Re.呪術師最強が行く異世界生活 (迷える黒狗)
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原作開始前
呪術師最強と異世界


 

 

…………

 

………………

 

……………………

 

 

……しくじったなぁ、まずったよなぁ、色々とやばいよなぁ。

…ま、何とかなるか。

 

「期待してるよ、皆」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――何処だここ?

 

任務終わりに仙台駅前の店で喜久福を買った五条は脳内が困惑に包まれていた。

 

無下限呪術は問題なく使える、幻術的な攻撃を受けたのか?

だがそれにしては六眼は異常を示してはいない。

近くには人の気配も無い、とりあえず携帯で位置情報の確認をするべきか?

 

そう考え五条はポケットから携帯を取り出し開く。

 

「圏外」

 

確かに周りには巨大な樹一本しかない、電波は届きそうには無いかな。

てか日本かどうかも怪しいね。

どうにかしてこの場所について何か気づけないか考えていると、突如霧が出始める。

 

…何か近付いてくる?

 

五条が違和感を感じ周りの警戒を始めると、それは霧に包まれながら大それは霧に包まれながら大口を開け一直線に突撃して来る

 

ブオオオオオオオオ!!!

 

「っ!……白い鯨?」

 

んだコイツ、呪霊?いや違う六眼が否定するこいつはこんな巨体で浮いていても生物だ。

……こいつは危険だ呪術師であっても祓えるかは微妙。

被害が出る前に僕が今ここで祓う。

 

"面白くなってきた”

 

五条は人差し指を立てる

 

「術式反転「赫」」

 

五条は周囲の無限を収束し発散させ、衝撃波を作り出し白鯨に当てる。

 

ヴオオオオオオオオオオ!!!

 

悲鳴のような轟音を鳴らしながら白鯨は遠くへと吹き飛んで行く。

 

「まだまだ」

 

五条は白鯨が吹き飛んだ先へ行き、

右足を構えハイキックを決めると、周辺の空間が歪み

黒く光った呪力が稲妻の如く火花を散らす。

すると、白鯨はまたも

 

ヴオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 

と悲鳴の様な叫びを上げながら、

下半身?が弾け飛び上半身が吹き飛ぶ。

 

「っ、まだ動くか。」

 

ブオオオオ!!

 

五条は白鯨を撃破したと思ったが、

白鯨は口を大きく開け霧を吐く。

その霧は最初に来た霧とは違い地面を抉りながら迫ってくる。

 

「おお、こわっ、ま、効かないけどね」

 

どこ行ったかな?

いや、そろそろ本気で

 

「少し乱暴しようか」

 

術式順転"蒼"

術式反転"赫"

 

その二つが五条の背で合わさり

     

「虚式「茈」」

 

直後

と轟音が鳴り響き霧と地面を抉り飛ばした。

 

「一件落着!!」

 

って訳にはいかないなぁ。

こんな、何処の国の土地かも分かんない所でこんな大技使ったら絶対何か言われるよなぁ。

とりあえず、人が居る所まで行こうかな。

 

五条が勘を頼りに人里まで歩みを進めようとすると、

背後から声を掛けられる。

 

「動かないでくれるかな。」

「ッ、あんたは?」

「僕の名はラインハルト、早速で申し訳無いがこれをやったのは君かい?」

「もしそうだと言ったら?」

「僕は、一応この国では剣聖と呼ばれていてね、もし国家の安全が脅かされそうになった時は、出撃する事になっているんだ。」

 

……剣聖だと?もしかしたら、ここは地球じゃ無いのか?いやそんな筈は。

 

「……それで、つまり俺と戦うって事か?」

「いや、そんなつもりは無いから安心して欲しい、ただ、これは君がやったのかい?と言うか何があったんだい?」

「……さっき、巨大な白い鯨に襲われてな、それを撃退したとこだった。」

「なっ!白鯨と戦ったのかい!?」

「?あれ白鯨って言うのか。」

「確かに、道中若干の霧があったから少し急いで来たんだけど、、、怪我はしていないかい?もししていたらすぐ見せてくれ」

「いや、怪我は別にして無いから大丈夫なんだが、一体何なんだその白鯨ってのは?」

「白鯨を知らないのかい!?」

「あ、やっぱ待って、まずここどこ?」

「?ここはリーファウス街道のフリューゲルの大樹だよ。」

「ちなみに国は?」

「ルグニカ王国だよ」

「日本って知ってる?」

「なんだいそれは?」

「……」

 

 

…………マジ?

 

 

 



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原作開始後
一話 出会い


ちょくちょく、原作を部分をそのまま持ってきています、そこを読むのが面倒な人は線まで飛ばして貰えると助かります。


 

――盗品蔵・夜

 

 

 

「あとは俺のネゴシエーション次第か……そこが一番、信用できねぇ!」

 

「さっきからどうしたの? わたわたして、すごーくみっともないけど」

 

 ぐさりとくる一言、スバルもまた胸を押さえてラインハルトと同じリアクション。もっとも、そこにはひょうきんさがあるだけで、彼のような凛々しさは微塵もない。

 

 そんなこちらのやり取りを見て、ラインハルトは小さく嫌味なく笑う。それから彼は黙してこちらをうかがうフェルトの方へ、片手を挙げて迎えにいった。

 颯爽とした後ろ姿には嫉妬心すら浮かばず、スバルは肩を落とすしかない。これが持てるものと持たざるものの違いか。

 

 警戒しつつも、助けに応じてくれたことへの恩義を感じているのか、歩み寄ってくるラインハルトからフェルトは逃げようとはしない。

 そんな二人を若干、微笑ましいような感じでスバルは見守り、

 

「――スバル!」

 

 ふいにこちらを振り向いたラインハルトの叫びに、窮地を脱していなかったことを悟る。

 

「――――ッ!!」

 

 廃材が跳ね上げられ、その下から黒い影が出現する。

 影は黒髪を躍らせて、血を滴らせながらも力強く足を踏み出し、加速を得る。

 ひしゃげたククリナイフを握りしめ、無言で疾走するのは流血するエルザだ。

 

「てめぇ――ッ!」

 

 あの苛烈な斬撃を掻い潜り、命を拾った殺人者の目には漆黒が宿っている。

 それはこれまでの相対でもっとも、スバルの背筋に氷を差し込む殺気を放っていた。

 

 接触までのわずかな数秒、その間にスバルの思考はめまぐるしく回転する。

 ひしゃげたナイフ。一瞬の邂逅。おそらくはたった一発に賭けている。ラインハルトも駆けよってくるが間に合わない。一撃だけしのげば、ラインハルトがどうにかする。偽サテラは振り返る余裕もない。狙いはどっちが。俺は三度目、彼女を守る。

 守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守るるるるるる!!

 

「狙いは腹狙いは腹狙いは腹ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 偽サテラを突き飛ばすように庇い、腕の中に残っていた棍棒を引き上げ、とっさに腹の上をガード――衝撃。

 

 横薙ぎの一発の威力は斬撃というより、重厚な鈍器による打撃に近かった。

 土手っ腹への衝撃で地から足が離れ、世界が百八十度回転する感覚を、血を吐きながらスバルは味わった。

 

 ぐるぐると視界が回る。実際に吹き飛ぶ体が回転しているのだ。

 どれだけ飛ばされたのかもわからないまま、受け身も取れずに壁に激突させられる。

 

「この子はまた邪魔を――」

 

 ぶっ飛んだスバルを見ながら、エルザが悔しげに舌を鳴らす。

 それから彼女は立ち尽くす偽サテラに目を向けるが、

 

――――――――――――――――――――――

 

……周囲には人が居る、けど先に確実に倒す!

男は素早く走りながら考える。

 

「術式順転「蒼」」

 

瞬間、周りの家具や廃材、盗品がエルザを中心に強力に吸い込まれる。

そしてその裏から長身白髪の目隠しをしている男が出てくる。

 

「よし、一件落着!無事ですかいな皆様方?」

「ありがとう助かったよサトル」

「あ、ありがとうございます、助かりました」

「お、おう」

 

突如現れた白髪目隠しに対してスバルは若干の困惑したがラインハルトが親しげに話していたり白髪の名前を理解している事から特に警戒すること無く感謝を述べる。

 

「それで?この騒ぎの原因は何なんだラインハルト」

「……いや、1度それは後にしようか、どうやらまだ動ける見たいだよ、彼女は。」

「わぁお…流石にドン引き、へい彼女!そろそろ投降しな、僕もラインハルトと同じくあんまり女性に乱暴するのは趣味じゃ無くてね。」

 

サトルがニコニコしながらエルザに投降を促すとエルザは心底不機嫌そうに、

 

「いずれ、この場にいる全員の腹を切り開いてあげる。それまではせいぜい、腸を可愛がっておいて」

「逃がすと思うか?」

「いや、追わなくて良いよサトル」

 

廃材を足場に跳躍するエルザを尻目にラインハルトは追撃しようと構えるサトルをその場に留めさせる。

 

「何でだよ、別に2人で追い掛けようって訳じゃ無いないんだぞ。」

「いや、おそらく彼女は吸血鬼肉体を消し飛ばすか限界まで殺し続ける他ない、そんな技を周囲に人が居る中で使えるかい?僕達は基本怪物狩りが専門こういう場所での戦闘は向いていないのは分かるだろ?」

 

納得の行っていない様子のサトルだったがラインハルトに耳打ちされ若干落ち着きを取り戻す

 

「……わーったよ、その代わり報告書はラインハルトが書けよ?」

「ああ、それくらいなら別に今回は構わないよ」

「それで?後ろの2人は?」

「ああ、まず銀髪のハーフエルフの御方が王選候補者のエミリア様、そして黒髪つり目の青年がスバル僕の親友さ。」

「黒髪黒目か…」

 

ラインハルトから2人についての解説を貰い、一言誰にも聞こえないような小声で呟いた後、振り向き2人に話し掛ける。

 

「初めまして御二方、近衛騎士団所属でラインハルトの同僚の五条悟と申します、是非悟とお呼び下さい。再度聞きますが、怪我はございませんか?」

「ええ、私は大丈夫それより……」

 

エミリアは壁際に寄りかかっているスバルに目を向け駆け寄る。

 

「ちょっと大丈夫!? 無茶しすぎよっ」

「お、ぉぉお……ら、楽勝楽勝。あそこってば無茶する場面だべ? 動けんの俺しかいねぇし、あいつがとっさに狙う場所もこっそり当てがあったし」

 

心配そうに顔を寄せてくる偽サテラに手を掲げ、スバルは一撃をもらった腹を軽く撫でる。尋常でない打撲傷に、服をめくった下が真紫になっているのが見えた。

 「うええ」とその見た目の悪さに舌を出し、それからスバルは逆さまの体をひっくり返した勢いで立ち上がり、

 

「今度はもう、完璧にいなくなったよな?」

「すまない、スバル。さっきのは僕の油断だ。君がいなければ危ないところだった。彼女を傷つけられていたら僕は……」

「タンマタンマタンマタンマ! そっから先は言及無用だ。それにほぼ悟のお陰だしな!」

 

謝罪を口にしかけるラインハルトを制止して、押し黙る彼にスバルは笑みを向ける。それからゆっくりとした動きで振り向き、自分を見上げる銀髪の少女と視線を合わせた。

 

 彼女は身じろぎし、それから立ち上がる。二人の間の距離は二歩分、手を伸ばせば届く位置だ。ずいぶんと遠回りしたものだと、ここまでの道のりを感慨深く思い出す。

 

 突如、瞑目して黙り込んだスバルに少女は物言いたげな顔をする。

 しかし、彼女がその口を開くより先に、スバルが指を天に突きつける方が早かった。

 左手を腰に当て、右手を天に向けて伸ばし、驚く周りの視線を完全に意識から除外して、スバルは高らかに声を上げる。

 

「俺の名前はナツキ・スバル! 色々と言いたいことも聞きたいことも山ほどあるのはわかっちゃいるが、それらはとりあえずうっちゃってまず聞こう!」

 

「な、なによ……」

 

「俺ってば、今まさに君を凶刃から守り抜いた命の恩人! ここまでオーケー!?」

 

「おーけー?」

 

「よろしいですかの意。ってなわけで、オーケー!?」

 

 OとKを上半身の動きで表現するスバルに、銀髪の少女はひきつりながらも、「お、おーけー」と応じる。

 そんな彼女の態度にスバルはうんうんと頷き、畳みかけるように続ける。

 

「命の恩人、レスキュー俺。そしてそれに助けられたヒロインお前、そんなら相応の礼があってもいいんじゃないか? ないか!?」

 

「……わかってるわよ。私にできることなら、って条件付きだけど」

 

「なぁらぁ、俺の願いはオンリーワン、ただ一個だけだ」

 

 指を一本だけ立てて突きつけ、くどいくらいにそれを強調。そのあとに指をわきわきと動かすアクションを付け加えて少女の不安を誘い、喉を鳴らして悲愴な顔で頷く彼女にスバルは好色な笑みを向ける。

 

「そう、俺の願いは――」

 

「うん」

 

 歯を光らせて、指を鳴らして、親指を立てて決め顔を作り、

 

 

「君の名前を教えてほしい」

 

 

 呆気にとられたような顔で、少女の紫紺の瞳が見開かれた。

 しばしの無言が周囲を支配し、決め顔を維持するスバルは静寂の中でかすかに震える。

 外した感が半端ない羞恥となって込み上げてくるが、こういう状況で周りがリアクションする前にイモを引くのは最悪のパターンだ。

 故に黙り、スバルは彼女からのアクションを待つ。

 

 氷塊でも氷柱でも冷凍ビームでもなんでもこい。やっぱ冷凍ビームは勘弁な。

 

「ふふっ」

 

 そんなスバルの極限状態すぎる高速思考は、ささやかに届いた笑声に打ち消された。

 口元に手を当てて、白い頬を紅潮させ、銀髪を揺らしながら少女が笑っている。

 

 それは諦めた笑みでもなく、儚げな微笑でもなく、覚悟を決めた悲愴なものでもない。ただ純粋に、楽しいから笑った。それだけの微笑みだ。

 

「――エミリア」

 

「え……」

 

 笑い声に続いて伝えられた単語に、スバルは小さな吐息だけを漏らす。

 彼女はそんなスバルの反応に姿勢を正し、唇に指を当てながら悪戯っぽく笑い、

 

「私の名前はエミリア。ただのエミリアよ。ありがとう、スバル」

 

 「私を助けてくれて」と彼女は手を差し出した。

 その差し出された白い手を見下ろし、おずおずとその手に触れる。指が細く、掌が小さく、華奢でとても温かい、血の通う女の子の手だった。

 

 ――助けてくれてありがとう。

 そう言いたいのは彼女だけではない、スバルの方だった。スバルの方が先に彼女に恩を受けていたのだ。だからこれは、それがようやく返せただけのこと。

 

 通算して三回、刃傷沙汰で命を落として辿り着いた結末。

 あれだけ傷付いて、あれだけ嘆いて、あれだけ痛い思いをして、あれだけ命懸けで戦い抜いて、その報酬が彼女の名前と笑顔ひとつ。

 ああ、なんと――。

 

「ああ、まったく、わりに合わねぇ」

 

 言いながらスバルもまた笑い、固く少女――エミリアの手を握り返したのだった。

 

――――――――――――――――――

 

「うんうん、青春だねぇ」

「フフ、そうだね、ふたりが仲良さようで何よりだ、所でサトルは何故ここに?」

 

ラインハルトが悟と少し話した後疑問に思っていた事を尋ねた。

 

「ああ、ついさっきミミ達に会って次会う時喜久福が食べたいって言ってたから材料を買いに来てたんだよ、そしたら何かドンパチ大きな音が聞こえてきたからな。」

「それは申し訳ない……」

「別にそんな気にすんなよ、一応僕も騎士な訳だから見にこない訳には行かないでしょ。」

「……フッ、良かった良かったちゃんと騎士としての自覚は持ててるようだね、推薦した甲斐が有るよ。それにほんと助かった、さっきスバルに言った通り僕は油断していたようだ。」

「確かに怪我人は出ているが別に取り返しのつかない怪我を負った訳じゃ無いだろ、しょぼくれた顔で反省すんのは自分家に帰ってから1人でしてろ。

それに今回の分怪物狩りで活躍すれば良いだろ。」

「……そうだね、じゃ今からちょっとひと狩り行こうかな。」

「いや、違うそう言う事じゃない、…いや違うな行くなら僕の報告書を書いてからにしてくれ。」

「ハハ、冗談だよ」

 

そうして二人で少し笑いながら話をしている時、ラインハルトが何気なく拾った、スバルがつい先程まで使っていた棍棒が滑らかな切断面をさらして鈍い音を立てて落ちた。

…………

………………

するとすぐに後ろからエミリアの切羽詰まった声が聞こえる。

 

「――ちょ、スバル!?」

 

ラインハルトと悟はすぐに振り向きエミリアとスバルが居る場所に向かう。

 

「ど、どうなさいました、エミリア様!」

 

そこには腹部か横一文字に裂け大量の血を噴出しながら倒れているスバルの姿とそれを必死に治療しているエミリアの姿があった。

 

「っ!一旦離れよう、サトル」

「ああ、そうだな」

 

 




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2話 やな感じ

ラバウル航空隊様 おばか様 雪三霊様
評価ありがとうございます。


 

――――――――――――――――

 

「――よし、これで大丈夫」

 

エミリア様から少し離れた後ろでラインハルトと共に待機していると、エミリア様が額を拭うような仕草をして、壁に寄りかからせたスバルの前髪を軽く払い、その顔に赤みが差しているのを確認。立ち上がるエミリアは「うん」と納得の頷きで振り返り、

 

「治療は完了。――どうにか、峠は越えたでしょ」

「それはなによりです。その上でエミリア様……」

 

満足げなエミリアにラインハルトは一目散に駆けより足下に膝をついて頭を垂れる。所作ひとつひとつによどみのない、完璧に礼式に則った姿勢だ。

 

「此度は自分の至らなさにより、エミリア様に多大な心労をおかけいたしました。この失態に対する罰はいかようにもお受けいたします」

 

立てた膝の前には腰に預けていた剣を置き、ラインハルトは己の失態を謝罪する。

そんなラインハルトを悟はウトウトしながら眺めていた。

 

くぁ~、眠くなってきた、何かラインハルトは謝罪だかお話しだかをして長くなりそうだなぁ、とっとと家に帰って喜久福の準備して寝たい、早く終わんないかなぁ。

 

船を漕ぎながら、悟はただ刹那に家に帰りたいと願っている。

いくらラインハルトが居るとはいえ、王選候補者が居る事を考え意識を飛ばしながら周囲を警戒していると急にラインハルトに声を掛けられる。

 

「悟!」

「ど、どうした!?」

「すまない、僕は彼女を連れて行く、エミリア様とスバルをロズワール邸まで送ってくれ。」

「あ、ああ、別に構わないが、急にどうした?」

「すまない事情は次会った時に話そう、今はこれで失礼する、エミリア様とスバルを頼むぞ!」

 

そう言ってラインハルトは足早にこの場を去って行く。

 

「行っちゃった」

「…あのーエミリア様ラインハルト急にどうしたんですか?」

「えーと、フェルトちゃんが徽章を渡してくれた時徽章光って、それでラインハルトが驚いて連れて行っちゃったの。」

「ああ、なるほど理解しました。」

「ま、とりあえずこの辺りは危険なのでスバルとエミリア様を送りますね。」

「め、迷惑じゃない?」

「ええ、私も騎士ですから」

「じゃあ、お願いします」

「では少し準備致しますので少々お待ちを。」

 

そう言うと悟はしゃがみこみ地面に円形で何かを書き始める。

 

「よし」

「これは?」

「瞬間移動する為みたいなやつです、ただ円の中からは出ないで下さいね。怪我しちゃいますから。」

「わ、わかりました!」

 

悟がスバルを背負ってエミリアと共に円の中に入る。

次の瞬間悟が術式を発動させ、ロズワール邸へと転移する。

 

「もう到着?」

「……ええ、無事到着ですとりあえず屋敷までスバルを運びますね。」

「あ、ありがとう。」

 

玄関口まで歩いて行きドアをノックするとすぐに中から青髪の少女が出てくる。

 

「おかえりなさいませ、エミリア様」

「ただいま、レム」

「そちらの方々は?」

 

レムと呼ばれる、青髪の少女はエミリアが連れている2人に対して若干ではあるが警戒を抱いている。

 

「あ、えっと、こっちの白いマントの人が私をここまで送ってくれた、近衛騎士団のゴジョウサトルさん。」

「ゴジョウ?双璧のですか?」

「まぁ、一応そう呼ばれてます、よろしく」

「で、今サトルに運ばれてるのがスバル、私の、恩人?怪我をして眠っているから、泊めてあげたいの、準備できる?」

「分かりました、それでは客室へ案内します。」

 

そう言われレムさんについて行き客室へと案内して貰い、スバルを横に寝かせる。

 

「それでは私はこれで失礼させて頂きます。」

「?別にサトルも泊まって行って良いのよ?」

「いえいえ、流石に私がそこまでお世話になる訳にはいきませんので、それに早めに戻って報告書なども書かなくてはいけなくて。」

「……それだと私の気が」

「それでしたら今回の事は貸しとしておきますので、もし困った時に手を貸して頂けると助かります。」

「……分かったわ。」

「助かります、それでは」

 

そう言い悟は屋敷を出て行く。

 

よし、とりあえず無事に送り届けたな。

ただ何だここ、すごく気分が悪い感じがするな、少し付近を見回りでもしてから帰るか。

 

嫌な気分を感じ取った悟は見回りをする為に森の中へと歩みを進める。

するとすぐに違和感を覚える

 

マジで何だこれ、この辺りウルガムが多過ぎないか、大分討伐したから数は少なくなったがそれでもまだ居るなんて明らかに可笑しすぎる、…確かこの近辺に村が有ったな、結界が有るとは聞いているが一応確認に行っておくか。

 

もしも何かがあった時の事を考え悟は森を抜け村を目指して走り出す。

 

「うん、異常は無さそうだな、見た感じ結界にも異常は無い」

 

これなら一度、王都に戻っても問題無いな、何も起こらないと良いんだが。

……考えても仕方ないか、取り敢えず帰ろ。

そういえば、スバルくんって、黒髪黒目だったな、もしかしたら僕と同じ異世界転移者だったりして、

……

なんてね

 

…………

あの世界は今どうなっているんだろうな、別に自意識過剰じゃ無いけど、僕が居ないってだいぶまずいと思うんだよなぁ。

………………

ホームシックになった訳じゃないしあんな家になる訳も無いけど、友達は死んでいて欲しくないな。

 

……もういいや、喜久福作る準備するつもりだったけど、帰ったら寝よ。




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3話 団長 剣聖 特級 最優 青

Syurei様 Cryptic様 daisann様 本埜詩織様
評価ありがとうございます。m(_ _)m


――王都・昼

 

王都にある騎士団の団長室、そこでラインハルトと悟は立っていた。

 

「それで、貧民街の一部を荒らした挙句腸狩りを逃がすとは、どんな了見だ」

「申し訳ありません、弁明のしようもございません」

「申し訳なく思ってマース」

「 ……お前らいくら怪物狩り専門だとしても、もうちょい大人しく戦えないの?記者達が意見を求て、わざわざここまで来るんだぞ。」

「申し訳ありません」

「だってよ、言われてるよ、ラインハルト」

「らと言ったが九割お前だ!サトル」

「はーい、すんません」

 

悟はサムズアップしながらウインクすると団長は青筋を立てていた

 

「お前マジ、反省してるか?」

「いや、全く」

「くぁwせdrftgyふじこlp」

「ハハ、バグってらァw」

「サトル、そろそろ少し真面目にしな、団長をあまり困らせてはいけない。」

「団長もお前には言われたく無いんじゃない?実際此処に呼ばれてる訳だし」

「まぁ、確かにそれを言われてしまっては何も言えないね。」

 

可笑しくなった振りをした団長が立ち上がり、椅子に座り直すと、喋り出す

 

「ッチ、もう貧民街の件はいい、それでラインハルトこの、フェルト様を王選候補者に入れるのは確定なんだな?」

「ええ、エミリア様の徽章をフェルト様が返却される際に光りだしました、14年前誘拐された女児と年齢が一致しています、本名は未だ不明ですが、おそらく王族最後の生き残りかと。」

「……もうほぼ決定か、エミリア様に聞いた時にもしやとは思ったけど、…それ発表するの?」

「いや、現状王族の全滅の病の理由が分かって居ない事からもしもの事を考え発表する予定は無い。」

「なるほどね、まあそれが1番安全か。」

「分かった、当たり前の事だが王選は警戒を最大まで上げる、ラインハルトは勿論、サトルも警戒にあたれ、候補者の騎士として出んからと言ってサボる事は許さんぞ。」

「了解しました」

「了解、分かっていますよ」

「よし、この件は以上だ他に何か報告はあるか?」

 

団長が二人に尋ねた事でサトルは思い出したように喋る。

 

「あ、忘れてた、この間エミリア様をロズワール邸まで送った時近くの森をパトロールしたんだけど、やけに魔獣が多かったんだよねぇ、ある程度討伐はしたけど結局原因が分らずじまいのままだからちょっと一回調査をした方が良いんじゃないかなぁと。」

「……ロズワール殿には報告しておくが我々騎士団が介入するのは難しいだろう。」

「ま、そうすっよねぇ、取り敢えず報告はしといて下さいよ。」

「ああ、それは安心しろ。……以上で良いか?」

「はい」

「僕ももう無いです」

「了解した、じゃあ今日はひとまずこれで終わりだ解散。」

「「失礼します」」

 

そう言い頭を下げラインハルトと悟の2人は部屋をでる。

 

「はぁ~疲れた」

「ハハ、君がしたのはほぼ挑発みたいなものだけどね。」

「ほんと何度も言ってるけどそんな細かい事気にすんなよ、そろそろ禿げ出すんじゃないの?」

「そんな心配をしてくれるなら、君がもう少し大人しくしてくれると嬉しいんだけどね、ある程度の人前なら丁寧に喋れるんだからそれを僕らにも少し分けてくれると助かるんだけど。」

「フッ、諦めな!」

「一旦そのドヤ顔やめようか、思わず殴ってしまいそうだよ。」

「おう、怖い怖い、この国を守る剣聖に有るまじき発言だな。」

「僕もこんな発言は中々しないよ」

 

騎士団本部の廊下を歩いていた2人の背に急に人が来る。

 

「久しぶり、おふたりさんフェリちゃんですよ。」

「久しぶりだね、2人とも」

「よ、久しぶりだな、フェリス、ユリウス」

「久しぶりだね。」

 

そこには、猫耳姿の如何にもあざとそうな騎士と、紫髪の美丈夫な騎士が居る

 

「二人とも団長室から出て来たみたいにゃけどどうかしたの?」

「この間の報告をね」

「ああ、君達二人貧民街を吹き飛ばしたんだってね」

「いや、別に吹き飛ばしては居ないから!」

「ハハッ、勿論分かってるよ、サトルだけならまだしも現場にはラインハルトも居たんでしょ?」

「え、何僕だけならって、皆僕の事なんだと思ってる?」

「――うん、この話やめようサトルが面倒臭い拗ね方するから」

 

五条が三人が自分の事をどう思っているのか強烈に気になった為尋ねたがラインハルトが、話を切った為五条は若干不機嫌さが顔に出る。

 

「え、どういう意味?面倒臭いって、……おいって、目ェ逸らすな剣聖!隣の猫耳と紫もだぞ!」

「私の事を紫呼びとは関心しないなサトル、世間から双璧と言われて調子に乗っているんじゃないかい?」

「あぁ?」

 

二人の空気が悪くなり始めたのでフェリスがすぐに止めに入る。

 

「まあまあおふたりさん、ここはフェリちゃんの顔に免じて仲良くしよ、ね?」

「…免じる顔があるのか知らないが、私はここいらで終わろう。」

「いいや、確かに紫呼びは謝罪するがそれでも納得はしない!横二人もだ、ちょっと仲介したからって、面倒臭いって言ったのは忘れてないぞ!」

「そう言う所が面倒臭いんじゃないかな、と言うかそろそろサトルは少し大人しくしていな。」

「……」

 

「相変わらずラインハルトの言う事はサトルって素直に聞くネ」

「……癪だが、ラインハルトには勝てないからね、いずれ絶対勝つけど、と言うかラインハルト、いつまでも言わないなら僕が言っていい?てか言うんだけど、君達二人に朗報?だよラインハルトも王選候補者を見付けたから参加するって。」

「なっ!」

「にゃ!?」

「ほんとか「ほんとにゃ!?」」

「あ、ああ2人には悪いけど王になるのはフェルト様だ」

「――ラインハルトが相手でも勝つのはクルシュ様にゃ!「アナスタシア様だ」」

 

ユリウスと悟の睨み合いが終わった後にすぐ今度は、ラインハルト、フェリス、ユリウスの三人が目から火花を散らしながら睨み合う。

そんな様子を見ながら悟は、

 

余計な事言ったかなぁ、……帰ろ




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