闘技場あがりの冒険者 (ナキキ)
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1話

「なぁ…いい加減ここから出たらどうだ」

 

闘技場の支配人からそう言われた

俺は肉を食べながら答える

 

「嫌だよ、ここなら飯沢山食えるし…ってかここに連れてきたのあんたじゃねぇか」

 

「いやまぁそうなんだけどよ」

 

元々スラムにいた俺はこの支配人に誘われ、この闘技場にきた

最初連れてこられた時はどんなもんかと思ってたが、実力に見合った魔物と戦えるし飯はたんまり出る

まぁ人一倍力が強い俺には良いこと尽くしだった訳だ

 

「でもよぉ、お前もうここ来て10年になるんだぜ?そろそろここを出て冒険者でもやってみたらどうだ?」

「んー……そうだなぁ……」

 

正直ここが気に入ってるんだよなぁ……飯もたんまり食えるし

だがまぁガキの時とは違って今じゃ力も付いた、冒険者になって討伐依頼も受けられるだろうし…案外悪くねぇか?

 

「…わかったよ、ここ出るわ」

「おぉ!やっと決心したか!よし、そうと決まれば準備しねーとな!」

嬉しそうにしてやがんなぁ……

 

 

 

 

 

翌日

闘技場でいつも通り魔物と戦う

門が開き俺が登場すると歓声があがる

俺も随分人気になったもんだな

などと思っていると反対側の門が開かれ大人数で檻が運びこまれてくる

中には四本腕のオーガが入っていた

 

「なんだありゃあ」

 

すると後ろの見張りから声をかけられる

 

「帝国軍の実験体だそうだ、今日はその戦闘記録をとるためにあいつを提供してくださったみたいだ」

「ほう、そりゃ面白そうだ」

 

そんなことを話しているうちに早く戦わせろと言わんばかりにオーガが暴れ出す

 

「健闘を祈る」

「へっ、ありがとよ」

 

後ろの扉が閉められオーガが解き放たれた

 

全力疾走でこちらに来ると思いきや、こちらをじっくり観察しながら歩きよってくる

俺も大斧を肩に担ぎ、オーガに歩いて行く

 

観客も固唾を呑んで俺らを見ている

 

(…普通のとは違うな、いつものなら突っ込んできて力任せに襲いかかってくるんだが…思ったより苦戦しそうだ)

 

そう考えてるうちに距離がだいぶ近くなってくる

すると俊敏な動きで俺に近付きオーガが手刀を放ってきた

それを横に避けながらカウンターで大斧を薙ぎ払う

 

オーガの腹に掠めるが浅く、腹の表面を削った程度だった

そしてオーガが蹴りを繰り出してくる、それを後ろに避ける

すぐさま大斧をオーガの頭に振り落とすが、避けられる

 

(…人間みたいな動きしやがる、ちっ 楽にはいかねぇか)

 

そこからオーガの攻撃が続く

拳、足による連続攻撃 そのどれもが速く重い一撃だ

俺はそれらを大斧で弾き返し防ぎ、避ける

しばらくそれが続きお互い息が上がり始める

 

 

するとオーガが大きく跳び上がり空中からを蹴りを仕掛けてきた

それを間一髪で避け、大斧を大きく振るう

だがそれも上手くかわされる

少しの間睨み合い、同時に動く

 

オーガは俺に向かって走り出し勢いそのままに殴りかかってくる

それに対し俺は大斧を振り上げ、オーガ目掛けて思い切り振り下ろす

 

 

オーガはそれを両手で受け止め、余った腕で俺の腹を殴る

一瞬怯むがすぐに体勢を立て直し、オーガの腕を掴み引き寄せると顔面に全力で頭突きをかます

よろけるオーガに対し、さらに顔面に拳を叩き込むとよろけながら大斧を手放した

 

(焦ったぜ、大斧取られたらさすがにやばかったな)

 

すぐさま落ちている大斧を拾い上げるとオーガに向かい再び構える

一方オーガも起き上がるとこちらを見ながら獰猛な顔でニヤリと笑う

それにつられて俺も笑い返す

 

(ハハ、楽しんでやがる)

 

 

 

それから何度も打ち合った

オーガの攻撃をかわし、時には受け流す

俺の大斧もオーガを捉えるが上手く避けられ浅い傷しかつけられない

お互いに決め手がないまま体力だけが削られていく

 

 

そしてついに限界が訪れる

オーガの動きについていけず、まともに殴り付けられ吹っ飛ばされる

地面に叩きつけられると衝撃により上手く立ち上がれない

 

「ぐッッ」

 

なんとか立ち上がるがまだ脚が思うように動かない

 

だがオーガの方も無理をして殴り付けたからなのか、フラつき始めている

それを見た俺は体に鞭打って一気に距離を詰める

 

「おおぉぉぉ!!」

 

渾身の力を込めてオーガの首めがけて大斧を振るう、それを見たオーガは跳び避ける

 

「ッ!避けんなオラァ!」

 

着地した瞬間を狙い、すかさず追撃する

オーガはそれを避けようとするが間に合わず、もろにくらって倒れる

 

首に大斧が深く食い込み、大量の血を吹き出して動かなくなった

オーガは満足したような表情を浮かべていた

 

(……勝ったか)

 

安堵した途端、視界が霞んでいき意識が遠のく

大歓声が聞こえたような気がした

 

 

 

 

「……ん…」

 

目が覚めると見慣れぬ天井があった

 

「…治療室か……」

「おぉ、起きたか」

 

声が聞こえた方を見ると支配人がいた

 

「ハッハッハ、良い戦いだったなお前 珍しくギリギリだったじゃねぇか」

「あぁ……久々に死ぬかと思ったぜ…」 

「ハッハ、まぁ客は大盛り上がりだったぜ」

 

オーガとの戦闘を思い出す、最後の一撃はかなり効いた

あの時もし大斧から手を離していたと思うとゾッとする

そんなことを考えていると不意に腹が鳴る

 

「腹へった、飯は?」

「あぁ、たんまり用意してるぜ」



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2話

闘技場で出された食事を全て平らげて満腹になった後、部屋に戻りベッドに寝転がる

ケガは治癒師が治してくれたみたいだ、ここの治癒師は腕が良いからな

 

「ふぅ…しかし帝国も色々やってんだな」

 

あのただ力任せに襲いかかってくるようなオーガがあそこまで強くなるなんてな

正直あいつが武器を持っていたら勝てなかっただろう

まぁとにかく生きてて良かった

なんて考えていると睡魔が襲ってきた

 

 

 

翌朝、大斧を片手ずつ素振りして鍛えていると支配人がやってきた

 

「おう、元気そうだな」

「あぁ、上手く治してくれたみたいだ」

「そりゃよかった、それでよ3日後には馬車が用意出来そうなんだよ」

「へぇ、そうか…」

「だからそれまでに準備しといてくれよ?」

「わかったよ」

 

そう返事して大斧を振り続けた

 

 

 

 

 

そして3日が経った朝、いつも通り朝食を食べ終えた俺は少ない荷物をまとめ、門の前で待っていた

すると支配人がやってきた

 

「ほら、これが今までためこんだ賞金だ」

 

支配人から小袋を渡される、中には金貨が大量に詰まっていた

 

「冒険者登録すませちまえば組合に金を預けられるからよ、しっかりやるんだぜ」

「あぁ、何から何まで悪いな」

「なーに、てめぇにはこの10年間稼いでもらったからな!」

 

ご機嫌に笑いながら支配人はそう言った

そして馬車がやってきた

 

「それじゃ行くわ」

「あぁいや待て、あとこれだ」

 

支配人が魔法袋から黒い大斧を取り出した

 

「なんだそりゃ」

「これは魔鉄で作った大斧だ、なるべくここにあるものに似せたやつを作らせたからよ」

 

支配人から手渡され試しに軽く振ってみる

前のより若干重いが、振りやすく手に馴染む感じがする

 

「悪くねぇな、ありがとう」

「ハッハ、まぁ……これから頑張れや、アルト」

「…名前覚えてたのか」

「当たり前だろうが、俺をなんだと思ってやがる」

「ハハ」

 

俺は笑いながら馬車に乗り込む

 

「世話になったな、また機会があれば会おうぜ」

「おう、達者でな!」

 

 

 

俺は馬車で帝都を出て行った

 

 

しばらく進むと御者が話しかけてきた

どうやら前の馬車が盗賊に襲われているらしい、それも盗賊の数が多く護衛をしている冒険者が劣勢だそうだ

 

「…しかたねぇ、手伝うか」

 

どうせ次はこっちを狙うだろうしな

馬車から降りる、そして前方の馬車に向かって走り出した

俺が前方にたどり着いて状況を見る

 

(…まだ誰も死んでない、いけるな)

 

俺は大斧を構えると、一気に加速して魔法を使っている盗賊から叩き切る

さらに近くにいる奴らも大斧で薙ぎ払い殺していく

 

「おらぁ!!」

 

俺は雄叫びを上げながら大斧を振るい、盗賊を次々と倒していく

冒険者たちも優勢になり盗賊たちを倒していく

 

 

それから数分後、全ての敵を殲滅した

すると護衛の冒険者達が近寄ってきた

 

「助かった、あんたがいなかったら危なかったぜ」

 

リーダーらしき男が礼を言ってくる

 

「気にするな、放っておけば次に襲われるのは俺だったろうしな」

「本当に感謝している、何かお礼をさせてくれないか?」

「ふむ、この先の迷宮がある街に行くんだが…目的地は一緒か?」

「俺らもそこに行くぜ、何ならそこを拠点に活動してる」

「おぉ!なら街案内してくれよ、冒険者登録もしたくてよ」

「勿論かまわねぇよ、てか冒険者じゃなかったのか」

 

こうして次の街まで同行することになった 馬車に乗って移動しながら男と話す

男はザックというらしい

年齢は23歳でCランク冒険者のようだ

 

 

冒険者にはS~Fまでの6段階あるみたいだ

そんなことを話していたら街が見えてきた

街の入口に着き入っていく、馬車から荷物を降ろしてザックに冒険者組合まで案内してもらう

 

「ここが冒険者組合だ」

「へぇ、随分でかいな」

「まぁな、1階に食堂と酒場があるからな」

 

中に入ると多くの冒険者で賑わっていた

 

「んじゃ早速登録してくるわ」

「おう、すぐそこの席で飯食ってるからよ、終わったら来てくれ」

「あいよ」

 

受付に向かい受付嬢の話す

 

「ようこそ冒険者組合アルコルテ支部へ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

「あぁ、冒険者としての登録をしたいんだが」

「かしこまりました、ではこちらに記入をお願いします」

 

渡された紙に必要事項を書いていく

 

「書けたぞ」

「はい、ありがとうございます えーっと……アルトさんですね それではカードを作りますので少々お待ちください」

 

しばらくして受付嬢が戻ってくる

 

「お待たせしました、これがアルトさんのギルドカードです 紛失すると再発行にはお金がかかりますのでご注意ください」

「あぁ、わかった」

「何かご質問などはありますか?」

 

そう言われ支配人に言われたことを思い出す

 

「そういや金を預けられるって聞いたんだけどよ」

「あっはい、大丈夫ですよ」

「この金預けたいんだが」

 

そう言って金貨の入った袋を取り出して受付嬢に手渡す

 

「おっとっと、また随分ありますね!ギルドカードお借りできますか?」

「おう」

「では少々お待ち下さい」

 

 

少しして受付嬢が戻ってきた

どうやら預かっている金額が表示されるらしい、金貨220枚分の残高があると表示された

 

「はい、これで完了となります」

「ありがとよ」

「いえ、ご利用ありがとうございました」

「あぁ」

 

俺は冒険者登録を終え、ザックの元へ向かった




魔鉄

魔力が練り込まれてる鉄
錬金術で作れる
通常の鉄よりかなり丈夫になっている


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3話

俺はザックのもとへ向かい椅子に座る

 

「よっ」

「おお、早かったな」

「まあな」

「それじゃあ飯食おうぜ、奢るよ」

「そうか、なら肉が食いたい」

「だったらおすすめがあるぜ」

 

メニューを見るとどれも美味そうだ 

適当に肉料理を注文して待つ

 

しばらくすると頼んでいたものが来た

出てきたのはステーキだ、しかもデカい

一口食べる、めちゃくちゃうまい

夢中で食べていると、いつの間にか皿が空になっていた、すると店員がやってきて追加を持ってきてくれた

それから2時間ほどザックと食事を楽しんだ

 

「ふぅ、満足だ」

「そりゃ良かった、今日はこのあとどうすんだ?俺は宿に戻るけどよ」

「あっそういえば宿とってないな」

「はっは、一応あっちに冒険者ギルドの宿泊所があるぜ」

「お、そうか」

「おう、今日のところはそこに泊まるといい」

「そうだな、そうする」

「おう、じゃあ俺はここでな」

「ああ、今日は案内してくれて助かった、じゃあな」

「じゃあな!」

 

俺はザックと別れ、教えられた通りに進む

しばらく歩くと部屋の前にたどり着いた

扉を開けると、中には冒険者たちが何人か寝ていた

 

(なるほど、タコ部屋か)

 

ベッドに座っていた冒険者が俺に気付き話しかけてくる

 

「寝るなら奥のベッドで寝な、扉近くだと酒場で騒いでるやつらの声がうるせぇぞ」

「わかった、ありがとう」

 

お礼を言うと冒険者はニカッと笑いかけてきた

言われた通りに奥のベッドで横になる

そして眠りについた

 

 

 

翌朝、目を覚まして広間へ向かう

そして受付に声をかける

 

「ちょっといいか」

「はい、どうかされましたか?」

「迷宮について聞きたいんだが、迷宮に入るには何か必要か?」

「迷宮ですか…そうですね、まず冒険者ランクをCランク以上でないと迷宮には入れません」

「そうなのか」

「ええ、F.Eランクのうちはひたすら依頼を受けてしっかり完了させればランクはあがりますので」

「わかった、ありがとう助かった」

「いえいえ、これから頑張ってください!」

 

笑顔で応援してくれたので、こちらも笑みを浮かべる

そして依頼ボードを見に行く

Fランクで受けられるのは…

 

(これなんか良さそうだな)

 

俺が選んだのはゴブリン駆除の依頼だ、報酬は1匹に銅貨を2枚もらえるみたいだ

 

早速手続きを終わらせ、冒険者ギルドから出ようとすると声をかけられる

 

「お前さん、ゴブリン駆除に行くのか」

 

誰かと思ったら昨日宿泊所で声をかけてきた親切なおっさんだった

 

「そうだが」

「だったら西門から出てすぐ森が見えるからよ、そこに行ったら見つけやすいぜ」

「そうなのか、ありがとう」

「おう、それと森はゴブリンだけじゃなくて他の魔物もたくさんいるから気をつけろよ、特に奥には行かねぇ方が良い、強い魔物がうようよいるし、あと単純に迷うからな」

「何から何までありがとう、俺はアルトと言うんだが名前は何て言うんだ?」

「俺はゼトってんだ、よろしくな、まっ気をつけて行ってこいよ」

「あぁ」

 

随分親切な人だった、ゼトか

まぁ西門に向かうとするか

街を出てしばらく歩いていると、確かに森が見えてきた、あれがそうだろう

 

 

 

中に入ってしばらく歩くと、横幅2mぐらいある蜘蛛と遭遇した

こいつは確かブレイドスパイダー…だったか?脚一つ一つが刃物の様になっていて殺意高めの蜘蛛だ

しかも前足二本で体を上手く守りながら戦ってくるんだよな、闘技場で苦戦した覚えがある

 

 

そんなことを考えているとこちらに気付いたようで飛びかかってきた

それを横に避けて大斧を叩き込むが脚で防がれる、そしてすぐに距離を取ってくる

 

そうそうこんな感じだった、どこから打ち込んでも視界が広いからか防がれるんだよ

しかも動きが俊敏なもんだからすぐに距離を取られる

 

俺は一気に踏み込み斬りかかる、すると相手は後ろに下がりつつ、4本の足を器用に使って攻撃をしてくる

 

(ちっ、めんどくせ)

 

俺は相手が防ごうとする瞬間を狙う、攻撃を避け、斬りかかる

するとブレイドスパイダーは前足で防ごうとするのを見て俺は全力で力を込める

そして思い切り振りかぶった一撃を放つと、ブレイドスパイダーの脚もろとも胴を真っ二つに叩き斬った

 

(よし、上手く行った)

 

倒したことを確認すると俺はブレイドスパイダーの脚を切り取って持って帰ることにした

今日はゴブリン駆除の予定だったがもう帰ろう、手持ちがいっぱいになっちまった

というかあれだな、魔法袋買おう、こんなんじゃ満足に探索もできない

 

 

 

そうして俺はアルコルテに戻っていった 冒険者ギルドに入り受付に向かう

 

「すまん、ゴブリン駆除の予定で森へ行ったんだがブレイドスパイダーに遭遇してできなかった」

「大丈夫ですよ、あれは冒険者ギルドで出してる無期限の依頼なので」

「そうか!なら良かった、ところでブレイドスパイダーの脚を買い取ってくれるとこはないか?」

「あちらの解体所受付に持っていけば買い取れますよ」

「あっちか、ありがとう」

 

礼を言い、解体所受付に向かう

 

「ここか、すみません」

「はいよ」

「ブレイドスパイダーの脚持ってきたんだが」

「ほう、どれ見せてくれ」

 

受付のおっさんはブレイドスパイダーの脚をじっくり見ている

しばらくそうしていたが、終わり顔を上げて話し始めた 

 

「こりゃ大きさから見てもオスのブレイドスパイダーだったみたいだな、傷もそこまで付いてない、買い取り額はこんなもんだな」

 

提示された金額は銀貨12枚だった、俺はそれを承諾した

 

「そうか、それじゃギルドカード貸してみぃ」

「?わかった」

 

俺はギルドカードを手渡す

 

「…なんだお前さんFランクだったのか、あんま無理するじゃねぇど、ほれ」

「あぁ、ありがとう」

 

ギルドカードには銀貨12枚分が追加されていた

なるほどギルドカードに追加してくれるのか、楽で良い




ブレイドスパイダー

脚が刃物の様になってて器用に戦う蜘蛛
クモの巣を作れないので不意討ちをするか、普通に戦って捕食する
ただ不意討ちも得意ではないため基本的には普通に戦うことになる


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4話

ちょっと長くなっちった
誤字あったら教えてくれ


魔法袋を買いに行くか、ついでに街をまわってみよう

迷宮の出入口の周りに屋台が並んでいるらしいのでそこに行ってみる

 

そこには串焼きやらスープやら色んな屋台が並んでいた

見ていたら腹が減ってきたので何か食べよう

これなんて美味そうだ、牛系の肉をタレで味付けして焼いただけのシンプルな串もの

これを4本買った、そしてベンチに座りいただくとする

うん、うまいな、シンプルだがそれがいい

 

あっという間に食いきってしまった、まだ足りないな

次は……おっ、あそこ鳥の照焼美味そうだな、行こう

 

 

そんなこんなで色々食べ歩いていたら腹一杯になった、満足したから冒険者ギルドの宿泊所で寝るとしよう

翌日、目が覚めるといつも通り広間へ向かう

すると昨日の親切なおっさんのゼトがいた、どうやら他の冒険者と話し合っているようだ、外に出ようとするとゼトに話しかけられる

 

「よぉアルト、昨日はどうだった?」

「いやそれがブレイドスパイダーに遭遇してしまってな、やつの脚を持って帰るだけで終わってしまった」

「あの蜘蛛が浅いとこに出るなんて珍しいな」

「俺としては依頼達成させてさっさとランクを上げたいんだがな」

「まぁ焦らずやってけ、Dランクまではすぐに上がれんだろ」

 

するとゼトと話し合いをしていた女の冒険者が声をかけてくる

 

「ゼト。この人なんてちょうど良いんじゃない?」

「ん?おぉ、そうだな。アルトお前ちょっと依頼手伝えよ」

「依頼?何をするんだ?」

「鉱山でオークが群れを作っちまったみたいでな、それを討伐しに行くんだけどよ、ゴブリンも従えてるもんだから数だけは多くてな、まぁ勉強だと思ってついてこいよ」

「そうか、わかったが少し待っててくれ、朝食をとってくる」

「おう、ここで待ってるよ」

 

俺は急いで朝食を食べに行った

朝食をとりすぐに広間に向かった

 

「すまん、待たせた」

「おう、じゃあ行くぞ」

「あぁ」

 

そうして俺たち5人は鉱山近くの町へ出発した

歩いている最中ゼトが喋りだした

 

「ここらで自己紹介でもしとくか、まず知ってるとは思うが俺がゼト、そこのでかい女戦士がケオルア、ゴツいスキンヘッドの男がキング、魔法使いの小さい女がミーアだ」

「よろしく」

「よろしく頼む」

「よろしくね!」

「あぁ、こちらこそ」

 

こうして簡単な挨拶が終わったところで、道中魔物が現れた。現れたのはスライムだった

 

「私がやるよ!」

 

そう言ったのはミーアだった

 

(魔法を使うのか)

 

そう思いながら見ていると、空中に火の玉が現れ、勢いよく飛んでいきスライムに命中して一瞬で蒸発させた

するとミーアがこちらを見て話しかけてくる

 

「下位の魔法なら無詠唱で使えるんだよ!凄いでしょ!」

「あ、あぁ凄いな」

「ふふん!もっと褒めてくれてもいいんだからね!?」

「あぁ…」

「ははは、アルトが困ってるぜ、もう近いんだ早く行くぞ」

「えぇーもっと自慢させてよー!」

 

そうして俺らは進みだした

しばらく歩き、何事もなく鉱山近くの町に到着した

町の入口には門番らしき男がいたのでゼトが話しかける

 

「冒険者ギルドの依頼で来たものなんだが」

「おぉ!冒険者ギルドの人か、話は聞いている、案内するよ」

「あぁ、ありがとう」

 

そして門番の男に連れられ依頼人のところへ向かった

 

「すみません、冒険者の方々をお連れしました」

「おぉ、ご苦労さま。ささ、中に入ってください」

「失礼します」 

 

中には髭の生えた老人が座っていた、ゼトが話す

 

「私はこの町の長をしているものです、今回は依頼を受けてくださってありがとうございます」

「いえ、仕事なので」

「早速なのですが、依頼内容の確認をしてもよろしいですかな?」

「はい、お願いします」

「では今回の依頼内容は、知っての通りオークが鉱山を占領してしまいましてな、その討伐をしていただきたい」

「わかりました、今日は偵察をして討伐は明日になります」

「えぇ、わかりました」

 

町の長との話し合いが終わり外に出ると、ゼトが話し出す

 

「それじゃ俺は偵察してくるわ、お前らは体を休ませとけ」

「うん!気をつけてね!」

「おう」

 

そう言ってゼトは鉱山に向かっていった

俺は途中飯屋があったのを思い出して行くことにした

 

 

飯を食べてしばらく経つとゼトが戻ってきた

そして作戦会議が始まった

 

「まず群れの規模だがかなり大きかったな、ざっと外にいるやつだけで100はいたと思う、間違いなく女王がいるな」

「ほう、女王か」

「あぁ、それで鉱山入口前に村を作っていたからそこにまずミーアが上位魔法をぶち込む。」

「何でもいーのー?」

「あぁ一番得意なやつでいい、そんでアルトはミーアの護衛だ、ミーアを襲ってきたやつを殺ってくれればいい」

「わかった」

「俺、キング、ケオルアはひたすら敵を殺す、以上だ」

「わかった」

「よし、じゃあ準備して明日の夜明け頃に出発するからな」

 

そうして俺たちは解散した

次の日、日の出と共に出発した

 

しばらく歩き、オークたちが見えてくる

 

「ミーア、頼むぞ」

「はいはーい」

 

ミーアは杖を構え詠唱をする

 

「えーっと、雷の精霊よ、力を貸してください!サンダーレイン!」

 

(そんな軽い感じなのか?)

 

と考えていると空が曇りだし、ゴロゴロと音が鳴り始める

そして一気に雲が光り、そこから雷が落ちてきた

それはオークを消し炭にし、地面を削り取るほどの威力だった、だが1回では終わらない、間を置かずに雷が何度も落ちてくる

 

「うはははは!何度見ても上位魔法はすげぇな!」

「あはは!そうでしょー!」

「これで外にいるのは粗方片付きそうね」

「あぁ、中にどれだけいるかだな」

 

雷がやむと雲が晴れる、すると中からオークやゴブリンがゾロゾロと出てくる

そして全員怒号をあげながらこちらに向かって走ってくる

 

「場所バレたか、よーしやるぞおめーら」

 

ゼトが短刀を取り出し姿が半透明になり

ケオルアの大剣が炎に包まれ

キングの体が筋肉で膨張しガントレットを握りしめ

ミーアの周りに炎の玉が複数現れる

 

「行くぞ!」

 

ゼトがそう叫び戦いの火蓋が切って落とされた

最初に飛び出したのはキングだった、敵陣のなかに突っ込み敵を殴り飛ばしながら突き進む

その打撃一発一発がとてつもない破壊力を持っていて、一撃で複数のオークを仕留めていく

 

「相変わらず無茶なことをするわね、まぁ楽でいいけど」

 

ケオルアがそう言いながら炎を纏った大剣を構え、振り落とし炎の斬撃を飛ばす 

たちまちオークたちが燃えてゆく

それを何度も放ち、オークたちの数を大きく削る

 

「あはは!私も負けてられないね!」

 

ミーアが炎の玉を複数生み出しオークたちにぶつける、その炎の玉は着弾すると爆発し大きく数を減らす

魔法を放つミーアをオークたちが襲いかかってくる

それをアルトが斬り倒していく、だが徐々に数が多くなっていき対処できなくなっていく

すると周りのオークたちが突然、首から血を吹き出し倒れる

だんだんオークの数が減っていき対処しやすくなっていく

 

「大丈夫か」

 

いつの間にか真横にゼトがいた

 

「助かったよ」

「ありがとー!」

「はは、まぁ気楽にやれや、俺らがカバーするからよ」

 

そう言ってまた消えていった

しばらく戦い続けるとオークたちの数がかなり減り、残党を処理していると鉱山の出入口から一際大きく筋肉が目立つオークが出てきた

 

「わぁ、タイラントオークだぁ…初めて見た」

 

そうミーアが呟くと、タイラントオークが両手を組み腕を上げ筋肉を膨張させる

そして腕を地面に振り落とした、その衝撃で地面がひび割れていき、あたりが地震のように揺れる

 

「はっは!おい!!こいつの相手は俺にやらせろ!」

 

そう言いキングは上着を脱ぎ捨てた

鍛え抜かれた肉体が露出し、さらに膨張していく

そして弾けるようにタイラントオークに突っ込み、殴り飛ばす

タイラントオークもすぐに立ち上がり殴り合いが始まった

 

「おい、今のうちに中にいくぞ」

 

ゼトにそう言われて、俺たちは鉱山の中に入っていった

奥へ進んでいくとそこには大量のゴブリンとオークの死体が転がっていた

その死体を貪り食っている超肥満体の巨大なオークがいた

 

「あれがクイーンオークだ、魔法を使うから気をつけろ」

 

ゼトがそう言うと、クイーンオークの貪り食う手が止まりこちらに振り返る

そして醜悪な顔を歪め笑みを浮かべる

 

「グヒャヒャ、人間か、ちょウどこいつラは食べ飽きテきたとコだ」

 

するとケオルアが炎の斬擊を放つ

 

「豚ごときが喋るな、ゴミめ」

 

クイーンオークが手を振るい氷の壁を生み出し斬擊を相殺する

 

「なんだァ?こノ程度カ、なら喰ラえ!」

 

そう叫ぶと辺り一面を凍らせるほど強烈な冷気が吹き荒れる

そしてその暴風が止むとそこには無傷のアルト達がいた

 

「あはは!効かないね!」

 

ミーアは結界でアルト達を囲い守った

すると突然クイーンオークの腹が斬り裂かれ血が吹き出る

 

「ぐフっ!?そこカ!!」

 

クイーンオークが何もないとこに氷の塊を放ち、ゼトが避けてこちらに退避してくる

怯んでるクイーンオークに間髪いれず炎の斬擊、炎の玉を放つ

クイーンオークは氷の壁を生み出すが炎の玉は相殺できずに直撃する

 

怯んでいる隙にアルトとケオルアが接近する

それを見たクイーンオークが自分の周囲に地面から巨大な氷のトゲ生み出し接近させないようにする

それをケオルアはすぐに大剣を振るい炎の斬擊を放ち氷のトゲを溶かす

そしてアルトは地面を強く踏みしめ跳躍し、勢いのままに大斧を振り下ろし頭から真っ二つにしようとする、それをクイーンオークは手で払い落とそうとするがその腕をゼトによって斬り落とされた

そしてアルトが大斧を振り下ろし、クイーンオークを真っ二つにした

 

「ふぃ~さすがに疲れたな」

 

そうゼトが喋りクイーンオークの死体に近寄り探る

 

「おーあったあった」

 

そうゼトが話し拳ほどの紫色の宝石のようなものを見つけだした

アルトがゼトに話しかける

 

「なんだそれ?」

「これは……」

「あー!それはね!魔宝石って言ってね!上位の魔物からしか取れない希少なものなんだよ!魔法の武器を作れるからすっごく高く売れるの!」

「……て感じだ」

「なるほど」

「ミーア!死体処理頼む」

「はいはーい」

 

するとミーアは炎を放射しクイーンオークの死体を燃やす

それを見ているとケオルアが話しかけてきた

 

「どうだった?初めての集団戦は」

「ただただ…圧倒された、貴方達の強さに」

「ふふ、これから経験を積んでいけばいいさ」

「あぁ……そういえばキングは大丈夫なのか?」

「あいつなら大丈夫よ、接近戦ならまず負けないだろうさ」

「そうだったのか」

 

 

死体処理が終わり外に出るとタイラントオークの死体にキングが腰かけていた

 

「そっちも終わったか、ほれ魔宝石」

「おう、今回の報酬はだいぶ期待できるな、ミーアここも頼む」

「はーーい」

 

そうしてオークとの戦いは終わった




クイーンオーク
オークからごく稀に生まれる
女王種と危険種で登録されている
強力なオークを産み出すことができるため放置しすぎるとかなり強力な群れとなる
知能は高いが残虐的な大食らいで味方をも食らう
高度な魔法が使えるが肉体は通常のオークと同レベル

タイラントオーク
クイーンオークからしか産まれないため目撃されることが少ない
とてつもない筋肉を産まれたときからもっており身体能力が計り知れない
成長しきるとオーガの上位種とも張り合うと言われている


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5話

誤字あったら教えてくれい


町に戻りあらかた討伐は終わったことを報告し、まだいくらか残っているかもしれないが数は少ないだろうとゼトが町の長と話していた

 

 

とりあえず今日のところはこれで解散となり

夜、俺は飯屋に来ていた

一人で飯を食べていると同じテーブルの席に誰かが座ってきた

見てみると、そこにいたのはキングだった

そして俺に話しかけてくる

 

「ようお疲れさん、Fランクにしてはなかなか強かったじゃねーか、今まで何かやってたのか?」

「…帝都の闘技場で育てられてな、最近そこを出て冒険者になったんだ」

「へぇ!闘技場かぁ!そりゃガキの頃から魔物と戦ってれば強いわけだな」

 

キングが楽しそうな顔をしながらそう言う、俺も気になるので聞いてみる

 

「キングは何かやってたのか?凄い動きだったが」

「いや特に何もやってねーな、ただ昔から喧嘩が強かったもんだからよ、冒険者になっても魔物相手に同じことやってたらいつの間にかBランクになってたんだ」

「ハハハ、そりゃ凄いな」

「はっは、そんなことよか飲んで食べようぜ、報酬がたんまり出ることだしよ」

「あぁ」

 

俺が追加の注文をしようとすると入口からゼトたち3人がやってきた、俺ら2人を見て喋りかけてくる

 

「なんだお前ら密会かぁ?俺らも混ぜろよ」

「そうだそうだ!混ぜろー!」

「今日は飲むとするか」

「ハハ、騒がしいのが来やがったな」

 

こうして俺たちは食事を共にする、酒を注ぎ合いながら他愛もない話をして時間が過ぎていった

 

 

次の日、俺たちはアルコルテに帰ってきた

冒険者ギルドに達成報告をしに行き、ほくほく顔のゼトが報酬を持ってくる

 

「ほーれ報酬だ、依頼報酬と魔宝石の売却分、それと危険種討伐報酬合わせて~…金貨が220枚だ」

「「「おぉ~」」」

「そんじゃ分配だな、アルト以外の4人が50枚。アルトが20枚だ」

「しばらく酒に困らねぇな」

「やったー!新しい魔道具買っちゃおー」

「ふむ、何に使おうかな」

 

それぞれが使い道を考えているとゼトが話し始めた

 

「また今回みたいな大規模な討伐があったら声かけるわ、あとアルト受付が呼んでたぜ」

「?わかった」

 

俺は受付に向かう、そして受付に声をかけた

 

「呼ばれてきたんだが」

「あぁアルトさん、今回ゼトさんたちと依頼を達成されたみたいですね」

「あぁ」

「それでゼトさんにも聞いて問題なく動けていたとのことでしたのでDランクに昇格させていただきます、ギルドカードをお借りできますか?」

「はい」

 

ちょっとしてギルドカードが帰ってくる

そこにはDランクと書かれていた、無事上がったようだ

 

「おめでとうございます!これからも頑張ってください!」

「ありがとう」

 

これで受けられる依頼が増えたな

あっそういえばこの前買いそびれた魔法袋を買いに行こう

魔法袋は魔道具屋に行けばあるだろうか

しばらく歩き魔道具屋に到着する

 

「すみません、魔法袋ってありますか?」

「はい、ありますよ、どれぐらいの容量の魔法袋をお探しですか?」

「あー、できるだけ沢山入るやつ?」

「そうですか、少々お待ち下さい」

 

すると店員さんは店の奥に入っていき少ししたら戻ってきた

 

「こちらなんかいかがでしょう?」

 

見せてもらったのはなんてことのない小袋だ、支配人が持ってたやつもこんな感じだったな

 

「お値段は金貨30枚と少しお高いですがだいたいこの部屋3つ分は軽く入りますね」

「へぇ凄いな、これにするよ」

「そうですか!ありがとうございます、ギルドカードをお借りできますか?」

「あぁ」

 

ギルドカードを手渡し、ちょっとして返される

見ると金貨30枚分が引かれていた

 

「じゃあこれで」

「はい、まいどあり~」

 

買い物も終わったし、この後どうするかな

…また屋台巡りでもするか




危険種
冒険者ギルドが特に警戒している魔物
討伐した場合冒険者ギルドから特別な報酬が支払われる

魔宝石
成長しきった強力な魔物、もしくは高位の魔物から取れる宝石のような魔力の塊
これを素材に魔法武器を作ることも可能なため高値で取引される


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6話

誤字があったら教えてくれい


俺は朝早くから起きてギルドの依頼表を見ていた

Dランクに上がっていくらか受けられる依頼が増えたかな、さて何にするか

 

おっ、アースクロコダイルの討伐か、たしか少し硬くて苦戦した記憶があるな

ここからさほど離れていないモンティレ村の近くで目撃されたみたいだ、これ受けるか

 

 

早速準備をしてモンティレ村へと向かう

しばらく歩き村に到着する、そして門番をしている人に話しかけた

 

「依頼を受けて来たものなんだが」

「ん?あぁ冒険者さんね、話は聞いてるよ、村長のところに案内するからついてきてくれ」

「わかった」

 

門番についていき村のなかを歩く、そこまで大きくはないが活気がありいい雰囲気の村だ

少し歩くと一際大きい家にたどり着いた

門番がコンコンとドアを叩き中に入っていく

 

「失礼します、冒険者の方を連れて来ました」

「おお、そうか!どうぞ座ってください」

「あぁ」

 

座るとお茶を出してくれたのでありがたく飲む、ほっとする味だ

 

「私はモンティレ村の村長をしております。今回の依頼、よろしくお願いします。あれが現れてから森へ狩りに行けなくなりましてな」

「あぁ、ところでどの辺りを住みかにしているかわかるか?」

「ふむ…最初に目撃されたのが川で水を飲んでいるときだったので川付近を住みかにしているのかもしれませんな、川はすぐそこの森を真っ直ぐ進んだ先にあります」

「そうか、とりあえず行ってみる。日が落ちてきたら一旦戻る」

「えぇ、分かりました。よろしくお願いします」

 

そうして話し合いは終わり村を出て森へ向かう

道中特に何もなく、魔物にも遭遇せず目的地に着いた

川付近を歩き観察するが、特段変わった様子はない

 

「しばらく待つか…」

 

 

 

 

結構な時間を待っていたが現れることはなかったため、一度森を探すことにした

来た道を戻って考えながら森を歩く

 

(別のとこへ移動したのか?いやまぁ最初の目撃がこの川だっただけでこの辺りを住みかにしてるとは限らないが、どうしたものか)

 

そんなことを考えながら歩いていると真横の地面から大きな口が飛び出してきて俺に噛みついてくる

 

「うぉっ!?」

 

俺は咄嗟に飛び避けるがするどい歯が肩にかすり、傷を負う

出てきたのは体長4mほどのアースクロコダイルだ

 

(なるほど、こいつ地面に潜ってやがったのか、見つからないわけだ)

 

俺は大斧を構える

アースクロコダイルがこちらに飛びかかり噛みつこうとしてくる、それを横に避けてすれ違いざまに斬りつける、傷は入るが深手にはならなかったので続けて攻撃する

脳天を狙って大斧を振り下ろす、しかしそれは避けられてしまった

するとアースクロコダイルが尻尾を地面に叩きつけ振り回し砂埃を引き起こし、視界が悪くなる

 

(器用なことしてきやがる)

 

そう思っているとアースクロコダイルが砂煙の中から噛みつこうと飛びかかってくる、その攻撃を避けてすぐ腹に蹴りを入れる、するとアースクロコダイルはひっくり返った

その隙を逃さず首に大斧を振り落とした

アースクロコダイルの首は胴体と別れ動かなくなる、討伐完了だ

 

「…疲れた。とりあえず血がとまるまで放置しとくか」

 

しばらくして血が止まったとこで魔法袋のなかにアースクロコダイルの死体を入れた

そして村に戻り村長へ報告に向かう

 

「無事に討伐が終わった、これが奴の頭だ」

 

アースクロコダイルの頭を村長に見せる

 

「ありがとうございます!これで村人達も安心して森を歩けます!」

「あぁ、それではな」

「ありがとうございました、また機会がありましたらよろしくお願いします」

 

そうして俺は村を出た

アルコルテに戻る頃にはもう日が落ちていた、冒険者ギルドに戻り依頼完了の報告をする。報酬は銀貨30枚だった

そして解体受付に向かう

 

「すみません」

「うぃ、どうした?」

「アースクロコダイルの解体を頼みたいんだが」

「あぁ、それじゃ奥行こうか。ついてきてくれ」

 

受付のおっさんについていき扉をくぐると広い空間に出た、そこには解体の従業員が何人か待機していた

おっさんが話しかけてくる

 

「それじゃここに出してくれ」

「わかった」

 

俺は魔法袋からアースクロコダイルを取り出す

 

「おー、でかいな。少し時間がかかる、広間で座って待ってな」

「あぁ、わかった」

 

俺は言われた通り部屋から出て広間に向かった、椅子に座って大斧の手入れをしながら時間を潰す

そしてしばらく経ちおっさんがきて声をかけられる

 

「終わったが肉とかどうする?持ってくか?」

「お、もらえるのか。ならもらおう」

「そりゃお前が討伐してきたやつだからな、んじゃ皮 骨 牙を買い取るぜ、ちなみにアースクロコダイルは皮が高く売れるんだ」

「へぇ、そうなのか」

「あぁ、それじゃ買取額は金貨2枚だな、ギルドカード貸しな」

「ほいよ」

 

そう言ってギルドカードを渡し、すぐ返してくる

 

「よし、確認した。あとちなみに食堂で肉渡せば調理してくれるぜ」

「ほんとか!行ってくる」

「待て待て、まだ肉渡してないだろうが、奥いくぞ」

「あぁ、そういえばそうか」

 

再びおっさんの後に着いて行き、解体室につく

そこには肉の塊がいくつか置いてあった

魔法袋に入れていく、20人前以上はあるな

 

「それじゃあな」

「あぁ、またよろしくな」

 

俺は足早に食堂に向かう、そして到着しておばさんに声をかける

 

「すみません!」

「はいよ!」

「肉を持ち込めば調理してもらえると聞いたんだが」

「あぁできるよ、何の肉だい?」

「ちょっとまってくれ」

 

そう言いながら魔法袋からアースクロコダイルの肉を出す

 

「アースクロコダイルの肉なんだが、大丈夫か?」

「あぁ大丈夫さ、座って待ってな」

「わかった」

 

俺は席につき料理ができるのを待つ

しばらくたちウェイトレスが料理を持ってこちらにやってくる

 

「ステーキです!、他のも今調理してるので少々お待ち下さい!」

「わかった、ありがとう」

 

目の前にタレがかかったアースクロコダイルのステーキが置かれる

早速一口食べる

 

「美味い……」

 

少し硬いが噛めば噛むほど肉汁が溢れ出てくる、これはたまらん

そしてあっという間に完食してしまった

 

「お待たせしましたー!ハンバーグシチューでーす」

 

タイミングよく運ばれてきたのは具沢山なハンバーグシチューだ、ハンバーグがかなり大きい

俺はまた食べ始める、先程のステーキとは違い柔らかくて食べやすくシチューともよく合う、野菜もほろほろでシチューの味が染み込んでいて美味しい

ハンバーグシチューを味わいながら食べていると料理が運ばれてきた

 

「肉肉チーズグラタンでーす!料理はこれで以上になります!」

「ありがとう」

 

運ばれてきたのは肉がたっぷり入ったチーズグラタンだ、ジャガイモも入っていてボリュームたっぷりだ

肉にチーズをたっぷりからめて食べる、肉の旨さと濃厚なチーズの風味が合わさりとてもうまい

 

「ふぅ、ご馳走様」

 

実に楽しく美味しい食事だった、明日もこれ食べよう




アースクロコダイル
陸で狩りをする大きなワニ
地面に潜り足音が聞こえたら飛び出し大きな口で噛みつく
事前に潜っていることを知らなければ簡単に食われる
皮は耐熱性と耐久性に優れていて、それで作る防具はそこそこ性能が高い


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