ネモ「いやならわたしと勝負だよ」したっぱB「うっひょー!チャンピオンランクのネモに勝てればスクールカースト鰻登りだスターっ!!」 (うみじゃけ)
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ゲーム本編 ~やけに絡んでくるスター団のしたっぱのイベント集~
1、テーブルシティ


一旦アホについて整理しようかなと思った結果、ゲーム本編に登場させることにしました。

イベント回収だけなので会話とポケモン解説くらいで地の文は少なめです。


 

 

 

 

 

 ネモとの2度目のバトルを終えるとテーブルシティに入れるようになります。

 

 

 

 

 

●テーブルシティ

 

 

 

 アカデミーへの階段を一つ登るとスター団のしたっぱの2人が女の子を勧誘している場面に移ります。

 

 

 

したっぱA

「悪いこと言うけど……さっさとスター団に入っといた方がいいわよ。この先輩の勧誘めちゃくちゃしつこいから」

 

???

「……………………」

 

したっぱB

「後輩の言う通り! 俺は地の底まで追い回してお前をスター団に勧誘してやりまスター! 君も仲間と一緒に眩しい青春送ろうぜ!」

 

 

 

 したっぱBは星型ゴーグルを装着しています。

 

 

 

???

「…………別に」

 

したっぱA

「どーします先輩。勧誘ノルマあるんでしたっけ?」

 

したっぱB

「ああ、たぶんな」

 

したっぱA

「えっ……ノルマってないかもしんないんです!? あたしあるって聞いたから仕方なく入ったのに!?」

 

したっぱB

「だが百聞は一見に如かず! こうなりゃどっかの組に直行しまスター!」

 

???

「えと……こまったな」

 

 

 

→助ける     

 見守る     

 

 

 

○『見守る』を選んだ場合

 

 

 

 見守ります。再び接近すると上の二文が繰り返されます。

 

 

 

○『助ける』を選んだ場合

 

 

 

 ストーリーが進行して???としたっぱの2人の間に主人公が割って入ります。

 

 

 

したっぱB

「おっ、君もスター団に入団希望でスター!? だが順番は守ってな! 今取り込み中なんでな!」

 

したっぱA

「あたしらは泣く子も笑うスター団(って先輩は言ってたけど……)。キミは知ってるよね?」

 

 

 

→はい     

 いいえ    

 

 

 

○『はい』を選んだ場合

 

 

 

したっぱB

「そうだろうそうだろう! そして君にもスター団の偉大さを知らしめてやりまスター!」

 

 

 

○『いいえ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱB

「そうかそうか! なら君にもスター団の偉大さを知らしめてやりまスター!」

 

 

 

 以下は同様のセリフになります。

 

 

 

したっぱA

「はあ……どーするんです?」

 

したっぱB

「もちろんバトルだ! いけっ、後輩! 目にもの見せてやれよスター!」

 

したっぱA

「がんばれ先輩……ってあたしが!?」

 

したっぱB

「先輩は後輩の成長を見守るもの……心配すんな、イーブイバックの子も見張っといてやるからな」

 

したっぱA

「なんか流されてるような気がしないでもないけど……とにかく! ナメられちゃったらここで終わり! ナマイキな新顔ちゃんはあたしがお星さまにさせちゃう!」

 

 

 

 

スター団の したっぱが 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ●○○○○○

 

 

 

シルシュルー♀ Lv.8

ひっかく

にらみつける

 

 

 

 

(勝利)

 

したっぱA

「あたしがお星さまなっちゃった!?」

 

 

 

◯勝利後

 

 

 

したっぱA

「なんなのこの新顔ちゃん。マジ強いんだけど……」

 

したっぱB

「後輩がやられたァ……!? こうなったら先輩である俺が戦うしかないよな! スター団のいいとこ見せてやりまスター!!」

 

???

「……めっちゃグイグイきよる」

 

ネモ

「ちょっとちょっと! 何やってんのー!」

 

したっぱA

「ゲッ、生徒会長」

 

したっぱB

「生徒会長の乱入か……」

 

 

 

 ここでネモが現れ、主人公にテラスタルオーブを渡します。

 

 

 

ネモ

「ものは試し! 戦いながら使い方、知ってこーっ!」

 

したっぱB

「ま、まさか……これはテラスタルのお試しにされる展開でスター?」

 

ネモ

「いやならわたしと勝負だよ」

 

したっぱB

「マジでスター!? うっひょー! チャンピオンランクのネモに勝てればスクールカースト鰻登りだスターっ!! そんならさっそく挑ませてもらうぜ!」

 

ネモ

「えっ…………うそっ、ほんとに!? じゃあ今からしよっか!!」

 

 

 

 ネモが意気揚々と主人公の元に駆けてきてしたっぱBと向き直ります。

 

 

 

→ネモ!?     

 テラスタルは?  

 

 

 

 どちらを選んでも同じ返答になります。

 

 

 

ネモ

「あっ!? そうだった……わたしったらついつい戦る気になっちゃって」

 

したっぱB

「なんなら2人同時に来たっていいぜ? ポケモンはまだ一匹しか持ってねえけど……バトルで有名な生徒会長と、それに認められるほどの逸材……その2人を一気に倒したとなれば、俺のスクールカーストは校長に成り上がるくらいに爆上げでスター!!」

 

したっぱA

「……校長ってスクールカーストの頂点ってわけじゃないのでは?」

 

ネモ

「面白い人だね! その勝負も受けてみたいけど、やっぱり(主人公)の腕前を見てたいから今回は我慢しようかな」

 

 

 

 ネモがルンルン気分で再び階段の前に立ちます。

 

 

 

ネモ

「それじゃあ位置について勝負開始ー!」

 

 

 

 ネモの言葉に従って距離を取る主人公としたっぱ2人ですが、ここでしたっぱBにカメラが移動します。

 

 

 

したっぱB

「どうせなら名乗ってやろう……盛大にな!」

 

 

 

 ここで不敵な笑みを浮かべたしたっぱBに向けられたカメラがズームします。

 

 

 

したっぱ!

「俺はスター団のしたっぱ! ……だが、これからアカデミーで!*1 いんやパルデアで!!*2 いやいや世界で!!!*3 誰よりも強くなるポケモントレーナーだッ!*4

 

したっぱA

「……遠くで応援してる分には楽しい先輩かも」

 

ネモ

「すっごい前向き……こういう人初めて見たかも!」

 

したっぱ!

「さあ、始めまスター!」

 

 

 

 したっぱ!は他のしたっぱとは違い、両手の拳を打ち付けてから勢いよくスター団ポーズを披露してボールを構えます。

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●○○○○○

 

 

 

イキリンコ(緑フェザー)♂ Lv.9

なきごえ

つつく

でんこうせっか

 

 

 

 

 イキリンコの特性が【はりきり】なため、ニャオハなどのひこうタイプが弱点のポケモンだとレベル差があっても一撃で倒されることがあります。しかし耐久は薄いのでテラスタル一致で早々に決着をつけましょう。

 

 

 

(初回攻撃セリフ)

 

したっぱ!

「俺たちの成り上がりの始まりだ! 張り切っていきまスターっ!!」

 

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「出鼻をくじかれまスター!?」

 

 

 

 勝利後、ネモがテラスタルの解説した後にうなだれるしたっぱ!と心配そうに寄り添うしたっぱAが映されます。

 

 

 

したっぱ!

「うごごごご…………っ!」

 

したっぱA

「先輩……まあ、結果はだいたいわかってましたけど、お疲れ様です」

 

したっぱ!

「そこはお疲れ様でスターだぜ後輩! そして……(主人公)とか言ったな! 俺はこんなところじゃ終わらねえ……覚えてろ! ネモも今度バトルを挑んでやるからな、首をトロピウスみたいに長くして待ってろよ! ここはひとまずポケモンセンターに駆け込むぜ! お疲れ様でスター!!」

 

したっぱA

「あたしもこのへんで! お疲れ様でスター!」

 

ネモ

「また会おうねーっ!」

 

 

 

 ネモが満面の笑みで手を振って見送った後、主人公に片目を瞑ってスター団について話します。

 

 

 

ネモ

「スター団はいわゆるやんちゃな生徒の集まりなんだ。出席率も低いし、集団で暴走してるし、先生たちも頭をかかえてるみたい……でも! あんな実りがいのある人もいるなんて、わたしすっごくワクワクしてる!」

 

???

「……あの!!」

 

 

 

 ここで???が口を挟んで以降は同様のストーリーとなります。

 

 

 

 

 

●宝探しスタート

 

 

 

 『宝探し』が始まり、ネモ、ペパー、カシオペアと別れた後に後ろから物凄い勢いで声をかけられます。

 

 

 

???

「おおおぉぉぉぉぉーーーーいっ!!!」

 

(主人公)

「!」

 

 

 

 コライドン/ミライドンに乗ったまま主人公が振りかえると、そこにはモトトカゲを乗りこなしながらしたっぱ!が接近してきます。

 

 

 

モトトカゲ

「あぎゃっす!」

 

したっぱ!

「よし、いい子だ。ちょうどいい位置でスター」

 

 

 

→スター団の?  

誰ですか?   

 

 

 

 どちらを選んでも同じ返答になります。

 

 

 

したっぱ!

「スター団のしたっぱでスター! 今は、だがな! 俺も今回の宝探しはパルデアを巡ることにしたんだ。(主人公)に、そして何よりネモに勝つためにな! ……この前から何度も挑んでるけど一勝もできなかったぜ」

 

 

 

 したっぱ!がハンドルを握るとモトトカゲが南門に向かって何歩か歩き出します。

 

 

 

したっぱ!

「今回はバトルはしないでやる! だが、この冒険の途中で見かけたらであいがしらに挑んでやるからなァ……震えて待ってろ! 楽しみで寝坊した分もかっ飛ばせモトトカゲ! お疲れ様でスター!!」

 

モトトカゲ

「あぎゃぎゃーっす!」

 

 

 

 したっぱ!と似た雰囲気のモトトカゲが元気よく駆け出すのを眺める主人公にカメラが切り替わります。

 

 

 

コライドン/ミライドン

「アギャギャーッス!」

 

 

 

 快活に返事をするアギャスを主人公が優しく撫でたところで操作が可能になります。

 

 ここから先はあなたの気の赴くままにストーリーを進めて構いません。

 

 しかし再びしたっぱ!と出会いたいのならば、西門を進んで南2番エリアに向かうことをオススメします。

 

 

 

 

 

→オリーブ大農園

*1
満面の笑みのネモ

*2
額に手を当てる後輩ちゃん

*3
押され気味で驚く主人公

*4
集中線マシマシで両手を握りしめるしたっぱ




Q.南門から出ていったのに西門で遭遇するのはどうして?

A.仕様です。いいね?


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2、オリーブ大農園

今更ですが、手持ちになるポケモンがパルデア編以降で変わってきます。


←テーブルシティ

 

 

 

 

●プラトタウン

 

 

 

 テーブルシティでのイベントを終えた後にプラトタウンに行くと、芝生の木の近くにヤングースを連れた少年が現れます。

 

 忙しない動きの彼に話しかけると以下のセリフが回収できます。

 

 

 

少年

「おれのヤングースはにいちゃんからもらったんだ! にいちゃんはスターだん? らしくって、ちょーカッコイイんだー!」

 

 

 

 

 

●オリーブ大農園

 

 

 

 『オリーブ大農園』の看板の隣でしたっぱ!がピクニックをしています。

 

 テーブルクロスはスター団マークが一定の間隔でプリントされ、黒、赤、紫、桃、橙色のラインがまばらに交差した、おそらく自作だろう特別なデザインになっています。

 

 テーブルの近くにはモトトカゲが自分の腕を枕に昼寝しており、ハンドルにはイキリンコが留まっています。彼らに話しかけると、モトトカゲが眠りながら短く鳴き、イキリンコが片羽を広げて返事をしてくれます。

 

 相変わらず星型ゴーグルを装着したままの姿で、腕を組んで不敵に笑うしたっぱ!に話しかけるとイベントが進行します。

 

 ここから先は待ったなしでバトルが始まるので今の内に準備しましょう。

 

 

 

したっぱ!

「ややっ!? お前は(主人公)!? まさかなところで会いまスター!」

 

 

 

→したっぱ先輩!      

こんにちは(こんばんは)!

 

 

 

○『したっぱ先輩!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「したっぱ先輩か……良いネーミングセンスでスター!」

 

 

 

○『こんにちは(こんばんは)』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「挨拶は大事だからな。おはようございまスター!」

 

 

 

 勢いよくスター団ポーズを披露してくれます。

 

 その後は同様のセリフが語られます。

 

 

 

したっぱ!

「(主人公)は冒険中か? 俺はちょいとピクニックで小休止……それも、パルデア十景の1つ『オリーブ大農園』を見渡しながらのな! うっひょー! 心も身体も安らぎまスター!」

 

 

 

 セリフの途中で『オリーブ大農園』が映し出され、Aボタンを押すと再びしたっぱ!にカメラが切り替わります。

 

 

 

したっぱ!

「どうせなら(主人公)も休んでいけよ。サンドイッチの1個や2個ぐらい奢りまスター!」

 

 

 

→ありがとうございます!

ごちそうになります! 

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「好きな具材はあるか? アレルギーも言えよー?」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「腹いっぱいになったようだな(主人公)。そんでポケモンたちも…………故に! 今が一番油断しきってる時! バトルでカチコませてもらいまスターっ!!」

 

 

 

 前述の通り、待ったなしでバトルが始まります。

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●○○○○

 

 

 

イキリンコ♂ Lv.14

ちょうはつ

ものまね

でんこうせっか

つばめがえし

 

 

コイキング♂ Lv.14 (みずテラス)

はねる

 

 

 

 

 イキリンコが特性の【はりきり】と必中の『つばめがえし』によるコンボが強力です。コイキングにテラスタルを使ってきますが、『はねる』しか覚えていないのでまったく意味がありません。イキリンコを倒した後は余裕を持って倒せるでしょう。

 

 

 

(初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「この前の俺よりレベルアップ! この勢いのまま勝利をもぎ取りまスター!」

 

 

 

(効果はバツグンだ!)

 

したっぱ!

「弱点突かれまスター!? だが、そんな程度じゃ俺はくじけない!」

 

 

 

(急所に当たった!)

 

したっぱ!

「急所に当たりまスター!? そんならこっちもやってやるぜえーっ!」

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「成り上がろうぜテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

 テラスタルは星型ゴーグルを装着したまま歯をむき出しにし、不敵な笑みを浮かべながら突風に負けることなくオーブを作動させます。

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「驚かせてやれコイキング! これがテラスタルの力でスターっ!!」

 

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「キラキラキラー!?」

 

 

 

 勝利後、報酬が0円と表示されますが会話の後に手渡しでもらえます。

 

 

 

したっぱ!

「ちっくしょー! テラスタルをもってしても勝てなかったぜ……だが、負けたモンはしょうがねえ。前を突き進む後輩に先輩からのプレゼントでスター!」

 

 

コレクレーのコイン×50 (ランダム)タイプのテラピース×50 を受け取った

 

 

したっぱ!

「コインの方はちっちゃいポケモンを見つけたら落として逃げちまってな。何に使うかとかわかんねえけどくれてやるぜ! そっちのテラピース……? も、たぶん役に立つだろうからな!」

 

 

 この後のイベントでも報酬や基礎ポイントは貰えないものの、戦闘後にコレクレーのコイン×50とランダムなタイプのテラピース×50をもらえます。

 

 負けてもバトルする直前までイベントが巻き戻り、途中まで無かったことになるだけなので落ち着いて再戦しましょう。

 

 

 

したっぱ!

「今日のところは負けておいてやる! というかさっきネモにも負けたが……俺たちはこんなところでへこたれるような根性じゃねえっ! そんならここらでっ、お疲れ様でスター!!」

 

 

 

 迫真のスター団ポーズを披露したあとに画面が一瞬暗転した後、したっぱ!がいなくなっています。

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 このイベントの後、アカデミーのグラウンドの隅にしたっぱ!がランダムなポケモンを連れている姿が見られるようになります。

 

 

 

したっぱ!

「よう(主人公)! バトルならコート予約してないから受けられねえぜ。戦うなら冒険中でスター!」

 

 

 

 特にバトルはできませんがイベントが進むにつれて連れているポケモンの種類が増えていき、したっぱ!に話しかけるとそのポケモンとの出会いやらについて一言話してくれます。

 

 

 

(イキリンコについて)

 

したっぱ!

「俺の相棒、イキリンコ! ガキの頃からのマブダチでよ、陽気で気が合う奴なんだぜ~っ! ときどき俺に向かってわざをぶっ放す反骨精神も最高だな!」

 

 

 

(コイキングについて)

 

したっぱ!

「このコイキングがよっ、崖の下から『はねる』で俺にまで跳んできたんだぜ!? こいつは将来大物になるってんでゲットしまスター!」

 

 

 

 ときどきモトトカゲも連れていますが、進行度によって改造されていきます(スカーレットならコライドン風、ヴァイオレットならミライドン風)。

 

 

 

(モトトカゲについて)

 

したっぱ!

「このモトトカゲはリーグに申請して借りさせてもらってるんだ。(主人公)のモトトカゲもめっちゃカッケェけど俺が追い越してやりまスター!!」

 

 

 

 上記のいずれかのセリフを回収した後に再び話しかけると、次どこに現れるかヒントを受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「(主人公)やネモに勝つためにゲン担ぎしてえんだが、あのポケモンがどこにいるかダチに聞いても分かんねえらしい……とりあえず海に近いとこにいくか」

 

 

 

 

 次のイベントを回収したいのであれば南5番エリアの海岸を目指すことをオススメします。

 

 早まって別のパルデア十景に向かっても出会えないのであしからず。

 

 

 

 

 

→ひそやかビーチ




テーブルクロスはたぶんシュウメイ殿の競りで落とせるようになりそう。それかどっかのタイミングで受け取れるかとか。


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3、ひそやかビーチ

パルデア十景分のバトル……このままだとアホがストーリー内で最多バトル数になるぜ!


←オリーブ大農園

 

 

 

 

 

●ひそやかビーチ

 

 

 

 『ひそやかビーチ』の看板の隣でしたっぱ!がピクニックをしていますが、どうにも項垂れている様子です。

 

 テーブルの近くにはコイキングが元気よく飛び跳ねており、話しかけるとアギャスに乗った主人公ですら軽く飛び越えるほどの『はねる』を披露してくれます。

 

 前回同様、話しかけるとそのままバトルが始まるので予め準備しましょう。

 

 

 

したっぱ!

「ふぃ〜…………お。よう、(主人公)か……おはようございまスター……」

 

 

 

→どうかしましたか?

お疲れですね   

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「まーな……ちょいと欲しいポケモンがいたんで探し回って疲れただけでスター……せっかく会ったんだ。一緒にピクニックして休もうぜ……」

 

 

 

→作りましょうか?

手伝います!  

 

 

 

したっぱ!

「おお。そいつは棚からオボンな幸運……手早く作りまスター」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれます。

 

 明転するといつもの精力的な態度に戻ります。

 

 

 

したっぱ!

「うっひょー! 後輩の愛が身に沁みるっ……俺、完全復活でスター!!」

 

 

 

→よかったです!   

ごちそうさまでした!

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「助かったぜ(主人公)! この『ひそやかビーチ』に捕まえたいポケモンがいるかもってんで泳いで探してたら、なんとパルデア海を一周しちまってよ! 流石の俺も応えまスター……」

 

 

 

 ちなみにシビシラスは近くとも西または北パルデア海でしか捕まえられません。

 

 モトトカゲもコイキングも『なみのり』を覚えず、イキリンコはまだ『そらをとぶ』を使えないため、彼はそこまで自力で泳いだことになります。

 

 

 

したっぱ!

「だがつまりっ! この努力の分、俺らの成長は爆上がりしてる! そうとなれば早速バトル! いやでも俺と勝負だぜーっ!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●○○○

 

 

 

イキリンコ♂ Lv.18 (ひこうテラス)

いちゃもん

ものまね

とびつく

つばめがえし

 

 

コイキング♂ Lv.18

はねる

たいあたり

 

 

シビシラス♀ Lv.18

たいあたり

でんじは

スパーク

チャージビーム

 

 

 

 

 レベルがそれなりに上昇しており、特に先発のイキリンコは速攻でテラスタルを使ってくるので注意しましょう。

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「幸運を呼び込めテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「サンドイッチ食って絶好調! 今度こそ見せてやる、これがテラスタルの力でスターっ!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「海がきれーだなー」

 

 

 

したっぱ!

「ちっくしょーっ! まーた負けまスター! あいつのサンドイッチ食ってたら勝ててたか……? いや、負けたんなら全部言い訳だな。そんで勝った後輩には先輩からご褒美でスター!」

 

 

 

 前回同様、報酬や努力値は貰えないものの、勝利後にコレクレーのコイン×50とランダムなタイプのテラピース×50を受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「俺たちはこんなもんじゃ終われねえ。おあつらえ向きにここは砂浜! 走り込みで特訓を……はっ! 俺のポケモンはどいつもこいつも走れねえっ!?」

 

 

 

 したっぱ!が大袈裟に驚いていると、彼のモトトカゲが自分のボールから出てきます。

 

 

 

モトトカゲ

「あぎゃす!」

 

 

 しかもスカーレットならウォーボンネット、ヴァイオレットならヘッドフォンのようなアンテナを装着しています。

 

 

 

→コライドン(ミライドン)!?

モトトカゲ!?       

 

 

 

したっぱ!

「どーよ俺のモトトカゲ! カッコよくなってるだろ!? これからもっとカッコよくなるから楽しみにしとけよー? そんでそうだよなモトトカゲ! 俺のポケモンは戦うだけじゃねえ……お前も俺と走って特訓でスター!」

 

モトトカゲ

「あぎゃー!」

 

したっぱ!

「そういうこった! (主人公)も宝探しガンバレよ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 迫真のスター団ポーズを披露したあとに画面が一瞬暗転した後、したっぱ!がいなくなっています。

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 アカデミーのグラウンドでしたっぱ!が連れているポケモンにシビシラスが追加されます。

 

 

 

(シビシラスについて)

 

したっぱ!

「シビシラスって野生だと水に透けててめちゃくちゃ探しにくかったぜ! ヤケになって投げたモンスターボールに入ってくれて、俺は幸運にも恵まれてまスター!」

 

 

 

 次の場所のヒントです。

 

 

 

したっぱ!

「でんきタイプのわざはギラギラ眩しくってテンション上がるな! パルデア十景にもそんな場所があったような……?」

 

 

 

 次のイベントを回収したいのであれば東3番エリアの南方を目指すことをオススメします。

 

 

 

 

 

→100万ボルトの夜景



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4、100万ボルトの夜景

“チャンピオンロード”にて、8つあるジムのうちどれか1つを攻略していれば解放されます。


←ひそやかビーチ

 

 

 

 

 

●100万ボルトの夜景

 

 

 

 『100万ボルトの夜景』の看板の前でうなだれているしたっぱ!と満面の笑みのネモがいます。

 

 したっぱ!の足元にはシビシラスがいますが、話しかけるもどこか悲しそうに鳴きます。対してネモの足元にはナミイルカがおり、話しかけると元気に宙返りして鳴いてくれます。

 

 したっぱ!かネモに話しかけるとそのままバトルが始まるので予め準備しましょう。

 

 

したっぱ!

「ちっくしょー! まーた負けちまったぜーっ!?」

 

ネモ

「お疲れ様……でスター、でしたっけ? ポケモン勝負しながらスター団のこと色々教わっちゃいました!」

 

したっぱ!

「なんなら生徒会パワーで宣伝してくれてもいいぜ! スター団はいつでも団員募集だからな…………ややっ!? 話につられて誰か来たかと思いきや……!?」

 

 

 

→したっぱ先輩!  

ネモ!?     

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 ネモが「!」と反応して主人公の方を向き、目を見開いて驚いたあと笑顔でこちらに近づいてきます。

 

 

 

ネモ

「(主人公)! 意外なところで会ったね! わたしはポケモンを育ててたらしたっぱ先輩が勝負を挑んできて、今さっきまで戦ってたところなんだ~」

 

したっぱ!

「ま、結果は散々だったがな……だが、それも今はだ!! 次はこうは行かねえ……覚悟しておきまスター!」

 

ネモ

「はいっ! すっごく楽しみにしてます!」

 

 

 

 したっぱ!が迫真のスター団ポーズを披露しますが、それに対してネモは両手を握り合わせて笑みを深くします。

 

 

 

したっぱ!

「こごえるかぜに震えて眠れと言いたいところだが、ともかくポケモンたちも疲れただろーしピクニックすんぞ! 俺が負けたし2人とも奢ってやりまスター!」

 

 

 

→わーい!    

いいんですか? 

 

 

 

したっぱ!

「(主人公)もいいぜ! こういう時は後輩を甘やかしていかねえとだからな……」

 

ネモ

「おおっ、それも確かスター団の掟でしたっけ? でも準備は手伝います!」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれます。

 

 

 

ネモ

「ごちそうさまでした!」

 

 

 

→ごちそうさまです!   

おいしかったです!   

 

 

 

したっぱ!

「喜んでもらえて何よりでスター! 実家暮らしだから自炊はしてねえけど、こういう料理ならいつだって振る舞ってやるぜ! ……ま、俺の知り合いにこの何倍も上手い飯を作れる奴がいるんだけどな」

 

 

 

→誰ですか?    

知ってる人?   

 

 

 

したっぱ!

「おっと! その質問に答えるかどうかはバトルで決めまスター! いやでも俺と勝負だぜーっ!」

 

 

 

 主人公に食って掛かるしたっぱ!を見たネモが胸に手を当てて笑みを浮かべます。

 

 

 

ネモ

「いやでも、かあ……すっかり先輩の常套句になっちゃいましたね……ちょっと、ううん。すっごく嬉しいっ!」

 

 

 

→ネモ?      

どうかした?   

 

 

 

ネモ

「何でもないよ(主人公)! ささっ、(主人公)も位置について! わたしも戦いたいけど……今回は2人の実りっぷりを観戦させてもらうね!」

 

 

 

 ネモが看板の前に立ち、主人公としたっぱ!が最初のバトルと同じように距離を取ってからバトルが始まります。

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●○○

 

 

 

ビリリダマ Lv.25

いやなおと

ころがる

スピードスター

エレキボール

 

 

シビシラス♀ Lv.25

たいあたり

でんじは

スパーク

チャージビーム

 

 

イキリンコ♂ Lv.25

さわぐ

ものまね

とびつく

つばめがえし

 

 

ギャラドス♂ Lv.25 (みずテラス)

たきのぼり

かみくだく

こおりのキバ

じたばた

 

 

 

 

 背景ではネモが2人を応援しています。腕を上げて声援、腕を組んで思案、口元を抑えて驚くなどのモーションを見せてくれます。

 

 先発は打って変わって新しく加わったビリリダマを繰り出し、更にコイキングが進化したギャラドスにテラスタルを使ってきます。『オリーブ大農園』でのコイキングとは打って変わり、パーティのレベル次第では余裕で崩壊しかねない火力なので特に注意しましょう。

 

 

 

(初回行動時)

 

したっぱ!

「ネモが見てる手前、無様な姿は晒す気はねえ……電撃速攻で決めまスター!」

 

 

 

(効果はバツグンだ!)

 

ネモ

「相手の弱点を攻める……もう基本はバッチリだね!」

 

 

 

(急所に当たった!)

 

ネモ

「ここで急所! 流れが向いてきてるよー!」

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「駆け上がれテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「驚かせてくれギャラドス! お前が鍛え上げた成果でよーっ!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「今回も二連敗でスター!?」

 

 

 

したっぱ!

「うごごごごっ……!」

 

ネモ

「お疲れ(主人公)! 予想以上に実っててビックリしちゃった……もちろん先輩も!」

 

したっぱ!

「……良し、落ち込みフェイズ終了! ますます強くなってるな(主人公)! いつものご褒美でスター! ほれ、ネモにもやるぜ」

 

 

 

 勝利後は報酬や努力値は貰えないものの、戦闘後にコレクレーのコイン×50とランダムなタイプのテラピース×50を受け取れます。

 

 

 

ネモ

「喜んで受け取らせていただきます! わたしは生徒会長だからスター団には入れそうにはないですけど……それでも団について色々知っておきたいですし、これからもよろしくお願いします!」

 

したっぱ!

「こちらこそだが、別にそんなことはないと思うぜ? ボスの1人も元は生徒会長だったし、意外と話が合うかも……何事もやってみるが吉でスター!」

 

ネモ

「考えておきます!」

 

したっぱ!

「おう! そんなら俺はこの辺で……お疲れ様でスター!!」

 

 

 

 一瞬の暗転後にしたっぱ!がいなくなり、ネモが主人公に向き直ります。

 

 

 

ネモ

「あのポーズ、勢いあっていいよね! わたし運動苦手だからあんな風にはできそうにないけど」

 

 

 

 ネモがなんとなく腕だけでスター団ポーズをした後、おかしくなって口元に手をやって笑います。

 

 

 

ネモ

「スター団ってやんちゃ集団かと思ってたけど、掟とかあってそれなりにきっちりしてるんだってさ。問題ばっか目立っててなんにも知らなかったや……でもでもっ! 授業に出なかったりとかはダメだよね! その点、先輩は授業もちゃんと出てて……先輩はスター団の変わり者ってことなのかな?」

 

 

 

 このイベント後、全ての教科の授業でしたっぱ!がたまに背景に出現するようになります。室内でもヘルメットやゴーグルを外していないので一目でわかるでしょう。バトル学でのパートナーはイキリンコ(緑フェザー)を連れています。

 

 

 

ネモ

「生徒会長として、友達の1人として、スター団についてもっと知っていかなきゃね! それじゃ(主人公)。わたしもこの辺で、お疲れ様でスター! ……なんちゃって!」

 

 

 

 もう一度暗転した後にネモがいなくなります。

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

したっぱ!

「学生の本分は勉強でスター! (主人公)もしっかりな! ……スター団なのに授業に出てるのかって? 別にそんな掟はねえし、アカデミーに入らせてもらってるんだからその辺りはしっかりしねえとだからな。親にも悪いし」

 

 

 

 アカデミーのグラウンドでしたっぱが連れているポケモンにコイキングの代わりにギャラドス、ビリリダマが追加されます。

 

 

 

(ギャラドスについて)

 

したっぱ!

「超怖い強面になっても、中身はあのコイキングのまま元気に飛び跳ねてくれるんだ。むしろそれがすごい破壊力だからもっと跳ねさせるべきか……?」

 

 

 

(ビリリダマについて)

 

したっぱ!

「俺がポーズの練習してたら後ろで電撃ビリビリしてきてさ。撮ってた動画見返したら、スッゲェ映えてたんでスター! これだって思って勢いでゲットしたんだぜーっ!」

 

 

 

 次の場所のヒントです。

 

 

 

したっぱ!

「砂漠に行くときは気を付けろな。大抵の危険を防げるヘルメットはもちろん、ゴーグルで目を守るのも忘れるな! 先輩からの助言でスター!」

 

 

 

 次のイベントを回収したいのであれば西2番エリアのロースト砂漠近くを目指すことをオススメします。 

 

 

 

→列柱洞




イベントを回収していくにつれてしつこいモブから頼り甲斐のある先輩になっていく……こいつアホだったっけ?


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5、列柱洞

“レジェンドルート”にて、5ついるヌシのうちどれか1つを攻略していれば解放されます。

バトル後のシーンの一部を修正しました。


←100万ボルトの夜景

 

 

 

 

 

●列柱洞

 

 

 

 『列柱洞』の看板の前でしたっぱ!とペパーが何やら言い合っています。

 

 したっぱ!の足元にはビリリダマがいますが、話しかけると鳴きながら点滅を開始します。主人公が驚いたモーションを行うと満足そうに鳴いて点滅を止めてくれます。

 

 したっぱ!かペパーに話しかけるとそのままバトルが始まるので予め準備しましょう。

 

 話しかけると場面が変わり、両手を握りしめて食って掛かるしたっぱ!にカメラがズームします。

 

 

 

 

したっぱ!

「いいじゃねーかよペパー!」

 

 

 

 次に腕を組んで取り合わないペパーにカメラが切り替わります。

 

 

 

ペパー

「嫌なモンは嫌だ」

 

したっぱ!

「なんでだよー! クラスメイトのよしみだろー?」

 

ペパー

「クラスメイトっつーけど、オレはオマエのことなんてしらねー」

 

 

 

→したっぱ先輩!  

ペパー!?    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 ペパーが「!」と反応して主人公の方を向き、目を見開いて驚いたあと笑顔でこちらに近づいてきます。

 

 

ペパー

「(主人公)! グッドタイミングちゃんだぜ。ちょっと助けてくれねえか?」

 

したっぱ!

「おはようございまスター(主人公)! そんでこいつは前言ってためちゃくちゃウメェ飯作れる知り合いのペパーだ!」

 

ペパー

「勝手に紹介すんな……てか、まさかオマエが言ってたダチって……?」

 

したっぱ!

「おう! (主人公)にペパーの飯食わせてみたくってな。ついでに俺もまた食いたくなったからな!」

 

ペパー

「後ろの方が本音だろ」

 

 

 

→もう食べました!   

おいしいちゃんでした!

 

 

 

したっぱ!

「なにぃっ!? まさかの展開でスター!!」

 

ペパー

「そういうワケだ。無駄足だったな。そんなら俺はこれで…………な、なんだよ(主人公)?」

 

 

 

→また食べたいな  

…………     

 

 

 

ペパー

「……あーあーわかったよ! 食わせてやるから2人とも待ってろ!」

 

したっぱ!

「マジか!? 助かったぜ(主人公)! うっひょー! 今から楽しみでスター!!」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「ごちそうさん! めっちゃ美味かったでスター!!」

 

 

 

→ごちそうさま!  

ありがとう!   

 

 

 

ペパー

「ふぃ~。はいはい、そりゃよかったな……なあ(主人公)、コイツの名前とか知ってるか? オレ全然面識ねえんだけど……」

 

 

 

 主人公が悩んだ仕草をしていると、したっぱ!が両手を強く握り締めはじめます。

 

 

 

したっぱ!

「食い終わったばっかでも食べ始めた瞬間の感動を思い出せるくらい、かみなりに打たれたような衝撃だったぜ……トースト、野菜、肉の層はパッチールの模様のような多種多様な歯ごたえを作り出し、奴等のフラフラダンスを見ているような幸せな心地にさせる……!」

 

 

 

 したっぱ!にカメラズームしていきます。

 

 

 

したっぱ!

「そして噛み締めるたびにあふれ出るのは、焙られた肉の旨味と野菜の瑞々しくも爽やかな香り! それらが互いをサポートしながらも互いの個性を際立たせている! その相性の良さはまるでプラスルに対するマイナン!」

 

 

 

 したっぱ!に集中線が迸ります。

 

 

 

したっぱ!

「そしてそれらをまとめるのはオーロラソースの染み渡ったよく焼きのトースト! 特にソースはマヨネーズとケチャップだけじゃねえ……ビネガーやバター、他にも俺の舌だけじゃ味わい切れない奥深さがあるぜ! トーストが味にメリハリをつけて後味を整え、次の食感を初めての時よりも鮮烈に煌めかせてくれる……! こいつはホウエン神話でグラードンとカイオーガを諫めたという、レックウザ並みの存在感を放ってるぜ! 今思い出してもンまかったなあ~っ!!」

 

 

 

 カメラが引いて驚く主人公と腕を組んで目を閉じるペパーが映し出されます。

 

 

 

ペパー

「…………」

 

 

 

 ペパーがひとしきり悩むと「!」と反応して笑顔になります。

 

 

 

ペパー

「あー! いたなオマエ! *1博士の息子だってクラスメイトによく避けられてたんだけど、コイツはヤケに絡んできてよ。調理実習で一緒になった時にゃ、さっきみたいにすごい食レポが出てきたもんで驚きちゃんだったのをよく覚えてるぜ。そうか、オマエだったのか……ちょっと悪いことしちまってたな、昔もさっきも」

 

したっぱ!

「なあに言ってやがる! ダチはよお、ちょっと悪いかもってぐらいの押し付けがちょうどいいんだ! こっちこそ最近学校で見かけないから心配だったけど、『宝探し』か? 元気にやってるならなによりでスター! ……さて」

 

 

 

 ペパーとしたっぱ!を映していた画面が動いて主人公の後ろ姿が現れます。

 

 

 

したっぱ!

「やりたかったことも済ませたからな! 恒例のバトルの時間でスター!」

 

ペパー

「オレは遠慮させてもらうぜ。ポケモンを戦わせるのは…………あんま好きじゃねえからな」

 

したっぱ!

「おう、そうか! そんなら(主人公)、位置につけ……いやでも挑ませてもらいまスター!!」

 

 

 

 ペパーが看板の前に立ち、頷いた主人公と一緒にしたっぱ!が離れていってからバトルが始まります。

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●○

 

 

 

シビシラス♂ Lv.29

たいあたり

でんじは

スパーク

チャージビーム

 

 

ビリリダマ Lv.29

いやなおと

ボルトチェンジ

スピードスター

じばく

 

 

イキリンコ♂ Lv.29

さわぐ

まねっこ

みだれづき

つばめがえし

 

 

ギャラドス♂ Lv.29

たきのぼり

かみくだく

こおりのキバ

あまごい

 

 

タツベイ♂ Lv.29 (ドラゴンテラス)

ずつき

かみくだく

りゅうのいぶき

ひのこ

 

 

 

 

 背景ではペパーが2人を応援しています。声を上げて応援、腕を組んで思案、身を引いて驚くなどのモーションを見せてくれます。

 

 タツベイの特性は夢特性の【ちからずく】となっています。覚えている全てのわざが適応内なので不意の高火力に気を付けましょう。

 

 

 

(初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「ペパーの手料理で俺のテンションはシビルドン登り! ギラギラに攻めてやりまスター!!」

 

 

 

(効果はバツグンだ!)

 

ペパー

「弱点突いたのか! その調子だぜ(主人公)!」

 

 

 

(急所に当たった!)

 

ペパー

「すげえ効いてる! よくわかんねえけどガンバレ(主人公)!」

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「突っ走ろうぜテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「ちからずくで押して押して……押しまくるっ!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「そらそっちも食ったんだからおあいこでスター!?」

 

 

 

したっぱ!

「ちっくしょー! 今日こそは勝てると思ったんだがなあーっ!」

 

ペパー

「お疲れちゃんだぜ(主人公)! しっかし凄いバトルだった……生徒会長ぐらい強いんじゃねえか? やっぱオマエにスパイス探し手伝ってもらって正解だったな!」

 

したっぱ!

「スパイスだあ? なんの話か分かんねえけどよ。ほれ(主人公)、いつものご褒美でスター! ペパーもいるか? コインにテラピース!」

 

ペパー

「悪いがそういうのは受け取らない主義なんだ。代わりに(主人公)が貰ってくれていいぞ」

 

したっぱ!

「おおっ、ペパーも後輩に優しいなあ! そんなら今日のプレゼントは特別に倍でスター!」

 

 

 

 勝利後は報酬や努力値は貰えないものの、戦闘後にコレクレーのコイン×100とランダムなタイプのテラピース×50を2種類受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「何度だって言うがよーっ、俺はこんなところじゃ終わらねえ……いつか絶対(主人公)に、そしてネモに勝ってやるからな! そんときゃ祝杯をペパーに上げてもらうとするぜ!」

 

ペパー

「なんか巻き込まれてるが……いいぜ。生徒会長ってのはチャンピオンっつーヤツでめちゃくちゃ強いちゃんだろうし、ソイツに勝ったとなりゃダチ……クラスメイトとしても嬉しいからな!」

 

したっぱ!

「サンキューなペパー! 俺たちゃ今からマブダチだぜーっ!」

 

ペパー

「ま、マブってのは……なんかこそばゆいな……」

 

 

 

 ペパーが頭を掻いて気恥ずかしそうにしていると、したっぱ!のマルマインが飛び出します。

 

 

 

ペパー

「あれ、オマエのビリリダマ復活して……てか進化してる!?」

 

したっぱ!

「おおっ、マジじゃん! さっきのバトルの経験値で進化したのかよ! こいつは幸先良さそうだな!! お前ら2人とも元気でやれよ! お疲れ様でスターっ!!」

 

 

 

 したっぱ!が迫真のスター団ポーズを披露してから画面が暗転して爆発音が響きます。switchのバイブレーション機能をオンにしてると割とブルブル震えます。

 

 画面が明転するとしたっぱ!がいなくなり、全身で驚きを表現する主人公とペパーが取り残されています。

 

 

 

ペパー

「ポーズに合わせてじばくした……!? すっげえアイツ、面白すぎちゃんだろ!!」

 

 

 

 ペパーが腹を抱えて笑った後、同じく笑う主人公に向かい合ってから「!」と反応します。

 

 

 

ペパー

「しまった、どうせならスパイス探し手伝ってもらえば良かったぜ……ま、今度どっかで会えたら誘ってみるか。それじゃあオレも行くぞ。ヌシの手掛かりを調査してるから、オマエも何かあったら連絡入れろよ!」

 

 

→わかった!    

お疲れ様でスター!

 

 

 

○『わかった!』を選んだ場合

 

 

 

ペパー

「おう!*2 アイツに会えたらよろしく言って……てか名前聞きそびれたな。これも今度会ったときに聞いてみるか。そんじゃな!」

 

 

 

 

○『お疲れ様でスター!』を選んだ場合

 

 

 

ペパー

「オマエもあのポーズを……!? オレは絶対あんなダサいのなんてしねえからな! 絶対ちゃんだからな!! ……またな!」

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 アカデミーのグラウンドでしたっぱが連れているポケモンにビリリダマの代わりにマルマイン、タツベイが追加されます。

 

 

 

 

(マルマインについて)

 

したっぱ!

「素早さも爆発力も超爆上げ! どんな瞬間も最高に映えさせてくれる小粋な演出家でスター!」

 

 

 

(タツベイについて)

 

したっぱ!

「タツベイってのは空を飛ぶのを夢見て高台から落ちて鍛えてるんだと。その落下地点に俺がいてぶつかったんで、こりゃ運命ってビビっと来てゲットしまスター!」

 

 

 

 次の場所のヒントです。

 

 

 

したっぱ!

「冒険中に見る塔ってやっぱ芸術って感じするよなあ……それが傾いてるとなると、なんかもっとロマンがあるぜ!」

 

 

 

 次のイベントを回収したいのであれば南6番エリアの北方を目指すことをオススメします。

 

 

 

→ビシャビシャの斜塔

*1
主人公に向き直って力説する

*2
サムズアップ




食レポがバチクソ難しくて草テラス。はちゃめちゃ時間経っててワロタ。

流れ的に次はスター団関連なんですけどこの場合、誰を登場させるべきなんでしょうかねえ……候補的にはボタン、ネルケ、カシオペアなんですが、次の次がナッペ山とかいう雪山で前者の2人は出られなそうなのでどちらかでしょうねえ

決まったら投稿します()。


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6、ビシャビシャの斜塔

“スターダスト★ストリート”にて、5つあるボスのうちどれか1つを攻略していれば解放されます。

ジムリーダーのレベル的にナッペの手から行った方が良さそう感はあるけども。


←列柱洞

 

 

 

 

 

●ビシャビシャの斜塔

 

 

 

 『ビシャビシャの斜塔』の看板の前でしたっぱ!とネルケが談笑しています。

 

 したっぱ!の足元にはコモルーがいますが、話しかけると何やら怒っている様子で鳴いてくれます。一方ネルケの足元には主人公とネモに選ばれなかった御三家の2進化(ニャローテ、アチゲータ、ウェルカモ)がおり、話しかけると笑って鳴いてくれます。

 

 したっぱ!かネルケに話しかけるとそのままバトルが始まるので予め準備しましょう。

 

 話しかけると場面が変わり、したっぱ!と話していたネルケが目を丸くするところに切り替わります。

 

 

 

ネルケ

「なんと……その着崩し方には規則性があったのか……!」

 

したっぱ!

「そうだぜネルケ! ちょっと間違えると……*1よう(主人公)! 紹介するぜ、こいつはネルケ! さっきそこで知り合ってよーっ、なんでもスター団について教えてくれってんで色々話してたんだぜ!」

 

 

 

→ネルケ?  

校長?   

 

 

 

◯『ネルケ?』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「おおっ、(主人公)も知り合いだったのか! ま、こんなイカした野郎だ。見かけたらダチになりてえって思うよな!」

 

 

 

◯『校長?』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「はーっ? (主人公)、お前よく見ろよ! こいつのイカした髪型! 自分用に改造した服装っ! どっからどう見ても校長なわけねえだろ!! てかネルケに失礼だろ!!」

 

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

ネルケ

「まさか(主人公)とこんなところで会うとはな……オレはちょいと用があってベイクタウンに来てたんだが、そこでこのしたっぱ君を見かけてな。オレとしてもスター団については知っておきたかったからここらで話しかけたんだが……色々と為になったぜ」

 

したっぱ!

「スター団に入るってんならいつでも言えよ! 入団届とか書いてもらったり、ヘルメットとゴーグルの費用も払ってもらわなくちゃだからな……あっ、全額じゃねえぜ? 7割は俺が負担しまスター!」

 

ネルケ

「過去は知れなかったが現状はそれなりに知れた。授業に出ずに何をしているのか心配だったのですが……勉強自体はしており、専門的な学習に取り組んでいたりしてホッと致しました」

 

したっぱ!

「そういやネルケはバトルも強くってな。さっき話をする前に挑んだんだがまさかの敗北……新たにネルケという壁も出来ちまったぜ。ネモへの勝利は厳しいでスター」

 

 

 

 ネルケが「!」と反応して再びしたっぱ!に向き直ります。

 

 

 

ネルケ

「ネモさん……ですか?」

 

したっぱ!

「意外と礼儀正しいな。おうよ! 俺のスクールカーストの上昇を阻む壁であり良きライバルでスター!!」

 

ネルケ

「ライバル……そうですか」

 

 

 

 ネルケはクラベルの時のような優しい笑みを浮かべます。

 

 

 

したっぱ!

「実はネルケと会う前にもネモに挑んだんだけど、それも負けちまったんだ……だがっ! それでも俺は挫けねえ……いつか絶対あいつに勝ってアカデミーの頂点をつかみ取る!!」

 

 

 

 画角が変わってネルケのリーゼントで顔が見れなくなります。

 

 

 

ネルケ

「……ネモさん。良い人と巡り合われましたね」

 

したっぱ!

*2そして次は校長を倒してスクールカーストの真の頂きに辿り着くんでスター!!」

 

ネルケ

「それは……校長はスクールカーストとやらには関係ないのでは?」

 

したっぱ!

「なにっ!? マジでスター!?」

 

 

 

→マジです    

マジじゃないです

 

 

 

○『マジです』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「そ、そうなのか……ってことはネモを倒せばいいんだな! やることは変わんねえ……うっひょー! 燃えてきまスター!!」

 

ネルケ

「ほっ……」

 

 

 

 

○『マジじゃないです』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「やっぱりそうなんだな! うっひょー! 待ってろ校長っ、ぜってえ倒してやるからなーっ!!」

 

ネルケ

「(主人公)さん……」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

ネルケ

「……ではオレはこの辺で失礼するぜ」

 

したっぱ!

「もう行くのか? 今からサンドイッチ作るからネルケも食ってけよ!」

 

ネルケ

「いや、遠慮するぜ。オレはこれでも忙しいんでな……ここらでおさらばさせてもらう」

 

したっぱ!

「そっか! ならしゃあねえ! いつも通り奢るぜ(主人公)!」

 

 

 

 したっぱ!がピクニックの準備をするべく2人から離れたところ、別れ際にネルケに話しかけられます。

 

 

 

ネルケ

「(主人公)さん……これからもネモさんと、仲良くしてくださいね」

 

 

 

→ネルケ……  

校長……   

 

 

 

○『校長……』を選んだ場合

 

 

 

ネルケ

「おっと、オレの正体についてはお口チャックで頼むぜ」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

ネルケ

「じゃあな。次の『スターダスト大作戦』でまた会おう」

 

 

 

 ネルケが歩いていくと、したっぱ!が近づいてきます。

 

 

 

したっぱ!

「話し終わったか? 今日はスイーツ風を目指して作ったぜーっ! たんと味わってくれよ!」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「うーむ……やっぱペパーのサンドイッチ食った後だとどうにも味気ねえぜ。(主人公)もそう思うだろ?」

 

 

 

→そう思います    

そうは思いません  

 

 

 

○『そう思います』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「だよなーっ。(主人公)は何度も食べられてて羨ましいぜ。ペパー的に言えば仲良しちゃんだな」

 

 

 

○『そうは思いません』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「そうかーっ? ま、誉め言葉として受け取ってやるぜ! ありがとうな!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「ペパーもそうだが、ネルケとも(主人公)はダチだったんだな。俺は浅い仲だったけどお前の方は結構深い縁だったっぽくてなんだか羨ましいぜ。ネモにも勝ててるらしくってな」

 

 

 

 一瞬だけ悔しそうな表情になるも、カメラがズームして歯をむき出しにして笑顔になります。

 

 

 

したっぱ!

「故にっ! (主人公)に勝てりゃ打倒ネモの近道になる! さあ構えろ(主人公)……いやでも俺と勝負でスター!!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●○

 

 

 

 

 

マルマイン Lv.41 (でんきテラス)

でんじふゆう

ボルトチェンジ

スピードスター

じばく

 

 

ギャラドス♂ Lv.41

たきのぼり

ハイドロポンプ

ひやみず

りゅうのまい

 

 

シビビール♀ Lv.41

かみくだく

でんじは

ようかいえき

ほうでん

 

 

イキリンコ♂ Lv.41

いばる

まねっこ

からげんき

そらをとぶ

 

 

コモルー♂ Lv.41

しねんのずつき

かみくだく

ドラゴンクロー

まもる

 

 

 

 初手で繰り出してくるマルマインにテラスタルを使ってきます。こちらがじめんタイプで無ければ『ボルトチェンジ』で交代してシビビールの後に再び繰り出してきます。『じばく』の後に繰り出してくるイキリンコが『まねっこ』で『じばく』をコピーしてくることもあるので注意しましょう。

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「電撃速攻で奇襲テラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「迸れ電撃! テンションも爆上げで行きまスター!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「今日は3連敗でスター!?」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「まーた負けちまったが、それでも成長は実感できてる! (主人公)も俺を脅威に感じてきたんじゃねえか? しかし俺を恐れてビビっちまったらあっという間に追い抜いてやるからな! リラックスして前を向くことをアドバイスしておくぜ! そしてアドバイスついでにいつものご褒美でスター!」

 

 

 

 勝利後は報酬や努力値は貰えないものの、戦闘後にコレクレーのコイン×50とランダムなタイプのテラピース×50を受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「新たにネルケというライバルの出現……うっひょー! ワクワクが止まらねえぜ!」

 

 

 

 そして前回同様、マルマインが飛び出します。

 

 

 

したっぱ!

「そんならまたな(主人公)! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!が迫真のスター団ポーズを披露してから画面が暗転して爆発音が響きます。switchのバイブレーション機能をオンにしてると割とブルブル震えます。

 

 画面が明転するとしたっぱ!がいなくなり、全身で驚きを表現する主人公が取り残されています。

 

 

 

 

●しるしの木立ち スター団どく組アジト

 

 

 

 今更ながらどく組を攻略した後、チーム・シーのアジトの奥にタギングルを連れているしたっぱがいます。話しかけると、以下のセリフを回収できます。

 

 

したっぱA

「あ……どうもー、てかおひさー……あれ、覚えてない? ほら、先輩と一緒に勧誘してた……あ、ピンときた? 改めておひさー」

 

 

 

 画角は変わらず、そのまま文章が流れます。

 

 

 

したっぱA

「先輩どーしてる? あたしは早々にアジトに入り浸って友達と青春謳歌する方にシフトしたけど、元気そう? ……だろーね。機会があったらまた遊んであげよーかなー」

 

 

 

 会話は一度区切られますが、もう一度話しかけると以下のセリフが出てきます。

 

 

 

したっぱA

「スター団に入るまではぶっちゃけ学校生活つまんないって思ってけど……先輩と出会って、友達できて、案外楽しいじゃんって思えてきたかな。てか……先輩が言ってた掟ってだいたい嘘じゃん! 今度会ったら怒鳴り散らしてやる!」

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 アカデミーのグラウンドでしたっぱが連れているポケモンにシビシラスの代わりにシビビール、タツベイの代わりにコモルーが追加されます。

 

 

 

(シビビールについて)

 

したっぱ!

「進化した喜びで電気ばらまいてたら野生のポケモンを怒らせて追われちまってよーっ。意外とポンコツなんだぜーこいつ」

 

 

 

(コモルーについて)

 

したっぱ!

「ギャラドスのたきのぼりだって余裕で耐える全身の殻は、次なる進化に備えて力を蓄えてるらしい……うっひょー! 今から楽しみでスター!!」

 

 

 

 次の場所のヒントです。

 

 

 

したっぱ!

「次はハッサク先生の授業で言ってたパルデア十景……ガッカリスポットとか言われてたけど、とりま行ってみてからガッカリすっか!」

 

 

 

 次のイベントを回収したいのであればナッペ山を目指すことをオススメします。該当する授業に出ていればより場所が分かりやすいでしょう。

 

 

 

 

 

→ナッペの手

*1
「!」と反応して主人公に向かい合います

*2
画角が戻ってしたっぱ!に集中線が迸る




マルマインについては前回のラストで進化することにさせました。感想でLv.30で進化したのかとのご指摘をいただいたので、当初はミスにしたんですが……やっぱりそっちの方が好きだなと変更させてもらいました。度重なる変更、申し訳ございません。

それとシビルドンで検索してたらそのうち『ラブライブ!』にヒットしてかつポンコツ生徒会長に当たりました。このシビビールは♀です。偶然です。


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7、ナッペの手

見返したらバトルの前置きにしては長すぎるなあと思う反面、バトル後におしゃべりするのもなんか違う気もするジレンマ……負けてもストーリー進むようにした方が良かったのかもしれん。


←ビシャビシャの斜塔

 

 

 

 

 

●ナッペの手

 

 

 

 『ナッペの手』の看板の隣でしたっぱ!がピクニックをしていますが、看板の内容を読みながらしたっぱ!が腕を組んで立っています。

 

 したっぱ!の隣にはギャラドスがおり、話しかけると鳴き声を上げながら飛び跳ねて上空に消えていきます。数秒後に主人公が少しよろけるくらいの風圧とともにゆっくり落ちてきます。

 

 したっぱ!に話しかける、または看板を読もうとするとそのままバトルが始まるので予め準備しましょう。

 

 話しかけると場面が変わり、したっぱ!が「!」と反応して主人公に気づいて振り向きます。

 

 

 

したっぱ!

「おーう(主人公)! そうか、お前もナッペ山に挑戦か……ここのジムは2つもあるからな。俺は一気に攻略するつもりでスター!」

 

 

 

→がんばりましょう!  

寒くないんですか?  

 

 

 

 

◯『がんばりましょう!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「それを言うなら俺の方だぜ! (主人公)もチャンピオン目指して頑張りまスター!!」

 

 

 

 笑顔で迫真のスター団ポーズを披露してくれます。隣に居るギャラドスも嬉しそうに鳴いてくれます。

 

 

 

◯『寒くないんですか?』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「俺ほどの人気者になるとこんな寒さじゃびくともしねえんだぜ!」

 

 

 

 主人公が夏服を着ているとセリフが追加されます。

 

 

 

したっぱ!

「それよか(主人公)の方が心配だぜ。夏服ってオイ」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「ちょうど風も収まってきた頃だからピクニックしようと思ってたところなんだ。実はネモからいつも世話になってる礼とかで茶葉をもらってな。それがめちゃくちゃ高そうなブランド品なんだぜーっ!? せっかくだからお前にも味わわせてやるよ。俺はこう見えても茶を淹れるのは得意なんでスター!!」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれるのに加えて、夏服を着ていても30分の間だけ寒さで震えるモーションが無くなります。

 

 

 

したっぱ!

「ふぃー……ここが雪山だって忘れるくらい安らぐハーブティーでスター……ネモってお嬢様なんだって聞いたぜ。家も豪邸らしくって……つまり俺がネモに勝った暁にはそれらも全部総どりできまスター!?」

 

 

 

 主人公はそれに返事をしませんが、ナッペの手の方に視線を動かすとしたっぱ!が「!」と反応して解説してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「それがパルデア十景の1つ、『ナッペの手』だぜ。三又に分かれた地形がポケモンの手の平っぽいだろ? 俺はたぶん登山家が迷わないように道しるべとして名付けたと考えてる……ハッサク先生もいい考えですねって褒めてくれたんだぜ!」

 

 

 

 主人公が「…」と反応します。該当する授業を受けているかいないで以降のセリフが変わります。

 

 

 

◯受けている場合

 

 

 

したっぱ!

「おおっ、(主人公)も受けたのか! いいよなハッサク先生の授業……俺なんて初回の授業で泣いちまったもん」

 

 

 

◯受けていない場合

 

 

 

したっぱ!

「おおっ、(主人公)はまだ受けてなかったのか! 羨ましいぜ、あの授業の感動を新鮮に味わえるんだからな! 俺なんて初回の授業で泣いちまったもん」

 

 

 

 以降は同様の返事で、ハッサク先生とのつながりと過去がほのめかされます。

 

 

 

したっぱ!

「ハッサク先生は俺が人生に悩んでいた時に助けてくれてよ。あの人にゃ返せねえくらいの大恩があるんだ! あの人が一歩踏み出させてくれたから俺はスター団として! 多くの悩める後輩を助けてるんでスター! もちろん、その中には(主人公)もいる……だがっ、バトルにおいては先輩だの後輩だのは無しだ! 勝負となりゃトレーナー同士、互いの全力をぶつけまスター!!」

 

 

 

 互いに距離を取ってからバトルが始まります。

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●●

 

 

 

リオル♂ Lv.44

くさわけ

でんこうせっか

つるぎのまい

はっけい

 

 

イキリンコ♂ Lv.44

いばる

まねっこ

からげんき

ブレイブバード

 

 

コモルー♂ Lv.44

しねんのずつき

かみくだく

ドラゴンクロー

まもる

 

 

マルマイン Lv.44

でんじふゆう

ほうでん

スピードスター

じばく

 

 

ギャラドス♂ Lv.44

たきのぼり

ハイドロポンプ

ぼうふう

りゅうのまい

 

 

シビルドン♀ Lv.44 (でんきテラス)

かみくだく

とぐろをまく

あばれる

ワイルドボルト

 

 

 

 

 ついに進化したシビルドンにテラスタルを使ってきます。新たに手持ちにしたリオルは甘く見ていると『つるぎのまい』でバカにならない火力を見せてくるので注意しましょう。

 

 

 

(初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「雪山だろうが全力全開! 蹴散らしていきまスター!!」

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「登り切ろうぜテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「全身全霊で輝けシビルドン! これが進化したお前の力を見せてみろ!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「お前の方がシビルドン登りでスター!?」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「ちっくしょー! あともう一息だったってのによーっ! (主人公)ももっともっと強くなってきてるな。先輩としても鼻が高いぜ……いつものご褒美も有効活用してくれてんだろ? その調子で頑張ってくれよー!」

 

 

 

 勝利後は報酬や努力値は貰えないものの、戦闘後にコレクレーのコイン×50とランダムなタイプのテラスピース×50を受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「俺もさらに鍛えて次なるジムに挑んでやるぜ! 確か次はフリッジタウンのゴーストジム……どうせなら墓参りも済ませちまうか」

 

 

 

 したっぱ!が別れ際の言葉を綴っていましたが、そこで主人公のスマホロトムが飛び出します。

 

 

 

カシオペア

〈すまない(主人公)、今は『スターダスト大作戦』に関する場ではないが……少々ハッキングさせてもらった〉

 

したっぱ!

「うおっ!? なんだ急にスマホロトムが……!?」

 

カシオペア

〈私の名はカシオペア。(主人公)とは縁あって協力関係にある……あまり詮索はしてくれるなよ〉

 

したっぱ!

「分かったぜ! 過去なんて知らなくてもダチになれるからな!」

 

カシオペア

〈扱いやすくて助かるよ。君の名は……ネルケも知らないらしいが、まあいい〉

 

したっぱ!

「イレギア。2ーBの学級委員長。そういやネルケどころかネモにすら話してなかったな……あ、(主人公)にもか」

 

カシオペア

〈…………随分と素直だな。私がその名を騙った犯罪を犯さないとは思わないのか?〉

 

したっぱ!

「聞かれたから答えただけだし、それにだったら(主人公)だって危険だろ? 危険な場所に後輩を置いていくなんてできねえ。それに犯罪に巻き込まれたなら警察に相談すりゃいいし」

 

カシオペア

〈…………そうか〉

 

したっぱ!

「それで、俺になんか聞きたいことでもあんのか? 答えられることと答えたいことならなんでも答えまスター!」

 

カシオペア

〈ああ、そうだったな。できるだけ詳細に話してほしい……君は『スター大作戦』について知っているか?〉

 

したっぱ!

「『スター大作戦』……ああ知ってるぜ! なんせ、俺はそこでスター団を知ったからな!」

 

 

 

 カシオペアが「!」と反応します。

 

 

 

カシオペア

〈そこで……知った……? つまりそれ以前はスター団ではなかったと?〉

 

したっぱ!

「まあな。その後にスター団やってたダチを追い回してからスター団に入れてもらったのさ! ったくよーっ。あんな面白そうなことやってるんなら俺も混ぜろよなーっ」

 

カシオペア

〈……君は、スター団が結成された経緯を知っているか?〉

 

したっぱ!

「いんや? 知らねえ。ダチに言いたくないって言われたから聞いてねえ」

 

カシオペア

〈…………ならば、どうしてスター団に入ろうと?〉

 

したっぱ!

「カシオペアが言った『スター大作戦』……その現場に行ったら5匹のブロロローム、いやスターモービルのカッコ良さに度肝を抜かれてよーっ! 俺もアレに乗れるくらいになりゃ、スクールカースト爆上げだろうなって考えたんでスター!」

 

カシオペア

〈現場に…………行った…………まさか〉

 

したっぱ!

「今はまだしたっぱだがよ、いつか絶対それを乗りこなせるようになるんだ! だから今、裏で免許取ろうととか思ってるんだけど、アレって自動車免許とか必要だと思うか?」

 

カシオペア

〈……………………〉

 

したっぱ!

「な、なんだよカシオペア。急に黙りこくって……雪山だから電波悪いのか?」

 

カシオペア

〈…………君のことはよく分かった。(主人公)……彼と関わるのは今後控える……いや、やめておいた方がいい〉

 

 

 

 主人公としたっぱ!が「!」と反応し、口を開けて驚く主人公に対してしたっぱ!が怒りを露わにカシオペアに食って掛かります。

 

 

 

したっぱ!

「はあっ!? なんだよそれ! 過去は聞かねえとは言ったがそんな勝手なこと言うなら話してもらうぜ! カチコミでスター!!」

 

カシオペア

〈君に話すことも、答えることももうない。では(主人公)、また『スターダスト大作戦』で会おう〉

 

 

 

 そこで主人公のスマホロトムが戻っていきますが、したっぱ!は怒り心頭の様子で両腕を振り回しています。

 

 

 

したっぱ!

「テメェまだ話はッ……!? ……切れちまったか。ったくなんなんだよあいつ! (主人公)っ、ホントになんか犯罪に巻き込まれてないか!? 超心配になってきまスター!!」

 

 

 

→大丈夫です   

良い人です   

 

 

 

したっぱ!

「…………お前がそういうなら信用するけどよ。だがっ、もしもマジでヤベェって思ったら俺に相談しろよな! 俺に解決できなくても解決できそうな奴を探してやるからな!」

 

 

 

 マルマインが飛び出しますが、したっぱ!が少し思案顔を見せます。

 

 

 

したっぱ!

「流石に雪山で爆発はダメだから電撃……もダメだし光るだけにしろよ」

 

 

 

 マルマインが少し不満げに鳴きますが、了解したそうです。

 

 

 

したっぱ!

「そんなら一旦さよならだ。久しぶりにアジトに居るダチにでも会いに行くかな! お疲れ様でスター!!」

 

 

 

 したっぱ!が迫真のスター団ポーズを披露してから画面が暗転しますが、以前のような爆発もバイブレーションもなく、明転しても主人公は驚いていません。

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 アカデミーのグラウンドでしたっぱが連れているポケモンにシビビールの代わりにシビルドン、リオルが追加されます。

 

 

 

(シビルドンについて)

 

したっぱ!

「ついに! ようやく! 念願のシビルドンでスター! うっひょー! 文字通りのシビルドン登りでスクールカースト駆け登ってやりまスター!!」

 

 

 

(リオルについて)

 

したっぱ!

「鍛えてる姿に心打たれてゲットしまスター! てか、こいつの方もなんか俺のこと気に入ってたらしくってよー、波長が合うってやつだろうなーっ!」

 

 

 

 次の場所のヒントです。

 

 

 

したっぱ!

「パルデア地方で空に一番近い場所! 星空も眺めたいし……どうせなら夜に行ってやりまスター!」

 

 

 

 次回は夜にしか現れません。それを留意して向かいましょう。

 

 

 

 

 

→パルデア最高峰




パルデア編の過去回想を表面だけ掠め取ってみたらアホが明らかにスター団の敵に見えるなあと。


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8、パルデア最高峰

←ナッペの手

 

 

 

 

 

●パルデア最高峰

 

 

 

 夜に訪れた『パルデア最高峰』の看板の隣でしたっぱ!がピクニックをしていますが、彼の隣にはルカリオがおり、話しかけると思慮深く頷きながら鳴いてくれます。

 

 したっぱ!に話しかけるとそのままバトルが始まるので予め準備しましょう。

 

 

 

したっぱ!

「おう(主人公)、偶然だなこんな夜中に……いいのか俺と一緒に居て。カシオペアの奴からやめとけって言われてたろ?」

 

 

 

→会いたかったので!  

偶然です!      

 

 

 

○『会いたかったので!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「ならしゃあねえな! ダチと会いてえって気持ちは俺にも痛いほど分かる……せっかくだし飯食ってけよ」

 

 

 

○『偶然です!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「偶然ならしゃあねえな! ならその偶然に感謝してスペシャルサンドイッチをくれてやりまスター!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「ネモにもらった茶葉がちょうど無くなりそうでな。このお返しになんかプレゼントしたいんだけど……何がいいと思う?」

 

 

 

 

→お菓子!     

アクセサリー!  

バトル!     

 

 

 

○『お菓子!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「お菓子か! でもネモの好みとか知らねえし、今度シャレたカフェにでも誘ってみるか!」

 

 

 

 

○『アクセサリー』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「アクセサリーかあ。俺、そういうの分かんねえからなあ……サプライズとかの方がいいんだろうけど、本人に選んでもらおうかな」

 

 

 

 

○『バトル!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「バトルだあ? そんなんいつもやってることじゃねえか……いや、待てよ? フリッジジムのダブルバトルでライムさんにセンスがいいって言われたからな……趣向を変えてダブルバトルで挑んでやるか!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「……そうだ、カシオペアって結局なんなんだ? 話したくなければ話さなくていいけどよ?」

 

 

→話す     

話さない   

 

 

 

○『話す』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「マジか! ありがとうございまスター! そんなら教えてくれだぜーっ!」

 

 

 

 

○『話さない』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「わかった! 言いたくねえんならそれで構わねえぜ。そっちにも約束はあるだろうからな……お湯沸かすから待ってろ!」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれるのに加えて、夏服を着ていても30分の間だけ寒さで震えるモーションが無くなります。

 

 

 

したっぱ!

「ごちそうさまでスター! ……それにしても、雪山のてっぺんで星空を眺めながら飯を食うなんてとっておきの体験をしちまったぜ! これ一個でも『宝探し』のレポートが書けちまうくらいだ……!」

 

 

 

 先ほどの選択肢によって次のセリフも変わってきます。

 

 

 

○『話す』を選んでいた場合

 

 

 

したっぱ!

「それにしても驚いたぜ。『スターダスト大作戦』……まさか(主人公)がスター団をぶっ潰してるっていうカチコミ野郎だったとはな! ダチからそんな奴がいるとは聞いてたが、それが(主人公)だったとは!」

 

 

 

 したっぱ!が「…」と反応しながら腕を組んで悩みます。

 

 

 

したっぱ!

「そしてカシオペアは(主人公)にとっても正体不明だったんだな。なんの目的でスター団を……まさかっ! カシオペアはネオ⭐︎スター団を立ち上げて裏からパルデアを支配する気なんじゃ!? ……なんだよその顔、まだ違うと決まったわけじゃねえだろ? マジボスの正体だってそいつも分かんねえって言ってたじゃねえか」

 

 

 

 続けてしたっぱ!が得意げに笑います。

 

 

 

したっぱ!

「ちなみにダチ同士でマジボス像を色々話してたが、一番の有力候補は俺の案である大企業の社長だ! ガラル地方のマクロコスモスぐらいデカい企業のな! もしかしたらその子どもやも……? まあ考察はほどほどにして、だ……」

 

 

 したっぱ!にカメラがズームして集中線マシマシで力説しはじめます。

 

 

したっぱ!

「スター団にカチコんでるとなりゃ当然っ、俺も敵になることは知ってるだろうな! この『パルデア最高峰』の地でお前を倒し、ついでにカシオペアも……そしてマジボスをも超えて! 俺がパルデアの頂点になってやりまスター!! そこまで強くなりゃネモにも勝てるようになるだろうしな! うっひょー! 今からワクワクしてきたぜーっ!」

 

 

 

○『話さない』を選んでいた場合

 

 

 

したっぱ!

「この『パルデア最高峰』には一度来てみたかったんだ。見ろよ、夜空に煌めく満天の星! 俺もいつかスター団のボスになって、そしてマジボスをも超えて! このパルデアでいっちばん眩しい一番星になってやるんだ!」

 

 

 

 したっぱ!が話していると画面が星空を映し、Aボタンを押すと再び画面が戻ります。

 

 

 

したっぱ!

「スター団ってのは俺の青春そのものなんだ。一年ちょっと前にダチのほとんどが学校を辞めて、パルデアからも出ていっちまった奴もいた。中には……いや、これはいいや。みんながみんな良い奴ばっかじゃなかったけどな、それでもいなくなっちまえば寂しくって……だがそれとほぼ同時にスター団に出会えた! 引きこもってたダチをなんとか説得して入れてもらえてよーっ、今は楽しく学校生活を送れてるんだ!」

 

 

 

 続けてしたっぱ!が得意げに笑います。

 

 

 

したっぱ!

「そんであんとき(主人公)と出会った日も、寂しそうな想いのありそうな奴を見つけては勧誘してたんだ。自分が自分の心に正直に、心から楽しめる場所がありゃそんなこと思わねえだろ? だから俺はそんなスター団で成り上がる! スクールカースト爆上げさせてみんなが笑顔になれるようにアカデミー全体をスター団に……いやっ、ネオ⭐︎スター団に染め上げてやるんだ! そして(主人公)っ、お前はそれの足掛かりになる! 今の頂点であるネモを討つためのな……うっひょー! 俺のサクセスストーリーを特等席で見せてやりまスター!!」

 

 

 

 以下は同様に、距離を取ってからバトルが始まります。

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●●

 

 

 

 

 

イキリンコ♂ Lv.47

でんこうせっか

はねやすみ

からげんき

ブレイブバード

 

 

ギャラドス♂ Lv.47

たきのぼり

かみくだく

こおりのキバ

りゅうのまい

 

 

シビルドン♀ Lv.47

でんじほう

とぐろをまく

あばれる

かみくだく

 

 

マルマイン Lv.47

ひかりのかべ

ほうでん

かいでんぱ

だいばくはつ

 

 

コモルー♂ Lv.47

しねんのずつき

かみくだく

ドラゴンクロー

きあいだめ

 

 

ルカリオ♂ Lv.47 (かくとうテラス)

はどうだん

ふるいたてる

ボーンラッシュ

しんくうは

 

 

 

 

 ルカリオにテラスタルを使ってきます。シビルドンが『とぐろをまく』からの『でんじほう』、マルマインが『ひかりのかべ』や『かいでんぱ』による特殊受けを仕掛けてくるので油断せずに戦いましょう。

 

 

 

(初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「始めようぜ……寒さなんて感じねえくらいの熱いバトル!!」

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「絆の力でテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「呼吸を合わせろルカリオ! そこだっ、ぶちかましまスター!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「そっちの絆が強かったーっ!!」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「ちっくしょー! 最高のコンディションだったってのに負けちまったぜーっ!? (主人公)の強さも留まることを知らねえみてえだ……そんならいつものご褒美でスター! ありがたく受け取れよ?」

 

 

 勝利後は報酬や努力値は貰えないものの、戦闘後にコレクレーのコイン×50とランダムなタイプのテラスピース×50を受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「……ここまで来れたのは『宝探し』だから、なんて理由だけじゃねえ。(主人公)がいたからこそここまでやってやるぜって思えたんだ! これからも俺は上を目指して頑張るからよ、ダチの証としてこれを授ける……!」

 

 

 

 したっぱ!の次の行動の気配を察知して、マルマインが飛び出してから画面が暗転します。

 

 

 

したっぱ!

「お疲れ様でスター!」

 

 

 

 爆発音もバイブレーションもせず、明転するとスター団ポーズがモーションのひとつに追加されます。

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 グラウンドのしたっぱ!にスター団ポーズを披露すると笑顔になってくれます。

 

 アカデミーのグラウンドでしたっぱが連れているポケモンにリオルの代わりにルカリオが追加されます。

 

 

 

(ルカリオについて)

 

したっぱ!

「進化ってこんな早くできるモンだったっけ……? まさかっ、俺のトレーナーとしてのカリスマ性がふんか並みにあふれ出ていたのか!?」

 

 

 

 

 次の場所のヒントです。

 

 

 

したっぱ!

「滝ってのはやっぱ壮大だよなあ。デッカいのもいいけど2つに分かれてるのも不思議な感じで乙でスター!」

 

 

 

 次のイベントを回収したいのであれば北2番エリアの中央を目指すことをオススメします。

 

 

 

 

 

→みだれづきの滝




今更ですが、これらのイベントは“スターダスト★ストリート”をクリアしていないことが解放される条件になっています。クラベル戦まで攻略しきっている場合はその時点でグラウンドでしか出会えなくなります。

……条件キツすぎませんかねえ?


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9、みだれづきの滝

←パルデア最高峰

 

 

 

 

 

●みだれづきの滝

 

 

 

 『みだれづきの滝』の看板に来てもしたっぱ!やポケモンの姿は見えませんが、看板に向けて話しかけるとイベントが発生します。以前のイベントと同じように予めバトルの準備をしておきましょう。

 

 

 

したっぱ!

「よう(主人公)! 今回はお前の方が先に来てたんだな!」

 

 

 

 看板を眺めていた主人公ですが、そこへ後ろからしたっぱ!に声をかけられます。

 

 隣にはモトトカゲを連れていますが、スカーレットの場合はコライドン風のインディアン衣装とふかふかの羽毛でできた座席が、ヴァイオレットの場合はミライドン風のSFチック衣装とゲーミングチェアが取り付けられるなどの改造が施されています。

 

 

モトトカゲ

「あぎゃぎゃ!」

 

コライドン/ミライドン

「アギャス!」

 

 

 

 モトトカゲが鳴き声を上げると、主人公の懐からコライドン/ミライドンが飛び出して挨拶します。その光景に主人公としたっぱ!が微笑みます。

 

 

 

したっぱ!

「俺はちょいとこの近くにあるスター団かくとう組、チーム・カーフに行っててな。ダチと久しぶりに遊んだり……そして因縁のライバルのひとり、ビワに勝負を挑んだとこでスター!」

 

 

 

→ライバル?     

ビワ?       

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「スポーツ推薦で現れた謎の美少女……そんなん人気者を目指す俺とは戦う定めだろ? 1年くらい前はポケモンバトルしてなかったからスポーツとかテストとかで勝負を吹っ掛けてたんだ。だが勝負はあっちが優勢のままアカデミーからいなくなっちまってな……内心寂しかったんだが、なんとスター団のボスだったとはな! 初見はメイクしててわかんなかったぜ!」

 

 

 

 したっぱ!が「…」と反応してから「!」と勢いよく話しはじめます。

 

 

 

したっぱ!

「他のボスも実は知り合いだったんだぜ!? 『スター大作戦』じゃあスターモービルの後光で顔がわかんなかったからな。アジトを練り歩いてるうちにボス……いや、ダチとの思い出が蘇りまスター!」

 

 

 

 次の質問は攻略している組のボスのみが表示されます。

 

 

→ピーニャ   

メロコ    

シュウメイ  

オルティガ  

ビワ     

 

 

 

○『ピーニャ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「ピーニャとは生徒会の選挙で生徒会長を競った仲だぜ! 先生からの猛プッシュであっちが勝っちまって、俺も『校則違反だー!』なんて追い回されたっけ」

 

 

 

○『メロコ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「俺が、というよりイキリンコとメロコの相棒であるカルボウが先に仲良くなってな。ついにこの間バトルしたんだ! もちろん俺の勝利だぜーっ!」

 

 

 

○『シュウメイ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「シュウメイにゃ色々なゲームのテクニックとかを教わってな。アジトで定期的に開かれるゲーム大会でも激熱な戦いを繰り広げたんだ……初戦でな」

 

 

 

○『オルティガ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「オルティガのピアノって聞いたことあるか? 俺はあるぜ! 初めて聞いた時は思わずスタンディングオベーションしちまうくらいに聞きほれたぜ……」

 

 

 

○『ビワ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「ビワはスクールカーストを駆けのぼる俺にとっちゃデカい壁だったんだぜ! 未だなお越えられてねえけどいつか絶対あいつにも勝ってやりまスター!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「……みんなみんな、俺のダチなんだ。どうしてスター団のボスになったか、なんて野暮なことは聞かねえ。ただダチがダチであることに俺はスゲエ嬉しかったんだ。そしてビワに手押し相撲勝負でようやく勝ったお祝いに特別料理を振る舞ってやりまスター! もちろん(主人公)のポケモンの分も作ってやるぜ!」

 

コライドン/ミライドン

「アギャーッス!」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれます。

 

 明転すると、モトトカゲ、コライドン/ミライドンが傍で昼寝をしています。

 

 

 

したっぱ!

「実はメロコのカルボウの火でちょっと焙ると味に深みが出るんだ……一緒に今度頼んでみようぜ!」

 

 

 

 主人公が頷くと、したっぱ!が一拍置いてから踵を返して歩き始めます。そこでアギャスたちが目を覚まして起き上がります。

 

 

 

したっぱ!

「……(主人公)がスター団で何をやってるのかは詳しくは知らねえ。ネルケとカシオペアの2人とどういう繋がりを持ってるかも分からねえ……だがっ! 俺たちはライバル同士! ポケモンバトルにゃそんな事情は関係ねえだろ!?」

 

 

 

 したっぱ!が振り返ると、主人公が大きく頷くのでそれに彼も嬉しそうに笑ってくれます。

 

 

 

したっぱ!

「今の俺のテンションは最高潮なんだ……うっひょー! この勢いで勝ちを掴んでやりまスター!!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●●

 

 

 

マルマイン Lv.52

ひかりのかべ

ほうでん

スピードスター

だいばくはつ

 

 

ルカリオ♂ Lv.52

はどうだん

めいそう

りゅうのはどう

しんくうは

 

 

イキリンコ♂ Lv.52

でんこうせっか

はねやすめ

きしかいせい

ブレイブバード

 

 

ギャラドス♂ Lv.52

たきのぼり

ぼうふう

はかいこうせん

あばれる

 

 

シビルドン♀ Lv.52

でんじほう

いえき

ほうでん

かみくだく

 

 

ボーマンダ♂ Lv.52 (ドラゴンテラス)

ダブルウィング

かみくだく

ドラゴンクロー

はねやすめ

 

 

 

 

 一般トレーナー()がボーマンダにテラスタルを使ってきます。加えて【じしんかじょう】によって殲滅性能が底上げされているので同レベル帯で戦うのはオススメできません。

 

 背景ではアギャスたちが応援してくれます。ときどき遠吠えしたり2匹で顔を合わせたりします。

 

 

 

(初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「そこで見てろよモトトカゲ! 俺がギラギラに眩しく勝利するその瞬間をよーっ!」

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「大空を翔けろテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時)

 

したっぱ!

「夢を叶えてその先へ! 駆け抜けようぜボーマンダ!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「俺たちの成り上がりはまだ終わらねえぜ!」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「どうよ(主人公)! 俺は確実に強くなってる……お前やネモを打ち負かす時も近いんだスター! だが(主人公)にももっと強くなってほしいからな、いつものご褒美だぜ!」

 

 

 

 勝利後は報酬や努力値は貰えないものの、戦闘後にコレクレーのコイン×100とランダムなタイプのテラピース×50を2種類受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「ビワには念願の勝利を収められた……次はネルケとも決着つけてやるかな! どこにいるか知らねえけど!」

 

 

 

 いつもの如くしたっぱ!の手持ちからマルマインが飛び出します。

 

 

 

したっぱ!

「そんじゃあ今日はこの辺でっ、お疲れ様でスター!」

 

モトトカゲ

「あんぎゃぎゃーっす!!」

 

 

 

 画面が暗転すると爆発音とバイブレーションが発生して、明転するとしたっぱ!とモトトカゲは姿を消しています。

 

 

 

コライドン/ミライドン

「アンギャギャーッス!!」

 

 

 

 主人公もマルマインの爆発に慣れたのか、コライドン/ミライドンと一緒にいなくなった彼へと手を振っています。

 

 数秒して画面が看板を見ている姿に切り替わります。

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 アカデミーのグラウンドでしたっぱが連れているポケモンにコモルーの代わりにボーマンダが追加されます。

 

 

(ボーマンダについて)

 

したっぱ!

「憧れのボーマンダ! こいつとならどこまでも飛んでいける! 自信を持ちまくって言えまスター!!」

 

 

 

 次の場所のヒントです。

 

 

 

したっぱ!

「名前からしてご利益もりもりだぜーっ! 勝利と成り上がり祈願に行ってみまスター!」

 

 

 

 ヒントに近い方の『オージャの湖』のパルデア十景に向かいましょう。

 

 

 

 

 

→ありがた岩



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10、ありがた岩

今更ながらネモがスター団のしたっぱに変装してSTCで楽しんでる姿を幻視した……はいいけど、それ以上のことが浮かんでこないのでなかったことにしよう。


←パルデア最高峰

 

 

 

 

 

●ありがた岩

 

 

 

 『ありがた岩』の看板の前にはネモがいます。足元にはイルカマンがいて、話しかけるとどこか悲しそうに鳴いてくれます。

 

 ネモに話しかけるとそのままバトルが始まるので予め準備しましょう。

 

 

ネモ

「あ……(主人公)。奇遇だね……こんなところで、会うなんて……」

 

 

 

→ネモ?     

どうしたの?  

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ネモ

「あはは……ちょっとひとりになりたくってね。オージャの湖って野生のポケモンが強いコばっかだからトレーナーが少なくって、こういう気分の時は最適なんだ。…………ちょっと聞いてもらってもいい?」

 

 

 

 主人公が頷くと、ネモが微笑んで頷き返してくれます。

 

 

 

ネモ

「わたしがチャンピオンだってこと、校内だけじゃなくてパルデアでも有名なんだ。もちろん有名人になるのは嬉しくもあるんだけど……誰もポケモン勝負してくれないの。前にジムで会った時に『バトル挑んでくるー!』って飛び出したけど、結局誰も勝負してくれなかったんだ。『チャンピオンと勝負するなんて』とかで。でも、その日は先輩が挑んできてくれて嬉しかったな……」

 

したっぱ!

「俺のことか?」

 

 

 

 したっぱ!が真正面になった画面が切り替わって、Aボタンを押すとカメラが引いてネモと主人公が「!」と反応して驚く様子が移されます。

 

 

 

ネモ

「せ、先輩っ!? いつからそこに……?」

 

したっぱ!

「ちょうどさっきでスター。『ありがた岩』のご利益にあやかろうと来てみりゃまーた(主人公)に先を越されてたぜ! そんでネモ! ここで会ったが百年目……今日こそ俺が勝ってやりまスター!」

 

ネモ

「あ…………えっ、と…………」

 

したっぱ!

「ん? どうしたよ。なんか悩み事があるんなら相談に乗るぜ! なんたって俺は人気者で頼れる先輩だからな!」

 

ネモ

「…………」

 

 

 

 顔を伏せたネモが主人公に視線を送ります。

 

 

 

→相談してみよう   

実は……      

 

 

 

○『相談してみよう』を選んだ場合

 

 

 

ネモ

「う、うん……あんまりこういうことを言うのは慣れてないけど……頑張る!」

 

 

 

○『実は……』を選んだ場合

 

 

 

ネモ

「ありがとう(主人公)。でも、これはわたしの問題だからわたしから言うよ」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「おう頑張れ! 誰かに相談するって不安だからな、ちょっとずつでいいぜ! ……あ、飯食いながらだと話しやすいって母ちゃんが言ってたぜ! 茶葉の礼に良いモン持ってきたしな!」

 

ネモ

「あ、ありがとうございます……それじゃあええと——」

 

 

 

 画面が暗転して手持ちのポケモンたちを回復してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「……なるほどな。だいたいの事情は分かったぜ」

 

ネモ

「先輩や(主人公)に出会ってからは確かに楽しいんですけど、2人を勝負に誘う感じで別のトレーナーに話しかけちゃって……でも、そういえば誰も相手してくれなかったんだって思い出して……えと、その、それでそのままこんなところに来ちゃいました……あはは」

 

 

 

 ネモが苦しそうに笑う姿を主人公が悲しそうに眺めますが、したっぱ!は「…」と悩んだ素振りをした後に「!」と反応してニカっと笑います。

 

 

 

したっぱ!

「なんだそういうことなら速攻で解決できるぜ!」

 

ネモ

「え……? 解決……?」

 

したっぱ!

「要はもっとバトルしたいってことなんだろ? そんなら俺がその分、何十回でも何百回でも相手してやりまスター! それに相手は俺だけじゃねえ……そうだろ(主人公)!」

 

 

 

→はい!     

何度だって!  

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ネモ

「う、嬉しいですけど……あんまり迷惑かけるのは……」

 

したっぱ!

「迷惑だあ? 俺はお前に勝つために挑んでるんだぜーっ? 断られたらそれこそ迷惑でスター! ……そうだ。ひとつ良いことを教えてやる。これは俺の故郷の言葉でな……」

 

 

 

 したっぱ!がゴーグルに手をかける姿を見下ろす画角になり、ゴーグルを上げると再び彼の顔が真正面に映されます。

 

 

 

したっぱ!

「目と目が合ったらポケモンバトル!」

 

 

 

 ネモが「!」と反応して口を片手で塞ぎます。

 

 

 

したっぱ!

「パルデア地方じゃあこのルールは浸透してないから使えねえけど、俺なら適応内だぜ! ……だからよ、あんま寂しそうな顔すんなよ。俺は全力で楽しんでるお前に勝ちたいんだからな!」

 

ネモ

「…………」

 

 

 

 ネモが面食らって目を見開いたまま硬直してしまいますが、数秒後に両手の拳を握りしめて笑顔を弾けさせます。

 

 

 

ネモ

「……ありがとうございます先輩! おかげで目が覚めた気分です!」

 

したっぱ!

「おうっ、その顔だぜネモ! それでこそ俺が超えるに相応しいチャンピオンでスター! ネモの再起記念、そして俺の更なる飛躍を祈って、2人まとめて挑んでやりまスターっ!!」

 

ネモ

「おおっ、マルチバトル……! 初めての体験! 早速やろっか(主人公)、勝負勝負ーっ!」

 

 

 

 『ありがた岩』を背景に1人と2人で距離を取り、したっぱ!が再びゴーグルを装着してからスター団ポーズを披露します。

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●●

 

 

 

ギャラドス♂ Lv.56

たきのぼり

ぼうふう

だいもんじ

じしん

 

 

シビルドン♀ Lv.56

でんじほう

とぐろをまく

いわなだれ

アシッドボム

 

 

マルマイン Lv.56

10まんボルト

でんじふゆう

イカサマ

だいばくはつ

 

 

ボーマンダ♂ Lv.56

ドラゴンクロー

じしん

かえんほうしゃ

ダブルウィング

 

 

ルカリオ♂ Lv.56

しんそく

つるぎのまい

コメットパンチ

けたぐり

 

 

イキリンコ♂ Lv.56 (ひこうテラス)

でんこうせっか

ねっぷう

おいかぜ

ブレイブバード

 

 

 

◯ネモの手持ち

 

 

 

イルカマン♂ Lv.56

【マイティチェンジ】

ジェットパンチ

アクロバット

きあいパンチ

クイックターン

 

 

アーマーガア♀ Lv.56

【きんちょうかん】

ブレイブバード

はがねのつばさ

ビルドアップ

とんぼがえり

 

 

モスノウ♀ Lv.56

【りんぷん】

ゆきげしき

ふぶき

むしのさざめき

ちょうのまい

 

 

デンリュウ♂ Lv.56

【せいでんき】

ひかりのかべ

かみなりパンチ

マジカルシャイン

でんじは

 

 

ハピナス♀ Lv.56

【てんのめぐみ】

シャドーボール

かえんほうしゃ

れいとうビーム

10まんボルト

 

 

サザンドラ♀ Lv.56

【ふゆう】

トライアタック

りゅうのはどう

かみくだく

きあいだめ

 

 

 

 ネモのパーティが一新しています。

 

 通常のプレイではまず出会うことのないイルカマンを使ってきますが、イルカマンを一度戻してからアーマーガアの『とんぼがえり』で再び繰り出してきます。

 

 

 

(初回行動時セリフ)

 

ネモ

「誰かと肩を並べて戦うなんて初めて! 実りある勝負にしよっ!」

 

したっぱ!

「ここで勝てば一気に成り上がれる! うっひょー! 気ぃ引き締めてバトルしまスター!!」

 

 

 

(効果はバツグンだ!)

 

ネモ

「ちゃんと弱点攻めてるね! わたしも負けてられない!」

 

 

 

(急所に当たった!)

 

ネモ

「いいね急所! わたしも当てちゃうよー!」

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「勝ち上がろうぜテラスタル! 勝てば栄光は俺らのモノだ!」」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「仕上げを頼むぜイキリンコ! 追い風吹いてきてまスター!!」

 

 

 

(勝利)

「良い顔してるぜネモに(主人公)!」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「ちっくしょー! まーた負けちまったぜーっ!?」

 

ネモ

「楽しかったーっ! (主人公)、先輩っ、お疲れ様で……スター!」

 

 

 

→楽しかったね!    

お疲れ様でスター!  

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「お疲れ様でスター! 今日のところはここで引いてやる! 覚えてろ! またすぐにでも挑んでやるからな……そんときゃ、いやでも俺と勝負だぜ!!」

 

ネモ

「はいっ! ……えっと、先輩? 実は先輩にお願いが……」

 

したっぱ!

「いいや……」

 

 

 

 したっぱ!が(主人公)に背中を向けます。

 

 

 

したっぱ!

「俺はまだネモと、そして(主人公)と対等じゃあない。だからその言葉は俺がもっと強くなってから言ってくれ!」

 

ネモ

「…………。…………分かりました!」

 

したっぱ!

「ありがとうな! 俺はこのオージャの湖でしばらく修行するつもりだ。なあにしばらくはかかんねえさ。会いたくなったら来てもいいぜ。だがその場合……」

 

ネモ

「目と目が合ったらポケモン勝負!」

 

したっぱ!

「その通りだぜ! カモン、マルマイン!」

 

 

 

 したっぱ!の呼びかけに応じてマルマインが元気よく飛び出します。

 

 

 

したっぱ!

「(主人公)とも決着はお預けだ……忘れんじゃねえぞ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 画面が暗転すると爆発音とバイブレーションが発生して、明転するとしたっぱ!は姿を消しています。

 

 

 

ネモ

「また会いましょうねー!」

 

 

 

 主人公とネモは数秒間、いなくなった彼に向けて手を振っています。

 

 

 

ネモ

「改めて……お疲れ(主人公)! なんだか巻き込んじゃったけど、マルチバトル……すっごく楽しかったね! 今度は誰かと一緒で正式に4人で戦りたい! ……まだ興奮が収まらないや。よーし、わたしももっといろんなポケモン育てなきゃ! それじゃ、お疲れ様でスター! ……なんてね!」

 

 

 

 一瞬だけ画面が暗転すると、ネモがいなくなって主人公を操作できるようになっています。

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 したっぱ!がいつも座っていたベンチにタギングルを連れたスター団の女したっぱが代わりに座っています。

 

 

 

したっぱA

「どうもー。ノリで学校来ちゃったけど勉強とか全然分かんないわー。意外と勉強できるって聞いたから先輩に教わろうとしたけど……どこにいるか知ってる? どうせどっかでアホやってるとは思うんだけどさ」

 

 

 

 次の場所のヒントはもらえませんが、次回でラストのパルデア十景です。

 

 そしてイベントに進めるためには“スターダスト★ストリート”を終わらせる必要があります。なお、このイベント後から上記の通りにアカデミーに現れなくなるため、話し損ねた話題がある場合は事前に済ませましょう。

 

 

 

 

 

→オージャの大滝




ストーリーの順序によればネモが主人公よりも先にライバルにしようとしたアホ……あれ、ちょっと脳破壊?

本編後のネモとのイベントにアホを登場させて今回のようなやり取りをさせたくもあったんですが、アレはアレでネモと一対一で終えてほしい気持ちが勝ったのでここで消化させていただきました。


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11、オージャの大滝

←ありがた岩

 

 

 

 

●コサジの灯台

 

 

 

 ペパーとの戦闘を終えるとエリアゼロに向かう際の候補が選択できますが、『列柱洞』でのイベントを済ませていると選択肢に『先輩?』が追加されます。

 

 

 

ペパー

「アイツゥ? 確かにバトルの腕はいいし、なんか機械の勉強してたけど……ま、まあ候補の1つとして考えてやるか」

 

 

 

 別に選んでもエリアゼロについてくるとかはありません。流石に。

 

 

 

 

 

●アカデミー 階段下

 

 

 

 『ありがた岩』までのイベントを回収してから“スターダスト★ストリート”を最後まで攻略すると、ボタンから『りゅうせいぐん』のわざマシンを受け取れますが、話が終わったところで主人公のスマホロトムが飛び出します。

 

 

 

ボタン

「じゃあまた。お疲れ様で……」

 

スマホロトム

〈ロトロトロトロト……〉

 

ボタン

「ん? (主人公)電話?」

 

したっぱ!

〈もしもーし! よう(主人公)! 見たぜマジボスとの戦い!〉

 

 

 

 したっぱ!の声にボタンが「!」と反応して目を見開きます。

 

 

 

ボタン

「あ……そういえばスター団全員に動画流したんだからコイツも聞いてるか……」

 

したっぱ!

〈おおっ、その声はマジボス!? おはようございまスター!〉

 

ボタン

「あ、ども……」

 

したっぱ!

〈びっくりしたぜ。急にスマホロトムが飛び出してアカデミーを映すんだからな……そんで悪いけどよ、ちょっとそれについて話したいことができた。通話じゃ長くなりそうだけど今は手が離せなくってな。すまんがオージャの湖の、そうだな……『オージャの大滝』で待ってる!〉

 

 

 

 それだけ言い残すとしたっぱ!は通話を切ってしまいます。

 

 

 

ボタン

「なにアイツ、勝手すぎん? てか(主人公)……普通にアイツと話してるし。大丈夫なん? なんか変なことに利用されてない?」

 

 

 

→大丈夫!     

良い人だよ    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 ボタンが「…」と目を伏せて悩む様子を見せてから、意を決して主人公に向き直ります。

 

 

 

ボタン

「…………決めた。うちもついてく。アイツが(主人公)の言うようなヤツなのか直接確かめたいし。それじゃ、行くならいこっか」

 

 

 

●オージャの大滝

 

 

 

 『オージャの大滝』の看板の隣でしたっぱ!がピクニックをしています。

 

 テーブルの近くにはメイクアップされて完全にミラコラ風に改造されたモトトカゲが自分の腕を枕に昼寝しており、ハンドルにはイキリンコが留まっています。彼らに話しかけると、モトトカゲが眠りながら短く鳴き、イキリンコが片羽を広げて返事をしてくれます。

 

 今回はバトルはございませんので手持ちは適当でも構いません。

 

 

 

したっぱ!

「よう(主人公)! 悪いな呼び出しちまって。それとそちらさんは……」

 

ボタン

「…………」

 

 

 

 主人公の後ろからついてきていたボタンが気まずそうに目を伏せますが、したっぱ!が嬉しそうに前のめりになります。

 

 

 

したっぱ!

「久しぶりだな! ボタンっつったか……動画見たぜ」

 

ボタン

「それは……はぁ」

 

したっぱ!

「……だがしかし、驚いたな」

 

 

 

→ボタンのこと?   

ネルケのこと?   

 

 

 

◯『ボタンのこと?』

 

 

 

したっぱ!

「まさかあんとき誘った奴がまさかマジボスだったとはなあ! 縁ってのは恐ろしくも素晴らしいぜ……!」

 

ボタン

「……うちからしてみれば不運以外の何物でもなかったけど」

 

 

 

◯『ネルケのこと?』

 

 

 

したっぱ!

「まさか校長先生が変装してるなんて思わねえだろ。ノリも合ったし楽しかったから良かったけど、なんか失礼なことしてないかなあ……?」

 

ボタン

「そういや校長が出てきたところもばっちり撮れてた……まあSTCについても伝えられてたから良かった、んかな?」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

ボタン

「……で、なんか(主人公)に話したいことあるんだって? なんか不安だからうちも来た……ひとりぐらい増えても話せるでしょ?」

 

したっぱ!

「構わねえぜ。むしろマジボスにも伝えたいくらいだったからな。とりあえず飯でも食えよ。長旅だったろ?」

 

ボタン

「いらん。話だけして」

 

したっぱ!

「おっとそうか。そんなら手短に……できるか分かんねえけどな」

 

 

 

 したっぱ!が睨んでくるボタンに苦笑してから背中を見せると、腕を組んでから話し始めます。

 

 

 

したっぱ!

「俺は今から先輩として……いや、人として間違ってることを言うかもしれない。でも肯定も否定もしてくれるな。考えの一つとして受け取ってくれ」

 

ボタン

「なんなんその重苦しい始まり方……」

 

したっぱ!

「俺はさ…………誰とでも仲良くなりたかったんだ」

 

ボタン

「は……?」

 

したっぱ!

「俺は先輩だ。スター団が生まれる前のアカデミーでも過ごしてきた。だから……アカデミーに蔓延っていたいじめも知ってた。そして……ダチがいじめられていることも、ダチがいじめをしていることも知っていた。でも俺はその両方と仲良くしたかったんだ」

 

ボタン

「…………え」

 

したっぱ!

「ダチがダチにいじめられて引きこもって、ダチがダチを憎む姿を散々見てきた……それでも俺は、ダチを怒ったり慰めたりはすれど、見限ることはできなかった」

 

ボタン

「…………」

 

したっぱ!

「和解させようと必死だったよ。ダチが辛いときは手を差し伸べてやりたかった。ダチが道を踏み外しそうなときは正してやりたかった……でもさ。俺、ダチが多かったんだよ……多すぎて、みんな救いたくって……誰も助けられなかったんだ」

 

 

 

 したっぱ!が「…」と一拍空け、後ろを向いたままゴーグルを外したかと思いきや腕を顔にやってから再びゴーグルを装着してから主人公たちに振り返ります。

 

 

 

したっぱ!

「……みんなダチなんだぜ? みんな笑顔の方がいいじゃんか。仲良くなりたくて知り合って、楽しさを分かち合うために集まって……だったら、キレイゴトで済んだ方が嬉しいだろ? いろんなダチがいたさ。真面目な奴、ぶっきらぼうな奴、ヘンテコな奴も、生意気だったり、優しい奴もたくさん、たくさんいたんだ。なのに…………苦しかったよ。寂しかったよ。楽しくなんてなかったんだよ」

 

ボタン

「イレギア……」

 

したっぱ!

「その場に居て、みんなが楽しいって思える場所が欲しかった……そんな時、『スター大作戦』の場所に居合わせたんだ。ダチも含めて逃げる奴らと逆方向に突っ走ったら、ギラギラに光る5台のスターモービルを見つけてな……『これだ!』と思ったよ。カッコよかったってのが第一印象だったけど」

 

ボタン

「……呼び出されたいじめっ子じゃなかったんだ」

 

したっぱ!

「心が1つになってる感じがしててな……俺も、その中に入って楽しみたかった。だからそんときに見つけたダチを後で説得してスター団に入れてもらった……けどそいつに言われたよ『もうスター団の目的は果たした』ってな」

 

ボタン

「うん……スター団は、いじめっ子に対抗するために作った組織だから……」

 

したっぱ!

「俺は嫌だったね。せっかくみんながキラキラしてたってのにそれで終わらせるのは。スター団を作ったマジボスがいなくなって、ボスたちがそれを待つために組織を残そうとした……だから、俺はスター団に別の目的を与えようとした」

 

ボタン

「別の目的……?」

 

したっぱ!

「ひとりぼっちにならない場所、泣く子も笑うスター団だ!」

 

ボタン

「!」

 

したっぱ!

「居場所があって、心の底から誰かと楽しめる……そこにスター団って共通点があればもっと楽しいだろ? 正直、スター団がいじめうんぬんと関係してるってことは直接聞いてなかったけど、まあなんとなく分かってた。だから誰かと戦うためじゃなくて、誰かと一緒に過ごせる……それも、ヘルメットとゴーグルを通して素直になれる組織に変えちまえば最高に楽しくなるだろ?」

 

ボタン

「確かに……そうかも……」

 

 

 

 ボタンの顔にうっすらと笑みが浮かんだのを、したっぱ!がニカっと笑って返します。

 

 

 

したっぱ!

「だから俺は人気者になりたい! スクールカーストぶち上げて、俺が頂点に立ってみんなを笑顔にしたい! それこそ俺の目指す宝物だ! スター団はその足掛かり……もっともっと俺の存在をパルデア中にアピールしてやるんでスターっ!!」

 

 

 

 したっぱ!のスター団ポーズを受けてボタンが憑き物が取れたように主人公に向き直ります。

 

 

 

ボタン

「……(主人公)。うち、ちょっととんでもない勘違いしてた……イイ人。すっごいヘンだけど」

 

 

 

 ボタンの言葉に主人公は笑顔で頷きます。

 

 

 

したっぱ!

「度々言うけど悪かったな……そんでありがとうな、最後まで聞いてくれて! 特に(主人公)! 長々と先輩の過去語りなんてつまんなかったかもしんねえ、これは話を聞いてくれた礼とお詫び、そして前回渡しそびれたご褒美だ!」

 

 

 

 話を聞き終えると、コレクレーのコイン×150とランダムなタイプのテラスピース×50を3種類受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「マジボスもありがとうな! スター団を作ってくれて!」

 

ボタン

「いやうちは……むしろ、感謝はうちの方。イレギアがいなかったらたぶん一緒に居て楽しいとかみんな思わない場所になって、そのうち悪い方向に行っちゃいそうだったから……というか集団暴走とか長期欠席とか現在進行形でヤバかったし」

 

したっぱ!

「そっか! 散々言って、なんかスッキリしたぜ……よし! 決めたぜ俺。これからポケモンリーグに行ってくる。そんでチャンピオンになって、(主人公)やネモに今度こそ勝ってやる! そうすりゃアカデミーの奴らに俺の存在を叩きつけ、スゲエ奴として俺のスクールカーストは爆上げだからな! 拒否権はねえぞ? いやでも俺と、そして目と目があったらポケモンバトルでスター!」

 

ボタン

「だってさ。受けてやんなよ?」

 

したっぱ!

「あっ、マジボスもだぜ? スター団の頂点をかけてバトルでスター!」

 

ボタン

「ええっ!? てかもうスター団は解散してて……」

 

したっぱ!

「STCってのが代わりにできんだろ? ならそれを取り仕切るリーダーが必要なはずだ……その座をかけた勝負だぜーっ!」

 

ボタン

「いや、欲しいならあげてもいいし……てかポケモン鍛える場所になるんだから強い奴の方がいいでしょ」

 

したっぱ!

「マジか!? つまり俺がアカデミーで一番になりゃ自ずとスター団を掌握できる……うっひょー! そうなりゃ一直線だ! 待ってろポケモンリーグ! そういうわけでお疲れ様でスターっ!!」

 

 

 

 画面が暗転して数秒後にしたっぱ!の姿が消えています。

 

 

 

ボタン

「……あんま言うべきじゃないかもだけど、イレギアってひょっとしてアホなん?」

 

 

 

→でも良い人!     

あはははは      

 

 

 

○『でも良い人!』を選んだ場合

 

 

 

ボタン

「うん。それはそう」

 

 

 

○『あはははは』を選んだ場合

 

 

 

ボタン

「わろてる場合か」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

ボタン

「でも良かった。イレギアに勧誘されたときはスター団がおかしくなったのかと思ったけど、ちゃんと……はしてないかもだけど誰かの救いになってるって知れて。ホント良かった……ありがと(主人公)。連れてきてくれて。そんで今度こそ本当に、お疲れ様でスター……帰ろっか」

 

 

 

 アカデミーで主人公とボタン、そしてアホ(と後輩ちゃん)が出会った場所に戻ってきますが、その前にアカデミーを背景に“スターダスト★ストリート”の終了が告げられます。お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 これで全ての条件を達成しました。これにより、以下のイベントが開放されます。

 

 

 

 

 

→学校最強大会




マルマイン
「流石にご主人がシリアスな場面であっしが爆発すんのは空気悪くしそうなんで止めときますわ……」

シビルドン
「それが懸命ですわね」

やっぱしペパーとの絡みがなんだかんだ薄いんですよねえ……“レジェンドルート”しかり別のルートにお邪魔キャラとして登場させる案はあったんですが、まあパルデア十景で出会うって定めた以上、全然書けてないやつもあったんでどうしようもないですけども……注文通り、想定通りの品を作るのって大変ですねえ。


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12、学校最強大会

何気に前回で初投稿から1年経ってました。時の流れは早いようで遅いですねえ。


←オージャの大滝

 

 

 

 

●ジム再戦

 

 

 

 ジムリーダー再戦のために各ジムを巡る際、ジムの中に居るNPCに話しかけると、それぞれ固有セリフを受け取れます。

 

 

 

セルクルジム

「オリーブ転がしでスタート地点から蹴っ飛ばしてる学生が居たんだ! 盛大に失敗してた!」

 

 

 

ボウルジム

「ねーねー、ジムテストでキマワリちゃんを20匹つれてたひとがいたってしんじる? しんじないでしょー? でもほんとなんだよ!」

 

 

 

ハッコウジム

「テストを受ける前にバズって合格もらうなんて、今回のチャレンジャーは一味も二味も違うわね」

 

 

 

カラフジム

「競りで自腹切ったあの学生は元気にやってるだろうか……」

 

 

 

チャンプルジム

「ヒントを見ずにジムテストをクリアした奴が出たって聞いた時は流石のアオキさんも驚いてたよ。そいつの格好を見た時も驚いてたけどな」

 

 

 

フリッジジム

「ヘンなゴーグルした学生さんのことを陰ながら応援してたけど……特にここのジムバトルが一番熱かったな!」

 

 

 

ベイクジム

「いちいち星を描いてからエクササイズするあの人は一体……?」

 

 

 

ナッペ山ジム

「半袖でこんな雪山を昇ってくるかね? しかもそのままスノーボードだなんて、現役時代のグルーシャさんでもあんな無茶はしないよ」

 

 

 

 

 

●学校最強大会(初回)

 

 

 

 学校最強大会(バトルスクールウォーズ)の開始をクラベル校長が宣誓しますがしたっぱ!はどこにもおらず、ネモはどこかそわそわした様子を見せています。

 

 

 

実況

〈残すところ、あと一試合となりました……学校最強の名を奪い合う最後のトレーナーはこの方たち!!〉

 

 

 

 主人公が対戦相手の姿を見て『!』と反応して驚きます。

 

 

 

実況

〈チャンピオン (主人公) VS……〉

 

 

 

 相手側から歩んでいく姿が制服、しかもスター団のしたっぱ衣装であることが分かってきます。

 

 

 

実況

〈……本大会のダークホース! まさかまさかの新チャンピオン イレギア!〉

 

したっぱ!

「よう(主人公)! やっぱり決勝戦はお前が勝ち上がってくると思ったぜ」

 

実況

〈実況席も少々驚いておりまして……(名前初めて知ったし)。学校最強大会の前日にチャンピオンランクに成り上がった謎の超新星! 特別ゲストであるトップチャンピオンのオモダカを退けてこの場に立つその実力、一体どのようなバトルを見せてくれるのでしょうか!〉

 

したっぱ!

「実況も良い煽りだな。超新星、か……最高な響きだ!」

 

ネモ

「先輩っ!」

 

 

 

 観客に紛れていたネモがしたっぱ!に声をかけます。

 

 

 

したっぱ!

「ネモ! 待ってろよ、(主人公)をぶっ倒した後はお前だぜ! 楽しみにして待ってな!」

 

ネモ

「…………はいっ! 2人とも頑張ってーっ!」

 

 

 

 ネモに手を振り返したイレギアでしたが、そのままアカデミーへ向かう階段の踊り場を眺めます。

 

 

 

したっぱ!

「もはや懐かしさすら感じるなあ? 俺たちはこの階段の先で出会っただけの、スター団のしたっぱと、それに立ち向かった1人の生徒だったんだ。まさかその2人がパルデアを一周して再びこんな大舞台で相見えるなんて、全然、全く、想像もできなかった。偶然、運命、神様のイタズラ……そんなもんを超えて、俺たちのまた戦いたいって想いがこの場を作り上げたんだろうな」

 

 

 

 ここでイレギアがゴーグルを外して主人公と目を合わせます。

 

 

 

したっぱ!

「……目が合ったな? つまり今っ! 俺たちがやるべきことは……! 全身! 全霊! 全力! 全開! 互いの全てをかけてバトルすることだけだ! ……そうだろ!?」

 

 

 

→はい!      

無言で構える   

 

 

 

 どちらを選んでもしたっぱ!が不敵な笑みを浮かべて持ち場に歩き始めるので、主人公もそれに合わせて歩きます。

 

 位置についたところでイレギアが周囲を見渡す。

 

 

 

したっぱ!

「……ここではスター団*1も、チャンピオン*2も、ダチかどうかも関係ねえ*3

 

 

 

 したっぱ!が振り向き様にヘルメットをノールックで投げ捨て、ベストな位置にいた後輩ちゃんがキャッチします。

 

 

 

イレギア

「俺は(主人公)のチャレンジャー イレギア!*4 ……そして、これからアカデミーで!*5 いんやパルデアで!!*6 いやいや世界で!!!*7 誰よりも強くなるポケモントレーナーだッ!!*8

 

 

 

 モンスターボールを取り出して真正面から主人公を見据えます。

 

 

 

イレギア

「さあ、始めようぜ!」

 

 

 

 

スターチャレンジャーの イレギアが 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 決戦!イレギア—

 

 

イレギア●●●●●●

 

 

 

 戦闘前のモーションは打って変わり、スター団ポーズをせずに深呼吸に合わせて目を瞑って開いてこちらを見定め、笑みを浮かべることなくモンスターボールを構えます。

 

 BGMはスター団ボスのギターソロから始まりながらもしたっぱ戦のようなイントロも混じり、更にバンドアレンジという特別仕様で流れます。

 

 バトルの背景にはスター団のしたっぱが数名混じっていますが、そのうちの1人の女の子がイレギアが投げ捨てたヘルメットを抱えながら応援しています。彼女が後輩ちゃんです。

 

 

 

イキリンコ♂ Lv.69

ブレイブバード

でんこうせっか

おいかぜ

ちょうはつ

 

 

 

(初回繰り出し時セリフ)

 

イレギア

「切込隊長はやっぱしイキリンコ! 今日も張り切って行こうぜ!」

 

 

 

(『ブレイブバード』)

 

イレギア

「勇気と希望を翼に! ぶっ放せブレイブバード!」

 

 

 

ルカリオ♂ Lv.69

きあいだま

ラスターカノン

あくのはどう

わるだくみ

 

 

 

(『きあいだま』)

 

イレギア

「絆の力でどこまでも強くなる! ルカリオ、きあいだまだ!」

 

 

 

マルマイン Lv.69

かみなり

ひかりのかべ

イカサマ

かいでんぱ

 

 

 

(『かみなり』)

 

イレギア

「爆上げで行くぜマルマイン! かみなりをご機嫌にぶっかませ!」

 

 

 

ギャラドス♂ Lv.69

たきのぼり

じしん

かみくだく

りゅうのまい

 

 

 

(『たきのぼり』)

 

イレギア

「駆け抜けようぜギャラドス! たきのぼりでテッペンまでよお!」

 

 

 

シビルドン♀ Lv.69

でんじほう

でんじは

じだんだ

たたりめ

 

 

 

(『でんじほう』)

 

イレギア

「シビルドン登りは止まらねえよなあ!? でんじほう、発っ射!!」

 

 

 

ボーマンダ♂ Lv.70

りゅうせいぐん

じしん

アイアンヘッド

りゅうのまい

 

 

(テラスタル)

 

イレギア

「今こそ成り上がろうぜテラスタル! 勝利と栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(ボーマンダがはがねタイプにテラスタル)

 

イレギア

「びっくりしただろ!? 一発逆転のために俺のボーマンダははがねテラスなんだぜーっ!」

 

 

 

(『りゅうせいぐん』)

 

イレギア

「一番星を掴む時だ! キラめきフルパワーで飛び立て!」

 

 

 

◯それぞれ固有セリフ

 

 

 

・効果はバツグンだ!

 

 

 

(こちら)

 

イレギア

「ぐおっ……流石に弱点はついてくるな。だが、そうこなくっちゃな!」

 

 

 

(あちら)

 

イレギア

「効果はバツグンだ! このままドンドン攻めていくぜ!」

 

 

 

・効果は今ひとつのようだ……

 

 

 

(こちら)

 

イレギア

「どうした(主人公)! そんなんじゃ俺は止まんねえぞ!」

 

 

 

(あちら)

 

イレギア

「うぉっと……ちょいとヘマしちまったか? でもこっから巻き返す!」

 

 

 

・急所に当たった!

 

 

 

(こちら)

 

イレギア

「急所か……! お前ならここで運を手繰り寄せてくると思ったぜ!」

 

 

 

(あちら)

 

イレギア

「どうよ急所だぜ! 流れは俺に向いているようだな!」

 

 

 

 勝っても負けてもイベントは進行します。

 

 報酬や終わった際のセリフが流れずにムービーが流れます。

 

 

 

・主人公の勝利

 

 

 

 イレギアがポケモンをモンスターボールに戻した後、満足そうな笑みでそれをこちらに向けてきます。

 

 

 

イレギア

「星は掴んだ! お前の方が輝いてた! だが覚えてろよ。いつか絶対お前に勝ってやるからな! 今日は王座に輝いた(主人公)を盛大に祝ってやるぜ!」

 

 

 

 観客から主人公コールが割れんばかりに響きながら学校最強大会が終わります。

 

 

 

・主人公の敗北

 

 

 

 イレギアがポケモンをモンスターボールに戻した後、満足そうな笑みでそれを空に向けています。

 

 

 

イレギア

「星は掴んだ! 誰よりも輝く一番星をな! だが忘れるなよ。俺はこんなところじゃ終わらねえ! この王座から始まるんだ、俺の成り上がりはよっ!!」

 

 

 

 観客からイレギアコールが割れんばかりに響きながら学校最強大会が終わります。

 

 

 

 2回目以降は参加しないので安心して周回できます。(※なお、1回目までにオージャの大滝をクリアしなかった場合、彼とはDLCでのイベントまでは出会うこともバトルすることもできなくなります。ご注意下さい)

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 このイベント後、グラウンドのしたっぱに話しかけると特別な贈り物を受け取れます。

 

 

 

したっぱA

学校最強大会(バトルスクールウォーズ)、めっちゃ凄かった……! なんかあたしも、なんかやってやるって気持ちになっちゃったわ。それを先輩に伝えようとしたけど……当の本人はバトル極めてるのかと思いきや『空飛ぶタクシーの運転手になってやるぜーっ!!』……とか言って絶賛勉強中なんだって。生徒会長とは普通に仲良いみたいだけどねー……あ。そういえば(主人公)にもプレゼントがあるって預かってんの。直接渡せってのに……」

 

 

 

 したっぱからシビシラスを受け取ります。

 

 

 

したっぱA

「いつものシビシラスと違う……? でも、確かに渡したからね。お礼なら先輩に言ってよねー」

 

 

 

 受け取ったのは名前がイレギアの色違いのシビシラス(それぞれひとつずつランダムにさいこうとダメかもがある)で、特別な証『いちばんぼしのあかし』を所持しています。呼び名は“すごくまえむきな”。

 

 そしてこの個体(特に証を持っている)を連れている時にネモ、ペパー、ボタンに話しかけるとそれぞれ固有のセリフを受け取れます。

 

 

 

ネモ

「わたしの家の裏にバトルコートがあったでしょ? そこで改めて先輩と勝負したんだけど……ほんと! ものすんごく強くなっててびっくりしちゃったっ! (主人公)とイレギア、2人もライバルができちゃって……あははっ! わたし最高に幸せだな〜!」

 

 

 

ペパー

「あいつ……イレギアっつったか? 思い返してみれば一年生の頃、割とちょくちょく話して気にかけてくれてたんだなって……約束通りたんまり飯作ってやるか! それと一緒に勉強でもしてやろうか……どうせあいつもギリギリちゃんだろうし!」

 

 

 

ボタン

「うちを勧誘してきたあのしたっぱがここまで絡んでくるなんて普通思わんくない? ……でも、イレギアはイレギアで、自分なりのスター団でみんなを助けようとして、しかもスター団の悪評を無くそうとしてくれてたんだってね。なんか……すご」

 

 

 

 

 

●プラトタウン

 

 

 

 2、で話していた少年がヤングースの代わりにデカグースを連れており、話しかけるとセリフが変わっています。

 

 

 

少年

「おれのにいちゃんはな! チャンピオンになったんだぞ! おれもいつかぜったいなってやるんだぞー!」

 

 

 

 以降はDLCに続きます。今度こそお疲れ様でスター!

 

 

 

 

 

→キタカミの里へ

*1
スター団のボスたちが遠くから眺めている姿が映る

*2
オモダカと、彼女を弄るチリ、号泣するハッサクを宥めるポピー(アオキは仕事なので不在)が映る

*3
ペパーとボタンが困った顔で見合わせる

*4
素顔になったしたっぱにカメラズーム

*5
涙ぐみながらも満面の笑みのネモが一歩近づく姿が映る

*6
したっぱに紛れて呆れたような笑みの後輩ちゃんが映る

*7
微笑みを湛えながら胸に手を当てる主人公が映る

*8
再び真剣な眼差しのイレギアに帰ってくる




元スレではしたっぱ衣装のまま学校最強大会に参戦と書かれてたんですが、まあどうせ晴れ舞台ならしたっぱ!ではなく彼自身の存在をアピールしてもらいたかったのでそうさせていただきました。


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13、キタカミの里へ

やっぱどこ探してもワタクシ以外のアホの二次創作が無い……あんましコイツに需要とかないんか? それとも内輪ネタだからみんな控えてるのか……?


←学校最強大会

 

 

 

 

●アカデミー エントランスルーム

 

 

 

 ブライアからテラパゴスについて聞いたところで3人の生徒が姿を現します。

 

 

 

メガネ男子

「ブライア先生! 用意できました!」

 

ブライア

「おや、林間学校の参加者は5人と聞いていたが……」

 

???

「うおお遅れまスター!」

 

 

 

 少し遅れてしたっぱ!が張り詰めた顔でこちらに走ってきます。

 

 

 

したっぱ!

「すいません! ちょっとジニア先生に頼み事されてて……!」

 

ブライア

「いや、構わないよ。そして君がジニアくんが言っていた愉快な優等生くんだね。困ったときは君に頼ればいいとお墨付きをもらってるよ」

 

したっぱ!

「そう言ってもらえて光栄でスター! 何せ俺はこのアカデミーで一番の……」

 

 

 

 したっぱ!がそう言いかけて「!」と反応して主人公の方に振り向いて笑顔になります。

 

 

 

したっぱ!

「おおっ、(主人公)も林間学校に選ばれてたのか! 早速だがバトル……と行きたいとこだが、あんまし時間無さそうなんでな。諸々は後でスター!」

 

ちびっこ生徒

「あー! したっぱ先輩も林間学校に!」

 

したっぱ!

「おうポダン*1、モトトカゲの改造で世話になったな! そんでナモ*2はもう数学は大丈夫かあ~?*3 そうだプペー*4、その後どうなったんだよ~*5

 

ブライア

「初対面だと聞いていたが、どうやら君は顔が広いらしい……さて、全員そろったことだ。それでは皆! キタカミの里へ出発だ!」

 

 

 

 主人公が笑顔になっている横でしたっぱ!が迫真のスター団ポーズを披露します。

 

 

 

 

 

●キタカミの里

 

 

 

 バス停に到着するとしたっぱ!が田園風景を物珍し気に眺めています。

 

 

ちびっこ生徒

「あのう先生……ちょっと気分が悪くて……」

 

ブライア

「それは大変だ。乗り物酔いだろうね。しばらく田園を見ながら皆でひと休みとしよう!」

 

したっぱ!

「そんなら俺がスイリョクタウンにある公民館に伝えときまスター! 薬とかもあるかもだからなーっ!」

 

 

 

 したっぱ!がスイリョクタウンに向けて駆けていきますが、ブライアが「…」と思案します。

 

 

 

ブライア

「すまないが(主人公)くん。彼の後を追ってくれないか? 道中で彼のことはなんとなく理解できたが……なにぶん好奇心から寄り道しそうで心配なのでな」

 

 

 主人公が頷いてから制限はあるもののキタカミの里を散策できます。しかし体調不良者がいるためさっさと向かいましょう。あなたは何時間ふらついていましたか?

 

 

 

 

 

●スイリョクタウン

 

 

 

 スイリョクタウンに到着すると、公民館の前で原作以上に不機嫌なゼイユと姉を説得している様子のスグリがいます。

 

 スグリが主人公の姿を認めて駆け寄ってきて、ある程度原作と同様のセリフが綴られますが、その最中にしたっぱ!について言及されます。

 

ゼイユ

「残念だけどよそ者はスイリョクタウンに入れてあげないの。そう、よそ者は入れてあげない……なのに! さっきのフザけた恰好のあいつは何!? あたしが声をかけたってのに『ダチがピンチなんでな! 話は後にしてくれな!』……とかなんとか言って無視したのよ!?」

 

 

 

 ゼイユが両手を握りしめて怒りで震えてますが、スグリはしたっぱ!を思い出して頷いています。

 

 

 

スグリ

「ねーちゃんにビビらないなんて、わや凄い人だったべ」

 

ゼイユ

「スグうるさい。こうなりゃ別のよそ者、つまりあんたをバトルで倒してストレス発散しないと気が済まないわ。文句ならおんなじ制服のあのアホに言うのね」

 

スグリ

「ね、ねーちゃん、戦いたいだけ、いじわる……」

 

ゼイユ

「うるさいわねスグ、関節キメられたい? 弟は無視していいから」

 

スグリ

「うぅぅ……」

 

ゼイユ

「それじゃ位置に着きなさい……たっぷり遊んであげる」

 

 

 

 バトルは原作と同様に勝敗に関係なく行われますが、その後に管理人がゼイユたちを叱って追っ払ったところで彼女について説明してもらえます。

 

 

管理人

「そうだ。バス停に体調が悪い生徒がいると伝わっています。あんたさんは先にそこの公民館で待っててください」

 

 

 

 画角が変わったところでしたっぱ!が主人公の元に歩いてきており、管理人がバス停に向かってから話しかけてきます。

 

 

 

したっぱ!

「あれ(主人公)? バス停で待ってるんじゃなかったのか?」

 

 

 

→ついてきました! 

心配で……    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「そうか! そいつはありがとうな! だが諸々の説明は済ませておいたぜ。細かな気配りができてこその人気者、スクールカースト爆上げの秘訣でスター! (主人公)は休んでていいぜ。様子は俺が見てきてやる……」

 

 

 

 そう言いながらしたっぱ!がバス停に向かいますが、「!」と反応して主人公に振り向きます。

 

 

 

したっぱ!

「そうだ! ジニア先生から(主人公)への贈り物を預かってな……ポケモンのタマゴだぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!からジニアから受け取るはずのナエトル、ヒコザル、ポッチャマがランダムに孵るタマゴを受け取れます。つまりこの世界線ではジニアはキタカミに訪れていませんので悪しからず。

 

 

 

したっぱ!

「実は俺も貰っててな。『成績優秀な君にもプレゼントですよお』らしいぜ! うっひょー! 幸先良いぜーっ! こうなりゃさっき会ったブルーベリー学園の2人組にカチコんでくるか! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!はバス停ではなくゼイユたちが去っていった方向に走っていきます。

 

 夕飯後まで現れませんが、公民館のフリースペースの前に陣取っています。

 

 

 

したっぱ!

「であいがしらにゼイユって奴に挑んだが、めちゃくちゃ強くて負けちまったぜーっ!? ここで勝てば他校の生徒にも人気間違いなしでスター! ……って思ってたけど、さすがバトルに特化したブルーベリー学園だな。故にこそっ! 俺がゼイユに勝ったことが向こうに知れ渡れば一目置かれるはず……うっひょー! このキタカミでもっとレベルアップしてやりまスター!」

 

 

 

 

 

●オリエンテーリング

 

 

 

 したっぱ!はメガネ男子の左隣に立って話を聞いています。ブライアが『ほかの学校の生徒とペアを……』と語った際にしたっぱ!が不敵な笑みで腕を組んで、ゼイユがそれに少しだけムッとして見せますが再び笑顔を取り繕います。

 

 

 

したっぱ!

「俺は誰とでもいいぜ? 誰が相手だろうが最速でクリアしてやるからなっ!」

 

 

 

 その後のスグリ戦ではしたっぱ!はユニオンサークルの前あたりで2人を応援しています。

 

 スグリとペアを組む事が決まると、したっぱ!とゼイユが話しています。

 

 

 

ゼイユ

「いきなり挑んできたりして気に食わないけど、あんた面白そうだから組んであげる」

 

したっぱ!

「おう頼んだぜ! 色々教えてくれなゼイユ! そんでもっかいバトルしようぜーっ!!」

 

ゼイユ

「はいはい。オリエンテーリングが終わったらね」

 

したっぱ!

「おっし、そうとくりゃ俺のモトトカゲの脚でぶっ飛ばしていきまスター!」

 

ゼイユ

「……つまんなそうだけどあっちのメガネと組んだ方が良かったかも」

 

 

 

 ゼイユと組むはずだったメガネ男子はブライアと話をしています。

 

 

 

ブライア

「申し訳ないが君のペアは私だ。生徒たちと交流した方がいいんだろうが……私もせっかくだからオリエンテーリングを楽しみたいのでな。よろしく頼むよ」

 

メガネ男子

「は、はいっ……よろしくお願いします……!」

 

 

 

 したっぱ!が次に出てくるイベントは少し先になるのでオリエンテーリングの方は各々で捕捉しておいてください。

 

 

 

 

 

→オモテ祭り

*1
ちびっこ生徒に向いて

*2
カーリーヘアーの女子に向いて

*3
笑顔で頷いてくれる

*4
メガネ男子に向いて

*5
頬を掻いたメガネ君に対してしたっぱ!が落ち込む




1話3000字を目指して原作とアホを絡ませていきます。

伝言係くんは諸々の役目をアホに明け渡してブライア先生とテラスタルの調査でもしてもらうことにしました。3人組にする案もありましたが、少年期にはちゃめちゃ美人と2人で交流させた方が良さそうなので……後は頼んだ同人作家。


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14、オモテ祭り

主人公が甚平もらったり髪を結ってもらえるところはスキップします。


←キタカミの里へ

 

 

 

 

 

●キタカミセンター

 

 

ゼイユ

「いくわよー……はい、ピッピ!」

 

 

 

 主人公がゼイユ、スグリと写真を撮った後、したっぱ!が主人公の背後に現れます。

 

 

 

したっぱ!

「どうだ、ちゃんと撮れてるか~?」

 

 

 

 主人公、ゼイユ、そしてスグリが「!」と反応して驚きながらしたっぱ!の方に振り向きます。したっぱ!は制服ではなく『おまつりのじんべい ぎんぎら』と『まつりのせった』を着ていますが、スター団のヘルメットとゴーグルはそのままです。

 

 

 

ゼイユ

「あんたいつの間にそこに!? てかそのテカテカ甚平なに……!?」

 

したっぱ!

「キタカミの里でオモテ祭りってのがあるってのは聞いてたからな。事前に超カッコイイ甚平をゲットしてたんでスター!」

 

スグリ

「わ……(主人公)の後ろですっごいブレてるべ……」

 

ゼイユ

「なんですって!? よくも……!」

 

 

 

 ここでしたっぱ!の腕、首、ゼイユの顔で三点ズームしてからゼイユのアーボックツイストが披露されます。主人公とスグリはそれを後ろから眺めています。

 

 

 

ゼイユ

「よくもあたしの写真を台無しにしてくれたわねえええええ!!」

 

したっぱ!

「ぐえーっ!! ギブギブッ! ギブでスター!!」

 

スグリ

「ねーちゃんのアーボックツイスト……おれ以外にやってるとこ初めて見たからなんか新鮮だべ」

 

???

「すごーい! ホントにお祭りだ!」

 

 

 

 そこへアカデミーの3人が階段を昇ってきます。

 

 

スグリ

「あ…………」

 

ゼイユ

「あら? よそも……アカデミーの方々、どうしてこちらに?」

 

 

 

 ゼイユが3人に駆け寄りますが、したっぱ!は肩を落として主人公の元に近づきます。

 

 

 

したっぱ!

「ひ、ひどい目に遭ったぜ……」

 

カーリー女子

「先輩に誘われたの。こんな面白そうなら着替え持ってくるんだった!」

 

 

 

 

→3人で来たの?   

ブライア先生は?  

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

メガネ男子

「あー……実は誘おうとしたんだけど、テラスタルの調査がしたいからって断られちゃったんだ」

 

ちびっこ生徒

「早く来て! ヨーヨー釣りがある!」

 

メガネ男子

「あっ、待って待って!」

 

 

 

 アカデミーの3人は早々にそれぞれのやり方で祭りを楽しんでいきます。

 

 

 

スグリ

「……やっぱり(主人公)以外の人と話せる気しねえべ」

 

したっぱ!

「おおっ! スグリィ! それならスター団に入らねえか? 泣く子も笑うスター団に……」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露してスグリを驚かせますが、ゼイユが2人の間に割って入ります。

 

 

 

ゼイユ

「あーはいはい。アホのこと聞いちゃダメよスグ。オモテ祭りは3匹のともっこさまの雄姿を讃えるお祭なの。ともっこさまはかつてキタカミを悪い鬼から守ったポケモン! あたしとか村の子のお面もありがた~いともっこさまの顔なんだよ」

 

したっぱ!

「ほえーっ。オリエンテーリングで全部の看板見たけど、確かに鬼は悪者でともっこさまの素晴らしさってのが描写されてたな」

 

スグリ

「……ふふふ」

 

ゼイユ

「ああん? なに笑ってんのよ」

 

スグリ

「べ、別に! 鬼さまのこと、なんもわかってないなーって思って……」

 

ゼイユ

「はー!? キタカミ伝説はあたしのほうがくわしいっての! 弟のくせにナマイキ!」

 

スグリ

「うぅ……」

 

ゼイユ

「スグはお子ちゃまだから、悪的な存在にあこがれちゃうのよねー。ともっこさまより鬼のほうが好きなの」

 

したっぱ!

「でも伝説として語られる話ってのはだいたい歴史的な齟齬があるから、スグリの言い分も聞いた方がいいぜ」

 

ゼイユ

「…………」

 

 

 

 ゼイユがしたっぱ!に近づき、画面の外に追いやります。

 

 

 

ゼイユ

「急に博識ぶって! 腹立つのよあんた!!」

 

したっぱ!

「ぐえーっ! 理不尽でスター!!」

 

 

 

 主人公とスグリがそれを見てからお互い目を合わせてから苦笑します。

 

 

 

スグリ

「あ! 見てりんごあめ! 屋台さ行こ!」

 

 

 

 スグリが屋台に向かって画面が広く映ると隣でしたっぱ!がゼイユにアーボックツイストで締めあげられています。

 

 2人に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

ゼイユ

「このアホの面倒はあたしが見てるから。あんたはスグリについてって良いわよ」

 

したっぱ!

「俺も祭を楽しみたいでスター……!」

 

 

 

 

 

●鬼退治フェス後

 

 

 

 『けいけんおまもり』を受け取るとゼイユが集まってきます。

 

 

 

ゼイユ

「村一番のオニバルーン割り王と呼ばれているこのあたしの……勝ちのようね!! 追い打ちかけたいけどおこづかい残り少ないし……」

 

 

 

 ゼイユがスグリに駆け寄るよりも先にしたっぱ!が主人公の元に現れます。

 

 

 

したっぱ!

「ほえーっ、これが鬼退治フェス! これで最高記録更新すりゃあ村の連中も一目置くだろうな!」

 

ゼイユ

「あらそう? ならスグ、相手してやりなさい」

 

スグリ

「や……やだよ」

 

ゼイユ

「あんた! ねーちゃんよりよそ者の肩を持つってのー!? ムカつきすぎて気絶しそうよおお!!」

 

スグリ

「うぅ……ねーちゃんうるさい」

 

したっぱ!

「大変だなスグリも。だが相手にとって不足はねえ……うっひょー! キタカミにスター団の名を刻みつけてやりまスター!」

 

スグリ

「うぅっ……ちょ、ちょっと待つべ! そもそもスター団ってなんなのか聞いてねえべー!」

 

 

 

 駆けていくしたっぱ!をスグリが追ってフェードアウトします。

 

 

 

ゼイユ

「……これでゆっくり祭りを回れるわね。あのアホがあれなにこれなにってうるさかったのよねー。さ、焼きそばでも食べようかしら」

 

 

 

 ゼイユが屋台の元に歩いていくと、祭囃子の奥へと消えていくオーガポンが映ります。

 

 

 

 

 

●オーガポンとの出会い

 

 

 

 主人公とゼイユがオーガポンと遭遇した後、スグリが駆け寄ってきます。

 

 

 

スグリ

「ひえー……あの人の走り方、危なっかしいのに的確で、一緒にいてなんか疲れるべ……」

 

ゼイユ

「……あらスグ。まだあいつと鬼退治してればいいじゃない」

 

スグリ

「うぅぅ……(主人公)からもなんか言って」

 

 

→実はさっき    

鬼と言えば    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ゼイユ

「ちょっ! わーわー!!」

 

スグリ

「な、何……? ねーちゃんうるさい」

 

ゼイユ

「何でもない! 何でもないから!!」

 

スグリ

「ふーん……」

 

したっぱ!

「おーいスグリィ!」

 

 

 スグリがゼイユを訝し気に睨んでいると、したっぱ!の声が聞こえて「!」と反応して現れた彼にしょんぼりした様子で向き直ります。

 

 

 

スグリ

「わやじゃ……鬼退治はもう……」

 

したっぱ!

「ああそれはもういいぜ。記録はさっき塗り替えたからな。家族とダチのみんなにキタカミのお土産買いたくってよ。いっぱい買っても良さそうなモンってありまスター?」

 

ゼイユ

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

 

 ゼイユが両手を握りしめて怒りを露わにしています。

 

 

 

ゼイユ

「あたしが維持してきた最高記録を塗り替えたですって!? こうしちゃいられない……オモテ祭り10番勝負! さっさとついてきなさい!」

 

したっぱ!

「勝負だと!? うっひょー! 全勝してやりまスター!」

 

 

 

 ゼイユとしたっぱ!が駆け出した後、スグリが2人に圧倒されてから「…」と反応して主人公に向き直ります。

 

 

 

スグリ

「おれらはゆっくり回るべ。あの人が言ってたお土産とかも主人公に見せたいから……えと、一緒に、な?」

 

 

 

 主人公が笑顔で頷いてから祭の方に歩きますが、スグリが目を伏せて黙っています。

 

 

 

スグリ

「…………」

 

 

→どうしたの?  

スグリ?    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

スグリ

「……いや、何でもない」

 

 

 

 それぞれの屋台の前にいる生徒に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

メガネ男子 (かき氷屋)

「先輩とゼイユさんがかき氷の早食いしてたんだけど、先輩が『俺は全部のシロップかけてください!』って頼んで食べてる間、ずっと神妙な顔してたんだ」

 

カーリー女子 (飴屋)

「チーゴあめってポケモンが食べるものよね? 先輩がモトトカゲと一緒に食べてたけどすっごい苦そうだったわ。ポケモンも苦手な味だったのかしら?」

 

ちびっこ生徒 (アイス屋)

「鬼退治フェスでの先輩の走りっぷり凄かった! でもイキリンコは出番がないからって不貞腐れてどっかに飛んで行ってたよ」

 

したっぱ! (お面屋)

「ともっこさまも良いが鬼の面も捨てがたい……うおお迷うぜーっ!」

 

ゼイユ (焼きそば屋)

「5勝5敗……ま、まあよそ者にしては上出来じゃない?」

 

 

 

 その後はキタカミセンターの前にいるスグリに話しかけると次の日になります。

 

 

 

 

 

→キタカミ伝説の真実




みんなの集団幻覚ことゼイユのアーボックツイスト。ゲーフリには専用モーションを組んでもろて。屋台の前ではしゃぐのは飴屋とお面屋のどちらかで迷ったんですが、ならどっちも採用しちゃえとこうなりました。


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15、キタカミ伝説の真実

翌日のセリフ見返してたらブライア先生がフルーツ飴について言及してる……調査に一区切りついてから足を運んだってことにしよう()


←オモテ祭り

 

 

 

 

 

●公民館

 

 

 

 管理人に話しかけるとしたっぱ!について言及されています。

 

 

 

管理人

「スター団? とやらの子が着ていた甚平、実にハイカラですねえ。都会ではああいうのが流行ってるのでしょうか?」

 

 

 

 それぞれの位置にいる生徒たちから以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「祭りで俺と互角の勝負ができるとは……ゼイユにも友情の証としてなんか準備しようかな~っ」

 

メガネ男子

「(主人公)が帰ってからブライア先生が来てさ。色々祭について教えたんだ……今でもその時の風景が鮮明に思い出せるよ。キタカミの里に来てよかった……」

 

 

 

 残りの2人は同文。

 

 

 

 

 

●ゼイユ・スグリ宅

 

 

 

 ゼイユに呼ばれて彼女の家にまで向かい、おじいさんにみどりのめんを見せると、彼からオーガポンにまつわる真実の歴史を教わります。

 

 

 

ゼイユ

「もしかしてこの話、スグは知ってるの?」

 

おじいさん

「いいや? スグリにはまだ教えていないが……どうしてだい?」

 

ゼイユ

「いや、あいつの鬼好き異常だし……たまにあいつ、オーガポンのこと知ったふうな顔でマウントとってくるからさ」

 

おじいさん

「よくわからんが……あの子は繊細な子だから何かを察していてもおかしくない。スグリにもいずれしかるべきときにきちんと話す。今の話はくれぐれも、誰にも言ってはいけないよ」

 

ゼイユ

「はぁい……もっと言えなくなっちゃった」

 

 

 

 原作とは違い、ここでスグリが家の外で突っ立っている様子が映されます。

 

 

 

スグリ

「…………」

 

したっぱ!

「おはようございまスターっ!!」

 

 

 

 そこへしたっぱ!が小走りで現れ、4人が「!」と反応します。

 

 

 

したっぱ!

「ようスグリィ! そんなところで何やってんだ!?」

 

スグリ

「あっ、あっ……しーっ……!」

 

ゼイユ

「……言う必要はなかったみたい」

 

おじいさん

「どうやら、全て聞かれてしまっていたらしい……スグリ、出ておいで。ええと、そちらのキラキラ甚平さんもこちらに」

 

 

 

 画面が暗転すると、その間に2人にオーガポンの過去について改めて話してもらっています。

 

 

 

おじいさん

「……と、言うのがキタカミ伝説の真実だ」

 

 

 

 したっぱ!が腕を組んでスグリが顎に指をやって「…」と思案します。

 

 

 

スグリ

「そう、なんだ…………なんか、驚きすぎて逆に落ち着いてるべ」

 

したっぱ!

「……いや、普通にダメだろ。ともっこたち極悪じゃねえかよ」

 

ゼイユ

「ホントそう! 昔々に倒されちゃったらしいけど、もう一回あたしが倒してやりたいくらいよ!」

 

したっぱ!

「それに話を聞く限りじゃあ、オーガポンは今の今までずっとひとりで山の中で過ごしてるってのか。それは……そうだな…………寂しいだろうな」

 

スグリ

「(主人公)たちが昨日、鬼さまと会ったのも聞いたけど…………確かにあんとき、おれが鬼さまに会ったって聞いたら間違いなく山さ走ってったと思う……えと、その……気ぃ使わせて、ごめん……」

 

 

 

→こちらこそ     

ごめんね      

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「俺もオーガポンに会いてえ! だからスグリも一緒に会いに行こうぜ! ……そんでっ、俺はオーガポンをスター団に勧誘すんだぜーっ!」

 

ゼイユ

「…………ねえあんた」

 

したっぱ!

「ど、どうしたんでスター……?」

 

ゼイユ

「あんたがスグリに話しかけてくれたおかげで、むしろ良い感じに話がまとまってきてることには感謝してるわ」

 

したっぱ!

「お、おう……」

 

ゼイユ

「……でもね」

 

 

 

 ゼイユが目をかっぴらいてしたっぱ!に襲い掛かり、怒るゼイユ、彼女に馬乗りにされて顎を掴まれるしたっぱ!、驚くスグリの三点ズームしてからゼイユのバクーダクラッチが披露されます。

 

 

 

ゼイユ

「くだらない理由で欲しがってんじゃないわよ! よそ者のくせにいいい!!」

 

したっぱ!

「ぐごごごご……っ!!」

 

スグリ

「わやじゃ、今度はバクーダクラッチだべ……」

 

おじいさん

「やめなさいゼイユ……いやしかし、仲がいいと受け取るべきなのだろうか?」

 

 

 

 ゼイユとしたっぱ!が画面から追いやられると、おじいさんが2人を無視して主人公とスグリに話しかけます。

 

 

 

おじいさん

「ともかく、さっきのお面だが……額の宝石部分が少し欠けていたようだ。もしかしたら直せるかもしれん。しばらくわしに預けてもらえんか?」

 

スグリ

「鬼さまが階段から落としたときに欠けちまったのか? おれ、きれいにして鬼さまに返してやりてえ」

 

 

 

 主人公がスグリの言葉に頷いてからおじいさんにみどりのめんを手渡します。

 

 

 

おじいさん

「大切にあつかうからね」

 

 

 

 そこでゼイユが3人も元に駆け寄り、したっぱ!もどこか疲れた様子で後を追ってきます。

 

 

 

ゼイユ

「もっかいオーガポンに会いたいけど、お面直るまでひとまず待ちね。今日は2人ともおとなしくオリエンテーリングしてなさい」

 

スグリ

「……? ねーちゃんたちは?」

 

したっぱ!

「俺たちは昨日の日が落ちる前にはマッハパンチで終わらせたぜ。今日はそうだなあ……結局探せなかったお土産選びでもしようぜ」

 

ゼイユ

「勝手に決めないで! ……ま、他にやることと言えば家か河原で遊ぶくらいだし、ちょっとくらいなら付き合ってあげてもいいわよ。それじゃあ2人とも、仲良くしてなさいよ?」

 

スグリ

「うん……えっと、か……看板! 最後の看板遠くって。鬼が山を越えた楽土の荒地にあんだ……山から北西に降りる。んだば行こっか」

 

 

 

 

 

●楽土の荒地

 

 

 

 看板の前でスグリとバトルし、看板を読んでスグリから祖先の話をされるまでは同じです。

 

 

 

スグリ

「……おれ、ここの看板に書かれてること好きじゃない。鬼さまが怖いからって必要以上に怖がって村の外に追いやって……鬼さまだって、きっとさみしかったはずだ。ひとりだけ……のけ者にされたから」

 

 

 

 カメラの視線が主人公からスグリに変わり、心配そうにしている主人公が映し出されます。

 

 

 

スグリ

「…………それと、昨日鬼さまに会ったこと……秘密にされたの、嫌だった。(主人公)も、ねーちゃんもバトル強いって共通点があって……せっかく(主人公)と友達になれたのに、おれがのけ者になってる気がして……」

 

 

 

→ごめん……    

先輩は?     

 

 

 

○『ごめん……』を選んだ場合

 

 

 

スグリ

「俺こそ、えと、ごめん…………」

 

 

 

○『先輩は?』を選んだ場合

 

 

 

スグリ

「あ、あの人だべか? バトルはねーちゃんと互角ぐらいだったし、プロレス技かけられてもすぐに復活するから強い……? けど、なんか……あの人は友達とかとはちょっと違う気がするべ……」

 

 

 

 その後は2人の間に沈黙が立ち込めてからスグリが看板に向かいます。

 

 

 

スグリ

「……写真さ、撮ろっか」

 

 

 

 写真は原作同様にどこか陰鬱な雰囲気が漂う1枚になっています。

 

 

 

スグリ

「これで課題はおしまいだ。おれ、ポケモンっこさもっと強くするから……帰るね」

 

 

 

 次のイベントは翌日から始まります。公民館に戻って休みましょう。

 

 

 

 

 

●公民館

 

 

 

 いつもの位置にいるしたっぱ!に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「お土産の候補のりんごジャム……保存も効くし、食い切ったら瓶をペン入れにできるから良さそうだぜ。ダチに配るのは流石に費用がかさむからこれは家族用だな」

 

 

 

 公民館の奥に行くと次の日になります。

 

 

 

 

 

→てらす池




ちょっと短いですが話が立て込んだので、てらす池は次回になりそうです。

スグリくんの闇堕ちが単なる喧嘩後の気まずさに変わった。うんうん、それもまた青春(アイカツ)だね!


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16、てらす池

前回のアホの功績のせいでともっこプラザでのスグリの『うそつき!』ができなくなりました。その改変をどう調理するかがどうにも悩んでいたんですが……こうなりました。どうぞ。


←キタカミ伝説の真実

 

 

 

 

 

●公民館

 

 

 

 オリエンテーリングを終えての翌日、部屋から出てきた主人公にしたっぱ!が話しかけてきます。

 

 

 

したっぱ!

「おはようございまスター(主人公)! ゼイユが家で待ってるから早く来いってさ!」

 

 

 

 それぞれの位置にいる生徒たちから以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「朝飯食ってけよ。腹減ってる時は元気になれないからな」

 

メガネ男子

「オリエンテーリングはもう終わった? ぼくはもう終わって、ブライア先生と……あははっ」

 

 

 

 残りの2人は同文。

 

 

 

 

 

●ゼイユ・スグリ宅

 

 

 

 家に到着するとしたっぱ!が後からついてきています。

 

 

 

ゼイユ

「(主人公)! おそーい! ……てかあんたも来たの?」

 

 

 

 ゼイユが肩を竦めていると、主人公が背後にいるしたっぱ!に気づいて「!」と反応して振り向きます。

 

 

 

したっぱ!

「おう! だってオーガポンについてなんだろ? そりゃあ俺も行くに決まってまスター! ……あれ、スグリは?」

 

ゼイユ

「まだ寝てる。昨日夜遅くに帰ってきたと思ったら返事もしないでヘソ曲げてたの。疲れてそうだから寝かせといてる」

 

おじいさん

「夕飯も食べずに部屋にこもっておったな……」

 

ゼイユ

「ま! 思春期だし、そういうこともあるわよね」

 

おじいさん

「起きてきたらワシから説明しよう。さて……」

 

 

 

 おじいさんが語り始めますが、主人公が心配そうな顔を、したっぱ!が少し不服そうに腕を組んで聞いています。

 

 

 

おじいさん

「オーガポンさまのお面を直そうとしたんだが……完全に修復するにはひとつ素材が足りなんだ」

 

ゼイユ

「じーちゃんが言うにはさ、てらす池に沈んでいるけっしょうのかけらが必要なんだって。お面、今のまま返しに行ってもいいけど、きれいにして返したらオーガポンもきっと喜ぶわよね!」

 

 

 

→きっとそう!  

優しいね    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ゼイユ

「本当の話、聞いちゃったら……さ。オーガポンにいい思いしてほしいもん」

 

おじいさん

「その気持ちにきっとオーガポンさまも喜んでくださるはずだ」

 

ゼイユ

「でしょー!」

 

したっぱ!

「だな! うっひょー! オーガポンの喜ぶ顔が目に浮かぶぜーっ! 見たことないけど!」

 

ゼイユ

「てらす池は鬼が山の頂上にあるのよ。よそ者が入るのゲゲーって感じだけど……ま! あんたならいいわ。けっしょうのかけらを求めて山登りにレッツゴーよ!」

 

 

 

 そうしてゼイユが期待に満ち溢れていたしたっぱ!に目を合わせます。

 

 

 

ゼイユ

「……断ってもついてきそうだからあんたも許可してあげるわ」

 

したっぱ!

「マジで!? よっしゃー!」

 

 

 

 したっぱ!が能天気に喜ぶ姿にゼイユが手で額を抑えて辟易しますが、画面が暗転すると2人は先に行ったのか姿を消します。

 

 

 

 

 

●てらす池

 

 

 

 てらす池の沿岸部にゼイユとしたっぱ!、そしてスグリが立っています。誰かに話しかけるとイベントが進行します。

 

 

 

したっぱ!

「来たか(主人公)! ちょっと遅かったな……まっ、俺のモトトカゲが速すぎるだけだがな!」

 

ゼイユ

「……坂道とか曲がり道で落馬してほとんど自分の脚で走ってなかった?」

 

スグリ

「この人もライドポケモンもわやうるさかったけど乗り心地は意外とよかったべ……それと、えと……(主人公)、おはよ」

 

 

 

→おはよう!     

寝てたんじゃ?   

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

スグリ

「…………」

 

 

 

 スグリが気まずそうに目を伏せますが、ゼイユが代わりに話してくれます。

 

 

 

ゼイユ

「別に置いてきてもよかったんだけどね。こいつがわざわざとんぼがえりして連れてきたのよ」

 

したっぱ!

「家出たところで良かったぜ! こういうワクワクイベントはどうせなら大勢でやった方がいいだろ!?」

 

スグリ

「そういうわけで……その……よろしく……」

 

ゼイユ

「ワクワクって……ここ、一応は神聖な場所なんだけど? (主人公)も見てみて」

 

 

 

 ゼイユからてらす池について説明してもらえます。

 

 

 

ゼイユ

「お面を直すため! 水中に沈んでる結晶、ちょっとだけ採ってこないとね……というわけであんた、やったれ! 思いっきり池に飛び込むのよ!」

 

 

 

→先輩が!?    

飛び込むの!?  

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ゼイユ

「だってあたし泳げないし、服が濡れちゃうでしょ? (主人公)もスグもちっこいから不安だけど、こいつなら体力あるし余裕余裕~」

 

スグリ

「ねーちゃん、自分勝手すぎ……」

 

 

 

 ゼイユが軽口にスグリが呆れていますが、当のしたっぱ!はスター団ポーズを披露するくらいには乗る気な様子です。

 

 

 

したっぱ!

「頼られちまったのならしょうがねえ……任せとけ! 見とけよお前たち! 俺の泳ぎはサメハダーですら……」

 

 

 

 したっぱ!がてらす池に近づいたところで地響きが起こります。

 

 

 

ゼイユ

「えっ!? 地震……!?」

 

したっぱ!

「見ろよ! てらす池が……!」

 

 

 

 てらす池から勢いよく主人公たちの元にミロカロスが現れ、着地点にいたしたっぱ!が吹き飛ばされてしまいます。

 

 

 

したっぱ!

「ほげーっ!!」

 

ミロカロス

「みろろろろろ!!」

 

 

 

 誰もしたっぱ!について何も言わずそのままバトルが始まります。

 

 

 

ゼイユ

「あービックリした! ここ、さっきみたいなのたまに出てくんの。あんたって……味方だとたのもしいわね。それにスグ、結構強くなってんじゃん」

 

スグリ

「そ、そんなん言われても別に嬉しくないし……」

 

ゼイユ

「はーっ!? ねーちゃんが褒めてんだから素直に受け取っておきなさいよ!!」

 

スグリ

「うぅぅ……理不尽だべ……」

 

 

 

 怒るゼイユ、たじろぐスグリを見て主人公が笑顔を作っていると、したっぱ!が何食わぬ顔で2人の後ろから現れます。

 

 

 

したっぱ!

「ふぃ~……驚いたぜ」

 

ゼイユ

「で、あんたは2人と違ってたよりないわね。あのくらい避けなさいよ」

 

したっぱ!

「無茶苦茶言いやがるぜ。それにしてもスゲえパワーだった! あのポケモンを捕まえてたとくりゃ、アカデミーで人気者間違いなしでスター!」

 

ゼイユ

「その向上心はどっから出てくるのよ……」

 

スグリ

「……あの人の破天荒っぷりになんか慣れちまって心配してなかったべ」

 

 

 

 したっぱ!とゼイユがやいのやいの行ってる中、スグリに話しかけられた主人公は苦笑しますが、したっぱ!が「!」と反応して主人公に駆け寄ります。

 

 

 

したっぱ!

「そうだ(主人公)! あのポケモンにぶつかったと思ったらこんなもんがポケットに入ってたぜ!」

 

ゼイユ

「ねえ、それって……」

 

 

 

 したっぱ!が主人公にけっしょうのかけらを手渡します。

 

 

 

したっぱ!

「ポケモンの身体にくっついてたんだろう。さすが俺、あの一瞬で目的のブツをゲットしてたとはな!」

 

ゼイユ

「なんだ、あんたもたよりになるとこあんじゃん」

 

したっぱ!

「わははははっ! もっと褒め称えていいんだぜ? なんせ俺はアカデミーだけでなく、このキタカミすらもスター団の植民地にしてやるんだからな!」

 

ゼイユ

「…………」

 

 

 

 ゼイユとしたっぱ!が画面からいなくなると、画面外で締めあげる音とともに主人公とスグリが目を見開きます。

 

 

 

ゼイユ

「あんた調子に乗り過ぎなのよおおお!」

 

したっぱ!

「ぐえーっ!!」

 

 

 

 そうして主人公とスグリは何事もなかったかのように会話し始めます。

 

 

 

スグリ

「わやじゃ、こんなラッキーあるんだべな」

 

ブライア

「池に沈む結晶……このエネルギーはやはり……」

 

 

 

 ブライアがメガネ男子を連れて現れると、主人公とスグリが「!」と反応します。ゼイユはその隣でアーボックツイストを鬼の形相でしたっぱ!に仕掛けています。

 

 

 

スグリ

「先生!」

 

ブライア

「やあ4人とも、ペアではなく班を作って行動するようにしたのかな? ……それとゼイユくん、そろそろ離してあげたらどうだ?」

 

 

 

 画角が変わるとゼイユが素知らぬ顔で主人公と一緒にブライアに話しかけますが、したっぱ!はぐったりしてスグリに見守られています。

 

 ブライアがてらす池とテラスタルについて解説している間、メガネ男子はブライアから目を逸らしません。

 

 

 

ゼイユ

「それじゃああたしたち急いでるんで……」

 

スグリ

「…………待って、(主人公)」

 

したっぱ!

「どうしたスグリ。なんか(主人公)に渡すもんでもあったか?」

 

スグリ

「帰る前にともっこプラザに行きてえ。そこで用があっから」

 

ゼイユ

「はあ? オーガポンのお面直すのが先でしょ?」

 

スグリ

「おれもそうしたい……けど、その前にごめん。どうしてもやりたいことあっから……先に待ってる」

 

 

 

 スグリがそう言い残して去っていきます。

 

 

 

ゼイユ

「なによスグのやつ。ま、ちょっとくらい寄り道してもオーガポン怒んないだろーけどさ」

 

したっぱ!

「俺たちも行くか。(主人公)も早く来いよ」

 

 

 

 残された主人公ですが、ここでメガネ男子に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

メガネ男子

「(主人公)さん。きみは宝を見つけた? ぼくは見つけたよ。ぼくだけの宝物を……」

 

 

 

 スグリの言う通りにともっこプラザに向かいましょう。

 

 

 

 

 

→ともっこ復活




うーん、原作から大幅改変。まあアホがいる時点でとんでもねえ転換点だし問題ないか!
本当はスグリ戦&ともっこ復活まで済ませる予定だったんですが、想定以上にセリフが多くなったので分割しました。


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17、ともっこ復活

ポケモンデーの発表で新作が出るらしいですが、流石にアホはパルデアだけに留めますかねえ?


←てらす池

 

 

 

 

 

●ともっこプラザ

 

 

 

 ともっこプラザに到着すると、ともっこ像の前でスグリが待ち構えています。

 

 

 

スグリ

「来てくれてありがとな(主人公)……ねーちゃんたちも来たんだ」

 

ゼイユ

「そりゃあ急にあんなこと言い出すんだもん。気になるじゃん。用があるならさっさと済ませてよね、オーガポンのお面、じーちゃんに届けないとだし」

 

スグリ

「うん。ねえ(主人公)、おれとここで……勝負してよ」

 

したっぱ!

「なるほどバトルか。確かにてらす池じゃできねえもんな」

 

 

 

→わかった!    

どうして?    

 

 

 

○『わかった!』を選んだ場合

 

 

 

ゼイユ

「その前に! スグ、ちゃんと理由教えなさいよ!」

 

 

 

○『どうして?』を選んだ場合

 

 

 

ゼイユ

「そうよスグ! ちゃんと理由教えなさいよ!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

スグリ

「……ねーちゃんたちは鬼さまに会ったんだよな。でも2人ともそれをおれに黙ってた……昔の村人が鬼さまにしたようにのけ者にした! おれに内緒で鬼さまと仲良くなろうとしてた! おれがどんだけ鬼さまのこと好きか知ってるくせに!」

 

ゼイユ

「それは、知ってるからっていうか……」

 

スグリ

「今はおれもその輪の中に入れてもらってる……けど、ねーちゃんたちがおれの気持ちを無視しようとしてたことには変わんねえ。水に流しちまえばいいことなんだって割り切ることなんてできねえ、どうしても抑えきれねえんだ! だから……勝負してよ!!」

 

ゼイユ

「スグ……」

 

したっぱ!

「(主人公)。スグリもお前もポケモントレーナーだ。互いの気持ちがぶつけたい時はもちろんバトルで決着つけるんでスター! 俺たちがちゃんと見届けてやるからよーっ!」

 

ゼイユ

「……そうね。だったら手加減なんてしないで本気の本気で戦いなさいよ! 手なんて抜いたらあたしがアーボックツイストしてやるんだから!」

 

 

 

 アーボックツイストの単語にしたっぱ!が身を引きます。

 

 

 

スグリ

「(主人公)、そんなら位置さついて」

 

したっぱ!

「その前に、だ。スグリお前、昨日の夕飯食ってねえんだってな。朝飯は食ったか?」

 

スグリ

「え…………あ、なんも……」

 

 

 

 したっぱ!の唐突な質問に答えたスグリに対してゼイユがため息まじりに首を振ってみせます。

 

 

 

ゼイユ

「あんたよくそれでここまで歩いてこれたわね。あたしならお腹空き過ぎてぶっ倒れてるわよ」

 

したっぱ!

「そうだろうと思ってな。ほれ、桃沢商店の店先にあったモチ。自由に食っていいってんで、すきっ腹にちょうどいいと思ってな! 空腹じゃバトルも上手くいかねえだろ?」

 

スグリ

「あ、ありがと……」

 

 

 

 したっば!がスグリに手渡してから何かをともっこ像に供えます。

 

 

 

ゼイユ

「あれ、あんたそれは?」

 

したっぱ!

「桃沢商店に戻った時にばあちゃんに頼まれてな。もう年だからここまでお供え物を持ってくるのは辛いからって、スター団のしたっぱである俺が代わりにな!」

 

ゼイユ

「へー。優しいじゃん。ほら、(主人公)もスグも準備が整ったらちゃっちゃと始めちゃいなさい」

 

 

 

 スグリにもう一度話しかけるとバトルが始まります。

 

 

 

スグリ

「準備できた?」

 

 

 

→はい     

いいえ    

 

 

 

 『はい』を選ぶとバトルが始まり、背景でしたっぱ!とゼイユが2人を応援しています。

 

 主人公が勝利するとイベントが進みますが、スグリが悔しさのあまりともっこ像が祭られている石柱を殴ってしまいます。

 

 

 

スグリ

「……痛い」

 

ゼイユ

「スグ、あたしあんたにあやまんないと……」

 

スグリ

「帰る……」

 

したっぱ!

「おいスグリっ、待てよ! 待てって!」

 

 

 

 ゼイユの言葉も聞かずスグリがともっこプラザから走り去りますが、したっぱ!が彼を心配して追いかけていきます。

 

 

 

 その後のゼイユとのやり取り、ともっこたちの復活、キタカミセンターでの一件まで原作と同様なため省略いたします。詳しくは推しの配信でも見直しといてください。

 

 

 

 

 

●鬼が山 オーガポンの住処前

 

 

 

 主人公が到着するとともっこたちが襲い掛かってきそうになります。

 

 

 

したっぱ!

「うおおおおおおお!!」

 

 

 

 しかし主人公が「!」と反応して振り向きと、スグリとゼイユ、そしてモトトカゲの隣でくたくたになったしたっぱ!が立っています。

 

 

 

したっぱ!

「ぜえ……ぜえ……なんとか間に合ったみたいだな……」

 

モトトカゲ

「あぎゃす!」

 

スグリ

「おれとねーちゃんが乗ってたとはいえ、ライドポケモンと並走してついてこれるなんてわや驚いたべ……」

 

ゼイユ

「コラー! あんたらー! 3対1なんて卑怯なマネするじゃない。あたしらが来たからにはあんたたち……よみがえったことを後悔させてやるわ!」

 

 

 

 ゼイユが怒っている姿を眺めてしたっぱ!とスグリが背後でこそこそ話しています。

 

 

 

したっぱ!

「……ゼイユの方が伝承で語られる鬼より怖いんじゃねえでスター?」

 

スグリ

「しっ、聞こえちまうべ……!」

 

ゼイユ

「ああん!? 今のあたしは気が立ってるのよ!」

 

 

 

 ゼイユが2人に振り返りますが、当の2人は涼しい顔をしてともっこたちに戦闘姿勢を取ります。

 

 

 

したっぱ!

「おいおいスグリ、ポケモン回復させてねえだろお前。戦えないなら仕方ねえ……バトルに巻き込まれないようにオーガポンと避難してな!」

 

スグリ

「う、うん……」

 

 

 

 しかしともっこたちが何やら会話をすると、オーガポンも4人も放っておいてその場から逃げ出してしまいます。

 

 

 

スグリ

「あ、逃げた!」

 

ゼイユ

「ハンッ! あたしの強さにビビったようね」

 

したっぱ!

「そりゃあ開口一番にあんな脅されたらビビるぜ」

 

ゼイユ

「あらそう? そういえばあたし気が立ってるって言ったわよねー?」

 

したっぱ!

「え、あ……」

 

 

 

 ゼイユとしたっぱ!が画面からフェードアウトすると、スグリが主人公に駆け寄ります。

 

 

 

スグリ

「間に合ってよかったべ。あの人と家さ帰ってたら、ねーちゃんがお面さ持って帰ってきて……そんでともっこのこと聞いたんだ。居ても立っても居られなくって急いで行こうとしたら……」

 

 

 

 そこでゼイユにアーボックツイストを仕掛けられているしたっぱ!が映ります。それを見たモトトカゲは無邪気に笑っています。

 

 

 

スグリ

「あの人がおれとねーちゃんにライドポケモンさ貸して、自分は脚2つで走ってここまで来て……(主人公)とは全く違う意味で強いんだな。憧れとかはぜんぜんしねえけんど」

 

オーガポン

「ぽにお!」

 

 

 

 オーガポンが鳴くと、ゼイユがしたっぱ!を解放して彼女の元にモトトカゲと一緒に4人駆け寄ります。

 

 

 

スグリ

「ほ、本当に鬼さまじゃ……わやめんこいな」

 

したっぱ!

「そうだなスグリィ! てか瞳の星型といい……やっぱしスター団に勧誘しまスター!」

 

オーガポン

「ぽに……?」

 

ゼイユ

「なにあんた、あたしの新技受けたいわけ?」

 

したっぱ!

「そ、そんなつもりは……」

 

ゼイユ

「だったら黙ってなさい。みどりのめんは家でじーちゃんが直してるから後で返すとして……やっぱりさ、残りの3つのお面もオーガポンに返してあげたいよね」

 

スグリ

「センターにあったやつ……あの3匹に持ってったんだっけ?」

 

ゼイユ

「そう! もともとはこの子のお面なのに! またあいつらが襲ってくるかもわかんないし、オーガポン守りつつともっこ成敗よ! あたしたち4人で『お面とり戻し隊』結成ね!」

 

 

 

→賛成!     

名前が……   

 

 

 

○『賛成!』を選んだ場合

 

 

 

ゼイユ

「名案でしょ! あんたは副リーダーにしてあげる!」

 

 

 

○『名前が……』を選んだ場合

 

 

 

ゼイユ

「なんか文句あるの? 副リーダーの座おろすわよ」

 

 

 

 以下は同様に返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「じゃあ俺がリーダーでスター?」

 

ゼイユ

「バカじゃないの? あんたは一番したっぱよ」

 

したっぱ!

「ここでもしたっぱ!? ……ということはつまりっ! 成り上がりの始まりだぜーっ!」

 

スグリ

「おれも……?」

 

ゼイユ

「そう、二番目のしたっぱね!」

 

したっぱ!

「よっしゃスグリ、2人でリーダーの座を奪い取るぞ!」

 

スグリ

「そういう問題じゃねえ気がするべ……」

 

ゼイユ

「そうと決まればスイリョクタウンでともっこ情報聞きこみよ! あたしたちでお面を取り戻すぞ!」

 

 

 

4人

「「「「えい、えい、おー!」」」」

 

 

 

 このイベントが終わるとオーガポンがついてきてくれるようになります。そのままスイリョクタウンに向かいましょう。

 

 

 

 

 

→『お面とり戻し隊』




ぽにおのお面が後回しになってますが、すぐに来るんならお面なんて直せねえべってのと、どうせならみどりのめんの写真も撮りたかったのが理由です

コメントにてポケモンの候補を受け取り、アンケートで決めたもののちょっとばかし迷ってきちゃいました。今のところミロカロスとドドゲザンなのですが……前者は採用を検討してもいいかなと思う反面、後者は通常特性の個体がオモダカとピーニャで埋まってるんで、コンセプトとしてはいいんですけど使いづらい感があるんですよねえ


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18、『お面とり戻し隊』

ポケモンにじゃんけんって概念ってあったっけ?


←てらす池

 

 

 

 

 

●スイリョクタウン

 

 

 

 スイリョクタウンに到着すると、オーガポンが村に入ることを怖がって足を止めてしまいます。

 

 オーガポンを村の外に待たせて聞きこみを始めようとする面々でしたが、したっぱ!が「…」と思案してから提案します。

 

 

 

したっぱ!

「……やっぱでもひとりにしとくってのは危ないよなあ。お面もない状態であいつらがまた襲ってくるかもしれないし」

 

ゼイユ

「確かにそうかもね……じゃ、誰かが残るかじゃんけんで決めましょうか」

 

スグリ

「…………」

 

したっぱ!

「おおっ、名案でスター! それなら決めるぞーっ!」

 

ゼイユ

「じゃーん、けーん……」

 

 

 

 画面が暗転した後、スグリと隣に居るオーガポンが映されます。

 

 

 

スグリ

「わやじゃ。勝っちまった」

 

ゼイユ

「スグってば昔からじゃんけんだけは強いのよね。だからこーなると思ったけど」

 

 

 

 しかしゼイユは悔しがらずにむしろ嬉しそうに笑みを浮かべています。

 

 

 

したっぱ!

「ちぇっ、せっかくオーガポンにスター団の素晴らしさを伝えようとしたってのに……まあいいぜ。スグリ、これも『お面とり戻し隊』の立派な任務だ……サボるんじゃねえぞ!」

 

スグリ

「う、うん……わかった。えと、それじゃあ鬼さま。おれで悪いけど、ちょっとの間だけよろしくな……?」

 

オーガポン

「がお……ぽに、ぽにおーん!」

 

 

 

→わかったみたい  

よろしくね    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

スグリ

「……んだな。3人とも、いってらっしゃい」

 

 

 

 

 原作のスグリの位置にしたっぱ!が代わりに立っています。

 

 

 

したっぱ!

「キタカミに来てもう4日目だからな。もう村の連中とはダチなんだぜーっ!」

 

 

 

 聞きこみを終えるとスグリとオーガポンの元に戻ります。

 

 

 

オーガポン

「ぽにおー!」

 

ゼイユ

「スグ、オーガポン、ただいま。ふたりでなんか気まずくなかった?」

 

スグリ

「みんなおかえり……正直なに話せばいいかわかんなくてわや戸惑ったべ。それでみんなはどう? 情報は集まった?」

 

したっぱ!

「おうよ、ばっちりな」

 

ゼイユ

「よし! 集めた情報を合体させるわよ!」

 

したっぱ!

「まずは俺からな! 俺が聞いたのはな……」

 

 

 

 画面が一瞬だけ暗転し、主人公からの情報を聞いたゼイユが頭に指を当てて考え始めます。

 

 

 

ゼイユ

「ふんふん、なるほど……ふたりの情報をあわせるとともっこたちの居場所、全部わかっちゃったんじゃない!?」

 

 

 

→やった!    

ゼイユは?   

 

 

 

○『やった!』を選んだ場合

 

 

 

ゼイユ

「さすがあたしが結成したお面とり戻し隊! ゼイユリーダーがあんたたちをほめてつかわす!」

 

したっぱ!

「へへっ……ゼイユに褒められるってのはなんかこそばゆいぜ……」

 

ゼイユ

「いっちょ前に照れてんじゃないわよムカつくわね……!」

 

 

 

○『ゼイユは?』を選んだ場合

 

 

 

ゼイユ

「あたしはリーダーだから地味な作業は苦手なの。そのへんの人に話しかけてもキョドって何にも教えてくれないし! ……あたしがかわいすぎるせいね」

 

したっぱ!

「こわい兄さん姉さんらにも怖がられてるって、ゼイユってキタカミでどんなことしてたんだよ」

 

ゼイユ

「へー、リーダーに大した口が叩けるものね」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

ゼイユ

「あいつは後で新技を食らわせるとして……忘れないようにともっこ情報、(主人公)のスマホロトムに登録しとくから」

 

したっぱ!

「俺にも頼むぜーっ!」

 

ゼイユ

「はいはい。わかってるわよ」

 

 

 

 ともっこたちの居場所がマップアプリに登録されます。

 

 

 

ゼイユ

「それじゃ、鬼のお面とり戻しにいくよー! えい、えい、おー!」

 

 

 

 ゼイユ、したっぱ!、主人公が声を上げて右手を掲げますが、スグリは顔を伏せてしまっています。

 

 

 

スグリ

「おれ……行かね」

 

ゼイユ

「え、来なよ! 隊員でしょ?」

 

スグリ

「(主人公)がいれば鬼さまも安心だろうし。やることあっから……ごめ」

 

したっぱ!

「ちょおっと待ったあっ!!」

 

 

 

 スグリが言い終えるより先にしたっぱ!が大声で彼を制します。

 

 

 

スグリ

「な、なんだべ……?」

 

したっぱ!

「……ちょっとこっちこい」

 

 

 

 したっぱ!に連れられてスグリが木の陰に入り、主人公、ゼイユ、そしてオーガポンに聞こえないように何やら話しています。

 

 

 

ゼイユ

「なによあんたもスグも……そうだ」

 

 

 

 ゼイユが「!」と反応してオーガポンに近づいていきます。

 

 

 

オーガポン

「ぽに?」

 

ゼイユ

「まずこれを返さないと始まらないわよね。ほら、みどりのめん! あたしたちが直しといたから!」

 

 

 

 ゼイユに手渡されたみどりのめんをオーガポンが被って嬉しそうに飛び跳ねます。

 

 

 

オーガポン

「ぽに、ぽにおー!」

 

ゼイユ

「うふふ、喜んでる」

 

したっぱ!

「おおっ、スグリが被ってたお面に似てる! それがみどりのめんってやつか!」

 

ゼイユ

「あらあんたたち。ないしょばなしは終わった? スグもあたしたちをのけ者にできるようになったのねー?」

 

スグリ

「うぅぅ……別におれはそんなことする気なかったんけんど、この人が……」

 

したっぱ!

「まあちょっとな。スグリの代わりに俺が別行動を取ることにしたぜ……へっへっへっ、楽しみに待ってろよ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると3人の元から走り去っていきます。

 

 

 

ゼイユ

「なによっ、イラつく笑い方とポーズ決めちゃって……ま! 強制はよくないし、あたしらはあたしらでやろ。あいつのライドポケモン乗り心地いいから連れてってもらいたかったけど」

 

スグリ

「…………」

 

ゼイユ

「どうせなら写真撮りましょ! お面とり戻し隊の功績を残して、参加しなかったあいつに吠え面かかせてやるんだから!」

 

スグリ

「ねーちゃん。理由がひどすぎるべ……でも、賛成!」

 

 

 

 主人公が頷くと、次にみどりのめんを掲げるオーガポンとそれを囲って祝う主人公、スグリ、ゼイユが映った写真が表示されます。

 

 

 

ゼイユ

「どこから行くかはあんたにまかせた! オーガポンのお面、全部とり戻してあげようね!」

 

 

 

 ともっこ戦はほとんど原作と同様ですが、スグリのセリフと戦闘中のサポートが追加されます。

 

 

 

◯スグリの手持ち

 

 

 

・ストーリークリア前

 

 

 

ニョロゾ♂Lv.30

【ちょすい】

アクアブレイク

かわらわり

とっしん

マッドショット

 

 

グライガー♂Lv.29

【かいりきバサミ】

つばめがえし

すなじごく

れんぞくぎり

でんこうせっか

 

 

カミッチュ♂Lv.28

【かんろなミツ】

みずあめボム

ダブルアタック

りゅうのいぶき

まるくなる

 

 

オオタチ♂Lv.26

【にげあし】

てだすけ

あなをほる

つぶらなひとみ

きりさく

 

 

 

・ストーリークリア後

 

 

 

ニョロボン♂Lv.70

【ちょすい】

ハイドロポンプ

くろいきり

かわらわり

だいちのちから

 

 

グライガー♂Lv.69

【かいりきバサミ】

10まんばりき

がんせきふうじ

ダブルウィング

シザークロス

 

 

カミッチュ♂Lv.68

【かんろなミツ】

みずあめボム

りゅうのはどう

エナジーボール

ダブルアタック

 

 

オオタチ♂Lv.66

【にげあし】

てだすけ

ふいうち

あなをほる

すてみタックル

 

 

 

 

 

●イイネイヌ

 

 

 

 楽土の荒地の平地でイイネイヌがカクカクしながら仁王立ちしています。

 

 

 

ゼイユ

「パワフルなやついた! 悪そうな筋肉イイネイヌ!!」

 

スグリ

「なあ、こいつ……前より大きくなってねえべ?」

 

イイネイヌ

「……ヌ?」

 

ゼイユ

「(主人公)! スグ! あいつにぎゃふんと言わせるよ!」

 

 

 

 主人公も頷いて戦闘姿勢を整えます。

 

 以下、スグリのセリフです。

 

 

 

(主人公の初回行動終了時)

 

スグリ

「わや固そうなやつ……力を合わせてこらしめるべ!」

 

 

 

(主人公が効果はいまひとつのようだ……)

 

スグリ

「……鬼さまをいじめたこと、許さねえ!」

 

 

 

(主人公のポケモンに急所に当たった!)

 

スグリ

「大丈夫か(主人公)!? 落ち着いて反撃するべ!」

 

 

 

 勝利するとイイネイヌが走り去っていきます。

 

 

 

ゼイユ

「ざまあみやがれってのよ!」

 

 

 

 スグリが「!」と反応して地面に落ちているいしずえのめんを見つけ、オーガポンが拾いに行きます。

 

 

 

スグリ

「見て! あいつお面落としてったべ!」

 

オーガポン

「ぽに!」

 

ゼイユ

「(主人公)! スグ! オーガポン! まずは1つめとり戻したね!」

 

 

 

 3人と1匹が撮られた写真が画面に表示されます。

 

 

 

オーガポン

「ぽにおー!」

 

スグリ

「にへへ……鬼さま喜んでる」

 

ゼイユ

「てらす池でも思ったけど……スグとは姉弟だから当然として、あたしとあんたって意外と相性いいかもね 残りは2つ! ほかのともっこたちもこらしめるよ!」

 

 

 

 

 

●マシマシラ

 

 

 

 フジの池の前で大きくなったマシマシラが佇んでいます。

 

 

ゼイユ

「ナマイキなやついた! 頭でっかちマシマシラ!!」

 

スグリ

「やっぱしこいつもわや大きくなってる……」

 

マシマシラ

「……マ?」

 

ゼイユ

「(主人公)! スグ! あいつにひと泡吹かせるよ!」

 

スグリ

「よし……けっぱるべ!」

 

 

 

 主人公も頷いて戦闘姿勢を整えます。

 

 以下、スグリのセリフです。

 

 

 

(主人公の初回行動終了時)

 

スグリ

「さすが(主人公)だべ。おれも負けてらんねえ!」

 

 

 

(主人公が効果はいまひとつのようだ……)

 

スグリ

「強い……それに何してくるかわかんねえや」

 

 

 

(主人公のポケモンに急所に当たった!)

 

スグリ

「あのハチマキさはたきおとしたら、ちょっとは有利になるか……?」

 

 

 

 勝利するとマシマシラが走り去っていきます。

 

 

 

ゼイユ

「おととい来やがれってのよ!」

 

 

 

 スグリが「!」と反応して地面に落ちているいどのめんを見つけ、オーガポンが拾いに行きます。

 

 

 

スグリ

「あいつもお面落としてったべ!」

 

オーガポン

「ぽに!」

 

ゼイユ

「(主人公)! スグ! オーガポン! 二つ目もとり戻したね!」

 

 

 

 3人と1匹が撮られた写真が画面に表示されます。

 

 

 

オーガポン

「ぽにおー!」

 

スグリ

「やったな鬼さま!」

 

ゼイユ

「ふたりとならどんな敵でもへっちゃらって感じだわ! あいつの力なんて借りなくても余裕ね」

 

スグリ

「残りはあと1つ……最後のともっこもこらしめちまおう!」

 

 

 

 スグリが笑顔で言ったのに対してゼイユが両手を握りしめて怒りを露わにします。

 

 

ゼイユ

「ちょっとスグ! 勝手に仕切ってんじゃないわよ!」

 

スグリ

「うぅぅ……ごめん……」

 

ゼイユ

「……でも、元気出たみたいでなーんかよかった。この調子でラストも頑張るわよー!」

 

 

 

 

 

●キチキギス

 

 

 

 ひやみず洞を抜けた先で大きくなったキチキギスが待ち構えています。

 

 

 

ゼイユ

「飛んでるやついた! 多分キチキギスね!! もういい加減にして! どいつもこいつも大きくなっちゃって!」

 

キチキギス

「……キ?」

 

ゼイユ

「(主人公)! スグ! あいつの鼻っぱしらへし折るよ!」

 

スグリ

「うんっ……最後まで、けっぱるべ!」

 

 

 

 主人公も頷いて戦闘姿勢を整えます。

 

 以下、スグリのセリフです。

 

 

 

(主人公の初回行動終了時)

 

スグリ

「おれもふたりに続いて……けっぱる!」

 

 

 

(主人公が効果はいまひとつのようだ……)

 

スグリ

「あんまし効いてない……飛んでるけどひこうタイプじゃねえべ?」

 

 

 

(主人公のポケモンに急所に当たった!)

 

スグリ

「ねーちゃんみてえでおっかねえけど、負けてらんねえ!」

 

 

 

 勝利するとキチキギスが飛び去っていきます。

 

 

 

ゼイユ

「あたしらそろえば、鬼に金棒ってね!」

 

 

 

 スグリが「!」と反応して地面に落ちているかまどのめんを見つけ、オーガポンが拾いに行きます。

 

 

スグリ

「やった! ついに最後のお面!」

 

オーガポン

「ぽに!」

 

ゼイユ

「(主人公)! スグ! オーガポン! 全部とり戻したね!」

 

 

 

 3人と1匹が撮られた写真が画面に表示されます。

 

 

 

オーガポン

「ぽにおー!」

 

ゼイユ

「本当に……ほんっと、良かったね!」

 

スグリ

「うん…………だけど、それだけじゃ終われねえべ」

 

ゼイユ

「ん? スグ、どうゆうことよ?」

 

 

 

スマホロトム

〈ロトロトロトロト…………〉

 

 

 

 すると、主人公のスマホロトムに着信が来ます。

 

 

 

 

 

→オーガポンゲット




スグリが入ってのイベントを一から書き起こして長くなったので一旦ここまで。次回は3匹目を攻略してすぐから始まります。

したっぱ!をともっこ戦に向かわせたい気持ちもあった反面、村中を駆け回りながら呼び出しに応えて急行できるのはさすがに人間やめてるので今回は出番なしとさせていただきました。それとブルーベリー学園までゼイユにアホの実力を隠しておきたかったので。


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19、オーガポンゲット

前話からイベントぶった切ってのスタートです。


←『お面とり戻し隊』

 

 

 

 

 

 全てのお面を取り戻すとスマホロトムにしたっぱ!から連絡がかかってきます。

 

 

 

したっぱ!

「もしもーしっ、(主人公)! そっちの進行度はどうだーっ?」

 

ゼイユ

「あら遅かったじゃない。ともっこたちならもうみんな倒しちゃったわよ」

 

スグリ

「お面も全部とり戻したべ」

 

したっぱ!

「そっか! そりゃよかった! 俺の方もようやく諸々が済んだとこだ……そこで(主人公)、スグリ、ゼイユ、そしてオーガポン! みんな村まで来てくれ!」

 

 

 

→でも村には……   

大丈夫なの?    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「大丈夫。俺を信じてほしい。そんじゃ、待ってるからな!」

 

 

 

 したっぱ!が通話を切ると3人と1匹で顔を見合わせます。

 

 

 

ゼイユ

「なんだろ? 村のヤツらオーガポンを悪者だと思ってるのに……いいのかな?」

 

オーガポン

「ぽに……?」

 

ゼイユ

「ねえスグ。あんたがやろうとしてたことをあいつが代わりにやってたってことでいいんでしょ? ならあのときなに話してたか教えてくれてもいいんじゃない?」

 

スグリ

「それは…………行けば、わかると思う。だから鬼さまも一緒に来て、な?」

 

 

 

 スグリが一足先に走り去ってしまいます。

 

 

 

ゼイユ

「スグもどうしたってのよ……でもあの子、なんかいい目してた! ふたりを信じてとりあえず行ってみようよ。ヤバくなったらあたしの美貌で何とかするし」

 

 

 

 したっぱ!とスグリの言葉を信じてスイリョクタウンに向かいましょう。

 

 

 

 

 

●スイリョクタウン

 

 

 

 スイリョクタウンに到着すると、入り口にてしたっぱ!が3人と1匹を待っています。

 

 

 

したっぱ!

「来たな! そんなら村に……」

 

 

 

 しかしオーガポンは村を怖がって入ろうとしません。

 

 

 

オーガポン

「がお……!」

 

ゼイユ

「あちゃー。やっぱヤだよね」

 

スグリ

「だ、大丈夫だから……!」

 

したっぱ!

「スグリの言う通り、安心してついてきてくれな!」

 

ゼイユ

「……ったく、あんたら何しようとしてるの?」

 

したっぱ!

「それは実際に目で見て、声を聴いてみてくれ。だから……俺を信じてついてきてくれねえか……?」

 

スグリ

「鬼さま……お願いだ」

 

 

 

 悲しそうな目をしていたオーガポンでしたが、2人の真摯な声掛けに応えるようにスイリョクタウンに向けて歩み始めます。それを見たしたっぱ!とスグリが顔を合わせて笑い合います。

 

 スイリョクタウンに入ると、管理人が代表しての謝罪から村人の鬼への誤解が解かれている事にゼイユが驚いています。

 

 

 

ゼイユ

「何がどうなってんの!? どういう風の吹きまわし!?」

 

 

 

 そこへしたっぱ!が自慢気にゼイユに話しかけます。

 

 

 

したっぱ!

「無論っ、俺が村中を走りまわって本当の歴史を伝えまくったんだぜ! 実はあの時な……」

 

 

 

 そこで前話にて2人で会話しているシーンに切り替わります。

 

 

 

したっぱ!

「スグリお前、さては鬼の伝承についての誤解を村の連中に伝えようとしてやがるな? この俺にはおみとおしだぜ」

 

スグリ

「う……うん」

 

したっぱ!

「だったらその役目、代わりに俺にやらせろよ」

 

スグリ

「っ……そんな、これはおれがやりたいことで……!」

 

したっぱ!

「おいおい、俺がいなかったらお前ずっとのけ者だったんだぜ? だったら俺の言う事のひとつぐらい聞いてくれたっていいだろ~?」

 

スグリ

「い、いじわる……うぅっ、わかったべ。でも……どうして代わりになってまでやりてえんだ? おれも鬼さまが顔を隠さず、村さ自由に遊びに来てもらいてえけど……」

 

したっぱ!

「はーっ? そんなの決まってるだろ?」

 

 

 

 そこで画面が現在に切り替わります。

 

 

 

したっぱ!

「学校だって村だって、居たくない場所があるってのはそれだけで苦しいからな。だから顔を隠しても隠さなくても、笑顔で楽しくいられるようにしたい……それが泣く子も笑うスター団の信条でスター!」

 

 

 

 したっぱ!が迫真のスター団ポーズを披露すると、オーガポンを笑顔で迎える村人たちの中からおじいさんが前に出てきます。

 

 

 

おじいさん

「反感を買ってしまうからやめなさいと止めたんだが……どうやらワシが間違っていたようだな」

 

ゼイユ

「あんたやるじゃん! よそ者のくせに! ……それにスグも、意外とカッコイイことやろうとできんじゃん」

 

したっぱ!

「ああ、これこそがスター団の力だぜ! だからオーガポンも、自由に村で過ごしていいんだぜ!」

 

オーガポン

「……ぽにお!」

 

 

 

 ゼイユの誉め言葉をふんぞり返って受け取るしたっぱ!でしたが、すぐさまオーガポンに向き直ります。

 

 

 

したっぱ!

「そういうわけで改めて……オーガポン! スター団に入らねえか!?」

 

オーガポン

「……ぽ?」

 

 

 

 オーガポンが口を開いて茫然としてしまい、したっぱ!の隣にいたゼイユが両手を握りしめたまま怒りを露わにして彼に襲い掛かります。

 

 

 

したっぱ!

「げげっ、ゼイユ……!?」

 

ゼイユ

「あ・ん・た・は~…………っ!」

 

 

 

 ここでカメラがズームしてからゼイユがしたっぱ!にスリーパーホールドを決める場面が全体で映されます。背景で眺めている村人の中にいるオーガポンがはしゃいでいます。

 

 

 

ゼイユ

「なんでそんな余計なことばっかやらかそうとすんのよおおおおお!!!」

 

したっぱ!

「ぐえーっ! ギブギブギブギブ!! マジのお星さまになっちゃいまスターっ!!」

 

オーガポン

「ぽにっ、ぽにおーん!」

 

スグリ

「鬼さまっ、意外とこういうの好きなんだべ……!? それよりねーちゃんっ、そろそろ離さねえと意識飛んじまうべ~っ!」

 

 

 

 画面が空を映し、下に移ると鬼が山へと場面が変わっています。

 

 

 

 

 

●鬼が山 オーガポンの住処前

 

 

 

 

 主人公、スグリ、ゼイユ、したっぱ!がオーガポンを住処まで送っています。

 

 

 

ゼイユ

「着いたー!」

 

オーガポン

「ぽにー!」

 

ゼイユ

「ちょっとさみしい場所だけど思い出の場所だもんね」

 

したっぱ!

「管理人さんも元々はオーガポンのものってんでお面も返してくれたし、こりゃあ万々歳でスター!」

 

 

 

→バイバイ!    

元気でね     

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

オーガポン

「ぽ?」

 

 

 

 主人公に言葉にオーガポンが呆然とし、そのまま主人公の元に駆け寄っていきます。

 

 

 

オーガポン

「ぽにー!」

 

ゼイユ

「ねえ、ひょっとしてオーガポンってさ……(主人公)と一緒に行きたいんじゃない?」

 

スグリ

「…………」

 

 

 

 スグリが苦しそうに目を逸らしていますが、オーガポンはゼイユやスグリの方を向きながら飛び跳ねます。

 

 

 

オーガポン

「ぽに! ぽにおー!」

 

スグリ

「え……」

 

ゼイユ

「あら? もしかしてあたしたちとも一緒に居たいっての? もうっ、欲しがりさんねー」

 

したっぱ!

「オーガポンがそう言うなら仕方ねえな! 俺らともっと遊んで、そんでスター団に……」

 

オーガポン

「…………」

 

 

 

 オーガポンが無言でしたっぱ!から目を逸らします。

 

 

 

したっぱ!

「…………俺とは!?」

 

 

 

 したっぱ!が大袈裟に落ち込みますが、ゼイユがにんまりと愉快そうに笑っています。

 

 

 

ゼイユ

「うふふっ、ヘンテコな恰好したヤツの傍にはいたくないってー! ……でも、困ったわね。(主人公)は林間学校でキタカミに来てるから、あたしたちみんなずっと一緒はいられないのよね」

 

スグリ

「…………それ、なら」

 

 

 

 意を決したスグリが一歩前に踏み出します。

 

 

 

スグリ

「それならおれも、おれだって鬼さまと……オーガポンと一緒がいい!!」

 

ゼイユ

「スグ……」

 

したっぱ!

「……へへっ」

 

 

 

 スグリの宣言にゼイユは優しい笑みを浮かべ、したっぱ!も後方保護者面をかまします。

 

 

 

スグリ

「わがままさ言ってるのは自分でもわかってる。だから(主人公)! どっちがオーガポンを捕まえるか、勝負で決めさせて……ほしい!」

 

ゼイユ

「だってさ、(主人公)。スグがオーガポンのこと大好きなのは知ってるだろうし、あんただってオーガポンと一緒がいいでしょ?」

 

したっぱ!

「ともっこプラザでも言った通りだ。ポケモントレーナーなら、バトルで決着つけまスター!」

 

オーガポン

「ぽに!」

 

スグリ

「……勝負の準備さ、できたら言って」

 

 

 

 バトルの準備の最中、したっぱ!かゼイユに話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「俺もオーガポンゲットしてアカデミーで自慢したかったんだけどな~」

 

ゼイユ

「嘘でしょあんた。そんな理由で2人と並び立とうとしたっての?」

 

 

 

 スグリとのバトルは原作通りに行なわれ、背景でしたっぱ!が全力で応援しています。勝利するとイベントが進みます。

 

 敗北したスグリが崩れるようにして蹲り、そんな彼に3人と1匹が集まっていきます。

 

 

 

スグリ

「負けるってわかってた。(主人公)は強くて、おれの憧れだから……でも、あきらめきれなかった」

 

 

 

 スグリが悔しさから地面に拳を打ち付けて、それでもどうにかして立ち上がります。

 

 

 

スグリ

「……ごめんな」

 

ゼイユ

「スグ……」

 

オーガポン

「ぽに?」

 

したっぱ!

「……(主人公)。オーガポン捕まえてやんなきゃな」

 

 

 

 したっぱ!に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「俺からはもう何も言わねえ。ポケモントレーナーの本気のバトルってのはそういうことなんだ」

 

 

 

 主人公がオーガポンとの力比べの間もしたっぱ!は腕を組んで黙って応援しています。

 

 捕獲するとイベントが進みます。

 

 

 

ゼイユ

「(主人公)! やるじゃん! たいしたもんね!」

 

 

 

 したっぱ!は何も話さず、スグリが前髪を弄りながら下を向いています。

 

 

 

スグリ

「おめ……でとう」

 

 

 

→ありがとう     

大事にするよ    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

スグリ

「……うん。おれ……(主人公)みたいに……なりたかっ……た!」

 

 

 

 俯いていたスグリでしたが、感情が決壊して走り出してしまいます。

 

 

 

スグリ

「うわああああああ!」

 

 

 走り去るスグリを眺めていてゼイユでしたが、一瞬目を瞑ってから怒りを露わにします。

 

 

 

ゼイユ

「……ムカつく。あんなの気にしなくていいから。勝ったほうがって……自分で言ってんじゃん」

 

したっぱ!

「そういうもんなんだよ。じゃ、追いかけてくる」

 

ゼイユ

「ちょっとあんた……!?」

 

 

 

 したっぱ!がスグリのことを追いかけていき、ゼイユが彼に声をかけようとして主人公の方へと振り向きます。

 

 

 

ゼイユ

「あたしたちも帰ろ」

 

 

 

 主人公が頷き、画面が暗転すると翌日の朝になっています。

 

 

 

 

 

→さらばキタカミ姉弟




なんというか結末はどうしても同じになってしまう分、同じ時間を共有した憧れの子が友人と一緒に行ってしまう……とかいう脳破壊がよりヒドイ状況になってしまった。それ以外はイイ感じにまとまったから原作よりはマシ……か?


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20、さらばキタカミ姉弟

ちょーっと短いです。


←オーガポンゲット

 

 

 

 

 

●公民館

 

 

 

 主人公が部屋から出てくるとしたっぱ!が話しかけてきます。

 

 

 

したっぱ!

「おはようございまスター(主人公)! ゼイユがともっこプラザで待ってるから早く来いってよ!」

 

 

 

 伝え終えたしたっぱ!がどこかに行こうとしますが、振り返って話を続けます。

 

 

 

したっぱ!

「それとこれ! ゼイユとスグリにはもう渡したけど、『お面とり戻し隊』の友情の証……もとい! スター団キタカミ支部の証だぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!から『スターキタカミサンガ』を受け取ります。グローブから選択でき、黒、赤、紫、桃、茶色の紐が絡み合ったミサンガになっています。

 

 

 

したっぱ!

「アカデミーのやつらの分も俺が作ったんだぜ。ダチの分も全員作るとなるとさすがの俺もひんしになるからな……ゼイユが教えてくれたまんじゅうをたんまり買うことにしたぜ!」

 

 

 

 伝え終えるとしたっぱ!が去っていきます。

 

 スイリョクタウンにいるしたっぱ!とメガネ男子に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「ゼイユのとこには行ったのか? 言っとくがついていかねえからな?」

 

メガネ男子

「親にブルーベリー学園に行きたいって言おうとしたけど、そういえば僕ってバトル下手だったこと忘れてたや。別の地方に行くのも不安だし、諦めるしかないよね……」

 

 

 

 

 

●ともっこプラザ

 

 

 

 ともっこ像の跡地でゼイユが待っています。したっぱ!はついてきませんが、ゼイユのセリフが一部変わっています。

 

 

 

ゼイユ

「お面とり戻し隊はこれにてお役御免かな。スグは……帰ってからずっと部屋に引きこもってる」

 

 

 

→心配だね     

そうなんだ    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ゼイユ

「うん……あ、(主人公)が責任感じなくていいから。もともとあたしがオーガポンのこと秘密にしよって言ったからだし。スグもさ! 地味~にプライド高いの! ……その点、あのアホがスグを引き込んでくれたおかげで多少はマシになったかもだけど。というかあいつの名前知ってる? 聞く機会なくって、あいつーとか、あんたーとかしか呼んでなかったわ」

 

 

 

 パルデア十景のイベントを『ナッペの手』まで進めているか否かでセリフが分岐します。

 

 

 

○進めていない場合

 

 

 

ゼイユ

「(主人公)も知らないの? スター団のしたっぱなんて名乗るより前に本名ぐらい教えなさいっての」

 

 

 

○進めている場合

 

 

 

ゼイユ

「イレギア……? い、意外といい名前してるわね! ま、せっかく友達になったんだし覚えといてやるわ」

 

 

 

 以下は原作と同様です。

 

 全員のオリエンテーリングが終わったというブライアからの話を聞きに公民館に向かいましょう。

 

 

 

 

 

●公民館

 

 

 

 公民館に到着すると、スグリ以外の全員が待っています。

 

 管理人からキタカミもちセットを受け取ると、ブライアからブルーベリー組が大穴関連で一足先に帰ってしまうことを伝えられます。

 

 

 

ブライア

「引率の先生として同行していたが、君たちはじつに優秀なので私がいなくても大丈夫さ。それどころかオリエンテーリングの参加者のひとりとして楽しめて私も心が躍ったよ。ありがとう、プペー君」

 

 

 

 メガネ男子が画面に映されますが、目元を腕で押さえて俯いてしまっています。

 

 

 

メガネ男子

「こちら、こそ…………その、お元気で……」

 

ブライア

「君も、息災でね。すみませんが以降のお世話は管理人さんにお願いしますよ」

 

管理人

「はいはい、大丈夫ですよ」

 

ブライア

「そして……ゼイユくん。言いたいことがあるんだったかな?」

 

ゼイユ

「……はい。弟は体調悪いんであたしが代表して……」

 

したっぱ!

「ぃよっ、ゼイユの姉御!」

 

ゼイユ

「茶化すなアホ! ……こほん。えーっと、知ってのとおりあたしはこの村の出身です。あたし、あんたたちよそ者が村に来るのいやでした!」

 

アカデミーの3人+したっぱ!

「「「えぇー……」」」

 

ゼイユ

「あたしたちの大切な場所、土足で入ってこられる気がして……けど、一緒に過ごしてみると全然そんなことはなくって。実際みんなと話してみるとおもしろいし、食わず嫌い……よくないなって思いました! だから……楽しかったってこと! みんな、来てくれてありがと!」

 

したっぱ!

「俺たちこそっ、出会ってくれてありがとうなーっ!」

 

 

 

 ゼイユが口を挟んだしたっぱ!に笑いながら主人公の元に歩み出します。

 

 

 

ゼイユ

「……あいつもだけど、特に(主人公)……来てくれたのがあんたでよかった。ま! 今生の別れってわけでもないし! ブルーベリー学園は強いトレーナー多いから今度遊びにきなさいよね!」

 

したっぱ!

「ブルーベリー学園……キタカミに続いてスター団の名を轟かせてやるぜ!」

 

ゼイユ

「あんたは! ゼッタイ! 来させないから! ……あ! あたし荷物整理しないと! それじゃまたね! さよならは言ってあげないから!」

 

 

 

 ゼイユが走り去ってしまい、主人公が手を振る横でしたっぱ!がスター団ポーズで見送ります。

 

 そうして管理人が音頭を取って解散させますが、その際に彼もまたスター団ポーズを披露します。

 

 

 

管理人

「それでは皆様……お疲れ様でスター!」

 

したっぱ!

「お疲れ様でスター! スター団の旗もどっかに立ててやろうかなー!」

 

ブライア

「……この場にゼイユ君がいなくてよかった気がするよ」

 

 

 

 一方のスグリは原作と同様に主人公のような強さに憑りつかれるようになり、ゼロの秘宝前編はここで幕を閉じます。

 

 このイベントを終えるとしたっぱ!がスイリョクタウンから姿を消してしまいます。出会うにはキタカミ六選などのイベントを進めましょう。

 

 

 

 

 

→キタカミ六選




ゼイユやスグリの出番は一旦ここまで。続きなんですが……とりあえずアンケートで手持ちを募ったので登場させるべく、隠しイベントにアホを登場させつつバトルさせます。

なんですが……ただひとつ迷ってるんですけど、アカツキのイベントにアホを出すかどうかなんですよねえ。出しても面白そうだと思う反面、自分自身あのイベントはネアとビリオのように、サザレさんと二人の方が収まりが良さそうなんでそのままにしておきたい気持ちがあるんですよねえ。どうしましょ。


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21、キタカミ六選

アカツキゲットの案も一度書いてみたんですが、そこまで絡むのはやっぱ違うなと判断したのでボツにしました。


←さらばキタカミ姉弟

 

 

 

 

 

 オリエンテーリングが始まるとしたっぱ!とのイベントが解禁され、『キタカミ六選』の看板に話しかけるとしたっぱ!が現れるようになります。

 

 パルデア十景とは違ってバトルはしませんが、どこから攻略しても順にイベントが攻略され、会話後に基礎ポイントを上げるもち×50をそれぞれ受け取れます。

 

 

 

 

 

●落合川原

 

 

 

 『落合川原』の看板を眺めていると、川岸へと歩いていくタネボーを見つけます。

 

 主人公が気になって近づくと、タネボーが「!」と反応して気づいたようで、屈んで見てくる主人公に振り返って鳴いてくれます。

 

 

 

したっぱ!

「挨拶してんだそいつ」

 

 

 

 そこでしたっぱ!が背後から現れたので主人公が振り向くと、タネボーが再び川岸に歩いてきます。

 

 

 

したっぱ!

「おはようございまスター(主人公)! バトル……と、行きたいところだがせっかくの林間学校だ。はねやすめしていこうぜ」

 

 

 

 したっぱ!の言葉に主人公が頷くと、画面が浅瀬で飛び跳ねているタネボーに切り替わります。

 

 

 

したっぱ!

「水浴びして身体をキレイにしてるんだってさ。まじめできっちりしてて……まさにあく組ボスのピーニャみてえだ。あっちがビートに乗ってるってんなら、こっちは風に乗って俺の前に飛び出したんだぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!が解説しているとタネボーが彼の元に戻ってきます。

 

 

 

したっぱ!

「終わったか? そんなら戻れタネボー!」

 

 

 

 したっぱ!がタイマーボールにタネボーを戻します。

 

 

 

したっぱ!

「スグリにも見せたら『後ろを追いかけてきてめんこいな』だってよ。オリエンテーリングでもスグリが(主人公)の後ろについてってたのを見たけど、普通に横歩いてもよくねえか? その方がいろんなこと話せて楽しいのに」

 

 

 

 したっぱ!が腕を組んでいましたが、「!」と反応します。

 

 

 

したっぱ!

「……そうだ! タネボーの進化の進化にゃ特別な石が必要なんだった! 早速探しにいきまスター! ついでに(主人公)、村の人たちにたっくさんもちもらったんだが、俺ひとりじゃ到底食えそうにないからな。お前にもおすそ分けしてやるぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!がきんりょくのもち×50を渡してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「そんなら林間学校楽しんでいこうぜ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露して画面が暗転すると彼は姿を消しています。

 

 

 

 

 

●鬼角岩

 

 

 

 『鬼角岩』の看板を眺めていると、ヒコザルが鳴き声を上げながら主人公の隣を走り過ぎていきます。

 

 主人公が手を翳して遠くを見ているので、岩肌に飛び移っていっているのが分かります。

 

 

 

したっぱ!

「おーいっ……! せっかちにも程があるぜヒコザル……!」

 

 

 

 するとしたっぱ!が疲れた様子で主人公の元に現れ、お互いを確認した主人公としたっぱ!が「!」と反応して目を合わせます。

 

 

 

したっぱ!

「おっと(主人公)、おはようございまスター。この辺はモトトカゲじゃ登れないからな……ってことは、(主人公)も自力でここまで来たのか!」

 

→違います    

ポケモンに乗って

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「そうか! 確かお前のライドポケモン……コライドン/ミライドンだっけ? 泳いだり壁登ったりできてすげえのなんの。俺のモトトカゲは身体の構造的にできないからな。壁登りはそれこそヒコザルが進化したときに背中に乗っけてもらうんだぜーっ!」

 

 

 

 そこでヒコザルがしたっぱ!の元に戻ってきて、元気を有り余らせながら飛び跳ねながら鳴いてくれます。

 

したっぱ!

「休憩か? いい心がけでスター。戻れヒコザル!」

 

 

 したっぱ!がクイックボールにヒコザルを戻します。

 

 

したっぱ!

「尻尾の炎の力強さすごかったろ! ほのお組ボスのメロコみたいな情熱さが表れてるみたいで俺は気に入ってんだ。メロコと言えば、プペー……一緒に林間学校に来てたメガネの男子いたろ? そいつ実は……メロコに告白しようとしてたんだぜ。結局ひよったのかなんなのかやめたらしいんだが……『当たって砕けろ!』って俺のアドバイスがダメだったのか? 恋ってのは難しすぎまスター!」

 

 

 

 したっぱ!がそこまで語ると、彼はとこしえの森の方を手を翳して眺めます。

 

 

 

したっぱ!

「さて向こう側までもうちょっとだし、改めて頑張るか! こういう時にもちが体力回復にいいんだよな……主人公もトレーナーなら肉体作りしといた方がいいぜ!」

 

 

 

 したっぱ!がしゅんぱつのもち×50を渡してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「よっしゃ、引き続き泳いで崖登りだぜ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露して画面が暗転すると彼は姿を消しています。

 

 

 

 

●鬼が山 地獄谷

 

 

 

 『鬼が山 地獄谷』の看板を眺めていると、したっぱ!の叫び声が聞こえてきます。

 

 

 

したっぱ!

「お疲れ様でスター!!」

 

 

 

 その後に爆発音と共に画面が揺らされます。

 

 

 

 主人公がその声と音に「!」と反応してからしたっぱ!の姿を見つけると、スマホロトムの前でスター団ポーズを決めたしたっぱ!、そして彼の背後に浮かんでいるドガースへと駆け寄ります。

 

 

 

したっぱ!

「どれどれー……おおっ! 超決まってるぜドガース! さすがのガスとタフネスだ! ずぶとすぎて『じばく』したってのになんともねえぜ!」

 

 

 

 したっぱ!の褒め言葉にドガースが嬉しそうに鳴いていると、そこでしたっぱ!とドガースが主人公に気づきます。

 

 

 

したっぱ!

「(主人公)じゃねえか、おはようございまスター! いつからそこにいたんだ? 写真撮ってて気づかなかったぜ。このドガースが吹き出すガスは他のドガースよりもキラキラしててニオイもそんなしなかったからな、バックでポーズを彩るサポーターとしちゃ適任だろ?」

 

 

 

 したっぱ!がドガースの方を向きますが、当のドガースはどこか疲れた様子で鳴いています。

 

 

 

したっぱ!

「……あ、さすがに何度も撮ったから疲れたか? ゆっくり休めよ、戻れドガース」

 

 

 

 したっぱ!がリピートボールにドガースを戻します。

 

 

 

したっぱ!

「ポダン……一緒にアカデミーから林間学校に来たちびっこなんだけどさ。そいつがポケモンの映えに詳しくって、俺のモトトカゲの改造案だとか教えてくれてな……ドガースについてもそいつから助言をもらったんだ。おかげでどく組ボスのシュウメイが作るっていう服飾みたいなばっちし決まった写真が撮れたぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!がウキウキ気分で右手を掲げます。

 

 

 

したっぱ!

「うっひょー! このままキタカミの映えスポット全部をさらに彩ってやるぜーっ! 後で見せてやるからな(主人公)、それまでもちでも食って待っててくれよ!」

 

 

 

 したっぱ!がせいしんのもち×50を渡してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「そんならこの辺で! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露して画面が暗転すると彼は姿を消しています。

 

 

 

 

 

●フジの池

 

 

 

 『フジの池』の看板を眺めていると、藤の花の下で昼寝をしているアローラロコンを見つけます。

 

 主人公が気になって近づくと目を覚まして身を起こしますが、あからさまに不機嫌な様子で主人公に鳴き声を浴びせてきます。

 

 

 

したっぱ!

「あーあーやめろって!」

 

 

 

 主人公が驚いて身を引いているとしたっぱ!が駆け寄ってきます。

 

 

 

したっぱ!

「悪いな(主人公)、寝起きのロコンは機嫌が悪いんだ。そんな時は……これだ」

 

 

 

 したっぱ!がスマホロトムを取り出して音楽を流し出すと、アローラロコンが落ち着いていき、嬉しそうに鳴きながら飛び跳ねます。

 

 

 

したっぱ!

「わがままでなまいきな性格でよ。でもフェアリー組ボスのオルティガみたいに、ホントは不器用だけど仲間想いで優しいやつなんだぜ? それと、キタカミで見かけるロコンとは違うだろ? 実はダチから譲ってもらったポケモンでな……アローラ地方固有の姿、リージョンフォームってやつだ。白くてふわふわしてて可愛いだろ~?」

 

 

 

 したっぱ!の解説にアローラロコンはどこか誇らしげにしています。

 

 

 

したっぱ!

「機嫌も良くなったみたいだし、戻れロコン!」

 

 

 

 したっぱ!がゴージャスボールにアローラロコンを戻します。

 

 

 

したっぱ!

「ゼイユにこのロコンを見せたら『あんたのくせにかわいいポケモン連れてんじゃない』ってよ。まあ、あいつとも手持ちのロコンとも全然ウマが合わなくってな。不機嫌さでかみつく姿はあいつに似てるんだけどな」

 

 

 

 無言が数秒流れた後にしたっぱ!が汗マークを出しながら周囲を伺います。

 

 

 

したっぱ!

「……な、なんか寒気を感じるぜ。どっかからゼイユが聞いてるみたいだ……ロコンの昼寝も終わったし、俺はここらで行かせてもらうぜ。あともち食うか? というか食ってもらわねえと俺が困るからくれてやるぜ!」

 

 

 

 したっぱ!がちりょくのもち×50を渡してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「そんならポケモンとは仲良くな! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露して画面が暗転すると彼は姿を消しています。

 

 

 

 

 

●ありがたい輪 

 

 

 

 『ありがたい輪』の看板を眺めていると、バトルしているような声が聞こえて「!」と反応してそちらに視線を移すとしたっぱ!がイキリンコ(緑フェザー)とジャラコに指示を出しています。

 

 

 

したっぱ!

「イキリンコ、そのまま攻めを継続しててくれ! 耐えろよジャラコ……今だっ、反撃をお見舞いしてやりまスター!」

 

 

 

 ジャラコがイキリンコに『ずつき』をしたところでしたっぱ!が近づいてきた主人公に気が付きます。

 

 

 

したっぱ!

「おう(主人公)、おはようございまスター! 実は今、ジャラコの特訓の最中でな。図鑑によるとジャラコのウロコは戦って傷つけば傷つくほど強くなるらしいから、ああやってイキリンコに手伝ってもらってるんだ!」

 

 

 しかし血気盛んなジャラコに対してイキリンコはどうにも疲れた様子を見せています。

 

 

 

したっぱ!

「おおっとジャラコ。強くなりたい気持ちは俺にもよぉぉぉ~く分かる! だけど急ぎすぎは禁物だ。超回復っつったか? 疲れたらちゃんと休むことこそ成り上がりには重要なんだぜ!」

 

 

 

 したっぱ!の言ったことに納得したのか、ジャラコはその場で寝転がってしまいます。

 

 

 

したっぱ!

「その調子だジャラコ。ボールの中で安静にな。イキリンコもありがとう! 後でもち食わせてやるからな!」

 

 

 

 したっぱ!にお礼を言われてイキリンコが鳴き声で返事をすると、彼の持つモンスターボールに戻されていきます。そしてジャラコもヒールボールに戻っていきます。

 

 

 

したっぱ!

「がんばりやな性格は大歓迎だが、身体を壊したら元も子もないからな。でもかくとう組ボスのビワみたいな強さへの探求心は俺も見習うべきだよな! そういや前にビワのことをナモ……一緒に林間学校に来たカーリーヘアーの女の子がいたろ? そいつに教えたら『ぜひ仲良くしたい』ってさ! ふたりともスポーツ推薦だからきっと仲良くなるだろうな!」

 

 

 

 したっぱ!が気合を入れて両手を強く握ります。

 

 

 

したっぱ!

「村人のみんなからたんまりもらったもち食ってもっと鍛えてやるぜ! もちろん、(主人公)もたくさん食って大きくなれよ!」

 

 

 

 したっぱ!がていこうのもち×50を渡してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「もちろん食べた後はゆっくりティータイムでもして身体を整えるんだぜ? そんならお疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露して画面が暗転すると彼は姿を消しています。

 

 

 

 

 

→裏裏キタカミ鬼面衆




アカデミーの3人については本編に絡まない程度に適当に過去をでっち上げました。尺の都合から『てらす池』は次回に持ち越させていただきます。なにぶん次がバトルイベントしかないので。


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22、裏裏キタカミ鬼面衆

ぶった切ったキタカミ六選の続きからです。


←キタカミ六選

 

 

●てらす池

 

 

 

 『てらす池』の看板を眺めていると、池の表面に泡が湧きはじめます。

 

 主人公が気になって近づいていると何かが吹き出した直後に岸へとしたっぱ!が現れます。

 

 

 

したっぱ!

「ふぃーっ! 久しぶりの潜水だったぜ! ……おっ、(主人公)じゃねえか! おはようございまスター!」

 

 

 

→先輩!?      

どうしてここに!? 

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「実はこいつの進化に必要なもんを取りにな」

 

 

 

 したっぱ!が手持ちからヒンバスを繰り出します。

 

 

 

したっぱ!

「前にてらす池に来た時にポケモンが飛び出してきただろ? そいつの進化前のポケモンがこのヒンバスなんだぜーっ! ……あ、そうは見えないとか言うなよ? 進化してこいつの真なる姿を見せて驚かせてやるからな! それと1個多く取ってきたからお前にもやるよ」

 

 

 

 したっぱ!がきれいなウロコ×1を渡してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「あのポケモン……ミロカロスってんだが、俺の子どもの時からの憧れのポケモンでな。チャンピオンとして輝くなら絶対欲しいポケモンなんだ! よおしそのままでいろよ……よし! これで後は仕上げるだけだ。ありがとな、戻れヒンバス」

 

 

 

 したっぱ!がヒンバスにきれいなウロコを持たせてからダイブボールに戻します。

 

 

 

したっぱ!

「性格自体はひかえめなやつなんだが、進化するべく鬼が山の地下にある湖で力を蓄えててな……そのひたむきな姿勢に心を奪われて思わずゲットしちまったんだ。ヒンバスとおんなじように俺も最高の自分を追いかけないとな! (主人公)も宝探しよろしく、理想の自分に向かって頑張っていこうぜ! もちろん、急がず焦らずゆっくり飯でも食いながらな」

 

 

 

 したっぱ!がたいりょくのもち×50を渡してくれます。

 

 

 

したっぱ!

「うおお待ってろよネモ! チャンピオンランク! ひとまずはキタカミの頂点を目指してっ、お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露して画面が暗転すると彼は姿を消しています。

 

 

 

 

 

●キタカミセンター

 

 

 

 キタカミ六選のイベントを全て回収、そして裏キタカミ鬼面衆のムラマサを倒してからキタカミセンターの階段下で『裏裏キタカミ鬼面衆……』と黄枠のふきだしで呟いているムラマサに話しかけるとイベントが進行します。

 

 

 

ムラマサ

「っ……強き子! 唐突で済まないが某に力を貸してはくれぬか!?」

 

 

 

→はい    

いいえ   

 

 

 

○『いいえ』を選んだ場合

 

 

 

ムラマサ

「なんということだ……これではこのキタカミの地は彼の者に滅ぼされてしまう……!」

 

 

 

 もう一度話しかけて『はい』を選ぶとイベントが進行します。

 

 

 

○『はい』を選んだ場合

 

 

 

ムラマサ

「感謝する強き子よ! ……実は君の次にキタカミ鬼面衆を倒すどころか裏キタカミ鬼面衆の僕にも勝ってしまう子が現れたんだ。スタッフ一同、それが嬉しくって君のことについて話したらぜひ勝負したいと。ほら、林間学校で君と一緒に来た……スター団?を名乗ってる男の子のこと知ってるだろう? 公民館で待ってるらしいから来てほしいってさ」

 

 

 

 しかしムラマサが「!」と反応してから再び話し始めます。

 

 

 

ムラマサ

「キタカミを守護せし鬼面衆、それを束ねし真打すらも打破せし綺羅星。彼の者が降り立つは異国より集う戦士たちの憩いの場……キタカミ鬼面衆っぽく言うとこうかな? 鬼面衆を攻略する子が2人も現れるなんて想像してなかったけど、勝った方に特別なご褒美をあげるから勝負したら伝えに来てね!」

 

 

 

 

 

●公民館

 

 

 

 公民館に訪れると扉の前に後ろを向いたしたっぱ!が立っており、スター団マークの旗が屋上の手すりから垂れ幕のようにはためいています。

 

 公民館にある程度近づくと画面が暗転し、はためくスター団マークの旗が画面いっぱいに現れます。

 

 

 

???

「へっへっへっ……これでキタカミの里は俺が征服したといっても過言じゃねえ……」

 

 

 

 したっぱ!が「!」と反応して主人公へと振り向くと、いつものヘルメットとゴーグルの上にみどりのめんを被っており、着ているぎんぎら甚平もともなって非常に珍妙な装いになっています。

 

 

 

???

「時は満ちた。貴公がキタカミ鬼面衆に代わって俺を成敗しに来たという戦士だな?」

 

 

 

→はい    

先輩?   

 

 

 

○『先輩?』を選んだ場合

 

 

 

???

「なんだよせっかくノリノリでやってんだから合わせろよな」

 

 

 

 『はい』を選ぶと上記のセリフがスキップされます。

 

 

 

ガネマル

「良いだろう……相手にとって不足無し! キタカミ鬼面衆を超えし裏キタカミ鬼面衆……俺はその更に裏につどった裏裏キタカミ鬼面衆! ……の、ガネマルと名乗っておこう! いざ、尋常に……勝負でスター!」

 

 

 

 

裏裏キタカミ鬼面衆の ガネマルが 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●●

 

 

 

 スター団とは名乗っていませんが、BGMはそのままかつスター団ポーズを披露するのも同様です。

 

 繰り出すポケモンは全て個体値は『さいこう』で統一されており、基礎ポイントが252/252/6でそれぞれ振られています。

 

 

 

ダーテング♂ Lv.77

きあいのタスキ

H6/A252/S252

【かぜのり】

おいかぜ

ねこだまし

ふいうち

だいばくはつ

 

 

 

(繰り出し時)

 

ガネマル

「今日の俺はスター団リスペクト! 先発は盛り上げ担当ダーテング!」

 

 

 

ゴウカザル♀ Lv.77

こだわりハチマキ

H6/A252/S252

【もうか】

だいふんげき

インファイト

ストーンエッジ

すりかえ

 

 

 

(繰り出し時)

 

ガネマル

「激熱にコテンパンにしてやれ! 切り込み役はゴウカザル!」

 

 

 

ガラルマタドガス♂ Lv.77

たつじんのおび

H252/B252/C6

【かがくへんかガス】

ヘドロばくだん

ねっぷう

ワンダースチーム

おにび

 

 

 

(繰り出し時)

 

ガネマル

「俺もびっくりだがリージョンフォームに進化した! 謎なとこも憎いぜマタドガス!」

 

 

アローラキュウコン♂ Lv.77

ひかりのこな

C252/D6/S252

【ゆきがくれ】

ゆきげしき

オーロラベール

ふぶき

マジカルシャイン

 

 

 

(繰り出し時)

 

ガネマル

「雪化粧でバトル場を彩っていけ! 翻弄してくれよキュウコン!」

 

 

ジャラランガ♀ Lv.77

のどスプレー

H252/C252/S6

【ぼうだん】

ソウルビート

スケイルノイズ

ラスターカノン

はどうだん

 

 

 

(繰り出し時)

 

ガネマル

「お前の強さを見せつけてやろうぜ! 轟け、鳴らせ、ジャラランガ!」

 

 

 

ミロカロス♀ Lv.77 (フェアリーテラス)

かえんだま

H252/C252/B6

【ふしぎなうろこ】

ねっとう

マッドショット

ドレインキッス

じこさいせい

 

 

 

(繰り出し時)

 

ガネマル

「これが俺の奥の手だ! めちゃくちゃうっつくしいだろ俺のミロカロス!」

 

 

 

(テラスタル)

 

ガネマル

「描いた理想にテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時)

 

ガネマル

「こいつの晴れ舞台に魅せられな! 見惚れちまってもいいんだぜーっ!?」

 

 

 

(勝利)

 

ガネマル

「裏裏キタカミ鬼面衆、破られたりっ!」

 

 

 

 

 

 勝利後にガネマルはお面を外してしたっぱ!のグラに戻ります。

 

 

 

したっぱ!

「ちっくしょー! キタカミでも負けちまったぜーっ!? だが、(主人公)が林間学校でもトレーナーとして鍛えてるってわかって俺も嬉しいぜ。ムラマサさんには俺が伝えてやるから期待してご褒美もらってくるんだな! ついでに俺からもアカデミーの先輩としてプレゼントだ!」

 

 

 

 したっぱ!からまっさらもち×50を受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「(主人公)には負けちまったが、キタカミ鬼面衆に勝ったんだ。パルデアに帰ったら速攻でネモに挑んでやるんだぜーっ! うっひょー! 次こそ勝利の栄光を得るために、俺は林間学校が終わるまでに鍛え直す! だから(主人公)も覚えてろよ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると画面が暗転してから姿を消してしまいます。

 

 

 

 

●キタカミセンター

 

 

 

 ガネマルに勝利してからムラマサに話しかけましょう。

 

 

ムラマサ

「ガネマルを……ああ、スター団くんに勝ったのか! 陰で見てたスタッフに聞いたけどすごいハイレベルなバトルだったらしいね。動画に残して子どもたちの参考にするんだった……それはともかく、キタカミの平穏をとり戻した強き子にこれを授けよう!」

 

 

 ムラマサからこだわりスカーフを受け取れます。

 

 

 

 キタカミでしたっぱ!が出てくるイベントはここまでです。ゼロの秘宝後編をお待ちください。

 

 

 

 

 

→ブルーベリー学園へ




手持ちのラストはイキリンコではなくミロカロスを採用しました。これで主人公がホゲータを選んだ場合に限りネモと手持ちが3匹被ることに……キビキビしながら交換でもしたんか?

それと活動報告にてリクエストを募集していますのでアホにしてほしいことを書いていただければ幸いです。というかブルーベリー学園でやることが無さすぎるので……


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23、ブルーベリー学園へ

今更ながらここのアホのイキリンコの特性って【はりきり】なんですよねえ……ただ想定されているのは【いかく】なんで、その辺はうまいことすり合わせますかねえ?


←裏裏キタカミ鬼面衆

 

 

 

 

 

●アカデミー エントランスルーム

 

 

 

 シアノとブルーベリー学園に向かうことになったところで、シアノが「!」と反応します。

 

 

 

シアノ

「あ、そうそう。実はもうひとりゼイユちゃんから推薦された子がいるんだった確かえーと……」

 

???

「この俺のことでスターっ!」

 

 

 

 シアノが帽子を一回転させて悩んでいるとしたっぱ!の後ろ姿が現れ、主人公とシアノが「!」と彼の方を向いたところでこちらに駆け寄ってきます。

 

 

 

シアノ

「そのヘルメットにイカしたゴーグル……聞いた通りの格好だね! 昔のベルちゃんみたい! 理由とかは忘れたけど、ゼイユちゃんが君のことをしきりに伝えてきてねー。それだけ猛プッシュされるなんて、よほど腕のいいトレーナーだね! だから(主人公)ちゃんとセットで留学してもらうよー!」

 

したっぱ!

「あんまし事情は分かりませんけど、留学生になったらめちゃくちゃ目立てそうだから行きます! うっひょー! あっちにもスター団の存在を轟かせてやりまスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、シアノは彼を見て愉快そうに笑います。

 

 

 

シアノ

「面白いねキミ! 誘って大正解! オッケー! それじゃ改めてレッツゴー!」

 

 

 

 シアノの先導に従って主人公としたっぱ!がアカデミーからブルーベリー学園へと向かいます。

 

 

 

●ブルーベリー学園

 

 

 

シアノ

「ジャーン! 到着ー! ようこそ僕のブルーベリー学園へ! 今見えてるのがエントランスで、学園のほとんどは海の中に沈んでるんだー。すごいでしょー!」

 

したっぱ!

「近未来って感じがしてカッケエでスター! ……ってあれ!? おいお前っ、久しぶりーっ!」

 

 

 

 したっぱ!が主人公たちを置いて一足早くエントランスの方に駆け出していきます。

 

 

 

シアノ

「あらら、行っちゃった。僕らはゆっくり行こっか。えーとそれとねー……」

 

 

 

 その後、タロが主人公へ説明の補足をしている間、その背景の奥の方にしたっぱ!らしき人がブルーベリー学園の生徒たちと話している姿が見られます。

 

 タロとのバトルの最中もしたっぱ!は背景で生徒たちと応援しており、バトルが終わるとシアノと一緒にふたりの元に戻ってきます。

 

 

 

シアノ

「ふたりともお疲れさまー。いい勝負だったねー!」

 

したっぱ!

「お疲れ様でスターだぜ(主人公)! ホントは俺がタロちゃんさんとバトルして、勝利してスター団の存在をだいばくはつ級に示したかったんだが……ま、お前になら譲ってもいいだろう!」

 

タロ

「スター団……に、ついてはよくわかんないですけど、貴方がイレギアさんですよね。格好といい噂には聞いていますが、これからよろしくお願いします! バトルはそのうちお願いしますね?」

 

したっぱ!

「こちらこそよろしくお願いしまスター! タロちゃんさん!」

 

シアノ

「そういえば制服もあったんだった! 着て気分出しちゃいなよ!」

 

 

 

 主人公がブルーベリー学園の制服に着替えると、したっぱ!もその横でスター団っぽい改造をした制服に着替えています。

 

 

 

タロ

「とってもお似合いですよ(主人公)さん! イレギアさんの着こなし方も似合ってますね!」

 

したっぱ!

「だろ!? これからブルーベリー学園にもスター団を作ってやるんだぜーっ!」

 

タロ

「あ! 学園に変な団体を作るの、よくないと思います!」

 

したっぱ!

「へ、変な……っ!?」

 

シアノ

「ふたりともキマってるねー! ついでにこれもあげちゃう」

 

 

 

 タロのバッテンマークをもらったしたっぱ!が驚いてる裏でシアノからおしゃれカードあおを受け取り、それについての説明を受けます。

 

 

 

タロ

「それでは気分も新たにお次は学園の中に行ってみましょっか。学内の移動はあちらのゲートから行き先を選びます。ブルーベリー学園が世界に誇る、テラリウムドームをご紹介しますよ!」

 

 

 

 テラリウムドームに入る前にしたっぱ!に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「ううむ、タロちゃんさんからスター団を変な団体と評されちまったぜ……だがっ、これからスター団の素晴らしさを広めてやるんだ!」

 

 

 

 

●テラリウムドーム

 

 

 

 したっぱ!がタロと話しながら主人公の後を追ってテラリウムドームに足を踏み入れると、「!」と反応して身を引いて驚きます。

 

 

 

タロ

「こちらがブルーベリー学園が世界に誇る海中庭園……テラリウムドームです! 海の中なのに壁や天井をプロジェクターで映しているので、まるでお外みたいですよね!」

 

したっぱ!

「ほえーっ。スゲエな、風の匂いも外と変わんねえ」

 

タロ

「ポケモンが過ごしやすい環境が人工的に作られているんです」

 

シアノ

「僕が設計したよー! すんごいお金かかったよねえー」

 

したっぱ!

「ホントこれ世界どころか宇宙にだって誇れますぜ!」

 

タロ

「ドーム内には環境エリアが4つほど内包されてまして……」

 

 

 

 タロから4つのエリアについての説明が入り、したっぱ!はそれを黙って聞いています。

 

 

 

タロ

「気温や湿度などエリアごとにこまかく調整されてるので、エリアが違えば生息しているポケモンも全然変わりますよ!」

 

シアノ

「こだわったよねえー」

 

タロ

「(主人公)さんはどのエリアが気になっちゃいます?」

 

 

 

 プレイヤーが各々の返答をした後にしたっぱ!がここぞとばかりに口を挟みます。

 

 

 

したっぱ!

「それよか知りたいだけど、なんだってパルデアでもないのに野生のポケモンがテラスタルしたり結晶ができてるんだ?」

 

タロ

「やっぱり気になっちゃいますよね。ではシアノ先生、ご説明をお願いします」

 

シアノ

「あれ? 知ってるでしょ? ……ってそういう段取りなんだね。その理由は……天井をご覧あれ!」

 

 

 

 テラリウムドームの天井に液体を満たしている六角形を球体にした容器が吊るされています。

 

 

 

シアノ

「あれこそテラリウムドームを見守るテラリウムコア。あの中にはパルデアで取れたとある物質が溶け込んだ液体が入ってるんだよー。あそこからテラスタルのエネルギーを照射してるから、ドームのテラスタル要素が活発なんだ!」

 

タロ

「さすがー! すごーい! そうなんですね!」

 

したっぱ!

「知らなかった! せ、せ……セカイイチ!」

 

タロ

「それもありかもですが、センス良いー! です。そういえばテラリウムコアに入ってる物質って何なんです? 情報……公開されてませんよね?」

 

シアノ

「ふっふっふ、それはねー…………あれ? なんだっけ? ブライアちゃんにまかせっきりでちょっとわかんないや」

 

 

 

 シアノの言葉にしたっぱ!が後ろでずっこけています。

 

 

 

タロ

「……だと思いました」

 

したっぱ!

「機会があったら聞いてみることにするぜ」

 

放送

〈ディン ドン ダン ドーン♪〉

 

 

 

 ここで放送が鳴り響きます。

 

 

 

放送委員

「まもなくコーストエリアで実技授業が始まります。受講する生徒はコーストエリアまでお集まりください」

 

放送

〈ドン ダン ドン ディーン♪〉

 

タロ

「ちょうど授業が始まるみたいですね! せっかくなので(主人公)さん、イレギアさん、おふたりとも本校での初授業ご一緒しませんか?」

 

 

 

→はい      

いいえ     

 

 

 

 

○『はい』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「もちろん! お言葉に甘えさせていただくぜーっ!」

 

タロ

「うふふっ、勉強熱心でいいですね!」

 

 

 

○『いいえ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「なんだよーっ! それじゃあせっかく留学した意味ないだろ?」

 

タロ

「その通りです! 一緒に勉強していきましょうね!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

タロ

「ドーム内のマップをスマホロトムに登録します」

 

 

 

 タロのスマホロトムから主人公としたっぱ!へテラリウムドームのマップが送られてきます。

 

 

 

タロ

「テラリウムドームは自分で歩くのが楽しいし、案内するとかえって迷惑かなぁ……うん! というわけでコーストエリアの授業場所までは自分の足で行っちゃってください!」

 

 

 

 タロの言葉に主人公としたっぱ!が笑顔を見合わせます。

 

 

 

シアノ

「僕がいなくても全然大丈夫そうだね」

 

タロ

「え?」

 

シアノ

「ふたりには寮の部屋も用意してるから、あとで行ってみてよ! あー、あと図鑑アプリ開いてごらん」

 

 

 

 シアノのスマホロトムから主人公としたっぱ!へブルーベリー図鑑が送られてきます。

 

 

 

シアノ

「テラリウムドームのポケモン、じゃんじゃん捕まえちゃってよ! それじゃブルーベリー学園生活、思いっきり楽しんでってねー!」

 

 

 

 シアノが有無を言わさずテラリウムドームから去ってしまいます。

 

 

 

タロ

「本当に行っちゃった……わたしがしっかりするので、心配しなくて大丈夫ですからね」

 

したっぱ!

「なるほどな。タロちゃんさんってば大変そうだな」

 

タロ

「あはは……授業に行きましょっか! コーストエリアで待ってますね!」

 

 

 

 ドームの入り口を抜けたタロが手を振ってから走り去っていくのを見送ってから、したっぱ!が主人公に話しかけます。

 

 

 

したっぱ!

「……タロちゃんさんってさ、こっちに転校してたダチが言うにはブルベリーグ四天王で一番の人気者なんだってさ。つまりそんな人気者と仲良くなり……そしてっ、バトルで勝てば学園での人気は揺るがぬものになる! うっひょー! スター団ブルーベリー学園支部の設立でスターっ!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露するとすぐさまタロを追いかけて一足早くコーストエリアに向かっていきます。

 

 

 

 

 

→キタカミ姉弟との再会




みんなからタロちゃんって言われてし、アホならそれに『さん』付けして呼んでそう


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24、キタカミ姉弟との再会

←ブルーベリー学園へ

 

 

 

 

 

●コーストエリア 野外教室

 

 

 

 コーストエリアの野外教室に到着すると、したっぱ!が既に生徒たちに解けこんで話しています。

 

 タロに迎えられた後に教師が話し始めるとしたっぱ!もぴっしりと立って静かに聞いて、授業の開始を宣言されてからしたっぱ!の元に行くと、以下のセリフが回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「俺はもうアローラのすがたのポケモンは持ってるんだが……せっかくだ! ここからでも見える、あの超目立つやつを捕まえまスター!」

 

 

 

 主人公が教師にアローラのすがたのポケモンを見せて、タロがブルレクについて説明して去った後、ゼイユからのラブコールに応えるとしたっぱ!がこちらに歩いてきます。

 

 

 

したっぱ!

「おう(主人公)。この様子からして……みんな解散しちまったか? ダチにブルレクとやらに誘われて色々やってたら遅れちまったぜ。もちろん、課題は済ませてるぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!がモンスターボールを取り出しますが、彼は満面の笑みを浮かべています。

 

 

 

したっぱ!

「俺はナッシーを捕まえ……ようとしたんだが、あの長い首にぶっ飛ばされちまってな。何度か挑んだんだがその度にぶっ飛ばされて……だがしかしっ! その先々で面白いやつらと出会いまくってな! むしろ幸先いいぜーっ! このシビルドン登りで爆上げのテンションでお前に勝ってやりまスター!」

 

 

 

→やりましょう!  

実は……     

 

 

 

○『やりましょう!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「ありがとな(主人公)! そう言ってもらえると思ったぜ!」

 

 

 

○『実は……』を選んだ場合

 

 

したっぱ!

「ゼイユが来いって? じゃあ後で俺が怒られてやるから勝負だぜ!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「ポケモンは回復しといてやるよ」

 

 

 

 画面が暗転して数秒後に、野外教室近くの平原にてふたりで向かい合います。

 

 

 

したっぱ!

「今回はさっきコーストエリアで捕まえてきたポケモンたち! 即席などと舐めるなよ? 俺たちの絆に時間なんて関係ないからな! うっひょー! こっちでも成り上がっていきまスター!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●○○

 

 

 

 どのポケモンもモンスターボールに入っています。

 

 

 

ガラルヤドン♂ Lv.70

【くいしんぼう】

あまごい

いやしのはどう

ハイドロポンプ

サイコキネシス

 

 

アローラベトベター♀ Lv.71

【かがくのちから】

ダストシュート

かみくだく

どくどく

かなしばり

 

 

メテノ Lv.72

【リミットシールド】

からをやぶる

パワージェム

すてみタックル

だいばくはつ

 

 

ミズゴロウ♀ Lv.73 (みずテラス)

【げきりゅう】

たきのぼり

いやなおと

いわなだれ

まもる

 

 

 

 

(初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「ここじゃダブルバトルが基本らしいからな! 俺もそのルールに則らせてもらいまスター!」

 

 

 

(主人公がオーガポンを繰り出した時)

 

したっぱ!

「ようオーガポン! 言っとくがスター団への加入はいつだって大歓迎だからなーっ!」

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「学園初のテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「全力全開だぜミズゴロウ! 自慢のパワーを見せてみな!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「こっちでも出鼻をくじかれまスター!?」

 

 

 

 

 

 バトルに勝利すると、したっぱ!がこちらに駆け寄ってきます。

 

 

 

したっぱ!

「さすが(主人公)。ネモと同じく強さがとどまることを知らねえ……それでこそ挑みがいがあるってもんだぜ! 俺も追いつくべくさっそく特訓を……と、言いたいとこだがゼイユが呼んでるんだっけか? そんなら一緒に行きまスターっ!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露して画面が暗転すると彼の姿が消えています。

 

 

 

 

 

●センタースクエア

 

 

 

 主人公がしたっぱ!と一緒にセンタースクエアにいるゼイユを見つけると、同級生らしき女子生徒と会話をしていました。

 

 

 

ゼイユ

「そうなのよ。ちょっと大変でさ……」

 

???

「心中、察する。ゼイユ……来客」

 

 

 

 女子生徒の呼びかけにゼイユが「!」と反応して振り返り、主人公の姿を認めると笑顔で手を振ってくれます。

 

 

 

ゼイユ

「(主人公)! ひさしぶり! すっごく会いたかったでしょ!?*1 ふふ……正直でよろしいじゃん!」

 

したっぱ!

「おう! 俺も会いたかったぜゼイユゥ!」

 

ゼイユ

「あああんたも居たの……って、なんであんたがここに居るのよおおお!?」

 

 

 

 ゼイユがしたっぱ!の姿を見るや否や彼に飛び掛かり、オモテ祭りで仕掛けたように彼をアーボックツイストで締めあげます。

 

 

 

したっぱ!

「んぎゃーっ! なんででスター!?」

 

 

 

 ふたりを主人公が苦笑いで、女子生徒がメガネを曇らせて眺めています。

 

 

 

???

「これは一体……?」

 

ゼイユ

「気にしないでネリネ! こいつはあたしの舎弟だから!」

 

ネリネ

「…………*2。時間……ゼイユ、会えてよかった。舎弟さんもさようなら」

 

ゼイユ

「うん! またね!」

 

したっぱ!

「あの!? ネリネさん!? 助けてって、あのーっ!?」

 

 

 

 画角が切り替わり、主人公の隣でへろへろのしたっぱ!を気にせずゼイユが主人公に話しかけます。

 

 

 

ゼイユ

「あの子、同級生ですっごいおもしろい女なの。と、いうか……ふうん? ブルベリに(主人公)がいんの、なんか不思議な感じするわ……もちろん、あんたもね」

 

したっぱ!

「うごご……この痛み、むしろ懐かしさすら感じるぜ……」

 

ゼイユ

「もっかい受けたいワケ?*3 よく見たらあんたら……全然変わってないわね! あたしは最近ブライア先生といろんな地方、調査してまわってるから? 前戦ったときよりポケモン強くなってるのよねー。うふふ、当然見たいでしょ?」

 

したっぱ!

「見たい見たい! そして俺も強くなってるからな……キタカミのリベンジをしてやりまスター!」

 

ゼイユ

「あーはいはい。あんたは後でボコボコにしてやるから。(主人公)、ちょうどバトルコートもあるし位置につきなさいよ」

 

 

 

 主人公がバツが悪そうにしたっぱ!の方を向くと彼はサムズアップで返事をしてくれたので、改めてゼイユへと笑みを浮かべて頷きます。

 

 その後、ゼイユとのダブルバトルが始まりますが、背景でしたっぱ!がふたりを応援しています。

 

 

 

ゼイユ

「あーあ! テラスタルで強くなったのに! もっと強くなってるんだもん! その容赦のなさ! 全然変わってないわね」

 

 

 

 主人公が勝利するとゼイユと一緒にしたっぱ!が駆け寄ってきます。

 

 

 

したっぱ!

「ふたりともお疲れ様でスター! そしてさっすが(主人公)、俺のライバルに相応しいトレーナーだぜ!」

 

ゼイユ

「あんたが(主人公)のライバルって嘘でも笑えないわよ……ねえ、ところでさ。スグとは……会った?」

 

 

 

→会ってない!   

どうかした?   

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「俺も会ってないな。スグリがどうしたんだ?」

 

ゼイユ

「あ、いや……会ってないならいいんだけど」

 

???

「どうしてこんなこともできないんだよ!!」

 

 

 

 するとサバンナエリアの門がある方角から聞き覚えのある声が叫ばれます。

 

 

 

ゼイユ

「この声……」

 

したっぱ!

「聞いたことあるような?」

 

 

 

 バトルコートから見下ろすと、変わり果てた姿のスグリが男子生徒に向けてガンを飛ばしています。

 

 

 

ゼイユ

「やっぱりスグリだ。すっごいニアミス……」

 

 

 

→スグリ!?    

感じ変わった!? 

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ゼイユ

「シーッ! 静かに!」

 

したっぱ!

「おーい!! スグ……」

 

ゼイユ

「静かにって言ってんでしょおおおおお!?」

 

 

 

 したっぱ!とゼイユが画面からフェードアウトして主人公がスグリのことを隠れて見ていると、男子生徒の方がこちらを見てきます。

 

 

 

男子生徒

「な、なんだ……?」

 

スグリ

「なに目ぇ逸らしてんだよ。それが話聞く態度か? 試合用のポケモン5匹は育ててって俺言ったよな?」

 

 

 

 以下、スグリが去り、男子生徒が追いかけるまで同様です。

 

 

 

ゼイユ

「……驚いたでしょ」

 

 

 

 主人公がゼイユ、そして再びクタクタになったしたっぱ!がバトルコートの方へと歩いていきます。

 

 

 

したっぱ!

「いててて……何も無理くり黙らせなくたっていいじゃねえかよ。顔痛え……」

 

ゼイユ

「あんたこそよく声かけようと思えたわね。スグ、見た目も性格もちょっと……変わっちゃって。林間学校終わってからかな。あれからなんか……」

 

???

「なーんか、胸クソ悪いもん見ちまったなあ」

 

 

 

 スグリについて話していると、3人へと男子生徒が声をかけながら近づいてきます。

 

 

 

ゼイユ

「ゲッ……」

 

???

「おやおや? ゼイユに……見たことねえ顔……もしかすっとおふたりが? 例のワケありさん」

 

ゼイユ

「チッ! めんどいのに見つかっちゃった」

 

???

「おいおい、紹介くらいしてくれよ」

 

したっぱ!

「俺はダチから聞いてるぜ。確かカキツバタさん……だっけ? ブルベリーグ四天王の」

 

ゼイユ

「そ。そのカキツバタ。いけすかない男。いちおうブルーベリー学園で一番強い……強かったやつ」

 

カキツバタ

「ご紹介どうもー。それとそちらのド派手なあんちゃんも知っててくれて嬉しいねぃ」

 

 

 

 カキツバタが軽く手を振って紹介に応え、今度はゼイユがこちらのことを紹介します。

 

 

 

ゼイユ

「こっちは(主人公)、そんであたしの舎弟*4。交換留学で来てて、あたしの友達の……」

 

カキツバタ

「スグリとも! 友達なんだろぃ? アンタたち」

 

 

 

→そうです     

友達です     

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「おうともよ。林間学校で仲良くなったんだぜ」

 

カキツバタ

「ほーん。やっぱそうかい! そいつはいいなあ! そいじゃ(主人公)に舎弟君! オイラたちの部室に案内するぜぃ」

 

ゼイユ

「は? なんでよ!」

 

したっぱ!

「俺、イレギアな」

 

カキツバタ

「そうかいイレギア君。アンタらまだ部活入ってないだろ? どっか部活入っときゃ学園も過ごしやすくなるし、おもしろそうなのは大歓迎! ……ツバつけないとねぃ。ついてきな」

 

ゼイユ

「ねえちょっと!」

 

 

 

 ゼイユの言葉に返事をせず、カキツバタは一方的に言って去っていきます。

 

 

 

ゼイユ

「ひとふりまわすやつムカつく~!」

 

したっぱ!

「ゼイユがそれ言うのはホネブーメラン2回連続急所だぜ」

 

ゼイユ

「あっそう……(主人公)、あたしもこいつぶんまわしたら行くからちょっと待ってて」

 

 

 

 主人公は止めずに頷いて、したっぱ!が鬼気迫るゼイユにたじろいでいるところでブルーベリー学園の校章で画面が隠されます。

 

 

 

 

 

→ブルベリーグエントリー

*1
主人公が頷く

*2
メガネを正してから無言で懐中時計を確認する

*3
したっぱ!が身を引いてたじろぐ

*4
したっぱ!が不満げに腕を組むとカキツバタが愉快そうに笑う




『しばらくお待ちください』テロップが流れる代わりに場面転換。

アホとの戦闘はスグリ戦の前だけにした方が戦闘!スター団のインパクトは強そうな反面、それまで主人公とバトルしないのはアホっぽくないので一旦新パーティで挑ませていただきます。

今話でブルベリーグに参戦するとこまでやりたかったんですけど、書いてみると割と長くなっちゃうもんなんですねえ……それとゼイユに負けた場合もイベントって進みますっけ?


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25、ブルベリーグエントリー

←キタカミ姉弟との再会

 

 

 

 

 

●リーグ部

 

 

 

カキツバタ

「てくてくてくっと……!」

 

 

 

 カキツバタが先導して、その後ろに主人公、ゼイユ、したっぱ!が着いて行ってリーグ部に到着します。

 

 

 

ゼイユ

「ねえ、大丈夫なの? その……あの子は……」

 

カキツバタ

「スグリだろ? あいつはしばらく部室にゃ来ねえよ」

 

ゼイユ

「そう……」

 

したっぱ!

「心配か?」

 

ゼイユ

「ふん、あんたにされるほどじゃないわよ」

 

したっぱ!

「そっか!」

 

 ゼイユとしたっぱ!が部室の奥に入っていくと、カキツバタが主人公リーグ部について説明していきます。

 

カキツバタ

「イチャイチャは終わったかぃ?*1 あらためまして、ここがリーグ部の部室だ! リーグ部を代表して歓迎するぜぃ」

 

 

 

→リーグ部って?   

どういう部活?   

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

カキツバタ

「へへん、よくぞ聞いてくれました! ブルーベリー学園にゃブルベリーグっていう生徒ん中でのポケモンの強さランク制度があんのよ。それで上位狙うため、部員同士でポケモンをきたえて勝ったり負けたりどんちゃんさわぎしようぜーって部活がリーグ部でござい!」

 

ゼイユ

「だいたいあってるけど言い方……」

 

したっぱ!

「なるほどな……大体分かったぜリーグ部。つまりここで更なる特訓を積めば因縁のネモに勝てる! もちろん主人公にゼイユにもな! うっひょー! そうとくりゃ早速入部届出させてもらうぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露してから急ぎ足でリーグ部から出ていきます。

 

 

 

ゼイユ

「ちょっと待ちなさい! ……ったく! いっつも見切り発車すぎなのよ!」

 

カキツバタ

「良いねぃ。あーゆーのとはノリが合いそうでオイラは大歓迎だ!」

 

 

 

 主人公が部活の支援を行なってカキツバタからゆれないおまもりとリーグ部のふくを貰い、彼から食堂デートに誘われてからゼイユと自室でスグリについて教わってから食堂に向かいます。

 

 

 

 

 

●学生食堂

 

 

 

カキツバタ

「よう(主人公)、立ち話もなんだし座りなよ」

 

 

 

 席に座っているカキツバタに話しかけるとイベントが始まります。

 

 

 

カキツバタ

「うちの食堂、ツバっさん的にオススメは学園定食! 全体的にやわらけえからあんま噛まなくてもいいのよ」

 

 

 

→いいですね!    

ちゃんと噛もう   

 

 

 

○『いいですね!』を選んだ場合

 

 

 

カキツバタ

「へっへっへ、そうだろぃ? ま、イレギア君にゃちゃんと噛めって言われたけどな」

 

 

 

○『ちゃんと噛もう』を選んだ場合

 

 

 

カキツバタ

「へっへっへ、アンタおふくろみたいなこと言うねぃ。イレギア君にもおんなじこと言われたな」

 

 

 

 以下は同様のセリフになります。

 

 

 

カキツバタ

「さっき一緒に飯食ってたんだが、やっぱり話が合って面白かったぜ。お礼にピザ奢ったら1人で全部食って、いま外の空気吸ってくるってんで出払ってんのよ。……それとオイラが3留してるって言ったら『いや留年はダメでしょ』って真顔で返されてツバっさん泣きかけたんだ。手厳しいだろぃ?」

 

 

 

 その後、カキツバタにもう一度ブルべリーグに誘われていたところにスグリと他の四天王が食堂に訪れます。スグリがカキツバタを突っぱねるも、そこで彼が主人公が隣に居ることを知って驚きます。

 

 

 

スグリ

「えっ……(主人公)!?」

 

 

 

ひさしぶり!   

先輩もいるよ!   

 

 

 

○『先輩もいるよ!』を選んだ場合

 

 

 

スグリ

「え、あ、あの人も来てる……!?」

 

 

 

 以下は原作と同様のセリフになり、主人公がブルベリーグに参加することについて四天王たちが各々の反応を見せますが、カキツバタがさらに話を続けます。

 

 

 

カキツバタ

「それにうちは生徒の自主性が重んじられてる。現に(主人公)の参加を止めたって、もう別のヤツが参加しちまうと思うから前例だのなんだのは理由にならないと思うけどねぃ」

 

アカマツ

「別のヤツって?」

 

ネリネ

「……ゼイユの舎弟さん?」

 

タロ

「舎弟って……でもイレギアさんなら確かに性格とか雰囲気的にそうなりそう……だけどそういうのよくないと思います!」

 

カキツバタ

「このままじゃらちが明かない……決を採ろうぜ」

 

 

 

 四天王とスグリの多数決から主人公のブルベリーグのエントリーが決まり、解散後はカキツバタに連れられて受付に向かいます。

 

 

 

 

●エントランスロビー

 

 

 

 スグリの助け舟もあって主人公がブルベリーグにエントリーできるようになりますが、カキツバタと別れた後に受付が話を続けます。

 

 

 

受付

「実はもうひとりの留学生の方もブルベリーグに挑戦することになっておりま」

 

したっぱ!

「お〜〜〜〜いっ!!!」

 

 

 

 したっぱ!の叫び声に主人公が「!」と反応してこちらに駆け寄ってくる彼に振り向きます。

 

 

 

したっぱ!

「おう(主人公)! カキツバタから聞いたぜ。お前もブルベリーグに参戦したんだってな! 俺もシアノ先生に頼んで参加させてもらったんだぜーっ!」

 

受付

「ええと、ご存知の通りですね」

 

したっぱ!

「やっぱりお前もエントリーしたか。ライバルとしてこの上ないぜ! お互いにゼロからの…………なにっ!? そっちは高ランクからのスタートだって!? いや……むしろ燃えてきたぜ。なんせ成り上がるのは俺の特権だからなっ! うっひょー! 待ってろスグリィ、すぐにチャンピオンの座から引きずり降ろしてやりまスター!」

 

 

 

 したっぱ!がそれだけ言い残すと、スター団ポーズを披露してどこかに走っていきます。

 

 

 

 

 

→休憩所にて

*1
ゼイユがドン引き、したっぱ!がサムズアップ




短いですが一旦ここまで、次回からアホとのサブストーリーが入ります

というかこんなに絡んでくるなら専用BGMがありそうな反面、一応はモブだからそこまでは要らんだろという気持ちがある


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26、サバンナエリア・コーストエリア

場所ごとに2つずつ回収していきます。


←ブルベリーグエントリー

 

 

 

 

 

●サバンナエリアのどこか

 

 

 

 サバンナエリアのどこかにいる生徒に話しかけるとセリフが回収できます。

 

 

 

生徒

「星型のゴーグルにヘルメットのあのマーク……もしかしてパルデアではああいうブランドのが流行ってるの?」

 

 

 

 

 

●サバンナエリア 第二休憩所

 

 

 

 休憩所近くのブロックにアローラベトベトンがいます。話しかけると画角が変わってイベントが始まります。

 

 

 

 アローラベトベトンが何かを食べている様子。気になって近づくとしたっぱ!が横から姿を現します。

 

 

 

したっぱ!

「ウマイかーベトベトン。おっと(主人公)、おはようございまスター!」

 

 

 

→おはようございます 

何食べてるんですか?

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「実は今、アカマツから料理をごちそうしてもらってな! ただ俺には激辛すぎて食えなくて……そこでこのベトベトンが生粋の辛党でな! 代わりに食ってもらってるアンドおやつの時間だったんだ。なにせブルレクでもサンドイッチを作るってのもあるからな」

 

 

 

 ここでアローラベトベトンがしたっぱ!の方を向いて笑顔で鳴いてくれます。

 

 

 

したっぱ!

「おおっ、食い終わったか。そんなら……腹ごなしにバトルだぜーっ!」

 

 

 

 主人公が「!」と反応しますがしたっぱ!はむしろ前屈みになって意欲的に話を続けます。

 

 

 

したっぱ!

「ふいうち食らった顔してるな! 油断は禁物だぜ……何故ならっ! トレーナー同士、目と目が合ったらポケモンバトル! いやでも俺と勝負でスター!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●○○

 

 

 

ガラルマタドガス♂ Lv.77

くろいヘドロ

【かがくへんかガス】

クリアスモッグ

おにび

いたみわけ

まもる

 

 

アローラベトベトン♀ Lv.77

とつげきチョッキ

【かがくのちから】

はたきおとす

ダストシュート

ドレインパンチ

れいとうパンチ

 

 

ギャラドス♂ Lv.77

とくせいガード

【いかく】

やけっぱち

たきのぼり

ワイドブレイカー

にらみつける

 

 

ルカリオ♂ Lv.77 (ノーマルテラス)

ちからのハチマキ

【せいしんりょく】

いやしのはどう

しねんのずつき

かみくだく

しんそく

 

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「速度上げてこうぜテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「走れルカリオ! お前の本気には誰もついてこれねえぜ!!」

 

 

 

(勝利)

「現実はもっと(から)いぜ……」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「流石に強いな(主人公)。それでこそ倒しがいがあるってもんだぜ! そんならご褒美の……ここならおこづかいよかこっちの方がいっか!」

 

 

 

 したっぱ!から500BP受け取ります。

 

 

 

したっぱ!

「アカマツは趣味で料理を振る舞ってくれたりするし、学生食堂でもご褒美飯は食えるけど、やっぱり自炊しないとだな。辛かったり栄養が偏ったりするからその辺は自分でなんとかしなくっちゃだし。さーて、腹ごなしも終わったところで引き続きブルレクしてくるぜ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、画面が暗転して姿を消してしまいます。

 

 

 

 

 

●コーストエリアのどこか

 

 

 

 コーストエリアのどこかにいる生徒に話しかけるとセリフが回収できます。

 

 

 

生徒

「スター団のカッコしてるヤツが来た時はひやひやしたな……ボクたちを追ってきたものかと。イレギアで良かったよ。アホだから色々誤魔化しが効くからね」

 

 

 

 

 

●コーストエリア 休憩所

 

 

 

 休憩所近くのブロックにラグラージがいます。話しかけると画角が変わってイベントが始まります。

 

 

 

 ラグラージが主人公に気づいて振り返って元気よく挨拶してきます。

 

 

 

→おはようございまスター!

先輩はどこに?     

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

ラグラージ

「ラグラ……」

 

 

 

 するとラグラージが向いた方向から叫び声が上がります。

 

 

 

女子生徒

「なんてカッコしてんのよ!」

 

 

 

 主人公が「!」と反応してそちらを向くと、したっぱ!とブルーベリー学園の制服を着た女子生徒が言い争っている様子が映し出されます。

 

 

 

したっぱ!

「なにって……スター団の格好だが?」

 

女子生徒

「スター団って……アタシたちを退学に追い込んだ奴らじゃない。そんなのの格好しないでよ、気味悪いわね……」

 

 

 

 そこで女子生徒が主人公に気が付きます。

 

 

 

女子生徒

「あ? 何見てんのよあんた。見世物じゃないわよ」

 

したっぱ!

「おう(主人公)。おはようございまスター!」

 

 

 

 主人公が頷くと、女子生徒がたじろぎます。

 

 

 

女子生徒

「あ、あら……? あんたスター団の格好してないわよね? なのにスター団とかと仲いいワケ?」

 

 

 

→マジボスでスター 

後輩でスター   

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

女子生徒

「う、ウソでしょ……!? スター団がすんなりアカデミーに……分が悪いわね。そ、そそ、それじゃあねイレギア……! アタシはこのへんでお暇させていただくわっ!」

 

したっぱ!

「そうか! じゃあな、お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、女子生徒が引き気味に走り去っていきます。

 

 

 

したっぱ!

「1年前、アカデミーに通ってたダチだ。ブルーベリー学園に来てたんだな。俺もここで出会ってびっくりしたぜ! あいつだけじゃねえぜ? いろんなダチにまた会えて嬉しかった!」

 

 

 

 したっぱ!が「…」と思案しながら腕を組みます。

 

 

 

したっぱ!

「……言いたいことはあるだろうが、言わずに胸の内に秘めててくれよ? それをしないための『スター大作戦』だろうからな」

 

 

 

 主人公が頷くと、したっぱ!が笑顔で腕を解きます。

 

 

 

したっぱ!

「恩に着るぜ(主人公)! さーて……これからはアカデミーの生徒じゃなくトレーナーの時間だぜ! もう目と目が合ってるな? それならっ、いやでも俺と勝負でスター!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●○○

 

 

 

ボーマンダ♂ Lv.77

ラムのみ

【じしんかじょう】

ドラゴンクロー

ダブルウィング

ほのおのキバ

りゅうのまい

 

 

ダーテング♂ Lv.77

おんみつマント

【かぜのり】

おいかぜ

ねこだまし

はやてがえし

ふいうち

 

 

ラグラージ♀ Lv.77

リンドのみ

【げきりゅう】

じしん

じならし

だくりゅう

いわなだれ

 

 

シビルドン♀ Lv.77 (はがねテラス)

たつじんのおび

【ふゆう】

ほうでん

でんじは

かえんほうしゃ

ラスターカノン

 

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「天にまで登っていこうぜテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「はがねの硬さで突き進め! 風は俺らに吹いてるぜーっ!!」

 

 

 

(勝利)

「向かい風だったーっ!?」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「話は変わるがタロちゃんさんってリーグ部の運営を任されてるらしいんだ。カキツバタがチャンピオンだった頃からスグリの今も、細かいところを放り投げさせられててさ。でもタロちゃんさんはそれでも仕事をこなしちまってる……頼られ慣れてるってのが一番危ういんだ。心配だからお前も、時々でいいからタロちゃんさんを気遣ってやれよ? 俺との約束でスター!」

 

 

 

 したっぱ!から500BP受け取ります。

 

 

 

したっぱ!

「そいつは今後も強くなるお前への餞別だぜ! 俺ももっと強くなってこの学園でも人気者になってやる! そうすりゃスター団の存在をここでも知らしめてやれっからな! 応援してくれよー? お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、画面が暗転して姿を消してしまいます。

 

 

 

 

 

→キャニオンエリア・ポーラエリア



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27、キャニオンエリア・ポーラエリア

← サバンナエリア・コーストエリア

 

 

 

 

 

●キャニオンエリアのどこか

 

 

 

 キャニオンエリアのどこかにいる生徒に話しかけるとセリフが回収できます。

 

 

 

生徒

「ここの空飛ぶタクシーはエアームドだけどパルデアじゃイキリンコなんだね。スター団さんが誇らしげに言ってたけど、あの人のイキリンコもタクシーのポケモンなのかな?」

 

 

 

 

 

●キャニオンエリア 休憩所

 

 

 

 休憩所近くのブロックにガラルヤドキングがいます。話しかけると画角が変わってイベントが始まります。

 

 

 

したっぱ!

「へーっ、そんなことが!」

 

 

 

 主人公がガラルヤドキングを不思議に思っていると、したっぱ!の声に「!」と反応してそちらに振り向きます。そこではしたっぱ!と空飛ぶタクシーの運転手が話で盛り上がっている様子。

 

 

 

運転手

「だろう? 長いこと生きてきたけど、そんな体験初めてで……生徒さんには悪いけどむしろ勉強になったからありがとうって言いたいくらいだよ」

 

したっぱ!

「さっすがタクシーのおっちゃん! 懐が深いぜ……実は俺の親父も空飛ぶタクシーの運転手で、しかもパルデアの大穴……超が付くほどの危険な場所に子どもを助けに行ったらしいんスよ! 俺もいつか、世界中どこにでも駆け付けてやれるようなドライバーになりたいんです!」

 

運転手

「そいつは良い夢だな! 応援してるぞ留学生! ……っとと、お客さんかな?」

 

 

 

 そこで運転手が主人公に気づき、したっぱ!も「!」と反応してこちらに向き直ります。

 

 

 

したっぱ!

「おおっ、おはようございまスター(主人公)! タクシーに用か? だったら邪魔したな!」

 

 

 

→先輩にです   

違います    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「俺にか? ならおっちゃん、話聞いてくれてありがとうございました!」

 

運転手

「良いんだよ! こちらこそ話し相手になってくれてありがとうな!」

 

 

 

 運転手が笑いながら去っていくのを、したっぱ!が手を振って見送ります。

 

 

 

したっぱ!

「休憩中の運転手さんにちょっと話を聞いててな。俺、将来は空飛ぶタクシーの運転手になるんだ!」

 

 

 

→いいと思います!  

応援してます    

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「お前にそう言ってもらえるとやる気がドンドン湧いてくるぜーっ! タクシーが呼ばれるところは街はもちろんとして、救助要請も多いんだ。故に強いトレーナーであることは必須……うっひょー! (主人公)やネモに勝てば夢への近道でスター!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●○○

 

 

 

ゴウカザル♀ Lv.77 (ほのおテラス)

こだわりスカーフ

【もうか】

すりかえ

なげつける

はたきおとす

オーバーヒート

 

 

イキリンコ♂ Lv.77

きあいのタスキ

【いかく】

すてゼリフ

ちょうはつ

ブレイブバード

でんこうせっか

 

 

ガラルヤドキング♂ Lv.77

オボンのみ

【きみょうなくすり】

アシッドボム

さむいギャグ

ぶきみなじゅもん

ヘドロばくだん

 

 

ミロカロス♀ Lv.77

かえんだま

【ふしぎなうろこ】

だくりゅう

ふぶき

じこさいせい

ドレインキッス

 

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「燃える思いでテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「盛大に驚かせてやる! 全力全開でぶっ放しまスター!!」

 

 

 

(勝利)

「ガス欠でスター……」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「空飛ぶタクシーの勉強を活かしてネリネさんとこの四天王チャレンジをクリアするべくボーマンダに乗ったはいいけど、コイルの電撃食らったりしてヒドイ目に遭ったぜ……だが最後は上手くいったからなっ! 嬉しさついでに分けてやるぜーっ!」

 

 

 

 したっぱ!から500BP受け取ります。

 

 

 

したっぱ!

「それとイキリンコには使ったけど、ボーマンダの特性は今のままがいいと思ったんでな。余ったからくれてやるぜ! お前なら有効活用してくれるだろうからな!」

 

 

 

 したっぱ!からとくせいカプセルを受け取ります。

 

 

 

したっぱ!

「アカデミーの『宝探し』はもう見つかったと思ったんだがな……やはり頂点を目指す俺、欲しい宝がザクザク生まれてくる! うっひょー! その全部を俺の手中に収めてやるからな! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、画面が暗転して姿を消してしまいます。

 

 

 

 

 

●ポーラエリアのどこか

 

 

 

 ポーラエリアのどこかにいる生徒に話しかけるとセリフが回収できます。

 

 

 

生徒

「スター団……もうちょっとだけアカデミーに居れば、転校なんてせずに楽しいスクールライフを過ごせたのかな」

 

 

 

 

 

●ポーラエリア 休憩所

 

 

 

 休憩所近くのブロックにメテノがいます。話しかけると画角が変わってイベントが始まります。

 

 

 

メテノ

「テノ」

 

 

 

 メテノがふわふわ浮かんでどこかに行ってしまうので、追いかけるとしたっぱ!がアローラキュウコンを繰り出して嬉しそうな男子生徒と和気あいあいと話し合っています。

 

 

 

男子生徒

「わあ……! この子って僕が渡したロコンだよね!? こんなに立派になって……!」

 

したっぱ!

「こっちこそ立派に育てさせてくれてありがとうな! おかげで俺の素晴らしさをこうして披露できたんだからなぁ?」

 

男子生徒

「ふふっ、君は変わらないなあ……でもそっか。スター団、なんてものがアカデミーにできたんだ」

 

したっぱ!

「おうともよ! 泣く子も笑うスター団! ……こっちでの学校生活はどうだ?」

 

男子生徒

「楽しくやれてるよ。バトル学ばっかだなって思うけど、いじめがないだけでどれだけ救いになってるか……あっ、もうひとりの留学生さん?」

 

 

 

 メテノが連れてきた主人公に男子生徒、そしてしたっぱ!が気が付きます。

 

 

 

したっぱ!

「おーっす(主人公)。ここで会ったが……っとと、メテノが連れてきてくれたんだな! ありがとう! 散歩も終わったみたいだし戻っとけ!」

 

 

 

 したっぱ!がメテノを戻す横で男子生徒が主人公に話しかけます。

 

 

 

男子生徒

「ねねっ、君も……スター団なの?」

 

 

 

→マジボスでスター 

後輩でスター   

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

男子生徒

「……良かった、イレギアが孤立してないみたいで」

 

したっぱ!

「おうおうなんの話だ?」

 

男子生徒

「ううん、なんでも。それじゃあ2人とも引き続き頑張ってね!」

 

したっぱ!

「お前もあんま気ィ使い過ぎんなよーっ!」

 

 

 

 笑顔で男子生徒が走り去っていくのを、したっぱ!が手を振って、アローラキュウコンが嬉しそうな鳴き声で見送ります。

 

 

 

したっぱ!

「1年前、アカデミーに通ってたダチだ。ブルーベリー学園に来てたんだな。俺もここで出会ってびっくりしたぜ! あいつだけじゃねえぜ? いろんなダチにまた会えて嬉しかった!」

 

 

 

 したっぱ!が「…」と思案しながら腕を組みます。

 

 

 

したっぱ!

「……言いたいことはあるだろうが、言わずに胸の内に秘めててくれよ? それをしないための『スター大作戦』だろうからな」

 

 

 

 主人公が頷くと、したっぱ!が笑顔で腕を解きます。

 

 

 

したっぱ!

「恩に着るぜ(主人公)! さーて……これからはアカデミーの生徒じゃなくトレーナーの時間だぜ! もう目と目が合ってるな? それならっ、いやでも俺と勝負でスター!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●○○

 

 

 

メテノ Lv.77

しろいハーブ

【リミットシールド】

からをやぶる

いわなだれ

アクロバット

だいちのちから

 

 

アローラキュウコン♂ Lv.77

ひかりのねんど

【ゆきふらし】

オーロラベール

アンコール

ふぶき

マジカルシャイン

 

 

マルマイン Lv.77

ひかりのこな

【ぼうおん】

エレキネット

てだすけ

きんぞくおん

ひかりのかべ

 

 

ジャラランガ♀ Lv.77 (かくとうテラス)

のどスプレー

【ぼうだん】

ばくおんぱ

ラスターカノン

はどうだん

ソウルビート

 

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「ド派手に決めるぜテラスタル! 勝てば栄光は俺たちのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時セリフ)

 

したっぱ!

「鳴り響け轟音! 世界中に存在をアピールだぜ!!」

 

 

 

(勝利)

「印象には残ったろ?」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「リーグ部もとい学園でもカキツバタの名前は良くも……というか大体悪い方で広まってるな。実家のデカさにかまけてサボってるとかなんとか。話しててまあサボってるなってのは分かるが、なんか違う……理由があってやる気になれないとかじゃないかって思ってるぜ。まあ頭の隅には置いといてくれよ? 俺からの忠告ついでにご褒美だぜ!」

 

 

 

 したっぱ!から500BP受け取ります。

 

 

 

したっぱ!

「それと、アローラキュウコンがねだってくるんであげたけど、余ったヤツがあるんでくれてやるぜ! 別に変えたい特性があるヤツはもういないからなっ!」

 

 

 

 したっぱ!からとくせいパッチを受け取ります。

 

 

 

したっぱ!

「それでもっと強くなってくれよ? そうすりゃあお前を倒した俺の評価はシビルドン登りだからな! うっひょー! この勢いのままブルーベリー学園にもスター団の名を轟かせてやるんだぜーっ! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、画面が暗転して姿を消してしまいます。

 

 

 

 

 

→センタースクエア+α




番外編後辺りになるかもですが、リーグ部で会話イベントが起きそうな先生とかジムリーダーっていますかねえ? 活動報告のリクエストにてお待ちしています!


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28、センタースクエア+α

さすがにメロエッタがワザップすぎるのでアホに補足してもらいます。


←キャニオンエリア・ポーラエリア

 

 

 

 

 

●センタースクエア

 

 

 

 リーグ部の格好をした男子生徒のひとりがしたっぱ!について言及しています。

 

 

 

男子生徒

「スグリ君に出ていけって言われたときはひやひやしたけど、なんとかリーグ部に居させてもらえることができたよ。そうじゃないと、君と同じようにアカデミーから来た留学生の人にスター団とやらに勧誘されっぱなしになっただろうからね」

 

 

 

 シンクロミが主人公にシンクロマシンについて説明していると、陰からルカリオが元気な鳴き声と一緒に現れます。

 

 

 

シンクロミ

「あら、あのポケモンは確かスター団さんの?」

 

ルカリオ

「クワワヌワン!」

 

 

 

 ルカリオが勢いよくスター団ポーズを披露します。

 

 

 

シンクロミ

「実はあの人にも手伝ってもらってまして。すぐに使いこなしてくれてわたしとしてもありがたかったです。それではあなたも、レッツシンクロ!」

 

 

 

 

 

●サバンナエリア 第一休憩所

 

 

 

 したっぱ!が立っているので話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「うーむ……風と歌声か……」

 

 

 

 したっぱ!が近づいてきた主人公に気づき、「!」と反応してこちらに向き合ってくれます。

 

 

 

したっぱ!

「よう(主人公)! 早速だがバトルでスター!」

 

 

 

→はい     

いいえ    

 

 

 

○『いいえ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「ポケモン回復してなかったか? それならここで休ませておくんだな!」

 

 

 

 もう一度話しかけて『はい』を選ぶとイベントが進行します。

 

 

 

○『はい』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「うっひょー! 俺は仲間を増やして更に強くなったんだ! 下剋上させてもらいまスター!」

 

 

 

 

スター団の したっぱ!が 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

したっぱ!●●●●●●

 

 

 

ドリュウズ♀ Lv.77

さらさらいわ

【すなかき】

すなあらし

アイアンヘッド

ドリルライナー

つのドリル

 

 

ラグラージ♀ Lv.77

リンドのみ

【げきりゅう】

ステルスロック

かわらわり

クイックターン

はたきおとす

 

 

メテノ Lv.77

パワフルハーブ

【リミットシールド】

からをやぶる

メテオビーム

だいちのちから

マジカルシャイン

 

 

アローラベトベトン♀ Lv.77

とつげきチョッキ

【かがくのちから】

バークアウト

どくどくのキバ

ドレインパンチ

れいとうパンチ

 

 

ガラルヤドキング♂ Lv.77

オボンのみ

【きみょうなくすり】

アシッドボム

さむいギャグ

ぶきみなじゅもん

ハイドロポンプ

 

 

ゴリランダー♂ Lv.77 (くさテラス)

グラスシード

【グラスメイカー】

ねこだまし

グラススライダー

アクロバット

10まんばりき

 

 

 

 

(テラスタル)

 

したっぱ!

「カチドキだぜテラスタル! 勝てば栄光は俺らのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時)

 

したっぱ!

「イッキカセイでシップウドトウ! ノリに乗って攻めて行こうぜ!!」

 

 

 

(勝利)

 

したっぱ!

「ドトウって何も見ずに書けるか?」

 

 

 

 

 

したっぱ!

「ブルベリ組勢ぞろいで気を引き締めたんだが……やっぱり強いぜ(主人公)! だが絶対勝ってやるからな! ブルベリーグだけじゃねえ……パルデアでも頂点を勝ち取ってやるんだぜーっ! これはそんときに俺へのプレゼント代として取っとけ。自由に使ってくれても構わねえけどなっ!」

 

 

 

 したっぱ!から500BP受け取ります。

 

 

 

したっぱ!

「ところで(主人公)、ブルーベリー学園での生活はどうだ?」

 

 

 

→楽しいです!    

いい感じです!   

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「なによりでスター! 俺もダチとブルレクしてBP集めて、ポケモンも俺も鍛えまくってるぜーっ! ただ、ブルレクにある『背後からポケモンを捕まえろ』ってやつがどうにも上手くできねえんだよな……後ろから『うおおゲットだぜーっ!』って捕まえてもクリアになんねえんだよ」

 

 

 

→どうしてなんでしょう?

ええと……      

 

 

 

○『どうしてなんでしょう?』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「だよなあ? ダチに聞いたら『そうしてくれた方がこっちは助かる』ってんで変にぼかされちまったぜ。あっちはちゃんとできてるんだけどな……」

 

 

 

○『ええと……』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「えっ、俺が騒ぎすぎて気づかれてる? な、なるほどな……だからダチも『そうしてくれた方がこっちは助かる』ってぼかしたのか……ちっくしょーっ! 他人のクリアに貢献しちまったぜーっ!?」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「まっ、ダチとブルレクやってる分にはBPゲットは共有されるからいいかもだがな。おっと、この情報は大事だからちゃんと覚えとけよーっ!」

 

 

 

 そこでしたっぱ!が「…」と腕を組んで思案してから語り始めますが、26、27、までのイベントを回収してるかしていないかでセリフが変動します。

 

 

 

○回収していない場合

 

 

 

したっぱ!

「あと、これについてはあんまし確証がないから伝えるか迷ったんだがな。実はこのテラリウムドームのどこかに幻のポケモンがいるらしいんだ。それをゲットできたら間違いなく人気者確定だろ!? だから色々情報を集めてるんだが……それがどんなポケモンがいるとかも分かってねえんだ。噂によりゃあキレイな歌声を持つポケモンらしい……なんか別の情報が見つかったらお前にも話してやるよ! 俺が先に見つけたら悔しがって羨ましがるんだな! そんじゃあお疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、画面が暗転して姿を消してしまいます。

 

 

 

 すべてのイベントを回収した時点でしたっぱ!が話を続けてきます。

 

 

 

したっぱ!

「そうだ(主人公)。前言ってた幻のポケモン覚えてるか? 実はコレかもって情報をたんまり入手できたんだ! せっかくだからお前にも手伝わせてやりまスター!」

 

 

 

○回収している場合

 

 

 

したっぱ!

「そうだ……ついでに手伝ってほしいことがあってな。実はこのテラリウムドームのどこかに幻のポケモンがいるらしいんだ。それをゲットできたら間違いなく人気者確定だろ!? だから色々情報を集めてたんだが……ようやくコレってヤツを入手したんだぜーっ! なんでもキレイな歌声を持つポケモンらしい……うっひょー! 今から楽しみだ! だから(主人公)に俺がゲットする瞬間を見せ、悔しがらせ羨ましがらせてやりまスター!」

 

 

 

 以下は同様の返事になります。

 

 

 

→手伝います!   

ちょっと待って  

 

 

 

○『ちょっと待って』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「カメラの準備でもしてくれんのか? そのくらいは待ってやるぜ!」

 

 

 

 もう一度話しかけて『手伝います!』を選ぶとイベントが進行します。

 

 

 

○『手伝います!』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「よっしゃー! そんなら一緒に行きまスター!」

 

 

 

 

 

●コーストエリア 野外教室近く

 

 

 

 したっぱ!が主人公と風の吹く場所を歩いています。

 

 

 

したっぱ!

「良い風吹いてるな。情報によるとこの辺で風が渦巻いている場所があるらしい……あそこか!?」

 

 

 

 したっぱ!が「!」と反応して風の発生源に駆け寄ります。

 

 

したっぱ!

「ここだな。そんでこの風がもっと吹いた時に……待ってらんねえぜ! うおおおおお!!」

 

 

 

 したっぱ!が風の中心で時計回りに回転すると風が強く吹き始めます。

 

 

 

したっぱ!

「うおおおおおおおおお!! (主人公)っ、ここでカメラを起動してくれ!」

 

 

 

 主人公が頷くと言われた通りにカメラが起動しましょう。

 

 したっぱ!に話しかけると上記のセリフを話します。観察せずさっさと起動しましょう。

 

 

 

したっぱ!

「そしたらカメラのフィルターをセピアにしろ!」

 

 

 

 戻ることができないのでそのままセピアにしていると、どこからともなく『いにしえのうた』が聞こえてきます。そのまま後ろを振り向くと、メロエッタとその隣に疲れ切ったしたっぱ!が立っています。

 

 カメラを停止させるとしたっぱ!が「!」と反応してメロエッタからたじろぎます。

 

 

 

したっぱ!

「ホントに現れた……! よおしゲット……ぜえ、ぜえ…………ううっ、周り過ぎて頭いてえ……しゃあねえっ、(主人公)……代わりに捕まえてくれてもいいぞ…………」

 

 

 

 メロエッタに話しかけるとそのまま戦闘に入ります。オシャボでも用意しときましょう。

 

 

 

○逃がす、倒した場合

 

 

したっぱ!

「逃げられちまったみたいだな……だがっ、お前と2人で出会えてよかったぜ! またおんなじようにすりゃあ出てくるかもしんねえ……機を伺ってもう一度チャレンジだな! お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、画面が暗転して姿を消してしまいます。

 

 

 

 一日後、再び同じ場所でしたっぱ!が言ったようにするとメロエッタが現れます。次こそは捕まえましょう。ただしここで捕まえないと以下のイベントを回収できなくなります。

 

 

 

○捕まえた場合

 

 

 

したっぱ!

「捕まえたのか? 俺もようやく落ち着けたからな……なっ、ななっ! ちょっと見せてくんねえ!?」

 

 

 

 このイベント前でもメロエッタは捕まえられます。既に捕まえているとサバンナエリアの第一休憩所で以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「……って、なにーっ!? もう捕まえてるじゃねえかよーっ!? なっ、ななっ! ちょっと見せてくんねえ!?」

 

 

 

 以下は同様にイベントが進行していきます。

 

 

 

 したっぱ!の言う通りに主人公がメロエッタを繰り出します。

 

 

 

メロエッタ

「エッタ」

 

したっぱ!

「おおお……見たことあるぜメロエッタ! かわいいしうつくしいぜ! そうだ、良かったらだけど一曲歌ってくんねえか? お礼にきのみとか、欲しいモンやるからさ!」

 

メロエッタ

「ロエッタ♪」

 

 

 

 したっぱ!のお願いにメロエッタが嬉しそうに答えてふわりと浮かぶと、そよ風も止んだ背景で『いにしえのうた』を歌い始めます。

 

 歌っている途中、テラリウムドーム内の野生のポケモンたちが自然に過ごしている風景がサバンナ、コースト、キャニオン、ポーラの順に様々映し出されて行きます。

 

 歌い終えるとメロエッタがゆるりと舞い降りますが、したっぱ!は歌の余韻に浸っています。

 

 

 

したっぱ!

「……凄かった。俺は今まで生きてきた人生を短いなんて思ったことは無いがよ、それをあの歌が一気に全部思い出させてくれたぜ。喜び、怒り、悲しみ、楽しさ……ノスタルジーってのかな。昨日のことすらそう思えちまうくらいの懐かしさに浸らせてもらったぜ。改めてありがとうメロエッタ」

 

メロエッタ

「タロメ♪」

 

 

 

 メロエッタが返事すると自分からボールに戻っていきます。

 

 

 

したっぱ!

「去り際まで完璧だな。そんならお礼だ! 後でメロエッタに渡しといてくれ。珍しいきのみ見つけたからプレゼントでスターっ!」

 

 

 

 したっぱ!からスターのみ、サンのみ、ナゾのみを受け取れます。

 

 

 

したっぱ!

「歌声には感動させてもらったが、それで終わる俺じゃねえぜ! 俺だって幻のポケモンとか伝説のポケモンとか欲しい! 捕まえてみんなを驚かせてやるんだ! 今に見てろよっ、お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、画面が暗転して姿を消してしまいます。

 

 

 

 

 

→チャンピオンへの挑戦




次回は皆さんお待ちかね、アホとのマジバトル


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29、チャンピオンへの挑戦

最近気づいたんですけどマルマインって性別無いんですねえ……全部修正しときました。


←センタースクエア+α

 

 

 

 

 

●最後の四天王を倒したスクエア

 

 

 

カキツバタ

「いやー。あっちゅー間にブルベリーグかけあがっちまったな……と、くりゃあ、このままテッペン目指すっきゃねえだろキョーダイ! ブルベリーグ四天王全員に勝った者だけが! ブルベリーグ現チャンピオン、スグリのやつに挑めるってんだ!」

 

 

 

 最後の四天王を倒したところでカキツバタと話していると、スグリが主人公の元に現れます。

 

 

 

スグリ

「いい加減待ちくたびれたよ。(主人公)にしてはちょっと遅いよな……四天王倒すの」

 

カキツバタ

「スグリよう。よっぽど(主人公)が気になるんでやんすねぃ?」

 

スグリ

「……カキツバタこそ、やけに(主人公)に肩入れしてるんだな」

 

 

 

 スグリがカキツバタを睨みつけますが、当の本人は飄々とした態度で笑みを浮かべています。

 

 

 

カキツバタ

「新入生には優しくしないと! 人類みなキョーダイよ?」

 

スグリ

「……よく言う。何考えてるか知らないけど、それももう終わりだ」

 

 

 

 スグリが踵を返してこの場から去ろうとします。

 

 

 

スグリ

「(主人公)、どっちが強いのか決着つけよう」

 

 

 

 しかしそこへ乾いた拍手が鳴り響き、主人公、スグリ、カキツバタが「!」と反応して周囲を窺います。

 

 

 

スグリ

「なんだ……?」

 

???

「ブラボー、ブラボー! 流石は(主人公)!」

 

カキツバタ

「おおっと、この声は……」

 

???

「ブルーベリー学園でも、パルデアチャンピオンの名に違わぬ活躍だったぜ。次はいよいよチャンピオンスグリとの対戦……と言いたいとこだが、実はお前はもうひとり戦わなくてはならないヤツがいる! そのトレーナーこそ……」

 

 

 

 コートに3人のものではない脚が現れ、そこからカメラが昇っていき……したっぱ!の顔が一面に映し出されます。

 

 

 

したっぱ!

「この俺様でスターっ!!」

 

 

 

 したっぱ!に集中線が迸りますが、スグリが呆れた様子を見せ、カキツバタは後ろで手を叩いて笑っています。

 

 

 

スグリ

「おい、俺と(主人公)の邪魔する気か? いくらあんただからって……許さない」

 

 

 

 スグリがしたっぱ!を睨みつけますが、当の本人は不敵な笑みを浮かべて腕を組んでいます。

 

 

 

したっぱ!

「残念だったなスグリィ、そうは言っても俺には資格があるんだぜ?」

 

スグリ

「資格……?」

 

したっぱ!

「そう、俺も……四天王を全員倒したんでスター!」

 

 

 

 したっぱ!の言葉に主人公とスグリが「!」と反応して、スグリがバツが悪そうに頭を掻いているカキツバタへと振り向きます。

 

 

 

スグリ

「……ホントに?」

 

カキツバタ

「んぁあ、確かに負けたぜ。(主人公)に続いて黒星付けられるたぁ、元ブルベリーグチャンピオンの名が泣くねぃ」

 

したっぱ!

「(主人公)とは別の順番だったがな……気になるならランキング見てこいよ。事実は揺るがねえからなあ? その上で、チャンピオンの挑戦権を奪い合うんだ。文句はねえだろ?」

 

スグリ

「わやじゃ……ランキング最下位からのスタートだってのに、この速度で四天王に挑めるまでになるなんて」

 

したっぱ!

「キタカミん時から知ってるだろうがよ……成り上がるのは、俺の特技でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露する横でカキツバタがスグリに問いかけます。

 

 

 

カキツバタ

「どうするスグリ。決定権はあんたにあるぜぃ」

 

スグリ

「…………勝手にしろ」

 

 

 

 スグリが一瞬思考した後にそれだけ言い残してどこかに行ってしまいますが、したっぱ!は主人公の元に歩み寄ってきます。

 

 

 

したっぱ!

「チャンピオンからの許可は下りた。そんなら始めようぜ……ここでもいいけど、どうせなら学園中に、盛大に見せつけてやりてえからな! 学園に来た時にタロちゃんさんとバトルしたエントランス、そこでコート予約して待ってるぜ! 一旦お疲れ様でスター!」

 

 

 

 したっぱ!がスター団ポーズを披露すると、彼はどこかに走っていきます。

 

 

 

カキツバタ

「ちょいと邪魔が入ったねぃ。どっちが勝ったってオイラとしては構わねえんだが、ここまで来たんだ……(主人公)なら余裕でいけるだろうぜ。そんなら先にエントランスに行って待ってるからなー」

 

 

 

 カキツバタが去ると画面が暗転し、自由に動けるようになります。

 

 

 

 

 

●エントランスロビー

 

 

 

 バトルコートの中心でしたっぱ!が仁王立ちして待っています。

 

 

 

したっぱ!

「準備できたか?」

 

 

 

→はい    

いいえ   

 

 

 

○『いいえ』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「いつでもいいぜ。予約は取れてるからな!」

 

 

 

 もう一度話しかけて『はい』を選ぶとイベントが進行します。

 

 

 

○『はい』を選んだ場合

 

 

 

したっぱ!

「よっしゃー! そんなら位置につきまスター!」

 

 

 

 画面が暗転すると、コートの淵で向かい合う主人公としたっぱ!が映し出されます。

 

 したっぱ!が腕を回したりして身体をほぐしていますが、この時、学校最強大会でのイベントを回収してるかしていないかでセリフが変わります。

 

 

 

◯回収していない場合

 

 

 

したっぱ!

「こうしてお互いコートに立ってバトルすんのは思い返せば初めてだな。いつだって遭遇戦だった……だが今はこうして! 観客の前でポケモンバトルを披露する! こんなに盛り上がることはねえだろ!?」

 

 

 

◯回収している場合

 

 

 

したっぱ!

「こうしてお互いコートに立ってバトルすんのは学校最強大会(バトルスクールウォーズ)以来か……あの時は『こっちが勝った/お前が勝った』*1が、今回はどうなるかなんてわからねえ……つまりっ! あの時以上のドキドキのままバトルができる! こんなに盛り上がることはねえだろ!?」

 

 

 

 以下は同様のセリフになります。

 

 

 

 ゼイユも含めて生徒たちが集まってきますが、その誰もが怪訝な様子を見せています。

 

 

 

生徒

「スター団とかいうあいつ……たしか、ランキング最下位だったよな……?」

 

生徒

「……嘘みたいだけど、それがもう四天王を倒したらしいわよ」

 

生徒

「ありえねえだろ……! オレンジ/グレープアカデミーの生徒ってこんなハイレベルなのか……!?」

 

 

 

 騒めきどよめく観客を気にせず、不敵な笑みのしたっぱ!が星型ゴーグルを外してヘルメットにくっつけます。

 

 

 

したっぱ!

「さーて、目と目が会ったな……これが俺とお前の、ポケモンバトルの合図だ」

 

 

 

 主人公が気合十分に微笑みながら頷くと、したっぱ!は自分の両頬を叩いてからこちらを見据えます。

 

 

 

したっぱ!

「うっひょー! ここでお前とスグリをぶっ倒し、返す刀でパルデアに向かいネモをぶっ倒す!! そうすれば俺たちは名実ともに最強でスター!! この学園でもスター団の旗揚げを……いや」

 

 

 

 したっぱ!が星型ゴーグルを括り付けたヘルメットを投げ飛ばすと*2、着地地点に居たゼイユがなんとかキャッチします。

 

 

 

イレギア

「俺たちの存在を刻みつけてやるぜーっ!」

 

 

 

 ゼイユが文句を言っているのを背景にイレギアがスター団ポーズをせずに一呼吸置いてからモンスターボールを構えます。投げ方が『ガラルスタースタイル』に変わっています。

 

 

 

 

ブルベリーグチャンピオン候補の イレギアが 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 決戦!イレギア—

 

 

イレギア●●●●●●

 

 

 

 

 

※誰にテラスタルを使ってくるかはAIの状況判断になります。初手もあり得ますし、そのポケモンを繰り出したターンに使わないこともあり得ます。

 

 

 

 

 

ギャラドス♂ Lv.80  (じめんテラス)

ラムのみ

【いかく】

やけっぱち

いわなだれ

じしん

りゅうのまい

 

 

ボーマンダ♂ Lv.80  (はがねテラス)

じゃくてんほけん

【じしんかじょう】

りゅうせいぐん

ダブルウィング

じしん

りゅうのまい

 

 

“たよれるあいぼう”

イキリンコ♂ Lv.80  (ひこうテラス)

メンタルハーブ

【いかく】

すてゼリフ

おいかぜ

そらをとぶ

フェザーダンス

 

 

マルマイン Lv.80 (こおりテラス)

きあいのタスキ

【ぼうおん】

テラバースト

きんぞくおん

ひかりのかべ

エレキネット

 

 

シビルドン♀ Lv.80  (はがねテラス)

とつげきチョッキ

【ふゆう】

アシッドボム

はたきおとす

いかりのまえば

サンダーダイブ

 

 

ルカリオ♂ Lv.80  (ノーマルテラス)

いのちのたま

【せいしんりょく】

しんそく

きあいだま

あくのはどう

いやしのはどう

 

 

 

 

◯それぞれ固有セリフ

 

 

 

・初回行動時

 

イレギア

「今までの俺たちとは違う……最高潮のテンションで成り上がってやるぜっ!」

 

 

 

・効果はバツグンだ!

 

 

 

(こちら)

 

イレギア

「弱点を攻めようが俺たちは止まらねえ! 逆に燃えてきたぜーっ!」

 

 

 

(あちら)

 

イレギア

「ダブルバトルでも俺たちは絶好調! むしろこっちの方がどこまでも行ける気がするぜ!」

 

 

 

・急所に当たった!

 

 

 

(こちら)

 

イレギア

「ラッキーパンチはここまでだ。最後に勝つのは俺なんだからな!」

 

 

 

(あちら)

 

イレギア

「良いのが入った! こいつは俺が一歩優勢になったか~?」

 

 

 

(テラスタル)

 

イレギア

「勝ち星をこの手にテラスタル! 勝てば栄光は俺らのモノだ!!」

 

 

 

(テラスタル初回行動時)

 

イレギア

「俺たちのやることは変わらねえ! 頂点目指すぜ下剋上!!」

 

 

 

(勝利)

 

 主人公に向けて拳を突きつけます。

 

イレギア

「完敗だぜ! でも今度は勝つからな!!」

 

 

 

 

 

 学校最強大会の時と違って勝利のみイベントが進行します。頑張って勝ちましょう。

 

 

 

イレギア

「前哨戦はここまで、次はお待ちかねのチャンピオン戦だ! たっぷり休んでからバトルすんだぜ? 観客として応援してっからなーっ!」

 

 

 

 画面が暗転するとイレギアが姿を消し、代わりにカキツバタが主人公の元に近づきます。

 

 

 

カキツバタ

「いよいよだな……オイラも楽しみだ。頂上決戦はそこの受付から申請すりゃあいいのよ。そいじゃ、善は急げだ! とっとと行こうぜぃ」

 

 

 

 

 

 

→ゼロの大空洞へ?

*1
結果によってここだけ変化

*2
ダンデがマントを外すようなモーション




長くなったのでスグリ戦から次回へ

エリアゼロ行った後にアローラみたいな防衛戦にするかどうかで迷いましたが、勝たなくちゃいけない戦いにしたかったのでこうなりました。スグリよか明らかに強いって? まあ……ね?()

余談でアホのパーティでランクマに潜ってみましたが……あんまり勝てませんでした。わざとか努力値とか甘かったのもあるでしょうしそもそも環境的に難しかったです。6匹揃ったときのシナジーが高いんでしょうかねえ?


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30、ゼロの大空洞へ?

最深部でもアホに活躍してほしい反面、そんな出番食ってほしくないなあと思った結果、なんかこうなりました。反感買ったらすんません。


←チャンピオンへの挑戦権

 

 

 

 

 

●エントランスロビー

 

 

 

 受付に話しかけるとイベントが進行しますが、その前にロビーにいるゼイユがしたっぱ!*1にアーボックツイストを仕掛けています。話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「ぐえーっ! バトル終わった直後になにするんでスター!」

 

ゼイユ

「ええ確かにあんたのバトルは凄かったわ! ホント! すっごく! でもいきなりヘルメット投げてくるなんて危ないじゃないのよおおおおお!!」

 

したっぱ!

「アレはゼイユを信頼して……いででででで!!」

 

 

 

 あまり関わらないでおきましょう。

 

 

 

 スグリとのバトルが始まると、それに気づいたゼイユが技を緩めてコートの方を見るシーンが挟まります。バトル中は2人して背景で応援していますが、気にせずチャンピオン戦に集中しましょう。

 

 スグリに勝利すると観客が解散する、スグリが絶望に打ちひしがれる、カキツバタが煽るなど様々ありますが、したっぱ!は弟を心配するゼイユの隣で声をかけるでもなく静かに拍手しています。

 

 

 

タロ

「あのー……ちょっとーよろしいでしょうかー?」

 

 

 

 タロがアカマツとネリネのふたりを連れて主人公たちの元に歩いてきます。

 

 

 

タロ

「ええと……まずは(主人公)さん、チャンピオンおめでとうございます! 本当にすごかったです! 普通ならお祝いしたいんですが……今の……この状況はわたしたちには複雑で、ちょっと整理しないとなんです……」

 

カキツバタ

「整理ぃ?」

 

タロ

「だってそうでしょう! (主人公)さんがチャンピオンになったらリーグ部の部長ってことで、留学生なのに異例だけど今後の方針はどうするの、とか!? あれとか、これとか、とかとかいろいろ!!」

 

カキツバタ

「お、おう……」

 

タロ

「それにスグリくんがチャンピオンから四天王に降りてくるなら、ランク的にはアカマツくんが都落ちだし」

 

アカマツ

「えっ、オレそうなの!? ヤバいじゃん!」

 

タロ

「さらに言えばイレギアさんもいるのでネリネさんも都落ちになるかもですね」

 

ネリネ

「……私はそれでも構いません」

 

 

 

 表情を崩さないネリネに対してアカマツは目に見えて項垂れますが、タロは溜め息をひとつ零してからスグリに視線を向けます。

 

 

 

タロ

「スグリくんがどうしたいか、ちゃんと気持ち聞いておかないと……」

 

スグリ

「…………」

 

ネリネ

「スグリ……」

 

放送

〈ディン ドン ダン ドーン♪〉

 

 

 

 ここで放送が鳴り響きます。

 

 

 

放送委員

「放送室より、生徒のお呼びだしです。リーグ部チャンピオン、スグリさん。四天王トップ、カキツバタさん。3年2組ゼイユさん。交換留学生中の(主人公)さん。並びにイレギアさん。ブライア先生とお客様がお待ちです。1-4の教室まで至急いらしてください」

 

放送

〈ドン ダン ドン ディーン♪〉

 

タロ

「もう、なんだってこんなときに……」

 

カキツバタ

「スグリはもう、チャンピオンじゃないのにねぃ」

 

タロ

「カキツバタ! そ・う・い・う・の! よくないと思います!」

 

カキツバタ

「ブライア先生案件ならすっぽかすと後が面倒だ。(主人公)は先行っといてくれい。スグリのやつはオイラがおぶってでもつれていくからよ」

 

 

 

 したっぱ!に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「チャンピオンおめっとさん。俺からはそれだけだ! さっさと呼び出しに応えて、諸々を済ませちまおう!」

 

 

 

 放送に従って1ー4教室に向かいましょう。

 

 

 

 

 

●1-4教室

 

 

 

 ブライアが待つ教室に主人公、スグリ、ゼイユ、カキツバタ、したっぱ!が到着します。5人が席についてところでブライアからエリアゼロに向かい、テラパゴスを見つける旨を伝えられますが、そこでチリを連れたオモダカが現れます。

 

 

 

オモダカ

「ずいぶん楽しそうなお話をしていますね」

 

ブライア

「オモダカさん! 先に始めていましたよ!」

 

オモダカ

「お待たせしてすみません

 

 

 

→トップ!    

オモダカさん! 

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

オモダカ

「おや? チャンピオン(主人公)? そしてチャンピオンイレギアも、このような場所で出会えるとは……なるほど、ご留学中なのですね」

 

 

 

したっぱ!

「あっ! チリちゃんさん!」

 

 

 

 チリは『さんは余計やで~』と言いたげに微笑んで画面に向かって手を振ります。

 

 

 

カキツバタ

「(主人公)が今やブルベリーグチャンピオンなんですぜ」

 

オモダカ

「やはり類まれな才能……素晴らしいことです」

 

したっぱ!

「俺もチャンピオンの候補になれました!」

 

 

 

 チリが『そっかそっかえらいで~』と言いたげにうんうん頷いています。

 

 

 

オモダカ

「チャンピオン(主人公)、イレギアがいてくださるのならなおさら……ブライアさん、説明させていただいても?」

 

 

 

 そこからオモダカによるエリアゼロの説明が入り、主人公たちに調査するように頼みます。主人公の(強制)参加が決まるとゼイユ、カキツバタ、スグリの意見を聞いた後にしたっぱ!も便乗します。

 

 

 

したっぱ!

「俺も行くぜスグリィ! 俺と一緒に伝説のポケモンをゲットだぜーっ!」

 

スグリ

「……うるさい」

 

ブライア

「それでは決まりだね! カキツバタくんは残念だが。私、(主人公)くん、ゼイユくん、スグリくん、イレギアくん、以上5名で調査します」

 

 

 

 その後、チリに叱られたりオモダカから『あおのディスク』を受け取ってからエントランスロビーにて待っているブライアたちの元に向かいましょう。

 

 

 

 

 

●エントランスロビー ブリッジ前

 

 

 

 スグリの隣に佇んでいるしたっぱ!に話しかけると以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「(主人公)はもうエリアゼロに行ったことあるんだな。いやよく行けたな。許可取れたのか?」

 

 

 

 ブライアに行けることを伝えると、イベントが進行します。

 

 

 

ブライア

「ゼイユくん、スグリくん、イレギアくん、体調は大丈夫かな?」

 

ゼイユ

「あたしは……平気ですけど」

 

したっぱ!

「俺は最高潮でスター!」

 

スグリ

「……俺も大丈夫だよ。だいぶ……落ち着いた」

 

ゼイユ

「そっか、よかった」

 

スグリ

「やるべきことわかった。だから……大丈夫。エリアゼロで……伝説のポケモン見つける。絶対に見つけないと……!」

 

したっぱ!

「居るかな伝説のポケモン……! すっげえ楽しみでスター!」

 

ブライア

「ああ、その意気だよスグリくん! イレギアくん! それでは行こうか!」

 

 

 

 

 

●パルデアの大穴

 

 

 

 暗転の後にエリアゼロに到着します。

 

 

 

ブライア

「ここが……これこそが……夢にまで見たエリアゼロ!」

 

ゼイユ

「何よこれ……すっごい」

 

スグリ

「わやじゃ……」

 

したっぱ!

「ああ、これはわやじゃちゃんだぜ……!」

 

 

 

 ゼイユが見つめていることに気づいたスグリが「!」と反応して彼女から視線を逸らしますが、ゼイユがそんな弟を見て主人公と同じように笑みを湛えます。

 

 

 

スグリ

「え、えっと……(主人公)は、前に来たことあるん……だよな?」

 

 

 

→友達と!  

仲間と!  

 

 

 

 どちらを選んでもだいたいは同様の返事になります。

 

 

 

スグリ

「友達/仲間……」

 

 

 

 すると主人公の手持ちからコライドン/ミライドンが飛び出してスグリが身をたじろぎます。

 

 

 

コライドン/ミライドン

「アギャッス!!」

 

ゼイユ

「ひゃ! ビックリした!!」

 

 

 

 ゼイユが驚いている横でしたっぱ!の手持ちからモトトカゲが飛び出します。パルデアでのイベントの進行度に関わらずコライドン/ミライドン風に改造されています。

 

 

 

モトトカゲ

「あぎゃっす!」

 

コライドン/ミライドン

「アギャア! アギャア!」

 

したっぱ!

「おっとモトトカゲ。ダチに会いたくって出てきちまったか?」

 

ゼイユ

「ったくもう! なんとかドン……だっけ!? モトトカゲも! あんたらねえ……でかいのよ!」

 

コライドン/ミライドン モトトカゲ

「アギャ……?」「あぎゃ……?」

 

スグリ

「きみもメンバーだったんだね」

 

ブライア

「君がエリアゼロで見つかったといわれているポケモンだね!」

 

したっぱ!

「え、そうだったのか? 初めて知ったぜ」

 

モトトカゲ

「あぎゃ」

 

ブライア

「この子もとても気になるが……今回の調査で確かめたいのは、エリアゼロの最深部……そのさらに奥なんだ!」

 

 

 

 そこからはブライアの指示の元、主人公が先導してゼロラボに向かいます。

 

 

 

 

 

●ゼロラボ

 

 

 

 『あおのディスク』によってゼロラボが開くと、主人公が先に入った後にスグリ、ゼイユ、したっぱ!と続いていきます。

 

 

 

ゼイユ

「ねえ! 暗すぎよ! 頭ぶつけたんだけど!」

 

スグリ

「後先考えず走るからだよ!」

 

ゼイユ

「スグ、あんた……ちょっと元気でた?」

 

スグリ

「……うるさいな」

 

 

 

 したっぱ!がスグリの後ろでゼイユにサムズアップします。

 

 ゼイユがエレベーターを発見してそちらに向かう前にしたっぱ!から以下のセリフを回収できます。

 

 

 

したっぱ!

「ブライア先生がめちゃくちゃはしゃぎだしたぜ。これはアレだな。ここから先は俺がちゃんとしなきゃいけないヤツだな」

 

 

 

 主人公がエレベーターに乗ると画面が暗転しますが、したっぱ!が最後にエレベーターに乗ろうとすると、エレベーターから警告音が鳴り響きます。

 

 

 

エレベーター

〈警告、警告。重量オーバーです〉

 

したっぱ!

「はーっ!?」

 

ゼイユ

「うふふっ、あらら残念。ブライア先生の付き添いであるあたしは代わってあげられないし、スグも(主人公)もあんたより強いから代われないわよね~?」

 

ブライア

「2周目まで待ってほしい……と言いたいところだが、最深部で何があるか分からないため非常用の出口の確保のためエレベーターは下に置いていきたいんだ……すまない」

 

したっぱ!

「うごごごご…………!!」

 

スグリ

「ええと、その……ドンマイだべ」

 

 

 

→すみません     

代わりましょうか? 

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

したっぱ!

「……いや、皆まで言うな(主人公)。ブライア先生の言う通りだ。俺はここで待ってるぜ。それにここらをうろついてた変なポケモンがゼロラボに襲ってこないなんて保障はないからな、俺がちゃんと守ってやりまスター!」

 

ブライア

「助かるよ。それでは、良い成果を期待してくれ」

 

ゼイユ

「ブライア先生はあたしが見とくから。もちろん、スグも(主人公)もね」

 

したっぱ!

「任せたぜゼイユ! そんならみんな、いってらっしゃいまスター!」

 

スグリ

「語呂がわや悪いべ……」

 

ゼイユ

「……ふふっ」

 

スグリ

「なんでもない」

 

 

 

 そこからテラパゴスとのイベントが終わるまでしたっぱ!の出番はありません。

 

 

 

 

 

●ブルーベリー学園

 

 

 

 ブルーベリー学園に帰ってくると、したっぱ!が主人公の前をゼイユと話しながら歩いています。

 

 

 

ゼイユ

「やっと帰ってこれたー!」

 

ブライア

「オモダカさんに連絡……いや、出版社が先か!?」

 

したっぱ!

「それにしても良かったなあゼイユ」

 

ゼイユ

「何がよ。スグのこと?」

 

したっぱ!

「それも大いにあるけど、帰るまでにゼイユの涙の跡が無くなったことだな。お前絶対そういうの気にするだろ?」

 

ゼイユ

「はっ……泣いてなんてなかったから!!」

 

したっぱ!

「いやいや……うわっ、なんか新しい構え!?」

 

スグリ

「……(主人公)!」

 

 

 

 したっぱ!がゼイユに襲われかけているところでスグリが主人公を呼び止めたことでふたりともその体勢のまま、主人公と同じように彼の方を向いて注目します。

 

 

 

スグリ

「俺、リーグ部のみんなとか、迷惑かけた人にちゃんと……ちゃんと謝りたい。(主人公)にも……ごめん!! だから、ええっと……また……その……やりなおしたくて……ゼロからまた俺と…………友達に……なってくれる?」

 

 

 

 スグリの絞り出した言葉に主人公が頷くと、その後ろでゼイユとしたっぱ!が安心したように微笑みますが、ゼイユがしたっぱ!の肩に手を当てたところで彼女の瞳孔が開いたので、したっぱ!が顔を引きつらせて学園の方へと慌てて逃げていきます。

 

 ゼイユがしたっぱ!を追いかけていく姿に主人公とスグリが並んで顔を合わせて苦笑を浮かべ、その後おかしくなって声を出して笑ってからふたりを追いかけていきます。ブライアは考え事をしたまま4人に追い越されて行きます。

 

 ここでエンドロールが流れた後に写真が画面に映りますが、原作と違ってキタカミの里で撮ったものは後ろの方にしたっぱ!がブレブレで映っており、ブルーベリー学園のものはしたっぱ!が主人公と肩を組んでふたりでピースサインを掲げています。

 

 

 

 

 

→アカデミーにて

*1
元のしたっぱ衣装に戻ってる




考察厨ならきっとギャグで済ませた重量についても深読みしてくれるはず。

次回は番外編前のサブストーリーになります。番外編に出るかどうかは分かりませんけど()


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31、アカデミーにて

←ゼロの大空洞へ?

 

 

 

●アカデミー エントランス

 

 

 

 スター団のイベントにも一部、言葉だけ登場します。

 

 

 

ビワ

「イレギア君にも協力してもらってたけど、ずっとって訳にもいかないから……」

 

ピーニャ

「そーそー。なんか別の勉強で忙しいみたいだからさ」

 

 

 

 

 

●アカデミー グラウンド

 

 

 

 スター団のイベントを回収した後*1にグラウンドに向かうと、そこの隅でしたっぱ!がしたっぱAと一緒にスター団の衣装のままで4匹のイキリンコと向き合っています。

 

 

 

したっぱA

「先輩、大丈夫なんですか?」

 

したっぱ!

「お、おう……なんとかな……心配ありがとなアヤセ……」

 

 

 

 ここでしたっぱAの名前がようやく明らかになります。

 

 

 

アヤセ

「そりゃあ心配だってしますよ。イキリンコについばまれてたんですから」

 

イキリンコ(青)

「ギィー! ギィー!」

 

イキリンコ(緑)

「キィーッ!」

 

したっぱ!

「あーあー、2匹ともケンカはその辺にしとけって!」

 

イキリンコ(黄)

「キーキーッ!」

 

したっぱ!

「うわっ! まだ襲ってきやがる!?」

 

イキリンコ(白)

「キァー」

 

アヤセ

「君は自由だねー。自由だから先輩の言うこと聞かずにつついてたんだろーけど」

 

したっぱ!

「とりあえず今日はここまで……お疲れ様でスター……ってことで戻れお前ら……」

 

 

 

 したっぱ!がぐったりしながらイキリンコたちをモンスターボールに戻していきますが、最後に緑フェザーのイキリンコが残されます。

 

 

 

したっぱ!

「お前も悪いな相棒。損な役回りさせちまって」

 

イキリンコ

「イイッテコトヨー……」

 

したっぱ!

「おう、ゆっくり休め」

 

 

 

 最後のイキリンコも戻った後にしたっぱ!が星型ゴーグルをくくりつけたヘルメットを外して力無く天を仰ぎます。

 

 

 

イレギア

「ふぃーっ! 疲れたぜ……まだ初歩の初歩にも立ってねえってのに……」

 

アヤセ

「イキリンコは翼の色で派閥があって、それぞれ争ってますからね。それを操ってこそのパルデアタクシー……道は遠そうですね」

 

イレギア

「ああ……なんか対策を取るとして、今日はダメそうだな」

 

アヤセ

「なんか意外ですね。先輩が挫折してるなんて」

 

イレギア

「挫折? するぜ? この前(主人公)に負けた時とかも」

 

アヤセ

「あれ、意外……てっきりひたすら悔しがったらそのままスッキリするもんかと」

 

イレギア

「そう見せた方が変な心配させないだろ? 勝ったら笑っちゃうほど嬉しいし、負けたら泣くほど悔しい……ただそんだけだ」

 

アヤセ

「ふーん……じゃあ聞きますけど、なんでそんなこう……前向きになれるんですか?」

 

イレギア

「そうだな……ネモの背中を追っかけて、一度だって勝てなくて、チャンピオンだって(主人公)に先越されて、何度だって現実を知ったさ」

 

 

 

 主人公が見つからないように木の陰に入ります。

 

 

 

イレギア

「でも、いっそなんて諦めることはできない……だってそうだろ? 俺は一番になりたくて挑んでるんだからな。だから挫折しても、挫折しても、目の前に一番が、ネモが、(主人公)がいるから! ただただ諦めきれないんだ! 名前の知らない有象無象で終わりたくないんだ! したっぱから始まろうがいつかはチャンピオン! そしてそれを超えて世界初の存在としてこの世に君臨したいんだ!」

 

 

 

 そこでイレギアが「!」と主人公の方を見て駆け出しますが、驚く主人公を超えてその先に声をかけていきます。

 

 

 

イレギア

「あっ、見つけたぜネモ!! 今日があったが百年目……今日こそ土をつけさせてやるぜーっ!」

 

 

 

 それを取り残されたアヤセが何歩か追いかけてから主人公の隣で止まります。

 

 

 

アヤセ

「……なんだ。先輩ってちゃんとカッコいいじゃん」

 

 

 

 そこでアヤセが主人公の方を向くと、「!」と反応して手を振ります。

 

 

 

アヤセ

「おひさー(主人公)。先輩との留学楽しかったー?」

 

 

 

→うん!    

楽しかった! 

 

 

 

 どちらを選んでも同様の返事になります。

 

 

 

アヤセ

「まー、先輩とならなんだって楽しくなりそうだけど……てかさっきの話聞いてた?」

 

 

 

 主人公が頷くと、アヤセが身をたじろぎます。

 

 

 

アヤセ

「うわ、先輩が知ったらハズりそう。内緒にしよーね。そだ……先輩が留学から帰ってからポケモンバトルについて教えてもらってたんだよね。すたーとれーにんぐせんたー……? スター団もそれになっちゃったから成り行きであたしも乗ることになったけど全然だったから先輩に色々鍛えてもらってさー」

 

 

 

 アヤセが顎に手をやって「…」と思案します。

 

 

 

アヤセ

「今なら(主人公)にだって勝てるかも……なーんて、あっちでもチャンピオンになった(主人公)に勝てるわけないよねー」

 

イレギア

「おいおい! そんなんやってみないと分かんねえだろ!?」

 

 

 

 イレギアの言葉に主人公とアヤセが「!」と反応してそちらを振り向いてみると、そこにはイレギアを始めとしてネモ、ペパーが揃っています。

 

 

 

ネモ

「あれあれ!? (主人公)も来てたんだ!」

 

ペパー

「(主人公)っ!? ちくしょう、助けてもらおうとしたってのに……」

 

 

 

 主人公がいることにネモは大喜びになり、ペパーは頭を抱えますが、アヤセはドン引きの様子です。

 

 

 

アヤセ

「うわー、聞かれちゃってるー……」

 

イレギア

「そういうわけでだ(主人公)! アヤセと……そして俺とのバトルも挑ませてもらいまスター!」

 

ネモ

「はいはーい! だったらマルチバトルがしたいでーす!」

 

 

 

 ネモがぴょんぴょん跳ねながら右手を掲げて提言しますが、そこでペパーが「!」と顔を明るくします。

 

 

 

ペパー

「それってたしか4人でやるヤツだろ? だったらオレは別にいらないんじゃ……」

 

ネモ

「それはダメ! 元はわたしがペパーとポケモン勝負したいって言ったんだもん!」

 

イレギア

「おうよ! 俺もペパーとはバトルしてえからな!」

 

ペパー

「……休憩用に飯作ってるんじゃダメか?」

 

イレギア ネモ

「ダメだぜ!」「ダメ!」

 

ペパー

「横暴ちゃんだぜ……」

 

アヤセ

「なーんかあの人も被害者っぽいね。でも……」

 

 

 

 ペパーがイレギアとネモとやいのやいの言ってる横でアヤセが主人公に向き直ります。

 

 

 

アヤセ

「こういうわちゃわちゃしたの、昔のあたしだったら似合わないって言って逃げてたけど、先輩に誘われて、スター団に入って……結構好きになれたかな」

 

イレギア

「おーい2人ともー! そろそろ始めまスター!」

 

アヤセ

「あーはいはい! そんなわけで、(主人公)にもありがとうってことでコレあげる!」

 

 

 

 アヤセからステラテラピース×50を受け取ります。

 

 

 

アヤセ

「先輩からもらったけど、あたしよか(主人公)の方が上手く使えるでしょ? それならさっさと行ってバトルしまスター!」

 

 

 

 アヤセがスター団ポーズを披露してからイレギアたちの方に行ったので、主人公もそれに続いたところで画面が暗転し、数秒後には自室で朝になっています。

 

 

 

 

 

→再びキタカミの里へ

*1
6、のしるしの木立ちでしたっぱAと会話してある場合のみ




今更ながらワタクシの描くアホのアホさ加減がなんかこう……薄い気がしてきました。DLC編で後輩である主人公のサポートする必要があったからアホを出しにくかった感はありますが……と、言うわけで同級生とも絡む番外編に向かいます。


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パルデア編 ~最初に出会ったスター団のしたっぱがネモによく効くアホだった世界~
0.登場人物


随時更新


●イレギア(オダマキの別称『アクイレギア』から。花言葉は『断固として勝つ』『愚か』)

ボタンをマジボスと知らずにスター団に引き入れようとしたしたっぱ。したっぱBの方。一人称は俺。その理由としては『勧誘ってスター団っぽいから』というとてつもなくバカみたいなもの。このようにアホでその場の空気を読まずに突き進む。スター団になったのはスクールカースト上位になるためなので、ネモやアオイ(主人公)やらを倒せばもっと上位になれると考えるなど向上心の塊。しかしネモたちに何度も勝負を仕掛けては玉砕していく。アップルアカデミーに通わせてくれる親のために授業も欠かさず出席するなど根はとても真面目で頭も良く、その特徴から同級生などから『ウェーニバル』と呼ばれている。宝探しは『学校の人気者になる』こと。本人は知らないが、彼の父親はエリアゼロにてペパーを救ったタクシードライバーである。

 

原案(スレ民たちが考えたしたっぱB)

・姿はデフォルトのスター団したっぱ

・髪型はイキリンコに寄せてほしい

・BGMはしたっぱ戦

・アホ

・バカ

・空気読めない

・無敵

・なんかやらかそうとする

・タケシのグレッグルみたいにイキリンコに諌められる

・バトルとは別のところで才能が発揮される(モトトカゲの運転や空飛ぶタクシーの運転など)

・スター団の掟はノリで『こんなもんだろ』と考えている

・スター団の活動を純粋に楽しんでいる

・特定のアジトに篭らず転々としている

・モトトカゲをコラミラ風に改造する

・スターモービルの動力として学校の電気ひいてきそう

・根は真面目で教師陣からの覚えもいい

・陰で『ウェーニバル』とか呼ばれてそう

・こうなった原因はハッサク先生?

・向上心の塊

・めげない、へこたれない

・類い稀な反骨精神と上昇志向から元貴族説

・スクールカースト上位を狙っている

・元々はネモの曇りスレだったのにこいつのせいで晴れになった

・晴れの方が星は見える

・ネモによく効くバトル精神

・ネモがスター団イベントに絡まなくなった要因

・ペパーやボタンからの好感度は低そう

・こいつだけ目と目があったらポケモンバトル

・エンカウントしたと思ったら遥か彼方から接近してくる

・組ボス後のアジトで主人公に敵討ち

・主人公がチャンピオンになったら後方先輩面しそう

・負けるたびに役に立つ情報とかスター団なりきりセットとかくれる

・ヌシにも何か絡みそう

・ナンジャモの配信に映りこみたがる(見切れてたり校長がジョーイさんになってる隣でフレンドリーショップの店員になってる)

・競りで散財して後悔しそう

・ライムのライブを観客席で盛り上がってそう

・ネルケと仲良くなってくれ

・ネルケの真似して髪をかきあげる仕種しそう

・何故か勝手にエリアゼロまでついてくる

・将来はタクシードライバー

・アホネモ尊くなれ

 

○手持ち

 

・ヤングース→デカグース ♂

とくせい:【がんじょうあご】

せいかく:〔やんちゃ〕

こせい:食べるのが好き

本編でも使ってたポケモン。アップルアカデミーに入学するときに学校から受け取った。出会ったときはやんちゃがすぎて凶暴で、手当たり次第に噛みついていたほどだが、イレギアが本気の殴り合いで迎え撃ったことで友情に昇華される。食い意地がすごく、噛みつき癖があるのでボールから出すと十中八九噛み付いてきた。しかしデカグースになってからは治った(治らなかった場合、イレギアの腕が持ってかれる)が、その分だけ食いしん坊になった。

 

・イキリンコ(緑フェザー) ♂

とくせい:【はりきり】

せいかく:〔ようき〕

こせい:ちょっぴりみえっぱり

動画のサムネにもいたため採用。幼い頃の誕生日に父親のツテで入手する。幼少期を共に過ごしたため一番仲が良くノリも良いが、イレギアの行き過ぎたバカに対しては目を見張るものがあるのか毎度『でんこうせっか』でツッコミを入れている。彼の手持ちのリーダー格であり、手持ち内での衝突を避けて円滑に関係を結んでいる陰の功労者でもある。

 

・コイキング→ギャラドス ♂

とくせい:【すいすい】→【いかく】

せいかく:〔わんぱく〕

こせい:体が丈夫

『鯉の滝登り』という点から。驚異的な『はねる』が気に入られてゲットされる。イレギアが初めて捕まえた野生のポケモンでもある。困ったときのオチに便利。強力なギャラドスに進化した後でも元の性格は変わらないため、『はねる』の勢いのまま暴れ散らかしてしまう。しかし『はねる』が意外と有用なため忘れさせずに覚えさせている。

 

・タツベイ→コモルー→ボーマンダ ♂

とくせい:【いしあたま】→【いかく】

せいかく:〔いじっぱり〕

こせい:血の気が多い

空に飛び立つ夢を持つ点から。空から落ちてきたところ、イレギアの脳天に直撃する鮮烈な出会いを祝してゲットされる。その際にイレギアは一騎打ちを申し込んだ。その石頭は折り紙つきで、生半可な攻撃ではびくともしない。身体に衝撃はくるけども。先に空を飛んだギャラドスを尊敬している。ボーマンダに進化したことで喜びが爆発。ギャラドスが空を泳ぐ性質に対して彼は長距離飛行が可能となったものの、進化直後だったために着地が下手だった。しかし何度も練習しているうちに上手くなり、今ではパルデアの大穴にすらも安全に運べるようになった。

 

・シビシラス→シビビール→シビルドン ♀

とくせい:【ふゆう】

せいかく:〔れいせい〕

こせい:抜け目がない

『鰻登り』という点から。シビルドン登りという言葉を多用していたことからずっとイレギアが目をつけていたものあって、マリナードタウン近くの海岸から泳いでゲットした。当初は逃げられっぱなしだったため、ヤケになってボールを投げたところ偶然当たってゲットされることとなる。攻撃を予想の倍溜めて失敗するのだが、それが逆に良い方向に転がることが多い。そのため『計算ずくだった』とでも言いたそうな顔をする。シビルドンになってからは技範囲から真の器用さを手に入れ、リーグ戦では最も活躍したとイレギア直々に褒められている。しかし詰めが甘いこともしばしば。

 

・モトトカゲ ♂

とくせい:【だっぴ】

せいかく:〔むじゃき〕

こせい:駆けっこが好き

手持ちではないものの、ライドポケモンとしてリーグから借りている。リーグ曰く「1番良い個体」とのこと。イレギアがコライドンを気に入ったのでインディアン風に改造されているが、当人もコライドンを気に入っているためそれに近くなれるのは嬉しいのだとか。

 

・コレクレー→サーフゴー ‐

とくせい:【びびり】→【おうごんのからだ】

せいかく:〔おくびょう〕

こせい:物音に敏感

元来のビビりに加えて臆病ながらもイレギアの根明な部分に惹かれることとなった。モトトカゲは時々怖いものの、イキリンコからはイレギアやその仲間について色々教わっている模様。現役時代のグルーシャのスノーボードを見て彼に憧れるようになった。引退してることを知っているかは不明。サーフゴーに進化する直前、コインに込められた人々の怨念に呑まれそうになり拒絶していたが、エリアゼロにてイレギアたちの危機を救出するために進化を決意した。かつて過ごしていた麻袋を宝箱の代わりに腰に巻いている。

 

他の採用候補ポケモン(スレ民とコメント欄で見かけたポケモン)

 

・マルマイン 『爆上げ』という点から。

 

・ドドゲザン 『成り上がり』という点から。

 

・ストリンダー(ハイの姿) ビリリダマと同じく『爆上げ』という点から。『だいばくはつ』を覚えるあちら側が有利か。

 

・アノホラクサ 『駆けまわる』という点から。

 

・ルカリオ なつき進化から。

 

・カラミンゴ 『絡んでくる』という点から。

 

・ドレディアorキマワリ 『花開く』という点から。

 

・サザンドラ 最終進化が最も遅いため努力を欠かさないことが必要な点から。ボーマンダと600族で被るから怪しそう。

 

・ウルガモス 『太陽のように照らす』という点から。

 

●アヤセ(フリージアの別名『アヤメスイセン』から。花言葉は『無邪気』『あどけなさ』『憧れ』)

イレギアの後輩にして同じくスター団したっぱ。したっぱAの方。一人称はあたし。いい感じの学園生活を模索した結果、イレギアにスター団に勧誘されることになる。特にやりたいこともなかったのでそのまま立派な不良になった。子どもっぽい性格でめんどくさがりだが案外ノリはいい。宝探しは『まだ未定』ことらしい。イッシュ地方を拠点とするパンクバンド「ザ・ドガース」の大ファンであり、タチワキジムのジムリーダーであるホミカに会ったら死んでもいいと豪語するほど。

 

○手持ち

・シルシュルー→タギングル ♀

とくせい:【かるわざ】

せいかく:〔さみしがり〕

こせい:逃げるのが早い

憧れのホミカがどくタイプ使いであることから捕まえたという。ただスター団どく組「チーム・シー」の所属ではない。

 

・ウパー→ドオー ♂

とくせい:【ちょすい】

せいかく:〔のんき〕

こせい:打たれ強い

 

●ネモ

ほとんど本編同様の戦闘狂。語尾にトランプの記号がついてたりはしない。

 

●アオイ

本編の主人公。だいたいツッコミ役になると思う。

 

●ペパー

同級生。イレギアが入学当初から絡んでいたがすげなく無視されてしまう。彼の父親がエリアゼロから救ってくれたことを後々知ることになる。

 

●ボタン

マジボスとは知らずに勧誘される。



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1.無謀?希望?イレギュラーなその名はイレギア!!

 

 

 

—アップルアカデミー 校長室—

 

 

 

クラベル

「——はい。ネモさん、これでアオイさんは《テラスタル》の使用がリーグから正式に許可されましたよ。これが許可証と……そして《テラスタルオーブ》です。しっかりアオイさんに渡してくださいね」

 

 緑色のスーツを着たアカデミーの校長であるクラベルが印鑑の押された紙と《テラスタルオーブ》の二つを執務机に置くと、対面に居た緑色の制服の生徒がそれらを掠め取った。

 

ネモ

「ありがとうございます先生! それじゃあ失礼します!」

 

 終始笑顔のネモはその勢いのまま校長室を後にする……

 

クラベル

「……ネモさん」

 

ネモ

「はいっ、何か?」

 

 その前にクラベルに話しかけられたため、変わらず元気に振り返った。

 

クラベル

「アオイさんは、あなたから見て……強いトレーナーでしょうか?」

 

ネモ

「それはもう! たぶん、わたしよりも強くなると思います!」

 

クラベル

「それほどですか……良かったですね」

 

ネモ

「はい! それでは、失礼しました!」

 

 

 

—アップルアカデミー 廊下—

 

 

 

ネモ

「ふんふんふん♪ ふふふふんっ♪」

 

 廊下をスキップまじりに歩く、見るからに上機嫌のネモに2人の生徒がすれ違った。

 

生徒A

「うわ……生徒会長だ」

 

生徒B

「隠れろっ、ポケモン勝負を挑まれるぞっ」

 

 2人の囁くような言葉が聞こえたのか聞こえていないのか、ネモはスキップを止めていつもの笑顔を貼り付かせる。

 

ネモ

「……おはよう!」

 

 笑顔の彼女は喉からハキハキと告げる。

 

生徒AB

「「お、オハヨウゴザイマス」」

 

 苦々しい笑顔の返事にネモは「よし」と心で呟いて、模範通りの歩き方で廊下を進んでいく。

 

生徒C

「ネモ生徒会長、おはようございます」

 

生徒D

「ネモさんっていつ見てもお美しいわぁ。お父さまがスマホロトム会社の会員さんなんでしょう?」

 

生徒E

「そりゃあの強さにも納得だよな。金持ちで、しかもプライベートにバトルコートも持ってるんだってよ」

 

生徒F

「うらやましいぜ。きっと別の地方とかから強いトレーナー呼んで特別指導とかしてもらってるんだろ?」

 

生徒G

「そんなことしてもらわなくても『けいけんアメ』死ぬほど買い漁れば余裕だろ。ポケモンも言うこと聞くように専用のブリーダーに面倒見てもらってるんだよ」

 

生徒H

「いいよなあ生徒会長は、生活に恵まれてて……おれもあんな家に住めるような家庭だったらチャンピオンになれたんだろうなあ……羨ましい」

 

ネモ

「…………おはよう!」

 

 ネモは歪みのない笑顔のまま廊下を足早に歩いていく。

 

 

 

 

—アップルアカデミー 校門前—

 

 

 

ネモ

「……ふう」

 

 ずいぶんと長かった廊下を抜けて、ほっと一息撫でおろす。

 

 ただでさえ1年生で生徒会長。その重圧をチャンピオンランクという立場で加速させてしまっている。

 

 ……自分はただ楽しくポケモン勝負をしていただけだったのに、周りの視線だけが変わっていく。

 

ネモ

(……でも、大丈夫。わたしには、アオイがいるから)

 

 それは近所に引っ越した少女との運命的な出会い。

 

 何も知らないまま自分と戦い、しかもそれで勝ってみせた(それも2度も!)。多少の手加減はしたものの、トレーナーとしての腕は自身に匹敵するはずだ。

 

 そうじゃないと、わたしは……

 

したっぱA

「あたしがお星さまなっちゃった!?」

 

 ネモが階段を下りておくと、ふと下の方から叫び声が聞こえてくる……同時に勝負の匂いを嗅ぎ分けたのもあって自然と足が駆けていた。

 

したっぱA

「なんなのこの新顔ちゃん。マジ強いんだけど……」

 

したっぱB

「後輩がやられたァ……!? こうなったら先輩である俺が戦うしかないよな! スター団のいいとこ見せてやりまスター!!」

 

アオイ

「な、なんだかすごく意欲的に勝負を仕掛けてくる……」

 

 階段の踊り場で見つけたのは困り顔の少女。

 

 彼女こそネモに匹敵するポケモントレーナー、アオイ……その手にはモンスターボールが握られていた。

 

ネモ

「ちょっとちょっと! 何やってんのー!」

 

アオイ

「あっ、ネモだ」

 

したっぱA

「ゲッ、生徒会長」

 

したっぱB

「めんどくさいヤツ見つかっちまった……せっかくの勝負が切り上げられちまうぜ」

 

 2人のしたっぱはムッとしたネモに引き気味になるも、どうやら肝心のネモにとって2人は眼中に無いようだっだ。

 

ネモ

「もう! ダメだよ! アオイ! ポケモン勝負するなら、わ た し と! ……でしょ!?」

 

アオイ

「そうじゃなくてスター団が……」

 

ネモ

「えっ!? あ、ごめん! 勘違いしちゃった!」

 

 自分より頭一つ小さいアオイが指差す方へ視線を移してみると、そこには学園を脅かす(?)スター団の2人が立っていた。

 

 それが正装なのか制服を着崩しており、星型のゴーグルをかぶっていたヘルメットに括り付けている。

 

ネモ

「本当だ。よく見たらスター団! また強引な勧誘してる!」

 

したっぱB

「おっ、またってことはやっぱりノルマがあるらしいぜ」

 

したっぱA

「いまそんなこと言ってる場合じゃないでしょっ!」

 

したっぱB

「え、ああ、はい、どうも」

 

 2人でこそこそ話したところで男の子の方から返事が来た。

 

ネモ

「……なるほどね。本来なら生徒会長としてこの騒ぎを収めるべきなんだろうけど、せっかくだからアオイが超・マル秘アイテムで解決しちゃえ!」

 

したっぱA

「ん!? あれはまさか……《テラスタルオーブ》!?」

 

 ネモがアオイに《テラスタルオーブ》を渡したのを、したっぱAが目ざとく捉えた。

 

したっぱB

「何!? あの新顔、そんなにすごいやつなのか……」

 

ネモ

「《テラスタルオーブ》を持っていると、ポケモンを戦闘中に《テラスタル》できるんだ! アオイのクワッスはみずタイプに《テラスタル》しそう!」

 

アオイ

「《テラスタル》……いいの? こんなスゴそうなのもらっちゃって……」

 

ネモ

「えへへっ。これもらうのって、本当は専用の授業を受けないとだけど、わたしが推薦しといたから!」

 

アオイ

「あはは……さすが生徒会長」

 

ネモ

「ものは試し! 戦いながら使い方、知っていこーっ!」

 

 ネモがアオイとしたっぱの2人の中間に立ったことで、したっぱBが苦い顔をして疑問を呈する。

 

したっぱB

「あれ? この流れは《テラスタル》のお試しされるとか、いわゆるかませ犬にされる感じ……?」

 

 その顔は、とても見覚えのあるものだった。

 

ネモ

「それなら……——」

 

 

 

 

 

「いいよどうせ負けるからポケモン勝負は」

 

 

 

 

 

「ネモさんは才能にも財力にも恵まれてて羨ましいなあ」

 

 

 

 

 

 

 

「生徒会長がいると友達とポケモンバトル楽しめないんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

「こんなに努力しても、やっぱり天才には勝てないのか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「だったらもう……いいや、ポケモンバトルは」

 

 

 

 

 

 

 

 

ネモ

「……いやなら、わたしと勝負だよ」

 

 そう言った直後、ネモは目の裏に熱いものを感じた。

 

 今日だけじゃない、きっと今後も感じるであろうその嫌な感覚——

 

 

 

 

 

したっぱB

「え……マジで!? うっひょー! チャンピオンランクのネモに勝てればスクールカースト鰻登りだスターっ!!」

 

ネモ

「…………え?」

 

 しかし予想外で元気すぎる彼の返事にネモはしばし呆然としてしまった。

 

 嫌な感覚も忘れて、ただ呆けて。

 

したっぱB

「カモネギが鍋を背負ってくるとはまさにこのこと! 俺のポケモントレーナーとしての覇道はここから始まるんでスター!」

 

アオイ

「……?」

 

 したっぱの高すぎる向上心にアオイは首を捻るばかりだ。

 

したっぱA

「あの、先輩?」

 

したっぱB

「へっへっへっ……見てろよ後輩! たぶんあの新顔は生徒会長に認められるほどの逸材だ。それをコテンパンに倒すのもいいが、何よりまず! そのネモに勝っちまえばあの逸材も俺を褒め称える! 当然、他の生徒も俺を崇めまくる! どーよっ、完璧な作戦だろ!?」

 

したっぱA

「作戦っていうか浅知恵っていうか……無謀すぎません?」

 

したっぱB

「無謀で結構! 目の前の輝く未来に向かって全力疾走こそ俺のポリシーだからな!!」

 

したっぱA

「うわあ希望に満ち溢れてる」

 

ネモ

「あれっ……あれあれ? こんな……だって…………」

 

アオイ

「ワタシのコテンパンが確定しちゃってるし……どうしよっかネモ。あれっ、ネモ……?」

 

 アオイの呼びかけにネモは答えず、ただ顔を俯かせて肩を震わせて……

 

ネモ

「……アハハ! アハハハハハハハハハハ!!」

 

 涙を浮かべるほど笑い出した。

 

したっぱB

「なんだよネモ! まさか勝者の余裕ってやつか? 見てろー、すぐに吠え面かかせてやる! 嫌でも俺と勝負だぜ!」

 

ネモ

「……嫌でも、かあ」

 

 矢継ぎ早に告げられたしたっぱの言葉を噛み締めながらネモはうっすら浮かんだ涙を拭う。

 

ネモ

「わたしがそんなふうに言われるなんてなあ……!」

 

 散々笑い切ったネモはアオイの元まで歩いて行った。

 

ネモ

「ごめんねアオイ。ちょっとわたし、この人と戦いたいかも!」

 

アオイ

「ネモ……ふふっ、うん応援してる」

 

 アオイはネモと入れ替わる形で階段前に立って手を挙げる。審判役を買って出ていた。

 

ネモ

「それじゃ! さっそくバトルやろっかバトルーっ!」

 

したっぱA

「げえっ」

 

したっぱB

「おっしゃ!」

 

 鼻息荒くボールを構えるネモだったが、それに対するしたっぱの反応はまるで正反対。

 

したっぱA

「なんか知らぬ間に恐ろしいことになったけど……戦うなら負けないでね先輩!」

 

したっぱB

「ったりめえだぜ、ここで俺が勝てば生徒会長……それどころかチャンピオンランクに急成長まで夢じゃない!」

 

 社会のシステムがそれを許さない。

 

ネモ

「アオイとは違った意味で面白いねっ。——ねえ、キミの名前は?」

 

 ネモはボールを彼に向けながら問いかける。

 

したっぱB

「俺か? ふふふ……それなら名乗ってやろう! それも盛大にな!」

 

 彼はボールをパルデアの青空に天高く掲げた。

 

イレギア

「俺の名はイレギア! これからアカデミーで、いやパルデアで、いやいや世界でっ! 誰よりも一番強くなる男でスター!!」

 

ネモ

「世界で一番か……いいね! わたしはネモ! ——実りある勝負にしよっ!」

 

 ネモからの戦闘開始を受け、イレギアはスター団の象徴でもある見事なポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの ネモに 勝負を しかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

ネモ●◯○○○○VSイレギア●◯○○○○

 

 

 

 

イレギア

「お互い何匹ポケモンを持ってるか分かんないからな……心に決めた一匹で戦いまスター!」

 

ネモ

「それもいいね! それじゃあせーのっ!」

 

イレギア

「いけっ、イキリンコ!」

 

 イレギアは大きく振りかぶって山なりにボールが投げる。

 

ネモ

「がんばれ、パモ!」

 

 対してネモはへたっぴで腰の入っていない動きでボールを投げた。

 

イキリンコ

「イケッ、イキリンコ!」

 

パモ

「パモっ!」

 

アオイ

「それじゃあ……勝負開始!」

 

 2人のポケモンを確認したアオイが掲げたその手を勢いよく下ろした!

 

したっぱA

「がんばれー! 先輩ーっ!」

 

イレギア

「サンキュー後輩! そんでネモ、出し惜しみは無しだ……全力で戦おうぜ!」

 

ネモ

「もちろん! 見ててねアオイ、これが《テラスタル》!」

 

 ネモの右手には《テラスタルオーブ》……それを彼女は左手で抑えると、オーブが突風とともに激しく発光! 辺りが暗くなり、止めどない光の奔流がオーブに収まる。

 

 そして眩い《テラスタルオーブ》を再びのへたっぴ投法でパモへと投げつけた——解放されたテラスタルエネルギーを受け、パモのテラスタイプが覚醒する!

 

パモ

「パモ————っ!!」

 

 頭に電球のような冠を——パモはでんきタイプに《テラスタル》した!

 

イレギア

「おおおおおおおおおおおお!! これが《テラスタル》……まぶしっ! だがそれで焦るようなオレたちじゃねえだろイキリンコ! 張り切ったお前のパワーを見せてやれ、『でんこうせっか』だっ!!」

 

イキリンコ

「『デンコウセッカ』ダ!」

 

 イレギアの命令を復唱しながらイキリンコを一層強く羽ばたいて、ノーマルエネルギーを纏った脅威のスピードでパモへと突っ込む!

 

 イキリンコの特性は【はりきり】。攻撃が1.5倍になり破格のダメージを叩き出す……

 

ネモ

パモ! 『でんきショック』!」

 

イレギア

「受け止められるかな! オレのイキリンコは——」

 

 

パモには あたらなかった!

 

 

イレギア

「——ありゃ?」

 

 ……ただし、【はりきり】は命中率が0.8倍になってしまうのだ。

 

パモ

「パモっ!」

 

 隙だらけになったイキリンコに、パモが両頬を肉球で擦って蓄えた電気が襲いかかる!

 

 

イキリンコ

「アババババ〜〜〜〜ッ!!」

 

 

こうかはばつぐんだ!

 

 

きゅうしょに あたった!

 

 

イレギア

「イキリンコ〜〜〜〜ッ!!」

 

 テラスタル一致×弱点×急所=相手は死ぬ。

 

 黒焦げになったイキリンコは当然の如くきぜつ。あえなくモンスターボールに戻されることになった。

 

 

ポケモントレーナーの ネモに 敗北した……

 

 

イレギア

「ちっ、くしょーっ!!」

 

したっぱA

「まあ、こうなりますよね……」

 

アオイ

「勝負あり! 勝者……ネモ!」

 

ネモ

「いい勝負だったね! また2人で戦ろうよ!」

 

イレギア

「そりゃあもちろん! ……んで、次こそ俺が勝つ! だがその前に……おいお前!」

 

アオイ

「え……わ、ワタシ?」

 

イレギア

「ああそうだぜ。こうなりゃ『やつあたり』だ! 憂さ晴らしと行きまスター!!」

 

アオイ

「ええ~……!?」

 

ネモ

「いいじゃんアオイ、それにまだ《テラスタル》使ってないんだからさ!」

 

アオイ

「そうだけど……わわっ、押さないでったら!」

 

ネモ

(次は……か)

 

 ネモはいつもの笑顔では無かった。けれど、悪いものではなかった。

 

ネモ

「それじゃあ位置について! 勝負、開始ー!」

 

 思わぬ邂逅。偶然が呼んだイレギュラーな存在。

 

 けれどバトルを通じて理解した——きっと彼も、わたしの希望になってくれるような人だ。

 

ネモ

(実るのが楽しみだな~!)

 

 彼女は期待とともに腹の奥底から元気にバトルの開始を告げた。



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2.それなら俺も《テラスタル》!?旅立ちのマルチバトル!!

 

 

 

—アップルアカデミー 食堂—

 

 

 

イレギア

「うげえ…………」

 

したっぱA

「いつまでイジけてるんですか先輩」

 

 昼間の食堂にて2人のスター団が並んで席についていた。

 

 しかし着崩した制服、ヘルメットに星型のゴーグルというあからさまなスター団の衣装なため周りの席には誰もいない。

 

したっぱA

「ほら、ピクルスサンドちょっと分けますから元気出してください」

 

 机に突っ伏したイレギアに彼女が自身のサンドイッチを千切ろうとしたところ、彼から待ったとばかりに手を向けられる。

 

 ちなみに彼女の方はヘルメットもゴーグルもしていない。室内だし。

 

イレギア

「それは要らねえぜアヤセ。後輩に奢られるほど俺は落ちぶれてないし、与えられた量がビョードーじゃないのはしっくりこない」

 

アヤセ

「はあ……ホント、変なトコでしっかりしてるんですから」

 

イレギア

「それとピクルスサンドってあんま好きじゃないし」

 

アヤセ

「絶対それが理由じゃん。ていうか昼からピーナッツバターサンドって……」

 

イレギア

「あー! お前それは食差別だぜーっ!? スター団の掟を破ってるとして何処ぞのボスに言いつけて——」

 

イキリンコ

「『デンコウセッカ』ダ!」

 

イレギア

「ほげえぇぇぇ~~~~っ!!」

 

 イレギアの懐から飛び出たイキリンコが彼の額に『でんこうせっか』を放つ!

 

 後ろの壁にぶち当たったイレギアが額を押さえて蹲った。他の生徒らがちらりと伺うも、大して気にせずそれぞれの会話に戻っていった。

 

イレギア

「——ったぁぁぁ…………っ!」

 

アヤセ

「どっから出てきたイキリンコ……てかあたしも、出てきてシルシュルー」

 

シルシュルー

「シュルシュルー」

 

イレギア

「ちぇっ……出てこいヤングース」

 

ヤングース

「グー!」

 

 イレギアがイキリンコに軽く舌打ちし、もう1匹の仲間であるヤングースをボールから呼び出し……

 

イレギア

「指を噛むな!」

 

 出てきて早々に指を噛みつかれる。このヤングースの癖のようなものである。

 

 個性豊かな仲間に翻弄されながらも、イレギアは再び席について両手を合わせた。

 

イレギア アヤセ

「「いただきます!」」

 

イキリンコ

「イタダキマス!」

 

ヤングース

「グーグー!」

 

シルシュルー

「シュルルー」

 

 そうして2人と3匹は各々のサンドイッチにガブリつき、舌鼓を打っては顔を綻ばせた。

 

イレギア

「それにしても……だ。あのアオイとかいうヤツ」

 

アヤセ

「そういえばさっき食堂の入り口で校長と話してましたね。校長とコネまであるなんて何者……」

 

イレギア

「それもそうだが——《テラスタル》だ」

 

アヤセ

「《テラスタル》……かあ」

 

 《テラスタル》とは、ポケモンに眠る『テラスタイプ』という固有のタイプを呼び起こす……パルデア固有の現象である。

 

イレギア

「ネモにせよあのアオイとやらにせよ、《テラスタル》がなけりゃあいつらには勝てねえ……つまりだ! あれがあれば勝てるってことだ!!」

 

アヤセ

「いやいやそれは飛躍しすぎでしょ……」

 

イレギア

「へっへっへっ……流石に俺もそこまでバカじゃあねえ。策はあるぜ」

 

アヤセ

「……くだらなかったら即イヤホンしますからね」

 

イレギア

「そんなこたあさせねえぜ。そもそも《テラスタル》の使用には特別授業と、その後の試験に合格する必要がある。まずはそれを宝探しが始まるまでの数日で終わらせる!」

 

アヤセ

「……その方法は?」

 

イレギア

「死ぬ気で!」

 

アヤセ

「…………アホらし」

 

イレギア

「おいおいおいおい! イヤホン取れって! ぜってーアヤセって『ザ・ドガース』聞くから周りの音シャットアウトだろ」

 

アヤセ

「そりゃーもちろんですとも! ああホミカ様……その御姿を肉眼に収めてあたしはそのまま安楽死ぬんだ……」

 

イレギア

「……アヤセにはどく組がお似合いだよ。それよかだ……死ぬ気でやれば人間なんとでもなるんだよ。親父だってそうだった」

 

アヤセ

「親父って……確か先輩のお父さんってタクシードライバーですよね? まあ空飛んでたら命の危険は毎回でしょーけど」

 

イレギア

「ちがうちがう。そんな程度じゃ済まないことを乗り越えたんだ親父は!」

 

 サンドイッチを腹に収めたイレギアは父親の武勇伝を朗々と語り出した。

 

 

 

 

 

 時は——とにかく過去に遡る……

 

 

 

 

 

アヤセ

「だいぶ曖昧ですね」

 

イレギア

「うるせっ」

 

 パルデアの大穴の内部にて一人の子どもから連絡を受けたタクシー会社。

 

 泣きじゃくるその子どもを助けたいのはやまやまだが、大人ですら近づくことが困難なパルデアの大穴。とても立ち入れる場所ではない。

 

 

 

「素行が悪かろうが何でもいい! とにかく運転の上手いやつを呼べ!」

 

 

 

「それよか腕っぷしのある奴だ! どうしたって強いポケモンとの遭遇は避けられない!」

 

 

 

「そもそもエリアゼロだろ? 上司が許可出すのか……?」

 

 

 

「それに大穴付近はガブリアスやジバコイルの縄張りだ……万が一そこを抜けたとして今度はエリアゼロ、何が起こるか分かったもんじゃない……!」

 

 

 

 悲痛に叫ぶ彼を助ける気持ちは誰もが持っている。しかしそこへ辿り着くためのあと一歩が出せないでいた。

 

 

 

「——俺が行きます」

 

 

 

 そんな時、一人の男が手を挙げた。

 

 それこそがイレギアの父親であった。

 

「それじゃあ、頑張ってくれよ……!」

 

「はい……! ——やってやるぞ……!!」

 

 命に関わる書類を書きに書き、偉い人との固い握手を交わした彼は肩を震わせて大穴へと向かう。

 

 危険な仕事をこなす理由はただ一つ——『バカなことをしでかしたその子どもに説教をしてやる』ためだ。

 

「俺たちを舐めるなよ大自然!! イキリンコども気合入れろ——【いかく】で弱っちい奴らには近づかせるな! 【はりきり】すぎるくらい張り切りやがれ! 【ちからずく】でこんな奴ら潜り抜けろ! 【こんじょう】で突っ走れええええええええええ!!!」

 

 たかがそれだけのために彼は大穴付近を飛び回るガブリアスから避け、監視するように浮遊するジバコイルから逃げまくった。

 

 大穴の中での出来事を彼は語らないが、イキリンコたちの協力もあって助けを求めた子どもを、深く傷ついた彼のポケモンを救い出したのである。

 

イレギア

「そのまま近場のポケモンセンターへと再び飛び立った——それを聞いて俺は心の底から理解したよ……人間、ココで決めたことをやり切るためなら、それこそ死ぬ気になれるってな!」

 

 彼は胸を叩いては感極まって泣いてすらいた。

 

 イキリンコはうんうんと頷き、ヤングースは理解しているのか目を輝かせている。

 

 しかし一方のアヤセはどうにも苦い顔をしており……

 

アヤセ

「…………ものすごーくいい話なんですがね?」

 

イレギア

「なんだよアヤセーっ。親父にまで文句言うもんなら残ってるサンドイッチ食っちまうぞ」

 

アヤセ

「いえいえ……いや、お父さんはそれはもう勇敢で、まさに英雄? ……って方ですけど…………先輩ってむしろその泣きじゃくってる子ども側では?」

 

イレギア

「なんだとこの野郎!」

 

 イレギアが拳を振りかぶってアヤセに詰め寄り、イキリンコが『でんこうせっか』の準備を、ヤングースが隣のシルシュルーのサンドイッチに手を出し始めていた……その時だ。

 

???

「なあその話、本当のことか?」

 

 対面の席から一人の青年が話しかけてきた。

 

 立ったままのその青年は彼の上半身ほどの大きなリュックを背負っており、ブロンドの長髪で右目が隠れている。

 

イレギア

「ん? どーしたよペパー……ああ食堂で騒ぎすぎちまったな、悪い悪い」

 

アヤセ

「先輩、知り合いですか?」

 

イレギア

「知り合いってか……同級生。最近はあんまし学校で見なかったが、そういや久しぶりだな! 今までどこ行ってたんだよ〜」

 

ペパー

「質問に答えろ。その……タクシードライバーの話、本当か?」

 

イレギア

「おいおいおいおい……まさかこういう感動話って全部嘘だと思う派か? ファミリー映画見ても泣かないタイプだろー?」

 

ぺパー

「…………質問に答えろ」

 

 ペパーは眉を一層ひそめ、声を一段低くしてイレギアに詰め寄る。

 

イレギア

「わかったわかったって……茶化して悪かった! 本当だぜ大マジ! 今から親父に電話したっていい! そんくらいマジの武勇伝だっ!!」

 

ペパー

「……そうか。分かった。ありがとう」

 

 それだけ言い残して、ペパーはその場を後にする。

 

アヤセ

「なんですかあの人。感じわる~……」

 

イレギア

「まああいつはああいうヤツなんだよ。しかもあいつの——……あっ!!」

 

アヤセ

「うわっ! なんなの次から次に……ちょっと先輩、急にどこ行くんですかー!?」

 

 冷や汗を浮かべるイレギアはペパーの後を追い、食堂の前にて彼を捕まえる。

 

ペパー

「……なんだよ。話はもうないはずだ」

 

イレギア

「そっちにとっちゃあな……——すまんかった!」

 

 冷たく突き放すペパーの前で、イレギアは両手を合わせて大きく頭を下げる。

 

ペパー

「は?」

 

イレギア

「そっちの家庭環境がちょ~……っとヤバめなのにあのネタは流石にダメだわ……! このとおりっ……!!」

 

ペパー

「…………ぷっ」

 

 大袈裟に謝るイレギアに、ペパーは思わず吹き出してしまう。

 

ペパー

「なんだそんなことかよ。別に何も思ってねえから安心しろ」

 

イレギア

「そうか? なら良かったぜ! そんじゃ、そっちはそっちでがんばれよ!」

 

ペパー

「それはそれとして実は——いねえ! せっかくスパイスのこと教えてやろうとしたってのに……まっ、いいか」

 

 見切り発車のイレギアが「悪い悪い」とヘラヘラ笑いながら席に戻る。

 

アヤセ

「急に飛び出して、どうしたんですか一体」

 

イレギア

「別になんでもねえよ。これはそう……男の会話ってヤツだ」

 

アヤセ

「そんな古風な……」

 

イレギア

「よっし! 善は急げだぜ! いくぞイキリンコ、ヤングース。早速《テラスタル》ゲットだぜー!」

 

イキリンコ

「ゲットダゼー!」

 

ヤングース

「ググー!」

 

アヤセ

「ちょっと先輩! いくよシルシュルー——なんか悲しそうだけど……えっ? あたしの残ったやつ食べたいの? いいけど」

 

 アヤセも残ったピクルスサンドをシルシュルーに渡した後にボールに戻して、走るイレギアの後を追いかけた。

 

 ……廊下は走るな? ごもっとも。しかし彼らはスター団、不良生徒である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イレギアが《テラスタル》入手のために奮闘して何日かが経ち……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……冒険の始まる日がやってきた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—アップルアカデミー グラウンド—

 

 

 

クラベル

「それでは、宝探し開始! ……いってらっしゃい!」

 

ネモ

「よーし頑張っちゃうぞー! アオイの成長も楽しみだし、どこまで実るんだろ……!」

 

アオイ

(実る……?)

 

イレギア

「見つけた……待ちなーっ! ネモさんよーっ!!」

 

 解散ムードのグラウンドに駆け込んできたのは2人の生徒……着崩した制服と側面に星の描かれたヘルメット、星型のゴーグルをしている——スター団のしたっぱだった。

 

アヤセ

「なんでっ、あたしも……走ったんだか……っ!」

 

生徒A

「スター、団……?」

 

生徒B

「どうせサボりの奴らが今更なんだ? 生徒会長を呼び出したってことは……何か事件か?」

 

アオイ

「この声どこかで……」

 

ネモ

「イレギア!」

 

 生徒がざわつく中、ネモはただ一人声色明るく彼の名前を呼んだ。

 

ネモ

「こんな時間にどうし……というか、朝礼に参加しないなんてダメでしょ! あとその顔どうしたの!?」

 

イレギア

「へっへっへっ……宝探しが楽しみすぎて寝過ごしちまったぜ!」

 

 見ればイレギアの顔はパンパンに膨れ上がっており、彼のヘルメットに留まっているイキリンコが何故かすごく堂々としていた。

 

アオイ

「『つつく』か、『でんこうせっか』か……」

 

イキリンコ

「『デンコウセッカ』ダ!」

 

アオイ

「賢いなあ」

 

ネモ

「それはわかる! けど気を付けるんだよ?」

 

イレギア

「了解でスター!」

 

 イレギアが服の裾で顔を拭うとすぐさま擦り傷にまで回復。彼が持っていた絆創膏を適当に貼り付けて事なきを得る。

 

イレギア

「後輩も俺を待ってくれたんだ。こんなに嬉しいことはねえぜ!」

 

アヤセ

(言えない……めちゃくちゃサボる気だったけど、先輩に偶然会ったから思わず追ってきちゃったなんて言えない……!)

 

アオイ

(……なんか違う理由っぽい)

 

イレギア

「それはともかくよ~……ジャンじゃじゃーん!!」

 

ネモ

「それって……《テラスタルオーブ》!?」

 

アオイ

「ワタシのものと同じ……本物だ」

 

イレギア

「宝探しのためにようやくゲットしてやったんだぜ! まずは手始めに! ネモ、お前を蹴散らしてやりまスター! そんでその後はアオイだ!!」

 

アオイ

「え~っ、早く冒険に出たいのに~……」

 

ネモ

「あっ! それならマルチバトルはどう?」

 

イレギア

「へえ……面白いとこ突いてくるじゃねえか」

 

アヤセ

(うわっ、なんか嫌な予感……)

 

アオイ

「マルチバトル?」

 

ネモ

「うん! 4人のトレーナーが2人組になって戦う形式のバトルだよ! せっかくここには4人いるし……」

 

アヤセ

「…………やっぱりあたしも戦わないとダメですか?」

 

イレギア

「当然だろ? 俺らのコンビネーション見せてやろうぜ!」

 

アヤセ

「まだ数日の仲なんですけど……」

 

ネモ

「それじゃあ早速始めよっか! 審判は……」

 

クラベル

「それなら、私がやりましょう」

 

 朝礼台から降りていたクラベル校長が、4人に話しかける。

 

 見ればバトルコートから人々は掃けており、グラウンドの周りに立見席を作り出していた。生徒のみならず、先生も数人見られる。

 

ニャオハ

「ハニャ~」

 

 そしてニャオハがクラベルの代わりに台の上でのほほんとしていた。日光浴でもしているのだろう。

 

アヤセ

(かわよ)

 

アオイ

「……クラベル校長、あのニャオハは?」

 

クラベル

「おっと私のです。どうやらいつの間にか出て行ってしまったようですが……あのままでも良さそうですね」

 

 クラベルが咳払いをして「それはともかく」と話を戻す。

 

ネモ

「それならお言葉に甘えて……行くよアオイ!」

 

アオイ

「なんだかいつの間にか選択肢がなくってるけど——」

 

アヤセ

「断れるムードじゃないわよねえ……」

 

イレギア

「よっしゃあ! 2人まとめてぶちかましてやりまスター!!」

 

 戦闘開始に合わせてイレギアが見事なポーズを披露する! ……それを横目に見ながら少し遅れてアヤセが披露し終えた。

 

ネモ

「みんな! 実りある勝負をしよう!!」

 

 

 

 

ポケモントレーナーの ネモと アオイに 勝負を しかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

ネモ●●○○○○&アオイ●●○○○○

VSイレギア●●○○○○&アヤセ●●○○○○

 

 

 

 

アヤセ

「うんうん。やっぱこのBGM良いわ~」

 

アオイ

「どこから流れてるんだろ」

 

ネモ

「いけっ、ホゲータっ!」

 

アオイ

「っとと、出番だよクワッス」

 

ホゲータ

「ホゲゲー」

 

クワッス

「クワッパ!」

 

イレギア

「任せたぜヤングース!」

 

アヤセ

「お願い、ウパー!」

 

ヤングース

「グーグー!」

 

ウパー

「ウパー!」

 

イレギア

「……ウパーだあ? いつの間にゲットしたんだよ!」

 

アヤセ

「そりゃあサボ……先輩が授業受けてる間、暇してたんですから仲間だって増えますよ」

 

イレギア

「そっか。まあそういうこともあるわな!」

 

アヤセ

(こんなんで納得されんだ……)

 

クラベル

「それでは勝負……始め!」

 

 クラベルがその手を下ろした瞬間、イレギアは白い歯を見せびらかせ、懐から《テラスタルオーブ》を取り出した。

 

イレギア

「開幕速攻! 初の《テラスタル》はお前に決めたぜヤングース!!」

 

ネモ

「おっ、さっそく来ちゃう!?」

 

 イレギアはヘルメットに付けていた星型ゴーグルを装着し、嬉々として《テラスタルオーブ》のスイッチを起動した! 何が起こるかよく分かっていないが、アヤセも続いてゴーグルを装着する。

 

イレギア

「うおおおおおおおおおおおおおおおお————っっ!!?」

 

 オーブから突風が吹き荒れ、さらに眩い光の奔流が収束していく。

 

 暗くなったグラウンドの中、イレギアは両手でしっかりとオーブを握りしめて離さまいと食らいついた!

 

アヤセ

「先輩っ!?」

 

イレギア

「——だらっしゃああああああ! 受け取れヤングースゥ~~~~ッ!!」

 

 勢いよく投げられた《テラスタルオーブ》からエネルギーが解放され、受け取ったヤングースの中のテラスタイプが覚醒する!

 

ヤングース

「ググググー!!」

 

 大きなダイヤモンドのような冠——ヤングースはノーマルタイプに《テラスタル》

 

イレギア

「うっひょーっ! 何度見ても眩しーぜ!! ぶっかましてやれヤングース! クワッスに『たいあたり』っ!!」

 

ヤングース

「グッググー!!」

 

 イレギアの真っ直ぐな命令に従い、ヤングースは体内のノーマルエネルギーを更に活性化させてクワッスへと突っ込んでいく!

 

ネモ

「いいねいいね! ホゲータ、『ひのこ』で妨害!」

 

ホゲータ

「ホゲー!」

 

アオイ

「クワッス、向かい討って『みずでっぽう』!」

 

クワッス

「クワー!」

 

 相手の2匹は考え無しに突撃してくるヤングースに向けて総攻撃を仕掛ける——

 

アヤセ

「まったくもー……ウパー! 庇ってあげて!」

 

ウパー

「ウパウパー!」

 

 ——しかし赤と青の射線に入りこんだのは泥色……アヤセのウパーが2つの攻撃を同時に受け止める!

 

 攻撃の衝撃で砂埃が発生。その煙の中、ただ一直線に突っ込んでいたヤングースがクワッスの眼前に迫っていた!

 

ヤングース

「グガー!!」

 

クワッス

「クワワッ!!?」

 

 自分とほとんど同じ体重のヤングースの全力の『たいあたり』! クワッスはバトルコートの端にまでふっとばされてしまう!

 

ネモ

「やるねえ……ふふふっ」

 

アオイ

「まさかこんな戦い方が……でもウパーの方は——」

 

アヤセ

「そうでも、なかったり~?」

 

 砂埃が晴れ、その中心地に居るウパーが姿を表すが……

 

ウパー

「ウパー!」

 

ホゲータ

「ホゲー?」

 

ネモ

「ちょっとしか効いてない? そっか、特性が……!」

 

アヤセ

「そーよ! あたしのウパーは【ちょすい】……あんたの攻撃の分、みずタイプの技で回復してやったんだから!」

 

 ヤングースがウパーの傍にまで戻って再び体勢を整える。

 

アオイ

「どうやら一筋縄じゃ行かないみたいだね……」

 

ネモ

「だね! ……でもっ、わたしたちも負けてられないよ!」

 

アオイ

「もちろん!」

 

ネモ

(それに……)

 

生徒C

「やれやれー! スター団たちー!」

 

生徒D

「これってもしかして……もしかするんじゃない!?」

 

ネモ

(わたしのポケモン勝負で歓声が上がってる! 懐かしい感覚っ……全力で戦いたい!)

 

 ネモの口元が自然と緩み、笑顔を形作っていた。

 

 こんな勝負が、もっとたくさん出来るようにと祈って——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——そして……

 

イレギア

「ぐおー…………戻れ、イキリンコ」

 

イキリンコ

「モドレ、イキリンコ……」

 

クラベル

「そこまで! 勝者、ネモさんアオイさんチーム!」

 

 

ポケモントレーナーの ネモと アオイに敗北した……

 

 

アヤセ

「あたしも《テラスタル》すれば……?」

 

イレギア

「ちっくしょーっ! あともうちょいだったのによーっ!!」

 

 結果はネモとアオイの大勝利。アオイに至っては1匹もポケモンを倒されずに勝ち星を上げた。

 

生徒E

「ま、結局こうなるよな」

 

生徒F

「行こ、宝探しに出遅れちゃったし……」

 

 実にあっけない最後だったらしく、観客はため息まじりにグラウンドから出ていく。

 

 それでも少なからず賞賛の声はあり、拍手もまばらながら響いている。

 

ネモ

「いい勝負だったね!」

 

 うっすら汗を浮かべたネモがイレギアにまで足早に近づき、彼へと握手を試みる。

 

イレギア

「ああ! だがっ、次は俺が勝ってやるからな! そんなわけでお疲れ様でスター!!」

 

アヤセ

「ちょっ、ちょっと置いてかないでくださいよ先輩ー!」

 

 彼は手早く握手を交わすと、捨て台詞を吐いてグラウンドから飛び出していった。

 

ネモ

「またっ! 勝負しよーねー!!」

 

イレギア

「おーう!」

 

 ネモの大声に応えるように叫びながらイレギアは姿を消してしまっていた。

 

ネモ

「……それじゃっ、わたしたちも行こっか宝探し!」

 

アオイ

「うん!」

 

クラベル

「2人とも、お気をつけて」

 

ネモ アオイ

「「はーい!」」

 

 

 

 ——アップルアカデミー 校門前

 

 

 

イレギア

「よーし! まずはジム攻略! ここから一番近いセルクルタウンまで頼むぞモトトカゲ!!」

 

モトトカゲ

「アギァァ!」

 

 イレギアから放たれたモンスターボールよりモトトカゲが現れる。

 

 首元にハンドルだけが取り付けられていたが、おそらくこの宝探しでバチバチに改造されるのだろう。

 

アヤセ

「…………」

 

 しかしスター団の衣装になったアヤセはモトトカゲを繰り出さなかった。

 

イレギア

「……どーしたよアヤセ。見送りならサンキューな!」

 

アヤセ

「いやあ、その……」

 

イレギア

「もしかして一緒に来てくれるのか!? そりゃあ心強いぜ!」

 

アヤセ

「ま、まあそういうことになりますね……正直、先輩にはスター団に入れてくださった恩が……いや恩って言えるだけのことはしてもらってませんけど、ひとりぼっちの学校生活のあたしを気にかけてくれてることは嬉しいですけど……その…………」

 

イレギア

「なんだようじうじうじうじ……アヤセらしくねえ。それに助けたのはスター団としてトーゼンなことだぜ? まあその本分を知らねえヤツは結構いるみたいだがな!」

 

アヤセ

「ははぁ……そんな先輩に、えと、さらに迷惑かけるかもですけど…………——モトトカゲってリーグに申請して借りるんですね」

 

イレギア

「そりゃあな。元々持ってるヤツ以外は…………なるほど」

 

アヤセ

「あはは……それで…………あの……」

 

イレギア

「もちろん! 困ってる後輩の頼みは答えまスター!!」

 

イキリンコ

「マスター!!」

 

 アヤセの煮え切らない態度にイレギアは迫真のスター団ポーズで返事をする。イキリンコもいつの間にか彼の頭に留まって真似ていた。

 

イレギア

「面白そうだぜ二ケツでパルデア制覇! それに考えてみたら、ポケモンだけに俺の輝かしい軌跡を見せるのは偲びねえ……もっとちゃんとした観客が必要だ!! なんせ、俺の宝は『人気者になること』だからな!!」

 

アヤセ

「先輩…………こういう時は、やっぱり先輩みたいのが居てくれて良かったって思いますよ。こういう時だけは」

 

イレギア

「しょっちゅう思ってろ! まあいいや……よっしゃモトトカゲ! 2人分頑張れよーっ!!」

 

モトトカゲ

「アギャギャ!!」

 

 四足歩行になったモトトカゲにまずはイレギアがどかっと座ってハンドルまでの距離を調整する。その数秒後にはアヤセへと手を差し伸べる。

 

イレギア

「見せてやるぜ! キラッキラな青春ってのをよっ!!」

 

アヤセ

「……それ、あたしを勧誘した時にも言いましたよね? ——うわっ」

 

 アヤセは苦笑まじりに彼の手を取り、思いっきり引かれたのに少し驚きながらも彼の後ろに陣取った。イキリンコはイレギアの頭に留まっている。

 

イレギア

「名言は使ってこそだぜ。そんじゃゴーグル装着! ——いってえ!」

 

アヤセ

「そんな引っ張るからですよ。……装着!」

 

イキリンコ

「ソウチャク」

 

 してはいないが、イキリンコは敬礼のポーズを取る。

 

イレギア

「見てろよネモにアオイ、そしてその他のヤベーヤツら!! 俺が通るぜえぇぇぇぇぇぇ————!!」

 

モトトカゲ

「アギャ〜〜〜〜っ!!」

 

 号令に従ってモトトカゲが駆け出す!

 

 アヤセが振り返ると、そこにはアップルアカデミーの校章が……緑色を基調としたリンゴが門に飾られていた。

 

アヤセ

(特に思い残すこともないけど、とりあえず……いってきます)

 

 

 

 

 

 ——かくしてそれぞれの冒険が始まった。

 

 

 

 

 

 それぞれの想いを胸に、それぞれの宝を探しに、広大なパルデア地方での物語が幕を開ける!

 

 

 

 

 

先生A

「階段はポケモンから降りてくださ〜い」

 

イレギア

「…………ウッス。——ほげぇっ!!」

 

アヤセ

「ああ……(ついていく人、間違えたかなあ)ナイスイキリンコ」

 

 大体はこんな調子である。




イレギアの父親の元ネタ https://youtu.be/Mil51afXSVY

アヤセちゃん要るのかって? ……一人旅ってなんか寂しいじゃん。それとナレーションでイレギア君のバカさ加減にツッコミいれるのもいいけど、やっぱりその場にいる人が対応してほしい感がある。この2人でのカップリングは成り立たせない(迫真)


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3.崖下からのニューカマー!?迷いの果ての謎と謎!

 冒険の始まりとともにモトトカゲをぶっ飛ばしてセルクルタウンを目指すしたっぱ2人組だったが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—南1番エリア 崖—

 

 

 

イレギア

「どこだココ~~~~ッ!!」

 

 文字通りの崖っぷちに立ったイレギアが声の限りに叫んだ。

 

イキリンコ

「ドコダココー!」

 

 彼のヘルメットに留まったイキリンコもまた復唱する。

 

アヤセ

「……あたしたち、思いっきり出る門間違えたんじゃないですか? 本当だったらすぐにオリーブ畑があるはずなのに……というか灯台見えますよ」

 

 彼女の言う通り、初っ端からテーブルタウンの南門から出発してしまったことから意図していない場所にまで到達してしまったのだ。

 

アヤセ

「うわ……いつの間にか南エリアの端っこにまで来てた。まだそんなに時間経ってないのに……」

 

イレギア

「へっへっへっ……!」

 

 アヤセがスマホロトムの地図機能を見て驚いていると、耳ざとくイレギアが捉えて不敵な笑みを浮かべる。

 

イレギア

「そらあもちろん、俺が選んだモトトカゲだからな! イキリンコだってヤングースだって俺がビビッと来たからこうして手持ちにいるのさ!」

 

アヤセ

「選んだってことは……みんな野生で捕まえたポケモンじゃないんですか?」

 

イレギア

「そーよ。イキリンコはガキの頃、親父からの誕生日プレゼントとしてな。空飛ぶタクシーで働く予定だったうちの1匹をくれたんだけど……その中でミョーに気に入ったからさ、コイツにしてもらったんだ。そしたら親父か『そいつはこの中で一番速いぞ』ってさ~!」

 

イキリンコ

「ハヤイゾー!」

 

 イキリンコもイレギアの頭の上で誇らしげに翼を広げていた。

 

イレギア

「ヤングースは学校の決まり事でポケモン1匹くれるだろ? そんときに選んだ。アヤセはシルシュルーだろ?」

 

アヤセ

「ええまあ……」

 

イレギア

「そういや最初来た時はそりゃあもう凶暴だったなあ。ボールから出した先生を噛みつこうとしたり」

 

アヤセ

「なんでそんな凶暴な子を選ぼうと?」

 

イレギア

「言ったろ? ビビッと来たって! そりゃ先生たちにもダチからもやめとけって言われたけど、何度か噛みつき合いとぶつかり合いのケンカしてるうちに友情が芽生えたぜ!」

 

アヤセ

「そんな古風な」

 

イレギア

「モトトカゲもたっくさんいる中で心を通わせたモトトカゲを借りるって感じだったんだが……なんとっ、俺のモトトカゲはその中でもいっちばん優秀な個体だったらしいぜ! だから昼前にこんなとこにだって到着できちまうワケだ!!」

 

アヤセ

「思いっきり道間違えてますけどね」

 

イレギア

「いやいやいやいや。正しい道を行くだけじゃ人生楽しめないぜ? こういう瞬間にこそ出会いってのはある! ……と思う!」

 

アヤセ

「……タクシー呼んどきますね」

 

イレギア

「そんな早まるなって」

 

アヤセ

「こんな崖っぷちで出会いも何もないでしょ……」

 

イレギア

「いやっ、もしかしたら崖下から何か出てく——」

 

 

 

 

 

 潮風薫る崖の下を指差すイレギア……その下から怪しい影が彼に迫っており——!?

 

 

 

 

 

イレギア

「るるるるるるゥぅぅぅぅぅぅ~~~~っっっ!!!??」

 

イキリンコ

「ルル~!?」

 

 イレギアの顔面に生臭い何かが激突! 驚いた頭のイキリンコが離脱し、彼はそのまま地面にぶっ倒れ、タクシー会社に電話をかけようとしていたアヤセはさらに打ちあがった影を見上げる……

 

???

「コココ……」

 

 赤いボディ、冠のような黄色いヒレと雄々しい金の髭。太陽を背に受ける流線型——

 

アヤセ

「コイキング……? ——うわっ」

 

 訝しげに見つめていた一匹のさかなポケモンが彼女の足元にまで落下する。

 

コイキング

(ビチ……ビチ……)

 

 その後は草の上で弱々しく『はねる』を繰り返していた……アヤセがスマホロトムで図鑑を起動させる。

 

アヤセ

「うん……図鑑でもコイキングだけど、え、どっから?」

 

イレギア

「ほらなっ! 崖下から現れたぜ新たな出会い!!」

 

アヤセ

「先輩ノーダメ!?」

 

イレギア

「へっへっへっ……日々イキリンコとヤングースにどれだけ鍛えられてると思ってんだよ」

 

アヤセ

(あれって鍛えられてたんだ……)

 

 イレギアの頭に再び留まったイキリンコがなぜか誇らしげに胸を張っている。

 

アヤセ

「崖下って……——あっ。下の海岸でコイキングの群れが跳ねてる……」

 

イレギア

「そのうちの一匹がイキが良すぎてここまで跳ねちまったんだろうな」

 

アヤセ

「そんなことあります? それに……」

 

コイキング

(ビチ……ビチ……)

 

アヤセ

(こっちもノーダメって感じ……コイキングの生命力すご……)

 

イレギア

「よし! こいつを記念すべき初ゲットポケモンにしてやるぜ!!」

 

アヤセ

「は、はあ……」

 

 理解の追いついていないアヤセを置いて、イレギアはモンスターボールを構える。

 

イレギア

「こんなとこまで高く飛べるんだ、俺にとっても更なる飛躍! 命しぶとくスクールカーストも駆けあがってやるぜーっ!!」

 

コイキング

「ココ……——」

 

 跳ね続けるコイキングはぶつけられたモンスターボールに吸い込まれ、三度の赤い点滅……『カチッ』と音が鳴って捕獲を知らせる。

 

イレギア

「よっしゃ、初めての野生ポケモンだぜ! へっへーん、どうよ! 回り道もいいもんだろ~!?」

 

 拾い上げたコイキングのモンスターボールをアヤセに見せつけるも、彼女はなんだか思案顔であった。

 

アヤセ

「…………毎度気になるんですけど」

 

イレギア

「ん? どーした? ……ははーん、今日の天気のことか。それならこの辺はずっと快晴だぜ!」

 

アヤセ

「それも気にはなりますけど——先輩って、なんでスクールカーストについて異様に拘ってるんですか?」

 

 『最初にネモさんと出会ったときもそう言ってましたし』と付け加えると、イレギアは全く考えることもなく口を開いた。

 

イレギア

「んなもん決まってんだろ? みんなにちやほやされたいからだよ」

 

アヤセ

(予想の10倍くだらない答えが来た……)

 

イレギア

「人気者になってちやほやされる……それが俺の宝でもある! そしてポケモン勝負が強いってことはそれだけで人気者になれる! ネモだって生徒会長だろ? 信用も生まれる……つまりっ! 確固とした人生の勝利だ!!」

 

アヤセ

「ネモさんが人気者……」

 

 その言葉に少しだけ引っ掛かるも、まあそうかと納得する。

 

アヤセ

「それじゃあスター団に入ったのって……」

 

イレギア

「それはどっちかっていうと……1年前のことだが、生徒が集まってなんか面白そうなことやっててよー。『スター大作戦』? もうめちゃくちゃ楽しそうだからノリノリに参加してやろうって思ったのさ」

 

アヤセ

「徹頭徹尾初見なんですけど……なんです『スター大作戦』って」

 

イレギア

「知らん」

 

アヤセ

「……他の先輩に聞こう」

 

イレギア

「スター団の勧誘も元々は『スター大作戦』の仲間集めがきっかけらしくてな。今はなんかひとりぼっちのヤツらを適当に見繕って勧誘してるって感じだったな」

 

アヤセ

「なんて迷惑の押し売り……あたしは今ならありがたく思ってますけど」

 

イレギア

「せっかくここまで来たんだ。後輩にぜひ見てほしい場所がある!」

 

アヤセ

「……今度は道間違えないでくださいよ」

 

 

 

 

—朽木の祠前—

 

 

 

???

「カ……キ……」

 

 紫色に淡い点滅を繰り返す大きな円盤と、それをバッテンで縛る同じく大きな鎖。

 

 岩肌に嵌められた異質なものの前に学生服の少女が1人、ポケモンに乗ったまま指で顎をさすっていた。

 

アオイ

「なんだろ……この裏から声? が、聞こえる……? 気のせいかな……コライドンは聞こえる?」

 

 彼女が質問を仰いだのはライドポケモン。モトトカゲ……ではない。

 

 それよりも大型で赤く荒々しいフォルムをしており、頭部のウォーボンネットを思わせる羽根状のトサカが特徴的。そしてそこからは一対の一際長いハンドルの様な突起が生えているため、似た生態ではあるだろうがモトトカゲとは全くの別種だろう。

 

コライドン

「アギャ……アギャ?」

 

アオイ

「聞こえないか……うーんなんなんだろこれ」

 

???

「おおっ!? そいつに目をつけるとは中々いい目をしてやがる!」

 

 ふと、空気をぶち壊すような明るい声が響き渡る。

 

アオイ

「…………聞いたことのある声がする」

 

 祠に向けた視線をおそるおそる後ろに向けると……やはり彼がいた。

 

イレギア

「ようアオイ! さっそくだがバトルでスター! ネモに匹敵するお前を倒せば、俺の人気はコイキング登りでス……タ…………」

 

 彼はゴーグルを付けたままモトトカゲから降りて、さっそくモンスターボールを構える……

 

アオイ

「どうしたの?」

 

 ……しかし、彼は息を呑んで硬直する。

 

コライドン

「アギャ?」

 

 小首を傾げるアオイとコライドン、それに対してイレギアはゴーグルを外してコライドンをマジマジと見つめ……

 

イレギア

「かっ…………けぇ〜〜〜〜!!」

 

アオイ

「え?」

 

 双眸を輝かせてそう叫んだ。

 

イレギア

「なんだよこのポケモン!? どこで捕まえたんだよー!!」

 

アオイ

「ええと海岸で……じゃなくてこの子はコライドンって言って、なんだろ……特別な、ポケモン……?」

 

 詰め寄るイレギアに辟易しながら、アオイはなんとかして言葉を紡ぐ。

 

コライドン

「アギャ? アギャギャ??」

 

アオイ

「うおっとと……降りた方がいっか」

 

 コライドンは自分を取り囲むイレギアに興味でもあるのか、子犬めいた視線で彼を追っている。

 

アヤセ

「あれ……図鑑に載ってない。新しいポケモンとかですかね……?」

 

イレギア

「そんなこたあなんだっていいぜ!! ちっくしょーっ、珍しいポケモンは人気者になる要因の一つ! バトルで勝ったらそのコライドンとやらをもらいまスター!!」

 

 改めてイレギアはアオイに向けてボールを向ける。

 

アオイ

「渡すのは絶対嫌っ。でも……バトルなら受ける!」

 

 アオイもまた大見得を切って、イレギアに向けてボールを構えた。

 

アヤセ

「それじゃあたしが審判で……っとと? 頭に……——」

 

イキリンコ

「シンパン!」

 

 とても誇らしげなイキリンコがゴーグルを外したアヤセのヘルメットの上に留まっていた。

 

アヤセ

「あー……頭に留まると首が疲れるからモトトカゲの方に留まってくれません?」

 

イキリンコ

「…………(ばさっ)」

 

 とても不服そうにモトトカゲのハンドルに移った。

 

 イキリンコの体重は平均2.4kg。だいたいキャベツ2個分である。

 

アオイ

「あっ、自己紹介まだだったっけ? ——ワタシはアオイ! 宝探しはとりあえず、パルデア中を旅していろんなポケモンに出会うこと!」

 

イレギア

「立派な目標だな! 俺の宝は人気者になることだぜ! アオイはその足がかりになるんでスターっ!」

 

 それはそれとしてイレギアが迫真のスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝負を しかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

アオイ●●●○○○VSイレギア●●●○○○

 

 

 

 

アオイ

「出てきてハネッコ!」

 

ハネッコ

「ネッコ!」

 

 アオイから元気なハネッコが放たれ、ふわふわ浮かびながらゆっくり地面に降り立った。

 

イレギア

「クワッス以外のポケモンだな……そんなら俺たちの新たな仲間を紹介しまスター! 出てこいコイキング!!」

 

コイキング

「コココ……」

 

 対してイレギアが放ったのは草原の上でぴちぴち跳ねるコイキング。

 

アオイ

(…………?)

 

アヤセ

「うわあ見るからに困惑してる。と、とにかく勝負かい——」

 

コライドン

「アギャギャ?」

 

アヤセ

「うわあ謎ポケモン……いやちょっ、なめ……! あばばばば————っ!」

 

イレギア

「へっへっへっ……俺のコイキングを舐めてもらっちゃ困るぜ! 見せてやれコイキングゥ! 『はねる』!!」

 

コイキング

「ココゴッ————!!」

 

 イレギアの命令に呼応してコイキングが天高く飛び跳ねる!

 

アオイ

「えっ……!」

 

 『はねる』というわざはハネッコも覚えるため見たことがある——というかあまりの可愛さにシャッターを切ったほどだが——。コイキングのそれはアオイが絶句するほどの跳躍力。見上げた太陽の光が目に差さり、その姿を見失ってしまうほどだ。

 

アオイ

「なんかまずそう……ハネッコ、『しびれごな』で警戒して!」

 

ハネッコ

「ネ……!」

 

 姿を見失ったハネッコが不安気な鳴き声を上げるもアオイの指示通り黄色い粉を周囲に散布する……それを見たイレギアは不敵な笑みを崩さない。

 

イレギア

「へえ、差し詰め『こなバリア』ってとこか? だがっ、どこに落ちてくるか分かんねえだろ! 俺すらも予測不可能……故にこのコイキングはさいきょ——ぐへっ!!」

 

 彼の真上に落ちてきた。

 

アオイ

「…………えと」

 

コイキング

(ビチ……ビチ……)

 

アオイ

「ハネッコ、『タネマシンガン』」

 

ハネッコ

「…………ネッコ」

 

 容赦は無かった。

 

 

 

 ——そうして数分後。

 

イレギア

「くっ、戻れイキリンコ……!」

 

イキリンコ

「モドレイキリンコ……」

 

 

ポケモントレーナー アオイに 敗北した……

 

 

イレギア

「ちっしょーっ! また負けでスターっ!?」

 

カラミンゴ

「クァラァ!」

 

 かくとうタイプに《テラスタル》したカラミンゴが、勝利の雄叫びをしたままアオイに戻される。

 

アオイ

「お疲れ様カラミンゴ……やっぱりタイプ相性的にハネッコを交代しておいて正解だったな」

 

イレギア

「ぐおー……つえー……だが! 今回の敗北は認めて、あのポケモンは見逃しといてやるぜ!」

 

アオイ

「負けたって渡しません! ……あれ、コライドンは?」

 

アヤセ

「……こ、ここでぇ…………す……」

 

 顔中をベトベトにされたアヤセが地面に転がったまま苦しげに唸っている。

 

コライドン

「アギャア!」

 

モトトカゲ

「ギャッギャッ!」

 

 一方、犯人であるコライドンはモトトカゲと戯れていた。

 

アオイ

「うわあごめんなさい! ちょっとコライドン!」

 

コライドン

「アギャギャ?」

 

 アオイが呼んだので、モトトカゲから離れて彼女の元に駆ける。

 

アオイ

「むむむむむむ……!」

 

 何も理解していなさそうなコライドンに、アオイは腰に手を当てて見るからに怒って迫ったため、コライドンも驚いてたじろいだ。

 

アオイ

「初対面の人にっ! そもそも初対面じゃなくてもっ、勝手に人の顔を舐めちゃダメだからねっ!!」

 

コライドン

「アギャ…………」

 

 アオイの心情を読み取ったのか、反省したようにコライドンは伏せてしまう。

 

アオイ

「……うん、分かればよろしいっ」

 

 アオイが落ち込んだコライドンを優しく笑いかけると、コライドンもそれを理解したのか起き上がって彼女の顔を舐める。

 

コライドン

「アギャス」

 

アオイ

「うわぁ!? もう舐めないでったら……あははっ!」

 

 笑顔のアオイの一方で——

 

イレギア

「おいおいおいおい、大丈夫かー?」

 

アヤセ

「…………いったん、顔、洗いたいです……」

 

イレギア

「しゃーねえ。タクシー呼ぶか。——そうだ。待ち時間にいいこと教えてやるぜアオイ!」

 

アオイ

「ちょっと待ってねコライドンっ……ん、よし。それで……いいこと?」

 

 柄にもなく真面目ムードのイレギアだったので、それを察したアオイはコライドンを静止させて聴くことにした。

 

イレギア

「そうだぜ! 先輩として後輩を育てるのは当然のことだからな。とは言ってもこのことはいずれ授業で教わるだろうが……この祠にはなんでも、ものすごーくヤバめなポケモンが封じられてるんだとか」

 

アオイ

「ポケモン?」

 

イレギア

「ああ。なんでも大昔に……——何があったかは授業を楽しみにしてろ〜? で、今でもその封印の力は保たれてるからこのままで大丈夫だが……悪ふざけでもこの封印に必要な杭だか楔だかは抜いたりするなよ?」

 

アヤセ

「先輩が率先してやらかしそう」

 

イレギア

「それは流石にしねえよ。俺は人気者になりたいんだ、目立ちたいだけじゃあねえ。……んまあとにかくだ。アヤセもアオイも、そういうのを見かけたら触れずに、見るだけに留めておくんだ。いいな!」

 

アヤセ

「はーい」

 

イレギア

「うんうんっ! ……っと、こんな風にバトルの後にはトレーナー同士の情報交換が大切だ。冒険中に出会ったトレーナーと戦った後は有力な情報が聞き出せるかもでスター!」

 

アオイ

「確かに……(結構重要な情報かも)。そう言えばイレギアはどうしてこんなところに? ジムの方に行ってると思ったけど……」

 

イレギア

「それはそうだがな。言ったろ、特訓だってな! ……別に迷ってここまで辿り着いたワケじゃねえぜ?」

 

アオイ

(言わなきゃ良いのに……)

 

イレギア

「アオイは知らねえかもだがポケモンの進化にはめちゃくちゃ一緒に歩く必要のあるヤツもいるんだってよ。それを『レッツゴー』で試してたらここまで来たってワケだ!」

 

アヤセ

「……それ結局迷ってるって意味では? そもそも普通に迷っただけですし」

 

イレギア

「うるせー! ……おっと、タクシーが来ちまったな。そんじゃあここらでお疲れ様でスター! ——おーいこっちこっちー!」

 

 イレギアが手早くスター団ポーズを済ませると、空に見えたタクシーに手を振って駆けていく。

 

アヤセ

「あーその、うん。お疲れ様でスター。コライドンちゃんもバイバイねー……」

 

コライドン

「アギャ……」

 

アヤセ

「いやそのっ、別に怒ってるとかじゃないから……えと、元気出して。おやつあげるから」

 

 そう言いながらアヤセは旅の途中で食べようとしていた携帯食を取り出した。いわゆるカロリーメイト(プレーン)で、もちろんポケモンも食べられる。

 

コライドン

「アギャギャ!!」

 

 アヤセの手から受け取った携帯食を一口で食べ、コライドンは満面の笑みを見せる。

 

アオイ

「……コライドンのこと、ありがと」

 

アヤセ

「いやいやそこまでじゃ——」

 

イレギア

「おーいアヤセー! そろそろ行くぞー!」

 

 少し遠くに降りたタクシーの扉に手をかけながら、モトトカゲをボールに戻したイレギアが声を張り上げる。

 

アヤセ

「はーい! それじゃ改めて、お疲れ様でスター!」

 

 彼女自身、憑き物が取れたのか、アヤセは元気にスター団ポーズを披露してタクシーへと駆けて行った。

 

アオイ

「じゃあねー。…………うん。変な人だけど、悪い人じゃないみたい。進化のヒント(?)も教えてくれたし……これからも仲良くするために、あんまり迷惑かけないようにしようねっ」

 

コライドン

「アギャス!」

 

アオイ

「よしよーし! じゃあ私たちも、ジムに行こっか! 確かネモによれば……——」

 

 

 

 

—セルクルタウン 東ポケモンセンター前—

 

 

 

イレギア

「よーしようやく到着だー!」

 

アヤセ

「短いけど、長かったなぁ……」

 

 一度テーブルシティに戻ったあと、今度はキチンと西門から出た2人は一直線にセルクルタウンへと辿り着いた。

 

 日はまだ落ちていない。むしろ真昼間だ。

 

イレギア

「マジで一直線に着くとは思わなかったぜ……まあとにかく! 今度こそジム戦に——」

 

???

「あー! イレギアじゃん!」

 

イレギア

「おおっと! こいつは飛んで火にいるウルガモスっ……予想外の大チャンスでスター!」

 

アヤセ

「それだと逆の意味になりません?」

 

 意気込みに声を挟まれたイレギアは、しかし不快感など一切なくその方向へと振り返った。

 

ネモ

「まさかこんなところで会えるなんて! 早速勝負しちゃう!?」

 

イレギア

「もちろんだぜ! ジムに行こうかと思ったが、その前にアンタから蹴散らしてやる!!」

 

ネモ

「望むところだー!」

 

 

 

 

 

ポケモントレーナーの ネモに 敗北した……

 

 

アヤセ

「まあ、当然というか……」

 

イレギア

「ちっくしょーっ! また負けたぜー!」

 

ネモ

「うんうん! イレギアも強くなってて嬉しい! また戦ろうねー!」

 

イレギア

「あれ、ネモはジムテスト受けるんじゃないのか?」

 

ネモ

「わたし? もうチャンピオンだから受けないよ?」

 

イレギア

「何ぃ!? ちょっと考えればそうだったぜちくしょーっ! すぐに追いついてやっからな!! お疲れ様でスター〜〜〜〜!!」

 

アヤセ

「ちょっと先輩っ、回復しないと〜!」

 

ネモ

「待って、今いいきずぐすりをっ……——あちゃあ。ふふっ……また勝負しようね〜!」

 

 ネモは2人を笑顔で見送った。イレギアは振り返らず手を振った。




ジム戦から長くなりそうなので一旦ここまで。

3匹目はコイキング。元スレでもほとんど採用されていたのと、出世魚と名高いため採用させていただきました。


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4.ジム攻略へのもう一歩……!コイとセギンとリーゼント?

 

 

 

—南2番エリア オリーブころがし会場—

 

 

 

イレギア

「よーし、やってやるぜ……!」

 

 昼食を終えて気合を入れなおしたイレギアが迷路の高台で準備体操を行なう。彼の目の前ではオリーブを模した巨大なクッションが仁王立ちしていた。

 

 セルクルジムのジムテスト——オリーブころがしである。

 

ジム役員

「それでは、オリーブころがしスタートです!」

 

イレギア

「よっしゃ! ぶっかましてやるぜえ!」

 

 両頬を叩いた彼は、ゴールのカゴとオリーブ玉を一直線上に捉えて距離を取る……

 

アヤセ

「ま……まさか先輩、あの距離からシュートするつもりですか!?」

 

イレギア

「これでも俺は……ラグビーやったことあるんだぜえええええええええ!!!

 

 とても裏付けられない理由を叫びながら、イレギアの渾身の蹴りがオリーブ玉をぶっ飛ばす!!

 

イレギア

「いけええええええええええええええええ————————っっっ!!!」

 

 熱血スポ魂漫画の名シーンの如く空を舞うオリーブ玉に向けて声を張り上げる!

 

 キレイな放物線を描き、理想的な回転を繰り返す……!

 

ジム役員

「……いけっ」

 

アヤセ

「え?」

 

ジム役員

「いけえええええええ————————!!」

 

アヤセ

「なんか感染してる!?」

 

 汗だくの2人の声に押され、オリーブ玉はみごと! ゴールのカゴの真ん中にシュート!!

 

ジム役員

「ゴォォォォォォ————————ルゥッッッ!!」

 

イレギア

「っしゃあああああああああああああああああ!!!」

 

 興奮冷めやらぬまま高台から飛び降りたイレギアはジム役員の元に駆け寄り、涙ながらに笑っている2人は熱烈な抱擁を交わすのだった……!

 

アヤセ

「…………なに、これ」

 

イキリンコ

「ナニコレ」

 

 1人と1匹が肩を竦めたのはごもっともだが——ともかく、ジムテストクリアである。

 

イレギア

「へっへっへっ……このままジム戦も突破してやるぜッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イレギア

「ぐおおおおおおおおお…………っ!」

 

 

 

—セルクルタウン 東ポケモンセンター—

 

 

 

 イレギアはポケモンセンターの床にうつ伏せで倒れていた。

 

アヤセ

「せめて四つん這いになって悔しがってくださいよ……なんで土下寝なんですか……」

 

 勢いだけは良かったが、それだけで上手くいくほどジムリーダーは甘くはなかった。

 

アヤセ

「まさか初っ端から敗走するとは思いませんでしたよ。ここのジムリーダーのカエデさんって、一番簡単なジムなんでしょ? しかもイキリンコで弱点をつけるむしタイプに負けるなんて……——うわあイキリンコから嫌な視線」

 

 イレギアの頭に留まっているイキリンコから、アヤセを非難するような視線が飛んでいた。

 

 ……この状態のイレギアの通り、初のジム戦は見事なまでの敗北を喫した。

 

 アヤセの言う通り、イキリンコの『つばめがえし』で無双する予定だったのだが……

 

イレギア

「そもそも撃たせてもらえないとは思わなかったぜ……」

 

アヤセ

「何発かは当たったじゃないですか。まあ……この結果ですけど」

 

 最初に出してきたのはマメバッタ。イキリンコの一撃が当たれば容易く倒せる相手だった。

 

 そう、当たれば——

 

 

 

 

 

カエデ

「は~い。お願いしますね~」

 

マメバッタ

「メッバ!」

 

イレギア

「よっし! オレの脚力はバッタ以上! 故に楽勝で勝てる! んじゃ作戦通りに行くぜイキリンコ!!」

 

イキリンコ

「イクゼ!」

 

カエデ

「うふふ〜……むしポケモンを甘く見てたら、痛い目見ちゃうかもですよ〜」

 

アヤセ

「がんばれせんぱ~い」

 

イレギア

「見てろよアヤセ、先輩の活躍をっ……観客席で菓子食ってんじゃねー!」

 

アヤセ

「疲れたんで糖分補給してるだけですよ。『ムクロジ』のお菓子ってなんでこんなおいしいんだろ。いくらでもいけちゃう……!」

 

イレギア

「バーカ!」

 

イキリンコ

「バーカ!」

 

カエデ

「あらあら、ありがとうございます~」

 

審判

「ええと……ゔゔんっ! それではっ、勝負……開始!」

 

イレギア

「やったれイキリンコ! 『つば——」

 

イキリンコ

「『ツバメガエシ』!」

 

 事前の作戦通り、イレギアの指示を聞くより早くイキリンコがマメバッタに襲い掛かる! 張り切ったその翼にひこうエネルギーを蓄えながら加速するも——

 

カエデ

「マメちゃん、『いやなおと』!」

 

マメバッタ

「メメメメ……!」

 

 マメバッタが攻撃を受けるより早く、不快な羽音を鳴り響かせる……!

 

イキリンコ

「イギッ……!?」

 

 その音にイキリンコはひるんでしまい、翼に集まったエネルギーが散らし、空中で動きを止められてしまった。

 

カエデ

「続けて『とびつく』!」

 

 そこを狙ってマメバッタが逆に襲い掛かった! むしタイプの攻撃はひこうタイプであるイキリンコにとって相性はあまり良くないが、『いやなおと』で防御が薄くなった彼にとっては無視できないダメージである。むしだけに。ごめんなさい。

 

イレギア

「今だ! もう一度『つばめがえし』!」

 

イキリンコ

「『ツバメ——」

 

カエデ

「マメちゃん! 後ろに『とびつく』!」

 

イキリンコ

「ガエ……ッ!?」

 

 『つばめがえし』は攻撃を外したと思わせて、攻撃の向きを急激に変化させてひこうエネルギーを叩き込む……いわば必中技と名高いが、それは攻撃の間合いでの話。

 

 イキリンコの翼が届く範囲外からいち早く離脱したマメバッタには当たるハズもなかったのだ。

 

イレギア

「ちいっ……つ、強え……っ!」

 

カエデ

「言ったでしょう? むしタイプを甘く見てたら痛い目見ちゃうかも……って」

 

 その後もマメバッタ本来のスピードに翻弄され、『とびつく』でのヒット&アウェイを繰り返されることになった。攻撃の下がった状態では【はりきり】でも確かな威力が出せずに、倒すのに手間取ってしまった。

 

マメバッタ

「メバッタ……!」

 

カエデ

「マメちゃんお疲れ様です~」

 

イレギア

「ぜえ……ぜえ……ようやく1体かあ……!」

 

イキリンコ

「キィー……キィー……」

 

カエデ

「あらあら~? まだまだこれからですよ。出てきてタマちゃんっ!」

 

タマンチュラ

「チュラー」

 

イレギア

「まだまだイケるかイキリンコ……!」

 

イキリンコ

「イ……イケル……ッ!」

 

イレギア

「いい子だ……またまた『つばめがえし』!」

 

イキリンコ

「『ツバメガエシ』!」

 

カエデ

「タマちゃん、『いとをはく』~!」

 

イレギア

「なに~っ!?」

 

 なんとかしてマメバッタを突破するも、次に繰り出されたタマンチュラの『いとをはく』で疲労したイキリンコが絡め取られてしまい、何もできず、じわじわと『むしくい』で倒されてしまった。

 

イレギア

「よ、よし……次もとっぱぁ…………」

 

ヤングース

「グー……!」

 

 ヤングースがノーマルタイプに《テラスタル》するも、またも『いとをはく』で体力を奪われてしまう。

 

カエデ

「これで最後です。クマちゃ~ん、出番ですよ~!」

 

ヒメグマ

「ヒメ~!」

 

イレギア

「ふう~……っ!! ヤングース! 『ふるいたてる』で気張りなおせ!」

 

ヤングース

「グググー……!!」

 

カエデ

「それじゃあクマちゃ~ん! あなたの羽化した姿を見せて~」

 

イレギア

「しまった《テラスタル》もあるんだった!」

 

 そのタマンチュラを倒した先に繰り出されるは、むしタイプに《テラスタル》するヒメグマ。動きの鈍ったヤングースは『れんぞくぎり』の猛攻に耐えきれずあえなくダウン。

 

イレギア

「まだだ……まだ終わってねえ! 頑張れコイキング!!」

 

コイキング

「ココゴ……」

 

イレギア

「『はねる』!」

 

コイキング

(ビチ……ビチ……)

 

 

しかし なにもおこらない!

 

 

イレギア

「…………!」

 

カエデ

「…………」

 

イレギア

「……ひと思いに!!」

 

カエデ

「はい~」

 

 後は言わずもがな。

 

 

ジムリーダーの カエデに 敗北した……

 

 

イレギア

「ちくしょー……このままじゃネモだけじゃなくアオイにすら追いつけねえ……!」

 

 実は少し前にジムにてアオイと再会し再戦し敗北している。彼女もまたジムを終えたところらしい。

 

 イレギアが柄にもなく焦燥感に駆られている姿に、アヤセは『ええと』と戸惑いながら言葉を紡いでいく。

 

アヤセ

「とはいえ、どうします? 現状できそうなことと言えば……なんとか対策立てて、レベルを上げるしか無さそうですけど……」

 

イレギア

「対策……かあ」

 

 ……数秒、ぶつぶつぶつぶつ。

 

イレギア

「対策、タイサク……? ……そうだ!!」

 

イキリンコ

「ソウダ!」

 

 イレギアが頭のイキリンコを振り払うように顔を上げる。その顔はいつものように不敵な笑みが浮かんでいた。

 

イレギア

「むしタイプの対策! それなら専門家が近くにいるぜ!」

 

 そのままの勢いで飛び跳ね起きる。既に目には闘志が宿っていた。

 

アヤセ

「専門家? 害虫駆除業者とかですか?」

 

イレギア

「お前とんでもねえこと言うな……」

 

イキリンコ

「コワー……」

 

アヤセ

(あたしが悪い感じに……いや、今のはあたしの失言っぽい)

 

イレギア

「そういう対策じゃあねえよ。弱点をつくだけが対策じゃない——逆だ。むしタイプが弱点のタイプのエキスパートに対策を聞けばいいのさ!」

 

アヤセ

「へえ……先輩にしてはなかなか良さそうな対策方法。ええとむしタイプの弱点はくさ、エスパー……」

 

イレギア

「——あく! しかも我らがスター団の1つ、チーム・セギンの本拠地に行くぜ!」

 

 

 

—西1番エリア 北ポケモンセンター近く—

 

 

イレギア

「ふう……この辺はポケモンが強くなってくるから逃げないとキツいぜ……」

 

 暗くなった夜道を駆けるモトトカゲのハンドルを握りなおし、イレギアが苦々しく呟いた。

 

アヤセ

「それにこうも起伏が激しい土地だと簡単には行きませんよねえ」

 

 彼の後ろに陣取っていたアヤセはゴーグル越しに視線を一瞬だけ上に移す……そこにはイキリンコの姿はなかった。現在、モンスターボールで休んでいるためだ。

 

 チーム・セギンのアジトまではセルクルタウンから橋を渡り、風力発電機の林立した丘を越える必要がある……流石のモトトカゲの体力ももたないため何度か休憩を挟むことになったが、その休憩中に野生のポケモン襲ってくるのだ。

 

 ここまで来ると野生のポケモンのレベルは最大で18にまで上がっているため経験値は多く鍛えがいはあるものの、その分のダメージ量も多くなってくる。当のイキリンコも、揺れるヘルメットの上に留まっている場合じゃないらしい。ヤングースは休憩中にサンドイッチを食べたまま眠ってしまった。

 

 これに加えて他のトレーナーに勝負なんて仕掛けていたらいつまでたっても辿り着かなかっただろう。飛び出してくれたイキリンコの『でんこうせっか』に感謝。

 

アヤセ

「そろそろポケモンセンターが……あっ、見えました!」

 

イレギア

「よっし、ラストスパートだぜモトトカゲ!」

 

モトトカゲ

「ギャッギャギャ~!」

 

 ウォーボンネットを被ったモトトカゲが元気よく答えた。

 

 これはイレギアがアオイと別れた後、テーブルシティのデリバードポーチにて良さそうなのを見繕ったのだという。モトトカゲ自身、とても気に入っている様子だった。そのうちもっとインディアンになるのだろう。

 

 

 

 

 

ポケセンおねえさん

「お預かりしたイキリンコたちはみんな元気になりましたよ! またのご利用お待ちしておりますね!」

 

イレギア

「よーし。モトトカゲも回復したが……まあ、もう歩いて向かえば十分だな。しばらく休んどいてくれ」

 

モトトカゲ

「アギャス!」

 

アヤセ

「そりゃ、もうここがアジトっ! ……って感じですよね」

 

 岩壁を穿ったような道の両脇、2つの岩山の上には黒布にスター団マークが描かれたチーム・セギンの旗がでかでかと掲げられていた。

 

 2人はそれらを仰ぎながら道を進んでいく。

 

アヤセ

「あの旗なんで取られないんです? あっきらかに不法占拠ですし……」

 

イレギア

「さあ? 俺がスター団やってるのはだいたい学校の中でだったし、そもそもアジトなんて行ったこともなかったわ」

 

アヤセ

「え……学校で何すんですか?」

 

イレギア

「授業受けるに決まってんだろ? お前なんのために学校通ってんだよ。それと通わせてくれる親父の迷惑になりたくもねえしな。単位はもうそろ大丈夫そうだし」

 

アヤセ

「うわ、先輩が真面目だ……いや、そういうのに対しては真面目なんだった……」

 

イレギア

「でも素行はそれこそ、生徒会長に怒られる程度には悪かったぜ? ……まあ前の人が厳しすぎたってものあるかもけどな。さーて、確かこの封鎖されてる道を右に曲がったら……んん?」

 

アヤセ

「誰でしょう。スター団……じゃ、無さそう?」

 

 チーム・セギンのアジトの前に誰かが居る……緑の制服から同じアップルアカデミーの生徒だった。

 

???

「おや……?」

 

 メガネをかけた初老の男性のようだが、ネクタイを付けずに胸元を開いた短パン姿というのはややミスマッチに見える。

 

 そして何より特徴的なのは……

 

アヤセ

「り、リーゼントって……今の時代に、ねえ……?」

 

イレギア

「ふぃ~っ、イッカす~っ」

 

アヤセ

「マジですか」

 

 頬を緩ませるイレギアが目の合った謎の男の元へと歩いていくと、対する男もまたこちらへ歩み寄ってきた。

 

イレギア

「おいおいおいおい。そこのイカしたリーゼントのアンタ!」

 

 開口一番、イレギアは彼のヘアスタイルを少々ケンカ腰で褒める。

 

???

「ほう! このリーゼントの良さが分かりますか!」

 

 やけに丁寧な口調で返事をされてしまう。

 

イレギア

「もっちろんだぜ! まさに男の象徴って感じがしてな!」

 

アヤセ

(そういえばイキリンコもリーゼントっぽかったし、そういう意味で先輩とは気が合うのかな)

 

イレギア

「それよりも、だ……アンタ、スター団じゃあないな? 何者だ?」

 

 柄にもなく眉に皺を寄せて男に詰め寄るも、年季のある男の顔は眉1つ動かなかった。

 

ネルケ

「ああそうさ、オレはスター団じゃない。ネルケという……まあ、ただのいち生徒だ」

 

アヤセ

(あれ口調が……)

 

イレギア

「なるほどな。俺はイレギア。こっちは後輩のアヤセ。スター団になんの用だ。組の中がどうやら騒がしいが……まさか、カチコミってワケじゃあねえよなあ~っ?」

 

アヤセ

「…………っ!」

 

 イレギアの声が一段と低くなり、周囲の雰囲気がより重いものとなった……

 

ネルケ

「もしそうなら……どうする?」

 

イレギア

「決まってんだろ——俺とバトルして、勝ったら手を引いてもらおうか!」

 

アヤセ

「先輩……!」

 

イレギア

「おおっとアヤセは下がってろ。コイツは俺一人でやる。せいぜい俺の勝利を祈ってくれ」

 

アヤセ

「(先輩……やっぱりスター団の一員としての意地ってやつなんですね)……はい!」

 

イレギア

「アンタを倒せばカチコミしてきたヤツをぶっ倒したとして俺の団内での評価がぐーんと上がり! ひいては組のボスを任され! あわよくばマジボスの座も貰いまスター!!」

 

アヤセ

「がっかりですよ」

 

ネルケ

「そっちにどんな都合があるか知らないが、オレにも引けない訳がある……全力で向かい討つぜ。オレが勝ったらそっちが手を引いてもらう」

 

 ネルケは自身のリーゼントを両手で撫でつけ、腰のモンスターボールの1つを手に取った。

 

イレギア

「もちろん——よっしゃあ! やってやりまスター!!」

 

 イレギアは自身を鼓舞するようにスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの ネルケに 勝負を しかけた!

 

 

—BGM 戦闘!ネルケ— クラベル戦のギターアレンジ的な

 

 

ネルケ●●○○○○VSイレギア●●○○○○

 

 

 

 

イレギア

「この道中で鍛えたお前の力を見せてみろ! いっけえイキリンコ!」

 

イキリンコ

「イッケー!!」

 

ネルケ

「頼んだぜニャオハ」

 

ニャオハ

「ハニャ!」

 

アヤセ

「ニャオハ……?」

 

 向き合う2人の横で、アヤセはネルケが繰り出したポケモンについて引っ掛かる。

 

イレギア

「イキリンコ、『つばめがえし』!」

 

ネルケ

「ニャオハ、『マジカルリーフ』で牽制してください」

 

 そして時々顔を出す丁寧な口調……ネルケの正体に目星がつく。

 

アヤセ

(てか、あれ……よく見たら…………校長じゃね!?)

 

 辿り着いたその答えに『どうしてこんなところに』だの『いやちょっと考えればわかる変装じゃん』だのと疑問が脳内を支配して答えを探っているうちに——

 

 

 

 

 

 

イレギア

「ちいっ、戻れコイキング……!」

 

コイキング

(ビチ……ビチ……)

 

 

ポケモントレーナーの ネルケに 敗北した……

 

 

ネルケ

「お疲れだぜヤバチャ。ゆっくり休んでくれ。さて……オレの勝ちだ。約束は守ってもらおう」

 

イレギア

「せっかく『たいあたり』を覚えたってのに……ああ、しょうがねえ……ヤングースが起きてりゃあな……いや、帰るきゃねえぜアヤセ。すまねえ……どーしたそんなにネルケの方を見て。まさかっ! もしかして俺の仇を!?」

 

アヤセ

「いや……あの、校長先生ですか?」

 

ネルケ

「……さあな。オレはネルケ、それだけだ」

 

イレギア

「はー? お前よく見ろよ、ネルケのこのイカした髪型! 自分色を出した服装っ! どっからどう見ても学生じゃねーかよ! 確かにちょっと歳は行ってるのかもしんねーけど、そういうやつも見たことあるだろ!?」

 

アヤセ

「ええ……?」

 

ネモ

「——あれ? イレギアにアヤセちゃん? それに……誰?」

 

 アヤセがどうしたものかと考えていると……一難去ってまた一難。今度はネモが現れた。

 

イレギア

「おおっとここで会ったが百年目! ここを通りたくば俺に勝ってからにしてもらいまスター!」

 

ネモ

「そっか! それじゃあ早速戦ろう!」

 

 目が合った瞬間ポケモンバトル——とはいかずにアヤセが仲介に入る。

 

アヤセ

「いやいや先輩、さっき戦ったばっかでポケモンたち全滅でしょう」

 

イレギア

「うっ、確かにそうだった…………へっへっへっ……!」

 

アヤセ

「なんでまた不敵な笑みを……」

 

イレギア

「確かに俺は戦えないが、俺を倒したところで次はアイツ……ネルケが相手になるぜ!!」

 

 我が物顔でイレギアがネルケへと顎をしゃくって見せる。

 

ネモ

「ネルケ……?」

 

アヤセ

(まずいっ……いや別にバレても特に問題は無さそう……いやいやっ、先輩のことだから下剋上だのなんだの言ってまた校長に挑みかねない!)

 

 アヤセが独り焦燥に駆られていると、ネルケがフッと優しく笑ってネモにウィンクする。

 

ネモ

「……なるほど」

 

 ネモは何かを察したように呟くと、顎に手を添えて少し考える素振りを見せる。

 

ネモ

「うーん……わたしはどっちかっていうとイレギアと戦りたいな~。この短期間でどこまで強くなったも見てみたいし!」

 

イレギア

「そうか……そうかあ! そんならっ、俺の伸びしろに驚きすぎて失神すんなよー? 脅威の成長でぶっ倒してやりまスター!」

 

ネモ

「ふふっ……楽しみ! それじゃあね、ネルケさん……?」

 

イレギア

「おう! じゃあなネルケ、お疲れ様でスター!」

 

 イレギアがスター団ポーズを決める隣で、ネモはネルケに向けてウィンクを返した。

 

アヤセ

「あ……あれ……?」

 

イレギア

「おーいどうしたアヤセー! おいてっちまうぞー!」

 

アヤセ

「はっ、はーい……(バレて……ない?)あと一応、お疲れ様でスター」

 

ネルケ

「ええ。……イレギアたちによろしくな」

 

 ——イレギアには悟られなかったが、ネモはしっかりその正体に気づいていた。

 

ネモ

(あれはきっとクラベル校長先生……先生はスター団のことがずっと気がかりみたいだったし、たぶんああして生徒に扮してスター団の動向を探ってるんだと思う)

 

 ネモがここに来たのも、生徒会長としての責務からスター団をなんとかしようとしたのが起因していた。

 

 近くのトレーナーたちに片っ端からバトルしていたところこの辺りまで来ていたので、ここらから響く騒音被害も収めようとしていたのだが……おそらくすぐに解決するだろう。

 

ネモ

(そこに生徒会長であるわたしが一緒にいたり、同時期にスター団を刺激しちゃったら、先生のやりたいことも出来なくなっちゃうよね。——うんっ、スター団のことは先生に任せよう! そうした方が安心だ! それにわたしもその方が伸び伸びポケモン勝負できるし、イレギアとも……あれ?)

 

 

 

 

わたしはどっちかっていうとイレギアと戦りたいな~

 

 

 

ネモ

(いやっ、あれはそういう意味で言ったんじゃなくて……うんっ、そう……!)

 

イレギア

「なあネモ?」

 

ネモ

「ひゃっ……!」

 

 考えていた人に話しかけられたものだから、ネモは思わず高い声で驚いてしまう。

 

イレギア

「あっと。なんか考え事してたか、すまねえ」

 

ネモ

「うっ、ううん……! それでっ、どうしたの?」

 

イレギア

「実は俺……まだセルクルジムを攻略できてねえんだ。敵であるネモに聞くのは正直、気が引ける……だがっ、プライドが邪魔して成長できないよりマシだ! そんなわけでなんか教えてくれねえか?」

 

 本来はチーム・セギンで聞く予定だったのだが、それが現在叶わなそうだと判断したイレギアはネモに両手を合わせて依頼した。

 

ネモ

「それならわたしに任せてよ! ふふふっ……うんと厳しく教えてあげるねっ!」

 

イレギア

「うっし! ——へっへーんだ! 教えられた要素を生かせばネモを超えるのに何歩も縮まるってもんだぜ!」

 

ネモ

「簡単には超えさせないったらっ……——あっ」

 

 ふと甦ったのは、チャンピオンになったあの瞬間のこと——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クエスパトラ

「クエ~……!」

 

オモダカ

「なるほど、クエスパトラをこうも簡単に超えますか」

 

ネモ

「あ……あれ……?」

 

 その瞬間、ネモの中にあったチャンピオンへの憧れにヒビのようなものが走った。

 

 勝てないはずなのだ。チャンピオンは強者の称号……勝てたとしても、最初から最後まで気を張り詰めていなければ追いつけないものだと考えていたのだ。

 

 それなのに……それを既に追い越していた。

 

 その瞬間から加速する周囲の人々との大きな隔たり。たとえ手を抜いていたとしてもギリギリの勝負が出来ればそれでも構わなかった。

 

 

 

 

 

生徒会長とのポケモン勝負、楽しくないんですよ。

 

 

 

 

 

 しかし、今ではそれすらも叶わなくなってしまっていた。

 

 そんな中、自分に匹敵するであろうアオイと出会えたのは僥倖と言えた。

 

 ……しかし、それでも、何か——足りなかったのだ。

 

 自分自身、言葉に出来ないその感情……それが、あの時——

 

 

 

 

 

嫌でも俺と勝負だぜ!

 

 

 

 

 

 対等な存在ももちろん欲しい。しかしなによりも、挑んでくれる存在の方が欲しかったのだろう。

 

 イレギアとの出会いで足りない何かが埋まった……その感覚が、ネモにはとても暖かく感じられた。

 

アヤセ

「ちょっと先輩たち~……なんで早歩きなんですか~……!?」

 

イレギア

「そりゃあ早くネモと勝負したいからに決まってんだろ!」

 

アヤセ

「子どもか! ……子どもか」

 

ネモ

「そっか……そっか、そっか」

 

 この感覚は、いったいなんなのだろうか。




ネルケ戦は本編に無いっスけど、どうにかしてBGM補完しといてください。

ネモがストーリー上でスター団に関わらなかった理由に関しては上記のようにしておきました。この方が自然そう。


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5.作品初勝利!?重ねた自分と大空のヌシ!

 

 

 

—セルクルタウン 西ポケモンセンター前—

 

 

 

 あの後、ネモとイレギアはポケモン勝負をする予定だったのだが、ヤングースが眠ってしまったことを思い出したためその日はそのまま解散することになった。

 

 そうして次の日、朝っぱらから集まったから集まった2人はジムに向けて特訓を重ね……そうして昼まで時間が過ぎていった。

 

イレギア

「よおし……昼飯補充完了! ありがとなネモ、朝から付き合ってもらってよ!」

 

ネモ

「ううんっ……えと、うんっ、そのままジム戦も頑張ってね……!」

 

イレギア

「……? どーしたよ。なんかこう……なんか」

 

 イレギアが訝しむネモの表情はどこか照れているように赤く、しかし彼女は踏み込んでくる彼を拒むように両手を振る。

 

ネモ

「いや~……ちょっと疲れただけだよっ! わたしってこう見えて体力は無い方でさ~」

 

イレギア

「へーそうだったんだなっ、ともかく助かったぜ! これなら次のジムも……いやいやいやいや! 最後のジムまで突っ走れるぜ!」

 

ネモ

「良かった~。それじゃ、先に行ってるから!」

 

イレギア

「へっへっへっ……見てろ、すぐに追いついてやるからなっ!」

 

 

 

—セルクルタウン バトルコート—

 

 

 

カエデ

「あらあら~、一日ぶりですね~」

 

イレギア

「おっ、俺のこと覚えてる! これはパルデア制覇の第一歩だな!」

 

アヤセ

「そりゃあスタートの位置でゴールする人がいたら誰だって覚えますよ」

 

 後から合流したアヤセが観客席で肩を竦める。

 

イレギア

「そんで残念ながら一日前の俺とは全く違うぜ! 舐めてかからず痛い目見せてやりまスター!」

 

 気合を入れるため、イレギアは迫真のスター団ポーズを披露する!

 

カエデ

「では、羽化したあなたを見せてくださ~い!」

 

 

 

 

ジムリーダーの カエデに 勝負をしかけた!

 

 

—BGM 戦闘!ジムリーダー—

 

 

カエデ●●●○○○VSイレギア●●●○○○

 

 

 

 

カエデ

「まずはこの子ですよ。出てきてマメちゃん!」

 

マメバッタ

「メッバ!」

 

イレギア

「リベンジだぜ、出てこいイキリンコ!」

 

イキリンコ

「リベンジー!」

 

審判

「それでは、勝負……開始!」

 

カエデ

「対策できているか見てみましょう。マメちゃん、『いやなおと』!」

 

イレギア

「さっそくあの技だぜ、『ものまね』!」

 

アヤセ

「もっ……『ものまね』!?」

 

 攻めて攻めて攻めまくるイレギアの戦闘スタイルしか見ていなかったため、唐突に飛び出た変化技にアヤセは驚きを隠せなかった

 

マメバッタ

「メメメメ……!」

 

イキリンコ

「キァーッ!!」

 

 『ものまね』は相手が最後に使った技を少しの間だけ使えるようになる技——それによってイキリンコは一時的に『いやなおと』をコピー! 2匹のポケモンによる大合唱が響き渡った!

 

アヤセ

「うるさっ……!」

 

カエデ

「なるほど~」

 

 観客の中にはその騒音に耐えきれず耳を塞ぐ者も多かったが、バトル中の2人は平然としていた。カエデに至っては不敵な笑みを浮かべるイレギアを関心している。

 

カエデ

「マメちゃんの『いやなおと』を『いやなおと』でかき消す……なかなか面白い作戦ですね~」

 

アヤセ

(かき消してない! ぜんぜんうるさいんだけど!?)

 

マメバッタ

「メッ……メメメッ!」

 

イキリンコ

「キァーッ……キァーッ!」

 

 加えてイキリンコはじりじりとマメバッタに近づいていた……!

 

 マメバッタの『とびつく』は助走が必要な技なためあまり近づかれてしまうと確かな威力が出せず、相手から手痛い反撃を受けてしまう。

 

 しかし間合いを広げようとしてもジリ貧になるだけ……故に、2匹の距離が一畳分にまで狭まったその瞬間——

 

カエデ

「『ダメおし』!」

 

イレギア

「『つばめがえし』!」

 

 号令が同時に叫ばれる! 双方、『いやなおと』の中から指示を受け取り、同じタイミングで音を止めて攻撃を仕掛ける!

 

 イキリンコへと襲い掛かるマメバッタ! 対するイキリンコがひこうエネルギーを纏った翼を振り上げる!

 

 ——しかし一瞬早く放たれたその翼撃はマメバッタに掠ることなく、あくエネルギーの頭突きを受けることを待つのみに……

 

イキリンコ

「『ツバメガエシ』!」

 

マメバッタ

「メバッ!?」

 

 しかしその翼が瞬時に翻され、返しの攻撃が見事マメバッタに命中! これこそが『つばめがえし』!

 

 マメバッタの防御を捨てた肉体に弱点タイプの張り切った攻撃が襲い、たまらずバトルコートの端まで吹っ飛ばされてそのままダウン!

 

マメバッタ

「メメ……」

 

カエデ

「マメちゃんっ……ゆっくり休んでくださいね」

 

イレギア

「どうだ! まず一体!」

 

イキリンコ

「ド……ドーダ」

 

イレギア

「イキリンコも休憩だ、助かったぜ。今は休んでろ」

 

 イレギアが労いの言葉とともにイキリンコをボールに戻した。

 

カエデ

「なかなか強くなってるようですね~。次はこの子ですよ、頑張ってタマちゃん!」

 

タマンチュラ

「チュラー」

 

イレギア

「次も油断ならねえ……出番だぜコイキングゥ!」

 

アヤセ

「コイキングを!?」

 

 『油断ならない』との前置きから出てきたのはまさかのコイキング。

 

コイキング

「コゴゴ……!」

 

 彼も気合が入っているのか、コートを跳ねる姿に活気があった。

 

アヤセ

「違いがわからん」

 

カエデ

「今度はどんな対策を見せてくれるんですか~? タマちゃん、『いとをはく』!」

 

イレギア

「もちろん攻略法は出来てる……コイキング! 『はねる』!」

 

アヤセ

「『はねる』って……なん——」

 

 疑問を口にするより先に、アヤセはその攻略法を見ることになった。

 

 タマンチュラから放たれる網のような蜘蛛の糸……それをコイキングは一段と強くコートを全身で押し返し、前進しながらそれを避ける!

 

イレギア

「ただ跳ねるだけ……それだけで十分! こいつの『はねる』は崖すらも超える、なら攻撃を避けるくらい余裕なんだぜ!!」

 

アヤセ

「そんな無茶な……」

 

 しかしその無茶を目の前で見てしまったため言い返すことはできない。

 

 これもネモとの訓練による成果だった。

 

 『いとをはく』に対しては避けるのが正解……それは2人の共通認識だった。素早い動きで翻弄して隙を突いて攻撃する、とても単純なことである。

 

 本来はイキリンコが『でんこうせっか』で避けながら攻撃するのが最適解なのだが、先の戦闘で疲弊した状態で行なうには難しいだろうと判断した。

 

 ——そこで白羽の矢が立ったのがこのコイキングである。

 

 少々メタ的な話になるが、コイキングのすばやさ種族値は驚くべきことになんと80——実はあのカイリューと同速である。ものすごくつよそう。——ブーピッグとも同速である。なんともいえない。

 

 イキリンコの方が速い(92)のだが、それでもコイキングのスピードがあれば放たれた糸を避けることなど造作もない。イレギアが向きを指定するだけで見てから回避が可能である。

 

イレギア

「もう目の前だぜ! コイキング、『たいあたり』だ!」

 

コイキング

「コゴゴ……ッ!」

 

タマンチュラ

「チュラ……!」

 

 どことなく勇ましい顔立ちのコイキングから繰り出される渾身の体当たり! 防御に優れ、緩衝材にもなるタマンチュラの糸玉にも響く攻撃であった。

 

カエデ

「これまたすごいですね~。それではタマちゃん、『むしくい』で攻めちゃって!」

 

コイキング

「コッ……!」

 

イレギア

「怯むなコイキング! 『はねる』で引きはがして『たいあたり』!」

 

 

 

 

 

 そうして攻撃しては反撃を受け、それに反撃しては離れてを繰り返していき……——

 

 

 

 

 

コイキング

「コゴッ……!」

 

 コイキングが倒れた。

 

アヤセ

「ええっ、結局……?」

 

イレギア

「頑張ったなコイキング!! 後は任せたぜイキリンコ!」

 

 その後、イキリンコが『つばめがえし』一発でタマンチュラを突破する。

 

カエデ

「最後の1匹になってしまいましたが、この子の対策は出来てますか~? 出番ですよ~ヒメちゃん!」

 

ヒメグマ

「ヒメ~!」

 

イレギア

「対策? へっへっへっ……そんなのあるか! 《テラスタル》でブチ抜くしかねえぜ!!」

 

カエデ

「それではクマちゃんも……羽化した姿を見せちゃって~!」

 

 2人同時に《テラスタル》! イキリンコはひこうタイプに、ヒメグマはむしタイプにそれぞれ《テラスタル》した!

 

イレギア

「全力でぶち込めイキリンコ! 倒れても後ろに仲間がいるからよ……ぶっかませ『つばめがえし』ッ!」

 

イキリンコ

「『ツバメガエシ』!」

 

カエデ

「わたしたちも行きますよ~! クマちゃんっ、『れんぞくぎり』!」

 

ヒメグマ

「ヒメ————っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——最後の砦に立ち向かって数分後……

 

イレギア

「ヤングース! トドメの『しっぺがえし』だあ!!」

 

ヤングース

「グゥゥゥ————ッ!!」

 

 奮い立ったヤングースの一撃がヒメグマに襲い掛かった!

 

ヒメグマ

「ヒ……メぇ~……」

 

イレギア

「やっ……た……?」

 

審判

「ヒメグマ、戦闘不能! よって勝者、チャレンジャー・イレギア!」

 

 

ジムリーダーの カエデに 勝利した!

 

 

イレギア

「よっしゃあああああああああああああああああ!!!」

 

 魂からの勝利の雄叫びが周囲に響き渡る!

 

 『いやなおと』とは違って耳を塞ぐ者はおらず、観客もカエデも彼に万来の拍手を送っていた。

 

ヤングース

「グッググー!!」

 

イレギア

「いっでえっ!! でも今回は許してやるぜえ!! ありがとうなみんなあーっ!!」

 

アヤセ

「いや先輩っ!? 血っ、肩から血が出てますよっ!?」

 

カエデ

「やられてしまいましたね~。それではっ、あなたの健闘を讃えて——バッジと、お菓子のプレゼントで~す!」

 

ヤングース

「ググー!?」

 

 お菓子という言葉にヤングースは目を輝かせるのだった。

 

 

 

—西1番エリア—

 

 

 

イレギア

「よおし! だいたいこの辺だな〜?」

 

アヤセ

「この辺って……ただの急斜面しか見えないじゃないですか」

 

 ご褒美のカップケーキを食い終えたイレギアたちは、『行きたい場所がある』という彼のもとモトトカゲを走らせる。

 

 そしてそこは——

 

イレギア

「実はこの辺には大空のヌシってやつがいるみたいなんだよ」

 

アヤセ

「ああ確かそんな噂ありましたね。なんでも空から岩を落としてくるって……」

 

 

 

ゴトゴトゴトゴト…………

 

 

 

アヤセ

「…………いやな予感が」

 

 

 

ゴトゴトゴトゴト……!

 

 

 

イレギア

「おでましだぜ……!」

 

 

 

ゴドゴドゴドゴドッ……!!

 

 

 

 坂の上から巨石がいくつも転がってきた!!

 

アヤセ

「うわああああああああああ!!!」

 

イレギア

「ぶっ飛ばせモトトカゲ!!」

 

アヤセ

「いやいやなんでですか!!?」

 

モトトカゲ

「アギャー……?」

 

 モトトカゲは背中に乗っている2人の意見の違いに進むべきか逃げるべきか戸惑ってしまっていた。

 

イレギア

「決まってんだろ!? ヌシなんて珍しいポケモンを捕まえたら人気者になれるかもだ——ほげぇっ!!」

 

アヤセ

「ナイスイキリンコ!! モトトカゲ! 逃げて! はやくっ! はやくはやくっ!!」

 

モトトカゲ

「アッギャ!」

 

 イキリンコの『でんこうせっか』を顔面に食らったイレギアの代わりにアヤセがハンドルを握ってモトトカゲに指示を飛ばす——巨石はもうすぐそこまで迫ってきていた!!

 

アヤセ

「うわあああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

アヤセ

「はぁ…………はぁ…………し、死ぬかと思った……」

 

イレギア

「なんでだよ〜。いい作戦だったろ?」

 

アヤセ

「巻き込むな! もうっ、行くなら先輩1人で行ってくださいよ……!」

 

イレギア

「う〜む……それもそうだな!」

 

アヤセ

「えっ」

 

イレギア

「そんじゃあなアヤセ! ゲットできたら連絡してするわ〜!」

 

 そう言ってイレギアはアヤセをおいて、1人モトトカゲを走らせるのだった…………

 

アヤセ

「えっ、ええっ…………」

 

 小さくなっていく2つの姿をただただ見送る……ってかイキリンコも止めないんだ。

 

アヤセ

「どうしよ……なにしよ……」

 

 午後の予定がすべて無くなってしまった。

 

 明日の予定も無ければ、今すぐ遊べるような友達などそもそもいないアヤセに急激な虚無感が押し寄せる。

 

 少しの間その場で突っ立っていると……ふと、イレギアの言葉を思い出す。

 

アヤセ

「…………学校、行こうかな」

 

 

 

—アップルアカデミー 1ーD—

 

 

 

先生A

「はい、それでは今回の数学の授業を終わりにします。復習も予習も、キッチリやってくださいね」

 

アヤセ

(おっ、終わったあ……)

 

 彼女にとって、実に久しぶりの授業だった。

 

アヤセ

(先輩にバカにされないように真面目に授業は受けてみたけど……あれっ、こんなにあたしって勉強できなかったっけ……? そもそも先生の名前も分かんないし……)

 

 イレギアに誘われてスター団になって以降、勉強なぞ手つかずだったためにここまで苦しむことになってしまった。

 

アヤセ

(めんどくさいけど、しっかり勉強もしないとかなあ……親のため、なんて……今まで考えたこともなかったけど、まあ……ちょっとは頑張って見ようかな)

 

 次の授業の教室まで足を運んでいると……周囲から囁くような声が聞こえてくる。

 

生徒A

「スター団だ……」

 

生徒B

「なんで不良生徒がここに?」

 

生徒C

「さあ……わかんねえけど、授業受けてたぜ……?」

 

生徒D

「授業受けるスター団って……なんか僕、心当たりある」

 

生徒E

「私も……あの変人さんの知り合いとか?」

 

アヤセ

(うわあ……先輩ってこんなに有名人だったんだ。悪い意味で)

 

 ただイレギアとは違って、アヤセはちゃんとヘルメットとゴーグルは外して受けていた。

 

アヤセ

(なんで先輩はつけっぱなしで受けてるのさ……)

 

 ごもっともな意見を頭に浮かべながら、生物室へと廊下の角を曲がって……

 

ネモ

「あっ、アヤセちゃん。こんにちは!」

 

アヤセ

「あっ、ああ、えと……こ、こんちわ……」

 

 ネモがとても元気な表情で挨拶してきたため、アヤセは少々面食らってしまう。そしてアカデミーに来て初めての発声であった。

 

アヤセ

(同年代だけど、やっぱりネモさんって変に緊張しちゃうなあ……まあ人と話すときってだいたい緊張するけど、ネモさんはなんか、特別に……)

 

ネモ

「……? あれ、イレギアは一緒じゃないの?」

 

アヤセ

「あー……先輩はその、バカやってて、今は学校には……——ん?」

 

 どう伝えたもんかと悩みながら掻い摘んで説明していると、だんだんとネモの顔がなんとなく暗くなっていき……

 

アヤセ

「ど、どうしましたか……?」

 

ネモ

「う、ううんっ。なんでもないよ! イレギアによろしくね……!」

 

 少し悲し気にネモは別れを告げる……同時にその顔は、寂し気でもあった。

 

アヤセ

(…………)

 

 その表情をアヤセは見覚えなどなかったが、それでも気がかりだった。

 

アヤセ

「あっ、あの……!」

 

 ——きっとあたしは先輩と出会う前、そんな表情だったんだと思うから。

 

ネモ

「ん……何かわたしに用があったり?」

 

 ——ほっといたら、先輩に怒られる……と、思う。

 

アヤセ

「あ、いや、用っていうか……その…………あたし、この後も授業あって、それで今日はそれまでなんですけど……えと……」

 

 アヤセは自分の意見を口下手に言葉として紡いでいく。

 

アヤセ

「その後でよろしければ……ポケモン勝負、一緒にどうですか?」

 

 たどたどしく告げられたその言葉にネモの顔がぱあっと明るく染まった。

 

ネモ

「えっ、いいの! うんわかった! 全然待つよっ、わたしもまだ授業あるからさっ! それが終わったら連絡して……ってそうだ、連絡先交換しようよ!」

 

アヤセ

「あっ、はい……」

 

 アヤセはスマホロトムを操作して……スカスカの連絡先を横目に、ネモと連絡先を交換するのだった。

 

ネモ

「それじゃ! またね〜!」

 

アヤセ

「はっ、は〜い…………」

 

 ネモは再び弾けるような笑顔になったままアヤセにもう一度別れを告げる。それにアヤセはまた面食らってしまった。

 

アヤセ

(つい言っちゃった。でも…………先輩ぶりだな、この学校で誰かの連絡先入れたの)

 

 彼女の心にも、何か——足りなかったものが埋まる、そんなあたたかい何かが生まれたような気がした。

 

 

 

—西1番エリア—

 

 

 

イレギア

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! まだまだあ! いけるいけるゥ!!」

 

モトトカゲ

「ギャッギャー!」

 

 一方、こちらドアホ。

 

 アヤセと別れたイレギアはより一層バカになり、巨石の転がる坂をモトトカゲで駆け上がっていた。

 

 1人と1匹の傷だらけになっている姿から、何度もアタックしては吹っ飛ばされているらしい。なぜ生きている。

 

イレギア

「ぐわあああああああああああああああ!!!」

 

モトトカゲ

「アギャーッ!!」

 

 そうしてまたもや吹っ飛ばされて坂の底に突き飛ばされてしまうのだった。

 

イレギア

「ちっくしょ~……!! おっしも一度やってやるぜ!!」

 

モトトカゲ

「アンギャス!」

 

 坂の上から嘲笑が聞こえてきそうなほど突撃しては吹っ飛ばされてを繰り返すも、1人と1匹の目からは闘志が消えていなかった。

 

イキリンコ

「アンギャス!」

 

イレギア

「おうイキリンコ! どこいってたのか知らねえけど戻ってきたのか! ……んん?」

 

 どこからかイレギアの頭に留まったイキリンコ……そして、それを追いかけてきたのは——

 

ペパー

「お前は……確か、イレギアだったか? なんだってこんなところに?」

 

 おそらくイキリンコが連れてきたであろうペパーがとても訝しげな視線でイレギアを突き刺した。

 

イレギア

「ペパー? お前こそなんでここに……——まさかっ、お前もヌシをゲットしようってのか!? へっへーん! そんなら譲れねえな! ヌシを賭けて俺と勝負だスター!」

 

ペパー

「ポケモン勝負はしねえ。ポケモンをむやみやたらに戦わせたくないからな」

 

イレギア

「そっか。ならどうやって決める? 腕相撲とかか?」

 

ペパー

「いや……そもそもそんな傷だらけちゃんのヤツと勝負も何もないだろ。オボンのみでも食うか? モトトカゲの分もあるが……」

 

イレギア

「おっ! そんならありがたくいただきまスター!」

 

モトトカゲ

「アギャッギャー!」

 

アオイ

「あっ、見つけた! おーいペパー……と、うわあ。モトトカゲの方もなんか被ってるし……若干コライドンっぽいやつだし……」

 

 そこへ近づいてきたのは全速力で駆けるコライドンと、それに乗ったアオイだった。

 

イレギア

「んが? っほほお! あほいはへひはほは!」

 

ペパー

「口にもの入れたまま喋んな。ちゃんと呑み込んでからにしろ」

 

イレギア

「——っぐっと! すまねえペパー。で……またも会ったなアオイー! そんでコライドン!!」

 

コライドン

「アギャス!」

 

モトトカゲ

「アギャアギャ!」

 

コライドン

「アギャー!」

 

アオイ

「なんか共鳴してる……」

 

 アオイが下りたのを確認したコライドンはオボンのみを食べ終えたモトトカゲとじゃれ合い始めた。コライドン自身、モトトカゲが被っているウォーボンネットに興味深々の様子だった。

 

アオイ

「あっと……あれを引き剥がすのはちょっと可哀そうだなぁ」

 

イレギア

「へっへっへっ……それなら俺と勝負してもらおうか!」

 

イキリンコ

「ショーブ! ショーブ!」

 

ペパー

「いやなんでだよ」

 

イレギア

「アオイがペパーに用があるってことは、アオイもヌシをかっさらいに来たんだろ? そんなら同じくヌシを狙う俺と戦わなけりゃ、この先には進めねえからなあ~!」

 

アオイ

「…………どういうこと?」

 

ペパー

「なんつーか知らねえけど、ヌシをゲットするんだとよ」

 

アオイ

「……なるほど。ワタシたちの用とはちょっと違うけど、ひとまずバトルかな」

 

ペパー

「すんのか? 正直、ほっといてもいいと思うぜ?」

 

アオイ

「それはそうなんだけど……なんかヒントもらえそうだし」

 

ペパー

「ヒント? ……まあいいか。お前がやりてえってんならちゃっちゃと済ませてくれ」

 

アオイ

「ありがと!」

 

イレギア

「おいおいおいおい……この俺に勝てる気でいるなあ~? 俺を舐めてると痛い目見ちゃうぜ~!」

 

イキリンコ

「ミチャウゼー!」

 

アオイ

「どこかで聞いたようなセリフ……?」

 

 終始押されっぱなしのアオイと肩を竦めるペパーに向けてスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

 

敗北! 全カット!

 

 

 

 

 

イレギア

「ちっくしょー!! また負けたぜー!!」

 

ペパー

「アオイにとっては楽勝ちゃんだったんじゃねえか?」

 

アオイ

「そうも言えない強さかも……また1体倒されたし」

 

イレギア

「——だがっ! これはアオイに負けたんじゃねえ……ペパーとアオイの2人の熱意に負けたんだ! 仲間と集まることで真価を発揮するポケモンも居るみたいだからなっ! へっへっへっ……今日のところはそれに免じて負けておいてやる!」

 

ペパー

「なんだそりゃ?」

 

アオイ

「仲間と集まって……ヒントになりそう」

 

イレギア

「そんならお疲れ様でスター! ——覚えてろ~!!」

 

 ペパーがまたも困惑しているうちに、イレギアがお別れのスター団ポーズを決めてモトトカゲに乗り込んだ。

 

イキリンコ

「オボエテロー!」

 

モトトカゲ

「アンギャギャース!」

 

ペパー

「おいちょっと話をっ……! ——行っちまったぜ。なんならスパイス集めも手伝ってもらいたかったんだかな」

 

アオイ

「まあ、ああいう人だし……2人でがんばろっか」

 

ペパー

「……そうだな」

 

コライドン

「アンギャギャース!」

 

 コライドンはモトトカゲに再会の約束を叫んだ。



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6.アヴァンギャルド!!親方ッ、空からポケモンが!?

 

 

 

—南3番エリア—

 

 

 

イレギア

「よぉし——コイキング、『たいあたり』だ!」

 

コイキング

「コゴゴ……!」

 

アヤセ

「…………」

 

 勇ましい目つきのコイキングがイレギアの指示を受け……彼に向かって突撃する。それをレジャーシートの上でヘルメットを外してあぐらをかいていたアヤセが眺めていた。

 

イレギア

「うごっ……! いいっ、『たいあたり』だぜコイキング……!」

 

 イレギアはコイキングをしっかりと中腰で受け止める! そして腹の辺りで暴れるその魚体を逃さないように抱きしめる……!

 

イレギア

「このままじゃ逃げられねえだろ? ……こんときだ! 『はねる』!」

 

コイキング

「コゴッ——!」

 

イレギア

「うおっ————!」

 

アヤセ

「…………」

 

 『はねる』の指示で全身の力がみなぎったのか、コイキングは身体を締め付けるイレギアを後ろにあった岩壁にまで弾き飛ばす!

 

イレギア

「いっててっ……そうだぜコイキング! どうにもならないときは『はねる』! それがお前の長所だぜ!!」

 

コイキング

「ゴココッ————!!」

 

イレギア

「おいおいおいおい〜っ! まぁた見えなくなるまで跳ねやがったなあ~っ!」

 

アヤセ

「…………あの——ゔゔんっ! ……あの、もう、 突っ込んでいいですか?」

 

イレギア

「おっ、風邪気味か? 大事にな。で、どーした」

 

アヤセ

全部ですよ。なんだってピクニック始めたと思ったら急にぶつかり稽古。そんであの『はねる』の使い方……もう何が何だか……」

 

イレギア

「なるほどな〜……へっへっへっ~」

 

アヤセ

「うわあいつもの笑い方」

 

イレギア

「これはれっきとした特訓だぜ? ジムリーダーで負けたのは根本的に俺の実力不足ってこともあっただろう……それにっ、ポケモンももっと強く育てる必要がある! ——つまりっ! それぞれの長所を活かすために俺自身が相手になってるんだぜっ!

 

アヤセ

「最後の一文が納得できねえ……——あ"っあ”ん!」

 

シルシュルー

「シュルル~?」

 

アヤセ

「あはは、喉は大丈夫。ただ……なんかどっと疲れてる」

 

 アヤセの脚の中で座っているシルシュルー。ウパーと言えばモトトカゲの隣で一緒に昼寝をしていた。

 

イレギア

「次はイキリンコだ! 俺に向かって『でんこうせっか』だ!」

 

イキリンコ

「キァー、『デンコウセッカ』ダ!」

 

 イレギアのモトトカゲ——青緑と茶色の宝石……っぽい石のインディアン風ネックレスを付けている——のハンドルに留まっていたイキリンコが羽ばたき、ノーマルエネルギーをすぐさま纏ってイレギアの周りを高速で飛び回る!

 

イレギア

「もっと速くだ! そんなんじゃ反撃喰らっちまうぞ!」

 

イキリンコ

「キァーッ!!」

 

 イレギアの激励にイキリンコはさらに加速する!

 

イレギア

「よおし、いい感じだぞ! 次は緩急をつけて——……」

 

アヤセ

「先輩の目がめちゃくちゃ動いてる……きも。それで——ん"ん"っ、ヤングースちゃんは順番待ち?」

 

ヤングース

「グッ……グッ……」

 

アヤセ

「あれ、なんか噛んでる……ガム?」

 

イレギア

「ああそれなっ? 『かみつく』が使えなくても【がんじょうあご】が活かせないか考えたら、そのまま顎鍛えることにしたんだ!」

 

アヤセ

「もはやわざですらなくなってる……」

 

イレギア

「ほげぇっ!!」

 

アヤセ

「コイキングがやっと落ちてきた……その子、そんなんでケガとかしないんですか?」

 

 イレギアの耐久性についてはもう突っ込まないでいた。

 

イレギア

「おーう! なんだかコイツの防御は他より硬いみたいでよ。イキリンコは素早かったりヤングースはパワーがあったりな!」

 

 コイキングの下敷きになりながらも平然と語っていた。イキリンコも疲れたのか彼の頭に留まっていた。

 

アヤセ

「なんか、実際に身体で受けてるから妙に説得力が……いやいや、そんな人このバカしかいないんだから信頼できないでしょ……」

 

イレギア

「そうでもないぜ。アローラ地方のポケモン博士はわざについて研究してるらしいが、その方法が自分でわざを受けるってものでよお~……つまりっ! この方法は根拠のある、効果のある特訓なんだぜ!!」

 

アヤセ

(小声で言ったことも全部聞こえてる……なんで耳もいいんだか。そんで腹立つくらい地頭もいいしっ)

 

 アヤセが苦々しくイレギアを睨むも、彼はそれを気にせずコイキングの下から這い出てくる。掠り傷程度だった。

 

イレギア

「……うっし! レベルもいい感じに詰めてる! 本来は昼飯食った後に岩壁のヌシをゲットする予定だったんだが……もう誰かにゲットされたのかそれらしいヤツがいなかったんだよな~。たぶん昨日と同じようにペパーとアオイが俺よりはやくここでゲットしたんだろう」

 

アヤセ

「ペパーって確か先輩の同級生……でしたよね。昨日会ったんですか?」

 

イレギア

「ああ。理由は知らねえけどヌシにご執心だったぜ。アオイの代理バトルに負けて追い返されちまったし……ちっくしょーっ、まさかあいつらも人気者を目指してたってのかぁ~?」

 

アヤセ

「そんなん先輩だけですよ。それで……ヌシがゲットされる瞬間って見たんですか?」

 

イレギア

「いや?」

 

アヤセ

「…………はあ」

 

 瞬間、アヤセはイレギアが何か勘違いしている可能性について考えた。だがヌシがそもそも何か分からない彼女にとって考えるだけ無駄であった。

 

イレギア

「『すてゼリフ』してテーブルシティに戻ったところ、なんと! スター団の知り合いに会ってよ~! 近況報告しながら遊んでたらいつの間にかもう夜だったぜ」

 

アヤセ

「あの…………あたしの連絡見てません?」

 

イレギア

「今朝見た。遊んだり集中してる間はスマホ見ねえんだ俺」

 

アヤセ

「…………はあ」

 

 近くに居たら助けてほしかった……その旨を込めた溜め息が心の底から放たれる。

 

イレギア

「それにしてもネモと勝負なんてよ~……戦える機会があったんなら俺も戦いたかったぜ!」

 

 一方のアヤセと言えば、ネモとポケモン勝負の約束を取り付けた後、 ……キチンと約束を果たして辺りが暗くなるまでポケモン勝負することになったのだ。

 

 遊び盛りのシルシュルーやウパーには熟睡すれば吹っ飛んでしまう疲労だったが……運動不足なアヤセにとっては今日まで筋肉痛を引きずり、喉もガラッガラになるほどだった。おかげでイレギアがモトトカゲの衣装を買っている裏でのどスプレーを買わなくてはならないことになってしまう。

 

 そんなボロボロになってまで、どうしてイレギアについてきたのか……理由がないわけでもなかった。

 

アヤセ

「…………突然ですけど、先輩」

 

イレギア

「ん? サンドイッチ作りながらで良ければ話すぜ」

 

アヤセ

「あたしは肉類無しで」

 

 イレギアは意外と料理もできた。大雑把な味だがそれなりに美味い。

 

アヤセ

「本来に突然ですけど、先輩がスター団に入った理由って……なんだったんですか?」

 

 こういう話は電話越しではダメだと、アヤセは思い至ったのが今日同行したのだった。

 

イレギア

「え? 楽しそうだったから」

 

アヤセ

「…………そっすか」

 

 その努力に見合わない即答を受けて空を仰いでしまう。今日もパルデアは晴天だ。

 

イレギア

「ちょ~……っと学校生活がつまんなくなってきた時に、さっき言ってたスター団の知り合い……もとい、俺のダチを見かけてさ。そんときの顔がなんか楽しそうだったんで俺も無理行って入れてもらったってワケよ」

 

アヤセ

「へえ…………」

 

 

 

 

 

 ……昨日のことだ。

 

ネモ

「イレギアってなんでスター団に入ったのかな?」

 

アヤセ

「さあ……? 明日聞いてみましょうか?」

 

ネモ

「いいの? ありがと! それじゃあ休憩終わり! もう一戦やろー!」

 

アヤセ

「いやっ……もっと話しません……? というか体力ないって聞いたのに有り余りまくりじゃないです……!?」

 

 

 

 

 

アヤセ

(この答え聞いたらネモさんどう思うんだろ……先輩っぽいって笑いそうなもんだけど……)

 

イレギア

「昔っから俺は、その時でいっちばん楽しそうなものに惹かれるからな。人気者ってのはずっと楽しそうだし、それこそっ! スクールカースト上位にもなれば楽しい学校生活は約束されてるからな! ——うーん、なんか足りねえな。レシピ通りなんだけどなあ……」

 

 サンドイッチを味見しながら、2人とポケモン全匹の分を作っていく。

 

アヤセ

「なんか……先輩らしいですね。あたしをスター団に勧誘したってそれもあるんですか?」

 

イレギア

「まあな。なぁんか寂しそうだったし、ノルマとかは正直、掟とか曖昧だけど……とにかく楽しく学校生活を過ごすのがスター団! ……って思ってる。本来の理念はなんかもっとスーコーなんだろうけど」

 

アヤセ

(…………寂しそう、か)

 

 ふとアヤセはあの日……イレギアとネモが初めて戦うその前に勧誘した女子生徒を思い出す。

 

 

 

 

 

アヤセ

——あの子もなんか、寂しそうだったなあ

 

イレギア

「——っし、完成! 俺特製のスペシャルサンドだぜ!」

 

アヤセ

「わーい」

 

 皿いっぱいに作られたサンドイッチにポケモンは大喜びだった。アヤセも喜んで自分の分を取ろうとして……ふと疑問が浮かび上がる。

 

アヤセ

「これも毎回気になるんですけど、なんでヘルメット外さないんですか?」

 

イレギア

「おいおいおいおい……スター団の正装をそう易々と崩すわけないだろ」

 

アヤセ

「(着崩しただけの制服にヘルメット被っただけなんだけど)……だからってずっとヘルメットつけたら蒸れません?」

 

イレギア

「多少はな。……それに、ここは野生のポケモンが蔓延る大自然だ。いつ何が起きるか——」

 

 

 

 

 

その瞬間、アヤセの見ていた世界が突如として止まった。

 

 

 

 

 

彼女が見ていたのは、サンドイッチを両手を持ったいつになく真面目な表情のイレギア……

 

 

 

 

 

……そして、彼の頭から拳1つ分の距離にまで接近していた飛来物。

 

 

 

 

 

あまりに速いためかそれがなんなのか理解しようにも把握もできなかった。

 

 

 

 

 

アヤセ

「…………——あ」

 

 その口からこぼれた一声で世界が再び動き出す——

 

イレギア

「べ————……!」

 

 明らかに何か潰れる音がして、イレギアの身体がテーブルに押し込まれ——一瞬でそれらが木片になって弾け飛び、鉄製の皿がひっしゃげ……サンドイッチが空を舞った。

 

アヤセ

「…………え」

 

 彼女の頬に飛び散るのはケチャップか、それとも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イレギア

「いっっっっ…………………ってええええええええええっっっ……!!」

 

 ケチャップでした。

 

 数秒も経たないうちにイレギアは頭を抱えながら起き上がる。

 

ヤングース

「グゥゥゥ~~~~!!」

 

イキリンコ

「キィ~~~~!!」

 

コイキング

(ビチ……ビチ……)

 

 彼の手持ちのポケモンが涙を浮かべて駆け寄る……弾け飛んだサンドイッチに。

 

モトトカゲ

「……アギャ?」

 

 モトトカゲがようやく起きた。

 

アヤセ

「…………」

 

 アヤセはもう考えるのを止めていた。シルシュルーは大きな音に怯えて眠ったままのウパーの元に逃げている。

 

イレギア

「ヘルメットが無けりゃたんこぶじゃ済まなかったぜ……ってかなんだ? また岩でも落とされたか?」

 

 目の前で茫然としていたアヤセのことはさておいて、ポケモンたちに周囲の警戒を指示する……

 

???

「タァー……」

 

 ……より先に、潰れたテーブルの向こう側でテーブルクロスに包まれた何かがそのベールを脱ぎ去る。

 

イレギア

「お前……——タツベイ?」

 

タツベイ

「タッベイ!」

 

 タツベイ側にも大きなケガが無かったのか、飛び跳ね起きるとふんぞり返ってイレギアを睨みつける。

 

イレギア

「すぐに起き上がるとぁ……流石の【いしあたま】ってか? 中々の鮮烈な出会いじゃねえか——へっへっへっ……! こりゃあゲットするっきゃねえぜ!!」

 

 イレギアのその一声に反応して彼のポケモンたちは一斉に彼を見る……だがその1秒後、ヤングースは地面に落ちたサンドイッチの破片を食べ始めた。

 

イレギア

「よぉし……タツベイ! お前に一騎打ちを申しむぜ!!」

 

アヤセ

「……——はっ。あれ……ここは……——なんか知らないポケモン…………」

 

 意識が確かになったアヤセが半ば放心状態で、広い場所に向かい合った1人と1匹を眺めていた。

 

タツベイ

「ベイベイ……!」

 

 明らかに自身に挑戦していると考えたタツベイは鼻息を荒立たせる。

 

イレギア

「いつでもどっからでもかかってこい!」

 

ヤングース

「グーグー!!!」

 

イキリンコ

「ゴハン! ゴハン!」

 

イレギア

「待ってろ! 今重要なばめ——ごはっ!」

 

 タツベイがジャンプしてイレギアの顎に『ずつき』! 容赦ない一撃にたまらず怯んでしまう……!

 

コイキング

「コ、ゴ……?」

 

 コイキングだけが困惑する事態の中、アヤセはとぼとぼシルシュルーと起きて身体を伸ばすウパーの元にしゃがみこんだ。

 

アヤセ

「……帰ろっか」

 

 

 

 

 

イレギア

「——っしゃあ! 俺のっ、勝利だっ……!」

 

 1時間後、イレギアは太陽に向かって両手を突き上げた。ボロボロの制服の傍にはタツベイがうつ伏せに倒れている。

 

タツベイ

「ベ、ベイィ~……!」

 

 その状態でもタツベイはイレギアを睨みつけるが……その顔には笑みが作られている——人間とポケモンの間に確かな友情が芽生えていたのだ!

 

イレギア

「タツベイ! これから俺たちはもっと高いところにまで突っ走っていくんだ……お前にもぶっ飛んで来てほしい!」

 

タツベイ

「ッ……! タッベイ!!」

 

 そんな彼の心に触れたのか、タツベイは起き上がって彼を見つめ……雄叫びを上げる。

 

イキリンコ

「キァーッ!」

 

ヤングース

「ググーッ!!」

 

コイキング

(ビチッ……ビチッ……!)

 

モトトカゲ

「アギャ~!」

 

イレギア

「みんなもありがとう——そんじゃ、モンスターボール!」

 

 タツベイは石頭に弾かれたモンスターボールに吸い込まれ……抵抗もせずゲットされる!

 

イレギア

「改めて出てこいタツベイ!」

 

タツベイ

「タッベイ!」

 

イレギア

「いい鳴き声だ! さて飯に……あれ、お前らその食べかすどうした?」

 

 見れば4匹のポケモンの口元にはパンのカスが……そして、予備のテーブルクロスの上にはサンドイッチは2つ作られていた。

 

イレギア

「……? っと、スマホスマホ……」

 

 アヤセの姿も無かったためスマホの連絡を見てみれば——

 

アヤセ

『お腹が空いたので適当に作りました。疲れたので帰ります』

 

イレギア

「……俺も、いい後輩を持ったなあ~っ!」

 

 その冷めたサンドイッチは格別に美味しかった。

 

 

 

—ボウルタウン キマワリ広場—

 

 

 

キマワリたち

「キマ!」「マキマ!」「マキワリ!」「ママ!」

 

イレギア

「到着ッ! これはたぶん記録更新したんじゃないでスター?」

 

 ポケモンセンターで休憩を挟んだイレギアたちはそのままボウルタウンのジムテストを受けていた……が、既にもうイレギアは町中のキマワリを連れて広場に戻っていた。

 

ジム職員

「お疲れ様ですチャレンジャー(スター……?)。記録によると……上から3番目です」

 

イレギア

「うげっ」

 

ジム職員

「ですがしっかりキマワリを10匹集めたようですね! 一応数えていきます。1、2、3……」

 

イレギア

「ちゃあんと10匹揃えてますとも!」

 

ジム職員

「……9、10、11——え?」

 

イレギア

「え?」

 

ジム職員

「すいません数え間違えました。キマワリっ、整列!」

 

キマワリ

「「「キ!」」」

 

イレギア

「おおっ~! さすがジム!」

 

ジム

「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11……」

 

イレギア

「…………え?」

 

ジム職員

「スゥ————————1、2、3……」

 

 キマワリの足元の紙を置きながら数えなおしても、たしかにキマワリは11匹いた……

 

ジム職員

「…………?」

 

 ジム職員は首を捻った。

 

イレギア

「…………?」

 

 イレギア自身も分からなかった。

 

ジム職員

「えっと……これはどうすれば——」

 

 もしかしたら不正を働いたのかもしれない……そう考え始めた職員のスマホロトムが飛び出した。

 

???

「何かあったのか?」

 

ジム職員

「それが……テストで集められたキマワリの数が1匹多くて……」

 

???

「多い、だと? 少ないではなく?」

 

ジム職員

「ええ、多いんです」

 

???

「なるほど。ワタシも風車の上から見ていたが、チャレンジャーは確かに10匹のキマワリを見定めてここに集まっていた……」

 

ジム職員

「つまり、理由は不明と……」

 

???

「厳密な調査をしていない現状ではそう判断せざるを得ない。だが——アヴァンギャルド!! 実に面白いっ……ジムテストを合格せよ!」

 

ジム職員

「え、ああ、はい……ありがとうございました……?」

 

イレギア

「……つーまーりー?」

 

ジム職員

「えっと……ジムリーダー・コルサから直々に許可が下りました。ジムテストクリアとします」

 

イレギア

「なんだかよくわかんないけどよっしゃあ!!」

 

 その後の調査の結果、『不明』となった。

 

 

 

 

—ボウルタウン 東ポケモンセンター—

 

 

 

イレギア

「無事一発合格! まさかネモとの特訓がここまで役に立つとはな!」

 

イキリンコ

「キィー」

 

 その後のジム戦はつつがなく勝利を収めた。

 

 イキリンコの『つばめがえし』で2体蹴散らしたあとにウソッキー——くさタイプに《テラスタル》する——が繰り出された時は、面食らって3体倒されてしまったが……新たな仲間であるタツベイの奮闘もあって勝ち星を上げた。

 

イレギア

「このまま3個目のバッジもゲットして……——んん?」

 

 ポケセンおねえさんから受け取ったモンスターボールを腰に装着しながら——イキリンコはボールから飛び出して定位置とばかりに頭に留まる——気合を新たにしていると、草原の向こうから誰かが走ってくる。どこか見知った顔で……

 

ネモ

「お、おーい……っ!」

 

イレギア

「ネモ! さっそくバトル……そんなヘロヘロでどうした?」

 

 ポケモンセンターにまで辿り着いたネモは手を膝に置いて肩で息をする。

 

ネモ

「はー……はー……っ!」

 

イレギア

「どっから走ってきたんだよそんなんになるまで」

 

ネモ

「えへへ……この近くでポケモン育ててたんだけどっ——アヤセちゃんから写真が来てさ」

 

 ネモがスマホロトムの画面をイレギアに見せる。

 

 ……ジト目のアヤセが自撮りする後ろではサンドイッチを喰らうイキリンコたちと、さらにその後ろでタツベイと戦っているイレギアが映っていた。

 

ネモ

「ここって南3番エリアだし、アヤセちゃんに聞いたらこれからジム戦だって言うからさ……鍛えたポケモンの腕試しにここまで来たんだー!」

 

イレギア

「なるほどな……へっへっへっ。油断しても俺が勝ったとなりゃあ人気爆上げだ! ジム戦で勢いづいた俺の実力を見せてやりまスター!!」

 

 イレギアは闘志の籠ったスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの ネモに 勝負を しかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

ネモ●●●●○○VSイレギア●●●●○○

 

 

 

 

イレギア

「手加減無用! 全力で迎え撃ってやる!」

 

 ポケモンセンター近くの広がった場所で2人は向き合い、イレギアはヤングースのボールを構えた。

 

ネモ

(全力……か)

 

 ネモも同じくモンスターボールを取り出して構える。

 

 

 

 

 

 ……昨日のことだ。

 

ネモ

「んん〜……っ! 楽しかったねポケモン勝負!」

 

アヤセ

「それは……ええ、たしかに……それはそうでしたけど……」

 

 アヤセとのポケモン勝負は辺りが暗くなるまで続き、今は寮まで2人並んで歩いていた。ネモの足取りは軽く、アヤセは重かった。

 

アヤセ

「まさか勝敗として半々って……なんかすいません手加減してもらって」

 

ネモ

「そんな手加減なんて……いつもとは違う戦法で戦ってみたり、別のポケモンで戦ってみたらアヤセちゃんが勝っただけだよ!」

 

アヤセ

「お互いのポケモンをシャッフルしてバトル……なんて、初めてでしたよ。そもそもバトル自体そんなにやってませんけど、それでも新鮮な体験でした。先輩ともこういうことやってみたらどうです? なんというか……ずっと負けて先輩悔しそうですし」

 

ネモ

「うーん、それもそうなんだけど……やっぱりなんかイレギアとはこう、全力で戦りたいんだよねー。アヤセちゃんやアオイたちとは勝っても負けても楽しいし、負けたって得られるものがあるって言えるんだけど…………それでも、イレギアには……勝ちたいな、って!」

 

アヤセ

「…………まあ、あんなに全力で挑んでる人に向かって手なんて抜けませんよねえ」

 

ネモ

「確かに、そうかもっ」

 

 

 

 

ネモ

(あれからちょっと考えたけど……やっぱりそういう理由なのかな、わたしがイレギアに勝ちたいのって)

 

 呼吸を1つ挟んで、左手で支えた水平な右腕から伸びた手がモンスターボールをぎゅっと握りしめる。

 

ネモ

「実りある勝負をしよう!」

 

イレギア

「もっちろんだぜ! 今度こそ俺が勝ってやりまスター!!」

 

 理由はわからない……でも、それでも確かなことはひとつあった。

 

ネモ

(全力で戦うのは——何よりも楽しい!

 

 ネモは自然と、心からの笑みを浮かべていた。



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7.カチコめチーム・シェダル!お前の頭が真っ赤に燃える!

前回の終わりに引き続いてネモとのバトルからです。


 

 

 

—ボウルタウン 東ポケモンセンター前—

 

 

 

イレギア

「決めるぜ《テラスタル》! ここで勝てば俺らの栄光は確実でスター!!」

 

 ネモとイレギアのバトルは佳境を迎えている。しかしイレギアはラスト1匹であるタツベイに対してネモは2匹目のナミイルカを繰り出していた。

 

 それでもイレギアは諦めることなく《テラスタルオーブ》をタツベイへと放り投げる! テラスタルエネルギーを受けて、タツベイのテラスタイプが覚醒する——!

 

タツベイ

「タッベ————————イッッッ!」

 

 竜の頭を模した冠——タツベイはドラゴンタイプに《テラスタル》

 

ナミイルカ

「イルル……」

 

ネモ

「焦らないでっ、『みずのはどう』!」

 

イレギア

「ぶっかませ! 『りゅうのいぶき』ッ!」

 

 2匹のポケモンの口にみず、ドラゴンタイプエネルギーが収束していき……!

 

ナミイルカ

「ルッカァァァ————————ッ!!」

 

タツベイ

「ベェェェェ————————イッッッ!」

 

 一斉に放たれた波動と息吹がぶつかって砂煙を発生させる! フィールドに一時的に煙が立ち込める。

 

イレギア

「まずっ……うわっ!」

 

 押し寄せる風と煙の波はトレーナーたちの視界も封じてしまうほどだったが……

 

ネモ

「ナミイルカっ! そのまま正面に向かって『アクアジェット』!」

 

ナミイルカ

「ルカッ!」

 

 ネモは決して動じずにポケモンに指示を飛ばすと、煙の向こうからウェルカモの返事が返ってくる。

 

イレギア

タツベイ! 『ずつき』で迎え撃て!」

 

タツベイ

「ベイッ……!?」

 

 しかしイレギアは動揺を隠しきれぬまま指示を出すも、煙の向こうのタツベイは首を回してただ慌てるのみだった。

 

ナミイルカ

「カ——ッ!」

 

 その隙を突いたナミイルカが激流を纏いながら砂煙を切り裂いて接近——勢いそのままタツベイの急所を強襲する

 

タツベイ

「ベイ~~~~っ!」

 

イレギア

「あっ、タツベイっ!」

 

 タツベイはフィールドから飛び出る場所にまで吹っ飛ばされてしまう——輝いていたその身体と冠が消えていった……

 

タツベイ

「ベ、イィ……」

 

 

ポケモントレーナーの ネモに 敗北した……

 

 

イレギア

「タツベイっ、大丈夫か!?」

 

タツベイ

「べ……ベイ……ッ!」

 

 イレギアが駆け寄ってきたのを見たタツベイは、しかしまるでなんともないように立ち上がってその小さな胸を張った。

 

タツベイ

「……イベっ」

 

 だが1秒と持たずに倒れてしまう。

 

イレギア

「へっ……意地っ張りなヤツ。しっかり休んどけ」

 

 ボールに吸い込まれるタツベイが曖昧な視界に移していたのは、太陽が雲に隠れた青空と喜んで空を泳ぐナミイルカの姿だった。

 

イレギア

「ちっくしょーっ! 次こそ勝ってやるからな~……覚えてろ!」

 

ネモ

「もっちろん、覚えてるからね~!」

 

 イレギアがポケモンセンターに駆け寄りながらいつもの捨て台詞を吐くが、ネモは変わらず笑顔で手を振って返事をする。一瞬だけイレギアが振り返って彼も手を振り返した。

 

ネモ

「……わたしも、もっと強くならないとね」

 

 きずぐすりなどのアイテムをあげたい気持ちもあるが……それは全力で戦ってくれているイレギアには不要だとバックの奥に押し込んだ。

 

ナミイルカ

「イルル?」

 

 イレギアを見送っていたナミイルカが頭を上げながらネモを見つめる……頬を紅潮させて、笑みをこらえきれていない様子だった。

 

ナミイルカ

「ルカ……——!」

 

 ネモから感じる想いに——ナミイルカの身体が光り始める!

 

ネモ

「ナミイルカ? えっ……まさかこれって進化——……っ!?」

 

 

 

—ボウルタウン 東ポケモンセンター—

 

 

 

イレギア

「惜しかったな……でもお前らっ、頑張ってくれてありがとう!」

 

ポケモンたち

「ツギコソハー!」「ググ!」「ゴゴゴ!」「ベイ……!」

 

 イレギアがボールから手持ちのポケモンを全員繰り出し、労いの言葉をかけていく。

 

イレギア

「しかーしっ! このままじゃいつまで経っても追いつかねえ……今から特訓だ!」

 

ポケモンたち

「トックンダー!」「グーグー!」「コゴッ……!」「タッベイ!」

 

 イレギアが天高く右手を掲げると、士気が高まったポケモンたちの雄叫びが辺りに響く——……

 

 

 

—チーム・シェダル アジト前—

 

 

 

アオイ

(…………なんだろこれ)

 

 スター団のアジトが見えてきた頃、アオイが目にしたのは地面に直に置かれたヘルメットだった。

 

 太陽を眩しく反射するヘルメットには、スター団のマークが描かれている。

 

アオイ

(誰かの落とし物かな……)

 

 本来は触れるべきではないそれを、アオイは魔が差したのか手に取ろうとして——

 

 

 

 

 

???

「出やがったなカチコミ野郎ッ!」

 

 

 

 

 

アオイ

「うわっ——!」

 

 横の草むらから聞いたことのある声が叫ばれる!

 

 その方向へ驚きながら振り向いてみると……

 

イレギア

「……あれ? なんだアオイじゃねえか。何してんだこんなところで」

 

アオイ

「び、びっくりしたあ〜っ! 先輩こそ隠れてなにやってたの……もしかしてこのヘルメットって先輩の落とし物……じゃ、なさそう?」

 

イレギア

「俺のは見ての通り被ってまスター! それはダチからもらったものでよ~。どうやらスター団に勧誘したヤツのために用意してたんだが、宝探しの方に行っちゃったんで余っちまったんだと」

 

アオイ

「……なんでまたそれを道端に?」

 

イレギア

「それがよお~聞いてくれよ。チーム・セギン所属のダチがカチコまれた挙句、ボスが負けて解散したんだと! こりゃあスター団の一員として見過ごせねえ……そのカチコミ野郎を俺がいち早くぶっ倒しまスター! そうすりゃ俺がその功績を讃えられて生徒会長に——じゃなくなったんだアイツはもう」

 

アオイ

(あいつ? ……ピーニャのことかな。確か元生徒会長とかなんとか)

 

「とにかくっ! 俺が代わりに新たなボスに成り上がれる! ゆくゆくは他のボスを倒してマジボスにまで突き抜ける! どーよ完璧な作戦でスター?」

 

アオイ

「それだと先輩もカチコミ野郎じゃない?」

 

イレギア

「たっ、確かにっ……! ——だがしかしっ! スター団の危機を救いたい気持ちはトーゼンありまくる! アオイも気を付けろよ。無関係なヤツがアジトの近くにいたらカチコミ野郎って勘違いされるからな」

 

アオイ

ワタシがカチコミ野郎

 

イレギア

「出やがったなカチコミ野郎っ! 俺がスター団を代表して蹴散らしてやりまスター!!」

 

アオイ

「切り替えはやぁ……」

 

 アオイが面食らいながらもイレギアはスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝負を しかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

アオイ●●●●○○VSイレギア●●●●○○

 

 

 

 

アオイ

「(たぶん最初はヤングース……)出てきてヨーギラス!」

 

ヨーギラス

「ギラっ!」

 

イレギア

「迎え撃てヤングース……いや、デカグース!!」

 

デカグース

「グゥー……ッ!」

 

アオイ

「進化してる……!?」

 

イレギア

「どーよ俺のデカグースはっ! 進化した衝動で暴れちまってコルサさんにこっぴどくやられちまったぜ!」

 

アオイ

(なんかまたやらかしてる……)

 

イレギア

「だが進化したことで噛み癖もなくなった! 岩も砕くその顎に牙ッ……『かみつく』で存分に味わえ————!」

 

 

 

 

 

 数分後——

 

イレギア

「くっ、戻れイキリンコ……」

 

イキリンコ

「モドレ……」

 

 《テラスタル》の冠が砕け散り、イキリンコがモンスターボールに戻されてしまう……

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 敗北した……

 

 

イレギア

「なんで俺が次に出すポケモンが分かんだよーっ!」

 

アオイ

(今度は2体倒された……だんだん強くなってきてる)

 

イレギア

「どうやら旅を得て強くなっているようだな。先輩として誇りに思いまスターっ! それを祝ってこのヘルメットはプレゼントしてやる……割と高いんだぜ?」

 

アオイ

「はあ……あれ、なんか大量に入ってる……」

 

 イレギアから差し出されたヘルメットが器代わりに金貨が大量に入っている——アオイはコレクレーのコインを100枚手に入れた!

 

イレギア

「旅してるうちに変なポケモン見つけてよ。近づいたら落とすもんだから拾いまくったらこんなんになっちまったぜ! 俺は要らねえからくれてやる……ありがたく思えよ?」

 

アオイ

「要らないからって……そんな押し付けるみたいに」

 

イレギア

「まぁまぁまぁまぁ……っつってもこんなの集めて何になるんだかな。100枚集めてもなんにもならないし、持てるだけ持てば何かに使えたり……まぁいいか。有効活用してくれよ! そんじゃあお疲れ様でスター!!」

 

 再びのスター団ポーズを披露した後、モンスターボールからモトトカゲを出してそれに跨った。

 

イレギア

「改めて覚えてろよ~っ!!」

 

アオイ

「モトトカゲがだんだんコライドンに近づいて行ってる……」

 

 イレギアのモトトカゲのインディアン化は手足や腰にまで及んでいた。

 

 

 

 

 

イレギア

「アオイのヤツも順当に強くなってやがる……へっへっへっ、それでこそ人気者のなりがいってのがあるってもんだぜ! お前も見てってくれよモトトカゲ! この俺の偉大な軌跡をなっ!」

 

モトトカゲ

「アギャス!」

 

 敗走するイレギアだったがその顔には一切の翳りはない。常に上昇志向でめげずへこたれず、それこそが物事を楽しむ秘訣だと母親から教わってことである。

 

イレギア

「もう少しでおやつの時間だな。ポケセンの近くで腹ごしらえでもするか!」

 

モトトカゲ

「アッギャギャ~!」

 

イレギア

「おっととっ……急加速すんなって。気に入ってもらってよかったぜ俺のサンドイッチ。そういやアイツのサンドイッチもいつかみんなに食わせてやりてえなあ……あのサンドイッチ食ってからなあ~んかどのサンドイッチも味気なく感じちまう」

 

 虚空に目にやるイレギア……しかし、炎のような意匠の旗の下に思いがけない人物を見つける。とはいえ小指の爪ほどの大きさだったが、イレギアにはそれが誰かか明白に理解できた。

 

ネルケ

「ボスのメロコをアジト内に発見した。依頼などの類も受けていないようだし、仕掛けるなら今だろうな」

 

 イカしたリーゼントのメガネガイ……ネルケである。

 

???

〈ありがとう。アオイにも伝えよう〉

 

ネルケ

「頼むぜ」

 

 どうやら誰かと通話しているようだが、拳大の今でもその内容は分からない。

 

???

〈当初は君を疑ってしまったが、手を貸してくれて助かるよ。君にも報酬を与えよう〉

 

ネルケ

「いいや要らねえぜカシオペアさん。何処にいるかも分からない人間に金を貰うのは好まない」

 

カシオペア

〈ほう……なに、無理は言わないとも。それでは、引き続き頼んだぞ〉

 

ネルケ

「了解、切るぜ。……——ふう。同年代の方がいたとしても、生徒に紛れるというのは中々に難しいものですね」

 

イレギア

「おーいネルケーっ」

 

ネルケ

「っ……その声は」

 

 ネルケはモトトカゲの足音と彼の声を耳にする……少し遠くからイレギアが駆け寄ってきた。

 

ネルケ

「これはこれは、確かアンタはイレギアだったか」

 

イレギア

「止まってくれモトトカゲ。そうそうありがとう……おうっ、また会ったな!」

 

ネルケ

「すまんが今度も邪魔はさせないぜ? それとも単純にバトルしたいのか?」

 

 ネルケが自身のリーゼントを掻き上げながら鋭い視線を飛ばす。

 

イレギア

「いやいやいやいや、ちょっと知り合いを見かけたんで話しかけただけだ。カチコミ相手なら、さっきアオイってヤツにコテンパンにやられたから邪魔できねえでスター!」

 

ネルケ

アオイ……既に仕掛けていたのか

 

イレギア

「まさかアイツがスター団相手にカチコミを……へっへっへっ、ダークホースをぶっ倒せばそれこそ俺の評判はシビルドン登り! まっ、今回はほのお組のヤツらに花を持たせてやるとするかぁ!」

 

ネルケ

「……イレギア。ひとつ聞くが、アンタはスター団が解散することに……その、寂しさとか悲しさとか……そういうのは無いのか?」

 

 これは校長として、本当にスター団が悪評通りの存在なのかを探るものであったが……

 

イレギア

「無いぜ?」

 

 とてつもなく素早い解答に面食らってしまう。

 

ネルケ

「そっ、そうなのか……?」

 

イレギア

「そりゃスター団じゃなくなってもダチはダチだし、無くなってもそもそも学校通ってんだからそこで会えるだろうし。てかアイツら単位とか大丈夫なのか? そっちの方が心配だな」

 

ネルケ

「なるほど……」

 

イレギア

「まぁ……俺がこういう考えなだけで、中にはスター団しか居場所がないヤツもいるんだろうな。1年前の傷も治ってないヤツとか」

 

ネルケ

「1年前……いったい何が……?」

 

イレギア

「おおっと! そこまで話す義理はないぜ? さっきのはお前のイカしたリーゼントに免じて答えてやったんだ! ありがたく思うんでスター!」

 

ネルケ

「ああ……貴重な情報感謝する。助かったぜ」

 

イレギア

「おいおいおいおい。そんな褒めたらもう1個ぐらい答えても良くなったぜ? 何があったか教えてやろうか?」

 

ネルケ

「いや……このことはオレたちで調査する。それより、アンタにしか聞けないことを聞きたい」

 

イレギア

「なんだよそんな改まって」

 

ネルケ

「大事なことだ。ちゃんと答えてくれ」

 

イレギア

「……言っとくが、スター団についてはほとんど知らねえからな?」

 

ネルケ

「スター団についてじゃない……——ネモについて、どう思っている?」

 

イレギア

「ネモ?」

 

ネルケ

「ああ」

 

 イレギアが訝し気な視線を送るも、ネルケの瞳はイレギアを掴んで離さなかった。

 

ネルケ

「なに、生徒会長である彼女はスター団に嫌われているかもしれないからな。単なる興味で——」

 

イレギア

「普通に目指すべき対象ってか、アイツとバトルすんの楽しいし?」

 

 ネルケが説明を付け加える手前でイレギアは淡々と意見を述べる。

 

ネルケ

「……それは、負けてもか?」

 

イレギア

「そらそうよ。そもそも勝てたことないし。いつか絶対勝ちてぇって思うけどな!」

 

ネルケ

「……羨ましいくらいの向上心だな」

 

 フッと微笑みながら、クラベルは心のどこかで安心する。

 

クラベル

(ネモさん、いい友人を手に入れましたね——)

 

イレギア

「あとアイツの楽しそうな笑顔好きだし、一緒に居るともっと楽しいし……おっと話はここまでだぜ! そろそろポケモンたちを回復させたいからな。そんじゃっ、お疲れ様でスター!!」

 

ネルケ

「ああ、また会おうぜ」

 

 

 

—東1番エリア ポケモンセンター前 —

 

 

 

イレギア

「はい、東1番エリアです。よろしくお願いします」

 

タクシー会社

「かしこまりました。そのまま少々お待ちください」

 

 ポケモンたちを回復したイレギアは、アップルアカデミーに向かうためにタクシーを呼んでいた。

 

イレギア

「さてさてさてさて……学校に着いたらまずおやつだな。ジム攻略でちょっと疲れたし」

 

イキリンコ

「オヤツ! オヤツ!」

 

イレギア

「イキリンコも楽しみか! んにしても進化したんならメシはやっぱり多くした方がいいよな……うっし買い出しも必要だな!」

 

イキリンコ

「……ッ! キィー!」

 

イレギア

「おっともう来たか……いやいくらなんでも速くねえか?」

 

 やいのやいの言っていると、空からタクシーが下りてくる……しかし、そこには誰か乗っているようで?

 

イレギア

「あれは……えっ? アヤセ!?」

 

アヤセ

「あれ……先輩!?」

 

 再び思いがけない人物との邂逅であった。

 

 空飛ぶタクシーが下りて自動ドアを開けた瞬間、アヤセが飛び出してくる。タクシーは飛び立たずそのまま待機していることから、イレギア待ちであろう。

 

イレギア

「なんでえお前、そんなに俺と冒険したかったのかあ~っ? だったら言えって——」

 

アヤセ

「いえそれは全然まったくもう今日は嫌です許してください」

 

イレギア

「そんな真っ向から否定しなくてもいいじゃねえかよ。ならこの辺に用があるのか?」

 

アヤセ

「ええまあ……実はあの子が……」

 

イレギア

「あの子?」

 

 アヤセがタクシーへと振り返ったので、イレギアもつられてそちらを向くと……

 

???

「ボウ! ボウ!」

 

 膝下ほどの体躯から伸びる短い手足を懸命に振って、頭に灯った炎を揺らめかせる——カルボウだった。

 

アヤセ

「実はその……」

 

イレギア

ボウジロウ!? どこ行ってたんだよお前!」

 

 アヤセがそのカルボウについて語ろうとしたところで、イレギアが足元に到着した彼の名を的確に呼んだ。

 

アヤセ

「ええっ!? 知り合いですか!?」

 

イレギア

「知り合いってか……知り合いの知り合い? そんでボウジロウとなにがあったんだよ。てかどこで見つけたんだよー」

 

アヤセ

「ええとそれで、実は——」

 

 彼女自身、まだ整理できていないのかたどたどしくも言葉を紡いでいった。

 

 時間はイレギアのジム戦にまで遡る——

 

 

 

 

 

 学校に帰ったアヤセは、自室にて思い切りベッドにうつ伏せになっていた。

 

アヤセ

「ぐおおおおおおお……!」

 

 『ザ・ドガース』のボーカルのホミカのポスターがそこら中に貼られており、その他にも関連グッズが部屋の至るところに設置されていた。置く位置にもこだわりがあるようだった。

 

 

アヤセ

(もうヤダ。もう今日は何もしない。ホミカさんのライブも見れないくらい疲れてる。夜の生配信くらいしか見たくない……それと主題歌やってるアニメも最近ハマってるからそれだけしか見たくない……あと——)

 

 それなりに出来そうなことがあった。

 

アヤセ

「……アイス食べたい」

 

 いくつか脳内でやれることを上げていった結果、脳が疲れたのか糖分を欲しがったらしい。

 

アヤセ

「あれぇ……アイスないじゃん……」

 

 しかし冷凍庫の中にはその類のものはない。あるのは入学時に親から送られてきた肉や魚……いつまでもつんだろ。ぜんぜん料理しないし……そのうちやってみよう。

 

 腐らせるのは別の話。

 

アヤセ

「うわぁあとグミしかない……」

 

 どうしてもアイスが食べたかった彼女は、面倒だと溜め息で愚痴って購買まで買いに行くことにしたのだった。

 

アヤセ

(あ……やば。ヘルメット持ってきちゃった)

 

 寮から校舎までの道中で、財布と共にスター団マークの描かれヘルメットを持ってきていたことに気づく。ついでに星型ゴーグルも括り付けられているため、誤魔化すことはできないだろう。

 

アヤセ

(最近は出かける時にいつもこれだったしなあ……まだ数日しか被ってないのに、なんだか慣れちゃったな)

 

 戻しに行くのも面倒なので、もういっそのこと被ってしまえと思い至る。

 

アヤセ

「…………いやいや」

 

 バカが感染った。さっきまでの自分が恥ずかしくなってヘルメットを脱ごうとしたその時——

 

ボウジロウ

「ボウ! ボウ!」

 

アヤセ

「あれはカルボウだっけ……なんかこっちに来てる?」

 

 1匹のカルボウがアヤセの元まで駆け寄ってきたのだ。

 

ボウジロウ

「ボウ!! ボウー!!」

 

アヤセ

「なっ、なに……? なんか飛び跳ねてて……【いかく】?」

 

 ボウジロウは頭の炎を激しく揺らめかせてアヤセを指差して跳ねている。その真意に分からずアヤセは戸惑ってしまう……が、ひと呼吸おいてしゃがみこんだ。

 

アヤセ

「ええと……あたしたち知り合いだっけ?」

 

ボウジロウ

「ボ——ボウ!」

 

 アヤセの問いかけにボウジロウは頭を横に振りながら炎を縦に振った。

 

アヤセ

「どっちだ……?」

 

ボウジロウ

「ボウボウ!」

 

アヤセ

「ん? あたしの頭……ヘルメット?」

 

 ボウジロウに指摘されたヘルメットを脱いで差し出すと、彼はスター団マークを勢い激しく指差した。

 

アヤセ

「もしかしてスター団の誰かの手持ちなのかな。今日はなんでか置いてかれちゃった……とか?」

 

ボウジロウ

「ボウ! ボウっ!」

 

アヤセ

「分からん……とにかく、スター団関連で頼りたいときはええと……なんでも屋のメロコに頼れだっけ?」

 

ボウジロウ

「ッ……! ボウボウーッ!」

 

アヤセ

「うわっと……もしかしてメロコさんに用なの? ……どうしよ、ウワサに聞いたけど怖そうなんだよねあの人……」

 

ボウジロウ

「ボ~ウ~!!」

 

 渋るアヤセに対してボウジロウが彼女の腕にしがみついてねだるので、相手の執念にアヤセも根負けして天を仰ぐ。

 

アヤセ

「あーあー分かったって! 行くってばっ! アイスはあとっ、とにかくほのお組のアジトに行ってからっ……そのあとは……そんとき考える!」

 

 行き当たりばったりにアヤセはタクシー会社に電話した。

 

 

 

 

 

アヤセ

「——まあそういうわけで、あんまりあたしもよくわかってないっていうか……」

 

イレギア

「はふはふ……へー——ふぉーふぁんふぁ」

 

イキリンコ

「ハフハフ……!」

 

アヤセ

「……人が話をしてる時になに食ってんですか?」

 

イレギア

「焼きバナナ」

 

アヤセ

「食ってるもんについて聞いてるんじゃないんですよ! ちゃんと話聞いてますかってことですよ!」

 

イレギア

「ふぉんなの……んぐっ——もちろん全部理解したぜ? あのボウジロウってのは元々メロコのポケモンでよ。1年前に逃がされちまって、そのちょっとあとは学校で面倒見てもらってたんだが……う~ん! やっぱりボウジロウの火で焼くと段違いにウマいぜ!!」

 

アヤセ

「ボスのポケモンに何を……ってあれぇ!? そのボウジロウはどこに!?」

 

イレギア

「アジトに走っていったぜ?」

 

アヤセ

「ちょっ……なんで見送ったんですか! 野生のポケモンに襲われでもしたら……」

 

イレギア

「いや? どうやらネルケと合流したみたいだぜ? んでそのままアジトに……よし! これでアヤセの目標は達成ってこった!」

 

アヤセ

「ええっ……? なんか釈然としないっ……しかも見えてるんですかこの距離を…………」

 

イレギア

「おうよ! オレの視力はファイアロー並みだぜ! 知り合いならある程度離れてても識別でき——……ややっ!? あれはネモ! へっへっへっ……コイツは棚からふしぎなアメ! 進化した俺の強さを見せてやるぜ——出てこいモトトカゲ!」

 

アヤセ

「いや、あの……」

 

イレギア

「タクシーはお前に譲ってやるぜーっ!!」

 

アヤセ

「あっ、はい…………ええっ?」

 

 アヤセはいつの間にか手足にまで衣装が施されいてたモトトカゲに乗って駆けていくイレギアを困惑しながら見送った。

 

アヤセ

「…………カラオケいこ」

 

 やりたいことが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——なお、バトルの結果は散々だった。

 

イレギア

「ぐおぉぉぉ…………まさかの一体で全滅させられるとは…………っ」

 

ネモ

「すっごい! 初めて見たポケモンだけどこんなに強いなんて……っ!」

 

イルカマン

「アイルッ、カマーン!!」

 

 直立したイルカのようなポケモンが倒されたイレギアの横で拳を天高く掲げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方のアオイとネルケ。

 

アオイ

「なんかボウジロウ、甘い匂いしてませんでした?」

 

ネルケ

「…………だな」



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8.画面のアイツは何者なんじゃ!?いつかの別れは知らなんだ

 

 

 

—アップルアカデミー アヤセの部屋—

 

 

 

アヤセ

「んっ——んん~っ! 朝っ……生活リズムもなんか矯正されてる感じ~」

 

 カーテンを開いたその時、スマホから電話がかかってくる……連絡先が片手で数えられる程度しかない彼女に電話してくる相手なんてたかが知れていた。

 

アヤセ

「はい、先輩ったら朝っぱらからなんですか?」

 

イレギア

10時だぞ

 

アヤセ

「…………あの、今どこに?」

 

イレギア

ハッコウシティ

 

アヤセ

「スゥ————————…………すいません」

 

イレギア

「いや別にそこまでじゃねえよ。昨日も見かけたから一緒に来てもらってるだけだし」

 

アヤセ

「それでもなんかホントすいません……それで、なんの用ですか?」

 

イレギア

「ああそうそう……急ですまねえがちょっと力を貸してくれ! お前じゃないとダメなことだ!」

 

アヤセ

「……お礼になんかグッズ買ってもらってもいいですか?」

 

イレギア

「もちろんいいぜっ! ホミカちゃんグッズな! 使ってたギターピックとかめちゃくちゃ高いもんじゃなきゃ大歓迎だぜ!」

 

アヤセ

「そんな伝説的なもの持ってる人いるわけないでしょ。居るもんなら会ってみたいですよ」

 

イレギア

「俺のダチに居るぜ?」

 

アヤセ

「うっそでしょ……」

 

 

 

—ハッコウシティ ジム前—

 

 

 

 100万ボルトの夜景——夜の帳の下りたこの街はそう形容されている。

 

ナンジャモ

「それじゃあ挑戦者氏~? この映像のどこかにジェントルさんが潜んでいるぞ! 目をコイルにして存分に探してくれたまえー!」

 

 しかし現在は昼時。

 

 そんなハッコウシティのジムリーダーにして人気配信者のナンジャモがジムテストを行なっていた。その挑戦者は——

 

アオイ

「はーい!」

 

 前日の夕焼け時にチーム・シェダルを壊滅させたアオイは、ナンジャモの配信をスマホロトムで見ながらジェントルさん……もとい、クラベル校長を見つけようとしていた。

 

アオイ

(とは言ってもすぐに見つけちゃったけど、即答っていうのも味気ないし……もうちょっと周りの景色を——)

 

 そうして画面全体に視界を広げたその時だった。

 

イレギア

「…………」

 

 画面の左端……ちょうどナンジャモがいなくなったその場所に、画面に見切れているイレギアがこちらを見ていた

 

 決して動かず、ただこちらを伺っている。

 

アオイ

(…………映像、だよね? なんでここに……正解しとこ)

 

 アオイはたまらずクラベルを発見しクリア。

 

ナンジャモ

「はい勝利ー! 挑戦者氏お見事ー! んじゃカメラ変えるねん」

 

アオイ

(よし、突破した……なんだったんださっきの)

 

 ジムトレーナー兼ナンジャモのファンを倒したのち第2問となった。

 

ナンジャモ

「次の舞台はこちら! みんな大好きポケモンセンター!」

 

アオイ

(うーん。今度はすぐにはわかんないな)

 

ナンジャモ

「ここにも……——え"っ」

 

 説明途中のナンジャモからド低い声が漏れる。

 

アオイ

(ナンジャモさんどうし…………あ)

 

 ポケモンセンターの担当がクラベルだったことを見つけ——その隣のフレンドリィショップの担当がイレギアになっていた。しかも衣装もショップ店員の制服という徹底ぶりで、同じくカメラ目線のまま動かない。

 

アオイ

(え……なにこれ、ミーム汚染?)

 

ナンジャモ

「あ、え……こっ、ここにもジェントルさんが潜んでるから躍起になって探してねーっ!」

 

 ナンジャモが早口でまくし立てると画面から姿を消した……

 

アオイ

(あっれクラベル校長気づいてない? なんでそんなところにまでいるの……なんかお客さん来てるし……あの、反応してあげてよ先輩! あとこっち見ないでっ……)

 

 再びたまらず正解してクリア。

 

クラベル

「……おや? うまく溶け込めたと——」

 

アオイ

(動かないでって先輩! またカメラ目線に……っ!)

 

ナンジャモ

「じぇ……ジェントルさんまたもや発見……フヒっ」

 

アオイ

(もうナンジャモさんも困惑して……なんか笑ってる?)

 

 アオイ自身も笑いを堪えながら再びジムトレーナーと戦闘を行ない、そのまま勝利する。

 

アオイ

(よし……戦ってたら笑いも収まってきた)

 

ナンジャモ

「さすが挑戦者氏ー! 探しっぷりもバトりっぷりもカイデンの如しー!」

 

アオイ

(ああよかった……ナンジャモさんも元に戻ってるっ……!)

 

 このまま進めることに安堵しながら、ナンジャモがカメラを変える。

 

ナンジャモ

「最後の舞台はこちら! 激闘渦巻くバトルコートだー! 果たしてこの人だかりからジェントルさんを見つけ出せるのか!?」

 

アオイ

(さっきネモと戦った場所だ……コートっていろんな人に利用されて——)

 

 その瞬間、またも見つけてしまう。

 

 

 

 

 

 ——手すりを背に預けてうなだれているイレギアの姿を。

 

 

 

 

 

アオイ

「——ぶっ……!」

 

 アオイはついに噴き出してしまう。

 

アオイ

ぶふっ……! あっはははははははは————っ!!(怒られてたっ……絶対っ、ぜったい裏で怒られてたっ……!)」

 

 スター団の装いに戻ったまま肩を落として虚空を見つめる彼の姿に、アオイが笑いが止まらない。

 

 ひーひー言いながら視線を彷徨わせるが、ときどき目に入る悲し気なイレギアの姿にまたもや噴き出してしまい、どこを探したのか頭から吹き飛んでしまう。

 

 

 

 ——結局、数分後にえずきながらクラベルを見つけることができたのだった。

 

 

 

アオイ

くくくくっ……! (やっと、やっっ……と見つかった……!) ひひひひひひっ……!

 

ナンジャモ

イヒヒヒヒっ……! ヒーヒーヒー……!! 3回目も見事っ、フヒっ……! チャンネル登録数どころかトレンド1位になっちゃった……っ!! ヒーヒー……もうこれジムテストクリアしかないジャンっ……!」

 

 画面に現れたナンジャモも笑いが止まっていなかった。

 

ナンジャモ

「それじゃっ、いつでもバトル待ってるからっ……一旦ここまでぇっ、ヒー……——あなたの目玉をエレキネットっ、何者なんじゃあの人は——……じゃなくてっ、ナンジャモでした~……フヒヒ」

 

 アオイはこの日の夜にナンジャモとのバトルを済ませた。その時の両者の雰囲気はとてつもなく浮ついたものであった。

 

 

 

 

 

 ——そうして日は経って夜の帳が下ろされる。

 

ジム職員

「うわ……ナンジャモさん、昼の配信で映りこんでたあの子めちゃくちゃバズってますよ」

 

ナンジャモ

「フヒヒっ……うんうんっ、ボクも昼からその子で笑いっぱなしだよーっ」

 

 ジム受付を務めている中年の職員が通話しているジムリーダーのナンジャモに話しかける。スマホの端にはナンジャモの姿が映し出されている。

 

ナンジャモ

「このフレンドリィショップの店員からの落ち込んでる図が芸術的……いやいやー、その前の見切れ真顔が逆によく映えるっていうか……!」

 

 切り抜かれた3つの画像を見比べながら笑みをこぼしていた。

 

 1枚目は自分の後ろから現れた微動だにしない少年。ヘルメットに星型ゴーグル、着崩した制服という奇抜な出で立ちからのカメラ目線で真顔、そして顔半分が見切れているのに笑いが込み上げてくる。

 

 2枚目ももしや見切れるのではないかという予想を裏切って、次はなんとフレンドリィショップの店員に扮しているという謎すぎる展開。それでもカメラ目線で真顔なのを欠かさないというのに更なる笑いが押し寄せてくる。

 

 そして3枚目の落ち込みようで笑いを爆発させる完璧な流れ。カメラ目線でも真顔でもなく、手すりに腰掛けてたそがれている姿がこの間に何があったのかを物語っている。

 

 全て見終わった後に再び1枚目に戻ってはクスリと笑う……いつ見ても飽きないシチュエーションであった。

 

???

「すいませーん、ジムテスト受けに来ましたー!」

 

 しかしジムの自動ドアが開かれ、夜だというのに明るい少年の声が叫ばれる。

 

ナンジャモ

「おっとと次の挑戦者氏かな——」

 

 その少年の顔を見ようとして、スマホロトムが見切れ真顔の画像からそちらに視線を移すと——見切れ真顔の彼が目の前に立っていた。

 

ナンジャモ

「——ブフォ!」

 

イレギア

「ええっ!? なんスか急に!」

 

 スマホ越しにナンジャモが噴き出したので流石のイレギアも困惑してしまう。

 

ジム職員

「ヒひひっ……あの、今日はっ、ははっ……!」

 

イレギア

「なっ、なんなんスか……? まあ今日はジムを受けに、そんでジムテストまだなんでそれからよろしくお願いします」

 

ナンジャモ

「あっ、ジムテストねっ……! いやもう合格でっ……!」

 

ジム職員

「はいっ、受理します……!」

 

イレギア

「なんなんスかさっきからっ!」

 

アヤセ

(珍しく先輩が押されてる……)

 

 後を追ってきたアヤセが不思議な光景を眺めていた。

 

 

 

—ハッコウシティ バトルコート—

 

 

 

ナンジャモ

「みなのもの~! 準備はいーいー? あなたの目玉をエレキネット! 何者なんじゃ? ナンジャモです! おはこんハロチャオ~!」

 

 コメント欄では返事するリスナーが物凄い勢いで流れている。ゲリラ配信で1万人いるのだから、彼女の人気は計り知れないだろう。

 

ナンジャモ

「ナンジャモの~? 『ドンナモンジャTV』の時っ間っだぞー! さてさて~今回のお相手は……昼の配信にて映りこんではビリリダマの如く爆発的にバズり散らかしてる謎の少年の正体っ——イレギア氏だぞ~!」

 

 バトルコートの対面で準備運動をしていたイレギアの元にスマホロトムが急接近する。

 

イレギア

「俺ってばいつの間にそんな有名になってたんだ……」

 

 立ち上がったイレギアは突然の状況にむず痒い気持ちになりながらも平然と対応する。場慣れはしているようだ。

 

ナンジャモ

「有名も有名だよー。そもそもなんでフレンドリィショップの店員になんてなってたのさ! 臨時バイトとか?」

 

イレギア

「俺もあの時、実のところ何があったか分かってないんスよ……なんで俺あの時あんなところに居たんですか? めちゃくちゃ怒られたし……」

 

ナンジャモ

「自分でも分かってなかった!? なかなか面白い人が来たね~」

 

イレギア

「警察の人に相談したら『さいみんじゅつ』を使われた形跡があるらしくって、失踪したショップ店員を捜索してるらしいです」

 

ナンジャモ

「思いのほか大事件!? なにこの逸材っ……でもでもっ! ボクより目立とうとしてるこの少年には負けてられないねー……さっそくバトっちゃおっか!」

 

イレギア

「きたきたきたきた! 望むところだぜ!」

 

ナンジャモ

「気合十分! そいじゃ、バトルスタートだ!」

 

 イレギアは現状を割り切れていないためか、スター団ポーズも決めずにモンスターボールを手にしてしまった。

 

 

 

 

ジムリーダーの ナンジャモに 勝負を しかけた!

 

 

—BGM 戦闘!ジムリーダー—

 

 

ナンジャモ●●●●○○VSイレギア●●●●○○

 

 

 

 

ナンジャモ

「先鋒はお馴染みこの子! 出てきて、カイデンっ!」

 

カイデン

「カイーッ!」

 

イレギア

「カイデン……やっぱり最初はそう来るか。でもこっちも最初から秘策をぶっこむぜ」

 

 カイデンの甲高い声を受けながらも、イレギアは不敵な笑みを欠かさない。

 

イレギア

「俺の先鋒はコイツだぜ! 任せたぜドオー!」

 

ドオー

「ドオー」

 

ナンジャモ

「おおっと! 最初からでんきタイプ無効のじめんタイプとは! ボクの動画見て対策してきたようだねー」

 

イレギア

「そりゃあもちろんですとも! ……アヤセ!」

 

アヤセ

「は、はいっ……!」

 

 イレギアは観客席で呼吸荒く息を呑むアヤセに呼びかける。

 

イレギア

「助かったぜ! じめんタイプ持ってるヤツが俺の知り合いにはお前を含めて5人ぐらいしかいなくてな! 真っ先に話しかけたアヤセに来てくれてマジ感謝!」

 

アヤセ

(わりと多い……)

 

イレギア

「それで——コイツのわざって何!?

 

アヤセ

「聞いてから挑んでくださいよっ!」

 

ナンジャモ

「あれれー、早速トラブってる様子ー? でもでもっ、ボクは容赦しないぞ! カイデン、『ついばむ』!」

 

カイデン

「カイー……っ!」

 

イレギア

「うわっ! どうしよアヤセ!」

 

アヤセ

「あーもー! とりあえず『ポイズンテール』!」

 

イレギア

「だってよドオー!」

 

ドオー

「ドオー」

 

 アヤセの命令を受け、ドオーの短い尻尾に溜まったどくエネルギーがカイデンの『ついばむ』と打ち合う!

 

イレギア

「セーフ……!」

 

アヤセ

「こうなるだろうと事前にスマホにデータ載せましたから! あとはそれ見てください!」

 

イレギア

「何から何まで恩に着るぜー!」

 

アヤセ

「あとっ、あたしからも、ひとつ……いいですか?」

 

イレギア

「なんだ? ってかさっきからなんか汗やべえけど」

 

 イレギアの指摘通り、アヤセの顔は見るからに委縮しており、今にもこの場から逃げ出してしまいそうなほどだった。

 

アヤセ

「……あたしの後ろに何がいるか分かってるんですか?」

 

 アヤセは恐ろしさから振り返らない……しかし、彼女の後ろには圧倒的にこちらを威圧するオーラが溢れていた!

 

???

「ゴゴゴ……!」

 

 青いボディに冠のようなヒレ、金色の髭が夜風になびいている……そうそれは——

 

イレギア

「何ってそりゃあギャラドスだろ? コイキングから進化したんだぜ!」

 

アヤセ

「そりゃあそうでしょうよ! ボールに戻していいですかっ!? こっち見てきてめちゃくちゃ怖いんですけど!!」

 

 イレギアはアヤセのドオーと自身のギャラドスを交換していた。みず・ひこうとでんきに滅法弱いため納得できる交換相手ではあったが……

 

イレギア

「それはダメだ! 今は俺の手持ちじゃないけど、俺の仲間なんだから最後まで仲間の雄姿を見届けてもらうんだ! 見てろよギャラドスーっ! お前の応援で俺たちはさらに強くなれる!!」

 

ギャラドス

「ゴゴオォォォォ————————ッ……!」

 

アヤセ

(こ、こええええっ……!)

 

 先輩命令を振り切ってしまいたいが、それでも高いグッズを半分カンパしてくれた絶大な恩からそんなことをする気にはなれなかった。

 

 ……それに——

 

したっぱ

「ちょっとイレギアーっ! 後輩を怖がらせ過ぎじゃないのー!?」

 

イレギア

「うるせー! ドオー、『あくび』!」

 

 イレギアが紹介してくれた、『ザ・ドガース』のファンと知り合うことができた。しかも同じスター団に所属している同性の先輩だったのだ。

 

したっぱ

「アヤセちゃん……だっけ? 大丈夫? あんなのに連れまわされて」

 

アヤセ

「もう慣れ……るわけはないですけど、なんだかんだ面倒見てもらってますかね……」

 

したっぱ

「あっははっ! まっ、見てれば分かるよ。それにしても……同じファンがいて嬉しいな。人気のバンドだけど、なかなかコアだし別の地方だしで、なかなか同士が見つかんなくてさ~」

 

アヤセ

「それは……まあ、自覚してます。グッズも色んなバンドの中に埋もれてた感ありましたし……」

 

したっぱ

「……そうだ。アヤセちゃん、チーム・シーのアジトに来ない?」

 

アヤセ

「どく組ですよね? これまた突然……」

 

したっぱ

「『ザ・ドガース』のファンは私だけじゃないのっ。みんなにもアヤセちゃんのこと紹介したいし……それに、ホミカさんのギターピック、見たいでしょ?」

 

アヤセ

「なっ……! ぜひ! もちろん! お願いしますっ!」

 

したっぱ

「ホント!? ありがとうっ……他にもお宝グッズあるんだよ? ほとんど壊されちゃったけど……

 

アヤセ

「…………?」

 

したっぱ

「あっ、ぜんぜん、なんでもないなんでもない! ほらほらイレギアー! さっさと終わらせちゃえーっ!」

 

アヤセ

(一瞬、先輩の顔が——泣いてたような……?)

 

 彼女の真意に気づくのは、後のことだった。

 

 

 

—アップルアカデミー ネモの部屋—

 

 

 

ネモ

「ふう……今日も1日頑張ったなあ」

 

 ネモは制服のままベッドに横たわった。

 

 アオイと次に戦うのは5つ目のジム——チャンプルジムになるだろうか——その辺りのレベルにまで手持ちを調整した後、授業を済ませて自室に戻って今に至る。

 

ネモ

(昼にアオイと戦ったけど、順当に強くなっててよかったよかった。あのまま強くなれば本当にわたしのライバルになっちゃうかも……!)

 

 ハッコウシティにて出会ったアオイとポケモン勝負を行なって彼女の強さを解析したところ、やはりそのポテンシャルには目を見張るものがあった。

 

ネモ

(アオイが実るのが楽しみだけど……やっぱり、イレギアの方も気になるな~)

 

 次に浮かんだのはイレギア。彼にはアオイほどのポテンシャルはないものの、それでも自分に負けても何度も挑んでくるその執念と精神がなによりネモには嬉しかった。

 

 

 

嫌でも俺と勝負だぜ!

 

 

 

 いつ思い出しても笑みがこぼれてしまう言葉……

 

ネモ

(わたしも、もっと強くならないと……イレギアが追いかけてくれるんだから)

 

 ふとネモは目をつむる……思い出すのは幼少期のこと——

 

 

 

 

 

ネモの父

「ごめんね、ネモ。お父さんたちこのあと予定が入ってしまって……」

 

ネモの母

「明日のディナーには戻るわ。バースデーパーティーはその時にしましょうか」

 

幼少期のネモ

「はいっ。それにお気になさらず。お姉さまも、お手伝いさんたちもいます。それに、わたしにはポケモンたちがついています。——さみしくなんてありません」

 

 ネモの両親は、良く言えば放任主義であった。

 

 ネモの欲しがるものはなんでも与えていたし、なんの不自由もない幼少期を過ごせていた。

 

 しかし、彼女には心の繋がりが不足していた。

 

 両親からの愛情は確かに認識していたし、家のお手伝いたちからも愛されていることも知覚し、姉と仲睦まじく生活していた。

 

 しかしそれでも仕事を優先する両親や、言わば仕事での付き合いであるお手伝いたち。姉に関してはアカデミーの寮に行ってしまったためネモの遊び相手にはならなかった。

 

 彼女は寂しかったが、それを言ってしまえば迷惑になるだろう、我儘を言ってもどうにもならないだろうと諦めていた。

 

 それに……ひたすらに寂しいわけではなかった。両親から送られてきた様々なポケモンが遊び相手になってくれていた。

 

幼少期のネモ

「フカマルっ、『たいあたり』! パチリスっ、『でんこうせっか』!」

 

 そうして彼女はポケモン勝負を楽しむようになった。

 

 自分とポケモンの心が1つになってわざを繰り出し、動きを合わせる様は、ネモに心の繋がりを感じさせるのには十分なもの……では、無かった。

 

 箱入り娘で、家の外にあまり出たことのなかったネモには対戦相手がいなかった。たまにお手伝いさんが相手をしてくれるが、本気で戦ってくれたわけではない。相手からの心の隔たりをその身に感じていた。

 

 しかしそれに対して、ネモは文句も我儘も言わなかった。言ったところで、困らせてしまうだけだと悟っていたのだ。

 

 

 

 ——月日が流れ、彼女もまたアカデミーに通うことになる。

 

 

 

 姉はもう卒業してしまっていないが、それでもトレーナーになるための学校である——ポケモン勝負をもっと楽しめるのだとネモは期待に胸を膨らませていた。

 

 今年は入学早々宝探しが始まった。昨年は学校をやめてしまった人があまりに多かったために中止になったのだという。

 

 周りの級友と切磋琢磨して研鑽する……その過程にはもちろん負けることもあった。しかし『負けても得られるものはある』——そう考えるネモはひたすらに楽しんで行った。

 

 楽しんで、楽しんで、心の底から全力で笑って喜んで……

 

 

 

 

 ——ふと、周りの声を聞いてみる。

 

 

 

「ネモって1年だよね……強すぎない?」

 

 

 

「くそっ……まさか1年生に負けるなんてっ……!」

 

 

 

 ネモのレベルは同級生はおろか、上級生にすら圧勝してしまうほどになってしまった。

 

 『負けても得られるものがある』——確かにそうだろう。しかし手も足も出ない相手から得られるものは自尊心を壊された虚無感でしかなかった。

 

 ネモは心の繋がりを求める過程で、人の表情から心情を読み取ることが上手くなってしまった。故にそのことも察してしまう。

 

 

 

 

 

「わたしの全力は、誰かを楽しませることは無い」

 

 

 

 

 

 そうしてネモは誰かとポケモン勝負をするときは手を抜くようになった。みんなで楽しむために、決して自分だけが楽しむことのないように。

 

 みんなに合わせて、みんなを楽しませるようにして……

 

 けれど、それでも、心の繋がりは得られなかった。

 

 ポケモン勝負は楽しい……それは変わらない。しかし、なにか……相手との距離を埋めるのには、何かが足りなかった。

 

 

 

 

 

嫌でも俺と勝負だぜ!

 

 

 

 

 

 今はこの言葉が何より救いだった。全力で戦っても誰か1人でも傍にいてくれている……それが何より嬉しい。

 

 けれどイレギアがいつまでも挑んでくれるとは限らない……その日が来て、アオイだけになってしまったら——いや、彼女は旅をしたいと言っていた。きっとわたしとも戦うことはなくなってしまう。

 

 また、1人になってしまったら……わたしはどうなるのだろう。想像もできない。

 

ネモ

「…………」

 

 再び目を開く。このまま寝てしまいたいが……まだ寝るには早すぎた。お風呂にも入っていない。

 

ネモ

「何か……しないと……」

 

 そうしてスマホを手に取って、ネットに投稿されたポケモン勝負の動画に目を通していく。

 

 ふと気になったのは人気配信者のナンジャモ。どうやらジム戦のようだ。

 

 彼女のバトルスタイルは大体が配信通りであり、対策は容易だがその方法は挑戦者による。そのためネモも自分と違った戦闘を見ることができるため定期的に視聴するのだが……

 

ネモ

「えっ——イレギア!?」

 

 ベッドから飛び起きるほどの衝撃だった。

 

 何も彼が映っていたことに驚いたわけじゃない。彼のレベル的にハッコウジムを受けるのは間違いではない。

 

 何よりネモを驚かせたのは——

 

イレギア

「いっけえドオー! そのまま『マッドショット』だ!」

 

 イレギアが使っていたのはドオーだった。

 

ナンジャモ

「やるねえイレギア氏、ルクシオっ『かみつく』!」

 

ネモ

(あのドオーはアヤセちゃんの……どうしてイレギアが……?)

 

 ネモは培われたトレーナーのスキルから、ポケモンそれぞれの個体を見ただけで判断できるようになっていた。それも実際に触れあったポケモンなら尚更である。

 

 カメラが移り変わると、観客席にいるアヤセが見える——なぜかギャラドスを引き連れているが、そんなことを気にする余裕は今のネモには無かった。

 

ネモ

(なんで……いやっ、イレギアの手持ちはひこうタイプが2匹だし、ギャラドスは4倍弱点だからアヤセちゃんと交換したんだってことは分かる。理にかなっているし…………でも)

 

 ネモはいつの間にか、胸の辺りを抑えていた。

 

ネモ

(苦しい……)

 

 感じたことのない胸の高まり、頭が熱せられるような感覚に動揺を隠せず、ネモはスマホの電源を切ってベッドに再び横たわった。

 

ネモ

「…………」

 

 鼻で息を吸って、そして吐いて……それでも心臓の高鳴りは収まらない。

 

ネモ

(どうしちゃったのかな、わたし……)

 

 振り返ればそこにいた存在が、ふとある時いなくなっていた。

 

 この気持ちはなんなのだろうか……



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9.駆け抜けろチャンピオンロード!自覚する想いとその明暗

 

 

 

—アップルアカデミー 廊下—

 

 

 

イレギア

「おっ……早朝そうそう見つけたぜ! おーいネモーっ」

 

 イレギアは寮とアカデミーを繋ぐ廊下にてネモを見つけて、声をかけながら駆け寄った。

 

ネモ

「あっ……イレギア……!」

 

イレギア

「……? なんか元気ねえな。こんな時はポケモン勝負でスカッとしまスター!」

 

 イレギアがモンスターボールを構えるが……ネモの表情は変わらず暗いままだった。

 

ネモ

「えっとそのっ……あっ! そう! わたし、生徒会の仕事があるんだった! だからすぐに行かないとっ……!」

 

イレギア

「え? おーい……まぁ、なら仕方ねえか」

 

 イレギアはこの日、ネモとバトルしなかった。

 

 初めて出会った日から初めてのことである。

 

 

 

—カラフシティ ハイダイ倶楽部—

 

 

 

 そうして時刻は昼を指した頃、イレギアはジムテストを受けていたが……

 

イレギア

「ふむ……むむむむ……!」

 

 目隠ししたイレギアが腕を組んでうんうん唸る。彼の席の前にはまったく同じように見える酢豚が2皿置かれており、それぞれの料理の前には『A』、『B』と描かれた札が用意されていた。

 

イレギア

「これは……『B』だなっ!」

 

ハイダイ

「……本当にそれで良ぇんだい?」

 

イレギア

「もちろんだぜ。こっちがウン万の肉だっ!」

 

ハイダイ

「…………正解だいっ!」

 

イレギア

「ぃよっしゃあ、3問連続正解だぜえ!!」

 

 難しいとされるカラフジムのテストを、なんとイレギアは初見で一発合格!

 

ハイダイ

「ガッハッハ!! あんちゃんの審美眼、なんて素晴らしいんだい! こいつぁオイラも驚かされちまった!」

 

イレギア

「へっへっへっ……そんじゃまっ、さっそくバトル——の前に、残った料理食ってもいいですか?」

 

ハイダイ

「残った料理? それならあんちゃんのポケモンが平らげとるが……」

 

イレギア

「……え?」

 

 目隠しを取って見ると、いつの間にやら外に出ていたデカグースが酢豚をむしゃむしゃ貪りつくしていた。

 

デカグース

(ガツガツムシャムシャ! ガツガツムシャムシャ!)

 

イレギア

「バカ野郎ォォォ~~~~ッ! お前それいくらすると思ってんだよォォ————————ッッッ!!」

 

デカグース

「ググググッ……!!」

 

イレギア

「いっちょ前に威嚇なんてしやがって……しながら食うなバカっ!」

 

ハイダイ

「それでも『B』の料理を手に取ってるところを見るに……あんちゃんのデカグースは匂いで正解を選んでるみてぇだ! こりゃあかなりの食い意地だい!!」

 

イレギア

うわあああああああああああああああああああああ!!! 全部食いやがったああああああああああああああああ!!!

 

 

 

—ロースト砂漠—

 

 

 

イレギア

「ハイダイさんのまかない飯、信じられないくらい旨かったなあ~っ! ——よっしモトトカゲ、この辺で止まれ」

 

モトトカゲ

「アギャッ!」

 

 顔や身体にインディアン風のペイントを施されたモトトカゲがロースト砂漠の中央にてイレギアに止められた。

 

イレギア

「昼を過ぎてちょうどいいと思ったけど、めちゃくちゃあっついな…………けど、逆に特訓には好都合だぜ! 出てこいおま——っとと?」

 

 両手に抱えたモンスターボールを放り投げようとしたところで……地面が揺れ始める。

 

イレギア

「なんだこれ……いや、たしかこの辺には土震のヌシがいるって話だったな。そんなら逆にラッキーだぜっ! とっ捕まえてっ……!? 予想以上の地震だなこれ……!?」

 

 踏ん張っていなければ立ってすらいられない地震——それが、近づいてくる……?

 

モトトカゲ

「アギャ……ギャ! ギャギャス!!」

 

イレギア

「なんだなんだモトトカゲ。おっ、あれがヌシかっ! ……ポケモンなのか、あれ?」

 

 モトトカゲに身体を預けながら遠くに見つけたその姿は、黒い帯のようなものがタイヤのように回転している異様なものだった。

 

イレギア

「まあヌシってんならそんくらいはっ……あるかっ」

 

 イレギアは激しく揺れる地面に食らいつきながら、横を逃げていく群れのドンファンほどの大きさになったところでモンスターボールを構える。

 

イレギア

「そろそろ近づいてくるぞ、まずはギャラドスで……いや、まだ遠いか……いや、いやいやいやいやっ! デカすぎないかっ!!?」

 

 

 

土震のヌシ

「ウィ・ルドン・ファァァァァ————————ッッ!!!」

 

 

 

 しかし、その大きさはトラックやダンプカーと言った自動車などとは比べ物にならないくらいに巨大であった!

 

イレギア

「こいつはマズイぜっ……!? 逃げるぞモトトカゲ!!」

 

モトトカゲ

「アギャスっ……!!」

 

 脂汗が噴き出すほど命の危険を感じたイレギアは、モトトカゲを駆けさせる……しかし——!」

 

イレギア

「おいおいおいおい……! 速すぎねえか!?」

 

 地響きで不安定な足場かつヌシの驚異的なスピードがイレギアを追い詰めていく! ヌシの冷酷で無慈悲な突進が加速していき……!

 

???

「ノノクラゲ! 『しびれごな』だっ!」

 

 しかしそのヌシの上空に黄色い粉塵が振りかけられた。

 

 

 

土震のヌシ

「ドファッ……!?」

 

 

 

イレギア

「なんだぁ? あいつ急に動きが鈍くなったぞ?」

 

???

「なにしてやがる! さっさと逃げろ!」

 

イレギア

「おう誰だか知ら……——ペパーっ!?」

 

ペパー

「話してる場合かよっ! さっさと逃げろ!!」

 

イレギア

「おっ、おうっ!! 恩に着るぜっ!!」

 

ペパー

「ったく……これで貸しがゼロになったわけじゃねえよな」

 

 砂漠に残ったペパーは1人、デジタルな顔にノイズを走らせているヌシを見て固唾を呑み込んだ。

 

ペパー

「オレもまだこいつには勝てなさそうだし……逃げるっきゃねえな」

 

 

 

—チャンプルタウン 宝食堂—

 

 

 

イレギア

「ジムテストの秘密のメニューかぁ……でもその前にちょっと腹減ったな。ちょっと腹ごしらえするか」

 

イキリンコ

「ツカレター!」

 

イレギア

「だよな~っ、砂漠で危機一髪もあったし、走り回って特訓して夜になりゃあ腹は減る……ペパーに礼を言おうにも連絡交換してないし、明日学校で言うか!」

 

 砂漠から脱したイレギアだったが、その後のペパーを知らないでいた。彼もまたあの危機を脱することはできたのだろうか……信じるしかない。

 

イレギア

「……まっ、この後のジム戦も考えて軽めになんか食うか」

 

店員

「いらっしゃいませ! ——ジムテストのお客さんですね。宝食堂の秘密のメニュー、ヒントは集まりましたか?」

 

イレギア

(っべ、間違えたら不合格じゃね? ……まあいいや、また明日受けよ)

 

店員

「……それでは、注文をお願いします」

 

イレギア

「(うわあすっげえ真面目な顔してる……後で謝ろ。軽食にしたいし……)焼きおにぎりで」

 

店員

「…………ほう」

 

イレギア

なんすかその思わせぶりな態度

 

店員

「何人前ですか?」

 

イキリンコ

「アサメシマエ!」

 

イレギア

「あっと、さっきのタクシーのあんちゃんとこの覚えちゃったのか」

 

店員

「2人前ですね」

 

イレギア

なんでだよ

 

店員

「火加減にご希望は?」

 

イレギア

「……え、ああ……(よく焼きが好きなんだよなあ。だから……)強火:だいもんじで」

 

「フッ……なるほどな」

 

イレギア

誰だよ

 

店員

「つけ合わせに何かお持ちしましょうか?」

 

イレギア

「そっすね……(とにかくっ、何も無いよりは何かあった方がいいし、最後はさっぱりすませるとして……)レモンで」

 

店員

「わかりました——焼きおにぎり2人前、強火:だいもんじ、レモン添えー!」

 

店長

「っ……! あいよー! 焼きおに2だいもんレモ添え~!」

 

「さてさて……」

 

「今回の子はどんな感じかね」

 

イレギア

(なんだなんだ? 客の人がテーブルを片づけ始めて——)

 

 

 

ゴゴゴゴゴ……!!

 

 

 

イレギア

バトルコートになっちまった————————ッッ!!!??

 

店員

「おめでとうございます! ジムテストクリアです!」

 

イレギア

「ええっ!? なんだかわかんねえけど……とにかくよっしゃあ!!」

 

アオキ

(…………あの子、ヒント聞かないままクリアしましたけど……この場合、他の挑戦者のことを落とさないといけないんですよね。幸運とは、なんとも世知辛い)

 

 カウンター席のアオキはお冷を飲み干して溜め息を吐いた。

 

イレギア

(それはそれとして、焼きおにぎり食いてえな)

 

 

 

—アップルアカデミー 家庭科室—

 

 

 

イレギア

「その後によぉ、なんと焼きおにぎり食えなかったんだよ! ジム戦用のメニューで作ってないんだとっ! か~っ、マジでヤになるぜ……でも焼きおにぎりはうめえっ!!」

 

 愚痴を吐きながらもイレギアは両手の焼きおにぎりを食べ比べては舌鼓を打っていく。

 

デカグース

「グーグーッ!!」

 

イキリンコ

「ウマイ! ウマイ!」

 

ギャラドス

「ゴゴゴ……!」

 

コモルー

「コモ~!」

 

モトトカゲ

「アギャス!」

 

生徒A

「うわっ、びっくりしたポケモンか……」

 

 彼のポケモンたちも同様に、様々な味の焼きおにぎりを腹に収めては雄叫びを上げる。

 

ペパー

「……それで、そのためにオレに焼きおにぎりを作らせたと」

 

 ……それらに囲まれたペパーが苦々しく呟いた。フライパン両手におにぎりを焼いていく姿は洗練された腕前が表れていた。サワロ先生が味見したところ好評価だった。

 

イレギア

「へっへっへっ……! ペパーが家庭科の授業は欠かさずに出てることは知ってたからな。案の定捕まってくれて嬉しかったぜ……こっちは具が入ってる!」

 

ペパー

「まさか土下座してまでお願いするなんてな……どんだけ焼きおにぎり食いたかったんだよ。それなら自分で作れって」

 

イレギア

「朝ごはんに作って食ったけど、なぁんか足りなかったからな。ボウジロウはもう学校に居ねえし、前に授業でペパーの料理をつまみ食いした時にすんげぇうんまかったんで作ってもらおうって考えたんだ!」

 

ペパー

「なんでそんなドヤ顔ちゃんなんだよ……まあ、オレもオレで興が乗って色んな味作っちまってるけど。昼飯も決まってなかったのもちょうど良かったしな」

 

イレギア

「昨日も昨日で助けてもらっちまったな。土震のヌシがあんなデカくってはちゃめちゃに速えとは思わなかったぜ……ありがとなっ!」

 

ペパー

「オレが下見してて助かったな。オレもなんとか逃げられたが……アレは後回しした方がいいな。アオイにも伝えとこう」

 

アオイ

「んっ……?」

 

 ペパーの呟きに、イレギアの隣で焼きおにぎりを貪りながらアオイが返事をする。

 

ペパー

「アオイ!? なんでこんなところに……?」

 

アオイ

「い、いやぁ……良い匂いしたからつられて……たくさんあるからちょっとくらいいいかな~って……」

 

ペパー

「……アオイまでイレギアのバカが感染ったんじゃねえか?」

 

アオイ

「いやいやそんな……」

 

コライドン

「アギャギャ!」

 

モトトカゲ

「アンギャー!」

 

 2匹のライドポケモンが再び出会っては食べながらじゃれ合い始める。コライドンに至っては、モトトカゲがより自分に近い姿になっているのにも喜んでいるらしい。

 

アオイ

「……どっちっていうとコライドンの方が?」

 

ペパー

「見比べるとどんどんモトトカゲがコライドンに似てくるな……」

 

アオイ

「そういえばイレギアのタツベイってもう進化したんだ」

 

イレギア

「そりゃあな! 俺の進化のスピードは周りすらも加速させる……!」

 

アオイ

「そうなの? ……そうかも」

 

ペパー

「呑まれるなアオイもっ!」

 

コモルー

「コモ〜ッ、コモ〜!」

 

ペパー

「……噂のコモルーだが、なんだかギャラドスに憧れちゃんじゃねえか?」

 

イレギア

「まっ、空に憧れてるコモルーにとっちゃ、ギャラドスはいち早く空に飛び立った先輩だからなっ。コモルーのためにも、ネモに追いつくためにもっ、俺ももっと強くなってやる……!」

 

 イレギアはそう意気込んで、残っていた両手の焼きおにぎりを頬張った!

 

イレギア

「よっしゃお前ら! たらふく食ったらアオイと再戦だぜ! 次のヌシは俺たちが頂くからな!」

 

ポケモンたち

(((オオーッ!)))

 

サワロ

「ゔゔんっ……あまり騒がないように、と忠告したはずだが?」

 

イレギア

「……すいません」

 

サワロ

「よろしい」

 

ペパー

「……というか第一、ヌシを捕まえようとはしてねえんだがな」

 

アオイ

「味噌味もおいしいな」

 

 

 

—アップルアカデミー グラウンド—

 

 

 

 昼食から少しして、アカデミーのグラウンドにてアオイとイレギアがコートを挟んで向き合っていた。ペパーは他の生徒らと観戦している。

 

イレギア

「へっへっへっ……! 研究ッ、特訓ッ、実践ッ——今までの俺のバトルは全部記録してあるからな! それから反省点を改善していったんだ……シェダルで戦った頃の俺より何倍も強くなってるんだぜ! チャンプルジムは負けたけどなっ!!」

 

アオイ

「その前振りから負けてたんだ……ええと、これでワタシが負けたら……結局どうなるんだっけ?」

 

ペパー

「どうもならねえってさ。さっきようやく誤解が解けた。しかも次のスパイス採取に協力する……だよな?」

 

イレギア

「おうとも! 倒したヌシはそのまま俺が頂くって寸法よ!」

 

アオイ

「いいの? ペパーはそれで」

 

ペパー

「ヌシについてはどうだっていいからな。アイツもスパイスには興味なさそうだし」

 

イレギア

「そっちがマジで譲れないらしいものを奪うのは俺だって嫌だからな」

 

アオイ

(わりとちゃんとしてる……)

 

イレギア

「さてっ! 前置きはこの辺だぜアオイ……俺の成果を見せてやりまスター!!」

 

 気合十分のイレギアはスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝負をしかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

アオイ●●●●○○VSイレギア●●●●○○

 

 

 

 

 

アオイ

「出てきてっ、グズモー!」

 

グズモー

「グモー……!」

 

イレギア

「こっちはコイツだぜ、デカグース!」

 

デカグース

「グゥー!!」

 

アオイ

(相性はそこそこだけど、チャンプルジムを突破してるワタシの方が分があるかも……?)

 

イレギア

「おいおいおいおい……まさか俺を見くびってんじゃねえか? 俺のデカグースはレベルじゃない強さを持ってんだぜ!?」

 

アオイ

「レベルじゃない強さ……!?」

 

 アオイが顔をこわばらせていたその時、イレギアが懐から何かを……袋に包まれたお菓子を取り出した

 

イレギア

「デカグース! バトルの後に新しいポテトチップスをくれてやるぜ!!」

 

デカグース

「ググっ!? グゥゥゥゥゥッス!!」

 

アオイ

「なんか張り切り出した!?」

 

イレギア

「食い意地の張りまくったコイツは飯のことになるとより一層強くなるんだぜ!!」

 

アオイ

「そんな無茶な……」

 

 

 

 少し時間経過……

 

 

 

アオイ

「サナギラス! 『ストーンエッジ』!」

 

サナギラス

「ギィィィラッ!!」

 

 アオイのサナギラスが地面に強く身体をぶつけてコート中からいわエネルギーの結晶を突き出させるが……!

 

イレギア

「ギャラドス! 『たきのぼり』だ!」

 

ギャラドス

「ゴゴォォォォッ!!」

 

 イレギアのギャラドスはそれらを全て避けて、みずエネルギーを纏ってサナギラスに激突する!

 

イレギア

「『いわなだれ』だったら当たったかもなあ~? これがなみのりハイドロ問題……俺は安定性重視で『アクアテール』より『たきのぼり』を選んだぜ!」

 

ペパー

「なみ、ハイ……なんだって?」

 

イレギア

「おいおいおいおい。ペパー、ちゃんと授業出とけよっ! なぁアオイ?」

 

アオイ

「うっ……ソーダネー……たしかそれは、そうっ! たくさんのポケモンに攻撃できるかどうかって問題っ!」

 

イレギア

「お前もかよ……」

 

アオイ

「さっ、サナギラスっ! 『しっぺがえし』!」

 

 うろたえながらもアオイは指示を出し、サナギラスは怯まずにあくエネルギーでぶつかり返した!

 

イレギア

「ギャラドス、『はねる』!」

 

ペパー

「『はねる』だあ!? ポケモンバトルそんなしないオレだってそんなわざがなんなのか知ってるぜ……?」

 

ギャラドス

「ゴゴゴッ……!」

 

 しかしペパーの指摘とは裏腹に、ギャラドスの『はねる』は見事『しっぺがえし』を避けてしまった

 

イレギア

「どーよどーよ! これが俺のギャラドスの『はねる』だぜ!!」

 

アオイ

「……これ、『みきり』じゃない……?」

 

 

 

 そうして再び時間経過……

 

 

 

イレギア

「コモルー、『ドラゴンクロー』!」

 

コモルー

「コモっ……!」

 

 コモルーの前足にドラゴンエネルギーが集中していく……!

 

アオイ

「ケンタロス、『しねんのずつき』!」

 

ケンタロス(ブレイズ種)

「タロォォォォォス!」

 

 しかしコモルーが近づくよりも速くケンタロスが突進する——しかし、コモルーはケンタロスの頭突きを受け止めた! そして返しの『ドラゴンクロー』が襲い掛かる!

 

イレギア

「さすがの【いしあたま】だぜ!」

 

アオイ

「そんなまさか……いや、なんかもうありそう」

 

ペパー

「アオイがバカに飲まれかけてるッ……! 負けるなアオイー! 戻ってこーい!」

 

 

 

 やがてバトルは最終局面に……!

 

 

 

アオイ

ウェーニバル! 『アクアステップ』っ!!」

 

ウェーニバル

「ウェニバッ!!」

 

イレギア

「決めろイキリンコッ! 『つばめがえし』だァッ!!」

 

イキリンコ

「キィィィ————————ッ!!」

 

 テラスタルによってより煌めく群青青白の交差——!

 

 

 

 

 

 果たして、勝者は…………————

 

 

 

 

 

イキリンコ

「キッ……!」

 

 

 

 

 

 イキリンコが地面に撃ち落される……

 

 

 

 

 

 しかしその身を伏せることなく、コートに留まった!

 

 

 

 

 

ウェーニバル

「…………ウッ」

 

 

 

 

 

 反対にウェーニバルが倒れてしまう……!

 

 

 

 

 

 つまりっ! 勝者は————!!

 

イレギア

「ぃよっしゃああああああああああああああああ!!! オレたちの勝利だぜえ!!」

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝利した!

 

 

イキリンコ

「ヨッシャー! ……キィ」

 

 アオイ側のコートでイキリンコがテラスタルエネルギーを散らしながら倒れかかるも、イレギアがすぐに駆け寄って抱きかかえた。

 

イレギア

「よく頑張ったぜイキリンコ……ゆっくり休んでってくれ」

 

アオイ

「ありがとウェーニバル。ナイスファイト」

 

ウェーニバル

「ウェー……」

 

 ウェーニバルはいつもの明るさが失われて涙すら浮かべていたもののアオイは彼に優しく笑みを浮かべる。

 

ペパー

「マジかよ……アオイに勝っちまうとはな……!」

 

 ペパー自身も驚きながら、観客に混じって拍手していた。

 

アオイ

「あのまま負けるなんて……応援してくれたペパーに申し訳ないな」

 

イレギア

「ワハハハハハハ!! ダークホースであるお前に勝ったんだ! 俺の人気はシビルドン登りだスター!!」

 

生徒B

「アイツ、スター団なのにすげえっ……!」

 

生徒C

「もしかして、生徒会長にも勝っちゃうんじゃない!?」

 

生徒D

「……ていうか、あのスター団……やっぱりどっかで見たような……?」

 

生徒E

「もしかしてコイツか? ナンジャモの配信の——」

 

生徒F

「うわっ……! マジでそっくりじゃね!?」

 

 

 

 

 

 それを、少し離れたところで見ていた者がいた。

 

ネモ

「…………すごい」

 

 ネモである。

 

ネモ

「すごいよイレギア……! こんなに強くなってるなんてっ……!」

 

 ネモの顔はとても幸福に満ち溢れていた。ライバルがもう1人増えてることに対して驚きと興奮が顔に出てしまうどころか身体にも表れ、思わず身震いしてしまうほどだ。

 

ネモ

(わたしもポケモン勝負したいけど……昨日のことがあって、ちょっと話しかけづらいな)

 

 昨日、ネモはバトルから逃げた。イレギアに非は全くない……自分の心の問題だった。

 

ネモ

(どうしよう……このまま会わないなんて、なんて……こんなに、なんで嫌なんだろう……強くなってるのが楽しみなはずなのに、アオイにはこんなこと考えないのに……)

 

アヤセ

「なにしてるんですか道端で」

 

ネモ

「わわっ!?」

 

 そしていつの間にか隣に居たアヤセにそれ以上の驚きと興奮で飛び上がってしまった。

 

アヤセ

「……なにもそこまで驚かなくても」

 

 困り顔のアヤセは制服は着崩さず、ヘルメットやらも装着していない。学校に居て、授業を受けるのだからそれらしい服装がいいと当たり前のことにようやく気付けたらしい。

 

 もっとも、イレギアが居たせいで気が付かなかったのだが。

 

ネモ

「えっ、あっ、いやっ……アヤセちゃんはどうしてここに? てっきりイレギアと一緒にいるかと……」

 

アヤセ

「あー……普通に授業でした。スター団の人達に『スター団なのに授業受けてる……!?』なんて驚かれちゃいましたよ」

 

ネモ

「あははっ、イレギアの後輩って感じ!」

 

アヤセ

「なんか絶妙に悪口みたい……でも、先輩のおかげで授業にも出るようになりましたし、趣味の合う同士って人とも知り合えましたし。先輩がいなかったら今頃、保健室でサボり散らかしてたかな……先輩が居たから、こうしてネモさんと友達にもなれましたし」

 

ネモ

「アヤセちゃん……」

 

アヤセ

「あーえっと……友達ってかなり馴れ馴れしいですかね」

 

ネモ

「ううんっ! わたしも実は友達がいなくて……嬉しい」

 

アヤセ

「あたしも……嬉しいです」

 

ネモ

(…………今なら、聞けるかな)

 

 イレギアがドオーを繰り出していた姿を見たあの時から、気になってはいたが話せなかったこと……この空気なら、なんでも話せてしまいそうだ。

 

ネモ

「……ねえ、アヤセちゃん」

 

アヤセ

「なんですか?」

 

ネモ

「アヤセちゃんは……イレギアのこと、どう思ってるの?」

 

アヤセ

「どうって……まあ、頼りになる先輩ですよ。ものすごいバカですけど、それはそれで前向きになるっていうか……」

 

ネモ

「先輩とかじゃなくてっ! その……あの…………男性として、どう?」

 

 その言葉が飛び出た瞬間、アヤセは盛大に噴き出した。

 

アヤセ

「いやいやいやいや!! アレをですか!? アレですよ!!? あんなバカをそんな目で見るなんて気でも狂わなきゃ無理ですよ! ねえっ!!」

 

ネモ

「そ、そうだよねっ……あはは……!」

 

アヤセ

「そうですよそう! …………え?」

 

 ネモの上気する頬の熱に感づいてアヤセは、すっと顔の熱が引いていくのを感じた。

 

アヤセ

「え……あっ、いや、いやいや……いやいやいやいや! いやいやいやいやっ!! えっ!? いやっ、うそぉ…………」

 

 ドン引きながらも、ネモの淡い恋心を察してしまうのだった。

 

アヤセ

「あっ、ええっ……えっと、ファイト……?」

 

ネモ

「…………うん」

 

 お互い、それしか言えなかった。

 

 

 

 

 

 一方でイレギアと言えば——

 

イレギア

「よう! なぁに見てんだお前ら」

 

 観戦していた友達を見つけたために話しかけていた。

 

友達A

「ああウェーニバル、お前……バズってるぜ?」

 

イレギア

「はぁ? いつだよ……」

 

友達B

「ハッコウシティでジムやってたとこから、ほら——」

 

イレギア

「うわっ……! いいねの数ヤバッ……!!」

 

友達A

「よかったな、人気者だなこれで」

 

イレギア

「人気者……人気者かぁ……!」

 

 そうしてイレギアは、調子に乗り始めるのだった——……




ハイダイさんのジムテストは自作です。


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10.驕り高ぶりスーパーイレギア!迷走する感情、沈んでいく感傷

 

 

 

—東3番エリア—

 

 

 

ペパー

「…………遅い」

 

アオイ

「遅いねえ」

 

コライドン

「アギャギャ~」

 

 イレギアがアオイに勝利した翌日、約束通り潜鋼のヌシの撃退のために3人で集まっていたのだが……

 

ペパー

「真面目ちゃんなハズのイレギアが遅刻とはな。何かに巻き込まれてるのかバカやってんのか……」

 

アオイ

「ペパーってさ、イレギアさんと知り合いなの?」

 

ペパー

「知り合いっていうか……ただ単に同級生だな。クラスのお調子者枠って感じだけど、1年のうちに出られる授業は全部出るほどの真面目ちゃんだったぜ」

 

アオイ

「ぜっ……全部っ……!? それって夜時間の授業も……?」

 

ペパー

「だろうな。オレと違ってもう卒業できる単位は取れてるだろうな」

 

アオイ

「…………そのうち勉強教えてもらお」

 

ペパー

「教えるのも上手かったらしいぜ。クラスに溶け込もうとしないでマフィティフのことばっか考えてたオレにも絡んできて……オレも少しは相手してやれば良かったかな」

 

アオイ

「ホント……アホだけど良い人なんだね」

 

コライドン

「アギャ?」

 

 『コライドンとも仲良いし』と暗に言いながら、コライドンの顎下を撫でていく。

 

ペパー

「一応は先輩に対して辛辣ちゃんだな……」

 

 その辺りもイレギアの為す技とも言えた。おそらく幼稚園児やらも彼に対してはタメ口になってぞんざいに扱うタイプだろう。

 

ペパー

「そんでおチャラけて真面目——そんな2つの性質を併せ持つことから、ポケモンになぞらえてウェーニバルって呼ばれてたりもしてた」

 

アオイ

「ウェーニバル……かぁ……」

 

 アオイはひとつのモンスターボールを——相棒のウェーニバルの入ったボールを取り出して辟易する。

 

 確かにやかましい動きながら、その行動の節々にはクワッス、ウェルカモで見られた誠実さやひたむきさが感じられた……それをあのイレギアと並び立たせるのは、なんか……違うような気がするが。

 

ペパー

「アイツにはそれなりに恩もあるし、何かはしてやりてえが……さすがに遅えぞ?」

 

イレギア?

「おーいおーいっ! わりいなっ、遅れちまったぜー!」

 

 遠くからイレギアの明朗な声が響き渡る……

 

ペパー

「ようやくき——」

 

アオイ

「なにかあ——」

 

 ……二人とも、彼の姿を見て唖然としてしまった。

 

イレギア?

「おいおいおいおい、どうしたオレをそんなに見つめて。まさか……俺から漏れ出る人気者オーラにビビっちまってるのかぁ~っ? ——とうっ!」

 

コライドン

「アギャ!!」

 

 コライドンのみが元気に出迎える——これはモトトカゲに向けたものだったのかもしれない——中、大袈裟な動きでモトトカゲから降り立った。

 

ペパー

「…………一応聞くがイレギア。その頭は、なんだ?」

 

 イレギアはヘルメットを被ってはいたが、セットしていた髪が漏れ出ており、星型ゴーグルがその珍妙さをより際立たせていた。

 

アオイ

リー……ゼント?」

 

 アオイにとっては既視感の塊でしかないヘアースタイルであった。髪の色はイレギアのものである紫色のままだが……

 

イレギア?

「へっへっへっ……俺をただのイレギアだと思ってんのかあ~っ?」

 

 ヘルメットを外してモトトカゲのハンドルに引っ掛け、星型ゴーグルを広がった額に取りつける。そして顔にはいつもと変わらず不敵な笑みが浮かんでいた。

 

スーパーイレギア

「今の俺はそう……スーパーイレギアとでも名乗っておこうかッ!」

 

ペパー

「スーパー……イレギア……」

 

アオイ

「どうしよう、予想以上のアホになってた。元々バカさ加減は予想以上だけど、尊敬の意が示されないほどのアホになっちゃったよ……」

 

コライドン

「アギャ~……!」

 

 コライドンのみが興味を抱いていた。

 

スーパーイレギア

「まっ、この反応も人気者であるが所以だなぁ……?」

 

ペパー

「人気者って……昨日今日で何があったんだよ」

 

スーパーイレギア

「昨日今日の出来事でこんなことがあったんだぜ!」

 

 スーパーイレギアが差し出したのはスマホ——その画面にはハッコウシティの一角にて画面に見切れながら真顔のカメラ目線のイレギアが映し出されていた。

 

アオイ

「ぶぶっ————!」

 

ペパー

「どうしたアオイっ!?」

 

スーパーイレギア

「へっへっへっ……! どうも改めて、バズり散らかして人気者に成り上がったスーパーイレギアだスター!! アオイという強敵を倒した勢いで進化したんだぜ~っ!」

 

 大袈裟な動作でスター団ポーズを披露する! いつも以上に輝いている気がした。

 

ペパー

「……なるほどな。言いたいことはだいたい分かったぜ。だけど……こんな人気でオマエはいいのか?」

 

 そんなイレギアに訝し気な視線を送るペパー。

 

スーパーイレギア

「なぁにいってやがる! これはクラスでッ、学校でッ、パルデア中でッ! 人気者になったってことを意味してるんだぜ!? ちなみにこのフレンドリィショップの店員に成り代わってる画像な、裏で『さいみんじゅつ』使って何度も悪事をしてた犯罪者だったらしくて、オレのおかげで明るみになったらしい……つまりっ! オレのお手柄! 裏付けされた人気者ってワケだぜ!!」

 

ペパー

「へえ……」

 

アオイ

「ペパー?」

 

 自画自賛の止まらないスーパーイレギアに対し、ペパーはなぜか顔を暗くしてしまう。

 

スーパーイレギア

「ちなみにナンジャモからサインも貰ったぜ」

 

アオイ

「それは素直に羨ましい」

 

スーパーイレギア

「だろ? 昔から見てた人だからもうめっちゃくちゃ嬉しかったぜ! これでスクールカーストもシビルドン登り間違いなしッ……って説明はこの辺で——マジで遅れてすまんかった!!

 

 散々言い終えた後、スーパーイレギアは両手を合わせて頭を下げる。それはもう物凄い勢いで。

 

アオイ

「あらら」

 

ペパー

「…………」

 

スーパーイレギア

「髪セットしてたら思いのほか時間食っちまって……焦ったら逆にダセえからカッコつけてここまで来たけどさすがに心苦しいからもうほんとごめんっ!! お詫びにこれをくれてやる!」

 

 

アオイは ドーミラーのかけら×10 と ヤバチャのかけら×10 をもらった!

 

 

スーパーイレギア

「ピケタウンだったかな。そこにいるコレクターにあげるとお宝と交換してもらえるってダチから聞いたぜ」

 

アオイ

「くれるならもらうけど……どうするのペパー?」

 

ペパー

「…………はあ。まっ、正直に言ってくれたんだ。今回は特別に許してやろう!」

 

 ペパーの暗い顔が晴れたような気がした……なんだったのだろうかと、アオイは小首を傾げた。

 

スーパーイレギア

「ッ……ありがとなペパーっ! そんでアオイ! 遅れた分も取り戻すために、張り切ってヌシ攻略しまスター!!」

 

アオイ

「そういえばイキリンコは? いつも外に出てたけど……それと今日もアヤセさんと一緒じゃないんだ」

 

スーパーイレギア

「イキリンコはヘルメットの上に乗りにくいからボールの中。アヤセは他のスター団のメンツで集まってるってよ!」

 

ペパー

「アヤセ……? 誰だソイツ」

 

アオイ

「そういえばアヤセさんとペパーって会ったことなかったっけ」

 

スーパーイレギア

「いやいやいやいや、あるだろ……まぁ一瞬だしノーカンか——」

 

 

 

—東3番エリア 潜鋼のヌシの縄張り—

 

 

 

スーパーイレギア

「ほえぇぇぇ……こりゃあどこもかしこも穴ぼこまみれ!」

 

ペパー

「しかもどれも人間がすっぽりはいれちまうほどのな……ポケモンたちにとっても迷惑ちゃんだろうぜ」

 

アオイ

「とにかく潜鋼のヌシを探さないと……でも地面に潜っちゃうのを見つけられるのかな」

 

スーパーイレギア

「この穴ぼこ並にデカいヤツだろ? あいつじゃねえのか?」

 

アオイ

「あいつ……? え、どれ?」

 

 スーパーイレギアが指差す方向に注視するも、アオイは目を細めるばかりで見えなかったようだ。

 

ペパー

「んーと……アレか? 地面から顔出してるヤツ。……ってかどんだけ視力あんだよ」

 

 ペパーがスマホロトムの拡大機能を使ってようやく見える距離にヌシが潜んでいた。

 

アオイ

「……イレギアって何気にハイスペック?」

 

スーパーイレギア

スーパーイレギアな。そりゃ人気者の大抵は運動神経ヤバめだろ? 俺もそれ相応に恵まれてたし鍛えた! スポーツ特待生のヤツには負けたけどな!」

 

アオイ

(スポーツってアーチェリーかなにか?)

 

ペパー

「とにかく、だいたいの場所は把握した。あとは手筈通り……な」

 

アオイ

「うん。まずは私とイレギアで——」

 

スーパーイレギア

スーパーイレギア

 

アオイ

「……スーパー、イレギアと挟み撃ちで追い込んで戦闘に持ち込む」

 

スーパーイレギア

「その後は例のスパイス?のところに行かせて、見つけたところを今度は3人で倒す! 倒したヌシは俺が頂き、スパイスとやらはペパーたちが総取り! んん~ッ、完璧な作戦だぜ~ッ!」

 

ペパー

「そりゃあどうも。それじゃあ……任せたぞ」

 

アオイ

「行くよコライドン」

 

スーパーイレギア

「俺たちについてこれるか試してやろうぜモトトカゲ!」

 

コライドン モトトカゲ

「アギャス!!」

 

ペパー

「ライドポケモンの2匹はもうすっかり仲良しちゃんだな」

 

 

 

 

 

スーパーイレギア

「よっしゃあ!! 潜鋼のヌシ撃破!」

 

 

 

ミミズズ

「ズズゥ~…………」

 

 

 

 スーパーイレギアの歓声の通り、潜鋼のヌシの正体であるミミズズが地響きと共に地面に倒れ伏した。

 

ギャラドス

「ゴゴォォォォ————————ッ!!」

 

スーパーイレギア

「おおっ! ギャラドスも『はねる』で喜びを表現してるぜ~っ!」

 

 スーパーイレギアのギャラドスもまた勝利の雄叫びを吠えながら暴れ散らかす……その風圧にアオイとペパーはたじろいでしまうほどだ。

 

ペパー

「あぶねっ!? 本当に『はねる』なのかこれ!?」

 

アオイ

「『みきり』超えて『カウンター』っ!?」

 

スーパーイレギア

「ワハハハハハハハッ!! ヌシもゲットしてこれでチャンプルジムは楽勝……——」

 

 そこでスーパーイレギアが目を移したミミズズの体躯は大いに縮んでいたのだった。

 

スーパーイレギア

「あっれええええええ!?」

 

 ミミズズの中で比較してもかなり大きいサイズなのは変わらないが、それでもヌシだった頃に比べると彼を落胆させるには十分すぎるものだった。

 

ペパー

「そういえば倒されたヌシがどうなるか話してなかったな」

 

アオイ

「言っておいた方が良かったんじゃ……」

 

ペパー

「そしたら協力し無さそうだし」

 

アオイ

「それはまあ……でも、あれ……」

 

スーパーイレギア

「ぐおおおおおおおおおお…………っ!!」

 

 土下寝で落ち込みに落ち込んでいるスーパーイレギア。そんな彼の後ろでギャラドスは変わらず飛び跳ね回っている……中々にカオスな光景だった。

 

スーパーイレギア

「ぶえっ————!」

 

ペパー

「あっ……」

 

 ギャラドスの振り回した尻尾がスーパーイレギアを巨石にまでぶっ飛ばされる!

 

アオイ

「……どうしよ」

 

 ……アオイとペパーが立ち込む土煙を眺めていると、その中心からスーパーイレギアが『ドーン』と叫びながら立ち上がった。土に塗れてはいるがこれといった傷はない。

 

ペパー

「不死身ちゃんか?」

 

スーパーイレギア

「ワハハハハハハハ!!! 人気者の俺は無敵だぜッ! ちょ~……っとガッカリだったけど、挫折も楽しんでこその俺だ。心機一転ッ、とりまチャンプルジム再戦だ!!」

 

 さっそくとスーパーイレギアはスマホを取り出してタクシーを呼び出す。

 

スーパーイレギア

「もしもしー、はい。タクシーお願いしますー……チャンプルシティまでです、はい。よろしくお願いいたしますー——よし!」

 

アオイ

「低姿勢……」

 

スーパーイレギア

「礼儀は大事だからな! そんじゃあ俺はこの辺で……お疲れ様でスター!!」

 

モトトカゲ

「アギャギャスギャーッ!」

 

コライドン

「アギャギャスギャーッ!」

 

 振り回されっぱなしの2人を置いたままスーパーイレギアは迫真のスター団ポーズを披露する! 未だ喜びまわるギャラドスを回収しながら『はがねタイプは確かに欲しいよなあ』と呟きながらモトトカゲに乗り込んで駆けていった……

 

アオイ

「…………」

 

ペパー

「…………」

 

 取り残された2人は互いに見合って……そして苦笑いを浮かべ合った。

 

ペパー

「……とりあえずスパイス採るか」

 

アオイ

「だね…………そういえばさ、イレギアがスーパー? ……になってたのを見てなんか悲しそうだったけど、どうしたの?」

 

 スパイスの自生する洞窟に足を踏み入れながらアオイがペパーに問いかける。

 

ペパー

「別に大したことじゃねえ。まあ……調子に乗ったアイツがなんか気に食わなかっただけだ。嫌な方に変わっちまったなって思ったけど、そんなことなかったな。いつものアホなだけだったぜ」

 

アオイ

「ふふっ……そうだね」

 

 

 

—チャンプルタウン 宝食堂—

 

 

 

スーパーイレギア

「アオキさん! 再戦お願いしまっす!!」

 

アオキ

「…………誰ですか?」

 

 

 

—マリナードタウン ビーチ—

 

 

 

ネモ

「…………はぁ」

 

 ビーチに備え付けられたビーチチェアに腰掛けながら、ネモはテーブルに肘を突きながら吐息をこぼす

 

 砂浜でポケモンたちを鍛えようとしてきたものの、今はポケモンたちをビーチで遊ばせているだけになってしまった。新しい相棒のラウドボーンは『フレアソング』で奏でる歌で観衆を集めて拍手をもらってすらいる。イルカマンは子どもに大人気だ。

 

ネモ

(どうしよう……なんだかポケモン勝負も戦りたくないな……)

 

 アヤセとの会話から自覚した恋心を引きずったまま、ネモはひとり気だるげだった。気分転換に勉強をしようにも捗らず、それこそ大好きなポケモン勝負も仕掛ける気にならなかった。

 

ネモ

(今まではこんなことなかったのに……何してるんだろ、わたし)

 

 ネモはビーチチェアに身体を預けて、深呼吸しながら瞳を閉じる。

 

 

 

 

 

ネモ

「え……あ……その、それっ、本当?」

 

 イレギアがアオイに初勝利を飾ったその裏で、ネモはアヤセの話した言葉に動揺を隠せずにいた。

 

アヤセ

「はい……あたし、他にやりたいことができまして。先輩との旅も楽しいんですけど……それでも、あたしの宝が見つかったような気がしたんです」

 

 アヤセの確かな物言いに、ネモは押し黙ってしまう。

 

アヤセ

「先輩に『キラッキラな青春を見せてやる!』って言わせた手前、非常に申し訳ないなって思ったんですけど……『面白そうだし楽しんでこい!』って逆に背中を押されまして」

 

ネモ

「そう……なんだ……」

 

アヤセ

「先輩のおかげでそういう出会いもできて……なんだか、ネモさんが先輩のことを好きになった理由が分かる気がします」

 

ネモ

「すっ、好きって…………確かにっ、そうなのかもだけど……」

 

アヤセ

「あはは~っ。——それじゃあネモさん。先輩のこと、応援してますねっ」

 

 アヤセはとびっきりの笑顔で手を振りながらネモと別れた。

 

 その笑顔は、嫌になるくらい輝いていた。

 

 

 

 

 

ネモ

(やりたいことができた……か)

 

 ふとスマホを手に取って、アヤセから送られた写真を映す——『ザ・ドガース』というバンドのポスターやグッズが大量に置かれた部屋で、アヤセを含めた5人の女子生徒——みんなスター団らしく星型ゴーグルをつけていた——が各々の変なポーズを決めている。

 

アヤセ

『チーム・シーで出来たあたしの仲間です!』

 

 写真が撮られたのはしるしの木立ちに構えられたスター団のアジトの1つ、チーム・シーに建てられたテントの中らしい。

 

 ……とても、楽しそうだった。

 

 スマホの電源を消して画面に映ったネモの姿はその逆で、そのことから逃げるようにスマホをポケットに仕舞った。

 

 

 

 

 

—セルクルタウン—

 

 

 

「ねえっ、あれって最年少チャンピオンじゃない!?」

 

「マジかよっ……ってことは俺が勝てば実質チャンピオンになるってことじゃね?」

 

「いやいや無理でしょ~」

 

 

 

 

 

「バトルっすか? いやっ、俺ってば実はポケモン持ってなくて……なあ?」

 

「さすがにチャンピオンとバトルはね……」

 

 

 

 

 

 アオイがジムテストを受けている間、ポケモン勝負の相手になってくれる人を探したが……上記の通りに断られることが多かった。

 

 

 

 

 

「よーしようやく到着だー!」

 

 

 

 

 

 そんな時、セルクルタウンにイレギアが到着した……嬉しくなって、居ても立っても居られず声をかけてしまった。

 

 

 

 

 

 その後のチーム・セギンで出会う前でも、道中のトレーナー(自分のことを知らない人だけ)と戦ったが……それは相手のレベルに合わせて手を抜いたものばかりだった。

 

 それでもイレギアは、イレギアだけは、全力でわたしと戦っても楽しそうにしていた。わたしもそれがたまらなく嬉しかった。

 

 だからその後もイレギアの大きな声が聞こえると、わたしはつい彼の声のする方へと駆けてしまった。

 

 体力がないのにも関わらず……けれどそうしなければ、前のめりに突っ走る彼に追いつけないと思ったから……

 

 イレギアがわたしを追いかけて挑んでいるのに、なんだかわたしの方がイレギアを追いかけて挑んでいた。でもそれも、悪くないと思っていた。

 

 

 

 

 

 だけど…………これは西1番エリアにてイレギアとセルクルジムへの特訓をしていた時のこと——

 

ネモ

「イレギアってどれくらい前からポケモン勝負してるの?」

 

 何気ない質問。ふと気になって聞いただけの何気ない言葉。

 

イレギア

「んーと……半年前?」

 

ネモ

「半年前っ!? イレギアって2年生だよね……去年はしてなかったの? 宝探しとか……」

 

イレギア

「1年生の頃はアカデミーで学生生活謳歌しててバトルについてはからっきしだったし、宝探しとかそもそもなかったな。学生の人数が足りないとかで。ネモが入学してきた時に宝探しあったけど……俺がもう卒業できるレベルまで単位取ってたから学校の外に出てすらなかったぜ」

 

ネモ

「そう、なんだ……始めたきっかけとかあるの?」

 

イレギア

「きっかけ? ——楽しそうだったから?

 

ネモ

「ふふっ、イレギアらしいな~」

 

 その時はなんでもない、ただ彼の一面を知れたことを喜んでいただけだった。

 

 しかし——時が経つにつれて、この意味に気づいていった。

 

 

 

 

 

 ——彼が今よりも楽しそうなことに興味を抱いたら、ポケモン勝負を止めてしまうのではないか?

 

 

 

 

 

 アヤセがスター団の活動を選んだときも、彼は彼女の『面白そう』『楽しそう』を優先して背中を押した。

 

 彼自身もスター団に入ったのも『面白そう』『楽しそう』に惹かれたためだとアヤセが語っていたし、彼が1年の頃に勉強を優先したのも学校生活を楽しむため……

 

 もしも、ポケモン勝負を優先している今から、それよりも『楽しそう』なものを優先させたら——

 

 

 

 

 

 いや、それでなくとも——彼のポケモン勝負における技術は急成長を遂げていた。

 

 わたしが教えた技術を更に昇華させるだけでなく、アヤセちゃんによると今までのバトル……道中でのトレーナーとの勝負すらも記録して研鑽を積んでいるらしい。

 

 まだ実ってはいないとはいえアオイに勝利して見せたのがそれに表れていた。

 

 

 

 ——彼は天才だと思った。

 

 

 

 幼い頃からポケモン勝負のことばかりだったわたしとは違って、すぐに最適解を選び、探し出すことができていた。蓄積した様々な知識に裏付けされた実力でもあるのだろうが、それでもトレーナーとしての強さは段違いだ。

 

 いつか……近いうちに、イレギアがわたしに追い越してしまったら——

 

 

 

 

 

 

 そうしたら彼はわたしを——置いて行かれてしまうのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 その時になったら——わたしは、

 

 

 

 

 

 わたしは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——どうなってしまうのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネモ

「イレギア……」

 

 吐き出してしましそうな言い知れぬ焦りから、ネモは彼の名を呼んでしまう。

 

イレギア?

「どうした?」

 

 すぐに彼が返事をしてくれたような……あれ?

 

ネモ

「あれ……!?」

 

 ネモが驚いてビーチチェアから飛び起きると、彼女の目の前には何故かびしょびしょになっているイレギアが砂浜の上に立っていた。大口を開いて歌を中断したラウドボーンやその観客たちも彼に目を奪われていた。

 

 ネモの心臓の鼓動が加速する——今一番会いたかった存在でもあり、今一番会いたくない存在との邂逅……

 

 

 

 

 

 ……ネモはまだ、答えを出してない。




そういえば元はネモ曇らせスレだったなってこと思い出したので、ここからちょっと曇らせていきます。


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11.イン・ザ・シー!曇天の空——の上に太陽

 

 

 

—チーム・シー アジト前—

 

 

 

 アオイはしるしの木立ちの真ん中に建設されたスター団のアジトにカチコもうとしたところ、なにやらボスの同胞を名乗る少年とひと悶着あった後——

 

???

〈ロトロトロトロト……〉

 

 アオイのスマホロトムに着信があり、ポケットからそれが飛び出してきた。

 

カシオペア

〈見張りに対処できたか〉

 

アオイ

「はい。えっと……滞り、なく?」

 

 それっぽい言い回しになっているか若干不安になってしまう。

 

カシオペア

〈そのアジトに集まっているのはスター団どく組……チーム・シー。ボスのシュウメイは手先が器用な服飾担当で、ちょっと……一風変わった男だ。彼の行動は予測不能……シュウメイが現れるまで可能な限り団のポケモンを減らすんだ〉

 

アオイ

「やるべきことは変わらないんですね。分かりました」

 

カシオペア

〈感謝する。では準備ができたら——〉

 

???

「あのー……」

 

 アオイとカシオペアの通話中、アジトの門を開いて口を挟んだのは……アオイの見知った人物だった。

 

アオイ

「あれ、アヤセさん?」

 

カシオペア

〈…………知り合いか?〉

 

アオイ

「知り合いと言えば……そうですかね?」

 

アヤセ

「はいー……チーム・シー時間稼ぎ担当のアヤセでーす……」

 

アオイ

「……どういうこと?」

 

アヤセ

「それが…………スターモービルっていう、まあもうアオイには分かってるだろうけど。それの調子が悪くて……復旧するまで時間稼いでこいって」

 

カシオペア

〈なるほどな……何が原因か分かっているのか?〉

 

アヤセ

「スゥ————…………朝まで続いたゲーム大会でモニター映すのに電気使ったのが原因らしいです」

 

カシオペア

シュウメイ……

 

アヤセ

「ああ……ボイスチェンジャーの人も怒ってらっしゃる……」

 

アオイ

「それで……どうしますか?」

 

カシオペア

〈そう、だな……真正面から打ち破らなければ団の解散にはならない。それが団の掟だ〉

 

アオイ

「それなら、それに則らないとですね」

 

アヤセ

「ホントごめんなさい……お礼にポケモンの体力回復させるんで。あとなんだろ。あげられるもの……わざマシンとか、はあたし持ってないしなあ……スター団風の制服の着崩し方でも聞いときます?」

 

アオイ

「……そうします」

 

カシオペア

〈——では、後は頼んだぞ〉

 

 そうしてアオイはヘルメットとゴーグルに加え、スター団の衣装を完全に得ることができた!

 

 

自由に着せ替えしよう!(大嘘)

 

 

アヤセ

「さてさて…………あのっ! まだですか!?」

 

 アヤセが扉をガンガン叩いて催促する。

 

したっぱ

「ごめーん! まーだかかりそーうっ!!」

 

 らしかった。

 

アヤセ

「バーカ! …………世間話しません?」

 

アオイ

「そう、ですね……」

 

アヤセ

「…………」

 

アオイ

「…………」

 

 

 

 

 この2人————————話したこと無し!

 

 

 

 

アヤセ

「……天気、いいですね」

 

アオイ

「……………………曇天です」

 

 パルデアは今日は曇天。今にも雨が降ってしまいそうだった。

 

アヤセ

「アッス…………」

 

 ふと空を仰いで、肌寒さを感じた。

 

アヤセ

「…………好きな天気、とか……ありますか?」

 

アオイ

「好きな天気……っ? …………晴れ、ですかね……?」

 

アヤセ

「……っすよねやっぱり、ねえっ? あははっ……」

 

アオイ

「ははは……」

 

 

 

アヤセ

「…………」

 

 

 

アオイ

「…………」

 

 

 

 

 

アヤセ

「…………——まだですかねえ!?

 

 その後、20分経過した。

 

 

 

 

 

 

—マリナードタウン ビーチ—

 

 

 

ネモ

「イレギア……? どうしてここに……?」

 

ヘルメットと星型ゴーグルをつけていないがびしょ濡れの制服のイレギアが急に目の前に現れたため、ネモはビーチチェアに座ったまま茫然としていた。

 

 一方の波打ち際では、イレギア?のものと思われるギャラドスがイキリンコを頭に乗せたまま海面から飛び出す。イルカマンが一瞬だけ臨戦態勢になるも、ギャラドスの額に留まったイキリンコに気づいてそれを解いた。

 

イレギア?

「ようネモ! こんなところで会うとは奇遇だな……実はコイツを探しててな——出てこいっ!」

 

 イレギア?が叫んで振りかぶり、放り投げたモンスターボールから解き放たれたのは……

 

シビシラス

「シビビ……」

 

 シビシラスが砂浜の上で【ふゆう】したまま漂っていた。

 

イレギア?

「どーよっ、このパルデア海を泳いで見つけたシビシラスだスター! なんとしても捕まえたかったからよ~……ギャラドスとイキリンコにも捜索を手伝ってもらったんでスター! ただまぁ、追いつけなかったところをヤケになって投げたモンスターボールがコイツにヒットしてな……やっぱし今の俺は最高潮についてるぜっ!!」

 

ネモ

「へ、へえ……イレギアはいつでも元気だね……」

 

 イレギアの相変わらずの破天荒ぶりにネモは苦笑いを浮かべる……いつもだったら素直に笑えていたのに、なぜだか今はぎこちない笑顔しか作れない。

 

イレギア?

「へっへっへっ……それに残念ながら俺はイレギアじゃあねえ……!」

 

ネモ

「え?」

 

 不敵な笑みのイレギアは崩れた髪をすっと整えてリーゼントを作り出す。

 

スーパーイレギア

「今の俺はスーパーイレギアでスターっ!! 宝と定めていた『人気者になる』が見つかった俺が進化した姿だぜえ!!」

 

ネモ

「————っ!」

 

 宝が見つかった——彼のその言葉に、ネモの心臓がひと際大きく高鳴った。

 

スーパーイレギア

「こりゃあもう俺のスクールカーストがシビルドン登りすぎて《テラスタル》+《ダイマックス》って感じだ……新しい仲間もゲットして更なる有頂天に達したスーパースターな俺ならばッ! ネモを倒してパルデア最強にだってなれるッ——つーわけでポケモン勝負だスター!!」

 

ネモ

「あ……え…………」

 

 

 

 瞳が乾き、脳が痛み——否が応でも自分の心にケリをつけることを強制されてしまう。

 

 

 

スーパーイレギア

「……ん? どうしたよネモ」

 

 

 

 答えないと……せっかく会えたのにっ……!

 

 

 

ネモ

「その、えっと……」

 

 

 

 だけどっ……もしも、もしもイレギアが——遠くに行ってしまったら……っ!

 

 

 

ネモ

「…………」

 

スーパーイレギア

「あっ! もしかして誰か待ってるとかか? だったら邪魔したな! またアカデミーとかで……」

 

ネモ

「待ってっ————————!」

 

スーパーイレギア

「ん? おう……どした?」

 

 わたしは、わたしは…………!

 

ネモ

「…………ううん。戦ろっか」

 

 

 

 そうするべきかまだ分からない。それでもとにかく、彼と……離れたくない。

 

 

 

ラウドボーン

「ラァ……?」

 

ネモ

「戻って、みんな」

 

 ラウドボーンたちは暗い顔の主人を憂うが、それでも受け入れてボールの中に吸い込まれた。

 

スーパーイレギア

「とにかくよっしゃあ! サンキューだが……へっへっへっ、俺の進化についてこれまスター?」

 

 

 

—マリナードタウン バトルコート—

 

 

 

住民A

「なんだなんだ? 学生さんたちか?」

 

住民B

「なんでも嬢ちゃんはチャンピオンランクの保有者だとっ! 対するあんちゃんは海の中から現れたんだとさ」

 

住民A

「う、み……? まあ、面白いバトルになりそうだな!」

 

スーパーイレギア

「へっへーん! 鍛え上げた俺らの絆で全力でぶっ倒してやりまスター!!」

 

ネモ

「すぅ——はぁ……」

 

 スーパーイレギアが有頂天のテンションでスター団ポーズを披露する中で、ネモは目を閉じたまま大きく息を吸って、そのまま吐き出した。

 

スーパーイレギア

「よおし、最初はコイツだ……ネモ?」

 

ネモ

「————……たなくちゃ

 

 冷や汗の滲む右手にはモンスターボールが握られている。それをイレギアの方に向けて……左手で支える。いつもの構えだった。

 

ネモ

(……勝たなくちゃ)

 

 

 

 ネモは初めて、『自分が勝とうとしていること』を意識した。

 

 

 

ネモ

「(この数日でイレギアは強くなった。こんな数日で……アオイに迫るくらいにジムリーダーを攻略して、とっても、実ってきてて……それでっ……)すぅ————」

 

 再度大きく深呼吸をした。

 

ネモ

「(ここでイレギアが勝ったら、イレギアはもっと遠くに行っちゃう……勝たなくちゃ)はぁ…………」

 

 

 

 ネモはイレギアに対する恋心を自覚していた。しかし、友人すらまともにできなかった箱入り娘だったネモにとっては未だ逡巡し決断しきれない問題であった。

 

 

 

ネモ

「(わたしにはこれしかないっ……それにイレギアがわたしに追いついちゃったらっ……!)すう——————はあ…………!」

 

 いくら深呼吸をしても胸の高鳴りが収まらない。いつも変わらず鳴り響いているものなのに、今は嗚咽を促進させる邪魔でしかない不安と迷いの種だった。

 

ネモ

(こんな感覚は初めてで……どうすればいいのか全然わかんないっ……だけどっ、たぶん……!)

 

 目を開いて、歪み切った視界に彼の姿を収める。

 

ネモ

(わたしが勝てばっ、イレギアはポケモン勝負を続ける——わたしを目標にし続けるっ……! ——勝たなくちゃ……!!)

 

 

 

 そうすれば、彼は自分を追いかけてくれる。自分も彼を追いかけられる——対等な関係でいられる!

 

 

 

 迷走と躊躇いの霞に包まれた思考の中……ネモはそう結論づけた。

 

 

 

 

 

勝たなくちゃ……

 

 

 

 

 

『負けたって得られるものはある!』

 

 

 

 

 

勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ……!

 

 

 

 

 

『ポケモン勝負はみんなで楽しまないと!』

 

 

 

 

 

勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ勝たなくちゃ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いいよどうせ負けるからポケモン勝負は』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝たなくちゃ————————っっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………そして

 

スーパーイレギア

「ぐおおおおおおおっっ…………! 戻れコモルー……!!」

 

コモルー

「コモォ……っ!」

 

 《テラスタル》の冠が消える中、コートに伏せたコモルーはしかし灰色の空を背後に上から見下ろすポケモンを睨みつける……

 

サザンドラ

「サザン、ドラ……」

 

 三つ首の竜、きょうぼうポケモン——短く鳴いたサザンドラがそこで羽ばたいており、コモルーは呻くだけで何も言い返せずに気絶してしまった。

 

ポケモントレーナーの ネモに 敗北した……

 

ネモ

「やった…………やったやった……!」

 

 自然とネモの口から笑みと歓喜がこぼれる……何よりも嬉しいと思える瞬間だった。

 

ネモ

(これで……! これでまだイレギアはわたしに挑んでくれる……まだわたしとライバルでいてくれる……っ!)

 

 当初の目的を果たし、握った両手を振っては喜びを表していく……

 

 

 

住民C

「……マジかよ」

 

 

 

 ……ふと、観客から驚嘆の声がこぼれるのをネモは聞き取った。

 

 

 

住民D

「え……終わった……?」

 

住民E

「あんちゃんのポケモン……最後にいつ攻撃した? というか攻撃当たったのか……?」

 

住民C

「さあ……だってそもそも、嬢ちゃんのポケモンが交代されまくった辺りからおれもこんらんしちまって……」

 

住民D

「これがチャンピオンランクの実力ってことか……いや、やりすぎじゃねえのか?」

 

ネモ

「…………あ」

 

 

 

 ネモの背筋が凍り付いた。喉が一瞬で乾ききったのを感じた。

 

 

 

ネモ

「ああ……え、あ……っ」

 

 

 

 

 

「私だったらポケモン勝負辞めるな」

 

 

 

 

 

ネモ

「ちがっ……わたしは……!」

 

スーパーイレギア

「————」

 

ネモ

「そんな、つもりじゃ……!!」

 

 俯きながら肩を震わせるイレギアを見て荒くなる呼吸、脳裏には走馬灯のように過去が通り過ぎていく——

 

 

 

 

 

「チャンピオンと戦うのはちょっと……」

 

 

 

 

 

「ネモさんは才能にも財力にも恵まれてて羨ましいなあ」

 

 

 

 

 

「生徒会長がいると友達とポケモン勝負楽しめないんだよ」

 

 

 

 

 

「こんなに努力しても、やっぱり天才には勝てないのか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だったらもう……いいや、ポケモン勝負は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネモ

「ちがう……ちが——っ!」

 

スーパーイレギア

ちっくしょ~~~~っっっ!!」

 

ネモ

「————っ!?」

 

 イレギアから放たれた絶叫に、ネモは思わずたじろいでしまう……

 

スーパーイレギア

「これがネモの全力なのか……それとも俺が浮かれすぎた結果なのか……どうにしたってもやっぱつえーでスター!!」

 

ネモ

「……え?」

 

 スーパーイレギアはコートの残ったままのサザンドラの横を走り過ぎてネモにまで近づいた……きょうぼうポケモンは静かに笑みを浮かべる。

 

スーパーイレギア

「スーパーな俺になっても追いつけねえ……さっすがだなネモはっ!」

 

ネモ

「え……ええ???」

 

 予想外のイレギアの反応に、ネモの頭は疑問符で満たされていく。

 

ネモ

「あ、れ……あれ、わたし……本気でやったのに……?」

 

スーパーイレギア

「ん? そりゃバトルなんだから本気になって当たり前だろ? なんか今日のネモ、言っちゃ悪いが変でスター? バトル始める時も『実りある勝負を』……って言ってなかったし」

 

ネモ

「あ……」

 

 自分でも気づいていなかったことに、ネモは思わず声がこぼれてしまう。そしてこぼれてものが更に感情に押し流され、溜まっていた疑問符と共に言葉となって紡がれる。

 

ネモ

「その……イレギアは、さ」

 

スーパーイレギア

「ん?」

 

ネモ

「……悔しくは、ないの?」

 

 自分でもどうして、何のために聞いたのは分からない質問。後悔が言った後に込み上げてくるも……

 

スーパーイレギア

「そら悔しいさ。勝つ気でやってるんだから」

 

 ——しかし彼は何も思わず淡々と答えた。その答えに、ネモはまた疑問符を募らせる。

 

ネモ

「こんな……一方的な戦いだったとしても?」

 

スーパーイレギア

「それはネモが強かっただけだろ? ……そんなことよりも、だっ!」

 

 ネモの疑問を押しのけて、イレギアは再びリーゼントを掻き上げて人差し指を彼女に突きつける。

 

ネモ

「そんなこと、って……」

 

スーパーイレギア

「ああそんなことだぜ! 何よりお前が変だと思うのは——ネモが全然楽しそうじゃなかったことだッ!

 

 イレギアが告げたのは、今のネモにとって何一つ考えていなかったこと。

 

ネモ

「楽し……そう?」

 

 しかしそれは、ネモがポケモン勝負において何よりも大事だと考えていたこと。

 

スーパーイレギア

「そうでスター! 最初から最後までなぁんか抱え込んでる感じで、まったくもって楽しめてなかった感じだったぞ? そんなの全然ネモらしくねえ!! 何よりポケモン勝負を楽しんでるのがネモ……だろ?」

 

 不敵な笑みで説く彼に、ネモの心臓の高鳴りは収まっていく……

 

ネモ

「……そっか。そう……だったね……!」

 

スーパーイレギア

「もうめちゃくちゃ心配だから聞いてやる! どうしたんだ何かあったのか? 生徒会長の仕事もあるだろうしチャンピオンランクだから挑戦者もわんさかで大変なのは分かる——でもっ! そんな暗い顔のネモは俺が嫌でスター! ネモにはいつでも笑顔でいてほしい! 俺はいつでも楽しそうなネモが好きだ!! だからネモがなんか嫌なことがあったら俺が聞いてやる! 戦りたくなったらいつだって応えてポケモン勝負してやる!! なんたって俺はッ、泣く子も笑うスター団でスター!!」

 

 イレギアは再度、迫真のスター団ポーズを披露する!

 

ネモ

「ふふふっ…………アハハハハハハハっ!! ハハハハハハハハハっ!!」

 

 励まし続けるイレギアに、ネモは思わず腹から声を出して笑ってしまう。周りの声なんて……もう聞こえない。

 

 

 

 ——そうだ。

 

 ——イレギアにとってわたしは最初から、『超えるべき目標』じゃなくて『ポケモン勝負の強い友達』だったんだ……!

 

 

 

スーパーイレギア

「おっ! なんだかわかんねえけどっ、その顔はなんか解決したみたいだな! さすが俺ってば人気者だスター!!」

 

ネモ

「アハハっ! うんうんっ、イレギアらしい……!」

 

スーパーイレギア

「へっへっへっ……! そう言ってもらえて嬉しいぜ! 何よりもネモに言われてなっ! だから……もう一回バトルしようぜ!! 今度は楽しくな!!」

 

ネモ

「うん……うんっ!」

 

 すっと息を吸って、空を仰ぐ——嬉しいけれど、少し切ない。しかし胸の中は霞が残っていながらも光が差し込んでいた。

 

ネモ

(友達……か)

 

 市場の天井はすりガラスが覆っているが、それでも——雲間に見えた太陽は、すりガラス越しに輝いて見えた。

 

ネモ

(今度、勉強でも教えてもらおうかな)

 

 より輝いて見えるのは、視界が潤んでいるためだろうか。




そんなわけで5匹目はシビシラスとなりました。『鰻登り』だし彼いつもシビルドン登りっつってたんで採用となります。なるたけ既存のキャラが使ってるポケモンは使いたくなかったんですけど、ギャラドスの時点でクラベル校長が使ってるんですよねえ。

……ってか今までの手持ち見返したら全員物理寄りじゃねえか! キョジオーンで詰むやつやん!


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12.シビシラスの奇策!喜怒驚楽……マスターイレギアヘ!

 

 

 

—ピケタウン バトルコート—

 

 

 

アオイ

「バトルの観戦しようと見てみたら……」

 

コライドン

「アギャッス!」

 

 バトルコートで戦っていた2人を見て、アオイは肩を竦めた。その顔にはコライドンと同じく笑みが溢れている。

 

イレギア

「ちっくしょーっ! まーた負けちまったぜ〜!!」

 

ネモ

「あははっ! 楽しかった〜! ……あっ、アオイー!」

 

 ネモがキラキラした満面の笑みでこちらに手を振ってくる……少し前までどこか暗い表情をしていたけど、どうやら『なやみのタネ』はなくなったようだ。

 

イレギア

「なにっ!? おおっ、こんなところで会うなんて偶然だな! ネモの次はお前と勝負だぜ!!」

 

アオイ

「相変わらずバトルジャンキーだね2人とも……仲も良さそうだし」

 

コライドン

「アギャッ?」

 

アオイ

「……うん。時間もあるしちょっと戦おうかな」

 

イレギア

「よっしゃあ!! へっへっへっ……! なんせアオイには一回勝ってるからなっ! このまま戦績を伸ばしてやりまスター!! それと出てこいモトトカゲー!」

 

モトトカゲ

「アギャ!」

 

アオイ

「なんか顔にペイントされてる……(ウロコの色は違うけど半分くらいコライドンになってる?)」

 

イレギア

「向こうでコライドンと遊んでていいぞ〜!」

 

モトトカゲ

「アギャギャ!」

 

コライドン

「アギャ?」

 

アオイ

「うん。遊んでていいよ」

 

コライドン

「アギャッギャーッ!」

 

モトトカゲ

「ギャーッ! ギャーッ!」

 

アオイ

「そういえば……イレギアさんリーゼント、止めたんですか?」

 

イレギア

「ん? おう。なかなか手入れが難しいしセットに時間かかりまくるからな……アレを維持できるってのは相当なヤベーぜ。ネルケにゃ尊敬もんだな」

 

アオイ

(…………あれ、カツラだと思うけど)

 

イレギア

「ともかくッ……ネモと戦って鍛えた俺の成果、ぶつけてやりまスター!!」

 

 イレギアはいつもと変わらない迫真のスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝負をしかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

アオイ●●●●●◯VSイレギア●●●●●◯

 

 

 

 

イレギア

「先発はお前だぜ! 任せたぞシビシラス!!」

 

シビシラス

「シビビ……」

 

アオイ

「おっ、新しいポケモン……ならこっちもっ、出番だよグレンアルマ!」

 

グレンアルマ

「ボウッ!!」

 

イレギア

「グレンアルマか……ってことはオレの渡した落とし物が役に立ったっけことだなっ! 後輩のためになる先輩……やっぱ俺ってば人気者に相応しいぜっ!!」

 

アオイ

「(元々持ってたとは言えない)……やっちゃってっ、『サイコショック』!」

 

グレンアルマ

「ボウ——……!」

 

 アオイに応えるように、グレンアルマはエスパーエネルギーを礫として物質化させて自身の周りに出現させていく……!

 

イレギア

「そんならこっちも迎え撃てシビシラスっ! 『チャージビーム』!!」

 

シビシラス

「ビビビッ……!」

 

 イレギアの指示通り、シビシラスはでんきエネルギーを体内に溜め始めた!

 

イレギア

「そうだぜ! 狙いを定めて溜めまくれ!」

 

シビシラス

「ビビビビッ……!!」

 

 シビシラスの口元が鮮烈な火花を散らしていく……!

 

イレギア

「よっし! そろそろドカンだ『サイコショック』を掻き消して……」

 

シビシラス

「ビビビビビビ…………ッ!!!」

 

 それでもシビシラスは溜め続け——!!

 

イレギア

「溜めすぎだ〜〜〜〜!!」

 

 シビシラスは無惨にもエスパーエネルギーの礫に襲われてしまう!

 

シビシラス

「ビッ——!」

 

 しかしシビシラスの身体が眩く輝くと——溜められていたでんきエネルギーがシビシラスの全身から解き放たれられる!

 

グレンアルマ

「ボウッ!?」

 

イレギア

「アババババババババ——ッ!!」

 

 アオイの盾になったグレンアルマと真後ろにいたイレギアに感電してしまうのだった。

 

ネモ

「すごいっ! まるで『ほうでん』……!」

 

 観客に紛れて見ていたネモが思わず感嘆としてしまうほどの電力量だった……しかし実際、無秩序な電撃なためスゴクアブナイ!

 

イレギア

バババ……——はっ!」

 

アオイ

「黒焦げなのにピンピンしてる……」

 

イレギア

「なるほど……なかなかのアイディアだぜシビシラスぅ! 覚えていないわざを使おうとするそのセンス……さすが俺のポケモンだぜ!」

 

アオイ

「うわあポジティブ」

 

シビシラス

「…………ビビッ!」

 

アオイ

「たぶんドヤ顔して……——ん?」

 

 

……おや!? シビシラスの様子が……!

 

 

シビシラス

「シビビッ……——ッ!」

 

 シビシラスの身体が電撃とはまた違う輝きぬ包まれていき……!

 

アオイ

「まっ、まさか……!?」

 

イレギア

「おおっ! こいつはすげえ、やっぱオレってば運がついてるぜえ!」

 

シビビール

「シビビーッ!!」

 

 

おめでとう! シビシラスは シビビールに進化した!

 

 

アオイ

「うそぉ……バトル中に進化しちゃった……!?」

 

ネモ

「すごいすごいっ! やっぱりイレギアは見てて楽しいな〜!」

 

イレギア

「よっしゃノッてきたなシビビールゥ~ッ!! そんならっ、今回は試したいこと全部試してやる! 俺たちに着いてこれるかアオイ〜ッ!?」

 

アオイ

「……だってさ。負けてられないよねグレンアルマ!」

 

グレンアルマ

「ボウボウっ!!」

 

 

 

 

 

 ……イレギアの奇想天外なアイディアが炸裂しまくり、時に大失敗、時にいい感じの成果を上げていった。

 

 そして——

 

イレギア

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

イキリンコ

「キィ〜〜〜〜!」

 

 イレギアの抑えを務めたのはご存知イキリンコ……だったが、

 

アオイ

「気をつけてねフワライド……何にって思うかもしれないけど」

 

フワライド

「プワ〜……」

 

 3匹目のフワライドすらその光景に驚き半分引いていた。

 

 なぜなら——

 

イレギア

「『ブレイブバード! 【はりきり】! 《テラスタル》! これに加えて遠心力のパワーをチャージだぜえ!!」

 

 イレギアが イキリンコの脚を掴んで物凄い勢いで回転しているのだ。

 

イキリンコ

「ダゼー!」

 

 イキリンコはノリ良く回されていた。

 

ネモ

「あっははっ! あっはははははははははは〜〜〜〜っ!!」

 

 ネモはもうずっと前から大爆笑だ。涙を浮かべて腹を抱え、手すりを叩いてのドツボにハマったヤツである。

 

アオイ

「なんかもう来そうだから攻撃! フワライド、『シャドーボール』!!」

 

フワライド

「プワ〜……!」

 

イレギア

「お言葉に甘えて来てやるぜッ!! ぶっかませイキリンコ……『ブレイブバード』だぁ〜〜〜〜!!」

 

イキリンコ

「キィ————ッッッ!!」

 

 ジャイアントスイングの要領で放り投げられるイキリンコ

 

 彼自身もひこうエネルギーによる大きな翼をはためかせ、フワライドが『シャドーボール』を放つより先に大激突ッ!

 

 エネルギーの衝突によって爆発が起こり、辺りに砂煙が立ちこめる……!

 

イレギア

「よっしゃクリティカルヒットォ!! 俺が狙う分、さらに当たるかもなぁ〜っ?」

 

アオイ

「フワライド……!」

 

 アオイは心配の声をかけ、イレギアが自身の作戦にうんうん頷いて煙が晴れるまで待っていると……

 

フワライド

「フワ…………」

 

 そこには気絶したフワライドがコートに倒れており——

 

イキリンコ

「キィ〜…………」

 

 その上に居たイキリンコもまた、《テラスタル》の光を散らして横たわっていた。

 

イレギア

「なにィィィ————ッ!!? 体力は満タンだったはずだぜぇ————ッ!?」

 

ネモ

「さっきの爆発……単なるわざのぶつかり合いじゃなかったってことだね」

 

 さんざん笑い合えたネモが丁寧に分析していると、イレギアが『はっ!』と気づいてから悔しそうに唸る。

 

イレギア

「くぅ〜……【ゆうばく】か!」

 

アオイ

「そうだけど……でもまさか、ここまでの爆発になるとは……」

 

 それだけではない。

 

 『ブレイブバード』は与えたダメージの3分の1を自身にも受けてしまう反動わざであり、フワライドのバケモノHPを全部削り切ったのも相まって物凄い反動を受けてしまったのである。

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 敗北した……

 

 

イレギア

「ちっくしょ〜……! まさか負けちまうとは……さすがはダークホースと名高いアオイだぜ!」

 

アオイ

「始めて知った」

 

イレギア

「初めて言ったからなっ!」

 

アオイ

「…………はぁ」

 

ネモ

「うんうんっ! アオイもかなり実ってきてる……!」

 

イレギア

「ここ数日はネモと特訓してたんだが、それでもアオイにも負けちまったかぁ……!」

 

アオイ

「いやあ……あんなハジケた上に勝たれでもしたらワタシの方が立ち直れないよ……」

 

イレギア

「へっへっへっ……! さっすが俺だな! そんじゃまっ、俺はこの辺でナッペ山の攻略に向かいまスター! 次に会う時はジムを2つ攻略した後だろうな……」

 

アオイ

「だね。残り2つのジム……気合を引き締めていかないと」

 

イレギア

「ほえ? あと2つ?」

 

アオイ

「うん。だって先にベイクタウンの方に行ったし」

 

イレギア

「…………あっ!!」

 

ネモ

「どうしたのイレギア?」

 

イレギア

「おもっきし忘れてた!! ナッペ山は最後に攻略してえから取っておきてぇ……そんならベイクタウンにさっそく行きまスター!! モトトカゲも来ーいっ!」

 

 手早くスター団ポーズを披露したイレギアはコライドンとじゃれていたモトトカゲに呼びかける。

 

モトトカゲ

「ギャギャ! アギャスギャーッス!」

 

コライドン

「アギャスギャーッス!」

 

アオイ

「あっ、ちょっとっ……! ……行っちゃった」

 

ネモ

「あははっ、イレギアは目の前のことに全力! ……って感じがいつものでしょ?」

 

アオイ

「それは確かにそう……だけど、ネモってイレギアとずっと一緒だったの?」

 

ネモ

「うん。最近はアカデミーで勉強教わったりー、テーブルシティでお買い物したりとか! もちろんっ、ポケモン勝負は1日何回も!」

 

アオイ

「…………お付き合いなされてる?」

 

 アオイの純粋な質問に、しかしネモは満更でもなさそうに手を縦に振った。

 

ネモ

「そんなんじゃないよも~……イレギアとはただの友達! そんなこと言ったらアオイだってペパーだっけ? あの人とべったりじゃん!」

 

アオイ

「いやっ、別にペパーとはそんなんじゃ……っ」

 

 アオイは視線を泳がせて前髪を弄り始める。

 

ネモ

「ん~? それはともかくっ、アオイもちゃんとアカデミーに行ってる? ペパーの方も全然授業に出てないみたいだし」

 

アオイ

「それは…………うん」

 

ネモ

「ふふふっ、勉強ならわたしが教えてあげるよ!」

 

アオイ

「うん……ありがとうネモ」

 

ネモ

(そう……イレギアとは友達、同士なんだもん)

 

アオイ

(そういえば進化のヒント聞けてない……もう無いのかな)

 

 

 

—空飛ぶタクシー内 西1番エリア近郊上空—

 

 

 

イレギア

「——つーわけで、俺は相変わらず元気してるぜっ! 写真もちょくちょく撮って送ってるだろ〜?」

 

アヤセ

〈さっきも送られてきましたよ。シビビールの進化とか、デカグースが『こわいかお』しながら『かみくだく』したり、ギャラドスが『はねる』と『りゅうのまい』で暴れまくったり、コモルーが『まもる』で攻撃したり……イキリンコに至っては自爆特効って、相変わらずの先輩って感じでしたね〉

 

イレギア

「だろだろだろだろ〜? お前も元気そうで何よりだぜ!」

 

アヤセ

〈まあそれなりに……誰かさんがカチコんでくれたおかげで、コーセーしてアカデミーで勉強してますよ。今度また勉強教えてくださいね。特に数学〉

 

イレギア

「もちろんだぜ! 1年の内に3年の範囲を終わらせた俺の数学パワーは伊達じゃねえってな!」

 

タクシードライバー

「お客さんっ、もうすぐ着きますぜ!」

 

イレギア

「分かりましたー! そんじゃあ切るぜ。バンドの方も頑張れよっ!」

 

アヤセ

〈知ってたんですか!? ……はい。それじゃ〉

 

イレギア

「おーう!」

 

アヤセ

〈ああそれとっ! ネモさんと、仲良くしてくださいね~〉

 

イレギア

「言われなくてもな、んじゃっ! お疲れ様でスター!」

 

アヤセ

〈電話越しでも……はい、お疲れ様でスター!〉

 

 

 

—アップルアカデミー 空き教室—

 

 

 

アヤセ

「先輩はやっぱり元気そうだ」

 

 スマホの電源を切って、アヤセはほっと一息撫でおろす。

 

 あれから何日か経って……ネモとイレギアの様子はかなり良好と言えた。それこそアカデミー内外では常に一緒にいて、アヤセ自身もネモの恋が成就したと思った……だが——

 

ネモ

「ううん。イレギアとは友達同士だよ」

 

 彼女のその一言にアヤセは少し彼女を励ましたり慰めてあげたいとも考えたが、それはネモにとってなによりも嫌なことだろうと考えて胸の奥に留めることにしたのだった。

 

生徒A

「おっ、なんだアヤセちゃーん。先に来てたんだ」

 

生徒B

「まっじめ~……もしかしてサボり?」

 

アヤセ

「いやいやっ、ただチューニングしてただけですよっ!」

 

 イレギアは相変わらず忙しそうにしている。それも楽しんでるようだけど、あたしもこのままじゃいられない……なにかこう——学生っぽいことをしたいと思っていたときだった。

 

 

 

 

 

「——バンド、とか……やりませんか?」

 

 

 

 

 

「せっかくバンドのファン同士で集まったんですし……『ザ・ドガース』のコピーバンド! とかっ! 名前は後々決めるとして……とにかくなんかやってみませんか!?」

 

 

 

 

 

 あたしの一言で始まってしまったバンド活動。言った後にめちゃくちゃ恥ずかしくなったし、全員もう初心者中の初心者で人前なんてもってのほかだし、きっと大人になったら黒歴史になるかもだけど……それでも、

 

アヤセ

(人と何かやるって——先輩と出会わなかったら『楽しそうだな』で終わってたけど、やっぱりなんか——『楽しい』なっ!)

 

 スター団に勧誘してきた時にイレギアの言った『キラッキラな青春』とは少し違うかもしれないが、それでもアヤセの学校生活は『楽しい』が満ちていくことになるだろう。

 

アヤセ

(……ありがとうございます、先輩)

 

 直接言うと調子に乗りそうなので、心の中で感謝を告げた。

 

 

 

—ベイク空洞—

 

 

 

イレギア

「——っしょっとお!! ……ふう、結構上がったな!」

 

 イレギアは絶賛、ベイク空洞の急斜面を身一つでよじ登っていた。

 

イレギア

「『歩いてはいけません』って看板に言われたから走ればいいかと思ったけどこういうことだとはな……まっ、なんにせよ俺は止められないってこった!」

 

イキリンコ

「コッター!」

 

 同調するイキリンコは手頃な岩に降り立った。さすがに崖登りをしている人間の頭に留まる気は無いようだ。イレギアなら普通に登りそうなものだが。

 

イレギア

「そうともイキリンコ! ……いっそのことイキリンコに運んでもらえれば良かったんじゃね?」

 

イキリンコ

「キィー?」

 

イレギア

「…………試しに、運べるか?」

 

イキリンコ

「ハコベル!」

 

 イキリンコが胸を張って鳴くや否や、イレギアの後ろから首筋を両足でしっかりと掴み……その小さな羽で大きく羽ばたいた——!

 

イレギア

「おおっ!? 飛んでるぜイキリンコ!!」

 

イキリンコ

「ヨユー! ヨユー!」

 

イレギア

「おうおうおうおう! さっすがパルデアの空の王者だぜえっ!! そんじゃまっ、このままあのかがり火のところまで『そらをとぶ』!」

 

イキリンコ

「『ソラヲトブ』!」

 

 その体躯からは考えられないほどの力強い翼で洞窟内を飛んでいく!

 

 それほどスピードは速くないものの、むしろ他に飛んでいるポケモンがおらず安全運転を優先しているため都合が良かった。

 

イレギア

「うひゃ~っ、もう崖一個登っちまったぜ!! しかもこの辺ならポケモンたちが良く見える……最後の俺のポケモンに相応しいポケモンはいるかな~?」

 

 視力がファイアロー並みに良いイレギアが洞窟内のポケモンを俯瞰していく。

 

 チャーレムやアサナンが瞑想していたり、ハリテヤマやマクノシタが走り込みをしたり、ヨーギラスが岩や土を食べ進め、それをモノズが横から噛みついたり、ダグトリオがヤトウモリの群れから逃げたり……様々な自然模様が見られた。

 

イレギア

「あのストリンダーたちジャムセッションしてる~! 記念に撮っとこ~」

 

 野生のポケモンが織りなす風景を写真に収めていると、頭上のイキリンコが声を荒げて騒ぎ出す。

 

イキリンコ

「モースグ! モースグ!」

 

イレギア

「あいよー! …………っとと、とうちゃーくっ! 助かったぜイキリンコ!!」

 

イキリンコ

「キィー!」

 

 イキリンコはイレギアの頭に留まって元気に鳴き声を上げる。その声からもそれほど疲れていないようだった。

 

イレギア

「う~んっ! 太陽の光が眩しい! さてまっ、ジム攻略と行きますかあ~っ!」

 

 

 

—ベイクタウン まいど・さんど—
 

 

 

 

イレギア

「ぐおおおおおおおおおおおおおお…………っ!」

 

 テーブルに突っ伏したイレギアが苦しそうに悶えていた。やけ食いしたのかデカグースの分なのか、サンドイッチが何皿も食べ尽くされていた。

 

イキリンコ

「キィー……」

 

イレギア

「ちっくしょ~……めちゃくちゃ強えじゃねえかココのジムリーダー」

 

 ベイクタウンのジムリーダーリップは屈指の強さを誇っている。

 

???

「あれ……ウェーニバル?」

 

イレギア

「……んぇ?」

 

友人A

「おっ! やっぱりウェーニバルじゃーん、おひさーっ」

 

 顔を上げたイレギアが目にしたのは2人組の学友であった。2人ともトレイに思い思いのサンドイッチを載せている。そして『ウェーニバル』とはイレギアのあだ名である。

 

イキリンコ

「オヒサー!」

 

友人B

「マジじゃん。こんなとこでなにしてんだよ」

 

 隣の席に陣取った2人が含み笑いにイレギアに問いかける。

 

イレギア

「ジム戦に完敗したとこ……お前らも?」

 

友人A

「いやいや、リップさんと戦えるほど強くないって。普通にココ住み」

 

イレギア

「ほえー。そうだったんだ」

 

友人B

「そっちは最近、生徒会長と仲良いみたいじゃん。いいよなあ、ポケモン勝負いろいろ教えてもらってんだろ?」

 

イレギア

「いや? むしろ俺が勉強とか教えてるぜ。なんせ俺は頼りがいのある先輩だからな!」

 

友人B

「そんならさ、また教えてくんない? スター団も解散してやることないから勉強してんだけど1年の時にやったこと全然できんくなって焦ってんだわ」

 

イレギア

「そんなら大歓迎……と言いたいところだが、何よりまず俺はチャンピオンになりてえんだ。諸々はその後な。でもまさかここで負けちまうとはなあ……」

 

友人B

「あれ……意外。片手間にお悩み解決しちゃうウェーニバルがそんなに熱中するって……鬼畜ゲーに鼻血出してたとき以来じゃない?」

 

友人A

「…………まあまあ。途中でジム戦諦めた友達も居たけど、こいつは最後までやりたがるからね。それでも陰ながら応援してるよ私たちは」

 

イレギア

「おうありがとな……イキリンコ! 最後に回したいけど、ナッペ山に特訓しに行くぞ!」

 

イキリンコ

「イクゾー!」

 

 イレギアが出口まで駆けていくのに、イキリンコが後を追っていく。

 

友人B

「……それにしても、アイツってあんなに必死そうな顔するんだな」

 

友人A

「ウェーニバルなりに悩みでもあるんだろうけど……あいつってばすぐ自己解決しちゃうからな~」

 

 時刻は数分ほど遡る——

 

 

 

 

 

 

—ベイクタウン バトルコート—

 

 

 

イレギア

「戻れっ、ギャラドス……!」

 

ギャラドス

「ゴォォォ…………!」

 

 《テラスタル》の光を散らしながら、ギャラドスがイレギアの手持ちに戻されていく。

 

 

ジムリーダーの リップに 敗北した……

 

 

イレギア

「ちっくしょーっ! まさか負けちまうとは……」

 

リップ

「でもイレギアちゃん、中々に筋がゴイスーだったわ」

 

 リップのフラージェスもまた《テラスタル》の冠を散らしながら、彼女について行ってイレギアの前にまで浮遊する。

 

イレギア

「ホントですか!? 嬉しいっス……サイン貰ってもいいですか?」

 

リップ

「イレギアちゃんが勝ったらわざマシンと一緒にプレゼントしちゃう。だから頑張ってリップに勝つことね」

 

イレギア

「マジっすか!? うおおおおおおおおおお————ぜってえ勝ってやりますからね!」

 

リップ

「ふふっ。マブいわね……でも——」

 

 言いながら、リップはイレギアの隣を通り過ぎる……瞬間、イレギアの鼻腔にはエスパータイプ特有の妖しげな香りが触れる。

 

リップ

「メイクアップアーティストのリップから見て、なんだかイレギアちゃんの顔はぎこちない。ジムテストの『喜怒驚楽エクササイズ』でも思ったけど——本調子じゃないんじゃない?」

 

イレギア

「な……なにをいきなり~っ。俺はっ、いつだってマジでスター!」

 

リップ

「スター?」

 

 イレギアが面食らいながらも不安を振り払うようなスター団ポーズを披露する……それにリップはうっすらと微笑んだ。

 

リップ

「とにかくそれが解決することを祈ってるわ……それじゃ、お疲れ様でーす」

 

イレギア

「…………」

 

 イレギアはポーズを決めたまま、綺麗な足取りでバトルコートを去るリップを見送っていく。

 

 

 

—ナッペ山 プルピケ山道—

 

 

 

イレギア

「『この先 ナッペ山 登山道』——よし。こっからだな! 頼むぜモトトカゲ!」

 

モトトカゲ

「アギャギャス!」

 

イレギア

「ヘルメットよし! ゴーグルよ——痛ってえ! イキリンコも良いか?」

 

イキリンコ

「キィー!」

 

イレギア

「そんなら出発でスター!」

 

 モトトカゲが斜面を進む中、イレギアは少し……考えていた。

 

イレギア

(本調子じゃない……か。さすがジムリーダー、相手のこともしっかり見てやがるぜ。相棒のイキリンコにすら悟らせなかったってのに)

 

 イレギアはマリナードタウンでのネモとの戦いから考えていたことである。

 

イレギア

(あの時のネモの苦しそうな顔……精一杯励ましてやって晴れたように見えたがまだ全然ダメだ。もっと……何か、ネモが心の底から『楽しい』って思えるような自分になるんだ。それこそスーパーな程度じゃ収まらない——ハイパー、いいや! マスターイレギアになってやるんだ————ッ!)

 

 ……彼の宝探しはまだ、終わらない。



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13.とほで来た?今の俺はハイパーイレギア!

 

 

 

—プルピケ山道 ポケモンセンター—

 

 

 

イレギア

「よーし、一旦休憩だぜモトトカゲ。これから坂しかないからな、しっかり休んでおけ」

 

モトトカゲ

「アギャギャス!」

 

 イレギアのモトトカゲはインディアン衣装が改造されてモコモコになっており防寒はしっかり整えられていた。

 

イレギア

「おお? まーた発見だぜ謎コイン」

 

 モトトカゲが昼寝する横で、イレギアがポケモンセンターのテーブルの下から金貨を見つける。

 

イレギア

「なんでか知らねえけど集めたくなるんだよなあコレ。アオイに渡しちまったけどなんだかんだ500枚は集めちまったぜ」

 

イキリンコ

「コイン! コイン!」

 

イレギア

「ポケセンの上にもか! サンキューイキリンコ!」

 

 ポケモンセンターの屋根からイキリンコが嘴に咥えた金貨をイレギアに渡し、再びいつものポジションであるヘルメットの上に留まった。

 

イレギア

「なんならオレも集めるだけ集めてみるか……? それでもあんな小さいモンを見つけるにゃああの謎ポケモンが必要になるだろうし……ん?」

 

 ふと置いておいたバッグを見てみると、手のひらサイズのポケモンが必死にジッパーを開いていた

 

イキリンコ

「キィー!」

 

???

「クレッ!?」

 

 特性によるものではないにしても、イキリンコによる威嚇がそのポケモンへと浴びせられる。驚いたそのポケモンはその場に尻もちをついてしまった。

 

イレギア

「確か……おう、コレクレーだったな!」

 

コレクレー

「クレ、コレー……」

 

 【びびり】なコレクレーはイレギアに見つかった瞬間にそそくさと逃げていく——

 

イレギア

「残念だが『とおせんぼう』だぜ!」

 

コレクレー

「クレ!?」

 

 しかし大の字のイレギアに回り込まれてしまった! 臆病なコレクレーの逃げ足は並外れたものだったが、イレギアの方が明らかに素早い。

 

イレギア

「そして『くろいまなざし』……!」

 

 次はコレクレーにじめったい視線を浴びせる……コレクレーはそれに対して逃げずに震えていた。

 

イレギア

「ワハハハハハハハッ!! 更に『すなじごく』!!」

 

 その体勢のままイレギアがコレクレーを周りを回転! 決してコレクレーから目を離さないイレギアの靴の裏からは火花が舞っている。その姿は変態のそれに他ならない。

 

イレギア

「これはもう『ほのおのうず』と言ってもいいかもしれねえ——そしてこれで終わりだ! 『まきつく』!!」

 

 怯える様子のコレクレーの死角に回り込んだイレギアが襲い掛かる!

 

コレクレー

「クレッ! クレーッ!」

 

 コレクレーは麻袋の中に捕まえられてしまう。彼はその状態のまま逃げるべくじたばた身体を動かしていた。

 

イレギア

「へっへっへっ……! さぁて、こいつをどうしてやろう……!」

 

 悪の組織のしたっぱめいた口調でイレギアがバッグの中をまさぐって別の麻袋を取り出す。袋の中には何かがぎっしり詰められていた。

 

イレギア

「ほれ、コレクレーっつったらこのコインだろ?」

 

コレクレー

「コレー……?」

 

 袋から出されたコレクレーが麻袋の口を開かれるのを見る……その中には輝かしい金貨がひしめき合っていた。

 

イレギア

「はこは用意できないし他のコレクレーから奪うのはやぶさかだし、ここなら安全だろ? たっくさん集めたらどうなるか楽しそうだしなっ!」

 

イキリンコ

「アンゼン! キィー!」

 

 イキリンコもまた説得すると、コレクレーが少し逡巡してから——

 

コレクレー

「コレ、クレッ!」

 

 コインが詰まった袋の中にコレクレーが飛び込んだ。苦しくないのかコインの中で泳いですらいた。

 

イレギア

「そんならこの袋はバッグから出した方がいいな。イキリンコは話相手になってやれ、オレの武勇伝を語ってオレの凄さを叩き込んでやるんだ……!」

 

イキリンコ

「キィ」

 

 納得したのか分からないがイキリンコが短く鳴いた。

 

モトトカゲ

「アギャッ!」

 

イレギア

「起きたかモトトカゲ! そんじゃあ出発と行くが……ほれっ」

 

 バッグとは別に肩から下げた麻袋を開いてコレクレーの顔を出させた。

 

イレギア

「一時的に手を組んだコレクレーだ。仲良くやってくれ」

 

コレクレー

「クレ……?」

 

モトトカゲ

「……アギャス!」

 

コレクレー

「クレー……!」

 

 元気よく挨拶したモトトカゲにびびってコレクレーがコインの奥に隠れてしまった。

 

モトトカゲ

「アギャ~……」

 

イレギア

「ワハハハハハハハ! これから仲良くしてな!」

 

 イレギアが2匹を笑い飛ばして、モトトカゲに乗り込んだ。

 

イレギア

「モトトカゲは焦らず安全第一、コレクレーはコインを見つけたら呼んでくれ」

 

モトトカゲ

「アギャギャス!」

 

コレクレー

「クレーッ!」

 

イキリンコ

「キィー!」

 

イレギア

「イキリンコもっ、もしもの時は任せたぜ! ——そんじゃまっ、ひとまず行き先はフリッジタウン! 行きまスター!!」

 

 新たな仲間を引き連れて、イレギアたちは駆けていく。

 

 

 

—フリッジタウン—

 

 

 

アオイ

「んん~っ! 初めてナマでライブ見たけどっ、ホントに心が震わされたっていうか……!」

 

 ジム戦を終えたアオイが自動ドアから身体を伸ばしながら現れる。その顔は実に喜びに満ち溢れていた。

 

イレギア

「だろ? さすがはゴーストタイプのジムリーダーだよな!」

 

アオイ

「だねっ…………——誰だお前は!

 

イレギア

アカデミーの人気者——ワナイダーマッ!

 

テッテテーッテテッ! テテッテテーッ! テレレレレレレッ!!

 

イレギア

「——じゃなくて俺でスター!」

 

アオイ

「そりゃあ見て分かるけど……あの、寒くないの?」

 

 アオイは雪山に登るのもあってか制服を冬服に変えているが、イレギアは変わらずスター団の衣装のまま……つまり半袖のままであった

 

イレギア

「いや全然? むしろ涼しいって感じでスター」

 

アオイ

「はあ。あれ、その袋は……?」

 

 イレギアの服装をジロジロ見ていると、見かけない袋をバッグとは逆の肩にかけられている。その麻袋は時々もぞもぞうごめいていた。

 

イレギア

「ああこれか? ……ほれ」

 

 イレギアが差し出した袋の口を開くと、たくさんの金貨とその中から鈍い銀色の小さなポケモンが姿を表す。

 

アオイ

「コレクレーだ。でもはこじゃない……」

 

イレギア

「人呼んでとほフォルムだな! コインを集めようと思い至った時に見つけて縁があったからこうして仲間になったってワケだ。どうせなんのためのコインか知らねえから、コレクレーが満足するまでは一緒に行動してんのさ!」

 

アオイ

「へえー……」

 

 ワンチャンまたコイン欲しかったなとアオイは思った。

 

イレギア

「ここに来るまで何十枚も見つけたぜ。途中で道を間違えたりしたが……魂に響くビートに導かれてここにまで来れまスター! ……あっ、ジム戦終わりに写真撮ったろ? 見せてみ」

 

アオイ

「え? えーっと……」

 

 アオイが先ほどスマホロトムで撮った写真を映す……ライムの特別ライブの光景を切り取ったものだった。

 

イレギア

「ほら、ここ。俺がいる」

 

アオイ

「…………あ」

 

 アオイが絶句してイレギアが指差す方を丸まった瞳で見てみると……ヘルメットにスター団マークが刻まれた青年が観客に混じって盛り上がっていた

 

アオイ

「うわあホントだ……」

 

イレギア

「アオイが戦っている辺りで到着してよ。見つけて話しかけようかと思ったら音楽にノッちまって! どうやら俺の声援も届いてたようで嬉しいでスター……!」

 

アオイ

「…………」

 

 アオイはポケモンのステータス上昇にイレギアが関わっていたことに複雑な思いになった。

 

アオイ

「そういえば、ベイクジムをもう攻略し——……あらら」

 

 話題を逸らしてアオイが問いかける最中、イレギアは見るからにうなだれていく。

 

イレギア

「それが物凄い強さでよ~……調べてみたらライムさんよりも強いんだと! とんだ勘違いだスター!」

 

アオイ

「ありゃりゃ……無駄足だったってこと?」

 

イレギア

「いんや? むしろ俺にとってはコレクレーに出会えたし有益と言える……そういうわけで俺とバトルだスター!!」

 

アオイ

「やだ」

 

イレギア

「残念だったな——人気者からは逃げられない! 『とうせんぼう』に加えて『くろいまなざし』!」

 

 イレギアがアオイの前に大の字になってじめったい視線を浴びせる……!

 

アオイ

「うわっ、なんか逃げる気なくなる……」

 

イレギア

「そして『すなじごく』! 『ほのおのうず』!」

 

 その状態のまま目を離さず、どうやってかアオイの周囲を回転する! なお『すなじごく』として立ち込めるのは砂ではなく雪なのだが、『ほのおのうず』としてまたまた火花が舞っている。

 

アオイ

「え、どういう原理!?」

 

 その光景にアオイはひたすらに引いていく。周りの人々はなんだなんだと面白がっていたが、イレギアが突如として飛び跳ねる!

 

イレギア

「そしてこのまま『まきつく』で終わらせてや——」

 

イキリンコ

「『デンコウセッカ』ダ!」

 

イレギア

「ほげぇぇぇぇぇぇ~~~~っ!!!」

 

 しかしそこをモンスターボールから飛び出したイキリンコの『でんこうせっか』によって吹っ飛ばされ、幹の太い木に激突する!

 

イレギア

「たたたたたたたたっ!!」

 

 その後、木の上に降り積もった雪がイレギアの元に降り注ぎ——見事なまでのユキカブリ型の雪だるまが完成する。拍手が生まれた。

 

アオイ

「ウソぉ……」

 

イレギア

「これも俺の為せるわざでスター! それにさっき有益になったって言ったろ? 思い出したんだよ……」

 

アオイ

「何を……ですか?」

 

イレギア

俺は天才だってなッ!!

 

アオイ

「…………はあ」

 

 イレギアに振り回されるのはもう慣れかけていたが、それでもアオイは溜め息を零してしまう。

 

イレギア

「さって、ここまで来て受けねえなんて言わねえよなあ~っ? 登山で鍛えた俺のポケモンを見せてやりまスター!!」

 

 『ドーン』と雪だるまを内側から破壊してイレギアが飛び出し、迫真のスター団ポーズを披露する!

 

アオイ

「…………はい」

 

 断られる雰囲気ではなかった。

 

 バトルコートはフリッジタウンのものを借りて、2人はコートの両端に立って向き合う。

 

イレギア

「そこで見てなコレクレー! 俺の雄姿をしっかりと目に抑えるんだなっ!」

 

コレクレー

「クレ~ッ!」

 

 コレクレーは袋の中に入ったまま音響機器の上に置かれていて、しかしイレギアを精いっぱい応援している。

 

イレギア

「ナッペ山の登山で鍛えたオレのポケモンたちを見せてやりまスター!!」

 

 気合いっぱい、イレギアは迫真のスター団ポーズを披露する。

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝負をしかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

アオイ●●●●●○VSイレギア●●●●●○

 

 

 

 

アオイ

「出てきて!」

 

ケンタロス(ブレイズ種)

「タロォォォォォ————————ッス!!」

 

イレギア

「今回はお前からだぜギャラドス!」

 

ギャラドス

「ゴゴォォォォ~~~~!!」

 

アオイ

「う……ギャラドスから……」

 

イレギア

「へっへっへっ……! 俺は最初に繰り出すポケモンを変えてるからなっ!

 

 ギャラドスがケンタロスを【いかく】する——ケンタロスの攻撃が下がってしまった!

 

イレギア

「さーてどう攻めるアオイ……!」

 

アオイ

「……ふふっ、残念だけどこのまま攻める! ——ケンタロス、『ワイルドボルト』!」

 

イレギア

「なにっ!?」

 

 アオイが不敵な笑みとともに予想外のわざの名を叫んだことに余裕ぶっていたイレギアがたじろぐ。

 

ケンタロス(ブレイズ種)

「タロォォォ……!」

 

ギャラドス

「ゴゴッ…………」

 

 迸る雷気に恐れるギャラドスに対し、好戦的なケンタロスの全身がでんきエネルギーを纏っていく……そしてその巨体をギャラドスへと突っ込ませる!!

 

イレギア

「——なんてな! ピンチはチャンスだぜギャラドス……《テラスタル》だスター!!」

 

アオイ

「しょっぱなから《テラスタル》!?」

 

イレギア

「俺は天才だからな! 最後の切り札じゃなくっ、相手が最も驚くタイミングで使ってやるぜえ!!」

 

 ケンタロスの電撃突撃を星型ゴーグルの上から見ながらもイレギアは《テラスタルオーブ》に光を吸収させ……溜まったエネルギーをギャラドスに向けて解放する!

 

アオイ

(みずタイプになってダメージを軽減……【いかく】で弱まった攻撃力を耐える気かな?)

 

 果たしてギャラドスの頭部に《テラスタル》の冠が飾られる……アオイが予想した通りの青い噴水型——

 

 

 

 

 

 ——ではなかった!

 

イレギア

「驚いたかッ!! 色とりどりな花の冠——くさタイプに《テラスタル》だぜ!!」

 

アオイ

「ええっ!?」

 

イレギア

「弱点のでんきタイプといわタイプへの対抗策だスター! 授業で習わなかったかあ~っ!? そのまま受け止めろギャラドス!」

 

ギャラドス

「ゴゴォォォッ!!」

 

 ケンタロスの『ワイルドボルト』がギャラドスに命中する! ……しかしくさタイプとなったギャラドスにとってはあまり効いていないようだった。

 

アオイ

「くう……でもくさタイプなら『レイジングブル』で——!」

 

イレギア

「これで終わりだと思ったか?」

 

アオイ

「…………え?」

 

 ケンタロスが反動を受けている間、ギャラドスに浴びせたでんきエネルギーがその巨体に吸収されていき……!

 

ギャラドス

「ゴゴゴォォォォォ————————ッ!!!」

 

 

ギャラドスの こうげきが あがった!

 

 

アオイ

「え、ええ……!?」

 

イレギア

「『じゅうでんち』——どーよ! 俺は天才だからポケモンにもちものを持たせてるんでスターッ!! そのまま『りゅうのまい』で更に高めろ!!」

 

ギャラドス

「ゴ、ゴ、ゴゴゴ……ッ!!」

 

アオイ

「きのみとかはピケタウンでも持たせてたけど、まさか『じゅうでんち』って……! 急に……戦法が、ガチすぎる…………ッ!!」

 

 アオイの額に玉のような汗がにじみ出る。雪山の中だというのに身体が熱くてたまらない!

 

イレギア

「へっへっへっ……言ったろ? 俺は天才だってなッ!!」

 

 アオイは初めてイレギアの不敵な笑みが恐ろしく感じた。

 

 

 

 

 

 

 ——そして時は流れ……

 

アオイ

「うっ……戻ってメラルバ……!」

 

メラルバ

「メッバ……!」

 

 メラルバが《テラスタル》の冠を散らしながらコートに倒れ伏す……

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝利した!

 

 

イレギア

「ワハハハハハハハッ!! 今の俺はハイパーイレギアだスターっ!!」

 

イキリンコ

「スターッ!!」

 

コレクレー

「クレッ、クレーッ!」

 

 子どもじみた動きで喜びまわるイレギア。頭上にはイキリンコが輪をかけて飛び回っておりわ足元には麻袋を引きずってコレクレーも集まっていた。

 

観客たち

「「「オオ————————ッッッ!!」」」

 

 バトルを観ていた人たちも2人に歓声を上げて拍手で讃えていた。

 

イレギア

「ありがとう! どうもありがとう! ラップは出来ねえけどどうもありがとうー!!」

 

 気分を良くしたイレギアがステージを歩き回ってファンサービスしていく。迫真のスター団ポーズも受け入れられていた。

 

アオイ

「お疲れ、メラルバ」

 

メラルバ

「……メララ」

 

イキリンコ

「メラー!」

 

 アオイに抱きしめられたメラルバは、イキリンコを睨みつけて恨みがましく睨んだ。それに対してイキリンコはヘルメットの上に留まって誇らしげに胸を張っており、メラルバの声真似までして煽っている。

 

 メラルバにとっては【はりきり】イキリンコの『ブレイブバード』を避けたと思いきや、彼のもちものが『からぶりほけん』であったため、それを目で追うこともできずに倒されたので相当堪えたようだ。

 

メラルバ

「メラ! メメラ!」

 

アオイ

「ふふっ、ゆっくり休んでね」

 

 アオイは今にもイキリンコに飛び掛かりそうなメラルバに優しく微笑みかけて彼をモンスターボールの中に戻す。

 

イレギア

「へっへっへっ……! このバトルで使った戦法は、ネモとあれこれ話しているうちに編み出した秘策の1つだぜ! ピケタウンでは相手のさらなる意表を突くための戦法を磨いたんだスター!」

 

アオイ

「……初めて先輩を尊敬したかも」

 

イレギア

「いつもしてろっ! ……だがもちものってのはポケモンにとってものすごーく重要なアイテムだ。もちものを持たせないと進化しないポケモンだっているからな……先輩からのアドバイスでスター!」

 

アオイ

「それは、素直にありがとうございます」

 

イレギア

「へっへっへっ……また後輩に優しくしちまったぜ。人気者は忙しいなあ~っ? そんじゃまお疲れ様でスター!!」

 

 帰り際にもう一度スター団ポーズを披露して、イレギアは繰り出したモトトカゲに乗って去っていった。

 

アオイ

「元気だな~いつもあの人は」

 

 嘆息まじりに尊敬にも似た感想を呟いた。

 

 

 

—フリッジタウン ジム—

 

 

 

イレギア

「ええっ!? マジですか!?」

 

ジム職員

「はいっ。ジムリーダーライムから、観客を大いに盛り上げたとしてジムテストクリアとのことです!」

 

イレギア

「おっしゃあ!! さすがすぎるぜ俺ぇ……!!」

 

 調子に乗りまくっていたスーパーイレギア同様、不敵な笑みで自画自賛を重ねていく……なぜかリーゼントを撫でる動作をしていた。

 

イレギア

(……でも、さっきの戦法はあんまし安定しないだろう。アオイの顔を見て何かしらの対抗策があると察して、かつでんきタイプだったからこそハマったもの……それじゃネモには通用しない)

 

 しかし真面目な顔で先ほどのバトルを省みて……イレギアが両頬を叩いて気合を入れ直す!

 

イレギア

(意表をついて驚かせてワンチャンの勝ちを掴むんじゃないッ……もっと絶対的に勝たなくちゃネモを本当に満足なんてさせられない。マスターイレギアにはなれない!)

 

 彼の心に勝利への渇望や楽しむといった感情とは違った——何か、霞がかった思いがあったのだった。




《テラスタイプ》を変えることに関しては元スレでも言われてたのでこの辺で使ってみましたが、じゅうでんちギャラドスについては動画で見たのが面白かったので採用しました。でんきタイプがランクマで流行ったら実用的になるかも。


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14.ナッペ山から大空へ!チーム・ルクバーに捧げるGet Wild

今更ながらどのメインキャラともポケモンが被らない選出にすると——
・デカグース
・イキリンコ
・ボーマンダ
・サーフゴー
(ここまで確定してる)
・キマワリ⇄ギャラドス(進化前が弱い枠)
・マルマイン⇄シビルドン(でんきタイプ枠だけど、マルマインは再戦ナンジャモが使ってくるから『道を照らす』意味でデンリュウかウルガモスが良いかもしれん)
……わりと良さそう。


 

 

 

—ベイクタウン バトルコート—

 

 

 

イレギア

「ぶちかませデカグースゥ……『かみくだく』!!」

 

デカグース

「グゥゥゥゥ————————ッッ!!」

 

 あくタイプに《テラスタル》したデカグースの黒い牙がフラージェスを噛み砕く——! エスパータイプになったフラージェスにはこうかはばつぐんだ!

 

フラージェス

「フラー……」

 

リップ

「お疲れフラージェスちゃん」

 

 フラージェスは《テラスタル》の光を散らしながらリップに回収される。

 

 

ジムリーダーの リップに 勝利した!

 

 

イレギア

「よくやったぜデカグース! 今日はお前がMVPだぜえ!!」

 

デカグース

「グーグー!」

 

 イレギアがデカグースに抱き着いていると、リップが染みついたモデルウォークで歩いてくる。

 

リップ

「あくタイプに《テラスタル》するのは前回も知ってたけど……今回はみんな動きにキレがあったわ」

 

イレギア

「あざます! おかげで迷いが晴れました!」

 

リップ

「そう……かしら」

 

 リップが訝し気な視線を飛ばすイレギアはいそいそとバッグからサイン色紙を取り出していた。

 

 

 

—ベイクタウン ポケモンセンター前—

 

 

 

ネモ

「お疲れ、イレギアっ」

 

イレギア

「あれ、ネモじゃねえか」

 

イキリンコ

「ナンデ?」

 

デカグース

「グルル……♪」

 

 イレギアとイキリンコがやんややんやしていて、その横でデカグースがサンドイッチを食べ歩く姿を見たネモがうっすらと笑みを浮かべる。

 

コレクレー

「クレー?」

 

 親し気なイレギアの声に反応して、肩から下げた麻袋の中からコレクレーが顔を出した。

 

イレギア

「おう紹介するぜコレクレー、こいつがネモ! 俺の……ダチだな!」

 

ネモ

「コレクレーもゲットしたんだっ、よろしくね~」

 

イレギア

「ゲットじゃなくてまあかくかくしかじか——それでなんでここに?」

 

ネモ

「アオイとナッペ山ジムで出会ったときにもしかしてって思ってきたらイレギアに会えてさ。ここに来るだろうから待ってたの」

 

 『わたしに内緒でポケモン勝負してたのはむむーっってしたけど……』と付け加えているうちにイレギアが彼女の言葉に食って掛かる。

 

イレギア

「なに!? アオイのやつもうジムリーダー制覇したのかよ~……こうなったら俺も早速ナッペ山に直行だぜ!」

 

 イキリンコやデカグースをモンスターボールに戻してポケモンセンターに預け、その間に空飛ぶタクシーを呼ぶことにした。

 

ネモ

「それと……見てたよジム戦。すっごいバトルだった!」

 

イレギア

「だったろ~? 今日も戦いてえところだったが、アオイにも負けてらんねえ! それにどうせここまで来たんだ……戦うならチャンピオン同士で戦いたい!」

 

ネモ

「チャンピオン同士……そうなったらわたしたち、本当にライバルになっちゃうねっ」

 

イレギア

「ライバル……か」

 

 照れくさそうにヘルメットを摩るイレギアだったが、タクシーが空から現れたことで会話を中断する。

 

イレギア

「それじゃなネモ! 次戦うときはチャンピオンになってからでスター!!」

 

 イレギアが別れ際にスター団ポーズを披露し、手を振るネモから遠ざかっていく。

 

ネモ

「…………イレギアとなら、もう友達だけでも十分嬉しいのにな」

 

 彼に届かないようにひっそりと告げた。

 

 

 

—ナッペ山 ナッペの手—

 

 

 

イレギア

「ん? アオイじゃねえか。こんなところで何して……観光か?」

 

コレクレー

「クレー!」

 

 麻袋からコレクレーが顔を出す。袋は一回り大きく見えた。

 

アオイ

「うん、そんな感じ」

 

 ナッペ山を散策していたアオイはナッペの手辺りでイレギアとばったり出くわしてしまう。

 

イレギア

「へっへっへっ……ここで会ったがなんとやらだ! 挑ませてやりまスター!!」

 

アオイ

「仕方ないか……うん、やろう!」

 

 コライドンから降りたアオイもまたモンスターボールを構える。

 

コライドン

「アギャ!」

 

モトトカゲ

「ギャギャ!」

 

 ライドポケモンの2匹が交流している隣で、イレギアが迫真のスター団ポーズを披露する!

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝負をしかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

アオイ●●●●●○VSイレギア●●●●●○

 

 

 

 

アオイ

「出てきてサナギラス!」

 

サナギラス

「ギラ!」

 

イレギア

「まずはお前だコモルー!」

 

コモルー

「コモー!」

 

イレギア

「ネモに聞いたぜ、もうバッジ全部集めたってな! ちゃんとその実力になってるかオレが確かめてやるぜ!」

 

アオイ

「それならこっちも全力で——(もちものは変えてるだろうから前の戦術と同じじゃないはず……ならまずは様子見!)サナギラス、『てっぺき』!」

 

サナギラス

「ギラッ!」

 

 サナギラスが全身の殻を更に硬化させる……しかしイレギアは不敵な笑みを浮かべていた。

 

イレギア

「へっへっへっ……残念ながら悪手だぜ! コモルーッ、『きあいだめ』だ!」

 

 

コモルーは はりきっている!

 

 

コモルー

「コモモ……!」

 

イレギア

「さらに優しい俺は自白しちまうがコモルーのもちものは『ピントレンズ』……このコモルーに能力変化は通用しねえぜ!!」

 

アオイ

急所特化……!?」

 

イレギア

「さあ! アオイをぶっ倒してマスターイレギアになってやるぜ————————ッ!!」

 

 

 

 

 

 その後——

 

イレギア

「ががががが……戻れシビビール」

 

シビビール

「ビビビッ……!」

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 敗北した……

 

 

アオイ

「ふぅ……なんとか勝てた」

 

ドラミドロ

「ミドォ……!」

 

アオイ

「ドラミドロもありがと、お疲れ様」

 

 イレギアの戦法に翻弄されながらも、アオイは辛くも勝利を収める。

 

イレギア

「ちっくしょ~っ! まぁ負けは認めてやる……それと今回はこのナッペの手について教えてやろう!」

 

アオイ

「ナッペの手……看板で見かけたけど、どの辺が手なの?」

 

イレギア

「ほれ、この二股に分かれた部分がポケモンの手に見えるだろ?」

 

アオイ

「あー…………なんとなく?」

 

イレギア

「ワハハハハハハハ! ハッサク先生もがっかりするかもって言ってたし……言ってなかったか?」

 

アオイ

…………

 

イレギア

「まさか……まだ授業受けてねえのか?」

 

アオイ

「宝探しが終わったら受けようかな……って」

 

イレギア

「……まっ、やりたいことを優先できるのは学生の特権でスター! でもハッサク先生の美術は受けるべきだぜ。俺ってば最初の授業で泣いたもん」

 

アオイ

「そんな感銘を……?」

 

 ちなみにその時ハッサク先生も号泣したらしい。

 

イレギア

「二年生になったあたりで人生に迷っててさ、新任でアカデミーに来たハッサク先生に色々と導いてくれたんだ。それで単位は取り切ってたけどあの先生の授業は受けてみたいって思ってな」

 

アオイ

「ハッサク先生の授業……四天王としての姿しか知らなかった」

 

イレギア

「それ宝探ししてる途中で知ったぜ! だがこの宝探しの成果をハッサク先生に返せるって考えたら、もう……な!」

 

 イレギアが腕を組んでうんうん頷く……言葉に出来ない感動を身体で表していた。

 

イレギア

「あとは単純にバトル学あたりを改めて受けてるから、アオイが授業受ける時はもしかしたら会えるかもな! それじゃあオレはこの辺で……お疲れ様でスター!! いくぞモトトカゲ!」

 

モトトカゲ

「アギャス! アンギャギャーッス!」

 

コライドン

「アンギャギャーッス!」

 

 コライドンがいつものように走り去るモトトカゲに再会の誓いを叫んだ。

 

アオイ

「…………寒くないのかな」

 

イレギア

「おおっ、コイン見つけたかコレクレー!」

 

 ナッペ山には雪が降り始めていた。

 

 

 

—ナッペ山 ジム近く—

 

 

 

 ナッペ山ジムのジムテストは雪山滑りだが——

 

イレギア

「イヤッッホォォォオオォオウ!」

 

 イレギアはスノーボードで挑んでいた。しかも物凄く上手かった。

 

コレクレー

「クレー!」

 

 コレクレーがイレギアの服の裾から顔を出して風を感じている。

 

イレギア

「コレクレーも楽しいかっ! なら良かったぜ!」

 

 これまでの経緯としては——

 

 

 

 

 

イレギア

「ナッペ山ジムのジムリーダーグルーシャはパルデアジムリーダーの中で最強だと……こりゃちょっと研究しねえとだな」

 

 ベイクタウンから空飛ぶタクシーで移動中、イレギアがスマホロトムでグルーシャのポケモンバトルを視聴していたのだが……

 

イレギア

「うおすっげ! こんなパフォーマンスまで出来るのか!」

 

 いつの間にかスノーボーダー時代のグルーシャの世界大会の動画を見ていた。

 

コレクレー

「クレ、クレー!」

 

 それに食いついたのが、一回り大きくなった麻袋の中にいたコレクレーだった。

 

イレギア

「なっ! スゲー人だったんだなグルーシャさん……いやっ、だったなんて言い方は良くねえっ! それにオレが挑むのはジムリーダーとしての——」

 

 イレギアがあれこれ言っている間もコレクレーはどこまでも楽しそうに雪の上を滑っていくグルーシャに心を奪われていた。

 

過去のグルーシャ

「ぼくに勝てるやつがいたら、いつでも挑戦受けてたつぜ!」

 

 その笑顔に、イレギアを重ねながら。

 

 

 

—ナッペ山 バトルコート—

 

 

 

グルーシャ

「……もう一度聞くけど、その服でここまで登ったの?」

 

イレギア

「はい!」

 

グルーシャ

「腹が立つくらい良い返事……」

 

 薄着のまま準備体操を行うイレギアに対面したグルーシャは彼を睨みつけて溜め息を零す。

 

アルクジラ

「ホエー?」

 

グルーシャ

「なんでもないよ。でも……もしも事故に遭ったら、とか考えないのかい?」

 

イレギア

「まあ考えはしますけど、万全の準備したってなるときはなるんですからどうしようもないかなって」

 

グルーシャ

「そう…………あんたを見ていると、昔の自分を思い出す」

 

 グルーシャの視線がより冷たく鋭いものになる。

 

イレギア

「昔の……自分?」

 

グルーシャ

「自信過剰で、誰にも自分の歩みを止められないと確信していた……だけど、現実は一瞬でそれを雪崩みたいにかっさらっていく。跡形もなく、残るのは冷たくて真っ白な雪景色だけだった」

 

イレギア

「……なるほど」

 

グルーシャ

「あんたもぼくと同じような目に遭ったとして……そんときはどうすると思う?」

 

イレギア

「俺は……俺は——!」

 

 先ほど彼の過去を知っただけに少しイレギアは逡巡するも……唐突にスター団ポーズを披露する!

 

グルーシャ

「…………なに?」

 

イレギア

「やっぱあんまネガティブなことを考えるのは性に合わない! いけるところまで行って、いけないで諦めるしかなくなったらそんとき別の道を考える! 今はとにかく目の前を見るっ! 改めてそう決めました!!」

 

 グルーシャは『そう……』と一言呟いて、モンスターボールを構える。

 

グルーシャ

「……サムいけど、見習いたい部分ではあるかな」

 

イレギア

「よっしゃ!! アオイ負けてさらに特訓したんだ……ぶっかましてやりまスター!!」

 

 

 

 

 

 そして——

 

グルーシャ

「頑張ったねチルタリス……お疲れ」

 

イレギア

「ぃよっしゃあああああああああああああ!!! ついにジム制覇だぜ!!」

 

 グルーシャがチルタリスを労う間、イレギアが心の底から喜びを体現していた。

 

グルーシャ

「ぼくにも……あんな時期があったんだな」

 

 自分自身『サムい』と笑ってしまうが、その姿には懐かしいものを感じていた。

 

グルーシャ

「説教じみたことを言った手前、負けたくはなかったけど……うん。あんたなら冷たい現実も乗り切れると思うよ。戦ってみて、少しそう思った」

 

イレギア

「あざます! 褒めてもらったぜなあコモルー!」

 

コモルー

「コモッ……コモゥゥゥ……!!」

 

 最後の切り札であったコモルーに話しかけるも、当の彼はなんだか悶え苦しんでいるようだった。

 

イレギア

「どうしたんだコモルー……! どっか具合でも悪いのか……!?」

 

グルーシャ

「いや……たぶん進化じゃないかな」

 

イレギア

「進化!?」

 

グルーシャ

「コモルーみたいな大器晩成のポケモンは進化すると強大な力を手にするから、進化する前はこうやって苦しむみたい」

 

イレギア

「そうなんスか!? 頑張れコモルー! もうすぐだ耐え抜けッ……大空に飛び立つんだろ!!?」

 

コモルー

「——モッ!」

 

 

 

 その言葉にコモルーはハッと気づく。

 

 

 

 長年の夢だった……イレギアの手持ちにいたイキリンコにまず憧れ、『すぐに飛べるようになるさ』と言われていたら、先にコイキングだったアイツがギャラドスになって空に飛び出した。

 

 

 

 尊敬する反面、羨ましかった。自分も早く飛びたかったのだ。

 

 

 

 空を飛んで……まずは、そうだ——彼を自分の背に乗せて……どこまでも飛んでいきたい!!

 

 

 

コモルー

「コ……モル————————ッ!!!」

 

 

……おや!? コモルーの様子が……!

 

 

 雄叫びとともにコモルーの全身が光り出す……! かろうじて見てたシルエットには、丸々としたコモルーのボディから蛹から羽化する蝶のように羽が一対現れたのだ!

 

イレギア

「いっけえコモルー! ——いいや! ボーマンダ!!」

 

 眩い光をイレギアはゴーグルもせず見つめ続け、彼の言葉に呼応するように『それ』は目醒める!

 

 

 

ボーマンダ

「ボォォォォォ————————ッッッ!!!!」

 

 

 

 赤い羽根を羽ばたかせ、雄大な四足で地に足をつけてナッペ山全土に届くような雄叫びが轟いた!!

 

 

おめでとう! コモルーは ボーマンダに進化した!

 

 

イレギア

「かっけええええええええええええええええええええ!!!」

 

グルーシャ

「うるさいな……」

 

 最高潮の喜びはイレギアのみならず、ボーマンダは進化したその喜びを表すようにその翼を動かして『そらをとぶ』——バトルコートに突風が吹き荒れる!

 

ボーマンダ

「ボォ!? ボォォォォ~~~~ッッ!!!」

 

 ——ここでボーマンダの図鑑を抜粋するが……進化して翼を得た喜びから大空を駆け廻っては地上を焼き払うのだとか。

 

ボーマンダ

「ボォォォ————————!!」

 

イレギア

「おおっ! イキリンコ顔負けのスピードじゃねえか! ヤッベえぜボーマンダァ!!」

 

グルーシャ

「……ごめん、撃ち落すね。アルクジラ、『こおりのつぶて』」

 

アルクジラ

「ホエ~!」

 

 グルーシャの傍に居たアルクジラが冷静な彼の指示を受けてこおりエネルギーの結晶をいくつも素早く作り出し……すぐさま喜びで暴れているボーマンダに撃ち出す!

 

ボーマンダ

「ボォ!??」

 

 見事命中! 4倍弱点を突かれたボーマンダはあえなく撃ち落されてしまった……!

 

イレギア

「うおっと!? 戻れボーマンダ!」

 

 バトルコートに落とされるより早くイレギアがモンスターボールに回収した。

 

イレギア

「ふぃ~……! いや~、すんませんっ! 俺もはしゃいじゃって……!」

 

グルーシャ

「気持ちは分かるけど……雪山で暴れられたら何が起こるか分からないからね。そういうのが収まったら——また来てもいいよ」

 

イレギア

「はい! またいつか!」

 

グルーシャ

「腹立つくらい良い返事……」

 

 マフラーの中で笑みを浮かべるグルーシャだった……が、ふと足元を何かに触れられる。

 

グルーシャ

「ん? ……コレクレー?」

 

コレクレー

「コ……! コ、ココッ…………クレー!!」

 

 コレクレーが両手を広げて何かをアピールするも、グルーシャは小首を傾げるばかりだった。

 

グルーシャ

「えっと……あんたのポケモン?」

 

イレギア

「まあそういうことになるんですかね……ともかくそいつ、グルーシャさんのファンなのかもしれねえんで良かったら握手してあげてください!」

 

グルーシャ

「握手…………これでいい?」

 

 グルーシャはしゃがんでコレクレーに向き合い、震える彼の両手を手袋越しに握ってあげた。

 

コレクレー

「クレー! クレ~ッ!」

 

グルーシャ

「喜んでる……のかな」

 

 バトルコートを跳ねまわるコレクレーにそう結論づけた。

 

イレギア

「すんません俺もサインお願いしていいッスかね……?」

 

グルーシャ

「…………あんたもファンだったの?」

 

イレギア

「そうだったりもしますけど……ジムリーダーのサインがこれで全部揃うのでめちゃくちゃほしいなって」

 

グルーシャ

「そう。分かった、書くよ。ここでぼくが断ったらサムいだろうし……」

 

 そうしてグルーシャは、スノーボーダーとしてではなく——ジムリーダーとして色紙にサインを書いた。少しこそばゆい気分になった。

 

 

 

—北3番エリア チーム・ルクバーアジト—

 

 

 

 スター団のフェアリー組が根城にしていたお花畑だったが、今——カチコミによって解散することになってしまった。

 

 そのカチコミ野郎であるアオイは今、補給班であるボタンがコライドンに舐めまわされているのを眺めていた。

 

ボタン

「いや助けて!?」

 

アオイ

「なんかもういつもの光景だからいいかなって」

 

コライドン

「アギャス……!」

 

ボタン

「だから舐めんなって……!」

 

 

 

 

——ズドンッ!!!

 

 

 

 

 

コライドン

「アギャッ!?」

 

ボタン

「今度はなんなん!?」

 

アオイ

「アジトの方に何かが落ちたような……」

 

 

 

???

「——よっしゃあ!! 無事不時着完了だぜ!!」

 

 

 

アオイ

「…………大丈夫そう」

 

ボタン

「いや何処が? なんも見えとらんけど……」

 

アオイ

「いやホント、大丈夫」

 

ボタン

「…………アオイがそこまでいうならそれでいいや」

 

アオイ

「そういえばワタシも初めて知ったんだけど——」

 

 アオイはスター団誕生の経緯と彼らの現状についてボタンに教えた。話を聞いていくうちにボタンの顔は曇っていき、自嘲じみた笑みすら顔に貼り付けていた。

 

ボタン

「……へー。スター団、そんなことがあったん。いじめをなくしたかったのに、今では自分たちが恐怖の対象……マジウケる。先生も生徒もバカばっか」

 

アオイ

「ボタン……」

 

ボタン

「みんながいじめられたとき、ほかの誰かがひとりでも気づいていたら——スター団は悪者じゃないよってすぐにわかったはずなのに……」

 

アオイ

「…………」

 

 影の差したボタンの表情をアオイはじっと見つめていた。

 

ボタン

「そんなバカばっかな学校で戦ったってみんな、バカを見るだけなのに……スター団なんか作っちゃったマジボスってのもきっとどうしようもないアホだよ」

 

アオイ

「……そうかな?」

 

ボタン

「…………そうだよ。ん、今回の報酬——次が最後のボス……アオイ、頼んだ」

 

 アオイの言葉を遮るように、ボタンはそう言って切り上げてどこかに去っていく……

 

アオイ

「…………本当にそうかなーっ?」

 

ボタン

「……え?」

 

 アオイが声を張り上げ、ボタンの脚を止める。振り向いた彼女の顔は少し驚いていて……

 

アオイ

「ワタシの……ワタシの知り合いに、スター団のしたっぱの人がいて……その人もいじめが原因で入ったのかは分かんないけど、その人を見てると……スター団が出来たおかげで救われたって人が大勢いると思うんです」

 

ボタン

「そう…………」

 

 ボタンは再び踵は返す。

 

アオイ

「絶対にそう……今まで出会ってきたスター団の(ペーペー)ボスたちだってそうだった(ポーペッペーぺぺー)みんな、スター団のことを(ペーぺぺーペペペペ)『自分の居場所』だって思っていた」(ペペペペペペぺぺーぺーぺぺ)

 

ボタン

え、なにこの音楽。(ペーペーポーペッ)鍵盤ハーモニ(ペーぺぺー)カ?」

 

 ボタンはもう一度アオイに振り返る。

 

アオイ

「だからワタシが……マジボスに(ペーぺぺーペペペペ)それを思い出させてあげるから——!」(ペペペペペペぺぺーぺーぺぺ)

 

ボタン

「いやだからなにこのアングル!?(ドュゥゥゥゥゥゥ) 止めて、(…………ン————————)引かれてアスファルトタイヤに優しくないこの音楽……!!」(ペレレペレレレ…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オルティガ

「——なんでオレがこんなの弾いてんだよっ!!」

 

 オルティガが鍵盤ハーモニカをあらぬ方向へと投げ飛ばす——

 

イレギア

「っとキャッチだぜ!!」

 

 しかし即行で下に回り込んだイレギアによって見事回収される。

 

したっぱたち

「「「おお~……!」」」

 

オルティガ

「そんでなんだよこの拍手は……!」

 

 アオイとのバトルでも見せたプッツンが再発しそうになる。

 

したっぱA

「オルティガさんの演奏初めて聞いたけど……めっちゃよくなかったっ?」

 

したっぱB

「うん凄かった! ピアノまで出来るなんて尊敬~!」

 

オルティガ

「…………そういうことならまあいいか」

 

 オルティガが一人で納得したところでイレギアが舞い戻ってくる。

 

イレギア

「いやあ無理行って悪かった! 久しぶりにアンタのピアノが聞きたくてなー」

 

オルティガ

「ピアノなんてアカデミーで……入学したあたりはしてたかな——っていうかなんで鍵盤ハーモニカ持ってんだよ! しかもちゃんと手入れされてるやつをっ!」

 

イヌガヤ

「まあまあオルティガ坊ちゃま。それより……本当にお怪我は無いのですか?」

 

イレギア

「ええもちろんですよ元校長先生! 名前なんでしたっけ?」

 

イヌガヤ

「イヌガヤです。しかし……まさか空から落ちてくるとは思いもしませんでしたよ」

 

イレギア

「ボーマンダが俺を乗せたいっつーのでとりあえずこの辺で降りようとしたんスけど……どうにも降り方を知らなかったみたいでして。次からはそれも特訓だな……頑張ろうぜボーマンダ!!」

 

ボーマンダ

「ボ、ボォォォ……」

 

 弱々しく鳴いて返事をするボーマンダ……フェアリー組の妖気を浴びて弱っているのだろうか。

 

イレギア

「ともかくありがとな! そんなら俺はこの辺で……お疲れ様でスター!!」

 

 元気よくスター団ポーズを披露したイレギアは改めてボーマンダに乗り込んで空へと飛び立っていく……

 

オルティガ

「…………スター団にも、あんなバカいたんだな」

 

 『スター大作戦』のことについて詳しくない生徒が適当に掟を解釈してアカデミー内外で迷惑をかけている……という噂を聞いたことがあったが、おそらくはああいう輩がいるから言われるようになったのだろう。

 

イヌガヤ

「ともかく坊ちゃま、迎えが来ておりますので」

 

オルティガ

「分かってるよ爺や、今行く——……ってアイツ鍵盤ハーモニカ置いていきやがった! 持ってけよオーイ!!」

 

 イレギアの姿は既に遥か遠くだった。

 

イヌガヤ

「それはアカデミーで出会ったときに渡してはいかがでしょう?」

 

オルティガ

「なんでオレが……まあ、アジトに置いていくわけにはいかないしな」

 

 

 

 

 

 空飛ぶ自家用車の中で、オルティガは独り溜め息を零した。

 

オルティガ

(ピアノを弾いてくれ……か)

 

 急に空から現れて、オルティガの姿を見つけるや否やそんなお願いをしたので断る余裕もなく従ってしまったが……今考えてもむしゃくしゃする! ——けれど……

 

オルティガ

(他の生徒の前で弾いたの、いつぶりだろ…………)

 

 思い出せはしないけれど——無理に思い出そうとしたら嫌な思い出が溢れてしまう——確かあんなバカがいたような気がしてきた。

 

オルティガ

「…………」

 

 長手袋を取って、キレイな爪を鍵盤に這わせる。歌口を咥え、鍵盤に繋がっているチューブをちょうどいい位置に調整する。

 

オルティガ

(今度、ボスのみんなに聞かせてあげようかな……もちろん、マジボスにも)

 

 何度か音を確認して——奏でる。

 

イヌガヤ

「おや……」

 

 実に心に染みる旋律だったという。




それではお聞きください、オルティガで『タイプ:ワイルド』。

何気に初めてこの作品で登場したスター団のボスだったりする(セギンでは門前でネルケに倒され、シェダルではアオイにコテンパンにされ……シーに至ってはそもそもおらんし)。


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15.チーム・カーフにヘイラッシャイ!俺こそマジボスだスター!?

 

 

 

—オージャの湖—

 

 

 

 チーム・ルクバーに勝利したアオイはそのまま隣のオージャの湖にて最後のヌシを探していた。

 

アオイ

「とはいえ……それっぽいポケモンは見つからないし……」

 

 コライドンに乗って湖を探索しても、それらしきポケモンが見つからないのだ。今までのヌシ同様、巨大なポケモンであることには間違いないのだろうが……まさか湖の底にいる?

 

アオイ

「だとしたら厄介……浮上するまで待つのは嫌だしな……」

 

ペパー

「おーいアオイー! 見つかったかー?」

 

アオイ

「ペパーっ……——ゲッ

 

 途方に暮れるアオイだったが、聞き覚えのある優し気な声色に振り返って——ドン引きまじりに声を零した。

 

イレギア

「ゲッとはなんだ貴様。我、先輩ぞ? お? お?」

 

 ペパーとイレギアが男2人でボートに乗ってアオイに近づいてきた。オールを漕いでいるイレギアがアオイに甲斐甲斐しくウザがらみする。

 

アオイ

「…………なんで先輩も?」

 

イレギア

「なーに、この辺を通りかかったんで同級生のよしみで手伝ってやろうってな! だろペパー!」

 

アオイ

「ホントに?」

 

ペパー

「そういうことになる。とはいえ、まさか空から落ちてくるなんて驚きちゃんだったがな……」

 

 西3番エリアからオージャの湖までボーマンダを飛ばし、ファイアロー並みの視力でもってペパーが1人でボートを漕いでいる姿を見つける。

 

 声をかけようと近くの小島に着陸しようとして……またもやボーマンダが不時着したのだ。

 

アオイ

「やっぱりさっきも落ちてきたんだ」

 

イレギア

「まさかもうアジトが壊滅させられてるなんてな……だが最後の1つは残ってる! それでお前は終わりだスター!!」

 

 ボートの上ではあの激しい動きをしないらしく、イレギアはアオイを指差すのみに留めた。

 

ペパー

「そんで、コイツの目はとんでもなく良い子ちゃんだからな。時間もあるらしいからヌシ探しを手伝ってもらってるんだが……それでも見つからねえ」

 

アオイ

「ペパーたちも……」

 

イレギア

「島の上にいるんじゃないかと探ったが、見つかるのはコレクレーのコインくらい……なんならさっきから『ヌシー!』って呼びかけてるんだけど一向に現れる気配がしないぜ」

 

アオイ

「そんなんで出てくるわけないでしょ……」

 

イレギア

「いやいやいやいや、もしかしたら返事するかもだろ~?」

 

ペパー

「正直、それでもいいから出てきてほしいとこだがな……」

 

 数度か会話した後、1人と2人に分かれて再びヌシの捜索となった。

 

 アオイは今、とある小島に上陸している。

 

 

 

シャリタツ

「スシスシー!」

 

 

 

シャリタツ

「オレスシ……」

 

 

 

シャリタツ

「シースー!」

 

 

 

アオイ

「わあっ、シャリタツがいっぱい……!」

 

 あまりの可愛らしさにアオイもついニヤけてしまうほどだった。

 

アオイ

(でもさっきイレギアさんがなあ……)

 

 

 

さっきのイレギア

「寿司に擬態してるなんてバカだなとか思うなよ、バカにして不用意に近づいたダチが今でも病院暮らしだからな!」

 

 

 

アオイ

「…………ポケモンの準備はしておこう」

 

 モンスターボールを携えながら小島に散らばったシャリタツたちに目を向ける……寿司に似たフォルムで地面を跳ねてまわっていた。

 

アオイ

「うう〜ん……この中にはいなさそう……」

 

 しかし……ふと、イレギアの言葉を思い出してしまう——

 

 

 

さっきのイレギア

「なんならさっきから『ヌシー!』って呼びかけてるんだけど一向に現れる気配がしないぜ」

 

 

 

アオイ

「…………ヌシー(何やってんだろ私)」

 

 

 

シャリタツ

「オレヌシー!」

 

 

 

 若干恥ずかしさに赤面しかけていると、岸の方で一回り大きなシャリタツが元気よく返事をした。

 

アオイ

「……そんなバカな」

 

 アオイが携えていたモンスターボールを投げる。

 

 

 

 

 

ペパー

「アオイ! ヌシ発見したのか!?」

 

アオイ

「ペパー! ……と先輩。うん、スパイスの場所も」

 

 アオイがスパイスを食べに戻ったヘイラッシャを追うと、その後ろからペパーとイレギアがついてきていた。

 

イレギア

「へっへっへっ……! どうやら俺のヒントが役に立ったみたいだな!」

 

ペパー

「んなわけねえだろ」

 

アオイ

「…………」

 

 押し黙るアオイを他所に、偽竜のヌシがその大口を開く……!

 

ペパー

「アイツが偽竜のヌシ……!? でっけえ……竜……ってかさかなポケモンじゃね!?」

 

イレギア

「ん? 岩山の中から別のポケモンが出てきて——」

 

 スパイスを食べ終えたシャリタツがヘイラッシャの口の中に舞い戻ってくる。

 

ペパー

「ス……スシが!! でっかいヌシに食われちまった!? しょ……食物連鎖かよー!?」

 

イレギア

「スシかあ……誕生日で家族と食いに行った以来だなあ。懐かしい」

 

アオイ

「ワタシもこの前ペパーと言ったんだけどねえ」

 

ペパー

「思い出に浸ってる場合かっ!」

 

 

 

ヘイラッシャ

「ラッシャァァァァ~~~~イッッッ!!」

 

 

 

 偽竜のヌシの咆哮が高波を起こし、オーラのようなものを纏いだした!

 

ペパー

「ともかく倒すぞ。これが最後のヌシちゃんだぜ!」

 

イレギア

「乗りかかった船だ……やってやるぜ偽竜のヌシ!」

 

アオイ

「よーし、やろう!」

 

 それに反発するように3人は思い思いのポケモンを繰り出す!

 

ペパー

「食物連鎖に興味津々! コイツでごちそうさんしてやるぜ!」

 

ヨクバリス

「バリスゥゥ~~~~!」

 

イレギア

「初めてのバトルだ……気ィ引き締めろよボーマンダ!」

 

ボーマンダ

「ボォォォォ————————ッッッ!!」

 

アオイ

「タイプはさっきと変わらない……頑張ってキマワリ!」

 

キマワリ

「キマッ!」

 

アオイ

「あれ——ボーマンダに進化したんですか……?!」

 

イレギア

「あたぼうよ! 俺とボーマンダならもっかい進化もできちまうぜ!」

 

ペパー

「そりゃあ無理だろ……」

 

ボーマンダ

「ボォォ……!」

 

 

 

ヘイラッシャ

「ラッシャイ…………!」

 

 

 

イレギア

「おおっ! お前の【いかく】で怯えてやがるぜ……ぶっかましてやれボーマンダ——『ドラゴンクロー』!」

 

ボーマンダ

「ボォォォォ————————!」

 

 赤い翼で羽ばたいたボーマンダの前足にドラゴンエネルギーが収束して巨大な鉤爪を作り出し……偽竜のヌシの額を切り裂いた!

 

 

 

ヘイラッシャ

「ラッシャ……!?」

 

 

 

イレギア

「ん? ドラゴンタイプの割に効いてねえな……」

 

アオイ

「ヘイラッシャはみずタイプだけなの」

 

イレギア

「なに!? なんで竜の……あっ、偽竜ってそういうことかっ! こりゃ一本取られたぜ!!」

 

ペパー

「タイプが分かろうが、俺たちのやることは変わんないだろヨクバリス! 『とっしん』だ!」

 

イレギア

「だなペパー! ボーマンダ、続けて『ドラゴンクロー』!」

 

アオイ

「案外良いコンビ? ちょっとヤケるけど——ワタシたちも頑張ろう! 《テラスタル》!」

 

 

 

 

 

 そうして——

 

 

 

ヘイラッシャ

「ラッシャイ……!!」

 

 

 

 ヘイラッシャは3匹の猛攻に耐えきれず、湖の底に沈んでいった……!

 

ペパー

「や……やったなアオイ! イレギア!」

 

アオイ

「さすがに3人もいれば楽勝だね!」

 

イレギア

「これこそっ、俺たちのコンビネーションだぜ! ——そんじゃまっ、後のスパイスだなんだのはお前らに任せる。俺はこの辺で……」

 

ペパー

「……ありがとな」

 

 イレギアがスター団ポーズを決めようとしていたところで、ペパーがふと礼を述べた。

 

イレギア

「ん? どうしたよペパー」

 

ペパー

「いや……大した事情も聞かずにここまで手伝ってくれて——ありがとちゃんだぜ!」

 

 ペパーがサムズアップをイレギアに贈るも……彼はいつものように不敵な笑みを浮かべていた。

 

イレギア

「へっへっへっ……だが残念だったなペパー……!」

 

ペパー

「あん?」

 

アオイ

「あはは……言いたいこと分かっちゃった」

 

 苦笑気味のアオイの言う通り、イレギアは大袈裟な動きで自分を指差した。

 

イレギア

「——俺は人気者だからなっ! 困ったヤツを助けてダチにするのが俺の信条! その方がみんな楽しいからなっ!!」

 

ペパー

「へいへい……変わんねえな、お前は」

 

イレギア

「それが俺の良さだ……さてさてさてさて、改めてお疲れ様でスター!!」

 

 イレギアは変わらず迫真のスター団ポーズを披露する! そして星型ゴーグルを装着し——

 

イレギア

「いって!」

 

 ゴムの弾性力を顔面に受ける。

 

アオイ

「そこは変わっててよ」

 

 繰り出していたボーマンダに跨って、どこかへと飛び去ってしまった。

 

 突風が2人の頬を吹き抜ける。イレギアらしいなとも思った。

 

ペパー

「ヌシも倒したことだし、お次は秘伝スパイスを……」

 

アオイ

「どうしたのペパー……あれ」

 

 ペパーの視線を追ってみると、湖面を泳ぐシャリタツと目が合った。

 

ペパー

「なんだアイツ、食われたんじゃなかったのか」

 

 

 

シャリタツ

「オ……オ……」

 

 

 

アオイ

「オ?」

 

 

 

シャリタツ

「オレモヌシ————————!!」

 

 

 

 予期せぬ再戦となった。

 

 

 

 

 

—空飛ぶタクシー内 北2番エリア上空—

 

 

 

アオイ

「昨日のペパー凄かったな……」

 

 全てのスパイスを集めた後、ペパーの相棒が完全回復した。アオイ自身、ペパーと泣いてしまうほどに喜んだ。

 

 しかしその翌日に色々とあり……ペパーとバトルすることになった。辛勝だった。

 

 その後は時間も遅かったのでそのままペパーの家に泊まることになるも、全く眠れなかったので寮の自室で二度寝していたらもう昼になっていた。

 

アオイ

「ペパーにも負けてられないな——もちろん、スター団にも……!」

 

 脳裏に過ぎったボタンの顔に近づくために、最後のスター団——チーム・カーフのアジトに向かう。

 

 

 

—北2番エリア チーム・カーフアジト—

 

 

 

アオイ

「あれは……校長?」

 

 ネルケである。

 

 アジトの門ではなにやらネルケとスター団のメンバーがバトルをしていたようで、相手側がポケモンを戻していた。

 

???

「……なかなか筋がいい。わたしのポケモンの攻撃を退けるなんてね」

 

 相手のスター団はアイドルめいた特別な衣装からボスなのだろうか——背の高い女性のようで、顔には鬼のようなペイントが施されている。

 

ネルケ

「そちらもな……名前はビワって言ったか? 研ぎ澄まされた技だ」

 

 ネルケは大人の余裕を崩さず、リーゼントを掻き上げる。

 

 2人だけが取り残されたフィールドは近寄りがたい静謐さが立ち込めていた。

 

ネルケ

「しかしボス自ら門の見張りとはな……仲間のしたっぱたちを信じていないということか?」

 

ビワ

「……黙りなさい」

 

 猛然と立ち振る舞うビワの声色に怒気が混じっていく。

 

ビワ

「わたしはわたし以外、誰も傷ついてほしくないだけよ」

 

 しかしそれが彼女の慈愛から来るものだとネルケは察したのだった。

 

ネルケ

「優しいボスさん……勝負再開といこうか!」

 

アオイ

「ネルケ……っ」

 

 機会を見つけたアオイはネルケに声をかける。

 

ビワ

「……誰」

 

ネルケ

「アオイ! 来てくれたのか!」

 

アオイ

「彼女は……?」

 

 カシオペアから各組のボスの顔写真は受け取っているが……実際に彼女を目にしてアオイは少したじろいでしまった。ペパーよりも背の高い女性で、露出している肩や腰が筋肉質だったこともあるだろう。

 

ネルケ

「団員らしき生徒がいたんでちょっと話しかけたんだが、いきなりいきなり襲われてひと勝負してたところだ」

 

アオイ

「なるほど……改めて、アオイです。カチコミに来ました」

 

 アオイの芯のある声に応えるように、女性は再びヒールボールを構えた——

 

???

「ビワちゃん! やっぱりここにいた!」

 

 ——ところで、門の横から現れたスター団のしたっぱが呼び止める。

 

ビワ

「タナカちゃん……!」

 

タナカ

「ちょっと大丈夫!? ケガしてない!?」

 

ビワ

「大丈夫だから……! タナカちゃんは安全な場所へ!」

 

 どこまでも他人を思うビワに溜め息を零しながらも、タナカはアオイたちへと向き合った。

 

タナカ

「ここは引き受ける! ビワちゃんはアジトに戻って!」

 

ビワ

「……引かない! ……引けない!」

 

タナカ

「ビワちゃん! もうやめて!」

 

ビワ

「ボスのわたしが……引くわけには……」

 

タナカ

「ビワちゃんお願いよ! 友達の言うこと聞いて!」

 

イレギア

「そうだぜ! ビワには万全の状態で戦ってほしいからな……ここは俺たちに任せとけ!」

 

ビワ

「わかった……タナカちゃん、イレギアさんもごめんなさい!」

 

タナカ

「もう! 違うでしょ! お疲れ様でスターでしょ!」

 

ビワ

「お……お疲れ様でスター!」

 

 アイドルステップのような身のこなしでビワがスター団ポーズを決めて、門を閉じる最後までタナカたちのことを心配そうに見ていた。

 

タナカ

「さて…………誰よあんた!!?

 

 誰も言い出せなかった空気の中、タナカが弾けるようなツッコミを披露する!

 

イレギア

「んなことはさておいて、カチコミ野郎を2人でぶっ倒すぞ! マルチバトルってヤツだスター!」

 

タナカ

「ええっ……まあ、その方が時間稼げそうだし良いけどっ……!」

 

ネルケ

「……アオイ、どうやらここは引けそうにないぜ」

 

アオイ

「うん……やろう、ネルケ」

 

イレギア

「よっしゃ、かかってこいアオイにネルケ!」

 

タナカ

「あんたが仕切んないでよ! でもいいわ、ビワちゃんはわたしが守る。覚悟はいいわね?」

 

イレギア

「へっへっへっ……ここには目撃者もいる! アオイとネルケに勝って、ビワにも今度こそ勝つ! その勢いでマジボスすら倒し……俺こそがマジボスに成り上がるのだ!!」

 

タナカ

「そんなこと考えてたわけ!? まあビワちゃんが負けるわけないし、戦ってやるわ——参ります!」

 

アオイ

「いい人だなあ……」

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイと ネルケに 勝負をしかけた!

 

 

—BGM 戦闘!スター団—

 

 

アオイ&ネルケ●●●●●●

VSイレギア&タナカ●●●●●●

 

 

 

 

イレギア

「まずはお前だギャラドス!」

 

ギャラドス

「ゴゴォォォ!!」

 

タナカ

「グレッグル!」

 

グレッグル

「グルルルルル……!」

 

ネルケ

「任せたぞヤレユータン!」

 

ヤレユータン

「ユータン……!」

 

アオイ

「頑張ってオーロンゲ!」

 

オーロンゲ

「ロロロ……!」

 

イレギア

「懐かしのマルチバトル……こいつは面白くなってきたぜ!」

 

 

 

ボーマンダ

「ボォォォォォ————————ッッッ!!」

 

 

 

 岩崖の上でボーマンダが雄叫びを上げる……!

 

タナカ

「なにあのボーマンダ!?」

 

イレギア

「ああ、俺の。ここまで飛ばせたから休ませてんの。応援してくれよ~っ!」

 

タナカ

「あんた……ああ、時々聞くスター団の変人ってあんたのことだったのね。初見で気付けばよかったわ」

 

イレギア

「理解してもらえて何より! そんなら蹴散らしていきまスター!!」

 

 

 

 

 

 そうして——

 

イレギア

「うごごごごごご…………戻れイキリンコ……!」

 

イキリンコ

「モドレ~……!」

 

 イレギアの最後のポケモンが収められる……

 

 

ポケモントレーナーの アオイと ネルケに 敗北した……

 

 

イレギア

「ちっくしょーっ! スター団のパワーがぁ!?」

 

タナカ

「……わたしは負けてもいいの。ひと時でもビワちゃんが休めたならわたしは満足。——役目は果たしたし、わたしも戻るわ! お疲れ様でスター!」

 

イレギア

「おう、そんじゃあな! ビワによろしく!」

 

タナカ

「いやちょっと! 一緒に戦わないの!?」

 

イレギア

「だって俺かくとう組じゃねえし」

 

タナカ

「じゃあなんで首突っ込んで……もういいわ」

 

 結局イレギアに振り回されっぱなしだったタナカはそそくさと門の内側へと行ってしまった。

 

イレギア

「アオイとネルケともこの辺で……お疲れ様でスター!!」

 

アオイ

「えっと……うん。お疲れ様でした」

 

ネルケ

「…………ちょっと気になったんだが」

 

 スター団ポーズを披露したイレギアにネルケが声をかける。

 

イレギア

「ん? どうしたネルケ。まっ、俺とアンタの仲だ……気軽に良いぜ!」

 

 根明な態度のイレギアが神妙な顔のネルケの肩に腕を回した。

 

アオイ

「おうふ…………」

 

 ネルケの正体を知っているアオイは思わず変な声を零してしまった。

 

ネルケ

「『今度こそ』……と言っていたが、ビワとは面識が?」

 

イレギア

「そらな。とんでもねえべっぴんさんで文武両道……入学当初からそれはもう人気者だったからよ。気を惹きたかったのと成り上がりたかったんで何度も色んな勝負を挑んでは負けてたっけな。勉強で勝とうとしてたらダチを巻き込んで勉強会になってた、なーんてこともあったっけ?」

 

アオイ

「何その青春……」

 

イレギア

「ビワだけじゃないぜ? スター団のボスとはもうみんなと仲良くやってたな——生徒会長のピーニャには校則違反だーなんて追いかけまわされたし、メロコにはボウジロウの飯奢ってもらったし、シュウメイにはゲームでひたすら負けたり、オルティガにはいっつもふんぞり返られたな……懐かしいぜ」

 

アオイ

「イレギアさん……」

 

 それほど遠くないはずの過去を懐かしむイレギアの横顔をアオイはどこか胸が苦しくなる思いで見ていた。

 

ネルケ

「それが……イレギアのアカデミーでの思い出か」

 

イレギア

「それだけじゃねえぜ? もっともっとたっくさん宝物みたいなモンがいっぱいある! 語っちまいたいところだが……カチコむんだろ? 俺にはもう邪魔できねえからな。改めてお疲れ様でスター!!」

 

 ネルケの背中を思いっきり叩き、2人に迫真のスター団ポーズを披露する! ボーマンダに呼びかけるとその背に乗ってどこかへと飛び立ってしまった……

 

ネルケ

「……彼もまた、いじめに遭ったのでしょうか」

 

アオイ

「それは…………どうなんでしょう」

 

 どこまでもポジティブなイレギアにそんな薄暗い過去があるとはとても思えない——けれど、無いとは言い切れない。彼があそこまで人気者やスクールカーストにこだわっていた理由もそれが原因なのだろうか……それすらも、彼にしか分からないのだろう。

 

 

 

ロトロトロトロト……

 

 

 

 アオイのスマホロトムが着信音とともに飛び出す。

 

カシオペア

〈……見張りに対処できたか〉

 

 相手はもちろん——カシオペアだった。

 

 

 

 

 

—テーブルシティ バトルコート—

 

 

 

アオイ

「夜……アップルアカデミー……か」

 

 スター団のマジボス——カシオペアの指示通り、アオイはテーブルシティに赴いていた。

 

アオイ

「絶対に止めて見せる……なんて、誰に影響を受けたのやら」

 

 

 

 

 

???

「待っていたぞ」

 

 

 

 

 

アオイ

「……っ!」

 

 階段を登り、大通りに差し掛かるところで——その人はバトルコートの中央に立っていた。

 

 機会音声で述べるその姿はスター団のしたっぱそのもので——

 

アオイ

「マジボス…………じゃないよね」

 

イレギア

「おう。誰と勘違いしてんだ?」

 

イキリンコ

キィー、キィー……!

 

アオイ

「イキリンコもノッてるよ……」

 

 あっけらかんとしたイレギアがアオイに手を振る。スマホを手にしていることから即興で声を加工したのだろう。ヘルメットに留まったイキリンコもまた声を凄めて機械音声に変換している……改めてハイスペックだなと感じた。

 

アオイ

「それはともかく、なんでこんなところに?」

 

イレギア

ん? いやあ……アオイが門をくぐるとこ見えたからここでスタンバってた。ビワを倒したんでマジボス倒すんだろ?」

 

アオイ

「まあ、そうだね」

 

イレギア

「その前に俺を倒していくんだな!」

 

イキリンコ

「ダナ!」

 

 イレギアとイキリンコが一斉にアオイへと指を差した!

 

アオイ

「…………一応、理由を聞いてもいい?」

 

イレギア

「なあに簡単だ。お前がここに来たってことはマジボスを引きずり出せたんだろ?」

 

アオイ

「うん」

 

イレギア

「つまり居所も知ってるハズだ……よって! アオイをぶっ倒してマジボスも倒せば俺の総取り! 俺の天下でスター!!

 

イキリンコ

「デスター!」

 

アオイ

「なんなのその無尽蔵の向上心……没落貴族の末裔みたい」

 

イレギア

「没落とは失敬な! 母ちゃんの母ちゃんはちゃんと駆け落ちしてるぜ!!」

 

アオイ

「マジの末裔!?」

 

イレギア

「んなことよりっ! バトルしてもらうぜ……なあアオイ!」

 

アオイ

「まあ……引けないってことぐらい、もう分かってるよ。やろう!」

 

イレギア

「へっへっへっ……そんなら一旦戻れイキリンコ!」

 

イキリンコ

「ガンバレ——!」

 

イレギア

「任せとけ! さてさてさてさて——ぶっかましてやりまスター!!」

 

 

 

 

ポケモントレーナーの アオイに 勝負を しかけた!

 

 

 

 

 

——カットォォ!!

 

 

 

 

 

イレギア

「ちっくしょーっ! あと一息だったってのによ~!」

 

アオイ

「ふぅ…………! (ホントにあと一息だった……数の有利がなかったら負けてたかもしれない……!)」

 

イレギア

「アオイのその執念……見届けさせてもらったぜ。へへっ、なんだか誇らしいぜ」

 

アオイ

「イレギアさん……」

 

イレギア

「思えばアオイとは、もうひとつ階段を昇った先で出会ったんだっけな。独り寂しそうにしていたヤツをスター団に勧誘してたら横に入ってきて……まさかあのダークホースがここまでダークホースだとはな! もうネモに匹敵してんじゃねえか?」

 

ネモ

「わたしがどうかした?」

 

アオイ

ネモ!?

 

 いつの間にか2人の横に立っていたネモに、アオイは見るからに驚いてしまっていたがイレギアはまるで臆せず『おうネモ!』と笑顔で話しかけていた。

 

イレギア

「そんじゃ頑張れよアオイ! 相手は正体不明の傑物だ……たぶんマジボスは俺よりも強い! 負けんじゃねえぞ——お疲れ様でスター!!」

 

 アオイを激励するようにイレギアがスター団ポーズを披露する!

 

アオイ

「うんっ……行ってくる!」

 

ネモ

「どこに行くか知らないけど……行ってらっしゃい。それじゃあイレギア! わたしともポケモン勝負しよっ!」

 

イレギア

「おいおいおいおい……前に言ったろ? チャンピオンになるまでネモとは戦わない!」

 

ネモ

「え~、そんなあ~っ」

 

イレギア

「そんな気に病むことはねえ……何せ俺はもうバッジを全部集めてな……——!」

 

 そんな会話をしながら2人は階段を下りて行った。

 

アオイ

「——よしっ」

 

 対してアオイは階段を昇って行く。

 

 その後クラベル戦、マジボス戦があることを知らずに——

 

 

 

 

 

 ——そして体感、バトルがグレードダウンしていったらしい。




その後の3戦を比較してみると——

イレギア(レベルは少し低く5体だがもちものと努力値アリで自由なタイミングの《テラスタル》)
クラベル(レベルは同程度で6体かつ各々が搦め手を搭載している)
ボタン(レベルは高いがブイズパで全員に『でんこうせっか』と『つぶらなひとみ』)

……うーん、この差よ。ゲームとはちょっと仕様が違う(『はねる』が万能わざになってる)からだんだん強くなってってそうだけど……どーだろ。


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16.よっしゃ円満解決!みんな一緒にお疲れ様でスター!!

 

 

 

—テーブルシティ バル・キバル—

 

 

 

ネモ

「ええーっ!? おうち帰っちゃうの~!?」

 

イレギア

「ああ。毎月おんなじ日に帰るようにしてんだ」

 

 ネモとイレギアの2人はレストランで夕食を摂っていた。

 

ネモ

「そうなのー……? せっかく明日はアオイがポケモンリーグに挑む記念すべき日だったのにぃ……」

 

イレギア

「アオイのことだ。きっと一発でチャンピオンになるんだろうな。俺も鼻が高いぜ……!」

 

 イレギアの帰郷にネモがあからさまに落胆していた。しかし後方先輩面のイレギアはうんうんと頷くばかりだった。

 

ネモ

「それに、アオイがチャンピオンになって……チャンピオン同士のポケモン勝負をみんなに見せたいの。アオイの凄さをみんなに……イレギアにも見せたかったのにっ」

 

イレギア

「そいつはすまねえ! でも、こればっかりは外せねえからな……夕飯食ったらテーブルシティに向かうから——」

 

ネモ

「……ううん。家族で過ごせる日なんだもん、ゆっくりしてって」

 

イレギア

「ネモ……」

 

ネモ

「ふふっ、その代わり——イレギアがチャンピオンになったら、わたしたちの勝負はわたしが独り占めしちゃうからっ! イレギアのホントの強さはわたしだけが知ってるってことで!」

 

イレギア

「ほえ~っ。そいつはいいな! ネモと2人で気兼ねなく戦れる——へっへっへっ……! 今から楽しみになってきたぜっ!」

 

 気合を入れ直したイレギアがパエリアをぺろりと食い切ったその時だった。

 

 

 

ロトロトロトロト……

 

 

 

ネモ

「あれ? イレギアのスマホ鳴ってるよ?」

 

イレギア

「ああホントだ……宛先は——……っ! たびたびすまねえネモ! 俺、行かなくちゃなんねえっ!! ここは俺が奢る! おつりは次会ったときに渡してくれっ!」

 

ネモ

「えっちょっと……!」

 

 ネモの静止も聞かず、イレギア紙幣を何枚かテーブルに置くと店から出て行ってしまった。

 

ネモ

「ふふっ……そそっかしいところも、なんか——……あ」

 

 

 

イレギアがチャンピオンになったら、わたしたちの勝負はわたしが独り占めしちゃうからっ! イレギアのホントの強さはわたしだけが知ってるってことで!

 

 

 

ネモ

「あっ…………」

 

 先ほど自分が口走ってしまったことを今になって思い出しては赤面してしまう。お冷を呑んでも顔の熱さは無くなりそうにない。

 

ネモ

(きっと……イレギアなら、笑ってくれるよね……?)

 

 淡い期待も水と一緒に飲み込んでしまった。

 

 

 

—アップルアカデミー グラウンド—

 

 

 

ボタン

「これで……おわり」

 

 《テラスタル》の光が散ってニンフィアがモンスターボールに戻される……肩の重荷が下りたように、ボタンは小さく呟いた。

 

ボタン

「終わったよ、みんな……」

 

アオイ

「ボタン……」

 

 ボタンが目を閉じ……すぅと息を吸って、吐き出す。夜風が冷えていく身体によく染みた。

 

ボタン

「ありがと……アオイ……ネルケ……」

 

 ボタンがネルケへと視線を向ける。彼はスター団の全員にボタンとアオイの決闘を配信していたのだ。

 

ネルケ

「確かに……見届けたぜ」

 

ボタン

「これでうちも、スター団も終わ……——」

 

ネルケ

「待ってくだ……くれないか? 改めて確認したいことがある」

 

ボタン

「確認?」

 

ネルケ

「マジボスであるあんたが何故、『スターダスト大作戦』を企てた?」

 

ボタン

「解散しようって言ったのに、誰も団やめないから……」

 

ネルケ

「マジボスが命令しても?」

 

ボタン

「お願いはしても命令はしない……そういう団の掟だし」

 

ネルケ

「掟……ボスたちも掟を大事にしていた」

 

ボタン

「だから掟使って団を解散させようと思った」

 

ネルケ

「団で決められた理由ならみんなスター団をやめると?」

 

ボタン

「そう……掟にのっとって戦わなくちゃダメだった」

 

ネルケ

「それで『スターダスト大作戦』を……」

 

 ネルケが大きく息を吸って、意を決してボタンに尋ねる。

 

ネルケ

「カシオペア……最後にひとつ、聞かせてくれ。あんたにとってスター団……団の仲間たちは——どういう存在なんだ?」

 

ボタン

「……………………」

 

 ボタンが……マジボスが大きく深呼吸し、告げる。

 

ボタン

「………………大事な……——宝物だよ

 

アオイ

「…………よかった。それが聞けて」

 

ボタン

「アオイ……」

 

 アオイがボタンに微笑みかけ、それにボタンもまた笑みを浮かべる。

 

ネルケ

「よろしい。よく分かりましたボタンさん」

 

 ……一方のネルケは規律正しく踵を合わせて両手を後ろに回した

 

ボタン

「……はっ?」

 

アオイ

「あらら……」

 

 面食らったままのボタンにネルケ……が歩み寄る。

 

ネルケ

「私からボタンさんにお話ししたいことがあるのです」

 

ボタン

「え、しゃべり方どうした!? 急に怖……」

 

アオイ

「まさか……気づいてなかった? いや初対面だしそれもそっか……」

 

ボタン

「気づ……え、なんなん?」

 

ネルケ

「……そうですね。まずは正体を明かしましょう——……ハッ!」

 

 ネルケが制服を脱ぎ捨てる——そして現れたのは……!

 

ボタン

「こっ……校長————————ッ!?

 

クラベル

「カシオペアがボタンさんならば、ネルケはクラベルだったのです」

 

ボタン

「……いや、なんで!?」

 

クラベル

「スター団のみなさんときちんとお話するためです。教師と生徒……まして校長が相手では皆さんの本音が聞けないと思ったからです」

 

ボタン

「だからって、え…………変装までする!? ヅラのチョイスも意味わからん……」

 

クラベル

「しかしおかげでスター団についてはよく学べました。その中で友達も出来ました」

 

ボタン

「思いのほか馴染んでる……」

 

アオイ

(校長も先輩のこと良く思ってくれてたんだ。なんか安心)

 

クラベル

「……コホン。そろそろいいでしょうか。皆さんもいらしてください」

 

ボタン

「みなさ……——え!?」

 

 グラウンドの入口から現れたのは——見知った5人組。

 

ボタン

「なんで…………え?」

 

 ともにスター団を、『スター大作戦』を企てた仲間たち。

 

 

 

かつて、独りぼっちだったみんなだった。

 

 

 

ピーニャ

「久しぶりだねマジボス!」

 

元生徒会長の彼が気さくに話しかけてくれる。

 

ボタン

「……ピーちゃん」

 

メロコ

「久しぶりってか初めましてだろ? 本当の名前も今知ったしさ」

 

団の相談役である彼女がぶっきらぼうに告げる。

 

ボタン

「……メロちゃん」

 

シュウメイ

「初めて見るマジボスのご尊顔、誠に眼福でござるな」

 

気の合う彼が冗談交じりに頷いている。

 

ボタン

「……シュウメイ」

 

オルティガ

「えーと本名ボタンだっけ? 元気にしてたの?」

 

気の強い彼が頬を掻きながら問いかける。

 

ボタン

「……オルくん」

 

ビワ

「やっと会えたね……すっごく心配してたんだよ……」

 

誰よりも優しい彼女がそう声をかけてくれる。

 

ボタン

「……ビワ姉」

 

イレギア

「まさかアンタがマジボスだったとはな……流石のオレも驚いたぜ」

 

そして彼が締めくくり——

 

ボタン

「…………」

 

 

 

 

 

ボタン

(…………………誰ぇぇぇ————————ッッ!!???

 

 

 

 

 

ボタン

いやマジで誰っ!? なんで『いつものメンバー』って面で隣に居られるん!? したっぱじゃん——しかもいつから居た!? 5人でみんなが入ってきたときには見えてなくて……ええ? 誰なん……?)

 

 

 

 

 

イキリンコ

「キキィー!!」

 

イレギア

「痛ってえっ!!」

 

 いつの間にかボールから出ていたイキリンコがイレギアに向けて痛烈な『でんこうせっか』を喰らわせる!

 

イレギア

「なんだよイキリンコ! 俺も陰ながらスター団を支えたメンバーなんだぜ!? あっ、校長こんばんは——おい引っ張んなってお前コラ————————…………!!」

 

 イキリンコに騒ぐイレギアの襟を掴み、空を飛んでどこかへと行ってしまった……

 

ピーニャ

「あのイキリンコ……ああ、あの問題児くんかあ」

 

ボタン

「あれ、意外と有名人……?」

 

メロコ

「どうりで、あの時のボウジロウから甘い匂いがしたと思ったぜ」

 

ボタン

「メロちゃんまで……!?」

 

シュウメイ

「『クリブラ(※クリティカルブラザーズの略)』にて名実ともにウェーニバルであった彼でござるな」

 

ボタン

「シュウメイですらも……っ」

 

オルティガ

「ああ確か、アイツとその友達にピアノ弾いてみせたんだっけ」

 

ボタン

「うちも聞いたことないのに……」

 

ビワ

「わたしは……毎回コテンパンにしてたな」

 

ボタン

いやなんなんあいつは! そんなにみんなと関わりあるん!?」

 

アオイ

「…………ぷっ」

 

 思わず吹き出してしまったアオイ……彼女にこの場にいる全員の視線が突き刺さり——

 

ボタン

「……ははっ」

 

 スター団全員の笑い声が響き出した。

 

 どこまでも喜びで溢れた、心からの笑い声だった。

 

ピーニャ

「——それじゃあせーので……!」

 

 

 

 

 

スター団

お疲れ様でスター!

 

 

 

 

 

ボタン

「…………お疲れ様でスター」

 

 

 

—アップルアカデミー 廊下—

 

 

 

イレギア

「へっへっへっ……どうやら俺のおかげで上手くまとまったようだな!」

 

 不敵な笑みのイレギアが3階の窓辺からグラウンドを眺める。

 

イキリンコ

「キィー……」

 

イレギア

「なんだよその不服そうな顔はよお~っ? ……それに実際、まさかアオイと出会って——ネモとの勝負が始まるきっかけになったあの子がマジボスだったとはな。縁ってのは恐ろしいもんだぜ……——あの時、ようやく話しかけられたしな

 

イキリンコ

「ハナシ?」

 

イレギア

「まあその辺はおいおいな。さてまっ、俺たちは適当に荷物整理して……スター団の衣装のまま帰るわけにはいかねえけど、それは明日着替えるとして——」

 

???

「先輩……?」

 

 蛍光灯が照らす廊下を歩みイレギアを呼び止めたのは——

 

イレギア

「おっ、ようアヤセ! なぁんかひっさしぶりだな~っ!」

 

アヤセ

「お久しぶりです。実際は数日しか経ってませんけどね……」

 

 アヤセはスター団の衣装ではなく普通の緑の制服で、右肩にはギターケースがかけられている。

 

イレギア

「久しぶりに飯奢ってやろうか?」

 

アヤセ

「お言葉に甘えて」

 

イレギア

「即決だなこの野郎」

 

 

 

—アップルアカデミー 食堂—

 

 

 

 夜中とはいえ寮暮らしの生徒がほとんどなため、食堂は意外と賑わっていた。

 

生徒

「アヤセちゃんっ、バンド頑張ってねー」

 

生徒

「いつかステージで見せてよっ」

 

アヤセ

「気長に待っててね~」

 

イレギア

「おう、持ってきたぞ」

 

 アヤセの隣にイレギアが腰掛ける。イレギアはスター団の衣装のままであったが、他の生徒から避けられることなく、しかし溶け込むことなく良い意味で異彩を放っていた。

 

生徒

「ようウェーニバル! 生徒会長には勝てたか~?」

 

イレギア

「もうちょっとだなっ! 俺がアカデミーの頂点を取る日も近いってこった……震えて眠りな!」

 

生徒

「ははっ、言ってら言ってら~」

 

イレギア

「ほれっ。アヤセはピクルスサンド、俺はピーナッツバターサンド」

 

アヤセ

「ご飯の好みはお互い変わりませんよね~」

 

イレギア

「その辺はな。出てこいデカグース」

 

デカグース

「グゥーグゥー!」

 

イレギア

「半分やる。今日の夜食だ」

 

アヤセ

「相変わらずの食欲旺盛……あたしのタギングルもドオーも、気がついたらご飯漁ってるから大変ですよ」

 

イレギア

「初めてポケモン育てるってなったらまずはそれが問題になるからな。そんならひとまず手を合わせぇ——」

 

アヤセ イレギア

「「いっただきまーっす!」」

 

 そうして2人と1匹は各々のサンドイッチにガブリつき、舌鼓を打っては顔を綻ばせた。

 

コレクレー

「クレェ……?」

 

 そこへイレギアの肩から下げた麻袋からコレクレーが顔を出した。

 

アヤセ

「あらかわ。先輩のポケモンですか?」

 

イレギア

「一応な。コインはあと10枚で最大……何が起きるか目撃したときッ、俺はついにネモに勝利する!」

 

アヤセ

「……ちょっと前まではアホらしいって思ってましたけど、今の先輩ならやり遂げてくれるんだろうなって思っちゃいますね」

 

イレギア

「実際、《テラスタル》を使いこなした俺がアオイに勝ったしなっ!」

 

アヤセ

「いつ聞いても驚きですよ。サンドイッチ食べる?」

 

コレクレー

「クレ?」

 

イレギア

「ちょっとだけならいいぞ」

 

コレクレー

「クレー!」

 

 テーブルの上に乗ったコレクレーは、アヤセからピクルスとパンを一口ずつもらっては頬張る……美味そうだった。

 

イレギア

「その様子だと……やっぱりバンド活動帰りってとこか?」

 

アヤセ

「ええ。今日も練習練習……未だにロクに弾けやしないですよ」

 

イレギア

「ワハハハハハッ! ……バンドは楽しいか?」

 

アヤセ

「それはもう……すごく、楽しいです」

 

イレギア

「それなら何よりっ! それにしても楽器かあ……ガキの頃にピアノで銅賞取った以来だな」

 

アヤセ

「ピアノも出来るんですか……」

 

イレギア

「まあどれを押せばどの音が鳴るか分かれば案外楽しいもんだぜ? 指が攣ってから楽しくなり始めて……サッカー始めた辺りでやめたな」

 

アヤセ

「どんな幼少期ですか……まあ先輩らしいですけど」

 

イレギア

「あっ! そういやハッサク先生が昔は音楽やってたらしいぜ! バンドになんか役に立つんじゃねえか?」

 

アヤセ

「ハッサク先生って確か美術の……なんというか熱血っていうか、先輩に似てる……いやそれは先生に失礼か」

 

イレギア

「なんだよその言い方はよ~」

 

アヤセ

「あははっ、すいません…………先輩は——チャンピオンになるんですよね?」

 

イレギア

「まぁな。ネモと約束したし、アイツと同格になったら伝えたいこともあるし」

 

アヤセ

「伝えたいこと?」

 

イレギア

「おっとぉ! それは後輩の頼みと言えど話せねえな!」

 

アヤセ

「はあ……なんだか——チャンピオンってほら、もっと遠い存在だと思ってました。同学年だけど生徒会長のネモさんなんてまさにそれで……でも、先輩との出会いを通して……意外とネモさんが普通の女の子だったり、あたしには縁がないと思っていたバンドなんかやったりして…………ありがとうございます」

 

イレギア

「……なんだ? そんな改まって」

 

アヤセ

「あたし自身……えと、なんていうのかなあ……? 先輩にスター団に無理やりだったけど勧誘されて良かったなってちょくちょく思うんです……それで、その、あの…………はい」

 

イレギア

「何度も言ったろ? いや言ってないかもだけど。アヤセを誘ったのは独りぼっちで寂しそうだったからだ。実をいうと勧誘したのもアヤセだけじゃないんだぜ?」

 

アヤセ

「ええまあ……どく組でも先輩に誘われてスター団に入ったって子も居ましたし。その子もアカデミーでの生活が退屈だったりしてたところを先輩に強引に誘われて……結果、気の合う友達が出来たって言ってました」

 

イレギア

「そいつはなによりだ! ——ごちそうさん!」

 

アヤセ

「ごちそうさま」

 

デカグース

「グルル……♪」

 

イレギア

「おいおいおいおい……こんなとこで寝るなっての。戻れデカグース」

 

コレクレー

「クレ~!」

 

アヤセ

「あらら丁寧にお辞儀まで……きみも、先輩に見つけてもらえて良かったね」

 

コレクレー

「クレ!」

 

イレギア

「コレクレーも袋に戻れ! そんじゃなアヤセ、お疲れ様でスター!!」

 

 イレギアが席から立ち、いつものように迫真のスター団ポーズを披露する!

 

アヤセ

「はい。お疲れ様でスター!」

 

 恥ずかしながらもアヤセもまたスター団ポーズで返事をする。

 

 

 

 

—翌日、プラトタウン ポケモンセンター—

 

 

 

イレギア

「よおしボーマンダ、この辺でそう……うっし無事着陸だぜ! 慣れたもんだなボーマンダ!」

 

ボーマンダ

「ボォォォ~~~~!」

 

イレギア

「ゆっくり休んでくれ……——さて、ひと月ぶりだな。プラトタウン」

 

 ネモたちの住むコサジタウンの隣に位置する小さな町。そここそがイレギアの生まれ育った故郷でもあった。一度、スマホを見て自分の姿を検める……制服ではなくひさしぶりの私服で、スター団のヘルメットやゴーグルはアカデミーに置かれていた。

 

 

 

—プラトタウン イレギアの家—

 

 

 

 軽く周囲を見渡しながらイレギアは彼の家の前にまで辿り着く。

 

 たったひと月なためそこまで町に変化という変化は無かったが、それでもこのひと月のことを思い返すと感慨深いものがあった。

 

 それと彼の服装であるが、スター団の衣装でも制服でもなくただの私服となっている。

 

イレギア

「よし着いた……とと、ようサーナイトにエルレイド!」

 

サーナイト

「サナ? サナー!」

 

エルレイド

「エル!」

 

 彼の母親のポケモンである2匹が庭の手入れをしていたのをいち早く見つける。サーナイトはイレギアへと駆け寄り、エルレイドは家に戻って彼の主へと伝えていた。

 

イレギア

「良いっすよ荷物は少ないですし、ただまーっ!」

 

 甲斐甲斐しいサーナイトに断りを入れながらイレギアは彼女に開けてもらった玄関を通る。

 

「おかえりアニキー!」

 

ラルトス

「ラルルー!」

 

 2階から駆け下りていた弟と彼のポケモンがひょっこり顔を出していた。

 

イレギア

「弟よー! 元気してたか~?」

 

「まあねっ——ねねっ! それよりも早くアカデミーのこと教えてってばっ!」

 

 5歳下の弟が目をキラキラさせながらイレギアに迫る。歳的にはアカデミーに通えるのだが、家庭の都合からまだ通えていない。

 

イレギア

「おういいとも! このひと月で俺がゲットしてきた仲間たちを紹介するぜ!」

 

 

 

 

 

 

 プラトタウンの真ん中にある盛り上がった草原でイレギアは両手いっぱいにモンスターボールを握りしめ——!

 

イレギア

「よっしゃあ! みんな出てこーい!!」

 

 ——その呼びかけとともに一斉にそれらを放り投げた!

 

イキリンコ

「キィー!」

 

デカグース

「グゥーッ!」

 

モトトカゲ

「アギャス!」

 

ギャラドス

「ゴゴォォォォォッ!!」

 

シビビール

「ビビビッ……!」

 

ボーマンダ

「ボォォォ————————ッッ!!!」

 

 6匹のポケモンの咆哮がプラトタウン中に響き渡り、周囲から歓声が沸き上がった!

 

「すっごぉっ……やっぱりアニキはすげえや! モトトカゲもなんか改造されてるしー!」

 

モトトカゲ

「アギャギャ!」

 

ラルトス

「ラルル……ラル?」

 

 モトトカゲとじゃれる弟だったが、ラルトスが何かを察知してイレギアがかけている麻袋に近づいていく……

 

イレギア

「さっすがラルトス、そこに気づくか! 実はそいつは……」

 

コレクレー

「クレー?」

 

ラルトス

「ルル!?」

 

 すると袋から顔を出したコレクレーに驚いて、弟の元に駆け寄ってしまった。

 

「どうしたんだよラルトス……あれ、そいつもアニキのポケモン?」

 

イレギア

「まあな! いずれこの中の誰よりも強くなる——そんな気がする!」

 

「え~? そんなちっこいポケモンなのに?」

 

イレギア

「このギャラドスだってボーマンダだって最初は比較的に弱かったぜ? だが今のこいつらを見てみろ……」

 

ギャラドス

「ゴゴゴ……!」

 

ボーマンダ

「ボォォォ……!」

 

 おそらく2匹にはそんな気はないのだろうが弟とラルトスを威嚇するように睨んでいく。

 

「ひ、ひえ~……っ!」

 

ラルトス

「ラルッ……!」

 

 青ざめる弟とラルトス……しかしラルトスは守るように彼の前に立っている。小さすぎて守っていないように見えるのはご愛敬。

 

「ほらほら、脅かすのもそれくらいになさい

 

 そこに圧のある言葉とともに横入ったのは彼の母親であった。彼女の左右にはサーナイトとエルレイドが控えている。

 

モトトカゲ

「アギャ……!」

 

シビビール

「シビビ……!」

 

ラルトス

「ラルル~!」

 

 その威風堂々としたオーラから、イレギアのポケモンたちが思わず身震いしてしまうほどであった。しかし2匹の子どものラルトスはよちよちと近づいては優しく迎えられる。

 

イレギア

「母ちゃん、ただいま!」

 

「はい、おかえり。これはまた……元気な子たちを育てたね——」

 

 母親が1匹ずつ彼のポケモンを眺めていく……その力強い眼差しにはシビビールですら目を背けてしまうほどだ。

 

イレギア

「おいおいおいおい……ビビりすぎじゃあねえかあ~っ? 見てみろよイキリンコとデカグースをっ」

 

 幼少期から世話になっていたイキリンコと、何度か出会っているデカグースは平然と彼女の視線を浴びるどころか気さくに話しかけてすらいた。

 

コレクレー

「クレー……!」

 

 改めてコレクレーはイキリンコたちに尊敬の念を抱いた。

 

イレギア

「お前らにも紹介するぜ。こちら俺の弟とそいつのポケモンのラルトス! そんで俺の母ちゃんとそのポケモンのサーナイトとエルレイド! 母ちゃんは由緒正しきポケモンつかいなんだぜ~? 他にもすんごいポケモンを持ってんだ!」

 

「まあ、この平和な現代に必要な仕事はほとんどないけれど……ともかく、イレギアはその子を連れてもっと広いところで遊んでらっしゃい! ピクニック用品はあとで持っていくから。夕方になったらお父さん来るからそれまでね~!」

 

「はーいっ!」

 

イレギア

「よっしゃお前らついてこい! 俺の秘密基地跡地に連れてってやるぜえ!!」

 

 アカデミーに入学する時に必要なもの以外を取っ払ってしまった秘密基地にて、空が赤らむまでみんなで遊んではイレギアの旅の思い出を語っていった。

 

 

 

—空飛ぶタクシー ハッコウシティ上空—

 

 

 

「いいなあ~おれも早くアカデミーでいっぱい冒険したい~!」

 

 夕焼け空の中をタクシー内で2人が横になって話をしている。彼の母親と言えば、彼の父親とともに空飛ぶタクシーの運転席に座って2人だけの話をしていた。

 

イレギア

「父ちゃん母ちゃんから言われてるだろ? ラルトスを1人で進化させるまで入学はさせないってさ」

 

「お母さんってばあんなに強いのになんにも教えてくれないんだもん。わざの使い方も戦い方も自力で学べって……なんかもう挫けそう」

 

イレギア

「ワハハハハハハッ! でもこの間、『サイケこうせん』覚えたって言ってたじゃねえか。だったらもうすぐだ。来年こそ入学だな!」

 

「ホント!? よーしっ……おれもアニキみたいなポケモントレーナーになる!」

 

イレギア

「へっへっへっ……まっ、俺がお前くらいの頃はポケモントレーナーになるなんて自分でも思ってなかったけどな」

 

「アニキがおれの年の時は……あっ、プリンアメでケーザイ回してた!」

 

イレギア

「よく覚えてたな~! よしよしよしよし〜っ!」

 

「おーいお前ら~っ、もうすぐ着くぞー」

 

イレギア 弟

「「はーい!!」」

 

「バイキングだって! 何食べようっ?」

 

イレギア

「おいおいおいおい……そんなの全部食うに決まってんだろ~っ!?」

 

「さっすがアニキーっ!」

 

 

 

—コサジタウン ネモの家—

 

 

 

お手伝い

「ネモお嬢様っ?」

 

ネモ

「えへへ……ただいま」

 

 アオイがポケモンリーグにて試験を受けている間、ふとネモは空飛ぶタクシーを呼んで自宅に帰っていた。

 

お手伝い

「どうなさったのですか連絡も入れず……」

 

ネモ

「えっと、急に帰りたくなっちゃって」

 

お手伝い

「はあ……ですが、はい。おかえりなさいませ」

 

 ネモは自室の扉を閉め、ベッドに腰掛ける。長い間、開けているはずなのに丁寧に掃除されていた。

 

ネモ

(…………空っぽだ)

 

 大切なものは寮に持って行っているだけに、部屋には何もなかった。自分がここで暮らしていたのかすら危ういほどに。

 

ネモ

(イレギアは……今頃、何をしてるんだろ…………会いたいな)

 

 幼い頃、家族に思っていたことだ。寂しいが……彼には彼のやるべきことがある。それを邪魔したくはない。

 

 目を閉じようとして……扉からノックが響く。

 

お手伝い

「失礼します、ネモお嬢様。お夕飯は如何致しましょう?」

 

ネモ

「あー……いいや。友達と食べてくるから」

 

お手伝い

「っ……! 左様でございますか。では、ごゆっくり」

 

ネモ

「はーい。…………あ」

 

 友達——そう言えば今まで、友達なんて……いなかったな。

 

 ネモの脳裏にお向かいであるアオイ、そして同日に出会ったイレギアが過ぎる。まさか2人がチャンピオンになるかもしれないだなんて……あの頃の自分は信じるのだろうか。

 

ネモ

「アオイはもう実ってる。イレギアもきっと……そう」

 

 期待は十分。自然と笑顔になってしまう。

 

ネモ

「イレギアと……友達…………か」

 

 けれど同時に虚しさのようなものが心を締め付ける。

 

 理由は……まだ、分からない。




次回、チリちゃん面接を少々と唐突に過去編。自己解釈の腐敗したアカデミー、そしてスター団との出会いまで。


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17.チリちゃんの面接やで〜 / 俺の人生は『楽しい』に満ちている!……ハズだった

過去編Part.1
長くなったので2部構成。


 

 

 

 

—ポケモンリーグ 面接室—

 

 

 

チリ

「こんにちは。面接官のチリです。今日はよろしくお願いします」

 

イレギア

「はいっ! よろしくお願いします!(うっわ、すっげえ良い顔のあんちゃん。こういうのがモテるんだろうな〜)」

 

チリ

「良いお返事ですね。では、お掛けください」

 

イレギア

「はい、失礼しますっ」

 

チリ

「それではまずバッジの確認から——ほう、8個ですか!」

 

イレギア

「へへへへへ〜っ」

 

チリ

「結構。それでは最初の質問を——本日はどのようにしてお越しくださったんですか?」

 

イレギア

「モトトカゲに乗ってきました。しかしアカデミーの寮から意外と近かったので驚きましたね」

 

チリ

「はは、そうでしょう。それでは次に、貴方の通っている学校の名前をお答えください」

 

イレギア

「私の所属はアップルアカデミーです。緑色が基調でリンゴのマークが描かれてます」

 

チリ

「ご丁寧にありがとうございます。では次に、本日はポケモンリーグまで何をしに来られたんですか?」

 

イレギア

「もちろん、チャンピオンになるためです!」

 

チリ

「ええ、そうでしょうね。では——チャンピオンになってどうなさるおつもりですか?」

 

イレギア

「チャンピオンになって……——そうっ、みんなにちやほやされたいです!

 

チリ

「…………正直な答えですね」

 

イレギア

「ええ、みんなにちやほやされて……そうすれば、少なくとも——私の周りで寂しいって思う人はいないと思うので!」

 

チリ

「……なるほど。それでは、次の質問です——」

 

 ——チャンピオンになれば……もっと上に居れば、何かが変わるかもしれない。

 

 そう思い始めたのはアカデミーに入ってからだった。

 

 

 

 

 

いや、それから一年が経った頃かもしれない——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—10年前のプラトタウン—

 

 

 

 イレギアの家庭はそれなりに裕福であった。

 

 父は高給取りで知られる空飛ぶタクシーの運転手で、母は先祖からの高名なポケモンつかい——実に自慢のできる両親であった。

 

 そして2人は実に子ども思いの親であった。

 

 彼の好奇心や向上心を受け入れ、気になったことはすぐに答えた。それ加えて分からないことは分からないと、言えないことは言えないと正直に告げるなどもした。

 

 彼はそんな両親を誇りに思い、そしてこの恩を返したいと常日頃から思うようになった。

 

 やがて5歳下の弟にも恵まれ、裕福で、しかし決して贅沢はしない……『理想的な普通の少年』として育っていくのだった。

 

幼き頃のイレギア

「つまりだ弟よ……みんながプリンアメを買い、おれがその包み紙をあつめる。そうしてあつめた紙をおっちゃんに売る……どういう意味かわかるか?」

 

幼き頃の弟

「…………あにきがもうかる!」

 

幼き頃のイレギア

「そうだぜダイセーカイ! グミやる」

 

 そのような生活の故か、彼はとても賢く育った。

 

幼き頃のイレギア

「へっへっへっ……これこそ世界にうごめいているケーザイってヤツだ! かーっ、おれってば天才すぎねえかあ〜っ!?」

 

幼き頃の弟

「あにきてんさい! さいきょー!」

 

幼き頃のイレギア

「ワハハハハハハハハ!! そんなことありまくるのがこまるよなあ〜っ!?」

 

 愚かにも思えてくる向上心と、周囲を巻き込むカリスマ性は当時からも表れていた。

 

 

 

 

 

彼の幼少期は『楽しい』に満ちていた。

 

 

 

 

 

—2年前のアップルアカデミー—

 

 

 

イレギア

「……なるほどな。必修とかない代わりに一定の単位を取らないと進級できない仕組みか…………つまり1年生のうちに全部取れば残りの学校生活ウハウハじゃね?」

 

イキリンコ

「ウハウハー!」

 

イレギア

「おおっ、イキリンコもそう思うよなあ〜っ!」

 

ヤングース

「グルル〜……!」

 

イレギア

「痛ってえバカこの野郎!! やるかコラァ————ッッッ!!」

 

 あれから8年経過しても彼は賢く愚かであった。

 

ヤングース

「グ〜……♪」

 

イレギア

「飯食わせたらマジで落ち着いたぜ。トンだ暴れん坊だな。仲良くしてやれよイキリンコ」

 

イキリンコ

「マカセロ!」

 

イレギア

「頼もしいぜ——それによお〜っ? 学校なら『勉強教えてくださいイベント』が絶対的に発生するはずだぜ。おいおい、そこで天才の俺が現れたらどうなる?」

 

イキリンコ

「キィー?」

 

イレギア

「ずばりっ、総取りだ! そうすりゃあ俺はクラスの、いやいや学校の人気者だぜ! 無論ッ、彼女もできる!!」

 

イキリンコ

「デキル!」

 

 そして年頃からかモテたかったらしい。

 

イレギア

「へっへっへっ……! 待ってろよアップルアカデミー! そして楽しすぎる学園生活っ!」

 

 どこまでも根明で上昇志向——しかしながら彼の根は真面目で要領がすこぶる良いため、かなり優秀な生徒として周囲に知れ渡った。

 

友人A

「えっ……マジで入れる時間に全部の授業入れてんのかよ……」

 

イレギア

「そーよ! 勉強に困ったら俺が教えてやるぜ〜?」

 

友人B

「本当? ならちょーっと言いづらいんだけど……おねがいっ、数学のノート見せて!」

 

イレギア

「そんなのお安い御用だぜ! なんなら解説もしてやろうとも!」

 

友人A

「勉強もできるってマジで無敵じゃね?」

 

イレギア

「トーゼン! 俺はこのアカデミーのてっぺんを取る男だからなっ!!」

 

友人A

「……でも生徒会長には選ばれなかったと」

 

イレギア

「しゃーねーだろ!? 対抗馬が教師に推薦されてんだからさあ〜!」

 

友人B

「それで決まっちゃうのもどうかと思うけどね」

 

 

 

 

 

彼の学園生活は実に充実していた。

 

 

 

 

 

生徒会長

「おいキミたち! 校内での動画鑑賞は校則違反だぞ! 没収させてもらうっ!!」

 

イレギア

「やっべえ生徒会長! 逃げろ逃げろ〜!」

 

イキリンコ

「ニゲロー!」

 

 

 

時には悪友とワルいことをしでかした。

 

 

 

イレギア

「うんめえっ! なんだこれっ……オレが今まで食ってきたサンドイッチはなんだったんだよ……!」

 

カルボウ

「ボウボウ!」

 

学友

「ふふっ、ボウジロウも嬉しそう。おいしっ……」

 

 

 

ある日は学友と同じ火種で暖まったり、

 

 

 

遊び仲間

「良いでござるか……プッシュするでござるよっ……!」

 

イレギア

「いけっ……いけっ……!」

 

遊び仲間

「おおレインボーにフラッシュ! 確定でござるよっ!」

 

 

 

遊び仲間のガヤとして奇跡的な瞬間に立ち会えたり、

 

 

 

御曹司

「どうよオレのピアノは。これがアンタら庶民とオレとの違いだ」

 

イレギア

「ふぇ〜……普通にピアノ上手くてスタンディングオベーション級なんだけど」

 

御曹司

「なっ、なんか癪に障る言い方だな……!」

 

 

 

機会があれば音色を奏でてくれる気のいい知り合いもいたり、

 

 

 

イレギア

「へいへいへいへい〜! どうした特待生さんよお〜っ? オレのドリブルについてこれ——」

 

特待生

「よっと」

 

イレギア

「……全然走るの邪魔されずにボールだけ抜き取られた」

 

 

 

そして自分の膂力や技術を圧倒的に上回る存在に立ち会えたり、

 

 

 

イレギア

「ようペパーっつったか? なんか困ってることあったらこのオレが手を貸してやっても——」

 

ペパー

「…………ふん」

 

イレギア

「おいちょっ……あらら。ヤングースに飯食わせてくれた礼がしたかったんだがな〜」

 

 

 

広く浅く、そして時々ほんのちょっぴり深い仲を形成していった。

 

 

 

イレギア

「宝探しかあ……とりあえず『パルデア十景』を巡ってみるか! 野生のポケモンとのバトルもあるだろう……いや待てよ? 空飛ぶタクシーの免許取れば戦う必要なくね? むしろ免許あればダチとどこでも行けんじゃね?」

 

 

 

彼はは驚くほど充実した生活を送っていた。モテることはなかったが、それを感じさせないほどに『楽しい』と思えていた。

 

 

 

イレギア

「マジ俺ってば天才! あと数ヶ月で宝探し……更なる人気を目指して頑張るぞー!」

 

 

 

 

 

しかし——

 

 

 

 

 

イレギア

「知ってっか? ヤドンの尻尾の糖度って生クリームと一緒なんだって」

 

友人A

「うっわ、すっげえどうでもいいやつー」

 

 

 

——バシンッ!

 

 

 

 授業のグループワーク中……友人といつものように駄弁っていたその時、離れたところから机を思い切り叩く音が響き渡る。

 

 振り返れば、1人の女子生徒が教師に詰め寄られていた。

 

教師

「あのさあ……グループワークって何するか分かってる? 1人で人の話聞いてたって何も始まらないよ?」

 

女子生徒

「えっ、あっ、あのっ……」

 

 内気な子なのだろう。カッコいいところを見せようと彼が不敵な笑みで席を立とうとした時——バシンッ!

 

 もう一度、甲高く響き渡る。教室が静まり、音の方へと視線が集まる。

 

 彼は動かなかった。

 

教師

「さっきから見ても君だけ何もしてないんだよ? コミュニケーションできない人間って社会から見たら欠陥品だからね? そんなの常識なのになんで何もしないなんて……君の家族は何を思ってこんなのを育てたんでしょうね」

 

女子生徒

「あっ、あっ、うち……」

 

イレギア

「ちょっとせんせ——」

 

教師

「あのねえ!!? 質問してるんだけど……答えられるよね!? 学校に何しに来たの? 教室の端っこで縮こまりに来てるんですか?? どうしてやる気のない授業に出てるんですかっ!??」

 

女子生徒

「ぇぁ……ひぐっ……あぅ……!」

 

イレギア

「あの……——」

 

教師

「だーかーらー! いい加減にしろっ!! この程度で泣くなんて人としてどうなんだよ! さっさと出ていけ!!」

 

女子生徒

「ぅぅぅっ……ぁぃぃぁ…………!」

 

 顔を伏せたまま全速力で駆け出す女子生徒——

 

女子生徒

「っっ……!?」

 

 そして、盛大に転んだ。

 

 彼女が顔から床にぶち当たって数秒後……

 

生徒

「——ぷっ……!」

 

 笑い声が、弾けた。

 

女子生徒

「ひっぐっ……ゔえっ……ゔええっ……!!」

 

 教室中で弾ける爆笑から一刻も早く逃れるように、女子生徒は手で顔を覆いながら扉に体当たりするように飛び出していった。

 

教師

「おいちょっとー? 扉も壊そうとするなんてやっぱり社会性がないみたいですね。何しに来たんでしょうか」

 

 再び熱を帯びる嘲笑。

 

 彼はただ、理解できず……ひたすらに戸惑っていた。

 

イレギア

(あの子……泣いてた。それに……足を引っ掛けられていた)

 

 追いかけるべきだった。それなのに、彼の脳と身体は現状の理解を優先して動こうとしなかった。震えて……喉が乾く。

 

友人A

「なあ、イレギア」

 

イレギア

「……どーした?」

 

 彼は友人に己の心情を悟られぬように努めて笑顔を貼り付けて受け応える。

 

友人A

「おれ、次からこの授業でねえわ」

 

イレギア

「…………そっか、別のヤツと組まないとかあ~っ」

 

友人A

「……おれも、お前みたいな……アホになりてえ」

 

イレギア

「なんだとコラ…………」

 

 

 

 

 

その女子生徒を見かけることは、ついぞ成し得なかった。

 

 

 

 

 

このアカデミーではいじめが横行していた。

 

それこそ『やり方』に流行が生まれるほどに、風呂場のカビのように深く根を張っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

イレギア

「——おう、またお前の部屋行くから覚悟しとけよ〜?」

 

友人

「うん…………ねぇ、イレギアは……まだアカデミー行ってるの?」

 

イレギア

「うん」

 

友人

「なんの、ために?」

 

イレギア

「そら授業受けにな」

 

友人

「…………すごいな」

 

イレギア

「褒めても授業ノート写させるくらいしかできねえぜ? オマケに勉強教えたりするかもだが~?」

 

友人

「ふふっ…………イレギアは、イレギアだけは……変わらないでよ」

 

イレギア

「お前らが俺のことを変人って言い始めたんだろ? じゃ、またな〜っ。——……ふぅ」

 

 

 

 

 

友人が、次々と不登校になっていった。

 

 

 

 

 

イレギア

「どいつもこいつも……なんだかなあ? イキリンコ」

 

イキリンコ

「キィ〜……」

 

 イレギアはため息混じりに頭に留まったイキリンコに呼びかける。

 

イレギア

「お前もちょっとは寂しいよなあ? 学校外では会えるってのに……」

 

 彼自身、吐くほど辛かったが相棒にそれを悟らせなくなかった。

 

 友人にも、家族にだってそうだ……彼は誰かを笑顔にさせたい。それを自分がきっかけで更に悲しそうな顔をしてほしくはなかった。

 

イキリンコ

「キキッ!?」

 

 イキリンコが空を見上げ、一目散に逃げ出す。

 

イレギア

「そいつのダチに聞いても話逸らされるし——ふごぉっ!?」

 

 イキリンコが羽ばたいた彼の頭上から何かが落ちてきた。

 

イレギア

「うごぉ……おいイキリンコてめえっ、俺も連れてけよっ——」

 

???

「………っててぇ」

 

 声がする——地面にうつ伏せになったイレギアのちょうど上からだった。

 

イレギア

「人が落ちてくるかって…………え、会長?」

 

生徒会長

「くそぉ……あいつらめっ……!」

 

 生徒会長が立ち上がったので、つられてイレギアも立ち上がる。

 

 生徒会長が睨む方向に視線を移して行くと……3階の窓から数人、こちらを見て嘲笑っていた。

 

イレギア

「おいてめえら! 痛ってえじゃねえかこの野郎ッ!」

 

不良生徒

「わりいわりい〜……はーおもろっ」

 

イレギア

「おいおいおいおい、話は終わってねえってのに……大丈夫か会長さん。ったく会長さんが舐められちゃってどーすんですか〜」

 

生徒会長

「…………あんまりボクに構わないでくれ」

 

イレギア

「ほえ〜……生徒会って忙しいのな。なんか相談に乗ってやろうか? 何せオレは——いねえ!?」

 

 

 

 

 

そのうち、生徒会長が来なくなった。

 

 

 

 

 

イレギア

「あれ、ボウジロウ?」

 

ボウジロウ

「ボウ〜……」

 

 いつもの彼女がいなかった。

 

 代わりに泣き崩れているカルボウの足元にボロボロに砕け散ったモンスターボールが置かれている。

 

イレギア

「あっれ、アイツは? ええと待てよ? この揺らめきは……いや、鳴き声から明らかに悲しんでるな」

 

ボウジロウ

「ボウ…………」

 

イレギア

「……ちくしょう、こんなことになるんなら連絡先交換しとくんだったぜ——なあボウジロウ、アイツが帰ってくるまでの間……俺んとこで過ごさねえか?」

 

ボウジロウ

「……ボウ?」

 

イレギア

「不便はさせねえ。ただこんなとこで1匹にいたらアイツ以外にゲットされちまうぞ」

 

イキリンコ

「キィーッ」

 

ボウジロウ

「ボウ…………」

 

 

 

 

 

小さな友人は彼の部屋で塞ぎ込んでしまった。

 

 

 

 

 

生徒

「うぇ~い、さっそくこの動画ネットあげよ~」

 

遊び仲間

「なっ……ストップでござる! さすがにそれはっ」

 

生徒

「はーい、いっせーの……——なっ、なんだこのイキリンコ!? わっ、おいテメェ! 画面バキバキじゃねえかよッ!! クッソ、スカンプー! アイツを撃ち落とせッ!!」

 

スカンプー

「スカー…………」

 

生徒

「なんだよお前……主人に逆らおうってか!? そんなクズはこうして——!」

 

遊び仲間

「やっ、やめるでござる〜〜〜〜!」

 

 彼がスカンプーを庇うように抱きしめるも、いじめっ子の蹴りは容赦なく襲いかかる——

 

生徒

「ほげぇぇぇっ!?」

 

 ——しかし空中で旋回したイキリンコが生徒に向けて『でんこうせっか』を命中させた!

 

イキリンコ

「キィー!」

 

遊び仲間

「かっ、感謝でござるっ!」

 

生徒

「ああくっそッ……もうあんなポケモンも要らねえよっ!」

 

 

 

 

 

いじめを見かけると助けるようになった。

 

 

 

 

 

校長

「ぼっちゃまっ!? その爪っ……いったいどうしたんですか!?」

 

御曹司

「うるせえ……! オレに構うな! どっか行けよお!!」

 

生徒

「くすくす……——ちょっ、なにこのヤングース……!? いたたたたたたたたた!?」

 

校長

「……っ! まさか——!」

 

 

 

 

 

直接『もう大丈夫だ』と伝えたい気持ちもあった……だけどそれを言う勇気は無かった。

 

 

 

 

 

生徒

「あの子イジめても楽しくな〜い。そろそろ別の子にしな〜い?」

 

生徒

「何言ってんのよ……もうすぐで心が折れるんだから、これからが楽しみなんじゃんっ」

 

生徒

「そっかー……じゃああんたハブるね」

 

 

 

 

 

そうして月日は流れ、彼の尽力は叶わないまま人が減り続けていった。

 

 

 

 

 

イレギア

「俺……いつから1人だっけ?」

 

イキリンコ

「ヒトリ?」

 

ヤングース

「グーグー!」

 

イレギア

「いやお前らはポケモンだし……まあ寂しくはねえけどさぁ?」

 

 彼がいじめに遭うことはなかった。

 

 彼自身、いじめの被害に遭いそうになったことはあっても『嫌だ!』と物凄い良い顔で返すし、元々がアホなためその手合いには相手にされなかった。

 

 そして1番の理由は広く浅い仲を形成し、一定の地位と人気を得たがため、そのような立場になることはまるでなかったことだ。授業にはちゃんと出席するため先生陣からの信頼も好感度もあった。

 

 しかしそれは——決して彼にとって喜ばしいことではなかった。彼の友人の何人かもいじめに加担していたのもある。

 

イレギア

「…………あっ」

 

 ふと、気づく。

 

イレギア

「俺、いつの間にかアホやってねぇ」

 

 充実した学校生活だった頃は一日中バカやっては怒られ笑われの賑やかな毎日だったというのに、今では彼すらも孤独になってしまった。

 

イレギア

(うーん……まあ、単位はもうすぐ取り切れるし、アカデミーじゃなくてもダチ集めて適当に遊んで過ごせばいっか)

 

 楽観的にも、諦観的にも捉えられる思考が彼の脳を占めていたのだ。

 

イレギア

(そうだ。少し寂しいけど……それでも、学校に行かせてもらえてる両親のため、オレは勉強を…………あれ?)

 

 再び気づく。

 

イレギア

(何のために勉強を? いやいや今言ったろ、家族のため……いや、本当は違うはずだ。本当はそう……モテるためだ。クラスの人気者になるため……!)

 

 

 

 

 

楽しい学校生活を過ごすためだ!

 

 

 

 

 

 今の俺は、何一つとして達成していない!

 

 そしてなにより彼女が出来てない!! 一大事だぜ!!?

 

イレギア

(たったひとりで楽しい学園生活が為せるもんか! 俺だけじゃねえ、みんなが楽しんでいなきゃ本当に楽しいなんて言えるハズがねえ!! ——とはいえ……この状況をどうする……?)

 

 友人との時間を大切にしてきたがそのほとんどを授業に費やしたために彼らが現在、何をしているのかまったく分からない。

 

 それに近況報告を聞いてもなぜかはぐらかされてしまうのだ。答える者も居たが……半数以上がそれなのだ。疑問にも思う。揺さぶってみようかとも考えたが……嫌な思いをしてほしくなかったので止めた。

 

イレギア

(絶対なんか裏がある……! もうしのごの言ってらんねえ。無理矢理にでも何やってんのか問いただして——なんだ? なんか大勢走ってくるけど……)

 

 彼がそんなことを考えていると、ふと廊下の角から慌ただしく走っていく生徒の集団が姿を現した。

 

イレギア

「うおっと……!」

 

イキリンコ

「キキィ……?」

 

ヤングース

「グー?」

 

 廊下に立ちすくんでいた彼と2匹のポケモンは適当な空き教室に転がり込むと、彼のいた場所に生徒達が流れ込んでくる!

 

 

 

生徒

「ひえ〜っ!!」

 

 

 

生徒

「にっ、逃げろ〜〜〜〜!!」

 

 

 

生徒

「スター団なんて知らねえよぉ〜〜〜〜!!」

 

 

 

 集団が走り去って沈黙が漂い始めた頃、彼と2匹のポケモンが廊下に再び出てくる。

 

イレギア

「…………スター団?」

 

 生徒の1人がそんなことを言っていた。

 

イレギア

「確かあっちから来てたよな。ヤングース、臭いでなんとか分かんねえか?」

 

ヤングース

「ググ……グー!」

 

 この頃になってくるとやんちゃだったヤングースは彼に懐き、彼の言うことを聞くようになっていた。

 

イレギア

「こっちか! ありがとなっ!」

 

 ヤングースを追いかけて廊下を駆けていく。イキリンコが彼に並走して飛んでいる。

 

 やがてヤングースが足を止めたのは——

 

イレギア

「ここって確か……」

 

 

 

—アップルアカデミー 校庭—

 

 

 

 走ったせいか彼の息は荒い。

 

 一度、2匹をモンスターボールに戻して……深呼吸して落ち着かせる。しかし心臓は未だ高鳴ったままだった。

 

 この扉の先に『何か』がある——もしかしたら、何も無いかもしれない。

 

 けれど心に生まれた隙間を埋めてくれるようなものなのかもしれない……そう思った彼が歩みを止めることはなかった。

 

 そうして彼は校庭への扉を開き——目撃する。

 

イレギア

「こいつは——…………!」

 

 まず目に入ってくるのは、5つの巨大な改造車——ブロロロームの能力を最大限に活かしたその巨体はさることながら、莫大なエネルギーが車体から溢れている。

 

 そしてその下には徒党を組んだ生徒たち。彼らは同じマークが描かれたヘルメットと星型ゴーグルを装着しており、制服を着崩したような衣装が特徴的だった。

 

 何より目を奪われたのは、改造車に乗っている5人……生徒会長学友遊び仲間御曹司特待生——彼の学園生活を彩った5人が鮮やかな衣装に身を包んでこちらを……彼を威圧してくる。

 

イレギア

「おおおっ……!」

 

 彼の胸の奥が強く叫ぶ——『楽しそう』だと。

 

イレギア

「おいアンタたち——!」

 

スター団したっぱ

「遅れてきたようだけど……これ以上——」

 

スター団したっぱ

「いや違う! あいつは……」

 

イレギア

——オレを仲間に入れてくれッ!!

 

スター団したっぱ

「「「…………は?」」」

 

 彼がスター団に加入したのは、『スター大作戦』が実行された直後だった。

 

 スター団が役目を果たした……全てが終わった後だったのだ。

 

 

 

 

 

——彼がアップルアカデミーに入学して、ようやく半年が過ぎた。

 

 

 

 

 




詳しい描写は省いてますが、イレギアがいなかった場合

・ピーニャ 下半身付随(なんかのドラマの生徒会長がなってたのを参考に。なんやったっけ)

・メロコ ボウジロウがいじめの道具にされる(まあ1年前のアカデミーやし保護されへんかなって。ほのおタイプやし映えそう)

・シュウメイ デジタルタトゥー(顔隠してるしオタクやしやってみっか!ってノリで。でも顔が良いから投稿されてもなあなあで終わりそう)

・オルティガ いじめっ子に制裁無し(いじめの内容は省いたけどたぶん血のマニキュアか剥がれされたか。ピアノやってるしボスの中で1人だけ爪が見えてないのを使いたいなってなったので、まあ壊すかってなった)

以降の2人は手が及ばなかった

・ビワ いじめの対象変化(本人の描写だとイマイチそうだからタナカちゃん目線で)

・ボタン 言わずもがな(もうすこし早くイレギアと出会ってたらこっちルートがあったかもしれん)

そして次回はスター団加入から1話の場面まで駆け抜けていきます。


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18.独りぼっちのいない場所とアクイレギアの花言葉

過去編Part. 2


 

 

 

—1年前のアップルアカデミー—

 

 

 

イレギア

「スター団……か」

 

 『スター大作戦』——その名称を聞いたのは後日だったが、彼はその現場に遭遇した。そして即行で彼らの仲間になりたいと懇願したが……

 

 

 

 

 

スター団したっぱ

「いや……もう、全部終わっちゃったよ」

 

 

 

 

 

あの日、全てが変わった。

 

 

 

 

 

 終わった……何が、というのはすぐに分かった。

 

 アカデミーに所属している半数の生徒が一斉に辞めたのだ。彼らの名前は知らない者もいたが、それでもいじめをしていた生徒だということは理解できた。

 

 それに伴って教師陣が総辞職——まさに大事件であった。

 

イレギア

「ちっくしょー……! そんな面白そうなのにこの俺が関われなかったなんてッ……なんたる不覚!」

 

イキリンコ

「キィー……」

 

 イキリンコが呆れる彼の独白とは裏腹に、彼は別のことを考えていた。

 

イレギア

(俺のダチも何人かスター団に混じってるのが見えた……それにあの改造車に乗ってた5人組——スター団の目的は……まさか?)

 

 彼は賢かった。そして他者を思いやれた。

 

イレギア

「ボウジロウも辞めた生徒に逃がされたポケモンと一緒にアカデミーに渡しちまったし……まあその方が安全だし元居た場所だろうからいいんだろうけども。アイツんとこに返そうにも今どこにいるか知らねえし……」

 

 彼の友人も数名戻ってきた。彼らにスター団について尋ねるも……彼らとは無関係らしい。

 

イレギア

(謎のスター団……そして、俺が次にやるべきこと……)

 

 イレギアは退屈そうに、しかししっかりと授業を受けながら思考を巡らせる。

 

レホール

「ここで王が作り出したのがそう……最終兵器だ。詳しい名称は不明なため、学者からもそう定義されている」

 

 教師が総交代されて授業を受け継ぐのに数週間かかったが、それでも現在では不都合なく通えている。

 

レホール

「そして王は——……おっと時間だ。済まないが次の授業でな……」

 

イレギア

「あの先生、授業終わったらすぐ出てっちまうよな」

 

友人A

「な。なんか裏で変なことしてんじゃねえの?」

 

友人B

「最終兵器とか?」

 

イレギア

「はい出た授業にすぐ影響受けるやつー」

 

 スター団のことを調べて、やがて再び半年が経過した。結果、知り合いに問い合わせてもだんまりだった。

 

イレギア

(スター団……全くもって正体がつかめない……)

 

 疑問符に脳を埋め尽くされ、今自分が楽しいのかなんなのか定義できないまま月日は過ぎていった。

 

 

 

—半年前のアップルアカデミー—

 

 

 

クラベル

「それでは新入生諸君、宝探し開始! ……いってらっしゃい!」

 

 かくして新入生が入学したタイミングで宝探しが催される。

 

 これは去年度、生徒人数が足りなかったのもあったため繰り上がった今に行なわれることになったという。

 

 ……そしてその事実をアカデミーが公表しないにせよ、それはウワサとなってアカデミーに広まっていった。

 

 

 

生徒

「なんで今になって宝探し?」

 

 

 

生徒

「それがさあ……スター団って不良の集まりが生徒の半分をいじめまくって追い出しちまったんだと!」

 

 

 

生徒

「スター団って……そんな悪い人なの……?」

 

 

 

生徒

「きっとそうに違いないわ……っ!」

 

 

 

 彼自身、そうではないだろうことは察していたが……それでも、賢い彼は理由を求めてしまった。

 

 スター団が何をしようとしたのか、スター団が本当に悪い存在なのか——

 

 納得できる理由を求め、考え……そして、停滞していた。

 

イレギア

「…………どうしよ」

 

 気づけばあの日から半年過ぎていた。本来は宝探しでやりたかったことがあったのだが……何がしたかったんだっけか。

 

 

 

 

 

やりたいことが……無くなっていった。

 

 

 

 

 

 知りたいことは知れず、楽しいハズの友人との毎日はどこか溝が出来たようだった。

 

 だから彼は宝探し中も勉強した。アカデミーに入学した時に決めたこと——計画上では残りの半年で単位が取り切れる。

 

 既に入れてしまった授業を蹴ることはしたくなかったし、知識を付ければおのずとやりたいことも見つかるだろうと思っていたのだ。

 

 楽観的に、しかし息が詰まりそうな退屈を腹の奥に抱えて……

 

 

 

 

 

——『楽しい』に満ちているハズの彼の人生に穴が開いた。

 

 

 

 

 

???

「……おや、何かお悩みでしょうか?」

 

 彼がグラウンドの端にある謎の木のはしご——名前を『肋木』といったか、とにかくそれに寄りかかっていた時だった。彼に少ししゃがれた男の声がかけられる。

 

イレギア

「こんにちは。あなたは……たしか、美術の……」

 

ハッサク

「はい、こんにちは。小生、ハッサクと申します。お名前を伺っても?」

 

イレギア

「イレギアです。2-D組の」

 

ハッサク

「ではイレギア君、どうされたのですか? 微力ながら小生が手助けしたいのです」

 

イレギア

「…………」

 

 

 

 

 

「人の親切を無碍にしないように。特にイレギアは親切が過ぎるから相手を気遣って断りそうだしな」

 

 

 

 

 

 父親の言葉が無ければ彼は適当にはぐらかして煙に巻いていただろう。

 

イレギア

「悩みっていうか……人生に迷ってるっていうか…………」

 

ハッサク

「ふむ……」

 

 言葉に詰まる彼の隣で同じくハッサクも肋木に背を預ける。

 

イレギア

「とにかく……なんかやんないといけないんです。俺にはやるべきことがあるハズなのに……なんというか、いろんなこと考えて前に進めないっていうか、別に忘れちまえばいいのに、それを頭の隅とか喉の奥とかに置いておかないとどうにかなりそうな…………あんまよくわかんないんですけど」

 

 スター団については語らず、しかし曖昧で抽象的な答えになってしまったことに半ば悔やんでいると——ハッサクは少しの思考の後、重々しくその口を開く。

 

ハッサク

「……少し、昔話をしても?」

 

イレギア

「ええ、まあ」

 

ハッサク

「小生の家庭は少々……いえ、かなり複雑でした。古い伝統と規律を重んじる……それはそれは厳しい家庭でした」

 

イレギア

「ポケモンつかいとか……ですか?」

 

ハッサク

「まあそのようなものです。若い頃の小生にはそのしがらみがとても煩わしかったのです……今もそうですがね」

 

イレギア

「はははっ……(ばあちゃんが駆け落ちしたのもおんなじ理由なのかな)それで、先生はどうしたんです?」

 

ハッサク

「盛大に家出をしました。音楽で食っていくと言って」

 

イレギア

「それは大胆な……」

 

 自分にはそんな時期があったろうか……いや、なにかしらケンカしても夕飯までには買い出しして帰ってきそうな自信がある——そんな家族との信頼関係があった。

 

 故に彼は他人の複雑な家庭だとかそういうのを知らずにいたので、ハッサクの話は実に面白く感じた。

 

ハッサク

「しかし現実は家の規律のように厳しく、とても自由に……その日すら満足に暮らせるものではありませんでした。街角でギター1本をかき鳴らしてスターに成り上がる……などと嘯いていられたのは3日となかったでしょう」

 

イレギア

「後悔は……しましたか?」

 

ハッサク

「それはもう一日中泣くほどしました。泣いて泣いて……しかし、それでどうこうなることは無いと——皮肉にも実家の教えからそこで挫けることはなかったです」

 

イレギア

「ありますよねそういうこと……それで、どうなりました?」

 

ハッサク

「無論、惑いました。小生の音楽では現状を打破することが出来ないと直感で悟り、ならばどうすれば良いのだろうか……それはもう『がむしゃら』でした。興味を持ったものに飛びついては失敗の連続……思い出しても恥ずかしい思い出ばかりです」

 

イレギア

(目の前のことに全力……か。俺もそうだったな、いつもいつも……——そして、何かしら結果を残していた。失敗という失敗は……無かった気がする)

 

 彼は要領よくなんでもこなしてみせた。その道のプロには及ばずともそれなりの成果を挙げていた。

 

 だからだろう……今のような状況は初めてだった。

 

 飽き性というワケではない。しかし何にも手がつかない。虚無の時間だった。

 

ハッサク

「そうして月日は流れ、反骨精神はとっくのとうに打ち砕かれ、立ち上がる力もありませんでした。しかし……イレギア君の言った通り、何かをしなくては——そんな使命感が小生の心にまだ残っていたのです」

 

イレギア

「何かを……」

 

ハッサク

「ええ、何かを…………そして散々ダメだった自分に何が出来るのか、何が出来たのかをひたすら反芻し、絶望し、露頭に迷い……そうして小生はそれを目撃しました」

 

 

 

 

 

 

ボーマンダ

「ボォォォォォ————————ッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

ハッサク

「岩山の上で咆哮するボーマンダでした。どこまでも雄大で揺るぎない、猛然たる竜の雄叫び——感動しました。自然と涙が止めどなく溢れました」

 

イレギア

「竜の、雄叫び……」

 

ハッサク

「写真があれば見せたのですが、あまりに感動していたためその場で立ち尽くしてしまって。気が付いた頃にはボーマンダはおらず、どこかへと飛び立ってしまっていたのです。それにもまた後悔し、しかしなんとしてもこの感動を誰かに伝えたいと思い……小生は筆を取りました」

 

イレギア

「それが……美術を志した理由に?」

 

ハッサク

「ええ。真っ白で巨大なキャンバスを小生の胸に残るあの時の感動を描き殴りました。荘厳な赤い翼剛健たる四つ足魂を震わせるあの咆哮……その全てを収めることが出来ました。小生には絵描きの才があったのです」

 

イレギア

「その絵はどうなったんですか?」

 

ハッサク

「今は自室に飾っております。あの感動を忘れないように、あの感動を糧にするために」

 

イレギア

「…………凄いっスね。なんか俺の悩みがもうちっぽけに思えちまいます」

 

ハッサク

「イレギア君はまだ少年から青年になったばかり。悩むことは当然です。そして見知らぬ何かを求めるのも当然のことです。しかしそこで停滞しては何も為せないままです。——失敗をするのです。全力で、精いっぱい失敗をすること——それこそが現状を打破する一因だと、小生は信じています」

 

イレギア

「失敗……」

 

ハッサク

「幾多の失敗の後、何が為せるのか——小生の主観でしかありませんが、それでも何かは為せるのだろうと信じています。目的地は別の、しかし感動の訪れる場所にいつか必ず辿り着くことを……」

 

イレギア

「っ……!」

 

ハッサク

感動は人生を豊かにする。少なくとも小生は、そう思っております」

 

イレギア

「…………ふぅ——」

 

 ふと、空を仰ぐ。

 

 零した吐息は震えて、頬が熱くなっていく。

 

 グラウンドで生徒やポケモンがはしゃぐ音が少し澄んで聞こえる。

 

イレギア

「すぅ……ふぅ————」

 

 静かに……もう一度だけ吐息を吐き出す。

 

イレギア

「——ありがとうございます、ハッサク先生」

 

 彼はハッサクに向けて大きく頭を下げる。

 

ハッサク

「小生は少し昔話をしただけです。イレギア君が前に向けたのなら、良かった」

 

イレギア

「さっそくですいません……俺、行かないといけない場所があります——失礼します」

 

ハッサク

「ええ……精いっぱい、失敗するのですよ」

 

イレギア

「ええ! 精いっぱい、楽しんでみせますともっ!」

 

 彼は心からの笑みをハッサクに見せた。

 

 

 

 

—数ヶ月前のアップルアカデミー—

 

 

 

生徒

「…………はぁ」

 

???

「おいそこのお前! 今、退屈だ……なんて思わなかったか?」

 

生徒

「えっ……いや、誰ですか?」

 

イレギア

「へっへっへっ……俺はスター団のしたっぱ! 退屈してんならスター団に入らねえか!? みんなでワイワイ楽しもうぜ!」

 

生徒

「ええ……いや、別に1人でも……」

 

イレギア

「うるせえ! たぶん……そうっ! 勧誘のノルマとかあるハズだから来てもらわねぇと俺か困る!」

 

生徒

「そんなぁ…………」

 

イレギア

「どうせお前、暇だろ? 暇つぶしだと思ってさ……ああ、別に歩かなくたって良いぜ? 任せたぜイキリンコ!」

 

イキリンコ

「キィッ!」

 

生徒

「えっ、なんですかこの——うわっ!?」

 

イレギア

「ワハハハハハハハ!! パルデアの空のインフラを支えてるのはなんなのか身体で感じるんだな!」

 

生徒

「なんだって言うんですかっ! こっちが退屈してようがあなたには関係ないでしょう!?」

 

イレギア

「ある!」

 

生徒

「なっ。何を根拠に……」

 

イレギア

「俺はアカデミーの人気者になりたい! それなのに俺をちやほやしないでひとり寂しい思いをしてるなんて許せねえ……意地でも楽しい思い出を作らせてやる!」

 

生徒

「それは…………」

 

イレギア

「——来いよ。俺がキラッキラな青春を見せてやるぜ! 独りぼっちなんて忘れちまうくらいにとびっきりのをなっ!!」

 

 

 

 

 

あの日、全てを変えた。

 

 

 

 

 

 スター団についてだんまりだった友人にひたすら粘着して、ついに折れさせることに成功した。

 

 そうしてスター団のことを聞き周り……活動理由、その目的、その他諸々——ヘルメットやゴーグルの材料費が思いのほか高いことなど——を知り、そしてようやくスター団を頭の中で定義する。

 

 彼ら彼女らの本当の敵は『孤独』だったのだと。

 

 マジボスの真の目的は『独りぼっちの居ない場所』を作りたかったのだと。

 

 誰もが寂しくならないための組織なのだと——彼は勝手にそう解釈した。

 

イレギア

「スター団が終わった? 何を勝手にヌカしてやがる……『淋しい』って思ってるヤツはまだこのアカデミーにごまんといるんだぜ? そいつらが青春を『楽しそう』とだけ思わせて良いのか? 『楽しそうだった』で済ませて良いのか——?」

 

 

 

——断じて違う!

 

 

 

 ならオレがやるべきことはただ一つ! スター団の本当の良さを、『楽しい』を感じ合える場所を強引に教え導く——身勝手なしたっぱになってやろうとも!

 

 

 

 

 

泣く子も笑うスター団! それこそが相応しいッ!!

 

 

 

 

 

 賢い自分を取っ払い、まるで愚かに振る舞った。

 

 余っているらしいヘルメットやゴーグルを買い(けっこう高かった)、上記のように勧誘しては少量の金を受け取って売り捌いていく。

 

 周りから見たら強引でしかないだろう……しかし、勧誘後の誰もが数日して笑顔になった。

 

 居場所がある。迎え入れてくれる人がいる。孤独を消し去るには十分だった。

 

 ただまあそのせいでスター団が無理な勧誘をしている……という悪評が加速してしまった感覚はあったが——独りぼっちがいるよりはマシだと思えた。中には自分からスター団に加入する者も居たほどだ。

 

 

 

——『楽しそう』を『楽しい』に変えることこそが重要だと思った。

 

 

 

 しかし同時にこれで良いのかと思う気持ちもあった。実際、スター団の多くはアカデミーに来ていないし。

 

 ひょっとしてとんでもなく悪いことをしているのではないか? そう頭に過ぎるも、スター団に加入した生徒たちからは心の底から楽しんでいるという旨の連絡を受ける。

 

 それを受けて彼はさらに調子に乗り——もうこのアカデミー全部をスター団のアジトにしてしまえば良いのではないかと、本気で思うようにもなった。

 

 そんな思想に染まりかけていた頃——彼女のことを知った。

 

 

 

新たな生徒会長……ネモのことだ。

 

 

 

 一年生という若さにしてチャンピオンランクを取得した功績を讃えられ、元々優秀な生徒であったのもあり、空いたままの生徒会長の席を譲られるに至ったのだ。

 

 生徒会長——そうだ、これだ!

 

 生徒会長になれば……元来の目的である人気者に加えてその立場すら手に入れたら、このアカデミーはスター団のものに——『楽しい』に溢れさせることができる!

 

 入学当初からそれなりに優秀な生徒である彼はすぐにでも副生徒会長くらいにはなれるかもしれない……しかし彼はそれではダメだと、ネモに勝てるくらいではないとダメだと決意する。

 

 

 

 

 

そうして彼はチャンピオンランクに憧れ——ポケモントレーナーとなったのだ!

 

 

 

 

 

 常に他のものに興味を持っていたために、トレーナーを志したことは今までなかったが、ついに彼はそれを目指すようになった。

 

 知識は十分にある。実践もそこそこにある。ならば実行するのみだった。

 

 それでもスター団としての活動は忘れない。未来のことばかり見て、今の『寂しい』を見過ごしてはならないと思っていたためだ。

 

 だからその日もいつものように勧誘していたのだ。

 

 

 

 

—アップルアカデミー 階段下—

 

 

 

イレギア

「ほれ、ここで人を見定めて勧誘するんだ」

 

アヤセ

「はあ……まさか毎日ですか?」

 

 アヤセはここ数日前に勧誘したものの、他のしたっぱとは違ってアジトには行かなかった。単純に面倒だったのか、彼の行動に興味を持ったのかは不明だ。後者であれば、現在進行形で後悔していることだろう。

 

イレギア

「ったりまえだろ? 毎回おんなじヤツが通るとは限らねえし、毎度おんなじ顔で通るとは限らねえ!」

 

アヤセ

「(あたしの学園生活間違えたかな……)それで、勧誘するコツとかは?」

 

イレギア

「まずは明らかに寂しそうな顔のヤツを見つけて……」

 

アヤセ

「そこがまず無理でしょ……」

 

イレギア

「そんで——……ぁ」

 

アヤセ

「……あの? どうし——」

 

 彼が見つけたのは階段前を通りかかる女子生徒——どこで売っているのか聞いてみたかったイーブイのバッグを背負った——あの子だった。

 

イレギア

「いくぞ後輩! 俺についてこい!」

 

アヤセ

「いやちょっ!? どうやって勧誘するんです!?」

 

イレギア

「そんなの気合に決まってるだろ!」

 

アヤセ

「あーもーヤケよーっ!」

 

 

 

 

 

そうして、あの瞬間が訪れた。

 

 

 

 

 

ネモ

「いやならわたしと勝負だよ」

 

 

 

 

 

 その時、世界の秒針が止まる。どこかにいるカミサマとやらが殊勝な彼のために許したのだろうか……とにかく全てが止まった。

 

 

 

 ——彼の思考以外は。

 

 

 

イレギア

(なんで……生徒会長だろ? 学校で一番のヤツなのに、なんでこんな寂しそうな顔をしてるんだ……?)

 

 再びの疑問符に脳を埋め尽くされる感覚——だがしかし、彼は心の中で不敵に笑った。

 

 幼き頃の母親との会話が脳裏を過ぎる——

 

 

 

 

 

幼き頃のイレギア

「母ちゃんはさっ、父ちゃんとケンカすることとかあるの?」

 

「ええあるわよ。何度も、この間もしたわ。些細なことだったけどね」

 

幼き頃のイレギア

「そ、それで……どうやって解決したの……?」

 

「あら、ポケモントレーナーにそんなこと聞く? ポケモントレーナー同士、言いたいことがあったらやることと言えばひとつ——!」

 

 

 

 

 

 俺も……今はポケモントレーナー。

 

 

 

 そして相手はそう、超えるべき壁だ。

 

 

 

 そうだ、思いっきり失敗してやんのさ。

 

 

 

 勝てないなんて今はそうだろう。

 

 

 

 でもここで挑まなかったら、きっと何も変われない。

 

 

 

 どこまでも『楽しそう』を『楽しい』にするために、目の前の笑顔を見るために……!

 

 

 

 

 

イレギア

「うっひょー!チャンピオンランクのネモに勝てればスクールカースト鰻登りだスターっ!!」

 

 

 

 

 

—ポケモンリーグ 面接室—

 

 

 

チリ

「——それでは次に、チャンピオンになってどうなさるおつもりですか?」

 

イレギア

「意見は変わりません……みんなにちやほやされたいです!

 

チリ

「ええ、そうでしたね。それでは最後に——ポケモンは好きですか?」

 

イレギア

「はいっ!!」

 

チリ

「…………ええ返事や」

 

イレギア

「ほえ?」

 

チリ

「これで一次試験は合格。おめでとさん」

 

イレギア

「お、おおおおお……よっしゃあ!!」

 

チリ

「えらい元気なやっちゃな~っ。それでも一発合格……昨日もおったな」

 

イレギア

「ありがとうございます! 次はいよいよ実技試験……あんちゃんも応援しててください!」

 

チリ

「なはは! 気合も十分やなあ……でもすまんな——最初の四天王はこのチリちゃんや

 

イレギア

「……っ!」

 

チリ

「それとチリちゃん女の子やから、その辺よろしゅうな~」

 

イレギア

「…………ええっ!!?」

 

チリ

「なっはっは! 自分おもろい反応するなあー!」

 

 

 

 ——ようやくだ。

 

 

 

 ようやく——アイツを心の底から笑顔にできる。

 

 

 

 本当に楽しいって顔を見れるときが来たんだ。

 

 

 

 必ず為せるとも、俺を誰だと思ってやがる……!

 

 

 

 

 

 

俺は泣く子も笑うスター団だぜ!!

 

 

 

 

 




アクイレギア(オダマキ)の花言葉は『愚か』『断固として勝つ』、そして『必ず手に入れる』。
それと『泣く子も笑うスター団』って旨の言葉は最初しか語られなかったので、イレギアが勝手に言い出したことだと解釈しました。

次回、エリアゼロ編。……申し訳ないけどリーグ戦はカットで

リーグの概略としては——

チリ戦(手持ちひこうタイプばっかやし、なんとかなるやろ!)
ポピー戦(シビルドンって『ドレインパンチ』覚えんねん。……なんで覚えるん?)
アオキ戦(シビルドンって『いわなだれ』も……覚えるんかいな)
ハッサク戦(恩師とのバトルを省くのは居た堪れないけどカット)
オモダカ戦(5匹しかおらんけど……ワイが同レベルのエクスレッグで無双したし、ままええか)


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19.再戦の誓いを!俺も向かうぜエリアゼロ!

 

 

 

 

—ポケモンリーグ ポケモンセンター—

 

 

 

イレギア

「あっ、もしもしネモか?」

 

ネモ

「イレギア? どうしたの?」

 

イレギア

「へっへっへっ……俺からネモに告げる言葉はただひとつ! ——俺もチャンピオンになったぜ!!

 

ネモ

「えっ……ホントに!!?」

 

イレギア

「あたぼうよ……これで正式に俺とネモはライバル同士ってこった! さっそくバトルと行きまスター!」

 

ネモ

「あ…………だけどごめんっ、今すぐはちょっと……!」

 

イレギア

「ん、そかそかそかそか。まあそっちにも都合があるだろうからな……いつぐらいに出来そうだ?」

 

ネモ

「うーん、どのくらいかかるか分かんないからなあー……また今度会えたらにしよっ!」

 

イレギア

「おう! 俺の積み上げた全部をぶつけてやるから精々覚悟しやがれッ!」

 

ネモ

「うんっ、楽しみにしてる! ——あっはーい。それじゃあまたねーっ!」

 

イレギア

「またな~っ!」

 

 ネモの通話の裏では何やら風切り音が鳴っていた……空飛ぶタクシーにでも乗っていたのだろう。

 

ポケセンおねえさん

「お待たせしました! ポケモンたちはみんな元気になりましたよ!」

 

イレギア

「こちらこそ電話で待たせちゃって、ありがとうございます! ——そんならさっそく出てこいみんな!」

 

 彼はモンスターボールを両手いっぱいに集めて、そのまま草原へと放り投げる!

 

イキリンコ

「キィーッ!」

 

デカグース

「グゥーッ!」

 

ギャラドス

「ゴゴッ……!」

 

ボーマンダ

「ボォ~ッ!」

 

シビルドン

「シビビ……!」

 

 ポケモンたちが解き放たれ、歓声を上げていく。

 

コレクレー

「クレー!」

 

イレギア

「おうっ、コレクレーも応援ありがとだったな! 今回のリーグ戦最初から最後までチーム戦だった……その中でもっ、一番のMVPは——みんな納得のシビルドンだ! 相手相手に技を切り替えるだけじゃなく、最もダメージが与えられる方法を常に探っていたことを讃えてな!」

 

デカグース

「グーグー!!」

 

シビルドン

「ビビビィ……!」

 

 デカグースが自分のことのように嬉しがってシビルドンに抱き着くも、彼女は極めて冷静に対処しようとして……しかし顔にはありったけの喜びが表れていた。

 

イレギア

「もちろんっ! デカグースは3種の牙技で四天王全員に安定して対処できてたし、イキリンコお得意のヒット&アウェイ戦法で場を引っ掻き回した。ギャラドスの『はねる』はいつだって最高だったし、ボーマンダはハッサク先生とのバトルで3匹も倒してくれたッ……みんなみんな超すごかったぜ!!」

 

コレクレー

「クレ、クレー!!」

 

 コレクレーがそんな彼らを羨望も眼差しで見つける……いつか自分も、イレギアのポケモンとして活躍したいと思うようになっていったのだ。

 

 始めはただコイン欲しさに同行していただけだったが、彼とその仲間たちとともに旅をしていくにつれて、彼らのことを心の底から尊敬するようになった。

 

 イキリンコはパーティに馴染めなかった自分を取り持ってくれた。デカグースは明るく話しかけてくれた。ギャラドスの『はねる』を極める姿勢に胸を打たれた。ボーマンダの勇猛果敢な戦闘には心を熱くしてもらった。シビルドンの掴みどころがないながらも冴えた戦術にはいつも驚かされた……

 

イレギア

「っとと、忘れちゃいけねえ。オレらの冒険を今まで助けてくれたもう1匹の仲間——出てこいモトトカゲ!」

 

モトトカゲ

「アギャス!」

 

 そして……出会った頃こそ怖がってしまったが——その実、イレギアに対してどこまでも誠実で従順なモトトカゲ。その忠誠心には目を見張るものがあった。

 

 

 

 ——当然、そんな彼らを率いるイレギアのことはそれ以上の感情を抱いていた。

 

 

 

イレギア

「……おっ? おおっ! 見つけたぜコイン! これで999枚……ようやく全部揃ったぜっ!」

 

コレクレー

「クレー!?」

 

 ポケモンセンターのテーブル下……キラリと光るものを捉えたイレギアはそれを拾い上げた。

 

イレギア

「へっへっへっ……! これでどうなるのかさっぱりだが……なんかどうだコレクレー!」

 

コレクレー

「クレ、クレー……!」

 

 思わず袋から飛び出してしまい、テーブルの上になんとか降り立つ。そしてイレギアから渡されたコインを抱きしめて……肉体がコインを欲しがっているのに気づく。

 

コレクレー

「クレ……ッ!」

 

イレギア

「うおっ……!? 袋が……!」

 

 イレギアが肩から下げていた麻袋が自ずから口を開き、その中から998枚のコインが飛び出していく……!

 

ギャラドス

「ゴゴ……!?」

 

ボーマンダ

「ボォォォ~~~~ッッ!」

 

 ポケモンたちから騒めきと応援が飛び交う。コレクレーの周囲をコインが浮かび上がって旋回していた。

 

コレクレー

「クレー……!!」

 

 喜びに身震いしながらも、コレクレーは意を決してコインの1枚に触れ——

 

 

 

 

 

「コインヲ……モットコインヲ寄越セェ……ッ!!」

「欲シイ————————欲シイ————————!!」

 

「コノガキィ……私ノ金貨ヲ飲ミ込ンダノカッ……!」

 

「助ケテクレ! 嫌ダッ……モウ探シタクナイ……!!」

 

「許サナイッ——殺セ!! 全テ……命ゴト奪イ取レッ!!」

 

「金貨ヲ壊セッ!! ソレデ終ワラセロ————————!!」

「コレハ……コノコインハ…………——モット集メナイト……!!」

 

 

 

 

「コレデッ……世界ハ私ノモノダァァァ————————ッッ!!!」

 

 

 

 

 

コレクレー

「クレッ……!」

 

 しかしコレクレーがコインから手を離すと、浮遊していたコインが一斉に地面に叩きつけられてしまう。

 

イレギア

「ど、どうしたコレクレー……!?」

 

 一転して怯えた様子のコレクレーに話しかけてみるも……身体を抱えて震えるのみだった。

 

イレギア

「……そっか。まっ、身体が変わっちまうって思ったら怖いよな。何も珍しいことじゃあない!」

 

 ポケモン特有の病気——進化拒絶症候群……いやもっとそれらしい名前だった気がするが——にそういうのがあるらしいのを母親から聞いていた。

 

コレクレー

「クレェ……?」

 

イレギア

「何も焦る必要も無けりゃ進化する必要もねえ……コレクレーが自分が自分でいるために大切なことを優先するんだ」

 

コレクレー

「…………クレ」

 

モトトカゲ

「アギャア」

 

 モトトカゲがいつもの調子でコレクレーに話しかける。二足歩行となった彼の両手には大量のコインが拾われていた。

 

イレギア

「さてまっ、みんなでコイン集めるぞー。そんな遠くには転がってないだろうし、草で隠れてるかもしれねえ……デカグースは噛んだり飲んだりすんなよ~?」

 

コレクレー

「クレ…………」

 

 彼らがコインを探していく。自分は動けない。みんなが自分から離れているようだった。

 

コレクレー

「…………」

 

 テーブルに落ちたコインの1枚を恐る恐る拾い上げる……触れていると幸せな気持ちになる、いつもの綺麗な金貨だった。

 

 それでも——あの感覚は、消えない。

 

 たった一瞬だけの感覚だった。

 

 コインを集めていた者たちの欲望と怨嗟が籠っていて、身体に取り込もうとすると——自我が大量の手に引っ張られ、それらと一緒にかき混ぜられてぐずぐずに溶けていってしまいそうな……思い出したくもない感覚が脳裏にへばりついてしまった。

 

 

 

 

 

彼の役に立ちたい…………なのに——

 

 

 

 

 

—テーブルシティ 上空—

 

 

 

イレギア

「大丈夫かコレクレー」

 

コレクレー

「クレ……」

 

 イレギアがボーマンダに乗って空を駆ける中、コインの敷き詰まった麻袋の中に引きこもってしまったコレクレーに向かって彼が話しかけるも返ってくるのは落ち込んだ声。

 

イレギア

「何も今じゃなかったってことだ。そんな悲観することはねえ。むしろ進化……するのか知らねえけど、したくないならしなくてもいいんじゃねえか? したくなったらすればいいんだし」

 

 彼はいつでもポジティブで、励ましてくれる。それに対して自分は……それに応えることが出来ていない。

 

 不甲斐ない——

 

イレギア

「……いやいやいやいや! こんな暗い気持ちじゃあいつかのネモとのバトルにも支障が出ちまうぜ! こうなりゃそうだな…………うっし! ボーマンダ、行先はチャンプルタウン! 旨いモンひたすら食い歩くぞッ!」

 

ボーマンダ

「ボォォォ~~~~!!」

 

 喜びに翼を一層はためかせたボーマンダがチャンプルタウンへと真っすぐ向かっていく。

 

イレギア

「さーて何食おうかな~全部の店で一品ずつ食べるなんてめちゃくちゃ悪いことしちゃおっかな~……いやそれは流石に迷惑そうだな——……ん?」

 

 あれこれ妄想していたイレギアが少し遠くに空飛ぶタクシーを見つける——そしてトンデモ視力からそれに乗っていた人物が見知ったものだと理解する。

 

イレギア

「父ちゃん!? ボーマンダっ、出来るだけゆっくり近づいてくれ!」

 

ボーマンダ

「ボォォッ!」

 

イレギア

「父ちゃ~~~~んっ!!」

 

「んぉ? ……おおっ、まさかこんなところで会うなんてなっ!」

 

 快活で屈託のない笑顔……イレギアの父親らしいものであった。

 

「俺はこれからチャンプルタウンに行くんだ。そっちはどこに?」

 

イレギア

「ホントに? 俺もだぜ! せっかくだし一緒に行こうぜ~!」

 

「……ま、それもいいか。そういうことだお客さんたちっ、ちょいと騒がしくなるぜ」

 

アオイ

「お気に無さ……あれっ!?」

 

イレギア

「アオイ!? 確か『たち』って言ってたからもうひとりは……」

 

ペパー

「オレだ」

 

イレギア

「へえ、デートかよ」

 

アオイ

……!?」

 

ペパー

「ちげえよ。オレらはオレらで行くべきとこがあんだ……ついてくんなよ」

 

 ペパーの突き放すような言葉……しかしイレギアはそれをこちらを気遣ってのものだと理解していた。

 

イレギア

「へっへっへっ……そんなら俺は先に行くぜ。じゃあな2人とも、そんで父ちゃん!」

 

 イレギアはボーマンダに指示を出し、一足早くチャンプルタウンへと急いでいった。

 

アオイ

「……気、使わせちゃったかな」

 

ペパー

「アイツならそうだろうな」

 

「お客さんたち、うちの息子と仲良いんです?」

 

アオイ

「良いっていうか……良くされてるっていうか……?」

 

ペパー

「勝手にこっちのことを助けようとしてくる困ったちゃんだぜ」

 

「わははははは!! 実にアイツらしい! ——今後とも、息子を頼みましたよ」

 

アオイ

「え?」

 

「あの子は……あまり悩み事を人に話したがらない。話すより先に自己解決できてしまうからね」

 

ペパー

「…………」

 

「それでも何か……——私どもも気を配ってはいますが——それでも何か悩んでいるようであれば相談に乗ってやってください。人の親切には応えてやるように再三言ってますので」

 

アオイ

「運転手さん……はい、わかりました」

 

「そういってもらえると、安心します」

 

ペパー

「…………」

 

 

 

—チャンプルタウン 東ポケモンセンター—

 

 

 

「到着したぞチャンプルタウン」

 

アオイ

「ありがとうございます」

 

ペパー

「あっちの方に、大穴への入り口が……」

 

「……ペパーっつったか兄ちゃん」

 

ペパー

「はい……なんですか?」

 

「——頑張んな

 

ペパー

「え————」

 

今度こそ、な」

 

ペパー

「——覚えてて……くれたんですか……?」

 

「ったりめえよ。むしろあんな冒険して客の顔も覚えてないなんてパルデアタクシーの名が廃るってモンだぜ」

 

ペパー

「はは…………——あのときはっ、…………本当にっ……お世話になりましたっ……!!」

 

 声を震わせて、ペパーは深々と頭を下げた。

 

「よせやい。だがそうだな……ケガには気を付けてな!」

 

 それだけ言い残すと、タクシー運転手はイキリンコたちを飛ばす。ゆっくりと浮上し……そしてまたどこかへと飛び去ってしまった。

 

アオイ

「ペパー……?」

 

ペパー

「いや…………このことはまた後で話す。待たせてるからな。行こう」

 

アオイ

「う、ん……」

 

 アオイはペパーがマフィティフ以外のことで涙を流す姿を見たことがなかった。あるいはこれもそれに関連しているのだろうか……

 

ペパー

親の温かみっていうのかな……こういうのは」

 

 

 

 

 

 ……一方のイレギア御一行

 

イレギア

「いや~っ! まさかアイス屋で焼きおにぎりが食えるなんてな! やっぱこの街に来てよかったぜ!」

 

店員

「あれお客さん、ジムチャレンジしてなかったですか? 本来はヒントとして忍ばせてるのと、アイスの口直しにメニューに載せてるんですけど……」

 

デカグース

「グゥ! グー!」

 

ギャラドス

「ゴゴゴ……!」

 

ボーマンダ

「ボォォ~~~~!」

 

 店員の言った通り、イレギアたちは各々の好きな味のアイスとこだわりの焼きおにぎりを交互に食べ進めていた。大食いの3匹に関しては既に食べ終えてごねられたので、隣の店のクレープを食べてもらっている。

 

イレギア

「ヒント? ……あー、俺ってば天才すぎてノーヒントでクリアしちゃったんですよねー」

 

店員

「清々しいくらいの自画自賛ですね。焼きおにぎりもう1個サービスしましょう」

 

イレギア

「よっしゃついて——」

 

デカグース ギャラドス ボーマンダ

「グー!!」「ゴゴッ!」「ボォ!!」

 

 イレギアが手にした焼きおにぎり目指して3匹の食いしん坊が一斉に激突! 彼は全方位からの体当たりをまともに喰らってしまう……!

 

イレギア

「ぐえっ————————!!?」

 

 しかし当の焼きおにぎりは彼の手から離されて遥か上空へ——そこへイキリンコが真っ先に飛びついた!

 

イキリンコ

「キキィ!」

 

 アツアツの焼きおにぎりを嘴で貫——

 

イキリンコ

「キキ————————!?」

 

 ——こうとしたのだが、その焼きおにぎりは帯電していた。

 

シビルドン

「ビビ……!」

 

 痺れるイキリンコの隣を悠々と泳ぐシビルドンがついに焼きおにぎりをゲットしたのだった!

 

シビルドン

「ビビビビビッ~!」

 

 焼きおにぎりを片手に、勝ち誇ったように笑うシビルドンだったが……そこへモトトカゲが焼きおにぎりを一口で喰らいつくしてしまう。

 

シビルドン

「ビ……」

 

モトトカゲ

「アギャ~……!」

 

 電撃で更に香ばしくなったそれはもう絶品だったらしい……

 

シビルドン

「ビ、ビビ……」

 

コレクレー

「ク、クレー!」

 

 見るからにうなだれるシビルドンにコレクレーが慌てながらも寄り添う。コレクレーが食べかけの焼きおにぎりの半分を渡そうとするも……彼女に断られてしまった。

 

コレクレー

「クレ……」

 

イキリンコ

キッ!

 

 すかさず痺れた舌でイキリンコがフォローを入れて……イレギアたちの方を見るように促す……

 

イレギア

「バカ野郎テメエら! アレは俺が貰ったモンだぞコラ————————ッ!」

 

デカグース ギャラドス ボーマンダ

「グルルルル!!」「ゴゴッ!!」「ボォォォ————————ッッ!」

 

 1人と3匹はそれに構わずじゃれ合っている。しかしかなり本気の——わざすら使っていた。

 

店員

「ちょっと!? 店の前で暴れないでくださいっ!!」

 

イレギア

「はーい」

 

ポケモンたち

「「「ハーイ」」」

 

店員

「うわあ聞き分けが良すぎる!」

 

 そんなひと悶着もありつつ、彼らの腹ごしらえは終わった。

 

コレクレー

「クレー!」

 

 たらふく旨いものを食べられたコレクレーは幸せそうに腹をさすっている。

 

イレギア

「おっ、良かったコレクレー! 元気になってくれたようで嬉しいぜ……!」

 

コレクレー

「ク……!」

 

 ——やっぱり優しい人だな、そう思った。

 

イレギア

「それにしてもアオイとペパーはどこにいるんだ? チャンプルタウンで降りるって言ってたけど全然姿が見えん……この近くに降りたってだけで街の外に出て行っちまったんかな…………」

 

 どこか物憂げに、彼はふと、そちらの方角を見つめる——パルデアの大穴だ。

 

イレギア

「いやいやいやいや、まさかな……」

 

 ……ペパーの両親は研究員として穴を探索し、《テラスタル》の実用化に成功したという……まさか、それと関係が?

 

イレギア

「…………」

 

 ふと、あの日のことを……父親がエリアゼロから子どもを救ったという知らせが届く。弟やイキリンコ、ラルトスたちと一緒に口を開けたまま数時間硬直してしまうほどには驚いた。

 

 帰ってきた父親を母親は涙ながらに抱きしめた。誠実で誇らしく思っていた母がそれほどまで取り乱す場所——父親はなんでもないように振舞っていたが……イレギアの頭を撫でるその手は震えていた。

 

 エリアゼロとはそれほどまでに危険なのだと肝に銘じた瞬間だった。

 

イレギア

(——もしもアオイが、ペパーが……あの場所に行っているのだとしたら……俺はどうするべきだ?)

 

 いや、ただの思い込みの可能性は大いにあり得る。それほどの危険を冒す理由など……さっき述べた通りだ。

 

モトトカゲ

「アギャ————…………」

 

イレギア

「モトトカゲ? どうしたんだ……?」

 

 彼が思考を巡らせていると、モトトカゲが虚ろな瞳で大穴を睨み……そっちへと歩いていく。

 

モトトカゲ

「アギャア! アギャ————————!!」

 

 そして甲高い声で叫び始める。

 

店員

「あのっ、今度は何ですか……!」

 

イレギア

「俺にも……いや——」

 

 コライドンに何かあって…………それでモトトカゲにも共鳴? 理解はできねえ……でもエリアゼロに行ってるのだとしたら何が起こるか分からねえ——……

 

 

 

 

 

 ネモとの約束は……俺からもちょっと待ってもらうか。

 

 

 

 

 

イレギア

「すぅ…………ふぅ————————」

 

 大きく息を吸って……吐き出す——

 

イレギア

「ボーマンダ、背中借りるぞ」

 

 彼に意見するポケモンは1匹たりともいなかった。

 

イレギア

「行く前に……アレを取っていかないとな——」

 

 ぶつぶつと呟きながらボーマンダを残してポケモンたちをボールに戻していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—エリアゼロ 第2観測ユニット近く—

 

 

 

ネモ

「はあ……はあ……なんとかっ、倒せたね……」

 

ボタン

「いや、フラフラ過ぎない……?」

 

ネモ

「ごめんっ……ちょっとはしゃぎすぎちゃったかなあ…………!」

 

ボタン

「さすがに興奮しすぎだったしね……」

 

 ネモとボタンは研究所から逃げ出した全てのパラドックスポケモンを退けていた。首尾は上々——

 

ボタン

「とにかく戻ろっ、アオイとペパーが心配——」

 

 ——かに思えた。

 

 

 

チヲハウハネ

「ウルル……!」

 

 

 

スナノケガワ

「コイイイ……レアッ」

 

 

 

テツノドクガ

「ガガガ ガ————」

 

 

 

テツノイバラ

「ギ————ラ————」

 

 

 

 ところが2人を取り囲むようにパラドックスポケモンがどこからか現れたのだ。

 

 ウルガモスに似た個体が2匹——古代と未来の姿の両方がいるようだ——と古代のレアコイル、そして未来のバンギラスのようなポケモンだった。

 

ボタン

「いつの間にっ……!」

 

ネモ

「ぜえっ、ぜえっ……! よおし……わたしが、相手にっ……!」

 

ボタン

「満身創痍じゃん! うちが4匹を相手に……!」

 

 ボタンが震える唇を噛み締めて、しかし意を決してモンスターボールを構えようとし……

 

ボタン

「うおっ……!?」

 

ネモ

「わっ…………!」

 

 何者かに腕を掴まれた2人はポケモンたちの間から包囲網を脱出する!

 

???

「シビルドン! 『ほうでん』だ!」

 

 加えて叫ばれるのはいつか聞いたその声——

 

シビルドン

「ビビビィ————————ッッ!」

 

 彼らの頭上を泳ぐようなシビルドンが全身を発光させ……シビシラス時代には不完全だった『ほうでん』を4匹に食らわせる!!

 

ネモ

「イレギア……!?」

 

イレギア

「ネモにマジボス!? まさかこんなとこで会うなんてな!!」

 

ボーマンダ

「ボォォォ~~~~ッ!!」

 

 ボーマンダに乗っていたイレギアが彼女らの近くに飛び降りた。

 

ボタン

「ってことはこの掴んでるのは——いでっ!」

 

 突如として腕を引っ張る力が失われてボタンは盛大にずっこけるも、ネモは突っ立ったまま彼を見つめていた。

 

イキリンコ

「イデ、イデーッ!」

 

ボタン

「マネするなー!」

 

 イキリンコが2人からイレギアの頭に留まる。

 

ネモ

「助けてもらっちゃったかな?」

 

イレギア

「だぜ! オレを崇めるんだなっ!」

 

ボタン

「こんな状況でもウザいのなんなん……」

 

イレギア

「ヒーローは遅れてきて軽口叩くだろ? そういうことだぜ!」

 

ボタン

「なにこいつ無敵?」

 

イレギア

「レアコイルもどきにはダメージ無し……じめんタイプか特性か。バンギラスもどきは半減って感じだな。このポケモンもどきたちはタイプも違うらしい」

 

ボタン

「しかも冷静な解析」

 

ネモ

「よっし! 体力も戻ってきたし……他のポケモンが寄ってきちゃったけど、わたしたちなら大丈夫っ!」

 

イレギア

「そうだぜ——オレたちは無敵でスター!!」

 

ボタン

「……間に入るのは嫌だけど、うちも戦うから——!」

 

 

 

 

 

 彼の頭にはいつだって戸惑いと怖れが渦巻いていた。

 

 

 

 

 

 しかしそれではダメだと——変わらなければならないと、いつの日か理解していた。

 

 

 

 

 

 自分が変わらなければ…………何も変わらないのだと————

 

 

 

 

 




・没になったシーン

エリアゼロにてペパーが自分の過去について語り始める——

ボタン
「急な自分語りどうした?」

イレギア
「隙を見せるのが悪いんだぜ」

ボタン
「それはそう……誰なん?!」

イレギア
「オレだ!」

ボタン
「誰だ!!」

イレギア
「ぐわーイキリンコー!」

ペパー
「なんだったんだ……」

 没理由:アオイ目線では4人と1匹の物語であってほしいのとダレそうだから。



いやーエリアゼロ前はすごーく幸せそうだったねーだからバランス取ってすごーく不幸な目に遭ってもらうぞー

——そういえばイレギアのポケモンたちの性別とか決めてなかったなと思い、適当に決めときました。

デカグース ♂ 最初のバトルのヤングースが♂だったので。
イキリンコ ♂ まあ残当かな。
ギャラドス ♂ コイキング世代から髭が金色だったので。
ボーマンダ ♂ 雄大……♂やな!
シビルドン ♀ 紅一点が欲しいなって。
コレクレー なし 仕方ないね。
モトトカゲ ♂ 迷ったけどコインで決めたらこうなった。


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20.繧シ繝ュ繝ゥ繝憺亟陦帶姶?繧ウ繧、繝ウ縺ッ蜷帙↓險励&繧後◆?

 

 

 

—エリアゼロ ゼロラボ前—

 

 

 

ペパー

「戻ったかネモにボタン……——イレギアも!? なんでこんなとこに……!」

 

 残りを片付けたペパーが戻ってきた彼らを認め……イレギアを見つけるとぎょっとした。

 

イレギア

「ペパーとアオイが大穴に向かってるって思ってな……行ってみたらなんとっ、ネモとマジボスがいたんでスター!」

 

ネモ

「うんっ! それにボーマンダにも乗せてもらっちゃって~!」

 

ボタン

「うちはモトトカゲに……羽根飾りがもふもふしてて結構いいかも……?」

 

ペパー

「……で。イレギアはイキリンコと」

 

イレギア

「おう」

 

 イキリンコの足がイレギアの制服の裾を引っ張って飛んでいる姿はすごくシュールだと感じた。

 

イレギア

「よっと……で、ここが最深部ってことでいいのか? うひゃーなんだこれ、建物まで《テラスタル》してんのか?」

 

 道すがらネモとボタンの2人から色々と聞き出していた。4人が来た目的、エリアゼロについてなど……ともかく沢山。ネモには彼がチャンピオンになったことをそれはもう喜ばれ、エリアゼロから脱したらバトルしようと申し込まれた。

 

ペパー

「これもエリアゼロの影響だろうな……てか、いくら心配ちゃんだからって一人でここまで来るか? ……ケガとかなかったのか?」

 

イレギア

「まだペパーには言ってなかったが俺もチャンピオンになったんだぜ? まあ初めて見るポケモンもどきたちにゃそりゃあ驚いた。でもポケモンたちには戦ってもらってるし、もうだいぶ慣れた」

 

ペパー

「チャンピオンに……そりゃおめでとちゃんだな」

 

イレギア

「あんがと~、そういやペパーがいるってんならアオイもここに来てるはずだよな? どーこいってんだー?」

 

ペパー

「アオイなら……この中で戦ってるだろうさ」

 

 ペパーがゼロラボを悲しそうに眺める。

 

イレギア

「へえ……なら、さっさと行くんだな! 近くで応援してやれよ!」

 

ペパー

「ああ、そうさせてもらう……確かめたいこともあるしな」

 

ネモ

「イレギアはどうするの?」

 

イレギア

「俺はここで待ってる。せっかく4人でここまで来たんなら、ラストは4人で一緒にいるべきだスター?」

 

ネモ

「ええ~……わたしはイレギアと一緒が……」

 

ペパー

「まっ、コイツがそうしたいって言ってんだ。無理に誘う必要はないだろ」

 

ボタン

「そだね。それよりアオイの方が気になる……!」

 

ネモ

「ちょっと2人とも待ってっ! ……——また後でねーっ!」

 

 先を行ってしまったペパーとボタンを追うように、ネモはイレギアに手を振りながら駆けていった。

 

イレギア

「おーう! …………さて」

 

 ネモを最後に扉が閉じ、イレギアの周囲には洞窟本来の静けさが占めていた。

 

イレギア

「出てこいデカグース、ギャラドス、シビルドン。戻れモトトカゲ」

 

 しかしそこでイレギアは何を思ったか残りの手持ちを繰り出し、非戦闘員であるモトトカゲをモンスターボールに戻した。その目は遥か遠くの闇を見通しているかのようだった。

 

コレクレー

「クレー……?」

 

イレギア

「コレクレーはそのまま袋の中に居ろ。いいな?」

 

 彼は極めて優しく声をかけたが、その言葉には緊張がにじみ出ていた。

 

イレギア

「……………………——ギャラドスっ、俺の右側で『はねる』!」

 

ギャラドス

「ゴゴッ!」

 

 『何故か』は問わない。理由がなんであれギャラドスは彼に従う……彼を信じているが故だ。

 

 そうしてギャラドスが背ビレをくねらせた直後——斬撃が彼の元に飛んでくる!

 

ギャラドス

「ゴゴォ!!」

 

 それを理解したギャラドスは彼を庇った状態で『はねる』……斬撃を全身で受け流して離れた位置の結晶に傷を押し付けた!

 

イレギア

「なあんか嫌な雰囲気だったんだよ。どうりで……って感じだな」

 

 斬撃の飛んできた方角から——さらに今度は巨体が突撃してくる!

 

イレギア

「イキリンコ! さっきの斬撃を『ものまね』!」

 

イキリンコ

「『モノマネ』!」

 

 心得たとばかりにイキリンコが翼をはためかせ……先ほどの斬撃を再現して巨体に向けて飛ばした!

 

 するとその巨体は急激に旋回して近くの建物に張り付き、さっきの方角からは何者かが歩み寄ってくる……

 

 

 

テツノブジン

サナ————エル————

 

 

 

トドロクツキ

ボォォォ…………ッ!

 

 

 

 

 斬撃を放ったのはサーナイトとエルレイドを合体させたような機械のポケモン、突撃してきたのはボーマンダに似た巨大なポケモンだった。

 

イレギア

「なんつーか、見た目も嫌なヤツらだぜ……!」

 

 その2種とも関係のあるイレギアは苦虫を嚙み潰したような苦悶を浮かべる。

 

 この2匹もポケモンもどき——パラドックスポケモンなのだろうとは分かるが、それでも別格のオーラを纏っていた……!

 

イレギア

「ともかくだ……こいつらを片付けるぞみんな! アオイを、ネモを、ペパーを、マジボスを……守ってやろ——!」

 

 果たして、それだけではなかった。

 

 

 

——ドシンッ!!

 

 

 

 イレギアの近くに地響きとともに巨体が頭上から現れた。

 

 

 

ウネルミナモ

ズゥー…………ッ!!

 

 その牙の隙間からは蒸気のようなものが溢れている……!

 

 

 

 ——見たことがある……ジョウト地方おける、ホウオウが蘇らせたとされるポケモンの1匹——スイクンに似た、古代の姿をしている。

 

 

 

イレギア

「こいつはっ……!? いや——こいつらはッ!?」

 

 もう1匹、振り返れば結晶の上に鎮座していたのだ。

 

 

 

テツノイサハ

ビリ————

 

 音もなく、いつの間にかそこに立っていた。

 

 

 

 ——これも見たことがある……イッシュ地方における、災害からポケモンたちを救い導いたとされるポケモンの1匹——ビリジオンに似た、未来の姿をしている。

 

 

 

イレギア

「ふぅ…………!」

 

 全身から冷や汗が噴き出す……しかし彼は不敵な笑みを顔に貼り付けて、星型ゴーグルを慎重に装着する。顔を痛めることはなかった。

 

イレギア

「上等だぜエリアゼロ……ただし俺も全力で対抗するからな——!」

 

 イレギアの右手には《テラスタルオーブ》が握られている……彼がそれを起動して、光が収束したオーブをデカグースへと放り投げる!

 

イレギア

「俺もこの場で学んだんだよ……この場所は《テラスタル》のエネルギーで満ちてるってな!」

 

 彼は手元に戻ってきた《テラスタルオーブ》を再び起動! なんとまたもや光が収束していったのだ!

 

イレギア

「——まさか、こんなことができるなんて思わなかった……5匹全員《テラスタル》だぜ!!」

 

 《テラスタル》のエネルギーを受け取った5匹のポケモンたちがその身に眠るテラスタイプを覚醒させるッ!

 

 

 

イキリンコ ひこうテラス

「《テラスタル》————————ッ!!」

 

 

 

デカグース あくテラス

「グルル~~~~ッ!!」

 

 

 

ギャラドス くさテラス

「ゴゴゴッ……!!」

 

 

 

ボーマンダ はがねテラス

「ボォォォ————————ッッ!!!」

 

 

 

シビルドン でんきテラス

「シッ、ビビィ……!」

 

 

 

コレクレー

「クレー……!!」

 

イレギア

「おっととコレクレー、顔引っ込めてな——お前らも覚悟を決めろ……死に物狂いで戦ってもらうぜッ!!

 

 

 

 

 

ポケモンたち

「「「「「オオ————————ッ!!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

戦闘は熾烈を極めた!

 

 

 

 

 

しかし——やがて終わりが訪れる……!

 

 

 

 

 

イレギア

「今だイキリンコ!っ、もう一度『ものまね』だ!」

 

イキリンコ

「『ソウルクラッシュ』!」

 

ウネルミナモ

ズッ……!?

 

 ウネルミナモは急加速したイキリンコに『ハイドロスチーム』を避けられるだけでなく、すれ違いざまにフェアリーエネルギーの斬撃をもろに浴びせされてしまう!

 

イレギア

シビルドンっ、『ボルトチェンジ』でウネルミナモの前に!」

 

シビルドン

「ビビビッ!」

 

 シビルドンが抑え込んでいたテツノブジンに電気を纏った体当たりをぶつけ……掴んだその身体を思い切り突き放して高速に後退し、怯んだウネルミナモの前まで躍り出る!

 

イレギア

「喰らわせろ……『げきりん』!!」

 

 その勢いをドラゴンエネルギーを呼び起こして更に加速させ、シビルドンは両腕で激しくラッシュを仕掛ける!

 

シビルドン

「ビビビビィィィ————————ッッ!!!」

 

ウネルミナモ

ズズズゥ————————!

 

 ウネルミナモもまた『げきりん』で応戦するも……シビルドンは『ボルトチェンジ』によって両腕の動きがさらに俊敏になっていた!

 

シビルドン

「ビビィッ————!!」

 

ウネルミナモ

ズ……ズゥ…………!

 

 シビルドンの渾身の一撃を最後に、ウネルミナモは気絶してしまった……!

 

イレギア

ギャラドスは『じしん』! デカグースは『がんせきふうじ』!」

 

ギャラドス

「ゴゴゴ…………!」

 

デカグース

「グゥー!!」

 

 そしてイレギアは素早く2匹へと攻撃に指示を飛ばす!

 

テツノイサハ

ビリ————————

 

 しかしテツノイサハはそれを嘲笑うがごとく、軽い身のこなしで地震から逃れるだけでなく、落下する岩石に乗り移ってへと迫る…………がしかし——!

 

イレギア

ギャラドスッ! 『アクアテール』でデカグースを岩まで打ち上げろ!」

 

 それこそが彼の狙いだった。

 

 デカグースギャラドスの尻尾に抱きつき……ギャラドスがみずエネルギーの満ちた渾身の薙ぎ払いでデカグースを移動先の絞られたテツノイサハの元に飛ばす!

 

テツノイサハ

リリリ————

 

 しかしそれもまたあしらわれるように別の岩石に飛び移ることでやり過ごされ——

 

イレギア

「『とんぼがえり』!」

 

デカグース

「グルッ!!」

 

 ——ることはなく、岩石に身体をぶち当てるより先に足を付けたデカグースが跳ね飛んで、飛び移っている最中のテツノイサハにまで肉薄するッ……そこまで近くにいけば、デカグースがやるべきことは指示が無くとも理解していた!

 

テツノイサハ

リ————————

 

デカグース

「グォォォ~~~~ッッ!!!」

 

 鍛え上げられた【がんじょうあご】から放たれる渾身の『かみくだく』!!

 

 無防備な身体にそれを受けたテツノイサハは抵抗することなく地面に叩きつけられてしまい……それに対してデカグースはギャラドスが受け止めていた。

 

ボーマンダ

「ボォォォ————————ッッ!!!」

 

トドロクツキ

ボォォォ…………ッッ!!!

 

 一方でボーマンダとトドロクツキは空中での一騎打ち! ボーマンダは『ドラゴンクロー』を、トドロクツキは『つじぎり』で何度も火花を散らしてぶつかり合う!!

 

トドロクツキ

「ボォォ…………!!」

 

 このままでは相打ちになってしまう……絶対的な勝利を望んだトドロクツキが『かえんほうしゃ』で牽制して距離をおこうとした——しかしボーマンダは果敢にも『アイアンヘッド』で灼熱の中を突っ切っていった!

 

トドロクツキ

ボォッ!!? ——ボオッ!!

 

 はがねタイプに《テラスタル》したことでほのおタイプが弱点になったことを知っていたし——先ほどは避けていたために——トドロクツキは一瞬硬直する……その隙を穿つように『アイアンヘッド』が顔面をブチ抜いた!

 

ボーマンダ

「ボォォ————————…………ッ!!」

 

 しかしそれだけでは終わらない……! ボーマンダの口内ではドラゴンエネルギーが限界以上にまで膨れ上がっている——!!

 

ボーマンダ

「ボォォォォォォォォ~~~~ッ!!!」

 

 ゼロ距離での『りゅうせいぐん』を喰らわせる!!

 

トドロクツキ

ボ————————

 

 放たれた流星の勢いには逆らえず、トドロクツキは地面へと思い切り叩きつけられた!!

 

トドロクツキ

ォォ…………

 

ボーマンダ

「ボォォォォォ————————ッッッ!!」

 

 ボーマンダの雄叫びが天高く轟く————!

 

テツノブジン

サ————エ————————!

 

 地上では同刻、テツノブジンが『インファイト』にて他の4匹を一斉に吹き飛ばした!

 

イレギア

イキリンコ! 俺に向かって『ブレイブバード』!!」

 

イキリンコ

「キィッ…………『ブレイブバード』ッ!!」

 

 なんとか空中に逃れたイキリンコに向けてイレギアが指示を飛ばす——イキリンコは一瞬だけ躊躇うも、イレギアへとひこうエネルギーが纏った雄々しい翼をぶつけ——る前にイレギアが回避し、イキリンコの両足を掴んだ!

 

イレギア

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

イキリンコ

「キィィィ…………ッ!!」

 

 そのままイレギアの足を軸に超回転! イキリンコは既に目をつぶってひたすらに加速して身を委ねていた。

 

テツノブジン

————————!

 

 そしてテツノブジンは得物を構えてそれを待つ……!

 

イレギア

「真っ直ぐだ……ひたすら直進だイキリンコッ!!

 

イキリンコ

「キィ~~~~ッッ!!!」

 

 そして————放つ!!

 

テツノブジン

エル————————!

 

 超速度のイキリンコを薙刀にて切り裂く——!

 

テツノブジン

————————ナ

 

 ……しかし、イキリンコが刹那の差でそれを潜り抜ける! 反動を受けながら《テラスタル》の光を散らすイキリンコの後ろ、糸が切れたようにテツノブジンが倒れるのだった……

 

 

イレギアたちの 勝利である!

 

 

イレギア

「よくやったぜぇイキリンコ……! 流石は俺の、相棒……」

 

シビルドン

「シビビ……」

 

 倒れかかったイレギアをシビルドンが背後から抱き受ける。彼女自身もふらついていた。

 

コレクレー

「クレー……」

 

 彼が肩から下げていた麻袋からコレクレーが心配そうに顔を出す。

 

イレギア

「すまねえシビルドン、ありがとう。問題ねえぜコレクレー……と言いたいとこだが、攻撃の余波だのを避け廻っては指示飛ばして——へっへっへっ……天才のオレでもかなり堪えたみたいだぜ……!」

 

 尻もちをついてゴーグルを外した疲れ眼のイレギアの元に、千鳥足ながらもポケモンたちが集まってくる。《テラスタル》の冠は光となって霧散していった。

 

デカグース

「ググ……」

 

イレギア

「心配すんなってみんなっ、すぐに……ほれっ、もう立てるくらいには休めたさ!」

 

ボーマンダ

「ボォォ! ボォォ!」

 

イレギア

「ワハハハハハハ!! これにて一件落着! 後はアオイたちが上手くやってることを祈りながら待つだけ……!」

 

ギャラドス

「ゴゴッ~……!」

 

イレギア

「おいおいおいおい……ギャラドスの勝利の『はねる』ってかあ~っ!? こいつは縁起がいいぜ!」

 

コレクレー

「クレッ、クレー!!」

 

 彼も、ポケモンたちも、皆それを見て大口を開いて笑い合った。勝利の喜びと多大なる達成感にその身を浸らせながら——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラドス

ゴゴッ……! ゴ————」

 

 ギャラドスの巨体が遥か先の洞窟の壁にまで叩きつけられる。

 

 ——そして、衝撃にあんぐりと口を開けた。

 

イレギア

「…………え?」

 

シビルドン

「ビ————」

 

 そして次にシビルドンもまた謎の圧力によって建物へと吹き飛ばされる。

 

デカグース

「ググ……————」

 

 それを目で追っていたデカグースもまた、結晶に身体をぶち当てることとなる。

 

イキリンコ

「キィ————!」

 

 イキリンコはイレギアの元に向かう最中、地面に思い切り撃ち落される。

 

ボーマンダ

「ボォォッ————————!」

 

 未だ姿を現わさない謎の敵に威嚇せんとボーマンダが吠えるも、為す術なく下からの殴りつけるような圧力に打ち上げられ……そして放心状態のイレギアの足元に落ちて地響きを立てる。

 

イレギア

「あ……え…………」

 

 一瞬のうちに、彼の手持ちが全滅した。

 

 元々戦いの終わりで弱っていたのもあったろう。しかしこうまで突然、そしてあっさりと鍛え上げた自分のポケモンをきぜつに追い込まれたことに、彼はこれ以上にないくらい呆けていた。

 

 

 

 

 

 やがて……それは姿を現した。

 

 

 

 

 

ネモ

「そういえばさ、ペパーが襲われたポケモン? って、結局どのポケモンだったの?」

 

ペパー

「ずかずか聞くな……」

 

ボタン

「エレベーターに乗ってる時間は確かに暇だけど、それ普通聞く?」

 

ペパー

「…………いや、オレも言いたかった」

 

ネモ

「お、やった」

 

ボタン

「え……良いん?」

 

ペパー

「それがな……どいつもこいつも違かったんだ」

 

ネモ

「違う?」

 

ペパー

「ああ……言ったろ? 凶暴で荒々しくて、でも鉄っぽくって機械みたいなって

 

ボタン

「ってことは……複数に襲われたとかじゃないん?」

 

ペパー

「それが——1匹なんだ

 

ネモ

「1匹? つまり……古代で、未来?」

 

ボタン

「そんなんありえんし……だって博士はそれぞれの時代から連れてきたんでしょ? だったら……」

 

ペパー

「そうなんだよ……ありえないはずなんだ……でも確かに、あれは——!」

 

 

 

 

 

???

濶ッ縺?オカ譛帙r隕九○縺ヲ縺上l繧

 

 

 

 

 

その姿は——異質だった。

 

さっきまで異質な姿のポケモンを見てきた上で、それは格段に異質だった。

 

大昔のムカデのような巨体が、鉤爪が生えた目玉のような6つの衛星とともに浮遊しているのだ。声もノイズめいた別の言語のように聞こえる。

 

 

 

——古代と未来が融合したその風貌を、果たして異質でないと言い切れるだろうか。

 

 

 

イレギア

「あ…………」

 

 

 

胴体から伸びる6つの歪な翼、暗闇から覗くような赤い瞳と嗤っているような口の模様——本能的に恐怖を、絶望を叩き込まれるような存在。

 

 

 

脳裏に過ぎるのは……シンオウ神話における、創造神アルセウスにこの世界から追い出され、別の世界からこちらを監視し続けるポケモン——ギラティナ。似たポケモンに当てはめるとその姿は『アナザーフォルム』と『オリジンフォルム』が混じったようにも思える。

 

 

 

仮称を付けるならば、特徴的なその6つの眼になぞり——クロガネノメとするべきか。

 

 

 

クロガネノメ

縺励°縺、縺雁燕縺ョ闍ヲ謔カ縺梧怙繧らオカ譛帙r逕溘∩蜃コ縺

 

 聞いているだけで気が狂いそうなその鳴き声。クロガネノメはその口に何かを——ゴーストエネルギーに似たものが収束して禍々しい巨大な針を形成する。

 

 

 

——アレに触れてはならない。本能がそう叫ぶ。

 

 

 

クロガネノメ

『繧キ繝弱そ繝ウ繧ウ繧ッ』

 

イレギア

「————————!!」

 

 その刹那、イレギアはクロガネノメへと弾けるように接近する! 撃ち出された針は、瞬きの間で彼がさきほど居た場所に突き刺さり——霧散した。

 

イレギア

(ポケモンたちは起きないッ——俺がやるしかねえ!!)

 

クロガネノメ

諢壹°縺?縺娯?ヲ窶ヲ縺昴l繧り憶縺

 

 全速力で駆け抜けるイレギアに向けて、クロガネノメの6つの眼球衛星が鉤爪を広げ——『あくのはどう』を放った!

 

イレギア

「うおっ————————!?」

 

 強力な重力波となったその波動を受けて、イレギアはゼロラボの操作機器に背中をぶつけてから壁に衝突してしまった……!

 

イレギア

「ってえ…………なあっ……! うおおおおおおおおお~~~~ッ」

 

 しかし彼は再び立ち上がり、クロガネノメへと駆けていく。

 

クロガネノメ

雜ウ謗サ縺上?繧ゅ∪縺溯憶縺

 

 クロガネノメはまたも眼球衛星から『あくのはどう』を放つ……しかしイレギアはそれらを避けて進む!

 

イレギア

「波動は範囲が限定されてる……その間を縫っていけば問題ねえ!」

 

 彼はクロガネノメを鬼の形相で睨み、歯を食いしばって全身を前へと押し上げていく。クロガネノメは空中に静止したまま眼球衛星の攻撃を続けている。

 

 

 

 

この先には決して行かせはしない!

 

 

 

 

アイツらはアイツらで戦っている——ここで俺が倒れたらアイツらも襲われちまう!

 

 

 

 

いいや……俺も倒れるワケにはいかねえ!

 

 

 

イレギア

(約束したんだ、ネモと…………決めたんだ——!)

 

 走馬灯のように脳裏に過ぎるのは——ネモとのポケモンバトル。

 

 今まで見たどの笑顔よりも煌めていて……眩しかった。

 

 

 

 

 

 

好きになってしまった。

 

 

 

 

 

イレギア

(この想いを伝えずにッ……倒れてたまるかァァァ————————————————ッッ!!!

 

 『あくのはどう』を避け切り、ついにクロガネノメの眼前に迫った彼は——大きく飛び跳ねてその巨体を殴りつける!

 

クロガネノメ

縺サ縺

 

 蚊ほどにも効いていない——だが彼の目的は別であった。

 

イレギア

「お前もポケモンならよォ…………ゲットできるはずだろ…………!!」

 

 彼の殴りつけたその手にはマスターボールが握られている——スイッチを押された紫色のボディがぱかりと開かれ、クロガネノメの巨体と6つの眼球衛星を吸い込んでいく……!

 

 彼の家に飾られていた物で——パルデアにもしものことがあった時のために母が取っておいたものだ。

 

 それを彼は持ち出し、愚かにも使ってしまったのだ。

 

イレギア

「ぅわ……っ!」

 

 空中でなんとかして受け身を取って地面に激突。腹から空気が押し出される。

 

イレギア

「ってえ……けど、これでっ…………!」

 

 イレギアは痛む身体を無理やり起こして立ち上がる……一刻も早く家に帰るのだ。

 

 ゲットしてしまったこのポケモンを母を通じてポケモンつかいに処理を任せる——そしてアオイたちの身の安全を保障してもらって……それで…………

 

イレギア

(とにかく……早く……っ!)

 

 

 

 

 

 

ピキッ

 

 

 

 

 

イレギア

「……!?」

 

 薄氷を踏むような、鈍く高い音が——彼の手元で鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

パキィ……!

 

 

 

 

 

 ……マスターボールにヒビが入っていたのだ。

 

イレギア

(な、にィ…………ッ!!?)

 

 どうすればッ…………! 彼が必死に脳を回転させて解決策を練——

 

 

 

 

 

 

バキッ!!

 

 

 

 

 

 

マスターボールが弾け飛ぶ!

 

 

 

 

 

クロガネノメ

雋エ讒倥?邨カ譛帙r隕九○縺ヲ繧ゅi縺」縺

 

 暴風と衝撃に吹き飛ばされるイレギアに向けて、ボール内で構えていたクロガネノメが再び禍々しい巨大な針を生み出しており————!!

 

クロガネノメ

『繧キ繝弱そ繝ウ繧ウ繧ッ』——縺輔i縺ー縺?

 

 空中に放り投げだされ、何もできない状態のイレギアへと針が襲い掛かる!

 

 

 

 

 

コレクレー

「クレ————————!」

 

 しかしイレギアがずっと肩から下げて守っていた麻袋の内側から、コレクレーが彼に『たいあたり』して針から逃れる!

 

イレギア

「うっ————! ぁ…………」

 

 だがイレギアは受け身も取れずに結晶に衝突——短く唸ると意識を失ってしまった。

 

コレクレー

「クレー……ッ! クレ~!! クレ~~~~ッ!!」

 

 麻袋の口が開いて、大量の金貨に流されながらコレクレーが出てくる……コレクレーがいくら呼びかけても返事はおろか反応もない。

 

クロガネノメ

縺セ縺?谿九j縺悟ア?◆縺

 

コレクレー

「ク…………レッ……」

 

 コレクレーが怯えて震えながらもクロガネノメに振り向く……その姿を見た瞬間、恐怖に歪んだ顔で座り込んでしまう。

 

クロガネノメ

蜒・蛟悶□。蝟ー繧峨≧邨カ譛帙′繧ゅ≧縺イ縺ィ縺、

 

 それをまるで気にも留めず、クロガネノメは再びを生み出す……イレギアに死を宣告するように——

 

コレクレー

「ク……レェ…………!」

 

 コレクレーは足腰を震えさせながらも立ち上がる。引けた腰で、ブレる両腕を広げ——最初に出会った時のイレギアのように『とうせんぼう』をするように。

 

 ただしイレギアが自分を逃がさないようにしたのと違い、後ろにいる彼を守るために行なっていた。

 

クロガネノメ

雜ウ謗サ縺阪?縺?▽隕九※繧らエ?譎エ繧峨@縺?b縺ョ縺?

 

 クロガネノメから見ればそれは取るに足らない存在——矮小で、脆弱で、無意味なものだった。

 

コレクレー

「クレッ——…………!」

 

 ふと視線が彷徨い、倒れた仲間たちへと漂う。

 

 あんなに尊敬していた彼らが無残にも倒れ伏している。一番頼れる存在は——自分の後ろで呻いてすらいない。

 

 誰にも助けを求められない。

 

 

 

 誰も助けられない。

 

 

 

 

 

 目の前にあるのは……強大で、冷徹で、残酷な——『』そのものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——それでも、助けたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャリン

 

 

 

 

 

 

リ…………!!!

 

 

 

 

 

クロガネノメ

縺ェ繧薙□

 

 地面に撒き散らされたコインが次々と空中に浮かび上がっていき……コレクレーの周りを旋回していく。

 

 

 

 

 

「コインヲ……モットコインヲ寄越セェ……ッ!!」

「欲シイ————————欲シイ————————!!」

 

「コノガキィ……私ノ金貨ヲ飲ミ込ンダノカッ……!」

 

「助ケテクレ! 嫌ダッ……モウ探シタクナイ……!!」

 

「許サナイッ——殺セ!! 全テ……命ゴト奪イ取レッ!!」

 

「金貨ヲ壊セッ!! ソレデ終ワラセロ————————!!」

「コレハ……コノコインハ…………——モット集メナイト……!!」

 

 

 

 

「コレデッ……世界ハ私ノモノダァァァ————————ッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 ……思い出すのは、あの恐怖。

 

 

 

 

 

 だけど……それでも…………!

 

 

 

 

 

 みんなを失う恐怖なんかよりはずっと良い————————!!

 

 

 

 

 

クロガネノメ

『繧キ繝弱そ繝ウ繧ウ繧ッ』

 

 イレギアに向けて針が放たれる——それと同時に999枚のコインがコレクレーへと集まった!

 

コレクレー

「クレ————————ッ!!!」

 

 黄金の輝きがクロガネノメの闇を照らす……!

 

 

 

 

 

 眩いそれが晴れたそこには——

 

 

 

 

 

???

「…………クレ」

 

 

 

 

 

自分は…………サーフゴーに進化していた!

 

 

 

 

 

サーフゴー

「クレッ!」

 

 大きく伸びたその手で受け止めた針を掴んで霧散させる!

 

 

その【おうごんのからだ】に『死の恐怖』は届かない!

 

 

サーフゴー

「クレ……!」

 

 イレギアへと振り返り……ほっと一息撫でおろす。そして彼の近くに転がっていた、自分が入っていた麻袋を拾い上げて腰に掛ける——これでもう大丈夫

 

サーフゴー

「クレッ!!」

 

クロガネノメ

邨カ譛帙?邨ゅo繧峨↑縺

 

 駆けるサーフゴーに向けて眼球衛星が『あくのはどう』を放つ!

 

サーフゴー

「クレ————————!」

 

 そこで思い出すのは……あの日見た、白い世界を自由に駆けるあの姿——!

 

 

 

 

 

過去のグルーシャ

「ぼくに勝てるやつがいたら、いつでも挑戦受けてたつぜ!」

 

 

 

 

 

その願望がサーフゴーの足元に黄金のスノーボードを出現させる!

 

サーフゴー

「クレッ、クレ~~~~ッ!!」

 

 自身からあふれ出るゴーストエネルギーが推進力となり、空までも駆け抜けて『あくのはどう』を避けて前へと進んでいく!

 

 そう……イキリンコのようにすばしっこく!

 

クロガネノメ

縺ェ縺九↑縺九d繧

 

 クロガネノメは6本の歪な翼を一点に集めて闇の波動を生み出し——サーフゴーへと撃ち込む!!

 

サーフゴー

「クレ…………ッ!」

 

 しかしサーフゴーは真っ直ぐ波動へと進む……決して怯まず相手に食らいつくデカグースのように!

 

 そして脳裏に過ぎるのは彼——

 

 

 

 

 

イレギア

「じゃーん! 見てみろコレクレー、これがわざマシンだ!」

 

コレクレー

「クレー?」

 

イレギア

「へっへーん! コレクレーだって何かしら戦える手段は持つ方がいいとは考えた……でもまっ、それなら自分を守る手段を確保した方がいいからな! それを見越して2枚もくれてやる——!」

 

 

 

 

 

サーフゴー

「クレクレー!」

 

 右手に『リフレクター』、左手に『ひかりのかべ』を展開し、目の前に構える! それもより前方へと進むために壁で眼前に鋭角を形取ったのだ!

 

 ——ギャラドスの『はねる』のような柔軟さがそこにはあった。

 

サーフゴー

「クレ~~~~ッ!!」

 

 闇の波動がそれらに阻まれて散らされる——そしてサーフゴーはボーマンダのような力強い突進力で翼の先へ……クロガネノメの身体にまで迫った!

 

サーフゴー

「クレレ…………!」

 

 サーフゴーの身体が再び黄金に光り——新たに得たはがねエネルギーがコインとなって止めどなく形成されていく……後はシビルドンの電撃のように放つだけ————!

 

サーフゴー

「クレェェェ————————ッッ!!!」

 

 

サーフゴーの ゴールドラッシュ!

 

 

クロガネノメ

————————!

 

 大量のコインをその身に受け、クロガネノメは少しだけ呻く……!

 

サーフゴー

「クレ……ェッ……!」

 

 サーフゴーがしてやったり顔になる……しかし脱力感が急に襲い掛かり、スノーボードの形状を維持できずに消してしまった。

 

 このままでは地面に衝突してしまう——それこそ初めて空を飛んで落ちているので、慌て切ってしまっていた。

 

サーフゴー

「ク…………レェ?」

 

 しかし、サーフゴーが硬い地面にブチ当たることはなかった……というより、何者かに落ちる途中でかっさらわれて空を飛んでいるような——

 

 

 

 

 ——いや、突風がふきすさぶこの感覚は……!

 

 

 

 

 

ボーマンダ

「ボォォォ————————ッッ!!!」

 

 ボーマンダだ! サーフゴーを鼓舞するように彼が雄叫びを上げる!

 

サーフゴー

「…………クレ!?」

 

 でもどうして——サーフゴーが眼球衛星の『あくのはどう』から避けていくボーマンダにしがみつきながら問いかけた。

 

ボーマンダ

「ボォォッ!」

 

 彼は地上を見るように促す。

 

 するとどうだろう——何者かがみんなを回復させていたのだ!

 

 誰が……いや、そんな疑問が浮かぶよりも先にサーフゴーはその姿を目に収めていた。

 

 誰よりもイレギアに忠実で、みんなを陰から支えていた彼もまたこちらに向かって叫ぶ——!

 

 

 

 

 

モトトカゲ

「アギャ————————!!」

 

 イレギアが冒険の途中で傷ついてポケモンを治療するのをモトトカゲはずっと見てきた。道具の使い方も、治し方も……彼の器用な手があればそれが可能だった。

 

デカグース ギャラドス イキリンコ シビルドン

「グーグー!!」「ゴゴゴ……!!」「キィーッ!!」「シビビィッ!!」

 

 デカグースが『がんせきふうじ』でクロガネノメを攻撃!

 

 岩石を闇の波動で阻んだそこへギャラドスが『こおりのキバ』で噛みつく!

 

 そちらに気を取られたところでイキリンコがコピーした『ソウルクラッシュ』を喰らわせる!

 

 両者が離れた隙にシビルドンが『ほうでん』を浴びせる!

 

サーフゴー

「クレ、クレー!」

 

ボーマンダ

「ボォッ!」

 

サーフゴー

「クレ~ッ!」

 

 ボーマンダに煽られ、サーフゴーは全身から『きんぞくおん』を鳴り響かせる——眼球衛星たちが怯んだところでボーマンダが『りゅうせいぐん』を放って6つ全てを吹き飛ばした!

 

サーフゴー

「クレー!!」

 

モトトカゲ

「アギャス!」

 

 地上に戻ったボーマンダから飛び降り、サーフゴーがモトトカゲに抱き着いた。コレクレーの時には絶対に為し得なかったことだ。

 

クロガネノメ

縺薙l縺ッ……諠ウ螳壻サ・荳翫□

 

 驚いたように、しかし興奮するように……クロガネノメは咆哮をエリアゼロに轟かせる——!

 

サーフゴー

「クレ!」

 

 サーフゴーが仲間たちに『リフレクター』と『ひかりのかべ』を展開する——もちろん、眠りこけているイレギアにもだ。

 

モトトカゲ

「アギャ……!」

 

 モトトカゲはそんなイレギアを背負って安全なところに避難する。

 

サーフゴー

「クレ——クレ~~~~!!」

 

 

 

 

 

ポケモンたち

「「「「「オオ————————ッ!!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 各々の意思で考え、わざを繰り出していく——イレギアならばこうする、彼ならきっと諦めずに突破口を見つける……そう考えて戦い続けていくのだった————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—エリアゼロ ゼロラボ前—

 

 

 

アオイ

「ふう……静か、だね……」

 

コライドン

「アギャ……」

 

 最終決戦を終え、ゼロラボから歩いていくアオイは溜め息をひとつ零した。その隣には3人の仲間と1匹の相棒がいる。

 

ボタン

「あれで……ペパーは良かったの?」

 

ペパー

「…………良くはないけど、あれで良い」

 

アオイ

「ペパーが言うなら……そっか」

 

ネモ

「あれ……イレギアは?」

 

アオイ

「イレギア? まさかこんなところにまで……」

 

ペパー

「そんな嫌な顔すんなよ。心配してきたんだと」

 

ボタン

「でもいない……まさか、もう帰ったとか?」

 

ネモ

「ええー……帰ったらすぐに戦いたかったのにっ、チャンピオン同士の大決戦!」

 

アオイ

「えっ!? ……まあ、イレギアさんならチャンピオンにもなるか」

 

 その言葉にペパーとボタンは向かい合って笑い、ネモはどこか誇らしそうに頷いている。

 

アオイ

「——ん?」

 

 故にこそ、アオイしか見なかったのだろう。

 

 黄金色で長身の……ポケモン? ゼロラボの影からこちらを覗いていた。

 

アオイ

「あっ、隠れちゃった……」

 

ボタン

「アオイどうしたん?」

 

アオイ

「なんかポケモンっぽい何かが……」

 

ペパー

「ここはエリアゼロだからな。そんなのいくらでもいるだろ」

 

ネモ

「それより早く帰ろっ! イレギアとのバトルが今から楽しみだな~っ!」

 

ペパー

「生徒会長はいつでもバトルばっかだな……落ち込む気にもなれねえや」

 

ボタン

「せっかくだしどっか寄ってく?」

 

アオイ

「確かにこのまま帰るのも味気ない気がして——コライドン?」

 

 ふとコライドンが立ち上がり、結晶に飛び乗っては高く高く跳んでいく。

 

 辺りが見渡せる位置にまで登り切ると——近くにいるはずの『同胞』に向けて——叫ぶ。

 

 

 

 

 

コライドン

「アギャ————————ッッ!!!」

 

 

 

 

 

アオイ

「コライドン……!」

 

ペパー

「元に戻れて大喜びちゃんだな!」

 

ボタン

「勝利の凱旋って感じだね」

 

 笑みを浮かべる3人に対し、ネモは何やら不安気な顔になる。

 

ネモ

「…………イレギア」

 

 誰何の声はコライドンの雄叫びに消えていった。




タイトルの文字化け前は『ゼロラボ防衛戦!コインは君に託された!』となってます。
なんでわざわざって? ……かっけーじゃん。

クロガネノメ ゴースト/あく
とある探検記にも あらゆるオカルト雑誌にも 一切の記事がない 未発見の 存在で 語られていないのは 目撃者が皆 行方不明に なっている ためだろう

ギラティナのような姿をしたパラドックスポケモンだが、『こだいのすがた』と『みらいのすがた』の入り混じった矛盾だらけのものとなっている。その風貌は大昔の巨大なムカデ、鉤爪の生えた眼を模った6つの人工衛星とともに浮遊させたようである。
名前の由来——イレギアが名付けたワケではないが——は『黒鉄の眼』とある意味では仮称に近い。
ギラティナを選んだ理由としては、スカーレット(Scarlet)とヴァイオレット(Violet)の中間……つまり緑(Green)の頭文字を持つ伝説のポケモンであるギラティナ(Giratina)となりました。他にもゲノセクトがいたけど、化石枠やし違うかなって。

シノセンコク ゴースト 変化技 命中率90
相手をのろい状態にする。
喰らった者は徐々に衰弱し、やがて心の方から消えて死に至る。しかしクロガネノメは相手が複数で互いに信頼関係のある存在にしかこれを使わない。死にゆく者に対して何もできずにいる者たちの絶望を喰らうためだ。

そういうわけで正式にサーフゴーをお出迎えとなりました。最後の最後でモトトカゲも大活躍! いや~めでたしめでたし!


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21.無謀?希望!イレギュラーなその名はイレギア!

 

 

 

 

 

—アップルアカデミー—

 

 

 

ネモ

「学校最強大会! 参加者募集してまーす!」

 

生徒

「バトルスクールウォーズ、良かったら見てってくださーい!」

 

生徒

「お前らも最強になってみねえかー!」

 

 ネモと有志の生徒たちがビラを配っていく。

 

生徒

「へえ~見るだけでもいいかも!」

 

生徒

「新たなチャンピオンが生まれた記念に……先生たちも戦うの!?」

 

 ——あの日から、数日経った。

 

 わたしの提案がまさかここまで発展するなんて……とても嬉しい反面、気がかりがあった。

 

 

 

 

 

あの日からイレギアを見ていない。

 

 

 

 

 

 アヤセちゃんに聞いてもどこにいるか分からないという。

 

アヤセ

「そもそも先輩がどこにいるかなんて誰がわかるっていうんです?」

 

 それは……たしかに。

 

アヤセ

「それに、そんなに知りたいんだったら直接聞けばいいじゃないですか」

 

ネモ

「聞いても……言えないって」

 

アヤセ

「あらま……でも、先輩ですよ? きっとそのうち知らん顔して帰ってきますよ……それよりっ! 聞いてくださいよ〜! ハッサク先生にバンドのこと聞いたら、なんだって大会で演奏してみようって! 場所までセッティングさせてるし……なんですかあんなに張り切っちゃって! なんとか言って中止させてくれませんか!?」

 

ネモ

「あはは……問い合わせておくねー……」

 

 今、彼はどこで何をしているのだろうか。探したい気持ちはあるけれど、自分の一言で始まってしまった学校最強大会の事務作業が山程あるのでほっぽり出すわけにはいかない。

 

ネモ

「こういう時、生徒会長って面倒だなって思うな〜……」

 

 誰もいない生徒会室で、1人呟く。

 

ネモ

「…………」

 

 ……彼がいたら、なんて返してくれたんだろう。

 

 

 

 

 

イレギア

『ようネモ! 困ってるなら俺が助けてやろうかあ〜っ? なんたって俺はアカデミーの人気者! ここで生徒会長を助ければさらに人気も爆上げでスター!』

 

 

 

 

 

 だろうか。

 

 

 

 

 

イレギア

『だったら俺に席を譲ってみまスター? トーゼン厳正たるポケモン勝負で俺が勝ったらな!』

 

 

 

 

 

 だったり、するのだろうか。

 

ネモ

「ふふっ……」

 

 思わず笑みがこぼれてしまう。同時に静かさが耳に響く。

 

ネモ

「…………」

 

 呼吸がしづらくなって鼻を啜る。少し、湿っている。

 

ネモ

「…………〈会いたいな〉」

 

 震える指で送信しようとして——削除する。

 

 

 

—アップルアカデミー ネモの部屋—

 

 

 

ネモ

「ん〜っ……! 終わったぁ……!」

 

 暗くなるまで事務を終えていよいよ明日、学校最強大会が催される。

 

 ……企画書のほとんどにバトルスクールウォーズと銘打たれていたのは少し癪だったけど、気にするほどでもない。

 

 ベッドに腰掛けて……ほっと一息。

 

 ふと、静かな部屋を見渡す。

 

ネモ

「…………なんにもない」

 

 実家に帰った時の自室と同じ……空っぽだった。詳しく言えばポケモンフードのダンボールが山積みになってるのと、チャンピオンランク取得のトロフィーとか色々と飾られている。

 

 しかしそれでも——人が住むには、少し足りない。

 

 趣味という趣味はなかった。生まれてから家の中で、スポーツをこれといってしたこともなければ友達もいなかった。

 

 1人でずぅっとポケモン勝負ばかりだったし、それでもボールを投げる力も弱いから腕のサポーターは欠かせない。

 

ネモ

「…………」

 

 私には……ポケモン勝負しかない。今までも、これからも。

 

 そのポケモン勝負も幼い頃からの成果に過ぎないし、イレギアはそれをすぐさま駆け上がっていった。

 

 イレギアの一歩は、わたしよりも遠い。先に歩いていた分わたしは先に居たけど……もう追いつかれてしまってると思う。

 

 ふとベッドに倒れる。疲れた。眠い……お風呂に入って、着替えて、寝て、目覚めて。

 

ネモ

「わたしも戦りたかったな」

 

 当日も忙しい。見回りもあれば他の仕事もある……大会に煽られて生徒が模擬店を出したりもしていたのだ。

 

ネモ

「イレギアと、周りたかったな……」

 

 目を閉じる。意識が沈みそうになって、再び開く。大きく息を吸って、身体を起こす。

 

 何気ない動作。生徒会の仕事も、それと同じようにこなすだけだ。

 

 淡々と、いつも通り、ひたすら……

 

 

 

 

 

 ——入学してからやってきた通りに。

 

 

 

 

 

 ネモはずっと独りだった。

 

 幼い頃から身体が弱く、家の敷地外に出ることは少なかった。しかしポケモンたちが居たから楽しく過ごせていた。

 

 楽しく……ひたすら楽しく過ごしているうちに、チャンピオンにまで昇り詰めた。

 

 しかしその『楽しい』は理解されることなく、何をしても『才能があったから』『家が裕福』だからと一蹴される。

 

 ネモの心の孤独は拭えなかった。彼女の理解者は訪れなかったのだ。

 

 

 

 

 

 イレギアはずっと一人だった。

 

 幼い頃から志が高く、どこにいても楽しんで活躍してみせた。しかし彼にずっとついていくような人はいなかった。

 

 楽しく……ひたすら楽しく過ごしていくうちに、チャンピオンにまで昇り詰めた。

 

 しかしその『楽しい』は理解されることなく、何をしても『お前ならなんだってやれる』『驚くけど納得』と一蹴される。

 

 イレギアの心の孤独は拭えなかった。彼の理解者は訪れなかったのだ。

 

 

 

 

 

今までは——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—アップルアカデミー 廊下—

 

 

 

ネモ

「お祭りの後ってしんみりしちゃうけど……こういうのもいいんだねっ」

 

アオイ

「私も……今日はいっぱい楽しめたよ。ありがとう、ネモ」

 

ネモ

「良いって! それじゃ……また明日!」

 

アオイ

「うん、じゃあね!」

 

 ライバルの彼女が手を振って別の道を進む。

 

 窓辺の夜闇を蛍光灯が照らす。静かな廊下ですぅっと一息零す。

 

 

 

 ——学校最強大会は盛大に盛り上がった。

 

 

 

 先生たちのポケモン勝負を見たのは初めてだったし、こういう文化祭……とは違うけどお祭りムードなものも初めて経験した。

 

 裏方だったし忙しかったけど……それでも、楽しかった。

 

 楽しかった…………ハズだったんだけどなあ…………

 

 

 

 

 

 ——イレギアと、楽しみたかったな。

 

 

 

 

 

 彼と観戦して、あの戦法は自分ならどう突破するかなんて——彼と出店を巡って、全部攻略していく彼にヘトヘトになりながらついて行ったり——結局アヤセちゃんたちがバンド演奏してるのを見て、すごいすごいって言い合ったり——……それで、それで、それで————

 

ネモ

「————————」

 

 窓が自分の姿を映し出す——こんな顔を彼に見られたら心配させちゃうな。心配するのはわたしの方なのに。

 

 ……ふと、導かれるように歩き出す。

 

 向かう場所は……頭になかったけど、決まっていた。

 

 

 

—アップルアカデミー 階段下—

 

 

 

ネモ

「ふう…………!」

 

 階段途中で休んだりしながら階段を駆け下りていく。

 

 すっかり日は落ちて、生徒たちも捌けてしまっている。

 

 一陣の風が汗ばんた額を撫でる……少し冷たい。季節の変わり目を感じさせる。

 

 そろそろ生徒会は林間学校の準備をしなければならない。行先は確か……なんだったっけ。

 

 何処だっていい。彼と……過ごせるなら——何処だって楽しくなる。

 

ネモ

「…………」

 

 どうしてここに来たんだろう。ここからさらに下ればテーブルシティのバトルコートがある……でも向かう場所はそこじゃない。今立っているこの場所なんだ。

 

 

 

 

 

 ここは……そう——彼と出会った場所。

 

 

 

 

 

 会えるかも——なんて、思ってもみたけれど……

 

 

 

 

 

 やっぱり無理なのかな…………

 

 

 

 

 

ネモ

「…………はあ」

 

 ふと、溜め息が零れる。

 

 

 

 

 

 急に全てが億劫に、退屈に思えてしまった——

 

 

 

 

 

???

「おいそこのお前! 今、退屈だ……なんて思わなかったか?」

 

 

 

 

 

 ——そんな心を勝手知らず、わたしに声がかかる。

 

ネモ

「あ——…………」

 

 振り返って……その姿を認める。

 

 スター団のマークが描かれたヘルメット、特徴的な星型のゴーグル、決まった着崩し方のある制服……そして、何度だって見たあの不敵な笑み。

 

ネモ

「あ、ああっ……えと……」

 

 言葉が出ない。色々と喉につっかえて苦しい。

 

したっぱB

「へっへっへっ……俺は泣く子も笑うスター団のしたっぱ! 本来は勧誘したいところだがもうスター団は無くなってるから誘う居場所がねえ……そこで天才的な俺は考えた——見よっ……!」

 

 大袈裟な動きで彼が振りかえって、それを見せる。

 

 それは——いつも使っている空飛ぶタクシー。ただしイキリンコは留まっていなかった。

 

したっぱB

「行き場所はお前に選ばせてやる……おっと拒否権は無いぜ? 逃げようもんならこの場でポケモン勝負でスター!」

 

ネモ

「……っ!」

 

 彼の言葉で、全てを悟る——わたしが伝える言葉は決まった。

 

ネモ

「それなら……うん、ぴったりの場所があるよ……」

 

 ゆっくりと噛み締めるように告げる。約束したもん——誰にも邪魔されない場所で二人だけで戦ろうって。

 

したっぱ

「おっ! それならさっさと席に乗りな! ただしイキリンコじゃなく——ボーマンダだがな!」

 

 

 

—コサジタウン 浜辺のバトルコート—

 

 

 

したっぱB

「よっ……と! 無事とうちゃーく! ……ここで合ってるよな?」

 

ネモ

「うん。大丈夫だよ」

 

 運転席から彼が飛び降り、運んでいたボーマンダをボールに戻す。わたしも席から降りて、バトルコートへと歩いていく。浜辺の音が心地よい。

 

したっぱB

「っていうか大丈夫なのか? ここ……あの豪邸の敷地内なんじゃ?」

 

ネモ

「あっ、そういえば教えてなかったね——んジャカパーン……ここ、わたしの家なんだーっ」

 

したっぱB

「マジかよ……ってことはつまり俺が勝てばこの屋敷もぶんどれたり?」

 

ネモ

「それは……どうだろ?」

 

したっぱB

「へっへっへっ……俄然やる気が湧いてきたぜ。チャンピオンになった俺なら更なる上を目指せるだろうからな!」

 

ネモ

「ふふっ……うん、きっと……出来るよ」

 

したっぱB

「もちろん! ネモにも見ててもらうからな……オレがどこまでも上を目指すところを——隣で!」

 

ネモ

「————……わたしも、どこまでも上を目指す姿を見てたいな」

 

 そんな会話を波音に流して、わたしと彼はバトルコートに立った。

 

したっぱB

「…………そう言ってもらえて嬉しいぜ」

 

 心臓が……はち切れそうだった。

 

したっぱB

「俺はついにチャンピオンになった。ネモに並び立てるそんな存在に……!」

 

 ずっと楽しみにしていた。

 

したっぱB

「だから再び名乗ってやろう! それももっと盛大にな!」

 

 この瞬間は……2人だけのものにしたかった。

 

 

 

 

 

そして今、2人だけの宝物になる!

 

 

 

 

 

イレギア

「俺の名はイレギア! これからアカデミーで、いやパルデアで、いやいや世界で! 誰よりも一番強くなる男だっ!!」

 

ネモ

「世界で一番か……やっぱりいいね! わたしはあなたのライバル、ネモ! ——実りある勝負にしよっ!」

 

 戦闘開始を受け、イレギアはヘルメットとゴーグルを外して放り投げた!

 

 

 

 

ライバルの イレギアが 勝負をしかけてきた!

 

 

—BGM 決戦!イレギア—

 

 

ネモ●●●●●●VSイレギア●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—アップルアカデミー 食堂—

 

 

 

 時刻はお昼時、学校最強大会からさらに数日過ぎてほとぼりが冷めた頃だった。

 

アヤセ

「先輩…………はあ、今頃なにしてんのか」

 

イレギア

お前の後ろ

 

アヤセ

「うぎゃあああああああああああああああああああ!!?」

 

 ランチを待つ列に並んでいたアヤセのぴったり後ろにイレギアが立っていたのだ。

 

イキリンコ

「キィーキッキッキッ……!!」

 

 彼の頭に留まってイキリンコが爆笑している。

 

アヤセ

(うわめちゃくちゃむかつく……!)

 

イレギア

「んだよ。そこまで驚くか普通」

 

アヤセ

「驚くでしょ! バカ! バーカ!!」

 

イレギア

「おいおいおいおい……事実は悪口にならねえぜ?」

 

アヤセ

「ああちくしょうこの無敵野郎っ……で、今までどこでなにしてたんです? わりと普通に心配してましたけど」

 

イレギア

「ああそれがな? エリアゼロについて母ちゃんに報告してー……は別にいいか」

 

アヤセ

「めちゃくちゃ知りたいんですけどっ!?」

 

イレギア

「まっ、おいおい話すぜ。まずスマホが壊れちまってな。連絡とかは奇跡的に無事だったんだけどそれ以外バキバキでな。新しいのに買い替えてた」

 

 『おかげで中に居たロトムにどやされた』とも語る。

 

イレギア

「さらにその後、1年前の宝探しでやりたかったことをふと思い出してな。免許取ってた」

 

アヤセ

「さらっと……そんな数日で取れるもんなんですか……?」

 

イレギア

「全部の試験に一発合格すればほとんど一日で終わるぜ?」

 

アヤセ

「うそぉ……」

 

イレギア

「まあガチりすぎてスマホの連絡見てなかったから、その辺はめちゃくちゃネモに怒られたな」

 

アヤセ

「そりゃあそうでしょう……」

 

イレギア

「それより学校最強大会なんてのがあったんだって? うわー……俺も参加するんだったぜ! まるまる免許取ってるのに時間割いちまったぜ……」

 

アヤセ

「ああそれなら定期的に行うってハッサク先生が……——」

 

イレギア

「なにっ!? なら早速エントリーしてくるぜ!」

 

アヤセ

「あっ、ちょっと先輩!? お昼ご飯どうするんですかっ!」

 

イレギア

「ん? アヤセはダチと食うんだろ? 俺が居たら楽しみにくくね?」

 

アヤセ

「え……いやまあ、バンドのこれからについて話しますけど……」

 

 学校最強大会での演奏がわりと好評だったらしく、校内でライブを催すことになったという。ハッサク先生は泣いた。

 

イレギア

「だったらお前らで楽しんでけ! というか俺はネモと昼食べる約束してっからさ。そんじゃお疲れさまでス……はもういいか。じゃあな!」

 

イキリンコ

「ジャーナー!」

 

 イレギアたちは足早に、しかし廊下を走らずに食堂から立ち去った。

 

アヤセ

「はあ、お疲れ様です…………あれ? そういえば先輩がスター団じゃない恰好だったの初めて見たな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—テーブルシティ バトルコート—

 

 

 

実況

「今回も始まりました学校最強大会!! それではさっそく第一回戦! 注目のカードは……!?」

 

アオイ

「よーし、今回も頑張るぞー!」

 

実況

「1-A チャンピオン、アオイVS……」

 

アオイ

「相手は……——え!?」

 

実況

「2-D 最強“副”生徒会長、イレギア!」

 

イレギア

「いきなりアオイかあ〜っ? だがッ、今の俺たちなら勝算しかねえぜ!」

 

アオイ

「いつか出てくるだろうとは思ってたけど……っていうかえっ、副生徒会長!? あとスター団の格好じゃない……!?」

 

イレギア

「ネモから聞いてなかったか? それなら、んジャカパーンっとサプライズだ!」

 

アオイ

「何があったのかはこの後聞きます——でも今は……!」

 

イレギア

「おうともよ! チャンピオン同士のポケモンバトルを見せてやりまス……ぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日から、テーブルシティとコサジタウンの間でボーマンダの空飛ぶタクシーが頻繁に見られるようになったという。

 

 

 

 

 

イレギア

「成り上がろうぜ《テラスタル》! 勝てば栄光は俺らのものだ!!」

 

 

 

 

 

 彼のアホみたいな向上心は留まることを知らない。

 

 

 

 

 

— Fin —




2人のバトルの行方は……どうした方がいいですか? 適当に考えといてください。

しんみりした形ですがこれで一旦エンドです。ありがとうございました。


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パラドックス編 ~パラドックスポケモンたちがなんだかんだ受け入れられている世界~
1.パラドックス① “ただそれだけの関係”


お久しぶりの投稿とちょっとの路線変更です。お楽しみに——それではどうぞ。


 

 

 

 

 

あの日は本当にたくさんの出会いがあった。

 

 

 

 

 

—アップルアカデミー 校門前階段—

 

 

 

ボタン

(アップル……アカデミー…………戻ってきた)

 

 ボタンは一年ぶりにガラル地方からこのパルデア地方、そして通っていたアカデミーに戻ってきた。

 

 どうしてこの地方を離れることになったかは——今は語らないでおくとして、けれどその時の事件のせいで彼女の足取りは非常に重かった。長い階段に運動不足が祟ったのもあるだろうが、それ以上に精神がこの場所をどこまでも拒んでくる。

 

ボタン

(いや……いかんと…………行って、ちゃんとみんなと……)

 

 深呼吸して、お気に入りのイーブイバッグを両手で握りしめて——いじめっ子に捨てられたドブの臭いはもう無い——再び階段へと足を踏み出した。

 

 

 

 

 

その時、第一の出会いが訪れる。

 

 

 

 

 

???

「よーよーそこのシケた面のお前!」

 

ボタン

(…………っ!?)

 

 階段の踊り場の横からボタンへ陽気に話しかけてきたのは……星型ゴーグルを括り付けたヘルメットを被った男子生徒。緑を基調とした制服を着崩したその風貌とヘルメットの側面に描かれた星のマークに、ボタンは目を見開いてぎょっと息を詰めた。

 

ボタン

(スター団のしたっぱ衣装……!? え、な……なんでなん……? てかこれ、まさか——)

 

したっぱA

「ちょっと先輩っ、急に走んないでくださいよー……っ」

 

 ボタンが混乱しているのを他所に、男子生徒に続いて女子生徒のスター団したっぱが駆け付けた。着崩し方が甘いので団に入って数日といったところだろう。

 

したっぱB

「おいおいおいおい。そんな出遅れてちゃ勧誘なんざできねえ……スター団を名乗ることなんてできねえぜ!」

 

したっぱA

「あたし今朝このヘルメットとかもらったんですけど……」

 

 勧誘——その言葉がボタンの脳に深く突き刺さった。

 

したっぱB

「ほっぽって悪かったな。改めて……学校生活が楽しめてないんなら、スター団に入って俺たちと一緒にスクールライフをエンジョイしまスター!」

 

 『スター団が不良の集まりになっている』、というのは風のウワサで知った。出来れば何も分からない状態で出会いたくはなかったけど……

 

したっぱA

「学校生活にスクールライフって……おんなじこと繰り返してるだけじゃないです?」

 

したっぱB

「うるせえっ! こーゆーのは気合と勢い! 本当に居場所が欲しいヤツってのは熱量のある声に導かれる……はずだ!」

 

したっぱA

「そんな適当な……いやあたしはそれにつられちゃったんだけど」

 

 団の生まれた経緯、その目的……それらが失われ、何か別の目的のために活動しているのだろう——ならば、あの5人は今どうしてる……?

 

ボタン

「……………………」

 

したっぱA

「あ、あのー……? 話、聞いてますー……?」

 

したっぱB

「ほらーっ、横やり挟むから目え逸らされちゃったじゃーん」

 

したっぱA

「あたしのせいですか!?」

 

したっぱB

「これで逃して勧誘ノルマ達成できなかったら俺まで上に叱られんだぜ? ……たぶん!」

 

したっぱA

「叱られ……ええー、もしかしてボスたちってそんな怖いの……」

 

ボタン

「————」

 

 『あの子たちはそんなんじゃない』——と口を開いて紡ごうとしたが、ボタンの喉は凍り付いたように声にならず、再び口を噤んでしまった。

 

したっぱA

「そ、そういうわけだから! 人助けだと思ってスター団に入んなさいよっ! 楽しくないままのくらーい学校生活なんてヤでしょ!?」

 

したっぱB

「おおっ! 同情を誘う方法か~……俺もやってみようかなー」

 

 声を荒げて勧誘してくるが……ボタンはもう逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。

 

ボタン

「えと……こまったな」

 

???

「どうかしましたか?」

 

 

 

 

 

そして、第二の出会いが訪れる。

 

 

 

 

 

したっぱB

「ま、まさかの二連敗だとぉ!?」

 

したっぱA

「そんな気はしてたけどね……」

 

 ボタンの窮地を救ったのは、あっという間にしたっぱを蹴散らしてしまった1人の少女だった。彼女がにこやかにこちらに振り返って、《テラスタル》の輝きを瞳に宿して青く煌めかせている姿に目を奪われてしまう。

 

ネモ

「いいねいいね! 初めてなのに《テラスタル》を使いこなしちゃうなんて!」

 

アオイ

「ちょっと緊張したけど……ネモが二回も見せてくれたからかな、やり方がなんとなくわかってさ」

 

ネモ

「もー、嬉しいこと言ってくれるねー! あれ、目がまだ《テラスタル》でキラキラだ」

 

 アオイ——隣に居る生徒会長ならばバトルに強いと事前に知っていたけど、生徒会関連の仕事もあって忙しそうなため『候補』から外していた……しかしこの子なら、もしかしたら——

 

アオイ

「え? ……あ、ほんとだ……なんだろこれ…………」

 

ネモ

「もしかしてそういう体質なのかも……? あんまり気になるならあの子達みたいなサングラスする?」

 

アオイ

「う、うーん……あの形のはちょっと……(憧れはするけど恥ずかしいな)」

 

 自分でも卑怯だなと思ってしまうが、アオイたちの向こうでうなだれているしたっぱとスター団の現状を憂うボタンには選択肢があまりにも少ない……使える手は使うべきだ。

 

したっぱB

「へ、へへへ……」

 

したっぱA

「せ、先輩……?」

 

 後輩女子がうなだれた状態で急に笑い出した先輩男子を心配していたが、さらに突如として彼が身を起こした。

 

したっぱB

「これで勝ったと思うなよネモにアオイっ! 次会うときはもっと強くなってやるからなぁっ……それまでトロピウスみてえに長くした首をゴシゴシ洗って待ってろよ! そんじゃ、お疲れ様でスター!!」

 

ボタン

(あ、スター団の挨拶はしとるんだ)

 

ネモ

「あっ、お疲れー! ——またポケモン勝負しようねーっ!!」

 

したっぱB

「あたぼうよーっ!!」

 

 ボタンが5人の友だちと考えた両手で星を描くちょいダサポーズをしていることにちょっと感動しながら、微笑むアオイと満面の笑みのネモが手を振って一緒に彼を見送った。この頃にはアオイの瞳はイーブイの体毛のような茶色に戻っていた。

 

ネモ

「……えへへ。また、なんて言われるの久しぶりかも」

 

アオイ

「えー? ワタシも言ったじゃん!」

 

ネモ

「そうだったねっ……えへへ~、わたしってば幸せ者だな~」

 

したっぱA

「あ、あたしもお疲れ様で——」

 

したっぱB

「うおっと、どうせ逃げるならアカデミーに行くか!」

 

したっぱA

「真面目かっ! あーもー改めてお疲れ様でスタ~っ!!」

 

 引き返して階段を昇った先輩に振り回される後輩……そんな姿にもネモは心の底から笑っているようだった。

 

ネモ

「あははっ。スター団ってやんちゃな生徒の集まりだった聞いたけど、あんなに気のいい人もいるんだね!」

 

アオイ

「『泣く子も笑うスター団!』……なんて言ってたし、根は良い人たちなのかも?」

 

ネモ

「かもねー……いやいや! 出席率が低かったり、集団で暴走してたりして先生たちも頭を抱えてるみたいで——」

 

 したっぱたちの話題が続いたことからボタンはこのままだとお礼を告げる前にうやむやになりそうだったので、自分でもびっくりするくらいの大声になってしまった声量で呼び止め、それに反省しながらお礼を伝えてそそくさとその場を後にするのだった。

 

ボタン

(アオイ——後でアドレス特定しないと)

 

 我ながら犯罪者の思考だがそれでみんながちゃんとした学校生活が送れるなら——……とそこであのしたっぱの顔が思い出される。

 

ボタン

(……いや。なんかアホなことやらかしそうだし言わんとこ)

 

 

 

—アップルアカデミー 1-B教室—

 

 

 

タイム

「それでは——ボタンさん、自己紹介を」

 

 やがてがらりと匂いと雰囲気を変えたかつての教室に帰ってきたボタンは、まったく面識のない生徒たちの前に立つことになる。

 

ボタン

「ボタン……です。えと、その……半年くらい遅れ、たけど…………よろしく」

 

 訛りを隠して、キョドって視線を彷徨わせないように一点だけを見つめての自己紹介——自分でも何を言ったのか分からないが、緊張が伝わったのかそれをほぐそうと温かい拍手がボタンに注がれた。

 

 嘲りなどがないことにボタンはほっとして、担任のタイム先生——ボタンが以前通っていた時はジムリーダーだったが今は辞めているらしい——に一番後ろの窓側の席を勧められる。

 

 ずっと机だけが置かれていたのか、それともボタンの復学に合わせて持ってこられたのかは分からないものの、同級生に見つめられながら自分の席へと向かう……編入生なんて珍しいし自分の嫌いな視線ではないが、それでも見られる感覚は好きになれない。

 

ボタン

「…………ふぅ」

 

 バッグを机に下ろして席に着き、ボタンはようやく一息つく……これからやることは山ほどある。

 

 何よりもまず『スターダスト作戦』の遂行。そのためにアオイのスマホのハッキング——これは片手間にスマホを弄っていればイケる——、そしてそれに類する様々なすり合わせを……

 

???

「——ねねっ」

 

ボタン

「んっ……!」

 

 ボタンはホームルームを聞くフリしながらスマホを取り出していたが、イーブイバッグの横から少年の笑顔がひょっこり現れたことにスマホを落としかける。

 

ボタン

「あ、え、あ……」

 

 思わずキョドる。まさかこんなすぐグイグイ話しかけられるとは……

 

???

「イーブイ、好きなの?」

 

 次いで質問。息が詰まる。

 

ボタン

「え、えとっ……」

 

 そりゃあ好きでしょうよと言わんばかりのイーブイバッグを背負っているのだからこういう質問はされると予測していたけれど、やはり面と向かって聞かれると考えてきた10とちょっとの返答が頭から消え去ってしまう。

 

 はやく答えないと……そもそもバッグを早く下ろして、いやそれだと一回彼の顔を遮ることになるから失礼になるのでは? あれ、なんて答えるべき? そりゃ好きだけど好きの一言で自分の好きが伝わらないし、この質問をするってことは彼もブイブイのことが好きなのでは? いやいや相手のことを何も知らない状況で無理に突っ込んだら前と同じに——……ボタンの足元に柔らかで温かい感触が這う。

 

 この心地よい感覚は——身に染みてわかる。

 

イーブイ

「ブイ!」

 

ボタン

「……ブイブイ」

 

???

「ボク、イーブイが相棒でさ。かわいいでしょ?」

 

 少年のイーブイは人懐っこく、初対面のボタンの脚に身体を擦り付けていた。

 

ボタン

「ん、うんっ……(思わずブイブイって言っちゃった)」

 

???

「そのバッグってどっか別の地方で買ったの?」

 

ボタン

「あ、これ実はゲーセンの景品で……たぶんどこにも売ってないやつ」

 

???

「そうなんだー残念。イーブイがこんなに懐くなんて珍しいし、もしかしてキミも……ボタンちゃんもイーブイ育ててるの?」

 

ボタン

「うん。6匹おる」

 

???

「へー! 後で見せてよっ、ボクはこのイーブイしかいなくて——」

 

タイム

「こら、ハルト君。ホームルーム中に私語は控えめに」

 

???

「あっ……と、ごめんなさいタイム先生っ」

 

ボタン

「あ……」

 

 会話が盛り上がっていたところでタイム先生に指摘されたことで彼は再び前を向いてしまう。

 

 ……頬が痛い。表情筋を使ったことを意味するこれは、自分が笑っていたことを差していた。

 

 笑った。笑っていた……んだ、会話で。しかも自然に。初対面の子と。

 

ボタン

「…………ふふっ」

 

 それがなんだかおかしくってボタンはクスリと笑みをこぼす。

 

イーブイ

「ブイー?」

 

???

「イーブイ、こっちこっち」

 

 少年のイーブイがそんなボタンを不思議そうに見上げていると、少年の囁くような声にボタンから離れて彼の脚へ静かに歩いていった。

 

???

「ごめんね、急に話しかけちゃって」

 

ボタン

「別に……いや、大丈夫……ありがと」

 

 今度は振り返らずに後ろに寄りかかった少年から小声で話しかけられる。ボタンはバッグを机の右横に引っ掛けながら身を乗り出して答える。そっけない感じにならないようにして長くなって変になってしまった。

 

ハルト

「ボクはハルト。また、後でね」

 

ボタン

「ん、またね……ハルト」

 

 他人の名前を呼んだのはこれでいつぶりになるだろうか。

 

 

 

 

 

この日は本当にたくさんの出会いがあった。

 

 

 

 

 

これが第三の出会い。

 

 

 

 

 

スター団とか、作戦とか……そんなの一切関係ない。

 

 

 

 

 

純粋に、単純に、ただひたすら普通の友達との出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友達……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………の、はずなんだけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話といっぺんで投稿しようにも1万字超えたので分けました。


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2.全ての進化のイーブイ “ちょっと気になってる子”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 14:54
➤89%

 < ハルト 
≡ 

 

  ◯/×(△) 

 

8:02(既読) 起きた  

 

  おはよう 
8:03

 

8:34(既読) 今日来てない?  

 

8:37(既読) どーしたし  

 

9:08(既読) おーい  

 

10:04(既読) 不在着信  

 

10:07(既読) 二度寝?  

 

10:29(既読) いやほんとにどうした?  

 

10:31(既読) 既読つかんし  

 

10:36(既読) 部屋凸するぞ  

 

12:45(既読) 不在着信  

 

12:54(既読) 不在着信  

 

  音声通話 2:11
13:21

 

⊡ ◰ いや理由          θ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボタン

「うち、ちょっと気になってる子がおるんだけど……」

 

 

 

—アップルアカデミー グラウンド—

 

 

 

ネモ

「えっ! それほんと!?」

 

アオイ

「今なん——うわっ爆発した!」

 

 ボタンの突然の告白に、目の前の2人の友人は各々の反応を示す。目を丸くして大声で驚くネモ。意識を逸らされておやつに食べていたサンドイッチを爆発させるアオイ——いやそれはなんでだし。

 

イーブイ

「ブイブイ!」

 

イーブイ

「ブーイ!」

 

 アオイの手元から吹き飛んだイチゴやハンバーグを、ボタンが新しく手持ちに加えた二匹のイーブイが跳びついて口でキャッチ。上品にベンチの上に乗ってから食べ始めた——食べて良かったん?

 

 時刻はもう昼過ぎ、ボタンたちはグラウンドにてバトルコートから少し離れたベンチで観戦しながら談笑していた。

 

ボタン

「アオイの謎現象、もはや食べてる最中にまで起こるようになったんだ」

 

アオイ

「だってボタンがあんまり驚かせるから……!」

 

ボタン

「……てかいや、まさかこんなに驚かれるとは思わんし」

 

ネモ

「それでそれで! お相手は!? 誰なの!?」

 

 ベンチには右からボタン、アオイ、ネモの順だったので、ネモがアオイの肩に手を置きながらボタンに詰め寄る形になった。

 

ボタン

「うちから言っといてアレだけど……そんな気になるん?」

 

アオイ

「気になる気になる! もしかしてスター団のボスの男子?」

 

 アオイが次々に候補を告げていく——真面目なピーニャ、趣味が合いそうなシュウメイ、素直じゃないのが素直なオルティガ——正直、誰でもありえるメンバーだ。もしかしたら女子メンバーかもしれない。

 

ボタン

「いや、5人とは友達だし……」

 

アオイ

「も、もしかして……ペパー、とか……?」

 

 アオイが小声で呟いたのは、今まさにバトルコートで指示を出している彼のこと。

 

ペパー

「いくぞマフィティフ! オマエが主役だ《テラスタル》!」

 

 《テラスタルオーブ》の迸るエネルギーによってペパーの前髪で隠れていた片目が露わになり、相棒たるマフィティフを《テラスタル》! ……威厳たっぷりの煌めく咆哮は数日前まで生死の境を彷徨っていたとは思えない力強さがある。秘伝スパイスって食べていいものだったのか疑問がなくもない。

 

 正直、接点と言えばアオイの友達というものしかない。一年前もアカデミーに通っていたらしいが、『スター大作戦』もボタン側でも相手側でもなかったし——博士の息子というのからいじめっ子も手が出せなかったのかもしれない。

 

ボタン

「いやアイツも普通に、友達……の友達だったけど今はもう友達か……あの、アオイ? 目が黒くなって怖いんだけど……」

 

アオイ

「たぶん……あくタイプの《テラスタル》だから、それの反射?」

 

 『絶対それだけじゃないし』と訝しむボタン。アオイの瞳は《テラスタル》の光をよく反射するのか、オーブに光を集めるときは蒼くなるが、ポケモンが《テラスタル》した時は各々のタイプと同じ色に輝いて見える……というのをネモから教わったが、そういう体質らしいとのこと。

 

ネモ

「じゃあまさか……イレギアとか?」

 

ボタン

「うぎょっく」

 

 いつのまにかボタンの背後に移っていたネモが後ろから首に腕を回すので思わず素っ頓狂な声が漏れてしまう。

 

ボタン

「(絞められると思った……)……いや、それは論外だし」

 

ネモ

「何をーっ!」

 

ボタン

「ぐえっ……(結局絞められたっ……)」

 

 そしてネモが話題に出したイレギアなる人物はペパーの対戦相手で——

 

イレギア

「やっぱラストはソイツだよなぁ! へっへっへっ……残念ながらイキリンコ、『すてゼリフ』だ!」

 

 スター団のマークが描かれたヘルメットを被って、星型ゴーグルを装着している男子生徒——あの時ボタンをスター団に誘った彼本人だ。驚いたことにボタン以外の友人、ましてやスター団の各ボスとも知り合いだった。

 

 イレギアが不敵な笑みを浮かべては相棒であるイキリンコに指示を飛ばす……わざの反動で傷つきながらもあくエネルギーの乗せて叫ぶ。

 

イキリンコ

「モンダイ!」

 

デーデン

 

ペパー

「どうした急に」

 

アオイ

「今のBGMは?」

 

イレギア

「俺のスマホ」

 

ボタン

「いや無駄技術すぎるし」

 

ネモ

「ふふふっ♪」

 

 イレギアの突然の奇行にペパー、ボタンは冷ややかな視線を、アオイが単純に疑問符を浮かべている隣でネモは意味深に微笑んだ。

 

イキリンコ

「ツギノナカデ、ナカマハズレハダレ! 『トロッゴン』! 『ゾロアーク』! 『ノノクラゲ』! 『コレクレー』!」

 

イレギア

「制限時間は10秒でスター!」

 

カッ…コッ…カッ…コッ…

 

ペパー

「ええっ、いきなりちゃんだし短すぎだろ……! ええと……?」

 

ネモ

「それじゃあわたしたちも考えてみよー!」

 

ボタン

「まあ考えるけど……どのポケモンも姿形は違うし、こういう問題はやっぱ文字から考えるべき?」

 

アオイ

「伸ばし棒は……2匹あるから、ってこんな簡単に気づくもんじゃないよねー……うーん…………?」

 

マフィティフ

バフ…………ッ

 

 マフィティフにとっても難問だったようで《テラスタル》の輝きを散らしながら苦悶の表情で思考している……

 

 

ペパーの マフィティフの 攻撃が 下がった!

 

 

ペパーの マフィティフの 特攻が 下がった!

 

 

ボタン

「てかネモはどしたん。さっきから笑って。こわ」

 

ネモ

「ふふ〜ん♪ いやーみんな悩んでるなーって」

 

イキリンコ

「キィーッ!!」

 

ペパー

「ちぇっ、時間切れか……」

 

アオイ

「うわあ、ヒント聞く時間もなかったや」

 

ペパー

「それで……答えはなんだ?」

 

イキリンコ

「コタエハー!」

 

 

イキリンコは イレギアの元へ 戻っていく!

 

 

イレギア

「よっしゃ出てこいギャラドス!」

 

ペパー

「今までのが『すてゼリフ』かよっ!!」

 

アオイ

「うわあ……」

 

ボタン

「これはひどい」

 

ネモ

「くふふっ……あはははは!」

 

 ドン引きするペパー、アオイ、ボタンに対してネモは堪えきれず盛大に笑ってはイレギアもまた呼応するように笑い飛ばす。

 

イレギア

「ワハハハハ!! ポケモンバトルってのは心理戦……つまり脳のリソースを別の場所に移せば勝てる確率アップでスター!」

 

ネモ

「おおっ、特性の【いかく】の再発動……イレギアがどんどん実ってくれて嬉しいな~」

 

アオイ

「ぶっ飛んだ戦術だったけど……あのギャラドス、わざも含めたらペパーの手持ちに大体有利が取れてたからね。ワタシがペパーでも攻略は難しかったかも」

 

 イキリンコの『すてゼリフ』の運用に関してはともかくとして、チャンピオンの2人がこぞって彼のポケモンを賞賛する……イレギアもまたチャンピオンランクなのだ。こんなんでも。

 

ボタン

(なんなん? チャンピオンランクのバーゲンセールなん? しかも2人のバトルへの切り替わりエグ、【ダルマモード】か?)

 

ペパー

「ド汚いしずるすぎちゃんだろ……そんなんで相手がネモだったら勝って嬉しいのか?」

 

イレギア

「何言ってやがる……考えながら戦われてボロ負けしたぜ」

 

ペパー

「失敗策じゃねえかっ!」

 

アオイ

「じゃあネモは答え知ってるの?」

 

ネモ

「うんっ……でも答え知ったら2人とも怒ると思うよ」

 

ボタン

「……どうせそうだと思った」

 

イレギア

「——だがっ! ペパー、お前には結構効いてるみたいでスター!? ギャラドス、『はねる』!」

 

ペパー

「まだ覚えさせてたのかよ『はねる』!?」

 

イレギア

「残念ながら俺のギャラドスの『はねる』はもはや『とびはねる』や『りゅうのまい』を超えている……『あばれる』を完全制御しながらの『アクアテール』だと思え!」

 

 通常の『はねる』はなんの効果もないわざだが、イレギアのギャラドスに関して言えば『みきり』にも『とんぼがえり』にもなり得る万能わざなのである。バグかな?

 

ペパー

「もうなんだよそれ……ツッコむ気にもなれねえぜ——マフィティフ、『じゃれつく』で捌いていくぞ!」

 

 終始押され気味のペパーだったが、それでも気を引き締めてバトルに集中しようと試みる。

 

アオイ

「がんばれペパー!」

 

ネモ

「でも、イレギアでもないってことは……先生か、わたしたちの知らない生徒かー」

 

 一方で見学組はボタンの話題に再び舵を切った。

 

ボタン

「先生は流石に違うし……でも、うん。みんなは知らん子かも。別にポケモンバトル強かったり、スパイス集めたり……そもそもスター団とかとも関係ないし。——てかツッコミ忘れたけど気になるって意味合い違うし!」

 

アオイ

「ってことはクラスメイトとか?」

 

ボタン

「え——あ——……」

 

 サンドイッチを食べ終えたアオイに図星を突かれたボタンはコイキングのごとくパクパク口を開閉させた後、顔を伏せてから小さく頷いた。

 

アオイ

「ボタンは1-Bだから……じゃあワタシたちがわかんないのもそっかー」

 

ネモ

「ねーねー、どんな人なのー?」

 

 とっくのとうに腕の力は弱めたネモがボタンの頭を抱き寄せる。後頭部に伝わる柔らかさに嫉妬しないでもなかった。

 

ボタン

「ど、どんな……そう言われると難しいな」

 

アオイ

「確かに人となりを伝えるって難しいよね。ネモはバトル好きって言えば伝わるけど」

 

ネモ

「でしょー? じゃあさ、その人と会ったらいつもしちゃうようなこととかは? わたしのバトルみたいな!」

 

ボタン

「そんなネモいやつ他にはおらんし。でも、うんと…………あ。うちが朝ちゃんと起きれるように起きたら連絡しとる」

 

 『だから最近朝も見かけるんだー』とネモが感想を述べる横で、アオイが少し思案してから疑問符を浮かべながら問いかける。

 

アオイ

「…………付き合ってらっしゃる?」

 

ボタン

「やっ!? まだそんなっ……いやまだとかでもないけど! だってこれっ、うちが……そう! ブイブイでまだエーフィとグレイシア制覇してないなって思ったから協力してほしくてお願いしたことで……あ」

 

 アオイとネモの生暖かい視線から逃れるように視線をグラウンドへと移したその時だ。

 

ネモ

「だったらわたしたちにお願いすればいいのに〜、このこの〜」

 

アオイ

「ボタンも隅に置けないな……ボタン?」

 

ボタン

「————」

 

 彼を、見つけた。

 

 身長は彼の方が指一本分くらい高く、年齢はおそらくちょっと下の男の子。髪や瞳の色はアオイとだいたい同じで——そんな少年がグラウンド奥の廊下を歩いていた。

 

アオイ

「ん? あれはタイム先生と……誰だろ?」

 

 ……ボタンの視線を追ったアオイが告げた人に連れてかれながら。

 

ネモ

「ん~? あんまり見えないけど、どうしたんだろね? あれ、どうしたのボタン?」

 

 ネモが手をかざして眺めていると、ボタンが黙って立ち上がる。

 

ボタン

「……ちょっとごめん、行かんと」

 

アオイ

「え、ボタン……?!」

 

 自然と早る気持ちを抑えきれず、アオイの言葉に振り向きもせず小走りでグラウンドから廊下へ向かう。

 

イレギア

「ポケモンとトレーナーの絆の間には何にも代え難い言葉以上の想いがあるからな……それさえあれば惑わされやしねえぜ!」

 

ペパー

「確かにそうだな! マフィティフ、オレたちの絆を見せてやろうぜ!」

 

イレギア

「……あれ、これってなんか負けるパターン?」

 

 横でそんな会話が聞こえたが、今のボタンはそれどころでは無いため一心不乱に彼を追っていく。

 

 ——生徒の相談相手として保健室のミモりん、そして元ジムリーダーという実績が故かタイム先生が多く選ばれる。クラベル校長はフレンドリーながら校長という立場から近寄りがたい。

 

 ……目に見えて困ってるのだ。自分が気になっている彼が。今朝から見かけず、教室にも訪れず……ましてや連絡を入れても既読もつかなかった。

 

 その事実が……いや、まだ事実ですらない仮定ながら、それについて考えるだけで胸が苦しくなる。

 

 ボタンがそうして彼らを追いかけているうちに辿り着いたのは——

 

 

 

—アップルアカデミー 1-A—

 

 

 

ボタン

「あれ……ここは……?」

 

 駆け足を止めてはやる呼吸を落ち着かせながらボタンが妙な面持ちで呟いた。

 

ボタン

(保健室に行くかと思ったけど……あ、おる)

 

 開け放たれた扉の隅から覗いてみれば、やはりタイム先生と……彼。生物担当のジニア先生と話しているらしいが——この距離では話が聞こえない。

 

 それでもなんとか気づかれないように——そんな必要があるかどうかわからないがどうにも話しかけづらいため——目を細めて見れば、彼の足元を這うように……薄紫色で二又の尻尾が揺らめいている。

 

ボタン

(エーフィ……? イーブイが進化したん——あれ、でもなんか——)

 

アオイ

「ボタン……?」

 

ボタン

「うわっ——いだっ!」

 

 教室の光景に集中してしまったために後ろからの声にいつも以上に驚いて飛びのけ、その勢いのまま扉の横枠に頭をぶつけてしまった。

 

ボタン

「いてててて……なんだ、アオイか……」

 

アオイ

「急に話しかけてごめんボタン……でも、どうしたの?」

 

ハルト

「ボタン……?」

 

 アオイが彼女の名前を呼ぶと、それに反応するかのように先ほどまで陰から覗いていた彼もまた名前を口にする……ボタンがそちらへ振り返れば室内にいた生徒や先生たちがこちらを見ている。

 

ボタン

「あ…………えと、おはよ……ハルト」

 

ハルト

「あ、あー……おはよう、ボタン」

 

???

「ブイ!」

 

 先ほどまでアオイたちとの会話で思い浮かべていた彼との思わぬ遭遇……それによって芽生えた奇妙な感覚を吹き飛ばすように、彼と自分の縁を結んだ相手とも言うべきイーブイの声が駆け寄ってくる。

 

ハルト

「あっ、ダメだよイーブイまだ……!」

 

ボタン

「あっ、ブイブ……イ…………」

 

 

 

 

 

 

 ——そしてそのイーブイの姿にボタンは押し黙る。

 

アオイ

「イー……ブイ、なの……?」

 

 アオイも……引き気味のボタンの足元に寄ってきたそれから目を離せずにいた。

 

ジニア

「大丈夫ですよお。もう大体分かりましたからあ」

 

タイム

「保健室で見てもらった通り健康には問題ありませんし、遊んでいただいても構いませんよ」

 

ハルト

「そう、ですか……それでその……ボクのイーブイは一体…………?」

 

 ボタンの脚にいつものように身体を擦り付けるのは、果たして——イーブイだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてシャワーズでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンダースでも、ブースターでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エーフィでも、ブラッキーでも、リーフィアやグレイシア、ニンフィアでも——それ以外でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはボタンにとっても、この場にいる誰もが初めての妙な感覚を——違和感を抱かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジニア

「端的に言いますがハルトくん——『進化性形態異常』という言葉をご存じでしょうか?」

 

 その一言からボタンとハルト、2人の仲は急速に変化し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方のグラウンドでは、決死の突撃を仕掛けたマフィティフがイキリンコの『ブレイブバード』を打ち砕いて勝利をもぎ取っていた。

 

イキリンコ

「マケタッ……!」

 

イレギア

「使い回しの小手先じゃこの程度かぁ……!?」

 

 敗北したイレギアが頭を抱えるが、観戦していたネモが拍手しながら2人の元に駆け寄った。

 

ネモ

「2人ともお疲れー! ペパーももう実っちゃって……ペパーもチャンピオンランク目指さない!?」

 

ペパー

「そんなガチでバトルする気はねえ。それで……クイズの答えはなんなんだ?」

 

イレギア

「あれか? 適当に言わせたから答えなんてないでスター」

 

ペパー

「ぶっ飛ばすぞマジでオマエ」

 

マフィティフ

「バフッ!」

 

イレギア

「ぐえーっ、マジギレの『ほうふく』でスターっ!!」

 

ネモ

(アオイたちにも早く教えたいなーっ)

 

 まるで平穏に日常が続いていく。




ハルト君のイーブイのイメージとしてはこんな感じ。ポケモンフュージョンって凄いっすねえ。

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パラドックス編と銘打ってるのに2話とも出てなくてすんませんけど、まあこのイーブイも十分パラドックスしてるし、ねえ……?()


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3.煌めくバンギラス “『進化性形態異常』”

ハルト君のイーブイの見た目


【挿絵表示】


前話の感想欄でも書いちゃいましたが画像のに加えて……

・ひこうタイプの上羽とむしタイプの下翅
・じめんタイプの前脚にいわタイプの爪、ゴーストタイプの肉球
・かくとうタイプの後ろ脚にはがねタイプの爪、どくタイプの肉球

——といった要素があるんですけど、ごちゃごちゃしすぎてると思うんでなんかいい感じにまとまったのを妄想していてください(投げやり)。


 

 

 

 

 

しんかポケモン イーブイ

 

 

 

 

 

それは犬のようでもあり、猫のようでもあり、はたまた兎にも似た不思議なポケモン

 

 

 

 

 

そしてしんかポケモンと分類されるように様々な進化の可能性を秘めており——

 

 

 

 

 

首に魚のようなヒレを持って水中に適応した、あわはきポケモンのシャワーズ

 

 

 

腰周りの毛が逆立って電気を生み出せるようになった、かみなりポケモンのサンダース

 

 

 

額の体毛がふさふさになって高熱に適した、ほのおポケモンのブースター

 

 

 

尻尾が二又に分かれて超能力を操れるようになった、たいようポケモンのエーフィ

 

 

 

しなやかな胴で夜闇に溶け込めるようになった、げっこうポケモンのブラッキー

 

 

 

葉のような耳になって植物の力をも得た、しんりょくポケモンのリーフィア

 

 

 

左右に垂れた髪の装飾をした寒冷地に住まう、しんせつポケモンのグレイシア

 

 

 

耳にリボンのような触角を持つ妖精のような、むすびつきポケモンのニンフィア

 

 

 

 

 

——このように現在で判明している数でも8種と他のポケモンでは類を見ない進化の数で知られている。

 

携帯獣学者……いわゆるポケモン博士曰く、イーブイは全てのタイプに適応した姿を持っているとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからだろう、彼のイーブイにはひこうタイプらしき翼やいわタイプのような爪がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっと言えば、前述した全てがハルトのイーブイにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—アップルアカデミー 1-A—

 

 

 

ボタン

「——で、何か言うことあるんじゃない?」

 

ハルト

「…………お騒がせしました」

 

 ジニア先生との相談を終えた3人は適当な席に座って先ほどまでの内容を整理していた……そして15時前まで一切の連絡をよこさなかったのに加えて、ようやく繋がった通話でも『今日は会えない』だの『ごめん』だので切ったハルトにボタンは静かに怒りを表した。

 

ボタン

「ふーん……それだけ?」

 

ハルト

「ほんとごめんっ! 何度言っても足りないくらいで……!」

 

 ひたすらに謝るハルトだが、非は完全に自分にあるので両手を合わせて精一杯頭を下げていた。

 

 ……が、数秒立ち込めた沈黙の後に彼がふと顔を上げる。

 

ハルト

「…………だめ?」

 

ボタン アオイ

((————っ!!?))

 

 不安気な上目遣いのハルト——その時2人に電流走る。

 

ボタン アオイ

((あ、あざといっ……!!))

 

 おそらくは天然。しかし女連中ですら思わずきゅんとしてしまう仕草をこうも自然に為してしまうハルトの末恐ろしさにボタンとアオイの心臓は高鳴った。

 

アオイ

「……ごほんっ」

 

 そんな彼を見かねてかアオイが咳を挟んで語り出す。

 

アオイ

「まあ……自分のポケモンが急に姿を変えたらワタシだってどうしたらいいかわかんなくて相談も出来ないだろうからさ。あんまり責めるのは……やめよ?」

 

ボタン

「…………アオイがそんなに言うなら」

 

 大切な友人の説得もあってかボタンはひとまず矛を納める。ちなみに話題の中心であるハルトのイーブイは今ボタンの膝に乗って撫でられている。心地良さそうにむしタイプらしき翅でキレイな旋律を奏でていた。

 

ボタン

(背中はブラッキーみたいにすべすべだけどお尻の方はサンダースみたいにトゲトゲして……鳥と虫っぽいハネもあるし……匂いもいろんなのが混ざってて不思議な感じ……——ズゾゾゾゾゾ…………でもいい匂い」

 

アオイ

「ボタンボタン、吸うというか啜っちゃってるよ」

 

イーブイ

「ブイィィィ……」

 

 ボタンが両腕に抱えてハルトのイーブイを吸うのをアオイがどこか引き気味に眺めているが、ハルトの方は『至って健康』だと言われた相棒へと視線を交わす。

 

ハルト

「……うん。やっぱりイーブイもボタンの匂いが好きみたい」

 

ボタン

「えっ……あ、そうなん……?」

 

イーブイ

「ブイッ!」

 

ボタン

「ふふっ……ありがと。姿がちょっと変わってもブイブイはかわいい」

 

ハルト

「良かった……機嫌直してくれて。やっぱりボタンには笑顔でいてほしいからね!」

 

ボタン

「ぐぉっ……!(こいつホントに性格【むじゃき】すぎるし……!)」

 

アオイ

「それでも辛かったよね……こんな時間まで1人で抱えて寂しかっただろうし」

 

ハルト

「あー……謝るついでにぶっちゃけちゃうとさ、実はイーブイが新しいわざが使えたことに喜んで部屋で暴れちゃって……」

 

アオイ

「なるほどぉ……」

 

ハルト

「それに対抗してじゃれあってたら部屋が荒れに荒れて……」

 

アオイ

「あららぁ……」

 

ハルト

「寮の大家さんに怒られたりしてたり掃除したりしてたら返信もできなくなっちゃって……」

 

ボタン

「なにそれ」

 

ハルト

「もうほんと……ごめんっ!」

 

ボタン

「……いや、もう怒っとらんし。なんか逆にバカバカしすぎて笑えてきたし、てかなんなん対抗してって……わざ使えるわけじゃないのに」

 

ハルト

「そこは『にらみつける』とか『いちゃもん』で……頑張れば『ひっかく』とか使って」

 

アオイ

(そんな人、先輩以外にいたんだ)

 

 先輩とはもちろんあのアホのことである。他にいてたまるか。

 

 彼の後輩やネモから話を聞くと……タツベイに『インファイト』でタイマンを仕掛けたり、イキリンコの群れを『フラフラダンス』で返り討ちにしたり——正直なところ眉唾物もいいところだが、あの先輩ならやってのけそうだとなぜか思えてしまう。

 

ボタン

「真面目にバトルしてるしっ、くくっ…………あーっ、なんかうちも悩んでたのがアホらしくなった。後でアイスでも食べよ。もちろん、ハルトのおごり」

 

ハルト

「うん! 3段とかやってみようよ!」

 

 『いやそんな食えんし』とボタンが突っ込めば『なら一緒に食べよー』とハルトが返事をする——2人にしか出来ない友情というのを感じ取ってアオイは黙ってひとり頬を緩めるのだった。

 

アオイ

(ネモとかなら喜んでやってくれそうだけど、ペパーは恥ずかしがって断るだろうなぁ……)

 

ボタン

「それはそれとして——『進化性形態異常』。教科書で見たことあるけど、実際に見たのは初めてかも」

 

アオイ

「『進化性形態異常』……うーん…………」

 

 与太話もそこそこに、安らかに撫でられているハルトのイーブイへと話題を移すも、それに対するアオイはどこか難しい顔を浮かべていた。

 

アオイ

「……名前長いし堅苦しいし別の言い方にしない?」

 

ボタン

「いやそこなん?」

 

ハルト

「じゃあ、そうだなあ……(キメラとかカッコイイと思うけどイーブイが嫌がりそうだし)いや、わかりやすさも含めて素直に【しんかいじょう】とかでいいんじゃない?」

 

アオイ

「おおーっ、綺麗にまとまってる!」

 

イーブイ

「ブイーッ……」

 

ハルト

「あーでもイーブイはあんまり気に入って無さそうだから別の言い方考えないとなあ」

 

ボタン

(…………あれ、てか普通に友達やっとらん? さっき自己紹介したばっかじゃない?)

 

 2人だけの空間にアオイが入ってもなんの違和感がないことに気づいたボタンの胸中が騒めくが……ともかく、ハルトのイーブイが発症した『進化性形態異常』についてジニアはこう語った。

 

 

 

 

 

『ポケモンの進化というのは実は今でも分かっていないことがたくさんあります。一つだけだと思われていた進化先が分岐することもありますからねえ……そして、当然のことながら全部の進化が上手くいくとも限りません——それが『進化性形態異常』です』

 

 

 

 

 

『“ツノが一本のままのリザードン”、“花が開かなかったフシギバナ”、“大砲のないカメックス”——フォルムチェンジが不完全な姿も私は見たことがあります』

 

 

 

 

 

『イーブイのこの現象も資料を調べれば……ネットで検索してもたくさん出てきますよ。特にこのポケモンは遺伝子が不安定ですからそういった異常が起こりやすいんです』

 

 

 

 

 

『しかしそれが普通なんです。先ほども言った通り、全ての進化が確認された姿になる確率は100%ではありませんから』

 

 

 

 

 

『進化キャンセルしてもまた何度でも進化の機会が訪れるように、『進化性形態異常』も再びその兆候が表れた拍子に進化したり元に戻ったりするんです』

 

 

 

 

 

『ですから……あまり深く考えすぎないでくださいねえ。気長に、ポケモンの進化を見守っていきましょう!』

 

 

 

 

 

ハルト

「——でも、『未発見のタイプへの進化も現れるなんて!』『ぜひ研究させてくださあい!』……って色々せがまれちゃった」

 

ボタン

(やっぱ声真似うまい……)

 

イーブイ

「ブイー?」

 

 思わず関心してしまうほどの精度だったが、ボタンの両手に抱えられたイーブイは撫でる手が止まったことに不思議そうに彼女を見上げた。

 

ハルト

「まあ、イーブイが嫌そうだったから経過報告で手を打ったけどさ」

 

アオイ

「それが正解だと思うよ? ジニア先生、ああ見えて……いや見える通り興味のあることに一直線! ——ってカンジの人だからね」

 

 アオイが苦い笑みを含みながらジニアの方へと視線を移すと……

 

ジニア

「おおっ……! これはまたタイム先生っ、研究のしがいのあるポケモンを捕まえましたねえ!」

 

 タイム先生が繰り出したポケモンに少年のように輝いた視線を浴びせていた。

 

生徒A

「わあっ、なんだあのポケモン!」

 

生徒B

「バンギラス……っぽいけど違う?」

 

 余程珍しいポケモンなのか、教室に残っていた生徒たちもまたソレに目を奪われてしまう……

 

???

ラビラ・バラ

 

 ……機械音声のような鳴き声、バンギラスに似たフォルムながらも質感は岩の鎧から金属のようなものへ。極め付きは身体の至るところから青緑色に発光したエネルギーが噴き出しており、背中でイバラにような棘を形成していた。

 

ジニア

「うんうん。大人しい子ですねえ。人に慣れてるというか礼儀正しい子だあ」

 

 そしてソレはまるで『恐縮です』とでも言いたげに腕を構えて紳士的にジニアに頭を下げていた。ジニアの言うように躾の行き届いたというよりはどこかの屋敷で鍛えられた執事と形容したほうが近しいまでの丁寧な立ち振る舞いをしている。

 

タイム

「テーブルシティの近郊で見つけたのですが……似ているバンギラスとは違って暴れん坊ではありませんし、むしろ自分から私に捕まろうとしていた様子でした」

 

 タイムがこのクラスに訪れたのは元よりこのポケモンについてジニアに聞くつもりであったが、その最中に今朝から見かけず、連絡も入れてこなかったハルトと偶然出会ったために保健室を寄ってからここに辿り着いたという流れになる。

 

生徒C

「わ……バチってしてる……」

 

???

「ラ・ビ……」

 

 平均的なバンギラスの大きさより一回り小さな身体をしている彼は、興味本位に近づいた生徒に気づいて背中の棘を引っ込めるなどの対応をしたうえで彼らに向き合って挨拶をしていた。

 

ジニア

「わあ、会釈までしてますねえ」

 

タイム

「どこから来た子かは存じませんが、元トレーナーの方にとても愛されていたことは確かでしょう」

 

ボタン アオイ

「「…………」」

 

 しかしそんな彼ら彼女らのやり取りを少し遠くから眺めていたボタンとアオイは互いに顔を合わせては再び生徒に身体を触らせているソレに向き合う。

 

ボタン

「いや、あれ……バンギラスっていうか……」

 

アオイ

「……テツノイバラ、だよね」

 

 そんなバンギラスのような機械的なポケモンに対してボタンは、そしてアオイもまた訝し気に睨んでいた。アオイが的確にその名を告げるのを聞いてハルトは不思議そうに首を捻る。

 

ハルト

「2人はあのポケモン知ってるの?」

 

アオイ

「うん。おおあ——」

 

ボタン

「ん——ちょいちょいアオイ

 

 普通に話を勧めようとするアオイの肩をつついてボタンが顔を寄せて小声で話しかける。

 

アオイ

どうしたのボタン……?

 

ボタン

エリアゼロのこと喋ったらマズない?

 

アオイ

……確かに

 

 そうして短い会話の後に席に戻ってなんでもないようにハルトへと微笑む……そんな2人にハルトもボタンの腕の中にいるイーブイも小首を傾げた。

 

ボタン

「知ってるっていうかほら、エントランスにある本で『グリーンブック』ってあるやん? それでそれっぽいポケモンを見つけたからそれじゃないかなって。でしょアオイ?」

 

アオイ

「そそ。エリアゼロとか全然関係ないよー」

 

ボタン

「おおっと、アオイは『ドわすれ』を覚えてたみたい。それか特性【ぼうおん】か?」

 

アオイ

(ごめん……)

 

 ボタンの辛辣な言葉にアオイが歪んだ笑みでもって謝罪するも、傍目から見ていたハルトは(ガラルのツッコミだー)となぜか感心してすらいた。

 

アオイ

「(あの時は戦闘でいっぱいいっぱいだったけど……)ワタシのバンギラスと並べて写真とか取りたいなぁ」

 

ハルト

「バンっ……!? えっ、アオイちゃんってバンギラス持ってるの!?」

 

アオイ

「うん。すっごく強くてカッコイイんだよ~? 特性も【すなおこし】じゃないから室内で出しても安心だから……出てきてバ——」

 

ハルト

「わっ————!」

 

 アオイがモンスターボールを取り出すとハルトは逃げるように席からずり落ちて床の上で縮こまってしまう……その姿にアオイは振りかぶった動作のまま静止して彼を眺めた。

 

アオイ

「あ、れ……?」

 

ボタン

「あー……すまんアオイ。ハルトってばあくタイプのポケモンが苦手みたいで」

 

アオイ

「そうなの?」

 

ハルト

「う、うん……子どもの頃——ああボク、シンオウ地方の出身なんだけど——凄い悪夢にうなされちゃって、その時に見た……ダークライってポケモンが怖すぎて、それ以来どうにも同じあくタイプのポケモンが怖くて怖くて……」

 

アオイ

「ダークライ……うーん、図鑑かなんかで見たことあるような……?」

 

ボタン

「おかげでうちのブラッキーにも苦手意識があってちょっと大変だった」

 

アオイ

「へー、今は大丈夫なの?」

 

ハルト

「まあね。ボタンと一緒に遊んでるうちにブラッキーはなんとか慣れたかな」

 

アオイ

「へー、ふーん……」

 

ボタン

「……なんなん? その笑い方」

 

アオイ

「いや? 苦手克服できるくらいに仲がいいとかなんか嫉妬しちゃうな~って」

 

ボタン

「…………?」

 

 先ほどのグラウンドでの観戦中にネモが見せたような意味深な笑顔を見せるアオイの意図に気づかずボタンは頭の疑問符に首を傾ける……そういえば、あの問題の答えはなんだったのか。思わず飛び出してここまで来てしまったので放ったままだった。

 

ハルト

「でもバンギラスってなるとちょっと……映画で見た時は『映画だから』で割り切れてたけどさ。——あのポケモン見てると思い出すなあ……ほら、この前ボタンと2人で見たメカバンギラス!」

 

ボタン

「ああ『大怪獣2』の……」

 

 それでも話は膨らんでいき、ハルトが語るそれにボタンは捕捉を入れながらメガネを正して食らいつく。

 

ボタン

「うちはやっぱ2が一番好きだな。あの機械の駆動シーンとか今の技術でも考えられんて」

 

ハルト

「だよねっ、特に——」

 

 やがて話題はヒートアップ。アオイは置いてきぼりだったが、どこかその表情は嬉しそうだった。

 

ボタン

「というか3からのストーリーあからさまにいらん方向に舵切ってたし。あの謎まみれなのが好きだったのに……なんなん大バンギラスの王とか。アホらし」

 

ハルト

「あー、確かに。でもあの展開があったからこそ7のラストに繋がったわけだからなあ。エンディングの後のアレなんてもう鳥肌立ちまくりだったし!」

 

ボタン

「それは同感。その点から——なんでアオイにやにやしてるし」

 

アオイ

「んー? いんやあ? ただ2人で映画見るくらい仲いいんだなあってー」

 

ボタン

「いや映画くらい友達とみ……————っ!!?」

 

 ふと——気づいてボタンの頬に熱が灯る。

 

 ハルトといるときはまるで気にも留めなかったが、今一度指摘されて振り返って見れば確かに誰か別の人と映画に行ったことはあるが、家族と行ったり、友人ともオンラインで通話を繋ぎながらや大人数で見るなどで、2人で、しかも男女で行ったことは隣の彼としかしていなかった。

 

ボタン

「いやっ……ねえっ! ハルトだって誰かと2人で映画とか見るでしょっ……!?」

 

 止まらない熱。火照る顔をどうにかしようとハルトに弁明を求めるも……返事はあっけらかんと告げられる。

 

ハルト

「ううん? 2人っきりはボタンとしかいないよ?」

 

ボタン

「スゥ————…………ァッ!」

 

 息を吸い込んで、叩きつけるように叫ぶ。

 

ハルト

「ボタンっ!? え、ねえボクなんか悪いこと言った……?」

 

アオイ

「ぜーんぜん。照れ隠しだと思うよ?」

 

ハルト

「そうなの?」

 

ボタン

「え、いやっ、そのぉ————あっ、そうだ! そういえばほらっ、グラウンドにネモとペパーが! 理由も言わずに出てっちゃったから戻らないと!」

 

 ハルトの無邪気な視線から逃れるように、腕に彼のイーブイを抱えたまま席から立ち上がる。その姿を不思議そうに見上げるハルトを横目にアオイもイジワルそうな笑みを湛えたまま『そうだったそうだった』と椅子を机に押し込んだ。

 

アオイ

「早く戻らないと……あ、ハルトも行く? ワタシたちの友達、紹介したいし!」

 

ハルト

「友達……さっきボタンが言ってた、ネモ——とペパーって人?」

 

アオイ

「うんっ、2人とも……ああもうひとりいるけど、みんないい人なんだ!」

 

ボタン

「さっ、いこ……! はやく……!」

 

 誘うアオイ、足早に教室を去ろうとするボタン……対するハルトは腕を組んで悩んでいた。

 

ハルト

「ネモって言えば生徒会長で、ペパーは……確か博士の息子さんだっけ?」

 

アオイ

「うんうん、そのネモにペパー」

 

ハルト

「あー……そっかあ……その2人、友達からの評判、あんまり良くないんだよね」

 

ボタン

「————」

 

 ハルトが紡いだ言葉にボタンは脚を止める。腕の力が強まったもののイーブイは体毛の柔らかさ故にあまり苦にならなかった様子。

 

アオイ

「良くない評判?」

 

ハルト

「ペパー……さん? ——の方は『博士の息子だって周りを見下してる』とか『料理が趣味とかダサい』だのなんだの。なんでもネモさんは『家の力でチャンピオンと生徒会長になった』とか……あとなんて言ってたっけ?」

 

ボタン

「……ねえ、ハルト」

 

 静かにボタンは口を挟む。抱えていたイーブイは床に下ろして再びハルトの足元へと帰っているが、当の主人は目の前の友人の怒っていて悲しんでいて——とにかく複雑な表情に目を離せないでいた。

 

ハルト

「どう、したの……?」

 

ボタン

「悪いこと言うかもだけど……あいつらとつるむのやめた方がいい」

 

 ボタンの言う『あいつら』とは、ハルトが自分以外とよく話しているグループなのだが……ハルトが急にいなくなったことで勇気を出して彼らに居場所を聞いても、彼らは知らないどころか——『死んだ』とか縁起でもないことをネタに笑ってそこから再びボタンを置いて内輪で盛り上がるなど、とてもじゃないがあまり関わりたくはない部類の人間だったのだ。

 

アオイ

「ボタン……」

 

 そんなボタンの訴えにアオイは少し前の、スター団のことを憂う彼女のことを思い出す。

 

 いじめられた悲しみ、いじめっ子たちへの怒り……そしてどこまでも深い後悔。

 

 それらを乗り越えたボタンだからこその言葉なのだろう。不安気に瞳にはハルトの姿が映っていて、アオイもまた彼へと視線を移す。

 

ハルト

「うーん……確かにみんな、ヤなヤツかもだけどワルいヤツらじゃないからなあ」

 

ボタン

「でもっ……!」

 

ハルト

「でもボタンが言うなら……うん、そうする」

 

ボタン

「……え」

 

 やけにあっさり引き下がるものだからボタンもどこか呆気に取られてしまう。

 

ハルト

「ボタンはヤなヤツでもワルいヤツでもないし、それに友達の言う事は信じたほうがいいでしょ?」

 

ボタン

「ハルト……」

 

 どこまでも無邪気な人だ——とボタンはほっと一息撫でおろしながらも、その無邪気さが危なっかしくて仕方がないと同時に溜め息を零した。

 

アオイ

「ワルいヤツではあるくない?」

 

ボタン

「うっさい」

 

ハルト

「……そうだ。忘れないうちにボタンに渡さないいけないものがあるんだ」

 

 アオイにツッコミを入れられる横でハルトが一旦屈んで相棒を撫でつつ、机にかけていた学生バッグから何やら水色の塊をボタンに差し出した

 

ボタン

「な、なんなん——……これは?」

 

 ボタンの両手に包まれるそれは、どこかひんやりとしていてこちらに冷たい印象を与える。

 

アオイ

「これ……『こおりのいし』?」

 

ハルト

「そう。ナッペ山に行くって先輩にお願いしたらついでに持って帰ってくれたんだ。この地方じゃグレイシアって特定の場所じゃなくて石で進化できるらしいからさ。誕生日プレゼントにでもしようかなって思ったけど、それはまた別のにするよ」

 

ボタン

「あ、あっ……ありがと……あと楽しみにしてる……」

 

 ボタンは突然の贈り物に茫然と言葉を連ねていく……そんな彼女をにまにま笑うアオイが後ろから抱きしめる。

 

アオイ

「へ~……良かったね~、ボタン~?」

 

ボタン

「——っ!? いやっ、これはそのっ……!」

 

アオイ

「それじゃあグラウンドにレッツゴー!」

 

ボタン

「違うから! 何がとは言えんけど……違うからー!」

 

ハルト

「えー嬉しくないの……?」

 

ボタン

「ぐおぉぉぉっ……『つぶらなひとみ』……そ、それはそれとして……ナッペ山なんて学生が行くとこなん……? ジムチャレンジかもしれないけど……」

 

ハルト

「うーん。理由はわかんないけど、ボクもまさか本当に持ってくるとは思わなくって……室内でもヘルメット被ってて星型の変なゴーグルしてる人だったけど、みんなと仲良いみたいだったし」

 

ボタン アオイ

「「…………」」

 

 ハルトが告げたその言葉にボタンもアオイも足を止める。

 

ハルト

「……え。何どうしたの2人とも」

 

アオイ

「あー……ね。あの人、か……なあ?」

 

ボタン

「アオイ、考えてもみなよ。そんなヤツ他におる?」

 

アオイ

「だよねー……まあ、いるだろうし聞いてみよっか」

 

 

 

 

—アップルアカデミー グラウンド—

 

 

 

イレギア

「おう、確かにソイツに頼まれたぜ『こおりのいし』。あれは確かネモとパルデア十景巡りしてた時に……」

 

ボタン

「……やっぱり」

 

 グラウンドに戻ってきたボタンたち。ハルトの言っていた先輩が案の定の人物だったためボタンは思わず顔を顰める。

 

ボタン

(ホントなんなんコイツ……なんで毎回うちの知り合いとうちの知らんとこで出会っとるん……?)

 

アオイ

「——というわけらしい」

 

ネモ

「へえ……っ! この子が……!」

 

ペパー

「なるほどな。イーブイがこんな姿になるなんて聞いたことねえ。何かしらの病気だっつっても治るってんなら安心ちゃんだな!」

 

イーブイ

「ブイ!」

 

 アオイと言えばペパーとネモにハルトのことについて教えていた。ペパーはイーブイをかつての相棒の姿と重ねながら彼に笑いかけて頭を撫でる。ネモは元気に返事するイーブイを眺めていたが……どこかうずうず身体を震わせていた。

 

アオイ

「どうしたのネモ……って、言いたいことは分かるけど」

 

ペパー

「ったくコイツは、ネモいって言葉がマジで似合うな」

 

ネモ

「だって初めて見るポケモンだもん! どんな風にバトルするのか見てみたいし……ねえ、ハルト! 早速戦——……あれ?」

 

 衝動に任せるままネモがポケモン勝負をしかけようとするも、当のハルトは——

 

ハルト

「あわわわわわわ……」

 

 それどころではなかった。

 

ボタン

「ところで……あそこで吠えてるボーマンダは?」

 

イレギア

「アイツか? 実はボタンたちを待ってる間、さっきまでネモに挑んでたんだが……最後のVSサザンドラに負けて悔しくって暴れてるとこでスター」

 

ボタン

「ボールに戻せし……モトトカゲとサーフゴーが宥めとる」

 

サザンドラ

「グルル?」

 

マフィティフ

「バフ」

 

 ハルトは絶賛——ネモのサザンドラ、そしてペパーのマフィティフに迫られていたのだ。マフィティフの特性【いかく】から繰り出される強面とサザンドラの見るからに凶暴そうな姿にあくタイプな苦手と語った彼は怯えに怯えている。

 

ネモ

「あ、びっくりさせちゃった? でも大丈夫っ、わたしのサザンドラって結構【おくびょう】な子で……襲ったりしないから!」

 

サザンドラ

「ドラァー!」

 

 ネモの言葉通りサザンドラは明るく笑って、友好の印と言わんばかりに両腕の首でハルトの頭を甘噛みする。

 

ネモ

「ほら甘噛みー。仲良くしたい子にはいつもこうして……」

 

ハルト

「…………——キュウ」

 

 

こうかはばつぐんだ!

 

 

ボタン

「ハルトォォォ~~~~!!?」

 

ネモ

「あれっ、『かみくだく』とか覚えさせてないんだけど!?」

 

 気絶するハルトにボタンが駆け寄るのだった。




ハルト君の人となりやらバッグボーンやらを描写したうえでハルボタきtらしてたらバカ長くなったのでまた次回に。テンポとかやっぱわからんスけど全体的に短めに変えたほうが良さそうです?

【しんかいじょう】でもシンプルでカッコイイんですけど、他になんか秀逸な名前があれば感想欄でどうぞ。こっちで思いついたら書き直しますが。



テツノイバラ
とくせい:【クォークチャージ】
せいかく:〔まじめ〕
こせい:とても几帳面
タイム先生が保護したパラドックスポケモン。バンギラスによく似ているものの本来併せ持つはずの凶暴性はまるでなく、むしろ立ち振る舞いには周囲を思いやる紳士さすら感じられる。


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4.紅い鱗のモトトカゲ “友達の友達としたっぱ先輩”

モトトカゲをコライドンに差し替えるとすごーく映画のタイトルっぽい。

前回の前書きでイーブイについて語りましたが、そういえばドラゴンタイプの要素が無かったので、この画像のリボンに対になるように竜のツノを生やしてください。


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他のタイプについてはおなじく前書きをどうぞ。まあ画像のだけでも十分ですが。


 

 

 

—アップルアカデミー グラウンド—

 

 

 

ハルト

「————……すぅ」

 

 ハルトはサザンドラの甘噛みに驚いたショックで気絶してしまったが、騒がしいグラウンドの隅にある木の陰で安らかな寝息を立てていた……

 

???

「スン、スン……」

 

ハルト

「……ぅ、ぅぅん…………?」

 

 ……のだが、ハルトの匂いを嗅いでくる何者かによって寝苦しそうに唸って目を覚ます。徐々に輪郭を帯びていく彼の視界に最初に映ったのは——

 

???

「——アギャス」

 

 黄金色の瞳をしたポケモン。形からしてドラゴンタイプの……鱗は赤く、ウォーボンネットのようなトサカが木漏れ日を隠していた。

 

ハルト

「あ……おはよう……あっ、わ、わっ……!」

 

 少しの間ぼけーっとしていたハルトだが突然飛び起きては全身をぺたぺた触っていく……頭や尻を撫でてからひと息零した。

 

ハルト

「……あれ、ボクたしか……」

 

アオイ

「あ、目が覚めたみたい?」

 

 何があったか思い出そうと首を捻っていたハルトだが、起きた彼に気が付いたアオイが木に背中を預けたまま話しかけた。

 

???

「アギャア!」

 

アオイ

「うんうん。コライドンも見守っててくれてありがとね。ボタンみたいに舐めなかったのもえらいえらい」

 

 そして最初にハルトと目を合わせたポケモンはコライドンと呼ばれてアオイの元に撫でられに行く。歩く姿を眺めると、胸にある大きなのど袋や体躯からしてモトトカゲに似ているが、その他の赤い鱗や顔立ちがまったく違うことを突き付けてくる。

 

ハルト

(モトトカゲの近縁種とか……かな?)

 

ボタン

「ハルト!」

 

ハルト

「——わ」

 

 ハルトがコライドンについてそんな考察をしていると、正面からボタンが抱き着いてくる。ぎゅっと抱きしめるその腕は震えていて、どこか悲し気な様子だった。

 

ボタン

「大丈夫? 急に倒れてうちもうびっくりして……」

 

ハルト

「……うん、もう大丈夫。今日は迷惑かけてごめんね」

 

ボタン

「ほんとに大丈夫?」

 

ハルト

「うん」

 

ボタン

「…………」

 

 心配そうにハルトを見つめるボタン……の隣でアオイが相変わらずにやにやしていたので慌ててボタンは離れて立ち上がった。

 

アオイ

「むふふふ……」

 

ボタン

「っ……! そ、そっ……そんなに言うなら問題なし! うん……!」

 

ハルト

「…………?」

 

 急に声を荒げるボタンにハルトは再び首を傾げるも、ボタンとアオイは『素直じゃないね』『うっさいし』とじゃれ始めてしまった。

 

ペパー

「よう。起きたか。えーっと……ハルト、だったか?」

 

ハルト

「あ、おはようございます。貴方がその、ペパーさん?」

 

ペパー

「さんはいらねえよ。ペパーでいい」

 

 遅れてペパーがマグカップ片手にやってくる。カップからするどこか甘い匂いがしていたのでハルトは伸びをしながら立ってはすんすんと自然と匂いを嗅いでしまう。

 

ハルト

「じゃあペパー、それは?」

 

ペパー

「順応高すぎちゃんだな。これはオレが作った特製栄養ドリンク。オマエが起きたら飲んでもらおうと思ってな」

 

 ペパーがハルトにずいっと差し出したのはミルク色の液体に満ちたドリンク。ハルトはそれを見て、そしてペパーと目を合わせてぱぁっと顔を輝かせる。

 

ハルト

「ありがとう! なんだすごいイイ人だ、いただきます!」

 

 ハルトがそれを受け取り鼻を近づける……やはり甘い匂いだが、薬草の匂いも混じっている。温度は人肌くらいで、飲めば口の中に漢方のような苦みや渋み、香辛料のような辛味、塩っけ、様々な木の実の甘味といった多種多様なうま味が喉を通って全身に流れていった。

 

ハルト

「ほわぁ……おいしぃ……」

 

ペパー

「そういってもらえてなによりちゃんだ!」

 

 幸せそうなハルトの笑顔にペパーもまた顔を綻ばせると、ボタンとやいのやいの言っていたアオイが横からひょっこり顔を出してくる。

 

アオイ

「すごいでしょ、うちのペパーの料理は! ワタシも、ワタシのポケモンたちもいつもお世話になってるんだ!」

 

ペパー

「誰がうちの、だ。嫁にもらわれたことはねえぞ?」

 

ハルト

「すごいやこれ、飲んでからすぐに元気が出てくる……! 材料とかどんなの使ったの?」

 

ペパー

「ああ、まず新鮮なモーモーミルクだろ?」

 

ハルト

「うんうん」

 

ペパー

「それにネモってやつのポケモンにハピナスがいてそいつのタマゴ、あとはオレのキョジオーンの塩にスコヴィランの——」

 

???

「「チュリリ、チュリリ!」」

 

 ペパーがぞくぞくと材料を説明してはハルトが元気よく相槌を返していると、3人の間に2匹のポケモンがふわりと浮かんで口を挟んだ。

 

ペパー

「……おう、オマエらチュリネの葉っぱもな。良いアクセントになって助かったぜ!」

 

チュリネたち

「「チュリリ~♪」」

 

ハルト

「嬉しそう。この子もペパーの?」

 

ペパー

「いんや? こいつらは——」

 

イレギア

「俺のポケモンでスター!」

 

 さらに口を挟んだのは、チュリネが『よっ!』とおだてるように左右に侍るスター団したっぱ。

 

アオイ

「うわっ、また生えてきた!」

 

ペパー

「生えたって……そんな急に出てくるのかコイツ?」

 

アオイ

「うん。冒険中も急に現れてはバトルを挑まれて……」

 

ペパー

「それもう怪異かなんかじゃねえのか……?」

 

ハルト

「したっぱ先輩! この間は『こおりのいし』ありがとうございました!」

 

イレギア

「礼には及ばないぜ! 後輩の力になるのは人気者の務め……これで俺のスクールカーストがまた上がっちまったなぁ!」

 

ペパー

「スクールカーストってそんなレベルみたいなもんじゃねえだろ。それとオマエ、したっぱ先輩って呼ばれてんだな。ちょっとシュールちゃんだぜ」

 

イレギア

「あだ名が定着してるのは人気者の要因でスター! それより元気になったんならなによりだ。俺のルカリオが『いやしのはどう』で看病したのも効いたろうな!」

 

ハルト

「ルカリオ……?」

 

イレギア

「ああ、あそこに……」

 

 イレギアが指差したのはグラウンドから見える校舎の屋根……指につられてハルトとペパーが見てみると、そこにはルカリオがこちらを見ていて——姿が消える。

 

ハルト

「あれっ、消えた!?」

 

 ——と、思いきやイレギアの元でボールの収納音が響いたので振り返ればルカリオがモンスターボールに吸収されてしまった。

 

ペパー

「相変わらずな照れ屋ちゃんだな。人目を避けるだけに『しんそく』なんて使うか普通?」

 

イレギア

「へっへっへっ……それがこいつの長所でもありまスター! この逃げ足はバトルで何度も行かされてるからな……サザンドラの攻撃だって攻略できるほどにな!」

 

ハルト

「サザンっ……!」

 

 その名が出てきたことにハルトの背中に鳥肌が立つ。あの威圧感から繰り出された『かみくだく』(あまがみ)の恐怖はまだ残っているようだった。

 

イレギア

「おう、アイツならあそこで……」

 

 イレギアが顎をしゃくった先には——ハピナスやモスノウに怒られている姿があった。トレーナーのネモも2匹を宥めているようだった。

 

ボタン

「ハルトにしたことで説教食らってた……てかうちもアイツに食われたことある」

 

アオイ

「ワタシもっ、意外と甘噛みが気持ちよくてー」

 

イレギア

「俺はない」

 

ペパー

「バカが移るから嫌なんだろ」

 

イレギア

「なんだとぉ!」

 

ハルト

(それにしてもいろんなポケモンがいるなあ……)

 

 ふとハルトが周囲に視線を移す。

 

 ヨクバリスとデカグースがおやつを巡って争っている。アノホラグサをモトトカゲ(なんか改造されてる?)やサンダースが追いかけている。ウルガモスとギャラドスを筆頭にポケモンたち何匹が互いの主人の困ったことについて語っている。イキリンコ4匹が何やら劇をしては金色の長身人型のポケモン——後で聞いたらサーフゴーというポケモンらしい——や胸にハートがあるナミイルカが愉快そうに手を叩いて笑い、アーマーガアやドラミドロが関心している……ともかく様々なネットワークを築いていた。

 

 ハルトのイーブイも『進化性形態異常』によってハブられることなどなく、むしろストリンダー(ハイのすがた)とラウドボーンを筆頭に奏でる音楽に乗って踊るウェーニバルのダンスに見惚れたり、グレイシアやニンフィアと交流を……——あれ、グレイシア?

 

ハルト

「ねえ、ボタン。あのグレイシアはアオイのポケモン?」

 

ボタン

「ん? あれはうちの……あ」

 

 ボタンが自然と口を滑らし、そして細められるハルトの視線に冷や汗を噴き出す。

 

ボタン

「あ、あー……えっと……」

 

ハルト

「まさか、あれってボタンの?」

 

ボタン

「…………うん。さっき我慢できずに進化させた……ごめん」

 

ハルト

「もーっ、どうせ進化させるなら一緒に見ようって言ったじゃん!」

 

ボタン

「いや、ホントごめん……明日の昼おごる」

 

ハルト

「なんかそういうの良くない気がする」

 

ボタン

「う……ド・正論……」

 

 突きつけられるハルトの精いっぱいの『にらみつける』にボタンの防御は下がってしまうが、やがてハルトは溜め息をひとつしてからふふっと笑った。

 

ハルト

「ま、でもこれで約束もうひとつ! もっとボタンと一緒にいられるね!」

 

ボタン

「えっ……! そ、それってどういう……!?」

 

ハルト

「え? そのままの意味だけど……」

 

 素直なハルトの爆弾発言にボタンがたじろいでしまうも、アオイが『進化した瞬間、動画に撮ってるけど見る?』と話題を変えられていた。

 

ペパー

「まあ、なんだ……がんばれ」

 

ボタン

「ペパーに言われるの、なんか敗北感」

 

イレギア

「——そんなことよりも、だ!」

 

 穏やかな放課後をぶち壊すように告げるのはやはりイレギアだった。

 

ハルト

「わあ進化かわ——……したっぱ先輩?」

 

イレギア

「へっへっへっ……ハルト、お前の連れてきたイーブイと戦わせてほしいでスター!」

 

イーブイ

「……ブイ?」

 

 そしてついで彼から語られたのは話題に出たことでこちらに振り返るイーブイ。【しんかいじょう】によって現れたエーフィの尻尾やブースターの額の毛が遅れて揺れる。

 

ネモ

「あーっ! わたしが最初だって言ったじゃん!」

 

イレギア

「ワハハハハ! 選ぶのはハルトでスター! 珍しいポケモンとのバトル……これはスター団としても見過ごせないぜ!」

 

ボタン

「いやスター団関係ないし、それにもう団はアオイに壊滅させられたし」

 

アオイ

「壊滅って言われるとなんか変なカンジ」

 

 ネモに詰め寄られるもイレギアは意に返さず両手で星を描く迫真のポーズを披露する!

 

 

 

 ——そんなイレギアの背後にいつの間にか現れたマルマインが点滅を始める

 

 

 

イレギア

「整いました」

 

 あっけらかんとしたイレギアの言葉にストリンダーが『べべんっ!』と胸の弦を鳴らす。

 

イレギア

「マルマインとかけまして、仕掛けた罠に引っ掛かるハンターと解きます」

 

ネモ

「その心は?」

 

イレギア

「磁場(自縄)にて自爆(自縛)します」

 

アオイ ハルト

「「おおーっ」」

 

ネモ

「うーん。ちょっと言葉が難しいかな」

 

イレギア

「やっぱそう思う? なぞかけ難しいすぎまスター」

 

マルマイン

「ビ、リリ……!」

 

イレギア

「待たせてすまんマルマイン。せーのっ——ドッカーン!!

 

 

マルマインの だいばくはつ!

 

 

ボタン

「えー…………?」

 

 アオイとハルトが拍手している傍でボタンが爆発にメガネを反射させながら困惑の声を零す。『ボルトチェンジ』で飛んできたシビルドンの『まもる』によって彼らには爆風も届かなかった。ネモの方は『とんぼがえり』で戻ってきたアーマーガアの硬い翼に守られている。

 

ペパー

「なんだ、ボタンはこれ見るの初めてか?」

 

ボタン

「なんでこうみんなアイツの扱い慣れてるし……ハルトも初見のはずなのに慣れすぎじゃない……?」

 

 見れば周りの生徒は大声を上げて驚いている……あれが普通、のはずだ。

 

ハルト

「ボクだって驚いてるよ? 爆発するマルマインをバックにポーズを決めるって聞いたけど、生で見れて今すっごく嬉しい!」

 

ボタン

「ツッコミがうちしかおらん」

 

ネモ

「それじゃあハルト、わたしと戦ろう!」

 

 『だいばくはつ』でぶっ飛んだイレギアのことを一瞥して問題なしとしたネモがハルトに詰め寄る。

 

ネモ

「あっ、レベルについてはアオイから聞いたから合わせられるよ! ……どう、かな?」

 

ハルト

(…………?)

 

 快活な笑顔で接近してきたと思ったら慎重にこっちの答えを待っている——ネモの不安気な表情にハルトは面食らっては頭に疑問符が浮かぶ。

 

ハルト

「バトルなら初めてであんまりわかんないけど……でも、イーブイのことも知りたいからこっちからお願いしたいくらいだよ」

 

ネモ

「えっ! ほんとに!? やったーっ!」

 

ハルト

「え?? そんなに喜ぶことなの?」

 

アオイ

「ネモは生徒会長になってから声をかけてもバトルしてもらえなかったみたいで、ワタシや先輩に出会うまでずっと寂しい思いをしてたの」

 

ハルト

「へー、そんなことが……あれ、ボクってレベルとか教えたっけ?」

 

イレギア

「アオイの奴、凄いんだぜ? 見たポケモンのレベルとか、次に繰り出すポケモンとかも分かっちまうんだ!」

 

ハルト

「そうなの? すごい! ……もう復活してる!?」

 

イレギア

「ったりめえよ! 俺は『あくのはどう』を喰らったって怯まねえでスター!」

 

ペパー

「…………」

 

 『先輩もすごい!』とハルトが感心している横でペパーが複雑そうに彼らを眺めていた。

 

アオイ

「ペパー? どうかしたの?」

 

ペパー

「……いや。『あくのはどう』ってのがネモのサザンドラに食らわされたのかとか考えてただけだよ」

 

アオイ

「あれ、いつもは冗談だって相手にしないのに」

 

ペパー

「…………だんだんアイツの言ってることが全部マジなんじゃねえかって思えてきた」

 

アオイ

「あははっ、流石にないよー。コイキングが崖を超えてきたとか、タツベイが頭に落ちてきたとかありえないしさ」

 

ペパー

「だよな……」

 

ボタン

(……ギャラドスとボーマンダがすっごい首を左右に振ってる。え、マジなん?)

 

ハルト

「それじゃボタン、とりあえずやってみるよ!」

 

ボタン

「あ、うん……てかバトルやったことなかったん?」

 

ハルト

「ポケモンに指示を出すってどうにも難しくって……でも、イーブイの今についても気になるし!」

 

 ボタンに尋ねられるもハルトは笑顔でもって返事する。素直で無邪気……どうにも危なっかしくて心配が止まらないような人だった。

 

ネモ

「初めての人とポケモン勝負するのはアオイ、イレギアに続いて久しぶりだな……実りある勝負にしよっ!」

 

ハルト

「うんっ! えーっと……いけっ、イーブイ!」

 

イーブイ

「ブイッ!」

 

 グラウンドの仲間たちに別れを告げたイーブイがかくとうタイプの後ろ脚で大きくジャンプしてひこうタイプの羽で滑空……変わった姿にもう適応した様子で、その姿にネモも笑みを深くする。

 

ネモ

「その子の状態について知りたいってボタンから聞いたからこっちはいろんなタイプのポケモン使っちゃうけど、いいよね?」

 

ハルト

「それと手加減してくれるなら」

 

ネモ

「わかった! それじゃあ出てきて——!」

 

 

 

 

ポケモントレーナーの ネモが 勝負を しかけてきた!

 

 

—BGM 戦闘ネモ—

 

 

ハルト●◯○○○○VSネモ●●●●●●

 

 

 

 

 ネモがへっぴり腰でボールを投げ、アオイの審判のもとバトルが始まったが……これは模擬戦にも満たないものなため、ポケモンの数が異なるなど変則的なルールで行なわれる。

 

 グラウンドにいた他の生徒も不思議な姿のイーブイに惹かれてそのバトルを観ていたが——

 

 

 

 

 

ハルト

「イーブイ、『かぜおこし』!」

 

ボタン

「『かぜおこし』……!? ブイブイの誰も覚えんわざ……!」

 

ネモ

「効果は抜群……じゃ、ない……? ともかくお返しに『からてチョップ』!」

 

アオイ

「ノーマルタイプの弱点のはずだけど……そんなに効いてない?」

 

ネモ

「ポケモン交代するねー!」

 

ハルト

「イーブイ、まだまだ頼んだよ!」

 

イレギア

「2人とも頑張れー! ストリンダー、ノリノリにBGM頼みまスター!」

 

ペパー

「……うるせえ」

 

 

 

 

 

 

 

アオイ

「ストーップ! ……このへんで試合終了!」

 

 ——やがて、ハルトのイーブイに疲労が現れたところでアオイが待ったをかける。

 

イーブイ

「ブイ~……!」

 

ハルト

「お疲れイーブイ、ゆっくり休んでね……バトルありがとね、ネモ!」

 

ネモ

「わたしこそありがとうハルト! ちょっと違う形式だけどすっごく楽しかった!」

 

 ネモがポケモンをモンスターボールに収めてから近寄ってきたハルトと握手を交わす。彼の場合は疲れたイーブイをそのまま繰り出してバトルコートで寝かせており、疲れを労うようにボタンのブイズたちが集まってくる。

 

ネモ

「イーブイどころか他のポケモンとも似つかない力で驚いちゃった! それにハルトの指示もすごく上手だったよ! 初めてとは思えないくらい息ピッタリ!」

 

ハルト

「そうかなあ……でも嬉しい!」

 

ボタン

「…………えと、お疲れ」

 

 ネモとハルトが仲良く話している事に胸の奥が騒めてか、ボタンは居ても立っても居られずにハルトに声をかけてしまう……言葉にしてから後悔をしないでもなかった。

 

ハルト

「ボタンもありがと、ここに連れてきてくれて……じゃなかったらボク、ネモもペパーもずっと誤解したままだったよ」

 

ボタン

「それはなんか勢いというか……でも、友達が悪く言われてるのは嫌だったし。良かった」

 

ネモ

「……? わたしがどうかしたの?」

 

ボタン

「いや、別に聞かんでもいいこと。それより……ハルトのイーブイについてだけど——」

 

 ボタンが切り出した話題は先ほどのバトルで分かったハルトのイーブイが持つ異常性についてだ。彼と言えばアオイにもふられている。

 

 ハルトのイーブイが繰り出したわざは『かぜおこし』『でんこうせっか』『でんじは』『ひのこ』。通常のイーブイでは3つも覚えられないわざがある。

 

 後者の2つは進化系のブイズが覚えるものの、『かぜおこし』はどの進化系も覚えない……しかしイーブイにはひこうタイプの進化系であろうポケモンの羽があるため、それの影響なのかもしれない。

 

 そして極めつけは——イーブイ自身と彼が繰り出すわざにはタイプが無かったのだ。

 

ネモ

「ゴーストタイプの子に『でんこうせっか』が当たったり、じめんタイプの子に『でんじは』が当たったり……わたしもこんなポケモン初めて……」

 

ボタン

「ホウエンにいるエネコロロの特性に【ノーマルスキン】ってのがあるけど、たぶんそういうのに変わったとか? たしか元の特性は【てきおうりょく】だったし」

 

ハルト

「そんな変化も……イーブイ!」

 

 ハルトからの呼びかけにアオイに頬ずりしていたイーブイのリーフィアの耳が反応し、『ブイ!』と鳴いてから両手を広げて待ち構えるハルトへと駆け出した。

 

ハルト

「うぉ……体重とか脚力も変わってるからちょっと痛い……ドラゴンタイプっぽいツノは上向いてるけどうっかり刺さりそうで怖いな」

 

 『その姿でいても問題はない』とジニア先生から教わったし、こういったことも気を付けていかないととハルトは頭の中で呟くも……少し憂いを帯びた表情で相棒の頭を撫でる。ブースターの毛を避ければそこにはいつもの彼の感触が残っていた。

 

ハルト

「イーブイ……キミは、誰に進化したかったの?」

 

イーブイ

「ブイ……?」

 

 自分を抱きしめて視線を合わせるハルトに対してイーブイは不思議そうに首を傾げた。

 

ボタン

「……そっか。『進化性形態異常』は進化しそうになったから表れるもので、そもそもイーブイに進化の予兆があったってことなんだ」

 

ネモ

「あ、確かにそうだね」

 

ハルト

「朝起きたらこうなってたから寝てる間に進化……なんてあり得るのかな? 朝日を浴びて、とかならエーフィになりたかったのかな」

 

イーブイ

「ブイー……」

 

 ハルトが質問をしてもイーブイは眉を寄せて困ったような表情を浮かべるばかりだ。

 

ボタン

「……自分でも何に進化しようとしたのかわからんっぽい」

 

ネモ

「力になって上げたいけど、うーん……どうすればいいのだろ?」

 

イレギア

「——どうやら俺の出番みたいでスター!」

 

 膠着する彼らの元にいつもの自信に満ちたイレギアの声が響き渡る。

 

 ネモはその声に一転して笑みを浮かべ、ボタンは『うわ』とでも言いたげに引き気味だった。

 

 呆けた顔のハルトに対し、イレギアはいつものように不敵な笑みを浮かべており……やがて指を立ててこう告げる。

 

イレギア

「ハルト、お前——世界を見てみないか?」




今回も長くなったので分割します。さっさと冒険に行きたい気持ちはあるし人数が多いと会話も多くなっちゃうけど、そういうのも全部書きたいジレンマ。

イレギア君が裏でたくさんポケモンを捕まえてます。6匹だけでも良かったんですけど、ネモに勝つってんならもっとたくさん育てたほうがいいでしょという事で。それも0話だったりで更新する予定です。いっそパルデア編の続きとして書きます? 

○新たに判明した各々の手持ち

●イレギア

・ルカリオ
・チュリネ姉妹
・ストリンダー(ハイのすがた)
・アノホラグサ
・マルマイン

●ネモ

・モスノウ(進化による飛翔というギャラドスとの対比)
・ハピナス(器用な攻撃範囲というシビルドンとの対比)
・アーマーガア(空飛ぶタクシーというイキリンコとの対比)
・イルカマン(特殊な進化というサーフゴーとの対比)
・ラウドボーン(アオイがクワッスを選んだため)

●アオイ

・ウルガモス
・ウェーニバル
・ドラミドロ



コライドン
とくせい:【ひひいろのこどう】
せいかく:〔わんぱく〕
こせい:こうきしんがつよい
いつものアギャス。性格というか諸々はみなさんご存じの通り。

前話のあとがきにテツノイバラの別称を考えて載せましたが、読みづらくなりそうなので消しときました。捕まえた人が名前を考えるってシステムは良さそうなんスけど、まあ……はい()


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