【リメイク更新中】ウルトラ世界で星を狩る蛇【こっちは未完】 (Emerihhi)
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序章
第0話 墜落


今回は導入のようなものなので、本格的な始動は次回からになります。

始めに言っておきますと、主人公の意識は3:7で日本人:エボルトです。
そこそこエボルトみが強いです。序盤では外道度が低めってのと原作知識ぐらいしか成り代わり要素は出てきません。

それでは、お楽しみいただけると幸いです。


失敗した。

 

その言葉だけが脳内を駆け巡る。

みんなみんな消えてしまった。

俺だけがみっともなく無様を晒してなお生きている。

パンドラボックスを片手に宇宙を走り、ブラッド星から遠ざかる。宇宙一つまらない星だとまで思っていた、たった1つの故郷から。

 

逃げるしかない。今の俺に勝ち目はない。

 

わかってる。それでも俺は勝たなきゃいけなかった。

だって、俺だけがキルバスの異常性を知っていたのだから。

 

別に止めなくてもいいんじゃないか?

どうせ勝てないんだ、俺は俺で好きにすればいい。

ああ、そうだ。止めなければいい。そう思ったことだってある。

だが放っておけば最後に待つのは宇宙の消滅。

やるしかない。

 

俺にしかできなかった。

俺にしかできないことだった。

これこそが俺が生まれてきた(エボルトに成った)理由なのだと、遠い記憶が訴えていた。

 

『やめろクソ兄貴!』

『エボルトか…お前が俺に勝てると思うのか?』

『いいや。でもなァ、もうやるしかねえんだよ!』

 

また負けた。勝てなかった。逃げるしかなかった。

フェーズ4が保てる内にブラックホールで離脱する。それしかなかった。

 

『…あばよ、クソ兄貴。できれば二度と会いたくねえ』

 

エボルトリガーが火花を散らす。キルバスとの戦闘で壊れたか。だが今は駄目だ。後少しでいい、もう少しだけ持ってくれ。必死に思うも、その願いは届くことなく、エボルトリガーは端から少しづつ石化していく。不味い、堕ちる。

 

パキン…!

 

近場の惑星に着陸しようとするも間に合わず、ついにエボルトリガーが完全に石化。フェーズ1:コブラフォームまで逆戻りし、俺は飛行能力を失った。もう動く気力さえない。後はは慣性と引力に導かれるまま、どこへ向かうかもわからない旅路に出るだけ。俺にできることと言えば、キルバスに出会わないよう祈るくらい。

…終わった。ここまでか。

まだ何もできていないのに俺は。

まだ俺は…!

 

目の前が真っ暗になる。

視界が黒に染め上げられる直前、エメラルド色に輝く星が見えた。

それが最後だった。

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

光の国の発着スペース。

本来であれば光の国の住人や外交などで稀にやってくる宇宙人たちが使用するその場所へ、ウルトラマンゼロはいた。久しぶりにウルトラの星へ帰ってきたゼロは、まず宇宙警備隊本部に顔を出そうとし―――しかしふと足を止め、空を仰ぐ。

 

「…ん?」

 

雲などあるはずもないその空に浮かぶ黒い点。それは徐々に大きくなり、こちらに近づいてくる。

すわ襲撃かと身構えたとき、よく見るとそれがヒトの形をしていることに気づく。

 

「なんだアレ…人か!?」

 

地球人と同じくらいの大きさのそれは重力に引かれ、速度を上げながら落ちてくる。もはやそれは小さな隕石と変わらず、地表へぶつかれば少なくない損害を与えるだろう。しかし光の国の近くには隕石になり得るものはなかったはずだが、という考えが頭をよぎるも軽く首を振ってその考えを打ち消す。

まずはアレを回収するのが先だ。

このままだと地面へ激突する衝撃であいつも傷を負う。最悪死ぬかもしれない。

ゼロは空へ飛び立った。一度それを追い越す高さまで飛び、すぐさま身を翻してそれへ追いつく。

そして今なお落下を続けるそれを優しく手で包み、ゆっくりと速度を落としていく。

そうして地面ギリギリで止まった後に手を開くと、その中にはやはり人がいた。

 

(こいつ、どっかで見た気がするんだよな…)

 

謎の既視感に苛まれながらも、ゼロは予定を変更し、まずはクリニックへと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

「彼はブラッド族ですね」

 

唐突なゼロの来訪に一通り驚いた後、ひとまずの処置としてそれにエネルギーを与え、念の為治癒カプセル(2~3m用)に入れるとウルトラの母は言った。

 

ブラッド族。別名を星狩り族とも呼ばれる悪名高き宇宙人。

その小さな体に見合わず、彼らの力はウルトラマンを相手取ることも可能なほどに強い。

となると携えていた箱は惑星破壊兵器の”パンドラボックス”か?

自分はとんでもないことを仕出かしたかもしれない…と血の気が引いていくゼロ。それを眺めつつ、母は笑う。

 

「大丈夫。ゼロは何も間違ったことは…」

「おい」

 

誰かに横槍を入れられ、文句を言ってやろうと横を向くとそこには誰もいない。どこにいるんだとあたりを見回していると、ここだ、こっちだ、と声がする。声に言われるままに顔を右へ、下へと動かすと、自分の足元にそれはいた。

 

赤を主体に青と金で装飾された肢体。サイズはやはり人間大で、ところどころに星に関連するモチーフがあしらわれている。顔の意匠は牙を剥く蛇を思わせ、低く地を這うような声も相まってこの男の第一印象は完全に”蛇”で固定された。いつの間にやらカプセルから抜け出していたらしい。

 

「お前、あんだけ怪我しといてもう歩けるのか!」

「まあな。ウルトラマンゼロ、お前がいるってことはここはウルトラの星か?…なら都合がいい」

 

一気に緊張感が高まる。一体何をする気か。母を背後に庇い、構える。

 

(ブラッド族はある種のウルトラ族の天敵とまで言われる。俺一人で戦えるか?確か、ブラッド族を相手取るとき警戒すべきはサイズ差と憑依能力。とにかくまず母を逃して――)

 

「頼む!俺に壊していい惑星をくれ!!」

 

予想の斜め上を行く行動に思考が止まった。

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

 

「頼む!俺に壊していい惑星をくれ!!」

 

もうこれしか方法はなかった。

俺は進化しなければならない。

だが今の俺は宇宙警備隊に目をつけられると困る。

新兵ならまだしも、ベテランや幹部クラスが来ると最悪逃亡もできずに死ぬ。

なら、もう宇宙警備隊自体に惑星破壊の許可をもらうしかない。

 

この際言ってしまうが、俺は宇宙警備隊が嫌いだ。

いつもいつも俺の邪魔をしてくるあいつらが嫌いだ。

それでも俺は頭を下げる。

俺は生き残らなければいけない。

キルバスを殺すまで死ねない。

もっと強く。もっと進化する。

 

一か八かだ。

 

俺はエボルトに成った。

だから、俺がキルバスを倒す。

 

それが、俺の”仮面ライダー”としての使命だ。

 

 

蛇は覚悟を決めた




次回、エボルトDOGEZA!デュエルスタンバイ!

今作ではエボルトを”男”と表記することがあります。
公式では性別不明となっていますが、声色や口調が男寄りなのでウルトラの皆さんには男認識でいかせてもらいます。ゾフィーあたりは理解しているかもしれませんが、暫定的に男扱いをします。(単純に成主が男性ということもあります)

はい。
そういうことなので、次回をお待ちいただけると幸いです。
読んでいただきありがとうございました!

書溜めてたのはここまでなので、ここからは不定期亀更新になります。
どうか気長にお待ち下さい。


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第1章/ウルトラの星
第1話 再起/交渉


前回のあらすじ!

エボルト「エボルト成り代わり転生者の俺、仮面ライダーエボルはエボルトリガーの力を失い、ウルトラの星へ墜落してしまう!」
ゼロ「俺が助けてやったのにお前、なんだよあの態度」
エボルト「いいだろ別に。俺今SAN値ピンチなんだから見逃してくれよ」
ゼロ「元気なのか重いのかわかんねえな。まあいい、ともかく」

「「どうなる第1話!」」


「頼む!俺に壊していい惑星をくれ!!」

 

目の前のブラッド族は恥もプライドもかなぐり捨てて地面に頭を擦り付けた。

ガシャン、と身に纏う鎧が床とぶつかり硬質な音を立てる。

唖然とするゼロたちを置き去りに、男はなおも続ける。

 

「俺はブラッド族のエボルト。お前らと敵対する気はない。俺の目的は唯一つ、あのクソ兄貴(キルバス)をぶちのめすことだ…!」

 

人間驚きすぎると一周回って冷静になると言うが、それはウルトラマンも同じだったらしい。妙に冴えた思考の促すままにゼロは質問を重ねる。

 

「…本当に敵対する意志がないなら、俺の質問に答えろ。まず、お前はなんで光の国に来た?次に、どうしてそんなに傷ついてる?最後に、なんで俺たちに惑星をくれって言うんだ?ウルトラマンは神じゃない。俺たちは宇宙を好きにしていいような存在じゃない」

「わかった、答えればいいんだな?」

 

エボルトは存外あっさりと質問に応じた。むしろこの質問を待っていたと言わんばかりにスムーズに説明していく。

 

「1つ目の答えは事故で、だな。わざとこっちに来たわけじゃない。詳しいことは2つ目に関わるから今は飛ばして、このまま2つ目に答えるぞ?2つ目は…キルバスにやられたからだ。俺の場合、星間航行を行うには、」

「ストップ!ちょっと待て。そのキルバスってやつは誰だ?」

「俺の兄だよ。ブラッド族の王…まあもう国どころか星もないんだが。キルバスは俺とは違って破滅型の快楽主義者だ。俺たちの母星はブラッド星って言うんだが、それを滅ぼしたのもキルバスだ。俺はなんとか逃げ出したが、何人生き残ってるんだろうなぁ。多分俺以外は3人だけだと思う。…続けていいか?」

「いいぜ、続けろ」

「じゃあさっきの続きからだな。俺の場合、星間航行を行うには…」

 

エボルトが言うことには、キルバスを倒したいが現時点でエボルトは大幅に弱体化しており、まともに勝負にならないだろうと。よって力を取り戻す必要があるが、そのためには星を滅ぼさなくてはならない。すると宇宙警備隊に目をつけられる。弱体化した身では警備隊に勝てない。それではキルバスを倒せない。そして星間航行に必要なエボルトリガーが壊れた今、そもそも破壊すべき惑星に自力で移動できない。ならどうすべきか?

―――警備隊そのものに惑星破壊の許可を貰えばいいじゃないか!

とかいう頭のおかしい発想の元、この暴挙に出たらしい。そもそも下手な侵略型宇宙人より余程危険なブラッド族を宇宙警備隊がみすみす見逃すと思っているのだろうか。若干哀れみの混じった目で見下ろしてくるゼロにむかっ腹が立つエボルトではあるが、ここが耐え時ととにかく我慢する。

膠着状態に陥った状況に、一石を投じたのはウルトラの母であった。

曰く、戦う気がないのであれば、とりあえずゾフィーのところへ連れて行ってはどうか、と。相手がブラッド族である以上、最終判断はゾフィークラスでないと不可能だろうし、ゾフィーなら正しい判断を下してくれるだろうという母の言葉に、ゼロは半ば渋々ではあるが頷いた。

 

 

・・・

 

 

「ゾフィー隊長!こいつどうしたらいいと思う!?」

 

執務室に入ってきたゼロの第一声に、宇宙警備隊隊長ゾフィーは徹夜で回転が鈍くなった頭を入口の方へ向けた。

 

「ゼロ、”こいつ”って誰…」

「こいつだよ!ほら!」

 

そう言ってゼロが差し出した手のひらを見ると、そこにいた鎧のようなものに包まれた人の形をしたものがこちらを見上げ、軽く右手を挙げて言った。

 

「よっ」

 

鎧にもスーツにも見えるガワ。腰の部分にはレバー付きのベルト――確かドライバーと呼ばれていたはずだ――と、それに装填された2本のボトル。間違いない。星狩りとして有名なブラッド族だ!

ゾフィーは一度ソレを見ると、なんだただのブラッド族か…と言わんばかりに視線を外すが次の瞬間勢いよく顔を戻し、全力で首を振る。

 

「いやいやいやいやどうしたらって、倒すべきじゃないか?というかなんでここに連れて来たんだい?」

「そう言いたくなるのは分かるけど、ちょっと事情が…」

 

〜事情説明長いのでカット〜

 

「と、いうわけだから俺に惑星をくれ。この通りだ」

 

エボルト、二度目の最終兵器DOGEZA。自分の手の上でDOGEZAするブラッド族にさすがのゼロもどうすればいいのかさっぱりわからず、所在なさげにもぞもぞしている。

 

「…個人的には、要求を飲んでもいいと思う」

 

少しの沈黙の後、ゾフィーの出した答えは肯定。てっきり自分と同じで反対だとばかり思っていたゼロは、驚きのまま半ば叫ぶように問いかけた。

 

「なんでだよ隊長!こいつ放って置くと絶対ろくなことにならねえ!」

「警備隊の任務の内でも、惑星ごと破壊しなければならないというものは滅多ににない…逆に言えば、極稀にではあるが、そういう任務もある。その場合、ウルトラキーなどを持ち出さずとも惑星をまるごと破壊…もっと言えば、確実に消し飛ばせるのは私ぐらいだ。だが、いくら規模が大きいと言えどその都度隊長が席を空けるのは少し不味い」

「だからって、こいつを使わなくてもいいじゃねえか。もっと他に方法はねえのかよ?」

 

感情的ではあるものの間違ってはいない反論をするゼロに、話の流れに乗る…ように見えて割り込む形で張本人のエボルトが声をかけた。

 

「いいや、惑星破壊にかけて俺たち…ああ、もう俺入れて4人しかいないんだったか…まあいい、俺たちブラッド族の右に出る者はいない。表面をかっさらう文明滅亡からコアまで壊す完全破壊までなんでもござれだ。ハハ、即戦力として丁度いいと思うがなァ」

 

邪悪な笑いを交えつつ自らをプレゼンする男に、ゼロの感じていた嫌悪感が増していく。―――が、思わず怒鳴りそうになったとき、ゾフィーがいつもの微笑のままに言った。

 

「いい加減にその演技、やめたらどうだい?お互い腹を割って話し合おう」

「…フゥン、分かるのか」

「もとから知っているだけだよ。ブラッド族(君たち)は元々、はっきりした感情なんて持っていないだろう?…まあ君は、その限りじゃないようだけれど」

「ンン、まァな。俺は生まれつき他の奴らより感情が強めらしい。特に”怒”と”楽”が」

 

テンポよく交わされる会話についていけず、この時点でゼロはエボルト置き台と化していた。

 

「見た感じだと”楽”というより”愉”の方が近い気もするけどね。…こちらのメリットは君という便利な惑星破壊装置が得られることと、我々にとって相手が難しいブラッド族に対しての情報提供、そして即戦力足り得る君自身。君のメリットは安全保障と弱体化からの回復かな」

「もう一つ追加だ。キルバスをこの手で倒せる機会が巡ってくること」

「…君たちは同族意識が薄いと聞いていたけれど、誤解だったかな」

「いいや、合ってる。…それが俺の使命だった、それだけだ」

「使命、ね。まあ深くは聞かないよ」

「話がわかるな、助かる」

 

ゼロが頭から煙を出している間にも話は進んでいく。メリットとデメリット、付随するリスク。少しずつすり合わせを行い、交渉は着実に進んでいた。

 

「…じゃあ、君が信頼を勝ち取るまで、君は私預かりとしよう。惑星破壊のときも、最初の内は監視と実際にブラッド族が星を滅ぼす工程の見学を兼ねて私がついて行こう。それで問題なくやっていけたら、おいおいにはなるが監視も緩めるよ。普段はここ、私の執務室に居てくれ。というより、私と行動するように。ドライバーとトリガー、だったかな。それは宇宙科学技術局で修理してもらうといい。私からヒカリに頼んでおくよ。その代わり、技術提供もよろしく。」

「仰せのとおりに、隊長サマ。」

「というわけだからゼロ、今日は帰っていいよ。その様子だとまだ母以外は誰にも会ってないんだろう?セブンも会いたがってたよ」

 

そう言われ、後ろ髪惹かれる思いでゼロは部屋の外へ向かう。

 

「じゃあ、また…あ、エボルトお前、暴れるんじゃねえぞ!」

「誰がそんなアホなことするかよ」

 

そうしてドアを閉めた。

 

 

・・・

 

 

これで、第一関門クリアってとこか。

だがまだ何も始まっちゃあいない。いうなればこれはスタートライン。最低限たどり着かなければいけない場所だ。

これからだ。これから始まるんだ。誰にも邪魔はさせない。

―――『プロジェクト・リビルド』、プランAの始まりだ…!




お待たせしました第1話です。
ぜんっっっっぜんエボルト視点なくてすみません。気づいたらこうなってました。許してください。

次回、エボルトはじめてのおつかい
〜手のつけようがない星を吹き飛ばせ!ドン引きゾフィー隊長を添えて〜


ちなみに:エボルトはブラッド族の人数を数えるとき、サラッとキルバスをハブりました。


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第2話 エボルト、はじめてのおつかい(保護者同伴)

前回のあらすじ!

エボルト「隊長サマとうまく話をつけた俺・エボ成り転生者エボルトは…」
ゼロ「なんだよエボ成りって略しすぎだろ」
エボルト「好きにさせろよそれぐらい!エボ成り転生者エボルトは、潰しても良い星をいただくことに。真の力よ甦れ!!」
ゼロ「フェーズ1が何言ってんだ」
エボルト「黙れゼロ。お前今回出番ゼロなんだから。ゼロだけに(笑)」
ゼロ「は!?聞いてねえぞそんなこと!」
エボルト「言ってないからな。どうなる第2話!」

今回は捏造成分が多めです。お気をつけください。


エボルトの朝は早い。というより、ここのところずっと徹夜しているゾフィーと共に隊長室に泊まり込んでいる。別に、仕事の内容を覗き込んだり、機密事項を知ろうとしたりなどはしていない。エボルトは契約には誠実なのである。どの口が言うか貴様

エボルトの定位置はゾフィーの机の隅である。大体は暇そうにしているだけだが、ふと思い出したかのようにパンドラボックスをいじってみたり、ドライバーの調子を見たりもする。が、それにも飽きると本当にやることがなくなり、ここ数日のエボルトは娯楽に飢えていた。こればかりはエボルトが”愉”の感情(本人は”楽”と言い張る)を持っている以上致し方ない弊害である。

そうして無為に日々を過ごしていると、ゾフィーが仕事をこなす手を止め、言った。

 

「エボルト、仕事だ。君の出番だよ」

「やっとか!待ちくたびれたよ隊長サマ。どんな星だ?」

 

今回の標的は侵略型宇宙人の根城にされていた無人の惑星だった。その宇宙人たちの開発した細菌兵器もどきが暴走し、当の宇宙人たちは基地を放棄して逃亡するもあえなく宇宙警備隊に拘束される。後は基地を潰すだけだが、下手に残すとそこから宇宙へと被害が拡散してしまう。そのため、短時間で、基地を一欠片も残さず、しかし原生生物の生息地である地下深くには被害を及ぼさないように基地を殲滅しなければいけない。なんとも制約の多いことである。

 

「今の君に星間航行は不可能だから、私が運ばせてもらうよ。大気圏内でも飛んだほうがいいかな?」

「いや、大丈夫だ。このぐらいのことに飛行能力は必要ない。…それで?どの程度(・・・・)だ?」

「今回は表層だけだそうだ。」

「フゥン…わかった。今すぐとは言わんが、できるだけ早くそこへ連れて行ってくれ。暇で暇で仕方がないんでね。暇すぎて死にそうだ」

「そう思えるのも感情があるからだよ。」

 

会話を続けながらも片手間に急を要する仕事のみを片付け、ゾフィーはどこかへウルトラサインを飛ばす。エボルトはというと、まだ光の国の文字は読めないが、ウルトラ兄弟あたりに送っているのだろうと当たりをつけて立ち上がり、屈伸やら前屈やらをして体を軽くほぐしていた。

宇宙警備隊隊長ゾフィーの机の隅でラジオ体操をするブラッド族、なかなかにカオスである。

 

「じゃあ、行こうか」

 

そうしている内にゾフィーが手を差し出してきたため、大人しくそこに乗る。エボルトをその手で包んだゾフィーは、目的地へと向かって宇宙を飛んだ。

 

 

・・・

 

 

「潰す基地ってのはコレか。随分と大きいな」

「まあ、私から見てもそこそこの規模ではあるからね」

 

自分の何十倍あろうかという高さの建物を眺めるエボルト。しばらくそうしていたが、やがてエボルトはゾフィーの手から基地の屋上へと飛び移り、基地の屋根の検分を始めた。そして五分もしない内に地面に飛び降りると、今度は壁やら床やらを確認する。最後に、近くの壁を軽く手で叩くと満足気に頷き、呟いた。

 

「なるほど、大体強度はダイヤモンドと同じか。靭性はコレのがよっぽど強いが…まァ余裕だな。サイズ的にも問題ない。今の俺でも十分いける…始めるか。隊長サマ、アレ(・・)くれよ」

 

エボルトは持ってきていたパンドラボックスを一旦地面に置き、ゾフィーを見上げて言った。

 

「わかった、()だな」

 

ゾフィーが見やった方には、拘束された一人の宇宙人が転がされていた。ゾフィーはそれをいささか乱雑にエボルトの元へ引きずってくると、足元へ転がした。エボルトはすかさず変身を解き、赤いアメーバのような姿になってそれの中へ潜り込む。そして、それの意識に問いかけた。

 

『お前はこの星に思い入れがあったんだってなァ。お前が感じたこの星を俺にも教えてくれよ』

『だ、誰だ貴様!』

『そう邪険にすんなって。いくらお前がこの星を気に入り、心の底から愛し、想っていたとしても、お前はこの星を裏切った。この星の生命を踏みにじり、恐ろしい兵器を作り、挙句の果てにそれが暴走したらハイさよなら。そんなの、本当に愛してたって言えるのか?お前が本当にこの星が好きだってんなら、言えるはずだ。さァ、答えろ。お前がこの星で好きになったものはなんだ?30個挙げるんだ。』

『…ッわかったよ、言えばいいんだろ!?[#ァ%:]、[*;@”]、[`+>/―――』

 

やがて”好きなもの30個”を言い終わると、エボルトはそれ以上相手の言葉を待つことなく次の質問を投げかける。

 

『じゃあ次は、さっきあげたものを殺す、または破壊するものを30個挙げろ。しっかり考えろよ?』

 

笑いを隠しもせずに問いかける声を、ゾフィーはテレパシーの応用で聴いていた。想像以上に邪悪なその本性に一瞬選択を間違えたかとも思うものの、即座にその考えを掻き消す。

 

(ブラッド族は己が生きるために星を滅ぼす必要がある。この性格も進化の内に自分たちの精神を守るため獲得したものなのかもしれない…そうだと、思いたい)

 

残念ながら、この外道っぷりはエボルト独自の性格である。王族2人が頭おかしいせいで風評被害を受けるブラッド族が哀れでならない。

そうこうしている内に”好きなものを殺す、または破壊するもの30個”を挙げ終わった宇宙人からエボルトが抜け出してくる。ゾフィーは気絶している宇宙人を待機させていた一般隊員に引き渡した。飛び去っていく隊員から目を離しエボルトの方に向き直ると、いつの間にか再変身してパンドラボックスの前に座り込み、何やら忙しなく手を動かしている。

エボルトの手元をよく見ると、自分の体の中からボトルを取り出してはパンドラボックスの面にはめ込んでいく、という作業を繰り返していた。

 

「それ、何してるんだい?」

「ああ、コレか?パンドラボックスを起動させるには、その星にある60のエレメントを集めなきゃいけない。しかも、それは30組のベストマッチで作られている必要がある」

「…その”ベストマッチ”っていうのは?」

「端的に言えば、一番相性がいい組み合わせってやつだな。ベストマッチの法則は人それぞれ好きに決めてるよ。俺の場合は生き物や職業――俺はこれを”有機物”ってカテゴリしてる。それと、それを殺害、または破壊できるもの――こっちは”無機物”ってカテゴリしてるんだが、その組み合わせだ」

「それはまた悪趣味だね」

「よく言われるよ、ありがとう」

 

エボルトは会話しつつも手際よくボトルをはめていく。そして最後の一本を手に取ると、ゾフィーの方を向いて言った。

 

「ちょっと離れるか踏ん張るかしててくれ。…何が起こるかはお楽しみだ」

 

それを聞いたゾフィーが離れるのを見ると、エボルトは最後のボトルをはめ込む。

そして途端に莫大なエネルギーを発し始めたパンドラボックスへ手を伸ばし―――

 

「惑星の表面の一部とそこそこの建造物だけで俺はどこまで回復できるかなァ…?

さァ、実験を始めようかァ!

 

ゴゴゴゴゴゴ…!

 

パンドラボックスから一条の赤い光が遥か上空へと伸びていく。それと同時に地面が激しく揺れ動き、ゾフィーは咄嗟に空中へと飛び上がった。

正円を描く壁が大地を割って現れる。はじめの壁を足場にするように第2・第3・第4・第5の層がせり上がり、最後に一際長い第6の柱が天へと伸びる。飛び散った瓦礫をも巻き上げ吹き荒れる黒い風の奥に、歪な塔の姿が見える。

 

風が止む。

真っ暗になっていた空は晴れ、風にのって飛んでいた瓦礫も地面に落ちた。

 

「本当はこのまま滅ぼすんだが、アンタには一度これを見ておいて欲しいと思ってなァ」

 

視界を遮るものがなくなり、異様な姿の塔が晴天のもとに姿を現した。ゾフィーはただ呆然と、塔が発する雰囲気に呑まれていた。これまでに宇宙規模の戦闘を繰り広げたことは幾度もあるが、そのどれとも違う迫力。異様としか表現できない何かを感じていた。

 

「おーい、隊長サァン」

「…なんだい?」

 

しかしそこは流石の隊長というわけで、すぐに我に返ると”いつも通り”を装い返事をする。

 

「これはパンドラタワーっていってな、パンドラボックスを開くと出てくる。やろうと思えば地下に伸ばして星のコアを砕くってこともできるが、今回は表層だけってのと、俺の趣味で――ああ、言ってなかったか。俺はブラックホールの方が好きなんだよ。あの黒さがイイんだよなァ。まァそれで、塔の形にしたってわけだ。」

 

エボルトはやけに饒舌に、ペラペラと話し続ける。それはまるでお気に入りの玩具を自慢する子供のようで気味が悪い。知能は高いが、情操面が全く発達していない子供――それがゾフィーの受けた印象であった。というか、身も蓋もなく言うとドン引きしていた。

 

「じゃあ始めるぞ、隊長サン。ブラックホールに飲み込まれないように、せいぜいしっかり踏ん張ってくれ」

 

その言葉と同時に空は再び真っ暗になり、風は吹き荒れる。しかし今度はそれだけではない。塔の上空に黒い点が生まれたと思うと、それは爆発的に広がり巨大な穴を作り上げる。風は穴に吸い込まれ、それとともにまず瓦礫が、次に建物が、そして地表そのものが穴の奥へと消えていく。大地にはヒビが入り、裂け、砕かれ、天高く吸い上げられ、そして虚空へと消える。

ゾフィーは空中で姿勢を制御することでブラックホールの被害から逃れる。その内に風は徐々に弱まり、空にも薄日がさし始めた。

 

「終わった…?」

 

再び風がやんだとき、そこには何も残っていなかった。

つい先程までそこにあったはずの巨大な建造物は影も形もなく、雑草の一本も生えていない剥き出しの地面がそこにあるのみ。ほんの数分前までそこに何かがあったとは思えない惨状の中、唯一つ、歪な塔だけがそこに君臨し、その存在を誇示していた。

 

「どうだ隊長サン?いいだろう?すごいだろう?最高だろう?なァ!」

 

塔の頂点に立ち、上機嫌で灰燼と帰した下界を見下ろすは”星狩り”の名を持つ赤い蛇。

その2mにも満たない身体が保有するエネルギーが急増しているのを感じ取り、ゾフィーは今一度エボルトへの警戒度を引き上げた。

 

(これは…想像以上に厄介なものを引き入れてしまったな…どう乗りこなすべきか…)

 

 

今回の成果:基地破壊完遂。しかしゾフィーの胃痛の種が増えた。




お待たせいたしました第2話です。
お楽しみいただけたなら幸いです。

次回、通りすがりのバロッサ星人、死す!デュ◯ルスタンバイ!


今回の捏造に対する言い訳
①原作ではボトルの浄化を美空(ベルナージュ)がしていますが、そうするとパンドラタワーの生成にベルナージュが必要ということになり、火星が滅ばなくないか?と自分は考えました。なので今作では、その星のエレメントを取り込んだ時点ではボトルは浄化済みと同じ状態で、パンドラボックスを不完全な形で開いてしまうと浄化前ボトルになる、という設定にしました。捏造ですみません。
②パンドラボックスが複数ある上にベストマッチの法則が個体ごとに違うという設定です。捏造てんこ盛りですみません。


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第3話 通りすがりのバロッサ星人、宇宙に散る

前回のあらすじ!

エボルト「俺こと仮面ライダーエボルは基地一つを地面ごと吹き飛ばした。以上!」
ゼロ「隊長ドン引きしてんじゃねえか!」
エボルト「うるせえな、出番ゼロは黙ってろ。仕方ねえだろ久々に楽しかったんだから」
ゼロ「だからって楽しみ方が外道すぎるだろお前頭おかしいんじゃねえのか」
エボルト「うわ辛辣。俺が何をしたっていうんだ」
ゼロ「どの口が言ってんだ!お前一回自分の胸に手を当てて考えてみろ!」
エボルト「う〜んわかんねえなァ(笑)」
ゼロ「何だと!?おm」
ゾフィー「ハイそこまで!収集つかなくなるからもう始めよう!どうなる第3話!」


名もなき星で任務を終えた後、エボルトとゾフィーはパンドラタワーを片付け帰路についていた。

星々の明かり以外に光源がない冷たい真空を飛んでいる内、ゾフィーの手の中でルービックキューブ(どこから出したのかはわからない。そもそもいつ手に入れたんだ?)をいじくり回していたエボルトが声を上げた。

 

「暇だなァ隊長サン」

「君相当飽きっぽいね…と、いうとでも思ったかい?人をからかうのも程々にね」

「なんだ、バレたか。お、噂をすれば暇つぶしが向こうからやってきたぞ!前方約20km、ヒトっぽい形の、多分宇宙人。アレは…バロッサ星人か?思ったよりデカいな」

「バロッサ星人…”海賊宇宙人”の異名の通り、個人個人が気に入った”お宝”の略奪に精を出している種族。宇宙警備隊に種族単位でマークされているよ。せっかくだから、君の実力、というよりもブラッド族が巨大な相手とどう戦うかを見せてもらっても?」

「隊長サマの仰せのままに。このへんはデブリ*1も多いんだ、飛べなくてもなんとかなるだろう」

 

慇懃に一礼したエボルトはゾフィーの手から近場のデブリ――大きさ3m強、おそらく宇宙船の破片――へと飛び移り、バロッサ星人を見据える。一方バロッサ星人はというと、ゾフィーではなくエボルトが前に出たことでバカにされたと思ったらしく、大げさに憤慨して見せた。

 

「お前!何者か知らんが、そんな小さな体で巨大化した俺に勝てるわけがないだろう!今なら見逃してやる、サッサとどっか行け!」

「フゥン…そんなこと言ってていいのかァ?」

 

その言葉を言い切るか言い切らないかの内にエボルトはデブリから跳躍、跳び蹴りの姿勢を取ってバロッサ星人へと突撃する。そんなことは知らないバロッサ星人は、すっかり油断し明後日の方向を向いたまま話し続ける。

 

「見た感じ、貴様は飛べないようだな。そんな貴様が俺に勝てることなど万に一つもnグハァッ!!」

「ごちゃごちゃと五月蝿いんだよ。自己紹介でもしてやろうか?俺は()()()()()のエボルト。今後ともよろしくな。…なァんて、どうせお前はすぐ死ぬんだが」

 

それを聞いたバロッサ星人の顔色が変わるが、バロッサ星人が口を開くより先にエボルトは別のデブリを蹴り飛ばす。空気抵抗のない宇宙空間、わずか1mしかないそれは凄まじい速度で飛んでいく―――まさに、バロッサ星人を貫く弾丸のような速度で。しかしその程度の攻撃が通じるはずもない。金色の外骨格でデブリは弾かれ、バロッサ星人はいつかの戦利品だろう大剣を取り出した。

 

「なぜブラッド族が警備隊と一緒にいる?いや、そもそもブラッド族は滅びたはずだ!…まあいい、それならブラッド族の秘宝、パンドラボックスを頂く!」

「やれるもんならやってみろよ。お前にできるとは思えねぇがなァ?」

 

エボルトは小馬鹿にしたような(実際している)笑いを上げながらパンドラボックスを見せびらかす。ものの見事に挑発に乗せられたバロッサ星人は湯気でも出しそうな怒り具合だ。それを確認するとエボルトは満足げに笑い、ボトルがはまっていないパンドラボックスを体内にしまい込んだ。

 

「どこまでもムカつかつかせてくれる!だがそのお宝は、この俺のものだ!」

 

バロッサ星人が大剣で斬りかかる。大上段からの大ぶりは、当たれば足場代わりのデブリごとエボルトを切り裂けるだろう()()()()()()()()()()()一撃必殺級の威力を持っていた。しかしそれは所詮”当たれば”の話であり、当たらなければどうということはない。迫りくる刃をエボルトは再び跳躍してギリギリで回避、逆に峰を掴んで刃の上に飛び乗った。

 

「一回やってみたかったんだよなァ、これ!」

 

そしてそのまま刃の表面から峰へ、峰から反対の表面へ、と飛び移りながらバロッサ星人の手元へと駆け上がる。バロッサ星人が振り払おうと剣を乱雑に振り回しても構わず進み続け、ついに腕に到達。そしてバロッサ星人特有の渦巻き模様で凸凹した外骨格を利用し、さらに走る速度を上げていく。

 

「このっ、ちょこまかと!お前は虫かなんかか!?」

「人を虫呼ばわりするとは失礼なやつだ…いいだろう、今日がお前の命日だァ!」

 

振り下ろされる拳を軽やかに躱しながらもエボルトは右手を腰元のレバーへと伸ばす。そしてそれをグルグルと回転させると間髪入れずバロッサ星人が振り下ろした拳に飛び乗った。それと同時にバロッサ星人の手(丁度いい足場)の上に星空を模したフィールドが展開され、エボルトの右足に収束していく。

 

「うおお!?」

 

これにはバロッサ星人も驚きエボルトを振り落とそうと手をふるが、逆にエボルトはそれを利用し、その手がバロッサ星人の顔の高さと同じ位置に来た瞬間、()()を全力で蹴り飛ばす。

 

Ready Go(レディー・ゴー)

Evoltech (エボルテック)Finish( フィニッシュ)

 

狙いは胸。接触と同時に脚部のEVOゼノベイダーシューズ*2を起動させ、バロッサ星人の外骨格並びに肉体の一部を分解し剥き出しの中枢部に強烈なキックを叩き込む。そのままバロッサ星人の周囲の空間を圧縮・崩壊・爆発させると、断末魔を上げる暇もなくバロッサ星人は爆散。後には静寂だけが残された。

 

Ciao(チャオ)

 

あざ笑うかのような音声が響く。エボルトが近場のデブリに降り立つのを眺めつつ、ゾフィーは思考を巡らせる。

 

(なるほど…的の小ささと速さを利用した立体機動、相手の身体を足場として使うことで攻撃を牽制しつつの近接戦。足場が複数あるとはいえ飛行能力はない状態でこれか…憑依能力は使用せずに自分の数十倍に及ぶ相手を撃破、いや相手が巨大だからできる戦法…厄介だな。これで向こうが飛んできたらより一方的な攻撃になる。それに加えて30cmにも満たない足裏部分だけでバロッサ星人の外骨格を貫通…マニュアルを作り直すか)

 

そうこうしていると、いくつかのデブリに飛び移りながらエボルトが帰ってくる。最後に一際高くジャンプすると、ゾフィーの手の中へと飛び込んだ。そうしてゾフィーのもとへ戻ってきたエボルトは、一つ要求をした。

 

「ドライバーの調子が悪い。壊れてこそないが危険だ。このままだと後数回今のを放てば真っ二つだろうな。修理させてくれ」

 

 

今回の成果:バロッサ星人一人を打倒。しかしドライバーの不具合が発覚、宇宙科学技術局への

      持ち込みが決定。

*1
地球の衛星軌道上を周回している人工物体のゴミのこと。今作では、宇宙に散らばる人工物の内、壊れるなどしてゴミと化したものを表す単語とさせていただきます。

*2
接触した物体を自在に分解・再構築できるため、攻撃対象の装甲を無視して内部中枢に破壊エネルギーを叩き込むことが可能。また、必殺キックで一定範囲の空間を圧縮・崩壊・爆発させ、無に帰すこともできる。




お待たせいたしました第3話です。
お楽しみいただけたなら幸いです。


次回、マッドサイエンティストヒカリと不思議なベルト 〜とてもうるさい〜

隊長はバロッサ星人の外骨格を”貫通”ではなく”分解”したことに気がついていません。もし気がついていればエボルトはレゾリューム光線並の脅威として監視を通り越して拘束・変身の強制解除をされていました。運に救われた形になります。

※わからない方へ
レゾリューム光線:”純粋な”ウルトラ戦士の肉体を分解する効果がある赤黒い色の破壊光線。雑に言うとウルトラマンが当たると死ぬ光線。エボルトの場合はウルトラマンだろうがバロッサ星人だろうがあらゆるものを問答無用で分解するため、ある意味こっちのほうがタチが悪い。唯一の救いは、分解作用は両手足でしか発動できず、効果範囲も小さいこと。

今回の捏造に対する言い訳
パンドラボックスはボトルがはまって初めて力を発揮するものであり、ボトルのはまっていない状態では体内にしまっても問題ないという設定にさせていただきました。捏造ですみません。
「ボトルが入るならボックスも入るよなって思って…」などと供述しており


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第4話 マッドサイエンティストヒカリと不思議なベルト

前回のあらすじ!

エボルト「通りすがりのバロッサ星人がケンカを売ってきた。もちろん買った。そして勝った。」
ゾフィー「君の蹴り威力すごいね」
エボルト「だろ?だがドライバーの調子がおかしい。このままだと後数回必殺キック撃ったら壊れちまう」
ゾフィー「と、いうわけでドライバーをみんな大好きヒカリのもとへ持ち込むことに」
エボルト「あのマッドサイエンティストのところで本当に直るのか?」
ゾフィー「(多分)大丈夫」
エボルト「ならいい…のか…?じゃあいい加減始めるか。どうn」
ゼロ「どうなる第4話!よし言えた!!」
エボルト「人のセリフ取るなよ!」


光の国に帰還した2人は宇宙科学技術局に向かい、そのまま直行でヒカリのラボへと進む。

 

「やあヒカリ、いるかい?」

なんだゾフィーか

「し、死んでる!」

 

ラボへ訪れた2人を出迎えたのは7徹目に突入したへろへろのヒカリ。机に突っ伏した状態から顔だけこちらを向いている様子はちょっと怖い。エボルトに至っては上体をのけぞらせ物理的に引いている。

 

「オイオイオイオイ光の国に労働基準法の概念はないのか?」

ろう…なんて?

「…『コーヒーでも入れようか?ヒカリ。スッキリするぞ?』」

「まって君誰?というか君には悪いけど流石にアレは寝かせるべきだと思う」

 

見るからにヤバそうなヒカリの様子に、エボルトは『これは研究バカもといマッドサイエンティスト用の対応をしたほうがいいか』と判断。咄嗟に前世の記憶を真似て”徹夜後の戦兎相手に使う方法(石動惣一モード(仮))”で接する。もちろん声も石動惣一のものに変えているため、口調・声色・接し方がすべて違う。そんな誰おま状態のエボルトにたまらず突っ込むゾフィー。ああ、なんと哀れなことか。己のツッコミ属性を恨め。

 

コーヒーか…一杯もらおう。確かそのあたりに物の大きさを変えるアイテムがあったはずだ

「『お、これだな?使わせてもらうぞ』」

 

そしてゾフィーをガン無視してマイペースにコーヒーを淹れ始めるエボルト。手付きだけを見れば熟練の職人のそれにも似ている。そもそも彼はどこでコーヒーの知識を手に入れたのだろうかと訝しむが、コーヒーのいい香りが漂ってきたので一旦思考を中断する。

 

「『ほーら出来た!俺のオリジナルブレンド…っていいたいとこだが、ここにあった豆しか使ってない。ささ、ぐいーっと』」

「それはお酒の勧め方だろうに…」

では…マッッッズ!!??な、何だこれは!?これはもはや豆を冒涜していると言っても過言ではゴフッ」

「ヒ、ヒカリィィイーーーーッ!!」

「」

「ヒカリ!返事をしろ!ヒカリ!!」

「よし、寝たな。でもそんなに不味いか?心外だなぁ…ンブッ!?ペッペッ、んだこれ!?自信作だったんだがなァ…」

「いやいやいやいやこれどう見ても気絶だから」

 

ヒカリを殺した(未遂)コーヒーをよく見てみると、異様に黒い。それはもはやコーヒーと言うよりも、”湯気を出しているおそらく温かいのだろう真っ黒なナニカ”というべき代物だった。そのウルトラ族をも殺し得るおぞましい兵器からは、不思議とコーヒーの香りがする。香ばしい、食欲ならぬ飲欲を増大させる香りが。ただひとつ通常のコーヒーと異なる点はその黒さ。

 

黒い。

そう、黒い。

どこまでも、黒い。

とてもではないが飲料とは思えない黒さはまるで真っ暗な、星のない宇宙のようで、光をも逃さず食らい尽くすブラックホールのようで。

その水面を覗き込んでいると、その中へと吸い込まれそうな気分になってくる。真っ黒な、煌く星のない宇宙。このコーヒー(?)はエボルトの心の底にある欲望を表しているのではないか、そう思えてくる。

黒くて黒くて黒くて黒くて、暗くて暗くて暗くて暗くて、虚ろで、からっぽで、何もなくて、ただ真っ黒い世界がそこにあった。

嗚呼、そうだ。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ―――

 

「おーい、隊長サァン。聞こえてるか?」

「―――はっ!私は一体何を!?」

 

ゾフィーは無事SANチェック(1D/100)を回避した。神話生物並みのコーヒーってどういうことだ。

ぶっ倒れたヒカリを仮眠室に運び、2人は改めて向かい合う。ともかくドライバーを外さなくては話にならない、とエボルトはドライバーからボトルを外す。エボルトの全身を覆っていた鎧は粒子となって消え去り、その下からはウルトラ族の姿――ただし身長は2m――が現れた。

 

「んん!?」

「ああ、これ擬態な。流石にお前らと同じサイズにするには体積が足りん」

 

これにはさすがのゾフィーも驚くが、エボルトは即座に釈明する。そうして外したドライバーをゾフィーに渡そうとし、愕然とする。

 

「どこに置けばいいんだ…!?」

「どう受け取ればいいんだ…!?」

「ならばここに置け」

 

2人仲良く頭を抱えている間に復活したらしいヒカリが持ち出したのは、おそらく顕微鏡であろう何か。言われた通りに差し出されたものの上にドライバーを置く。部屋にある機械のいくつかが唸り始めるのを横目に、エボルトはヒカリの肩に飛び乗った。

 

「有線回路とはこれまた随分とアナログだな」

「そうでもないぞ?それに俺達の使う技術の特性上粒子化を行うわけにもいかなくてな。ボトル内の成分を抽出する過程で…」

 

ヒカリがそれを解析し、そこにエボルトが時折口を出す。2人は数時間に渡りドライバーの解析を行っていた。が、それも終わるとヒカリはエボルトを机へおろし、ゾフィーに報告があるから待っていろと言って離れていく。はじめの内は大人しく机の上にいたエボルトだが、しばらくすると案の定暇になってきたらしく、ラボの中を動き回り気になるものを片っ端から漁り始めた。

 

「このベルトだが、回路にダメージが有る中で必殺レベルの出力を出した結果回路自体の耐久値を超えてしまっている。このまま使用を続ければ、本人の予想通りになるだろう」

「そうか…見た感じ、光の国(ウチ)ではまだ発見すらされていない技術だな。本人に修理の知識があるのかどうかがミソなんだが【奏でろ!勝利のメロディー!】……」

「うるせえなこの、何だコレ、剣?」

「エボルト、遊ぶのは構わないんだがラボ内のものをいじくり回すのは【奏でろ!勝利のメロディー!】…危険なものもあるんだから、ラボ内のものは【奏でろ!勝利のメロディー!】……」

【奏でろ!勝利のメロディー!】

【奏でろ!勝利のメロディー!】

【奏でろ!勝利のメロディー!】

「やかましい!!」

 

あまりの騒音にゾフィーがついにキレた。普段は肌見放さず身につけているオブラートをかなぐり捨て、ナイトティンバーに負けず劣らずの声量で叫ぶゾフィーにエボルトは素直に驚く。

 

「悪かったよ」

「…話を戻すが、君はこのド【奏でろ!勝利のメロディー!】エボルトォ!!」

「悪かったって言ったじゃねえか。俺たちが使うドラ【奏でろ!勝利のメロディー!】…ドライバーは、余程のダメージじゃない限りエネルギーを吸わせれば勝手に直る。今回はその確認がした【奏でろ!勝利のメロディー!】…したかっただけで、特に問題は【奏でろ!勝利のメロディー!】悪いコレ壊れたかも」

「 エ ボ ル ト ! ! 」

 

今回の成果:ナイトティンバーが壊れた。正直すまんと思ってる(大嘘)(もちろんわざと)




ものすごく遅くなりました。その上短いです。本当にすみません。今回は完全にギャグ回ですね。
ゴールデンウィーク開けにテストが待ち構えているので、次話投稿までには更に時間がかかってしまうと思われます。どうか気長にお待ち下さい。

今回の内容ですが、もはや語るに及ばず。
【奏でろ!勝利のメロディー!】とクソマズエボルトコーヒーのくだりがやりたかっただけです。

次回、未定。多分ゼロが出るんじゃないですかね。乞うご期待!


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第5話 …おや!?エボルトのようすが…?▼

前回のあらすじ!

ヒカリ「エボルトがナイトティンバーを壊した」
エボルト「すまんと言ってるだろう。許してくれ」
ゾフィー「それと新発見がひとつ。エボルトのコーヒーは恐ろしくマズい」
エボルト「『えぇ!?アレ自信作だったのに…でも今度のは美味しそうだぞ?ホラ』」
ゾフィー「私は飲まない。騙されないからな!!」
ヒカリ「あの黒い恐怖…黒い、くろい…ウッ」
ゾフィー「ヒカリしっかり!!」
エボルト「『失礼だな…ホラ』」
ゾフィー「やめろ!!!!」
エボルト「仕方ねえな、どうなる第5話!」

今回エボルトがやけにしおらしいですが、『こんなのド外道害悪宇宙人エボルトじゃない!』と感じてもとりあえず最後まで読んでいただけると幸いです。理由はちゃんとありますので…


エボルトがウルトラの星に墜落してはや数カ月。

ナイトティンバーの件など多少のいざこざはあったが、エボルトは案外ウルトラの星に馴染んでいた。

ある者はエボルトのことを『知能と情緒が釣り合っていない。いたずらっ子って言うには年取りすぎだしな…愉快犯ってのが一番近いか?』といい、またある者は『本気で叱られないギリギリのラインを狙ってる確信犯だ。能力の無駄遣いってやつだな』と評した。人により多少の相違はあるものの、『恐ろしくマイペースで性格も悪いが、根は悪いやつではないのかもしれない』というのが多数派の意見だった。

そして、以外にもエボルトは、ゼロをからかって遊びつつもなんだかんだ助言を与えたり、兄の愚痴を言うタロウと盛り上がったり(エボルトの兄の所業は愚痴で済むような次元を超えているが)、ゼットをゼロにけしかけて遊んだり、ヒカリとろくでもない企みをしては実験に誰かを巻き込んだり(被害者はだいたいゾフィー)と、どこかいたずらっ子のような、抜けている面も併せ持っていた。

ゾフィー自身も警戒こそ解いていないが、絆されている自覚はあった。

そんなときである。

エボルトが『アンタたちは完全に信用できると判断した。まだ誰にも話していない秘密を明かしたい』と言い出したのは。

 

「…で?その秘密ってのは何なんだよ」

 

しびれを切らしたゼロが、いささか高圧的にエボルトに問いかける。

『誰にも話していない秘密』と言うだけあって、この会話は重要度・機密性ともに高い。執務室にはウルトラ兄弟を始めとした実力者たちが集まり、本人はこの場にはいないが、録音された会話はウルトラの父に届けられることとなっている。

そんな中でもエボルトは、いつもの態度を崩さなかった。まるで演説でもしているかのように手を広げると、エボルトは妙にもったいぶって話し始める。

 

「前にブラッド族は一人に付き一個ずつパンドラボックスを持っているって言ったな?アレは嘘だ。というより、半分ウソで半分真実、だな」

「なっ…!?」

「パンドラボックスはブラッド星の力の源――お前たちにとってのプラズマスパークだ。お前たちは狩り(・・)のたびにプラズマスパークを持ち出すのか?そんなわけ無いだろ、そんなことしてたら星が滅んじまう」

 

いつもどおりの、人を食ったような、相手を煽る態度。やたらと目につく大げさな身振りも、『狩り』というフレーズを使っているのもわざとだろう。このブラッド族は、時折相手を試すかのような言動を取る。

―――まるで、幼い子供が『試し行動』*1をするかのように。

兄に裏切られたエボルトは、自分を裏切らない、捨てない存在を求めているように思えた。

 

「俺たちブラッド族は、各々の狩り(・・)の前に自分の力でパンドラボックスを複製(コピー)する。もちろん質は下がるが、星1つを滅ぼす程度なら造作もない。…まァ、許容量を超えてエネルギーを吸わせればダメになっちまうが」

「………」

「だが、その程度だ。オリジナルのパンドラボックスは、質のいいエネルギーを大量に吸収させれば…そうだな、最高で超時空消滅爆弾と同等の威力を発揮する、と言えばわかるか?」

「超時空消滅爆弾だと!?それならパンドラボックスは…宇宙を!?」

「Exactly!消し飛ばせる。…そしてこれは、本物だ。」

 

そう言ってエボルトは、芝居がかった仕草でパンドラボックスを叩く。

それを聞いた後では、ガン、ガンと室内に響き渡る硬質な音すらもが恐ろしく感じる。ウルトラマン(自分たち)なら指で挟むだけで潰してしまえそうな小さな箱が、宇宙一つを消し飛ばせるなど――果たして本当に、そんな事があっていいのか?

 

「ありえない、いやそんなことあってほしくないって顔だなァ、ゼロ?」

 

なにが面白いのか、エボルトはケラケラと笑った。いつもなら怒るところだが、今はそれに文句を言う気にもなれない。

『超時空消滅爆弾』

アレと?アレと同じ威力と言ったのか?信じられない。信じたくない。

でも、エボルトが本気で不快感を感じさせるふざけ方をしている時は、本当のことを話しているのだ。愉快げな声色の裏、苛つきを煽る動作のその奥には必ず、決して揺らがない真実がある。

エボルトは、他人を揺さぶる時に限って、嘘を吐かない。ああ、なんてことだ。

つまりあの箱は本当に―――

 

「アンタたちに話したのは、絶対に悪用しないという確信が持てたからだ。俺を失望させてくれるなよ」

「当たり前だろ!俺たちはそんなことしねえ!」

「ああ、絶対に悪用しないと誓おう。書面が必要なら作るが?」

 

ゼロが食い気味に答え、ゾフィーが冷静に返す。

エボルトは自分の周囲を囲んでいる面々を見回し、誰もが真剣に話を聞き頷く様子を確認した。

 

「いや、いらない。その言葉が聞けただけで十分だ……ありがとな

「ん?なんか言ったか?」

「いいや、なんにも」

 

エボルトは『なにも言ってない』と言い張るものの、その顔は不自然に背けられている。

ゼロはそれを見てニヤついている。なんとこのウルトラマン、『なんか言ったか?』とか言っておきながら全てをガッツリ聞いていたのである。もちろん、エボルトが小声ではあるものの勇気を振り絞って言った言葉もしっかり聞こえている。

そしてゼロに聞こえているということは、他の面々にも聞こえているということで…

 

「なあ隊長今の聞いたか?エボルトが『ありがとな』って!」

「聞いた聞いた。彼もなかなか可愛いところがあるものだね」

「確かに聞いた。これが”つんでれ”とかいうやつか?」

「まってエース兄さんそれ誰に聞いたの?」

「ゼットに」

「アイツまた…!」

 

エボルトに聞こえないようコソコソと行われる会話に、先程の重々しさはもうない。

人の心を解さないエボルトに、少しずつではあるが確かな感情が、『心』が芽生えてきていた。

 

 

 

おめでとう!ド外道害悪宇宙人エボルトは

『ちょっとだけ良心がある性格が悪い宇宙人』に進化した!▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”エボルトは、どこかいたずらっ子のような、抜けている面も併せ持っていた。”

 

本当に?

 

ベストマッチの法則に『好きなもの』と『それを殺す、または破壊するもの』を設定する者が?

言葉で人の精神を弄び、追い詰め甚振って楽しむものが?

 

 

”まるで、幼い子供が『試し行動』をするかのように。”

 

本当に?

 

『愛』を知らない、理解できない星狩りが?

ただの協力者、否、宿敵ですらあるウルトラマンたちに、『愛』を求めるのか?

 

 

”人の心を解さないエボルトに、少しずつではあるが確かな感情が、『心』が芽生えてきていた。”

 

本当に?

 

『心』というのはたった数ヶ月でそうも都合よく芽生えるものなのか?

それも、原作でもジーニアスフルボトルの効果でしか明確な感情を植え付けることが出来なかった、種族的に感情の薄い存在に?

 

 

 

 

 

『恐ろしくマイペースで性格も悪いが、根は悪いやつではないのかもしれない』

 

本当に、あなたはそう思う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


プロジェクト・リビルド(プランA) 進捗状況

 

①信用を得る

(i)目指す印象は『悪戯好きの問題児、ただし悪人ではない』

 籠絡しやすい(チョロい)

  ・タロウ 

  ・父 

  ・母 

  ・ゼロ :勘がいいが問題なし

  ・A :タロウ・父を経由して順調

 ガードが固い

  ・ゾフィー(よそ行き口調が外れ気味、概ね計画通り)

  ・マン

  ・セブン

  ・ジャック

 要注意

  ・ゼット(本人及びナツカワ・ハルキは問題ないが、周辺が厄介。特に魔人と魔剣。慎重に)

 その他は追々

②アイテムの修理

(i)ドライバー最優先

  ※損傷状態から考えて、一度に吸わせるエネルギーは小惑星一つ分を限度とすること

(ii)次点でトリガー

  ※光線技を受けるのはリスクが高すぎる。ローリスク・ローリターンでいいから確実に

 

光の巨人ってのは騙しやすい。特に、光の国出身の奴らは。清濁併せ呑むタイプが少ない上に、併せのむべき”濁”に触れる機会自体があまりなく、どいつもこいつも純粋だ。どこまでも光を盲信し、闇の持つ可能性に気が付かない――気付こうとしていない。光の力(自分たち)は常に正しく、闇の力は悪であり、誤っている。そういう認識が無意識の内に根付いている。

ああ、なんて自分勝手なんだ。普段は散々『力は使う者次第』とか言っておきながら、闇の力が絡んだ瞬間口を揃えて否定しだすんだ――その闇と光を両立させてこそ、無限の可能性ってやつがあるのに!お前たちの信じる人間こそが、それを体現した生命体だってのに!

まったく、愚直と言うか、馬鹿というか。まァ、俺としちゃあ踊らせやすくて結構だが。

 

……知りたい。人間とほぼ同等の感情を持つこいつらが、この先どうなるのか。

こいつらは、いつ、どこで、どんな風に裏切ったら―――どんな状況で傷つけたら、最高の顔をしてくれる?

どうやって傷つけたら、膿んで、捻れて、引き攣れて、いつまでも汚泥のように心にへばりついて離れない、そんな一等醜くて愛おしい、永遠に治らない傷跡を残せる?

 

考えただけで気分が高揚する。無意識の内に口角が持ち上がり、口元が歪む。変身していてよかった。今バレたらどうなることか。

―――今から楽しみだ。今に見てろ。お前たちは頂点から引きずり降ろされる。俺がこの宇宙(せかい)作り直(リビルド)してやる。

 

「エボルト、任務だ。今から行けるか?急ぎなんだが」

「はァい、隊長。今度はどんな星だ?」

 

今はただ、まいた種に水をやろう。絆という肥料と、思い出という防虫剤を加えて。大きく大きく、健やかに育てる。そしていつか実ったら、俺がそれを喰らう。噛み付いて、咀嚼して、呑み込み、喰らい尽くす。

この星の輝きは気に入った。お楽しみは取っておこう。―――ああ、マズいな。こんな事考えてたせいで腹減ってきた。

今日はどんな出会いがある?明日はどんな驚きがある?きっと未来は、楽しみで満ち溢れている。

*1
子ども自身が「悪い」とわかっていることを、大人の顔色を見ながら、気を引くようにあえてするもの。親からの愛情を確認するために行われるため、成長すれば自然に消滅するものではなく、親の愛情が確認できるまで形を変えて行われる。




大変長らくお待たせいたしました。お楽しみいただけましたら幸いです。
なんかいつにもましてポエムだな…うーん…ここらで一発、エボルトがちゃんとエボルトっぽいことしてるところが書きたかったんですが、難しくて…エボルトがマイルドすぎる理由を書きたくて…うーん…

次回予告
エボルトの日常 〜一体いつから、平和な日々を謳歌していると錯覚していた?〜

アンケートより、アルファベットの上にはカタカナルビを入れることにしました。ご協力ありがとうございました。








・・・








「地球で遊びたいやつ、この指と〜まれ」

暗い部屋の中、折り重なった躯の上で言う。

「なんだ、誰もいないのか?つまらん」

唯一動いているスクリーンからの逆光を受け、下手人の姿は影でしか捉えられない。ただ、部屋の中を濡らす鮮烈な赤だけは判別できる、その程度の薄い光。

「…あァ、もう俺以外全員死んでるんだったか!ヒャハハハハハハ!!」

狂った笑い声が響く。
赤い、紅い蜘蛛が嗤っていた。



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第6話 一体いつから、日常回だと勘違いしていた?

エボルト「うわっ…光の国の奴ら、チョロすぎ…?」
ゾフィー「外道外道とは思っていたが、ここまでとは…」
ゼロ「俺の優しさ返せよ!!」
エボルト「うるせえ黙ってろ。ていうかラスト!ラストのアレ何だよ!!」
キルバス「久しぶりだな、エボルト」
エボルト「失せろクソ兄貴」
キルバス「断る。これから会いにいくからな♡」
エボルト「キモいんだよ。サッサと失せろ、お・兄・様♡」
ゼロ「そこ、いい加減にしろ!どうなる第6話!!」
ゾフィー「ヤケになってる…」


 邪悪な計画を進めつつも、それを悟られることなく素知らぬ顔でウルトラの星での日常を謳歌するエボルト。

 今日は、そんなエボルトの日常をお送りさせて頂く。

 

「ふぁ〜あ、よく寝た…隊長サンよ、生きてるか?」

 

 エボルトの朝は早い。ちなみに、寝床は勝手に執務机の上に設置したふわふわお布団(手作り)である。変身後のライダーがそのまま布団で寝ている光景はなかなかにシュール。

 起床後は、まず一番にゾフィーの生存確認を行う。ゾフィーは貫徹することがざらにあり、ウルトラ兄弟を始めとした顔見知りに監視を依頼されているからだ。隊長がこんなので大丈夫か宇宙警備隊。

 

だ、大丈夫だ、問題な……ガフッ」

「ダメだなこりゃ…オーーーーーイ!!隊長サンがァァァアアアア!!死にかけててェエエ!!

勘弁してくれ頭に響く……」

「お、生きてたか。銀十字軍(病院)行け」

やだよ…」

 

 不毛な会話を交わしながらも、2人は動き始める。本格的に目を覚ましたゾフィーが体をほぐしているうちに、エボルトは数日前に与えられた自分専用のホログラムでゾフィーの過労をチクる。なお、相手はウルトラ兄弟総勢10名とウルトラの母。数分もすれば、ドタドタという複数人の足音と揺れが執務室に近づいてくる。それを感じたエボルトは立ち上がり、これまた数日前に与えられた移動用アイテム(エボルト命名『エヴァに出てくる使徒の輪っかみたいな飛行モジュール』)を装着する。エボルトは、『復元前のエボルトリガーを宇宙警備隊に預ける』という条件のもとであれば、『監視付きの自由行動』の許可を得るところまで漕ぎ着けていた。

 

「ん?エボルト、移動するなら…」

「わかってる、今日の付き添いはもうゼロに頼んでるよ」

「そうか。それならゼロと「ゾフィー!!!!」

セ、セブン!?どうしてここに、というかなんでそんなに怒って……エボルト、お前か!」

「三十六計逃げるに如かず、な〜んてな。Ciao(チャオ)!」

「ちょ、まっ、エボルトォォォオオオオ!!あっごめんセブン別に隠してたってわけじゃないんだ、ただ、待ってせめて言い訳ぐらいは……ウワァァアアア!

 

 叫ぶゾフィーを尻目にエボルトはゼロと合流、そのまま光の国を離れていく。

 ここ数日、ゼロはエボルトを様々な星に連れ回していた。砂漠以外はなにもない星、美しい氷の惑星、超新星爆発間近の巨大な恒星、衛星が9個もある天体―――。エボルトは、最初の内はそれらを『つまらない』か『面白く滅ぼせそう』のどちらかでしか認識していなかった。しかし、何度も何度も連れ回すうちにゼロの努力が実を結んだのか、次第にそれ以外の反応も見せるようになってきていた。

 

「なァ、ゼロ。こないだの水晶の星、また連れてってくれよ。あのキラキラは気に入った」

「!そうか、そりゃよかった!待ってろよ、今連れてってやるからな!」

 

 和やかな会話に思えるが、もう一度見返していただきたい。

 

「なァ、ゼロ。こないだの水晶の星、また(滅ぼすときのために下見したいから)連れてってくれよ。あのキラキラは(壊し甲斐がありそうで)気に入った」

「!そうか、そりゃよかった!待ってろよ、今連れてってやるからな!」

 

 ゼロの善意を平然と踏みにじっている。これだからエボルトは。そしてゼロ、君はいい加減となりのブラッド族の危険性に気付こう。初対面ではあんなに警戒してたじゃないか。ついでに言っておくと、エボルトが水晶の星を”キラキラ”と表現しているのはわざとである。『これまで俺は”美しい”やら”輝き”やらの概念を持ってなかったんだ(大嘘)』ということなのか?これだからエボルトは。

 

 

・・・

 

 

 少し経ち、昼。もともとエネルギーを経口摂取する習慣がないエボルトに、ゼロは食事がいかに素晴らしいことかをを教えていた。なお、エボルトは大抵のものをはしゃぎながら食べてくれるので、実はそこそこ料理人たちからの人気がある。というか餌付けされている。

 

「で、コレはなんて”りょうり”なんだ?」

「それはカレーだな。地球に行ったことがあるやつなら、みんな一度は食べてるぜ。ピリッと辛くてうまいぞ」

「ふーん……痛ッ!なんだコレ舌が痛え!」

「それが”辛い”って味だ。慣れたらうまいぞ?…ああ、そうか!お前辛いの苦手「確かにうまいな」マジかお前」

「エボルト、気に入ったか?必要ならおかわりもあるが」

「ン、ウルトラマンエースか……もう一杯くれ」

 

 どうやらこの害悪宇宙人はカレーを気に入ったらしい。二杯目のカレーも平然と腹に入れ、今は前回の食事でお気に入りになったプリンをつついている。プルプル揺れるプリンにスプーンを入れつつ、今日はどんな星に行っただとか、どんなところが気に入っただとか、大袈裟に言っているうちにそれもまたエボルトの腹の中に消えた。

 エボルトはもう大人だ。声も低いし頭も回る。しかし、ウルトラ族よりも圧倒的に小さな体躯と無知を知ったときの反応のせいで、一部の面々からは小動物のような扱いを受けている。本人も嫌がっているように見えて、実はそれを利用してデザート類をむしり取っているのはご愛嬌だ。

 

 食堂を出た2人は、特に目的もなくそこらへんを散策する。普段は平和に時間が過ぎ去るのだが、どうやら今日は一味違ったようだ。

 

「ゼロししょーーーーーー!!やっと見つけました!ウルトラ大変だったんですよぉお!」

「うわっ!ゼット!?お前一体どこから……エボルトまさかお前!やりやがったな!?」

「?何のことだ?あのなゼロ、俺は今日一日ずっとお前と一緒に行動して「ウルトラ助かったぞ、エボルト!」勝手にバラすなよォ!!

 

 共犯者のゼットが暴露する形で密告がバレ、せっかく隠していたのに、と憤る。それでも三十分程度の間は二人の掛け合いを楽しんでいたが、一時間もすると飽きてきたらしく、ゼロを急かして退散する。

 やかましく騒ぎ立てるゼットで一通り遊んだ後は、もう一度宇宙の旅に出る。午前は『キラキラした水晶の星』を訪ねたため、午後のリクエストは『緑でいっぱいの星』にし、そこへ向かって飛び出した。―――問題が起きたのは、その途中だった。

 

「……なァゼロ、あそこの重力、おかしくねえか?」

 

 最初に異変に気づいたのはエボルトだった。ブラックホールを操る姿を持つからか、エボルトは重力場については一家言を持っていた。次いでゼロも、エボルトの指し示した空間のもつ違和感を感じ取る。

 

「近場に天体があるわけでもねえのに、異様に空間が歪んでるな……何が起きてる?俺の知らない怪獣かなんかか?」

「いや、違う。怪獣じゃねえ。こんなの俺も初めてだ」

 

 自分の知識にない怪獣の仕業かもしれない、とエボルトはゼロに問いかけるも、答えは否。それとほぼ同時に、歪みの奥底から膨大なエネルギーの波動――おそらく、これでも余波――が二人の元へ到達する。

 

「……嫌な予感がする。このエネルギーに、この気配…最っ悪だ。よりにもよって―――引くぞ、ゼロ!ここは危険だ!」

 

 歪みの先から感じる赤い視線。逃げろ、と本能が警鐘を鳴らす。ゼロとともに全速力で離脱しながらも、どこか冷めた理性は、行動が遅すぎたのだと、今から逃げたところで追いつかれるだろうと理解していた。

 やがて歪みを突き抜けて視線の主が現れると、エボルトは即座に進路を反転し、こちらへ突き進んでくるそれと対峙する。

 

「おい待てエボルト!引けって言ったのはお前だろうが!おい!」

「悪いなゼロ。俺は引けねえんだよ……もう、止まれる理由なんて無い。まァ、お前で遊ぶのはなかなか楽しかったぜ?」

 

 プロジェクト・リビルド。その全てのプランに共通して存在する最大の不確定要素にして不安要素たるもの、それこそが視線の主―――キルバス。エボルトが並々ならぬ憎しみをぶつける実の兄。必死に止めるゼロの声を振り切ったエボルトは、加速しながらそれに向かって突貫し―――。

 

やっと見つけたぞ、エボルトォ!

久しぶり…でもないか。俺は会いたくなかったぜ、クソ兄貴ィ!!

 

 蛇と蜘蛛が、衝突する。




なお光の巨人(ゼロ)は空気。

破滅型おにいちゃんが既にライダーの姿を手に入れているのには理由があります。
だから突っ込まないでください()
間が空いた上に短くてすみませんでした。

次回。エボルト、ついに火星に行く〜おにいちゃんといっしょ〜


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第7話 エボルト、ついに火星に行く

前回のあらすじ!
エボルト「平和な俺の日常をご紹介していましたところ、なんとクソ兄貴が現れて邪魔をしてきやがりましたことをここに報告いたします」
ゼロ「俺空気だったんだけど」
エボルト「知るか、お前が悪い」
ゼロ「ひどい!!」
エボルト「というわけで、どうなる第7話!あとクソ兄貴はくたばれ


やっと見つけたぞ、エボルトォ!

久しぶり…でもないか。俺は会いたくなかったぜ、クソ兄貴ィ!!

 

 蛇と蜘蛛が、衝突する。

 一瞬の拮抗の末、吹き飛ばされたのはエボルトだった。エボルトは勢いを殺さず、逆に利用してゼロの近くまで後退。普段の飄々とした態度はどこへやら、焦りを前面に押し出した声で叫ぶ。

 

「ゼロ!サインで連絡しろ!」

「クソ兄貴って、え、おま、は!?」

「いいからサッサとやれ!」

「よそ見してる暇があるのか?」

 

 その声に顔を正面に戻すも、時すでに遅し。キルバスに焦点があったときには、視界いっぱいに真紅の拳が写り込んでいた。

 

「オレから目を離せばやられる…まだ学んでなかったか?」

「ッグ、馬鹿力が……ッ、ほざけ!!」

 

 拳の直撃をもらってしまったが、当然、ただでやられるエボルトではない。防御こそ叶わなかったが、殴られ回転する勢いを利用してお返しだとでも言わんばかりにキルバスを蹴り飛ばす。空気抵抗のない宇宙空間、キルバスは抵抗なく吹き飛んでいくが、戻ってくるのも時間の問題だ。

 しかし、それでよかった。そのたった十数秒こそを、エボルトは求めていた。

 

Imitation(イミテーション) Evol(・エボル) Trigger(・トリガー)

 

「本当にコレ使えるんだよな、ヒカリィ…!?」

 

 エボルトが取り出したのは、エボルトリガーに似た物体。ただし、エボルトリガーはモノクロに赤色で装飾がされているだけなのに対して、こちらは赤を主体に金と青で装飾されており、フェーズ1のエボルを思わせる色合いとなっている。―――名を、イミテーション・エボルトリガー。読んで字の如く、エボルトリガーの模造品である。

 事の次第をかいつまんで話そう。すべての始まりは、一週間ほど前に宇宙警備隊に『ある知らせ』が届けられたこと。それは、とある新人警備隊員からの『取締に向かった犯罪集団の拠点が既に何者かに襲われていて、構成員は全員死亡していた』という報告。エボルトはキルバスの存在を直感、対抗するための策―――ヒカリによるアイテムの作成を前倒しした。

 イミテーション・エボルトリガーは、皆様ご存知『光の国のマッドサイエンティスト』ことウルトラマンヒカリの発明品である。

 

Force(フォース) The(・ザ・)Evolution(エボリューション)

 

 フォース・ザ・エボリューション。訳すとすれば、『進化を強制する』または『無理やりに進化させる』。本来であればフェーズ4:エボルブラックホールとなったときに得るはずのブラックホールの操作能力を、『創造』『操作』『廃棄(破壊)』の三工程のうちの『創造』に限って行使できるようにするアイテムである。

 しかし、用いるエネルギーがウルトラマン由来の光のものであるという点から、ドライバーに馴染まず暴走する危険性があるため、使用限度は3回までと決められていた。エボルトにとっては、逃走成功の可能性も、自爆して死亡する可能性もある、まさに諸刃の剣と呼ぶべきアイテムである。

 

Cobra(コブラ) Rider System(ライダーシステム)

Imitation(イミテーション) Evol(・エボル) Match(・マッチ)

 

Are(アー) You(ユー) Ready(レディー)

 

「変身!」

 

Black Hole(ブラックホール)!】【 Black Hole(ブラックホール)!】【 Black Hole(ブラックホール)!】

Imitation(イミテーション)!】

【 フッハッハッハッハッハ!!】

 

 ハーフボディの形成までは通常のブラックホールフォームへの変身と同じだが、そこから先の変身シークエンスが違う。上下に3つ並ぶはずのEV-BHライドビルダーは前後に3つ並び、白く半透明で向こう側が透けている。そのままハーフボディとビルダーが組み合わさると、腰部に赤から青へのグラデーションで彩られ、裾が金縁となっている『I-EVOベクターローブ』が装着されたエボルが姿を表した。

 

「―――ダメだな、全然調子が上がらねえ……が、」

「よくもやってくれたなァ、エボルト!!」

 

 変身成功とほぼ同時に、キルバスが帰ってくる。それを正面から迎え撃つ―――と見せかけて背後へ回り、強烈な回し蹴りを叩き込んだ。

 

「さっきよりはマシだ!」

 

 2人は一度互いに距離を取った。音のない宇宙は、当然といえば当然だが、それが今はやけに不気味に感じられる。その場を満たす緊張感に気圧されたゼロが、ほんの少し後ずさり―――それを合図にしたかのように、星狩りたちは再び衝突した。

 

「アアァァアアアッ!!」

「オォオオオオオ!!」

 

 蛇と蜘蛛は全身から真紅のエネルギーを放出し、拳をぶつけた状態で押し合い始めた。数秒しないうちにキルバスが有利に立ち、エボルトは押され、後退していく。このままエボルトが弾き飛ばされるかに思えたが、エボルトはすかさず全エネルギーの半数を足に集中。エネルギー量に任せたゴリ押しで空間に(ひず)みを作り、そこを足場としてキルバスに対抗し、次第に押し返してゆく。

 次に動いたのもエボルト。ドライバーのレバーは右手側についているのだが、それを左手で回すという暴挙に出る。一瞬キルバスが動きを止めるも、そこはさすがのブラッド族最強。すぐさま我に返ると、レバーを回すエボルトの手を抑えにかかる。しかしエボルトは最低限の防御だけを固めると一切の抵抗をやめ、キルバスのエネルギーに乗る形でバク転。大きく弧を描いてその場を離脱する。

 

「少しは効いてくれよ……!」

 

Ready(レディー) Go(ゴー)!】

Black Hole(ブラックホール) Finish(フィニッシュ)!】

 

「ハァァアアアアアッ!!」

 

 読んで字の如くブラックホールをキルバスの背後に生成し、前方宙返りで勢いをつけた飛び蹴りを胸部装甲へとぶち当てる。ただでさえ相手が格上だと言うのにこちらは弱体化しているのだと、もとからダメージは度外視して()()()()()()()()()()()()()ためだけに行った攻撃。

 エボルトの狙いは唯一つ、キルバスをブラックホールで固定することで可能になる時間稼ぎであった。

 

「相変わらず、まだるっこしいことを……フンッ!」

 

 しかし、キルバスはそれを、こちらもまた出力任せのゴリ押しで強行突破。稼げた時間はわずか4秒にも満たず、エボルトはひとつ舌打ちをする。

 ゼロはいるだけ邪魔だ、どうやって逃がすか。応援は必要か不要か―――不要。ゼロと同じく、いるだけ邪魔になる。今の戦力でキルバスに勝つのは不可能、逃亡も困難。

 ではこの局面、一体どうやって生き残る?どうやって離脱すればいい?同時に幾つものことを並列して考え続ける。相手の動きを読め。予測しろ。最適解を導き出せ。損失は最低限に、しかし時には賭けに出て。必死に頭を回転させるも、最善策は愚か、有効な手札さえ思いつかない。

 

 イミテーション・エボルトリガーの使用可能回数、残り2回―――!

 

「もう終わりか、エボルト?なら次はコッチからいくぞォ!!」

 

 言うが早いかキルバスはエボルトに接近し、鳩尾に狙いを定めると下から上へと刺し穿つような膝蹴りを放つ。エボルトはそれを上体を反らして回避すると、そのままバク転し意趣返しにつま先で顎を狙い蹴り上げる。しかしキルバスはそれを足首を掴むという正気とは思えない方法で防ぐと、逆にエボルトを投げ飛ばした。投げ飛ばされたエボルトは空中で一回転、体制を整えるとすぐにゼロの隣まで後退し、ゼロに何やら耳打ちをする。

 キルバスは当然その行動を訝しむも、余裕綽々で何もせずにただ棒立ちするのみ。エボルトはそれに苛つく様子もなく、もう一度必殺技の発動体制に入る。

 

「いいかゼロ、チャンスは一回だけだ……一瞬でいい、確実にアイツの動きを止めろ」

「わかった、だがお前はそれでいいのか?お前自身の力で勝ちたいんじゃなかったのかよ」

「オイオイ、勘違いするなよ!俺は死にに行くんじゃァない。勝ちに行くんだ」

 

 エボルトはまだ何かいいたげなゼロを視線で制し、再び右足にエネルギーを集中させ始める。ゼロも、不満げではあるがウルトラ念力の準備を始めた。

 

「作戦会議は終わったか?ならもう始めていいよなァ!?」

 

 待ちきれないと言わんばかりに飛び込んでくるキルバスを無視し、エボルトとゼロは同時に高度を上げる。急停止したキルバスが上を見上げたときには、エボルトは既に飛び蹴りの体制に入っていた。

 

Ready(レディー) Go(ゴー)!】

Black Hole(ブラックホール) Finish(フィニッシュ)!】

 

「くたばれクソ兄貴ィ!!」

「またそれかエボルト!俺には効かないと言っだろォ!?」

 

 先程と同じくゴリ押しで突破しようとしたキルバスをゼロの念力が押し留める。一瞬の硬直の隙を突き、エボルトの蹴りがキルバスを―――否、()()()()()()キルバスをブラックホールへ押し込んだ。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

『いいかゼロ、よく聞け。今の俺達がこの場でアイツを倒すのは無理だ』

 

 エボルトは、『今この場でキルバスを倒すのは不可能』と言い切った。そしてその上で、自分に策があるとも。

 

『アレを倒すのは無理、時間稼ぎも不可能。だからアイツを、俺のブラックホールをワープゲートにしてここから遠く離れた地点に放り出す』

『ブラックホールは力押しで突破されるぞ。それこそ不可能だ』

『いいや、出来る。俺がアイツから離れず押し込み続けるから、お前はそれを念力で援護しろ。もちろんキルバスの動きを止めるだけだ。俺まで押し込むなよ』

『わかってるよ!どこに追いやるんだ、下手なところだと被害が増えるだけだぞ』

『俺がこの間もらった小惑星帯でいいだろ。あのへんには生命体のいる星も無えしな…アイツはワープが出来ない、戻ってくるだけで数年はかかる』

 

 それでもゼロは反対だった。この策では高確率でエボルトが巻き込まれる。しかし同時に、現状それしか手の打ちようがないのも事実だった。

 

『大丈夫だ。俺を信じろ。―――必ず、生きて帰る。まだエースの”どーなつ”ってのを食ってないからな』

『…お前、こんな時まで飯のことかよ』

 

 戦闘が始まってから、ずっと硬い表情だったゼロが笑った。その安堵を感じとり、エボルトはゼロの発言を茶化す。

 

『食事っていうのは最高の娯楽だ。生きるってことは案外、おいしいってことかもしれないな。そうだろ、ゼロォ?』

 

 適度に緊張はほぐれた。心身ともに状態は良好。勝利条件は明確になり、具体的な勝ち筋が見えたのだと、そう思っていた。思い込んでいた。

 今思えば、どうして気がつかなかったのだろう。エボルトは、一度も自分の離脱方法について言及していなかった。あいつは最初から、自分の安全なんて考えちゃいなかったんだ―――。

 

「隊長!エボルトが!エボルトが俺を庇って!」

 

 ただただ悔しかった。守りきれなかった自分が恨めしい。許せない。

 最悪の宇宙人とまで言われたブラッド族でも、あいつは仲間を想っていた。母星を愛していた。美味しいものを食べたら笑うし、きれいなものを見せたら喜ぶ。自分の命も危うい中、真っ先に俺を逃がそうとした。あいつは、あいつは……どこにでもいる、普通の宇宙人だったんだ。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

「あァクソ、身体痛え…無理なワープはするもんじゃねえな」

 

 今頃ゼロはこの事件を隊長サンにでも報告しているだろう。俺は足手まといから離れられ、ゼロは安全地帯に逃げられ、クソ兄貴は邪魔者が消えて好き勝手できる。win-winだな。ああ、もうひとつ俺の利を追加しよう。これによって、俺はほぼ完全な信頼を得られた。感謝してるぜ、ゼロ。

 ワープ先の座標は火星に設定してある。あそこにはおそらく、火星の王妃であるベルナージュがいるはずだ。…8割方カンだけどな。賭けにはなるが、もうこれしかない。泣いても笑っても、これが現実。

 

「貴様ら、何者だ!!あの三人の仲間か!?」

 

 金色のエネルギーに緑の目、黄金のバングルをつけた左手―――俺は、賭けに勝った。運命の女神とやらは俺に微笑んだ。

 ただ、一つだけ聞きたいのは―――なんで火星にパンドラタワーが生えてるんだよ?ていうか俺抜きで火星滅亡戦争始まってるし……何事?




なんとか!なんとか火星に着いてるので!次回予告詐欺じゃ!!ないです!!
なんかいつもの2倍ぐらい文量あるな…しかもやたら―――を使ってるし…戦闘しかしてないのに…不思議…

次回、大乱闘スマッシュブラッド族in火星〜ベルナージュ大迷惑〜


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第2章/火星
第8話 大乱闘スマッシュブラッド族in火星


前回のあらすじ!

エボルト「いやぁ危なかった!死ぬとこだった!なんとかクソ兄貴を抑えて火星に到着した俺・地球外生命体エボルトは、既に火星に建っているパンドラタワーを目にした!」
ゼロ「え?アレってパンドラボックスが必要なんじゃねえのか?」
エボルト「だから、ブラッド族ならコピー出来ると言っただろうが。もう忘れたのか?」
ゼロ「覚えてるよ!そうだ、お前以外の生き残りがいたんだったな。そいつらが建てたってことか…ってそうだ!エボルトお前、また俺を騙したな!?」
エボルト「騙されるお前が馬鹿なんだよ、万丈もどき(筋肉バカ)
ゼロ「もどきってなんだ、もどきって!…ん?俺が万丈ポジってことはまさか!」
エボルト「お前じゃデカすぎてドライバーは使えないんでな、ゼロダークネスをやる気はない。そのくらい分かっとけ、バカ」
ゼロ「あんだと!?」
エボルト「ハイハイ、どうなる第8話!」


「貴様ら、何者だ!あの三人の仲間か!?」

「そんな奴らは知らん!俺たちも()()()()()だ!後ここに来たのは事故だ、今は放っといてくれ!」

 

 ベルナージュに言い返し、その間に殴りかかってきたキルバスをいなす。続けて、”あの三人”とは誰か聞き返そうと視線をそらしたその時、背後から怨嗟の叫びが轟いた。

 

「お前は我々を裏切った!死ねぇ、エボルトォオオオ!!」

「ゲェッ!”あの三人”ってお前らかよ!」

「余所見をするなァ!」

「あーもう今は引っ込んでろクソ兄貴ィ!!話がややこしくなるだろう、がァ!」

 

 どうやら襲撃犯はブラッド星を離れるときに別れた三人組だったらしい。パンドラボックスの持ち逃げを恨んでいるようだ。エボルトは突っ込んできた火星襲撃の下手人を適当にあしらい、キルバスを蹴り飛ばす。飛んでいったキルバスが残り2人に激突するのを横目に、宙に浮かぶ巨大な両目のすぐ横―――ベルナージュのもとへ退避、疑いの目を向けられながらも共闘を開始する。

 

「貴様らは何者だ!何のためにここへ来た!」

「俺たちは悪名高き”星狩り族”、でも今は方向性の違いで喧嘩中!あの赤いのがキルバスっつって俺の兄貴、他三人は雑魚!アンタもあいつらには苦戦してなさそうだしな!」

 

 ベルナージュが三人をまとめて吹き飛ばし、剣の一閃を躱して殴りかかるキルバスにはエボルトがカウンターで痛烈なオーバーヘッドキックをくらわせる。キルバスは三人を踏み台にして空中で減速、そのまま三人を蹴飛ばした反動で再接近するも再びベルナージュに弾き飛ばされ、今度は三人組を蹴散らしにかかった。

 

「あいつらの…というか俺たちブラッド族の弱点はアレ、腰についてるドライバーだ。アレを壊されると強制的に動きを止められるし、真っ二つにでもされたら最低でも肉体と精神の分離は免れねえ」

「ならばそこを狙えと?」

「そうだ。俺がキルバスを抑えるから、その間に雑魚どものドライバーを壊してくれ…長くは持たんが」

「いいだろう。だが後でじっくりと説明してもらうぞ」

 

 言うが早いかエボルトはキルバスに向かって突貫し、直後真紅のオーラを身に纏い加速。突撃されるキルバスは軽く頭を傾け、危なげなく顔へのパンチを躱す―――が、そのままエボルトは直進し、ヘッドロックを固めると更に加速してベルナージュたちと距離をとり、一騎打ちにもつれ込んだ。

 一方ベルナージュはまたも巨大な剣を振り抜き、一度に三人全員のドライバーを破壊。リーダー格のブラッド族――後に、地球で伊能賢剛を名乗ることになる――以外の二人のドライバーは完全消滅することとなった。残された伊能のドライバーも読んで字の如く粉々に粉砕され、修理は不可能。さらに、攻撃の余波で三人の肉体と精神は分離、エボルトの読みどおりに三人共が無力化された。

 

(向こうは終わったか…ベルナージュ強すぎ?それともあいつらが弱いだけか?まあいい、早く終わるに―――)

 

「―――越したことはない、ってなァ!」

「何の話だ!?俺にナイショで()()()()してるなんて、妬けちまうじゃねえか、アァ!?」

「いちいちキモいんだよクソ兄貴!俺の目の前から、消えろ!!」

 

 王族たちの傍迷惑な兄弟げんかはまだまだ続く。キルバスは炎に似たエネルギー弾を乱射するも、エボルトはそれを空中を飛び回ることで紙一重で躱し続ける。気分は弾幕ゲーだ。しかしそれにも嫌気が差してきたのか、エボルトは突然向きを変えると今なお火星の大地を吸い上げ続けるパンドラタワーの裏側へと身を隠した。

 

「なんだ?シューティングはもう終わりか?結構楽しかったんだが、仕方ない…」

 

 ついにキルバスが動いた。自分のドライバーのレバーを見やるとおもむろに手をかけ、回し始める。爆発的にエネルギーが高まり、ベルナージュはぎょっとして振り返った。

 

「ッ!?おい、エボルト!なんのつもりだ!?」

「この塔をブチ壊す!お前から見ても、こんなの無い方がいいだろう?まあ大人しく見とけ。破壊力だけは一級品だからな、ウチのクソ兄貴は」

 

 限界まで圧縮したエネルギーを右手に携え、キルバスは急上昇。パンドラタワーを有に超える高さまで飛び上がると、間髪を入れず急降下し、掲げた拳を振り下ろす―――!

 

Ready(レディー) Go(ゴー)!】

[+\:*@.](■■■■) Finish(フィニッシュ)!!】

 

 キルバスの拳はパンドラタワーに直撃。使用されているパンドラボックスがコピーされた劣化品だったことも相まってタワーは即座に崩れ始める。それに伴い生成されていたブラックホールも消滅し、削れた大地は戻らずもこれ以上の被害拡大は避けられた。

 パンドラタワーを破壊したキルバスは瓦礫の雨もものともせず、火星の赤茶けた大地に降り立っていたエボルトのその背中に向かってさらに加速する。エボルトはこちらを振り向く素振りさえも見せない。

 

「もらった―――とでも思ったか?そりゃ良かったな、だが無意味だ

 

Ready(レディー) Go(ゴー)!】

Black Hole(ブラックホール) Finish(フィニッシュ)!】

 

「ライダー…キック!なーんてな」

 

 キルバスの攻撃がエボルトに届くよりも、エボルトの上段回し蹴りがキルバスに到達するほうが早かった。ご丁寧にその一瞬だけ赤いオーラで自分を強化することで、急に速くなったエボルトの脚が上手くキルバスの腕の下をくぐり抜け、その顔面を強烈に打ち据えている。キルバスは今度は吹き飛ぶことなく、そのまま地面に落ち、着地―――しようとして、失敗した。

 別に、キルバスが自力で踏みとどまったわけではない。本当に強い攻撃では、相手は吹き飛ばないのだ。これは、後ろに押す力も含めたすべての衝撃が相手に加えられているためである。

 

「アァ、今のは効いたなァ…?弱体化しておいてよくまあここまでやれるな、エボルト」

「そうかよ、なら死んでくれ」

 

 わざとらしく装甲越しに頬を(さす)るキルバスを横目に、エボルトはふわりと浮き上がるとベルナージュと並んだ。

 緑の(まなこ)と真紅の複眼が並び立ち、蜘蛛を見据える。

 

 己に向けられる黄金の剣と赤、青、金で彩られた蛇の鮮やかな殺意。それらを受け、キルバスは仮面の下で壮絶に笑う。

 

「いいな、楽しくなってきた…!」

 

 エボルトは笑わない。ベルナージュも笑わない。二人共、笑っていられる状況でないことは理解していた。

 

「いいかベルナージュ」

「なんだエボルト」

「ここからが、本当の戦いだ……一つでも行動を間違えれば、火星どころか宇宙も滅びるぞ」

 

 彼ら以外に知るものもなく、しかして宇宙の命運すらかかっている戦い。その第3ラウンドが、今始まった。




エボルト、突然のカブトごっこ

ひっっっっっっっっっっじょうに遅くなりまして大変申し訳ございません。しかも短いです。本当に申し訳ございません。
言い訳がましくなるのですが、調子に乗って前回よりさらに長いの書いていたらデータが飛んでしまいまして。今はおぼろげな記憶を頼りに頑張って書き直しています。
なのでとりあえず書けたところまで挙げます。これ以上おまたせするのはまずいかなって思って…

次回も気長にお待ちいただけると幸いです。


次回、魂の故郷へ。乞うご期待!




ベルナージュ、実は一度も名乗っていません。焦りすぎててどさくさ紛れの名前呼びに気づかなかったんですね。エボルトも、焦りすぎてて聞いてもないはずの名前で読んじゃったんですね。気づかれなくてよかった。


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第9話 魂の故郷へ

前回のあらすじ!

エボルト「火星についた。三人は秒殺された。マル。」
ベルナージュ「短すぎる。もっと長く」
ブラッド族A「細かくではなく!?」
ブラッド族B「というかなんやこの名前!」
エボルト「仕方ねえだろ、公式に名前明かされてねえんだから」
ベルナージュ「何を細かく説明しろというのだ。言われたとおりだろうに」
ブラッド族B「メタ発言すなや!」
ベルナージュ「黙れ、騒がしいぞ。どうなる第9話」
ブラッド族C(一言も喋ってない…)


「ここからが、本当の戦いだ……一つでも行動を間違えれば、火星どころか宇宙も滅びるぞ」

 

 ついに火星での最終決戦が始まった。

 

「ハアッ!」

 

 先手必勝と言わんばかりにベルナージュが斬りかかるも、キルバスは回避ではなく正面から自分の攻撃でそれらを打ち消していく。合間を縫ってエボルトが殴りかかるも、それを防御もなしに持ち前の装甲だけで耐えると、反対にエボルトを蹴り飛ばす。しかし脚を振り抜いて無防備な格好になっているところへ剣の一撃が直撃し、たまらず声を上げるがしかし、堪えてはいない―――が、動きが止まった。

 

「な、んだとォ…!?」

 

 バチバチと音を立て、朱色の電撃がキルバスの全身を走っていく。見ると、その腰にあるドライバーに亀裂が入っている―――ベルナージュの剣は鎧を貫き中身にダメージを入れるまでは至らずとも、確かに手痛い傷をその身に負わせていた。

 

「もう、いっちょォ!!」

 

 一拍遅れて、追いついてきたエボルトがすり抜けざまにひと殴りしていく。狙いも見え見え、隙も大きい動きではある。ある程度腕が立つなら誰でも容易くカウンターをとれるであろうそれには、しかしキルバスでは届かない。どれだけ力があろうとも、動けなければ意味など無いのだ。

 

「さァてそれじゃあ、もう一発…おッと危ねえ!」

 

 二撃目に移ろうとしたエボルトは、(すんで)のところで身を翻した。その眼前を赤い軌跡が駆け抜けていく。軌跡の正体は、回復したキルバスが振り抜いた腕だ。

 

「してやられたよ、エボルトォ……小細工好きめ、そいつに何を吹き込んだ?」

「さァな、誰が教えるかよ」

 

 エボルトが吐き捨てるのとほぼ同時に、レバーを回し終えたキルバスが必殺の一撃を放つ。

 

Ready(レディー) Go(ゴー)!】

[+\:*@.](■■■■) Finish(フィニッシュ)!!】

 

「消し飛べェ!」

「断る!!」

 

 己を灰燼に帰さんとする赤い波に、しかしエボルトは防御もなしに突っ込んだ。まさに波に飲まれんとするその瞬間、エボルトの周囲を円錐状に()()()()()()()()()()()()が取り囲み破壊の波から守り抜く。

 

「往けッ!エボルトォオオ!!」

「言われなくても、これで決める!!」

 

 自分を包むバリアすらも捨て去り、誇り高き火星の王妃はエボルトの防御に全てのエネルギーを回す。黄金(こがね)色の円錐は捻れながら回転を始め、進むとともにその速さを増していく。

 一方兄を討たんとする星狩りは、進みながらレバーを回し、禁止されていた()()()のトリガーの使用を始める。しかしこれまでと違うのは、その手の中に白銀(しろがね)色のボトルを握っていること―――名を、『イージスボトル』。イミテーション・エボルトリガー開発にあたって、一時的にイージスを纏ったゼロから漏れ出ていたエネルギーを閉じ込めたボトルである。なお密造。エボルトが数回ボトルを振ると、その腕に集まっていたエネルギーもまた白銀色に煌めき始める。

 

「突き通せ!」

()()ェェエエエエ!」

 

 黄金色のドリルが破壊の波を貫き、ドライバーを粉々にするその寸前でキルバスは自ら変身を解除。ベルナージュの一撃はドライバーのみを破壊し、キルバスは肉体と精神の分離を回避した。―――が、直後襲いくる銀色の砲撃に弾き飛ばされる。飛んでいくその先にあるのはもちろんブラックホールだが、いつものものとは一味違う。ワープの力を持つブラックホールに欠片とはいえノアの力を加えたそれは、異なる宇宙をつなぐ孔。

 

この宇宙(せかい)から出ていけ、クソ兄貴

 

 鮮やかな青色のアメーバ状の姿になったキルバスが、前からの圧力と後ろからの引力に引かれて孔へと近づいていく。半流体のような姿ではたとえ暴れようが引力の拘束を脱するには出力が足らず、キルバスは徐々に孔へと飲み込まれていき―――

 

エボルトォオオッ!!

「「二度と来るな!!」」

 

 暗闇の奥へと消えた。

 

「ッ、ハァ、は、終わった、か?」

「…だろうな……ッ、ゔァっ、クソが、最悪だ…」

 

 全てが終わったことを悟り、体中から力が抜けた二人は座り込む。と、同時にエボルトの体内から鈍色の箱が吐き出された。それに続いてイミテーション・エボルトリガーは砕け散り、エボルドライバーも真ん中から真っ二つに割れる。

 

「それは貴様、まさか…」

「あいつらの持ってた箱、その正規品だ…そうだな、これはお前が持っといてくれ。今の俺は弱りすぎてて体内にしまえなくなってるんでな」

「最高レベルの警備で閉じ込めておいてやる。だが私はもうこれまでのようだ―――後は、皆に任せるとしよう」

 

 からん、と軽い音を立ててバングルが地面に転がる。横を見ると、ベルナージュの身体は既に消滅していた。

 

「……お疲れさん、王妃サマ。ゆっくり休めよ」

 

 まだまだ頑張ってもらわなきゃならないんだからな。そう心のなかで告げ、エボルトは立ち上がる。奇跡的に無事だった背中の飛行ユニットを駆動させ、火星の大気圏を突破して宇宙へと飛び立つ。もともと限界まで酷使されている飛行ユニットがミシミシと嫌な音を立てるが、エボルトは止まらない。ただただ、真っすぐ進み続ける。

 進む。進む。もはやエボルトの目には目的地以外移っていなかった。

 

(疲れた…身体が痛い…休まなきゃな……帰りたい…)

 

 進む。進む。青い星が見えてきた。戻ってきた。俺にとっては初めての地球。俺にとっては唯一の故郷たる地球。

 

「ハ、ハハ…ッついに、ついに戻ってきたァアアアア!戻ってきたぞ!地球に!帰ってきたんだ!ハハハハハハ!!」

 

 ああ、なんて美しい。確かに宇宙人ホイホイになるわけだ。

 

バキッ

 

 背中のユニットが割れる。砕け散る。後は地球の引力に仕事をしてもらうだけだ。

 

(……なんか前にもこんな事あったな…)

 

 大気との摩擦で身体が熱せられていくが、なんの問題もない。ブラッド族は宇宙でも数少ない、生身で大気圏を突破できる生命体であるがゆえに。

 最後に見えたのは、懐かしき日本列島だった。ああよかった、普通の島国で。三分割されてたらどうしようかと思った。

 

 目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 19☓☓年某日、ショッカー所属のとある怪人は、新たに見つかった約5200年前に墜落したと見られる隕石から宇宙金属を採取せよとの任務を受け、発掘地に訪れていた。

 あたりの人間を始末し終え、いざ隕石を持ち出そうとしたその時。

 

グジュリ

 

 気味の悪い音がし、隕石から真っ赤なスライムが流れ出てきた―――否、隕石そのものがスライムへと変わった。

 地球外生命体が隕石に化けていたのか、と戦闘員にサンプルとしての捕獲を命じ、戦闘員が大ビンを片手に近づいていく。

 

『おっと、そうは問屋がおろさねえってな』

 

 しかし、突然流暢に日本語を話し始めたスライムに身体の中に入り込まれ、戦闘員は傀儡と化した。他の戦闘員たちが排除に向かうも、戦いにすらならない蹂躙で全員が倒れた。怪人自身も出張ったが結果は同じで、戦闘員も怪人も泡になって消え去り、後にはつい先程までスライムだった怪物だけが立っている。

 

使()()()()やつまで死んだな。用意周到なことで……待てよ、ここどこだ?」

 

 怪物は歩き出し、自分が堕ちてきたらしい山を歩き回る。街を見下ろせる高台に来ると、怪物はそのふざけた精度の視力で街を眺め始めた。

 

(ふーん。見た感じの町並みは昭和なのか…ン?昭和?)

 

 怪物、もとい地球外生命体エボルトは一瞬のフリーズの後、思考の海に沈んだ。

 

 どう考えても時系列がおかしい。俺がウルトラの星に墜落した次点で、ウルトラマンZとナツカワ・ハルキは融合していた―――つまり、地球の時間は最低でも西暦2020年以降ということになる。だが、俺ことエボルトが登場する『仮面ライダービルド』は2017年の仮面ライダーであり、この次点で既に3年ものズレが生じている。さらに、体感ではあるが、俺は相当長い間休眠状態にあったはずだ。それなのに、俺が今見ている町並みはどう見ても昭和のもの。

 

(一体何がどうなってる…?)

 

 考えられる可能性は大きく分けて三つ。

 一つ。ウルトラシリーズ側の時系列が正しく、ビルドの時間が3年以上遅れており、かつ日本の文明が平成以降の域に達していない場合。だが、俺もこれは流石にないと思っている。あまりにもメチャクチャだ。一応頭に入れておくぐらいが丁度いいだろう。

 二つ。時系列は一つ目と同じで、俺が単体で過去に移動している場合。これの可能性が一番高いと考えられる。

 三つ。ウルトラシリーズとは完全に独立した時間軸、いわば原作に近い『ビルドの世界』的なところに移動している場合。過去にいるのか現在にいるのかは分からんが、前者なら前者、後者なら時間軸が独立しているがゆえのズレとして、時系列のズレを処理できる。この場合、宇宙を移動したのは二度目の必殺技時…トリガーの不具合か?ブラックホールにワープ機能をつけるとき、ゼロのイージスを参考にしたと聞いた。そのゼロ本人の念力にでも反応しておかしなことになったんだろう……どこぞの絆が大好物なカミサマが余計なことしたとかじゃねえだろうな?

 

「この場合、アイツが地球に…というよりこの宇宙に戻ってくるのにかかる時間は、ドライバーの破壊も加味して……長く見積もって7~8000年。かなり遠い宇宙に飛ばしたはずだし、それくらいは持つはずだ。でも、言っちまえば、ウルティメイトゼロの出力さえ出せれば、強引ではあるがワームホールを開けるしな…最短で6000年弱ってとこか。俺が寝てたのが体感だが4~5000年だとすると、ビルドの時系列に合わせるなら…そもそも今何年だ?」

 

 二つ目と三つ目、どちらが正しいかも今のままではわからない。ともかくまずは今何年かを確認しようと街に―――行こうとして、やめた。

 

(流石に怪人態はマズいよなァ…)

 

 危うく怪人態で街に行くところだった。誰にでもいいから擬態しなくては…そうだ、これにしよう。

 

「万丈、姿借りるぜ…服装が浮きすぎだな。そこだけいじっておくか」

 

 では、気を取り直して。今は何年か確かめようと、山を下り始める。我知らず脚が速くなる。スキップでもしたい気分だ。ああ、やっとだ。やっと帰ってきたぞ。

 ―――俺の、魂の故郷へ。




エボルト、前回のカブトごっこに続き突然のディケイドごっこ

後半です。できました。のですぐ挙げます。次回からまた亀更新に戻ります。
冗長…話大して進んでない………ナンデ…


・前回の捏造に対する言い訳&懺悔タイム
ドライバー壊したら動きが止まる…トリガーで止まるならドライバーでも止まるかなって………ユルシテ…

・今回の捏造てんこ盛りの言い訳&懺悔タイム
①この小説では、『火星での戦いからエボルトが遺伝子を探査機に潜ませるまでには、かなり時間が空いている』ということにしています。よって、このエボルトは肉体と精神の分離はしてはいませんが、火星での戦いからビルド本編までに長い年月が経っていることは変わり有りません。ご了承ください。………ユルシテ…
②パンドラボックスの自動排出
いくらボトルが入ってないからと言って、パンドラボックスですよ?アレがズタボロエボルトの身体に収まるわけ無いじゃないですか〜やだ〜………ユルシテ…
③怪人態への擬態
ガワだけなら真似られるかなって…Vシネクローズでもそれまでエボルコブラしか出てなかったのになんかサラッと怪人態なってたし………ユルシテ…
④服だけ擬態変更
これぐらい出来るかなって!!!!(必死)………ユルシテ…
⑤戦闘員自動死亡
いやだって…ショッカーなら乗っ取られた戦闘員ぐらい殺すでしょ…技術もあるでしょ…多分………ユルシテ…

・さらなる言い訳&懺悔タイム
①なんで急に宇宙跳んだ?
ブラックホールとノア様パワー(欠片)ならそんぐらい出来るかなって………ユルシテ…
②なんで時間軸おかしいの?
最初の方に何も考えずZ君とハルキくんのこと書いちゃったからです…当時Z完走しておかしくなってて………ユルシテ…
③なんでエボルト急に日本語喋ってんの?
だって前世日本人だから…母国語なら喋れるでしょ(死んでから何年経ったと思ってるんだ)………ユルシテ…

次回、秘密結社ファウスト  気長にお待ちいただけると幸いです。



-追記-
2023/6/29に『第???話 仮面ライダーエボル』を削除いたしました。書き進めていくうちに頭の中でエボルト成主が暴走し始め、話が当初の予定とは正反対の方向へ進んでいっており、予告としての役割を果たせなくなったためです。どうかご了承ください。


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第3章/地球
第10話 秘密結社ファウスト


前回のあらすじ!

エボルト「この宇宙からキルバスを追放した。この宇宙(せかい)から出ていけ、クソ兄貴(ディケイド最終回剣崎ごっこ)」
ゼロ「え、倒してないのかよ?」
エボルト「お、ゼロ!久しぶり…でもないか。それを言うなら、じゃあお前はバラージの盾無しでどこぞの皇帝サマに勝てたんだな?ってことだよ」
ゼロ「……ソレハナイデス、ハイ」
エボルト「優しい俺でも、流石に今のはちょっと怒ったぞ…まあでもこれからしばらく出番ないから、心置きなく休んどいてくれよな☆」(訳:しばらく視界に入ってくるな)
ゼロ「えっ」
エボルト「そして―――ついに、戻ってきたァアアアア!帰ってきたぞ!地球にィィイイイ!!」
ゼロ「うわうるさっ」
エボルト「正直これが言えたからもう満足だ。それでは、どうなる第10話!」


 時は流れ、西暦1971年。記念すべき始まりのヒーローたる『仮面ライダー1号』が生まれた年。

 

「ついに、始まったかァ……!」

 

 泡となって消え去る戦闘員たちを、赤い怪人が高台から悠々と見下ろしていた。手慰みにトランスチームガンを弄り回し、崖から投げ出した足をブラブラと揺らす”いかにも暇人です”といった様子のソレは、遠い過去に思いを馳せる。

 

(やっぱりイイなァ、『仮面ライダー』ってのは……)

 

 遥か昔(前世)と変わらず、エボルトは『仮面ライダー』を愛していた。それに、せっかくショッカーがある地球に来たのだ。特等席で楽しまなければ損だろう。

 ―――ブラッド族として生きた永い時間。それが(かつ)ては真っ直ぐだったはずの愛を歪ませたことに、本人は気づいていない。

 

「『仮面ライダー』といえば悲しみのヒーロー!これはもはや常識だよなァ……俺個人の意見としては、ショッカーみたいなあからさまな悪の組織だけじゃなく、”一見悪の組織に見えるものの、実は自身の正義と信念のもとに動いていた組織”と戦って、さらなる苦悩と葛藤の果てに、それでも進むのを選んでほしいところなんだが―――お前はどう思う?」

「悪趣味」

「ひっでえの。言っておくが、この計画に乗った時点でお前も同罪なんだからな?」

「わかってるよクソ外道。私は、我々は理解した上で君の口車に乗ったんだ……だが、これだけは(おぼ)えておけ。計画が完遂された時点で、君に用は無くなる。我々は、必ずお前を殺す。殺してみせる」

「おぉ、怖い怖い。じゃあ、()られる前に逃げるとするか。Ciao(チャオ)!」

 

 言うが早いか、エボルトは崖下へとその身を踊らせた。それまでエボルトと会話していた男は視線を下へと走らせるが、そこにはもう誰もいなかった。

 

「……毎度のことながら、逃げ足が速いな」

 

 男は来た道を引き返していく。仮面ライダー1号―――()()()()()への罪悪感を抱いて。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 仮面ライダー・本郷猛は改造人間である。

 彼を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である。

 仮面ライダーは人間の自由の為にショッカーと戦うのだ!

 

 

 ある日のことである。本郷猛こと仮面ライダーは、土砂降りの雨の中、街で暴れるショッカーを退治したところだった。さあ帰ろう、とバイクに跨ったところで、本郷の視界に、路地裏に倒れる人影が飛び込んできた。二十代前半に見える、やたらと細長い印象を受ける青年である。

 

「大丈夫か!?しっかりしろ!」

 

 青年の肩を叩きながら呼びかけると、彼は(うす)らと目を開け、本郷を見つめ返した。本郷に助け起こされた青年は、まず周りを見渡し、次に水たまりを覗き込んだ後、途方に暮れた顔で本郷をもう一度見て、言った。

 

「………オレは、誰だ…?もしかして、アンタの知り合いだったりする…?」

「……まさか、記憶が無いのか?」

 

 本郷は、青年を連れ帰った。雨の中、行くあてのない人物を放っておくことなどできない。

 青年は何も覚えていなかった。しかし、彼に仮面ライダーとしての姿を見られた本郷がショッカーのことを打ち明けると、青年は突然怯えだし、頭痛に耐えるように背を丸めてうずくまった。

 

「ショッカー…首領……改造…?ファウ、スト……?俺は…そうだ、あの()()()に……!」

 

 青年もまた、本郷と同じくショッカーの魔の手にかかった人間であったのだ!

 青年は蝙蝠の改造人間である。ただし、見た目は普通の人間と全く同じであった。青年は、ショッカーの『戦えるスパイ』として改造された。単に耳が良いだけではなく、声帯に高い圧をかけることで、口から5~9万ヘルツの超音波を発することも出来る。これにより、青年は仲間―おそらく、想定では戦闘員―とのテレパシーじみた交信のほか、反響定位、すなわち、超音波の直進性と反射性を利用して、対象物までの距離やその大きさ、形がわかるようになった。

 青年はショッカーに打ち勝ち、記憶を取り戻さなくてはならない。人間のためにも、自分自身のためにも、彼はショッカーに立ち向かう決意を固めた。しかし、青年の使()()()()はあくまでもスパイであるため、仮面ライダーのように変身することはできない。そこで、青年はその能力を使って、本郷のサポートに徹することにした。

 

「仮面ライダーのオペレーターか…うん、ライドオペレーターなんてどうだ?」

「最ッ高!おやっさんってばてぇん↑さあい↓!じゃあ俺、これからはライドオペレーターだな!」

 

 青年は、今日も仮面ライダーを支えている。本郷猛は孤独ではなくなった。理解者とはまた違う、改造人間の仲間ができたからだ。

 青年は、今日も耳を澄ます。恐ろしい秘密結社と戦っているというのに、彼に恐怖はない。何も持っていない自分に新しい名前をくれた、頼もしい仲間がいるからだ。

 

「本郷さん!次の角を右に曲がって200m先、怪人だ!背中のとこに、多分甲羅かなんかがある…亀だと思う!気をつけて!」

 

 ライドオペレーター・蛇倉威(へびくらたけし)は改造人間である。

 彼を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である。

 ライドオペレーターは人間の自由の為、仮面ライダーとともにショッカーと戦うのだ!




 み じ か い ! ! ! ! そ し て お そ い ! ! ! ! 
本当に申し訳ございません反省しておりますのでどうか言い訳をさせていただきたく存じます。

データが消えました。

これまでのプロット、展開メモ、使いたい(厨二)セリフ集、キャラ設定資料、その他諸々おじゃんになりました。やる気も根気も消え果てて、それでも頑張った結果です。
 で も み じ か い ! ! ! ! ク ソ が ! ! ! ! 


次回、……………どうしよう……下書き全部消えた………どうしよう……気長にお待ち下さい(冷やし土下座)アッ…スズシイ……
青年の体格はどこぞのオンドゥル王子みたいなもんだと思ってください。




オペレーターくんの名前で察しちゃった勘のいいガキの方、お口ミッフィー(・×・)でお願い致します。アッ(察し)程度なら問題有りませんが、具体的に言うのは勘弁してください。


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書き直しに関するお知らせ

打ち切りとリメイクについて

 

突然ですが、このシリーズを打ち切ることにいたしました

自分の中で話がとっちらかってきて続きを書き進めるのがいよいよ不可能になったためです。

ですが、一度自分で書き切ると決めたものを放り出したくはありません。というより、絶対完成させたいんですよね。

そこで、このシリーズは未完という形にして、リメイク版を一から書くことにいたしました。

それに伴って、こちらのタイトルを旧題の『ウルトラ世界で星を狩る蛇』に戻し、リメイク版を現在の『Masked Rider EVOL -星狩りの赤い蛇は『仮面ライダー』になり得るか?-』を一部変更し、『Masked Rider EVOL -最終兵器エボルは『仮面ライダー』になり得るか?-』というタイトルにさせていただきます。そして、本日17:30に第1話を公開いたします。

リンクを貼っておきますので、まだ読んでいただける方はそちらに飛び、更新を待っていただけると幸いです。

https://syosetu.org/novel/327085/

 

ただし、私も来年に受験を控えているため、更新頻度が大幅に開くか、年単位で更新がない状況に陥る場合があること、ご了承ください。

 

 


 この文字数ではお知らせを投稿できないので、ここから下は字数稼ぎになります。

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