東方厨二青年記 (ka-主)
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零話

どうも皆さん!ka-主です。
今回より東方二次創作を執筆します!
投稿頻度は……あまり期待しないで下さい。ですが精一杯書かせていただきます!
それでは……どうぞ!


ーーーー誰からも認識されなくなったもの達が集う世界、【幻想郷】。人間、妖怪、魔法使いや吸血鬼、妖精らが住むこの世界に、1人の青年が幻想入りを果たしたのだった……。

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(???)「ここは……何処だ?さっき迄いた場所と全然違う景色だ……」

 

 

辺りを見渡しながら、青年はそう呟いた。身なりはボロボロで傷だらけ。どうやらこの世界に来る前までは、誰かしらと戦闘していたのか、或いはーーーー

 

 

(???)「魔理沙!いい加減観念して捕まりなさい!!」

 

(魔理沙)「へっ!やだぜ!物借りただけなんだぜ!」

 

(???)「またそうやって貴女は図書室で物を勝手に拝借して!今回ばかりは許さないのだから!」

 

(???)「……?女の人の声?それもかなり近い……誰なんdーーー」

 

(魔理沙)「えーいっ!いい加減諦めるんだぜ!

恋符『マスタースパーク』!!」

 

(???)「どわあああああああああああぁぁぁーーーー……ッ!!??」

 

 

誰が居るのか……確認する前に、後ろの上空から放たれたであろう謎のビームを青年はまともに食らったのだった。

 

 

(???)「ちょっと魔理沙!何見知らぬ人を巻き込んでるのよ!丸焦げじゃない!?」

 

(魔理沙)「やっちまったぜ……。なぁ咲夜?コイツ死んでない……よな?」

 

 

丸焦げになって倒れてしまった青年の元に、銀髪でメイド姿の少女と、黒の魔法帽子を被った金髪の少女が駆け寄ってきた。しかし金髪の少女……魔理沙の顔は不可抗力にせよ自分が放ったマスタースパークが青年に当たって丸焦げになってる様を見て、青ざめていた。

 

 

(咲夜)「一応……息はしてるけど、弱々しいわね。魔理沙?貴女彼を連れて永遠亭まで運んで頂戴?私は……近くに香霖堂があったはずだから霖之助さんに訳を伝えてくるから」

 

(魔理沙)「分かったぜ……」

 

 

かくして……青年の幻想郷入り初日は、とんだとばっちりと治療から幕を開けたのだった……。

 

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〜???side〜

 

 

(???)「……こ、ここは?」

 

 

目が覚めた俺は……布団から身体を起こして辺りを見渡した。見た感じ何処かの家の和室……なのだろうか?

閉ざされた障子扉に、畳……和風建築なのだろうか?

 

 

(???)「て言うか……身体のいたる所が痛い。一体俺に何が……」

 

(???)「あら?目が覚めたようね?」

 

(???)「うわあぁぁぁぁぁぁァ……ッ!?」

 

 

何故此処に居るのか、何故こんなにも身体が痛いのか……そんな事を考えてる最中、なんの前触れなく右側の襖扉が開き、赤と青で綺麗に区切られた医服の様なものをきた女の人が現れて、俺は変な大声を上げてしまった。

 

 

(???)「人の顔みてイキナリ大声上げて……失礼ね?私をなんだと思ってたのかしら?」

 

(???)「す、すみません……なんでそう思ったのかは分からないのですが……また出会い頭変なビームか何か打たれるんじゃないかって思いまして……」

 

 

そう答えた俺に対して、女の人は「そう……」と少しため息混じりでそう答えた。

それよりも……俺はこの人に色々と聞かなきゃいけない。そう思って俺は彼女に尋ねた。

 

 

(???)「あの……此処は一体何処なんですか?そして俺は何故ここで寝てたんですか?色々と分からないことだらけで……」

 

(永琳)「まぁ落ち着いて?まずは自己紹介から……私の名前は八意永琳。この世界は幻想郷と言って……此処は永遠亭とよばれてる……診療所みたいな場所よ。そして貴方は1ヶ月前(・・・・)に魔理沙と言う女の子からマスパを食らって、全身火傷の大怪我の状態で此処へ運ばれたのよ。覚えて……ないかしら?」

 

(???)「……ごめんなさい、覚えてないです」

 

 

永琳と名乗った女の人にそう尋ねられた俺は、頭の中でそれらしき出来事を思い出そうと試みたものの……残念ながら思い出せなかった。

てか俺……1ヶ月も気を失ったままだったのか。

 

 

(永琳)「謝る必要は無いわ。あと、貴方の着ていた服や荷物……殆どが焦げてしまったものばかりで、霖之助さんと言う人に修理修繕、仕立てをしてもらってる所よ」

 

(???)「そうだったんですね……」

 

 

道理で身につけてる服が白い布で出来た衣服だったのか。

そんな事を思っていたら、永琳さんからとある話を持ちかけられた。

 

 

(永琳)「結論から言うと、怪我の方はあと1週間弱で完治するわ。その内2、3日は絶対安静。医療費等は請求しないけれど……退院後の話で、貴方に相談があるの……」

 

(???)「何でしょうか?」

 

(永琳)「貴方を治療するのに、物凄く特殊な薬を使ったの。その薬はある意味で試作なもので、複製が出来ない代物なの」

 

(???)「……え?もしかして俺に多額の借金を背負わせるって事ですか?」

 

(永琳)「そんなんじゃないわ。言ったでしょ?医療費等は請求しないって。その代わりとして、貴方にはその薬の実験体となって欲しいの。それが医療費諸々払わない代わりの条件みたいなものよ」

 

 

さっきから何か危なっかしいワードが永琳さんの口から出てるのだが……要は俺に使用した薬の効果諸々を確かめるための被検体モルモットになれとの事らしい。

普通の人なら、そんな話飲むものじゃないと思う。否飲まない。

しかし、俺は……別だ。

 

 

(???)「分かりました。治療して下さった上に、俺が目を覚ますまでの1ヶ月お世話になったわけですので……そのお返しとしてなら」

 

(永琳)「あら?やけにすんなりと承諾するのね?まぁ貴方の場合はそう言った理由があるから仕方ないのかもしれないわね……所で、貴方の名前を聞いていなかったわね?なんと言う名前かしら?」

 

 

そう。俺はここで治療してもらった上に1ヶ月間面倒まで見てもらったと言う御恩がある。それを返すと言う理由で俺は永琳さんの話を承諾した。

そして、永琳さんから、名前は?と聞かれた為、自分の自己紹介をしよう……とした時だった。

 

 

(???)「……………………ッ!?」

 

(永琳)「どうかしたの?」

 

(???)「名前(・・)が……分からない……!?」

 

 

そう……分からなかった。いや、分からなきゃいけないはずだ。まず産まれたら人は親から名前を貰う。もらったハズなのに……

 

 

(永琳)「あら……記憶喪失ね……なら、何か呼んで欲しい名前とかある?」

 

(???)「そう……ですね……」

 

 

俺は頭の中で必死になって考えた……否、考えようとした。

必死に考える必要が無かったのは、そう名乗るべき名前(・・・・・・・・・)が直ぐにイメージできたからだ。

 

 

(カグラ)「カグラ……そう、呼んで下さい」

 

(永琳)「カグラ……ふふっ、いい名前ね?改めてカグラ?あと1週間余りだけれども、宜しくね?改めてようこそ幻想郷へ。そして……永遠亭にて、ゆっくりしていってね?」

 

(カグラ)「はい。こちらこそ宜しく御願いします、永琳さん」

 

 

こうして……療養中ではあるが、カグラの幻想郷での日常が、幕を開けたのだった……。

 

 

 

〜END〜

 




如何でしたか?作中にでてきた主人公のカグラ君……おや?何処かで聞き覚えのある名前……はてさて、何処でしょうね?それら踏まえていつかプロフィールを上げたいと思いますので、お待ち下さい!
感想、高評価等お待ちしております!
それではまた次回お会いしましょう!


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一話

どうも皆さん!ka-主です。
今回は色んなキャラが登場します。その中に……メインヒロインたるキャラも登場するかも……?
それでは、どうぞ!


幻想入を果たした青年神楽。とばっちりを受けて絶賛療養中の彼の元に、来訪者が現れるのだった……。

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(霖之助)「初めまして、僕の名前は森近霖之助だ。怪我の方は大丈夫かい?」

 

(カグラ)「はい。怪我の方はご覧の通りほぼ完治してます。自分の方はカグラと言います」

 

(霖之助)「カグラ君だね?あの時は魔理沙が迷惑をかけた。その際にボロボロになった君の衣類と、荷物を届けに来たよ」

 

(カグラ)「ありがとうございます」

 

 

俺の元にやって来たのは森近霖之助と言う男の人と魔理沙だった。聞くところによると、霖之助さんは妖怪と人間のハーフらしく……『あらゆる物の用途が分かる程度の能力』を持ってるらしく、それに従いあの時ボロボロになった衣類と荷物を修繕及び仕立ててくれたのが彼だ。

そして霖之助さんの隣にいるのが霧雨魔理沙。白と黒のワンピースに、黒の魔女帽子を被った黄色のロングヘアーの彼女が、どうやら今回俺にマスタースパークを放ち、火傷を負わせた人物らしい。

 

 

(魔理沙)「あの時は……ホントに済まなかったんだぜ。もしかして人を殺めたんじゃないかって、ずっと心配だったんだぜ」

 

(神楽)「ああ、あの時のはもう気にしてませんよ?それに不可抗力なのだから、仕方の無いことですので」

 

(霖之助)「彼女はそう言ってるが……もし、体調とかに何か異変を感じたらすぐ知らせてくれ。念の為に君の荷物にあったスマホに、僕と魔理沙の連絡先を追加しておいた。後のデータは……残念ながら復元出来なかった」

 

(カグラ)「そうなんですね……まぁ、それに関しても仕方の無いことだと思いますので、どうか気に病まないで下さい」

 

 

ああは言ったものの、正直データが復元、もしくは残ってたら、自分の失った記憶の手がかりになると思ってたから、少し残念だなと思った。

 

 

(霖之助)「後、僕の事はこーりんと呼んでくれても構わない。魔理沙や一部の人からもそう呼ばれてるからね」

 

(カグラ)「分かりました。こーりんさん」

 

(霖之助)「うん。時に……君の荷物を修繕してる中で、この2つだけ、全く持って綺麗なままだったんだ」

 

(カグラ)「2つ……?」

 

 

こーりんさんにそう言われ、そう尋ねた俺に、こーりんさんはその綺麗だった2つの物を俺に手渡した。1つは指輪で、真ん中に青空色の綺麗な石が恰も一等星を型どったような枠に囲われてはめ込まれている。もう1つは盾の型をした銀色のブローチで、内側に指輪と同じ感じの一等星の絵と、『SATELLITE』が刻まれ描かれていた。

 

 

(霖之助)「そのブローチをみて思ったんだが……君はこの世界に来る前、警察か何かの特殊部隊だったんじゃないか?確かアメリカ警察の特殊部隊で似たような名前の部隊がいたと思ったんだけど……」

 

(カグラ)「ごめんなさい……記憶喪失なもので……。しかしーーーー」

 

 

俺はそう言いながら、指輪をはめ込んだ。キツいと言う感じもなく、寧ろ完全にフィットしている。指輪は間違いなく俺の荷物だ。あとはブローチのほうだが……

 

 

(カグラ)「指輪は間違いなく自分のものですね。ブローチの方は……用途とかは分かってたりしますか?」

 

(霖之助)「用途だね?そのブローチの用途は詳しくは分からなかった。但し、『使命を果たせ』……それしか分かってない」

 

(カグラ)「使命を果たせ……か」

 

 

こーりんさんに、そう言われた俺は、ブローチを手に取りながらそう呟いた。分かってはいたが、手に取るだけじゃ何も分からなかった。試しに今来ている服の上ポケットに取り付けてみる。結果は殆ど変わらなかったが……こーりんさんの言う通り、俺に何か使命が……役割的なものが有るのでは?と思わずには居られなかった。

ブローチは、恐らく身につけてないと何も分からないんだなと、俺は思った。

 

 

(霖之助)「うん、なぜかは知らないが……そのブローチを付けてる君の姿に違和感を感じない辺り、それも君のなんだろうね……と。僕らはこれで用は済んだから失礼すね?他の荷物等で分からないことがあったら、『香霖堂』と言う店に僕はいるから、そこに尋ねるといい」

 

(カグラ)「そうさせて貰います」

 

(霖之助)「それじゃあ失礼するよ永琳。魔理沙……行くよ?」

 

(魔理沙)「お大事になんだぜ、カグラ」

 

(永琳)「2人ともわざわざご苦労さま。それと魔理沙?貴方も今回の件に関しては慰謝料とかは請求しないから安心なさい?」

 

(魔理沙)「そうなのかだぜ?安心したんだぜ」

 

 

永琳さんがそう言うと、魔理沙はホッとした表情で永琳にお辞儀をした。

大方……俺を怪我させた責任として、何か償おうとばかり考えていたんだろう。

そんなこんなで、魔理沙とこーりんさんは永遠亭を後にしたのだった……。

 

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(???)「失礼します」

 

 

あの後……こーりんさんから貰った服に着替えて、修繕された荷物の云々を物色していた。そんな中……通路側の襖の奥から、女の子の声が聞こえてきた。

誰が来たのか確かめるというのもあり、俺は「どうぞ」と言って、入室を促した。

入ってきた子は、ウサギの耳を生やしており、ピンク色の髪を伸ばした女の子だった。

永琳さんが……ここ幻想郷は、妖怪や妖精とかもいるって言ってたから、こう言う子も居て可笑しくないか。俺はそう思った。

 

 

(鈴仙)「初めまして。鈴仙・優曇華院・イナバと言います。身体の具合とかはどうですか?」

 

(カグラ)「鈴仙さんですね。一応傷の方はもう大丈夫です。あの薬のお陰なのでしょうか……?起きた時に感じた全身の痛みも、きれいさっぱり無くなってましたし、何なら、すぐにでも外で訛った身体を動かしたいものです」

 

 

「最も、まだ安静にしてろと言われてるので無理ですが……」と俺は鈴仙さんにそう答えた。それに対して鈴仙さんは、ニッコリと微笑んで、「ちゃんと安静にしてて下さいね?」と言った。まあ安静に関しては今日までだし、特に言われた事を守らないほど身勝手じゃない……て俺は思ってるから、そこに関しては問題ない。

 

 

(鈴仙)「特に異常はないようですね?なら私はこれにて失礼します。今日まで安静ですので、頑張って療養に励んで下さいね?」

 

(カグラ)「そうします。わざわざご苦労さまです、鈴仙さん」

 

 

俺がそう言うと、またもや鈴仙さんはニッコリと微笑んで、「失礼しました」そう言って部屋から出ていったのだって……。

 

 

(カグラ)「鈴仙さんか……とても大人しくて優しそうな人……に見えたな」

 

 

俺はそうつぶやいて、少し昼寝をするべく……布団に入ったのだった。

しかし遠くの方からずって〜んと言う音が聞こえて、「何事!?」と思い様子を見に行きたかったが……安静の事を思い出して、気になりながらも再び眠りに着くのだった。

 

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場所が変わりーーーー『紅魔館』。

 

 

紅魔館……そこは、霧の湖と呼ばれる文字通り常に霧が立ち込めている湖の奥地にそびえ立つ紅い館。

そこにはヴァンパイアの一族であり、その館の主である彼女『レミリア・スカーレット』初めとした彼女に仕える従者や、魔女が住んでいるのだった。

 

 

(咲夜)「今回も、パチュリー様の喘息の往診お疲れ様でした、永琳様」

 

(永琳)「それが医者である私の仕事だもの。図書館の魔女さんには、引き続き喘息用の薬を飲むようにと伝えて頂戴?」

 

(咲夜)「はい。承りました」

 

 

紅魔館でメイド長を務めている彼女『十六夜咲夜』が、パチュリーと呼ばれた魔女の喘息の往診で紅魔館に尋ねてきた永琳に、診断してくれた御礼として少なからずの食料を渡してそう答えていた。

 

 

(永琳)「ふふっ、最近何時も済まないわね?彼……カグラ君の容態は良好よ?あと2、3日位したら退院出来るわ。気になるのだったら……見に来るといいわ」

 

(咲夜)「恐れ入ります。ではその時が来ましたら……お嬢様を連れて、其方に伺いますね?」

 

 

彼女がにこやかでそう言って、それに対して永琳もまたにこやかな笑顔で、「待っているわ」とそう答えた。

 

 

(永琳)「時に……咲夜?レミリアに伝えて頂戴?例の件は……彼の意志次第だから、強要は出来ないって。どのような結果になっても、お咎めは無しよ……って」

 

(咲夜)「承知致しました……主に後ほど、そうお伝え致します」

 

 

そう答えた彼女を見て、永琳は今度こそ帰路に着いたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(咲夜)「永琳様のお見送りをして参りました、お嬢様」

 

(レミリア)「ご苦労咲夜。にして、彼女はなんと言っていたの?」

 

 

紅魔館のとある一室にて、咲夜と1人のヴァンパイアの女の子が会話をしていた。彼女こそ、先程述べた紅魔館の当主のヴァンパイア『レミリア・スカーレット』その人だ。

 

 

(咲夜)「はい。永琳様曰く、例の件の承諾は彼……カグラさんの意志次第との事で、それに関してのお咎めは受けないとの事です」

 

(レミリア)「そう……まあ、『運命』は既に見えてるわ。私が求めてる結果に……必然的になるでしょうね。なら今は、彼……カグラと言ったかしら?カグラが退院するその時まで……ゆっくり過ごそうじゃない?」

 

(咲夜)「かしこまりました……」

 

 

咲夜はそう言った後、「下がって良いわ」とレミリアに言わ、咲夜は部屋から退出した。

 

 

〜咲夜side〜

 

 

(咲夜)(まさか……こうも事が上手く運ぶとは思いませんでしたね……)

 

部屋を出て、長い廊下を1人歩きながら私は心の中でそう呟いた。

 

 

(咲夜)「しかし……そう思えば思うほど、自分の事とはいえ、罪悪感を感じるものだわ……」

 

 

そう呟いた私は、足を止めてスっと目を閉じた。

 

ーーーー彼が目を覚ましたと聞いて、あの場にいた当事者として永遠亭へ足を運んで彼を見た瞬間、悟った。

 

ーーーーその後の行動は素早いものだった。それを差し引いても、今思い返せばお嬢様に話した提案、元い私の我儘はする物じゃなかったと思う自分もいた。

 

 

(レミリア)『幻想入りをした青年を、紅魔館へ迎えるわよ』

 

 

しかし、お嬢様はそうは思っていなかった。お嬢様は『運命』が見える。だから……きっと、私の事情を汲み取るべくそう仰ったに違いない。

 

 

(咲夜)「なら……その御恩に、答えないといけない。そうですよね?お嬢様?」

 

 

そう呟いた私は、そっと目をあけて、彼が居るであろう方角を見て、ほくそ笑んだ。

 

 

(咲夜)「待っていて下さいね?カグラさん。私が貴方の面倒を……一人の女性(・・・・・)として、見させて頂きますわ」

 

 

そう静かに……『その時は必ずくる』と信じながら、再び私は廊下を歩き、買い出しの準備をしたのだった……。

 

 

 

〜END〜

 




如何でしたか?
カグラ君の退院まで、あと少し。そして紅魔館の当主とメイドは、その時を楽しみにしているそうです。
次回へ続きます!
感想、高評価等お待ちしております!


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二話

どうも皆さん、ka-主です。本作品に関して、弾幕勝負やシリアス回以外の累計文字数……5000字以内か、以上……どちらがいいですか?アンケートを後ほど作りますので、御協力お願いしますm(_ _)m
それでは……どうぞ!


カグラが幻想入を果たして、早くも1ヶ月と1週間が経とうとしていた。カグラの容態も安定し、リハビリをそつ無くこなす迄に回復したある日……永琳にとある話を持ちかけられたのだった……。

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(永琳)「今日もリハビリお疲れ様、カグラ」

 

(カグラ)「はぁ…、はぁ……。相当身体が訛ってるのは認めざるを得ないのですが……、それを差し引いても、鈴仙さんの組手の相手はキツいですね……」

 

 

絶対安静の期間が過ぎて……訛りに訛った身体をどうにかすべく、俺は永琳さんにリハビリの話をすぐさま持ち出した。そこまではよかったのだが……

 

 

(カグラ)「『弾幕勝負』の受け役は聞いてなかったですよ……今の所まだ(・・)ギリギリ当たってないからいいんですけどね?あれが当たってたら治った傷が悪化するじゃないですか!」

 

(永琳)「それでも被弾してないだけいいじゃない♪貴方の基礎的な運動神経までは訛ってなかった証拠なのだから」

 

(カグラ)「もしかして……例の薬の効果ですか?」

 

 

そう……あろう事か永琳さんは、鈴仙さんの組手の相手だけでなく、弾幕勝負の相手……元い的役を命じて来たのだ。

組手と弾幕勝負の相手の間のインターバルはあるにせよ……弾幕勝負についてまだ分からない事だらけの俺にとって、控えめに死ぬ様なリハビリ内容だ。

因みに……弾幕勝負。元い『スペルカードバトル』のルール的なものは大まかにこんな感じだ。

 

 

一つ・幻想郷内で揉め事や争い事以外でそれを行ってはいけない。

 

一つ・何れかの指定枚数の『スペルカード』の攻略、又は何れかの残機がゼロになった時点で勝敗が決する。

 

一つ・スペルカードは美しく無ければならない。

 

 

まぁこんなかんじだ。『ボム』とかもあるらしいが……それに関しては、今はまだ覚える必要はないかな?

 

 

(永琳)「そうね……効果諸々はある程度分かってるから、貴方にちゃんと話して置くわね」

 

(カグラ)「はい」

 

 

閑話休題。俺の質問に対して、永琳さんが頷きながら、俺に使用した例の薬の効果諸々を教えてくれた。

 

 

(永琳)「一言で言えば……『超回復』の様な物ね。自分の受けた傷などを、呼吸を持ってして細胞を超活性させて、傷を癒すの。細胞の超活性と言うから骨格に関する傷は治らない……と思うだろうけど、呼吸さえしていれば、骨折ですら治り始めるわ。更に、治った細胞は超活性によって、より強固な細胞となるから、ガン等の感染症にもならなくなるわ」

 

(カグラ)「凄い……ですね。でも、そんな凄い効果なら……デメリットがある筈なのですが……」

 

 

俺が使われた薬の効果が凄い事はわかった。だから俺は、今後のことも考えて、そのデメリット足るものを永琳さんに聞くことにした。そして永琳さんは、またもや頷いて、説明してくれた。

 

 

(カグラ)「…………なるほど。理解しました」

 

(永琳)「あら?結構落ち着いてるのね?」

 

(カグラ)「今更……というか、予想は粗方してたので……ただ、現段階で対処法に目処がたってないので、少し焦ってるのは事実です」

 

(永琳)「なるほどね……そう言うことを言うと思って、明日で晴れて退院する貴方に、イイコトをしてあげようと思うの」

 

(カグラ)「イイコト……?」

 

 

その単語を聞いて……俺は少し身構えた。何を隠そう永琳さんは……俺が安静になったことを良いことに、俺とすれ違った際に、俺の方を脱臼させたりする始末だ。これも薬の効果を確かめるべくやってるのだろうが……勘弁して欲しい。

 

 

(永琳)「そんなに身構えなくていいわ。整体をするだけだから」

 

 

……ほっ、整体か。なら、大丈夫だろう。そう思った俺は永琳さんの整体を受ける事にした。

 

 

(永琳)「ふふ、素直でよろしいこと。なら……服を脱いで、仰向けになって頂戴?」

 

(カグラ)「わかりました」

 

 

そう言って、俺は服を脱いで下着姿となり、仰向けになった。

 

 

(永琳)「ーーーーッ!?……いい身体をしてるわね。それじゃあ……初めてくわよ♡」

 

(カグラ)「はい、よろしくお願いsーーーー」

 

 

俺は永琳さんに、そう返事をしかけた瞬間ーーーー

 

 

……ゴキャッ!ゴキっ、グキっ!グリャッ!ゴキっ、グキっ!ゴキゴキッ!ゴキャッ!ゴキっ、グキっ!グリャッ!ゴキっ、グキっ!ゴキゴキッ!ゴキャッ!ゴキっ、グキっ!グリャッ!ゴキっ、グキっ!ゴキゴキッ!ゴキャッ!ゴキっ、グキっ!グリャッ!ゴキっ、グキっ!ゴキゴキッ!ゴキャッ!ゴキっ、グキっ!グリャッ!ゴキっ、グキっ!ゴキゴキッ!ゴキャッ!ゴキっ、グキっ!グリャッ!ゴキっ、グキっ!ゴキゴキッ!ゴキャッ!ゴキっ、グキっ!グリャッ!ゴキっ、グキっ!ゴキゴキーーーー

 

 

(カグラ)「ぎゃあああああああああぁあああああああああああぁぁぁ~~~~~~…………ッ!!??」

 

 

身体中から聞こえる鈍い音をBGMに……俺は永遠亭中に響き渡るくらいの悲鳴を上げたのだった……。

 

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(カグラ)「うぅ……」

 

 

永琳さんに整体という名の荒治療を受け暫く気を失ったて、俺は目を覚ました。

 

 

(鈴仙)「あ、カグラ君。目が覚めましたね?」

 

(カグラ)「鈴仙さん?あれ?永琳さんは?」

 

 

辺りを見渡すが……さっきまで居たはずの永琳さんが居なかった。その代わり、鈴仙さんが俺の隣に居た。

 

 

(鈴仙)「師匠は今し方往診に行ったよ?それよりも……身体の具合はどぉ?ものすごい悲鳴が聞こえたからここに来たら師匠が「整体したら気を失って……往診に行ってくるから彼をお願い」って」

 

(カグラ)「なるほど……気だるさとかはないかな?むしろ整体という名の荒治療されてから凄いピンピンしてるって言うか……」

 

 

そう……身体の至る骨という名の骨を粉々に砕かれ、更に臓器までもクラッシュして……恐らくその粉々になった骨や臓器を再度元通りにしたのだろう。それをされたと言うのに気だるさどころか、痛みすら感じていなかった事に対して、俺はさっき迄違和感を覚えていた。

 

 

(鈴仙)「うん、多分だけど薬の効果と師匠の整体のおかげじゃないかな?クラッシュ&ビルドって言って……細胞組織や骨格に負荷をあえて与えて、それを修復する事で以前よりも強固な身体に仕上げる……師匠の十八番なんだ♪それに、カグラ君に投与した薬の効果も掛け合わせて、今までよりも頑丈になったんじゃないかな?って私は思うよ!」

 

 

「曰く、よくこんなボロボロの身体で生活してたわね」と言う永琳さんからの伝言を鈴仙さんから言われて、俺は苦笑いした。

 

 

(カグラ)「後で永琳さんに礼を言わないとだね……これで晴れて退院できるんだし」

 

(鈴仙)「……そうだね!ねぇねぇ、カグラ君が良ければさ、退院後も此処に居ない?カグラ君との組手や弾幕勝負の相手……結構楽しいし♪」

 

(カグラ)「うん。そうしたい……けど、永琳さんにその話をしたら、「まだその返事は退院の時まで取っておいて」って言ってたから……」

 

(鈴仙)「そっか……まぁカグラ君のしたいようにすれば良いと思うよ!強制は良くないからね……」

 

 

俺がそう答えると……鈴仙さんは、何処と無く暗い表情でそう答えた。

 

(鈴仙)(カグラ君がそう言うって事は……来ないだレミリアさんや咲夜さんが此処に来たのと何か関係があるのかな……?出来れば、カグラ君とズット居たいんだけどな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜永琳side〜

 

 

(永琳)「はい、身体の方は大丈夫そうですね。引き続き薬の方も欠かさず飲んでくださいね?」

 

「ありがとうございます、永琳様」

 

 

カグラの整体をした後……往診の時間が来たので、私はうどんげに任せて、人里へ往診をしに行った。

そしてたった今、往診が終わり帰路に着いてる所だ。

 

 

(永琳)「それにしても……彼の身体の構造、非常に興味深いわね……」

 

 

彼の整体をしてる最中、私はそんな事を思っていた。

一見見た感じ、他の人間とは対して変わらない身体の構造だった。強いていうなら……外の世界で余程鍛錬を積んだのだろう。他の人間よりも強固な身体付きをしていた。

だけど……他の人間とは違う所があった。

 

(永琳)(目には見えなかったけれど……血管と同じ原理で何かが彼の身体中巡っていたそれにーーーー)

 

私は彼の身体の構造と同じ位、気になった点があったのを思い出し、歩めていた歩を止めた。

 

(永琳)(彼の身体中に切り傷や銃弾の跡……治療したから余り気にならなかったけど……恐らく外の世界で戦闘か何かあったと思うのが妥当ね。それを差し置いてもーーーー)

 

(永琳)「彼の背中のアレ……銃弾の跡かと思って治療してもな治らなかった。あの薬を持ってしてもだ。あの跡は一体……?それに、あの跡……星座のりゅう座と瓜二つ。偶然付けられた物とは思えない」

 

(永琳)(彼は……一体何者なのかしら……?)

 

 

考えれば考える程、謎を呼ぶ。キリがないと思った私は、再度歩を進めたのだった……。

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 




如何でしたか?
次回、遂にカグラ君が退院します。永琳が言ってた返事は待てとは……?お楽しみに!
感想、高評価等お待ちしております!
それではまた次回お会いしましょう!
P.S:前書きにも記しましたが、アンケートの御協力、お願いしますm(_ _)m


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三話

どうも皆さん!ka-主です。
アンケートの方……いい感じに偏ったら締め切りたいと思います!それまではいい感じの所で更新する方針で物語を進めていきたいと思います!
そして今回オリキャラが登場します!
それでは……どうぞ!


永遠亭で療養生活を送っているカグラ。鈴仙からのリハビリという名の弾幕勝負と組手の相手……永琳からの整体を受けーーーー退院の日を迎えたのだった。

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

(永琳)「……えぇ、薬の効果もちゃんと出てるし身体中何処も異常はないわね。カグラ、本日を持って、貴方は退院よ」

 

(カグラ)「ありがとうございます、永琳さん。そして、1ヶ月と1週間俺の世話を診て下さりありがとうございました」

 

 

退院当日……永琳さんから、最後の身体検査を行われて、退院のお墨付きを貰った俺は、そう返事をして永琳さんにお辞儀をした。

 

 

(永琳)「礼はいらないわ。病人、怪我人の面倒を見るのが私の仕事だもの。それより……改めて今日退院することになるのだけど……貴方に幾つかお願いがあるの」

 

(カグラ)「お願い……ですか?」

 

 

俺がそう聞き返すと、永琳さんは「えぇ」と言いながら頷いた。

大方……俺に投与した薬に関してだろうか?

 

 

(永琳)「お願いと言うのは、例の薬の『管理』に関してが1つ。あの薬の効き目はほぼ永遠に続くわ。但し……貴方に話したデメリットとは別の副作用があるの」

 

(カグラ)「副作用……?それは一体……」

 

(永琳)「かすり傷程度の治癒なら、その副作用が起こる可能性は無いのだけれど……万一腕を切り落とされた、とか福袋に風穴が開くような『重傷』を負った場合の治癒で、ごく稀に死んだ細胞によって出来た瘍みたいなものができるの。それを取り除かずに放って置くと、せっかくの薬の交換がそれによって阻害される恐れがあるから……これ」

 

 

副作用の説明を大方し終えた永琳さんが、懐からとある錠剤が入った入れ物を俺に渡してくれた。

 

 

(永琳)「その錠剤は、礼の薬の細胞分裂速度を安定させる効果があるの。来月から月1の頻度でそれを1錠飲みなさい。そうすれば薬の副作用を抑える為の細胞を、この錠剤が作ってくれるから」

 

(カグラ)「ありがとうございます……12錠。詰まり1年分という事ですね?」

 

(永琳)「そうよ。因みに……その錠剤は予備がないから、くれぐれも紛失だけはしない様に、大切に保管するのよ?」

 

(カグラ)「分かりました。それで……もう一つのお願いと言うのは?」

 

(永琳)「そうね……そのお願いをするのに……役者が足りないのよね……」

 

 

「役者?」そう言いながら俺は首を傾げた。

どうやら、もう1つのお願いは、俺と永琳さんだけでは解決しない事らしい。

誰なのだろう……と考えている最中、襖が開いて、鈴仙さんが入ってきた。

 

 

(鈴仙)「師匠。レミリアさん達がお越しになりました。此方にご案内しますか?」

 

(永琳)「あら……噂をすればね。ありがとううどんげ、此方に案内して頂戴」

 

(鈴仙)「分かりました」

 

 

そう言って鈴仙さんは、襖を閉めてどこかへ行ってしまった。

 

 

(カグラ)「あの永琳さん?レミリアさんって誰ですか?」

 

(永琳)「紅魔館と言う屋敷の当主を務めてるヴァンパイアよ。すぐに分かるわ」

 

 

ヴァンパイア?ヴァンパイアって……吸血鬼って言ったりする西洋の妖怪の事だよな?

そう思って俺は、庭の方を見た。今は昼時……だろうか?間違いでなければ、ヴァンパイアは明るい所が苦手のばす。

こんな時間帯にどうやって……

そう思っていたら、再度また襖が開いた。

 

(カグラ)(ーーーー!?指輪が……光った?)

 

中に入ってきたのは、3人(・・)の少女達。

そしてーーーー俺の指輪が、突然光出した。

 

 

(レミリア)「初めまして……と言うべね?紅魔館の当主レミリア・スカーレットよ」

 

(咲夜)「十六夜咲夜です。紅魔館で、メイド長を務めてるわ」

 

 

レミリアと名乗った彼女は、薄ピンク色の布に赤いリボンが装飾されているドレスを着ている。後ろにコウモリの翼がある当たり…彼女が永琳さんが言ってたヴァンパイアなのだろう。

もう1人の咲夜と名乗った彼女は青と白のメイド服を着ている。そして手に持っている黒い日傘を目にし、彼女がレミリアさんを日光から守ってここまで来たんだということを悟った。

そして……もう1人ーーーーと思い3人目の彼女の方へ視線を向けた瞬間、永琳さんが話始めた。

 

 

(永琳)「あら、久しぶりね紅愛(くれあ)ちゃん。身体の方はもう大丈夫そうね?」

 

(紅愛)「その説は、ありがとうございます八意様。そして……」

 

 

紅愛と呼ばれた彼女は、どうやら1度永遠亭にお世話になったらしい。黒のミニスカートに空色のカッターシャツ。カッターシャツの上に赤のベスト……極めつけにはその上に白衣を羽織っている。

そんな彼女が、俺の方を向いて……微笑みながら話し出した。

 

 

(紅愛)「逢えて(・・・)良かったです、カグラ(神楽)。私の事を覚えてますか?」

 

(カグラ)「……済まない、記憶を殆ど失ってて……。申し訳無いけど、君のこと教えてくれるかい?」

 

(紅愛)「喜んで」

 

 

そう言って彼女は、自分の胸の前に右手を置いて、自己紹介を始めた。よくよく見ると、その右手の人差し指に俺と同じ指輪をはめていた。

その指輪が俺の指輪とほぼ同じように光輝いているのをみて、もしやと思い彼女の身につけている白衣を見た。

案の定…その白衣にも、俺がつけてるブローチが付けられていた。

 

 

(紅愛)「『SATELLITE』四番隊司令官、兼SATELLITE医療班総括の赤場(あかば)紅愛と申します」

 

(カグラ)「SATELLITE……やはり君も、外の世界で俺と同じ組織に所属していたのか。外の世界での俺は、どんな事をしていたんだ?」

 

 

紅愛の事を知った俺は、彼女にそう問いかけた。

しかし……対する紅愛は、少し申し訳さなそうな顔をして、お辞儀をしながら答えた。

 

 

(紅愛)「残念だけれど……()それに対して答えることは出来ないの。『時が来たら』……必ず教えますわ」

 

(カグラ)「そっか……」

 

 

それを聞いた俺は、少し落ち込んだ。

手に入るであろう自分の記憶の手掛かりが掴める……そう思ったからだ。

そう思っている俺を余所に……永琳さんがレミリアさんに話しかけた

 

 

(永琳)「所でレミリア?聞いてた話と違うのだけれど?紅愛ちゃんは貴女達紅魔館が面倒を見るんじゃなかったかしら?」

 

(紅愛)「申し訳ございません八意様。医学の知識をもっと身につけたくて……『アルバイト』と言う形で構いません。永遠亭で、雇ってくれないでしょうか?」

 

(永琳)「!!……なるほど、そういう事ね?」

 

 

何か理解したのだろう。永琳さんは頷きながら、そう聞き返した。

……尚俺は、未だに状況が理解出来ずにいた。

 

 

(レミリア)「申し訳ないわね永琳。この話に関しては、紅愛自身が持ち込んだ話なの。動機に関しては、彼女が言った通りよ?」

 

(永琳)「……分かったわ。なら、こうしましょう」

 

 

レミリアさんの言葉に対して、永琳さんはそう言って……少し考えた後、俺の方へ向いた。

 

 

(永琳)「カグラ?退院後貴方は紅魔館で生活する事になったわ。そこで……私から少し提案なのだけれども、紅愛ちゃんと一緒に永遠亭で働かないかしら?」

 

(カグラ)「俺が……ですか?」

 

 

思っても見ない展開だったが、ここへ来て漸く……状況が理解できた。

詰まる話……永琳さんとレミリアさんの間で、俺の退院後の生活場所について話し合っていたそうだ。だから……俺が退院後の話を永琳さんに持ち込んだ時、濁されて答えを待たされた訳だ。

 

 

(永琳)「永遠亭(此処)に関して言えば……人が多いに越したことはないの。医療に関する教材も備わってるし、給金もでる。悪くない話だと思うわよ?」

 

(紅愛)「私は賛成です。カグラとこうしてまた……仕事が出来るなんて、思いもしなかったので。それに……私とて多少なりとも医学に携わっていたので、未経験のカグラのサポートも出来ます」

 

(レミリア)「まぁ、一通り仕事が終わったら、紅魔館に戻ること。紅魔館でなら、貴方が生活出来るに申し分ない空間を用意出来るから……私としても、是非永琳の話を承諾して欲しい限りなのだけれども」

 

 

俺は少し考えて……頷いた。

正直な話……何処で退院後生活しようが、今のレミリアさんと永琳さんの話を聞く限り不自由ない生活が送れると感じた。

しかし……生活出来るに申し分ない空間を用意出来ると言ったのは、レミリアさんだ。

であれば……その提案を潔く素直に承諾するのが吉だろう。

 

 

(カグラ)「分かりました。永琳さん、今日までお世話になりました。そして引き続きお世話になりますが、何卒宜しくお願いします」

 

(永琳)「ええ、此方こそ……引き続きよろしくね?そして、早めだけれども……ようこそ、医学の道は険しいわよ?」

 

(カグラ)「覚悟は、出来てます……。そして、レミリアさん。今日からお世話になります」

 

(レミリア)「えぇ、宜しくね?カグラ」

 

(咲夜)「こちらこそ宜しく、カグラ?」

 

 

互いに挨拶を済ませた俺。

その後……永琳さんが、こーりんさんに前もって貰っていたと言う俺の今身につけている衣類を数着入った荷物を俺に渡してくれた。

「一応メールに、明日何時に来るべきかは送って置くわ」と言う一言を添えて。

 

 

(カグラ)「それでは……今日まで、お世話になりました」

 

(レミリア)「ありがとうね、永琳。そして、引き続き彼と彼女の事を宜しく」

 

(永琳)「えぇ、任されたわ」

 

 

永遠亭を去る際に、俺は再度永琳さんにお礼を行って……レミリアさん達と共に紅魔館へと向かったのだった……。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(???)「なるほど……。彼が紅愛やレミィの言ってたカグラね……?紅愛もその素質があったけど、彼はどうかしら……『魔法』の素質」

 

 

 

 

 

 

 




キリのいい所で、今回はここまでです!
如何でしたか?執筆してる最中……東方二次創作は、他の作品よりも勝手が違くて、色んな意味で執筆に専念できると思う今日この頃です。
次回からカグラ君は紅魔館での生活を送ることになります。
どんどん色んなキャラや、オリキャラが増えて行くので、頑張ってこれからも書いていきたいと思います!
それではまた次回お会いしましょう!
感想、高評価等お待ちしております!


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四話

どうも皆さんka-主です!
今回はカグラの歓迎回……ですが、とある『オリ主』視点のシーンもだします。え?オリ主はカグラじゃないのか……だって?何故……オリ主はカグラだけだと錯覚していた?(By〇染)
それでは……どうぞ!


カグラが退院して、晩方……紅魔館では夕食という名のカグラの歓迎会が行われていた。

━━━━━━━━━━━━━━━

 

(レミリア)「改めて……自己紹介をするわね?私の名前はレミリア・スカーレット。此処『紅魔館』の当主でヴァンパイアの一族よ」

 

(咲夜)「十六夜咲夜よ。紅魔館で、お嬢様のメイド……及びメイド長を務めているわ」

 

 

紅魔館に訪れて早々、レミリアさんが「カグラの歓迎会を行うから食堂へ行くわよ」と言った為、俺はレミリアさんの後に続く形で食堂に訪れた。

食堂へ向かう最中……咲夜さんが「貴方の荷物、部屋へ置いてきますね」と言って俺の荷物を持った瞬間ーーーー確かに渡した筈の俺の荷物が咲夜さんの手元から無くなっていた。

「何事!?」と思った俺に、レミリアさんが説明してくれた。

どうやら咲夜さんは『時を操る程度の能力』を有してるらしく、その能力で時を止めて、その間に、咲夜さんは俺の荷物を部屋まで運んでくれたとの事だ。

手品でもしたのか……と思った自分が小恥ずかしい。

 

閑話休題(そんなことより)

 

食堂には、既に人が集まっていた。

紅愛曰く、パチュリーと呼ばれる紫髪の魔法使いの彼女と、フランと呼ばれる金髪のヴァンパイアの女の子……レミリアさんの妹さん以外全員がレミリアに使える従者との事だ。

当然……その中に紅愛もいて、俺も……今日からレミリアさんに仕える身となるのだ。

 

 

(フラン)「フランドール・スカーレットだよ!私の事はフランって呼んでね!お兄ちゃん♪」

 

(パチュリー)「パチュリー・ノーレッジよ。パチュリーと呼んで頂戴。レミィとは親友の仲だから……何かレミィに関して困った事があったら、私か咲夜に相談なさい。私は……この館にある図書室に何時もいるから」

 

(小悪魔)「小悪魔です!図書室でパチュリー様のお手伝いをしています!私の事はこあと呼んで下さい!」

 

(美鈴)「紅 美鈴(ほん めいりん)と言います。門でお会いしましたから察しが付くと思いますが、自分は門番として紅魔館を番しています!」

 

(紅愛)「最後に私ね……赤場紅愛と言います。図書室でパチュリー様のお手伝いをしたり、薬学を独学で学んでるわ」

 

 

緑色の拳法着を着た女性が美鈴さん。白と黒のワンピースを着た女の子がこあ。パチュリーさんやフランちゃんもそうだが……この館に住む面子は、かなり癖が強いと感じた。

魔法使いに、ヴァンパイア。そして妖怪……流石幻想郷、何だなと思った。

まぁ兎も角、これで俺を除く全員が自己紹介をし終えたため、今度は俺が自己紹介をする事にした。

 

 

(カグラ)「カグラって言います。今日から紅魔館にお世話になります。色々と知らない事だらけなので……何卒、宜しくお願いします」

 

(レミリア)「宜しくね、カグラ。これで……全員自己紹介をし終えたわね?時にカグラ?紅魔館はとても広いけれど……自分の家だと思って…もっと言うなら私達の事を家族だと思って過ごして頂戴」

 

(カグラ)「お気遣い感謝します、レミリアさん……いえ、お嬢様と言うべきですかね?」

 

(レミリア)「そうね。貴方は今日から私の従者なのだから……そう呼ぶ様心掛けて頂戴?難しかったら、様を付けるだけでも構わないわ」

 

(カグラ)「分かりました、レミリア様」

 

 

お嬢様……で固定しようと思ったが、そこは彼女のお言葉に従う事にした。

 

 

(レミリア)「それじゃあ……紅魔館の新しい家族(従者)カグラを祝って……乾杯」

 

 

レミリア様の乾杯の音頭に続いて、俺含む7人がグラスに注がれたワインを掲げて、口にした。

 

(カグラ)(そう言えば俺……お酒飲めたっけ?まぁ飲めなかったにせよ永琳さんの整体や薬で肝臓丈夫になってるから何とかなるかな?)

 

そう思いながらワインを飲んで、料理を口へ運んで行った。

食事をしてる最中……俺の事を興味深そうに見ている人物が2名程いたが、気にしたら負けだと思い俺は黙々と料理を食べていた。

 

 

(パチュリー)「……ねぇ、カグラ?」

 

 

そんな中……パチュリーさんがナイフとフォークを置いて、ナプキンで口を拭きながら俺に話しかけてきた。

 

 

(カグラ)「はい、どうかしましたか、パチュリーさん?」

 

(パチュリー)「貴方……魔法を学んで見る気はないかしら?」

 

(カグラ)「…………え?」

 

 

それは……余りにも唐突すぎて、思考が一瞬停止するには充分な話だった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(???)「スペルカード発動!!夢符『封魔陣』!!」

 

(???)「きゃあああああああ……ッ!!」

 

 

時遡り、カグラが永遠亭でまだ気を失ってる最中……此処、幻想郷の東の端に位置する神社『博麗神社』にて……それぞれ違う巫女の服を着た2人の少女が、弾幕勝負を繰り広げていた……ーーーー。

 

 

 

 

〜???side〜

 

 

(???)「ふふっ、今日も私の勝ちね?段々腕を上げて来たようだけれど……まだまだよ、結虹(ゆに)

 

(結虹)「うぅ……今日も勝てなかったです。やっぱり霊夢(れいむ)さんはお強いです」

 

 

石畳の上で仰向けになってる私、陽向(ひなた)結虹は赤と白の巫女服に身を包んだ彼女、博麗(はくれい)霊夢さんから差し出された右手を掴んで立ち上がり、緋色と白の巫女服に付いた砂埃を払いながらそう言った。

 

 

(霊夢)「まぁ私は潜り抜けてきた修羅場の数が貴女よりも遥かに多いから、そう簡単に勝ちを譲る訳にもいかないのよ。でも、そうね……貴女が幻想入りして此処で生活するようになってからまだ1週間しか経ってないのにも関わらず、私を楽しませてくれるような弾幕模擬(・・)勝負をしてくれるのだから……毎日が退屈しないわ」

 

(結虹)「ありがとうございます。私も外の世界では巫女としてカグラ(神楽)と共にーーーーーーーー訳ですから」

 

(霊夢)「ねぇ……そのカグラって人はどんな人なの?」

 

 

神社の縁側に移動して、お茶とお煎餅を食べながら2人で会話してる最中……霊夢さんがそう問いかけてきた。

 

 

(結虹)「とてもお強くて、カリスマに満ち溢れ……とても優しいお方です」

 

(霊夢)「そう……何時か会えるといいわね、カグラに」

 

(結虹)「はい!(必ず見つけてみせる。待っててね、カグラ……)」

 

 

そう……私が幻想郷入を果たしたのには、理由があった。

それは……ーーーー

 

 

(紅愛)『結虹?カグラを見つけたわよ』

 

(結虹)『その声……紅愛!?貴女今何処で何してるの!?』

 

 

理由を言おうとした丁度その時……テレパシーで紅愛が私に話かけてきた。彼女もまた、私と一緒に幻想入りを果たしたのだが……何処から現れたのか分からないけど、隙間の妖怪と名乗る女の人に勝負を挑まされ(後に霊夢さんからその妖怪は八雲紫(やくもゆかり)である事を教えてくれた)ーーーー気が付いたら、私はこの神社で倒れていて、紅愛とはぐれてしまったのだ。

 

 

(紅愛)『ごめんなさい、それに関してはおいおい再会したら話すわ。それよりもカグラの事なんだけど……』

 

(結虹)『そうだったね……。それで、どこに居たの?』

 

 

私は、霊夢さんに怪しまれ内容にお茶と煎餅を口にしながら紅愛とテレパシーで会話した。

 

 

(紅愛)『その事なんだけど……ーーーー』

 

(結虹)『ーーーー成程、なら貴女含めて出会えるのが1ヶ月後……そして、時が来たら紅魔館にて合流ね?わかったわ』

 

 

どうやら少し諸事情が絡んでるとかで……再会できるのに1ヶ月程掛かるらしい。

 

(結虹)(それにしてもカグラ……貴方も幻想入りを果たしていたのね?)

 

そう心の中で呟いて……私はポツリ、今度は自分の口から呟いた。

 

 

(結虹)「はぁ……早く会いたいよ、カグラ……♡」

 

 

お煎餅を食べ終え、お茶を飲み干して……私は立ち上がり伸びをした。

何だか……今日はもっと身体を動かしたい気分だ。

 

 

(結虹)「霊夢さん!もう一度模擬戦してくれませんか!?」

 

(霊夢)「ちょ……今日はやけに積極的じゃない。でもごめんなさい、私これから紫と会う約束してるから……魔理沙ん所にでも訪ねに行ったらいいんじゃない?」

 

(結虹)「はいっ!それでは……行ってきます♪」

 

 

霊夢さんにそう言って、私は空高くジャンプをし……靴裏に仕込んでおいたホバリング式の小型ユニットから出る『黄色い炎』を利用して、魔理沙のいる魔女の森へと向かったのだった……。

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(霊夢)「ふぅ……紫?話というのは?」

 

(紫)「そうね……いい知らせと悪いしらせ、どっちから聞きたいかしら?」

 

(霊夢)「……紫からその手の話……もしかして、悪い話はーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?
……というわけで、本作品にはカグラと結虹、この2人が『主人公』となって物語が進んでいきます。オリキャラ・オリ主のプロフィール等は……紹介出来る機会がありましたら後書きに貼ります。お楽しみに!
それでは、また次回お会いしましょう!
感想、高評価等お待ちしております!


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五話

どうも皆さん。ka-主です。
色々と諸事情が相まって投稿頻度が遅くなってしまいましたが、何とか軌道に乗れそうなので、今後とも頑張っていきたいと思います。
さて今回は、紅魔館視点……つまり、神楽君側のストーリーになります。多少独自の知識が絡んでくるので、その点だけご了承ください。
それでは……どうぞ!


(カグラ)「つまりーーー魔法と言うのは、今現在目の前にある『情報』を書き換えるという事。そして魔法を発動するためには大気中に漂ってる『霊』や『生気』を吸い取って『魔力』に変換し、それを動力源として発動する。幻想郷内で置いて魔法の発動方法は、『詠唱』か『魔法具、魔石等の発動補助具』を用いて発動する。なるほど……とても興味深いですね」

 

 

歓迎会が終わった後……俺はパチュリーさんに連れられて図書室に来ていた。紅魔館の地下にある図書室はとても広く、壁一面にこれでもかと言うくらい本がズラリと並んでいた。その中の大半は色んな分野に置ける本だが、『魔導書』と呼ばれる本もまた劣らず本棚に収められている。

パチュリーさんに魔法についての基礎……深くいうなら初歩的な事を説明された後……俺は自分なりの解釈でまとめと感想を述べた。

 

 

(パチュリー)「そうね。一言で魔法……といっても、外の世界で言う国や地方によっては、それを『妖術』、『忍術』……深くディープに言えば『超能力』や『サイキック』等と言い換える所もあるわ。でもそれ等は元を辿れば魔法の理屈と何ら変わらない。魔力なんかもそう。『気』や『霊力』、『波動』と言い替える所もあるけど、粒子レベルで漂ってる『霊子』が魔力等の原型となってるの」

 

(カグラ)「なるほど……その霊子は、自然エネルギーなども含まれるんですかね?あれも一応、目に見えない力で電力等を蓄えたりするから……」

 

(パチュリー)「いい質問ね。結論から言えば、その通りよ。他にも……精霊も霊子の一種よ。『目に見えない』、『力に変換出来る』そういったものが霊子と部類されるわ。因みに……弾幕何かも霊子よ。あれは霊子の集合体だから……」

 

(カグラ)「なるほど。という事は可視化出来ないものでかつ、エネルギー変換出来るものを一纏めに魔力……とも言えるんですね?」

 

(パチュリー)「正解よ。貴方……とても飲み込みが速いわね?やっぱり……私のみ込んだ通りだわ、魔法学の基礎に関しては私としては満点よ」

 

 

とまぁ……こんな感じで一通り魔法学に関してパチュリーさんから教わった俺は、買いかぶりだろと思うくらいのお墨付きをパチュリーさんから頂いた。

そんな中……隣にいた紅愛から、喜びの声が上がった。

 

 

(紅愛)「良かったわね、カグラ。魔法使いとしての道を極めるのも悪くないんじゃないかしら?」

 

(カグラ)「そう簡単に言うけど……適正とか劣ってたら極めようにも極められないんじゃないの?」

 

 

これはあくまで個人的な偏見だが、人は誰しもが魔法使いになれる訳じゃ無いはずだ。才能とか、適正的なものが無い限り、魔法使いにはなれないと思ってる。まぁ、ここは幻想郷。努力の有無はあるにせよ、魔法使いになる為の概念が無くても、なれるのでは?とも思ったりもする。

 

 

(パチュリー)「カグラの言う通りね。幻想郷内であれば、誰しもが魔法を使える『可能性』を大なり小なり持っているわ。でも、それはあくまで可能性。実際に魔法使いになれるのは……産まれた時から魔法使いとしての人生を歩んだ人間、或いは類まれなる才能に恵まれた人間……でなければ私達の様な魔法使いになる事は到底不可能と思った方がいいわ。だけど……」

 

 

なるほど。例えば……一般人Aさんには発明家になる可能性が秘められてるとしよう。だがしかし、実際に発明家になれるのは、発明家の知識や技術を持ち合わせ更に、発明家になる為の努力をした者たちだけ。

先のパチュリーさんの言葉からはそう捉えられた。

 

 

(パチュリー)「だけどカグラ?貴方は私を初めとしたこの幻想郷内にいる魔法使い全員が貴方に対して『魔法使いになる為の素質を充分に持ち合わせいる』……そう口を揃えて言うわ」

 

 

そう。だから俺みたいな飲み込みだけが早い人間になんて……え?今パチュリーさんなんて言った?

 

 

(パチュリー)「カグラ…貴方は魔法使いになるべきだわ。こんなにも飲み込みが早くて魔法に興味がある者なんて、私の知りうる中で、アリスや魔理沙しかいないわ」

 

(カグラ)「えっでも俺……飲み込みが良いだけで、ほんとに魔法使いになれるかなんtーーーー」

 

(パチュリー)「魔法使いとしての私が言うの。そうね……ちょっと待ってなさい」

 

 

そう言うとパチュリーさんは席を離れて行った。いやホントに、先も言ったけど飲み込みだけで、あと魔法に関しての興味を持っただけで魔法使いに向いてるなんて言われても……今の俺からしたら余り実感がわかない。まぁ『普通の人間』なんだから、そう思っても仕方ないのだが……。

少しすると、パチュリーさんがとある本と水晶玉を持って此方に戻ってきた。

 

 

(パチュリー)「この魔導書には、五行の魔法の基礎が記されてるのだけど、その付録として、五行をベースとした属性の適正を調べる事ができる水晶玉があるの」

 

(カグラ)「それがこの水晶玉……綺麗ですね」

 

(パチュリー)「五行については後で詳しく説明するとして……カグラ。この水晶玉の上に手をかざして魔力を水晶玉に込めてみて頂戴」

 

(カグラ)「分かりました。えっと…こうでいいでしょうか?」

 

 

俺はパチュリーさんに言われるがままに、水晶玉の上に手をかざした。……が、肝心の魔力の込め方が分からない。念じる感じで良いのだろうか?

 

 

(パチュリー)「そうね。例えるなら……貴方とこの水晶玉を携帯と見立てるといいわね。連絡したい事を水晶玉……つまり相手側に送る様なイメージよ」

 

(カグラ)「分かりました……ッ」

 

 

分かりやすいアドバイスを元に、俺は水晶玉に魔力を込めた。

すると、水晶玉の中に緋色よりの赤い光点と、暗い白……鼠色と言うべきか。その光点が現れた。

 

 

(パチュリー)「成程ね。貴方は火の陽属性と金の陰属性の適正があるわ。特に、火に関しては金よりも遥かに飛び抜けた才能を持ってると見えるわね」

 

 

なんだろう……パチュリーさんにそう言われても、余り実感が湧かなかった。記憶が無いと言うのもあるが、適正があるから実際どのような魔法が使えるのかが分からない。そんな感じだった。

すると横から紅愛が補足するかの様にパチュリーさんの後に続いて話し出した。

 

 

(紅愛)「火の陽属性であれば、対象物を燃やすのは勿論の事、火を動力として空を飛べたり出来るわ。金の陰属性となると……陽属性と比べて強度が劣った。つまり柔らかい金属の生成……あとは宝石等を生成出来たりするわ!」

 

(カグラ)「す、凄いな……改めて、魔法が如何に凄いものなのか、身に染みて感じました」

 

 

なぜかは知らないが……心の奥底で、何かに燻られる様な感覚に陥った。もし、仮に俺が魔法を使いこなせるようになったとする。もしかしたら、火力性質異なる火を出せるかもしれない。硬いものは無理でも、ナイフの様な小さい鋭利物をほぼ無限に生成出来るかもしれない!

それこそ、弾幕勝負で魔法という名のスペカを打てたりするのかも……黙示録の炎糾弾(エターナル・フレイムバースト)……狂舞の遊追刃(ダンシング・ブレイズ)……やばい、今になってオリジナルスペカ(という名の魔法)の名前何かをつけ始めてる自分がいる!早くそう言った魔法を使えるように成りたい!

 

 

(カグラ)「パチュリーさん!俺にもっと魔法について学ばせて下さい!」

 

(パチュリー)「さ、さっきよりもやけに乗り気ね……でも、そう言うの嫌いじゃないわ。良いわよ、貴方を正式に私の生徒として出迎えてあげる」

 

(カグラ)「ほ、ホントですか!?ありがとうございます!」

 

 

殆ど成行きに近い感じだったが、今日から俺はパチュリーさんの弟子となった。その横で、紅愛が「良かったわね」とにこやかな笑顔でそう言ってくれた。

 

弟子入り出来た事に舞い上がっている最中ーーーー図書室の扉が開いた。

 

 

(フラン)「あ、やっぱりここにいたんだね!カグラお兄ちゃん!」

 

(パチュリー)「あらフラン。もう夜は遅いと言うのに、寝なくても良いの?」

 

 

入ってきたのは、レミリア様の妹、フランだった。図書館に居たせいか、余り時間の感覚が分からなかっのだが……パチュリーさんが言う通り、もう時計は夜の10時を刺す所だった。

ヴァンパイアだから、別に寝なくても良いのでは?と思ったが、恐らくは紅魔館内の決まり……なのだろうと思い、敢えて突っ込まない様にした。

 

 

(フラン)「えっとね〜!お姉様が『折角だから5分だけカグラと遊んで来なさい』って言われて、咲夜に案内されて来たんだ〜♪」

 

(パチュリー&紅愛)「「!!??」」

 

 

流石ヴァンパイアの女の子だな…。まぁでも、夜遅くだから、余り咲夜さんとかに迷惑が掛からない事をしよう。そう思った。例えば……鬼ごっこやかくれんぼ。あとは本を読んだりとかかな?

等とフランの遊びを予想していたのだが……次の少女の一言によって、俺はフランがどう言う人物なのかを痛感する羽目になった。

と言うかさっきからパチュリーさんや紅愛の顔が青ざめてるのだが……

 

 

(カグラ)「わかった、それじゃあフラン?何して遊ぶ?」

 

(フラン)「えっとね〜……弾幕(・・)ごっこ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(カグラ)「……はい?(Pardon?)

 

 

聞き間違いかな?フランの口から、『弾幕ごっこ』って発せられた様に見えたんだが……

 

 

(フラン)「弾幕ごっこしようよカグラお兄ちゃん!お姉様から聞いたんだ♪鈴仙の弾幕、殆ど躱す事が出来るんだよね?だったら私と一緒に弾幕ごっこしようよ!」

 

 

あ聞き間違いじゃなかったわ。ホントに言ってたよこの娘……。しかもレミリア様?アナタ何時その情報仕入れたんです!?

兎に角だ。ろくに弾幕勝負なんて出来っこ無いから、フランには悪いが、ここは丁重に断らせて貰おう。

 

 

(カグラ)「わかったよフラン。弾幕ごっこしよっか」

 

(フラン)「ホントに!?やった〜♪」

 

 

あぁあああああぁああああああああああああぁぁぁ〜〜〜〜〜……ッ!!何してんだよ俺!何OKしてんのさ俺!?

 

 

(パチュリー)「はぁ……(仕方ないわね)。フラン?弾幕ごっこしたいなら、外でやりなさい?外でなら思いっきり遊べるわよ?」

 

(フラン)「は〜〜い♪」

 

(カグラ)「パチュリーさああぁああああああああああああぁぁぁん!!??」

 

 

しかもパチュリーさんもフラン側で、図書館の安全を危惧して、外でやるよう促したのだ。

やばい……5分とか……絶対死ぬ。

そう思いながら……渋々とフランと一緒に紅魔館の外へ向かったのだった……。

 

 

 

〜END〜




如何でしたか?次回はフランとの弾幕ごっこ回になります。ある意味でカグラ君の弾幕勝負初陣(??)になるかもです。
あと今回自分の脳内の知識と○○グルの知識を元に書きました。不可解な点とかあるかもですが、ご了承下さい。
感想、高評価等お待ちしております!
それでは次回お会いしましょう!


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