蛇の悪 (猫毛布)
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蛇の悪

活動報告に書いていたモノを文章に再構成したモノ。



「や、やめてくれ! お、俺が何をしたって言うんだ!!」

 

 尻餅をついて後ずさる男がそう言う。職業は確か……警察。彼は世間的に悪い事はしていない。

 世間的に、という話であって全てに許される行為を続けていた訳ではない。そもそも、そんな人間なんて居やしない。

 

「罪には、罰を」

「つ、ツミ!? 俺は何もしてないっ」

「罰を」

「た、頼む! 俺には家族がいるんだ! 助けてく」

 

 そんな言葉を全て吐き出す前に、彼の頭は壊れてしまった。壁に真っ赤なペンキを撒き散らせてビクンビクンと痙攣している。

 ボクは今しがた振るった幅広の西洋剣から液体を振り払い背中の鞘へと収めた。頬に付着したペンキを拭い汚れた手を見つめる。

 

 果たして彼に罰は必要だったのだろうか。

 いいや、きっとそんな事はない。ボクはきっと間違っているのだろう。

 けれど、しかし、だからこそ、ボクはこの行動を続けなくてはいけない。それがきっと彼女達の救いになると信じている。故に正しい行為でなくてもボクは行動し続けるだろう。

 コレは、ボクにとっての正義である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

『本日未明、××区の廃ビルで死体が見つかりました』

 

 どうやら眠っていた様で、まどろみの中でニュースキャスターの声が聞こえる。欠伸をしながらシーツから身体を抜け出させる。

 ボンヤリとした頭のまま洗面台へと向かい、確かめる様に鏡を見つめる。

 そこには真っ白な髪と真っ白な肌、寝ぼけているのか半分程しか開いていない真っ赤な瞳の少女がいた。コレが、ボクである。

 

『――壁には誅の一文字が書かれ、同一人物の犯行であると警察は発表しました』

 

 そして、コレもボクである。

 

 

 まずはどこから説明すべきなのだろうか。

 まずは、そう、ボク……いいや、僕の話をした方がいいのだろうか? それともそんな事も放っておいて、ボクの話をすべきだろうか。

 何てことは無い。ボクには僕の記憶があり、僕はボクとして生きている。加えて僕もボクも一度死を体験している。

 ただそれだけの話だ。

 なら今のボクは一体、という話になるのだけれど、現存しているボクから言わせればボクは僕であり、僕ではなくボクであり、ボクは死んでいるけれど生きている。そんなところだ。

 結局何が言いたいかと言えば、生きている事に価値など一切無いのだ。尤も、ボクに限って言えば、だけれど。

 

 一度死を体験したのだから、生きている事に幸福を覚えるべきではないのだろうか?

 そんな問いにはハッキリとこう応えよう。ならば二度目の死を体験しなくてはいけないのは幸せなのだろうか? と。疑問符に疑問で返すという愚行を犯してもソレだけは言える。

 まぁ、ハッキリと言ってしまえば、どうでもいいのだ。それこそボクの人生においてボクという存在なんてどうでもいい存在であったし、僕の人生に価値なんてなかった。それだけの話である。

 

 だからこそ、というのも随分とオカシナ話だけれど、僕は誰かの為に行動したい、という偽善者染みた事を思ったし、ボクはソレ相応の力を持っていた。

 故にボクは殺人をしている。別に自分の価値観である『生きる事に価値はない』というモノを押し付けて『生から死への解放。皆死ねば、皆ハッピー』なんて事は思っていない。そもそも自分に価値や意味が見出せないだけであって、他人は素晴らしい物なのだ。

 昨日殺したあの男性も、また価値のある人物だったのだろう。

 

 ならば何故殺したのか。なんとなく、イライラしたので、突拍子もなく、思いつきで、月が綺麗だったから、風が吹いたから、石が転がったから、車のライトが眩しかったから、なんてそんな理由で殺した訳ではない。

 そんな狂人へと堕ちたつもりはない。いいや、確かにボクは狂っているという自負があるのだが。果たして狂っている人間が狂っているという自負を持っているというのもオカシナ話ではあるのだけれど。ソレはどうでもいい。

 

 ニュースキャスターの……いや、この場合は警察の発表というべきなのだろうが。警察の発表には間違いがある。

 実際にあの場には死体が二つあった。一つは顔の半分が吹き飛ばされた男性の死体。そしてもう一つは女の子の死体だ。

 拳銃で数発撃たれた形跡のあった少女。殺されてしまった少女。ボクが助けなくてはいけなかった少女。そして、発表されなかった少女。

 この少女に関して報道する事は不利益なのだ。誰が? 警察が。

 鑑識や検死で恐らく分かっているだろうが、少女を殺した弾丸の線条痕は男性の使用した銃のモノであるし、銃には男性の指紋しか付着しておらず、そこから導き出される答えとしては想像の通りである。

 

 ならば男性が死ぬ間際にどうして罰を与えられるか疑問を口にしていたのか。

 何てことは無い。あの少女を殺した所で男は罪に問われないだけの話なのだ。少なくとも殺人罪には問われないだろう。

 

 けれど少女を殺したのは男である。ならばどうして罪の意識が無いのか。罪では無いからである。

 この世界で殺人が罪に問われない訳でも、幼い子供には人権が無いという話でもなく。この少女に基本的な人権が無いという話だ。

 

 少女、並びに自分もだけれど、所謂『呪われた子供たち』と呼ばれる存在。ガストレアと謂われる化け物の遺伝子を持って生まれた少女達。ちゃんと人間の母から生まれたというのに、人間ではなくて化け物の扱いをされる。

 確かに、親の世代はガストレア戦争により色々と失っただろう。故にガストレア因子を持っている『呪われた子供達』を恐れるのは理解出来る。だからと言ってソレを暴力へと変換するのは間違いだ。

 その間違いが間違いではない、というのがこの世界なのだけれど。

 

 だからこそ、ボクが罰を下すのだ。天でもなく、人でもなく、価値もない、そんなボクが罰を下す。なんともオカシイ話である。

 殺さずとも、と我ながら思う。殺して解決する問題でも無い。けれど、殺す事で少なくとも『殺されるかもしれない』という恐怖を煽る事が出来るだろう。

 守る為、という名分で殺すつもりは無い。その名分で殺し続けるならば、『呪われた子供達』に被害が及ぶかもしれない。

 

 だからこそ、ボクは狂人であり続ける。

 ソレがボクの正義であり、世間の悪であるために。

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

 ガストレアという生物は大凡が昆虫や動物の姿を模している。尤も、その大きさはまったく別なのだけれど。

 強い個体になるほどその姿は素体が混じっている。いいや、素体が混じって強くなっているのだろうか。

 

 

 剣をガストレアを貫いて地面に突き刺す。これで十三体目。舌を少し出して口の中へと戻す。どうやら周りに他のガストレアはいないようだ。

 息を吐き出して、付着していたガストレアの体液を拭う。コレもちゃんとお金になるのだから、研究機関というのもバカには出来ないかも知れない。

 ガストレアを討伐すればお金を得れる。語弊が少しあって、正確にはガストレアの一部を研究機関へ渡す事でお金を得る事が出来る。

 

 お金の使い道なんて子供達への投資に決まっている。恵むのではなく、投資だ。

 自分に返ってくるなんて思ってないが、育つための投資。彼女らが成長した頃にまた誰かに繋いでくれるのなら、と。現実的ではない。理想だ。けれど、ソレを願っている。

 

 だからこそ、未来へと続く、過去になるべき今を守る為にボクは殺しを行使する。

 

「少しいいかね」

 

 声が聞こえた。男の声だ。

 匂いでは感知できなかったし、地面に伝わる振動もほぼなかった。警戒心を剥き出しにしてみせて相手へと振り返る。

 そこにはスーツ姿の男が居た。スーツだ。間違うことのない、黒いスーツ姿だ。このモノリスの外であり、ガストレアの世界とも言える場所にスーツ姿である。

 

「ああ、警戒はしないでくれ。私は怪しい者ではない」

 

 スーツ姿でこんな所に居て、ボクの感知範囲へと易々と入り込む人間を怪しくない、なんてボクは思えない。

 突き刺した剣を握り締めて、足に力を込める。

 しっかりとした戦闘態勢を見せても、相手は相変わらず胡散臭い笑みを浮かべたままだ。

 

「先に言っておくけれど、私に攻撃した瞬間に君も死ぬ事になる」

「そう」

「ふむ……では、君が保護している子供達を殺そう」

 

 ボクは苦虫を噛み潰した様に顔を歪める。保護している、というよりは投資している子供達。その行動を知っているということはある程度ボクに関しての調べもついているのだろう。

 

「何のよう?」

「少し上司からの頼み事でね。人を殺してほしい」

「嫌だ」

「報酬は多額だ。そして、気付いていると思うが君に選択権は既に無いよ」

「…………これだから大人は嫌いだ」

「そうだね。君の様な可愛い子供に嫌われるのは私としては非常に不本意なのだけれど、大人は汚い物だよ」

 

 剣から手を離して、睨みつけるように相手を見たところで意味など無い。ヘラヘラと笑ってコチラを見ているだけだ。

 

「それで、誰を殺す?」

「国家元首を」

「……聖天子を? どうして」

「それは君の知るところではないよ。君はコチラの要求通りに彼女を殺して、子供達を救えばいい。それだけの話さ」

「……わかった。報酬は先に貰う」

「それはいけない。逃げられては困るからね」

「前金として半分。終った後にもう半分を」

「……まあそれなら妥当だろう」

 

 それだけを言い残すと男は森の奥へと消えていった。舌を出して、口の中へと戻す。やはり匂いの欠片もない。

 

「あぁ、それと――」

 

 どこからか、声が聞こえる。まったく匂いなど無いにも関わらず、男は確かに何処かに居るらしい。

 周りを確認したところで男はドコにも存在していない。けれど、声は聞こえる。

 

「期限は一ヶ月だ。ソレまでに、殺せ」

「……」

 

 ボクは頷いて、適当な木に向かって剣を投げつけた。綺麗に真っ直ぐ飛んだ剣は木に刺さり、振動を伝える。しっかりとその振動は感じるのに、男が移動した振動は感じないし、匂いもないし、存在も無い。

 幻覚か、はたまた幽霊なのだろうか。

 恐らく去っただろう存在に溜め息を吐き出して、剣を引き抜く。幻覚にしても幽霊にしても、質が悪い。国家元首を殺せ、と言うのだ。

 国家元首。この東京エリアのトップで名称は『聖天子』。何度かテレビで顔は確認した事もある、色素の薄い美女だ。

 理想を語り、それに伴っての行動をしている。掲げている理想は『呪われた子供達に普通を』だった筈だ。故に彼女は基本的人権を確保する為に法案を出しているらしい。

 

 ボクと似ていて、ボクと違い、ボクと同じである。

 彼女を殺す。殺すのは、ボクである。殺さなくては大切なモノに未来は無い。

 

 殺してしまって……未来はあるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

 空には月が綺麗に映えていた。街の明かりのお陰で星はあまり見えないが、それでも月だけは綺麗に空に浮かんでいる。

 なるべく高いビルに昇っていたボクの視線の先には、聖天子の寝所がある。ご大層な事に警備もバッチリである。

 

 ボクは彼女を殺す事が目的であり、彼女以外を殺す事はボクには出来ない。可能か、不可能であるか、と問われれば可能だが。

 警護人を殺すという事はボク自身が『殺す理由』を背いた事になる。それだけは避けたい。避けなくてはいけない。

 大切なモノを守る為に殺す。その大切なモノは『呪われた子供達』であり、ソレに手を出していない彼らを殺害してしまう事はボクがボク自身を否定している事になってしまう。

 仮にボクが死んでしまうとしても、依頼者である男にとって『子供達』を殺す理由にはならないだろう。そんな事をするぐらいなら、ボクを殺した犯人を聖天子率いる悪の組織だと騙る方がまだ効率的であるし、そして効果的だ。

 

 そんな事はさせたくはない。悪であるのは、ボクだけで十分である。

 ボクが殺すのだ。他の誰にもこの役は渡さない。渡せない、渡してはいけない。

 

 

 小さく息を吐き出して、空を見上げる。

 月が雲へと隠れ始め、街の明かりだけが空間を照らしている。屋敷の庭の茂みへとビルを蹴飛ばして跳躍。

 落下した勢いでガサリと茂みが音を鳴らし、ボクは息を潜める。目を閉じて、周りを確認すれば誰も居らず、周囲に振動は無い。

 ペロリと唇を舐めて火薬の匂いを僅かに感じる。警備の装備に銃があるらしい。もしくは爆発物だが、さすがに聖天子のいる屋敷に爆発物は無いだろう。たぶん。

 

 しっかりと周囲を確認しつつ、ボクは身体を茂みから弾き出す。なるべく身を屈め、速度を維持しながら屋敷へと接近。背を貼り付けた所で溜め息。監視カメラもどうやら仕入れた情報通りで安心である。

 

 近道としては、このまま上へと跳躍して寝所を目指す道。この近道は、以外にも欠点が無い。しいて言うなら窓をどうにかしなくてはいけない事。その窓が難敵らしく、対物ライフルで打ち破る事も出来なければ枠組みも相応に硬いらしい。鍵も破るには時間が掛かりすぎる。

 

 そしてもう一つの道は真正面から突入して、警備員を全員倒してのルート。コチラは時間さえ掛ければ確実に到達する。安全かどうかは置いておいて。当然、ボクのではなくて警備員達のだ。

 

 ボクが選ぶルートなんて決まっている。

 足に力を入れて、跳躍。バルコニーの手すりを掴んで上方向の力を無理矢理押さえ込んでバルコニーへと身を滑り込ませて屈む。

 一息吐き出した所で、ボクは目の前を向く。

 

 そう、目の前には窓だ。情報屋曰く難攻不落の絶対防壁。

 

「ハジメマシテ、こんばんは、聖天子サマ」

 

 内から開いてなければ、という話ではあるけれど。

 

 

 突如として現れた侵入者に彼女は驚いた。目を見開いて、ボクを見ている。

 後ろに一歩。行動としては正しい。そのまま窓を閉めて警護人を呼べばボクは逃げるか捕まるか、その二択だ。

 そんな事はさせない。ボクは一歩を踏み出して、彼女の肩を掴み、押し倒す。首元へ口を近付け、牙を立てる。

 スグに顔を離して、彼女の身体を支えた。どうせもう力は入らないだろうけれど。

 

「――」

 

 彼女の口から呼吸音だけが聞こえる。しっかりとボクを驚きつつも睨んでいる彼女はか細く、そして荒い呼吸を繰り返している。

 

「ああ、安心して。麻痺毒を少しだけ流しただけだから。落ち着いて、呼吸を正せばそれほど辛いモノでもないよ」

 

 たぶん、と付け足して肩を竦めてみせる。

 支えていた彼女を抱っこして、そのままベッドへと横たえる。

 入り込んだ窓を閉じて、ブロードソードを鞘ごと両開きの扉の取っ手へと差し込んだ。コレで少しぐらい時間が稼げる筈だ。

 これで、一先ずは完了だ。

 目的ではこのまま彼女を殺せば、ソレでお終い。

 

「……ねえ、聖天子。ボクはキミを殺さなきゃいけない。そうしないと大切なモノを守れないからだ。だからキミを殺す。

 

 

 けどね、キミを殺せばこの情勢がどうなるか大凡の予想も立てれる。きっとボクら『呪われた子供達』は駆逐されるか、モルモットだね」

 

 我ながら、言ってて悲しくなる。

 この聖天子がいるからこそ、ボクらの未来が少しは明るい訳で。ボク自身はソレを望んでいる筈なのに、ボクは彼女を殺そうとしている。

 愚か者を通り越して、滑稽だ。

 自嘲していると、軽く彼女が身動ぎシーツを乱す。麻痺毒が少量すぎたのか、それとも耐性があるのか。一応、話を聞きたい所もあったし前者であってほしい。

 

 足を進めて、ベッドへと乗る。聖天子を跨ぎ、両手を彼女の顔の横へと置いた。

 襲撃者に襲われているというのに、彼女は相変わらず気丈にボクを睨みつけている。こうしていると、僕だった頃の情欲とかを思い出すけれど、ボクとしては何も感じない。

 いいや、僕が情欲を思い出しているのだから、ボクもそれなりに美女を押し倒しているという状況に酔っているかもしれないが……。どうだろうか。応える存在など居やしないけど。

 

 スプリング以外の振動がボクに伝わる。当然、聖天子の動きによる振動ではない。

 ボクは後ろを振り向き、目を閉じて辺りを確認する。そうすれば、人が何人か集まってきている様だ。

 ボクは口を尖らせてみせて聖天子に向き直る。

 

「バレちゃったみたい」

 

 少し不満げに声を漏らしてから、笑顔を浮かべる。そのままベッドを離れて、窓を開く。フワリと風に混ざって、汗の匂いが舌に付いた。嫌な匂いだ。

 取っ手に差し込んでいたブロードソードを持ち、少しだけ考える。

 

 殺すか、殺さないか。

 ……少しだけ考えて。どうしようもない未来をどうにかしたくて。彼女に賭けてみよう。

 

「ボクは帰るよ。明日、また来るけれど……よければ鍵を開けといて」

 

 鞘ごと握り、勢いよく引き抜く。そのままの勢いで窓へと走り、手すりに足を掛けて跳躍。

 後は逃げるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

 翌日。ポケットに入れていた懐中時計を開き時刻を確認する。昨日と同じ時間だ。

 

 流石に同じルートだとバレてしまうとも思ったけれど、どうやらそんな事もなくボクは易々とバルコニーへと着地した。

 どうやらココの警備隊は無能揃いみたい。

 侵入者ながら、心配になる。尤も、入り込むのが楽という点では感謝しているけれど。

 

 さて、目の前には変わらず難攻不落の鉄壁が存在している。

 ボクの話に興味を持たなかったなら、鍵は掛けられていて、コレに触れてもウンともスンとも言わないだろう。文字通り、難攻不落である。

 尤も、ソレが一番頭のイイ、というよりマトモな人間の思考だ。襲撃者が翌日に来訪するという馬鹿げた宣言をしたのだから、戸締りはしっかりとしているだろう。

 

 ボクの話に興味を持ったなら、きっと鍵は開いている筈だ。ボクが少し力を加えれば花開く蕾のように軽やかに窓は開くだろう。

 そうだったなら、きっと彼女は法案を心底望んでいる愚か者だ。そしてボクらの救世主でもある。開いていたならメシア様と呼んであげよう。当然、冗談みたいな話であるが。

 

 マトモに考えれば、窓を開いても聖天子は居らず、警備隊のむさ苦しい男達が存在して、ボクに銃を突きつけている筈だ。

 

 そこまで考えて、溜め息を吐き出す。

 ボクは窓へと手を当てて、ゆっくりと力を加えた。

 

「ようこそいらっしゃいました」

「こんばんは、メシア様」

「メシア?」

「気にしなくていいよ。冗談さ」

 

 どうやら国家元首様は愚か者だったみたい。

 ボクは自然と笑顔になってしまう。任せてもいい、とは思えないけれど、賭けたのは合っていた様だ。

 

 周りを見渡せば、どうやら本当に一人の様で、扉の前には昨日は二人だったのに四人になった警護人。

 

「……申し訳ありません。扉にいる方達は(わたくし)の見張りもかねていますので」

 

 扉を見ているボクを見て、少しだけ申し訳無さそうに声を出した国家元首殿。

 一応、ボクは襲撃者であり、そして彼女は被害者である筈なんだけれど……。心遣いには感謝しておこう。

 

「見た目によらずお転婆って事?」

「そうではありません!」

 

 少しだけ怒った様に声を出した聖天子はハッとしたように溜め息を吐き出す。どうやらからかわれた事に気付いたのだろう。

 ボクはクツクツと喉で笑ってみせる。どうやらちゃんと少女らしい性格も持ち合わせているらしい。少しだけ安心した。

 

「そうだ、聖天子様。ココの警備隊、どうなってるの? 昨日と同じルートで侵入したけどノーマークなんだけど?」

「私が警備しなくていいと言いましたから」

「……ん? ボクのくるルートがわかってたの? なんで?」

 

 首を傾げてみせれば彼女は一枚の紙を取り出す。あー、と声を出したボクはその紙に見覚えがあった。そういえばポケットの中に入れていた様な気がしたし、何処かで捨てたのだろうと勝手に勘違いしていた。

 イヤー、ウッカリダナー。

 

「なるほど。キミがとてもバカって事はよくわかったよ」

「バカとはなんですか……」

「国家元首としてのソレがなってないって事。普通なら相手の侵入位置で待ち伏せとか、色々あるよ……まあ、それでボクはココにいるんだから糾弾も出来ないけどね」

 

 まったく嫌になるよ、と肩を竦めて頭を振ってみせる。そうやって大きく表現してやれば、彼女はクスリと笑う。

 こうして着々と歩み寄ってはいるけれど。ボクが襲撃者って事、わかってるのかな。

 

「さ、昨日の話の続きをしようか。聖天子様」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクの目的は昨日言ったけど、キミを殺さないといけない。けれど、キミを殺すとボクら『呪われた子供達』の未来がもれなく真っ暗だ。

 いいや、真っ暗なら崖か道かもわからない分いいけど。塀の中か、実験施設か、もしくはガストレアの群れの中か。わかる分、嫌だね、まったく」

「そう思うなら、なぜ私を殺すのですか?」

「簡単に言えば、人質かな。

 ……どっちに転んでもって話だけどね」

 

 準備された椅子に座って、机に頬杖を付いて溜め息を吐く。ボクの行動としては八方塞がりである。

 あの時点で依頼を受けない選択はなかったけれど、依頼を受けても未来的には代わらない。いや、人生単位で考えればロシアン・ルーレットをした人間もご長寿大賞で表彰された人間も結果は変わらないのだが。

 

「まあ、キミを殺す事でボクらの未来は少しだけ繋がる。キミを殺さないよりはね」

「私は国家元首として恥じぬ行動をしているつもりです。もしそれによって命を落とすのが運命ならば、私はソレを受け入れます」

「…………うーん。まあ、そんな事どうでもいいよ」

「ど、どうでも」

「うん。どーでもいい。

 そもそも国家元首として恥じぬ行動をしているんだったら、キミは今すぐ悲鳴を上げてボクを捕縛すべきだ。ソレをしないのはキミが国家元首としてはオカシイ行動をしている事になる。

 ……まあ、ボクがキミを殺して、『呪われた子供達』を駆逐する算段だったなら確かに国家元首としては正しいけど」

「私はそんな事を思ってません」

「じゃあさ、何を思ってボクをココに入れたのさ」

 

 ボクは彼女を見つめる。見つめてみれば彼女もボクの瞳をしっかりと見ている事に気付く。別に心が篭ってるだの、真摯だの、彼女の想いが乗せられてるだの、そんな事は決してわからないけれど。

 

(わたし)は平和を望んで、平和を体現します。だからこそ、アナタを部屋に入れ、話を聞きたいと思いました」

「襲撃者のボクを?」

「はい。私の望む平和には子供達も含まれて居ますから」

「……ま、どうでもいいけどさ」

 

 どうでもいい、なんて言ってみたけど口にはどうしても笑みが浮かんでしまう。平和? 平和だって? 本気なのか、この娘。

 ガストレア新法なんて法案を掲げているから、狸かと思ったけれど、何てことは無い。脳内に花が咲き誇っているだけだった。勿論、そっちの方が好ましいのだけれど。

 

「じゃあさ……そうだね、ボクは子供達を守る為に沢山の人を殺した。そうしないと守れなかった、という訳じゃないけれど、ボクにはその選択肢しか存在しなかったと言うべきかな」

「……もしかして、連続無差別殺人の?」

「そう。別に無差別って訳じゃない。なんとか何人かの子供は生きてる内に助けれたけど、ボクは万能じゃない。死んだ子も沢山いるよ……沢山ね。

 死んじゃった子……殺された子達の死体もちゃんと現場に残してるんだけど、報道もされないし。警察が色々根回ししてるんじゃないかな?」

「そう……ですか」

「たぶんね。キミへの情報はある程度規制されてるんじゃないかな。それは知ったことじゃないけど。

 

 ま、何度も言うようだけど、ボクは殺人者だ。殺人鬼? どっちでもいいけど、人を殺している。理由は『呪われた子供達』を守る為だ。

 キミにとって、ボクは悪かな?」

 

 そうボクが聞いてみれば、彼女は顔を伏せて考える。即答されるかと思っていたけど、どうやら違うみたいだ。

 

「……少なくとも、正義ではありません」

「そうだね。でも、ボクは守る為に殺すよ」

「子供達を殺した犯人は法により裁かれねばなりません」

「奇遇だね、ボクもそう思うよ」

「なら」

「……例えばの話。呪われた子供を一人殺した男がいた。ボクはその男を通報して、敢え無く逮捕された。実に呆気なかった。現場検証されて、呪われた子供が被害者だとわかると男は釈放された。

 

 そんな沈痛な顔をしないでよ。言ったでしょ、例え話だって。たとえ、喩えても例えようがない……例え話さ」

 

 頭を抑えながら溜め息を吐き出す。どうしようもなく無力を感じたあの日。まだ狂っていなかったボクの世界。いいや、元々狂っていたのだろうか。それこそ、どうでもいい話だ。

 

「だからと言って、アナタが裁いていい訳ではありません!」

「そうだね。けれど、罪には罰が必要だ」

「ガストレア新法なら『呪われた子供達』にも人権が」

「そうだね……。じゃあさ、ソレはいつになれば決まるのかな? 今すぐ? 明日? 明後日? 一ヵ月後? 半年後? 来年? それとも来世かな」

「ッ……」

「別に責めてる訳じゃないよ。あの法案が通ればそれこそ『呪われた子供達』は救われるし、ボク個人としてはキミの事を応援している。

 でもね、それじゃあ遅いんだよ。今を生きているボクらはガストレア新法(そんなもの)を待ってる程気長には待てない。明日は我が身、なんて切羽詰っている訳じゃないけど、ある意味ボクらに人権なんて存在してないからね。

 

 だから、ボクは彼女達を守る為に殺すよ。恐怖で抑制されるならそっちの方がいい」

「…………」

「一応、キミがブレる事の無い様に言っておこう。

 

 

 ボクは悪だよ」

 

 

 

 

 

◆◆

 

「やあ、久しいね」

 

 ボクの目の前には男がいた。相変わらず存在も分からず、匂いも無い。

 

「どうやら、随分と仲良くなったみたいじゃないか」

「用は?」

「依頼は覚えているだろ? 依頼を達成しなかったら」

「子供達を殺す。わかってるよ……それだけ?」

「わかっているならいいさ。期日が迫っていることもわかっていれば、ね」

 

 それだけを言い残して男は姿を消した。座っていたキャリーバッグを残して。手を伸ばして、キャリーバッグを開く。予想していた通りのモノが出てきて、思わず眉間を寄せる。

 吐き出したくなるような鉄の匂いと流れ出す赤の液体。虚ろな赤い瞳と涙の跡。ご丁寧にもキャリーバッグに収まるようにパーツに分けられた腕と脚。

 奥歯を噛み締めて、心の奥からの謝罪を吐き出す。何度謝った所できっと彼女には届かないだろうけど、せめて自己満足であろうとも謝らせてほしい。

 よく見知った顔を抱き締めて。よく撫でた髪を撫でて。けれど、彼女のはにかんだ顔は見れない。照れたように喜ぶ声が聞こえない。

 

 きっとボクの耳が、ボクの瞳がおかしいのだ。

 

 

 きっと、この世界がオカシイのダ。

 

 

◆◆

 

 

 ボクはいつもの様にバルコニーへと身を躍らせ、そして窓を開いた。

 

「今日は少し早いですね」

「スグに会いたくてね」

 

 窓をしっかりと閉じて、聖天子を見つめる。ベッドに腰掛けていた彼女はボクの来訪に立ち上がったけれど、ボクはソレを手で制した。

 少しだけ首を傾げてみせた彼女に笑顔を見せる。

 

「どうかされたのですか?」

「ねえ、聖天子……

 

 

 

 

 

 ボクの為に死んでよ」

 

 ボクは彼女の言葉も聞かずに喉へと手を伸ばした。しっかりと細い喉を掴んだボクは彼女をそのままベッドへと押し倒した。

 音を聞きつけたのか、扉が盛大に開かれ、男達の声が聞こえたが、そんな事知ったことではない。どうでもいい事だ。

 聖天子を殺さなければ、また彼女達が殺されてしまう。ただ殺されるならどれ程楽だろうか。ボクを追い詰めるだけ為にいたぶられる事よりもずっと楽だ。

 

「ッ―、下がりなさい!」

 

 喉を押し付けているというのに、聖天子は声を張り上げて警備隊を制した。警護人たちはその場で足を止めてボクらを見ている。

 彼女はボクの顔を見て、そして苦笑している。

 まるで呆れた様に笑い、手を伸ばしてボクの頬に触れた。

 

「前の問いかけの答えを準備しました」

「前の?」

「アナタが正義か、悪か。国家元首としての(わたくし)はアナタを悪だと糾弾しましょう」

「当然だ。ボクは人殺しで、悪なんだから」

「ですが、人を殺すのにこれほど悲しい顔をした人を個人である(わたし)は悪だと言いません。ましてや、死ぬために私の首を絞める格好だけのアナタを悪だとは言いません」

 

 ボクは口をへの字に変えて首から手を離す。そのまま手を上げて降参の意志を示す。そうすれば警護人達が動き出し、ボクの両手を押さえ込む。

 

「やめてください」

「しかし」

「彼女は私の客人です」

 

 それだけをピシリと言った彼女はしっかりと警護人を見て、次第にボクへと加わる力が抜けていく。

 ボクは溜め息を吐き出して、聖天子を見る。

 

「見かけによらずお転婆だ」

「知らなかったんですか? 私もです」

 

 お互い、可笑しくなって吹き出す。警護人達は何がなんだか分からないように互いに顔を見合わせて疑問を表情に表している。

 ボクはブロードソードを鞘に入ったまま外し、警護人へと渡す。戦闘の意志はない。

 それこそ聖天子を元々殺すつもりだったならば、態々音を立てて彼女を押し倒すよりも、ブロードソードで破壊した方が早い。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そうですか」

 

 現状を彼女へと語った時の反応は随分と小さいモノだった。当然、少女が死んだ事は伝えたが、死体の状態は語っていない。それは彼女が知らなくてイイ情報だ。

 

「アッチの大きさはわかんないし……居場所も不明。嫌になっちゃうよ」

「……わかりました」

「ああ、探すとか言わないでね」

「安心してください」

「よかった。ちょっとは国家元首として」

「もう既に探し出してます」

「…………嬉しい情報だけど、頭が痛いよ」

 

 もしかして私兵を動かしたのだろうか。そうなら、警護人の人たちも含めて随分と悪い事をした。

 

「なら情報を頂戴。すぐに行ってくるから」

「そうですね、行きましょう」

「…………ん?」

「はい。ですから、行きましょう」

「なんで聖天子も準備してるの?」

「平和の体現の為です。これで少しは糧になるでしょう」

「あのさ、キミが殺されるとボクらが困るんだけど?」

「その時はそういう運命だったと」

「国家元首としての行動はどうした、国家元首」

「理想も語れない人間にも、友人の助けになれない人間にも、私はなりたくありません」

「…………」

 

 友人、と言ってくれるのは嬉しい。それは単純に嬉しい事だ。けれど、客人であるボクの立場は少し違えば襲撃者だ。それも未遂犯である。

 

「キミはもっと自分を大切にした方がいいよ」

「アナタに言われたくありません」

「……それもそうか。どうでもいいけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 車に揺られて数十分。目的地は港の倉庫の中である。車から降りたボクは舌を出して、口へと戻す。

 潮の匂いと僅かに香る火薬の匂い。そしてガストレアの匂い。

 

「ボクが行くよ」

 

 私兵を動かさないように彼女に伝えて、ボクが一歩前へと進む。シャッターを上げれば、そこには一体の巨大なガストレアが居た。

 大きな口には小さな腕が垂れ下がっていて、その巨体の後ろには見知った子供達が怯える様に縮こまっている。その子供達がボクを見つけた様で泣いてボクへと助けを求めている。

 

 ああ、なんだ。それだけで十分理由になるじゃないか。

 

 ボクは跳躍して、天井を足場にし、ガストレアの脳天からブロードソードを突き刺す。そのまま地面へと向かい、盛大に音を立ててガストレアを地面に縫い付けた。

 息を吐き出して、子供達を見て微笑む。

 涙を溜め込んだ子供達がボクへと走って、途中でこけて、それでも走ってボクへと抱きついた。

 少し減ったけれど、それでもボクの大切は守られらた。生きている彼女達は絶対に守らないといけない。

 

 シャッターが開き、聖天子と私兵が入ってくる。

 聖天子は子供達に泣き付かれているボクを見て苦笑している。

 

 

 その聖天子の胸元に赤い光が点る。

 ボクの足は自然と動いていて、子供達を抜けて更に一歩踏み込む。

 聖天子へ飛び込む様にして抱きつく。少しの痛みの後に地面へと聖天子を押し倒した。

 抱きついたボクの背中を触って、彼女が目を見開く。何かを叫んで、私兵に命令を下している。

 ボクは舌を少しだして、匂いを確かめて、重くなった腕を持ち上げて指を向ける。どうやら優秀な私兵の皆様はその意志を汲み取ってくれるらしくソチラへと走りだした。

 

 ボクはソレを確認して、腕をゆっくりと下ろす。

 下ろそうとした腕は聖天使に掴まれ、地面へと下ろすことは出来なかった。

 ボクに向かって何かを叫んでいる聖天子。見たことも無い必死な顔で、ボクに向かって何かを叫んでいる。

 きっと生きてくれとか、死なないで、なんて言ってるのだろう。そっちの方が嬉しいし、そう思っておこう。

 

 ボクは少しだけ億劫に、力を入れないと出ない声を頑張って出す。コレはボクの信条であり、そして常に守っていた事だ。

 当たり前の事で、そして決して当たり前ではなかった事。

 

「罪には……罰を……」

 

 果たして、大切な人を守る為に使う命は罰なのだろうか。

 

 それは、裁く存在にしかわからないことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

「だから、大丈夫だって」

「いけません。もう少し安静にしておいてください」

「たかだか銃弾を受けた程度でこんな扱いは無いよ」

「銃弾を受けたのですから、当然です」

 

 ムッとした顔でボクを見る彼女。ボクは彼女のベッドで横になっていてシーツを被せられている。

 ガストレア因子が多少含まれている『呪われた子供』が普通の銃弾を背中に受けた程度に死ぬわけないのに、彼女は随分と心配性だ。

 

「で、子供達は?」

「彼女達は私が保護しています。信頼の置ける施設に預けてはいますが」

「そっか。キミがそう言うなら安心するよ」

 

 どうやら無事らしい。それに聖天子の息が掛かった施設なのだから、ヘタな事はしないだろう。

 

「……それで、アナタへの罰なのですが」

「うん。散々殺したからね。死刑でも何でも受けるよ。ガストレア新法も近いうちに決まりそうだし」

「はい。私は死ぬ訳にはいかなくなりました」

「そりゃぁ大変だ。精々ちゃんと生きてよ」

「そうですね。では、ちゃんと私を守ってくださいね?」

 

 彼女はニッコリとボクに笑顔を向けている。

 ボクはどうしてか痛みだす頭を抑えて、えっと、と声を繋ぐ。

 

「つまり……」

「私の警護役です」

「……いや、望む人は沢山いるんじゃないの? 知らないけど」

「そうですね。公式ではそちらから選出されます」

「あのさ。一応、ボクって犯罪者なんだよ? それこそ世間では悪って言われてる存在だよ?」

「知ってましたか? 誅と壁に書いていた連続無差別殺人事件の犯人は捕まって、何処かに投獄されたそうですよ?」

「……頭が痛いなぁ」

 

 どうやら逃げ場は無いらしい。どうでもいいけど。

 ボクの自由と引き換えに子供達を守る。そして、ボクの友人を守る。

 罰にしては、随分と随分だ。コレを罰と言うならボクはキリスト教にでもなった方がいいかも知れない。生きてる事が贖罪と唱っていたのはキリスト教だっけか? まあ、どうでもいいか。

 

「キミは見た目よりも狸だったのか」

「……そんなに太ってみえますか?」

「そういう事じゃないよ……」

「あ、そうです。首輪とかしますか? 一応、繋いでおかないとドコに行くかわかりませんし」

「人を犬か何かだと勘違いしてはいないか?」

 

 やっぱりボクの頭痛は治まることはないようだ。




主人公
 モデル・スネークのイニシエーター。正式にイニシエーターとしての登録はしていないので名義的にイニシエーターと名乗っているだけ。
 元々は『僕』という人間であり、何かしらが作用してソレがボクへと生まれ変わった。
 生きている事に無頓着で、目的の為に死ぬなら本望なんじゃね?という考え。
 死ぬ事を望んでいる訳でも無いので、かなり自由に生きている存在。


アトガキ
 まずは読了ありがとうございます。
 猫毛布と申します。

 活動報告にも書いたのですが、『呪われた子供達』を助ける為に人を殺す事って正しい事なの? っていうのがコレの根底です。
 当然、正しくはありません。正しくない事ですが、正しいと思える行為です。
 実際どうなのかなんて分かりません。
 差別されている人間が差別している人間を殺している、となんら変わりないですし。

 主人公も言ってますが、罪には罰が必要です。
 最初の構成では主人公殺して「これが罰やで!」みたいな事をしたかったのですが生き残りやがりました。まだまだ構成が甘いようです。次は殺してみせます。
 冗談、なのかどうかはさておき。

 どうして主人公が蛇なのか、という話。
 構成途中では、ピット器官とかを用いて『伝説の蛇』よろしく潜入ミッションしようとか考えていたのですが、いざ書いてみると、「よっしゃ、物理で突破や!」と……随分と自由な主人公でした。誰だ、こんな主人公にしたのは……。
 そこから聖天子様への首チュウを決めて、本格的に蛇に決定。死と再生を意味するだの謂われているので、ちょっとした転生みたいな感じになってます。
 舌を出したりしてたのは、ヤコブソン器官に匂いの粒子を送っていたからです。少なからずガストレア因子もあるし、テキトーに強化すりゃぁいいかーって根元が丸見えですね。
 一応、ブロードソードを持っていますが、足の筋肉が素晴らしいモノなので蹴りの方が強かったりします。この幼女、足がすっきりしてて、触れば少し硬くてフニフニなんだぜ……。


 謎の男に関して
 適当に出しただけだなんて言える訳がありません。
 聖天子様への突撃の際に、ていのいい理由がなくてデスね……。
 まあ、聖天子様の行動は目に着くし、ガストレア新法が公布されたら困る人も多いでしょうし……。
 ピット器官とか、振動に反応しなかった理由? あれですよ、主人公に会うのに身体を冷やしていったんですよ(ナゲヤリー


 聖天子様
 アイドル国家元首様。可愛い、綺麗、ちょっと天然、貧乳というステキ要素の入った美女。美女というほどの年齢でも無いけど。
 今作に置いては主人公との対比者です。
 未来の為に法案を作る彼女と今を生きる為に人を殺す主人公。
 同じ方向を向いている筈なんですけど、随分と違います。だから主人公は死ぬべきだったんですけどね……。
 一応、政治家でもあるのでちょっと狸っぽい印象……でも天然要素の方が大きいんだよなぁ……



 罪を裁く存在。
 神様とか、そういう人間ではなくて超常現象的な第三者である存在。



 時系列
 七星の遺産の取り合い前。だから原作よりも少し前。
 原作メンバーに絡ませようとするなら、ティナちゃん襲撃の時だと思います。

「里見さん。紹介します」
「(『呪われた子供?』) この子は?」
「私の警護役です」
「ハジメマシテ、里見くん。ボクは少し前に連続殺人をしていた犯人さ」
「なっ!?」
「聖天子、これが普通の反応だ」
「そうなんですか?」

 こんな感じに少し抜けてる会話が思いつきましたが、連載はしません。ムリポ。



 アトガキに書きたいことも書き終わったので、これにて閉幕。
 何か矛盾点……は沢山ありますが、気になる事などありましたら感想か、私へメッセージを下さい。遅くはなると思いますが、ちゃんと返そうとは思います。(返すとは言っていない

 二度目になりますが、

 読んでいただきありがとうございました。


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