実録『しようがしまいが出られない部屋、藤丸立香とニキチッチの12時間』 (ぐだぐだ)
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実録『しようがしまいが出られない部屋、藤丸立香とニキチッチの12時間』

 ──07:00──

 

 ドブルイニャ・ニキチッチは目覚め、そして混乱する。

 いつものマイルームではなく、まず目に入るのはベッドと、壁と、冷蔵庫。あとはソファやテーブルといった家具の類があるだけの見知らぬ部屋。淡い桃色で統一された四方の壁紙には、出入口となる扉は存在していなかった。あるのは二つ、風呂と、それから便所へ通じる扉だけ。

 ベッドには、まだ眠っている藤丸立香の姿がある。怪我をしている様子はないと見て、ニキチッチはほっと胸を撫で下ろした。

「オレが守ってやるぞ、マスター。ゆっくり、休め」

 我が子を宥めるような優しい声で、ニキチッチが囁く。立香は少しだけ声を漏らしてから、薄く目を開いて自分のサーヴァントを見つめていた。

「すまん、起こしてしまったか。端的に言うが、オレたちは閉じ込められている。武器もなく、愛馬も呼べない。だが安心しろ、マスター。お前には、このドブルイニャ・ニキチッチがついている」

 愛らしい少女の顔、獣の耳と尻尾、むっちりとした肉感的な身体。甘い体臭を漂わせる雌猫のような英霊は、自分が男であるという。だから今もなお、ニキチッチは立香にとって、頼れる父親のように振る舞っている。

 にかりと八重歯を見せて笑う顔に、立香はいつも、胸がざわつく。肌を隠そうともしない薄着に、立香はいつも、目が釘付けになる。

「脱出、できるぞ」

 立香の抱く仄暗い劣情に気付きもせず、ニキチッチは笑った。

 上がダメなら下を探すと、ニキチッチは這いつくばって壁と床の接合を探る。艶かしいふとももに、レオタード状のインナーで隠した割れ目が露わになることも気にかけず。

 ふっくらとした土手の中央は、どんな匂いがするのだろう。あの布の向こう側に、穴がある。指で優しく拡げたら、男だと言い張りながら、雌の穴をヒクヒクさせるだろうか。

 食虫植物に捕食される虫は、こんな心地なのかもしれない。立香は他人事のように思い、そしてニキチッチの背後へと近付いていく。

 立香が思い出すのは、一晩の過ちだ。体を温めるためにという名目での、男同士だから気にするなと笑ったニキチッチを抱き潰して狂わせた昂揚が、こうしているだけで自然と湧き上がってしまう。

「マスター、不安か。大丈夫だ、オレがついて──」

 股座へ手のひらを当てると、毛並みに覆われたニキチッチの耳がピンと立った。恥骨を包むような手つきで、ゆっくりと撫で始める。

「マスター、ダメだぞ、ふざけているのか」

 ニキチッチは振り向かず、静かに嗜める。

 立香は無視して、親指で割れ目を押し込んだ。

「ぁ」

「ニキチッチ、ヤリたい」

「ダメだ、やめろ、オレは、男」

「ヤラせろ」

「っ……」

 あの夜を思い出すのは、なにも立香だけではない。ニキチッチもまた、体に刻み込まれた快楽を忘れられていない事に変わりはない。

 恥じらうような、照れたような、曖昧な表情。流されてはならないと思っていながら、眉は自然と下がりどこか媚びたような雰囲気すら漂わせている。

 そしてその表情が物語っているように、ニキチッチの割れ目はとっくに濡れていた。レオタードの青色が、一点だけ、黒ずむように濃くなっている。そこに雌の汁が滲んでいるのだと、立香はすぐに理解できた。

 発情している証は、前にも見ている。可愛らしい顔をしたサーヴァントが、セックスに溺れて敗北する姿も、立香は見ている。

「やめろ、やめろ、マスター、あっ、あっ、ぁ、ん」

「どんどん濡れてくる、クリも勃起してるよ」

「違う、オレは、違う、男だ、んんっ……♡」

 ふうふうと荒い呼吸を繰り返しながら、ニキチッチが首を振る。指の腹を押し当てて円を描くような動きで擦ると、ニキチッチのクリトリスがぷっくりとレオタードの薄い生地越しに浮かび上がった。

「気持ちいいくせに、オレに触られるの、好きだろ」

 立香の指摘に、ニキチッチは唇を噛んで堪えた。

 腰は次第にへこへこと動き始め、立香の指にクリトリスを擦り付けてしまう。そこを軽く押し込まれると、尻尾が悦ぶようにピンと屹立した。立香は構わずに、ニキチッチの尻尾を握る。

「あっ、あっ、あふっ、ふっ、ふぁっ♡」

 扱き方は、慣れていた。

 ちんぽを慰めるように、小刻みに。ニキチッチの顔こそ見えないものの、垂れていく耳の様子で、感じているのはわかっていた。

「あっ♡んっ♡んっ♡はあっ♡はっ、はっ、はぅっ♡」

 ニキチッチは、手コキに弱い。

 立香の手で尻尾を甘く締め付けられると、目に見えて大人しくなる。だから、片手で尻尾をコいてやりながら、レオタードのクロッチをずらす。充血して膨らんだ割れ目は、湧き出すようなぬるぬるした発情の証でてらてらと光って見えた。

「こんなに濡れて、何が男だよ、ニキチッチ」

「んにゃぁっ♡」

 手コキをしながら穴の中に指を突っ込むと、雌猫のような喘ぎがあがる。ニキチッチの穴は、立香の指を根元まで簡単に飲み込んでやわやわと締め付けていた。

「抜け、抜け、マスター、抜いて、あっ、やっ、やっ♡」

 腹側を掻くように指を曲げてほじくると、逆らう言葉も出なくなる。ニキチッチは頭を下げて、脚の間から情けない媚顔で立香を見つめていた。

 ニキチッチが男というのは事実なのだろうと、立香は思う。男だから、こんなにも弱いのだとも。

 男の感じる快楽は、女のそれよりもずっと微弱だと聞いた。だから、こうして女の肉体で快楽を与えられると、抜け出せなくなるとも。

「ふぁっ♡あひっ♡あひっ♡ひいっ♡」

 人差し指に続いて、中指を奥まで。指を二本咥え込んで、ニキチッチの声はより甘さを増した。壁を掻くように抜き差しをすると、ぐぢゅぐぢゅと粘つくような音が鳴るほど濡れている。

「だめ、だめ、それだめ、マスター、だめになるっ♡」

「おまんこ気持ちいいだろ、言えよっ」

「きもち、い、あっ、あっ、だめ、オレ、男っ」

「まんこほじられてよがってるくせに、何が男だっ」

「あひぃっ♡おしたらだめ、そこ、おしたらだめぇ♡」

 男の脳は、女の快楽に耐えられない。

 子宮口を指の先で押し込まれると、ニキチッチの腕は支える力を失って崩れる。尻だけを掲げて、へこへこと動かすだけの雌の姿に成り下がる。

「いくって言え、言えよニキチッチ、おまんこいきますって言えっ」

「いくっ♡あひっ♡おまんこ、おまんこいいっ♡おまんこきもちよくていく、いく、ぁ、いくいく♡いく、いく、マスター、ますた、ぁ、っ♡」

 びくん、と大きく腰を震わせると、ニキチッチは穴を締め付けて中の指をしゃぶった。立香の指先だけで呆気なくアクメを迎え、白く濁った雌ザーメンを子宮から分泌させられてしまう。そんな恥辱の中で、ニキチッチは言いようのない多幸感に包まれてしまっていた。

 

 ──07:30──

 

「いぐぅっ♡いぐっ♡またいぐぅっ♡」

「ここが好きだろニキチッチ、ほじられるの、好きだろっ」

「すきっ♡ゆび、マスターの、すきっ♡ぁ、くる、アクメくるぅっ♡」

 びくん、と腰が震えて、粘つく体液が糸を引いて落ちていく。床にはもう、ニキチッチの分泌した愛液で水溜まりができている。ただ、面白いのはここから先だ。アクメをさせた先が、ニキチッチが普通の女と違うところだった。

「はっ、はあっ、はあぁ……っ、マスター、もう、やめろ……オレは、怒らないから、やめろ、マスター……」

 男の射精と似ているのかもしれないと、立香は思った。

 ニキチッチは、アクメの後に刺激を与えないでいると、すぐに理性が戻ってくる。蕩けさせたければ犯し続ければいいしそうでなければ手を離せばいい、立香にとって都合がいい体をしていた。

「ニキチッチ、咥えろ。オレのちんぽをしゃぶれ」

「マスター、それは」

「いつもみたいに言えよ、できるぞって」

「っ」

 力なく床に寝転んで息も絶え絶えのニキチッチは、馬乗りになる立香を拒むだけの力が出せなかった。

 顔に跨るように、立香は勃起したちんぽを取り出してニキチッチの鼻先に亀頭を寄せる。蒸れた雄のにおいを嗅がされて、ニキチッチの眉が情けなく下がっていく。

「オレは、男」

「男だから、しゃぶらせるんだ」

「やめろマスター、やめ、っ、んぐ、っ!」

 床に組み敷かれたまま、ニキチッチは口の中へ、勃起したちんぽを突っ込まれる。女の役割を強いられている、口を使われている。目の前にある事実が、ニキチッチの男としての自尊心にヒビを入れる。

「咥えたら、頬を窄めて、しゃぶれ」

 男に命じられる。男のにおいが、口の中から鼻へと逆流する。フェラチオは、女のすることだ。男のすることではない。

 頭の中でぐるぐると、嫌悪感が思考と混ざる。

「ぢゅ、る」

 臭くて、塩っ辛くて、まずい。立香は腰を動かして、舌に、頬に、喉に、亀頭を擦り付けてくる。まるで、口とセックスしているように。

「んぶっ、んっ、んごっ、んぐぅ!」

 ニキチッチの両足が、息苦しさにバタバタと跳ねる。縋るように立香のふとももへ手を絡めて、苦しげな声がピストンのたびに口の端から漏れる。そのくせ、割れ目はじっとりと濡れて、ピンク色の粘膜はヒクヒクと蠢いていた。苦しいはずなのに、屈辱のはずなのに、なぜか興奮してしまっていた。

「しゃぶれよ、ほら、喉まで咥えろニキチッチ」

「んげっ、んぐっ、んげっ、えっ!」

「男のくせに、男のちんぽしゃぶってるの、情けなくて興奮するよ。女の体、すごいんだろ。こんなに乱暴にされて、濡れてるんだな」

「んんぅっ!」

 足がピンと勝手に伸びて、甘いアクメがニキチッチの下半身を支配する。酸欠と雄臭さに悶えているうちに、クリトリスを摘まれていた。立香の指が優しく擦ると、頬を窄めてひょっとこ顔になりながら、目を閉じて味わってしまう。立香が軽く腰を浮かせて隙間を作ると、ニキチッチは床に寝たまま、頭を上下させてピストンで媚びる。

 男というのが事実だと感じるのは、この時だった。ニキチッチのフェラチオは、男の求めるところをねっとりと吸い上げる、誰よりも上手い心地良さがある。熱い粘膜で扱きながら、締め付ける。我慢汁を舐めながら、亀頭を舌で擦り上げる。射精を堪えようとしても、腰の力が抜ける気持ち良さがあった。

「ふうっ……ふっ、ふうっ……♡」

 ちゅぽちゅぽ、くぽくぽ、唾液と空気が混じる音が荒い息遣いに混じる。眉を下げて薄目を開けたニキチッチの顔は、うっとりと心地良さそうに緩んでいた。勃起した硬いちんぽを見つめる瞳は、潤んで濡れている。雄に媚びる雌そのものの顔でいた。

 立香はそのまま、ちんぽを預け体の力を抜いた。体勢を崩さないだけの支え方で、何もせずに待つ。それだけで、ニキチッチはちんぽを舐めしゃぶり、全自動で射精まで導いてくれる。

「んぽっ♡くぽっ♡ちゅぽっ♡んもっ♡んもっ♡」

 立香のちんぽを喉まで受け入れて、ニキチッチは尻尾をくねらせ、耳を垂れさせる。開いた股を突き出すように、腰を浮かせてへこへこと揺らし、セックスをねだる雌の姿を見せつけていた。

 立香は、見ていない。立香は、気付いていない。フェラチオで媚びる中、ニキチッチは蕩けた頭でそう考えてしまっている。

 ふとももに絡ませていた右手を離すと、股間へ。のたうつ尻尾を股の間へ挟むように丸めると、指を絡めて握り締め、ゆっくりと手首を上下させていく。腰を這い上がるゾクゾクとした快感に、ちんぽをしゃぶる口が甘い鳴き声めいた呻きをあげる。

「ふっ♡ふっ♡んふっ♡ンフっ♡」

 頭を上下させてピストンをする動きに合わせ、ニキチッチの手首が尻尾を扱く。脚を閉じられずガニ股に拡げたまま、女の肉体として召喚された結果失ってしまったちんぽを慰めるように、毛並みで覆われた尻尾を扱き続ける。あまりの心地良さに、自然と踵が浮いていた。

「んんぅ、んんぅっ♡まふはー、はひへ、はひへっ♡」

 口の中で立香のちんぽが膨らむのを感じ、ニキチッチは甘えた声でねだる。男なのに、射精されたい。男なのに、ちんぽをしゃぶると興奮する。ぐちゃくちゃになる思考と快感に、目尻の端から涙が溢れることすら気付かない。

「吸え、吸え、出すぞニキチッチ、出る出る出るでる、い、っ、ぁ」

「んんんっ、っ、っ……♡」

 生臭い特有のにおいと喉に絡む粘つきが、ニキチッチの口へと排泄される。爪の先を尻尾に埋めるように握り締めながら、ニキチッチもまた全身を震わせ、立香のザーメンを必死になって飲み下した。

 

 ──08:00──

 

 勝てるはずがない。

 男として存在する以上、女の体が与える快楽に脳が耐え切れるはずもない。ニキチッチは、それを嫌というほど思い知らされている。

 熱くて硬くて滑らかな、自分以外の存在が穴を押し拡げる異物感。濡れた粘膜をゆっくりと擦られる快感に、たまらず甘ったるい声をあげていた。

「んああっ♡あうっ♡あううっ♡ぉんっ♡おっ♡んおっ♡」

 ちんぽが奥に届くまでは、あうあうと情けなくも甘えた声。子宮口に触れられ、とんとんと小突かれるとおんおんと獣のような声に変わる。

 四つん這いで立香に乗られ、デカい尻を擦り寄せて媚びる。男にはないはずの穴に突っ込まれ、はへはへと舌を突き出して喘ぎながら、ニキチッチはシーツを握り締めるしかできない。

「気持ちいい、だろっ」

「ううっ♡うっ♡あっ♡あーっ♡あーっ♡あ、あぁぁ……♡」

 奥に触れない浅いところでの抜き差しに、物足りないというような声が漏れる。耳が垂れ、眉も下がり、涙を浮かべながら、ニキチッチは俯くしかできない。男としての自尊心など、硬く勃起したちんぽで発情した穴を優しく掘られる快楽の前には無力だった。

「オレのちんぽはどうだ、ニキチッチ」

「硬いっ、硬いっ♡硬くて、熱いぞっ♡」

 自分に抱かれていた妻も、こんな風に感じていたのか。立香のちんぽがいやらしく出入りをするたびに、穴の奥まで甘い痺れが暴れ回るようだった。頬を染め、肌を赤らめて、腰を浅ましく揺らしてしまう。その全てが無意識のうちに行われるのだから、プライドなんて最初から役には立たなかった。

「あぁんっ♡乳首、ちくび、痺れる、それ、しびれるっ♡」

 立香の指に勃起乳首を摘まれて、ニキチッチは背をしならせる。妻の舌ではくすぐったいだけだったそこは、立香の指によって明確な快楽を与えてくれる弱点に成り下がっている。摘んで転がされると、声が止められない。そのまま引っ張られると、乳が伸びる甘い痛みで穴の奥がきゅっと締まるのがわかる。

 強い雄に、乗られている。男なのに四つん這いになって、穴にちんぽを突っ込まれている。それどころか、ちんぽを抜き差しされて感じてしまっている。

「できるだろ、ニキチッチ、オレとやらしいセックス、できるだろ」

「できるっ、できるぞっ♡オレ、セックス、できるぞっ♡」

 女のように媚びて、立香に負ける。立香のちんぽに、負ける。それが、どうしようもないほどに惨めで、どうしようもないほどに興奮する。

 男は、女の体が与える快楽に勝てるはずがない。立香のちんぽが抜き差しを繰り返すたび、ピストンのたびに、何ヶ月も溜め込んだザーメンをぶち撒ける射精のような、暴力的な快楽が脳を犯すようだった。

 こんな快楽に、勝てるはずがない。

「ますた、ますた、もっと、もっとっ♡」

「奥のところ、だろっ」

「んおおっ♡んおっ♡おっ♡ぉんっ♡ぉんっ♡」

 とんとんと小突かれるだけで、射精では収まらない快感が腰を溶かす。乳首を優しく摘まれて、快楽は倍増するように膨れ上がる。たとえ心が男であっても、女の快楽を教え込まれてしまえば雌なのだと、ニキチッチはとっくの昔に思い知っていた。立香という雄によって、思い知らされていた。

 腹に腕を絡ませて、立香がニキチッチの胴を抱く。雄に突っ込まれたまま、逃げられない。何をされるか理解して、ニキチッチは男であるはずなのに、女としての悦びに身を震わせた。

「パンパンしてやる、ニキチッチは女だもんな」

「ちが、ちが、男、おと、こ、っ、んおっ♡んおおっ♡んおおっ♡むり、むり、むりぃ♡こんなのむり、ますた、むりだぞっ♡かてない、かてないっ♡」

 雄がちんぽを突っ込み、好き勝手にピストンを繰り返す。デカ尻に腰が打ち付けられるパンパン音が聞こえて、ニキチッチの心がまた折れる。

「ちんぽ、すごっ♡ちんぽ、すごいっ♡つよい、つよいっ♡」

 男の心が、保てない。立香のちんぽに服従して、穴で扱いて射精してもらう。そのことだけを頭が、本能が、子宮が考えてしまっていた。

 逆らわなくなったニキチッチの腰を掴まえて、立香は腰をぶつける速度を上げていく。尻尾をのたうたせ、にゃあにゃあと雌猫のように鳴きながら、ニキチッチは雌としての深いアクメに堕ちていく。ぷしっと勢いよく潮を噴きながら、ひいひい情けない声をあげてヨガってしまう。

「だして、ますた、だして、だしてっ♡オレ、ほしい、なかにほしいっ♡」

「なら、いくの我慢できるか、できるかニキチッチ」

「できるっ♡がまん、できるぞっ♡できるぞっ♡」

「じゃあ、我慢しろ、一緒だからな、一緒にいくからっ」

「できる、できるっ、できるぅっ♡」

 ニキチッチが応えると、ピストンはどんどん速くなる。男らしさを微塵も感じさせないデカ尻が歪んで、立香の腰使いを受けるたびに汗の雫が飛び散っていく。巨乳もまた同様に、立香が掴んでいなければぶるんぶるんと前後に揺れて、甘い痛みをニキチッチに与えていた。

 女の体に特有の現象が、男の心を侵していく。自分は雄ではなく雌なのではないかと、ニキチッチは誤認していく。ちんぽ代わりに扱いていた尻尾は、交尾のためにピンと上げてしまっていて股の間にはない。自分の体には、男らしさがどこにも見つけられない。

 最初から、女だったのかもしれない。

 だって、そうでなければ、男とのセックスで負けるはずがない。

「んおっ♡んおっ♡おっおっおっ♡やば、やばい、ますた、やばいっ♡」

「出るから、もう出る、出るから、出る、っ」

「おっ♡おっ♡いぐっ♡やば、いぐいぐぃぐぅっ♡」

 そうでなければ、最初から女だったのでなければ、おかしい。

 ザーメンを注がれてアクメするはずがない。

 男が男に掘られて負けるはず、ない。

 オレは女だから、負けたって仕方ないんだ。

 全身を包み込む多幸感に溺れながら、ニキチッチは誰に咎められるでもないのに、必死に言い訳めいたことを考えていた。

 

 ──08:30──

 

 背面側位は、ニキチッチが苦手とする体位の一つだ。

「はあっ♡はあっ♡はあぁっ♡はっ♡はうっ♡」

 腕枕に頭を預け、肌を擦り合わせるように密着して、ゆっくりと穴をほじられる。自分は立香の首に腕を絡めて、肩越しに見つめ合う。

「あっ♡はっ♡はっ♡はあっ♡あっ♡はぁっ♡」

 まるで恋人同士、あるいは愛し合う夫婦のようで、胸が高鳴ってしまう。肉体よりも精神に作用する、甘い毒のような心地良さが恐ろしい。

「ますた、ますた、きもちいい、かんじるっ♡」

 雄の匂いが堪らない。汗ばんだ立香の肌を舐めたくて、汗が欲しくて、自然と舌が伸びる。それを不意打ち気味に咥えられ、ゆっくりと吸われて、腰が勝手にかくかくと揺れた。

「んんんっ♡んっ♡んぅっ♡んぅっ♡」

 膝裏を持たれて開きっぱなしの股は、愛液とザーメンが混じり合った粘液でふとももまで濡れている。ハイレグレオタードの生地は股間ばかりが色付いていたものの、ニキチッチの発汗に伴ってしっとりと濡れ、勃起した乳首やヘソの陰影を卑猥に浮かび上がらせている。まるで、セックスのための衣装であるかのように、ニキチッチの体のラインをくっきりと浮かび上がらせている。

「ニキチッチ、今のお前、すごくエロい、めちゃくちゃ可愛い」

「やめろ、やめて、オレは、男だ、あっ♡あっ♡ちんぽすごく硬いっ♡奥に来てるっ♡あっ♡ずるいっ♡抜き差しずるいっ♡」

 男であろうと思い出すたびに、女に引き戻されてしまう。立香の勃起ちんぽが子宮をとんとんと小突くたび、自分は女だと思ってしまう。それが、ニキチッチにとって何より恐ろしいことだった。

 愛しい妻を思い出して男の心を保とうとするのに、立香のセックスが思考を丸ごと塗り潰す。何度出しても硬くて太い雄のちんぽを、異物と認識できなくなる。男に突っ込まれて掘られているのに、感じるのは立香への愛おしさだけだった。

 

 ──08:45──

 

「すごいっ♡すごいっ♡セックス上手っ♡ますた、ますた、もっと掘ってっ♡オレのまんこっ♡女の穴っ♡硬いちんぽで掘ってくれっ♡奥までずぼずぼ、硬いちんぽで掘ってくれっ♡」

 

 ──08:48──

 

「まって、いったばかり、んおっ♡おっ♡んおぉっ♡だめ、だめ、そんなに奥、奥弱いって知ってるくせにっ♡あぁぁだめだめだめっ、とんとんだめ、すき、すき、すき、すきぃ♡ますた、ちんぽ硬くてすごい、セックスきもちいい、こんなの、オレ、女になるっ、女にさせられるっ♡」

 

 ──09:02──

 

「あーっ♡あーっ♡あーっ♡ゆっくりすごい、上にのられるのすきっ、すきぃっ♡やさしい、やさしいのすきっ♡あっ♡あっ♡ゆっくりうごいて、うご、あっ♡あっ♡ああぁっ♡あーっ♡」

 

 ──09:05──

 

「おなかのとこ、おなかのとこ、こするの、すきっ♡ちんぽがこすれるの、ぞくぞくってするっ♡ゆっくりぬけると、あっ、あっ、あぁぁっ……♡ぬかないで、ぬかないでくれ、ますた、おく、おく、さみしくなるっ♡」

 

 ──09:08──

 

「おぐっ♡あだっでっ♡おぐぅ♡おっ♡ぐっ♡おぐっ♡こん、こんなのっ♡かでなっ、かでないっ♡オレ、女だからっ♡ちんぽつよいっ♡まんこよわいっ♡ぱんぱんしてっ♡女になるっ♡ぱんぱんっ♡すきっ♡ますたっ♡あいしてるっ♡おっ♡おとこっ♡男としてすきっ♡男性としてっ♡愛してますっ♡」

 

 ──09:09──

 

「あへぇっ♡あへっ♡はへっ♡あえっ♡ますた、ますた、すてきっ♡セックスじょうず、うまい、つよいっ♡あへっ♡アヘッ♡ゆるしでっ♡ちんぽすごいから、ゆるしでっ♡ゆるしでっ♡もっ♡いきすぎっ♡ばかになるからっ♡オレまけてるからっ♡おとことしてまけてるからっ♡ゆるしでぇっ♡」

 

 ──09:30──

 

 寝落ちならぬアクメ落ちをしたニキチッチの意識が戻るまで、十五分ほどの時間が必要だった。多少の休憩時間を置かれて、理性はもう戻っている。男性としての自尊心が戻るにつれて、胸の内に湧き上がるものは嫌悪感だった。

 もちろんそれは、立香に対してのものではない。心は男でありながら、セックスの最中に女であることを受け入れて、あろうことか溺れてしまった自分自身への嫌悪感だ。

 ベッドを軋ませて、ニキチッチは体を起こす。立香にきちんと言わなければと思っていた思考は、目の前にある勃起したちんぽに、金玉から漂うザーメン臭に、あっという間に霧散していった。

「わかるよな、ニキチッチ」

 耳が垂れて、尻尾がくねる。シーツの上で身を捩らせて、ニキチッチは躊躇うことなく、立香のちんぽにしゃぶりついた。

「んむ、っ、んぽっ、んっ、んっ、んっ……」

 男の心でありながら、なぜか咥えてしまう。口の中を、柔らかくて硬い相反した感触が擦るたびに、気持ち悪さとは別のなにかが背筋を這い上がってくる。ニキチッチは、その正体に半ば気付いている。

 セックスの強さを、嫌というほど思い知らされた。結果として心に染み付いてしまったのが、この雄に逆らってはいけないという負け犬特有の精神だ。同性であろうと、ちんぽを出されればしゃぶって慰める。女の役割が必要になれば、どんな時であっても自分がそれを受け入れる。

「ふうっ、ふっ、ふうっ、んっ、んもっ、んぽっ……♡」

「上手いよ、ニキチッチ」

 強い雄に褒められ認められて、嬉しくなってしまう。女の役割を与えられながら、心が喜んでしまう。媚びるように上目に見つめると、ニキチッチは立香の金玉に鼻を寄せて匂いを嗅ぎ、あむあむと柔らかな唇で甘噛みする。その間、自分のよだれをたっぷりと塗り付けたちんぽは手のひらと指で締め付けて、気持ち良くなってもらうために扱き続ける。

 ニキチッチの中から、男の心が消えたわけではない。むしろそれは、決して消えることがないものだ。だからこそ、ニキチッチは興奮している。セックスで完全に打ち負かされて、男の心で、男に媚びる。愛らしい女の肉体になったからこその倒錯的な行為に、ニキチッチ自身が興奮を覚え、溺れ始めていた。

 立香との過ちは、後にも先にも一度だけ。

 その時に刻み込まれた記憶が、今も心を蝕んで、この日とうとう萌芽した。頬を窄めたひょっとこ顔で、尽くす。自分よりも強い同性の、男のちんぽをしゃぶって、慰め、射精しやすいようにピストンを繰り返す。

 男としては、あまりに惨めで情けない。そんな自分の状況に悦びを覚え、全身を震わせている。気付けばニキチッチの割れ目からは、新しく分泌された粘液の糸が重力に引かれ、シーツの水溜まりに向かって伸びていた。

「んふっ、んふっ、んもっ、んぽっ♡ちゅぽっ、ちゅぽっ、ぢゅぼっ、ぢゅぼっ♡まふは、まふはぁ、はへっ♡へぁっ♡んむっ♡んんっ♡」

「出すぞ、飲めよ、ニキチッチ、っ」

「んんんぅっ♡」

 雌の穴に吐き出すための子種が、立香のザーメンが、ニキチッチの喉を流れ落ちていく。自分の粘膜で射精されると、より一層、女にされたと感じてしまう。自分は突っ込んで注ぐ側ではなく、突っ込まれて注がれる側なのだと感じてしまう。

 女に、雌に堕ちるという、精神を犯されるかのような快楽。

 それはまさに、男の心だからこそ味わえる倒錯だった。

 

 ──10:00──

 

 立香はソファの背もたれに体を預け、ニキチッチはその立香に体を預ける。背面座位の姿勢になりながら、今はまだ、挿入はしていない。

 大股を拡げて性器を丸出しにしたまま、ニキチッチは浅く荒く、喘ぐような呼吸を繰り返す。右手の指はクリトリスに触れて、勃起したそれを慰めるように撫で続けている。左腕は背後の立香の首へと回しているせいで、汗でじっとりと蒸れた腋下が露わになっていて、強い雌臭のフェロモン湯気がむわりと漂っている。

 その匂いに誘われて、立香のちんぽは硬くなる。ニキチッチの尻の間で、汗と雌汁をローション代わりに、柔らかい肌で扱かれて我慢汁を飛ばしている。お互いに、セックスの手前、前戯の時間。ニキチッチをヨガらせる立香の右手は、ゆるゆると上下に揺れていた。

「あへっ♡あっ♡あっ♡マスター、すごい、っ♡尻尾、コかれるの、ジンジンする、っ♡」

「根本ってよりも、股の間に挟んだ時、ちんぽの辺りに来るところが好きなんだな。こうやって扱くと、手コキされてる気分だろ」

「それ、それっ♡あっ♡あっ♡エロいっ♡オレのちんぽ、ないのにっ♡マスターが、コいてるみたいでっ♡エロいぞっ♡興奮するぞっ♡」

 ガニ股で腰をへこらせながら、ニキチッチは立香の手をじっと見つめ、その動きをオカズにクリトリスを撫で回す。擬似的であっても勃起ちんぽを慰められているような光景は、男の心を呼び起こして、雌に堕ちた今をより強く意識させる。

 精神的な屈服を感じると、興奮はより高まっていく。ニキチッチはどうしようもないほど、雌に堕とされるというシチュエーションに溺れてしまっている。セックスの強い雄、立香への服従を受け入れる心が、秒単位で高まっていくのを感じているのに、抜け出せない。

 それほどまでに、雌に堕ちるという行為には抗えないほどの魅力があった。愛らしい姿さえなかったら、覚えることのなかったであろう倒錯行為。

 ニキチッチは、どこかでとっくに気付いていた。人間の妻に乗った時か、それとも巨人の妻に乗った時か。

 あんな風になってみたい、あんな風にされてみたい。

 自分の中にある倒錯的な欲望に、とっくの昔に気付いていた。

「ニキチッチ、ならさ……」

 ひそひそと耳元で囁かれて、ニキチッチはあまりの興奮にびくんと腰を跳ねさせた。立香の手コキは速さを増して、射精を促すように尻尾の半ばを擦り上げる。

 恥じらうように赤くなった顔を背けながら、ニキチッチは涙で濡れた瞳を雄へと向ける。こくんと小さく頷いて、震える声で言葉を紡いだ。

「できる、ぞ……オレの、男にもある、穴で……」

 巨乳をいやらしく揉まれ、乳首を摘まれて、セックスを求めるように腰がくねる。むちむちの白いふとももには汗が滲んで、股間からは雌臭い湯気が立ち上っている。

「オレ、は、男として、ちんぽ、突っ込まれたい……マスターに、カマ、掘って欲し、ぃ、ぁ、やば、いく、いく、いくっ♡やば、言っただけでいくっ♡」

 腰を震わせ、背をのけ反らせて、甘いアクメによだれを垂らしながらニキチッチは蕩けていく。情けない言葉を口にして、女の役割を受け入れて、その想像と興奮だけで達するほどに溺れ切っていた。

 立香はコンドームを勃起ちんぽに被せると、そんなニキチッチを当たり前のように四つん這いにさせて背中にのしかかった。蛍光ピンクの薄いゴムが、子作りではなく快楽のためのセックスをするのだと主張していて、ニキチッチの子宮を疼かせる。

「オレ、マスター、オレ、男だ、男なのにっ」

「女になりたかったんだろ、してやる、身も心も、オレの女にしてやる、ニキチッチ。ホモセックスだ、男の穴にちんぽ突っ込んでやるからな」

「あっ、あっ、そんな、そんなっ……」

 男であると意識させる言葉が、股の間を熱くさせる。耳を垂らして眉毛を下げた、媚びた顔でニキチッチは立香を見つめる。

 尻穴に熱と硬さを感じたのは、その時だった。

「おっ、ぐっ、うううっ……!」

 ローションと愛液が濡らしていたせいで、摩擦は少ない。その代わりに、めりめりとこじ開けられるような異物感があった。

「うっ、うっ、うっ、あっ、マスター、まって、少し、まって」

「黙れよ、奥まで入れてやる」

「あ、あ、あぁぁあっ……!」

 痛みはない。あるのは、絶望感と興奮だ。

 男として終わらされた、受け入れるべきではなかった、そんな思いがニキチッチの子宮を食い破らんばかりに刺激していた。肛門に硬いちんぽを捩じ込まれ、四つん這いで、別の男の穴になる。男として耐えがたい屈辱が、最後のスイッチを入れてしまった。

 カリの返しを通り抜けたあとは、滑らかに根本まで入ってくる。最初の抵抗が嘘のように、ニキチッチは野太い立香のちんぽを直腸で味わっていた。

「ニキチッチ、入ったよ、感想は?」

「ふと、ふと、かた、ふと、っ、ふとくて、かたい、っ、それに、あつい、すごくあつい、ますた、あつくて、かたい、っ」

 勝てない。立香には、もう二度と、逆らえない。ちんぽを穴に突っ込まれた男は、突っ込んだ男には決して勝てない。熱さと硬さに疼くのは、直腸の粘膜か、それとも薄い肉壁を隔てた雌の穴か。どちらであっても、ニキチッチにはどうだって良いことだ。

 勃起したクリトリスを伝って、粘液の糸が落ちていく。尻穴を、使われてすらいない。穴に突っ込まれただけで、掘られてもいないのに、雌の汁が垂れ流しになっていた。

「はあっ、はっ、はあっ、はあーっ、はっ、あーっ、はっ」

「まだ動いてもいないのに、甘イキが止められないんだろ。中の締まり方で、なんとなくわかる。このまま動かれたら、男として終わるってわかるだろ」

「わか、わかる、わかるぞっ、オレ、おわる、おとことして、おわるっ」

「じゃあ、終わらしてやる」

「あっ」

 目の前の光景が、弾けるのを感じた。

「やああっ♡あっ♡やっ♡ぬけっ、ぬけるっ、あっ♡はいるっ♡はいってくるっ♡はいってくるうっ♡あっ♡おっ♡なにこれ、なにこれ、すごいっ♡」

 たった一度のストロークで、体を支える両腕は崩れて枕に顔を埋める姿になった。尻を高く掲げて雄に捧げながら、ニキチッチは男性としての終わりに酔い痴れる。自分よりも強い雄のセックスに、意識の全てを奪われていた。

 引き抜かれると、排便にも似た快楽が尻穴の入口を襲う。突っ込まれると異物感で涙と涎があふれ、また引かれると漏らしているのではと混乱して枕を握る指に力が入る。抜き差しを繰り返すたびに声があふれ、足の裏はセックスを教えてくれる雄に媚びるよう、ももや尻を撫で回して甘えてしまう。

「おっ♡おっ♡んおぉぉっ♡おーっ♡きもち、きもち、すご、すご、きもち、っ♡ますた、なにこれ、しらない、しらない、これ、しらないっ♡こわいっ♡オレ、こわいっ♡」

 立香のちんぽが、直腸を何度も擦り上げる。硬い先端が子宮の裏に入り込むと、ニキチッチは口をOの字にしたままで動物のような声をあげた。割れ目からクリトリスへと伝う粘液は、子宮が分泌した雌ザーメンが混ざってクリームのように白濁している。それがどういうことかを理解して、ニキチッチは涙を流して泣き声をあげた。

 ちんぽを突っ込まれて、射精している。カマを掘られるだけでも男として屈服しているというのに、体は心よりもずっと早くから服従して、快楽に負けてアクメを迎えている。男として最低のところまで堕とされたのだと思い知って、情けなさと悔しさが爆発したように、子供も同然に泣きじゃくる。それでも、立香は許してくれない。

 腰がゆっくりとピストンするだけで、体の中身が引っ張り出されるような錯覚すらあった。奥まで突っ込んでぐりぐりとほじくられると、穴の奥で子宮が射精するのを感じる。直感的なものでしかないが、トコロテンアクメをさせられているのだと、ニキチッチは感じていた。

「やめ、でっ♡やめでっ♡ますた、やめでっ♡ばかに、なっだっ、なっでるっ♡ゆるしでっ♡もう、ゆるしでっ♡あおおっ♡んおおっ♡たすげで、たすげでぇっ♡ごめんなさいっ♡ごめんなさいっ♡ゆるしでくださいっ♡しゃせーしでるっ♡ざーめんででるっ♡」

 そう、射精している。穴に突っ込んでいないのに、穴に突っ込まれているのに、情けなくも快楽に屈して、男としての絶頂を晒している。強い男に射精を強いられ、掘られながら射精している。情けない、惨めだ、みっともない。立香は、まだ射精していないのに。ピストンされるたびに射精して、恥ずかしくてたまらない。

 全ての感情がぐちゃぐちゃになって、涙と嗚咽が止まらない。パンパンと尻に腰を打ちつける音すら聞こえ始めて、惨めさは一層強くなっていく。

「できないっ♡できないっ♡できないっ♡もうできないっ♡ますた、ゆるしで、もうできないっ♡オレ、できないっ♡」

「できてる、できてるからそのままでいい、できてるっ」

「できないぃっ♡できないっ♡できないよぉっ♡」

 子供のように泣きながら、ニキチッチは潮さえ噴いて終わらないアクメに堕ちていく。誰にも見られていない空間だからこそ、自分の想像し得る惨めで弱くて情けない姿を晒してしまう。正しくは、晒してしまいたい、立香になら、強い男になら見られたい。ニキチッチは、そう考えてしまっていた。

「出る、出る、出るよニキチッチ、あぁ、出る出る出る出るっ」

「できるっ♡あかちゃんできるっ♡こどもできるっ♡おとこなのにっ♡オレ、おとこなのにっ♡おんなにされて、あ、でる、でてるっ♡びゅーって、びゅーって、あぁぁぁあっ♡」

 一際甘くて高い声をあげながら、ニキチッチは三度潮を噴きながらアクメする。膝が曲がりつま先まで力がこもって、背後にある立香の尻をぎゅっと抱き込むようにして、一番奥に突っ込ませる本能の動きを見せながら、深く甘いアクメに堕ちる。

 女の体になっても、なお男として抱かれて、抗いもできずに堕ちた。心に刻まれた呪いのような感情はその事実をきっかけに、いよいよ取り返しのつかないところにまで根を張ってしまっていた。

 

 ──11:00──

 

 しばしの休息は、人間である立香にとっては必要不可欠だった。

 水分を補給して、食事を摂る。その間も、ニキチッチは甲斐甲斐しく立香の世話を焼いた。今までよりも献身的に、父親のような接し方ではなく、まるで母親か、あるいはそれこそ新妻のようにだ。

 食事をしている最中であっても、ソファの上でぴっとりと肌を触れ合わせ、しなだれかかるように裸体を寄せてくる。口の端についた食べかすをそっと赤い舌で舐め取る仕草は、媚びた雌のそれだ。

「寂しくなった?」

「……べ、つに」

「心配しなくても、風呂場でまたセックスするよ。汗とか流してから、奥まで突っ込んで、いやらしくピストンしてあげる」

「っ、ぁ、……マスター、……」

「仰向けになって、股を開いて、夫婦みたいにしよう。そり返ったオレのちんぽで、腹側をゆっくり擦ってあげる。奥のところも、押し上げるみたいにぐりぐりしてから、腰をぴったりくっつけて小さい動きでとんとんしてあげる」 

「いやらしく、か?」

「そう、ねっとり、時間をかけて。男なのに、ちんぽに逆らえないって思い知らせるみたいに、優しく。ニキチッチなら、オレを跳ね飛ばすなんて簡単なのに、逆らえない。熱くて、硬くて、太いのが、何度も穴を出入りするんだ」

 頬を赤らめて視線を落とし、そのくせニキチッチは嫌がる様子をみせなかった。恥じらいながらも、立香の言葉を聞かされて、生々しい快楽を思い出してしまっている。

「オレ、は、別に、そんな、こと……ぁ、……」

「期待して、尻尾立ててるくせに」

 油断していた隙を突かれて、尻尾を優しく握られる。ニキチッチの腰に甘い痺れが走り、ゆっくりと扱かれると息が乱れてくる。視線が絡めば立香の瞳が自分を見ていると思い知らされて、羞恥心に穴の奥がきゅぅと締まる感覚すらあった。

「乳首、硬くしてあげる」

「やめ、そ、あっ、あっ、あっ……」

 尻尾を扱かれながら乳輪を唇で包まれて、ニキチッチの耳が垂れる。熱い舌が乳首を舐めると、ぷっくりと簡単に勃起してしまう。手の甲を噛んで声を堪えても、腰がへこへこと動くのは隠せない。

 跳ねる吐息が聞こえるだけの、静かな部屋。静寂が却ってセックスの音に集中させて、ちゅぱちゅぱと乳首を舐め回し吸い上げる音に、ニキチッチの心は乱されていく。

 勃起した乳首の先端を優しく舐められると、指とはまるで別物の柔らかな刺激が心地良くて声が漏れる。肌や骨の硬さを感じない粘膜での愛撫は、硬くなった乳首をどこまでも気持ち良くさせてくれて、ずっと舐められていたいと感じてしまう。

「んあぁっ♡」

 そこに来ての、吸引。唇が乳首を締め付けて、強く引かれるような、それでいて痛みのない快楽。視界を塞ぐように顔の前で腕を組み、蒸れて雌フェロモンを撒き散らす腋を拡げたまま、ニキチッチはソファの座面で仰け反った。

 雌が授乳に忌避感を覚えないための、本能的な快楽なのだと理解はできる。ただし、理解ができるのと実際に感じるのはまるで別物だ。子供に吸われることなど、まるで考えられない。カチカチに勃起した乳首を慰められて考えることといえば、穴奥の疼きと、男が欲しいという女の欲望だけ。

 心は男なのに、女になりたい。あの逞しいちんぽを突っ込んで、舌を絡ませるキスをしながら優しく奥を小突いて欲しい。見つめ合って上に乗られ、小さなストロークで密着したままのピストンが恋しい。腰に脚を絡ませて、奥まで迎え入れた上で熱いザーメンの排泄を促したい。立香のちんぽを、いやらしい穴でねっとり搾り取ってあげたい。肉の穴になりたい、性欲を吐き出すための便所になってあげたい、強いこの雄が愛おしい。

 膝をぐいと押しやられ、股を拡げさせられて、ニキチッチは蕩けた顔を晒していることに気付いた。目元こそは腕で隠れていても、だらしなく半開きになった口元は隠せていない。

「すぐ、欲しいんだね」

「あっ、あっ……あぁぁっ……♡」

 入ってくる、入ってくる、入って、きた、きた、きた。

 亀頭が穴を拡げた瞬間から、ニキチッチの頭の中は、それで塗り潰されてしまう。背中をしならせながら足のつま先を天井に向けてピンと伸ばして、愛しい雄がちんぽを突っ込みやすいよう、穴を使いやすいよう、体が腰を浮かせてしまう。もっともっと味わってと、媚びるように懐いてしまう。

 手首を取られて座面に押し付けられると、それだけで情けない媚び顔が隠せなくなる。眉も耳も下げて、とろんと濡れた目で見つめるニキチッチの舌を、立香は当然のように吸った。甘いキスに連動した緩めのピストンに、ニキチッチの足指が空中を掻く。

「んふっ♡んふっ♡んんっ♡ふっ♡ふぅうっ♡」

 どんなにもがいても、立香の体は退けられない。本当なら指先一つで跳ね飛ばせるはずの相手に、まるで力が振るえない。その間にも、立香の腰は小さな動きで上下して硬いちんぽで穴を念入りに擦り上げてくる。

 雄を受け入れて愛してしまった今、ニキチッチに逆らう術は残っていない。座面と立香に挟まれた不自由な空間で、くぐもった声を上げながら穴を捧げることしか許されていない。

 白いデカ尻は快楽と興奮に何度も震え、やがて伸びていた両脚は立香の腰へと絡みつく。キスを求めるように舌を差し出し、腰をゆすって穴全体でちんぽに媚び、胸板に巨乳を擦り付けて甘えて懐く。

 雌に堕ちる自分を暴かれる快楽に、ニキチッチは溺れ切っていた。

 

 ──11:30──

 

 備え付けの浴室でも、ニキチッチは女にされる。

 ローションマットに寝転がり、ぬるぬるとした粘液を全身に浴びて、体を、肌を擦り合わせる。潤滑油のおかげで摩擦はなく、全身の触覚を立香に捧げてニキチッチは媚び続ける。

「あんっ♡あっ♡やぁっ♡ぬるぬる、ぬるぬるするっ♡」

 巨乳を捏ねられると指がぬるんと滑って、想像と異なる刺激に思わず甘えた声が出る。開いた股を閉じようとしても、容易く割り開かれてしまって抗えない。愛してしまっているのもあるが、体のぬめりも相まって、どうしても力を込められない。

 横向けになれば、背中にぴっとりと密着する立香の体を感じて胸が高鳴る。股の間に巻き込んだ尻尾を優しく扱かれると、立香の手コキに合わせてにゃあにゃあと雌猫の声が浴室に響いた。

「コいて、コいてっ♡ますた、オレのちんぽ、よしよししてっ♡あっ♡あっ♡あっあっあっ♡こし、こしうごく、こしうごくっ♡」

「ニキチッチはこれが好きだよな、ほら、ほら」

「すきぃっ♡これ、これ、こしのおく、きゅうってなるっ♡あぁぁっ♡しゃせーするっ♡しゃせーするかんじだっ♡だしたいっ、だしたいっ♡びゅーってしたいっ♡」

 手コキされる尻尾と連動しているように、情けない動きでかくかくへこへことニキチッチが腰を使う。立香の手とセックスしているような心地に、ついていないちんぽを突っ込むように、ニキチッチは惨めであろうとも空腰を止めない。正確には、止めようと思うことすらできなかった。

 射精もできずアクメにも至れず、ニキチッチは足りない快楽を補うようにクリトリスへと指を伸ばす。中指で押し込んで転がすように慰める手付きは、女に特有の手慣れたそれ。この肉体で何度も慰めているのだと、オナニーをしているのだと、立香にバレることすら厭わない。それほどまでに、ニキチッチの思考は、快楽を求めることに従順になってしまっていた。

 立香もまた、それを見逃さない。片手で尻尾への手コキを続けながら、体位を再び正常位へと移す。股を閉じることすら忘れてオナニーに耽るニキチッチを見下ろしたまま、蕩け切った雌穴へ中指と薬指を埋めていく。

「また勝手にオナニーしてたろ、ニキチッチ。するときはおねだりって約束、いつになったら覚えるんだ?」

「おへっ♡ますた、おなか、こりこり、だめ、だめっ♡」

 度重なる甘アクメと興奮で、ニキチッチの膣粘膜はすっかりと充血し、濡れそぼっている。とめどなく分泌される粘液で抜き差しは容易く、体温の上昇もあって中は熱い。ふっくらと膨らんでいる腹側の肉壁は、軽く押すとどこまでも沈み込むような柔らかさと、指先に手応えを感じる弾力の二つが楽しめる。

 柔らかい場所を押し込めば、ニキチッチは蕩けた顔で浅い呼吸を繰り返す。はへはへと舌を突き出したまま脱力して、もっと触って欲しいとねだるように腰を振るわせ、穴の指を締め付ける。弾力のある場所を掻いてやればわかりやすく声が漏れ、イヤイヤするように首を揺らす。蒸れた腋を晒してフェロモンを撒き散らしながら、マットを掴んで堪えるような仕草。まるで、逆らわないからもっとしてくださいと懇願するような姿勢だ。それを見て、当たり前のように立香の指がピストンを始める。

「はおっ♡はおっ♡あおっ♡あっ、そこ、そこ好き、そこ好きっ♡ますた、ずるいっ♡ずるいっ♡オレのこと、ぜんぶ、しってるっ♡」

 立香に訴えるニキチッチの言葉は正しい。

 二本の指を開いて、弾力を避けて柔らかい場所をゆっくりと擦り続ける弱い刺激に、ニキチッチは弱い。逆らう力を奪われて、キスを求めて、女のように振る舞ってしまう。

「キス、キスして、ますた、キスして、さみしいっ♡」

「まだ、キスはまだ、ほら、入れるよ、股を緩めて……」

 特異点での過ちを思い出しても、体はもう逆らえない。

 セックスへの研究が進み切った現代の人間を、ニキチッチは正しく認識できていなかった。寒さに震える立香を温めるために犯した、たった一度だけの過ち。それがこんな結果を生むなんて、思いもしなかった。

「あっ、あっ、ちんぽ、あついっ♡も、こんなかたいの、すごい、すごいっ♡あっ、ゆっくり、ゆっくりするの、すきぃっ♡ね、ね、またして、またしてっ♡キスハメ、すき、すきだっ♡ますたの、キスハメ、だいすきなんだっ♡」

 求めても、与えられるとは限らない。こうなれば雌は雄に媚びるしかできず、最終的に与えてもらえるからこそ、情けなく懇願して求めるしかない。その敗北感が、ニキチッチを女に引き摺り込んでいく。

 腋の下を嗅がれる。恥ずかしさに涙が滲むも、突っ込まれたちんぽが硬さを増したのを感じて嬉しくなってしまう。

「ダメだ、オレだってまだ、やりたいことがあるんだから。……ニキチッチの汗、甘酸っぱい匂いがする。雌の匂いって、これなんだろうな」

「あっ、あっ、そこやだ、そこやだぁっ♡そこちがう、ちがうぞ、ますた、そこちが、あっ♡あっ♡あっ♡」

 腋の薄い肌を舐められて、羞恥心と快楽が混ぜこぜになる。違うと訴えているくせに、ニキチッチは決して腕を下さなかった。愛しい雄が貪りたいならば、服従する。そういう言い訳を考えて、腋舐めでの甘いアクメに溺れてしまう変態性に見て見ぬふりをした。

 こんなところを舐められて、アクメするはずがない。今のこの、普通でない行為が、普通でないシチュエーションが悪いだけ。それだけではない、男の体は女の快楽に耐えられない。だから、こんな、セックスに無関係の場所でアクメするだけだ。

 自分に言い聞かせながら、ニキチッチは背中をしならせてよがる。立香の舌が腋を舐め、汗とフェロモンを啜られ、奥をとんとんと優しく愛される。それだけで、潮を噴きながらアクメする。アクメしないはずがない。

「あっ、まって、まって、いまうごくのだめっ♡なめるのだめっ♡すきっ♡あっ♡だめっ♡すきになるっ♡もうなってるっ♡なってるのにっ♡もっとなるっ♡もっとなるっ♡ちんぽうごくの、きもちい、きもち、あっ、いきそ、いく、いく、いくいくいくっ♡」

「いいよ、いけ、いけ、いけいけいけっ、ニキチッチがいっても、セックスは止めないからなっ」

 愛する男に女にされて、負けずにいられるはずがない。だからこれは仕方がない。女として愛してしまっているのだから、負けてしまうのは仕方ない。そんな言い訳を塗り潰すように、子宮を押し上げられる快楽がニキチッチの脳を焼く。アクメに至って足の先までピンと伸ばし、ニキチッチは涙をこぼす。

 この男がどうしようもなく、狂おしいほどに、愛おしい。自分の中に芽生えた女の感情にわずかな恐怖を抱きながら、ニキチッチは堕ちていく。

 時計の針は、もうすぐ十二時を指すところだった。

 

 ──13:00──

 

 湯上がり、食事を済ませて束の間の休息を味わった後。ニキチッチはいつもの衣装ではなく、セックスのための扇情的なランジェリーに身を包んでいた。

 肌が透けて見えるほどに極薄のラテックスめいた材質で、乳輪と割れ目の部分は中身を丸出しにするために、生地がハート型に切り抜かれている。蛍光ピンクと蛍光グリーンの二色構造こそしているが、白い肌を彩るだけの下品で卑猥な衣装だった。

「マスター、本当だな、本当に秘密にしてくれるんだな?」

「オレだって、誰にも言いたくない、こんなニキチッチを独り占めする機会なんて滅多にないんだ。それよりさ、似合ってるよ、それ」

「は、恥ずかしいぞ、すごく……」

「嬉しいくせに。……ほら、上に乗ってよ」

「っ」

 おずおずと、ニキチッチはベッドに寝転がる立香の上へと跨っていく。上半身を倒してデカ乳を擦り寄せるようにぴっとりと重なると、啄むようなキスで自分の男への愛を示した。リップノイズが、静かな部屋に小さく響く。

「オレが好き?」

「好き、だ」

「男同士なのに?」

「そう、だ」

「ちゃんと言ってよ」

「ぁ、……オレ、は、マスターのこと、が、ぁんっ♡」

 唐突に乳首を摘まれて、ニキチッチの声が跳ねる。こりこりと転がされると、立香の指の間で、乳首はあっという間に硬くなっていく。

「名前で呼べって、言ったろ」

「あっ、あっ♡すま、すまな、あっ♡りつか、りつかのこと、愛してるっ♡おっ♡おっ♡ぉ、男として、逞しくて、セックス、上手くて、オレ、オレ、女にされて、気持ちよくなってっ♡」

 はへはへと情けない顔で浅く喘ぎながら、ニキチッチは右手を背後へと伸ばして、立香のちんぽを優しく握った。そのまま振り返りもせずにぐしょぐしょに濡れた穴へと導いて、ゆっくりと咥え込んでいく。

「あっ♡あっ♡あぁ、ぁ、ぁ、んおっ♡」

 声の変化は、奥に届いた時の証明だ。そこから腰を上下に揺らして、穴の中のちんぽを扱く。ガチガチになった立香のちんぽが跳ねるたびに、ニキチッチの心には愛おしさがこみ上げてしまう。夫に尽くす妻のように、温かい粘膜で竿の根元までを包み込み、何度も小刻みに刺激を与えて愛していく。それが幸せなのだと感じて、ニキチッチは耳を垂れさせて感じる顔を立香に晒す。

「ますた、ますた、っ、オレの中、きもちい? 硬いちんぽ、きもちよくなる? できるぞ、ますた、オレ、こづくりだって、っ」

 言葉にするだけで、背筋を甘い痺れが這い上がってくる。立香の乳首を舐め、肌に口付け、甘噛みをしてニキチッチは媚びる。デカ尻を打ち付ける音が聞こえるほど、腰使いは激しいものに変わっていた。

「やば、気持ちいい、それにっ、興奮する、っ、エロいランジェリーで誘惑してくるの、すごい好きかもっ」

「ほんと? ほんと? オレ、ますたのためなら、できるぞ、ホモセックス、すけべな穴でも、ケツ穴でも、ますたなら、いい、っ♡ちんぽもかぎたい、なめるのもすき、手コキも、金玉しゃぶるのも、ぜんぶ、ぜんぶ、シたいっ♡」

「ニキチッチ、煽りすぎ、やば、出る、出るっ」

「だしてっ♡だしてっ♡ますた、びゅーしてっ♡びゅーって♡びゅーっ♡」

「あ、出る、っ」

「ぁっ♡きた、きた、きたぁ♡びゅーって♡あぁっ♡すごい、すごいっ♡」

 射精の瞬間、ニキチッチは腰を落としてデカ尻が歪むほどに密着し、立香のちんぽを根本まで咥え込む。立香はされるがままに全身の力を抜いて、ただただ射精に集中する。熱く締め付ける肉の穴に愛されてザーメンを排泄する快楽が、立香のちんぽを虜にしていく。

 男であったニキチッチのセックスは、心地良い。求めることを察しているように、ちんぽの扱いがどんな女英霊よりも上手かった。腿裏に脚を絡ませて逃さぬように搾りながら、ニキチッチは立香の唇を何度も舐める。求めているのだと気付いてキスを交わせば、甘える声をあげて腰を擦り寄せ、さらにちんぽを刺激してくれる。

 立香の心を言わずとも感じ取り、ニキチッチもまた、嬉しそうな笑顔を見せた。目の前の男が、自分から離れようとしない。その事実は、ニキチッチの女としての満足感を高めてくれる。

「マスター、オレは、まだまだ、できるぞ……♡」

 だから、言わないわけにはいかない。誘わないわけには、いかない。

 午前中の濃密なセックスを経て、とうとう、ニキチッチはマスターとの交尾を受け入れるようになっていた。

 

 ──14:00──

 

「んもっ♡んもっ♡んぽっ♡んぽっ♡ぷ、はっ♡ぢゅ、るるっ♡じゅぽっ♡ちゅぽっ♡ちゅぽっ♡んふっ♡ふっ♡」

 下品なほどに股を開いたエロ蹲踞で、ニキチッチは立香のちんぽに奉仕を続ける。右手の指先はクリトリスを撫でるように捏ね回して、しゃぶりながらも快楽に耽っていく。指が動くたびに粘液が溢れ、勃起したクリトリスを伝って床へと糸が垂れていく。

 男としての心はとっくにちんぽへ服従して、女のように振る舞うことへの快楽すら覚えるようになっている。立香という強い雄を上目に見つめながら、金玉の匂いを嗅ぐように鼻を鳴らし、にちゅにちゅと音を立てて竿の半ばを扱きながら、ニキチッチは愛しい男の太ももに何度もキスを繰り返す。

「ますた、ますた、も、すっごくかたいぞ♡がっちがち♡オレの口まんこ、そんなにすきか♡きもちよくなってくれてるか♡」

「すっごく気持ちいいから、舐めてよ、もっと」

「んんっ♡な、な、めいれい、してくれ、してくれっ♡オレを、女みたいにしてくれ、ますた♡」

「しゃぶれ、ニキチッチ」

「んはっ♡できるぞ、できる、まふは、はぷっ♡」

 中指と薬指を揃えて、ニキチッチはちんぽを咥え込むと同時に自分の穴をほじくり始める。喉の奥まで飲み込むディープスロートに、立香は腰が溶けそうになるのを堪えるので精一杯だ。

 とろんとした目で、耳を垂らしながらニキチッチは立香の手を自分の頭に触れさせる。その意味を理解して、立香はさらさらの銀髪越しに形のいい頭をつかまえた。

「んごっ、ぇごっ! ぉごっ、ぉっ、ぉげっ、んぐっ!」

 そのまま、オナホールを使うように立香は無遠慮に腰を使う。ニキチッチは苦しさに涙を浮かべながらも、逃げようとはしない。ぐぼぐぼとよだれと空気が混ざる音を口の端から漏らしながら、頬を、舌を、喉の穴をちんぽが往復する快楽に溺れていた。

 愛しい男のちんぽを扱くための、穴。女の自分に相応しい立場だと思い知らされて、射精するような快楽と高揚感がニキチッチの腰を蕩けさせていく。立香の陰毛が鼻に擦れ、穴に入る刺激さえ、心地いい。呼吸ができずに視界が白んできても、感じるのは興奮だけだった。

「ニキチッチ、情けないと思うだろ、なにもできなくてさっ。男のくせにちんぽ咥えて、オレを気持ちよくさせるだけなんだぜ、お前」

「んんぐっ♡んぐっ♡ぇごっ♡ぉごっ♡」

 穴の奥が、立香の言葉できゅっと締まるのを感じる。男なのに男を愛して、女の役割に溺れて、女の心を宿してしまったかのようだった。後頭部を手のひらが包んで、頭を引けないように押さえつける。

 そのまま、喉の奥で跳ねる立香のちんぽに意識を持っていかれる。ぷし、と潮を噴きながら、ニキチッチは精神的な興奮だけでアクメを迎えてしまっていた。食道を流れ落ちていくザーメンの感覚にさえ背中を震わせて、ちんぽを引き抜かれるその瞬間まで身動き一つすらできない。

「げ、ほっ! けほっ、げほっ!」

 酸素を取り込めるようになって、ニキチッチは苦しげに咳き込みながらも新鮮な空気で肺を満たす。よく冷えた水入りのボトルを差し出されたのは、まさにその時だった。

「ちょっと乱暴だったかな、ごめん」

 立香は優しく声をかけて、ニキチッチの背中をさすってくれる。愛されていると感じてしまって、ニキチッチの子宮がきゅんと疼いた。

「いい、平気だ、オレは強いから……」

 そのまま、二人は顔を寄せ合うとごく自然にキスを交わす。二回目までは、啄むように軽いもの。三度目には舌をぬちぬちと舐め合わせながら、ニキチッチが立香の首へ腕を絡ませて甘える。しなだれかかる姿は、相思相愛の恋人同士の情事にしか見えなかった。

 

 ──14:30──

 

「んっ♡んっ♡あっ♡はあっ♡はっ♡はあっ♡」

「気持ちいい?」

「きもち、いっ♡いっ♡あっ♡そこ、そこあててっ♡」

「そこじゃわからない」

「くり、くりっ♡くりのさきっ♡ああぁっ♡」

「はい、よくできました」

「ぁ、ぁ、ああぁぁぁっ♡」

 頭の後ろで手を組んで腋を晒したガニ股姿勢のまま、ニキチッチは倒れまいと必死に両足を踏ん張っていた。乳首をツンと尖らせて、割れ目からはねばつく糸を垂らしながら、腰をへこへことゆすっていたとも呼べる。はへはへと浅い呼吸は、勃起したクリトリスの先にローターを当てられるとその速さをどんどん増していく。

「あへっ♡へっ♡へっ♡へあっ♡あへっ♡そこすき、くりすき、さきすきあっあっあっ♡あてるのだめ、だめ、ますた、いきそ、いきそっ♡」

 ふとももを震わせデカ尻を前後させて、ニキチッチは泣き言を口にする。眉も耳も垂れ下がって、欲しい欲しいとうわごとのように呟き続ける。それもまた当然の反応だと言える。

 午後二時を過ぎてから、二人はまだ一度もセックスをしていない。キスを交わして、フェラチオも、イラマチオもして、指を穴に突っ込まれローターでクリトリスを慰められて、ニキチッチの穴は焦らされ続ける切なさに茹ってしまったように熱くなっていた。

 繰り返して与えられる快楽と甘い睦言に、ニキチッチの心が折れたのは何分前だったのか。立香の女となり、恋人となり、妻となることまで宣言した。そこからずっと、セックスはしていない。

「いくっ♡いくっ♡いくぅっ♡はぁぁん♡いくぅ、いくぅ♡」

「いっていいよ、見ててあげる」

「あぅぅぅっ♡ぁ、いくいくいくっ♡」

 甘いアクメにぶるりと全身を震わせて、ニキチッチが一際甘く高く鳴いた。立香はそれを倒れないように抱き止めて、優しいキスで甘やかす。舌を吸われて鼻を鳴らしながら、ニキチッチの大きな目はじんわりと潤んでいた。

「マスター、オレ、オレ、寂しい……」

 情けないことを言うなんて、勇者にあるまじき行為だ、まるで女のようではないか。自分でそう考えても、口は勝手に言葉を紡ぐ。

「も、ずっとしてない、マスター、立香、オレ、セックスしたい……」

「男として?」

「違う、女だ、女としてっ」

「男としてさせてよ、こっちの穴で」

「ぁ、っ」

 言葉を遮られ、指を捩じ込まれて、ニキチッチの顔は悲壮な表情に歪む。

「ケツの穴を掘ってください、だよね」

「それは、立香っ」

「言え、アナルファック、されたいって」

 尻尾を股の間へと丸めて、ニキチッチは明確に怯えたような顔をみせた。それもまた、プレイの一環でしかないのだが。

「でも、オレ、それは」

「あーもう、焦ったいな、来いよ」

「あっ」

 手を引かれて、ニキチッチは立香に従う。強い雄のちんぽを、勃起した男の象徴を盗み見て、また子宮が疼くのを感じる。

 アレで、掘られる。男にもある穴を、掘られて、便器にされて、溜まった性欲とザーメンを排泄される。スッキリするための穴として、使われる。

 ドキドキと胸が高鳴るのを感じて、ニキチッチは頬を染めた。

「あっ、立香っ、……」

 不意に背中を突き飛ばすように押されて、ソファの背もたれに腹を押しつける形になった。高めの背もたれに伏せると、足のつま先が床を掠めるように浮く。バランスを崩さないように座面に手をついたところで、ニキチッチは華美で細い線のようなパンティが破かれる音を聞いた。

「マスター、やめて、やめ、っ、あっ、あっ、あっ……♡」

「言えよ、どうせ突っ込むんだから」

 やっと穴の中にちんぽが入ってくるものの、ローション代わりに愛液を塗すだけでピストンは終わった。地面を求めて足を動かしても、踏ん張ることすらできない。支点になっている腰を押さえつけられて尻穴に熱い硬さを感じ、ニキチッチの耳が垂れる。

「もし、言ったら、っ」

「恋人みたいに愛し合える」

「っ、……す、き……」

「なにが」

「オレ、オレ、っ、男なのに、男に、カマ掘られるの、アナルファック、されるの、好き、マスターだから、立香のちんぽだから、好き、気持ち良くて、優しくて、女に、されるみたいで、おっ♡おっ♡おぉぉっ♡」

 入ってくる、入ってくる、入ってくる。

 少しの痛みと、それなりの圧迫感と、強い異物感。いつだって、この穴にちんぽを突っ込まれるのは慣れない。慣れない、はずだ。

「あっ、あっ、すご、すご、さっきより、あっ♡」

 熱い、熱い、熱い。直腸に感じる人肌は、硬くて、熱くて、何をされているのか否が応でも意識させられる。足をばたつかせるのもやめて、ニキチッチは大人しくなる。尻穴をちんぽがピストンし始めると、うっうっうっと勝手に声が溢れていった。

「ああっ♡あうっ♡ああっ♡あうぅっ♡」

「ほら、言えよ、言え、言えっ」

「いいっ♡いいっ♡お尻、お尻、いいっ♡」

「ケツだろニキチッチ、言えよっ」

「ケツ穴、ケツ穴すごい、すごくいいっ♡やけどするっ♡りつかのちんぽ、あつくてかたくて、すごくいいっ♡ああっ♡あっ♡そんなしたら、だめになるぅっ♡オレのケツ穴、壊れる、壊れるぅっ♡」

「壊してやる、このまま、ニキチッチのケツ穴、壊してやるからなっ」

「あぉっ♡あおおっ♡ぁおおおっ♡」

 壊れていく、壊れていく、壊れていく。

 ケツ穴ではなくて、男としての自尊心が壊れていく。とっくの昔に壊されているのに、何度だって壊れていく。それほどまでに、男の心を持ったままでカマを掘られるのは堪らない敗北の味がする。

「白いの出てきたぞ、ニキチッチ、また射精したのかっ」

「だっで、だっでぇ♡こんなのむりっ♡こんなのむりぃっ♡」

「前立腺気持ちいいだろ、ここだよ、ここが男の子宮なんだ」

「あおぉっ♡それ、それ、それぇっ♡ちんぽすごいのっ、ゆるしで、ゆるしでぇっ♡しゃせー、しゃせーとまらないっ♡ぁおおおっ♡りつかのちんぽ、かたいっ♡ちんぽかたいよお、かたいっ♡こんなのかでないよぉっ♡」

 カマを掘られるだけでも堪らないのに、立香はセックスが上手すぎた。硬いちんぽの先が前立腺を押し込んできて、甘えて蕩けた声が出る。ナスターシアの奥を攻めた時のような、愛しい男に媚びる声がする。腰の奥がじっとりと熱く濡れていくようで、射精がちっとも止められない。

 脳裏をよぎる妻の笑顔に熱い涙を零しながら、ニキチッチは数えることすらできないほどのアクメの波へと飲まれていった。

 

 ──15:00──

 

 ソファからベッドへ移り、立香とニキチッチの二人はより濃密にキスを交わすようになる。男から女へと精神的にも作り変えられていくような興奮の中、ニキチッチは立香のちんぽに触れて、その硬さを堪能するように自分の汁で濡れた表面を何度も優しく扱いては舌を絡めて吸い上げた。

「じゃあ、シよっか」

 程よく前戯を楽しんで、立香はキスの合間に囁くようにニキチッチを呼ぶ。にゃあと子猫のような声を出しながら、ニキチッチは立香の鎖骨をちろちろと赤い舌で舐めて甘えてみせた。

「マスター」

「名前は?」

「ぁ、すまない……立香、次はなにしてくれる……?」

「そうだなあ……あれ、使ってみよっか」

 そう言って、立香はベッドの側に置いた箱へと視線を向ける。途端にニキチッチの頬に紅が差し、恥じらうように目を細めて視線を逃す。立香が最初に箱の中から取り出したのは、拘束具と極細のバイブレーターだった。

「クリトリス責め、楽しそうだろ?」

「ぅ、面と向かって言われると、その……少し、照れるぞ……」

「そうやって煽られるのが好きなくせに」

 簡単に両手を拘束すると、立香はニキチッチの膝裏にパイプを噛ませて腿を固定する。そこに手首の拘束具を連結させれば、ニキチッチの両手両足は動きを封じられてしまう。開きっぱなしの股の間からは、もう既に濃厚な雌の発情臭が漂っていた。

「期待してるんだ」

「……して、る、ぞ」

「まずは、ローションを塗るよ」

「あっ……♡」

 ひやりとしたローションをクリトリスに落とされて、ニキチッチは自然と悩ましげな吐息を漏らす。粘度の高い透明のジェルめいたそれを立香が指先で優しく塗り込むようにしてやると、すぐにニキチッチの足先が丸まっていく。

「はあっ……はぁっ……はぁぁっ……♡」

 指が動くにつれて、クリトリスは次第に勃起していく。ニキチッチは普段の表情を保つことも忘れて、とろんとした半目のままでうっとりと快楽に浸っている。息遣いも次第に荒く、熱を帯びたものに変わっていく。

「あっ、あっ、あっ……♡そこ、そこ、気持ちいいっ……♡」

 立香が割れ目を指で広げると、ニキチッチのクリトリスが包皮から顔を出しているのが見て取れる。充血した真っ赤な粘膜に触れるのは、指ではなく極細バイブの先端だ。綿棒ほどしかない小さな頭を根本に押し当て、包皮の中へ優しくローションを導くと少しずつ皮が剥けていく。

「あぁっ……♡ますた、ますた、そこ、さわったことないっ……♡」

 包茎クリトリスの場合、指で触れることができるのは精々が先端か、大きさにもよるがちんぽにすれば裏筋側だ。そこを、極細のバイブとローションで念入りに皮剥きをしてやれば表側にも刺激を与えられる。漫然としたオナニーでは味わえない、他人の手による開発はニキチッチにとっても未知の快楽だ。自分でも気付かぬうちに、ニキチッチの割れ目はローションのような粘度の雌汁でじっとりと濡れてしまっていた。

「気持ちいいだろ?」

「いいっ♡いいっ♡くるくるされるの、すごいっ♡こし、こし、うごくっ♡」

 言葉の通り、拘束された不自由なままであってもニキチッチの腰は浅ましく揺れ始める。表側を極細バイブで撫でられる度に、腰を浮かせて腹筋に力を込め、精液を搾り取ろうと穴を締め付けてしまう。立香の目の前で、ヒクつく雌の穴から白い本気汁がとろりと溢れ出した。

 そこから、躾は始まる。

「ほっ♡ほっ♡ほぉぉっ♡なにこれ、なにこれっ♡ぉほっ♡ほぉっ♡ぶるぶる、やあっ♡ぶるぶるするっ♡やあっ♡やっ♡きもち、きもちすぎて、あたま、とけるっ♡とけちゃう、りつか、とけるっ、とけるぞっ♡」

「まずはじっくり感じさせないとね、クリトリスが戻らないようにリングもつけるから。今さ、すっごいパンパンに膨らんでるよニキチッチ、めちゃくちゃ勃起してる」

「はずかしっ♡だめ、だめ、だめっ♡ぁ、いく、いきそっ♡いきたいっ♡いきた、っ、ぁ……っ♡なんで、りつか、いきたい……っ」

 アクメの寸前で、クリトリスからバイブが外れる。ニキチッチは切なそうな顔をして、どうしてと立香に問いかけてしまう。

「だから、これからするんだって、こういうのを思いっきり。ニキチッチ、男のつもりで考えて。縛られて弄ばれて、射精するなんて情けなくて死にたくなるだろ」

「それ、は、そうだ、けど……」

「ニキチッチは、イキたがったらダメ。イかないように耐えて。オレさ、自分の恋人が快楽に負けてセックスを求めるような姿は見たくないんだ。愛してるなら、わかってくれるだろ?」

「っ……ず、ずるい、ぞ、立香ぉほおっ♡」

 不意打ちのように、パンパンに膨らんだニキチッチのクリトリスに立香はバイブを押し当てる。即座に喉を反らして、ニキチッチは再び快楽で思考をぐちゃぐちゃにかき混ぜられてしまう。

 じっくりと押し当てられては、アクメの寸前に引き離される。クリトリスを快楽で嬲り、アクメだけは与えない。それがどれだけ辛いことになるのか、ニキチッチはまだ理解していない。

「できるよな、我慢」

「でき、できる、できるぞっ♡ほっ♡ほぉぉっ♡がまん、できる、っ、いかない、いかないっ♡オレ、りつかがすきっ♡すきだから、いかないっ♡」

「すごく嬉しいよ、その言葉、絶対に守ってね」

 自分が何をされるのかも理解しないまま、涙を目尻に湛えながらニキチッチは何度も何度も頷いた。

 

 ──15:05──

 

「にゃぁぁっ♡いぎっ♡いっ♡き、た、くないっ♡へいき、オレ、がまんできるぞっ♡へいき、こんなのへいきだ、りつかっ♡」

「ニキチッチ、愛してるってちゃんと言って」

「おっ♡おっ♡ほぉぉっ♡あい、して、っ、っ、っ♡」

 

 ──15:15──

 

「ぉ、くる、くるくるく、っ、ちが、ちが、いまのちがっ」

「本当に? 本当にイキそうになってない?」

「なってな、なってな、へいき、あい、して、っ」

 

 ──15:25──

 

「ぃ、い、いいいっ! あぁぁ、やだ、やだっ、もうやだっ!」

「何が嫌なの?」

「がまん、できな、つらい、つらいっ、も、いかせて、りつかっ」

「オレのこと、愛してない?」

「ちが、でも、おねがい、つけて、それ、あててっ、あててぇっ!」

 

 ──15:45──

 

「やだあ、やだあっ! つけて、いかせて、つけて、いかせてっ! ちんぽいれて、おくして、いかせてぇっ!」

「今のニキチッチが男に捕まってエロ拷問されたら、それを言っちゃうんだよ。そうならないように特訓してるんだから」

「やだあ、やだあっ! ごめんなさい、ごめんなさい、ゆるしてっ!」

「まだまだ、ダメ」

 

 ──16:01──

 

「ほら、言って」

「はへっ、はっ、はへっ、はぁっ……ナスターシア、ゆるせ……オレ、セックス拷問に、勝てない……。快楽調教されて、一時間も寸止めされてる、アクメしたくて耐えられない……」

「だから、どうするの?」

「も、我慢、できない、ゆるせ……っ、お前への愛より、オレ、立香とのセックスに溺れたいっ。男としてお前を抱くよりも、立香に女として抱かれる方が、気持ち良くて、昂って、立香のこと、男性として愛してるんだ、っ♡ぉ、っ♡なん、これ、これっ♡ぁ、やば、やばっ♡」

「ニキチッチ、まんこヒクヒクして本気汁出てきたよ、言うだけで甘アクメしてるでしょ。焦らしすぎたかな、頭、バカになっちゃったよね」

「あううっ、あっ、ぁうっ♡とま、らな、っ♡あっ♡またっ♡あっ♡またいくっ♡さわっ♡さわってないっ ♡さわってないのにっ♡」

「じゃ、次は連続アクメさせてみよっか」

 

 ──16:18──

 

「いっだっ♡もっ♡おっ♡おぉぉんんっ♡いっでるっ♡」

「これで何回目だっけ?」

「よんじゅっ♡いっ♡いぢっ♡ぁいぐいぐいぐいぐっ♡」

「腰浮かせたまま痙攣してるのすごくエロいよ、まだいけるでしょ?」

「むりぃっ♡むりっ♡もっ♡むりむりいぐいぐいぐいぐいぐっ♡やめでっ♡とめでっ♡ぁいくまたいくいくいくぅっ♡」

「ニキチッチ、この電マも使ってみていい?」

「やあっ♡やだあっ♡しぬっ♡しんじゃうっ♡それやだそれやだっ♡ゆるしてぁまだいぐっ♡いっ♡いっ♡だめだめだめいっだのにっ♡ぁだめまたいぐぅっ♡とめでっ♡ゆるしでっ♡あたまこわれるっ♡」

「よーし、当てるよー」

「ぉおぉぉぉぉんんんぅっ♡んぉおおおっ♡んおぉっ♡だれかっ、だれかっ、だれかぁっ♡ころされるっ♡いぎごろされるっ♡しぬっ♡オレっ♡しんでるっ♡もっ♡しんだからゆるしでぇっ♡もうやだぁっ♡」

 

 ──16:26──

 

「やだやだやだやだいぐいぐいぐっ♡もうやだっ♡ぁいぐっ♡いっでるっ♡も、やだっ♡おかあさんっ♡たすけでっ♡いぐっ♡まだっ♡まだいぐっ♡」

「よしよしわかってきた、ここ当てるとすぐアクメして潮吹きするのか」

「やめでっ♡おねがっ♡それだめっ♡それいやっ♡おかあさっ♡たすけっ♡あっ♡あっあっあっ♡ででるっ♡もれでるっ♡つらいっ♡あくめつらいのっ♡りつかっ♡ゆるしでぇっ♡」

「ここだよね? これだよね?」

「おぉぉんんんっ♡んうぅっ! ううぅーっ! うーっ! んぅーっ!」

「すっげ、動物の唸り声みたい、あ、またいってる」

「やめろっ、やめろっ、りつか、ころすぞ、やめろぉっ! ぁいぐいぐいぐいぐっ♡ごめなさ、ゆるしで、ごめなさいっ♡しんでる、しんでるからっ♡これいじょ、しぬからぁっ♡さからわないからっ♡も、さからわないからっ♡ゆるしでぇっ♡いきじぬっ♡いきじぬぅっ♡」

 

 ──16:41──

 

「あっ……♡あっ……♡あへぇっ……♡」

「よ、っと……うわ、べっとべと……子宮もめっちゃ降りてる……ニキチッチ、もしかして今さ、入れるだけでいった?」

「あへっ……♡はへっ……♡あへぇっ……♡」

「もう、わかんないか。じゃあさ、恋人みたいなしっぽりセックス、しよっか。まずはこうして、ゆっくり抜いて……」

「ぁ、っ……♡へぁっ……♡あぁぁ……っ♡」

「カリの返しまで抜いたら、今度は、奥まで……ずっぽり……」

「あぁぁっ……♡んぁっ……♡あぁ、ん……♡」

「ここが好きなんだよね、ガニ股でへこ腰するからすぐわかる……」

「ぁん……♡あん……♡あんっ、あっ、あぁん……♡」

「情けない声だよ、ニキチッチ……あんあんって、セックス中の女の子みたいに……体も汗ばんで、しっとりしてるし……なにより、においがすごい。腋の下とか、汗で蒸れてフェロモン臭めちゃくちゃする……」

「あぁん……♡あんっ……♡あぁっ……♡」

「聞こえてないかな、ははっ。こんなでもさ、穴は愛してくれるから、最高だよね。ニキチッチの体、今のうちに全部調べてあげるから」

「あぁっ……♡あへっ……♡あぁん……♡あん、あん……♡」

 

 ──16:53──

 

「そこっ、そこっ、そこっ……♡すごい、りつか、どうしてわかるっ……♡おっ、おっ、おぉぉっ♡こしつき、すご、うまい、うまいっ♡あっ♡そこもすきっ、そこもすきっ♡」

「激しくやりまくってごめんね、許してくれる?」

「いい、いいっ♡オレ、りつかを、ゆるすぞっ♡あっ♡ちんぽやさしいっ♡やさしいの、すきぃ……っ♡こし、こしもってっ♡ふうふみたいなの、して、してっ♡あっ♡あっ♡つかまれるの、すきっ♡」

「こうだよね、わかった、このままゆっくり、とん、とん、とんって」

「あ……っ♡あっ……♡あぁ……っ♡とんとん、とんとんすきっ♡オレ、やさしいの、よわいかもっ♡りつかのやさしいせっくす、すごく、かんじるっ♡あいされるの、よわいっ♡りつか、りつか♡どなってごめんね、ごめんねっ♡」

「いいよ、オレも乱暴だったんだし、お互い様だよ」

「あぁ、ん……っ♡やさしい、やさしいよぉっ♡すきになる、すきになるっ♡りつか、りつか、ごめんね、ごめんねっ♡」

「じゃあさ、仲直りのセックスしよう、仲良しになろう、いいよね?」

「する、するっ♡なかよしするっ♡オレ、りつかのこと、すきっ♡すきだぞ♡おとことして、あいしてるっ♡りつかのちんぽ、きもちよくさせたいっ♡オレの穴で、よくなってほしいっ♡」

「やば、変なスイッチ入った、種付けする、絶対孕ませるから」

「あっ、あっ、うれしいっ♡ねっ、ねっ、して、してっ♡オレ、りつかのあかちゃんほしいっ♡あぁっ……♡そこ、そこ、やさしくつついてっ……♡あーっ♡あーっ♡きもちいいよぉっ♡ちんぽ、ではいりしてるの、わかるぅ、っ♡」

「このまま出すよ、出すよ、ニキチッチっ」

「あっ、あっ、だしてっ、だしてっ、りつか、りつかぁっ♡」

 

 ──17:01──

 

 軽くシャワーを浴びて、汗と性液を流したあと。ニキチッチは理性を取り戻し、体のラインを強調するようなぴっちりとしたレオタード姿になっている。

 とはいえ、戻っているのは外見だけだ。立香を見つめる視線には恥じらいと、恋心にも似た愛しさが宿っている。ベッドの上で膝を立てて股を開き、ハイレグの股間が見えやすいようにむっちりしたふとももを左右へと退かしていく。惜しげもなく晒される白い素肌には、キスマークや歯形が生々しく刻まれていた。

 二人の間に言葉はないが、触れ合い方の一つ一つをとってみても慈しみと愛情が宿っている。立香が触れやすいようにニキチッチは股を広げ、レオタードのクロッチを除けると自らの指で割れ目を開く。立香はそこに顔を寄せると、優しいキスで好意を示す。リップノイズが、断続的に響いた。

「はっ、はっ、はぁ、ぁ、っ……♡」

 勃起したクリトリスを啄まれて、ニキチッチの吐息に熱が篭る。立香に舌の先で優しく舐められると、自然と腰が浮き上がっていく。先端がジンジンと痛いほどに痺れ、そこを擦られて堪らずに身悶える。ちゅ、と音を立てて唇が啄んだ途端、ニキチッチは法悦の声を上げながらぐんと背中をしならせた。

「はへっ、へっ、へぁっ、あへっ……♡」

 立香にクリトリスを吸われ、ニキチッチは舌を踊らせて喘ぐ。その愛らしい顔に、凛々しい若武者としての表情はない。表情を作る余裕も失い視線を鋭くすることも忘れて、とろんとした半目のままで口角を上げ、時折目を閉じては吸引される快楽に酔っている。

 突っ込まれた穴でちんぽを扱いているように、ニキチッチの腰が上下に揺れる。踵を浮かせて爪先までピンと伸ばしながら、ニキチッチはほんのわずかにフェラチオされている時の快感を思い出し、それとは比べ物にならない濃厚な快楽に溺れていく。

 激しいセックスが立て続けにあったせいか、無理やりアクメさせる様子のない優しいクンニは、ニキチッチの声を一段と甘いものに変えていく。立香に膝裏を持たれると、空中に投げ出された足先がくいくいと空を掻いた。

 割れ目はすぐに雌汁で濡れて、甘酸っぱい発情の匂いを漂わせ始める。濡れやすくなったと立香に囁かれて、ニキチッチは恥ずかしそうに頬を染めて視線を逃す。垂れた耳がぷるぷると震えて、それでも股は開いたまま。もっと愛してと言うように、力を抜いて、立香の舌を心待ちにしている。

「あひっ……♡あっ、あっ、あぁぁっ……♡んぅ、んうぅっ♡」

 立香の指が、濡れた穴に入り込んでくる。すっかりと柔らかくほぐれているせいで、いきなり二本を咥え込むのにも痛みはない。ちゅこちゅこと中を混ぜる音が股の間から聞こるにつれて、ニキチッチの眉が下がっていく。奥の腹側に触られると、腰が勝手に跳ねてしまう。立香の指はそれを知り尽くしていて、ゆっくりとニキチッチの弱点を押し込んだ。

「ぁ、あ、そこ、そこ、それ、ゆびで、ぐって……ぁおぉっ♡」

 薄地のレオタードは、ニキチッチのボディラインをくっきりと浮き上がらせる。たっぷりとした巨乳の先端が硬く勃起している有様さえ、ありありと。立香が口に含むと、ニキチッチはひんひんと情けない声を上げた。

「あひっ♡あひっ♡ひっ♡あひ♡あぁっ……おちち、でそう、でちゃうっ♡そんなにすったら、でちゃうっ♡」

 ニキチッチの肉体を包むレオタードは透けてこそいないが、コンドームのように極薄のラテックスめいた手触りだ。体温さえも感じるせいで、素肌での触れ合いと大差はない。柔らかくよく伸びるから、戦いの最中に体の動きを阻害することもない。

 立香がそれを思いついたのは、ニキチッチのデカ乳に指を埋めて捏ねると、衣服も乳房の形に合わせて柔軟に歪み伸びることに気付いた瞬間だ。

「腋、出して」

「んんぅ♡あれ、するのか?オレ、はずかしい……♡」

 言いながら、ニキチッチは頭の上へ両手を挙げると枕の端をきゅっと握る。必然的に腋が上がって、汗で蒸れたそこが露わになる。甘酸っぱい腋汗の香りは、頭がくらくらするような雌のフェロモンで満ちているようだと立香は感じていた。

 顔を寄せて鼻を鳴らし、匂いを嗅ぐ。そんな立香の姿を見ているだけで、ニキチッチは恥ずかしさのあまり、顔も耳も熱くなっていく。腋の匂いを嗅がれるのは、いつになっても慣れない。だから、意識を他所に逃がそうとして視線を外したのが失敗だった。

「ひんっ♡」

 れろりと、舌が薄い肌に触れる。思わず甘えた声をあげてしまってから、ニキチッチは困惑して目を白黒させる。腋の下を舐められて、あんな声が出るはずがないと。

「あっ……♡りつか、まって、りつか、それ、それ、はずかしい、それ、きたない、あっ、あっ、あっ……♡そこ、ちがう、ちがうのにっ……♡なにこれ、ゾクゾク、する、あぁ、っ……♡」

「ニキチッチの腋汗、美味しいから大丈夫……」

 立香の体に組み敷かれ、腋を舐められて、ニキチッチは腰をゆっくりと上下に揺らし始めていた。自分自身が、空腰を使っているなどと、当の本人は気付かない。腋下の皮膚の凹凸を舌が這うたびに、はあはあと息が荒くなり、奇妙な快感と興奮が股の奥をヒクヒクと蠢かせる現実に混乱するばかりだ。

 ニキチッチは、気付かない。レオタードのクロッチが、密かに戻されていたことにも。立香の勃起ちんぽが、割れ目に当たっていることにも。

「あぅ、あっ、あぅぅっ♡そこ、ちがうのに、ちがうのにっ♡っ、ぁ、っ……あっ、ぁ、あ、っ、え、えっ、ぁっ……?」

 最初に覚えたのは、違和感。穴の縁に亀頭の形こそ感じたが、人肌の感触ではなかった。次に、快感。人肌ではなくとも、勃起したちんぽを穴に突っ込まれる、甘ったるい雌の悦び。コンドームを付けているような滑らかな摩擦感に、ニキチッチの混乱は強くなる。

「ニキチッチ、このレオタード、すごいね。薄くて柔らかくて伸びるからさ、着せたままでも、簡単に突っ込める」

「あっ、えっ、あっ、あっ、りつか、まさか、あぁっ♡」

 慌てて自分の股間を見ようと顔を上げて、ニキチッチは文字通りに言葉を失った。いつもの通りに白い戦士の装束を肉感的なその身に纏ったまま、着衣は乱れてすらいない。だというのに、立香の腰つきに合わせて穴の縁から奥の奥まで、熱く硬い勃起ちんぽの感触が往復を繰り返す。そしてその快楽には、まるでコンドームを隔てているような、薄皮一枚の滑らかさがあった。

「おまえ、おまえっ、あっ、あっ、あぁっ♡おまえっ、りつか、まさかっ♡これは、ボガトゥイリの、いくさしょうぞくっ♡あっ、あっ、そんな、はやくするの、ずるい、ずるいぞっ♡オレがよわいの、しってるくせにぃっ♡」

 パンパンと音を立てて立香はニキチッチのデカ尻に腰を打ち付ける。奥を突かれると尻肉が歪み、汗ばんだ肌を擦り付けるようにしてニキチッチもまた腰を浮かせて懐いてしまう。

 レオタードはどこまでも柔らかく薄く伸びて、破れる気配も引っかかる様子もみせない。戦いのための衣装さえ汚されるようで、それがまたひどく淫猥な事に思えてしまう。立香のちんぽを締め付ける穴は、どろどろにねばつく愛液を分泌し続けて今の状況を悦んでいることが丸わかりなのだ。

「やめろ、だめだぞ、やめろっ♡これは、だめだ、だめ、ぁ、あっ、あぁぁ……♡おっ♡ぉんっ♡おっ♡おっ♡ぉおっ♡ぉくっ♡そこ、そこ、ぐりぐりだめぇっ♡」

「ダメだなんて、嘘ばっかり。ニキチッチは、絶対これ好きだと思ってた。すごい濡れてるよ……それにさ、もうアクメしそうなんだろ?」

「ちがっ、ちがう、ちがうぅ♡ぁ、だめだめだめだめっ♡ぃくっ♡あぁ、だめなのに、いくいくいくいくっ♡」

「いいよ、ほら、いけいけいけいけっ」

「ぁ、あっ、あぁぁぁ……っ♡」

 甘い甘い、蕩けるようなアクメの快楽の中、ニキチッチは立香の腰を両脚で抱き締めてすっかり妻のように振る舞ってしまっていた。

 

 ──17:30──

 

 背中に乗られて、腰をゆっくりと使われる。今ではすっかりと抵抗する意識も失って、ニキチッチはにゃあにゃあと鳴いた。着衣のまま脱がされもしないセックスは異常な行為であって、だからこそひどく興奮する。たとえ緩やかなピストンであっても、心が昂ることに変わりはない。

「このくらい?」

「あっ、あっ……♡も、少し、ゆっくり、っ……♡」

「このくらい、かな」

「ぁ、ぁっ、ぁん……♡そのくらい、その、くらいっ……♡」

 立香の腰使いはゆっくりと、そしてねっとりとニキチッチを可愛がる。バックで突っ込まれると、硬いちんぽが奥の深いところまで突き刺さるようで、征服されているという実感に繋がる。

 そこから先の動きは、どこまでも緩やかだった。理性を飛ばし切るには物足りない、けれど冷めてしまうには甘過ぎる。そんな、ニキチッチを知り尽くしている事をまざまざと感じさせるかのような絶妙な加減での快楽が続く。

「擦られるのが好きなのは、ここ?」

「あんっ♡も、少し奥、っ、ぁ、そこ、そこっ……♡」

「ここがいい?」

「んっ♡んっ♡そこ、そこ好き、気持ちいい……♡」

 ニキチッチは自分の穴の弱いところを躊躇いもせずに立香へと伝える。戦士の装束を使ったセックスであっても、忌避感というものはとっくになくなってしまっていた。

 とんとんと、亀頭で穴の奥を小突かれる。その度に、堪えきれない甘えた声が漏れ出して腰が勝手に動いて懐く。穴の中まで飲み込んだレオタードのクロッチは、お互いの体液を染み込ませてそこだけ色が変わってしまっている。そのせいもあってか、滑らかな摩擦は素早いピストンに合わせてじゅぼじゅぼと濡れた音を立てた。

「あーっ♡あっ♡あぁっ♡浅くて速いの、気持ちいいっ♡立香のちんぽが中で動くのっ、わかるっ♡おなかのとこ、ゴリゴリするの、頭痺れそうだぞっ♡」

「深いところと浅いところ、どっちが好き?」

「どっちも、どっちも好きっ♡深いとこ、されるのもっ♡浅いとこ、ぬぽぬぽされるのもっ♡濡れる、すごく濡れるっ♡おまんこ濡れて、腰、動くっ♡」

「腰がカクカクするの、止められないでしょ」

「止められないっ♡勝手に動いて、気持ち良くなってるっ♡」

 ニキチッチの告白に合わせて、立香はちんぽの置き場を浅く、深く、入れ替える。その度にニキチッチは好き好きと甘えた声で鳴きながら、デカ尻を擦り寄せて甘えてしまう。

「あっ、あっ♡腰抱くの、好きっ♡腕絡めて抱かれるの、弱いっ♡立香、耳舐めして、耳っ♡」

「んっ、ここだよね……ぇ、っ……」

「おっ♡おっ♡おぉぉっ♡ゾクゾク、するぅっ♡耳舐めされながらのパンパン、頭溶けるっ♡あっ♡乳首摘んだら、もっと弱くなるぅ♡しごいたらだめ、しごくのだめっ♡」

 レオタードの極薄生地にぷっくりと浮き上がった乳輪を、立香の指がいやらしくなぞる。そこからきゅっと乳首を摘むと、ニキチッチは四つん這いのままで、途端に太ももを擦り合わせ始めた。脚を閉じると穴が締まって、立香のちんぽがきゅうきゅうとしゃぶられていく。

「すっごい締めてる、これ、そんなに好き?」

「好、きぃ……っ♡乳首硬くしてから摘まれると、お乳出るって気分になる……っ♡出ないのに、出る、出るってなって、頭がっ、ぽわぽわしてくるんだっ♡あっ♡あっ♡ぉおんっ♡まっ、待って、待ってっ♡シコシコ、しながら、突くの、また、バカになるっ♡おっ♡おぉぉっ♡耳、耳っ♡耳も、するのっ、だめぇっ♡」

「いいじゃん、ねえ、ニキチッチ……好きだよ、好き、好き、好き……大好き、好き、好き、ニキチッチ、好き……」

「あっ、あっ、あぁぁぁっ、だめ、だめ、あたま、とけるっ」

 立香の睦言を聞かされながら奥を優しく突き上げられて、ニキチッチの理性は容易く決壊する。暴力的な快楽と甘過ぎる好意に、自分もだと応えたくなって肩越しに振り返り、そこでまた唇を奪われる。

「んっ♡んっ……♡んふっ……♡ふっ♡」

 ちゅぷちゅぷと音を立てながら、ニキチッチは舌を舐め合わせて立香に甘える。立香もまた自分の唾液を流し込んでやりながら、硬く勃起した乳首を指の間で転がすようにしてニキチッチの求愛に応えた。

「ぷぁっ♡はっ、はっ……♡立香、そろそろ、激しくして欲しいっ♡オレ、やっぱり、立香のちんぽで頭バカになるまでされるの、好きだっ♡立香が好きだから、アレされると、逆らえなくなるっ♡」

 ふりふりと発情した雌猫のように尻を揺らして、ニキチッチは媚びて甘える。立香もまた頷いて、もう一度肩越しのキスを交わす。そのまま立香が腰を前後させ始めると、ニキチッチはもうにゃあにゃあと鳴き声をあげるしかできなかった。

 

 ──18:00──

 

「ふぅっ♡ふっ♡ふぅぅっ♡ぉ、っ♡おっ♡ぁ、はいって、くる、っ♡」

 メリメリと音を立てるようにして、ローションで濡れた立香のちんぽがニキチッチの尻穴をこじ開ける。繰り返したホモセックスに、性器も同然となった尻穴はすっかりと縦割れになってしまっていた。

 四つん這いで床に伏せ、犬猫のように尻尾を上げて、脱ぎ捨てた戦士の装束に跨ったままで、ニキチッチは何度目かもわからない立香のちんぽを咥え込まされて震えている。硬く勃起しているのは、乳首もクリトリスも。割れ目を伝う粘液は、相変わらずクリトリスを伝って床の上へ、純白のレオタードへと糸を引いて落ちていく。

「ニキチッチ、ほら、言って」

「あっ、あっ♡オレ、オレ、ちんぽ、入れるより、突っ込まれるのが、好き、だっ♡立香の女になって、男なのに、女になって、もう、立香なしだと、生きられないっ♡」

「男なのに、ちんぽで掘られるの、好き?」

「好きっ、好きだっ♡カマ掘られて、ゴリゴリされて、気持ちよくさせられるの、堪らないっ♡おっ♡そこ、そこ、ちんぽあてないで、りつか、それ、あたまとけるっ♡おっ♡おっ♡おっ♡」

「ニキチッチは、男やめるんだもんね」

「やめ、やめる、やめるっ♡けつあなで、まいにちっ♡まいにち、ちんぽくわえる、からっ♡ぜんりつせん、ぜんりつせんして、してっ♡ところてんさせてっ♡なさけないおとこにしてっ、りつかぁっ♡」

 敗北宣言をするたびに穴の奥がきゅうきゅうと締まって、疼くような痛みすら感じる。閉じられない口からは舌先が飛び出して、雌汁同様によだれも糸を引いていく。立香が腰を動かし始めれば、滲む体液の量は増えていく。

「ぉ、おぉぉっ、んぉぉっ♡ちんぽっ♡ちんぽ、うごいてるっ♡あおっ♡おっ♡ほられるの、うずくっ♡ちんぽたってるっ♡オレ、オレ、ほられて、たってるっ♡ないのにわかるっ♡ちんぽっ♡オレのちんぽ、かたくなってるっ♡」

 女の肉体が得られる快楽は、男の比ではないという。だが、男にもある尻穴での快楽はどうなのか。ニキチッチには、それを考えるほどの理性は残されていない。気持ちいい、しかわからないほど、立香のセックスに染められてしまっている。

 いつものように尻尾を握るのではなく、ニキチッチの手は、股間の何もない空間を握る。まるでそこにあるかのように、指を絡ませて握っては、手首を揺らして扱き始める。

「ニキチッチ、気持ちいい? ホモセックスしながら、ちんぽ扱きたくなったんだね。頭、バカになっちゃってる?」

「なってる、なってるっ♡ないのに、かたい、なくてもわかるっ♡オレ、りつかにほられたら、おとこでもおんなにされるっ♡かてないっ♡こんなの、かてないっ♡りつかにされると、ぜったい、たっちゃうっ♡」

 虚空を扱きながら、ニキチッチは媚びるような視線を背後の立香へと向ける。愛らしい雌でしかない姿でも、心は男。そのギャップがどれだけ興奮を呼び起こすのか、立香はこの部屋で十二分に思い知っていた。

 パンと腰を打ちつける音に、ニキチッチが獣のような声をあげる。腰を掴んで抜き差しを繰り返すと、鳴き声は次第に悲鳴のような余裕のないものへと変わっていく。

「んぉぉおぉっ♡んぉぉっ♡おぉんっ♡おんっ♡やば、やば、またいく、またいくっ♡りつか、りつか、ちんぽ、ちんぽすごいっ♡おとこのちんぽ、きもちいいっ♡オレ、オレ、おんなのからだでよかったっ♡」

「オレも、そう思ってるっ。ニキチッチがこんなに可愛い姿してなかったら、こんな風にならなかった、からっ」

「あぉっ♡そこ、そこして、そこしてっ♡おくすき、おく、おく、ぁ、いくいくいくっ♡だめ、がまんできな、ぁ、あっ、あっ、あぁぁぁあっ♡」

「いけ、いけ、ほらいけ、このセックスが終わったらさ、裸エプロンで夕飯作れよ、新婚夫婦みたいにっ」

「できる、できるぞっ♡オレ、りつかの、およめさんだからっ♡ぁ、またいく、いく、いぐっ♡ぁおっ♡まって、いった、いってるっ♡」

「ダメだよ、オレだっていきたいんだ、中に出したいんだから、もっと続けるからなっ」

「んぉぉっ♡きて、きて、なかにきてっ♡なかだし、すきっ♡りつかの、せーし、あつくて、だいすきっ♡ちがう、ちがうぞっ、せーしじゃないっ♡」

「わかってる、言ってニキチッチ、オレもいくからっ、オレも好きだからっ」

「すきっ、すきっ、すきぃっ♡りつかのこと、あいしてるっ♡おとこでも、おんなでも、あいしてるんだっ♡オレ、およめさんになりたいっ♡」

「ニキチッチ、出る、出るよ、中、もう、出るっ」

「ぁ、あ、きて、きて、だして、あぁっ……♡あついの、あつい、きてる、びゅーって……♡は、ぁ、あぁぁ、っ……♡」

 尻穴の奥へと流れ込んでくるザーメンに、うっとりした表情のままでニキチッチは吐息を漏らす。ぶるりと全身を震わせて、立香もまた自分の雌をしっかりと抱き締めた。

 時計を見れば、いつの間にか午後の七時を回っている。とっくに半日が経過しているというのに、お互いの欲は治まる気配すらみせないままだ。

「……ニキチッチ、夕飯の後は、水着で……」

「んっ、わかった、できるぞ……♡どんなのがいい、立香。ビキニでも、競泳でも、スクールでも、オレは、旦那様のために、なんだって着てやる……♡」

 甘ったるいキスを交わして、外に出るという目的すらかなぐり捨てて、ここからまた続きを求め合う。

 二人の間を邪魔するものは、いまだに現れる様子はない。



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