古明地こいしの異世界旅行 (アステラ000)
しおりを挟む

第一章(仮)
1話 出会い


どうも〜よろしくおねがいします。
クロスオーバー、書いてみたかったんですよ。
三人称視点です。


「おねーちゃん!遊びに行ってくるね〜!!」

 

「気をつけてね、こいし。あと、心配するから、何日もフラフラしないで頂戴ね」

 

「はぁい!」

 

古明地さとりの仕事部屋にノックもなしに凸り、遊びに行くと大声で宣言した古明地こいしは、元気よく地霊殿の外へと飛び出した。

 

「あ、そうだ。お燐とお空の様子を見てから地上に行こーっと」

 

そう言いながら足を止めた彼女は、回れ右をして灼熱地獄跡へ向かう。

核の力で大分暑くなっているその場所で、彼女は探していたペットたちを見つけると、直ぐ側にふらっと飛んでいった。

 

「お空〜、順調かい?」

 

「あ、お燐!今日もいい感じだよ〜」

 

「うんうん、よかった。持ってきた燃料はいつものとこに放り込んでおくよ。あと、もうすぐお昼時だから、一区切りついたら一緒にさとり様んとこに戻ろう」

 

「おっけ〜!今日のお昼ごはんは何かなぁ」

 

のんきな会話をしている二人は、こいしには気づかない。無意識の能力を使ったまま二人の様子を見ていたこいしは、満足気に頷いたあと、来たときと同じようにふらっと飛んでその場を後にした。

 

彼女の今の行動に別段深い意味はない。本人は長くは家を空けないつもりでいるのだが、なにせ存在が『無意識』のため、気づいたら何日も経っていたなんてことがよくある。こいし自身、なんとなく今回のお出かけもそうなるような気がしているので、愛しの家族の様子を見ておこうと思っただけであろう。

 

今日はどこに行こうか、何をしようか、魔理沙に弾幕勝負を仕掛けようか、フランちゃんに会いにいくのもいいな…

 

そんなことを考えながらふらふらと漂っている彼女の姿は、誰にも見えていなかった。

 

★★★★★★

 

「…あれ、ここどこだろ〜?」

 

ふと立ち止まってすっとんきょうな声を上げた古明地こいしは、暗い洞窟の中に立っていた。あちこちに見たことのない草が生えており、また、見たことのない宝石のような岩が生えていた。

 

「幻想郷にこんなとこ、あったかなぁ」

 

むむむと首をかしげて唸った彼女は、すぐに顔を上げて

 

「ま、どこでもいっかぁ。それより、面白そうなものないかな〜」

 

と、のんきに呟いて、またふらふらと漂い始めた。

 

魔物が多いこの洞窟を一切襲われることなくゆっくりと漂う彼女。それもそのはず、なんたって彼女は誰にも見えていないのだから。

 

それは、今しがた彼女の視線の先にいる一匹のドラゴンと一匹のスライムにも同じことが言える。

 

「わぁ…こーんなおっきなドラゴン、見たことない…!水色のぷにぷにさんとお話してるのかな?」

 

そう呟いたこいしは、ふらふらと近づいていく。しかし、スライムの真後ろまで来ても、話し声は聞こえない。しかし、スライムがぽよんぽよんと揺れている様子は、目の前のドラゴンと話をしているようにしか見えない。

 

すると突然、ドラゴンが高笑いをした。

 

じっとその様子を見ていたこいしは、二匹がどんな話をしているのかが気になって仕方がなくなり、ついに声をかけた。

 

「ねえねえ、なんのお話をしてるの?」

 

(うわっ!?誰!?)

 

(おわっ、な、なんだ急に!…貴様、今一体どこから現れたのだ?まさか、この我を相手に完璧に気配を断っていたのか…?)

 

「わぁ!頭の中に声が聞こえる〜!」

 

まるでもとからそこに居たかのように、急に現れたこいしに驚く二匹。こいしはこいしで、突然聞こえた念話に目をぱちくりさせてはしゃいでいた。

 

(えーっと…ヴェルドラ、知り合い?)

 

(なわけなかろう。我、ここにずっと一人で退屈しておったと言っただろうが)

 

(ですよねー…で、君は誰?)

 

「私、こいし!はじめまして!ドラゴンさん、ぷにぷにさん」

 

(ぷ、ぷにぷにさん…俺のことだよな)

 

(ふむ…見たところ、お前は我の魔素溜まりから生まれた魔物というわけではなさそうだな。それどころか魔素を一ミリも感じないが、まさか人間というわけでもあるまい…。お前はどこから来たのだ?)

 

「ん〜覚えてない!適当にお散歩してたんだけど、気づいたらここにいたんだ〜」

 

(覚えてない…じゃあ、記憶喪失なのか?)

 

「違うよ〜。私、無意識だから」

 

((無意識…?))

 

はてなマークを頭の上に浮かべる二匹に、こいしは満面の笑みで頷く。

 

「うん!『無意識を操る程度の能力』を持ってるんだ〜」

 

(…?えっと、何言ってるかはあんまり分からなかったけど…でもここで会ったのもなにかの縁だし、君も俺たちと友達にならないか?)

 

「お友達?いいよ〜!」

 

(クァーハッハッハ!面白い!まさか暴風竜と恐れられる我に、またしても友達ができるとは思わなかったぞ!)

 

(ははは…まあこれでヴェルドラももう寂しくないだろ?)

 

(ククク、その通りだな。…そうじゃ、スライムよ。お前達に名をやろう。その代わり、お前たちで我に名前をつけるのだ!)

 

(名前?なんで?)

 

(同格ということを、魂に刻むのだ。人間で言う、ファミリーネームみたいなものだな。そこの緑の…こいしといったか?こいしにも我が名前の上書きをしよう!こうすることで、お前たちは我の“加護”を受けることになる)

 

(なるほど…俺とこいしでそのファミリーネームを考えればいいわけだな。…うーん、俺センス無いんだけどなぁ…)

 

スライムがうんうんと唸りだしたのを見て、こいしも真似して考え込むポーズをした。

 

(…テンペスト、なんてどうだ?)

 

(クァーハッハッハ!素晴らしい響きだ!決まりだな!)

 

「すごーい!かっこいい〜!」

 

(あ、いいんだ)

 

(今日から我はヴェルドラ=テンペストだ!そしてお前には…“リムル”の名を授ける。リムル=テンペストを名乗るといい!)

 

(おぉ…リムルか)

 

(そしてこいしにも我から改めて“コイシ”と名付ける。お前も今日からコイシ=テンペストを名乗るといい!)

 

「私もおそろい?やったぁ!」

 

3つの名前はそれぞれの魂に刻まれ、この3人(全員人間ではないが)に魂の繋がりができた。

 

こうして暗い洞窟の中、ここに新たな友情が生まれたのである。

 

(ところで…ヴェルドラのその封印って解けないの?)

 

(我の力では無理だな。ユニークスキルでもあれば可能性はあるが…我のスキルも我とともに封印されてしまったしな)

 

(うーん…どうしたものかな)

 

リムルは自分のスキルと相談を始め、暇になったヴェルドラとコイシはおしゃべりを始めた。

 

(して、コイシよ。お前から魔素を感じないのはどうしてだ?)

 

「まそ〜?なぁにそれ」

 

(…魔素を知らない?もしやコイシ…この世界の者ではないのか?)

 

「ん〜わかんない!幻想郷をお散歩してたらいつの間にかここにいたもん。あれ、これさっきも言ったっけ?」

 

(ゲンソウキョウとやらがどこかは分からぬが…その調子だと、もしかしたら異世界から来たのかもな)

 

「へぇ〜ここって異世界なの!!」

 

花が咲いたようにぱぁっと笑みを浮かべるコイシに、ヴェルドラは苦笑いをする。

 

(まったく、楽観的なやつじゃ。普通、異世界に来てこんなに迫力のある竜種と出会ったら驚いたり恐れたりするだろう)

 

「そ~かなぁ」

 

(おーいヴェルドラ!封印を解けるかもしれない方法が見つかったぞ!)

 

(む、本当か!?流石だぞ、リムルよ!)

 

(ああ、単刀直入に言うぞ。お前、俺に喰われてみないか?)

 

リムルの説明を聞いたヴェルドラは、さも楽しそうに笑った。

 

(クァーハッハッハ!面白い!ぜひやってくれ。お前に我のすべてを委ねようぞ!!)

 

(おいおい、俺から提案しといてなんだが、そんな簡単に信じていいのか?)

 

(無論だ!ここでお前たちを待つより、リムルの中で『無限牢獄』を破るほうが楽しそうだ!!なぁに、我とリムルの二人でかかれば、こんなものすぐに突破できるだろう!!)

 

(…よし、俺も覚悟決めたぞ!じゃあ早速お前を喰うけど、さっさと脱出してこいよ?)

 

(クハハハ!任せておけ!そんなに待たせずに、お前たちと相見えようぞ!!)

 

「リムル、ヴェルドラを食べちゃうの?」

 

コイシは二人の会話を聞いて、不思議そうな顔をした。

 

(ああ、でもこれはヴェルドラの封印を解くためだ。絶対また会えるから大丈夫だぞ)

 

「そうなんだ!頑張ってね、ヴェルドラ!」

 

(おう!)

 

そしてリムルの『捕食者』によってヴェルドラは洞窟から消え、ここからリムルとコイシの冒険が始まるのであった。

 

それから、ヴェルドラの消失により世界中に激震が走ったのは言うまでもない。

 




《古明地こいしのステータス》
名前:コイシ=テンペスト
種族:(さとり)
加護:暴風の紋章
称号:なし
魔法:なし
技能:???スキル『無意識を操る程度の能力』
耐性:精神攻撃無効、物理攻撃耐性、自然影響耐性、状態異常耐性


こいしちゃんは、第三の目と同時に心を閉ざし感情がほとんどない。
よって精神攻撃は無効にしました。これ地味に原作キャラたちは“無効”じゃなくて“耐性”だから、ベクトルの違う強さがあるかも。ちな他の耐性は、まあ「妖怪」やし…って感じで適当につけた。
ん?名前のゴロが悪いって?うるせえ慣れやがれください!

ここからリムルと洞窟を放浪することになりますが、ふとこいしちゃんの食事は…?って思っちゃいました。なので…

妖怪だから妖力さえあれば死なないということにしよう

じゃあ、この世界の魔素を勝手に妖力へと変換できることにもしちゃおう

たしか洞窟の中はヴェルドラの魔素で溢れてるよね

よし、平気だな☆

というご都合設定を作り出しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話 洞窟

どうも、湊本です。

ここからはほとんどリムル視点となります。


(そういえばコイシ、さっき言ってた『無意識を操る』って一体何なんだ?)

 

ヴェルドラを喰い、コイシと洞窟を進み始めた俺は、突然現れて成り行きで一緒に旅することになったコイシに気になっていたことを聞いた。

 

「ん〜?そのまんまの意味だよ。みんなの心の奥底にある無意識を私は操れるんだ〜」

 

(なんとなくわかるようなわからないような…)

 

「初めてリムルたちと会ったとき、私が声をかけるまで私に気づかなかったでしょ〜?あれも無意識だからだよ!他人に認識されないんだ〜」

 

(認識されない…なるほど、じゃああの時コイシは気配を消していたのとは違ったんだな。というか、『無意識を操る』ってのもスキルの一種なのか?)

 

「スキル〜?」

 

(あれ…違うの?)

 

《解。魂の回廊から個体名:コイシ=テンペストのスキルを解析しましたが、『無意識を操る』に該当するスキルはありませんでした》

 

おお、大賢者さん…ん?じゃあコイシが言ってる『無意識を操る』ってのは一体なんの能力なんだ?

 

《解。おそらくこの世界のスキルではないと思われます》

 

この世界のスキルじゃない…コイシは異世界から来たのか?

うーん、コイシが不思議な子だということしか分からなかった…。

 

まあ、いっか。これから一緒にいればお互いのことも色々知れるだろうし。

 

そう思いながらふと周りを見回すと、俺はコイシの姿が見当たらないことに気づいた。

 

(!?コイシ?どこ行ったんだ!?)

 

「ここにいるよ?」

 

(うわっ!)

 

俺が慌ててコイシに呼びかけた瞬間、あたかも最初からそこに居たかのように隣から声が返ってきて、驚いてしまった。

 

(あれ…今俺コイシのことが一瞬認識できなくなっていたのか?)

 

「そうかもね〜。私自身が無意識だから、意識しないで無意識の能力使っちゃうんだ」

 

(ええ…無意識って厄介だな…)

 

なるほど、なんとなくわかってきたぞ。コイシの『無意識を操る能力』が使われると、たとえさっきまでコイシのことを認識していたとしても、目を離した瞬間に認識できなくなってしまうのだろう。そんでもって、本人も無意識と。…やべえ、無意識がゲシュタルト崩壊しそうだ。

 

(よし、とりあえず俺の側から絶対離れないでくれよ?さっきみたいに見えなくなった上にどっかに行かれるとまずいからな)

 

「はーい!」

 

うん、元気なお返事だ。なんだか妹ができたみたいでいいな…。

 

そんなことをふわふわ考えていたこの時の俺は、このあとコイシの『無意識』に何度も翻弄されることになるとは思いもしなかったのだった。

 

★★★★★★

 

その後、俺はスキルの練習をしながら洞窟を進んでいった。

コイシが見えなくなったり、急に目の前に現れたりするのにもようやく慣れてきた。やんちゃな子供を持つお母さんって、こんな気持ちなのかな…。

 

そんなことを考えながらぽよぽよ進んでいると、大きな扉が見えてきた。

 

(おお…人工物だ。うーん、どうやって開けようか…水刃で切り刻めるかな?)

 

「私が開けてみようか〜?」

 

(お、できるか?だいぶ重そうな扉だが)

 

「やってみる!」

 

そう元気よく返事したコイシが扉に小さな手を伸ばしたその時、

 

ギギギィィーーーーー!

 

と軋む音をたてて、扉が開き始めた。

 

(やべっ!)

 

俺は慌てて隠れようとしたが、すっとコイシに持ち上げられた。

 

(コイシ!?ほら、隠れないと!)

 

「大丈夫だよ〜」

 

そう言うと、コイシは少しだけ道の端によった。

 

「はぁ、やっと開きやがった。錆びついちまって、鍵穴もボロボロじゃねーかよ…」

 

「まあ、仕方ないっすよ。もう300年、誰も中に入ったっていう記録がないでやんすから

 

「そんなことより、本当に大丈夫なのぉ?いきなり襲われたりしないわよね?」

 

扉の向こうに見えたのは、三人の…冒険者かなにかか?

 

なんだか騒がしい連中が、目の前にいるコイシと俺を()()()()()()()()スルーして洞窟に入ってくる。

 

(…コイシ、本当に誰にも見えないんだな。というか、なんで俺まで?)

 

「私が触れたものも無意識の対象にできるんだ〜」

 

(そんなことまで…)

 

ん?そういえば、俺すっごい自然に冒険者たちの言葉が理解できたな。

 

《解。発せられた音に意思がこめられている場合、『魔力感知』の応用で理解できる言葉へと脳内で変換されます》

 

なにそれ便利ぃ。

こちらからは話しかけられないが、言葉は理解できるというのか。

 

それはともかく、どうしよう?

この世界に来てようやく会えた人間だ。ぜひともついていきたいが…。

 

…まあ、やめておいたほうがいいだろうな。

魔物の俺たちじゃあ即刻討伐されそうな予感しかしない。

コイシの安全のためにも、ここは我慢だ。

 

「さあ二人共、そろそろ静かにしてください。あっしの“隠密スキル”発動させやすんで」

 

冒険者の一人がそう言うと、三人の姿が薄れて見えづらくなった。

 

ふむ、隠密といえどその程度なのか。

あらためて、コイシの“認識できなくなる”という能力の凄さがわかる。

 

三人が洞窟の奥へと進むのを横目に、俺たちは扉の外へと進むのだった。

 

★★★★★★

 

(水刃っ!)

 

ぷよぷよボディから放たれた水の刃が、目の前の蛇のような魔物を真っ二つにする。

 

「すご~い!」

 

気配がなくなっていたコイシが真隣にフッと現れて、ペチペチと拍手を響かせた。

 

それにしても、慣れたものだ。

扉を抜けてからはこうしてちょくちょく魔物に襲われるようになったが、水で遊んだときに会得していた“水刃”だけで思ったよりも楽に倒せる。

その上、倒した魔物を『捕食者』で取り込み対象のスキルを得ることまで出来た。

 

『捕食者』…便利すぎるぜ…!

 

一方コイシの方はというと、相変わらず消えたり消えなかったりしているが、俺の側を離れないという約束は律儀に守ってくれているようではぐれたことはない。

魔物とエンカウントした時もコイシは能力で隠れ、戦闘は俺に任せっきりだ。

 

まあ俺としては女の子に戦わせるわけにはいかないしそれでいいのだが…魔物が出るとフッと姿を消し、戦闘が終わるとまた何事もなかったかのようにフッと現れるのを見るとなんともいえない気持ちになる。

 

真っ二つになった蛇の死体を怖がりもせず、物珍しそうに見つめるコイシに俺はふと思ったことを言った。

 

(そういえば、コイシの種族ってなんなんだ?)

 

「んっとね〜、覚だよ」

 

(サトリ?ってたしか、妖怪の?)

 

前世の知識を思い出しながら、そう聞き返す。

覚妖怪…たしか、山にいる猿のような妖怪で、読心の能力を持っているとかだった気がする。

 

目の前にいる少女は間違っても猿に似ていないし、心が読めるといった話や素振りもなかったが…

 

(えっと、俺の知ってる覚妖怪は心が読めるはずなんだけど…違うのか?)

 

「ううん、()()()()

 

(…()()()?)

 

過去形…?

 

「うん。この『サードアイ』で心を読むんだけど…私はほら、閉ざしちゃった!」

 

そういってコイシは、その『サードアイ』に手をかざす。

 

なるほど…それは目だったのか。変わった装飾だと思っていたが、コイシの体の一部だったらしい。コイシの体に複雑に纏われている藍色のコードに繋がれた、胸のあたりにある丸い物体が、閉ざされた目のようだ。

 

(その目が開いてないと、心は読めないってことか。開けないのか?)

 

「うん。だって、心を読んだって何もいいことないんだもん!だから私は人の心は読まないんだ。その代わりに、無意識の能力を使えるようになったんだよ〜」

 

(…そっか)

 

心を読んだって何もいいことない…もしかしたら、読心の能力のせいでなにか嫌な思いをしたことがあるのかもしれない。

コイシの言動は明るく、辛いことを語っているような様子ではなかったが、まだ出会って間もないのに彼女の過去を掘り下げるなんてことはしないほうがいい。

 

俺は話題を変えながら、出口を探して洞窟を進むのだった。

 




コイシ=テンペスト
 ステータスに変化なし

気まぐれに日付設定で投稿。基本的には書き上がったらすぐあげるんですけどね…一回使ってみたかったんですわ…。


ここまで読んでくださりありがとうございます。
お気に入り登録、評価、感想も励みになっております。
次の投稿はいつになるのやら…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話 ゴブリン

どうも、湊本です。

これよこれ、投稿日時が綺麗に揃ってるのを見てみたかったんだ。

多分すぐにバラバラになると思いますが。


ようやく太陽の下に出れた。

 

めちゃめちゃに洞窟で迷っていたのだが、最終的に『大賢者』のおかげで外に出ることが出来た。…決して俺が方向音痴だからではない、洞窟がすごかっただけだ。

 

ああ〜、空気が美味しいなぁ…ま、俺呼吸してないけど。

 

「明る〜い!」

 

久々の外にコイシもヾ(*´∀`*)ノキャッキャとはしゃいでいる。

 

(さてと…洞窟で手に入れたスキルの解析でもしながら、気ままに進みますか。コイシ、外に出ても俺から離れるなよ)

 

「はーい!」

 

うむ、いいお返事。

 

それから俺は、洞窟の魔物を倒して得た産物を『大賢者』の力を借りながら解析した。

イマイチなスキルもあったが、『熱源感知』や『粘糸』、『鋼糸』なんかはものすごく使える。さらに、蝙蝠みたいな魔物から取った『超音波』に俺は大きな期待を寄せていた。俺が注目したのは、スキルそのものよりも発生器官。器官を再現すれば、発声ができるかもしれないのだ。

 

虫を追いかけたり木の上で寝たりするコイシの気まぐれにも付き合いながら、俺は発声やその他スキルの練習を欠かさずやった。

 

そうした努力の結果…

 

「ワレワレハ、ウチュウジンデアル!」

 

よっしゃあ!成功だ!

 

「すご〜い!最初はカサカサした変な声だったのに、ちゃんと喋れてるね!」

 

(うぐっ、変な声…ま、まあこれでどうにか発声できるようになったし、あとは調整だな)

 

そうコイシに言いながら、俺は『粘糸』で木にブラーンとぶら下がる。

コイシはどこで摘んできたのか、花を数本持って花びらを一枚一枚ちぎっている。

花占いみたいなことしてるけど…コイシは単に枚数を数えているだけのようだ。コイシの考えていることはよくわからない。

 

そんなことをぼんやり考えていると、なんだか魔物の気配が近づいてきた。

太陽の下に出てからは久しく見なかったが、あれは…狼?

 

こちらの気配を慎重に探りながらゆっくり近づいてくる狼の群れが見えた。

しかし、こちらは今コイシとのブレイクタイムなのだ。邪魔しないでもらいたい。

 

「おい、失せろ」

 

試しに覚えたての声を出して凄んでみると、

 

「「キャイーーン!」」

 

と、だいぶ情けない悲鳴をあげて逃げていった。

2m以上ありそうな大型の魔物だったのに、スライムにビビるとはなんとまあ。

 

まあともかく、今は襲われなくてよかった。スキルゲットのためには、いずれ戦ってもいいかもしれないが。

 

しかし、少し気になったので『魔力感知』やら『熱源感知』やらを駆使して周囲を観察してみると、どうやら狼だけではなく他の魔物たちも俺たちを恐れているらしい。周囲100m以内に近づくものが居ないのだ。一体なぜだろうか…?

 

木にぶら下がったままうーんと考えてみるが、ぽっと出のスライムが恐れられる理由など思いつきもしない。まさか、気配の薄いコイシが恐れられているなんてわけはないだろうし。

 

「25、26、27!…あれ、リムル〜誰か来るよ?」

 

(ん?)

 

花びらをすべてちぎり終えたコイシが、ふと顔をあげてそんなことを言ってくる。

思考を現実に戻された俺の『魔力感知』に、確かに魔物の集団が引っかかる。コイシもわかるんだな…魔物って気配に敏感なのかな?

 

地にぽよんと降りて待っていると、目の前にわらわらと30体ほどの人型の魔物が現れた。

俺はその姿を見てすぐにピンとくる。

 

おおお、ゴブリンじゃないか!ファンタジーな世界ではまさにテンプレの魔物!

 

にしても、随分と弱そうだな。まあ、ゴブリンなんてどんなゲームでも苦戦することなく経験値にされるような魔物だろうしなぁ。…それ言ったら俺もか。

 

そんなことを考えながらゴブリンの集団を眺めていると、リーダーらしき一体が口を開いた。

 

「グガッ、強キ者ヨ…コノ先ニ、何カ用事ガ、オアリデスカ?」

 

ゴブリンって喋れるんだ。

これも『魔力感知』のおかげなのか?

っていうか、強き者って俺のことかな。一応コイシも消えることなく横に立ってるけど…目線が明らかに俺だしな。

 

すぐ襲う様子は見せないし、案外話が通じるのかもしれない。

そう思った俺は、早速話しかけてみることにした。

 

「初めましてー!俺はスライムのリムルと言います〜!!」

 

そう挨拶した途端、ゴブリンたちがざわめき始めた。

あれ…スライムが喋ったことに驚いてるのか?

いや、武器を捨てて平伏してるやつもいるな…一体どうしたんだろうか。

 

「グガッ、強キ者ヨ!アナタ様ノオ力ハ十分ニワカリマシタ!!ドウカ、声ヲ沈メテ下サイ!!!」

 

む?声がでかいと…思念が強すぎたってことかな?

なんか、ビビらせちまったな。

 

「すまんすまん、まだ調整がうまく出来てなくてな」

 

「ワ、我々ニ謝罪ナド、オソレオオイ!!」

 

ふむ、言葉はちゃんと通じているようだ。

 

「えっと、改めて俺はリムル。そんで、こっちはコイシだ」

 

「よろしくね〜♪」

 

「で、俺たちになにか用か?別にこの先に用事はないんだが」

 

「左様デシタカ。コノ先ニ、我々ノ村ガ在ルノデス。強力ナ魔物ノ気配ガシタノデ、警戒ニ来タ次第デス」

 

「強き者の気配って…俺にはそんなもの感じられないけど?」

 

「グガガッ。ゴ冗談ヲ! ソノヨウナオ姿ヲサレテイテモ、我々ハ騙サレマセンゾ!」

 

そのようなお姿って…俺ただのスライムなんだけど。

頭にクエスチョンマークを浮かべていると、隣のコイシが笑った。

 

「あは、リムル、すご~いオーラが出てるもんね〜」

 

「ん?オーラ??」

 

一体どういうことだろうか…そうだ。

大賢者!俺の姿を三人称視点で見れるか?

 

《了。視点を三人称視点へと変更します》

 

うわあ!魔素ダダ漏れじゃねーか!!

俺は社会の窓全開で歩いていたというのか…。ていうか、コイシも気づいてたなら早く言ってくれよ!!

 

内心真っ赤になりながら気合でオーラを抑えると、ゴブリンたちは安心したような顔をした。

 

「ふ、ふふっ、やはりわかってしまうか」

 

「勿論デ、ゴザイマス!」

 

とりあえずカッコつけて動揺を隠す。コイシはそんな俺よりもゴブリンの方に興味があるようだ。ちょっと悲しい…。

 

ゴブリンたちとしばらく話をする流れで、さっき言ってた村というものにお邪魔することになった。どうやら泊めてくれるらしい。

別に俺には食事も睡眠も必要ないのだが…ここにきて、ずっと連れ回しているコイシが心配になったのだ。コイシは平気そうにしているが、一度ゆっくりしたほうがいいだろう。

 

そう思って、俺は村への招待を受けることにしたのだった。

 




コイシ=テンペスト
 ステータスに変化なし

リムルが声を出せるようになったタイミングについてご指摘がありましたが、このあたりはなろう小説に沿って書かせていただいております。なので、漫画やアニメの方とは少しずれたタイミングになっておりますが、ご了承ください。
最初の注意事項にある通り、漫画アニメ小説ごっちゃまぜで書いております。他にも、原作と展開が変わらないところを端折ったり、都合よく展開を変えたりすることもございます。ご理解の程、よろしくお願いいたします。

あ、それと…少し気になることがあったので全話編集が入りましたが、内容は全く変わっていませんのでご安心を。あと、サブタイトルに数字を付けました。


ここまで読んでくださりありがとうございます。
お気に入り登録、評価、感想も励みになっております。
次の投稿も綺麗な日時で出来たらいいな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3.5話

どうも、湊本です。

今回は短いです。

こいしちゃん視点


私の隣でリムルが緑色の人とお話ししながらぽよぽよ跳ねている。

 

この緑色の人は、ゴブリンっていう種族なんだって。初めて聞いた。幻想郷では見たことないな。

 

ゴブリンたちのお話はとっても面白い。最近、すごい神様が居なくなっちゃって…魔物?が活発になってるんだって。冒険者っていう人間が、森に入ってきたりもするんだって。

 

魔物と人間は敵同士なのかな。戦ってるのかな。このゴブリンたちはなんだか弱そうだし、すぐに退治されちゃいそう。

 

…あれ、もう村に着いたみたい。もっと人里みたいな感じだと思ってたのに、ボロボロの小屋がちょっと建ってるだけだ。

 

ゴブリンって人間に似てるけど、あんまり賢くないのかな?

 

そうだ、私のペットにしたらどうだろう。普通の動物たちと違って言葉が話せるから、おねーちゃんみたいに心を読まなくてもいいし、すごく良さそう!

 

ゴブリンたちに案内された小屋で座って待っていると、おじいちゃんゴブリンが入ってきてお茶みたいなものをくれた。

 

あ、リムルがお茶碗に覆いかぶさってる。スライムってお茶を飲む時はそうやって飲むんだ!じゃあ、何かを食べる時はお皿に覆いかぶさるのかな?

 

リムルとおじいちゃんゴブリンがお話しを始めた。終わったらみんなに、私のペットにならないか聞いてみよっかなぁ。

 

貰ったお茶を飲んでみたけど、全然美味しくなかった。苦くって飲めない!こんなのよりも、お燐が入れてくれる紅茶のほうがすっごく美味しいのに。

 

おじいちゃんゴブリンのお話しによると、どうやらゴブリンたちは狼の魔物のがろーぞく?に襲われてるみたい。狼だったら、おねーちゃんが飼ってた気がする。そのがろーぞくもペットに欲しいなぁ。

 

「強き者よ、どうか我らに守護をお与えください!さすれば、我らは貴方様に忠誠を誓いましょう!!」

 

がろーぞくは強くてゴブリン達じゃあ勝てないんだ。リムルなら勝てちゃうだろうなぁ。洞窟の中でもいろんな魔物をスパスパ切っててかっこよかったし!

 

「いいだろう。お前たちの願い、暴風竜ヴェルドラに代わり、このリムル=テンペストが聞き届けよう!」

 

リムル、ゴブリン達を助けてあげるんだ。優しい!

 

あれれ、でもこれじゃあゴブリン達はリムルのペットになっちゃうかな?う〜ん、残念。私も新しいペット、欲しかったのに。

 

「ちなみに、コイシは俺と同格の存在だ。そこんとこよろしくな。そうだな…俺の妹だと思ってくれればいい。」

 

「はっ!リムル様、コイシ様、どうかこの村をよろしくお願いします…!」

 

…妹?ってことは、リムルはお兄ちゃんかな?

 

そっかぁ…リムルは新しい家族なんだ!おねーちゃんやお燐やお空とは別の、家族なんだ!

 

このゴブリン達も、私のことをお燐達みたいに『コイシ様』って呼んだし、きっとリムルと私のペットになってくれるってことだよね?

 

すごいすごい!早く帰っておねーちゃんに自慢したいなぁ!

 

でも、ここは幻想郷じゃないみたいだし…リムルと一緒にいるとなんだか面白いことがたくさん起こりそうだし!

 

 

私、もうちょっとここにいよーっと!

 




原作ととくに変える点もなく進めづらくなったら、こうしてこいしちゃん視点をいれてごまかしていこうと思います()

こいしちゃんの中ではペット=家族

基本的にはリムル視点もしくは部下視点でお送りします。


ここまで読んでくださりありがとうございます。
お気に入り登録、感想、評価等も励みになっております。
次の投稿も綺麗な日時で出来たらいいな


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。