優しすぎる彼は、勘違いされる。そしてウルトラマンとなる。 (鏡蓮)
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第一話回 記憶を失った彼と記憶がない彼

「将。これはどうするべきだ…。」

 

「…え?」

 

俺の親友・光野絆に渡されたのはウルトラマンギンガのギンガスパークに似た形をした物と見た事ないソフビだった。

 

「あ、あのな…俺はお前の母じゃないぞ?」

 

「お願いだ…。裕太が記憶なくしたの俺のせいでそうなったんじゃないかっと思ってるんだ。それに…。」

 

「それに?」

 

「このソフビ喋るんだ。。」

 

「は?」

 

混乱してきたぞ?そ、ソフビが喋る?そんな高性能だったか?

 

「絆!今日は何をするんだ?」

 

「シーッ!!屋上だけど聞こえるだろ!」

 

「は…はぁぁぁッッ!?」

 

そ、ソフビがしゃべった!?それも動いた!?ウルトラマンタロウのSDと同じ!?

 

「ああ、すまない。君が内海将だね。私の名はウルトラマンキズナ。君の友人、絆とは一体化して戦っていた相棒だ。」

 

「だから、意味わからないって!」

 

「絆!?よく思い出してくれ!君とは長年戦っていたんだぞ!?」

 

「じゃあ、あの出会いは必然なのか!?」

 

「で、出会い?」

 

話がぶっ飛びすぎて意味がわからなかった。例えると情報量の多い漫画を見る気分だった…。

 

「「ああ、教えてなかったな。」」

 

「ハモった!?」

 

な、仲良しか?いや、でもウルトラマンキズナは長年戦っていたからハモるのは当然なのか?

 

「ええっと、昨日の出来事だったな。」

 

そして、俺は知った。コイツらの出会いは必然だと。

 


昨日。

 

俺の住んでいるアパートに入る為、倒れている裕太の肩を担ぐと、ちょうどのタイミングで宝多六花と出会ってしまった。

 

「あれ?絆。響くん担いでるなんて珍しいね。」

 

「ああ。裕太が寝ていてな。ちょっと保護を。」

 

「保護って動物じゃないでしょ…。」

 

俺は宝多に空いてる肩を担いで欲しいとお願いし、裕太を自分の部屋に入れて、目を覚ますのをまっていた。

 

「宝多、帰ってもいいぞ?」

 

「別にいいよ。お母さんには友人の看病って言っといたから。」

 

「早くね?」

 

そう談笑していると、宝多は俺に向けて頼んだ。

 

「これから六花って呼んでくれる?」

 

「別にいいけど。」

 

「そう?ならこれから六花ね。」

 

六花は俺に名前呼びを強要した後、下に降りて行こうとする。

 

「ん?帰るのか?」

 

「ううん、一応熱だったらのお粥作り。」

 

「お、ありがと。」

 

そう言って六花は下に降りた後、俺がじっと裕太を見つめる。

 

「ウルトラマンファンか…。」

 

自分が何故お人好しと言われたのか。少し考えていると…裕太は目を開けた。

 

「あ!裕太!体調は大丈夫か?」

 

「…君は、誰だ?」

 

「えっ…?」

 

その衝撃的な返しに俺は驚いた。まさか、この時点で記憶喪失とはおもわなかったけど。

 


現在。

 

「そこで記憶喪失したのか。」

 

「ああ、それで…次になる。」

 

「大雑把だと抜けるのか?」

 

「抜けるな。こんな出来事、不可思議だしな。」

 

絆の目はまっすぐになっていた。そういえば、あいつ…絆を見ると赤くなっていたよな。

 

「そういえば宝多さんは?」

 

「六花なら、お前の後ろ。」

 

「うぇあ!?」

 

後ろを見ると、宝多さんはずっと立っていた。こわ!?宇宙人が来たと思ったわ!

 

「次はグリッドマン?とこの人形の話?」

 

「そうだな。振り返りみたいになるけど。」

 

「いいよ。情報量えぐいし。」

 

俺、内海将は何かに巻き込まれた様な感じがした。まぁ、ウルトラマンみたいだしいいな。と若干思っている。



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第2話回 グリッドマンとウルトラマン

春頃

 

「光野絆?不思議な名前だね。」

 

「よく言われるよw。今はクラスに馴染めようと努力中。」

 

俺と裕太が出会ったのは何も変哲ない出会い。よくある自己紹介だ。

 

「そういえば、裕太。ウルトラマン貸そうか?」

 

「ウルトラマン貸す!?どういうこと?」

 

「いや、お前フュージョンファイト知らないだろ?なら渡そうかなって。あまりレアリティ上げるなよ…?」

 

俺は裕太といつも話すようになった。クラスメイトとも話すこと多いけど。

 

「ははっ。なら、これね。」

 

裕太が選んだのは、俺の好きなギンガだった。レアリティ高いけど…まぁいいか。

 

「大事にしろよ?俺との繋がりなんだし。」

 

「ははっ。大事にするよ。俺も絆との繋がりを大事にする。」

 

そう笑いながら拳をぶつけ合うと周りが集まり、俺のバインダーを見て、ウルトラマンの事を知りたいと言われたりしたのが多くあって困っちゃったっけ。

 


昨日。

 

「絆?」

 

「そうだ。というより、忘れるの早いわ!」

 

「ご、ごめん。でも、本当に忘れてて…。あれ?これは…君の?」

 

裕太は俺に春に渡したギンガのカードを渡そうとする。けれど、俺は断った。

 

「俺のだけど、今は裕太だ。それに、お前と繋がりを失うのはやだしな。」

 

「繋がり…。」

 

裕太は大事そうに持つ。お、思い出したのか?それとも、大事だと知って喜んでるのか?

 

「作ったよー。あ、起きたの?」

 

六花は階段を上り、お粥?

 

「ああ、判明したことは一つ、コイツが記憶喪失になった。」

 

「は?何言ってんの?」

 

六花よ、やめてくれ。俺が嘘をついて深刻に言うと思うか?思ってるのか!?

 

「ご、ごめん。本当なんだ。君の名前も知らなくて。」

 

「嘘でしょ…。私、絆と話していたのに?」

 

あれ?そこで切れてるの?裕太いたよ?裕太、ちゃんと話してたよ?

 

「そんなことより…。」

 

俺は裕太を起き上がらせる為、手を伸ばす。

 

『思い出せ。』

 

キィィィンッ!頭に響く。知らない声が、俺を呼びかけていた。

 

「あれ?絆。人形とおもちゃ置いてるよ。」

 

「え?ないはずだけど。」

 

「でも、あるわよ?」

 

六花に渡されたのは、ギンガスパークに似た玩具とウルトラマンに似たソフビだった。

 

「思い出せ、絆。君は…私の相棒だったはずだ。」

 

「喋った!?」

 

俺は驚いてソフビを手放す。するとソフビは「いたっ!?」と驚いた声を出す。六花も裕太も驚いていると…裕太は「何かに呼ばれている」と突然言う。

 

「「はぁ?」」

 

俺と六花は困惑するが、裕太は俺の部屋を出た後、何処か走って行く。

 

「六花!お粥持ってける?」

 

「無理でしょ!」

 

「なら私が持って行こう。」

 

「ありがと!」

 

俺と六花は裕太の後を追っていく。寝るなよ!?ここで寝ると迷惑かかる!

 

「六花!この道ってこんな霧多かったけ!」

 

「何言ってるの!?」

 

俺の周りは霧が多かった。俺は影があるのを見て、上を見る。そこにいたのは…大きな怪獣だった。

 

「怪獣…?」

 

「あ!響くん、お母さんのリサイクルショップに入った!」

 

「あ、ああ。分かった!」

 

俺と六花はリサイクルショップに入る。六花のお母さん…ここで働いてたんだ。

 

「それって…。」

 

俺と六花は古びたテレビの前にいる裕太に近づく。すると、ジジジジッ!とテレビが鳴る。

 

「ウルトラマン…?」

 

俺はその姿を見て、驚くと。裕太は何故か「何言ってるんだろ?」という。

六花は何故か、何見てんのと言う。え?嘘でしょ?

 

「なんか聞こえるの?」

 

「うん。なんか、危機が迫ってる。急ぐんだ!しか言わない。」

 

「botじゃん…。」

 

六花はそう言った後、閉店時間だから、ここで泊まるよう言われた。

 


現在。

 

「えぇっと、そのグリッドマンがbotになってんのか?」

 

「ああ、というより…俺は見えて聞こえない。六花は見えず、聞こえないけどな。」

 

ああ、特別感すご。ていうことは裕太と絆は…ウルトラマン!?

 

「それより!ウルトラマンキズナはお粥持ってきただろ!?それどうした!?」

 

「裕太に飲み込ませた。」

 

六花ご本人に言われると、裕太かわいそうだとおもってしまった。

 

「そういえば裕太はどうしたんだ?」

 

「裕太は、何故かニマニマして大事に俺が渡したカード見てた。」

 

「あ、ああ…。」

 

裕太。絆は勘違いされやすいんだ。六花もあれなんだ。俺にいつも裕太に嫉妬して、愚痴言ってくるんだ。だからな、絆…お前がどうにしかしてくれ。

 

「今日の放課後行くか?六花のお母さんのリサイクルショップ。」

 

「え、そんな人、入れないよ?」

 

「4人だし大丈夫だろ。お前はバレないようにな。」

 

「了解した。」

 

絆とウルトラマンキズナって、何か奇妙な関係になってるよなぁ。まぁいいか、今日の放課後はグリッドマンの確認、何が変かを見なきゃな。



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