Virtual Lovers (轟th)
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K-1:運命

前回から約二年ぶりになりましたが、久しぶりの投稿です。
初挑戦となるR-18物になります。
出来るだけ興奮できるような作品を目指したつもりです。


主役は歌と雑談が好きな給仕の女の子です。


注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。



 その日のことを、俺は多分一生忘れない。

 

 夜も更けて来た時間帯。

 

 窓からは夜空に煌々と満月が輝いていた。

 

 そんな月明かりを背に、こちらを見下ろす双眸。

 

 紅玉と琥珀を思わせる、虹彩異色の瞳。

 

 そこに写るは、押し倒された自分。

 

 普通なら当惑するのだろうけど、俺は違った。

 

 

――美しい。

 

 それしか、何も思い浮かばなかったのだ。

 

 これこそが俺、立実セツナと。

 

 彼女、戌亥とこの最初の出会いであった。

 

 

 ◆

 

 

 俺は立実セツナ、東京都に在住する人間だ。

 システムエンジニアとして某企業に勤めている、御年30歳になる独身だ。これといった趣味は持っていないが、たまに友人とオンラインゲームをする程度。友人は昔から付き合いのある奴が何人かいるぐらいだ。

 そんな俺が昼過ぎから家に向かっているのは、別に会社を追われたからでも体調不良で自宅療養を言われたからでもない。単純に一週間にも及んだ激務に目途がついたので、部長から定時前に上がっていいと言われてからだ。

 そうして帰路についていると。

 

「そこの若人よ」

 

 唐突に声を掛けられた。

 思わず立ち止まって振り返って後ろを見るも、自分に声を掛けたであろう人の姿はなかった。そもそも自分が今歩いているのは大通りの脇、自宅までの近道に使う旧商店街だ。昔は賑わっていたそうだが、大型ショッピングモールが近所にできたことにより客足が減ってしまった。今となっては殆ど人気はなく、ここに商店街があったことを知らない人も増えたほどだ。

 疲れているから幻聴でも聞こえたんだろうと再び歩き始めようとすると、今度は先程よりもはっきりと耳に届いた。

 

「気のせい……か?」

「どっちを見ているのじゃ? こっちじゃよ」

 

 再び声を掛けられ、ようやく気が付いた。

 潰れてシャッターの下ろされた店先に、絨毯を広げて座り込む人物がいた。頭全体をすっぽりと覆い隠すフード付きローブのせいで口元しか見えないが、声の質からして女性のようだ。上から見下ろしているから断言できないが、随分と小柄のように思える。

 女性の前には水晶玉が置かれており、見るからに占い師といった風体だった。

 

「えっと、自分に何か用ですか?」

「別に取って食ったりはせん。ほれ、近う寄るがよい」

 

 こちらを誘うように手招きされる。

 胡散臭そうな相手は無視するに限るが、この時は吸い寄せられるように近づいてしまった。

 

「お主、随分と草臥れた顔をしておるな」

「ちょっと、ここ暫く忙しくて」

 

 そんなに酷いのだろうかと、苦笑いを浮かべる。

 

「閑古鳥が鳴いていて暇だったのじゃ。無料で見てやるから、手を見せなさい」

「……まぁ、無料なら」

 

 言われた通り、右手を前に出して見せる。

 女性は思ったよりも小さな手で俺の手に触り、何やら確かめるように見る。

 その際、フードから僅かに突起のような物が覗いてることに気が付いた。

 

「成る程のぅ……理解はあるが腹黒い上司に、何かにつけては仕事を押し付けてくる同僚」

「……っ!」

 

 思わず当たっている、と口にしそうになる。

 しかし、直ぐに当てずっぽうかもしれないと考えて警戒する。

 

「恋人もここ数年は居らぬ様子。しかし、恋愛に興味がない訳ではない」

「忙しくて時間が取れないんですよ」

「ふむふむ。ところで、血を一滴くれぬか?」

 

 そう言って、女性は小皿と針を差し出してくる。

 あまりの脈略のなさに、困惑しながらも訊ねる。

 

「どうしてそんなものを欲するんですか?」

「恋占いでもしてやろうと思ってな。その為に相性を知りたいのじゃ」

「……分かりました。一滴だけですね」

 

 警戒しつつ、差し出された針で指先を傷付ける。

 ぷっくらと膨れた赤い雫をそっと小皿に垂らして返すと、女性は懐から何かを取り出した。それは小さな青色の石がはめ込まれた銀色の指輪であり、俺は別に宝石とかに詳しくないけどサファイアか何かだろうか。

 女性は宝石の部分を、血液に触れさせた。

 すると、血液は宝石へと吸い込まれ、青色から赤色へと変化する。

 

「な、何々ですか、それ?」

「これは所謂、試金石じゃ。相性を見るのに用いる」

「これで何かわかるんですか?」

「若人よ、喜ぶのじゃ。今夜、お主は運命の出会いをすることになる」

「えっ、急にどうしたんですか?」

「与太話と思ってもらっても構わんが、今晩は窓を開けておくことを勧める」

「はぁ?」

 

 何が何だかさっぱりである。

 困惑する俺を尻目に、女性は先ほどの指輪を俺に差し出してきた。

 

「年寄りの道楽に付き合ってもらった礼じゃ。受け取るが良い」

「それは、流石に悪いですよ」

「気にするでない。因みに右手の薬指が吉じゃ」

 

 受け取り、言われるがまま指輪をはめる。

 

「では、さらばじゃ」

 

 言うが早いか、次の瞬間には占い師の姿は忽然と消え去った。

 

 

 ◆

 

 

 その日の夜、入浴を終えた俺はビールを片手にテレビを眺めていた。

 明日も仕事があるのだから早めにベッドに入るべきと思ったが、今日はそんな気分になれずにいた。もしかしたら占い師の女性に言われたことが気掛かりだったのかと、アルコールを摂取しながら思考する。

 

「ああ、そう言えば窓を開けとけって言われたっけ」

 

 残りを飲み干し、バルコニーへと出てみる。

 空を見上げてみれば、今日は満月だったことを思い出す。

 夜風に当たりながら、久しぶりに穏やかな夜を過ごす。

 

「……ん?」

 

 そうしてぼんやりと月を見上げていると、何かに気が付いた。

 それは黒い点、まるで真っ白なキャンパスに一滴の墨を垂らしたかのような点が視界に映る。

 飛行機かUFOかと思い、目を凝らして月を見詰めると、黒点が徐々に大きくなっていることに気が付いた。

 輪郭の大きくなっていき、そして――人が降ってきた。

 

「はぁっ!?」

 

 次の瞬間、その人は俺にぶつかった。

 あまりの出来事に反応できなかった俺は、そのまま押し倒される形で床の上に倒れこむ。着地の衝撃は相手が逃がしてくれたからか、俺は後頭部を打ち付けて意識を失うことはなかった。

 

「何だよ、一体……」

 

 倒れたまま目を開ければ、そこには自分を見下ろす女性の顔があった。

 腰まで伸びた艶やかな小豆色の髪、紅玉と琥珀を思わせる虹彩異色の瞳、整った顔立ち。

 頭に生えた狼のような耳と臀部から伸びる尻尾が、彼女が人間ではないことを示していた。

 この地球には俺のような人間以外にも、見た目や能力が違う種族がちょっとだけ多い。その中でも人間に次いで最も個体数が多いのが、彼女のように動物の特性を有する獣人だ。獣人はその動物次第で能力に差はあるが、人間に比べて力が強かったり足が速かったりと身体面で優れている場合が多い。

 

「……」

「……」

 

 お互いに無言のまま見つめあう。

 本当なら何か言うべきなのだろうが、何と声を掛けたいいのか分からなかった。

 しかし、それでも俺は意を決して声を掛けた。

 

「あ、あの……」

「……」

 

 だが、彼女は変わらず無言。

 ただ表情はとても不機嫌そうなのに、瞳は今にも泣きだしそうな子供のように潤んでいた。

 彼女が誰で、どういった目的で自分の家に押しかけてきたのか分からなかった。

 

「えっと……大丈夫ですか?」

「……あぁ、やっぱりや」

 

 女性は何かを確信したようだ。

 

「あんさん、わたしの番や」

 

 ツガイという言葉を頭の中で反芻する。

 人間にはあまり聞き馴染みのない言葉だったが、それは獣人にとっては特別な意味を持つ言葉。獣人族が生涯を掛けて求める運命の相手――俺たち人間風に言うのなら『運命の赤い糸』で結ばれた相手がいる。彼らは物心つく頃からその相手を本能が渇望しており、見つけたのならどこまでも大切にするとか。

 ただ何十億にも及ぶ世界人口から、たった一人の相手を見付けるなど広大な砂漠から一粒のダイヤを探し当てるようなものだ。ある学者によれば天文学的数字とまで言われている。

 まさか自分が当事者になるとは思わなかった。

 

「俺が、君の……間違いじゃ?」

「そんなことあらへん! この気持ちは本物や!!」

 

 もう離れないと言わんばかりに女性は抱き着く。

 服越しでも伝わってくる女性特有の柔らかさと、石鹸の良い香りがふわりと鼻腔をくすぐる。

 

「と、とにかく一旦離れて……」

「いやや」

「ま、待ってくれ。お互いに名前も知らないし、落ち着いて話そう」

「戌亥とこ」

「え?」

「わたしの名前。あんさんは?」

「た、立実セツナ」

「セツナはん……」

 

 愛おしそうに彼女は俺の名前を呼ぶ。

 これ以上は我慢できる自信がないので引き剝がそうとするも、意外にも強い力で抵抗された。

 そうこうしていると、戌亥さんが気が付いてしまった。

 

「ん? 何や、お腹に固い物が……」

 

 勃起した俺の息子が、ジーンズ越しに主張している。

 それが初対面の女性にバレた事実に、俺は思春期の子供のように顔が赤らむのが分かった。

 

「これは、その……」

「アハァー! なんや、こっちは随分とやる気十分やん」

 

 戌亥さんの指が、ジーンズ越しに撫ぜる。

 こそばゆい感覚に背筋がゾクッとなるのを堪える。

 

「い、戌亥さん……そ、それ以上は」

「何で? 身体は正直なのに」

 

 戌亥さんはジーンズのジッパーを、音を立てながら下ろす。

 俺が止めさせるより早く、トランクスの中から俺の息子を引っ張り出した。

 

「ほら、見てみぃ。こんなに大きくなってるで?」

「うぅっ……」

「こんな立派で、硬いものを使わないなんて宝の持ち腐れや」

 

 白魚のような指が、優しく息子に触れる。

 それから軽く握りこむと、上下へと動かし始めた。

 

「ぐっ、あっ!」

 

 伝わってくる快感に、俺は歯噛みするしかなかった。

 ここ暫くは忙しかったために風俗にすら行けず、自分で処理する気にもなれなかったから溜まっていた性欲はたったそれだけで濁流のように襲い掛かってくる。

 

「気持ち良いんやろ? 声出してもええんよ?」

「だ、ダメだ……これくらい、平気だから……」

「強情な人。なら……」

 

 言うが早いか、戌亥さんは手を動きを速めた。

 先走り液のお陰もあってか水音が徐々に大きくなっていき、ついに俺の我慢も限界を迎えた。

 

「く、ああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 勢いよく放たれた精液は、戌亥さんの手に収まりきらず床に飛び散った。

 久しぶりの絶頂に荒くなった息を整えていると、戌亥さんは精液の付いた手を鼻先へと持っていくとスンスンッと臭いを嗅いでから舐めとった。美しい女性が浮かべるいやらしい表情に、思わず見惚れてしまう。

 

「すっごい濃いな。それに量も多い」

「ご、ごめん」

 

 つい謝罪してしまう。

 それを戌亥さんはクスクスと笑う。

 

「謝らんでいいって。それより、まだ元気そうやね」

「あっ……」

 

 視線を下げれば、そこには再び硬さを取り戻したペニスが見える。

 戌亥さんは立ち上がると、まるで見せつけるように給仕服のスカートをスルスルと持ち上げた。

 

「今度はわたしを気持ちよくさせて」

 

 行灯袴の下から黒いショーツが露わになる。

 そこから漂うメスの色香は、俺の獣を縛る理性の鎖を容易く引き千切った。

 

「戌亥さん!」

 

 俺は勢いよく立ち上がると、彼女を近くのソファへと押し倒した。

 そのまま柔らかな唇を奪い、舌を差し込めば、戌亥さんも応えるように絡ませてきた。

 

「んむぅ…んっ…ちゅ……れるぅっ」

 

 キスを続けながら、彼女の胸元に手を伸ばす。

 服の上から戌亥さんの胸を鷲掴みにしてみれば、服越しでもはっきりと分かるほど柔らかく、それでいて張りがあった。和風な服装なので気付かなかったが、サイズも思っていた以上に大きい。出来るだけ優しくしたいと思う理性に反し、両の手は荒々しく彼女の胸を揉みしだく。

 

「ぷはっ! はぁ、はぁ……あかん、キスだけでこんな気持ちええの初めてや」

「ああ、俺もだよ」

 

 名残惜しく離れた口同士を繋いだ唾液の橋が、プツンと切れた。

 

「戌亥さん、その……」

「なぁに?」

「この服の脱がし方が分かりません」

 

 俺の言葉に最初はキョトンとしたが、すぐに吹き出してしまった。

 

「アハァー! そんなん簡単や。ちょっと待っとき」

 

 戌亥さんは一度起き上がると、慣れた手つきで腰紐を解くとエプロンを外した。それから行灯袴と上着を脱ぎ捨てて下着姿となったが、恥ずかしがる様子もなく堂々としていた。偏見かもしれないが、こういう時女性は恥ずかしがったりするものだが、彼女にとっては見られて恥ずかしい場所はないようだ。

 

「……綺麗だ」

 

 彼女は本当に綺麗だった。

 戌亥さんの肌は雪のように白く、肌肉玉雪とはこのことかと初めて思った。

 豊満なバストを支えるブラジャーはレースがあしらわれており、下には黒のレース付きのパンツを履いている。

 

「そんな素直に褒められると、流石に恥ずかしいわ」

 

 そう言いつつもまんざらでもないのか、頬を赤く染める。

 そこで彼女だけに服を脱がせるのも反すると思い、慌てて俺も衣服を脱いでいく。最後の一枚を脱ぐことに少し躊躇したが、今さらかと考え直して全裸をさらすことにした。トランクスを脱いだ瞬間、ぶるんっと勢いよく勃起したペニスが飛び出す。

 戌亥さんが生唾を呑み込んだのが分かった。

 それを証明するように、後ろに覗くもふもふな尻尾が左右に揺れていた。

 

「これで、色んな女を啼かせてたんやろ?」

「そんな経験豊富じゃないよ」

 

 事実、俺の経験した人数は多くはない。

 交際していた相手も学生時代に一人だけ、後は風呂屋で何回か楽しんだぐらいだ。

 

「じゃあ、やろか」

 

 今度こそ戌亥さんは下着を脱ぎ、ソファの上に座った。

 そうして膝を曲げながら両足を開き、自らの股座へと指を伸ばしていく。

 

「ほら見てみぃ。ここは準備万端みたいや」

 

 薄っすらと生えた陰毛と、愛液で濡れそぼった割れ目。

 特別に弄った訳でもないのに、中からは次々と新しい蜜が溢れ出してきている。

 

「セツナはん、早く来て……」

「ああ、行くぞ……」

 

 秘所に宛がい、ゆっくりと挿入していく。

 戌亥さんの中は想像よりも熱く、そして竿全体を心地よく締め付けていく。

 

「ぐぅっ……ああっ!」

「うっ……くぅっ!」

 

 膣内を押し広げつつ、奥へと進んでいく。

 やがて亀頭が子宮口をノックすると、戌亥さんの身体がビクンッと跳ねた。

 

「戌亥さん、分かる? 俺のが、奥に届いたの」

「分かる! お腹の奥まで熱いのが伝わってくるわ」

「動くからな」

 

 俺はゆっくりとピストン運動を始めた。

 本当は最初からペースを上げたがったが、長く交わりたいと自然と考えていた。

 だから少しじれったくはあったが、時間を掛けて腰を引いてから、同じく時間を掛けて奥へと差し込む。それを何度も繰り返している内に、次第に戌亥さんの声にも艶が出てきた。

 

「はぁんっ、あんっ、あっ……あぁっ!」

「戌亥さん! 凄く気持ちいよ!」

「わ、わたしも!」

 

 自然と、腰を打ち付けるスピードが上がる。

 

「あっ、なああっ、あぁあんっ! あああぁうっ」

 

 腰の動きに合わせて、彼女のおっぱいがブルンブルンと揺れる。

 堪らず片方を揉みしだき、もう片方の乳首を口に含む。

 

「ひゃうん!? そこぉっ、弱いねん……あぁぁんっ!!」

 

 胸への刺激が引き金となったのか、彼女の膣壁がより一層強く締まる。

 これは長く持たないと察し、俺は更に激しく腰を動かす。

 

「戌亥さん、戌亥さん!」

「あっあっ、はぁあん! もっと、くっついて! わたしの中っ、セツナはんで満たしてッ!」

「そ、そろそろ……!」

「いい…よ…っ、一緒に…いこ。中に、ちょうだ……いっ!」

 

 流石に膣は不味いと思ったが、彼女の足がそれを阻む。

 腰に回された両足が、俺を逃がすまいと締め付けてくる。

 

「もう……出るっ!」

「ああぁぁああぁぁああぁぁぁああぁぁー!!!」

 

 俺たちは同時に絶頂を迎えた。

 精液を搾り取らんと膣内は収縮し、一度出したと思えないほど射精する。

 まるで雄の本能が、この雌を孕ませんと渇望しているようにさえ感じられた。

 

「はぁー、はぁー、はぁー……」

「いっぱい、出たんやね……気持ち、よかった?」

「ああ、感無量です」

 

 俺の言葉に、彼女は微笑んだ。

 それから俺たちは汗やら何やらを洗い流すために風呂場へと向かったが、そこでも第二開戦を始めてしまった。流石に逆上せてしまったので風呂から上がり、寝間着に着替えて――戌亥さんは替えの服などないので俺のワイシャツを貸した――から一緒にベッドに横になった。

 余韻を楽しんでいると、ふと気になることがあった。

 

「ねぇ、戌亥さん。どうして今日、空から降ってきたの?」

「今日の収録を終えて会社を後にしたら、急に気配を感じたんよ」

「気配?」

「匂いって言った方が正しいかもしれん。今まで感じなかったのに、わたしの番が近くにいるって思った。そうしたら居ても立ってもいられなくなって、気付いたら駆け出しとったんや。意識はあったんやけど、本能に導かれるように駆け続けて……気付いたらセツナはんを押し倒しとった」

「因みに会社の場所って?」

「東京の赤坂」

 

 頭の中で地図を思い浮かべ、思わず唖然とした。

 彼女の言葉が事実なら、軽く十キロ以上離れた場所から俺の存在を感じ取ったらしい。

 これが獣人の成せる技かと、改めて驚かされる。

 それから互いに他愛のない話に花を咲かせていたが、いつの間にか眠りに就いた。

 翌朝、目を覚ますと戌亥さんの姿は何処にもなかった。最初は欲求不満が見せた夢かと自己嫌悪に陥ったが、リビングのテーブルに残された一通の手紙が彼女の存在を証明していた。

 

『昨晩は楽しかったで。また会いに行くから――――追伸、浮気したら許さんで』

 

 俺は苦笑しつつも、次に会う日を楽しみに待つことにした。




今回の内容は如何だったでしょうか?
昔から官能物を書こうと思っていても、中々手が出せずにいました。
久しぶりに気分が乗ったので、試行錯誤しながら仕上げました。
言い回しや表現がおかしな部分があったかもしれません。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-2:告白

どうも、私です。
先ずはお気に入り登録してくださった方と評価してくださった方へ、この場を借りてお礼申し上げます。誠にありがとうございます。

今回の話は前回の続きとなりますが、ちょっと予定を変えました。
本当はアンケートを元にデート話を書く予定でいたのですが、数日前にこれだと時間が飛びすぎじゃね? と思い、急遽内容を変更しました。我ながらよく二日で仕上げたと思いますが、急いだせいで誤字脱字がある可能性があります。
その時は、申し訳ありません。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。



「今日も、来ないか」

 

 ベランダで晩酌しながら、俺は一人黄昏ていた。

 あの独特な出会いを果たしてから数日が経ったが、戌亥さんはこの家を訪れることはなかった。

 彼女のように顔も美人で、声も可愛く、胸も大きく、腰も細く、お尻の形も良いとは正に男の理想を体現したような女性が、俺のような冴えないおっさんをになんて興味ないだろう。言い方は悪いかもしれないが、戌亥さんなら男など選び放題だろう。

 むしろ、あの出来事は疲労が見せた都合の良い夢だったと云われた方が納得できる。

 

「もう、寝るか……」

 

 そんな風に考えながら、缶ビールを一気に飲み干す。

 そのまま寝室に向かい、温もりの失せたベッドに潜り込めば、自然と眠気に襲われる。

 

 

 ◆

 

 

――ピーンポーン

 

「……ん、何だ…?」

 

 人が気持ちよく寝ていれば、無粋なチャイム音が鳴り響く。

 布団に包まったまま置時計を手に取ってみれば、デジタル盤は朝の九時を表示している。今日は折角のお休みだから昼過ぎまで惰眠を貪りたいところだが、今もなおチャイムの音は鳴り続いている。両親や友人と会う約束をした覚えはなく、何か宅配便が届くといった予定もないはずだ。

 

「はいはい、今出ますよっと……」

 

 寝室から出てインターホンを確認すると、そこには見知った女性の姿があった。

 

「い、戌亥さん!?」

 

 自分が待ち焦がれた女性が、玄関先に立っていた。

 慌てて玄関に向かおうとしたが、自分がジャージ姿なのを思い出して直ぐに着替える。それから急いで玄関の戸を開ければ、そこには夢でも幻でもない本物の戌亥とこさんが存在していた。

 

「おはよーさん!」

「お、おはようございます」

 

 元気いっぱいな彼女は、その笑顔を向けてくる。

 腕には荷物が沢山入った手提げ袋が引っ提げられており、食材らしきものがのぞいている。

 

「入ってもええ?」

「えっ、はい。どうぞ」

 

 呆ける俺の横を通り、靴を脱いで奥へと入っていく。

 俺はそれに付いて行くようにリビングへと戻れば、戌亥さんは持っていた袋をダイニングテーブルに置いていた。

 

「朝ごはんはもう食べた?」

「まだ、ですけど」

「なら丁度良かったわ。早速やけど、台所借りるから、その間に顔でも洗っとき」

 

 そう言って彼女はエプロンを取り出して身に着けた。

 更に袋から幾つかの食材を取り出すと、それを手に台所に入って料理を作り始めた。

 戌亥さんに言われるがまま顔を洗えば、冷たい水のおかげで意識がさっぱりする。タオルで濡れた顔を拭きながらリビングに戻ってみると、トントンとリズミカルな包丁さばきとグツグツと煮える鍋の音が聞こえてきた。

 

「もうすぐ出来るさかい待っといてな」

「はい」

 

 ダイニングテーブルの椅子に座り、朝食を作る戌亥さんを見やる。

 こうして誰かが自分のために料理を作っているのを見るのは、果たしていつぶりだろうか。前に付きあっていた彼女はそういうことはしてくれなかったから、おそらくは未だ実家に暮らしていた頃だろうか。仕事が忙しいのにかまけて、もう何年も実家に戻っていないな。両親は元気とは聞いているが。

 そんなことを考えていると、戌亥さんが出来上がった朝食をテーブルに並べた。

 彼女が持ってきたものはトーストにサラダにベーコンエッグ、そしてコーンスープだ。

 どれもこれも美味しそうな見た目をしており、とても食欲を刺激する香りを放っている。

 

「冷めない内にはよ食べ」

「いただきます!」

 

 感謝の意を述べ、食事を始める。

 先ず口に運んだトーストはサクッとした食感と共に、バターの芳ばしさが口の中に広がる。次にサラダに手を付ければシャキシャキした歯ごたえが心地よく、カリカリのベーコンと半熟の目玉焼きは口の中でとろりと広がる。そして最後にコーンスープを口に運べば、程よい甘みとまろやかな舌触りが喉を通っていく。

 

「美味しい?」

「凄く美味しいですよ!」

「アハァー! それはよかったわぁ」

 

 嬉しそうに微笑む戌亥さんに、何だか気恥ずかしくなる。

 それから名残惜しくも食事を済ませ、出された食後のコーヒーを飲んでから俺は口を開いた。

 

「先ずは美味しい朝食をありがとう。ごちそうさまでした」

「お粗末様」

「それで、えっと、あれから連絡もなかったけど、急にどうして……?」

 

 俺の問いに、戌亥さんは気まずそうな顔をする。

 しばし、言葉を探すように視線を泳がせていたが、やがて意を決したのか、彼女は話し始めた。

 

「恥ずかしくなったんや」

「恥ずかしい?」

「あの夜のわたしは、その、急な番の気配に獣人の本能が暴走してたんや。本能のままに導かれるままセツナはんの家に押しかけ、そのまま襲い掛かった。夜中に目を覚ました時、セツナはんの顔を見て、漸く理性が戻ってきた。ただ発情しているだけのメス犬、そんな自分の痴態を思い出して、恥かしくて死にそうになった。だから、逃げた」

 

 やはり、あの夜の彼女は正常ではなかったようだ。

 決して口にしないが、個人的に戌亥さんのような良い女とやれて嬉しかったのは事実だ。

 

「家に帰ったけど、全然寝れんかった。悶々としたまま時間だけが過ぎて、気が付いたら朝になってた。それからはずっと考えとった。これからどうしようって。正直、怖かった。けど、どれだけ言い訳を考えても、一度気付いた気持ちに嘘はつけん。やから、腹を括ることにした」

 

 そこで言葉を切り、戌亥さんは俺を見据える。

 その瞳には、確かな決意が宿っている。

 

「セツナはん。改めて言わせて貰うわ」

 

 すぅ、と息を吸い込む。

 

「あんたが欲しい」

 

 放たれたのは、飾りっ気のないストレートな告白だった。

 

「手前勝手なことばっか言うてるのもわかっとる。迷惑かけてるのは百も承知。でも、この気持ちだけは本物なんよ。どんな言葉で飾っても、誤魔化すことなんて出来へん。だから、もしこんなわたしでも構わへんのなら、隣を歩かせて欲しい」

 

 真摯な眼差しが俺を貫く。

 そこには、俺なんかよりもよっぽど強い覚悟を決めた女性が居た。

 

「戌亥さん。俺は、三十路のおっさんだ。仕事はプログラミングなんかをするシステムエンジニアで、これでも年収五百万ほどは稼いでいます。趣味はこれといってないけど、昔からの友人と一緒にゲームをやったりします。お酒は嗜む程度には飲みますが、喫煙は一切しません。過去に付き合っていた女性は居ましたが、現在は誰とも交際していません。俺は人間だから、獣人である貴方とは同じ時間を歩むことが出来ません。いつか必ず、貴方を置いて先に逝きます」

 

 淡々と自分に付いて話す。

 突然語りだした俺に驚いた様子だったが、戌亥さんは黙って耳を傾けてくれる。

 

「それでもいいのであれば、俺と付き合ってください」

 

 彼女の瞳を見詰め返しながら、俺は自分の気持ちを伝える。

 やがて戌亥さんが涙を流し始めたが、それは悲しみではなく喜びの涙だ。

 

「ほんとは、不安やったんや。もし拒まれらどないしようって。けど、今は嬉しい。嬉しくて嬉しくて、泣きそう」

 

 頬を流れる雫を拭いながら、戌亥さんは笑みを浮かべる。

 その笑顔はとても美しく、そして可愛らしいものだった。

 

「よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくね」

 

 こうして俺こと立実セツナと、戌亥とこの交際が始まった。

 

 

 ◆

 

 

「そういえば、どうして最初に料理を作ってくれたんですか?」

 

 戌亥さんが涙を拭き、気持ちが落ち着いたところで疑問に思ったことを訊いてみた。

 すると戌亥さんは、少しだけ困ったような表情を見せる。

 

「あー、うん。それは、あれや」

「あれ?」

「その、男の人の気を引くのに簡単な方法は何なのかって、リスナーに聞ぃたんや」

「成る程……リスナー?」

 

 また何かおかしな単語が出てきたぞ。

 そこで自分が失言をしたことに気が付いたのか、戌亥さんは頬を搔きながら苦笑いを浮かべた。

 

「えっと、口外しないで欲しいんやけど……わたし、これでもV-idolをやってるねん」

「……あー、Virtual Idolのことですか」

 

 V-idol、正式名称をVirtual Idolという。

 技術の向上により、誰しもが簡単に電脳世界にアクセスすることが当たり前になった時代に生まれた新たなアイドルの形であり、現在では老若男女問わず人気を博しているコンテンツである。ただそれだけ参加者多いということは、逆に何かしら他と差別化を図れる特色がなければ直ぐに衰退してしまう。

 そういった意味では、昨今は熾烈な生存競争が繰り広げられる激戦区となっていた。

 

「わたしの場合は企業に所属していて、歌ったり雑談なんかをメインに配信してるんや。自分で言うのもなんやけど、これでも結構人気ある方なんよ? だから、正直セツナはんがわたしの名前や顔を知らんかった時は、ちょっとショックやったわぁ」

「それは、何かすみません。ちょっと、そういうサブカルとか疎くなってて」

「まぁ、身バレせぇへんように認識疎外の術式を掛けてあるんやけど」

 

 そう言って、戌亥さんは笑う。

 確かに情報統制がされているとはいえ、一度でもネットの海に浮上すれば瞬く間に拡散されてしまう。住所が特定されようものなら一部のファンが家まで押しかけてくる可能性もあるし、場合によっては犯罪に巻き込まれる危険性もある。なので有名人はそうした身元が特定できないよう術式を使用している場合が多い。

 

「せや! 折角やし、何かゲームでもせぇへん?」

「ゲームですか?」

「一応、ゲーム機も持ってきたんよ」

 

 そう言って取り出したのは、某有名企業が出した家庭用ゲーム機だった。

 初期版が発売されたのは五年ほど前だが、今なお新作が各社から出ている人気の機種だ。発売開始された当初は店頭から消えるほどの大盛況を見せたものだが、今では中古でもそこそこ値が付くくらいには入手しやすい。斯く言う俺も、友人に誘われて一年ほど前に購入している。

 

「沖天堂のイッチスなら俺も持ってますよ」

 

 テレビボードの下からゲーム本体を引っ張り出す。

 最近は忙しくて触っていなかったが、電源を入れてみれば問題なく起動してくれる。

 戌亥さんもダイニングテーブルから移動し、テレビの前の低座面高のフロアソファに腰掛けてコントローラーを手に取る。

 

「二人プレイできるのもあるから、戌亥さんがやりたいのを選んで。その間に飲み物取ってくる」

「了解や!」

 

 飲み物を持って戻れば、戌亥さんが選んだのは古今東西の遊戯を遊べる『遊戯全集』だった。

 

「せや。ただ遊ぶのもあれやし、負けた方は罰ゲームありにせん?」

「いいですけど、どんな内容にするんですか?」

「何回か対戦する度に勝ち負けの数を競って、負けた方が服を一枚脱ぐっていうのはどうや?」

「いや、流石にそれは……」

「大丈夫。ちゃんと下は履いたままでOKや」

「いや、そういう意味じゃなくて」

「心配いらへん。それに、お互い裸を見せ合った仲やろ?」

「言い方ァ!?」

 

 結局、戌亥さんに押し切られてしまい、罰ゲーム有りのゲーム大会が開催された。

 そうしてゲームを開始すること数時間後……。

 

「あ~っ、また負けてもうた!!」

 

 戌亥さんは悔しそうに声を上げ、クッションを叩く。

 これで六回目の勝敗を競ったが、二勝四敗と戌亥さんが負け越している。

 因みに戌亥さんの服装は上は黒いTシャツに白いブラウス、下はデニムのホットパンツといった出立ちである。ところが現在は四枚脱ぐことになったので、ついに下も脱いだので下着姿になってしまった。今日は上下共に白色の、レースをあしらったとてもセクシーなデザインだった。

 一度は彼女の裸体を見ているとは言え、それでも目のやり場に困ってしまう。

 どうでもいいことだが、俺は上着を脱いだから半裸の状態にある。

 

「セツナはん、強すぎひん?」

「あー、ゲーマーな友人に付き合わされてやってたから」

「次は負けへんから」

「えぇ、まだやるんですか?」

「当然やで。けど、次から別のアクションゲームの同じステージを交互にやろか。その際に相手へ軽い妨害できるようにしぃ、そのクリアタイムを競い合うのはどう? もちろん、ゲームオーバーになったら負けで」

 

 まぁ、それぐらいなら問題ないか。

 戌亥さんの提案に了承すると、先ずは俺からということでゲームを開始した。

 最初は特に何もなく、どうするのかと警戒していると。

 

「ふっ」

「うひっ!」

 

 急に耳に息を吹きかけられた。

 変な声が出てしまったが、戌亥さんの攻撃はそれだけに留まらなかった。

 

「レロッ」

「ッ!」

 

 戌亥さんの舌が、俺の耳の縁をなぞったのだ。

 思わず身を引こうとするも、逃がさないとばかりに身体に手が回され、くちゅくちゅと水音を立てられながら穴の中を弄られる。

 

「ちょ、ちょっと! いきなり何を……んぅ!」

「れぇ……んむ……はぁ……セツナはん、気持ち良さそうやね」

「そ、そんなわけ……ひゃぁ!」

 

 逃げようにも動けず、かといって勝負中なので手も離せない。

 そうこうしている間に、戌亥さんの手が剝き出しになっている俺の乳首に伸びてきた。最初は軽く触る程度だったが、次第に摘まんできたり引っ張ったりしてくる。耳舐めと乳首責めという異なる二つの快楽に襲われながら俺は必死にステージを進めていき、どうにか制限時間内にゴールへと辿り着くことができた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「残念。ゴールしてしもうた。じゃあ、次はわたしの番やね」

 

 そう言うなり、戌亥さんは立ち上がると胡座をかいた俺の脚の上に座ってきた。

 戌亥さんの柔らかなお尻の感触がジーンズ越しに伝わってきて、太ももの辺りが温かくなる。

 動揺する俺を尻目に、戌亥さんはコントローラーを手に俺と同じステージを始めた。

 明らかにこの状況を楽しんでいる彼女に、やられっぱなしは性に合わないと俺は反撃する。

 両手を持ち上げ、彼女の胸を鷲掴みにした。むにゅん♡、とブラジャー越しだというのにマシュマロのような柔らかな感触が伝わり、改めて彼女の豊満なおっぱいの大きさを思い知る。そのまま指を動かせば、まるで餅のように柔らかく形を変えていく。

 

「んっ……」

「あれ? もしかして感じてるんですか?」

「まさか。このぐらい全然余裕や」

 

 言葉とは裏腹に、少しだけ頬を赤らめて戌亥さんはゲームを進めていく。

 ならばと、今度はブラジャーの上からでも分かるくらいにツンと勃起した乳首を親指と人差し指で挟み込むようにして刺激を与える。コリッコリッとした硬さを堪能するように擦ると、戌亥さんが小さく吐息を漏らす。そして抵抗するように、自らのお尻を俺の股間に押しつけてくる。

 

「あっ、ゲームオーバー」

 

 テレビに視線をやれば、画面にはコンテニューが表示されている。

 どうやら戌亥さんは俺の責めに耐え切れず、ステージをクリアできなかったようだ。

 

「わたし……負けてしもうた」

「なら一枚脱がないとね」

 

 目の前にあるブラジャーのホックに手を掛けて外し、そのまま持ち上げるようにして取り払う。

 ぷるんっと音を立てそうな勢いで、戌亥さんのおっぱいが現れた。重力に従って垂れることなく、綺麗な形で保たれている。

 

「アハァー!  めっちゃガン見してくるやん」

「おっぱいが嫌いな男なんていないよ。それより、どうする?」

「未だ一枚残っとるさかい、ゲームを続けよか。今度はわたしから始めるわ」

 

 再びコントローラーを手に、次のステージに進む。

 このまま愛撫を続行しても良しと判断し、引き続き彼女のおっぱいを責め続ける。ブラジャーという支えを失った胸はずっしりと重く、そして乳房全体を優しく揉みしだく。暫くその柔らかさを堪能してから、ゆっくりと円を描くように乳輪をなぞり、ギュッと指で挟みこむ。

 

「くっ……ん、あっ…」

 

 堪えきれず、戌亥さんの口から艶っぽいものが漏れ出す。

 そのままテレビ画面を確認すると牛歩ながらステージを進んでおり、このまま行けば何とかクリアできるだろう。当然、俺は彼女にゴールさせないために、片手をそのまま残った下着へと這わせる。クロッチ部分に指を当てれば既に湿っており、軽く上下に動かしただけでクチャクチャと水音が鳴った。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 表情こそ見えないが、戌亥さんも大分興奮しているのが分かる。

 しかし未だ絶頂には達していないらしく、物足りなさそうに腰を揺らしていた。そんな彼女に応えるために、ショーツをずらして直接秘所に触れる。陰毛をかき分けて割れ目をなぞれば、ビクンッと身体を大きく跳ねさせる。膣内からは止めどなく愛液が溢れており、軽く指を押し込んだだけで簡単に呑み込まれてしまう。構わず人差し指と中指を挿入して大きく動かし、更に主張している陰核を親指を使って押し潰してやる。

 これには流石の戌亥さんも我慢できないのか、喘ぎ声が大きくなっていく。

 

「あ、あかん。はぁ、はぁっ、んっあっっ、はぁ! うひぃいぃっっ!!」

「ほら、あとちょっとだよ」

「あぁ~~~。そこっ、イくっ…イクッ。ん~~~~っ!!?」

 

 大きく身体を痙攣させ、戌亥さんは絶頂を迎える。

 二度三度とビク付いた後、彼女はぐったりと俺に寄りかかってきた。

 確認するまでもなくゲームは時間切れで終わっており、最後の勝負も俺が勝利した。

 しかし――。

 

「戌亥さん」

 

 俺も我慢の限界だった。

 彼女の身体をソファに寝かせると、愛液まみれでグチャグチャになった下着を剥ぎ取る。それから自らも全裸となれば、解き放たれた肉棒ははち切れんばかりに膨張しており、早く犯させろと主張していた。

 

「もう、限界だから」

「へ? あっ、待って。あかん、今挿入れられたら――」

 

 制止も無視し、背後から彼女を貫いた。

 

「ひゃあああああああっ! あっ♡ あっ♡」

「すっごい。戌亥さんの中、めっちゃ熱いよ」

 

 入れた瞬間から、襲いくる凄まじい締め付けに思わず果てそうになる。

 しかし、そこは男の矜持でグッと我慢し、落ち着かせるべく大きく深呼吸をする。

 やはりというべきか、彼女の膣は他の女と比べ物にならないぐらい最高だった。ヒダの一つ一つが絡んできて、ペニスをしゃぶられているような感覚になる。まるで吸い付いて離れないと云わんばかりに、キュンキュンと締め付けてくる。

 少しして波が引いたところで、ようやく俺は腰を動かし始めた。

 

「あっ、はぁっ……、んっ♡」

 

 パンッ、パチュンッと肌同士がぶつかる音が鳴るたび、戌亥さんは可愛らしい声で鳴く。

 快楽を堪えるようにソファにしがみつく彼女を、逃がさないとばかりに覆い被さりながら後ろから激しくピストンする。

 

「はぁ、はぁ……戌亥さん、こっち向いて」

「あんっ、はぁ……んんっ、んふぅ」

 

 戌亥さんに首だけ振り向かせ、唇を奪う。

 舌を差し込んで唾液を交換し合い、お互いの口内を貪るように犯しあう。

 その間も腰の動きを止めることなく、ひたすらに膣奥を突き上げる。

 

「戌亥さん、イくよ。どこに出してほしい?」

「なか、中に出してぇ……。わたしの中に、いっぱい精液だしてや」

「はぁっ、はぁっ、出るっ!」

 

 ラススパートを掛けるべく、一気に動きを加速させる。

 そして一番深いところまで突き刺したと同時に、俺は彼女の膣へと欲望を解き放った。

 

「あぁぁっ、でてるぅ、うちの中に……ああぁぁっ…あぁぁ…ぁぁぁっ」

「はぁ、はぁ、……」

 

 ドクンドクンと脈打ちながら大量の白濁を流し込む。

 長い射精を終え、戌亥さんの膣内からズルリとペニスを引き抜けば、ゴポッと音を立てて逆流してきた。その光景に思わず興奮して再び勃起しそうになるが、このまま始めてしまうと昼飯も取っていないのに夜戦にまで突入しかねない。そう自分を制してから、ティッシュで流れ出る精液の処理をする。

 

「戌亥さん、大丈夫?」

「……わたしら、身体の相性も良いんやね」

「そうだね」

「もう一回、せぇへん?」

「流石にご飯食べようか。もう夕方だけど」

 

 そう言うと、戌亥さんは不満げに頬を膨らませた。

 動けない彼女の代わりに水分を取りに台所へと向かうと、スマホの通知を知らせる電子音がリビングに鳴り響く。俺のスマホは寝室に置いてあるから、どうやら戌亥さんのものだろう。気怠そうに身体を動かし、戌亥さんは自分のスマホを手に取る。

 

「あっ!」

 

 画面を確認し、何かに気付いたようだ。

 リビングに戻り、戌亥さんにお茶の入ったコップを手渡しながら訊ねる。

 

「どうかした?」

「あかん。今日の夜、配信する予定があったの忘れとった」

「えっ、不味いんじゃないですか?」

「はぁ、しゃーないけど帰るか」

 

 渋々といった様子で、戌亥さんは帰る準備を始めた。

 シャワーを浴びたりして帰り支度を済ませ、玄関まで戌亥さんを見送りに行くと、扉の前で振り返って俺のことを見詰めてきた。その表情はどこか名残惜しそうなもので、けど引き留める訳にもいかず、俺は自分にできることをする。

 

「戌亥さん」

「んっ」

 

 彼女の頬に手を添え、そっとキスをする。

 触れるだけの軽いものだったが、それでも充分に満足してくれたようで、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。

 

「今度、時間があるときにデートに行こうか」

「ほんま? 約束やで」

「うん、もちろん」

「また連絡するわ」

「待ってます」

 

 最後にもう一度だけ軽く口づけを交わしてから、「ほな」と手を振り、彼女は帰っていった。




今回の内容は如何だったでしょうか?
出会い―デートの間となる、交際開始の部分を書きました。
当初はエロシーンを抜きにしようかと考えていたのですが、出来上がったら二千字ほどと短かったので、せっかくR指定にしたのだから入れようと思ったら、八千字を超えました。


前回のアンケートにご協力して頂き、ありがとうございます。
次は今後にかかわるアンケートになりますので、出来ればまた投票して頂けると幸いです。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-3:逢瀬(前)

簡単な世界観
約200年前:神隠しや魑魅魍魎の目撃例の散見
約100年前:大戦中に列強七か国に異界と繋がる門が出現
      神秘と奇跡が色濃く残った魔法世界の存在が確認される。
約90年前:地球と魔界の代表同士が集まり、平和条約を結ぶ。
約70年前:人間至上主義によるテロが地球各地で発生、後に鎮圧される。
約50年前:文化交流が始まり、徐々に希望者の移住が増え始める。


どうも、私です。
非常に大雑把ですが、上記のがこの作品における世界史?です。
そこまで重要ではないと思うので、頭の片隅にでも放っておいて下さい。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。



 渋谷でデート、と聞いて人は何を想像するのだろうか。

 おそらく大多数は有名なハチ公前広場を待ち合わせ場所にして、そこから映画館やゲームセンターにでも行くものだと思う。もしくは109などの商業施設に行くかだ。実際、俺もデートするための下調べした際には、この当たりが無難だろう候補を決めていた。

 当日、約束の三十分前に約束場所へと向かうと。

 

「戌亥さん!」

 

 既に恋人の戌亥さんがそこに居た。

 俺が急いで駆け寄ると、彼女は嬉しそうな笑みを浮かべてこちらへと振り向く。

 

「ごめん。戌亥さん、待たせちゃって」

「ううん! 今来たとこ!」

 

 戌亥さんは満面の笑みを浮かべながら応えた。

 彼女の服装は普段の和風メイド服ではなく、春らしいものとなっていた。黒色のインナーにプリーツチェクスカート、上からは薄手のスプリングコートを羽織っている。後はキャスケット帽と丸いサングラス、これはおそらく身バレ防止用のものだろう。

 

「……」

 

 その姿に、俺は思わず言葉を失った。

 戌亥さんのその可愛さに、見惚れてしまったのだ。

 元々、美人な彼女だが今日は特に気合が入っているように見える。何というか、今日の彼女はとても可愛いのだ。

 

「あ、あの……何か言って欲しいんやけど」

 

 少し恥ずかしそうな表情を浮かべる戌亥さん。

 どうやらずっと黙っていたせいで不安にさせてしまっていたようだ。

 

「ごめん! いや、その、とても……似合ってるよ」

「ほんま? ふふっ、嬉しいわぁ」

 

 はにかみながらも微笑む彼女が、どうしようもなく愛おしく思えてしまう。

 しかし、いつまでもここにいる訳にもいかないので、移動することにする。

 

「お手をどうぞ。ma chérie」

 

 キザっぽく、格好つけてみる。

 意味が伝わらなかったのか、戌亥さんはキョトンとした顔をしたが、直ぐに手を差し出してくれる。純粋な力では彼女の方が圧倒的に上だというのに、その手はは小さく、そして柔らかいものだった。

 

「エスコートよろしくね?」

「仰せのままに」

 

 握った手は自然と指を絡め合う形となる。

 いわゆる恋人繋ぎというものをしながら、俺たちはそこから歩いて遠くない大型のモールへと入り、そこに隣接する映画館へと向かった。

 

「そんでセツナはん、何の映画を観るん?」 

「一応、会社の同僚に勧められた作品があるのでそれにしようかと。詳しくは知りませんが、洋画のラブロマンス物らしいです」

「ほーん。まぁ、わたしはなんでも構わんよ」

 

 チケット売り場にて二人分の料金を支払い、売店で飲み物を購入してからシアター内に入る。

 入ってみて最初に気付いたのは、空席がやたらと目立っていることだった。上映が開始するまで残り十分ほどだというのに、居るのはほんの数人程度。しかも自分たちの席はM列なので後方に当たるのだが、その周囲には誰も座っていない。

 不思議には思ったものの、とりあえず席に着くことにした。

 

「なんや、随分と人がおらんね?」

「そう、ですね?」

 

 ふと、教えてくれた同僚が不敵な笑みを浮かべていたことを思い出す。

 そうこうしている間にも映画が始まる旨のアナウンスが流れ、館内が徐々に暗くなり始め、スクリーンに光が灯された。

 

『……』

 

 映画の内容は、至ってシンプルなものだった。

 時代は近代、物書きが好きな一人の少女が母が亡くなったのを機に都会へと上京した。そこで出会った天才と称される詩人の青年と出会い、恋に落ちていくというものだ。そこから紆余曲折を経て少女が成長するお話であり、その点に関しては何の問題もなかった。

 

(……失敗した)

 

 目の前の光景に、俺は気まずくなっていた。

 スクリーンには裸の男女が映っており、ベッドの上で絡み合っている最中だったからだ。所謂濡れ場と呼ばれるシーンなのだが、これがまた濃厚なものとなっていて非常に困る。初めてのデートでこんな映画を見てしまっては、この後の雰囲気が悪くなりかねない。

 

(不味い。勃起してきた)

 

 ズボン越しに、自分のモノが大きくなっていくのを感じる。

 このデートに際し、俺は約二週間もの禁欲を自らに課していたのだ。それだけこの後の展開を楽しみにしていた訳だが、この場においてはそれが仇となった。隣の戌亥さんにバレないことを必死に祈りながら鎮めようとするも、どれだけ視線をそらしても音声のせいで余計に興奮してしまう。

 

(むっ、……なんだ?)

 

 何かが太ももに触れる感触があった。

 視線を下に向ければ、そこには隣から伸びた手が太ももから股間にむけてゆっくりと撫でていた。隣に座るのは戌亥さんしかいない以上、つまりはこの手は彼女のものになる。何を、と思いながら顔を向けるが、戌亥さんは変わらずモニターの方を見詰めたままだ。

 困惑する俺を尻目に、しかし手の動きは止まることなく、遂にはジッパーを探し当てると外しにかかった。

 

「い、戌亥さん!」

「しっ。大声出したら周りに気付かれてまうよ?」

 

 慌てて制止しようとすると、戌亥さんは耳元で囁きかけてきた。

 その吐息にゾクリとしたものを感じていると、チャックを下げ終えた戌亥さんの手がそのまま下着の中に侵入してくる。

 

「アハァー↑ やっぱり大きくなってるやん」

「そ、それは……」

「安心してええよ? わたしがちゃんと気持ちよくさせたげるさかい」

 

 そう言うなり、戌亥さんはズボンの中からペニスを引っ張り出した。

 そして視線は前を向いたまま、緩やかに上下へと扱き始める。

 

「ふふっ、セツナはんのココ、もうビンビンやねぇ」

「っ……!」

 

 嬉しそうに、戌亥さんは囁く。

 だが、俺も負けじと片手を伸ばして服越しに戌亥さんの胸を鷲掴みにした。

 

「んっ!」

 

 突然のことに驚いたのか、戌亥さんの身体が小さく跳ねる。

 しかし、それでも上下する手を止めようとはせず、寧ろこちらの反撃を受けてか更に激しく動かし始めた。亀頭から出る先走り汁によりグチャグチャと水音が鳴り始め、段々と射精感が高まってくる。こちらもVネックシャツの襟部分から手を突っ込み、ブラジャーをずらして直接揉みしだく。

 そうして我慢比べを続けるが、先に限界を迎えたのは俺だった。

 

「戌亥、さん。……そろそろ」

「んっ」

 

 俺がそうもらすと、戌亥さんはずいっと身を乗り出した。

 そのままペニスを口内に収めたかと思うと、舌を絡めながらジュルジュルと音を立てて吸い上げてきた。先ほどまでとは比べ物にならない快楽に耐えられる訳もなく、俺は戌亥さんの頭を両手で押さえつけるようにして喉奥に向けて精液を放った。

 

―――ドクンッ!

 

 どぴゅ!びゅー!

 そんな擬音が聞こえてきそうな勢いで発射された精液は、全て戌亥さんの口内へと注がれていった。普通なら咽るところを、戌亥さんは一滴たりとも零すことなく受け止め、最後には尿道に残ったものも残さずに吸い取ってから口を離した。ちゅぽんっと音を立てながら出てきた肉棒と唇の間には唾液が糸を引き、それがひどく淫靡な光景に思えた。

 荒い呼吸を整えながら戌亥さんを見れば、彼女はこちらに見せびらかす様に口を大きく開けた。その中にはまだかなりの量の白濁とした液体が溜まっており、我ながら呆れてしまう程の精液。戌亥さんはそれをごくんっ、という音が耳に届かせるように嚥下した。

 

「うっぷ。たくさん出たね。溜めすぎなんちゃう?」

「……すみません」

「謝らんでもええんよ? わたしがしたくてしたことやしね。それより」

「?」

「次は、ちゃんと、わたしのこ・こ・に出してね」

 

 妖艶な笑みを浮かべ、自分の秘所に当たる部分を指で示した。

 それがなにを意味するのか理解し、俺は思わず生唾を呑み込んだ。

 

 

 ◆

 

 

 映画館を後にした俺たちはモールの一階にある喫茶店で軽食を取り、次の場所へと向かった。

 どうやら戌亥さんが何か買いたいものがあるらしく、そこに付き合ってほしいと言われて付いて行った先にあったのは。

 

「あの、戌亥さん? ここは……」

「ランジェリーショップやけど」

 

 残念、下着店で間違いなかった。

 大学生の頃に彼女とのデートでランジェリーショップに連れて行かれて大変だった、と愚痴っていた友人がいた。その時は大変だなぁと他人事のように考えていたのに、まさか自分がこんなところに来るとは夢にも思わなかった。

 

「いや、流石に不味いって」

「ん? なにが?」

「女性同伴でも、男が下着の店に行くのは良くないでしょ」

「別にええんちゃう? わたしら付き合っとるし」

 

 俺の腕を掴んで離さず、戌亥さんは店内へと入っていく。

 膂力では敵わないので、俺は早々に諦めて戌亥さんに腕を引かれるがまま後に続く。

 

「店員さーん! 獣人用の下着ってどこですかー?」

「はい、ただいま!」

 

 戌亥さんの声に、近くにいた女性店員が駆け寄ってきた。

 そして一度俺を見て驚いた表情をしたが、プロ意識からか決して嫌な顔をせず対応してくれる。

 

「獣人用のものでしたら、こちらに並べてあるものになります。何かありましたら、あちらに居る店員にお申し付けください。私は少々席を外させて頂きますので」

「さよか。おおきに」

 

 俺は出来るだけ天井を見詰めながら、戌亥さんに続く。

 目的のエリアに来たのか、戌亥さんは俺の手を放すとハンガーラックを物色し始めた。その間にチラリと店内を見渡すと、幸いなことに店内には先ほどの店員の他に「研修生」の札を胸に付けた新人ぽい店員以外に女性の姿は見当たらない。

 

「セツナはん。どっちが好み?」

 

 戌亥さんは両の手に異なるハンガーを持ちながら訊ねてくる。

 右手には白色の上下セット、布地が薄く刺繍でデザインされ透明感を強調するランジェリー。

 左手には赤色の上下セット、素肌にレースを重ねたようなセクシーなランジェリー。

 どちらも戌亥さんに似合っていることは間違いないが、共通しているのは戌亥さんが俺を誘うことを目的に選んでいることだ。理性と本能の間で揺れ動くが、それでも俺はあえて第三の選択を口にする。

 

「い、戌亥さんが今どんなのを付けているのか分らないから選べません」

「成る程なぁ……セツナはんのスケベ」

 

 顔を赤らめながら言うと、戌亥さんも恥ずかしそうに呟く。

 そして持っていたハンガーをラックに戻したので、これで解放されると思っていると、戌亥さんは別のハンガーを手に取ってから俺の腕を掴んで何処かへと引っ張る。まだ何かあるのかと考えていると、やがて辿り着いた先は試着室の前だった。

 そのまま試着室のカーテンを開けて中に入り、再びカーテンを閉ざせば二人っきりの狭い空間の出来上がりだ。

 

「い、戌亥さん? 流石に、これは……」

「セツナはんが求めたんや。だから、責任取らなあかんよなぁ?」

 

 悪戯好きな笑みを浮かべ、戌亥さんはゆっくりと服を脱ぎ始めた。

 帽子やサングラスを外すと、順番にコートやシャツ、スカートといった衣類が床に落ちていく。

 そうすれば俺の目の前には下着姿となった戌亥さんの姿が露わになる。今日付けているのはネイビー色の、ショーツとブラジャーの組み合わせ。先ほど手にした赤と白に比べて非常にシンプルであり、花柄のデザインが縁に施されている。

 

「どう? 今のと比べて、これなんか」

 

 そう言って見せてきたのは、先ほど持ってきた下着。

 黒のショーツとブラジャーのセット、モノトーンながらに華やかな刺繍レースとシースループリーツが上品で大人な雰囲気を演出している。胸元には小ぶりのリボンとビジューが煌めき、繊細なキュートさをプラスする。更によく見ればショーツのサイドには紐があり、それが何を意味するか分からない俺ではない。

 これを戌亥さんが着ている姿を想像するだけで、滾ってくるのが感じられる。

 言葉にせずとも俺の気持ちが伝わったのか、戌亥さんが笑みを浮かべる。

 

「アハァー↑ 身体の方が正直やね。ならこれを試着して……あかん、サイズ間違うとる」

 

 どうやら急いで取ってきた為に、サイズを間違えたようだ。

 戌亥さんはこちらに背を向け、カーテンの隙間から頭だけを出して店員を呼ぶ。

 

「店員さーん!」

「はーい、ただいま。如何されましたか?」

「これ間違うて持って来てしもうたから、E70を持って来てくれへん?」

「えっ、あっ、はい。お客様、申し訳ありませんが私は研修生でして、見付けてくるのにお時間を頂くことになりますが、宜しいでしょうか?」

「構いまへん。お願いします」

 

 店員の去っていく足音が聞こえるが、戌亥さんは顔を戻さない。

 試着室を見渡せば「こちらは高性能な防音室となっております。お声がけの際にはカーテンを開けて頂くか、顔を外に出してください」と壁に掲示されている。これがあるから、戌亥さんはわざわざ頭だけを試着室の外に出したまま待っているようだ。

 とそこで、俺はある重大な事実に気が付いてしまった。

 

(Tバック、だと!?)

 

 カーテン側に顔を向けている以上、自然とこちらに背中を向けることになる。

 先ほどまでは前からしか見えていなかったから全然気が付かなかったが、戌亥さんが履いている下着は全くといっていいほどお尻が守られていなかった。いや、寧ろ強調するかのように露わになっている。幾度となく身体を合わせてきたが、こうして改めて彼女の臀部を眺めるのは初めてかもしれない。

 そう考えていたら、自然と手が伸びていた。

 

「―――ッ!」

 

 触れた臀部は、思っていた以上に肉付きがよく、そして柔らかかった。

 戌亥さんが驚いているのが分かったが、今さら止める気にはなれず、感情のまま行動する。

 

「ちょっ、セツナはん!」

「静かに。店員さんに気付かれるよ」

「お客様? 何かございましたか?」

「な、何でもあらへんよ。気にせんといて」

 

 気付かれないよう、戌亥さんは店員の対応をする。

 彼女が身動き取れないのをいいことに、俺はこの魅力的な臀部を堪能することにした。

 両の手を使って優しくなでたり、思いっきり鷲掴みしたり、時には軽く叩いたりと。その度に戌亥さんは身体をビクッと震わせながら反応するので、段々と楽しくなってきた。以前、おっぱいを揉みしだいた時もそうだったが、戌亥さんの身体は何処も彼処もエロいことが分かった。

 

「お客様、申し訳ありません」

「な、何かあったん?」

「お客様に該当する下着がまだ見付けられておりません。欠品はしていないと思いますが、探すのに手間取っておりまして……大変恐縮ではありますが、もう少しお時間を頂戴しても宜しいでしょうか?」

「か、かまへんよ」

 

 どうやら未だ時間がかかるようだ。

 ならばと、ショーツの紐を掴むと一気に足首までずり下した。

 

「ッ!」

 

 突然のことで、戌亥さんも驚きを隠せない。

 これには流石に慌てて顔を引っ込めようとするが、俺が片手を戌亥さんの背中に押し当てているせいで動けない。力ずくでやれば押し勝つことは出来るだろうが、下手に動けば店員たちに男を連れ込んでいる事実がバレてしまう。故に彼女は獣人本来の力を発揮できずにいる。

 

「戌亥さんも気持ちよくなろうか」

 

 残った片手で臀部を思いっきり引っ張れば、目の前には戌亥さんのアソコが晒される。

 ショーツという最後の砦を失った秘所が、まるで俺を誘うかのように薄っすらと濡れている。誘蛾灯に誘われる羽虫が如く、俺は戌亥さんのマンコに向けて舌を伸ばした。

 

―――ぴちゃっ

 

 水音が鳴る。

 それはまるで蜜のように甘く、病みつきになる味だった。

 本音を言えばむしゃぶりつきたい所を必死に抑えてゆっくりと、それでいて丹念に舐め上げる。奥から奥からと際限なくあふれ出る汁を嚥下しい続ければ、その度に戌亥さんの身体が震えているのが分かる。

 

(これならいけるか?)

 

 押さえていた手を外しても、戌亥さんが動く気配はない。

 気が付いていないのか、押し寄せる快楽に身動きが取れないのか、あるいは彼女も実は悦んでくれているのか。どっちか分からないが、こちらとしては好都合だ。

 一度口を離し、代わりに人差し指と中指を膣内に挿入する。

 表面上を舐めていただけだが、戌亥さんの中は軽々と俺の指を呑み込んでいった。

 中はとても熱く、あふれ出る蜜が指に絡み、それでいて指を放さないとばかりに締め付けてくる。ここにペニスをぶち込んだらどれ程気持ちいだろうかと想像しながら、戌亥さんを絶頂へと導くべく激しく指を動かす。

 

「ッ! ゥ! ンンッ!!」

 

 声を抑えながらも、必死に堪えているのが伝わってくる。

 もう少し楽しみたいところだが、これ以上は流石に店員が来そうなので、最後に陰核を思いっきり吸い上げた。

 

「~~っ! ~~~~っ!!!」

 

 一際大きく身体を震わせ、戌亥さんは絶頂を迎えた。

 余韻に身体をビクつかせていると、パタパタと誰かが近付いてくる音が聞こえてきた。

 

「お客様お待たせしました。……どうかされましたか?」

「なっ、何でもあらへんよ。気にせんといてくれ」

「そうですか。それでは失礼しますね」

 

 そう言って店員さんは再び去っていく。

 何とか誤魔化せたことに安堵していると、下着を受け取った戌亥さんが姿勢を戻し、恨めし気にこちらを見詰めてくる。

 

「セツナはん、バレたらどないする気だったん?」

「その時は二人で逃げるかな」

「むぅ……それで、その手に持ってるもんを返して欲しいんやけど」

 

 戌亥さんの視線が、俺の右手に向けられる。

 そこにはネイビー色の布切れ―――使用済みの、戌亥さんのショーツが握りしめられている。

 

「んー……ダメ、返さない」

「ちょっ!」

 

 そのままポケットに仕舞い込む。

 戌亥さんが取り返そうとしてくるのを阻み、ブラジャーの上からおっぱいを掴む。

 

「んっ! こ、これ以上されたら我慢できなくなってまう」

「こうした方が興奮できるでしょ。この後のお楽しみのために」

 

 こくり、と頷いたので手を放す。

 試着室の外に人影がないことを確認し、俺は試着室を出てそのまま店の外に向かう。

 暫くして、お店の紙袋を持った戌亥さんが出てきたが、恥ずかしそうに頬を赤らめている。

 この後の展開に胸が高鳴るのを感じながら、俺は彼女を連れて歩き始めた。

 




今回の内容は如何だったでしょうか?
サブタイトルから分かる通り、こちらは前後編となっております。
本当は一話にまとめる予定だったのですが、そうしようとすると一万字を軽く超えてしまうため、やむを得ず二話に分割しました。因みに後編はお昼ごろに投稿する予定です。


またアンケートにお答えいただき、ありがとうございます。
実を言うと、他のライバーを絡ませる展開を考えていたので多くの方が「OK」を選んでいて良かったです。一応言っておきますが、手当たり次第に登場させるつもりはなく、数人程度に済ませる予定ですのでご了承ください。



最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

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K-4:逢瀬(後)

どうも、私です。
先ずはお気に入り登録してくださった方と評価してくださった方へ、この場を借りてお礼申し上げます。誠にありがとうございます。皆様のおかげでUAは一万ポイントを超え、日間ランキングにて一位を獲得することが出来ました。

その際、軽い気持ちでTwitterに投稿しました。
反応もあんまりなので、そんなものかと思っていたら如実に表れていました。
その日の内に登録者が30人も増えており、ちょっと唖然としました。
それだけ多くの方に気に入って頂けたのは歓喜しましたが。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。



 買い物を終え、俺と戌亥さんはモールの外に出てきた。

 空は先ほどまでと打って変わってどんよりとした灰色の雲で覆われており、しとしとと雨が降り注いでいる。天気予報だと今日一日快晴とのことだったので折り畳みを含めて、傘の類は持って来ておらず、ここから目的地まで歩いて十分くらい掛かってしまう。

 

「雨降るって予報じゃなかったんだけどな」

「………」

「まぁ、これぐらいならびしょ濡れにはならないかな」

「………」

 

 俺が声を掛けても返事は返ってこないが、それも無理からぬこと。

 何せ、今の戌亥さんはスカートの下に何も履いていない――ノーパンの状態なのだから。

 スカートの丈が長ければ多少の風が吹いたところで問題ないかもしれないが、彼女が履いているのは膝上までしかないタイプ。階段を昇れば下から覗かれる恐れがあり、駆けようものならスカートが翻って下が露わになってしまう。故に彼女はゆっくりとした足取りでしか進めず、こうして俺の腕にしがみつきながら怯えるように歩いている。

 俺は少し強引に腕を引き、戌亥さんに早歩きをさせる。

 

「ほら、そんなに遅いとびしょ濡れになるよ」

「あっ、あかんっ! あんまり早くしたら見えてまうっ!」

「大丈夫だって、こんな街中でノーパンで歩いている人が居るなんて誰も思わないから。ああ、もし見られたらなんて思われるかな? HENTAIなんて後ろ指を指されるかも。いや、それが男だったなら無理やり人目のない路地とかに連れ込まれて穴という穴を犯されるかもしれない」

 

 そう耳元で囁けば、ぶるりと身震いをする。

 もちろん、そんな不埒な輩が現れれば黙っている俺ではない。別に柔道の有段者でもベルトの保持者でもないが、だからと言って自分可愛さに最愛の人を差し出すような腑抜けでもない。

 

「い、いやや。セツナはん以外に見られるのも触られるのも」

「大丈夫。そんなことさせないから」

「ホンマに?」

「約束する。戌亥さんのふっくらとした唇も、綺麗なおっぱいも、引き締まった腰回りも、肉付きの良いお尻も、毛深いアソコも。そして、この奥に精液を流し込んで孕ませるのも、全部俺だけのものだ」

「……ぇん!」

 

 ぎゅっと強く抱き着かれ、戌亥さんの顔が胸に埋まる。

 ドラマなら感動的なシーンかもしれないが、いつまでもこうしている訳にもいかないので止まっていた足を進める。

 

 

 ◆

 

 

 十分ほど歩いたところで、目的地に到着する。

 そこは人けのある大通りから離れた裏手、まだ夕方だというのに怪しく輝くネオンの看板が妖しい雰囲気を醸し出している。ここに居るだけで何を目的としているかは明白であり、自分たちと同じように人目を避けるようにして建物の中に入る男女が何組かいた。

 

「戌亥さん、そこの雨避けの所で待っていてもらえる?」

「何でなん?」

「そこのコンビニで買ってきたいものがあるんだ」

 

 明らかにホテル御用達、と云わんばかりの怪しい店がある。

 そこで使い捨てのコンドームや精力剤に媚薬を始めとする必需品を購入することが出来る。少し割高だが。

 

「嫌や! わたしはセツナはんと一緒に居りたい」

「直ぐに戻るから。ちょっと、男の矜持というか、戌亥さんに見られると恥ずかしいから」

「うぅぅぅぅぅぅ……3分で戻ってきて」

「ダッシュで終わらせます」

 

 戌亥さんの頭を軽く撫でてから、一人で店内に入っていった。

 さっさと必要な代物――強力精力剤を持ってレジにて会計を済ませると直ぐに小瓶の中身を飲み干す。そうして意気揚々と店を出たところで、俺の目の前に驚きの光景が飛び込んできた。別れて2分ほどしか経っていないのに、戌亥さんに声を掛けている男がいたのだ。一瞬、知り合いかとも考えたが、戌亥さんの表情からそうでないことが分かった。

 

「なぁなぁ、いいだろ? あんなオッサン放っておいて、俺と楽しもうぜ」

「しつこい。疾く去ねや」

「そんなつれないこと言わないでさ。俺、こう見えてもテク良いんだぜ」

 

 やはり、ただのナンパなようだ。

 俺が戻って諦めてもらおうと思うより早く、戌亥さんの我慢が限界を迎えた。

 

「じゃかぁし~いっ! ぶちころがすぞ、ワレェッ!!」

「ひぃっ!?」

 

 犬歯を剥き出しにして威嚇する戌亥さん。

 その迫力は並大抵のものではなく、それを真正面から受けたナンパ男が腰を抜かすには十分すぎるものだった。

 これ以上は流石に不味いと判断し、男の横を素通りして、戌亥さんの腰を抱き寄せる。

 

「ごめんな、若い人。彼女、俺に首ったけだからさ。諦めて帰ってくれ」

「は、はひぃぃぃぃっ!」

 

 情けない声を漏らしながら、男は這々の体で逃げていった。

 まったく、と呆れながら戌亥さんを見下ろせば、彼女はとても複雑そうな表情で見上げてきた。

 

「せ、セツナはん、今の聞いとったん?」

「急いで戻ってきたから、まぁ……聞いてはいた」

「そ、そうなんや。……幻滅した?」

「全然そんなことないよ。嫌なことがあれば、誰だって怒るんだから」

 

 それに、と言って彼女の手を、俺の股間部に触れさせる。

 そこには準備万端と云わんばかりに大きくなったものが、ズボン越しに存在感を放っている。

 

「嫌だったら、こんなんにならないよ」

「……あ、あほっ!」

 

 ぽかり、と軽く胸を叩かれる。

 それが照れ隠しであることなど一目瞭然で、戌亥さんは嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

 

 ◆

 

 

 ホテルの受付は無人式を採用しており、フロントスペースにある受付端末を操作する。

 部屋を指定して受付を済ませれば、脇にあるケースからカードキーが出力されるので受け取る。この辺りはホテルと何ら変わらないシステムなので特に問題はなく、俺は静かになった戌亥さんを連れてエレベーターに乗って目的の階まで昇り、指定された部屋を目指す。

 部屋の鍵を開け、彼女の後に続いて室内に入る。

 先に入室した戌亥さんが着ていたコートを脱ごうとしている。

 

「戌亥さん」

「なに……んぅっ!?」

 

 振り返った彼女の唇を奪えば、バサッとコートが床に落ちる。

 それも唇を合わせるだけの軽い物ではなく、舌を絡ませるディープなものだ。いきなりのことに驚いた様子だったが、戌亥さんも直ぐに応えるように舌を絡ませてくる。唾液を交換し合うような激しい口づけを交わしつつ、戌亥さんのスカートの中へと手を入れる。下着を着けていないそこは熱を帯びており、既にぐしょ濡れになっていた。

 

「もう我慢できない。入れるよ!」

「ぇん!」

 

 戌亥さんの両手を扉に付かせ、スカートを捲り上げる。

 そこには白桃の様なヒップと桜色の膣肉が露わになり、ヒクヒクと痙攣しているのが見えた。俺もジーンズとトランクスを脱ぎ捨てると、既に愛液でドロドロになった戌亥さんのクレヴァスへとペニスを一気に突き立てる。何の抵抗もなく呑み込まれ、そのまま最奥の子宮口をノックすれば戌亥さんは身体を大きく仰け反らせた。

 

「んひぃっ! お、奥まで届いてるっ! おっきいのが奥に当たってるぅっ!!」

「まだだよ、戌亥さん!」

 

 ぎりぎりまで腰を引き、再び一気に押し込む。

 パンッ!パァンッ!と肉同士がぶつかり合い、立ちバックからの抽送によって柔らかな尻肉が波打つ。

 服すらろくに脱がず、部屋の入り口部で、最高な身体を持つ女性を思うがまま貪る。

 

「ふん、ふんっ! そんなに欲しかったんですか!?」

「あんっ、あっ、やぁっ! ずっと、挿入れて欲しかったんやもん!」

 

 そんなこと言われて、滾らない男はいない。

 より激しく腰を動かしまくれば、滴る愛液が床のカーペットに幾つもの染みを作る。

 更なる快楽を得るために戌亥さんの背中に覆い被さるようにして密着し、背後からTシャツを捲り上げて胸を揉めばブラジャー越しにでも分かる大きな膨らみに指を食い込ませて感触を味わっていく。

 

「はぁああっ……ん、そんな…強くぅ…うぅんっ!」

 

 揉まれる度に締め付けが強くなっていく。

 ペニスの締め付けをより深く味わうように腰を揺らし、かき回す様に動かしながら堪能する。

 そうしながら邪魔なブラジャーを下へとずらせば、固くなった乳首が自らを主張している。それはまるで摘まんでくれと言っているように感じられ、お望みのままにとギュッと両方の乳首を同時に摘まむ。

 

「んぅうう…やぁ…摘まんじゃ…あぁ、あ、あ、あ❤」

 

 一際高い声で喘ぐ。

 俺も自身の限界を感じ、ラストスパートをかける。

 

「い、いくよ。戌亥さん!」

「ぇん! んぁあああああっ!!❤」

 

――ブビュ! ブビュルルルルルッ!!!

 

 膣内の最奥で一気に爆ぜ、白濁の液が濁流となり吐き出される。

 昼間に一度出したとは思えないほどの精液を叩き付けられ、同じく絶頂を迎えた戌亥さんも身体を震わせる。やがて最後の一滴まで注ぎ終えたのを感じ、ゆっくりとペニスを引き抜けば、栓を失った秘所からはどろりと精液が溢れ出して来る。

 俺という支えを失った戌亥さんは扉にもたれかかり、大きく肩で息をしていた。

 

「戌亥さん、ベッドに行こうか」

「……ん」

 

 彼女の身体を抱え、そベッドへと移動する。

 柔らかなベッドの上に戌亥さんを横たわらせ、残っていた彼女の衣類も脱がしにかかる。戌亥さんはされるがまま全裸となり、その裸体を惜しげもなく晒してくれる。それだけで先程射精したばかりだというのに、既にペニスは再び固く勃起していた。

 彼女の両足の間に入り込み、濡れそぼった小陰唇へと亀頭を宛がう。

 

「戌亥さん、まだ満足できない」

「ふぇ? あ、あぁああっ…❤」

 

 戌亥さんの口から甘い声がもれる。

 うっすらと精液と愛液をまとった膣孔を、じゅっぽ、じゅっぽと粘液交じりの音と共に擦っていく。先ほどまでの激しい動きとは打って変わり、今度は味わうかのように、それでいて刻み込むように動かす。今度は上向きになった乳房がぷるん、ぷるんと円を描くように揺れ動くさまはとても淫靡だった。

 

「んっ、く、ぁ……セツナはん」

「戌亥さん?」

「ん、んぅ……んっ。き、キスしてぇ」

「いいよ」

 

 求められるままに唇を重ね、舌を絡ませ合う。

 お互いの身体の間で潰れるおっぱいの感触を味わいながら、腰を止めることなく貫く。

 そろそろゆっくりとした動きに飽きてきた頃、俺は一度身体を離し、今度は戌亥さんの両足首を掴むとグイッと頭の方に持ち上げる。さならがアルファベットのVのような体勢を取らせ、そこへ上から叩き付けるように腰を激しく打ち付ける。

 正常位から種付けプレスへと体位を変え、子宮口を貫かんばかりの勢いでピストン運動をする。

 

「あぁ…、あぁっ❤ そんな、激しぃっ!」

「そんなこと言いながら、本当は好きでしょ! ほら、もっと欲しいって言って!」

「うん、これ、好きぃっ! 奥まで届くん、気持ちええんよぉっ!!」

「じゃあ、好きなだけあげるよ!」

「ああぁぁぁぁっ!! イク、イっちゃ…、う――うぅううううっ!」

 

 ビクンッと大きく身体を震わせ、と結合部から愛液を吹きだす。

 噴き出した愛液が下腹部を濡らし、それが何か理解できた俺はにやりと笑みを浮かべた。

 

「潮まで吹いて……そんなに気持ち良かったんだ」

「フゥー、フゥー」

 

 ただ荒い呼吸を繰り返し、絶頂の余韻に浸っている。

 しかし、俺が絶頂てない以上、ここで止める気にもなれず腰の動きを再開する。

 

「まっへ……わ、わたし、いま、イッたばかりで」

「大丈夫。もう少しだから」

 

 ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!

 激しく抽送すれば肌を打ち付ける音と、膣内から漏れ出る水音が部屋に響き渡る。

 

「あかんっ、あかん! ま、またぁ……あぁああっ!」

「うぐっ…うぉおお! 孕め、とこッ!!」

 

 再び訪れた快楽の波に抗うことが出来ず、二度目の絶頂を迎える戌亥さん。

 だが、それと同時に柔らかな膣肉が俺のペニスを強く締め付け、根を上げた俺もまた果てた。

 

「あっ……出とるぅ……ん❤」

 

 びゅーっと熱いものが注がれていく感覚に、戌亥さんは嬉しそうな表情を見せる。

 流石に連戦は堪えたので、マンコからペニスを引き抜いた俺は彼女の横に転がって一息つく。

 

「つ、疲れた」

「ふふ、お疲れ様やね。セツナはん」

 

 そう言う戌亥さんの声には疲労の色が見えるものの、その顔はどこか幸せそうだった。

 お互いに汗だくとなり、シャワーを浴びたい気分だったが、それよりも今は眠気が勝っていた。

 

「少し寝てええで」

「けど……」

「大丈夫やさかい。時間はまだあるし、何処にも行かへんから」

「おやすみ、戌亥さん」

「おやすみや、セツナはん」

 

 そして俺達は抱き合ったまま眠りについた。

 

 

 ◆

 

 

「んー! 気持ちよかった!」

 

 時刻は夜の九時過ぎ、俺と戌亥さんはホテルを後にした。

 あれから軽く仮眠してから一緒にお風呂に入り、そこでも半身浴のような状態で一戦交えた。そして風呂を上がって休んでいたら戌亥さんが新しく購入した下着姿で現れたのだが、これまた非常にエロかったのだ。

 物としては黒色のレースの刺繡が入っていたのだが、ブラジャーとショーツにはそれぞれ縦の大きなスリットが入っていた。そうなれば乳首もマンコも丸見え状態となり、もはや下着としての機能を放棄していたのだ。それは雄を誘惑するには十分すぎる程の効力を発揮し、つまりは興奮した俺は彼女をベッドに押し倒すと5回戦にも及ぶぐらいハッスルしてしまった。

 その結果、俺は久しぶりの腰痛に悩ませられることになったが、予め精力剤を飲んどいて本当に良かった。これで彼女を満足させられなければ、男として失格だっただろう。

 

「セツナはん、今日はおおきに」

「俺も、久しぶりに楽しい休日が過ごせました」

 

 純粋なデートとは言い難かったけど、それでも楽しかった。

 正直、このまま別れるのは名残惜しいと思う程には充実した一日であった。

 

「今度は何処に遊びに行こか?」

「そうですねぇ……」

 

 などと話しながら歩いていると、後ろから声がかかった。

 

「い、いにゅい?」

 

 その声に後ろを振り返れば、そこには二人の人物がいた。

 一人は見事なまでの赤毛をした中性的な顔立ちの人物、失礼ながら一瞬性別が分からなかったが、スカートを履いていて生足を晒していることから女性と判断できる。これでもし男だったら、俺は自分の人を見る目がなかったのだ。

 もう一人は、これまた人形のように見目麗しい白色の髪をした美少女。二人とも初対面であるはずなのに、どういう訳か彼女に関しては何処かで見たことがあるような気がする。テレビか何かだっただろうか。

 

「アンジュはん。それにリゼまで」

 

 戌亥さんが、それぞれの名前を口にする。

 つまり、二人とも彼女の知り合い――友人なのだろうか。

 

「戌亥さん、彼女たちは?」

「あー、二人ともわたしの同僚、みたいなもんやねん」

「い、いにゅい? その、お隣のだ、男性は?」

 

 赤髪の女性に問われたので、俺は姿勢を正して一礼する。

 

「初めまして、自分は戌亥さんとお付き合いしている立実セツナと言います」

「あっ、ウチ……私はアンジュ・カトリーナと言います」

「リゼ・ヘルエスタです」

 

 さて、無事に自己紹介が済んだところでどうしよう。

 お互いに詳しい話をといきたいところだが、これから話し合いをするにはあまりに時間が遅すぎる。それに何より今俺たちが居るのは裏手のホテル街、こんな場所を見られようものなら変な勘繰りを受けかねない。それはお互いによくはないのだから、やはり日を改めるべきだ。

 

「後日、また時間と場所を選んで会いませんか?」

「えっ、あぁ……そうですね。その方がいいと思います。リゼもそれでいい?」

「……うん」

「連絡は……戌亥さんを経由で宜しいですか?」

「はい、お願いします」

 

 そうして俺たちは、彼女たちと別れた。

 折角の楽しいデートだったが、最後の最後で何やら波乱の予感が感じられる。




今回の内容は如何だったでしょうか?
前話も含めて変態でエロい話をというのを念頭に書いたつもりでしたが、ちゃんとなっていたでしょうか。後半にて彼女をホテルの前に残して買い物をするシーンがありますが、あれは戌亥さんのキレるところを書きたいが為にやりました。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

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K-5:覗見

補足:獣人は基本的に子供が出来難い体質です。
   同族同士であっても確率は十パーセント未満であり、これが他種族が相手となれば確率は更に下がって一桁にまで落ちる。(1周期で妊娠する確率は20~30%が平均)。
   ただし、発情期になると確率は七十パーセントを超える。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


 週明けの月曜日。

 それは学生を卒業して社会人となった誰しもが憂鬱に感じる日、果てのない労働への気後れにこのままサボって家に帰るか何処か遠くへ行きたいと思ったこと一度や二度ではないだろう。しかし、実際には生きていくために仕事を失う訳にはいかず、こうして頭の中で現実逃避しながら会社に出勤するのだ。

 

「おはようございます」

「おはようさん」

「おはよー」

 

 持っていた荷物を自身のデスクに置き、今日の予定やメールの確認などを行う。そうしてチェックを行っていると、同僚の東山が何やら週刊誌を手にこちらへと近付いてきた。

 

「おう、立実。週末はどうだったんだ?」

「東山か」

 

 先日のデートで例の映画を勧めてきたのはコイツだ。

 このにやついた顔からして、どんな内容の映画か知った上で教えてきたに違いない。

 

「おかげで、楽しい一日を過ごせたよ」

「何だよ、ハプニングとか期待してたんだけどな」

 

 つまらなそうに、東山はそう答える。

 コイツは決して悪い奴ではないのだが、二週間ほど前に付き合っていた彼女に浮気されて別れたばかりなのだ。そんな状況下で俺に彼女が出来たと知った際には発狂していたから、今回のもあわよくば振られてしまえとでも考えていたのだろう。

 

「それで、雑誌なんか手にしてどうしたんだ?」

「ん? ああ、これか」

 

 ほいっ、とあるページを見せてくる。

 そこには魔界にある一国家の皇女の特集が組まれており、内容としてはネットでアイドルしながら祖国の大使として精力的に活動しているというものだった。未だ十代なので日本国における立場は学生だが、卒業後も国に返らずに居住権も獲得して残ることを明言しているらしい。

 いや、それより俺が気になったのは彼女の写真だった。

 人形のように見目麗しい白色の髪に紫色の輝きを放つ青玉のような瞳を持った美少女。

 その名は――。

 

「リゼ・ヘルエスタ」

 

 先日の夜、出会った少女と同じものだった。

 彼女の顔を何処かで見たことがあると思っていたが、ヘルエスタ王国の第二皇女だったらしい。

 

「いやぁ、可愛いよなぁ。こんな子と付き合えたら最高なのに」

 

 うっとりとした表情を浮かべる同僚。

 コイツには絶対に、話題の人物とオフで会う予定があるとは決して伝えないことにする。言えば騒ぎ立て、家まで押し掛けかねん。

 

「っと、メールか」

 

 スマホが振動し、メールの着信を通知する。

 確認すれば差出人は恋人――戌亥とこさんからだった。

 

『おはようさん。例の話し合い、今度の週末なんかどうですか?』

 

 今週末なら仕事を頑張れば、何とかなりそうだ。

 さて、次に問題なのは会談するのに何処でやるべきかだ。

 

『問題ありません。どこで会いましょうか?』

 

 あまり堅苦しい内容の話ではない。かといって、居酒屋のようなところで話すのは流石に違う気がする。そうなると、有名人が集まっても騒ぎにならないようなカフェとかファミレス辺りを選ぶのが無難だろうか。

 そんなことを考えていると再び彼女からのメッセージが届いた。

 

『提案なんやけど、セツナはんのお家はどうやろか?』

『俺は別に構いませんが、彼女たちは大丈夫でしょうか? 男の家に上がり込むというのは』

『多分やけど、大丈夫やと思う。わたしが居んのに、ちょっかいを掛けるとは思えへんから』

 

 随分と信頼されているようだ。

 戌亥さんがそう言ってくれるのなら、俺は特に反対する理由もないな。

 

『分かりました。それなら場所は俺の家で、紹介も兼ねた食事会なんてのはどうですか?』

『ならわたしが手料理をふるまうって言えば、二人も喜ぶさかいに』

 

 また彼女の手料理が食べられるようだ。

 そのご褒美を胸に、今日もまた仕事に励むことにしよう。

 そう思いながら、俺は再びスマホを操作して彼女に了解の旨を伝えた。

 

 

 ◆

 

 

 そうして迎えた週末、約束の日なった。

 今日は朝起きてから家の中を大掃除とまではいかないが、それなりに綺麗にしておいた。ソファを壁際に寄せて空間を作り、リビングの真ん中に元々あるダイニングテーブルにくっつけるように折り畳み式のテーブルを準備する。

 そうして準備を終えた昼過ぎには戌亥さんが買い物袋を手に家に来た。どうやら料理は全て手作りするらしく、その準備をするために早めに来たとのことだった。

 

「戌亥さん、今日は何を作る予定なんですか?」

「んー? パエリアとガーリックスープ、後は鶏手羽先の塩焼きにするつもりやで」

「何かお手伝い出来ることはあります?」

「気持ちだけ受け取っとくわ」

 

 今日はスペイン料理のようだ。

 別に料理は得意ではないなりに何か手伝おうと思ったけど、戌亥さんは苦笑気味に応えて準備を始めた。自前のエプロンを付け、買い物袋から食材を取り出して調理を開始する。

 

「~♪」

 

 鼻歌交じりに、料理を進める戌亥さん。

 その後ろ姿は実に楽しそうであり、見ているだけで俺の心が癒されていくようだった。

 

「戌亥さん、今日はどうしてスペイン料理を?」

「あー、リゼはそうでもないけど、アンジュはんは偏食気味やねんな。野菜は結構な種類が嫌いやさかい、食べられる物も自然と限られる。けど、これなら全員が食べられるから」

「成程」

 

 俺の彼女は気配り上手である。

 そうして椅子に座り、ダイニングテーブルに頬杖をしながら戌亥さんの後姿を見詰める。前回のデートの時はスカートを履いていたけど、どうやら今日はジーンズに、清潔感のあるリネンシャツというラフな格好をしていた。いつものおさげではなくポニーテールに纏め、頭部では長い獣耳がピコピコと動いている。

 そんな姿も良いなと思いつつ、視線がついついお尻へと向かってしまう。あのむっちりとした肉付きの良い臀部はジーンズ越しにも存在感を醸し出しており、とても魅力的だ。

 

「……ゴクッ」

 

 思わず喉が鳴る。

 いや、今日はこれから人があるのだから流石に不味い。我慢しなければならない。

 だけど、このままの状態で他の女性の前に出てしまえば、意図せず彼女らに不快感を与えてしまうかもしれない。

 なら、ここは一つ……。

 

「戌亥さん」

 

 俺はそろりと席を立ち、戌亥さんを後ろから抱きしめた。

 突然の行動に彼女は驚いた様子だったが、特に抵抗することなく声を掛けてくる。

 

「どないしたん、セツナさん」

「……すみません。我慢、できなくて」

 

 そう言って、彼女のジーンズの上からお尻に勃起したペニスを押し付けた。

 服を着てもなお隠し切れない柔らかさと温もりに、俺の興奮は更に高まっていく。

 

「悪い人やね。料理しとる時に悪戯したら駄目って言われへんかった?」

「ご、ごめんなさい」

「好きにしたらええで。アンジュはんたちなら後三十分は掛かるだろうし、わたしは料理の続きがあるから何もしてあげないけど」

 

 そう言って、戌亥さんは料理を再開した。

 勝手な勘違いでなければ、俺が彼女の身体を欲望のまま堪能しても構わないと言った。

 なら、欲望に素直になろう。

 

「戌亥さん」

 

 目の前の項にキスを落とし、前に回した手を胸に当てる。エプロンの上から撫でるように、柔らかなおっぱいの感触を楽しむ。それに戌亥さんがむず痒そうに身じろぎをするのを感じながら、俺はゆっくりと彼女の首筋に舌を這わせる。真っ白な肌を見ていると無性に穢したくなり、吸い付くと戌亥さんがピクンと震えた。そのままヂュッと音を立てて強く吸えば、白い肌に綺麗な赤い痕が残る。

 この人は俺のものだと、自分の所有物に名前を書くような行為に酷く昂っていた。

 

「はぁ、はぁっ……」

 

 自然と、息が荒くなる。

 戌亥さんは変わらず調理を続けていたけど、頬や耳が赤く染まっている。

 もっと彼女の調子を乱したいと思い、今度は服の中に直接手を入れ、ブラジャーの隙間から手を突っ込む。生乳を直接揉みししだいてみれば、手の平の中で乳首が固くなっていくのを感じることが出来た。その先端を人差し指の腹で擦り、軽く摘まんでみる。

 

「んっ……あ、ふぅっ……」

 

 戌亥さんの口から甘い吐息が漏れる。

 その声を聞いているだけで、俺は股間が熱くなって仕方がなかった。

 彼女も俺と気持ちは同じらしく、自分のお尻を擦り付けるように俺の股間を刺激してきた。

 

「こっち向いて」

 

 顔だけを振り向かせ、そのまま唇を合わせる。

 啄むように軽いキスを繰り返しながら、片方の手をブラジャーから抜いて下へと這わせる。ジーンズのボタンだけ外し、そのままショーツの中へと手を差し込む。触れた秘所は軽く湿っている程度だったが、俺が指先で割れ目を何度かなぞってから膣内に差し込んで刺激すれば、すぐに愛液が溢れ出してきた。

 中は狭く窮屈だったが、構わずに指を動かして掻き回す。

 グチュッグチャッと卑猥な音が響き渡り、戌亥さんがビクビクと腰を震わせていた。

 

「戌亥さん、そろそろ……」

「……ぇん」

 

 そろそろ本格的に始めようとした矢先。

 

――ブーブー。

 

 台所に置かれた戌亥さんのスマホが振動し、着信を告げてくる。

 液晶画面に名前が表示されていることから電話と分かり、何と魔の悪いことかと少し残念な気持ちになる。

 

「電話、出ようか」

「……」

「カトリーナさんからかもしれないから」

「……ん」

 

 不満げに、戌亥さんはスマホを手に取る。

 流石に俺も空気を読んで服から手を抜き、一歩だけ下がって様子を窺うことにした。

 暫く相手と何か話してから電話を切り、戌亥さんは俺の方を向き直って小さくため息を吐いた。

 

「二人とも、後十分ほどで到着するって」

「なら、仕方がないね」

 

 どうやらお預け決定のようだ。

 俺は大人しくテーブルに戻り、料理が出来るまでの間スマホでも弄りながら待つことにする。

 

 

 ◆

 

 

 電話の通り、十分ほどで来客が到着した。

 我が家に招き入れればカトリーナさんとヘルエスタさんは、やはりほぼ初対面の男の家に上がり込むことに緊張しているのが分かる。先程から玄関口でキョロキョロと見渡している。

 

「ようこそ、我が家に。狭いところだけど、寛いで貰えると助かる」

「こっ、こちらこそお招き頂きありがとうございます。これ、気に入っていただけると幸いです」

 

 そう言って、ヘルエスタさんは持参した紙袋を手渡してくる。

 上から中を覗いてみれば、どうやら珈琲か何かの詰め合わせのように見える。

 わざわざ買ってきてくれたのだろうか。

 

「ご丁寧にありがとうございます。立ち話も何ですし、中にお入り下さい。」

 

 出しておいたスリッパに履き替えてもらい、二人をリビングへと案内する。すると戌亥さんが台所から顔を覗かせて来た。

 

「いらっしゃい。早かったね、二人とも」

「うん。アンジュが地図アプリで案内してくれたから大丈夫だったよ。駅からもそう入り組んだ場所になかったし」

「へぇ……そら良かったね」

「あれ、戌亥? 何か、怒ってる?」

「んー? 全然、怒っとらへんよ」

「え、ホントに?」

「ほんまにほんま」

「……?」

 

 戌亥さんの言葉に、不思議そうな表情を浮かべる女性陣二人。

 つい十分前まで俺と戌亥さんがここで乳繰り合っていた事実を知らないのだから、分からないのも無理はない。

 

「わたしは手が放せんさかい。三人でお話でもしたってて」

「お二人とも座ってください。飲み物を出しますから」

 

 座った二人の前に、それぞれ飲み物を出す。

 戌亥さんに教えられた通り、ヘルエスタさんは珈琲を、カトリーナさんにはオレンジジュースを選択する。因みに俺の分はお茶だ。

 

「では改めまして、立実セツナです。歳は今年で30になりまして、都内の企業でシステムエンジニアとして勤務しています。えーと、戌亥さんとお付き合いしております」

「ご丁寧な挨拶、恐れ入ります。私はリゼ・ヘレエスタと言います。とこちゃ……戌亥さんとは、隣にいるアンジュと同じ企業所属のV-idolとして活動する同期になります。未だ未成年ですので、普段は学校に通っています」

 

 俺の挨拶に対して、ヘルエスタさんが答える。

 仮にも一国の姫様と獣人の接点がよく分からなかったが、なるほど同じV-idol仲間なら納得だ。あれは種族や性別、国家の枠すら越えて人気を獲得しているコンテンツだし。

 

「ちょっと、次はアンジュの番だよ」

「えっ!? あっ、すみません。えー、私はアンジュ・カトリーナです。リゼとは年の離れた幼馴染でして、本業はこれでも錬金術師になります」

 

 錬金術、確か化学の一分野だとか。

 俺の記憶違いでなければ彼女が首から下げているのは、ごく限られた者のみが着用を許された国家錬金術師のペンダントだったはず。おそらく俺より若いだろうに、そんな難しい資格を持っているなんてかなり努力したに違いない。

 お互いに簡単な自己紹介を終えた所で、最初に口を開いたのはカトリーナさんだった。

 

「その、立実さんは戌亥といつから交際を?」

「……大体一ヶ月程前からですかね」

「へ、へぇ……因みに、出会った経緯は?」

「一人で月見酒してたら、戌亥さんが降って来たんです」

 

 我ながら意味が分からない説明だ。

 そこは二人もそうだったらしく、仲良く首を傾げている思わず苦笑いを浮かべながら、あの日にあったことを話す。もちろん、出会ったその日にセックスまでしてしまった事実は伏せておくが。

 

「いにゅい!? そんなことしたんか!」

「一ヶ月前って、そうだ! とこちゃん、収録が終わってビルから出るなり跳んで行っちゃった時のことだ! あれって立実さんの家に襲撃してたからなの!?」

「いやー、衝動が押さえきれんくて」

 

 二人は大分驚いた様子で、戌亥さんの方を見た。

 そのまま和気藹々と話す三人の様子に、普段から気兼ねなく話せる仲の良い友人であることが見てとれた。

 

「何か、すみません。うちの同期が迷惑を掛けて」

「最初こそ驚きましたけど、そのおかげでこうして素敵な恋人が出来たんですから感謝こそすれ迷惑だなんて微塵も思いませんよ」

 

 そう言って戌亥さんの方を見れば、彼女は恥ずかしそうに視線を反らした。ただ、尻尾は喜びを表すように揺れている。

 それから暫く他愛もないお喋りに花を咲かせ、出来上がった戌亥さんの料理に舌鼓を打ち、無事に食事会は進んだ。

 

 

 ◆リゼ視点

 

 

「今日はごちそうさまでした」

「また来てくださいね」

「お邪魔しました」

 

 夜、と言っても未だ時刻は20時。

 帰り支度を済ませた私はアンジュと一緒に玄関先に立ち、見送りに来てくれた立実さんに別れの挨拶をする。とこちゃんは未だ片付けがあるから残るらしく、私とアンジュだけが先に退散することになった。本当はもう少し一緒にいたかったけれど、流石に男の人の家に長居するのは色々と宜しくない。

 

「お二人さん、またね~」

「機会があったら、また遊びにきてください」

「はい! また来させて貰います!」

「とこちゃんも、また配信で」

「ぇん!」

 

 そうして扉は閉まり、私たちはマンションを後にする。

 駅までの夜道をお互いに無言のまま並んで歩いていたけど、どちらからともなく話し始める。

 

「良さそうな人、だったね」

「そう、やね」

 

 今思い出してみても、とこちゃんは幸せそうだった。立実さんは食事に夢中で気付いてなかったかもしれないけど、食事中も度々彼の横顔を眺めては満ち足りた表情を浮かべていた。私たちと一緒に配信したり、遊びに行った時もとこちゃんは楽しそうにはしてた。けど、何処か一線を引いた感じがしてならなかった。拒まれてる訳ではないけど、精神的に距離を置かれていた。

 多分だけど、あの人はとこちゃんの心の一番深いところにいるんだろうなって思う。

 正直悔しいし、嫉妬してしまう気持ちもある。

 そんな風に私が思っていると、アンジュが口を開いた。

 

「思ったんだけどさ」

「うん、何が?」

「戌亥ってエッチのとき、どんな感じなんかな」

「…………はぁ」

 

 思わず溜息が出た。

 真面目な顔をして私と同じように感じているのかと思ったら、しょうもない内容だった。

 

「あー、待って! 別にそういう意味で言ったんじゃなくて!」

「じゃあ、どういう意味なの」

「たた、ちょっと気になっただけって言うか、錬金術師としての好奇心が!」

「アンジュ」

「……はい」

「サイテー」

 

 ガックリと項垂れるアンジュ。

 困ったときには頼れるのに、どうして普段はこうなのかなぁ。

 そんなことを考えながらポケットに入れたスマホを取り出そうとして、そこにあるべきはずの固い感触がないことに気が付いた。

 

「あれ?」

「ん? どうしたん?」

「スマホが……ない」

「えっ、まさか落としたの?」

 

 いや、落としたら流石に気付くはず。

 最後に見たのは何処だったかなぁ、と自分の行動を思い返してみれば―――あっ、思い出した。

 

「多分、だけど……立実さんの家に置いてきた」

「もしかして食器を流しに下げた時?」

 

 アンジュの問いに、頷く。

 そうだ、片付けを手伝った時に濡れたら困るからと脇に置いて回収するのを忘れた気がする。

 

「どうする? 戌亥に連絡して回収してもらう?」

「明日は朝から公務があるから、ないと困る。仕方がないけど、一度戻って回収してくるわ」

 

 今から走れば電車の時間に間に合うはず。

 一人で男の人の家に入るのは不安だけど、急いで戻ればとこちゃんが残っているかもしれない。

 

「止めといた方が良いと思うよ」

「何でよ?」

「いや、ほら、若い男女が個室に二人っきりなんだよ? 今頃は激しく運動会の真っ最中だったら気まずいじゃん!?」

「そ、そんな訳ないでしょ!」

 

 訊ねた私が馬鹿だった。

 アンジュにはこの先にあるコンビニで待ってもらい、私は走ってマンションに戻ることにした。

 そうしてエレベーターで目的の階に上がり、立実さんの家の前に立った私はチャイムを押すことを躊躇ってしまった。

 さっきアンジュが言ったように、本当に行為中だったりしたら――。

 

(アンジュのせいだ)

 

 想像するだけで顔から火が出そうになる。

 いや、流石に考えすぎだと自分に言い聞かせ、ドアノブに手を掛けてゆっくりと開け――。

 

「おほォ!♡」

 

 室内から聞こえてきた艶めかしい声に慌てて手を離す。

 まるで獣のような喘ぎ声は、紛れもなく女性の……私の聞き覚えのある声でもあった。

 恐る恐る扉を少しだけ開けて玄関に入ってみれば、最初に目についたのは玄関からリビングまでの廊下に脱ぎ捨てられ床に散乱した衣類。その中に黒い下着が混じっているのを確認し、今まさに部屋の奥で立実さんととこちゃんが行為中であることを私は理解した。

 

「あッ! んぉ、あひィ!♡」

 

 慎重に、音を立てないように歩を進める。

 リビングに到着する頃には、喘ぎ声に混じってパンパンッと何かを叩き付ける音とヌチャヌチャと淫靡な水音が聞こえてくるようになっていた。

 本当なら今すぐにでも引き返すべきと思うのに反し、私の足はどんどん奥へと進んでいく。

 

「あああああ……ッ♡ あん、あぁっ!」

「ハァ……ハァ…」

 

 知らず知らず、息が荒くなっていく。

 昼間は寝室とリビングを隔てていた衝立が解放され、その向こう側が見えるようになっている。リビングの壁に背をつけて顔だけを覗かせれば、そこには薄暗い室内で汗だくになりながら腰を振る男と、それに合わせて四つん這いの状態で腰を動かす女の姿が見えた。

 

(と、とこちゃん……)

 

 目の前の光景を、私は言葉を失っていた。

 誰かと交際してるのだから、そういうことをするのは当然のことかもしれないけど、私は心の何処かでとこちゃんだけは違うと思い込んでいた。行為はしたとしても、きっと相手を翻弄して、自分優位で立ち回ると決め付けていた。

 けど、実際にはとこちゃんは普段からは考えられないほど乱れ、快楽を受け入れていた。

 

「そんなに俺のが気持ち良いんですか!?」

「ぇんっ! セツナはんのが、気持ちええの。ずっ、と……欲しくて、たまらんかったんや!」

「さっきまで大切な同期と話してたのに、ずっと俺のチンポのことを考えてたんですか!?」

「だ、だって……我慢してて、切なかってん」

「なら張り切らないと!」

 

 男の人にいいように責められ、ただ喘ぐ親友。

 目の前で立実さんに犯されるとこちゃんは、女の私から見てもエッチだった。

 

「んっ……」

 

 気が付けば、私の手は自然とスカートの中に伸びていた。

 ショーツ越しに秘部を撫でると、そこはもう湿っていて自分でも驚くくらいに興奮していた。

 最初はゆっくり動いていた手が徐々に早くなり、気付けば夢中で指を動かしている自分が居た。

 こんなこといけない、と頭では分かっていても止められない。

 いつの間にか私は、目の前の情事に釘付けになっていた。

 

「ほらっ、今度は前からいきますよ!」

「は、はいぃ!♡」

 

 立実さんは一度動きを止めると、とこちゃんの膣内からそれを引き抜いた。

 ズルりという音と共に露わになった男性器を見て、短くひゅっと息を呑んでしまった。小さい頃にお風呂場で見た弟のものや、アンジュが錬金術で生やした偽物とは明らかに違うナニ。まるで小さな子供の腕のように太く長いそれに、私は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。

 立実さんはとこちゃんを仰向けにすると、正常位の体勢で挿入した。

 グチャグチャに濡れそぼった秘裂は、易々と男のモノを受け入れ、呑み込んでいった。

 

「あ、ああっ! これ、すごぉ……ッ♡」

「うおっ、凄い締め付けです。そんなにチンポが好きですか!」

「うん、好きィ♡ あ、ああ…ッ♡」

「こん、のぉ……ドスケベな雌犬がっ!」

 

 顔が見えずとも、とこちゃんの表情が蕩けているのが分かる。

 わたしは捲り上げたシャツを口に加え、ブラジャーをずらして勃起した乳首を摘まみ、ショーツの中に手を入れて激しく秘所をいじくる。直接見ずとも聞こえてくる嬌声と水音だけで容易に行為の激しさが想像でき、そんな激しくピストン運動する二人にバレないように必死に声を押し殺しながらオナニーに耽る。

 

「あっああああ……ッんはあああーーーー♡ あっひぃ、っひぐぅ! あっ、あんっんは!」

「アッ……ン…アア」

「戌亥さん! そろそろ中に出すぞ!」

「ンン……イ、イグ……ッ」

 

 とこちゃんの大きくなる声に合わせ、私も絶頂に近付いていく。

 立実さんも同じなのか更に激しく腰を打ち付け、全員の波長が一致していくのが分かる。

 

「イ、くッ……いく、いく♡ イッてまう! イグゥゥゥゥウウウッ!!」

「ッ、イッ……くぅ!!」

「おっ、うぉ…」

 

 ビクンッと一際大きく身体が跳ねる。

 行為を終えた二人の荒々しい呼吸音を聞きながら、私はぼんやりと天井を見上げていた。

 友人のセックスを盗み見ながらオナニーをすることへの罪悪感と、それを上回る背徳的な快楽に酔っていた。

 

 

――ブーブー。

 

 何処からか、バイブレーションが聞こえてくる。

 ぼんやりとした意識の中で視線を巡らせれば、どうやらリビングのダイニングテーブルにあるスマホが鳴動しているのが見えた。それは私が置き忘れてしまった自分のスマホだと分かり、何となく誰が電話してきたのか分かった。

 

(アンジュが心配しているのかな……ッ!)

 

 その瞬間、私は一気に冷静になった。

 けれども思うように動けない私の横を通り、寝室から全裸の立実さんがリビングに入って来た。

 

「ア―――ッ」

「………」

 

 完全に目が合った。

 全くの言い訳の出来ない状況に青ざめる私を尻目に、立実さんはそのままテーブルに近付いてスマホを手に取ると通話を切った後にこちらへ近付いてきた。そうなると当然、私の眼前に剥き出しの男性器が迫ってくる。

 

「ぁ……っ」

「……」

 

 仁王立ちする立実さんと、その前で腰を抜かす私。

 これまで幼少期から数えきれない人たちに傅かれてきたことのある私が、今は出会って日の浅い親友の恋人の前で座り込んでいる。そして目の前にはとこちゃんの愛液でてかる肉棒があり、その圧倒的な存在感に私は目を離せなくなっていた。

 

(すごい……臭い、のに)

 

 それに惹きつけられる自分がいる。

 気が付けば私は自ら肉棒に顔を近づけていき、そっと舌を伸ばし――。

 

(あっ……)

 

 スッと立実さんが後ろに下がった。

 どうしてと思って顔を上げると、目の前に私のスマホが差し出された。それを受け取ると、立実さんは屈んで私の耳元に唇を寄せて小さく囁いてくる。

 

「見逃すのは一回だけ」

 

 それだけ言うと、彼は寝室へと戻っていった。

 再びとこちゃんの喘ぎ声が聞こえてくるようになり、私はハッとしてその場から駆け出した。




今回の内容は如何だったでしょうか?
趣向を少し変えて、エッチシーンを他の人視点で送りました。
リゼ様は礼儀正しいので、地の口調もそれに寄せているつもりです。

後、しれっと書いてますが、この世界は錬金術でナニが生やせます。
サイズに関しては本人の資質によるので一律ではなく、また神経が通っているので感覚も備わっています。射精に関しては流石に玉がないので精子は出ませんが、母乳に近い成分の液体が出ます。
という訳で、この世界は普通に同性婚も認められています。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-6:会社

どうも、私です。
遅れましたが、前回のアンケートへの回答ありがとうございます。
結果として基本的に長くても一話に纏めて投稿する形式をとります。
私としても、一万字を大幅に超えないよう気を付けます。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。



 夜、遅い時間帯。

 今日は週末の金曜日、いわゆる華金と呼ばれる日だ。殆どの社会人が本日の業務を終え、帰路に着いた頃だろうか。あるいはとっくの昔に家に着き、食事や入浴を済ませて自分だけの時間を過ごしている時間帯。

 俺は一人オフィスに残り、黙々と作業をしていた。

 これは別に会社から残業を言い渡された訳ではなく、むしろ定時退社を推奨する中で俺は自らの意思で残業をしていた。別に失敗を取り戻すために働いている訳ではなく、単に今日中に今度使う資料を作成しようとしているだけだ。これも急ぎではないのだから来週でも構わないのだが、どうしてもある程度の形にしておきたくて、こうして飲みにもいかず仕事をしているのだ。

 

「あ゛~……疲れた」

 

 一度手を止め、大きく伸びをする。

 一先ずの目処はついたから、後ちょっとで終わる。

 自販機に珈琲でも買いに行くかと考えていると。

 

「ほい。お疲れさん」

「おっ、すまん」

 

 目の前に紙コップが差し出される。

 受け取って中身を確認してみれば、それは俺が求めていた珈琲が入っている。湯気と共に立ち上る芳ばしい香りが鼻腔を刺激し、それを一口飲みこめば疲労感もあって身体全体に染み渡るような美味さが感じられる。

 ふぅっと息を吐き、俺はお礼を言おうと顔を上げ――愕然とした。

 

「い、戌亥さん!?」

 

 そこには恋人の、戌亥とこさんが立っていた。

 驚きのあまり口をポカーンと開けて阿保面を晒す俺に対し、戌亥さんは悪戯成功と言いたげにニヤリと笑う。その手には俺と同じように紙コップが握られており、さも当然と云わんばかりに珈琲を飲んでいる。

 

(え、なんで? もしかして疲労が見せる夢?)

 

 そんな疑問が頭の中をグルグルと巡る。

 未だに固まっている俺に、戌亥さんは苦笑して答えてくれる。

 

「夢やないで。わたしはしゃんと、ここにおる」

「どうして、ここに?」

「さっきメールしたら、今日は仕事で会えへんって言うとったやろ? せやさかい、労ってあげようと思うて忍び込んだんや」

 

 そう言ってニッコリ微笑む戌亥さんだが、俺としては気が気じゃない。

 幾らこのビルの警備がザルだからとて、入り口には関係者以外が立ち入らないよう警備員が立っている。如何に彼女が美しいから魅了されて素通りさせました、なんて馬鹿なことはないと信じたい。となれば、一体彼女は何処からこの部屋までやってきたのだろうか。

 

「……どうやって入ってきたんですか?」

「上からや」

 

 上から……上?

 更に詳しく聞いてみると、どうやら彼女はその獣人としての身体能力を遺憾なく発揮してこのビルの屋上に降り立ったということらしい。確かにこの会社のビルは決して高いとは言えず、寧ろ近くには高層ビルが立ち並んでいるから決して不可能ではないだろう。よほど重要な場所でない限り、そこまで気にしている会社は多くはないだろう。

 盲点と云えばそうだが、ただの人間でしかない俺からすれば某映画のヒーローかとツッコミたくなる。

 屋上に降り立っても唯一の出入り口の鍵が掛かっていたので、壁伝いに降りて開いていた窓から侵入してきたという。

 

「マヂですか……」

 

 そこまでして会いに来てくれた恋人に嬉しく思う反面、少し不安にも感じる。

 仮にも彼女はV-idolとして活躍するネット界隈ではかなりの有名人なのだから、あまり派手に動くとパパラッチに写真を撮られる危険もあるだろう。ある程度は認識疎外でごまかせるかもしれないけど、それだって万能ではないのだから無理はしないで欲しい。

 

「戌亥さん、あまり無茶をしないでください」

「心配してくれておおきに」

「……まぁ、いいです」

 

 折角会えたのに、小言を言うのも野暮というもの。

 俺は思考を切り替え、改めて戌亥さんの様子を見詰める。

 今日の彼女の装いは普段の和風メイド服でもなければ、いつものラフな格好という訳でもない。黒のジャケットとタイトスカート、下には白のワイシャツを着ている。その姿はさながらバリバリと仕事をこなすキャリアウーマンといった雰囲気だ。おそらくは社内で警備員に見付かった時に誤魔化すために変装しているのだろうが、普段とは違う色香のようなものが溢れていて、正直に言えばかなりグッときてしまう。

 そんな俺の気持ちを察してか、にやにやと笑みを浮かべる。

 

「ん~? どないしたん、わたしのことジロジロ見て」

「……何でも、ありません」

「ほんならなんで目を逸らすんや? 遠慮せんでええんやで?」

 

 グイグイと迫ってくる戌亥さんに対し、俺は椅子に座ったまま顔をそらす。

 彼女が魅力的だからって、職場でそんなことをするのが駄目なことぐらい俺だってわかっている。もし誰かに見られようものなら、会社にいられなくなってしまう。流石にクビになった理由が、会社でエッチしたのが原因だなんて恥ずかしくて誰にも言えない。

 

「なぁ、折角の二人っきりやで?」

「いやいや、誰かが来たら不味いって」

「ほーん? ここは、こんなに期待しとるのに?」

 

 擦るように、俺の股間に触れてくる。

 俺に身体を押し付けてくるから、柔らかな感触が伝わってきて嫌が応にも反応してしまう。

 そんなことをしていると、コツコツという廊下のタイルを踏む音がこの部屋に聞こえてきた。もしかしたら警備員が巡回で回ってきたのかと考え、俺は慌てて戌亥さんに声を掛ける。

 

「誰か来ました!」

「ど、どないしよ?」

「一先ず、隠れてください。何とか誤魔化すので!」

 

 そうして彼女を俺のデスクの下のスペースに潜らせる。

 狭いかもしれないが我慢して隠れてもらい、それと同時にオフィスの扉が開かれた。

 

「ん? 立実、まだ仕事してたのか?」

 

 入って来たのは、同僚の東山だった。

 これが警備員だったら直ぐにでも出て行ってくれるのに、よりによってコイツとはツイてない。

 

「ま、まぁな。それより、今日はコンパだとか言ってなかったか?」

「いやぁ、その途中で名刺入れを忘れてきたことに気付いてな。急いで取りに来たんだよ」

 

 そう言いながら、こちらへと近付いてくる。

 幸いにも俺のデスクは扉に面しているので戌亥さんが見られる心配はなく、コイツのデスクも俺の対面だから回り込まれない限りは気付かれる心配はない。とはいえ、戌亥さんの存在がバレないかと俺は気が気でない。

 

「えっと、どこに置いたかな……」

 

 ガサゴソとデスクの上を探す東山。

 その物音が気になったのか戌亥さんが頭を出そうとしてきたので、俺は手でそれを制止する。戌亥さんの頭を押さえて戻そうとすると、不意に俺の人差し指をぬるりと生暖かい感触が包み込んできた。

 

「ンヒッ……!」

「ん? 何か言ったか?」

「い、いや……気のせいじゃないか?」

 

 そうか、と言って東山は作業に戻る。

 デスクの下を覗き込めば、彼女は何を思ったのか俺の指を舐めているではないか。最初はペロペロとまるで子猫のように舐めていたが、こちらに見せつけるように大胆な動きへと変わり、ゾワゾワっとした感覚が背筋を走り抜ける。何とも言えない興奮を感じていると、今度は甘噛みするように歯を立ててくる。

 

(やばい、マジで興奮してきた)

 

 彼女の舌使いに、俺の息子が反応してしまう。

 それに気付いたのか、戌亥さんは指をしゃぶるのを止めると、妖艶な笑みを浮かべてチャックへと手を伸ばす。ジィーッという音と共にファスナーが下ろされ、下着越しに肉棒を掴まれる。俺が勃起していることを確信すると、トランクスの前開きからペニスを引きずり出した。

 

「ちょっ!?」

「あ? どうかしたのか?」

「えっ? あっ、ちょっと資料にミスがあったのに気が付いてな。やり直さないといけなくて」

「あんまり根を詰めるなよ? それだって、別に急ぎじゃないんだろ?」

「そ、そうだな」

 

 何とか東山に怪しまれないようにする。

 その間にも、戌亥さんはレロォっと竿を下から上へと舐め、そのままパクっと亀頭部分まで口の中へ含んでしまう。あまり激しくすると気付かれる可能性を考慮してか、ゆっくりとした動きでストロークを開始する。舌を絡ませるようにして口から引っ張り出し、また根元まで飲み込まれる。

 

「っお……んぅ」

「さっきからどうしたんだ? 少し様子がおかしいぞ」

「き、気にするなって。それより名刺入れは見付かったのか?」

「それが全然見付からないんだ。確か今日使って、退社する前に置いて行ったと思うんだが……」

 

 東山と会話しながらも、押し寄せる快楽に耐える。

 戌亥さんは単純なピストン運動では止まらず、柔らかな唇で亀頭に吸い付き、舌先で鈴口をほじくっては飽きさせない動きでこちらを翻弄してくる。身動きの取れない俺はただ、東山に気付かれないことだけを祈りながら時が過ぎるのを待った。

 

「おっ、そういえばよ。お前最近、女性陣に人気があるの知ってるか?」

「……え?」

 

 その言葉に、戌亥さんの動きが止まった。

 まるで東山の言葉に耳でも傾けるかのように、ピタッと静止したのだ。

 

「その様子だと、知らなかったみたいだな。まぁ、お前さんは彼女に夢中だったみたいだから気付かないのも無理はないが、元々評判は良かったんだぜ? 立実は真面目で誠実だし、仕事もできる上に家事洗濯もこなせる。決してイケメンって訳じゃないけど、優良物件には違いないってんで会社の結婚したいランキングに名前が載るほどなんだ。それに筋トレでも始めたのか知らねぇけど、最近ガタイが良くなってきてるだろ」

「へ、へぇ……痛ッ!」

 

 股間に痛みが走る。

 見れば戌亥さんがこちらを睨め付けながら、俺の太腿に爪を立てていた。流石にズボンを貫通して皮膚に突き刺したりはしないが、明らかに怒っているという様子だ。どうやら俺が密かな人気に鼻を伸ばしていることが気に入らないらしく、先ほどよりも激しい動きでフェラチオを再開した。

 ジュポジュポッと淫靡な水音が響き渡り、思わず声が出そうになる。

 東山は話すのに夢中になっているからか気付いた様子はなかったが、俺にはコイツの言葉に耳を傾ける余裕もなく、ただ只管に戌亥さんの責めに耐え続けた。

 やがて――。

 

「イ、グッ……!」

「あったぁっ!!!」

 

 俺がビクンッと大きく身体が跳ねさせるのと、東山の喜びの声が重なった。

 戌亥さんは喉奥までペニスを飲み込み、尿道を通って吐き出される精液を全て受け止めてくれる。今までの我慢と興奮からか思ってた以上に射精し、戌亥さんは苦しそうな表情を浮かべながらも一滴残さず搾り取ると、最後にチュポンと音を立てて肉棒を解放してくれた。

 

「さてと、俺はまた飲み会に戻るわ。お前も、気が向いたら参加しろよな」

 

 そう言い残し、東山はオフィスを出て行った。

 残された俺は荒くなった息を整えつつ机の下を覗き込めば、戌亥さんは美味しそうに精子を呑み込んでいた。何処か恍惚とした表情を浮かべている彼女に、俺は戌亥さんを下から引っ張り出すとデスクの上に座らせた。

 そしてスカートの中に両手を突っ込んでストッキングごとショーツを掴むと、一気に膝まで捲り上げる。

 瞬間、ムワッとした熱気がのぼり、隠されていた彼女の秘所が露わになった。そこはまだ触れてもいないのに洪水のように愛液が溢れ返っていて、小陰唇がヒクヒクと痙攣しているのが分かった。目の前に用意されたごちそうに、俺は我慢できずにむしゃぶりついた。

 

「ジュルジュルッ! 」

「ああっ!? だめぇっ、そんないきなりぃ……ひぅんっ!!」

 

 甘い蜜を貪るように、戌亥さんのおまんこを舐める。

 まるで何日も砂漠を飲まず食わずで彷徨っていた旅人が、見付けたオアシスの水を浴びるように飲むかの如く。戌亥さんは俺の頭を掴んで抵抗してくるが、それを無視して感情の赴くままに愛液を味わい続ける。

 

 甘い蜜を貪るように、戌亥さんのおまんこを舐める。

 まるで何日も砂漠を飲まず食わずで彷徨っていた旅人が、見付けたオアシスの水を浴びるように飲むかの如く。戌亥さんは俺の頭を掴んで抵抗してくるが、それを無視して感情の赴くままに愛液を味わい続ける。

 最初は表面上を吸ったり舐めたりする程度だったが、ある程度満足したところで舌先を膣内へと侵入させる。侵入者を拒むかのように狭まる肉壁を押しのけ、舌先はできるだけ力を抜いて柔らかく愛撫する。戌亥さんの反応を見ながら刺激する箇所を変えていけば、面白いように腰が跳ね上がる。

 

「あんっ♡ ああぁっ! んぅうっ、んんぅっ……んふぅぅっ!」

「んちゅっ、れろっ……ぢゅっ!」

 

 そうして味わっていると、一際大きく彼女の身体が震えた。

 どうやら絶頂を迎えたようで、押さえていた両足を開放するとパソコンのモニターに寄り掛かるように脱力する。そんな恋人の様子に滾ってくるのを感じ、俺は椅子へと座り直すと復活して天井を向く肉棒を見せつけるようにする。

 戌亥さんは動けずにいたが、視線は真っ直ぐに肉棒へと向けられていた。その瞳には情欲の色が見え、フーッフーッと荒く呼吸を繰り返している。まるで空腹の獣の目の前に生肉を放置しているような感じで、もし万全な状態だったなら飛びつかれていたことだろう。

 

「戌亥さんが挿入れてみて」

「……ぇん」

 

 気だるげにデスクから降り、椅子に座る俺の上に跨る。

 そうして俺の肩に右手をつき、もう片方の手でペニスを掴んで位置を調整するとゆっくりと腰を落としていく。亀頭が入り口に入ったのを確認し、戌亥さんはゆっくりと体重をかけてきた。ズブブッという音と共に肉棒が膣内に飲み込まれていき、やがて根元まで入ったところで戌亥さんの動きが止まった。

 直ぐにはお互いに動かなかった。

 俺も彼女もようやく得られた快楽への幸福感に満たされながら、互いに落ち着くのを待った。

 

「ほら、動いて」

「んっ」

 

 催促するように軽く突き上げる。

 戌亥さんの口から甘い声が漏れ、俺の首に手を回して抱き着いてくる。先ほどと同じようにゆっくりと腰を上げ、それからまたゆっくりと腰を下ろす。徐々にスピードを上げ、パチンッパチンッと肌同士がぶつかる音が響き渡る。

 

「んっ、はぁっ……んんっ!」

 

 タンタンと単調な動きが続く。

 戌亥さんは辛そうだが、まだ余裕のある俺は彼女に代わってスーツとワイシャツのボタンを外してあげる。そうしてワイシャツを左右に開いて見れば、現れたのは煽情的な赤色をしたブラジャーだった。窮屈そうにしているブラジャーを上にずらせば、ブルンっと大きな乳房が飛び出してきた。

 重力に逆らってツンと上向きに勃起した乳首が、上下運動に合わせてこちらを誘惑するように跳ねる。片方の乳房を下から持ち上げるように掴み、ぷるぷるとした柔らかな感触を堪能しつつ揉む。そしてもう片方の乳房の乳首を口に加え、チューチューと音を立てながらしゃぶりつく。

 

「ひゃうんっ♡ そ、そこはだめぇっ……」

「動きが止まってるよ。ほら」

「ああっ! か、嚙んだらあかんっ!」

 

 腰を止めた戌亥さんを責めるように、乳首を甘嚙みする。

 その間にも膣内はギューッとペニスを締め付けてきて、彼女が必死に堪えているのが分かった。しかし動く気配のない彼女に痺れを切らし、乳房から離れて自由になった両手を戌亥さんの肉付きの良い臀部へと回す。

 

「よいしょっ、と」

「ひゃん!?」

 

 勢いをつけて立ち上がる。

 当然、重力により先ほどよりも深くペニスが突き刺さり、コツンと最奥にある子宮口を亀頭がノックしたのが伝わる。戌亥さんは悲鳴のような喘ぎ声をあげ、両腕と両足を使って俺の身体にしがみついてくる。俺は彼女を抱っこしたまま、腰を動かし始める。先ほどまでの中途半端な動きで不満が溜まっていた分、それを晴らすかのように激しく責め立てる。

 

「あっ! あっ! ああっ! だめぇっ、激しすぎるぅっ!!」

「まだまだ!」

 

 戌亥さんを落とさないよう気を付けながら、しかし一回一回を力強く突き刺す。

 パンッ、パンッ、パンッ、と肌がぶつかり合う音が響く中、時折水音も混ざってくる。結合部から溢れ出る愛液が辺りに飛び散り、お互いの太腿や床に飛び散っていく。そうして腰を動かしながら俺は一歩一歩と、窓辺へ近付いていく。

 

「戌亥さん! 俺、そろそろ射精しそうなんだ。体位を替えるね」

「はぁんっ!」

 

 喘ぎ声で返事した彼女から一度ペニスを引き抜き、窓に両手をつかせる。

 窓ガラスに押し付けられた戌亥さんの大きな乳房がいやらしく形を変え、その様子に興奮しながら背後からペニスを宛がい一気に刺し貫く。腰を打ち付ける度に揺れる尻肉を掴み、無人のオフィスに彼女の喘ぎ声が響く。

 ここは地上から見上げても分からない程に位置するので下から見られる心配はないが、同じようなビルからこちらを覗けば彼女の痴態は間違いなく目撃されているだろう。もしかしたら、俺たちが気付かないだけで本当に誰かが見ている可能性だってある。

 俺は腰を動かしたまま、戌亥さんの耳元に顔を寄せる。

 

「ほら戌亥さん、見て。誰かが俺たちの行為を覗いているかもよ?」

「っ~~!! そんなこと言わんといてぇ……んんぅうっ♡」

 

 羞恥心からか、膣内がきゅんっと締まる。

 腰を動かすたびに下でブルンブルンと大きく揺れる乳房を両手で鷲掴むと、乱暴に揉みしだきながら腰のペースをどんどん早くしていく。もはや見られる危険性などどうでもよく、ただただ絶頂を迎えるべく激しくピストンを繰り返す。

 そして―――。

 

「イくっ!!」

「~~ッッ!! ああああっっ!!!」

 

 ドピュッ、ビュルルルーッ!!

 痙攣する膣内でペニスが脈打ち、勢いよく吐き出された精液が満たす。

 戌亥さんは窓に寄り掛かるようにし、俺は彼女に抱き着くようにしながら暫くの余韻に浸った。

 落ち着いたところで膣内からペニスを引き抜けば、栓を失ったことで白濁色の液体が流れ出てきていて興奮する。

 

「戌亥さん」

「んぅ?」

 

 振り返った戌亥さんと唇を重ねる。

 舌を絡ませる激しいものではなく、お互いに愛情を確かめるような優しいキスだ。

 そうして、ようやく満足したところでお互いに身なりを整えてから俺は彼女に先に帰ってもらうことにした。俺は一人で行為の痕跡の隠ぺいをしてから会社を後にした。

 翌週、出勤すると奇妙な噂が流れていた。

 

「女の幽霊?」

 

 どうやら先日の金曜日の夜、社員の殆どが帰った時間帯に巡回していた警備員が不審な女性社員を見かけたらしい。声を掛けたら逃げられたので直ぐに追いかけたが、その女性は忽然と姿を消したとか。

 いやぁ、怖いですなぁ。




今回の内容は如何だったでしょうか?
会社のオフィスでの行為とかって、インモラルな感じがしていいですよね。
個人的にスカートではなく、パンツ姿の出来る女風のとこちゃんが書きたかったけど、行為の関係上泣く泣く変更しました。
ストッキングを破くか、破かないかで意見が分かれるとは思います。私としても破かれて真っ白な肌が露出するのは好きですけど、流石にその後にないと困るだろうと思って脱がせています。

今回でリゼ様の話を期待していた人が多いかと思いましたが、ちょっとした時間経過が欲しくてわざと小休止?的な話を入れました。という訳で、次はお待ちかねの「文武両道人望ゲキアツプリンセス」となります。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

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K-7:親友

どうも、私です。
毎度のことですが、アンケートへの回答ありがとうございます。
個人的に「白色」と「青色」の接戦となると思いましたが、まさか圧倒的な大差をつけて青が勝つとは思いませんでした。しかし、よくよく考えればリゼ様のイメージカラーが「明るい青緑系の色」ですから当然と言えば当然ですが。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。



「んっ……ぁ……ふぅ……」

 

 誰かが、後ろから私の身体を触ってくる。

 恋人であるアンジュの小さな手とは違う、ごつごつとした無骨な男の人の手。それはまるで蛇のように這い回りながら、私の身体をなぞっていく。男の人に触られるのなんて始めてのはずなのに不快感はなく、くすぐったいような、気持ちいいような不思議な感覚。

 やがて胸元までやってきた手が、包み込むように私のおっぱいを触ってくる。

 

「あんっ」

 

 その瞬間びくりと身体が跳ねてしまって、思わず声が出てしまう。

 その手はゆっくりとした動きで私の胸を刺激し、最初はむず痒さだけだったのに徐々に身体が熱くなってくるのを感じる。それに呼応して乳首が肥大していくのが分かり、それが恥ずかしくてつい顔をそむける。そんな私の反応を楽しむかのように、その手は両方の乳首を摘まんできた。

 

「ひぅっ!」

 

 きゅっと力を入れられて、くにくにと弄ばれて。その度にぴりぴりした快感が走り抜けていく。

 そうして暫く私をいじめていた手が、スルスルと下腹部へと移動していくのが分かる。

 

(あっ……)

 

 そこはアンジュにしか許していない場所。

 思わずその手を掴んで止めようとしたけど、形だけの抵抗を振り払ってショーツに触られる。

 これ以上はダメと思い、私は顔を上げて男の人の顔を見上げて―――。

 

 

「―――っ!!?」

 

 私は勢いよくベッドから飛び起きた。

 心臓が痛いぐらい激しく鼓動し、息も荒くなっている。頬を伝う汗を拭えば、顔だけでなく全身で汗をかいていることに気が付いた。汗でぴったりと肌に張り付いている衣服が不快で、私はベッドから降りて着ていたTシャツと半ズボンを脱ぐ。

 

(あっ、勃ってる……)

 

 露わになった乳首は、見て分かるほど固くなっていた。それと同時にお腹の奥がキュンッとする感覚を覚え、ショーツの中が汗とは別の液体で濡れているのが確認せずとも感覚的に分かってしまう。

 

「まただ……」

 

 ここ最近、似たような夢ばかりみる。

 そのどれもが状況は違えどエッチな内容になっていて、「貴方は淫魔に憑りつかれている」、なんて言われた方がまだマシだった。そうでなければこんな夢を見る理由が、私が叶わない恋心を抱いていることになるからだ。

 

「……立実さん」

 

 立実セツナさん。

 私の大好きで、大切な親友の戌亥とこちゃんの恋人。

 最初に会った時は真面目そうな異性ぐらいの認識しかなかったのに、その内にオスとしての野生が隠されていることを知ってしまった。今でも目を閉じれば、あの太くて長い――メスを征服する為だけに存在するかのような男性器が脳裏によみがえる。それだけで、自分の子宮がきゅんっと疼くのを感じる。

 

「……アンジュ」

 

 私の頭の中はもう、グチャグチャだった。

 理由なんてなかったけど、なんだか無性に恋人(アンジュ)に会いたかった。

 

 

 ◆

 

 

「え、ヘルエスタさんの様子がおかしい?」

 

 とある休日、家でゆっくりとしていた俺に戌亥さんがそう話しかけてきた。

 前回――二週間ほど前の食事会――の時に会ったきりだが、そんな様子がおかしいとは感じなかった。何もなかった訳じゃないけど、流石に今回の件とは無関係だろうと思いつつ詳しく聞くことにする。

 

「それは、どんな風に?」

「何やかボーっとしとることが増えた気がする。撮影中とかは問題ないんやけど、手が空いた時なんかにそうなっとる。顔色も少し良くのうて、化粧をして隠しとるけど目の下に薄っすらとクマも出来とった」

「それなら寝不足では? そのせいで疲れが取れないとか」

 

 人は結構、繊細な生き物だ。

 ストレスやプレッシャーを感じていたり、寝室の環境が変わってしまうだけで眠れなくなる。

 ましてやヘルエスタさんの場合は学生であると同時にアイドルであり、王家の人間としての仕事もあるのだ。そういう意味では普通の人以上の激務に、身体が参ってしまっている。けど、きちんと休息が取れていないのに無理をしているから、そうした症状が出ているのかもしれない。

 けど、俺の言葉を聞いた戌亥さんは首を横に振る。

 

「アンジュはんにも確認したけど、別に最近は公務が立て込んどる訳でもないみたい。収録の方も話を聞いとる限り、別に問題はなさそうに感じとる。学校生活までは流石に分からへんけど、別の知り合いからは問題ないって」

「ふむ……」

 

 成る程、確かに難しい案件だ。

 例えどんな名医だろうと原因がわからなければ、治療の施しようがない。

 

「ヘルエスタさんに聞いてみたんですか?」

「んー……何と言うかごっつ言いにくい、って感じの反応をするねんなぁ」

 

 戌亥さんとヘルエスタさんはとても仲が良かったはず。そんな親友と云っても過言ではない関係の相手にも言えないというのは、本当に大したことがないからか、あるいは仲が良いからこそ逆に言えないのかもしれない。

 

「じゃあ異性関係とかは? 恋人とかは?」

「ああ、言うてへんかったっけ? リゼはアンジュはんと付き合ぉてんで」

 

 あの二人、そんな関係だったのか。

 まぁ、今のご時世同性婚も珍しくはないから別に驚きはしないが。

 

「聞きにくいですけど……夜の営みが不十分とか?」

「アンジュはんからは、そういった話は聞かへんな。少なくとも忙しくて時間が取れないって訳でもないし……ああ、せやけど」

 

 そこで、戌亥さんが何かに気付いた様子。

 

「ん、どうかしましたか?」

「いや、前にアンジュはんが愚痴ってんやけど、行為の時に何だか少し残念そうな反応をしとったって」

「え、それはヘルエスタさんがですか?」

「せや」

 

 残念、残念とはどういう意味だろうか?

 同性同士での行為ならおそらく片方――男性役が責めに回っていることになる。最近では男性器に酷似したオモチャも出回っているが、カトリーナさんが錬金術師なら生やす薬だって作れるんじゃないのか。もしヘルエスタさんがカトリーナさんの生やしたモノを見て落胆したとするのなら、それは比べたからではないか?

 もしそうなら、つまり、ことの原因は――。

 

「どないした? 顔色が良くないで」

「えっ、いや、その……」

 

 思わず口籠ってしまう。

 俺が何かを隠していると感じ取ったのか、戌亥さんがジッと見つめてくる。ここで気のせいだと首を振れば、おそらく彼女はそれ以上問い質してはこないだろう。しかし、俺は戌亥さんに対しては誠実でいたいし、出来るだけ嘘を吐きたくない。

 だから、俺は彼女に思い当たる節を話した。

 食事会をした日、自分たちの行為をヘルエスタさんが覗いていたことを。

 そして気のせいでなければ、射精して萎えた状態の俺の男性器を見られていたことも。

 全てを聞き終えた戌亥さんは俺を責めるでもなく、両腕を組んで何やら考え込む。

 暫くして結論に至ったのか、徐にスマホを取り出すと何処かに電話をかけ始める。

 

「あっ、リゼ? わたしやけど、急で申し訳ないけど今晩これからセツナはんの家に来れへん? うん、ちょっと大切な要があるから三人で話し合いとうて。ほな待っとるから」

 

 そう言って彼女は電話を切った。

 何を話すつもりか分からないが、ヘルエスタさんを召喚するつもりらしい。

 

「さて……リゼが来るまで時間もあるし、悪い子にはお仕置きが必要やね」

 

 こちらを向いて、戌亥さんがニッコリと微笑んだ。

 

 

◆リゼ視点

 

 

「ど、どうしよう」

 

 夜、18時を回った頃。

 私はとこちゃんの呼び出しを受けて、再び立実さんの住むマンションを訪れていた。用件を聞いても教えてはくれず、ただ来て欲しいと言われてここまで来た。暫くの間、そうしてインターホンの前で立ち尽くしていたけど、私は意を決してボタンを押す。

 

『はーい』

「あっ、とこちゃん? 呼ばれたから来たけど……」

 

 扉の取っ手に手を掛ければ、確かに扉は簡単に開いた。

 玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えておそらく二人のいるリビングへと向かう。

 

「とこちゃん、急に呼び出してどうし―――」

 

 リビングに入った瞬間、私は言葉を失った。

 家主である立実さんとその恋人であるとこちゃんがいたけれど、何故か立実さんはフローリングの上に正座させられ、その膝の上には漬物石のようなものが三段も積まれていた。現物を見るのは初めてだけど、これは確か日本国にかつて存在していた石抱き――本来は十露盤板という台の上に座らせた上で行う拷問の一種だったからだ。

 その横にとこちゃんが仁王立ちしており、私ににこやかな笑みを向けてくれている。

 

「リゼ。すまんな、急に来てもうて」

「……あっ、うん。大丈夫だよ……それでこれは?」

「罪には罰が必要やから」

「むぐっ!」

 

 そう言って、更にもう一つ石を積む。

 立実さんは痛みに呻いているけど、なんでか大人しく刑を執行されているみたいだ。

 

「つ、罪って一体何を?」

「わたしの大切な、同期を誑かした」

「え、誑かした?」

「セツナはんから聞ぃたけど、覗いとったんやろ?」

「っ!」

 

 嘘っ、とこちゃんに話しちゃったの!?

 私が釈明を口にするよりも早く、とこちゃんが片手を出して制した。

 

「別にそのことを怒っとる訳とちゃうん。確認なんやけど、そん時にセツナはんのおちんちんを見てんなぁ?」

「う、うん」

「それ以降、寝ても覚めてもアレのことが頭から離れへんくなってもうた」

「……」

 

 恥ずかしさに答えられずにいた。

 そんな私を尻目に、とこちゃんは次に立実さんを見た。

 

「セツナはんにも質問。最近、身体の調子が良くなっとるって感じひん? 筋トレを始めた訳でもないのに、誰ぞに褒められるような変化が起きたりとか」

「そう……ですね。まるで十代の頃に若返った気分です」

「やっぱりなぁ」

 

 納得したように、とこちゃんはため息をこぼす。

 それから私と立実さんに向けて、少し罰悪そうに口を開いた。

 

「すまん、この原因はわたしにある」

「え、どういうこと?」

「魔界出身のリゼは知っとるって思うけど、わたしみたいな上位種の血肉を食べることで力を得ることができる。ほんで強大な力を得られる代わりに、人としての理から外れることを意味する」

 

 とこちゃんの言葉に、私は頷いて答える。

 こちらの世界では逸話や伝説なんかで語られているけど、魔界では実際にそうして人の域を超えた力を手に入れた実例がある。有名どころだと、凶悪なドラゴンを殺して返り血を浴びたことで不死身の肉体を得た英雄も居たとか。

 

「あまり言い伝えられておらんけど、力を得るのは何も血肉を摂取するだけとは限らへん。交わることでも、その繋がりを得ることができる。直接摂取するのに比べて顕著な症状が現れる訳やないけど、徐々に肉体への変化が現れる」

「それって、つまり……」

「せや。わたしと繋がりを得たセツナはんにも、少しずつ変化が出とる」

「そうだったんだ……」

「まぁ、言うても微々たるもの。精々、寿命が延びたり筋力が向上した程度やと思う」

 

 へぇ、と立実さんは他人事のように呟いた。

 こちらの世界の人間からすれば、突拍子もないから実感がないのかもしれない。

 

「とこちゃん。それと私がどんな関係があるの?」

「リゼの状態は、簡単に言えば魅了されている。今のセツナはんのおちんちんはある種、麻薬みたいな物や。雌を屈服させる魔性の代物を直視して、臭いも嗅いだことでリゼの本能が刺激された。けど、今ならまだ間に合う。アンジュはんあたりに頼んで記憶を……わたしたちに関する全ての記憶を消せば元に戻れる」

「そんな……そこまでしないと駄目なの?」

「リゼに残された選択肢は三つ。一つ、薬をつこて記憶を消す。二つ、消さんと悶々としもって日々を生きる。三つ――」

 

 そこで、とこちゃんは一度口を閉じた。

 けど、三つ目に用意される選択肢が何なのか、この時の私は容易に想像できた。

 

「その、とこちゃんはいいの? 私が……立実さんに抱かれるのは?」

「ええ悪いで言うなら、嫌や。セツナはんが他の女を抱くの見とうない。けど、記憶を消さずにいるならリゼは無意識にセツナはんを渇望し、自分の意思とは無関係に動くかもしれない。そうすれば苦しむのはリゼだから……わたしはリゼに傷ついて欲しくない」

 

 そう言って、とこちゃんは涙を流した。

 記憶を消さずに私が苦しめば、きっと裏でとこちゃんも苦しむ。かといって記憶と一緒に大切な友達を失うなんてできない。もちろん、皇女という立場を考えるなら、安易に男の人とそういった行為はすべきではないとも分かっている。

 けれど、私が取れる選択肢は一つしかなかった。

 

「ごめんね、とこちゃん。私、立実さんに抱かれる。そうしてとこちゃんとの交流も続ける」

「堪忍、堪忍な。リゼ」

 

 泣きながら謝るとこちゃんを、そっと抱きしめる。

 それから立実さんの方へと向き直れば、黙ってこちらの様子を窺っていた。

 

「という訳で、立実さん……お願いします」

「まぁ、俺としては光栄なんですが、その……本当に宜しいんですね?」

「はい、覚悟はできています」

 

 そうして私たちは寝室へと向かった。

 

 

 ◆

 

 

「……お願いします」

 

 ベッドの上で胡坐をかく俺の膝に、ヘルエスタさんは背を向けて座る。

 戌亥さんは見たくないからと、少しばかり外出しているので今この空間には俺とヘルエスタさんの二人しか残っていない。

 既に彼女は身に纏っていた衣類は脱いで邪魔にならない所に置かれており、今は下着のみの姿となっている。高貴な身分の女性らしく清潔感のある水色のレースが施されたそれを、これから自分が穢していくのかと考えるだけで興奮を覚える。

 本人の恥ずかしいから、という要望に応えるために背後から彼女の胸を揉みほぐす。ヘルエスタさんの胸は戌亥さんに比べたら大人しめではあったが、手に収まるサイズではあった。まるで壊れ物に触るかのように優しく指を這わせていけば、ふにゅりとした確かな感触を感じられる。

 始めは緊張から固くなってたヘルエスタさんだったが、彼女の口から熱い吐息が漏れ始める。

 

「あっ、んぅ……」

「大丈夫ですか? 痛かったら遠慮なく言ってくれて構いませんよ」

「だ、だいじょうぶです……。むしろ、その……気持ち良いです」

「それは良かったです」

「ひゃうん!」

 

 両方の乳首を同時に摘まめば、可愛らしい悲鳴があがった。

 本人同様に控えめな乳首を思う存分コリコリト弄ってあげながら胸を揉めば、身体を捩って何とか快楽から逃れようとする。そうはさせまいと更に強く掴み、生地ごと引っ張り上げればヘルエスタさんの声色がまた変わった。

 

「んぁっ! こ、これ以上は……」

 

 どうやら、余り慣れていない様子。

 話によれば男性経験はなく、そういったこともカトリーナさんとしかしたことがないとか。

 おまけに前戯にも時間を掛けなかってこなかったのか、直ぐに悲鳴を上げてくれる。

 

「そうですね、じゃあ脱ぎますか」

「えっ―――きゃっ!」

 

 ブラジャーのホックを外し、そのまま奪い取る。

 それに気付くと両腕を前で交差させ、土下座するかのように前かがみになることで身体を隠そうとする。まるで亀のように縮こまった彼女だったが、これでは無防備にも俺に真っ白な背中を晒すことになる。けれども、どうやら前を隠すことに必死になり気が付いていない様子だ。

 

「チュッ」

「ひんっ!?」

 

 シミ一つない肌にキスを落とせば、面白いぐらい身体が跳ねる。

 そのまま首筋や肩に何度も口づけしながら下へと下っていき、目の前にある小ぶりなお尻に両手を添える。標準的な胸のサイズに比べて、こちらは随分と慎ましいものだ。とはいえ、この小さくとも手に伝わる女性らしい柔らかな感触を堪能する。

 どうやら声を出さないように必死に耐えているようだが、そういうことをされると逆に声を出させたくなるのが男の性というものだ。それを引き出すべくショーツのゴムに指をひっかけ、そのままずるりと引き下ろしてあげれば綺麗な縦割れが現れる。

 

「ぴゅ~」

 

 思わず口笛を吹いてしまう。

 まだ生え揃って間もない陰毛は薄く、それでいて美しさを損ねない程度には整っている。そして肝心の割れ目はといえば、やはりあまり経験がないから殆ど閉じられている。恥丘の下にある花弁は淡いピンク色をしており、思わず鼻を近づけて嗅いでみれば十代の思春期の女の子らしい甘酸っぱい香りがした。

 

「ちょっ、やめてください。そんなところ!」

 

 羞恥心で耳まで赤く染めながら、手だけを伸ばして抵抗するヘルエスタさん。

 自分でも下卑た笑みを浮かべ、俺は躊躇することなく秘所へと舌を伸ばす。最初は舌先でツンツンとノックするように突き、ゆっくりと丹念に舐め上げれば少しずつ愛液が溢れてきた。

 

「くぅ、うぅ……あん♡」

「気持ちいいですか?」

「は、はい……。でも、恥ずかしいです」

「じゃあもう少し強くしましょうか」

「えっ?」

 

 そう言うや否や、俺は思いっきり愛液を吸った。

 聞こえさせるようにわざとジュルジュルと音を立て、吸い上げれば甲高い悲鳴があがる。

 

「ひゃああぁぁぁぁ!!」

 

 それを無視して今度は膣内に指を入れ、中指で掻き回す。

 中はまるでミミズがからみつくような感触が指に伝わり、どうやら彼女は名器「ミミズ千匹」の持ち主のようだ。これはペニスを入れた時がとても楽しみだと、ほくそ笑みながらそれに向けて準備すべく更に激しく責め立てる。

 

「~~~~~~ッ!!」

 

 枕にしがみつき、必死に堪えるヘルエスタさん。

 腰が徐々に浮いてきて震えていることから、どうやら限界は近いらしい。

 ならば、とグチャグチャと愛液を飛び散らせながら更に激しく指をピストン運動させる。

 

「あ、ああ……ダ、ダメ! い、イクッ~~~~!!」

 

 ビクンッと大きく身体を震わせ、ヘルエスタさんは絶頂を迎える。

 ベッドに突っ伏しながら、後から後から来る快楽の波に耐えているのを尻目に、俺も服を脱いで準備をする。俺のペニスは臨戦態勢に入っていたが、流石に男性経験のない女子高生に生で入れるのは不味いので用意してあるコンドームーー戌亥さん用の無用の長物――を、実に数か月ぶりにセッティングする。

 

(あっ、サイズが合ってない)

 

 以前はMサイズで事足りたのに、今ではかなりピチピチだ。

 これでは途中で破れたり外れたりする可能性があるから、あまり激しくしないようにしよう。

 

「じゃあヘルエスタさん、行きます」

「へっ? なに、ぉぉぉおおおっ!!」

 

 うつ伏せの状態のヘルエスタさんの足を軽く開き、ゆっくりと挿入する。

 ゴム越しでもわかるほどに血管を浮かび上がらせた肉棒が、殆ど開発されていない少女の孔を押し広げながら奥へと差し込んでいく。男を知らない秘所は予想通り狭かったが、膣全体が絡みついてきながら受け入れてくれる。そうして最奥まで到達したところで、俺は一度動きを止めた。

 

「おっ、はっ、ひぃ……!」

 

 ヘルエスタさんが浅く呼吸を繰り返す。

 流石にこんなものを腹の奥まで差し込まれれば、経験の浅い彼女では辛いのも無理はない。

 彼女が落ち着くまで目の前の尻肉を揉んだり、グリグリと腰を押し付ける。

 

「た、立実さん……そろそろ」

「もう大丈夫?」

「は、はい。できれば、ゆっくりぃぃぃぃっ!」

 

 ゆっくりと腰を引けば、まるでカリ首が引っかかるようにして彼女の中が引っ張られる。そのままギリギリ抜ける手前で再び押し込めば、また最奥までペニスを差し込んでいく。そうした動きを何回か繰り返していくと、ヘルエスタさんの声が苦しい物から変化していった。

 

「んぁ♡ はぁ♡ あぅ♡」

 

 口から漏れる声にも甘い物が混ざっていく。

 ヘルエスタさんが苦痛より快楽の方が勝ってきているのを感じ、俺は腰の動きを早くする。

 

「ふぅ、ふぐううううっ!! おぐっ、おくだめぇ……! は、激しぃぃ!!」

「そんなこと言って! ヘルエスタさんのここ、気持ちいいって締め付けてくるよ!」

「あっ、あっ、ああんっ! おっ、男の人のっ、凄いぃっ!」

「ほら、ちゃんと言うんだ! 『チンポ』がいいって!」

「ち、チンポっ! おチンポ、気持ちいいの! わ、私の、なか……暴れてっ!」

 

 ゾクゾクッと背筋が震える。

 本当なら自分が手を触れることすら許されない高貴な身分のお方。例え劣情を抱いたとしても住む世界が違うのだからと、諦めなければならない尊き人。そんなお方が、今まさに自分の下で女の顔で喘いでいるのだ。その事実だけで、俺の興奮は更に高まっていく。

 

「こ、これが本物のセックス!」

「そうだ。ヘルエスタさん、よく覚えておくんだよ!」

「にゃ、にゃまえ……名前で呼んでください」

「っ……悪い子だ、リゼっ!」

 

 パンッ、パァンっと肌同士がぶつかり合う音が響き渡る。

 同時に結合部から溢れ出た愛液が泡立ち、シーツに大きな染みを作っていく。後から後から襲い来る快楽から逃れようとリゼはシーツを掴んで前に進もうとするが、上から覆いかぶさる俺が逃がすまいと更に深く突きさす。覚えさせるように子宮口を執拗に、何度も亀頭キスしてあげれば一際大きな声で喘ぎ始める。

 

「ひっ、ああん♡  あ、あああ……んひぃっ!」

「ほら、分かりますか? 子宮口がノックされているの」

「わ、わかる、分かるからぁああっ! そ、そんにゃに、強くノックしにゃいでぇっ!」

「どうして? 気持ちいいでしょう?」

「きもちいいけどぉ、気持ち良すぎておかしくなりゅぅうううううう!!!」

 

 呂律の回らない舌で叫びながら、背中を大きく仰け反らせる。

 彼女の浅いところで細かく、速いピストンに切り替えれば、獣のような喘ぎ声が響く。

 いつまでも味わっていたいと思う反面、俺の限界も近かった。

 

「リゼ、一緒に……!」

「は、はいぃ! いっしょ、に……イク、イグゥゥゥゥウウッ!!!」

 

 最後に思いっきり腰を打ちつけ、一番深いところに精を放つ。

 それに合わせてリゼも身体を大きく震わせ、ビクンビクンッと痙攣させながら脱力した。

 俺は彼女の孔からペニスを引き抜けば、コンドームの先端は吐き出され溜まった精液で大きく膨らんでいる。我ながらよく出したものだと外したそれを眺めていると、横から伸びてきた手がそれを奪い取った。

 見れば、いつの間に帰ってきたのか、戌亥さんが立っていた。

 

「い、戌亥さん。いつの間に……」

「こないに出しぃ、生やったら孕んでたかもしれへんね。それでリゼは?」

「リゼさんは、どうやら眠ったみたいです」

「―――はっ?」

 

 瞬間、戌亥さんの動きが止まった。

 まるで信じられないものでも見るかのように、俺のことを見据えてくる。

 

「呼び方、変えたんやね?」

「えっ、あー……リゼさんから、呼んで欲しいって言われたので」

「ほーん? 恋人のことは苗字呼びなのに、その親友のことは簡単に名前を呼び捨てにするんやな……」

 

 あっ、これは不味い。

 何がと言われたら答えられないが、このままではまずいと本能が警鐘を鳴らしている。

 

「時にセツナはん、まだ余力あるよね?」

「はっ、はい。余裕で出来ます!」

 

 そう確認すると、戌亥さんは持っていたコンドームの中身を飲み干した。

 空っぽになったゴムをポイッと捨てると、バサッと身に纏っていた衣類を全て脱ぎ捨てた。

 

「実は少し前から戻ってきたんやけど、あんな声聞かされたら我慢でけへんわ」

 

 そう言った戌亥さんの瞳には、情欲の炎が燃え上がっていた。

 それから俺たちはリゼさんの時とは比べ物にならない程の激しさで貪りあい、途中目を覚ましたリゼさんも混ざって三人で交わり続けた。最後は絶頂を迎えると同時に意識を失って、そのままお昼まで仲良く眠り続けた。

 




今回の内容は如何だったでしょうか?
お待ちかねのリゼ様会でしたが、どうだったでしょう? 気付いた人もいるかもしれませんが、リゼ様と主人公はキスをしていません。理由としては彼女の恋人はあくまでアンジュであり、今回のも寝不足の原因(魅了)を解くために行った謂わば治療行為に当たります。なので、キスさせませんでした。

次回は別のライバーを登場させる予定です。
「目的のためなら手段を選ばない帝国の女騎士」でございます。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
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K-8:暴走

どうも、私です。
毎度のことですが、アンケートへの回答ありがとうございます。
半数以上の方が「要望を出してくれる」とのことでしたので、今すぐではありませんが後に活動報告の方で募集しますので、応募の程宜しくお願いします。


今回ですが、女性に対する攻撃的なシーンがあります。
流血するほどではありませんが、多少でも暴行に該当するものが苦手という方は無理せずにブラウザバックして頂いて構いません。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


 その日、フレン・E・ルスタリオは朝から上機嫌であった。

 何しろ今日は友好関係のあるヘルエスタ王国の第二皇女、リゼ・ヘルエスタの公務へ随行する役目を仰せつかったからだ。元より魔界から渡ってきたのはリゼ皇女の護衛役の騎士、所属するコーヴァス帝国に話が来たのを聞いて自ら志願したからに他ならない。騎士としての本分を果たす機会となれば、それはもう気合も入ろうというものだ。

 そして意気揚々と任務に臨んだ訳だが、フレンはあることが気になっていた。

 

「リゼ様、今日は随分と機嫌がいいですね?」

「えっ、そう? 別に何もないんだけどなぁ?」

 

 執務室での書類作業を終え、今は食堂に向かって移動中。

 隣を歩くリゼを見下ろすようにして問いかけると、彼女はきょとんとした顔で首を傾げる。

 付き合いがそこそこ長いフレンは、何となく良いことがあった後のようにリゼの雰囲気が柔らかいことに気が付いていた。こう、宝くじが当たったとか、当たり付き自販機で飲み物が二個貰えたとか、そんな感じだ。

 

「……ああ、でも一つあったわ」

「何ですか?」

「とこちゃんに恋人が出来たの」

「――――――」

 

 瞬間、フレンの思考は停止した。

 自分の聞き間違えでなければ、今確かにリゼは「恋人が出来た」と言っていた。

 

「え……」

「立実さんと一緒に居るとこちゃん、幸せそうだったなぁ」

 

 茫然とするフレンをよそに、リゼは話を続ける。

 確かに戌亥とこはフレンから見ても魅力的な女性で、一緒に出掛けた日には見惚れている男が何人もいたほどだ。だから恋人が出来ること自体に驚きはないが、まさか本当にそんな人が現れるとは思わなかった。フレンの知る限り、戌亥とこは一目ぼれするようなタイプではなかったはず。

 

「り、リゼ様もその人に会ったんですか?」

「えっ、うん少し前だけど……素敵な、人だったよ」

 

 僅かに頬を染めながら話すリゼを見て、フレンはショックを隠し切れない。

 そこでどうしてリゼまで照れるような反応を見せるのか、意味が分からない。

 

「あっ、フレンも会ってみる?」

「えっ?」

「多分、とこちゃんに頼めば機会を設けてくれるよ」

「いや、私は……はい、お願いします」

 

 少し考え込んだフレンだったが、すぐに思い直して素直に頭を下げた。

 本当に素敵な人なら何もしないが、もし、そうでないのなら自分が手を下すしかない。

 

(待っていてください。とこ先輩!)

 

 フレンは一人、決意を胸に秘めるのだった。

 

 

 ◆

 

 

「騎士、ねぇ?」

 

 来客の準備を終えた俺は、リビングにて独り言ちる。

 先日、とこさん経由でリゼからのお願いが来た。内容としてはV-idolの後輩であり、自分の護衛役でもある女騎士がどうしても会いたいから時間を作ってくれ、というものだった。とこさんからのOKが出してくれたので、こうして会うための準備を整えた。

 しかしまあ、改めて考えると凄いなと思う。

 魔界出身の人は街中を歩いていれば珍しくもないが、電脳世界でアイドルをしている人たちと交流が出来るとは夢にも思わなかった。しかも恋人まででき、おまけに一夜限りとは云え皇女殿下と致す仲になるとは。人生は何があるか分からない。もしや、これが噂に聞くモテ期なのだろうか。

 そんなことを考えていると、玄関のインターホンが押された。

 玄関に向かい、モニターを確認してみれば、オフショルダーの黒いブラウスに白のロングスカートという出で立ちの女性が扉の向こうに立っていた。俺はあらかじめルスタリオさんの顔写真は見せてもらっていたので、彼女が件の女騎士であることは直ぐに分かった。

 扉のロックを解除し、ドアを開ける。

 

「ああ、いらっしゃい。どうぞ入ってください」

「お邪魔します」

 

 礼儀正しく一礼してから、彼女は部屋の中に入ってきた。

 そこで気が付いたが、一緒に来るはずのとこさんの姿が何処にもなかった。

 

「あれ、とこさんは?」

「っ、とこ先輩なら急用が入ったから来れないそうです」

 

 スマホを確認すれば、確かに行けない旨がメッセージに送られていた。

 一先ず立ち話も何なのでリビングに向かい、ダイニングテーブルの席に座ってもらう。

 

「改めまして、立実セツナと申します」

「あっ、私はフレン・E・ルスタリオです。コーヴァス帝国で騎士をしていまして、リゼ様の護衛を担っています。本日は急な申し出に応じていただきありがとうございます」

 

 深々と頭を下げてくる。

 さて何を話したものかと考えていると、ジーっと音が聞こえてきそうなほどにルスタリオさんが凝視してくる。何かあったのかと思い視線を合わせれば、彼女は人受けする笑みを浮かべながらも凝視することを止めない。

 

「えっと、ルスタリオさん? 何かありましたか?」

「ああ、気にしないでください」

 

 いや、気にするなって言うのは無理がある気がする。

 とりあえず、彼女の視線から逃れようとお茶を入れる旨を伝えながら席を立つ。

 

「ちょっと、お茶入れてきますね」

「……あっ! 今日は手土産にお茶を買ってきたんで、私が淹れますよ!」

「流石に客人にそんなことさせられないよ」

「いえいえ、気にしないでください!」

 

 そう言って、ルスタリオさんは持っていた紙袋を手に台所に向かってしまう。

 手軽に淹れられるようにティーバッグのものを買ってきたらしく、二人分のお茶を準備してくれている。水を入れた薬缶を火にかけ、棚から湯飲みを二つ取り出す。

 

(ん、メッセージだ)

 

 見れば、リゼからメッセージが来ている。

 ルスタリオさんは素直でいい子だが、とこさんのことになると暴走しかねないとのこと。

 まぁ、心に留めておこうと思っていると湯飲みを手にルスタリオさんが戻ってくる。

 

「熱いので気を付けてください」

「ありがとうございます」

 

 受け取り、早速一口飲んでみる。

 言われた通り少し熱くはあったが、口内に広がる玉露の風味にほっとする。

 美味しかったことを伝えれば、ルスタリオさんはニパーッと笑みを浮かべてくる。まだ出会って間もないが、何となく彼女に抱いたイメージは犬のような人だということだった。

 それからは暫く、他愛のない雑談をしていしたが――。

 

「あ、レ……」

 

 ドクンッと心臓が跳ねた。

 聞こえてくる鼓動は明らかに早くなっており、体温も上昇していることが分かる。

 

「大丈夫ですか?」

 

 そう言って、ルスタリオさんが近付いてくる。

 俺の顔を心配そうに覗き込んでくるが、眼前にその巨大な双子山が目の前に迫ってきて。

 次の瞬間、俺の意識は飛んだ。

 

 

◆フレン視点

 

 

「あれ、立実さ~ん?」

 

 私は目の前でテーブルに突っ伏した立実さんに声を掛ける。

 けれども、反応はなく気を失ったように感じられる。

 

「おっかしいなぁ……はかちぇ先輩からの薬、分量間違えたかなぁ?」

 

 持ってきた小瓶を持ち上げてみる。

 これは今回の話し合いに際し、私が事前にはかちぇ先輩に頼んで開発してもらったお薬だ。中身は飲んだ人を興奮状態にする精力剤で、どんな清廉潔白な聖人君子だろうと発情させる効果があるらしい。ただ強力すぎるので精通していないショタでも、際限なく射精してしまう危険なものだから分量を間違えるなと。

 

「えっと……一滴を千倍に薄めるだっけ?」

 

 小瓶には10ml入ってて、その千倍だから10000mlにすればいい。

 そう言われたから、ちゃんと1Lの薬缶(・・・・・)でお茶を作ってから薬を入れたんだけどなぁ。

 私も入れるときに指に付いたのを舐めたけど、特に変な感じはしないのに。

 

「まいっか!」

 

 今のうちに家探しでもしよう。

 もしかしたら、何か弱みになるような物を隠しているかもしれない。

 そう思い立ってリビングの隣にある寝室に入れば、先ず最初に目についたのはシングルサイズのベッド。ここで週末にはとこ先輩とイチャコラしているのかと邪推しながら、壁際にあるおしゃれな棚を漁る。引き出しを適当に開けて中を確認するも、わたしが探しているような代物はなかった。

 

「あとは……ベッドの下かな」

 

 フローリングに両ひざをつき、ベッドの下を覗き込む。

 そこには別に隠し戸はなかったけど、奥の方に小さな箱のような物がみえる。もしやと思って手を伸ばすけど、思っていたより奥にあるのかあと少しというところで届かない。私は更に身体をベッドの下に潜り込ませる。

 

「あとちょっと……なん!」

 

 いきなり、お尻を鷲掴みにされた。

 姿勢をそのままに首だけを後ろに向けると、いつの間にか立実さんが背後に立っていて私のお尻を掴んでいた。あまりのことに言葉が出ない私に声もかけず、立実さんはひたすらにお尻を揉んでくる。えっ、なんでこの人は当たり前のように私のお知りに触っているの?

 

「な、何で触っているんですか?」

「そこに……そこに、お尻があったから」

 

 何言っているのか意味不明だし、顔も真っ赤にして息遣いも荒いし怖い。

 どうしたら良いのか分からなくて動けないでいると、立実さんは空いている手を私の方に突き出してきた。そこには私がさっきテーブルに置いてきた小瓶が握られていて、貼られたラベルを私に見せつけるようにしてくる。

 

「精力剤って、書いてあるね。こんなのを人に飲ませてどうするつもりだったんですか?」

「えっ、あの、それは……」

 

 それは立実さんが、とこ先輩に相応しいのか見ようとして使ったもの。

 もし本当にとこ先輩の恋人なら、いくら誘惑されたって私の誘いに乗らないはずと思っていたから。例え万が一に襲われたとしても現役の騎士である私なら、普通の男の人ぐらいなら簡単に返り討ちにすることも出来る。そうしたらとこ先輩に訴えて、別れさせようと考えていた。

 けれど、そんなことは言えるわけもなく。

 

「先輩の恋人を誘惑するなんて、いけない子だ」

 

 そう言って、立実さんは私のスカートを思いっきりめくった。

 突然の行動に抵抗する暇もなく、私のお尻が男の人の前にさらされてしまう。慌てて自由に動かせる左手で見えないようにするけど、立実さんに腕を掴まれて後ろ手に回されて拘束される。

 

「ちょっ、やめてください!」

「うるさいなぁ」

 

 パシンッと、乾いた音が響いた。

 それは私のお尻が叩かれた音なのだと、じんわりとした痛みが教えてくれる。

 

「これはお仕置き。悪いことをした子には罰が必要なんだ」

 

 また立実さんの手が上がり、再び振り下ろされる。

 さっきよりも強く、パンッとお尻を叩かれた。

 

「痛っ!」

 

 ぱっちんっ! ぱっちぃいんと何度も、何度も繰り返し私のお尻は叩かれる。

 まだ騎士になる前の訓練生だった頃にも辛い体験はいくつもしたことあるけど、こんな辱めを受けるのはこれが初めてだった。

 

(悔しいのに!)

 

 そう思うのに、私は抵抗できずにいた。

 ベッドが邪魔で立ち上がることができないとはいえ、きつい姿勢からも抜け出す訓練は受けていたのに動けない。

 

(後で絶対にとこ先輩に言いつけてやる!)

「おやぁ?」

 

 そうして耐え忍んでいると、立実さんが何かに気付いた。

 叩くのが止まったから様子を窺っていると、彼の手は私のお尻からショーツへと伸びてきたのが分かった。そうしてクロッチの部分を下着の上からなぞってきて、思わずビクンっと身体が震えた。

 

「なんで、ここが湿っているのかな? まさかと思いますけど、叩かれて感じたとか?」

「ち、違います! これは、その……あ、汗です!」

「ふーん、そう……」

 

 慌てて否定するわたしに、立実さんはニヤリと笑う。

 納得してくれたかなと思っていると、立実さんの手はショーツをずらして直接私のアソコに触れてくる。そのまま指を二本入れてきて、くちゃくちゃとかき混ぜるように動かし始めた。誰にも触らせたこともない、乙女の秘密の花園が荒らされることへのショックと羞恥心に涙が出そうになる。

 

「―――っ!」

 

 その間にも指は止まることなく荒らしてきて、グチャグチャと水っぽい音が寝室に響き渡る。

 必死に歯を食いしばって耐えるけど、私の意思に反して身体はもうすぐ絶頂を迎えようとしていた。

 なのに――。

 

「えっ……?」

 

 突然、立実さんの手が止まった。

 どうしてと思いながら振り返ると、ゆっくりと私のアソコから手を引き抜いた。そうしてすっかり愛液でふやけた手を自分の口元へと持っていくと、まるで見せつけるように舐めとった。

 

「ルスタリオさんの汗、すっごくしょっぱくいよ」

「~~~っ!?」

 

 私は恥ずかしさと怒りで、顔中が熱くなるのを感じた。

 それからカチャカチャとベルトを外すとズボンを脱ぎ捨て、立実さんはいきり立ったものをさらけ出した。ブルンっと勢いよく出てきたそれは、赤黒く血管が浮き出て脈打っていた。初めて見るそれを片手で扱きつつ、立実さんは私の背後から覆いかぶさってくる。

 

「本番を始めようか」

「なにを―――」

 

 そう、耳元でささやいてきた。

 意味が分からなくて、もう一度聞き返そうとした瞬間―――強い衝撃が私を貫いた。

 

「あっ……がっ!」

 

 メリメリッと肉を割く音と共に、熱々の異物が私の中に入ってくる。

 何とかして逃れようとするけど、私に抱き着いている立実さんが邪魔をしてくる。

 

「ひぐっ、うぅっ……」

「うぉっ! き、きつい」

 

 あまりの痛みに、あふれ出る涙が頬を伝う。

 こんな形で処女を喪失してしまった事実に、私はただただショックをを隠せなかった。騎士としての厳しい訓練で、ずっと前に処女膜はなくなっていたけど、それでも肉体的とは違う別の痛みがわたしを苛んだ。

 私の上で立実さんが何やら呻いていたけど、そんなことどうでも良かった。

 

「ルスタリオさん、初めてだったんだね。こんな美しい女性の純潔を奪えて光栄だね」

「うぅっ……こんなこと、絶対に許さない」

「ははっ、それもいつまで続くかな」

 

 そうして立実さんは腰を振り始めた。

 最初は私を気遣ってかゆっくりと動いてくれていたけど、徐々にペースを上げて激しくなってくる。

 パンパンと肌を打ち付ける音が鳴り響く度に、経験したことのない感覚が私を責め立てる。最初はただ痛みと異物に苦しんでいただけなのに、次第にそれも和らいできて、それどころか逆に気持ち良くなってきている自分がいた。

 

「ん、あっ……!」

「気持ちよく、なってきたね。でも、まだだよ」

 

 立実さんは私のブラウスの襟を掴むと、力任せに左右に引っ張った。

 ブチブチッと音を立ててボタンが飛び散り、オレンジ色をした下着が露わになる。そのままブラジャーもたくし上げると、おっぱいを両手で荒々しく揉みしだいてきた。痛いぐらい勃起した乳首も好きなように弄られ、その度に快楽が大津波となって後から後から襲ってくる。

 優しさも何もない、ただただ欲望のままに乱暴な行為。

 それでもわたしの身体は、しっかりと反応していた。

 

「はぅん! はあっ…あん、はひッ!」

「そろそろイキそうだ。出すぞ、ルスタリオさん!」

「だ、だめぇ……な、中だけは…赤ちゃんできちゃうぅぅぅうっ!」

 

 私が絶頂を迎えるのと同時に中から肉棒が引き抜かれたと思ったら、いきなり口の中に何かを突っ込まれた。それと同時に熱い液体が喉の奥に叩きつけられる。反射的に吐き出そうとしたけど、頭を掴まれているからそれも出来ず、無理やりにドロドロとした液体を呑み込まされた。

 

「―――うっ、げほっ、げほ!」

 

 ようやく解放された時には、もう息も絶え絶えになっていた。

 初めてのセックスは思った以上に疲れて、私はフローリングに倒れたまま指一本も動かすのが億劫だった。けれど、これで解放されることへの安堵と脱力感に包まれる。

 だけど、私の期待はすぐに裏切られた。

 

「ほら、まだ休むのは早いですよ」

「えっ……?」

 

 立実さんは私を抱き上げると、そのままベッドに押し倒した。

 私から残った衣類を全ては脱がすと、自分も脱ぎ捨ててからベッドの上に登ってきた。

 

「時間はまだある。たっぷりと楽しもうか」

 

 どうやら、私の苦難はまだ続くようだ。

 ズブブッ、と音を立てて男の人の物がまた私の中に入ってくる。今度は特に痛みもなく奥まで入り込んでくると、さっきと打って変わって緩やかにピストン運動してくる。こっちが気持ちいと思う場所を探るように、丹念に中を突いてきた。

 

「あぁっ、そこぉ! き、気持ちいぃですぅっ!」

「なら、こういうのはどう」

「ああぁーーっ!」

 

 立実さんが一突きする度に、頭の中がどんどん真っ白に染まっていく。

 あれだけ痛くて苦しいと思っていたのに、何もかもがどうでも良くなっていく気がする。

 

「んひぃぃぃっ!!」

 

 急におっぱいを鷲掴みにされる。

 これでもGカップある私の自慢のおっぱいが乱暴に揉みしだかれ、痛いぐらい勃起した乳首も摘まんで引っ張り上げられる。普段なら痛いとしか思えない愛撫も、今のわたしには快感にしか感じられなかった。

 

「ケツを叩いた時もそうだったけど、こうして乱暴にされて感じているんだな! はっ、魔界で騎士やっているとか聞いて恐縮してたけど、蓋を開けてみればこの様とはね!」

「ち、違ぅ! こんなの全然気持ちよくなんか――あんっ♡」

「どの口が言う!」

 

 否定の言葉を口にしようとした瞬間、腰の動きが激しくなった。

 パンパンという肉を打つ音と、ぐちゅぐちゅとアソコをかき混ぜられる音が同時に響き渡る。

 私はシーツを掴みながら歯を食いしばって耐えようとするけど、すぐに限界はやってきた。

 

「イクっ、イッちゃいますぅぅぅうううっ!!!」

 

 ビクンと身体が大きく跳ね上がると、私は盛大に潮を吹き出した。

 けど、立実さんはまだ絶頂していないみたいで、そのまま腰を動かし続ける。

 

「いった、イッたから動かないでぇぇっ!」

「何勝手に絶頂ってるんだ! このメス!!」

 

 バチンっ、と私のおっぱいが平手打ちされた。

 ただの暴力でしかないそれすら、私には耐えがたい快感となって襲ってくる。

 

「ふあっ!?」

「とんだ変態だな。ほら、認めろよ!」

 

 左、右と往復ビンタが繰り返される。

 その度に私のおっぱいがブルンブルンと揺れ動き、痛みと快楽が入り混じった感覚に頭がおかしくなりそうになる。

 

「正直になれ!」

「わ、私は……叩かれて感じる変態です!」

「ほら、『私は憧れの先輩の恋人に犯されて悦ぶ変態です』と言え!」

「お、お願いします! もう許してください……」

 

 これ以上は、本当に駄目だ。

 これまで私が培ってきた騎士としての直感が告げている。

 もし認めてしまえば、私はこの人の言いなりになってしまう。

 二度と逆らえない、この人の命令に忠実なメスに堕ちて戻れなくなる。

 

「まだ自分の立場が分かってないのか……なら、仕方ないな」

 

 そう言って、立実さんの手が私のおっぱいに添えられる。

 また揉みしだかれるのかと思っていると、両方の乳首を思いっきり抓られた。ううん、抓るなんて生易しいものじゃない。まるで握りつぶすと云わんばかりの力が込められていた。そして掴んだまま上に引っ張られ、ギリギリと乳首とおっぱいが引き伸ばされていく。

 

「止めて! 伸びちゃう!!」

「嫌がってる割に、こっちはギューって締め付けてるぞ」

「そ、そんなこと……」

「ならお望み通り、優しくするよ」

 

 パッと立実さんが乳首を放してくれた。

 と思っていたら、今度はおっぱいに顔を近づけ、舌を出して舐め回してきた。さっきまで引っ張られてジンジンと疼いていた所を労るように、ゆっくりと丁寧にしゃぶってくる。右の乳首を唾液まみれにすると、次は左の乳首に吸い付いてきた。赤ん坊のように、けれども激しくヂュウッと音を立てて吸われる。

 その間もずっとアソコはピストン運動を続けていて、時折クリトリスにも刺激を与えてきた。

 

「あぁっ、んくぅ! また、またイっちゃいます!」

「ほら、これがいいんだろ! もっと締め付けろ!」

 

 両方の乳首が、同時に噛まれる。

 それは甘噛みではない、奥歯で磨り潰されるような力強さだった。けれど、その直後に今度は優しくねっとりとした愛撫で責め立てられ、痛みと快楽のギャップに気が狂いそうになった。

 

「い、痛いのにぃぃぃっ!! 気持ちいぃですぅぅぅっ!」

「認めるか、フレンッ!?」

「み、認めますぅっ! わ、私は憧れの先輩の恋人に犯されて悦ぶ変態すっ!!」

「よし良い子だ。ご褒美に出してやるから、しっかり受け止めろ!」

「中にいっぱい注いでくださいっ!」

 

 次の瞬間、一番深いところに肉棒を突き立てられ、熱いものが吐き出された。

 ドクンドクンと、大量の精液が流し込まれお腹の中を満たしていく感覚にまた絶頂する。

 

「んひぃぃぃぃっ!」

 

 自分でも酷い顔になっているのが分かる。

 舌を出してアヘ顔を晒しながら、私は何度も痙攣を繰り返す。

 射精が治まったと思った瞬間、また立実さんは腰を動かして私を貫いてくた。

 

「ま、待って! 今イったばかりだから休ませて――」

「まだ夜は長いんだ。俺が満足するまで責任は取ってもらう!」

 

 それから、私は立実さんが満足するまで本当に何回も犯され続けた。

 自分でも何回絶頂したか覚えてなかったけど、たぶん立実さんの倍以上はイったと思う。

 最後はもう、頭の中も外もグチャグチャになって、気絶するように眠りについた。

 

 

 ◆

 

 

「……あー…?」

 

 瞼を上げ、見えてきたのは自分の家の天井だった。

 何だか記憶がひどく曖昧だが、今は何日の何時なのかとかそういうことがパッと出てこない。

 とりあえず枕元にあるスマホで確認すると、どうやら日付が変わって昼の十二時を回っていることが分かった。

 

「えーっと、昨日は確か……」

 

 昨日は、ルスタリオさんが家に来たはずだ。

 それから彼女が淹れてくれたお茶を飲み……飲んでからの記憶がさっぱり思い出せない。

 兎に角、顔でも洗って意識をさっぱりさせないと色々と思考がまとまりそうにない。

 

「よっ……と、と」

 

 ベッドから降りて立ち上がった瞬間、身体がふらついた。

 何とか倒れなかったものの、そのまま再びベッドに座り込んでしまった。

 そこでようやく、妙な倦怠感が身体に残っていることに気付く。

 

(風邪……か?)

 

 熱っぽさは感じないが、少し喉の奥が痛い気がする。

 あと、これは関係ないかもしれないが、股間の辺りがどうにもカピカピしているような……?

 一先ず身体の違和感は無視して、今度は気を付けながら立ち上がり、寝室からリビングに入ると台所で誰かが忙しなく動いているのが見えた。もしかしてとこさんが来ているのかもしれないと思って覗き込んだが、目に映ったのはミルクティーのような透明感がある優しいベージュ色の長い髪の女性。

 

「あっ、ご主人様!」

 

 こちらに気付いた女性が、振り返ってそういった。

 一瞬、彼女が何を言ったのか理解できず、俺は数秒間の間固まってしまう。

 そんな俺の様子に気付かなかったのか、女性は作業を止めてこちらまで歩み寄ってきた。

 

「ご主人様、どうかしましたか?」

「……えーっと、ルスタリオさん?」

「はい、そうですよ?」

 

 そう言って、ルスタリオさんは微笑んだ。

 昨日会った時とは若干、服装が変わっている気がするが、今はそんなことはどうでもいい。

 彼女とはまだ会って一日しか経っていないはずなのに、それがどうして『ご主人様』呼びになるんだ?

 

「あっ、今ご飯を作っているんで、座っててください!」

「はい」

 

 言われるがまま、椅子に座る。

 少しして目の前に料理が並べられ、食欲をそそる匂いが鼻孔を刺激してくる。まるで丸一日、何も食べていなかったような空腹感が湧き上がってきた。食事を運び終えると、ルスタリオさんは椅子には座らずに俺のやや後ろに立つ。

 

「あ、あの……?」

「私のことは気にしないでください。冷めちゃうので、食べてください」

「じゃあ、いただきます」

 

 手を合わせて、早速料理を口に運ぶ。

 とこさんの料理もおいしかったが、ルスタリオさんの手料理も負けていないくらいおいしい。

 

「ご主人様に喜んで頂けて嬉しいです」

「いや、これマジで美味いよ」

「ありがとうございます」

 

 それから食事を済ませ、空いた食器をルスタリオさんが流しに下げてから俺の向かいの席に座ってもらう。

 

「それで、ルスタリオさん……何で俺のことご主人様なんて呼ぶんだ?」

「あれ覚えてませんか?」

 

 それからルスタリオさんは昨日あった出来事を話してくれた。

 どうやら俺が意識を失ったのは、彼女が友人の「はかちぇ」に用意してもらった強力な興奮剤のせいらしい。それをお茶に混ぜて飲ませた結果、俺は本能の赴くままに彼女を襲ってしまったようだ。聞く限り、俺はどうやら十回は射精したようで、この身体の倦怠感はそれが原因だろう。

 

「それで、最後にはルスタリオさんに忠誠を誓わせたと?」

「んー、無理やりって言うより、私がご主人様のオチンポに屈服したってのが正しいですね」

「……ルスタリオさんには申し訳ないけど、俺は貴方の気持ちには答えられない。俺はとこさんの恋人だから」

 

 俺の言葉を聞いて、ルスタリオさんは不思議そうに首を傾げた。

 あれ、そんなよく分からないことを言っただろうか。

 

「私は別に付き合いたい訳じゃないですよ? ましてや、とこ先輩から恋人を奪うなんて」

 

 恐れ多い、と首を横に振る。

 

「私のことは、単なる性奴隷として扱ってくれればいいんです」

「……」

 

 いや、えっ、この子何言っちゃってるの?

 つまり、自分はセックスするだけの都合の良い存在だと言っているようなもんなんだが。

 

「好きな時に私を呼んでください。何処へでも駆け付けて、股を開きますから!」

 

 やばい、頭が痛くなってきた。

 確かにルスタリオさんはスタイル良いし、誰が見ても美女と呼べる程の美貌の持ち主だ。それを好きにしていいと言われたら、大半の男は喜ぶかもしれない。だがしかし、いくら相手がら美人であっても、そもそも俺が好きなのはとこさんだけだ。他の女とそういう関係になるつもりはない。

 

「いや、悪いけど、それも無理だ。とこさんに嘘を吐くなんて俺はしたくない」

「あっ、そのことだったら大丈夫ですよ。とこ先輩にはもう話しちゃってますから」

「………はい?」

「今日起きてから、とこ先輩に全部打ち明けたんです。昨日のことも、私の気持ちも全部!」

「えっ、マジで? そ、それでとこさんは何と?」

「えっと……“正妻は自分なことは譲らへん。加えてわたしより先に孕むことも許さへん。それを踏まえた上で2号さんになんねんやったら許す”って言ってました!!」

 

 嘘だろう。

 もしかして獣人である彼女と、人間の俺とはそのあたりの考え方が違うのだろうか?

 確かに動物社会にはハーレムを形成する種族も存在しており、獣類ではライオンが有名だろうか。後は他にアシカなどの哺乳類や鳥類なんかが確認されているらしい。そう考えると、人間の歴史の中にも一夫多妻を築いた王族や英雄なんかがいたんだから、とこさんがそう思うのも不思議ではないのか。

 

「という訳で、責任取ってくださいね! ご主人様!」

 

 そう言って、ルスタリオさんは満面の笑みを浮かべた。

 後日、彼女が首輪を常備するようになってしまったが、本人が喜んでいるので何も言わないでおくことにした。それを見たとこさんが若干、羨んでいたような気がしたが、きっと勘違いに違いない。




今回の内容は如何だったでしょうか?
戌亥とこさんへの愛を公言しているフレンなら、きっと恋人が出来たと聞いたら暴走するに違いないと勝手に解釈しました。そして義務教育に喧嘩を売るような彼女なら、おそらく1Lが何㎖か分からないと思うんです。
いえ、決して馬鹿にしてはいません。

行為中、首絞めのシーンを最初は書いていましたが、やめました。
理由としては、彼女は「自分自身」の首を絞めるのが好きと言っているだけなので、他の誰かに絞められても嬉しくないだろうと思ったからです。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-9:風邪

どうも、私です。
以前、アンケートで聞いた「シチュエーションの募集」を活動報告の方で実施したいと思いますので、返信コメントにて応募して頂けると嬉しいです。条件等もそちらに記載いたします。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


「あー……やらかした」

 

 ベッドに寝転がりながら、ぼんやりと天井を見上げる。

 七月も後半に入って気温もかなり、平均気温が30度を超えるようになってきた今日この頃。俺は夏風邪を引いてしまったらしく、熱を出してダウンしていた。原因は気温が高いからと油断して、風呂上りにろくに身体も拭かずに夜風に当たっていたのが悪かったらしい。どうせ翌日は休みがから市販の風邪薬でも飲んで一日ゆっくりと休めば直ぐに治るだろうと思っていたのだが、俺の予想に反して中々体調は良くならず何日も寝込む羽目になった。

 会社に連絡すれば、ありがたいことに風邪が治るまで出勤するなとの命令を頂いた。社会人として情けないことこの上ないが、お陰でこうして数日の間ずっと自室で寝て過ごすことが出来ている。しかし、家の中に残っている食料品で食い繋いできたが、そろそろ買い出しにでないといけない。そう思うのに、とてもじゃないが出れる状態ではない。

 そんなことを考えていると、ピンポーンと家の呼び鈴が鳴る音が聞こえた。

 

(気怠い……)

 

 宅配か、あるいは勧誘だろうか。

 申し訳ないが、相手をする気にもなれず、そのまま眠りにつく。

 

 

 ◆

 

 

(……む、ん?)

 

 何かが、顔に触れている感覚がある。

 それは人の手ではなく、もっと小さな―――犬や猫のような小動物系の肉球といった感じだ。俺の家にはそういった動物は飼っていないから、これは夢に違いない。それにしてもリアルな感触だと、そんなことを思いながらうっすら目を開くと、目の前には見知らぬ動物の顔があった。

 犬に詳しい訳じゃないが、見たことのない犬種な気がする。

 短い毛は白と黒の二色で構成されていて、瞳の色は青く澄んでいる。

 サイズは小型犬よ言うより子猫だ。

 

「……?」

 

 犬のような生き物が、俺の頬を踏んづけていたようだ。

 内心首を傾げていると更にもう一匹、似たような見た目の犬が同じように覗き込んできた。

 

「いや……君ら誰?」

 

 そう呟くと、子犬たちが離れた。

 俺が何とか上体を起こすと、子犬たちはベッドから降りてリビングの方へと駆けていく。もしかして窓が開いていて、何処かご近所さんの子がベランダから入って来たのかもしれない。そう思い、重たい身体に鞭打ってベッドから降りる。彼らの後を追ってリビングに入れば、台所に向かうのが見えた。

 

「目、覚めたんか?」

 

 そこで、声がかけられる。

 ぼんやりとしながら顔を上げれば、台所からこちらを見詰める女性の姿があった。

 

「とこ、さん……?」

 

 恋人の戌亥とこさんが、そこにはいた。

 今日の服装はいつもの落ち着いた色合いの和風メイド服でもなければ、夏用の半そでとスカートでもなかった。まるで中世のヨーロッパに出てくるような、随分とクラシカルなメイド服に身を包んでいた。後に知ったことだが、あれはヴィクトリアンメイドと呼ばれる地味で落ち着いた正統な仕事着らしい。

 彼女には自分が風邪を引いたことは伝えてあったが、移ったら申し訳ないから暫く来ないでくれと頼んでいた筈なのに。彼女は当たり前のように、俺の家の台所に立っている。どういう状況なのか理解できず混乱していると、彼女が歩み寄ってきて額に手を当ててきた。

 水仕事をしていたからか、冷たい手が今は心地よかった。

 

「んー、んー、まだ熱がある感じやね。もう少し横になっとった方がいいかな?」」

 

 そのまま出てきたばかりのベッドに逆戻りさせられる。

 ベッドに横になると、とこさんはタオルケットを肩までかけてくれた。

 

「食欲はある? おかゆを作ってあるさかい」

「いただきます」

「は~い」

 

 そうして少し待っていると、一人用土鍋を手に戻ってきた。

 土鍋を受け取って蓋を開けてみれば、立ち上る湯気と一緒に卵粥の美味しそうな匂いが鼻腔を刺激する。暫くろくに食べていなかったこともあってか、急激な空腹感を覚える。早速食べようとするが、肝心の粥を掬う道具が見当たらなかった。忘れてきたのかととこさんを見れば、彼女の手にはレンゲが握られていた。

 そしてベッドの縁に腰掛けると、そのレンゲでお粥を掬う。

 

「とこさん?」

「食べさせたるから、口あけぇ」

「え……いや……」

 

 口元に差し出されるレンゲ。

 気恥ずかしくはあったが、空腹には勝てず大人しく口を開ける。

 

「はい、あーん」

「……んぐ」

 

 レンゲに乗った粥を口に含む。

 絶妙に火傷しない温度と程よい塩加減のおかげで、すんなりと食べることが出来た。

 こうして誰かに看病してもらうのは一体何年ぶりだろうか、そんなことを考えながら何度も口を動かしていく。空腹だったのもあり、あっという間に器の中にあったお粥は無くなってしまった。

 

「ごちそうさまでした」

「お粗末様。次は背中拭くさかい、服を脱いで待っていて」

 

 そう言ってとこさんは立ち上がり、再び台所へと向かう。

 言われた通りに上着を脱いで上半身裸になってベッド上で待っていると、程なくしてお湯とタオルの入った洗面器を持ってとこさんが戻ってきた。そのまま俺の背中に回ると、慣れた手つきで汗ばんだ俺の身体を丁寧に拭き取っていく。

 背中や首筋を拭き終えると、今度は前側を後ろから手を回して拭いていく。そうなると自然と背後から抱きしめられる形となり、とこさんの体温と柔らかさが伝わってくる。本人はきっと一生懸命なんだろうけど、耳元に甘く艶やかな吐息がかかってくすぐったかった。

 

(やっべ……勃起してきた)

 

 俺の性欲は以前に比べて、確実に強くなった自覚がある。

 そんな状態の俺が、彼女が動く度に背中で押しつぶされている大きな胸の感触に反応するなというのが無理な話だ。どうにも興奮を掻き立てられ、チラッと下半身を見れば股間の部分がテントを張っているのが分かる。しかし下手に動けばとこさんに気付かれてしまう。

 どうすれば、と考えていると。

 

「はい、終わり」

 

 そう言って、とこさんが離れる。

 どうやら気付かれずに、切り抜けられたようだ。助かったと思い込み、俺の緊張が緩んだ一瞬のスキを突かれた。

 

「次はこっちや」

「うぉっ」

 

 ズボッと、とこさんの手が俺のズボンの中に突っ込まれた。

 そのまま下着越しにペニスを掴まれ、思わず声が漏れ出てしまった。

 

「ちょ!?」

「ほら、じっとしとき。こっちも溜まっとるんやから、出してスッキリしちゃいましょうね」

 

 布一枚を挟んで、彼女の柔らかく温かな手が上下に動く。

 まだ半立ちだった俺のペニスはあっという間に固くなり、とこさんは器用に下着の窓からペニスだけを引っ張り出した。ズボンの前側もずり下されれば、完全勃起したペニスが空気にさらされる。とこさんの手が完全に露出されたペニスを優しく握り、ゆっくりと動かし始める。既に先走り汁で濡れていたこともあり、グチュッグチャっと淫靡な音が鳴り始めた。

 

「うっ、くぅ……」

「ほれ、我慢せんと出しぃ」

 

 段々と、動かす手が激しさを増す。

 普段だったらまだもう少し我慢できるところだが、熱で頭がぼんやりとするからか、俺はあっさりと射精してしまった。

 

「ぐっ……!」

「ん、出たね」

 

 ビュルルルッと勢いよく出る精液を、とこさんは片手を皿にして受け止めてくれる。

 射精が終わるのを確認すると、それを自分の口元に持って行き、勢いよく口の中に流し込んだ。ゴクリッと喉を鳴らして飲み込み、更には指についた分も全て舐めとる。その仕草があまりにも扇情的で、俺のペニスはすぐに固さを取り戻し始めていた。

 

「アハァー! 元気やねぇ。なら今度はこっちで抜いたる」

 

 とこさんは後ろから前に回り込むと、俺の前に仁王立ちする。

 そしてスカートを掴むと、するするとこちらに見せつけるようにゆっくりと捲り上げていく。足首から始まって太腿、膝、ふくらはぎと徐々に露わになってくる。それにつれて見えてくるのは、白いストッキングに包まれた魅惑な脚線美。それを繋ぐガーターベルトと、眩しいほどに純白のショーツが目の前に晒け出された。

 しかし、今や内から溢れ出る愛液によりショーツは濡れ、奥が透けて見えてしまっている。

 

「ゴクッ……」

 

 思わず生唾を呑み込む。

 とこさんはスカートを捲ったまま、片方の手でショーツをずらすと、俺の身体の上に跨ってきた。そのまま位置を合わせると、ゆっくりと腰を下ろしてペニスを呑み込んでいってしまう。スカートの中で見えないが、ペニスがとこさんの柔らかな膣肉に包まれているのが感覚的に分かる。

 

「相変わらずごっつおっきいで」

「とこさんの、中も……すっごく熱くて、気持ちいです」

「そら、良かった。今日はわたしが動いてあげるから」

 

 とこさんは俺をベッドの上に押し倒した。

 騎乗位の体勢になると、とこさんが自ら腰を動かし始めた。

 最初は俺に負担を掛けないようにかゆっくりとした動きだったが、次第に早くなっていく。

 

「あっ、ん、んぁ、ああん♡」

 

 結合部は決して見えないが、パンッ、パチュンッと肌と肌が激しくぶつかり合う音が響く。

 視界には恍惚な表情を浮かべながら腰を動かし続けるとこさんの姿があり、彼女の献身によりもたらされる快楽を享受する。そうしながら視線を少し下へとずらせば、厚い生地の下で大きな乳房が上下に揺れているのが分かった。気付けば俺は自然と手を伸ばし、服の上から胸を揉みしだいていた。

 

「んっ、そんなに……おっぱい、好きなん?」

「男はみんな、おっぱいが大好きですから」

「もう、あっ、しゃーないなぁ」

 

 そう言うと、とこさんは自分でブラウスのボタンを外していく。

 ぷち、ぷちっと一つずつ丁寧に外し、胸元を開けさせればショーツと同じ色のブラジャーが露わになる。そしてブラジャーを上にたくし上げれば、ブルンッと大きく張りのある双丘が躍り出る。そのま俺の両の手を掴んで誘導させると、自らの胸を直に触らせた。そのまま両手で掴むようにしてやると、柔らかく温かい感触が伝わってきた。ふにゅん、もにゅん、とこねるように動かしたり円を描くように撫で回したり、彼女の巨乳を楽しむ。

 

「んんっ、あっ、はぁん! セツナはん!」

「とこさん、とこさん!」

 

 俺たちは名前を呼び合いながら行為を続ける。

 とこさんの動きも更に激しさを増していき、俺も負けじと彼女の乳首をつねり上げる。

 

「セツナはん……ん、わたし、もうっ!」

「ええっ! 一緒に」

「いく、いく……イクゥゥゥウウウッ!!」

 

 とこさんが先に絶頂を迎え、膣壁が強く締まり脈動する。

 その刺激に耐え切れなかった俺もまた射精し、ドクドクッと大量の精液で膣内を満たしていく。

 互いに動かず、しばらくの間の余韻を味わった。

 

 

 ◆

 

 

「はい、これでお終い」

「ありがとうございます」

 

 色々な液体で濡れた寝間着を脱がされ、新しいものに着替える。

 先程まで火照っていた身体はすっかり治まったようで、気怠さは感じるものの熱っぽさは微塵もない。

 

「んー、熱もさっきよりは下がっとる。これなら明日にでも治りそうやね」

「はい、助かりました」

「わたしは片付けしとくから、ゆっくり休んでおいて」

 

 そう言って、とこさんはベッドから立ち上がる。

 その時、俺はどういう訳か無意識の内にとこさんの手を掴んで引き留めてしまった。

 

「ん、どないしたん?」

 

 不思議そうな顔で振り返るとこさん。

 俺自身もどうしてこんなことをしてしまったのかわからずに、咄嵯に言い繕おうとする。

 

「あっ、その……何でもないです」

「……仕方ない人やね」

 

 とこさんは再びベッドの縁に腰掛ける。

 それから台所の方に顔を向けると、誰かに向かって声を掛ける。

 

「バン、ケン! ちょっと手伝って!」

 

 すると、先ほどの子犬たちが姿を現した。

 どうやらこのバンとケン――どっちがどっちだ?――は、とこさんの飼い犬のようだ。

 

「これ、なおして置いて。後は向こうで遊んどき」

 

 子犬たちは器用に後ろ脚で立ち上がると、二頭で仲良く寝間着を持って寝室を出て行く。

 ただの犬とばかり思っていたが、どうやらあの二頭も普通の犬ではないようだ。

 

「あの子たちは、とこさんの?」

「せや。まぁ、詳しい話はまた今度したるから」

 

 小さな子供をあやすように、とこさんが頭をなでてくる。

 なんだか気恥ずかしくはあったが、抵抗する気にもなれず大人しく受け入れる。

 

「~♪」

 

 子守唄のように優しい鼻歌が聞こえてきて、段々と眠気が襲ってくる。

 まだ眠りたくないと抗う気持ちとは裏腹に、瞼は徐々に重くなっていく。

 

「お休みなさい、セツナはん。良い夢を……」

 

 最後に聞いた言葉と共に、意識が途切れていった。

 翌朝、目を覚ました時にはとこさんの姿は何処にもなく、風邪もすっかり完治していた。




今回の内容は如何だったでしょうか?
前回が一万字いったのに対し、今話は半分ほどと少し短めです。
とこちゃんの新衣装を見て、最初は夢落ちという形で中世系の世界観で書こうかと思いましたが、うまくまとまらなかったので風邪の看護ということで登場して頂きました。
え、ナース服? ……コスプレって、いいよね。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-10:懇親

どうも、私です。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


「頼む! 俺に協力してくれ!!」

 

 そう言って、目の前で綺麗な土下座をされる。

 思わず俺は同僚の東山の行動に唖然とし、何を言ったらいいのか迷った。

 

「えーっと……一先ず、話を聞かせてくれ?」

「分かった! 実はな――」

 

 立ち上がってから、東山が事情を話し始めた。

 どうやら今夜、大規模な合コンが開催されるらしい。ここの社員だけでなく他社との合同開催らしく、東山もその主催者の一人として関わっているそうだ。日時や会場などは決まり、メンツもそれなりの人数を集めることに成功したのだが、ここにきて参加者の一人から欠席が出たという連絡が入ったとか。

 

「だから、是非お前に参加してほしいんだ!」

「一人くらい、どうとでもなるだろう?」

「その欠席した一人ってのが厄介でな、そいつを売りに女性陣に声を掛けていたんだよ。ところが今日になって急な出張を告げられちまったらしくて、今更代わりを用意するのは難しいんだ……」

「ああ、そういうことか」

 

 何とも、間の悪いことで。

 確かにお目当ての男がいないと分かれば、欠席する女性が出てくる可能性もある。

 

「立実はイケメンじゃないけど、参加してくれれば女性陣からのバッシングも少ないと思うんだ」

「そうは言うが、俺は彼女がいるからなぁ」

「あくまで数合わせの広告塔! 他の主催者たちにもちゃんと伝えるから!」

「う~ん……」

 

 さて、どうしたものか。

 急な頼み事だから断っても構わないんだが、ここで恩を売っておくのも悪くはない。些細なことだが、社会ではこうした貸しというのは後で役に立つことも多い。

 

「分かった。参加してもいいぞ」

「本当か!? 助かるよ!」

「ただし条件がある」

「なんだ? 出来る限りのことならやるぜ!」

「いや、大したことじゃないんだけどな」

 

 俺は彼女にメッセージを送った。

 内容としては『同僚を助けるために、合コンに参加することになりました』といった感じだった。更には嘘ではないことを証明する為に電話をかけ、東山に事情を説明させることにした。

 

「もしもし、とこさん? 今電話大丈夫?」

『大丈夫やで。それより、さっきのメッセージはどないしたん?』

「数合わせで参加することになった。それで、本人から説明させるから聞いて欲しいんだ」

『分かった』

 

 そこで東山にスマホを渡し、事情を説明させる。

 東山は低姿勢になりながら彼女の理解を得ようと必死になり、最後にはぺこぺこと頭を下げていた。五分ほどして東山がスマホを返してきたので、通話状態なのを確認して耳に当てる。

 

「という訳で参加するけど、別にやましいことはないから」

『ぇん、分かったわ。浮気したら許さへんからね』

「もちろんだよ」

 

 通話を終えると、スマホの電池残量が心許ない。

 夜には電池が切れてしまうかもしれないが、別に問題はないだろうと判断すると、東山が考え込むように腕を組んでいた

 

「どうした?」

「いやぁ、お前の彼女と初めて話したけど……何か、聞き覚えのあるような声だった気がして」

「気のせいじゃないか?」

 

 誤魔化すように笑みを浮かべると、首を傾げながらも東山はそれ以上追求しなかった。

 仮にも恋人がV-idolなのだから、迂闊に電話させたのは不味かったな。

 今度から気を付けないと。

 

 

 ◆

 

 

 そうして夜、都内某所のホテルの大ホール。

 流石は複数の会社合同のコンパだけあって会場にはかなりの数の男女が集まっており、既にあちらこちらで盛り上がっている様子だ。俺はといえば壁際を陣取りつつ、会場内を見渡して参加している人たちの顔ぶれを確認していた。

 

(あれはA社の営業部の人だったか……あっちは、C社の人かな?)

 

 成る程、確かに色んな人が集まっているな。

 おそらく四百人は超えているとは思うけど、これなら俺が参加する必要はなかったんじゃないか? まぁ、俺は相手を探す必要はないから適当にお酒や料理を楽しめばいいかと判断し、アルコールの入ったグラスを手に提供されている料理に舌鼓していく。

 

(おっ、あそこの料理美味しそう)

 

 次はローストビーフに狙いを定め、そちらに足を向ける。

 直後、トンっと俺と同じようにテーブルに向かっていた誰かと軽くぶつかってしまった。

 

「っと、すみません」

「いえ、こちらこそすみません」

 

 そこに居たのは、見事なまでに真っ赤なドレスを身に纏った女性だった。

 他の参加者たちは同じ仕事上がりなのかスーツなり、爽やかなワンピース姿の女性が多い中、その女性はまるでステージに立つアイドルのような気合の入った出で立ちに少し驚きを覚える。ただ本人は合コンに参加している割に、男性陣と話すこともなく料理を楽しんでいる様子だった。

 

「……もしかして、カトリーナさん?」

「ふぇ?」

 

 声を掛けられて振り返り、彼女は驚いた表情を見せる。

 改めて見て、とこさんの友人のアンジュ・カトリーナさんで間違いなかった。

 

「えっ? あ、あれ……すみません、何処かでお会いしましたっけ?」

 

 カトリーナさんは俺が誰か分からない様子。

 まぁ、直接会ったのは一度きりだし、俺の容姿は特別記憶に残るようなものではないから無理もない。

 

「お久しぶりです。とこさんと付き合っている立実です」

「……あっ、あーっ! 戌亥の彼氏さん!?」

 

 どうやら思い出してくれたようだ。

 

「どうしたんですか、こんなところで」

「同僚が困っていたんで参加したんです。カトリーナさんはどうして?」

「あーっ……実は、その……彼氏が欲しくて」

 

 彼女の言葉に、俺は思わず首を傾げた。

 俺の記憶違いでなければ、確かカトリーナさんはリゼさんと交際していた筈では?

 

「その、不躾で申し訳ありませんが……リゼさんと別れたんですか?」

「えっ! ち、違います! リゼとは交際しています」

「なら……」

「お恥ずかしながら、男性と付き合った経験がなくて……」

 

 何となく、彼女の事情が察せられた。

 ただ、それが目的ならどうして輪から外れて食事を優先しているのだろうか。

 しかし、あまりお節介を焼くのも良くないだろうし、深く突っ込むのは止めておくことにした。

 

「ここの料理、美味しいですね!」

「あー、このホテルのレストランから提供されているみたいですよ」

「へ~、そうなんですね!」

 

 俺たちは軽食を取りつつ、互いの近況を話した。

 近況といっても、その殆どが仕事や人間関係に関する愚痴だったのは仕方ない。

 そんな風に談笑している内に時間は過ぎていき、やがて合コンの終了する時間となっていた。

 

「あー、もう終わりか」

「……」

「すみません。カトリーナさんを独占したせいで、他の男性と話す機会を奪ってしまいました」

「………」

「カトリーナさん?」

「……ふぇ?」

 

 声を掛けると、カトリーナさんが顔を上げた。

 その顔はほんのりと赤らんでおり、瞳も焦点が合ってないのかぼんやりとしているのが分かる。

 

「大丈夫ですか?」

「大丈夫、れす……」

 

 いや、明らかに酔っぱらっている。

 まあ、この会場に居るってことは未成年って訳でもなし、流石に前後不覚になるまで飲みはしないだろう。しかし、このまま放っておいて帰宅する途中で何かあっても俺が困るし、せめて彼女が安全に休める場所まで連れて行った方がいいだろう。

 

「カトリーナさん、動けますか?」

「だいじょうぶ、大丈夫ですよ……っと」

 

 少しふらついているが、何とか自分で歩ける様子。

 俺は東山に一言告げてから、カトリーナさんを連れてエレベーターに乗って一階に降りる。

 

「ご、ご迷惑を……すみません」

「いえいえ、気にしないでください。カトリーナさんに何かあったら、俺がとこさんたちに責められるので」

 

 肩を貸しながら、ゆっくりとした足取りで進む。

 カクテルぐらいしか飲んでいなかったと思うが、それほど酔っぱらってはいないようだ。

 

「それで、カトリーナさんのお家は何処ですか?」

「家? 家、いえ……いえーいっ!」

 

 高らかに拳を振り上げている。

 あかん、冷静に見えて出来上がっているは、この人。

 

「カトリーナさん、最寄り駅は何処ですか?」

「えーっ! まだ帰りたくなーい!」

「いやいや、もう十分楽しんだでしょう。帰りますよ」

「いーやーだー!」

 

 まるで駄々っ子のようにイヤイヤと首を振る。

 本当に面倒な酔い方をしているけど、どうしたものかと暴れる女性の相手をしつつ考える。

 一先ずとこさんに電話しようかとスマホを取り出すが電池が切れているのか、画面は真っ暗なままだった。

 

「カトリーナさん、スマホを貸してもらえませんか?」

「んー……スマホ? あー……置いてきちゃった」

 

 あははっ、とあっけらかんと笑う。

 マジでどうしようかと考えていると、立ち止まっていたのが悪かったのかカトリーナさんが寄り掛かってくる。

 

「あれ、カトリーナさん? おーいっ」

「……zz」

 

 寝息を立てている。

 最悪だ、ここで眠られてしまっては運べないぞ。だからといってタクシーで俺の家に帰るのも気が引けるし、と頭を悩ませていると後ろから肩を叩かれた。

 振り返ると、そこには東山が立っていた。

 

「どうした?」

「いやぁ、困っているであろう同僚にプレゼントをしてやろうと」

 

 ほいっ、といって差し出してきたのはカードキー。

 受け取って見れば、どうやらこのホテルの部屋の鍵らしい。

 

「念のために休憩室用の部屋を借り置ていたんだ。もう支払いも済んでるから、そちらのお嬢さんを部屋に送り届けてやれ」

「用意周到で助かるよ」

「それと、これは俺からお節介だ」

 

 そう言って差し出したのは二本のペットボトルだった。

 見ればよくあるスポーツ飲料水だが、マイナーな奴なのか知らないラベルが貼られていた。

 

「そっちの女性も、お酒を飲んだんだろう? なら水分補給は必須だからな」

「それも、そうか……けど、これ何処の奴だ?」

「あー……新商品みたいでな、俺もたまたま見かけたんだ」

 

 へぇ、と思いながら荷物と一緒にする。

 東山はそれから後片付けがあるから、と言ってそそくさと会場の方へと戻っていった。なんか後ろめたさから逃げたようにも感じられるが、人の好意をあまり疑うのは良くないな。

 そう判断し、俺は眠ぼけているカトリーナさんの身体を支えながら、エレベーターへと向かう。そのまま乗り込み、上の宿泊エリアに上がり、廊下を進んで目的の部屋に向かう。カトリーナさんを落とさないように気を付けつつ、カードキーを使って扉を開けて中に入る。

 

「よ、っと……」

 

 とりあえず、カトリーナさんをベッドの上に寝かせる。

 横になる彼女の顔色を窺えば、ほんのり赤らんでいる程度で酷い酔い方ではないようだ。

 

「おーい、カトリーナさん。起きれますかー?」

「ん。んぅ……」

 

 反応を返してくれるが、起きれそうにない。

 俺は無理に起こす必要はないかと諦めて、東山から貰った飲料水を手に取り、封を切って口に含んでみる。すると、口の中に広がったのは幾度となく飲んできた飲料水とは全く違う味で、俺は思わず眉を潜める。

 

「まっず」

 

 これは売り物としては失敗だろう。

 軽くしか飲まなかったが、残りを飲み干す気にはなれず蓋を閉めなおしてテーブルに置く。

 東山には今度会った時に感想を伝えよう、と思いながら俺は手近にあった部屋に備え付けの椅子に腰かけた。

 

「ふぅ……」

 

 少し、疲れた。

 本当なら直ぐにでもカードキーを置いて帰るべきだが、少しだけ休ませてもらおう。

 椅子に座ったまま、俺は軽く目を瞑った。

 

 

 ◆

 

 

(………?)

 

 ふと、妙な感覚に意識が覚醒する。

 股間の辺りが妙に温かく感じられ、薄っすらと瞼を開けて様子を窺う。すると、誰かが俺の股間部分に触っていることがわかった。この部屋には俺とカトリーナさんしかいなかったのだから、つまりそんなことをするのは一人しかいないことになる。

 

(カトリーナさんが、まさか?)

 

 そう思いつつ、先ほどより薄目を開く。

 先ほどより見えるようになった視界では、カトリーナさんが椅子に座る俺の前に膝をつき、今まさにズボンのジッパーを今まさに下ろしている最中だった。止めさせなければ、と思う反面、どうするつもりなのだろうかという好奇心が沸く。やがてチャックが下ろされれば、半立ち状態の俺のペニスが顔を出す。

 

「ひっ――」

 

 カトリーナさんが小さく悲鳴を漏らす。

 どうやら怯えたようだが、彼女は恐る恐るといった様子でペニスに触ってきた。思ったよりも小さな手がペニスに触れ、ゆっくりと上下に動かしだした。たどたどしい動きではあったが、それでも刺激を与えてくる。次第に大きく勃起していき、亀頭からは透明な先走り汁が溢れ始めた。

 

「す、凄い……これが、本物の」

 

 カトリーナさんは汁を指先で掬うと、興味津々に眺め始める。

 そして、おもむろに自分の口に運び……ゲェッと舌を出して不味いっと顔をしかめた。これで止めるかと思ったが、カトリーナさんは今度は両手でペニスを握ると激しく上下に動かし始めた。グチュグチャッと卑猥な音がホテルの一室に響き渡り、俺は寝たふりを続けながら必死に耐えていた。

 

「こ、これぐらいでいいかな……」

 

 不意に、カトリーナさんが手を止めた。

 後数回で限界を迎えそうだった俺は、乗り切ったことに安堵しつつ先ほどより目を開けた。

 俺が目を覚ましていることに気付いていないのか、カトリーナさんは立ち上がるとおもむろにドレスのスカートの中に手を入れた。やがて若干もたつきながらもショーツを足首まで降ろし、何やら脱いだ自分の下着をマジマジと見詰めてから脇に置いた。

 

「よいしょ、っと……」

 

 そうしてカトリーナさんは椅子に座る俺の上に覆い被さってきた。

 片手で姿勢を安定させるように手すりを掴み、もう片方の手でペニスを掴むとスカートの中に隠してしまう。おそらくは自らの秘所へと宛がったことが、亀頭に何か柔らかな感触が伝わってきたことで察せられた。

 

「んっと……あ、あれ? この辺りかな」

 

 位置を確かめているのか、しばらく腰の位置を調整していた。だが、上手く挿入出来ないようで何度か前後に擦り付けていたが、やがて位置が定まったのか、カトリーナさんはゆっくりと腰を下ろし始めた。

 

「うっ、あ……大きいぃ」

 

 カトリーナさんの膣は、ぴったりと閉じられていた。

 固く閉ざされた処女の聖域は異物の侵入を拒むように狭く、カトリーナさんも何とか挿入れようと試みる。カリ首までが入り込んだところで、彼女は一旦動きを止めた。

 

「はぁ、ひぃ……も、もう少し」

 

 何度か深呼吸をし、さらに腰を下ろす。

 だが、やはり俺のペニスのサイズは彼女にはかなりきついらしく、ある程度進んだところで止まってしまった。根元まで後少しといったところで、それ以上は自力では無理なのか肩で大きく息をしながら苦しげにしていた。それでも頑張って腰を下ろそうとするが、ただ単に腰を前後に揺らす程度に収まっていた。

 

(じれったいな……)

 

 彼女なりに、努力はしているのだろう。

 しかし勢いが足らないために、いつまで経っても奥には進まない。

 据え膳食わぬは男の恥というように、俺も寝たふりを止めてカトリーナさんの腰を掴むと、一気に引き下ろした。

 

「ふぇ―――おごっ!」

 

 容易く最奥まで突き刺さり、亀頭が子宮口を押し上げる。

 突然の衝撃にカトリーナさんは大きく身体をのけぞらせ、身体を小刻みに痙攣させていた。

 

「た、立実さん! お、起きて、いたんですか!?」

「少し前からね……それにしても、カトリーナさんも大胆ですね。男の寝込みを襲うなんて」

「ちがっ! こ、これは、その……目が覚めたら立実さんが寝てて、テーブルの上にあった飲み物を頂いて……それから立実さんの様子を見たら、ズボンが膨らんでいて苦しそうだったから、それに……立実さんのはとっても大きいって聞いてたから」

 

 しどろもどろになりながら言い訳をする。

 何とかこの場を乗り切ろうと思いついたことを口にしているようだが、人の寝込みを襲ってセックスしようとしている時点で説得力は皆無でしかない。それに気付きながら、俺は笑みを浮かべながらカトリーナさんに言った。

 

「なら、手伝ってくれますよね?」

「な、何をですか?」

「ナニを、ですよ」

 

 そう言いながら、腰を動かして下から小突く。

 カトリーナさんの膣はやはり思ったより濡れていなかったが、それでも動かせない程ではなかったので俺は彼女の反応を見ながらピストンを始めた。

 

「うぐっ、あっ……う、動かないで」

「カトリーナさんには拒否権はないんだよ。ほら」

 

 腰を動かしながら、カトリーナさんの胸元に手を伸ばす。

 そのままドレスの上から無造作に掴み、ぎゅっと潰すように力を込める。カトリーナさんはやはり見た目通り、いや想像以上に胸の起伏がなかった。スレンダーとは思っていたが、これはまな板といっても過言ではないサイズで、揉むというよりは握るという方が正しかった。手に感じる重さで言えばミカンぐらいだろうか。

 

「や、やめてくだ、さい……そんな強くしたら、痛いです」

「そういう割に、身体は正直だよ」

 

 手の平の内で、確かに固くなる乳首の感触があった。

 それを自覚させるように、ギュッと摘まんであげればカトリーナさんが甲高い声を上げる。

 

「ひぅっ!」

「ほら、こんなに乳首は固くなってるよ」

「そ、それは……」

 

 カトリーナさんは恥ずかしそうに俯く。

 それがじれったく、俺はカトリーナさんを抱きかかえて立ち上がると、そのまま激しく上下に動かした。くれぐれも落とさないように駅弁スタイルのまま、筋力に物を言わせて何度も腰を打ち付ける。

 

「ふんっ、ふんっ!」

「ひぐっ! おごっ、おぐうぉぉぉっ♡」

 

 一発一発、叩き込む度にカトリーナさんのお腹がボコッと膨れ上がる。

 正しく棒で貫かれた彼女は衝撃に苦しむが、それに反して結合部からは愛液が溢れ流れ出す。先ほどまで乾いていて気付かなかったが、カトリーナさんも名器の持ち主だったらしい。ペニスの根元が締め付けられる感覚は、動かすたびに大きな快楽となって俺にも伝わってくる。

 

「おおっ! いい締まりだな」

「あぐっ、あひっ! し、知らにゃい! こんなの、初めてだからぁ」

「初めての男になれて嬉しいよ」

「おほっ、んほぉっ! ああぁっ♡ だめっ、だあっ! あっ、あ゛ん゛っ♡」

 

 膣内をかき回され、子宮口を叩かれる快感に溺れる。

 下品な喘ぎ声をBGMにして、俺もラストスパートをかけるべく駅弁スタイルからベッドの上に押し倒した。そのまま種付けプレスへと移行し、絶頂へと向かうべく激しく叩き付ける。もはや理性など頭から消え去り、本能の赴くままに目の前の女体を貪る。

 

「いぐっ、いぐぅっ……!」

「アへ顔晒してイケッ!」

「ん゛お゛お゛ぉ゛~~っ♡」

 

 獣のような喘ぎ声をあげ、カトリーナさんは盛大に達した。

 それと同時に膣壁が激しく収縮を繰り返し、俺のペニスをこれでもかというくらいに搾り取ろうとしてくる。あまりの気持ち良さに、ペニスを膣内から出す間もなく俺も射精してしまう。途中で引き抜けたが、勢いよく発射される白濁液がカトリーナさんの顔を汚していく。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「ハー、ハー……」

 

 カトリーナさんは脱力し、どこかぼんやりと天井を見詰めていた。

 そんな荒く息をするカトリーナさんを見下ろしながら、俺は男性特有の賢者タイムに突入した。

 

(……やばい、殺される)

 

 つい勢いに任せてしまったことを後悔する。

 俺から手を出した訳ではないが、セックスしている――しかも膣内射精のオマケ付きだ。

 これは弁解のしようがなく、とこさんに殴り飛ばされる未来が見える。

 

「あ、あの……」

 

 そうして暫く考え込んでいると、カトリーナさんから声が掛けられた。

 彼女も落ち着いたようで、まだ頬は紅潮していたが瞳は理性を取り戻しているようだった。

 

「カトリーナさん……すみませんでした!」

 

 俺は膝をつき、両手をついて深々と頭を下げた。

 とこさんのことも問題だが、今は目の前に居る女性への誠意ある対応を求められている。

 

「や、やめてください! 元はと言えば、ウチがちょっかいを掛けたんですから」

「だとしても、許可なく中出ししていい訳ではありません」

「ま、まぁ……幸いなことに、今日は安全日なので妊娠するリスクは低いと思いますし」

 

 それでも許される道理はない。

 安全日でも絶対に妊娠しない訳ではないのだから、外に出さなかったのは俺のミスだ。これで万が一にも子供が出来てしまえば、俺は男として責任を取らざるを得ないだろう。そうなれば恋人のとこさんは哀しみ、カトリーナさんは友人から恋人を奪ってしまったという罪悪感に苛まれることになるだろう。

 そうなってしまえば、誰も幸せにならない未来が待っている。

 

「無罪放免は俺自身が赦せない。俺の命はやれないけど、出来る限りの贖罪はする」

「…………」

 

 長い沈黙が続く。

 やがてカトリーナさんは小さく息を吐き、何処か恥ずかしそうにしつつ口を開く。

 

「じゃ、じゃあ……また、今度抱いてください」

「ーーーえ?」

「待ってください。事情を聞いてください。ウチ、寝取られが好きなんです!」

「…………」

 

 思わぬカミングアウトに、今度は俺が黙り込んだ。

 すると俺が引いていると思ったのか、酷く慌てながらも詳細を利かせてきた。

 曰く、パートナーを寝取られるのではなく、自分が恋人から寝取られるのが好きだという。

 

「もちろん! あくまで、プレイの一環としてですよ! 別に戌亥から立実さんを奪いたいとは思ってないし、ウチ自身リゼと別れる気もこれっぽっちもないから。ただ、こう………性的な目で見られたいんです!」

 

 この子、大丈夫かな?

 カトリーナさんの今後が心配になったが、一先ずは置いておこう。

 

「……それで、カトリーナさんが納得してくれるならセフレになります」

「それでお願いします」

「では、早速で申し訳ありませんが、自分の問題に協力してください」

「何ですか?」

「とこさんを説得する術を一緒に考えてください」

「……はい?」

 

 首を傾げるカトリーナさんに、俺たちの置かれた状況を説明した。

 話を聞くうちに、どんどんカトリーナさんの顔色が青ざめて行った。

 

「しぬんだぁ…」

「まだ確定してないので絶望しないでください」

「相手は地獄の番犬ケルベロスですよ!? あかん、食い殺されるんだ」

 

 ケルベロスとは、どういうことだろうか?

 確かに彼女は獣人だから、ベースとなる個体が存在しているが、犬ではなかったのか?

 

「流石に殺されはしないと、信じましょう」

 

 兎に角、俺たち二人は生き延びるための説得方法を只管に考え続けた。しかし、一晩中頭を悩ませても妙案が浮かぶことはなく、二人してとこさんに土下座して許しを請うことにした。解決策ではなかったが、下手な弁明をせずに誠心誠意謝ろうということになった。

 結果からして、俺たちは殺されずに済んだ。

 無論、無傷とは言えず、俺たちはとこさんの必殺デコピンを浴びた。デコピンと聞いて大したことないと考えるかもしれないが、たかがデコピンと侮ることなかれ。その威力は計り知れず、外傷は殆どないのに半端ない衝撃が脳を貫いたのだ。数日は、まるで吐き気を催すほどの片頭痛でも患った気分だった。

 更に俺には追加で罰が与えられた。

 

『他所の女に手を出さんよう来週、丸一日使って絞ったるから覚悟しとき』

 

 ははっ……俺、来週枯れるかも。

 因みに、飲料水と嘘を吐いて興奮剤を入れて同僚を罠にはめようと画策した下手人には、カトリーナさんお手製の『タタナクナール』を飲ませてやった。効果は一週間ほど続くと聞いて泣いていたが、自業自得なのでフォローしてやらない。




今回の内容は如何だったでしょうか?
これでようやくKシリーズでの関係を持つ女性全員が出せました。何でアンジュよりフレンの方が先だったのかと問われれば、単純に至る理由がなかったからです。
実は「アンジュが立実に彼氏役をお願いする」という話で書き始めようか考えていたのですが、行為に至るまでの経緯がこちらの方が自然といけたのでこちらを採用しました。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-11:性交

どうも、私です。
今回のお話ですが、頭を空っぽにしてください。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


「スゥ、スゥ……ん、あ?」

 

 朝、心地よい刺激で目が醒める。

 ぼんやりとした意識の中、枕元のスマホを確認すれば朝の七時を回ったばかりだった。今日は土曜日の休日だと言うのに、随分早起きしてしまったらしい。二度寝しようかとも考えたが、今日は恋人である戌亥とこさんが遊びに来ると言っていたから起きることにする。

 

(あれ? なんか、下半身が気持ちいいな……)

 

 それに耳を澄まさずとも、ヌプヌプッという鈍い水音が聞こえてくる気がする。

 仰向けのまま顎を引いて視線を足元の方へと向ければ、何やら下半身に掛けていたタオルケットが異様に膨らんでいるのが視界に入って来た。もしやと思いながらタオルケットをめくれば、そこには俺の股間に顔をうずめるとこさんの姿があった。彼女はその小さな口一杯にペニスを含み、美味しそうにしゃぶっていた。

 

「と、とこさん……?」

「ん? ぷはぁ……目、覚めたん?」

 

 とこさんは一旦口を離したが、手だけは止めずにペニスを扱く。

 突然すぎる状況と、下半身を襲う快楽に俺は混乱した。

 

「な、なにしてるんですか?」

「部屋に入ったら気持ちよさそうに眠っとったし、手持ち無沙汰になったから先に起きとったこっちに相手してもらっとったんや」

 

 そう言って、またフェラチオを再開する。

 先ほどまではこちらを起こさないよう配慮していたのか、今はジュルルルッと大きな音を立てて吸い付いてくる。時折、舌先でチロチロッと亀頭を舐めて来るのがたまらない。一度自覚してしまえば我慢できるはずもなく、俺は直ぐに限界を――。

 

「はい、おあずけ」

 

 ピタッ、と奉仕が止まった。

 あと一歩で射精できるところで止められてしまい、どうしてっと思わず彼女を見詰める。

 そんな俺の反応を見てとこさんはクスリと笑みを浮かべると、そのまま俺の跨ぐようにベッドの上に立ってきた。そしてスカートを捲ってその内側をまじまじと見せつけてきた。スカートの中には本来あるべきショーツがなく、溢れ出る愛液に濡れそぼっている秘所が丸見えだった。

 そして、ゆっくりと腰を下ろしていき、膣内に俺のモノを埋めていく。

 ズブブッと挿入っていく感覚はとても気持ちよく、俺は直ぐに射精しないよう歯を食いしばって耐える。

 

「アハァー↑ 中でビクビクしとるのが伝わってきとるで」

「あ、あんなじらされた後で射精しなかったのを、褒めてくださいよ」

「なら、もうちょっと我慢したってな」

 

 そう言うや否や、とこさんは腰を上下させ始めた。

 最初からトップギアで動くのでパンパンッと激しく肌同士がぶつかり合う音が響き、膣内は射精しようと絡みついて来る。俺は必死に耐えようとしたが、我慢すればするほど彼女の動きが激しくなり、より一層興奮が高まって精液が昇ってくるのを感じた。

 

「うっ、おっ……!」

「好きなときに、出してええんやで?」

「でも、それじゃ…」

「ほら、イキぃや♪」

「―――あああっ!!」

 

 腰が降りるのと同時に、俺は限界を迎えた。

 ビュルルルッと勢いよく射精し、吐き出される精液を子宮口に密着させたまま受け止めてもらう。その間もずっと搾り取るように締め付けてきて、俺は腰が抜けるような快楽に酔い痴れた。やがて長い吐精が終わると、とこさんは俺の上から退いた。ズルズルと音を立てながらペニスが引き抜かれ、同時に入りきらなかった精液が逆流してくる。

 

「あっ、もったいない」

 

 零れ出る精液を指で掬い、それをいやらしく舐めとる。

 俺も一息ついてベッドから起き上がろうとして、グイッとベッドに押されて再び寝転ぶことになる。見上げればとこさんが何やら妖艶な笑みを浮かべていて、俺を押し倒したのとは反対側の手には何処かで見たことあるような小瓶が握られていた。

 

「と、とこさん……?」

「はい、黙ってこれ飲んだってな」

 

 小瓶を口の中に突っ込まれる。

 仰向けだったこともあり、口に入った何かの液体はそのまま喉の奥へと流れ込んでいく。吐き出すことも出来ず、嚥下したのを確認して小瓶が引き抜かれる。

 

「うっ、げほ、ごほっ……」

「はーい、次はお手々を繋ごな」

 

 俺が咽込むのを尻目に、とこさんが俺の手首に何かをはめた。

 見ればそれは金属製の鉄の輪――手錠のような拘束具で、抵抗するより早く両腕を万歳する体制で固定されてしまった。手錠の鎖部分がパイプベッドの支柱に引っ掛けられているから、腕を動かしてもジャラジャラと金属音が響くだけ。

 

「あ、あの……とこさん?」

「ん? なんや?」

「いや、これ何ですか?」

「安心してほんまもんの手錠やないから」

「そうではなく、どうして拘束されてるんですか?」

「前に伝えたやろ? 搾り取るって」

 

 顔が引きつるのが分かった。

 確かに少し前にとこさんからそう言われたことはあったが、つまりこれから行われるのは愛のある恋人の営みではなく一方的な搾取。であるならば俺が先ほど飲まされた液体は、あの独特な苦みと甘みが混じった味は。

 

「ち、因みに俺が今飲んだのって……」

「はかちぇ特性の精力剤や」

 

 確定、例の暴走した薬だった。

 またあの時のように理性を失い、性欲のまま暴れるんじゃないかと戦々恐々していると。

 

「ああ、大丈夫や。今回はきちんと希釈しとるし、何より今回のは以前のより効果を弱めたもの」

「ち、因みにどんな感じですか?」

「んー? せやな……普段の三倍は出せるようになるお薬って聞いとる。ただ理性だけは飛ぶことはないって」

「さんばい……」

 

 その言葉に、俺は背筋が凍るような感覚を覚えた。

 現在の俺は人より強靭なったことから一回で五回の射精が出来るようになっている。それが三倍の量となると、単純に考えて十五回はヤリ続けることが出来るわけだ。幾ら肉体強度が上がっていると言っても、本物の獣人である彼女に敵うはずがないのだ。

 やばい、本当に枯れるかも……いや、下手したら腹上死もありえる。

 

「~~♪」

 

 そんな俺の考えを知ってか知らずか、とこさんは鼻歌を歌っている。

 今さら逃げられず、覚悟を決めるしかないかと思っていると、とこさんは勢いよくTシャツや黒のタンクトップを脱ぎ捨てた。理性はどうであれ、自然とおっぱいに目が惹きつけられてしまう。

 

「クスクスッ、そないにおっぱいがご所望なら、こないなのはどう?」

 

 そう言って、とこさんは俺のペニスを胸で挟んできた。

 まるで葛餅のようなプルプルと柔らかく、それでいてお餅のようにしっとりと吸い付いてくる感触が堪らない。一度は射精して力なく垂れていたペニスは、薬の影響もあってか瞬く間に硬度を増していき、収まりきらなかった亀頭が谷間から顔をのぞかせる。

 

「アハァー↑ 元気いっぱいやん」

「うぉっ、気持ちいいです」

「じゃあ、もっと気持ちよぉなってもらわんとな」

 

 そう言うと、とこさんは自分の手で乳房を掴み上下に動かし始めた。

 タプタプッと音を立てながらおっぱいが擦り付けられる度に竿が刺激され、時には根元を締め付けるように強く圧迫される。先端から先走り汁が出てくると、チロチロッと舐めたり口に含んでジュルルルッと音を立てて吸われた。

 

「くぅ、あっ……」

「んちゅ、れろ……んむっ、はむ……んふっ、じゅるるる」

「おおぉぉっ!」

 

 舌先で尿道を穿るように亀頭をグリグリしたかと思えば、頬を窄めながらのバキュームに腰が抜けそうになる。出来るだけ長く我慢したい俺に対し、とこさんは早く出しちゃえと言わんばかりに激しく責め立ててくる。歯を食いしばり、丹田に力を入れて何とか我慢しようとする。

 しかし、俺の努力も空しく、限界を迎えた。

 

「うおおおっ!!」

「♡」

 

 間欠泉のように、ビュルルルッと精液が飛び出してきた。

 とこさんはペニスを咥えていたので顔射することになってしまったのだが、彼女は気にすることなく喉を鳴らして飲み込んでいく。それでも受け止めきれない分は口の端から零れる。やがて全てを飲み干すと、最後に鈴口をペロリと一舐めしてからようやく解放された。

 射精したばっかりだと言うのに、俺のペニスはギンギンに勃起したままだ。

 

「節操のない子やね」

 

 レロッと竿を舐め上げる。

 そして俺の上に跨ると、勃起したペニスを割れ目に宛がい、ゆっくりと腰を落として膣内へ挿入していく。ずぶずぶっと肉棒が飲み込まれ、最奥まで到達するとコツンと当たるような感触がする。幾度となく味わってきたとはいえ、飽きることのない感覚に背筋がゾクゾクする。

 

「くはっ……」

「んっ、あ♡ セツナはんは、んっ、好きなときに、出してええで」

 

 俺の腰の上に手をつき、しゃがみ込むような姿勢を取る。

 上下に弾むように腰を動かしているが、結合部が丸見えになっているから彼女が動くたびに俺のモノが出たり入ったりする光景がよく見える。俺の上で乱れる姿はとても淫靡で、思わず見惚れてしまうほど美しい。汗で張り付いた髪、上気した肌、荒い吐息。全てが愛おしくいのに、俺の手は彼女に届かない。

 

(くそっ、何とか外せないのか)

 

 何とか手錠を外そうとするが、やはりこんな程度では外せない。

 必死になる俺を見下ろしながら、とこさんは妖艶に微笑んだ。

 

「どないに足掻いても無理やで。簡単に壊せるわけがあれへん」

 

 パンパンッと腰が動く度、グチャヌポッと卑猥な水音が部屋に響き渡る。

 主導権は完全にとこさんのもので、まるで蜘蛛の巣に引っ掛かった獲物のように俺はただされるがまま。屈辱と快楽が入り混じる中、とこさんは俺を弄ぶように笑みを浮かべた。

 

「たまには、あっ……こういうのも、んっ、悪くないやろ?」

 

 そう言いながら、とこさんは俺の胸元へと手を伸ばしてきた。そして薄い乳首に人差し指を当てると、クリクリと転がすように触ってきた。味わったことのない感覚に、俺は思わず素っ頓狂な声を漏らしてしまう。

 

「ひゃうっ!?」

「アハァー↑ 可愛い反応やん。なら、こっちも可愛がったる」

 

 顔を胸元に近付けると、反対側の乳首をレロッと舐めてくる。

 ペニスをマンコで締め上げられながら、同時に両方の乳首を別の刺激が襲ってくる。その度に自然と体がビクンッと跳ねてしまい、そんな俺の反応にとこさんは楽し気に目を細める。少しして舌と指が止まったかと思いきや、今度は軽く甘嚙みされた。コリッコリッと歯で噛まれる度に快感が走る。

 

「可愛いなぁ。まるで女の子みたいや」

「っ!」

 

 それは一人の漢として、決して許してはならない言葉。

 矜持を傷つけられたことに憤りを感じると同時に、このままではいけないと本能が叫ぶ。

 

「うおおおっ!!」

 

 両腕に渾身の力を込め、思いっきり左右へと引っ張った。

 手首に手錠が食い込んで皮膚が裂けたが、バキンッと音を立てて鎖が千切れた。

 

「へ?」

 

 自由となった両腕を、とこさんの細い腰へと回す。

 突然のことに驚いて反応が遅れている間に、体勢を逆転させて彼女をベッドへと押し付ける。

 

「あ、あれ? 何でなん?」

「手錠なら千切れましたよ」

「いやいや、幾らレプリカやからって、人間の力で千切れる訳あれへんやろ」

「そこは、加地場の馬鹿力って奴ですよ。それより、覚悟して下さいね」

「ちょ、ちょっと待ちい!」

「待ちません」

「きゃうん!」

 

 ズドンッと子宮を突きさす。

 とこさんの身体に抱き着きながら、まるで童貞を卒業したばかりの子供のように腰を我武者羅に振りたくる。自分でするよりも激しいペースのピストンに、とこさんの表情から先ほどまであった余裕が消えていく。

 

「んひぃっ! あ、あかん! そない、あっ♡ 激しくされたらぁ!!」

 

 肉同士がぶつかり合う音が部屋中に響き渡り、結合部からは愛液や精液が飛び散っている。

 刻み付けるように押し付けられるペニス、与えられる快楽にとこさんはいやいやと頭を振って逃げようとする。そんな彼女を愛おしく思うと同時に、更に追い詰めたいと嗜虐心が湧き上がってきた。

 

「よいしょっと」

 

 俺は一度身体を起こすと、とこさんの柔らかおっぱいに両手を添えた。そして真ん中に寄せるようにして、二つの膨らみをむぎゅぅ~っと押し込む。頂点にある乳首同士が寄り添ったところで、大きく口を開けて二つの乳首に同時にしゃぶりついた。

 

「ヂュッ! レロレロ…」

「あああっ!! あかっ、んあぁっ♡」

 

 とこさんは背中を大きく仰け反らせながら、一際大きな声で喘いだ。

 おっぱいから手と口を離し、とこさんの腰をしっかりとホールドしてラストスパートをかける。

 

「お゛ぐっ♡ あ゛ゔっ? あっ♡ ひぐ♡」

「おぉっ!」

 

 キューキューっとペニスが締め付けられる。

 膣全体で精子を搾り取ろうとしているようで、先ほどまであった余裕が完全に失せた。

 

「イクイク……ナカっ、射精すから!」

「あっ♡ あ゛~~~ッ!!」

 

 膣内が激しく痙攣し、俺も限界を迎えて射精する。

 精力剤の効果により三回目なのに、信じられないほどの量の精液が出ているのを感じる。ドクドクンッと脈打つたびに吐き出される精液は、子宮を満たしても収まりきらずに逆流してくるほどだった。それでもまだ出足りないのか、それでもペニスは萎えることなく硬度を保ったままだった。

 

「あ、はぁ…」

「大丈夫ですか?」

 

 見れば、俺の下で絶頂を迎えたばかりのとこさんは虚空を見詰めていた。

 俺が顔を覗き込むと、彼女はゆっくりと視線をこちらに向けてくれたが、蕩け切っているのが分かった。

 

「んぁ…」

「まだ時間はたっぷりあるんで、楽しみましょうか」

 

 俺たちはそのまま、三回戦へと突入した。

 

 

 

 

「あ~……アチィ」

 

 スクーターを走らせながら、一人の男がぼやく。

 彼は某全国チェーンのピザ屋で働くアルバイトであり、商品を目的地に運ぶべく配達員として街を走り回っていた。スクーターとはいえ風を切って走るのは気持ちいいが、季節は夏ということもあって日差しは強く、ジリジリとした暑さに嫌でも汗が流れ落ちる。

 ピザを配達し、代金を受け取って帰るという言葉にすれば簡単な仕事に思えるが、実際には色々と大変なことがある。例えば注文をした客の家までスマホのナビを頼りに運ぶのだが、交通状況により時間通りにいかない場合も少なくはない。お客さんによってはそれを理解して労いや感謝の言葉をくれる人もいるが、中には罵声を飛ばしてくる客も当然いる。『タダにしろや!』と、意訳すればこういったものもある。

 

「っと、ここが目的の住所か」

 

 到着したのは、東京の某区の高層マンションだった。

 自分の給料でここの家賃が払えるのだろうか、と思いながら彼は商品を手に入り口の端末にて指定された部屋の番号を呼び出す。

 

『は、はーい……』

 

 くぐもった声が端末から返ってきた。

 女性の声だとは思うが、少し聞き取りづらいのが気になった。もしかしたら機械の調子が良くないのかもしれないが、まるで口元を手で押さえながら会話しているように感じられる。しかし、そんなことはないかと男は直ぐにその疑念を捨てた。

 

「〇×ピザ屋です。ご注文の品をお届けに参りました」

『い、今開けまーす』

 

 オートロックの開錠を確認し、中に入ってエレベーターに乗り込む。

 上層階へと上りながら、こんなマンションにいつか住めたらいいなぁと思っているとチンッと音を立てて到着する。部屋の前まで歩き、部屋番号を確認してから扉脇のインターホンを鳴らす。

 

「あっ、到着しました。代金引き換えでお願いします」

『わ、分かりました……チョッ、アカンテ』

『バレナイカラ』

 

 誰かと話しているのか、揉めているようだ。

 こちらとしては暑いからさっさと仕事を終わらせてエアコンの効いた空間に帰りたいと思っていると、ガチャリと音を立てドアノブが回されて扉が開かれた。

 

「お、お待たせしてん」

「こちら、4700円になり……ま、す」

 

 扉の向こうにいた女性をみて、男は言葉をなくした。

 何故なら、現れたのがあまりに煽情的な女性だったからだ。頭部には獣人特有の獣耳が生え、顔立ちは愛らしい風貌をしている。だが、男がなによりも惹かれたのは彼女の全身から漏れ出すムンムンとした色気であった。額には大量の汗が浮かんでいて、髪の毛などが額や頬にへばりついていて、それが艶めかしさを際立たせる。

 着ている衣服も簡素なTシャツのみで、胸部を大きく盛り上げている。汗で濡れた生地がその形を鮮明に浮かび上がらせていて、胸の先端が主張しているのが分かる。少し前のめりな姿勢を取っているので、胸元の谷間がより強調されていて思わず唾を飲み込む。下半身はショートパンツを履いていると思うが、明らかに男物のシャツは彼女の身体ではダボダボに余裕があり、そのせいで太もものあたりまで隠せてしまっているので、まるで彼女がシャツだけを着た痴女のように見えてしまうのである。

 よく見れば真っ白な女性の肌には幾つもの赤い跡がついているのが見える。状況的にそれが何を意味しているのかは一目瞭然で、男の心臓が激しく高鳴っていく。

 ゴクリと喉を鳴らして見つめ続けると、彼女は恥ずかしそうにモジモジとしだした。

 

「あ、あの……お金」

 

 そこでハッとすれば、女性は5000円紙幣を差し出していた。

 お金を差し出しているのに、それを受取ろうとせずに呆然とこちらを見つめてくる男に困惑している様子だった。しかし、それでも男はドキドキと胸を高鳴らせ、代金を受け取ることが出来ず彼女のことで頭がいっぱいになる。

 もしこのまま玄関に踏み入って押し倒せば、おそらく簡単に女性を犯せるだろう。服を剥ぎ取り、その豊満な乳を揉みしだき、ペニスを突き入れて欲望のままに犯して犯して犯しまくることが出来たら、どれだけ気持ちいいだろうか。そんな光景を思い描くだけで、ズボンの中でペニスがムクムクと膨らみだす。自分でも目がギラギラと光って雄の顔をしているのが分かった。

 

「どうかしましたか?」

 

 彼女の奥から、男の人ががやってきた。

 年齢は二十代後半から三十代前半といったところ、背丈はアルバイトの男性と大して変わらなそうだ。ただ細身ではあるが腹筋も割れていて引き締まった肉体を惜しげもなく晒しており、下は短パンを履いているだけ。

 顔としては決して女性に見合う程の美形ではなかったが、何か一般人とは違うオーラのようなものが感じられた。だが、男性が何よりも驚いたのは彼の股間――短パン越しでもはっきりと分かるほどに膨張し盛り上がっているのが分かった。

 

(で、でかい……俺よりも)

 

 もし比べようものなら、自信を失くして二度と立ち直れそうにない。

 アルバイトが黙り込んでいると、男性は女性の肩に手を置いてグイッと自分の方へと引き寄せた。その際、彼の胸板に当たった女性の巨乳が明らかにポヨンと揺れたのが見て取れた。まるで守るように、この女は俺のものだと見せつけられているような気がした。

 

「5000円でお釣りが出せませんか?」

「え、あ……すみません。ただいま!」

 

 紙幣を受け取り、慌ててお釣りを返す。

 それからピザを渡せば男性はお礼を言って扉を閉めようとし、配達員も帰ろうとする。その際、男性が女性の臀部を揉みしだいているのが扉の隙間から見えた。最後の瞬間、やはり女性はTシャツの下に何も着ていなかったのか、その真っ白なお尻が目に焼き付いていた。

 

(ああ、またセックスをするんだろうなぁ)

 

 妬ましさと羨ましさを感じながら、彼はスクーターを走らせてお店へと戻っていった。

 配達員の彼が帰った後、ネチャネチャという水音とガタガタと玄関の扉が振動する音が聞こえてきた。

 

 

 

 

 夕方、俺は風呂に入っていた

 先ほどまで食事もそこそこに汗だくになるまでセックスを続けていたが、流石に朝から夕方まで盛った動物のようにヤりまくれば流石に疲れて一息つきたくもなる。普通の人間なら疲労困憊と脱水症状にクタクタになっているところだが、とこさんも俺も普通とは少し違うからか倒れずに済んでいた。

 小休止を挟もうという話になり、汗を流そうということで入浴することになった。ただ先に入って欲しいと言われたので、俺は頭だけ先に洗って湯船に浸かることにした。ぬるま湯程度の温度ではあったが、火照った体には丁度良く感じられる。

 

「湯加減はどうや~?」

「良いですよ」

 

 脱衣所の方から声を掛けられ、そちらを向いて返事をする。

 ガラス戸の向こうでガサゴソと何かしているのが分かったが、二人とも全裸だったのだから衣服を脱ぐ必要はない。などと考えていると、ガラリと音を立てて浴室のドアが開かれた。そこにはバスタオルを身体に巻いただけのとこさんの姿があった。

 

「流したるから、ここに座りいや」

 

 ポンッとバスチェアを叩かれ、浴槽から出た俺はそこに座った。

 とこさんは背後で洗面器でボディソープを泡立てると、それを手に取って背中に伸ばすように広げてくる。

 

「どう? 気持ちええ?」

「はい、気持ちいいですよ」

「なら、もっと気持ちよくしたるからな」

 

 何やら含みのある言い方をされる。

 どうするつもりだろうかと考えていると、ふにょんと何か柔らかいものが押し付けられる。それはとこさんの手とも、身体洗いのスポンジとも明らかに感触が違う。なんだこれと思っていると、ボディソープでヌルついたそれがゆっくりと上下に動き始めた。こんな柔らかくも弾力があり、それでいて張りのあるものを俺は知っている。

 

「んっ、あ♡」

 

 動く度に、とこさんが小さく喘ぐ。

 先ず間違いなく、俺の背中を滑っているのは彼女の乳房だ。あのいつまでも揉んでいたくなる豊満な胸で、それを惜しげもなく使って彼女は俺の背中を擦ってくる。柔らかな肉が押し付けられ、形を変えながらもその表面を滑っていく。時折先端が当たってコリっとした感触を伝えてきて、落ち着いていたペニスが勃起し始める。

 

「他も確りと洗わんとな」

 

 ひとしきり背中を洗うと、今度は別の場所も洗い始める。

 後ろから前へと回り込んで前も同じように洗ってくれるが、そのあまりに煽情的な様子に固くなったペニスが彼女が動く度にお腹にグイッと当たる。しかしとこさんは決してペニスに触れようとはせず、前が終わると次は腕も抱きかかえるようにして洗ってくれて、悪戯におっぱいを掴もうとしたが、手の甲を軽く抓られて阻止された。

 全てが洗い終わると、シャワーで全身を流してもらう。

 

「はい、これで終わり。先にお風呂、入り」

「あっ、はい」

 

 拍子抜けしながらも、浴槽のぬるま湯に浸かる。

 とこさんも身体についた泡をシャワーで流すと、浴槽の中に入って来た。

 

「ちょっと寄ってもろてええ?」

「ああ、すみません」

 

 わざと足を開いてスペースを開ける。

 すると、とこさんは何の迷いもなく股の間に座ると、俺の胸板に背中を預けてくる。

 先ほどまで激しくセックスしていたのもあり、落ち着いた時間を過ごしながらゆっくりしたかったが、目の前には恋人の背中越しにお湯に浮く

大きな胸があった。同じボディソープしか使っていないはずなのに、どういう訳か甘い香りが漂ってきて鼻孔をくすぐる。

 気が付けば、下から掬い上げるようにおっぱいを持ち上げる。

 

「んっ……あかんで」

 

 軽く腕を掴んだが、本気で抵抗されなかったので遠慮なく両手を使ってムニムニと揉む。

 とはいえセックスの時のように激しいものではなく、壊れやすい物を触るかのように優しく撫で回す。

 

「こら、あっ……玩具やないんやで」

「目の前にあったので、つい」

 

 

 人差し指を乳首に当て、クリクリと軽く動かす。ゲームのコントローラーのように上下左右に動かしたり、後は押し込んだりして楽しむ。俺の指の動きに合わせて、とこさんの短く甘い吐息をBGMにしながら目の前の白い項にも舌を這わせる。

 

「ひゃぅ!?」

 

 とこさんがビクッと身体を震わせて驚く。

 そうして楽しんでいると、不意に勃起していたペニスを掴まれた。

 

「うぉっ」

「仕返しや」

 

 見れば、とこさんが竿に触れていた。

 お互いに相手の弱いところを熟知しているからか、裏筋やカリ首を的確に責めてくる。手慣れた動きでシコシコと扱き上げ、射精を促すように陰嚢をフニフニと揉みほぐしてくる。しかし絶頂を迎えるほど激しくはなく、絶妙な力加減で弄ばれている。もどかしさを感じながらも触り合っていたが、気付けば手を止めて互いに見つめ合っていた。

 

「とこさん……ん」

「んちゅ」

 

 どちらともなく、キスをする。

 舌を絡ませるような激しいものではなく、触れ合う程度の優しいもの。

 

「とこさん、ちょっと立ち上がってくれる?」

「……ぇん」

 

 とこさんと一緒に立ち上がり、彼女の両手を風呂場の壁につかせる。

 こちらに向けられて臀部をモミモミと何回か揉み解し、それから手を下に降ろして割れ目をなぞればお湯とは別の粘性のある液体で濡れているのが分かった。十分な潤滑油を俺のペニスに何回か擦り付けてから、狙いを定めて膣内へと侵入させる。

 今日何度目かとなる性行為、とこさんの膣は既に俺の形へと馴染んでおり、すんなりと根元まで飲み込む。しかし決して緩い訳ではなく、適度な締め付けがあって心地よい。このままいつまでも入れておきたいと思うが、そういう訳にもいかないので腰を動かす。

 

「んっ、あん♡」

「ふっ、ふっ、ふっ」

 

 腰を動かす度に、パシャリとお湯の跳ねる音が響く。

 こちらに背を向けているから顔を見ることは出来なかったけど、彼女の洗い呼吸音と漏れ出る声に興奮が高まっていく。浴室という閉鎖空間ということもあって、肌を打ち付ける度にパンッと乾いた音が普段以上に鳴り響くのが分かる。

 視線を下に向ければ、振動に合わせて前後に揺れる胸が目に入る。とこさんに覆い被さるように身体を寄せると、俺は後ろからその豊満な乳房を掴む。両手に収まりきらずに溢れ出すそれを、下からも持ち上げては離しを繰り返して楽しむ。その間も腰を動かすのを止めず、絶え間なく快楽を叩き込む。

 

「あっ、はん♡ あん♡ ひぅっ」

「はぁ、はっ、はっ」

「あかんっ…いく、イってまう!」

 

 とこさんの言葉を聞いてラストスパートをかける。

 子宮口を何度もノックしながら、同時に乳首を引っ張ったりクリクリと刺激する。

 

「とこさん、イクぞ」

「あっ♡ うん……きてっ!」

「出るっ!」

 

 びゅるるっと精液が飛び出した。

 ただ、流石に出る量は最初に比べて大分少なくなっていたが、それでも心地よい脱力感が身体を支配する。そしてとこさんも身体を震わせながら絶頂を迎えていて、俺は彼女に抱き着いたまま暫くは余韻に浸っていた。

 

「また、汗かいちゃいましたね」

「……そう、やね」

「流石にのぼせるから、続きは部屋に戻ってからにしようか」

「……」

 

 返事はなかったが、代わりに膣内がきゅーっと締まってきた。

 それから俺たちは風呂から上がり、互いに身体を拭いたり髪をドライヤーで乾かし合ってからベッドに戻った。

 

 

 

 

「今日は一日楽しかったで」

「俺もですよ……まぁ、流石に疲れましたけど」

 

 風呂から上がった後、俺たちは食事もそこそこにまたセックスを始めた。

 あの精力剤の所為と言えばそうなのだが、セックスを覚えたての中学生かと我ながら呆れてしまった。そして最高記録を大幅に更新する十五回を出し終えると流石に打ち止めといった感じで、現在は二人でベッドに横になってピロートークをしていた。

 

「ねぇ、とこさん……今日で受精したかな?」

「どやろう。獣人は基本的に発情期に入らへんと妊娠せえへんからな……」

「そっか」

「そないに子供が欲しいの?」

「とこさんとの子供なら喜んで……けど」

 

 隣で横になるとこさんを抱き寄せる。

 

「今は、まだいいです」

「そうなん?」

「今はもう少し、とこさんを独占しておきたい」

「ふふっ、欲張りやなぁ」

 

 そう言いつつも嬉しそうにしているとこさんの頭を撫でる。

 こうして幸せな時間をかみしめながら、俺の意識は静かに闇の中に沈んでいった。

 




今回の内容は如何だったでしょうか?
ラブラブな話をと思って書き始めたのに、気付いたら只管にS●Xしているだけの話になってしまった。まぁ、R-18だから間違ってはいないけど、イチャイチャする予定だったんですよ?

お気に入り件数が間もなく400人に到達しそうです。
投稿を始めて二か月ほどですが、それだけの方に気に入って頂けて何よりです。
これからも投稿を続けますので、応援していただけると嬉しいです。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-12:水着

どうも、私です。
投稿時間、間違えてお昼に設定していました。すみません。

今回から旅行編の開始となります。
因みに地形や旅館については現地に存在している物を、いろいろと都合よく脚色しています。ただネットで調べてみているだけなのので、何か可笑しい点があるかもしれませんが気にしないでください。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


「ふぅ、日差しがきついな……」

 

 エアコンの効いた電車から降り、駅から一歩外に出ればジリジリとした太陽が照り付けていた。頭上からの容赦ない太陽光の熱波が、足元からは熱の籠ったアスファルトのダブルパンチが襲ってくる。何もせず突っ立っているだけでも汗がダラダラと流れるのを感じ、俺は一先ず近場の日陰へと退避する。

 人の邪魔にならない場所でスマホを取り出し、メッセージアプリを開いて駅に着いたことを連絡すると、先に滞在先の宿に向かうよう返事が返ってきた。目的地までは駅から離れているのでタクシーに乗り、運転手に住所を伝えれば20分ほどかけて到着した。タクシーから降りれば海が近いからか、磯の香りが風に乗ってやってくる。歩いてすぐの所に海水浴場があるらしいが、後で海に行くので先にチェックインを済ませようと旅館の中へと入る。

 歴史と伝統を誇る日本情緒豊かな風格を持つ高級老舗旅館に入れば、仲居さんたちが出迎えてくれた。事前に話が通っていたらしく、名前を告げれば部屋まで案内される。顔が映るんじゃないかって思えるぐらいピカピカに磨き上げられた廊下を抜け、通された部屋は畳十畳ほどの和室となっていた。

 案内してくれた仲居さんにお礼を言い、荷物を置いて一休みする。

 

「いやぁ、リゼ様々だな……」

 

 当然だが、今回の旅行は俺が計画したものではない。

 そもそも一人旅なら、こんな高級旅館に泊まろうだなんて全く考えもしないだろう。

 それでも夏季休暇を利用して東京から静岡までやってきたのは、恋人のとこさんから旅行に誘われたからだ。元々は仲の良い四人で旅行に行く計画を立てていたのだが、そこへ俺の休暇期間と旅行の日程が合うことが分かり、せっかくだから一緒に行かないかという誘いを受けたのだ。最初は四人の女子旅に男が加わるのは良くないと遠慮して断ろうとしたのだが、他の参加者たちから是非にとお願いされたので参加することになった次第である。

 どの宿も急にメンバーを増やすのは難しいだろうが、そこはリゼさんのコネが活躍した。

 リゼさんはヘルエスタ王国の第二皇女、そんな人物が宿泊する施設ともなれば格式ある所が選ばれる。今回の宿もヘルエスタ王家で昔から懇意にしているという皇族御用達の超一流旅館であり、急な宿泊にも対応できるよう予め部屋を確保しているらしい。おかげで俺の分の部屋も電話一本で済んでしまうのだから、その権力には頭が上がらない。

 なお、今回参加する女性人たちは一緒の部屋で寝泊まりするらしい。最初は俺も含めて全員で同じ部屋で過ごそうかと考えていたそうだが、幾ら旅館の人間の口が堅いとは言え、流石に外聞的にも不味いので別室にしてもらった。

 そんなことを考えているとスマホに通知が入り、確認すれば宿に着いたのかを聞かれていた。

 

「到着して、今は部屋で休んでますよっと」

 

 返事を打ち込んで返信すると、数分と経たずに再び連絡が入った。

 内容は水着を持って目の前の海水浴場に来るように、と書かれていた。部屋に備え付けの案内によれば水着の上から上着か何かで肌を隠しておけば、宿から直接ビーチに行っても構わないとある。ただ戻ってくる際には宿の利用者のみが使える専用通路で大浴場に向かい、そこで砂や海水を落としてから部屋に戻るよう明記されていた。

 とこさんに了解と伝え、俺は水着に着替えて上からパーカーを着て部屋を出た。

 

 

 

 

「へぇ、結構人が居るんだな」

 

 高級宿があるとは云え、海水浴場にはそれなりの人で賑わっていた。

 やはり誰もが利用できる場所なだけに、リーズナブルな値段で宿泊できる宿もあるようだ。

 とこさんによれば場所取りはしてあるからそこに向かって欲しいと連絡があり、それらしい場所は何処だろうかと考えながら砂浜の上を歩いていると、明らかに海水浴を楽しみに来た訳でないことが明白な雰囲気を出している人が目についた。その人はアロハシャツに短パンという恰好ではあるが、こんなビーチで敷かれたブルーシートの傍で直立不動で立っていれば嫌でも目立つ。

 連絡では一目でわかると書いてあったが、あれか……あれかなぁ。

 

「あ、あの……すみません」

 

 俺は恐る恐る声を掛けた。

 アロハシャツに身を包んだ初老の男性はこちらを振り返り、俺の姿を確認すると少し間をおいて口を開いた。

 

「失礼。立実様で宜しいでしょうか?」

「は、はい。そうです」

「お初にお目にかかります。私、ヘルエスタ王家に仕える執事のセバスチャンと申します。お嬢様からは何かとお世話になっていると聞き及んでおります」

 

 そう言って、恭しく頭を下げてきた。

 思わぬ人物の登場に驚いたが、俺も慌てて挨拶をする。

 

「いえ、俺は大したことは……それに、今回の旅行も俺が連れてきてもらった立場ですので」

「お嬢様から男性も同行するとお聞きした際には驚きましたが、こうして実際に会ってみると納得致しました。貴方のような方と一緒にお過ごしになるなら安心でしょう。どうぞ、こちらにお掛けになってお待ちください。お嬢様たちも間もなく到着すると連絡が入っておりますので」

「ありがとうございます……」

 

 促されるまま、デッキチェアに腰掛ける。

 落ち着かないと思っていると、何処からともなく現れた女性がスッとトロピカルジュースの入ったグラスを差し出してきた。お礼を言って受け取ると、ろくに砂音もたてずに後ろへと下がっていってしまう。

 チェアに腰掛け、暫くぼんやりと待っていると。

 

「まいどー!」

 

 元気な声と共に、四人の美女美少女が現れた。

 とこさんは紐を交互にして締め上げたデザインが入った、黒色のレースアップ・ビキニを身に着けている。いつもはおさげにして垂らしている髪を、今回は動きやすいようにポニーテールに纏めて結っている。

 フレン・E・ルスタリオは紐を首の前で交差させた後、首の後ろで結んで固定する赤色のクロス・ホルター・ビキニを身に着けている。この中で一番のプロポーションを誇っており、それを惜しげもなく披露していた。

 アンジュ・カトリーナさんはトップにフリル状の布で覆ったデザインの、白色のフレア・ビキニを身に着けている。露出を避けてか、その上からパーカーを着用しているが、それでも恥ずかしいのか頬を赤く染めている。

 リゼ・ヘルエスタさんはバスト部分を高い位置まで布で覆う、青色のハイネックタイプの水着を身に着けている。更に夏らしい麦わら帽子を被り、腰にはパレオを巻きつけており、肌の色白さも相まって清楚な印象を受ける。

 四者四様の魅力を放つ彼女はビーチにいる全ての人が釘付けとなっており、周囲の男たちから熱い眼差しを受けている。中には露骨に鼻の下を伸ばしている奴もいるが、彼女たちはそんな周囲の反応など気にも留めず、そのまま一直線に俺の元へとやってきた。

 

「まいどー!」

「お待たせしました、ご主人様!」

「お待たせ、まった?」

「遅くなってすみません」

 

 口々に挨拶する女性陣に、俺は笑顔を浮かべて返す。

 さて、何て言おうかと考えているとリゼさんがおずおずと切り出した。

 

「あの、どうですか? 似合ってますか……?」

「ええ。とても可愛らしいですよ」

「そ、そうですか? えへへ」

 

 褒められたことが嬉しかったのか、リゼさんが照れくさそうにはにかむ。

 その様子を見ていた他の三人も、同じように感想を求めるように俺を見てくる。

 

「とこさんはセクシーですね。見惚れてしまいましたよ」

「アハァー↑ もっと見てもろても構わんよ」

「フレンはエロティックな感じが出てるな。正直目のやり場に困る」

「あ、ありがとうございます!」

「カトリーナさんは控えめだけど、おへそがチラリズムしていてグッときますね」

「ふぇっ!? あ、あんまりじっと見ないでください……」

 

 全員、ご満悦といった表情を浮かべる。

 何とか乗り切ったと安堵すると、遠巻きにこちらを見ている男性陣からの熱い視線に気づく。それは妬みや嫉み、あるいは羨望の類を含んだものだった。彼らからすれば、こんな垂涎物な美女美少女たちと海デートしているのが、こんなイケメンでもないフツメンな男という事実が信じられないのだろう。

 

「ではお嬢様、我々は下がります。何か御用が御座いましたら、こちらのベルを鳴らしてお呼び下さいませ」

「うん。セバスたちもゆっくりしてね」

「では失礼いたします」

 

 セバスチャンさんは恭しく頭を下げると静かに去っていった。

 

「……それで、どうしますか?」

「セツナはん、手出しぃ」

 

 言われるがまま、右手を差し出す。

 すると、とこさんは持っていた何かをポンッと手渡してきた。

 

「……日焼け止めクリーム」

 

 それはよくある女性の必須アイテム。

 男性はあまり気にしないが、女性は夏場の紫外線から肌を守るためにこういったクリームを使う必要がある。

 しかし、どうしてこれ渡されたのか分からず首を傾げると、とこさんは悪戯っぽく笑った。

 

「背中、塗ってもらえる?」

「……任せてください」

「アンジュはん、予定通り頼むわ」

「了解っと」

 

 カトリーナさんはセバスチャンさんたちが準備していた荷物から何かの液体が入った小瓶を取り出すと、それを無造作にブルーシートの周囲の砂へと振りまいた。それから幾何学的な模様を砂に描くと、ポンッとそこへ手をついた。途端、砂に描かれた模様が輝き始め、それに呼応するかのように砂が隆起し、やがて俺たちを囲むように壁が出来上がった。

 瞬く間に高さ三メートルほどの壁が三方に出来上がり、開けているのは正面の海に面している部分のみとなった。これなら音は兎も角、周囲からの視線を気にすることなく海を堪能することが出来るだろう。

 

「こ、これは……!?」

「ああ、立実さんは見るの初めてですか? これは錬金術で、砂の形を変えて壁にしたんです。さっき撒いたのは特製の液体のりで、それと混ぜ合わせることで砂壁を形成しました。この壁はそこそこ分厚いので簡単には壊せませんが、後でちゃんと元に戻すので心配しないでください」

 

 生で見るのは初めてだが、これが錬金術と呼ばれる代物なのか。

 テレビで紹介された時には、これは魔法でも何でもなくれっきとした物理学だと言っていた。だから無から有を作ることは出来ず、砂単体では固めることが出来ないからこそ、カトリーナさんも予め液体のりを撒いていたのか、と感心していると。

 

「これで周りの目も気にならなくなったし、早速始めようか」

 

 そういうなり、とこさんは何の躊躇もなくビキニトップスを脱いだ。ぷるんっと揺れながら姿を現した豊乳に俺は慌てるが、彼女は特に気にする様子もなく砂浜に広げられたブルーシートの上にうつ伏せで寝転んだ。あまりの潔さに呆れるべきか、それとも喜ぶべきか俺は少し悩んだが、ひとまず彼女の言う通り日焼け止めクリームを手に取ることにした。

 

「では、始めますね」

「ぇん」

 

 とは言ったものの、俺自身こういったことをしたことがないので勝手が分からない。チラッとリゼさんたちの方を見れば、彼女たちは自分たちでクリームを肌に塗り込んでいる。

 あれぐらいが参考かと思い、クリームを手の平に適量を取り、両の手を使ってとこさんの背中に塗り込んでいく。目の前に広がるとこさんの背中にはシミ一つなく、陶器のように綺麗だった。その美しさに触れられるのが自分だけという事実に優越感を覚えながら丁寧に、そして丹念にクリームを馴染ませながら手を背中から下へと滑らせる。

 

「あっ……んっ」

 

 おっぱいに負けず劣らず柔らかく、それでいてハリのあるお尻に触れるとビクッと身体が小さく震えた。そのまま両手でパンを捏ねるかのように尻肉を揉み解せば、とこさんからは艶めかしい吐息が漏れる。それだけで自分が勃起してくるのを感じ、徐々に海パンを押し上げてテントを張る。

 

(……ちょっとぐらい、いいかな)

 

 俺の頭の中に邪まな考えが浮かぶ。

 お尻から太ももへと撫でるようにクリームを塗りながら、指を伸ばして股間部分に触れた。

 

「アッ」

 

 とこさんは小さく声を上げる。けれども抵抗する素振りはなく、先ほどまでと変わらずうつ伏せの姿勢を取っている。ただ尻尾だけが俺の行動を期待するかのように、大きくゆっくりと左右に振っている。それが可愛くてつい頬が緩んでしまう。

 水着越しに性器を優しく撫で、形を確かめるようになぞっていく。黒色の水着なので分かりにくいが、指先に湿り気を確かに感じ取ることが出来た。先ほどよりも強く強く押し込めば、グチャッという確かな水音が聞こえる。

 

「ふぅー……ふー…」

 

 とこさんは鼻で荒く呼吸を繰り返している。

 そしてもっと欲しいと言わんばかりに腰を押し付けてきて、それに応えるべくビキニボトムスをずらして直接マンコに指を入れる。熱を帯びて蕩けそうな膣内へ中指を入れ、とこさんの弱いところを刺激してあげれば今まで堪えていた甘い声が漏れた。

 

「あっ♡」

「っ!」

 

 リゼさんたちの視線が、こちらに向けられるのを背中に感じた。

 けれど今さら止められるはずもなく、むしろ見せつけるようにしてとこさんのおまんこを弄る。波の漣の音に混じってグチャグチャといやらしい音を立て、時折クリトリスを刺激することも忘れない。そうやってしばらく愛撫を続けていると、やがて限界が訪れたのか大きく身体を痙攣させた。

 

「~~~~~~ッ!!」

 

 プシュッと潮を吹き出し、絶頂を迎えたとこさんはぐったりとして動かなくなる。

 その様子を見下ろしながら俺は海パンを脱ぎ捨てると、脱力したとこさんを仰向けになるよう転がした。ブルンッと支えのないおっぱいが弾むように揺れ、俺は彼女の上に馬乗りになると手にしたクリームを胸の間に垂らした。それから両手でおっぱいを持ち上げるように、谷間の部分を中心に塗り込んでいく。ある程度広がったところで、俺は勃起したペニスを豊満な胸の間に挟み込んだ。両サイドからおっぱいを寄せれば、柔らかく温かな感触がペニスを包み込んでくれる。ただEカップあるとこさんの巨乳をもってしても、成長し肥大化した俺のペニスを全て包むことが出来ず、亀頭の先端部分がはみ出てしまう。

 とこさんの顔を見詰めたまま、俺はゆっくりと腰を動かした。クリームのヌルリとした感触と共に、まるでおっぱいを犯しているような快感に襲われる。膣内とは全く違う、けれども負けず劣らずの気持ち良さに感動を覚えながら夢中になって腰を動かす。直ぐにでも射精しそうになるのを必死に耐え、少しでも長くこの快楽に浸っていたいと願う。

 

「ヤバっ、そろそろ……」

「――パクッ」

 

 瞬間、とこさんが顔を上げて亀頭を咥えた。

 突然の快楽に限界の近かった俺は耐え切れず、そのまま射精をする。勢いよく発射された精液は全てとこさんの中に収まりきらず、口元や顎を汚していく。それでも彼女は嫌な顔をせず、むしろ嬉々として喉を鳴らして飲み干し、尿道に残った分まで吸い上げていく。ちゅぽんっと名残惜しげに口を離すと、彼女は舌なめずりをして妖艶に微笑んだ。

 

「んぐ、ん……ゴクッ」

 

 俺が上から退くと、顔についていた残りの精液を手で拭って舐め取る。

 このまま本番に突入と思っていると、俺の眼前にとこさんが人差し指を突き出してきた。

 

「あかんで。まだ旅は始まったばかりなんやから」

 

 そう言って、とこさんは水着を着用してしまう。

 お預けを食らった気分になりながらも、俺もいそいそと海パンを履きなおす。と、そこでようやく他の女性陣の方を見やれば、リゼさんは顔を赤らめながらも目を逸らさず、カトリーナさんは耳まで真っ赤にしながらも俯いている。唯一、フレンだけが期待に満ちた目でこちらを見詰めていた。

 

「あー……じゃあ、海を楽しみましょうか!」

 

 俺たちは気を取り直し、旅行を堪能することにした。

 

 

 

 

「ふぅ……疲れたな」

 

 海でひとしきり泳いだ俺は、休憩しようと自分たちのスペースへと戻る。

 そこには既に先客がおり、パラソルの下ではリゼさんがゆったりとした様子で読書をしていた。肌が全く濡れていない様子から海に入っていないのは明白であり、どうしてだろうと思いながら近づいていくと、気配を感じたのか本から視線を上げた彼女と目が合う。

 

「あっ、立実さん。おかえりなさい」

「ただいまです」

「とこちゃんたちは、どうしたんですか?」

「二人ならほら、あっちの方で泳いでますよ」

 

 海の方を指させば、並んで泳ぐ二人の姿が見える。

 先ほどまで俺も参戦していたが、やはり現役騎士と獣人に叶うはずもなく、ギブアップして戻ってきた訳だ。

 

「ところでカトリーナさんは?」

「アンジュなら、そこで寝てます」

 

 リゼさんが指さした先では、デッキチェアに横になっているカトリーナさんの姿があった。日差し避けか、先ほどまでリゼさんが被っていた麦わら帽子を頭の所に置いている。耳をすませば、かすかに寝息のようなものが聞こえる。

 

「アンジュ、今日のために仕事とか頑張って片付けてたみたいで、寝不足みたいです」

「それは、お疲れ様ですね……リゼさんは、その見守りですか?」

「まぁ……それもあります」

 

 何だか濁す言い方だ。

 不思議に思っていると、おずおずと事情を説明してきた。

 

「私、その……水の中が苦手なんです」

「何かあったんですか?」

 

 リゼさん曰く、幼少期に通っていたスイミングスクールで先生に沈められたことがあり、それと同時期に兄である第一皇子に足を掴んで水中に引きずり込まれたらしい。おまけに日本に来てから鮫映画を見てしまい、以降は海はもちろんのこと、水深の深いプールの中にも入ることが怖くなってしまったと。

 

「あっ、勘違いしないでくださいね。別にこの旅行も無理した訳じゃなくて、ある程度までだったら水の中に入るぐらいはできるんです。ただ今は、こうしてのんびりしたい気分なだけです」

「そう言うことでしたら、分かりました」

 

 俺は彼女の頭を優しく撫でる。

 リゼさんは恥ずかしそうにしながらも受け入れ、気持ち良さそうに目を細めるさまはまるで猫のようだと思った。俺は撫でていた手を彼女の肩に回し、そのままグイッと自分の胸元の方へと引き寄せる。するとリゼさんは驚いた表情でこちらを見上げてきたので、彼女の唇を奪った。

 最初は戸惑うように固まっていた彼女だったが、やがて俺を受け入れてくれる。軽く触れ合うだけのキスから始まり、舌と舌を絡ませ合い、唾液を交換し合うような激しいディープなものへ変わっていく。たっぷりと口内を味わい尽くしてから口を離すと、糸が伸びてプツンッと切れた。

 

「だ、駄目ですよ。こんなところで……」

「今ならだれも見てませんよ」

「でも……」

「リゼさんも期待しているんじゃないんですか、ほら」

 

 彼女の手を取り、海パン越しに股間を触らせる。

 そこは既に硬くなっており、俺がどれだけ昂ぶってしまっているのかを彼女にも理解させる。

 

「か、固くなってる……」

 

 顔を真っ赤にして呟いた。

 俺は肩に回した手をそのまま胸元に伸ばし、水着の上から撫でるように優しく胸を揉む。むにむにと柔らかい感触を楽しんでいると、水着越しにも乳首の位置が分かるようになってきた。指先でくりっと弄れば彼女はビクっと身体を震わせる。

 

「んっ、駄目ですよ。アンジュも、いるのに」

「大丈夫ですよ。眠ってるから、リゼさんが騒がなければ」

 

 そう言いながら俺はリゼさんの太ももに手を伸ばし、パレオの内側へと手を差し込む。スベスベな内ももを擽るように指で摩り、そのまま秘部を水着越しに指で押す。見えずとも水着が湿っているのが指に伝わり、軽く弄ってから横にずらして内側に指を差し込む。少し力を入れるだけでクチュリと音を立てた。

 

「もう濡れてるじゃないですか」

「い、言わないでぇ」

「可愛いですよ」

 

 リゼさんの目を手で覆い隠し、彼女の耳を舌で嬲る。ピチャピチャとわざとらしく音を鳴らしながら舐め回し、時には耳介を甘嚙みする。そうしながらも指は膣内に挿し込んだ中指と薬指を使ってGスポットを刺激し、親指でクリトリスを押しつぶす。

 

「あっ、ふぁぁ♡ だめ、そんな激しくされたら、声出ちゃうぅ!」

「しょうがないな。ほら、自分の手で口を抑えて」

「んっ、んんぅ~~!」

 

 リゼさんは慌てて自分の口に手を当て、声が漏れないように抑える。それでもくぐもった甘い吐息が口から零れ落ちており、次第に腰が浮き上がってきた。そろそろかなと思い、耳を舐めるのを止めて激しく指を動かす。

 

「んっ! ん ゛ん゛ ~~~ッ!」

 

 ビクンッと大きく身体を震わせ、リゼさんは絶頂を迎えた。

 ぐったりとした様子で俺に体重を預けて荒い呼吸を繰り返し、俺は彼女を抱きしめつつ膣内から指を引き抜く。指はふやけそうなほどに愛液まみれになっており、その光景にペニスを痛いぐらい勃起させながら、俺はリゼさんからパレオを奪い取る。

 そして後ろから抱きしめ、俺の上に座らせるようにペニスを挿入した。

 

「ひぐっ!」

 

 十分に解れた膣内はすんなりと受け入れ、亀頭がこつんと何かに当たる感覚があった。あっさりと最奥まで到達し、子宮口を押し上げてしまったようだ。俺とのセックスは初めてではないとはいえ数える程度しか経験のない膣内は狭く、動かすには少しキツイので馴染ませるために動かないまま待つ。

 その間にもリゼさんは快感を得ているようで、時折小さく喘いでいる。

 

「はぁ、はあ、ああっ」

「動きますよ」

 

 返事を待たずに腰を動かし始める。

 あまり激しくすると漏れ出る喘ぎ声で壁の向こうに居る外野に気付かれる危険性があるので、ゆっさゆっさと身体を揺さぶるようなゆっくりしたピストン運動を繰り返す。しかしそれでもリゼさんには十分な刺激なのか、声を抑えようと口元に手を当てている。

 

「んっ、あっ♡ ……んぅっ!」

「あんまり声出すと、周りにバレちゃうよ」

 

 そう耳元で囁けば、キュッと膣が締まる。

 程よい締め付けを堪能しながら、ビキニトップスを真ん中に寄せるように掴んで胸を露出させる。露出したおっぱいを揉みしだきながら、ピンッと主張する乳首を指で摘まむ。コリコリとした感触を楽しむように弄れば、膣内がうねるようにペニスを絞り上げてくる。

 

「うおっ、すっごい締め付け。精子出せって俺のチンコに吸い付いてきてますよ」

「ちが、違うもん♡」

「違わないでしょ」

 

 俺は胡坐から膝立ちへと姿勢を変え、リゼさんの両腕を掴んで後ろへと引っ張った。そのまま腰を尻に打ち付けるように激しく腰を動かし、パンパンという肉同士がぶつかり合う音を響かせる。

 両手を抑えられているリゼさんは口元を抑えられず、それでも必死に出る喘ぎ声を必死に堪えようとする。

 

「あっ、んんっ、くぅぅぅっ!!」

「おぉっ、出るっ!」

「ァ~~~っ!!」

 

 リゼさんが絶頂した瞬間、俺はペニスを引き抜いた。

 ビュルッ、と勢いよく飛び出した精液は、そのままリゼさんの背中へと飛び散る。白く濁った液体が背筋を流れ落ちる様はとてもエロいと思いながら、荒い呼吸を繰り返えしながら砂浜に伏すリゼさんを見下ろす。

 それから俺とリゼさんで証拠を隠滅し終えた頃、泳ぎ終えたとこさんたちが戻ってきた。

 

 

 

 

 時計の針が13時を回った頃、俺たちは少し遅めの昼食を取るべく海の家を訪れていた。

 やはり時間を少しずらした甲斐あって、店内は客が数組程度いるだけで待つことなく席に座ることが出来た。木製の少し長めのテーブルに3と2に分かれて座り、メニューを見て各々好きなものを注文した。暫くは他愛のない話をして待っていると、店員さんが注文した料理を持ってやってきた。リゼさん曰く、今日の晩御飯は豪勢だからお昼は軽めに、ということだったのでイカ焼きやかき氷といった料理がテーブルに並べられた。

 

「あっ!」

 

 早速食べようとした瞬間、俺の正面側に座っていたフレンがスプーンをテーブルの下に落とした。スプーンは音を立てながら俺の足元へと転がり、拾おうとしていたフレンに声を掛ける。

 

「こっちの方にあるから、俺がとるよ」

「いいんですか? ありがとうございます!」

 

 テーブルの下に頭を入れ、足元にあったスプーンを掴む。

 何気なく視線を上に向ければ自然とフレンの下半身が目に入るのだが、あろうことかフレンは自分のビキニボトムスをグイッとずらしていた。そうなれば無防備なマンコが露わとなり、ぷっくり膨らんだ陰唇が丸見えである。あまりの光景に俺は頭を上げてしまい、ガンッとテーブルに頭をぶつけてしまう。

 

「どないしたん?」

「テーブルのこと忘れて頭を上げちゃって……フレン、スプーン」

「ありがとうございます……♡」

 

 後頭部を擦りながら、上体を戻して答える。

 拾ったスプーンをフレンに差し出せば、彼女は何処か恍惚といった表情を浮かべてる。その様子から見るに、どうやらスプーンを落として俺に拾わせたのはワザとだったようだ。本当は問い詰めたいところだが、こんな場所で出来る訳もなく俺は黙りこくる。

 それからは何事もなく食事は済んだのだが、ここで再び事件が発生した。

 

「じゃあ私が食器を片付けますね……っと!」

 

 フレンが空いた食器類を載せたおぼんを持って立ち上がろうとし、太ももがテーブルに当たってガタンッと音を立てた。勢いが付いていただけにおぼんに載っていた食器が飛び上がり、そして―――俺の上に降ってきた。そうなれば串焼きのタレやかき氷の残った水を、頭から引っ被る羽目になった。

 

「あああっ! すみません!」

「……いや、いい。それより食器は割れてないか?」

「心配ないで。幸いなことに食器はプラスチックや紙製やったから割れてへん」

「もう、フレンったら。危ないから慌てないの」

「すみません! そ、そうだ。確かシャワー室がありましたよね。そこへ行きましょう!」

 

 席を立ったフレンは、俺の腕を掴んで引っ張る。

 これぐらいだったら海に入れば洗い流せると伝えたが、彼女は頑なに引かず、俺は諦めてフレンに連れられるまま店を後にした。そして海の家から少し離れた場所に設けられた、男女兼用シャワールームへと連れてこられた。

 

「後は自分でやるから」

 

 そう言って入り口の無人受付で会計し、衝立とカーテンで仕切られた区画の一つに入る。

 蛇口を捻り、シャワーヘッドから出るぬるま湯を頭から浴びていると、ドンッと後ろから誰かに抱き着かれた。この状況でそんなことをしてくるのが誰か何て一人しかおらず、俺はいい加減どういうつもりなのかと声を掛けた。

 

「何がしたいんだ、フレン」

「ご主人様は酷い人です」

「どういう意味だ?」

「だってあれから一度も呼んでくれなかったじゃないですか! 奉仕させてくれるチャンスをくれないし……私見たんですよ! ご主人様がリゼ様とセックスしているの!! 私には全然手を出してくれないのに!!」

 

 海に入っている時に、やたらボディタッチが多いと思ったがそういうことか。にしても、まさかリゼさんとの行為を海で泳いでいるのに見られるとは思わなかった。そうなると、おそらく同じように泳いでいたとこさんにも見られていたと考えるのが妥当か。

 そう考えている間にもフレンは俺の身体に手を這わせてくる。

 

「今日だって、本当は朝から期待したんですよ?」

「…………」

「ほら、私のココ触ってください。濡れてるでしょ?」

 

 フレンが俺の手を取り、そのまま自分の秘所へと押し当てる。

 そこは既にぐっちょりと湿っており、指先にクチャクチャと粘り気のある液体が絡みつく。

 

「んっ、あ♡」

 

 そのまま中へと侵入すれば、フレンは艶めかしい声を上げる。

 膣内は火傷しそうなほど熱くなっており、少ししか入れてないのにキュウゥッと締め付けるように肉壁が吸い付いてくる。まるで別の生き物のようにうねる胎内は、もしペニスを入れたらどれだけ気持ちいいだろうかと思わず生唾を呑み込む。

 

「あっ、今おちんちんがビクンッてなりましたね。ご主人様も興奮してくれて嬉しいです。ほら、エッチしちゃいましょうよ。私の子宮も、ご主人様の精液飲ませて欲しいって、ずっとキュンキュンしてるんです。だから、早くぅ……」

「―――」

 

 フレンが甘えた声で誘惑する。

 その声に、俺の頭の中に残っていた糸のような物が切れる感覚を味わった。

 俺は振り返ると勢いのままにフレンの唇を塞ぎ、貪るように舌を絡ませたり吸う。やがて唇を離せば銀糸が伸び、プツリと途切れる。お互い荒くなった呼吸を整えながら見つめ合い、再び口づけを交わす。今度は触れるだけの軽いものだったが、代わりと言わんばかりに手を動かす。

 水着の上からデカ乳を握りつぶすように掴み、水着を横にずらして直接秘所を弄る。フレンも海パンの中に手を手を突っ込んできてペニスを優しく包み込み、上下にしごいてきて暫くはお互いに相手の性器をまさぐり合う。

 

「フレン、奉仕してもらおうか」

「はいっ!」

 

 フレンは笑顔で返事をするとその場に膝立ちになり、俺の海パンを脱がせてきた。天を衝かんばかりに勃起したペニスを見ると、躊躇なく亀頭にキスをして竿部分を手で擦り上げてくる。フレンの手にある剣タコが擦れる感触がいつもと違う刺激をもたらし、小さな舌が裏筋や亀頭の周りをチロチロと舐めてくる。

 

「ああ~、フレンの舌気持ちいいよ」

「んっ、ぢゅ、れろ……ちゅぷ」

 

 俺が褒めると、フレンは嬉しそうにペニスをしゃぶる。

 込み上げてくる射精感を必死に堪えながら、片手を伸ばして重力従って舌を向くおっぱいをタプタプと揺らしたり、勃起した乳首をグリグリと弄ったりして可愛がる。そうやってしばらくフレンに奉仕させていたが、不意に手を止めてペニスから口を離した。

 

「フレン…?」

「もっと気持ちよくなってくださいね♪」

 

 そう言うなり、フレンは自らの爆乳を持ち上げてペニスを挟み込んだ。

 とこさんのものよりも大きく、それでいて強靭な大胸筋により全く垂れることのない前に突き出された爆乳。柔らかさよりもハリと弾力のあるそれは、まさに極上のパイズリといって差し支えなかった。もし俺が仮に童貞だったのなら、これだけで射精してしまう自信があった。

 俺はおっぱいを支えるフレンの手を上から掴むと、おっぱいを犯すように腰を振り始めた。最初から飛ばしていたが、一突きする度にダプンダプンッと音を立てながら揺れ動くおっぱいは視覚的にも聴覚的にも最高だった。

 

「おおっ、イクッ!」

 

 そして俺は限界を迎えた。

 最後に思い切り奥まで押し込むと、そのまま欲望を吐き出していく。噴水のように噴き出す精液はフレンの顔を汚し、谷間に白濁の水たまりを作り出した。射精が終わると、フレンは俺に言われずとも自主的に溜まった精液を嚥下し、顔についていた分も全て飲み干していった。

 

「フレン、立て」

「はぁい♡」

 

 俺はフレンを立たせると、彼女の背中を壁に押し付ける。

 転倒しないよう安定した体勢を取りつつ、フレンの片足をしっかりと持ち上げてから下から斜め上に向けて挿入する。対面片足上げスタイルでペニスを突き刺せば、フレンは首に手を回して抱き着いてきた。胸元で潰れるおっぱいの感触を楽しみながら、俺はゆっくりと腰を動かした。

 

「あっ、あんっ♡ これ、ずっと欲しかったのぉ!」

「どうだ? お前が欲しかったチンポは美味いか?」

「はい! ご主人様の、おちんちん大好きです♡」

「そうかそうか、ならたっぷり味わえ!」

 

 最初は浅く出し入れしていたが、徐々に大きく腰を動かして突き刺す。パチュパチュンッと水音を響かせながら、首の後ろの紐を解けばビキニトップスが前へと開ける。ブルンッと飛び出た大きな乳房がプルンッと震え、先端では綺麗なピンクの突起がピンッと自己主張していた。そこに吸い付き、もう片方の手で反対側のおっぱいを揉みしだく。

 

「だ、だめですぅっ! そんな、おっぱいもだなんて。ひゃん♡」

「こんなだらしない乳しやがって! まるで牛だな!」

「そ、そんな酷いこと、言わないでください♡」

「嬉しそうにマンコ締め付けてるくせに、何言ってんだこの変態が!」

「はいぃ♡ 私はご主人様専用のドM牝奴隷ですぅ♡」

「良い子だ。なら膣内でしっかりご主人様のザーメン受け止めるんだぞ」

「はい♡ ご主人様の濃厚ミルク、私の子宮にいっぱい注いでください!!」

 

 ラストスパートをかけ、もうすぐ絶頂を迎えようとした瞬間。

 

 

 

―――ガチャッ

 

 シャワールームの扉が開いた音が聞こえてきた。

 その音に反応して思わす動きを止め、耳を澄ませれば若い男の声が二つ聞こえてきた。このシャワールームには五つの個室があり、彼らはそれぞれ手前から二つ目と真ん中に入ったのが音で分かった。俺たちが入っているのは奥から二番目だから、すぐ隣に男性がいることになる。

 

(今動いたら……バレるな)

 

 フレンも人の気配に、気配を消そうとしている。

 幸いなことに男性たちは会話に夢中らしく、こちらを怪しんでいる気配はなかった。

 流石にこのまま続行するのは不味いと思って一度膣内から引き抜こうとしたが、フレンが持ち上げられていた脚を俺の背中に回してグイッと引き寄せてきた。その力強さに腰を前に突き出してしまい、フレンの口から小さく喘ぎ声が漏れた。

 

「アンッ…」

「あ? 今何か言ったか?」

「いいや? 気の所為じゃないか?」

 

 男たちは特に気にした様子もなく再び話し始めてしまった。

 冷や汗が流れた俺が安堵して息をつくと、フレンはこの状況にも興奮しているのか妖艶な笑みを浮かべている。そして激しくないながらも腰を動かして、俺の首筋にキスをしてくる。

 

「こ、こら。気付かれるだろ」

「大きな、ん、声をださなきゃ……あん、バレません、から」

「仕方ない奴だ」

 

 声が漏れないようキスで口を押え、フレンに合わせてゆっくりと腰を動かす。

 射精する為、というよりはピロトークを楽しむかのようだった。

 

「そういやさぁ、アレ見たかよ?」

「あ? ああ、あの五人組のことか?」

「そうそう! 冴えないおっさんが一緒に居た、美女美少女たち。めっちゃエロかったよなぁ」

「ああ、全員タイプは違ったけどレベル高かったよな。一人、可愛そうなぐらい胸がない子がいたけど……それを差し引いても全員顔立ちが整っていたな。特に茶髪の女、ヤバいぐらいスタイル良かったよ。あんなのAVでもなかなか見れないぜ」

「だよな! おっぱいとか超デケェの! 俺の見立てではFカップはあると思うぜ」

 

 残念、その子のサイズはGカップで、今まさに俺が揉んでいる

 それにしても、やっぱり四人とも目立ってたか。まぁ、目立つなというのが無理な話か。

 

「俺はあのデカパイの女かな。顔も好みだったし、何より身体つきが最高だった。バックからぶち込んで、ヒィヒィさせてやりてぇ」

「プラタはおっぱい大好きだよな。俺は断然、銀髪の子かな。あの清楚って面、SEXで歪ませてやりたい。アヘ顔晒させながらダブルピースなんて考えるだけで最高だ」

「ボダイはそう系好きだよな」

「ほっとけ。てか、ロニエの奴……絶対諦めてなかったよな」

「アイツ、ケモミミ大好きだからな。あの獣人の女がドストライクって感じの顔してやがった」

「目的のためなら手段を選ばない奴だからな。さっきも良い物を拾ったとか言ってたし」

「ニーレも誘って何かしそうだよな」

 

 獣人の女という言葉に、俺は一瞬我を忘れた。

 フレンと繋がったままだというのに腰を強く動かし、更にはおっぱいに触れていた手に力を籠めて握ってしまう。

 

「んっ!」

「あー! さっぱりした! そろそろビールでも飲みに行くか」

「そうだな。ロニエも待ちきれなくて先に飲んでると思うぜ」

 

 そう言って、二人の男たちはシャワールームから出て行った。

 扉が閉まる音を聞いてから、俺は気付かれなかったことに安堵して息をついた。

 

「危なかった」

「もう、ご主人様。いきなり動かないでください」

「悪かったよ。皆も待たせてるし、激しくいくぞ」

「あんっ♡」

 

 両足を抱え上げ、激しく突き上げる。

 じれったくなるぐらいゆっくりと動かしていた反動からか、膣内は猛烈に締め付けてきてすぐにイキそうになる。必死に堪えながらパンパチュンと動かすたびに、結合部からは愛液が飛び散りシャワールームの床を汚していく。

 

「そろそろいきそうだ。精液、何処に欲しい!?」

「はぁっ♡ あ、あん! あっ、あ♡ な、なかに……ご主人様のザーメン、フレンの膣にいっぱい注いで下さい!! フレンのこと、孕ませてください!!

「おぉっ、出る――っ!!」

「いく、イク、イグゥゥゥッッ!!!」

 

 びゅぶぅうっ、と勢いよく発射された精液がフレンの子宮内を満たしていく。その刺激で絶頂を迎えた彼女はビクンッと身体を大きく跳ねさせ、秘部からは大量の潮を吹き出した。確実に孕ませようとするかのように、無意識に何度か小刻みに腰を打ち付ける。

 

「これで、赤ちゃんできましたかね……?」

「どうだろうな? まぁ、いつか孕ませてやるから覚悟しとけ」

「嬉しいです」

 

 それから本当にシャワーを済ませ、俺たちはシャワールームを後にした。

 

 

 

 

 あれからフレンと一緒にビーチに向かえば、三人とも既に戻っていた。

 ブルーシートの上ではなく砂のところにいたので砂遊びでもしているのかと思って近付けば、カトリーナさんが顔だけを出して砂の中に埋められていた。おそらく砂浴と呼ばれる、確か沢山の汗をかくことで老廃物を大量に排出できるという自然療法の一つだったか。

 ただ、気になるのはとこさんとリゼさんで楽し気にカトリーナさんの上に砂を盛っている。全身が砂に沈められているので、これ以上砂を掛ける必要性はないのだが……あの位置は胸部だろうか。何とも言えない光景だが、とりあえず声を掛けることにした。

 

「あー、戻りました」

「おかえり。遅かったね」

「ちょっとありまして……それで、お二人は何を?」

「リゼと一緒に砂遊びをしとっただけやで」

 

 うん、気にするのは止めよう。

 それからカトリーナさんは十分ほどで砂から脱出したが、火照った身体を冷ますためにデッキチェアでダウンしていた。そんな彼女を尻目に四人でスイカ割りや砂山崩し、砂のお城作りといった定番な遊びを堪能した。ちなみに俺は砂の城を立てようとして、何処からか飛んできたビーチボールにより崩された……砂上の楼閣とはこのことか。

 そんあこんなあった後、俺たち五人は一口サイズにカットされたスイカ――フレンが真っ二つにしたものを、セバスチャンさんにより綺麗に切り分けられたものを食べる。甘さが程よく、冷えたこともあって非常に美味しい。やはり夏はスイカに限るな、と考えながら堪能していると。

 

「あ、あれ……?」

 

 カトリーナさんが何かに気付いたように声を上げた。

 何事かと全員で視線を向ければ、彼女は何かを失くしたのか上着のポケットに手を入れて探り始める。ただ探し物が見つけられなかったのか、酷く慌てた様子なのが見て取れた。

 

「どうかしましたか、カトリーナさん」

「いえ、それが……」

「アンジュ、ペンダントは?」

 

 カトリーナさんが答えるより早く、リゼさんが正解を口にした。

 確かに言われてみれば、彼女が常に肌身離さず持ち歩いていた国家錬金術師の証であるペンダントが見当たらなかった。思い返してみても彼女が水着に着替えてビーチに来た時も、ちゃんと首から下げていたはずだ。

 

「……どっかに落とした」

「ええぇぇっ!? 大変じゃん!」

「ど、どうしよう……あれがなかったら、ウチは!」

「はい、アンジュはん落ち着いて。冷静になってよく思い返してみて」

「う、うん……えーっと、ここに来た時には身に着けていたはず。その後は海に入らずに、そこで横になって寝て……それからご飯を食べに行くからって海の家に行って、行って……ああっ!!」

 

 何か思い出せたのか、勢いよく飛び上がった。

 そして俺たちが声を掛ける間もなく、何処かに向かって走り出してしまった。

 

「ちょっ、追いかけますか?」

「んー、大丈夫だと思いますよ。口ぶりから察するに、海の家で忘れたんですよ」

「せやな。思い返してみれば、確かにアンジュはご飯の時に邪魔になるからって首から外しとったのを見たわ」

 

 リゼさんもとこさんも慌てた様子はない。

 まぁ、砂漠から一粒の砂を探す訳でもないのだから、数分もすれば帰ってくるのか。スマホも持って行っているようだし、もし仮に何か問題があれば連絡は取れるだろう。全員がそう思って彼女の帰りを待ったが、五分経っても、十分経ってもカトリーナさんは戻ってこなかった。

 

「これ、不味くないですか?」

「もしかして見付けられなかったんですかね?」

「みんなで様子を見に行きますか」

「さんせー」

 

 ぞろぞろと、先ほどの海の家へと向かう。

 しかし店内に入ってみても、そこにカトリーナさんの姿は何処にもなかった。トイレの方も確認してもらったが、そこにも彼女はいなかったらしい。雲行きが怪しくなるのを感じながら、近くにいた店員さんに訊ねてみると。

 

「えっ、赤い髪の女性? ……ああ、確かに少し前に来ましたね。なんか探し物をしているとかで、それで話してたら別のお客さんが訳知り顔で会話に割り込んできて、その女性と一緒に店の外に向かって歩いて行きましたよ」

 

 店員さんの思わぬ発言に、全員が顔を見合わせた。

 嫌な予感を覚えながらも外に出て周囲を窺うけど、周囲にそれらしい人を見付けることは出来なかった。

 

「ど、どうしよう。とこちゃん!?」

「手分けして探そ 。おレンはアンジュのスマホに連絡入れて、リゼはセバスはんたちにも事情を話して。ほんでセツナはんはあっちを、わたしはこっちを探すさかいに」

「わ、分かった」

 

 カトリーナさんを見付けるべく、俺たちは行動を開始した。

 

 

◆アンジュ視点

 

 

「ちょっと! 何処まで行くんですか!?」

 

 目の前を歩く男の人に声を掛けるが、その人は何も答えずに歩みも止めようとしない。

 ここはさっきまでいたビーチの端っこにある岩場、どんどん人気のない方へと進んでいる。

 ウチがこうして見ず知らずの男性の後を付いて行っているのは、彼が持っているという大切なペンダントを返してもらうためだった。あれは国家錬金術師資格試験という厳しい試験を合格しなければ得られない超難関の資格であり、それにより様々な特権を国家から与えられる。

 基本的にやむを得ない場合や破損した場合を除き、証であるペンダントを紛失すれば資格の剝奪となってしまう。そうなれば各種特権を享受することが出来なくなり、今までのように錬金術の材料も湯水のように使うことも出来なくなる。いくらV-idolとして活動しているといっても、それだけでは材料費は賄えない。

 だから絶対に失う訳にはいかない代物だったのに。

 そんな大事なものをお昼を食べるときに汚れたら困るからと外し、そのまま回収することを忘れて海の家を後にしてしまった。それに気付いて慌てて取り戻ったら、運の悪いことにペンダントはこの見知らぬ男性に拾われていた。事情を説明して返して欲しいと伝えたら、付いてこいと言われて現在に至る。

 

(失敗した。リゼたちに連絡入れてくるんだった)

 

 今、スマホを出せば取り上げられる可能性もあった。

 自分の迂闊さを呪いつつ、今は大人しくこの男性の言うことに従うしかなかった。

 

(大丈夫。もし何かあっても、緊急用の錬成陣は持ち歩いている)

 

 何とかなる、そう自分に言い聞かせて後を付いて行く。

 それから五分ほど歩いてようやくたどり着いたのは岩場の奥、耳を澄ませてもビーチにいた海水浴客の賑やかな声はここまで届かない。聞こえるのは打ち付ける波の音と、恐怖心からか早まる心臓の鼓動だけ。

 それをかき消すように、胸を張って口を開く。

 

「約束通り付いてきたんですから、早くペンダントを返してください!」

「おいおい急くなよ。ここまで来たのは話をするためなんだからさ」

「何ですか……お金ですか?」

「いやいや、そんなもんはいらねぇよ。金なら腐るほどあるからな。ただちょーっと俺の頼みを聞いて欲しいだけだ」

「……何をさせるつもりなんですか」

「なぁに簡単なことだ。あのケモ耳の女を俺に紹介して欲しいんだよ」

 

 ケモ耳、コイツの狙いは戌亥か!

 今すぐに撃退してもいいけど、コイツの目的をしっかりと聞いてからだ。

 

「彼女を紹介して……どうするつもりなんですか?」

「当然、俺のモノにする」

 

 ギラついた目をしながら、男は告げた。

 

「へぇー、そうですか。それは残念でしたね。彼女、彼氏がいるんですよ」

「だからどうした? 俺は今まで欲しいもんは全部手に入れてきた。どんな手を使っても、力尽くでも奪い取ってやる」

 

 確信した。コイツは関わったらダメなタイプだ。

 とっととアクセサリーを奪い返して撤退する方がよさそうだ。

 

「残念だけど……交渉は決裂だ!」

 

 上着のポケットに入れていた手を引き抜いた瞬間、誰かに後ろから腕を掴まれた。

 振り返ると知らない男の人がウチの腕を掴んていて、驚いている間に羊皮紙が取り上げられた。そのまま掴まれている腕を捻り上げられて、痛みに顔を歪めてしまう。

 

「ロニエ、こいつ錬成陣を持ってやがったぜ」

「逃げ出すかと思ったけど、助かったぜ。ニーレ」

 

 目の前の男(ロニエ)と、親し気に話す後ろの男(ニーレ)

 話しぶりから察するに、この二人は仲間ということになる。ロニエが話をしながら注意を引き、ウチが何か行動すれば物陰に潜んでいたニーレが不意打ちをする手筈なんだ。コイツら、多分だけど手慣れている。

 

「さてと、抵抗されるのも面倒だな」

 

 ロニエがそういった瞬間。

 

 

 

―――パンッ

 

 乾いた音と共に、ウチの頬が熱くなるのを感じた。

 少し遅れて痛みが襲ってきて、叩かれたと認識するまで数秒の時間を要した。

 

「なっ、何を――!」

 

 そう言おうとして、また頬を叩かれる。

 口答えする子供を叱りつけるように、二度三度と平手打ちが続き、口の中が切れたのか血の味が広がってくる。

 

「や、止めてください!」

 

 もう殴られないよう、残った手で顔を庇う。

 突然の理不尽な暴力に、涙が溢れそうになる。

 

「よしっ、ちゃんと腕を押さえとけよ。」

「分かってるよ。後、叫ばれてメンドーだから口も塞いでおくか」

 

 二人掛かりで、ウチを岩場の上に寝転ばせてきた。

 これから彼らが何をするのか理解して必死に抵抗するけど、男の人に貧弱なウチの力じゃ敵うはずもなかった。更には口の中にハンカチのようなものを押し込まれ、無骨な男の人の手が無遠慮にウチの身体をまさぐってくる。

 

「んーっ、んーっ!!」

「チッ、こいつマジで乳ねーな」

「お目当ては別にあるんだから良いだろ。とっととやって、その写真を向こうに送りつけようぜ」

 

 やだ、ヤダ!

 どうしてウチがこんな目に、今日はただ楽しい旅行だったはずなのに。

 

(助けて、リゼ、戌亥、フレン……立実さん!)

 

 心の中で助けを求めながら、男たちを睨み付ける。

 そんな視線を受けても、彼らは楽し気な笑みを浮かべるだけだった。

 そして男の手がウチの水着の中に入ろうとした直前、両腕を押さえていた男が吹っ飛んだ。

 

「うわっ!?」

「なっ、おまえ――ぐえっ!」

 

 何が起こったのか分からず呆然としていると、今度はもう一人の男も蹴り飛ばされた。

 訳の分からない状況に混乱しながら身体を起こせば、そこには肩で息をしている立実さんの姿があった。

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……カトリーナさん、大丈夫!?」

 

 彼女の傍に膝を付けば、顔には殴られた痕が残っていた。

 俺が来たことに安堵したのか、彼女は泣きそうな表情でこちらを見つめてくる。

 

「は、はい。大丈夫です……」

「そっか……ごめん、遅くなって」

 

 安心させるように抱きしめ、頭をなでて慰める。

 そこで後ろで呻く男の声が聞こえたので手を止めて立ち上がり、カトリーナさんを襲おうとした奴に近付く。どうやらもう一人の方は側頭部を蹴った際に何処かぶつけたのか、倒れたまま動く気配がない。

 

「て、テメェ……いきなり、何しやがる!?」

「いや、普通に考えて女性に暴力を働く奴がいたら誰だって救うに決まっているだろう」

「ふざけんじゃねぇぞ!」

 

 そう言って男は立ち上がると、ポケットからバタフライナイフを取り出して構えた。

 ああ、やっぱりこの手の輩はナイフの一つぐらい持ってるよな。

 

「立実さん!」

「死ねっ!」

 

 男はこっちに突っ込みながら、ナイフを突き出してきた。

 それに対して俺は上半身を後ろへ下げるように引きつつ、両手でナイフを持った腕を鷲掴みにして止める。そして右足を振り上げて思いっきり男の股間を蹴り上げた。おそらく男なら誰しもが耐えることの出来ない急所への一撃に、男は悶絶しながら地面に倒れ伏す。

 その拍子にナイフも手放したので、拾って手の届かない場所へと放っておく。

 

「がっ、ぎぃ……て、テメェ」

 

 痛みに苦しみながら、それでも男は立ち上がってきた。

 しかし、やはり無理があるらしく、痛みから内またとなり、身体もプルプルと震えている。

 

「無理するなって。大人しく寝とけ」

「う、うるせぇっ!」

 

 男が殴り掛かってくるが、そんな状態で放たれるパンチを躱すのは難しくない。軽く身を屈めて避けると、男の顎を下から突き上げる様に掌底を放つ。その一撃で浮いた男の身体は受け身を取ることも出来ず、そのまま仰向けに倒れこんだ。

 

「よしっ、討伐完了っと」

「す、凄いですね。護身術でも習ってたんですか?」

「えっ、単に漫画で得た知識の見様見真似。素人が絶対にやっちゃいけない手本」

 

 実を言えば、喧嘩で殴り合った経験すらない一般人。

 俺はそれからカトリーナさんに錬金術で二人を拘束するための紐を出してもらい、暴れられないよう縛り上げれば、男の一人のポケットからカトリーナさんのペンダントが零れ落ちたので回収しておく。

 それからスマホを取り出してとこさんに電話を掛ける。

 

「もしもし、とこさん? カトリーナさんを見付けました。はい、無事です。それとここに縄付きが二人いるので、警察か何かを派遣してもらえるとありがたいです。俺たちはすぐに……」

 

 チラッと、後ろを振り返れば口の端から血を流すカトリーナさんがいた。頬にも涙の痕が残っていて、このまま戻っては彼女の心情としても良くないだろう。流石に短時間で腫れた頬が治りはしないだろうけど、少し気持ちを落ち着かせる時間は取った方がいいな。

 

「すみません。ちょっと時間置いてから戻ります」

 

 そう言って、電話を切る。

 とこさんからも頼むと言われたので、俺は一先ず縛り上げた男たちを自分たちから少し離れた場所へと引き摺っていき適当に放置しておく。念のため確認したけど、二人とも意識はないけど呼吸はしていたので問題なさそうだった。それからカトリーナさんの元へと戻り、一緒に近くのよさげな岩の上に座る。

 

「あの、立実さん……ありがとうございます」

「カトリーナさんが本当に無事でよかったです。それに遅れてしまいました」

「いえ、立実さんが来てくれなかったら……ウチ、きっと酷いことをされてたと思います」

「…………」

「そ、それにしても、よくここだって分かりましたね?」

「実はカトリーナさんを探している時に、赤髪の女性を確保したから合流しようって話している奴らを見掛けたんです。その時にシャワールームで不穏な話をしてた奴がいたことを思い出して、セバスチャンさんたちに頼んで拷問(ゲロ)してもらったんだ。だから、こうして助けに来ることが出来たんだよ」

「そう、なんですね……」

 

 俯いて涙をこぼすカトリーナさんに、俺は何と声を掛ければいいのか分からなかった。

 こういうとき、出来る男なら女性が求める言葉を自然と口から出てくるんだろうけど、俺にはそんなことできない。やはりカトリーナさんのことをよく知っているリゼさんに慰めて貰った方が良いんじゃないかと考え、俺が座っていた岩の上から降りようとすると。

 

「あっ、待ってください」

 

 カトリーナさんが俺の腕を掴んだ。

 その行動に驚いて彼女の方を見ると、顔を赤くしながらも真っ直ぐこちらを見つめていた。

 

「立実、さん……ここで、抱いてくれませんか?」

「……え?」

「べ、別に欲情した訳じゃないんですよ!? ただ、知らない男の人に身体を弄られたのが気持ち悪くて、今もその感覚が残っているような気がして……こんな状態でリゼに会うのが怖くて……だから、上書きしてもらえませんか?」

「それは……」

「ダメ、ですか?」

 

 潤んだ瞳で見つめられ、俺は思わず唾を飲み込んだ。

 精神的に弱っている女性に付け込むようで気が引けたが、拒絶すれば彼女を傷付けかねない。

 

「分かりました」

「じゃあ――ひゃっ!」

 

 了承の言葉と共に、俺は彼女を自分の上に座らせた。

 そして背中から抱きしめると、ゆっくりと身体の上に手を這わせていく。

 

「どこに触られたんですか?」

「……おっぱい、です」

 

 指先で優しく、撫でるように水着の上から胸に触る。

 カトリーナさんの胸はほんのりと丘を形成する程度だったが、確かな感触が手の平に伝わってくる。大きさとしては慎ましやかとしか言いようがないサイズで、正直物足りないと言えばそうだが、それでも興奮するには十分すぎる代物である。それに感度は高いのか、軽く弄る程度でも可愛い反応が返ってくる。

 

「んっ、あ♡ ふぅっ!」

「敏感なんですね」

「~~~っ!」

 

 羞恥心からなのか、耳まで真っ赤にして俯く姿に嗜虐心を煽られる。

 手の平全体で胸全体を揉みほぐすように動かせば、水着越しでも分かるほど先端が固くなってきている。そろそろかと思い、グイッと水着のビキニトップスを上へとずらした。そうすれば可愛らしいサクランボのような乳首が露わとなり、外気に晒されて震えている。

 触って欲しいと主張してくる乳首に振れず、指の腹で焦らすように乳輪をなぞる。

 

「んっ! はぁっ、やっ!」

「どうですか?」

「く、擽ったいです。でも、もどかしくて……触ってください」

「どこに触れたらいいんですか?」

「そ、それは……クビ、です」

 

 小さく、か細い声で呟く。

 彼女が何を求めているのか分かったが、俺はわざと聞こえないふりをした。

 

「聞こえませんよ。ほら、お願いする時は、ちゃんと相手に聞こえるように言わないと」

「うううっ……チクビ、ウチの乳首を触ってください!」

 

 真っ赤になりながら、ヤケクソと言わんばかりに叫ぶ。

 俺は了解と応えるように、両方の乳首を同時に親指と人差し指で挟み、力強く摘んで思いっきり引っ張り上げる。

 

「んひぃぃぃっ!」

 

 ビクンッと、背筋を仰け反らせながら甲高い声を上げる。

 同時にプシュッと音が聞こえそうなほど股間から潮を吹きだし、絶頂を迎えたことを主張していた。

 

「お、ん゛ぉ……」

「大丈夫ですか?」

 

 顔を覗き込めば、舌をだらんと垂らしている。

 このままチンポをぶち込んでやりたいところだが、流石にとこさんたちを待たせているので我慢することにした。それに、こんな岩場では下手に足を切ってしまえば感染症を引き起こす危険性もあるので名残惜しいが戻ることにする。

 まだ脱力しているカトリーナさんを背負い、俺はみんなの待っているビーチへと戻っていった。

 




今回の内容は如何だったでしょうか?
流石に二万字ともなると書き上げるのが疲れました。
本当はフレンとアンジュの話は書くつもりはなかったのですが、折角の水着なのに書かないのは勿体ないと判断し、こうして仕上げてたら普段の倍の長さになってしまいました。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-13:約会

どうも、私です。
最初に言っておきますが、今回は全年齢版となっております。
つまり、ムフフなシーンは存在しませんので期待しないで下さい。

後、いつもながらアンケートにご協力いただきありがとうございます。
やはり和式が人気なんですね。ドレス姿も素敵だとは思ったのですが。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


 旅行二日目。

 昨日はビーチで遊んだが、今日は観光に行くということで朝から旅館のロビーに来ていた。ただ何処に向かうのかは聞かされていないので、とりあえず誰かが来るまでロビーにあるソファに腰掛けて時間を潰すことにした。暫くスマホを弄りながら待っていると、駆け足気味で誰かが近付いてくるのが視界の端に映る。

 

「すみません。お待たせしました!」

 

 顔を上げれば、そこにいたのはリゼさんだった。

 彼女は青色のフリルが付いた、白を基調としたロングのワンピースに身を包んでいる。そして頭に被った麦わら帽子も相まって、まさに夏の避暑地に遊びに来たお嬢様のような雰囲気だ。

 

「今日はワンピースなんですね。とても可愛いですよ」

「あ、ありがとうございます……えへへ♪」

 

 はにかみながら笑う彼女を見て、自然と頬が緩む。

 何だか俺も気恥ずかしくなり、頬を掻きながら話題を逸らす。

 

「そ、それにしても、他の人たちはどうしたんですかね?」

「あれ? とこちゃんから聞いてませんか?」

「えっ、何をですか?」

「今日は交代でお出かけしようって、とこちゃんから提案されたんです。私からスタートで、次にフレンときて最後にとこちゃんです。アンジュは体調不良ってことで今回は参加しないって」

 

 聞いてないですよ、とこさん。

 どうやら昨夜、三人でくじ引きをして誰から俺とデートするか話し合ったようだ。ただとこさんは彼女権限ということで最初に選ぶ権利が与えられ、最後を選択したらしい。

 

「という訳で今から三時間、よろしくお願いします」

「あっ、はい。それで、行先なんかは……」

「それは着いてからのお楽しみですっ!」

 

 そう言ったリゼさんに連れられ、俺は旅館を出た。

 宿の前には彼女が用意したと思われる黒塗りの最上級セダンが停まっており、車の横では昨日ビーチで会ったセバスチャンさんが待っていた。昨日と打って変わって執事服に身を包んでおり、俺たちの姿を確認するなり彼は深々と頭を下げてくる。そしてドアを開けてくれたので後部座席に乗り込めば、セバスチャンさんは扉を閉めてから運転席へと座った。

 こんな高級車に乗れる機会など滅多に無いだろうと思いながらも、仮にも一国の皇女殿下が隣にいる事実に別の意味で緊張する。チラッとリゼさんの方を見れば、彼女はこれからのデートを楽しみにしている様子で嬉しそうに微笑んでいる。

 俺は何とか緊張を落ち着かせようと、彼女に話を振る。

 

「あの、リゼさん……カトリーナさんは、あれからどうですか?」

「アンジュですか? 一応、落ち着いてはいます。今朝も元気にご飯も食べていましたけど、まだ少しだけ不安みたいです。ただ今日のデートには参加せず、大人しくしていると言っていました」

 

 あの後、みんなと合流する頃にはカトリーナさんも意識を取り戻した。

 本来なら夜は旅館で用意された豪勢な食事を摂る予定だったのだが、急遽予定を変更して食事会はなしになって俺は一人部屋で夕餉を取ることとなった。リゼさんからも謝られたが、友人が気落ちしているのを尻目に食事を楽しむ気になれそうになかったので別に問題はなかった。

 因みにカトリーナさんに暴行を働いた二人と、その仲間である二人の計四人組は地元の警察へと引き渡された。どうやら彼らは地元でも有名な不良らしく、以前から警察も目を付けてはいたらしい。ただ中々尻尾を出さない為、警察も迂闊に動けずにいたらしい。今回、現行犯ということで逮捕できると、警察から感謝されたぐらいだ。

 そんな感じで話していると、車は目的地へと到着したのかゆっくりと停車する。

 セバスチャンさんに開けて貰った扉からリゼさんに続いて車から降りると、どうやら停まっているのは何処かの小高い丘の上にある駐車場のようだった。リゼさんの後について進んでいくと、入場ゲートのようなものが目の前に現れる。その上にある看板には大きく『アニマルキングダム』と書かれていた。

 

「動物園、ですか?」

「正しくは動物園と遊園地を合わせた複合型レジャーランドです」

 

 確かによく見れば、敷地内に観覧車のような物が見える。

 そう言えばとこさんともこういった場所はまだ来たことがなかったな、と思っているとリゼさんが肩から掛けていたポシェットからチケットを取り出して渡してきた。どうやら事前に購入していたようで、俺たちは係員にチケットを見せて園内へと入っていった。

 俺は入り口で貰った園の案内図を見ながらリゼさんに問う。

 

「それで、どちらに向かう予定なんですか?」

「私たちはアニマルゾーンを回ります」

 

 何か含みのある言い方だとは思ったが、敢えて指摘せず彼女の後に続く。

 どうやらこの園には今俺たちが向かっているアニマルゾーンを始め、ゴルフ体験の出来るスポーツゾーン、メリーゴーランドや観覧車のあるプレイゾーンと三つのエリアがあるようで、それらを反時計回りに進むよう順路が決められているようだ。

 なので最初のアニマルゾーンへと近付くにつれ、様々な動物の鳴き声が聞こえてきた。

 

「へぇ、結構色んな動物がいるな」

 

 アニマルゾーンには本当に多種多様な動物たちがいた。

 最初に出迎えてくれたのはシマウマやカモシカ、ダチョウといった草食系の動物たちだ。続いては迫力満点なライオンやホワイトタイガーといった肉食系の生き物もおり、飼育員の監視の下でなら餌やりも体験できるらしい。俺はこういったものは見ているだけで十分な人間だが、リゼさんは目を輝かせながら動物たちに餌をやっていた。

 中でも、彼女が気に入ったのはホワイトタイガーのようだった。

 

「わぁー! 凄いですよ、立実さん!」

「おぉ、本当ですね」

 

 まるで子供のように無邪気にはしゃいでいる。

 女性はこういった大型肉食獣を怖がると思っていたのだが、どうやらリゼさんに関しては違っていたようだ。

 そうして満足するまで餌やりを堪能した後は、次は動物と直接触れ合うことの出来るエリアだ。ここには大型ながらも性格の温厚な草食動物や小型の小動物がおり、中でも珍しいと思ったのはサイに触れることだった。

 

「うわっ、何かザラザラとしてる!」

「本当ですね。てっきり、こうツルツルしているのかと思っていました」

「サイの角って、頭蓋骨から飛び出た骨じゃないらしいですよ。えーっと、何だっけ……ゼラチン? みたいなタンパク質で構成されているから、人間で例えるなら髪の毛や爪ですね」

「へぇ、そうなんですね」

 

 おそらくケラチンのことだろう。

 間違っていることは分かったが、それを訂正できるほどの知識はないので黙る。

 

「向こうで小動物に触れるみたいですよ!」

「あっ、待ってくださいよ!」

 

 今度は俺が彼女に引っ張られる形で、次の動物エリアへと向かう。

 リゼさんの柔らかく小さな、とこさんとまた違った手の感触にドギマギしながら、俺は彼女とのデートを楽しんだ。

 

 

 

 

 そして楽しい時間はあっという間に過ぎ、気が付けば指定されたに時間が終わろうとしていた。

 俺たちは今、アニマルゾーンを抜けた先、売店のある場所まで来ていた。

 

「立実さん、今日は私とデートしてくれてありがとうございます」

 

 そう言って、リゼさんはペコリと頭を下げてくる。

 そんな彼女に、俺は慌てて顔を上げさせた。

 

「い、いえ、こちらこそ楽しかったですし……」

「ふふっ、それなら良かったです」

「それで、俺はこれからどうすれば……」

「あっ」

 

 俺がそう訊ねようとした矢先、リゼさんが俺の後方を指さした。

 何かあったかと思って振り返ったが、特に変わった様子はない。どういうことだろうと思ってリゼさんの方を向き直った瞬間――。

 

「んっ」

 

 ちゅっ、と唇に柔らかいものが当たった感覚があった。

 突然の出来事に唖然としていると、ゆっくりとリゼさんの顔が離れていく。彼女は頬を赤らめながらも悪戯っぽい笑みを浮かべており、そんな彼女を見てようやくキスされたのだということを自覚する。

 

「えっ……り、リゼさん?」

「立実さん、大好きです」

 

 突然の告白に、俺は言葉を失った。

 何か言わなければと思うのに、何と声を掛ければいいのか分からず口籠もる。

 そんな俺の様子に少し悲し気な表情を浮かべながら、リゼさんは売店の方に手を振って誰かに合図を送る。そっちの方へと視線を向ければ、見覚えのある女性がこちらに向かって歩いてくる。

 それは次のデートの相手であるフレンだった。

 今日の服装はリゼさんとは対照的な、お洒落な黒いワンピースだ。その上からは同じく黒のレースのカーディガンを羽織っている。腰の部分を二本の細い革ベルトで締められ、それが彼女のスタイルの良さを強調している。普段は下ろしている綺麗な髪も、今日はポニーテールにしていてどこか新鮮だった。

 

「お待たせ、フレン」

「いえ! そこで売ってるみかんソフトクリーム美味しいんですよ!」

「良かったね。じゃあ、私は戻るから立実さんとのデート、楽しんでね」

 

 リゼさんは俺に頭を下げてから、一人で何処かへと歩いていく。

 その背中を呆気に取られて眺めていると、フレンが俺の腕に抱き着いてきた。

 

「行きましょうか、ご主人様!」

「あ、ああ……フレン、一先ず人前ではその呼び方は止めてくれ」

「はい! セツナさん!」

 

 俺とフレンは園内にある、プレイゾーンへとやってきた。

 どうやら本当に小さな遊園地という感じらしく、それなりに大きな観覧車や短いながらもジェットコースターといったアトラクションがある。まるで東京にある日本最古の遊園地のようだと思いながらも、俺たちはアトラクションを楽しむことにした。

 因みにこのレジャーランドは入園料とは別に利用料金が毎回発生するシステムなのだが、リゼさんが用意してくれたチケットには一日乗り放題の券が付いていたので、こうして並んでいてもお金の心配をする必要はない。

 

「セツナさん、あれに乗りましょう!」

 

 そう言って彼女が指さしたのは、メリーゴーランドだった。

 くるくると回る夢の国の定番アトラクションに俺は苦笑しながらも、フレンに引っ張られる形で列に並ぶ。しかし、やはりこの手のアトラクションに並んでいるのは子供が多く、女性もフレンを含めて三人ほどしかいない。つまり男で参加しているのは俺ぐらいなので、周囲から好奇の目で見られてしまうことになった。

 乗らないという選択肢もあったが、嬉しそうにしているフレンを見れば、とてもじゃないが言い出せなかった。俺が割り切りさえすれば何ら問題はなかったので、俺は気にせずに順番を待つ。そうして暫くすると番が回ってきて、俺たちはメリーゴーランドに乗り込んだ。こうして木馬に跨るのは果たして何年ぶりだろうかと思いながらフレンの方を見れば、やはり現役の騎士だけあって馬に乗る姿は様になっていて背筋をピンと張って堂々としている。

 

「どうしましたか、セツナさん?」

「いや、何でもない」

 

 フレンの問いに、首を横に振る。

 そして係員が端末を操作すれば、陽気なメロディーに合わせてゆっくりとメリーゴーランドは回転し始めた。回転に合わせて木馬本体も上下に軽く動いており、子供たちはこれでも十分楽しいのか笑顔で回っている。

 

「わあーっ! わあーっ!」

 

 目を輝かせながら、子供のように歓声を上げるフレン。

 人によっては子供っぽいと言うかもしれないが、そんなフレンが可愛いと思えた。

 数分ほどで音楽や止んでメリーゴーランドも止まり、俺たちは木馬から降りた。それからゴーカートに乗ってフレンと競争したり、一本のレールの上を走るエンジン式のマシンに一緒に乗ったりとアトラクションを楽しんだ。

 

「時間的に後一つぐらいだけど、フレンは何に乗りたい?」

「なら観覧車に乗りましょう!」

 

 フレンが選んだのは、観覧車だった。

 俺は彼女と一緒にゴンドラに乗り込み、扉が閉められるとゆっくりと空へと昇っていく。ある程度まで高度が上がるとレジャーランド全体を俯瞰することが出来るようになり、地上を歩いている人たちが小さく見える。更にゴンドラは上昇を続け、頂点に至った時には海の向こうに見える水平線まで見渡すことが出来た。

 飛行機にも乗ったことがあるから、地上や海を飛ぶ鳥の姿を捉えたことも何度かある。しかし、それでもこうして違う視点から景色を眺めること感動を覚える。最初こそ戸惑ったが、こうして旅行に来れて良かったと改めて思った。

 

「ご主人様」

 

 そうして窓の外を眺めていると、不意に隣に座っているフレンが話しかけてきた。

 いつもより少しトーンを落とした真剣な声音に、俺は無意識に身体が強張るのを感じながらゆっくりと振り返った。フレンはいつの間にか席を立ち、まるで騎士が忠誠を誓うかのように俺の前に膝を付いた。

 

「ご主人様。奴隷の分際で烏滸がましいと承知の上で申し上げます。私、フレン・E・ルスタリオはご主人様――立実セツナ様を心から愛しています。ですが、ご主人様がとこ先輩を愛していることも理解しています。ですので、私の想いは受け入れられないことも分かっています。騎士としての誓いは祖国に捧げていますが、女としての操はご主人様に捧げて仕える所存です。身勝手な振る舞いをお許しください。それでも、私は――貴方を永遠にお慕いしております」

 

 そう言って、彼女は俺を見上げる。

 その瞳には涙をため、憂いに満ちていた。けれど、どこか晴れ晴れとした表情であった。

 フレンとの関係を言葉にすればセフレ、互いに気が向いた時にセックスするだけのものだった。おそらくフレンは好意程度の気持ちしか抱いてないだろうと思うが、今の言葉を聞く限り、彼女の中で俺への想いがLIKEからLOVEへと変わっていったのだろう。

 俺自身、彼女のことは好ましいとは思っている。

 こんなしがない社会人でしかない自分を好きになってくれるのは嬉しい。

 

「フレン、俺は……」

 

 俺が口を開いた瞬間、ガタンとゴンドラが揺れた。

 見ればいつの間にかゴンドラは一回転したらしく、もうじき地上に辿り着くところだった。

 どうやら俺は数分間も黙り込んでいたと気付き、改めてフレンを見れば彼女は椅子に座りなおしていた。

 

「ふ、フレン…」

「ご主人様、またデートに行きましょうね!」

 

 フレンは屈託のない笑みを浮かべてそう言う。

 さっきまでの告白などなかったかのような態度で、俺は何とも言えない気持ちになった。

 

 

 

 

 あれから観覧車から降りた後、俺は黒服――おそらくセバスチャンさんの部下の人たちの手により車に乗せられ、何処かへと連れていかれた。フレンとまだきちんと話せていなかったが、どんな顔をして話せばいいのか分からなかったから都合は良かったのかもしれない。

 そんなことを考えながら、運転手に何処に向かうのかと問えば。

 

「戌亥様がお待ちでございます」

「いや、ではなく行先を……」

「それは私の口からは申し上げられません」

 

 そう言って、運転手は口を閉ざしてしまった。

 俺は大人しく目的地に着くのを待つことにし、後ろの席に用意されていた軽食を口にして腹を満たしておいた。そうして小一時間ほど車に揺られれば、やがて車は停車してゆっくりとドアが開かれた。降り立って目の前に見えたのはお洒落な平屋の建物、観光地によくある土産店のように見える。

 その建物の前では、白いシャツに黒のサロペットに身を包み、頭には麦わら帽子を被ったとこさんがドリンクを片手に立っていた。とこさんは俺の姿を認めると、小さく手を振って出迎えてくれた。少し駆け足で彼女の前まで行くと、とこさんは優しく微笑んでくれた。

 

「遅かったね。ずっと待っててん」

「あっ、すみません」

「冗談やで。ほな、行こか」

 

 とこさんは俺の手を取ると、建物には入らずに何処かへと歩き出した。

 俺は彼女に引っ張られる形で脇にある小道を、海の方角に向かって森の中を進んでいく。小道は簡素ながら整備がされており、多くはないながらも人通りもあった。行き交う人はカップルが多く、俺たちと同じように仲睦まじく歩いている気がする。

 恋人との穏やかな瞬間に幸福を噛み締めながら、俺はあえて口を開いた。

 

「ねぇ、とこさん」

「ん? なんや?」

「……どうして、今日の交代デートを提案したんですか?」

 

 どうして恋人を、他の女性とデートさせるのか。

 とこさんのことだから何らかの考えが合ってのことだろうとは思うけど、意味が分からない。

 

「セツナはん……わたし、こう見えて我儘やねん」

「そうですか?」

「ぇん。わたしは天文学的な確率の番を見付けて、運よく恋人になることがでけた。これまで生きてきた長い人生の中で、今この瞬間が一番幸せや。いずれはセツナはんと所帯を持って、子供作って幸せな家庭を築くつもりや。せやけど、そう考えた時に一抹の不安を覚えた」

「不安?」

「わたしが孕んだら、一体誰がセツナはんの性処理をしてくれるんやってなぁ」

 

 とこさんは立ち止まり、くるりと振り返る。

 そして悪戯っぽい笑みを浮かべると、俺の顔を下からのぞき込んできた。

 

「セツナはんは性豪やから、何か月も我慢なんて出来るわけあれへんやろ?」

「うっ、それは……」

 

 確かに保証は出来ない。

 とこさんとセックスするようになってから、俺の性欲は確実に強くなった。今までは多忙な日々を送っていたこともあって自慰行為すらしない日もあったが、今では週末にとこさんを貪るようにセックスするようになった。おそらく自慰程度じゃ満足できないだろう。

 

「そうなった時、セツナはんは他所の女と浮気するかもしらん。そんなん許せるわけがあれへん! せやけど、セツナはんの行動を縛ることは出来ひん。だから、雄を囲う雌(・・・・・)を用意することにした」

「え…?」

 

 雌というのは、まさか。

 とこさんは何処か狂気じみた目をしながら、俺に説明してくれる。

 

「セツナはんの思っとる通り、あの三人のことや」

「ど、どうやって……」

「顔合わせの夜、リゼがスマホを忘れたのは偶然やない。わたしが隠したからや。ほんでリゼが部屋に入って来たことも、こっそりとわたしたちの行為を覗きながらオナニーしていたことも知っとった。わたしとしてはリゼにほんまもんのオスを見せ付けようと思うただけで、まさか魅了されるとは思わんかったわ」

「もしかして、あの時話していた解消法は?」

「あれはほんまのこと。リゼならきっと、絆の方を選んでくれるって信じとったけど」

 

 確かに、リゼさんは忘れたスマホを取りに来た。あの時は意識しなかったけど、考えてみればスマホはテーブルの真ん中に分かり易く置いてあった。急いでない限り、あんな場所に置いてある自分のスマホを忘れていくのは考えにくい。

 

「おレンはもっと簡単やった。リゼやアンジュはんの口止みせんとけばええ。そうすればおレンの耳にも遠からず、わたしに恋人が出来たって話が伝わる。自分で持ってきた薬の所為でポンするのは、おレンらしいとは思うけど」

 

 だからあの時、全然俺のことを責めなかったのか。

 いや、だとしても未だカトリーナさんの件が残っている。

 

「カトリーナさんの時はどうしたんですか?」

「あれは事前にアンジュはんからも合コンに参加するって話は聞いとったん。そこへセツナはんからも連絡を受けて、例の同僚さんに頼んで二人っきりになるよう仕向けて貰ったんよ。ああ、アンジュはんには予めセツナはんの男性器は太くて固いって伝えておいたから、研究者気質のアンジュはんならきっと興味本位で手を出すって思うてたんやで。因みに興奮剤の方はわたしやないで」

 

 ああ、なんてことだ。

 つまり、俺のこれまでの性事情は。

 

「つまり、とこさんの手の上で踊らされていたってことですか?」

「そこまで陰謀詭計なことはしてへんで。すべてを思い通りなんて無理やし、わたしに出来るのは軽く誘導する程度」

 

 結果として、俺を囲むための包囲網は出来上がった訳か。

 男として多様な美女美少女と関係を築けることは喜ばしいので、文句の一つも出てこない。

 

「わたしはこんな女や……嫌いになった?」

 

 そう言ってとこさんは不安げに俺を見つめてくる。

 悪戯をして親に叱られる前の子供のような表情に、俺は彼女を安心させるためにとこさんを抱きしめる。確かに彼女の行動は決して褒められたものではなかったかもしれないが、俺にはそれを咎める権利はなかった。何故なら彼女にそんな風に考えさせ、行動させたのは俺が原因なのだから。

 

「俺は何があっても、とこさんを嫌いにならないから」

「セツナはん……」

 

 そうして俺たちは静かに抱きしめ合った。

 だが、つい自分たちの世界に入っていて忘れていたが、ここは人通りのある小道である。

 つまりは周囲には同じようなカップルがおり、何とも生暖かい視線が周りから向けられていることに気付いた。

 

「い、行きましょうか。とこさん!?」

「そ、そうやね!」

 

 俺たちは身体を離すと、急いで小道を奥へと駆け足で進んでいった。その後は道の果てにある展望デッキにて、海の向こうに見える富士山を眺めながら鐘をとこさんと一緒にお互いの名前を呼び合いながら3回鳴らした。

 帰り道でとこさんから聞いたけど、あそこは『恋人岬』と呼ばれるこの辺りでは有名なデートスポットらしい。あの『愛の鐘』を愛しい人の名前を叫んで3回鳴らすと、想いが叶うとして謳われているとか。

 ああ、道理でやたらとカップルは多いし、生暖かい目で見られた訳だ。

 色々あったけど、恋人と通じ合うことが出来たのだから良しとしよう。




今回の内容は如何だったでしょうか?
ご都合ではありますが、全てはとこさんの手の平で踊らされていました。
幾ら行為中だからとて動物が周囲の物音に全く気付かない訳もなく、普段から慕ってくれる後輩が暴走するのは想像に難くなく、ムッツリスケベな研究者の好奇心を刺激するのも容易ということです。

因みに明記していませんが、実はとこさんの行動は半分ほど賭けでした。獲物を囲うために餌を用意しましたが、その餌に釣られて包囲網から抜け出る可能性もありました。しかし予め獲物に極上の餌を与えておいたので、他の餌に目移りすることはあっても、獲物が逃げ出すことはなく、彼女は賭けに勝利したのです。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-14:大盛

どうも、私です。
アンケートへの回答、ありがとうございます。3番目についてはネタ程度でしたが、2に一票も入ってなかったのは小躍りするぐらいには喜びました。このモチベを維持しながら投稿を続けたいと思います。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


 旅行、二日目の夜。

 とこさんと一緒に旅館へと戻ってからひと風呂浴びれば、時間も時間ということで晩ご飯を食べることになった。初日に食べられなかったこともあり、二日目の夕食は信じられないぐらい豪勢な懐石料理が用意されていた。

 アスパラガスとほうれん草の先付け、長芋とろろと花みょうがのお凌ぎ、山菜の入った椀物、マグロやカツオの向付、タケノコの山椒煮、ブランド豚の焼き物と順番に来た。最後にはご飯と香の物に汁物が来て、甘味といったコースとなっていた。ただ俺の分だけ生牡蠣が出てきて驚いたが、皆からは気にしないでと言われたので美味しく頂いた。

 流石に食いすぎたと思いながら部屋へと戻り、ゆっくりとした時間を過ごしていると。

 トントントンッ、と三回部屋の戸がノックされた。

 

「はーい、どちらさま」

「まいどー!」

 

 部屋の前には恋人のとこさんと、フレンが立っていた。

 どうしたのかと思いながら問えば、どうやら一緒にお酒を飲もうと誘いに来てくれたらしい。確かに見れば売店で買ってきたであろう酒類とおつまみの入った袋を持っており、例え俺が誘えなかったとしても飲む気満々といった様子だ。なおリゼさんは満腹でダウンしたカトリーナさんの看病をしているとか。

 特に断る理由もなかったので、俺は二人を部屋に招き入れる。

 

「セツナはんは何飲む?」

「えーっと、そうですね」

 

 ローテーブルの上に並べられたお酒の半数が果実酒の缶、後は焼酎や日本酒の小瓶だった。

 おそらく果実酒は彼女たちが飲むのだろうと予想し、俺は適当にカップの酒を手に取る。

 

「じゃあこれ飲みますね」

「おっけー! ほなわたしはレモンサワーにしよかな」

「なら、私はカルピスサワーで!」

 

 三人で乾杯をして、ぐいっと呷る。

 高級旅館と言えど売店で売られているお酒は定番なものらしく、飲みなれたお酒の味が口に広がる。それから適当にチビチビとお酒を飲みながら話していると、30分ほどでフレンの様子がおかしくなってきた。

 

「見てください、ご主人様!」

「どうした?」

「うさぎさん!」

 

 丸めたおしぼりを手の平に乗せ、なぜかドヤ顔を浮かべていた。

 俺にはどう見ても、ただ丸めたようにしか見えないのだが。

 

「どちらかといえば、猫なんだが?」

「アッハハハッ! 本当ですね!!」

 

 楽し気に爆笑するフレン。

 完全にデキ上がっているなと思いながら、視線をとこさんへと向ける。

 彼女も頬は赤らめているが、飲み方は心得ているのかゆっくりとしたペースで飲んでいる。

 

「とこさん、フレンってお酒弱いんですか?」

「んー? ああ、ごっつ弱いな」

「やっぱり。フレン、もうお酒飲むの止めな」

「いーやーでーすー! まだのみましゅー!」

 

 フレンの手から酒を取り上げようとするが、彼女は手を遠ざけて拒んでくる。大きく身体を動かすものだから浴衣の胸元が乱れており、その大きな乳房が零れ落ちてしまいそうになる。赤らんだ頬も相まって煽情的な雰囲気を感じて、テーブルの下で俺のペニスがむくっと反応してしまう。

 そんな俺の気持ちなど露知らず、フレンは缶に入っていた残りも飲み干してしまう。

 

「ご主人様ー! 次! カルピスのお酒、くださーい!」

「カルピス? って、フレンが飲んでるので最後だよ」

 

 カルピス味は一缶しか買わなかったのか、もうない。

 それを伝えると、フレンは不満ですっと言いたげに頬を膨らませてきた。可愛らしい仕草だが、これ以上お酒を飲ませても面倒なので適当に理由を付けて水でも飲ませようか。

 どうしたものかと考えていると、フレンがポンッと手を打った。

 

「じゃあ良いです! こっちのを飲みます」

 

 そう言うなり、フレンはローテーブルの下に身体を潜り込ませた。

 何をするつもりなのかと思っていると、彼女は胡坐をかいている俺の股間に手を伸ばしてきた。

 

「ちょっ!」

「あっ、ご主人様の大きくなってる。そんなにしたかったなら、言ってくださいよー!」

 

 フレンは悪戯っぽく笑いながら、下着越しに俺のペニスに触れてくる。

 擦るようにゆっくりと撫でまわし、指先で形を確かめるようにしてなぞってくる。布地越しとはいえ柔らかい手に触れられ、否応なく興奮が高まってしまう。半立ち程度だったペニスが徐々に固くなってくるのを感じる。

 流石にこれ以上は不味いと思っていると、隣からとこさんに声を掛けられる。

 

「セツナはん、セツナはん」

「……なんですか?」

「じゃーん、谷間酒!」

 

 とこさんは片手で大きな胸を支えながら、その深い谷に並々と酒を注いでいた。

 柔らかな乳肉という器に流し込まれた日本酒が、彼女が呼吸する度に波紋を作っていた。

 

「と、とこさん」

「はい、飲んで」

 

 ぐいっと、俺の方に胸を突き出してくる。

 豊満な乳房がたぷたぷと揺れる光景は視覚的にもかなり刺激的で、ごくりと生唾を飲む音が自分の耳に響いた。

 

「ほら、はやくー」

「頂きます!」

 

 俺は勢いよく、彼女の胸に顔を突っ込んだ。

 柔らかくも弾力のある感触が顔全体に広がり、甘い匂いが鼻腔を満たしていく。少しばかりお酒が跳ねたが、気にせずに俺は谷間に溜まった日本酒を口に含む。温かく滑らかな肌の感触と、口内に広がる濃厚な甘みと香り。極上の甘露に、俺は夢中になって舌を這わせて舐めとっていく。

 そして気が付けば、完全に勃起してしまっていた。

 

「あっ、ご主人様も準備万端ですね!」

 

 ついにフレンの手がトランクスの社会の窓からペニスを引っ張り出し、直接手で扱いてくる。

 

「うわぁっ、相変わらずご主人様のおちんちん、大きいですよね!」

「んっ! んーっ!」

「あっ♡ こら、喋ったらあかんって」

 

 既に酒は飲み干していたが、とこさんの手が俺の頭を掴んで離してくれない。とこさんの大きな胸で窒息してしまいそうな感覚になりながら、彼女の胸元から漂うフェロモンのような甘く芳しい香りに否応なくペニスの怒張は高まってしまう。見えていないが、血管が浮き出るほどパンパンに膨れ上がっているのが分かる。

 俺は鼻息を荒くさせながらとこさんの乳首にしゃぶりつき、片方の手で彼女のお尻を鷲掴む。

 

「んっ、こーら。悪い子やね」

 

 口では咎めてくるが、嫌がりはしなかった。

 チュウチュウ赤ん坊のように乳首に吸い付き、むにむにと手の平で彼女の張りのあるお尻の感触を楽しむ。そうしつつ、美味しそうに俺のペニスに舌を這わせるフレンへともう片方の手を伸ばし、手探りで彼女の胸元へと手を差し込んでとこさんよりも更に大きくて、それでいて張りのあるおっぱいを揉みしだく。

 

「あんっ、負けませんよ!」

 

 俺がフレンの乳房を弄っていると、彼女はペニスを咥えこんできた。小さな口には大きすぎる俺のモノを一生懸命にしゃぶってきて、時おり歯が当たるが、それもまた気持ちが良い。フレンにフェラチオをさせながら彼女の爆乳を揉みながら、とこさんの巨乳をしゃぶりながら彼女の柔尻を撫でまわす。

 こんな二人の美女を同時に相手できるなんて、俺はなんて幸福なんだろうと噛み締める。

 しかし、この快楽も永遠には続かなかった。

 

「―――っ!!」

「んぶっ!」

 

 限界を迎えた俺は、フレンの口の中に容赦なく射精する。

 今日一日我慢していた一番汁を吐き出すと、彼女は苦し気ながらも受け止めようとする。

 

「おレン、呑み込んだらあかん。我慢し」

「んっ!」

 

 とこさんの指示に、了解したと言わんばかりに首を縦に振る。

 それから射精が終わるとフレンはペニスから口を離し、テーブルの下から這い出てくる。

 俺もとこさんの拘束から解放され、ようやくまともに息ができると大きく深呼吸していると、視界の端でとこさんがフレンを自分の傍へと呼び寄せていた。

 

「しゃんと飲まんと溜めこんどるね。ほな、半分貰うね」

「んんっ!?」

 

 とこさんはフレンの唇を奪い、そのまま舌を絡め始めた。憧れの先輩からの接吻に驚いたフレンは硬直し、その間にとこさんは口の中に溜まっていた精液を吸い上げる。そんな百合百合しいキスをする見目麗しい女性たちが、俺の精液をシェアするという背徳的な光景に、射精したばかりのペニスがあっという間に固さを取り戻してしまった。

 やがて長いディープキスを終え、とこさんはレロッと自分の唇を舐める。

 

「ごちそうさま」

「……あぅ」

 

 衝撃が強すぎたのか、小さく悲鳴を上げて脱力する。

 倒れる前に受け止めれば気を失っているらしく、一先ずフレンを隣室の敷かれている布団に寝かせる。以前だったら苦労したかもしれないが、全体的な膂力も増しているからフレンも軽々と持ち上げることができた。

 

「ふぅ……とこさん、これから――」

「はー、はー……」

 

 どうしますか、と聞こうと振り返れば、彼女は蕩けた表情を浮かべていた。

 帯で辛うじて留まっているが浴衣を大きく開けさせていて、裾もこちらに見せ付けるように捲り上げていた。先ほどお尻を撫でまわした時に気付いていたが、やはり下着も穿いていなかったようで、露わになった秘所からはトロリとした愛液が溢れていた。

 

「セツナはん……しよ?」

「とこさん!」

 

 俺は彼女に抱き着くと、そのまま座敷の上に押し倒し、正常位の体勢で一気に挿入した。

 とこさんの膣内はろくに愛撫もしていないのにぐしょ濡れていて、俺のペニスに絡みつくようにして迎え入れてくれる。幾度となく行為を重ねたことで彼女の膣は俺の形にフィットしていて、まるで最初からその為に造られたかのようにピッタリと隙間なく包み込んでくれる。

 ある種の安心感を覚えながら、俺はゆっくりと腰を動かし始めた。

 パンパンッと腰を打ち付ける度に肌がぶつかり合う音が響き、その振動に合わせて彼女の大きなおっぱいも揺れる。

 

「んっ! あっ♡ あんっ♡」

「下着も穿かずに男の部屋に来るなんて、そんなに犯されたかったんですか!?」

「そぉ♡ わたし、ずっと待っとった! 昨日から、セツナはんに手ぇ出して欲しかった!!」

 

 そう言いながら、両手両足を背中に回してがっちりとホールドしてくる。

 確かに思い返してみれば、旅行が始まってからセックスしたのはリゼさんとフレンのみ。とこさんとはパイズリしただけで、本番は一度もしていなかった。もしかしたら昨日の夜にしようと考えていたのかもしれないが、昨日はカトリーナさんの件があってそういう雰囲気ではなかった。

 だからこそ、普段以上に興奮しているのかもしれない。

 そう考えるだけで俺も益々昂ぶり、腰の動きを激しくしていった。

 

「とこさん、とこさん!」

「あひっ♡ んあっ、ああっ! 好き、大好きぃ!」

 

 パチュパチュンッ、と激しくピストンを繰り返す。

 姿勢も正常位からより深く繋がるため、腰に回されたとこさんの両ひざを両手で掴んで持ち上げ、上から突き刺すような種付けプレスの体位で彼女を責め立てる。一匹のメスに己の証を刻まんが如く、何度も何度も子宮口に亀頭を叩き付ける。

 

「ああぁっ!! すごっ、これすごいのぉっ!」

「俺も、もう出そうだっ!」

「うん、いっぱいちょうだい! わたしの中にっ、セツナはんのせーえきで孕ませてぇっ!」

 

 そんなことを言われて、応えなければ男じゃない。

 もはやテクニックも何もなく、ただ欲望のまま我武者羅に抽挿を繰り返していく。

 そしてついに限界が訪れ、俺はとこさんの中に大量の精を解き放った。

 

「うっ……出るっ!」

「いっ、イクウゥゥッ!!」

 

 ドクドプンッ、と濃厚な精液をとこさんの胎内に注ぐ。

 とこさんも同じように絶頂を迎え、竿をギューギューと締め付けてくる。

 

「はひゅう……出てる、まだ出てるぅ」

「孕め! 受精しろ!!」

 

 ビクビクと身体を震わせ、注がれる精子を受け止めている。俺は最後の一滴でも無駄にすまいと、軽く腰を動かしながらグリグリとペニスを押し付けて流し込む。やがて長い射精を終え、俺はとこさんの上に覆い被さるようになりながら軽く抱きしめる。

 

「はあ、はあ……」

 

 お互い息を整えつつ、しばらく余韻に浸る。

 汗ばんだ肌を重ね合わせれば、胸元では彼女の巨乳がむにゅんと潰れる感触と体温が伝わってくる。それと同時に彼女の汗と、仄かに甘い香りが鼻腔をくすぐる。それだけで射精したばかりのペニスが、むくむくと元気を取り戻してしまう。

 

「とこさん、ごめん」

「なに、ヴぉっ!?」

 

 とこさんに抱き着いたまま、俺は再び腰を動かし始めた。

 スローペースながら、愛液と精液でグチョグチョになった膣内をかき混ぜるように動く。

 

「ちょ、ちょっと待って! まだイったばかりやから――」

「ごめん、止まれない」

 

 一度火が付いた性欲は、そう簡単に収まらない。

 寝転がったとこさんの身体を抱え、体勢を対面座位へと変える。

 

「ふああっ! 深いぃ♡」

 

 自重でさらに奥まで挿入され、とこさんは甲高い声で喘ぐ。

 絶頂した後でも無意識に快楽を求めるのか、俺が何もしなくとも勝手に腰振りを始めた。前後左右に淫らな腰使いでグラインドさせながら、感じる部分に俺のペニスを当ててくる。まるでこちらを使ってオナニーをしているかのような光景に、俺はまた興奮が高まってきた。

 ふと視線を下げれば、眼下ではとこさんの大きなおっぱいがたゆんたゆんと揺れていた。まるで誘っているような動きに、俺は桜色の乳首にしゃぶりつき、舌でコロコロと転がす。俺が夢中になって吸い付けば膣内の締め付けが強まり、ビクンッと一際大きく身体を震わせた。

 

「――っ、~~~!」

 

 どうやら今ので軽く絶頂したようだ。

 俺は少し趣向を変えるべくとこさんの両膝裏に腕を回し、軽く勢いをつけてから立ち上がった。間違ってもとこさんを落とさないように確りと抱え、腰を前へ突き出すように下半身を前後に動かす。駅弁スタイルは少し前なら筋力的に辛かったかもしれないが、今では余裕で保持することが出来る。

 

「あっ♡ あっ♡ これすごいっ♡」

 

 とこさんは落ちないよう身体を密着させ、俺の首に手を回して抱き着く。

 このまま普通にセックスしても構わないが、これでは単に体勢を変えただけなので移動を始める。ゆっくりと足を進めながら、時おり立ち止まっては腰を打ち付ける。歩く度に振動が伝わってとこさんは小さく声を漏らし、それをBGMにしてようやく目的地にたどり着く。

 そこは隣室、フレンが眠っている布団が敷かれている場所だ。

 

「とこさん、隣を見て?」

「え? お、おレン!」

 

 自分がいま何処にいるのか理解し、とこさんは顔を真っ赤にさせる。

 俺はとこさんをフレンの隣に下ろすと、後ろを向かせて四つん這いの姿勢を取らせる。

 

「セツナはん……まさか」

「うん、ここでしようか」

「あ、あかん!」

「大丈夫。とこさんが静かにしてればバレないから」

 

 そう言って、俺は背後から一気に挿入した。

 やはり後輩が目の前に居る状況だからか、とこさんの膣はいつも以上に締まりが良くなっている気がする。逃げられないようとこさんの腰を確りとホールドしながら、パンパンッと激しくピストンを繰り返す。

 

「んひっ! そ、そないに激しくしたらアカン!」

「そんなに声出したら、フレンが起きるよ」

「んっ! くぅ、むっ! あっ♡」

 

 声を押し殺そうとするが、それでも堪え切れず小さく喘ぎ声をあげてしまう。それでも四つん這いの姿勢を崩して前のめりになり、両手で口を塞いで漏れ出ないように頑張る姿が愛おしくて、つい意地悪をしたくなってしまう。

 とこさんの背中に抱き着きついて上体を起こさせると、手で口を押えられないよう両腕を拘束しながら激しくピストン運動をする。流石に俺も限界が近いので、とこさんの喘ぎ声を引き出すようにラストスパートをかける。

 

「あふ、あ♡ ああぁっ!」

「だ、出しますよ! とこさんの一番奥で!!」

「出して、いっぱい中にだしてっ!」

 

 ドクンと脈打ち、溜まりに溜まった欲望が解き放たれる。

 熱々のマグマのような精液を流し込まれ、絶頂を迎えたとこさんは身体を震わせる。

 

「んんっ、出てる……赤ちゃんの素、注がれてるぅ♡」

「はー、はー……」

 

 最後の一滴までも注ぎ込み、ようやく射精を終える。

 とこさんの拘束を解けば、ドサッと音を立てて彼女は布団の上に倒れ伏す。

 

「あかん……少し、眠るわ」

 

 そう言って、とこさんはそのまま眠ってしまった。

 普段はこれぐらいで体力が尽きることはないが、今日はアルコールも入っているからか疲れてしまったらしい。俺の方はまだ収まっていないが、とりあえず今はとこさんに羽織を掛けてから床の間に飲み物を取りに行った。

 

 

 

 

 お冷を一杯飲み干してから戻れば、先ほどと少し様子が変わっていた。

 とこさんは変わらずうつ伏せで眠りこけていたが、仰向けで寝ていた筈のフレンが今は胎児のように身体を丸めながら横向きになっていた。それだけなら寝返りを打ったと解釈できるが、彼女の身体が僅かに動いているのが分かった。耳を澄ませればとこさんの寝息とは別の、かすかに荒い呼吸音が聞こえてくる。

 

「ン…ア……クッ」

 

 俺は物音を立てないよう、フレンの背後に回り込んで腰を落とす。気付かれないように覗き込めば、彼女の手は自身の股へと伸ばされており、ショーツの上からなるべく音を立てないように擦っていた。おそらく俺たちがセックスしている最中に目が覚めてしまい、ジッと我慢するも堪え切れず自慰行為に及んでいるようだ。

 最後まで見届けようかとも考えたが、俺の方が我慢できそうになかった。

 開けた浴衣の胸元から零れるおっぱいに狙いを定め、後ろから勢いよく鷲掴みにする。

 

「ひゃあんっ!?」

 

 突然のことに驚いたフレンは、ビクンッと身体を震わせて悲鳴を上げた。

 大きく目を見開いてこちらを振り向いたフレンが口を開こうとしたが、声を発する前にもう片方の手で押さえる。

 

「静かに……とこさんが起きるから」

 

 そう言いながら視線をやれば、一人分のスペースを開けてとこさんが眠っている。

 フレンも起こしたら不味いと理解できたのか首を縦に振り、彼女も状況を理解できたので続きを始める。

 おっぱいの感触をムニュムニュと揉みながら楽しみつつ、フレンの口を押えていた手で今度は股間へと伸ばせば肌に張り付くほど濡れたショーツが指先に触れる。もはや下着の意味を成していないショーツを横にずらし、直接割れ目をなぞればくちゅっと水っぽい音が鳴る。

 

「こんなに濡らして……そんなに興奮したのか」

「はい。わ、私はご主人様たちのエッチを見て、ずっとオナニーしてました」

「悪い子だ」

 

 指を深く差し込み、フレンの弱いところを重点的に責め立てる。まるでコントローラーのボタンを連打するかの如く、Gスポットを激しく刺激してやればフレンは声を抑えることも忘れて喘ぎだす。

 

「んひっ! はげしぃっ♡」

「声が大きいぞ」

「んぐっ!」

 

 両手で口元を押さえて漏れ出ないようにする。

 しかし俺は決して手を止めることなく、そのまま手マンだけでフレンを絶頂へと導いてやる。

 

「んぐっ! むぶっ!」

「ほら、イケ! イっちゃえ!」

「んんっ! んんん~~~ッッ♡♡♡」

 

 一際激しく膣内が収縮を繰り返し、大量の潮を吹きだしながらフレンは果てた。

 もし声が自由に発せられる状態だったのなら、下品な喘ぎ声を恥ずかしげもなく大声を上げていたことだろう。

 

「はひ……あへ…」

 

 酷いアヘ顔を晒ながら、犬のように舌を出して絶頂の余韻に浸っていた。

 気持ち良くなっているところ悪いが、お互いに準備万端のようなので本番に入らせてもらう。

 フレンの隣に寝転がり、脱力している彼女の身体を後ろから抱き着くように支える。それから片足を持ち上げて落ちないようにしてから、ゆっくりと腰を進めていく。下から上に向かうように挿入すれば、ガチガチのペニスはすんなりとトロトロに蕩け切った秘所に入っていく。

 

「い、いま敏感にぃぃっ!!」

「うぉっ、凄いな……」

 

 入れた瞬間、あまりの締め付けに思わず射精してしまいそうになる。

 危うく暴発するところだったが何とか耐え、ゆっくりと抽挿を開始する。体勢的に抜けやすいのであまり激しくせず、しかし確実に快楽を与えるように動かす。ギリギリまで引き抜いてから、根元まで押し込んで子宮口をグイッと擦り付ける。

 

「どうだ、フレン。こういうスローセックスは?」

「んっ、あ♡ い、いつもより……よ、弱いところに当たります♡」

「この体勢なら、こういうことも出来るんだぞ」

 

 そう言いながらフレンのおっぱいを片手で揉み、もう片方の手で陰核を刺激する。

 激しくないが同時に三か所を責められ、フレンの口から甘い吐息が漏れ出る。

 

「ふー、んっ! あっ、あぁっ、んぅっ♡」

「フレン、こっち向いて」

「はい……んぅ、ちゅぷ」

 

 キスをしながらピストンを続ける。

 おっぱいを揉んでいた手を止め、弄って欲しそうに自己主張する乳首を思いっきり摘み上げる。

 

「ンゥウウッ!?」

 

 キュウッと膣が締まり、搾り取るような動きで肉棒を包み込む。

 その快感を味わいながらスローセックスを楽しんでいたが、そろそろフィニッシュを迎えたい。

 片足上げ後側位の体勢を止めて一度ペニスを引き抜くと、フレンの身体をうつ伏せに寝かせる。そして覆い被さるように上に跨り、彼女のお尻を掴んで狙いを定めてから一気に貫く。そのまま息を吐く暇も与えず、最初から激しくピストン運動をする。

 

「あっ、あんっ……ん、くぅッ!!」

「いいぞ、フレン! そんなに俺の子種が欲しいか!」

「はい、くださいっ! ご主人様の精液、いっぱい注いでくださいっ!! 私の中に出して孕ませてくださいっ!!」

 

 自然と鼻息が荒くなる。

 もはや近くで恋人が眠っていることなど完全に頭から消え去り、目の前の女を犯すことしか考えられない。

 

「精子が上って来たぞ」

 

 そろそろ限界も近い。

 腹に力を入れて射精の準備を整えている時だった。

 

「うぉっ!?」

 

 いきなり尻に違和感が走った。

 ぎょっとして振り返れば、いつの間に目を覚ましたのかとこさんが俺の後ろに回り込んでいた。いや、それよりも違和感の正体を確かめようと視線を下に向ければ、彼女の白魚のように綺麗な指が俺の肛門に差し込まれていた。

 

「ほら、腰が止まってんで。わたしもてとてあげるから」

「うぐっ!」

 

 前立腺が刺激され、一瞬意識が飛びそうになった。

 とこさんと交際するようになってから何があっても良いように清潔な状態を保っているが、流石に後ろの穴は未経験なので強烈な異物感に襲われる。この苦しみにも似た刺激から解放されるべく、俺は必死になって腰を振る。

 

「えいっ」

「おっ、うおおおっっ!!」

「ああぁ~~~っ♡♡」

 

 とこさんが指を押し込んだタイミングで、俺は一番奥に突き入れて射精した。決壊したダムの放水のように大量の精液が流れ出るのを感じ、それを受け止めたフレンも盛大に絶頂する。腰が抜けるような感覚に襲われながら呼吸を整え、ズルッと音を立てながらペニスを引き抜いた。とこさんも肛門から指を抜いてくれる。

 

「はひぃ……」

「……ふぅ」

 

 尻餅をつき、賢者モードに入る。

 ぼんやりとフレンの秘所を見やれば、肉棒によって押し広げられた孔はまだ閉じ切っておらず、俺の出した精液が逆流して溢れ出していた。そんな淫靡な光景を眺めていると、後ろから伸びてきた手が力なく首を垂れるペニスを掴む。

 

「今度はわたしの番やね」

「えっ、いや、ちょっと休ませて……」

「はーい、これ飲んでね」

 

 とこさんは空いている手で、何かを俺の口に突っ込んできた。

 突然のことに反応することも出来ず液体が流し込まれ、吐き出すことも出来ず嚥下してしまう。

 

「ゲホッ、エホッ……と、とこさん。これ」

 

 咽ながら、覚えのある味に恋人を見る。

 そんな彼女はあっけらかんとした様子で、まるでそれが当然のことであるかのように言い放つ。

 

「はかちぇ印の精力剤や」

 

 ああ、やっぱりか。

 俺が確信するのと同時に、身体の奥底からマグマのように精力が湧き上がってくるのを感じた。

 

「じゃあ頂きまーす」

 

 あーん、っととこさんはペニスを咥えてきた。

 フレンの愛液や潮でベチャベチャになった肉棒を、舌で掃除するように舐めてくる。更には尿道に残っている精液を吸い出そうとバキュームフェラまでしてくれて、脱力していたペニスは瞬く間に復活し、それを見てとこさんは満足そうに笑みを浮かべる。

 

「アハァー↑ これなら直ぐに二回戦出来そうやな」

 

 ペニスから手と口を離すと、とこさんは立ち上がって浴衣を脱ぎ捨てた。そしてこちらにマンコを惜しげもなく晒しながら、フリフリとこちらを誘うように尾っぽが揺れていて疑似餌のようにお尻を振ってくる。

 それから見事に釣られた俺は、とこさんとのセックスに励んだ。

 途中、フレンも目が覚めたので彼女も交えて三人でセックスを楽しんだ。




今回の内容は如何だったでしょうか?
中途半端に感じたかと思いますが、私もそう思います。本当はもう少し続けたかったのですが、これ以上伸ばそうとすると投稿がまた一週間も遅れそうなので止めました。頭の中ではこんな風に進展させようと考えてはいても、それを言葉として表すのはやはり難しいですね。
時間があるときに加筆修正します。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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K-15:小盛

どうも、私です。
毎度のことですが、アンケートへの回答ありがとうございます。
私としては成長するものだと認識していましたが、そうですよね、人によっては変わらない人もいますよね。いえ、決して変な意味がある訳じゃないですよ。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


「~♪」

 

 夜の十時を過ぎた頃。

 俺は一人、浴衣姿に肩にタオルを掛けながら温泉へと足を運んでいた。折角の温泉が売りの一つである旅館に来たのに入らないのは勿体ないというのと、後は単純に身体がベチャベチャになって気持ち悪かったからだ。もはや自分の身体についているのが唾液なのか愛液なのか、混ざりすぎてよく分からない。

 それにしても、とこさんとフレンという異なるタイプの美女と代わる代わるセックス出来たのは最高だった。二人ともスタイル抜群という意味では共通しているが、やはり十人十色というようのが交わって見ればよく分かるものだった。

 とこさんのEカップある巨乳と肉付きの良いお尻。身体は何処を触っても柔らかいが、決して太っているという意味ではない。まるで柔らかい水風船といった感じで、いつまでも触っていたくなるような感触だ。

 フレンはGカップある爆乳とムッチリとしたお尻。やはり現役騎士だけあって身体には無駄な贅沢が一切ない、鍛えられた肉体美があった。とはいっても無骨という訳ではなく、触ると程よい弾力で返してくれる。

 

「っと、いかんいかん……」

 

 思わず勃起してしまい、こんな場面を旅館の人に見られたら大変だ。

 俺は急ぎ足で浴場へと向かい、その入り口の前で立ち止まる。普通の宿なら男女で分かれている暖簾を潜れば脱衣所があるが、ここのような要人が訪れる旅館は少し形式が違う。チェックイン時に渡されるカードキーを特定の場所で使用すれば、魔法により専用の風呂場へと繋がるようになっている。分かり易く言えば、それぞれの家族風呂が用意されているのだ。

 中に入れば畳3枚分ほどの広さの脱衣所となっており、室内には衣類を入れて置く棚と洗面台がある。後はトイレの部屋があるぐらいのシンプルな作りとなっていて、流石に服を脱ぐだけの場所が豪勢な訳がないかと安心した。

 さっさと裸になり、フェイスタオルだけ手に取って浴室へと繋がる扉を開け放つ。

 

「……え?」

「へ……?」

 

 視界の先、そこには見慣れた女性の姿があった。

 丁度身体を洗い流し、これから浴槽に入ろうとした所だったらしく、その長い髪が湯船につかないように纏められている。そのまま視線を下げれば手に収まるサイズの白くて綺麗なお椀型の乳房と、可愛らしいピンク色をした乳首も丸見えだ。そして手入れの行き届いた陰毛は美しく、完成された美がそこにはあった。

 お互いに裸のまま唖然としていたが、状況を理解したのか、リゼさんは顔が真っ赤にして悲鳴を上げた。

 

「きゃあああっ!」

「す、すみません!」

 

 リゼさんはその場でしゃがみ込み、身体を丸め込むようにして隠す。

 俺も急いで後ろを向いて謝罪するが、これは決して俺が意図した訳ではないと釈明はしなければならない。

 

「えっとですね、フロントで貰ったカードキーを使ったら、ここに繋がりましてですね!?」

「わ、分かってます! こっちでお願いしたことなので!」

 

 リゼさんの思わぬ発言に、俺は耳を疑った。

 どういうことかと思いながら恐る恐る振り返れば、彼女は顔を真っ赤にしながら涙目になっていた。

 

「その、私から同じ空間に繋がるよう、旅館にお願いしたんです。二人っきりになれたらいいなって思って……」

「………」

 

 リゼさんの発言に、俺は何も言えなかった。

 いや、魅惑的な女性たちと一緒に旅館に泊まるのだから、こういうラッキースケベを期待しなかった訳じゃない。それが恋人のとこさんとではなく、まさかリゼさんとだとは思わなかったが。さて、このまま黙っている訳にもいかない。

 

「……いけない子だね、リゼさんは」

「っ!」

 

 そう言って彼女の方へと歩み寄ってみれば、リゼさんの身体がビクッと震える。

 リゼさんの腕を掴むとぐいっと引っ張って立たせれば、それでも必死に身体を隠そうとしていた。当然そんなことを許すはずもなく、もう片方の腕も掴んで万歳の姿勢を取らせる。隠す術を失った胸元が再び露わとなり、ツンと上向きになっている乳首が美味しそうだ。

 

「そっかぁ……。でも折角だし、一緒に温泉に入ろうよ。ほら、身体冷えちゃうしさ」

「あっ!」

 

 そのままリゼさんの手を引いて、湯船へと一緒に入る。

 思ったより体温が下がっていたのか足先を浸けると少し熱く感じながら、ゆっくりと湯船の中に沈める。

 

「っ……ふぅ」

 

 思わず脱力してしまう。

 やはり風呂は命の洗濯というだけあって、一日の疲れが取れて行くように感じられる。気を抜けばこのまま眠り込んでしまうなと思いながら、チラッと隣にいるリゼさんを見やれば小さく息を漏らして気持ち良さそうな表情をしていた。

 湯船に髪の毛が入らないように結い上げているため、普段は見えない首筋や鎖骨が見えて何とも色っぽい。色白な肌もほんのり桜色に染まっており、頬を紅潮させている姿に思わず興奮してしまった。

 今すぐにでも押し倒してハメたい気持ちを抑えつつ、油断しているリゼさんを抱き寄せる。

 

「ひゃっ!? ま、待って下さい!」

「大丈夫だって、誰も見てないんだから……」

「で、ですけど……んっ!」

 

 口答えするリゼさんをキスで黙らせる。

 彼女の唇は思った以上に柔らかく、それでいてプルンッと弾力がある。最初は唇が触れ合う程度のものだが、舌先で突けば素直に口を開けてくれる。舌を差し込めばおずおずと絡めてきて、ぎこちない動きも徐々に慣れてきたのか自ら求めてくれる。

 

「んむっ、ちゅぷっ、れろぉ……はぁ♡」

 

 自然とお互いに唇を離せば、銀色の糸が二人の間を繋いでいる。

 リゼさんはトロンとした瞳でこちらを見詰めてきて、そこには情欲の炎が宿っているのが見て取れた。

 

「立実さん……」

「……しようか」

 

 返事の代わりに、今度は彼女から唇を重ねてくる。

 触れ合う程度のバードキスを味わいながら、リゼさんの手に収まるサイズのおっぱいに手を伸ばす。フレンやとこさんに比べたら小ぶりかもしれないが、それでも十分な大きさのサイズと言えるだろう。そんな可愛らしいおっぱいに触れれば指先が沈み込み、柔らかい感触が伝わってくる。

 

「あんっ、んん、あぁ……」

 

 パンを捏ねるように揉み解していくと、次第に先端にある乳首が固くなってくる。例え口にしなくとも触って欲しいと自己主張してくる乳首を摘まんでクリクリと弄ってやれば、リゼさんの口から甘い吐息が漏れ始めた。

 

「乳首、気持ちいい?」

「は、はいぃ。気持ち、いいです…」

「ならもっと可愛がってあげないと」

 

 リゼさんの唇から、今度は乳首へと移る。

 乳輪ごとパクンと咥えて、ジュルジュルと音を立てながら吸い付く。思わず後ろに下がろうとするリゼさんの腰に腕を回して逃げられないようにしながら、もう片方の乳首も指で挟んで扱いて刺激する。俺が与える二つの異なる快感に、リゼさんは声を上げないよう堪えている。しかしリゼさんの限界が近いことは雰囲気から察せられ、俺はトドメとばかりに乳首を甘嚙みするのと同時に思いっきり手前に引っ張り上げる。

 

「~~~ッ!!」

 

 ガクンガクンと身体を痙攣させ、リゼさんは絶頂を迎えた。

 脱力するリゼさんを支えながら浴槽の縁へと移動し、

湯船の縁へと座らせ、彼女の両足を掴んで勢いよく左右へと開く。幾度となくセックスしているとは云え、秘密の花園は確りと閉じられていた。しかし、それが見せかけだけで、本当はペニスを易々と呑み込むことを俺は知っている。

 とはいえ、流石にいきなり突き立てたりはせず、中を確認すべく手を伸ばす。ゆっくりと割れ目をなぞるように動かせば、指先にぬるっとした感覚が伝わる。軽く中指を中へと侵入させれば、お湯とはまた違った熱い愛液が指に絡み、蕩け切った肉壁が歓迎してくれる。

 

「凄いな……リゼさん、分かる? ここ、グチャグチャだよ」

「い、言わないでください」

「この後はどうする? 言ってもらわないと分からないよ」

 

 そう言いながら、焦らすように指を動かす。

 リゼさんも限界なのか、顔を赤らめながらうつむき加減に答える。

 

「……挿れて、下さい」

「何を、どこに?」

「私の中に、あなたのそれを」

「ちゃんと、分かるように」

「……セツナさんの、おちんちん……私の中に入れてください!」

「うん、良く出来ました」

 

 彼女の秘所にペニスを宛がい、一気に奥まで挿入させる。既に準備万端だったリゼさんの中は簡単に受け入れてくれ、根元までズブブッと飲み込んでくれた。膣内もキュウッときつく締め付けてきており、あまりの気持ち良さに危うく腰が抜けそうになる。精力剤を飲んでいるとは云え十回以上射精していたのもあり、何とか挿入即昇天とならずにすんだ。

 大きく深呼吸を一つしてから、ゆっくりとピストンを開始する。

 最初は優しく労わるようなストロークだったが、徐々にペースを上げて激しくしていく。

 

「あっ! あぁっ!! 激しいぃっ!」

 

 パンパンッと肌を打ち付ける音が、浴室内に反響して四方から響いてくる。

 リゼさんも他に聞かれる心配がないからか遠慮なく大きな声で喘ぎ、それもまた心地よいBGMとなって俺の興奮を高めてくれる。俺は更に深く繋がるべく、彼女の臀部へと手を回して持ち上げる。駅弁体位となったことで、先ほどより奥へと突き刺さり、ぐいっと亀頭が子宮口を押し上げる感覚が伝わる。

 

「んんっ~~~!」

 

 強烈な快楽にリゼさんは大きく背筋を仰け反らせ、また絶頂したのが分かった。そんな彼女を落とさないよう注意しながら、俺は射精するべくペニスを子宮へ叩き付けるように何度も抽迭を繰り返す。

 

「はっ、あっ、あ゛っ♡ あぁ…♡ 」

「出すぞ……はぁ、はぁ……どこに欲しい!?」

「な、中に! 中に出してください♡」

「おら、イケっ!!」

「あ゛あ゛あ゛~~~っ!!」

 

 ビューッ、と吐き出した大量のザーメンでリゼさんのお腹を満たしていく。リゼさんも俺に抱き着きながら身体を震わせているが、膣内は最後の一滴でも搾り取ろうとうねる。俺も一滴も無駄にしないようグリグリと押し付け、孕め孕めと強く念じながら子種を送り込む。

 暫くして長い射精が終わり、一息ついてからペニスを引き抜けば、溢れた精液が零れてくる。

 そう言えばノリで中出ししたが、大丈夫だろうかと今更ながらに心配しつつリゼんさんの様子を確認する。

 

「リゼさん、大丈夫?」

 

 しかし反応はなく、どうやら気を失っているようだ。

 耳を欹てれば、寝息のようなものが聞こえてきたので一先ず心配はなさそうなので安心する。

 取り合えず彼女の身体を風呂場にあるリクライニングチェアに預け、身体が冷えないようタオルで身体に付いた水分を拭っておく。一先ずはこれで良いだろうが、さてこれからどうすべきか。

 本音を言えば、まだヤり足りない。我ながら呆れた性欲だとは思うが、一度焚き付けられた情欲はそう簡単に消えてはくれないのだ。しかし幾ら自分に好意を向けてくれる相手だからとて、気を失っているのに自分の性欲を処理する為だけに襲うのでは、それは強姦魔と大して変わらないだろう。

 そんな風に悶々としていると、不意に脱衣所へと通じる引き戸が開かれた。

 

「ひゅーっ、広い風呂だ! 最高だぜ!」

 

 意気揚々と浴室に入って来たのは、カトリーナさんだった。

 身体にタオルを巻きつけることもなく、肩にかけてるだけの何とも男らしい立ち姿である。

 

「もう、リゼったら酷いなぁ。満腹で苦しんでるウチを置いて、一人で先にお風呂に行っちゃうなんて……ん?」

 

 そこでようやく、彼女は俺の存在に気が付いた。

 さっきも同じようなことがあったなと思うのに対し、カトリーナさんはあまりの光景に固まってしまっている。おそらくはリゼさんしか居ないと思っていた空間で、俺に全裸を見られたのが衝撃だったようだ。

 まぁ、経緯はどうであれ、餌が自らの意思で檻の中に入って来たのだから、逃がす手はない。

 

「ねぇ、カトリーナさん」

 

 俺はゆっくりと彼女に近付く。

 

 

 

「ん、……」

 

 何やら変な物音に、リゼは目を覚ました。

 少し気だるさを覚えながら身体を起こせば、自分が裸であることに気が付く。一瞬どうしてと考えたが、直ぐに自分が今いるのが旅館の風呂であることを思い出す。よく確認すれば、寝転がっているのも浴室によくあるリクライニングチェアだ。

 そう言えば、自分はここでセツナと一緒にお風呂に入り、そして――。

 

「っ!」

 

 性交していたのを思い出し、赤面する。

 頭を振って脳裏に浮かんだ情景を追い出したところで、近くにセツナの姿がないことに気が付いた。彼の性格なら自分を置いてきぼりにすることはないだろうと思いながら、改めて浴室内へと視線を巡らせる。すると、直ぐ近くの洗い場でセツナが椅子に座っているのが見えた。

 こちらに背を向けているので何をしているのか分からないが、おそらく身体を洗っているのだろう。そう判断したリゼは声を掛けようと思ったが、どうせなら趣向を変えて驚かせようと考え、横になっていたチェアから降りる。

 ソロリソロリと音を立てないように近付いていくが、セツナが気付く気配はない。

 

(さっきから、変な水音がするな……)

 

 ジュル、ジュボッ、といった音が聞こえてくる。

 リゼは大のホラー嫌いであり、その手のジャンルの中にはこうした旅館が舞台のホラーゲームも実在する。流石に廃業もしていなければ、そういう黒い噂もない旅館で心霊現象に出会うはずがないと思いながらも、少し早歩きで彼に近づいて行く。

 一歩ずつ進むごとに、音が少しずつ大きくなっていく。まるで何かを舐めるような湿った音が響いていることに気が付き、まさかとリゼは顔を青くさせる。本当にこの世ならぬモノがいるのではないかと恐怖心に駆られながら、何とかセツナの直ぐ後ろへとたどり着くことができた。

 ここまで来ると気が付くが、先ほどからする物音は彼の前側からしている気がする。

 

(何の音なんだろう……?)

 

 怖いと思いながらも、好奇心からリゼは彼の後ろからそっと覗き込んだ。

 彼の前方、正しくは股間のところに顔を埋めた女性がいた。

 

「……ッ!?」

 

 リゼはそれが誰か、すぐに気が付いた。

 女性は顔にタオルを巻いて目隠ししていたが、燃えるように真っ赤な髪の毛が目立つ。赤毛は街中を探せば一人や二人くらいは見つかるだろうが、少なくとも今この場においては該当するのは一人しかいない。

 それはリゼの幼馴染にして親友である女性、アンジュ・カトリーナに他ならなかった。

 確かにアンジュはムッツリスケベであり、リゼから見ても思わず引いてしまうような妄想をしていることもあるが、恥ずかしがり屋なところがある彼女が進んで男性器をしゃぶるようなことが信じられなかった。しかし、現実にアンジュは一心不乱にセツナのペニスを口に含んでおり、時折聞こえるチュパ、ピチャという唾液と粘膜が擦れる音が耳を打つ。

 あまりの出来事にリゼは絶句し、その場に立ち尽くしてしまう。

 

「そうそう、ちゃんと裏筋も舌で綺麗にするんだよ」

「ふぁい♡」

「カリ首もしっかり掃除して」

 

 二人ともリゼに気付いていないのか、セツナは実に楽しげにアンジュの奉仕を受けていた。

 やがて限界を迎えたセツナがアンジュの頭を掴んで抑え込み、彼女の喉奥まで突っ込んだところで射精した。アンジュは苦しそうな声を漏らしていたが、頭を固定されているせいで逃れられず、ゆっくりと吐き出された精液を飲み干した。尿道に残ったものも丁寧に吸い出すと、ようやく解放された。

 

「ケホッ、エホッ……ゲーッ、まっず」

「よしよし、良くできました」

 

 咳き込む彼女の頭を撫でるセツナ。

 そこでセツナはリゼの方に振り返ったが、口元に人差し指を当てて静かにするようにジェスチャーをする。

 

「じゃあ次は自分でお尻を広げてごらん?」

「ほ、本当にするんですか?」

「大丈夫だよ。カトリーナさんだってしたいでしょ」

 

 セツナの言葉に躊躇いを見せるも、結局は従うことにしたようだ。

 もしリゼに見られている事実に気付いていれば拒否したかもしれないが、それを知らないアンジュは恐る恐るといった様子で膝立ちで背中を向け、両手を自分のお尻へと伸ばした。そのまま左右に広げて秘所を露わにすれば、そこは既に濡れそぼっていてヒクついている。

 羞恥に震えているアンジュとは対照的に、セツナは満足げに笑みを浮かべていた。

 

「こっちも準備万端だ……じゃあ、挿入るよ」

「は、はい」

 

 アンジュの背後に立ち、腰に手を添えてから自身の剛直を入れた。ゆっくりと時間をかけて根元まで入れるとセツナは大きく息を吐き、一方のアンジュはと言えば、リゼよりも経験が少ないからか肉棒が膣を押し広げられる感覚に身体を震わせていた。側面から見ると分かるが、内側から押し上げられてお腹がボコッとなっている。

 セツナは腰を動かし始めたが、激しくせず緩やかにピストンする。限界まで引き抜いてから、また同じぐらいの速度で最奥まで差し込んでいく。決してペースは上げず、まるでペニスの形を覚えさせるかのようにじっくりと行う。動きはゆっくりなのでじれったく思うかもしれないが、アンジュにはそれでも十分すぎた。

 

「んひぃぃっ! う、動かないでぇぇっ!!」

「そんなこと言って、カトリーナさんの中、気持ちいいってギューギューって締め付けてくるよ」

 

 セツナが動くたびに、アンジュの口から下品な喘ぎ声が出る。

 まるで豚のようだと言われても仕方ないような声だったが、その声を聞いているだけでリゼは自分の下腹部が熱くなっていることに気が付いた。無意識のうちに内またになり、太腿をすり合わせている。

 リゼが気恥ずかしくなっていると、セツナは彼女のことを手招きする。

 

「?」

 

 呼ばれるまま歩み寄ると、セツナは空いている手をリゼの腰に回した。そしてペニスでアンジュのことを責め立てたまま、グイッとリゼのことを引き寄せて唇を奪う。突然のことに驚くリゼだったが、直ぐに舌を伸ばして嬉しそうに絡めてくる。ついでとばかりに腰に回した手を下ろし、薄くも張りのあるお尻も同時に揉みしだく。

 下半身ではアンジュとセックスをし、上半身ではリゼとディープキスをする。

 二人の女性を同時に犯しているという状況に興奮しているのか、セツナの動きは徐々に早くなり、それに耐えきれなかったアンジュは絶頂を迎えた。

 

「お゛っ、ん゛……イグっ、イグッ♡」

「ぐっ」

 

 ビクンッと大きく身体を震わせ、膣内が激しく痙攣する。

 セツナは射精こそしなかったが、ペニスを締め付けられて呻き声を漏らした。

 暫くしてセツナはリゼから離れると、脱力した状態のアンジュの両ひざに手を回してグイッと持ち上げる。まるで未だトイレが上手くできない子供に用を足させるような体勢にされ、アンジュは羞恥心に顔を赤く染めた。

 

「えっ、ちょっ!?」

「まだ俺イケてないから」

 

 背面駅弁の体制で、まだいきり立つペニスをアンジュの秘所に突き刺す。自重によって先ほどより深く入り込んだことで子宮口に亀頭がめり込み、アンジュは獣のような声で鳴いた。まるでオナホを使って自慰するかのように、アンジュの身体を上下に動かして激しく出し入れを繰り返す。

 そんな親友が目の前で道具のように犯されている光景に、リゼは目を奪われていた。そしてセツナが指示した訳でもないのに、片手で自分の乳房を揉みしだき、もう片方の手で自分の秘所を慰め始める。アンジュを犯している姿に、いつの間にか自分を重ねてしまっていたのだ。

 それに気付いたセツナは一度動きを止め、アンジュの耳元で囁く。

 

「カトリーナさん、目隠しを外してみて」

「はぁ、はぁ……へ?」

 

 言われるがまま、アンジュは顔に巻かれたタオルを外した。

 浴室の明るさに暫し目を瞬かせていたが、やがて慣れてきたのか視界がクリアになる。すると目の前には、恍惚な表情を浮かべながら自慰をするリゼの姿が現れた。

 

「えっ……り、リゼ?」

「んっ、あっ……あ、アンジュ」

 

 茫然とするアンジュに対し、リゼは手を止めることなく見つめ返す。

 やがて親友に見られている事実を脳が理解すると、膣内が先ほどとは比べ物にならないぐらい強く締め付けてくる。それを確認してからセツナは再び動きを再開させる。

 

「ふんっ、ふんっ!」

「お゛っ、お゛ぉっ! ま、待って……り、リゼが、見てるっ!!」

「そんなこと言って、締め付けが強くなってるぞ。親友に見られて興奮したんだろう!」

「ち、違っ……あ゛っ、んっ、おっ、おっ!」

 

 セツナの言葉を否定しようとするも、すぐに快感に押し流されて言葉が出なくなる。

 そこから三人はただひたすらに快楽を求め、チューニングしたかのようにアンジュとリゼの喘ぎ声が重なる。そして遂にセツナが限界を迎え射精した瞬間、二人は同時に絶頂を迎えた。セツナはアンジュの中へと精液を流し込み、アンジュはリゼの顔面へと放尿し、リゼは足元に向かって潮を

吹いて床に大きな水溜りを作った。

 

「ふぅ……よっと」

 

 セツナがペニスを引き抜けば、アンジュの秘所から溢れた精液が零れ落ちる。

 アンジュはと言えば刺激が強すぎたのか、アヘ顔を晒ながら意識を失っていた。このまま手を離せば床に倒れてしまうので、セツナはアンジュの身体を床に横たえさせ、それからリゼの方へと向き直った。

 

「リゼさん……これ、綺麗にしてもらえる?」

 

 セツナはリゼの顔へとペニスを突き出す。力なく脱力している肉棒は、吐き出した精液とアンジュの愛液により酷く汚れていたが、リゼはそれを何の躊躇いもなく口を使って掃除し始めた。ペロペロと舌で舐めて、時には喉の奥まで使って飲み込んでいく。時折セツナを見上げて視線を合わせれば、「よくできたね」と言わんばかりに頭を撫でられる。それが嬉しくて、より激しくペニスをしゃぶる。

 

「ぐっ! こんなの、どこで覚えたんだ?」

「じゅぷっ、ちゅぱ……い、家でバナナを使ってれ、練習しました」

 

 恥ずかし気にそう告白するリゼ。

 自分を喜ばせるために練習したのか、初めてのフェラのはずなのにかなり上手かった。セツナも気を抜けば射精しそうになるのを必死に耐えながらリゼのテクを楽しみ、ある程度の所で彼女の頭を押さえて動きを止めさせた。

 

「もう綺麗になったから、ここまででいいよ」

「んぷっ……ふぁい」

「おかげで元気になったし、今度は一緒に持ちよくなろうか」

 

 セツナは近くの風呂椅子に腰かけ、ポンポンッと自分の太ももを叩いた。

 リゼは一瞬だけ戸惑う素振りを見せたが、直ぐにセツナの膝の上に跨り、位置を調整してゆっくりとペニスを膣内へと迎え入れた。少し前にしたばかりだというのに、リゼの身体は膣を満たす巨根の感覚に喜び震えていた。

 

「んっ、あっ……♡」

「ゆっくりと、自分のペースで動いてみて」

 

 何度か深呼吸してから、リゼは腰を動かし始める。

 しかし、その動きは拙く緩慢なものであり、何とかセツナの肩に手をついてゆっくりと引き抜き、またゆっくりと体重をかけて押し込むという動作を繰り返している。刺激としては決して十分とは言えなかったが、女が自らの意思で腰を振るさまを特等席から眺めるのは中々に気分が良かった。

 やがて慣れてきたのか、リゼの動きは徐々に早まっていく。

 パンパンッと肌同士がぶつかる音が浴室内に響き渡り、結合部からはグチャグチャと液体がかき混ぜられる

 

「んっ、あんっ……あっ♡ んっ、んっ!」

「リゼさん気持ち良さそうだね」

「はいっ……きもち、いいです! オチンチン、太くて硬くて……奥まで届きますぅ!」

「ねぇ、リゼさん……どっちのが気持ちいい?」

「あっ、んっ……な、なにを…?」

「だから俺と、カトリーナさんのオチンチン……どっちがいい?」

 

 それは何とも意地悪な質問だった。

 普通なら恋人であるアンジュの名前が出てくるところだが、ことペニスに関しては雲壌月鼈、比べることすら烏滸がましいぐらい差がある。そもそも本物のオスであるセツナのそれと、錬金術で生やしたアンジュのそれを比べろと言われても困ってしまうだろう。

 

「―――――です」

「ん? 聞こえなかったな。もっと大きな声で言って?」

「せ、セツナさんの……オチンチンです!」

「恋人より俺のを選ぶなんて悪い子だ」

 

 責めるように、下から突き上げる。

 セツナからの責めに必死に耐えながら、リゼは言葉を紡いだ。

 

「あ♡ んっ、ごめ、なさいぃ!! でも、オチンチン、気持ちいいんです!」

「恋人の粗チンより、俺の方がいいんだ」

「だ、だって……セツナさんのオチンチンを知ったら……アンジュのじゃ物足りなくて」

「へぇ、ならちゃんと言葉にして聞かせて。俺の、何が気持ちいいの?」

「せ、セツナさんのはアンジュのより逞しくて、熱くて……私の気持ちいいところ全部刺激してくれます!」

 

 顔を真っ赤にしながら、リゼは心の内を晒す。

 そんな彼女の言葉に満足したセツナは、リゼの身体を確りと抱えると先ほどより激しく上下に動かし始めた。子宮口を亀頭で執拗に何度もノックし、リゼの身体に快楽を叩きこむ。やがて限界を迎えたリゼの膣内はこれまでにない程強く締まり、セツナはそれに抗うことなく大量の精液を流し込んだ。

 

「あ゛ いく、イグッーーイグゥウウッ!!」

「う゛っ!」

 

 絶頂と同時に、リゼは身体を大きく仰け反らせた。

 それからガクンガクンと大きく痙攣し、やがてセツナにもたれかかるようにして意識を失った。

 そんな彼女の身体を抱えながら大きく深呼吸してから、セツナはぼんやりと天井を見つめる。

 

「ふぅ……風呂、入りに来ただけなんだけどなぁ」

 

 汗を流しに来て、何故汗をかいているんだろうか。

 そんなことを考えながら、セツナは二人が目を覚ますのを暫くの間待つことにした。




今回の内容は如何だったでしょうか?
今回もそうでしたが、実はもう少し続けようと思っていました。内容としては錬金術で生やしたアンジュがリゼの後ろを、セツナが前を陣取ってリゼをサンドイッチで責めるというものでした。

さて、ネタバレになりますが、次回で一先ずの最終回になります。
その後は以前募集したシチュエーションの話を幾つかあげようと思います。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

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K-16:懐胎

どうも、私です。
先ずはアンケートですが、僅差で①のcresc.が次回のネタとなりました。でも予想外だったのは①と③がほぼ同数となっていて、誰か裏で操作してね? と思ったりもしました。そしてさくゆいの票数の少なさ……うん、何も言うまい。

それと、前回の旅行から時間が飛びました。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


 二泊三日の旅行を終え、再び日常へと戻った俺は相変わらずな日々を送っていた。

 満員電車に揺られながら会社に出勤して仕事をこなしては帰宅し、家に帰っては一人寂しく食事を済ませる。週末には時間の空いていれば恋人の戌亥とこさんが遊びに来て、都合が悪ければセフレ関係にある他の誰かが家に来る。爛れていると言われても仕方がないかもしれないが、そんな何気ない毎日を過ごしている内に、あっという間に月日が流れて行った。

 そんな夏の残暑も和らいできて、過ごしやすくなってきた頃だった。

 

「とこさん、大丈夫?」

 

 今日は休日ということで、とこさんが家に遊びに来ていた。

 普段なら料理を作ってくれたり、一緒に何らかのゲームをしたり、外にデートしにいったりと色々と二人で楽しむのだが。今日の彼女はソファーに座ると何をする訳でもなく、うっつらうっつらと舟を漕いでいた。

 

「ん? ああ、すまんなぁ……ちょっと転寝しとったわ」

 

 そう言いながら目を擦る彼女だが、その目は今にも閉じてしまいそうな程トロンとしている。

 体調が悪いのかと聞いてみても違うと答えられ、ならば忙しくて寝る間も惜しいのかと問えば、それも否定される。

 

「ただ……最近、やたらと眠くて」

 

 と、再びとこさんの意識は夢の世界へ旅立ってしまった。

 いつもと少し様子がおかしいと思った俺は、眠っているとこさんを起こさないようにリビングを離れ、スマホを手に取って登録されいてるアドレスから一つを選んで電話を掛ける。何回目かのコールの後、相手が通話に出た。

 

『はい、もしもし?』

「リゼさん? ごめんね、急に電話を掛けて。今大丈夫?」

『大丈夫ですよ。タツミさん、どうかしましたか?』

 

 俺はとこさんの同僚であり、友人でもあるリゼ・ヘルエスタさんに事情を説明した。

 仕事面で付き合いのある彼女なら、俺が知らない何かを知っていると思ったからだ。

 

『そうですね。確かにとこちゃん、最近は少し体調が悪そうにしてますね。ただ本人に聞いてみても心当たりがないみたいで、単に季節の変わり目だからだと誤魔化されちゃいました』

「そっか……」

『でも心配ですし、一度お医者様に診てもらった方が良いかもしれませんね。獣人のことは私たちには分かりませんから』

「そうだね……念のため、病院に行ってみるよ。それじゃあまた何かあったら連絡するよ」

『はい。分かりました!』

 

 通話を終え、一息吐く。

 それから俺は眠っているとこさんに声を掛け、彼女の了承を得てからタクシーに乗って近くの総合病院へと向かった。受付にて事情を説明し、指定された待合室にて待つこと数十分。名前を呼ばれた俺はとこさんを支えながら診察室へと入ると、そこには白衣を着た一人の女医がいた。

 女医は少しウェーブの掛かった長い黒髪に、浅黒い肌をしていてどこかエキゾチックな雰囲気がある人だった。ただ一番目を引いたのは、彼女の頭部から突き出る二本の角。恐らく鹿系の獣人であることは間違いないだろうが、それにしても随分と立派な角をしている。

 

「今日はどうしたんだい?」

「あっ、はい。実は――」

 

 俺はとこさんに代わって、事情を説明した。

 その女医は真摯に俺の話に耳を傾け、時折メモを取り、話を聞き終えると口を開いた。

 

「一応、念のために検査をしようか。ああ、心配しないでくれ。大層なものじゃないから」

「はい。お願いします」

 

 外で待機しているよう言われ、とこさんを残して俺は廊下へと出る。

 言いようのない不安感と焦燥感を抱きながら待っていると、やがて診察室から入るよう指示があった。再び中に入ると、先ほどと変わらない様子で女医もとこさんも椅子に座っていた。とこさんもきちんと目を覚ましていて、俺を安心させるように笑みを浮かべている。

 

「それで、先生。とこさんは大丈夫なんですか!?」

「まあまあ、落ち着き給え。そうだね……単刀直入に云おう―――お目出度だ」

「………へ?」

「だから、懐妊だよ。彼女のお腹の中には、君の子供がいる」

 

 予想もしなかった返答に俺は言葉を失くし、ぽかーんと阿呆面を晒す。

 まさかドッキリかと視線をとこさんの方へと向けると、彼女は顔を赤くしながら小さくコクリと首を縦に振った。

 

「……マジ?」

「何だね? 嬉しくないのかい?」

「いえ、……その、獣人は発情期に入らないと妊娠しないと聞いていたので」

「確かに、その通説は間違いない。しかし近年、ある面白い研究結果が発表されたんだ。それによると通常の獣人のペアの妊娠する確率は低いが、相手が特別な存在だと話は別らしい。まだ立証されていないが、番が相手となると妊娠する可能性が一気に高まるそうだ」

「……」

「……あれ? 反応薄いね」

「あぁ……まだ実感がわかなくて」

「まあ無理もない。検査したところ、まだ妊娠の初期段階だからね。これから少しずつお腹も膨らんできて、胎児の成長に伴って胎動が始まるだろう。そうなったら、否応なく自覚することになるから安心しなさい」

 

 そう言って女医はカルテに何かを書き込むと、それを看護婦に手渡し、一言二言伝える。

 

「今産婦人科の方にも連絡しておいたから、支払いの時にこれからについての簡単な資料を手渡してくれるよ。じゃあ、お大事に」

「あ、ありがとうございました」

 

 女医にお礼を言い、俺たちは診察室を後にした。

 待合室でまた名前を呼ばれるまで待つことになったが、その間も俺は何処か茫然としていた。

 

(とこさんが妊娠……俺、父親になるのか)

 

 未だ自分が父親になる実感が涌かず、これからどうすればいいのか思い悩んでいると。

 隣に座るとこさんが、ぎゅっと俺の手を掴んできた。

 

「すまんな。うっかり孕んでしもうたばっかりに、セツナはんに迷惑を掛けてしもて……」

 

 申し訳なさげに言う彼女に、自分が何て馬鹿なんだと悟った。

 俺なんかよりもとこさんの方がずっと不安なはずなのに、逆に俺の方が気遣われてどうする。俺が本当に考えるべきなのは、これから彼女と生まれてくる我が子の為に何が出来るのかだ。

 俺は一度席を立つと、とこさんの前に膝を付き、彼女の手を握る。

 

「順番が逆になってしまったけど……戌亥とこさん。俺と、結婚してください」

「……ええの? わたし自分勝手やし、独占欲も強い。そんで重い……面倒臭い女やで?」

「でも同時に優しいことも、可愛いところも全部知っているつもりだよ」

「子供のことで、無理してへん? わたしの所為で嫌々結婚させられたとか、そういう風にはなってほしくないねん」

「俺はね、もしこの先子供が出来なかったとしても、あなたと結婚したいって思っていたんだ。本当はもっとロマンチックな感じでプロポーズしたかったんだけど、今とこさんを安心させられるのはこれしか思いつかなくて……」

「ほんまに……ええんやね?」

「男に二言はないよ。だから、返事を聞かせてください」

「ぇん!」

 

 涙ぐみながら、とこさんは頷いてくれた。

 途端、周囲から拍手が巻き起こり、見れば待合室にいた大勢の人が俺たちを祝福してくれていた。俺は今更ながらここが病院の中だったことを思い出し、公衆の面前で告白した事実に顔が赤くなるのを感じる。今すぐにでもとこさんを連れて走り出したいところだが、まだ支払いを済ませていないので逃げられない。

 それから暫く、会計で呼ばれるまで周囲からの生暖かい視線に晒されることになった。

 後日、同僚の東山から面白い動画があるからと見せられたのは、俺がとこさんにプロポーズするシーンの動画だった。どうやらあの場にいた誰かが録画し、素性が分からないよう加工した上でネット上にアップしたようだ。自分の告白場面を見せられるなんて、どんな罰ゲームかと思わず天を仰いだ。

 

 

 

 

「つ、疲れた……」

 

 ドサッと音を立てて、床に敷かれた布団の上に倒れ込む。

 神前式という人生において二度と経験しないだろう儀式を無事に遂げ、重たい紋付羽織袴解放されたと思ったら、今度は披露宴という名の宴会である。リゼさんの口利きのお陰で格安で借りれた高級ホテルでの宴は中々に豪勢なものだったが、途中でアルコールの入った東山がリゼさんやフレンにアタックを掛け、見事なまでに玉砕する様を見た時は流石に同情を禁じ得なかった。

 その後、何とか披露宴も乗り切った俺たちは、そのままホテルの部屋へと直行し、ようやく一息吐けた次第だ。

 

「……俺、結婚したんだなぁ」

 

 とこさんの妊娠発覚から、あっという間に月日が過ぎた。

 あれから両親に結婚する旨を告げた後にとこさんのご家族に挨拶しようとしたが、残念ながら彼女の一族は地獄にいるため直接会うことは叶わなかった。とこさんのお祖母さんの代には人間が恋人のために黄泉下りなんてこともしたらしいが、現代ではその辺りの法律が制定されて生者の侵入は一切が禁止となったらしい。その為、今時らしくオンライン面会ということで顔合わせすることになった。相手が人間ということで反対されるんじゃないかと危惧したが、幸いなことに受け入れてもらうことが出来た。因みに今日の結婚式が初めての顔合わせだったりする。

 それから結婚式を挙げるにあたり、式場の予約や来客への招待状作り等といったことは俺が担った。獣人とはいえ妊婦のとこさんを無理させたくなかったのもあるが、彼女は彼女でV-idolの休業に向けての準備を進めていて忙しかったからだ。目が回りそうになりながら準備したが、無事に今日を迎えられて本当に頑張って良かったと思う。

 

「ふぅ、さっぱりした」

 

 シャワーを浴びていたとこさんが戻ってきた。

 濡れた髪をバスタオルで拭きつつ、備え付けのバスローブに袖を通した彼女の頬は血色がよくて色っぽく見える。

 

「お帰り。風呂、気持ちよかった?」

「おん。おおきにな」

 

 そう言って微笑むとこさんは、俺の隣にちょこんと座る。

 何を話す訳でもなくただ寄り添えることへの幸福感に浸っていると。

 

「ほな、シようか」

 

 不意にとこさんが、とんでもないことを言い出した。

 いや、確かに結婚したのだから初夜を迎えるべきだとは思うが、俺はあまり乗り気ではなかった。性欲がない訳ではないが、妊娠した状態で果たして性交してお腹の中の子供に影響はないのか、それが心配だったのだ。

 そのことを正直に伝えると、彼女は少しムッとした表情を浮かべた。

 

「あんな? セツナはんはリゼやおレンとして発散しとるかもしれんけど、わたしはずっと我慢してきたんよ。それとも身持ちの女とはやりとうない? このまま子供産んで、その子が落ち着くまで放置するつもり?」

「い、いや! 決してそういう訳じゃ……」

「なら決まりやね。大丈夫やって。半妖のこの子が、そない柔な訳があらへん」

「……分かった」

 

 こうして俺はとこさんに押し切られる形で、彼女と交わることになった。

 ところが軽いキスもそこそこに、俺の手から逃れるようにベッドから降りて立ち上がった。

 俺が目をしばたたかせていると、とこさんは徐にスルスルとバスローブを肩から落し始める。その下からは大きく胸元が開き、程よく生地の透けて煽情的な薄紫色のベビードールが姿を現した。更に下着と同じ色のパンティはサイドを紐で結ぶタイプであり、どれもこれもセクシーで思わず生唾を呑み込んでしまう。しかし、それ以上に目を見張ったのはスリットを内側から押し上げるお腹だった。やはり半年も経ったからか妊娠していることが一目で分かるほどに張っていて、この中に自分たちの子供がいるのかと感慨深いものを感じた。

 

「あんまり激しくは出来んから、セツナはんは寝てるだけでええよ」

 

 言うが早いか、とこさんは俺をベッドに押し倒して股間へと手を這わせ始めた。

 パンツの上から軽く擦ってから、既にガチガチに勃起していたペニスを取り出した。手慣れた様子で竿を軽く擦り上げてから、亀頭部分にキスを落とす。そのままカリ首に舌を這わせ、裏筋をチロチロと舌先で舐め上げる。それからゆっくりとペニスを口に咥え、頭を前後に動かし始める。

 

「んっ♡ ちゅぷ、じゅぽ……れる、ぴちゃ、れろぉ」

「うわぁ……」

 

 久しぶりのフェラチオに、思わず声が出る。

 口淫自体はとこさんにも散々されてきているが、やはり暫くご無沙汰だったからか彼女もいつもより興奮しているようだ。前のめりになっているから大きく開いたベビードールからは豊満な乳房が溢れそうになっていて、思わず触りたくなって手を伸ばすが、やんわりと止められてしまった。

 どうやら今日は主導権を握らせてくれるつもりらしい。

 

「ぷはぁ……あかんで。今日はわたしがするんやから」

「はい……」

 

 俺の返事に満足そうに笑みを浮かべると、とこさんは俺の跨いで仁王立ちする。

 見せつけるようにパンティの紐に指を掛けて解いていき、パサッと音を立てて支えを失った下着がベッドに落ちる。露わになった秘所は触ってもいないのに愛液で濡れており、ヒクついているのが見える。重力に従って滴り落ちた愛液が勃起したペニスへと当たる。

 

「ほな……入れるで」

 

 とこさんは自分の手で陰唇を広げて膣穴を見せつけながら、俺のモノを片手で掴むと自分の腰を落として挿入していく。ズブブッと音が聞こえそうな勢いで根元まで呑み込み、子宮口にコツンとぶつかる感触があった。

 

「ぉ゛~~~っ」

 

 どうやら挿入しただけで絶頂したらしく、ビクンと身体を仰け反らせて痙攣させている。

 ギューギューッと締め付けてくる感覚を味わいながらとこさんが落ち着くのを待つと、少しして回復したのか俺の胸元に両手をつきながらゆっくりと動き始めた。ただお腹の子供を気に掛けてか、あるいは久しぶりの刺激に身体が馴染んでいないのか、その動きはとても緩やかだ。

 刺激としてはもどかしくはあったが、今日はとこさんを気持ちよくさせるのが目的なので自ら腰は動かさない。ただ手持無沙汰なのは事実なので、目の前で彼女が動く度にタプンタプンッと柔らかく揺れるおっぱいに目をつける。とこさんに気付かれないようゆっくりと手を伸ばし、そのままベビードールの上から両手で鷲掴んだ。

 

「んっ!」

 

 ふにゅりと柔らかい感触と共に、掌に収まらないほどの大きな膨らみの感触が伝わってきた。

 単純な大きさだけを取ればフレンの方が圧倒的なサイズを誇っているが、とこさんのは揉んでいると手に吸い付くような肌触りで、いつまでも触っていたくなるほど気持ちがいい。激しく揉みしだかないよう注意しながら、その感触を楽しむように円を描くようにして優しくマッサージするように捏ね繰り回す。

 

 

「あっ♡ ん……こ、こら。おいたはあかんよ」

「俺のことは気にしないでいいよ。ほら、腰が止まってるよ」

 

 腰を上げて、グリグリと子宮口を責め立てる。

 快楽で蕩けた表情を浮かべながらも、とこさんは再び上下運動を再開させた。

 

「おっ゛ ひっ、んっ♡ ……くぅっ!」

「ぐっ」

 

 うねるように膣内が締まり、搾り取るように肉壁が収縮を繰り返す。

 急激な快感に歯を食いしばって耐え、お返しとばかりに固くなった乳首を指で強く摘まめば、とこさんは背中を大きく弓なりに逸らした。しかし俺が乳首を掴んでいるせいで倒れることが許されず、とこさんの豊満なおっぱいが引っ張られるように伸びる。

 

「んひぃっ! ち、乳首ぃっ! 取れてまうっ!!」

「大丈夫だから。ほら、頑張って腰振って」

 

 親指と人差し指で挟んでコリッコリッと弄ぶと、とこさんは必死になって腰を振り始めた。

 俺もいい加減我慢の限界だったので腹筋を使って上体を起こすと、とこさんは倒れないように両手を俺の背中に回してくる。そのまま彼女の唇を奪うと嬉しそうに応えてくれて、ジュルジュルと音を立てながら唾液を交換し合うように濃厚なキスを交わす。

 とこさんがキスに夢中になっている隙に彼女の臀部に右手で鷲掴み、左手でもって尾てい骨から生える尻尾を掴む。触った瞬間にビクンッと身体を震わせたが、そのまま根元から先端に向けてシュッシュっと擦り上げれば彼女は一際大きく喘いだ。

 

「きゃうんっ♡  しょれ、らめぇっ!! しっぽはらめぇぇっ♡♡」

「そんなこと言って本当は好きな癖に」

「しゅきっ! すきだけどぉっ♡ いま敏感やからぁっ♡」

 

 いやいや、と首を左右に振る。

 そんな彼女に反して膣内は今までにないぐらい締め付けてきて、俺は彼女を絶頂に導くために腰を動かし始めた。ベッドのスプリングを利用しながら突き上げれば、パンッパチュンッと激しい水音が響く。一気に射精感が高まっていき、自分がもうすぐ限界を迎えることが分かった。

 

「往くよ、とこさん!」

「きてぇ、セツナはんっ! なかに、出してぇっ!」

「出るっ!」

「~~~っ!!」

 

 子宮口に亀頭がぶつかった瞬間、俺は勢いよく精液を解き放った。

 フェラチオの時から焦らしていた分、吐き出された大量の精液が膣内へと吐き出されていく。

 

「んっ……出てる、いっぱい出とるぅ……♡」

「はーっ、はーっ……」

 

 ドクンドクンと脈打ちながら、何度も膣奥に叩きつけるようにして吐精する。

 最後の一滴まで搾り取るかのように膣が小刻みに痙攣していて、それに応えるようにペニスの射精が続く。

 

「……ふぅ」

 

 長い射精を終え、ようやく一息つく。

 ゆっくりと引き抜くと、栓を失った膣口からゴポッと白濁液が流れ出てきた。

 

「ふふ……凄い量やねぇ」

「こんなに出しといてアレだけど、これって子供は大丈夫なのかな?」

「どうやろうなぁ……」

 

 とこさんは自分の下腹部を撫でながら、柔らかな笑みを浮かべる。

 それから二回戦に突入することなく、仲良くベッドに横になって三人で眠ることにした。




今回の内容は如何だったでしょうか?
本当はエロシーンを書く予定ではなかったのですが、Twitterにてとこちゃんのセクシーなランジェリー姿の画像を発見してしまい、これは書かずにはいられない! という理由から急遽入れました。

おかげで最終回が本編ではなく、次回となってしまいました。
後、投稿が遅れたのは、とこちゃんが本当に引退した姿を思い浮かべてしまい、メンタル的にダメージを受けてしまったからです。(←阿呆な作者である)


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
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K-17:永久(完)

どうも、私です。
アンケートですが、やはり皆さんハーレムがお好きなんですね。私もです。
ただ割合としては5:4:1ぐらいになると思います。ナニかが。

それと、今回もまたエッチシーンはありません。
入れようかと思いましたが、真面目な話なので抜きにしました。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
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では、本編をどうぞ。


「……ふぅ」

 

 バスから降り、住宅街を我が家に向かってキャリーケースを引きずりながら進む。

 半年にも及ぶ出張がようやく終わり、俺は会える家族たちに思いを馳せると、自然と早足になっていく。

 バス停から歩くこと十分、住宅街の一角にある邸宅が見えてくる。

 

「久しぶりに見ると……ホント、でかい家だよなぁ」

 

 改めて我が家を見上げながら独り言ちる。

 富裕層が暮らす住宅街の一等地に建てられたこの家は三年前に中古で購入されたもので、元々は魔界から来た成金が建てたまるで迎賓館のような住宅である。当初は日本における拠点にする予定だったようだが、ろくすっぽ使う前に色々と後ろ暗いところが明るみになったことでお縄となり、この屋敷も差し押さえ物件として行政の管理下に長年置かれていた。

 曰く付き物件として売りに出されてはいたが、末端価格にして数億円もの値打ちが付けられていて誰も買い手が出ずにいた。ところが三年前、この住宅はある人の所有物となり、俺たちはその人の好意によって住まわせてもらっているに過ぎない。もし機嫌を損ねようものなら家から叩き出されてしまう。

 

「っと、いかんいかん……」

 

 思わず物思いに耽ってしまった。

 俺は気を引き締めなおし、鍵を開けて家の中へと入った。

 

「ただいま~!」

 

 そう声を掛けると、奥からパタパタと音を立てながら誰かが走ってくる。

 そして俺目掛け、勢いをそのままに飛びついてくる二つの小さな人影。

 

「おかえり、ととさま!」

「おかえりなさい! お父様!」

 

 頭部に獣耳の生えた男の子と、人間の耳が生えた女の子だ。

 二人を落とさないよう、確りと抱き抱えながら愛おしい我が子たちを見詰める。

 

「おおー、よしよし。元気だったか? お母さんに迷惑かけてないか?」

「うんっ!」

「わたしたち、いい子だもの!」

 

 二人の頭をなでながら、会話をする。

 因みに母親の性質を受け継いだのが兄のセト、俺の方に寄ったのが妹のファリだ。二人は双子の兄妹であり、果たして誰に似たのか少し悪戯っぽいところがある。まぁ、それを踏まえても愛おしいとは思える。

 そんな風に玄関口ではしゃいでいると、リビングの方から別の人物が現れる。

 

「おかえり。遅かったやね?」

 

 戌亥とこ、俺の最愛の妻だ。

 結婚して五年経つが、その美貌に一切の陰りはない。元々、獣人というのは肉体が適齢期まで成長すると老化が鈍り、個体にもよるが一定の年齢になると急速に衰えが来るらしい。なお、衰えてが始まっても軽く百年は生きるらしい。

 なので彼女に老けたといった様子は全くなく、寧ろ子供が生まれたことで母性が増したようで艶めかしさが更に増した気がする。普段の何気ない仕草ですら、思わずドキッとしてしまう時が何度かあった。

 彼女の指にはクンツァイトの指輪が光っている。

 

「ただいま。ちょっとバスが遅れてね……他のみんなは?」

「みんな、奥に居るで。今日はご馳走やから楽しみにしとき」

「それは嬉しいな。やっぱり我が家が一番だから」

 

 一先ずスーツケースを玄関わきに置き、二人の小さな怪獣を抱えながらリビングに入る。

 リビングでは一歳になる赤ん坊を腕に抱えながら、四歳になる娘に膝枕しながらソファに腰掛ける栗毛の女性の姿があった。彼女は俺に気付くと花が咲くように満面の笑みを浮かべた。

 動いた拍子に、珊瑚のペンダントが揺れる。

 

「おかえりなさいませ! 旦那様!」

「ただいま、フレン。ああ、そのままで大丈夫だから」

 

 思わず立ち上がりそうになる彼女を制す。

 フレン・E・ルスタリオも皇族の護衛メイドとしてこの家で同棲しており、膝にいるのはその娘のエステルだ。結婚こそしていないが彼女もまた俺にとって大切な女性であり、その娘であるエステルもまた大切な家族である。因みにフレンも母親になって落ち着いてきたが、天然なところは変わらず逆に安心する。

 そんな風に話していると、ダイニングキッチンの方から誰かが出てくる。

 

「あっ、おかえりなさい。もうすぐご飯の用意が出来ますから」

 

 それはエプロン姿のリゼ・ヘルエスタだ。料理の盛られた大皿を持ち、その白魚のような指には、ブルーアンバーの指輪が存在感を発している。

 彼女は高校を卒業後、この国で二番目に権威のある法律関係に強い大学に通いながら変わらず皇族としての責務を果たしている。因みにフレンの抱えている赤ん坊はリゼとの子供であり、正式にヘルエスタ王家の血を引く皇子でもある。リゼが孕んだ時は色んな意味で冷や汗ものであったが、幸いにもご両親にも認められたので打ち首は避けられた――ただし、泣かせたら拷問の上で処刑されるらしい。

 そしてリゼとは正式に結婚ーー身内だけの挙式ーーし、彼女は第二婦人の座を手に入れた。この家はその際、彼女の親から贈られた物だ。

 

「今日は肉じゃがです!」

 

 公私共に充実している様子だ。

 全くの余談だが、出産を経てリゼのバストサイズは五年前に比べて二段階も大きくなり今や巨乳の仲間入りだ。因みにフレンは一段階上がり、爆乳っぷりが更に増し、とこも巨乳から爆乳に格上げしている。

 そして最後が――。

 

「お腹すいたー。リゼー、ご飯まだー?」

 

 リビングに通じる別の出入り口から、アンジュ・カトリーナがやってくる。その耳にはブルースターサファイアのイヤリングが揺れている。

 彼女は相変わらずラフな格好をしているが、その大きなお腹を両手で抱えるようにして歩いている。当然、そこには俺との間にできた胎児が宿っている。これは俺が出張に出てから発覚したことであり、当時はアンジュの精神面が色々と不安定になって大変だったとリゼからは聞いている。今は安定期に入って落ち着いたが、おそらく出産が近付けばまた情緒不安定になることだろう。その時は俺も側にいて寄り添えればと思う。

 なお、残念なことに、アンジュの胸は全くと言っていいほど変化していない。いや、未だ出産後に大きくなるかもしれないから、諦めてはいけない。

 

 閑話休題。

 そんな訳で現在の我が家は夫一人に妻二人、愛人一人と愛玩下僕が一人。それと子供が生まれてくる子も含めて、五人だが、恐らく未だ増える気がする。

 これからも、この幸福が続くよう、願うばかりだ。

 

 

 

 

「―――――うっ」

 

 ふと、目が覚める。

 何だか随分と長い夢を見ていたように感じながら、真っ白な天井を見上げる。

 

「親父! 目が覚めたのか?」

「お父さん!」

 

 ベッドの脇に、誰かがいるのに気が付く。

 身体は上手く動かせないから視線だけを向ければ、そこには少し老けた我が子たちがいた。全員が来ている訳ではないようだが、ワシの最初の子供たちであるセトとファリが心配そうに顔を覗き込んでくる。

 

「あぁ、お前たちか……ここは?」

「病院だよ。親父が倒れたって聞かされて、先生が言うにはもう永くないって」

「お父さん、もう一週間も寝たきりだったんだよ」

 

 そうだったのか。

 どうやらワシは走馬灯のように、昔のことを思い出していたようだ。

 幸福な時間とはあっという間なもので、あれからもう六十年もの歳月が過ぎてしまった。あんなに小さかった子供たちも大人となり、好きな人と結婚して孫も生まれた。更には少し前にひ孫まで生まれたと、電話越しに教えて貰った。

 だが、幸福な時間とは永遠には続かない。

 四人いた妻の内、最初に逝ったのはアンジュだった。彼女は俺と出会う前から不摂生な生活を送っていたのが影響して二十年ほど前に病を患い、それから僅か二年でこの世を去った。次にリゼが後を追うように、アンジュが逝った三年後の同じ日に天寿を全うした。フレンは肉体的な老化は避けられなかったが、それでも九十五歳まで元気に生きていた。

 そして最後に残ったのがワシだが、もうそう長くはないだろう。

 

「……とこは?」

「お袋には連絡したけど、こっちには来ないって」

「そうか……そうか」

 

 元より、ワシと彼女では生きる時間が違いすぎた。

 とこは何十年経っても、肉体的にも精神的にも若いままだった。もう一緒に街中を歩いていても夫婦とは見られず、祖父と孫にしか周囲の目には映っていなかった。そのことに彼女は少なからずショックを受けていたのに気が付いていたから、ワシはフレンが逝った後で彼女に地獄に帰るようお願いした。

 彼女は最期まで見届けると言ってくれたが、ワシの最後の我儘を聞いてもらったのだ。ワシが危篤だと知らされても、彼女はお願いを律義に守ってくれている。

 

「そうだ。先生を呼んでくるから」

「いや……いい。最後に、お前たちの顔が見れてよかった」

「な、何言ってるの。そんな弱気なことを言わないで」

 

 泣き出しそうな娘の顔を見ていると、心苦しくなる。

 肉体的に七十代と同じと言っても、ワシは既に百歳を超えておる。人は肉体と精神、それから魂の三つの要素から成り立っている。どれか一つが欠けただけでも人は生きられず、どうやらワシの魂はもう限界に近いようじゃ。

 こうして子供たちと話せたのも、きっと神様が下さった時間に違いない。

 

「自分のことだ。ワシが一番分かっとる……幸せじゃった。四人の美しい妻に恵まれ、可愛い子供たちに囲まれ、更にはひ孫までこの腕で抱くことが出来た。哀しい時もあったが、それでも十分に幸福な日々じゃった」

「何を言っているんだ。これからも、ずっと一緒だろ!」

「お父さん!」

 

 悲痛な叫び声が聞こえるが、もう目を開ける余力も残っていない。

 段々と意識が遠のいてき、もう子供たちの声すら聞こえなくなってきた。

 

「とこ、とこ……」

 

 最愛の人の名を呟きながら、ワシの人生は幕を閉じた。

 

 

 

 

 人は、死ねば誰しもが閻魔大王の元へと送られる。

 そこに善人も悪人も関係なく、魂の管理者たる閻魔により生前の行いを鑑みた末の判決が下される。即ち、楽園へと送られ次へと転生を果たすか、あるいは奈落へと落とされて罪の償いを行うか。

 それこそがこの世の理であり、例外は存在しない。

 そして今日もまた、数百もの魂が列をなし、閻魔の審判を待っている。

 

「次の者――天国」

 

 閻魔大王の前に進み出た魂が、右の明るい道へと進んでいく。

 その次の魂は駄目だったらしく、左の薄暗い道を下っていく。

 

「あー……次から三十番までの魂、天国」

 

 来歴をまとめて確認し、一斉に審判が下される。

 閻魔の下部たる小鬼たちが天国行きの魂の先導をするが、そこで一つの魂が流れに乗らずに残った。

 

「ん? どうした、お前も天国行きだ」

 

 閻魔は訝しむように、その魂を見つめる。

 基本的に魂だけとなった存在に意識はあっても自我はなく、なのでこちらの言うことに従順に従うはずなのに。

 その魂はまるで不服だと言いたげに、その場から動こうとしない。

 

「何々、870096番……ああ、なるほど」

 

 改めて魂の来歴を見た閻魔は納得した様子で頷く。

 一日に数万もの魂を裁かねばならぬ関係上、来歴もどちらに相応しいしか見ていない。だから今まで気に留めていなかったのだが、確かにこの魂が天国行きを拒む理由がそこにはあった。

 

「ならば、貴様は地獄行きだ」

 

 改めて、その魂の行き先を地獄へと変更する。

 更にはパンパンッと手を叩けば、先ほどまで地獄行きになった魂たちが下った道とは別の下り階段が出現する。

 

「良いか。一度、この階段を下れば二度と――」

 

 説明しきる前に、その魂は階段を下り始めた。

 その余りの迷いのない行動っぷりに閻魔はやれやれと言った様子でため息をこぼし、そこへ小鬼の一体が思わず訊ねた。

 

「閻魔様、宜しかったのですか? 本来は天国行きの者を地獄へ送って……しかも、あれは今は使われない地獄門へ直通。本当に地獄なら他の魂と同様に罪を洗い流さなければ」

「あれは良いのだ……ほれ、見るがいい」

 

 閻魔はそう言って、手にした来歴書を見せる。

 それをまじまじと見つめていた小鬼は、ある一項目を見て同じように納得した様子で頷いた。

 その頃、下へと続く長い階段を降りながら、その魂は疑問を抱えていた。

 

――どうして、自分は天国行きを拒んだろうか。

 

 わざわざ自分から辛い方を選択する理由が分からない。

 しかし、その魂は何故か自分はこちらへ向かわなければならないと確信めいた何かを抱いていた。

 そうして長く長く、あまりに長い階段を降り切れば、目の前には如何にもといった巨大な門が行く手を遮っていた。

 これからどうしようかと考えていると、何処からともなく声が響いてきた。

 

『それは地獄門。罪人のみが通行することを許された魂の墓場』

 

 厳かな、それでいて何処か透き通るような女性の声だった。

 だが不思議と恐怖心は感じず、その声の主の姿を探して視線を上へと向ければ、地獄門の上からこちらを覗き込むようにして三つの首を持った巨大な黒い毛並みを持った獣が佇んでいた。

 

『その穢れを知らぬ魂……汝はこの地に相応しくない。疾く失せよ』

 

 三つの頭はそれぞれに異なる言葉を発し、けれど声は重なって一つに聞こえる。

 それに少しばかり奇妙な感覚を抱きつつ、しかしその魂は臆することなくその場から動かなかった。

 

『何故、去らぬ。恐怖で動けぬのか? 動かねば、この場で八つ裂きにしてしまおうか』

 

 こちらを脅すように、牙を剥いて三つの頭が威嚇してくる。

 確かに、こんな脆弱な魂なら瞬く間にその鋭い牙と爪で引き裂かれてしまうだろう。

 だが、それでもその魂は一歩たりとも退かず、やがて痺れを切らしたか、三つの内の一つが口を開いた。

 

『いい加減にしろ! 何時までそこにいるつもりだ!』

 

 どういう訳か、この獣は何かを焦っているように感じた。 

 静かに、その魂は自らの意思を――約束を果たしに来たと、伝え始めた。

 

『約束だと? くだらぬ! このような果ての地で、一体どのような誓いがあるというのか!?』

 

 例え、地の果てだろうと。

 この身が朽ち果て、躯となり果てようと。

 魂に刻んだ誓いだけは、決して失われることはないから。

 

『……ふんっ! 例え貴様がそうだとして、相手も約束を覚えているとどうして言える!?』

 

 彼女は、とても優しい人だったから。

 今もこうして心配して、追い返そうと俺の所に来てくれた。

 

『……』

 

 だから――。

 

「愛してます。とこさん」

 

 この世界の、誰よりも。

 

「―――ほんま、呆れた人やね」

 

 気が付けば、あの恐ろしい三つ首の獣の姿は何処にもなかった。ただそこには、和服に身を包んだ女性が佇んでいるだけだった。

 

「これが最後のチャンスやったのに。もうこれで、自分の魂はわたしだけのものや。誰にも渡さへん。何処にも行かせへん。永遠に、ずっと一緒におるんよ?」

 

 彼女が、ゆっくりと手を差し出してきた。

 それに応え、自分も手を伸ばせば――。

 

「――おかえりなさい、セツナはん」

 

 その温もりは優しくて、柔らかくて、まるで陽だまりのような心地良さに包まれる。

 それから恐ろしい地獄の番犬の傍には、常に一つの魂が寄り添い続けたとか。

 その魂の来歴を知る者は、誰もいない。

 

 

 




今回の内容は如何だったでしょうか?
実を言うと、最初の出会いのシーンと、今回のラストは最初から決めていました。実際、寿命という問題がある以上はこういう形になるのが良いのではと思ったからです。
一応、これにてルートKのシリーズは終了となります。この後は以前、募集した小話のを幾つか投稿したいと思います。予定としては九月に入る前ぐらいには、次のルートCに突入したいと考えています。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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SS:偶像・仮装

どうも、私です。
今回は以前募集したシチュエーションでの、二本立てとなっております。
一話目は、地球防衛軍兵士様より頂いた、「ライブ会場控室、アイドル衣装」。
二話目は、イスファハーン様より頂いた、「街角、男装」。
あまり語ってもネタバレになるので、詳しくは本編にて。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。



 その日、世界中に衝撃が走った。

 人気絶頂中のVirtual Idolにしてネット界の歌姫と称される戌亥とこが、一年間の活動休止を宣言したからだ。CHANNEL登録者数百万人を超える人気っぷりを誇っていた彼女の発表は様々な憶測を呼び、SNSや掲示板などでは連日議論が繰り広げられた。ただ当の本人からは一身上の都合――家庭の問題としか明かされなかったため、世間では人々により勝手な憶測がなされ、様々な噂が流れることとなった。

 曰く、事務所とのトラブルが原因であるとか。

 曰く、体調を崩されたとか。

 曰く、結婚する為だとか。

 

 ただどれも信憑性に欠けるものであり、結局真相は不明だった。

 兎も角、正式に発表された以上は休止が覆る訳ではなく、ファンたちは泣く泣く彼女が一日でも早く復帰することを願いつつ見送るしかなかった。なお、このニュースが流れた日には会社や学校を休む人がちらほらと居たとか。

 そんなファンのために、休止前の最後のイベントとして彼女の単独ライブが東京ドームを貸し切って行われることとなった。ただドームの収容人数は僅か五万席しかないため、到底希望数の十分の一すら入ることは叶わなかった。そうなればチケットの倍率はファンの数+転売目的組÷収容人数ということになり、ネット販売が始まると応募総数は軽く百万件を超えており、当選確率は何と4パーセントを下回るほどであった。

 Liveまで色々と問題はありつつも、何とか当日を迎えることが出来た。当然のことながらドーム内は満員御礼状態であり、ドームの外には少しでも近くで戌亥とこの存在を感じようと千人以上ものファンが駆け付けていた。中には無理やり中に入ろうとして、警備員に摘まみだされるファンも目撃されたらしい。

 そんなこんなありつつ開始したLiveは、結果から言って大成功だった。

 舞台には応援としてリゼ・ヘルエスタやアンジュ・カトリーナだけでなく、フレン・E・ルスタリオといった彼女と仲の良いV-idolも駆け付けてくれて、会場は終始熱狂に包まれていた。そして二時間にも及んだLiveも終わり、ファンの万雷の拍手や歓声を受けながら彼女はステージ裏へと引っ込んでいった。

 

「お疲れ様、とこさん」

 

 そして俺は用意された楽屋にて花束を手に、彼女を出迎えた。

 差し出された花束を見て、とこさんはきょとんとした様子で目をしばたかせる。

 

「あれ、セツナはん。今日、外せへん用事があるって……」

「だから、これがその大切な用事だよ」

 

 元々、とこさんには今日のLiveのチケットを直接手渡しされていた。

 ただリゼさんから事前にとこさんを驚かせないかと提案を受けており、それに乗った俺はあえて大切な用事があって観客として見に行けないと伝えていたのだ。つまりサプライズというやつで、俺がこうして関係者以外立ち入り禁止のエリアに居るのは協力してもらったからに他ならない。

 

「……なんやねん、それ」

 

 そう呆れたように言いながらも、とこさんは花束を受け取ってくれた。

 そして感極まったのか俺の腕の中へ飛び込んできて、俺もそれに応えるように抱きしめ返す。やはり長時間Liveの直後ということもあってとこさんの体温は高く、汗の臭いも少し混じっているものの不思議と不快さは無かった。

 

「……ああ、あかんわ」

「ん?」

 

 ボソッ、と何か聞こえた気がした。

 何か言ったかと問おうと顔を下げるのと同時に、グイッとネクタイを引っ張られた。突然のことに反応できなかった俺はそのままとこさんの顔の近くまで引き寄せられ―――ちゅっ、と唇を奪われる。しかもそれは触れ合うだけのフレンチなものではく、口内に舌が入り込むようなディープキスだ。

 

「んっ……じゅる、ちゅる」

 

 侵入してきた舌が、逃がすまいと俺の舌に絡みつく。

 激しく貪るような接吻がしばらく続き、やがて満足したのかゆっくりと顔を離せば、お互いの間に銀糸の橋がかかった。

 

「ふぅ……いやぁ、すまんな。つい我慢できひんかったわ」

「あっ、その……俺も、嫌じゃなかったですけど」

「ホンマは家まで我慢しようと思っとったんやけど、やっぱり無理やったわ」

 

 そう告げると、とこさんは俺の手を掴んできた。

 今の彼女は普段の和服ではなく、ステージ用として用意されたアイドル衣装を身に纏っている。そのため普段は珍しいスカートを履いているのだが、俺の手はその内側へと引き込まれる。指先に感じるのは下着の感触だが、綿の柔らかな触感ではなくグチャッと濡れた感覚があった。どう考えても、先程のキスだけでこんな風になるはずがない。

 

「知っとる? 大勢の前で歌ったり踊ったりするの、結構興奮するんやで?」

 

 耳元で囁かれる声は熱を帯びており、その吐息は荒い。

 彼女の言う通り、その体は火照っており昂ぶっているのが分かった。

 

「ほら、聞こえるやろ?」

 

 そう言いながら、とこさんは腰を軽くグラインドさせる。

 俺の指先に彼女の大切な部分が、下着越しに何度も擦り付けられる。その度にクチュクチュと水音が響き渡り、とこさんは艶めかしい表情を浮かべた。そんな恋人の姿に、俺の息子がズボンの内側でむくむくと大きくなってくるのが分かる。

 

「だから、シヨうや」

「えっ、ここで、ですか?」

「大丈夫やって。この控室は防音もバッチリやし、監視カメラなんて無いからバレへんよ。ちゃんと鍵もかけたし」

 

 まぁ、確かにノックもなしに部屋に入ってくるような輩はいないだろうし、親しい誰かが来たとしても鍵をかけている以上は急に扉をあけられて見られる心配もない。誰にも気付かれる心配がないのなら、ここでヤッたとしても問題は無いのかもしれない。

 

「それとも、セツナはんは女が誘っとるのに断るつもりなんか?」

「まさか、喜んでお受けしますよ」

 

 据え膳食わぬは何とやらと言うが、ここでひいては男が廃る。

 俺はネクタイを緩めると、ズボンのジッパーを下ろして中から自慢の息子を引っ張り出す。既に臨戦態勢に入っているペニスを見て、とこさんは嬉しそうに笑みを深めた。そして俺の方にお尻を突き出すように壁に両手をつくと、ゆらゆらと尻尾とお尻を揺らしてくる。

 俺は誘われるように背後に立ち、彼女のスカートを捲り上げれば太ももまで愛液が伝っているのが見える。俺は下着を脱がす手間すら惜しみ、下着を横にグイッとずらしてスペースをあけ、濡れそぼった秘所へペニスを押して当てて一気に挿入した。

 途端――。

 

「~~~っ!!」

「うぉっ!」

 

 ギューッと膣内が強く締まり、危うく射精しそうになる。

 この反応の仕方からして、とこさんが挿入しただけで絶頂したことが分かった。まだ動かしてすらいないのに、身体をビクビクと痙攣させてイってしまったようだ。よほど興奮していたのかと驚いたが、それに合わせるように俺の期待度も高まる。

 本音を言えばじっくりと愛し合いたいところだが、場所が場所なので俺は動くことにした。ゆっくりと腰を限界まで後ろに引き、そして同じぐらいの速度で最奥まで押し込む。味わうように何度かストロークを繰り返せば、その度にとこさんの口から甘い喘ぎ声が上がった。

 

「んっ、あ♡ あん……そこ、気持ちいい!」

「ここが、良いんですか!」

「んひぃっ!!」

 

 Gスポットをカリ首でゴリゴリと擦れば、一際大きな声でとこさんが鳴いた。

 快楽を堪えるように普段は仕舞われている本能が露わになり、彼女が手をついている壁にガリッと爪を立てる。流石に傷をつけるのは不味いと思ったが、俺の方もそんな些末なことを気にする余裕は無くなってきた。自然と抽挿の速度も上がっていき、パンパンと肉同士がぶつかり合う音が響く。

 

「はっ、はっ、はっ!」

「はぁあっ! いっ、んあっ! あっ♡ ああっ!!」

 

 とこさんの声も段々と大きくなり、結合部からはジュプッ、グチュッといった淫靡な水音が大きくなっていく。

 更に締め付けがきつくなるのを感じながら俺はとこさんの背中に抱き着くと、両手を前に回してアイドル衣装越しにその豊満な胸を掴んだ。服の上から荒々しく揉みしだきながら、腰は絶えず小刻みに動かし続ける。布を挟んでもなお存在感を主張する乳首を摘まみ、そのまま指で転がすように刺激を与える。

 

「ち、ちくびはぁっ……んぁああぁっ!! あっ、あぁんっ♡」

「ぐっ、締まるっ!」

 

 奥歯を噛み締めながら必死に耐えながら、力任せに衣装を左右に引っ張ればブツンッと音を立てながらシャツのボタンが弾け、その下から黒色のブラジャーに包まれた巨乳が現れる。汗で濡れた肌に張り付く下着を上にずらし、ぶるんっと揺れるおっぱいを直接鷲掴む。柔らかな感触と共に指先が沈み込み、掌全体に吸い付いてくるような極上の感触が伝わってくる。

 俺たちは互いに限界を感じ、もうじき絶頂を迎えようとしたその時だった。

 

 

――ピンポーン。

 

 不意に扉脇に設けられたインターホンが鳴り、俺達はピタリと動きを止める。

 控室は防音の仕様になっているため、呼び鈴が鳴らされるまで部屋の外に誰かがいても気付かなかったのだ。

 本来なら直ぐにでも中から抜き、バレないよう体裁を整えるべきなのだが、今の俺にはとてもそんなことは出来なかった。それはとこさんも同じだったらしく、グリグリと腰を押し付けてきた。それはまるで続きを催促しているようで、俺がどうすべきか考えている間にもインターホンが再び鳴る。

 諦めてくれないかなと思いつつ扉の方を向いた俺は、あることに気が付いた。あの昔ながらのタイプのインターホンはモニター画面が存在せず、音声しか伝えることが出来ない。しかも精度も低いので、例えセックス中であっても声を押し殺しさえすれば相手がよっぽど耳が良くない限りは気付かれる可能性は低い。

 だから――。

 

「とこさん、出ようか」

「えっ?」

「ほら、相手を待たせちゃだめだよ」

 

 俺はペニスを挿入したまま、インターホンの傍まで移動する。

 とこさんは抵抗しようとするが、後ろから小刻みに小突かれているせいで俺に押されるがまま扉の傍まで来てしまう。そしてインターホンに手を伸ばそうとする俺の手を掴んできたので、激しく腰を動かして抵抗力を奪う。

 そして俺は躊躇なく応答ボタンを押した。

 

『おっ、かしいな。お手洗い、にでも行っ、てるのかな?』

 

 ノイズ交じりに、スタッフと思しき女性の声が聞こえてくる。

 どうやら何かしらとこさんに用事があって、ここへ訪れているようだ。

 

「ほら、返事しないと」

「あ、アカンって……んっ!」

『あれ、戌亥さ、んいますかー?』

 

 軽く小突けば、とこさんの口から声が漏れる。

 その声に気付いたであろう相手が、インターホン越しにもう一度声を掛けてくる。

 

「はっ、はーい……どないしましたか?」

『ああ、お休み、中のところす、みません。会場の、方で出演者の皆、さんが集まって、いて最後に改、めて閉めよう、かって言ってまして』

「わ、分かりました。直ぐ……アッ!」

『戌亥さん、どうか、されましたか?』

 

 俺は再び腰を動かし始めた。

 廊下の相手に気付かれないよう、ゆっくりと細心の注意を払いながらセックスを楽しむ。もしとこさんが声を出そうものなら、戌亥とこが控室でエッチなことをしているのが見ず知らずの誰かに気付かれてしまう。そう考えるだけで自然と腰の動きが激しくなり、とこさんの膣もうねって締め上げてくる。

 

「い…いや、何でもあらへんよ?」

『そうですか? なんか、息苦しそ、うですけど』

「んっ、い、今……汗拭いとるから、それで……」

 

 喘ぎ声を必死に抑えながら、何とか受け答えする。

 以前にもとこさんが誰かと話している最中に気付かれないよう悪戯したことはあったが、こうしてセックスするのも中々に興奮してしまう。とこさんも絶頂が近いのか、膣内が細かく痙攣を繰り返しているのが分かる。

 

「だから、何もありません!」

『ああ、そう、なんですか。なら良、かったです』

「し、支度したら直ぐに行きますんで、グッ……先に戻ってもろて下さい!」

『分かり、ました。では、待、っていますね』

 

 ブツッ、と通話が切れるのと同時に、俺は我武者羅に腰を振った。あまりの勢いにとこさんの両足が地面から浮いてしまう程だったが、今はそんなことを気にする余裕もなく快楽を貪っていく。とこさんの背中にしがみ付き、絶頂に向かって無遠慮に腰を叩きつけていく。

 やがて――。

 

「おぉ゛、出るっ!」

「~~~ッ!!」

 

 俺が射精するのと同時に、とこさんも絶頂を迎える。

 ビュルルルッ! という音が聞こえそうなほど大量の精液が彼女の膣内へと吐き出されていく。未だ性別も分からぬ我が子に、精液を飲ませるかの如く、子宮口に先端を押し付けて射精を続ける。とこさんは大きく背中を逸らせ、ビクンビクンと身体を震わせていた。

 暫くしてようやく射精が終わったが、俺たちは互いに荒々しく呼吸しながら余韻に浸る。

 

「とこさん」

「んっ、ちゅ」

 

 結合したまま彼女を振り返らせ、軽く触れ合う程度のキスをする。

 それから数分間は繋がったままの状態でいたが、流石にこれ以上ピロトークに時間を掛けているとまた誰かがやってくる可能性があったので、俺は名残惜しくもズルッと膣内からペニスを引き抜いた。栓を失ったことで秘部からドロッとした白濁が溢れてきて、その光景に思わずまたペニスが固くなってしまう。

 高まる性欲を鋼が如き精神力で以て抑えつつ、俺は部屋にあったティッシュ箱を手に後処理を始めた。

 

「あっ!」

 

 と、何かに気付いたのか、とこさんが声を上げた。振り返ると彼女の衣装はボタンがないせいで前側が開けており、とこさんの下着が顔をのぞかせている。それを見て、行為中に力任せに引っ張った際に弾け飛んでいたな、と他人事のように思い出した。

 

「もうっ! どないすんねん、これぇ!」

「えーっ、と……すみません」

「……まぁ、わたしも盛っとったし、お互いさまや」

 

 頬を膨らませながらも、怒っているわけではないらしい。

 とこさんは衣装の上着だけを脱ぐと、下はそのままに自前と思しきTシャツに着替えた。それから消臭剤を使って行為の臭いがバレないようにしてから、彼女は関係者の待っている会場へと向かった。

 俺は弾け飛んだボタンを全て回収し、軽く控室の片付けをしてから会場を後にした。

 なお、後にリゼさんと会った際に、『ああいった場所でセックスするのは禁止です』と注意をされてしまった。どうしてバレてしまったのかは、謎である――女の感だろうか。

 

 

 

〈終〉

 

 

 

 

 

 とある日の休日。

 渋谷の駅前にある有名な某忠犬の石像の前にて、可愛らしい格好の人物がスマホを片手に立っていた。どうやら恋人と待ち合わせの最中らしく、おめかしした様子からデートであることが容易に推測できた。まだ相手は来ていないのか、心配そうにキョロキョロと辺りを見回している。

 と、そこへ如何にもチャラそうな二人の男が声を掛けてきた。

 

「ねえねえ、彼女」

「俺たちと一緒にお茶でも飲みにいかない?」

「えっ……こ、困ります」

 

 少しハスキーな声で、うつむき気味に返事をする。

 それを相手が気が弱いから押せば行ける、と判断した男たちは更に続ける。

 

「君、さっきからここに居るけど、もしかして彼氏とか待ってる感じ?」

「そんな奴なんて放っておいてさ、俺たちと一緒に遊ぼうぜ!」

「俺らの方が楽しませてやっから!」

 

 相手が黙っているのを良いことに、男たちは好き勝手に云う。

 明らかにはた迷惑なナンパ行為に周囲が遠巻きに様子を窺っていると、そこに一人のスーツ姿の人物が颯爽と現れた。その人は臆することなく三人の元へと歩み寄ると、チャラそうな男たちへと声を掛けた。

 

「ごめんな、兄さんたち。その子、わたしとの先約があるんよ」

「あっ? なんだ、テメェ」

 

 そう声を掛けらえ、男たちは振り返った。

 そこに立っているのは狼系と思しき耳を生やした獣人、真っ赤なYシャツに黒のスーツを着こなした人物。彼らが逆立ちしても叶わぬほどに整った容姿を持つ、見るからにホストと言った風貌だ。にこやかな笑みを浮かべながらも、そこには有無言わさぬといった迫力があった。

 

「……行くぞ」

「チッ……んだよ」

 

 舌打ちをし、男たちは去っていった。

 彼らが居なくなると様子を窺っていた人たちも興味を失ったのか、散り散りになって残されたのは二人のみ。

 

「アハァー↑ 似合うてるで」

「か、揶揄うなよ。とこ」

「ほんま可愛へえなぁ。これなら男やと誰も思わへんよ、セツナはん」

「うぅっ……屈辱」

 

 満面の笑みを浮かべる女性に、彼は恥ずかし気に顔を赤く染めた。

 凛々しくスーツを着込んだのは女房である戌亥とこ、そして可愛らしく白のワンピースに身を包むは旦那の立実セツナであった。この二人は半年前に結婚したばかりの夫婦であり、今日は互いに服装を入れ替えてのデート中であった。普段だったなら幾ら妻の頼みであっても女装することを彼が受け入れることはないのだが、今回は已むに已まれぬ事情があったのだ。

 事の発端は遡ること一週間前、その日は立実家に激震とも云うべき出来事があった。

 二人が結婚してから三年の月日が経ち、双子の兄妹も自分で身の回りがある程度できるようになっていた。以前暮らしていたマンションでは既に手狭になっており、フレン・E・ルスタリオとその娘とも暮らせるように4LDKのマンションに移り住んでからも暫く経った頃のことだった。

 休日ということもあり、家でのんびりとしている所にリゼ・ヘルエスタが深刻な表情をしながらやって来たのだ。

 そして告げられたのは――。

 

『私……タツミさんの子供を妊娠しました』

 

 という、爆弾発言であった。

 何故ならリゼ、そしてフレンもまた、とこが用意したセツナのセフレだったからだ。

 普通なら修羅場に発展する所だが、こと彼らに関してはそうはならない。何故ならリゼも、そしてフレンもまた、とこが用意したセツナのセフレだったからだ。肉体関係があったのだから可笑しな話ではなく、危険日を避けていたとは云え学生の間に妊娠しないで良かったぐらいだ。これでもしセツナがとこにより刺されているとしたら、フレンを孕ませた四年前に彼はとっくに墓の下に眠っている所である。

 だが、それとこれとは話は別であった。

 とこは親友とも云うべき相手が同じ男の子供を孕んだ事実に喜んだが、同時に女として嫉妬心も抱いたのだ。子供を産んでから既に四年が経ち、夜の営みもあるのに新しい命を授かる気配がないのが気に食わなかった。それが獣人ゆえの体質だとしても、とこは納得できなかった。

 そこで彼女は我儘を言って久しぶりに二人っきりのデートを計画し、更にはマンネリ気味だったのを解消する為に逆転デートを提案したという訳だ。タツミとしても女房からの可愛らしいお願いを無下には出来ず、こうして女装をすることになったのだ。

 

「それにしても、アンジュの薬は凄い効き目だ」

「ホンマやね」

 

 三十代過ぎた無骨な男の女装など、普通なら目を背けたくなる光景だろう。

 ところが現実に女装したセツナの見た目は本当に女性と見間違えてしまう程に可愛らしくなっており、これは決して整形手術をしたとかそういう訳ではない。錬金術師であるアンジュから貰ったある薬品――彼女が長い時間かけて開発した秘薬(未完成品)の成果である。

 その薬を服用したことで一日だけ、セツナは女性のような中性的な容姿へと変身した。完全な女性になった訳ではなく背丈やシンボルといった男性的要素はそのままに、男らしい体格や体毛といった部分が女性のそれに近付いたのだ。こうなってしまえば恐らくは彼の両親ですら、説明されなければ実の息子だとは気づくことはないだろう。

 

「ほな、デートに行こか」

「エスコート、お願いしますね。とこ」

 

 二人は仲良く手を繋ぎ、街へと繰り出していった。

 今日はとこがエスコートする側ということで、彼女が立てたプランに沿って行動することになっていた。渋谷の街中を歩いては気になったお店に入ったりと散策を楽しみ、そしてお昼に近付いた頃に目についた喫茶店で一休みする。

 

「今日は、わたしの為に時間を取ってくれてありがとうな。セツナはん」

 

 店員に注文をした後、とこはしみじみとお礼を言う。

 そんなことを言われるとは思っていなかったセツナは、瞬きを何度かしてから口を開いた。

 

「ここ数年はずっと忙しかったから、こうしてとこと一緒に居られる時間が出来るのは俺としても嬉しいよ。それに大好きな妻からの、折角の我儘なんだから叶えないと」

「……わたし、幸せ者やわ」

 

 そうして彼女は微笑む。

 何だか照れくさくなったのか、セツナは頬を掻きながら話題を変える。

 

「そ、そう言えば、やっぱりとこは何を着ても似合うよね。女性たちが思わず見惚れてたよ」

「セツナはんかて、結構な数の男に見られ取ったで」

「え、そうだった?」

「せやで。まぁ、こんな可愛い子にナニが生えとるなんて誰も気付いとらんかったけど」

「うっ……」

 

 そう言いながら、いつのまにか靴を脱いだとこはセツナの股間を足先で撫でる。

 まさかこんな人目のある場所で悪戯してくるとは思っていなかったセツナは、突然の刺激に身体をビクつかせる。

 

「ちょっ、とこ!」

「大丈夫やって。テーブルの下やから誰にも見られへんよ。まぁ、セツナはんが大きな声を出したら気付かれてまうかもな。そしたら女ものの服を着るヘンタイと思われてまうな」

「ッ……もう、駄目だ。こんな所で」

 

 セツナが周囲に気付かれないよう声を抑えながら注意するも、彼女は悪びれる様子もなく笑みを浮かべている。その笑顔はまるで小悪魔のように可愛らしく、それでいて何処となく妖艶さも感じられた。

 彼が大きく動けないことをいいことに、とこは更に大胆な行動をする。足先はワンピースの中へと侵入させ、内側のパンツ越しに彼のモノを弄ぶ。スリスリと彼女は巧みに足指を使って竿を擦り上げ、時にはグリグリと先端部分を刺激してくる。堪らない快楽に徐々にセツナの肉棒は大きくなっていき、先端部分が先走りで湿ってくる。

 と、そこへ――。

 

「お待たせしました!」

 

 店員が運んできた料理を、テーブルに並べる。

 流石にこのタイミングで行為を続ける訳にもいかず、とこはスッと足を引いて最初から何もなかったかのように振る舞う。それを少し恨めしく思う反面、中途半端に昂ってしまった気持ちを発散することも出来ず、悶々としながらもセツナは出来上がった料理に口をつける。

 それから何事もなく食事は続き、腹を満たした二人は会計を済ませて店の外に出た。

 これからデートの再開と行きたいところだが、セツナの我慢は限界に近かった。

 

「と、とこ……」

「ホテルまで我慢できひん?」

「…っ」

「んー……しゃーない」

 

 セツナの手を掴み、とこは人気のない路地へと入っていく。そこは表通りからそう離れてはいないが薄暗い場所であり、もし誰かが視線を向けたとしても奥まで入ってこなければ見られる心配のないデッドスペースとなっていた。

 

「ここで抜いたるから、見せて」

「えっ……わ、分かった」

 

 言われるがまま、セツナはワンピースの裾を掴んでスルスルと上に持ち上げる。

 その下からは男物のパンツと、その中で苦しげながらもそそり立つ肉棒が自己主張していた。

 

「アハァー↑ 昨日もわたしとフレンで抜いたのに、ホンマ元気やねぇ」

「だ、だって仕方がないじゃないか。あんなことされて、興奮しない訳にはいかないよ」

「ふーん、ほんまに? 実は最初から興奮しとったんとちゃうの?」

「ち、違う! いや、男前な姿にドキドキはしたけど」

「ならご褒美をあげないと」

 

 とこがセツナの前にしゃがめば、彼のパンツが眼前に広がる。そしてパンツに手を掛けるとズルッと下へとずり下せば、拘束を解かれた肉棒がとこの鼻先に突き付けられる。スンスンッと鼻を鳴らしてから彼女は躊躇することなくその先端に口付けし、亀頭部分をチロリと舐める。たったそれだけで、セツナの腰に電流が走ったような感覚が襲い、その快感に思わず身を震わせる。

 顔が見えずとも気持ち良さそうな彼の反応に気分を良くしたとこは、そのまま飴でも舐めるかのようにペロペロとゆったりとしたペースで舌を動かしていく。

 

「ちゅぷっ、れろぉ……」

「ふっ、くぅ…!」

「あかんで」

 

 思わず腰を引いてしまいそうになるが、彼女の両手が彼の腰に回される。

 大きく膨らんだ睾丸から竿を伝って裏筋まで舐め上げてから、とこは彼の大きな肉棒を口一杯に頬張った。温かく湿った口内の粘膜に包まれた感触から彼女がしゃぶったことを理解するのと同時に、まるで掃除機でバキュームするかのように勢いよく吸い上げられる。

 

「じゅぶっ! ぐぽっ、ぢゅるるっ!!」

「あぁ、あっ、とこぉ……!」

 

 激しいフェラチオによって、一気に射精欲が高まっていく。

 ジュプジュポと音を立てながら前後に頭を動かし、喉の奥深くにまでセツナの肉棒を飲み込んでいく。時折、彼女の鋭い犬歯が敏感な部分に引っ掛かる度に彼は小さく声を上げ、とこの頭にしがみ付くように絶え間なく襲い来る快楽の波に耐え続けた。

 

「とこ、出るっ、出るぞッ」

「ンブッ!」

 

 腰を前へと突き出すのと同時に、ドピューッと勢いよく先端から精液が大量に吐き出される。

 不意打ちに近い射精であったが、しかしそれでもとこは口を離そうとせず一滴残らず無駄にしないように嚥下する。

 

「んっ、こくっ、ゴク……」

「っはぁ、はぁ……」

 

 腰砕けのような状態になりながらも、セツナは大きく息を荒げながら立つ。

 ようやく長い放出が終わり、彼女は最後に尿道に残った分もしっかりと吸い取ってから口からモノを引き抜く。

 

「……いっぱい出たなぁ」

「はぁ、はぁ……」

「ホンマはホテルに行きたかったんやけど……無理やわ」

 

 そう言うと、とこはその場でズボンを脱ぎ始めた。それを汚れないように近くにあった排水パイプに引っ掛け、自らはエアコンの室外機の上に腰掛けた。そのまま両の膝裏に手を回してM字開脚の体勢を取り、まるで見せつけるように股間を露にする。彼女はレースが縁取られた赤色のショーツを履いていたが、そこのクロッチ部分は黒く変色しているのが分かった。

 

「わたしも我慢できひん……挿入て」

「とこっ!」

 

 ショーツを脱がすのも億劫だと言わんばかりに横にずらすと、再びガチガチになった肉棒を秘所へと突き出した。膣内は愛撫なしで挿入しても問題ないほどに愛液で濡れそぼっており、簡単に最奥まで到達することが出来た。

 フーッフーッ、と息を荒くさせながら、とこの経産婦とは思えない程に細い腰を両手でホールドしてから腰を動かし始めた。普段のゆったりとしたスローセックスではなく、最初からトップスピードでガンガンと子宮口を突き上げるような激しいピストンを繰り出す。

 あまりの激しさに室外機がガタガタと音を立てて揺れ、周囲に音が響き渡ることも気にせず二人はお互いを求め合った。

 

「あぁっ、はっ! もっと……激しくっ」

「っ……とこっ、とこぉっ」

「んむぅ、んちゅ」

 

 前のめりになりながらセツナがキスすれば、とこもそれに応えてくれる。

 舌を絡ませ合い、唾液を交換しながら絶えず腰は動かし続ける。

 

「ああっ、くそっ! 二回目なのに、もう我慢できない!」

「あんっ♡ え、ええよ! 出してぇっ、わたしの中に一杯ちょうだい!」

「とこっ、出すぞ!」

「うんっ……来てっ、全部受け止めるから!」

 

 とこが両手両足を使って彼の身体にしがみ付く。

 膣内もうねるように竿を締め付けてきて、限界だったセツナは堪えていたものを解き放った。

 

「うぉっ!」

「~~~ッ!!」

 

 ビュルルルッ、と子宮へと精液が吐き出される。

 セツナも最愛の妻に孕んでもらいたいと思っていたのか、射精しながらも腰を軽く揺らしながら亀頭を子宮口に擦り付けるように動かした。長い射精もようやく終わったが、二人とも動こうとはせず余韻を味わっていた。

 

「とこ」

「セツナはん……んっ」

 

 セツナが顔を寄せれば、とこ自然と顔を上げて唇を重ねる。

 啄むように軽いキスを繰り返してから、そっと顔を離す。

 

「意外と、興奮するもんやね」

「そうだね……けど、女装は出来れば遠慮したいかな」

「えー、似合うてるのに」

 

 困ったように言うセツナに、とこは悪戯っぽく笑う。

 あまりピロトークを楽しんでいると本当に人が来てしまおうかもしれないので、二人は余韻もそこそこに後片付けをし、服を整えてから路地を出て行った。今日のデートはまだ始まったばかり、夜のお楽しみを想像しつつ、彼らは手を繋いで街を歩いていった。




今回の内容は如何だったでしょうか?
この話が果たして応募して頂いたお二方の思っていた通りだったかは定かではありませんが、出来るだけ設定に沿うように書いたつもりです。
と言い訳はこれくらいにして、こんな感じで二話ずつぐらいの短編(?)を何話か投稿していきます。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!


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