TS転生妹は兄を愛でたいようです (豆腐と山葵)
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プロローグ
00 これが初恋
「あなたの名前は一ノ瀬…」
俺こと…いや今世はもう私か…。
そう…なんでか前世の一般男性としての記憶を持ちながら俗に言うTS転生を果たした私の名前は…えーと、うん…私の名前は
とってもいい名前でしょう?そうでしょう?今、お母様が私の名前だと教えるように優しく語り掛けてきました。こんな素敵な名前を下さった目の前のお母様には感謝をしても仕切れません。
そんなお母様は赤ん坊の私達を優しく抱き抱えていて、その溢れんばかりの母性を漂わせながらこちらに女神のような微笑みを浮かべてくれています。
ああ、目が離せない…。
今はとっても胸が熱く、張り裂けそうなくらいにバクバクと心臓が爆音を響かせております。
これは前世でも体験した…あの感覚。
そう…これは初恋だ。と私は赤ん坊ながら女の本能なのか知らないが、そう躰が叫んでいるのが分かる。
えっ…?いくらTS転生を果たして性認識が男だからって
いったいお前は何を言ってるんだ?
いくら前世の記憶があるからって私が自分の母親に恋心を抱く訳ないじゃないですかー。
全く失礼な人達ですね。
きっとデリカシーのない人達なのが目に見えて分かります…うんうん。
じゃあ、さっき赤ん坊のお前は一体全体誰に恋心を抱いたんだって?母親では無いなら父親かって言いたいんだな?それも…お母様と同じく以下、省略。
全く失礼な人達ですね…貴方達の目は節穴ですね、ちゃんと居るじゃないですか?その目を掻っ穿ってよく見なさい。
私と同じくお母様の腕の中で抱き抱えられてる綺麗なアッシュグレーの髪に翡翠の瞳で可愛くも凛々しいお顔を私を見ている…
もう好き…ラブよりのLoveです。
はぁ、もうこれは運命の出会いと言うべき物ですね。
うーん…これはもう不肖の妹の私が僭越ながらお兄さまのお嫁さんになって
ニチャア。
あっ、私の
「あら、あなた…瑠菜が笑ったわ」
「きっと隆樹がお兄ちゃんって分かってるんだよ」
病室の一角で私のお父様とお母様が私達の事を祝福してくれるかのように穏やかな雰囲気を醸しながらお話しをしている。
「うぁ、うぇーん、うぇーん」
「あらあら、
きっとお兄さまが私の熱い
うーん、ぐずって泣いているお兄さまも愛おしいですね。これは私の脳内メモリーに永久保存確定と。
これから毎日私といっぱい思い出を作りましょうね、お兄さま。
輝かしい私達の未来に乾杯。
「あらあら、隆樹が泣き止まないわ、どうしましょ」
「泣く子ほど元気に育つとは言うからな、ハッハッハッ」
こんなに暖かく素敵な家族に恵まれた私は幸せ者だ。
「はぁ、素敵な夢を見せてくれたお兄さまには感謝を」
ぱちりといつも起きる時間になったので目を覚ましては私のオリジンに思いを浮かべる。
転生してから既に15年の時が経ち、私も高校生になった。さて、そろそろ動きますか。
ベッドから身を起こしながらルームウェアを脱ぎ学校に行く準備をきっちり済ませる。
完璧なお兄さまのお嫁さんになるためにも普段の努力は欠かせないのだ。
「よしっ、今日もばっちり」
身支度が終われば忙しい朝の準備をしているお母様を助けるために違和感がない時期から始めてずっと続けているお手伝いに加わる。
「おはよう、お母様っ、ちょっと遅れちゃった」
「瑠菜、おはよう。悪いんだけど今日もお願いね」
既に朝早くキッチンで家族の朝食作りをしているお母様におはようの挨拶をしながら素早く作業に加わる。
トントンとリズムよくお母様が食材を包丁で刻む音を耳で聞きながら食器を用意する。
「あっ、今日はお兄さまの好きなポーチドエッグだ」
出来上がった物を運ぶために食器を見るとお兄さまの好きな物の1つのポーチドエッグを見詰める。お母様は料理が得意だし…やっぱり何だかんだ言って私も好きなのだ。
「そうよー…あっ、瑠菜。そろそろ隆樹を起こしてきて」
「はーい」
キタ。こうしてお母様のお手伝いをするようになって、忙しい朝の準備で手が離せない状態にお母様を誘導することで手に入れた権利。
普段は格好いいが少しだけ朝に弱いお兄さまをモーニングコールで起こす…
完璧な人間などいないのだ。少しくらい欠点がないと人間身にかける。私の場合はちょっとお兄さまに対する
そう、ちょっとだけ…お兄さまのお嫁さんになりたいくらいには?。絶対に幸せにするから…問題はないよね?ちょっと法律とか大人が考えた鎖があるけど。
ふへ。
おっと、いけない…私のラブ・ハートが天元突破する所だった。お兄さまを起こす前に顔を整えなければ。
ふしだらな顔は特別な日までにとって置かなければ。いや、お兄さまが望むならいつでもこの身を捧げますからね。
この間、僅かコンマ1秒。お兄さまについて思いを馳せていたら普通に一日24時間では時間が足りないので、思考加速を出来るように特訓したのはいい思い出。
さて、愛しのお兄さま…お部屋に入りますよ。
「お兄さま、朝ですよ?起きてください」
まずは部屋の扉をノックする。いくら将来結ばれるからってお互いの距離感はとっても大事なのだ。そこまではしたないつもりはない。けっしてだ。
「起きないから部屋に入りますからね?」
イチッ、ニッ、サンッ。
よし、長い長い3秒と言う時間をかけて待っても返事は無かったのでお兄さまはまだ寝ている、このままでは寝過ごしてしまいお兄さまが朝食を食べる時間が無くなってしまう。
それは食材やお母様に失礼なので私はお兄さまを起こすために…そう、やましいことなんてこれっぽっちもない純粋な善意でお兄さまの部屋に入るのだ。
現場では指さし呼称は大事、古事記にも書いてあるしね?。
「お兄さま~」
扉を開けて部屋に入る私。
おほォ~、朝からお兄さまと同じ空気を吸えるなんて…一体いくらお金を払えばいいんですか?。
さて、前回は優しくお兄さまが起きるまで体を揺すり起こしてあげたので同じパターンでは起こされる身では飽きが来るだろう。
適度に刺激を加えるのが長期間に渡って続く秘訣なのだ…。まあ、私のお兄さまに対する愛は悠久に続くがな?はっはっはっ。
あぁ、なんか急に寒くなってきたなぁ…うん、今は4月半ばでニュースのお天気のおねえさんは「本日は暖かい日よりでしょう」なんて嘘の情報で私を惑わすが私は今、猛烈に暖を取らなければならないのダッ‼。
「お兄さま、起きて下さい~っ」
ソレでは失礼して…足元からお兄さまの布団に侵入する。
これこれ、お兄さまの匂いで全身が包まれるこの幸福感。これは合法的なやつです。健康被害なんて一切ないクリーンなご褒美です。
シュル、シュルなんて制服と布団やら衣擦れる音を立てながら寝ているお兄さまの胸元まで這い寄り体を押し付けながら、至近距離でじっとお兄さまの寝顔を観察する。
アァ゙~、この顔が私を狂わす。
いけない、いけない…今までの私の経験則からあと少しでお兄さまが目を覚ますので急いで表情を造らねば。
でも、もうちょっとだけ観察する。意思が弱い妹を許してほしいです、お兄さま。
「んんっ」「あっ、起きたっ‼」
「おはようございます、お兄さま(ハート)」
朝のミッションコンプリート。
さっすがワタシ。
この作品の被害者
一ノ瀬
タカキも頑張らないとなァーッ‼
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幕間
幕間 ホワイトデーその1
「えー…この問題は、じゃあ…稲司答えてみろ」
「先生、分かりませんっ‼」
「少しは考える素振りをしなさい、稲司」
今は学校の授業中で先生に指名された稲司は勢い良く立ち上がり、いつも通りに馬鹿丸出しの返事をするとクラスの皆はワハハッと大きな声を出して教室が賑やかになる。
いつもなら昼休みに各々が持ち込んだ弁当を食べてから後半戦の授業と春先に向けて暖かくなってきた日差しによるダブルパンチによって大半の学生達は睡魔に襲われながら何とか授業を乗り切ろうと奮闘している…まあ、一部は机に頭を突っ伏している奴もいるが…。
だが、今日の教室の雰囲気はいつもとは違いどこかソワソワとしているのが朝から…いや、放課後に向けて時間が進むほど顕著になっていた…特に野郎共なんだが、それと若干名の女子達。
まあ、原因は分かっている…。今日は先月のバレンタインデーから約一ヶ月過ぎた日付…ホワイトデーなのだから。
妹の瑠菜が始めたバレンタインデーの日に決行する手作りお菓子ばら撒きイベントは学校の男子、噂では一部の女子からも羨望の眼差しになっている程で貰った人から当然お返しをしようと…そしてあわよくば妹の瑠菜と更にお近づきになろうと躍起になっている。
妹の瑠菜の交友関係が広がる事に関しては別に問題はない。むしろとっても良いことだと俺は思っている。瑠菜は不出来な兄の俺とは違って昔から人当たりが良くて面倒見がいいからだいたいはクラスの中心人物になってきた。
それでも中学のある時を期にトラブルにも巻き込まれた事があったが、それ以降は俺が
だけど、それによって本来瑠菜が関わるはずだった交友関係などを歪めてしまってる事は俺でも分かっているのだが…仕方ないと思うことにしているが流石に堪える時がある。
「なぁなぁ、隆樹?今のは中々受けが良かったと思わないか?」
「いや、あの問題はこの間勉強したはずだろ…バカ稲司」
小声で俺に話し掛けてくる稲司に呆れながら、先日家で開いた勉強会の内容をすっかり忘れていた事を指摘してやると。
「俺は過去を振り返らないタイプの男だ」
と、眼鏡をクイっとあげてかっこ付けていたので軽く小突いてやった。
「そろそろ恒例行事のアレだな…?」
「まあ、そうだろうな…」
「騎士様も中々大変だよな」
「お陰で男子からは目の敵にされてるがな?」
小声で先日の不興を買わないように愚痴を零しながら親友の稲司と雑談をしていると…ちょうど授業終了を告げるチャイムが教室に響く。
「むっ…もう時間か、次は小テストをするつもりだから復習しておくように」
エェーっと先生の言葉に反応するようにざわざわと周りのクラスメイトが声をあげるが、先生は其れを躱すかのようにそそくさと荷物を持って教室から出て行ってしまった。
さぁ、皆がお待ちかねの放課後の時間だ。
「瑠菜さん、これこの前のお返しなんだけど」
まずはクラスの瑠菜と席が近い男子が最初に行動を起こす。
「わあ、いいの?お返し、嬉しいです」
そう言って瑠菜がお返しの可愛い包装されたお菓子を受け取ると其れを皮切りに次々と人の波が瑠菜に押し寄せる。
「俺も、俺もっ」
「かあちゃんが瑠菜さんにちゃんとお返ししなさいって怒ってよ…はい、これ」
「瑠菜さんに喜んで貰えたら…」
抜け駆けすんなとばかりに妹の瑠菜の机の上にはあっという間に大量のお返しで埋め尽くされていた。大半はチョコレートなのだが、一部にはマカロンやキャラメルなどが混ざっている。
今やネットを使ってどんなお返しがいいのか調べることが簡単に出来るようになって、バレンタインデーに渡すお返しの意味を理解している男子は結構多い。
まあ、当の本人がお返しの意味に気付いているのか分からないが…瑠菜はどうなんだ。
そんな後ろ暗い考えを胸に抱きながら、クラスの恒例行事と化している様子を俺は瑠菜を通してぼんやりと眺めていた。
ーーーーーーーーーーー
「ごめんなさい、お兄さまっ…遅れてしまって。今から帰りましょう。」
放課後になりクラスの皆からのお返し合戦がようやく終わりパンパンになったスクールバッグを抱えながらお兄さまの元に向かうと…。
「ああ、悪いな…瑠菜。今日も先に帰ってくれないか?」
「ええ…
「じゃあ、先に帰ってろよな瑠菜?」
何故か、放課後になるとそそくさとお兄さまは私を置いて教室から出て行ってしまう。
ここ最近…大体1週間くらい前からお兄さまとは一緒に下校する事が出来てないのだ。
「お兄さま…」
お兄さまと呼びながら伸ばした腕を戻しながら重くなったスクールバッグを担ぎ直して…やるか、私。
「追跡調査…」
怪しい…そう、怪しいのだ。幼稚園に通うようになってから小学校から高校と…今までずっと私達
私が脳内で管理をしているお兄様スケジュールによればここの所お兄さまが一人でしなければならない予定はないはず…。
高校生になったお兄さまは…カッコ良いの。更に好き…。
いやいや、今はそうではない…まさか、私の知らない所でお兄さまに良からぬ存在が…赦せぬ、泥棒猫は…私が…。
「イケないッ、お兄様を追わなければッ‼」
そうと決まれば早く追わないとお兄さまを見失う。
「やっぱり騎士様がいないのは新鮮だな」
「ごめんね、稲司君ッ‼私、急用が出来たからッ⁉」
話し掛けて来た稲司君にさようならの挨拶をして勢い良く教室から飛び出す。
頭の上に生えてるアホ毛センサーに意識を集中されば、どこにお兄様がいるのか大体分かるのだッ…いや、私の頭にはアホ毛なんてないけど。
ここは古式ゆかしい方法で少しはしたないが…指をペロッと舐めてから風を当てて…うーん?お兄様は駅前のショッピングモール方面にいるな?早く向かわないと。
お兄様、今、瑠菜が泥棒猫を…。
あの後お兄さまを追うために全力疾走しながらショッピングモールに向かい…お兄さまの反応はお父様の喫茶店前かな?急がないと…。
「あっ、お兄さm…」
この駅前のショッピングモールは大型なので移動するのも大変でようやくお父様の喫茶店にたどり着きお兄様を見付けると同時に物陰に隠れる。
喫茶店前にいるのはお兄さまと確かお父様の喫茶店の女性従業員の人だ…そーと物陰から顔を出して様子を窺うが、ちょっと距離があるのでよく会話の内容が聞こえない…。
「でも、あれは…」
お兄さまが女性従業員に綺麗なラッピングされたモノを渡してるのが見えて…。
「アレ、なんで…なんだろ」
視界がぼやけてきて…私なんで…泣いてるのかな?うぅ…お兄さま、どうして…もう、いいや…帰ろう。
ーーーーーーーーーー
「あれ…どうやって帰って来たんだろ、私?」
ベッドの上で制服のまま寝転んじゃってる…制服、シワになっちゃうな…なんて頭の中でぼんやり浮かべて今は何もやる気が起きない…。
机の上にはホワイトデーのお返しがパンパンに詰まったスクールバッグが倒れて中身のお返し達が散乱している。
皆からはお返しを貰ったのに…お兄さまから何も貰ってない…どうして、お兄さま。
「瑠菜…部屋にいるか?入るぞ?」
お兄さまが部屋の扉をノックしてる。今更…私なんかになんの用だろう。
「瑠菜…?」
ガチャリと音を立てながらお兄さまが部屋に入って来たのかな。
壁の方を見るように寝返りながら顔を隠す…今の顔はお兄さまに見られたくない。
「瑠菜…あのな、コレ…母さんに教わりながら作ったんだ」
「えっ…?お兄さまが作ったの?」
ベッドから起き上がりながらお兄さまの方を見ると、手には綺麗にラッピングされたお菓子が入った袋を私に突き出してる。
「いいの…お兄さま?」
「いつものお返しだ」
話しを聞くとここ最近放課後はお父様の所に行ってはお母様の指揮の元、ホワイトデーのお返しを作る為の練習をしていたそうな。その際に出来た余剰分を従業員さんに渡していたのを私が目撃したみたいなのだ。
「食べて欲しいんだ」
受け取った袋の中を覗くとそこには…。
「ありがとうございます、お兄さまっ」
瑠菜、とっても嬉しいです。
お兄さまのお返しの内容は…秘密です。
お兄さまが渡したお返しの内容プラス好感度により√が決まったり…?
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幕間 エイプリルフ・ルートA
ああ…これは夢の中で、俺は夢を見ているんだなとぼんやりと頭で理解しながら夢の続きを見ている。
その夢の中で俺達兄妹はお互いに生まれた姿のまま愛し合っていた。妹の瑠菜相手にこんな夢を見るくらいに俺は欲情しているのかと思いながら、少し嫌悪感を覚えながらも…どこかこの夢が覚めないで欲しいと願っている自分がいる。
「お兄さまっ…愛しています」
あの…昔から利発な妹の瑠菜の顔が…クラスの男共では一生見られないであろう女の表情を浮かべて…俺によって組み伏せられてる。
はは、なんだか…とっても気分がいい。ずっとこうしていたいとドス黒い感情が自分の胸の中で渦巻いていくのがよく分かる。
少し瑠菜を撫でてやれば…普段出す声音とは違う艶っぽい音色が瑠菜の口から漏れる。
この為に今まで頑張って来たんだろ?他の男が瑠菜に近付くだけでも嫌だったもんな?と自分ではない自分が語り掛けてくる気がする。
あぁ…俺は…どうしようもないくらいに…瑠菜を。
そうして楽しい夢とは長く続かないのがお約束と言う物で…夢の中の俺達兄妹の関係がオヤジ達にバレた。
俺はオヤジに殴り飛ばされて床に転がり込んでいる。瑠菜は母さんに毛布を掛けられながら抑えられつつも俺に腕を伸ばして金切り声を上げながら叫んでいる。
「どうしてッ⁉お父様、お母様…私達を祝福してくれないのですかッ⁉」
瑠菜はどうしてオヤジと母さんが悲しんでいるのか本気で分かってないように感じたが…床にペタリと座り込み泣いている。
そうして俺はオヤジ達の表情を見て、ようやく自分がやってしまった事の重大さに気が付いて下を向くしか出来ることが無かった。
そうして場面は代わり、俺はオヤジに一ヶ月の謹慎を言い渡されて…家にいる。瑠菜は母さんの実家に移されて謹慎を受けているようなのだ。
当然、その間は学校にも通うことが出来ないが…俺達が仕出かした事の処分ではだいぶ甘い方だろう。
大体二週間くらいが過ぎた…頃だろうか?薄暗い部屋の中で謹慎中の自分がいて、俺以外誰もいない家にインターホンが鳴った。
瑠菜と母さんは実家に戻って…オヤジは外せない用事のために職場に向かっているので誰だと思いながら俺は玄関に向かう。
「はい、どちら様でs…ッ」
ガチャリと玄関の扉を開けた瞬間にドンッと何かが自分の胸の中に飛び込んできた…その正体に気が付くと、ドクンと胸が高鳴った。
「瑠ッ…瑠菜ッ⁉どうしてココにいるんだッ⁉」
自分の胸の中にいるのは外は雨が降っているのか傘も差さないで走ってきただろうずぶ濡れの瑠菜だった。
「えへっ…お兄さまに会いたくて来ちゃいました」
へにゃっ…なんて聞こえそうなほど顔を緩ませている瑠菜の肩に手を置いて体を離すと。身体は恐ろしいくらい冷えている。
「と、とりあえず…今タ、タオルを持ってくるからッ」
土砂降りの中、傘も差さないで来た瑠菜がずぶ濡れなので風邪を引いたら駄目だと感じてタオルを持ってこようと振り返ると瑠菜に腕を捕まれた。
「お兄さま…瑠菜と一緒に行きませんか?」
瑠菜が言った言葉の意味を理解するのに時間が掛かってしまい…ようやく頭で理解したら瑠菜がしようとしている事に驚く。
「おまえっ…言っている意味が分かってるのか⁉」
「どうしました?何か難しい事でもあります?」
今ならまだ間に合うと言おうとした俺に瑠菜はどうして悩むんですか?とばりに首を傾げて俺を覗き込むと。
「だって…お兄さま、言ってくれましたよね…?」
そう言うと瑠菜はあの日から前髪を伸ばして隠すようにしていた額を露わにしながら、今ではすっかり小さくなりけっして消えない傷跡を撫でながら囁く。
「お兄さまが責任を取ってくれるんですよね?」
ああ、そうだ…俺はあの日から瑠菜のお兄さまに
雨の中、俺と瑠菜は何も持たずにただ走っていた。
ーーーーーーーーーーー
「あっ、お兄さま…今、お腹の中で動きました」
マタニティーウェアを纏いつつ瑠菜は大きくなったお腹を撫でている。
「瑠菜…無理に動かなくていいんだぞ?」
「もうっ、お兄さまったら…少しくらい動かないと体に悪いんですよ?」
俺は仕事が終わり借りているボロくて狭いアパートに帰ると瑠菜が働いていたので動かないように言う。
瑠菜と一緒に駆け落ちをしてから大体1年くらい時が経った。自分で言うのもなんだか…夢の中の俺はよっぽど瑠菜を自分のモノにしたいようだ。
財産もろくに持ってない俺達兄妹が暮らすのは想像を絶するくらい厳しい物だったが…なんとか二人で慎ましく暮らしている。
「早くこの子に会いたいですね」
「あぁ、早く顔が見たいよ」
それでも俺は後悔なんてしてない…だって、こんなにも瑠菜が幸せそうな顔を浮かべているんだから。あの時、瑠菜の手を取っていたからこうして小さな幸せを噛みしめることが出来る。
「お兄さま、瑠菜はとっても幸せです」
「あぁ、俺だってそうだよ」
そう言ってソファーに座っている瑠菜の隣に移りながら瑠菜の手を取り握り締める。
「ねぇ、お兄さま…?」
「なんだ…瑠菜?」
へにゃりと顔を崩して俺を呼ぶ瑠菜を見詰め返すと、ぐにゃりと周りの景色が歪み始めた。
あぁ…そろそろ夢が覚めるのが感覚的に分かる…起きないと。
「おに、い…さま?きい…て、」
この夢は…決して瑠菜には…。
ーーーーーーーーーー
「はぁっ、なんだ…やっぱり夢か…って、瑠菜…また俺の布団に入ってきて」
パチリッと目を開ければ、体が重い事に気が付き布団を少し捲ると原因はすぐに分かった。
俺の胸元で制服のまま起こしに来ただろう瑠菜が寝息を立てながら二度寝をしていた。
その…なんだろうか、さっきまで見ていた夢の内容のせいか早く動いてもらわないと色々ヤバイ事になってしまう。
高校生になった瑠菜の身体は更に女としての身体的特徴が進んで来て、身体は柔らかくいい匂いが布団の中に充満している。
「おーい、瑠菜…ミイラ取りがミイラになってるぞ」
出来るだけ意識をしないように表情を作り瑠菜を揺すると。
「うーん…はっ、ごめんなさい…二度寝しちゃいました」
そう言って瑠菜は俺の身体に跨がりながら女座りで上半身を起こす。あんまり…動かれると、その…ヤバいんだが、が…我慢だ…俺、兄としての尊厳を守るんだ。
「ふふっ…おはようございます、お兄さま」
「なにか…機嫌が良さそうだな」
「あっ、分かりますか、お兄さま?」
そう言うと瑠菜は顔を近付けてきて、お互いの息遣いが分かるほど密着させてくると…その艶っぽい唇を動かして機嫌がいい理由を教えてくれた。
「今日は夢を見たんです…途中まで悲しくて、でも最後は幸せな内容でした」
まさか…なんて思いながら、瑠菜に夢の内容を聞こうとすると。
「うーん…?まだヒミツです、お兄さま」
形の良い唇に人差し指を当てて首を傾げながら俺を見てくる瑠菜の表情からずっと視線をそらすことが出来なかった。
夢落ちプラス直接描写ではないので…ユルシテ
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幕間 エイプリルフ・ルートB
ああ…これは夢の中で、俺は夢を見ているんだなとぼんやりと頭で理解しながら夢の続きを見ている。
その夢の中で俺達兄妹はお互いに生まれた姿のまま愛し合っていた。妹の瑠菜相手にこんな夢を見るくらいに俺は欲情しているのかと思いながら、少し嫌悪感を覚えながらも…どこかこの夢が覚めないで欲しいと願っている自分がいる。
「お兄さまっ…愛しています」
あの…昔から利発な妹の瑠菜の顔が…クラスの男共では一生見られないであろう女の表情を浮かべて…俺によって組み伏せられてる。
はは、なんだか…とっても気分がいい。ずっとこうしていたいとドス黒い感情が自分の胸の中で渦巻いていくのがよく分かる。
少し瑠菜を撫でてやれば…普段出す声音とは違う艶っぽい音色が瑠菜の口から漏れる。
この為に今まで頑張って来たんだろ?他の男が瑠菜に近付くだけでも嫌だったもんな?と自分ではない自分が語り掛けてくる気がする。
あぁ…俺は…どうしようもないくらいに…瑠菜を。
そうして楽しい夢とは長く続かないのがお約束と言う物で…夢の中の俺達兄妹の関係がオヤジ達にバレた。
俺はオヤジに殴り飛ばされて床に転がり込んでいる。瑠菜は母さんに毛布を掛けられながら抑えられつつも俺に腕を伸ばして金切り声を上げながら叫んでいる。
「どうしてッ⁉お父様、お母様…私達を祝福してくれないのですかッ⁉」
瑠菜はどうしてオヤジと母さんが悲しんでいるのか本気で分かってないように感じたが…床にペタリと座り込み泣いている。
そうして俺はオヤジ達の表情を見て、ようやく自分がやってしまった事の重大さに気が付いて下を向くしか出来ることが無かった。
そうして場面は代わり、俺はオヤジに一ヶ月の謹慎を言い渡されて…家にいる。瑠菜は母さんの実家に移されて謹慎を受けているようなのだ。
当然、その間は学校にも通うことが出来ないが…俺達が仕出かした事の処分ではだいぶ甘い方だろう。
大体二週間くらいが過ぎた…頃だろうか?薄暗い部屋の中で謹慎中の自分がいて、俺以外誰もいない家にインターホンが鳴った。
瑠菜と母さんは実家に戻って…オヤジは外せない用事のために職場に向かっているので誰だと思いながら俺は玄関に向かう。
「はい、どちら様でs…ッ」
ガチャリと玄関の扉を開けた瞬間にドンッと何かが自分の胸の中に飛び込んできた…その正体に気が付くと、ドクンと胸が高鳴った。
「瑠ッ…瑠菜ッ⁉どうしてココにいるんだッ⁉」
自分の胸の中にいるのは外は雨が降っているのか傘も差さないで走ってきただろうずぶ濡れの瑠菜だった。
「えへっ…お兄さまに会いたくて来ちゃいました」
へにゃっ…なんて聞こえそうなほど顔を緩ませている瑠菜の肩に手を置いて体を離すと。身体は恐ろしいくらい冷えている。
「と、とりあえず…今タ、タオルを持ってくるからッ」
土砂降りの中、傘も差さないで来た瑠菜がずぶ濡れなので風邪を引いたら駄目だと感じてタオルを持ってこようと振り返ると瑠菜に腕を捕まれた。
「お兄さま…瑠菜と一緒に行きませんか?」
瑠菜が言った言葉の意味を理解するのに時間が掛かってしまい…ようやく頭で理解したら瑠菜がしようとしている事に驚く。
「おまえっ…言っている意味が分かってるのか⁉」
「どうしました?何か難しい事でもあります?」
今ならまだ間に合うと言おうとした俺に瑠菜はどうして悩むんですか?とばりに首を傾げて俺を覗き込むと。
「だって…お兄さま、言ってくれましたよね…?」
そう言うと瑠菜はあの日から前髪を伸ばして隠すようにしていた額を露わにしながら、今ではすっかり小さくなりけっして消えない傷跡を撫でながら囁く。
「お兄さまが責任を取ってくれるんですよね?」
ああ、そうだ…俺はあの日から瑠菜のお兄さまに…。
しかし夢の中の俺は瑠菜の手を払っていた。
「ダ…メ…だろ、瑠菜…俺達は兄妹なんだから…」
「はい…………?」
瑠菜の表情が理解出来ないとばかりに歪んでいくのが夢の中でもはっきりと分かる。
「ッ………」
「おい、瑠菜ッ⁉」
瑠菜が玄関から飛び出して行く…追わないといけないと意識は言っているが身体は動かなかった。
そうして瑠菜は居なくなり…二度と会うことが出来なかった。
ーーーーーーーーーーー
「ちょっと…隆樹さん、もっと頑張って下さいよぉ~」
「ああ、悪い…」
瑠菜が失踪してから18年が経った…。
瑠菜が失踪してから俺は就職活動も上手くいかず最初の頃はアルバイトを続ける日々を過ごしていた。
そんな俺を見かねてかオヤジは自分が経営する喫茶店で働けるように計らってくれたのだが…瑠菜が居ない日々に耐えられずどこか無気力にただ過ごしている。
しっかりしろ…俺。今は店長としてこの喫茶店を守っていかないと…家族がいるんだ。
18年と言う長い年月は色んな変化を伴った。オヤジの計らいによって職場を薦めてくれて、そこで器量の良い従業員とも結婚もして…子供にも恵まれた。
これで良かったんだ…これが普通の人生なんだからと自分に言い聞かせるように念じる。
瑠菜の事は残念だったけど…兄妹で結ばれるなんて有り得ないんだから。
「悪いけど…ちょっと先に上がるわ」
「えぇ、隆樹さん…また公園ですか?」
「悪いな、ちょっとだけだから」
そう言いながら、子供の頃…よく瑠菜と遊んでいた公園に向かって椅子に座っていた。
瑠菜の事を思い出すときはここにくるのがルーティーンになっている。SNSで瑠菜と似た人を見たことがある知人が噂をしていた事を聞いた。なんでも…シングルマザーとして生活しているとか。
「もう…
懐かしいが…決して忘れることが出来ない声を聞いたら、声がした方を向くと瑠菜がいた。少し遠いし歳を取っているが…見間違えるはずがない、瑠菜だ。
「瑠菜ッ⁉」
声を掛けようと立ち上がり瑠菜に近寄ろうとしたら身体が動かなかった。
そこには確かに瑠菜がいるのだがお腹が
「ごめんね、母さん…俺の我が儘でこんな場所に」
そこには俺が居た…こんなヨレヨレのおっさんになった俺ではない若い自分が瑠菜の隣に立っていたのだ。
「うーん、いいけど…あまり動くのは
「どうしても…母さんの故郷を見てみたくてさ?」
そうして若い俺が瑠菜の肩に手を回して抱き寄せる。
「もう…隆樹はまだまだ甘えん坊さんね?あと少しでお父さんになるのに」
「いいじゃん、母さん…いや、
辞めてくれ…そこに俺は居ることを選ばなかったんだから…早く夢なら醒めてくれと脳が叫んでいる。
地面にみっともなく膝を付いて目の前の光景から目を離せずにいると。
「…………………」
俺と視線があったのが分かった。そうしてもう一人の俺が口を動かして…何かを言っている。言うことを言ったら興味が無くなったのか…そのまま振り返り瑠菜に声を掛ける。
「さぁ、用事も済んだし帰ろうか、瑠菜」
「えーっ…?なんだったの?まあ、私は隆樹がいればいいんだけど」
瑠菜…行かないでくれ。もし、あの時に瑠菜の手を取っていたら…。
そんな後悔か…取り返しの付かない感情が脳に広がって、もう一人の自分が言っていた言葉が消えない。
「ありがとう、そしてさようなら…
自分とそっくりな顔なのに…どうしてあんな歪んだ表情になっているのか。まるで…魂だけが別の人が入ったような…。
ぐにゃりと周りの景色が歪み始めた。あぁ…ようやくこの悪夢が覚めるのが感覚的に分かる…早く起きないと。
ーーーーーーーーーー
「はぁっ、夢か…って、瑠菜…また俺の布団に入ってきて」
パチリッと目を開ければ、体が重い事に気が付き布団を少し捲ると原因はすぐに分かった。
俺の胸元で制服のまま起こしに来ただろう瑠菜が寝息を立てながら二度寝をしていた。
その…なんだろうか、さっきまで見ていた夢の内容のせいか…瑠菜がそばに居ることにほっとしている自分がいる。
高校生になった瑠菜の身体は更に女としての身体的特徴が進んで来て、身体は柔らかくいい匂いが布団の中に充満している。
「おーい、瑠菜…ミイラ取りがミイラになってるぞ」
出来るだけ意識をしないように表情を作り瑠菜を揺すると。
「うーん…はっ、ごめんなさい…二度寝しちゃいました」
そう言って瑠菜は俺の身体に跨がりながら女座りで上半身を起こす。
「ふふっ…おはようございます、お兄さま」
「…………………」
「どうしました、お兄さま?」
そう言うと瑠菜は顔を近付けてきて、お互いの息遣いが分かるほど密着させてくると…その艶っぽい唇を動かしてまだ悪夢が続く。
「今日は夢を見たんです…悲しくて悲しくて…でも、最後は幸せになりました」
まさか…なんて思いながら、瑠菜に夢の内容を聞こうとすると。
「うーん…?ヒミツです、お兄さま」
形の良い唇に人差し指を当てて首を傾げながら俺を見てくる瑠菜の表情からずっと視線をそらすことが出来なかった。
エイプリルフールの日ならお兄さまの脳破壊は許されるって…おばばが…
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幼少期
01 穏やかな日常
さて、私こと
前世の私と同様に今世でも同じく日本には住んでいるみたいだが、どうやら今世の日本は前世の日本と少しだけ違うようなのだ。
お母様に連れられてお外に遊びにいったり、買い出しに行くと色んな人達とすれ違うのだが、全ての人ではないけどなんと言うか…髪の毛の色がカラフルです。
ほんと何と言うかアニメの世界みたいに金髪は普通にいて白髪や青色と極め付けはピンク色となんでもありなのかと突っ込みをしたが、どうやら今世の日本では普通の事みたい。
まあ、かく言う私達
あと私が生まれた年代が少しだけ早いのだ。
生まれた年は丙成2年…正暦では1990年と前世では1995年生まれだった。ここもちょっと漢字も違う。まあ、逆行系の転生なのかな?と思った。それでも前世では一人っ子だったし違う家庭なので厳密には違うか?。
パラレルワールドの日本で生まれ直して前世との繋がり…前世の家族や親友などのが存在が全くないが、それでもお兄さまに出会えた事に比べれば全ての事は帳消しになる。
前世の両親には余り親孝行が出来なかったので、少しだけ申し訳ないと思うが…まあ、私がお兄さまと夫婦になって子供を授かったら時空を捻じ曲げてでも
私の人生プランでは最低でも3人くらいは子供が欲しいので
「るなー、おやつよー」
おっといけない。現状確認をするために思考に耽り過ぎたみたいで今日のおやつの時間に遅れてしまった。
「今、いくーっ」
元気よく返事をしながらこども部屋からお母様が待っているキッチンへと向かう。
トテトテと軽い足取りで廊下をかける。
「今日はるなの大好きなショートケーキよ」
「やったー、ケーキーっ」
ダイニングに向かいテーブル席に付けば、対面式キッチンカウンター越しにお母様がケーキを持って来てくれる。
「もぐ、もぐ」
「先にたかきは食べてたから、お茶は待っててね」
おや、お兄さまの姿が見えないと思っていたら先にケーキを食べていたのね。
夢中になりながら口いっぱいにケーキに詰め込みながら咀嚼をしているお兄さま。
ああ~、今日もお兄さまメモリーがアップデートされていく。
ハッ…私がおやつの時間に遅れてしまった事でお兄さまにおやつを食べさせてあげるチャンスを失ってしまった。
一生の不覚…やはり、まだまだ私は未熟者のようだ。常に精進していかなければいついかなるチャンスを不意にしてしまうかもしれない。
これからお兄さまの行動を常に把握して臨機応変に行動するようにしよう。
「はい、るなの分のお茶」
いけない、お兄さまにアーンしてあげる機会を逃してしまった後悔でお母様に気が付かなかった。
反省はした…改善案もまとめた。これ以上過去の失敗を引きずっては時間を無駄にする。
私、一ノ瀬瑠菜は前向きな女なのだ、くよくよは良くない。よし、反省完了。お母様が作ってくれたショートケーキを食べよう。
「うーん、おいしーっ」
美味しい物を食べると自然と気分が幸せになる。前世ではあまり甘い物が得意ではなかったのに精神が体に引っ張られたのか私の好みも変わった。
「じーっ」
おっと、どうやら我が愛しのお兄さまは先にケーキを食べ終わってしまって物足りない様子。
本当だったら私の物は全てお兄さまに捧げても良いのだが…それをするとお母様がめっをするので我慢だ。
私は両親を悲しませたくない…親不孝者にはならない。
しかし、今…お母様はキッチンで洗い物をしていて、こちらを見ていない…。
なら、やるべき行動は…ただ1つ。
やるんだな…今ここでッ‼
あぁ、私はやるぞ。
「はい、お兄さま(ASMRボイス)」
「……いいの?」
少しお行儀が悪いかもしれないが、私が少し囓った食べかけのケーキをフォークでお兄さまに差し出す。
もちろんお母様にバレないように小声で話さないといけないためにお兄さまの耳元でケーキのように甘々ボイスで語り掛ける。
ぜひお兄さまにはASMRの良さに気付いて貰いたいので今から私が両親に代わり英才教育を始めよう、そうしよう。
お兄さまはタダでASMRの良さに目覚め、私はASMRの練習が出来るようになる。
まさにwin-winな関係。グゥレイトだせ。
「ほら、お母様にバレちゃう(ASMRボイス)」
決して破廉恥な行為はしていない。
ただフォークで差し出したケーキをお兄さまの口元にまで近づけるだけ。
「あむっ」
まるで小鳥のようにケーキを啄むお兄さま。可愛らしいお口を動かしケーキを咀嚼している。
ハッ…これはいわゆる間接キスと言う物ではないだろうか?。
いけない…私の唾液がついたケーキをお兄さまが食べたなんて…お互いの遺伝子が混じってる。もうこれはエッではないだろうか?私が責任を取って結婚するから。
「こら、るな。また…たかきにおやつ譲ったりして」
しまった。あまりのドキドキによりお母様に
「ごめんなさい、お母様」
本当にごめんなさい、お母様…お母様の前で夫婦の営みを始めてしまう、不肖の娘で。
でも、私は素直に謝ることが出来る女なのだ。
やめるとは言ってないけど…
「本当にるなはたかきに甘いわね」
「だってぇ~」
さて…おやつタイムが終了してお腹がいっぱいになったお兄さまはお昼寝タイムに入ってしまった。寝顔も可愛い…でも今日は名残惜しいのだが、そろそろ帰ってくるお父様とお母様と一緒にお話しをしなければ。
今後私達家族が生活していく為にはある程度だがお金が必要になる。
ちょうど前世のお話しにはなるが似たこの世界のこの時代にぴったりの
上手く出来るのか…いや、やるしかないのだ。
この世界に来て、生まれた意味を…知ってしまったのだ。
お兄さまとの
えーい、女は度胸だ…一ノ瀬瑠菜はやると言ったらやる女なのだ。
「いんたー…?」
「ねっとー…?」
夕飯の準備を進めているお父様とお母様の2人にテレビ番組を流しながら、そう…自然な感じで話題を持って行く。
両親の2人からはインターネットと疑問符がついてるだろう呟きが返ってきた。
うーん、流石にパンチが弱いか…。まあ、普通そうだろう。齢4歳弱の娘から「いんたーねっとってスゴいね」なんて幼女チックな言葉と裏腹に内容が合わないだろうがやるしかない。
「保育所の先生が言ってたの~」
済まない、先生…。私のささやかな幸せのために瑠菜は嘘つきになります。
何の力も立場や実績とか信用が諸々ない子供がチートを使うのは難しいなぁー。
前世の知識として知っていたが、いざやろうとする当事者となると話しは違うな。マジで凄いな私以外の転生者達は。
お陰で当初の予定とは少しばかり下方修正しないといけないが、当面は果実が実るのを待つしかない。
家宝は寝て待てと言うしな。
さて、未熟者がガバを曝し続けているが…まあ、大丈夫だろう。ホントかなぁ?なんて言われてる気がするが。
やっぱり私のお兄さまへの愛が抵当にならないのが理解出来ない。
株の件でお父様と話していた銀行員はきっと新人さんだったんだろう。私だったら即現ナマ払いで幾らでも融資するのに。
「だけど、やるぞーッ‼」
子供用のベッドから天井に向けて拳を突き上げて改めて宣言する私。
「るな、うるさいよ」
「あっ、ごめんなさいお兄さま」
どうやら、私の声で寝ているお兄さまを起こしてしまったようだ。謝りながら私は幸せなお兄さまとの幸せな
「おやすみなさい、お兄さま」
ネタが出るぞ…ははは。
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02 一ノ瀬家について
今更ながら私の家庭について説明しようか。
一ノ瀬家はお父様とお母様それに私達兄妹の四人、二組の夫婦で構成されている。
お父様の名前は一ノ瀬
この家庭の大黒柱であるお父様は元々地元で有名な喫茶店でコック兼店長として働いていたが、私達が生まれる前に火事により店舗を焼失してしまった。
一時期は夢を飽きらめて実家の家業を継ぐことまで考えたが、捨てる神いれば拾う神がいるらしい。
なんと駅前に中世ヨーロッパをイメージした大型ショッピングモールが出来て、そこのテナントとして出店しないかと好条件の融資のお声が掛かったらしい。
新しい店舗として喫茶店を再スタートしたお父様は持ち前の真面目さと丁寧な経営によりまずまずなスタートを切ることが出来たと。
ちなみにお父様は卵料理がとっても上手で私達兄妹はお父様の作るオムライスに夢中なのだ。
話しは続くけど、なんとお父様の店舗の前のテナントに、この世界で有名なブランド喫茶店が出店すると言うのが判明。
上手い話しには裏があるというお手本みたいだな。
しかし、そこでお父様は運命の出会いを果たす。その人物こそが私のお母様である。
一ノ瀬
馴れ初めを語るお母様の姿と言ったら正に恋する乙女のようで、とっても素敵だなと感じた。
きっと私はお母様の遺伝を色濃く引き継いだのだろう。やっぱり私がお兄さまを幸せにしなければ…兄、結婚するべし、慈悲はない。
今では落ちいた聖母のようなお母様でも、その頃は随分お転婆だったらしいとお父様が教えてくれたら、ぷりぷりと怒るお母様と謝るお父様のラブラブっぷりを見せ付けられた。
これは私達
うーーん、なるほど、これはギャルゲーの世界に転生したなと。きっと主人公はお父様なのだろう…そうだろう。
まあ、たとえこの世界がギャルゲーやSF、ダークファンタジー等々を元にしていようが私には関係ない。輝かしい未来のために妹道を邪魔する物があるなら全てを粉砕していけばいいのだ。
ここが私のリアルなのだから。私が主人公。なにか感想はありますか?。
「はい、オムライスだよ」
「「やったー」」
おっと、今は休日の家族団欒の時間なのだ。今日はお父様が私達のために腕を振るってくれたオムライスが目の前に置かれる。
元々前世の私から美味しい物を食べるのが趣味だったので転生してから更に美味しい物を食べることが好きなのだ。
「もぐもぐ」
オムライスにスプーンを突っ込み、その柔らかな卵のカーテン破り中のチキンライスと共に口に放り込む。うん、美味しい…卵の焼き加減とか諸々全てが合わさることで極上の美味しいになる。
このクラシックな見た目のオムライスはすっかり今世の私のお気に入りの1つなのだ。
さて、隣を見れば今は色気より食い気まっしぐらのお兄さまだが、うん…焦ることはない私達の未来は既に生まれた時から神様に祝福されているのだから…やっぱり神様っているんだな。感謝しなければ。
しかし、いくら運命で約束されてるとは言え…それに胡座をかいて良いという訳でもない。
幸せを手にするためには普段から並ならぬ努力の実を結ばせなければ。
前世で気が付くのが遅かったが結果のない努力には意味がない…努力すると言う言葉の意味を失敗のいい訳には出来ぬのだッ‼。
「あっ、お兄さま…ケチャップがついてる」
ふふ、その小さなお口で口いっぱいにオムライスを頬張れば口元がケチャップまみれになるのは当然だろう。かわいい…結婚しよ。
「あら、本当だわ…今拭いてあげ…」
そんな勿体ない事はさせないッ‼。お母様が拭く物を探している間にバッと素早く手を動かしてお兄さまの口元についた
「ンァー、ンッ」
大事に大事に、口の中で味わうようにしゃぶり尽くす。
ぺろ、これは…うっ、ウッ…うーまーイーぞーッ‼。
旨味成分のグルタミン酸とお兄さま成分が反応して脳内の快楽神経が刺激され、一種のトリップ状態になる。もっと味わいたいがもう口元にごちそうはないので、全神経を使い指先に残った成分を堪能する。
レロォ、チュパ…チュパカブラ。
んん…エークスタシー。
「………………」
「ハハッ、ルナハタカキニヤサシイナ………」
んん、何か両親から熱い眼差しを向けられるが…きっと、私達
あれ、私…なにかやっちゃい申した?なんて言うテンプレートはもう時代が変わったのだ。
「…?」
甘ったるい雰囲気を察してか首を傾げるお兄さま…お兄さまはそのままで居て下さないね?いや…女の子の気持ちを察する程度にはなって欲しいな…鈍感系主人公は流行らない…流行らないのだッ‼。
こうして幸せな家族の夕食と言う団欒を楽しむ私なのだった。
両親の設定はアレですよ。みなさん…プレイしましょう。絵が苦手ならリメイク版があるので。ちなみに私はPS2版をプレイしました。
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03 双子の兄妹
「ボク達はふたご。ボクがおにいちゃんで、るながいもうと」
どうしてボクがお兄ちゃんなのかお母さんに聞いたら、先にボクが生まれたかららしい。
ふたごの場合は生まれた順番で決まるんだって。
そんな事なら…ボクはるなの後に生まれたかった。
「るなちゃんはちゃん挨拶出来て偉いねー?」
「どうやら、たかきは恥ずかしがり屋みたいで…」
お母さんに連れられてるなと一緒にお外に出るといつもこうだ。
ご近所のおばさんに挨拶をするけど、上手く出来ない。直ぐにお母さんの後ろに隠れてしまって掴んだズボンを離せない。
でも、いもうとのるなは違う。
「おはようございます、おばさま」
妹のるなはすごいな…どんな人達でも逃げずに挨拶をする。ボクも挨拶をするのは大切ってことは分かってる。
でも、いざ…行動に移そうとすると急に頭の中が真っ白になっちゃって、しどろもどろになる。
ボクと同じなのにどうしてここまで違うのか…一緒に暮らせば、時間が経つほどその差が大きくなってる気がする。と言うか最初から巨大なみぞがあるみたいだ。
「お兄さま…はぐれたら、きけんだから手をつなぎましょ」
そんなボクの気持ちを知らずに妹は手を差し出してきてボクの手を握りお母さんの所まで引っ張られる。
もし、るながお姉ちゃんだったら…ボクは素直に従ってるなの後ろにぴったりくっついてれば…いい。
こわいものやにがてなものはるながやってくれる。
そんな風に頭の中で考え事をしてしまう。
「あら、一ノ瀬さんの兄妹は仲がいいわね」
「あめちゃん食べるかい?」
お母さんとボクとるな…三人でお買い物に行く途中でも色んな人達が声をかけてくる。
おじいさん、おばあさん…近所に住むおにいさんなど色んな人達。
でも、なんとなくだけど分かる…この人達はボクなんかじゃなく、るなとお話しするために来たんだって。
ボクはるなのオマケ…。お兄ちゃんなのにしっかりしないといけないのに…。
ギュッ…
るなとつないでいた手に力が入る。
「どうしたの?お兄さま?」
るながボクの顔を見ながら心配そうにしてる。
そんなにやさしくしないで…ボクはダメなおにいちゃんなんだよ。
「…………………」
「お兄さま?」
バシッ‼とるなとつないでいた手をごういんにはなすとボクはさきにとびだすように走りだした。
「お兄さまッ‼待ってッ⁉」
「隆樹、待ちなさいッ」
おどろいたおかあさんとるなをおいてとくにかく走る。
「お兄さま、待って、下さいッ」
こないで、くれ…るなッ。
後ろをふりかえれば、るなとのきょりはそこまで開いてない。
「来ないでよッ‼」
るなに聞こえるようにさけぶと、走るスピードがはやかったのか足をからませてしまって体せいをくずしてしまった。
だめだ、ころんじゃうっ。
「お兄さまッ‼危ないッ⁉」
あと少しで、じめんの…そっこうにかおからぶつかると目をつぶった時になにかやわらかいものに包まれてから…。
ドシャッ。
「ッ、うぅ………」
「る、な…?」
おそる、おそる目をあけたら…るながボクのしたじきになってたおれてる。
きんぞくの地面には…赤い…アカイ、えきたいがるなから流れてる。
「う、あっ…おに…さま、大丈夫、ですか?」
「な…んで、かばったの」
「わたしは………」
後ろから追いついたのか…おかあさんが大きな声をだして、きゅうきゅうしゃをよんでいた。
そこから…ボクのいしきがはっきりしてない。
「検査を済ませた結果、脳に後遺症は無さそうですが…左側の額出来た傷跡は完治しても残る可能性があります」
あの後、おかあさんが呼んだきゅうきゅうしゃにるなとはこばれて…お医者さんが手当をおえておとうさんとおかあさんになにやら言っている。
あまり…きこえないが、わるいことなのは子供のじぶんでもわかる。
だって…おかあさんが手をお顔にあてて泣いている。
そんな…おかあさんをおとうさんが抱きしめてる。
「るな…」
「あっ、お兄さま」
びょうしつのベッドの上にいるるなはひたいに包帯をグルグルに巻いてぼくを見ていた。
「お兄さまが無事で良かったです」
「るなッ」
ボクをしんぱいさせないようにむりやり笑っている、るな…。おにいちゃんとしてしっかりしろ…今からでも変われッ。
「はい…?」
いまさら…びびるな、ボクはるなのおにいちゃんなんだ。
だから…。
「ボクがせきにんを…ぜったいにとる」
「ボクがせきにんを…ぜったいにとる」
拝啓、お母様…お父様。
多分隣の部屋でお医者様とお話ししていると思いますが。
娘の瑠菜は今… 幸せの絶頂にいます。
なぜならお兄さまから
あまりの嬉しさに先程から少し痛みがあった額の部分はもう気にならないほどアドレナリンが脳から分泌されています。
急にお兄さまが私の手を振り切った時は、私の手があまりにも汗ばんでいて気持ち悪くなったのでないかと思って焦りました。
ちゃんと手を握る前にはスカートで拭いたし。
しかし、お兄さまが転んだ時は本当にビックリした。おまけに転倒先が鉄製の側溝だったので私は無我夢中で縮地擬きを使いお兄さまを抱き締めながら地面にダイブした。
お兄さまを庇うように抱き抱えて倒れたために左側の額がばっくりと。この時点で傷が残るだろうなと感じたが。
うーん、お兄さまが走りだした原因は未だに不明だが、
しかし、この傷跡はお兄さまを追い掛けた事により出来たものなので…一応はお兄さまのせいと言えなくもない。
つまり、この傷跡はお兄さまから頂いた…
ならこれからはお兄さまから頂いた大切な
おお…ならば前髪を伸ばして
お兄さまに見せる時だけ髪を退かせば良いのだ…私は天才か?。
今は髪の毛の長さは肩にかかる位なので
「るな…?」
おっと…贈り物をどうするか考えていたら、お兄さまのプロポーズの返事をしていなかった。
えっと、なんて言えばいいんだ…こう、上手く言えない。頭の中が真っ白になる。
とりあえず…。
「
決まった…こうして私達は結ばれ幸せに暮らしましたとさ。
妹愛、第一部完ッ。
いやいや、まだ終わりにはならないぞ。
「………ッ。ああっ…るな、ボクは逃げない」
見なさい…この男として覚悟が決まったお兄さまの凛々しいお顔を。
お子様だと侮るなかれ…男は何歳からだって漢になれるのだ。
うっ…なんと言うか。そのはしたないんですが下腹部がキュンと熱くなります。
下半身は布団で隠されているので助かりました…えぇ。
「瑠菜…よかった」
「全く、無理をして」
ちょうどお医者様とのお話しが終わったのかお母様とお父様が入ってきた。
「ごめんなさい…」
「本当に心配したんだから」
お母様が私に抱き付いてくる。小さい体を抱き締める腕に力が込められる。ちょっと苦しいが両親を心配させてしまったので甘んじて受けよう。
「瑠菜の必要な物を取りに行くから、一旦帰るね?」
「隆樹はどうする?」
「るなのそばにいる」
ああ、瑠菜は幸せ者です。
とりあえずは様子を見るために私は一日は入院しないといけない。
両親が退室して病室には私とお兄さまの二人っきりになる。
私が包帯の上から傷跡を触るとお兄さまはビクつく。
これからはこの
ニヤッ。
アッシュグレーの長髪に傷跡を隠すため前髪片目…翡翠色の瞳…ブ〇アカのア〇ナをイメージしてます。
jk瑠菜「お兄さま…見てよ?」(前髪を除けて傷跡を晒す)
DK隆樹(ビクッ)
うーん、ご飯が進む。
そろそろホワイトデーですね。バレンタインデーのお話しをぶち込みたくなってきたな。
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04 究極の選択
私の
最初の一週間とちょっとで額の抜糸を済まして、包帯とガーゼを外し…ついに待望の
お医者様の立ち会いのもと、一緒に鏡で見てくれたお母様も私の涙ぐむ様子に感化されたのか私の肩を掴む力が強くなり、最終的に私を抱き締めながら一緒に泣いてくれました。
お母様ありがとうございます。こんなに瑠菜の事を祝福してくれて…ニヤ。
でも、不思議な事に「ごめんなさい…ごめんなさい」と嗚咽のように同じ言葉を繰り返すお母様の気持ちは全く理解出来なかった。
だって、私はこんなにも幸せ者なのに…。
きっとあれか…本当は家族全員一斉にお披露目出来れば感動で溢れたのに、私とお母様で先に満喫した事ですね。
あの時はお父様とお兄さまは外せない急用が出来てしまったのが残念ポイントです。
まあ、家に帰ったらお父様とお兄さまにしっかり見せて上げましたがね!。
「さて、この
今は鏡に向かって女の子らしく…と言うか女の子なので、髪をいじりながら額の
まだまだ髪の毛の長さは目標とはほど遠いが髪形を工夫すればいくらでも対応出来る。
あっ、脱衣所の鏡で髪をいじっていたら、ちょうどお兄さまが廊下を歩いてたのでお礼の笑顔で迎えたら…ビクッとなり素早く行ってしまわれた。
うーん、瑠菜は分かりますよ?プロポーズした相手が大事そうに結婚指輪を眺めていたら恥ずかしくて…照れますよね?
私も同じ気持ちです、お兄さま(ハート)
「私達で話し合ったんだけど…」
「今日からは隆樹と瑠菜には双子の兄…妹の事は気にしないで一人の人間として生きて欲しい」
夕飯を食べてから大事な話しがあるとの事なのでお父様とお母様の言葉を待っていたら言われた。
凄い…前世の私の子供の頃は政府によって女性の社会進出等が謳われてたが、まだまだ女性はこうするべき…男性は…兄、姉はしっかりしなさいだなとリベラルなんて言葉が存在しないガチガチ不便な風潮が主流だった。
そんな時代に近い今世でこんなに早く本人の意思を尊重する生き方を認めるお父様とお母様はやっぱり素敵だ。
「イヤだッ‼ボクはるなのお兄ちゃんだ」
「隆樹…」
なんて感心していたら、隣に座っていたお兄さまが硬い意思表明をしてくれた。
瑠菜、分かりますよ。やっぱり男としては
さっきと言ってる事違うよね?なんてどこかで言われてる気がするけど…それはそれ、これはこれなので
「隆樹がそう…考えるならいいけど、決して重荷として感じて欲しくないんだ」
「うん、大丈夫」
お父様がお兄さまの頭を撫でながら諭す。
好きな人の前で格好つけたくなるのはどの世界でも同じだな~と思ったのは内緒。大好きです、お兄さま。お兄さまはやっぱりお父様の遺伝が色濃く受け継いたんだわ。
さて、大事な家族会議が終わり…就寝までまだ少し時間があるので先程の会議の内容をまとめる。
法律上では兄がお兄さまなのだけれど、双子の兄妹の立場を気にしないで生きて欲しいとお父様とお母様は言った…つまり私はお兄さまにとって、姉か妹のどっちかを選んで生きて良いと言ってるに等しい。
これはとっても重大な問題だ…姉か妹を選ぶ事によってお兄さまとの関わり方が変わってくる…迂闊に選べない。
いったいどうすれば…いいんだ?。
姉・瑠菜
「そんな時は…」
妹・瑠菜
「私達がいるじゃないッ‼」
瑠菜
「あ、貴方達はもう二人のワタシッ」
姉・瑠菜
「姉がいいに決まってる。ちょうど前世の記憶があるし…その知識を活かしてお兄さまを導き、時には諭す…深い愛でお兄さまを抱き締める存在には姉がぴったりよ。お兄さまをドロドロになるまで甘やかしたくない?」
瑠菜
「なるほど…一理ある」
妹・瑠菜
「惑わされてはダメッ‼お兄さまと共に歩んでいくためには知識チートなんて下駄は要らない。お兄さまと同じ目線に立ち…時にはぶつかり合ったり、庇護と言う名の寵愛を頂ける妹のままがいいわ」
瑠菜
「確かに…だけど、選べない」
姉・妹・瑠菜
「「私ごとながら優柔不断ね」」
瑠菜
「だけど、貴方達は1つ重大な事を忘れてるわ?」
姉・瑠菜
「なに?」
妹・瑠菜
「あなた…まさかッ⁉」
瑠菜
「いったいいつから私が姉・妹を選ばなければいけないと勘違いしている?答えは私はお兄さまとって…姉であり妹であればいいのよ」
姉・妹・瑠菜
「「ソレだッ‼」」
どうやら…私はお兄さまと共に生きていく上で姉か妹を決める為に考える事で生じた脳にかかる強い負荷を処理するために無意識下で並列意思を生成したようだ。
これにより長い長い議論の末に私は姉妹のいいとこ取りをすれば良いのだと結論づけることに成功した。
これはコペルニクス的転回と言えるだろう。私は姉でもあり妹なのだ。
天動説が流行っていた中、地動説を唱えたコペルニクスは偉大だ。やっぱり常に常識に疑問を持ち…広い視野を持たなければ。
私の輝かしい未来のために。
「瑠菜、まだ起きていたの?お人形遊びは明日にしてね?」
「はーい」
おっと、いけない…並列意思を発動させていると稀に独り言を呟いてしまうので、怪しまれないように
うーん…流石に脳に無理をさせすぎたか。ちょっとお兄さまとの事を考えると時間が足りなくなって困ってしまう。それと眠くなってきた…。
早く寝て…明日に備えないと。
最低30分…いえ1時間くらいはお兄さまの寝顔を観察しないといけないのだから。
「んんっ」
モゾモゾと朝が近付いて来たのを感じながら布団の中でなにか違和感を覚えると…布団を捲りその正体を確認する。
「るな…こっちに来たのか」
んんっ…なんて寝言を言いながら起きる様子のない妹のるな。
最近前髪を伸ばすようになったるなの頭をなでると、はらりと髪が動いて額が露わになる…そこにはまだ傷跡が生々しくあり、あの日ボクがしてしまった事を強くいしきしてしまう。
るなはもともと活発だったが…あの日以降この傷跡のせいで外に行くのもきかいも減り、常に鏡を覗き込みながら傷跡を撫でている…そしてむりに笑顔をつくるんだ。
前髪を伸ばし始めたり…帽子を深く被って、人目につかないようにしている…ボクのせいだ。
ボクがしっかりしないから…るなの大事な未来を奪ってしまった。
お母さんがお父さんに病院の事を話していた事を聞いた。るなは傷跡を初めて見たときにお母さんを心配させないように無理に笑っていたんだって…。そしてお母さんが泣いてるのを不思議そうに見てたと。
「グスっ…るな」
「お兄さま?」
泣いている所を見られたかな…またお兄ちゃんとしてかっこ悪い所を…。
「ごめんなさい、お兄さま…直ぐに戻りますから」
「いいよ、るな」
慌てて動こうとする、るなを抱き締めると…。
「お兄さま、恥ずかしい…」
「るな、ボクには隠さないでいいから」
傷跡の事だろう…でも、ボクはあの日責任を取るって言った。
たとえ、るなに恨まれていても…。
うん、やっぱり転生者は邪悪だな(愉悦)
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中学生編
05 キラキラの中学生生活
私がお兄さまに恋をしてから12年の月日が経ち。
今日から私達
まあ、私がお兄さまの
お兄さまメモリーはまた別の日に自慢したいので…今はちょっとした出来事をサクッと紹介しようかなと。
まずはちょっとだけ囓っていたIT関係の投資がITバブルの到来によって、お父様とお母様が私達の教育費について毎日悩む必要は無くなりました。
前世では過去の事として知らなかったバブルと言う紳士の宴にはいささか人間である私には耐えられなかったのでITバブルが弾ける前に周辺を身綺麗にするようにお父様とお母様を誘導しておきました。
それでも有名所は薄く広く持っているようにさせました。記念みたいな物ですかね?そうなると後は有名な動画投稿サイトが出来たら早めにアカウントを作りたいですね…コレクター魂に火がつきそう。
あとお父様の担当をしていた銀行の営業マンの顔は今でも覚えているほどニッコニコでした。
それにともなって幼稚園を卒業した後は金銭面的に余裕が出来たので進学には遠いが将来の為に少しランクの高い私立の学校に通う…事はなく私達は近くにある公立の小学校に通いました。
知識チートがあるなら学歴が物を言う時代だろ?勿体なくない?と思うかもしれないけど…前世を通して私は地元のことは何だかんだ言って好きなので今世も人との繋がりを優先です。
お金ももちろん大切なのはきちんと分かってますが、それだけでは私とお兄さまは幸せになることが出来ないのです。
なぜなら私達
よく幸せは分かち合うべきと言うじゃないですか?私達
世はまさに大
うふふっ…きっと皆さん最初は驚くけど祝福してくれる筈です。
はやくお兄さまと結婚したいなぁ…今は婚約と言う段階ですからね。法律上では女の私は16歳で結婚出来ますが…お兄さまは18歳まで待たないといけないのです。
焦らしてくれますね…はやくお兄さまが18歳にならないかしら?。
「おーい、瑠菜…そろそろ行くぞ」
「今、行きます…お兄さまッ」
おっといけない…並列意思を利用して定期的にまとめてる脳内議事録を作成にしていたら、そろそろ登校する時間になっていた。
慌てるようにグレーのブレザーに腕を通して、スクールバックを持ちお兄さまが待っている玄関まで急ぐ。
今日は初登校なのだ…私の不手際でお兄さまの評価まで落とすわけにいかない。
「瑠菜…忘れ物とかないか?」
「大丈夫です、お兄さま…昨日の内に3回…朝に3回は確認したので」
いや、多過ぎだろ?なんてジョークを言って緊張している私をいたわってくれるお兄さま。あの事件が起きた頃からお兄さまはもっと魅力的になりました。
小さい頃は苦手だったピーマンを食べるようになりましたし…苦そうにピーマンを食してるお兄さまの顔は可愛かったのでもう見られないのは少し残念ですが、それはそれ。
自発的にご近所さんとの挨拶をするようになったりと私に相応しい存在になろうとする姿勢をヒシヒシと感じる事が出来ます…これは私ももっとお兄さまに相応しいお嫁さんにならなければ無作法というもの。
「何だかんだ言って瑠菜とずっと一緒のクラスだよな?」
「私はお兄さまと離れるなんて考えられません…」
雑談を交わしながら学校までお兄さまと登校していれば、最初はぽつぽつと見かけた同じ制服を着た学生が段々と多くなってくる。
「瑠菜…こっちに」
人混みが出来てくるとお兄さまが壁になり私を守ってくれる。
ああ、お兄さまが紳士過ぎます…濡れるッ‼。
圧倒的紳士なお兄さまのエスコートのお陰で無事に登校することが出来て、つつがなく入学式を済ますと今度は配布物を配ったりするために教室で待機をする…まあ、待ち惚けたですね。
この待機時間はいくつになっても長く感じるのは何ででしょう?。
教室には私とお兄さま…小学校から顔見知りの人達がいますが…ちらほら知らない人達がいますね。ぼんやり考え事をしていると。
ガチャリと扉を開ける音と共にこのクラスの担任教師と副担任の教師が入ってきた。
「よし、静かにしろッ…今から配布物を配って、プリントは親御さんに…えーと、一ノ瀬瑠菜でいいか?」
「はい、先生?」
教卓にバインダーを置きながらホームルームを始めようとした先生が私の事を呼んできた…なにかあったのか?。
「その前髪はなんだ?長過ぎだ、校則違反だぞ…短くしなさい」
「……ハァ?」
なんだ…このヒトの形をした筋肉ゴリラは?いかにも品性が足りなさそうな顔を晒している惨めな存在が…私が愛すべきお兄さまから頂いた
そんな
「………………………………………………………………………」
「先生、瑠菜はッ‼」
目の前の下等な存在…ゴミを見るような目つきの右目で睨み付けていると慌てるようにお兄さまがこの筋肉ゴリラになにか言おうとして。
「ちょっと…先生、彼女が会議であった子ですッ⁉」
「なに…?」
私と筋肉ゴリラによる一触即発が秒読みの所で副担任がバインダーで挟まれたメモ書きやらを筋肉ゴリラに見せると。
「ごめんなさい、少し連絡漏れがあったみたいで…」
副担任が謝罪しながら微妙な空気になった教室の雰囲気を変えるために強引にホームルームを再開する。
まあ、業務上で発生するヒューマンエラーは仕方ない…。仕方ないが、私がなんのために前髪で
私は机に突っ伏しながらどうでもよくなったホームルームを聞き流すことにした。
「瑠菜…ごめんな?辛かっただろ?」
「はい、お兄さま…」
ようやくホームルームが終わり各々が帰宅や雑談をしている中でお兄さまが声をかけてくれる…やっぱり優しい。瑠菜の半分はお兄さまで出来ています。
配布物で重くなったスクールバックを取ろうとしてると。
「よう、あんたらが噂の双子だな」
なにやら私達に話し掛けてくる男子生徒が…小学校からの顔見知りではないみたいだが、なんと言うか…私ほどではないが両目にかかりそうなくらいに長い黒色の前髪に眼鏡…中肉中背といかにも特徴がないのが特徴と言う主人公みたいな奴がいる。
「知ってるとは思うが…俺は一ノ瀬隆樹、それで妹の瑠菜だ」
お兄さまが私の前に出て盾になる。
これはあれか…私みたいな転生者が他にいると言うこと?まさか…この世界は別のギャルゲーの世界と言うパターンだったか?。
少し警戒するようにお兄さまの腕を掴むと。
「ふふ、俺は今学校の美少女全員にスリーサイズを聞いているのだッ‼」
ああ、コイツは違う。コイツは只の馬鹿だ。クイッとメガネのフレームを指で上げてアホな事を言う
今ではブラック校則と言うんですかね?
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06 妹の気持ち、兄知らず
「必死にやったんですよ、これが」
この作品の初心にかえって曇り曇らせ、情緒破壊をやるぞっ
「なぁ、瑠菜ちゃんって可愛いよな?」
「なんだよ…いきなり」
今は体育の授業の時間で準備運動の為にペアになっている
ちょうど背中合わせでお互いの腕を組み稲司を背負って体を伸ばしている為にコイツの顔は見れないが真面目そうな顔をして馬鹿な事を考えているんだろう。
「いや、だってさ…瑠菜ちゃんってまた先輩に告られたんだろ?今年でもう何回目だ?」
「………っ………三回目だ」
そう俺達兄妹が中学校に入学してから四ヶ月の時が過ぎて、初対面で
「よっと…まあ、瑠菜ちゃん可愛いから仕方ないよな」
稲司を地面に降ろして今度は稲司が俺を背負い、重量によって背中が伸びるのが分かる。
「他人事だからいいかもしれないけどな…最初は大変だったんだぞ?」
「ああ、あの先輩の件だろう?」
そうだ…入学してちょっと過ぎた頃に瑠菜が少し良くない噂がある先輩に放課後にこっそり呼び出しを受けたみたいで…それが瑠菜一人で向かったのが良くなかった。
最初は穏便にお断りをしていた瑠菜に痺れを切らしたのか噂の先輩が強引に腕を掴み瑠菜に自分と交際するようにしつこく迫ったのだ。
ちょうど瑠菜が一人で人気のない場所に向かった所を見たというクラスメイトの報告を聞いた俺は急いで駆け付けて瑠菜の元に駆け付けたと言う経緯だ。
あの時の事はまだ鮮明に覚えている。
「お兄さまッ、違うんですッ⁉私は…そんなつもりではッ⁉」
駆け付けた俺が先輩を追い返してから瑠菜の体に手を回して介抱すると、よほど怖い目にあったのか気が動転していて。
「違うんです…違うの、おにぃさまァ…」
あの利発な瑠菜が髪を振り乱し露わになった額の傷跡を指でなぞりながら…しまいには皮膚に爪を立てながら地面に泣き崩れて。
何度も何度も傷跡を掻き毟ろうとするので腕を掴み瑠菜に落ち着くように声を掛け続け。そこからクラスメイトの助けを借りて学校から連絡を受けた母さんが迎えに来てくれた。
家に帰ってからも瑠菜が落ち着くには時間がかかり、その週は念の為に瑠菜には学校を休んで貰った。
俺も時間が許す限りは瑠菜の傍に居るようにしたが、男の俺が近付くとビクと脅えるように身体を抱いて震えしまって…うまくコミュニケーションが取れなかった。
その間は母さんに瑠菜のお世話をお願いしていたが…美味しい物を食べる事が好きな瑠菜が…オヤジが作ったオムライスでさえ、ろくに食べようとしないで…本当に大変だった。
瑠菜を怖い目に合わせてしまった俺はいったい何度学習すればいいんだと自分に怒りを感じ、強く机を叩いてしまった…拳がジーンと痛むが瑠菜の負った心の痛みに比べれば全然ヌルい。
俺が瑠菜のお兄さまなんだ、しっかりしろ。
そこから大分落ち着いた瑠菜に学校での呼び出しの時に一人になるのは危ないのと呼び出しを受けたら直ぐに俺に知らせて欲しいと伝えたら…。
「それだけで…許してくれるんですか?」
「ああ…そうだ」
「分かりました、お兄さま」
そう言うと瑠菜が小指を差し出して来て俺は自分の小指を絡ませて指切りげんまんをした。
「しっかり見ていて下さいね、お兄さま」
やはり、まだ不安なのか念を押してくる瑠菜に俺は自分が情け無くなってしまう。
そこから学校に登校した瑠菜からは逐次何処に居るとか何をするのか事細かく俺に報告してきた。
もちろん放課後などに瑠菜の事を呼び出す要件については俺は瑠菜と一緒に行き少し離れた場所で待機するようにした。
もう二度と同じ失敗をしないように。
「ふぅ…あの後は俺も瑠菜に着いていくようにしたからな」
稲司が俺を地面に降ろしてストレッチを交代する。
「まあ、あれからお前がなんて呼ばれてるか知ってるか?」
「あぁ…」
瑠菜を守るように行動していたら先輩達に目を付けられたんだろう…多分最初に瑠菜に告白した先輩とかが流したのだろうか…。
「
フンと自分の頭が地面にぶつかるまで屈み、背中合わせの
「たくよっ、今日で身長が3cmくらいは伸びたわ」
「無駄口を叩くならまだやろうか?」
「勘弁してくれよ、騎士様」
「おいこら、伊達眼鏡」
準備運動を終えた稲司を降ろしてやり愚痴を聞きながら、稲司の肩に拳を押し付けてグリグリしてやる。
「うん、しょ、ほっ…」
今日も学校の授業が全て終わり…クラスメイトと共に掃除を進める。
今週は私達の班は教室の掃除をしないといけないので、これが中々大変だ。
一旦机を後ろに纏めてから掃き掃除に加えて黒板の清掃と多岐にわたり…前半戦が終わってから机をまた運ぶと言う前世は男に加えて体力があったから良かったが、この身体は少し非力なのだ。
一回、二回と机を運ぶのに往復するなら大丈夫だけど、数が多いから少々骨が折れる。
「瑠菜ちゃん、机を運ぶのはやっておくよ」
「ありがとう…相川君、助かります」
彼は私の隣席になってるクラスメイトの男子生徒。
体力が無くて困ってる私をよく助けてくれる優しい同級生です。相川君とはまだ数カ月の付き合いですが、きっと彼はいい人なのはよく伝わります。でも、どうして私ばっかりに優しくしてくれるのか…うーん、答えは分かりません。
「さて…これで清掃は終わりましたね」
「あ、あの…いちのs」「瑠菜、帰るか」
「はい、お兄さま…それじゃあ、相川君また明日」
清掃が終わり、今日は部活動の無い日なので…愛すべきお兄さまと一緒に帰宅出来ます。
そう言えば…お兄さまが声を掛ける前に出て相川君が私に何か言おうとしたような気がするけど…まあ、重要な内容だったらまた別の日に言ってくれると思うので今はお兄さまとの帰宅に全神経を使います。
「悪いな、相川…」
「お兄さま、何か言いました?」
「いや、なんでも…」
私の全神経を集中させてようやくボソッとお兄さまが何か呟いたのが耳で拾えたけど、お兄さまが問題ないと言うなら大丈夫です。
今日はお兄さまに甘えてくっついて帰っちゃいましょう。
ギュッ。
「おい、瑠菜…」
「ダメですか、お兄さま?」
ああ、最近お兄さまの体が成長しているのかより男性らしくなってる気がします。
もっと逞しくなった腕に瑠菜が抱かれたらきっと幸せになるのは間違いなしです。
「ねぇ、噂は本当だったみたい」
放課後とは言え、まだ学校にはポツリポツリと学生がいます。そう言えば最近お兄さまと一緒に居るようになってからよく他の人の視線が私達に向けられるような気がします。
ははーん?さてはアレですね…?私達
ならば寂しい人達に幸せをお裾分けしなければ…更にぎゅっとお兄さまの腕に抱き付く。
「おーお、お熱いね、騎士様は」
どうやら、お兄さまは騎士様と呼ばれているようですね…前世の時は厨二病が発症していたのでその気持ちはよく分かります。二つ名とか無償に欲しくなりますし。
「…っ」
お兄さまが顔を伏せて…下を向く。どうやら私達のラブラブっぷりを見られて嬉しいんですね?私も同じ気持ちです。でもお兄さまは少しピュアなのです。
でも、あまり下ばっかり向いているのは危ないですね…?。ならば地面よりも私の事を見て貰いましょう。
「お兄さまは私を見てくれるんですよね?」
「あ、ああ…そうだな…俺は約束したもんな…俺は瑠菜のお兄さまなんだ」
うーん、やっぱりお兄さまのお顔は素敵ですね。地面なんて詰まらない物より私を見ることで幸せになり周りの様子を見れるので一石二鳥です。
うーん、これは兄虐の予感(光悦)
TS娘が取り乱す様子、イイね。
答え合わせ
瑠菜(早く終わんねーかな?)
先輩
「聞いてるのかッ」(腕を掴み)
お兄さま
「瑠菜ッ」
瑠菜
「お兄さまッ、(浮気だと思われた?)違うんですッ⁉私は…(こんなカスとは)そんなつもりではッ⁉」
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07 誕生日プレゼント
今日は10月8日…この日は私達双子がこの世に生を受けた日つまりお誕生日なのです。
お父様とお母さまは毎年忙しくても必ず時間を設けて私達の為に誕生日パーティーを開いてくれる。
今日は学校がお休みの日なので、私とお兄さまは朝から早くお誕生日パーティーの準備をしています。
本当は学校のクラスメイトの人達を招待して私達の
「今年は色々あったし、今回はクラスメイトを誘わずに家族だけの誕生日パーティーがいいと思うぞ?」
と言われてしまい。残念ながらクラスの皆と一緒にお兄さまの誕生をお祝いする事が出来ませんでした。でも、来年とかならクラスの皆も学校に馴染めて余裕が出来ると思うのでホームパーティーを開きたいですね。
「おーい、瑠菜?これでいいか?」
コトンとアップルシュトルーデルの生地を作るために材料を混ぜてくれたお兄さまがボウルを確認の為に見せてくれたので、リンゴを薄くカットしていた作業を止めて生地の様子を確認するために覗く。
「うーん…ありがとうございます、お兄さま。これで大丈夫なので冷蔵庫に入れて生地を冷やして下さい」
生地の材料が混ぜ合わさったのを確認したので顔を上げながらお兄さまに向けて笑顔でサムズアップする。
うーん、この流れるような美しい
ハッ…でもでも。
私はお兄さまをおはようからお休みなさいまでの全ての事をお世話をするのもいいですね。ふふっ…ご飯を食べさせてあげたり、入浴の際に身体を洗ってあげたりとお兄さまの隅々まで私の手で甘やかしたいです。
最近はお兄さまが恥ずかしがって小学校の卒業を期に一緒にお風呂に入ってくれなくなったので…また前みたいに洗いっこしたいですね。
ちなみに私のお兄さまスカウターによってお兄さまのステータスは完璧に把握しています。ステータスによると最近成長期に入ったようでお身体が発達しているのは確認済み。
あー、いけませんいけません…お兄さまっ‼。
お兄さま…お身体に触りますよ(ねっとり)。
「瑠菜…?」
おっと、お兄さまの前でパーソナルデータを赤裸々にし、それをおかずにして少しトリップ状態になっていたみたいです。はしたないワタシ。でも、お兄さまが私を誘うからいけないんですよね…ふふ。
「あはは、ヴァニラソース作りはひと段落したので、生地を寝かしている間に少し足りない物とかを買い出しに行きたいので、お兄さまお願していいですか?」
「ああ、買い出しなら男手がいるよな?」
「はい、お兄さまが来てくれると、とっても助かります」
シュルっとエプロンを脱ぎながら机に掛けて、少し前屈みになりながらお兄さまに向けて見上げるようにしながらお願いをする。
最近こうして前屈みをしながらお強請りをするとお兄さまの視線が胸に行くのがよく分かるので個人的に好きなんですよねェ~。
私ばっかりお兄さまの身体を見詰めるのはフェアではないのでしっかり瑠菜の成長具合を確認して下さいね。お兄さまの逞しくなっている身体とは反対に最近はこう…体が丸くなって来てるんですよね。胸とか前だけではなく…横にも広がってきて…下着がキツいです。
「ッ…それなら、直ぐに行くぞ瑠菜」
「はい、お兄さま」
お兄さまはそう言うとサッと壁掛けに用意してあった自分のトレンチコートを私に着せてくれました。少しぶかぶかで大きいのですけど…このお兄さまの匂い。スンスン…ほぅ。
「少し、臭かったか?」
「いえ…お兄さまのいい匂いです」
なんで同じ遺伝なのにここまで違うのか…そうだ、お兄さまのいい匂いを嗅がせて貰ったお礼に私の匂いをしっかりマーキングしておきましょう。袖を鼻先に持ってきてお顔を埋めちゃいましょう。スリスリと。
「それでは買い出しにレッゴーッ‼」
「お、おおーっ…」
お兄さまの匂いを堪能しながらダボダボな袖を天井に掲げて買い出しに出発する宣言を元気よくするとお兄様が続いてくれます。
は
こうして
ちなみにアップルシュトルーデルを作る際に一般的に売られてるフジの林檎を使うときは薄くスライスして生地に敷いた時にレモン汁を少し垂らすと更に美味しくなります。
恋愛と同じくただ甘いだけではなく程良く酸味がある…ようは感情の緩急が必要なんですね。
ーーーーーーーーーーー
「「隆樹、瑠菜…お誕生日おめでとう~」」
あの後、瑠菜と買い出しを終えてから俺も微力ながら手伝いながらアップルシュトルーデルの仕込みが終わり。
誕生日パーティーの準備を終えてから時刻は夕方を少し過ぎた頃にオヤジと母さんが帰って来た。忙しいのにわざわざ喫茶店で作ってきた沢山の料理が入ったオードブルと言う名のお土産を掲げるオヤジ。
テーブルの上にオードブルを準備して俺達家族全員揃ってからお誕生日パーティーが始まった。
「来年はクラスの皆を誘ってお誕生日パーティーを開きたいですお父様、お母様」
「そうだな…瑠菜がそう言うなら友達を誘って家を使っていいぞ」
「ありがとうございます、お父様っ‼」
普段からあまり…と言うか昔から瑠菜は我が儘らしい我が儘を言ってる所を見た事がない。そんな瑠菜がオヤジ達に嬉しそうにお強請りをしている。
今年はちょっと瑠菜に関してトラブルがあったから誕生日パーティーに誘うのは同じクラスの相川と稲司に…瑠菜と親しい女子達くらいか…パーティーに招く時は俺がチェックしないとな。
「よかったわ、隆樹と瑠菜はお友達と仲良く出来てるみたいだし」
「クラスの皆ね、私によくしてくれるの」
母さんに学校にいる時の様子を報告している瑠菜はとっても楽しそうだなと対面に座ってるオヤジを見れば。
「瑠菜を頼んだぞ」とばかりにウィンクしながら俺を見てきたので頷いておく。
やっぱり瑠菜は笑っている顔の方がいいな。オヤジ達は軽くワインを嗜んでいるから顔が赤くなってるが瑠菜はジュースの筈なんだがテンションが上がってるのか顔が赤くなってる。
「瑠菜、作ったやつ食べないと」
「お兄さま、瑠菜がやりますッ‼」
誕生日パーティーのために用意された料理が粗方胃袋に収めてから時計を見るとけっこう時間が経っていたので作っていたアップルシュトルーデルの準備しようと立ち上がると瑠菜がキッチンに勢いよく行ってしまった。
「お兄さまと瑠菜が一緒に作ったのでお父様とお母様に食べて欲しいです」
「では、どれどれ…」
「隆樹、瑠菜…とっても美味しいわ~」
切り分けたアップルシュトルーデルにヴァニラソースをかけて渡すとオヤジ達は美味しいと言ってくれて食べてくれた。初めてお手伝いしたがミスしなくてすんだと思って胸をなで下ろす。
「さて、そろそろお開きにするから隆樹…お風呂に入っちゃって?」
デザートを食べ終わってから片付けを始めた母さんと瑠菜。男性陣は片付けの邪魔だろうからさっさと風呂まで退散することにした。
ーーーーーーーーーーー
風呂から上がり部屋に戻りベッドの中で寝ながら楽しい事はあっという間に過ぎるなと考えていると。
カチャリ…。
「お兄さま…いいですか?」
いつもならキチンとノックをして確認を取ってから部屋に入ってくる瑠菜が突然やって来たなと思ったら。
普段使っている枕を見せながら顔を傾げて。
「今日は一緒に寝ていいですか?」
「いやっ…ダメに…きm」
俺が駄目だと言う前に枕を押し付けて来て強引に布団の中に入ってくる。
「なんだか…こうして一緒に眠るのは久しぶりですね」
「当たり前だろ…いくら双子だからって」
薄暗い部屋の中でよく分からなかったがどうやら瑠菜はお風呂から上がってきて、そのまま俺の部屋に来たらしい…乾ききってない髪や風呂上がりの為かシャンプーのいい匂いが布団の中に広がる。
「お兄さま…今日だけでいいので」
布団に侵入してきた瑠菜がギュッと俺の体に抱き付き足を絡ませてくるとTシャツだけのラフな格好のせいか瑠菜の…柔らかい身体の感触がダイレクトに伝わってくる。
頭がクラクラしてきたヴァニラソースなんて目じゃない程に瑠菜の甘ったるい匂いと暖かさによって血が登ってくる。双子の兄妹でもどうしてここまで違ってくるのか…いつからか俺は妹の瑠菜に女としての部分を感じるようになっていた。
こんなのはいくら双子の兄妹だからって異常だ…俺が妹の瑠菜に何かしでかしてしまう前に自分の部屋に戻るように言おうとしたら。
「お兄さまァ…?」
こっちを見詰めながらあの日と同じ表情で俺を…お兄さまとしてのオレを見ている気がして…拒絶出来なくなってしまった。
「ッ、今日だけだぞ……」
「ありがとうございます、お兄さまっ‼」
ぱっといつもの明るい瑠菜の表情になったら額を隠すように伸びた前髪ごと瑠菜の頭を撫でて眠ることが出来ない長い長い夜を我慢する羽目になってしまった。
その日は瑠菜のせいで全く寝られず朝にちょっと目を瞑ったくらいのまま…学校に登校した時に稲司に言われるまで俺は気が付かなかった。
「隆樹…お前、首に傷が出来てるぞ」
稲司に指摘されてハッとなり、鏡で首を見るとそこには赤く虫に刺されたようになっている皮膚が映っていた。
教室に戻りながら今は隣席の相川と話してる恐らく犯人の瑠菜を見れば…瑠菜は俺が慌ててるのに気が付いたのか口元を動かして。
「誕生日プレゼント(ハァート)」
と口元で語っているのが俺には伝わった。
曇り、曇らせ…なら次は情緒破壊ですよね
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08 お兄さまとのデート
「あっ…お気に入りのマフラーだったのに…ちょっと生地が傷んじゃってる」
そう言いながら小学校から使ってきたマフラーの傷んでいる生地を撫でる。
最近は気温が下がり始めて登下校中に吹く風が体に堪えるのでマフラーなどを始めとした防寒具の準備と服装の衣替えをしようと休日の朝早くから起きて時間を有効活用中。
今、自分の部屋の床には大量の私服が散乱している。
前世ではお世辞にも着飾ると言うかお洒落とはほど遠い生活を送っていた…一応最低限の身嗜みとエチケットと言う名の体裁を整えただけみたいな。
今世では自分で言うのはアレだけど、やっぱりこの体の素材がいいのだ。
性別が変わった事による変化かお兄さまに恋をした影響か分からないけど、お洒落とおめかしを楽しむようになった。可愛いと言われるのは嬉しいし、お兄さまには瑠菜の良いところを見て貰いたいので。
「うーん…お小遣いもあるから、ここはひとつ思い切って新しいのに更新しちゃおう」
長く使ってきたマフラーを畳んで机の上に置きながら立ち上がる。
今日はせっかくの休日なのだからお兄さまも誘って一緒に駅前まで
せっかく新調するのだから私とお兄さまのマフラーを一緒の物…ペアルックにするのはどうだろうか?それは…とっても…良い。
お揃いのマフラーを巻きながら登下校すれば私はお兄さまのお嫁さんなのだと周りにも伝わるし…ラブラブカップル状態を見せられるではないか?なんだったら…前世では果たすことが出来なかった一つのマフラーを恋人でシェアするのも…ありよりのありけり。
さぁ、そうと決まればさっそく行動に移さなければ。
「お兄さまっ、
トタトタと廊下に足音を立てながらバンッとお兄さまの部屋の扉を開けながら部屋で寛いでいたお兄さまに声をかける。
「ちょっ、デート…?あぁ、買い出しか?なにか必要な物があるのか?いいよ、暇だったし」
ちょうどベッドの上で漫画を読みながら寛いでいたお兄さまは漫画を閉じながらが立ち上がり私に近付く。
「もう、お兄さまっ…買い出しではなくデートです」
ちょっとした言葉の言い方なのだが、それだけで気分が変わるのに…もう。
お兄さまは私の頭を撫でくるので頬を膨らませながらプイっと横を向く。
「あぁ…なら、デートしようか瑠菜」
「はい、お兄さまっ」
お兄さまには私監修の幼少期から続く繊細な乙女心を察知する訓練のお陰で量産型鈍感主人公とは違い、きちんと私の気持ちを汲んでくれる。
やっぱりお兄さま…年々、益々魅了が増して来てるのだが…もう最近なんて成長率が段違いなのだ。更に惚れちゃう…好き。
「それではせっかくなので待ち合わせをしましょう?場所は駅前でいいですね?」
「いいけど、わざわざ別に向かうの?」
「デートだからいいんです」
さぁ、早く準備をする前にお父様とお母様にお出掛けをする事を報告しなければ。
「お父様、お母様っ、お兄さまとデートして来ますっ‼」
ちょうどキッチンで珈琲を飲みながら寛いでいるお父様とお母様がいたのでお兄さまとデートに行く報告をする。
「「で、デート…?あぁ、隆樹とお買い物だな(ね)?」」
もう、お父様とお母様もお兄さまと同じ反応をして…やっぱり私達は家族なんだなとクスリと笑いながら、報告を終えて準備に取り掛かり家を出る。
ーーーーーーーーーーーー
おめかしと準備を終えた私はお兄さまに十分後に家を出発して下さいと声を掛けて先に出発した。
先に待ち合わせ場所に到着した私は駅前のモニュメントがある広場の近くにある壁に寄り掛かりながら中学に進学を期に買って貰ったガラケーを弄りつつお兄さまを待っています。
ちなみにパカパカ開くタイプではなく液晶パネルを上側にスライドさせるタイプ…前世でこの形を使っていたので手に馴染みます。
あの頃はスマホなんて流行るとは思わなかったのに…不思議な事にスマホが普及してからはスマホがなければ生きられない体になってました。今のガラケーではせいぜい占いなどを見るくらいしか使い道がないのが歴史を感じますねぇー。
話しは戻りますが、態々の別に出発したのにも理由はあります。勿論、お分かりですよね?そう、デートにはお約束のごめん、待った?ううん…今来たところと言うカップル御用達の
「ねぇねぇ、君…時間ある?」
はぁ…このお兄さまを待っている時間と言うのもとっても良い物ですね。ちなみに今日の占いの結果は恋愛が◎で待ち人が来たr。
「ねぇ?今から俺達と遊ばない?」
「………はい?私ですか?」
私がお兄さまを待つという至福の時間を楽しんでいる最中に羽虫が五月蠅いなと思っていたら、どうやら私に声を掛けてきたみたいですね…コレは。
声を掛けて来た方を見れば相手は二人組でようで、年齢は私よりも少し年上の高校生くらいでしょうか?
なんと言うかお兄さまの魅了の1/10…いえ、比較するのもおこがましいくらい下劣な物体がナンパのつもりですかね?声を掛けてきます、鬱陶しいなぁ。
「あの…待ち合わせをしているので…」
「その子は女子?なら、一緒に遊ぼうよ?」
はぁ~っ…ここまでテンプレートまみれのN〇R作品の竿役チャラ男が存在するとは思いませんでした。いざリアルで絡まれるとうっとうしい以外の何者でもないですね。
前世ではN〇R作品は嗜んでいましたが、今世の私は純愛過激派なのでNOサンキューです。
「早く、行こうよッ」
「俺のカノジョになんかようか?」
私が返事を渋っていると段々と竿役チャラ男の態度がエスカレートしていって、対応に困っているとお兄さまが私の手を取り引っ張って助けてくれました。
何やら、後ろからチャラ男ズが騒いでいるような気がしますが…瑠菜、今…胸がドキドキです。
「ごめんな、瑠菜…人混みで遅れちゃって…待たせたよな?」
「い、いえ…あのお兄さま…今、俺の彼女って…(ハァート)」
「あぁ…いや、あの場合は…あれが…」
皆さん…聞きましたか?瑠菜の
俺の彼女に~…私の頭の中で完璧に再生可能です…いや、一つ失敗した事がありますね、あの時、録音をしてガラケーの着信メロディにしたかったです。次からチャンスを逃さないように…常にボイスレコーダーを持つようにしましょう。
「
「ごめんな?また恐い思いを…」
「ハッ…はい、瑠菜はまだ恐いのでこうしてもいいですか?」
少し早足で広場から脱出して、お兄さまに手を引かれていたので…カップルのように腕を組んで歩きましょうか…こう、ぎゅう~~って私のラブ数値を表すように躰を密着させちゃいます。
「さぁ、お兄さまっ…行きましょうか」
久しぶりのお出掛けは思いもしないご褒美によってとっても満喫出来ました。やっぱり気分転換をしようとして良かったです。
「なにか飲もうか?」
「でしたら、あっちにしましょ」
お兄さまとのデートを楽しんでいると少し疲れてきたのでフードコートで小休憩を挟むことに。
「いらっしゃいませ、ただ今期間限定でカップル割引のサービスをしていますが…利用なさいますか?」
「いや、俺達はカップルでは…」
「はいっ‼
ジュースを買おうと顔を出したら従業員の方にカップルとして認識されちゃいました。
やっぱり私達は他の人から見ても相思相愛のカップルに見えるんですね…早く結婚してゴールインしたくなってきた。
「いいのか、瑠菜は?」
「はいっ、せっかくなので有り難く使わせて貰いましょう」
うふふ、受け取った商品を飲みながら後半戦も頑張って行きましょう。
ーーーーーーーーーーーーー
「いやー、今日は楽しかったですね」
「まあ…久しぶりに遊べたしなぁー」
少しトラブルがありましたが…瑠菜の脳内お兄さまメモリーが今日だけでだいぶ更新されました、ふへへ。
ショッピングをしながらお兄さまとのイチャラブ…ありがとうございます。
「んんっ…やっぱり、寒いですね」
久しぶりのお出掛けだったので時間目いっぱいまで遊んだので時間は夕方を過ぎて、周りはすっかり薄暗くなり気温が下がってきました。
せっかくなので新しいマフラーを今ここで使いましょう…なんなら、一人だけだと体温が上がらないので…お兄さまとマフラーをシェアしちゃいましょう。
「お兄さま、せっかくなのでコッチに来てください」
「いや、俺はいいよ…」
「ダメですっ…瑠菜はお兄さまの彼女だから、お兄さまの体調管理をしないといけないんです」
恥ずかしがるお兄さまを説得して、そう説得です…夜風は寒いのでマフラーをしないと体温が下がってしまうので仕方ないのです。
シュルシュルとお兄さまの首にマフラーを巻いてから、今度は自分の番ですね。
はぁ…マフラーのお陰かとっても暖かいですね。ふふ、一つのマフラーをシェアしているので必然的にお互いが密着して…瑠菜、ドキドキします。
「あっ、お兄さま…今日は助けてくれてありがとうございます、とってもカッコ良かったです」
「いや、俺が遅れたらから悪i…」
お兄さまの首に巻いてあるマフラーをクイっと引っ張りながら、自分は爪先立ちをして近付いてきたお兄さまの頬に軽く、チュっとキスをしちゃいました。
「瑠菜っ…‼」
はぁ、恥ずかしい…マフラーがあって良かったです。今の瑠菜の顔はお兄さまにはとっても見せられないですから。
瑠菜は顔はとっても熱くなっているのがよく分かります。
UA・お気に入り登録励みになっています。勢いで始めた作品ですが頑張っていきます。
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09 お熱のようです
ピピピッ、ピピピッ…忙しい朝の準備のお手伝いをする為に起きるべき時間になった事を目覚まし時計は今日も勤勉に教えてくれる。
いけない…今日は学校の日だ…早く起きないと…お母さまのお手伝いとお兄さまの寝顔の観察などやるべき事はたくさんあるのだ。
昨日は休日だったから夜遅くまで勉強の復習と脳内のお兄さまメモリーを楽しんでしまったから、ちょっとだけ寝過ごしてしまったようだ。
いつもなら自然と目が覚めて起きられるのに…私は前世を含めて目覚まし時計は本当に遅刻しないための保険として使っているのだが…昨日の夜更かしのせいかな?。
モゾモゾと布団の中をカタツムリのようにゆっくり、ゆっくりと動いて起きようとするが…なんだか身体に力が入らないよう気がする。
「あ、ア゛ー、ー」
うーん…なんだろうか?頭の中がボヤーッとして、まるで靄が掛かってるかのように思考することに力が入らない…。
心なしか…熱っぽいような気がするし…体調が悪いのかな?でも…私の体調不良と言う不始末のせいでお兄さまのお世話が出来ないなんて、
動け、このポンコツが⁉動けってんだよッ⁉なんて私の中のコマンドーな指揮官が檄を飛ばしてるのに身体が動きません…ちょっと流石に困りましたね。
「おーい、瑠菜?寝坊か?遅刻するぞ?」
こんっ、こんっとお兄さまが部屋の扉をノックしているのが聞こえる。
ああ、今日生まれて初めてお兄さまの寝顔を観察する事が出来なかったなと頭の中でボンヤリと思いながら返事が出来ないでいると…。
「瑠菜…珍しいな?風邪か?なんてな…」
返事が出来ないままお兄さまが部屋に入ってきて、顔を覗き込んでくる…今日もお兄さまは素敵です。
「げほっ…おに、い…さま」
「瑠菜、大丈夫かッ⁉」
ああ、驚かせてごめんなさい…お兄さま。あまり瑠菜に近付かないで下さい…風邪が移ってしまいます。
「もしかして…けっこうな熱じゃないかッ」
ペタリとお兄さまの手が額にくっ付いて、ちょっと熱っぽい今だと…お兄さまのひんやりした手が気持ちいいです。もうちょっとだけ…このままで…駄目だ、意識が…。
「瑠菜ッ、ちょっと待ってろ…」
ああ、お兄さまの手が離れちゃった…。
そうしてお兄さまがお母さまを呼んできてくれて、ピィーッと脇の下に入れていた体温計の音が鳴り、お母さまが体温計に表示されている数値を見ながら口を開く。
「うーん、完璧に風邪ね?瑠菜は今日、安静にしてね」
学校にはお休みをするって連絡を入れないとね?と言いながらお母さまに冷却ジェルシートを額に張って貰って…だいぶ調子が戻ってきました。
「ごめんなさい、お母さま…もうお仕事に行かないといけない時間なのに」
「いいのよ、瑠菜…でも、お母さんも後少ししたらお仕事に行かないと行けないのだけど…瑠菜は一人で大丈夫?」
「はい…大丈夫です。お薬も頂いたので…だいぶ落ち着きましたから、だからちょっと眠りますね」
風邪薬を服用したせいか急に眠気が強くなってきました…風邪のせいで身体が怠いのも合わさり瞼が重くなり、そのまま私は意識を手放すように眠りに付き。
「なぁ…母さん、俺が…」
なにかお兄さまがお母さまに言っているのが聞こえましたが…。
ーーーーー
「んっ…」
目が覚めると、風邪薬が効いたのか今朝から続いていた怠い症状と発熱が治まっていて身体を軽く起こすと…そこには誰かの人影が…お母さまかな?。
「ああ…瑠菜、起きたのか?」
「お兄さまっ⁉どうして…?学校はどうしたのですか?」
「あぁ…?学校は母さんに頼んで俺も風邪って事で休ませて貰ったんだよ」
「お兄さま…すみません、私のせいで…」
ああ、私なんかのせいでお兄さまに迷惑を掛けてしまったと思うと申し訳なくなり顔を下げながら言うと…お兄さまの手が頭に乗って撫でてくれます。
「いいんだよ、瑠菜…なんたって俺はお兄ちゃんだからな」
「おにいs…」
感謝の言葉を言おうと顔を上げた瞬間にグゥーっと大きな音が部屋に響きました…いったい何の音でしょうか?あぁ…私のお腹の音ですね…?って、恥ずかしいと顔が真っ赤になりながらお腹を抱えながらお兄さまをチラリと見ると。
「はは、お腹空いたよな?母さんが準備してくれたお粥があるから…暖めてくるから待っててな?」
「お願いします…お兄さま」
お兄さまが立ち上がりキッチンに向かって行きました。ああ…乙女としてなんたる失態か…あまりの恥ずかしさに冷却ジェルシートをしていても顔が沸騰しそうなくらいに真っ赤になっているのが自分でも分かります。
そう、部屋でモンモンしながら待っているとお兄さまが小さな鍋を御盆に載せて持ってきてくれました。
「瑠菜…一人で食べられるか?」
「えっと…まだ身体が怠いのでお兄さまが食べさせて下さい」
えーい、ここまで恥をかいたのであるならば…ここはお兄さまにとことん甘えていきましょう。上目遣いでお願いをすると申請が通りやすいのでここ最近はよくこうやってお強請りをしているのは内緒です。
「しょうがないな、瑠菜は…ほら、あーん」
「はむっ…んっ」
お兄さまにお粥を食べさせて貰い…この身体は栄養を欲しているのか全てのお粥をペロッと完食してしまいました。
お粥にはポン酢を掛けて食べるのが我が家のルール…程よい酸味と塩気によって食べやすいので好きなんですよね。
「ありがとうございます、お兄さま…お兄さまがいてくれて心細い思いをしなくて済んでいます」
「さっきも言ったけど…好きでしてるんだから気にすんなよ?」
今…好きと言ったよね?言ったよな、脳内の私達っ⁉ああっと並列意識の私もきちんと聞いており脳内の第一級お兄さまメモリーに保存して、私もですとお兄さまに言おうとしたら…。
「さぁ、食欲はあってもまだ油断出来ないから寝てろよ?」
「はい、お兄さま…それでは横になります」
ムフフと顔をニヤつかせながら布団に包まろうとして。
「なにか、あったら呼んでくれ瑠菜」
「はい、お兄さま」
あっ、そうだ…ここまでしてくれたお兄さまにお礼を兼ねてご褒美をしなければ、無作法と言う物…妹は義理堅い者なのです。
我が名は一ノ瀬瑠菜ッ‼お兄さまを愛する事なら世界一のTS転生妹にして、将来お兄さまのお嫁になる者。
ふふ、どこかの後輩みたいな声をした爆裂魔法使いの一族がする名乗りをしてみましたが楽しいですね、これ。
「瑠菜…?」
「あっ、ごめんなさい、お兄さま…少し汗をかいているのでお湯とタオルを持ってきてくれますか?」
ああ…とお兄さまが準備をするために行ってくれる。やっぱり風邪を直す為に発汗するのと先ほどのお粥を食べたことによって体温が上がり服が凄いことになってますから。
「瑠菜…持ってきたから、後は…」
お湯が入った容器とタオルを持ってきて置くとそのまま部屋から出ようとするお兄さまに待ったを掛けます。
まずはルームウェアを脱いでから前屈みになり、ブラのホックを外してから後ろ髪を纏めて肩の前に通すようにうなじを晒しながら片手で胸を隠して、お兄さまに背中を向けます。
「お兄さま、一人だと背中を拭けないのでお願い出来ますか?」
「いや、いくらなんでもッ⁉」
「お願いします、お兄さま…早くしないと瑠菜は風邪を引いてしまうので?なんだったら前も拭きますか?」
「わ、分かったから…背中だけだぞ?」
流石に前は無理でしたが、お兄さまに汗を拭いて貰えます。今世では私はお兄さま一途の純愛過激派筆頭なのでお兄さまの夜の
せっかく私と言う素晴らしい妹がいるので何処の馬の骨とも分からないモノを使うよりは地産地消がベストなのです。私なら毎日新鮮な素材を直でお届けが可能、お兄さまの脳にシュートッ‼(お兄さまは)超エキサイティングッ‼なのです、ふへ。
「ゴクリッ…瑠菜、拭くからな?」
はい、お願いしますと言うと背中に暖かいタオルが触れて発汗して汗ばんでいた肌がすっきりしていきます。
「んっ…」
イケませんね、声が漏れてしまいました。ゴシゴシとタオルを動かして、だいたい背中は拭いて貰ったので…脇の下も拭いて。
「これ以上は瑠菜がやってくれッ⁉」
あらあら、もっと瑠菜の身体を拭いて貰っても良かったのですが…仕方ありませんね、これ以上は自分で拭かないと。
きっとお兄さまの脳には私が一杯になっているはずです。
「くちゅんッ」
いけない…また体調が悪くなる前に下着だけでも替えないと気持ち悪いので、さっさと身体を拭きますか。
ーーーーー
「瑠菜?体調はどうだ?」
「はい、お兄さまのお陰でだいぶ良くなりました」
身体を拭き終わってから、もう一眠りを済ませて起きると時間は既に学校が終わって夕方になってる頃でした。
「実は稲司と委員長がお見舞いに来てくれてな?瑠菜の体調が良いなら少しくらい顔出しをって」
「本当ですか?嬉しいです、少しなら大丈夫です」
Okのサインを出すと部屋に稲司君と委員長が入ってきました。
「よう、仮病マンめ…今日の授業のノートとプリントな?瑠菜ちゃんはもう大丈夫?」
「もう、止めなさいよ…瑠菜さんの前でっ、クラスの代表としてお見舞いに来たのに」
稲司君は今日も元気いっぱいですね?まさか委員長がお見舞いに来てくれるなんて思いもしませんでした。
「私は…この
そう言いながらプイっと顔を逸らす委員長…とっても可愛いですね。男子は外に行きなさいと委員長がそう言って二人きりになりました。
「でも、瑠菜さんも風邪を引くんですね?」
「えぇー、私だって風邪くらい引くよ」
「いや…なんと言うか安心したと言うか…瑠菜さんはいつも完璧だったから…瑠菜さんも普通の人間なんだなって」
私、勉強しか取り柄がないから…いっつも瑠菜さんにテストの点数を競ってるから。
そう私と委員長は座学の成績を競っている仲なのだ…まあ、私は前世のチート付きなので成績はよくないといけないと言うか…むしろ、ずる無しの委員長が凄いのだけれど…。
「瑠菜さん、成績も良くて皆の人気者でしょ?あなたがいるとクラスの雰囲気が明るくなるし…特に
「確かに稲司君は毎日元気だもんね」
「まあ、いいわ…あんまり長居しても瑠菜さんに悪いから
立ち上がった委員長が扉を開けると、そこには稲司君がいて…そのまま稲司君の耳を引っ張りながら帰って行きました。
「いででっ、待って瑠菜ちゃんも俺…話ししてない」
「いいから、帰るわよっ」
何だかんだ言って、あの二人はいい組み合わせだなと思うんですよねぇー。まあ、私達兄妹がベストカップルですけどね、ブイ。
「相変わらず、騒がしいな稲司は」
「早く風邪を直して、学校に行きたくなりました」
「なら、たくさん寝てないとな」
コツンと額を指で突かれて、ベッドに寝かされます。
「おやすみなさい、お兄さま」
「ああ、おやすみ…瑠菜」
ーーーーー
「んーっ」
翌朝になり、すっきりした身体でいつも通りの時間に起きることが出来ました…さて、準備をしますか。
はっ…。
昨日はお兄さまに看病をして貰えたので…もしかしたら今日はお兄さまが本当の風邪になっているのでは?これは私が看病をしないと…。クラスの皆には会えなくて悪いが今日は瑠菜がお兄さまを看病しますね。
昨日と言っている事がコロコロ変わっていますが…それは仕方ないのだ。
「お兄さま、大丈夫ですかー?」
さあ、お約束なら…お兄さまが風邪を引いているはず。
「ああ、おはよう…瑠菜」
どうやらお兄さまの身体は丈夫なようです。でも丈夫な身体のお兄さまも素敵です。看病はまた別の機会があるはずですから。
お兄さまと稲司君と言う男の曇らせ枠はあるので、女子の曇らせ枠を用意しました。
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10 とあるスレ 駅前で美少女j〇見つけったw
しばらく読み専と言うか…多忙というのではないんですが、モチベーションが上がらずに筆が進まなかったのでリハビリを兼ねて以前からやってみたかった掲示板形式でお茶を濁したり
速報:えらい、めんこい美少女j〇がおったw
1:名無しのRコーン : ID xxx
スレ立て、この間の戦果を皆にもお裾分けしてやんよww
2:名無しのRコーン : ID xxx
スレ立て、乙
つ、釣られない…クマーッ゛
3:名無しのRコーン : ID xxx
スレ立て、乙…まあ、釣りだと思うが
今の内やで?
怒らないから先生に言いなさい?
4:名無しのRコーン : ID xxx
全裸待機
wktk
5:名無しのRコーン : ID xxx
>>4
そのタコさんウィンナーは…シマッチャオウネー
6:名無しのRコーン : ID xxx
なんだ、ここにはロリ・コォーーン゛しかいないのか(呆れ)
7:名無しのRコーン : ID xxx
>>6
悲しいね、バナナ味…
と言うか…ここにいる時点で同じムジアナのような?ボブは訝しんだ
8:名無しのRコーン : ID xxx
まあ、いいじゃないか…同志達よ
まずは ワイが天使を見かけた時のことを話そうではないか
9:名無しのRコーン : ID xxx
アッ、そう言うのは…イイです
長くなりそうなので早くイッチの言う最高の戦果とやらを見せて貰おうか
10:名無しのRコーン : ID xxx
>>9
なんか、年下の女子に母性を求めてそうな大佐がいるなぁ?
11:名無しのRコーン : ID xxx
せやせや、話が長くて脱線するのは良くないで
あく、するんだよー
あと固定ネームをつけなさい
12:戦果持ちのRコーン : ID xxx
>>11
ほい、付けてきた
ワイが休日の時に駅前に用事があったから向かってたら天使に出会ったのだ…
流石に個人情報だと思うので目線とかには暈かしを入れさせてもらうけどな、ホイ
感謝しろよなー
リンク先:(写真)
13:名無しのRコーン : ID xxx
エッ゛゛゛゛
14:名無しのRコーン : ID xxx
エッ゛ッ゛゛゛
15:名無しのRコーン : ID xxx
ッド゛゛゛゛
16:名無しのRコーン : ID xxx
フーン、エッチじゃん?
17:名無しのRコーン : ID xxx
やりやがったなwww
よりに寄って目元の所に黒棒のモザイクを入れやがって…まるで、ふぅ(賢者モード)
18:名無しのRコーン : ID xxx
なんだ…この美少女は(震え)
あと…下品な話しなんですけど…この写真の美少女の目元がモザイクで隠れていて…逆に、ふふふ…ワイ、ぼっ…おや、誰かが来たようだ?
19:名無しのRコーン : ID xxx
と言うか、ここはあれじゃん?
最近出来たばっかの駅前のショッピングモールじゃん
あの付近の住民は男女共にみんなレベルが高ーよな、ホセ
20:名無しのRコーン : ID xxx
写真を見たら制服から分かるけどj〇じゃねーかッ⁉
うーん、それにしてもいい物をお持ちですね?一部を凝視しながら
21:名無しのRコーン : ID xxx
ほんとそれな?
ブレザーの前ボタンが悲鳴を上げるってヤバいぞ
22:名無しのRコーン : ID xxx
俺はとんでもない事に気が付いてしまった…
この学校の制服は入った学年によってリボンの色が違うんだが、今年入学した学年はこの色なので…
23:名無しのRコーン : ID xxx
今の時点でこの恵体とは…将来がどうなってしまうとは…
24:名無しのRコーン : ID xxx
ほい、噂の天使ちゃんの近くにある看板から身長やらを割り出してからバストサイズを算出した結果がDないし…それ以上かと
25:名無しのRコーン : ID xxx
マジかよ…エッチじゃん
26:名無しのRコーン : ID xxx
中1なんだよな、この天使ちゃん?
と言う事は去年までランドセルを背負ってたって事か…
27:名無しのRコーン : ID xxx
>>26
お前は天才か?
うーん…この体で去年まで小学生とか無理だろww
28:名無しのRコーン : ID xxx
この天使ちゃんと一緒に学校とか通いたかったわ…
29:戦果持ちのRコーン : ID xxx
まじで、こんな子がいてくれたら毎日学校に行くわ
30:名無しのRコーン : ID xxx
こんなエチチ゛コンロ展開されちゃったら、同級生男子の性癖が歪んじゃう~
31:名無しのRコーン : ID xxx
アーッ、困ります、困ります。ワイの性癖が歪んでしまいます
32:名無しのRコーン : ID xxx
あー、天使ちゃんによって性癖が破壊される音ォ゛
33:名無しのRコーン : ID xxx
>>31
元から歪んでるだろ、定期
それにしても、写真UPからのスレの加速ヤバいなww
皆の性癖が破壊されたか?(満足民)
34:戦果持ちのRコーン : ID xxx
そう言えば、後何枚か写真があるんだよな?
ついでに張って置くわ
リンク先:(写真)
35:名無しのRコーン : ID xxx
えっ…何これ?天使ちゃんの隣にいる男子学生は…同じ髪の色だし、顔の作りが似てるから双子とかかな?
美しい物を見ると視力が良くなるな…
36:名無しのRコーン : ID xxx
なんだこの…完璧で究極の双子は
尊と過ぎるだろッ⁉加減をしろ、ばーかッ⁉
37:名無しのRコーン : ID xxx
>>36
閣下は落ち着いて下さい
いやでも…マジでレベチ過ぎるな?
一体前世でどんな徳を積めばこんな顔面偏差値MAXで産まれるんだ(困惑)
38:戦果持ちのRコーン : ID xxx
後ちらっと会話を聞いたんだけど?下校中の様子でお兄様って言いながら天使ちゃんが
腕組みしながらお兄様からクレープを食べさせて貰ってたな?
39:名無しのRコーン : ID xxx
あっ、うっ…これ以上の尊いパワーの摂取は体に負荷がッ⁉(胸を抑えながら)
40:名無しのRコーン : ID xxx
あー、ワイもこんな天使ちゃんみたいな妹がいてギャルゲーのような生活してみたかったなー…
41:名無しのRコーン : ID xxx
仲良過ぎかよ、お幸せにだな
42:名無しのRコーン : ID xxx
まじかよ…ワイにも妹がおるんだが、お兄様呼びはともかく最近なんて呼び方がオイかお前なんだけど…あと、廊下ですれ違ったらチッ゛って舌打ちするし
43:名無しのRコーン : ID xxx
>>42
涙拭けよ、キム〇イプでよければあげるから
44:名無しのRコーン : ID xxx
>>43
優しさに見せ掛けた追い打ちやめーや、目が干からびてしまう…
45:名無しのRコーン : ID xxx
もっと戦果はないんか?
46:戦果持ちのRコーン : ID xxx
>>45
えっと、そのぉ…ないデス
47:名無しのRコーン : ID xxx
はぇー、つっかえ…スレ主…お前、船降りろ
48:名無しのRコーン : ID xxx
俺はもっとお兄様を見たかったゾ、スレ主ィーッ⁉
49:名無しのRコーン : ID xxx
なんかサラッとお兄様目当ての人がいるな?
俺じゃなきゃ見逃しちゃうね
50:名無しのRコーン : ID xxx
まあ、ポンコツスレ主のせいで戦果が無いせいだしお開きにしようか?
51:名無しのRコーン : ID xxx
せやなー、まあ目の保養になったし楽しませて貰ったわ
52:名無しのRコーン : ID xxx
マジでウチの妹と交換しないかな、お兄様…なんだったら、今ならワイも付いてくるし
53:名無しのRコーン : ID xxx
>>52
(いら)…ナイです
54:名無しのRコーン : ID xxx
分かってると思うけど、変な凸とか迷惑行為はすんなよー?
55:名無しのRコーン : ID xxx
サラダバーッ
56:名無しのRコーン : ID xxx
乙
57:名無しのRコーン : ID xxx
乙
5*:名,しのR?コ/ーン : ID xxx
見付けた…ボクの
ネタは某馬娘の反応からやってみようと…てか、そのまんまですかね?
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11 テコ入れ回のようです
「な、なにを…?」
「更新をッ!?」
すみません、お待たせしました。良ければ読んで下さい。
━これまでのTS転生妹は兄を愛でたい━
「あなたの名前は一ノ瀬…瑠菜よ」
どう言う訳か前世の記憶を持ちながら似たような地球の日本にTS転生した私は…双子の兄こと一ノ瀬隆樹と運命の出会いを果たすことによって…無事に本能から屈服し雌堕ちをさせられたのだ、いや…させて貰ったと言うべきかな?ありがとうございます、お兄さま。
前世は男だったんだろ?や雌堕ち早くなーい?などと指を指されて言われてるような気がするのだけれど、それだけお兄さまと言う愛すべき存在の前には私の
一目見ただけでも、お兄さまと言う存在は尊すぎて(はぁーと)。
もし、TS転生っ子の雌堕ちRTAなどがあれば多分
「
TS転生を果たしてから前世の知識etcをフルに使って完璧なお兄さまスキスキらぶりー・シスター瑠菜ちゃんと言うパーフェクトコミュニケーションを演じて来た幼い私は調子に乗りまくったツケによるガバによって生み出された手汗ヤバ疑惑事件。
今世における私の一生の不覚によって発生したガバ…いな、ピンチはチャンスに変える事によって愛しのお兄さまから頂いた愛の結晶、
━お兄さまの脳を破壊し、お兄さまに愛されろ━
━━━━━
夢が終わり脳が覚醒していくあの感覚を感じながらパチリと目を開け、ベッドから上半身を起こし身体に纏わり付いてくる暑苦しい空気を感じてお決まりの一言を口から溢す。
「ンン、あつーい」
今世の中学校生活にも慣れて早くも季節は初夏を過ぎ、段々と太陽の主張が激しく気温が高くなり今まさに夏真っ盛りと言った所。
寝起きと言うこともあり寝ている間にかいた汗によって湿っぽいアッシュグレーの長い髪が身体に張り付いてちょっと気になる。
「うへぇ、髪までじっとり…」
お兄さまから頂いた
いくら薄手の部屋着…シルエットパーカーを羽織りスポブラとショートパンツ姿と言っても暑いものは暑いのだ…特に最近スクスクと育ってきた胸部装甲の間はなおさら凄い事になる。
「ちょっとシャワー浴びよっかなぁ~?」
今日は学校がお休みの休日なのでゆっくり目に過ごしてもよいのだけれど…やっぱり気になるし、シャワーを浴びてさっぱりした状態でお兄さまの寝顔を観察しないと。
そうと決まれば善は急げと言うし…行動開始。
ばっとベッドから起き上がり、替えのルームウェア一式を収納ラックから取り出しながら今日の気分は水色でいいかなー?と思いながらチョイスを選ぶ。
準備を済ませたら、トテトテと階段を下り1階にある洗面所のドアノブを握りガチャリと扉を開けて中に入り持ってきた衣服を籠の中に放り込む。
そこから前屈みになりながら腰のショートパンツのゴム部分に指を掛けて…シュルっと布音を立てながら降ろしt……。
「ふぅ~、すっきりした」
シャワーを浴びることによって脳がすっきりするのと同時に少し火照った頬に手で扇いだ風を送り涼みつつ今日の予定を考える。
えっ…?シャワーシーンはどうしたかって?まあ、慌てないで下さい。
肌色成分多めの差分はファン限の方に………。
とは冗談で婚約済みの私の身体はつま先から頭のてっぺんまでの全てがお兄さまのモノなので肌をみだりに晒したりはしないのだッ!!。
「瑠菜、ごめんね?そろそろ隆樹を起こしてくれる?」
「はーい、今から行きまーす」
おっと…早めの時間帯に起床したとは言え乙女の身支度には結構な時間が掛かりいつもの
ふふ、今日も朝1番からお兄さまのご尊顔を拝啓させて貰いましょう。カチャリと扉を開けてお兄さまの部屋に入るとお兄さまが寝ているベッドの傍に腰を降ろし上半身をお兄さまの隣に預けながら女の子座りをする。
スゥ…と短く可愛らしい寝息を立てながらぐっすりと睡眠を取っているお兄さま…今日も素敵ですねぇ。
私はいつまでも眺めていられるのですが、残念ながら身支度に時間を取られてしまったので今日は早めにお兄さまを起こす。
「お兄さま…朝ですよ?起きて下さい」
「……ああ、おはよう…瑠菜」
「はいっ、おはようございますお兄さまッ」
耳に掛かった髪を上げながらお兄さまに満面の笑みを浮かべておはようの挨拶をする。
きっと今日も素敵な一日になるのが確定された瞬間なのだ。
「お兄さま、中に入っていいですか?」
「ああ、いいよ…瑠菜」
「それじゃ、入りますね?」
お兄さまを無事に起こし家族全員で朝食を取り、自由時間に各々自分の用事のために解散をするが私は当然お兄さまの部屋に突入をする。
「どうしたんだ、瑠菜?」
「んーと、お兄さまの部屋で漫画を読もうかな…と」
「いいけど、今は勉強中だから…遊べないよ?」
「分かりました。お兄さまの邪魔しないので」
どうやらお兄さまは休日でもしっかりと授業の復習をしていた様子。机の上には教科書とノートが存在を主張するように広がっている。
流石お兄さま…。基本的に前世チートを使っている私は基本的に今の学業のレベルなら軽く復習をする程度で好成績をキープ出来てるけど、お兄さまは毎日コツコツ勉強に勤しんでいるお陰か私以上の成績を叩き出している。
結構覚えているつもりでもニアミスや理解していると思っていたら間違っていると言うことがたまにある。
私は前世込みでも勉強と言うか知識を仕入れる事は割と好きなので結構今の状況を楽しんでいる。
そんなことよりも1秒でも長くお兄さまとのコミュニケーションを取らねば。
「あっ、これの新刊出てたんですね」
「ああ、ソレだね?まあ、うっかりネタバレしたら瑠菜に悪いし楽しんでよ」
「はい、ありがとうございますお兄さま」
棚に並んでいる本の列から今アニメ化も果たした人気ロボット漫画の新刊を取り出して漫画を抱えながらお兄さまのベッドにダイブする。
ああ、お兄さまの匂い。顔を埋めながらスンスンと肺の中に空気を送りしっかりお兄さま成分を堪能してから息を吐く。
うへへ…さいっこぅー。
「瑠菜…流石に恥ずかしいよ」
「あ、邪魔をしてごめんなさい…お兄さま」
いけないいけない。ついついお兄さま成分を摂取するために過酷な過酷のし過ぎでお兄さまの勉強の邪魔をしてしまった。
でもでも、お兄さまが悪いんですよ?
それでは気を取り直すように漫画を読み始めると読み終わったページを捲る音とお兄さまがノートに書き込むペンの音だけが鳴っている。
今世で
「あー、ここは…」
「どうしました、お兄さま?」
漫画を楽しんでいるとカリカリとリズムよくペンがノートに走っていた音が止まりお兄さまが何かに躓いている様子。
ここは妻の私がお兄さまの助太刀をしなければ。
漫画を置いてから椅子に座っているお兄さまの背中に抱き付きながらお兄さまの顔の横からひょっこり卓上のノートを覗き込む。
「瑠菜ッ…いいよ、自分、で…やるから」
「えぇ、お兄さま…そんなこと言わずに頼って下さい」
ノートを覗き込む為にお兄さまの背中には薄手のシルエットパーカー越しとは言えマイ柔らかボディーが密着する。さっきお兄さま成分を摂取したお返しです(はぁーと)。
お兄さま、お身体に触りますよ?(障るな、触れ)と言われた気がするので遠慮なく。
「お兄さま…ここはですね、さきにこっちから解いて…」
「……あぁ、なるほどね…うん、なるほどね」
まずはお兄さまのペンを持っている手に触れては躓いている箇所の説明を始める。
うん、やっぱり基礎が出来てる人を相手にするのは楽だ。一を言えば十…とは言い過ぎだけどスルスルとさっきまで躓いていた部分を解いていくお兄さま。
「そうしたら、今度は…」
こうして自分で相手に伝わるようにかみ砕いて教えるのも好きなんですよねと集中して教えていたらお兄さまの顔にだいぶ近づいていたみたいで…そんなお兄さまを見つめていると。
うーん、問題を解いたお兄さまにはご褒美を上げたくなってきました。
お兄さまの耳元に口元を近付けてお話しをしてあげよう。お兄さまが小さいときは毎日してあげたリアルASMRは最近ご無沙汰だったので良い機会だ…うんうん。
「やっぱり…お兄さまは凄いですね?」
「……………………瑠菜のお陰だよ、ありがとうっ。でも、ちょっとトイレ休憩ッ!!!」
そう言われるとお兄さまは勢いよく部屋から飛び出すように出て行ってしまった。
「もっとしたかったのに…残念」
私はお兄さまの姿を求めるように手を伸ばしては空を切ってしまう。とりあえず漫画の続きを読みますか。
と意気込んでみた物の気が付いたらお兄さまのベッドに寝落ちをかましてせっかくの休日がほとんど終わってしまいました…まあ、なにもしないと言うことが出来たからヨシッ(現場猫案件)。
でも…確かシルエットパーカーをしっかり着ていたような気がしたするけど…起きたらはだけていたんですよね?あれか…もしかして寝相が悪かったりして…お兄さまに寝相が悪い女だと思われたらやだなぁ。
反省反省…。
━━━━━
「委員長、遊ぼーッ」
「もう瑠菜さん、いくらなんでも熱いわ」
「えぇー、そんな事言わないでよー?」
今日も今日とて学校の授業が全て終わりHRが過ぎれば教室が一気に賑やかになる。
そんなクラスの中心で妹の瑠菜は委員長と正面から抱き付いてワイワイとコミュニケーションを取っている。と言うか委員長からすれば大型犬がじゃれついてくるみたいな物か?。
相変わらず瑠菜はコミュニティの中心的存在だ。
「
「意味が分からないがなんとなく瑠菜達を見ながら言うの禁止」
瑠菜は皆の注目を集めやすいのでそんな様子を眺めて謎の単語を言っている稲司の頭を軽くチョップしてやる。
「いたた…いやー、ソイツは無理な相談だな隆樹?」
「い何でだよ?いや、やっぱ…言わなくt…」
「我がクラスが誇るツートップの美少女が絡み合う姿。目の保養を見逃す訳にはいかないッ!!なによりお互いのバストがぶつかり合った空間も生まれるあの破壊りょk…」
やっぱり稲司は馬鹿だなと改めて思う。黙っていればいいヤツなのだが。口を開くために猥談と言うかなんと言うか。もう1回チョップしておく。
「ヤメロォ!!これ以上やったら馬鹿になるだろッ!?」
「人の妹を余計な目で見るな」
「おうおう、
そうだそうだーっ。と周りの稲司に吊られた男子共が声を上げる。
「いいじゃんか、隆樹は毎日瑠菜ちゃんを拝めてられるんだから」
「いや、だから…瑠菜はそんな…」
稲司が抵抗とばかりに俺にちゃちゃを入れてくるが…さっきの瑠菜が委員長にじゃれついている様子を思い浮かべて昨日の出来事を思い出して言葉に詰まってしまう。
いやいや…あれはそんなんじゃ…。
そう否定しようとしても瑠菜の女としての身体の特徴を更に意識してしまう……。背中に感じる柔らかさ、枕や布団から香るシャンプーとは別の甘い匂い…。
「おいッ!?
突撃ーッと稲司の号令により皆に揉みくちゃにされる…。なんだか前にもあったな…いや、その方が気持ちを誤魔化せていいな。
わぁーと一通り野郎共の気が済むまで揉みくちゃにされると委員長の手を引っ張りながら、こっちに来た瑠菜が口を開くのであった。
「お兄さま、今度みんなで海に行きませんか?」
「ちょっと、瑠菜さん?私は行くとは…」
「えぇっ、絶対に楽しいからー」
なんて瑠菜は人の気持ちを知って知らずかまたとんでもない心臓に悪いイベントをしようと計画しているのだった。
冒頭のナレーション兼嘘予告はもちろん鈴木英〇郎さんボイスですねー。
ちなみに好きなライダーはカブトです。
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12 夏だッ!!海だッ!!水着回だッ!!
「だからさ~」
「え~…何ソレ?」
「腹へったー」
「昨日のテレビ見た?」
ガヤガヤと生徒同士がお喋りをする賑やかな雰囲気の中でお兄さまと私、稲司君と委員長は学校の屋上で次の休暇で海を訪れる計画と予定のお話しをしている。
まぁ、本当は学校の屋上では無くて私達の教室なのだけど…よくある学園モノの作品では屋上施設を解放していたり、風紀員の制服が1番男子の風紀を乱したり生徒会が大人顔負け謎の権力を持っていたりと実はこの世界ならばあるのではないかと期待していたのですが…流石に無かったです。
先生に真っ当な理由ときちんとした手続きをした上で許可が下りれば屋上の使用が出来るのだけれど…それはなんと言うか私が憧れているロマンとは違うのでなんか微妙なんですよねー。
星空が綺麗な夜に学校の屋上で私がお兄さまに告白をしたり又はされたりとそれはそれでやってみたいですね。きっとそのシーンには神絵師によるイベントスチルがあるはずなので回収は必須で間違いなしですね。
「瑠菜はどうする??」
「あっ、ごめんなさい…ちょっと聞き逃してしまいました」
「大丈夫かー?」
「稲司は黙って」「なんか委員長は当たり強くない!?」
いけない…せっかくのお兄さまに
とりあえず稲司君と委員長の絡みを見て落ち着かないと…。やっぱり二人は仲がいいですね…まぁ、私とお兄さまのラブラブっぷりとまでは行かないと思うのですがね?。
「その前に水着買いに行きたいですね?せっかくなのですから、新しいので遊びたいです」
「えぇ?私はいいかなー…?」
「委員長も新しいのにしませんか?ねっ?」
「分かったからそんなにくっつかないで」
委員長は押せば必ず首を縦に振ってくれるのでグイグイと抱き付いて水着を買いに行く約束を取ってしまえば楽勝なんですね。せっかくなのだから私が委員長と稲司君の恋のキューピットとしてお節介をしたいと思います。
「なぁ、隆樹よ…この空間に俺達はいるか?」
「瑠菜が楽しそうならいいよ」
「お前はブレないなー」
むむ?私が委員長の恋路を応援するためにそれとなく委員長の背中を押すためにコミュニケーションを取っている間にお兄さまと稲司君がなにやらお話しをしている様子…。
まさか…お兄さまはそっちの気が?。いや…そんなはずはない。お兄さまの性的嗜好は
安心と実績の瑠菜ちゃん印の妹成分(はぁーと)。きっと私の成果を論文にまとめて学会に提出すればきっと世の中に存在する負け妹ヒロインポジションの人達は意中のお兄さまをゲット出来る事間違いない。
その内、私の情操教育をまとめたレポートを出版社に持ち込んでみるのもありですね?。
世の中の兄妹は兄妹同士…姉弟は姉弟同士で結婚すればいいんです。きっと世界は平和になります。
「そうだ…委員長、ちょっと耳を貸して?」
そう言って委員長の手を引っ張りながら教室の端っこまで移動してから委員長の耳元でお兄さま達に聞かれないようにヒソヒソ話しをする。
「な、なによ…瑠菜さんがそう言うときはきっとなにか企んでいる時でしょ?」
「せっかくだから…お兄さま達には当日まで新しい水着を秘密にしたいので今日は私達だけで駅前に行きましょう?」
「私は女子だけで行くと思ってたんだけど…まさか、瑠菜さん…普段下着を買うとき隆樹君と一緒に行ったり…」
「うん、行くよー?」
勿論成長期が始まってからこの方下着選びはお兄さまを連れて行っている。せっかくなのだからお兄さまの好みを把握したいので、ちなみに今日のセットアップはお兄さまが選んで購入した物です。
「思っていた以上に重症だったわ…」
「???」
どうやら一人っ子の委員長には分からない感覚のようですね?楽しいんですよ?お兄さまをランジェリーショップに連れて行って私の下着を選ばせたり、ソレを試着するためにお兄さまを1人で放置するの…癖になってるんだ。
「よし、そんじゃ…次の休みに一緒に海に来る奴この指とーまれッ」
「俺も行く」「ウガーッ、行けねーッ」「隆樹君と稲司君も…行くの?ならワタシも行こうかな~」
どうやら私と委員長がサプライズを画策している最中に稲司が教卓の前に立って参加者を募ったようで教室がワイワイと更に騒がしくなりました。特に男子のテンションの上がり具合と行けない人の差が凄いですね。
と言うか…今お兄さまに色目を使った発言をした女子は…むむ、どうやら警戒レベルをもう1つ上げたほうが良いみたいですね。
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ザーン、ザーンと波が押し寄せる音と共に磯の匂いが鼻につく。
今日の天気は快晴…目が痛くなるほどの鮮やかな空と海に海水浴に訪れた人達の楽しそうな声があちこちから聞こえてくる。
今日はまさに絶好の海水浴日和。きっと私の日頃の行いが良いお陰ですね…?前日の夜までお天道様に晴れになるよう睨み…もといお願いをしたのが決め手です。
「えっと…稲司達が先に場所を確保している筈なんだけど…」
「……………」
「ねぇ、瑠菜さん…?って、あれ…?」
委員長もとい由香さんがたくさんの人混みの波で一瞬私を見逃した隙に上手く離脱しました。
理由は勿論お分かりですよね?今日の私はおニューな水着姿…にお兄さまから借りたラッシュガードを羽織っています。やはり私の水着姿を一番最初に見るべきはお兄さまなのです。
海水浴場に到着して着替えの為に一旦男女に分かれて、着替えに時間が掛からない男子に拠点の設営をお願いしています。時間的にちょうど設営が終わった頃でしょう…。
そこで私はお兄さまの荷物に細工をして起きました…設営を終えて自分の荷物を確認したお兄さまはきっと忘れ物をした事に気が付いて貴重品ロッカーに帰ってくるはず。
さて、噂をすればさっそくお兄さまの姿が見えました…。
ふふ…計画通りッ。あまりにもパーフェクトな仕事に脳内の私が「パーフェクトだ、私」と自賛の嵐を…おっと、それでは貴重品ロッカーを開けようとするお兄さまの手を引っ張り貴重品ロッカーと物置倉庫の間の空間に引っ張り引きずり込みます。
「うわッ…って、瑠菜か?どうして、ここに…ッ」
「えへへ…驚かせてごめんなさい、お兄さま」
貴重品ロッカーと物置として利用している倉庫の隙はとても狭くお互いの身体を密着させないといけませんねぇ…?。
はぁ…お兄さまの鍛え抜かれたお身体…じゅるり(はぁはぁ)。
このままお兄さまとの蜜月を楽しみたい所ですが、今日は私の水着姿の感想を聞かないといけないのでラッシュガードのジッパーをゆっくり下げていきます。
人混みの喧騒がこの空間だけ聞こえないような錯覚を起こします。ジッ、ジィ~とラッシュガードのジッパーを下げていく音だけが響いて時間がゆっくり流れているような感覚になります。
水着はビキニタイプなのでトップからお披露目…カラーは紫と薄紫色のカラーボーダーで可愛いとセクシーの両立をしたお気に入りです。
ゴクリとお兄さまから唾を飲む音がします。ふふ…見てます見てます。お兄さまのギラギラとした視線に身体がゾクゾクしてきましたが…まだ半分です。
ジッパーを全部降ろさずに少しだけ残してからラッシュガードを左右に開いて私の水着姿を見せ付けるようにお兄さまを見上げます。
このラッシュガードを敢えて脱がずにお兄さまだけに見せつける行為…きっとイラストがあったらお兄さまの一人称視点でラッシュガードを左右に開きホットパンツとビキニタイプの水着姿の私と謎の擬音語「グッ、パァア~♡」と書かれているでしょ。
「どうですか…お兄さま?」
にへらっ?と首を傾げながらお兄さまを見詰め上げれば…感想は言われなくてもお兄さまの表情で分かりますが…ふふ、やっぱりお兄さまのお口から聞かないと駄目です。
「ッ…よく、似合ってるよ…瑠菜」
「ふふ、ありがとうございます…お兄さま。一番最初に見せたかいがあります」
はぁ~♡やっぱりお兄さまから褒められるだけで幸せです。さぁ…お兄さま、私のお披露目会で時間を大分使ってしまったので早く皆の所に合流しましょう。
んん…?お兄さま大丈夫ですか?どうして荷物を前に抱えながら歩くのですか…?。もしかして体調が良くないのでは…?なら、私が荷物を…えっ?大丈夫だから…そうですか?。
そうしてお兄さまと2人で設営場所まで行けば稲司君達が居ました。
「瑠菜さん、大丈夫…?探したのよ?」
「あはは、ごめんなさい委員長…でも、偶然お兄さまと会ったから大丈夫」
先に合流していた委員長に心配されながらお話しをしていると「おーい、隆樹ッ、早く荷物置いて遊ぼうぜッ⁉」「いや、もうちょっと…休ませてくれ」「おいおい、大丈夫かー?」とお兄さまと稲司君が話してました。
お兄さま…体調が良くないなら無理しないで欲しいです。私が看病しますから遠慮しないで下さいッ。
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ちょっとしたハプニングがありましたが、程なくして小休憩を挟んでお兄さまの体調が良くなったので私も遊びます。
ラッシュガードを脱いでた時の今日参加したクラスメイトの男子の反応が凄かったでね。部活や各々の予定がある中、今日の参加率は半分以上と…よっぽど海水浴が楽しみだったんですかね。
「U・D・K」や「ありがたや~」とまるで何かを拝めるような男子達…と言うか稲司君が一番凄い騒がしいです。
「委員長…ちょっと喉が渇いたから飲み物買いに行きませんか?」
「そうね…それじゃ、飲み物欲しい人いる?」
そうしてサンサンと眩しい太陽の日差しの元で遊んでいると身体は水分を求めてくるので海の家で買い物をしようと委員長に声を掛けます。
委員長は飲み物が欲しい人達の注文を素早くまとめて貴重品を入れた防水トートバックを持ち立ち上がります。
「瑠菜…俺も行こうか?」
「大丈夫ですよ、お兄さま。直ぐに戻りますから」
そう言ってお兄さまを休ませてから委員長と2人で海の家に向かいます。
その後に注文をされた分の飲み物を購入して皆の元に戻るときにナンパされそうになりましたが、すかさずお兄さまが駆け付けてくれて事なきを得ました。
どうしてあの手のタイプはどこにでもいるんですかね?入学して直ぐ私に汚点を残したあの先輩の事を思い出してムカムカしてきました。
あの時は本当に落ち込みましたが、やるべき事を見付けた私は自室に籠もる振りをして先輩の事を調べました…この時代はネットリテラシーなんて物はないので簡単に情報は集まりました。この手の人はなぜ大きな声で自慢をしたがるのか…。
後は集めた彼の武勇伝を全国規模でそこそこ大きい会社に勤めている彼のご両親に匿名と言う形で親切に教えてあげれば…直ぐにして件の先輩は転校しました。なんでも家庭の事情らしいですって。
後は元凶が居なくなれば人の噂も七十五日と言う具合に復帰した私が明るく振る舞いそれとなく周囲に新しい話題を振ってやればあっと言う間に話題は別の話しに移って行きました…なんだか懐かしいですね。
それで話しを戻すと、とっっってもムカついた私は助けに来てくれたお兄さまに委員長と私の2人で抱き付き腕を谷間に挟み、脚を絡めながら「ごめんなさい、私達は彼のモノです(はぁーと)」とBSS同人誌で言われてそうな決めゼリフを言ってその場から去りました。
あの時のお兄さまの表情はとてもクル物がありました。お兄さまの格好良さを再認識出来たからお釣りが来そうですね。
さようなら、チャラ男のおにいさん達。
ついでにお兄さまには助けて貰ったお礼を兼ねてまたナンパされないように皆の元に着くまでたっぷりイチャイチャしました。
帰ってきた時の私達三人を見るクラスメイトの反応は色々ありましたね…特に稲司君と委員長にはちょっと悪い事をしてしまったような気がしますけど…不慮の事故なのでヨシ。
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「んーーっ、今日はいっぱい遊んで疲れましたね?」
「ああ、今日は皆と遊べて良かったな」
海水浴を楽しみ、暗くなる前に撤収をした俺達は駅前で分かれて各々が自分の家に帰って行く。
早く撤収をしても帰る頃には時間帯は夕方になっていて昼間のうだるような暑さは少しだけマシになっていて隣に並び歩いている瑠菜と俺の二人分の影がアスファルトに映し出されている。
「やっぱり日焼けクリームを塗っても目一杯遊んだから焼けましたね?」
そう言って瑠菜は少し黒みがました俺の腕を触りながら確認をしてきた。
人気が無いからって不意に触ってくるのは心臓に悪いので辞めて欲しいのだが…無理に離すと瑠菜が悲しむのでグッと堪える。
「そうだ、お兄さま?」
「んっ…どうした?」
俺の腕をペタペタ触って遊んでいる瑠菜が何やら思い付いたようなので…瑠菜の方を見ると不意に瑠菜はこちらを見るように屈みながらブラウスの襟元に指を引っ掛けてグイっと引っ張り胸元を露出させる。
「ちょッ」と俺が声を出す前に「うーん…やっぱり水着の跡が残りましたねー」なんて瑠菜は暢気な事を言いながらさっと服装を元に戻したが逆に一瞬だけ見えた事によって脳が今の光景を忘れないように焼き付けるのが分かる。
水着のトップの形に跡がついて瑠菜の綺麗な白色の肌と日に焼けた小麦色の肌の境目…それにもう少しだけ角度が悪かったら…。
「お兄さま、また皆で遊びに行きたいですね?」
俺が驚いて立ち止まってしまっていると瑠菜は少し走り出して夕日をバックにこちらに振り返りながら口元に指を当ててニコッと微笑む。
その表情は夕日で眩しくあまり見えなかったけれど…きっと蠱惑的と言うのがピッタリなのだろうと感じた。
TS妹は兄を二度刺す
今年もあと少しで終わりそうですが、なんとか頑張って行きます。
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