混沌学園の錬金術士 (有機なす)
しおりを挟む

1話:混沌学園の錬金術士

 

私はTS銀髪幼女堕天使風悪魔で―――

リサイクルと機械弄りが得意なだけなのに、周囲からの通称が錬金術士であり―――

一人称が自分で「~なのだ」「~であるな」という若干アンティーク口調の―――

どこにでもいるごく普通の女学生である。

 

 

とりあえず転生を司る何かよ、属性盛りすぎであるので、属性を多少要素は削れなかったかな????

 

境遇と容姿と体以外は持ち込み(前世や前々世からの持ち込み)なので、あまり文句も言えないのであるが。

 

 

―――

 

 

自分は転生者である。そして少々物騒だが、平和な学園生活を暮らしているので、現世を楽しむ所存である。

 

大本の日本人だった青年から、転生を繰り返しすぎて、7割くらい女性体で過ごしていたせいかTSした体に忌避感は少ない。むしろ慣れですらある。

 

TSした女性の体への抵抗感や戸惑いのないTSものは邪道である? 自分もそう思うが、もう片手を超える数転生しているといい加減慣れるのである。

戸惑うのも最初の数年くらいだ。

まぁ、心の如意棒(迂遠な表現)は折れて居ないので、女性体になった場合はだいたい同性愛者になるのだが。

 

自分の守備範囲は肉体的に女性または外見・内面も含めてレベルの高い男の娘までである。

 

 

―――

 

 

転生してきた世界は創作物のもあれば、そうじゃなさそうな何かもあったが、人気ケーキショップの行列の揉め事で、学校帰りの女学生達が銃撃戦しているのは、どちらに該当するのであろうか。

 

しかも頭に被弾しても血飛沫も出ずに被弾したところを手で押さえて「いったぁぁい!」とか、悲鳴をあげる程度の軽いノリで済んでいるのは、創作物にしても少々エキセントリックすぎやしないだろうか。

 

 

―――

 

 

自分がこうして落ち着いて、周囲の状況を眺めつつペットボトルの無糖紅茶を飲んでいれるのは、心強い装甲に守られているからである。

 

全体的に丸みを帯びたレトロな外見と、対戦車砲でも貫通の難しい心強い装甲。

両方の手の代わりについたガトリングガン。

バックパックに2本背負っているグレネードランチャー。

安定性と耐弾性に優れる3本の足と、足についたタイヤでローラーダッシュのような移動ができる機構がついた脚部。

 

その名をアニヒレーター・セントリーボットカスタム。

トラック並の荷物を運搬する大型バックパックの部分に人が乗り込むスペースがついた、自分の登下校用・自家用車である。

 

 

―――

 

 

こんなものに乗っている時点で、わかる人には自分の転生歴がある程度わかるかもしれない。

自分は洋ゲーか洋ゲーのような世界観を転々としてきた。

 

転生者ではなかった日本人としての最初の人生。

転生者として最初の体験は101のアイツであった。(Fallout3)

101のアイツとして天寿を全うしたら、ベガスの運び屋の女性(初TS)になっていた。(Fallout New Vegas)

初めての女性という事もあり、ベガスで美女美少女美幼女を囲った百合ハーレムを作って愉快に生きていたのであるが。

 

次の人生で111のママになっていた。(Fallout4)

いやうん、前の人生で遊びすぎた反動とばかりにハードな人生であったな。

その辺りから今の口調やキャラが定着したのである。

自己防衛の一種だろうか。

 

そこからもアパラチアで76のレジデント達として、他の転生者レジデント達と共にアメリカを復興してみたり。(Fallout76)

ようやく平和なアメリカだと思ったら、犯罪率がクソほど高いロスサントスという街で、しかも警官一家に生まれて、死ぬまでギャング共と抗争する人生を送る事になったり(Grand Theft Auto V)

 

魔法とか超能力的な神秘とは縁遠い、硝煙の匂いに満ちた人生を幾度となく送ってきた。

 

 

―――

 

 

そして今世である。

 

気が付いたら一人暮らしの幼女であった。

運び屋をやっていた時代の私が見たら、その場で性的に襲っているレベルの美貌であった。

学校に所属していて、そこの生徒達は気軽に銃撃戦をして、たまに戦車や武装ヘリが飛んでいた。

 

 

 自分は「今回は当たりだな!」と喜んだ。

 

 

とりあえず世界が滅んでいて、人間や動物が変異した怪物が闊歩していない。

―――文明があるとは何と素晴らしい事だろうか。稼働して壊されてもいない自動販売機は偉大な文明と倫理のパロメーターである。

 

女学生達がしている銃撃戦は微笑ましいものであった。

大抵の獲物はハンドガン、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフル程度で、戦車やヘリは切り札みたいな存在だ。

 

パトカーで街を流していたら、ギャングの大型爆撃機が気にくわないからとパトカー周辺に絨毯爆撃をするような世界でもない。

 

ギャング達がステルス戦闘機で空戦してシマ(空中)争いをしている事もない。

 

ギャング達のカチコミがあると現場に向かったら、MBT(主力戦車/近代型の高性能戦車)とAPC(武装装甲車)が群れて移動していて、対立するギャングが対戦車装備をした歩兵と攻撃ヘリの編隊で対抗している事もない。

 

 

……うむ。自分の価値観はだいたいウェイストランドで丁寧に砕かれた挙げ句、ロスサントスで粉微塵にされたであるな。

 

一般警官の装備が防弾ベストと拳銃だけで、職場仲間が殉職するのが早すぎて名前を覚えてられないから、番号で呼び合っていた頃に比べると、ずっと平和であるのだ!

 

 

―――

 

 

さて、自分が所属するゲヘナ学園というのは実に自由な校風である。

自由というか混沌というか。自分的には「女学生が集まった21世紀風+近未来な蓬莱学園」と表現したいところである。

 

21世紀日本人感覚でツッパリ的な古典的不良からテロリストやゲリラ兵的なものまで「不良」という単語で済んでしまうし、そんな不良達が沢山いても社会システムが維持されている、実に住み心地の良い学園である。

 

 

ただし、生きるのに肉体労働や頭脳労働、手に職が無いと貧乏生活をする羽目になる、実に資本主義的な面もある。

 

……ますます蓬莱学園であるな?

 

そこで自分が111のママや76のレジデンドだった頃に覚えた技術で稼ごうと「リサイクル研究会」を立ち上げて、それなりに治安の良い区画に店(サークル部室)を構えている。

 

部活にすると学園からの干渉が煩いので気楽な研究会(サークル)生活なのであるな。

 

 

―――

 

 

「……うん、良い仕事をしている。まるで新品同様だ」

 

リサイクル研究会の店で、仕上がったライフルを客に渡し、銃をチェックしていた客が満足そうに言った。

 

実に満足であるが、不満でもある。

 

「新品同様? それは自分に対する屈辱であるよ、銀鏡イオリ。自分が修理した銃は新品よりずっと耐久性も性能も向上してあるである」

 

仕上げた銃のCND(コンディション/耐久値)は200%、通常の銃が完全な状態で100%、50%を切ると弾道がズレたり発射不良を起こしたりする信頼性の低下が著しいので、実質新品の3倍は安心して使えるのである。

 

(Fallout76 Perk:ウェポンアーティザン☆3/銃器のCND(耐久度)を+100%多く修理する事ができる)

 

「わかっている。だからこうして、わざわざハクアの店に来ているんだ」

 

「わかっているなら、友達料金じゃなく正規料金を払って欲しいものであるな。修理するのに素材を結構使うのであるよ」

 

 旧式の狙撃銃の具合を確かめているのは銀鏡イオリ。ゲヘナ学園の風紀委員会、まあ警察的な働きをする委員会に所属している。

 

 幼い頃に出会って、同じ銀髪という事もあって、幼馴染みのような関係になった少女である。

 凜々しく、他人に厳しい以上に自分に厳しい清らかな、若干性的な方面には潔癖症と見せかけて実に『うぶ』という、ぶっちゃけ隙があったら性的(百合)な意味で頂いてしまいたいが、残念ながらチャンスに恵まれず、腐れ縁の友人付き合いが続いているのである。

 

 そして名前が呼ばれたので説明しておくと、自分の今の名は銀魚(しらうお)ハクア。

 イオリと色々と対象的な特徴を持っている。

 

 イオリは整髪料で固めてたきっちりとした髪型の銀髪である。

 自分は無造作に伸ばした長いだけの銀髪である。

 

 イオリは健康的な褐色の肌色である。

 自分は病的な白い肌色である。

 

 イオリはスラリと伸びた長い手足をした魅力的な体型である。

 自分は名物のミニサイズ風紀委員長よりも背の低いお子様体型である。

 

 イオリは清く正しい少女である。

 自分は魂がもう濁った退廃と背徳が大好物なのを隠して擬態している外見幼女である。

 

 ここまで違うと不倶戴天の敵にでもなりそうなものであるが、イオリは怪しげな技術を持つもののズボラな幼馴染みの面倒を見てやっている風に、自分はイオリという実に愛らしい存在を愛でるという方向で友人関係が続いている。

 

「……仕方ないだろう。風紀委員会は予算が潤沢じゃないんだ」

 

 口を尖らせ、少しいじけたように言うイオリ。内心によによと気持ち悪い笑いを浮かべつつも。

 

「学園の護り手は大変であるな。とくに関係は無いのであるが、洗濯物が貯まってきているのである。親切な友人が洗濯を手伝ってくれると嬉しいであるなぁ……?」

 

「ぐっ……仕方ない、ずぼらな幼馴染みを助けてやろう」

 

 ずかずかと店の奥、自宅スペースに入って行くイオリを見送る。

 我が幼馴染み殿は実に優しく扱い安くて助かるである。

 

 そして、備品の無改造品を雑に使っていたイオリに、自分がバレルやストックまで調整した、一見ノーマルに見えるものを使わせて、圧倒的使いやすさと性能向上に備品で満足できない体にしたのは、自分ながら良い仕事をしたと自負しているのである。

 

 イオリのライフル/☆☆☆クラックショットカスタム

 レシーバー:スタンダード→ハード(威力が大きく上昇/攻撃力+25%)

 バレル:ロング→アラインロング(命中精度が大きく向上・反動を大きく減少/命中+18%・地形特性/野外・市街地+1)

 ストック:スタンダード→安定化シリコンパッドストック(命中精度が向上・安定度大きく向上・反動を大きく減少/命中+22%・地形特性/ALL+1)

 サイト:アイアンサイト→グロウアイアンサイト(狙い易さ向上/命中低下効果を半分にする・地形特性/室内+1)

 マガジン:スタンダード→クイックマガジン(リロード時間大幅短縮/リロード時間が本来の60%になる)

 

 特殊効果

 ☆アンチアーマー:対象の防御力を半減した数値でダメージ算出する。

 ☆ラピッド:使いやすく射撃速度が25%向上する。

 ☆丈夫:耐久度の減少が半分になる。

 

 Fallout76方式レジェンダリー武器化済み

 

 

「良い仕事をしたである……ちょっと過剰な気もするが、アパラチアなら誤差であるな」

 

※アパラチア(Fallout76)の尺度

 核ミサイル1発までなら誤射。

 だいたい毎日核ミサイルが定期的に落ちてくる(落とす)。

 レジデント(プレイヤー)達はだいたい聖剣レベルの伝説装備を厳選して複数持ち歩いている。

 上記の特殊効果組み合わせはアパラチア的には「おっ、無難でいいんじゃない?」と微笑ましく見られるレベル。

 

 

―――

 

 

「今日も放課後はサークル活動である。いい加減全て1人でやるのは面倒だから、新人を入れたいであるなぁ」

 

 自家用車(アニヒレーター・セントリーボットカスタム)でスクラップの回収という、リサイクル研究会の大事な仕事なのである。

 

 自分はFallout系の生産技術を持っている。

 雑な分類のスクラップから、ロボットや銃器、防具にパワードスーツまで作れる優れものであるのだが、作成・修理ともにスクラップが必要なので、ジャンク品や不要品、時には廃棄ビルの解体まで請け負っているのである。

 

 CPUファンをワンタッチで「ねじ1・プラスチック2・銅1・ギア1」という質量とかエネルギー保存則を無視したジャンクに解体できるのだが、流石に無から生み出す事はできないので、地道なジャンク品や不要品の処分を請け負う外回りをしているのである。

 

 なお、戦車を圧倒できるアニヒレーター・セントリーボットも、湯沸かし器やヤカン、電卓、電子レンジ、公園の遊具などの廃棄品が材料である。

 

 素材と完成品の質量や素材の差とか物理法則に正面から喧嘩を売っているが、そういう技術(システム)なので仕方ない。

 そもそも銃弾が当たって痛いで済む女学生の方がおかしいので、自分は実にまっとうな学生なのである。

 

 まっとうな学生である自分を錬金術士と呼ぶ者が多い。実に不本意なのである。

 

 

―――

 

 

 自家用車の進路上で銃撃戦が起きている。

 戦車や戦闘ヘリの姿は無し、テクニカル(改造武装トラック)すら無し。喧嘩程度の騒ぎであるな。

 

「……おや? 銃撃戦をしているのが、ヘルメット団(不良)とスケバン(不良)これはカモであるな。ゴースト11君、オーダー(命令)制圧モード起動である」

 

 自家用車で輸送車でもあるアニヒレーター・セントリーボットのゴースト11君は複雑な命令こそできないが、操作不要で自律行動をするロボットなのだ。

 

『制圧モードを起動しました。戦闘中の武装勢力を攻撃します』

 

 渋い男性に近い、実にロボットっぽい電子音がセントリーボットのスピーカーから出ると同時に、ゴースト11君の両手のガトリングガンが回転(スピンアップ)を始め―――

 

「ちょ、ちょっと待て。リサイクル屋の魔女だ!」

「隠れろ、錬金術士の馬鹿が馬鹿やるぞ!」

 

ちっ、カンのイイ獲物達なのである。

それに人を魔女だの錬金術士だのと。

 

ズグォォオオオオ!と破滅的な嵐のような音を立て、セントリーボットの両手についたガトリングガンが銃弾の嵐で周囲をなぎ払っていく。

 オリジナルのセントリーボットは弾頭が5mmのミニガンなのだが、キヴォトスの住民は頑丈なので、遊び心も込めて20mmのガトリング砲に換装してあるのだ。

 

『武装勢力の制圧を確認。制圧モードから通常モードで移行します』

 

「さて、仕事の時間なのである」

 

 ゴースト11君のカーゴから降りて、ゴースト11君が破壊してできた瓦礫、不良達の武器弾薬を回収して、カーゴに乗せていく。

 リサイクル研究会として商品の仕入なのである。

 

 瓦礫と武器しか回収しないのは、以前不良達なら大丈夫だろうと、不良達の車や自転車、防具に衣服(ウェイストランダーの情けで下着は残した)まで回収したら、やりすぎだとイオリにくっそ怒られたのだ。

 

 衣服は布ジャンクのいい仕入元なのであるのに、実に残念。

 

 ガトリングになぎ払われて倒れたり動けなくなっている不良達は特殊合金製の結束バンドで手首を縛って転がしておく。

 

 こうして風紀委員会の仕事を少し楽にしてやる事で、自分が怒られる確率がちょこっと減るのである。

 今回は自重してゴースト11君の背部グレネード投射器を使って無いから、もしかしたら褒められるかもしれないのである!

(※ガトリングガンの掃射で街の一角が消し飛んでいるので叶わぬ夢である)

 

 

―――

 

 

 自分はキヴォトスで気楽な学生ライフを送る、TS銀髪幼女堕天使風悪魔なのである。

 今日もゴースト11君のカーゴに乗って、黒い翼をたなびかせ、リサイクルで日々を優雅に暮らす、そろそろ可愛い女の子を毒牙にかけたい平凡なゲヘナ学生なのだ!

 

 

 

 

 








―――

以下付録


銀魚(しらうお)ハクア 16歳 身長138cm 
学園:ゲヘナ学園2年生 部活:リサイクル研究会
人種:悪魔(堕天使) 二重の円に一部が欠けた五芒星のハイロウ。背から生える、黒く長い平面的な翼 シンプルな細い悪魔の尻尾


リサイクル研究会に所属する、自称「平凡なゲヘナ生徒」。
なお、当然ように風紀委員会からはギリギリ不良ではないが問題児と認定されている。

瓦礫や放棄された建造物、粗大ゴミも全て『素材』として分解し『素材』から色々なものを作り出す。
その姿から錬金術士や魔女など呼ばれる事が多い。
実際、不法投棄された粗大ゴミの山からロボットや戦車、衣服に眼鏡まで作る様は、錬金術か魔法の所業である。

銃器の製造・調整・改造ができる一流のガンスミスでもあり、彼女が作成・改造した武器は高く評価されるが、気分や親しさで品質が変化する偏屈な天才としても知られている。
イオリの腐れ縁な幼馴染みでもあり、彼女の行動に頭を悩ませているのが風紀委員会だが、彼女の恩恵を1番多く受けているのも風紀委員会(格安で装備品のメンテナンス、緊急時の武器弾薬の提供など)という、風紀委員会としても扱いに困る人物。

普段は自家用車のアニヒレーター・セントリーボット『ゴースト11』の背中に乗って、町中で廃品回収している姿を見かける事が多い。

知るものは非常に少ないが「ハクアがロボットに乗っているのは敵に対するハンデ」と言われる無茶な個人戦闘力を持つ。
(中身が101のアイツ歴戦個体。モンハン的に例えると歴戦古竜亜種的な生きてる災害)

背徳・エロ方面は慣れきっているが、純愛系だったり自分が受けに回るとクソ雑魚ナメクジと化す。


ゴースト11
銀魚ハクアが作成した戦闘用ロボット。
動作はシンプルだが、火力と装甲が非常に高い。起動中は頭上にデジタルノイズの走るシンプルはヘイロウが発生する。

武装は両手に20mm多機能ガトリングガンが1門ずつの計2門。
背部から肩に40mmグレネード投射器が2門。

動力は当然のようにフュージョンコア(核融合電池)で、弾薬を撃ち尽くすと腕の20mmガトリングガンが実弾からレーザーガトリングになる、火力過剰仕様。



ゲーム性能

☆3 SPECIAL・タクティカルサポート ポジション:BACK
攻撃タイプ:爆発 防護タイプ:重装甲
武器種:ガトリング

EX/コスト8→7→6:ゴースト11に搭乗したハクアが登場。(50秒間)
ハクアの攻撃力100%の攻撃を扇情広範囲に与え、ゴースト11は15秒ごとに攻撃範囲で1番HPが高い敵へ攻撃力の50%のグレネードを20発連射。このグレネードは小さい円形の範囲当たり判定を持つ。




イオリ
ブルーアカイブの顔役の1人。とても可愛い。
親しい友人をちゃん付けで呼ぶなど、内面も可愛らしい。
この世界ではハクアと幼馴染みで、イオリにとってハクアは友人よりも手のかかる妹ような存在になっている。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話:ヌカ・ミスティック

Falloutドラマ化記念に初投稿です(RTA走者並感


 

 ゲヘナ学園では―――いや、キヴォトスでは銃器や銃弾の流通が盛んで入手が大変お手軽なのである。

 

 コンビニやホームセンターには各種口径の銃弾やマガジンがファンシーなパッケージに入って棚に並んでいるし、店頭に並んでいる種類こそ少ないものの雨傘くらいの気軽さでハンドガンやアサルトライフルだって販売している。

 

「つまりジャンク品やスクラップパーツから銃器を作れる自分(ハクア)が、銃器を販売して生計を立てるには大変不便な世の中なのである……!」

 

 ……不良品の粗製銃器(サタデーナイトスペシャル)が大量流通していたロスサントスでは、信頼性の高い銃器を求めるお得意様が多かったので寂しい限りである。

 

―――

 

 

 リサイクル研究会の直営ショップ。自分の住居や工房のある建物の一角。

 駅にあるキヨスクサイズの出店で自作の銃器や銃弾を展示販売しているものの、一般客は笑えるくらい来ないのだ。

 

「わかってはいるのだ、実用的ではあるがデザインが『かわいくない』というのは」

 

 自分が作れる武器は複数系統あるのだが。

 ウェイストランド(核戦争で文明が崩壊したFallout世界)系の武器は性能も良いし、弾薬は「ライフルでも拳銃でも、とりあえず口径が合っていれば撃てる」という利便性の高さもある。

 その上に泥水を被ろうが水没しようが、数回空撃ちして機関部の水や泥を払えば暴発の危険も無く動作する、抜群の信頼性なのである。

 反面、どれもデザインが大変古くさい。戦前米軍制式型のアサルトライフルなんて、丸みを帯びた太い筒みたいな代物である。

 ストレートに言うと信頼性と反比例して”クソダサイ“のである。

 

 ロスサントス(治安と倫理観がロアナプラ以下)やタルコフ市(生存者が物資を求めて奪い合う修羅の巷)系の武器は、ウェイストランド系に比べればスタイリッシュなデザインをしている。

 そして何よりもオプションパーツの充実っぷりが1番の売りなのである。

 拳銃に拡張バレルをつけて、ドットサイトとドラムマガジンにフォアグリップと折りたたみ式の拡張ストックをつけて元の拳銃の3倍くらいのサイズにできる魔改造だってできる。

 

 しかしだ、銃器につけるオプションパーツが増えるほどゴテゴテとした見た目になっていく。

 男の子なら心がくすぐられるかもしれないが、キヴォトスの学生は女子ばかりだからか、銃器を実用品として性能を求める一部の層(ゲヘナの風紀委員)くらいしか需要が無い。

 我が輩はガンスミスとして一流を自負しているが、色つき強化ポリマー製のビーズとか使って「イイ感じにイケている風にデコってよ」とか、ゆるふわな注文されても、困るのである!

 

 なので、直営ショップはカウンターにベルを置いて『お会計の際はベルを鳴らして下さい』と看板をおいて放置しているのである。

 

「今日も商品を買う客が1人もいなかったである。無駄な重量になるの承知で、原色や蛍光色の合成樹脂カバーでもつけて売るであるか……レイダーのクソダサスカル装飾や、金メッキ・銀メッキ系だと思えば。うぐぐぐ!」

 

 リサイクル研究会・直営ショップ『実用一本』、閑古鳥の団体様に長逗留されつつも好評営業中なのである!

 

 

―――

 

 

 さて、今世の世界には「神秘」という不思議(ファンタジー)な要素がある。

 意識の覚醒と同時に頭上へ展開されるヘイローと、ヘイローがある限り異常な運動性や耐久性を見せる女生徒の時点で不思議ではあるが。

 

 自分(ハクア)は自宅・店・研究会の敷地内(ワークショップ範囲)なら、物質を素材への分解・工具などを使用して素材から完成品への組み立てが出来る。

 そこで、フリーマーケットやブラックマーケットで買い集めた「神秘」を含む物質(初級・中級品質オーパーツ)を解体してみたのだ。

 

 

 

「……できてしまったであるな」

 

 工房のテーブルの上にあるのは『ジャンク品:神秘/数量243』という、ガラス瓶に入った、青白い光を放つ液体金属。そのガラス瓶がどさぁ……と山になっている。

 

「不思議な物品(オーパーツ)から抽出できてしまったが、これ簡単に抽出できたらまずい代物なのではなかろうか?」

(※露見したらゲマトリア、特に黒服とベアおばがダッシュして確保しにきます)

 

「……厄いっぽいので、実験で消費してしまうである」

 

 工房の一角にあるケミカルステーション(科学薬品加工台)、ベタな科学実験か錬金術士のラボっぽい器具が並んだ加工台へと移動する。

 

「コンビニで買ってきたミネラルウォーターを500ミリ、そこに神秘を50単位、核物質を200単位、砂糖を10ケース、酸を20単位、これで煮詰めると」

 

 大きなフラスコに素材を入れて火をつけつつ攪拌(かき混ぜ)。

 実験と言っているが、フィーリングでやっているのである。

 ちょっと食用に耐えられ成そうな代物でも、核物質か酸と混ぜれば何とかなるのである(ウェイストランダーの経験談)、実際に酸性洗剤と砂糖を混ぜたらレモネードが作れたのだ(※ゲーム内で実際にあるレシピです)。

 神秘とやらも核物質と酸と混ぜればイケルイケル。

 

 

「ううむ、ビーカーの中にある液体が神々しい感じの光を放っているであるな……」

 

 煮詰めたら太陽光のような光を放ち始めたのである。

 ユリのような香りとリンゴーンリンゴーンと鐘のような音まで、ビーカーの中から聞こえている。

 実にファンタジーである。

 

 

「そこで砂糖を10ケース追加して、飲みかけのコーラを混ぜるである」

 

 神々しい何かを穢すがごとく、ビーカーへ砂糖をドバドバと追加し、近所にあるエンジェル24で買ってきた飲みかけのコーラをドボドボと入れる。

 

「安定してきたのを瓶に詰めれば完成である!」

 

 クラフト結果→『ヌカ・コーラ・エルダーミスティック』×1

 

「さて、効能は……と。色合いは今更であるな」

 ステンドグラスのように何色もの細やかな色彩へ変化する、神秘的なゲーミングコーラが詰まった瓶を左腕についた古めかしい機械でスキャンする。

 

『ヌカ・コーラ・エルダーミスティック HP70%回復・RAD+350・コスト回復15・神秘+50・重度被爆により内臓損傷の可能性大』

 

「神秘が50増える。どんな単位でどう増えるか謎であるな……そしてVaultボーイ的には放射線物質が含まれたコーラはヌカ・コーラに判定するのであるか」

 

「せっかくだから飲んでみるである」

 

 キュポン!と音を立てて瓶を密封していた王冠を外し、ゴクゴクゴクと一気に中身を飲み干す。

「……普通に美味すぎるだけのコーラであるな」

 RAD+350(HPの上限が35%削れる)は体にだるさを感じるので、放射性物質を抜く薬品を静脈に2本まとめて撃っておく。

 

「ううむ。身体能力に若干バフが入っているような……?」

 

『ハクア ☆1 神名解放 0/30→ ☆2 20/80』

 

―――

 

以下2話おまけ

 

 

銀魚(しらうお)ハクア

学園:ゲヘナ学園2年生  所属:リサイクル研究会

年齢:16歳  誕生日:2/16

身長:130cm  趣味:ジャンク品収集・ミネラルウォーター飲み比べ

容姿:整った人形のような幼女  雰囲気:ゆるふわ

髪色・髪型:銀髪のストレートロング 目:ぱっちりと大きい明るい翠色の瞳

 

好きなもの(表):イオリ(親友的な意味で)・真面目な生徒・そのお手伝い

好きなもの(裏):イオリ(性欲的な意味で)・女の子全般・酒池肉林・真面目な子を堕落させる事

 

 

 大きな古めかしいロボットのような乗り物で、リサイクル回収業をしている外見幼女

 いくつもの世界を体験してきた転生者でもあり、大本の性別は男であるが、TS慣れしすぎて女性との振るまいも(性欲の対象が女性のままである事を除けば)ほぼ完璧である

 キヴォトスの各地に出没し、仕事が少ない時は所有者が消えた廃ビルを解体して更地にしていく事もある、ギリギリ不良やテロリスト扱いではない問題児

 

 「~である」「我が輩」など特徴的な口調だが、本気で口説く時と本気の戦闘をキメる時は、もっと若々しい口調になる。

 

 

 

『ヌカ・コーラ・エルダーミスティック』

 ハクアが作製するコーラの一種。

 戦闘時:飲むとHPが最大値の70%回復するが、同時にHPの上限が35%低下(この効果は累積する)し、即時にコストが15回復する。

 非戦闘時:使用したキャラクターの神名文字が50増加する。

 なおRAD(放射線)耐性がないキャラクターはこの飲み物を飲んだ後、適切な治療が必須。

 また飲んだ後にお花摘みに行くと、聖水(意味深)が万華鏡みたいな色に変化する。

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。