シンデレラは遅れてやってくる (白雪(pixivでもやってる))
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私は灰かぶり

12世代、いいですよね


私は時代が悪すぎたんだ、とよく言われていた。

 

兄が三冠馬オルフェーヴル、その上の兄はグランプリ連覇のドリームジャーニー。

 

私はこの二頭の全妹(父と母が同じであること)として産まれた。

 

兄たちと同じ池上先生の厩舎に入り、研鑽をして……ひとつ上の兄オルフェーヴルと併せ馬もした。

 

そう、なかなかに期待されてたのだ私は。

 

だが、そううまくはいかない。

 

 

新馬戦、小倉二歳Sを連勝し、一番人気に推された阪神ジュベナイルフィリーズでは二着。

 

あのオルフェーヴルの妹が重賞を勝ったと当時は話題になったものだ。

 

思いだせばあのときが精神的に満たされてた気がする。

 

ここらは苦難の連続だが。

 

 

まずチューリップ賞を勝利し桜花賞に進むとジェンティルドンナ、ヴィルシーナの三着になった。

 

馬主さん?がダービーに出せと言ったので出たらディープブリランテに直線粘られて二着。

 

秋華賞に出走しジェンティルドンナ、ヴィルシーナのまたまた三着……。

 

ジャパンカップにオルフェーヴル……お兄ちゃんと一緒に出走したら直線で競り合って三着。泣きたい。

 

金鯱賞を勝ったものの宝塚記念ではゴールドシップに敗れ四着。

 

天皇賞秋も生まれ故郷が一緒の幼馴染みジャスタウェイが覚醒し二着。

 

そのあとは説明するのが面倒なのでそのあとから現在までの戦績を並べておこう。

 

2013年 阪神カップ 一着

2014年 京都記念 一着

     宝塚記念 三着

     天皇賞秋 二着

    有馬記念 二着

 

現在2015年1月。

すっかり空気は冷えて馬着が離せない時期だ。

 

ジェンティルドンナちゃんは有馬記念勝って引退しちゃったし、ジャスタウェイは世界一になってドバイを制覇。

フェノーメノくんは春天を連覇してゴールドシップくんはG1現在5勝して宝塚記念を連覇している。

あの永遠の二番手って言われたヴィルシーナちゃんもヴィクトリアマイルを連覇だ。

 

ダートにも強い同期がいるらしいし……。

 

G2やG3は勝てるのになんでG1は勝てないんだろう、私……。

 

オルフェーヴルお兄ちゃんは「きっとサンドリヨンなら勝てる」って言ってくれたけど。

 

池上先生も、私を引退させないのはどうしてだろう?

 

ゴールドシップくんも現役は続けるらしいけど……もう世代交代なんじゃないのかな?

 

 

私の鞍上はコロコロ変わっていて、若干武市さん率高め。

 

でも六歳……今年からはお兄ちゃんの鞍上をしていたあの池副さんが乗ってくれるらしい。

 

心強いけど……癖馬マイスターって呼ばれてるんだよね?

 

え、ちょっと私そういうふうに思われてるの!?

 

─────────────────────────

元気に飛び回るサンドリヨンの体調を確認し、池上はため息をついた。

 

こんなことは、初めてだ。

 

「おはようございます池上先生」

 

「おはよう池副くん。」

 

「ため息なんかついてたら幸せが逃げちゃいますよ?何か悩み事ですか?」

 

「いや……本格化はまだなのかと思ってね。馬格は牝馬の平均サイズくらいだが、馬体重は驚くほど安定してるんだ。こういうのって調教師の仕事なんだけど、正直いらないね。筋肉もまだ薄いのに重賞を複数勝ってるから……本格化したらきっと強くなるんだけどね……」

 

「メジロマックイーンも晩成型でオルフェーヴルも聞いた話によると種牡馬になってから現役より筋肉がついたとか本格化したとか言われてましたからね。今年で本格化するかもしれませんよ」

 

「だといいんだけどね。いい加減G1をとらせてあげたいよ」

 

 

とは言ってるが、まずは目の前の次走に集中しなくては。

 

 

「京都記念は強敵揃いだ。キズナとハープスターというG1馬も出てくる。」

 

サンドリヨンは強い。

 

善戦ウーマンとか言われてはいるが、掲示板をはずしたことはないのだ。

 

たとえG1の舞台であっても……。

 

 

だからこそ

 

 

「勝たせてあげたい……お前らもそう思うだろ?ジャーニー、オルフェ……」

 

 




サンドリヨン
父ステイゴールド
母オリエンタルアート

名前の由来 シンデレラのフランス語

調教師 池上泰利
馬主 谷水雄二
毛色 尾花栗毛

「なぜ兄と同じサタデーレーシングじゃないのか抗議します」
「落ち着け」


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ドレスを纏って

『おにいちゃんすごい!わたしもおにいちゃんみたいにはやくはしれるようになりたい!』

 

まだデビューしていない頃は、楽しかった。

 

全てがキラキラしていて、池上先生も優しい顔をしていて、優しい兄がいて……

 

 

『サンドリヨンなら、なれるさ』

 

そう笑ってくれた兄はいない。

 

池上先生も厳しい顔をしている。きっと私が勝てないせいだ。

 

本当に私はダメな子だ。

 

みんなの期待を裏切っている。

 

G1レースで必ず聞こえる落胆のため息。

 

「重賞を複数勝ってるのはすごいけど、G1がね……」

 

 

ジェンティルドンナ

 

ジャスタウェイ

 

ゴールドシップ

 

ホッコータルマエ

 

フェノーメノ

 

皆優秀で嫉妬すら湧かない。

 

同期は皆「サンドリヨンはまだそのときじゃない」って言ってたけど……もう六歳だし能力的にも衰えてきてると思うんだよね。

 

京都記念も手強い後輩ばっかだし……不安だよ。

 

________________________________________

 

 

「馬群の内からハープスター!だが第80代ダービー馬が追ってきた!キズナ迫る!先頭はここでサンドリヨンだ!スズカデヴィアスとラブリーデイが二番手混戦だが…………ここは負けられないサンドリヨン!!!あとはG1を勝つだけ!」

 

 

なんとかキズナの猛追を退けスズカデヴィアスとラブリーデイを差した。

 

ハープスターは馬群に飲まれてたのに間を縫うすごい脚だった。

彼女の前が開けていたら結果は変わったかもしれない。

 

 

「先輩、次はどこ走るんですか?ジェンティルドンナ先輩みたいにドバイに行くんですか?」

 

 

「いや国内にとどまると思うよ」

 

どうやらヴィクトリアマイルに陣営は行かせたいみたい。

 

まあヴィルシーナちゃん引退のいま、ヴィクトリアマイルの女王は空席。

 

私にもチャンスがある。

 

 

__________________________________________

 

 

そう、思っていた。

 

 

 

「追い込んできたストレイトガール!ケイアイエレガントと並んでゴールイン!惜しくもサンドリヨンは三着か!?」

 

 

私と同じ六歳の牝馬、ストレイトガール。

 

 

 

走った路線こそ短距離マイル、王道路線と交わらないものの……私と同じG1未勝利馬だった。

 

 

私は今まで諦めていた。

 

年齢の壁を越えることを。

 

殆どの馬は四歳に全盛を迎える。

 

その時期に勝てなくて、衰え始める六歳でG1が勝てるのか……そう思ったのだ。

 

 

なのに、彼女は容易く越えた。

 

 

シンデレラのようにステップアップする彼女を見て、わたしもそうなりたいと思ってしまった。

 

 

「サンドリヨン……六歳牝馬だってやれるの。衰えなんて言わせない。後輩たちなんかに負けない」

 

そう力強く言い放ったストレイトガールは美しかった。

 

 

ドクン、ドクンと心臓が高鳴る。

 

 

まだ終わりじゃない……?

 

 

私の旅路は続いている……?

 

 

お兄ちゃんを……越えられる……?

 

 

 

 




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ガラスの靴を履いて

ファン投票で上位になったとのことで宝塚記念へ。

 

天皇賞春を勝ったゴールドシップくんが三連覇を狙ってるようだ。

 

宝塚記念のゴールドシップくんはとても強い。

頑張らないと。

 

 

それに今回わたしは珍しくかなり太ってしまった。

 

前回は460キロほどだったのに今は472キロ。

 

プラス12キロの増加だ。

 

「よう、久しぶりだなサンドリヨン」

 

 

「シップくん!同世代の子が一緒のレース走るの嬉しいな。天皇賞春おめでとう。G1勝利数お兄ちゃんに並んだらしいね、すごい!」

 

 

「サンドリヨンはドンナと違って優しいなぁ。うう、ジャスも引退しちまったし俺は……」

 

 

「寂しいよね。私も引退までにG1とれるかな。今日は頑張ろうね!」

 

 

「……あー、それパス、かも?」

 

 

「????」

 

 

そのシップくんの言葉は数分後に現実となった。

 

 

 

「うおおおお!!!」

 

 

『キャーッ!』

 

『ゴールドシップがゲートから出ない!』

 

 

「‥……?なに、やってるの……?」

 

 

シップくんに気を取られ、私も思わず出遅れてしまった。

 

隣のゲートだもん、仕方ないじゃん。

 

 

 

「あああもう!!!最後尾!!!」

 

「なんか……ゴメン?」

 

「ほんっっっとに怒ったからね!」

 

 

ちょっと申し訳なさそうにするシップくん。

あとで調教師の先生に怒られてください。

 

 

私は自分でもびっくりするほどの追い込みで三着に滑り込んだ。

 

一着はラブリーデイくん。

 

ひとつ下で悲願のG1初制覇らしい。

 

 

最近こういうの続くな。

 

 

……………わたしも?

 

 

というかデブったのにわりと走れたな……。

 

 

__________________________________________

 

「体重、こんなに増えてますよ!」

 

「本当だな。しかもおそらくこれは成長分だ」

 

「はい、心なしか筋肉がしっかりついてきたように思えます。まさかこれって…」

 

「本格化、だな。まったくようやくか。よし、オーナーに来年も走らせるよう今のうちに頼み込もう。」

 

「はい!」

 

 

__________________________________________

 

やっぱりお兄ちゃんいないと寂しいな……去年もだったけど慣れないよ。

 

馬房で寛いでると、厩務員さんが急ぎ足でやってきた。

 

 

「夏、白狼ファームに行こうサンドリヨン。避暑地だし」

 

 

なんですと!?

 

お母さんに!?

 

 

「オリエンタルアートには……会えないけど、オルフェとは会わせてやるさ!」

 

 

わーい!

 

久しぶりのお兄ちゃんだ!

 

楽しみだなあ……。

 

 

お兄ちゃん、二年前は私が放牧地からいなくなるとすぐ探して嘶くからなあ……寂しがりやだし心配だよ。

 

 

 

「お前たちは本当に仲が良かったんだなあ」

 

 

鼻を撫でる厩務員さんの目はとっても優しかった。

 

 

 




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かぼちゃの馬車に乗って

「お兄ちゃん!!!」

 

「よく来たなサンドリヨン!……あっ、兄貴……」

 

「……お前が妹か」

 

 

昨日白狼ファームへ着き、馬房を自分好みにして寝てしまった。

 

今日はお兄ちゃんのいる社団スタリオンステーションへ。

 

 

お兄ちゃんは相も変わらずで元気そう。

 

 

……だが、この小さくて怖そうなヒトは……?

 

 

「おい。今小さいって言ったか」

 

「あっ、違います!そんなことはないです!」

 

「ドリームジャーニー、人間どもによればお前らの兄にあたる……らしい」

 

「ドリームジャーニーお兄ちゃん……」

 

 

あのグランプリ連覇したがすっごい気性難と池上先生も頭を抱えていた……!

 

 

さすがG1ホース、オーラがすごい!

 

 

「私はサンドリヨンです。よろしくお願いしますジャーニーお兄ちゃん!」

 

「うっわ流石サンドリヨン……あの兄貴相手にお兄ちゃん呼び」

 

 

ひええと小さな悲鳴を溢すオルフェーヴルお兄ちゃん。

 

 

 

「背中はゾエだと聞いた。G1をなかなか勝ちきれない、と」

 

「……はい、そうです」

 

いやなんでお兄ちゃんなのに敬語になってるのよ私。

 

それはたぶん、負い目があるからだ。

 

期待されたのに思ったように結果が出ない私自身への苛立ちもある。

 

「……まあ程々に頑張れ」

 

「えっ」

 

 

あまりにも普通にさらっと応援されたのでびっくりした。

 

オルフェお兄ちゃんも「デレ?」なんて言ってる。

 

あっ、ジャーニーお兄ちゃんにオルフェお兄ちゃん蹴られた。

 

 

「兄貴は気性がアレでかなり苦労させたらしいからな」

 

 

「なるほど。確かに私もあのドリームジャーニーの妹とは思えないほどおとなしいって言われてたっけ」

 

 

でもジャーニーお兄ちゃんって小柄だよね私より。

 

本馬のまえでは絶対言わないけれど。

 

 

________________________________________

 

夏が終わり、秋のG1へ向けて調教が始まった。

 

 

というか

 

「また太ってる!!??」

 

 

前回472キロで今は488キロ。

 

えぇ……怖い怖い。

 

「増えやすい冬じゃなくて体重減りやすい夏にこんなに増えたのか……」

 

なんて池上先生はしみじみと言ってるけど、私はショックよ! 

 

すくすく成長中なんて、この年齢だとデブってるだけじゃない!

 

 

このままだと500キロいっちゃうんじゃない……!?

 

 

ヒェ……。

 

 

 

「こんにちは先生、サンドリヨン。……なんかまた一段とデカくなりましたね彼女」

 

 

「池副君久しぶりだね。490キロ近くでね……完全に成長分だろう。太ったという感じがまったくない。」

 

 

「ですね。凱旋門賞遠征はやめておいて正解でしたね。小柄な馬のほうが好走する傾向にありますから」

 

 

「まあ海外のほうが向いてるかもと心配する気持ちはわからなくもないが……」

 

 

凱旋門賞……お兄ちゃんが行った。

 

連続二着だったんだよね。

 

私は……話聞く限りあんまり向いてなさそうだなあ。

 

 

「次走はオールカマー叩いてエリザベス女王杯いこうと思うんだ」

 

 

え、エリザベス女王杯……ううむ牝馬限定戦か……

 

 

ここで勝たないと……!

 

 

 

 

 




六歳だけどもりもり成長中


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舞踏会は突然に

オールカマー三着

 

 

マークされて前壁になってしまった結果、後輩牝馬二頭に先着された。

 

 

私は……とても不甲斐ないと思った。

 

だけど先生や池副さんは違う。

 

 

「エリザベス女王杯は絶対勝てる」

 

 

そう言ってくれたのだ。

 

 

─────────────────────────

 

やってきたエリザベス女王杯当日。

 

「私もう六歳で……おばさんって呼ばれたらショックだなあ」

 

「あらやだシンデレラちゃん、私の方がひとつ上よ?」

 

 

私をサンドリヨンではなくシンデレラと呼ぶのは今回のレース最年長のパワースポットさん。

 

 

鬼ヤンマみたいなメンコをつけてる。

きれいな顔なのにもったいない。

 

「サンドリヨン、ですってば。G1馬もいて……緊張します。」

 

「あら、そう?貴女今までと違う気がするけど」

 

「パワースポットさんもですか?私は変わった気しないんですけど」

 

太ったくらいだって……。

 

「ふうん、まあいいわ。お互いベストを尽くしましょうね」

 

 

鞍上の志井さんのところにゆっくりと歩いていったパワースポットさんを見送り、パドックで池副さんを待つ。

 

 

「今日はよろしく、絶対勝とうね」

 

ニコニコと笑ってる池副さんは一回私の首を撫でたあと軽々と跨がった。

 

 

「やっぱりカラダしっかりしてますね、段違いだ」

 

「でしょう。もう緩さはないですよ」

 

 

私を曳きながら自慢げに胸を張った厩務員さん。

 

 

「きっと大丈夫だよ、お前なら。サンドリヨン」

 

 

 

───────────────────────────

 

「さあ女王の座は誰の手に。エリザベス女王杯、いまスタート!いいスタートを切りました一番サンドリヨンオルフェーヴルの妹です。ウインリバティ、リラヴァティもすーっと上がっていきます。おっ、なんと、なんとサンドリヨンがハナをとった!なんと今日は逃げてますサンドリヨン。」

 

 

 

スタートは上手く切れたし、勢いのまま前に出ちゃったけど、どうしよう……?

 

このまま逃げるしかないのね……。

 

 

どうしよう、私逃げなんて一回もやったことない!

 

 

取り敢えず池副さんの指示通りにペースを作ろう。

そうしよう。

 

 

「緩く逃げていきますサンドリヨン。フーラブライドも後に続く」

 

 

というか逃げの癖にそんなに離せてないし!?

 

これもう差しの射程圏内じゃん……。

 

メイショウマンボちゃんとかヌーヴォレコルトちゃんの脚が届いちゃうよ。

 

 

「そしてラキシス、ヌーヴォレコルト、ルージュバックなどの人気馬は中団から後方に控えています。先頭はサンドリヨン、変わらず。」

 

 

「さあ最終コーナー回って直線コース!持ったまま、持ったまま池副謙一とサンドリヨンがすんごい脚でリードを広げた!マリアライト追い込んでくる、間からヌーヴォレコルト!メイショウマンボは沈んだ!」

 

 

調教で、舌打ちをするとスパートをかけると学んだ。

 

だから鞭を使わなくてもいい、らしい。

 

痛いからありがたいけどね?

 

 

 

「さあ悲願だ悲願達成だ!このまま持ったまま四馬身と独走状態だ!ようやく王冠を手にしたシンデレラ!三冠馬の妹、サンドリヨン!」

 

 

 

最後は意外とあっけなかったというか……ぐんぐん脚が伸びる感じがした。

 

 

成長してるって……まじだったのか。

 

ただ太ってるわけじゃなかったんだね。

 

 

「鞍上はあの兄オルフェーヴルやドリームジャーニーを導いた池副謙一騎手です。いやあ、ストレイトガールやゴールドシップに続いてサンドリヨンもG1タイトルを今年手にしました。」

 

 

ようやくG1を勝って……嬉しい。

 

ちゃんと、ちゃんと期待に応えられたことが。

 

 

ウイニングランは初めてではないけれど、いつもと違う感じがした。

 

 

「よくやったよ!最高だ!」

 

「ありがとう!!」

 

 

厩務員さんも嬉しそうに私を曳いて、池副さんは私の首を叩く。

 

 

「ちゃんと覚えてたんだな、良かった良かった」

 

「余裕のある勝ち方でしたね、これは有馬記念も楽しみですよ」

 

 

 




イメージはイクイノックスのドバイシーマ



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アン・ドゥ・トロワ

私の名前はサンドリヨン。

 

今は東京競馬場にいます。

 

え?次走は有馬記念だから中山競馬場じゃないの、だって?

 

私もそう思ったけど、池上先生が私が元気もりもりだったからジャパンカップに出してみたらしい。

 

そこから有馬記念と……かなりローテきつくない!?

 

前走は悲願のG1制覇で嬉しかったんだけど、どうやら先生や池副さんたちはもっといけるって思ってるらしくて。

 

目指せ現役最強!らしい。

 

 

このジャパンカップは、二冠牝馬ミッキークイーン、同期の破天荒ゴールドシップ、宝塚記念と天皇賞秋を制したラブリーデイなどなどが出走して、とにかく豪華メンバーなの。

 

 

あとなんとか体重も安定してきて……でも三歳や四歳、五歳のときの私より断然太ってるからもう少し女の子としては減らしたいかな。

 

 

「サンドリヨンG1勝ったんだって?おめでと!」

 

「ありがとうシップくん。……宝塚みたいに出遅れにつられたりしないからね」

 

シップくんは、なんとなく覇気というものが抜け落ちた気がする。

 

……やっぱり衰え、なのかな。

 

 

「そろそろ行くよ」

 

上に乗った池副さんが手綱を握る。

 

私は頷き、ゲートに入った。

 

 

実は私は一番人気らしいのだ。

 

たぶんエリザベス女王杯の勝ち方が評価されたのだろう。

 

今まで灰被りだった私がG1で一番人気……本当に嬉しい。

 

 

ゲートに全頭収まり……スタートした。

 

───────────────────────────

 

『さあ綺麗にスタートが切られました。全頭いいスタート。先頭はカレンミロティックでしょうか。二番手外にアドマイヤデウス。三番手は一番人気、前走は悲願のG1制覇をしましたサンドリヨンです。ゴールドシップは後方二番手といったところ。』

 

 

出足はよかった。

 

先行して最後にスパートをかける……!

 

 

『サンドリヨンの後ろにぴったりとダービー馬ワンアンドオンリー、イラプトがついて各馬第一コーナーを回ります』

 

 

マークついてる……!

 

いや、冷静に、冷静になろう。

 

今の私ならこれくらい何も問題ない。

 

 

カレンミロティックはかなり逃げてるな……これは最終直線下がるよね。

 

 

『第三コーナーを回りカレンミロティックが逃げます。サンドリヨンは最内に』

 

 

まだだよね、池副さん。

 

 

 

『さあ第四コーナー向かって、全頭一斉に鞭が入ります!大外からすーっとゴールドシップが上がってきている!直線コース誰が抜け出すのか!?』

 

 

舌打ちが聞こえ、鞭が一発ふるわれる。

 

それを合図に待ってましたと言わんばかりに私は速度を上げた。

 

『最内を突いて、サンドリヨンがすごい脚でぶち抜いた!一気にカレンミロティックを捉えて突き放した!そしてようやく来たぞラブリーデイ!だが抜けた、抜けたサンドリヨン!もう善戦ウーマンなんて呼ばせない!四馬身、五馬身……いまゴール!!!』

 

 

『二着争いは接戦でしたがラストインパクトかショウナンパンドラか!?だが一頭桁が違ったサンドリヨン!スターダムへと駆けていきました!』

 

 

 

一着 サンドリヨン

 

二着 ショウナンパンドラ(6馬身)

 

三着 ラストインパクト(アタマ差)

 

四着 ラブリーデイ(クビ差)

 

 

 

________________________________________

 

『吉田颯人ゴールドアクターが間から縫って迫る迫る!だが先頭変わらずサンドリヨン!キタサンブラックとサウンズオブアースも詰めるが最後は流してサンドリヨンだ!G1三連勝!これが本当に六歳牝馬なのか!?』

 

『エリザベス女王杯、ジャパンカップ、有馬記念と3つの大レースを制しましたあのオルフェーヴルの妹サンドリヨンですが、現役を続行するらしいです』

 

『今ノリに乗ってますからね。現役最強としてあの二冠馬ドゥラメンテと戦うときが楽しみです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………現役、続けるの????

 

ゴールドシップくんは引退するのに????

 




イメージ 2010年エリザベス女王杯スノーフェアリー



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魔法はまだ解けず

なんと現役続行になった私、サンドリヨン。

 

七歳初戦は異国の地ドバイで行われるレース、ドバイシーマクラシックだ。

 

社代の超良血エリートで二冠馬のドゥラメンテ

 

ひとつ年下のラストインパクト

 

ダービー馬ワンアンドオンリー

 

……………牝馬、いないね?

 

外国の馬も、牡馬とせん馬ばっかり。

 

同性がいたら心強いんだけどなあ……。

 

牡馬はちょっとギラギラしてて苦手かも、同期は除いて。

 

 

ジャスタウェイは……失礼優等生みたいな性格だし別物。

ゴールドシップはゴールドシップ。

 

仲良くなれるといいな、日本の馬で仲間だもんね。

ターフではライバルだけど。

 

 

「えっと、ドゥラメンテくんははじめましてだよね?サンドリヨンです。お互い頑張ろうね」

 

「……よろしくお願いします」

 

挨拶すると、無愛想ながらも返してくれた。

 

いい子だなあ。

 

 

「また現役続けるんですか?」

 

「そうみたいなの。もう七歳なんだけどね」

 

「でも先輩去年G1三連勝してたじゃないですか。手強いなあ~」

 

有馬記念とジャパンカップで面識があったワンアンドオンリーとラストインパクトと話した。

 

「手強いって……私もうおばさんだから。若い子達についてくのにせいいっぱいだよ」

 

「おばさんではないです……先輩は、綺麗ですよ」

 

謙遜すると、ドゥラメンテくんがボソッとフォローしてくれた。

 

普通に嬉しい。

 

 

「ありがとう。お世辞でも嬉しいよ。私ドバイ初めてだなあ。同い年の馬いるかな?」

 

 

_________________________________________

 

慣れないドバイのターフにも慣れて、調教を積んで、ようやく来ました当日。

 

興奮しすぎてあんまり眠れなかった。

 

しかも夜走るなんて……ロマンチックじゃない?

 

 

「星、見えるかも……」

 

「先輩」

 

「ん?なあにドゥラくん。」

 

「今日……負けませんから」

 

「私も同じ気持ちだよ」

 

__________________________________________

 

「夜やなあ」

 

夜ですねえ。

 

「ナイターは初めてだもんなサンドリヨン。ちょっと興奮してるやろ」

 

 

ばれたか。

 

さすが騎手。

 

 

「うん……あんまり控えさせないほうがいいかもな。今日は逃げるぞ」

 

そうだね……私は今前に行きたがってる。

いつものように先行すると掛かってしまうかも。

 

 

「よし!おとなしくしてろよ……」

 

わかってるって。

 

 

池副さんは私を撫でながらゲートに入らせた。

 

私は3番。

外国馬に挟まれている。

 

唯一の牝馬だからかガン見されてるけど。

 

落ち着かないなあ。

 

 

「私は負けない」

 

 

お兄ちゃんがとれなかった外国のG1、制してみせる。

 

 

 

__________________________________________

 

『ドバイシーマクラシック、今スタートが切られました。出遅れはなし。全頭落ち着いてます。前に行くのは……おおっと、日本のサンドリヨン。G1三連勝の勢いのままこのドバイでもシンデレラは輝くか。サンドリヨンが逃げます。その一馬身ほど後ろにハイランドリール。三番手はワンアンドオンリー。二冠馬ドゥラメンテは後方からです。』

 

 

逃げてるけどさあ……離せてないけど大丈夫だよね?

エリザベス女王杯みたいに逃げてるけど……勝てるよね?

 

ああ不安になってきたよ。

 

うしろにぴったり外国馬ついてるし!

 

 

ドゥラくんの末脚怖いし!

 

 

コーナーをロスなく回って進む。

 

取り敢えずは私が逃げてて、皆はそれをうかがってる感じかな。

 

 

『第三コーナーを回り先頭は依然サンドリヨン。サンドリヨンが集団を率いています。残り800メートル、さあ最終直線へ向かいドゥラメンテが徐々に位置を上げてきたぞ!』

 

 

『残り500メートル最後の勝負だ!』

 

 

 

コーナーで……差をつける!

 

 

コーナリングで一気に着差を広げてスパートをかける。

 

これは、オルフェお兄ちゃんが得意だった。

 

コーナリングが上手くて、何度も練習したのだ。

 

 

 

『持ったまま突き抜けたサンドリヨン!コーナーで差をつけ堂々先頭!内に切り込むドゥラメンテ!ポストポンドも迫るがサンドリヨン!』

 

 

『二着争いドゥラメンテがポストポンドに迫る迫る!だが届かないか!?さあドバイで踊るあなたと私のダンス!抜けたサンドリヨンー!!!』

 

 

 

一着 サンドリヨン(レコード)

 

二着 ポストポンド(四馬身)

 

三着 ドゥラメンテ(一馬身)

 

 

 




イメージ ハーツクライ ドバイシーマ


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Shall we dance ?

『さあ直線コースに入って、二頭のシンデレラがぶつかる!サンドリヨンとストレイトガールだ!去年のリベンジなるかクラシックディスタンスの女王!連覇なるかスプリント女王!』

 

 

『だが併せて抜けたサンドリヨンだ!やはりこのマイルでも強さを発揮した!二着はストレイトガールで決まりそうだ!さあ三馬身軽く突き放してゴール!!』

 

 

『七歳牝馬、シンデレラストーリーの激突を制したのはサンドリヨンでした!二着にストレイトガール去年のヴィクトリアマイル覇者、三着に牝馬二冠ミッキークイーンです!』

 

 

その後ヴィクトリアマイルでストレイトガールと再戦。

 

見事にリベンジを果たした。

 

 

「私が一生懸命追ってるのに、あなた涼しげな顔してるんだもの。着差以上の勝利だったわ」

 

「そう?前走2410メートルだったからこれでもマイル走れるか不安だったんだよ私」

 

 

ストレイトガールは去年ヴィクトリアマイルを制した後にスプリンターズSも制覇。

 

誰が言ったか、遅れてきたシンデレラストーリーとは彼女のことだ。

 

「宝塚記念も出るんですってね。後輩に先輩の背中見せてやりなさい」

 

「あはは、頑張るよ」

 

応援するストレイトガールに笑顔で応える。

 

私は現在G1を五勝。

宝塚記念を勝てばオルフェお兄ちゃんに並ぶ六勝。

ジャーニーお兄ちゃんとオルフェお兄ちゃんと同じグランプリ連覇も達成することとなる。

 

プレッシャーだなあ。

 

しかも後輩にキタサンブラックっていう菊花賞と天皇賞春を勝った子がいるそう。

 

 

ドバイシーマで走ったドゥラくんも走るらしいし豪華メンバーだよね。

 

 

……今から緊張してきた。

 

 

 

__________________________________________

 

「先輩、今日は……よろしくお願いします」

 

「わざわざありがとうドゥラくん。よろしくね」

 

 

律儀な子だな、育ちがいいんだろうね。

 

挨拶をしてくるドゥラくんを見てそう思う。

 

巷では私、ドゥラくん、キタサンブラックの三強対決だと思われてるらしい。

 

牝馬だから、七歳だからって負けられない。

 

 

「ドゥラメンテが、おとなしい……!?」

 

「……チッ」

 

え、今ドゥラくん舌打ちした!?

 

驚いたようにこちらを見てるのはデカくて黒くてカッコいい後輩。

 

「もしかしてあなたがキタサンブラック?」

 

「はい。サンドリヨン先輩、今日はよろしくお願いします」

 

「うん、よろしくね。あなたたちって仲いいの?」

 

「いや、そういうわけじゃ……」

 

「全然」

 

仲いいというよりライバル?

 

でもドゥラくんやけに彼にそっけないし。

 

「ふーん……私ね、あなたたちと走るの楽しみだったの。悔いのないレースにしましょうね」

 

 

 

今日は芝が重いなあ……パワーがいつもより必要になりそう。

 

 

 

__________________________________________

 

 

『さあ全頭ゲートイン完了……スタートしました!落ち着いたスタート、カレンミロティック、ワンアンドオンリー、キタサンブラックが前へ行きます。G1五勝サンドリヨンは先行。内に入ります。ドゥラメンテはそのすぐ後ろぴったりマーク。』

 

 

スタートはうまくいったから先行になる。

 

逃げ馬は足りてるから別に行かなくてもいい……と思う。

 

 

というかドゥラくんにマークされてるな。

 

ドゥラくんレベルの末脚の持ち主にマークされるとキツイんだよね。

 

 

競り勝つしかないか。

 

 

『レースは縦長の展開。先頭はキタサンブラックそこまでリードせずに逃げてます。二番手はトーホウジャッカルかワンアンドオンリーか。四番手追走サトノノブレス。その外に持ち出したかサンドリヨン。真後ろにドゥラメンテ』

 

 

 

邪魔しない範囲で少し進路を外にとって……っと。

 

さて、そろそろかな?

 

 

『さあ最終直線、三強はどうするのか!どうなるのか!キタサンブラック抜け出した!間ラブリーデイ!ラブリーデイが迫る!』

 

 

よし、ここだよね、池副さん!!

 

 

 

『ドゥラメンテとサンドリヨン来た来た来た!!!先頭キタサンブラックに並んで……いやサンドリヨン振り切る振り切る!余裕で差しきった!』

 

 

『さあ讃えろ、偉大なヒロインの誕生を!サンドリヨン牝馬初のグランプリ2勝!』

 

 

「はあ……」

 

 

勝ったぁ……差しきれないかと思った……。

 

 

でも

 

 

「ドゥラくん、なんかいつもと違ったような……」

 

 

いつもの切れ味がなかったような気がする。

 

そう思ったら、ドゥラくんの騎手の人が下馬していた。

 

 

これは、ドゥラくんに何か異常があったということ。

 

 

「大丈夫かな……」

 

「お疲れ様です、サンドリヨン先輩。負けちゃいました……」

 

「お疲れさま。キタサンブラックくんもすごかったよ、私差しきれないかと思ったもん」

 

「またまたぁ……楽々と差してたじゃないですか」

 

ホントなんだけどなあ。

 

 

「ドゥラくん、心配だな」

 

「そうですね……また、先着された」

 

「?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

「そう?」

 

 

 

一着 サンドリヨン

 

二着 ドゥラメンテ(三馬身)

 

三着 キタサンブラック(ハナ差)

 

 

______________________________________________

 

 

「次を、サンドリヨンの引退レースにしようと思う」

 

 

「どこにするんですか?放牧挟んでジャパンカップ?」

 

 

「いや、有馬記念は外せないですよ」

 

 

「海外レースだ。正直、もうこの国に敵はいない。だから、海外でサンドリヨンの強さを見せたいんだ」

 

 

「そうですね……あのドゥラメンテやキタサンブラックにあれだけの余裕の勝利。ということは、凱旋門賞ですか!?」

 

 

「それも違う。オルフェの妹に、凱旋門賞を走らせたい気持ちもあるが……サンドリヨンは強くなった。日本の現役最強と言っても差し支えないほどに。だから……こちらも最強に挑みに行く」

 

 

「オーストラリアのコックスプレートで走る……ウィンクスに」

 

 




イメージ クロノジェネシス 2021宝塚記念


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12時の鐘は鳴る

検疫つらい……。

 

 

私もしんどいし、先生や厩務員さん、池副さんもきつそうだ。

 

あとオーストラリアって、こんなに暑いんだね……?

 

たくさんシャワーを浴びたからもう皮膚が刷りきれるとか冗談言ってるけど笑えないよ先生。

 

「俺たちの苦痛はなんてことない。問題は、サンドリヨンの状態だ。体調はどうですか?」

 

「問題ないです。輸送疲れ自体はありますがいつも通り。」

 

現地の獣医さんが答え、先生が安心したように頷いた。

 

「これなら大丈夫そうだな。引退レースだから万全の状態で出したい」

 

 

「……今から緊張してきたんですけど」

 

「池副お前なあ……」

 

 

__________________________________________

 

コックスプレート。

オーストラリアの中距離最強決定戦。

 

 

12連勝の女傑ウィンクスに挑むが……他馬も実力馬ばかり。

 

G12勝のハートネル、二週間前にG12勝目をあげた牝馬ヤンキーローズ、ムーンランドロンシャン賞馬ヴァダモスなど。

 

 

日本との違いは多々あるが、ムーニーヴァレー競馬場一番の特徴は直線の短さだろう。

 

 

173メートル。

 

 

中山の直線も短いがその約半分。

 

ゆえに先行馬有利。

 

直線なんでこんなに短いの?

何を思ってこんな短い直線にしたの?

 

 

いわゆる大外一気が使えないやつだこれ。

 

前目につけれるかな……。

 

 

「というかアウェー感ハンパない」

 

「それはそうです。あなたは日本馬なのですから」

 

 

ぼやいた私に話しかけてきたのは威圧感のある牝馬。

 

鹿毛で強そうで……あ、もしかして

 

「あなたがウィンクス……?」

 

「ええ。私は豪州の女王ウィンクス。一応、現役最強馬……と呼ばれています。歓迎しますよ、日本の最強牝馬サンドリヨン」

 

 

歓迎してる雰囲気じゃないけど。

 

 

「G1を六連勝……しかも七歳牝馬が。すごいと思います。ですが、ここは日本ではなくオーストラリア、私たちの庭。日本と同じ競馬ができると思わないでください」

 

「それは私もわかってるわ。でも私だってね、さすがに引退レース負けたままじゃ終われないわよ。」

 

 

ジェンティルドンナちゃんの引退撤回男らしかったなあ。

 

 

「そうですか。…………手加減はしません。全力で迎え撃ちます」

 

「えぇ。首洗って待っててね」

 

 

 

__________________________________________

 

『異国の地で競走生活にさよならを告げるサンドリヨン。最強女王ではなく、挑戦者……シンデレラとして、このコックスプレートを走ります。』

 

 

『最強の名前を持つのはサンドリヨンだけではありません。昨年覇者にして連勝街道を駆けるウィンクスも同じです。さあ、サンドリヨン。あなたは今日伝説になる!スタートしました!』

 

 

いいスタートは切れたけど……ちょっと後ろになったな。

 

早めにスパートかけたいかも。

 

日本の競馬場とは違った芝、雰囲気……嫌いじゃない。

 

前が壁になったら嫌だな。

 

 

坂を登ってコーナーを回る。

 

まだだよね、池副さん。

 

 

 

 

『先頭ヴァダモス、二番手ブラックヒートバート、ハートネル。ヴァダモスが三馬身ほどリードする展開。少々縦長です。そして一番人気ウィンクスは四番手にあがって、日本のサンドリヨンは後方三番手追走。』

 

 

耐えて

 

 

 

『さあとうとう最終コーナー、最後の直線』

 

 

 

耐えて

 

 

 

『サンドリヨンまだ来ない!来てくれ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『最終コーナー最初に抜け出したのはやはりウィンクス強い!ああっと!だが、だがサンドリヨンが一気に並ぶ!コーナリングで一気に並んだ!?こんなことが、こんなことができるのか!?後方にいたのに!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

並んだとき、勝てると思った。

 

あまりにも、呆気なく。

 

脳内に、私に、池副さんに、池上先生に、その確信があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「勝った」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やはり二強!この二頭の一騎討ちになるの…………いやならない!持ったまま!サンドリヨン池副謙一持ったままウィンクスを交わした交わしたぁ!』

 

 

 

『残り100メートル!50メートル!これが、これが、世界のホースマンよ、どうか目に焼き付けてくれ……!これがサンドリヨンだー!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一着 サンドリヨン

 

二着 ウィンクス(四馬身)

 

三着 ハートネル(五馬身)

 

 

 




シンデレラの物語をご存知でしょうか

姉二人と継母に虐げられていたシンデレラは魔法をかけられ、王子と踊り素敵な一夜を過ごしましたが鐘が鳴り響き魔法が解けてしまいます。

慌てて帰るシンデレラ。
ガラスの靴を片方残して……。

魔法が解けたシンデレラは姉二人と継母に虐められる日々に戻ってしまいます。

ところが王子が、残したガラスの靴を手がかりにシンデレラを探し始めるのでした……。

「この靴にぴったりとはまった女性と結婚しよう」

数々の女性が挑戦しますが不思議と誰も履けないのです。
残りは姉二人。

姉二人はもちろん履けず、さあもう女性はいなくなった……そう思ったときに、待ったをかけたのはシンデレラ。

シンデレラはガラスの靴を履き、片われのガラスの靴も差し出し、あの日踊った女性であることを明かします。

王子はシンデレラにプロポーズし、シンデレラは王妃となり幸せに暮らしましたとさ。

何が言いたいかって?


魔法は絶対にとけるものなのです。

12時に。


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魔法は解ける

次話 サンドリヨン設定まとめ


「サンドリヨンの引退からもう三年か……時が過ぎるのは速いな」

 

 

しみじみと呟く池上。

 

引退したサンドリヨンは生まれ故郷である白狼ファームで繁殖牝馬として過ごすこととなった。

 

会いに行ったことがあるが、うまくやれてるようで安心したのを覚えている。

 

 

サンドリヨンの2018……初子は自分の厩舎に預けられることが決定している。

かなりの素質馬だそうで楽しみである。

 

 

「ちょうど三番子が昨日受胎したって嬉しい連絡もあったからな」

 

 

サンドリヨンは、物語のヒロインの如く現れ、関係者に喜びをもたらしてくれた。

 

G1馬を三頭産んだオリエンタルアートを母親とするため、その牝系も繋がってほしいものだ。

 

二番子は牝馬だし走れなくてもそういった面で期待している。

 

 

「さて、仕事するか……ん?」

 

 

その日の朝、厩舎にひとつの連絡が入った。

 

受け取ったのは、奇しくも池上調教師自身であった。

 

 

 

「は……?サンドリヨンが、いなくなった……!?」

 

 

_______________________________________________

 

ここはどこなんだろう、あのこはどこ?

 

 

つめたくて、くらいばしょ。

 

 

じぶんのへやじゃないことはわかる。

 

 

あのこはどこなの、だれかおしえてよ。

 

 

うるさいひとたちがはいってきた。

 

 

わたしをいじめてる。

 

 

いたいよ、やめてよ、せめて、せめて、おなかのこだけは……

 

 

 

______________________________________________

 

サンドリヨンがいなくなった、そう最初は知らされていたのだ。

 

 

実際は、失踪ではなく誘拐であった。

 

 

スタッフ、警察が総出になって探した翌日、犯人グループが送ったとされる文書が届いたのだ。

 

内容は、「サンドリヨンを返して欲しかったらサンドリヨンの獲得賞金の半分の額と交換」

 

アイルランドにも、誘拐された馬がいたことを今さらながら思い出した。

 

その馬もサンドリヨン同様営利目的で拐われたが、結局模倣犯防止のためお金は用意されず、遺体も見つからなかった、と。

 

 

馬は繊細で、知らない人間に手荒く扱われたら暴れるが…サンドリヨンは優しい馬だ。

今まで人の悪意に触れてこなかった馬だから、素直についていってしまったのかもしれない。

 

二番子は近隣住民に保護され警察に渡されたところだ。

 

見つからないのは、サンドリヨンだけ。

 

 

サンドリヨンのファン、関係者、世界のホースマンもこの事件の行方に注視している。

 

 

 

馬主も「金ならいくらでも出す」と言っていた。

 

 

はやく、帰ってきてくれ。

 

 

 

__________________________________________

 

 

そううまくいかないのが、物語であり現実である。

 

 

 

その事件はあっという間に終わった。

 

 

サンドリヨンの死とともに。

 

 

遺体はひどい惨状で、ゴミのように道路に投げ捨てられていた。

 

 

脚は折れ痩せ細りひどく暴れたのか鼻血を出していた。

 

不衛生な環境に置かれ、まともなものも食べさせて貰えなかった。

 

それが一目でわかった。

 

犯人グループは捕まったが、当然気持ちは晴れなかった。

 

しかるように彼女を弔い、残された子は人の手で育てられた。

 

 

彼女の覚醒から引退まで手綱をとった池副も葬式に参加し、兄二頭の一口馬主や多くのファンがサンドリヨンに別れを告げた。

 

サンドリヨンの残した産駒はわずか二頭。

 

片方は牝馬だったためこのまま走らせずに繁殖入りの話が出たが、結局従来の馬同様ターフで走ることとなった。

 

 

サンドリヨンの2018は、フランスの英雄譚の主人公からとられシャルルマーニュ。

 

サンドリヨンの2019は、母親の名前がフランス語でシンデレラを表していたので、イタリア語で人魚姫をさすラシレネッタ。

 

 

 

悲劇のヒロインから産まれた二頭がターフでどんな走りをするかは、まだ誰もしらない。

 

 

 




シャーガーしちゃった


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とあるシンデレラ

サンドリヨン(2009~2019)(牝)(尾花栗毛)

 

 

父ステイゴールド

母オリエンタルアート(父メジロマックイーン)

 

 

おもにこの配合はステマ配合と言われニックス(優秀な競走馬が産まれる可能性が高い)とされている。

例)ゴールドシップ、フェイトフルウォーなど

 

近親(全兄弟)

 

・ドリームジャーニー(朝日杯FS、宝塚記念、有馬記念)

 

・オルフェーヴル(クラシック三冠、宝塚記念、有馬記念)

 

・リヤンドファミユ(若駒ステークス)

 

・アッシュゴールド(デイリー杯二歳S二着)

 

牝系を遡るとハイボルテージ(CCAオークスなど)、マジェスティックライト(マンノウォーSなど)、シンコウスプレンダ(京成杯オータムハンディキャップ、エルムS)などがいる。

 

 

馬主はタニノギムレットやウオッカで知られる谷水雄二。

 

厩舎は兄たちと同じ池上厩舎。

 

 

名前の意味はフランス語でシンデレラ。

馬主はまさかこれほどまでにぴったりな名前になるとは思わなかったと思う。

 

 

■三冠馬の妹

 

三冠馬オルフェーヴルがクラシック戦線で(いろんな意味で)大暴れしていたころ、夏にデビュー。

 

不利を受けながらも単勝1.2倍に応え完勝、次戦は強気にG2小倉二歳Sに挑戦してこちらも勝利。

 

そのときは二冠馬であったオルフェーヴルの全妹が重賞を制したので話題になった。

 

阪神ジュベナイルFに駒を進めたがジョワドヴィーヴルに一歩届かず二着に。

 

今思えばこのときから晩成型とはいえ確かな素質を感じさせていたのである。

 

 

■敗戦続き、苦難のクラシック

 

桜花賞トライアルであるチューリップ賞を快勝しジョワドヴィーヴルへのリベンジをしっかりしたあと挑んだ桜花賞。

シンザン記念馬ジェンティルドンナや二歳女王ジョワドヴィーヴルをチューリップ賞で破ったことと、三冠馬オルフェーヴルの妹効果で一番人気、単勝1.4倍の期待を背負うこととなった。

 

だが道中かかりっぱなしで脚が届かず僅差の三着。

チューリップ賞で倒したジェンティルドンナに勝たれ、二着は後のヴィクトリアマイル連覇のヴィルシーナが入った。

 

次は当然オークス……と思いきや、陣営は日本ダービーを選択。

相手関係を見たのではなく、日本ダービーを走るところが見たかった、とのこと。(まあ桜花賞負けたダービー牝馬は同馬主だし)

 

大外から追い込むもディープブリランテが粘って二着。

 

秋華賞はまたもやジェンティルドンナとヴィルシーナに先着され三着。

 

兄妹対決となったジャパンカップもジェンティルドンナにぶつかられた兄オルフェーヴルのあおりを受けて体勢を崩し三着に。

 

三着以内だしよくやってるのだが、いまいちかゆいところに手が届かない競馬をしていた。

 

 

■前哨戦は勝てるのに……

 

四歳初戦の金鯱賞を五馬身流しての圧勝レコードで勝利。

 

続くグランプリ宝塚記念は馬群に包まれたことでやる気をなくしてしまったのか四着。

 

天皇賞秋は同じ白狼ファーム出身の幼馴染みジャスタウェイが覚醒し千切られ二着。

 

次走は勝ち癖をつけたいとのことで、有馬記念やジャパンカップではなく阪神カップを選択。

 

ここを楽々と勝利。

 

ううむ、やはりG1になるとダメになる……?

 

 

■まだ馬体が幼いってまじ?

 

五歳初戦京都記念ではジェンティルドンナが沈み間からするりと抜け出したサンドリヨンが勝利。

 

宝塚記念は着順こそ去年よりひとつうえの三着だったが敗北。

 

天皇賞秋ではイスラボニータ、ジェンティルドンナを抑えて一番人気になったもののスピルバーグに半馬身届かず二着。

 

有馬記念はエピファネイア、ゴールドシップ、ジャスタウェイ、サンドリヨンの有力馬四頭が揃って大外枠から順に占拠。(そんなことってある……?)

 

出遅れたことと枠の不利でまたもや二着。

一着は有終の美を飾ったジェンティルドンナ。

 

 

ジャスタウェイやジェンティルドンナが引退を発表し、ゴールドシップやサンドリヨンは現役を続行することとなった。

 

そして、ファンの間ではサンドリヨンの馬体重がなかなか増えない(成長してない)こと、馬体が緩く成長の余地があること、兄オルフェーヴルや母父メジロマックイーンが相当の晩成型であったことを踏まえて、もしかして本番は来年なのではと囁かれた……。

 

 

実はそれ、正解なのである。

 

 

■シンデレラストーリー、開幕

 

初戦は京都記念。

ここは負けられないとばかりに快勝。

桜花賞馬ハープスターやダービー馬キズナがいたが一蹴した。

 

ちなみにここらは兄たちの鞍上池副謙一へと主戦が変わった。

 

 

ヴィクトリアマイルではもう一頭のシンデレラ、ストレイトガールに敗北。

 

 

120億円事件と呼ばれた伝説の宝塚記念では、ゴールドシップが立ち上がって大きく出遅れたことに驚いた彼女も仲良く出遅れ、シンガリからとんでもない脚で迫り三着。

 

オールカマーは前壁がたたり三着。

 

そして初めてエリザベス女王杯に参戦。

惜しい戦い続きだったが、陣営には確信があった。

 

「馬体が出来上がってきた(!?)からいける……!」

 

460キロほどであった彼女の馬体は、488キロほどにまで成長していた。

見たらすぐ成長分だと気づくレベルである。

 

 

スタートをばっちり決め、珍しく逃げたサンドリヨン。

最終直線はどんどん着差を馬なりで広げて悲願のG1初制覇となった。

 

とんでもない末脚で制したジャパンカップ、持ったままゴールドアクターを牽けた有馬記念と怒涛の三連勝。

 

 

年度代表馬こそ無敗のモーリスに譲ったが最優秀四歳以上牝馬の座に輝いた。

 

 

■シンデレラ(魔王)、世界へ行く

 

放牧を挟み、次なる舞台はドバイシーマクラシック。

 

サンドリヨンの他にドゥラメンテなどが出走。

 

一番人気に推され、エリザベス女王杯同様逃げを選択した彼女は多少のリードは保ちつつ、スパートをかけて最終直線でどんどん後続を引き離していき勝利。

このときのタイムはドバイシーマクラシックのレコードタイムであった。(2023年ドバイシーマクラシックでイクイノックスが更新)

 

 

帰国し、次戦はヴィクトリアマイル。

同期の七歳牝馬かつ、去年のヴィクトリアマイルとスプリンターズSを制したもう一頭のシンデレラ、ストレイトガールとの二強対決と目された。

いかに覚醒したサンドリヨンといえど、今まで彼女が勝ってきたのは中距離。マイルだとストレイトガールに分があるのではないかと言われた。

 

レースは中団に両馬位置し、最終直線で二頭が抜け出し叩きあいとなったが……

 

これもまた、勝ったのはサンドリヨン!

 

シンデレラ対決の勝者となった。

 

三歳から五歳までは繊細な性格で、体調を崩すこともあったそうだが、六歳七歳と本格化してからは体調不良もなくなったという。

 

グランプリ秋春連覇を狙うため宝塚記念に出走したサンドリヨンは、後のG17勝馬キタサンブラックや二冠馬ドゥラメンテを捩じ伏せ余裕で完勝。

 

年内引退が決められており、次走がラストランなことは発表されていた。

 

そのレースはなんと、オーストラリアのコックスプレート。

 

いわゆるオーストラリアの中距離最強決定戦である。

 

オーストラリアは検疫が厳しく、ドバイシーマクラシックに春参戦してたサンドリヨンは本来オーストラリアに遠征できなかった。

 

だが規定の見直しが行われて、急遽出走できることとなったのだ。

 

厳しい検疫に耐え、現地の慣れない調教も我慢した彼女の精神力はとてつもないものだった。

 

しかも帯同馬なしである。

 

このときのコックスプレートには、連勝記録がかかってる女傑ウィンクスや他G1馬も出走。

 

サンドリヨンは二番人気となった。

 

レースは滞りなく進んでいたが、先行有利のムーニーヴァレー競馬場で後方待機していたサンドリヨン。

最終コーナーで一気に加速し先頭のウィンクスに並んだ彼女は直線で引き離す。

 

結果四馬身離しての圧勝で、ウィンクスと三着馬の着差は五馬身。

 

はっきり言って直線が短い(中山の直線より短い)この舞台でこのパフォーマンスは化け物としか言いようがないのである。

 

 

ウィンクスはこのときレーティング132を獲得。

サンドリヨンは133を獲得した。(1900から2100のl部門で)

 

 

 

さらに牝馬としても最高評価。

 

そして文句無しの年度代表馬に選ばれた。

 

 

 

引退後は生まれ故郷の白狼ファームで繁殖牝馬として過ごすこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、競馬の神は残酷である。

 

三番子を受胎した直後、サンドリヨンは誘拐され、死亡してしまう……。

 

 

■母として

 

二頭しか産めなかったサンドリヨンだが、二頭とも顕著な成績を残した。

 

どちらも父親はドゥラメンテ。

 

 

2018年生

 

シャルルマーニュ(牡馬)(栗毛)

 

ドゥラメンテ初年度産駒にしてサンドリヨン初年度産駒。本来初年度同士をあわせることはまずないのだが、キングカメハメハやルーラーシップ、ロードカナロアと交配して受胎しなかったため、苦渋の決断であった。(サンドリヨンが初めてなのに暴れない大人しい性格だったのもある)

 

ドゥラメンテ産駒重賞一番乗りも彼である。(京都二歳S)

 

クソデカストライド走法を武器としている。

 

 

2019年生

 

ラシレネッタ(牝馬)(栗毛)

 

小柄な馬体に驚異的なスピードを積んだ天才少女。

兄とは違って異常な回転数のピッチ走法を武器としている。

名前の意味はイタリア語で人魚姫。

どうか母親のように儚い存在にならないようにしてほしい。

 

 

エピソード

 

■オルフェーヴルとサンドリヨン

 

厩舎が同じで全兄妹で馬房も隣。

放牧地ではどちらかが先に帰すと残ったほうが嘶くくらい仲良しだったという。

 

コーナリングがどちらも得意で祖父サンデーサイレンスもそうであった。

 

オルフェーヴルは引退後社団スタリオンに行ったが、サンドリヨンのいない生活に耐えらなかった。だがサンドリヨンの馬着やメンコ、写真などを用意することでなんとか持ち直したという。

 

 

■後輩とサンドリヨン

 

ドバイ遠征では、年上として日本馬の後輩たちをリードしていたという。

帯同馬がいなくてもサンドリヨンとなら安心な馬はたくさんいた。

 

特にその反応が顕著だったのが二冠馬ドゥラメンテ。

荒々しく、その名に相応しい気性を持ち合わせていた彼は調教帰りのサンドリヨンをじっと見つめる、シャワー後のサンドリヨンに興奮する、レース後ウイニングランしようとするサンドリヨンについていこうとする……などなどのエピソードがある。

 

キングカメハメハ、ロードカナロア、ルーラーシップでも受胎しなかったサンドリヨンを受胎させてるあたり相性はよかったのではないか?

 

 

サンドリヨンを慕っていたのはキタサンブラックも同じである。

 

有馬記念のときにゲートが隣で彼にしてはゲートで興奮して少し暴れたことがあった。(サンドリヨンは興味なさそうにしていた)

 

宝塚記念で再戦し、栗東トレセンに戻ったあとサンドリヨンとすれ違って振り返ってじっと見るほどであった。

 

 

サンドリヨンが生きていればキタサンブラックとも配合したかもしれないと考えると本当にやるせない。

 

 

■幼馴染み

 

白狼ファームで一緒に育ったジャスタウェイとは仲良し。成長しレースで戦うようになったときも覚えてるらしく、たびたび顔を寄せているところがみられる。

 

 

評価と特徴

 

■特徴

 

適正距離はマイルから中距離。有馬記念も勝っている。

 

脚質はどの脚質でも結果を残しているため、自在脚質とみていいだろう。

 

場合によってピッチかストライドか走法を切り替えるタイプであり、これは兄オルフェーヴルも同じ。

 

コーナリングが非常にうまい。

 

精神力が強く海外輸送も平気。

 

性格は池上調教師曰く「記憶力がいい」、池副騎手曰く「賢く言われたことをすぐ実行できる素直な性格」

 

■評価

 

レーティングで牝馬最高評価を得ている。

 

コックスプレートで倒したウィンクスはその後無敗で引退。

もしサンドリヨンが倒してなかったらG125勝の33連勝で引退していたのだ。

 

シンデレラが唯一つけたウィンクスの全盛期の黒星は一生語り継がれるだろう。

 

 

 

■競走成績

 

2011 新馬戦 一着

   小倉二歳S 一着

   阪神ジュベナイルフィリーズ 二着

 

2012 チューリップ賞一着

   桜花賞 三着

   日本ダービー 二着

   秋華賞 三着

   ジャパンカップ 三着

 

2013 金鯱賞 一着

   宝塚記念 四着

   天皇賞秋 二着

   阪神カップ 一着

 

2014 京都記念 一着

   宝塚記念 三着

   天皇賞秋 二着

   有馬記念 二着

 

2015年 京都記念 一着

    ヴィクトリアマイル 二着

    宝塚記念 三着

    オールカマー 三着

    エリザベス女王杯 一着

    ジャパンカップ 一着

    有馬記念 一着

 

2016年 ドバイシーマ 一着

    ヴィクトリアマイル 一着

    宝塚記念 一着

    コックスプレート一着

 

27戦14勝(G17勝)(14-6-6-1)

 

善戦ウーマンとか呼ばれてはいたが、掲示板外にぶっ飛んだことはない安定感も持ち合わせている。

 

重賞勝利数は歴代トップの13勝。

 




リスグラシューは香港とオーストラリアの検疫規定により本来オーストラリア遠征できなかったらしいです
ドバイとオーストラリアについては調べてもでてこなかったので、「規定が厳しく、ドバイ遠征してたサンドリヨンは遠征できなかったが規定が緩和され、参戦することになった」とここではしておきます


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もう一頭の大帝

シャルルマーニュ(牡馬)(2018~)(栗毛)

 

父ドゥラメンテ

母サンドリヨン

 

父ドゥラメンテは社団の結晶のような超良血馬。

現役時代はクラシック二冠にとどまった未完の大器。

父父は大種牡馬キングカメハメハ。

父母はエリザベス女王杯連覇の女帝の愛娘アドマイヤグルーヴ。

 

 

母は善戦ウーマンだったが六歳秋に覚醒し日本ところか世界の現役最強馬まで登り詰めた悲劇のシンデレラ、サンドリヨン。

全兄(当馬にとってのおじにあたる)には三冠馬オルフェーヴル、二歳G1勝ちのグランプリ連覇ドリームジャーニー。

 

日本競馬の歴史が詰まった、競馬ファンなら興奮間違い無しの血統である。

 

ただ、サンドリヨンは超晩成型でドゥラメンテは初年度だったので産駒傾向も未知数。

 

サンデーサイレンスの3×3というのは当時かなりのチャレンジであった。

 

 

馬主はサタデーレーシング。

 

厩舎はおじ、母が所属していた池上厩舎。

 

 

■超良血、爆誕

 

体調不良でデビューが遅れ、10月にデビュー。

鞍上は池副謙一を迎える。

 

新馬戦を快勝し、エリカ賞へ進みここも勝利。

 

二歳シーズン二戦は無敗で終える。

 

 

■二頭の大帝

 

クラシックへ出走するための賞金を積むため、きさらぎ賞へ出走。

三馬身突き放して完勝する。

 

皐月賞は回避し、日本ダービーへ出走。

 

無敗の皐月賞馬エフフォーリアに次いで二番人気に支持される。

 

レースは中団に位置し、エフフォーリアが抜けた瞬間外から差しきろうとする。

同時に内からシャフリヤールが並びかけ、三頭がもつれあう接戦となった。

 

結果はまさかのシャフリヤールと同着。ハナ差でエフフォーリアが三着。

 

2010年のオークス以来11年ぶりのG1での同着となった。

 

その後クイーンエリザベス2世ステークスの前哨戦として小倉記念を叩きに使った。

ここは危なげなく勝利。

 

イギリスのクイーンエリザベス2世ステークスに出走。

出遅れ、最終直線で追い込むもバーイードに僅かに届かずクビ差で二着。

初の敗北となった。

 

帰国し、有馬記念に出走するもイギリス帰りの不調が響いたか三着に。

 

 

■その名は世界に響いていた

 

四歳初戦は大阪杯。

内からレイパパレとポタジェ、外からアリーヴォが来るなか、わずかな進路をこじ開け間から抜群の末脚で抜け出してG12勝目をとった。

 

またもやイギリス遠征し、プリンスオブウェールズステークスに出走。

シャフリヤールとはダービー以来の対戦となった。

だが最後方から豪快にまくり、五馬身の圧勝で海外G1も制覇。

 

一時帰国し、秋のレースに向けて放牧することになった。

 

秋はまた遠征し、バーイードへのリベンジを果たすべく英チャンピオンステークスに出走。

ゴール直前でベイブリッジを差しきり勝利。

バーイードにとってはこれが初黒星にして引退レースとなる。

 

そのまま香港カップへ出走し、ロマンチックウォリアーに次ぐ二番人気に支持される。

池副騎手が怪我したため、鞍上はレーン騎手が務めることになる。

直線でロマンチックウォリアーと激しい叩き合いになりゴール。

長い審議を経てハナ差で勝負を制した。

これによりG15勝となった。

 

最優秀四歳以上牡馬、年度代表馬に輝いた。

 

レーティングは132を貰い、日本歴代三位となった。(一位は母サンドリヨン、二位はエルコンドルパサー)

 

 

■無念の引退

 

ドゥラメンテが亡くなったが、五歳シーズンも続けることを発表。

 

ドバイターフではダービー馬ドウデュースの新旧ダービー馬対決が期待されたが、直前でドウデュースが回避した。

三連覇を狙うロードノースの追撃を軽くいなし勝利。

G16勝目をあげた。

 

帰国し、その後は宝塚記念に挑む予定であった。

 

……本来なら。

 

重度の屈腱炎を右前脚に発症。

完治に9ヶ月ほどかかることから、引退を発表。

 

 

同期で同じ時期に引退したエフフォーリアと同じ社団スタリオンで種牡馬として過ごすこととなる。

 

とはいっても、まず脚の治療からなので種付けは来年からだ。

 

 

 

■特徴

 

ストライド走法で走る馬で、小回り……中山競馬場が苦手である。

かなりの大きなストライドで走る馬で脚質は差しまたは追い込み。

 

非常に勝負根性に優れており、競り合いに強い。

 

ずる賢くもあるらしく池副騎手は「振り落とすか落ちないかのギリギリを見極めて馬体を揺らしてる」と新馬戦後コメントしている。

 

 




シャフリヤールの香港名は大帝です。
カッコいい。

シャルルマーニュの名前の由来の人物の別名はカール大帝。


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リトルマーメイド

ラシレネッタ(2019~)(牝馬)(栗毛)

 

父ドゥラメンテ

母サンドリヨン

 

 

 

血統背景は全兄シャルルマーニュのところで記載。

 

 

悲劇のシンデレラことサンドリヨンの最後の子となってしまった牝馬。

 

名前の由来はイタリア語で人魚姫のこと。

 

■出生

 

母サンドリヨンが亡くなり、人の手で育てられたラシレネッタは周りの牝馬より小柄ながらもすくすくと育っていった。

 

ただ人見知りな性格で、仲が良い馬はとねっこのときにはいなかった。

 

馬主は谷水雄二。

 

厩舎は池上厩舎。

 

■名ヒロイン誕生

 

 

鞍上は兄や母と同じく池副謙一を迎え、夏の新馬戦を勝ち抜いた。

 

東スポ杯二歳Sではイクイノックスの猛追に敗北し二着。

 

次走阪神ジュベナイルFでは粘るサークルオブライフを持ったまま差しきり勝利。

 

だがこのときから本馬には喉なりの症状が見られ、マイルは走れるが中距離はきついのではないかと言われていた。

 

最優秀二歳牝馬を獲得。

 

 

■ヒロインは女王へ

 

桜花賞ではウォーターナビレラを交わし、スターズオンアースの猛追を凌ぎ勝利。

 

オークスへの優先出走権を得るが、2400メートルは喉なりの症状が出てるラシレネッタにとってかなりきつい。

 

なのでNHKマイルカップに出走することとなった。

 

余談だが、喉なりにも違いがあり、ラシレネッタのは年を重ねるにつれて改善されるものである。

 

NHKマイルカップは単勝1.3倍の人気に応え勝利。

ラインクラフト以来桜花賞とNHKマイルカップの変則二冠牝馬の快挙である。

 

 

夏はアイビスサマーダッシュに出走。

カルストンライトオのレコードを塗り替え勝利した。

 

 

秋はアメリカに遠征し、ブリーダーズカップ・マイルに出走。鞍上は池副謙一の代わりに川田優雅が務めることとなった。

早めに抜け出しモダンゲームズを引き離し一着に。

 

年内ラストランは香港マイルに。

 

カルフォルニアスパングルとゴールデンシックスティに僅差の三着になり三歳は終わった。

 

最優秀三歳牝馬を受賞。

 

 

 

■海外へその名を轟かせる

 

初戦の京都牝馬ステークスをレコードを叩きだし快勝。

 

次戦は安田記念を見据えている。

 

 

 

■特徴

 

メロディーレーンほどではないが小柄。(繁殖牝馬としては問題なくできるようである)

 

全兄シャルルマーニュはクソデカストライド走法が特徴的だったが、この馬は回転数がえげつないピッチ走法が特徴的。

ピッチ走法の馬と比べても回転数が段違いである。

 

 

■エピソード

 

・東スポ杯二歳Sで勝ったイクイノックスは新馬戦も同日であり美浦と栗東で会うことはほとんどないが、覚えられてるらしい。

 

・全兄シャルルマーニュとは馬房が隣。ちなみに左隣がシャルルマーニュで右隣があのシルヴァーソニック。

 

 

 

 



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ウマ娘シナリオ

私の担当ウマ娘、サンドリヨンはその人柄と容姿、走りからたくさんのファンがいる。

 

能力はあるが、あと一歩G1に届かない。

 

そんなもどかしさもあり応援されやすいのだろう。

 

トレーナーとしては、複雑というか……。

本人が気にしてないならいいのだが。

 

「トレーナーさん、すみません。ホームルームが長引いてしまって…」

 

「いや、大丈夫だよ。今日はトレーニングじゃなくて、お出かけしよっか。サンドリヨン」

 

「?」

 

 

怪訝に見つめてくる彼女ににっこりと笑顔で返す。

 

最近彼女は無理しすぎだ。トレーニングも過ぎれば毒になる。

 

息抜きをさせてやるのもトレーナーの仕事である。

 

「連れていきたいところがあるの」

 

「そういうことなら……わかりました。私も、ちょうどゆっくりトレーナーさんと話したかったんです」

 

 

___________________________________________

 

ザザ……ザザ……と波の音が聞こえる。

 

潮の匂いが鼻を刺激する。

 

ここは海辺。

トレセン学園からもそこそこ近いので、トレーニングに使うウマ娘も多い。

 

石垣にハンカチを敷いてサンドリヨンを座らせる。

彼女、いいところのお嬢さんだからね。

結構庶民的だけど。

 

 

「よっこらせっと」

 

「トレーナーさん、おばさん臭いですよ。」

 

「ええ?言わない?」

 

「少なくとも私は言いませんね…」

 

サンドリヨンが静かな口調で答えるからダメージが……。

 

「それで?サンドリヨンは何かお悩みごとでもあるのかな?」

 

「なんか、楽しそうですねトレーナーさん」

 

「弱みを滅多に見せてくれないサンドリヨンが私にはじめての相談だからね。やる気も出るよ」

 

ふう、とため息をついたサンドリヨン。

 

 

「私が、シンデレラのようになりたいと……そう思ってることはご存じですよね」

 

「うん。」

 

 

子供っぽい……と思われるだろう願い。

 

けど、子供のような純粋なものではなく、もっと切実な……

 

 

「私は幼い頃からある夢を見るんです」

 

「それは、どんな?」

 

「悪夢です。えぇ、とんでもない、悪夢……」

 

 

すっと空色の瞳が陰る。

 

「ずっと、ずっと……見てきて。私は夢でずっと助けを求めているんです……」

 

「そんなにつらいことが……?」

 

「私には何をされてるかわからなかった……けど、夢の私はひどく傷つけられ、辱しめられ、痛ましい……。王子様が助けに来てくれたら、なんて。思ってたわけです。」

 

「シンデレラは魔法が解けても、幸せになった。私もそうなりたい。そうすれば……あの夢のような末路を辿ることはない。」

 

「……まあ、そのためには、いつまでの灰被りのままではいけないわけです。ということで、次走のエリザベス女王杯は絶対勝ちましょう」

 

「いつか……魔法が解けても、大丈夫なように」

 

 

 

 

 




「私、夢を見ているんです。ずっと……」
サンドリヨン

たくさんのひとから慕われるウマ娘。
後輩からも先輩からも尊敬され、同期と常に切磋琢磨している。先にトゥインクルシリーズで活躍した姉二人が目標。
自分の名前を気にしており、物語のシンデレラのようになりたいと思っている……らしい?


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残された子たち

ウマ娘のシャルルとラシレネッタはサンドリヨンを慕う後輩ということにしておきます

これは元性別擬人化
苦手な人は注意
ちょっと暗いです


「お兄ちゃん」

 

「何だ?」

 

「お父さんも、亡くなっちゃったね……」

 

ふわりと黒いワンピースの裾を揺らして妹ラシレネッタは呟いた。

 

「そうだな。……まあわかってたよ。あのヒト、母さん死んで弱ってたくせにたくさんの仕事引き受けてたから」

 

「やっぱり、お父さんかなり追い詰められてたんだ」

 

「そりゃあな。母さんのこと本気で好きだったみたいだし。正直すぐ後を追うかと思ってたさ」

 

兄シャルルマーニュが父親というより三冠馬の伯父に似ているのは栗毛だからだろうか。

 

空に漂う煙をじっと見つめてる兄は、父の死をどう感じてるのかラシレネッタはわからなかった。

 

「お父さんは、お兄ちゃんと私のレースの勝利を見届けたんだね」

 

「そんな殊勝なこと、父さんが考えるかね」

 

「考えるよ。だってお父さんだもん」

 

 

母サンドリヨンがどれだけ優れた競走バであったのか、父ドゥラメンテがどれほどの才能を宿していた競走バだったのか。

 

それを証明できるのは、自分たち兄妹だけしかいない。

 

 

「お兄ちゃん、これからどうする?」

 

「めんどくさい書類のあれこれはオルフェ伯父さんがしてくれるだろうから任せておくとして、俺ら寮暮らしだからそこまで変わらないだろう。」

 

淡々と話す兄は、いつもより冷たく悲しそうな目をしていた。

 

「そういえば、お兄ちゃんとさっき話してたのって……」

 

「タイトルホルダー。父さんの息子のひとり。俺の同期だよ。」

 

「そうなんだ…」

 

「なんだ気になるのか?2×2だからやめておいたほうがいいぞ」

 

「そういうことじゃないから!いやお兄ちゃんって友達いたんだって」

 

「……………失礼な。」

 

「その沈黙は何!?」

 

あまり人付き合いが好きじゃない兄シャルルマーニュはダービー同着のシャフリヤールかチームが同じのシルヴァーソニックくらいとしか話さない。

 

イケメンであるが、女子に距離を置かれるタイプなのでひとりのときが多い。

 

「このディクタスアイってやつが悪いんだ……」

 

「私は遺伝してるけどあんまりならないなあ。お母さんもそうだったらしいし、やっぱりオルフェ伯父さんに似たんだねお兄ちゃん」

 

 

軽口をいつものように叩くと、ようやく調子を取り戻せた気がした。

 

 

「お兄ちゃん」

 

「なんだ?」

 

「お父さん、お母さんと今頃空で会えてるのかな」

 

「……さあ、父さんが生前善いことをたくさんしてたら、会えてるんじゃないか?」

 

「じゃあ、絶対会えてるね!」

 

 

_____________________________________________

 

その最悪の日は、はっきり覚えている。

 

失踪した母さんの死が確定した日。

 

もうひとりのきょうだいがなくなった日。

 

泣き叫ぶラシレネッタをあやし続け、大人たちから見ない方がいいと言われて別室に押し出されそうになった。

 

「先輩、そんな、先輩、なんでッ……!」

 

「落ち着け、落ち着けって!」

 

「落ち着いていられるか!離せよキタサン、離してくれ……!」

 

顔をぐしゃぐしゃにして母さんの体にすがり付く父さんは、正直息子の俺も見ていられないほど痛々しくて。

 

母さんからしたらただの後輩でビジネス上の関係だったのかもしれないが、父さんからはそれ以上の感情があった。

 

母さんは、なぜ亡くなったのだろう。

 

なぜあんなに惨たらしい最期だったのだろう。

 

神様は、母さんが幸せになるのを許せなかったのか?

 

残されたのは、息子と娘と父親。

 

憔悴しきっていたのは父さんだけではなく、三冠馬の伯父さんもげっそりと痩せてまともなご飯を食べてないみたいだった。

 

仕事の人は、なんとか伯父さんのフォローはできたが父さんは無理だったみたいだ。

 

もし、母さんが生きていたら、父さんが思いを伝えてハッピーエンドだったかもしれない。

 

 

なんで、なんで、この世界からサンドリヨンを奪ってしまったのです。

 

どうして、どうして……

 

 

「父さんが母さんのところに会いに行けるか、なんて」

 

 

「きっと父さんなら母さんがどこにいようと見つけるさ」

 

 

 




ドゥラメンテが治安悪そうなイケメン(でも育ちがいいのがわかる)ならシャルルマーニュは目つきが少し怖いけど顔立ち自体は正統派なイケメン
ラシレネッタは小柄なので綺麗より可愛い。人魚姫モチーフの髪飾りつけてる。ハーフツイン。

コメント欄、犯人グループへの殺意が高い……


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