めんどくさがり屋の極地 (暇人)
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1話目

思いつき。


 

 

 

『ごめん……もうお前とは仲良くできない』

『あいつに関われば内申点が悪くなる』

『お前と仲良くしてたら理事長に目をつけられるんだ…』

 

 

 

そんな言葉を投げかけられる1人の男がいた。

伐刀者としての才能が最底辺の男。

そんな境遇にも負けず足掻き続けていた時の出来事だった。

 

しかし、友達も家族も周りの人は彼を避けられ孤立していく中ででも彼は腐ることなく努力を続けた。

 

──こんなのは昔からのこと、今に始まったことじゃない。

 

思い込み続け誰にも恨み辛みを吐き出すことなくただただ努力をし続けた。

最底辺でも強くなれると、最弱でも最強に手が届くと。

 

そんな日々の中、ある日の事だった。

男はひとつの出会いを果たした。

 

「あ、おたく新入生?悪いけどさ、財布忘れたから飲み物ひとつ奢ってくんね?」

 

腕をまくった黒いワイシャツに緩めた白いネクタイ。

ブレザーを腰に巻き寝癖が目立つ短髪の黒髪を指で掻きながらへらへらした様相で彼は立っていた。

 

後に男は彼のことをこう評した。

 

──めんどくさがり屋の極地

 

と……、

 

 

 

●●●●●

 

 

 

「──40、41、42、43と……乙ー」

「はぁ……はぁ……、タイムは、どうですか?」

「お前タイム縮めようとしすぎてペース配分間違えたな。昨日より47秒遅くなってる」

 

その言葉を聞き男、『黒鉄一輝』は地面に仰向けへと倒れた。

 

「体力なんて日々の積み重ねなんだから変に負荷を変えちゃダメダメ。明日からは気をつけるよーに」

「は、はい……いや全くもってその通りです」

 

そうしてはははと笑うイッキ。

そんな彼に目もくれず、タイマーの時間をメモに記す男。

 

「……先輩」

「んー?」

「ほんとにいいんですか?僕なんかに付き合ってもらっちゃって」

「あーいーのいーの。この学校の方針とか嫌いだから。留年されても別に気にせんし」

「あの、それ僕が気にするんですけど…」

「ばっかでぃ。いいか?留年するということは他の人よりも長く学生でいられるわけだ。みんなが社会人になってる時俺はまだ学生。人より多く気楽に生きてられるって訳」

「……それ後々辛くなるんじゃないですか?」

「そん時はそんとき考えればいいでしょー、と」

 

イッキの言葉を飄々と受け流す男。

彼はイッキの1つ上の学年。つまり"2年生"である。

 

今の時間帯、本来なら学生らしく勉学に励んでいる時間であるが、イッキは学園の方針ゆえ、と言うよりも嫌がらせで学業に参加出来ず、男はその方針を嫌い、半ば学園と不仲な関係にあるためにボイコット中なのだ。

 

「クソみたいな学園の内申点気にするよか、将来有望な後輩に唾つけといた方が後々良いことあるって俺のカンが言ってるってわけよ」

「あ、相変わらずですね先輩は」

 

先輩の言葉に苦笑いがこぼれるイッキ。

しかしながら彼はそんな先輩に対して感謝している。

 

 

 

『……こうはーい。飯食いに行こうや。今金ないからお前の奢りな』

 

 

 

イッキはそう言って教室に入ってきた先輩の姿を思い出していた。

 

周りから除け者扱いされ、下に見られ、バカにされ。

そんな同級生を容易く地面に倒し現れる先輩はイッキからは輝いて見えた。

 

周りの目を気にせず、嫌なことはとことん嫌い、好きなことだけして生きていく自由な人。

……多少自由すぎてイッキ自身振り回されてる節もあるがそれでも今まで出会ったことがなかったタイプの人。

 

イッキが懐くのも早いものだった。

 

「……先輩、一手ご指南下さい」

「えー、また?ぼーっとしながらタイム測るならまだしも俺汗かきたく「お昼は僕が持ちます」よし、早速やろうすぐやろうなうでプレイしよう」

 

イッキの言葉に高速手のひら返しを披露する先輩。

そんな現金な彼に呆れた笑みがこぼれるイッキ。

 

めんどいけど昼飯のためならがんばるかーと言葉をこぼし屈伸する彼を横目にイッキもまた呟いた。

 

「来てくれ、『陰鉄』」

 

手を前にかざすと青白い光がイッキの目の前に集まりだした。

それはやがて固まりとなり、それを掴むと次の瞬間、その手には1本の刀後握られていた。

 

「準備オーケー?」

「はい!」

 

目の前に立つ男に剣先を向け構える。

男は気だるそうに首に手を当て骨を鳴らしていた。

固有霊装は出していない。

 

「よーし。……あ」

「……?」

「俺お昼ステーキ食いたい」

「……わ、分かりました」

 

そんなバトルの前に似つかわしくない言葉にイッキは困惑……はしていない。ただ、軽くなることが確定した自身の財布の中身に思いを馳せていた。

 

「そんじゃやるか。……奉れ、『九天鏡谷』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは落第騎士と最強のサボり魔の物語である。




モチベがあったら続くよ。応援してね。


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2話目

綱彌代時灘あまり知ってる人いない感じなのかな。自分はめっちゃ好き。
ただこの話の主人公はどちらかと言うと綱彌代時灘と真逆の性格にしていきたいと思ってる。


 

 

 

「剣を振る時に考えていることぉ?」

 

ある日のお昼時。いつものファミレスに2人はいた。

 

イッキはいつものように自身の財布が軽くなるほどの量を食べる先輩に問いかけた質問を投げかけ、それに対して彼は眉をひそめた。

 

「はい。先輩の剣はなんと言うか……読めないんですよ。気がつけば斬られてるというか……すいません。言葉が」

「あーいいよ、何となく言いたいこと分かるから。……ふーむ」

 

イッキの言葉に先輩は顎に手を当て考える。

彼に師はいない。扱う剣技も剣技と呼べるものでは無い。

 

「……お前ってさ、あれあるじゃん。相手の剣の……なんたかを盗むやつ」

「え?あ、模倣剣技(ブレイドスティール)ですか?」

「そうそれ。んで前にさ、俺自分の剣はただのチャンバラごっこって言ったことあるじゃん?」

「……そうですね」

 

先輩の言葉に困惑しながらも頷くイッキ。

相槌を打つもあまり理解はできてない様子。

 

「結局俺って他の奴らと違って剣の技術とか格闘技術とか習ってないわけよ。だから俺の振る剣って言葉通りただ振ってるだけ。お前の相手の剣の理を読んで剣技を模倣するって力が俺に効かないのはそもそも理もへったくれもないからって話。前にしたことあったっけ?」

「……しましたね。それが先輩の攻撃を見切れない理由なんですか?」

 

今までの言葉に怪訝な顔を浮かべるイッキ。

自分が先輩の剣を真似れない理由、そこまでは理解出来た。だが、雑に振られる剣なら普通なら余裕で対処出来る。

イッキは言葉にしないだけでそう思っていた。

そんなイッキを待て待てと先輩は手で制した。

 

「あー違う違う。俺がなんでそんな戦い方をしてるかって話なわけよ」

 

そう言いながらチッチッと指を振る先輩。

 

「いいか?俺は自他ともに認めるめんどくさがり屋だ。それは日常生活から当然戦闘に関してまで適応される。俺はお前らみたいに戦うことに特別感も充実感も高揚感も持ってないんだ。ただただめんどくさい。ここまではお前も理解できてるな?」

「……はい」

 

「おk。そんじゃ話は変わって戦国時代の武将たちの話をしよう。刀と刀の切っ先が向かい合い、両者睨み合いが続く。この時の武将たちはただ睨み合ってるだけかな?」

「いえ、相手の出方を伺ってる……ってとこでしょうか?」

 

「正解〜、ピンポンピンポーン。戦いというのは言わば意識の読み合いだ。相手がどう動いてくるのか。それに合わせて自分がどう動くか。はたまた相手を動かせないためには自分はどう動き出すのか。こう来たらこう、ああ来たらああやって……そんなのをみーんな無意識でやるわけだ」

 

そこまで一気に話した先輩はフォークを手に取りさらに乗せられてるハンバーグへ突き刺し、そのまま一口で口の中へと放り込んだ。

 

モゴモゴ口を動かし喉へ胃へと落とし、近くに置いてあるコーラを飲み一息つく。

 

「ぷふー。……さて、イッキ君や。攻撃というのはいつから始まると思う?」

「……攻撃を仕掛けようとした時、ですか?」

「惜しい。いいとこまで行ってたんだけどね。正解はこれ…!」

 

そこまで言った途端に先輩はテーブルに足を乗せ、そのまま向かいに座るイッキの元へと手にしたフォークを突き刺しに行った。

 

しかし、イッキもまた驚きはしたもののフォークを手にした先輩の腕をガッチリとつかみ阻止。

 

「正解は"攻撃をしようと意識した時"からでした」

「……いきなりは驚くのでやめてくださいよ」

「優秀な後輩ならちゃんと受け止めてくれると信頼したゆえの行動だと思ってもらいたいね」

 

そうしてへらへらと笑いなが周りの客や店員さんへと喧嘩じゃないですからねーなんてことを手を振りながら席へと座り直した。

 

「さ、そんな事で俺が闘いの最中に考えてることを答えてしんぜよう。意識の読み合いの最中、緊迫張り詰める状況、その中で俺は……"何も考えてない"でした」

「……何も、ですか?」

「何もじゃないか。イッキに何奢ってもらおうかなーとかそういえば新作のポケ○ンが発売されるなーとか。ちなみに今日はコンビニで立ち読みしたグラビアのとある娘のおっぱいデカかったなー名前はなんて言うんだろうなーってことを考えてたわ」

 

そう言ってコーラを飲む先輩を見ながらイッキは衝撃を受けた。

 

何も考えない。

簡単そうに言うがそれの難易度がどれほどのことかをイッキは理解していた。

 

無意識、無殺意で相手を攻撃するなど、

 

「……武の極地…!」

「そんな大層なものじゃないがね。聞くけど俺の基本的な戦い方ってどんなだ?」

「……完全受け身のカウンタータイプ。……まさか」

「気づいた?攻撃しようとこちらから動けばその時点で意識が生まれる。だから待つ。待って、向かって来たところをズッパリってね。感覚的には、表現が悪いけどいきなり顔の前に飛んできたハエを反射的に潰すみたいな感じだな。反射で動くってことは無意識だから。まあ、この戦い方は俺の能力とも相性がいいしな」

 

明かされた真実に空いた口が塞がらない。

固まるイッキだったがやがてその口を開いた。

 

「よく、そんな戦い方思いつきましたね」

「楽に勝つためにはどうするかと考えた結果だな。色々調べに調べ強いやつに共通する部分の隙を突いただけよ。最低限の仕事で最大限の結果を産む。我ながら天才」

「……努力してたんですね」

「だっはー、いきなり失礼ー。まあ、後々楽するために効率のいいやり方を模索する位はするわな。未来の楽のために現在の苦労は必要な犠牲ってやつだ」

 

めんどくさがり屋故の楽をするための戦闘法。戦いに関しての圧倒的なまでの無関心。

 

通常、研鑽に研鑽を重ね一生のうちにたどり着くか着かないか。それほどの極地にただただ楽をするためだけという理由でたどり着いた男。

 

「……武の極地ならぬめんどくさがり屋の極地、ですか」

「何?褒めてる?バカにしてる?」

「いえ……ただ、どんな事でも突き詰めてしまえばそれもひとつの才能になるんですね」

「そらな。古武術とかでも歩く、走るといった動作も突き詰めてしまえば特殊な歩法になる。要は自分の持ち味を活かせってことだ」

 

その言葉に目からウロコが零れる感覚を感じるイッキ。

自分の持ち味、それはなんなのか。

 

しかし、それでも確実に強くなるためのピースを手に入れることが出来た。

 

「さ、飯も食った。さっさと出るぞー。じゃないと授業終わりの学生さんらと鉢合わせになっちまう」

「そうですね。出ましょうか」

 

そうして会計を済ませ外へと出た2人。

その時だった。先輩の携帯が震えた。

 

取り出してみると、

 

「……はぁ」

「…?どうかしました?」

「いや、ただの呼び出しだ」

 

そう言いイッキに向けられた画面に映っていた名前は先輩の担任の名前だった。




タイトル適当につけすぎたなと思ってるんで誰か考えてくれ。タイトルとかつけるセンスが作者には皆無なんじゃ。

……主人公の本当の固有霊装はいつ出てくることになるんだろうなぁ。


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3話目

主人公の名前はいつ出てくるんだろうか?そもそも出るのだろうか?なんなら名前なんて考えてないかもしれない?(一応考えてはいる)


 

 

 

「黒鉄一輝とはもう関わるな」

 

呼び出しを食らった先輩は担任の元へと来た途端にそう言われた。

 

そんな言葉に彼はだるそうに頭をポリポリと掻きながら口を開いた。

 

「なんでぇ?」

「あの男には孤立していてもらわなければならない。目立つことはおろか、世間にあの男の存在を知られるわけにはいかないのだ」

「まーたそれぇ?もういいってそういうの。上の方もそろそろ黙ってろって」

「………」

 

ヤレヤレと呆れる先輩を視界に収める担任は無言を返した。

 

「……黒鉄家からFランクの騎士なぞ排出したら家名に泥が着く。お前もわかるだろ?」

「だから陥れるって?……それに関して俺は疑問しかないけどね」

「……何?」

「才能が最底辺のFランクも活躍できるってなればさすが名門黒鉄家と思われると俺は思うんだけどね。それなのに陥れる理由って、家名に泥を塗られたくないから。……なのかねぇ?」

「お前が気にすることでは無い。いいから黙って従え」

「だったら俺からも言わせてもらうが、俺のプライベートの友達付き合いをセンセにあーだこーだ言われる筋合いねーんですよ」

 

まさに一触即発。険悪な空気がその場に流れ2人の視線が交差した。

 

「……筆記も実技も問題なし。サボり癖はあるが最低限の単位は取ってる。このまま行けば問題なく平和に暮らせるが?」

「脅し?別に俺は気にしねーんで好きにやれば?」

「……後悔するぞ?」

「それは俺が?それとも……そっちが?」

 

脅しの言葉と煽りの言葉が職員室に響く。

周りの教員らも先輩に対して少し怒気を孕んだ視線を向けていた。

 

「……はぁ、もういい話は終わりだ。行け」

「あいあいさー」

 

そうして先輩は踵を返しその場を後にした。

 

 

 

職員室を出て廊下を歩いていると見知った顔が向こうからやってきた。

 

「おー、ユリちゃんセンセ」

「あ、久しぶりねー。元気してたー?」

 

ユリちゃんセンセ。本名『折木有里』。

先輩が1年の時の担任で、現在はイッキの担任になっている教師である。

 

そんな彼女はひと目でわかる病弱そうな青白い顔に笑顔を咲かせ寄ってきた。

 

「ユリちゃんセンセも元気そうで。服が汚れてないことから察するに今日はまだ吐血してないな?」

「そうなのよ。今日なんか調子いいみたいでね。……ところで君はここで何してるの?」

「んー?あー、担任からの呼び出し。最近面倒見てる後輩に関わるな、だってさ」

 

その言葉を聞いて暗い表情が浮かぶ折木。

胸に手を当て悲痛な面持ちで口を開いた。

 

「ごめんなさいね。私もあの子のことはどうにかしたいと思ってるけど……」

「まあ、しゃーねーでしょう。一介の教師が出来ることなんて限られてるし」

 

そんな生徒の言葉に心にトゲが刺さる感覚を覚える折木。

事実だからこその精神ダメージだ。

 

「そんじゃこのあとも愛すべき後輩の特訓サポートしに行かなあかんのでここいらでばいちゃってことで」

「あ、うん……あ、あの」

「ん?」

「私はね、黒鉄君やキミの味方だから。何かあった時は気軽に相談してくれると……嬉しいなぁって思ってたりするんだけど、ど、どうでしょう?」

「……そこは断言しときましょーや」

 

相変わらずな様子を見せる折木に先輩は呆れの混じった微笑が浮かんだ。

 

「ま、そういうとこ意外と好きだけど」

「へ?……お、大人をからかわないゲボォッ!」

「……えーーーーー」

 

いつものようなからかいの言葉をかけると照れた様子の折木は其の儘口から血を吐いて倒れた。

 

衣服と床に広がる赤い水たまり。

ほっとくのもさすがにアレなので先輩は慣れた手つきで折木を担ぎあげ保健室へと向かった。

 

 

 

●●●

 

 

 

「──血だらけなのはそんなことがあったからなんですね」

「いや去年の今頃なんてもっと凄かったぞ。頭のてっぺんから足先まで真っ赤にされたこともある」

 

折木を保健室のベッドへと放り投げた先輩は血だらけのワイシャツのままイッキの元へと戻ってきていた。

 

戻ってきた時は凄かった。全身から血を滴らせ、笑顔で手を振る様はもはやスプラッタホラーである。

 

「それにしてもあの先生と先輩って仲良かったんですね」

「サボるためにあの人の看病俺がやってたからな」

「いつも通りで安心します」

「倒れる度に俺が運んでたぞ。ついでにおしりとおっぱいも揉んだことがある。病弱のくせして何故か肉付きはいいんだよな」

「……反応に困るのでそういう話やめません?」

 

ワキワキと手を動かし感触を思い出す先輩に困り顔のイッキ。

まさか自分の担任と世話をしてくれる先輩がそんな関係だったなんて。そんなことを考えていた。

 

「揉んだら揉んだでひゃーっ!とか叫んでさらに血をぶっかけられたんだよなぁ」

「それは先輩が悪いと思います」

 

イッキは真顔でツッコんだ。

 

「……よし。それじゃ先輩。今から相手して貰えません?」

「えぇーまた?午前もしたじゃん」

「……先輩の愛読してるグラビアの最新刊を買ってあげます」

「さ、やろうか!」

 

現金な先輩に呆れるイッキ。

 

自分で言っといてなんだが流石に物に釣られすぎじゃないか?イッキはそんなことを思った。

 

「ちなみにイッキがしっかりレジに持ってけよ?表紙を店員に見せるようにな?恥をかくお前を俺は見たい」

「……」

 

この先輩を嫌いになりそうなイッキであった。




ちゃんとした戦いの描写を書くのはいつになるんだろうね。


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4話目

先輩の名前を出すタイミングを完全に逃してるんだよなぁ。

1話目で出そうと思ってたのにど忘れしてて面倒だからそのままにして進めてるけどぶっちゃけもうタイミングが無い。

ここまで引き伸ばす程のネタがある訳じゃないしね。いつ出そう。


 

 

 

その日の先輩は美術館にいた。もちろん学校は休みでは無い。つまりはそう、サボりである。

 

さて、そんなサボり魔であり何ものにも興味を示すことがないそんな男がなぜ美術館にいるのか、それは。

 

「……うーむ。やはりこの彫刻はいいな。おっぱいがでかい。素晴らしい造形美。人体の神秘だな」

 

なんとも下品な理由である。

堂々と彫刻の前で仁王立ちの姿で構える彼ははたから見たらどう映るのだろうか。

 

熱い眼差しで見つめる姿はまさしく紳士である。……もっとも紳士の前に変態の2文字がつくだろうが。

 

さて、その時ポケットの中の端末が震えた。

取り出してみると一通のメールが送られてきていた。

内容は、

 

「……無視でいいや」

 

彼にとってはどうでもいい内容。

返事を返すことなく、追加でメールが来ないように電源を落としポケットへしまった。

 

さて、めあてのものを目に収めた。ここに長居する気もない。

帰りにラーメンでも食べようかななんてことをかんがえながら出口に向かっていた時だった。

 

「……」

 

一つの絵が先輩の目に止まった。

 

それは人物像。描かれてるのは一人の女性。

系統的にはモナ・リザや青いターバンの少女のような構図。

そんな絵画を見て先輩は一言。

 

「……これはいい大きさのおっぱいだな」

 

どこまで行っても先輩だった。

 

彫刻のように裸では無い。しかし、それ故に感じられる美がある。

彼はまた新たな形の美しきおっぱいを手に入れることが出来、満足気にうなづいた。

これからはこの作者の作品も追ってみよう。

 

そうして作者の名前を確認するとそこには、

 

──マリオ・ロッソ

 

「………」

 

特徴が無さすぎて忘れそうな名前だ。しっかりメモしておこう。

そう考え端末のメモに記そうと、

 

「電源落としてたわ…」

 

ついさっき落とした電源。つければいいだけの話だろうが、何故だろうか。電話が落ちてるのを確認した途端メモをひらくのすら億劫になっている。

 

そんな時だった。

 

「貴方はこの絵を見てどう思った?」

「ん?」

 

声のした方を向くとそこには……"痴女"が立っていた。

 

一言で言うならまさに裸エプロン。

巨大なふたつの山がそびえ立つ姿まさに圧巻。そしてそれを隠す1枚の布。

その布にはいくつもの塗料が飛び散るように染色されている。

ジーンズを履いてはいるがそれよりも胸。胸、胸、胸。

 

「……おっぱいだ」

「え?」

「いや、気にするな。素晴らしいものを拝めたことに感動しただけだ」

「……そう」

 

2人の会話はそこで終わった。

先輩の言葉に不快感を持つことなくただ隣で目の前の絵を見る痴女と絵を見ているようで実際は先程目に飛び込んできた芸術を頭の中で反復させている先輩。

 

今日はいい日だ。まさか、目的の物を見るついでに素晴らしい作品と素晴らしい本物を目にできた彼の心は満足していた。

 

さて、腹でも膨らませて帰るとするか。そうして彼は歩き出した。

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

出口をくぐると空は晴れ渡っている。

綺麗な青空に浮かぶかがやく太陽。まさに今の彼の心を表してるかのようだった。

 

「……」

「……」

「……」

「……」

「……なんか用?」

 

歩く彼は後ろを振り返りながらそう聞いた。

着いてきていたのは先程出会った痴女。

彼女は人目もはばからずに裸エプロンで先輩の後ろを着いてきていた。

 

「どこに行くの?」

「腹減ったからラーメン」

「まだお昼には早い」

「そんなことどうでもいいの。腹が減った、だから食べる。それ以外の理由はいらないでしょ」

 

そうして歩き続ける先輩。

いつの間にか痴女も隣を並んで歩いている。

 

なぜ着いてくるのか。そう思わないでもない彼だったが、別にいっかと彼女の胸を見て思う。

これも役得さ。そう納得して2人は一緒にラーメン屋へと入っていった。

 

 

 

●●●

 

 

 

程なくして腹ごしらえを済ませた2人は店を出た。

痴女が食べるのが遅かったがここは(変態)紳士先輩。食べ終わるのを(胸を見つつ)待ちさらに奢るといった漢を見せた。流石である。

 

「……ふぅー、それで?改めて聞くがなんか用かな、痴女っ子ちゃん」

 

隣に立つ彼女に問いかける先輩。

彼女は無言で先輩の顔を見つめていたがやがて口を開いた。

 

「………服を脱いで欲しい」

「おいおい、最近の若いのは積極的すぎやしないか?こんな往来のど真ん中でおっぱじめようとかなかなかの癖だな」

「……?あなたの体を見せて欲しい」

「これまたどして?」

「……私は、私の書く絵のモデルを探してる」

「ほう、ヌードデッサンモデルの候補に見初められたということかね?嬉しいねぇ。でもめんどいからパスで」

 

そう言って彼は歩き出した。

別に逃げた訳では無い。彼にはこの後愛すべき後輩との予定があるため学園に向かうだけだ。

しかし、それでも後ろから着いてくる痴女。

 

「……」

「……」

「……」

「……っ」

「……」

「……はぁ」

「……」

「……はぁ…はぁ」

「……」

 

後ろを振り返ってみると肩で息をしながらしゃがみこむ痴女。

 

「体力無さすぎじゃない?」

「……はぁ…はぁ」

 

先輩も彼女のもとへ行き、しゃがみこみ目線を合わせた。

整った顔立ち。しかし、その肌は少し青白い。

 

こんな様子の人物を彼は1人知ってる。もっともその知ってる人物ほどではないが。

 

「体弱いのに無理は良くないでしょうよ」

「……」

「お水飲む?」

「……飲む」

 

その言葉を聞いて近くの自販機で水を購入。

冷えたペットボトルをいつの間にか近くにあったベンチへと移動し休む彼女へ手渡した。

 

「……モデルになるのは個人的にはいいんだけどさ。俺にも予定あるわけよ。さすがに初対面の人との時間を優先にはできんでしょ」

「……」

「時間ある時にまた声掛けてよ。何も無かったら付き合ってあげる。痴女っ子ちゃん可愛いし。あとおっぱい大きいし」

「……じゃあ、連絡先」

 

そう言って渡してくる端末。

先輩はそれを手に取り慣れた手つきで自分の方と彼女の方の端末にそれぞれ連絡先を登録した。

 

「ほい、返す」

「……ん」

「そんじゃちゃんとお家に帰るんだよ。顔色悪いし。しっかり休むよーに」

「……」

 

そうして先輩は手を振り学園へと歩き出し。

それを見た彼女もまた手を小さく振り返した。

 

こうして先輩の端末に痴女っ子ちゃん、『サラ・ブラッドリリー』の連絡先が登録された。




サラのおっぱいぱいはいいよね。
裸エプロンっていいよね。
病院設定もいいと思います。

癖の塊です。


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5話目

お久です
暇だから書いたよ


 

 

 

気がつけば"先輩"は戦闘用フィールドに立っていた。

 

周りの観客席には数人の人影。対面には1人の少女。

そんな中、中央に立つ彼は、

 

「なーんで、こうなったぁ?」

 

そんなことをボヤいた。

 

 

 

●●●

 

 

 

あの日、サラと出会った日のことだ。

美術館に足を運んでいた先輩の元に来たひとつの連絡。

彼は"どうでもいい"ものとして処理していた。

 

しかし、後日。学校内で教師に捕まった彼は首根っこを捕まれ、生徒会室へと連行された。

 

連絡の内容は、

 

『黒鉄一輝との関係を終わらせねば序列一位と戦ってもらう』

 

というもの。

死なない程度に痛めつけることを目的とした嫌がらせ。

 

しかし、勝てばもう口も手も出さないという約束を取り付けた先輩。

顔合わせを済ませ、念書も書き、そして、

 

 

 

 

 

「お久しぶり、ですね」

「うぃっす、お久だね"トーカちゃん"」

 

眼鏡をかけたお下げの少女。破軍学園の序列一位にして、2年生(▪▪▪)でありながら生徒会長を務める東堂刀華。

 

張り詰めた表情の彼女に対して先輩の顔はヘラヘラしたものだった。

 

「……貴方の強さは誰もが認めるものです。意固地にならず──」

「いこじ〜?学園ぐるみ、家族ぐるみ、国ぐるみのイジメを容認したくないよーって気持ちが意固地かよ。腐りに腐った世の中になっちまったなこれ」

「………ッ」

 

先輩の言葉に押し黙る東堂。

言いたいことは分かる。しかし、上の決定に歯向かうことは伐刀者人生を脅かすものだ。

 

東堂とて心苦しいものがある。だが、彼女が背負うものを守るためには従うしかない。

 

「気持ちはわからんでもないよ。トーカちゃんの背負ってるものとか知ってる身からすると。それに比べて俺と来たら、背中にはなーんも乗っかってない怠惰的な人間ですからね」

「…………」

「まあ、そんな俺の背中追いかけてきてる可愛い後輩がいる訳で。そいつのために頑張るのもアリでしょうよ。それに後輩のために頑張る先輩とか、かっこよくない?」

「……そうですか」

 

そうして、東堂はかけていた眼鏡を外した。

 

その口元は笑みを浮かべており、何やら安心した様子。

普段はめんどくさがり屋のくせに、何かのためになら自分を貫ける。そこの性根が変わらない先輩。"東堂が憧れた男"が変わらずにいる事実に少なからず嬉しくなっていた。

それに、

 

「きっかけはなんであれ、君とこうして正式に戦える機会が巡ってきたことは喜ばしいことです」

「俺はやーよ。トーカちゃん強いし」

「お世辞でも嬉しいですね」

 

幼少の頃からの知り合い。だが、未だに剣は交えたことの無い2人。それでも実力は認めあっている双方。

片方にとってはやっと巡ってきた念願。もう片方にとってはついに来てしまった機会。

 

『それでは、只今より非公式戦を開始します。両名は固有霊装を実像形態で呼び出してください』

 

「轟け、【鳴神】」

「奉れ、【九天鏡谷】」

 

双方、手にしたのは日本刀。

東堂はその刀を鞘へとしまい左手に握る。対して先輩は抜き身のまま体の中心線に沿うように構えた。

 

『それでは始めます。3、2、1── LET's GO AHEAD

 

試合開始。直後、東堂が選んだ選択肢は速攻。

彼女の2つ名にもなる"雷切"は伐刀絶技でもある。

それは、いわば居合切り。しかし、ただの居合切りにあらず。鞘の中で電磁加速させな刀身を射出する正しく超電磁砲。

コンマ1秒にも満たない速度の攻撃は一瞬にして先輩の肉体を切り裂く──

 

『───ッ』

 

──ことはなく、寸前のとこで止まった。止まった、と言うよりも止められた。

 

東堂の手に伝わる感触。壁に刀を打ち付けたかのような違和感。しかし、そこには何も無く、目の前にはただボケっと突っ立ってる先輩だけ。

次の瞬間、

 

「なッ……!?」

 

刀が弾かれたと同時に、東堂に彼女の刀が纏っていた雷撃が襲った。

すぐさま距離を取り直撃を避ける東堂。

 

「まさか、カウンター型の能力でしたか」

「んー?んー、まあそうか。"こっちは"そうだったな」

 

含みのある返答。しかし、その真意は分からず。

見えない壁、しかも能力を反射するカウンターの壁。

 

どこにどれだけ展開されてるのか、それすら分からない。

故に、彼女の二撃目はなく、先輩を観察。様子見に終わる。

 

「……来ないの?」

「………」

「俺は……"攻めないよ"?」

「………っ」

 

手詰まり。

下手に攻撃しても反撃を貰うだけ。

故に先輩が動き出すまで手は出さないつもりだった。が、ここで先輩自身からも攻めない宣言。

 

彼女のもう1つの伐刀絶技、閃理眼(リバースサイト)。相手の伝達信号を読み取り動きの先読みをする眼。

それを使い先輩を見てみるが……やはり動き出そうとはしない。

 

だが、お互いに攻めないのであれば思考を割く猶予はある。先輩の能力を考え出した東堂。

 

 

 

一方、観客席に座る1人の老人は顎を扱きながら先輩を見ていた。

 

「ふむ……」

 

"闘神"南郷寅次郎。90を越える国内最高齢の魔導騎士。

東堂刀華の師に当たる人である。

弟子の東堂の試合ということでこの場に足を運んでいた。

 

彼もまた先輩の能力について考えていた。

 

「反撃の壁。反撃できる威力に上限があるか、回数制限か。はたまた別の何かか……なんにせよ厄介な能力じゃなぁ」

 

能力を駆使して戦う魔導騎士にとって天敵と呼べるような能力。

タネを知らずに闘神とて不用意に攻めたいとは思わない。それほどまでに警戒されるべき能力。

 

 

 

そんな中、実際に壁へ打ち込んだ東堂は1つの答えを見つけていた。

 

「(あの瞬間、剣が弾かれた、と言うよりも能力そのものが弾かれた感覚が強かった。あの時、剣には雷撃を纏わせていた。だったら─ッ!)」

 

瞬間、東堂の姿が掻き消える。

掻き消えるというのは少し違うか。周りから見たら、その動きは普通なもの。ただ、先輩の目からは一瞬にして懐に入り込まれたように錯覚する動き。

 

相手の無意識下に自身の存在を滑り込ませ、生命の危機に瀕するその間際まで相手に気づかせない、特殊な歩法と古武術を利用した合わせ技。

初手の雷切でも使用していたものだ。

 

そのまま、鞘から抜き放つ居合切り。しかし、今度はその刀身には雷撃はまとっていなかった。

 

「うお、それは無し…!」

「ッ!」

 

仰け反った。避けた。躱した。

 

先程とは違い、先輩は身の危険を感じ東堂の一撃を受けなかった。

これを好機に東堂は怒涛の攻めを始めた。

 

だが、そのどれものらりくらりと躱す先輩。反射で避ける彼の動きは東堂の閃理眼を持ってしても読めない。故に当たらない。

 

1度互いに剣を撃ち合い距離をとる。仕切り直しだ。

 

「うわー、1回目の打ち合いで気づく?普通」

「実際に打ち込んだからこその気づきですね。傍から見てる分には絶対に分からなかったでしょう。君の能力は"異能の力をはじき返す能力"ですね」

 

目線を鋭く先輩を射抜く東堂。

そんな彼女の様子に先輩はニヤリと笑った。

 

「大正解。実際は能力をはじき返す結界を張るってものなんだけど、些細な違いだな」

「であれば攻め方は見えました。仕留めさせてもらいます」

「それは、ノーセンキューってやつだよ、トーカちゃん」

 

そんな会話を皮切りに東堂は先輩へと肉薄した。

 

 

 

「なるほどの……異能をはじき返す能力、か」

 

南郷は唸るように呟いた。

 

先程の雷切。その技は刀身に雷撃を纏わせた一撃。

纏った雷撃が弾き返され、帰ってきたその力によって刀が押し返された。そこまで読めた南郷。

 

「能力は分かったけどよー、それにしたってあのガキ、よく避けるな。抜き足使ってるはずだろ」

 

そんな声を上げたのは南郷の隣に座る小柄の女性。西京寧々。夜叉姫の異名を持つ世界ランキング3位のAランク騎士だ。

 

「反射、じゃな。あれは」

「反射ぁ〜?」

「熱い薬缶に手が当たったら手を引っこめる。足裏が浮くほどの椅子に座り膝を叩いたら勝手に足が上がる。羽虫が顔の前に来たら手が出る。それらと同じ類のものじゃよ」

「それをずっとやってんのか?あのガキは?」

「無意識の反射を意識的に使っておる。受けに関してはワールドクラスと言っても良いな」

 

南郷のその言葉に絶句する。

つまり自動(オート)による防御(ディフェンス)を可能にしている。言葉にすれば簡単だが、実際に出来るものなど世界中探してもまずいないだろう。

 

危機察知能力がずば抜けて高い。それが2人の評価であった。

 

「それにしても、おかしいのう」

「……?何がだジジイ」

「"慌てる様子"がない」

 

オートディフェンスで避け続けられるにしろ、先輩の戦い方というのは傍から見ても素人みが強い。

イッキとの模擬戦でも彼を苦しめた無意識のカウンターを入れに行くが東堂もまた驚異的な反射神経でそれを防御。

能力を看破され、地力の勝負に持ち込んだにしろ、身体能力の差は歴然。

それでも先輩は未だ飄々とした態度をとっている。

 

何か、別の奥の手を隠してるような、そんな不気味な雰囲気。

 

「まだ、この勝負……一悶着ありそうじゃのう」

 

闘神はその口元に弧を浮かべた。

 

 

 

東堂と先輩の打ち合いはさらに白熱していた。

抜き足による懐への踏み込み、それに対して反射の防御。

東堂の攻撃に合わせてカウンターの一撃。それを距離を取り避け、また抜き足を使い先輩へと肉薄。

 

流れは先程から同じ、ただその一連の流れのスピードが加速度的に上がっていく。

やがて身体スペックで劣る先輩の息が上がってきていた。

 

「あっぶ…!」

「………ッ」

 

足が崩れた先輩。

その隙を見逃さず東堂はさらに踏み込みを強く攻めた。

 

雷切ほどではないにしろ、重みも鋭さも今までと桁が違う居合切りがさく裂。剣を盾に防御できたにしろ、先輩はそのまま吹き飛ばされ地面へと転がった。

 

「……ふぅ、まだ、やりますか?」

 

東堂は横たわる先輩へそんな問いを投げた。

それに対し彼は、

 

「だっはははははは!」

 

笑った。

 

「つえー!勝てねー!無理だな!無理!"このままじゃ"勝てねーや!」

 

そんな笑い声とともに体を起こす。

頬をポリポリかきながらいつものような飄々とした態度で言葉を続けた。

 

「いつもならこのまま引き下がっておしまい……って感じなんだがなぁ。今回ばかりは俺の生き方も決まってくる大事な局面。いやはや頭を悩ましてくれるなぁ。……まあ、いいか。トーカちゃん強いし。なりふり構わずいこうか」

 

そう言って不敵な笑みで立ち上がる。

その様子に東堂の背筋に嫌な寒気を感じさせ、一歩後ろへ後ずさりさせた。

 

 

 

「何が始まるんだろう、ね」

「………っ」

 

この戦いを見に来ていた東堂と先輩の幼なじみでもある2人。

御祓泡沫と貴徳原カナタ。

今まで見た事ない異様な雰囲気を纏う先輩に冷や汗を流していた。

 

 

 

「こっからが本番てわけかのう」

「何が始まんだ?」

「さあな。ただ、まだあの小僧は本気ではなかったということは分かるな」

 

闘神と夜叉姫もまたこの雰囲気に興味を持つ。

 

 

 

「こっから出し惜しみはなし。だからそっちも本気で来なよ。……人生初の本気かぁ」

「………ッ」

「下手に手を抜いて様子見なんてことしたらぶち殺すぞ?

「っ!?」

 

強い言葉を使う。

それが何を意味するのか、東堂は理解していた。

 

先輩が強い言葉を使うのは覚悟を決めた時。

東堂はそれを見て、鞘を左手に、右手に柄を握り雷切の体勢。

 

そんな中、先輩は刀を片手に言葉をつむぎ出した。

 

 

 

 

 

──四海啜りて天涯纏い、万象等しく写し削らん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艶羅鏡典




なんかノリと勢いの殴り書きみたいになって上手く纏まった話になってない気がするけど、許して


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