明らかにティガとダイナだよねぇ!!

えぇ、私の知らないウルトラマンが、こんなに沢山いるなんてぇ!!」

 

そう言いながら、麻中の目の前にいるアカネと呼ばれた少女は、興奮するように見つめていた。

 

それは、麻中が手にしていたディメンションナイザーにあるカードで、ウルトラマンの事を本当に知っているかどうかの確認だった。

 

その結果、ロッソとブルまでのウルトラマンの存在は知っているようだったが、それ以外のウルトラマンは知らなかった。

 

「それにしても、ウルトラマンが存在せずに、番組として放送されていた世界か」

 

麻中自身も、その事については理解していた。

 

ウルトラマンの1人であるガイアから、似た経験をしていた事を以前聞いた事があり、アカネはそれに似た人物である事。

 

しかし、アカネの事については、以前から駒王学園に所属しており、彼女自身も通っていた学校がそこだと理解していた。

 

「あぁ、もしかしたら、私、平行世界から来た?

それとも、融合した?」

 

そう、疑問に思うように首を傾げる。

 

彼女自身、それがどういう訳か理解出来ていない様子だった。

 

実際に彼女は並行同位体という可能性があった。

 

だからこそ、疑問に思ったのは、彼女を狙う理由。

 

「あいつらは、一体何を」

 

「んっ、どうしたの?」

 

「いや、少し疑問があってな」

 

そう言いながら、首を傾げながら言う。

 

そんな会話を行っている間だった。

 

彼らの周りを取り囲むように何かが発生する。

 

最初に気づいたのは、アカネだった。

 

「これは」

 

その様子に、何かに気づいたように、周りを見渡す。

 

そこには人影などない。

 

だが、確かにいる。

 

そんな疑問に思っている間にも、しゅるりっと、何かが近づく気配がした。

 

「っ!」

 

それに気づいた麻中は、すぐに彼女を抱えて、その場を離れる。

 

同時に、先程まで座っていたベンチはたちまち破壊される。

 

「えっ、何っ何なのっ!」

 

疑問に思っている間にも、見つめた先には怪獣が一匹いた。

 

巨大な、まるでナメクジを思わせる怪獣が。

 

その怪獣の名はペドレオン。

 

かつて、ウルトラマンネクサスの世界に現れたスペースビーストの一体であり、スペースビーストの中でも気味の悪い怪獣だった。

 

「あいつら、またっ」

 

そう言っている間に、新条を見つめる。

 

すると

 

「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」

 

それと共に、怯えるように声を出していた。

 

それが、何を意味をしているのか、分からない。

 

だが、その怯えは尋常ではなかった。

 

『これはっ、マイナスエネルギー!

しかも、この量は異常だっ』

 

ディメンションナイザーから聞こえたゼロの言葉に麻中は疑問に思う。

 

「マイナスエネルギーだって」

 

その言葉に疑問に思いながらも、すぐにペドレオンを睨む。

 

「まさか、彼女を狙った理由は、これが」

 

それが本当なのか、未だに分からない。

 

それでも、麻中はすぐに手にカードを取る。

 

「どんな理由か分からないけど、絶対に許さない!」

 

その言葉と共に、手に持ったディメンションカードを構える。

 

「輝け、フラッシュ!デッカーッ!!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンデッカー!』

 

その音声が鳴り響くと同時に、ディメンションナイザーを通じて現れたウルトラマンデッカーがすぐにペドレオンを吹き飛ばす。

 

ペドレオンは、ウルトラマンデッカーの存在に気づくと同時に、触手を真っ直ぐと放つ。

 

それに対して、ウルトラマンデッカーは光を右手に集めて、光のカッターリングを投げる。

 

それによって、ペドレオンの触手は斬られる。

 

同時に、ウルトラマンデッカーはそのまま真っ直ぐと殴り、ペドレオンを吹き飛ばす。

 

「よしっ、これだったら!」

 

だが、そんな声とは裏腹に、ペドレオンは頭部の触角から放つ火球、触手からの電撃を放っていく。

 

それに対して、ウルトラマンデッカーは、真っ向から受け止めながら、そのまま力強く殴る。

 

だが、その攻撃を正面から受け止めたペドレオンの様子は、まるで余裕だった。

 

「『なっ』」

 

それに疑問に思っている間にも口を発光させて放つ衝撃波がウルトラマンデッカーに襲い掛かる。

 

後ろに吹き飛ばされ、驚きを隠せなかった。

 

「一体、どうなって」

 

「私が殺したっ、私がっ、不快な絡みだと思ってっ」

 

「新条」

 

その言葉の意味は、どういう事なのかは、麻中は疑問に思う。

 

だが、それよりも早くペドレオンに向ける。

 

「新条、お前が何をしたのか、分からない。

けどな、お前を、こんな所では絶対に死なせない」

 

「麻中君」

 

「なぁに、心配するな。

ここには、俺がいや俺達がいる!

そうでしょ、カナタさん!」

 

その言葉を、ウルトラマンデッカーは頷く。

 

両手を握り拳にし、胸の前で両腕をクロスしてから左右に広げる。

 

それによって、デッカーの身体は赤く、燃え上がるような姿へと変わる。

 

「あれは、ダイナのストロングタイプに似ている」

 

「あぁ、そうだ。

だったら、分かるはずだろ!」

 

同時にデッカーはそのまま走り出す。

 

ペドレオンは、それに対して、すぐに触手を伸ばす。

 

しかし、デッカーはその拳を炎で纏わせ、殴る。

 

その瞬間、触手は、蒸発し、消滅する。

 

それに驚いているペドレオンに対して、さらに追撃するように、重く、熱い拳を次々と殴っていく。

 

それによって、ペドレオンは、徐々に燃えていく。

 

それでも、ペドレオンは、真っ直ぐと触手を、新条に襲い掛かろうとする。

 

「っ」

 

瞬間、恐怖で泣きそうになる。

 

だが、麻中は、彼女を守るように前に出る。

 

「言っただろ、やらせねぇって!!」

 

その言葉と共にペドレオンの触手が止まる。

 

それは、ペドレオンがウルトラマンデッカーの放った一撃によって吹き飛ばされていたからだ。

 

見れば、ウルトラマンデッカーは拳を突き上げており、ペドレオンは空高く、燃えながら、消えていた。

 

「ドルネイドブレイカー」

 

その一言と共に、確かに燃やし尽くした。

 

「新条」

 

「ごめん」

 

「気にしないでくれ。

だからこそ、教えてくれ。

君は、過去に何があったんだ」

 

「・・・うん、分かった」

 

その言葉と共に新条から、その話を聞く事になった。



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罪と向き合って

新条から麻中はその話を聞いたが、とても信じられない内容だった。

 

それは、こことは違う世界で、神に近い存在になった事。

 

その世界において、自分が気に入らない人に対して、怪獣を作り、殺した事。

 

それらの罪を今でも忘れないように、涙を流しながら、告白した。

 

同時に、麻中は、その話の中にある確信を持てた。

 

「だからこそ、狙ったのか」

 

それは、新条の中にある怪獣を作り出す事ができる能力。

 

この世界に戻ってから、その能力はなくなったと聞いた。

 

しかし、それを何かの方法で力を発揮する可能性がある。

 

「ははっ、幻滅したかな」

 

「それは、どうだろうな。

昨日今日会ったばかりだからな。

それでも、自分の罪と向き合っているんだたら、良いんじゃないか」

 

「なんだか、軽いね」

 

「そうでもないよ。

何よりも、自分の罪を向き合っているのは、ウルトラマンもだから」

 

「ウルトラマンも」

 

その言葉に新条は、見つめる。

 

「ウルトラマンの事を知っているならば、分かるはずだろ。

ティガさんに、ヒカリさんも」

 

「…そう言われると」

 

ウルトラマンティガは、今でこそ光の巨人だが、古代では闇の巨人として、人を殺していた。

 

ウルトラマンヒカリもまた、ボガールの復讐の為に、多くの罪を背負った。

 

これまで、数多くのウルトラマンが、確かに罪を背負っている。

 

「だからこそ、罪と向き合っていくしかないんだ」

 

「そっか」

 

そう言った、新条は、どこか納得していた様子だった。

 

「向き合うしかないよね」

 

そう考えていた時だった。

 

麻中と、新条を睨むような影。

 

それに気づき、見る。

 

そこに立っていたのは、一人の巨人。

 

どこかウルトラマンに似た巨人であり、どこかメカニクルな印象があった。

 

「グリッドマン」

 

その言葉と共に、新条は見つめる。

 

グリッドマンはそのまま、麻中達に、襲い掛かろうとした。

 

だけど

 

「騙されないよ。

あの時の事を覚えているグリッドマンとは違うから」

 

まるで、その意思と共にグリッドマンの腕が徐々に剝がれていく。

 

それと共に見えたのは、一つ目の巨人、金属生命体アパテーだった。

 

同時に、麻中は懐からディメンションナイザーを取り出す。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンリブット』

 

ディメンションナイザーから鳴り響く音声と共に現れたウルトラマンリブットは、そのまま地上へと降り立つと同時に、目の前にいるアパテーと対峙する。

 

アパテーもまた、ウルトラマンリブットの存在を感知すると共に、その右腕を槍へと変え、そのままウルトラマンリブットに向ける。

 

対して、ウルトラマンリブットもまた、その手に光の槍であるスプレッダーロッドを手に取り、構える。そして、両者が動き出す。

 

まず先に動いたのはアパテーであり、その全身を変化させながら、槍として突き出す。

 

だが、それをスプレッダーロッドによって弾くと、今度は逆にウルトラマンリブットの方から攻めていく。

 

そのスピードを活かした移動により、一瞬にしてアパテーの背後に回り込むと、そのまま勢いよく回し蹴りを叩き込み、更に空中に飛び上がってから踵落としを決める。

 

だが、それでもアパテーを倒すには至らない。それどころか、攻撃を受けたはずのアパテーの体には一切の変化はなく、まるでダメージを受けていないかのように振る舞う。

 

それに対して、驚きながらも冷静さを失わないウルトラマンリブットは、すぐさま距離を取る。

 

同時に、アパテーは、その身体を複数の槍へと変えると、一斉にウルトラマンリブットに向けて放つ。しかし、それらは全てスプレッダーロッドによって弾き飛ばされてしまう。

 

だが、それは予想していたのか、アパテーはすぐに槍の形を変えると、再び一つの大きなランスとなる。そして、そのまま大きく振りかぶると、一気に突き刺そうとする。

 

それに対し、ウルトラマンリブットはスプレッダーロッドを突き出す。

 

光の槍と、アパテーの巨大な槍が激突する。

 

火花を散らしながら、両者は拮抗するが、やがて力負けしたのか、徐々にスプレッダーロッドが押し込まれ始める。このままでは串刺しになると判断したのか、すぐにその場から離れる。

 

そのまま、アパテーはウルトラマンリブットに追撃するように接近すると、今度は巨大なランスとなったその体で何度も突きを放つ。

 

それに対して、ウルトラマンリブットも回避行動を取りつつ、反撃の機会を探るように立ち回る。

 

だが、いくら避けても、どれだけ攻撃をしても、アパテーにダメージはない。

 

それでも、ウルトラマンリブットは冷静に、逆転の一撃を狙おうとする。

 

そんな中、ふいにアパテーの動きに変化が現れる。

 

先ほどまで、ひたすら直線的な動きしか見せなかったアパテーだったが、突如として軌道を変えながらの攻撃を開始する。

 

まるで、立体的に移動しつつ、ウルトラマンリブットを攻撃するかのように……。

 

それに気づいた瞬間、ウルトラマンリブットはその狙いに気付く。

 

ウルトラマンリブットを召喚した麻中を狙っての動きだった。

 

すぐにウルトラマンリブットは、麻中を守る為に真っすぐと飛ぶ。

 

『ブロッカーエフェクト!』

 

そう、ウルトラマンリブットの叫び声と共に麻中を守るように、巨大な光の盾を出現させる。

 

そして、その盾に向かってアパテーが突進してくる。

 

それはまさに砲弾のような勢いであった。

 

だが、それを受けてもなお、光の盾は壊れない。

 

逆に、突進してきたアパテーの方がダメージを受けていた。

 

そんなアパテーに対して、今度はウルトラマンリブットもまた、構える。

 

『ギャラクシウムブラスター!』

 

右肘の前に左手を当て、腕をL字に組んで必殺光線を放つ。

 

その光線が直撃したアパテーは、そのまま空へと吹き飛ばされる。

 

なんとか、耐えようとするが、耐えきれず、そのまま空中で爆散する。

 

それが戦いの決着だった。

 

「ふぅ、なんとかなったか」

 

「それにしても、そう思ったらうぅん」

 

戦いを終えると、新条は少し悩んでいる様子だった。

 

「新条」

 

「いや、怪獣を間近で見たら、少し興奮して」

 

「えぇ」

 

あまりにも緊張感のない様子に、思わず呆れてしまう麻中だった。




今回の話にて、2巻の間の麻中の話は終了となります。
次回からは3巻の内容となっています。
その際、3巻のキーワードである聖剣と復讐。
そのどちらかと該当するキャラをゲストキャラを選ばせてもらいました。
よろしく、お願いします。


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闇の誘い

 体育祭が行われた日。

 

 その日、木場は雨の中、帰っていた。

 

 それは彼にとって、大きな出来事。

 

 成し遂げなければならない事を思い出したからだ。

 

 だが、それを思い出したとして、それを達成するには、どうすれば良いのか。

 

 それが分からず、雨の中を彷徨うように歩いていた。

 

「こんな雨の中で、傘をささずに歩いて、どうしたんだい少年」

 

 聞こえた声。

 

 それはねっとりと、まるで粘りつくような声だった。

 

 その声を聞き、木場はすぐに振り返る。

 

 そこに立っていたのは、1人の男だった。

 

 黒いスーツを身に纏い、不気味な雰囲気を出す男。

 

 すぐに常人ではない事を察した木場は、その手に魔剣を造り出す。

 

「おいおい、そんなにすぐに殺気を出すなよ。

 

 危なくて仕方ないだろぉ」

 

 そう、造り出していたはずの魔剣は何時の間にか持ち手を残したまま刀身が無くなっていた。

 

 見れば、その男の手には何時の間にか握られていたのか、剣があった。

 

 それも放たれる剣のオーラから考えても、明らかに普通ではない。

 

 だからこそ、覚えがあった。

 

「エクスカリバーっなんで!」

 

「あぁ、そこで拾ったんだよ。

 

 あぁ、けど、いらねぇな、こんなの」

 

 そう男はまるでゴミを捨てるように、軽々とエクスカリバーを捨てた。

 

 その事に、木場は驚きを隠せずに見ていた。

 

「お前、悪魔なんだろ。

 

 それも、かなり良い闇を抱えているじゃないか」

 

 それと共に、そのまま男は、そのまま近づく。

 

 警戒しながら、何が起きてもすぐに対応できるように。

 

 そう考えていた時だった。

 

 後ろから聞こえる音。

 

 それに一瞬、気を取られた。

 

「おいおい、俺から目を離すなよ。

 

 油断は大敵だぞ」

 

 その言葉と共に、すぐに振り返る。

 

 見ると、男は何時の間にか日本刀を手に持っていた。

 

 そのまま日本刀の刀身が木場の方へと向けられていた。

 

 その一撃を避けられない。

 

 だが、その一閃は当たる事はなかった。

 

 その刀身の狙いは、木場ではなく、木場に攻撃をしようとしていた存在だった。

 

 すぐに振り返ると、そこには巨大な怪物がいた。

 

 裏の世界でも多くの生物を見ていた木場だが、その存在は、まるで見た事がなかった。

 

「ゼットンか。

 

 まぁ、狙っていた奴だから、十分だけどな」

 

 そう、その生物の正体が分かるように男はニヒルな笑みを浮かべる。

 

「あなたは、あの怪獣を知っているんですか」

 

 裏でも、未だに不明な事が多い存在を知っている。

 

 その事に木場は驚きながら聞く。

 

「くくっ、あぁ、知っているよ。

 

 だけど、お前に教える必要はあるかなぁ?」

 

 それと共に木場に向けて、そう言いながらも、ゼットンを見るのを止めない。

 

 いや、木場を敵とすら見ていない。

 

「さて、そろそろ来るな。

 

 ウルトラマンがな」

 

「ウルトラマン」

 

 それは、光の巨人の名。

 

 その事しか知らない。

 

 だが、まるで、その存在を知っているように、男は言う。

 

 それと同時だった。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンネクサス』

 

 聞こえた音と共に、見れば、そこには確かに銀色の巨人がいた。

 

 巨大な見上げる程の銀色の巨人。

 

 これまでの巨人とは違い、胸元にはハートを思わせる赤いランプがある。

 

「あれは」

 

「ウルトラマンネクサス。

 

 かつては神と同等とされた存在が弱体化した姿だ」

 

「あなたは、一体」

 

 そうしている間にも、戦いは始まろうとしていた。

 

「ゼットーン……」

 

 その唸りのような声に続けて「ピポポポポポポ……」という電子音じみた音を発するという、生物としては異質な鳴き声を発しながら、目の前にいるウルトラマンネクサスを見つめる。

 

 そんなゼットンに対して、ウルトラマンネクサスもまた、ゆっくりと構える。

 

 それと同時だった。

 

 一瞬で、ゼットンの姿が消える。

 

 その事に驚きを隠せないウルトラマンネクサス。

 

 だが、次の瞬間、背中に燃える衝撃が襲い掛かる。

 

 急いで、振り返ると、そこには火球を放ったゼットンの姿だった。

 

 ゼットンは火球を放ちつつ、ウルトラマンネクサスへと迫る。

 

 そして、火球の爆発と同時に拳を放つ。

 

 それは見事に命中し、吹き飛ばされたウルトラマンネクサスは地面を転がった。

 

 それでも何とか立ち上がろうとすると、今度は蹴りが腹部へ命中する。

 

 そのまま地面に倒れ伏す。

 

 そんなウルトラマンネクサスに対して、ゼットンは容赦なく火球を放ってくる。

 

 すぐにウルトラマンネクサスは地面を転がりながら、それを避ける。

 

 すると、またもやゼットンは姿を消した。

 

「ピポポポポポポ……ピポポポポポポ」

 

 ゼットンの声が聞こえるが、その姿を確認する事が出来ない。

 

 ウルトラマンネクサスは、すぐに立ち上がると同時に、周りを警戒するように見渡す。

 

 すると、背後から何かが迫ってくる気配を感じた。

 

 すぐさま、そちらを振り向くと、そこにゼットンがいた。

 

 しかし、その両手には火球が形成されていた。

 

 それを放とうとしているのか、ゼットンは腕を引き絞るようにしていた。

 

「ピポポポポポポ……ピポポポポポポ」

 

 そんなゼットンに対して、ウルトラマンネクサスは姿を変えた。

 

 先程まで銀一色の姿から一変、青い姿、ジュネッスブルーに変わる。

 

 ジュネッスブルーとなったネクサスはアローアームドネクサスから光の剣を生成すると共に、ゼットンの放った火球を真っ二つに斬り裂く。

 

 それにより、ゼットンの攻撃は失敗に終わった。

 

 その隙を狙って、ネクサスは走り出す。

 

 それに対して、ゼットンは次々と炎球を飛ばして来るが、それらは全て切り裂かれるか、避ける。

 

 そうして、一気に接近したネクサスはそのまま、光の剣を振るう。

 

 ゼットンは咄嵯に後ろに飛ぶ事で、それを回避する。

 

 だが、それは、ウルトラマンネクサスの狙いでもあった。

 

 ウルトラマンネクサスは胸元のエナジーコアの光を右腕のアローアームドネクサスに投影してアローモードを形成、光の弓を引き絞り、そのまま超高速の光の弓を放つ。

 

 放たれた一撃は、ゼットンを真っ二つに斬り裂き、その体を爆散させた。

 

「ピポポポポポポポ……」

 

 ゼットンの断末魔の鳴き声が響き渡る。

 

「っ」

 

 それまで、戦いを見ていた木場は、目を見開いていた。

 

「くくっ、やはり凄まじいなぁ、ウルトラマンは。

 

 まぁ、奴らも未だに本気を出していないからな」

 

「ウルトラマンの、目的を知っているんですか」

 

「目的? 

 

 そんなの、知らないよ。

 

 俺はあいつらの仲間じゃないからな。

 

 まぁ強いて言えば、この世界を守る事じゃないかな」

 

「どういう事なんですか」

 

「それは、本人に聞け。

 

 まぁ、お前はそれよりも解決しないといけない事、あるだろ」

 

 男の言葉に気づき、振り返る。

 

 そこには、男が捨てたエクスカリバーが既に無くなっていた。

 

 男がずっと隣にいた為、男が拾った可能性はないと考えていた。

 

「この街に、エクスカリバーの奴が」

 

「それじゃあな、またの機会に会おう」

 

 そう考えている間にも、男は既に消えていた。

 

 それに対して、呆然とする事しかできなかった。

 

 そして、木場の前から消えた男は、ゆっくりと歩を進めていた。

 

 その手には、先程の戦闘で倒された怪獣であるゼットンのカードがあった。

 

 同時に、近くにはディメンションナイザーを手にしていた麻中もいた。

 

「よぉ、久し振りだな、麻中」

 

「んっ?」

 

 聞こえた声。

 

 それに麻中は振り返る。

 

 同時に、目の前にいた人物に対して、驚きを隠せなかった。

 

「じゃっジャグラーさん!」

 

 そう、男、ジャグラスジャグラーがそこに立っていた。



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聖剣

麻中は、目の前にある光景に、ある意味、驚きを隠せなかった。

 

白いローブを着込んでおり、素顔は見えない。

 

僅かに青い髪に緑色のメッシュが入っている程度は分かり、倒れ込んでいる。

 

「えっと」

 

困惑を隠せない麻中はゆっくりと近づくと共に聞こえた音。

 

それは、明らかに腹の音だった。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

そう、麻中はゆっくりと問いかける。

 

それに対して

 

「腹が」

 

「あぁ、腹が」

 

その言葉に察した麻中は、鞄の中にある物を取り出す。

 

「これ、良かったら。

昼の残り物だけど」

 

そう、あまり食べなかった弁当を差し出す。

 

同時に、その女性は、そのまま弁当をガツガツと食べ始める。

 

その行動に驚きを隠せずにいる中で、そのまま食べ終わる。

 

「感謝する。

異国に来て、持っていた金は相方に渡していて、そのまま迷子になっていたから」

 

「あぁ、それは、ご愁傷様」

 

そう、麻中は未だに呆けた様子で、少女の話を聞く。

 

「それで、その。

食べ物をくれたばかりで、申し訳ないが、君は見た所、駒王学園の者のようだが」

 

「まぁ、一応は」

 

「実は、そこに用事があるんだ。

すまないが、案内してくれないか」

 

「案内ですか。

まぁ、それだったら」

 

そう、見ず知らずの人物だが、特に疑問に思わず、麻中は案内しようとした。

 

同時に、少女は後ろにある物も手を持って

 

「いや、それは駄目でしょ」

 

「なに?」

 

その言葉に、少女は疑問に思う。

 

布に巻かれた明らかに危険物を思わせるそれを見て、麻中は思わず言う。

 

「こんな怪しいの、持って行ったら、すぐに警備の人に捕まっちゃいますよ」

 

「むっ、それは心配しなくても大丈夫だ。

向こうには既にある程度、話をしている」

 

「えぇ」

 

その言葉に、麻中は思わず苦笑いをする。

 

「それで、その中身は一体」

 

「それは答えられない」

 

「えぇ」

 

ますます怪しいと思える行動に、麻中は先程以上に疑う。

 

「心配しなくても、大丈夫だ。

君には危害は加えるつもりはない」

 

「それって、学校で何かする気ですか」

 

「場合によっては」

 

「・・・」

 

それを聞いて、ますます信じられなくなったように、見つめる。

 

それに対して、少女は思わず目を逸らす。

 

「わっ分かった。

暴力沙汰にしないように注意する。

これは神に誓っても良い」

 

「・・・まぁ、その時は遠慮無く警察に突き出しますよ」

 

「あぁ、承知した」

 

そう言いながら、そのまま少女を駒王学園に案内していく。

 

「そう言えば、聞きたい事があるんだが、良いか?」

 

「なんでしょうか?」

 

「この辺では、最近になって、巨人が現れるという噂を聞いているが、何か知らないか?」

 

「巨人ですか。

まぁ、噂程度だったら」

 

「何でも良いから、教えてくれないか?」

 

そう、彼女は気になった様子で、麻中に問いかける。

 

「そうですね、俺も、彼らの事はあまり知りません。

けど、誰かを守る為に戦っていると思います」

 

「そう、確信して言えるのか?」

 

「えぇ、何度も命を救われましたから」

 

その会話を行いながらがら、向かっている最中だった。

 

ふと、違和感を感じた。

 

それは、少女も同じだった。

 

「これは」

 

「何が」

 

それは、少女も同じだったのか、背中にある物を取り出す。

 

すると、地響きが聞こえる。

 

見ると、地中から現れた巨大な存在。

 

それは恐竜を思わせる怪獣、ゴルザだった。

 

ゴルザが地上に舞い上がった際、巨大な土煙が辺り一面を覆う。

 

同時に、麻中はディメンションナイザーを取りだし、そのままスキャンする。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンビクトリー』

ウルトラマンビクトリーが地上に現れると同時に、ゴルザに向かって、真っ直ぐと走って行く。

 

地面は大きく揺れながら、巨人であるウルトラマンビクトリーと、怪獣であるゴルザが激突する。

 

そして、ビクトリーは拳を振り上げて、ゴルザに殴りかかる。

 

しかし、ゴルザも負けじとビクトリーの拳を両手で受け止める。

 

そのまま、二人は押し合いを始める。

 

お互いに力を入れて、一歩も譲らない戦いを繰り広げる。

 

「ジュワァ!」

 

ビクトリーはそのまま、空中で回転蹴りを繰り出す。

 

すると、ゴルザはその攻撃を避けきれず、まともに喰らってしまう。

 

ゴルザは地面に倒れ込みながらも、すぐに起き上がる。

 

だが、今度は逆にビクトリーが先に攻撃を仕掛けた。

 

右足を前に出して、高くジャンプして、右脚を大きく振りかぶってから、ゴルザに向けてキックを放つ。

 

この一撃により、ゴルザは再び倒れる。

 

すぐに追撃を行うように、ビクトリーは、真っ直ぐと突っ込む。

 

だが、ゴルザは額にエネルギーを集めて、紫の光線を一直線状に撃つ超音波光線をビクトリーに放つ。

 

「ジュワァッ!」

 

その一撃を受けて、後ろへと飛ばされてしまう。

 

さらに追い打ちをかけるかのように、ゴルザは紫色のエネルギー弾を放ってくる。

 

ビクトリーは足から回し蹴りの要領で放つ黄色い光線、ビクトリウムスラッシュで相殺する。

 

ゴルザは回避しようとするが、少しだけ遅く、左腕に切り傷を負う。

 

「ふんっ!」『ウルトランス!シェパードンセイバー!』

 

その音声が鳴り響くと同時に、ウルトラマンビクトリーの手に召喚されたのは、巨大な剣。

 

まるで、水晶を思わせる刀身が特徴的な剣、シェパードンセイバーを構えると同時に、真っ直ぐとゴルザへと近づく。

 

ゴルザは、すぐにその尻尾をウルトラマンビクトリーに向けて、薙ぎ払う。

 

しかし、シェパードンセイバーの鋭い斬撃は、簡単にゴルザの尻尾を切り落とす。

 

それによって、動揺を隠せないゴルザに対して、ウルトラマンビクトリーは瞬時にシェパードンセイバーを地面に突き刺す。

 

それと共に空中にV字を描いた後、光を溜める。

 

それと共に作った拳を開き。

 

「ビクトリウムシュート!」

 

その叫び拳を握るとVの光線が真っ直ぐとゴルザに向けて、発射される。

 

光線を受けたゴルザは、大きな爆発を起こして倒れた。

 

「ふぅ」

 

それと共に物陰から出てくる麻中。

 

先程の戦闘の最中、少女の方へと見る。

 

「大丈夫でしたか」

 

そう、少女の方を見る。

 

そこにはフードから素顔が見えると共に、ウルトラマンビクトリーが去った場所を見つめていた。

 

「・・・」

 

何か、呆けていた。

 

それに疑問に思いながら、少女に近づく。

 

「あの」

 

「あっあぁ、君、大丈夫だったか?」

 

「えぇ、俺は。

あなたは」

 

「あぁ、私も無事だ。

それにしても、あれが噂の巨人。

確かに凄まじい力だった。

だが、それ以上に」

 

それと共に少女は、綺麗な景色を見たような、感動したような目をしていた。

 

「あの美しい剣。

あれに、なぜか惹かれた」

 

「・・・そうでしたか」

 

その言葉に、麻中はふと笑みを浮かべていた。

 

「噂程度に聞いた話ですけど、教えましょうか?」

 

「あぁ、教えてくれ。

あの巨人は一体」

 

「ウルトラマンビクトリー。

地底を守護する存在であり、その手に持つ剣は、ビクトリーと共に戦った聖獣の魂が宿っているそうです」

 

「聖獣が宿った剣か。

不思議だな」

 

それと共に少女はそのまま麻中の方へと見つめる。

 

「そう言えば、未だに自己紹介をしていなかったな。

私はゼノヴィア。

君は」

 

そう、聞いてきた。

 

麻中の中には、あのシェパードンセイバーを心から美しいと言った少女の言葉を信じたかった。

 

「麻中裕太です」



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蛇蔵

 現在、兵藤一誠は現在、危機的状況に陥っていた。

 

 ゼノヴィア、イリナと手合せをすることになった一誠と木場。

 

 聖剣エクスカリバーを持つゼノヴィアたちを前にした木場は、冷静さを欠いた戦いをしてしまい、

 

 苦戦を強いられたあげく戦いに敗れてしまう。

 

 手合せの後、戦いに敗れた木場は、グレモリー眷属を離れ1人立ち去ってしまう。

 

 なんとか木場を呼び戻したい一誠は、エクスカリバーに打ち勝って復讐を果たしたい木場と

 

 エクスカリバーを破壊してでも取り戻したゼノヴィアたちと利害は一致していると、ゼノヴィア達に協力を願い出ようとする。

 

 そんな彼女達との会合を行った場所でのファミレスで共同戦線を張る事ができた。

 

 その共同戦線の際、木場もまた参加する事になり、無事に行われるようになった。

 

「良いねぇ、まさに青春と言うべきか」

 

 そんな彼らの会話を聞いていたと言うべきか、背後から声が聞こえる。

 

 一誠達はすぐに見ると、そこには黒いスーツを身に纏った男がいた。

 

「あなたは一体」

 

「まさか、堕天使陣営のっ」

 

 すぐに警戒態勢を取る2人だったが、それを止めたのは木場だった。

 

「あなたは結局、何者なんですか。

 

 あの時、僕の前でわざわざエクスカリバーを捨てて」

 

「エクスカリバーを捨てた? 

 

 一体どういう事なんだ?」

 

「この街でエクスカリバーに関する事を知った時の夜、あの人がエクスカリバーを持っていた。

 

 最も、すぐに捨てたようだけど」

 

「俺にはあんな物、必要ないからな」

 

 そう変わらず、コーヒーをゆったりと飲んでいる。

 

 まさしく余裕。

 

「まぁ、良い。

 

 今の俺は気分が良いからな。

 

 質問があるんだったら、答えてやるぞ」

 

「質問って、お前、エクスカリバーの事を何か知っているのか」

 

「そんなのは、知らん。

 

 そんな光の力なんて、こっちから願い下げだ」

 

 圧倒的な力を持つはずのエクスカリバーをいらないと言った男に対して、一誠達は驚きを隠せなかった。

 

 その最中、木場は

 

「ウルトラマンとは一体何なんですか」

 

「えっ、どういう事なんだ」

 

「あの時、この人はウルトラマンの事を知っている様子だった。

 

 その正体も」

 

「っ」

 

 その一言に、全員が驚きを隠せなかった。

 

「正体ねぇ、まぁ確かに知っているぜ」

 

 その様子を見ながら、愉快に笑みを浮かべる。

 

「ならば、聞きたい。

 

 彼らは一体、どこから来たんだ」

 

「どこから、それは難しいねぇ。

 

 なんだって、その出身は様々だが、まぁ最も多いのは」

 

 そう言いながら、男は、指を上に向ける。

 

「空の向こうだな」

 

「巫山戯ているのか」

 

「さぁなぁ」

 

 そう、男はその反応を楽しむように見ている。

 

「彼から聞いた話だと地底を守護する存在だと聞いたが」

 

「あぁ、ウルトラマンビクトリーか。

 

 まぁ、間違いではないな」

 

「ウルトラマンビクトリー? 

 

 誰、それ」

 

「お前が謎の壁画に夢中になった際に、死にかけた時に助けてくれた親切な青年から教えて貰った。

 

 まったく、彼ぐらいの常識があれば」

 

「はぁ、まだ言うの!」

 

「なるほどね、既に何人か会っているようだな」

 

「だったら、特徴を言ってみな」

 

 その言葉に最初こそ信じられなかったが、ゆっくりと言っていく。

 

「ギンガにメビウス、さらにはアグル。

 

 そしてZか」

 

 アグルの名を聞くと、少しため息を吐き、Zの名はどこか懐かしそうに言う。

 

「名前を知っているという事は本当に知っているようだけど」

 

「さて。

 

 まぁ、先程言った通り、ウルトラマン達の名前は合っている。

 

 何よりも、俺は嘘はつかないからな」

 

「結局、何も分からなかったじゃないか」

 

「そうか? 

 

 けど、そう慌てる事はない」

 

「どういう事だ」

 

「また、1人。

 

 新しいウルトラマンを知る可能性があるからだ」

 

「なに?」

 

 周りの空間が歪んだ感触。

 

 それと共に一誠達が窓の外を見る。

 

 そこには、まるで幾つもの昆虫が混ざった奇妙な存在が宙を舞っていた。

 

「なっなんだ、あいつらは」

 

「はぁ、嫌な奴を思い出すな」

 

「知っているのか」

 

「怪獣兵器スコーピス。

 

 異形生命体サンドロスより生み出された生物兵器だ。

 

 ベゼルブの奴を思い出すよ」

 

「せっ生物兵器っ!?」

 

 その言葉に驚きを隠せなかった。

 

「なんで、そんなに冷静に」

 

「言っただろ、もうすぐ来るって」

 

 それと同時だった。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンフーマ!』

 

『俺の名はフーマ……銀河の風と共に参上ッ!』

 

 その言葉と共に、軽く準備運動をするようにウルトラマンフーマは空に向かって飛び上がった。

 

 それを合図に、空にいたスコーピス達は、ウルトラマンフーマの存在に気づき、接近する。

 

『……行くぞ』

 

 そう言うと同時に、ウルトラマンフーマの姿は消え、次の瞬間には地上から空にいるスコーピス達に接近していた。

 

「っ!?」

 

 一瞬にして、空にいたスコーピスが切り裂かれていく光景を見て、その場にいた全員は思わず声を上げてしまう。

 

 だが、戦いは未だに終わっていない。

 

 スコーピスが一匹倒されても、他のスコーピス達はすぐにウルトラマンフーマに向かって、頭頂部からは破壊光弾を発射した。

 

 しかし、そんな光弾もフーマにとっては脅威にはならない。

 

 彼は素早く動く事で、光弾を回避し、そのままスコーピス達に肉薄した。

 

 その隙を狙うように、フーマは手刀でスコーピス達を切り刻んでいく。

 

 まるで竜巻のように、スコーピス達が切り刻まれていく。

 

 それと共にスコーピス達の狙いは自然と、フーマではなく、地上にいる兵藤達だった。

 

 スコーピス達はすぐに急降下して、兵藤達を攻撃しようとする。

 

 だが。

 

『おっと、俺に人質は無意味だぜ、なんだって』

 

 そのフーマの一言を告げると共に、既にフーマの姿は消えていた。

 

 それは、既にフーマがスコーピス達よりも早く地上に降り立っていたからだ。

 

『俺の方が、お前達よりも速いからな!』

 

 同時にスコーピス達に宣言すると共に、フーマはそのままピースサインを真っ直ぐとスコーピス達に見せる。

 

『これはピースサインじゃないぜ、2秒でお前達を倒すという意味だ!』

 

 そして、次の瞬間にはもう、フーマは地上にいた全てのスコーピスを倒し終えていた。

 

「…………」

 

 あまりの出来事に、誰もが言葉を失う中、フーマは、そのまま去って行った。

 

「フーマ。

 

 まったく、あいつと同じ出身の奴か」

 

 そう言いながら、男は立ち上がる。

 

「フーマ。

 

 あのウルトラマンは一体」

 

「それじゃ、俺は行くぜ。

 

 せいぜい、エクスカリバーだったか? 

 

 それの捜索を頑張れよ」

 

「待て、あんたは一体」

 

 それに対して、男は

 

「俺か? 

 

 ふっ、今は根無し草の男。

 

 蛇倉 正太だ」

 

 それと共に、店から出て行く。

 

 すぐに追いかけて、その後を追うが、その姿はなかった。



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限界

「それにしても、なかなかに愉快な世界じゃないか、麻中」

 

そう言いながら、先程の出来事を思い出しながら、ジャグラーは笑みを浮かべながら麻中へと話しかける。

 

 

「ジャグラーさんは、またなんでこんな所に?」

 

「なに、噂のアブソリューティアンがどんな奴なのか、少し興味を持って来ただけだ。

だけど、いるのは、それの遣いだという巫女だけだからな」

 

「だったら、既に用事は終わっているという事ですか」

 

「いいや、少し面白い奴を見つけた。

そいつがどんな選択をするのか、見てからでも遅くないからな」

 

「あぁ」

 

その言葉を聞いた麻中は何かを察したように、笑みを浮かべながら、優しく見つめる。

 

「なんだ、その目は」

 

「いえ、特には」

 

その言葉と共に、麻中は手元にあるディメンションナイザーに目を向ける。

 

「そう言えば、先日、ディメンションナイザーを貸した時、何をしたんですか?」

 

「何、ちょっとしたお遊びだよ。

それにしても、お前は、よくあの時貸したな」

 

「ハルキさんからは信用できる人物だって、教えられたので」

 

「俺は闇の戦士だと、忘れているのか」

 

「だけど、悪い人じゃない」

 

「それは、夢を見過ぎだぞ、まったく」

 

そんな呟きをしながら、ジャグラーはそのまま歩き続ける。

 

「さて、ここだな」

 

「本当にここに?」

 

「あぁ、間違いない。

さて」

 

そう言いながら、ジャグラーはその手に刀を持つと共に、そのまま走り出す。

 

麻中もそれに合わせるように見えたのは、巫女と神父服を来た男がいた。

 

「よぅ、そんな所でこそこそしていないで、俺達も混ぜてくれないか」

 

「なっ」「へぇ」

 

ジャグラーはそのまま2人の元へと近づくと、巫女は笑みを、男は驚愕の表情で立っていた。

 

「なっ何者だ、何時っ」

 

「ジャグラス・ジャグラー。

まさか、有名なあなたがここにいるとは」

 

「ジャグラス・ジャグラー?

誰だ、それは」

 

「我々の世界では有名な人物だよ」

 

「顔を隠しているが美人に褒められるのは嫌いじゃないぜ。

まぁ、それはそれとして、お前には聞きたい事があるけどな」

 

「それは、残念。

私も、こう見えて忙しい。

だから、私の代わりに彼らが相手になってくれるよ」

 

その言葉と共に巫女は取り出したディメンションナイザーに良く似た機械を翳す。

 

同時に、巫女の周りには黄金の門が開くと共に古代ローマの兵士を思わせる黄金の鎧を纏っている兵士、アブソリューティアンの兵士が次々と現れる。

 

そして

 

『ディメンションロード!ドグーフ』

 

その音声と共に、土偶を思わせる巨大な魔神が、その姿を現す。

 

「ちっ、面倒な」

 

そうしている間にも、アブソリューティアンの兵士が麻中達を襲い掛かる。

 

「こいつらは俺が相手をする。

お前は、あのデカブツを片付けろ」

 

「分かりました!!」

 

その言葉と共に、麻中もまたディメンションナイザーを取り出す。

 

そして

 

『ディメンションロード!ウルトラマンタイタス!』

 

黒と赤のカラーリングの鍛え抜かれた筋肉隆々の体付きのウルトラマンタイタスは目の前にいる土の魔神であるドグーフを前に構える。

 

ドグーフは両手を大きく広げてウルトラマンタイタスに向けて振り下ろしてくる。

 

ウルトラマンタイタスは両腕で受け止めようとするが、ドグーフの腕の一撃を受け止めただけで大きく後退してしまう。

 

さらにドグーフは足の裏で地面を蹴りつけて地面を揺らす事でウルトラマンタイタスの動きを止めてしまう。

 

その隙を逃す事無くドグーフは巨大な拳を振り上げて一気に距離を詰めると、渾身の力を込めて拳を叩きつけた。

 

ドグーフの巨体に似合わぬ素早い動きによって放たれた右ストレートを喰らったウルトラマンタイタスに当たる。

 

しかし、ウルトラマンタイタスの鍛えられた肉体にはまるでダメージはなく、逆にドグーフの方がダメージを受けていた。

 

それは硬い岩石で作られた鎧のような皮膚を持つドグーフの防御力を上回れるほどの攻撃だった。

 

ドグーフは一旦、後ろに下がる。

 

だが、そんなドグーフに対して、ウルトラマンタイタスは拳を突き出し挑発する。

 

すると、ドグーフの方も拳を突き出して反撃を開始した。

 

両者の激しい攻防が始まり、お互いに拳をぶつけ合ったり、お互いの拳を避けて距離を取るとまた接近し、互いの顔や腹などを殴ってダメージを与えていく。

 

戦いの中、ついにドグーフの拳がウルトラマンタイタスの顔に命中し、よろめく。

 

その瞬間を狙ってドグーフは拳を叩きつけようとした時、ウルトラマンタイタスはその手を掴んで引き寄せ、強烈な膝蹴りを顔面に叩き込んだ。

 

さらにそのまま地面に押し倒すと、馬乗りになって顔面を連続で殴りつける。

 

そのあまりの攻撃速度にドグーフの反応が遅れてしまい、殴られ続ける。

 

そして、とどめの一撃として拳を強く握り締め、腕を引いて拳を放つ。

 

拳はドグーフの腹部へと命中して、そのままめり込んでいく。

 

吹き飛ばされたドグーフに対して、構える。

 

『プラニウムバスター!』

 

緑色のエネルギー光球を形成し、右手のパンチで打ち出す。

 

その必殺の光線は、真っ直ぐとドグーフに激突する。

 

それによって、ドグーフは、完全に爆発する。

 

それと共に、ジャグラス・ジャグラーもまた、既にアブソリューティアンの兵士を全て斬り終えていた。

 

しかし

 

「逃げられたか」

 

見れば、既に巫女達の姿はなかった。

 

「あいつらは一体」

 

「さぁな。

だが、このまま終わるとは思えない。

さて」

 

そう言いながら、ジャグラス・ジャグラーは麻中を見る。

 

「おそらく、次の戦い。

このままじゃ、負けるぞ」

 

「それは」

 

「お前自身も、限界を超える時が来た。

ならば、どうするか、考えておけ」

 

そう言ったジャグラス・ジャグラーは、そのまま刀を納める。

 

「限界を超える」

 

その言葉を、麻中はそのまま呟き返す。



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その光は

「それにしても、まさかここまで下らない計画を行っていたとはな」

 

そう言いながら、ジャグラーは、巫女と手を組んでいると思われる堕天使とその部下達。

 

そして、彼らが使うエクスカリバーの情報を、麻中に渡しながら言う。

 

かつて教会で行われていた非道な実験。

 

使い手を選ぶため、確保しただけでは意味が薄い聖剣を、適合者を人工的に作り上げることによって解決しようとした計画。

 

その研究によって聖剣を扱うためには、人体に存在するある種の因子が一定値以上あることが必要だと判明。

 

これを複数の人間から取り出して一人に移植するという方法で、分割されたエクスカリバーまでなら最大で複数本扱えるというレベルにまで到達した。

 

しかし当時の主任であったバルパー・ガリレイの暴走によって多くの犠牲者が生まれており、研究自体は成功したもののそれが汚点となっている。

 

教会ではバルパーのように因子を抜き出した物を殺すような真似はしていないものの、それでも移植者が因子に耐えきれずしんでしまう事もある。

 

「ジャグラーさんは、それを見た事あるんですか」

 

「あぁ、俺が見たのもあるが、それよりも過去にな」

 

過去にウルトラマンと共に戦った防衛組織の人間。

 

だが、その中には『欠陥だらけの試作兵器を強引に実戦投入』したり、『目先の目的だけに囚われ、思慮の足りない命令や作戦を実行』する、『敵対した宇宙人の置き土産を自分達の戦力に加えよう』としたり、『人類には過ぎたる超兵器を盲信した』末に、いずれもとんでもない事態を引き起こす者もいる。

 

ジャグラー自身も、またその一例を見ており、嫌気をさしていた。

 

「あの時はできなかったが、外道相手には、丁度良いからな」

 

「ジャグラーさん」

 

その言葉が何を意味するのか、察してしまう。

 

そう、考えていた時だった。

 

「おい、隠れてないで出てこいよ」

 

その言葉と共にジャグラーは、その手に持った刀を、近くにある物陰に向ける。

 

その言葉に合わせて、出てきたのは、ゼノヴィアだった。

 

「ゼノヴィアさん」

 

「麻中。

君は、そこにいる彼とは関係者なのか」

 

「あぁ、だとしたら」

 

麻中が答える前に、ジャグラーが、前に出て答える。

 

それに対して、ゼノヴィアは少し複雑そうな顔をする。

 

「君に対しては好感を持っていた。

だけど、そこにいる者と仲間と言うならば」

 

「悪いが、そんな事を話している場合じゃなさそうだぜ」

 

同時にジャグラーが何かを感じ取ったのか、周りを見る。

 

それには、ゼノヴィアも気づいた様子だった。

 

その視線の先には巨大な花を胴体にした怪獣、アストロモンスが、その姿を現す。

 

「なっ、怪獣」

 

「奴め、何かをする為の時間稼ぎか。

麻中、さっさと片付けろ」

 

「でも」

 

「ここまで見られた以上、どうせ隠しても無駄だ」

 

「・・・分かりました」

 

その言葉と共に麻中は、その腰にあるディメンションナイザーを取り出す。

 

「あれは」

 

「見ていろ、あれこそが、お前の知りたかった答えだ」

 

そうしている間にも、麻中は一枚のカードを取り出す。

 

「光の勇者、タイガ!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンタイガ!』

 

「バディゴー!」

 

その言葉と共に、麻中がディメンションナイザーを天に掲げると同時に飛び出したのは、ウルトラマンタイガだった。

 

「ウルトラマンだとっ」

 

その様子に、ゼノヴィアは驚きを隠せなかった。

 

「麻中の奴は、ウルトラマン達を呼ぶ事ができるアイテム。

ディメンションナイザーの持ち主だ。

その戦いを見学していろ」

 

そう言いながら、ジャグラーはゆっくりと構える。

 

ウルトラマンタイガが地上に降り立つと同時にウルトラマンタロウと同じ構えを取る。

 

眼前にいる怪獣、アストロモンスを倒す為に。

 

アストロモンスはその右腕の鞭を激しく叩きながら、挑発している。それを見たタイガは冷静に拳を固める。

 

そしてタイガは駆け出すと勢いよく跳躍して飛び蹴りを繰り出す。

 

だがその攻撃に対してアストロモンスは左手の鎌で受け止めた。

 

そしてその状態から鎌を振るう。

 

しかしそれは空振りに終わった。

 

既にタイガはそこにいなかったのだ。

 

アストロモンスが周囲を見渡すもタイガの姿はどこにもない。

 

すると背後からタイガが現れて強烈な一撃を背中に喰らわせる。

 

それを喰らったアストロモンスは思わず怯んでしまう。

 

そして追撃するようにタイガの連続した拳が何度もアストロモンスの肉体を打ちつける。

 

それを受けてアストロモンスは反撃に出ようとするが、その時タイガは既に空中にいた。

 

『スワローバレット!』

 

タイガは空中で身動きの取れないアストロモンスに向けて腕を十字に組んで光弾を放つを放つ。その攻撃を受け、アストロモンスは怯む。

 

タイガはそのまま落下し、地面を転がってから立ち上がる。

 

それと同時に先程まで上空にいたはずのアストロモンスが地面に倒れ伏していた。

 

どうやらタイガの攻撃が直撃したらしい。

 

しかし、アストロモンスは右腕の鞭でタイガの首を絞める。

 

そしてそのまま宙に持ち上げ、何度も地面に叩きつける。

 

そのダメージの影響によって、タイガのカラータイマーが赤く点滅する。更にアストロモンスは右手で何度も殴ったり、腹部のチグリスフラワーから溶解液を発射する。

 

その猛攻を前にタイガは苦しそうにもがく。

 

そして遂に、首に巻きついた鞭で自身の元に近づけさせる。

 

その鎌で最後のとどめを刺すつもりだ。

 

だがその時だった。

 

左腕を上に、右腕を下に支えとしたポーズで、タイガスパークを向けて腕をT字型に組む。

 

『ストリウムブラスター!』

 

その叫びと共に放たれた必殺光線は、アストロモンスの胴体にある花へと放たれる。

 

その光線を受けて、アストロモンスは苦しみながら、鞭を放す。

 

同時にそのまま後ろに倒れると共に爆散した。

 

この光景を見て、タイガは、そのままディメンションナイザーへと戻っていく。

 

「あれが、ウルトラマン。

だけど、なぜ、君は、その力を隠していたんだ」

 

「・・・大きな力は、争いを呼びます。

それは、ウルトラマンが、教えてくれました。

だからこそ、俺は隠していた」

 

「・・・そうか。

なるほど、無礼を働いて済まない。

だが、それと同時に頼みがある」

 

「どうせ、聖剣を破壊するのを手伝えだろ?

どうせ、こっちの関係者も向こうにいるからな」

 

「貴様には頼んでいない。

私は、あくまでも麻中に頼んだ」

 

「俺は一応、今はこいつの保護者のような立場だからな。

怪しい宗教には注意しないといけないからな」

 

そう、ジャグラーとゼノヴィアが睨み合っているのを、麻中はどうすれば良いのか、分からず、困惑するだけだった。



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親子の力

 麻中達は、今回の事件の決着の場である駒王学園へと向かっていた。

 

 既に、その場には、リアス・グレモリーとその眷属達が戦いをくり広げていた。

 

「麻中、君はそこでもしもの時に備えていてくれ。

 

 おそらく、奴らはすぐに怪獣を呼び出す。

 

 その時には、頼む」

 

 同時にゼノヴィアは、すぐに飛び出す。

 

「はぁはぁ」

 

「麻中、無理はするな。

 

 お前はさっきの戦闘のダメージは未だに回復していない」

 

「だけど、もしもの時は」

 

 そう言いながら、構えていた。

 

 その最中で、巫女は確かに麻中達の方を見る。

 

「どうやら、既に私の出番ですね。

 

 コカビエル、この魔方陣を少し使わせて貰うわ」

 

「良いだろ、何に使うつもりだ?」

 

「こうするつもりよ」

 

 その言葉と共に、魔方陣に手を置いた巫女。

 

 それと同時に黄金に輝きと共に暗黒の輝きに変わる。

 

 同時に、そこに現れたのは闇の巨人だった。

 

「あれは、ウルトラマンっ」

 

「まさか、彼女がウルトラマンを」

 

「少し違うわね、

 

 これはダークザギ。

 

 かつて、ウルトラマンを摸して作られた神。

 

 けれど、失敗作と言われ、闇に墜ちた。

 

 最も、その力は」

 

 同時に軽く、地面を踏むだけで、周りが緊迫する。

 

「貴方達を殺すには十分だけどな」

 

 それと同時に、麻中も動く。

 

「ジーッとしていてもっどうもなんない!!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンジード!』

 

 鳴り響く音声。

 

 同時にディメンションナイザーを通じて、現れたウルトラマンジードが真っ直ぐとダークザギに突っ込む。

 

「あれはっウルトラマンっ」

 

「けど、目がかなり凶悪だけど」

 

「ウルトラマンジード。

 

 ダークザギと同じく人造ウルトラマンでありながら、ウルトラマンとして認められた存在。

 

 これは、面白いわね」

 

「ぐっ!!」

 

 そうしている間にも、結界の影響なのか、それとも魔方陣の影響なのか。

 

 ジードとダークザギはその空間から離れる。

 

 ジードを通じて、視界を共有している麻中が見えたのは宇宙空間だった。

 

 それと同時に、ダークザギはジードに向けて、握り拳から強力な光弾を発射する。

 

『レッキングリッパー!』

 

 その攻撃に気づいた、ジードはすぐに胸の前で重ねた両腕を水平に広げて放つ光の刃を放つ。

 

 放たれた光の刃は、ダークザギが放った光弾を斬り裂く事ができた。

 

 しかし、それが隙となった。

 

 ダークザギは、瞬く間にジードの目の前に現れると同時に、そのまま殴り飛ばす。

 

『ぐっ……!』

 

 殴られた衝撃で、一瞬意識を失いそうになるも、すぐに気合いを入れ直す。

 

『まだだ!』

 

 そう叫ぶと、今度はジードの方から接近し、右手の拳を振り下ろす。

 

 だが、それはダークザギには当たらない。ダークザギはその攻撃を簡単に避ける。

 

 そして、ジードの右腕を掴むと、そのまま投げ飛ばした。

 

『うわぁ!?』

 

 勢いよく吹き飛ばされるジード。

 

 なんとか、身体の体勢を取り直しながら、着地する。

 

『まだまだ!』

 

 ジードは両手を広げながら、ダークザギに向かっていく。

 

 それに対して、ダークザギは再び殴りかかろうとする。

 

 だが、ジードはそれを避け、逆に蹴りを叩き込む。

 

 ダークザギはそれをまともに喰らいながらも、すぐに反撃をする。

 

 それを避けると、ジードは連続で回し蹴りを放った。

 

 それをダークザギは全て避けていく。

 

 まるで、余裕な表情は変わらず、むしろ楽しんでいるようにさえ見える。

 

 そして、ダークザギはジードの足を掴んで持ち上げると、近くにある隕石に叩きつける。

 

 更に、そのまま何度も隕石へと叩きつけた。

 

 流石に耐えきれなくなったのか、ジードのカラータイマーが点滅を始める。

 

 すると、ダークザギはジードを投げ捨てるように手を離す。

 

 それによって、地面に激突したジードはそのまま倒れ込んだ。

 

 そんなジードに向けて、とどめを刺そうと近づくダークザギ。

 

「まったく、仕方ないな」

 

 危機的状況の最中、隣にいたジャグラーもまた構える。

 

 その手の中にはディメンションナイザーがあった。

 

 ただし、その色は、麻中が使うディメンションナイザーとは違う黒く塗装されている。

 

「ベリアルさん、暗黒の力、お借りします!」

 

ディメンションロード! ウルトラマンベリアル! 

 

 

 その時だった。

 

『情けないぞ、我が息子よ』

 

 その声と共に、ジードの前に、その姿が現れる。

 

 その姿は、ダークザギと似た黒と赤いウルトラマン。

 

 だが、その鋭い目は、どこかジードと似ていた。

 

『父さん』

 

 それは、ジードの父親であるベリアルだった。

 

 なぜ、現れたのか、困惑を隠せないジード。

 

『なんで』

 

『そんな事、今はどうでも良いだろ。

 

 あの程度の奴に負けるのは、許さん』

 

 そう言いながら、ベリアルはそのままジードと並び立つ。

 

 すると、ダークザギは真っ直ぐと2人に向かって、襲い掛かる。

 

 2人は同時に避けると、それぞれ拳を放つ。

 

 ぶつかり合う拳。

 

 そこから火花が散り、互いに一歩も引かない戦いが続く。

 

 しかし、やがてダークザギの方が優勢になる。

 

 ジードの腕を掴み上げると、そのまま地面へ叩きつけようとする。

 

 だが、それを阻止するようにベリアルがダークザギを蹴る。

 

 それにより、ダークザギの手から逃れたジードもまた蹴りを放つ。

 

 2人の蹴りは、ダークザギを怯ませるには十分だった。

 

 そこで、ダークザギは両手を前に突き出すと、そこに闇が集まる。

 

 闇の塊のようなものを生み出すと、それをベリアル目掛けて放つ。

 

 だが、ベリアルはそれを片手で受け止めると、握り潰して消滅させた。

 

 その隙を狙ってか、ジードは再び殴りかかる。

 

 これまで、1度も共闘をした事のないはずの2人。

 

 だが、それが親子なのか。

 

 互いに呼吸を合わせるようにして、攻撃を仕掛けていく。

 

 まるで鏡合わせのような動きをする2人に対し、ダークザギは次第に追い詰められていた。

 

『ガアアァァァ!!!』

 

 そう、追い詰められたダークザギは、両手に暗黒の光を集め、右手首に左拳を打ちつけるように腕を組み、光線を放つ。

 

 それに対して、ベリアルはジードに向けて、言う。

 

『行くぞ』

 

『はいっ!』

 

 それと同時だった。

 

 ジードは両手に爪を立てるように掌を構え、水平にし、腕を下ろしたジードは両手首を交差させ、全身を発光させながら、赤黒い稲妻状の光子エネルギーを両手にチャージさせ、交差させた両腕を上げると、両手を広げ、目を眩く光らせる。

 

 そして、ベリアルも右手の掌から暗黒の雷を溜めながら、ゆっくりと構える。

 

『レッキングバースト!』『デスシウム光線!』

 

 同時に、ジードは両手に光子エネルギーがチャージされ、両腕を十字に組んで放つ、赤黒いプラズマを纏わせた青い必殺光線を、ベリアルは赤い電撃を纏わせた黒い必殺光線を。

 

 

 

 同時に放った。

 

 2つの光線は、混ざりながら、真っ直ぐと、ダークザギの光線と激突する。

 

 激しく、激突する光線はやがて爆発を起こす。その爆風によって、2人の身体は吹き飛ばされてしまう。

 

 ジードはそのまま地面に叩きつけられそうになるが、何とか体勢を整えて着地した。

 

 周りを見れば、既にベリアルも、ダークザギの姿はなかった。

 

『父さん』

 

 戦いが終われば、何が起きたか、分からない。

 

 それでも、ジードは、瞬きの間に起きた共闘に、どこか嬉しく思えた。

 

 同時にジードもまた、その場から消えていった。

 

「はぁはぁはぁはぁ」

 

 それと共に疲労が一気に襲い掛かる。

 

 その場で、膝から崩れ墜ちた麻中。

 

「はぁはぁ」

 

「よくやった。

 

 お前のおかげで、あいつらの決着は終わりそうだぜ」

 

 先程まで戦いに集中していた為、詳しく見ていなかったが、どうやら事件の中心であるエクスカリバーは破壊。

 

 そして、残るは今回の事件の首謀者であるコカビエルだけとなっていた。

 

「へぇ、あのダークザギも倒したのか、

 

 やはり、ウルトラマンはとんでもないねぇ」

 

「これだったら、俺達もっ」

 

「け・ど・ね。

 

 私は究極生命体の巫女。

 

 そして、常に新たな可能性を模索する者」

 

 それと同時だった。

 

 先程、倒されたダークザギの闇が、集まるように、巫女の手元に集まる。

 

「さぁ、現れなさい、ダークルシフェル!」

 

 同時に現れたのは黒き肉体を持つ怪獣型ウルトラマンへと進化したような姿を持つ。

 

 その姿はダークザギと異なる特徴としては眼が青く、口に牙、手に鋭い爪、背中には翼状の突起物を有すること、更に首元には2つのウルトラマンを思わせるの顔面が配置されていることが挙げられる。

 

 また、全身には血管を思わせる赤いラインが走り、胸にはエナジーコアらしき模様があるが、その中心部分は抉れたように窪んでおり、見た者に不気味かつ禍々しい印象を与える。

 

「なっ」

 

「ふふっ、素晴らしいわ。

 

 この土地は、本当に素晴らしい! 

 

 おかげで、本来ならば、誕生しない存在までもがっ」

 

「こんな奴にっ」

 

「あら、まだやる気? 

 

 けど、無駄よ。

 

 ウルトラマンを召喚する者は、ここまでの戦いで、既に体力が残り僅か。

 

 この状況で、奇跡なんて、起きないわよ」

 

 そう言った巫女の言葉に兵藤達は絶望しそうになる。

 

「くくっ、まさかルシフェルとはな。

 

 まさか、こいつが味方になるとはな」

 

「えぇ、そうよ。

 

 ここから、私達の願いは叶うわよ」

 

「お前も、とことん甘いよなぁ」

 

 そう言いながらジャグラーは、真っ直ぐと巫女達を見る。

 

「何かしら、ジャグラス・ジャグラー? 

 

 まさか、この状況をどうにかするつもり?」

 

「ジャグラス・ジャグラー? 

 

 あれって、蛇蔵じゃ」

 

「あぁ、それも名前の1つだ。

 

 まぁ、良いわ。

 

 巫女だっけか、この状況、本当に何かできないと思うか?」

 

「どういう事かしら。

 

 そこにいる召喚者は、とてもじゃないけど、ウルトラマンを召喚なんて、できないわよ」

 

「どうかな。

 

 確かにこいつのディメンションナイザーは自在にウルトラマンを呼ぶ事ができる。

 

 だが、ウルトラマンを操っている訳じゃない。

 

 ディメンションナイザーを通じて、ウルトラマン達がその声に応えただけだ。

 

 つまりは」

 

 それと同時だった。

 

 ダークルシフェルの翼が切り落とされる。

 

 同時に現れたのは、白銀の鎧を身に纏ったウルトラマンだった。

 

「あれ、いつもの音声が流れてこないけど」

 

「まさか、お前はっ」

 

『どうやら、間に合ったみたいだな。

 

 あいつの呼ぶ声が聞こえたから、急いで来て、良かったぜ』

 

 同時にダークルシフェルと対峙するように現れたウルトラマン。

 

 それには、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。

 

「あれは、聖剣なのか」

 

「そんなレベルじゃないわ。

 

 けど、あれは一体」

 

「ウルトラマンゼロ。

 

 数多くのウルトラマンの中でも最強の存在の1人だ」

 

 そう、疑問に思うリアス達に対して、答えるように、ジャグラーが答える。

 

『まだ、いけるな、麻中』

 

 そうゼロが、麻中に問いかけるように言う。

 

「あぁ、勿論だ」

 

 同時にゆっくりと立ち上がる。

 

『こいつを倒すには、俺だけでは無理だ。

 

 だから』

 

「あぁ、限界を超える!」

 

 その言葉と同時にディメンションナイザーが光輝く。

 

 その光が、どのような意味か理解し、そのまま構える。

 

『ディメンションロード! ウルトラゼットライザー!』

 

 同時に現れるウルトラゼットライザーを掴み、カードを装填する。

 

『麻中・アクセスグランテッド』

 

 それに合わせるように、懐から出てきた3枚のディメンションカードが3枚のウルトラメダルへと変わる。

 

「受け継がれる新世代の光!」

 

 同時に、3枚のウルトラメダルをセットする。

 

『ジード! タイガ! Z!』「はあぁぁぁ!!」

 

『ウルトラマンゼロジェネレーション!』

 

 鳴り響いた音声と共に、ウルトラマンゼロの姿は変わる。

 

 右腕に鋭い剣、左腕に頑丈な盾、胸の星マークが特徴的な鎧。

 

 それらは、かつてウルトラマンゼロが変身した事のあるキーパーフォームとスーパーフォームの2つを合わせたような姿だった。

 

 それこそが、ゼロジェネレーション。

 

 新たな光の星の戦士達の力によって、覚醒した姿である。

 

『さぁ、行くぜ! ブラックホールが吹き荒れるぜ!』




今回登場したウルトラマンゼロのオリジナル形態であるウルトラマンゼロジェネレーション。
ジードライザーの場合は、コスモスとダイナのウルトラカプセルにて、ゼロサーガというオリジナル形態にする予定でした。
今回の話で登場したウルトラマンゼロのように、本当にウルトラマンをパワーアップさせるのに便利なジードライザーとウルトラゼットライザーによってパワーアップしたウルトラマン達も、活動報告で募集しています。
そして、ダークディメンションナイザーで、味方怪獣や共闘する可能性がある人物も募集しています。
皆様の応募、お待ちしています。


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ゼロ

ネタバレ防止の為に、活動報告の書き換えを本日行いました。
こちらで募集していますので、皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292936&uid=45956


先に動き出したのは、ゼロジェネレーションだった。

 

その身に纏っている重厚な鎧を思わせる身体から出ているとは思えない速さで、真っ直ぐとダークルシフェルを蹴る。

 

瞬く間の接近に気づいたダークルシフェルは瞬時に、その手を交差させ、防御する。

 

同時に、獣を思わせる咆哮と共に、真っ直ぐとゼロジェネレーションに向けて、爪を振り下ろす。

 

その斬撃に対して、ゼロジェネレーションは瞬時に爪の軌道を変えさせ、反対にカウンターで殴る。

 

それらの攻防は一瞬であり、巨大な地震だと勘違いさせる程の衝撃だった。

 

「すげぇ」

 

その感想を、兵藤は思わず呟く。

 

これまで、幾度もウルトラマンの戦いを見てきたはずだが、それらを遙かに超えている。

 

「くくっ、巫女よ!

本当にいるんだなぁ、ウルトラマンのような強敵が宇宙には!!」

 

「宇宙だって」

 

それには、ゼノヴィアは思わず首を傾げる。

 

「宇宙って、まさか、ウルトラマン達の正体って」

 

「お前達、気づかなかったのか。

そうだ、ウルトラマンと呼ばれた存在。

奴らは、この地球から遠く離れた星から来訪してきた者達だ!」

 

「あの時、蛇蔵が言っていた空の向こうって、そう言う事だったのか」

 

同時に納得するように、見つめる。

 

ダークルシフェルは、身体の各部から暗黒の雷をまき散らしながら、気味の悪い触手やミサイル。

 

様々な怪獣を思わせる攻撃を、真っ直ぐとゼロジェネレーションに襲い掛かる。

 

だが、それよりも早く、ゼロジェネレーションは右腕に鋭い剣を構える。

 

すると、その鋭い剣から、現れたのは、槍と刃とナイフだった。

 

それは、ウルトラマンゼロが使用する武器であるウルトラゼロランス、ウルトラゼロスパーク、ウルトラゼロスラッガーだった。

 

それも、その数は無数にあり、ゼロジェネレーションは真っ直ぐと剣を薙ぎ払う。

 

同時に、それらの武器は、ダークルシフェルの攻撃を全て、打ち消し、さらにはダークルシフェルを斬り裂く。

 

ゼロジェネレーションの能力。

 

それは、彼がこれまで所持してきた武器を一瞬で呼び出し、さらには分身させ、操る事ができる事である。

 

ゼロが、光の国で手に入れた武器を操るように。

 

世代を超えた様々な武器を操る。

 

それこそが、ゼロジェネレーションの能力だった。

 

ダークルシフェルも、また反撃しようとするが、それよりも早く、ウルトラマンゼロが目の前まで来ると共に、両手には光の刃を纏っていた。

 

光の刃は、ダークルシフェルに対して、目にも止まらない斬撃を放つ。

 

そして、最後には、これまで操ってきた全ての武器が胸の星マークが特徴的な鎧に合体される。

 

『ゼロジェネレーションシュート!!』

 

その叫び声と同時に、ダークルシフェルは、その光の中へと吸い込まれ、消えていく。

 

「凄い、瞬く間に終わった」

 

「あぁ、ならば、今度は」

 

それと共に、コカビエルの目線は校舎の上にいる麻中だった。

 

「俺の相手をして貰おうか!!」

 

「させると思うか?」

 

それよりも早く、コカビエルの背後にいたジャグラーが、その日本刀を薙ぎ払う。

 

それに気づき、コカビエルは下がる。

 

「それにしても、はぁ。

まさか、光と闇を両方を受け入れるとはなぁ」

 

それと共にジャグラーは、木場に対して、少し残念そうに見つめる。

 

「あなたには、感謝はしています」

 

「俺に、感謝だと?」

 

そう、ジャグラーは首を傾げる。

 

「あなたとのあの攻防で、エクスカリバーとの戦いでの逆転の手になった。

目にも止まらない速さも、目には見えない幻覚も。

あなたの攻防に比べれば、簡単に見抜けた」

 

「くくっ、まさに経験という訳か。

ならば、見せてやるよ」

 

その言葉と共に、ジャグラーは構える。

 

「聖剣の光や、聖魔剣の光と闇。

だけど、この俺が見せるのは、純粋な闇だ」

 

その言葉と共にジャグラーの身体は変化する。

 

先程までの人間ではなく、まるで魔人。

 

「その姿は」

 

「これが、俺の姿という訳だ。

さぁ、残業は勘弁だからな。

一瞬で終わらせるぜ」

 

同時に、ジャグラーの手に持った日本刀には、周囲の夜の闇を。

 

全てを吸収するように集まる。

 

「これはっ闇」

 

「蛇心剣・新月斬波」

 

闇のエネルギーを三日月形の刃として発射し、コカビエルの翼を斬り裂く。

 

「なっがああぁぁ!!」

 

その衝撃は凄まじく、そのまま地面に叩きつけられる。

 

それによって、白目を向く。

 

「おい、そこにいる奴。

さっさと回収するんだったら、回収しな。

俺はこのまま帰らせて貰うぜ」

 

その一言を言い終えると共に、ジャグラーはそのまま校舎の上にいる麻中を抱えて、消えていった。

 

それに合わせるように、ウルトラマンゼロもまた、既に姿を消していた。

 

「宇宙か。

まさに、予想もできない所だったな」

 

同時にジャグラーが、指した存在である白龍帝もまた空から舞い降りていた。



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戦いは終え

「まったく、これ以上、ここに付き合ってられないな」

 

そう言いながら、ジャグラーは既に盆栽を持ちながら、呟く。

 

「行くんですか?」

 

「ここにはお前がいるからな。

それに、ここには期待していたのは、それ程なさそうだ」

 

そう呟いたジャグラーの言葉は本心であり、その懐にある物をこちらに渡す。

 

「やるよ。

どうも、俺には合わないからな。

用がある時は、呼べよ」

 

そう、麻中に投げ渡したのは、ダークディメンションナイザーだった。

 

「まぁ、ウルトラマンを使うお前には、あまり向いていないけどな。

誰か、適当な奴を使えよ」

 

「あっ、ジャグラーさん」

 

そう、言っている間にもジャグラーさんは、そのまま姿を消した。

 

「行っちゃった。

はぁ、どうしようかなぁ」

 

そうしながら、それを見送った後、どうすれば良いのか、迷っていた時だった。

 

ふと、公園を見ると、見覚えのある人物がいた。

 

「ゼノヴィア」

 

「麻中なのか。

無事だったのか」

 

そこには、先日の戦いで知り合ったゼノヴィアがいた。

 

だが、その様子は、以前とは変わって、どこか生気はなかった。

 

「どうしたんだ」

 

「・・・少しな。

自分が信じていた神がいない事に戸惑ってしまっただけだ」

 

それは、どう答えれば良いのか分からない。

 

「麻中は、どう思う。

自分が信じていたのが、絶対ではないと言われたら」

 

「・・・それは、分からないな。

俺が信じている彼らも絶対の存在ではないから」

 

「ウルトラマンがか」

 

その言葉にゼノヴィアは驚いたように問いかける。

 

「ウルトラマンは、決して神ではない。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある。

大切なのは、最後まで諦めないことだから」

 

「諦めない事か。

だが、この思いを、どう諦めないで」

 

「それは、分からない。

だけど、もしもゼノヴィアが夢を持ちたいんだったら、俺も応援するよ」

 

「どうして、そこまで」

 

「んっ、まぁ友達だからか?

何よりも、ショウさんのシェパードンを綺麗だと言った君を信じたいと思っただけだから」

 

「・・・そうか。

なんだか、君は、本当に可笑しな人間だよ」

 

その言葉に、麻生もまた、苦笑するのだった。

 

そんな麻中とゼノヴィアとの再会の最中、巫女は笑みを浮かべていた。

 

「やはり、ここは面白い場所だな」

 

その巫女が目を向けている人物。

 

それは、黄金の髪が特徴的なガタイのいい四十代そこそこの男だった。

 

「えぇ、この地の神器。

それらに封印されている存在は伝説に残る存在。

それは、つまり」

 

「怪獣墓場と似た場所があるという事。

そこを利用する事ができれば、光の国への侵略も簡単になる。

分かっているな、巫女よ」

 

「えぇ、お任せよ。

必ずや、その場所を探り当てて見せましょう」

 

そうした、暗躍を目論む存在は確かにいた。



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謎の男

麻中に関する謎。

 

それは、これから行われる三大勢力の和平においても、重要な要件だと、アザゼルは考えていた。

 

この10年の間に起きている摩訶不思議な事件。

 

こちらの陣営の誰もが把握していない結界内にて、巨大生物が現れる。

 

その存在は、三大勢力のどの資料にも描かれていない未知の生命体である。

 

犠牲者の数に関しては、未だに0となっており、それを防いでいるのは、麻中という少年が召喚した存在、ウルトラマンに関係していると、予想していた。

 

当初、アザゼルは、この現象に関しては神滅具である絶霧と魔獣創造を所有者達が行った犯行だと考えていた。

 

だが、それにしても、明らかに生み出される存在が規格外過ぎる為に、それは違うと断定した。

 

その最中、今回の会議のきっかけとなった戦いにおいて、ヴァーリからの報告で多くの事が分かった。

 

怪獣を召喚したと思われる黒幕は、巫女。

 

そう呼ばれていた。

 

実際に、どのような巫女なのかについては未だに詳細は不明だ。

 

だが、その巫女の目的はこれまでの巨大生物が出現した場所における被害者を調べれば簡単に分かった。

 

巫女に接触した者、つまりは自身の邪魔となる存在の排除を目的とした事が1つ。

 

もう1つは、こちらでも確認できなかった神器の持ち主達への襲撃。

 

これらだと、既に分かっている。

 

なぜ、神器を持つ者を狙っているのかについては謎だ。

 

それでも、このまま放置するにはあまりにも危険過ぎる。

 

そして、麻中は、そんな巫女を止める為に動いている人物だと考える。

 

どのような理由でかは不明であり、どのような経緯で、ウルトラマンという存在を呼び出せたのか分からない。

 

しかし、ウルトラマンの存在に関する謎もある程度は理解している。

 

ウルトラマンの正体は宇宙人。

 

堕天使であるアザゼルが言うのも馬鹿馬鹿しいが、あり得ない話ではない。

 

むしろ、自分達のような存在がいる以上、宇宙にもその存在がいる可能性がある。

 

だからこそ、宇宙人であるウルトラマン達はなぜ彼に自分達を召喚する力を授けたのか。

 

実際に、麻中とは関係なしに、今回の事件の終わりに現れたウルトラマンは、そんな麻中とは関係なく現れた。

 

残された映像から確認できたウルトラマンが身に纏っている鎧は、黄昏の聖槍を遙かに超える存在だと簡単に予測はできる。

 

そんな彼らに関する事を知る為に、その日、アザゼルは麻中と接触を図ろうとした。

 

「そう思っていたけど、とんでもない奴が現れたな」

 

苦笑いをしながら、目の前にいる人物に対して、問いかける。

 

アザゼルの目の前にいる老人。

 

だが、その見た目とは裏腹に、身体から溢れる力は、アザゼルでも油断はできない。

 

「なに、私も少し用事があってここに来たんだ。

そこで、偶然だが、あなたが彼に接触した。

だから丁度良いと思って、私もあなたに接触したんだ」

 

「俺に接触ねぇ?」

 

未だに、自分の目の前にいる存在の正体が分からない。

 

頭の中で幾つもの推察を重ねるが、その正体は辿り着けない。

 

麻中と協力関係にあるとされる謎の存在、蛇蔵もといジャグラス・ジャグラー。

 

その存在と同じだと考えていた。

 

「それで、どういう要件だ」

 

「彼をもしも三大勢力の会議を出すつもりならば、私も出させて貰おう」

 

「ほぅ」

 

こちらとしては、怪しい存在を会議に出したくない。

 

「悪いが、そういうのは、麻中の奴が了承してからだ」

 

そう言いながら、そのままアザゼルは警戒しながらも、麻中に接触する事にした。



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アザゼル

その日、麻中の夜の食事は、カレーであった。

 

特に大きな理由はないが、その日の気分であった。

 

これまでは一人暮らしであった麻中だったが、最近になって、家に寝泊まりするようになった2人がいた。

 

1人は、新条アカネであるが、彼女は家には家族がおらず、自炊もできないという理由でよく家で食べるようになった。

 

もう1人は、最近になって、正体を知られたゼノヴィアであり、彼女は現在の住居は麻中の近くにあるマンションである。

 

彼女はその後、どうするか迷った際に、知り合った悪魔であるリアス・グレモリーの眷属になり、お世話になっているらしい。

 

その際に、麻中の正体に関しては話しておらず、彼女達も無理に聞こうとしなかった。

 

そんな訳で、最近は料理する機会が多くなった麻中。

 

片手に買い物袋を下げながら、帰っている時だった。

 

「久し振りだね、麻中君」

 

「えっ、その声は」

 

聞こえた声。

 

振り向くと、そこに立っていたのは、1人の老人だった。

 

だが、その人物を一目で見た瞬間、麻中は驚きを隠せなかった。

 

「ハヤタさん!

どうしたんですか!」

 

「なに、少しこちらに用があってね。

それに君に関しても心配だったからね」

 

そう言われた麻中は少し照れながらも頷く。

 

「それで、そっちの人は」

 

「おっと、こっちの気配も気づかれていたか。

さすがはウルトラマンを召喚している坊主だな」

 

その言葉と共に現れたのは、アザゼルだった。

 

その存在に関しては知らない麻中だったが、警戒はしている。

 

だが、脅威だとは感じていなかった。

 

「えっと、誰?」

 

そもそも、誰だか知らなかった。

 

「まぁ、堕天使の長を務めているアザゼルだ。

ちょっと、お前に頼みがあって来たんだが」

 

「頼みと言われても、すいませんが、俺は勢力に加入とかは考えていませんが」

 

「あぁ、そう言うのじゃないよ。

ただ、三大勢力の和平会議に参加して貰いたい。

今回の一件で、大きく関わっているお前には特に」

 

「俺が?

けど、俺は別にそんな気はないけどなぁ」

 

そう言いながら、麻中は迷う様子が見られた。

 

「すまない、麻中。

一緒に参加して貰えると、嬉しい。

私達としても、今後の事を考えると、彼らの協力は必要不可欠だと考えている」

 

そう、ハヤタの一言を聞くと。

 

「まぁ、ハヤタさんが言うならば」

 

先程まで渋っていた麻中はあっさりと頷く。

 

(麻中、これまでは謎の行動が多かった奴。

その麻中をあっさりと説得したこのハヤタという爺さんは一体何者なんだ?

そもそも、こいつは本当に人間なのか?)

 

そんな疑問に思っていた時だった。

 

「いやっほぉ、ここが稼ぎ場所で間違いないようだなぁ」

 

「っ」

 

聞こえた声。

 

同時に麻中達が目を向けた場所。

 

そこには奇妙な存在が立っていた。

 

「バルキー星人」

 

「バルキーなんだって?」

 

その存在を既に言い当てた麻中は既にその懐からディメンションナイザーを取り出す

 

「あぁ、お前が噂のウルトラマンを呼び出す奴か!

だったら、こっちだって、カモン!

サメクジラ!!」

 

同時にバルキー星人は何時の間にか取り出した物を地面に叩きつける。

 

瞬時に危機感で察したアザゼルは、周囲に結界を張った。

 

それと共に現れたのは、まさにその名前の通り鮫と鯨を合わさったような怪獣、サメクジラだった。

 

同時にバルキー星人も巨大化していた。

 

「おいおい、なんだよこいつらは」

 

「行きますよ、ガイアさん!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンガイア!』

 

ウルトラマンガイアが、大地を大きく揺らして、降り立つと同時に左右にいる敵に同時に構える。

 

バルキー星人は、その手に刃が長く、剣のような形状になっているバルキーリングを構えながら、相棒であるサメクジラと共に襲い掛かってきた。

 

サメクジラは、その鼻から生えている鉄板を貫く鋭利な角をガイアに向けて突き出す

 

だが、そんな攻撃に怯むことなく、ガイアは両腕で防ぎつつ、サメクジラへと掴みかかる。

 

『フッ!』

 

「グォオオッ!?」

 

「キュァアアッ!!」

 

そのまま、両手でサメクジラを掴むと、まるで釣り上げるように持ち上げて、地面へ叩きつける。

 

しかし、それを見ながら、バルキー星人は、バルキーリングで襲い掛かる。

 

すぐにガイアはその刃を受け流しながら、反撃するが、その瞬間にサメクジラが起き上がり、またもや突進してくる。

 

『くっ……』

 

「キュゥウウッ!」

 

そして、起き上がったサメクジラはそのままガイアに向かって、頭突きをする。

 

ガイアはそれを腕でガードすると、そのまま後ろへと後退する。

 

そして、今度はバルキー星人が、両手に持ったナイフを振りかざし、連続で切りつけてくる。

 

「シャァアッ!!」

 

『ハッ!!』

 

「キィイイッ!!」

 

ガイアはそれに対して、拳による連続パンチを放つ。

 

それはバルキー星人は避けていくものの、サメクジラには直撃していく。

 

サメクジラの方は、硬い甲羅によってダメージはないようだ。

 

そして、サメクジラはガイアの攻撃に対して、大きく口を開けると、そこから水流を吐き出した。

 

「ギュルルゥウウウッ!!」

 

『グッ……うぉおおおっ!!』

 

その水流を受けて、少しだけ怯んだガイア。

 

「よっしゃ、そのまま行くぜぇ!!」

 

それを見たバルキー星人もまた、額からはバルキービームを発射する。

 

2体の攻撃を受け、ガイアのカラータイマーは赤く点滅し始める。それを見ながらも、バルキー星人は攻撃の手を止めない。

 

「シャァアッ!!死ね、ウルトラマンガイアぁあああっ!!」

 

「ギュルゥウウッ!!」

 

サメクジラの口から放たれる水流を受けながらも、ガイアは腕をT字型に組んでエネルギーを溜めてから、傾けるように右腕をL字型に構え直して発射する。

 

その光線は、サメクジラの口内に向けて、放たれ、その一撃を食らったサメクジラは体内から爆発した。

 

「なっなにぃ!?」

 

それに驚くバルキー星人に対して、ガイアは額に両腕を当ててエネルギーを溜めながら屈み、立ち上がりつつ額からムチのようにしならせながら光の刃を放つ。

 

「そんなぁ、馬鹿なぁ」

 

一撃を受けたバルキー星人は、背中から倒れて爆散する。

 

それによって、戦いは終わりを迎えた。

 

「ふぅ、ありがとうございます!」

 

同時にガイアはそのまま真っ直ぐと、ディメンションナイザーへと戻っていく。

 

「今のがウルトラマンか」

 

「ウルトラマンガイア。

いわば、地球の化身と言える存在だ」

 

「ウルトラマンガイアねぇ、一体、どれぐらいのウルトラマンがいるやら」

 

そう言いながら、興味深そうに言う。

 

「・・・良かったら、食べます。

カレー」

 

「えっ」

 

そう、見ていると麻中の突然の誘い。

 

それに対して、一瞬戸惑うアザゼルだが。

 

「カレーねぇ、まぁたまには良いか」

 

「ならば、私も一緒にお邪魔しても良いかな」

 

「どうぞどうぞ。

どうせ、結構あまると思いますので」

 

それによって、その日、ハヤタとアザゼルと共に、5人での食卓が行われる事になった。



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黒猫

「あぁ、まったく。

本当に、ここ最近はどうなっているんだ!」

 

そう叫びながら、麻中はその日もディメンションナイザーに導かれるように走っていた。

 

これまで通り、ディメンションナイザーが既に怪獣の出現した事を知らせており、真っ直ぐと向かった。

 

既に結界は張られており、その結界の中へと飛び込む。

 

すると、既に怪獣は何かを狙うように攻撃を仕掛けていた。

 

「あれは、ガイガレードかっ」

 

ガイガレードが、地上にいる何かを狙っているのは、既に分かっていた。

 

だからこそ、迷いのない動きで、ディメンションナイザーをすぐに取りだし、そのまま構える。

 

「頼みます、ゼノンさん!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンゼノン!』

 

ウルトラマンゼノンが地上に降り立つと同時に、ガイガレードの鉤爪が襲い掛かる。

 

その一撃に対して、ゼノンは軽く身体を動かすだけで、その攻撃をかわす。

 

そしてカウンターとして、鋭い蹴りを放つ。

 

だがガイガレードもそれを察知してか、バックステップで回避して距離を取る。

 

お互いに構えを取りながら、相手の出方を伺う。

 

しかしそんな静寂を破ったのは、ガイガレードの方だった。

 

ガイガレードは、その口から発射する光弾を真っ直ぐと、ゼノンに向かって放つ。

 

それに対して、ゼノンはそのまま後ろにバク転を行いながら、それを回避する。

 

そのまま着地すると同時、今度はゼノンから仕掛ける。

 

その場で跳び上がると共に、真っ直ぐとゼノンが跳び上がると同時に、蹴りを放つ。

 

しかしガイガレードはそれを右腕の鉤爪で受け止めると、同時に左拳を叩きつける。

 

それに対して、ゼノンはその腕を蹴り上げ、空中で回転しながら体勢を整える。

 

だが、ガイガレードの攻撃はまだ終わらない。

 

再び口を開くと、そこから光線を吐き出したのだ。

 

その一撃に対し、ゼノンもまた右拳を突き出す。

 

その拳は、そのままガイガレードを殴り飛ばす。

 

更に追撃を行おうとするも、ガイガレードは翼を広げ空へと飛びあがる。

 

そのまま上空から急降下を行うと共に、勢いよく両足の鉤爪を振り下ろす。

 

それに対し、ゼノンは両手を手刀で落下してくるガイガレードの攻撃を受け流す。

 

同時にガイガレードを蹴り飛ばす。

 

しかしそれでもガイガレードはすぐに起き上がり、反撃を仕掛けようとした。

 

だが、既に遅かった。

 

ゼノンは両腕を逆L字に組んで放つ必殺光線、ゼノニウムカノンを放っていた。

 

その必殺の一撃を、ガイガレードは避ける事もできず、真っ正面から受け止め、同時に爆散する。その爆発の中で、ガイガレードの体は粒子となって消えていく。

 

「ありがとうございます、ゼノンさん!」

 

それに対して、ゼノンは頷くと同時に、そのままディメンションナイザーへと戻っていく。

 

「ふぅ、倒せたか。

さて、ガイガレードが狙っていたのは」

 

そう言いながら、麻中は攻撃が集中していた場所へと向かう。

 

激しい戦闘が行われた以上、誰か怪我をしている可能性がある。

 

その事も考慮し、麻中はその場所へ向かう。

 

しかし、人影はなかった。

 

ガルガレードが放った攻撃によって、燃え広がっている様子が見える。

 

だが、その中で動く影が。

 

「んっ?」

 

気になり、すぐに近づく。

 

そこにいたのは、一匹の黒猫だった。

 

「まさか、あいつ。

猫を狙ったのか?」

 

疑問に思っていると、ふらふらと黒猫はそのまま倒れ込んだ。

 

「うわっと、まったく、結局あいつらの狙いはまるで分からないか。

とりあえず、動物病院まで連れて行かないとな」

 

それと共に麻中はすぐに動物病院へと連れて行く事にした。




今回の話から、今作でのヒロインをタグに追加させて貰います。


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黒猫が狙う者

「それにしても、奴は結局、この黒猫をなんで、狙っていたんだろうか」

 

麻中はそう呟きながら、治療を終えた黒猫の様子を見ながら言う。

 

三大勢力の会議が行われる間、麻中がやる事はほとんどない。

 

その事もあって、麻中は黒猫を心配しながら、見つめる。

 

この黒猫は、日中、何をしているのかは分からない。

 

しかし、どういう訳か、麻中に着いてこようとしている。

 

その理由は分からない。

 

彼にとって、この黒猫は本当にあの時に初めて出会った存在であり、なぜここまでついて来るのか。

 

怪我が未だに治っていない状態という事もあり、あまり無理をさせないようにしている。

 

そんな黒猫が出掛ける時には決まって、常に麻中のバックの中に入っている。

 

定位置といわんばかりのそこから追い出す事もできず、無理矢理追い出せば、怪我が大きくなる可能性がある為、追い出す事ができない。

 

それと共に、その日も学校へと向かう途中だった。

 

「っ」

 

僅かな物音。

 

同時に、麻中はバックを抱えたまま、その場を離れる。

 

見れば、地面は大きく抉れており、それを行った犯人はすぐに分かった。

 

「お前は、テンペラー星人!」

 

それは、かつてウルトラ兄弟を苦しめた宇宙人、テンペラー星人だった。

 

「お前は、まぁ良い、悪いがお前には用はない。

その猫をこちらに渡して貰おうか」

 

「猫を?」

 

そう言いながら、テンペラー星人はバックの中に隠れている黒猫に指をさす。

 

「こいつに一体何の用だ」

 

「依頼主から頼まれてな。

希少な生物がいれば、攫えとな。

そいつは、かなり希少な存在故に、狙っている」

 

「そうか」

 

黒猫が、奴らにとってはどういう存在か分からない。

 

麻中はゆっくりと腰からディメンションナイザーを取り出す。

 

「悪いが、こいつを渡す訳にはいかない。

特に、お前みたいな悪人にはな」

 

「ならば、力尽くでやらせて貰うぞ!!」

 

同時にテンペラー星人は、瞬時のその身体を巨大化する。

 

それに合わせるように、麻中もまたディメンションナイザーを掲げる。

 

「コスモスさん、力、お借りします!!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンコスモス!スペースコロナモード!』

 

その音を聞くと共に、瞬時にその場から逃れるようにテンペラー星人は空を飛ぶ。

 

そんな空を飛んでいるテンペラー星人を追うように、コスモスはスペースコロナモードとなっていた。

 

スペースコロナモード特有のスピードで、宙を飛ぶテンペラー星人の後ろを追う。

 

テンペラー星人は、コスモスの存在を確認すると共に、その両手の鋏から電磁鞭を作り出す。

 

その電磁鞭を、そのままコスモスに向けて、凪払う。

 

その攻撃を、コスモスは素早く躱す、

 

テンペラー星人の電磁鞭は、コスモスを追跡するように迫って来る。

 

だが、コスモスのスピードには追い付く事はできない。

 

そのまま、コスモスは高速で飛行し、テンペラー星人を追い掛ける。

 

そんなコスモスに対し、テンペラー星人は再び、電磁鞭を作り出して振るう。

 

そして、再び振り払おうとするが、今度は電磁鞭を捕まれてしまう。

 

コスモスはそのまま電磁鞭から流れる電流に身体が痺れる。

 

しかし、コスモスはその痛みに耐えながらも、テンペラー星人に向かって拳を放つ。

 

だが、それは避けられてしまう。

 

同時にテンペラー星人の拘束を振り払う事に成功して、再び距離を取る。

 

一方、テンペラー星人も電磁鞭では、不利だと判断したのか、コスモスに対して距離を詰める。

 

それと同時に、コスモスもまたテンペラー星人の方へと、突っ込む。

 

その二人による接近戦は、互いに一歩も譲らない、激しい戦いになる。

 

だが、コスモスのスピードに追い付く事ができず、徐々に追い詰められていく。

 

だが、それでも、負けじと、テンペラー星人は電磁鞭を振るい続ける。

 

その攻撃に対して、コスモスは勢い良く後ろに飛ぶ。

 

同時にコスモスは両手に宇宙のエネルギーを集め、オーラのような物を纏った青色の光球をテンペラー星人撃ち込む。

 

決定的な隙を与えてしまったテンペラー星人は、その一撃を避ける事はできず、そのまま宇宙へ吹き飛ばされ、爆散する。

 

「ふぅ」

 

戦いが終わり、ため息を吐きながら、コスモスをディメンションナイザーに戻す。

 

「それにしても、以前はなかった宇宙人達が、なんでこっちに?

何か、起きようとしているのか?」

 

そんな呟きをしながらも、麻中はバックの中にいる黒猫を見つめる。

 

黒猫が、そんな見つめ返しているのに、気がつき、思わず笑みを浮かべる。



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三大勢力会議

三大勢力による和平会議。

 

本来ならば、三大勢力だけが集まる中で、二人の人間が混じっている。

 

その事に緊張の最中で、アザゼルが口を開く。

 

「さて、聞きたい事としては、まずはお前は一体何者なんだ、ハヤタ」

 

それが、始まりだった。

 

アザゼルとしては、麻中への興味もあったが、それと共に麻中を説得したハヤタへの興味もあった。

 

「あぁ、そうだな。

私は、地球での名前はハヤタ・シン。

だけど、本当の名前は別にある」

 

「本当の名前?」

 

「ウルトラマン。

地球で最初に現れたウルトラマンだ」

 

「なっ」

 

それには、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。

 

「おいおい、ウルトラマンって、あの巨人の事を言うんじゃないのか?」

 

「それもあるが、そうだな。

こちらを見せた方が早いかもしれない」

 

その言葉と共にハヤタは取り出したカプセルのスイッチを押す。

 

それと共に、一瞬でその姿は人間からウルトラマンへと変わる。

 

それは、資料では見た事のある確かな存在であると、全員は納得する。

 

それと共に、再び人間の姿へと変わる。

 

「まさか、本当にウルトラマンだとはな。

それで、さっき地球に最初に現れたという事は、10年前から戦ってきたのは、お前なのか」

 

「それは、違うと答えよう。

麻中がディメンションナイザーで呼ぶ事ができるウルトラマンは限られている。

私を始めとしたウルトラマンは、こうして直接来ないといけない。

何よりも、今はとある存在と戦っている」

 

「とある存在?」

 

「さて、そこからは、少し平等にしないと不公平ではないかな」

 

同時に聞こえた声と共に、見ると、そこにいたのは黄金の門。

 

それと共に、現れたのは巫女と、謎の男だった。

 

「お前はっまさか」

 

「さすがは歴戦の勇者。

この人間の姿でも、すぐに見抜くとはな」

 

「タルタロス」

 

「タルタロス?」

 

「我は究極生命体、アブソリューティアンの戦士。 アブソリュートタルタロス!

まぁ、君達で言う所の、これまでの怪獣騒動を起こしていた犯人という訳だ」

 

「お前が、これまでの騒動のっ、なぜ、そんな事を」

 

「別にお前達に隠れて行う必要はなかった。

だが、見つかっても面倒だったから。

ただ、それだけだ」

 

「それでは、まるで私達の事を脅威とは考えていない様子だが」

 

「その通りだ」

 

タルタロスは、そうあっさりと言うと、まるで興味をなくしたと言わんばかりに、今度は麻中の方へと目を向ける。

 

 

「やぁ、麻中君。

今日は、君に提案があって、来たんだ」

 

「提案だと?」

 

その言葉に対して、麻中だけではなく、その周りにいる彼らもまた警戒する。

 

「君、私達の仲間にならないかい」

 

「何?」

 

その言葉に、麻中は思わず、声を出してしまう。

 

「この世界において、我々の脅威ははっきりと言って、君だけだ。

悪魔・堕天使・天使と言った様々な勢力は数多くいるが、はっきり言えば、彼らは脅威ではない」

 

「おいおい、言ってくれるな。

その根拠は」

 

「何、簡単な事だ。

お前達は宇宙に出る事はできるか」

 

「ふむ」

 

それを聞かれた際、各々の答えとしては、はっきり言えば、分からないのが正直な答えである。

 

宇宙という外へと出た事のない彼らからしたら、どうなるのか分からない。

 

「我々は、星を滅ぼす手段は幾つもある。

それも、お前達に気づかれずにな。

過去に攻撃を仕掛けないのは、我らが目的の妨げになるからだ」

 

「まるで、過去に飛べるような言い草だね」

 

「飛べるさ。

未来にも、勿論ね」

 

「アブソリューティアンの言葉は真実だ。

実際に、我々の前に過去に存在したはずの敵を蘇らせた事もある」

 

そのハヤタの言葉に、全員の緊張感が一気に高まる。

 

「だからこその提案だ。

麻中、君の持つディメンションナイザーはウルトラマンと繋がる事ができる。

つまりは、我らが手中に収めれば、それはウルトラマン達を一気に倒す事も可能となる」

 

それは、まさにアブソリューティアンにとっては、喉から手が出る程に欲しい代物であった。

 

だが、その答えは

 

「断る」

 

麻中は、たった一言で断る。

 

「一応聞くが、理由はなんだい?」

 

「俺は、ウルトラマンの皆さんに数多くの大切な事を教わった。

和平で手を結ぶならば、良い。

けど、あんたらは結局は侵略しか考えていない。

そんな今のお前達とは、手を結ばない」

 

「そうか、実に残念だ。

ならば、巫女よ」

 

「はい、お任せを」

 

その言葉と共に、巫女は、その手に持つ物を構える。

 

「君の持つディメンションナイザーを参考に、私達が開発したアブソリュートナイザー。

次元を越え、様々な存在を召喚する事ができる。

つまりは」

 

同時に、校舎を取り囲むように、巨大な足音が聞こえる。

 

取り囲むように現れた宇宙人や怪獣。

 

その数は、これまでの数と比べても明らかに多い。

 

「それでは、私達はここで失礼するよ」

 

その言葉を言うと共に、タルタロスと巫女は、その場から去って行く。

 

「おいおい、まさか、ここまでの怪獣の数とはな。

どうするんだ」

 

「問題ない。

こっちには、ウルトラマンがいる」

 

その言葉と共にディメンションナイザーを構える。

 

「オーブさん!光の力、お借りします!!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンオーブ!スペシウムゼペリオン!』

 

鳴り響く音声と共に、襲い掛かろうとした怪獣軍団の前に立ち塞がる1人の巨人。

 

だが、それを遮るように、光の柱が現れる。

 

その光の柱から出てきた1人の巨人。

 

赤と紫が入り交じった銀色の巨人であり、シンプルな姿。

 

その巨人の名は、ウルトラマンオーブ。

 

「あれが、ウルトラマン」

 

「それに、オーブ、あいつは一体」

 

そう、アザゼル達が見つめながら、オーブはそのまま構える。

 

同時に怪獣軍団が襲い掛かってくる。

 

先陣を切る羽毛が白く、先端が赤くなってい怪獣であるグエバッサーが、オーブに向けて、襲い掛かる。

 

それに対して、オーブは両手を広げ、片手に光の光輪を造り出すと共に投げる。

 

その光輪を、避ける事ができないグエバッサーは、そのまま正面から真っ二つに斬り裂かれ、同時に爆発する。

 

だが、その爆散された煙の中から現れたブラックキングとナックル星人は、そのまま襲い掛かろうとする。

 

ブラックキングの口から放たれる炎と、メトロン星人の目から放たれる光線は、そのままオーブに襲い掛かろうとした。

 

しかし、それよりも早く、オーブの身体が青い光に染まる。

 

『光を超えて、闇を斬る!』

 

同時に、オーブの手には何時の間にか持っていたのか、身の丈はあるだろう槍を使い、それらの攻撃を簡単に斬り裂く。

 

「あれは、コカビエルの戦いの時に見たウルトラマンと似た姿?」

 

「オーブは、他のウルトラマン達の力を借りる事で、様々な姿になる。

あれは、ウルトラマンゼロとウルトラマンジャック。

2人の特徴が合わさった姿、ハリケーンスラッシュだ」

 

それと同時に、その手に持った槍を持ったまま、オーブの姿は一瞬で消える。

 

それに困惑を隠せないブラックキングとナックル星人だったが、そのオーブが何を行っているのか、瞬時に理解した。

 

周囲にいる他の怪獣や宇宙人に対して、その手に持つ槍で目にも留まらぬ速さで相手を連続で切り裂いて八つ裂きにしていた。

 

それらは、アザゼル達の目では、追う事はできなかった。

 

そして、オーブはそのまま2体を同時に槍で貫くと共に、そのまま槍から流れるエネルギーで、一気に2人を爆発させ、倒す。

 

しかし、それが油断となった。

 

オーブの後ろにいつの間にかいたブラキウムが、その腹部にある口を大きく開く。

 

周囲にある物を全て、飲み込まんばかりの吸引力で、オーブごと、全てを飲み込もうとした。

 

「ぐっ、これって、まさかブラックホールかっ」

 

「ブラックホールだって」

 

その事に、周りは驚きを隠せなかった。

 

これまで規格外の大きさを誇っていた怪獣だが、まさかその最中、ブラックホールを操る存在がいるとは、彼らも予想外だった。

 

しかし、その状況の最中でも、オーブ達は冷静だった。

 

『電光雷轟、闇を撃つ!』

 

それは、先程とは違い、オーブの姿は瞬く間に変わる。

 

その全身がメカニクルなデザインをした姿へと変わり、自ら真っすぐとブラキウムへと突っ込む。

 

そのまま空中で両手両足を広げたX字のポーズで静止して、全身から電撃を放つ。

 

図り切れない程の電撃を、そのままブラキウムに飲み込ませる。

 

その膨大なエネルギーに対応する事ができなかったのか、ブラキウムはそのまま爆散する。

 

そこまでの戦闘に1分もかかっていない。

 

「これが、ウルトラマンの力」

 

だが、それらを考えている間にも、怪獣達の中で異様な存在が現れる。

 

全身が赤、青、金で彩られた龍人のような姿になる。

 

長い鎌首と経口捕食の為の顎が存在しない尖った口先、ムカデの胴体のような尻尾を備え、下半身が袴かスカートのような衣類を身に着けているように見えるなど、神々しさと禍々しさが同居する龍。

 

「あれは」

 

「ルーゴサイト。

本来は宇宙に害を及ぼす存在を排除する役割を担っていたが、いかなる理由か暴走状態に陥っており、生命反応を探知しては宇宙各地の星を手当たり次第に喰らい続ける生きた災厄」

 

「生きた災厄」

 

「確かに、その言葉に間違いはないようだ」

 

実際に、遠く離れているはずの、この場でアザゼル達は、その力がよく理解できる。

 

だけど。

 

「ガイさん。

まだまだいけますよね!!」

 

その言葉に対して、オーブもまた答えるように、頷く。

 

それと同時にオーブの姿は変わる。

 

それは、これまでで、一番シンプルであり、オーブ本来の姿であるオーブオリジン。

 

それと同時に、麻中の手から出てきたのは二つのアイテムだった。

 

『オーブリングNEO』『ジードライザー』

 

現れたアイテムを手に持ち、4枚のカードをスキャンする。

 

「ロッソさん!グリージョさん!」『ウルトラマンロッソ!ウルトラウーマングリージョ!O-50a』

 

麻中は、その内の二枚のカードをスキャンし、現れたカプセルを2個、ジードライザーにスキャンする。

 

それと共に現れたウルトラマンロッソとウルトラウーマングリージョの幻影が一つとなり、一つのカプセルへと変わる。

 

「ブルさん!フーマさん!」『ウルトラマンブル!ウルトラマンフーマ!O-50β』

 

同様の動作と共に、その手にはブルとフーマ、二人のウルトラマンの力が込められたカプセルが現れる。

 

同時に、オーブリングNEOを、ジードライザーと合体させる。

 

「「繋がる輪で導く未来!!」」

 

それは、まるで、麻中とオーブ。

 

二人が重ねるように、ジードライザーにカプセルをスキャンすると共に、変わる。

 

『ネオフュージョンライズ!ウルトラマンオーブオーバーフィフティー!』

 

その音声が鳴り響くと同時に、オーブを中心に変化する。

 

炎・水・風・土。

 

4つの光は、そのまままるで輪のようにオーブを囲みながら、そのまま姿が変わる。

 

それは、赤と青と黄の3色の鎧を身に纏い、その首元には風を思わせるマフラーが装着される。

 

その存在に、驚きを隠せない中で、ルーゴサイトはすぐに動き出した。

 

尻尾からはミサイルを、鼻先から放つ赤く細い光線を。

 

それら全ての武器を使い、真っすぐとオーブに襲い掛かる。

 

だが、それよりも早く、オーブは、その手にはルーブコウリンがあり、前に出す。

 

同時に、オーブの周りに現れたのは、オーブに力を貸している4人のウルトラマン達であり、彼らの幻影が、光の盾で、全ての攻撃を防ぐ。

 

一瞬で、防がれた事に、同様しているルーゴサイトに対して、既にオーブはその背後に立っていた。

 

同時に、その手には巨大な剣、オーブカリバーで軽々と薙ぎ払う。

 

それによって、ルーゴサイトの翼は切り裂かれていた。

 

「あれは、聖剣なのか」

 

「ガイさんは、ジャグラーの永遠のライバルのような存在だからな」

 

「なるほど、あの人が、エクスカリバーをいらないという訳だ。

あの剣と戦うんだったら、尚更か」

 

そう、納得した木場を他所に、オーブはそのまま構える。

 

身体から溢れ出る3色の光を一つに纏めるように、両手で構え、十字に構える。

 

「「オーヴァーフィフティバスター!!」」

 

放たれた光線に対して、すぐに抵抗する事ができないルーゴサイトは、その光線を真後ろに吹き飛ばされ、消え去った。

 

「ふぅふぅ」

 

そこまでの戦いを終えると共に、麻中は、その場で倒れそうになる。

 

それを、ハヤタは受け止める。

 

「よくやった」

 

その言葉を聞くと共に、安堵と共に、麻中は目を閉じる。



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猫の過去

駒王学園での三大勢力の会議が終わった後でも、麻中の日常は変わらなかった。

 

今の所、怪獣にも対抗する事ができ、さらには下手な事をすれば、三大勢力に大きな被害が出る可能性がある為、普段と変わらないようにしていた。

 

その最中で、グレモリー眷属の1人である塔城小猫は、麻中へと近づいていた。

 

「んっ、君は」

 

「塔城です。

麻中先輩に聞きたい事があって、来ました」

 

「俺に?」

 

その言葉に、首を傾げる。

 

「先輩は、姉様を知っていますか」

 

それは、小猫にとってはまさにその疑問が大きかった。

 

麻中から漂う匂い。

 

それは、彼女の姉の匂い。

 

それが、なぜ、麻中から匂うのか、疑問だった。

 

「姉さん?

いや、知らないよ」

 

その事に対して、麻中は即答した。

 

それには嘘がない事はすぐに分かった。

 

「そうですか。

ですけど」

 

「・・・とりあえず、話だけでも聞くよ」

 

その言葉と共に麻中はそのまま彼女から事情を聞く事にした。

 

近くの喫茶店。

 

そこで小猫の事情を聞いた。

 

ほとんど、無関係と言える2人。

 

だからこそ、小猫は、自身の悩みを話した。

 

元は「白音」という名で、姉の黒歌と共に姉妹で暮らしていた。

 

しかし黒歌が、生きるためにとある悪魔の眷属になった際、元からの資質が溢れ出し暴走。

 

強大な『はぐれ』となった姉を危険視した悪魔たちは、妹である彼女が暴走する可能性を考慮し、処分を検討し始める。

 

そこを魔王であったサーゼクスに拾われ、妹のリアスに眷属として預けられた。

 

絶望に心を閉ざしていた彼女だが、情愛の深いリアスに『塔城小猫』という名前を与えられ、少しずつ感情を取り戻していった。

 

そこまで、話す事ができたのに、小猫自身も驚きを隠せなかった。

 

「ここまで話せたのなんて、不思議ですね。

これもウルトラマンの力ですか」

 

「それは、どうなんだろうな」

 

そう言いながらも、麻中は、そこまでしか言わなかった。

 

同時に感じた違和感。

 

それと共に、目を向けた所にいたのは巨大な怪獣。

 

「キングオブモンス。

まさか、ここに出てくるとはな」

 

同時に懐から、ディメンションナイザーを取り出す。

 

「行くぞ、メビウスさん」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンメビウス!』

 

召喚されたキングオブモンスに対して、メビウスはそのまま真っ直ぐと構えながら突っ込む。

 

その拳を、キングオブモンスに向けて放つ。

 

長年の鍛錬によって、放たれたその一撃は鮮やかであり、同時に次の攻撃へと繋げる為にも冷静な動きで殴っていく。

 

しかし、それらの攻撃を受け手も、キングオブモンスはまるでびくともしなかった。

 

それは、合体怪獣としての強さなのか。

 

かつて、ウルトラマン達を苦しめたタイラントやファイブキングと同じキングオブモンスのその力は、メビウス1人の力を簡単に跳ね返す。

 

対して、キングオブモンスの攻撃のほとんどはメビウスに当たっていた。

 

それは、メビウスが街への被害を最小限にする為に、自身の身体を盾にするような戦い方を行っている為である。

 

放たれるビームを、メビウスは両手を広げて形成する∞の形をしたバリアで、その攻撃を受け止める。

 

それでも、後ろに下がっている。

 

それと共にキングオブモンスは、翼を広げ、その腹部から巨大な牙でメビウスを拘束する。

 

身動きが取れないメビウスに対して、キングオブモンスは最後の一撃を放つように、口を大きく開く。

 

しかし

 

『ディメンションロード!ザムシャー!』

 

鳴り響く音声と共に、キングオブモンスの背中にある翼を斬り裂く一閃。

 

「まったく、情けないぞ、メビウス」

 

「ザムシャー!」

 

そこに来て、現れた協力な助っ人であるザムシャーだった。

 

その手にある刀で、キングオブモンスの翼を斬り裂いたのと同時に、メビウスはそのまま蹴り上げながら、同時に構える。

 

口から放たれたその光線に対して、ザムシャーは刀で。

 

メビウスは、メビウスブレスから出した光の刃で。

 

襲い掛かる光線を斬り裂いた。

 

同時に、ザムシャーはそのまま前に出て、刀を構える。

 

次々と放っていく光線に対して、ザムシャーは切り飛ばしながら、進んでいく中で突然跳び上がる。

 

それに一瞬、上に目を向けるキングオブモンス。

 

それが致命的だった。

 

メビウスブレスから発生した炎のエネルギーを胸のファイヤーシンボルに集中させて形成した、巨大な火球を、キングオブモンスに放つ。

 

放たれた一撃に対して、身動きが取れなくなった。

 

それに対して、ザムシャーは宙を飛びながら、一閃。

 

キングオブモンスは、そのまま真っ二つに斬り裂く。

 

それによって、キングオブモンスは完全に倒される。

 

「ふぅ、助かったよ、アカネ」

 

「いやぁ、私としても、ザムシャーの活躍を見たかったからね。

それで、そこにいる子は」

 

「彼女は、新条アカネさん?」

 

「そう、まぁねぇ」

 

そう言いながら、ダークディメンションナイザーを見せつける。

 

それは、ジャグラス・ジャグラーから預かっているダークディメンションナイザーだった。

 

元々、怪獣を造り出していたアカネだからこそ、状況に合わせた怪獣達を呼び出す事ができると考え、麻中は渡していた。

 

そんな3人の様子を、見つめていた存在がいた。

 

「ふむ、なるほど。

この世界にいる住人はかなり歪んでいる様子だねぇ。

私好みが、とても」

 



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悪夢

「にしても猫ねぇ。

まさか、この黒猫が案外、黒歌だったりしてな」

 

そう呟きながら、今もバックの中にいる黒猫に対して言う。

 

冗談だと思いながら、笑みを浮かべる。

 

これまで、怪獣が狙って来たという事もあり、黒猫に何かあるとは感じる。

 

それでも、どんな事情があるか分からないが、それでも守らなければならない。

 

どこか、そう感じながら、その帰り道を歩く。

 

『では、少し試してみようか。

そこの彼女の事を』

 

それと同時に、背筋が凍るような声が聞こえた。

 

ねっとりとした声。

 

それがどのような意味なのか、麻中はすぐに理解した。

 

上空から降り注ぐ存在。

 

それは、位置が逆転した口と目、胴体に浮かぶ赤い目の巨大な髑髏の顔のような模様、体の各所に生えた何本もの触手、巨大な黒い翼など、その異形な怪物、ナイトファングは真っ直ぐと麻中へと目を向ける。

 

その視線は麻中ではなく、やはりバッグの中にいる黒猫へと目を向ける。

 

同時に、ナイトファングの目を見た瞬間、黒猫はバッグの中で震えだした。

 

「お前」

 

それが、何を意味するのか、分からない。

 

それでも、まるでそれを見せて、楽しむようなナイトファングに対して、怒りがわき上がる。

 

それは、手に持つディメンションナイザーにも伝わり、同時に構える。

 

「絶対に許さない」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンネクサス!』

 

その音声と共にウルトラマンネクサスが現れると同時に、そのままナイトファングに向かい合う。

 

ナイトファングもまた、ネクサスの存在に気づくと共に気味の悪い鳴き声を放つ。

 

それと共に触手を、真っ直ぐとネクサスに向けて放つ。

 

ネクサスは、瞬時に触手の攻撃から回避しつつも、光粒子エネルギーの刃をナイトファングに向かって放つ。

 

それによって、触手は斬り裂かれる。

 

それによって、ナイトファングは悲鳴を上げると共に、そのままネクサスは一気に接近する。

 

だが、ナイトファングはそれを察したように、目を大きく開く。

 

「『ぐっ!』」

 

それは、ネクサスと共鳴していた麻中にも変化が起きた。

 

悪夢が、麻中達に襲い掛かる。

 

それを見ると共に、ナイトファングは、口から火炎球を放つ。

 

真っ直ぐと放たれたその攻撃に対して。

 

「ネクサス!!」

 

その叫びに僅かに反応したネクサスは水面に生まれる波紋のような、青色に輝く円形状のバリアを作り出し、なんとか攻撃を放つ。

 

しかし、ナイトファングから放たれる悪夢に、コントロールを保つのは難しかった。

 

それでも、麻中は、バッグの中にいる黒猫を守る。

 

その意思で、悪夢と戦っていた。

 

そんな時だった。

 

『ディメンションロード!ダークメフィスト』

 

鳴り響いた音声と共に、ナイトファングの目に向けて、闇のエネルギー弾が激突する。

 

それによって、悪夢から解放されたネクサスは横を見る。

 

そこには、かつて敵対した敵であるダークメフィストが立っていた。

 

ダークメフィストが助けた事に対して、ネクサスは驚きを隠せなかった。

 

だが、無言で僅かに見つめ合うと共に、ネクサスは頷き、立ち上がる。

 

それと共に、ネクサスの姿も変化した。

 

波紋が、ネクサスを覆い、肩には鎧の肩当てのような板状のパーツがあり、胸のエナジーコアにはカラータイマー。

 

その姿は、まさしく赤い戦士を思わせる形態、ジュネッスへと変わる。

 

ジュネッスへと変化すると同時に、ナイトファングはそのまま触手を真っ直ぐとネクサスとダークメフィストに向けて、放つ。

 

その攻撃を避けるように、同時に空へと飛ぶ。

 

それに対して、変幻自在に伸びる触手が、ネクサス達を追う。

 

空を飛ぶ2人の巨人は、その変幻自在の動きで、その攻撃を避ける。

 

同時に、互いに死角から襲い掛かる触手に対しては、各々が放つエネルギー刃で斬り裂いていく。

 

襲い掛かる火炎球に対しても、瞬時に躱し、斬り裂き、真っ直ぐと殴る。

 

飛びけりを放つ。

 

襲い掛かる悪夢を、消すように。

 

光の巨人と闇の巨人。

 

2人の巨人が次々と攻撃を放っていく。

 

同時に、俺はそのタイミングを見ながら、瞬時にジードライザーを呼び出す。

 

「Xさん!『ウルトラマンX』セブンさん!『ウルトラセブンX』Xの力、お借りします!」

 

『フュージョンライズ!ウルトラマンX!ウルトラセブンX!ウルトラマンネクサスクロスジュネッス!』

 

鳴り響く音声と共に、ウルトラマンネクサスの横に飛ぶのはウルトラマンXとウルトラセブンX。

 

2人の巨人が現れると同時に、ネクサスにXの字を思わせるように重なり、そして姿が変わる。

 

エックスを思わせるヘッドホンや追加装甲が装備され、目つきが鋭く変わる。

 

その姿へと変わるのと同時に、その腕には、まるでウルトラセブンXの武器であるアイスラッガーを思わせる光の刃を形成する。

 

同時に、その刃を真っ直ぐと、ナイトファングに向けて、投げる。

 

それに対して、ナイトファングは、その攻撃を避けようとする。

 

だが、そのアイスラッガーの行く先には、まるで電脳空間の入り口を思わせる扉が開く。

 

同時にアイスラッガーが、その光に吸い込まれると同時に、別の方向から現れた光の扉。

 

そこから出てきたアイスラッガーが、ナイトファングを斬り裂く。

 

それに驚きを隠せない中、ネクサスは次々と放っていく。

 

数多くいるウルトラマンの中でも、メタフィールドという空間を作り出す事ができるネクサス。

 

サイバー空間を自在に行き来する事ができるX。

 

別の世界へと干渉する事ができたセブンX。

 

3人の力が合わさったこの姿によって、自在に空間を操る事ができる能力を得た強力な姿。

 

それこそがクロスジェネッスの力である。

 

クロスジェネッスの力によって、身体が徐々にボロボロになっていくナイトファング。

 

やがて、体力が尽きそうになりながらも、その身体に闇を溜め込む。

 

この辺、一帯を吹き飛ばそうと。

 

それに対して、ネクサスとダークメフィストは瞬時に懐へと飛び込む。

 

そして、まるで同時のタイミングに、その拳に光と闇を集め、真っ直ぐと殴る。

 

それによって、空高く吹き飛ばされるナイトファング。

 

そのナイトファングに対して、すぐに2人は構える。

 

ネクサスは両腕を下方で交差させてからゆっくりと広げつつ、左へ振りかぶりながら左脚で踏ん張る動作と共に、両腕をL字に組んで放つ。

 

ダークメフィストもまた、両腕を下方で交差させてからゆっくりと広げつつエネルギーを生み出し、両腕をL字に組んで放つ。

 

それは、光ではなく闇による必殺光線。

 

そして、2つの光線は互いに混ざり合いながら、真っ直ぐとナイトファングは、その2つの光線によって、消し飛ぶ。

 

「ふぅ、サンキューな、アカネ」

 

そう、遠くにいるだろうアカネに対して頷く。

 

それと共に、バックの中にいる黒猫は未だにナイトファングの悪夢が襲っているだろう。

 

すぐ近くの椅子に座ると共に、黒猫が落ち着くまで撫で続ける。

 



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白龍帝の挨拶

夏休みが、もうすぐ始まりそうになる。

 

その時期になってか、ゼノヴィアが家に来た際だった。

 

「実は、夏の間、私はしばらく部長の誘いもあって、冥界に行く事になった」

 

「なぜ、それを俺に言うんだ」

 

そう麻中は、ゼノヴィアからの報告に、思わず答えてしまう。

 

「ふむ、こういう場合は、こう言った方が良いと教えられたのだが、あまり反応がないな」

 

「だから、どういう意味なんだ」

 

「まぁ、良いではないか」

 

そう、曖昧に受け流されてしまう。

 

「そういう君はどうするだ?」

 

「どうすると言われても、これまで、あまり夏休みは特になかったからな」

 

麻中の夏休みの過ごし方はあえて言うとウルトラマン達に誘われて、色んな所を冒険に出ていた程度だ。

 

そんな朝のやり取りを思い出しながら、その日の帰り道。

 

アカネと一緒に帰り道。

 

麻中の目の前には、銀髪の青年がいた。

 

「やぁ、こうして初めて会うな」

 

「誰?」

 

思わず、麻中とアカネは言う。

 

「まぁ、こうして直に合うのは、初めてだからね。

まぁ、今回は挨拶程度だ。

それに、俺の知り合いも世話になったからな」

 

「そうなんですか」

 

疑問に思い、2人は首を傾げる。

 

そんな考えを過っている間だった。

 

麻中達を覆う空間。

 

それに、麻中達はすぐに構える。

 

「おいおい、まさかこの状況は」

 

その言葉と共に目を向けた。

 

そこに立っていたのはゼットンだ。

 

ただし、そのゼットンは以前、麻中と戦ったゼットンとは違う。

 

その身体の内部は、機械のパーツが幾つか見える。

 

「まさか、ペダニウムゼットンかよ」

 

それは、怪獣の中でも一際厄介な存在であるベリアル融合獣。

 

その中でも一際強力な、ペダニウムゼットンであった。

 

しかし、それでも、麻中は慌てず、ディメンションナイザーを構える。

 

「最速で、倒す!

マックスさん!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンマックス!』

 

鳴り響く音声と共に、ペダニウムゼットンの前に現れたウルトラマン。

 

そのウルトラマンの名はマックス。

 

最強最速のウルトラマンと言われているそのウルトラマンが、立ち上がると同時に、真っ直ぐとペダニウムゼットンに向かって走る。

 

同時にペダニウムゼットンは、ゼットンの特徴とも言える瞬間移動で、その姿を消す。

 

そのままマックスの背後に回ると共に、角から赤い電撃光線を放つ。

 

電撃は、そのままマックスの背中を貫き、地面に大きな亀裂が入る。

 

しかし、マックスには、傷1つついていない。

 

否、それは違った。

 

「ほぅ」

 

その事に気づいたヴァーリは笑みを浮かべる。

 

それは、先程まで走っていたマックスは残像であった。

 

その証拠に、既にペダニウムゼットンの背後にはマックスが立っており、そのまま飛び蹴りを放つ。

 

背中からの奇襲に、対応ができなかったペダニウムゼットンはそのまま地面へと叩きつけられる。

 

それと同時に、頭に格納されているマクシウムソードをマックスはそのままペダニウムゼットンに向けて放つ。

 

それに対して、ペダニウムゼットンは、すぐに周囲にバリアを張る。

 

それと共にペダニウムゼットンは、そのまま次に狙いを定めたのは、麻中だった。

 

両腕を構え、そのまま真っ直ぐと火球を放とうとした。

 

しかし。

 

「ペダニウムには、キングジョーだよね!」

 

『ディメンションロード!キングジョーストレイジカスタム!』

 

鳴り響く音声と共に、アカネが取り出したダークディメンションナイザーから出てきたのは、キングジョーストレイジカスタムだった。

 

それは、かつて、ウルトラマン達を幾度となく苦しめたキングジョー。

 

そのキングジョーを地球人が改造し、防衛チームの戦力として新たに生まれ変わったキングジョーの姿だった。

 

それは、本来のキングジョーが造り出したペダン星人の手から離れ、別の人物達によって、改造されたキングジョー同士の戦いだった。

 

キングジョーストレイジカスタムは、そのまま右腕と一体化しているペダニウム粒子砲を真っ直ぐとペダニウムゼットンに向けて、放つ。

 

それによって、ペダニウムゼットンはその火球を放つ事ができずに後ろに下がる。

 

「あれは一体?」

 

「キングジョーストレイジカスタムだよ!

地球防衛軍ストレイジが、キンジョーというロボットを改造して造ったロボットなの!

その強さは2人のウルトラマンを同時に相手にできる程の強さを持っているの!!」

 

「人間が?

ほぅ、それは、戦ってみたいな」

 

ヴァーリは、アカネの言葉に対して興味を示すように言いながら、キングジョーストレイジカスタムを見つめる。

 

同時にマックスが地上に降り立つと同時に、麻中に目を向ける。

 

「アカネ、少しの間だけ、時間を稼いでくれ」

 

「良いけど、ロボット系は怪獣達と違って、直接指示しないといけないから、そんなに稼げないよ!」

 

それと共にキングジョーストレイジカスタムが真っ直ぐとペダニウムゼットンに向かって行く。

 

ペダニウムゼットンは、すぐにキングジョーストレイジカスタムと向き合う形で、そのまま腕を振り上げる。

 

対して、キングジョーストレイジカスタムは、左腕の折り畳み式の腕を伸ばして叩き付ける。

 

その一撃は凄まじく、そのままペダニウムゼットンは、吹き飛ばされる。

 

だが、そのまま赤いレーザーを真っ直ぐとキングジョーストレイジカスタムに向けて放つ。

 

だが

 

『キングジョーストレイジカスタム!セパレートモード』

 

鳴り響く音声と共にキングジョーストレイジカスタムは分離し、そのまま追撃を行う。

 

分離しながら、そのまま四方から、攻撃を行っていくキングジョーストレイジカスタム。

 

だが、戦闘に不慣れなアカネの操作も相まってか、キングジョーストレイジカスタムが徐々に追い込まれていく。

 

「まだ!!」

 

「大丈夫だ、行くぜ、マックスさん!」

 

アカネに対して返答すると共に麻中はその手にゼットライザーを構える。

 

「グレートさん!パワードさん!リブットさん!剛柔、自在の力!お借りします!」

 

『グレート!パワード!リブット!ウルトラマンマックスユニバース!』

 

鳴り響くと同時に、マックスに変化が起きる。

 

それは、身体に様々な国旗が次々と映し出されるように全身が発光を常に行っている。

 

そして、その変化と共にマックスはそのまま、ペダニウムゼットンへと向かって行く。

 

ペダニウムゼットンは、すぐにマックスに向かって、火球を放つ。

 

だが、その攻撃に対して、マックスはその手で触れる。

 

同時にまるで流れるようにその火球の軌道を変え、そのままペダニウムゼットンに当てる。

 

それに動揺しているペダニウムゼットンに向かって、そのまま両手で一気に殴り、吹き飛ばす。

 

「先程のパワーとスピードに加えて、瞬時に切り替える格闘技とはな」

 

そうしている間にも、ペダニウムゼットンは、既に最後の一撃を放とうと、テレポートし、その場から離れる。

 

だが

 

『キングジョーストレイジカスタム!タンクモード!』

 

だが、そんなペダニウムゼットンを追うように、キングジョーストレイジカスタムがタンクモードに変わる。

 

そして、キングジョーストレイジカスタムの上にマックスは乗る。

 

それと共に、マックスの特徴と言えるマックススパークを上に向けると、キングジョーストレイジカスタムのエネルギーと、マックスに宿るウルトラマン達の力が集う。

 

それは、まさに七色の光であり、それを真っ直ぐとペダニウムゼットンに向けて放つ。

 

放たれた一撃に対して、ペダニウムゼットンはすぐに火球を放つ。

 

だが、それらは完全に光線の中に吸い込まれ、そのままペダニウムゼットンは光の中へと消える。

 

それと共に、役目を終えたようにマックスとキングジョーストレイジカスタムが消える。

 

「こうして、間近にウルトラマンの戦闘を見れて、良かったぜ」

 

そう言いながら、ヴァーリはその姿を消した。

 

「・・・まさか、悪魔とか、天使とかの関係者?」

 

「今の感じだと、そうだよね」

 

そう、2人は未だにヴァーリの正体に気づかないまま、首を傾げるだけだった。




ウルトラマンマックスユニバースに関してのイメージとしては、タロウのストリウム光線を放つ時の状態が常に維持されている感じです。
その光が、国旗のようになっていると、想像して頂きたいです。


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暗黒の夏休み

 夏休み。

 

 それは、学生にとっては、まさに待ち望んでいた長期休暇だ。

 

 そんな長い休みを目の前にして、浮かれていないはずがない。

 

 麻中もそうであったし、きっと多くの学生がそうであるだろう。

 

 だが、その夏休みは麻中にとっては、まさに苦労の連続だった。

 

 始まりは、まさに夏休みが始まる前日。

 

 学校からの帰り道だった。

 

 麻中は何時ものように学校の帰り道を歩いていた。何の変哲もない日常の風景だ。

 

 ただ、一つだけいつもと違うことがあった。

 

 それは──―、

 

「さっきから、俺を追っているけど、何の用だ」

 

「えっバレたじゃなイカ!」

 

 電柱の影に隠れていた宇宙人の存在だった。

 

 その特徴的な巨大な耳が、電柱から飛び出ており、既にバレバレであった為、麻中は呆れた様子で見ていた。

 

「イカルス星人のようだけど、何の様だ」

 

「そんなの決まっているじゃなイカ! 

 

 お前の黒猫を狙っているんじゃなイカ!! 

 

 まぁ、人間であるお前には吾輩に敵う訳じゃなイカ!」

 

 その言葉と共にイカルス星人はその巨大な耳から光線を放つ。

 

 光線はそのまま地面に激突し、土煙に包まれる。

 

「やったじゃなイカ!」

 

「やってないよ」

 

「えっ?」

 

 イカルス星人はそのまま間抜けな声を出すと同時に、既に後ろに回っていた麻中の蹴りを食らう。そのまま吹っ飛んだイカルス星人はそのまま地面へと叩きつけられる。

 

「ぐふぅ!?」

 

「全く、いきなり襲ってくるなんて卑怯じゃないか」

 

「卑怯というよりも、何、その身体能力」

 

「何って、宇宙拳法だけど。

 

 ディメンションナイザーを通じて、ゼロさん達から教えて貰ったけど」

 

「そんな通信空手感覚で、宇宙拳法の使い手って、可笑しいじゃなイカ!」

 

 その言葉と共にイカルス星人はそのまま、がむしゃらに攻撃を行っていく。

 

 しかし、その攻撃に対して、

 

 麻中は全て回避していく。

 

(この人間……強いじゃなイカ)

 

 先程まで一方的にやられていた相手とは思えなかった。

 

 まるで、自分よりも数段上の実力者と戦っているような気分だった。

 

 事実として、麻中は数多くのウルトラマン達からの特訓を受けた事によって、並の人間を遙かに超える身体能力を持っている。それこそ、宇宙拳士とも戦えるレベルにまで。

 

 だからこそ、今の状況は非常にまずいのだ。

 

 このままでは負けてしまうと思ったイカルス星人は、最後の手段に出る事にした。

 

「こうなったら仕方がないじゃなイカ! 我輩の奥の手を見せてやるじゃなイカ!!」

 

 そう言うと、イカルス星人は両手を広げる。

 

 すると、地中から現れたのは、恐竜戦車だった。

 

「恐竜戦車をって!!」

 

 すると、恐竜戦車は、そのまま麻中達とは正反対の方向へと向かっていく。

 

「そして、とぅ!」

 

 同時にイカルス星人は巨大化すると共に、麻中を見下す。

 

「くくっ、ウルトラマンを呼んでも良いじゃなイカ! 

 

 だが、ウルトラマンを呼んでも、果たして1人だけで対応できるかなぁ!」

 

「悪いが、何時までも、成長しないと思っていたら、大間違いだぞ」

 

「なに?」

 

 同時に麻中が取り出したのは、2枚のカードだった。

 

「2枚?」

 

「行きますよ、ネオスさん! セブン21!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンネオス! ディメンションロード! ウルトラセブン21!』

 

「えっ」

 

 間抜けな声を出すイカルス星人に向けて、現れたウルトラマンネオスが真っ直ぐとイカルス星人を蹴り上げる。

 

 それと共に、恐竜戦車の前に立ちはだかったのは、ウルトラセブン21だった。

 

「うっウルトラマンを2人も出すなんて、卑怯じゃなイカ!」

 

「お前に言われたくない」

 

 イカルス星人に対して、呆れたように言う麻中の言葉に応えるように、ウルトラマンネオスは真っ直ぐと走り出す。

 

 すぐに向かってくるイカルス星人は、そのまま耳から光線を真っ直ぐとウルトラマンネオスに放つ。

 

 しかし、ウルトラマンネオスは、そのアクロバティックな飛躍と共に、真っ直ぐとイカルス星人に蹴り上げる。

 

「痛っ!!」

 

 その蹴りを受けて、イカルス星人は、痛みを感じて悲鳴を上げる。

 

 それと共にイカルス星人に対して、ネオスは素早い動きで、次々と攻撃を仕掛けていく。

 

 同時に恐竜戦車と戦っていたウルトラセブン21は、ネオスとは正反対のパワーで、恐竜戦車の動きを止める。

 

 キャタプラで進もうとする恐竜戦車だったが、セブン21の力強い腕力によって止められる。

 

「ウヌッ!?」

 

 その瞬間、ネオスは、空高く飛び上がると、そのまま空中を蹴って加速して、再びイカルス星人へと向かっていく。

 

 そして、勢いよく振り下ろした足は、見事にイカルス星人の頭に当たる。

 

 それによって、イカルス星人は吹き飛ばされる。

 

 それに合わせるように、セブン21もまた、恐竜戦車をそのままイカルス星人にぶつけるように投げ飛ばした。

 

 その結果、二体はそのまま倒れてしまう。

 

「痛たっ、あっ」

 

 イカルス星人はなんとか立ち上がると共に、見た光景。

 

 それは、既にネオスとセブン21は必殺の光線を放とうとした瞬間だった。

 

「こりゃ、無理だわ」

 

 同時にネオスは両腕を十字に組んで、セブン21は右腕を水平に伸ばした後に、腕をL時に組んで光線を放った。

 

 それに対して、避ける事ができず、そのままイカルス星人は恐竜戦車と共に爆散する。

 

「はぁ、なんとかなったか。

 

 でも、やはりウルトラマンを二人呼ぶのは、無茶だったかも」

 

 同時にネオスとセブン21は麻中を心配するように目を向ける。

 

「すいません、いきなり呼んでしまって。

 

 だけど、あの状況で、街への被害を抑えるには、これしかなかったので」

 

『本当にそうだね。

 

 だからこそ、簡単に罠にかかるんだよ』

 

 それと共にねっとりと聞こえる声と共に麻中は何かに包まれる。

 

 驚きを隠せない間にも、ネオスとセブン21がすぐに追いかける。

 

「ぐっ」

 

 ディメンションナイザーによる召喚したウルトラマン達を維持するには麻中の体力が大きく関係している。

 

 一人のウルトラマンを召喚するのも、かなりの体力が必要であり、召喚ができる時間は3分。

 

 そして、ウルトラマンの力が強く引き出す程に、その体力の消費が激しい。

 

 その為、ウルトラマンのタイプチェンジでも、制限がある、

 

 特に、最強の力を使う場合は一瞬にも満たない時間しか使えない。

 

 そして、ゼットライザーやジードライザーなどを使った変身アイテムを使った強化を使用した場合は1分。

 

 それと共に、今回のようにウルトラマンを二人呼び出した場合は、その場を動く事ができず、2分。

 

 3人を呼び出す場合は1分程度であり、四人以上は現在は不可能とされている。

 

 よって、麻中は、その手から逃れる事はできなかった。

 

「ぐっ」

 

 暗闇から抜けた先に見えたのは森だった。

 

 どこなのか分からない状況の最中、地面へと落ちていく。

 

 そんな麻中を助けるように、ネオスとセブン21が受け止める。

 

 そのままなんとか、近くの森へと降り立つ。

 

「ここは一体?」

 

 それと共に、ネオスとセブン21がディメンションナイザーへと戻る。

 

「ここは一体、どこなんだ」

 

 疑問に思いながら、空を見上げると、そこには紫色の空が見えた。



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実験の闇

「本当に、ここはどこなんだ」

 

謎の闇によって、突然、別の世界とも言える場所に飛ばされてしまった麻中。

 

すぐに、脱出する事も考えた麻中は、ウルトラマンゼロへと相談する事にした。

 

だが

 

『どうやら、そこはお前の世界らしい』

 

「どういう事なんです?」

 

『分からない。

だが、下手にイージスの力での転移を使えば、全く別の世界に飛ばされる可能性がある。

だから、少しでも情報を手に入れる必要がある』

 

「なるほど、未知の冒険という訳ですか」

 

幸い、学校帰りに買ってきた食料もあり、数日分は問題なく過ごせる。

 

さらには、猫用の餌もあり、バックの中にいる黒猫の餌も問題なかった。

 

その思いと共に麻中は、森の中を歩いている時だった。

 

見えてきたのは、どこかの屋敷だった。

 

「なんだ、この屋敷は」

 

その屋敷に辿り着くと、何やら黒猫が叫んでいた。

 

何かあったのか、疑問に思いながらも、麻中は屋敷の中に入る。

 

屋敷は無人で、既に誰も住んでいない事が分かる。

 

しかし、どこか不気味な雰囲気があった。

 

「これは、文字?

えっと」

 

そう疑問に思いながらも、どうやら日本語で書かれた何かがあった。

 

「ナベリウス?」

 

それが一体どういう意味なのか、分からなかった。

 

しかし、屋敷が揺れ、すぐにその場から逃げ出した。

 

同時に見えたのは、モグラネズミ。

 

それも巨大な存在だった。

 

おそらくは怪獣だろうが、あまり敵意は感じない。

 

むしろ、苦しんでいる様子が見られる。

 

それは、かつてウルトラマンティガの世界にいた怪獣であるキングラーモットであり、皮肉にも、この屋敷で行われた実験によって、同じく巨大化していた。

 

「まさか、この屋敷は研究室とでも言うのかよ」

 

かつて、ウルトラマンから知識を教えられた事もあり、その怪獣が被害者だと察する。

 

「だったら、救うしかないよな!」

 

ここにいた、誰かによって傷つけられたんだったら、助けるしかない。

 

同時に、この状況で最も適しているウルトラマンのディメンションカードを取り出す。

 

「頼みます、コスモスさん!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンコスモス!』

 

コスモスがその場に降り立つと同時に、キングラーモットを見る。

 

その様子は、周りの物を壊す為にではなく、自分の身体の痛みに苦しんでいるようだった。

 

「グゥウ……グルルッ」

 

「…………」

 

コスモスはそんなキングラーモットを止める為に、ゆっくりと構える。

 

それは、実験による被害者という側面が強く、なんとかキングラーモットを助ける為に構える。

 

だが、キングラーモットは、そんなコスモスに対して、敵だと認識したのか、すぐに攻撃を仕掛けてくる。

 

「ギィイイッ!!」

 

キングラーモットは、コスモスに向かって体当たりをしていく。

 

そのままではキングラーモットの攻撃が当たればコスモスだけではなく、全身に痛みのあるキングラーモット自身も傷つく。

 

その攻撃の軌道を変えるように、手で弾くようにして軌道を変えていく。

 

それによって、キングラーモットの身体は傷つけず、地面に叩きつける事によって、ダメージを与えずに動きを止められた。

 

「グルルッ……」

 

コスモスに対して、キングラーモットは次々と攻撃を仕掛けていく。

 

だが、その攻撃のほとんどが、コスモスにダメージを与える事はなかった。

 

やがて、体力が尽きたようにキングラーモットはその身体を地面に倒れる。

 

同時に、そんなキングラーモットに対して、フルムーンレクトを放つ。

 

それによって、暴れていたキングラーモットは、そのまま落ち着き、ゆっくりと目を閉じる。

 

同時に、キングラーモットに対して、かつてティガが放った光線であるセルチェンジビームを放つ。

 

それによって、身体は縮小され、元の姿へと戻る。

 

「ふぅ、なんとかなったか」

 

ゆっくりと近づく、元キングラーモットだったモーラットを抱える。

 

「にしても、どうしようか。

ここから、どこに進んだら」

 

そう考えている麻中に対して、黒猫は何時の間にか持って来た地図をこちらに見せる。

 

「これは、地図?

もしかして、近くに街があるのか?」

 

未だに分からない事が多くあるが、それでも何もしないよりはマシ。

 

そう考えた麻中の行動は早かった。

 

「それじゃ、行ってみるか」

 

そう、新たな仲間であるモーラットを連れて、街へと行く事になった。



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その声が力に変わる

「ここが、地図にあった街か?」

 

 そう言いながら、麻中達が辿り着いたのは、街だった。

 

 それは、まるでイギリスの街を思わせる光景であり、周りにいる住人もまた、それに合わせた格好をしていた。

 

 だが、そこに描かれていた文字は、まるで見た事はなかった。

 

「ウルトラマンの皆さんだったら、何か、分かるか?」

 

「どうだろうねぇ」

 

 それと共に聞こえた声。

 

 同時に、後ろを振り返る。

 

 半分黒、半分白のブラウスのような服を常に着用し、無表情ながらもどこか不気味な雰囲気を漂わせた青年。

 

 その青年に、麻中は、話だけならば聞いた事がある。

 

「お前はっ、トレギア! 

 

 なんでっ」

 

「ふふっ、なんでだろうねぇ。

 

 まぁ、どちらでも良いじゃないか」

 

 それと共に、そのままゆっくりと近づく。

 

「何よりも、今は、私に構っている場合かな? 

 

 街の人々を守らなくて良いのかなぁ?」

 

「何っ」

 

 そう疑問に思っていると、トレギアが取り出したのはディメンションカード。

 

 それに描かれていたのは、暴君怪獣タイラントだった。

 

「ふぅ」

 

 そのままトレギアが、カードにそっと息を吹き、そのまま投げる。

 

 すると、空中からカードが闇に包まれ、同時にその姿を現す。

 

「さぁ、どうするヒーロー君」

 

「ぐっ!」

 

 同時にトレギアの姿が消える。

 

 麻中はすぐにディメンションナイザーを取り出すと共に。

 

「頼みます、タイガさん!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンタイガ!』『おぅ!』

 

 麻中の声に応えるように、タイガはディメンションナイザーを通じて、現れる。

 

 街の中に暴れるタイラントの前に現れたウルトラマンタイガは、タロウ一門の独特の構えで、タイラントの前に立ちはだかる。

 

『まさか、タイラントを相手に戦うとはな』

 

 かつて、ウルトラ兄弟を5人倒した事があり、タイガの父であるタロウと戦った事もあるタイラント。

 

 だからこそ、タイガは決して油断せずに構える。

 

 それと共に、戦いが始まる。

 

 タイラントは、右腕のハンマーを振り回すが、その攻撃を軽く避けると、そのまま、飛び蹴りを放つ。

 

 だが、タイラントはその攻撃を受け止めると、そのまま振り回し地面に叩きつける。

 

『ぐわぁあああ』

 

 地面へと激突したタイガだったが、すぐに立ち上がる。

 

『まだまだ!』

 

 そのままタイガは走り出すと、今度はパンチを放ち、そしてキックを放った。

 

 だが、その攻撃を受けてもタイラントはびくともしない。

 

 逆に、タイガの方もダメージを受けてしまう。

 

 そこで、タイガは一旦距離を取る。

 

 だが、それが悪手だった。

 

 タイラントは、その口から炎を吐き出して、タイガにダメージを与える。

 

 さらに、腕から電撃を放ち、それを喰らったタイガの動きを止める。

 

 そこに、強烈な一撃を叩き込む。

 

 それは、今までのタイラントの攻撃の中で一番威力のある攻撃であり、それをまともに受けたタイガは大きく吹き飛ばされて倒れこむ。

 

 それでも、タイガはすぐに立ち上がり構えるが、既にダメージが大きいのか動きが鈍い。

 

 しかし。

 

『負けてたまるかよ!!』

 

 タイガの、その叫び声と共に反撃を始める。

 

 タイラントからの激しい攻撃に対して、タイガは素早く動いて回避し、カウンターを決めるように攻撃を繰り返す。

 

 だが、そのタイガの猛攻を受けてもなお、タイラントにはダメージらしいダメージを与えられていない。

 

 やがて、胸元のカラータイマーが赤く点滅を始めた。

 

 だが、タイガはそのまま真っ直ぐと走る。

 

 それに合わせるように、タイラントの攻撃がタイガに当たりそうになる。

 

 だが、タイガは、その攻撃を避けるように跳び上がる。

 

 そのまま空中で腕をT字型に組み、必殺光線であるストリウムブラスターをタイラントに放つ。

 

「タイガストリーム!!」

 

 放たれた光の柱は、タイラントを貫き爆発させる。

 

『やったか?』

 

 そう思った瞬間、タイラントの体が膨れ上がり、そして大爆発を起こした。

 

 だが、それは誤りだった。

 

『なっ!』

 

 だが、タイガは目を見開く。

 

 そこにいたタイラントの身体は大きく変わっていた。

 

 それは、まるでケンタウロスを思わせる4本の脚が特徴的な姿であるEXタイラントとなっていた。

 

『……』

 

 その姿を見たタイガは、驚きつつも冷静さを保つ。

 

 そんなタイガに対して、EXタイラントはその巨体からは想像できない速度で接近すると拳を振り下ろす。

 

 それに対してタイガは咄嵯に反応して両腕をクロスさせて防御する。

 

 だが、その衝撃までは防ぐ事は出来ずに地面に叩きつけられた。

 

 更に、そこから追い打ちをかけるように蹴りを放ってくる。

 

 それに対してタイガは、どうにか転がりながら避ける。

 

「くそ! なんてパワーだ!」

 

 今まで戦ってきたどの敵よりも強い力を感じながらも、タイガは構える。

 

 そんなタイガに対してEXタイラントは再び走りだすと殴りかかってきた。

 

 それをタイガは受け止めると反撃に出る。

 

「ハァッ!」

 

 タイガの連続パンチがEXタイラントに命中するが、それでも怯む様子がない。

 

 逆に、EXタイラントは口から火炎を放つ。

 

 その攻撃を喰らったタイガは地面を転がって火達磨になる。

 

 しかし、直ぐに立ち上がると再び攻撃に転じる。

 

 今度は、EXタイラントも前足を使って攻撃を仕掛けてきた。

 

 それに対しタイガは、前足を掴んで抑え込む。

 

 そして、自分の方に引き寄せようとする。

 

 だが、その体格差では全くと言っていいほど意味がなかった。

 

 EXタイラントは前足の爪を立てて引っ掻こうとする。

 

 それに対してタイガは、それを両手で受け止める。

 

「このままじゃっ!」

 

 既にカラータイマーが鳴り始めて、かなりの時間が経つ。

 

 点滅するスピードも徐々に速まる。

 

 その時だった。

 

「頑張ってっ」

 

 聞こえた声。

 

 振り返った先には、街の子供だった。

 

 タイガを応援する声。それは俺だけじゃない。

 

 街から聞こえる沢山の声援だ。

 

『がんばれー!』『負けるなー!』『頑張れよ! ヒーロー!』『やっちまえ!』『ぶっ飛ばせ!』『負けんなぁ!!』

 

 その声に、タイガは思わず笑みを浮かべてしまう。

 

 先程まで、全身は痛みは、まるで嘘のように起き上がる。

 

『やるぜ、麻中!』

 

「あぁ」

 

 その言葉と共に、麻中はその手にあるウルトラマンタイガのカードは変化する。

 

「輝きの力を手に! バディ──ーゴー!!」

 

 同時に、そのまま変化したウルトラマンタイガのカードをディメンションナイザーにスキャンする。

 

『ウルトラマンタイガ! フォトンアース!』

 

 それと共にタイガの身体は大きく変化する。

 

 黄金の鎧を身に纏った荘厳な姿が特徴で、頭部のウルトラホーンも金色に変化し大振りになった。

 

 それこそ、地球の、大地の光でパワーアップしたタイガの姿。

 

 ウルトラマンタイガフォトンアース。

 

「さぁ、反撃の時間だ!」

 

 タイガはフォトンアースになると両腕を前に突き出す。

 

「ハァアアッ!!」

 

 そして勢いよく跳躍するとフォトンアースとなったタイガはEXタイラントに向けて飛び蹴りを放つ。

 

 その一撃を受けたEXタイラント。

 

 それは、先程までとは違い、大きく吹き飛ばす。

 

「よしっ!」

 

 それを見て麻中もガッツポーズを取る。

 

 だが……。

 

『グオォオオオッ!!』

 

 それでもEXタイラントはまだ倒れない。

 

 そのまま前足を地面に叩きつけると周囲に衝撃波を放ちながら地面を砕きながら立ち上がる。

 

 その姿を見たタイガもまた、走る。

 

 既にエネルギーも限界に近かった。

 

 戦うのも限界のはずだった。

 

 しかし、タイガはまるで負ける気はしなかった。

 

 子供達からの声援が。

 

 信じられる存在が。

 

 フォトンアースの光を増大させる。

 

『決めるぜ!』

 

 それと共に、タイガはそのまま構える。

 

 それは、先程までのストリウムブラスターと同じ構えだった。

 

『オーラムストリウム!』

 

 その叫び声と共に放った光線。

 

 それは、光線の一つ一つが金色の長剣の形状をしており、EXタイラントの全身を斬り裂いた。

 

「グォオオオオッ!」

 

 痛みと怒りの声を上げるEXタイラント。

 

 そのまま、倒れ込み、爆散する。

 

「はぁはぁ、なんとかなったか」

 

 同時に、麻中はゆっくりと倒れ込む。

 

 それに合わせるように、タイガもまた光となって消える。

 

 気絶する直前、麻中を受け止めた人物がいた。

 

 その人物は、そのまま麻中を抱えたまま、路地裏へと回る。

 

 その行く先には、既にトレギアが待ち構えていた。

 

「やぁ、黒猫ちゃん。

 

 その姿で見るのは久し振りだねぇ」

 

「それはどうも。

 

 まったく、あんたは会った時から胡散臭いにゃ」

 

 そう、女性は麻中を抱えたまま、トレギアを睨み付ける。

 

「そうかね? 

 

 まぁ、私としては、どうでも良いがね。

 

 私の雇い主が、すぐにでも返して欲しいと言われてねぇ。

 

 だから、渡してくれたら嬉しいが」

 

「あんな悪夢を見せたお前の言う事を誰が聞くかにゃ」

 

「けど、そのせいで、その少年は傷ついた。

 

 君にとっては、それは不本意じゃないのかなぁ」

 

 その言葉に対して、女性は苦虫を噛んだように言う。

 

「始めはただ都合が良かったよなぁ。

 

 なんだって、怪獣という脅威が来ても、絶対に倒してくれる存在が護衛だからねぇ。

 

 けど、君は彼と過ごす内に情が湧いた。悪夢を見せられて、辛い中、傍にいてくれた。

 

 久方ぶりの穏やかな時間だったよな。

 

 まぁ、それももうすぐ失うけどねぇ」

 

 そう言って、トレギアが、その手を真っ直ぐと女性に向けて、雷を放つ。

 

 雷は、真っ直ぐと女性に向かって行く。

 

 しかし、まるで霧のように、その姿が消えた。

 

「幻術か。

 

 私相手に、いや、まさか」

 

 そう言いながら、トレギアはため息を吐く。

 

 そうしながら、トレギアから逃げながら、女性はため息を吐く。

 

「はぁ、まったく。

 

 厄介な事に巻き込まれたにゃ。

 

 それも、これも、あいつらが落としたこんなのを拾ったからにゃ」

 

 そうしながら、女性が胸元に手を入れて、取り出す。

 

 それは、現代では作る事はできない代物だと思われ、タブレット端末を思わせる。

 

 その横には、カードを読み込む為の箇所があった。

 

「これを拾ってから、厄介な奴らに狙われるようになったし、まぁこの子に聞けば、すぐに分かるかもしれないけど」

 

 そう言いながら、女性は抱き抱えている麻中を見つめる。

 

 先程の戦いで疲労しているのか、起きる気配はなく、その様子をモーラットは心配そうに見つめている。

 

「……もう少しだけ。

 

 もう少しだけ、せめて、安全な所まで行くまで、この旅を」

 

 そう言いながら、女性は、麻中を抱き締める。



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真実

新たな追記事項を募集しています。
皆様の応募、お待ち居ています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292936&uid=45956


 タイガと共に戦いを終えた麻中が目覚めたのは、どこかの宿屋だった。

 

 麻中が、ここに泊まらせた人物については、分からなかった。

 

 それでも、ここに泊まらせた際の料金は既に支払われていた。

 

 同時に、その次の目的地に関しても書かれていた。

 

「グレモリー領地?」

 

 その言葉に、どこか聞き覚えがあった麻中は首を傾げる。

 

 そんな麻中とは正反対に、ラーモットと黒猫は呑気ににバッグの中にいた。

 

「まぁ、とりあえず、ここに向かえば良いのか」

 

 そんな呟きと共に、麻中達はそのまま地図に従うように歩き始めた。

 

 ゆっくりと歩きながら、向かっていく。

 

 そんな麻中の旅の行く先を見ていたトレギアは。

 

「さて、彼女があれを取り返すには、そうだな。

 

 麻中君には活躍して貰わないとね」

 

 その言葉と共に、トレギアが取り出したのは、1つの指輪だった。

 

「その為には、愉快な君の出番だよ」

 

 同時に指輪から闇を発しながら、麻中達が進む道の前で変わる。

 

 瞬く間に巨大化したそれは、トレギアが召喚したのは、でっぷりとした腹に、アヒルのような口が目立つ、間抜けそうな顔つきが特徴的な怪獣、ゴロサンダーだった。

 

「こいつは、またトレギアの仕業か!」

 

 その言葉と共に麻中は、ディメンションナイザーを取りだし、構える。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンゼアス!』

 

 ウルトラマンゼアスが、その姿が現れると同時にゴロサンダーは力士を思わせる挙動で四股を踏む。

 

 そして……

 

 ゴロサンダーの胸から発せられる光によって、ゴロサンダーの周囲にある瓦礫やアスファルトの破片が宙に浮き上がる。

 

 そして、それらがゼアスに向けて放たれた。

 

 ゼアスは迫り来るそれらに対して、素早く避ける。

 

 雷の速さを持つゼアスにとってはスローモーションに見えるそれらの攻撃を余裕を持って避けながら、ゴロサンダーに接近していく。

 

 だが、ゴロサンダーは両腕を広げて構えると…… ドォン! その腕を振るう。

 

 すると、ゴロサンダーの胸から発せられた光がまるで光線のように放たれた。

 

 それは空中を飛ぶゼアスに命中しようとした。

 

 だが、道端に落ちていたゴロサンダーの雷によって破壊されたアスファルトの欠片に躓いて、そのまま勢い良く倒れる。

 

 それによって、光線は当たる事なかった。

 

 それには、ゴロサンダーも思わず、口を開いてしまう。

 

 ゼアスはすぐに立ち上がると、倒れているゴロサンダーに飛び掛かる。

 

 しかし、ゴロサンダーはその巨体からは想像出来ない程の動きで飛び掛かって来たゼアスを避けると、そのまま起き上がった。

 

 そして、再び両者は対峙すると共に、ゼアスはそのまま空手チョップを繰り出す。

 

 それをゴロサンダーは両手で受け止める。

 

 両者の力がぶつかり合い、衝撃波が生じた。

 

 その衝撃により、周囲の建物が崩れ落ちる。

 

 ゼアスは続けて蹴りを繰り出した。

 

 ゴロサンダーはそれをかわす。

 

 ゴロサンダーは反撃として張り手を放つ。

 

 それを避けつつ、ゼアスはその腕を掴み、背負い投げを行い、地面に叩きつける。

 

 ゴロサンダーが起き上がろうとする前に、ゼアスは口を開き気合の掛け声と共にX字型に腕を傾けて両腕全体からの巨大なX字型光線、クロススペシュッシュラ光線を放った。

 

 その攻撃を、ゴロサンダーはそのまま受けてしまう。

 

 クロススペシュッシュラ光線を受けたゴロサンダーの体は爆発し、爆煙に包まれる。

 

「なんとかなったか、ありがとうございます」

 

 それと共にゼアスは頷き、そのままディメンションナイザーへと戻っていく。

 

「そうだねぇ」

 

「っ!」

 

 聞こえた声と共に、麻中はすぐに避ける。

 

 だが、その衝撃に、麻中は吹き飛ばされる。

 

 そこに立っていたのは、トレギアだった。

 

「トレギアっ」

 

「さぁ、ゆっくりと、じっくりと、楽しもうか」

 

 すぐにでも、立ち上がろうとした麻中。

 

 しかし。

 

「終わりだね」

 

 そう、トレギアが言う直前だった。

 

 トレギアに向かって、放たれたエネルギー弾。

 

 それが、トレギアを止めた。

 

「へぇ、とうとう正体を露わにするんだ、黒猫ちゃん」

 

「黒猫」

 

 同時に目を向けると、そこには黒い着物を身に纏った妖艶な美女がいた。

 

 ただし、その表情は憤怒に満ちていた。

 

「あんただけは、絶対に許さない」

 

「おうおう、マジギレか。

 

 だったら」

 

 その言葉と共に、トレギアが取り出したのは、指輪だった。

 

 その指輪を、そのまま宙へと投げ飛ばす。

 

 同時に実体化したのは、ギャラクトロンMk-2であった。

 

「あんたがっ散々、追っていたこの力。

 

 遠慮無く使ってやろうじゃないの!!」

 

 同時に女性は取り出したのは、タブレット端末であった。

 

『ビートスターライザー』

 

 その音声と共に、カードを3枚取り出す。

 

「やり方は、既に見ていたからね」

 

 同時に、そのままカードを3枚スキャンする。

 

『セット! ウルトロイドゼロ!』

 

 最初に一枚をスキャンした後、残りの2枚をスキャンする。

 

『フュージョンアームド! ギガデロス! テラフェイザー!』

 

 同時に、女性の手から現れたのは、ウルトロイドゼロ。

 

 それは、かつてウルトラマンZの世界において人々を守る為に開発された。

 

 だが、最後は、世界の脅威となったロボット、ウルトロイドゼロ。

 

 そんなウルトロイドゼロに装着したのは、ウルトロイドゼロと似た経緯を持つロボットであるギガデロスとテラファイザーだった。

 

 そのままウルトロイドゼロの両腕にギガデロスの武装が装着し、ボディはテラフェイザーのショルダーアーマーが装着される。

 

 それによって、ウルトロイドゼロのバイザーが外れる。

 

『ウルトロイドゼロ! C-ARMS』

 

「ほぅ」

 

 それを確認すると共に、ギャラクトロンMk-2が襲い掛かる。

 

 しかし、片腕で装着された盾で受け止め、そのまま斬り上げる。

 

 ウルトロイドゼロは、元々、ウルトラマンのデータを元に作り出された事によって、人間に近い動きができた。

 

 だからこそ、黒歌のビートスターライザーを通じて、動く。

 

 それによって、ギャラクトロンMk-2の攻撃を通る事はできなかった。

 

 しかし、ギャラクトロンMk-2が、ビームを放つ。

 

 だが、その盾で、そのビームを受け止める。

 

 同時に、ウルトロイドゼロのショルダーアーマーが変形する。

 

 前方へ折り畳むように連結して砲身となり、さらに胸部に格納された砲口と接続される。

 

 それは、ギャラクトロンMk-2が放った自身の攻撃をそのまま打ち返すように、真っ直ぐと、放たれた。

 

 そう、瞬く間にギャラクトロンMk-2は倒される。

 

「ふむ、やはり面白いねぇ」

 

「それはっ」

 

「かつて、存在したビートスター天球を小型し、様々なロボット怪獣を召喚する事に特化。

 

 さらには、それをウルトラフュージョンのようにアーマーを身に纏う事ができる。

 

 さぁ、どうする、麻中君」

 

「っ」

 

 同時に、女性は、麻中の方へと目を向く。

 

 その目には、どこか恐怖があった。

 

「そこにいる彼女。

 

 かなり凶悪な人物だよ。

 

 正義の門番であるウルトラマンと交友がある君は、そんな彼女を許すのかい?」

 

「許す、許さない以前に、俺はこの人の事を何も知らない。

 

 だったら、話を聞かないと分からない。

 

 それに」

 

「それに?」

 

「トレギア、あんたがそういう顔をする時は、だいたいは胡散臭いからな」

 

「それは、ショックだねぇ。

 

 まぁ良いだろう、ここは退かせて貰う」

 

 同時にトレギアの後ろから闇の門が開く。

 

「それでは、また」

 

 同時に、その言葉と共に消える。

 

「……ごめんにゃ、今まで」

 

「何を言っているの、今まで、助けてくれたのは、君なんだろ」

 

 そう言い、体格が大きく異なりながらも、麻中は彼女に見つめる。

 

「とりあえず、話そうか」

 

「……分かったにゃ。

 

 私が伝えられる限り」

 

 



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信頼

麻中は、その後、黒猫に化けていた女性、黒歌から、話を聞いた。

 

あの時、麻中と出会ったのは本当に偶然であった。

 

アブソリューティアンの巫女が、何かを落とした。

 

それに興味を持った黒歌は、その何かを拾うと共に、巫女はそれを見て、すぐに襲った。

 

「そういう事で、私はあんたを利用して、こうして守られていた訳にゃ」

 

「それじゃ、聞くけど、もしかして子猫ちゃんが言っていた、姉というのは」

 

「まぁ、私だにゃ」

 

その言葉に、否定はしなかった。

 

一瞬、少しだけ悲しそうな顔をしたが、すぐに笑みを浮かべた。

 

「まぁ、あの子の言っていた通り、私は力が欲しくて、行動した」

 

「けど、その力を欲した理由は何なの」

 

「さぁねぇ、ただ力が欲しかった。

それじゃ、駄目かにゃ?」

 

麻中の言葉に対して、のらりくらりと受け流す黒歌。

 

対して、麻中は、ため息を吐く。

 

「駄目」

 

「えぇ」

 

「だって、お前が本当の事、言っていないからな。

まぁ、けど」

 

そう言うと、麻中は特に気にした様子はなかった。

 

「今は聞かないよ。

お前が話したくなった時で良いから」

 

「良いのかにゃ?

私は、かなり凶悪なはぐれ悪魔にゃ」

 

「そのはぐれというのは良く分からないけど、それだけでは分からないからな」

 

「にゃぁ」

 

そう言うと共に黒歌は麻中の発言にため息を吐く。

 

「本当に変わった奴にゃ」

 

その会話を行っている時だった。

 

何かが迫っていた。

 

見ると、そこに立っていたのは、複数のロボット。

 

「あれは」

 

「ダークロプスか。

しかも、量産型」

 

その言葉と共に、麻中はそのままディメンションナイザーを取り出す。

 

「あいつらに、負ける訳にはいかないよな、ゼットさん!!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンZ!オリジナル!』

 

同時に、そのままディメンションナイザーから飛び出たウルトラマンZ。

 

そのまま地上へと降り立つ。

 

『おい、麻中!

そんな体力がない状態で呼ぶと、危険だぞ!』

 

先程までの戦闘の疲労が未だに残っており、基本形態であるオリジナルでの召喚に、Zは戸惑う。

 

「それでも、やるしかない!」

 

『まったく、だったら、ウルトラ気合い入れるぜ!!』

 

その叫び声に合わせるように、ウルトラマンZはそのまま向かってくるダークロプスに向かって、構える。

 

ダークロプスは、そのまま両手の鋭い螺旋状の爪で、ウルトラマンZに襲い掛かる。

 

それに対して、ウルトラマンZは、襲い掛かるダークロプスの腕を掴み、そのまま蹴り上げる。

 

気合いの籠もった叫びと共に放った蹴りは一体のダークロプスを吹き飛ばした。

 

しかし、そんな攻撃の隙を狙うように、他のダークロプスが爪で切り裂く。

 

それによって、前へと倒れ込むウルトラマンZ。

 

それは、召喚した麻中にも影響した。

 

同時にウルトラマンZはそのままダークロプスの2体に無理矢理持ち上げられた。

 

「麻中っ、だったら」

 

その言葉と共に、黒歌はビートスターライザーを取り出す。

 

それと共にカードを取り出すが、その内、一枚が落ちる。

 

「あぁもぅ、急いでいるんだから、あっ」

 

『セブンガー!ウィンダム!ウルトラマンZ』

 

すぐに3枚のカードをスキャンしたが、その内の一枚は、麻中の持つウルトラマンZのカードだった。

 

一瞬、焦った顔をしたが、それは束の間だった。

 

光と共に、ビートスターライザーから飛び出たのはウルトラマンZが、地球で共に戦ったロボット。

 

セブンガーとウィンダムだった。

 

召喚されると同時に、2体のロボットの目に光が灯ると共に、そのままウルトラマンZを捕まえているダークロプスを吹き飛ばす。

 

「Z様!ハルキ!無事ですか!」

 

「えぇ、ここ、どこなの!」

 

『この声、もしかしてヨウコ先輩!それにユカ!』

 

それには、ウルトラマンZ本人も、同化しているハルキを含めて全員が驚きを隠せなかった。

 

どうやら、召喚したセブンガーとウィンダムのコックピットに入っている2人は、ウルトラマンZと共に戦ったストレイジのメンバーだった。

 

「あの野郎の気配を感じたと思ったら、まさかこんな事になっているとはな」

 

「その声は、隊長も!」

 

すると、セブンガーの方は、そのままウィンダムの方へと目を向ける。

 

どうやら、セブンガーの方に2人。

 

ウィンダムには、何時の間にかジャグラス・ジャグラーが入っていた。

 

「これって、どういう事?」

 

「ロボットに最も相性の良いパイロットを召喚したみたいな?」

 

まるで状況が飲み込めない麻中と黒歌は互いに見る。

 

「状況はあまり分からないが、とにかく。

目の前にいる3体のダークロプスを殲滅する。

良いな」

 

「「「了解!!」」」

 

そのままウィンダムのコックピットの中にいるジャグラス・ジャグラーはそのまま全員に言う。

 

「俺がミサイルで牽制、ヨウコ達は硬芯鉄拳弾で空中に。

ハルキ達は、光線で一気にとどめを刺せ!」

 

その言葉と共に、ウィンダムは、その全身からミサイルを放つ。

 

その数は凄まじく、ダークロプス達は、すぐにそのミサイルから逃れるように、攻撃を行う。

 

だが、ミサイルから逃れるように、一カ所に集められる。

 

そこに向かって、セブンガーから放たれる硬芯鉄拳弾。

 

つまりはロケットパンチは、そのままダークロプス達をそのまま空中へと飛ばす。

 

「今だ!」

 

ジャグラス・ジャグラーの言葉に合わせるように、

 

両腕を水平に構えてエネルギーを解放し、「Z」を描くように手刀を切って大きく腕を振る溜めポーズをとり、腕を十字に組んで放つ。

 

「「「ゼスティウム光線!!」」」

 

その叫び声に合わせるように、放った光線は、そのまま空中を飛ぶダークロプス達を纏めて爆発させた。

 

「よっしゃぁ!って、もう消えている!!」「一体全体、何が起きたのよぉ」

 

そう言いながら、セブンガーはそのまま光となって、消えていった。

 

「なるほど、これは面白いな。

仮想の身体で操縦する訳か。

まぁ、どちらにしても、あいつらの顔を見れたのは、良かったかもな」

 

同時にウィンダムもまた、その姿を消した。

 

『なんだか、久し振りにストレイジの皆と会えて、良かった。

今度、実家の母さんにも会いに行かないとな』

 

『あぁ、それじゃ、麻中。

またな』

 

「えぇ」

 

そして、ウルトラマンZもまた、姿が消えていった。

 

「それにしても、状況は分からなかったけど、これって、とんでもない代物のようにゃ」

 

「あぁ、まさか、ここまでとは」

 

以前、ウルトラマンメビウスとの戦いにて、ガンフェニックスを呼び出したが、その時はあくまでもガンフェニックスの存在のみ。

 

実際にパイロットを呼び出した訳ではなかった。

 

「とりあえず、黒歌。

これから、黒歌の言っていた場所へ行こうか」

 

「信頼するのかにゃ?」

 

「まぁね、信頼すれば、何かがある。

それは、ストレイジの皆さんを見たら分かったから」

 

地球人、宇宙人など関係なく力を合わせる事ができた。

 

だからこそ、麻中は、黒歌を信頼したい。

 

「まったく、甘ちゃんだにゃ」」




新たに募集項目を追加しました。
皆様の応募、お待ちしています。
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挑戦する仲間達

 麻中と黒歌とモーラットの旅は続いた。

 

 彼らが向かった先は、目的としている場所へと辿り着く。

 

「それにしても、まさかリアス先輩の領地だったとはな。というよりも、悪魔の世界とは」

 

「それよりも、本当に今まで気づかなかった麻中の方がどうかと思うにゃ」

 

「そう言われてもな。そもそも、あのトレギアだから、どこに送りつけるか分からないからな」

 

「トレギア。前から気になっていたけど、あいつは一体何者なんだにゃ? 普通の人間から出せるとは思えないけど」

 

「……ウルトラマンだよ」

 

「にゃ!?」

 

 麻中の言葉に対して、黒歌は目を開いて、驚きを隠せない様子だった。

 

「ウルトラマンって、あんないかにも悪人のような奴がにゃ」

 

「色々、あったんだよ。人間だろうと、ウルトラマンだろうと」

 

 そう言いながらも麻中はそのまま目的の場所へと向かう。

 

 同時に感じたのは、違和感だった。

 

 長い旅の終着点とも言える場所についたはず。

 

 なのに、そこに感じたのは悪寒だった。

 

「これは」

 

「急ごう」

 

 何か嫌な予感がした。

 

 俺達がすぐに向かった先。

 

 そこにはパーティのドレスだと思われる衣装を身に纏っているリアス先輩とスーツを着ている一誠。

 

 そんな2人と対峙しているのはトレギアだが、その手には子猫が首を絞めていた。

 

「あなた、子猫に何をしているの」

 

「なに、そろそろ、目的の人物が来るからね。彼らが来るまでの間に、少し楽しもうと思っただけさ」

 

「目的のだと?」

 

「まぁ、良いじゃないか。それよりも、君もなかなかの極上の闇を持っているじゃないか」

 

 そう言いながら、トレギアは子猫に問いかける。

 

「っ」

 

「姉に裏切られて、つらいだろう。誰も信じられない状況に追い込まれた。だったら、闇の力を使えば良い」

 

「いやっ」

 

「ふふっ、そう言わずに「その汚い手から、妹から離れろ」おっと」

 

 だが、それよりも早く、黒歌が放った魔力弾が、トレギアに当たる。

 

 それによって、トレギアの手から子猫が離れ、同時に麻中がそのまま子猫を抱き抱える。

 

「えっ、お前、麻中! なんで、ここに!?」

 

「あいつにこっちに無理矢理連れてこられたんだ。それで、ずっと冥界を彷徨っていた」

 

「えっ、マジかよ」

 

「おやおや、感動的な再会じゃないか。姉妹との再会は」

 

 同時にすぐに黒歌の方へと目を向ける子猫。

 

 その顔はどこか、怯えていた。

 

 それに対して黒歌は思わず目を向けていたが

 

「ほら、黒歌はさっさと仲直りする」

 

「えっちょ、何をするにゃ」

 

 だが、そんな黒歌の肩を叩き、そのまま子猫の方へと向ける。

 

「子猫ちゃんの話で出てきた姉が黒歌だったら、それを正直に伝えたら良いよ。

 

 本当の気持ちを。

 

 それに子猫ちゃんも、大丈夫だから」

 

「麻中先輩」

 

「こっちで冥界にいる間、黒歌と一緒にいたけど、こいつはたぶん、子猫ちゃんが思うように悪い奴じゃないから。

 

 その間、俺は」

 

「ふむ、本当に厄介だな。

 

 厄介な君には」

 

 その言葉と共に、トレギアが手を上に掲げる。

 

 同時に、その背後から魔方陣が現れ、同時に次々と怪獣が現れる。

 

 湾曲した角が生えたティラノザウルスを思わせる怪獣であるシーグラと昆虫のような頭部に鋏のような形状のブレードが付いた両腕が特徴的なスラン星人。

 

 そして、ウルトラ兄弟を相手に激闘を繰り広げたグランドキング。

 

 その亜種であるグランドキングメガロスが現れる。

 

「こちらをプレゼントだ。

 

 なかなかに良いだろ」

 

「やってやるよ、行くぜ、タイガ!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンタイガ!』

 

 その音声と共にウルトラマンタイガが、そのまま地上へと現れる。

 

「タイガ君、1人で良いのかなぁ」

 

「っ」

 

 そうして、すぐにディメンションナイザーで他のウルトラマンを呼ぼうとした。

 

 だが、その状況の最中、迷う。

 

「ぐっ」

 

 タイガの正面に押し掛かるグランドキングメガロス。

 

 すぐに相手をするように向くが、その周りいる囲むシーグラ達が放つ冷凍ガスを避ける。

 

 しかし、避けた先には既に待ち受けていたスラン星人の斬撃によって、タイガは吹き飛ばされる。

 

 そして、そのままグランドキングメガロスの重たい爪が、タイガを襲い掛かる。

 

 数でも圧倒的な不利な状況の最中、助っ人として呼び出すウルトラマンを間違えれば、敗北してしまう。

 

 だからこそ、迷う。

 

 その時だった。

 

「よっしゃぁ!!」

 

「んっ?」

 

 聞こえた声? 

 

 その叫び声が何か分からず、疑問に首を傾げていると共に、麻中の手に持つディメンションナイザーに重なる手があった。

 

 それは赤い籠手であり、その人物が誰か分からなかった。

 

「誰だ?」

 

「俺だよ! 一誠だ!」

 

「兵藤?」

 

 疑問に思い、見てみるが、そこには赤い龍を思わせる鎧を身に纏っている兵藤がいた。

 

「なんだ、それ?」

 

「これは俺の禁手だ。

 

 なかなかになる事が出来なかったが、さっき部長の協力で見事に到達できたぜ」

 

 神器やほとんどの事をあまり知らない麻中にとっては、それはまさに疑問だった。

 

「禁手? 

 

 聞いた事がないけど、それで、どうするだ?」

 

「あぁ、今の俺じゃ、たぶん、助けになれない。

 

 だけど、もしかしたら、こうすれば!」

 

『トランスファー』

 

「なっ」

 

 同時に送り込まれるエネルギー。

 

 それによって、ディメンションナイザーから出てくる力が溢れ出る。

 

「ブーステッド・ギア・ギフトだ。

 

 これで、力が増加できたはずだ。

 

 以前、メビウスさんに助けて貰ったからな。

 

 何よりも、あの人が俺の道標になったからな」

 

「道標?」

 

「あぁ、三大勢力会議の時にハヤタさんに、その名前を教えて貰った」

 

「そうか、だったら、やるしかないな!」

 

 同時に笑みを浮かべると共に麻中は、2枚のカードを取り出す。

 

 溢れ出る力のおかげか、今ならば、できる。

 

「行くぜ!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンタイタス! ディメンションロード! ウルトラマンフーマ!』

 

 鳴り響く音声と共に、ディメンションナイザーから現れる2つの光。

 

 それは上空へと舞い上がると同時に、別れる。

 

 1つはタイガに再び冷凍ガスを放とうとしたシーグラ達に。

 

 もう1つは、タイガの背後にいたスラン星人に向かって。

 

『プラニウムバスター!』『光波剣・大蛇!』

 

 突然、現れた二人のウルトラマンの攻撃に対応する事ができず、そのまま光の中へとシーグラ達とスラン星人は消える。

 

「お前達!!」

 

 同時に、タイガと並ぶように二人のウルトラマン。

 

 タイタスとフーマが並ぶ。

 

「待たせたな、タイガ!」

 

「あぁ、共に戦おう」

 

「あぁ!」

 

 タイガ、タイタス、フーマ。

 

 三人のウルトラマン、トライスクワッドが揃った。

 

 そのまま、真っ直ぐとグランドキングメガロスがタイガ達に襲い掛かる。

 

 それを正面から受け止めたのは、トライスクワッドで最も力の強いタイタスが受け止める。

 

 同時に、背後に回ったタイガとフーマが攻撃を仕掛けようとするが……。

 

「ふんっ! ぬぅん!!」

 

 その攻撃を、グランドキングメガロスは両手で受け止めた。

 

 二人は、それに驚くが、すぐに追撃を行う。

 

 3人のウルトラマン達の連携。

 

 それは、グランドキングメガロスも予想していなかったのか、少しだけ対応が遅れてしまう。

 

 だが、それでもグランドキングメガロスの方が上だ。

 

 しかし、3人は諦めずに攻撃を続ける。

 

 そして、タイガが拳を振るう。

 

 その一撃は、グランドキングメガロスの顔面を捉えて吹き飛ばす。

 

「今の、ディメンションナイザーならば、使えるはずだ、行けるな!」

 

「あぁ」

 

 同時に、その手に持つタイガのカードが燃え上がる。

 

 それと共に燃え上がったカードは、1つの剣へと変わる。

 

「これって」『どうやら、これが、ウルトラマンの本気の力。俺達の言う所の、禁手のようだ』

 

 その剣を手に持ちながら、構える。

 

 それは炎を思わせる剣だった。

 

 その柄の部分の回転盤を回すと刀身内で炎が渦を巻くように先端へ上り、高く掲げる。

 

 そして、それはタイガ達もまた、手に持ったタイガトライブレードも同時に構える。

 

「燃え上がれ! 仲間とともに!!」

 

「「「「バディ……ゴ────!!!!」」」」

 

 

 

 それと共に、先程までの3人のウルトラマンは1つとなる。

 

 それは、まさしく、その身体は、炎を思わせる姿、トライストリウムだった。

 

「忌々しいっ!」

 

 それを見たトレギアは、トライストリウムへと変わったタイガを見て、呟く。

 

 そうしている間にも、グランドキングメガロスの腕が、タイガに向かって、振り下ろす。

 

 だが、それに対して、タイガはタイガトライブレードで受け止める。

 

 同時にトライブレードから発する炎と共に、グランドキングメガロスの腕を切り落とす。

 

 金属が焼けるような音と共に、切断された腕の断面からは煙が上がる。

 

 そのままタイガは飛び上がると、グランドキングメガロスに向けて急降下していく。

 

 スカイマケットがグランドキングメガロスの顔面に激突すると、グランドキングメガロスはそのまま仰向けに倒れる。

 

 その間に、タイガはタイガトライブレードを構えて、走り出す。

 

 そして、倒れているグランドキングメガロスに接近すると、跳躍して、タイガトライブレードを振り下ろした。

 

 だが、グランドキングメガロスも黙ってはいない。

 

 グランドキングメガロスは起き上がりながら、手を広げると、そこから衝撃波を放つ。

 

 それにより、タイガは吹き飛ばされると、地面に叩きつけられた。

 

 しかし、すぐに立ち上がると、予備動作として剣を3回振う。

 

 黄色、青色、赤色とタイガトライブレードの光が変わりながら、真っ直ぐと剣先から3色の光線を発射する。

 

「「「「トライストリウムバースト」」」」

 

 放たれた光線が、そのままグランドキングメガロスの身体を貫く。

 

 その瞬間、グランドキングメガロスの動きが完全に止まる。

 

 それによって、勝負は完全に決着が着いた。

 

「ふぅ、まったく。

 

 今回の作戦は、ここまでのようだな」

 

 それと共に、トレギアはそう呟く。

 

「待ちやがれっ」

 

 そう言いながら、トレギアを追うとした。

 

 だが、それよりも早く、トレギアは、その姿を変えた。

 

「なっ、あれって」

 

「ウルトラマンですって」

 

 それには、リアス達も驚きを隠せなかった。

 

「それでは、ご機嫌よう」

 

 そして、その手を真っ直ぐと麻中達に向けて雷を放つ。

 

 だが、それよりも、タイガが前に出て、その攻撃を防ぐ。

 

 それによって、トレギアは姿を消した。

 

「はぁはぁ、本当に厄介な事に」

 

 そう言いながらも、麻中は倒れる。

 

 ここまでの旅の疲労と、無理矢理の最強の姿の解放。

 

 それらが重なった影響もあり、そのまま倒れる。

 

 それを黒歌は受け止めると共に。

 

「本当に無理をし過ぎるにゃ。

 

 まぁ、けど、ありがとうにゃ」

 

 そっと、何かを感じた後、そのまま麻中は、ゆっくりと目を閉じていった。



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猫は去った

麻中が目を覚ますと、そこは知らない天井だった。

 

まるで、アニメの1シーンのように思いながら、目を覚ました。

 

「目が覚めたか、麻中」

 

「ゼノヴィア」

 

見ると、そこには、既に顔馴染みであるゼノヴィアが立っていた。

 

彼女と会うのも久しく思う麻中だったが、そんな彼とは正反対に、ゼノヴィアは呆れたようにため息を吐く。

 

「まったく、君の行動は私達でも予想外な事ばかりだ。

それで、一体どういう経緯で、こっちいたんだ」

 

「んっ、リアス先輩から聞いていないのか?」

 

「ある程度はな。

だが、私は、君の口から直接聞きたいんだ」

 

「俺の口からか?」

 

「あぁ、そうしないと分からない事もあるからな」

 

何やら、詰め寄ってくるゼノヴィアの様子に一瞬、首を傾げるが、特に断る理由もなかった。

 

「分かった。

だけど、別に面白い話じゃないぞ」

 

それと共に、ゆっくりと話し始めた。

 

今回の事件の始まりである黒猫である黒歌との出会い。

 

トレギアの襲撃。

 

彼女の正体を知った事。

 

それらを全て、思い出すように話している間も、ゼノヴィアは真っ直ぐと見つめたままだった。

 

「そうか、それでイッセーが言っていた炎の剣というのは」

 

「トライストリウムに関しては、今の俺では呼ぶ事はできない。

あれは、トライスクワッドの3人のウルトラマンの皆さんの力があって、初めてなる事ができる姿だ。

今の俺では、ウルトラマンの皆さんを3人を呼ぶ事はできない。

何よりも、最大の力を発揮した姿もできない以上はな」

 

「あの力以上にか」

 

その言葉にゼノヴィアは目を見開いていた。

 

「知っていたのか?」

 

「むしろ、あれだけの力を発揮したんだ。

結界の外にいる私達まで伝わる程の力だぞ」

 

「まぁ、確かにな。

確かにあの力は強力だ。

だが、多くのウルトラマンの皆さんはあれ以上の力がある」

 

タイガストリウムも、今のタイガ達はそれ以上の力を発揮する事ができる。

 

「そう言えば、黒歌は」

 

「分からない。

部長の話によれば、君が気絶したに一瞬だけ、抱き抱えた後にすぐに消えたらしい」

 

「そうなのか」

 

それに対して、どこか寂しさを覚えた麻中は、ため息を吐く。

 

「寂しいのか?」

 

「まぁ、ここ一ヶ月の間、ずっといたからな」

 

今は既にない鞄の重みに、寂しさと共に呟く。

 

「・・・ならば、少しでも埋めれると良いが」

 

「んっ?」

 

同時にゼノヴィアは、麻中の手を掴む。

 

「ゼノヴィア?」

 

「なに、神の不在だと知った時、私を支えてくれたのは君だ。

だからこそ、私も君を支えよう。

これは、私自身がやりたい事だからな」

 

「・・・そうか、ありがとう」

 

今でも寂しさはある。

 

だからこそ、麻中は。

 

この時ばかりは、ゼノヴィアに、その寂しさを埋めるように、手を握った。



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これまでの事とこれからの事

ニュージェネレーションのウルトラマンから多くなった総集編擬きの話をさせて貰います。
一応、これまでの活躍したウルトラマンやアブソリューティアンに関する事の振り返りを雑に行った感じの話になります。
また、ここはどの作品の映像を使っているかなども書いているので、もしかしたらこのシーンかもと想像していただくと幸いです。
これからもよろしくお願いします。


「さて、今回の事で、さすがにウルトラマンの事について、より詳しく知りたい所だな」

 

そう言いながら、目の前にいるアザゼルはそう呟く。

 

夏休みが終わりを迎えそうになった頃。

 

麻中は、今回の一件を詳しく聞きたいというアザゼルからの声と共に、それに応える事にした。

 

その内容は、ウルトラマンに関する事だった。

 

「詳しい事ですか、どこまででしょうか」

 

「正直に言えば、全部。

 

だけど、そういう訳にはいかないんだろ。

 

さすがに、いきなり全てを言えと言うのは、図々しいからな」

 

「せめて、今、君が戦っている相手だけでも教えてくれないか」

 

「アブソリューティアンの事ですか。

 

正直に言うと、俺達も分からない事が多いですが、良いですか」

 

「あぁ、構わない」

 

その言葉に同意を得ると共に頷く。

 

「アブソリューティアン。

 

奴らは簡単に言えば、ウルトラマンと良く似た存在です」

 

「ウルトラマンとよく似た存在?」

 

「えぇ、その目的に関してもウルトラマン達の生まれ故郷である光の国への侵略です」

 

「光の国?」

 

「まぁ、簡単に言えば、多くのウルトラマン達の故郷です。

銀河系から300万光年離れたところに存在している惑星です」*1

 

 

「300万光年って、マジかよ、

 

そんな遠い所の話じゃないぞ」

 

「だけど、それを聞けば、納得する所だぜ。

 

あのアブソリューティアンがこっちを見下すのも、少しは納得だぜ」

 

「ならば、彼らの目的は一体」

 

「それは、分かりません。

 

ただ、神器使いを狙っているぐらいしか」

 

「まぁ、これまでの戦いを見てたら、納得だな。

 

それで、あのトレギアという奴は何者なんだ」

 

それと共に、次に出た話題は、今回の話のきっかけとも言える人物、トレギアだった。

 

「トレギアは、元々は光の国の出身だったけど、とあるきっかけで闇に墜ちました。

だけど、とある戦いで、タイガさん達を始めとしたニュージェネレーションヒーローズによって、倒されました」ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス

 

「ニュージェネレーション?」

 

「また、新しい単語だな」

 

その言葉に、また首を傾げるアザゼル達。

 

「俺が主に協力してくれるウルトラマンの皆さんです。

その中で、皆さんがよく知っているのは、ウルトラマンオーブとウルトラマンタイガの2人だと思います」

 

「ウルトラマンオーブ」

 

「えぇ、光の国とはまた違った星。

 

O-50という惑星で、ウルトラマンとなった戦士です」

 

「それって、三大勢力の時に戦っていた奴か?」

 

「えぇ、オーブさんは、様々なウルトラマンの皆さんの力を借りて戦います。

光の力を自在に操る事に長けているウルトラマンさんとティガさんの力を借りたスペシウムゼペリオン。神速の速さで武器を自在に操るジャックさんとゼロさんの力を借りたハリケーンスラッシュ。電撃を自在に操る事ができるライトニングアタッカー。三大勢力会議で見たこれ以外にも、様々な姿を得ています」*2

 

 

「おいおい、それって、1人で様々なウルトラマンの力を組み合わせる事ができるという事なのか」

 

「えぇ、同時にディメンションナイザーを通じて、ジードライザーとウルトラZライザーによる強化も、オーブさん達の力を参考に造られた物ですから」

 

「造り出した物という事は、まさかウルトラマン達が造ったのか」

 

「えぇ、彼らはどちらかと言うと、優れた科学力を持っていますので」

 

「マジかよ。正直に言えば、ぜひとも見学したい所だけどな」

 

そう言いながら、笑みを隠せない様子のアザゼル。

 

「アザゼル」

 

「おうおう、分かっているよ。

 

とりあえず、ウルトラマンに関しては、ある程度分かったぜ。

 

けど、さっきの話を聞くと、トレギアの奴は既に死んだという事になるよな」

 

「えぇ、だけど、アブソリューティアンだったら、おそらく、それは可能でしょう」

 

「どういう事だ?」

 

「アブソリューティアンの1人であるアブソリュートタルタロスは過去の時間軸へも自在に行き来出来ます。

これを使い、様々な時代を行き来し、倒されたはずの怪獣や宇宙人を時空を越えて、連れてくる事ができます」*3

 

「おいおい、インチキも大概にしろよ」

 

「おそらく、あのアブソリューティアンの巫女と名乗っていた女性が持っていたあれは、擬似的にタルタロスの能力を再現した物だと思います」

 

それと共に思い浮かべた麻中の脳裏には、アブソリューティアン・タルタロスの手の甲にある宝石。

 

それがアブソリューティアンの巫女の持つディメンションナイザーによく似た装置に埋め込まれているので、その可能性があると考えている。

 

「なるほど、時空を越えて、様々な存在を呼び出すとんでもない代物。

 

そして、お前の持つディメンションナイザーは、結局は何なんだ?」

 

「それが、俺にもさっぱり」

 

「はい?」

 

それには、その場にいた全員が思わず首を傾げた。

 

「元々はウルトラ戦士の記憶を強く思うことで送られてくるウルトラディメンションカードをスキャンし、未来に残されたウルトラの記憶を読み取るだけの機械でした。

 

だけど、何かのきっかけなのか、それとも抑止力なのか。

 

10年前、俺の元に来ました」

 

「10年前、それは確かに怪獣事件が確認され始めた頃だったな」

 

「つまり、君は、そんな幼い頃から戦っていたんですか」

 

「俺自身が戦っていた訳じゃないですよ。

 

ウルトラマン達が一緒に戦ってくれたおかげですから」

 

「なるほどね。

 

どうやら、俺達は、そのウルトラマンとアブソリューティアンの争いに巻き込まれた感じか」

 

「まぁそうですね」

 

それに対して、アザゼル達は苦笑するしかない。

 

そして、アザゼルが話を続ける。

 

「どちらにしても、アブソリューティアンに対抗するには、ウルトラマン達の力が必要だ。

 

何よりも、あいつらは侵略者だからな。

 

こっちの事情なんて、関係ないだろうな」

 

そう苦笑して話すアザゼル。

 

「だとしたら、これからも君に頼る事になる。

 

頼めるか、麻中君」

 

「えぇ、勿論」

 

その言葉と共に、未だに続く戦いを予感させる。

*1
大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

*2
劇場版ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!

*3
ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀



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異世界からの来訪者

麻中が、冥界へと飛ばされてから、一ヶ月ばかりが過ぎた。

 

なんとか、無事に冥界から地上へと戻ってきた麻中だが、彼には最大の試練が待ち受けていた。

 

「まさか、あの地獄のような一ヶ月を過ぎたら、これが待ち構えていたとは」

 

そう言いながら、麻中はなんとか目の前にある宿題を行い続けていた。

 

ウルトラマンをこの世界に召喚する事ができるディメンションナイザーの持ち主である麻中ではあるが、高校生である事は変わりない。

 

だからこそ、彼が宿題を行うのは当然の義務であった。

 

そして、新学期が始まるまで残り1週間。

 

その間に、宿題を終わらせるのが先決だった。

 

「にしても、あの黒猫がまさかの悪魔だったとはねぇ」

 

「暇潰しに家に来るのは止めてくれませんか、アカネさん」

 

そう、麻中の目の前で余裕の表情を見せているアカネに対して、麻中はため息を吐きながら言う。

 

「何を言っているんだい。

君がいなくなって、私は心配だったのにぃ」

 

「それは、悪かったけど」

 

「悪かったならば、少しは構えよぉ」

 

そう我が儘を言うアカネに呆れながら、そのまま宿題を書き続ける。

 

そうした時だった。

 

まるで、それを妨げるように鳴り響く地響き。

 

それと共に、麻中が見つめた先にいたのは、超コッヴだった。

 

「こんな時に、あぁもぅやるしかないよな!」

 

同時に麻中は、その腰にあるディメンションナイザーを掲げる。

 

それと共に現れたのはウルトラマンオーブのディメンションカードと共に現れたのは、ウルトラZライザーだった。

 

「なるほど、そういう事か」

 

同時にウルトラZライザーに3枚のメダルをセットし、そのままディメンションナイザーにカードをスキャンする。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンオーブオリジン!』

 

鳴り響く音声と同時に、セットした3枚のメダルをスキャンする。

 

『オーブ!ガイア!ビクトリー!』

 

「岩乗ボディに唸る剛腕!闇を砕いて光を照らせ!!」

 

『ウルトラマンオーブ!フォトンビクトリウム!』

 

鳴り響く音声と共に現れたオーブ。

 

大地の力を宿した頑丈なボディによる防御力と、巨大な剛腕による攻撃力が特徴的な姿だった。

 

「あぁ、あれって!」

 

「あぁ、行きましょう、ガイさん!」

 

麻中の言葉に対して、オーブは頷くと同時に、超コッヴへと向かって行く。

 

超コッヴは、その額から射ち出す光弾を次々と放っていく。

 

それに対して、オーブは、その強靱な2つの腕で、攻撃を防ぎながら進む。

 

真っ直ぐと進みながら、超コッヴに向けて、真っ直ぐと殴る。

 

それを避ける事ができなかった超コッヴは、そのまま倒れてしまう。

 

そのまま追撃を放とうと接近するオーブ。

 

だが、同時に、その動きが止まる。

 

「どうしたんですか?」

 

疑問に思い、見つめた先。

 

そこには、何時の間にか子供が泣いていた。

 

おそらく、今回の超コッヴが暴れている原因であり、狙っている対象だ。

 

すぐに動きたかったオーブだったが、強固な防御力を持つ為に、その分機動力が低いフォトンビクトリウムでは間に合わない。

 

「こうなったら、えっと。

んっ、これって、もしかして?」

 

すると、アカネが取り出したのは一枚のカードだった。

 

それに疑問に思いながらも、そのままアカネはそのカードをダークディメンションナイザーにスキャンする。

 

それと共に、現れた光と共にオーブが真っ直ぐと超コッヴが蹴り上げる。

 

その事に超コッヴは驚きを隠せずに、交互に見る。

 

先程まで、戦っていたはずのオーブが2人いる。

 

その見た目は、完全に同じであり、見分けがつかない。

 

2人のオーブは互いに見ると共に、そのまま構えて、超コッヴへと攻撃を仕掛ける。

 

同じ姿、同じ挙動で行われ、どの位置から攻撃が仕掛けられているのか分からない。

 

それによって、超コッヴは困惑する。

 

だからこそ、超コッヴは、その鎌を振る。

 

やがて、片方のオーブはその一撃を食らい、吹き飛ばされる。

 

「うわぁ!?」

 

同時に、そのオーブは姿が変わる。

 

それは、暗黒星人ババルウ星人。

 

だが、彼は過去に、ウルトラマンオーブと同じ世界にいたババルウ星人だった。

 

「行け、オーブ!」

 

ババルウ星人は、背後にいたオーブに向けて言う。

 

同時に、オーブの両腕とその額に光が集まる。

 

「フォトリウムシュート!」

 

その叫びと共に、そのまま腕から放たれる無数の光の鞭が超コッヴに放たれる。

 

その一撃を食らい、超コッヴは、そのまま後ろに倒れると共に爆散する。

 

「ふぅ、なんとかなったか」

 

そう言いながら、疲れた様子を見せる。

 

「それにしても、さっきの子。

んっ?」

 

それと共に、何か気づく。

 

それは、建物の影から何かが出てきた。

 

「もしかして?」

 

その存在に気づいて、麻中は向かう。

 

周りの建物には見えないが、奇妙な気配。

 

「ここら辺か」

 

「痛ぁ、まったく、なんだよぉ、ここはぁ」

 

そう言いながら、見ると。

 

「メトロン星人?」

 

「あぁ、誰だお前は!!」

 

そう言いながら、何やらこちらを警戒している。

 

「なんで、ここに?

まさか、侵略目的か」

 

「なんで、そうなる!

俺様は気づいたらここにいたんだ!あぁ、もぅウルトラマンがいたのもびっくりだけど」

 

「気づいたら?

というよりもウルトラマンを知っているのか?」

 

「おうよ、俺の所にはトリガーとデッカーというウルトラマンがいたけど」

 

「トリガーとデッカー?

もしかして、あなたはGUTS-SELECTの隊員ですか?」

 

「えっ、おう。

まさか、知っているのか?」

 

「まぁ、はい。

とりあえず、こっちに」

 

さすがに、この場では目立ってしまう事もあり、そのまま部屋に案内する事にした。

 



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狙われた宇宙人

「まさか、俺自身が平行世界に来るとはなぁ」

 

 そう言いながら、絶賛、宿題を行っている麻中の横で、マルゥルは呟く。

 

「うわぁ、本物のメトロン星人だぁ!! 私が知っているのよりも可愛くなっているなぁ」

 

「可愛いって言うな! 

 

 まったく、にしても、まさかウルトラマンを召喚するマシンだとはな」

 

 そう言いながら、マルゥルは、目の前にあるディメンションナイザーとダークディメンションナイザーを見ながら、何やら弄っている。

 

「それで、何をしているの?」

 

「おう、実は俺様がこっちに来たのは少し訳があるんだ」

 

「訳?」

 

「あぁ、あれはおっさんと一緒に仕事をしている時だった。

 

 ユナが遊びに来たと思ったら、いきなりユザレになって、助けてやってくれって、言われたんだ」

 

「ユザレって、確かティガの世界にもいたけど」

 

「まぁ、そういう訳で、こちらに飛ばされたけど、俺様がどう力になれって言うのかねぇ」

 

 そう言いながら、首を傾げる。

 

「これからの戦いで、ウルトラマンのより強い力を引き出さなきゃいけないのは分かっているんですけど、その方法が分からないでしょうか」

 

「より強い力?」

 

「まぁ、そんな早々にはできないんですけどね。

 

 ウルトラマンの力だからなぁ」

 

 麻中の言葉通り。

 

 これまでの、ウルトラマンの力を引き出す方法。

 

 それは、ジードライザーとウルトラZライザーによる強化方法である。

 

 だが、それ以外の、ウルトラマン達自身の最強の姿は未だに発揮できない。

 

 その事に麻中は未だに悩んでいた。

 

「そう言えば、1度だけできたんだよね」

 

「あぁ、兵藤の力を借りて、なんとか。

 

 だけど、そう何度もできないけど」

 

「外部からのエネルギー供給ねぇ。

 

 んっ?」

 

 すると、マルゥルは何かに気づいたの様子。

 

「もしかしたら」

 

 それと共に、何かに気づいたマルゥルが見つめている。

 

 同時に、何か地響きが起きる。

 

「これって、まさか」

 

「またかよ!!」

 

 それと共に、外を見る。

 

 そこには、ゴルバーとガンQの2体の怪獣が暴れていた。

 

「おいおい、まさかあいつら。

 

 俺様を狙っているのか」

 

「やばいなっ!」

 

 同時に、麻中はすぐにディメンションナイザーを手に取る。

 

「輝け! フラッシュ! デッカー!!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンデッカー! フラッシュタイプ!』

 

 ウルトラマンデッカーが地上に現れると同時に、2体の怪獣と向き合った。

 

 最初に、デッカーに襲い掛かったのは、ゴルバーだった。

 

 ゴルバーは両腕を振り回し、デッカーを攻撃するも、デッカーはその攻撃を紙一重で避けて、反撃に転じる。

 

 まずは、その太い腕を掴み、背負投げを決めた後、頭部目掛けて、拳を叩き込もうとする。

 

 だが、そんなデッカーに向かって、ガンQの光線がデッカーに襲い掛かる。

 

 火花を散らして、前に倒れるデッカーだったが、すぐに起き上がり、再び構える。

 

 すると、今度は、上空からゴルバーへと飛び、そのままデッカーに向かって突っ込んでくる。

 

 そして、ゴルバーの上に乗っかり、何度も殴った後に、ゴルバーを踏み台にして飛び上がる。

 

 そのまま、空中で回転し、蹴りを放つと、ガンQに命中した。

 

 それによってガンQを馬乗りになって、そのままデッカーは殴り続ける。

 

 しかし、そんなデッカーに対して、ゴルバーは背中の羽根を広げて、空を飛びながら、デッカーに向けて突進した。

 

 それを受け止めたデッカーは、勢いよく地面に倒れ込む。

 

 その後、ガンQもゴルバーを援護するように次々と光線を発射するが、それを避けるようにデッカーは動く。

 

 そして、立ち上がった直後、ゴルバーに飛び掛かり、掴みかかる。

 

 デッカーはなんとか反撃を行うとしたが、ガンQの光線がそれを邪魔をする。

 

「ぐっ」

 

 デッカーと共鳴している麻中の身体にもダメージを受けている。

 

「だったら、これをっ」

 

 その言葉と共に、新条がその手に持ったカードをスキャンする。

 

『ディメンションロード! テラフェイザー!』

 

「おぉ、テラフェイザーを呼べるのか!」

 

 同時に新条の手元から現れたテラフェイザーは、そのまま真っ直ぐとガンQに向けて、クローアームが激突する。

 

 その一撃に耐えきれず、ガンQはそのまま吹き飛ばされる。

 

 それに合わせるように、デッカーもまた構える。

 

 デッカーとテラフェイザーが並び立つと共に、そのまま真っ直ぐとゴルバーとガンQに向かって、攻撃を行う。

 

 ガンQが、ゴルバーを援護するように光線を次々と放つ。

 

 だが、テラフェイザーは、その左腕にあるTRビーム砲によって、撃ち落とされる。

 

 その間にも、デッカーはそのままゴルバーに向かって、ラリアットを喰らわせる。

 

 地面に倒れ込んだゴルバーを無視し、そのままガンQに向かって、飛び蹴りを食らわす。

 

 それによって、後ろへと吹き飛ばされる。

 

 それに合わせるように、テラフェイザーも急速にガンQに接近する。

 

 クローアームでガンQの胴体を掴むと同時に、そのまま宙へと飛ばす。

 

 それに合わせるように、デッカーもまたゴルバーに向く。

 

 テラフェイザーはショルダーアーマーは前方へ折り畳むように連結して砲身となり、さらに胸部に格納された砲口と接続される。

 

 両手を額に当て、右手に赤いエネルギー、左手に青いエネルギーを発生させて円を描き、紫色の光と共に、両手を十字に組む。

 

 デッカーとテラフェイザー。

 

 2人は同時に光線を放つ。

 

 2つの光線は、そのまま2体の怪獣をそのまま貫き、倒す。

 

 そう、2体の怪獣を倒し終えると共に、デッカーはマルゥルを見つめる。

 

「おう、俺様はもう少しやる事があるから。

 

 それをやってから帰らせて貰うぜ」

 

「帰らせて貰うって、そう簡単にできるんですか?」

 

「ユザレは、それを目的らしいからな」

 

 そうデッカーは。マルゥルの言葉を聞いて、納得したのか頷く。

 

 同時に、デッカー達は姿を消した。

 

「マルゥルさん、やる事って、一体なんですか?」

 

「まぁちょっとな。

 

 とりあえず、少し借りるぞ」

 

「えっ、はい」

 

 そのままマルゥルは、ディメンションナイザーとダークディメンションナイザーの2つをいじり始める。

 

 それが、一体何を意味するのか、分からず、戸惑う2人。



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仕掛けられた罠

「それにしても、学生の宿題は結構多いんだなぁ」

 

その言葉を呟きながら、マルゥルはディメンションナイザーとダークディメンションナイザーの作業を行いながら、同時に麻中の宿題を手伝っていた。

 

「うわぁ、メトロン星人すげぇ」

 

「本当に助かります!!」

 

器用な動きを見せるその姿に、思わず土下座をしそうになりながら、麻中はそのまま宿題を続けていた。

 

「それにしても、本当にできるのか?」

 

「まぁな。

それに、お前が、そもそもウルトラマンを呼ぶ時にある制限は、簡単に言うとエネルギーが不足している所が大きいんだよ」

 

「エネルギー不足?」

 

それに麻中は首を傾げる。

 

「あぁ、話を聞くと、お前は既に10年以上は戦い続けている。

そんなに戦っていて、ウルトラマン達の力を十分に引き出せないのは、予想では、ディメンションナイザーの限界かもしれないな」

 

「ディメンションナイザーの限界」

 

「まぁ、当たり前だよな。

ウルトラマンは1人1人がとんでもない力を秘めている戦士だ。

それを3分だけとは言え、召喚するんだから、どんなに莫大なエネルギー量があっても足りないよ」

 

「けど、テレビで見るウルトラマンとかは、特に問題ない様子だけど」

 

「それはウルトラマン本人の場合だろ。

お前らの場合は、別次元に繋げて、そこからウルトラマンを呼び出すんだから全然違うよ。

まぁ、それで俺様が手を加えるのは」

 

そう呟いている間にも、何か音が聞こえる。

 

見れば、再び街の中で暴れ始めた怪獣がいた。

 

そのエビとカニを合成したような外見をした怪獣であるレイキュバスがいた。

 

「あぁ、夏休み最終日なのに、こんな事ばっかりかよ!!」

 

そう言いながら、麻中はすぐに飛び出すと共にディメンションナイザーを構える。

 

「あぁ、待ちやがれ!

まだ、調整が」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンアグル!』

 

鳴り響く音声と共にレイキュバスの前にアグルが現れ、立ちはだかる。

 

召喚すると共に、アグルはゆっくりと構える。

 

眼前に立つレイキュバスは、その巨大な鋏を真っ直ぐとアグルに向かって、襲い掛かる。

 

それに対して、アグルは地面を滑り込むように避けると同時に、片手を青いビームの刀身のアグルセイバーを、レイキュバスの僅かな隙間に入れるように斬る。

 

その冷静な斬撃は、簡単にレイキュバスで、小さい方の鋏を簡単に切り裂いた。

 

それに対して、レイキュバスは悲鳴を上げながらも、その口から冷気を放つ。

 

その冷気に対して、アグルは素早く後ろへとバク転しながら避ける。

 

その勢いのまま跳び上がると同時に、空中で構えながら、真っ直ぐとレイキュバスに向かってフォトンスクリューを放つ。

 

その放たれた一撃に対して、避ける事ができないレイキュバスは、その一撃を正面から受け止める。

 

それによって、多少の怯みが見える。

 

それに畳みかけるように、地上に降り立つと同時に、右腕だけ立てて必殺光線であるアグルストリームを放つ。

 

放たれた攻撃を真っ直ぐと、レイキュバスは、それを受け止めながら、そのまま後ろへと倒れ、爆散する。

 

「なんとか、倒せたか」

 

「・・・」

 

そう、戦いを終えた。

 

だが、そこで新条が何か気づいた様子だった。

 

「どうしたんだ?」

 

「ねぇ、ゴルバーって、見た目からして、ゴルザとメルバの合体怪獣だよね」

 

「んっ、そう言えば、そうだな」

 

「・・・ガンQ、超コッヴ。

それにさっき倒したレイキュバス。

もしかして」

 

「どうしたんだ?」

 

「あら、その子は気づいたようね」

 

同時に聞こえた声。

 

その先には、アブソリューティアンの巫女がいた。

 

「お前はっ」

 

「ふふっ、今回はちょっとした実験だけど、どうやら上手くいきそうね。

さぁ、やりなさい」

 

そう、アブソリューティアンの巫女は誰かに言うように呟く。

 

それと同時だった。

 

先程、レイキュバスが倒した場所が光り始める。

 

同時にアグルが振り返ると共に、そこには一匹の怪獣がいた。

 

「あいつはっ」

 

「ファイブキングっ」

 

その存在が召喚されると共に構える。

 

アグルもまた、同時に構える。

 

先程の戦いはほとんどダメージを受けていなかったアグルだった。

 

だが、ファイブキングは、まさに奇襲という形で、そのままアグルの首にレイキュバスの鋏で挟む。

 

同時に、その全身からあらゆる光線を真っ直ぐと、アグルに放った。

 

「があぁぁ!!」

 

それによって、アグルは光となり、同時に麻中は衝撃で吹き飛ばされる。

 

「麻中君っ!!」

 

「まさか、ここまでとは。

まぁ、良いでしょう、さぁ、さっさと仕事をしなさい」

 

同時にファイブキングは、真っ直ぐと近づく。

 

まさに死神の足音を思わせるように。



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黄金の嵐

駒王町は、今、たった一日だけだが、まさに危機的状況に陥っていた。

 

アブソリューティアンによって、張られた結界内では、未だに多くの人々が残っている。

 

彼らが無事なのは、主にアブソリューティアン達が、利用価値のある者達を見つけるまで殺さない為に行っているから。

 

だからこそ、犠牲者はそれ程、多くはなかった。

 

そんな、アブソリューティアンが放ったと思われる怪獣、ファイブキングを見ながら、アザゼルはため息を吐く。

 

「これまで、化け物相手には慣れたつもりだったけど、まさかそれ以上がいるとはな」

 

そう言いながら、ファイブキングのこれまでの行動を纏めた資料を確認する。

 

怪獣としては既に当たり前のようにある巨大な体格。

 

そこから出る力はかなり大きく、ファイブキングに対抗する為に応戦要請をしたタンニーンを真っ向から勝負できる程の力を持つ。

 

さらには、超高速で飛行する能力。

 

身体からは無数の光線を放つ。

 

さらには強固な鋏を持つ腕に、ありとあらゆる光線を吸収し、そのまま撃ち返す。

 

はっきり言えば、反則級の怪物を前に、困り果てていた。

 

「それで、そいつはまだ目覚めないのか」

 

そう言いながら、今は寝ている麻中と共にいる新条に対して、尋ねる。

 

ファイブキングが現れたのを察知し、先に戻ってきたアザゼル。

 

そこには、これまで、どの種族でも見た事のないメトロン星人がおり、当初は敵だと思った。

 

だが、話を聞けば、麻中の知り合いであり、彼らを助ける為に来たらしい。

 

それと共に、彼女の手にあるディメンションナイザーによく似た装置であるダークディメンションナイザー。

 

それらから、アザゼルは味方だと判断した。

 

「まぁな、基本的にウルトラマンとリンクしているからな。

そのダメージはそのまま麻中にも来る。

だからこそ、ウルトラマンが倒されれば、そのまま麻中もまた気絶する」

 

「目覚めるのか?」

 

「それはこいつ次第だ。

こいつが目覚めた時に、本当の意味で、こいつを使いこなせれば、あいつにも勝てるはずさ」

 

「本当にあんな化け物に勝てるのかよ」

 

「あいつよりも化け物にも勝ったんだったら、大丈夫だろ」

 

マルゥルのその一言に疑問に思うアザゼル。

 

そんな対話の間、麻中の意識は。

 

「それにしても、まさか気絶して、こんな所にいるとは思わなかったです」

 

「なんというか、狭い所で、ごめんね」

 

そう言いながら、麻中は周りを見る。

 

そこは光で埋め尽くされている空間だが、麻中と目の前にいる人物が座る為に作られたのか、畳とちゃぶ台があった。

 

「それはそうと、いつも、お世話になっています、ハルキさん」

 

「いや、そんなに気にしないで」

 

そう、麻中は目の前にいる人物、ナツカワハルキに土下座をしながら言う。

 

彼、ナツカワハルキは、ウルトラマンZと一体化している地球人であり、別次元の人間である。

 

「それにしても、麻中君は、大変だね。

他のウルトラマンの先輩達と一緒に戦って」

 

「俺は、ただ呼ぶ事しかできません。

戦うと言っても、それ程たいした事はできていないと思います」

 

「そうかな。

俺は、それでも十分凄いと思う。

だからこそ」

 

同時にハルキは真っ直ぐと見る。

 

「君は、自分がやっている事に、少しは自信を持つべきだ」

 

「自信なんて。

それこそ、俺は人の事を言えません。

ほとんどの戦いをウルトラマンの皆さんに任せているような状況だから」

 

「それでも、戦う時、逃げなかった」

 

その言葉と共に、見つめる。

 

「ウルトラマンと一緒に戦う時も。自分で戦う時も。何よりも、目の前に悩んでいる人がいれば正面から逃げずに立ち向かった。ウルトラマンと一緒に戦う時、一番必要な事は、それだから」

 

「一番必要な事」

 

「今の君だったら、できるはずだ。

俺とZさんの力を。

他のウルトラマンの皆さんの力を十分に」

 

その言葉を最後に、目の前の光景は瞬く間に変わっていく。

 

同時に、麻中の意識は、現実に戻る。

 

「麻中君!」

 

麻中が目を覚ますと、目の前には泣いている新条の姿があった。

 

「どれぐらい、寝ていたんだ」

 

「丸一日だ。

その分、被害は、かなりあるがな」

 

「すいません、情けない所を見せて」

 

そう言いながら、麻中は立ち上がる。

 

「やれるんだな」

 

そう、アザゼルが問いかける。

 

対して。

 

「勿論!」

 

同時に麻中ははっきりと応える。

 

「それだったら、十分だぜ。

こっちも準備はできたぜ!」

 

同時にマルゥルが取り出したのはディメンションカード。

 

だが、それは麻中が持つディメンションカードとは、どこか違った。

 

「これが」

 

「おうよ。

ディメンションナイザーにあるエネルギー問題を解消するには、もう1つのディメンションナイザー。

つまりはダークディメンションナイザーを同時に使う事で解決するはずだ。

それによって、これまではできなかったウルトラマン達の最強の姿が使えるはずだ」

 

「つまりは、光と闇。

2つの力を1つにするんだ」

 

「おうよ、トリガートゥルースのデータを参考にできたからな。

だけど、この状況は誰にするかは決まっているようだな」

 

「あぁ、勿論。

新条、力を貸してくれ」

 

「勿論。

まぁウルトラマンとして戦うのは少しどうかと思うけど、やる時はやるよ」

 

同時に2人は同時に同じディメンションカードを手に待ち、構える。

 

「「闇を飲み込め!黄金の嵐!」」

 

その言葉が、2人が重なると同時に、そのままディメンションナイザーとダークディメンションナイザーを上に翳す。

 

「「ウルトラマンZ!!」」

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンZ!デルタライズクロー!』

 

その瞬間、麻中を中心に黄金の嵐が吹く。

 

襲い掛かろうとしたファイブキングは、その黄金の嵐に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられると共に、嵐の中からその姿が現れる。

 

赤、青、金を中心に、ヒロイックな姿。

 

Zの文字が特徴的なカラータイマーが、その人物がウルトラマンZだという事を僅かに教える。

 

「あれがウルトラマンの最強の姿」

 

その姿を見て、アザゼルは、目を見開きながら言う。

 

同時に麻中達が、ここにいない事に気づく。

 

「麻中達は」

 

「あそこだよ。

本当の意味で、ウルトラマンと一緒に戦う意味でな」

 

「まさか」

 

それと共に、その言葉の意味が分かる。

 

それは、ウルトラマンZのインタースペースの中。

 

そこには、麻中が。

 

新条が。

 

そして、ウルトラマンZの変身者であるナツカワハルキがいた。

 

「うぅ、なんだか広いような、狭いような」

 

「タイガ先輩達も、結構狭いと言っていましたが、ここまでとは」

 

「ウルトラマンが3人と人間1人では、結構違うけど」

 

「なんだか、身体が変な感じがする」

 

そう、中で会話をしているとは、アザゼル達は思わなかった。

 

だがそうしている間にも、ファイブキングはウルトラマンZの存在に気づくと共に、雄叫びと共に、身体から無数の光線を真っ直ぐと放つ。

 

「なっ攻撃がっ!

3人共、ウルトラ気合いを入れるぞ!」

 

「「オッス!」」

 

「おっおぉ、なんだか熱血系だなぁ」

 

それに対して、ウルトラマンZはその場で構え、走り出す。

 

襲い掛かる光線に対して、薙ぎ払いながら、真っ直ぐと進む。

 

その光線がまるで効果がないように、そのまま接近すると同時に強烈なアッパーをファイブキングに食らわす。

 

威力は凄まじく、動きを止める。

 

それと共に額にあるランプが光る。

 

「「「「デルタクロスショット」」」」

 

3人の声が重なると共に、ランプから放たれた光線は、そのままファイブキングの鋏を破壊する。

 

「「「「デルタカッティング」」」」

 

それに追撃するように、腕のクリスタルから光の刃を出して、ファイブキングのガンQの部分を真っ二つに斬り裂く。

 

瞬く間に、ファイブキングを構成する2つのパーツを破壊する。

 

その一連の動作は、まさしく嵐を思わせる動きだった。

 

そして、電撃を纏った強烈なパンチを、ファイブキングに次々と放っていく。

 

残像ができる程の速さで放たれた拳によって、ファイブキングは空へと吹き飛ばされる。

 

そして

 

「「「「ゼスティウム光線!」」」」

 

その叫びと共に放たれた必殺光線。

 

それは、ファイブキングの胴体を貫き、巨大な爆発を起こした。

 

駒王町で行われた地上最大の危機。

 

それは、ウルトラマンの活躍によって、まさに3分で全てが終わった。

 

そして。

 

「合体怪獣。

どうですか、試運転は」

 

そう言いながらアブソリューティアンの巫女は目の前にいる人物に尋ねる。

 

それに対して、その人物は何も応えなかった。

 

むしろ、目の前にあるメダルを目にしている。

 

タイラント、ゴモラ、エレキングなど、様々な怪獣が描かれたメダルだった。

 

「・・・十分なぐらいだ。

あとは、戦いに有利な場所だ」

 

「あら、こういうのは、叩き込むかと思ったわ」

 

「・・・奴らには、最も深い絶望を与えないと気が済まないからな」

 

「ふふっ、わざわざ、スカウトした甲斐があったわ。

あなたのような最低な存在を」

 

「お褒めに預かり光栄だ」

 

そう言いながら、その人物はアブソリューティアンの巫女を見つめる。

 

「これからも、あなたの活躍を期待しているわ、セレブロ」



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原点

夏休みも終わり、本日から駒王学園の二学期が始まる。

 

それと共に、駒王学園では、すぐに行われるだろう体育祭の準備が行われていた。

 

そう、忙しくも、楽しいはずの体育祭。

 

だが、それは

 

「おらぁ!」

 

「がぁ!」

 

麻中にとっては、参加できるかどうか分からなかった。

 

現在、アブソリューティアンによって、次々と次元を越えた侵略者が、この駒王町に来ている。

 

侵略者達に対して、三大勢力も動いているが、これまでまるでデータにない侵略者に対して、多くは遅れてしまう。

 

だからこそ、日々は麻中が対応する事が多い。

 

現在も、麻中は目の前にいる宇宙人であるバド星人に対して、戦っていた。

 

「麻中、本当に大丈夫なのか。

死にかけたと聞いたが」

 

「これぐらい、なんとかな。

いや、本当に、アサヒさんには助けられました」

 

あの戦いが終わった後、ウルトラウーマングリージョこと、湊アサヒのおかげで、現在は回復している。

 

「さて、バド星人。

いい加減、覚悟をして貰おうか」

 

「覚悟なんて、してたまるかよ!!」

 

同時にバド星人が何時の間にか取り出したカプセルを、そのまま地面に叩きつける。

 

同時に、バド星人は瞬く間に巨大化していく。

 

「またかよ、たく!

こういう時は、頼みます、ナイスさん!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンナイス!』

 

ディメンションナイザーから鳴り響く音声と共に現れたウルトラマンナイス。

 

「・・・なぁ、麻中」

 

「なんだ?」

 

「あの、ウルトラマン、本当に大丈夫なのか」

 

そう言いながら、ウルトラマンナイスの容姿を見て、思わず呟く。

 

それは、兵藤がこれまで見てきたどのウルトラマンと比べても、コミカルな見た目をしており、それも相まってか、あまり頼りないように見える。

 

「何を言っているんだ、ナイスさんはかなり頼りになるぞ」

 

そうしている間にもバド星人との戦いが始まる。

 

ナイスはそのまま構えようとすると、バド星人はすぐ近くにある車を手に取り、ナイスに向かって、投げる。

 

それに気づいたナイスはすぐに車をキャッチする。

 

それと共にすぐに、地面に置こうとする。

 

だが、バド星人は別の物を投げていく。

 

それを見たナイスは、投げてくる物を壊さないように。

 

無駄に超人的な動きで受け止め、安全な所に置く。

 

だが、それが油断となったのか、バド星人はそのまま蹴り上げてくる。

 

反応する事ができなかったナイスは、そのまま吹き飛ばされ、近くにある建物を頭にぶつかる。

 

それに対して、ナイスは思わず頭を抱えて、痛がる様子が見る。

 

それを見ると共に、バド星人はそのまま、上空から飛び上がり、そのまま真っ直ぐと飛び蹴りを行おうとした。

 

「危ねぇ!」

 

兵藤がそう言う。

 

だが、ナイスの目が一瞬、キラリと光る。

 

ナイスは、地面に転がったまま、両腕をクロスさせ、首を傾げる。

 

同時に、空中に飛んでいたバド星人は、ナイスから放たれたベリーナイス光線を真っ正面から受け止め、そのまま空中で爆散する。

 

「えぇ」

 

そのあまりにもあっさりとした勝利に、兵藤は思わず声を出してしまう。

 

「なんというか、色々と突っ込みたいのだが」

 

「ウルトラマンナイスは、一家の大黒柱だったからな。

車や建物による修繕費の方が心配だったんだろうな」

 

「うっウルトラマンも、お金を気にするのか」

 

「だが、そう考えれば、今回の戦いは凄まじいな。

なんだって」

 

そう言いながら、ゼノヴィア達が見つめた先。

 

そこは、ほとんど被害のない町の様子だった。

 

「そう考えたら、あのナイスは本当にとんでもないな」

 

そう言いながら、ナイスの戦いぶりに思わず呟いた。

 

そうしながら、疲れと共に座る。

 

「にしても、何かあったのか」

 

「えっ、急にどうしたんだ?」

 

「なんか、いつもよりもピリピリしている感じがするが」

 

そう麻中は問いかける。

 

それに対して、兵藤は少し迷っていたが、すぐに決断したように見つめる。

 

「麻中。

お前に頼みがある」

 

「なんだよ?」

 

「メビウスさんを、この世界に呼ぶ事はできないか」

 

「メビウスさんを?

また、なんで?」

 

そう疑問に言うと、兵藤が話し始める。

 

かつてアーシアが助け、傷を癒したディオドラが現れた。

 

自分のために教会を追われた彼女を迎えにきたらしい。

 

そしてリアスにアーシアを賭けてのレーティングゲームを挑んでくるのだった。

 

兵藤は、彼女を守る為に、強くなりたい。

 

だからこそ、強さの原点でもあるメビウスに教えを請いたいと思った。

 

「本当は夏休みにやりたったが、お前、ずっといなかっただろ。

無茶だと、思うけど、頼む!」

 

そう、兵藤は、頭を下げる。

 

「・・・俺がどうにかできる事じゃない。

そもそも、戦いの時だって、なんとか呼べているぐらいだからな」

 

「それは」

 

「・・・だから、来てくれるか、どうかはメビウスさん次第だ」

 

同時に、ナイスの方へと向く。

 

「という事で、すいませんが、ナイスさん」

 

そう、ナイスに向くと、頷いた。

 

同時にナイスはそのままディメンションナイザーへと戻っていく。

 

「えっと、今のは」

 

「とりあえず、聞いてみてからだ。

断られても、文句を言うなよ」

 

「っあぁ、勿論だ」



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脅威の一歩

日々、アブソリューティアンを経由して、宇宙からの侵略者が次々と来ていた。

 

そして、その日の夜も、また激闘が行われていた。

 

「まったく、まさか、こいつらまで出てくるとはな」

 

その言葉と共に、麻中はウルトラマンZと共に、囲んでいる存在に目を見る。

 

そこにいたのは、巨大ヤプールが率いるバキシムとベロクロンの超獣の2体だった。

 

『貴様を殺す!Aと大きく関係している貴様を!ウルトラマンであるお前を!!』

 

「まったく、どこから聞いたんだが!」

 

そう言っている間にも、ベロクロンは全身から無数のミサイルをウルトラマンZに向かって放つ。

 

「ガンマビームマント」

 

それに対して、ウルトラマンZは既に変身していたガンマフューチャーの能力で、背中からマントを造り出し、その攻撃を受け止める。

 

だが、それは一時的な物であり、そのままバキシムとベロクロンは、真っ直ぐと襲い掛かる。

 

すぐにウルトラマンZは反撃しようとしたが

 

『甘いわぁ!!』

 

「なっ」

 

巨大ヤプールの鎌状の右手から多彩な光線を発射し、ウルトラマンZを妨害する。

 

同時にバキシムとベロクロンによって、ウルトラマンZの両手を押さえ込まれる。

 

「ぐっ」

 

すぐに飛びだそうとするが、二体の超獣の腕力は凄まじく、すぐに脱出する事はできなかった。

 

『これで終わりだぁ!!』

 

同時に巨大ヤプールは、そのままウルトラマンZにとどめを刺す為に攻撃を仕掛ける。

 

その瞬間だった。

 

ベロクロンが真っ二つに切れる。

 

『なに!?』

 

それに驚きを隠せない巨大ヤプールだったが、その隙を見逃さなかった。

 

ベロクロンによって拘束された手にはウルトラZライザーを手にし、空へと掲げる。

 

「ライトニングジェネレーター!」

 

その言葉と共に、ゼットライザーを用いて空中で雷雲を発生させ、そこから発射される電撃光線でバキシムを電撃で拘束する。

 

それに合わせるように、再び真っ二つに斬られる。

 

見ると、そこには身の丈はあるだろうアイスラッガーにエースのウルトラホールを合わせたような剣を手に持っていた。

 

それは、かつてオーブから教えてもらった姿の1つであるスラッガーエースに良く似ていた。

 

だが、明らかに違うのは、まるでロボットを思わせる姿である事。

 

『エース!?

いや、エースロボット!?』

 

「この気配は」

 

「やっほぉ、久し振りと言う程じゃないにゃ」

 

「黒歌!」

 

そこにいたのは黒歌だった。

 

その手あるビートスターライザーから推測しても、それが黒歌が召喚したロボットだと理解できた。

 

「とりあえず、話をしたいから、さっさとあいつを始末しない」

 

「あぁ、分かった。

お願いします、Zさん!」

 

「あぁ、一気に決めるぜ!」

 

その言葉と共に、ウルトラマンZもまたすぐに構える。

 

手に持ったゼットライザーから巨大な光剣を出現させ、そこから竜巻を発生させて巨大ヤプールを巻き上げる。

 

同時に、一緒にいたロボットと共に、真っ直ぐと巨大ヤプールに向かって、2人は同時に斬り裂く。

 

『エース!!』

 

エースへの怨念が籠もった絶叫と共に、巨大ヤプールはその姿を消した。

 

同時に、麻中は目を向ける。

 

「黒歌、元気そうだな」

 

同時に安堵するように、麻中は見つめる。

 

「まぁ、おかげさまでにゃ。

にしても、あの後、死にかけたと聞いたけど、大丈夫かにゃ?」

 

そう言いながら、ペタペタと身体を触れる。

 

かなり過剰に。

 

「まぁ、大丈夫だけど。

そういう黒歌は、なんでここに?」

 

「あぁ、そうだったにゃ。

実は、少し面倒な事があってにゃ」

 

「面倒?」

 

それに首を傾げる。

 

「私が今所属している組織に、どうもアブソリューティアンの奴が手を貸しているらしいにゃ」

 

「なっ」

 

それには、驚きを隠せなかった。

 

「なんで」

 

「ウルトラマンがいずれ邪魔になるからという理由らしいにゃ。

それで、その中で最近、目立った奴が1人いたから、教えに来たにゃ」

 

「目立った奴?」

 

それに、首を傾げる。

 

「確かセレブロとか言う奴にゃ。

姿は誰も見ていないらしいけど、知っているかにゃ?」

 

「セレブロだって?!」

 

その言葉に、麻中はさすがに驚きを隠せなかった。

 

「なんにゃ、そんなに慌てて」

 

「当たり前だ。

そいつはかなり厄介だぞ」

 

同時に麻中はそのままセレブロの事について話し始める。

 

かつて、ウルトラマンZと戦った敵。

 

非常に高い知能を持つ反面、肉体が脆弱な生物である為、常に他の生命体に寄生する必要がある。

 

そして、セレブロによって、数々の星が滅んでおり、同時に悪辣極まりない遊びを行っていた。

 

「にゃぁ、それじゃ、そいつを放っておいたら、ヤバ過ぎるにゃ」

 

「何よりもセレブロは寄生している奴を突き止めないと。

それに、おそらく、今も動いている」

 

未だに見えないセレブロの脅威。

 

そして、その罠がすぐそこまで迫っている。



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セレブロの影

 セレビロという存在を認知した麻中。

 

 だからこそ、彼は、その事をすぐにでも知らせた。

 

 結果的に言えば。

 

「えっと、麻中、そこにいる人は?」

 

「お前が教えて貰いたいと言った人だろ」

 

「この姿では初めましてかな。

 

 ヒビノミライだ、よろしくね」

 

 今回の騒動に対して警戒を高めた光の国は、麻中の元に、ウルトラマンメビウスこと、ヒビノミライを派遣してくれた。

 

 セレブロが取り憑いた際の精神状態の変化は既に観測済みであった為、何かあれば、すぐに対応できるようになっている。

 

 だからこそ、それらはメビウスに任せる事にしていた。

 

「すいません、わざわざ来て貰って」

 

「別に構わないよ。

 

 何よりも、セレブロはこれまで多くの宇宙を破壊してきた存在だ。

 

 さらには、Zも1度はセレブロに精神が乗っ取られている。

 

 警戒をしなくてはいけない相手だ」

 

 その言葉と共に頷きながらも、ディメンションナイザーに反応があった。

 

「ここは僕に任せて、麻中は」

 

「分かりました!」

 

 その言葉と共にすぐに戦いの舞台へと向かった。

 

 そこには既に巨大な影が2つあり、そのままディメンションナイザーを構える。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンジード!』

 

 その音声が鳴り響くと同時に現れたジードは、そのまま正面にいる2体の怪獣に目を向ける。

 

 一体は、その名は悪魔の名を意味をする宇宙悪魔ベルゼブ。

 

 そして、そのベルゼブに操られている怪獣であるクグツツインテールがいた。

 

 ベルゼブは、そのままジードに向けて、襲わせるようにクグツツインテールに指示を送る。

 

 そのままクグツツインテールが、真っ直ぐとジードに向かって襲い掛かる。

 

 それに対して、構える。

 

 アクロスマッシャーへと変身している影響もあり、その手をゆっくりと構える。

 

 それと共に、襲い掛かってきたクグツツインテールから放たれる鞭に対して、ジードは受け流す。

 

「ふっ!」

 

 そして、そのままジードはクグツツインテールに向けて、両手を向ける。

 

「スマッシュムーンヒーリング」

 

 その言葉と共にクグツツインテールに向けて放たれた光の粒子。

 

 それは、ベルゼブによって操られたクグツツインテールの毒を消し去り、浄化させる。

 

 だが、それだけでは終わらない。

 

 続けて、ジードはそのまま、流れるような動きと同時に、ベルゼブに目を向ける。

 

「アトモスインパクト!」

 

 そのまま、ジードは、真っ直ぐとベルゼブに向けて、光輪状の波動光線

 

 を放つ。

 

 それが直撃した瞬間、爆発が起きる。

 

「よし……これで」

 

 しかし、そう思った時だった。

 

「ふん!」

 

 煙の中から聞こえてきた声。

 

 それは、操られていたクグツツインテールに向けて放たれていた。

 

 同時にクグツツインテールは、そのまま爆散すると共に、消え去った。

 

「「なっ」」

 

 状況について来れない麻中とジードは驚きに目を向けている間にも、それを行った人物へと目を向ける。

 

 すぐにその場から離れようとした様子を見ると共に、麻中はすぐにその後を追う。

 

 だが、追いついた先には既に、それを行った人物は姿を消していた。

 

「どこに……」

 

 そう思いながら辺りを見渡そうとした時だった。

 

 僅かに見えた魔方陣。

 

 それが、麻中の視界に入った。

 

「魔方陣? 

 

 あの形は一体?」

 

 疑問に思う麻中。

 

 そんな麻中の疑問を余所に、魔方陣を通り抜けた先にいたセレブロは、手元にあるメダルを確認する。

 

 それは、先程、殺したツインテール。

 

 そしてそれ以外にもバキシムとアストロモンスのメダルがあった。

 

「材料は既に揃った。

 

 舞台も揃った。

 

 あとは、お前達の絶望する時だ」

 

 そう、気味の悪い笑みを浮かべるのだった。



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心の繋がり

ミライは、そのまま兵藤達攻撃を仕掛けてこようとするカオスロイドUに対して、すぐにメビウスブレスを腕から出現させる。

 

そのまま左腕に装備して中央にあるクリスタルサークルに手をかざして回転させる。

 

そして

 

「メビウース!」

 

その叫びと共に空に掲げることで、ミライの身体は光に包まれる。

 

それと共に、カオスロイドUの前に現れたのはミライの本来の姿であるメビウスだった。

 

メビウスへと変身したミライは、そのまま麻中を腕に抱えると共に、そのまま舞台となった空間へと向かって、飛ぶ。

 

空間を飛び越え、そのまま、蹴り上げる。

 

「ミライさん!?」

 

「ここは、俺達に任せて、行ってこい!」

 

麻中の言葉を聞くと共に、そのまま兵藤達は向かって行く。

 

カオスロイドUは、メビウスの存在に気づくと共に、すぐに動き出す。

 

右手の手刀を構えながら、高速移動を行い、一瞬にしてメビウスの前に移動する。

 

しかし、メビウスは慌てることもなく、冷静なまま左手で軽く掴むようにして、攻撃を防ぐ。

 

そして、そのままメビウスは、カオスロイドUの動きを止めると同時に、右拳によるパンチを放つ。

 

カオスロイドUは、咄嵯の判断により、それを両手を使って防ぐ。

 

だが、威力を殺しきれずに後方へと吹き飛ばされてしまう。

 

そんな状況の中で、メビウスは素早く動く。

 

今度は右足を使った蹴りを放ち、腹部に直撃する。

 

更に続けて左足での回し蹴りを放った。

 

カオスロイドUは、両腕を使ってガードしようとするが、勢いを完全に殺すことが出来ずに後方に倒れこんでしまう。

 

そんなカオスロイドUに向かって、メビウスは再び接近する。

 

そんなメビウスに対して、カオスロイドUはそのまま右腕を変化させて放つ超巨大な八つ裂き光輪を造り出す。

 

メビウスもまた、メビウスブレスからメビュームブレードを造り出し、振り上げる。二つの刃がぶつかり合い、凄まじい衝撃波が発生する。

 

その衝撃によって周囲の地面が大きく揺れる中、二人は鍔迫り合いのような状態になっていた。

 

光の刃同士がぶつかり合うことで激しい火花が発生していた。

 

だが、メビウスは徐々に押され始めてしまい、やがて完全に押し切られる形で後ろへ後退してしまう。

 

それでも、どうにか踏み止まる。

 

「やはり、兄さんのカオスロイドはっ強いっ!だけど!!」

 

メビウスはそう言いながら、一気に脚に力を込め、全身全霊の力を込めて前に飛び出す。

 

それにより、先程よりも大きな力で前に押し出すことに成功をする。

 

それによって、カオスロイドUのバランスが崩れた。

 

「そこだぁあああああっ!!!」

 

メビウスはその隙を狙い、メビウスブレードでカオスロイドUを斬りつける。

 

すると、カオスロイドUの胸元に傷がつく。

 

だが、致命傷には至らない。

 

それどころか、カオスロイドUは体勢を立て直すなり、反撃を行う。

 

両手を合わせて握り締めると、まるでハンマーのように振り下ろす。

 

メビウスはそれを受け止めるが、そのまま地面に叩きつけられる。

 

さらにカオスロイドUは、メビウスを踏みつけようと足を振り上げてくる。

 

メビウスはすぐにその場から離れるように転がり回避するが、すぐに追撃が行われる。

 

今度は右手を大きく引き絞り、メビウスに向けて放とうとする。

 

それに対して、メビウスも拳を構え、カウンターを狙う。

 

しかし、カオスロイドUはメビウスの考えを見抜いたのか、不敵に笑うと、左手をメビウスに向ける。

 

次の瞬間、カオスロイドUの手から闇が出現し、メビウスに向かって襲い掛かる。

 

「なっ!?」

 

予想外の攻撃に対して、メビウスは反応が遅れてしまう。

 

その隙を逃すはずもなく、カオスロイドUの攻撃が命中する。

 

「ぐぅうううっ!」

 

メビウスはそのまま吹き飛ばされてしまい、地面に激突してしまう。

 

そして、床に倒れ込んでしまう。

 

「くそ……こんなところで負けてられないって言うのに」

 

そう呟きながらも立ち上がろうとするが、ダメージが大きいせいか上手く体が動かない。

 

その間にも、カオスロイドUは、ゆっくりと構える。

 

両腕をクロスさせ、発生した触手状の禍々しいエネルギーを収束させ、腕を十字にクロスして、カオススペシウム光線を放つ

 

それに合わせるように、メビウスもまたメビウスブレスに手をかざす。

 

クリスタルサークルを回転させ、メビウスブレスのエネルギーを開放しながら手を大きく水平に開く。

 

開いた手で弧を描きながら、頭上で合わせる。

 

腕を十字にクロスして、メビュームシュートを放つ。

 

互いの必殺光線が激突し、スパークする。

 

「ハァッ!」

 

メビウスは力を込めて、その反動を押し返すようにさらに威力を高めて放つ。

 

「ヌゥン!!」

 

しかし、向こうも負けじと押し返してくる。

 

だが、メビウスと共に麻中はディメンションナイザーを通じて、力を込める。

 

それと共に、思いが合わさるように、メビュームシュートの威力が上がっていく。

 

「うぉおおお!」

 

そして遂に、メビウスの攻撃がカオスロイドUの胸を貫く。

 

その瞬間、カオスロイドUは体から火花を上げながら吹き飛ばされた。

 

それが、戦いの終わりを告げた。

 

「それにして、なんで、カオスロイドが」

 

カオスロイドU。

 

かつて、コスモスが戦ったカオスヘッダー。

 

だが、今は遊星ジュランを守護している。

 

だからこそ。

 

「ここにセレブロがいる」

 

「急ごうっ」

 

その言葉と共に、ミライと麻中は、すぐに神殿に向かって、走り出す。




「奴は、今は邪魔だ。だから」
その言葉と共にアーシアを攫った後のディオドラの、その手にはウルトラメダルがあった。そこには、今はウルトラマンZが所持しているはずのウルトラマンのウルトラメダルとカオスヘッダーのメダルだった。
「お前が、時間稼ぎをしろ」
その言葉と共に、ディオドラは振り返る。
「何を言っているんだ、貴様は」
これまでにない不気味な表情と共に、ディオドラはシャルバ・ベルゼブブに目を向ける。
この場で気配を消して、見ていたはずなのに、気づかれた。
これまでのディオドラからは考えられない行動に、警戒する。
『にせウルトラマン!カオスヘッダー!』「キエテ カレカレータ」
その言葉と共にウルトラZライザーにセットしたメダルを真っ直ぐとシャルバに向けた。
それに気づいたシャルバは反撃を行おうとした。
だが、それよりも早く、ディオドラから放たれた光によって、シャルバは光に覆われる。
「がああぁぁぁぁ!!」
その言葉と共にシャルバは、カオスロイドUへと変わっていく。


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裏切りと信頼

兵藤達は、ディオドラが待ち受ける神殿の中へと侵入した。

 

道中では、ディオドラの眷属達とかつての敵であるフリードが待ち受けていたが、メビウスからの特訓を受けた彼らにとっては、敵ではなかった。

 

そして、そのままディオドラの元へと辿り着く。

 

アーシアはぐったりと気絶しており、ディオドラは笑みを浮かべた。

 

「あはぁ、何がどうなっているのか、さっぱり分からないけど、最高に良い気分だなぁ」

 

そんな言葉を言いながらも、ディオドラは、そのまま兵藤達に目を向けた。

 

「まるで自分が自分じゃないみたいに冴え渡っていたよ。

今の、僕だったら、お前ら程度、敵じゃないよなぁ!」

 

「そうかよ、だったら、こっちも遠慮無くやるぞ」

 

「ははぁ、君程度で何が「遅いよ」へっ」

 

ディオドラが挑発している間に、兵藤は瞬く間に接近し、その拳を真っ直ぐと叩き込む。

 

それに対して、ディオドラは何の反応をする事もなく、吹き飛ばされた。

 

それと共に、兵藤は、そのまま捕まっているアーシアの元へと向かう。

 

「アーシアっ」

 

そのまま、アーシアの所へと向かう。

 

だけど

 

「来ないでください」

 

「アーシア」

 

兵藤に降りかかったのは、拒絶の言葉だった。

 

「イッセーさんのせいで、こんな目に遭いました。

私は、なんでっ」

 

「アーシア、違う、俺はっ」

 

「あの時だって、イッセーさんが早く助けてくれなかったから。

いつも、あなたはっ」

 

「アーシアっ」

 

その言葉にショックを隠せない状況だった。

 

いつものアーシアから出る言葉とは思えず、動揺を隠せない。

 

その最中。

 

「兵藤君。

あれは、アーシアちゃんじゃない」

 

「えっ」

 

ミライの言葉に対して、疑問に思った兵藤は思わず見つめる。

 

そこに立っているのは、間違いなくアーシア。

 

そのはずだった。

 

「何を言っているの、ミライさん」

 

「正確には、彼女の身体は本物だ。

だけど、今の彼女は、セレブロに意識を乗っ取られている」

 

「セレブロ?」

 

それに対して、アーシアは

 

「・・・はぁ、これだからウルトラ戦士は」

 

「あっアーシア」

 

それと共に発した言葉は、これまで心優しいアーシアから出たとは思えない程に冷たい声であった。

 

「まぁ、良い。

お膳立ては十分。

そこにいる下等生物達の絶望も十分。

そして、次は、お前達ウルトラマン達への復讐だ」

 

「セレブロとは、一体何者なの」

 

「これまで、多くの宇宙を破壊してきた生命体。

高い知能を持つが、肉体は弱く、それを補う為に他の生物に寄生する。

そして、奴の企みを、かつてZが阻止した」

 

「企みって」

 

「文明自滅ゲーム、あれは楽しかったなぁ」

 

そう、アーシアは悪魔のような笑みを浮かべる。

 

「最高の景色だぞ、自分たちで造り上げた兵器で滅んでいく愚かな者たちの阿鼻叫喚は…!文明を持つ星に恐怖を植え付け、防衛の為に次々と兵器を造らせる。そして最後は自ら造った最終兵器で文明そのものを滅亡させる。そんな最高のゲームを、あのZによって、阻止されたぁ!!」

 

その言葉と共に、アーシアは真っ直ぐとミライと麻中を睨む。

 

「貴様っアーシアの口からっ」

 

「だからこそ、復讐だ。

まずは、これを使わせて貰うよ」

 

その言葉と共に取り出したのはウルトラZライザーだった。

 

『アーシア!Access Granted.』

 

「暴君怪獣、古代怪獣、怪獣酋長」『タイラント!ゴモラ!ジェロニモン』

 

「キエテ カレカレータ」

 

その呟きと共に、ウルトラZライザーから鳴り響く音声。

 

それと共にアーシアの身体は光に包まれ、その姿はEXタイラントへと変わる。

 

「あーしあ」

 

助けようとした少女が、怪獣へと変わった。

 

その光景を見ながら、EXタイラントの鎌はそのまま真っ直ぐと兵藤達へと襲い掛かろうとした。

 

「ジードさん!」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンジード!プリミティブ!』

 

鳴り響いた音声と共に、ディメンションナイザーから飛び出たジードは、そのままEXタイラントを蹴り上げる。

 

「まさか、またこいつと戦うとは」

 

「ふふっ、まだ、終わっていませんよ」

 

同時にEXタイラントの口からアーシアの声が聞こえる。

 

だが、それはまさしく魔女を思わせる声であった。

 

同時にEXタイラントの身体が光り始める。

 

それに対して、ジードは構える。

 

「一体何が」

 

「宇宙怪獣、古代怪獣、一角超獣、宇宙大怪獣」

 

そう名前を告げる度に、EXタイラントの身体が徐々に変化していく。

 

EXタイラントの頭に生えていた羽は取れ、その代わりにバキシムの顔へと変わっていく。

 

新たにゴモラの角と尻尾、エレキングの角と尻尾、ツインテールの尻尾、バキシムの顔と尻尾、アストロモンスの鞭と鎌が追加される。

 

その名はグランドタイラント。

 

「嘘でしょ」

 

その光景に対して、リアスは思わず呟いてしまう。

 

まさに絶望的な状況の中。

 

兵藤の目は死んでいた。

 

「アーシアが」

 

そう、目の前にいた彼女を救う事ができなかった。

 

周りで起きている出来事も、まるで自分には関係ないように。

 

思考が停止するように。

 

「・・・君は諦めるのか」

 

それと共に声をかけたのは、他の誰でもない、ミライだった。

 

「俺は、あなたのようなウルトラマンじゃない」

 

「それは違うよ。

僕も過去にある人から教えて貰った。

どんなに辛い状況でも、未来を信じる心の強さが、不可能を可能にする」

 

そうミライが話している間にも、戦いは続く。

 

グランドタイラントの無数の触手が、地上を襲う。

 

それに対して、ジードは、その手に持つジードクローで触手を斬り裂き、応戦する。

 

迫り来る攻撃に対して、リアスを始めとしたメンバー達が応戦する。

 

「信じる力が勇気になるんだ」

 

「信じる力が勇気に」

 

それを受け止めて、兵藤は僅かだが、勇気が出た。

 

アーシアを今度こそ助けたい。

 

その思いと共にメビウスは、その手を重ねる。

 

「僕は、既にカオスロイドUとの戦いで、僅かしか変身エネルギーがない。

だからこそ、今は君に任せる。

君が、アーシアを、彼女を救うんだ」

 

それが何を意味するのか分からない。

 

しかし、言葉ではなく、心で理解した。

 

それと同時だった。

 

兵藤の身体が光に覆われる。

 

『BOOST』

 

鳴り響くは、兵藤の持つ赤龍帝の籠手。

 

それは、まるで、ミライの光を倍化させるように。

 

二倍に、四倍に、八倍に。

 

瞬きで、どれ程の倍化を行ったのか、分からない。

 

しかし、それは彼の身体を変化させるには十分だった。

 

「イッセーっ」

 

それを見たリアス達が見上げた先。

 

そこに立っていたのはメビウスだった。

 

しかし、通常のメビウスではない。

 

外見はメビウスのものだが、胸や顔には黒いラインが走っており、カラータイマーが大型化、額にはビームランプらしきものが備わった。

 

そして、その腕に装着されているメビウスブレスは、赤龍帝の籠手を思わせる形へと変わっていた。

 

「メビウスインフィニティー」

 

その名を、麻中は知っていた。

 

本来ならば、ウルトラ兄弟と融合しなければ、誕生しない姿。

 

だが、アーシアを救いたいという兵藤の思いがわずかな時間だが、確かに誕生させた。

 

同時にメビウスインフィニティーは動き出す。

 

グランドタイラントもまた、その存在に気づくと共に様々な箇所から、光線を、電撃を、炎を放たれる。

 

それに対して、メビウスインフィニティーは、メビウスブレスに手を置く。

 

『INFINITY』

 

鳴り響く音声と共に、メビウスインフィニティーの身体は虹色の光に包まれる。

 

同時に真っ直ぐとグランドタイラントへと突撃する。

 

襲い掛かってくる光線を全てを弾き返し、真っ直ぐと、グランドタイラントへ。

 

そのまま、グランドタイラントの腹部へと突っ込む。

 

「がぁっ、お前っまさかっがぁあ!!」

 

同時にグランドタイラントへから飛び出すメビウスインフィニティー。

 

飛び出した頃には、その大きさは、小さくなっていた。

 

姿は人間と変わらない身長となっており、抱き抱えていた。

 

それは、セレブロに取り憑かれていたアーシアだった。

 

衣服は身に纏っていない。

 

しかし、確かに無傷であった。

 

「イッセーっアーシアっ」

 

2人の無事に安堵するリアス達はすぐに駆けつける。

 

同時にメビウスインフィニティーの変身は解除され、分離される。

 

「はぁはぁ、やりましたよ、俺っ今度こそっアーシアを」

 

そのまま倒れそうになる兵藤を、リアスは抱える。

 

「貴様ぁ、よくも、この私にぃ!」

 

しかし、グランドタイラントは、セレブロは未だに残っていた。

 

危機的状況は変わらない。

 

しかし。

 

「お待たせ、麻中!」

 

聞こえた声と共に見れば、麻中の隣には新条がいた。

 

「行こう、あいつが不可能を可能にしたんだ。

今度は、俺達が、それを見せる番だ」

 

「状況はよく分からないけど、分かったよ」

 

その言葉と共に、ジードもまた頷く。

 

「「繋ぐぜ!願い!」」

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンジード!ウルティメイトファイナル!』

 

それと共に、麻中と新条は、そのままジードと共に一体化すると共に、その姿が変わる。

 

「さて、行くぜ」

 

そのまま一体化した麻中達は、眼前にいるグランドタイラントに向かって、構える。



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最強の遺伝子

ウルティメイトファイナルへと変身したジードは、その身の丈はあるだろう武器、ギガファイナライザーを振り回しながら、眼前に立ち塞がるグランドタイラントを見上げる。

 

同時に、グランドタイラントもまた、ジードに向けて、笑みを浮かべ、それは、まさに悪魔を思わせる笑みである。

 

「貴様から再びベリアルメダルを造り出すとするか!」

 

それを合図にグランドタイラントは巨大な斧を真っ直ぐとジードに向かって、振り下ろす。

 

ジードよりも巨大なその斧に対して、ジードは瞬時にギガファイナライザーを地面に突き刺すと同時に、拳を突き上げる。

 

「「「バーニングブースト!!」」」

 

同時にジードの体内で、一体化している3人の声が重なりながら、その斧に向けて、拳を振り上げる。

 

それと共に拳から吹き出したのは炎。

 

真っ直ぐと襲い掛かった斧は、そのまま放たれた炎によって、塵となって消え去る。

 

しかし、グランドタイラントは、まるでそれを予想していたように、そのまま身体の各部から生えている触手をジードに向けて、襲い掛かる。

 

視界を覆う程の触手に対して、ジードはそのまま両腕を構える。

 

「「「スマッシュバスターブレード」」」

 

すると、手先から飛び出す光の剣が生成されると共に、真っ直ぐと飛ぶ。

 

同時に、襲い掛かってくる触手を一閃、斬り裂く。

 

そのまま宙を飛びながら、襲い掛かる触手に対して、切り裂きながら、そのまま生成した光の剣を一つに纏めて、上に掲げる。

 

すると、その光の剣はそのままジードから離れ、光輪へと変わる。

 

「「「ライトニング光輪!!」」」

 

それと共に、真っ直ぐと腕を振るう。

 

それに合わせるように光輪は、そのまま無数に分身し、そのままグランドタイラントを形成する腕を次々と斬り裂いていく。

 

「ぐっ、なんだっこいつはっ!

ギルバリスの時よりも、強くなっているっ」

 

ウルティメイトファイナル。

 

ウルトラマンジードの最終形態であるのと同時に強くなる可能性が無限にある姿でもある。

 

それは、ウルトラマンの最大の弱点である3分という時間を克服。

 

さらには、ウルトラマンジードの各フュージョンライズ形態の技の強化版を使用可能となっている。

 

それは、つまり、ウルトラマンジードのフュージョンライズが増え続ければ、その強さはまさに無限大である。

 

「ぐっ、貴様ああぁぁ!!」

 

それに対して、怒りを隠せない様子のグランドタイラントは、真っ直ぐと、その口から炎を溜める。

 

それに対して、ジードは、そのまま地上に突き刺さったギガファイナライザーを手に取ると同時に構える。

 

『目覚めよ!最強の遺伝子!!』

 

同時に鳴り響く音声と共にギガファイナライザーの先端からエネルギーが集まる。

 

そのまま、真っ直ぐとギガファイナライザーを構えながら、真っ直ぐとジードはグランドタイラントに向かって行く。

 

それに合わせるようにグランドタイラントの炎がジードに向かって、襲い掛かる。

 

しかし、ジードはギガファイナライザーは

 

「「「クレセントファイナルジード!!」」」

 

三日月型の巨大な切断光線を纏いながら、そのままグランドタイラントに向かって行く。

 

そして、そのまま炎を切り裂きながら、そのままグランドタイラントを間近まで接近する。

 

「「「はああぁぁぁ!!!」」」

 

それと共に、薙ぎ払う。

 

それによって、グランドタイラントは、その胴体を真っ二つに斬り裂かれる。

 

それによって、戦いは、決着がついた。




ウルティメイトファイナルならば、ジードマルチレイヤーが使える可能性がありますが、さすがに、それをやったら、かなりやばい事になるので、今回は強化技のみにさせて貰いました。


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ラグナロクの前日談

 セレブロの暗躍から時が経った。

 

 兵藤と一時的に一体化していたメビウスこと、ミライはそのまま光の国へと帰る事になった。

 

 今回の一件で、捕らえたセレブロからアブソリューティアンの情報を得る為の帰還。

 

 それには、一同は残念に思っていたが、また何時でも力を貸す事を言ってくれた。

 

 それと共に彼らに目を向けた。

 

「皆、もしかしたら、この先、種族の違いで大きく悩む事かもしれない。

 

 これに気づくのはずっと先で、特に大きくぶつかるのは、兵藤君、君だ」

 

「俺が、それは一体」

 

「それは僕からは言えない。

 

 君は人間から悪魔へと生まれ変わった事で、必ずぶつかるはずだ」

 

 それの意味を麻中は僅かだが、理解していた。

 

 ヒビノミライは、数多くのウルトラマンの中でも、最も地球人との絆を大切にしているウルトラマンだ。

 

 それは同時に、寿命の差で訪れる別れを、彼は経験した。

 

 だからこそ、本来ならば衝突しないだろう寿命での別れが、兵藤に訪れる。

 

 それを、自分の経験と共に兵藤に伝える。

 

「だからこそ、今を精一杯、想い出を作るんだ。

 

 そこに確かな答えがあるから」

 

 それを知るのは、遠い先の未来になるだろう。

 

 だからこそ、麻中は、今は、それをあえて言わなかった。

 

 そうして、ミライが無事に地球から去った後だった。

 

 体育祭が行われ、盛り上がっている中で、麻中は何かを感じた。

 

「この感じはっ、まさか。

 

 悪いけど、ゼノヴィア、あとは頼む」

 

「むっ、麻中? 

 

 どこに」

 

 そう、後ろから聞こえるが、麻中はそのまま飛び出す。

 

 そのまま向かった先では、既に結界が張られていた。

 

 すぐに麻中は、その結界の中へと飛び込む。

 

 そこに立っていた存在。

 

 それは、見覚えがあった。

 

「まさか、ギャラクトロンかよ」

 

 その言葉の通り、ギャラクトロンが、街を暴れていた。

 

 狙っているのが、誰か分からない。

 

 よく見れば、建物の隙間を素早く動く影が見え、それをギャラクトロンが狙っている。

 

 ギャラクトロンは、それに対して、狙いをつけるように建物に攻撃する。

 

 建物の破片に直撃しそうになる。

 

「何が起きているんだ、まったく!」

 

 そう愚痴りながらも、麻中はすぐに飛び出す。

 

 ウルトラマンの召喚が間に合うかどうか分からない為、麻中はそのまま狙われている影を抱き抱える。

 

「えっ、だっ誰ですか?!」

 

 見れば、そこにいたのは銀髪の女性。

 

 何かの鎧を身に纏っているのか、おそらくはどこかの神話の勢力の1人だろう。

 

「無事ですか?」

 

「えっはっはい」

 

 そのまま抱き抱えたまま、そのまま襲い掛かるギャラクトロンからの攻撃をすぐに走りながら避ける。

 

「えっちょっ」

 

「悪いけど、舌噛むかもしれないから、我慢して!」

 

 なんとか落ち着ける所まで走ると同時に女性を降ろす。

 

 同時に懐からディメンションナイザーを取り出す。

 

「それはっ、まさか」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンロッソ!』『ディメンションロード! ウルトラマンブル!』

 

 鳴り響く音声と共に、ギャラクトロンの放った胸部からの閃光光線を防ぐように、炎と水の柱が現れる。

 

 その二つの壁によって、塞がれた閃光光線は消えると共に柱から現れたのは2人のウルトラマン。

 

 炎を思わせるプロテクターが特徴的な兄のウルトラマンロッソ。

 

 水を思わせるプロテクターが特徴的な弟のウルトラマンブル。

 

 2人が、そのまま姿を現すと同時に、構える。

 

「カツ兄、あいつって、確か」

 

 その言葉と共に、ブルは眼前にいるギャラクトロンを見ながら、ロッソに問いかける。

 

 それに対してロッソも頷きながら。

 

「あぁ、ギャラクトロン。

 

 ガイさん達が言っていた、やばいロボットだ」

 

 それと共にロッソを構える。

 

「だったら、ここですぐに倒さないとな!」

 

 それと共にブルは真っ直ぐと走り出す。

 

 それと同時にロッソもまた走り出し、一気に距離を詰めていく。

 

 しかし、そんな2人に向かって、ギャラクトロンは左腕の回転式の大剣ギャラクトロンブレードを振り下ろす。

 

 それを左右に分かれる事で回避すると、ロッソはそのまま右拳を叩きつける。

 

 だが、まるで鉄でも殴ったかのような感覚を覚え、逆にロッソの方がダメージを負う。

 

「ぐっ、ここまで硬いのかよ!?」

 

 思わず驚きの声を上げるロッソ。

 

 一方、ブルはそのまま至近距離へと近づくと

 

「アクアストリューム!」

 

 そのまま真っ直ぐとギャラクトロンに光線を放った。

 

 しかし、ギャラクトロンは後頭部からポニーテールや辮髪のように伸びる巨大アームをブルに叩きつけようとする。

 

 それに気づいたブルはすぐに飛び退くと、入れ替わるようにロッソが前に出る。

 

 そして、振り下ろされた右腕を掴むとそのまま投げ飛ばす。

 

 だが、それでも大したダメージを受けていないのか、起き上がると同時に今度は回転しながら、左手のブレードで斬りかかる。

 

 それを後ろに下がりつつ避けるロッソ。

 

 同時に

 

「フレイムスフィアシュート!」

 

 強力な火球をギャラクトロンに向けて、投げる。

 

 その威力は高いが、それでもギャラクトロンにはまるでダメージを負わせられないようだ。

 

「くそっ! こいつ本当に硬ぇぞ!!」

 

「なら……これだ!! アクアストリーム!!」

 

 ロッソの言葉に応えるかのようにブルは両手を前に出すと、そこから水流を放つ。

 

 それはギャラクトロンに命中し、全身を濡らす。

 

「よしっ、これでどうだ!?」

 

 そう言って二人は再び構えるが、そこでギャラクトロンは、まるでダメージはなかった。

 

「どうすれば」

 

「もしかしたら、試してみる価値はあるかもしれない」

 

 そう、戦いを見ていた麻中はすぐにディメンションナイザーをスキャンする。

 

『ディメンションロード! ルーブジャイロ!』

 

 鳴り響いた音声と共に、麻中の手の中には、ウルトラマンロッソとウルトラマンブルの変身アイテムであるルーブジャイロが現れる。

 

 それと共に、二枚のカードを手にする。

 

 すると、二枚のカードは、そのままルーブクリスタルへと変わる。

 

「纏うは炎! 不屈の炎!」『ウルトラマンメビウス』

 

 そのまま、ルーブジャイロに装填したウルトラマンメビウスのルーブクリスタルを中心に、両側のレバーを引くとジャイロ部分が回転。3回回す事でクリスタルの力が発動する。

 

『ウルトラマンロッソ! バーニング!』

 

「んっ?」

 

 すると、ウルトラマンロッソの方に変化が起きる。

 

 それは、先程までと変わらない色。

 

 しかし、その装甲はより炎を思わせる装甲が増えていた。

 

「えっ、なに、カツ兄、その姿!?」

 

「分からない! 麻中が、もしかして」

 

「マジか! 麻中、俺も!」

 

「了解!」

 

 ブルの言葉に応えるように、また新たなルーブクリスタルを装填する。

 

「纏うは雷! 神速の雷!」『ウルトラマンX』『ウルトラマンブル! ライトニング!』

 

 鳴り響く音声と共に、ブルのプロテクターの色は、まるで雷を思わせる緑色に変わる。

 

「おぉ、これって、俺達が持っていたルーブクリスタルだよな! これって、変身にも使えたんだ!」

 

「あぁ、こっから反撃開始だ!」

 

 同時にロッソとブルは互いにハイタッチを行うと共に、真っ直ぐとギャラクトロンに向かって、走る。

 

 ギャラクトロンに向かって、ロッソは先程と同じく拳で殴る。

 

 その結果は、先程とは違い、ギャラクトロンの装甲を簡単に溶かす程の熱で溶けていた。

 

 それに驚きを隠せない様子の、ギャラクロンに対して、まるで雷を思わせる速さで接近したブルは、その勢いのまま拳を振り上げるが、それを間一髪回避したギャラクロンは、距離を取るように後方へと下がる。

 

 しかし、ギャラクトロンはダメージを受けていた。

 

「遅い! 遅い! とっくに攻撃は終わっているぞ!!」

 

 その言葉と共にブルは、追撃するように次々と電撃の攻撃をギャラクトロンに向けて放っていく。

 

「オラァッ!」

 

 ブルが放った電撃の攻撃によって、先ほどまで反撃を繰り返していたギャラクトロンの動きが鈍くなり始めた。

 

「カツ兄! 一気に行くぜ!」「あぁ、麻中、頼めるか!」「あぁ!」

 

 それと共に手に持ったディメンションカードを、そのままディメンションナイザーにスキャンする。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンルーブ!』

 

 それと共に、ロッソとブルの2人は1人となった。

 

 その黄金のウルトラマンの名はルーブ。

 

 ウルトラマンルーブが、その姿を現す。

 

 それを見たギャラクトロンは再びルーブに向かって光線を放つ。

 

「ふんっ」

 

 しかし、それをかわして飛び上がる。

 

 そして、空中から蹴りを叩き込む。

 

 そのまま連続で回し蹴りを食らわせると、さらにかかと落としを決める。

 

「うおぉぉりゃあ!!」

 

 最後に、渾身の右ストレートを顔面に叩き込んだ。

 

 すると、ギャラクトロンは吹き飛ばされる。

 

 しかしすぐに起き上がると、今度は全身から光を放つ。

 

 そしてその光が収束し、エネルギー弾となって発射された。

 

 だが、ルーブはすぐに手を前に出す。

 

「「ルーブコウリン」」

 

 すると、カラータイマー部分に手をかざすと共に現れた武器、ルーブコウリンでその攻撃を防ぐ。

 

 同時に、そのままルーブコウリンを前に出す。

 

『高まれ! 究極の力!』「「ルーブボルテックバスター」」

 

 渦巻き状の必殺光線、ルーブボルテックバスターを真っ直ぐとギャラクトロンに放つ。

 

 その光線を受け、ギャラクトロンの身体は光の中へと消えていった。

 

 ギャラクトロンとの戦いが終えると共に、ウルトラマンルーブは、そのままディメンションナイザーの中へと帰って行った。

 

「えっと、大丈夫だったか?」

 

「えっ、はっはい」

 

 何やら、麻中の顔を見ると、顔が真っ赤な様子。

 

 それに対して、麻中は疑問に思うだけだった。

 

 その疑問の答えを出す人物は、この場には残念ながらいなかった。




今回、登場したウルトラマンロッソバーニングや、ウルトラマンブルライトニングのような感じのオリジナル形態もお待ちしています。
ウルトラマンルーブに関しては、ルーブクリスタルで本当に色々な選択肢がありますので。
同様に、ウルトラマンXのサイバー怪獣のアーマーも募集しています。
皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292936&uid=45956


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アブソリューティアンの暗躍

 麻中が助けた銀色のロングストレートの女性、ロスヴァイセ。

 

 彼女から、話を聞く事になった。

 

「えっと、北欧神話勢力であるロスヴァイセさんで、その、今回の目的はオーディンが来る前の視察という感じですか?」

 

「えぇ、私自身、なぜ、襲われたのか、よく分からないので」

 

「まぁ、アブソリューティアンは一体、どんな目的で動いているのか、まるで分からないからな」

 

 麻中はそう言うと、少し考える。

 

 すると、ロスヴァイセの方を見て、言った。

 

 彼女は、麻中に視線を向けられると、少し顔を赤くする。

 

 そして、麻中の方をチラチラ見ながら、言った。

 

「それで、その麻中さんは、なんでここに」

 

「さっきのアブソリューティアンの結界で来たんだ」

 

「そっそうなんですかっ、その、これからの事について、その話を」

 

「これから、あっ」

 

 ロスヴァイセの言葉と共に、麻中はあっと、驚きの声を出す。

 

「しまった、まだ体育祭の途中だった。

 

 すいません、ロスヴァイセさん、俺はここで!」

 

 麻中は慌てて、駆け出した。

 

 それを見たロスヴァイセは慌てた様子で言う。

 

「えっ、あの麻中さん!!」

 

 そのまま、すぐに駒王学園に向かって、走って行く麻中の背中を見ながらロスヴァイセは思わず叫んでしまう。

 

「うぅ、私、どうしたんでしょうか。

 

 さっきから、顔が熱いけど、一体」

 

 そんな呟きが、何を意味するのか、ロスヴァイセ自身も分からず、首を傾げる。

 

 そして、そんな彼女達とは別の場所。

 

 そこにいたのは筋肉質な男が見つめていた。

 

「あいつが、麻中か。

 

 試しにやってみたが、厄介な奴だな」

 

 その筋肉質な男の名はアブソリュートディアボロ。

 

 アブソリューティアン・タルタロスと同位置の人物。

 

 宇宙最強と呼ばれるコスモ幻獣拳の使い手であり、相手をなじって叩き潰す傍若無人のヒールレスラーである。

 

「どうでしょうか、ディアボロ様」

 

「レグルスの奴も呼び出す事ができるのか?」

 

 そう、アブソリューティアンの巫女に対して、問いかけるディアボロ。

 

「おそらくは可能でしょう」

 

「それは面白くなったな」

 

 同時にディアボロは笑みを浮かべながら、ウルトラメダルを手に取る。

 

「それで、実験は成功したんだな」

 

「えぇ、セレブロのおかげで」

 

「そうか」

 

 同時にディアボロは笑みを浮かべる。

 

「ダークネスにカオスロイドなどの闇の戦士を作り出すのは簡単に行えるようになりました。

 

 ですが、なぜ、そのような事を?」

 

「そんなの決まっているだろ」

 

 巫女の言葉に対して、ディアボロの答えは

 

「光の戦士と言われたウルトラマン同士の戦い。

 

 見ていて、面白いじゃないか」



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戦乙女との再会

「あっ、そう言えば、すっかりと忘れていた」

 

「忘れていたって、何を?」

 

 その日、麻中はとある事を思い出す。

 

「いや、以前ロスヴァイセさんと会う約束するのを忘れていた」

 

「えぇ」

 

 その言葉に対して、一緒に歩いていた新条は呆れたように見つめる。

 

「結局、その人と、どんな約束を?」

 

「それは、んっ?」

 

 そんな会話を余所に感じた違和感。

 

 それは、アブソリューティアンが結界を張られていた事を理解した。

 

「こういう時でも、本当に休みなんだから!」

 

 それと共に、麻中はその腰にあるディメンションナイザーと共に向かう。

 

 結界内にいた存在。

 

 それには、カオスジラークがまさに誕生したばかりと言わんばかりに叫んでいた。

 

 その近くには、カオスジラークが狙っている人物、オーディンがいた。

 

 そんな彼の事を、麻中達は気づいていなかった。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンX』

 

 鳴り響く音声と共に、カオスジラークの前に立ちはだかった戦士。

 

 それは、これまでのどのウルトラマンよりも近未来を思わせる容姿をしており、何よりも特徴的なのは、そのカラータイマーがXとなっている事だ。

 

 まさしく、その名は、ウルトラマンX。

 

「ほぅ、あれがウルトラマンか」

 

 そのウルトラマンXの登場に対して、オーディンは興味深そうに笑みを浮かべながら見る。

 

 既に慣れている兵藤達は落ち着いているが、バラキエルは初めて見るウルトラマンの姿に驚きを隠せない。

 

「まさか、こうして、目の前で見るとは」

 

「ほれ、そう言っている間にも、戦いが始まるぞ」

 

 その言葉の通り、カオスジラークは腕から放つ光のムチを真っ直ぐとウルトラマンXに向かって放つ。

 

 それに対して、ウルトラマンXは素早く避けると同時に、そのまま蹴り上げる。

 

 その攻撃にカオスジラークは怯みを見せるが、そのまま口から光の矢を無数に放っていく。

 

 だが、ウルトラマンXもまたそれを受け止めるのではなく、軽く薙ぎ払う。

 

 そのままカオスジラークが追撃しようとした瞬間だった。

 

『ディメンションロード! サイバーゴモラ!』

 

 鳴り響く音声と共にカオスジラークの攻撃を止める怪獣、サイバーゴモラがそれを止める。

 

 同時に後ろへと飛んだウルトラマンXもまたその姿が変わる。

 

『サイバーガンQ! ロードします』『サイバーガンQアーマー! アクティブ』

 

 その音声が鳴り響くと共にウルトラマンXに新たな鎧が身に纏う。

 

 鎧の色は赤色で、両肩のアーマーに黄色で「G」と刻まれ、左腕にサイバーガンQの顔を模した盾が付いている

 

「あれは、確か駒王で出てきた怪獣であるガンQと似ている」

 

「ほぅ、それはつまりあれは神器のような感じなのか」

 

 それを聞いて、笑みを浮かべるアザゼル。

 

 そうしている間にもカオスジラークは再び口からエネルギー弾を放つ。

 

 それに対して、サイバーガンQの盾を前に出す。

 

 すると、それらの攻撃は全て吸い込まれていき、そのまま撃ち返した。

 

「攻撃を吸収して、そのまま跳ね返したのか」

 

 そうしている間にも、戦いはまさに終わりを告げようとしていた。

 

 サイバーガンQアーマーの能力によって、カオスジラークは徐々に追い込まれる。

 

 そして、そのままサイバーガンQアーマーをパージする。

 

 同時に両腕を左へ振りかぶりながら左脚で踏ん張る動作があり、その際に足の裏から周囲の地面や建造物、空中にエネルギーの余波が放射される。

 

 そして

 

「ザナディウム光線!」

 

 腕をXの字に組んだ必殺光線を放った。

 

 その攻撃に対して、カオスジラークは耐える事はできずに、消滅する。

 

「よっしっ」

 

 そう、麻中もまた近づく。

 

「なんとかなったか」

 

 そう、麻中が近づくと共に、オーディンが、その目を捕らえる。

 

「ほぅなるほどなるほど」

 

「えっ、なんですか」

 

 麻中は、その目に疑問に首を傾げるだけだった。

 

「はぁはぁ、オーディン様、無事でしょうかって、麻中さん!」

 

「あっ、ロスヴァイセさん」

 

 それと共に、まさかの再会に、驚きを隠せずにいられなかった。



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ウルトラマンとは

ロスヴァイセとの再開した麻中。

 

そのまま麻中に興味を抱いたオーディンによって、そのままアザゼルやリアスと合流する事になった。

 

「それにしても、光の巨人を召喚するとはな。

ほほっ、これは面白いのぅ」

 

そう言いながらも、オーディンの目は興味深そうだった。

 

「・・・俺、なんかした?」

 

「あぁ、もぅオーディン様!

麻中君に失礼ですよ、巨人は巨人でも関係ないのですから」

 

「分かっているんだがのぅ」

 

そう言いながら、オーディンは笑みを浮かべながら言う。

 

「儂としてはおっぱいバブの次に光の巨人がどのような存在か気になっていたからのぅ」

 

「もう!オーディン様はもっと北欧の主神としての威厳を持ってください!ましてや他勢力の皆様方の胸を卑猥な目つきで見渡すなどと北欧全体の品位が疑われます!!」

 

「全くお主は固いのう。これだけ別嬪さんが揃っておるのに胸の一つも見なければ逆に失礼というものじゃぞ?っと、そう言えばコヤツの事はまだ紹介しておらんかったの。儂のお付きで彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーのロスヴァイセじゃ」

 

酷い紹介に麻中達は思わず呆れてしまう。

 

ロスヴァイセさんも自らの仕える主神の紹介に半分涙目になってしまっている

 

「き・・・生娘なのは関係無いじゃないですかオーディン様!わ・・・私だって好きで彼氏いない訳じゃないんですよ!?」

 

喰って掛かるロスヴァイセさんだがオーディンは髭を擦りながら諭すように言う

 

「しかしのう、ロスヴァイセや。英雄の恋人の役割も持つヴァルキリーが彼氏の一人も出来んのは問題じゃろう?そんなだからヴァルハラのヴァルキリー部署で職場の隅におったのじゃろ?折角器量は良い上に若いんじゃからもっとがっつかんかい」

 

「そんな事おっしゃられても最近はもう勇者や英雄の魂なんて殆どいないじゃないですかぁ!!そうですよ!どうせ私は仕事が出来ない女ですよ!どうせ私はこの先も一生処女やってくんですよ!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

主神に直接『仕事が出来ない』に等しい事を言われたロスヴァイセは泣き崩れて蹲ってしまう

 

「あの、ロスヴァイセさん。

そんなに落ち込まないでくださいよ。

ロスヴァイセさんだったら、良い人はきっといますから」

 

「あっ麻中さぁん」

 

それに対して、僅かに泣き止むロスヴァイセ。

 

「あの、質問ですが、麻中さんに、彼女は」

 

「彼女?」

 

その言葉に対して、麻中は

 

「いないよ」

 

即答した。

 

「「・・・・」」

 

それに対して、ゼノヴィアと新条は冷たい目で見る。

 

実際に、麻中の中では、2人は良き友人だと思っている程度。

 

それと共にロスヴァイセは。

 

「よしっ」

 

ガッツポーズをしていた。

 

「まぁまぁ、それよりもお主の光の巨人、ウルトラマンじゃったか?

そいつらは、結局何者なんじゃ?」

 

「俺達は宇宙人だと聞いたけどな」

 

「うぅん」

 

だが、それに対して、麻中は首を傾げる。

 

「えっ、何、その悩み方」

 

「ウルトラマンにも色々あるからなぁ」

 

「それって、どういう」

 

そんな事を言っている時だった。

 

辺り一面に広がる気配。

 

それと共に麻中は感じた気配と共に、外に出る。

 

「あれは」

 

同時に、外を見ると、そこに立っていた二体の存在に、驚きを隠せない兵藤達。

 

「うっウルトラマンなのか」

 

そこに現れたのは2体のウルトラマン。

 

1人は、赤い大地の巨人であるウルトラマンガイア。

 

もう1人は赤いストロングタイプへと変身しているウルトラマンダイナ。

 

2人のウルトラマンが、その姿を現していた。

 

それに驚きを隠せない中で、麻中だけは違った。

 

「本当に、悪趣味な事をしてくれるな、アブソリューティアン」

 

「麻中」

 

同時に、麻中はすぐにディメンションナイザーを構える。

 

同時に2人のウルトラマンは、真っ直ぐとこちらに向けて、攻撃を仕掛けようとした。

 

「なっ」

 

「ご唱和ください!我らの名を!ウルトラマンZ」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンZ!アルファエッジ!』

 

鳴り響く音声と共に、襲い掛かる二体のウルトラマンに対して、ウルトラマンZはそのままディメンションナイザーから飛び出し、蹴り上げる。

 

同時に、構える。

 

「麻中、これは一体」

 

「少し黙っていろ」

 

そう言いながら、麻中は、そのまま集中する。

 

その様子を、オーディンは見つめる。

 

「ほぅ、あの少年とウルトラマンが繋がっているのか」

 

その最中、攻撃が始まる。

 

ダイナは、そのままZに向かって、チョップを繰り出す。

 

それに対して、Zは素早く受け止めると同時に蹴り上げる。

 

それに対して、ガイアはエネルギー弾を放つ。

 

しかし、Zは頭部のトサカの横にあるスラッガー状の部位から三日月状の光刃を造り出し、その攻撃を受け止める。

 

「さっさと、その化けの皮を剥がせ!!」

 

そのままヌンチャクのように操り、2人のウルトラマンに向けて放つ。

 

その一撃を受け止め、2人のウルトラマン達の顔に変化する。

 

「なっ、なんだよあれは」

 

そこからはみ出たのは奇妙な物だった。

 

それが、一体何なのか、兵藤達は分からない。

 

だが、それがバレると同時に、2体のウルトラマンの姿が変わる。

 

ウルトラマンガイアだった巨人は全身の金属片が特徴的な金属生命体であるミーモス。

 

もう一体のウルトラマンダイナだった巨人は、内側から造り変わるようにゼルガノイドへと変わる。

 

「ウルトラマンじゃない」

 

「あいつらは、かつてウルトラマンの力やデータを悪用して、その姿を使った奴らだ。

まさか、こうして出会うとはな」

 

「麻中、お前、よく正体が分かったな」

 

「そんなの、目を見れば一発だ」

 

「そっそうなのか」

 

そうしている間にもミーモスはうなり声を上げる。

 

それがさらなる追撃だと思い、Zは構える。

 

実際にミーモスは、その姿を無数のブーメランとなって、別れる。

 

すぐに構えるZだったが、ミーモスが向かったのは、Zではなくゼルガノイドだった。

 

「何を」

 

「なっ」

 

同時に、その光景に驚きを隠せなかった。

 

金属生命体とスフィア。

 

二体の偽ウルトラマン達が融合し、誕生したその姿。

 

それは、まるでウルトラマンZの形態の一つであるガンマフューチャーを沸騰させながらも、歪な姿をした存在だった。

 

「ガンマフューチャーの真似という訳か」

 

そう、新たな偽ウルトラマンZは、そのまま構える。

 

『これは気合いを入れるぞ!』

 

ウルトラマンZの声と共に頷くと同時に、その手にウルトラZランサーを構える。

 

それに対して、偽ウルトラマンZもまた、自身の金属パーツでウルトラZランサーを造り出し、構える。

 

同時に、真っ正面から戦う。

 

本来、ガンマフューチャーは、超能力特化の能力の為、身体能力はウルトラマンZの中でも最も低い。

 

だが、偽ウルトラマンZはあくまでもガンマフューチャーの姿を摸しているだけ。

 

さらには、偽ウルトラマンZの融合元となったゼルガノイドは、元々はイーヴィルティガも含む以前発見された古代の巨人像の破片から建造された石像に、無理やり連れてこられたウルトラマンダイナこと、アスカの光エネルギーを光エネルギー照射装置で照射して完成した人造ウルトラマン。

 

さらにはミーモスもまたウルトラマンガイアやウルトラマンアグルのデータを元に造り出された金属生命体。

 

その為、ガンマフューチャーと同じ条件ではあるが、元々身体能力は高い部類である。

 

さらには、現在、目の前にいるウルトラマンZの戦い方も吸収し、その脅威はさらに高まっていく。

 

「まさか、こんな奴らが、まだ」

 

それに対して兵藤は思わず呟く。

 

このままでは負ける。

 

そう思った時だった。

 

『なかなかに面白そうじゃないか』

 

聞こえた声。

 

それは、鋭い声だった。

 

その声の主を、兵藤達は探る。

 

そうしている間にも、偽ウルトラマンZがウルトラマンZのウルトラZランサーを飛ばす。

 

それによって、危機的状況に陥った。

 

「ウルトラマン!」

 

そう叫んだ時だった。

 

偽ウルトラマンZの前に現れた影。

 

それは、まさに闇、そのものだった。

 

「あれは」

 

「ベリアロク」

 

その正体を、麻中は知っていた。

 

「あれは、ウルトラマンなのか?

いや、剣なのか」

 

それを見た兵藤の表情は微妙だった。

 

なぜならば、ウルトラマンの生首からそのまま剣が生えたような見た目だからだ。

 

しかし、それに反して、木場は目を見開く。

 

「確かに見た目は可笑しい。

けど、ここまでとんでもない存在だなんて」

 

「えっ、そこまでなのか」

 

木場の言葉に、思わず兵藤は聞く。

 

「ほぅ、なかなかに面白い剣じゃな、あれは」

 

そう言いながらオーディンもまた笑みを浮かべる。

 

『ベリアロク!お前、前回なんで来なかったんだ』

 

『そんなの決まっているだろ。

あいつは、既に斬った事がある。

ならば、用はない』

 

それは、前回のファイブキング戦での事。

 

本来ならば、デルタライズクローの時に一緒に現れるはずだったベリアロク。

 

だが、ファイブキングとは既に戦っていた為、興味を示さなかったベリアロクは、召喚を拒否した。

 

だが、今回の偽ウルトラマンZに対しては

 

『今回は、なかなかに面白そうじゃないか』

 

『お前なぁ、とにかく、麻中!』

 

「あぁ、新条!」

 

「あぁ、もぅ分かっているよ!」

 

そう言いながら、新条もすぐに近づく。

 

「これって」

 

「あぁ、あのウルトラマンの最強の姿だ」

 

それを既に知っているアザゼルは笑みを浮かべる。

 

「「闇を飲み込め!黄金の嵐!」」

 

その言葉が、2人が重なると同時に、そのままディメンションナイザーとダークディメンションナイザーを上に翳す。

 

「「ウルトラマンZ!!」」

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンZ!デルタライズクロー!』

 

その瞬間、麻中を中心に黄金の嵐が吹く。

 

そして、ウルトラマンZの姿もまた、アルファエッジからデルタライズクローへと変わる。

 

光と闇。

 

二つの巨大な力が合わさったその姿に、その場にいた全員が驚く。

 

「まさか、魔剣を使うウルトラマンがいるなんて」

 

そうしている間にも、偽ウルトラマンZもまた構える。

 

ウルトラZランサーは、そのままベリアロクを模した形へとなろうとした。

 

だが

 

『俺様で、俺様に挑もうとするか、面白い!

やってみろ!!』

 

それに対して、ベリアロクの言葉に合わせるようにウルトラマンZは斬り上げる。

 

すると、ベリアロクを模した武器は簡単に切り裂く事ができた。

 

それに、驚きを隠せない偽ウルトラマンZ。

 

『ちっ、つまらん!

さっさと、倒すぞ!!』

 

「おぉ!!」

 

そのまま、ベリアロクを構える。

 

「そっちばかり喰らってないで、こっちも喰らわせて貰うぞ!」

 

そのままベリアロクの口が大きく開く。

 

「「「「「デスシウムファング!!」」」」」

 

それと共にベリアルの頭部の形をした黒いオーラが、そのまま偽ウルトラマンZをそのまま呑み込む。

 

同時にそのオーラの中で、偽ウルトラマンZは爆散する。

 

「光と闇も同時に使いこなすか。

さて、ウルトラマンとは一体どのような存在か、気になるなぁ」

 

そう、オーディンは笑みを浮かべる。



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北欧の神

オーディンが来日している間、麻中は、オーディンの護衛を頼まれる事になった。

 

理由としては、オーディンを狙って、またアブソリューティアンからの刺客が来る可能性がある為、それを警戒してだ。

 

「それにしても、以前の話で気になっていたのだが」

 

その中、護衛を共にしていたゼノヴィアが訪ねてきた。

 

「なんだ?」

 

「ウルトラマンが宇宙人なのを、困惑している様子だったけど」

 

「まぁ、ウルトラマンと言っても、宇宙人だけじゃない」

 

「宇宙人じゃない?」

 

それにゼノヴィアは首を傾げる。

 

「ウルトラマンの中には超古代から復活した存在や、人間自身がウルトラマンになる事もある。

そういう意味では、ウルトラマンは宇宙人じゃない人もいる」

 

「人間がウルトラマンになるのか」

 

それには、ゼノヴィアは心底驚いた様子だった。

 

「何よりも多くのウルトラマンは」

 

そう考えている間にも、気づく。

 

眼前に現れた存在。

 

「お前は」

 

「初めまして、諸君!我こそは北欧の悪神!ロキだ」

 

「ロキ」

 

その言葉と共に構える。

 

「これはロキ殿。こんな所で奇遇ですな。何か用ですか?」

 

そう、アザゼルはゆっくりと尋ねる。

 

それに対しては

 

「いやなに、我らが主神殿が我らが神話体系を抜け出して、我ら以外の神話体系に接触していくのが耐えがたい苦痛でな。

まぁ、もう一つの興味があってね」

 

そう言いながら、見つめた先は麻中だった。

 

「なんだ?」

 

「何、光の巨人。

その力を見たくもあってね。

何よりも、面白い物を貰ったからね」

 

赤い物だった。

 

それは、神話系統では見た事がなく、アザゼルは一瞬、首を傾げる。

 

「なんだ、それは」

 

「あれは、まさかっ」

 

「確か、こう使うんだったな」

 

『モンスライブ!イズマエル!』

 

聞こえた音声。

 

それと共に、ロキの姿が変わる。

 

それと共に、ロキの身体は一瞬でイズマエルへと変わる。

 

「やっぱり、チブルスパークか」

 

「ちぶる?なんだそれは」

 

「スパークドールズの力を解放して、その姿に変わる事ができるアイテムだ。

まったく、厄介な事だな」

 

その言葉と共に、ディメンションナイザーを取り出す。

 

「あっちが最強だったら、こっちも最強だ」

 

『ディメンションロード!ウルトラマンギンガ!』

 

最強のスペースビースト。

 

その名を持つ存在、イズマエルを相手にしながら、ウルトラマンギンガは構える。

 

人の恐怖心を餌にしるスペースビーストであるイズマエルを目の前にしながら、ギンガは一切恐怖しない様子はなかった。

 

それがイズマエルは気に入らなかったのか、身体の各部で融合しているスペースビースト達が叫びながら、その口を開く。

 

放たれた熱線は真っ直ぐとギンガに襲い掛かる。

 

だが、ギンガは慌てることなく右手を前に突き出す。

 

そして、手の中に光が集まり、それは光の剣となる。

 

ギンガセイバーだ。

 

「ギンガスラッシュ!」

 

ギンガセイバーを振りかざし、熱線を切り裂く。

 

そのまま一気に距離を詰めると、振り下ろしたギンガセイバーを振るう。

 

それをイズマエルは後ろに飛び退くことで回避した。

 

だが、それで終わりではない。

 

ギンガセイバーを仕舞うと共に

 

「ギンガスラッシュ!」

 

頭部のクリスタルが紫色に光ると共に、それを象った光刃を放つ。

 

それはイズマエルの腹部へと直撃する。

 

苦悶の声を上げるイズマエルだったが、すぐに体勢を整えると反撃に出た。

 

背中から生えていた触手が数本伸び、そこから大量の花粉を放出する。

 

視界を埋め尽くすほどの量の花粉。

 

それが、ギンガの視界を封じる。

 

同時にギンガの足下を、イズマエルの触手が脚を掴む。

 

掴まれた事によって、ギンガはバランスを崩して倒れてしまう。

 

そこに追撃を仕掛けるように、イズマエルはその隙を見逃さないように、全身から熱線、火球、電撃といった様々な攻撃が放たれる。

 

しかし、それでもギンガは冷静だった。

 

「ギンガスパークランス!」

 

瞬時に形成したギンガスパークランスで、拘束していた触手を斬り裂く。

 

それと同時に、ギンガスパークランスを器用に回して、迫り来る攻撃を全て弾き返した。

 

その事に驚くイズマエルだったが、ギンガは気にすることなく駆け出す。

 

ギンガスパークランスを逆手に持ったまま、すれ違い様に振るわれた一閃。

 

それによって、イズマエルの胴体に大きな傷跡を残し、そのまま倒れそうになる。

 

それが決定的な隙となった。

 

ギンガのクリスタルが青く発光する。

 

それと共に体内のエネルギーを集め、構える。

 

「ギンガクロスシュート!」

 

左腕は右肘に拳を当てる構える。

 

L字に組んだ腕から必殺光線を放つ。

 

イズマエルは、その攻撃を避ける事はできなかった。

 

同時に、ギンガクロスシュートを直撃したイズマエルは、そのまま後ろに吹き飛ばされ、爆散する。

 

「ロキの奴は」

 

「いないか、厄介な奴だ」

 

「えっと、これは」

 

そう、周りを見る。

 

そこでは、麻中が目の前の戦いに集中していたようだったが

 

「やっほ、久し振り、麻中」

 

「んっ、黒歌?」

 

後ろを見ると、黒歌がいた。

 

しかし、それ以外にもヴァーリなどのメンバーが立っていた。



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戦いに備えて

先日のロキとの戦い。

 

そのロキとの戦いでは、麻中は目の前でロキがモンスライブしていたイズマエルとの戦いに集中していた為、気づかなかった。

 

その時には、ロキが放ったフェンリルと戦っていたが、ヴァーリが率いる勢力が助太刀し、無事に終えた。

 

そして、ロキに対抗する為に、一時的にヴァーリと手を組む事になった。

 

現在、次に起きるロキとの戦いに備えていた。

 

「にゃははは、まさか、こうも早く再会できるとは思わなかったにゃ」

 

そう言いながら、黒歌は変わらず麻中に抱き締めている状態で見ていた。

 

「あの黒猫が、こんな感じになるとは。

というよりも、着物猫耳って、キャラ濃すぎるよ」

 

新条はそう呟きながら、頭を抱えている状態でいた。

 

しかし、そんなカオスの状況の中でも、麻中は特に変わらない状態でいた。

 

いや、彼の脳裏にあるのはチブルスパークの事だった。

 

「なっなぁ、麻中」

 

「なんだ?」

 

「あのロキが使っていたチブルスパークだったか?

あれは一体何なんだ?」

 

「あの時に言った言葉のままだ」

 

「そのままの意味って、まさか造った奴がいるのか」

 

「まぁ、宇宙人で、チブル星人エクセラーという奴が造り出した」

 

「なんというか、最近は宇宙人と聞いても驚かなくなったぞ」

 

そう、ゼノヴィアは自然と納得する中で。

 

「それにしても、麻中は恋愛に関してはどう考えているんだ」

 

「恋愛と言われてもな。

その辺りが親愛や友情や愛情との違いがよく分からないからなぁ。

というよりも、なぜ、そんな事を聞くんだ?」

 

「いや、少し気になったから」

 

それと共にゼノヴィアの質問を聞いて、新条は何かを察したように頷く。

 

「あぁ、なるほど。

こいつの鈍感は、主にウルトラマンのせいという訳か」

 

「なぜ、そこでウルトラマンに?」

 

それに対して、麻中は首を傾げる。

 

麻中にとって、生活のほとんどがウルトラマンと共に過ごしていた。

 

その中で、麻中と関わりのあるウルトラマンの中で女性なのはグリージョのみ。

 

その事も影響しているのか、彼は、そのような恋愛感情があまり興味はなかった。

 

むしろ、目の前にいるウルトラマン達と共にいる事を第一目標にしている為、それらは分からない状態である。

 

「・・・麻中って、もしかしたらウルトラマンの中ではジードに一番似ているかもね」

 

「なんで、そこでジードさんが?」

 

麻中は思わず首を傾げる。

 

そんな最中、アザゼルは、ビートスターライザーを見ていた。

 

「にしても、わざわざ俺に渡すか、これを」

 

そう言いながら、目の前にいるヴァーリに尋ねる。

 

「俺としては、それで召喚されるロボットは中々に歯応えがあって、面白いからな。

出来れば、黒歌の奴に返して欲しいが、しばらくは麻中の奴にべったりの状態が続くだろうからな」

 

「ふぅん、そうかい。

まぁ、こちらとしても、決戦までに少しな」

 

そう言いながらアザゼルはビートスターライザーを通じて、とある物を造り出した。

 

それは、ウルトラマンXのサイバーカードとウルトラマントリガーのGUTSハイパーキーの二つだった。

 

「これらと俺の研究を組み合わせて、少し切札を造らせて貰うぜ」

 

「造るって、何を?」

 

「何、完成してからの楽しみだ」



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ロキの進化

ロキとの決戦。

 

それは、既に眼前には、ロキが立っていた。

 

今回の戦いにおいて、既にロキが怪獣の姿で襲い掛かるのは、既に分かっていた。

 

だからこそ、今回の戦いにおいての兵藤達は、ロキではなく彼と共に来るフェンリルに集中する事にした。

 

だからこそ、ロキの目の前に立つのは、麻中と新条の2人だった。

 

「ふむ、まさか、俺自身が巨人と戦う事になるとはな。

どのような事になるか、分からないな」

 

「そう言いながら、何やら嬉しそうに笑みを浮かべているな」

 

「何、俺自身、この戦いを楽しみにしていたんだ。

光の巨人だったか、それがどのような戦いをするのか。

そして、怪獣だったか。

奴らを取り込む事で、どのような事ができるのか」

 

そう言いながら、ロキはその手にあるチブルスパークを構える。

 

「だからこそ、麻中。

お前には、私の実験台になって貰う。

そして、お前を倒した後には、その巨人の力も俺の物にしよう」

 

『モンスライブ!カイザーギラレス13世!』

 

鳴り響く音声。

 

全身を金色の鎧で包まれ、左手にはトゲがはえた鉄球、そして右手にはシールドを備えた剣を持つ怪獣。

 

「なんだか、どこかの誰かが作ってそうな怪獣だね」

 

「だからと言って、ここで逃げる選択肢はない」

 

『ディメンションロード!ウルトラマントリガー!マルチタイプ!』

 

同時に鳴り響く音声と共にトリガーが、そのまま地上へと降り立つ。

 

眼前にいるカイザーギラレス13世は、その左手にある鉄球を構えながら、真っ直ぐとトリガーに襲い掛かる。

 

それに合わせるように、トリガーは瞬時にサークルアームズを呼び出し、受け止める。

 

サークルアームズの刀身と鉄球の激突。

 

それは火花を散らしながら、トリガーは瞬時に滑り込むように斬り裂く。

 

しかし、カイザーギラレス13世の鎧には傷一つついていなかった。

 

それを身ながらも、サークルアームズの刀身が動き、瞬時にスカイアローへと代わり、そのまま構える。

 

サークルアームズから放たれる光の矢は次々とカイザーギラレス13世の身体に当たっていく。

 

盾を構えて、その攻撃を受け止めていくが、反撃する隙がなかった。

 

同時にサークルアームズをそのままパワークローへと変形し、そのまま振り下ろす。

 

だが、その瞬間、カイザーギラレス13世の顔が歪む。

 

「っ!」

 

それと共にトリガーの背後から襲い掛かる衝撃。

 

そこに現れたのは、メルバだった。

 

「ぐっ」

 

「このスパークドールズは実に面白い。

生物を生きた状態で保存されるからな。

だからこうして、怪獣を複製する事もできた」

 

「まさかっそこまで」

 

ロキが既にそこまで熟知している事に、戸惑う。

 

そうしている間にも、メルバが上空から襲い掛かろうとした。

 

だが

 

「まったく、情けないね」『ディメンションロード!カルミラ』

 

鳴り響く音声と共に、メルバに襲い掛かる光の鞭。

 

その持ち主に、トリガーは、驚く。

 

「カルミラ!」

 

「そんな情けない姿を見せるんじゃないよ、マナカ・ケンゴ」

 

そうしながら、カルミラは、そのままメルバに構える。

 

「あぁ、分かっている!」

 

同時に、トリガーも再度サークルアームズを構える。

 

「ちっ、闇の巨人か。

だが、良いだろう、そうでなくては、面白くない!」

 

同時に、カイザーギラレス13世が咆哮し、戦いが再開される。

 

「雑魚は私がなんとかするから、そっちはあんたがなんとかしな」

 

「分かった!」

 

その言葉と共にカルミラは、そのままメルバの方へ目を向ける。

 

「さて、さっさと片付けるわよ」

 

同時にメルバは、その爪を真っ直ぐとカルミラへと振り下ろす。

 

しかし、鞭を瞬時に棒に変える。

 

同時に中央部を持って回しつつ敵に打ちつける。

 

メルバは、それによって怯むが、すぐに翼で空を飛ぶ。

 

「そんなに空が好きだったら、思う存分、飛ばしてやるわよ」

 

そんなメルバに対して、高速回転させることで旋風を放つ。

 

それによって、メルバは、旋風の中へと囚われてしまう。

 

先程まで空を自在に飛んでいたメルバは、空中で、完全に身動きが取れなくなった。

 

そして、そんなメルバに対してカルミラは、両腕から赤黒い闇を纏う。

 

「これで、終わりだよ」

 

同時に腕をL字に構えて、そのまま闇の光線を放つ。

 

その光線を受けたメルバ。

 

それに対して、抵抗する事はまるでできず、そのまま爆散する。

 

「ほぅ、メルバをこんなに簡単に」

 

「次はお前だ、ロキ」

 

カイザーギラレス13世へと、麻中は叫ぶ。

 

「超古代怪獣、スフィア、破滅招来体、カオスヘッダー、ビースト因子。」

 

「なに?」

 

その言葉に、首を傾げる。

 

「お前達が先程倒したメルバ、ゼルガノイド、ミーモス、カオスジラーク、イズマエル。

これらの細胞の解析には、実際に戦う姿を見て、取り込む必要があったからな。

お前達には感謝しているぞ」

 

「まさかっ」

 

その言葉と共に、カイザーギラレス13世の周囲には、先程言った5体のスパークドールズが現れる。

 

「さぁ、今こそ、進化の時だ!」『合体!デーモンギラレス14世!』

 

カイザーギラレス13世の全身を覆う金色の鎧はドス黒く変色し、剣と盾、鉄球もおぞましい悪魔的な形となっており、顔も地獄から這い出た悪鬼そのものとなった。

 

更に無数の触手を持ち、背中に巨大な眼が存在する。

 

「厄介な事になったな」

 

そう言いながら、麻中はそのまま構える。

 

その時だった。

 

「どうやら、間に合ったようだな」

 

「んっ?」

 

聞こえた声。

 

それと共に、振り返った先にはトリガーと共に戦ったナースデッセイ号がこちらに向かっていた。

 

そして、その中にはアザゼルがいた事に気づく。

 

「間に合ったって、何が?」

 

「何、切札だよ」

 

それと共にアザゼルはナースデッセイ号の中にあるPCを触る。

 

「さすがに高性能だな。

おかげで、これらを完成するのには十分だったぜ」

 

同時にそのままPCに操作した画面。

 

そこに映し出されていたのは、赤龍帝ことドライグ。

 

「サイバー怪獣というのが、怪獣のデータを参考に造り上げた奴だ。

そこで、既に近くに元となるドライグと、俺自身がこれまで観測したデータを元にすれば」

 

そうして、画面の中には、その名の通りサイバネティックなデザインに『D』という文字が胸元に刻み込まれているドライグがあった。

 

「そして、このサイバードライグをGUTSハイパーキーに移して、セットすれば!』

 

『BOOSTUP!BOOST』

 

鳴り響く音声と共に、ナースデッセイの身体は赤く染め上がる。

 

「ナースデッセイが、変わった」

 

「まさに、新たな、赤龍帝、ナースデッセイ・ドライグと言った所だな

 



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光と闇の渦

 眼前にいるデーモンギラレス14世。

 

 そこから放たれる闇は、凄まじい。

 

 元々、強力な怪獣であるカイザーギラレス13世に、様々な怪獣達の遺伝子に神であるロキが一体化した事により、それは凄まじい力を発揮している。

 

「あいつを見ていると、思い出すね、本当に」

 

「ならば、またやるだけだ」

 

 その言葉と共にトリガーは麻中の方へと目を向ける。

 

 それに対して、麻中もまた頷くと共に、新条と共にダークディメンションナイザーを構える。

 

 すると、トリガーのディメンションカードとカルミラのディメンションカード。

 

 二つが一枚へと変わった。

 

「これは、もしかしたら、やっってみるか」

 

 その言葉と共に、そのままスキャンする。

 

『トゥルーディメンションロード! ウルトラマントリガートゥルース』

 

 同時に、トリガーとカルミラ。

 

 2人の巨人が渦となって、合わさる。

 

 それと共に、そこには新たな姿となって、現れる。

 

 トリガートゥルース。

 

 それは、ウルトラマントリガーの光の力と闇の力。

 

 二つの力が一つになった姿。

 

 その姿は、光と闇の力の調和がとれている印象を受ける。

 

 そして、今、トリガー自身の光の力とカルミラの闇の力が一つとなった事で、新たに生まれた姿でもある。

 

 デーモンギラレス14世は、トリガートゥルースに対して、雄叫びを上げながら、無数の触手をトリガートゥルースに向けて、放つ。

 

 だが、トリガートゥルースは、それを難なく回避し、そのまま、デーモンギラレス14世に接近する。

 

「ふんっ」

 

 トリガートゥルースは回し蹴りを放つと共に、光と闇が入り交じった攻撃にデーモンギラレス14世の体に傷がつく。しかし、デーモンギラレス14世は怯む事無く、再び、触手で攻撃を仕掛ける。

 

 その攻撃をトリガートゥルースは左手を前に出して受け止めると、右手を手刀の形にして構えた。

 

 すると、右腕全体に光が纏い始めた。

 

「ハァッ!」

 

 トリガートゥルースが気合いを入れると、右手の手刀から斬撃波が放たれて、デーモンギラレス14世を切り裂いた。

 

 さらに、そこから連続で拳を突き出し、次々とデーモンギラレス14世にダメージを与える。

 

「ぐぉっ!? ︎」

 

 ダメージを負う度にデーモンギラレス14世の身体か気味の悪い闇が現れる。

 

 それに対して、デーモンギラレス14世は、その鉄球で襲い掛かる。

 

 そして、左手を構えると闇の盾が生み出され、それを使って防いだ。

 

 そして、トリガートゥルースは両手を広げ、光と闇の衝撃波を放つ。

 

 デーモンギラレス14世は咄嵯に鉄球を構えて防御するが、吹き飛ばされてしまう。

 

 地面を転がるデーモンギラレス14世だったが、すぐに起き上がる。

 

 そこにトリガートゥルースは飛びかかり、拳を振り下ろす。

 

 デーモンギラレス14世はそれをなんとか避けたが、続けて放たれた蹴りを避けきれずに直撃した。

 

 地面に叩きつけられたデーモンギラレス14世が立ち上がると同時に、トリガートゥルースは拳を振るう。

 

 それをデーモンギラレス14世は鉄球でガードしたが、あまりの力の強さに後ろに下がる。

 

 トリガートゥルースは追い討ちをかけられ、デーモンギラレス14世は反撃の機会を与えない程の連続攻撃を受け続ける。

 

 そして、ついに限界を迎えたのか、膝をつく。

 

 トリガートゥルースは止めだと言わんばかりに、右手の拳を強く握り締める。

 

 だが

 

「この程度で、やられてたまるかぁ!」

 

 最後の足掻きと言わんばかりに、デーモンギラレス14世は全身に力を込める。

 

 同時に身体から溢れ出る闇はより濃さを増していく。

 

「貴様の攻撃など……効かんわぁ! 喰らえぇええ!! ︎」

 

 そう言うと、デーモンギラレス14世は鉄球を大きく振りかぶった。

 

 すると、鉄球は変形していき、禍々しい刃となる。

 

 そのままトリガートゥルースに向けて、放つ。

 

「何!? ︎」

 

 トリガートゥルースは驚きながらも、回避しようとするが間に合わずに、右肩から左腰にかけて斬り裂かれた。

 

 しかし、まだ致命傷には至っておらず、ゆっくりと立ち上がろうとする。

 

 そこへデーモンギラレス14世の追撃が入る。

 

 先程放った鉄球が再び変形し、今度は棘付きの鎖となり、トリガートゥルースを縛り付ける。「終わりだぁあああ!! ︎」

 

 デーモンギラレス14世は再び鉄球へと戻し、大きく振りかぶると、勢いよくトリガートゥルースに向かって投げつける。

 

 それに対して、トリガートゥルースはなんとか受け止める。

 

 手からは光と闇が、まるで血のように流れ出ている。

 

「「……まだっ」」

 

 その時、2人の声が重なる。

 

「「終われるかぁ!!」」

 

 同時に、トリガートゥルースの手を強く握り絞める。

 

 それと同時だった。

 

「よっしゃ、こっちもチャージが終わった! 

 

 受け取れ!」

 

 それと共にナースデッセイ号から雄叫びを上げる。

 

 そして。

 

『BOOST』

 

 その機械音と共にナースデッセイから光が真っ直ぐとトリガートゥルースに降り注ぐ。

 

 瞬間、トリガートゥルースの身体からは溢れるばかりの光と闇が吹き出し、まるでそれは嵐のように荒れ狂う。

 

 そう叫ぶと同時にトリガートゥルースは一瞬にして、その鉄球が砕け散る。

 

 そして、次の瞬間にはデーモンギラレス14世は、後ろへと吹き飛ばされる。

 

 両腕を前に突き出し交差させてから大きく横に広げてエネルギーを溜める。

 

 その最、に光と闇の両方が集まる。

 

 それと共に、体の各部にある装飾が虹色に発光する。

 

 腕をL字に組んで放つ光と闇が混ざったトゥルーゼペリオン光線を、真っ直ぐとデーモンギラレス14世に放つ。

 

「ハァッ!!」

 

 デーモンギラレス14世は両手の鉄球で防御しようと試みるが、防ぎきれずに光線は直撃した。

 

「グオォォォォ!!!」

 

 断末魔を上げて爆発四散して消えていった。



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居候

今月も、残りわずか。
3月はまさに特撮関連は、様々な話題がありました。
キングオージャーに、シン仮面ライダーに、グリッドマンユニバースなど、お祭り騒ぎ。
特に、グリッドマンユニバースは本当に名作でした。
そんな嬉しい事ばかりならば、良かったんですけど。
団時朗さんの冥福を祈ります。
メビウスの客演時のカッコ良さと演技は今でも心に残っています。


 ロキとの戦いが終わった。

 

 怪獣と一体化していたロキに関してだが、チブルスパークの影響もあってか、倒された後はそのまま気絶していた。

 

 そうして、捕らえる事ができたロキはそのまま北欧へと連行される事になった。

 

 麻中にとっては、既に当たり前の日常。

 

 だが、少し変わった所もあった。

 

「えっと、すいません。

 

 本当にお世話になっても」

 

「なんというか、今更ですから」

 

 北欧から来たロスヴァイセが、麻中の家に居候する事になった。

 

 どうやら今回の一件は、ロキ単独の暴走とはいえ、そのロキを倒したウルトラマン。

 

 それが巨人である為、北欧方面には大きな問題になる。

 

 そして、麻中の家で護衛する為にロスヴァイセが派遣される事になったのだ。

 

 ロスヴァイセが家に来る事に対して、特に問題はない。

 

 むしろ、同居人が増える事でより賑やかな生活になるだろうと思う。

 

 ただ。

 

(なんか、俺って最近こんな展開多くない?)

 

 麻中としては、自分の周りに女性が増えていく事が不安だった。今までは、幼馴染みの少女だけだった。

 

 しかし、今回は新たな同居人である。

 

 しかも、北欧の神の一柱で、かなりの実力者だ。

 

 下手に怒らせるような事をすれば、とんでもない事になる。

 

「まあ、私も出来る限りサポートします!」

 

 ロスヴァイセは、元気よく答える。

 

 彼女は真面目な性格なので、こちらとしても助かる部分がある。

 

 そんなやり取りをしている中で、ロスヴァイセはふと思った事がある。

 

(……あれ? でも、これってもしかして)

 

 それはある意味において、チャンスかもしれない。

 

 年齢=彼氏いない歴のロスヴァイセにとっては、麻中にアピールする事によって、自分の存在を認めさせる事ができるかもしれない。

 

 何よりも、麻中には恩義もある。

 

 だから、ここは一肌脱ごうと考えながら、家に入る。

 

「あぁ、お帰りにゃぁ」

 

 リビングで寛いでいる黒歌の姿だった。

 

「……」

 

 それには、ロスヴァイセは驚きを隠せなかった。

 

「あれ、黒歌? 

 

 ヴァーリ達の所に帰ったんじゃないのか?」

 

「いやぁ、別にチームという事で、常に一緒に行動している訳じゃないにゃ。

 

 それとも、麻中は迷惑かにゃ?」

 

 そう、黒歌はソファの上で座りながら、麻中に問いかける。

 

「まぁ、別に良いけど」

 

 麻中としては、断る理由もない。

 

 そもそも、黒歌は猫に化けていた時から居候しているので今頃変わりない。

 

 ロスヴァイセに関しては仕事上の都合で居候になっただけだ。

 

「それよりも、そろそろ夕食の時間だしな」

 

「うっ、確かにそうですね」

 

 麻中の言葉を聞いて、ロスヴァイセはそのまま肩を落とす。

 

「どうしたんだ、ロスヴァイセさん?」

 

「いえ、なんでもないです」

 

 ロスヴァイセの様子を見て、麻中は首を傾げる。

 

 そう考えている時だった。

 

「麻中、ご飯食べに来たよ!」「今日も失礼するぞ」

 

 そうゼノヴィアと新条が入ってくる。

 

「……これって、本当に大丈夫でしょうか」

 

 そう不安になって、思わず呟くロスヴァイセだった。



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修学旅行が始まる少し前。

 

麻中は、とある出来事に巻き込まれていた。

 

それは、禍の団からの襲撃だった。

 

「なんで、こうやって襲い掛かるんだよ」

 

その言葉を呟きながら、目の前に襲い掛かってくる禍の団に対して、戦っていく。

 

目の前で戦う構成員のほとんどは人間なのか、それらの攻撃は、様々な種類が行われていた。

 

しかし、数々の戦いを乗り越えた麻中にとっては、それらは簡単に倒す事ができた。

 

「にしても、こいつらは一体」

 

そうしている間にも、1人、何か変化する。

 

身体から溢れ出る力。

 

それに対して、すぐに構える。

 

「どうやらっ、1人はなれたかっ、ならばあとは!!」

 

それと共に、構成員の1人が服を破く。

 

その胸元には赤く禍々しい光が埋め込まれていた。

 

それの正体を、麻中は知っている。

 

「デビルスプリンターっ」

 

ウルトラマンベリアルがかつて宇宙中で暴れまわった際に残していった細胞の破片。

 

同時に、その手にはウルトラメダルがあった。

 

それを、その人物は呑み込む。

 

「まさかっ」

 

「ガアアァアァァ!!」

 

雄叫びと共に、その青年の身体は変化する。

 

それは、ウルトラマンベリアルの力によって、誕生した怪獣同士が合体した存在、ベリアル融合獣。

 

目の前にいるのは、そんなベリアル融合獣の一体である、スカルゴモラだった。

 

スカルゴモラの出現に対して、驚きを隠せない麻中。

 

そんな麻中に対して、スカルゴモラはそのまま尻尾を振り下ろした。

 

だが、それよりも早く、麻中はディメンションナイザーを取りだし、構える。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンマックス!』

 

鳴り響く音声と共に、襲い掛かるスカルゴモラの尻尾を払いのけ、ウルトラマンマックスが現れる。

 

スカルゴモラはそのまま後ろへと吹き飛ばされる。

 

マックスは、そのまま構える。

 

対して、スカルゴモラは、地面を揺るがすような叫び声と共に、マックスへと襲い掛かる。

 

その怪力は凄まじく、周りの建物を簡単に壊す事ができる程だ。

 

しかし、マックスに対して、その攻撃は当たる事はできなかった。

 

「あいつ、なんで、あんな無茶な事を」

 

そう言いながら、麻中は見つめる。

 

スカルゴモラは、ベリアル融合獣の一体である事もあり、並の怪獣よりも強力な存在であるのは間違いない。

 

しかし、目の前にいるスカルゴモラに変身したと思われる構成員は、その力を十全に使いこなす事ができない。

 

元々、怪獣を凶暴化させる程の強力な力を持つそれを、制御しようとは考えていない様子が見られる。

 

「仲間を逃がす為に、犠牲になるつもりだったのか」

 

そう、目の前にいるスカルゴモラを見つめながら言う。

 

それに対して、マックスは、見つめる。

 

まるで、それは弱点を探るように冷静に。

 

闘牛士を思わせる動きで、スカルゴモラの攻撃を避ける。

 

「「・・・」」

 

冷静に、麻中も、同時に見つめる。

 

そして、瞬時に理解した麻中は叫ぶ。

 

「マックスさん!カラータイマーだ!」

 

「ジュワっ!」

 

麻中の言葉を聞くと共に、スカルゴモラが襲い掛かった際に受け止める。

 

そのまま宙高く吹き飛ばし、地面へと叩き込む。

 

同時に左手に装着されているマックススパークを空高く掲げて光を吸収し、両腕を逆L字型に組むことで発射する必殺光線、マキシムカノンをスカルゴモラのカラータイマーに向けて放つ。

 

放たれたマキシマムカノンは、そのままカラータイマーへと当たる。

 

それによって、スカルゴモラはそのまま倒れ、爆発する。

 

同時に麻中はすぐに近づく。

 

「ふぅ」

 

見ると、胸元にあったデビルスプリンターが砕け散った。

 

それは、スカルゴモラのカラータイマーにデビルスプリンターが集中している事が分かった。

 

だからこそ、マックスは、構成員を救う事を目的にマキシマムカノンを放った。

 

「ふぅ」

 

「ほぅ、まさか殺さないとはな」

 

「っ」

 

聞こえた声と共に、麻中はその場から離れた。

 

そこには中華風の服を身に纏った青年があり、その手には槍を持っていた。

 

「お前は、誰だ?」

 

「こいつの上司と言った所だ。

それにしても、やはり凄まじいな、この力は」

 

そう言いながら、構成員をそのまま抱える。

 

「さて、麻中、俺からの提案だが、俺の元に来ないか」

 

「何を言っているんだ」

 

それに対して、麻中は怒りを任せるように叫ぶ。

 

「こいつに、デビルスプリンターを使っておいて」

 

「なに、脅威に立ち向かうには力が必要だ。

巨大な存在には特には。

それは、君も、ウルトラマンの力を使っているだろ」

 

「だとしても、死ぬかもしれなかったんだぞ」

 

「彼も、その覚悟でやったんだよ。

君のように、立ち向かう為にね」

 

そう言いながら、男は笑みを浮かべる。

 

「何よりも俺達は自分を信じている。

自分を信じて夢を追い続けていれば、夢はいつか必ず叶う。

それこそ、この力もいつかね」

 

その言葉を最後に、男はその場から消えた。

 

それに対して、麻中はすぐに追いかける事ができなかった。

 

「本当に厄介な事になった」



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京都の風来坊

「はぁ」

 

修学旅行。

 

学生にとっては一大イベント。

 

そんなイベントの最中、麻中はため息を吐いている。

 

「麻中が、あそこまでため息を吐くとは、やはり先日の出来事か?」

 

「あぁ、デビルスプリンターね。

確かに厄介だからね」

 

そうしながら、修学旅行の目的地である京都に辿り着き、観光へと向かおうとしていた。。

 

思い詰めている様子に対して、新条達はどうするべきか悩み、首を傾げる。

 

「このままじゃ、リフレッシュできないし、何か手は無いのかなぁ」

 

そんな悩む麻中を見つめる中で、ふと足が止まる。

 

「んっ、麻中、どうしたんだ?」

 

疑問に思い、ゼノヴィアが聞いてくる。

 

すると、何かに耳を澄ませているのに気づく。

 

「何か聞こえるのか?」

 

「んっ?」

 

それと共に新条もまた、耳を傾ける。

 

「何かの音色?」

 

「なんだろう、この音色はって、麻中!」

 

そう疑問に思っている間にも、麻中はすぐに飛び出した。

 

その行動にはその場にいたほとんどが疑問に思った。

 

同時に、その真意に気づいた新条は目を見開く。

 

「あっあぁ!!もしかして!!」

 

新条もまた、その音色の正体に気づいた。

 

耳に残る音色。

 

それと共に新条も飛び出す。

 

「おっおい、新条!

あぁもぅ」

 

そうしている間にも、すぐに兵藤達も飛び出す。

 

幸い、既に自由行動という事で、問題なく飛び出す事ができた。

 

そうして、麻中が向かった先。

 

そこにいたのは、一人の青年だった。

 

レザージャケットに中折れ帽を被った姿が特徴的であり、その手にはハーモニカがあった。

 

それを演奏しているのが、兵藤達はすぐに分かった。

 

「えっと、あの人は」

 

「嘘、本当に」

 

その人物を見た瞬間、新条は目を見開き、驚きを隠せなかった。

 

「新条、知っているのか?」

 

「知っていると言ったら、知っている。

というよりも、皆も、知っているよ」

 

「えっ、まさか」

 

その言葉に、兵藤達はすぐに目を向ける。

 

「こうやって、会うのは、久し振りだな、麻中」

 

「お久しぶりです、ガイさん!」

 

そのガイという名前に、兵藤達は聞き覚えがあった。

 

同時に、すぐに思い出す。

 

「もしかして、ウルトラマンオーブ!」

 

それと共に、兵藤はすぐに叫ぶ。

 

「んっ、俺の事を知っているのか?

って、よく見たら、お前達はあの時の子達か」

 

「はっはい!

えぇ、マジで」

 

それと共に思わず緊張してしまい、そのまま固まる。

 

「ガイさんは、なんでこの地球に?」

 

「お前も知っているだろ、この地球でデビルスプリンターが出た事を。

俺はそれの回収の為に来た」

 

「そうだったんですか。

だったら、俺も「あぁ、大丈夫だ」えっと」

 

「お前は今は修学旅行中だろ。

それに、今のお前には、必要な時間だろ」

 

「俺に必要な時間」

 

その言葉に、麻中は、何も言えなかった。

 

「そうすれば、使えるはずだ」

 

その言葉の意味を知る為に、麻中はガイの後ろ姿を見つめる。



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京都の炎

 京都での修学旅行を、あまり楽しめていない様子の麻中。

 

 だが、それを表面に出さないようにしている。

 

「俺が受け入れるべき事か」

 

 未だにガイの言葉が、麻中の頭から離れない。

 

 やがて、彼らが辿り着いたのは、伏見伊稲荷大社だった。

 

「……はぁ」

 

 そう、ため息を吐きながら、悩み続けた。

 

 そんな考えをしていた時だった。

 

「お前か、ここ最近のウルトラマンという奴を暴れさせている奴は」

 

 だが、そんな彼の背後から声が聞こえた。

 

 黒いスーツに、ピンク色のサングラスをつけている男性がそこにいた。

 

「なんで、俺の事を」

 

「それだったら、お前に聞きたい事がある! 

 

 九重のお嬢さんのお母さんの居場所、吐いて貰うぜ!」

 

「はぁ!?」

 

 その事に驚きを隠せず、その蹴りを受け止める。

 

 眼前にいる男の正体。

 

 その一撃は重く感じた。

 

「一体、誰の事を言っているんだ?」

 

「しらばっくれるな、ウルトラマンという巨人を操る奴が、攫っているのは、調べているんだよ」

 

「はぁ!?」

 

 その事に、麻中は思わず声を出してしまう。

 

「一体、何の事を」

 

 そう言っている時だった。

 

 聞こえた音。

 

 それと共に、空を見つめる。

 

 それは転移魔方陣だろう。

 

 そこから、ゆっくりと二つの影が現れる。

 

 正体に、麻中は気づく。

 

「ウルトラマン、いやっ」

 

「お前が呼んだって、違うのか?」

 

「……あれはサロメ星人が造り出したニセウルトラ兄弟。

 

 まさか、ここまでっ使うとはな」

 

 同時にその手にはディメンションナイザーを構える。

 

「こいつらを倒すっ」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンX』

 

 京都にて、舞い降りたウルトラマンX。

 

 そのウルトラマンXを囲い込むように、ニセウルトラ兄弟であるニセウルトラマンとニセウルトラマンジャックがすぐに構えていた。

 

 サロメ星人が本物のウルトラ兄弟を模して作ったロボット兵器である2体のニセウルトラマンに対して、ウルトラマンXもまた構える。

 

 それと共に、ニセウルトラマンがすぐにウルトラマンXに襲い掛かる。

 

 しかし。

 

「Xスラッシュ」

 

 そう言って、ウルトラマンXは光のエネルギーを矢尻型にして発射する光弾。

 

 それはニセウルトラマンの身体に火花を散らす。

 

 それを見ていたニセジャックが腕を伸ばして殴ろうとする。

 

 だが、Xは、そのまま回し蹴りで、ニセジャックを蹴飛ばした。

 

 すると、ニセジャックは吹き飛ばされた。

 

 しかし、そこにニセウルトラマンが立ちふさがり、ニセウルトラマンがパンチを食らわせる。

 

 Xも負けじと、キックで対抗し、お互いに飛ばしあった。

 

 そして、互いに距離を取り、再び構える。

 

 その時だ。

 

 吹き飛ばされたニセジャックはウルトラランスをXに突き刺そうとする。

 

 だが、Xはそれを手で掴んで止めた。

 

 さらに、もう片方の手で、ニセウルトラマンを掴み上げる。

 

 そして、地面に叩きつけた。

 

 だが、そこに、ニセウルトラマンが殴りかかる。

 

 それに気づき、Xは回避するが、今度はニセウルトラマンが蹴り飛ばす。

 

 そして、そこに、ニセウルトラマンジャックの攻撃が入る。

 

 しかし、それでも、まだ、戦える状況だった。

 

「ぐっ」

 

 二人のニセウルトラ兄弟の連携に、Xは苦戦していた。

 

 二対一ではさすがに不利だ。

 

 だからと言って、ここで退くわけにはいかない。

 

 その時だった。

 

「どうやら、本当に悪い奴じゃなさそうだな。

 

 だったら、助太刀させて貰うぜ」

 

 その言葉と共に麻中の隣にいた男が言う。

 

「えっと、それはどういう」

 

「お前のそれ、少しだけ使わせて貰うぜ、

 

 アクセスコード、ダイナレックス!」

 

 その叫び声と同時だった。

 

 男の姿は消える。

 

 同時にニセウルトラ兄弟に襲い掛かる存在。

 

 それは真っ赤に染まったロボット。

 

 それも、恐竜を思わせる存在だった。

 

「えっえぇ、あれって一体」

 

「俺はダイナレックス。

 

 この場は助太刀させて貰うぜ!」

 

 その言葉と共にダイナレックスは、そのままXの横に並び立つ。

 

 すると、ニセウルトラ兄弟は警戒するように構える。

 

 それに対して、ダイナレックスは構えを取る。

 

 それはまさしく、その恐竜という名に相応しく口を大きく開いた。

 

 だが、次の瞬間だった。

 

 ニセウルトラマンが拳を突き出すと同時に、ダイナレックスも走り出す。

 

 そこから激しい攻防が始まる。

 

 どちらも一歩も引かない戦いが繰り広げられているのだ。

 

 そして、その間にXはニセウルトラマンに蹴りを入れる。

 

 それによって、ニセウルトラマンは大きく吹き飛ぶ。

 

 さらに、それを追撃しようと動き出した時だった。

 

 背後からニセジャックが襲い掛かってくる。

 

 それに対して、ダイナレックスが動く。

 

 巨大な腕でニセジャックを掴み上げた。

 

 そのまま振り回し、投げつける。

 

 さらに、それに反応して、Xはニセジャックに向かって駆け出していく。

 

 ニセジャックは、その手にあるウルトラランスを投げようとした。

 

 だが

 

『サイバーグドンアーマー! アクティブ!!』

 

 鳴り響く音声と共に鎧の色はシルバーで、背中のアーマーに赤色で「G」と刻まれている。

 

 それがXの新たな姿であるグドンアーマーだった。

 

 そのまま両手にあるサイバーグドンの鞭で、ウルトラランスをXは弾き飛ばす。

 

 そして、そのまま飛び上がる。

 

 それと同時にダイナレックスも地面を踏み砕きながら跳躍する。

 

 Xはそのまま空高く舞い上がりながら、両腕の鞭にエネルギーを溜めてニセジャックに叩きつける。

 

「「グドン振動鞭」」

 

 その一撃を食らい、ニセジャックは地面に叩きつけられる。

 

 そこに追い打ちをかけるように、ダイナレックスはニセウルトラマンの胴体を噛み付く。

 

「必焼大火炎レックスロアー!」

 

 ダイナレックスの口からの言葉と共に、口から放つ強力な火炎放射がニセウルトラマンの身体を燃やしていく。

 

 それによって、決着は完全につく。

 

「なんとか、なったか」

 

 そうしている間にも、ダイナレックスはそのまま、麻中を見つめる。



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京都の事情

「いやぁ、本当に悪かった。

ウルトラマンを操ると聞いたから、てっきり八坂さんを攫った奴だと思ったからな」

 

そう言いながら、麻中に向けて、土下座をしているのは、ダイナレックスへと変身していた青年だった。

 

「いや、それは別に良いけど、あなたは一体」

 

「おぉ、そうだったな。

俺は新世紀中学生のレックスだ。

少し前に、生き倒れていた所を、九重に助けられたんだ」

 

「・・・新世紀中学生?」

 

それに対して、兵藤は思わず首を傾げる。

 

それは、この場にいるほとんどが疑問に思い、首を傾げる。

 

ただ一人を除いて。

 

「グリッドマンの仲間という感じだよね。

それにさっきのダイナレックスというのも、あの時の」

 

「んっ?

俺の事を知っているのか?」

 

そう言いながら、レックスは新条に目を向ける。

 

「私の名前は、新条アカネ」

 

「新条、新条って、えぇ!

お前が、新条アカネなのか!」

 

レックスは、何か驚いた様子で、新条を見つめる。

 

「えっと、知り合いなのか?」

 

「少しね。

それにしても、もしかして、この世界で何か危機があって、来たの?」

 

「まぁな。

メルヴァゾアとかいう奴が、他の世界を侵略しているらしくてな。

旦那達がそれを防ぐ為に来ているらしい。

俺は、その近くのこの世界に来たんだけどその時に、ニセウルトラマンの奴らが暴れていたんだ」

 

「なるほどな、初めて出会ったウルトラマンが、あいつらだったら、確かにな」

 

そう、麻中は納得するように頷く。

 

だが、その会話の中で、兵藤達は、何やら驚きを隠せない様子だった。

 

「んっ、どうしたの?」

 

「いや、当たり前のように会話しているけど、もしかして、レックスさんって、別の世界から来ていたのか」

 

「・・・あぁ、そう言えば、そこら辺の話をしていなかった」

 

それと共に、麻中はそのまますぐに説明する事にした。

 

「まぁ、簡単に言うと平行世界だからな。

こことは別の世界が何百と存在している訳だ。

数も、未だにどれ程、あるのかまるで分からないけどな」

 

「麻中は、なんか混乱していないようだけど」

 

「それはまぁ、俺はそれに関係する力をよく使っているからな」

 

それと共に、麻中はディメンションナイザーを手に取る。

 

「ディメンションナイザーは、簡単に言うと平行世界にいるウルトラマンを呼ぶ事ができるアイテムだ。

ウルトラマンの皆さんは、こことは違う地球で活躍した人達だからな」

 

「えっ、宇宙人だって聞いたけど、この世界のじゃないのか」

 

「まぁな。

ウルトラマンにも色々いるからな。

中には、地球出身のウルトラマンもいるからな」

 

「そんなにか」

 

その事にゼノヴィアは驚きを隠せなかった。

 

「まぁ、呼ぶ事ができるとしても、今の俺じゃ呼ぶ事ができないウルトラマンも多いからな」

 

「呼べないウルトラマン?」

 

それに、首を傾げる。

 

「ウルトラ兄弟を始めとした歴戦のウルトラマンの皆さん。

彼らは、その圧倒的な経験値があってか、他のウルトラマンの皆さんとは違って、どこかシンクロがしにくい所がある」

 

「えっと、ウルトラ兄弟って」

 

「お前も会っただろ、ハヤタさん。

あの人は、始まりのウルトラマンと言われた偉大な存在だ」

 

「そんな人達が」

 

「それ以外には、キングさんにノアさんかな。

彼らは、その力があまりにも強すぎて、維持できないからな」

 

「そんなに凄い力を持っているのか」

 

「キングさんは破壊された宇宙を復元し、宇宙全体と一体化して、救ったからな」

 

「ウルトラマンの規格外な存在だとよく分かるな」

 

「それを言うと、俺の旦那も似たような感じだな」

 

「どうなっているんだ。

なんだか、いきなりレベルがかなり違う話になっているぞ」

 

そう困惑している最中で、アザゼルは麻中に問いかける。

 

そうしている間に、ガウマと一緒にいる少女、九重が来る。

 

「その、麻中殿は、ガウマと同じく、あのニセウルトラマン達に対抗できる力を持つと聞く。

どうか、頼む、母上を助けるのを「分かった」えっ?」

 

そう、九重の返答を聞くよりも先に答える。

 

「良いのか!」

 

「子供を見捨てる真似はできないからな。

それに、何よりも」

 

麻中は

 

「ウルトラマンの皆さんの力を悪用する奴は絶対に許さないからな」



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可能性

「それにしても、修学旅行というのは、なかなかに大変だな」

 

「そうなんですよ。

 

 なかなか、観光だけ集中する訳にはいかないので」

 

「……なぁ、麻中」

 

「どうしたんだ、兵藤」

 

「狭くないか」

 

 そう、兵藤からの言葉に対して、麻中は特に気にしていなかった。

 

 現在、彼らが泊まっている部屋は、とても豪華なホテルとは思えない和室。

 

 そのただでさえ狭い和室の中、客人として来ていたガウマとガイの2人が一緒に入っている。

 

 そして、その男4人で現在、トランプで遊んでいた。

 

「それで、お前は少しは答えが見つかりそうなのか?」

 

「答え? 麻中、お前何か悩みでもあるのか?」

 

 ガイの言葉に対して、ガウマは疑問に思いながら、聞いてくる。

 

「悩みというか、なんというか。

 

 今回の戦いで、戦っている奴らは、デビルスプリンターという危険な代物を使ってまで、力を得ようとした。

 

 俺は、それを使って、奴らが何をしようか分からない。

 

 けど、そんな危険な力を使ってまで求めるのは一体何なのか、分からなくて」

 

「危険な思考を持っている奴がいたら、倒す。

 

 それで良いんじゃないのか? 

 

 俺も実際に、そう思って戦ったけどな」

 

「人、それぞれ事情があるのに、そんなので良いかと思いましてね」

 

「……そうだな。

 

 確かに相手の事を考える事も大切だ。

 

 相手が何故戦っているのか、それはウルトラマンだけじゃない。

 

 戦う人間全ての課題でもあるからな」

 

「ガイさん」

 

 そう、ガイの言葉を聞きながら、麻中はディメンションナイザーを見つめている。

 

 その時だった。

 

 感じた違和感。

 

 それが、何か、すぐに理解できた。

 

「この感じっ、あっちからかっ」

 

 そう言い、麻中はすぐに窓の外を見る。

 

「俺はここに残って、こいつらを護る。

 

 お前は」

 

「えぇ、お願いします! 

 

 行きましょう、Zさん!」

 

『ディメンションロード! ウルトラマンZ! ベータスマッシュ!』

 

 ディメンションナイザーから鳴り響く音声と共に現れたZの姿は、真っ赤に染まっていた。

 

 その身体からは力が溢れ出すように、筋肉が大きく膨れ上がっている。

 

 同時に、窓から飛び出た麻中を手の平に乗せると共に既に展開されている結界の元へと向かう。

 

 そこは裏京都。

 

 京都の裏側であり、見ると、九重を中心に避難誘導していた。

 

 そして、それらを襲っている敵の正体も見える。

 

 それは、前回のニセウルトラ兄弟と同じくゾフィーとエースの2体だった。

 

 眼前にいる2体のニセウルトラマンに対して、両腕を突き上げる。

 

 Zの存在を確認すると共に、偽ゾフィーと偽エースはそのままZに襲い掛かる。

 

 それに対して、Zもまた対抗するように走り出す。

 

 偽エースの拳を腕で受け流し、そのまま反撃に移るが、それは偽ゾフィーによって防がれてしまう。

 

 Zは蹴りを放つが、偽ゾフィーはその攻撃を防ぐと同時に、Zの腕を掴む。

 

 

 

 そしてそのまま、偽エースに向かって投げつける。

 

 しかし、それを予測していたかのように、Zも空中で体勢を整えて着地する。

 

 だが、偽ゾフィーの攻撃はまだ終わっていなかった。

 

 そのまま偽エースに投げつけられたZに対し、追い打ちをかけるように殴りかかる。

 

 だが、それこそがZの狙いだった。

 

 殴られた勢いを利用して、Zは逆に偽ゾフィーへと掴みかかり、そのまま背後へと回り込む。

 

 そして、後ろから羽交い締めにして動きを止めると、そのまま力任せに地面へと叩きつけた。

 

 さらに、偽エースが起き上がるよりも早く馬乗りになると、顔面に向けて何度もパンチを叩きこむ。

 

 だが、そんなZに対して、偽ゾフィーが立ち上がる。

 

 立ち上がった偽ゾフィーはZの顔を掴みあげると、そのまま地面に叩きつけようとする。

 

 それに対し、Zもまた偽ゾフィーの頭を両手で掴むと、思いっきり頭突きを放った。

 

 両者の額が激しくぶつかり合い、鈍い音が響き渡る。

 

 痛み分けとなった両者だったが、先に立ち上がったのは偽ゾフィーの方であった。

 

 偽ゾフィーはフラつきながらも立ち上がろうとするが、そこにZが再び飛び掛かり、今度は肩固めを決める。

 

 完全に極まったその技は、偽ゾフィーの動きを完全に封じていた。

 

 そのまま偽ゾフィーを持ち上げたZは、勢いよく地面へと思い切り叩きつける。

 

 そして、再び持ち上げると、また同じように叩きつけようとする。

 

「っ!」

 

「しまったっ!」

 

 聞こえた悲鳴。

 

 それと共に目を向けると、偽エースが九重に向けて、攻撃を放とうとした。

 

 それによって、Zに油断ができた。

 

 偽ゾフィーは、その隙を突いて、Zに向けて、拳を振るう。

 

 無防備となったZには、大きなダメージであった。

 

 すぐにZは立ち上がろうとするが、偽エースが、人質を取るように構えていた。

 

「ぐっ!」

 

 尊敬するエースの姿を摸した偽エースによって、危機的状況に陥るZ。

 

 そんなZに対して、偽ゾフィーは容赦なく攻撃を続ける。

 

 一方的に攻撃を受け続けるZ。

 

 このままではまずいと悟った。

 

 しかし、人質がいる状態では。

 

 そう、考えていた時だった。

 

「君にも既に分かっているはずだ」

 

 それと共に麻中のディメンションナイザーから聞こえた声。

 

「君も、戦う相手に様々な事情があるのを知った。

 

 それでも、君は護る為に戦う。

 

 その気持ちがあれば、俺達、ウルトラマンは力を貸す。

 

 それを今こそ、証明してくれ」

 

 ディメンションナイザーから聞こえた声。

 

 その言葉を聞くと、麻中の手は自然と力を込める。

 

 同時に、そのままディメンションナイザーを構える。

 

「今ならば、戦ってくれる!」

 

 それと同時に構える。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンA!』

 

 鳴り響く音声。

 

 それと共にディメンションナイザーから光が溢れ出る。

 

 その光は、そのまま真っ直ぐと偽エースを吹き飛ばす。

 

 吹き飛ばされた偽エースは、偽ゾフィーを吹き飛ばした。

 

「まだ、諦める時じゃないぞ、Z」

 

 同時にZの隣に立つ存在。

 

 その存在に、その場にいた全員が確かに知っていた。

 

「A兄さん!」

 

 その戦士の名はウルトラマンA。

 

 偽エースの元となったウルトラマンだった。

 

「奴らは私とゾフィー兄さんの能力をコピーしている。

 

 だが、ウルトラマンの心まではコピーはできていない。

 

 ならば、負ける訳にはいかない!」

 

「はいっ!」

 

 Aの言葉に対して、Zは強く頷き、構える。

 

 それと共に偽ゾフィーと偽エースもまた立ち上がり、構えていた。

 

 そうして戦いが始まるのであった。

 

 まず、偽エースはAに向かって、襲い掛かる。

 

 全く同じ容姿をしている二人の格闘戦。

 

 それは互角であり、どちらにも決め手はない。

 

 偽エースは、そのまま後ろに下がり、後ろに体をひねり、振り向きざまに両腕をL字型に組んだ右腕からメタリウム光線を放とうとした。

 

「バーチカルギロチン!」

 

 だが、Aはそれよりも素早く放った切断光線である、バーチカルギロチンで、偽エースの右腕を斬り裂く。

 

 斬り裂かれた腕からは機械の部品やオイルが流れ出ていた。

 

 そして、その隙を狙っていたのか、偽ゾフィーが背後から襲いかかってきたのだ。

 

 偽ゾフィーの攻撃がAに当たりそうになった。

 

 だが、それをZが受け止める。

 

「お前の相手は、俺だ!」

 

 その叫びと共に、Zは腕を大きく振り上げて、殴り飛ばす。

 

 吹き飛ばされた偽ゾフィーだったが、すぐに立ち上がる。

 

 偽ゾフィーは、ロボットであるはずだが、怯んだ様子が見られる。

 

 そんな偽ゾフィーに対して、Zは蹴りを放つ。

 

 蹴りを食らった偽ゾフィーは大きく後退するが、反撃として、偽ゾフィーは光線を放った。

 

 Zはその攻撃を防御して、反撃にパンチを放つ。

 

 圧倒的なパワーでねじ伏せられ、偽ゾフィーは吹き飛んだ。

 

 偽ゾフィーは、すぐに立ち上がり、攻撃に転じる。

 

 偽ゾフィーの猛攻に対し、Zも応戦する。

 

 拳や足を使った攻撃の応酬が続く。

 

 しかし、偽ゾフィーは、押され、そして、Zはそのまま偽エースに向けて、投げる。

 

 二人の偽ウルトラマンが激突し、そのまま地面に叩きつけられる。

 

「決めるぞ、Z!」「えぇ、A兄さん!」

 

 それと共に構える。

 

 AとZは、両手を上に構える。

 

 それと共に、Zの頭にあるウルトラホールにエネルギーが集まる。

 

 そのまま、集まったエネルギーで片手に光球を生成してそのまま砲弾投げのように真っ直ぐと偽ゾフィーと偽エースに向けて投げる。

 

 その攻撃に対して、2体の偽ウルトラマンは反撃する事ができず、そのまま爆散する。

 

「はぁはぁ」

 

「ほぅ、あれが本物のウルトラマンAか。

 

 なるほど、ロボットでは敵わないという訳か」

 

 聞こえた声。

 

 それと共に見つめた先にいたのは、かつて麻中と相対した人物だった。

 

「お前、なんでこんな事を」

 

「人間が、異形の存在にどこまで挑戦できるか知りたい。

 

 そう言ったら」

 

「それだけか」

 

「あぁ」

 

「そうか。

 

 ならば、お前は、俺の敵だ」

 

 そう言い、麻中はディメンションナイザーを構える。

 

「お前が言う人間の可能性。

 

 それは反対に人間の可能性を狭くする。

 

 戦いだけが、人間の可能性じゃない」

 

「ほぅ、言うな。

 

 正直に言えば、君には仲間になって欲しい所だが、その様子では無理そうだな」

 

「あぁ、断らせて貰う」

 

「ならば、ここで少しだけ戦闘不能にさせて貰うよ。

 

 君は、厄介だからね」

 

 その言葉と共に、手に持った槍を構える。

 

「ならば、見せてやるよ。

 

 人間の可能性を、そのほんの一部をな」

 

 同時に麻中は構える。

 

 ディメンションナイザーを通じて、新たに召喚する事ができたウルトラ兄弟。

 

 彼らを通じて、得た新たな力を。

 

 同時にウルトラマンZとウルトラマンAはそのままディメンションナイザーに戻る。

 

 そして

 

『ディメンションウェア! ウルトラマン』

 

 その音声と共に、麻中を中心に光輝く。

 

 ディメンションナイザーは、そのまま麻中の胸元に来ると、それを中心に鎧が形成される。それは、どこか近代的であり、ロボットを思わせるアーマー。

 

 それには、麻中と対峙する曹操は笑みを浮かべる。

 

「君は、一体何者なんだ」

 

 その答えは、胸元にある青いランプを光らせながら。

 

「今は、ウルトラマンだ」



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光の力

新たな追加項目を入れさせて貰いました。
皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292936&uid=45956


眼前にいる曹操に対して、麻中はゆっくりと構える。

 

その両腕から機械の駆動音と共に光輝くのは、光の刃であるスペシウムブレード。

 

そのスペシウムブレードと一体化している両腕を構える。

 

対する曹操もまた、手にした黄昏の聖槍を真っ直ぐと構える。

 

聖書に出てくるだろう光を放つ黄昏の聖槍と宇宙の光を放つスペシウムブレード。

 

二つの光によって、周囲は夜の暗闇が一瞬にして打ち払われていくかのようだった。

 

そして麻中と曹操は同時に動いた。

 

まず先に仕掛けたのは麻中である。

 

麻中の右腕を、スペシウムブレードで斬りかかる。

 

それに対して、黄昏の聖槍を構え、穂先を前に突き出して防御の姿勢を取る曹操。

 

しかし麻中は構わずに、右腕を振り抜く。

 

――ギンッ! 金属同士が激しくぶつかり合う音が響き渡る。

 

だがそれは麻中の右腕を斬り落とすような事はなかった。

 

麻中の一撃を受け止めた曹操。

 

それと共に流れるように左腕のスペシウムブレードで曹操の胴を狙った。だがその攻撃も曹操は身を反らし、後ろに飛んで回避する。

 

――ギンッ! 再び、二人の刃同士がぶつかる音が響く。

 

麻中の攻撃を全て防ぎきった曹操だったが、麻中はまだ止まらない。そのまま一気にラッシュを仕掛けた。――ギンッ! ギンッ! ギンッ! と刃が衝突し合い、火花が散り続ける。

 

しかしそれも長くは続かない。

 

麻中のラッシュは凄まじいものだったが、それでも曹操はその全てを捌き切る。

 

だがそれだけではなかった。

 

その瞬間を狙っていたのか、麻中の攻撃の合間に曹操は麻中の腹部を殴る。

 

「ぐっ」

 

勢い良く放たれた拳に対して、麻中は腕をクロスさせてガードをする。

 

しかしダメージはあるようで苦悶の声を上げる。

 

そんな麻中に曹操は追撃をかける。

 

麻中の顔に向かって蹴りを放ったのだ。

 

――ドガッ! 鈍く重い音を立てて、麻中はそれをまともに食らう。

 

衝撃により麻中の体は宙に浮かび上がるが、すぐに体勢を立て直す。

 

それと共に、曹操は、槍の先端に光を集めていた。

 

それを喰らえば、危険だ。

 

麻中の中で危険信号が大きく響く。

 

だからこそ、麻中は、構える。

 

それと同時に、胸部のカラータイマーが赤く発光したリミッター解除する。

 

「・・・ほぅ、それはつまりタイムリミットという訳か」

 

「・・・違う、これはお前を全力で倒すっていう合図だ」

 

その言葉と共に、麻中もまた右手首の制御ユニットを左手首のコネクタに接続して十字に構える。

 

それを合図に、曹操の槍先からは真っ直ぐと光線が。

 

そして、麻中からは、スペシウム光線が放たれた。

 

二つの光の奔流はぶつかり合う。

 

そして激しい爆発が起きた。

 

その爆風によって二人は吹き飛ばされるが、すぐに立ち上がる。

 

「・・・ふむ、まだ立てるようだな」

 

曹操の言葉通り、麻中はまだ立ち上がってきた。

 

「だが、今日はここまでだな。

 

戦いは、またの機会としよう」

 

その言葉と共に曹操はその場から撤退する。

 

それが合図なのか、麻中はゆっくりと倒れるように気絶する。



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古の龍

 先日の戦いで気絶してしまった麻中は、翌日にすぐに回復していた。

 

「お前、本当は人間じゃなくて、ウルトラマンとかじゃないだろうな」

 

 その異常な回復力に、アザゼルは思わず呟いてしまう。

 

「どうなんだろう。ディメンションナイザーを通じて、確かにウルトラマンの力は感じていたけど」

 

「そういう物なのか、とにかく、お前が目覚めたのならば、ここからすぐに行動できるな」

 

「何があったんだ」

 

 気絶している間、麻中はその状況の変化に気づかなかった。

 

 それは、英雄派と名乗る存在が、この地の当主である八坂を利用した計画がある事が判明した。

 

「だったら、すぐにでも止めに行かないとな」

 

「おい、無茶をって」

 

 そう、アザゼルが止める前に、麻中はすぐに飛び出していた。

 

 だが、その身体能力は、人間を。

 

 いや、並の悪魔や天使を遙かに超えていた。

 

 それが何を意味していたのか、僅かだが理解した。

 

「ディメンションナイザー。ウルトラマンと繋がる為の道具。まさか、既に麻中の身体にも」

 

 そう言っている間にも、麻中は、走っていた。

 

 彼は、彼自身が、必死になっている事で気づかなかった。

 

 その速さは、道中の車を遙かに超える速さで走っている事に。

 

 やがて、何かの結界に気づく。

 

 それが、アブソリューティアンの結界とどこか似ている事に気づき、すぐに飛び込む。

 

 同時に、こちらを見下ろしている存在が見える。

 

 目的の場所の前で、まるで門番を思わせるように。

 

 ダークロプス・ゼロとニセウルトラセブンがいた。

 

「こんな時に」

 

「どうやら、間に合ったようだな」

 

 その言葉と共に、見るとそこにはガイがいた。

 

「ガイさんも」

 

「あぁ、道中、他の奴らとははぐれた。

 

 だが、急がなければならない」

 

「えぇ、ですけど」

 

「分かっている、あいつらは、俺がなんとかする」

 

 それと同時に、ガイはそのまま構える。

 

「セブンさん!」『ウルトラセブン!』 

 

「ゼロさん!」『ウルトラマンゼロ!』 

 

「親子の力、お借りします!!」『フュージョンアップ! ウルトラマンオーブ! エメリウムスラッガー!』

 

 オーブリングから鳴り響く音声と共に、ガイはそのままオーブリングを天に掲げる。

 

 それと共に、ガイの姿が大きく変わる。

 

「智勇双全、光となりて!」

 

 容姿は青い上半身に赤い下半身と、セブンとゼロの意匠を折り合わせたもので、正面の印象はゼロに似ているが、背面はセブンに準じたものとなっている。

 

 それこそ、親子のウルトラマンの力を使って変身したオーブの姿、エメリウムスラッガーだった。

 

 エメリウムスラッガーへと変身したオーブが、その眼前にいる2体の敵に対して、構える。

 

「ゼロさんとセブンさんの偽物相手。

 

 ならば、容赦しない」

 

 そのまま、オーブは真っ直ぐと構える。

 

 それを見たニセウルトラセブンとダークロプスゼロが襲い掛かる。まず、最初に攻撃を仕掛けたのはダークロプスゼロだ。

 

 ダークロプスゼロはその拳を振り上げて、一気に振り下ろす。

 

 しかし、それをオーブは左腕で受け止めた。

 

 そして、ダークロプスゼロの腕を掴んだまま、右腕を振るう。

 

 その攻撃もダークロプスゼロは回避する。

 

 次に仕掛けたのはダークロプスゼロの方だった。

 

 ダークロプスゼロは左手を伸ばすと、そこから光線を放つ。

 

 だが、それはオーブに当たる直前で軌道を変えてしまう。

 

 どうやら、光線の軌道を操ることが出来るようだ。

 

 ダークロプスゼロの攻撃を回避したオーブは、そのまま右手を伸ばして掌底打ちを叩き込む。

 

 それによってダークロプスゼロは大きく吹き飛ばされる。

 

 しかし、すぐに態勢を立て直すと、再び接近戦を挑む。

 

 それはニセウルトラセブンも同じだった。

 

 オーブに向けて、頭にあるニセアイスラッガーを手に取り、近づく。

 

 その刃を突き出してくるが、オーブはそれを左腕で弾き飛ばす。

 

 続けて、右脚による蹴りを放ってくるが、それも両腕でガードされる。

 

 更に今度はダークロプスゼロが、ゴーグルから発射される破壊光線を放つ。

 

 しかし、オーブはそれを回避する。

 

 それを追撃するように、ダークロプスゼロとニセウルトラセブンが同時に殴りかかる。

 

 その攻撃に対して、オーブは反撃を行う。

 

 まず、ダークロプスゼロの腹部に強烈な膝蹴りを放ち、怯ませる。

 

 そこに続いて、左拳による一撃を叩き込み、大きく後退させる。

 

 そして、その直後に背後から迫るニセウルトラセブンに対しては、回し蹴りを放った後に肘打ちを叩き込んだ。

 

 素早い動きで攻撃を繰り出していくオーブ。

 

 その攻撃を受けているダークロプスゼロとニセウルトラセブンは、反撃に移る余裕すら与えられない状態だ。

 

 それでもどうにか反撃を行おうとするが、悉く防がれてしまい、逆にダメージを受けることになる。

 

 一方で、オーブの戦い方には隙が無い。

 

 その為、ダークロプスゼロとニセウルトラセブンはすぐに攻めあぐねていた。

 

 このままでは不味いと思ったのか、二人は一度距離を取ると、必殺技を発動する構えに入る。

 

 それを見たオーブは、瞬時にアイスラッガーを手に取り、二つの刃であるゼロスラッガー。

 

 3つの刃を同時に操り、二人の技を受け止める。

 

 ニセウルトラセブンはすぐに自身のアイスラッガーで防御しようとする。

 

 だが、その激しい斬撃を完全に防ぐ事ができず、激しい閃光と共に爆発が起こす。

 

 それと共にダークロプスゼロは後方へと飛び退き、距離を離す。

 

 しかし、その直後にダークロプスゼロは胸のディメンションコアを展開する。

 

 その攻撃の危険性を、オーブは理解していた。

 

「ここで、倒す!」

 

 それと共にオーブは腕をL字型に組む。

 

「ワイドスラッガーショット!」

 

 その叫びと共に放った必殺光線。

 

 同時にダークロプスゼロが放った光線が、激突する。

 

 二つの光が激突した。

 

 激突した事で威力が増したのか、ダークロプスゼロの光は一瞬にしてワイドスラッガーショットを飲み込む。

 

 それによって、ワイドスラッガーショットは完全にかき消された。

 

「なんとか、倒せたのか」

 

 そう、安堵の息を吐いている時だった。

 

 京都から溢れ出る闇。

 

 それは、英雄派が八坂を利用して行った計画によって出てきた物。

 

 それらは、巨大であった。

 

 だが、その闇は、黄金の光によって、一つの形に纏められていく。

 

「……まさかっ」

 

 それと共に、麻中も、ガイもまた、その存在の正体が何か、理解できた。

 

「マガタノオロチ」

 

 その存在に、構える。



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オロチを滅する炎

新たな募集項目を、行っています。
皆様の応募、お待ちしています。
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 無数の触手に覆われ、蛇のように伸びたマガオロチの首が複数巻きついた丸っこい身体に巨大な口が覗くワニのような顔が付いているという、かなりグロテスクな姿をしている怪物、マガタノオロチ。

 

 それは、かつてオーブが倒した最強の魔王獣である。

 

「事情は、あとで調べる! 今は、ここでマガタノオロチを倒す!」

 

 その脅威を知っているオーブは、復活の理由を知るよりも前に、真っ直ぐとマガタノオロチに向かって、走る。

 

「超ウルトラノック戦法!!」

 

 その叫び声と共に放たれたアイスラッガーと二つのゼロスラッガー。

 

 3つの刃を自在に操りながら、マガタノオロチに向かって、降り注ぐ。

 

 しかし、マガタノオロチはまるで分っていたかのように、三つの攻撃を簡単に受け止める。

 

 さらには、身体から無数の触手を生やすと共に、それらの攻撃を弾く。

 

 だが、そんなことは想定済みだ。

 

 そして、次の瞬間にはオーブは、右腕を真横に伸ばしながらエネルギーを溜める。

 

「エメリウムスラッガースペシウム!!」

 

 再び腕を十字に組んで発射し、マガタノオロチに向けて放つ。

 

 しかし、マガタノオロチは攻撃に対して大きく口を開く。

 

 そのまま、オーブから放たれた光線を喰らう。

 

「ぐっ、やはり、この能力は厄介だっ!」

 

 マガタノオロチによって、光線が喰われる。

 

 それを理解すると共に、瞬時に、光線を放つを止める。

 

 そして。

 

「俺の名はオーブ! ウルトラマンオーブ!! 銀河の光が、我を呼ぶ!!」

 

 瞬時に、オーブオリジンへと変身すると共に、その手に持つオーブカリバーを縦横無尽に振り回しながら、マガタノオロチに立ち向かっていく。

 

 それは、以前の時以上に高速かつ苛烈に斬りかかる。

 

 だが、マガタノオロチはそれを軽々と回避する。

 

 それと同時に、今度は、マガタノオロチが攻撃を仕掛けてきた。

 

 無数の触手を伸ばし、同時に口を開けてオーブを飲み込もうとする。

 

 だが、オーブカリバーで、口を無理矢理開かせる。

 

 しかし、マガタノオロチがオーブに向けて、雷を放った。

 

 咄嵯のことであり、避ける間もなく直撃を食らったオーブは吹き飛ばされてしまう。

 

 地面を転げ回る。

 

「ぐっ、以前よりも、強くなっている」

 

 以前戦った時よりも多くなっているマガタノオロチの能力に驚きながらも、どうにか立ち上がる。

 

 その手に持つオーブカリバーを強く握り締める。そして、剣先を向けて、構える。

 

 それと同時だった。

 

 マガタノオロチに向かって、何かが襲い掛かる。

 

「大丈夫かっ、ガイ!」

 

「ガウマか」

 

 マガタノオロチに攻撃を仕掛けたのは、ダイナレックスだった。

 

 オーブとダイナレックス。

 

「だけど、どうする? 

 

 こいつ、相当強いだろ」

 

「あぁ、あの時のように弱点はない。

 

 どうすれば」

 

「おいおい、弱気になってどうするだよぉ」

 

 同時に聞こえた声。

 

 それと共にさらにマガタノオロチに向けて、追撃するように放たれた炎。

 

 見れば、その先にいたのは怪獣だった。

 

「なっ、こんな時にまた」

 

「いや、待て。お前まさかジャグラーなのか」

 

 すぐに警戒したダイナレックスだが、それをオーブが止める。

 

 その怪獣の正体。

 

 それは、ジャグラーだった。

 

「ゼッパンドン、なぜ」

 

「お嬢ちゃんが俺を呼び出して、この姿にしてくれたんだ。

 

 まぁ、本家の魔王獣にどこまで対応できるか分からねぇけどな」

 

 そうしながら、マガタノオロチを睨む。

 

「あぁ、確かにこの3人だけではな。だけど」

 

「あぁ、頼めるか、麻中」

 

『ディメンションロード! オーブリング! 

 

 その言葉に、麻中の手元にはオーブリングが現れる。

 

 それと共に、その手にはオーブオリジンと、ダイナゼノンのカードがあった。

 

「やってみるしかないか」

 

 その言葉と共に、そのままスキャンする。

 

「オーブさん」『オーブオリジン』

 

「ガウマさん」『ダイナゼノン』

 

「光龍の力、お借りします!!」

 

 その言葉と共に、姿が変わる。

 

 同時にダイナレックスは、様々なパーツに分離し、オーブに身に纏う。

 

 足首はダイナレックスの鋭い爪が前になり長い尻尾が生えた半人半獣の姿。

 

 

 

 そして、その手にはダイナソルジャーがオーブカリバーと一体化した巨大な剣となる。

 

「ウルトラマンの力を受け入れ、ウルトラマンを異なる力と合わせるとは」

 

「細かい事はどうでも良い! 今はこれで、なんとかするぞ、ガイ!」

 

「あぁ、行くぞ!」

 

 その言葉と共にオーブは手に持った大剣と共に、走り出す。

 

 それはダイナレックスと一体化した事によって、より巨大な足音となり、地面を揺らす程の振動を巻き起こす。

 

 そして、そのまま大きく跳躍して、空中から一気に大剣を振り下ろした。

 

 しかし、それを巨大な口で受け止めるマガタノオロチ。

 

 互いに拮抗した状況の中、オーブはニヤリと笑う。

 

 それにつられるように、マガタノオロチもまた、笑みを浮かべると、口元からブレスを発射した。

 

 だが。

 

「オーブウォーターミサイルキック!」

 

 その叫び声と共に、その脚から放たれたミサイルが、マガタノオロチのブレスを相殺する。

 

 そのまま着地すると、両肩に備えられたキャノン砲に風のエネルギーを溜める。

 

「オーブウインドペネトレーターガン!」

 

 高速回転しながら放たれた風をまとったビームを放つと同時に、マガタノオロチの背後に回り込んだ。

 

「オーブグランドフィンガーフォトン弾!」

 

 同時に指先から放たれたのは岩の塊だ。

 

 マガタノオロチはその2つの攻撃を受けると、全身から紫の血を流しながら倒れこんだ。

 

 それと同時に、オーブは、そのまま宙に飛ぶ。

 

「一気に決めるぞ、ガウマ!」

 

「あぁ!」

 

 その言葉と共に、オーブはその大剣を構える。

 

『解き放て、オーブの力!』

 

 

 

 その音声と共に、身体から溢れ出るオーラが、大剣に巨大なエネルギーの刃となる。

 

 それは緑色であり、光り輝いている。

 

 そして、それを、真っ直ぐとマガタノオロチに振り下ろす。

 

 すると、まるでガラスを割ったかのような音を立ててマガタノオロチは光の中へと吸い込まれ、消えていく。



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悪党と英雄

その京都で起きている出来事は、まさにこれまでの歴史にない多くの出来事である事は間違いなかった。

禍の団によって、京都の妖怪達の統領である八坂はとある実験を行われた。

 

「お前達は、何をやっているんだっ」

「何、英雄が挑むべき敵を作り出すのが、目的だよ」

「英雄が挑むべき敵だと」

 

その言葉に、兵藤は構える。

 

「異世界にある奇妙な道具であるデビルスプリンターと九尾の魔力、そしてこれを使う」「それは」

「俺達が見つけ出した八岐大蛇の欠片。これを使って擬似的に生み出すのさ、八岐大蛇を」

「なっ」

 

名前だけならば、知っているその存在に、思わず声を出さずにはいられない。

 

「そんな事をしたら、どうなるのか、分かっているのかっ」

「あぁ、とても挑み甲斐がある敵になるだろうなぁ!」

 

その言葉と共に曹操は、その手に持った八岐大蛇の欠片を宙へと飛ばす。

 

それと共に八岐大蛇の欠片を中心に、闇が集まり、そして光に包まれる。

 

そうしてマガタノオロチが誕生した。

 

「ぐっ」

「ほぅ、これはなかなか、さて、どれ程の実力か」

 

その笑みと共に目を向けたのは、ウルトラマンオーブだった。

 

ウルトラマンオーブは、マガタノオロチに襲い掛かる。

 

その戦いを、見る限り、オーブはかなり苦戦している。

 

「ほぅ、あのウルトラマンでもここまで追い詰めるとは、これは」

「お前、あれを見て、そんな事を言えるのかっ」

 

それに対して、兵藤は思わず叫ぶ。

 

「あぁ、言えるさ、奴を倒せば、さらに上に行ける。

俺達はな」

 

同時に見れば、そこには曹操が引き連れている禍の団のメンバーだった。

 

それが意味をするのは仲間達が戦闘で負けた事を意味をする。

 

「お前っ」

「さて、ここからだ。

ウルトラマンが倒された後、奴を「お前達如きがマガタノオロチを倒せるとは思えないけどなぁ」誰だ」

 

聞こえた声、それは兵藤にとっては聞き覚えがあった。

 

見ると、そこには新条がおり、その隣には黒いスーツの男性がいた。

 

その人物に見覚えがあった。

 

「あんたは、確かジャグラス・ジャグラー!」

「よっ、久し振り。にしてもこっちの世界でも、また面倒な奴がいるもんだなぁ」

「お前は、確かジャグラス・ジャグラー、光に選ばれなかった存在か」

「そんな情報までそっちに渡っているか、だが、まぁ良い、おい、あれはいけるか」

「一応ね、という事は見せてくれるんだね」

「まぁな」

 

ジャグラーは一通り喋り終えると同時に、新条へと目を向ける。

 

「それじゃ、やるとするかぁ」

 

同時に獰猛な笑みを浮かべながら、構える。

 

『ディメンションロード!ダークリング』

 

鳴り響く音声、それと共にジャグラーの手元に現れたのはダークリング。

 

そして、二つのカードだった。

 

「ゼットンさん」『ゼットン』

「パンドンさん」『パンドン』

「闇の力、お借りします!」『超合体!ゼッパンドン!』

 

鳴り響く音声と共に、ジャグラーの姿は大きく変わる。

 

それは、一言で言えば、禍々しい龍だった。

 

「あれは、邪龍なのか?」

「違うよ、あれはゼッパンドン!二つの怪獣が合体した魔王獣!その強さは本当にヤバいんだからぁ!!」

 

それを見て、疑問に思った兵藤とは正反対に、新条は興奮している様子だった。

 

「さて、あいつらを少しからかっていくか。

おい、坊主、お前にも出番をやるから、やる気を出せよ」

「えっちょっ」!!」

 

そう、ゼッパンドンに変身したジャグラーはすぐにその場から去って行った。

 

強力な助っ人が登場したと思ったら、次の瞬間にはいなくなった。

 

その事に、少なくとも驚きはあったが、それでも同時に兵藤にも変化は確かにあった。

 

彼の中にある歴代赤龍帝達の声。

 

それが、兵藤の中にある可能性を引き出した。

 

最も、その覚醒方法を見た新条は

 

「うわぁ、最悪」

 

そう呟いてしまった。

 

だが、その力は確かに圧倒的だった。

 

覚醒した力を持ち、兵藤は真っ直ぐと曹操に向かって行く。

 

「曹操っ、ちっあの野郎!」

 

そう言いながら、ヘラクレスがすぐに助けに入ろうと向かおうとした。

 

だが

 

「おいおい、邪魔をしてやるなよっと!!」

 

聞こえたジャグラーの叫び声と共に、ヘラクレスは吹き飛ばされる。

 

それは、ジャグラーの変身したゼッパンドンの炎球によって、ヘラクレスを吹き飛ばした。

 

「なっ、お前はっ、なぜっ」

「言っただろ、少しからかってくるってな!」

「ならば、これはどうだぁ!!」

 

その言葉と共に、ジャグラーに向かって、振り下ろされた3つの刃。

 

その刃はどれもが、ドラゴン殺しの名を持つグラムなど、強力な魔剣である。

 

だからこそ、ゼッパンドンには効果があると考えていた。

 

だけど

 

「なんだ、それ、からかっているのか?」

「なっ!」

 

それらを簡単に吹き飛ばしてしまう。

 

「馬鹿な、ドラゴン殺しのはずなのに」

「あぁ、勘違いしているようだな、俺は龍じゃないんだよ」

「えっ、そうなの?ゼットンって、宇宙恐竜だから、ドラゴンじゃないの?」

「それは、知らないよ」

 

そう、まる蚊に刺された程度としか認識していないのか、軽く吹き飛ばす。

 

「だったら、この子はどうなの!」

 

それと共にジャンヌが生み出したのは、聖剣で形作った巨大なドラゴンだった。

 

そのままドラゴンは、真っ直ぐとゼッパンドンに向けて、攻撃を放とうとした。

 

だが、そのまま掴むと共に、噛み砕く。

 

「なっ」

「不味いな、まったく」

「ドラゴンを喰らったですってっ」

「まったく、英雄という奴らは、本当に歯応えがない奴らばかりだねぇ!!」

 

同時にゼッパンドンは尻尾で、周囲にいた英雄派を吹き飛ばす。

 

「さて、少しは大人しくしていろよなぁ!!」

 

同時に英雄派を無視して、暴走している八坂をシールドで押さえ込む。

 

「さぁ、あとは任せたぞ!ガイ!!」

 

それと共に叫んだ声。

 

同時に空を見れば、そこにはオーブが立っていた。

 

「コスモスさん!」『ウルトラマンコスモス』

「Xさん!」『ウルトラマンX』

「癒やしの力、お借りします!」

 

その言葉と共に、オーブの姿は変わる。

 

その姿が変わると共に、空でザナディウム光線のような電流状エフェクトを発生させながら大きく振りかぶる。

 

「フルディウム光線!」

 

正面に向き直りながらフルムーンレクト状の光線を放つ。

 

それによって、暴走していた八坂が徐々に治まり始める。

 

その奇妙な共闘。

 

徐々に、ゆっくりと暴走が治まる。

 

それによって、この京都の事件が終結を向かえる事になった。

 



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修学旅行の終わりに

京都での修学旅行は、麻中にとっては大きな想い出と共に、確かな成長を実感した出来事であった。

 

力を貸してくれているウルトラマンオーブことガイと、別の時空で活動しているダイナレックスことガウマとの出会いによって、さらに大きな一歩へと進む事ができた。

 

京都から旅立つ頃には、既に2人はまた別の世界へと旅立った。

 

それでも、彼らは何時でも力を貸してくれるのを、麻中は知っており、それが手の中にあるディメンションナイザーが証拠だと、確かに理解している。

 

そして、修学旅行を終え、そのまま久し振りの家に帰る事にした。

 

留守を任せていた黒歌に対するお土産を手に帰っていた。

 

だが。

 

「やぁ、久し振りだね、麻中君」

「お前はっ」

 

そんな麻中の前に現れたのは、アブソリューティアンの巫女だった。

 

未だに、その正体が分からないその存在に対して、警戒心を高めると共に構える。

 

「あらあら、そんなに警戒しなくても良いのに。私は話をしたいだけなのに」

「お前らが、この地球で、何かを企んでいる。それを警戒しない訳にはいかないだろ」

「そうか、それは残念です。せっかくデートに誘おうと考えていたのですが。まぁ、こんな夜中ですからね」

 

そう言うと共に、既に巫女はその手を構えた。

 

「今日は、少し運動をしてから、帰りましょうか」

 

その獰猛な笑みと共に、現れた存在。

 

その言葉と共に現れたのは、全身が氷の鎧で形成された宇宙人、グローザ星系人、

 

その中でも悪名高い宇宙人であるグローザムだった。

 

「お前が、ウルトラマンを召喚する地球人か、ならば、ここで凍え死ぬが良い!」

 

そう、麻中に向けて、放とうとした氷の息。

 

だが、その氷の息を吐く前に、グローザムは吹き飛ばす。

 

「おいおい、いきなりそんな冷たい事を言うんじゃねぇぞ」『ディメンションロード!ウルトラマンゼロ!』

 

それは、ディメンションナイザーから既に召喚されたウルトラマンゼロによる蹴りだった。

 

気づく事ができなかったグローザムだが、瞬時に地面に剣を刺しながら、体勢と整え直す。

 

「貴様はっ、ウルトラセブンっ」

「違うな、俺はゼロ!セブンの息子だ」

 

かつて、ウルトラマンメビウスと戦ったグローザム。

 

その際、メビウスの元に助っ人として来たのが、セブンだった。

 

その事もあり、グローザムの中には、メビウスへの恨みは勿論、同時にセブンに対して憎しみがあった。

 

「そうか、だったら、貴様を刻み、セブンへの手土産にしてやる!!」

「やれるもんだったら、やってみやがれ!!」

 

グローザムの挑発に対して、ゼロもまた構えると共に走り出す。

 

グローザムの特徴である冷気を纏った攻撃は、剣と共に放っていく。

 

しかし、ゼロもまたゼロスラッガーを両手に構え、戦う。

 

襲い掛かる斬撃に対して、ゼロスラッガーで受け流すと共に、蹴り上げる。

 

しかし、その蹴り上げると共に違和感を感じる。

 

「なっ」

 

それは、蹴りを放った部分から、既に凍っていた事。

 

「この俺がウルトラマン達に対策をしないと考えていないと思ったか!貴様らは寒さに弱いならば、その攻撃を全て凍らさせる絶対零度を纏えば良い!!」

 

そうしながら、さらに追撃するようにグローザムは襲い掛かる。

 

「へぇ、そうかよ、だったら、そんな氷、簡単に燃やしてやるよ!!」

「何を言って」

 

そうグローザムが言い終える前に、ゼロの姿は既に変わっていた。

 

先程まで青と赤の二色が混じった姿から、一変、身体のほとんどが赤く染まった姿へと変わる。

 

「ストロングコロナゼロ!!」

 

同時に、そのまま、真っ直ぐグローザムに向かって、殴る。

 

その一撃を食らうと共に、グローザムはその身体に変化した事に気づく。

 

「なっ?俺の身体が溶けているだとっ!!」

「さぁ、俺のビッグバンは、もう止められないぜ!」

 

その言葉と共に、ゼロは真っ直ぐとグローザムに向けて、殴っていく。

 

その度に、ストロングコロナへと変わった事によって、次々と放った攻撃によって、グローザムは溶かされていく。

 

「ぐっ、この俺がっこんな所でぇ!!」

「ガルネイトバスター!!」

 

その叫び声と共に、グローザムの腹部に向けて、腕から撃ちだす、高熱エネルギーを放つ。

 

それによって、グローザムはそのまま空高くまで飛ばされ、爆散する。

 

それによって、戦いの決着がつく。

 

「なんとかなったか、けど」

 

それと共に見つめた先に見えたのは、アブソリューティアンの巫女の姿はなかった。

 

しかし。

 

「ふふっ今度はあなたの学校の学園祭に遊びに行くわ」

「ちっ」

 

それが、何を意味をするのか、察する事ができてしまった麻中は舌打ちをしてしまった。



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文化祭に備えて

「・・・それで、本当にその日に奴が来るんだな」

 

アブソリューティアンの巫女から、既に襲撃する予定を聞いていた事もあり、麻中は既にアザゼルに相談を行っていた。

 

アブソリューティアンの脅威に関しては既にアザゼルもまた警戒しながら、見つめる。

 

「あぁ、おそらくは間違いない。

あの巫女が、何を企んでいるのか、分からないけど、このままじゃ危険だ」

「それで、俺に相談か、まぁ、それは良いけど、あいつらには相談しないのか?」

「リアス先輩達は、今の時期は忙しいんだろ」

 

麻中は既にゼノヴィアから話を聞いていた。

 

彼らは近く、レーティングゲームでの大事な試合を控えている。

 

それは、彼らの夢の一歩に踏み込む為の大事な試合である。

 

詳しい内容は、麻中は知らない。

 

「そうか、まぁ、この事を知ったら、あいつらは後で怒るかもしれないけどな」

「だとしてもだ。夢を手放させる訳にはいかない」

「お前のそれは傲慢じゃなければ良いけどな。だけど、分かった。

とりあえず、もしもの時は一般人に関しては、俺に任せておけ」

「ありがとうございます、先生」

 

そう、麻中は頭を下げる。

 

だが、そんな麻中に対してアザゼルは、ため息を吐く。

 

「それにしても、お前は、恐怖はないのか」

「恐怖、それは一体、何に対する」

「お前自身、既に気づいているんだろ。その力、既にウルトラマンに近付きつつある事に」

 

その一言に麻中は、目を見開く。

 

「気づいていたんですね」

「修学旅行で、あんな動きをしたら誰だって気づくわ」

 

そう呆れながら言う。

 

「・・・まぁ、確かに怖くないと言われたら、嘘になりますね。だからこそ、大事にしたいんです」

「恐怖をか?」

 

アザゼルの言葉に対して、麻中は頷く。

 

「・・・ウルトラマンは、決して神ではない。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある。

そして、神ではなくても、その力は、とても強い」

 

それは、ウルトラマンと多くの戦いをくり広げた麻中だからこそ、言える言葉だった。

 

「大いなる力には、大いなる責任が伴う。

だからこそ、俺はこの恐怖は、それを忘れさせない為に必要な物だと思う」

「そうか、ある意味、お前はウルトラマンに選ばれた理由は分かった気がするよ」

 

そう、呟いたアザゼル。

 

だが、その一言を聞いた麻中に、小さな疑問ができた。

 

「・・・だったら、あいつは、なんでアブソリューティアンに選ばれたんだ」

 

アブソリューティアンの巫女と名乗った彼女は、なぜアブソリューティアンに選ばれたのか。

 

彼らへとどこまでも従おうとするその心は何か。

 

それが、なぜか麻中は自分とどこか重なってしまう。

 

「その答えを知る為にもか」

 

来る日に向けて、麻中はある意味、覚悟を決めた。



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準備

 文化祭が近づいている。

 

 それは、ある意味、麻中にとってはまさに決戦の日が近づいている事を理解させる。

 

 アブソリューティアンの巫女。

 

 その存在が、何を企んでいるのか。

 

 それを知る為の日。

 

 だが、そんな麻中の思いとは別に、怪獣達の襲撃は未だに終わりを迎えない。

 

『ディメンションロード! ウルトラマンガイア!』

 

 ウルトラマンガイアが、地上に降り立つと同時に、眼前にいる敵を見つめる。

 

 骨と筋肉が逆転した様な姿に扇の様に発達した左腕が特徴的な存在である、デスレムがガイアを見つめる。

 

「ほぅ、別の次元のウルトラマンか、さて、貴様はどのような戦いをするのか、楽しませて貰うぞ!」

 

 デスレムは、その一言を言うと共に、左腕を真っ直ぐと構える。

 

 それに対して、ガイアが一瞬、構える。

 

 同時に空に変化が起きた。

 

 それに気づき、ガイアが見つめた先は、空間が歪んでいた。

 

 何かが来ると警戒したガイアの答えは、すぐに分かった。

 

 歪んだ空間から現れたのは火球だった。

 

 それも一つだけではなく、複数。

 

 真っ直ぐと襲い掛かる火球に対して、ガイアはすぐにその場で避ける。

 

 それと同時に先程までガイアがいた場所には、火球が爆発し、大きな穴が出来ていた。

 

 一軒家を一つ、軽くできる程の大きさが、火球の威力の高さを分からせる。

 

 それと同時に見上げた先には、未だに火球が襲い掛かってくる。

 

 すぐに避けようとしたガイアだが、火球の狙いはガイアではなかった。

 

「くくくっ」

 

『まさかっ!』

 

 ガイアはすぐに走り出した。

 

 火球が向かった先には、麻中が立っていたからだ。

 

 ガイアはすぐに麻中の前に立つと同時に、両手を広げて、赤いエネルギーシールドを形成する。

 

 円形に回るそのシールドは、襲い掛かる火球からガイアと麻中から守る。しかし、数発を防ぐも限界があり、何発もの火球を防ぎきれず、爆発する。

 

 爆煙に包まれた中で、ガイアは両腕で顔を守る様にして耐えている。

 

 その隙を狙っていたかのように、煙の中から一筋の光が飛んでくる。

 

 それはガイアの首に、デスレムの左腕によって掴まれる。

 

 そして、そのまま地面へと叩きつけられた。

 

 地面にクレーターが出来る程の衝撃を受け、ガイアの動きが止まる。

 

「ふんっ!」

 

 デスレムはそのままガイアを蹴り飛ばす。

 

 地面に大きく転がりながら、建物を壊していく。

 

 そして、転がった先に向けて、デスレムは再び火球が放たれる。

 

「くそっ」

 

 ガイアは何とか立ち上がろうとするが、ダメージが大きく上手く立ち上がる事が出来ない。

 

 その間にも迫る火球を見て、ガイアが立ち上がる。

 

 それと同時に 両手を縦に大きく広げて光球を作り出す。

 

 そのまま、ガイアは降り注ごうとする火球に向けて、放った。

 

「その程度の攻撃で、何がっなぁ!?」

 

 光球は、そのまま火球を通り過ぎ、上空で弾け飛ぶ。

 

 それと共に降り注いだのは、水だった。

 

「どうなっているっ、貴様っ何を!」

 

『アグルの力を借りた』

 

 それは、ガイアに宿る大地の力、そしてもう一つ。

 

 アグルの海の力が備わっている。

 

 その海の力を使い、作りだした光球。

 

 それを、空で弾け飛ばす事によって、一時的に雨を降らせる。

 

 普通の雨ならば、その火球を消す事はできない。

 

 だが、アグルの海の力が備わったその雨は、デスレムの火球を簡単に消す事ができた。

 

「ウルトラマンがぁ!!」

 

 そう、デスレムが叫んでいる間に、既にガイアは次の動きに移っていた。

 

 ウルトラマンガイアが自身とアグルの光の力を最大に解放しヴァージョンアップした最強の形態、スプリーム・ヴァージョンに変わっていた。

 

 メインカラーに青が加わったほか、赤や黒部分の面積も増し、何よりも傍目にも分かりやすい特徴として、体格が驚くほどマッチョになっていた。

 

 そんなガイアに対して、デスレムはすぐに反撃に移る。

 

 右手から放つ熱線、左手からは炎を纏った爪による斬撃。

 

 どちらも直撃すれば大ダメージを受ける事になるが、その分威力も高い。

 

 しかし、ガイアは、その左手を掴む。

 

 それと共に、背負い投げを繰り出す。

 

 地面に叩きつけられたデスレムだったが、すぐに立ち上がり、拳を放つ。

 

 それに対して、ガイアはデスレムの拳を受け流しつつ、デスレムの胴体を掴み、そのまま持ち上げる。

 

 そのまま、一本背負いで地面へと叩きつける。

 

 だが、それで終わりではない。

 

 起き上がると同時に殴りかかるデスレムに対し、そのままデスレムの頭を抱えたまま、宙に飛び、そこから勢いよく後頭部を叩きつけたのだ。

 

 これは、プロレスで言うところのブレーンバスターだ。

 

 それによって、完全に倒れ込んだデスレムに向けて、そのまま振り向きながら、大きく構える。

 

 それと共に合掌するように構えながら、合掌した状態から右手を下にずらして生まれた隙間から発射する。

 

 そうした光線を、真っ直ぐとデスレムは受け、そのまま爆散する。

 

 それが、戦いの決着が終わると共に、ガイアはそのままディメンションナイザーへと戻す。

 

「お見事です、まさかここまでの力を発揮するとは」

 

「誰だ」

 

 聞こえた声、同時に振り向くと、そこには黒いスーツの男性がいた。

 

 どこにでもいる普通の人間。しかし、麻中は、その異常な気配に警戒する。

 

「警戒しなくても大丈夫です。私はあなたと戦うつもりは今はありません。戦うとしても、互いにフェアでなければ」

「……一体何者だ、お前は」

「そうですね、自己紹介からしないといけません。互いの事を知る為に」

 

 それと共に笑みを浮かべながら、男は懐から名刺を取り出す。

 

「私の名はメフィラス。別の宇宙から来た存在であり、現在はアブソリューティアンに雇われ、とある役割に当てはめられた者です」

「メフィラス」

 

 その名を聞くと、さらに警戒する。

 

 ウルトラマンは数多くの敵と戦ってきた。

 

 その中でもメフィラス星人は警戒すべき敵であるのは、間違いなかった。

 

「……それで、俺に何の用だ」

「何、個人的な興味があって、来たのです。ウルトラマンと同じ力を持ち始めた人間にね」



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居酒屋での会話

 17時頃、学生達が既に帰り道で賑わっている時。

 

 居酒屋のカウンター席に二人の男がいる。

 

 学生服を身に纏っている青年であり、その目の前には未成年だからか、ソーダが一杯、置かれている。

 

 その隣にいる男性はスーツであり、青年よりも年上である事もあり、熱燗を飲んでいる。

 

「君は、こういう店は来るのは初めてかな、麻中君」

 

 男性は、そのまま隣の席に座る青年、麻中に問いかけるように言う。

 

 それに対して、麻中はソーダを一口だけ飲むと。

 

「普段からは来ないよ。それで、お前は何の目的で俺と話をしにきた、メフィラス星人」

 

 そう、麻中は、人間に擬態している宇宙人、メフィラス星人に向けて、問いかける。

 

「言ったはずだ、これは私の純粋な興味だと……私は君の事を知りたいだけだ。何せ、地球を守るヒーローの一人だ。そんな存在からすれば、この世界の住人達はどのように映っているのか、それが気になったんだ」

 

 そして、麻中の問いに対して、メフィラスは素直に答える。

 

 しかし、それはただ単に好奇心だけで来た訳ではない。

 

 それは、メフィラスと言う人物の性格的に分かるだろう。

 

 それでも、麻中は警戒を続けた。

 

 メフィラス星人は、過去に何度もウルトラマンと激戦を繰り広げた強敵。

 

 彼自身が、別の宇宙から来たメフィラス星人だとしても、油断してはいけない相手である事は間違いない。

 

 だからこそ、麻中は決して、視線を逸らさない。ただ単純に眼前の相手を観察するように見つめていた。

 

 居酒屋という空間の中で、お互いの間に沈黙が訪れる。

 

 ただし、それは険悪な雰囲気とは程遠いものであり、穏やかとも言えるものだ。

 

 ただ単に話をするだけの時間が続く。その間にも店内では常連客の声や店員の接客などが聞こえてくる。

 

 そんな中で、先に声を上げたのはメフィラスだった。

 

「……ふっ、まあ良いさ。私は暴力が嫌いだからね。それに酒が入っているからね」

 

 そうメフィラスは口にすると、カウンターに置かれた徳利を手に取り、中身を空けてしまう。

 

「私にとっては、酒を呑むというのはの楽しみだからね」

 

「…………」

 

 その言動からも分かる通り、メフィラスは地球人への理解が深い。

 

 勿論、メフィラス自身にも考えがあっての事だが、少なくとも表面上は友好的に接していると言える。

 

 それだけでも、やはりメフィラス星人に対する評価は高いものであった。

 

 しかし、麻中にはまだ疑問が残る。それをここで改めて聞いてみたのだ。

 

「それで、お前の所の目的はなんだ?」

「アブソリューリアンの目的は、既にあなたも知っている通りです。

 ですが、アブソリューティアンの巫女は、目的は違うようですが」

「それは知っている。

 お前は、それを何か知っているのか?」

「……そうですね、彼女は人間に対しては敵意はありません。それこそ、あなたを気に入っているらしいです」

「だったら、なぜ」

「そこは君が直接聞くと良いでしょう。

 さて、ここの料理もなかなかに満喫できました」

 

 と、そんな事を考えている内にメフィラスは会計を済ませてしまったようである。

 

 それにしても早いと感じつつも、自分も少し急いでしまった。

 

 そのお陰か、まだ勘定は終わっていなかったようで安心する。

 

(……)

 

 店の外に出ると同時に、メフィラスは自分の姿を変化させた。

 

 その姿は先程までの人間形態ではなく、全身が黒く、手足や胴回りが細身なのが特徴な姿だった。

 

 それはメフィラス星人の特徴を色濃く表した形状だ。

 

 この姿こそ、メフィラス星人の本当の姿だろう。

 

「始めましょう、これも私の仕事ですので」

 

 それが、既に戦いは避けられない事を理解できた。

 

「どうしてもか」

「えぇ、残念ながら。

 ですから、見せてください、あなたとウルトラマンの力を」

 

 そのメフィラスの言葉に対して、麻中もまたディメンションナイザーを構える。

 

「行きましょう、マックスさん」

『ディメンションロード! ウルトラマンマックス!』

 

 鳴り響く音声と共にディメンションナイザーから飛び出たウルトラマンマックスは、そのまま眼前のメフィラス星人を見つめる。

 

 夕焼けに染まる街をバックに、マックスとメフィラスの2体の巨人が向き合う。

 

 それと同時に、戦いが始まる。

 

 マックスの、その最速の動きが、メフィラスに迫る。

 

 それをなんとか見る事ができたメフィラスは、すぐに対応する。

 

 マックスよりも速く動く事ができないメフィラスだが、その無駄のない動きで、マックスの攻撃を受け流す。

 

 そして、そのまま、カウンターを決めるのだ。

 

 マックスは、そのカウンターの攻撃に対しても、真っすぐと受け止める。

 

 同時に、すぐに大きく蹴り上げる。

 

 メフィラスは、身体が上へと浮き上がり……そこからまたもや、下から振りかぶるようにして、マックスの右拳を振り払う。

 

 それは、まるでスローモーションのようにゆっくりとした動きで……しかし、それだけに迫力があった。

 

 そして、その瞬間だった。

 

 何が起きたのか分からないほど、一瞬の間に、メフィラスの腕が、マックスの視界から外れていた。

 

 マックスの目には見えなかったのだ……。

 

「っ!」

 

 それは、一瞬だけ視界から逸らした事で、メフィラスがアッパーを行うように拳を突き上げている事に気付けなかった。

 

「知略に長けているというのは、本当に厄介だな」

 

 純粋な戦闘力は高く、そして知略も長けている。

 

 それでも。

 

「諦める訳にはいかない」

 

 その麻中の言葉と共鳴するように、マックスの動きはさらに加速した。

 

 まるで、麻中とマックスが一つになったように。

 

 その動きは先程とは比べ物にならない程に、残像を残す程の速さで。

 

「これは、まさかウルトラマン自身の潜在能力を解放させている! ディメンションナイザー、実に興味深い!!」

 

 そう言うや否や、メフィラスはそのまま拳を握って突き出した片腕から放つ必殺光線グリップビームを放つ。

 

 同時に、マックスの右腕にはマックスギャラクシーを装着すると共に、そのマックスギャラクシーにエネルギーを貯める。

 

 そのまま、互いに必殺光線を放つ。

 

 互いの放たれた光線は、拮抗しており、

 

 数秒にわたってぶつかり合ったが……やがては爆発し、双方のビームが相殺されると同時に消滅した。

 

 それと共に、互いに無傷の状態だった。

 

「……既に戦いの決着はついた。

 私の中にあるアブソリュート粒子も、既に消えているからね。

 これで仕事は完了した」

 

「……お前はこれからどうするだ」

 

「私はここで失礼するよ、これ以上は危険だからね」

 

 その言葉と共に、メフィラスはその場から姿を消す。

 

 それが、確かな戦いの終わりを迎えた事が分かる。

 

『麻中、君も気づいているだろ』

「えぇ、マックスさん。

 おそらく、学園祭で、戦うのは」

 

 マックスからの言葉に対して、麻中は頷く。

 

 これまでにない、激闘に対して、警戒しながら。



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巫女の正体

駒王の学園祭が行われた。

 

その学園祭において、特に目立っている人物がいた。

 

駒王学園ではあまり見かけない部類の美人であり、学生服を身に纏っている。

 

その隣には男子がおり、美人と共にいる事で、デートをしている場面だと、本来だったら誰もが思う。

 

だが。

 

「麻中、凄い顔をしているな」

「あぁ、あんな顔の麻中初めてだ」

 

その人物とデートを行っている人物、麻中は、とても複雑そうな表情をしている。

 

「なんで、わざわざ学生服で来ているんだ」

「あら、その方が学園祭デートっぽくて、良いと思ったのよ。

それとも、嫌だったかしら」

「嫌に決まっているだろ」

 

そう、悪態をつきながらも、麻中は、デートを行っているアブソリューティアンの巫女に対して言う。

 

「あらあら、そんなに私は嫌われているようですね。これは悲しいわ」

「何が悲しいだ。何よりも、お前はこの世界の人達を襲っているだろ」

「この世界の人達ねぇ」

 

そう、麻中が告げる中で、アブソリューティアンの巫女はため息を吐く。

 

「あなたは、本当にそう思っているの」

「・・・どういう意味だ」

 

麻中は、すぐに問いかける。

 

「この世界、実は他の世界よりもかなり進歩が遅れているの。

それは知っているかしら」

「進歩が遅れているって、何を言っているんだ」

「あなたの知るウルトラマン達がいたどの地球もこの世界よりも多くの技術が進歩しているわ。だけど、この世界ではそれらがない。なぜだと思う?」

「なぜって、何も、そういう世界だからだろ」

「えぇ、そうわ、この世界には、怪獣や宇宙人ではない別の生命体が支配している。それが原因よ」

「・・・それって、まさか悪魔や堕天使の事を言っているんじゃないだろうな」

「その通りよ」

 

その言葉と共に、アブソリューティアンの巫女は告げる。

 

「私はね、とても嫌いなのよ。

天使も、堕天使も、悪魔も。

それ以外にも、多くの、この星の侵略者に対してね」

 

そう、本気の怒りを伝えるように言う。

 

それと共に、麻中は一つの結論が出たように、アブソリューティアンの巫女を見つめる。

 

「・・・お前、まさかノンマルトなのか」

「えぇ、そうよ」

 

麻中の、その一言に対してアブソリューティアンの巫女は頷く。

 

「そうは言っても、貴方達の知るノンマルトとは違い、元々海の底で暮らしていた種族である。

だからこそ、地上に住む人間と、海底に住むノンマルトは互いに交流をしながら、支え合っていた。

けど、もう数えるのが馬鹿馬鹿しい頃、侵略者が来たの」

「侵略者」

「えぇ、奴は神と名乗り、人間を捕らえた。

それから人間をベースに様々な種族を生み出した。

天使や悪魔などは、その神と名乗る存在が、自身に都合の良いように改造した存在なのよ」

「神がか」

「それによって、我々は海底に追いやられた。

その後、奴は自ら生み出した生命体によって、滅びた。

けど、奴が残した負の遺産でもある奴らは残っている」

 

それは心底に、憎しみを籠めるように言う。

 

「その事実を、タルタロス様が教えてくれた。

そして、私は、この地上を再び取り戻す為に活動している。

麻中君、これはいわば、地球を取り戻す為の戦いなのよ」

 

その言葉に対して、麻中は返答に困っていた。

 

「確かに、あんたの言う事も納得できるし、理解もできる。

けど、それであいつらに何の得があるんだ?」

「タルタロス様達が?それは私の仲間になってくれたら、教えてあげるわ、どうかしら?」

 

そう問いかける彼女に対して、麻中は。

 

「断る」

「断るの、さっきの話を聞いて」

 

その言葉に対して、彼女は驚く。

 

「確かに、侵略者から生み出された存在かもしれない。

けど、今は、この星の生きる者として、生きている」

「あいつらは人間を下等と思い、利用している。

家畜のようにね」

「そういう奴らもいる。けど、守ろうとする人達も必ずいる」

「そっ、甘い子ね。

ならば、少し戦わないとね」

 

その言葉と共に、彼女の言葉を合図に、学園が一瞬で金色の結界が張られる。

 

同時に、周りには生徒達がいなくなった。

 

「さぁ、始めましょう、麻中君。

地球人同士、どちらが正しいかを決める戦いをね」



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結界を張られると同時に、麻中の眼前に現れたのは、その存在は、まさに闇が一つの形になった存在。

 

禍々しいその存在の名はエンペラ星人。

 

太陽の消滅に伴い母星や同胞が滅び、その後闇の力を手にしたという過去から、光の戦士であるウルトラマンとは正反対の存在、もしくはもう一つの可能性であるといえる存在。

 

「負けられないよな、この戦いは」

 

その言葉と共に、手に持ったディメンションナイザーを構える。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンネクサス!』

 

その音声と共に現れたのは、ウルトラマンネクサス。

 

それを眼前にいるエンペラ星人を見ながら、ネクサスは構える。

 

「こいつもまた、ウルトラマンか。

だが、この程度の奴に何ができるか」

 

その言葉と共にエンペラ星人は強力なサイコキネシスをネクサスに向けて放つ。

 

それに対して、ネクサスはその場を避けて、空中へと飛び上がることで回避した。

 

そしてそのまま空を蹴って加速し、接近戦を挑むために接近する。

 

だが、そんなネクサスに対して、エンペラ星人はその手を真っ直ぐと向けた。

 

それによって、再びサイコキネシスでネクサスを吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされたネクサスは、そのまま森に突っ込むと共に木々をなぎ倒しながら地面へと叩きつけられた。

 

身体の節々に痛みを感じながらも、ネクサスはすぐに立ち上がる。

 

「ほぅ、まだ立ち向かうか」

 

そんなネクサスに対して、エンペラ星人は笑みを浮かべる。

 

「ぐっ」

「麻中、無事なのか」

 

聞こえた声、見ると、そこにはゼノヴィアがいた。

 

「ゼノヴィア、なんで、ここに?」

「これだけ騒ぎがあれば、気づくだろ。」

 

その言葉と共に、ゼノヴィアは、そのまま麻中を支える。

 

「あれは」

「エンペラ星人、最強の闇の皇帝だ」

「闇の皇帝、確かに禍々しいな、だが」

 

ネクサスは、そのまま真っ直ぐとエンペラ星人に向かって、走る。

 

それと共に、ネクサスの身体は赤く、肩には鎧の肩当てのような板状のパーツがある姿、ジェネッスに変わる。

 

ネクサスはジェネッスへと姿が変わると共にエンペラ星人に殴りかかる。

 

エンペラ星人は、そのまま変わらず、手で受け止める。

 

「ふむ、先程よりも力が上がったが、その程度」

 

そう言うと同時に、エンペラ星人はそのまま手に力を入れて、ネクサスをそのまま握り潰そうとする。

 

それに対して、ネクサスは右手を開いて、エンペラ星人の腕を掴んだ。

 

それにより、多少は動きが鈍くなるものの、それでもエンペラ星人は全力を出すほどでもない。

 

そもそも、例え腕を掴まれたところで、大して意味は無いのだ。

 

ただ単に、攻撃手段として邪魔なだけに過ぎない。

 

そんな考えの元、エンペラ星人はただ前へ進もうとするネクサスを押し出そうとする。

 

ネクサスは、未だに諦めない様子で、必死に耐えようとする。

 

しかし、エンペラ星人の力によって押し出されそうになる。

 

「ジュワァ!!」

 

それと共にネクサスは、エンペラ星人を蹴り上げて、そのまま後ろに大きく跳ぶ。

 

両腕を下方で交差させてからゆっくりと広げつつエネルギーを生み出し、両腕をL字に組んで放つ。

 

「ふんっ」

 

その光線を受けて、エンペラ星人は鼻息を鳴らす。

 

それは特に何も感じていないということだろう。

 

ネクサスも、それは承知の上だ。

 

それでも、ネクサスは諦める事なく、果敢に攻めていく。

 

「ぐっ」

 

そうして、麻中は、ネクサスからのダメージと共に吹き飛ぶ。

 

それはゼノヴィアも驚いたが、それを支えた人物が2人いた。

 

「いやぁ、なんだか、とんでもない事になっているにゃ」

「麻中さん、大丈夫ですか!」

 

そんな麻中を支えたのは、ロスヴァイセと黒歌だった。

 

「黒歌、なんでここに?」

「あれだけ、とんでもない気配があれば、すぐに気づくにゃ。

それよりも、勝てるのかにゃ」

「あぁ、いけるよ」

 

そんな中、不意にエンペラ星人は小さく声を漏らす。

 

そして、気付く。目の前にいるジェネッスが今までとは違う事に。

 

今のジェネッスは、エンペラ星人の記憶にある姿とは異なっている。

 

「ほぅ」

 

それは、先程まで赤い姿であるジュネッスから、ジュネッスブルーに変わっていた。

 

ジュネッスブルーに変わった事によって、俊敏な動きで前のめりに倒れるような体勢からの跳躍と、そこからの回し蹴りといったアクロバティックな技を使いこなすようになっていた。

 

さらに、空中に飛び上がりながら光弾を放ち、それを足場にして高速移動するなど、まさに縦横無尽の動きを見せていた。

 

しかし、それらを持ってしても、やはりエンペラ星人を倒す事は出来ない。

 

それどころか、徐々に追い詰められている状況だった。

 

そこに来て、ネクサスが放った掌底打ち。それによって、大きく後ろに吹き飛ばされる。

 

だが、それでもまるで何事もなかったように立つエンペラ星人。

 

その姿を見たネクサスは、拳を強く握りしめる。

 

「終わりだ」

 

その言葉と共に、エンペラ星人は、その手から赤黒い色の破壊光線を放つ。

 

放たれた破壊光線に対し、ネクサスは両手を前に突き出して受け止める。

 

だが、それでも威力を殺しきれず、後ろへと押される。

 

「麻中!!」

 

聞こえた声。

 

それと共に見つめれば、そこには新条がいた。

 

それだけではない。

 

兵藤を始め、オカルト研究部のメンバーが見えた。

 

「悪いな、隠すつもりだったけど、これだけ大きな騒ぎだったからな」

 

それに対して、アザゼルは思わず叫ぶ。

 

「そうか、けど、今は」

 

その声が、麻中を、ネクサスに力を与えた。

 

ネクサスはそのまま地面を踏み締めて押し返し、破壊光線を振り払った。

それと同時だった。

 

「なに」

 

ネクサスの姿は大きく変わっていた。それは、ネクサスの本来あるべき姿とも言える姿、ノアだった。

 

ウルトラマンネクサスの本来の姿であり、人々の絆によって誕生するウルトラマン。

 

その力は絶大であり、これまでの麻中だったら、いや、今の麻中1人の力では決してなる事ができない姿だった。

 

だが、これまでの彼が築いてきた絆によって、その姿をを誕生させた。

 

エンペラ星人はその変化を見て、警戒心を抱く。

 

そして、すぐさま攻撃を仕掛けようとするが、それよりも早くノアは駆け出す。

 

ノアの拳。

 

それは先程までのネクサスとは比べ物にならない程の威力であった。

 

その証拠にエンペラ星人の身体に明らかにダメージを蓄積させている事が分かった。

 

それにエンペラ星人も苛立ちを感じたのか、その口元には笑みが浮かんでいた。

 

ノアの攻撃が続く。

 

それに対して、エンペラ星人は両手で防ぎ、反撃を行う。

 

それを回避すると同時に、カウンターの蹴りを叩き込む。

 

しかし、その蹴りすらも受け止められてしまう。

 

そして、その状態で、エンペラ星人は強烈な頭突きを見舞う。

 

衝撃によって、怯んだ隙にエンペラ星人は腹に強力なパンチを打ち込んだ。

 

吹き飛ばされるノア。

 

すぐに空中で態勢を整えて着地した。

 

「ノアアァァ!!」

 

それと共にエンペラ星人は、先程と同じ光線を放とうとした。

 

それに対して、ノアもまた右手首に左拳を打ちつけるように腕を組み、放つ。

 

互いの光線が、真正面からぶつかりあった。

 

一瞬拮抗した後に、そのまま押し合いへと発展した。

 

やがて、ノアの光線が、エンペラ星人の光線を打ち破り、そのままエンペラ星人に激突する。

 

「また、破れるのか、人間と、異形達と、ウルトラマンの絆か」

 

それを最後にエンペラ星人は光の中に、消えていく。

 

「・・・エンペラ星人を倒すんだ。

これは、予想外だったね」

 

そう言いながら、アブソリューティアンの巫女は、そのまま見つめる。

 

「まさか、本当にいたとは」

「まぁね、けど、本当に厄介だね、ウルトラマンというのは。

だけど、私は諦めないよ、地球を取り戻す為にね」

「取り戻す?」

 

その言葉に、ゼノヴィア達は首を傾げる。

 

「・・・なぁ」

「なんだい?」

「お前の名前、結局なんだ」

「ふふっ、そうだね、エンペラ星人を倒した報酬だからね」

 

その言葉と共に

 

「ユメ。

それじゃね、麻中君」

 

その言葉と共にアブソリューティアンの巫女は、その姿を完全に消す。



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無限の観察

 アブソリューティアンの巫女の正体が判明した。

 

 ユメが行おうとしている事が判明したが、それでも、何時どこから襲い掛かるのかは分からない。

 

 その為、その日の戦いもまた、普段と変わらない日常だった。

 

 ウルトラマンZが地上へ降り立つと同時に、彼を取り囲むようにバンピーラとガルベロスがうなり声を上げている。

 

 そのグロテスクな見た目と同様に、その獰猛なスペースビーストである2体は、すぐにでもウルトラマンZに襲い掛かろうとしていた。

 

 そんなスペースビーストの2体に対して、ウルトラマンZが手に取った武器。

 

 青く透き通るような槍、ゼットランスアローを構える。

 

「ハァッ!」

 

 Zは気合とともにゼットランスアローを振りかざし、そのままバンピーラへと向かっていった。

 

 だが。

 

「フゥンッ!!」

 

 バンピーラはその巨大な腕から鋭い爪を伸ばして、ゼットランスアローを受け止めたのだ。

 

「グォオオオオッ!!」

 

 そしてそのまま力任せに押し返してくる。

 

 だが、Zはゼットランスアローを軸に回し蹴りでバンピーラに向かって放つ。

 

 しかしそれは空を切り、バンピーラには当たらない。

 

 その隙を突いて、ガルベロスが突進してきた。

 

 それを見たZは素早く身を翻してかわすと、今度はガルベロスの腹部めがけてゼットランスアローを突き刺した。

 

 すると、ガルベロスは一瞬だけ怯んだものの、すぐさま反撃に転じてきた。

 

 前足による薙ぎ払いだ。

 

 しかし、Zもまた間一髪それを回避している。

 

 だが次の瞬間、ガルベロスの前足の一撃が地面に炸裂する。

 

 爆裂音と共に地面が弾け飛び、土煙が巻き上がる。

 

 そこに、再びガルベロスの攻撃が放たれた。

 

 狙いはもちろん、先ほどと同じ場所、つまり、ゼットランスアローを持ったままのZだった。

 

 ガルベロスが放った前足の薙ぎ払いに対し、Zも同じく槍を振るって応戦した。

 

 両者が激しくぶつかり合い、衝撃波が巻き起こる。

 

 やがて、両者は互いに距離を取り合った。

 

 ガルベロスが噛み付いてくる。それをゼットランスアローで受け止めると、Zはそのまま押し返そうとする。

 

 しかし、ガルベロスは力ずくで振り払うと、そのままZに組み付こうとした。

 

 それに対し、Zは再びゼットランスアローを構え直す。

 

 そのままレバーを1回操作して発動。

 

 炎を纏ったエッジ部分で『Z』の斬撃を描き、ガルベロスに向かって飛ばす技。

 

 飛ばされた斬撃は高速回転しつつガルベロスに炎の『Z』を灼きつけ、勢いのまま爆砕する。

 

「っ!」

 

 それを見たバンピーラは、本能的に危険を感じ取り、大きく後ろに飛び退いた。

 

 しかし、その動きを予測していたかのように、Zはすかさず追撃をかける。

 

 レバーを2回操作すると、エッジ部分の周囲に弓矢のエフェクトが現れ、左手で柄部分を添うように氷の矢を引き、バンピーラに向かって放つ技。

 

 矢が当たったバンピーラは全身が氷漬けになり、内側から膨れるように爆散する

 

「ふぅ、ありがとうございます! Zさん!」

 

 そうして、戦いを終えたZに、麻中は挨拶をする。

 

 それと共にZもまた、ディメンションナイザーへと戻っていく。

 

「ふぅ、さて、次は、んっ?」

 

 そんな時、麻中に向けた視線。

 

 それに気づいた麻中は振り返る。

 

 一瞬、見えた視線の正体。

 

 それが、黒いゴスロリを思わせる格好をした少女だと、一瞬だけ見えた。

 

 しかし、すぐにその姿が消える。

 

「今のは、どこかで?」

 

 そんな疑問を思いながらも、麻中はそのまま帰る事にした。



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故郷は次元の狭間

「・・・お前が、ウルトラマンを呼ぶ人間か」

「んっ?」

 

聞こえた声、それと共に振り返る麻中。

 

学校が終わり、既に夕飯の買い出しを終えていた。

 

そんな麻中の前に立っていたのは、黒いゴスロリのドレスを身に纏った少女。

 

彼女の正体は誰なのか、分からない。

 

それでも、ウルトラマンの事情を知る者という事もあり、麻中はすぐに警戒する。

 

「君は」

「我、オーフィス」

「オーフィス?どこかで聞いた事があるような?」

 

そう言いながら、首を傾げる麻中。

 

しかし、すぐに思い出す事はできなかった。

 

それでも警戒は続けた。

 

「それで、君は一体、俺に何の用なんだ」

 

それと共に問いかける。

 

目の前にいるオーフィスが、ウルトラマンの事を知っている以上、裏の世界と大きく関係している。

 

その事もあって、麻中は警戒しながら問いかける。

 

「麻中は、ウルトラマンを呼び出した。

その中でも、ノアを呼び出せた」

「ノアを、あぁ、あの時は、奇跡のような出来事だったからな」

 

それは、麻中1人では決して達成する事ができなかった奇跡。

 

そう伝えると、少し、見つめてくる。

 

「それじゃ、麻中自身はウルトラマンの世界には行けるのか?」

「俺自身が行く方法?まぁ、ゼロさんを始めとした人達に頼めば、なんとかできると思うけど、もしかして、オーフィスはウルトラマンに知り合いがいるのか?」

「・・・ノアは、我らの父だ」

「ノアが」

 

その言葉に、麻中はさすがに動揺を隠せなかった。

 

「遠い昔、ノアはとある存在との戦いで力を失い、その存在を保つ事ができなくなった。

肉体を保てず、魂のみとなったノアは、その魂と力を、様々な人間に宿す事を選んだ」

「それは、確か、デュナミスト」

「聖書の神は、既にノアの存在を知っていた。だからこそ、そのシステムを利用して、神器を作りだした」

「・・・それじゃ、ある意味、ノアさんは、兵藤達と同じ神器のような存在という訳だったのか」

 

その言葉を聞くと同時に麻中は納得があったのか、頷く。

 

どこか共通点のあった二つに、心のどこかにあった。

 

「そして、ノアが残された肉体を元に、二つの存在が誕生した。

それが、我とグレートレッド」

「えっ、マジで」

 

それには、さすがに驚きを隠せなかった。

 

「だからこそ、我は先日の戦いで、ノアが出てきた事に驚いた。

ノアが遠い昔に言っていた言葉は真実だと。

そして、あそこも、まだあるという事を」

「あそこ、まさかデュナミストが最初に訪れる夢の」

「次元の狭間で真の静寂がある場所。

ノアを召喚でき、次元を移動できるならば、我をそこに連れて行って欲しい」

 

そう、オーフィスは麻中に頼む。

 

「それは、できないんだ」

「どうして」

「ノアさんこと、ネクサスは、普段力を貸してくれるのは、ある世界の1人なんだ。

その人の中にあるノアさんの残された光を、このディメンションナイザーで増大させる事でようやく召喚できるんだ。

だから」

「・・・そうか」

 

その言葉に、少し残念そうに俯く。

 

「・・・ノアさんの事を、どう思っている?」

「・・・暖かい。だからこそ」

 

その言葉と共に、オーフィスは少し寂しそうだった。

 

その目を見ると共に。

 

「僅かだけど、ノアさんが、ネクサスさんとして戦った日々を聞く?」

「・・・聞く」

 

その言葉と共に、オーフィスに、ネクサスの戦いを聞き始める。



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ダークネス

「この状況って、かなり面倒な事になっていませんか」

「まぁ、確かに」

 

そう呟きながら、ロスヴァイセは部屋の中にいるオーフィスに目を向ける。

 

本来ならば、敵の組織のトップであるはずのオーフィスが、この場にいるのは、かなり危機的状況だった。

 

「だから、本当にネクサスの戦いはかなり迫力があるのよ」

「凄い」

 

そんなオーフィスは、新条の話を聞いて、興味津々に聞いていた。

 

ノアと同じ存在であるネクサスの話に対して、オーフィスは笑みを浮かべていた。

 

「にしても、あのオーフィスがここまで興味津々だとはな。

ノアという奴は本当にとんでもないな」

「アザゼル先生も、そんなに冷静なんですか」

「俺だって、驚いているぜ。

にしても、ノアか。

ネクサスは、話を聞いていると、いわゆる神器0号と考えても良いだろうな」

「まぁ、それは、そうだね。実際に変身者によって、ネクサスの姿は大きく変わるから。

けど、なんで、聖書の神はネクサスの存在を」

 

そう、ロスヴァイセは疑問に思いながら、呟く。

 

「他の宇宙でも、似たような事例があったからな」

「・・・なんだか、さらっと、とんでもない事を言うけど、なるほどな」

 

そう、アザゼルは笑みを浮かべる、

 

「まぁ、あいつらが試験をしている間は、お前の所で預けておくぞ。

ある意味、お前以上に安全な所はないからな」

「はぁ、本当に」

 

そう、頭を悩ませる。

 

「・・・あいつ、来た」

「あいつ?どうしたの、オーフィスちゃん?」

 

そうしていると、オーフィスが何かに気づいたのか、周りを見る。

 

新条も、それに気になった様子で見る。

 

「・・・トレギアが、厄介なのをよこした」

「トレギアがっ」

 

その名前が出た瞬間、すぐに麻中は飛び出す。

 

同時に見えたのは、結界と共に現れた存在。

 

本物のウルトラマンエックスの姿を模しており、体の銀部分が漆黒に置き換わっている。

また黒のラインの部分は、胸と肩部は紫に、腕と下半身は赤に統一されている。

目は赤く染まっており、周囲に紫のラインが引かれている。

 

その存在の名はエックスダークネス。

 

ウルトラマンの光のエネルギーを元に生み出される闇のウルトラマン。

 

「まさか、ダークネスか。

以前の一件で、既に作り方は分かっているという訳か」

 

その言葉と共に、麻中は、その手にディメンションナイザーを構える。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンギンガ!』

 

「まさか、ダークネスがここまで。だけど、負ける訳にはいかないよな」

 

その言葉と共に、ディメンションナイザーから現れたウルトラマンギンガが、真っ直ぐと相対する。

 

「エックスのダークネスを相手に戦う事になるとはな、腕が鳴るぜ!」

 

その言葉を合図に、ギンガとエックスダークネスの戦いが始まる。

 

ギンガの拳が真っ直ぐとエックスダークネスに向けて、放つ。

 

それに対して、エックスダークネスは右腕を横に振るう事で、その攻撃を防ぐ。

しかし、ギンガの攻撃はまだ終わらない。

 

そのまま連続でパンチを放つ。

 

それを全て防ぐエックスダークネスだったが、最後の一撃を防ぎきれず、腹部に直撃してしまう。

 

それでもダメージはそこまで大きくなく、エックスダークネスはすぐに反撃に移る。

 

今度は左腕を振るい、ギンガに向かって拳を放つ。

 

だが、ギンガはその攻撃を軽々と回避すると、再び攻撃を仕掛ける。

 

今度は蹴りを放ち、相手を吹き飛ばす。

 

同時にギンガに対し、、エックスダークネスはX字状に両腕両足を広げてまばゆい閃光をともなう炎の技、アタッカーダークネスエックスを放つ。

 

「ぐっ」

 

ギンガは攻撃を受けると、吹き飛ばされてしまう。

 

しかしすぐに立ち上がると、今度は相手の懐に入り込み、連続パンチを食らわせる。

 

だがエックスダークネスも負けじと、同じように連続して拳や足を振りかざす。

 

お互いに譲らない戦いが続く中、先に動いたのはエックスダークネスだった。

 

右手を突き出し、そこからエネルギー弾を放つ。

 

ギンガはそれをジャンプして避けると、空中で一回転しながら右足を突き出してキックを放った。

 

それに対し、エックスダークネスもまた右足を突き出す事で、キックを受け止める。

 

エックスダークネスは左手を前に出して光線を放つ。

 

それを見たギンガはすぐさま、後ろに下がって光線を回避する。

 

それと同時だった。

 

エックスダークネスの姿が、大きく変わる。

 

その手には、禍々しい虹を思わせる剣を持っており、その姿には驚きを隠せなかった。

 

「エクシードエックス!まさか、その姿までコピーしていたのか!」

 

その事に驚きを隠せないギンガ。

 

だが、そんなギンガに対して、エックスダークネスは、その剣で追撃を始める、

 

闇のエネルギーと共に放たれる斬撃にギンガは苦戦する。

 

「くそ、このままじゃ……こうなったら」

 

そう言うと同時に、麻中に目を向ける。

 

同時に、既に準備が出来ていたように、構えていた。

 

「行こう、新条」「分かっているよ」

 

その言葉と共に二つのディメンションナイザーを構える。

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンギンガビクトリー!』

 

その音声と共に、ディメンションナイザーから出てきたウルトラマンビクトリーが、ギンガと合体する。

 

「「見せてやるぜ!俺たちの絆!」」

「「ウルトラタッチ!!」」

「ギンガー!」「ビクトリー!」

「「ギンガビクトリー!!」」

 

2人のウルトラマンが一つとなる。

 

それによって、生まれたのは、2人のウルトラマンが合体し、8人のウルトラマンの力を宿した最強のウルトラマン。

 

その名はギンガビクトリー。

 

「行くぜ、ダークネス!」

 

その言葉と共にギンガビクトリーは、真っ直ぐとエックスダークネスに向かって走り出す。

エックスダークネスは、再び剣で薙ぎ払う。

 

しかし、ギンガビクトリーは、それを受け止めると、そのまま押し返した。

 

さらに続けて蹴りを放ち、距離を取る。

 

そして今度は拳を振りかざす。

 

それに対して、エックスダークネスも拳をぶつける。

 

ギンガビクトリーのパンチと、エックスダークネスのパンチが激しくぶつかり合う。

 

その接戦に勝利したのは、ギンガビクトリーだった。

 

ギンガビクトリーのパンチに吹き飛ばされるエックスダークネス。

 

エックスダークネスは、額に剣を装着させる。

 

それと共に、禍々しい七色の光線を、真っ直ぐと放つ。

 

それに対して、ギンガビクトリーもまた構える。

 

「「ウルトラマンネクサスの力よ!オーバーレイ・シュトローム!!」」

 

その声と共にギンガビクトリーはまず、両腕を伸ばして下でクロスさせる。

 

その後ゆっくり上げつつエネルギーを溜めていき、肘を腕の外側を向けるように曲げて、最後に両腕を斜め上にばっと広げてからL字に組んで発射する。

 

ギンガビクトリーの光線と、エックスダークネスの光線が激突する。

 

光と闇が激しくぶつかり合い、スパークが起きる。

 

そしてそのまま互いに押し合う。

 

その接戦に勝利したのは。

 

「「はああぁぁぁ!!!」」

 

ギンガビクトリーだった。

 

ギンガビクトリーの雄叫びと共に、エックスダークネスの光線が徐々に押していく。

 

そしてついに……。

 

――ズドォォン!! 大爆発が起きる。

 

エックスダークネスは爆炎に包まれた。

 

煙の中からボロボロになったエックスダークネスは、そのまま闇の塵となって、消えていった。

 

「トレギア。

まさか、あいつがまた出るとはな」

 

「・・・今回の一件、本当に厄介な事になりそうだ」



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トレギアの友情

前回のダークネスの一件もあり、既に麻中達は、トレギアが今回の一件に関係している事を警戒していた。

 

だからこそ、何時現れても良いように警戒をしていた。

 

だが。

 

「ふむ、これはなかなかに美味だね、タピオカミルクティーとは」

「まさか、こんな所で会うとは、さすがに思わないだろ」

 

そう、麻中は、オーフィスと黒歌を連れて来た際に、タピオカミルクティーを飲んでいるトレギアと出会う事になる。

 

「やぁ、久し振りだね、麻中君。

前回のは、気に入ってくれたかなっと」

「ちっ」

 

そんなトレギアに対して、黒歌は殺気を籠めた魔力弾を、真っ直ぐとトレギアに向けて放った。

 

「おいおい、君は一応は私達側のはずだが?何をいきなり攻撃をするんだい?」

「お前がした事を忘れたとは言わせないにゃ、なんだったら、ここで叩き潰してやろうか」

「おぉ、怖い怖い。さすがは侵略者だけあって、恐ろしいねぇ」

 

そう、トレギアはまるで悪びれなく言う。

 

「やっぱり、知っていたのか」

「当たり前だろ、ここに来る前からね。まぁ、私としては、どうでも良い事だったがね。どの地球も、そう変わらないからね」

 

そうトレギアは呟きながら、麻中を見つめる。

 

「それで、俺達の前にわざわざ現れたのは何の用事だ?」

「単純な取引だ。彼女、オーフィスをこちらに引き渡してくれないかな?」

 

そう、トレギアはそう、オーフィスに向けて言う。

 

「それはボスを取り戻す為かにゃ?」

「少し違うね、アブソリューティアンの狙いはオーフィス自身というよりも、彼女の中にあるノアの情報だ」

「なるほど」

 

その言葉に対して、麻中は頷く。

 

「アブソリューティアンからしたら、警戒すべき存在。ノア、キング、レジェンドの3人のウルトラマンの内、ノアの情報があるオーフィス。狙わない訳はないな」

 

かつて、アブソリューティアンがノアの誕生を防ぐ為に惑星バベルに向かう程だった。

 

「悪いが、それを聞いて、余計に渡す気にはなれないよ」

「そうか、それはとても残念だよ」

「とても、そんな表情には見えないが」

 

そう、トレギアは落胆する所か、むしろ邪悪な笑みを浮かべていた。

 

「おっと、バレてしまったか。

仕方ないだろ、彼の活躍を見るのが、私はとても楽しみだったからねぇ!!」

 

その言葉を合図に、トレギアの後ろから現れた存在。

 

それはカオスロイドの一体である、カオスロイドT。

 

つまりは。

 

「ウルトラマンタロウのカオスロイドか」

「私のタロウの力を、存分に見せてあげよう」

「そうかよ、行きますよ、タイガさん!」

 

それと共に、麻中もまたディメンションナイザーを構える。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンタイガ!』

 

鳴り響く音声と共に、ディメンションナイザーから飛び出たタイガは、真っ直ぐとカオスロイドTを見つめる。

 

「まさか、こうして父さんの偽物と戦う事になるなんて」

「少しビビりました、タイガさん」

「いいや、むしろ、ここで倒して少しでも父さんに近づいた証拠を見せるさ!」

 

それを合図に、カオスロイドTは不気味な低い声で高笑いと共に、タイガに襲い掛かる。

 

カオスロイドTは、その容姿がタロウと似ている事もあり、素早い拳が真っ直ぐと襲い掛かる。

 

タイガは、その拳に対しては、瞬時に蹴り上げる事で、拳の軌道を変える。

 

それと同時に

 

「タイガスラッシュ」

 

手先から光弾を発射し、牽制する。

 

それと共に、タイガはすぐにスライディングを行いながら、カオスロイドTの足下へと滑り込むと共に足払いをする。

 

「ほぅ」

 

カオスロイドTは、それに上手く対処する事ができなかった。

 

それと共に、真っ直ぐとカオスロイドTに向けて、タイガはその拳を真っ直ぐと振り下ろす。

 

それによって、大きなダメージを受けたのか、カオスロイドTは少し呻き声を上げる。

 

「戦い方は確かに父さんにそっくりだ。強さも、父さんとほとんど変わらないだろう。

けどな!」

 

カオスロイドTはすぐにタイガに向けて、紫色の光線であるカオスストリウム光線を放つ。

 

それに対して、タイガは

 

『プラズマゼロレット!コネクト!』

「ワイドタイガショット!」

 

左腕を横に伸ばしてエネルギーをチャージした後、腕をL字に組んで右腕から黄色の光線を放つ。

 

その威力は、カオスストリウム光線よりも上だったのか、そのまま光線は完全にカオスロイドTを押し返す。

 

「俺にはお前にはないウルトラマンの心が、フーマとタイタスとヒロユキの絆がある!ただ力しかないお前に、俺達は負けない!!」

「あの時よりも成長したようだね、だけど」

 

それと共にカオスロイドTの身体が燃え始める。

 

その色は紫色の炎。

 

まるで、周りを全てを巻き込むような炎。

 

「まさかっ」

「ウルトラダイナマイト!さぁ、文字通り、この周辺を巻き込ませて貰うよ!!」

 

それと共にカオスロイドTは、そのまま真っ直ぐと突っ込んでくる。

 

「負けてたまるかよ、行くぜ!!」

「えぇ!!」

 

同時に、麻中とタイガの2人が共鳴する。

 

その言葉と共にタイガの身体もまた炎に包み込まれる。

 

それこそ、カオスロイドTと同じ技、ウルトラダイナマイトだった。

 

紅蓮の炎と紫紺の炎。

 

二つの炎が激突する。

 

炎は激突し合いながら、空へと舞い上がる。

 

「「はああぁぁぁ!!!」」

 

それは、タイガが、カオスロイドTを真っ直ぐと宇宙に向かって押していたからだ。

 

その勢いに対して、カオスロイドTは完全に負けており、そして。

 

「ぐっ」

 

カオスロイドTは爆散する。

 

空には、巨大な花火で、光照らす。

 

「今回はここまでか」

「トレギア!!」

 

その様子を見ていたトレギアは、すぐに闇の門へと向かう。

 

すぐにタイガは再生し、真っ直ぐとトレギアに向けて、その拳を振り下ろす。

 

だが、それよりも早く、トレギアは、その姿を消す。

 

「トレギア、本当に厄介な奴だ」

 

そう言いながら、麻中はそのまま座り込む。

 

「麻中、大丈夫なの」

「いやぁ、さすがにウルトラダイナマイトはやばかった」

 

ウルトラマンと共鳴している麻中にとって、使用する技によって、その体力の消費量は違う。

 

そんな数々の必殺技の中でも、ウルトラダイナマイトはかなり危険な賭けだった。

 

「危険な奴は、これ以上は使いたくないな」



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天使の罠

その日、オーフィスと共に、レストランに呼ばれた麻中。

 

そのレストランは、普段の麻中の生活では高級な食材であり、それを黙々と食べていた。

 

「お前は、結構、マイペースなんだな」

「食べられる時に、食べておかないといけないからな。

何よりも、相手がトレギアだと分かっている以上」

 

そう、呟く。

 

「そう言えば、トレギアって、どんな奴なんだ」

「以前にも言ったけど、あいつは元々は光の国出身のウルトラマンだ。

元々はウルトラマンの中でも実力者であるタロウさんの宿敵にして元親友だ」

「タロウ?」

 

その名前を聞いた事のないのか、首を傾げる者が多い。

 

「ウルトラ兄弟。その中でも実力者だ。

様々な活躍をしている人物で、その戦闘能力も高い。

タイガさんは知っているか?」

「あぁ、確か、炎の剣を使っていたりする、あの?」

「そう、その人のお父さんだ」

「とんでもない親子というだけ分かるな」

 

その言葉に対して、麻中もまた頷く。

 

「その頭脳はかなり高いからな。

どんな事をするのか、分からないからな」

 

そうしている間にも、ホテルに何か変化が起きた。

 

僅かな地震程度の揺れ。

 

だが、その正体が既に分かった。

 

「なんだ、あれは」

 

そう、窓の外を見る。

 

そこに立っていたのは、女神。

 

そう言える存在だった。

 

白く、純白な。

 

人々が思い描く女神だろう。

 

「やばいな」「うん」

 

だが、その正体を、麻中も、新条も知っていた。

 

「麻中?」

「最初から、全力で行く!」

 

それに対して、麻中はすぐに構える。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンギンガ!』『ディメンションロード!ウルトラマンビクトリー!』

 

鳴り響く音声と共に、ギンガとビクトリーの2人のウルトラマンが現れる。

 

召喚されたウルトラマンの大きさはこれまでと変わらなかった。

 

しかし、そんなウルトラマン達と比べても、その女神の大きさはあまりにも巨大過ぎた。

 

同時に。

 

「ギンガファイヤーボール!」『ウルトランス!キングジョーランチャー』

 

鳴り響く音声と共に、ギンガは周囲に隕石を、ビクトリーはその左腕をキングジョーに変えて、真っ直ぐと女神に向けて放つ。

 

対して、女神は、その攻撃を軽く受け止める。

 

「麻中、あいつは一体」

「ゾグ、根源的破滅招来体の一体だ」

「なんだ、そいつは」

「宇宙から襲来する人類及び地球の滅亡を望む謎の存在で、その実体は一切不明だ」

 

未だに、その正体は完全に分からない不気味な存在である。

 

だが、ここに現れた以上、油断はできない。

 

その証拠に、ゾグはすぐに2人のウルトラマンに対して、光の鞭を放つ。

 

2人を同時に召喚する事は、麻中にとっては負担が大きい。

 

だからこそ、2人のウルトラマンは互いに見つめ合う。

 

「一気に決めるぜ!」「あぁ!!」

 

その言葉と共にビクトリーが先陣を切る。

 

『奏でろ!勝利のメロディー!』

 

鳴り響く音声と共に、その身体は青を基調にしたビクトリー最強の姿、ビクトリーナイトへと姿が変わる。

 

それは、ギンガもまた同じだった。

 

『ギンガに力を! ギンガストリウム!』

 

同時に、ギンガの姿もまた変わる。

 

ビクトリーのように極端な変化ではないが、額にビームランプが追加された他、各部の模様やプロテクターの形状などがタロウを髣髴とさせるものに変化している。

 

それこそが、ギンガストリウム。

 

2人は、その姿へと変わると同時に、ビクトリーは、その手に持ったナイトティンバーを構える。

 

「ナイトビクトリウムシュート!」

 

立てたナイトティンバー ソードモードに左腕を当てて十字を組み、刀身から青色破壊光線を放つ。

 

その攻撃に対して、ゾグは正面から受け止めてしまう。

 

それによって、戸惑うゾグに対して、

 

『ウルトラ兄弟の力を一つに!』「コスモミラクル光線!」

 

伸ばした右腕から下の身体全体から発射する。

 

その一撃に対して、ゾグはさすがに怯んだ様子だった。

 

しかし、それは一瞬だった。

 

ウルトラマン2人の攻撃を受け続けて怒りが頂点に達し、露わになった最終形態にしてゾグの真の姿を現す。

 

グリフォンやドラゴンに似た姿をした4本の脚と強靭な両腕を持つ化け物であり、その大きさは50数mのウルトラマンが虫や豆粒のようにしか見えないほどだった。

 

「なんだよっあれは」

「まさに、今のこの状況が、奇跡的だな」

 

それは、結界によって張られた事で、周りからは確かに見えなかった。

 

だからこそ、そのあまりの巨大さに、兵藤達は思わず見上げる。

 

「本当の戦いはこれからと言う事か」

 

そう言いながら、麻中は、ゆっくりと見つめる。



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悪夢の罠

ゾグが真の姿に変わった。

 

その禍々しい姿と共に足下にあるビルを軽く踏み潰す。

 

まるで、砂の城を簡単に踏み潰すように、ビルは簡単に潰れる。

 

それに対して、麻中は荒い息を吐きながらも、決して目を逸らさないように見つめる。

 

巨大なウルトラマンが小さく見える程の巨体の怪物に対して、ギンガとビクトリーは未だに諦めなかった。

 

「行くぞ、新条」「勿論だよ」

 

その言葉と共に新条の持つダークディメンションナイザーとディメンションナイザーを合わせる。

 

それと共に

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンギンガビクトリー!』

 

鳴り響く音声。

 

それと共にギンガとビクトリーは、そのまま重なり、1人の巨人、ギンガビクトリーに合体する。

 

「2人のウルトラマンが一つに」

 

それと共に、麻中達もギンガビクトリーの中へと入っていた。

 

「行くぜ、ギンガ!」

 

同時に、真っ直ぐとゾグへと向かって、飛び込む。

 

ゾグは、ギンガビクトリーの存在を察知すると共に、透明な球を、真っ直ぐと放つ。

 

それに対して、ギンガビクトリーは

 

『ウルトラマンメビウスの力よ!メビュームバースト!』

 

鳴り響く音声と共に、空を飛ぶギンガビクトリーの横に現れたのはウルトラマンメビウスの幻影だった。

 

2人は、まったく同じ動作と共に、徐々に一つになっていく。

 

身体から溢れ出る炎を一つの巨大な火炎球に変え、それに対抗して放つ。

 

それによって、ゾグの透明な球は消滅し、そのままゾグを吹き飛ばす。

 

「今のって、メビウスさんの、ミライさんの技っ」

「それは、本当なの」

 

オカルト研究部の中でも、特にウルトラマンメビウスとは師弟関係に近い兵藤にとって、その技が出てきたのは意外だった。

 

しかし、未だに続く。

 

ゾグは、すぐに翼を広げる。

 

だが

 

『ウルトラマンマックスの力よ!ギャラクシーカノン!』

 

それを許さないように、地面へと滑り込むように立つと共に、幻影として現れたマックスと共に構える。

 

マックスの腕にはマックスギャラクシーがあり、ギンガビクトリーはマックスギャラクシーの代わりにウルトラフュージョンブレスを使い、光を集める。

 

それと共に、放たれるギャラクシーカノンを、まるで剣のように操り、ゾグの両翼を斬り裂く。

 

ウルトラマンよりも遙かに巨大な存在であるゾグ。

 

だが、その力は圧倒的にギンガビクトリーの方が上だった。

 

「あのウルトラマンって、マジでどうなっているんだよ」

 

そうしている間にも、ギンガビクトリーは、そのまま宙を浮かびながら、そのままゾグの前に構える。

 

『ウルトラフュージョンシュート!!』

 

その言葉と共に、ギンガビクトリーの周囲には、8人のウルトラマンが現れる。

 

ウルトラマン達と重なっていき、それと共に手を十時に組み、光線を放つ。

 

その光線を、正面から受けたゾグは、そのあまりにも強すぎる威力に耐えきれず、爆散する。

 

「よしっ、倒せたか!」

「本当に、とんでもない奴らだな」

 

そうしながら、ギンガビクトリーはそのまま光に変わり、地上に降り立つ。

 

同時に麻中と新条は分離した。

 

「あぁ、素晴らしいね、ウルトラマンと人の絆は。

だからこそ」

「っ!」

 

聞こえた声。

 

同時に、新条の背後にはトレギアがいた。

 

「トレギアっ」

「ふふっ」

 

同時にトレギアが取り出したのは一枚のカード。

 

それは、新条のダークディメンションナイザーにスキャンされる。

 

『ダークディメンションウェア!ウルトラマントレギア!』

 

「新条!!」

 

そう麻中が叫んだ瞬間、新条の身体にトレギアの闇が包み込む。

 

同時に、そこに現れたのはトレギアを模したアーマーだった。

 

「これが、狙いだったのかっ、トレギアっ」

「えぇ、その通り。

そして、この子の闇を利用すれば」

 

『ダークディメンションロード!ゼッガー!』

 

鳴り響く音声と共に、周囲には多くの怪獣が現れる。



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希望を託したカード

「トレギアっ、てめぇ、まさか」

「彼女には注目していたからね。

まぁ、おかげでこうして、自在に怪獣を生み出す事ができたのは」

 

その、トレギアの言葉と共に、周囲には確かに怪獣がいた。

 

「彼女は素晴らしいね。

これ程の怪獣を作る才能を持っていたとは、本当に好奇心が止まらないよ」

「アカネを、返して貰うぞ、トレギア」

「さぁ、それはできるかなぁ」

 

トレギアの、その言葉と共に恐竜のような太くてたくましい足と尻尾、昆虫のような腕を持ち、二本の角が生え鋭い牙を持った悪鬼のような怪獣が、そのまま麻中に襲い掛かろうとした。

 

「・・・限界は、越える為にある!」『ディメンションロード!』

 

同時に鳴り響く音声と共に、その怪獣が麻中を踏み潰す。

 

周りに大きな土煙を生み出し、地震を思わせる衝撃。

 

だが、それは怪獣の勝利ではなかった。

 

『ゾフィー!』

 

鳴り響く音声と共に怪獣は宙へと飛ばされる。

 

そこには、ウルトラマンが立っていた。

 

カラータイマー近くにはスターマークが特徴的なウルトラマン、ゾフィーが右腕から放った光線が、怪獣を消し飛ばした。

 

「ほぅ、ゾフィーか。

まさか、あなたが出てくるとはねぇ」

「トレギア、その少女を解放しろ!」

「断らせて貰うよ、何よりも、あなたも既に限界ではないか」

 

その言葉通り、既にゾフィーのカラータイマーは赤く点滅していた。

 

「だけど、諦めたくない!!

だからっ」

 

麻中のその言葉を聞き、ゾフィーもまた、その手を麻中に向ける。

 

同時に麻中も、それと共に、その手の上に乗る。

 

麻中が手の上に乗ると同時にゾフィーは真っ直ぐと、トレギアの元へと向かう。

 

「ふっ、無駄な事を」

 

同時に周りにいた怪獣達が、ゾフィーに向かって、攻撃を放っていく。

 

空を飛ぶゾフィーは、それらの攻撃を躱しながら、真っ直ぐと向かう。

 

その中で、怪獣の一体であるグールギラスが、ゾフィーの手に向かって、口を開く。

 

開かれた口から放たれた火炎球は、真っ直ぐとゾフィーを捕らえる。

 

だが、ゾフィーの身体は光と共に消える。

 

『ディメンションロード!ウルトラセブン!』

 

その瞬間、ゾフィーの代わりに現れたのは、ウルトラセブンだった。

 

ウルトラセブンが、そのまま宙に投げ飛ばされた麻中を手の上に乗せると共に、アイスラッガーでグールギラスの首を切り裂く。

 

そうして、開かれた穴に向かって、ウルトラセブンは額からエメリウム光線を放つ。

 

それによって、グールギラスはそのまま爆散する。

 

「ほぅ」

 

その瞬く間に理解したトレギアは笑みを浮かべている。

 

その最中でも、セブンの背後に立っていたゴングリーが触手を真っ直ぐとセブンに向けて放つ。

 

しかし、その瞬間にはセブンの姿は消え、代わりにジャックが現れる。

 

ジャックは、そのままウルトラブレスレットを変形させ、真っ直ぐとゴングリーに向けて、ウルトラスパークを放ち、斬り裂く。

 

「ウルトラ兄弟を次々と召喚する。

なるほど、10秒にも満たない時間で、次々と呼び出して、戦うのか。

以前までの君では確かにできないようだな」

 

そう、トレギアは、その戦いを観察しながら、笑みを浮かべる。

 

そうしている間にも、エース、タロウ、レオ、ジョーニアスが。

 

次々と変わっていきながら、真っ直ぐとトレギアに向かって行く。

 

「アカネ!!」

 

それと共にジョーニアスはボールのような形状にして、麻中を包み込むと共に、真っ直ぐと投げる。

 

その先は、ジョーニアスが戦っていた山のような巨体を持つゴーヤベックに向けて、放つ。

 

それと共に。

 

『ディメンションウェア! ウルトラマン』

 

その音声と共にウルトラスーツを身に纏う。

 

ジョーニアスのエネルギーを身に纏ったまま、突進した。

 

それによって、ゴーヤベックを、ゼッガーを貫き、トレギアまで近づく。

 

「はあぁぁぁ!!」

「なかなかにとんでもない人物だよ。

だけど」

 

だが、それよりも早く、ウルトラスーツの光が消える。

 

「時間切れだ。

先程のギンガとビクトリーに加えて、ウルトラ兄弟にジョーニアスを呼んだ。

それは凄まじいよ、だけど、さすがにエネルギーを使いすぎだよ」

「ぐっぅ」

 

トレギアの、放った一撃が、麻中を吹き飛ばす。

 

「ぐっ」

 

同時に、その手からこぼれ落ちたディメンションカードが、そのままトレギアの中へと吸い込まれる。

 

それに、トレギアは気づかなかった。

 

そのままトレギアによって、吹き飛ばされた。

 

「はぁはぁ、ぐっ」

 

短時間で、多くのウルトラマンを召喚した。

 

それが、麻中の体力は限界以上に使った。

 

同時に、麻中の意識はなくなった。



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夢の中で

麻中は目を覚まさない。

 

その最中、戦いは最悪な方向へと進んでいた。

 

禍の団との戦いの最中、赤龍帝の兵藤一誠は行方不明に。

 

さらには、英雄派の魔獣創造によって、造り出された豪獣鬼と超獣鬼の軍勢、そしてトレギアが召喚する怪獣達によって、大きく劣勢を強いられている。

 

これまで、怪獣達に対抗していたウルトラマン達は、麻中が意識不明の為、駆けつける事ができなかった。

 

しかし、それでも、戦いを諦める者はいなかった。

 

「さて、量産に成功しているから、ある程度まではできるけど、やはり麻中のようにはいかないか」

 

そう言いながら、アザゼルは見つめる。

 

その先には、召喚された怪獣達に対抗するように立ち向かう戦士達がいた。

 

それは、アザゼルが麻中のディメンションナイザーを元に作りだした量産型ディメンションナイザー。

 

これによって、麻中ではない者達でも、ウルトラマンやウルトラマンを味方にした怪獣や宇宙人を呼び出す事ができる。

 

しかし、アザゼルの眼前で戦う戦士達にはカラータイマーはなかった。

 

それは、光の国での一般戦士達。

 

通常の人間と比べれば確かに強く、心強い味方ではあった。

 

しかし、怪獣達の数に押されており、麻中がこれまで呼んでいたウルトラマンと比べても力量は弱かった。

 

「いや、この場合、麻中と一緒にいたウルトラマンが強すぎたと言うべきなのか」

 

そうしている間にも、中央部分に巨大な花のような顔が付いた海星に似た姿に変化する植物怪獣がウルトラマン達を吹き飛ばす。

 

「やっぱりっ、このままじゃ」

 

そう、苦虫を噛んでいる時だった。

 

その怪獣、ガイヤロスに向かって、青い光線が放たれた。

 

それによって、ガイヤロスは、耐えきれず、そのまま破壊する。

 

「まったく、本当に面倒な奴にゃ」

「お前は黒歌か」

 

現状、この怪獣達に圧倒的に優位に立っているのは、ビートスターライザーを持つ黒歌のみであった。

 

彼女が召喚するロボット達は、強く、トレギアが召喚した怪獣や豪獣鬼と超獣鬼にも対抗できる存在であった。

 

「それにしても、本格的に味方をするとはな」

「別にぃ、ただ私個人としてはトレギアの奴はむかつくし、何よりも麻中には借りがあるだけにゃ」

 

そう、会話を行っている間にも、怪獣達がテラフェイザーに向かって、襲い掛かってくる。

 

「という事で、ハネジローちゃん、よろしく」

『了解しました』

 

その言葉と共にテラフェイザーは、そのまま進軍していく。

 

「・・・まったく、早く目を覚ますにゃ」

 

そう、眼前の戦いの場に目を向けていた。

 

そんな戦いの最中、麻中が眠っている部屋。

 

そこでロスヴァイセは、彼の身体の事についてを調べていた。

 

「やはり、麻中さんが目を覚まさない原因は、ディメンションナイザーの過度な使用なのは分かります。

ですが、一体、彼の身体に何が起きているんですか」

 

北欧の魔術に精通しているロスヴァイセは、彼の身体の変化を見つめる。

 

アザゼルから、少しずつ、その身体が人間からウルトラマンに近い身体になっている事は聞いていた。

 

それもあり、肉体面では既に回復していた。

 

だが、何かが足りない。

 

「私は、一体どうすれば」

 

これまで、何もする事ができなかった。

 

出会ってから、助けられた。

 

しかし、ロスヴァイセ自身、麻中に何もできなかった。

 

それが悔しくて、仕方なかった。

 

「早く、目を覚まして下さい」

 

そう呟きながら、ディメンションナイザーに手を伸ばす。

 

その時だった。

 

ディメンションナイザーが光輝く。

 

それは、まるで何かに共鳴するように。

 

「これは」

 

疑問に思った。

 

何かが襲撃した事に察した。

 

「まさか、敵襲」

 

その言葉と共に、ロスヴァイセは眠っている麻中を抱え、飛ぶ。

 

同時に彼女に襲い掛かったのは巨大なドリルだった。

 

それの正体が何か、すぐに見える。

 

「こんな時に襲撃をっ」

 

そう、まるでシマウマを思わせる模様のロボットが、ロスヴァイセ達に襲い掛かる。

 

瞬時に魔方陣を展開したロスヴァイセは、そのままロボットに向けて放つ。

 

しかし、ロボットには大したダメージはない様子であり、そのままドリルを真っ直ぐと襲う。

 

絶体絶命と思われたその時。

 

「やらせるかよ!!」

 

聞こえた声。

 

それと共に、空に巨大な穴が開き、飛び込んできた影が、ロボットを蹴り飛ばす。

 

「もしかして」

 

同時に見つめた先にいた存在。

 

その存在を、ロスヴァイセは確かに知っていた。

 

「ウルトラマンゼロ」

「悪いが、さっさと片付けさせて貰うぜ!」

 

それと共にゼロの姿は変化する。

 

その姿は先程までとは大きく異なり、紫色と銀色を基調にしたカラー。

 

同時に身体の各部が大きく変わっていた。

 

そのゼロの姿の名はゼロビヨンド。

 

4人のウルトラマンの力を借りる事で変身する事ができた姿だった。

 

ゼロビヨンドの姿を見て、ロボットはすぐに構えた。

 

ロボットは、その左腕から次々とミサイルを放つ。

 

それに対して、ゼロビヨンドは、その両手にゼロツインソードを素早く斬り裂く。

 

それはまさに圧倒的な実力差だった。

 

そのままゼロツインソードにエネルギーを流し込み、巨大化させて敵をZ字に切り裂く。

 

「ウルトラマンが、来てくれた」

 

そう、ロスヴァイセが呟く間にも、ゼロは、そのまま麻中に近づく。

 

「何を」

 

そんな疑問を余所に、ゼロの身体は光る。

 

それと共に、ゼロの姿は消えていた。

 

「えっ、どこに」

 

そう、困惑を隠せないロスヴァイセ。

 

だが、そんな彼女とは別に、ゼロは、確かにそこにいた。

 

それは、麻中の精神世界。

 

周りには、暗闇に覆われていた。

 

それはシャボン玉のように幾つも広がっており、その中には、様々なウルトラマン達が戦っている光景が見えた。

 

「よぅ、久し振りだな、麻中」

 

そう、ゼロは、麻中に話しかける。

 

「ゼロさん、お久しぶりです」

「その様子だと、どうやら無事なようだな」

「なんとかと言いますか」

 

そう苦笑しながら言う。

 

「それでディメンションナイザーを通じて、お前が目を覚まさないと知ったから、慌てて来てみたが、これは一体」

「たぶん、俺がまだ知らないウルトラマン。

彼を知る為に、眠っていたかもしれない」

「知らないウルトラマン」

 

その言葉と共にゼロもまた見つめる。

 

シルエットでは目と頭部、カラータイマーが光るウルトラマンの姿が確認できるが、その全貌は明らかにされていない。

 

頭部のデザインは左右非対称となっている。

 

そのウルトラマンは、麻中を見つめると共に、頷き、そして姿が再び消える。

 

同時にディメンションナイザーもまた、より一層強くなる。

 

「どうやら、準備はできたようだな、それで、策はあるのか?」

「策はありません。ただ、信じるだけです。絆の力を」

 




宣伝という訳ではないですが、本日、4月21日はCODE_NAME_ULTRAMANの情報解禁です。
この話を書いている時には、未だに情報は分かりませんですが、どのようなウルトラマンになるのか、これから楽しみです。
皆様も、ぜひ、CODE_NAME_ULTRAMANをお楽しみに。


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絆を諦めない

新たなウルトラマンの名前はウルトラマンブレーザー。
最初の変身アイテムに、ウルトラマンZのブレーザーストーンがある。
特戦獣「アースガロン」の存在。
これらを見ていると、ウルトラマンZの要素も大きく、ゲスト出演があり得るのではないかと、ワクワクしています。
同時にガイアが25周年なので、ガイアに関係する要素も出て欲しいのが、今の所、大きな気持ちがあります。
とにかく、ウルトラマンブレーザーの今後が楽しみです。


「ぐっ」

 

戦場は既に危機的状況だった。

 

多くのウルトラ戦士が倒れており、量産型ディメンションナイザーもエネルギーが切れていた。

 

それでも、戻ってきた兵藤をきっかけに、確かに良い方向に進んでいる。

 

「それでも、この数は厄介だ」

 

未だに残る怪獣軍団。

 

そして、それを召喚しているトレギア。

 

奴らを倒さない限り、危機的状況を脱する事はできない。

 

「早く戻ってこい、麻中」

 

それと共に眼前にいる敵と相対しながら、ゼノヴィアは呟く。

 

「ゼノヴィアっ」

 

その叫び声が聞こえると共に怪獣が、ゼノヴィアに向けて、炎を吐く。

 

すぐに気づき、振り返るが、避ける暇はなかった。

 

そう思った時だった。

 

炎は、真っ二つに斬り裂かれる。

 

「なに」

 

炎が斬り裂かれる。

 

普通ならばあり得ない状況に、驚きを隠せなかった。

 

しかし、斬り裂いたのは、炎だけではない。

 

炎を出した怪獣までもが、真っ二つに、斬り裂かれていた。

 

それは疑問と共に、期待に。

 

そして、その期待は、黄金の光と共に、それが理解した。

 

「あれは、ウルトラマン!」

 

それは、黄金に輝く身体。

 

胸元には青いカラータイマー。

 

それこそが、一般のウルトラマンとは違う証。

 

そして、そのウルトラマンの名を、彼らは知らない。

 

だが、そのウルトラマンは、誰が呼び出したのか、既に分かった。

 

「悪い、待たせた」

 

それは、ルーブから発する声。

 

それはゼノヴィアにとっても、ここにいる者達にとっても待ち望んでいた人物だった。

 

「麻中っ、遅いぞ!」

「悪かった、少し用があってな、とにかく、ここは俺達に任せてくれ!行きましょう、お二人共!」

 

麻中の、その言葉に対してルーブは頷くと同時に、すぐに飛ぶ。

 

ルーブの存在を感知した怪獣達はすぐにルーブに向かって、次々と光線を、炎、雷を放っていく。

 

だが、ルーブは、その手に持ったルーブコウリンで斬り裂く。

 

同時に真っ直ぐと次々と怪獣達を斬り裂いていく。

 

まさしく神速というべき速さで、怪獣達を次々と倒していく光景を見て、ゼノヴィア達は笑みを浮かべる。

 

「やはり、凄いな彼は」

「あぁ、だが、問題はまだある。

トレギアの奴は」

「あぁ、新条は、未だに乗っ取られている。今のままじゃ」

 

ここまでの戦いの中で、何度も新条に向けて叫んだ。

 

しかし、その声は聞こえる事はなかった。

 

そうしている間にも、トレギアの元に、ルーブが近づく。

 

「ほぅ、今度は最初から、本気か。

だけど」

 

その言葉と共にトレギアは真っ直ぐと、ルーブに手を向ける。

 

同時に青い光が、ルーブに向かって、降り注ぐ。

 

それに対して、ルーブコウリンで、その攻撃を受け止める。

 

攻撃は、ルーブコウリンで防ぎながらも、そのまま地面に降り立つ。

 

「果たして、私に攻撃をできるのかなぁ?仲間思いの君達に?」

「攻撃なんてするかよ、むしろ、始めからこれが目的だからな」

「なにっ!」

 

トレギアは、すぐに声のする方向を見る。

 

そこには、先程までルーブと一緒にいたはずの麻中だった。

 

麻中は、あの激しい戦いの中で、ルーブから降り立つと同時に一瞬で、トレギアの元まで走っていた。

 

「ここまで接近されたがっ、だがお前に何ができる!」

「俺がやるんじゃない、新条が、やるんだよ!」

「何を言ってっ」

 

そうしていると、トレギアは自分の変化に気づく。

 

攻撃をしていないもう片方の手にはダークディメンションナイザーを持っている事に。

 

そして、トレギアの身体からカードが飛び出した事に。

 

「カードを通じて、新条の心を守ってくれて、ありがとうございます!

そして、今こそ、お願いします!!」

「まさかっ」

 

その言葉と共に、ダークディメンションナイザーに、そのカードをスキャンする。

 

『ディメンションロード!ウルトラウーマングリージョ!』

 

その音声と共に、トレギアの身体が光り始める。

 

それは、まるでまるで蛹の様に割れて、蝶が羽化する様にウルトラウーマングリージョが、新条と共に飛び出す。

 

「おっと」

 

そんな新条を、麻中は受け止める。

 

「もぅ少し、助けた方、どうにかできなかったかな」

「無茶を言うな。

それよりも、大丈夫か」

「なんとかね、まぁ昔、似たような目にあったし、今度はアサヒさんも一緒にいたし、君が助けに来てくれると、信じていたからね」

 

そうしていると、新条はグリージョの方へと手を振る。

 

「まさか、あの時から」

「あの時、俺に出来たのは、せめて新条の心を守るだけ。だからこそ、咄嗟にグリージョさんのカードをお前の中に入れた。

結果は、大成功のようだったな」

「なるほど、確かに大成功だよ、憎たらしい程にねぇ!!」

 

その言葉と共に、トレギアは、残った力を使い、2体の怪獣を呼び出す。

 

そこに現れたのは、機械のパーツと獣が合わさったような怪獣、メツボロス。

 

そして、もう一体は目の色は青で、体は黒っぽく、表面には血管のような青く細長い発光器官が這っている怪獣、グルジオライデン。

 

その2体は、この場にいる3人のウルトラマンにとっては、ある意味、大きな因縁のある怪獣だった。

 

「はぁはぁ、さて、ここがラストステージだ、大いに盛り上がろうじゃないか!!」

 

同時にトレギアもまた、元のウルトラマンとしての姿となり、対峙する。

 

「やるぞ、新条」

「・・・」

「新条?」

「アカネ、あの時、そう呼んだよね」

「えぇ、今、それを言うの」

「アカネって、呼んで」

「あぁ、もぅ、こんな時に」

 

そう言いながらも、顔を麻中に目を向けない。

 

「あぁ、もぅ、やるぞ、アカネ!」

「そうだね、裕太君!」

 

麻中は覚悟を決めたように叫ぶのに合わせるように、新条もまたダークディメンションナイザーを合わせる。

 

『纏うは真!不滅の真理!』

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマングルーブ!』

 

重なる5人の声。

 

それと共に赤と青と黄。

 

三色の光の竜巻が、彼らを包み込む。

 

それと共に現れたのは、1人のウルトラマン。

 

ウルトラマングルーブの降臨だった。




今回で、募集するアンケートの項目の中でネクサスはオーフィス、メビウスは兵藤、オーブは木場に大きな関係を持っている為、除外されています。
皆様の応募、お待ちしています。


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絆を合わせて

「これが、ウルトラマンの戦いなのか」

 

そう言いながら、既に兵藤との戦いに決着がついた。

 

既に死にかけていた曹操は、その光景を見ていた。

 

それは、ウルトラマンが脅威に立ち向かっている光景だった。

 

その背中には、身の丈はあるだろう巨大な砲台があり、放たれる雷は、まさしく音を置いていく程の速さを持つ。

 

そして、放たれた雷の威力は、簡単に山を破壊する事ができ、躱す事ができない。

 

エネルギーが尽きる様子もない存在、グルジオライデン。

 

野生の動物の本能と機械の正確さ。

 

その二つが合わさり、ビル程の大きさにも関わらず、そのスピードをまったく捕らえる事のできないホロボロス。

 

そして、そんな2体の怪獣を巧に操りながら、ウルトラマンに対して戦うウルトラマントレギア。

 

おそらく、1体を倒すだけでも、3大勢力が集結する必要があり、禍の団でもオーフィスなしで倒せるかどうか分からない。

 

そんな存在を3体を相手にしているウルトラマンは負ける。

 

そう、曹操は思っていたが。

 

「まさか、ここまでとはな」

 

そう皮肉を込めるように笑みを浮かべる。

 

3体を相手しているウルトラマングルーブは、空を飛ぶ。

 

その速さはまさしく神速であり、同時に美しい。

 

グルジオライデンから放たれる一撃を、全て紙一重で避けている。

 

さらには地上に降り立った際に襲い掛かるホロボロスの爪を、受け流し、蹴り上げる。

 

同時に襲い掛かるトレギアに対しても、互角に戦う。

 

3つの脅威に対して、全くの互角で戦うグルーブ。

 

「あんなのに、果たして勝てたか、どうか」

「俺は、ウルトラマンに関してはほとんど知らない。知っているのは、麻中やメビウス師匠から教えられたウルトラマンに関して、僅かに教えられた程度だ。

だけどな、あのウルトラマングルーブの変身者の3人は、間違いなく地球人、つまりは人間だ」

「人間だと」

 

その言葉が信じられなかった。

 

グルーブは、まさしく世界の危機を迎えるのに十分な3つの脅威と互角に戦っているのが、人間だとは、曹操は信じられなかった。

 

「お前は、人間だからできないと言っていたけど、結局は最後までお前自身が人間の力を信じていなかったんじゃないのか」

 

それはまさしく皮肉だった。

 

しかし、同時に。

 

「だとしたら、今度は信じてみるか、人間の力というのを」

 

その言葉を最後に、満足げに消えていった。

 

最後に見たのは、ウルトラマンの確かな光だった。

 

そんな曹操の消滅を知らない中で、グルーブと3つの脅威は徐々に決着がつきそうになっていた。

 

地上をすれすれに飛ぶグルーブは、その手にブルの武器であるルーブスラッガーブルに極クリスタルを装填されていた。

 

『ボルテックスラッシュ!』

 

同時に、そのまま赤、青、黄の三色の光と共に、まさに一閃。

 

グルジオライデンを斬り裂く。

 

それと共にグルジオライデンは、そのまま地面へと胴体が真っ二つに別れて、爆散する。

 

それと同時に手に持っていたルーブスラッガーが二つに分離し、ルーブスラッガーロッソへと変形する。

 

『ツインボルテックスエッジ』

 

それと共に、二刀流で放たれた斬撃が、真っ直ぐとホロボロスを斬り裂く。

 

ホロボロスは、その場で避けようとしたが、眼前を埋め尽くす程の斬撃を避ける事ができなかった。

 

瞬く間に2体の怪獣を倒した。

 

「あの時よりも、強くなったようだねぇ」

『後はお前だ、トレギア!』

 

それと共にグルーブとトレギアが真っ直ぐと突っ込む。

 

それに体して、トレギアは両腕から放つ10本のカッター光線を放つ。

 

それに対して、再びルーブスラッガーブルにすると同時に、背中からルーブコウリンを手に持つ。

 

同時にグルーブは、両手の武器で、光線を斬り裂く。

 

切り裂きながら、真っ直ぐ、トレギアへと接近する。

 

「はぁ!!」

 

ルーブスラッガーとルーブコウリン。。

 

二つの武器による斬撃を次々とトレギアに放っていく。

 

トレギアもまた、それらの攻撃に対して、受け流しを行っていく。

 

「ふふっ、無駄な事をっ」

 

そう言っている時だった。

 

グルーブは手に持っていたルーブコウリンを投げていた。

 

これまで手に持っていたルーブコウリンが投げられた事に、トレギアは驚きを隠せず、なんとか身体を仰け反る事で、避ける。

 

しかし、それが決定的な隙となった。

 

トレギアに襲い掛かる腹部の痛み。

 

それは、グルーブが手に持っていたルーブスラッガーが激突する衝撃だった。

 

後ろに大きく吹き飛ぶトレギアに対して、グルーブは既に構えていた。

 

左手首を肘のあたりで組んで交差させ、左手は開かず握っている。

 

『グルービング光線!!』

 

放たれた光線。

 

すぐに、トレギアは、その光線を受け止める為にバリアを張る。

 

「この程度の光線などっ」

 

そう、トレギアは叫びながら、受け止める。

 

だが、その光線を受けながら、気づく。

 

「まさかっ」

 

トレギアは、これまでは湊三兄妹だけのグルーブだと。

 

しかし、今のグルーブは、麻中と、新条の2人が加わった事で、その強さは跳ね上がっていた。

 

「なるほど、そういう事か、面白い!面白いぞ!!」

 

その叫びを最後に、トレギアは、爆発の中で消えていった。

 

それが、同時にこの戦いの終わりの花火となっていた。

 

大きな叫び声、それは勝利だと確信した彼らの雄叫びだった。

 

「・・・トレギア、まさかここまで厄介だとはね」

 

そんな彼らを余所に、グルーブのインナースペースの中。

 

新条は、その手に持つダークディメンションナイザーを見つめる。

 

それは、麻中も、湊三兄妹も同じだった。

 

「おいおい、あいつ」

 

それはダークディメンションナイザーを通じて、現れたトレギアのディメンションカード。

 

つまりは、トレギアは。

 

「うわぁ、なんか、これ、アレクシスを思い出すなぁ」

 

そう、新条は苦笑いをしてしまった。



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ディメンションナイザーを通じて

戦いが終わった後、麻中の身体に異常はないのか、検査が行われた。

 

その結果、判明した事だが、その容姿は以前の人間と変わりなかったが、明らかに人間ではあり得ない数値が多く出ていた。

 

この事から、兵藤達は既に分かっていた。

 

「麻中、やっぱりウルトラマンと同じ身体に」

「んっ、なっていたみたいだな」

 

そう、周りが沈みそうな雰囲気の中で、麻中は勿論、新条は特に気にした様子はなかった。

 

「おっ、なんだか、それ程、落ち込んでいない様子だな」

「それはまぁ、落ち込む事要素は特にないので。

元々、俺自身、ウルトラマンの皆さんに対しては憧れていた所もありましたので。

まぁ、どちらにしても、ウルトラマンと同じ身体だからと言って、人間の姿は変わりないから」

 

そう、特に気にした様子もない様子だった。

 

「私としては、気になるのは、もしも麻中君がウルトラマンに変身した場合は、どんな姿になるのか、気になるなぁ」

「気になると言われても、俺自身が、どう変身するのかなんて、分からないぞ。

それに、俺の身体は直感だけど、ジードさんと似たような感じだと思うぞ」

 

そう言いながら、麻中はそのまま身体を軽く動かしていた。

 

『まぁ、その身体をどう鍛えるかは、お前次第だけどな』

「ゼロさん」

 

その言葉と共に、ディメンションナイザーを開く。

 

『よっ、どうやら元気そうだな』

「ゼロさんこそ、この前はありがとうございます」

『別に気にするな。

何よりも、こっちの戦いに巻き込んでいるからな、助けるのは当たり前だろ』

 

そう、ディメンションナイザーの向こう側から聞こえて来たゼロの声に麻中は笑みを浮かべる。

 

「にしても、本当にそれ、どうなっているんだ?

ディメンションナイザーを一応量産はしてみたが、俺のではまだまだ召喚できるウルトラマンの数は少ないし、召喚時間は少ない。

ますます、興味深いなぁ」

『なんというか、そっちの奴は、ブルの奴に似ているな』

「んっ、ブルって、ウルトラマンか?」

『おぅ、この前の戦いで出てきただろう』

「あぁ、そう言えば、俺の時には、なんか出てきたけど、こいつか?」

 

そうアザゼルが取り出したのは、ブルのディメンションカードだった。

 

『どうやら、麻中のように全てのウルトラマンと繋がる訳ではないけど、相性の良いウルトラマンとは量産型でも繋がるようだな』

「んっ、それってもしかして、先生、俺にも一つ」

「おぉ、もしかして」

 

そうしていると、兵藤が、ディメンションナイザーを手に取ると、そこから出てきたのは、ウルトラマンメビウスのディメンションカードだった。

 

「おぉ、もしかしてと思ったけど、メビウス師匠」

『あいつが、師匠だとはな、なんというか、時の移りが早いなぁ』

「・・・あの、ゼロさん」

『んっ?』

 

そう話していると、ふと新条がゼロに聞いてくる。

 

「ウルトラマンの事で聞きたいんですけど、こういう恋愛的な話は何かありませんか」

「アカネは、いきなり何を言っているんだ」

 

その話題に、麻中は思わず呟いてしまう。

 

「裕太は黙っていて、そこの所、どうですか!」

『えっ、どうって言われてもなぁ、あっ、俺じゃなくて、あいつらだったら、そういうの詳しいかもなぁ』

「あっゼロさん!」

 

そうしているとゼロは通話が切れる。

 

同時に変わったのは。

 

『むっ、何やらゼロからの連絡を受けて、切り替わったが、これは一体』

「あっ、タイタスさん」

 

ゼロの代わりに現れたのは、タイタスだった。

 

「タイタスとは、一体どんなウルトラマンなんだ」

「力の賢者と呼ばれている人だ。トライスクワットのメンバーの1人で、タイガさんとフーマさんと一緒のチームで活動しているんだ」

「力の賢者、ならば、そういう事も分かるはず!」

 

そう、なぜかゼノヴィアが問い詰める。

 

『恋愛の事か、残念ながら、私にはそういうのは疎いからな』

「力の賢者なのに」

『そう言われても、私はそういう経験はあまりないからな。

だが、以前、タイガ達と話をした時に、なぜかそういう感じだと言われたが』

「感じとは?」

『うむ、あれは私がまだトライスクワッドに入ったばかりの頃の黄金惑星の激闘での出来事だった』

 

その言葉と共に、タイタスから黄金惑星の激闘についてを話された。

 

その話を聞いている間、女性陣は食い込むように聞いていた。

 

『まぁ、そういう訳で、私は力の賢者の称号を得たのだが、なぜかタイガ達はネフティ様が私に惚れていると言っているのが、麻中はどう思う?』

「えっ、そうですね。俺は恩人だと思いますよ。

実際に俺もゼロさんや、皆さんに対して、そう思っていますし」

『やはり、そうか。私自身もそう考えて『いや、違うだろ』えぇ』

「えっ、どこが違うの?」

 

タイタスの話の感想を聞いた麻中の答えに対して、その場にいた全員が否定した。

 

「いや、今の話、どう考えても、王女様、タイタスさんに惚れているでしょ」

「あぁ、駄目だ。この人じゃ駄目だ!次!次のウルトラマン!」

「えぇ、どういう意味なんだ?」

 

そう困惑している間にも、麻中はされるがままに次々とウルトラマンを召喚していく。

 

『ふむ、恋愛と言われても、私自身はあまり経験はないからな』「エックス本人じゃなくて、そこは大地さんを呼んでよ!」

『恋愛か。俺自身は心が安らいだという事はあるが、よく分からないな』「駄目だ、オーブさんは達観し過ぎている!」

『恋愛?いやぁ、僕の周りにはそういうのは』「鈍感主人公のジードはなしだよ!!」

『んっ、いやぁ、今は修行で忙しくて』『それよりも、そっちの世界の研究って、どうなっているの!俺、気になっているからさぁ!!』「ロッソとブルの兄弟は駄目だ!!」

 

そう、次々とウルトラマンが変わっていくが、彼女達が求めている話題がまるで出なかった。

 

「・・・アカネもそうだけど、お前達、なんで、そんなに必死なんだ?」

『お前だよ!』

 

麻中の言葉に対して、その場の全員が思わず大声で答える。

 

だが、それがどのような意味か、麻中はほとんど唖然としながら、首を傾げる。



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入口

後に魔獣戦線と呼ばれる事になる戦いから数週間。

 

麻中達は元の日常へと戻っていた。

 

その日常の最中で、大きな変化は、ただ一つだけあった。

 

それは、黒歌がはぐれ悪魔から外された事である。

 

理由としては、麻中が意識不明の間、彼女が所持していたビートスターライザーが、大きく貢献していた事が大きな理由であった。

 

そのおかげで、被害は大きく抑えられた為、彼女の身の回りに起きた事について、再度調査。

 

同時に当時は悪魔の身内という事で、隠されていた事実も判明し、彼女自身の無罪だと判明した。

 

最も、その後の彼女の行動で出た小さな罪も多くあり、完全な無罪という訳ではなかった。

 

だが、ビートスターライザーによる貢献はそれだけ大きかった為、彼女は監視付きだが自由の身になった。

 

「それで、今は麻中君の家にいるんだよね」

「あぁ、なんというか、自由な感じだけど、本当に」

 

そう、呆れたように麻中は呟きながら、学校から帰っていた。

 

「それにしても、あの時以来、やはり動きはないか」

「トレギアも実際にはあまり知らないと言っていたけど」

「妖しいよなぁ」

 

実際に、あの後、ダークディメンションナイザーによって、会話が行えるようになったトレギアに問いかけた。

 

しかし、その事を答えてくれなかった。

 

というよりも、それを悩んでいる麻中の様子を楽しんでいる様子だった。

 

「そうしている間にも、またか」

 

それと共に、空を見る、

 

今回は、なぜか結界が張られていなかった。

 

それでも、危険な事は変わりない。

 

その存在は、空に浮かぶワームホームから現れた。

 

穴から、ゆっくりと現れたそれは、首だけだった。

 

ワームホールからは頭と首の部分だけしか出さなかったが、その凶悪な怪獣の顔は、空から襲い掛かろうとした。

 

「まさか、こいつが出てくるとはな、ゾーリム」

 

それは、ガイアがかつて戦った事のある怪獣だが、その全体図は明らかになっていない。

 

だが、かつて倒したゾグと同じ大きさだと考えても、可笑しくない。

 

そんなゾーリムを、これ以上の侵入されない為に、麻中はすぐにディメンションナイザーを構える。

 

「さぁ、ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

『ディメンションロード!ウルトラマンジード!プリミティブ!』

 

鳴り響く音声と共に、ジードが現れると共に、眼前にいるゾーリムを見つめる。

 

『これはっ、かなりヤバいかもしれない』

「あぁ、早くなんとかしないと」

 

そうジードはゾーリムの脅威を察知すると同時に、真っ直ぐと飛ぶ。

 

ジードの存在を察知したゾーリムは、すぐにジードに向かって、口から吐く火炎を飛ばす。

 

「ぐっ」

 

その威力はかなり高く、ジードが紙一重で避ける。

 

「さすがにこのままじゃ」

 

攻撃をなんとか避ける事はできるが、その間にも体力が奪われる可能性がある。

 

「ならば」

 

それと同時に、麻中がその手に持ったのは3枚のカードだった。

 

「ジードさん!」

『あぁ!』

 

その言葉と共に、麻中はその手にウルトラZライザーを構え、3枚のカードをウルトラメダルに変えて、装填する。

 

「ジャックさん!コスモスさん!ネクサスさん!お力、お借りします!!」

『Jack.Cosmos.Nexus.Ultraman Geed Tetrite Cross.』

 

鳴り響く音声と共に、ウルトラマンジードの姿が大きく変わる。

 

プリミティブの周囲に、ウルトラマンジャック、コスモス、ネクサスの3人のウルトラマンがジードを交差するように、姿が変わっていく。

 

プリミティブをベースとしているが、体表は黒と銀をメインに青いラインが入った配色で、指先には鋭い爪が生えている。

 

最大の特徴は全身を包む鎧のような赤紫色の刺々しいクリスタルで、背中には翼のような水色のクリスタルまで備わっている。

 

その姿こそ、ウルトラマンジードの姿の一つであるテトライトクロスだ。

 

「さぁ、行くぞ!!」

 

その言葉と共に、ジードは真っ直ぐと手を構える。

 

「ギガフィールドプレッシャー!」

 

それと共に、白い光球を生成し、円柱状に凝縮させる。

 

そう、発生させたバリアは、眼前にいるゾーリムの炎を包み込む。

 

それに驚き、さらにゾーリムはさらに火力を高める。

 

しかし、バリアは崩れる事なく、むしろゾーリムに迫っていく。

 

「これでも喰らえ!!」

 

そのまま、バリアを真っ直ぐとゾーリムに向けて、飛ばす。

 

同時にゾーリムの口内には、ゾーリム自身が放った炎が、ゾーリム自身を身体の内側から焼き尽くす。

 

「なんとかできたってっ」

 

そう、ゾーリムを倒す事に安堵していた時だった。

 

ゾーリムがいたと思われるワームホールの先の存在に目を向けた。

 

それは、巨大な惑星。

 

遠目でも分かる程の巨大であり、そのほとんどが機械でできていた。

 

その存在に、見覚えがあった。

 

「ビートスターっ、まさか」

 

ワームホールは閉じる気配はない。

 

それを意味するのが何か。

 

「あいつはっ、ただの入口なのかよっ」



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接近のビートスター

「どうやら、本当にやばいようだな」

 

ワームホールが開いてから、すぐにアザゼルを始めとした数多くの人物が集まり、その先にある惑星に関してを調べ始めた。

 

こちらから観測する限りで、分かった事としては、その惑星はが、かつてウルトラマンゼロが遭遇した人工天球「ビートスター天球」

 

しかし、そのエネルギー量は、かつてのビートスターを遙かに超えていた。

 

「考えられる限り。というよりも確実にアブソリューティアンの奴らが作ったと考えて良いが、問題はどうやって、あれを止めるかだな」

 

そうしながら、観測したデータを元にアザゼルは考える。

 

ビートスター天球への攻撃は、既に行っていた。

 

だが、それらの攻撃は全て届く事はなかった。

 

あまりにも離れすぎている為である。

 

しかし、ビートスター天球が攻撃が当たる距離まで近づいた頃には、地球の終わりを意味する。

 

打つ手はないのかと、考えていた時だった。

 

「やはり直接、乗り込むしかないか、あそこに」

 

そう言いながら、ビートスター天球に向けて、麻中は言う。

 

「乗り込むと言っても、どうするんだ?

はっきり言うが、今の俺達の技術力じゃ、あそこまで渡る方法など、ないぞ」

「そこは大丈夫、黒歌頼めるか?」

 

そう、黒歌に尋ねる。

 

「私がにゃ?

一体、どういう事にゃ?」

「あるじゃないか、この状況にぴったりなのが」

「んっ、あぁ、そういう事にゃ。

それじゃ、試してみるとするかにゃ」

 

その言葉と共にビートスターライザーを手に取る。

 

『ジャンポット!ジャンナイン!キングジョーストレイジカスタム!ナースデッセイ!』

 

その音声が鳴り響くと同時に、4体のロボットがそのまま宙に舞い、そのまま一体化する。

 

その姿は、まさしく巨大戦艦と言うべきに相応しかった。

 

「これに乗り込んで、ビートスター天球に潜入するしかないな」

「まったく、それはそれで、とんだ代物じゃないかよ。

あのアブソリューティアンの奴らが、血眼で探す訳だな」

「あぁ、それにしても」

 

その言葉と共に麻中は、ビートスターライザーに目を向ける。

 

「ビートスター天球とビートスターライザー。

もしかしたら、何か関係しているのかもしれないな」

 

そう言いながらも、既にビートスター天球が迫っていた。

 

「さて、それじゃ、俺達だけで行くとするか」

「待て、さすがにそれは危険じゃないのか?」

「そう言われても、おそらく、あの中には、ビートスターが製造した多くのロボット怪獣がいる。

ゼロさんから聞いた話じゃ、インペライザーにエースキラー。

そして、おそらくだが、その後も出現した奴らもいる。

だからこそ、短期間で一気に行くには、俺達だけで行くしかないだろ」

「お前、無茶だぞ」

「無茶でも、行くしかないからね」

 

そう、麻中は言う。

 

「・・・はぁ、分かった。

こっちでも常に観測しておく。

だから、絶対に戻ってこいよ」

「あぁ、勿論!」



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ビートスター天球の自然

目的地であるビートスター天球に向けて、麻中達は真っ直ぐと飛んでいた。

 

ワームホールを越えた後でも、未だに接近しているかどうかすら分からないその存在に、確かに恐怖があった。

 

「いやぁ、結構怖がっている感じかにゃ」

「まぁな、あのビートスターは、もしかしたら、これまで以上の強敵が待ち受けている可能性があるからな」

 

ビートスター天球が、平行世界の様々なロボット怪獣を集めていた。

 

それらの性能はかなり高く、そして数は多い。

 

だからこそ、決して油断できない相手である事を覚悟している。

 

「にしてもにゃぁ、これとどういう関係があるのかにゃぁ?」

「それは、行ってみないと分からないって」

 

そう考えている間にも、ビートスター天球はこちらの存在が気づいたように、3つの影が見える。

 

「あれは、自然コントロールマシーンの3つか」

 

テンカイ、エンザン、シンリョクの3つは、麻中達が乗る戦艦に向けて、次々と攻撃を放っていく。

 

「こちらを近づけさせないつもりか、だったら、こっちも3人でやるか」

 

その言葉と共に構える。

 

「バディゴー!」『ディメンションロード!ウルトラマンタイガ!』『ディメンションロード!ウルトラマンタイタス!』『ディメンションロード!ウルトラマンフーマ!』

 

鳴り響く音声と共に、3人のウルトラマンが真っ直ぐと向かって行く。

 

「これが、ゼロの言っていたビートスター天球。

確かにこんなのが、地球に落ちたら、ヤバ過ぎるだろ!」

「弱気になるなよ、タイガ!」

「誰に言っているんだ、フーマ!俺達、トライスクワッドに敵じゃないだろ!」

「あぁ!!」

 

その叫びと共に3人のウルトラマンは、そのまま各々が自然コントロールマシーンに向かって、飛び込む。

 

タイガの眼前にいるテンカイは、タービンを回しながら暴風を発する。

 

宇宙で、空気のない状態のはずだが、それでも確かに起きた暴風にタイガは驚きを隠せなかった。

 

「こいつらっ、ガイアと戦った時よりも強くなっている!」

「あぁ、そのようだ!」

 

それは、タイタスがエンザンの角が襲い掛かる、

 

その力は、タイタスと互角であり、なんとか対抗する。

 

「おい、タイガ!」

「なんだっ、フーマ!」

「そっちに、一体が近づいたぞ」

「なに?」

 

タイガは聞こえた声と共に、見つめた先には、フーマが相手をしていたシンリョクだった。

 

それだけではなかった。

 

タイタスが相手をしていたエンザンもまた、同じく接近していた。

 

「こいつら、一体っ」

 

そう考えている時だった。

 

暴風の中のテンカイを胴体に、エンザンが上半身に、シンリョクは下半身に。

 

3体の自然コントロールマシーンが、一体のロボへと変わった。

 

「なっ、こんな合体する奴だったかっ」

「分からない。

だが、この程度で、怯むなよ、タイガ!」

「勿論だっ、行くぞ!!」

 

その言葉と共に、ディメンションナイザーを構える。

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンタイガ!トライストリウム!』

 

鳴り響く音声と共に、そのままタイガを中心に、トライストリウムへと変身したタイガはその手に持ったタイガトライブレードを手に、真っ直ぐと近づく。

 

「はぁぁ!!」

 

タイガトライブレードを、振り下ろし、その胴体に斬撃を与える。

 

だが、合体した自然コントロールマシーンの防御力はかなり高く、あまり傷はない。

 

僅かな火花を散らした程度だった。

 

それでも、諦めず、何度もタイガトライブレードを振るう。

 

「これは一体っ」

「おそらく、あの自然コントロールマシーンが周りのエネルギーを吸収している為だ。

このままでは、おそらくは倒せない」

「だとしても、諦める訳にはいかないだろ!!」

「あぁ、その通り!」

 

その言葉と共に、その手にあるディメンションナイザーは虹色に輝く。

 

「今こそ、限界を超える時だな!!」

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンタイガ!トライストリウムレインボー!』

 

その名の通り、全身が虹色に輝いている。

 

「そっちが、合体だったら、こっちも最大火力で決める!!」

 

その言葉と共にタイガは構える。

 

「麻中!こいつを倒すと同時に、真っ直ぐとビートスター天球に突っ込むぞ!」

「分かりました!」

 

その言葉と共にタイガは構える。

 

タイガトライブレードに、虹色の輝きを集めると同時に、真っ直ぐと構える。

 

「レインボーストリウムバースト!」

 

刀身に虹色のエネルギーを込めて斬撃を放つ。

 

その一撃を受け止めるように、自然コントロールマシーンは構える。

 

その攻撃を、防御する事だけに集中していた。

 

だが。

 

「こっちも真っ直ぐだ!」

 

そんな自然コントロールマシーンに対して、そのまま戦艦が突っ込む。

 

レインボーストリウムバーストによる攻撃の防御だけに集中した為、正面から来ていた圧倒的な物量の戦艦に対する防御ができなかった。

 

そのまま爆煙の中に消えた。

 

そのまま、彼らは、ビートスター天球に向かって、侵入していく。



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ビートスター天球の内部

麻中達は、そのまま戦艦と共に突入したビートスター天球の内部。

 

それは、まさしく必要最低限の設備だけが設置されているとイメージさせる程の荒野を思わせる光景だった。

 

「ここが、ビートスター天球の内部」

「奴らも、既にこちらの存在を探知しているはずだが」

 

そう考えている間にも、その予測が当たったと言うべきか、麻中達を取り囲むような反応が見える。

 

「さっそく、お出ましか」

 

それと共に見てみると、そこには、グローカーボーン、レギオノイドなど、量産に向いているロボット怪獣が次々と迫っていた。

 

「これだけの数。

おそらくは奥に本体がいるはずだな」

 

それと共に、麻中はその手にディメンションナイザーを構える。

 

「さぁ、ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

『ディメンションロード!ウルトラマンジード!ソリッドバーニング!』

 

鳴り響く音声と共に、ジードが、そのまま眼前にいるロボット怪獣達に向かって、飛ぶ。

 

その姿は、これまで見せてきたどのジードとも違う赤いジード。

 

それも、まるでロボットを思わせる姿、ソリッドバーニングだった。

 

ソリッドバーニングは、そのまま眼前にいるロボット怪獣に接近する。

 

ジードの存在を感知したロボット怪獣は、次々とレーザー放っていく。

 

しかし、ソリッドバーニングの鋼鉄のボディには、全くダメージを与えていなかった。

 

それと共に、腕部アーマーを展開し、右腕の拳を構える。

 

「ストライクブースト!」

 

その叫び声と共に、真っ直ぐと赤い熱線を発射する。

 

それによって、多くのロボット怪獣達がそのまま燃え尽きる。

 

同時に、ジードはそのままロボット怪獣達の中央に降り立つと同時に、蹴り上げる。

 

ジードが近づいた事によって、レギオノイドはドリルを、グローカー・ポーンは光弾で援護する。

 

しかし、それらの攻撃は無意味であるように、まるでダメージを受けない様子。

 

さらには、ジードは手に持ったジードスラッガーでレギオノイドのドリルを斬り裂く。

 

そのまま腕に装着すると

 

「ブーストスラッガーパンチ!」

 

ブースターの加速と共にパンチで敵を切り裂く。

 

周辺のロボット怪獣達を一通り倒し終えるたと思った次の瞬間。

 

グローカー・ポーンは次の行動に移していた。

 

二機のグローカー・ボーンが合体した、純粋な戦闘を目的とする姿に変わる。

 

各所に鋭い刃を備えた攻撃的なフォルムを持つ、グローカー・ビショップへと変わった。

 

その数も、多い状況には、変わらない。

 

「このままじゃ」

「だとしても、さっきの疲れが未だに残っている」

 

先程のビートスター天球に侵入する際の体力が未だに回復していない状況での、トゥルーディメンションロードはあまりにもリスクが大きい。

 

何よりも、未だに敵の本体まで姿が見えない。

 

その中だった。

 

「んにゃ?」

 

黒歌が何かに気づく。

 

それは、ビートスターライザーに流れる文字。

 

「・・・なんだか、招待しているみたいにゃ」

「招待って、ビートスター天球が?」

「そうにゃ、こちらには敵意がないからと言っているけど」

「今の状況で、それを言うの?

明らかに罠じゃない?」

「・・・罠だとしても、このままの状況では悪化するばかりだ。

ジードさん!」

『分かった』

 

その言葉と共に麻中は新たなディメンションカードを手に取る。

 

「ライブ! ユナイト! アップ!」『Ginga.X.Orb.』

 

その手に持ったウルトラZライザーを同時に構える。

 

「集うぜ! キラ星!!ジィィィィィィィド!!」『Ultraman Geed Galaxy Rising.』

 

それと同時に、ジードの身体は瞬時に、ギャラクシーライジングへと、姿が変わる。

 

同時に咆哮をあげながら、胸の前で円を作る

 

それと同時に足を引くと共に、その過程で背後に燃える鳥のようなオーラが形成される

 

そして、腕を横に広げたところから構えた右腕の肘に左の拳をあてると共に、腕を横に広げたときに背後のオーラを収束させ

 

「レッキングフェニックス!!」

 

その燃えさかるような炎の光線によって、眼前にいるグローカー・ルークは焼き尽くされる。

 

同時に、そのまま黒歌の持つビートスターライザーが導く場所へと向かう。

 

向かった先。

 

そこに広がっていたのは、白い砂浜に海。

 

その光景に、麻中達は驚きを隠せなかった。

 

「これは一体」

「この光景が、私のメモリーの中で、最も落ち着く場所だと記録されていました」

「えっ?」

 

聞こえた声、それと共に、見つめた先。

 

そこには民族衣装を思わせる格好をした女性がいた。

 

「お前、何者にゃ?」

「私は、このビートスター天球に取り込まれたシステムの一つ。名をテラハーキスと申します」

「テラハーキス?

まさか、ギルバリス!」

 

その事に、ジードは警戒した。

 

「警戒するのは、無理もありません。

本来の歴史ならば、私は、そうなる運命でしたから」

「そうなる運命?」

 

その言葉に一同は首を傾ける。

 

「・・・平行同位体。

もしかして、このビートスター天球は」

「えぇ、様々なロボット技術を吸収する為にアブソリューティアンが蘇らせた存在。

そして、私を始めとした様々な技術を吸収した場所です」

「それが、なんで」

「暴走する危険性のあるギルバリスよりも、まだ制御のしやすい頃の私を狙ったのでしょう。

その結果、惑星クレアは、消滅しました」

 

それは、おそらくは無くなってしまった歴史だろう。

 

それでも、悲しみは確かにあった。

 

「それで、俺達をここに呼んだ訳は」

「ビートスター天球を止めて欲しい。

だからこそ、それを託しました」

 

そう、黒歌のビートスターライザーへと目を向ける。

 

「これをかにゃ?」

「えぇ、ビートスター天球は様々なロボットを吸収しています。

だからこそ、それに対抗する為に、同じようなシステムを入れたビートスターライザーを開発しました」

「だけど、アブソリューティアンが最初に持っていただろ」

「えぇ、正直に言えば、賭けでした。

それが、あなた方の元に来るかどうか」

「何というか、本当にとんでもない賭けだな」

「えぇ、それぐらい、無茶な事だと思いますから」

 

そう言ったテラハーキスは、確かな覚悟の目をしていた。

 

「・・・」

「ジードさん?」

 

その目を、ジードはどこか遠い目をしていた。

 

「ギルバリスも、元々は平和の為に造られた。

僕は、元々は父さんが復活する為に造られた。

ある意味、僕と君は、似たもの同士かもしれない」

「えぇ、あなたの事も、別の世界の私の顛末も既に収集済みです」

「そうか」

 

その言葉と共に、頷く。

 

「恨んでいるかい?」

「いいえ、感謝をしています。

あなたのおかげで、多くの命を救えた事に」

 

そう言ったテラハーキスの顔は、確かな笑みを浮かべていた。



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決戦!ビートスター!

目的地を知った麻中達は、すぐにその目的地に向かって、飛ぶ。

 

他のメンバーよりも、先行する形で、ジードは、麻中と一体化する形で飛ぶ。

 

そこは、ビートスター天球の中にある荒廃な大地を思わせる場所。

 

だが、その目的地に向かって、ジードは真っすぐと飛ぶ。

 

そんな目的地に向かうジードに対して、赤い光弾が、襲い掛かる。

 

空を飛ぶジードは、その攻撃に対して、すぐに避ける。

 

同時に地上へと降り立ったジードは、その光弾を撃った存在、グローカービショップに構える。

 

グローカービショップは、ジードが降り立ったのを確認すると同時に、両手から再び光弾を放っていく。

 

それに対して、ジードは、すぐにその手に専用武器であるジードクローを構え、光弾を受け流す。

 

そのまま光弾の攻撃を受け流しながら、真っ直ぐとグローカービショップに向かって、接近する。

 

「ハイジョスル」

 

グローカービショップから流れる無機質な機械の音と共に、背中のバーニアによって瞬間的な高速移動でジードに接近する。

 

「っ!」

 

急速に接近された事によって、ジードはグローカービショップの攻撃に対応できなかった。

 

グローカービショップは、その機械の爪で、ジードを拘束する。

 

同時に、その手から、次々と光弾を放っていく。

 

「ぐっ」

 

ゼロ距離から放たれた光弾を受け、ジードはそのまま後ろに吹き飛ばされてしまう。

 

地面に倒れこんだジードに対して、さらに追い打ちをかけるように、無数の光弾を放つ。

 

だが、それを予測していたかのように、すぐにその場から離れる。

 

そして、起き上がると同時に、地面を蹴り飛ばして、グローカービショップに向けて突撃していく。

 

「ハアッ!!」

 

叫び声とともに、勢いよく振り下ろしてきたジードクローによる一撃を浴びせるが、グローカービショップはその攻撃を正面から受けても微動だにしない。

 

逆にジードの方がダメージを受けてしまい、膝をつく。

 

その間にも、グローカービショップは反撃を行い、その両手から光弾を放ち続ける。

 

「くっ……」

 

ジードは、なんとか避けながら、グローカービショップと距離を取ろうとするが、グローカービショップはそれを許さず、一定の間合いを保ちながら追いかけてくる。

 

グローカービショップから繰り出される無数の光弾を避け続けていた。

 

「ここで、負けてたまるか!」

 

その言葉と共に、ジードは飛ぶ。

 

同時に、無数の光弾は、地面に大きな煙幕ができる。

 

『ウルトラマンジード! ロイヤルメガマスター!』

 

鳴り響く音声と共に、煙幕の中から出てきたジードは全身には黄金のアーマーが装着されており、黄金のマントも纏いながら、その手にキングソードを持っていた。

 

空を飛びながら、ジードは真っすぐとグローカービショップに接近する。

 

グローカービショップは、再び、ジードに向かって、光弾を放つ。

 

だが、ジードはその手に持ったキングソードで、光弾の軌道を変え、直撃を避ける。一方で、グローカービショップも、光弾を放っているだけでは勝てないと判断し、接近してくるジードに向けて走り出す。

 

同時に、グローカービショップの両腕にある刃状になっている爪からエネルギー状の剣のような物が伸びる。

 

そのまま、グローカービショップは、ジードに向けて放つ。

 

それに対して、ジードもまたキングソードで受け止める。

 

二つの刃がぶつかり合うことで、大きな金属音が響いていく中、グローカービショップは再び、腕を振り上げようとする。

 

それに対して、ジードは受け止めているキングソードを押し返し、逆にグローカービショップの腕を切り落とす。

 

さらに、続けて放たれた蹴りによってグローカービショップを吹き飛ばす。

 

それと同時に、キングソードに左手を3回かざす。

 

「ロイヤルエンド!」

 

掲げたキングソードを左腕とクロスさせて撃ち出す。

 

そこから、無数の金色の光がシャワーのように降り注ぐ。

 

その攻撃に、グローカービショップは耐える事ができず、爆発していく。

 

その爆炎から飛び出しながら、真っ直ぐと、ビートスター天球の中心へと向かって、飛ぶ。

 

「ここがっ、ビートスター天球の中央っ!」

 

それと共に、見つめた先にいたのは、ビートスターがいた。



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鎧を纏い

対峙するビートスターに対して、ジードはその手に持つキングソードを構える。

 

「ロイヤルメガマスターへの対抗手段を実施」

「なっ」

 

それと共に、ビートスターの身体には、瞬時に様々な武装が装着される。

 

それは、ギルバリスを思わせる重装備であり、真っ直ぐとジードに向かって、放つ。

 

気づいたジードは、瞬時にその手に持ったキングソードにウルトラカプセルを挿入する。

 

『ウルトラ6兄弟!』「ブラザーズシールド!」

 

それによって、発動したウルトラ6兄弟の幻影が、ジードに襲い掛かった数多の銃弾を全て防いだ。

 

その爆煙の中を通り抜けると共に、その手にあるキングソードは、そのままビートスターに向けて、振り下ろした。

 

「はぁ!」

 

キングソードの細い刀身が、ビートスターの身体に確かにダメージを与えた。

 

先程まで攻撃をしていた腕を切り落とす事ができたのを見たジードは、さらに追撃を行うようにキングソードで斬ろうとすう。

 

だが

 

「既に予測済み」「っ」

 

ビートスターは、その切り落とされた腕を、ギガデロスの腕へと変える。

 

同時に、その腕から伸びた剣で、ジードに追撃する。

 

「ぐっっ、だったら」『ウルトラマン!』「スペシウムフラッシャー!」

 

それと共に、ジードは瞬時にキングソードから放った光線を、ビートスターに当てる。

 

だが、その攻撃は、瞬時に入れ替えたギガデロスの左腕の盾によって、受け止められ、そのまま分身される。

 

「なっ!!」

「無駄な事を。

このビートスター天球の内部において、私は無敵。

ウルトラマンのデータを収集し、それの対抗策であるロボットの装備を装着する事ができる。

よって」

「くっ!」

 

それと同時に、先程まで受けたジードの光線を、そのまま放った。

 

それによって、ジードはそのまま後ろに下がってしまう。

 

「ぐっ」

「以前の私とは違う。

ジードを倒した後は、私を倒したゼロとジャンキラーを「それは不可能です」なに?」

 

同時に、麻中の元に来たのは黒歌だった。

 

「黒歌、来たという事は」

「まぁにゃぁ、とりあえずは出来るようだにゃ」

 

そう言いながら、その手に持っていたビートスターライザーを見せる。

 

それは、以前までのビートスターライザーとは違い、麻中達の持つディメンションナイザーと似ていた。

 

「その声は、まさかっ」

「ここまで、麻中さんとジードさんが時間稼ぎをしていたのは、ビートスターライザーのアップデートの為。

そして、それも今は完了しました」

「テラハーキス!」

 

そう、ビートスターは叫ぶ。

 

「さてっと、それじゃ、行くにゃ!」

「あぁ!」

 

同時に二つのディメンションナイザーが合わさる。

 

『ファイターディメンションロード!ウルトラマンジード!セットアップサイバーゴモラ!』

 

鳴り響く音声と共に、現れたのは、サイバーゴモラ。

 

そのサイバーゴモラが雄叫びを上げると共に、ジードの姿も変わる。

 

それは、ジードの姿の一つであるギャラクシーライジング。

 

ギャラクシーライジングへと姿が変わると同時に、サイバーゴモラは、そのまま、鎧のようにジードに装着されていく。

 

ウルトラマン自身の力と鎧となったロボット怪獣。

 

その二つが重なる事によって、とある宇宙のウルトラマン達の姿を再現した。

 

それこそが

 

「超闘士ジード。

それが、今の姿だ」

 

その言葉と共に、ジードは構える。



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機械鎧

「超闘士だと?」

 

その名を聞くと、驚きを隠せないビートスター。

 

だが、すぐに油断を無くしたビートスターは、そのままジードに向かって、襲い掛かる。

 

腕には、ギャラクトロンクリンガーとギャラクトロンブレードを振り下ろす。

 

しかし、その刃はジードに当たる事はなかった。

 

「なにっ」

 

それは、ジードが両腕を交差させて、その攻撃を受け止めていた。

 

受け止めた刃は、ギャラクシーライジングの技であるギャラクシーカッティング。

 

だが、その刃の大きさは、これまでの大きさと比べものにならない程に大きかった。

 

それは、サイバーゴモラが装鉄鋼になった影響でもあり、どちらかと言うとその性質は邪生鋼によく似ていた。

 

だが、その元となっているロボット怪獣が味方である事によって、着用しているウルトラマンの力を最大限に発揮しながら、無駄なエネルギーを使用させないようにコントロールしている。

 

「へぇ、これがウルトラマンと一体化した感覚とはにゃぁ」

 

その体験は、黒歌にとっては初めてであり、その高揚感に笑みを浮かべる。

 

ロボット怪獣の鎧をコントロールする役割として、ビートスターライザーを持つ黒歌。

 

彼女自身、機械のコントロールはできない。

 

だが、仙術を行う際のコントロール能力も高く、それを応用して、支援する。

 

それと共に、刃は、そのままビートスターの腕を斬り裂く。

 

「がっ、ぐぅ、再生できないだとっ!」

「サイバーゴモラを通じて、あなたをハッキングしています。

それ以上は、あなたには何も転送されません」

「テラハーキスっ!!」

 

そう、機械でありながら、その恨み言を叫びながら、そのままジードに襲い掛かる。

 

「プラズマ光輪!!」

 

それと共に、腕から生えている刃を瞬時に巨大な光輪に、ビートスターに放つ。

 

四肢は、瞬く間に斬り裂かれていた。

 

「ぐっ、こうなったら」

 

それと共に、ビートスターの胸元が開く。

 

そこから飛び出た砲台は、真っ直ぐと、向けていた。

 

対して、ジードはそのまま咆哮と共に、両腕にエネルギーを集める。

 

それらは、まるで虹と宇宙が合わさったような光であり、それらはサイバーゴモラを思わせる爪に形成される。

 

「さて、技を最大限に出す為に、声を合わせろ、黒歌!」

「えっ、これ、私もやるかにゃ?」

「アカネは一緒にやってくれたぞ。とにかく、行くぜ!」

 

同時にジードは真っ直ぐと走る。

 

それと同時だった。

 

「「「レッキング超振動波!!」」」

 

それと共に、周囲に衝撃波と共に、真っ直ぐとビートスターに突っ込む。

 

ビートスターは、瞬時に巨大なレーザーを放つ。

 

だが、レッキング超振動波によって、それらのレーザーは曲げられる。

 

それによって、攻撃は無効化され、そのままビートスターへと爪が突き刺さる。

 

「がっがああぁぁぁ!!」

 

そのエネルギーは、そのままビートスターの内部を襲う。

 

それは、他の身体に移ろうとしていたビートスターの動きを阻害していた。

 

「このっ私がぁ!!」

 

叫び声と共に、その身体を崩壊し、ビートスターは、爆散する。



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生まれた意味

ビートスター天球での戦いを終わりを迎えてから、数日が経つ。

 

その日、麻中は、黒歌と共に、夜空を見つめていた。

 

ビートスター天球が破壊され、爆発が起きたが、未だにその多くの破片は宇宙に残っていた。

 

だが、それらは地球から遠く離れた場所であり、ワームホールを使用しない限り、接近する事ができない。

 

故に、地球から見たら、それらの破片は星のように見えていた。

 

「なんというか、最後はあっけなかったにゃ」

「そうか?」

「そうにゃ、あれだけ強い力を持っていて、これ程の物を生み出せた星が、あそこまで呆気なく、そしてこうして空しく、流れるなんて」

 

その言葉は、どこか自分と重ねているのか、黒歌の声は、とても暗かった。

 

「・・・私も、白音も、そうなるかもしれないにゃ」

「どういう事だ?」

 

その言葉に、麻中は気になり、耳を傾ける。

 

「私達の母親はとある悪魔の研究者の男と一緒にいた。生まれた後、私達を認知させるようにしていたらしいけど、結局は死んでしまった」

 

それは、どこか悲しくも自虐めいていた。

 

「だからこそ、強い力を使えるように生まれても、その程度だったという訳にゃ。これも、私も」

「・・・それは違うぞ」

 

黒歌の言葉。

 

それに対して、麻中は否定する。

 

「黒歌、今回の戦いで、一緒に戦ったジードさんについて、どこまで知っている?」

「さぁ、目付きが悪いなぁという印象はあったけど」

「・・・ジードさんは、ウルトラマンの模造品でしかなかったんだ」

「えっ」

 

それには、黒歌も驚きを隠せない様子だった。

 

「ベリアルの新たな肉体となるに十分なだけのウルトラカプセルを必要としていた。

しかし光の国から盗み出したカプセルを起動させるのに必要なリトルスターは、宿主がウルトラマンに祈ることでしか譲渡されない。

だからこそ、その手段として、ジードさんが生み出された」

「ウルトラカプセルとか、ベリアルとかはよく分からないけど。

そうなんだ。

あのジードがね」

 

その麻中からの言葉に、少なくとも、黒歌は驚きを隠せなかった。

 

「けど、ジードさんは、それを覆した。模造品を、父親であるベリアルさんを、運命を。

だからさ、黒歌。

お前も変えられるよ」

「変えられるかにゃ」

 

その一言を告げると共に、黒歌は笑みを浮かべる。

 

「だったら、麻中。

その言葉にはきちんと責任を持って貰うにゃ」

「責任?」

 

それに対して、麻中は疑問を感じる。

 

だが、そうしている間にも、麻中を引き寄せ、キスをする。

 

それには、麻中は目を見開き、驚く。

 

「それじゃ、私はここら辺でにゃ」

 

その一言と共に、麻中の元から去る黒歌。

 

そして。

 

「えっ、今の、もしかして、キス」

 

しばらくフリーズする事になった麻中であった。



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力の意味を知りたくて

「ふむ」

 

その日、麻中と共に食事をしていたゼノヴィアは、悩んでいた。

 

その様子は、かなり分かりやすく、麻中は思わず、首を傾げた。

 

「どうしたんだ、いつもより食べていないが」

「少しな。私が、今、持っているデュランダルを、どうすれば良いのか、悩んでいてな」

「デュランダルを?」

 

麻中は、その言葉について疑問に思う。

 

「麻中が、別の一件で動いていた際に、禍の団と戦っていた。

他の皆は強くなる一方で、私は未だにこの力を完全に使いこなせているか、どうか、少し疑問があってな」

「力を使いこなすか」

 

それに対して、麻中は、頷きながら、とある人物を思い出す。

 

光の力を使いこなす事に悩んでいた。

 

似た悩みをしている人物の事を。

 

そう考えていた時だった。

 

鳴り響くディメンションナイザーが、告げていた。

 

「こういう時にもお構いなしかよ」

「むっ、まさかアブソリューティアンか?」

「そうみたいだ!」

 

その言葉と共に、麻中は周りに人がいない事を確認すると同時に、そのまま走り出した。

 

ウルトラマンに近い身体能力を得た事によって、一目につかず、かつ素早く移動しながら、校門を抜け出した麻中は、そのまま真っ直ぐと目的地まで向かう。

 

目的地近くに向かうと共に、見えた。

 

だが、未だに怪獣の影はなかった。

 

「どこに?」

 

そう考えながら、周りを見ていた時だった。

 

物陰から伸びる手。

 

それを感じた麻中はすぐに避ける。

 

「なっ」

 

直前で、躱す事ができた麻中だが、指先から変化していた。

 

それは、僅かに擦った事が影響であり、徐々に麻中の腕は金属へと変わっていく。

 

「くくっ、まさか、こんなに簡単にかかるとはなぁ」

「お前は、ヒッポリト星人!」

 

その場で立つスーパーヒッポリト星人の姿があった。

 

同時に、その腕がブロンズ化させた犯人だという事が分かった。

 

「ちっ、これはすぐに倒さないといけないなっ」

 

そのまま片手で、ディメンションナイザーを構える。

 

『ディメンションロード!ウルトラマントリガー!マルチタイプ!』

 

鳴り響く音声、それと共にトリガーが、その姿を現す。

 

「ウルトラマンを呼んだか、だが無駄だ!」

 

同時にスーパーヒッポリト星人もまた巨大化する。

 

それに対抗するように、トリガーもまた構え、その手にサークルアームズを構える。

 

だが、片手はだらりと力が抜けたように落ちていた。

 

「なに?」

「お前とウルトラマンが繋がっている事は既に調査済みだ。

つまりは、反対にお前が負傷していれば、ウルトラマンもまた、動きが鈍るという訳だ」

「ぐっ」

 

そうしている間にも、トリガーの身体はその言葉通り、麻中のブロンズ化している箇所で、少しずつ動かなくなっていた。

 

それと共にトリガーは追い込まれていく。

 

「あとは、貴様を倒せば「おっと、そうはさせないぜ」なっ」

 

聞こえた声、それと共にトリガーの間に入ってきたのは、一つの影。

 

それはトリガーに比べたら、まるで骨を思わせる鎧を身に纏っている存在。

 

身に纏っている力は、ウルトラマンとは正反対の闇の性質だった。

 

彼を、麻中とトリガーは確かに知っていた。

 

「トリガーダーク、つまりは」「イグニス!」「よっ、久し振り、にしても、なかなかに厄介な事になっているな」

 

トリガーダークことイグニスは、そう呟きながら、トリガーは地面に落としたサークルアームズを手に取り、構える。

 

「さて、こいつを相手に素手は危険だからな、少し借りるぜ!」

 

それと共に、真っ直ぐと、スーパーヒッポリト星人に向かって、振り下ろす。

 

それに対して、スーパーヒッポリト星人は胸の発光体から放つ赤いビームを真っ直ぐと放つ。

 

だが、イグニスは、その手のサークルアームズを器用に操りながら、切り払う。

 

そして

 

『Maximum Boot Up! Zaigorg!』

 

鳴り響く音声と共にサークルアームズから刀身に赤いトゲを生やす。

 

そのまま、真っ直ぐとスーパーヒッポリト星人の胴体を斬り裂く。

 

「きっ貴様あぁぁ!!」

 

その言葉を最後に、スーパーヒッポリト星人はそのまま爆散する。

 

「なんとか、やれたけど、おいおい、大丈夫かよ、坊主」

「うぅ」

 

戦いが終わり、スーパーヒッポリト星人のブロンズ化は解けた。

 

しかし、その体力は確かに麻中の体力を奪っていた。

 

「危険な状態だ、このままじゃ」

 

それと共にトリガーは何かを決意したように、頷く。

 

「やってみるしかないか」「おい、まさかケンゴ!」

 

その言葉と共にトリガーの身体は光となる。

 

そして、そのまま、麻中の中へと一体化していく。

 

そうしている間にも、苦しんでいた麻中は、目を覚ます。

 

「俺は」「どうやら、無事に成功したようだな」

 

それと共に、トリガーダークの変身を解いたイグニスはそのまま麻中に近づく。

 

「イグニスさん、助けて貰って、ありがとうございます」

「俺は別に。それよりも、今の状況、分かっている」

「今の状況って、ケンゴさん!?」『あははは、どうやら、無事で良かった』

 

それは、体力が切れている麻中を少しでも生かす為に、トリガーことマナカケンゴが一体化した事だ。

 

「まったく、ウルトラマンには、そういう能力があるとはいえ、無茶だぞ」

『ごめん。だけど、今はこれしかなかったから』

「それで、どれぐらいなんだ?」

『1週間ぐらいかな。

だけど、その間は』

「あぁ、麻中もそれは理解しているよな」

「はい、他のウルトラマンを呼ぶ事ができない」

 

麻中のウルトラマンを呼び出すディメンションロードは、ウルトラマンとのシンクロが非常に大事だ。

 

トゥルーディメンションロードなどとは違い、別の意思が入り込んでいる状態では、通常のディメンションロードは不可能である。

 

『そういう事だから、しばらくお願いできるかな』「こちらこそ、よろしくお願いします」



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光の剣

「ウルトラマンと一体化したというのは、本当なのか」

 

麻中達が戻ってくると同時に、そう告げられた事に対して、驚きを隠せないオカルト研究部の面々。

 

「ウルトラマンとの一体化って、以前のゼロさんも似たような事をしていましたが、あの時とは違うんですか?」

「あの時、ゼロさんの時の状況とは少し違うからね。

何よりも、あの時は、別の事も重なっていたから」

 

あの時に見る事ができた新たなウルトラマン。

 

そのウルトラマンの事について、未だに知らない事が多く、ようやく知る事ができたのは、ブレイザーという名前だけ。

 

彼を観測する為に、僅かに意識が飛んでおり、ゼロさんは、それを連れ戻してくれる為に来ただけである。

 

「まぁ、そういう訳だから。

しばらくの間は、俺が助っ人で来た訳」

「えっと、それで、この人、誰」

 

それと共にイグニスに関しては、麻中以外は知らない様子で、首を傾げた。

 

「そう言えば、名乗ってなかったな。

俺の名はイグニス。宇宙一のトレジャーハンターだ」

「トレジャーハンター?」

「そっ、例えば、こういうの」

 

その言葉と共に、取り出したのは、羽の箒。

 

「これは?」

「これは「これって、もしかしてマガバッサー!だけど、少し違うけど、凄いよ!」おぉ、お嬢さん、物知りだねぇ。少し違うけど、これはグエバッサーの箒で魔法の箒さながらに空を飛ぶことができるんだぜぇ」

 

そう、自慢げにイグニスが語る。

 

「こうした、ゴクジョーなお宝を探すのが、俺の仕事。

まぁ、正義の味方って副業も行っているんだけどねぇ」

「正義の味方が副業とは」

 

イグニスの言葉に思わず、苦笑をしてしまう。

 

そう、会話を行う最中で、俺はふとした事を思い出した。

 

「マナカさん、少し相談が」『んっ、なんだい?』

 

その中で、俺はとある事を思い出す。

 

この状況だからこそできる事。

 

「ゼノヴィア、ちょっと良いか?」

「んっ、どうしたんだ?」

 

俺はそのままゼノヴィアに話しかける。

 

「この状況だけど、なんとかできるかもしれないぞ。デュランダルの制御」

「それは、本当なのか!」

 

それに対して、ゼノヴィアは驚きを隠せなかった。

 

「まぁ、同じかどうか分からないけど。

光の力を制御するという意味だったら、今、一体化しているマナカさんこと、トリガーの力が約に立つと思う」

「あぁ、なるほど。

エタニティコアの力の事か」

 

イグニスは、それに対して、納得するように頷く。

 

「エタニティ?

確か、トリガーと言えば、ロキの戦いで」

「あぁ、その時に力を貸してくれた人だ。

という事で、良いですか?」

『あぁ、特に問題ないよ。

少し、場所を移しても大丈夫かな?』

「あぁ、問題ない」

 

その言葉で、同意を得ると共に、俺達はすぐに、その場から離れる。

 

『それじゃ、デュランダルを出してくれるかい?』

「デュランダルをか、分かった」

 

その言葉と共にゼノヴィアは、その手にデュランダルを出す。

 

それに対して、マナカさんの意思に従うように、ディメンションナイザーが開く。

 

『ディメンションロード!ウルトラデュアルソード!』

 

鳴り響く音声と共に、現れたのは、トリガーとデッカー。

 

二人のウルトラマンが使っていた黄金の剣、ウルトラデュアルソード。

 

「それは」

『悪いけど、少しだけ手荒な特訓になるよ』

「つまり、それは模擬戦なのか」

『あぁ、君自身、聖剣を相手に戦った経験は少ないからね。

少しだけ掴めるかもしれないからね』

 

同時に、麻中もまた構える。

 

「…麻中」

「あぁ、良いよ、遠慮なく来い」

「感謝する!」

 

その言葉と共に、模擬戦の始まりを告げる。



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特訓

模擬戦が始まる。

 

麻中の、その手に持つウルトラデュアルソードを構える。

 

これまで、あまりなかった生身での戦闘という事もあってか、周りは緊張した様子があった

 

その最中、始めに仕掛けて来たのは、ゼノヴィアだった。

 

「はぁ!」

 

雄叫びと共に振り下ろされたデュランダル。

 

その一撃に対して、麻中は、ウルトラデュアルソードを真っ直ぐと構え、受け止める。

 

「なっ」

 

様子見のつもりで放った一撃だったが、それでも簡単に受け止められた事に、ゼノヴィアは驚きを隠せなかった。

 

「ふぅ」

 

それと共に、息を吸い込むと同時に、ウルトラデュアルソードの輝きが増す。

 

同時に、後ろに飛び退くと同時にそのまま薙ぎ払う。

 

それと共に放たれたウルトラデュアルソードからの光の斬撃に対して、ゼノヴィアはすぐにデュランダルでなんとか受け止める。

 

「なんという一撃っ」

『余計な事を考えずに、使うんだ』

 

その言葉と共に、麻中の中にあるケンゴの声と共に、模擬戦は続く。

 

「麻中って、生身でも、あそこまで強かったのか」

 

その模擬戦を見て、兵藤は思わず呟いてしまう。

 

「麻中の奴は、ディメンションナイザーを通じて、ウルトラマン達の力や経験を獲得していた。結果、その身体は徐々にウルトラマンに近くなっている。いわばあのディメンションナイザーは人間をウルトラマンへと変える装置なのかもしれないな」

 

そう、兵藤の横にイグニスは笑みを浮かべる。

 

「そう言えば、聞きたいけど、あなたもウルトラマンなのよね?」

「俺は正確には、ウルトラマンの力を得た別の宇宙人。しかもウルトラマンとは違う闇の巨人のね」

「えっ、それって、敵対していたんじゃ」

「まぁ、色々とあったんだよ。俺自身もね。まぁ、正義の味方をやっているのは本当の話だからね」

 

そうして、模擬戦は行い続ける。

 

「はぁはぁ、まさか、ここまでとはな」

 

そう言いながら、息を荒げているゼノヴィア。

 

それに対して、麻中は僅かだけ息を吐いているだけだった。

 

『さて、それじゃ、次はダンスをしようか』

「ダンス?」

「なんで?」

『とりあえず、やってみたら、分かるよ』

 

そのケンゴの言葉に従うように、そのままダンスを行う事になる。

 

「・・・ねぇ、あれ、本当にあれ、特訓なの」

「そうだね、実際にケンゴはあれをやって、エタニティの力を使いこなせたからな」

 

そのイグニスの言葉に対して、戸惑いを隠せないオカルト研究部。

 

最も兵藤は。

 

「なかなかに動きが激しくて、良いかもなぁ」

 

そのダンスを行っているゼノヴィアを見て、にやけ顔をしていた。



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凶人同士

ウルトラマントリガーこと、マドカ・ケンゴの特訓によって、デュランダルの使い方が徐々に理解しかけていた。

 

その特訓も行った事も影響してか、ゼノヴィアは、どこか落ち着いていた。

 

「なんといか、奇妙な感覚だな」

「そうなのか」

「あぁ、デュランダルが新しい力を得た事で、私自身はそれを使いこなそうと考えていた。

だが、どうも上手くいかなかったが、こうしていると、どこか落ち着くような」

「強い力を無理矢理コントロールしようと考えるんじゃない、受け入れるんだと」

 

そう考えると共に、デュランダルを手に持つ。

 

「いやぁ、青春しているねぇっと」

 

そう、イグニスの言葉を呟く。

 

だが、特訓を終えた後、そのまま家に帰る事になった。

 

これまでと変わりなく、しばらくはイグニスもまた居候という形で麻中の家にいる予定だった。

 

「さてっと、これからどうするのか」

「へぇ、君が例のウルトラマン君かい」

「んっ?」

 

聞こえた声。

 

それと共に見つめた先にいたのは、白髪の老人。

 

その老人が何者かは分からない。

 

しかし、自然と警戒を強くした。

 

「お前は一体」

「リゼヴィム」

「誰だ、それは」

「禍の団のボスだ。

だが、なぜ、奴がここに」

「それは、勿論。

君と戦ってみたいと思ってからだよ、麻中君」

 

それと共に狂喜的な笑みを浮かべると共に、リゼヴィムは、その懐から取り出した物。

 

それは、まるで仮面。

 

それが何なのか、麻中はすぐに気づく。

 

「まさか」

「ふふっ」

 

そのままリゼヴィムは、その仮面を顔に付ける。

 

それと同時にリゼヴィムの姿が大きく変わる。

 

金色の強固な鎧と赤い羽衣を身に纏い、仮面を着けている。

 

その存在の正体は、既に麻中は理解していた。

 

「エタルガー」

「お前の事を、こいつに教えたからな。

何よりも、お前のように、様々なウルトラマンと戦えるのならば、乗らない手はないだろう」

 

その言葉と共に仮面の奥から不気味な笑みを浮かべる。

 

それと同時に、エタルガーは、その手を麻中に向ける。

 

手から溢れ出る黒い霧は、ゆっくりと怪獣と宇宙人に変わる。

 

その存在は、バルタン星人とスカイドンの2体だった。

 

「少し下がっていてくれ。

この状態だったら」

 

それと同時に、ディメンションナイザーにディメンションカードをスキャンする。

 

『ディメンションロード!ウルトラマントリガー!マルチタイプ!』

 

鳴り響く音声と共に、麻中の身体はウルトラマントリガーへと変わる。

 

同時にバルタン星人は、トリガーの周囲を囲みながら、その両腕の鋏を開きながら、光線を放つ。

 

それに対して、トリガーの身体はすぐに変化する。

 

『Ultraman Trigger Sky Type!』

 

その音声と共にトリガーはスカイタイプへと姿を変えると同時に、バルタン星人の光線を避ける。

 

同時に、その手に持っているサークルアームズをスカイアローに変えると共に、バルタン星人に向けて、光の矢を放つ。

 

放たれた矢に対して、バルタン星人は、鋏で軽く弾き返す。

 

同時に、そのまま空中で、トリガーとバルタン星人が激闘を繰り広げる。

 

「さて、それじゃ、俺もやらせて貰おうか」

 

その言葉と共にイグニスもまた、構える。

 

『Trigger Dark…!Boot up…! Dark Zeperion…!』

 

その音声が鳴り響くと同時にイグニスの顔に紋章が広がる。

 

「未来を染める漆黒の闇……!トリガーダーク!!」

『Trigger Dark…!』

 

その音声が鳴り響くと同時にイグニスの姿は、トリガーダークへと変わる。

 

それと同時に地上にいるスカイドンに向かって、拳を振り下ろす。

 

圧倒的な重さと硬さを誇るスカイドンに対して、トリガーダークもまた、既に次の手に移っていた。

 

『Boot up…! Impact!』

 

目が赤く発光し、口が裂け金色のダクト状の組織が露出する。

 

そのまま、上に乗ると共にスカイドンに向けて、次々と殴っていく。

 

その際、トリガーダークから出てくる無数の赤いトゲが、何度もスカイドンに襲う。

 

身体に無数の穴を空けながらも、スカイドンは上にいるトリガーダークを振り払うように、そのまま暴れる。

 

「ケンゴ!麻中!」

「あぁ、分かった!」

 

それと共に空中でバルタン星人と戦っていたトリガーは、その声に気づくと同時に地上に向かって、降りる。

 

それはイグニスも同じく、スカイドンを踏み台に、そのまま空を飛ぶ。

 

『Boot up…! Lightning!』

 

鳴り響く音声と共にトリガーダークの両目は青く発光し、両肩の突起をブースターとして、そのまま超高速でバルタン星人に接近する。

 

それは、トリガーも同じだった。

 

『Ultraman Trigger Power type!』

 

そのまま、地上にいるスカイドンに向かって、その拳を構える。

 

「「はあぁぁ!!」」

 

トリガーは、赤い光を脚に纏って、スカイドンに。トリガーダークは、電撃を纏った拳をバルタン星人に。

 

各々の目の前にいる敵に向かって、放つ。

 

その一撃を喰らい、そのまま爆散する。

 

呆気ない戦いの決着。

 

それに対して。

 

「ブラボー、いやぁ、こうして間近で見たけど、なかなかに面白いねぇ」

 

そう、エタルガーとなったリゼヴィムは、笑みを浮かべる。

 

「次はお前か」

「そうしたいけどさぁ、もっと見てみたい戦いがあったからねぇ。

それじゃ、今日はここら辺でねぇ」

 

それと共にエタルガーの姿は消した。

 

「トレギアに続いて、これかよ。

本当に、厄介な事ばっかりだな」

 

そう、麻中は呟く。



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光の武器

「エタルガーって、そんなにヤバい相手なのか」

 

そう言いながら、その日のオカルト研究部では、その話題が出ていた。

 

「エタルガーと一体化している奴、リゼヴィムの奴に関しては俺は一応は知っているが、そのエタルガーというのは、何者なんだ?」

「様々な時空を行き来し、様々なウルトラマンを倒した事のある強敵だ」

「ウルトラマンを」

 

それに対して、さすがにオカルト研究部は静かになった。

 

「本当だったら、エタルガーを倒した事のあるウルトラマン。

特にギンガとビクトリーの二人が来てくれたら、心強いけど、今は」

『僕とイグニスの二人だけ』

「実際に、あのエタルガーを倒す為に、10人のウルトラマンが力を合わせて、やっと倒せたからな」

「10人のウルトラマンが力を合わせて、やっと倒せる怪物と、こっちの化け物爺が合わさった。これはとんでもない怪物が来たもんだ」

「何か、手はあるのか」

 

エタルガーが、いつ、こちらに攻め込んでくるか分からない。

 

その状況下において、麻中達は、現在の手札だけで、どう戦うべきか。

 

そんな時だった。

 

『Hallo、皆、元気かなぁ』

「っ」

 

麻中達を嘲笑うように、現れた画面。

 

その人物は、今、まさに話の中心に出ていたリゼヴィムだった。

 

「まさか、お前が直接出るとはな。

それで、どういうつもりだ」

『どういうつもりと言われてもねぇ、僕ちゃんってば、色々と楽しみたい事が多くあってね。今回は、それを行って貰おうと、麻中ちゃんに頼みに来たんだぁ』

「俺に頼みだと、そんなの聞くと思うか」

『えぇ、これを見てもかぁい?』

 

そう言ったリゼヴィムが向けたのは、冥界。

 

だが、本来ならば、荒野に近い場所が、今は、まるで海のように溢れ出る泥が広がる。

 

そして、その中央にいる存在を、麻中は、イグニスは知っている。

 

「メガロゾーア!」

「マジかよ」

 

その存在を知っている彼らからしたら、信じられない存在だった。

 

「あれって、ガタノゾーアに似ているけど」

「ある意味、間違っていない。あれは平行世界で誕生したガタノゾーアに似た奴だ。そして、その脅威もガタノゾーアと変わらない」

「っ」

 

それを聞いた新条は、さすがに目を見開く。

 

『早くしないとぉ、この周辺が泥に埋まっちゃおうよ。さぁ、見せてよ、君達のた・た・か・い』

 

それを最後に、リゼヴィムは画面が遮られた。

 

「どうやら、迷っている時間はないようだな。罠だとしても」

「あぁ、行くしかない」

 

その言葉と共に、麻中とイグニスは、そのまま飛び出す。

 

「2人共っ」

「先生っ」

「あぁ、分かっている。

あれは、放っておけば危険だからな」

 

それと共にすぐに転移する。

 

転移した先で、既に多くの悪魔達が、メガロゾーアと戦っていた。

 

だが、メガロゾーアは、両肩から出ている突起物から、緑色の波紋を出す。

 

それによって、悪魔達が放っていた魔法を打ち消していく。

 

「あれは、スフィアっ」

「スフィアって、あれか?

だとしたら、あいつは」

「あぁ、スフィアメガロゾーア、厄介な敵なのは、変わりないですよ」『ディメンションロード!ウルトラマントリガー!』

「そうかよ、だとしたら、余計に油断はできないな」『Trigger Dark…!』

 

それに合わせるように、麻中は、トリガーに、イグニスはダークトリガーへと瞬時に変身し、真っ直ぐとスフィアメガロゾーアへと無悪。

 

そのまま、真っ直ぐと、スフィアメガロゾーアに向かって行く。

 

「イグニスさん、これを」

「おっ、サンキュー!」

 

トリガーは、そのまま手に持ったサークルアームズをダークトリガーに投げ渡す。

 

同時にダークトリガーは、そのままサークルアームズをスカイアローに変えて、その狙いを真っ直ぐとスフィアメガロゾーアに向けて、放つ。

 

スフィアメガロゾーアは、その身体から無数の触手を生やして、攻撃するが、ダークトリガーによる光の矢によって、弾け飛ぶ。

 

同時にトリガーは、その手に持ったウルトラデュアルソードを手に、スフィアメガロゾーアに斬りかかる。

 

「ぐっ、やっぱり硬いっ」

 

それは、以前よりも防御力が高くなったのか、一撃では、簡単に切り裂く事ができなかった。

 

そうしている間にも、スフィアメガロゾーアの鋏が、そのままトリガーに襲い掛かる。

 

「ぐっ」

「やらせるかよ!!」『Boot up…! Impact!』

 

鳴り響く音声と共に、ダークトリガーは、その身体をサイゴーグの力を宿すと同時に、手に持ったサークルアームズをパワークローへと変形させる。

 

そして、そのまま地面に突き刺すと、無数の棘が、スフィアメガロゾーアの身体を突き刺す。

 

「やっぱり、このままじゃ」「裕太!」

 

それと共に、トリガーが目を向ければ、新条が、そこに立っていた。

 

「アカネ!」

「早く、倒さないと、街が」

「あぁ、力を貸してくれ!」

 

その言葉と共にトリガーの元に新条は吸い込まれる。

 

そして

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマントリガー!グリッターエタニティ!』

 

鳴り響く音声と共に、トリガーは、黄金の姿、グリッターエタニティへとその姿を変える。

 

同時に、その手に持ったウルトラデュアルソードに2枚のディメンションカードをスキャンする。

 

『デッカーダイナミック!グリッタートリガーエタニティ!デュアル!ダイナミックエタニティスクラム!』

 

鳴り響く音声と共に、ウルトラデュアルソードから溢れ出る光。

 

「「「ふぅ!」」」

 

息を整える。

 

必殺の一撃を、眼前にいるスフィアメガロゾーアを斬る為に。

 

「「「はああぁぁぁ!!!」」」

 

その一撃は、真っ直ぐと、確かにスフィアメガロゾーアを斬り裂く。

 

すぐに再生しようとするスフィアメガロゾーア。

 

だが、黄金に輝く剣は、さらに巨大化していく。

 

それによって、スフィアメガロゾーアは、その光に吸い込まれる形で、確かに消滅する。

 

「なんとか、倒せたか」

「うんうん、素晴らしいねぇ」

「っ」

 

聞こえた声。

 

それと共にすぐにその攻撃を、ウルトラデュアルソードをなんとか受け止める。

 

そこに立っていたのは、エタルガーがいた。

 

「エタルガー」

「さぁ、強敵と戦った後だけど、俺達とも戦って貰おうか」

 

それと共にエタルガーは追撃するように、蹴り上げる。

 

「ぐっ」

 

先程の必殺の一撃を放った後という事もあり、トリガーはすぐに反撃する事はできなかった。

 

そして、それと共にエタルガーの一撃によって、グリッターエタニティが解除される。

 

「裕太!!」

 

それによって、飛び出た新条はすぐに叫ぶ。

 

だが、そうしている間にも、エタルガーはトリガーに追撃するように迫る。

 

「ほらほらぁ、もっと、あぁ?」『Boot up…! Lightning!』

 

「やらせると思っているか!」

 

そう言いながら、電撃のように早く動きながら、トリガーダークは、スカイアローで次々と牽制を行っていく。

 

「まったく、君は邪魔だねぇ!!」

 

それに合わせて、エタルガーは、すぐにエネルギー弾を放つ。

 

「はぁはぁ」

 

それと共にトリガーも立ち上がる。

 

だが、その胸元にあるカラータイマーは赤く点滅する。

 

それが、もうすぐ時間切れを示している。

 

だが、それでも諦めるつもりはないのか、真っ直ぐと立つ。

 

「麻中!」

 

それと共に聞こえたのは、ゼノヴィアの声。

 

既にスフィアメガロゾーアの泥は無くなり、近づいていた。

 

体格差もあり、ほとんど危険な中、その手に持っていたデュランダルが輝く。

 

「これは、まさか」

 

それと共にゼノヴィアの身体が光に包まれる。

 

「これは一体」

「分からない、けど、もしかしたらデュランダルが、何かを導こうとしているかもしれない」

 

トリガーの身体の中で、麻中とゼノヴィアが考える中で、一つのディメンションカードが飛び出す。

 

「これは」「ウルトラマン」

 

それが何を意味するか分からない。

 

しかし、ケンゴはすぐに頷く。

 

「使ってみよう、2人共」

 

その、ケンゴの言葉に対して、頷くと同時に、ディメンションナイザーにウルトラマンのカードをスキャンする。

 

『ウェポンディメンションロード!ウルトラマン!ソード!』

 

鳴り響く音声。

 

それと共にトリガーの眼前に現れた武器。

 

それは、ウルトラマンが変身の時に使用するアイテムであるベータカプセル。

 

それを掴むと同時に、ベータカプセルから溢れ出るのは、光の刃。

 

それは、一言で言えばビームサーベル・

 

「これは」「ウルトラマンの力が宿った武器」

 

ウルトラマンの本当の力を発揮するトゥルーディメンションロード。

ウルトラマンと怪獣の力を一つにし、鎧とするファイターディメンションロード。

そして、ゼノヴィアのデュランダルと共鳴する事で、ウルトラマンの力を武器にした呼び出す事ができるウェポンディメンションロード。

 

3つ目のディメンションロードが、まさに新たな光をもたらす。



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ウルトラ・ウェポン

今回の件に加えて、新たな項目を募集しています。
皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292936&uid=45956



「それだけで、このエタルガーに勝てるとでも思っているのかい?」

 

そう、エタルガーは、トリガーに対して、挑発するような言葉と共に襲い掛かる。

 

それに対して、トリガーは、その手に持ったウルトラソードとウルトラデュアルソードを両手に持ちながら、その拳を受け止める。

 

そのまま回し蹴りを行い、そのままエタルガーは前に倒れる。

 

『デッカーモード』

 

それに合わせて、ウルトラデュアルソードをトリガーモードからデッカーモードへと切り替える。

 

同時に、そのクリスタル部分にウルトラソードを合わせる事によって、大きく開いた鍔から光の刃が現れる。

 

それによって、ウルトラデュアルソードは巨大な剣となり、それはまるでデュランダルを思わせる形だった。

 

「武器の見た目が変わっただと?」『Ultraman Trigger Power type!』

 

鳴り響く音声と共に、パワータイプへと変わったトリガーは、そのまま振り払う。

 

「なっぐっ!!」

 

エタルガーは、薙ぎ払うような攻撃に対して、すぐに受け止める。

 

だが、それを完全に受け止める事ができずに、吹き飛ばされる。

 

さらには、その場で回転しながら、その刀身をエタルガーに当てる。

 

かなりの刀身の長さで、そのまま吹き飛んだエタルガーにさらに追撃をする。

 

「ぐっ、この威力はっ」

『ウルトラマン自身を純粋な力、つまりは武器にした事によって、その威力はかなり強力になっているようだねぇ、これは厄介厄介』

「一気に決める!」『Ultraman Trigger Sky Type!』

 

それと共に、ウルトラデュアルソードの持ち手を変える。

 

先程まで光の刃を放っていた鍔から弦を、グリップ部分は光の刃が現れる。

 

それは、まさしく巨大な弓矢であった。

 

その狙いは、真っ直ぐと、エタルガーに向けていた。

 

「はぁ!!」

 

それと共に放たれた巨大な青い光線。

 

それは、真っ直ぐとエタルガーに向けて放たれた。

 

先程の剣の攻撃によって、僅かな亀裂ができており、その光線を、防御する事ができなかった。

 

「ぐっ、まさかっ、こんな事でぇ!!」

 

その叫び声と同時に、エタルガーは完全に倒された。

 

「やったのか」

「いや、これはっ」

 

同時に麻中は気になり、見ると、爆煙の中から逃げる影。

 

それがリゼヴィムだと気づく。

 

「まさか、直前で融合を解除したのかっ」

「待てっ!」

 

すぐに麻中達は、真っ直ぐと近づく。

 

だが、そんなリゼヴィムの前に立っていた人物。

 

それは、麻中にとっても驚きを隠せなかった。

 

「おぉ、巫女ちゃん!助けに来てくれたんだぁ」

 

そこに立っていたのはユメだった。

 

「助けに?面白い事を言いますね、リゼヴィムさん。

私が、あなたを助ける理由なんて、ないでしょ」

 

その言葉と共にユメは、その手に持っているアブソリューティアン・ディメンションナイザーを構える・

 

「あなたから欲しい情報は十分に得られました。

あなたは、ここで用済み」『アブソリューティアンロード!アブソリュートタルタロス!』

 

鳴り響く音声。

 

それと共にユメの後ろから現れたのは、タルタロスだった。

 

「お前はっ」

「悪いね、リゼヴィム。

私も、彼女の願いを叶えたいからね」

 

同時に腕から放つ金色の電撃光線によって、リゼヴィムは、一瞬で消え去る。

 

それに対して、ユメは特に変わらない表情だった。

 

同時に、トリガーを見つめたユメ。

 

「やぁ、麻中君。

君もなかなかやるじゃないか。

これは、本来のウルトラマン以上に強くなっている様子で」

 

そう、ユメは笑みを浮かべて。

 

「本当に、強くなったね。

君の事を聞いた時から、興味深くはあったけどね」

「俺にだと?」

 

その一言に、首を傾げる。

 

「そう、君に。

ねぇ、もう1度尋ねるけど、一緒に手を組まないかい?」

「断ると何度も言う」

「そうかなぁ、なんだって、君と私。

ここじゃない、別の所では、恋人だったんだよ、ヨモギ」

「ヨモギ?」

 

その言葉に、麻中もゼノヴィアは首を傾げる。

 

その言葉の真意を聞く前に、ユメはその姿を消した。



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アブソリューティアンの企み

リゼヴィムとの戦いは、以外な形で決着がついた。

 

禍の団による戦いも終わる。

 

しかし、未だに解決すべき問題は残っていた。

 

「アブソリューティアンの奴ら、結局、リゼヴィムから、何の情報を貰ったのか」

 

禍の団の逮捕も、かなり早い段階から終わっていた。

 

だからこそ、アザゼルが気になったのは、アブソリューティアンの目的。

 

「アザゼル先生は、何か心当たりは?」

「あいつの思考を何もかも知っている訳ないだろう」

「まぁ、それは」

 

麻中もまた、それに納得するように頷く。

 

僅かな会話の間でも、理解したリゼヴィムの危険な思想。

 

「それは一体」

「奴らの狙いはどうやらトライヘキサらしい」

「ヴァーリ」

 

そんな会話を行っている時、ヴァーリが突然、入って来た。

 

それには、オカルト研究部の面々は驚きを隠せない。

 

だが、そんな彼らを無視し、会話を続ける。

 

「1度、あのユメという子から話があってね。

彼らの目的はトライヘキサらしい。

それが、ウルトラ戦士に対して、有利な切札になると言ってね」

「トライヘキサ?」

 

それには、麻中も知らず、首を傾げる。

 

「黙示録で語られる、獣の数字の大元となった伝説の生物だ。

だが、その存在自体、どんなのか分からない。

しかし、爆煙の中にて、突然、現れたらしい」

「爆煙の中から?」

 

その言葉に、麻中は首を傾げる。

 

「あぁ、元々、人間が恐れるようになった悪魔の原型がそいつだからな」

「えぇ、人間に伝わっている悪魔のイメージも、元々はトライヘキサだと言われているけど、麻中?」

 

その最中、麻中は、その言葉について、思考する。

 

「・・・トライヘキサって、どんな存在だったんですか?」

「んっ、あらゆる生物の特徴を有する体を持つ獣だと言うらしいぞ」

「・・・まさか」

 

その言葉と共に麻中は、その事実に気づく。

 

「もしかしたら、そのトライヘキサ、ウルトラマンの世界にいた怪獣かもしれない」

「怪獣だと」

「あぁ、それも倒せたのが奇跡的な存在の」

「そんな奴がいるのかよ」

「あぁ」

 

その言葉と共に麻中は、その手にあるディメンションナイザーを見つめる。

 

「ウルトラマンゼロにとっては、始まりの戦いであり、同時にウルトラマンベリアルが作りだした最強の怪獣、ベリュドラ」

「ベリュドラ?」

「怪獣墓場と呼ばれる場所において、そこに眠る怪獣達を合体させた怪獣」

「合体って、そんなにか?」

「・・・分かっている限りでも100体」

「分かっている限りでもって」

 

これまで、多くの怪獣を見てきた。

 

それは多くの強敵とも言える怪獣を。

 

だが、そんな怪獣達が100体。

 

それも、それ以上の数が合体している可能性があるベリュドラ。

 

「アブソリューティアンが、それだけで終わらせるはずはない。

おそらくは」

 

その予測は、当たる可能性が高い。

 

だからこそ。

 

「負ける訳にはいかないな」



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お婆ちゃんが来た

その日、麻中はこれまでにない危機を迎えていた。

 

「初めまして、私はゲンドゥルと申します。ロスヴァイセの祖母です。以降お見知りおきを」

「どっどうも、初めまして」

 

目の前で挨拶されるロスヴァイセの祖母と名乗る人物。

 

それは、正面から対面するように座っている。

 

「それで、ロスヴァイセ。

彼が」

「えっえぇ、彼が私の彼氏で、光の巨人と深い繋がりのある麻中裕太君です」

 

自分の知らない所で恋人関係になっていた。

 

その事に関しては、隣にいるロスヴァイセもまた若干混乱している様子で頷いていた。

 

未だに分からないアブソリューティアンの動きを探る為にも、魔法使い同士の交流会が行われる予定であった。

 

それはロスヴァイセの祖母も入り、行われる事になったが、そこでロスヴァイセは祖母が挨拶に来ていた。

 

その際、祖母には既に恋人がいるという事を話しており、その相手の代役として、麻中に頼んでいた。

 

麻中としても、日々の生活で色々と助けて貰ったという事で、特に否定する事なく受け入れた。

 

その際、若干3名、睨み付けられたが、特に気にしていなかった。

 

「正直に言いますと、こちらでの日本で、孫がどのような方と付き合っているのか心配していた所もありました。

それで、麻中さん、恋人関係になって、どれぐらいに」

「んっ、そうですね、えっと「さっ三ヶ月ですよ、そうですよね、麻中さん」んっ、そうだった」

 

麻中が少し言葉を迷う最中で、ロスヴァイセは勢いを任せるように言う。

 

「麻中さん。恋人になったら、下の名前では呼び合わないのかしら?」

「えっ、あぁ、それは」

「いやぁ、実は、俺自身、まだまだ未熟な所もありまして、日々の戦いであまり恋人らしい事はしていないので」

 

実際には皆無であった。

 

「そうでしたか、確かに光の巨人の噂は多く聞いていますから」

「恐縮です。俺自身はまだまだ未熟で、ウルトラマンの皆さんに多く助けられていますから」

「そうでしたか、しかし、ウルトラマンですか。あなたは今、自分の身でウルトラマンに近いと言っていますが、あなたは、恋人であるロスヴァイセを守る覚悟はあるんですか」

 

そう、鋭い目で見つめる。

 

しかし

 

「恋人の1人、守れなければ、誰も守れません。

俺はそれをウルトラマンから教えられましたから」

「そうですか」

 

その言葉に対して、多少納得するように頷く。

 

だが、それと同時に麻中が脳裏に浮かんだのは、ユメの言葉。

 

(別の世界での俺は、別の世界の彼女と恋人同士か)

 

その疑問が脳裏に一瞬、思い浮かぶ。

 

「それでは、将来的には結婚も考えているんですね」

「けっけっ結婚っ」

 

それに、反応したのは麻中ではなくロスヴァイセだった。

 

「何を動揺しているんですか」

「えっいや、結婚は、まだ早いというか」

「結婚ですかぁ」

 

その言葉と共に麻中は腕を組む。

 

「俺自身、未だに就職もしていない未熟な若者ですので、結婚はまだ早いと考えています。

何よりも、俺自身、未だにウルトラマンに返しきれない恩があるので、それもまた」

「そうでしたか、責任感がありますね。

ですが、それは同時にロスヴァイセを蔑ろにする考えですが」

「それは決してありません」

 

その時、麻中の脳裏の中で、幾度なく駆け巡る。

 

この場合、どのような答えが合っているのか。

 

多くの危機を乗り越えてきたウルトラマン達。

 

その中で、1人のウルトラマンの言葉を思い出す。

 

「誰よりも何よりも、いつまでもどこまでも、彼女だけを守りたいから」

「ひゃぅ」

 

その言葉に、ロスヴァイセは顔を真っ赤にし、ゲンドゥルも、口元に手を当てる。

 

「まぁ、以外と情熱的ですね」

「えぇ、まぁ、その心を教えてもらったので」

 

そう、麻中は言う。

 

そして、その一言は、盗み聴きしていた新条は。

 

「TDG方面で聞けば良かったぁ!!」



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初デート

「あぅ」

「えっと、大丈夫ですか?」

 

ロスヴァイセの祖母であるゲンドゥルが帰って行った。

 

しかし、その後はロスヴァイセは顔を真っ赤にさせて、そのまま動かない状態だった。

 

そして、そのままドアを開けたのは新条だった。

 

「裕太、今の発言、なんで自然に出たの!」

「えぇ、いきなり、何!?」

 

突然の大声に対して、麻中は驚きを隠せない様子で呟く。

 

「裕太が、あぁ言うのは、鈍感なのに、なんでこういう時に」

「えぇ、そこまでか?」

「そこまでにゃ」「それには同意だ」

 

そう、ゼノヴィアと黒歌の2人もまた頷くように言う。

 

「まぁ、どちらにしても、俺はゲンドゥルさんが帰るまでの偽物の恋人だし、そこまで気にする必要はないでしょ」

 

麻中は、そうこれまでと変わりない様子で言う。

 

「恋人、まぁ、確かにこういう状況だし、そう思いますけど、これがきっかけで本物になっても」

 

ロスヴァイセの小さく呟く声に対して、麻中は完全に聞こえなかった。

 

「そっそれで、麻中さん!その、お婆様に納得してもらう為に、そのデートに行きませんか!」

「デート?俺、知らないけど」

「私も知りませんけど!」

「まぁ、別に良いけど」

 

そのまま、ロスヴァイセの勢いに任せた言葉に対して、麻中はそのまま流れるように家から出て行く。

 

「・・・あの人、結構積極的なのね」

「本当にね」

 

それと共にロスヴァイセに誘われるように出掛けた。

 

ロスヴァイセ自身の趣味である100円ショップへと来る。

 

「にしても、100円ショップはなかなか」

「そう思いますよね、麻中さん!」

 

その買い物の内容は、ロスヴァイセは目を輝かせながら、行っていた。

 

それに対して、麻中は、100円ショップになった飲み物を堪能していた。

 

それらを行い、近くのカフェで2人は休憩していた。

 

「あっ、すいません、1人だけでハイテンションになって、買い物を済ませてしまって」

「いえ、別に。

俺だって、ほとんど似たような事をしていましたから」

 

そう、落ち込むロスヴァイセに対して、特に気にした様子もなく、答える。

 

「麻中さんは変わりませんね。

あの時から、ずっと」

「そうですか、まぁ、あんまり成長していませんけど」

「成長はしています。だけど、あの時から、ずっと変わらない輝きを確かに持っています。

私はそれに」

 

そうロスヴァイセの言葉が紡ごうとした時だった。

 

麻中は突然、鋭い気配を出す。

 

「あっ麻中さん?」

「お前、何の用だ、こっちに向けて、変な目を送って」

「ふむ、バレてしまったか」

 

同時に現れた人物に対して、睨み付ける麻中。

 

「こうして会うのは初めましてかな、私はユーグリット・ルキフグス、禍の団の1人と答えましょう」

「それで、お前が何の用だ?」

「何、単刀直入に言いますと、ロスヴァイセ、私達の元にっ」

 

それを言い終える前に、麻中は既に蹴りを放っていた。

 

それに対して、ユーグリットは瞬時に腕を防御に使い、防ぐ。

 

「どうやら、寝言を言っているようだな。

良いぜ、かかってこいよ」

「ふむ、ここには無関係な人が多いのに」

「だから、てめぇをここから吹っ飛ばして、戦うんだよ」

 

そうしながら、麻中は構える。

 

「ふむ、君を相手に戦うのは少々不利だ。

仕方ない、ここは大人しく退散させて貰いましょう」

 

同時にロスヴァイセに向かって、触手が襲い掛かる。

 

それに対して、麻中は真っ直ぐとロスヴァイセの触手を斬り裂くと同時に、腰からディメンションナイザーを構える。

 

「ティガさん、行きますよ!!」

『ディメンションロード!ウルトラマンティガ!マルチタイプ!』

 

鳴り響く音声と共に、そのまま現れたティガは、そのまま2人を襲う怪獣と対面する。

 

珊瑚や蛸、蟹など海洋生物を合成したグロテスクな外見を持つスペースビースト、クトゥーラ。

 

クトゥーラは、そのまま複数の触手を放っていく。

 

それに対してティガは、手刀で受け流しながら、そのまま胸のプロテクター部分から発するエネルギーを光の刃に変え、両腕を伸ばして発射する。

 

それによって、クトゥーラの放っていった触手を斬り裂く。

 

「キィイイッ!」

 

クトゥーラが悲鳴を上げると、その身体を構成している生物の部位が次々と分離して、ティガへと向かってくる。

 

それはまるでイソギンチャクのように、ティガの全身に巻き付いていった。

 

「フッ……」

 

しかしティガはその程度の攻撃では、ダメージを受けない。

 

それどころか、ティガはクトゥーラの攻撃を利用して、空中に飛び上がったのだ。

 

そしてそのまま、腕を組んで構える。すると腕全体が光り輝く巨大な剣となった。

 

それを一気に振り下ろす! ズバァアアッ!! クトゥーラは真っ二つになる。

 

しかし。

 

「っ!」

 

真っ二つになったクトゥーラが、体内から出た触手で、すぐに再生する。

 

同時に右腕の鋏でティガの首を締め上げる。

 

「ぐあっ!?」

 

ティガはそのまま地面に叩きつけられた。

 

クトゥーラは、ティガを押さえつけている状態で、口から黒い煙を放つ。

 

それによって、黒い煙は、ティガを包み込む。

 

そして、爆発する。

 

「ぐっ」

 

それと共に吹き飛ばされて、そのまま爆散する。

 

それによって、ティガは後ろに吹き飛ばされる。

 

だが、ティガはすぐに起き上がる。

 

同時に、ティガのカラータイマーが赤く点滅する。

 

それを見たクトゥーラは不気味な笑みを浮かべながら、そのまま触手で、襲い掛かろうとした。

 

だが、それよりも早く、ティガは両手を交差させる。

 

腕からは、光が集まる。

 

そんなティガに向かって、クトゥーラが触手を襲い掛かる。

 

それでも、ティガは必殺の光線であるゼペリオン光線を放つ。

 

襲い掛かってきたクトゥーラの触手を、焼き尽くし、そのまま本体であるクトゥーラに当たる。

 

それは、先程まで再生したクトゥーラは、全ての細胞を焼き尽くし、爆散する。

 

「ふぅふぅ」

 

ティガの戦いを終え、そのままディメンションナイザーにティガが戻っていく。

 

「麻中さん、大丈夫ですか!」

「まぁ、なんとか」

 

そう言いながら、麻中はそのままロスヴァイセを心配させないように呟く。

 

「にしても、今度の奴も、また面倒な事になりそうだな」



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太陽の守護者

その日のデートが終わった後、ロスヴァイセはどこか落ち込んでいた。

 

それは彼女自身が、禍の団に狙われている理由。

 

それが、過去に彼女が論文として研究していた事が大きく関係しているという報告を受けたからだ。

 

禍の団が、どのような事を行うのか。

 

それと同時に、彼女がアブソリューティアンに狙われる可能性が大きくなった。

 

だからこそ、その事もあって、彼女は、どうすれば良いのか悩んでいた。

 

深夜。

 

その事で、思い詰めていたロスヴァイセは、空を見つめていた。

 

「隣、良いですか?」

「麻中君」

 

そんな彼女の横に、麻中は座る。

 

「・・・狙われている事、気にしていますか?」

「・・・えぇ、私自身が、昔興味があって、調べた事。

結果的に、無意味でしたけど、もしも、その中で彼らが求める物があり、それを利用されると思いますと」

 

それと共に、顔は沈んでいた。

 

どこか晴れない表情。

 

それと共にぽつりと漏らす。

 

「麻中さん、もしも、彼らに利用されそうになったら、私を「守りますよ」えっ」

 

ロスヴァイセの呟きよりも早く、麻中は答える。

 

「ロスヴァイセさんが目的だと言うんだったら、俺達が守ります」

「だけど、私が利用されたら、多くの人が死んでしまうかもしれませんっ」

「だったら、あいつらには絶対に渡しません。あの時に言った言葉を、違えるつもりは一切ないですから」

「麻中さん」

 

それと共に、ロスヴァイセさんは少し安堵した表情が見せる。

 

そんな時だった。

 

上空から来る4つの影。

 

それに気づいた麻中はすぐに立ち上がる。

 

「麻中さん?」

「大丈夫」

 

同時に、それらは一つになる。

 

その正体が、キングジョーである事はすぐに分かった。

 

それも、キングジョーの強化体であるキングジョーブラックだった。

 

その銃口は、既に麻中達に向けていた事もすぐに分かった。

 

「俺達が守る」『ディメンションロード!ウルトラマンコスモス!コロナモード!』

 

鳴り響く音声と共に、コロナモードとなっているコスモスはそのまま空を飛びながら、真っ直ぐとキングジョーブラックに向かう。

 

キングジョーブラックは、真っ直ぐとコスモスに向かって、右腕に装備された大口径ライフル・ペダニウムランチャーを向ける。

 

ペダニウムランチャーの銃口は、完全にコスモスに向かっており、そのままビームが放たれた。

 

『ハァ!』

 

だが、そのビームは、コロナモードとなっているコスモスの力強い叫び声と共に弾かれる。

 

ビームは完全に外れてしまったが、それでもキングジョーブラックの攻撃は終わらない。

 

次々と、ペダニウムランチャーから放たれるビーム。

 

それに対して、コスモスは、攻撃を弾きながら、真っ直ぐとキングジョーブラックに向かって接近し、拳を放つ。

 

鋼鉄の身体を持つキングジョーブラックは、僅かによろめく。

 

決定的なダメージにはならなかったが、コスモスはそのまま続けて、拳を放つ。

 

力強くも、無駄はなく。まるで踊っているかのように、華麗な動きでキングジョーブラックに攻撃を加えていく。

 

しかし、そんなコスモスに対して、キングジョーブラックの方も負けてはいない。

 

キングジョーブラックは、コスモスの連続攻撃を全て防ぎきると、そのままペダニウムランチャーで殴りかかる。

 

その銃身自体も、かなり長く。重量もあるため、威力はかなりあるだろう。

 

コスモスはすぐにその攻撃を後ろに飛びながら、避ける。

 

そして、すぐに光線技であるネイバスター光線を放ち、反撃をする。

 

キングジョーブラックはネイバスター光線を避けるように横に飛び、直撃は免れる。

 

『ハッ!』

 

しかし、コスモスはその隙を逃さず、素早く近づき、今度は蹴りを入れる。

 

それは、さすがにキングジョーブラックにも効いたようで、わずかに後退する。

 

それとコスモスは同時に両手を合掌の形に転じ、その間に発生させた気を炎の圧殺波動として一気に放つ。

 

その攻撃に対して、キングジョーブラックは避ける事ができず、そのまま爆散する。

 

空で起きた戦い。

 

それに対して、ロスヴァイセは困惑していた。

 

「大丈夫ですか?」

 

同時に空には、キングジョーブラックの爆発によって明るくなり、こちらを見る麻中の顔。

 

「はいっ」

 

それは、麻中と初めて会った時の事を思い出させた。

 

(やっぱり、諦めきれないな)

 

そう、先程まで、どこか自分を犠牲にしようと考えていた彼女の考えは消えた。

 

何よりも麻中と共に過ごしたい。

 

そう、まるで太陽を思わせる思いが、彼女の中に広がっていた。



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冥界大決戦

ユーグリッドが、攻め込む事は既に理解していた。

 

だからこそ、麻中は常にロスヴァイセと一緒にいる事にした。

 

彼女自身がターゲットである事が分かった故の行動だった。

 

それに対して、ロスヴァイセは喜び半分、不安が半分だった。

 

確かな好意はあるが、同時にそれが恋愛に繋がっているのか。

 

教師である自分が生徒の麻中と一緒にいて良いのか。

 

何よりも。

 

(うぅ、視線が痛いです)

 

学校にいる間は新条とゼノヴィア。

 

家ではそれに黒歌も加わる状態だった。

 

恋愛に関しては唐変木な麻中は、それに気づいていなかったが、それでもロスヴァイセにはかなり胃が痛い。

 

そんな日々を過ごす中で、冥界でのイベントに参加する事になった。

 

冥界での、学校はロスヴァイセ自身も興味もあり、それと共に麻中も向かった。

 

「それにしても、まさか麻中さんのウルトラマンも来てくれるとは」

「任務中だけど、こっちにも興味があったようですから」

 

今回の学校に関して、麻中に来て貰ったのはウルトラマン80とウルトラマンコスモスだった。

 

80は、どうやら過去に地球で教師であった事もあり、将来有望な子供達に色々と気にかけていた。

 

さらには、ウルトラマンの中でも特に優秀なウルトラ兄弟の1人であった。

 

その教え方は、ロスヴァイセは勿論、教師を目指している匙達にも大きな影響もあった。

 

「なんというか、俺が目指す教師像って、あんな感じだなと思ってな」

 

そう言ってくれた。

 

尚、この際、80以外にもセブンとレオも来る予定だったが、麻中の体力に限界があるという理由で、今回は辞退して貰った。

 

「それにしても、ここは色々と凄いな」

「えっと、コスモスさんですよね」

「あっ、いや、僕は春野ムサシで、コスモスは別なんだ」

「えっ?」

 

その言葉に首を傾げる。

 

「コスモスさんは普段はムサシさんと一体化しているんだ。

ウルトラマンの中には、人間と一体化するケースも多く、ムサシさんはその1人なんだ」

「僕以外にもいるけどね」

 

それに対してロスヴァイセは頷く。

 

未だにウルトラマンに関する事は謎が多い。

 

それもあって、興味深かった。

 

「冥界は、様々な生命体が一緒にいるのか」

 

それに対して、とても興味深そうに聞く。

 

そう、順調に進んでいくイベント。

 

だが、その最中、禍の団による襲撃が始まった。

 

狙いが未だに謎に包まれている中で、すぐに行動が始まった。

 

「麻中、無茶をするな」

「はい80さん!」

 

現状、ディメンションロードを行っていないとはいえ、ウルトラマンを2人、この世界に呼んでいる状態は変わりない。

 

いざという時は、80もまたウルトラマンの姿になる事ができるが、それは最終手段。

 

その為、子供や父母達の護衛に80に回って貰った。

 

それと共に麻中達が向かった先に、まるで待ち受けていたようにいたのは。

 

「ユーグリット」

「くくっ、待っていたよ、ロスヴァイセ」

 

それと共に出迎えたのはユーグリット。

 

だが、その視線は、ロスヴァイセだけだった。

 

「あなたの狙いはっ一体」

「先日も言ったはずだが、伝わらなかったか。

まぁ、この場で、彼らを始末すれば、問題ないか」

 

それと共にユーグリットが取り出したのは二つの瓶。

 

その内、一つの瓶の正体に、麻中は気づく。

 

「それはっ、カオスヘッダーっ」

「それって」

 

それは、偶然とはいえ、コスモスとかつて戦ったカオスヘッダーの一部。

 

「おぉ、さすがですね。

では、これともう一つを加えれば、どうなるのか、君には予想はできるかな」

 

それと共に、もう一つの瓶を開くと共に、ユーグリットは口の中に入れる。

 

何をするのか、考えている内に、ユーグリットの身体に変化が起きる。

 

「はははっ、素晴らしい!素晴らしいぞっこの力はぁ!!」

 

同時にカオスヘッダーの光が包み込み、ユーグリットの姿は完全に変化する。

 

昆虫のような顔と悪魔のような体つきをしている存在。

 

「あれは、まさかゼブブ」

『まぁ、君がそう考えるのも無理はない。

だが、最も、君の知る存在とは少し違うがね』

「この魔力、まさかベルゼブブっ、だけど、なんでっ」

『カオスヘッダーの力で、ベルゼブブの細胞をコピー。

そして、その力をそのまま私の身体に取り込んだのさ!』

 

その言葉に対して、一番怒りを感じたのはムサシだった。

 

「カオスヘッダーを、そんな事の為に利用するなんて、許せない!」

 

かつては確かに戦った。

 

しかし、数多くの戦いを乗り越え、怒りと憎しみが浄化され優しさを得たカオスヘッダー。

 

そんなカオスヘッダーを悪用したユーグリットに対して、ムサシは見つめる。

 

「行きましょう、ムサシさん!」

「あぁ、勿論!」

 

その言葉と共に麻中は、その手にディメンションナイザーを、ムサシはコスモスに変身する為のコスモプラックを手にしていた。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンコスモス!スペースコロナモード!』「コスモスっ!!」

 

二つの声が重なると同時に、ムサシは、そのままコスモスへと変身する。

 

眼前にいるゼブブとなったユーグリットと対峙しながら、そのまま構える。



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厄災

 冥界の紫色の空の上で、コスモスが空を飛ぶ。

 

 その眼前には、ゼブブもまた、その触覚からの放電を放っていく。

 

 コスモスは、その攻撃に対して、両手を前に出して、エネルギーの壁を作る。

 

 それは、ゼブブの攻撃を防ぐと同時に、彼の体をも防ぐ。

 

 しかし、コスモスはその状態で飛行を続ける。

 

 ゼブブの放つ電撃が、まるで壁のように、コスモスの周りを取り囲んでいるのだ。

 

 だが、コスモスはそれさえも利用して飛び続ける。

 

 そして、ゼブブの真上まで来ると、急降下し、彼に拳を叩きつける。

 

 その一撃を受けたゼブブは地面に叩きつけられる。

 

 だが、それでもすぐに起き上がり、反撃に出る。

 

 ゼブブの鋭い蹴りをコスモスは受け流し、今度は自分の番だと言わんばかりに、拳を打ち込んでいく。

 

 コスモスの素早い攻撃に対して、ゼブブは防御に徹しているようだ。

 

 だが、コスモスの猛攻を受け続けたゼブブの体が次第にボロボロになり始めた。

 

 このままではまずいと思ったのか、彼は再び姿を消す。

 

 コスモスもそれを追いかけるように移動する。

 

 しかし、コスモスの動きよりも速く動いたゼブブは、彼の背後から攻撃を仕掛ける。

 

 それを見たコスモスは振り向きざまに、回し蹴りを放つ。

 

 両者の蹴りがぶつかり合い、衝撃波が発生する。

 

 両者共吹き飛ばされるも、すぐに態勢を立て直す。

 

 先に仕掛けたのはコスモスだ。

 

 両腕を広げると、そこに光が集まり始める。

 

 腕を振り払うと、光の弾が放たれる。

 

 それをかわしたゼブブ。

 

 それと共にゼブブはとある方向に目を向ける。

 

「くくっ」

 

 同時に、奇妙な笑みを浮かべた。

 

 ゼブブは、そのまま電撃を明後日の方向に放った。

 

 何を意味をするのか、コスモスはその時は分からなかった。

 

 だが、すぐに気づいた。

 

「まさかっ!」

 

 その攻撃の先にあったのは学校だった。

 

 避難した子供と、その父母がいる。

 

 ゼブブの狙いは、それだと。

 

「ぐっ」

 

 ゼブブの攻撃から、彼らを守る為に、真っ直ぐとコスモスは向かう。

 

 すぐにその攻撃を防ぐようにバリアを張る。

 

 それによって、電撃はなんとか防ぐ事はできた。

 

 だが

 

「ははぁ、まだまだぁ!!」

 

 ゼブブは、それが有利だと察したのか、次々と学校に向かって、攻撃をする。「止めろぉ!!!」

 

 怒りに任せて、殴りかかるも、簡単に避けられてしまう。

 

 その間にも、ゼブブは攻撃を続ける。

 

 コスモスは、必死になって守り続ける。

 

 しかし、そのせいかコスモスの体力が徐々に削られていく。

 

 それに、焦りを感じたのか、ゼブブはさらに激しい攻撃を仕掛けてくる。

 

 それでも、コスモスは守るしかなかった。

 

「諦めてったまるかぁ!!」

 

 それと共に、麻中の言葉と共に、ディメンションナイザーが輝く。

 

 同時にコスモスの身体も変化する。

 

 それは、スペースコロナモードから、コスモスの最強の姿であるフューチャーモードとなった瞬間だった。

 

「その変化に何が意味があるのか!」

 

 そう、ゼブブは、再び電撃を放った。

 

 しかし、それらの攻撃は全て、無駄に終わった。

 

 なぜならば、コスモスは、瞬間移動とも言える超スピードで、瞬く間に全ての攻撃をかわしていたからだ。

 

 そして、瞬時に拳を振るう。

 

 それだけで、ゼブブの体は吹き飛ぶ。

 

「くそおおお、この俺様が負けるはずがないんだあああ!!」

 

 起き上がりながら叫ぶゼブブ。

 

 だが、それは既に勝負の結果が見えた瞬間でもあった。

 

「「「コスモストライク」」」

 

 それと同時にコスモスは両腕を交差させてエネルギーを溜め、それを右腕に移し突き出すようにして放つ。

 

 放たれた光線は、真っ直ぐとゼブブに直撃しそのまま爆発を引き起こした。

 

「倒せたか」

 

 そう、疑問に思った次の瞬間だった。

 

 爆発が、吸い込まれる。

 

「やはり、ウルトラマンは強い。だからこそ、この力も欲しかったのだぁ!!」

 

「っ!」

 

 その言葉と共に聞こえたゼブブ、いや、ウルトラマンがいた。

 

「あれは、カオスウルトラマンっ」

 

 それは、かつてカオスヘッダーがウルトラマンコスモスに対抗する為に得た姿。

 

 そして、それらをまさしく再現された。

 

「カオスウルトラマンディザスターの誕生だ」

 

 まさしく、厄災と言えるウルトラマンの誕生であった。



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101話

「っ」

 

コスモスとカオスウルトラマンディザスターの戦いは、圧倒的にコスモスの不利な状況だった。

 

コスモスの中でも、最も力のあるフューチャーフォームだが、その力をもコピーをしたディザスター。

 

さらには、先程までの戦いおいて、体力を大きく削られているコスモスのカラータイマーは、既に赤く点滅していた。

 

「凄いよ、これがウルトラマンの力か!

まったく、こんな力があるならば、もっと早く使いたかったよ!」

 

そう言いながら、ディザスターは、次々と攻撃を放っていく。

 

「ぐっ」

 

それら全ての攻撃を避ける事は、確かにコスモスはできる。

 

だが、それができない事をディザスターは、ゼブブの時の戦いで既に知っていた。

 

後ろにいる彼らを見捨てる事ができない。

 

「本当に滑稽だな。

その力、自分の為に使わないのは、特に!」

「っ」

 

それに対して、コスモスは答えない。

 

一瞬の隙で、大きな被害が出てしまうから。

 

「どうすれば」

「あのカオスウルトラマンは本当に」

「カオスヘッダーがウルトラマンの力をコピーしたウルトラマンであり、実際にコスモスは1人で倒す事ができなかった」

 

その過去の戦いを思い出しても、現状、コスモスが勝つ可能性が低い。

 

それを分かっていながら、麻中は悔しい思いであった。

 

「カオスヘッダーは、現在は敵対していなかったのですよね」

「あぁ、コスモスとの戦いを通じて、とある惑星の守護神になった程だ」

「ならば、そこに逆転の可能性が」

「そこに」

 

ロスヴァイセの言葉に一瞬、疑問に思った。

 

だが、同時に気がつく。

 

「そうか」

 

同時に麻中はディメンションナイザーからウルトラゼットライザーを取り出す。

 

「コスモスさん!ムサシさん!」

 

同時にディメンションナイザーを通じて、2人に向けて叫ぶ。

 

こちらを向いた2人は、それを受信すると同時に、頷く。

 

『ウルトラの母』『ユリアン』『ウルトラウーマングリージョ』

「全てを癒やす。安穏の光!」

『ウルトラマンコスモスセイントキュアーズ』

 

その音声と共に、コスモスの姿は変わる。

 

コスモスルナモードに全体的に丸みを帯びた追加装甲が装備され、頭部にウルトラの母の銀十字勲章装着されている。

 

「その姿に変わったからって、何ができる!!」

 

それと共にディザスターが再び襲い掛かる。

 

だが、コスモスは身体から青い波動を放つ。

 

その波動は、周囲の全てへと放たれた。

 

そして

 

「ダメージがない?」

 

全ての人物に、ダメージはなかった。

 

「こんな事をして、何がっぐっがぁあぁ!!」

 

それと共にディザスターの身体に変化する。

 

まるで、カオスウルトラマンとしての姿が保てないように、徐々に崩れていく。

 

やがて、それは光に変わり、現れたのは、カオスヘッダー。

 

そこには邪悪さはまるでないカオスヘッダー0となっていた。

 

「ぐっ、カオスヘッダーっ、私の力がぁぁ!!」

 

それと同時に、未だに力に拘っているユークリッドは、その姿を変化する。

 

そこには、カオスウルトラマンとしての姿ではなく、ネオカオスダークネスとしての姿だった。

 

「・・・奴は、今、悪意によって、その心が、あの姿になった。

コスモス、頼めるか」

 

その言葉と共にカオスヘッダー0は、その身体から光を溢れ出す。

 

それは、コスモスのエネルギーを全て回復させ、同時に結界を生み出す。

 

子供達を守るように。

 

「カオスヘッダー、ありがとう」

 

その言葉と共にディメンションナイザーにもまた、変化が訪れる。

 

「これは」

「文字でしょうか?これは」

 

それと共に、その手には、ウルトラマンジャスティスのカードがあった。

 

「ロスヴァイセさん、力を貸してくれますか」

「えぇ、私で良ければ」

 

同時に、ディメンションナイザーにジャスティスのカードをスキャンする。

 

『レジェンドディメンションロード!ウルトラマンレジェンド!』

 

鳴り響く音声と共に、コスモスの蒼い光、ジャスティスの黄金の輝き。

 

二つの輝きが一つとなり、緑色の究極の光となる。

 

その姿の名は。

 

「ウルトラマンレジェンド」




ハイスクールU✕Dに関して、このまま順調にいけば、最終回もかなり近い事もあり、そろそろ解禁していきます。
チートラマン達を。
最終回近くまで突っ走る予定ですので、皆様、応援よろしくお願いします。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292936&uid=45956


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伝説のウルトラマン

レジェンド。

 

そのウルトラマンの力の全ては、未だに明かされていない。

 

「新たなウルトラマンが出た所でぇ!」

 

そう、ネオカオスダークネスは、レジェンドに向けて、大きく口を開ける。

 

そこには紫色の光が集っており、真っ直ぐとレジェンドに向かって放たれる。

 

正面に立っていたレジェンドは、そこから動こうとしない。

 

いや、動く必要がなかった。

 

ネオカオスダークネスからの攻撃がまるで無意味のように。軽く手を振り払うだけで、その光線は消える。

 

「っ」

 

その光線は、先程までのカオスウルトラマンディザスターとも、ゼブブの時と比べてもかなりの強さを誇る。

 

だが、まるでそれを寄せ付けないレジェンドに対して、ネオカオスダークネスは動揺を隠せない。

 

同時に、既に次の行動に移していた。

 

既にネオカオスダークネスには、カオスヘッダーの力は残っておらず、カオスヘッダーが身体に宿した時に増大した魔力と、アブソリューティアンのアブソリュート粒子によって、構成されている。

 

先程の光線もまた、危険を感じたネオカオスダークネスが放てる一撃であり、最後の一発であった。

 

それが防がれた以上、ネオカオスダークネスの選択肢は逃げる事しかなかった。

 

魔力を限界まで使い、自身と同じ大きさの分身を次々と生み出し、自身は背後に転移魔術を展開する。

 

だが、それらの行動をした時には、既に遅かった。

 

レジェンドは両腕を大きく回してエメラルドグリーンの光波エネルギーを集める。

 

集めたエネルギーを、そのまま体を捻って全身から超エネルギーを放出し、放つ。

 

それは、ネオカオスダークネスの分身を瞬く間に消し去り、退散しようとしたネオカオスダークネスをも一瞬で倒す。

 

「がっがああぁぁ!!」

 

圧倒的な力。

 

それを見せつけられると同時に、その体内にある増大した魔力も、アブソリューティアン粒子が消え去る。

 

まさに一瞬で決着がついた。

 

同時に戦いが終えるのを見定めていたように、レジェンドもまた、光のように消え去る。

 

「はぁはぁ」

「麻中君」

 

倒れそうになった麻中を、ロスヴァイセはなんとか受け止める。

 

「さすがに伝説のウルトラマンと言った所だな」

 

数々の激闘を繰り広げ、ウルトラマン達の各々の最強の姿に対して、ある程度は体力が保てるようになった麻中。

 

同時に戦いが行われる前にカオスヘッダーから受けとったエネルギーによって、戦いの疲れはほとんど取れていたはずだった。

 

それでも、レジェンドを召喚し、戦って貰えた時間は、一分も満たなかった。

 

ノアと同じく、強すぎる力は、未だに完全にコントロールはできていない。

 

それでも。

 

「勝てた」

 

その一言と共に麻中は、気絶する。



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黄金の闇

ウルトラマンレジェンドによる圧倒的な力によって、その戦いは確かに勝利を収めた。

 

だが、全体的に見れば、それは大きく解決したかどうかは未だに分からない。

 

それはレジェンドが戦っていた間、アブソリューティアンは、既に動いていたからだ。

 

「やはり、やられたか。

しかも、既にレジェンドを召喚する能力まで備わっていたか」

 

そう、タルタロスは、遠い戦場での様子を感じ取り、呟く。

 

アブソリューティアンにとって、警戒するウルトラマンの1人が現れた事。

 

それは、既に彼の中では麻中が確かな脅威として位置づけられている。

 

「そうですね」

「ふっ、何やら、嬉しそうじゃないか、巫女よ」

「分かりますか?」

 

そう、ユメの言葉に何かを感じたのか、タルタロスは問いかける。

 

「いやぁ、正直に言うと、私は麻中君の事が好きかどうか、よく分からないんですよね」

「あくまでも、あの男と君は、平行世界では恋人同士というだけ。

実際に、この世界の君達が恋人同士という訳ではない」

「いやぁ、それは既に分かっているんですよねぇ、けどなぁ」

 

それと共に、ユメは見つめた。

 

タルタロスの力によって、気絶した麻中。

 

そんな麻中を抱えるロスヴァイセの姿。

 

そして、彼を中心に集まる光景を見て。

 

「怒っているようだな」

「えぇ、勿論。

これって、嫉妬ですか?」

「あぁ、嫉妬だとも。

だが、それは大切な感情だ」

 

そうタルタロスは、ユメを見つめ、撫でる。

 

「巫女よ、私にとってお前はこの世界で活動する為に大切な存在だ。同時にお前には幸せになって欲しい気持ちもある」

「最初は道具だと思っていたのにですか?」

「あぁ」

 

ユメの一言に対して、タルタロスは頷く。

 

「だが、君はよく働いた。そして献身的に活動した。

そんな君の願いを叶えたいとも考えている」

「そうなんですか、けど、まぁ、私には、人並みの幸せなんて、望めませんよ」

「あぁ、そうだとも」

 

そう良い、タルタロスは、眼前にある魔方陣に手を伸ばす。

 

「君に訪れるのは、人並みなど足りない。君は恨みを晴らし、世界を燃やし尽くし、支配する。

そして、その先にある滅びの中で、君はようやく結ばれるだろう」

「世界を滅ぼして、ようやく結ばれるって、どんだけ私は悪人なんですか」

「あぁ、だが」

 

それと共にタルタロスは。

 

「保証しよう。アブソリューティアンの戦士の誇りに賭けて。君の未来の幸せを」

「ふふっ、ありがとうございます、タルタロス様」

 

同時に、封印された存在が解き放たれる。

 

それは、巨大な存在。

 

まさしく、悪魔を思わせる存在。

 

「ようやく、見つける事ができたな。ウルトラマンベリアルの負の遺産にして、最強の怪獣」

 

同時にユメは、構える。

 

黄金に輝くディメンションナイザーは、そのままその存在を吸い上げる。

 

「これで、ようやく」

「あぁ、そうだな。

それで、どうするつもりなんだ?」

「勿論、宣戦布告ですよ。

そうでしょ、タルタロス様」

 

その言葉と共に

 

「さぁ、始め、いや、再開させよう。ウルトラ大戦争を」



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繋がる

「・・・」

 

それは、どこかの光景だろう。

 

見た事のない光景。

 

どこかの街の光景だろう。

 

そこに対して、麻中裕太は知らない。

 

だけど、どこか知っている二つの光景。

 

「・・・なるほど、これがそういう事か」

 

重なった二つを見て、どこか察すると共に、俺は横を見る。

 

それは、以前、アカネが言っていた話。

 

そして、それは偶然なのか、それとも、それを作り出した人物の無意識だったんだろう。

 

それと共に、俺は、この風景を見せている人物に対して、目を向ける。

 

「俺の事を知っていた。

だからこそ、俺と偶然似ていた彼の名前を重ねた。

そして、悲しんでいた彼女の味方である事を籠めて、名字を同じ人物に、無意識で付けたんだな」

「君には、非常にすまない事をしたと思っている」

 

それと共に、俺に、その人物は現れた。

 

ウルトラマンレジェンド。

 

彼を召喚する事ができるようになり、俺の意識は、彼と繋がる事ができるようになったんだろう。

 

「それで、実際の所は、どうなんだ、グリッドマン」

 

そう、俺は問いかける。

 

グリッドマン。

 

彼は、俺が繋がっているウルトラマンとはまた違った世界で、世界を守る為に活動している存在。

 

同時に、多くの経験を得た事によって、神のような存在となり、様々な時空を作り出す事ができるようになった存在。

 

たった1人のヒーローで、様々なマルチバースを作り出す存在である彼は、おそらくは神に最も近いヒーローと言えるだろう。

 

「私があの宇宙での、彼女の事を知った。

彼女を救う手段はないかと、考えていた時には、既にアブソリューティアンが手を回していた。

だからこそ、私は既に手を伸ばす事はできなかった。

もしも、裕太だったら、救えるのでは。

そう考えた」

「その結果が、あの世界、ダイナゼノンが存在した世界という訳か」

 

その答えにグリッドマンは頷く。

 

「勿論、それが全てという訳ではない。

可能性の一つに過ぎないと言いたい。

正直に言えば、自分の事とはいえ、自信はない」

「それはまぁ」

 

人間は、様々な可能性を考える生き物だ。

 

グリッドマンは、その影響を受けたヒーローであり、結果、想像すれば世界を作り出す事ができるようになった。

 

今は、それを最小限に抑える事はできるが、彼がそう考えたのは無理はないだろう。

 

「だとしたら、あの時、ガウマさんと出会ったのは、なんというか、凄い偶然だな」

 

俺は思わず苦笑する。

 

同時に、俺は向き直す。

 

「だけど、ありがとうグリッドマン」

「えっ?」

 

それと共に、俺の言葉に、グリッドマンは驚きを隠せない様子だった。

 

「グリッドマンが行った行動は、本当だったら、一握りもない可能性を、僅かでも救える可能性へと変えた。

たぶん、グリッドマンの行動がなければ、ユメと対話する事もできなかっただろう」

 

それだけ、あの子の恨みは強い。

 

犠牲を厭わない行動をしただろう。

 

「だが、君の気持ちを尊重しなかった」

「それは、気にしないでくれ。

人間、誰しも、わかり合うのは難しい。

人の、恋には特にな」

 

俺自身、自虐するように言う。

 

「黒歌のキスの1件から、ゼノヴィアの夢、ロスヴァイセさんとの偽物の恋人。

それに、アカネと本当の意味で一緒に戦った時。

それらを重ねたから、俺はようやく、それが恋だと分かった。

分かったんだけどなぁ」

 

それと共に、俺は肩を落とす。

 

「これって、やっぱり不純だよなぁ」

「良いんじゃねぇか」

 

そんな俺に対して、グリッドマンではない誰かの声が聞こえた。

 

見ると、そこには、ゼロさんがいた。

 

「ゼロ」

「まぁ、話は途中から聞かせて貰ったぜ。

にしても、ようやく気づいたようで、良かったじゃないか」

「真剣に悩んでいる時に、それを言いますか」

「悪い悪い。

けどな、今のお前は、それに答える事はできないんだろ」

「・・・はい」

 

ゼロさんの言葉に対して、俺は強く頷く。

 

「俺の、この気持ち。

どう決着をつけるにしても、ユメを救わなければいけない」

「そうだな、だったら」「既に決まったようだな」

「えぇ」

 

同時に目が覚める。

 

レジェンドを召喚した事で、気絶していた。

 

そして、目覚めると共に、俺の元には手紙があった。

 

それと共に、確かに書かれていたのは。

 

「決戦の誘い、という訳か」



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敵は宇宙に

アンケート結果、色々と馴染み深い方を選ばせて貰いました。
そして、後書きにて、予告を書かせて貰いました。
連載時には、よろしくお願いします。


トライヘキサこと、ベリュドラの復活。

 

それは同時に、これまでは行わなかった怪獣による侵略を、本格的に始まった事を意味していた。

 

三大勢力の重要な拠点となる場所に対して、怪獣が侵略していた。

 

だが、それに対して、三大勢力もまた、対抗していた。

 

それは、これまで数多くのウルトラマンの戦いを見ていた事もあり、アザゼルが開発した量産型ディメンションナイザーと共に、それを通じて得た他の地球の技術を集結した戦闘機も加わった事である。

 

科学によって開発されたそれらを、三大勢力の魔力などを合わさる事によって、それらは大きく強化されていた。

 

「まぁ、それにしても、あれらはヤバ過ぎるだろがな」

 

そう言いながら、眼前で襲い掛かっている2体の怪獣に対して、思わず言う。

 

それはマガゼットンとマガパンドン。

 

かつて、ウルトラマンとウルトラセブンが地球で戦った強敵であり、その強敵達を模した存在、魔王獣。

 

通常の怪獣たちより格上の存在であり、破壊活動の規模も街で暴れるだけでなく、地球規模で異常気象を誘発させたり、広範囲の建造物を一気に崩落させて大地に大穴を開けたりと途轍もない存在である。

 

そんな2体の魔王獣に対して、見つめているアザゼルは。

 

「だが、十分に間に合ったようだな」

 

それと同時だった。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンゼット!アルファエッジ!』『『ファイターディメンションロード!セットアップセブンガー!』

 

鳴り響く音声と共に。

 

「宇宙硬芯鉄拳弾!」

 

同時に降り立ったマガゼットンに向かって、拳を振るう。

 

鋼鉄を身に待とった一撃は、ウルトラマンゼットのエネルギーと共に、真っ直ぐとマガゼットンの顔にあるマガクリスタルを撃ち抜く。

 

同時にマガゼットンはそのまま後ろに倒れ、爆散する。

 

「まったく、魔王獣まで復活させるとは、とんでもない奴だなぁ、本当に!」

 

不意打ちによって、倒す事ができたマガゼットン。

 

だが、未だにマガパンドンが残っている。

 

マガパンドンは、すぐにゼットに対して、警戒したのか、その身体を炎に包み込む。

 

それは、まさしく太陽を思わせる。

 

そして、その太陽の中から、真っ直ぐとゼットに向かって、火炎を放っていく。

 

「悪いが、マガパンドンの攻略方法は既に分かっている!」『アーマーパージ』

 

音声が鳴り響くと同時に、セブンガーアーマーがマガパンドンの炎をゼットから守った。

 

それと同時だった。

 

『ファイターディメンションロード!セットアップキングジョーアーマー バージョンストレイジカスタム!』

 

鳴り響いた音声と共に。

 

『Zoffy.Mebius.Tiga.Ultraman Z Sigma Breastar.』

 

鳴り響く音声と共に、シグマブラスターへと変わったゼットは、全身が武器庫とも言える鎧を身に纏う。

 

同時に、その狙いは真っ直ぐとマガパンドンに向かっていた。

 

「さぁ爆裂に鎮火するぜ!」

 

その言葉と共に、シグマブラスターの力が、キングジョーアーマーに伝わる。

 

同時に、全身から放たれた氷のミサイルは、そのままマガパンドンの周囲の炎を凍らせる。

 

そして、そのまま右腕の巨大なレーザー法から放たれた炎は、そのまま巨大な爆風を生み、マガパンドンの太陽を消し去った。

 

それと同時だった。

 

『トゥルーディメンションロード!ウルトラマンゼット!デルタライズクロー!』

 

最後のとどめと言わんばかりにデルタライズクローへと変身したゼットはそのままベリアロクのトリガーを3回押す。

 

「デスシウムスラッシュ!」

 

Zの字を描きながら、光と闇のエネルギーを込めた斬撃を叩き込む。

 

それによって、完全な決着がつく。

 

「相変わらず、とんでもない奴だな」

 

そう言いながら、ウルトラマンゼットはそのまま解除されると共に、降り立つ。

 

「うぅ、やっぱり二つ同時は無理だった」「まぁ、そう上手い話はないにゃ」

 

そう言いながら、新条と黒歌と共に麻中は降り立つ。

 

「まぁとりあえず、お疲れ」

「えぇ、なんとか」

 

そう言いながら、麻中と合流するアザゼル。

 

「それにしても、結局の所、奴らは確かに復活させたようだけど、奴ら自身がどこにいるかが問題だな」

「そうしないと、襲撃は何時までも終わらないからね」

 

それと共に今回の被害を改めて見る。

 

ユメは、人外の存在に対しては敵意の目を向けている為か、普通の人々に対しては、あまり攻撃的ではない。

 

だが、このまま続ければ、確かな終わりがある。

 

「まぁ多分だけど、向こうからそろそろ来ると思う」

「当たり」

 

その言葉と共に振り返れば、そこにはユメがいた。

 

すぐに警戒するアザゼルだが、それに対して麻中は見つめる。

 

「それで、わざわざ来たのは」

「麻中君に会いに来たと言ったら、嬉しい?」

「これを止めてくれるならば」

「それはできないかな。

まぁでも、そっちから遊びに来てくれるんだったら良いけど」

 

そう言ったユメはそのまま、空に向ける。

 

それを追って、麻中もまた見つめる。

 

「W87星。

そこで待っている」

 

その言葉を最後に、ユメはいなくなる。

 

「W87?

なんだ、そこは?」

「・・・結構ヤバい場所だよ」

「ヤバい?」

 

その新条の言葉に、麻中以外の全員が首を傾げる。

 

「ウルトラマンのM78星と双子星であった種族であり、ウルトラ族とそっくりに進化した種族であった。

唯一違っていたのは、ウルトラ族が正義を愛するように彼らは戦乱を愛する好戦的な種族。

だから」

「ウルトラマンの集団が待ち受けているという訳か。

それって」

「ウルトラマンの軍団を相手に、ウルトラマン一人で立ち向かわないといけない訳か」

 

ウルトラマン軍団に、最強の怪獣。

 

それらを相手に、生き残れる可能性は、低い。




次回作予告
かつて、全ての世界が閉じられそうになった。
それと共に機械によって、支配される世界だけが残りそうになった。
だが、その企みは、とある青年によって、阻止された。
青年は、やがて機械の友と出会った。
数多くの敵を倒し、そして最後には神にも勝った青年。
だが、彼はまだ知らない。
世界を閉じようとした機械の神が、まだ諦めていない事を。
そして、神の悪戯か、青年達は、とある世界に閉じ込められる。
彼らは、再び始まる戦いに、身を投じる。

「という事で、新メニュー!全力カレーだぁ!」
「さぁさぁ、喫茶ゼンカイは営業中ですよぉ!」

彼らは今日も

「あれ、もう材料が足りなくなっちゃた?」
「えっと、こっちはあっちで」

今日も

「むむっ、これは本当ですか、気になります!すぐにでも行きたい!」

生きる為に働いていた。

ハイスクールK✕Z


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一発逆転の策

「さて、どうしたもんか」

 

そう言いながら、麻中はさすがに困惑を隠せなかった。

 

これから戦う事になる相手は、ウルトラマンの故郷である光の国の兄弟星であるW78星雲。

 

その軍勢に加えての怪獣軍団に、アブソリューティアンも未だに存在する。

 

さらには、こちら側が召喚できるウルトラマンにも限りがある。

 

そして、アブソリューティアン達の妨害で、おそらくはディメンションナイザー以外でのウルトラマン達がこちらに来る方法はない。

 

「どうすれば」

「それに関しては、手は残っている」

 

その言葉と共に、麻中に話しかけたのはアザゼルだった。

 

「手があるって、どういう事なんだ?」

「なに、お前の召喚できるウルトラマンの数を増やす」

 

それに対して、首を傾げる。

 

「ものすごく無茶な作戦だ。

だけど、おそらくはこれ以外に、この地球を救う方法はない」

 

その言葉と共に、アザゼルが持っていたのは、量産型のディメンションナイザーだった。

 

「だとしても」

「あぁ、お前以外では、ウルトラマン達の本来の力が発揮できない。

だが、お前がウルトラマンに召喚する為には、そのエネルギーがあまりにも少ない。

だからこそ、そのエネルギーを、俺達が作り出す」

「なんだって」

 

その言葉に、麻中はさすがに驚きを隠せなかった。

 

「そんな方法は」

「あるだろ、ここに」

 

その言葉と共に麻中の前にいたのは兵藤だった。

 

「どういう事だ?」

「神滅具、ここに集まっている13の力をディメンションナイザーを通じて、お前にエネルギーを渡す。

それを使えば、どれぐらいできる」

「俺自身を含めて、14人のウルトラマンを召喚できる」

「ならば、決まりだな」

「それにしても良いのか?」

 

そう、麻中は問いかける。

 

「どちらにしても、あれをどうにかしなければ、俺達は終わる。

ならば、最後の希望を託すだけだ」

「世界が終わったら、本当にどうにもならないなから」

 

そう、その場の全員が同意をする。

 

これまで、多くが戦ってきた相手。

 

だが、地球が滅びれば、全てが終わる。

 

だからこそ、この場の全員が、同意する。

 

「・・・だったら、頼む」

 

それに対して、麻中もまた覚悟を決める。

 

「だったら、始めるぞ」

 

その言葉と共に、量産型のディメンションナイザーを通じて、麻中のディメンションナイザーにエネルギーが伝わる。

 

それと共に大きく息を吸う。

 

「・・・行くぜ」

 

それと共に、ディメンションナイザーから、数多のカードが現れる。

 

その中で、14枚のカードが、次々とディメンションナイザーへとスキャンされていく。

 

『ディメンションロード!ウルトラマンギンガ!ビクトリー!X!オーブ!ジード!ロッソ!ブル!グリージョ!タイガ!タイタス!フーマ!ゼット!トリガー!デッカー!』

 

鳴り響く音声と共に、現れたウルトラマン達。

 

彼らは、ニュージェネレーションヒーローズ。

 

それがまさしく奇跡的に14の数字に当て填まった。

 

同時に見上げた先には、確かにW78星が見える。

 

「それじゃ、行くぜ!」

 

その叫びと共に、眼前にワープゲートが開き、真っ直ぐと、W78星雲へと突入する。

 

W78星。

 

それは、光の国と比べれば、どこか暗黒に染まっている星だった。

 

「ここがW78星」「光の国とは、全然違う」

 

光の国を故郷に、生まれ育ったタイガとゼットからしたら、信じられない光景だった。

 

「タイガ、油断するな、既に敵地だ!」

 

タイタスの一言と共に、ウルトラマン達に向かって、次々と光線が放たれていく。

 

「さて、一丁、派手に行くぜ!」

 

それと共に、先頭に立ったのは、ギンガだった。

 

ギンガは、そのクリスタルを赤く燃え上がらせると同時に、そのまま構える。

 

「ギンガファイアーボール!」

 

真っ直ぐと、こちらに攻撃を仕掛けていく敵に向かって、ギンガファイアーボールを放つ。

 

まさしく、隕石を思わせる攻撃は、敵の包囲網を崩していく。

 

その最中だった。

 

「ふんっ」「なっ」

 

そんなギンガに襲い掛かる影。

 

それに対して、ギンガは咄嗟に防御する。

 

「お前は」「久し振りだな、ギンガ」

 

そこにいたのはウルトラダークキラー。

 

かつて、ウルトラ兄弟に倒された怪獣や宇宙人たちの怨念が生み出した闇の超人。

 

それが、ギンガの前に立ち塞がる。

 

「W78星に向かうお前達を倒す。

それが、俺の役割だ」

「そうか、だけど、それ、さっそく失敗しているぜ」

「なに?」

 

ウルトラダークキラーは疑問に思い、周りを見る。

 

すると、確かにギンガ以外のウルトラマンはそこにはいなかった。

 

「まさかっ」

 

同時に見れば、ギンガファイアーボールは未だに消えていなかった。

 

W78星は、それを攻撃だと判断し、防御に徹した。

 

だが、そのギンガファイアーボールの裏には、ウルトラマン達が隠れており、そのまま星へと侵入する。

 

数多くのウルトラマンの中でも、実体を持つ隕石を生み出し、放つ事ができるギンガだからこその戦法だった。

 

「さてっと、悪いが、お前をここから通す訳にはいかなくなったな!」『ギンガに力を!ギンガストリウム!!』

 

鳴り響く音声と共にギンガもまた、ギンガストリウムとなり、ウルトラダークキラーに構える。



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未来からの使者

ギンガは宇宙を駆け巡る。

 

それは、眼前に迫るウルトラダークキラーと戦う為である。

 

「はぁ!」

 

宙を飛ぶギンガに対して、ダークキラーは、その身体から無数の人魂を造り出す。

 

それはダークキラーの分身であり正体でもあるヒトダマ怪獣だった。

 

ヒトダマを、真っ直ぐとギンガへと放っていく。

 

それに対して、ギンガはすぐに構える。

 

『ウルトラマンジャックの力よ!ウルトラショット!』「はぁ!」

 

だが、そんなヒトダマに対して、ギンガはストリウムブレスを通じて、ウルトラマンジャックの力で、ヒトダマ達を撃ち落としていく。

 

そうして生み出された爆風の中、ダークキラーは瞬時にギンガに接近していた。

 

ギンガよりも巨大な刃が備わった腕を、ダークキラーは振り下ろす。

 

襲い掛かる刃に対して、ギンガは構える。

 

そのギンガの腕から生み出されたのは、ギンガの武器であるギンガスパークランス。

 

ギンガスパークランスを手に、襲い掛かってきたダークキラーの攻撃を受け流し、そのまま蹴り上げる。

 

「ふんっ」

 

だが、ダークキラーは、それで怯む様子はなかった。

 

むしろ、そのままもう片方の腕にある刃に闇を集め、そのままギンガを斬り裂く。

 

「ぐっ」

 

その攻撃に対して、なんとかギンガスパークランスで受け止めて、威力を減らす事はできた。

 

それでも、ギンガはそのまま後ろに大きく吹き飛ばされる。

 

『ウルトラセブンの力よ!エメリウム光線!』「そこだっ!」

 

しかし、ギンガは瞬時に額にあるカラータイマーから緑色の光線を、ダークキラーの腕にある刃を破壊する。

 

「ぬぅ」

 

それに対して、ダークキラーは怯む。

 

その一瞬の隙を、ギンガは逃さなかった。

 

ギンガはそのまま、真っ直ぐと飛ぶ。

 

『ゾフィーの力よ!M87光線!』「これで終わりだ!!」

 

その叫びと共に、ダークキラーに向けて、必殺の光線を放った。

 

放たれたM87光線に対して、ダークキラーに避ける手段はなかった。

 

「この俺がっ」

 

ダークキラーは、それに対して大声で叫びながら、爆風の中に消える。

 

「ふぅ、さて、早くあいつらの所に合流しないと」

 

そうギンガがW87星に突入しようとした瞬間だった。

 

「っ!」

 

背後から襲い掛かる殺気に気づき、すぐに避ける。

 

そこに立っていたのは、ダークキラーだった。

 

だが、そこにいたのは二つの人影だった。

 

「まさかっ」

 

それと共に、ギンガに衝撃が走る。

 

それは、現れた影からの攻撃。

 

一体はスリムかつ邪悪な風貌の形態であり、先程、襲い掛かった衝撃からも、スピードを武器とする姿。

 

もう一体は赤き屈強な悪魔のような姿であり、そのもう一つの影と共に立つ。

 

「ダークキラーが二人になった」

「ウルトラ戦士」「ここで倒す」

 

その言葉と共に、2体のダークキラーが、ギンガに襲い掛かる。

 

ギンガは、その攻撃をすぐに技を放とうとする。

 

だが、素早い攻撃に対して、ギンガの技を放つ隙を与えない。

 

そして、ギンガの腕を掴み、完全に動きを封じる。

 

「ぐっ、離せ!」

 

なんとか、その場から脱出しようとしたが、上手く外せない。

 

そうしている内に、もう一人のダークキラーが、ギンガに向けて攻撃を放とうとした。

 

「ヤバいっ」

 

ギンガのその呟きと共に、放たれた光線が、真っ直ぐとギンガに襲い掛かる。

 

まさしく、絶体絶命の、その時だった。

 

その光線は、突如、ギンガの目の前に現れた影によって、弾かれた。

 

「なっ」

 

その正体に、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。

 

だが、それよりも早く、ギンガは自分を拘束していたダークキラーを蹴り上げ、そのまま脱出する。

 

「なんで、お前がここにいるんだ」

「呼ばれた。ただそれだけだ。そして、その声は、お前を助けて欲しいと言っていた」

 

そう、ギンガは助けた彼に対して、問いかける。

 

「まぁ、何よりも、お前をここで倒されるのは気に入らない。

それだけだ、それだけが、お前と共闘する理由は」

「そうかよ、けど、まさかお前と一緒に戦う事になるとはな」

 

同時にギンガは共に戦う人物と一緒に、ダークキラーに構える。

 

「それじゃ、力を貸して貰うぜ、ダークルギエル!」



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二人で一人

ギンガとダークルギエルの二人が並び立つと共に、二体のダークキラーは、そのまま襲い掛かる。

 

素早く、目にも止まらないで飛ぶダークキラーは、そのまま後ろからギンガに襲い掛かる。

 

だが、ギンガは、その場からいなくなる。

 

それに対して、ダークキラーは驚きを隠せない間に、ダークキラーの上に瞬間移動していたギンガはそのまま蹴り上げる。

 

「っ!?」

 

かつてのダークサギとの戦いで行っていた瞬間移動。

 

それを使う事で、目にも止まらない動きをするダークキラーに対抗していた。

 

それを見たもう一体のダークキラーは、すぐに助けに入ろうとした。

 

「ふんっ」

 

だが、そんなダークキラーに対して、ダークルギエルは胸の赤い発光体から連続して放つ光弾を放つ。

 

それによって、ダークキラーは、防御するしかなかった。

 

そのまま背中合わせになったギンガとダークルギエルは、その手にスパークランスを作りだし、真っ直ぐと各々の相手となるダークキラーに向かって行く。

 

先程まで、連携を行っていた事によって、ギンガを追い詰めていた2体のダークキラー。

 

だが、その連携が崩れて、一対一の戦いになった事によって、先程までの有利はまるで無くなった。

 

「ぐっ」「これでも喰らえ!」『ウルトラマンタロウの力よ!ストリウム光線!』

 

鳴り響く音声と共に、ギンガの身体は虹色に輝くと共に、ダークキラーに向かって、ストリウム光線を放つ。

 

「ふんっ、この程度の相手、たわいない!」

 

それと共にダークルギエルもまた、その手に持ったダークスパークを真っ直ぐとダークキラーに向けて、光線を放つ。

 

それによって、2体のダークキラーは倒された。

 

だが。

 

「おいおい、まだ出てくるのかよ」

 

そうしている間にも、2体のダークキラーは、そのまま再び一つになる。

 

だが、その姿はこれまでの形態に比べ更に身体が肥大化し、アーマー状となった外骨格と胸のカラータイマーの双方が黄金に輝き、背部には分裂した刃から構成される後光のような翼が出現する。

 

「お前達の、全てを示せ」

 

その言葉と共に、ダークキラーは、その手から無数の火炎弾を放つ。

 

それに対して、二人は、瞬時にスパークランスを使い、次々と撃ち落としていく。

 

だが、そんな二人に対して、ダークキラーは瞬時に接近し、衝撃波を放つ。

 

「「がぁ!」」

 

それによって、離れていた二人は、一ヶ所に集まる。

 

それと共に、ダークキラーによる拳による連打が襲い掛かる。

 

「「ぐっ」」「もっと見せてみろ!」

 

ダークキラーからの攻撃を、なんとか攻撃を受け流す。

 

しかし、その身体には徐々にダメージが蓄積していく。

 

「このままじゃ」

 

ここまでのダークキラーとの戦いで、ギンガの体力はかなり少なくなっていた。

 

かなり危険な状況。

 

「この時、この瞬間のみ、貴様と俺は同じ目的で戦う」

「ダークルギエル」

 

ダークルギエルの言葉に対して、ギンガは疑問に思う。

 

それよりも、ダークルギエルは、ギンガよりも前に出て、その身体から闇の波動を放つ。

 

それによって、ダークキラーの攻撃は一瞬止まり、ダークルギエルの身体の一部がまるで霧のように消え、そのままギンガに近づく。

 

「これは」

 

そうして、装着されたダークルギエルの身体は、まるでギンガの鎧のように変わる。

 

闇を思わせる黒は、白く、赤い光は、ギンガの蒼いクリスタルを思わせる輝きを放っていた。

 

それは、まさしく、元々は一つだったギンガとダークルギエルが合わさったような姿だった。



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背中を向け

「これは」

 

その言葉と共に、ギンガは、自分の身に纏っているダークルギエルの鎧に驚きを隠せなかった。

 

『驚く事はない。ダークルギエルも、私も、元は1つの存在』

『それが、同じ目的の為に、僅かだが、再び1つになっただけ』

「そうか」

 

内側から聞こえてきた声。

 

その2つの声に対して、ギンガの変身者であるヒカルは笑みを浮かべる。

 

「だったら、行くぜ!」

 

その言葉と共に、光線の嵐が止むと共に、真っ直ぐとダークキラーに向かって行く。

 

ダークルギエルは、迫ってくるギンガに対して、すぐに拳を放つが、それに対して、ギンガはスパークランスを出し、受け止める。

 

さらに、流れるように、片手には、もう1つのスパークランスを取りだし、斬り裂く。

 

「っ!?」

 

その斬撃には、驚きを隠せず、すぐに後ろへと下がる。

 

それと共にギンガは、両手に持つ光と闇のスパークランスを振り回しながら、真っ直ぐとダークキラーに向けって、突っ込む。

 

「ふんっ!」「おらぁ!」

 

2つのスパークランスを器用に操りながら、ダークキラーと互角以上に戦っていた。

 

ダークキラーの素早い拳を避けながら、それと共にギンガのクリスタルの一部が光る。

 

「ギンガファイアーボール!」

 

間近で、溜めなしで放たれた隕石が、ダークキラーを簡単に吹き飛ばす。

 

すぐにダークキラーは、隕石を防ぐ。

 

だが、隕石を防いだ瞬間、眼前には稲妻が襲い掛かる。

 

「ギンガサンダーボルト!」

「っ」

 

ウルトラマンギンガの必殺技が、次々と襲い掛かる。

 

それに対して、ダークキラーは苦い顔をしていた。

 

「これが、ギンガの本来の力っ」

 

そうしている間にも、ギンガは最後の技を放とうとしていた。

 

その全身に、エネルギーを溜める。

 

それと同時に、ギンガの後ろには、2つの銀河が浮かぶ。

 

「ルギエルギンガエスペシャリー」

 

それと共に、放たれた2つの銀河は、真っ直ぐとダークキラーに向かって行く。

 

ダークキラーもまた、すぐにそのカラータイマーから破壊光線を放つ。

 

互いの2つの光線がぶつかり合う。

 

そして、それに勝利したのは。

 

「はあぁぁ!!」

 

ギンガだった。

 

ギンガとダークルギエル。

 

2つの銀河は、そのままダークキラーを飲み込む。

 

「これがっウルトラマンっ」

 

その言葉を最後に、ダークキラーは消滅する。

 

それと共に、ギンガの身に纏っていた鎧もまた、解けていく。

 

背中合わせになったギンガとダークルギエル。

 

「ダークルギエル、未だにその心は変わらないんだな」

「ギンガ、それはお前もまた同じだろう。

互いの心が強く信じれば、それだけ強くなる」

 

そう、ダークルギエルは、ギンガに呟くと同時に、見つめた先。

 

それは、ダークキラーが倒された事に対して、すぐに追い打ちをするように向かってくる敵の影。

 

「その答えを出す為にも、この戦いを終わらせろ」

「あぁ」

 

同時に背中合わせにしながら、ギンガはまた仲間達の元へと向かう。

 

そして、ダークルギエルは、襲い掛かる敵に対して、1人、立ち向かっていく。

 

そして、ギンガとは別に侵入していたビクトリー。

 

ビクトリーは、その手にシェパードンセイバーを構えていた。

 

「まさか、お前達まで復活していたとはな」

 

眼前にいる敵。

 

それは、ビクトリーにとっては、大きな因縁のある3人。

 

「ふんっ、ギンガのいない貴様など、脅威ではない」

「邪魔になるウルトラマンを1人でも始末する」

「それが、今の我らの使命」

 

そう、ビクトリーに向けて言う3人。

 

グア軍団の三大軍団長であるジュダ、モルド、ギナの三兄妹だった。

 

「俺が1人?

それは、少し違う」

「なに?」

 

ビクトリーはすぐに、その言葉を否定する。

 

「俺には、俺に力を貸してくれる怪獣達がいる。

その力、見せてやる」



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2つの力

ウルトラマンレグロス、配信が開始しました。
皆様、見ましたか?
なかなかに王道な少年漫画を思わせる展開と共に、色々と気になる事も多く、早く後編が見たくて、楽しみです。
中でも、個人的に気に入ったのは、やはりトゥバーンですね。
そして、ウルトラギャラクシーファイトでの出来事を考えると、その後はどうなるのか、分かっていながらも、やはり気になります。
皆様も、ぜひ!


「俺には、俺に力を貸してくれる怪獣達がいる。

その力、見せてやる」『ウルトランス!EXレッドキング!ナックル!』

 

同時にビクトリーの右腕はEXレッドキングの腕に変わり、そのまま地面に向かって振り下ろした。

 

それと共に地面からマグマが溢れ出し、煙幕のようにビクトリーの姿を隠す。

 

「姿が消えた所で!」

 

それと共にまず始めに動いたのはギナだった。

 

彼女は、その鞭で、煙幕で隠れているビクトリーを探る為に、振り回す。

 

だが

 

『ウルトランス!エレキング!テイル!』

 

その音声と共にギナの鞭を弾いた。

 

「そこかっ!」

 

ギナは、すぐに追い打ちをしようとした時だった。

 

『ウルトランス!グドン!テイル!』

「なにっ!」

 

エレキングの尻尾によって、弾き返したのと同時に、グドンの鞭がギナに襲い掛かる。

 

それと共に煙幕の中から現れたビクトリー。

 

そこには右腕がエレキングの尻尾、左腕はグドンの鞭に変わっていた。

 

「2体の怪獣の力を同時にっ!」「はぁ!!」

 

2つの鞭を自在に操り、ギナに追い打ちをする。

 

「ぬっギナ!」

「待て、ジュダっ!」

 

そんなギナを助ける為に、ジュダが前に出る。

 

それをモルドが止めようとするが、既に遅かった。

 

「ふんっ!」

 

ビクトリーはすぐにその場を飛ぶ。

 

そして。

 

『ウルトランス!キングジョー!ランチャー!』『ウルトランス!バルタン星人!ランチャー!』

 

鳴り響く音声と共にビクトリーの右腕はキングジョーのライフル、左腕はバルタン星人が千手観音のように腕を無数に分身させたのが装着される。

 

そのまま、真っ直ぐとジュダに向かって、両手のビームを真っ直ぐと放った。

 

「ぐっ、がぁ!!」

 

そのビームの嵐に、ジュダは後ろに倒れ込む。

 

「貴様ぁ!!」

「悪いが、俺もまた成長している!」『ウルトランス!サドラ!シザース!』『ウルトランス!ハイパーゼットン!シザース!』

 

鳴り響いた音声と共に、接近していたモルドのバトルアックスを、サドラの鋏で受け止める。

 

同時にもう片手にあるハイパーゼットンの鋏から、無数の火炎弾を至近距離から叩き込む。

 

「がぁぁ!!」

 

2つのウルトランスを同時に操り、三兄弟を追い詰める。

 

「これで終わらせる」『放て!聖なる力!』『シェパードンセイバー』

 

それと共に、ビクトリーは、ビクトリーナイトへと変身する。

 

それと同時に、ビクトリーが最も信頼する相棒、シェパードンの力が宿った剣を同時に構える。

 

「ナイトビクトリウムブレイク!!」

 

その叫びと共に、眼前に集まっているモルド達に向かって、斬り裂く。

 

光の斬撃は、そのままモルド達を斬り裂き、そして倒す事ができた。

 

「さて、他の奴のところにっ」

 

そう叫んだ時だった。

 

倒したはずのモルド達に変化が起きる。

 

そこに立っていたのは。

 

「まさか、グア・スペクターっ」

 

爆風の中で融合したグア・スペクターは、そのままビクトリーに向かって、襲い掛かる。

 

「ぐぅ、があぁぁ!!」

 

グア・スペクターの攻撃に、後ろに吹き飛ばされる。

 

そんなビクトリーに対して、グア・スペクターが迫る。

 

「くっ」

 

絶体絶命のその時。

 

「ギンガサンシャイン!」

「っ!」

 

上空から、グア・スペクターに向かって、ピンク色の光線が放たれる。

 

それによって、グア・スペクターはそのまま後ろに下がる。

 

同時にビクトリーの前に立ったのは。

 

「ヒカル!」

「どうやら、苦戦していたようだな、ショウ」

「言ってろ」

 

そう言いながらも、ビクトリーは、そのままギンガの手を掴む。

 

「さっさと、奴を倒すぞ」「あぁ」

 

それと共にギンガとビクトリーは、光に包まれる。

 

そして、そのまま2人はウルトラマンギンガビクトリーへと合体する。

 

本来ならば、ギンガビクトリーとなる為に必要なトゥルーディメンションロードも、今は大きなエネルギーを提供している為に、そのまま変身する事ができる。

 

「さぁ、行くぜ!」

 

同時にギンガビクトリーとグア・スペクターの戦いが始まる。



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超決戦

ギンガビクトリーとグア・スペクターが戦いをくり広げていた。

 

グア・スペクターは、片手には斧、もう片手には剣で真っ直ぐと襲い掛かる。

 

それに対して、ギンガビクトリーもまた新たな武器を手にする。

 

ギンガビクトリーはビクトリーの武器であるシェパードンセイバーとナイトティンバーの二刀流で対抗する。

 

光の刃と闇の武器がぶつかり合う。

 

比較的に重い武器であるシェパードンセイバーで、迫り来るグア・スペクターの攻撃を受け流しながら、鋭い一撃をナイトティンバーで斬撃を放つ。

 

だが、グア・スペクターの鎧はかなり高い防御力を誇っており、簡単にダメージを与えられない。

 

しかし。

 

それと共に、両手に武器を持っていたまま、構える。

 

『ウルトラマンティガの力よ!ゼペリオン光線!』

 

その音声が鳴り響くと共に、ギンガビクトリーは、襲い掛かってくるグア・スペクターに向けて、ティガの必殺光線であるゼペリオン光線を放つ。

 

放たれた光線に対して、すぐにグア・スペクターも防御する。

 

だが、ゼペリオン光線は、グア・スペクターの剣を打ち砕く。

 

それによって、一瞬怯んだ。

 

その隙が、大きなチャンスとなった。

 

『ウルトラマンダイナの力よ!ソルジェント光線!』

 

それと共に、ダイナの必殺光線であるソルジェント光線がグア・スペクターの斧を打ち砕く。

 

2つの必殺光線によって、既にグア・スペクターの武器は全て破壊した。

 

それに合わせるように、手に持った武器に力が宿る。

 

ウルトラフュージョンブレスに宿るウルトラマン達の力が、宿る。

 

「さぁ、決めるぜ!」

 

それと共に、虹色の光が、2つの刃が宿る。

 

そのまま、真っ直ぐと走る。

 

「ぐぅ!!」

 

グア・スペクターは、そんなギンガビクトリーに対して、次々と紫色の光線を放つ。

 

だが、その手に持った光の刃で切り払っていく。

 

「「ウルトラフュージョンスラッシュ!」」

 

それと共に、10人のウルトラマンの力が宿った必殺の刃を真っ直ぐとグア・スペクターを斬り裂く。

 

光の刃によって放たれた一撃に対して、グア・スペクターを倒した。

 

「まったく、油断のできない奴らだ」「とにかく、他の奴らに合流しないとな」

 

それと共に、ギンガビクトリーは別の場所へと向かう。

 

そして、ギンガビクトリーが戦っていた時だった。

 

「ぐっ」

 

ウルトラマンXもまた戦っていた。

 

だが、その相手は、Xにとっては厄介な相手だった。

 

「この数は」

 

Xを囲んでいるのは怪獣達だった。

 

復活したベリュドラの一部だった。

 

そして。

 

「ふんっ、ウルトラマンをここで倒す」

 

Xに向き合っているレイバトスだった。



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112話

レイバトスは、レイオニクスの血を受け継ぐ者の1人である。

かつて、ウルトラマンオーブと激戦を繰り広げ、破れたが、アブソリューティアンによって、平行同位体として、再びこの地に蘇った。

彼自身に関しては二人目のレイバトスだが、彼自身はそれを知らない。

 

「さぁ、ウルトラマンを倒せ!そして、いずれオーブとベリアルの息子も倒せぇ!」

 

その言葉と共にXに向けて、怪獣達の光線が一気に襲い掛かる。

 

「っXバリアドーム!」

 

その言葉と共にXは自身の周りをドーム状にバリアを展開する。

そうする事によって、怪獣達の攻撃を受けきると同時に、そのまま宙を飛ぶ。

 

「アタッカーX!」

 

それと共に、炎を身に纏い、X字状に両腕両足を広げてまばゆい閃光をともなう炎を放つ。

放たれた炎を命中すると広範囲に炎がX字型に広がる。

 

「やはりっ怪獣達が多すぎる!」

「そうだ、無尽蔵にいる怪獣達を相手に、お前は果たして、どこまで耐えられるか」

 

そうレイバトスは、笑みを浮かべながら、Xに向けて言う。

 

「お前、怪獣達を何だと思っているんだ!」

 

レイバトスが、まるで怪獣達の事など考えていないような発言に対して、Xは思わず叫んでしまう。

 

「道具だ、都合の良い道具だが、どうした」

「なっ」

 

その一言に、Xは驚きを隠せなかった。

 

「違うっ!怪獣達だって、生きている!一緒に生きる仲間なんだっ」

「レイオニクスにとって、怪獣は力を示す道具。それも分からない愚か者には、無意味な話のようだな」

 

同時にレイバトスは、怪獣達に向けて、命令を放つ。

レイバトスからの命令に逆らえない怪獣達は、次々とXに向かって、襲い掛かる。

Xはすぐに、その場から離れようとしたが、怪獣達の触手や腕によって、拘束される。

 

「これで、終わりだ」

 

それと共にレイバトスは、真っ直ぐとXに向かって、必殺の光線を放つ。

すぐに動く事ができなかったX。

そして、レイバトスが召喚した怪獣達をも巻き込んでいた。

 

「こんな奴にっ!」

 

その叫びと同時だった。

Xの身体が光り始める。

それと同時に、Xを拘束していた怪獣達は引き剥がされ、迫り来るレイバトスの攻撃は消え去った。

 

「何が」

 

困惑を隠せないX。

だが、すぐに何が起きたのか、理解する。

 

「ゴモラ!エレキング!」

 

見れば、先程まで、Xを拘束していた怪獣達は、サイバーゴモラとサイバーエレキングが振り払っていた。

さらには、迫りつつあるレイバトスの攻撃を、サイバーベムスターが、吸収し、サイバーガンQが跳ね返していた。

それによって、レイバトスが操る怪獣達の数が多く減らされていた。

 

「なんで、皆が実体化を」

 

これまで、サイバー怪獣達の実体化は、サイバーゴモラしか成功していなかった。

それが、この場で成功している事に、困惑を隠せないX.

だが、そんなXの前に3枚のカードが飛んでいる。

 

「大地、これは」「ネクサス、マックス、ゼロ」

 

それは、かつてXが活躍していた地球において、力を貸してくれたウルトラマン。

この場では駆けつける事ができなかった彼らだが、カードを通じて、X達に力を貸してくれた。

それが、今、大地の周りに集まるサイバー怪獣達だった。

 

「X、俺達は、1人じゃない」

「そうだ、怪獣達や他のウルトラマン達。多くの絆が、私達を強くする」

 

それに笑みを隠せなかった。

同時に、大地は、3枚のカードをスキャンする。

 

「行こう、X!」「あぁ」

『ウルティメイトゼロアーマー・アクティブ』『マックスギャラクシー・アクティブ』『エボルトラスターセイバー』

 

鳴り響く音声と共に、Xの身体には、ウルトラマンゼロが持つウルティメットイージスを模した鎧、マックスの力の象徴であるマックスギャラクシー、ウルトラマンネクサスの力が集まったエボルトラスターセイバー。

それらを手に持つ事によって、Xはエクシードエックスへと変わる。

それはベータスパークアーマーと似た状態であり、3人のウルトラマンの力が合わさった事で誕生した姿。

そして、Xの周りには、これまでXに力を貸してくれたサイバー怪獣達が実体化し、向き合う。

 

「ウルトラマンX、どうやら貴様が一番、レイオニクスに近いウルトラマンかもしれないな」

「俺は、怪獣達と共に、平和な未来を掴み取る」

 

レイバトスが率いる怪獣軍団。

Xと共に戦うサイバー怪獣達。

彼らの戦いが、今始まる。



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怪獣達の力

ウルトラマンエックスとレイバトスの戦いが始まる。エックスは、その手に持つ光の剣で、真っ直ぐとレイバトスに向けて、振り下ろす。

 

迫り来る斬撃に対して、レイバトスは、その右腕で受け止める。レイバトスの右腕は光の刃によるダメージの影響もあり、徐々に焦げながらも、斬撃を確実に止めていた。

 

それによって、動きを止められたエックスに対して、レイバトスは全身から無数の光弾を真っ直ぐと放つ。

 

エックスは、その攻撃を避ける為に、もう片手にあるマックスギャラクシーから光の刃を出すと共に、レイバトスの腕を斬り裂き、後ろへと跳び、避ける。

 

光弾は次々とエックスに向かって、襲い掛かるが、両手の光の刃で切払いしていく。

 

「ふんっ」

 

それと共にレイバトスは斬り裂かれた箇所を見る。そこには既に不気味な闇が出ており、瞬く間にレイバトスの腕は元に戻る。

 

不死身の身体を持つレイバトスにとって、ダメージは問題なかった。

 

しかし、痛みはある。故にレイバトスは怒りを覚える。それは自分の腕を切り落とした相手に対してだ。

 

「ふんっ」

 

それと共にレイバトスは再びエックスに対して、接近する。そして今度は両腕を使い、連続で殴りかかる。それに対して、エックスも連続で斬撃放つ。

 

互いの一撃一撃がぶつかり合い、衝撃が生まれる。

 

レイバトスの連撃にエックスは防戦一方だった。だが、それでもレイバトスが放った一撃を受け止めた瞬間を狙い、光の剣を振るう。

 

その攻撃をレイバトスは、咄嵯の判断で後ろに下がる事で避ける。

 

そのまま、エックスに向けて、光弾を放つ。

 

放たれた光弾は、一直線に進むと同時に爆発を起こす。

 

それにより煙が発生して、辺り一面を覆う。

 

そんな煙の中でレイバトスは、そのまま怪獣達に命令をする。

 

エックスに向けて、トドメをするように。

 

「なに?」

 

だが、怪獣達が反応しない。

 

その事に、レイバトスは周りを見る。

 

すると、そこには、既に怪獣達が倒されていた。

 

「どういう事だ!」

 

レイバトスが操る怪獣達は強い。

 

それもサイバー怪獣達よりも。

 

だが、そこに残っていたのは、サイバー怪獣だけだった。

 

「お前とは違う。サイバー怪獣は、互いに助け合う。例え力が上でも力を合わせて、乗り越えられる」

 

「っ」

 

聞こえた声。

 

それと共にレイバトスが見つめた先。

 

そこには、ウルティメットイージスを弓のように構え、その先端にはマックスギャラクシーを、そして矢をエボルトラスターセイバーで構える。

 

「ぐっ」

 

すぐに抜け出そうとした。

 

だが、次の瞬間だった。

 

サイバー怪獣達もまた攻撃を仕掛けてきた。

 

「ぬっ」

 

サイバー怪獣達の連携による攻撃。

 

それらを、レイバトスは捌く事に集中せざる得ない状況となった。

 

そして。

 

「ファイナルウルティメイトマックス!」

 

その叫びと共に放たれた光の矢は、真っ直ぐと、レイバトスを貫く。

 

「ぐっがあぁぁぁ!!」

 

その威力は、不死身な身体を持つはずのレイバトスの身体を崩れ去っていく。

 

「この俺がぁ!!」

 

それと共にレイバトスは、そのまま爆散する。

 

「倒せたか、皆」

 

それと共に見つめる。

 

そこでは、既にサイバー怪獣達が形を保てなくなっていた。

 

そのまま、サイバーカードへと戻り、そのままエックスの中に戻る。

 

「ありがとう、皆」

 

その言葉と共に、エックスもまた、次の戦場へと向かう。

 

そして、エックスの戦いが終えた頃。

 

オーブも、また目の前の相手を見つめる。

 

「・・・まさか、お前達とまた戦うとはな」

 

そう言いながら、オーブは向き合う。

 

「平行同位体。その可能性があるとは、考えていたが」

 

「スベテハヘイワナセカイノタメ」

 

白い虚ろな目の怪獣。

 

その周囲には、無数の虫型怪獣が群れていた。

 

その怪獣の名はサイクイーン。

 

ウルトラマンオーブの最初の任務で戦った敵が、そこにいた。



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サイキノコウカイ

「お前と、また戦う事になるとはな」

 

そう言いながら、オーブは、そう、目の前にいる敵であるサイクイーン。

 

かつて戦争で両親を失った過去を持ち、そのとき目の前に現れたクイーンベルゼブの姿を見た事から「力こそが正義」という思想を嫌うようになり、争いが存在せず、誰も虐げられることない世界を創るという理想を掲げている。

 

だが、クイーンベゼルブに裏切られたサイキが最終手段としてパーテルの能力を利用し、自らとクイーンの肉体を量子分解・再合体させた事で誕生したのが、サイクイーン。

 

「あれから、俺も多くの旅をした。

そこで、多くの経験を重ねてきた。

そんな俺が、またお前と戦うとは、皮肉だな」

 

そう言いながら、オーブは、その手に持つオーブカリバーを地面に突き刺す。

 

「今のお前は、あの時のままで止まってしまったんだろう。

他の世界だけど、お前は多くの戦いをしただろう」

「ヘイワヘイワヘイワ!!」

 

それと共に、サイクイーンの周囲にいたベルゼブが真っ直ぐとオーブに襲い掛かってくる。

 

「だから、お前をここで倒す!」『フュージョンアップ』

 

そう、襲い掛かってくるベルゼブ達がオーブに向かって、次々と光弾を放っていく。

 

光弾はオーブの周りの地面に当たり、次々と爆煙が舞い上がる。

 

それによって、オーブの周りは煙に包まれ、その姿が隠される。

 

だが、次の瞬間、その煙は晴れる。

 

『サンダーストリーム』

 

鳴り響く音声と共に爆煙はまるで台風のような渦と共に消え去る。

 

そこから現れたのは、手には三又槍を手にしたオーブの姿。

 

その姿は、ウルトラマンというよりも悪魔に近い姿。

 

その姿の名はサンダーストリーム。

 

海の巨人であるウルトラマンアグルと、闇の巨人であるウルトラマンベリアル。

 

二人のウルトラマンの力が合わさった事で誕生した姿であり、身の丈はあるだろう三又槍を自在に操る。

 

「闇を包め、光の嵐!」

 

その名乗りと共に三又槍を真っ直ぐと構えるオーブ。

 

その姿を見ると、サイクイーンは僅かに反応をする。

 

「やはり、この姿に記憶があるようだなぁ」

 

そう、皮肉を混じるように言う。

 

だが、サイクイーンは再び雄叫びを上げる。

 

それと共にベルゼブ達は真っ直ぐとオーブに襲い掛かる。

 

それに対して、オーブはそのまま三又槍で薙ぎ払う。

 

接近してくるベルゼブを突き、さらには光弾を放ってくるベルゼブに対しても、三又槍を振るい、撃ち落とす。

 

まるで自分の身体のように自在に操りながら、そのままベルゼブを踏み台にして、そのまま跳び上がる。

 

「次はこれだ!『フュージョンアップ!フォトンビクトリウム!』岩乗ボディに唸る剛腕!闇を砕いて光を照らせ!!」

 

それと共に地上へと降り立つと同時に、その身体はまた変わっていた。

 

先程までと比べても、巨大な豪腕が特徴的なその姿。

 

それを見ると、さらにサイクイーンは動揺を隠せない。

 

「アレハッ、ダレダ、ワタシハ、シッテイル?!』

「ふんっ」

 

混乱するサイクイーンを余所に、ベルゼブ達は次々と襲い掛かる。

 

だが、オーブはその豪腕を武器に、襲い掛かるベルゼブ達を一掃していく。

 

放たれるその攻撃は、岩石を思わせる身体に通じず、次々と殴られたベルゼブによって他と巻き込まれ、爆散していく。

 

そして

 

「思い出せ、お前が何をしたかったのか『フュージョンアップ!フルムーンザナディウム!』慈愛のユナイト!繋がる力は心の光!」

 

それと共に、オーブはその電流状エフェクトを発生させながら大きく振りかぶり、正面に向き直り、真っ直ぐとサイクイーンに向けて、光を放つ。

 

その光を浴びると共に、さらに苦しむように頭を押さえる。

 

『ワタシハ、平ワのタめに、けれど、それによって』

 

その動揺を隠せないままに、サイクイーンの頭部がヒカル。

 

それを見ると同時に。

 

「ネオフロンティアの超新星!もっと高く!光の輝きと共に!『フュージョンアップ!ゼペリオンソルジェント!』」

 

それと共に、真っ直ぐとサイクイーンが輝きを見せる場所に向かって、オーブは飛び込む。

 

その身体を光に変え、真っ直ぐと、サイクイーンの輝きを見せる場所を掴み、そのまま地上へと降り立つ。

 

すると、その手の中にいたのはサイキだった。

 

既に、その身体は光に崩壊しかけており、助からない。

 

「君は、なぜ、私を」

「あんたを、このまま後悔させたままにしたくなかった。それだけの、俺の我が儘だ」

「我が儘か、くっ、まったく、君は」

 

そう言っていると共にサイキは、その近くにいる存在に目を向ける。

 

それは、サイクイーンとして、一体化した時から共にいるサイキにとっての友であるパーテル。

 

既に、電源は切られており、動かない。

 

だが。

 

「そうだな、死ぬとしても、一緒ならぁ」

 

その言葉を最後に、サイキは確かに死んだ。

 

「・・・」

 

そう、サイキの最後を見届けた後、見つめる。

 

そこには、未だに暴れるサイクイーンの姿が。

 

サイキという存在が無くても、いや、むしろ抑制していたサイキがいなくなった事で、その凶暴性はさらに増していた。

 

「まさか、あいつと再び見るとはな」

「ジャグラー、お前」

 

見ると、何時の間にかオーブの隣にはジャグラーが立っていた。

 

「懐かしいな、本当に。反吐が出る程に嫌な記憶だぜ」

 

その言葉と共にサイクイーンに向けて、その刀を向ける。

 

「お前、何時からここに」

「風来坊のお前が言うか」

 

そう、皮肉混じりにジャグラーはオーブに言う。

 

「どうせ、お前も殺るつもりだろ、手を貸してやるよ」

「そうか、だったら、遠慮無く」

 

その言葉と共に、オーブは再びオーブオリジンへと戻り、その手にオーブカリバーを構える。

 



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二つの剣を重ねて

 オーブとジャグラーは、各々の得物を手にしながら、真っ直ぐとサイクイーンに向かって、走る。

 

 サイクイーンは、すぐにその両手からは電撃を放つ。

 

 それに対して、オーブはオーブカリバーを盾にしながら進む。

 

 ジャグラーもまた、そんなオーブの後ろに隠れながら、進む。

 

「ふんっ!」

 

 サイクイーンに接近すると同時に、ジャグラーは刀を振り下ろす。

 

 だが、サイクイーンはそのまま巨大な尻尾を振り回し、ジャグラーの攻撃を防ぐ。

 

 尻尾の威力は大きく、そのままジャグラーを吹き飛ばす。

 

 吹き飛ばされたジャグラーはすぐに立ち上がり、今度は蛇心剣で攻撃しようとする。

 

 しかし、サイクイーンはその腕を掴み、そのまま地面に叩きつける。

 

「ぐぁ……」

 

「ジャグラッ! このぉ!!」

 

 オーブも負けじとサイクイーンに飛びかかり、オーブカリバーを叩き込む。

 

 そして、さらに追い打ちをかけるように、オーブはサイクイーンの腕を掴む。

 

 そのまま、投げ飛ばして地面に倒す。

 

「くそっ……おいガイ!! お前、何やってんだ!?」

 

 ジャグラーはそう言いながらも、サイクイーンから距離を離し、立ち上がる。

 

 一方で、オーブは倒れたままのサイクイーンに近づいていく。

 

 すると、倒れていたはずのサイクイーンが突然起き上がり、大きな口を開けて噛みつこうとする。

 

「なにっ!?」

 

 オーブは慌てて避けようとするが、間に合わない。

 

 そのまま、オーブの首元に食らいつこうとする。

 

 だが、ジャグラーが蛇心剣を使い、なんとか食い止める。

 

「おいガイ! お前、油断してんじゃねぇよ!!」

 

「すまない……ってうわっ!?」

 

 ジャグラーの言葉を聞いている途中で、サイクイーンは再び口を大きく開く。

 

 そして、そのまま口から火球を放ち、二人まとめて吹き飛ばす。

 

「くっ……まだだ!!」

 

 二人は地面を転がりながらもすぐに構える。

 

「まったく、お前は相変わらず無茶ばっかりしやがって……」

 

 ジャグラーはそう言うと、ゆっくりと立ち上がっていく。

 

「だが、あいつがいるこの場所で、格好悪い所は見せられないがな」

 

「ゼットの事か」

 

「五月蠅い」

 

 そう、軽口を叩きながらも、すぐに構える。

 

 それに合わせて、サイクイーンは、再び攻撃を仕掛けようとする。

 

「ジャグラー、合わせれるか」

 

「まったく、良いだろう」

 

 その言葉と共に、ジャグラーは構える。

 

 それはオーブもまた同じだった。

 

『解き放て! オーブの力!』

 

 オーブはオーブカリバーのリング部分を高速回転させる。

 

 

 

 ジャグラーはその刀に闇のエネルギーを三日月形の刃にして、構える。

 

「オーブスプリームカリバー」「蛇心剣・新月斬波」

 

 二人の必殺技が、同時に繰り出される。

 

「おぉおおおお!!!!」

 

 気合の声とともに、二つの技は一つの巨大な光線となって、サイクイーンに向かう。

 

 サイクイーンもまた、それに対抗するように火球を放つ。

 

 しかし、二つの力のぶつかり合いは互角だ。

 

 だが

 

「「はあああぁぁぁ!!」」

 

 オーブとジャグラーは、その手に持つ剣を握る力をさらに強くする。

 

 それにより、少しずつではあるが、サイクイーンの攻撃を押し返していく。

 

「この一撃で決めるぞ!」

 

「おうよ!」

 

 二人は更に力を込めていく。

 

 それに呼応するように、二つの力もどんどん大きくなっていく。

 

 そしてついに……

 

「これで終わりだあぁ!!!」

 

 二人の放った攻撃はサイクイーンを飲み込み、そのまま大爆発を起こす。

 

 爆風により砂煙が巻き起こり、視界が悪くなる。

 

「やったのか?」

 

 オーブがそう呟いた瞬間、その声に応えるかのように、一陣の風によって砂煙が晴れていく。

 

 それと共に、オーブはその隣を見る。

 

「ジャグラーの奴、またいきなり消えやがって」

 

 そこには、既にジャグラーの姿はなかった。

 

 そう、オーブは呆れたように言う。

 

「さて、他の奴らは無事か?」

 

 そんなオーブの呟きをした同時期だった。

 

「ぐっ」

 

 ジードは最大のピンチを迎えていた。

 

「まさか、ここで待ち伏せされていたとは」

 

 そう言いながら、ジードは周りを見つめる。

 

 そこにはW78星の戦士がジードを囲んでいた。

 

 それは皮肉にも、ジードの父親であるベリアルが光の国を襲撃した時の状況と似ていた。

 

「M78星でも、まさかこんな奴がいるとはな。

 だが、どちらにしても、ここで始末する」

 

 だが、それでも、ジードは諦めず構える。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

 それと共に、真っ直ぐと向かう。



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闇の国での戦い

「集うぜ!キラ星」

 

それと共に、ジードはそのままギャラクシーライジングへと変身すると共に、戦いが始まる。

真っ直ぐと、W87星人達はそのままジードに襲い掛かってくる。

放たれた拳や、蹴りは、そのままジードに襲い掛かる。

だが、それの攻撃に対して、本能でジードは捌く。

 

「ギャラクシーカッティング!」

 

両腕から生えている刃で、すれ違いに、斬り裂く。

それらの一撃は、簡単にW87星人達を吹き飛ばす事が出来た。

それと共に吹き飛ばされた。

しかし、その合間を狙うように、ジャック、エース、80に良く似たW87星人達が同時に必殺光線を放つ。

 

「プラズマ光輪!」

 

だが、その攻撃に対して、巨大な1つの光輪を発生させてから4つに分裂させて、光線技を防ぎ、残る一つの輪で3人を吹き飛ばす。

 

「まだ、こんなに」

 

そうしている間にも、ウルトラマン、セブン、ゾフィーによく似たW87星人達が襲い掛かる。

それに対して、素早く対応する。

降り注ぐ拳と蹴りに対しても、冷静に対応する。

それと共に、2人を吹き飛ばしながら、既に必殺光線を放とうとしているゾフィー似のW87星人を見つめる。

 

「レッキングフェニックス!」

 

その必殺光線に対抗するように、ジードもまた対抗する。

そして、その一撃はかなり強く、ゾフィー似のW87星人を吹き飛ばす。

 

「まだっ」

 

そう考えていた時だった。

ゾフィー似のW87星人ごと飲み込むような光線が、ジードに襲い掛かる。

 

「っがぁあああぁぁ!!」

 

その一撃を食らいながらも、なんとか防御する。

なんとかダメージを防ぐ事はできたが、そのダメージはかなり大きく、ギャラクシーライジングが解除される。

 

「ぐっ」

 

それによって、ウルトラゼットライザーが破壊される。

再び使用するには、時間がかかる。

 

「まったく、油断をしているのではないか、ウルトラマンよ」

「あなたは」

 

見れば、そこにいたのは、ウルトラの父によく似たW87星人だった。

 

「なんで、仲間を」

「仲間だと?そんな顔をして、まさかそんな下らない事を言うとはな」

「下らないだとっ」

 

その言葉に、思わず叫んでしまった。

 

「まったく、どんなに悪い面をしても、ウルトラマンだとはな。だがな、勝つ為には、どんな手段を使うからな」

 

その邪悪な言葉に対して、ジードは思わず握り絞める。

 

「お前らに、絶対負けない!」

 

それと共に構える。

 

「諦めないか、ならば」

 

それと共にジードの背後から、タロウに似たW87星人が、襲い掛かろうとした。

それが一瞬の隙となって、ジードは構える。

 

「しまったっ」

 

そう思った次の瞬間だった。

 

「スカル超振動波」

 

聞こえた声。

それと共にタロウに似たW87星人は、横から突っ込んできた影の体当たり。

それによってすぐに消滅してしまう。

 

「あれは」

「怪獣だと、なぜ」

「あの、怪獣は」

 

そこに、ジードを守るように立つ怪獣。

それは、ジードが初めて戦った怪獣であり、ジードにとっては因縁の相手とも言えるスカルゴモラだった。

 

「立て、ジード。俺の息子ならば、こんなウルトラマン擬きに負けるな」

「父さん」

 

それには、ジードは驚きを隠せなかった。

なぜ、怪獣の姿なのか。

未だに疑問がある。

だが

 

「生きましょう、父さん!」

「ふっ、そうだな」

 



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父の背中

ウルトラマンジードとスカルゴモラが共闘する。

それは、これまでだったら、決してあり得ないはずの光景だった。

しかし、それは、今、この瞬間は、まさしく奇跡というべきか、行われていた。

 

「ハァ!」

 

眼前から向かってくるウルトラマンに似たW87星人。

それに対して、ジードは、そのまま飛び上がり、蹴り上げる。

素早い動きと、鋭い手刀。

それらは、真っ直ぐと放たれる。

 

「ハァ!」

 

それらの攻撃を正面から受け止めながら、そのまま八つ裂き光輪を放とうとした。

 

「じゅわっ!?」

 

だが、その攻撃は、眼前に迫ったスカルゴモラの尻尾によって、妨害される。

尻尾の攻撃によって、吹き飛ばされたW87星人は、そのまま他のW87星人達を巻き込みながら倒れる。

それを見ると同時に、ジードとスカルゴモラは同時に構える。

 

「レッキングバースト!」「スカル振動波!」

 

二つの必殺技が同時に放たれた。

その攻撃によって、その場にいたW87星人達は倒す事ができた。

だが、そんな2人の後ろから、アイスラッガーが襲い掛かる。

 

「っ!」『ウルトラマンジード!ソリッドバーニング!』『ウルトラマンベリアル!サンダーキラー!』

 

その鳴り響く音声と共に、ジードはソリッドバーニングに、ベリアルはサンダーキラーへと変わる。

それと共にセブンに似たW87星人は、他の同胞と共に、その手に持った武器で、襲い掛かる。

それに対して、ジードもまたジードスラッガーを構え、対応する。

 

「ハァ!」

 

襲い掛かる斬撃の嵐を、機械のように冷静に、受け流す。それと共にサンダーキラーの電撃がW87星人達に襲い掛かる。

 

「ストライクブースト!!」

 

その一瞬の隙を狙うように、ジードはそのまま腕から放った必殺の一撃で、全てを吹き飛ばす。

 

「こいつら、一体、どこからこの力をっ」『ウルトラマンジード!アクロスマッシャー!』『ウルトラマンベリアル!ペダニウムゼットン!』

 

そう困惑しているW87星人達に対して、既に次の姿に変わっていた2人。

 

アクロスマッシャーの素早い動きと、ペダニウムゼットンの瞬間移動。

 

連携での攻撃でW87星人達を確かに追い詰めていた。

 

「どうなっているっ、たった2人で」「あなたには、分かりません!」『ウルトラマンジード!マグニフィット』『ウルトラマンベリアル!キメラベロス!』

 

それと共に現れたジードの姿は、ウルトラの父によく似たW87星人にとっては、屈辱でしかなかった。

 

「その姿を現すか!!」

 

それと共に、その手に剣を持ちながら向かう。

それに対して、ジードは構えるが、それよりも前にベリアルが前に出る。

 

「ふんっ」

 

襲い掛かる斬撃に対して、軽く受け止めるベリアル。

それに対して、驚愕を隠せない様子のW87星人に対して。

 

「貴様程度が、ケンと同じ姿とはな。笑わせるな」

 

共に戦い、嫉妬の存在だったウルトラの父。だからこそ、ベリアルはその力を知っている。

 

「お前など、奴の足下にも及ばん!」

 

それと共にベリアルは吹き飛ばす。

 

それと同時にジードは両の拳を打ち合わせることでエメラルドの光が迸り、大きく左右に広げることで虹色の輝きと共に光子エネルギーがチャージされる。

 

「ビッグバスタウェイ!」

 

そして、両目が発光した後、逆L字型に構えることで、強力な破壊光線を発射する。

 

そうして、放たれた一撃は、そのまま吹き飛ばされたW87星人を巻き込み、爆散する。

 

これにより、W87星人達を倒す事ができた。

 

「父さん、なんで」

「・・・奴らが気に入らなかった。

それだけだ」

 

そう言いながら、ベリアルはそのまま背を向ける。

 

同時にベリアルは、進む。

 

「お前は、お前の道を行け、ジード」

 

それだけ言うと、ベリアルの姿は消えた。

 

「・・・分かりました、父さん」

 

その言葉だけ、受け取ると共に、またジードも進み始める。

 

そして、ジードの戦いが行われた時。

 

「まさか、また、こいつが相手かよ」「というよりも、なんでこいつ変身しているんだ!」

 

ロッソとブルの2人は、眼前にいる相手に対して、叫ぶ。

 

「ふっ、それは世界中が私を求めているからだ。この私、ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ」

「相変わらず長い!」

 

そう、ブルは思わず叫んでしまう。

 

目の前に現れているウルトラマンオーブダークは、かつてロッソとブルの2人の前に現れた強敵。

 

その歪んだ正義感で生み出された、ウルトラマンの偽物であった。

 

「おい、地の分!私の名前を略すんじゃない!」

「いや、略するよ!じゃないと文字稼ぎのように見られるから!」

「お前達、一体、どこに向かって、言っているんだ?」

「もぅ、ガイさんのパクリは駄目ですよ!」

「えっ、ガイ?もしかして、本物のオーブと会ったのか!」

 

それと共にオーブダークは思わず振り向く。

 

「あぁ、会ったよ。それがどうしたんだよ」

「第一、お前の言っていた事、そのまま伝えたぞ」

「えっ」

「ガイさん、思いっきり呆れてましたよ」

「がーんっ」

 

オーブダークは、その言葉と共に思いっきり膝を突く。

 

「はぁ、とりあえず、俺達、先に行くから「いいや、行かせない」えぇ」

 

そのままロッソ達が進もうとしたが、オーブダークが、そのまま立ち塞がる。

 

「お前達が言っている事が嘘だという可能性もある。だからこそ、お前達を倒して、私自身が確かめる」

「うわぁ、面倒だな」

「とりあえず、油断するなよ」

 

そう、ロッソ達は、そのまま構える。

 

「ふふっ、ヒーローは1度敗れても、パワーアップして復活するのだぁ!」

 



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重ねる魂

「見せてやろう、お前達に本当のヒーローの力を」

 

その呟きと共にオーブダークの身体が光始める。

それと同時だった。

 

「ウルトラマンさん『ウルトラマンダーク』ティガさん『ウルトラマンティガダーク』光の力、お借りします!」

 

オーブダークの体内にて、愛染は黒いボディスーツを身に纏っており、その横には闇の力の象徴であるウルトラマンダークとウルトラマンティガダークが並ぶ。

 

三人は同じ動作で動きながら、そのまま上に掲げると共にオーブダークの姿が変わる。

 

『フュージョンアップ!スペシウムゼペリオン!』

 

「俺の名はオーブ! 闇を照らして、悪を討つ!!」

 

そう、オーブダークは言う。

 

「いや、明らかに闇の力だろ!」

「けど、なんでガイさんと同じフュージョンアップを」

 

そう疑問に思っている時だった。

 

「ダークリング。オーブリングから生まれた闇のアイテム」

「それって、確かジャグラーさんが使っていた」

「えいえい!もぅ、さっきから、私の知らない話をするな、とぅ」

 

その言葉と共に、オーブダークが接近する。

すぐに構えたロッソ達だが、オーブダークから放たれる闇のエネルギー弾にすぐに、対応できずに、下がる。

 

「うわっ、こいつ」

「スペリオン光線!」

 

そうしていると、ブルに向けて、すぐにスペリオン光線を放ち、そのまま吹き飛ばす。

それと同時に。

 

「紅にあっ、燃えろぉ」『バーンマイト!』

 

そそれと共に、バーンマイトへと変わったオーブダークはそのままロッソを蹴りあげる。

 

「ぐっ!」

「初めからタロウさんのメダルを持っていたお前はあまり気に入らなかったんだよぉ」

 

そう言いながら、オーブダークは、そのまま腹部に何度も蹴る。

 

「カツ兄から、離れろぉ!」「ふんっ」『ハリケーンスラッシュ』

 

背後から迫ったブルに対して、すぐに避けると同時にハリケーンスラッシュに変身し、そのまま避ける。

同時に、ブルをロッソと同時に蹴る。

 

「お前もじゃあ」

「ぐっ」

 

その素早い動きに対して、二人はそのまま下がってしまう。

 

「こいつ、あの時よりも強いっ」

「ガイさんのフュージョンアップも使えるから、それを利用されているっ」

「そう、私こそが、真のヒーローだから『サンダーブレスター』ゼットシウム光線!」

「「があぁぁ」」

 

オーブの事を熟知しているオーブダークの戦法は、まさしくオーブと同等か、それ以上に力を使いこなす。

それによって、ロッソとブルの二人は確実に追い詰められていた。

 

「最後は、これだぁ」『トリニティフュージョン!!』

 

鳴り響く音声。

それと共にオーブトリニティへと変身したオーブダークは、そのまま構える。

 

「トリニティウム光輪!」

 

その叫びと共に放たれた巨大な闇の輪が、まっすぐとロッソ達に襲いかかる。

 

「カツ兄!イサ兄!」

「「アサヒ!」」

 

そんな二人を守るように、グリージョが前に出る。

すぐに二人は叫ぶが、トリニティウム光輪は、そのまま激突し、爆発する。

 

「はっははっ!これにて、一件落着!『ウルトラマンロッソ!ウィンド!』『ウルトラマンブル!グランド!』なにぃ!?」

 

鳴り響く音声、それと共に見つめた先にはグリージョを守るロッソとブル。

 

さらには。

 

『ウルトラマングリージョダークネス!』

 

グリージョダークネスがいた。

 

「これは、一体」「どうなっているんだ」

 

そして、その状況に、ロッソとブルは困惑していた。

しかし、グリージョはすぐにグリージョダークネスに近づく。

 

「もしかして、ツルちゃん」

 

こう尋ねると共に、グリージョダークネスは頷く。

 

「私達、兄妹も、共に戦おう。この星を守る為に」

「それって、もしかして」

「俺達の先代のウルトラマン!?」

 

それに対して、驚きを隠せなかった。

 

「なっなんだなんだ、その都合の良い展開はぁ!」

「確かにそうかもしれない。だが、私達は聞いた。私達を呼ぶ声を。その声が、私達をここに導いた」

 

それと共に6人は頷く。

そして、6人は手を繋ぐ。

 

『マコトクリスタル!』

 

「「「「「「セレクト! クリスタル!」」」」」」

 

『重ねろ!六つの魂!』

 

「「「「「「纏うは真!不滅の真理!」」」」」」

 

『ウルトラマングルーブ!』

 

鳴り響く音と共に6人のウルトラマンが一つとなる。

それは、これまでのグルーブとは、どこか違う雰囲気を出し、神聖なオーラを放つ。

ウルトラ六兄弟と同じ人数だった。

それこそが、スーパーウルトラマングルーブだった



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受け継いだ力

「がっ合体したぐらいで、勝てると思うなよ!」

 

その言葉と共にオーブダークは、その手に持ったオーブスラッシャーを構えて、グルーブに向かって、走る。

そのスピードはかなり高く、瞬く間にグルーブに接近する。

そのスピードに身を任せるように、そのままオーブスラッシャーを薙ぎ払う。

それによって、オーブスラッシャーは、グルーブの身体を斬り裂いた。

 

「よしっ」

 

そう笑みを浮かべた。

だが、それは間違いだった。

オーブダークが斬り裂いたグルーブは、まるで幻のように消えていく。

 

「なっどうなっ、がぁぁ?!」

 

それに困惑を隠せないオーブダークの右頬に衝撃が走る。

右側に、何時の間にか立っていたグルーブによるパンチが、真っ直ぐとオーブダークに向かって放たれたからだ。

それによって、オーブダークは、地面を何度もバウンドさせながら、倒れ込む。

 

「どっどうなっているんだ!?何をしたんだっ!」

『ただ、避けた。それだけだ』

 

オーブダークの言葉に対して、グルーブはそのまま答える。

 

「避けたってねぇ、私はちゃんと斬って、まさかっ」

『お前が斬ったのは、残像だ』

 

その言葉と共にグルーブは構える。

その背中から現れたのはルーブコウリンであり、それをそのまま手に持つ。

 

『ルーブコウリン』

「ぐぬぬっ、このまま負けてたまるかぁ!」

 

それと共にオーブダークが再び迫ってくる。

グルーブもまた、接近する。

オーブスラッシャーを、真っ直ぐとグルーブに向けて、放つ。

その斬撃はまさしく脅威であった。

だが、その斬撃に対して、グルーブもまた正確に受け止め、さらには反撃をする。

 

「ぬぬっ」

 

圧倒的なスペックの差。

それによって、オーブダークは追い詰められていた。

 

「負けてたまるかぁ、私はウルトラマンになったんだぁ!」

 

それと共にオーブダークはそのままオーブスラッシャーを構える。

 

「トリニティウム光輪!」

 

そう、真っ直ぐとグルーブに向かって放つ。

対して、グルーブもまた、構える。

 

『グルーブコウリンショット』

 

それと共にグルーブが構え、そのまま対抗するように放つ。

それは、グルーブの3つの刃に加えて、紫、茶色、黒の三色の刃が合わさっていた。

6つの刃は、そのままオーブダークが放ったトリニティ光輪と正面から激突し、斬り裂く。

 

「なにぃ!?」

 

そのまま6つの刃は一つに重なると共に、真っ直ぐとオーブダークを斬り裂く。

 

「こんなはずではぁ?!」

 

それと共にオーブダークは爆散する。

それによって、勝負に決着がつく。

 

「勝てたようだな」「ツルちゃん」

 

それと共にグルーブの身体から、3つの魂が抜け出る。

それは、戦いの役目を終えたように、天に帰るように。

 

「心配するな、アサヒ。私達兄妹は、いつでもお前達と一緒にいる」

 

それと共に、確かにその魂は再び帰って行った。

 

「・・・なんだか、不思議だよな、先代と会うなんて」

「あぁ、この力、受け継いだ以上はな」

「はいっ」

 

それらを見ながら、グルーブは、再び、敵の本拠地へと向かって行く。

そして。

 

「こんな奴が本当にいたのか」

「あぁ、信じられない事にな」

「一体、どうなっていやがるんだ」

 

タイガ達、トライスクワットは、眼前にいる敵に戸惑う。

彼らはW87星雲に飛び込むと同時に、謎の異空間に閉じ込められる。

だが、その広さよりも、まず、目の前にいる存在に驚きを隠せなかった。

巨人であるはずのタイガ達ですら、見上げる程の。

それこそ、惑星程の大きさの怪獣。

その目は、怪しく光る。

タイガ達にとっては、幾度も戦ってきた相手であるが、同時にまったく知らない存在が、静かに鳴き声を響かせる。

 

「ゼットン」

 

天体制圧用最終兵器ゼットン。

これまで、多くのゼットンと戦ってきたタイガ達にとっても、未だに未知のゼットンが立ちはだかる。



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光の災厄

「おいおい、いくらゼットンとはいえ、この大きさはあり得ないだろう」

 

そう、フーマは目の前にいるゼットンに対して、思わず叫んでしまう。

 

「何よりも、あのゼットンから、なぜ、ウルトラマンと同じ力を感じる」

 

それと共にタイタスもまた、冷静にゼットンから感じ取る力に疑問に思う。

タイガ達の眼前で対峙するゼットン。

それは、これまでのゼットンとは違い、こことはまた違う別の世界の光の国で生まれたゼットンである。

その事を、タイガ達は今は知らない。

だが。

 

「例え、どんな相手だろうと、俺達は負ける訳にはいかない!あの星の、命を守る為に」

「あぁ、そうだな」「ここで、臆している場合じゃないな!」

 

タイガの掛け声と同時に、タイガ達は瞬時にゼットンに向かって、攻撃を仕掛ける。

 

「ストリウムブラスター!」

 

まずは、タイガの得意技であるストリウムブラスターを正面から放つ。

数々の強敵を倒してきた必殺技である。

正面から受ければ、無傷ではない一撃。

だが、そのストリウムブラスターに対して、ゼットンはバリアを展開し、受け止める。

 

「やっぱりゼットンだから、そうするよな、だけど!」

「まだ、俺達がいるぜ!」「ふんっ!」

 

それは左右に分かれているタイタスとフーマによる連係攻撃。

 

「プラニウムバスター!」「極星光波手裏剣!」

 

高い破壊力を誇るプラニウムバスターに、バリアの弱い部分を狙うように無数に分身した極星光波手裏剣。

数多くのゼットンと戦ってきた彼らは、連携でゼットンを倒そうとした。

だが

 

「無傷かよっ」

 

まるで効いていない様子だった。

さらに、ゼットンはそのままタイガ達に向けて、白い粒子の光線を浴びせる。

 

「なっ、こんなの」

 

その攻撃に対して、タイガ達はすぐに避ける。

特にスピード自慢のフーマにとって、避けるのは容易かった。

だが、次に放たれた赤粒子砲。

それは、確実な命中性を誇っており、タイガ達に次々とダメージを喰らわせる。

 

「このっゼットンっ、大きさだけじゃないっ」

「あぁ、俺達が知っている、どのゼットンよりもっ強いっ」

「まずいっ!」

 

攻撃を食らっていく中で、タイガ達の眼前には、既にゼットン最大の必殺技である火球が襲い掛かろうとした。

周りにある牽制攻撃と言える攻撃によって、避ける事ができず、その攻撃がまさしく当たりそうになった時だった。

 

「ストライクバースト」

 

その叫び声と共にタイガの前にある火球を撃ち抜く。

それだけではなかった。

タイタスの前の火球は数え切れない程の数の弾丸やミサイルで。

フーマの前には、手裏剣が。

 

「さっきのは、もしかして」「まさか」「うそだろっ」

 

タイガの前に現れたのは、かつてタイガと共に戦ったアンドロメロスの戦士の1人であるアンドロアレス。その両手には銃を持っており、それでゼットンの火球を撃ち抜いた。

さらに、タイタスの前には、巨大なロボであり、かつては邪悪な目的で作られたが、今では惑星を守る守護神となったロボット、機動王兵ダイラオー、そしてその搭乗者であるアウサル13世。

そして、フーマの前には、かつての師匠であり、今はどこにいるのか分からないはずのゲルグ。

 

「なんで」「お前達に、これを渡す為だ」

 

その言葉と共にアンドロアレス達の手の中にあったのはディメンションカード。

5枚のディメンションカードを見る。

 

「これは、もしかして」

「あぁ、なんとか出来るかも知れないな」

「この状況では、これしか逆転はできないからな」

 

それと共にタイガ達は頷くと共に、タイガのウルトラホーンにその場にいた全員のエネルギーが集まる。

同時にタイガの姿は大きく変わる。

黄金の輝きと共に現れた、ウルトラマン。

その名はレイガ。

最強のウルトラマンの1人である。



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光の過ちを越えて

宇宙空間に漂うゼットンは、その存在を確認すると共に、すぐに行動する。

その巨大な身体を、砲台へとゆっくりと変形させ、その狙いをレイガへと向ける。

それは一発で、放たれれば地球がその星系ごと蒸発し、数光年先まで影響を及ぼす程の威力を持つ火球を向けていた。

 

「ハァ」

 

レイガは、それに対して、怯える様子も、怯む様子もなく、真っ直ぐと飛び込む。

そんなレイガに向けて、ゼットンは次々と赤と白の弾幕を張る。

それは先程までのタイガ達を倒す事ができた一撃であり、ウルトラマンであっても脅威であるのは間違いない物だった。

しかし、レイガは、その右腕にあるタイガスパークにエネルギーを集める。

 

「ふんっ」

 

襲い掛かる弾幕に対して、レイガは軽く薙ぎ払う。

それによって、周囲の弾幕は吹き飛ばされ、互いに当たると共に連鎖爆発を起こしていく。

それでも、弾幕は未だに収まる気配はなかった。

しかし、それはレイガもまた同じだった。

 

「ハアァァァ!」

 

雄叫びと共に、真っ直ぐと弾幕を振り払いながら、真っ直ぐと進む。

それは、ゼットンは、それを防ぐように、次々と放っていく。

レイガは、まるでダメージを与える様子はない。

だが、それはゼットンもまた分かっていた。

そして。

 

「っ」

 

ゼットンは、その砲台を、真っ直ぐとレイガに向かって放つ。

それは、レイガを軽く飲み込む程の巨大な炎。

間近に、それが迫る。

それに対して、レイガもまた構える。

 

『ニュージェネレーションレット!コネクトオン!』

 

両手を合わせたレイガはそのまま腰まで手を置く。

それと共に、エネルギーをチャージすると同時に、十字に腕を組む。

 

「レイガ・アルティメットブラスター」

 

同時に放たれた必殺光線。

それは迫り来るゼットンの火球と正面と激突する。

ニュージェネレーションの力が合わさった光線とゼットンの火球。

それは、まさしく、その空間を震わせる程の激突だった。

衝撃は、そのまま周囲に、宇宙にヒビを作り出す。

激突が激しくなる度に、レイガはより力を込める。

 

「はああぁぁぁ!!」

 

そして、レイガの叫びが、ゼットンの火球を撃ち抜く。

それと共にゼットンに対しては、僅かな針程度でしかないだろう光線はそのままゼットンに向かって当たる。

僅かな衝撃。

それが、ゼットンに感じた最後の感覚だった。

 

「ゼットン」

 

光線は、そのままゼットンの身体に亀裂を作り出す。

小さな、ほんの小さな亀裂。

そこから内部にあるゼットンのエネルギーに当たる。

同時にそれが暴発すると共にゼットンの体内から爆発する。

見つめた先で、レイガはそのまま空間に出来たヒビに向かって飛び、脱出する。

レイガが、空間から飛び出すと同時に、内部にいたゼットンは、そのまま爆発の中へと消えていく。

 

「勝てたのか」

「あぁ、そうみたいだ」

「あいつらは」

 

それと共にレイガは合体を解除すると共に見渡す。

そこには、タイガ達を助けた彼らの姿はなかった。

 

「まさか、あの空間に」

「タイタス、それは大丈夫だ」

「あぁ、あいつらが、そう簡単にくたばる訳にはいかないよ」

 

そう、心配するタイタスに対して、タイガとフーマは励ますように言う。

 

「とりあえず、すぐにでも向かおうぜ」

「そうだな」

「あぁ」

 

2人と共にタイガは、そのまま中心地に向かって飛ぶ。

だが、そんな彼らとは違う場所。

そこでも、また戦いが行われていた。

 

「ぐっ、まさかこんな奴が出てくるとは」

 

その言葉と共に、ウルトラマンゼットは、思わず叫んでしまう。

それは、ゼットに襲い掛かってくる怪獣が関係していた。

バイザー越しの一つ目。

それはゼットを睨んで逃さない。

それと共に身体に生えている無数の棘が、ゼットに襲い掛かる。

セットは、すぐにゼットスラッガーを稲妻状のエネルギーで連結させたもので、ヌンチャクのように、回転させることで擬似的な盾として、利用する。

 

「はぁ!!」

『ゼットさん、なんですか、あの巨大な怪獣は』

「あれは、おそらくは超獣。しかも、かない厄介な超獣でしょう」

 

そのまま見つめた先に立っていたのは、見た目はUキラーザウルス・ネオ。

かつて、ウルトラマンメビウスとウルトラ兄弟達が力を合わせて、倒す事ができた超獣。だが、そのバイザーを含めて、その特徴は異なっていた。

 

「ゼロキラーザウルスっ」

 

かつて、異次元人ヤプールがウルティメイトフォースゼロ抹殺の為に、彼らに恨みを持つ者たちの怨念を集めて新たに生み出した超獣。

そんなゼロキラーザウルスをパワーアップさせたのが、ゼロキラーザウルス・ネオだ。

皮肉にも、ゼットと大きな関わりのあるゼロ、エース、メビウスの3人と大きな関係した超獣だ。

 

「気合いを入れるぞ、ハルキ!」

「えぇ!」



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ウルトラ気合い

「ウルトラ気合い入れて行くぜ!!」

 

ゼロキラーザウルス・ネオに対して、ゼットは叫ぶと共に突っ込む。

それに対して、ゼロキラーザウルス・ネオは、背中から生えている触手を真っ直ぐと、襲い掛かる。

先端は鋭い刃となっており、一撃でも当たれば、危険な代物。

だからこそ、ゼットは、その手には既にウルトラZライザーを手にしていた。

 

『Jack.Zoffy.Father Of Ultra.』「M78流・竜巻閃光斬!」

 

それと共にゼットは、自身を中心に回転し、竜巻を起こす。

それによって、周囲から襲い掛かってくる触手を弾き飛ばすと同時に、そのままゼロキラーザウルス・ネオに真っ直ぐと突っ込む。

ゼロキラーザウルス・ネオも、それに対して、すぐに応戦するように火炎弾を放つ。

その火炎弾によって、竜巻は確かに消え去った。

しかし、その竜巻の中には、ゼットは既にいなかった。

 

『ウルトラマンゼット!ベータスマッシュ!』「ゼットランスファイヤー!」

 

それと共に、ゼットは既にベータスマッシュに変わっており、蠍を思わせるゼロキラーザウルス・ネオの下半身に向かってゼットランスアローを投げる。

投げられた槍は、そのままゼロキラーザウルス・ネオの身体を貫く。

 

「これならば、なんとかって!?」

 

その言葉が油断となった。

貫かれた下半身は既に巨大なエネルギーを集めており、ゼットに向けていた。

 

『ウルトラマンゼット!ガンマフューチャー!』「ガンマイリュージョン!」

 

すぐにガンマフューチャーへと変わると同時に、ガンマイリュージョンでティガ、ダイナ、ガイアの3人のウルトラマンの幻影を召喚すると同時に、ゼットもまた構える。

 

「ゼットアイアス!」

 

Zと描かれた魔方陣のような紋様のバリアを七層に分けて展開する。

それによって、正面から襲い掛かってくるその攻撃を、他の幻影と共に防ぐ。

その巨大な炎を防ぐ事ができたゼット。

だが。

 

「なっ!?」

 

先程までいたゼロキラーザウルス・ネオがいなかった。

それと共に、後ろから触手によって、ゼットは拘束される。

 

「こいつっ、下を囮にしてっ、があぁぁ!!」

 

それと共にゼットに衝撃が襲い掛かる。

拘束された事で、身動きが取れないゼットに対して、追い打ちをかけるゼロキラーザウルス・ネオ。

万事休すのその時だった。

突然、触手が切れた。

 

「うわっと、今のは一体?」

 

疑問に思うゼット。

周りを見ても、ゼロキラーザウルス・ネオ以外の姿は見えない。

 

「よく分からないけど、今がチャンスだ!」『ウルトラマンゼット!デルタライズクロー!』

 

鳴り響く音声。

それと共にウルトラマンゼットは最強の姿であるデルタライズクローへと姿を変える。

 

「ふんっ、どうやら、面白い奴が現れたようだな」

 

そう、ゼロキラーザウルス・ネオを見て、笑みを浮かべるベリアロク。

 

「だったら、気合いを入れるぜ!」

 

その叫びと共にゼットの身体は黒く染まる。

その姿こそ、ウルトラマンゼットの最強の姿デスシウムライズクロー。

それと同時に、その姿を見ていた人物もいた。

 

「ふっ、闇の力をここまで使えるようになったとはな」

 

そう、物陰から、その戦いを見ていたジャグラーは笑みを浮かべる。

 

「お前達の成長、見せて貰うぜ」



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闇の戦士

 漆黒の闇を、その身に纏ったゼットは、真っ直ぐとゼロキラーザウルス・ネオに向かって、走り出す。

 

 僅かに残っている黄金に輝く部位は、まるでゼットの動きの軌道を見せるように縦横無尽に動きながら、真っ直ぐとゼロキラーザウルス・ネオに近づく。

 

 ゼロキラーザウルス・ネオもまた、そのゼットの動きに気づくと同時に雄叫びを上げながら、6本の触手を操り、ゼットに襲い掛かる。

 

 その触手に対して、ゼットはすぐにその手に持つベリアロクを構える。迫る触手を紙一重で避けながら、捕らえようとした触手に対しては、ベリアロクで斬り裂く。

 

 ベリアロクの切れ味は上がっており、簡単に触手を細切れにする事ができた。それに対してゼロキラーザウルス・ネオは僅かに怯える様子を見せるが、すぐに切られた部位を再生させ、再びゼットに攻撃を仕掛ける。

 

 ゼロキラーザウルス・ネオの攻撃を避けると同時に、ゼットは右手を突き出し、掌を広げる。そしてそこから光線を放ち、ゼロキラーザウルス・ネオの身体を貫く。だがそれでも、その攻撃を受けてなお、ゼロキラーザウルス・ネオはその身を動かして、ゼットに反撃する。

 

 それはまるでゾンビのように。ただひたすらに、ゼットを殺そうとする執念だけで動いている。

 

 背中にある無数のトゲは射出され、発光体は白い輝きを放つ。

 

 それを見たゼットは、すぐにその場から離れるために後ろへと飛び退こうとする。しかしそれよりも早く、ゼロキラーザウルス・ネオは背中のトゲを発射してきた。

 

 ゼットはそれを避けようとするが、トゲの一つが右足に当たり、ゼットはそのまま地面に倒れる。それを好機だと思ったのか、ゼロキラーザウルス・ネオは再び触手を真っ直ぐと向かう。

 

 しかし。

 

「デスシウムクロー!」

 

 ベリアロクの叫び声と共に、そのまま地面から赤黒い爪によって、ゼロキラーザウルス・ネオの触手は、その爪によって斬り裂かれる。同時にゼットはそのまま起き上がり、ベリアロクを振るう。するとベリアロクから斬撃波が発生して、それがゼロキラーザウルス・ネオに命中し、その巨体を後退させる。

 

 ゼットはベリアロクを構え直すと、一気に駆け出して、ゼロキラーザウルス・ネオに接近する。そしてそのままベリアロクを振り下ろし、ゼロキラーザウルス・ネオを叩き切る。

 

 ゼロキラーザウルス・ネオの腕の一部が、それによって切断されるが、即座に腕が再生し、その鋭い牙が並ぶ口を開けて噛みつきにかかる。

 

 それに対してゼットもまたベリアロクを構える。

 

「デスシウムファング!」

 

 同時にベリアロクの口は開く。

 

 そこからベリアロクにあるベリアルの頭部を飛ばし、その腕を噛み砕く。それにより、ゼロキラーザウルス・ネオの動きは完全に止まる。

 

 だが、それも一瞬であり、すぐに傷口から新しい腕が伸びてくる。それを見てゼットはすぐに動き出す。

 

 ベリアロクを構えながら走り出し、そのまますれ違い様にゼロキラーザウルス・ネオに一撃を与える。

 

 それによって僅かにゼロキラーザウルス・ネオの体が揺らぐが、それでもすぐに体勢を立て直そうとする。

 

 だがその間にゼットは既に構えていた。

 

「ゼスティウムデスバースト!!」

 

 ベリアロクを保持したまま剣に左手を添え、十字に組んだ腕を真っすぐとゼロキラーザウルス・ネオに向かって必殺の光線を放つ。

 

 赤黒くも

 

 見えるその閃光がゼロキラーザウルス・ネオに直撃する。

 

 それと同時に爆発が起こり、ゼロキラーザウルス・ネオの体は吹き飛ばされたように後ろへと仰け反り、それと同時に獏さんする。

 

 それが、ゼットの勝利を意味した。

 

「よっしゃぁ勝てたぜぇ!」

 

 勝利を、ゼットは叫ぶ。

 

『ゼットさん、すぐに向かわないと!』

 

「あっあぁ、そうだったな! 行こう!!』

 

 それと共にゼット達はすぐにその場から飛び去って行った。

 

 それを見届ける影にも気づかずに。

 

 そして、ゼット達の戦いが行われていた時と同時刻。

 

『Ultraman Trigger Sky Type!』

 

「ぐっ!」

 

 トリガーは、空を飛びながら、襲い掛かる光線から逃げていた。

 

 それは、周りにいる他の敵をも巻き込みながら。

 

「あれは一体、カルミラの時と似た感じがするが」

 

 そうしながら、トリガーが見上げる。

 

 その暗黒から突き出した様な頭部と禍々しく避けた口部。

 

 その存在の名はデモンゾーア。

 

 かつて、ウルトラマンティガと戦った闇だった。



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光の巨人と闇の巨人

空を覆う程の巨大な敵であるデモンゾーアは、その禍々しい姿と共に口を大きく開くと共に、その狙いを真っ直ぐとトリガーに向けていた。デモンゾーアは、既に口の中には無数の光の槍を作りだしており、それを未だに飛んでいるトリガーに向かって、放っていく。

 

「ぐっ!」

 

光の槍によって、降り注ぐ攻撃を避けるように、トリガーはそんまま飛び続ける。トリガーの持つ姿の中でも最もスピードに特化したスカイタイプの能力もあって、デモンゾーアから放たれる光の槍による嵐を掻い潜る事ができた。

しかし、それは同時にデモンゾーアから襲い掛かる攻撃に対して、逃げる事しかできなかった。

 

「このままじゃ」

 

状況の打開を狙うトリガーだが、その手立てが見つからない。デモンゾーアの攻撃に抗う術がない以上、どうにかしてこの場を脱するしかないのだが……。

 

『グルルッ』

 

そんな時だった。デモンゾーアの攻撃を避け続けているトリガー。

避け続ける最中、トリガーは瞬時にスカイアローを、デモンゾーアに向ける。

それと共に、スカイアローによって、トリガーもまた光の矢を放っていく。トリガーから放たれた光の矢は、一直線に飛んでいき、デモンゾーアへと直撃していく。

 

「よしっ!」

『グルゥウウッ!!』

 

トリガーからの攻撃を受けた事で、デモンゾーアはその身体を仰け反らせていく。どうやら、ダメージを与えられたようだ。

それでも、それも僅か。

すぐにデモンゾーアはまた攻撃を行う。

それも先程の光の槍だけではなく、デモンゾーアの身体から生える触手が、トリガーに襲い掛かる。まるで鞭のようにしなりながら迫るデモンゾーアの攻撃を、トリガーは回避しながら反撃の機会を狙っていた。

 

『グオオオッ!』

 

そして、トリガーはついにチャンスを見つける。

デモンゾーアは、口から放つ攻撃の一瞬の隙。そこを狙い撃つようにして、トリガーは一気に加速すると、スカイタイプの能力で宙返りを行い、そのまま勢いよくデモンゾーアに向かって突っ込んでいったのだ。

 

「今度こそ……!!」

『ガァアッ!?』

 

トリガーの特攻に既に気づいていた。

デモンゾーアは、そのままトリガーを触手で捕らえる。

 

「しまったっ」

 

そう動揺している間にも、デモンゾーアは、そのままトリガーを取り込もうとしていた。

 

「このままじゃっ」

 

そう呟いた時だった。

 

「まったく、情けない姿を見せるんじゃないわよ、マナカケンゴ」

「っ」

 

聞こえた声、それと共にデモンゾーアの触手が切れる。

それと共にトリガーは地上に降り立つと共に見えたのは。

 

「カルミラ、それにダーゴンにイグニス!」

 

それには、トリガーも驚きを隠せなかった。

 

「なんで、ここに」

「ふっ、なんだか私と似た気配を感じたからね。

気に入らないから、来ただけだよ」

「全く、素直ではないな。

今回の戦い、力を貸すぞ、マイフレンド」

「まぁ、そういう事だから、行くぜ」

「っあぁ!」

 

その言葉と共にトリガー達は、真っ直ぐとデモンゾーアに向き直る。



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光と闇、合わさりし時

空から、トリガー達を見下ろすデモンゾーアが、再び光の槍の雨を降らした。

それに対して、トリガーはすぐに前に出る。

 

『Ultraman Trigger Power type!』

 

鳴り響く音声と共に、トリガーはスカイタイプから、パワータイプへと姿を変える。

それと共に手に持っていたサークルアームズは、パワークローへと変形し、そのまま構える。

それは、隣にいたダーゴンも同じだった。

 

『Maximum Boot Up! Power!』「ふんっ!」

 

ダーゴンは振り上げた拳を大地に突き立てて発生させる爆煙衝撃波を発生する。

トリガーもまた、同時にそのままパワークローを地面に突き刺した。

それによって、出来上がった衝撃波は、トリガー達に襲い掛かろうとした光の槍を全て消し飛ばした。

同時に発生した土煙によって、トリガー達の姿を消した。

 

「それじゃ、行きますかぁ!」「ヘマするんじゃないわよ」

 

それと共に、トリガーダークとカルミラは、そのまま左右から飛び出すと同時にデモンゾーアに向けて、必殺の光線を放っていく。

2体の闇の巨人から放たれる光線に対して、一瞬だけ怯むデモンゾーアは、すぐに2体に向けて、攻撃を行う。

トリガーダークに対しては、光の槍を。

カルミラに対しては触手を。

それらの攻撃は、真っ直ぐと襲う。

周りにある建造物を破壊しながらも、襲う攻撃。

だが、それに対して、2人は避けていく。

 

「まったく、こういう馬鹿みたいにでかい奴を相手には、馬鹿みたいな攻撃が必要なんだよ」

 

カルミラの言葉。

それに疑問に思っている間に、土煙が晴れる。

 

『Glitter Trigger Eternity!』

 

鳴り響く音声と共に、煙の中から光が現れる。

それは、グリッタートリガーエタニティから放たれる光だった。

 

『Gritter Trigger Eternity!Dual Gritter Zeperion Break!』

 

鳴り響く音声と共に、トリガーの手には、ウルトラデュアルソードがあり、真っ直ぐとデモンゾーアに向かって行く。

それに気づいたデモンゾーアは、すぐにトリガーの方へと向こうとするが。

 

「おいおい、余所見をするんじゃないわよ!」

 

デモンゾーアが放った触手に対して、カルミラが自身の鞭で絡ませる。

同時に、それをダーゴンとトリガーダークもまた、同じく引っ張る。

それによって、体勢が崩れたデモンゾーア。

そして、そのまま黄金に輝く刀身で、そのままデモンゾーアを斬り裂く。

 

「アァァァァァァァ」

 

デモンゾーアから響く声と共に、光の中へと消えていく。

 

「まったく、まさか私達があのトリガーと協力するとはな」

「そう言えば、ヒュドラムの奴は?」

「あいつが乗り気になると思うかい?」

「まぁ、確かに」

 

そう言いながらもトリガーはカルミラ達の方へと向ける。

 

「ありがとう」

「良いから、さっさと行きな」

 

カルミラは、そう軽口を聞くと共に、トリガーもまた、目的地に向かって飛ぶ。

そして。

 

「こいつが、テラフェイザーの元になったロボット」

 

そう言いながら、デッカーは、目の前にいる敵に対して呟く。

そこにいるのは、デッカーの世界で開発されたテラフェイザーの元になったロボット。

かつて、ダイナの世界において、1度はダイナを倒した事もある最強のロボット。

その名はデスフェイザー。

 

「・・・」

 

デスフェイザーは、静かにデッカーを見つめる。



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過去の遺物

「ぐっ」

 

デッカーは、眼前にいるデスフェイサーからの攻撃を避ける為に、走っていた。

冷酷な殺人マシンと言えるデスフェイサーは、左腕にあるガトリングガンの標準をデッカーに向けながら、次々と弾丸を放っていく。その弾幕の嵐に、デッカーは走るスピードを上げることで対抗するしかなかった。

だが、デッカーがいくら速く走っても、銃弾の方が早い。

一発でも当たれば、それで終わりだ。

 

「くそっ!」

 

そう毒づきながらも、デッカーは自分の足を止めることはしない。

そんなことをすれば、それこそ相手の思うつぼだからだ。

だからこそ、デッカーもまた、次の動きを取る。

 

「飛び出せ…ミラクル!デッカーッ!!」『Ultraman Decker! Miracle Type!』

 

鳴り響くと同時にデッカーの姿は青一色のミラクルタイプへと姿を変える。

それと共に、デスフェイサーからの銃弾を紙一重で避けていく。

そして、デッカーはそのまま、デスフェイサーに向かって走り出した。

デスフェイサーの方も、それに気付くとガトリングガンを構えて迎撃しようとする。

だが、デスフェイサーは、まるでデッカーの動きを見破ったように、ハサミ状の右腕を真っ直ぐと放つ。それは、まさに狙った獲物を貫く槍のように。

 

「がっ!」

首を絞められ、デッカーは苦悶の声を上げる。

その瞬間、デスフェイサーの鋏のような腕には、バチバチという音を立てていた。

 

「これは……電撃か!?」

 

首を掴む腕から放たれている電気を見て、デッカーはすぐにそれが電流による攻撃だと悟ると、すぐに振りほどこうとする。

 

「弾けろストロング!! デッカーッ!!」『Ultraman Decker! Strong type!』

 

その音声と共に、ストロングタイプへと変身したデッカーはすぐに鋏を力強く握り締めると、それを強引に引き剥がす。それと同時に、そのまま拳を振るってデスフェイサーを吹き飛ばした。

 

「ぐっ……」

吹き飛ばされたデスフェイサーだったが、すぐさま立ち上がると、今度は両腕にある銃口を向ける。

 

「こいつ、俺の動きを知っている。ダイナを通して、知ったのか」

 

かつて、ウルトラマンダイナの戦闘データがインプットされているためダイナの攻撃をすべて予測してしまう。

ダイナと同じ戦い方をするデッカーの戦い方も同じだった。

だからこそ、デッカーの次の行動を先読みする事ができる。

 

「どうすればっ」

 

そう、悩んでいた時には、既に遅かった。

デスフェイサーの胴体からネオマキシマ砲の発射体制に入っていた。

 

「しまったっ!」

 

すぐに止めようとしたが、距離があまりにも離れすぎていた。

チャージは瞬く間に終わり、ネオマキシマ砲から光線が真っ直ぐと放たれた。

発射すれば島ひとつ吹き飛ばすことができる程の威力を持つ光線を、デッカーは、すぐに避ける事ができなかった。

爆風が舞い上がる。

それによって、普通ならば、デッカーは敗北するはずだった。

だが、そこにはデッカーはいた。

それも3人。

 

「えっ、なんで、ここに」

「まさか、こうして呼ばれるとは思わなかったわ」

「私も、この姿になるとは」

 

そこにいたのは、デッカーの変身者であるアスミ・カナタの子孫であるデッカー・アスミが変身する未来のデッカー。

そして、もう1人は、ダイナから光を受け取った事によって誕生したディナス。

 

「事情もよく分からないけど、今は」

「えぇ、あのロボットをなんとかしましょう」

「あぁ!」

 

その言葉と共に、3人のウルトラマンは同時に構える。



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受け継がれる力

「さてっと、さっそくだけど、やりますか!」

 

その言葉と共に未来のデッカーが言うと共に、真っ直ぐとデスフェイサーに向かって行く。

デスフェイサーは、その未来のデッカーに向けて、すぐにガトリングでの牽制を放つ。

だが。

 

「お前の動きはこっちも知っているんだよ」

 

それと共に未来のデッカーはストロングタイプへと変身すると共に、拳に炎を纏いながら、腕を薙ぎ払う。

襲い掛かる銃弾の嵐は、未来のデッカーから放たれる炎の前に全て熔け、消えていく。

それと共に接近した未来のデッカーはそのまま力任せの拳で殴る。

その攻撃に対して、デスフェイサーは僅かに体制が崩れるが、すぐにデスシザースで未来のデッカーに攻撃を仕掛けようとした。

だが。

 

「させるかよ!」

 

それを止めたのはカナタのデッカーだった。

それは、同じくストロングタイプであった。

 

「それじゃ、一丁やってみるか、ご先祖様!」「おぉ!」

 

その言葉と同時に、そのまま2人のデッカーによる殴打がデスフェイサーに向かって、放ち始める。

圧倒的なパワーによる一撃。

さらには、互いの隙を埋めるような連携。

それに対して、デスフェイサーはすぐに反撃する事ができなかった。

だからこそ、デスフェイサーはわざと狙いを定めない攻撃で、連携を乱す。

だが

 

「「はぁ!」」

 

2人は同時に後ろに下がると、ストロングタイプからミラクルタイプへと変わる。

それと共に、デスフェイサーの周りをすぐに始める。

高速で、まるで、分身のように。

いや、実際にミラクルタイプの能力で、分身を行う。

通常ならば、その分身も見分ける事ができる。

だが、それは1人の場合。

今のデッカーは2人。

それによって、これまでにないパターンに困惑するデスフェイサー。

そして。

 

『ウィンダム!ミクラス!アギラ!』

 

鳴り響く音声と共に、攻撃を仕掛けたのは、ディナスだった。

その身には3体の怪獣達の力を身に纏っており、そのままデスフェイサーを吹き飛ばす。

それによって、決定的なダメージとなったデスフェイサー。

 

「おいおい、まさか」「自爆する気っ!」

 

それに気づく。

 

「ここから逃げても」

「爆発からは逃げられないだろうな、さて、どうする」

 

それと共に考えている中で。

 

「一撃で。一撃で勝負を決める。

その為には」

 

それと同時にカナタのデッカーは2人を見つめる。

 

「なるほど、やるしかないようだな」「やりましょう!」

 

その言葉と共に頷くとカナタのデッカーが動く。

 

「迸れ!ダイナミック!デッカァァーッ!!」『Ultraman Decker! Dynamic Type!』

 

その音声と共にデッカーは、最強の姿であるダイナミックタイプへと変身する。

それを合図に2人もまた構える。

 

「「はああぁぁl!!」」

 

未来のデッカーはセルジェンド光線を。デュナスはディナライズバーンズを。

真っ直ぐとカナタのデッカーに向けて放つ。

その攻撃に対して、デッカーはその手に持つデッカーシールドカリバーで受け止める。

 

「はああぁぁ!!」

 

そのまま受け止めた全ての光線を一つの巨大な光輪にする。

そして、そのまま真っ直ぐとデスフェイサーに向けて、放つ。

身動きが取れず、自爆するしかないデスフェイサーは、その攻撃を避ける事はできず、真っ二つに斬り裂かれる。

それが、決定的な勝利となった。

デスフェイサーは、そのまま機能が停止し、地面に倒れる。

 

「よしっ、急いで」

 

そう、デッカーは後ろを振り向く。

そこには、既に2人の姿はいなかった。

既にエネルギーが限界で、この場では留まっていられなかった。

それを感じると共にデッカーは頷く。

 

「必ず、止めるから」

 

そう言い、デッカーもまた、すぐに旅立つ。



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黄金の厄災

「防衛網は、既に突破されたか」

 

そう言いながらも、タルタロスは呟く。

それは、まさしく余裕であり、予想通りというべきだと考えていた。

 

「それにしても、凄まじいな。いや、これは執念というべきかな、巫女よ」

 

そう、問いかけた先。

だが、既に彼女は何も答えない。

それに対して、タルタロスは残念そうに思っていた時だった。

 

「ふむ、来たか」

 

タルタロスがそう言った直前だった。

タルタロスに向かって、拳が襲い掛かる。

それに対して、タルタロスは軽く受け止める。

 

「まさか、お前が最初に来るとはな、ウルトラマンギンガ」

 

そう、タルタロスは、笑みを浮かべながら、そのままギンガに向けて、電撃を放つ。

電撃に対して、ギンガは軽く腕を振り払うと、共にそのまま殴る。

すると、その衝撃で電撃が霧散する。

そして、タルタロスも吹き飛ばされるが、即座に態勢を整えて着地した瞬間だ。

 

「ギンガファイアーボール!」

 

ギンガは、、無数に身体の周囲に発生させた隕石状の高熱の火炎弾を放つ。

それに対して、タルタロスは冷静に見つめると、手を前に出す。

ギンガファイヤーボールを掴んでしまう。

そのまま、エネルギーを注ぎ込んで消滅させる。

 

「やっぱり、そう簡単にはいかないか」

「相棒のビクトリーはどうしたんだ、お前1人では、私には敵わないだろ」

「あいつだったら、お前の側近の足止めをしてくれているよ」

「ふっ、なるほどな」

 

ギンガの言葉に対して、納得し、笑みを浮かべる。

それと共にギンガとタルタロスは互いに距離を離す。

 

「ギンガサンシャイン!」「ふんっ!」

 

ギンガはクリスタルをピンク色に発行させてピンクプラズマエナジーを解放し、前に突き出した両腕から発射する。

タルタロスもまた、それに対して再び電撃を出し、相殺させる。

互いの光線によってできた爆煙。

そのまま煙が吹き飛ばされると共に、再び接近した二人はそのまま互いの拳がぶつかり合う。しかし、今度は両者ともに弾き飛ばされてしまう。

両者ともすぐに態勢を整えると同時に、同時に走り出して殴りかかる。

それをお互いに回避して、タルタロスは蹴りを入れる。

ギンガは、その蹴りを受け止めながら、そのままタルタロスを足払いを行う。

だが、その瞬間、タルタロスは片足に力を込めて、宙を飛ぶ。

 

「ふんっ!」

 

空へと飛ぶと同時にタルタロスは、そのままギンガに向けて、電撃を放つ。

それに対して、ギンガはクリスタルを黄色に輝かせ、右腕を上に向ける。

それと共に、タルタロスの電撃を吸収する。

 

「なにっ!」「ギンガサンダーボルト!!」

 

そのまま吸収した電撃を利用して、放った技であるギンガサンダーボルトを真っすぐとタルタロスに向けて放つ。

 

「アブソリュート・デストラクション!」

 

タルタロスも、すぐにギンガサンダーボルトを相殺するように両手にエネルギーを込めて稲妻状の光球を放つ。

二つの必殺技がぶつかり合い、爆発が起こる。

しかし、タルタロスはすぐにギンガに向かって飛び掛かる。

ギンガは、その攻撃を何とか防ぐ。

すると、タルタロスは、腕に力を込める。

それと同時に、腕の周りに紫の電流が発生する。

そして、ギンガの腹にパンチを叩き込む。

その攻撃を受けて、大きく後退してしまう。

しかし、すぐに体勢を整えて構え直す。

ギンガは、クリスタルを青色に発光させ、両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてから腕を構える。

 

「むっ!」「ギンガクロスシュート!!」

 

上に上げた右肘に左手の拳を当てる構えて放つ。

それは、ギンガ最強の必殺技であるギンガクロスシュート。

「アブソリュート・デストラクションっ!」

タルタロスもまた、慌てて、対抗するように放つ。

二つの光線が激突する。

だが、今度は、ギンガの方が勝ったのか、そのままタルタロスに向かって行く。

 

「ぐっ」

 

すぐに両手を交差させ、防御する。

だが、タルタロスには想像以上のダメージが襲い掛かる。

 

「ウルトラマンギンガ、確かに強いが、ここまでとは。

いや、その一体化している人間の力か」

 

それは、麻中が一体化している影響だった。

ここまでの道中の間、ウルトラマンと麻中が一体化すれば、その力は大きく跳ね上がる事は分かっていた。

だからこそ、それは切り札であり、敵側に決してバレてはいけなかった。

その為、敵側にバレないようにギリギリまで隠していた。

 

「さすがはニュージェネレーションの中でも、最強と言えるギンガだ。

そして、その人間によって潜在能力を極限まで引き上げてはな」

 

そうタルタロスは、真っ直ぐと笑みを浮かべる。

 

「ぐっ、やはり厄介だな。

だが、だからこそ」

 

それと同時だった。

何かが降り立つ音がした。

ギンガは、すぐにそれを見つめる。

 

「なっ」

 

そこに立っていたのはユメだった。

だが、その姿は、これまでの彼女ではなかった。

そこに立っていたのは、アブソリューティアンの特徴的な黄金の身体。

それは黄金のボンテージである。

頭部からは怪獣を思わせる耳や、獣の手と一体化した巨大な2本角が生え、そこから大量の獣毛をなびかせている。

 

「既に彼女は誕生した。あえて、名を名付けるならば、アブソリューティアン・ビーストと言った所だな」



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129話

「ビースト、まさかユメなのか」

 

その言葉と共に、眼前にいるビーストに戸惑いを隠せなかった。

だが、その戸惑いを余所に、ビーストは軽く腕を振る。

何気ない動作に見えるそれに対して、ギンガはすぐに後ろを飛ぶ。

同時にギンガの先程までいた場所には、巨大な手が地面に叩きつけられる。

 

「これは、まさかベリュドラ!?」

 

それが、ビーストと一体化しているベリュドラである事に気づく。

それと共に、ベリュドラの腕となっている怪獣達が、真っ直ぐとギンガに向けて、攻撃を仕掛けてくる。

 

「ギンガスラッシュ!」

 

叫びと共にギンガは額から光線を出し、その攻撃を相殺させる。

だが、そうしている間にも、ギンガの眼前には次々とベリュドラの腕が次々と襲い掛かってくる。

怪獣達の集合体であるベリュドラにとって、それはまさに無尽蔵。

 

「だったら、本体を叩く!」

 

同時にギンガは地面に着地しながら、そのまま真っ直ぐとビーストに向かって、瞬間移動をする。

 

「ギンガセイバー!」

 

その叫びと共にビーストに向かって、腕のクリスタルから出てきた光の刃を真っ直ぐと振るう。

だが、その刃は当たる事はなかった。

刃が当たる直前に不規則にユラユラと揺れ、その攻撃を躱した。

 

「こいつはっグリーザの力っ!」

 

それは、ウルトラマンXと戦いをくり広げた怪獣。

その怪獣は生物というより自然現象に近い存在。

だからこそ、通常の攻撃は当たらない。

それだけではなかった。

ビーストが腕を構えると、そこから飛び出たのは光線。

それには、ギンガにとっても見覚えがあった。

 

「ビクトルギエルまでっ」

「これこそが、ビーストの力だよ」

 

そうしながら、ビーストは再び無数のベリュドラの手足を召喚する。

 

「ベリュドラと融合し、それを媒介する事によって、様々な怪獣の力を支配する事ができる。

ウルトラマン、今、お前が戦っているのは、お前達がこれまで倒してきた怪獣達の怨念という事だ」

 

ギンガの回答に答えるように、タルタロスは言う。

ベリュドラの手足は、そのままギンガに向けて、光線を放とうとした時だった。

 

「ビクトリウムエスペシャリー!」「ザナディウム光線!」

 

響き渡る声。

それと共にギンガに向かって、襲い掛かってくる攻撃を相殺するように二つの光線が放たれる。

同時に、ギンガを中心に集ったのは、これまで別行動していたウルトラマン達。

 

「皆、来てくれたか」

「なんとか、だけど、まさか、これ程とは」

「どうする、このままじゃ」

 

そう言っている時だった。

ギンガは、ふと、何かに気づく。

それは、他のウルトラマン達もだった。

 

「麻中」

「分かりません。けど、これは」

 

見つめた先、それはディメンションナイザーに何か変化が起きていた。

点滅するように光輝く。

それが、何を意味するか分からない。

だが、それはウルトラマン達のカラータイマーのようにエネルギーが切れるという予兆ではない。

むしろ、別の中だった。

 

「この状況、どうにかするには、これに賭けるしかないようだな」

 

ギンガの、その一言を合図に、そのまま他のウルトラマン達は、そのまま構える。




ここから怒涛のクライマックスとなりますが、ここでお知らせとなります。
今作、ハイスクールU✕Dの最終回は予定としては、6月17日となっています。
そして、次回作に関してですが、本当でしたら予定していたゼンカイジャーをメインにした小説を急遽、変更させて貰います。
ゼンカイジャー自体、大好きな作品ですが、それとは別に書いてみたい所もあり、変更させて貰います。
タイトルの方は『ハイスクールV×7』詳細は、今作を通して少しずつ予告していきます。もしも良かったら、次回作も、よろしくお願いします。


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新時代

ギンガを守るように、ニュージェネレーションのウルトラマン達は、アブソリュート・ビーストからの攻撃から守っていた。

かつて、ウルトラマン達が倒してきた怪獣達。

その強さは、戦ったウルトラマン達自身が知っていた。

だからこそ。

 

「ふんっ!」

 

ウルトラマン自身が、それを知っていた

オーブは、その手に持ったオーブカリバーで、眼前にいる怪獣を斬り裂く。

周囲から様々な属性を持った光線を放ってくるが、オーブカリバーに備わったエレメントで、全てを防ぎながら、そのまま反撃する。

 

「お前達、一緒にやるぞ」

 

その言葉と共にオーブの近くに来たのはロッソ、ブル、フーマの3人のウルトラマン。

同時にオーブもまた、オーブカリバーを回す。

 

「オーブグランドカリバー!」

 

その叫びと共に、襲い掛かってくるベリュドラの腕や足を閉じ込めるように、周囲に土の壁が覆う。

 

「フレイムスフィアシュート!」「アクアストリューム」「極星光波手裏剣!」

 

その言葉と共に、3人のウルトラマン達が放った光線が、そのまま土の壁の中に閉じ込めた手足を撃破していく。

しかし、それだけでは終わらず、ギンガに向かって、巨大な脚が襲い掛かろうとした。

 

「させるか!」

 

その前に立ち塞がったのはビクトリー、X、タイガだった。

 

『ウルトランス!エレキングテール!』『サイバーエレキング!ロードします』『ゴロサンダーリング!エンゲージ!』

 

鳴り響く音声と共に、3人のウルトラマン達は同時に構える。

 

「「「はあああぁぁ!!」」」

 

怪獣の力を纏った3人のウルトラマン達による電撃は、そのまま真っ直ぐと、その手足を貫く。ウルトラマンと怪獣達の力が合わさった事によって、その力がベリュドラの手足を破壊した。

だが、そうしている間にも、ギンガに向かって、ペリュドラの怪獣達が光線が襲い掛かる。

それに対して、デッカーとグリージョが両隣に立つ。

 

「グリージョ・バーリア!」「はぁぁ!」

 

グリージョの円状の強力な光のバリアと、デッカーが持つデッカーシールドカリバーで全ての光線を防ぐ。

その間にも、ジード、タイタス、トリガー、ゼットの4人は、そのまま構える。

 

「はああぁぁ!!」

 

4人は、光と闇が合わさったエネルギーで、真っ直ぐと強力な光線を放つ。

だが、それに対して、ビーストは自身の周囲にベリュドラの手足を盾にする。

光線に対して、最大の壁となって、全てを削りきる事はできなかった。

それと共に、ベリュドラの手足は、そのまま巨大な爆発をする。

 

『ぐっ』

 

爆発に巻き込まれ、そのままギンガを除く、全てのウルトラマン達が吹き飛ばされる。

それと共に、そのカラータイマーは赤く、点滅する。

 

「どうやら、ここまでのようだな」

「いいや、むしろここからが本番だ」

 

ギンガのその叫びと共に腕を掲げる。

それと共に、ギンガの腕には現れたのはブレス。

赤と青の二色の螺旋が描かれている螺旋は、その中央に丸いスクリーンがあった。

 

「ここからは、俺が行く」

 

それに合わせるように、ウルトラマン達は頷くと同時に、その身体を小さな光の結晶体となり、ギンガの腕にあるブレスに吸い込まれていく。

そして、最後に、その手にギンガ自身の絵が描かれている結晶体をセットする。

 

「行くぜ、麻中」「はいっ!」

 

そう、ヒカルと麻中が同時に

 

「「ギンガアアァァ!!」」

 

叫ぶ。

それと共にそのブレスから、光が放たれ、ギンガの姿が変わる。

それは、ギンガを始めとしたニュージェネレーションヒーローズ。

そして、ディメンションナイザーが変化した事で召喚する事ができた新たなウルトラマンブレーザー。

15人のウルトラマンが合体した

 

「あれは、私達が知らないウルトラマン」

 

それと共に現れたのは、人の形をした光。

結晶体のようなボディの内側から光が溢れ出しているような姿。

それは、どこかウルトラマンサーガを思わせる姿。

それと同時にギンガを沸騰させるクリスタルで覆われている。

身体の各部には、合体したウルトラマン達を象徴するクリスタルの鎧で覆われている。

その名も。

 

「ギンガニューエイジ」




暗闇によって、包まれた部屋。
そこには7人の影があった。
影は、それを中央に囲い込んでおり、それを見つめた。
グツグツと泡と共に、そこから広がる匂いを前に7人は一切動かなかった。
微動だもしない中で、その中でその内の1人が口を開く。
「予告、始まっていますよ」
「始まっているな」
その、1人の言葉に対して、もう1人が答える。
だが、一切動く気配はなかった。
「ちょっと、予告が始まったではないか。これは俺が責任もって、見守っておくから」
「いや、でも火加減、見ておかないといけないから。魔力のコントロール、俺が一番得意だから」
それに対して、また1人が話すが、それとは別の1人が、また言う。
「いや、ここは私が見ておくから、あなたやったら、どう?」
「・・・」
「あっ狡っ、こういう時だけ無口キャラで通す気か」
それに対して、また別の3人が言う。
「どうするの、この状況。
誰も一切動かないんだけど」
「仕方ないだろ、君。せっかくのすき焼きパーティなのに、妙なタイミングで予告が重なったんだから」
そう言いながら、7人、全員、すき焼きの前で動かなかった。
「だいたい、これ、なんだね、なんかすき焼きなのに、チーズが乗っているんだけど」
「巷で噂のピザすき焼きだよ」
そう、すき焼きの上にはチーズが乗っている。
その事に、1人が疑問そうに言う。
「情弱乙」
「なんだと、この小娘、喧嘩ならば買うぞ」
そう叫んだ瞬間、偶然だが、煮立ったピザすき焼きが男の顔に当たった。
「熱っすなぁ!!」
「「「「「「ああああぁぁぁ!!!」」」」」」
瞬間、男は砂へと変わった。
それも、ピザすき焼きの上に。
それによって、ピザすき焼きの中は砂まみれになった。
それに対して、絶叫する最中、砂は徐々に再生されていく。
「・・・ふむ、さすがは黒毛和牛、なかなかに美味だ、ぎゃあぁぁ!!!」
再生された瞬間、5人が一斉に蹴り始めた。

「・・・という事で、次回作のハイスクールV✕7はオリ主を含めた7人のメンバーが活躍する話となっています。全員吸血鬼なので、よろしく」


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銀河の炎

新たな姿へと変わったギンガ。

その姿を見た瞬間、ビーストは、再びギンガに向かって、攻撃を仕掛ける。

それは、一部の隙間もないまさしく完全にベリュドラの中と変わらない程の攻撃が、ギンガに襲い掛かる。

そのまま、ギンガがいた場所は、ベリュドラの攻撃によって、埋められた。

タルタロスは、それを見つめている。

 

「なっ」

 

見つめている間、ふと気づき、後ろを見る。

そこには、既にギンガがいた。

気づき、攻撃を仕掛けようとしたが、ギンガはそのまま回し蹴りを行う。

 

「まさか、空間を飛び越えたのか。

それも、私に気づかない程に一瞬にっ」

 

それと共にギンガの姿を改めて見つめる。

 

「かつて、ゼロ、コスモス、ダイナの3人のウルトラマンが融合した事で誕生したサーガ。

それと似た進化を、合体したというのかっ」

 

タルタロスは、すぐに危険と判断すると同時に、後ろに転移する為のゲートを開き、すぐにその場から離脱する。

それに対して、ギンガは反応を示さなかった。

既にビーストの方へと、眼を向けていたからだ。

ビーストもまた、無言のまま、ギンガに向かって、次々と怪獣達による攻撃を放っていく。

それに対して、ギンガは構える。

同時に、ギンガの周囲には、空間が歪むと共に、そこから次々と現れたのは、ギンガだった。

 

「ビクトリウムエスペシャリー!」

 

その言葉と共にギンガが放ったのは、彼の相棒であるビクトリーが得意とする必殺技だった。

放たれた光線は、そのまま襲い掛かる怪獣達を次々と倒していく。

それを見届けると共にギンガはすぐに飛ぶ。

同時に、もう1人のギンガは消えていく。

それは、自身を粒子のように変化させる瞬間移動。

同時に移動の際に質量を持った残像を造り出す事ができる。

残像は、そのまま、合体したウルトラマン達の力を使う事ができる。

そのまま、ギンガは、真っ直ぐとビーストに向かって、飛ぶ。

その間も、ベリュドラが、ギンガに向かって、襲い掛かる。

そして、間近まで接近すると共に、ビーストは、その手から光の鞭で、襲い掛かる。

それに対して、ギンガは、その手にギンガスパークランスを中心に、赤と青の光り輝く二重螺旋状で包み込む。

 

「「はぁ!!」」

 

二つの光が激突する。

槍と鞭。

二つが激突していく。

その度に、ギンガとビーストの周りにはギンガの分身とベリュドラが構築している怪獣達が激突していく。

 

「あなたは、私と同じはずだ!!私と同じように、周りからは理解されない!!孤立しているはずだ!!仲間もいない!!」

 

それは、ビーストの心からの叫び。

自分の孤高を訴えるように。

それを、ギンガと一体化している麻中は

 

「確かにな、寂しい。苦しい。そして、俺はそれを知らない」

「ならば」

「だけど、それはお前も、ユメも同じはずだ。今の彼らを、ユメは知らない」

「知っているよ、私は、私は!!」

 

そう言い、ビーストは駄々をこねるように喋る。

同時に、そのままビーストの後ろには、ベリュドラが現れる。

それは、まさしく、ビーストの、ユメの恨みが、先祖代々に伝わる恨みが積み重なったように。

 

「ならば、俺が、いや俺達が教える。この世界には、まだ、まだ可能性があるのを」

 

それと共にギンガもまた構える。

その全身は炎を纏う。

その色は七色で、まるで虹を思わせる炎。

炎を纏ったギンガは、そのまま真っ直ぐとベリュドラに向かう。

 

「ニュージェネレーションダイナマイト!!」

 

その叫びと共に、ギンガの炎と、ベリュドラの炎が激突する。

互いの炎がぶつかり合う。

 

「はあああぁぁぁ!!!」

 

ギンガから声が出る。

それは麻中の声。

だが、彼だけではない。

彼と一体化しているウルトラマン達の叫びが、響き渡る。

やがて、炎を突き抜け、ギンガは真っ直ぐとベリュドラに激突する。

それと共にベリュドラの身体は口から連鎖的に爆発していく。

その馬喰に、ビーストは、W87星雲は消えていく。



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黄金の終わり

「……終わちゃったか」

 

 黄金に輝く空間において、ユメは体育座りで見つめる。

 

 その先は、既に戦いが終わり、崩壊している星の光景。

 

 彼女の戦いは既に終わっていた。

 

「君は、どうしてそこまで戦っていたの」

 

 そんなユメの横に麻中は座っていた。

 

「言ったでしょ、地球を奪われた恨みだって」

 

「けど、それは今の君には、本当に関係あるの」

 

「ふふっ、さぁね。1人だったから、そんな事も考えていなかったよ」

 

 麻中からの言葉に対して、ユメはそのまま答える。

 

 そこには、既に彼女自身の、戦う理由がなくなったように思える。

 

「……正直に言って、私はね、私や私の種族があった事を証明したかった。その為に戦った。私がここにいた証明」

 

「いや、それで世界を滅ぼすって、はた迷惑なんでけど、さすがに」

 

「そうだね、けど、それしかなかったの」

 

 ユメは、そう寂しそうに、どこか諦めるように呟く。

 

「それにしても、まさかこんな形で終わるなんて思わなかったなー」

 

「うん?」

 

「世界を散々巻き込んだけど、その結末が地球じゃなくて、こんな宇宙の片隅なんてね」

 

 そうして、見つめた先は、遠い地球。

 

 麻中とユメの故郷。

 

「でもまあ、これで良かったのかも。地球だと、最後まで納得してくれなかっただろうし」

 

「……」

 

「結局、最後は私達のエゴだったんだろうね。自分の都合で、この星を汚そうとしただけなんだから」

 

「……そうかもね」

 

 ユメの言葉に対して、麻中は何も言わない。

 

 ただ黙って聞いているだけだ。

 

「まぁ、良いか、私はここで終わるんだから」

 

「何を言っているんだ」

 

 その言葉を、麻中は否定する。

 

 それに、ユメは少し驚いた顔をするが、すぐに笑顔を見せる。

 

「もういいんだよ、私は負けたんだから」

 

「違うだろ」

 

「え?」

 

「まだ、終わっていないだろ」

 

「どういう事? 確かに、私達は勝ったはずじゃ……」

 

「ああ、俺達の勝利だ。けど、お前はまだ生きているじゃないか」

 

 麻中の言葉に、ユメは見つめる。

 

「戦いが終わったかもしれない。けど、ユメの人生はまだまだこれから先だ。

 

 だったら、一緒に行こう」

 

「私、大罪人なのに?」

 

「だとしてもだ」

 

 そう言いながら、麻中はそのまま地球を見つめる。

 

「未来は、変えることができる。良いようにも、悪いようにも。それを成すのは俺達だ」

 

「それって、ウルトラマンギンガの言葉でしょ」

 

「あぁ、そうだよ」

 

 それに対して、麻中は否定する事はなかった。

 

「未来か、そんなの考えたこともなかったなー」

 

「そうなのか?」

 

「だって、今を生きるだけで精一杯だからね。ずっと1人で戦ってきたし」

 

「そっか」

 

 ユメの答えを聞いて、麻中は立ち上がる。

 

「なら、これからの事を考えようぜ。どんな事でも良いからさ」

 

「まったく、責任がないわね。けど」

 

 それと共にユメは。

 

「未来を見るのも、良いかもしれないわね」



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夕焼けのウルトラマン

アブソリューティアンの脅威は、この地球から、完全に去った。

それは、彼らの目的であったベリュドラが、ウルトラマン達の戦いで、完全に消え去った為である。

世界を破壊させる程の力を持つ神器も、彼らからしても、問題ない代物である為だ。

だからこそ、その後の、地球の動きは大きく変わった。

 

「こうして、平和な世界になった途端、ウルトラマンはこの扱いか」

 

そう言いながら、アザゼルは呆れるように言う。

ウルトラマン達の力は確かに強い。

いや、強すぎたのだ。

三大勢力が、世界が協力しても、おそらくは対応できなかっただろうアブソリューティアンを相手に互角に戦った彼ら。

そんなウルトラマンを召喚する事ができる麻中は、この世界においては最も巨大な力だ。

だからこそ、悪魔の中では、既に麻中を捕らえようとした動きが見せた。

 

「そういう意味では、あいつがいなくなったのは、ある意味正解だったかもしれない」

 

それと共にアザゼルが思い出したのは、戦いが終わった数日後。

既に彼は、その手には、僅かな荷物。

それは、麻中が旅立つ事を意味していた。

これから何が起きるのか、麻中は察していた。

だからこそ、彼は既に退学した。

親しい人達にある程度は挨拶は行っていた。

 

「麻中、本当に行くのか」

「まぁな、戦いが終わって、さすがにこのままでは危険だからな」

 

それは隣にいるユメに関しても同じだった。

既に、彼女はアブソリューティアンとの繋がりは消えている。

それは、アザゼルを始めとした彼らが証明している。

だが、それでも彼女が多くのテロに関わった事には変わりなかった。

それでも。

 

「すまなかったな。神が、お前達にした仕打ちを」

 

元を辿れば、それらは全て神が行った事で起きた悲劇。

もしも、それがなければ。

 

「良いの、今、生まれた世代に背負わせるのは、間違っているのを分かっていた。それでも行ったのは私自身。だから、その罪は背負っていくつもり」

 

そう言ったユメには、迷いはなかった。

 

「だけど、これから、どうするんだ?」

「そうだな、とりあえず、色々な所に行ってみるよ。

これまで、行けなかった所も、旅をしてな」

「そうか、けど、お前、女性関係はどうするつもりだ」

「・・・まぁ、その時々戻ってきますので」

 

その答えに対して、アザゼルはため息を吐く。

戦いが終わった後に答えを出した麻中。

だが、すぐに旅立つ事を決めていた彼は、彼女達と付き合う事はできなかった。

それはある意味修羅場になる事は分かっていた。

それでも。

 

「あんまりこじらせるなよ」

「分かっていますよ」

 

そう言いながら、立ち上がる。

 

「それじゃ、また、どこかで」

 

その言葉と共に、麻中とユメは旅立った。



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希望の炎はいつまでも

ウルトラマン達の戦いから30年後。

彼らの存在は、伝説となっていた。

光の巨人と呼ばれた彼らは、地球に迫る脅威を守った。

その活躍をもみ消す事はできず、悪行にする事もできなかった。

だからこそ、ウルトラマンという存在は、この世界においては希望であった。

別の世界から来た機械生命界からの侵略。

それを守ってくると信じて。

 

「既に終わりのようだな」

 

そう、呟いたのはレガルゼーヴァ。

単体でもメルヴァゾアに劣らぬ力を持つとされる存在。

とある地域に攻め込んだ際に、それを見つめる。

対抗していた戦士は、既に瀕死の状態。

そして、残るのは子供だけだった。

 

「あの赤龍帝の子供だからな、放っておけば、厄介な事になるからな。

ここで始末する」

 

それと共にレガルゼーヴァは、すぐに攻撃を行う。

 

「ウルトラマン」

 

そう、最も幼い子供が祈るように呟いた。

その時だった。

攻撃を放とうとしたレガルゼーヴァに衝撃波が襲い掛かる。

それが一体何が起きたのか、分からず困惑する最中、その姿が見える。

 

「あれって」

 

レガルゼーヴァの眼前に、それは現れた。

その身体は、真っ赤に染まっており、青いカラータイマーが胸に輝く。

肩を走る紋章はさながら左側は龍が、右側は虎が火を吹いているようなデザインになっている。

 

「貴様は一体」

 

突然現れた、その存在に対して、レガルゼーヴァは問いかける。

レガルゼーヴァからの攻撃を間一髪に守られた彼らからは、その巨人の種族の名前を知っている。

 

「ウルトラマン」

「なにっ」

 

その名に、レガルゼーヴァは、驚きを隠せなかった。

 

「そうだ、俺はウルトラマン」

 

それと共にレグロスは、構える。

その独特の構えに、驚きを隠せなかった。

 

「俺がコスモ幻獣拳総師。赤龍白虎拳の…ウルトラマンレグロスだ!」

「コスモ幻獣拳」

 

まるで聞いた事のない単語に、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。

だが

 

「それが何なのか知らないが、ウルトラマンが相手ならば、面白い!」

 

その言葉と共にレガルゼーヴァがレグロスに襲い掛かる。

機械の身体のレガルゼーヴァが、その腕で、レグロスに襲い掛かる。

だが、レグロスは、その攻撃を、電撃のような速さで避けると共に、逆にその腕を掴むと、そのまま投げ飛ばす。

 

「ぐわぁああああっ!?」

 

その衝撃に、思わず悲鳴を上げるレガルゼーヴァ。

だがそんなレガルゼーヴァに向かって、レグロスはその腕を振るう。

その一撃に、レガルゼーヴァは吹き飛ばされた。

そしてレグロスはそのまま走り出すと、空中へと飛ぶと共に、まるで龍の炎を思わせる蹴りで、レガルゼーヴァを吹き飛ばした。

 

「くそっ」

 

吹き飛んだレガルゼーヴァ。

すぐにレグロスに視線を向けると、そこにはすでに、その姿はなかった。

そう思った瞬間だった。

背後から強烈な気配を感じて振り返ると、そこにはすでに、レグロスの姿があった。

 

「電撃白虎拳!」

 

レグロスは、雷撃を纏った引っ掻きを放つ。

それをどうにか防いだものの、レガルゼーヴァには大きなダメージが入った。

さらに追撃を仕掛けてくるレグロスの攻撃に対し、レガルゼーヴァも負けじと反撃を行う。

だが。

 

「火炎赤龍拳!」

 

火炎を纏った衝撃波で、レガルゼーヴァの装甲を破壊すると同時に、吹き飛ばしてしまう。

その威力に、レガルゼーヴァは驚く。

 

「ぐっ」

「これで、終わりだ」

 

それと共にレグロスは構える。

 

「白虎赤龍弾」

 

両肩の紋章を順に輝かせる。

それと共に、真っ直ぐとレグロスはレガルゼーヴァに光弾を放つ。

それに対して、レガルゼーヴァは、それに耐えきれずに爆散する。

 

「凄い、あれが、ウルトラマン」

「そうだ」

 

その言葉と共に、そこには一人の青年がいた。

見た目は青年であり、その手には奇妙な機械を持っていた。

 

「俺が、俺達が、ウルトラマンだ」」




今回の話にて、ハイスクールU×Dは最終回を迎えました。
前作であるハイスクールG✕Sに続いて、終わらせる事が出来て、良かったです。
次回作であるハイスクールV×7も、応援、お願いします。
https://syosetu.org/novel/318753/


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