白兎に転生憑依したので最強を目指す (孤狼 龍)
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第1話“白兎の始まり”
「これからの未来のためにお前の家族を連れていく」
とある灰色の髪の美しい魔女は言った。
「お前を遺して先に逝く私たちを許してくれ、そして決して赦さないでくれ」
とある大柄な武人は言った。
「俺たちがお前にしてやれるのはこれだけだ。せめて、お前が剣を持たなくてもいいような世界を作ってやりたい」
そして2人は同時に言った。
「「もし、
白き兎のような少年はそれを聞くと何も疑わぬまま去っていく3人を見送った。それが少年にとって、最後の教えとなった。
そして、その祖父からの最高の教えは“英雄の素晴らしさ”。そんな祖父の最後の教えは…
「??。ハーレムは男の浪漫じゃ!」
少年はその教えが最後になったのを盛大に後悔した……そして少年は己の育った家を焼き、伯母……義母の形見を身に付け、義父から譲り受けたものを携え、祖父から頂いたものを腰に差し入れ、冒険者になるために旅を出た。
迷宮都市オラリオ――『ダンジョン』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。富が、名声が、何より『未知』が依然として眠る、魅惑の地。己が望みを叶えるため、人は高みを目指す。
『ヴヴォォォォォォォォォォォォォォッ!』
「ちっ!!ついてないなぁどうも!!」
その地下迷宮、ダンジョンの中で1人の
「本来なら中層に居るはずだろテメェは!!なんでここにいるんだァ!」
『ヴヴモォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』
そんなこと言っても迫り来る
それもそのはず、ミノタウロスのLvは2に対して少年のLvは1。なに?ゲームじゃ些細な差だから勝てるかもじゃんって?残念だがこの世界のLvの差は絶対。Lv1の領域とLv2の領域は天と地の差がある。Lv1とLv3の領域なんてのは神と奴隷レベルの話になる。それほど絶対的なのだ。
事実今現在最強なのはLv7という存在。今の所2人しか存在してないらしい。
「ちっ、ここにいる原因を考えても仕方ねぇ…他の冒険者もいる………なら、応戦するしか、ないよな。それに……あの人たちなら立ち向かう」
少年はそう呟くと振り返ってミノタウロスと向かい合う。そして剣を構えた。
「さぁ、かかってこい。相手してやるよ牛野郎」
『ヴヴヴッ』
ミノタウロスがその拳を振り下ろそうと構える。それを見ると目を瞑り呼吸を整える。
「……スー…フゥ〜…」
腰を低くし剣の柄に手を掛け構える。その瞬間。ミノタウロスは少年を潰そうとその拳を振り下ろす。
「“
目を開き一閃するとミノタウロスの胴に横一線の切り傷が入り、振り上げてない方の腕が斬り落ちる。そこから血が溢れるが……絶命には至らず。
どうやらミノタウロスは咄嗟に自身の振り上げてない腕を前に出して防御の構えを取って衝撃を殺し、その瞬間に半歩下がっていたようで胴体切断にならずに済んだようだ。
『ヴゥゥ』
「……やっぱり簡単には殺れないよねぇ」
『ヴモォォオォォォッ!!』
「っぶねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?」
ミノタウロスが腕を横薙に払うのを少年は後ろにのけ反って避ける。そしてバク転しながら距離をとる。
「こういう時だけレベル差ってのが恨まれるところなんだよな……ってヤバ!?」
少年は距離をとったもののそれ以上にミノタウロスが早く動き、拳を振り下ろさんとしていた。
「っ!?(不味い!避けれねぇ!)」
少年は不十分な体勢から避けれないと判断し受身を取る構えをする。そしてミノタウロスがその拳を振り下ろした……瞬間。
「はぁ!」
「やぁ!」
二閃の軌跡がミノタウロスの胴を切り裂きその身を両断させる。その際の返り血を少年は思いっきり頭から浴びてしまう。
「あの、大丈夫ですか?」
「戯け、ミノタウロスに追われて無事な訳あるか。というか何故ここにミノタウロスが居たんだ?」
「あの、中層から逃げ出して」
「逃げたぁ?なんたってまた」
「……あのぉ」
目の前で少年を助けたのは金髪の美少女と着物を着た黒髪の美女だった。置いてけぼりにされてる少年はとりあえず声を掛けることにした。
「おぉ、すまんかった。置いてけぼりにしてしまったな。立てるか?」
「はい。あの、助けていただきありがとうございます」
立ち上がった少年はそのまんま頭を下げる。正直な話血塗れな姿で言う事ではないのだろうが……。
「いえ、私たちが悪いので。こちらこそ、ごめんなさい」
「私はたまたま助けただけだ。気にするな。それで名前は?」
「はい。ベル、ベル・クラネルと申します」
少年、ベルは自身の名を告げる。2人はそれを聞いて頷くとそれぞれ自己紹介を始めた。
「ご紹介が送れました。私はアストレア・ファミリア所属のゴジョウノ・輝夜と申します。よろしくお願いしますクラネル様」
「私はロキ・ファミリア所属のアイズ・ヴァレンシュタイン。本当にごめんなさい」
ベルはその名前に聞き覚えがある。というか知らない人はいないだろう。アストレア・ファミリアの『大和竜胆』ことゴジョウノ・輝夜はLv.6、ロキ・ファミリアの『剣姫』ことアイズ・ヴァレンシュタインはLv.5の第1級冒険者だ。
それと同時に冷や汗を流している。一瞬とはいえ
「いえ、大丈夫です。それじゃあ」
「ちょっと待って」
「少々お待ちくださいませ」
呼び止められた。ベルは物凄く嫌な予感をその身に感じながらゆっくり振り返る。
「「なんでミノタウロスに傷をつけれたんですか?」」
「……なんのことでしょうか、ゴジョウノさん。ヴァレンシュタインさん」
やはり聞かれた。というか見られていたという事実が判明しシラを切るために私何も知りませんと言う台詞をベルは吐く。
「誤魔化さないでくださいませ、あの構え、あの切り口、あれは極東の居合の構えと酷似しています」
「それと、君の装備……どう見ても初心者の装備、武器は違うみたいだけど……なんでミノタウロス相手に対峙してたの?」
「……おっと急用を思い出したそれじゃあ!」
早口でベルは言うとその場から一気に駆け出して逃げ出す。
「「あ……」」
急なことで二人は追いかけることも出来ず立ち尽くす。
「アイズ!何やってんだ!!?倒したんなら帰るぞ!」
「輝夜〜!何処〜!!?」
そして二人の仲間であろう
その後、バベルのシャワーで血を洗い流したベルはギルドにて報告を行った。結果……
「3階層でミノタウロスに襲われたァァァァ〜〜っ!?」
「
ギルドの受付にてベルは己の担当アドバイザーのハーフエルフ。エイナ・チュールに叱られ、驚かれ?ていた。
「というか君は冒険者になってまだ3日だよ?!なんで3階層にいるの!?」
「1日1階層制覇、それを5階層まで続ける予定だったので。その道中にミノタウロスに追いかけられましたね」
「馬鹿!!無謀すぎるよ!」
「そんなんだから今の冒険者は体たらくで勇者共はランクアップしてないんだよ」ボソッ
「え?ベル君、なんか言った?」
「いいえ、なにも」
エイナはベルが小声でなにか呟いたと思ったが気のせいかと思う事にした。
「とにかく!冒険者は冒険しちゃダメなの!いくら君が冒険者になる前
「無理はしてないですね」
「とりあえずダメなものはダメェェェェェーーーーーーッ!!」
___________________________________________________
ベルは魔石を換金してからギルドを出るとそのまま己のホームに戻る。大通りから脇道に逸れて人気の無い通りを通る。そして彼のホームである場所に辿り着いたが……そこは、家と言うにはあまりにも廃墟過ぎた。元は教会だったのだろうが屋根はボロボロ、外壁も所々落ちて風通しは良く、お世辞にもここに人が住んでるとは思えなかった。
その廃墟の中に進むと地下に降りる階段がありそこを降りて戸を開ける。
「ただいま〜。帰ったぞヘスティア〜……寝てるのか?」
「やぁ!お帰りベル君!!今日は早かったね!!」
「ちょっとミノタウロスとじゃれてきた」
「それ本当かい!?君に死なれたらショックだぜ僕は!」
そう言いながら帰ってきたベルに駆け寄り怪我がないか見てるロリ体型の巨乳美少女。彼女はヘスティア。ベル・クラネルの主神である。ちなみに団員はベルの1人のみ。
「大丈夫だ。それに俺が死んだらヘスティアは路頭に迷って野垂れ死にそうだし」
「言い方酷いぞベル君!!」
「それよりステイタス更新を頼む。ミノタウロスと戦ったからどれほど強くなってるのか知りたい」
そう言ってベルはベットに向かいシャツを脱いで上裸になるとうつ伏せに寝っ転がる。
「全く。とりあえず聞かせておくれよ、なんでミノタウロスと戦闘になったんだい?」
「あ〜……長くなるんだが…」
ステイタス更新されながら説明する。
「へぇ、ミノタウロスに追われて
「なんだヘスティア?」
「君はとんでもないことしたなぁ!」
「自覚はしてるがそれでも相手は格上のモンスターだぜ?しかも
ヘスティアはそう怒ってくる。だがベルの言う通り逃げても追いつかれるのでだったら交戦するか死を選ぶしかない状況。死にたくも無いベルは交戦する他選択肢はなかった。
「そりゃあそうだろうけど……まぁいいや、どうせいずれはバレるんだろうし」
「すまないなヘスティア」
「いいよ、はい。これステイタスの更新できたよ。全く君はすごい伸びをするねぇほんと。もはや成長じゃないよ。飛躍だよ」
更新されたステイタス表を手渡されてベルは用紙を見る。
Lv.1
力 :D 568→C 603
耐久:E 423→E 482
器用:C 602→C 652
敏捷:C 698→B 739
魔力:D 530→C 600
《魔法》
【ケラヴノス】
・
・雷属性
・詠唱「
・
“インケラード・ケラウノス”
・長文詠唱
・広域殲滅魔法
詠唱「天よ叫べ、地よ荒べ、雷雲よ轟け。響く空、落ちる裁き。光り輝くは白き軌跡。
《スキル》
【】
【
・刀剣類装備時に切断属性付与。
・手刀時に斬撃属性付与。
まず目を見張るのは魔法とスキル。魔法に関しては
「本当にとんでもねぇなこれ、なんかスキル出てるんじゃぁねぇのか?」
「そ、そんな事ないよ!多分これも偶然さ!!」
「偶然で冒険者になって3日の新米がランクアップ可能間近ってどんなチート権能だよ!」
そう、よく思い出して欲しいがベル・クラネルは戦闘慣れしてるが冒険者になって3日の新米冒険者なのである!これまで大量発生したゴブリンやコボルトを倒しまくってただけでトータル460オーバーなどざらにあった。
「本当に偶然なんだよー!!」
そしてヘスティアの言葉も嘘である。彼には隠されたスキルがあった。
Lv.1
力 :D 568→C 603
耐久:E 423→E 482
器用:C 602→C 652
敏捷:C 698→B 739
魔力:D 530→C 600
《魔法》
【ケラヴノス】
・
・雷属性
・詠唱「
・
“インケラード・ケラウノス”
・長文詠唱
・広域殲滅魔法
詠唱「天よ叫べ、地よ荒べ、雷雲よ轟け。響く空、落ちる裁き。光り輝くは白き軌跡。
《スキル》
【
・早熟する。
・憧れが続く限り効果持続。
・憧れの丈により効果向上。
【
・刀剣類装備時に切断属性付与。
・手刀時に斬撃属性付与。
これがベル・クラネルの本来のステイタス。そのスキルは早熟、つまり憧れれば憧れるほどに強くなるという恐ろしいほど前例のない超がつくほどのレアスキルである。このスキルが後々、あるものを引き出すのだが、それはまた別の話。
「んじゃあヘスティア。夕飯にするか、今日もじゃが丸くんだろ?」
「おいこらァ!今日もって言うんじゃぁない!!」
言い忘れていたが、件のベル・クラネルはただのヒューマンでは無い。元々は別の世界で社会人をしていた転生者で憑依者である。
そして色々と省かせてあえて言わせてもらう。これは彼が英雄になるまでの物語である。
ダンまちの小説を改めて作り上げました。大賢者を失った代わりに得たものは多くあると思います。次回はベルくんの装備について触れていこうと思います!
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第2話“白兎と
冒険者としてオラリオのダンジョンに入ってたベル君は、ミノタウロスと遭遇し追いかけ回される。腕を切り落とすも致命傷を与えれずにいると2人の第一級冒険者、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインと【大和竜胆】ゴジョウノ・輝夜に救われる。
その後はホームに戻り己のぶっ壊れた成長速度を見て明らかにおかしいと感じるのであった
ベル・クラネルの朝は早い。朝五時に起きてダンジョンに行く準備をする。
「じゃ、行ってくるよヘスティア」
そう言ってホームを出るベル。彼の装備についてだが、ここで触れさせて貰う。まずはギルドから支給された胸当て、私服の上から着てるので初心者感丸出しの装備だ。だが羽織ってるローブと携えてる剣だけは別である。
まず羽織ってる灰色のローブはある程度の魔法なら防げる防御力を誇る。そして携えてる剣は形状はシンプルな十字剣であるが、ベルが持つには少々強すぎる装備である。そしてさらに携えてるのはただの木剣。スキルのお陰でただの剣でもいいのだが、スキルがスキルなので敢えてそうしてるらしい。そして見えない位置にあるナイフ。これもまたなかなかの業物である。
ちなみに昨日ミノタウロスと戦闘した際はちゃんと剣で応対していました。
「今日は4階層行ってみるか……つか朝飯抜いてきちゃったな、なんかどっかで食ってから行くか?」
そんな事を呟いてると突然視線を感じ咄嗟にベルは背後を振り返る。誰もベルを見てる者は誰もいない。だが視線を感じる…感じる方向を見てるとそこにはバベルが建っておりその上層階に視線を感じていた。
「あの、これ落としましたよ?」
そんな声を聞き振り返る。そこにはヒューマンの女性がいた。その手には魔石を持っている。
「あれ?おかしいな、たしかに昨日全部換金したと思ったんだが……ご丁寧にどうもありがとうございます」
そう言いながら一礼して受け取る。
「お気になさらないでください。こんな朝早くから、ダンジョンに行かれるのですか?」
「はい、少しモンスターを狩ろうと思いまして…もしかしてここは飲食店ですか?」
「ええ、そうですよ」
「ふむ……」
顎をさすりながら店を見る。『豊穣の女主人』と書かれた看板を見る。
「今夜食べに来ていいですか?」
「ええ!もちろんいいですよ!」
「俺はベル、ベル・クラネルです。ではまた今夜」
「私はシル・フローヴァと言います。お待ちしております。ベルさん」
___________________________________________________
ダンジョンにて、ベルは4階層に居た。
「うーん、歯ごたえがない。やはりもっと下に降りるべきなのか」
倒したモンスターの魔石を指で弾いてキャッチしながらそうつぶやくベル。
「今の俺のステイタスなら7階層は余裕で行けそうだな……よし、行くか」
そう呟くと木剣を構え直して下へ向かう。そうして向かった先はなんと9階層。道中大量のウォーシャドウやキラーアントに襲われるが難なくクリアした。
「……ここら辺ならいいか……“
そう呟くと雷をその身に纏わせる。バチバチ音を立てながら構える。すると目の前にウォーシャドウやキラーアントの大群が現れる。
「……さ、行くぞ」
___________________________________________________
「25,000ヴァリス!?」
ダンジョンから戻ったベルは【ギルド換金所】にて、魔石を換金しているとその規格外な額を聞いて逆に驚く。
「おっどろいたァ。ここまででかい金額になるとは……とりあえず帰ってヘスティアと今朝の店に行くか」
そしてホームに戻りヘスティアを誘ったが……
「バイト先の打ち上げ?」
「ああ、そうなんだよ〜。せっかく誘ってくれたのにごめんねぇベル君」
「それは仕方ないだろ。気にするな」
ヘスティアはどうやらバイト先の打ち上げがあるようで行けないということであった。それならば仕方ないとベルは一人で行く事にした。
ちなみに余談ではあるがベルは朝昼の食事を抜いている。というか単純に買い忘れたので食べれなかった。
一人で行くことにしたベルは豊穣の女主人の店に着くと店内に入る。
「あ、ベルさん!いらっしゃいませ!」
「約束通り来ましたよ。シルさん」
ベルはシルに席の案内をされ、カウンター席に座る。金額を見てみれば結構な額がすることが目に見て分かる。無難におすすめメニューを頼む。
そうして食べているとシルさんがやってきて軽く雑談をする。すると…
「ご予約のお客様!二団体、ご来店にゃ〜っ!」
という声が響き、見てみるとそこには先日助けて貰ったアイズ・ヴァレンシュタインの所属するロキ・ファミリアと、ゴジョウノ・輝夜さんの所属するアストレア・ファミリアの面々が入ってきた。
「……マジか」
「どうしました?ベルさん?」
ベルはまさかの事に驚きを隠せないでいた。絶対バレたらまずいと思い事前にシルに足りないように金を多めに払っていつでも逃げる体制に入る。
「よっしゃあ!ダンジョン遠征みんなご苦労さん!きょうは宴や!飲めぇ!!」
「みんな、今日は本当にお疲れ様、少し羽目を外して飲みましょう?」
赤髪の髪と胡桃色の長髪の女神がお互いの音頭を取ったらしい。多分店に居合わせたのはたまたまなのだろう。
そうして見ているとどんちゃん騒ぎが始まる。そしてシルからロキ・ファミリアとアストレア・ファミリアはこの店の常連さんなのだと言う。
「そうだ、アイズ!あの話をしてやれよ!」
ロキ・ファミリアの
「17階層でミノタウロスの集団が襲いかかってきて返り討ちにしたらよぉ!奇跡みたいに上層まで逃げた時にいたトマト野郎だよ!!」
「……」
ベルの事だ。血を頭から被ったベルはまさにトマト野郎みたいになっていたのだ。そうして
「……シルさん、一旦外に出ていいですか?」
「え?えぇ、私も同行していいですか?」
「構いませんよ……」
そう言って立ち上がると店外に出るため歩く。その際ロキ・ファミリアの面々はその姿を見てザワつくが、ベルは気にせず店外に出て、そのままクソでかいため息を吐く。
「べ、ベルさん……その」
「気にしてません」
「え?でも、今」
「気にしてません」
シルはベルがクソでかいため息を吐いた事に驚いてる。ベル自身もそんなに気にしてないようにしてるが、嫌な事があったりするとやはり堪えるらしい。
しかしベルは気付かなかった。すぐ近くに彼女らがいた事を…
「あら、先日ぶりですなぁ、クラネルさん?」
「君、この前の子だよね?」
「ゴフッ!?ゴホッ!ゴホッ!」
「ベルさん!?」
風に当たるベルの前に現れたのは2人の美女、アイズ・ヴァレンシュタインとゴジョウノ・輝夜だ。
「ご、ゴジョウノさんに、ヴァレンシュタインさん」
「輝夜とお呼びくださいませ、クラネルさん」
「アイズって呼んで、私もベルって呼ぶ」
「おっと、それはずるいぞ剣姫。ならば私もベルと呼ばせて貰おう」
「……それで、輝夜さんとアイズさんは何故ここへ?」
勝手に話を進める2人、だが名前を呼ばないと怒られそうなので名前を呼ぶことにしたベル。
「君がいたから」
「貴方様がここに出ていくのが見えたからでございます」
「……それで?」
「ごめんなさい!」
アイズは急にベルに謝る。よく見れば2人の所属してるファミリアの人たちも見ており、ロキ・ファミリアの面々はアイズの謝罪を見て驚いてる。もちろんベルもだ。
「な、なんで急に?」
「私達が逃がしたミノタウロスのせいで君が危険な目にあって、それで酷いことを私のファミリアの人が言ってたから」
「確かにあれは酷いな、己の落ち度を棚に上げて他者を笑うなど言語道断だ」
輝夜はロキ・ファミリアに所属していた
すると、その
「おい、アイズ!そんな雑魚に謝る必要ねぇよ!」
「よせ!ベート!」
「うるせぇ!ババア!おい雑魚!てめぇ、ミノタウロスから救ってもらいながら、アイズに頭下げられてんじゃねぇぞ!」
エルフの女性が
「ベートさん、それは違う」
「あ?」
「そうですねぇ、確かに彼はそこいらの駆け出しとは違います」
「何言ってやがんだ!」
「ちょっ、待っ!」
「「この子は、ミノタウロスの腕を切断して胴体に深い切り傷を残してる」」
アイズと輝夜はベルのした功績を話した。ベルは止めようとしたが間に合わず、それがロキ・ファミリアの面々とアストレア・ファミリアの面々に聞かれ、目を見開かれる。
「は?嘘だろ?」
「いいえ、本当です」
「そうだな、本当だ。この大和竜胆、ゴジョウノ・輝夜と剣姫、アイズ・ヴァレンシュタインが目撃していると断言する」
「そうやな、嘘は言ってない」
「ええ、そうね」
「マジ…かよ……」
「やぁ、少しいいかな?」
「……貴方は?」
「僕はフィン、フィン・ディムナ。僭越ながらロキ・ファミリアの団長をしているものだ。もしよろしかったらお話をしたいから一緒に食事でもどうかな?」
フィン・ディムナ…Lv.6の第1級冒険者で
「……分かりました」
「じゃあ一緒に食事をしよう」
「
「
赤髪のポニーテールをしている女性も乱入してくる。その女性も、ベルは知っていた。アストレア・ファミリアの団長で
そうしてベルは最強派閥と正義の派閥の2組に囲まれるように店内へと戻る。もちろんシルもだ。
「さて、ではいくつか聞きたいことがあるが、いいかな?えっと」
「ベル、ベル・クラネルです」
「じゃあ、ベル君と呼ばせてもらうよ。いくつか質問したいが、その前にファミリアの団長として謝罪する。こちらの不手際で君を危険に晒し、申し訳なかった」
「いえ、あの場にたまたま居合わせただけなので……それに助けてもらいましたし……こちらこそありがとうございました」
「はは、礼を言われるとは思わなかった。早速質問してもいいかい?」
フィンはミノタウロスの件について謝罪すると本題に入り始める。
「君は駆け出しの冒険者と言われてるが、本当かな?」
「はい、本当です」
「冒険者になってどのくらいかな?」
「4ヶ月くらいです」
相手がおなじ冒険者で尚且つ神でないから嘘をついても問題ないと判断し嘘をつく……それがいけなかったとはベルは気づかなかった。
「次に、アイズの言ってたミノタウロスに傷をつけたのは本当かい?」
「はい、本当です。たまたまですが……」
「僕達に恨みはあるかい?」
「ありませんね」
そんな事を言ってるとフィンは己の主神、神ロキを見るとロキはその意を察したようで告げる。
「フィン、嘘ついてるでその子」
「どこかな?ロキ」
「4ヶ月というところとたまたま傷つけたってところや。ほんまは何ヶ月や?自分」
「……という事だけど、本当の事を教えてくれるかい?ベル君」
「……分かりました。教えます」
そしてベルは己が2週間前にオラリオに来て冒険者になって4日である事と、ミノタウロスを傷つけられたのはスキルのおかげであるということを伝える。
「冒険者になって4日でミノタウロスに傷をつけれるとは……」
「これはアレね!とても驚きのびっくり仰天って奴ね!」
「アリーぜ、頼むから少し黙っててくれ」
「ただの雑魚じゃなかったって訳か……」
その事実を聞いた殆どの冒険者が驚きを隠せずにいるとフィンはある事をベルに聞く。
「ベル君、君はどこのファミリアかな?」
「ヘスティア・ファミリアです」
「「ヘスティア!?」」
女神2人が驚きの声を上げる。
「おま、どチビのとこの子かいな!?」
「はい。そうですよ」
「ヘスティア、下界におりていたのね」
「なるほど、君んとこの団長にも謝罪を入れたい、ホームの場所を教えてくれないか?」
「あ、それなら問題ないですよ」
「ん?どいうことだい?」
神ロキや神アストレアが驚いていると、フィンがそんなことを言う。だがベルはそんな必要ないと言う。その理由は……
「ヘスティア・ファミリアの団員は俺だけなんで」
たった1人と1柱のファミリアだからだ。
「「「「「ハァァァァァァァァッ!?」」」」」
その時、ロキ・ファミリアとアストレア・ファミリアの面々の気持ちは全く同じだった。零細どころかなりたてのファミリアかよ、と……
2話目投稿しました。いかがでしたでしょうか?
亀更新ですが、なるべく期間を空けないように投稿していきたいと思います。ある程度設定は固まってるので基本的に問題は無いと思いますがちょくちょく変更はあるかと思いますのでご了承ください。
では、次回予告!
ベルがなりたてのファミリアと知ったアリーぜとフィンはベルの潜在能力の高さがほかの神に目をつけられないかと不安になる。そこで2人の団長がとった行動とは!?
次回もお楽しみに!
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